神7のストーリーを作ろうの会 part4

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1ユーは名無しネ
物語はまだまだ始まったばかり
2ユーは名無しネ:2012/05/13(日) 23:47:20.06 I
スレ立てありがとう!
part4も盛り上がっていくぞー!
3ユーは名無しネ:2012/05/13(日) 23:51:43.81 O
乙谷茶浜不憫龍一おっにくぅれあくりジャスティス思春岸颯変態神宮寺あむあむあむあ!!
4ユーは名無しネ:2012/05/13(日) 23:57:19.88 O
乙です
感謝感激岸優太の連呼ワロタ
5ユーは名無しネ:2012/05/13(日) 23:59:19.19 0
いちおつ


どうしてこのスレの1000はいつもいつも変態れあオタに奪われてしまうのかwwwwww
6ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 00:06:29.00 I
>5
確かにww

やっぱり優太は神7スレの功労者だお
優太ありがとう
7ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 00:15:35.26 0
いちと優太おつ
ちょw前スレ999鬼ヤクザかお
颯きゅん危ないとこだったお
8ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 02:52:37.22 P
スレ立て乙!感謝感激岸優太!
神7の活躍とこのスレの平和をウィッシュータ!

今回の前スレ1000れあオタGJ!999の鬼ヤクザが颯くんと養子縁組したらとんでもないことに…危ない危ないw
それとちょっと繋がるご相談を…
鬼ヤクザの夢小説を岸くんが読んじゃったバージョン執筆中だが、それなら前スレの鬼ヤクザの夢小説をこちらにも貼ったほうがいいか、むしろ前スレとダブってお邪魔か…
途中から来た人のことを考えたら貼ったほうがよいのかな?
9ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 03:35:19.10 0
4か…
感慨深いな
10ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 03:49:57.12 i
>>8
貼らなくても良いと思うよ注意書き?とかがあれば良いんじゃないかな

いち乙です
11ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 05:34:58.56 O
書き手さんは自分語りせずに出来るだけ淡々と投下したほうがそれこそ神になれると思う
12ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 06:05:04.38 O
貼らなくても大丈夫だよん
楽しみにしてるよ
13ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 08:22:33.95 0
4スレ目もゆるく行こう
作者さん楽しみにしてるノシ
14ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 09:50:27.68 0
Part4もどんな物語ができるのかな?
15ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 11:53:58.11 O
4もぬぷぬぷ進行で楽しみましょう。
スレ立てさんありがとう。
作者さんよろしくです。
神7を洋服に例えてほしいです。
16ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 12:06:10.04 0
とりあえずれあたんが純白のウェディングドレスで
17ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 19:03:07.21 I
魂決まったお夏休み神7会いにいくからね
18ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 19:22:30.06 0
また梅芸w
キャパ狭いから激戦になりそうだお
でも神7のためになんとしても当てるお
19ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 19:28:25.50 0
神セブンと遊ぼう!〜折り紙編〜

夏の予定も決まり俄然張り切る神セブンメンバーは今日も打ち合わせのために集合した
ステージを見に来てくれるファンの子たちに何かプレゼントできないものかと考え
とりあえずJUMPコンでファンに配った折り紙で何が作れるかチャレンジしみることにした
・岸くん
器用なので何でも上手に作れるが最終的に紙で指を切り流血
赤い折り紙使えばわからないかと鶴を製作するもなぜか全て頭が2つになっていた
・ふうくん
それほど器用ではないが持ち前の想像力で謎の生物を製作
そして帰り際に隣で作っていた岸くんの作品をそっとポケットにしまう
・神宮寺
何かおもしろい作品が作れないものかとyoutubeで折り紙動画を検索
折り紙プレイなる動画を見つけ夢中になり作品は完成することはなかった
・はにー
紙からこだわり京都老舗の和紙を探し求め金粉が練り込まれた鶴を作成
とてもすばらしい作品が完成したが費用がかかりすぎてファンに配られることはなかった
・倉本
折り紙でお肉お魚果物など食べ物ばかりを作成
作ってる間にお腹が減りよだれをダラダラたらしたため紙がふにゃふにゃになり廃棄
・れいあ
栗ちゃんがすきだからぁと折り紙で栗を100個作成
もちろん全てピンク色の折り紙を使用したがなぜか事務所上層部に回収されファンに渡ることはなかった

次回神セブンと遊ぼう!〜あやとり編〜お楽しみに!
20ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 19:54:36.53 I
日程見てきたが夏休みはぶっ通しで休みなしだな
じんたんと谷やんは前回ダウンしたらしいから体力つけて!

そんなことよりれあたんじるしの折り紙俺にも寄越せ
21ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 20:15:05.48 0
ABCの方にはつかないのかな?
まあ関西人だから梅芸にぶっこむけどさ
22ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 20:40:37.03 I
海老はバカレア、すのまん辺りつけるんじゃない?
えび座出てたメンバーは可能性あるかも
れあたんとか颯きゅんとかはお気に入りっぽい気もする
23ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 21:03:33.51 0
ジャンプコンも微妙に時期ずれてるから可能性もなくはない?
24ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 21:17:34.58 0
雑談は雑談スレで
25ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 22:21:32.93 I
おつです
優太鶴の尻尾にも顔作ったのかwwwその気持ちわからんでもない
26ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 23:09:34.92 O
帰宅後お部屋に頭が2つある気持ち悪い鶴を飾る颯きゅん
優ぴょんと名付け話し掛ける
親御さんはさぞ心配するだろうなぁ…
27ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 23:15:27.82 O
アホはアホだから簡単な折り紙もできないだろうな
たにーは難解すぎるマニアックなものを作る
しかし周りの反応が薄いか遊んでるロクネンジャーに壊されるかかな
28ユーは名無しネ:2012/05/14(月) 23:21:12.70 I
・たにー
ひたすら黙々ときのこを折りまくるが需要がなかったのでお気に入りの
きのこ図鑑に新種のきのことして貼り付け満足感と達成感に浸る。
29ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 01:05:36.13 O
はにーたにーキャワ
30ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 01:13:24.66 O
たにーを見ると何とかしてやりたい気持ちになる
これは何だ?
31ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 04:17:53.97 O
何とかしてやりたいというかどうにかしてやりたいわ
性的な意味で
32ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 11:35:46.36 0
ふうくん若干気持ち悪いです
33ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 11:42:11.02 0
グリコのジャイアントコーンは買うなよ
不衛生な環境で作ってるからな
34ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 12:04:35.52 i
えっきもいのはふうよりれいあだろ
35ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 12:10:15.08 0
ぁあ?
36ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 12:35:09.71 0
>34
ターゲットロックオン、ミサイル発射
37ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 12:38:01.47 0
34東京湾のお魚の餌決定だお
38ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 12:38:20.05 0
このスレで>>34の発言は自殺行為
39ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 12:49:34.12 0
もうすでに消されていると思われます
地球破壊爆弾と無敵艦隊によって
40ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 12:51:46.94 0
お前ら>32はいいのかよww
41ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 12:57:10.88 O
34自重
32はこのスレの颯くんのことなら大丈夫だが実際の颯くんのことだったら爆弾投下
42ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 15:40:32.10 0
茶漬けいったいどうしたんだ?トゥルルルルルルのあとは変なおじさん…
43ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 16:10:33.53 O
れあたんにしめられるがいいよ谷村不憫龍一
44ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 16:53:55.03 O
我々の業界ではご褒美です
45ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 17:30:12.85 0
46ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 17:37:05.03 i
>>45
グロ注意
47ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 17:51:12.36 I
>45
みんな見るなよー
そして変な画像載せるな。ミサイル発射。
優太が夜眠れなくなるだろ
48ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 17:52:34.35 I
なんか初っ端から変な奴が多いな。今後心配
49ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 17:58:14.10 0
>48
お前も変だよ
50ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 18:16:44.76 0
ここにいる時点で普通じゃないよねw
51ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 18:22:29.62 i
>>45
これからご飯なのに見ちゃったじゃねーかよ!
52ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 19:50:26.72 O
45
真剣にやめて。
53ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 19:54:57.77 0
神7のわくわくバーベキュー in RiverSide


緑萌ゆる5月の爽やかな風が春の終わりを予感させ、夏が目覚めの息吹を注ぎ始める。神7一行はとある郊外の渓流にバーベキューーに出かけることになっていた。
なるべくすいているところがいいというみんなの希望により羽生田が検索をかけた結果ヒットした場所は、電車とバスを乗り継ぎ都心から約2時間の場所にあった。車でしか行けない所のくせに駐車場がないからあまり訪れる人がいないらしい。
「あとは岸くんだけか」
待ち合わせの駅にはもう岸くん以外の7人が到着していた。羽生田が腕時計を見ると待ち合わせ時間を5分過ぎていた。
「まさか時間間違えたり寝坊してるんじゃないだろーな岸くん」
神宮寺が半笑いで言うと、みんな「ああ〜…」とあるあると首を縦に振る。
「もぉ…岸いつになったらスケジュール管理できるのぉ」
中村が呆れたように呟いたと同時に、「みんなごめーん!」と岸くんのナチュラルソフトボイスが響いた。
やっと来た…そう思いながら神7達が声のした方向を見やると皆ぎょっとする。
「岸くん…なにその格好…?」
神宮寺が指をさして笑いをこらえる。岸くんは「へ?」と素っ頓狂な声を出した後、ドヤ顔で
「だって渓流行くんでしょ?川があるってことは釣りができるんでしょ?俺最近釣りやりたくて。これも友達から借りてきた!」
岸くんはデカい釣竿を振りかざした。脇にはクーラーボックス。
そして岸くんのいでたちは釣りバ○日誌かはたまた釣り○チ三平か…チョッキに長靴、キャップという釣り人コスプレだった…その妙ちきりんな姿はもはや今をときめくジャニーズJrとはお世辞にも言えない。ちょっと並んで歩きたくない感じだ。
「あれ?おいちょっとみんな…」
岸くんを置いて皆改札を通った。おいてけぼりをくって慌てて駆け寄ったが冷やかな反応が帰ってくる。
「釣竿はもう仕方ないとしてとりあえずその恥ずかしい格好どうにかしてくれないと俺ら一緒に歩かないからな」
最年少の倉本が冷たく言い放つ。神宮寺もそれに続いた。
「着替えくらい持ってきてるでしょ?さっさとそこのトイレで着替えてきなよ恥ずかしい」
「いや…でもまずカタチから入ろうかなって…」
なおも釣り人スタイルを貫こうとする岸くんに栗田が指をさしてバカ笑いを浴びせた。
「ギャハハハハ、んな格好で電車乗ろうとするとか岸アホじゃね?な、れいあー」
アホにアホ扱いでようやく岸くんは折れた。
54ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 19:55:28.93 0
「おおー!!素晴らしき大自然!!」
着いた場所は清流が流れる山のふもとの河原だ。近くにバーベキュー用具一式を貸してくれる店舗もありなかなかの穴場である。空気もおいしい。人も少なく、若い女性グループと社員旅行かなにかのおじさんおばさんの団体だけだった。
「釣―り!釣―り!」岸くんは釣竿を振ってご機嫌だ。
「さすがに河原では回れないかな…」高橋は河原を見渡しながら呟く。
「こういう大自然の中でするオ○ニーって格別なんだよなー」神宮寺はとんでもないことを考えている。
「早く食おうぜ!」準備する前から倉本は食べる気満々だ。
「うん。我ながらなかなかいい場所を見つけたな」羽生田は己のファインプレーに満足の様子だ
「やだ栗ちゃんつめたいぃ」「れいあ、それ〜」アホと乙女はもう川に入って水を掛け合ってイチャイチャしている
「…」谷村は山々の緑を遠くに眺めながら今日の目標を定める。
絶対に単独行動はとらず、足元にも頭上にも周りにも気をつけて無事に生きて帰ること…今日の俺の目標はそれだ。
谷村は思う。このメンバーでどこかに出かけるとたいがいロクな目に合わない。サダコに遭遇したり井戸に落ちたり銀行強盗に遭ったり…しかもこいつらは俺がいなくなっても気付かない。自分の身は自分で守るより他はない。
しっかりと用心をして気を引き締めておかないと今日もロクでもない目にあって「安定の不憫乙です」だ。そうならないためにもアンテナを常に張っておく必要があった。
「んじゃとりあえず役割分担決めよ」
岸くんは魚を釣ってきてあげると言って釣りスポットを探しに行った。高橋はついていきたかったが道具もないし仕方なしとし薪を集める。神宮寺は竈を作り、倉本は食材の仕込みを始めた。羽生田は火をおこす係で、中村と栗田は水を汲む係になった。
谷村はこれといってすることがなく落ち着きなくみんなの周りをうろうろしているだけだった。
「あ、すみませーん」
ボールがコロコロと転がってきて、若い女性グループが走ってきた。すかさず神宮寺が応対する。
「OLって独特の色気があるよなー…ちょっとオ○ニーしてきていい?」
「やめなよ条例違反だから」高橋が呆れ顔で呟く。
「お前オ○ニーは男のロマンだろ条例なんてカンケーねえよ」神宮寺はドヤ顔だ。その後で爆弾を放つ
「お前だってオ○ニーぐらいしたことあんだろ?ん?言ってみ?オカズは岸くんか?」
「ななななななな何言ってんだよそそそそそそんなこと…」
「おーおー耳まで真っ赤。やることやってんじゃんフー君も」
神宮寺がそう茶化すと高橋はもう平静を保つことができない。ここに岸くんがいなくて良かったと心底思いながらひたすら薪を集める。気がつけば倉庫一つ分くらいは集まっていた。

「綺麗なお水ぅ。おいしいねえ栗ちゃん」
中村は川の水を手に掬って飲んだ。
「れいあの方が綺麗だしおいしいよー」
いちゃいちゃしながらなものだから、中村と栗田は二人で一人分の仕事しかしていない。大自然の解放感からか、いつにも増していちゃいちゃの密度が濃い。
「れいあ俺にも飲ましてー」
「うん。」
中村が水を掬おうとすると、栗田は「そうじゃないよ」と言って中村を抱き寄せる。
「あ…栗ちゃん…」
栗田は中村の唇についた水を舐めた。それから唇に吸いつく。
「すげーおいしい。もう一回〜」
「もぉ…栗ちゃんたらあ…恥ずかしいよぉ」
その度が過ぎたいちゃいちゃを呆れ顔で横目に谷村は倉本の指示で食材の仕込みをしていた。慣れない手つきで包丁で指を何度も切りそうになるが一人でいるよりは安全だと自分に言いきかす。
「たにー不器用だなー」
倉本が小馬鹿にしたように笑った。
たにー?たにーって俺のことか?はにーだのたにーだのテキトーに略しすぎだろと谷村が呆れているとそのはにーは薪と新聞紙と木屑が燃える様を見てニヤニヤ笑いを浮かべていた。不気味すぎる。谷村は背中に悪寒が走るのをこらえながら仕事をこなした。
55ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 19:55:55.73 0
「おおーーきたーーー!!!」
釣竿に手ごたえが走り、岸くんは張り切って釣り上げた。開始20分、初めての当たりだ。
「おお…」
岸くんの掌に、一匹のカジカが跳ねる。大きさにして数センチ。8人がおなかいっぱい食べるには数百匹必要かもしれない大きさだったが岸くんは悦に浸った。
釣りって楽しい…快感にうち震えていると背後から声をかけられる。
「釣れますかな?」
品の良さそうな老人が岸くんにそう訊ねた。
「まあ、ぼちぼちです」
岸くんがそう答えると、老人は穏やかな笑みを見せた。地元の人だろうか。
「こんなところに若い人たちの団体が来てるなど珍しいこともあるもんだ。見たところ年齢に少しばらつきがあるようだけど君たちは友達同士か兄弟かな?」
「あ、まあ…下は小6からで僕は高二です。ジャニーズJrの神7ってグループをやってまして…」
「ほう…神…」
老人と話をしながら、岸くんは釣りを楽しむ。そしてそれから一時間後に谷村が岸くんを呼びに来た。


「もうそろそろいけるんじゃない?」
倉本が涎を垂らしながら米を炊いている飯盒の蓋を開けながら言った。グリルは倉本用とその他に分けられている。
「岸くん呼んでこなきゃ」
高橋が行こうとすると神宮寺が待ったをかける。
「お前この余計な薪戻して来いよ。後で片付けるの面倒だし」
「…」
高橋は不満に思ったが薪を持ってきたのは自分だから仕方なくそれに従った。
「じゃあ谷村お願いぃ」
中村に言われて、谷村はしぶしぶ岸くんの元へと向かう。その途中で川に落ちないように、野生の獣に遭遇しないように、落とし穴に落ちないようにと細心の注意を払って行った。単独行動イコール死の招待だと自分に言い聞かせながら。
岸くんは簡単に見つかった。老人と話をしながら釣りをしている。地元の人か観光客かもしれない。
「岸村くん、バーベキューの用意できたけど…」
そう話しかけながら近づいた時である。
「え」
谷村は、ガクンと膝が折れる。岩のでっぱりに躓いてしまった。
岸くんを巻き込み、谷村は川に落ちた。


岸くんと谷村を待たずして倉本は食べ始めてしまった。他のメンバーもそれにつられてなし崩し的に食べ始める。だが岸くんと谷村はなかなか戻ってこなかった。高橋が心配をしても他のメンバーはそしらぬ顔だ。
「釣りに夢中になってるんだろう…腹が減れば戻ってくるさ」羽生田がデザートのメロンを食べながら言った。
「でも…谷河原も戻ってこないよ…」
「二人で意気投合したんじゃね?今頃もしかしたら愛が芽生えてるかもなー」
神宮寺の冗談は、高橋のか細い神経を刺激した。
まままままさか谷河原が岸くんを…?そんなそんな彼はそういうキャラじゃないじゃないか第一彼には高橋凛という個性的な瞳をした相方がいたはず…不憫1と不憫2の不憫カップル萌えーってそんな奇特な人種が存在するのかいや例え存在したとしてもそこは全力で阻止だ…
嫌な予感というのは走り出したら止まらない暴走列車のようなもので、高橋はいてもたってもいられなくなり、岸くんの元へと向かって行った。
「さー俺もオ○ニー…じゃなくてちょっとションベン行ってくる。さすがにここでしたら怒られそうだしな」神宮寺が立ちあがる。トイレは河原から少し離れた場所にあった。
「俺もションベン!」神宮寺が行ってすぐに栗田もそう言ってトイレに向かった。

「あーやっぱこういう大自然に来たからには野外オ○ニーで気持ち良く締めくくりてーなー。折角ひと気もないんだし」
野外オ○ニーは神宮寺の夢の一つだ。何せ東京はどこに行っても人がいるしコンクリートジャングルでは解放感もクソもない。こういう大自然に包まれてするオ○ニーはきっと格別だろうという憧れがあった。
用を足して神宮寺はトイレを出た。そこで声をかけられた。
「すみませーん、ちょっと手伝ってほしいんですけどー」
さっきのOLグループだ。神宮寺は反射的にアイドルスマイルを作った。
「僕にできることでしたらなんでもします。綺麗なお姉さま方」
にっこり笑うとお姉さん達はきゃあきゃあと黄色い声を上げた。神宮寺は己のアイドルスキルの確かさに悦に浸りながらお姉さん達に導かれるままに河原を進んだ。導かれたその先には何故かずぶぬれになった岸くんと谷村がいた。しかも岸くんは寝ている。
「何やってんの二人とも?」
神宮寺が二人の異変に気付いた時には彼にも同じ危険が差し迫っていた。
56ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 19:56:31.43 0
「いない…どこ行ったんだろ…」
釣りができそうな場所はあらかた探し終えたが岸くんも谷村も見当たらない。誰かが残した釣竿とクーラーボックスはあったが岸くんのものかどうか高橋は確信が持てずにいた。
「まさか…本当に二人で…?」
考えたくもない妄想が頭をよぎってはブレイクダンスで撒き散らす。しかしそうしていると無駄に時間だけが過ぎて行く。あああもうこうしてる間に岸くんと谷河原がイケナイ不憫ランデブーしちゃうよどうにかしないとおおおおお…
高橋の焦燥は頂点に達しようとしていた。こんなことなら意地でも岸くんにくっついておけば良かった。心底後悔しかけていると後ろから声をかけられる。振り向くと、こんなところには似つかわしくない上品な格好をしたおばさんが立っていた。
「何かお困り?」
おばさんはそう訊ねた。高橋は他に頼る人もなく、そのおばさんの親切にすがった。
「人を探してるんですけど…一人は岸くんって言って法令線が深くて汗だくで色白なパグみたいなかっこいい少年なんですけど…。もう一人は谷…谷河原って言って暗く澱んだ瞳をして負のオーラ撒き散らしてる美形と言えなくもない少年なんですが…」
おばさんはこっちで見かけたと言って高橋を案内してくれた。その途中で高橋は「その二人妙な雰囲気になってませんでしたか?」とおばさんに尋ねたがおばさんはきょとんとして「さあ…」としか答えてくれなかった。
そして岸くんと谷村は見つかった。だけどそこには何故か神宮寺もいて高橋と同時に栗田も現れた。何がなんだか分からない。が、岸くんはずぶぬれで眠っていた。

「あれ神宮寺いねえな。ま、いっか」
先にトイレに行ったはずの神宮寺とすれ違うこともなく彼はトイレにもいない。どこか別の道から戻ったのかもしれない。さして気にすることもなく栗田は用をたす。
「こーいうとこでヤるのもいいかもなー。神宮寺の見せてくれた動画にも野外っていっぱいあったし。後でれいあにお願いしてみよー」
野外プレイのあれこれを妄想しながら栗田は来た道を戻る…はずだったがどうも見覚えのない道が続く。考え事をしながらだったから間違えたのかもしれない。
「やっべ。れいあー、れいあどこー?」
栗田は道に迷うと中村の名前を呼ぶ癖がある。地元にいる時や家族で出かけた時にもそうしてしまう。いつでも中村が出てきて助けてくれるわけではないと分かっていながらもついつい呼んでしまうのだ。
「どうかしました?」
突然、道の脇からおじさんが現れた。さっき河原にいた社員旅行団体の人だろうか。栗田は藁をも掴む思いで訊ねた。
「れいあんとこに戻りたいんだけど…おっさん知らない?」
「付いてきなさい」
おっさんは親切に栗田を案内してくれた。だが案内された先にいたのは中村ではなく、岸くんと谷村と神宮寺だった。不思議に思っているとそこに高橋もおばさんに連れられてやってきた。


「栗ちゃん遅いぃ」中村はおやつのビスケットをかじりながら心配そうだ。
「神宮寺も戻ってこないな」羽生田はメロンの皮が1ミリになるまで舐めつくしていた。
倉本はまだ食べ続けている。岸くんと谷村の分がなくなりそうになっていた。
「僕呼んでくるぅ」
中村はトイレに向かった。羽生田も「僕もついでにトイレに行っておこう」とそれに続く。だがトイレに二人の姿はない。
「誰か探しておるのか?」
中村と羽生田を見かねて、老人がそう問いかけてきた。
「あのぉ。彼氏…じゃなくて友達を探してるんですけどぉ顔がちっちゃくてくりくりした目をしてぇさらさらの髪をした細くて可愛い男の子知りませんかぁ?栗ちゃんっていうんですけどぉ」
「もう一人はいかにもチャラくてエロそうでもしかしたらそのへんで下半身出してるかもしれない同じくらいの年の子なんですけど…」
事情を話すと老人はその二人を見かけたと言って案内してくれた。案内された先には確かに栗田と神宮寺がいた。何故か他に岸くん、谷村、高橋もいる。
だが5人とも足と手を縛られていた。栗田と岸くんは眠らされていて横たわっている。
「どういうことぉ?」
中村が呟くと、背後から襲われ、中村と羽生田もあれよという間に縛られてしまった。そして老人がこう呟く。
「生贄はこれで揃った…大いなる光明神、創造主よ。今あなたの元に捧げます」
周りにいた若い女性、そしておじさんおばさんは老人の言葉に天を仰ぎなにやら呪文を唱え始めた。
「なんだこれは…カルト集団か?」
羽生田が呟くと、中央の大きな燭台に火がくべられた。
57ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 19:57:33.96 0
「あれ?もうねーのかよもっと持ってくりゃ良かった」
空になったグリルと飯盒を恨めしそうに見ながら倉本はシメのデザートまで綺麗にたいらげた。
鳥の鳴き声と木々の葉擦れの音、そしてさやと流れる川のせせらぎが心地いい。満腹なこともあり、眠たくなってきた。
「今度みずきと来るのもいいかもなー。あいつ「二人きりで行きたい」なんて言うし…。全く…困るよなーそんなに俺のこと好きだったのかよ」
井上のキラキラした瞳とふっくらしたほっぺた、伸びかけのサラサラの髪と澄んだ声を頭に思い浮かべながら倉本は夢心地に浸る。
「にしてもあいつら誰も戻ってこないけどどこで何やってんの?」
いい加減暇になってきた頃、倉本は年上メンバーが誰も戻ってこないことを気にかけ始めた。
そして見上げると何やら彼方に煙がもうもうとあがっていた。


「ヤバイ。ヤバイってこれ。こいつら目がイっちゃってる。俺輪○されんの?」神宮寺は火の周りで何やら怪しい儀式を始める集団を見てみんなにそう呟いた。
「岸くん…なんで濡れてんだろ…」高橋は疑問の論点がずれている
「生贄とか言ってたな…僕達が若くてピッチピチの活きのいい美少年だからか…?」羽生田は唾を飲む
「栗ちゃん目、覚ましてぇ」こんな時でも中村は自分より栗田の心配だ
「やっぱりだ…やっぱりロクな目に遭わないんだこのメンツだと…」谷村はもう諦めている
神7達がまとまりなくそれぞれ好き勝手な心配をしていると、老人が杖を高く掲げる。そして他の人間は口ぐちに何かを称える讃美歌を歌い出した。もう絶体絶命だ。
信者たちはそれぞれ神7達を舐めつくすようにじろじろと見始めた。
「比類なき美しき筋肉…素晴らしい生贄だわ」高橋のめくれたシャツから覗く割れた腹筋を見ながらおばさん信者が呟く。高橋は鳥肌が立った。
「おお素晴らしき性欲の権化。その煩悩は天に昇り我らを導くであろう」おじさん信者が神宮寺を見た。神宮寺は「おい死ぬ前にもう一回でいいからオ○ニーさせてくれ」と申し出るが無視された
「なんという鋭き眼差し。宇宙の神々がきっと交信させてくれるであろう…」老婆の信者が呟き、羽生田が「僕のことか?」と周りを見渡しながら尋ねる。
「おお…神々しき美しい肌…我らが神よここに極上の生贄を…」禿げたおっさん信者が涎を垂らしながら中村を見る。中村は栗田が気になって耳に入っていない。栗田は依然として目覚める気配がない。アホは麻酔がよく効くようだ。
「この世のものとは思えぬ昏き混沌に沈んだ瞳…神にささげられることによって魂の浄化を…」青年の信者が谷村に向かって手を合わせた。
谷村はもうどうでもよくなった。「すいませんね暗くて」と自虐的に呟きながら、天国に行けばプールいっぱいのプリンが食べられるかな…そんなことをぼんやりと思う。
神7達が死を予感する中、カルト集団の中の一人…若い女性が眠っている岸くんの顔を撫でた。
「なんて深い法令線…素敵な生贄…」
うっとりと女性は岸くんを見つめ、なんと体中を触りだした。
「wぇscrvtbyぬjmkぉp;・:wせdrftgyふじmk、おl!!!!!」
そこで高橋はプッツンした。
朝からけっこうストレスが溜まっていた。それがきっかけを伴って爆発する。
神宮寺はオ○ニーネタで茶化してくるしせっかくアウトドアで岸くんとエンジョイしようとしたのにそれも十分にかなわず、谷村と岸くんがどうにかなっちゃうかもというイレギュラーな不安を煽られ二人きりになるどころかこんなことになり…
さらにはどこの誰とも知らぬ宗教狂いの女が岸くんの顔を撫でて体中にまでその魔の手を伸ばしている…そんなこと僕だってしたことがないのに…したくてもできないのに…目の前で堂々と…許せない許せない許せないゆる…
高橋は生まれてこのかた出したことのない大声で絶叫した。山全体に響き渡るような地獄の底から絞りあげたその咆哮を全身に共鳴させる。
「岸くんに触るなこのメスブタがあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
58ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 19:58:13.27 0
「ちょ…高橋…あいつの正体モンスターか何かか?」
「最近とみにバケモノじみてるな…我が同期ながら心配だ」
神宮寺と羽生田は唖然とした。高橋は絶叫したかと思うと縄をブチ切り、岸くんに触ろうとした女に襲いかかった。突然の事態に、集団も戸惑っている。
「これは…使える」
羽生田が何かを閃いたように頷いた。そして中村に耳打ちをする。
「えぇ…なんでそんなことしなきゃいけないのぉ…?」
「いいから早く。そうしたら栗田が目覚めて助けてくれるから」
羽生田に言われて中村は仕方なく近くにいた禿げたおじさんに上目遣いでシナを作る。
「おじさん…僕、体が火照っちゃってぇ…ちょっと服脱がせて下さぁい」
おじさんは顔を赤らめながら言われるがままに中村の衣服に手をかけた。そこで羽生田が栗田の耳元で叫ぶ。
「栗田起きろ!中村の貞操の危機だ!キモオタハゲデブのおっさんが中村に○▼■して§★※しいのΩΘ●をΣ△◆でさらに×☆¶しでかそうとしてとんでもないことになってるぞ!」
瞬間、カッと栗田の目が見開いた。
「栗ちゃん…助けてぇ。犯されるぅ」
芝居がかった中村の声はしかし栗田を覚醒させるのには十分だった。栗田は縄をひきちぎった。そして叫びながらおっさんに襲いかかる。
「てめえ俺のれいあに何しようとしてんだああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
おっさんはあっという間に地面に沈められた。発狂した栗田は手当たり次第にそこらへんにいた他のおっさんにも襲いかかる。
「おい、これ使えんじゃね?」
神宮寺が羽生田に近くにあったダンボールの中見を顎で示す。羽生田は頷き、谷村と一緒にダンボールに体当たりしてその中身をブチまけた。
それはトマトだった。じゅくじゅくに熟れたトマトは逃げまどう信者達に踏まれ、飛び散ったトマト汁が中村の頬に当たった。
瞬間、中村の顔色が変わる。
「俺にトマト食わそうとしたな…」
低い声で呟いたかと思うと中村は縄をちぎった。目が妖しく光る。
あとはもう、三人の破壊神が全てを無に帰す。そうしてカルト集団の儀式が中断されたかと思うと何故か警察と消防がやってきた。巨大燭台から立ち昇る炎と煙を倉本が山火事だと思って通報したという。


「いやーしかし参ったな。今度はカルト集団とはな。俺犯されてあんなことこんなことされるのかと思ったぜ」神宮寺は胸に手を当てて呟きながらそっち系のエロ画像を早速検索しだした。
「全く…しかし毎度毎度無理がないか?まあ僕はアウトドアを満喫できたから文句はないけど」羽生田は伸びをする。
「お前ら火遊びとかマジ危ないぞ。しかも俺ひとりのけ者かよ。やっぱみずき連れてくりゃ良かった。まあでも俺今度みずきと二人きりで出かけるもんねー」年上メンバーが死の危機に瀕していたことなど全く知らない倉本は満腹でご機嫌だ
「良かった…岸くんが無事で…」高橋は全精力を使い果たしてへとへとだが充足感があった。
「栗ちゃんかっこ良かったよぉ」中村は栗田に寄り添って幸せいっぱいの笑顔だ
「れいあにはなんぴとたりとも触れさせねえからな」中村の肩を抱き、栗田はアホらしからぬカッコをつける
「…」岸くんは放心状態だ
「…」谷村も放心状態だ
助かった…のはいいのだが岸くんと谷村は依然ずぶ濡れの上に腹ぺこで涙目だ。食材は全て倉本がたいらげていた。岸くんはもう釣りをする気力はなく、釣り上げた小さなカジカにぶつぶつと話しかけていた。
谷村は渇いた笑いしか出なかった。次からの誘いは絶対断ろう、と心に決めたがきっと何かの強制力が働いてまた行く羽目になるのだろうなという諦めもまた拭えなかった。


END
59ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 21:26:30.62 0
面白かった!
毎度安定の不憫乙です
60ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 21:30:10.65 0
乙です
郊外にバーベキューと聞いて「お!これは谷のきのこ知識が役立つ時が来たのか?」
と思ったがそうではなかったのな
61ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 21:44:13.79 O

井上倉本
書いて下さいいいいいいい!
結ばれてほしい
62ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 21:53:24.90 O
はにうだ観光wwww
たにーに活躍の場を与えず
63ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 22:04:19.50 O
【5/14少年収 手繋ぎペア】いのお谷村、やぶ松倉、有岡岸、ゆと倉本、高木ふう、山田神宮寺、光れあ、知念あむ、圭人栗田

8人+松倉
64ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 22:16:19.59 0
>60
きのこの知識が役にたつのは秋から
65ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 22:25:47.69 0
>>64春きのこってのもあるよby谷村
66ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 22:36:29.55 0
「安定の不憫乙です」って言われないようがんばってたのに直後に言われるとはさすがですwwwwwwww
67ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 22:38:28.43 O

手繋ぎペアーって何をしたんですか?後確実ですか?
68ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 22:51:56.54 I
夏には誰かがキャンプ編書いてくれるさ!
そしたら、きっと、多分、もしかしたら、たにーのキノコ知識が役立つ時がくる、かも

それにしても伊野尾とたにーってよくもまぁ暗い二人を組ませたなwww
69ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 22:58:24.40 0
>60
自分で書けばいいのに
70ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 23:02:59.80 O
作者さんいつも乙です
れあくりたまらんハァハァ
71ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 23:05:02.98 0
60とか68みたいな言い方されると書いてくれた人気を悪くしそう
パート4にもなってくるとみんな書いてくれるのが当たり前になってきて失礼な書き込み多くなってきてるのがなんだかなー
72ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 23:05:50.89 0
岩橋野球少年魔法学校宮近美少女あらんの次は松倉くんですか
神7界隈は変動が絶えんな
73ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 23:10:05.35 O
颯くんが岸くんの説明するのにうっかりかっこいい少年って言ってるw
色白パグw
74ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 23:12:24.07 0
美少女あらん



ダウト
75ユーは名無しネ:2012/05/15(火) 23:17:43.61 0
谷村のあれがないこれがないって毎回いちゃもんつけてる人同じでしょ
キチガイ谷村オタは気にせずに次回も期待してます作者さん

れあくり毎度毎度エスカレートしすぎw
76ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 00:08:35.03 I
作者さんおつです最高です
倉本用のグリルと分かれてるってのが地味にはまりましたw
77ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 00:13:42.31 0
倉本って何気に毎回満腹で幸せそうだw
78ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 00:17:22.98 O
岸くんの釣り人コスプレ想像できすぎるw
個人的には昔の子どもの格好が似合うと思う
ボロいタンクトップに半ズボンとか
はにーは当然坊っちゃんスタイル
79ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 00:21:40.94 I
「おお素晴らしき性欲の権化。その煩悩は天に昇り我らを導くであろう」
どんなんwww
80ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 00:23:37.76 0
>78
鼻水垂らしてくれたら最高
栗田も似合うだろうなほっぺにうずまき書いて
81ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 00:38:39.40 O
想像できすぎてふいたww
82ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 00:43:23.36 0
さらに麦藁帽子と虫カゴと虫とり網というアイテムもつけちゃう!
83ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 00:43:44.80 0
自分>60だがなんか誤解させてしまうような書き方だったなスマソ
作者さんにはいつも面白いものを書いてもらって感謝してる
決していちゃもんつけてるわけではなかったんだが…

しばらくロム専に戻るお
84ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 01:36:43.97 O
作者さんいつもありがとう
今回やたら神宮寺が絡んできたな
本気出す気か?
85ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 01:57:57.51 O
作者さん乙!
なんか今回はすごい引き込まれたw
谷やん安定の不憫乙です
86ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 02:00:06.78 0
何で文句言っちゃいけないんだよ宗教じゃねーんだからwww
嫌なら見るなとは思うけど別に叩くほどのことじゃねーだろ
87ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 02:15:06.30 I
作者さんおつ〜
ヘタレで鈍感で不憫な優太愛しいいいいいい
88ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 03:59:26.08 O
ごめんね。夜中だから許して。


「おはようございます」
高橋が楽屋に入って行くと岸くんが1人で珍しく勉強をしていた。
「岸くん早いね。」
「うん。テスト期間中だから。」
とちょっと照れくさそうにしている。
「颯も?」
うん。と返事しながら斜め向かいに座り教科書とノートを広げるが、岸くんと2人きりだと思うとなかなか集中出来ない。
ちょっと気分を変えようと鞄から取り出したのど飴を口に入れた時岸くんと目が合った。
岸くんはなにか言いたそうにモジモジしている。
ちょっと意地悪したくなって、わざとそっけなく「何?」と言うと、「あ…えと…アメちょうだい」と言ってきた。
「はい」
2、3個掴んで差し出すと、「ん…あの…そうじゃなくて…」と相変わらずモジモジしている。
ああ、そういうことかと岸くんに向き直る。
「何が欲しいの?はっきり言わないと分からないよ。」
「あの……ふう…ふうの舐めてるアメが欲しい…です…」
「しょうがないな」
机の上に身を乗り出し、後頭部に手を添えて口移しでアメを送り込むと岸くんが舌を絡めてきた。
あぁ、ヤバイな。我慢出来なくなるかもしれない。そう思った時、こちらに近づいてくる足音が聞こえて岸くんを引き離す。
「ん……ふぅ…」とウルウルの目で切なげに見つめてくるのを「そんな顔してもダメ。ほら、誰か来るから」と座らせた。
こんなかわいい岸くんを他のやつらに見せる訳にはいかない。
広げたノートの前で高橋は、好きな人と2人きりで勉強が手につかない純情ボーイに戻っていった。

「ガボッ。ゲフッ。ゴホッ。」
盛大にむせて岸くんは目を覚ます。
呆れ顔の羽生田と心配そうな高橋が覗き込んでいる。
楽屋でアメを口に入れたままウトウトして、そのアメを喉に詰まらせて目覚めたことに気付くのに時間がかかった。
なんだかいい夢を見ていたような気がしたが全く思い出せない。
高橋がペットボトルの水を持って飛んで来て岸くんに手渡し、遠慮がちに背中をさすり始めた。

おわり
89ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 04:14:59.30 P
作者さんいつもありがとう!
ついにカルト教団の儀式に巻き込まれるとはwどんだけの引きの強さだwww
颯くんの咆哮の表情は鬼瓦のときの目で脳内再生された
意外にもかっこよかった…実写化してほしいくらいw

そして>>88
ドSな颯くんに激しく萌えたではないか!
謝らずにもっとやるべし!w
90ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 04:55:17.57 O
かわいい岸くんは颯きゅんだけのものかよ!
しかも夢の中限定かよ!
んも〜年下に敬語でおねだりかわいすぎw
91ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 08:35:45.50 O
うわああああああああああああ
ドM岸くんに萌える日が来るなんて…
92ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 11:25:40.02 O
岸くんかわいいかわいいかわいい…
93ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 11:37:18.43 i
夢ん中限定なんてもったいない萌えコンビw飴欲しがる岸君たまらん…
94ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 11:44:52.68 0
「しょうがないな」に悶えました
Sっ気のあるふうくんって意外と良いかも
95ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 12:06:51.18 0
なんだ岸君やっぱりもっとふうくんにガンガン来て欲しいんじゃん
96ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 13:07:02.35 O
岸くんのおねだり顔見たい…
97ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 16:34:45.28 0
Sな颯君考えたこと無かったけど案外いい
おねだり岸優太が可愛すぎてだな
98ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 17:03:12.50 0
作者さん時々でいいからまたこの関係でストーリー投下して欲しいなあ
夢オチでもなんでいいので
99ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 18:59:07.91 0
岸颯は入れ食いだな
100ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 19:11:33.11 0
他のカップリングで書く人ほとんどいないもんな
岸颯推しがこのスレでは最大勢力というのはよく分かった


てなわけでWゆうたきぼんぬ…と言いたいがまあ自分で書けって話だわな
101ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 19:37:55.03 I
いい夢だったようなって思ったなら颯きゅんよかったね!
本人は全く自分の夢見てるなんて気づいてないけど。
102ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 19:42:18.02 I
ウルウル優太きゃわあああああああああ!!!
103ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 21:44:21.69 0
Sな颯くん良すぎた
104ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 23:38:01.04 O
悩めるアホ


それは4月の中頃だっただろうか、久しぶりに大塚祐哉に会った栗田は嬉しそうに絡みに行った。
「次は滝沢歌舞伎?俺はJUMPのバックに出るんだよ!」
「そうなんだ、頑張ってね」
大塚はいつものように大きな歯を見せて笑った。
「…あのね、栗ちゃんには話しておくね。まだ誰にも言ってないんだよ」
大塚は神妙な顔つきで栗田の耳元に口を寄せた。
「俺、多分事務所やめると思う」
栗田は頭を殴られたような感じがした。鼓動が突然早くなる。
「う、嘘だろ?やめないでよ、やだよおれ、何で?やだ、一緒に頑張ろうよ、考え直してよ」
引き止めようと口が勝手に動く。冷や汗が背中を伝う。
一応検討しておくね、まだ皆には内緒だよ、と大塚は苦笑しながら栗田を見つめていた。

その日以来、栗田恵はショックを引きずっていた。
仲良しだった大塚祐哉が事務所をやめるだなんて…。
彼とはスノ-プリンスの、それも一番最初の頃から、CDを出す前からずっと一緒に居た。
雑誌の「仲のいいJr.は?」という取材でも嶺亜と並べて名前を出すくらいには大好きな友達だ。
もともと脳内容量は多くはない。迎えたJUMPのコンサ-トでも、自分の団扇にファンサするどころではないくらいにはそのことが頭を占めてしまっていた。
105ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 23:38:45.75 O
その噂を聞きつけたのはJUMPのコンサ-トが終わった数日後だった。
栗田は慌ててロクネンジャ-の楽屋を訪ね、金田耀生に尋ねた。
「金田、大塚のこと知ってるか…!?」
「うん、俺、口上で『大塚くん、ジャニ-ズ生活お疲れ様でした』って言ったよ。大塚くんの口上も教えてあげようか?確か…」
金田が教えてくれたことは本当なのだろうか。いや、わざわざ嘘をつく必要性など全くないのだが、にわかには信じられなかった。
その日自分はJUMPのコンサ-トに出ている真っ最中だった。新横浜と有楽町を一瞬で移動できるような魔法は使えるはずも無いし、勝手に先輩のコンサ-トに穴を開けるなんて許されない。
会えないうちに、最後の姿を拝むこともできずに、本当にやめてしまったのだ。
その事実を受け止めようとすると、悲しみとともに大波のような恐怖が押し寄せてきた。

スノ-プリンスとして一緒に活動していた堀之内がしばらく前に退所した。そしてここに来ての大塚との別れ。
あのメンバ-のうち同い年で残っているのは栗田と中村だけだ。
嶺亜は神7としてかなりいい位置に居る。セクゾンの専属バックとしてもだいぶ安定している気がする。
それに比べて自分はどうだろうか。
確かにセクゾンの1stコンサ-トではマイクを持たせてもらい挨拶もした。しかし、それっきりだ。
二枚目のCDのPV撮影には呼ばれもしなかったし、歌番組も声がかからない。ハワイにも連れて行ってもらえなかった。
最近では衣装に差があることも多い。後輩が自分よりいい位置にいることもざらだ。芸能界はこういうものだとわかっていても辛かった。
106ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 23:40:52.41 O
楽屋に戻ってきた栗田は部屋の隅で膝を抱えたままガタガタと震えが止まらなかった。そんな栗田を心配して中村が寄ってくる。
「栗ちゃんどうしたの、風邪でも引いたのぉ?」
「れいあ…」
栗田はたまらなくなって中村に抱きついた。
「ちょ、苦しいよぉ…今日変だよ?大丈夫?」
「だいじょうぶじゃない…こわい…こわいよれいあ…」
栗田は今までになく強い力で中村を抱きしめる。遠い昔の、母に思いっきり甘えていたような気分だ。
「どうかしたの?ちょっとあっち行こう?」
何かがあったと察した中村は栗田の手を引いて非常階段の扉を開ける。ここならそうそう誰も来ない。
バタン、と戸を閉めるなり再び栗田は中村を抱きしめた。
「今日の栗ちゃんは甘えん坊だねぇ…よしよし」
「れいあ…どうしよう…大塚が…事務所やめたって…」
「えっ、嘘…」
中村が仲の良いJr.に栗田の名前のみを挙げたとき、栗田は中村と大塚の名前を並べて挙げた。その時は少しばかり嫉妬もしたけれど、かつての同胞だ。
それに中村も仲の良いJr.に大塚の名前を挙げたことがある。事務所に入ったばかりで馴染めなかった頃、とても良くしてくれたいい友達だ。
皆同い年だったし、一緒にステ-ジに上がったことだって何度もある。でもスノプリの頃は自分より全然いい位置にいた彼がやめてしまうなんて…。
「どうしよう…れいあはいなくならないよね?違う、いなくなるなら次は俺で、やだ、一緒がいい、やめたくない…!」
最後にはもう嗚咽が混じっていた。こんなに錯乱している栗田を見るのは初めてだ。
「栗ちゃん落ち着いてぇ」
「だって堀之内が、大塚が、次は俺が…!れいあは神7にいるから、俺は違うから、だから…」
いつからか、大塚が自分たちの隣にいないことが増えた。いや、大塚だけではない。スノプリのメンバ-は散り散りになってしまってどこで活動しているのか把握できない者さえいる。
正直、栗田も神7から外されて不貞腐れることもあった。彼らの出番が多いことを少しだけ妬んだこともあった。
つまりそういうことの積み重ねなのだ。特に自分たちは一度CDデビュ−までしている。どんどん日陰者のような扱いになっていくのが耐えられなかったのだろう。その気持ちはアホな自分にだってわかる。
「れいあはやめないよね?もうこれ以上いなくなるのはいやだ…。おれもっとダンス頑張るから、怒られないようにするから、れいあと一緒にいたい…!」
栗田にとってJr.の活動を続けている理由の半分は中村と一緒にいるためである。中村がやめてしまったらいる意味が無いし、自分の立場が更に下げられて中村と一緒の仕事が無くなってしまえばそれも意味が無い。
それほどまでに栗田にとって中村の存在は絶対的なものだった。
107ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 23:42:09.35 O
中村にもそんな栗田の気持ちは伝わっていた。
きっとこの子は自分がいなければ駄目だ、最近はそんな母性本能のようなものすら芽生えている。
特に大塚がいなくなった今、栗田が本音を吐き出せる相手はきっと自分だけだろう。
中村は栗田の背中をとんとんと優しくたたきながら宥める。

「栗ちゃんもこの間折り紙配ったでしょ、あれ結構すごいことなんだよ?」
「うん…」
「それにピンクのふわふわな衣装とかハッピとかもお揃いだったでしょ?」
「うん…うん…」
「モニタ-にだって名前映されて一緒に紹介してもらったもんね、栗ちゃんはまだまだ大丈夫ぅ」
「でも、おれアホだし…そのうち呼ばれなくなっちゃうかもしれない…」
「栗ちゃんが自分からやめる、って言わなければきっといつまでも一緒だよぉ…」

中村も神7の面々からたまに独り外されることがある。
それに、あのメンツの中では立場が微妙だ。入所時期や扱い的にも先輩だったこともあって、やはり馴染むのは栗田といる時である。
栗田の愛を一身に受け、そして中村も無償の愛を捧げる。またとない関係にある種中村も依存しているのだった。
何故か泣きそうな顔の井上が探しにくるまで、二人は長い時間抱き合ったままでいた。


「栗ちゃん、落ち着いてよかったねぇ」
「うん、ごめんな」
「また明日からも頑張ろうね、クリエも楽しみだねぇ」
「うん、れいあ大好きーありがとー」

二人で並んで駅までの道を歩く。今日は早めの時間の解散ではあったが、そろそろ夕日が沈もうとしていた。
赤く染まるビルや道路を見つめて、栗田が少しだけ立ち止まる。

「――滝沢歌舞伎で最後、夕焼けのように輝きたい。大塚祐哉」

大塚の最後の口上を呟くと、夕暮れの空を見上げて栗田は少し泣いた。
中村は気付かないふりをして、無言のままそっと指を絡めた。


END
108ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 23:45:11.55 0
全俺が泣いた
109ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 23:48:48.13 i
目から汁が…
110ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 23:51:08.47 i
涙が止まらん
111ユーは名無しネ:2012/05/16(水) 23:53:30.88 0
スノプリは神7と違って事務所が作った公式のユニットだもんな…
どんどん解体していくのは寂しいが弟組はまだかためて活動させてもらってるしれいあもがんばってるし栗田もふんばりどころだしがんばってほしいわ
112ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 00:18:25.99 O
大塚きゅんの口上を聞いたときは悲しかった
作者さんのを読んだら自分が思ってたのよりもっともっと悲しかったみたいで泣けたよ
113ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 00:25:04.57 P
作者さん…涙が止まらないっす…
リアルでもこういう辛さを味わって悩んでそうで余計に泣ける…
作者さんの愛も伝わり更に泣ける…
栗ちゃん頑張ってるしどんどん可愛くスタイルよく成長中だしこれからだと励ましたい…!
れあくりには長年一緒だった仲間が辞めていく辛さを乗り越えて報われて欲しいと切に願う…
114ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 00:32:32.86 I
栗ちゃん切ない…ああやって一時期推されていてもこの世界は一寸先は闇だなあ
神7も後輩が増えていっていつかは1人抜け、また1人抜け…となってしまう
のか…

不公平だけど現実だから今の境遇に感謝して頑張ってほしい
115ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 00:46:48.51 0
神7解体だけは断固阻止だお
これ以上れあたん栗たんに辛い思いはしてほしくないお
116ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 00:55:35.06 i
大塚くん、早く健人みたいになりたいって言ってたな。
余計悲しくなるなあ
でもれあくりジャスティスは永遠だお
117ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 01:05:49.44 P
そういう業界だから仕方ないとは言え、つくづく残酷な世界だよな…
神7解体なんてならないようにこれからもみんなで応援していこうず
118ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 01:08:43.84 O
「おはようございます。」
高橋が楽屋に入って行くと岸くんがひとりで寝ていた。
フーン、もうこのシュチュエーション慣れたもんね〜とどこかに向かってつぶやきながら、イケイケで岸くんに近付いていく。
しかしあと2メートル位にまで迫った時、高橋の動きはピタッと止まった。
心臓がうるさいくらいにドキドキいっている。
「岸きゅん…」
もうつぶやくことしか出来ない。
その時、寝返りをうった岸くんから甘い香りがフワと漂ってきた。
高橋は恋の病でついに鼻までやられたか、と思ったが、よく見ると岸くんのほっぺたがプックリ膨らんでいる。
これだけプックリさせてるなんて、どんぐりあめでも入っているのだろうか。
愛おしさが募り、高橋はそっとほっぺに触れる。
「ん……ふぅ…」
微かにそう聞こえたような気がしてビクッと手を引っ込めた。
え、今ふぅって言った?オレ?いやいやいやいや、調子に乗るなオレ。きっと溜め息かなんかだ。苦しそうな顔してるし。
……勉強しよ。
教科書とノートを広げるが何も頭に入ってこない。
あ、写メ撮っちゃおうかな。
それならもし岸くんが目を覚ましてもなんとでもごまかせる。
そう思って高橋が携帯を構えた時、
「おはよう」
羽生田が入ってきた。
「何してんの?」
「え、ああ、き、岸くんが、お、お、面白い顔して寝てるからちょっと記念にゴニョゴニョ…」
全然ごまかせてない。
しかし羽生田はふーんと興味無さそうに鞄をゴソゴソやっている。
119ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 01:26:34.76 O
もう引き返せないぞ!と高橋がシャッターを押す瞬間、羽生田が変顔をして写り込んできた。
「あ!こら〜。」
いつものジャレ合いが始まる。
高橋は羽生田のおかげで隠し撮りをしようとしていた罪悪感から解放された。
羽生田が写り込んでるからおかずにならな…って、違う!初めからそんなつもりなかったもん!もう、神宮寺くんが変なこと言うから…
「ねぇ、オレと岸くんも撮ってよ。」
羽生田の出現ですっかりリラックスモードになっている。
「ああ、いいよ」
羽生田は携帯を構え、シャッターを押す瞬間今度はレンズを自分に向けた。
「もう〜。はにうだ〜。ただでさえオレの携帯のデータフォルダお前ばっかりなんだぞ。こんなの誰かに見られたらお前のこと好きだと思われるだろ〜。」
その時羽生田の心臓がおかしなリズムを刻んだ。
胸の奥の方がチリチリする。
え、これはもしや……
不整脈?
そういえば最近コンビニのホットスナックばかり食べていた。
家での食事も高カロリーなものが多いし、外食も多いほうだ。
羽生田の頭の中を不整脈、高血圧、心臓疾患、成人病などのワードが飛び回る。

「ガボッ。ゲフッ。ゴホッ。」
岸くんが盛大にむせて目を覚ました。
どんぐりあめを口に入れたままウトウトして、そのあめを喉に詰まらせたらしい。
苦しそうにケホケホやっているわりに顔はニヤついている。
どうせいやらしい夢でも見ていたんだろう。呑気にしやがってムッツリめ!
僕なんか弱冠14歳で成人病の疑いありなんだからな…

高橋がペットボトルの水を岸くんに手渡し、遠慮がちに背中をさすっている。
その隣で羽生田は人間ドックの予約電話をかけ始めた。

おわり
120ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 01:34:01.84 0
岸くん飴舐めながら寝るとか虫歯一直線だぞ虫歯は怖いぞ
121ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 01:38:58.88 i
作者さんありがとう!

恋の病な颯きゅん可愛い〜
夢の内容を岸くん思い出せば良いのに!
122ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 02:44:02.30 P
作者さん乙!
岸くんどんぐりあめ似合いすぎ
あめ舐めながら寝ちゃううっかりぷりも似合いすぎ
颯くん相変わらずかわゆす

そして羽生田…それは不整脈じゃない…
インテリエリートのくせに恋の病に気づかない羽生田めっっっちゃ萌える!萌え盛る!
123ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 06:03:59.23 O
颯きゅんがおかずなんて言っちゃダメ〜!
…でもおかずにしてるところを見たいなんてのは内緒…w
124ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 06:32:57.87 O
岸くんの切り抜き見ながら白飯食べる颯きゅん
125ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 06:54:02.43 I
ふと気になったんだけど神7ってバク転出来るのかな?
颯きゅんが前Jr.にQで出来ないっていってた気がするけど
126ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 09:29:52.25 I
>125
岸くんはJrにQで「練習中です」って言ってたぞ
できるようになったのかな?
127ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 10:14:10.43 0
はにーふうくん思いのいいやつだな
128ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 10:49:51.07 0
岸くんは前はできたって言ってた
神宮寺は分かんないけどあむれあ倉本は確実できないと思う
栗田谷村もできなさそう
129ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 11:03:33.40 0
れあたんのバク転とか想像できない
130ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 11:38:47.80 0
谷村とか絶対無理そうだなw
131ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 11:48:34.02 0
栗田は一応「アクロバットできるようになりたい」という意志はある
意志だけな
132ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 15:48:49.84 O
谷村バク転一回につき全治1ヶ月の怪我負いそう
133ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 16:10:09.05 0
バク転失敗で鼻血出してる谷村が見える
134ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 16:27:51.70 I
たにーは変なおじさんでOKだお
135ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 16:36:58.70 I
>125
岸くんはJrにQで「練習中です」って言ってたぞ
できるようになったのかな?
136ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 17:14:34.11 0
悩めるアホ まさかこのスレで涙流すと思わなかった
凄く感動した 神ありがとう
137ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 17:46:51.76 0
はにーアクロバット習いたいって雑誌で言ってた
まずは筋肉をつけることだな
138ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 18:32:33.47 0
若いうちから筋肉付けたら身長伸びなくなるお
139ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 18:56:30.03 0
れあたんだけはガチでバク転とか興味なさそう
140ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 22:00:35.37 0
れあ知らないけどバク転出来ると思ってたけど違うの?
141ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 22:25:30.33 0
れあオタの俺の目から見てもできる要素が一つもない
142ユーは名無しネ:2012/05/17(木) 23:54:05.77 I
神7明日からがんばってね 今日は早く寝てね
岸くんアメ舐めながら寝るんじゃないぞ
143ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 00:33:37.67 0
れあれあはボード系が得意なのであって
アクロは別にだろうな
144ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 12:22:48.78 0
【隣】




「谷村邪魔。……嶺亜ぁ〜」
「どうしたのぉ、栗ちゃん」
邪魔、なんていわれても……。
釈然としない気持ちでソファから立ち上がるといちゃつきながら絡まるように二人で座る。
若干腹が立ったけれど、最近栗田が不安定なことは気づいていたから何もいわずに譲ってやる。
聞けば大塚が辞めたことに引きずられてるらしい。
俺も昔の昔スノプリだった、というか、同じくくりで踊っていたから面識もあるし喋ったこともある。
ただ俺は所詮後からぶっこまれた、ようなもの。
大塚や中村、栗田は正式メンバーでそれこそCDを出していて、自分とは扱いが全く違かったのだ。
それが今、どうだろう。
俺より前を歩いてた彼は辞めてしまって、俺はそこそこ恵まれた環境で今存在している。
「差し入れ貰ったんだけど、食べるか?」
「あ、うん。ありがと」
「……栗田のこと、ちょっとだけ気にかけてやってな」
可愛らしい包みのクッキーを手渡しながら岸くんが俺にしか聞こえない音量で囁く。
分かってる、と頷くと人のよさそうな表情で微笑まれた。
こうやって今笑ってる岸くんだって傷ついたこともあったんだろう。
何しろ岸くんはこの中では一番年上だ。
年齢的には北斗くんや樹くんと一緒なわけで、タイミングさえ合っていたらあのラインで踊っていたかもしれないのだ。
同い年や自分より年下の彼らが踊ってる姿をみて、一体どう思ったんだろう。
「うっわ、保存しようと思ってた神動画消された!」
いつものようにスマフォでエロ動画漁ってる神宮時も、
「おっ、このコンビニの新商品は当たりだな」
一人で評論家のように呟いてる羽生田も、
「どっちから食べよ……」
あんぱんとめろんぱんを交互に眺めて悩んでいる倉本も、
「岸きゅ、じゃなかった岸くん!」
あたふたと一人で焦っている颯も、
全員何処かしら傷ついたことがたくさんあって。
それはもちろんこの事務所の先輩達も同じことで。
自分だけ衣装が違う、自分だけマイクがない、自分だけ番組に呼ばれない、自分だけ雑誌にいない。
自分より年下が、同期が、後輩が、自分を置いてデビューする。
プライドをぐしゃりと潰される、それに耐えて笑う、というのはどれだけ辛いことか。
「頭、いた……」
なんだか、泣いてしまいそうだった。
145ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 12:23:08.82 0
「……起きたのか」
重たい体を持ち上げて目を開くと神宮寺が顔を覗き込んでいた。
目の前にいるのが予想外な人物すぎて、驚いた。
「栗田が、ごめんってさ」
「……なんで」
「俺が不安定なせいで谷村に無駄な心配させた、って」
栗田が謝る姿なんて想像もできなくて、でも神宮寺が真顔でいってるから本当なんだろう。
ん、と渡してきたお茶を一口飲むと自分が思っていたより喉が渇いていたことに気づいた。
首に触れるとべとりと汗が手について、やな夢でも見てたのかもしれない。
「あんまり深く考えんなよ」
「え、」
「もしかしたら明日になったら俺が辞めてるかもしれない、ここはこういう世界だ」
「うん」
「でも、今俺はお前の前にいるんだから」
そういって神宮寺がいって、楽屋の扉が開いた。
「あーれー、もう起きちゃったのかよー」
倉本が馬鹿でかい声で入ってきて、
「せっかく僕がオススメのコンビニフードを持ってきてあげたというのに、思ったより元気そうじゃないか」
「まぁ、元気ならいいじゃんか」
コンビニの袋を持ってぶつくさいう羽生田に、それを宥める岸くん。
颯もにこにこしながら買ってきたお菓子やらなにやらを広げ始める。
栗田はちらりとこっちをみてくしゃりと笑う、中村はそれを見て優しく微笑む。

そうだ、そういうことだ。
何年後、いや何ヶ月、何週間、何日後のことすら誰にも分からない。
でも、俺は今ここにいて、皆と共に存在している。

仲間ってそういうこと、なんだろ。





「栗ちゃんねぇ、谷村のシンメで踊ってんの楽しいってぇ。……まぁ、僕と踊ってるのほうが楽しいっていってたけど、ちょっと妬けちゃうかなぁ」
中村が栗ちゃんには内緒だよ、なんて悪戯っぽく笑った。



おわり
146ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 14:49:50.26 0
淡々と心に響きました


147ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 15:05:06.95 i
みんな少し大人な神7で良かった!
みんな優しいね
148ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 16:48:43.26 I
part4になって成長したなあ 感慨深いお
149ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 17:07:47.27 0
仲間っていいなあ
150ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 17:13:35.83 0
神7は永遠だお
151ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 17:25:49.89 0
栗ちゃんいい味出してるなぁ
152ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 19:42:13.60 0
神7と愉快なジャニーズJr達 Feat. YUTA KISHI「北斗七星」

今をときめくジャニーズJr。その総勢は100人とも300人を超えるとも言われている。ちょっとした学校のような規模である。
その中に置いてトップエリート集団…もちろん神7もその一員であることには違いない…それよりも経験や年齢で上を行くJrのトップの一人に岸くんは同い年がいることを知っている。入所はわずかにあちらの方が早い。
「おはよーっす」
誰にともなしにそう呟いて彼はレッスン場に姿を現す。革ジャンをこんなに鮮やかに着こなす16歳が他にいるだろうか。私服から何から何まで同じ16歳とは思えない。オーラがハンパない。思わず岸くんは自分の格好を省みた。がんばってるつもりだが彼と比べると子どもっぽい…気がする。
そのJrの名は、松村北斗と言った。
入所してすぐに企画CDデビューの一員に抜擢されただけあって、何をやらせてもそつなくこなし、様になる。岸くんが普段からいじられ倒しているセクゾンの前歯と唇と対等に渡り合っていただけあってその精神的支柱の太さは想像を超える。
岸くんは160ちょいだが松村は180近くある。空手黒帯、垂直飛びは80センチを叩きだすまさにバケモノ。今回、セクゾンから漏れたもののその存在感は健在でドラマにも出演している。
「北斗君ってかっけーよな。まじ憧れる」
小さいJrがそう呟いた。岸くんも心の中でそれに頷く。
何故か、同い年なのにライバル心のようなものはなかった。自分は自分、松村は松村だ、というのもあるがそれよりも何か次元の違った憧れのようなものがあるのかもしれない。
以前に雑誌の取材で憧れの先輩の中の一つに岸くんは松村の名前を出した。松村も松村で「可愛がられる後輩」に岸くんの名前を出してくれたことがある。
「あ、悪い」
コロコロと足元に何かが転がってきた。ペットボトルの蓋だ。松村が落としたらしく、岸くんはそれを拾って差しだした。
「サンキュ」
ふっと微笑んで松村は右手を挙げた。まるで俳優みたいだ。岸くんは痺れた。
(俺もいつかあんな風になれるかな…年下に憧れられるような…)
たった今、自分は自分だと気持ちをしっかり持っていたはずなのにちょっとミーハーっぽくなってしまってることに気付き岸くんは人知れず自分の頭をコツンと叩いた。
「何やってんの岸くん?」
それを神宮寺が見ていたのか、呆れた顔でそう訊かれた。岸くんはなんとなく今思ったことを神宮寺に訊いてみた。
153ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 19:42:58.98 0
「なあ神宮寺…俺と北斗くん同い年なんだけどそう見える?俺同じぐらい大人っぽい?」
岸くんは質問する相手を間違えていた。ここで高橋を選んでいれば望む答えがもしかしたら返ってきたかもしれないのに…。
神宮寺はきょとん、とした後腹を抱えて笑った。
「見えるわけないじゃん!さねやすと松倉ぐらい同い年に見えねーよ!あっちはオシャレ番長、こっちは不憫1だよー!?」
神宮寺は近くにいた羽生田にも笑いながらけしかけた。羽生田なんかは「なんという生命のいたずらか!?」と大げさに天を仰いで叫んでいた。二人の年下は岸くんをいじりにいじってまるで憧れようとする素振りすらない。
「…」
岸くんははいはいどうせ俺は不憫1ですよーだ神7メンバーにも最近どんどん身長抜かれたり追いつかれたりして将来的に一番チビになるんじゃないかという不安も拭えず拗ねながらレッスンに挑む。ダンスではしかし誰にも負けたくはない。余計な雑念は捨てて集中した。
休憩に入ると、いつもの如く岸くんはナイアガラの滝のように汗をかいていた。水分補給に努めるべく自販機コーナーへ行く。ヴォルヴィックを一気飲みしてようやく落ち着いた。
「はあー!!」
気持ち良く深呼吸をしながら岸くんは廊下を歩く。たまにこうしてリフレッシュしているのだ。みんなとわいわいやったりお菓子をもらったりも楽しいがこういう時間も大切であると岸くんは思っている。
そうして廊下を突きあたって階段にさしかかったときである。
階段に一人座っているJrがいた。あれは…
(北斗くん…こんなところに一人で…?)
しかし一人でいるところもニクイくらいに絵になる。松村はウォークマンを聞いて目を閉じ、わずかにリズムを取っていた。かっこいいこと山のごとし。
しかしながら彼は一匹狼というわけではない。仲良しのJr達と盛り上がってる姿もよく見るし人見知りというわけでもなさそうである。
しかし岸くんは思う。松村もまた時々こうして一人の時間を大切にしているのかもしれないと。
意外な共通点を発見して岸くんはなんだか嬉しくなった。ここは一つ俺も彼のようにどっかの階段に座って一人ごちるか…
そう思った矢先のことである
「はだかあのお〜こころでええ〜〜きみとあ〜るいい〜たあもおめええんんとおおお」
凄まじい音程で松村は歌いだした。一体何の曲か原曲が分からないほどにその音程はブっとんでいた。もしもジャイアンが実在したらきっとこんな歌声に違いない。そう確信させるに十分な破壊力があった。
岸くんは思わずひっくり返りそうになった。音痴なんて生易しいもんじゃない。これはある意味才能だ。
松村は歌い続けている。本人はすごく気持ち良さそうだ。岸くんは全身に鳥肌が立ち脂汗が浮いてきた。気のせいか壁や天井が震えている気がする。今にもひび割れそうだ。建物中が悲鳴をあげている。
そういえば…と岸くんは思いだす。
入所してすぐの頃、松村が抜擢された企画CD…悪魔な恋(なんちゅうタイトルだ)のDVDを見た時、メイキングで一人ぶっとび歌唱力を披露していたJrがいた。それが松村だった。「悪魔な恋」のDVDをお持ちの皆さまはメイキング25分あたりから見ていただけると確認できるでしょう…。
わずか一小節ほどの短さだったが十分すぎるほどだった。リアルにコーヒーを拭いてじゅうたんと座布団に染みを作ったいい思い出だ。
類稀なる美形、スポーツ万能、ファッションセンス抜群、スタイルもモデル並み、お弁当も自分で作っちゃうナイスガイ、性格もいい…そんなパーフェクト人間に見えた松村にも壊滅的な欠点があった。それが歌唱力だったという話だ。
「…」
岸くんは耳を押さえながら、それでも松村に憧れを抱かずにはいられなかった。人間、一つくらい欠点があった方がより魅力的であると。
何故か急に松村が身近な存在のように思え、テンションが上がってきた。
(ようし、俺も歌うか!)
岸くんは着ていたTシャツを脱ぎ、上半身裸で「ガッツだぜ!」を狂ったように熱唱した。
そこにロクネンジャーが通りかかって指を差されながら爆笑されてやっと岸くんは我に返ったのだった。


END
154ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 19:43:42.17 0
神7と愉快なジャニーズJr達 Feat.FU TAKAHASHI「癒しのSea Treasure」

高橋は苛々していた。
いつもいつもこんなことで精神を乱してはいけない、馬鹿げている…そう思ってはみても感情が着いていかない。動揺は抑えようとすればするほどに大きく波立つ。
目の前には岸くんと神宮寺が親しげに密着している。二人で何やら盛り上がりかけていた。
神経はどんどんささくれだってゆく。そうでなくとも二人で観劇だのなんだの精神的負荷がかかることが重なっているのに…さらには自分のスレに誕生日おめでとうとして貼られていた画像が全てWゆうただった。物凄い闇を感じてゾっとした。
「岸くん遠慮すんなって〜俺達Wゆうたじゃ〜ん」
神宮寺が岸くんの肩を抱きながらスマホでエロ動画を見せている。岸くんは「やめろよこんなとこで」といいながらもまんざらでない様子でスマホの画面に目が釘付けだ。一体なんの動画か知らないがそれにしても神宮寺の手が気に入らない。
そもそも「Wゆうた」というネーミングが高橋には理解しかねる。岸くんは岸くんだ。ゆうたには違いないが高橋にとって唯一無二の存在なのだからダブルという言い方は非常に気に障る。
たまたま名前が同じなだけでダブル扱いされるなら自分だってエアタイピングが得意で無表情で踊るあいつとか不憫2の相棒のあいつとかと「W高橋」もしくは「Tr.高橋」と呼ばれてもおかしくはないはずだ。
「お、ほら見てみ。岸くんの好きなSMもの。これ秀作だぜ!」
「やめろって大きな声でお前…」
岸くんは焦って周りをキョロキョロしながら人差し指を立てる。他のJrは彼らにまったく気を配っている様子はないが高橋だけは違った。聞き捨てならない。
SMものが好きとか…冗談にも程があるだろ今すぐ撤回しろ神宮寺てめえふざけたこと言ってっとヘッドスピンでセクシーゾーンにクリティカルヒットとばすぞゴルア!!!
「…」
高橋は我に返る。僕今誰かが憑依してなかったか…?
背筋が寒くなり、高橋は何かあったかいものを求めてレッスン室を出た。5月だがホットドリンクを飲んでこの寒気を吹き飛ばそう…そうしてロビーの自販機に行くと先客がいた。
155ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 19:44:25.86 0
「なんにしよっかなあ〜コーラにしよっかな〜それともファンタオレンジにしよっかなあ〜」
若干間延びしたソフトボイスで呟いていたのは海宝潤だった。
「でもコーラは虫歯になるかな〜いやそれはファンタも同じかあ〜」
高橋は吹きだしてしまった。その高橋の声に海宝は振り返る。
「あ、ごめんなさい先どうぞ…」
かしこまって海宝は高橋に先を譲った。
「あ、ううんいいよ。ゆっくり選んで。僕もそんなに急いでないから」
そう言うと、海宝はにっこりと笑った。個性的な歯並びと吊り気味のつぶらな瞳はまるで小動物を連想させる。
確か年は一つ下だ。しかしながら倉本やロクネンジャー達と違ってこまっしゃくれたところがなく時間がゆっくり流れているような雰囲気がする。なんだか苛々が浄化されていくようだ。
「いえいえ僕選ぶのに時間がかかるので先どうぞ」
礼儀正しく頭を下げる海宝に高橋は笑顔が漏れた。たった今までの苛々が嘘のように消えてなくなる。この癒しのパワーは凄い。
「ありがとう。じゃあ選ばせてもらうね」
ホットドリンクが欲しかったはずなのに高橋はコーラを買っていた。炭酸系はあまり飲まないのだが今しがたの海宝の呟きを聞いて急に飲みたくなった。海宝はまだ迷っている。
「コーラにしようか〜ファンタにしようか〜」
某戦場カメラマンのモノマネを織り交ぜながら海宝はなおも呟く。高橋はおかしくて面白くてそれをしばらく見ていた。
結局彼は後からやってきた倉本に「迷ってんならどっちも買えよ!」と言われてその通りにしていった。
レッスン室に戻る時には高橋の精神は安定を取り戻していた。この回復力には自分でもびっくりだ。Wゆうただろうが岸くんSMAV好き疑惑だろうがどんとこいだ。海宝くんの癒しパワー万歳。君はまさに宝だ。
微笑みを称えて高橋がレッスン室に戻ると岸くんが爽やかな笑顔で話しかけてきた。
「あれ、高橋コーラとか珍しいね」
「あ、うん…ちょっと飲みたくなって…」
「俺もなんか飲みたくなってきた。買ってこよ〜」
岸くんはにっこり笑う。高橋はその極上の笑顔が自分に向けられていることに無上の喜びを感じた。心なしかみんなが自分達を見て微笑みを投げかけているようだった。
これも海宝の癒しがもたらした幸運なのだろうか…幸せに浸りながら高橋は缶に口をつける。そして岸くんの背中を見つめた…
そこで高橋は気がついた。
岸くんの背中には「岸SMダイスキ優太」と張り紙がされていた。もちろん岸くん本人は気付いていない。
高橋は盛大にコーラを噴射した。


END
156ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 19:45:52.28 0
神7と愉快なジャニーズJr達 Feat.YUTA JINGUJI「空手王に俺はなる!」

「よし、今日もイケメンだな!」
毎朝の鏡での自分チェックは怠らない。それが神宮寺たる自分のアイデンティティだと思っている。チャラくない俺なんて俺じゃない、エロくない俺は俺にあらず。そんなポリシーと共にレッスンに出かける。
「お。これは久々のヒット」
電車の中では専らスマホでのエロ動画検索だ。掘り出し物に出会えた日はレッスンでも調子がいい。そんなジンクスがある。
着いたらまず、そうだな…岸くんにでも見せてやるか。ついでに他の奴にも…そう思いながら神宮寺は今日もエロエンペラーの称号を欲しいままにする…はずだった。
「岸くんこれ見てみ!ほらほら」
岸くんはいつも口では「やめろよこんなとこで」と言いながらもまんざらでもない様子で乗ってくる。が、今日は違った。
「神宮寺俺しばらくエロ動画はいいや…」
こないだの背中の張り紙が相当こたえたらしく岸くんはひきつり気味に去ってゆく。聞くところによるとあれを付けたまま電車に乗ってしまい親切なおばあさんからの指摘で岸くんは悶絶死しそうになったらしい。親切なんだかなんなんだか…。
「なんだよー。ま、いいか。よし高橋、お前も14歳になったんだしそろそろこういうのも知っとけ!」
神宮寺は近くにいた高橋にそう言ったが高橋は軽蔑の眼差しを向けただけで何も言わず去って行った。
「ま、あいつは岸くんにゾッコンバッコンだからな。しゃーねー、あ、おい倉本、お前もそろそろ思春期に入りかけてる頃だろ?見てみろ一皮?けるぞリアルな意味でな」
次に神宮寺は倉本に見せたが倉本はスナックパンをむしゃむしゃ食べながら
「こんなもん何が面白いの?」と冷めた口調で呟く
「お前、こんなエロエロなのなかなかねえぞ!それだけで面白いだろうがよ!」
倉本は「ハッ!」と鼻で笑って
「こんなんで喜ぶとかお前の人生パラダイスだな」
とあからさまに下に見て井上のところへ駆けて行く。小学生にバカにされ、神宮寺は腸が煮えくりかえる思いだ。
「はにうだ!お前なら分かるだろこの素晴らしさが!!」
半ばヤケクソに羽生田の所へ行くと彼は何やら唸っていた。
「しまった…銀行のカードを忘れてきた…これでは帰りにコンビニに寄れない…」
人生の一大事らしく羽生田は何を言ってもとりあってくれなかった。仕方なく近くにいた中村に声をかけてみる。
「中村見てみろ、お前も一応アレがついてるんならこういうのを見とくのもいいだろ。男になれ」
「もぉ〜神宮寺って面白いねぇ〜」
中村はにこにこ笑ってるだけでエロ動画を見ても反応が薄い。興奮も何も共有できない。盛り上がれない。やっぱりついてないんじゃなかろうか…。だから神宮寺は中村の隣にいた栗田にシフトチェンジした。
アホはこれまでもノリノリでエロ動画を一緒に見てきたし、ある意味一番盛り上がれる仲間だ。だがしかし…
「栗ちゃんダメぇ」
中村に一喝されて、栗田は動画から目を逸らした。こいつ完全に尻にひかれてやがる…
157ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 19:46:22.27 0
「みんなノリわりいなー。お?」
レッスン室の隅できのこ図鑑を広げている谷村がいた。よし、次はこいつだ。
「よ、谷茶色。お前いつも暗そうだから俺が明るくなれる動画見せてやんよ!おめーのお好みのスパゲティプレイはないけどこんなのどうよ?」
動画を見せて5秒で谷村は鼻血を吹いて倒れた。見る間に血溜まりができてゆく。厄介なので神宮寺はその場を離れた。
まったくどいつもこいつも…
呆れながら神宮寺が廊下を歩くと曲がり角で誰かにぶつかった。
「あ、ごめん」
それはエアタイピングでちょっと名を馳せた高橋実情…じゃなくて実靖だった。相変わらず無表情で目の下にはトレードマークのくまがくっきりと浮き出ている。
こうなりゃヤケだ。神宮寺は実靖にスマホのエロ動画を見せた。でも多分こいつは無表情なんだろうな…
「!!!!!」
実靖は開眼した。神宮寺は一瞬その目の大きさにびびる。羽生田の開眼といい勝負だ。そして神宮寺を驚愕させたのはこれだけではなかった。
「▼○■Ω×※せdrftgbyぬみk、ぉ。xdcfvgbhんjmk!!!」
タガログ語っぽい呪文を唱えながら実靖は空手の型を超高速でやりだした。目にも止まらぬ速さ。しかし視線はしっかりとスマホに吸い込まれている。
いつもぬぼ〜っとしていてダンスも脱力系を超えて無力系なのに今だけは人間業とは思えぬ空手型のオンパレード。何かが乗り移ったかのようだった。
「…すげえ…」
神宮寺は思わず唾を飲んだ。俺も空手をやっているからこれがどれだけ凄いか分かる。こいつはタダもんじゃねえ。空手王だ。
神宮寺は動けない。そうなると当然神宮寺はスマホを持ったままだ。立ち尽くす神宮寺。そしてエロ動画を見て興奮して空手の型を超スピードで繰り返す実靖…えんえんそれが続く…
実靖は30分後酸欠で運ばれた。医務室はこの日出血多量の谷村も運ばれ、てんやわんやだったという。


END
158ユーは名無しネ:2012/05/18(金) 23:53:25.97 P
おっつおつ!

さwねwwやwwwすwwwwwwww
159ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 00:26:17.30 O
作者さんありがとう〜
ついに「先輩」も取れ、ただの前歯と唇になったかwww
160ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 00:52:59.97 O
岸くんと背中の貼り紙のコラボ何てよく似合うんだwwSとMどっちが好みなんだろう
161ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 01:06:22.02 0
>親切なおばあさんからの指摘で岸くんは悶絶死しそうになったらしい

「ちょいとお兄ちゃん、背中になんか付いとるよ。はい」
「あ、どうもすみませ…ああああああああああああああああ!!!」

てな具合だろうかwwwww
162ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 02:18:33.16 O
岸SM大好き優太わろたwww
リアルにそんな貼り紙の悪戯されてそうでww
163ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 02:22:23.11 P
岸くんはSもMも全力で没頭しそうだ
ダンス並みのしゃかりきで
164ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 03:00:48.44 P
珍しく不憫じゃない谷茶浜
いい話だな…作者さんありがとう!

その後の神7も和むし笑えるw
海宝くんと颯くんは癒しの相乗効果や!
トリオ高橋揃ったらどんなことになるか見てみたいw
谷茶浜の嫁のりんりんも雑誌で凄まじい変顔披露してるから、あいつら負のオーラまとってるくせにお笑い好きとみた
165ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 06:18:58.41 O
岸くんの全力のSMやだw
Sなら手加減しないから殺されそうだし
Mなら全身がエラいことになって号泣しながら嬉しさのあまり大絶叫
166ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 08:53:10.90 I
開眼したさねやすwww全力で怖いお
167ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 09:19:40.18 0
ちょっと颯くん教えてやらなかったのかよw
168ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 09:53:56.50 I
倉本wwwじんぐドンマイ
169ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 10:00:52.83 O
>165
情緒ってもんがないよなw
170ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 11:26:44.83 O
貼り紙に気付きながら教えない颯くんやっぱりドS
171ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 11:32:31.07 O
そっか
それこそがまさにプレイだったか
やるな颯きゅん
172ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 12:03:25.63 I
やっぱり颯きゅんは岸くんの扱いを何気にわかってるんだなw
Sな颯きゅんもMな優太も愛しいよ
173ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 12:34:30.51 0
神7と愉快なジャニーズJr達 Feat.KAORU KURAMOTO「ロクネンジャーVS倉本」

やっと終わった…。
倉本はこの日をずっと待ちわびてきた。待ちに待った5月6日。そう、滝沢歌舞伎の千秋楽だ。
もっとも倉本は滝沢歌舞伎には関与していない。今もジャンプコンの真っただ中にある。しかしながら誰よりも倉本は滝沢歌舞伎の終了を待ち望んでいたのだ。
理由は単純、井上がロクネンジャー達とずっと行動を共にしていたからである。それが今日で終わる。
井上とロクネンジャー達は楽屋で楽しそうにトランプしたりかくれんぼしたり遊園地に出かけたりしてその度に倉本はジェラシーメラメラだった。
こっちは汗だく野球部室法令線や絶賛純情片想い中の扇風機や歩く条例違反変態セクハラエロエロエッサイムやヘッドライトアイズエリートコンビニオタクやトマトプッツン美白乙女天使や類人猿酒ヤケ音割れ拡声器声アホキングや暗黒きのこ宇宙人の相手をさせられて日々ストレスが溜まっているというのに…。
おかげでいくら食べても満たされる日が来ない。
だけどそれも終わりだ。まあ…雑誌の撮影では井上と一緒になることは多いしこの間は撮影とはいえパジャマでじゃれあっちゃったりなんかしたからそれは良しとする。今度は二人きりで遊びにいくし…。
それはそうととりあえずの今日のレッスンだ。倉本は井上を探した。
「なあ、井上知らねえ?」
一瞬、自分が声に出してしまったのかと思ったが違った。倉本が振り返るとそこには橋本がいた。
「俺も探してんだよ」
短く答えると橋本は「ふ〜ん」と興味なさげに呟く。そのスカした態度が気に入らない。
だいたいこいつ、スノプリの頃からみずきとシンメで今も何かとシンメでずっと一緒ってのがむかつく。お前の知らないみずきを色々知ってるんだぞといいたげなこまっしゃくれた感じが腹が立ってしょうがない。
まさかこいつみずきのこと好きなんじゃ…その天の川みたいな瞳とリア充オーラでみずきのことよしなにしようとするつもりじゃあるまいな…と倉本は睨んだが橋本はどこ吹く風で「こないだ貸した100円早く返してもらわねえとな〜」と呟いて去って行った。
廊下を進むと次にまた「井上知らない?」と話しかけられた。羽場だった。
「俺も探してんだよ」
答えると「あっそ」と軽くあしらわれた。倉本は羽場のことも気に入らない。
こいつこんな子犬みたいないたいけな瞳をしてみずきのことを誘惑しようとしてるんじゃ…そう思うと牙が生えてくる。
しかし羽場は「マックの割引券どうしても欲しいって言うから持ってきてやったのに…」と呟いてどこかへ行ってしまった。
階段を降りたらばまた「井上知らない?」と訊かれる。いい加減倉本はうんざりしてきた。なんだってどいつもこいつも俺のみずきに手を出そうとするんだ。みずきを探してるのは俺だっつーの。
そう言いたいのをこらえて振り向くと林がいた。「俺も探してんだよ」と答えると。「へーえ」と棒読みで返ってきてカチンとくる。
こいつもこんなちびっ子オーラでみずきに可愛がられようとしてるんじゃ…155センチの俺が142センチのみずきを可愛いと思うように130センチのこいつをみずきは可愛いとか思ってんじゃ…そんなことが脳裏をよぎると臨戦態勢に自然と倉本は入った。
しかし林は「なんだよあいつバック宙できるようになったから見てよっつうからわざわざ見てやろうと思ったのに…」と呟いてどっかへ行ってしまった。
174ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 12:35:02.66 0
倉本の神経はささくれだつ。どいつもこいつも井上を狙ってるような気がして苛々は臨界点に達そうとしていた。
そこへきてこれである。
「ねえ、井上知らない?」
倉本はキレた。
「みずきは俺が探してんだよ!!俺のみずきなんだよ!!ていうかお前らどいつもこいつもおれのみずきに馴れ馴れしいんだよ!!
俺のストレスの9割がお前らなんだよ分かってんのかあ!?鬼ヤクザの叱責なんざお前らが俺に与える苦痛に比べたらゴミ同然なんだよ!!あ?ナメた真似してっと塩コショウかけて丸焼きにして食っちまうぞうらああああああああああああああ」
雄叫びをあげながら倉本はそのJr…金田に襲いかかる。金田はわけがわからない。家族旅行に行った時のお土産を渡そうと探していただけなのに…
しかしながら金田はブラックホールの恐ろしさと死の予感にスイッチが入った。
「うわあああああああああああああああああああん殺されるううううううう食べられるううううううううう!!!!!!」
久々に金田の超音波が響き渡る。一千メートル彼方にでも届きそうなその超音波に導かれて野次馬が集まってくる。その中に井上もいた。
「何やってんのくらもっちゃんと金田?」
井上の声に倉本はようやくブラックホールモードを解除した。
「みずき俺探してたんだからな!どこ行ってたんだよ!」
「え…トイレ」
「ったくよー。俺に黙ってどっか行こうとすっからややこしいことなんだよ反省しろよ」
「トイレ行くのにわざわざ言う奴いないでしょ」
「俺がどんだけ探してたか分かってんのかよ。おかげでいらん体力使うし」
「はいはいごめんねー。今度どっか二人でいこうねー」
井上は最近面倒くさくなるとこう言うようにしている。なんでかよく分からないがこれを言うと倉本はおとなしくなるからだ。
「おいおいそんなに楽しみにしてんのかよ…でも俺今ジャンプコンで忙しいし…それ終わってからな。ったくしょーがねーなー」
デレる倉本と適当にあしらう井上の傍らで金田は泣き叫び続ける。ギャラリーは事態を把握してすでに散っていたが通りかかった谷村が慰めようとハンカチをさしのべようとした。
「どうしたの…大丈夫?」
金田は一層パニックに陥った。ブラックホールに食べられようとしたばかりか今度は宇宙人の宇宙の布の恐怖だ。
ロクネンジャーが金田を救出にくるまで彼は超音波で泣き続けた。


END
175ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 12:35:43.12 0
神7と愉快なジャニーズJr達 Feat.AMU HANIUDA「同期の桜」

神7として活動して約半年。個性的なメンバーと共に羽生田はかけぬけてきた。サダコに遭遇したりトマトがらみで入院したりあわや不憫の仲間入りになりかけたり銀行強盗に監禁されたり生贄にされかけたり…。
そんな半年間の思い出をセブ○イレ○ンの弁当を食しながら耽る。デザートにはメロンゼリーだ。たまにはこうして一人で心静かに食事をするのもいい。楽屋ではなくスタジオのちょっとした片隅で羽生田は一人の時間を満喫した。
「あっれー何してんのはにゅーだー」
突然後ろから高い声が響く。振り向くとそこには鼻の下がチャームポイントのセクゾンメンバー…松島がいた。大きな目を更に見開いて駆け寄ってくる。
「いや弁当をね…食べてるんだよ」
簡潔に答えると松島はにっかりと白い歯を見せた。
「そんなこと分かってるし。一人で何やってんのって訊いてんの!」
「たまには一人で食べたい時もあるさ」
「あっそー。じゃ俺も食べよーっと」
どっかりと隣に座ると松島は袋から弁当を取り出す。まるで遠慮というものがない。
松島は羽生田の同期である。今は同期メンバーでは同じ神7である高橋と接することが多いがセクゾンがデビューするまではそこに松島もいた。
初めて会った時フィリピン人かと思ったぐらいエキゾチックな顔立ちをしている。向こうは向こうで羽生田のことをイランかどこか中東の国出身だと思っていたらしい。失礼な話だ。他には松田元太という寿司屋の頑固親父みたいな名前の年下の同期もいる。
何を隠そう羽生田が松島と仲良くなったのは静岡出身だと聞いてメロンを連想したからである。だから初めは松島のことを「メロン」として覚えていた。今となってはどうでもいい話だ。
「相変わらず図々しいな。一人で食べたいって僕今言ったろう?」
「いいじゃんマリウスどっか行っちゃったし俺一人で食べるのやなの」
松島は弁当を開ける。彼が一人で食べたくない理由が早速始まる。
「はいこれあげる。あ、これも食べて。あーまたこれ入ってる。はいはい」
松島は好き嫌いが多い。弁当の中に入っている苦手なものをそうやって他の人間に分け与えてくるのだ。いらないなら残せばいいのに、と言ったら「もったいないでしょー」と逆ギレをしてきた。もったいないなら食え。
「まったく…だから背が伸びないんだ」
呆れながら言うと松島は口を尖らせる。
「自分だってそんなに大きくないくせに」
「君よりは大きいよ」
そんなやりとりを重ねるうち話題は神7メンバーになる。その中でも同期の高橋について松島は少なからず気にかけているようだった。
176ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 12:36:05.19 0
「元々変わってるけど最近どんどんあさっての方向行ってんね」
「まあ…色々あるんだよ。神7の中でも…」
「高橋、岸くんのこと好きなんでしょ?バカヤベーよね」
「時々静岡弁を織り交ぜるのやめてもらえないか。まあその岸くんがらみで最近の高橋はどんどんバケモノじみてきてるからなあ」
「心配でしょ?」
「別に…」
「強がっちゃって。まーでもはにゅーだも変わったよ色々」
「変わった?僕が?どこが?」
心外な発言にそう問い質すとしかし松島ははぐらかす。一歩先に行ったこの同期の桜はしかし次に少し寂しそうに呟いた。
「いいよな神7.なんか楽しそうでさ。高橋もいるし岸くんは変人だしくらもっちゃんはふてこいしれいあ君は乙女だし栗田くんはアホだしあと一人…えっと…名前ド忘れしちった…前にスパゲティ鼻から吸い込もうとしてた子…キテレツで面白いよね」
「セクゾンだって面白いじゃないか。前歯や唇に特徴ある人とか野菜泥棒でおなじみのマラソンマンとか語学堪能な口元が独特の曲がり方した中独ハーフとか」
ちなみに羽生田はそのマラソンマンをパ○チ佐藤の息子だとつい最近まで信じていた。今となってはどうでもいい話だ。
「たまにね…俺も神7だったらなーとか思うわけよ」
松島の言いたいことは分かる。彼は彼なりに悩んでいるし少し弱音も吐きたくなることがあるのだろう。それを吐ける相手が他でもない自分なのだ。そこは黙って聞いてやるべきなのかもしれない。
だが…
「そんなこと言うな。僕らは君達の背中を見て活動してるんだ。いわばそこに入りたくても入れなかったんだから君にそんなことを言われたら僕達は…」
「分かってますよーだ」
拗ねたように言って松島はペットボトルに口をつけた。
少しの間、沈黙が続く。ややあって松島が口を開いた。
「さて、リハあるし戻ろうかな」
松島は立ち上がった。横顔に少し憂いが垣間見える。
黙って聞いてやれば良かったかな…と羽生田は反省した。しかし彼はもう背中を向けた。
「松島」
「何?」
振り向くことなく、松島は訊ねた。
羽生田は一度だけ唇の端に力を入れ、
「がんばれよ」
と言った。松島はそのまま振り返ることなく右手だけを挙げてそれを左右に振った。そして駆けて行く。分かってくれたんだと結論づけて羽生田はその背中が消えるまで見守った。
「…」
浅い溜息をついて、気を取り直し羽生田はデザートのメロンゼリーを食べようとした。
「あれ?」
袋の中には確かに入れたはずのメロンゼリーが忽然と姿を消していた。落とすはずはない。弁当を取り出した時にあるのは確認したはずだ。
どういうことだ…まさか宇宙人の仕業か…半ばパニックに陥りながら辺りを見回すと、丁度松島が座っていたあたりに空になったメロンゼリーの容器が落ちていた。
そこで羽生田は理解し、プッツンした。
「あんにゃろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお僕の命の次の次の(以下略)次に大切なメロンゼリーをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
羽生田は咆哮した。
次に会った時はあんちくしょうの鼻の下を地面に沈むくらいに広げてやると決意しながら。


END
177ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 12:37:06.98 0
神7と愉快なジャニーズJr達 Feat.REIA NAKAMURA「White Alliance」

「遅いぃ…」
中村は腕時計を見た。1時15分。約束の時間を15分も過ぎている。
中村は待つのが嫌いだ。だから人にも待たせたくない。時間はいつでもチェックしてるし必ず間に合うように支度し、家を出る。今日も約束の時間の10分前には着いた。だからかれこれ30分近く待たされていた。
「あ」
携帯電話が振動する。見ると、待ち合わせの相手からメールが来ていた。
「わりい。今家出た」
シンプルに刻まれていたが中村は溜息が出た。今いる場所から彼の家までの所要時間を計算する。どこかで時間を潰していた方が良さそうだ。
近くの本屋で立ち読みをし、適当な雑貨屋を覗く。一周して元の場所に戻るとその10分後にようやく相手は姿を現した。ひと際白光りしたテンションの低そうな少年はまさしく彼だ。
「もぉ…」
信じられないことに彼は急ぐ様子もなく優雅に歩いてくる。口笛が聞こえそうだ。だから中村はちょっと文句を言った。
「脇山遅いぃ。僕1時間近く待ったよぉ」
頬を膨らませるとしかし脇山は表情一つ変えず、
「俺、待つのは嫌いだけど待たせるのは好きなんだ」
とのたまった。唖然である。
中村は今日、脇山と一緒にショッピングに行く約束をした。というのもたまの休みだが栗田が学校行事で会えない。そこで何をしようかと考えていると脇山が買い物に行くと言っていたので一緒に着いていくことにしたのだ。栗田はちょっと拗ねていたが…
「これやる」
脇山は持っていた袋を中村に渡した。そこには服が何着か入っている。
「わあ。ありがとぉ」
脇山のくれる服はどれもセンスがいい。中村は服の買い方もあまり良く分からないしそんなにしょっちゅう買えるわけでもない。だから嬉しかった。待たされた苛々はもう消えてしまっていた。
「でもぉ。脇山いいのぉ。どれも高そうなのにぃ」
「んなこと言ってももう着ねえんだし捨てるよりマシだろ」
相変わらず言いたいことだけをシンプルに言って脇山はずかずかと歩きだす。「どこに行こうか」とか「見たいとこある?」とかはない。迷いなく歩いているからはっきりした目的地があるのだろう。中村は黙って付いていくことにした。
だけどお腹が減ってきた。元々の待ち合わせ時間は昼だし中村は昼食を食べるつもりで来たのだから。
「ねぇ脇山僕お腹すいたぁ」
「あ?俺食ってきたし」
脇山は立ち止まらない。
「食べながらでいいからぁ。何か買おうよぉ」
服の袖を引っ張ると脇山は冷たい視線で見下ろしてくる。が、コンビニに向かって歩き出した。妥協したのだ。
「なんにしよっかなぁ」
「早く選べよ。俺急いでるし」
「いいでしょぉ遅刻してくるぐらいなんだからぁすぐ売り切れるものでもないでしょ」
中村はじっくり品定めをした後、ミルクティーとメロンパンを買った。
「メロンパンとか…女かよ…」
脇山が呆れ気味に呟くが、中村はすまして主張した。
「高橋だってメロンパン好きなんだよぉ。その影響」
「高橋…へえ。意外だな」
中村は、高橋は高橋でも颯のことを言ったのだが脇山は実靖のことだと理解する。だから「意外」なのだ。ちなみに脇山の実靖に対する食のイメージは何故か高野豆腐をひたすら食べているというものだ。もちろん根拠はない。
中村がちょうどメロンパンを食べ終えた頃、脇山の目的地に着いた。裏原のオシャレな服屋で客層も大人の人が多い。中村は少し自分に場違い感を感じたが脇山は臆することなくずかずか入って行く。そして店員と何やら話しこみ始めた。
178ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 12:38:03.96 0
仕方なく中村は自分も店内の服を見てまわったがどれもこれも今の自分には似合わない大人びたものばかりでしかも値段がびっくりするほど高い。とても中学生には手が出ない。
「お兄さんの付き添い?暇そうだね」
ふいに話しかけられて中村は振り向く。店員らしき若い男だ。彼は脇山を指差していた。
「あ、いいえぇ友達ですぅ」
「へえ、年の離れた友達なんだ?」
「いいえぇ一つ違いですう。誕生日も半年ぐらいしか違いませんよぉ学年は違うけど今は同い年でぇ」
反射的にぶりっこスマイルを作ると店員のお兄さんは何かと親切にしてくれた。お店の割引券をくれたが中村には必要なさそうだ。後で脇山にあげよう。それと何故か携帯の番号を訊かれたがなんとなく「携帯持ってません」と答えておいた。
脇山は依然として悩んでいるみたいでまだまだ時間がかかりそうだった。中村はいい加減暇だったので近くの店を色々見て回る。一時間後、戻るとちょうど脇山も決心がついたらしくジャケットをレジに持っていっていた。
「脇山ジャケット買ったのぉ?」
「ああ。迷ったけどこれに決めた」
脇山は清々しそうな顔をしていた。いつも皮肉めいた半笑いか冷たい無表情のどちらかだが今はなんだか朗らかだ。機嫌が良さそうである。
「腹減った。なんか食おうぜ」
「えぇ僕さっきメロンパン食べたばっかりなんだけどぉ」
「お、マックある。あそこにしようぜ」
まったくもう我が道を行く人だなあと中村が呆れていると「あ」とレジで脇山が呟く。
「さっきので金使い果たしちまった。れいあ貸して」
「もぉ…」
呆れたが、服ももらったしおごってあげると言うと脇山はさらりと「サンキュー」とだけ言った。そしてハンバーガーを豪快に頬張る。意外に男らしい食べ方だ。
「お前何買ったの?」
「えっとぉ上の妹に料理の本とぉ下の妹にぬいぐるみとぉ栗ちゃんにTシャツ。色違いで自分のも買ったよぉ」
「ペアルックか。微笑ましいな」
「あ、今鼻で笑ったでしょぉ」
「いや相変わらずのバカップルだなと思って。ああでも栗田が相手だからアホップルかな」
脇山は笑う。自分でウケている。中村が頬を膨らませると調子に乗ってきた。
「お前らJr内唯一の公認カップルだもんな。あちこちで目撃談があるけどレッスン場やスタジオでいかがわしいことしてんじゃないだろうな。わいせつ罪だぞ」
「いかがわしいことなんてしてないよぉ。」
中村は反論した。
「たまにぃ誰もいない楽屋とか倉庫とか廊下とか階段の踊り場とかでちょっと※○▼したり■ΩΑしたりΣ§◎を★¶Θの☆※÷(以下自主規制)してるくらいだよぉ。
あでもこないださすがに栗ちゃんがΩ◎★¶※◎してきて■Σ★が○▲◇(以下R指定)されちゃった時はぁちょっと僕も困ったけどぉ栗ちゃん一度ブレーキ壊れると突っ走っちゃうからぁ。
でもそこが可愛いよねぇだから僕もぉ栗ちゃんの☆▼○を×※Ωして§★*それから◎¢$(以下18歳未満禁止)してあげっちゃったんだけどぉ」
中村が栗田のアホ面を脳裏に描きながら夢見心地でプレイの数々をあっけらかんと話すと脇山は手に持ったハンバーガーを落とした。口があんぐりと開いている。
「あぁ何やってんのぉ勿体ないぃ」
「ちょっと…トイレ行ってくる…」
脇山は真っ白な顔をわずかに紅潮させてトイレへかけていった。歩き方がなんだか変だった。なかなか戻ってこず暇をしていると携帯が鳴る。
「あ」
中村は顔が綻ぶ。栗田からだ。
「もしもしぃ栗ちゃん」
「あ、れいあー。今学校終わったー。まだ脇山といんの?」
「うん。でもぉ脇山お腹壊しちゃったみたいでぇトイレにこもりっきりなんだよぉつまんなくてぇ」
「なんだよあいつ腹くだすとかアホだなーギャハハハハハハハ」
「ジャケット買ってお金なくなっちゃったからぁ服もらったお礼にせっかくおごってあげたのにぃハンバーガー落としちゃってぇ」
「ギャハハハハハハ!!服買って金なくなるとかハンバーガー落とすとかアホじゃね?」
電話の向こうで栗田は爆笑する。その笑い声に中村もほっとする。
「ほんとだよねぇ今度のレッスンでまた二人でいじっちゃおうねぇ」
きゃっきゃと栗田との電話ではしゃぎ、時間を忘れたがそれから脇山が戻ってきたのは一時間後だった。


END
179ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 13:01:22.02 i
礼様トイレ長いw刺激強すぎたのか?以外ともウブだったりしてw
180ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 14:40:06.46 0
くらもっさんは本当可愛らしいな
181ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 15:21:33.57 0
栗田という呪縛に取り憑かれ仕方なくお守りをする霊亜かわいいよ
182ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 16:04:29.34 O
脇山は常に俺の中の羨ましい奴リスト上位に食い込んでいる
183ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 16:18:28.74 0
普通にれあたんとのデートやん羨ましいしかも俺様全開でれあたん彼女っぽくてあああああああああ
184ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 19:07:01.56 O
ひたすら高野豆腐を食べるさねやす…
作者さん食べ物のチョイス素晴らしいです
185ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 19:08:30.01 O
脇山のオニー長い
186ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 19:10:05.61 O
聡くんはいつゼリー食べたんだろうw
187ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 19:44:49.69 0
れあたんとデート羨ましすぎる…
188ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 19:55:15.10 0
ちょっと脇山代われや
ジャケット代やるから
189ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 20:22:47.44 0
part1にあった、ドラクエ風の神7を作ってみました

<サンチェAがあらわれた!サンチェBがあらわれた!>

岸は愛犬のウェンディを呼んだ。ウェンディ、サンチェAに噛みつく→サンチェAに50のダメージ
ウェンディ、帰り際に岸にも噛みつく→岸に120のダメージ

サンチェB、颯に見とれている

嶺亜「栗ちゃんのこと怒鳴っちゃダメェ!サンチェ悪い子ぉ」スケボーに乗りサンチェAを轢く→サンチェAに200のダメージ

サンチェA、「ゴルア!貴様ら颯キュンみたいに華麗に踊れや!!」→颯以外のメンバーにそれぞれ500のダメージ

サンチェB、まだ颯に見とれている
郁「このオッサン、颯君のこと好きなの?」ふてぶてしく言う→サンチェB、顔を赤らめる

サンチェA、岸にババチョップ→岸に800のダメージ

岸は息絶えた。

颯、泣きながら怒りのヘッドスピン→サンチェA、Bにそれぞれ1200のダメージ

サンチェA、Bをやっつけた!


その夜、神7一行は小さな村に着いた

神7は真っ先に教会へ向かった
牧師のマリウスの賛美歌により、岸は生き返った

これからの旅に備え、立ち寄った道具屋で店主の松島から
静岡県産の薬草を10個買った

神宮寺は、立ち寄ったバーで踊り子にパフパフしてもらった
羽生田は、村を丸ごと金で買収した

小さな宿で、一夜を過ごし、全員のHPが回復した

村を出る前に、道具屋の松島に話を聞いた
「この村の近くには、それはそれは立派なクチビルを持ったモンスターがいるから気を付けてくださいね」
恐れおののいた一行は、牧師のマリウスにも話を聞いたが、ドイツ語で返ってきたため、誰も理解できなかった
190ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 20:23:44.68 0
村を出て、旅を再開した神7
「今日もシャカリキに戦うぞ!」と、岸
「岸君が生き返って本当に良かった」と、つぶやく颯
「昨日のパフパフ最高だったぜ」と、神宮寺
「パフパフって何だよ?マシュマロ?独り占めするなよ」と郁
「立地条件も悪くないし、いい買い物だったな」と羽生田
「日差し強ぉい!パラソル差さなきゃぁ」と嶺亜

そこへ

<クチビル先輩があらわれた!>

クチビル先輩、寒いギャグを言う→全員にそれぞれ300のダメージ

羽生田、あまりの寒さにヘッドライトのような目になる
神宮寺、あまりの寒さに性欲減退
岸、リアクションに困り汗だくになる
颯、そんな岸にハンカチを貸してあげようか迷い、モジモジする
郁、気にせずジャンボおにぎりを平らげる
嶺亜、気にせず日焼け止めクリームを重ね塗りする

クチビル先輩は仲間を呼んだ!
「手のひらラビリンス」があらわれた!「セクシーローズ」があらわれた!

手のひらラビリンスが甘い言葉をささやくと、女子達の黄色い歓声が上がった→神宮寺、嫉妬で200のダメージ

セクシーローズ「野菜泥棒がいるよ」→どこからか警察がやってくる。汗だくで涙目であることから岸が疑われ、事情聴取を受ける。岸に100のダメージ

颯が岸の無実を証明したため、釈放される。

岸、クチビル先輩に上半身を脱がされる→岸「泣きそうっすね」40のダメージ
颯、岸に上着を貸してあげる→岸のHPが20回復

クチビル先輩、郁にキャラメルポップコーンを投げつける→郁、食べてテンションが100上がった

郁「さっさと帰って瑞稀と遊びたいんだよっ!」クチビル先輩、手のひらラビリンス、セクシーローズをうまい棒で殴る
→3人にそれぞれ300のダメージ

クチビル先輩、手のひらラビリンス、セクシーローズをやっつけた!

神宮寺の性欲が回復した!
191ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 20:24:39.13 0
また別の村に着いた、神7一行
「みんなが頑張ってくれたおかげで、お金も結構たまってきたよ。これはお小遣い」
と言って、みんなにお金を渡すリーダーの岸

颯、防具屋でヘッドスピン用の「回るバンダナ」を新調する
神宮寺、同じく防具屋で「バニーガールの衣装」を購入。「今度あらんに着せてみよっと」
郁、食料となる獲物を仕留めるためのヤリを武器屋で購入
羽生田、情報屋に行き、ビジネス開拓のための情報収集
嶺亜、占い屋に行き「栗ちゃんとのぉ、相性を占ってくださぁい」
岸、道具屋で、うんのよさの種を購入

村を出て、旅を再開した神7

<ショタホモがあらわれた!可愛いオリキがあらわれた!>

ショタホモ、嶺亜をいやらしい目でみつめる→「やだぁ、キモいおっさんこっち見てるぅ…」嶺亜に100のダメージ

神宮寺、可愛いオリキを口説く→可愛いオリキ、目がハートになる

羽生田「君はこんな所でオリキなんかしている場合なのかい?経済状況が不安定な現代の日本で、将来安定した企業につくことを甘く見てはいけないよ。なぜならば、現代は女性も社会進出を果たし…」等と説教
→可愛いオリキに50のダメージ

岸、シャカリキダンスを披露する。汗が飛び散り、ショタホモの目に入る→ショタホモに200のダメージ

颯、メロンパンをブーメランのように投げる→ミス!ダメージは0だったが、ブーメランの風で可愛いオリキのスカートがめくれる

神宮寺、股間をおさえる→可愛いオリキ、ドン引きして逃げ出す

郁「ショタホモのおっさん、なんか食いもんくれよ」→ショタホモ、ウエストポーチから、みずみずしいトマトを取り出す

神7の5人、凍りつく。

嶺亜「あぁ!?そこのゲロキモジジイ…俺にトマト食わそうってのか?んなことしてみろ…てめーの―――(放送禁止用語)してやるからな。あぁ!?わかってんのかこのキモブタハゲショタホモジジイ!」
と言って、ショタホモの胸ぐらをつかんで吊るしあげる→ショタホモに4000のダメージ

ショタホモをやっつけた!

嶺亜「怖かったぁ。早く栗ちゃんに会いたいよぉ(ハート)」
192ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 20:25:35.70 0
また別の村に着いた、神7一行
「今日は自由行動にしよう。村の中には何故かモンスターは入ってこれないという、ありがたいシステムがあるみたいだから、村の中だけで行動するんだよ」と、リーダーの岸

「ホントは岸君と過ごしたかったな…」と、一人でヘッドスピンに磨きをかける颯
「マジ天国だな」と、パフパフのお店で1日過ごす神宮寺
ぽっちゃりしていたため、どこかの村の王子様と間違えられ、村のオバちゃんたちにもてなされる。お腹いっぱいで幸せな郁
メロン畑を発見する羽生田。水分量を調べたところ、羽生田基準を満たしていなかったため、怒りでメロンを握りつぶす
お花畑で花を摘む嶺亜。「栗ちゃんにぃ、おみやげぇ」その姿を、遠くから見つめている、村のオッサン達
こっそり貯めたへそくりで、前回まったく効果のなかった、うんのよさの種を再び購入する岸

村を出て、旅を再開した神7

<谷ナントカがあらわれた!>

谷ナントカ、ルービックキューブをバラバラにし、投げつける→全員にそれぞれ50のダメージ

岸、谷ナントカに得意のシャチホコを見せつける→谷ナントカ、気付かない
颯、岸に見とれている

神宮寺、谷ナントカにスマホの動画を見せる→谷ナントカ、股間を押さえる
神宮寺「ちょっと俺も…トイレ行ってくる」→神宮寺、森の中へ走っていく

郁、ふてぶてしく「なんか食いもんくれよ」→谷ナントカ、イラっとする。20のダメージ

羽生田の目からヘッドライト光線→谷ナントカに700のダメージ

神宮寺、スッキリした顔で戻ってくる

嶺亜「谷ナントカァ!お仕置きに風景画1000枚だからねぇ!」→谷ナントカ「すみません許してくださいホントにすみません」だが、300のダメージ

谷ナントカをやっつけた!

谷ナントカが、起き上った。谷ナントカがこっちを見ている。
仲間にしますか?<はい・いいえ>
→「いいえ」

谷ナントカは悲しそうに去って行った。

END
193ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 20:30:36.20 0
谷ナントカ(´・ω・)カワイソス
194ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 20:48:46.44 0
昨日クリエに行ってきた!
みんな頑張っててかっこよかったお
出番もいっぱいあったし
ネタバレはしないほうが良さげかな?
195ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 21:03:27.11 i
>>194
ネタバレかなりして欲しいが、ここでよいのかな?適スレあるかな?
196ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 21:29:08.78 0
困った時の雑談スレ
197ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 21:40:42.36 P
作者さん乙乙!
神7周りにはいろんな愉快な仲間がいるね!
ドラクエ神7がバージョンアップしてて感動した!
ゲーム化希望!

最初の頃からこのスレでコンレポも雑談もしてたが住み分けたい人増えてきたのか?
てか雑談スレみればわかるが変なの常駐してて機能してないぜ
198ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 21:52:26.36 I
ここでいいんじゃない?
今までも作家さん舞い降りる間間に雑談してたよ
199ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 22:02:12.21 0
194です
ではお言葉に甘えてここで!
書き込むの初だから何か読みづらいところとかあれば言ってくれー

自分が行ったのは昨日
神7は+松倉くんと岩橋プロフェッショナルツリーくんでいることが多かった
岸くん颯きゅん岩橋くんで感じるままにユーアンドアイを歌ってた
後は残りのメンツでドリボの曲?(詳しく知らないスマン)を歌ったり
いつものメドレーを歌ったり

MCでもいっぱい喋ってて特に神宮寺が超頑張ってた!
積極的に海老に話しかけて笑い取ったりしてて見直したぞ
200ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 22:09:14.84 0
おや?推されの古林くんはいなかったのかな?
そしてうちのれあたんはどないでした?
201ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 22:13:01.06 0
続き
それぞれの印象は

岸くん
相変わらず何かが乗り移ったかのように険しい顔で踊る
しかし運動会のコーナー(何かMCの前に皆で綱引きしたり大縄したりwww)では皆を見守るお兄ちゃんみたいで優しい目をしていた

颯くん
ニコニコ笑顔でお客さんにお手振りしててキャワ
客席登場で結構近くまで来てくれたんだが自分のうちわにいっぱい手振ったりしてた

神宮寺
↑にも書いたようにMC頑張ってた
でも途中でマイクを落として誰かさんのようにエアマイクでごまかすという失態www
あと何かの曲で1人ノリノリで腰回してたのもウケたwww

はにー
しゃかりきに踊っててびびったwwwいっぱいターンしたりハイキックしたり
MCで神宮寺とくらもっさんと一緒に自己紹介してたが二人に比べて理路整然としすぎていて海老さんも突っ込みづらそうだた

くらもっさん
アンコールで岸くんにちょっかい出したりはにーにちょっかい出したり
大好きな瑞稀と同じステージに立ってるからかテンション高めだった

れあたん
縄跳びで買ったらバンザイ負けたら手で顔を被って悲しむ
オーバーアクションできゃわ
縄跳びで前に出る神宮寺のマイクを邪魔にならないようにサッと持ってあげてて出来る子

アホ
ダンス頑張ってた
スタイルがいいので白スーツみたいな衣装が似合う
縄跳びでは前に立ってるれあたんの腰のあたりをずっと触ってイチャイチャしておった

谷ナントカ
いつものように暗い顔で踊っていたが時折笑顔になるのがなんだか不気味www
でもかっこよかったぞ
202ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 22:14:18.03 0
>>200
古林くんもいたぞ
綱引きで活躍して海老の凸に「名前なんていうの?」って聞かれててワロタ
みんな頑張っててキャワだったよー
203ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 22:18:51.55 0
くりたんうらやましいお
204ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 22:21:02.49 0
井上くんいたのか
井上くんだけは生で見たことないから次のセクゾンコンではいるといいな
205ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 22:32:46.41 O
神7のドラクエがwwwwww
作者さん乙です
206ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 22:38:03.87 0
仲間にしたれよおおおおおおおおおお
207ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 22:40:55.48 i
ドラクエもレポも最高過ぎていろんなところから汁出た
208ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 23:04:32.81 I
レポありがとうです
じんぐオタなんで頑張ってたと聞いて安心
神7愛しいお
209ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 23:10:45.37 0
んんんんんれあたんんんんん
セクゾンコンは行くからねえええ
210ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 23:38:13.16 0
>やだぁ、キモいおっさんこっち見てるぅ…

お前らのれあたんの本音
211ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 23:39:59.96 0
私は女だから大丈夫だな!あー良かった





すいません反省しますそんな目で見ないでえええええええああああでもそんな目で見られたいいいいいい
すみません生まれてきてすみません
212ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 23:40:15.30 0
19日昼の部
綱引きでれあたんとアホは同じDチーム
一言自己紹介
れあたん「中村嶺亜です。には自信ないんですけどぉ、栗ちゃんが言ったように皆で力を合わせて頑張りたいと思います!」
213ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 23:46:05.61 0
やはり事務所的にもれあくりジャスティスなのか…
そして自己紹介まで乙女なれあたんガチ天使
おあとがよろしいようで
214ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 23:50:15.41 0
にはって力にはってこと?
215ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 23:50:26.77 0
おっさん反省
216ユーは名無しネ:2012/05/19(土) 23:52:52.66 O
れあたん「テクニックには自信ないんですけどぉ」

………ふぅ
217ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 00:18:24.97 0
あんなことこんなことしてるくせにぃ
218ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 00:23:20.59 0
>214
そう
「力」が抜けてスマソ
219ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 01:08:56.62 0
神7と愉快なジャニーズJr達 Feat.RYUICHI TANIMURA「わが心友(とも)」

谷村はファミレスにいた。
ファミレスなんていう場所は普段の自分にはあまり馴染みのないものだ。買い食いも外食もあまりしない。鮭のおにぎりがあればそれでいい。だから家に帰って食べるのが当たり前なのだ。
「ねー…店員さん呼んでよ」
テーブルの向かいの席にはJrで唯一心を許せる、安らぎを与えてくれる存在…高橋凛がいる。彼がメニューを見ながら谷村にそうねだった。
「嫌だよ…凛が呼びなよ…」
このファミレスには呼び出しボタンがない。だから店員を呼びとめて注文しなくてはならないのだが人見知りな上にこういった場所にも慣れていない二人はこうして押しつけ合っている。
今日は久々にJrの活動が休みで一日空いている。そんな日は谷村はずっと勉強をしていることがほとんどだが今日は凛とこうして二人で遊ぶことにしたのだ。
待ち合わせは昼。とりあえず二人とも腹が減っているので何かたべようと何気なくこのファミレスに入ったのだがまずオーダーの時点で躓いている、という訳だ。
「無理だよ。俺声小さいもん。気付いてもらえないし」
凛の悪い癖はとりあえず「できない」「無理」と突っぱねることだった。JJLのダブルダッチで登場した時も側転を「できない」の一点張りでロクネンジャーの橋本に「俺でもできるよ?」と呆れながら言われてしまった。
自信のあることと言えば走ることだけ。それ以外には何に関してもネガティブ思考だ。だからなのか不思議と谷村とは気が合った。
「近く通りかかった時なら聞こえるって。だから頼むよ」
「無理。龍一の方が声大きいし背も大きいからお願い」
「背は関係ないんじゃないのか…?」
「関係ある。背が高い方が遠くまで響き渡る」
そんな不毛なやりとりを重ねていると見かねた店員が「ご注文はお決まりでしょうか?」と聞きにきた。二人は安堵のため息をつく。
「もうさ…毎日がしんどいんだよ…名前は一向に覚えてもらえないし鬼ヤクザには怒鳴られるし中村にはおしおきされるし栗田にはアホ扱いされるし金田くんからは宇宙人だって泣かれるし千野くんには鞄の中身隠されるし…特に金田君に泣かれるのが辛くて辛くて…」
谷村は愚痴る。愚痴が聞いてもらえるのは凛だけだ。
しかし凛は聞くには聞くが愚痴に愚痴で返す。
「俺だってしんどいよ。鬼ヤクザもさることながらミスったらみんなの目が怖いしできないことばっか要求されるしクロスワードは解けないし」
「でも凛はサダコに遭遇したことも井戸に落ちたことも銀行強盗に遭ったことも血の池地獄に落ちたことも生贄に捧げられかけたこともないだろ…」
「そういうのはないけど、俺のこの諦め癖一向に直んないし。知ってる人少ないけど俺入所当初はセクゾンの野菜泥棒や倉本と同じくらい推されてたんだよ。それが今どこにいるのか探すのが難しいようなところにいるし」
「いっそカブトムシにでもなって樹液吸って短い一生を充実して終えることができたらどんなに幸せかって憧れがあるんだよね俺…」
「カブトムシって成虫は一週間しか生きないけど生を受けてからの一生って案外長いよ。楽なことばっかじゃないと思うけど…デパートとかで売られたりもするし無意味にクワガタとファイティングさせられたりもするしさ…」
凛は一部蝉と勘違いをしている。だが谷村はあえてつっこまなかった。
「そっか…でも今の人生よりは救いがありそうだけどな…」
「かもね…」
二人でずんずん奈落にまで落ちかけていると料理が運ばれてくる。しばらくもくもくとそれに口をつけた。
220ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 01:09:19.64 0
「この後、どこに行く?」
凛が訊いた。
「さあ…凛はどこに行きたい?」
「別に…龍一は?」
「別に…」
こんな感じで決まらず、二人はファミレスでそれぞれ参考書とクロスワードの雑誌を広げ始める。そうして一時間、二時間…最後には怪訝な店員の目に気付いて逃げるようにファミレスを後にした。
「今からじゃどこ行くにしても中途半端だし、夕飯までに返らないと怒られるからなあ…」
とぼとぼと街を目標なく二人で歩く。遊びなれていないということはかくも時間を無駄にしてしまうものなのか。谷村と凛は途方に暮れた。
夕暮れが迫る。今日はもう帰ろうかと二人で申し合わせる。しかしながら、谷村にはこれでも十分なリフレッシュになっていた。Jrの活動では病むことが多いし凛ともそんなにしゃべれない。勉強ばかりしていても不健康だ。たまにこうして街の空気を吸うことも必要だろう。
それより何より、不憫な目に遭うこともなく一日が終えようとしている。これが一番だ。きっと、凛といるからだと谷村は思う。彼はかけがえのない心の友だ。それを実感する。
「まあ…明日からも死なない程度にがんばろう」谷村は凛に言った
「そうだね…まあそこそこがんばって無理なことは無理と諦めよう」凛もそれに応える
自分達らしい励まし合いにふっと笑みがこぼれる。ここが街中でなければ肩を組んで「With You」でも熱唱してるだろう。それほどまでに気分が良かった。
「あ、あれ谷村くんと凛くんじゃない?」
ふいに、誰かの声がそう言った。谷村と凛はJrの中でそう知名度がある方ではない。だから逆に平穏に過ごせたのだがここへきてコアなJrオタが現れる。その数4〜5人、きゃあきゃあと騒ぎだし、道行く人が怪訝な顔をして通りすぎていく。
「付いてこられたら厄介だよ、逃げよう」
凛がそう言った。こういう場合早めに退散するが吉だ。対処法の一つ、戦略的撤退を谷村と高橋は試みた。
オリキの女の子から逃亡して終わる…というのもどうかなとも思うが今、気分は悪くない。凛と並んで走って友情を確認し合うのもいいな…なんて谷村は思った。友情…いい響きだ…
心の友よ、共に走ろうではないか…谷村は風を切った。さあ、熱い声を…さあ、燃える想いで…
だが谷村は忘れていた。
その心の友が唯一得意とするのが徒競争だ。凛はあっという間に谷村を置き去りにして姿が見えなくなった。まさに風だ。その速さたるやまるで韋駄天かウサイン・ボルト。ミドルネームをつけるとしたら高橋カールルイス凛だろうか…
「…………りん…」
谷村の脚力ではオリキの女の子達は振り切れなかった。しつこくつきまとわれ、さんざんな思いの中ようやく帰宅し、半泣きになりながら鮭にぎりをほおばった。


END
221ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 01:10:36.50 0
神7と愉快なジャニーズJr達 番外編「ジャニーズ戦隊チュウガクイチネンジャー」

「俺らって地味だよな」
楽屋内にそんなぼやきが響き渡る。しんとした空気が引き裂かれた。
岡田蒼生、玉元風海人、海宝潤、松田元太の新中学一年生組がこの楽屋に待機していた。それぞれ思い思いに過ごしているとふいに玉元がそう呟いたのだった。
「地味って何が?何が地味なのよ?」
倒置法で、岡田が尋ねる。彼は先程まで「どうやったらより全身で爆発が表現できるか」を研究していた。といっても「どっかーん!」と叫びながらジャンプするだけだが…
「だってさあ、年下のロクネンジャーの奴らに押されっぱなしじゃん。俺ら4人の顔と名前が一致する奴って相当コアでしょ。俺らにはキャラもインパクトもないじゃん。ロクネンジャーに「あいつら超地味」って陰口たたかれてそうじゃん」
「そうかなあ〜そんなことないと思うけどなあ〜」
海宝が間延びした口調で否定する。このテンポに玉元は慣れるのに時間がかかった。早送りできるならしたい。
「いっこ上の連中は神7で回転してたり名前忘れたけどきのこ図鑑見てたりする奴とかその相方の韋駄天とかホルモン濃い昭和顔とか古い林に虹が輝いてる奴とかこれまた濃いキャラばっかじゃん。
間に挟まれた俺達が地味すぎてどこに行っても話題にもなんにもなってねえし俺達の中で個人スレある奴もいないだろ」
「よっしゃじゃあ4人で「どっかーん!」やろうぜ!そしたらインパクトあるから!ほらほら」
岡田ははりきっているが玉元と海宝は引き気味だ。インパクトを得るかわりに大事な何かを失いそうだ。
「ちょっと松田、聞いてる?」
玉元が、楽屋の隅で音楽を聞いて目を閉じていた松田に訊ねる。肩を叩かれてようやく彼はイヤホンをはずした。
「何?」
「松田さっきから何聞いてたの?」
海宝が尋ねると松田はイヤホンを海宝の耳に当てた。そこから演歌が流れてくる。
「心に染みるだろう?なみのお〜たにまにい〜」
松田は拳を握り熱唱を始めたが岡田に「じじいか!」とツッコミのとび蹴りをくらった。岡田のツッコミは容赦ない。
「だからおまえらもうちょっと真面目に考えろって!俺達だってキャラ立ちしたいんだよ!でも露出ないから誰も分かんねえんだよ!興味持ってもらえるにはどうしたらいいか考えろ!」
玉元は一人キレている。一番背が低いのに血気は一番盛んだ。三人はしぶしぶ今後のキャラ立ちについて考え始めた。
222ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 01:15:55.87 O
「まず名前だよ。名前覚えてもらわなきゃ話になんない。ニックネームとかいいかもな。」玉元が顎に手を当てる。
「玉元はんじゃ「玉ちゃん」でいいんじゃない?」岡田が言う。
「ばっかそれじゃ某俺の足にキスしろその2のセンターとかぶるだろ?」玉元は却下する。
「んじゃ風海人だからふみきゅんとか〜?」海宝が提案したがそれも却下をくらう
「アホかそれ某アルファベットの最初の3文字グループにいるだろうが」
「じゃあ合わせて「玉きゅん」とかはどうかね?」松田がじじくさい口調で言う
「それちょっと非常に微妙な発音になるだろ。アダ名が下ネタくさいってやだよ俺。俺は正統派でいたい!」玉元は主張した。
「わがままな子だなあ。いかんぞわがままは。子どもは素直じゃないと」松田は眉根を寄せる。
「だからそのじいさん目線やめろって!お前バリバリの平成生まれだろ!名前が寿司屋の頑固親父みたいでも、昭和を超えて大正臭くてもお前は中一なんだから暗示にかかんなよ!」
「俺は岡ぴーでいいや。前からそう呼ばれてるし」岡田はトランプを持ちだして一人スピードを始めた。
「くそ…お前はスノプリやってたもんな…」玉元は悔しそうだ
「僕は〜じゅんじゅんでいいや〜」海宝はファンタを飲み始める。
「くそ…なんかアイドルっぽい…」玉元は唇を噛んだ
「じゃあ俺は…元さんとでも呼んでもらおう」松田は新聞を読み始める
「くそ…なんかデカ長っぽい…」
玉元は焦る。このままじゃ「玉きゅん」になってしまう。それは嫌だ。絶対に嫌だ。このつるつるの玉のように可愛らしい俺があそこを暗示するアダ名で呼ばれるなど耐え難い屈辱。せっかく人並み外れて可愛く生まれてきたのにあんまりだ。
他の三人は自分のニックネームが確定したのでもう勝手な過ごし方に戻ってしまった。この団結力のなさ、協調性に欠けるチームワークのなさ、まとまりもクソもない。玉元は頭を抱えた。
「くそ…どうしよう…」
玉元が12年間の人生の中で最大の難関にぶちあたっていると、楽屋のドアが開く。やってきたのはロクネンジャー橋本だ。
「あーいた、たまもっち、お前こないだ俺の漫画パクったろ。早く返せよ!」
「たまもっちぃ…?」
そんなアダ名で呼ばれてたっけ?と玉元が目を点にしていると、岡田が言った。
「たまもっち、ごめん橋本のと間違えて俺が入れちゃったんだよ」
「とんだとばっちりだねたまもっち〜」海宝が空になったファンタの容器を振りながら笑った
「いかん子だなあ、たまもっち。他人のものはちゃんと返しなさい」松田は新聞の経済欄に釘付けだ。
何故かさっきまで玉元と普通に呼んでいた岡田、海宝、松田までもがたまもっちと呼び始めた。
「たまもっちて…」
なんだか一昔前に流行った携帯育成ゲームのパチモンみたいな気もするけどまあ「玉きゅん」よりはマシかな…そう妥協しながら玉元は鞄の中から橋本のとおぼしき漫画を探した。
チュウガクイチネンジャーの挑戦はまだまだ始まったばかりである。


END
223ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 01:28:42.32 I
作者さんお疲れ様ですおつです!
とにかく松田www電車でよく見るオジサンみたいに
新聞半分に折って読んでそうだww
癒しのSea Tresureかわいいお

宇宙人と韋駄天に幸あれ。


224ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 01:29:16.62 0
いつかできるかなと思ってたら本当にできてたああああああ

作者さんありがとうううううううう乙ううううううう
225ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 01:37:55.73 0
栗田恵編については>>104氏と>>144氏の作品に敬意を示し割愛
226ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 02:11:15.73 O
玉きゅんwww
もう玉きゅんでインプットされたわ
227ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 03:39:20.48 O
>225
そんなこと言わずせっかくだから書いて栗
228ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 04:16:46.90 O
紺レポ書いてる人したら婆か?オシ団扇(笑)なんかもって恥ずかしくないのかよ
迷惑
229ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 04:50:25.60 O
今日はクリエの初日だ。
岸くんが改めて気合いを入れていると、高橋がニコニコしながらやってきた。
「岸くん、リハの時喉の調子悪そうだったからこれ作ってきた。前、けんとくんに教えて貰ったケントティー。」
「え、わざわざ作ってくれたの?」
「うん。いっぱい作ってきたから遠慮しないでどんどん飲んでね。」
楽屋にはもうすでに大勢のジュニアが集まってザワザワしている。
岸くんはアホではないからさすがにこの状況で「ふぅ飲ませて〜」とか、「ふぅ…飲ませてください」などとは言わない。
高橋が自分のために作ってきてくれたのが嬉しくて勧められるままにガブガブ飲んだ。
そして公演中、それは突然やってきた。
猛烈な尿意が岸くんを襲う。
岸くんは普段あまり紅茶を飲まない。
カフェインが持つ利尿作用に気が付いていなかった。
ジュニアの対決コーナーが終わるまではトイレに行く時間もない。
あー、もー、すべて汗となって流れていってくれと祈るが出てくるのはあぶら汗だけだった。
なんとか歌のコーナーを終え、対決コーナーが始まる。
岸くんはチビッコジュニアの後ろに立ち、足をクロスさせ、モジモジしながら必死に耐えていた。
あきらかに様子がおかしい。
普段はなんでも拾ってくれる頼もしいえび兄さん達だが、今日だけはいじってくれるなと心の中で手を合わせる。
そんな中、岸くんは涙で潤んだ目で高橋を見た。
高橋はいつものアイドルスマイルを振り撒いていたが、岸くんはその奥に妖しい光が宿っているのを見逃さなかった。
岸くんの背中に電流が走る。
もし、ここで漏らしたらどうなるだろう。
岸くんは考える。
一巻の終わりだ。
敬愛するえび兄さんたちに迷惑をかける。ジュニアのみんなやファンの人達もドン引きだろう。鬼ヤクザに怒鳴られるくらいじゃすまないだろうな。
また岸くんの背中に電流が走った。
その後の綱引きと大縄跳びは地獄だった。
ちょっと出たかもしれない。
それでもなんとか気力だけで乗り切り、一旦幕が降りると同時に飛び出しトイレに駆け込んだ。
230ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 04:56:35.80 O
トイレからフラフラ出てくるとドアの前で高橋が待っていた。
岸くんは高橋に飛び付き、胸に顔をうずめる。
「よくがんばったね。」
高橋は岸くんの頭を撫でる。
「でも、気持ちよかったでしょ。」
「……はい。」
「明日からも毎日作ってきてあげるね。」
オムツしといた方がいいかな…そう思いながら岸くんは高橋の腰に腕をまわした。


岸くんは久しぶりに寝小便をして目を覚ました。
結構大きくなるまでおねしょをしていたが、さすがに高校生になってするとは思わなかった。
クリエの初日ということで、知らない間にプレッシャーでも感じていたのかもしれない…と自分を納得させる。
しかし、問題なのは小便だけではない。
あきらかに小便ではない液体が混ざっていたのだ。
母親にどう言い訳しよう。
岸くんは悩み始めた。

おわり
231ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 05:09:18.70 O
何というマニアックな…しかし個人的に大好物ネタです御馳走様でした
くすぐり責めでお漏らしが似合うと思ってた自分は間違ってなかったようだ
岸くんなら高校生にもなって涙目オムツでも許すよ
232ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 05:21:10.73 O
ちょっとモヤモヤしてたので岸くん苛めてしまった
調子に乗ってしまってすみません
お食事中の人すみません
233ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 06:49:44.36 O
さぁ岸くんのお漏らしした布団干して変な液体のついたシーツ洗ってかわいいオムツでも買ってくるか
234ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 06:57:40.30 O
素敵なプレイですね…w

元さんは我が家の太ったのに似てると思ってたがまさか演歌を愛するオッサンとは…
235ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 08:49:32.44 P
目覚めたらたくさん投下されててうれしす
作者のみなさん感謝感激!

チュウガクイチネンジャーもかわゆすなあw
たまもっちよかったねたまもっち
元さんツボだw
そしてどSの颯くんにどMの岸くん…いいっすわあ…
アイドルスマイルの奥に妖しい光を放つ颯くんに涙目で喜んじゃう岸くんたまりませんなあ
236ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:06:16.94 P
前スレ>>159-164の鬼ヤクザの夢小説〜岸くんが発見した場合

「おはようございまーす!…おっ、一番乗りか…」
ダンスのときの必死な形相からかけ離れた、とぼけたレッサーパンダみたいな顔でスタジオ入りした岸くん。
「早くみんな来ないかなぁ〜…」
一人で入念にストレッチをするものの、落ち着きがないためすぐウロウロしだす。
「…あれ?なんだろ?」
スタジオの端の机の上に置かれたPCの画面にはビッシリと文字が。
先生が読んでる小説かな…?でも、wordで入力中の画面だ…先生が書いてるのかな?開きっぱなしだしヒマだから読んでよっと…。
何の気なしに読み始めた岸くんだったが、その内容に茫然とすることになる。

…えっ…な、な、何これ…!
あまりに衝撃的な内容に何度も瞬きをし、何度も目をこする。だが、内容は衝撃的なままだ。
これ…先生が書いてるんだよね…。
書き連ねられた言葉の数々が岸くんの胸に突き刺さる。
颯が…俺のことを…?いやいやそんな…!まさか俺なんかに…!
これだと…俺のせいで颯が傷ついて、悩んで、苦しんで…。
もしこんなふうに颯が悩んでたとしたら…想像するだけで心が痛む。
読み進めていくと、今度は衝撃的にして刺激的な展開に。
…颯が…先生に…!?そ、そんな…!
息を飲み、心臓の鼓動が胸を突き破りそうになりながらも目が離せなくなる。
読み進めていけばいくほど鼓動は激しくなり、呼吸まで激しくなってくる。
だが、それは衝撃を受けたからだけではなく…ある種の甘美なものも原因していた。
見てはいけないものを見てしまっている背徳感、
天真爛漫な颯からは想像もつかない淫らな描写、
そして…物語の中で颯がそんな淫らな行為に耽っているのは、自分への気持ちを断ち切るため…。
読み終わるやいなや、岸くんはトイレの個室に駆け込んだ。今まで経験したこともないような身体の火照りがこみ上げてきて、いてもたってもいられなくなった。ダンスの直後かのように呼吸を荒げ、無我夢中でその火照りを放出する行為に没頭した。
237ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:07:36.45 P
行為が終わり呼吸を整えると、やっと頭の中も整理されてきた。
あれは何だったんだ?あのPCは先生のだから先生が書いてたのは間違いないとして、なんであんな…!?
先生が颯をいやらしい目で見ていて妄想で…?
それとも…いや、そんなことは絶対にないと思うけど…まさか…あれはノンフィクションで、俺のために、颯が…!?
…だとしたら俺、何やってるんだよ…!俺のせいで颯が先生とあんなことしちゃってたとしたら…俺、どうすれば…!
ノンフィクションじゃないにしても、物語の中とはいえ颯があんなふうにされてるのに、俺、颯でなんてことを…!
もし事実だったらという苦悩と数分前の自分の行為から罪悪感に苛まれ、大粒の涙をこぼし震えながら壁をひとつ殴った。
その拳の痛みで我に返り、あの物語を人に見られてはまずいと慌ててスタジオに駆け戻った。

PCは既に片づけられたあとで、そこには件の執筆者…もとい振付師がいた。Jrたちも何人か来ている。
「おう岸!おはよう!」
「お、お、お、お、おは、おは、おはようございます…!」
まさか読まれたとは思っていない鬼ヤクザと、あんなものを読んだ直後でまともに目を合わせられるはずもない岸くん。
「なんだよ、おはようございますだけでそんなに噛むなよ!」
周りのJrたちに笑われる岸くん。
そこに神7メンバーもわらわらと入ってくる。当然颯もいるが、颯を見たらまた目を逸らし、さっきがとぼけたレッサーパンダなら今度はびっくりして毛が逆立ったレッサーパンダみたいになる。
そんな岸くんの動揺を知らずいつものように挨拶してくる颯。
「おはよう岸くん」
「おっ、おっ、おあっ、おあっはよう…ふぅ…」
視線を空中に漂わせ汗だくになりながら挙動不審な挨拶をする岸くん。
「具合でも悪いの?レッスン前なのにもう汗だくだよ?」
「いや、えっとですねー…うん、大丈夫!あの、早く着いたからストレッチしまくっちゃってさー!」
「そうなんだぁ!さすが岸くん!」
にっこり笑う颯に岸くんは思う。先生とあんなことをしてこんな天真爛漫でいられるはずがない…やっぱりあれは先生の不謹慎な妄想…でも、てことは先生、いつか颯にああいうことをしたいと思ってるってことで…!うわぁ…どうしよう…どうしよう…!
胸を撫で下ろしかけたが事態の深刻さを本格的に理解しまた混乱する岸くん。その後始まったレッスンにも身が入るはずがなくミスを連発した。
「ゴルアアアアアアア岸いいいいいいいいお前今日やる気あんのかああああああっ!!」
こんな日でも鬼ヤクザ通常運転だが、事情を知らない人からみたらどこかうわの空のように見える岸くん。
「おいゴルァ岸!叱られてんのに何キョロキョロしてんだよ!ちゃんと目を見ろ!」
いや、ちゃんと見たいのはやまやまなんですけど…見たら嫌でもあれを思い出しちゃう…。
目は泳ぎいつも以上にしどろもどろ、加えてナイアガラ呼ばわりされる汗だくさは更に凄まじくナイアガラに集中豪雨が降り注ぐかのようだ。あまりの不審さに「どうした…何かあったのか?」と鬼ヤクザ通常運転が臨時運転に切り替わるほどだ。
「そんなに体調が悪いなら見学するか?」と言われたが、ジッとしてたらそれこそおかしくなりそうだからレッスン参加を選んだ。それ以後の岸くんはそれこそ何かに取り憑かれたかのように踊り狂い周りを唖然させた。
レッスン後に颯が「岸くん…やっぱり具合悪かったんでしょ?大丈夫…?」と心配そうに声をかけてくる。その真っ直ぐな瞳と透き通る声に先程の物語と自分の行為を思い出してしまい
「う、うん!なななななななんてことないよだだだだだだ大丈夫!」と目を逸らし首がもげそうなほどブンブン振って否定し逃げ出すかのようにスタジオを後にした。
238ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:09:23.10 P
「羽生田ー帰るよー」
颯が羽生田に声をかけ一緒にスタジオを後にする。
「岸くん、大丈夫かな…」心配そうに呟く颯。
「岸くん今日はなんか変だったな〜まぁ、岸くんが変じゃなかったことなんてないけど」
「羽生田に比べたら全っ然変じゃないよ!羽生田のくせに生意気!」パコンと羽生田の頭をはたく颯。
「いってぇ!もう、いくら同期だからってなんで僕にはやたら強気なんだ!?身長はとっくに抜かされてるが一応ひとつ年上なんだぞ!まぁ、僕は懐の深い人間だから別に構わないけどね」
岸くんがそんなに好きなら岸くんにこそこういうフレンドリーなツッコミをしたらどうなんだ…まったく…。その言葉はあえて飲み込む羽生田。
「懐が深いならいいじゃん。じゃぁしょうがないからお兄ちゃん扱いしてあげるよ!叩いてごめんねお兄ちゃ〜ん」羽生田の頭をわしゃわしゃと撫でる颯。
はぁ…そんな甘えた声出してるくせにいいこいいこかよ…まったく、完全に僕を舐めきってるんだから…。
早く身長伸びて欲しいけど…そんなに高くならないのも悪くはないな…。
内心ボヤきながらも顔は招き猫のような目で微笑み、満更でもない羽生田。
「…俺、岸くんに何かしたかな?」と切り出す颯。
「さぁ…なんで?」
「岸くん…今日、僕の目を見てくれなかった…ていうか、なんか、避けてた感じで…」
「いつも挙動不審な岸くんだが、今日はいつにもまして挙動不審だったからな〜…でも先生にも挙動不審だったから颯を避けてるわけではないんじゃないかな」
「そっか…何かあったのかな…」
「そんなに心配なら明日会ったときにでもきいてみなよ。シンメに気遣われてるって岸くんも喜ぶよ」
「そ、そ、そう、かな…」嬉しそうながらもはにかみ顔でモジモジする颯。
やれやれ…世話の焼ける同期なんだから…。まぁ、そこも可愛いところだけどさ。
そう思いながらも、少し淋しげな表情を浮かべる羽生田。そんな羽生田にまるで気づかない颯。
いつも通り仲良くからかい合いながら帰っていった。

どうしよう…まともに颯の顔見られない…!走りながら帰路につくが、どう帰ったのか動転していて記憶はなかった。
また颯と鬼ヤクザがそんな関係だったら…そんな考えが頭を掠めるが、また首がもげるほど振ってその考えを振り払う。
でも、もしかしたら…こうしている間も颯に鬼ヤクザはあの物語を事実にしようと…!
そう思いながらも、また頭の中で颯の艶かしい姿がちらついてしまい、必死で振り払う。
ひたすら自分はどうすればいいのか考えたが、満足な解決策は見つからなかった。
そんなことを繰り返しているうちにもう朝日が輝いていた。

とりあえず、あれを他の誰かに見られたらまずい…もし変な噂が立ったりしたら、颯がここに居づらくなっちゃう…!
そう危惧し、学校が終わるやいなやダッシュでレッスンスタジオに行く岸くん。
俺に出来る方法は、これ位しか思いつかないけど…あれ?また文字が増えてる…?
PCの画面が昨日と同じように無造作にあの物語を写している。更に、物語の続きが追加されて…。
239ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:28:06.01 O
うおおおおおおおおおおおおおおおお
気になるうううううううううううう
240ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:47:47.24 P
「颯…そんなに岸を忘れたいか?」
「はい…だって、先の見えない恋で、みんなに迷惑かけられない…だから…」
呼吸を弾ませ身体をだらりと横たえ、左腕で顔を隠し微かに震えながら言う颯。泣いているのだ。
恥ずかしさや虚しさや未練…いろんな感情が渦巻いているのだろう。
「なら、もう一ついい方法がある」
「もう一つ…どんな…?」
「俺を岸だと思って、好きなようにしろ」
「……!」
一瞬驚き躊躇う表情をみせるものの、すぐ真剣なまなざしを向けてくる。いつも通りのまっすぐなまなざしだが、どこか野性的で妖しげな…。
「でも、先生はいいんですか?そんな…」
「俺は颯がよければなんだっていいんだよ。なんだったら岸って呼んだっていい」
そう。颯がよければなんだって構わない。心からの本心だ。
「じゃ、お言葉に甘えて…」
こんな場面だというのに可愛いセリフなのが颯らしい。
だが、そこからは今まで見たことのない颯だった。

ひんやりとしたスタジオの床に磔にされたように両腕を颯に押さえつけられ、貪るように唇を奪われる。さっきまであんなに恥じらっていたのが信じられないほど、大胆に舌を絡めてくる。
次第に唇と舌の感触が首筋に移り、首筋と耳たぶに接吻しながら甘噛みする。今の颯は、まるで獲物を捕らえたチーターのようだ。
首筋と耳たぶへの執拗な攻めに身体がビクンと震える。
「岸くんの耳たぶ、敏感なんだね…可愛い…」
両腕の感触を確かめるように指を滑らせシャツを捲り上げ、今度は露わになった胸と乳首を貪る。
「岸くんの肌、めちゃくちゃきれいだ…!
メイキングでみんなに脱がされてたとき、すっごいムカついてたんだよ?俺まだ脱がせたことないのに、って…一応仕事だから顔は笑ってたけど」
そう言うと乳首を舌でなぞり、甘噛みし、軽く歯を立ててくる。颯、どこでこんな技を…?更に力を込め歯を立てられ、痛いはずなのに屈辱的なまでの快感が走る。
「岸くん、乳首かじられて感じちゃうんだぁ…いやらしいね」
妖しげな微笑みを浮かべ、一番熱く敏感な部分に手を運ぶ。
「ここも乳首と同じくらい硬くなってるよ、岸くん…」
ズボンを下着もろとも脱がされ、その部分は跳ね上がるように露わになる。
「岸くんのここ、こういうふうになってるんだぁ…。自分以外のがこんなふうになってるのみるの初めてだ…」
間近でまじまじと覗き込む颯。その視線に犯されているようだ。
熱く滾る部分を握り、手を上下させながら乳首を攻めたてる。
「岸くん…気持ちいい?
頭がおかしくなるほど気持ちよくしてあげる…岸くん…」
手に力がこもってくる。
「好きだ…岸くん…!ああ…岸くん…!」
今の颯には俺は見えていない。
これは岸との行為だ。
岸の身体を愛しながら、振り向いてくれない憎しみを叩きつけている。
俺も颯を愛しながら憎んでいるから、こんな関係に引きずりこんだのかもしれない。
身体を舐め回しながら、とどめを刺すかのように攻めを早めていく。
「岸くん、恥ずかしい格好だね。岸くんの全部が丸見えだよ?もうちょっとしたら、一番恥ずかしいところ見られるね」
妖艶な笑みを浮かべる颯。
その狂気を感じさせる程の眩さに、遂に絶頂を迎えた。
まさに一番恥ずかしい格好を晒し快感に酔いしれた。
その姿に颯はやや意地悪な笑みを浮かべながらも、放出したものを丹念に舐めとっていった…。
241ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:49:46.12 P
颯…。
颯の指が、唇が、舌が、俺の身体を…!
物語をなぞったはずが、颯になぞられる感覚に襲われる岸くん。
物語の中の行為が鮮明に浮かび、昨日とは比べようもないほど急激に体温が上がる。
行為のみならず意地悪な笑みや言葉でも自分を攻め立てる颯に、頭の奥のほうが甘く痺れる。
颯にこんなふうにされたら…俺、どうなっちゃうんだろう…!
知らず知らずに自分の身体を両腕で抱きしめている。こうでもしないと、心臓が飛び出し遠くまで飛んでいってしまいそうだ…!
また昨日のように発散したい欲求が激しく膨らむが、昨日のような自己嫌悪に陥るのが耐えられないので必死で堪える。
本当はすぐにでもこの物語を封印する作戦に出るつもりだったが、昨日以上の衝撃に茫然とし身動きできない。
あり得ない程の感覚が…!
あり得ない颯の攻めが…!
汗だく涙目でお馴染みの岸くんだが、今日はナイアガラではなく妖しい熱に浮かされたじんわりした汗に、ふにゃふにゃした涙目ではなく妙にうっとりとした熱を帯びた涙目だ。

「おはようございまーす」
そこに羽生田と中村が来てしまう。
まずい!茫然としてる場合じゃなかった…!
時すでに遅し。仕方なく身体でPCを隠し見られないようにするが、余計に不自然な岸くん。
「岸ぃ、何それぇ?」
「んあ?なななななななな何が?わからないなあはははははは」
颯じゃないのに携帯マナーモードになる岸くん。
「何ってこれパソコンじゃん。これがどうしたというんだ?怪しいな…」
羽生田にあっさり見破られ読まれてしまう。
「…えっ…なんだこれ…!」
「これ、岸が書いたのぉ?」
「いや、岸くんにこんな長文が書けるわけがない。ましてこんなに漢字使えるわけもない。岸くんにそんな脳みそあるわけない。しかもこれ、先生のパソコンじゃないか。…てことは…!」
顔を見合わせハッと息を飲む羽生田と中村。
「…昨日見つけちゃって、なんとかしなきゃ、って…」
うろたえ汗だくになりながら言う岸くん。
「だから昨日あんなに挙動不審だったのか…。こんなもん読んじゃったあとじゃそうなるな…。僕も今日、颯の目を真っ直ぐ見られる自信ない…」
いつもの物怖じしない態度と打って変わってやたらモジモジする羽生田。意外とウブだ。可愛い。
「鬼ヤクザ、怒鳴りながらこんな妄想してたんだぁ〜キモ〜い!しかもこれ、夢小説読み漁ってる文体だよ?ほんとキッモ〜い!」
天使は時折毒舌だ。だが的を得ているうえに可愛い。
「今日、栗ちゃんが学校行事で来られない日でよかったぁ…!栗ちゃんこんなの読んだら動揺しまくってすぐみんなにバレちゃうもん!」
「しかし、これを放置しておいたらみんなの目に触れるのは時間の問題だ。なんという非人道的行為だ…!」
「それなら…責任は俺が取るから、羽生田と中村はうまいこと合わせてくれないか?」
「それはもちろん協力するが、どうする気だ?普通に消去するだけじゃ更に厄介な事態に成りかねないぞ?」
「俺に出来るのは、これしかないから…」
そう呟くと、たっぷり深呼吸をしてステップを踏み出す。
242ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:50:25.95 P
JJLで好評だった『愛のマタドール』のイントロのダンスを踊り始める岸くん。
大人びたステップから華麗なターンをし、その遠心力でパソコンの画面にバックハンドブローを放つ。
ガンッ!
目を見開き驚く羽生田と中村。
何事もなかったかのようになおも踊り続け、今度は手を突き出す振付でパソコンの画面にパンチを叩きこみ、手を引く動作と共にパソコンを床に叩きつけ、ついでによろめいた風を装って踏みつける。
ガスッ!ガスッ!ガタガタガシャン!バチバチバチ…ッ!
衝撃に火花を上げ大破したパソコン。まさに捨て身の隠滅作業…。
別に踊る必要なかったんじゃ…心の中で冷静なツッコミを入れる羽生田。
NEWSの曲やっぱりいいなぁ…手越くんかっこよかったなぁ…愛のマタドールで憧れの先輩を思い出す中村。
「Love So Sweetの振付で蹴飛ばしてもよかったけど…画面に不自然な足跡残るとまずいもんね。
さてと…。あとは颯に先生と二人きりにならないように言わないと…なんていうのがいいかな?」
ひと仕事終えた岸くんが次の対策を立てる。
「こんな妄想されてたの知ったらショック受けるだろうから小説の存在は伏せて、岸くんから鬼ヤクザ先生は颯を狙ってるって伝えるのが一番だ。
あまりの可愛がりように前からもしやと思ってはいたが、まさかここまでだったとは…」
「え、でも…いきなり俺がそんなこと言ったらビックリしてバレたりしないかな?ていうか、先生が狙ってるなんて信じるかな?颯、俺にはなんかいつもよそよそしいし…」
「岸のバカ〜!こういうときだからこそ岸が言うことに意味があるのにぃ〜」
白いほっぺをぷっくりさせる中村。
「そうだぞ岸くん。ああ見えて颯は岸くんのことを本当に慕っているし、信頼してるんだ。こういうときこそシンメの本領発揮だ。
岸くんの好きなファミレスや行きつけのパン屋さんにでも連れて行ってじっくり話せばいいじゃないか」
「そうだな…じゃ、あとで颯が来たら声かけるよ」
そこにやってくる鬼ヤクザ。
「おい!誰だ!?俺のパソコン破壊したやつぁゴルァアァァァアアアッ!」
いつもの100倍はあろうかという凄みで怒号を轟かせる鬼ヤクザ。
「すっ、すっ、すっ…すみません先生!ダンスの練習していたらぶつかっちゃって…!」
いつものふにゃふにゃした涙目の岸くんがペコペコしだす。
「てめえか岸ゴルァァァァァァァァァァァァァァァァ!これ高かったんだぞ!土下座しろ!弁償しろ!民事訴訟起こしたろかゴルァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
本当はパソコンより作品を消されてダメージ受けてるくせに…羽生田も中村も心の中で冷やかな目を向ける。
「先生!岸、わけわからない壊し方しちゃったけどぉ、すごく一生懸命ダンスの練習してたんですぅ!わざとじゃないんですぅ!あんまり怒らないであげて下さいぃ!」
中村は目を潤ませ天使のように嘆願した。
「そうです先生!岸くんはちょっと足りないし変だしどうしようもないことやらかしちゃうけど、悪気は一切ないんです!」
いつもは細い目を見開き夜中のヘッドライトのようにギラつかせ、必死で訴える羽生田。
岸くんは貯金を切り崩して弁償する覚悟でいたが、仲間たちの協力のおかげで怒号を浴びるだけで済んだ。
とはいっても、別室に軟禁状態で二時間は全力で怒鳴られたから瀕死間近のダメージは受けた…。
243ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:51:08.96 0
んんんんんん続きこいいいい
244ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:52:22.53 P
岸くんが連れ去られ軟禁状態になってもしばらく他のJrは来ないので、オセロシンメのれあむマドリードで語り合っていた。
「はぁ、まったく…。あの場面で僕ら以外のJrが来てたらどうするつもりだったんだ…毎度毎度危なっかしい…」ため息をつく羽生田。
「相変わらず、岸はツメが甘いよねぇ〜。でも、パソコン叩き壊したのは潔くてかっこよかったねぇ」羽生田に頷きながらも褒める中村。
「まあね、岸くんにしちゃ珍しくかっこよかったなぁ…。ダンスの名手らしくダンスでかたをつけたってとこか…。
踊る必要性はまったく感じられないが…岸くんらしいといえば岸くんらしい…。
まぁ、僕ならもっと穏便に済ませながらもとどめを刺す対応が出来たけどね」
「岸より自分のほうがちゃんと颯を守ってあげられるのに…ってことぉ?」
中村のまさかの問いかけに、頬を赤らめる羽生田。
「ばっ…!バカなこと言うなよ!それじゃ、ま、まるで僕が颯を好きみたいじゃないか!
落ち着いて考えてみろ、颯だぞ?寝ながら回るほどのヘッドスピンバカだぞ?
…そりゃあ、まあ、本当にいい奴だし、話もノリも合うし、同期としていい刺激を与えてくれる存在で、真面目だがどこかネジが外れてるかのような突拍子もないユニークさもある。
颯みたいな人間をいじることで将来櫻井翔くんみたいなMC志望の僕としては非常にいいトークの勉強になるし…。
百歩譲って、僕が颯を好きだと仮定しよう。あ、あくまで仮定の話だぞ!?
颯を想ったところで、あいつの気持ちは決まっている。僕が颯に想いを告げたって颯を混乱させるだけだ。
僕はそんな非合理的なことはしないし、第一、本当に颯を好きなら好きな相手を悩ませるようなことをするような真似はしない。
そんな不毛なことは、僕の理念に反するんだ!」
落ち着いて考えてみろ、と言いながら自分がまるで落ち着けていない羽生田。いつもの高めの声を更にうわずらせ早口でまくしたてる。
そんな羽生田を静かな微笑みを浮かべ何も言わず見つめる中村。少し経って口を開く中村。
「羽生田ってぇ…」
「な、なんだよ?」中村が何を言うのかとつい緊張する羽生田。
「今の、二時間ドラマの犯人役みたいだったよぉ〜。でも刑事役も似合いそう!
そんなに饒舌なら、橋田壽賀子ドラマの長セリフもイケそうだね。ほとんど噛まないし、滑舌もいいし、頭いいからセリフ覚えも早そう〜」
まるで空気を読まないかのような中村の言葉だが、羽生田は悟った。
見抜かれているのか…すべて…。
あえて話を逸らすのも、むやみに羽生田の本心を掘り下げるようなことをしないのも、羽生田のプライドを傷つけないための中村の優しさ…。
何故中村が天使と称されるのか、少しわかった気がする。

「いいよ、もう……ありがとう」
照れる羽生田は中村に背中を向けて続ける。
「今から言うのはひとり言だから…いいか?ひとり言だぞ?」
黙って頷く中村。
「自分でも…気づかないふりをしていたんだ…。
だって、好きになったところでどうしようもないじゃないか…。
でも…僕のほうが颯と一緒にいる時間長いし、同期としての結びつきもある。
反対に岸くんはまるで颯の気持ちに気づかず、神宮寺とばかりつるんで颯を悩ませてばかりで、颯を想っている気配など皆無で…。
だから、もしかしたら僕にも僅かばかりのチャンスがあったりするかもしれない、なんて期待してみたりもした…。
でも、今日の岸くんをみたらその期待がいかにバカらしかったか思い知らされたよ…。
あいつら、なんだかんだ、お互いを、想い合っている…。」
羽生田の肩と声が微かに震えている。泣いているのだろう。
中村はハンカチを差し出そうかと思ったが、泣き顔を見られるのを嫌がるだろうからやめておいた。

245ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:54:33.96 P
「まぁ、岸くんは抜けてるし鈍感だから、自分が颯に惹かれていることにすら気づいてないんだろうが…。
今回のことにしたってパソコン壊してデータは消せたが、鬼ヤクザの欲望を消せたわけじゃない。
むしろ、岸くんの出方によっては颯の心が壊れてあの小説が現実にだって成りうるのに…わかってるのかな…?」
いつのまにかひとり言ではなくなっている羽生田。
「岸がそこまでバカで甘いやつだったら、羽生田が颯取っちゃいなよぉ」
「君…大胆な提案をするね…」
「そりゃあ、颯は岸が大好きなのわかってるから上手くいって欲しいけどぉ、岸が颯を幸せに出来ないならそんなの意味ないもん。
最終的に颯を幸せにしてくれるなら、羽生田もありかな、って」
「食えないやつだなぁ、君は」
やれやれといった表情で微笑む羽生田と悪戯っぽく微笑む中村。

話してくれてありがとう。
本当はね、せっかく同い年でシンメだからもっと相談とかし合えたらうれしいなぁって思ってたんだよ。羽生田、あんまりそういうの見せないし…
直接言うと羽生田が照れて居心地悪くなるのがわかるので心の中で告げる中村。

こういうの慣れてないから素直に言えないけど…ありがとう…。
貸しを作るのいやだから、中村も何かあったら話して欲しいな…。
言われなくても中村の気持ちを察し照れながらも気持ちを吐き出しすっきりさせてくれ感謝している羽生田。
普段あまり言葉を交わさないが、案外分かり合えているオセロシンメのれあむマドリードだった。
246ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 10:56:03.04 P
他のJrがわらわらと訪れ、その中に颯もいた。
「おはよう…あれ?羽生田、目が赤いよ?また激辛ラーメンのスープが目に入ったの?」
「スタジオのどこに激辛ラーメンがあるんだよ!」
「じゃどしたの?」
「さっきねぇ、羽生田の目にてんとう虫が飛んできたんだよぉ」
よくわからないフォローを入れる中村。
「なんだ〜ハチじゃなかったんだ!大丈夫?痛くない?」
羽生田の頬に両手を添え、両親指であっかんべーさせて羽生田の目を心配そうに覗き込む颯。
恋人同士がキスをするような体勢に、羽生田は呼吸を忘れる。
おまけに先程の鬼ヤクザ夢小説の中の颯を思い出し、余計に胸の鼓動が高まってしまう。
だがその直後、颯に頬をブニッと潰され、羽生田の凄まじい変顔に颯が天真爛漫にケラケラ笑い出して羽生田のときめきは台なしになるのだった…。

「颯、今日このあと時間大丈夫?」
「えっ、な、なんで?」
「えっとですねぇ、颯に大事な話があって、一緒にファミレスでも行って話したいなって…」
「うん、だ、大丈夫だよ!」
岸くんからの誘いに慣れていなくて表情をこわばらせながらもうれしそうにはにかむ颯。
そんな二人をみて羽生田は思う。
きっとこの表情をみて岸くんは颯が自分にはよそよそしいと誤解してるのだろう。
このあとの二人のやりとりも、颯がそれにどんな反応をするかも想像がつく。頭の回転が速すぎるのも考えものだ…。
「じゃあね羽生田ー!また明日ねー!」
うれしそうに大きく手を振り、無邪気な笑顔を向け岸くんと連れ立っていく颯。
自分は、仲良しの同期で十分だ。
あんな笑顔見せられたら、そうするしかないじゃないか…。
この心の隙間は2000円のメロンでも埋められやしない。
タ○ノフルーツパーラーか千○屋で5000円のメロン買って一人でまるごと食べてやる…!
淋しさ切なさは堪えようもないが、颯の嬉しそうな笑顔はやっぱり可愛いな…と目を細めメロンを買いに行く羽生田だった。
247ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 11:00:34.30 P
「で…、話って、なに?」
デミグラスソースのかかったオムライスを食べる岸くん可愛いなぁ…と見とれていたら、自分が何を食べていたのか記憶にない。
というより、ファミレスまでの道のりも、メニューを選ぶ過程も、それが岸くんと一緒というだけでうれしさと胸の高鳴りを抑えきれない。
まして、昨日は自分に対しあんなに挙動不審だったのに、まさか今日誘ってくれるなんて…。
ああ、俺、岸くんでいっぱいだ…。
とは言え、思いがけないツーショットに照れて口調は少しそっけなくなってしまう。

「えっとですねぇ…颯、鬼ヤクザ先生をどう思う?」
「えっ、そうだなぁ…みんなに怒鳴ってるときは怖いけどいい先生だと思うよ。
なんか岸くんにはいっつも特別に厳しいから、もっと誉めて欲しいな」
「あ、ありがとう…」まさかの場面で誉められ、照れる岸くん。
「練習以外で、鬼ヤクザ先生から何か言われた?」
「練習以外で…?ああ、そういえばこないだ、今度プロダンサー時代のビデオみせるからうちにおいでって。岸くんも声かけられたでしょ?」
…あんのエロ鬼ヤクザああああああああああああああああ!
まさか妄想だけじゃ飽き足らず、家に連れ込もうとしていやがったとは…!
「颯…それ、行っちゃダメだ…」
「えっ、なんで?」
「えっとですねぇ…颯は気づいていないかもしれないけど…先生は颯が好きなんだよ」
最初キョトンとしていたが、ハッとした表情で口元に手を添え驚く颯。たまに仕草が中村並みに乙女だがそこがまた可愛い。
「えっ、で、でも、まさかそんなまさか先生が、俺を…!?
…そういえば、最近俺には怒鳴らないで逆にやたら誉めてくれるし、
みんなを叱るときにやたら『颯を見習え』っていうし、
何かにつけて『俺の颯』って連呼するし、こないだも『可愛い』って連呼されたけど、あれって…」
「うん…あと、好きなだけならまだいいんだけど、えっとですねぇ…颯をみてムラムラしてるというか…」更に目を見開き驚く颯。
「えっ、えっ…岸くん、先生のどこをみてそう思ったの?」動揺を隠しきれない颯。
「えっとですねぇ…あの、あれだ、その…なんだかわかっちゃったんだよ!上手く説明出来ないけど…」夢小説の存在を伏せようとして汗だくしどろもどろになる岸くん。
248ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 11:01:13.53 P
「そういえば…こないだ『ハワイの水着姿眩しかったぜ』とか『美しく無駄のない素晴らしい筋肉だ…』って言いながら触ってきたし、
『颯はブレイクダンスやヘッドスピンで他のJrより身体への負担が大きいから念入りにケアしないと』ってよくスポーツマッサージしてくれたけど、あれって…!」
あんにゃろそんなことまで…!
怒りがこみあげると同時に、今までまったく気づいていなかった自分に愕然とする岸くん。
「うん…颯の場合は人一倍ケアが必要なのは間違いないけど、それだけじゃないんだよ…。
…ちなみに、俺も他のみんなも先生のうちには誘われてない…」
動揺は更に激しくなり、携帯マナーモードのように震えだす颯。
鬼ヤクザの下心へのおぞましさと恐怖、まして、自分がいやらしい目を向けられていたのをよりによって大好きな岸くんに…その恥ずかしさで涙目になる。
「えっ…じゃあ、じゃあ、今までダンスいっぱい誉めてくれたのも、俺に変なことするため…?
本当は、そこまでじゃなかったのかな…」
「それはないよ!」間髪入れず言うと、颯の震えを鎮めるため颯の隣に座り肩を抱く岸くん。
「颯のダンスは最高だよ!
ブレイクダンスもいつもかっこいいし、バラードに合わせるダンスもすごくきれいだし、俺、颯のダンス大好きで、颯のシンメで本当にうれしいんだよ」
「岸くん…」岸くんの言葉に、胸を熱くする颯。
「俺も、岸くんのダンス大好きだよ!前にも言ったけど、本当に上手くてかっこよくて、練習も本番も全力で…そういうところめちゃくちゃ尊敬してるんだ。
あと…こんなふうに優しくしてくれるところも、めちゃくちゃ…大好きなんだ…」
あまりのうれしさに、いつもより素直に気持ちを言葉にしている。普段なら好きすぎて恥ずかしくて絶対言えないけど、本当に心の底から想っていることだから。
「俺も颯のこと大好きだよ!素直だし頑張り屋さんだし、結構面白いし!…なんか、こういうの照れるね…まぁ、これからもよろしくね」
友達にハートマークつきのメールを送っちゃうような岸くんは、この言葉が颯に対しどれだけの威力があるかわかってはいない…。
…だが、この言葉が実は自分が思っている以上の感情を表しているのもわかってはいない。
本当に好きになると、その感情があまりに人間として自然すぎて気づかないのかもしれない。

そうとは知らず、思いもよらない岸くんの告白に頭の中でこれからのおつきあいやデートコースを駆け巡らせる颯だった…。

END
249ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 11:05:06.31 0
羽生田切ない・・・(´;ω;`)

なにげ岸君の「えっとですねぇ」に吹いたw
250ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 11:18:17.96 0
はにー優しい子
岸くんが相変わらずだったら全力で奪っちゃえ
251ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 12:32:28.44 O
岸颯うわああああああああああああああああああああああああああああああああ
252ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 14:08:52.19 0
きしふうきゃわああああああああああああ
岸くんが自分と颯きゅんとの行為を想像してる時に両腕を抱きしめてるのがキャワすぎた

れあむいいコンビすぎて目から汁が出そうになったお
253ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 14:30:10.95 O
作者さん乙
岸颯もれああむもスウィートでピュアでキャワ
254ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 14:58:32.86 0
れあむマドリードのやり取りが素敵すぎ
255ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 15:06:35.78 O
作者さん乙!
さて、これからコンビニ商品大量買いして最高級メロン買ってセンチメンタルはにーいただいてくるか
256ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 15:20:16.74 O
作者さんありがとう
ちゃんと復習して待ってたよ
ドキドキしながら読んでたのに岸くんがひとつ殴るから一瞬唇がw
れあむマドリード泣いた!
257ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 15:55:04.96 0
初めてはにーが愛くるしいと思った
258ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 17:35:33.56 0
今日は遠征でホテルに泊まっている。一日シャカリキに踊ったのでゆっくり体を休めよう。
そう思った矢先、ノックの音が聞こえた。もう夜も遅い。こんな時間に誰だろう。
同室の颯は、愛くるしい顔でスヤスヤ眠っている。岸は颯を起こしてしまわないように、静かにドアを開けた。
「嶺亜!?」「来ちゃったぁ」「来ちゃったって…栗田は?」「いいから早く入れてよぉ」
岸は、驚きながらも、嶺亜を部屋に入れた。
「岸にぃ、会いたくて来たのぉ」岸の頭はショートした。いや、普通の男なら岸と同じ反応をするだろう。嶺亜の上目づかいに、岸は耐えられる自信がなかった。鼓動が速くなる。
「くっ、栗田がこんなこと知ったら…」「栗ちゃんの話はやめてぇ。…嶺亜はぁ、ホントはずっとぉ、岸のことが好きだったの」「まさか…」「岸ぃ…」
そう言って、嶺亜は岸をベッドに押し倒した。
「岸の法令線もぉ、汗かきなところもぉ、ブサ可愛いところもぉ、フナムシみたいなところもぉ、大好き」「嶺亜…」嶺亜は岸の法令線にキスをした。
「岸ぃ…好きだよぉ」岸は女性に対してさえ感じたことのない程、嶺亜にときめいていることに気が付いた。嶺亜は本当に可愛い。可愛いという言葉だけでは言い表せない程に…。いつも近くで見ているが、何度見ても天使としか思えない。
だが、現実に嶺亜は男だ。だから、こんな感情を持ってはいけない。ましてや神7のメンバーだ。岸は必死に嶺亜への気持ちを抑えようとした。が、ダメだった。嶺亜が少し首を傾けながら、こっちを見つめている。岸はもう耐えられなかった。
「嶺亜…俺も…」すると、言い終わらないうちに、今度は唇にキスをしてきた。
岸の下半身は、もうとんでもないことになっていた。
「嶺亜…」今度は岸が嶺亜を押し倒し、キスをしようと顔を近づけた。その時…誰かが荒々しくドアをノックした。せっかくいいところだったのに…残念だったが岸は仕方なくベッドから出て、ドアを開けた。
「嶺亜、来てるだろ?」そこに立っていたのは栗田だった。岸は死を覚悟した。だが、死ぬ前に天使とキスができたんだから、まぁ思い残すことは無いな…とも思った。が、栗田の口から発せられた言葉に、岸は仰天した。
「岸…岸に会いたかった」そう言って、栗田は岸に抱きついた。
259ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 17:41:57.90 0
俺の下半身もとんでもないことになっている
260ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 17:43:59.03 0
奇遇だな俺もだ
261ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 17:45:30.90 0
全身とんでもないことになっている俺がここに
262ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 17:50:52.47 i
ノシ
263ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 17:59:47.10 0
栗田が俺に抱きついている…。もう何が何だか分からなかった。これは壮大なドッキリなのか?「岸が…ホントはずっと岸のことが好きだった」
栗田のカミングアウトに岸はもう全身汗だくになっていた。
岸は、今まで栗田をちゃんと見てこなかった。が、今、自分の胸に抱きついている栗田の顔を初めてしっかり見てみた。嶺亜には到底及ばないが、意外と可愛い顔をしている。
ちょっとアリかも…とも思った。栗田のトレードマークである、ババアのようなしゃがれた声も、熟女と思えばセクシーだ。
そんなことを考えていると、奥から嶺亜が出てきた。「栗ちゃん離れてぇ。嶺亜の岸に触らないでぇ」「お前の岸じゃない。俺の岸だ」「嶺亜、さっき岸とキスしたもん。だから嶺亜の岸だもん」
「キス…俺の岸とキスしたのかよ!」とけんかを始めた。
岸がオロオロしていると、どこからか神宮寺が現れた。「岸、俺もずっとお前が好きだった」「神宮寺!?だって…お前はエロエロだし、女大好きだろ?」「あれはカモフラージュだよ」
「カモフラージュ!?」「俺の気持ちがバレないように、演技してたんだ。…本当に辛かった」
神宮寺はすごく気の合う仲間だ。一緒にいるとすごく楽しい。だが、エロ大使で女大好きだと思っていたので、彼をそんな目で見たことはなかった。だが、よく見ると、神宮寺もこれまた可愛い顔をしている。
神宮寺もアリかもしれない…。
するとまた、どこからか郁が出てきた。「俺も岸が好き。岸が望むならダイエットだってできるもん」「郁…」郁もプニプニしていて可愛い。抱きしめたらきっと柔らかいのだろう。郁もアリだ。
するとまた、どこからか羽生田が出てきた。「君が望むなら、僕は全財産を放り出してでも駆け落ちできるよ」と言う。「羽生田…」羽生田の異国を思わせる雰囲気、気品漂う仕草や言動…そこはかとなく色っぽい。アリだ。
するとまた、どこからか谷村が出てくる。「岸君に笑ってほしかったから、僕はヤンヤンジャンプで、嫌だったけど変なおじさんのモノマネをしたんだよ。ドンズベリしても…やぶひかに微妙な顔されても平気だった。
岸君が好きだから…岸君の笑顔が見たかったから」「谷村…」
谷村は本当に美少年だ。端正な顔立ちをしている。暗い瞳もミステリアスで、そそられる。アリだ。
そして、寝たフリをしていた颯も起き出した。「岸君…僕の気持ちも、もう分かってるよね…岸君が…大好き…」「颯…」颯は、本当にいい子だ。いつも笑顔で一生懸命な颯は可愛い。颯とのシンメはいつも幸せな気分になる。もちろん颯もアリだ。
嶺亜「岸は、誰が好きなのぉ?」
颯「岸君…誰なの?」
栗田「誰なんだ?岸」
岸「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」


監督「いかがですか?モテキ・ザ・ムービーA〜恋する神7〜!主演は神7の岸優太君で、と思って書いたんですけど!」
プロデューサー震えている。
「どうしましたか?」
次の瞬間プロデューサーは、その企画書をビリビリに破り捨てた。
「僕チンのれあたんが岸とキスだと!?そんなことしたら、地球滅亡レベルの軍事力使っちゃうからねっっっ!」

れあヲタプロデューサーの嫉妬により、岸優太の出世作になるはずだった(?)モテキ・ザ・ムービーA〜恋する神7〜は幻となった。

END
264ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 18:02:24.64 0
良かったお
地球破壊せずにすんだお
とりあえず爆弾を格納庫にしまってくるお
265ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 18:08:20.86 i
若干話ずれるけど
jrって自分以外のjrが出てる番組見るのかな?
例えば自分は出てないヤンヤンとかスク革とか
jrランドとか。
266ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 18:09:32.88 i
モテキ→Pにギタンギタンにされる岸の流れまで含め映画化を希望
267ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 18:45:03.70 0
>265
まず見ない
JJLはJr好きでも見ない
よっぽどの推しが出ていない限り。俺で言えばれあたんが出てない限りじっくり見ることはない。
268ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 19:14:35.21 i
神7全員に言い寄られるなんて優太幸せすぎるお
そして真剣に誰がいいか迷ってる優太かわいいお
269ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 19:46:45.22 O
周りに侍らせてハーレム状態の岸くんを想像した
…似合わない
270ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 19:47:59.51 O
岸くん熟女もアリかよw
271ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 20:00:18.51 i
岸くんストライクゾーン広過ぎワロタw
272ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 20:04:09.58 O
だめだだめだ岸くんが最近愛おしすぎて仕方ない
岸くんの馬鹿やろううわああああああああ
273ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 21:05:19.89 0
モテキの感想ありがとう

オイラ、改行下手だから読みにくかったのに
最後まで付き合ってくれて感謝!!

>266
とりあえず映画会社に企画書送ってミマスwww
274ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 21:24:39.59 P
れあむは普段エピきかないがああいう関係だといいな

モテキな岸くんw優柔不断さと不憫さが拍車をかけててナイスw
映画がヒットして男子だらけの乙女ゲーム化きぼんぬ
275ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 21:28:33.65 i
アイドルの初主演映画が20禁映画なんて胸熱
276ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 21:29:57.99 i
乙ゲーいいなw
AKBの恋愛ゲームpgrと思ってたけど
もし神7で出たら絶対買うな
277ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 22:02:46.74 O
なんだなんだ岸くんおもしろすぎるだぜと思ったが
谷村のへんなおじさんですべてがwwふっとんだwwww
278ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 22:46:33.14 0
れあたんのドナルドダックといい谷やんの変なおじさんといい神7は芸達者だな
279ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 23:02:53.89 O
明らかになにもできなそうな谷やんが
いきなり変なおじさんとかしだすのがまた面白い
280ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 23:09:27.46 0
しかもけっこうクオリティ高いっすよね(れあたん口調で)
281ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 23:10:37.96 0
■オバマ大統領が俺の話をネタ元にパーティー演説。
http://twitter.com/4YoGun/status/201285556989202432
実父と呼ばれる昭和帝との比較。
http://twitter.com/4YoGun/status/198163303426568193/
エリザベス女王在位60周年
http://twitter.com/4YoGun/status/203895929445683202

俺は東方不敗マスターアジアとも呼ばれる存在だぞ。
理由は天皇家と李王家の血を受け継いでいるから。
その証拠
http://twitter.com/4YoGun/status/203528329888923649


282ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 23:10:58.32 0
谷村本気でここ読んで悩んだ末の行動じゃないのかw
283ユーは名無しネ:2012/05/20(日) 23:38:51.65 I
あれは笑ったw
たにーがあんな声出すんだって感じで新鮮だった
きのこばっか見てると思ってたら意外とバカ殿とか見るのね
284ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 00:25:29.02 i
jrのスレに俺って書いてる人よくいるけど、
男の人でもjr好きがいるってこと?
だとしたら嬉しいお(^o^)

女の子がakbだいすきみたいに
男の子もジャニーズすきってかんじ?
285ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 00:36:38.42 0
そうとは限らないのが2ちゃん
あんま気にすんな
286ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 00:38:15.79 I
>284
おやすみなさい
287ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 00:39:34.74 0
はにーさんの羽生田ビーナスはよ
288ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 00:57:34.88 i
あー女の子でも自分のこと俺って呼ぶタイプかw
289ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 01:22:24.95 O
それとこれとは違うだろwwwwそれどこの厨二だよww
290ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 01:25:38.32 0
ネット初心者にありがちな疑問今更ありがとうございました
以後よそでどうぞ
291ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 01:36:42.32 O
大塚スレで暴れてるわかりやすいiPhoneいい加減鬱陶しいわ
こっちまで来んな
292ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 03:51:37.55 i
失礼しましたもう神7には来ませんので(o^^o)
293ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 08:09:00.39 0
メール欄晒してるけど大丈夫なの?わざとなのか?
294ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 13:24:53.19 I
最近どこのスレでもいるこの人
浮いてるからわかりやすい
295ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 19:25:22.17 P
>>276
主人公がKAT-TUNと同居してハーレム状態になる乙女ゲーならあるから、神7も決して夢じゃない…!
むしろここで案を出し合い企画書作成するべきだw
296ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:14:10.98 0
主人公8人(岸くん、颯、神宮寺、倉本、羽生田、嶺亜、栗田、谷村)を自由選択
選んだ選択肢によって他の7人のうちの誰かと結ばれる
つまり27通りのカップリングでのエンディングが可能。全部制覇したら裏バージョンで鬼ヤクザとかロクネンジャーとも可能に
もっともジャスティス信者にとっては制覇はかなり苦痛だろうが
297ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:26:35.22 0
栗田谷村パターンとか怖いもの見たさだな
れあたんなら誰でもヌけ…萌える
298ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:32:40.71 I
素晴らしいなあ
ぜひ製品化を希望する
299ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:33:56.29 I
倉本羽生田もなかなか茨道ww
たにーは顔がいいから誰でもいける気がするけど総じてどんよりした話になりそう
300ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:34:36.31 0
おいたんれあたん編ばっかやっちゃうよどうしよう
301ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:36:51.78 P
栗谷茶浜は最近雑誌で仲良さそうだからそんな流れで
頑張って明るくなろうとしてる幸薄オーラ漂う探究心旺盛な秀才美少年が、自分と相反するキャラのアホの脳の構造に興味を抱くうちに意外と可愛い顔したいい奴だと気づきいつしか…

うわあああああああああああああああああああネタで書いてたのに意外と萌えるなんてこったオーマイガアアアアアアア
302ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:37:48.57 0
学園モノならとりあえずエッチシーンは教室とかプールサイドとか美術室とか屋上とか図書室とか野球部室とかとかできぼん
水着は各編必須な
あとは受攻も自由に選択できるとなおよし
303ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:39:25.36 0
うおおお学園モノおおおおおおおお

そうなんだよな栗田は顔は可愛いんだよ神7の中でも1,2を争うほどに…
304ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:39:27.77 P
報われない片想いをゲームの世界で発散すべくターゲットを颯くんに絞り何度も攻略する羽生田を妄想したら激しく萌えました本当にありがとうございました
305ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:43:36.55 P
>>303
激しく同意
酒焼けみたいなガスガスボイスとアホキャラのイメージ強すぎるから霞んでるが、実は正統派カワイコちゃん系美少年だよな…
しかも手足長くて意外とスタイルいいんだぜ…
事務所もっと推してやれや…
とりあえずれあたんとセットでJJLだ
306ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:46:44.38 I
×酒焼け
○熟女Voice
という方程式を岸きゅんが発見してくれたからとりあえず解決
307ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 20:53:36.85 P
熟女Voiceを操る可愛い顔したアホキャラアイドル…
将来バラエティ出演したら芸人潰しの異名を取るほど活躍しそうだ…

神7周辺は颯くんといいさねやすといい芸人潰し候補生が溢れてるなw
そして何もしてないのになぜか笑い者にされまくる不憫1と2
308ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 21:13:52.98 P
司会「今日のゲストは、はるにゃ愛さんとイッコーさん、そして今人気急上昇中のアイドルグループ、神7の皆さんです!」
アホ「おいおい!俺とれいあの席おかしくね!?なんで俺たちだけオネエの中なんだよ!」
はるにゃ愛「あんたが私たちみたいな声で、そっちの子はそっち系っぽいからよ!」
イッコー「ていうかあんた性転換してないし酒焼けしてないのになんでその声なのよ!どんだけ〜」
はるにゃ愛「実はお隣のれいあくんとデキてたりして〜!」
アホ「そうだよ!悪いかよ!」
れあたん「もう〜栗ちゃんたらぁ(はぁと)」
はるにゃ愛「いや〜ん!ジャニーズが生放送でカミングアウトしたんだけど〜!」
イッコー「どんだけ〜」

って場面が浮かんだ
309ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 21:50:53.96 I
>308
Pの人、乙!
ペアだけじゃなくて三角関係とかできると面白いかも
310ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 22:06:30.48 0
岸くん…不憫ポイントを上げると目当てのキャラと両想いに
颯…回転ポイントを上げると目当てのキャラと両想いに
神宮寺…エロポイントを上げると両思いに
倉本…食欲ポイントを満たしていくと両思いに
羽生田…エリートポイントを上げると両思いに
嶺亜…乙女ポイントを上げると両思いに
栗田…アホポイントを上げると両思いに
谷村…不憫ポイントを上げると両思いに

神宮寺編はもれなく変態プレイつき
あと谷村編は岸くん相手に不憫ポイントを上げるのが非常に難攻。逆も然り
なお、れあくりカップリングは基本何もしなくてもお互いのポイントが満タンから始まるので自動的にハッピーエンド
311ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 22:16:02.12 I
エリートポイントってどうやって上げるんだw
312ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 22:53:40.99 0

《ジェネレーションギャップ?》


「よろしくおねがいしまーす」
初めてのJJLという現場に多少緊張した様子の茶髪の少年がドアを開けた。
安井謙太郎20歳。
今年21歳になる、数多くいるジャニーズJr.の一人である。

この番組が始まった頃は、まさか自分が出るとは思ってなかったのにな……。
と、最近伸びてきた襟足を弄りながら一人考える。
そう上にも述べた通り自分は成人している、煙草もお酒もすでに合法だ選挙権だってある。
セクシーに薔薇を持って踊る彼らよりもニューヨークシティーの彼らよりもお昼にウキウキウォッチングしている彼らよりもバカレアでヤンキーしている彼らよりも、もちろん神7の彼らよりも年上なのだ。
現在この現場で一番年上と思われる岸くんでさえ4つ年下。
年の差的に浮くんじゃないだろうか、最近ハリが減ってきた気がする頬をなでて悩む。
しかし実際のところ、20代の平均より若干低い身長と生まれ持った童顔のおかげで傍から見ればすっかり年下のJr.と馴染んでいるのだが……自分の身長と顔がコンプレックスの安井がそんなことを気づこうとするわけがない。
とはいえ、普段自分を年長者扱いしようとしない京本だの萩谷だの樹だの風磨だのと行動を共にしているせいですっかり忘れていた"年下の可愛らしさ"が身近にあるからか心がふわふわする。
今日の収録は何だかうまくいきそうだ。
「あ、安井くんこんにちは」
噂をすれば、だ。
自分が来る前にも収録をしていたのだろうか、汗だくな岸くんが後ろにいた。
……まだ春なのになんでこんなに汗をかけるのだろう。
夏の運動部室、なんて懐かしすぎて記憶もおぼろげだがあの頃の酸っぱい匂いがする気がする。
思わず頬が引きつりそうになったが、年上の風格でなんとか笑って誤魔化した。
「岸くんはダンス上手いんだってね」
「そんなことないですよ」
「いやいや、少クラの収録とかでも上手いなぁって思ってるよ」
照れた様子で笑ってこめかみあたりをかく。
笑うと年下のはずなのに自分より深い法令線を見て少し心配になったけれど、その表情は可愛らしくて頬が緩む。
普段の可愛げのない年下共とは似ても似つかない。
「……岸きゅんなんなの、年上も好きなの、確かに安井くんは可愛いけど………ブツブツ」
「……ビクッ」
「どうかしましたか?」
「いや、べ、つに」
313ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 22:53:57.96 0
突如訪れた背筋の薄ら寒さに肩を震わせると、岸くんが頭をかしげて尋ねてくる。
慌てて首を振ったけれど、岸くんの後ろに黒い塊……じゃなくて颯くんがいて口元がピクリと痙攣した。
心なしかその目が濁っている気がする。
あと、何故だか睨まれてる気も……多分こっちは気のせいじゃない。
「あれー、颯おはよ!」
「きききききききしくん!!べ、べつにもしかして年上のほうが好きなのかななんて思ってないんだからね!」
「?とりあえず振り合わせよーよ」
岸くんに声をかけられた途端真っ赤になる颯くん。
……もしかして、もしかする?
「颯、分かりやすすぎッスよねー」
「安井くんも気づかれましたよね、さすがに」
年相応の可愛らしい恋の駆け引きにどうもきゅん、としてしまってにこにこしていると後ろからスマフォを手にした神宮寺くんと春なのに肉まんにかぶりついている羽生田くんが声をかけてきた。
やっぱり、そうなんだろうか。
どうやら岸くんは全く気づいてないみたいだったけど。
「そんなことより安井くんこれみてくださいよ」
羽生田くんが肉まんの肉の大きさが気に入らない、と携帯を取りに離れたと同時に神宮司くんがスマフォを差し出してきた。
「……な、にこれ」
「えーぶいッスよ、えーぶい!安井くんだってみるでしょ?なんてったって18禁解禁の男子なんですから」
「…………」
自慢じゃないが、自分は生まれてこの方この手のビデオをまともに見たことがない。
もちろん自分は18歳どころか20歳を超えているのだからこれを見ること自体は犯罪ではない。
でも、少し前にお酒を買いに行ったとき身分証明書を出したにもかかわらずなかなか納得してもらえなかったことを思い出す。
つまり自分で借りに行くなんて無理なわけで。
また、たいして興味もなかったため特に見ずに過ごして来た。
「俺TSUT●YAのアダルトコーナーで一日過ごすことが夢なんです!」
「……そっか」
目の前にいる俺は入ったこともないけどね。
なんて、無駄にキラキラした瞳で見つめてくる彼にはいえなかった。
314ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 22:55:05.68 0



「……濃い」
ひとまず一回分の収録が終わって溜息をつきながら椅子に腰掛ける。
いくら若く見えるといったって体力の消耗はやはり年頃の男の子よりは早いわけで。
それに加えて、濃いこの面々。
岸くんは自分の汗ですべりそうになるし、谷村くんは巻き込まれそうになるし、颯くんは突然回りだすし、谷村くんはその足に激突してうずくまるし、倉本くんは俺の私服にパンくずこぼしながらメロンパンかじってるし、谷村くんは俺のメロンパンがないと叫んでいるし、その他諸々。
何なんだ一体、そのエネルギーは何処から満ち溢れてきてるんだ。
「安井くーん、お久しぶりですぅ」
「あー……嶺亜か」
嶺亜とは滝沢歌舞伎で一緒になったりしているので顔見知りで仲も良い。
相変わらずの白い肌と間延びした声に無性に癒される。
「どうしたんですかぁ、なんだかお疲れ?」
「ちょっと、ね」
「ふぅん」
嶺亜はこんな子達と毎日一緒にいて平気なんだろうか……平気だな。
こう見えても案外この子はタフだ、見た目はなんとも乙女に近いけれど。
「そういえば栗田くんとは最近どうなの」
「えーっとねぇ……」
この乙女のような子はどうやら恋愛でも乙女を発揮しているらしく、同じJr.仲間の栗田くんと付き合ってるらしい。
噂を聞いたのは最近だけれど聞けばあっさりと認められて逆にびっくりした。
まぁ、この業界では珍しいことではない。
少し前に『……れあたん』と楽屋で一人呟いていた萩谷を思い出す。
……なんだか寒気がしてきた。
「※○▼Σしたり★¶Θの☆※÷したかなぁ」
「、は?」
「恥ずかしいから何回も言わせないでくださいよぉ」
「え、え?」
なに、この子可愛い顔してなんってった?
照れて顔を赤くしている嶺亜の隣で脇山くんとさねやすくんが無表情で携帯弄ってるけど、なんでそんなに普通なの?
羽生田くんの呆れたため息が聞こえて、え?
驚いてる自分が逆におかしいのだろうか。
「……もう、やだ」
なんだかげっそり疲れた。
こんなに疲れるならいくら可愛げないっていってもいつもあいつらのほうがいいや。

「どーしたの、安井」
あんなに可愛かった嶺亜が……というショックからか、同じく収録のため遅れて到着した真田が声をかけてくるまで妙に痛む頭を抑えてその場で座り込んでいたのでした。



おわり
315ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 23:03:59.68 0
はwwwwぎwwwwやwwww
316ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 23:17:26.54 O
くっそwwww萩谷に全部持ってかれたwwwwwwwwごめん安井wwwwww
317ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 23:19:31.79 0
そういやこないだのJJLのライブコーナーでいきなりれあたんアップで狂喜乱舞してたらその直後に萩谷のアップがきてフイタwwwwwwwww
318ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 23:24:24.19 I
れあたん呼び安井さんに見られてんじゃねぇかwww自重しろwwwww
んんんんんんんれあたんんんんんんんんん、じゃなかっただけましかな
319ユーは名無しネ:2012/05/21(月) 23:44:32.53 0
はぎや大人気すぎて嫉妬
320ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 00:54:26.08 O
でもよく考えたらたしか安井ってスノプリらへんとかかなりかわいがってたしショタ好きだった気がする…
あれ…
321ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 01:43:45.32 O
安井くんの誕生日7月21日、あと二か月か

0721
322ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 07:52:55.49 O
安井くんはこの前なぜか谷村栗田倉本と一緒にパジャマ姿で$誌にでていたね
323ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 14:27:49.80 i
神7あたりで青春映画とか作って曲出して欲しい
爺、冥土の土産にやってくれんかな
324ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 17:29:19.49 O
はぎたんかわいそうだから松倉くんとかじゃダメかな
タイプが違うかー
325ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 18:46:53.11 I
「俺TSUT●YAのアダルトコーナーで一日過ごすことが夢なんです!」

壮大な夢だな
326ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 18:52:05.18 O
颯きゅんが嫉妬に狂ってますます変な人にw
327ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 18:57:10.62 0
>325
信○書店で一日という夢もある
328ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 20:00:26.20 0
こんなMV作れや事務所

永遠の青


季節は真夏、快晴。空には雲一つない。
少年たちは、魚になるのか鳥となるか…その染みわたる青に想いを走らせる…


「おい、何ぼさっとしてんだ。さっさと球拾ってこい」
上級生から指示が飛び、岸優太は「あ、ハイ!」と慌てて返事をして転がった野球ボールを追う。グラウンドにはいろんな部活動の生徒が入り乱れている。それらを器用によけながらボールに辿り着く。
球を拾い、ふと顔を上げる。日差しのきつさに、思わず顔をしかめた。
「…」
岸優太はキャップのつばを少し上げて、その空を見上げた。


着地した瞬間、記録が冴えないことを確信した。その通り、記録係が渋い顔を見せてばつ印をその両手で作って示した。溜息をついて手についた砂を払う。
「焦るな。じっくり毎日続けていれば自然と伸びる」
顧問が後ろからそう話しかけてくる。まるで自分の心を見透かしたように…
「はい」
短く返事をして、高橋颯はグラウンドの水道に行き、バシャバシャと顔を洗う。
「…」
タオルで顔を拭くと、グラウンド全体を見据えた後、顔を上げ高橋颯はその空を見上げる。


「くっそ…早くボール蹴らせろよな…」
グラウンドの周りをランニングしながら神宮寺勇太はぼやく。彼の視線の先には上級生がサッカーボールを使っての練習に励んでいる。やってらんねー…と嫌気が取り巻いていると神宮寺勇太の前にコロコロとサッカーボールが転がってきた。
ランニングの足を止めて、そのボールを手に取ると、向こうで上級生が「こっちによこせ」という身振りをしているのが見える。
神宮寺勇太はその上級生にサッカーボールを蹴り返した。ボールは高く弧を描くようにその上級生へと飛んでいく。それを見届けて、その空が目に映る。

放課後の教室からグラウンドを見下ろす。教室内ではブラスバンド部の仲間が自主練をしているが倉本郁はさぼりがちだ。窓際に座ってトロンボーンを適当にいじくっていた。
「あつそー」
運動部のみなさん御苦労さま、といった口調で半笑いで倉本郁はそう呟いた。
風が吹く。机の上に置いていた楽譜がパラパラと高速でめくれていった。
風の吹いた先…倉本郁は空を見つめた。
329ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 20:00:54.39 0

プールサイドに一人立ち、制服のまま体操のまねごとをしてみる。水泳部の姿はなく、静かに、わずかに波打つその水面には誰も映っていない。ただ空の青を映して水面がきらめくばかり…。
羽生田拳武は鞄を置いた。そして一つ大きな伸びをする。
飛び込み台に立つ。しかし水面には背を向けている。
にっこり笑って両手を広げ、そのまま後ろ向きに羽生田拳武は水面にダイブした。プールが大きく波打つ。
「ぷはぁ!」
髪も服も水をたっぷり吸いこんで、その酔狂な姿に一人忍び笑いを漏らす。
そうしてあおむけのまま水面に浮かびながら、羽生田拳武は空を見上げた。


グラウンドの声も、ブラスバンドの音色も遠くに感じながら屋上のペントハウスの上で二人、手をつなぎながら横たわる中村嶺亜と栗田恵がいる。
「ねえ」
中村嶺亜は栗田恵を見つめる。
「何?」
栗田恵も中村嶺亜を見つめる。
「暑くない?」
「そりゃ暑いよ。真夏だし。陰もないし」
「なんで僕達、こんなとこでこんなことしてるのかな」
「さあ。別にいいじゃん?誰にも迷惑かけないし」
手は繋がれたまま。二人の間にしばし沈黙。
その沈黙を中村嶺亜が破る。
「あ」
中村嶺亜は何かをみつけたように呟いて身を起こす。
「何?」
栗田恵も続いて身を起こす。
二人は屋上から空を見上げる。


喧騒から逃れた図書室で一人、自主勉強に励みながら谷村龍一は問題の難しさに眉根を寄せる。
「…」
参考書をめくる。が、分からない。溜息をついてノートと問題集を閉じた。
勉強を早々に放棄し、図書室の本を物色する。出してはパラパラめくり、戻し…の繰り返し。気に行った本は見つからない。
いつのまにか部屋の端まで来ていて、窓が開いていることに気付く。そこからグラウンドが見える。
グラウンドに一瞬目をやった後、谷村龍一は視線を上に向け、空を見た。


8人の少年が同時に見上げた空には一筋の飛行機雲が、まるでその青を二分するかのように一直線に引かれていた。

そして少年たちの物語が始まる…


330ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 22:27:13.90 0
全力でそのMV買いますノノ

そして谷やんにはその後窓から落ちかけるという
ミラクルを起こして欲しい
331ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 23:06:01.54 O
神7は制服とか部活とか等身大な感じがよく似合う
青春群像劇いいわー
甘酸っぱいね!
332ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 23:15:29.22 0
野球部岸くん
陸上部颯
サッカー部神宮寺
吹奏楽部倉本
帰宅部谷やん

そしてれあくりはMVでもデキてるのかwww
333ユーは名無しネ:2012/05/22(火) 23:54:58.96 O
颯くん陸上のペラッペラのユニフォーム似合うだろうな
334ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 00:09:42.35 i
>>332
あむがいない
335ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 00:10:04.89 O
>328
すばらしい
336ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 00:10:31.56 O
>328
すばらしい
337ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 00:12:45.54 0
水泳部(?)羽生田

かな
338ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 01:34:44.95 O
いいねぇ
実際見たら泣きそう
339ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 06:45:12.48 I
岸くんはあと二年もしないうちに卒業だからな……
なんとか現役のうちにMVを!
340ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 11:07:04.20 0
ケンカシーンとか見てみたいな
最後は夕陽に向かって8人ダッシュで
341ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 13:40:25.89 O
はにーもいい役者になりそう
中年純情隊の偉いさん、れあむマドリードに芝居仕事プリーズ
342ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 14:18:54.93 O
れあたんはガンツがいいな
343ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 15:31:56.21 0
はにーは学園ものだったら結局俺様キャラに負ける報われない優男役やってほしい
陰から見守る片思いはにーヲタになりつつある
344ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 20:26:22.59 0
>329
あむあむは水泳部だったけど進学のために部活動諦めたって位置であってほしい
345ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 21:15:56.34 O
れあたんのガンツとか見たい見たい見たい見たい!
346ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 21:51:36.03 0
岸くんが振りを間違えまくってたヤンヤンの勇気100%に>>229-230のシチュエーションを重ねたら激しく興奮した
347ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 22:08:33.72 O
>346
あの時松倉くんやれあたんは岸くんを心配そうに見てたのに
隣の颯くんは岸くんに目もくれず楽しく踊っていたのにはこんな物語があったのか納得
348ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 22:32:04.69 O
納得できるwww
でも神宮寺倉本も間違えまくってるから
立ち位置変わったのかと思ってた
けどやっぱりふうくんのせいだと思うことにした今日からwwwwww
349ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 23:27:31.65 0
あのヤンヤンの勇気100%って半分くらいのズニアが振り間違えてるんだよな
しかし岸くんに限っては尿意を催してたと思うことにする颯くんのせいで
350ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 23:30:19.16 0
逆に間違えてなかったJrってすげえな…
事前の指示がちゃんと伝わらなかったとかかね
351ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 23:40:09.74 0
>>350れあたんは岸くん心配する以外は終始アイドルスマイルでした

できる子
352ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 23:49:33.72 0
俺はれあオタだから分かるがれあたんってけっこうステージ上で近くの子の心配してる
で、たまに自分も間違えちゃったりしてる可愛い子
353ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 23:50:23.77 0
そのヤンヤンっていつごろのやつ?
354ユーは名無しネ:2012/05/23(水) 23:56:06.23 i
安井ネタうける
355ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 00:25:31.33 0
岸くんの足下が不自然に濡れている!
1.「い、いつもの大汗だよ!」と慌てる岸くん
2.唐突にステ-ジから逃走する岸くん
3.しゃがんで泣き出す岸くん
さあどれだ
356ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 00:36:36.16 0
4.「ナ イ ア ガ ラ で す か ら」
357ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 01:32:56.12 0
>353
ここ1〜2ヵ月くらいの間で上手と下手に分かれて新旧の振付でやった時だったような
358ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 03:49:48.12 O
☆誌、これみよがしの3ショットとか、岸くんに肩抱かれて不自然な姿勢で固まる颯くんとか、はにーにひっついてナチュラルな颯くんとか、なんか複雑そうなはにーとか、プロフェッショナルツリーが心配しそうな岸くんの生え際とか…
スタッフここ見てる?
359ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 04:59:00.73 O
今後岸くんが挙動不審なときは全て颯くんのせいということで
360ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 07:21:43.82 0
>358
見てそう
メイキングもすごい
361ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 07:32:42.82 i
たぶん見てるよなあ
では神7のすべてを作者さんが握っているということだな
362ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 12:34:04.27 O
作者さんこれからもいい感じの作品ヨロ
363ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 16:18:55.00 i
見てるわけない
364ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 16:22:39.60 0
どっちでもいいや
365ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 21:15:54.13 0
小さなことからコツコツと
366ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 23:07:10.76 0
中村嶺亜
ハワイは2回目だけど今回はJrのみんなと一緒で嬉しい。
街中ではフツーにスケボーで移動してる人がいてビックリしたよ。
ボクも現地の人たちをスケボーで街を走りたいって思っちゃった。

岩橋玄樹
グアムは行ったことあるけど、ハワイは初めて。
今回は英語の本を持ってきたんだ。少しでも現地の人と話せればと思ってね。

羽生田挙武
旅行好きの両親の影響もあってボクも旅行が大好きなんだ。
アメリカ、アジア…いろんな国に言ったけど、ハワイは自然もいっぱいだし、何よりJrみんなで来れたのがよかったな。

岸優太
ハワイに来られるなんて、ホント夢のようだよ。
いまでも夢じゃないかって思ってるぐらい(笑)
海外旅行も初めてだし、とにかく感動しっぱなし。景色は最高!すごくリラックスできるよ。
ハワイでやりたいことはスキューバダイビングかな。
でも、今じゃなくて、いつか出来ればいいなっって思ってるよ。それを夢見て毎日がんばろう!
367ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 23:31:53.45 0
よっしゃはにー俺と地球の裏側アルゼンチンに行こうぜ
れあたんとはヨーロッパ行きたいです
368ユーは名無しネ:2012/05/24(木) 23:36:16.24 i
初めてのかいがいりょこうにはしゃく岸君きゃわ
369ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 02:25:46.78 0
はにーはリアルでおぼっちゃまくんなんだな
370ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 06:06:44.04 O
371ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 08:07:49.26 0
【神宮寺勇太&岸優太&高橋颯&羽生田挙武&岩橋玄樹&中村嶺亜&古林虹輝@MYOJO7月号A】羽生田は幼いころから10年間、月1で(!)ハワイに訪れていた。
「小学校を卒業したときは友だち同士で旅したよ。溶岩を見たり、プールで遊んだりして楽しかった!」となつかしい景色にうっとり♪

10年間、月1でハワイに行くあむってどんだけお坊っちゃんなんだろ
372ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 10:42:06.09 0
ありがたみもクソもねえな
栗ちゃんか谷山連れてってやれば良かったのに
373ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 11:27:37.87 0
れ、れあたんなんか週一でスノボ行ってたんだからねっ
374ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 12:53:52.01 I
神7で家なき子のリメイクやらないかなー

安達祐実は岸くんがいいが、年齢的に厳しいので高橋
安達祐実が慕う先輩に神宮寺
エリカはれあたん そのとりまきに羽生田
コロ(犬)くらもっちゃん
京本が演じていたブラックジャック先生役、岸くん
キチガ◯オヤジ 椎名桔平

「同情するなら金をくれ!」「れいあが例えてあげる」
似合うと思うけどなー
375ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 15:36:37.00 i
今日のジャニ枠未だ白紙のMステ
神7が出たら…と勝手にwktkしてたら
某板にも同じような事書いてるやついてワロタ
376ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 18:19:36.40 O
スマでしょ?
377ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 18:54:21.00 0
神7楽屋劇場「恋愛教祖」

レッスンの疲れをミルクティーで癒しながら中村が楽屋に入ると、一種異様な雰囲気がそこを支配していた。
「…」高橋がヘッドスピンもせず腕を組んで難しい顔をして思い悩んでいる。
「…」倉本が、何も食べずに眉間にしわを寄せて何やら考え事をしている。
二人の年下が、何やら沈痛な面持ちで沈黙しているのが珍しくて中村は首を傾げながらしばらくそれを眺めていた。が、二人とも一向に変化はない。だからミルクティーも飲み終わったし訊いてみることにした。
「ねぇ高橋とかおるぅ何難しい顔してんのぉ?」
中村に問いかけられて、呪文が解けたかのように高橋と倉本は我に返った。そしてまず高橋が答える。
「実は…今度岸くんと二人で遊びに行く約束をやっと取り付けたんだけど、どこに行って何していいのか分かんなくて…」
「そうなんだぁやったじゃん高橋ぃ。勇気出したんだねぇ。なんて言って誘ったのぉ?」
「あ、うん…メールでだけど…誕生日に…」
高橋は照れて絨毯をむしろうとする。糸クズが見る間に積み上げられていった。
次に、倉本が答える。
「みずきがさあ、二人きりでどっか行きたいって言うんだけどあいつ金ないじゃん?どこでどうやって遊べばいいのかなあと思ってさ。金かけなくて楽しめるとこが分かんなくて」
「そうなんだぁ井上もやるねぇ。そんなにかおるのこと好きだったんだぁ」
「いや…まあそりゃ当り前だけどー。俺もジャンプコンで忙しかったしあいつも滝沢歌舞伎で忙しかったし俺寂しい思いさせちゃってたんだなってちょっと反省したよ」
「偉いねかおるぅ。井上喜ぶよぉ」
倉本はへへっと笑って照れ隠しに隣にいた高橋の背中をばしばし叩いた。
中村は年下二人の微笑ましさに、にこにこと相談に乗り始めた。まず高橋に提案する。
「岸はぁアクティブらしいからぁ日帰り温泉とかいいかもよぉたまに友達と行ってんだってぇ」
「お…温泉!?そんなそんないきなり裸の付き合いとか早すぎない?心の準備が…」高橋は顔を真っ赤にする
「そう?でもJJLでも行ったんでしょぉ?それにハワイも楽しんでたじゃん」
「あの時はみんなもいたし…それにハワイでは水着着てたし…でも正真正銘のすっぱだかとかああああああ」高橋は小刻みに震えだした。マナーモードに入ると話が通じなくなるので中村は話題を変えた。
「そぉ?じゃあカラオケはぁ?岸好きみたいだからぁ」
「み…密室に二人きりとかそんな…間がもつかどうか…」高橋は額に汗を浮かばせた
「ショッピングはぁ?そんで帰りにファミレス寄ってぇ二人で一つのパフェ食べたりぃ食べさせ合いっこしたりぃ」
「そそそそそんな…ハードル高いよそりゃ僕は高跳び得意だけど…」高橋は床を殴りながらごにょごにょ言いだしたので中村は次に倉本の方を向いた。
378ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 18:54:54.90 0
「井上の家に遊びに行くとかはぁ?ゲームとか持ってってさぁ」
「それも考えたけど…あいつゲーム持ってないし家になんもないって前言ってたからつまんなくさせるかもしれないし…」
「じゃあ井上の家の近くの公園とかで遊んだらぁ?井上木登り好きだしぃ。あとは図書館とかぁ小学生なら無料で入れる施設とかもあるしぃ」
「うーん…そっかーそういうのもあるかー」
「お菓子パーティーとかしたら喜ぶかもよぉ」
「そっかみずきポッキー好きだしな…でも会場をどこにするか…あいつん家か俺ん家か…」
高橋と倉本はまた思考に嵌りかける。う〜んう〜んと唸りだしそのうちに日が暮れそうになる。それだけ相手に対して真剣に思いを寄せている証拠なのだろう。そこで中村はこう言った。
「でもねぇ好きな人と一緒だったら、どこで何してても楽しいんだよぉ。僕は栗ちゃんと一緒にいるとそれだけで幸せだしぃ栗ちゃんもそう思ってくれてるのが伝わってきて何もしてなくてもすんごい楽しいよぉ。だから二人ともそんなに悩む必要ないんだよぉ」
高橋と倉本は目から鱗が落ちる。
中村の言葉は、今の高橋と倉本にとって聖書のような響きを持っていた。それだけで何か救われるような浄化作用がある。好きな人と一緒にいるだけで幸せ…これ以上の幸せなどない…確かにその通りだ。一番肝心なことを忘れていた。
二人の目には、中村に後光がさして見えた。まさに恋愛の神様、恋愛教祖だ。
そんな感動に浸っていると、楽屋のドアが開く。
「あ、れいあー、ここにいたー。俺探したしー」
入ってきたのは栗田だった。中村は嬉しそうに栗田に歩み寄る。その表情は安心しきっていて幸せそのものだ。なるほどこれこそが恋愛の極意…高橋と倉本は中村の背中でそれを学ぶ。
「へっぐし!!!!!!」
突如、栗田は楽屋中に響き渡るでかいくしゃみをした。そして鼻から大筋の鼻水が垂れる。あろうことか彼はそれを服の袖で拭いた。幼稚園児並みのそのだらしなさに高橋と倉本がどん引きであんぐりと口を開けていると中村が微笑みながら
「もぉ栗ちゃん袖で拭いちゃだめだよぉ」
と優しく諭しながらティッシュで栗田の鼻と袖を拭く。栗田はギャハハハハハとバカ笑いしながら「だってめんどくせえしー」と言ってデレる。アホもここまでくれば一つの芸術である。まさにアホルネッサンス。ダ・ヴィンチもミケランジェロも脱帽だ。
これと一緒にいるだけで幸せになれるのか…
教祖は偉大だ、と高橋と倉本は心の底から中村を尊敬した。


END
379ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 18:55:56.54 0
神7楽屋劇場「初心忘るべからず」

「れいあまだかなー」
「うおーこれはー!!エロエロビンゴー!!」
「インディ〜ゴブル〜に染ま〜った君をお〜もうき〜もち〜♪」
楽屋内には岸くん、神宮寺、栗田がいた。栗田は中村が戻るのを今か今かと心待ちに、神宮寺はスマホでのエロ動画検索に余念がなく、岸くんはお気に入りの曲を口ずさんで過ごしていた。
しばらくエロ動画検索で大人しかった神宮寺は跳びはねながら岸くんと栗田を呼ぶ。
「見ろよ二人とも!俺すっげーもん見つけたぞ!」
神宮寺は興奮気味にそのエロ動画を見せてきた。が、なんてことない看護婦コスプレもので特に目新しさはない。
「これのどこが凄いの?お前もっとすごいの山ほど持ってんじゃん」岸くんはがっかりだ。
「んだよ期待したのにフツーじゃんかよもっとすげえの見せろよー」栗田はぶーたれる。
神宮寺はチッチッチと人差し指を左右に振った。
「いいか二人ともよく聞け、これは俺がその若かりし頃初めてヌいたエロ動画なのだ!まさかこんなところで再会するとは思わなかったぜ…」
感動の再会に涙ぐむ神宮寺とは対照的に、岸くんも栗田も「超どーでもいい」と再び自分の過ごし方に戻ってゆく。そこで神宮寺は二人に問いかけた。
「お前らにだって初めてヌいた思い出くらいあんだろ!!あん時の気持ち思い出せよ!よし、今から大告白大会だ!!」
神宮寺は一人で盛り上がっているがいかんせん暇なので岸くんも栗田もY談に乗り始めた。
「俺は当然れいあだし。れいあの顔思い浮かべてたらなんかムラムラしてきてそんでヌいたし。だけど次の日母ちゃんに思いっきし「あんた汚したんならちゃんと言いなさい!!」って叱られて超恥ずかしかったし姉ちゃん二人は赤飯赤飯ってからかってきてさんざんだった」
栗田らしいエピソードだ。彼は続ける。
「今はれいあと会う度にヤれてるからいいけどそうじゃない時は発散させるの大変だったしな。なんでか分かんないけど風呂場とかトイレとかで完全に証拠消しててもなんか姉ちゃんも母ちゃんも気付くんだよなー。女って怖え」
「あーそれはあるなー。でも俺は一人っ子だしうちの母親は寛容だから咎められたことはねーよ俺」
神宮寺は胸を張る。なんという心の広い母親だろう。普通ならとっくにその尋常ならざる回数と膨大なオカズの量に精神科に相談に行っているというのに。岸くんと栗田は神宮寺の母を尊敬した。
380ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 18:56:31.20 0
あんな爺たち誰が見たいんだよ
381ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 18:56:33.27 0
「で、岸くんは?」
「俺ん家も家族多いからさあ…兄ちゃんはそれとなくなんとなく気付いててもなんも言わないけど妹とかなんかニヤニヤ見てくる時があるから気付いてんだろーなー。
そんで初めてはまあありきたりだけど漫画のエッチシーンで…その漫画今も大切に保存しててたまーにお世話になってるけどさ。あ、ページはくっつけないように気をつけてるよ」
岸くんは何故か照れながら話す。しまりのないことこの上ない顔で。
「岸くんウェンディに舐めさせてんじゃないだろーな?」神宮寺が茶化す
「んなわけないだろウェンディと俺の信頼関係は清廉潔白です」きっぱりと断言した跡で岸くんはこう呟いた。「まあ…考えなかったわけじゃないけど…」
「ギャハハハハハ、岸変態すぎだろまた張り紙されっぞ」栗田が爆笑する
Y談にお花畑が咲き、ちょうちょが舞い始める。三人のアホが盛り上がってると神宮寺が「よーし!!」と立ち上がる。
「ここで語り合ったのも何かの縁だ!!友よ、今から共にヌこう!!」
神宮寺はとんでもない企画を催し始めた。さすがに楽屋で三人揃ってオ○ニーというのはリスクが高い。それより何より普通の神経では気になってそんな気持ちになれないだろう。
「俺達は三銃士だ!トリオ・ザ・マスケッターズだ!一人はみんなのために、みんなは一人のために!その熱くほとばしる青春のミルクを共にわかちあい飛ばしあい永遠の友情を誓おう!!」
神宮寺は高らかに宣誓する。その姿はもはやエロエンペラーを超えてエロカリスマだ。ヒトラーもチャーチルも今の彼には及ぶべくもない。
迷いなき瞳は岸くんと栗田をマインドコントロールに陥らせた。何故か、そう抵抗するものでもないような気がしてきた…。三人で気持ち良くなればいいじゃないか…神宮寺のスマホには膨大な量のエロ動画がある、どんなジャンルもどんとこいだ。三人の好みがドンピシャなものはきっとある…
ようし、やるか…
神宮寺と岸くん、栗田は顔を見合わせ、頷いた。
『オ○ニーも みんなでやれば 怖くない by神宮寺』今度レディダイをカラオケで歌う時に野菜泥棒の俳句の代わりにこれを詠もう…
三人がそうしてズボンに手をかけたと同時に、楽屋のドアが開いた。
「何やってんのぉ?三人ともぉ?」
「どうかしたの…?」
中村と高橋が戻ってきた。二人はズボンに手をかけた神宮寺と岸くん、栗田の三人を交互に見やってきょとん、としている。
「なんでもないし!れいあ遅かったじゃん俺待ちくたびれたよー」中村の顔を見て、栗田は我に返った。
「いやちょっとベルトが緩い気がしてさ…」岸くんも、第三者が現れたことでマインドコントロールが解ける。
しかし元々素面でそれができる神宮寺は一切包み隠そうとせずあっさりと全部しゃべった。しかも誇らしげに。
「今から三人でオ○ニー大会しようとしてたんだぜ!初めてのオ○ニー告白大会で盛り上がったしな!ようし中村、高橋、お前らも一緒にやろうぜ!俺達は5人戦隊だ!オナレンジャーだ!共に青春のミルクを…」
神宮寺は中村と高橋に同時にブッ飛ばされた。
そして岸くんは張り紙の恐怖に怯え、高橋は未遂だったとはいえショックで白目を剥きながら高速ヘッドスピンをえんえん繰り返し楽屋のじゅうたんにまた新たな穴を開けた。そして栗田は10分間中村に口をきいてもらえなかった。これまでの最高記録だったという。


END
382ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 19:50:22.68 O
岸くんは温泉で前とか隠さなさそう
鼻唄うたいながらブラブラさせるもんで颯きゅん卒倒しそう…
383ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 22:44:59.01 O
んんんんんんれあたんんん恐ろしすぎるよれあたんんんんん
384ユーは名無しネ:2012/05/25(金) 23:17:26.90 i
作者さんめちゃくちゃ乙です!
颯郁のデートの行方がめちゃくちゃ気になる…
385ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 00:36:17.86 O
神宮寺の俳句物凄く嫌だ…w
386ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 01:36:25.32 0
くらもっさんかわいいよくらもっさん
387ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 08:21:00.23 i
おいおい
大作もらっといて礼もなしかよ

作者さん乙!
神宮寺のエロマインドコントロールに引っかかる二人ワロタ
388ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 12:02:33.50 0
神7楽屋劇場「We are Elites~Honey and Taney~」

今日の自分へのご褒美はロー○ンの肉まんにしようかセブ○ンイレ○ンの中華まんにしようかはたまたミ○ストップのソフトクリームにしようか…羽生田は楽しい構想に浸りながら楽屋のドアを開ける。中では谷村がルービックキューブを一人静かに回していた。
「おや谷河原。ルービックキューブの調子はどうだい?」
話しかけるとしかし谷村は暗い視線だけを向けて「まあまあ…」とだけ答えた。聞きとるのがやっとの小声だ。
「若いくせに覇気がないなあ。だいたい君、最近声を出して笑ったのはいつだ?言ってみな」
「…」
谷村は天井を見て考えている。しかし思い出せないようだ。これはいよいよもって重症である。
同じエリートとして、こんなにも人生詰んでる感を放出されるとなんだかいたたまれない。何かしてやれることはないだろうか、と羽生田は考えた。
「何か悩みがあるなら言ってみな。僕で良ければだけどね。人に話せば楽になることだってあるだろう?」
言いながら、目の前のこの暗黒少年はそう簡単に人に心を開くタイプでも悩みを打ち明けるタイプでもなさそうだということに思い至る。まあ、それならそれで新作の物真似でも見せてやるか…
羽生田がそう思っていると谷村は口を開いた。
「金田君に泣かれるのが辛くて…なんかよく分かんないけど宇宙人だ宇宙人だって怖がられてるみたいで…」
谷村は沈痛な面持ちだったが羽生田は笑いそうになる。が、脇腹をつねって必死にこらえた。
「か…金田君というのはロクネンジャーの超音波君だね?こないだ谷河原がスパゲッティプレイで辱めようとした…」
「違う!それも誤解だ!俺は一人で一発芸の練習をしてただけで金田君が勝手にこけて…」
「あ…そう。まあいずれにせよ相当なトラウマになってるようだからしばらく放っておいたらどうだい?」
「そう思ったんだけどなんか…このへんが苦しいっていうか…」谷村は胸のあたりを押さえた。、
「年下にナメられたりバカにされるのはまだいいんだけど…あんなふうに怖がられると辛くて…」
「ふうむ…」
羽生田は考える。怖がられて、泣かれて、逃げられるのが辛くて胸が痛む…つまりこれは…
羽生田は思いついたことを適当に言ってみた。あまり根拠はないが表向きたった一つの真実のようにうそぶいた。
「それは恋だな」
谷村は大きな目を見開いた。
「恋…?」
389ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 12:03:20.85 0
「そうだ。君は金田君のことが好きだから逃げられるのが、泣かれるのが辛い。それ以外に何がある」
「いや…でも…無理ない?俺にはそういう趣味は…」
「趣味もクソもない。恋は理屈ではない、感覚だ。感情の代物だ。僕の同期だって通常じゃあ恋心を抱くなどありえない相手に心をときめかしている。
中村と栗田だってそうだ。誰だって最初はそう思うものだ。だけどそこをごまかしたって、偽ったって仕方がない。素直に自分の気持ちを受け入れるべきなんだ。それが楽になれる唯一の方法だ」
羽生田は口からでまかせを次々に吐き出した。だがしかし自分でもなかなか筋が通っているのでそんな気もしてくる。
「…」
谷村は口に手を当てて考え込んでいる。そしてぶつぶつと何やら呟いていた。ある種の混乱に陥っているようだ。
「ようく思いおこしてみたまえ。金田君のリスザルみたいな口元、褐色の肌、人間業とは思えない超音波を…それらが愛しくて仕方がないんじゃないのか?気になって仕方ないんじゃないのか?倉本に泣かされているのを見た時、放っておけなかったんじゃないのか?」
「それは…」
谷村の唇はわなないている。葛藤が見てとれた。こいつ、暗示にかかりやすいタイプだな、と羽生田は確信した。
そこで羽生田はなんとなく財布に入っていた5円玉に糸をつけ、谷村の目の前で振ってみた。谷村の目がとろんとしてくる。
羽生田は谷村の肩をがしっと掴んだ。
「自分に自信を持て谷河原、君は僕ほどじゃないにしてもエリートだ、美形だ。その君が好きになった相手がたまたま年下の男の子だったってだけで他にはなんの問題もない。二人を邪魔するものは何もない、さあ、行きたまえ!愛しいスイートハートの元へ!」
「…!!!」
羽生田がけしかけると、谷村は何かが乗り移ったように立ち上がり、そして楽屋を出て行った。
「ふうむ…意外と単純というか騙されやすい奴だな…まあ面白かったけど。おっとそれよりコンビニだ、やはりサー○ルKでホットドッグにしようかなファ○マのファ○チキも久々にお目にかかりたいし…」
羽生田はるんるんと再びコンビニ巡りルートの構想に入った。
その約一時間後、建物中に巨大超音波が響き渡った。


END
390ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 12:04:15.72 0
神7楽屋劇場 番外編「金田君の受難」

滝沢歌舞伎も終わり、ほっと一息の我らがロクネンジャー。撮影が入った井上を除く4人は楽屋でDSの通信対戦を楽しんでいた。
「てゆーかさー、倉本ってマジで井上のこと好きなの?」橋本がAボタンを高速連打しながらみんなに問いかける。
「そうなんじゃん?やたら俺達のこと攻撃的な目で見てくるし。本気愛ってヤツ?」羽場が橋本のキャラの攻撃をかわしながら答える。
「えーそれってヤバくない?男同士でしょ」金田が一騎失って「あちゃー」といった表情で呟いた。
「バーカお前今時同性愛ぐらいでヤバイもなんもないだろ。世の中の男の1割は潜在的に同性愛の傾向があるって生物学的に言われてんだからJrが100人いりゃ10人はそういう奴いんだよ」林が淡々と答える。
「でも神7にはそういう奴特に多いよな。れあくりだってそうだし高橋って奴もナイアガラ岸が好きなんだろ?んで倉本は井上にオネツだし神宮寺はなんでもいける変態だし」羽場は林のキャラに攻撃をしかけたがかわされた。
「え、1割どころか約7割じゃん」金田が驚いてまた一騎失いゲームオーバーになる。三人は「いえーい」と喜んだ。
「あーあ。やられちった。」
残念そうに呟いて金田は戦線離脱をする。残りの三人は激しい攻防を繰り広げていて勝敗がつかない。暇になったのでジュースでも飲もうとロビーに向かった。
「せかいがひとつにな〜るまで〜♪」
スキップしながら鈴の鳴るような美声を響かせ、金田はごきげんに廊下を行く。歌舞伎も終わったし精神的なプレッシャーからも解放されて今はのびのびレッスンができる。鬼ヤクザは怖いが宇宙人の恐怖に比べたらなんてことはない。鬼ヤクザはなんだかんだでれっきとした地球人だ。
その金田のごきげんを一気に地獄に叩き落とす恐怖がロビーで待っていた。認識する間もなくそれは金田の目の前に現れた。
「金田君…」
金田は一瞬目が点になった。目の前には宇宙人…地球での名を谷村龍一というらしい…が何やら必死めいた表情で息を弾ませながら立っていた。
金田が突然の展開に言葉を失っていると、谷村は金田の手をがしっと掴んできた。
「探したんだ…ちょっと聞いてほしい…俺は…」
底なし沼の底の底を思わせるその暗く澱んだ眼は金田を恐怖のどん底に陥れた。
攫われる…
人体実験に使われる…
地球のみんなさようなら…
そんな恐ろしい妄想が頭をよぎり、金田はスイッチを入れた。
「うわああ…」
しかし口を塞がれ、超音波は封印されてしまう。
相手は166センチ、自分は145センチ、体格ではかなわない。万事休すである。
金田は意識を失った。
391ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 12:04:46.37 0
羽生田に謎の催眠術をかけられた谷村は一心に金田を探した。スタジオの楽屋という楽屋を開けて訊ねてまわる。
いてもたってもいられない。会いたくてしかたがない。あのリスザルのような口元、褐色の肌、つぶらな瞳…鼓膜にダイレクトに響く超音波までもが愛おしく感じてくる。自分の中に芽生えた強い衝動に従って谷村は金田の姿を求め続けた。
「金田君…どこだ…どこにいるんだ…?」
谷村は走る。走って走って全身には汗が浮き出てきた。が、止まらない。止まれない。恋に急ブレーキなんてないCan't stop my Love ああ僕は果てしなくその淵に落ちて行く…君と言う地獄行きの特急列車さHAHAHA…
谷村が前歯ばりのわけのわからない痛いポエムを脳内で制作しかけたその時、その目は光の速さでそれを捕えた。
ロビーに金田がいた。機嫌が良さそうに何やら鼻歌を口ずさんでいる。
谷村は、閃光のように脳裏をかけめぐっていく何かを強烈に自覚した。
そうか、これが恋か…そうなのか…
谷村は金田の前に立った。
「金田君…」
「?」
金田はぽかんと口を開けて谷村を見上げた。なんという愛らしい目だ。
すぐにでもこの想いを伝えなくては。谷村は口を開いた。
「探したんだ…ちょっと聞いてほしい…俺は…」
腕を掴むとしかし金田の表情は見る間に恐怖に歪んでいく。そして彼は息を吸い込む
これまでの経験上、この次にくるのは超音波だと谷村は学習していた。しかし今ギャラリーに来られては困る。反射的に谷村は金田の口を塞ぎ、超音波が放たれるのを阻止した。
とりあえず、この想いだけでも聞いてもらえれば…そう思ったのだが金田は目を閉じ、失神してしまった。
「か…金田君…」
谷村は焦った。気を失われては話をすることができない。だからといってこのまま放置するなんてできない。
そうだ、目が覚めるのを待ってそれからゆっくり話をしよう…できれば誰にも邪魔されない場所で…そうだな、最初はきっと驚いて超音波を発しようとするからそれも防いどかないと…暴れられても話が進まないからちょっと拘束しとくか…
どんどん危険な方向に思考が行くが不幸にもそれを見咎められる人物はそこにはいなかった。
誰もいない倉庫に金田を連れて行くと谷村は金田をとりあえず縄でしばってさるぐつわをかませ、目が覚めるのを今か今かと待った。
392ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 12:05:13.92 0
「金田遅くね?」
ようやく対戦を終えた橋本、羽場、林がいつまでたっても金田が戻ってこないことに気付いた。かれこれ30分近くになる。
「ジュース買いに行ってくるっつってもう30分だぞ。どこでみちくさくってんだ?」林が首を傾げる
「倉本に因縁つけられて襲われてるんじゃね?」羽場が言う
「でもそしたらあいつ超音波でSOS出すじゃん。それも聞こえないし」橋本が答えた
「宇宙人と遭遇したって超音波で分かるしな。なんでかあいつ宇宙人遭遇率高いよな。なんかの糸で結ばれてんじゃね?」羽場が冗談めかすと二人は笑った。
「おいおい同性愛はともかく異星愛はさすがにねーよ」林は掌をひらひらさせた
「そーだよ宇宙人の嫁とかB級SF映画かっつの」橋本がつっこむ
「でもさー、あの宇宙人もやたら金田にからもうとしてない?なんか宇宙人をひきつけるものがあんだよきっと」
「なんだろ…超音波とか?」
「あーありうるな。きっと宇宙人にとって快楽を与える周波が出てんだよ孔雀の求愛行動みたいな」
「まーじでー。金田かわいそー」
三人はきゃはははと甲高い声で笑う。が、今まさに金田にとって1ミリも笑えない事態になっていようとは彼らが知る由もない。
それを知るのはもう少し経ってからだった。

金田は目を覚ました。どれくらいの間気を失っていたのだろう。気がつけば薄暗い倉庫にいてなんだか体の自由がきかない。声も出せない。覚醒が徐々に促されていくと自分の身に起こっていることが嫌がおうにも自覚できた。
両手足をロープで縛られている。口にはさるぐつわをはめられていた。そして目の前には…
宇宙人がいた。
もう一度失神してしまいたかったがそれができなくて、金田はその代わりに目から大量の涙を流した。11年と2ヶ月の人生が走馬灯のように駆け抜けて行く…
「良かった…目が覚めた…」
宇宙人…谷村は何故かほっとしたような表情で金田を見た。が、金田は恐怖のあまり全身がガタガタと震えた。
「泣かないで…落ち着いて聞いてほしいんだ…」
谷村はそう言ったが薄暗い部屋に閉じ込められて両手両足を縛られてさるぐつわまではめられて落ち着ける人間がどこにいるんだ。常識的に考えてそのセリフおかしいだろと金田は言いたかったが声が出せない。「うー、うー」と呻き声のような音しか漏らすことができなかった。
「俺のこと、そんな目で見ないでくれ。そんな目で見られて泣かれると俺は胸が張り裂けそうに辛い…」
谷村は沈痛な面持ちで呟いた。俺だってこんなことされて辛いよバッカじゃねーのと言ってやりたかったがやはり声にはできなかった。
「俺はやっと気付いた。自分の気持ちに。今までなんで気付かなかったんだろうって自分でも情けなくて…」
谷村は自分語りを始めた。こうして恐怖を与え続けて最後にはUFOに入れるつもりなのだろう。金田はまともに聞くことができなかった。
谷村は続けた。
「俺は金田君が好きだ。好きなんだ。今すぐどうこうってわけじゃない。気持ちを知ってくれるだけで今は満足なんだ。俺の言ってること、分かる?」
分かるわけねーだろ。とりあえず分かるのは俺を自分の星に連れて行こうとしていることだけだ、と金田は思ったが殺されたくない一心で何度も頷いた。すると満足そうに谷村は溜息を漏らした。
「良かった…分かってくれて…。ゆっくりでいいから俺の気持ちを受け入れてほしい。いや、そりゃ…金田君の気持ちは尊重するけど…」
谷村は微笑んだ。この上なく不気味で悪魔的なニヒルな笑いに金田には見えた。だがもう金田には頷くことしかできなかった。
「やっと分かりあえて嬉しいよ金田君…ごめんね窮屈な思いさせて。いますぐはずしてあげるから」
谷村は金田のさるぐつわを外した。
そこで金田はスペシャル超音波を発した。
393ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 12:05:44.80 0
金田は目覚めた。この状況に驚いたのか涙を流し始めた。谷村は少し心が痛んだがすぐに分かってくれると信じ、彼に語りかけた。
「泣かないで…落ち着いて聞いてほしいんだ…」
金田はうー、うー、と唸ったがどうやら耳は傾けてくれているようだ。だがしかしその目はまだ恐怖に支配されている。まずそこを拭わないといけない。
「俺のこと、そんな目で見ないでくれ。そんな目で見られて泣かれると俺は胸が張り裂けそうに辛い…」
思いを吐くと、金田は呻き声を弱くしていった。ほんの少しだが分かってくれたのでは…期待しながら谷村は続ける。
「俺はやっと気付いた。自分の気持ちに。今までなんで気付かなかったんだろうって自分でも情けなくて…」
そうだ。早く気付いていればこんなまだるっこしいやり方で伝えなくても良かったのに…俺はなんて愚かなんだ。谷村は自嘲した。しかしそれももう終わりだ。今日俺はここで思いを全て告白し、彼と分かりあう。不思議な確信が胸をついた。
「俺は金田君が好きだ。好きなんだ。今すぐどうこうってわけじゃない。気持ちを知ってくれるだけで今は満足なんだ。俺の言ってること、分かる?」
心臓がどくどくと高鳴っている。これが愛の告白という奴か…悪くない。谷村は何故か悦に浸った。そしてこの想いが通じたのか金田は何度も深く頷いた。光が射したようだ。
「良かった…分かってくれて…。ゆっくりでいいから俺の気持ちを受け入れてほしい。いや、そりゃ…金田君の気持ちは尊重するけど…」
いつか金田君と手を繋いで歩くことができたら…そんな希望が胸に溢れだす。これまで喜びや希望などなかった谷村の人生に新たな光明が差した。全てが浄化されていくようで、自然と笑みがこぼれる。
金田は頷いてくれている。そんなに何度も頷いてくれるなんてこれはちょっと期待できるのではないだろうか…
彼の口から今の気持ちを聞いてみたい。伝えたいことは全て伝えたし、分かってくれたしもうこんな拘束をする必要もないだろう。
「やっと分かりあえて嬉しいよ金田君…ごめんね窮屈な思いさせて。いますぐはずしてあげるから」
谷村は金田のさるぐつわを外した。
なんて言ってくれるんだろう…「僕も前から気になってました」とか「そんなに真剣に思っていてくれたのに泣いてごめんね」とかかな…谷村が楽しい妄想を膨らまそうとしたその時である
ひゅうっと息を吸い込む音がした。そして
「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
この世のものとは思えない断末魔が金田の細い体から放たれた。

鼓膜を痺れさせながら、谷村が目の前の展開に理解がおよばないでいるとなんだなんだとギャラリーが集まってくる。ちょうど近くにいたのか神7メンバーが現れた。
「金田と谷中島…?何やってんだ?」岸くんはきょとん、としている。
「金田なんで縛られてんの?さるぐつわまで…」高橋が冷静に観察する
「分かったぞ」神宮寺は指を鳴らした。「スパゲティプレイはまだ無理だと判断して緊縛SMプレイに変えたのか…バカだな谷町四丁目…小学生にSMは無理だろ岸くんじゃねーんだからよ」
「金田何やってんの?」倉本はバナナを呑気に食べている
「谷村ぁ…ちいちゃい子相手にそんなことするなんて僕許せなぁい…」中村が超ド級のドS目線を向けた。そこで谷村は恐怖のあまり催眠術が解けた。
「あれ…?」
俺は…俺は何をしていたんだ…?
何故金田君は縛られて泣いているんだ…?可哀想に、誰がこんなこと…?
「ギャハハハハハハハハハ、谷村変態すぎだろれいあにシメられてしまえ!」
アホが自分を指さして笑っている。そしてその横で乙女が絶対零度の視線。
「あの…一から説明してもらえますか…?俺は何をしようとしていたんでしょう…?」
混乱する谷村がそう呟くと金田が泣き叫びながら言った。
「気絶させられて縛られてさるぐつわはめられて好きだ好きだって言われて迫られたああああああああああああうわああああああああああああん!!!!」
金田の説明は間違ってはいなかった。だがしかし谷村にとってはまたしても身に覚えのないいいがかりではあった。何故なら彼は催眠状態だったのだから。
「谷村ぁ…月に代わっておしおきだよぉ」
谷村は中村に金田と同じぐらいの恐怖を与えられておしおきをされた。
そして諸悪の根源、羽生田はすでにコンビニに向かっていたという。


END
394ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 15:59:37.38 0
作者さん乙!

たwwwにwwwむwwwらwwwwww
395ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 16:00:06.48 0
作者さん乙!

たwwwにwwwむwwwらwwwwww
396ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 16:36:51.71 0
作者さんおつですありがとう

金田くんからいい返事を待ってたたにー愛しいwww
この2人はいつになっても結ばれないだろうなあ
397ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 17:20:38.41 0
谷村不憫過ぎてわらえない
398ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 17:40:48.25 O
はにーたにーのエリート対決ははにーの圧勝

作者さん乙
たにーも乙w
399ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 18:47:22.30 0
はにー適当すぎるだろうwww
400ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 18:48:43.48 0
はにーの喋り方感じ悪くて好きw
401ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 19:05:20.15 0
感じ悪いけど愛があるよね
たぶん???
402ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 20:02:24.55 0
実際のはにーのしゃべり方の3割増でムカつく感じw
403ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 20:33:49.25 0
はにーも結構な萌えキャラだよね
404ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 20:34:29.06 0
東南アジアのゲイ映画にこんな感じのあったわ
http://pic.prepics-cdn.com/s2xzn/14599893.jpeg
405ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 20:38:03.53 0
もう神7全員ゲイに見えるwww
406ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 20:42:31.91 0
二人ともオリエンタルな顔立ちだね
407ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 21:32:09.35 0
たにーの不器用な恋愛ワロス
でも催眠術か…でも深層意識にそういう感情があってそれが呼び起こされただけならいつか金田君と分かりあえる日が来るだろうか

なーんちて
408ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 21:34:57.24 O
おいおい
早いとこ谷村の催眠といてやんないとりんりんが悲しむぞ
409ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 21:36:52.13 0
りんりんは置き去りにするくらいだからw
410ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 22:11:24.54 0
谷村にはりんりんがいるであろう
411ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 22:15:28.48 0
変態な谷村には定石通りのりんりんより意外性で金田の方が面白いw
412ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 22:20:19.70 0
悪ふざけで催眠術出来ちゃうはにーさんすげーw
413ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 22:41:04.08 0
えー時代は谷神だよ〜〜〜〜〜〜〜
414ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 23:01:15.12 0
神7で一番まともなのがくらもっさんって言う・・・
415ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 23:09:21.36 O
とりあえず今のところフリーなのは神宮寺とはにーだけだよ
神宮寺どうよ?はにー
416ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 23:09:30.59 0
まともじゃないよww
417ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 23:11:40.30 0
んな無理やりカップリングせんでもいいだろうw
神宮寺とはにうだのそれぞれスパイスきいたキャラが好きだから別に誰かとくっつけてほしいとかは思わないな
418ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 23:34:51.53 0
神宮寺にイタズラされまくるエリートはにーも見てみたい気がする
419ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 23:37:37.25 O
ただの悪ふざけ発言です
気にしないでね
420ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 23:42:16.43 0
ネタが少し古くなってごめんね。

神7と見てみよう! ~金環日食~


今日は日本では1987年の沖縄日食以来の25年ぶりの金環日食である。あいにく天気は曇り空だが、雲の切れ間から美しい日食が観測できるであろう。
今回のように広範囲で見られるのは932年ぶりということもあり、神7メンバーは都内にあるヤングセレブ羽生田の豪邸に集まった。
朝が早かったので当日は都内の某所に集まってから皆で行こうと約束していたが、前日のレッスンで颯のキモヲタ鬼ヤクザのありえない夢小説が書かれたPCを壊して瀕死間近になった岸くんは、持ち前の寝坊癖を存分に発揮し遅刻したので仕方なく岸くんを置いて6人で出かけることにした。
「うわー!家でかー!」
大都会の中に近隣の家をまったく遠慮することなくどーんと羽生田の豪邸は建っていた。もはや王者の貫録ともいえる佇まいである。
「みんないらっしゃい。案内するから入って」と羽生田が言うや否や一同がガヤガヤと騒ぎ始めた。
「すげー!この庭やベー!大都会の中にあるこの庭っていうちょっとした癒しスポットで昨日の夜中にアップされた熟女動画をオカズに…」
相変わらずエロエロエンペラーは健在だが人様の家で僕の理性に反する行動をするのはやめておくれ同い年よ。
しかも若者ならいいが(ちょ、別に俺はそんな破廉恥なこと考えないからな!あくまで神宮寺の話だぞ、あくまで!)熟女なんて御免だよ、とやたら庭に興奮する神宮寺に羽生田はため息をつく。
「うわぁ〜家の中広ぃ〜いいなぁ」
朝少し眠かったのか、そのトロンとした目をゴシゴシ掻いていた中村はテンションが上がってはしゃいでいる。いつも通り朝っぱらから乙女全開だ。
「よっしゃれいあー!こっちに寝室あったぞー!誰もいなかったかられいあここでヤろうぜ!」
アホは朝っぱらから人様の家であの酒ヤケ声でありえないほどの声量でありえないことを叫んでいる。
「お!朝からステーキの匂いがする…」
倉本はスタスタとキッチンへ歩いていき、そこにあったAランク黒毛和牛の朝用ステーキをつまんでいた。
「…岸きゅん…大丈夫かなぁ…急ぎすぎてトイレ忘れて電車の中でオモラシしてたらどうしよううううううううう…でもオモラシしてアタフタ汗だく岸きゅんも悪くないむしろ見たいいいいいいいいい…!ゴニョゴニョ」
颯はオモラシ岸くんで頭がいっぱいだ。
「…」
谷村は羽生田に催眠術をかけられまたもやロクネンジャーの金田くんに宇宙人呼ばわりされて凹んだのを引きずっているようだ。



そして神7一行は日食を観測する屋上に到着した。屋上には海外から特注で取り寄せた高級な天体望遠鏡がスタンバイされていた。
さてもうそろそろか、と羽生田がつぶやき望遠鏡をいじっていると、「おーい!ごめんみんなー」と岸くんがナイアガラの滝のような汗をかきながらやってきた。
「おーい何やってんだよ〜寝坊してんじゃねーぞ」と神宮寺がケラケラ能天気に笑う。
「もぉ岸ぃせっかく羽生田がいろいろ準備してくれてたのにぃ最悪ぅ…なんか汗くさいしぃ」
「だって俺の朝が苦手って悩みいつになってもJJLでベストアンサーが決まらないんだよー。いつになっても決まらないのに違うメンツになっちゃってさーとにかくごめんごめんー」
中村に叱られて岸くんはちょっと心の中で反省したが、少し眠そうでトロッとした目に岸くんの顔もついでに下半身もなぜか喜んでいる。
その様子を見て、高橋は1人ふつふつと湧き上がってくる怒りと嫉妬を抑えながら、レディダイPVの岸くんが脱がされる場面でも披露した営業用のスマイルをとりあえず振りまいていた。
(岸きゅん…It'sも中村くんにばっかりデレデレして…このままじゃ岸きゅんが中村くんに取られちゃうううううううううう許せないいいいいいいいい
またこの間みたいにコンサート前に前歯ティー飲ませてオモラシ岸きゅんにしちゃうからね!岸きゅん俺知らないからね!岸きゅんのせいだからね!………岸きゅん…)
高橋が隅っこで何かゴニョゴニョ呟いているとだんだん太陽が欠けて部分日食が始まった。完全に重なるまであと少しだ。
421ユーは名無しネ:2012/05/26(土) 23:49:13.90 0
「うおー!もうすぐだ!!」
神7は空を見上げ、重なる瞬間の日食の美しさに期待を寄せながらその瞬間を今か今かと待った。
すると日食メガネをかけた高橋の元に、誰かがゆっくり歩いて来た。
「ねぇ、颯…」
声の主は何か言いたげな表情の岸くんだった。
(え…?岸きゅん、僕に何の用だろ…?しかも顔が少し申し訳無いっぽいの中の意味深っぽい中のちょっと上目遣いっぽい中のかわいいっぽいっていうかかわいいいいいいいいいい!)
「どうしたの…?」高橋はいきなり話しかけられて頭と心がショートしそうだ。どうしても緊張してかすれ声になってしまう。
「颯、ごめん…あのさ…俺…」
高橋はぐっと息を呑む。もうこの表情で言われたら俺どんな要求でも岸きゅんのために一生懸命頑張るよ……ダンスかな?ダンスの練習なら俺岸きゅんが望むならいつだって一緒にやるし、
なんなら一晩中…一晩中?変なこと考えるな俺!岸きゅんと一晩中……ダンスじゃなくて違うこともしよっかとかうわあああああああああああああああ!!!!
高橋の頭の中に欲望のレインが荒れ狂ったように降っていると、
「実は俺慌ててて、家に日食メガネ忘れちゃったんだよねー!だから、颯のメガネで一緒に見せてほしいんだ」
岸くんはケラケラ笑って言った。
高橋は内心ガクッっときたのは嘘とは言わないが、他のメンバーではなく自分が大好きな岸くんに頼まれたことに最高の喜びを感じた。もちろん岸くんの要求に快く返事をした。
そんなことをしているうちに、ついにその瞬間がやってきた。辺りが少し暗くなり、月の影でだんだん太陽が隠れていった。そして数秒後、ついになんとも美しい金色のリングが姿を現した。
一瞬で言葉を失うような幻想的な光景に神7のメンバーらはその美しさに釘付けになった。
「すごい…俺は母親のお腹の中にいる時からこの光景を待っていたんだ…神様仏様櫻井翔様…あと羽生田家の御祖先様ありがとうございます…」
高級日食メガネを身につけた羽生田はその美しさに酔いしれる。
「はぁ…日食プレイとか想像するだけでもう俺の下半身…パンパン」
神宮寺は日食を見ながら無意識に下半身に手が伸びている。
「栗ちゃんきれいだねぇ…」「れいあ…でも俺日食も見たいけどれいあも見たいよー」れあくり夫妻は日食の貴重な時間さえも忘れてイチャイチャしている。
「うわーリングと言ったらドーナツだよなー金色のドーナツとか想像するだけで旨そうだなーいいなーでもあんなに穴はいらないなー」
倉本はドーナツ片手にそう呟く。
「…」
谷村は目を細めて無言で日食を眺める。
「岸くん、見えてる?」「うん!すごい綺麗…こんなの初めて」
高橋は岸くんとの至近距離に胸が張り裂けそうな思いになりながらも、我らが岸颯シンメは仲良く肩を寄せながら美しく輝く光のリングを眺めた。

「ねぇみんな…俺、神7みんなと一生に一回きりの体験ができてよかった…なんか色々なこと忘れるくらい…本当に綺麗だった…」岸くんは静かに呟いた。
「なんだろ、まだわかんないけど…将来神7はこの光のリングが無くなってしまうように…それぞれ皆違う方向に歩んでくかもしれない…けど…みんなと出会ったのも運命だから…俺、これからもみんなと一緒がいい…一緒にこの人生に一回きりの体験がしたいよ…神7でいつか…」

彼らの瞳に映る光輝くリングの面影は、美しさだけではなく、もうすぐに消えて無くなってしまうようにどこか寂しげで孤独な光を放っていた。
彼らが生きようとする世界はどこか理不尽で厳しく、酷いのが現実である。
その世界で生き残る者、消えていく者…それは様々であり、理不尽だが彼らの手でそれを変えることはできない。
しかし彼らに許されていること、それは誰にでも自分の叶えたい夢を叶える権利があることだ。どんな逆境にも耐え抜いた先にはこの黄金のリングのように輝ける時がきっとあるはずだ。

神7はその光に手を伸ばした。
これから先に例え悲しい事があったとしても、8人が一緒なら何でも乗り越えられるような気がした。


そして来たる光輝く未来を予想しながら…ゆっくりと少年たちは瞳を閉じた。







END
422ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 00:05:00.77 I
>420 >421作者です
岸くんが言う一生に一回きりの体験は、もちろん神7でのデビューです
わかりにくくてごめんね
後から付けたしするなんて作者として情けないですごめんね
423ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 00:20:14.05 0
たにーなぜメガネもってねーんだ
424ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 00:37:30.06 0
いいね、自分も神7と日食みたい!
425ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 00:37:49.18 0

〔ショウタロー・コンプレックス〕



「最近さ、安井の様子がおかしいんだよね」
「は?」
香港で行われるジャンプのコンサートのバックに付くために俺と真田は飛行機に乗っていた。
お昼にウキウキウォッチングしているおかげで規則正しい生活をしているからか、こんな微妙な時間に寝れそうもない。
なんとなく窓の外を見つめながら離陸を待っていたらのざわぁ、と少し舌ったらずな真田の声が聞こえてそっちを向いた。
「おかしい、ってなにが?」
「俺JJLのLiveコーナー出さしてもらったんだけどさ」
「ん、見たよ」
「そん時安井も一緒でさ」
安井が"見てね!"なんてハートマーク付きのメールを送ってきたから、確かに見た。
真田は若干浮いてた気もするけれど安井はなんの違和感もなかったっけ、安井にいったら拗ねそうだからいわないけど。
紅白でニューヨークシティの後ろで踊ってても違和感なかったんだから今更か。
まぁ居た、真田も安井も。
「うん、それで?」
「……なんかちょっと、おかしくてさ」
何が?と首を傾げると真田が言い難そうに視線を逸らす。
「安井、めちゃくちゃテンション上がってた、んだよね」
「うん」
「ちょっとさ……犯罪くさかった」
ぶは、と笑いなのかなんなのか分からない息が口からこぼれた。
テンションあがってたって、そりゃ、そうでしょ。
安井はショタコン……ってその本人の顔もショタっぽいから合ってるかよく分かんないけど、とりあえずショタコンだ。
本人は自分の顔や身長が嫌いらしいけど、嫌いながらも自覚はあるからその容姿を生かして割と好き勝手やってる。
真田には何でか隠してたらしいから驚いたんだろう、俺の前ではオープンなくせに。
樹や京本、萩谷辺りもお気に入りだし、当の俺も「のんちゃんは身長さえ低かったら俺の好みなんだけどなぁ……」なんて精一杯背伸びしながらいわれたことがある。
すのまんの翔太や佐久間なんかは身長もそこそこだよ?となんとなくいったらにっこり笑って二人の元に走っていったから余計なこといっちゃったかなと二人には正直申し訳ない。
んで、そんな彼がJJLの収録。
テンションがあがるのも当然だと思う。
「でも、途中げんなりしてた」
「なんで」
「よく分かんないけど、……若いって才能だよね、とかなんとかいってたかな」
「安井も別に若くないわけじゃないけどね」
趣味は完全におっさんだけど。
俺らよりは年上だけど、特に何歳も離れてるわけじゃないし。
成人と未成年の壁はあるとはいえ、俺たちも今年成人するわけで。
426ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 00:38:17.45 0
「嶺亜くんに抱きつかれてまたテンションぶちあげてからは最後までそのままだったけど」
「嶺亜くんって歌舞伎で"れあれあれいあ(キャワ"ってやってた子でしょ?……安井の好みっぽー」
やけに白くて可愛らしい子だしね。
身長もクリアしてるし、安井の好みにはぴったりもぴったりだろう。
歌舞伎でも京本の女形写メってにやにやしたり小中学生Jr,のメアドゲットしたりと忙しそうだった。
その中でも嶺亜くんへの絡みはひとつ頭を出てた気もする。
「あとね、谷村くんって子にも背徳的でいいよねとかぶつぶついってた」
「あの子少クラの収録前いっつもきのこ図鑑読んでるよね」
「踊りの練習もそこそこに、ね」
「で、振り付け間違える……安井、駄目な子好きだからな」
顔はぼやぼやっとしか思い出せないけど、結構なイケメンだった気もする。
でも身長結構高くなかったっけ?身長高い子もイけるようになったのかな。
……俺はまだセーフ、だよね?
「神宮寺くんは逆に安井のこと口説いてた」
「へー」
「で、安井が満面の笑みになって逆の逆で上手く丸め込もうとしてたから増田が必死に止めてた」
「……神宮寺くん、恐いもの知らずだね」
安井に自ら近づこうとするなんて、メイドさんな嶺亜くんが萩谷と二人きりになるようなもんなのに。
「まぁ、安井が楽しそうでなによりじゃない?」
と、いえば真田は納得のいってなさそうな顔をちらりとしたけれど真田は自分自身がターゲットなわけじゃないからそれもそうか、なんて結局頷いた。
ちょっと前に行われたJr.100人でもテンション程よく気持ち悪くテンションあがってたっけ。
収録終わりに『のんちゃん、天国ってあるんだね』と呟いててたまたま聞いてた羽生田くんの顔が若干引きつってた。
ちょっと自重しろ、とはいっといたけど、一応。
「俺、そろそろ寝るわ」
「あー、うんおやすみ」
真田が一つ欠伸をして目を閉じる。
俺はやっぱり眠くなかったから暇つぶしがてらメールを開いたら、2通。

From安井
やっとJJLの皆のメアドゲットしたよ\(^O^)/
脇山くんとさねやすくんまじ手ごわい
とりあえず神7の皆のメールで暑い時間過ごしてくる☆

From萩谷
俺の嶺亜、今日も可愛いです
んんんんんれあたんんんんんん!(画像付き



……駄目だこいつら、早くなんとかしないと。



おわり
427ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 00:39:57.73 I
作者お疲れ!なんか感動だわ
青春してるな
see・旬・☆彡だね!
櫻井翔様には腹抱えてワロタw
年内オリジナル曲聴けるような気がするけどなー

428ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 00:42:03.60 0
お前最後から3,4行目が書きたかっただけだろwwwwwwwwwww
429ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 00:49:07.42 0
428は426へのメッセージ
430ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 01:00:27.76 I
んんんんんれあたんんんんんん!(画像付き
なんてメール送ってくる萩谷さえも安井さん的にはショタ要員なのか
最強すぎるwww

とりあえず安井さんの携帯の電話帳教えろ下さい
431ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 01:06:13.21 0
安井って誰だよ
432ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 01:42:08.30 0

はwwwwぎwwwやwwwww

433ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 03:10:58.89 P
MV構想やいつもの作者さんや金環日食や安井くんやらみんなまとめて乙乙乙乙乙乙愛してる!

プールに浮かぶはにーと陸上部ユニフォーム颯くんはよ…!

神宮寺マインドコントロールってエロを武器にやりたい放題w

夢のエリート競演がまさかの催眠術からの児童誘拐とはさすがですわあw
りんりんがいながらはにーが5円玉出す前からあっさり暗示にかかっとるやないかどういうことだ谷茶浜…
今回ばかりは不憫ではなく当然の天使のお仕置き
そりゃれあたんもさりげなくセーラームーンになってまうわ
434ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 03:16:24.18 P
金環日食のメッセージ伝わってきましたよ
胸が熱くなって泣きそうになった…!
いろいろ辛いこともあるだろうがデビューしてほしい…!

話は変わって颯くんが岸くんにケントティプレイ仕掛けたヤンヤンは4月22日のやつか
岸くんの腕が颯くんに当たったときに颯くんが岸くんを見てるんだが、あのときに岸くんは妖しい光が宿ってるのに気づいてキュンキュンしちゃったのか…胸熱
435ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 05:28:21.53 O
金環日食泣けました
それにしても前歯ティーてww

安井くんはいい加減にしろ
436ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 06:40:21.74 O
岸くんといえばおもらし
神宮寺が密かな岸颯プレイに気付いた日にゃ大変だ
作者さん乙
はにーの大豪邸見てみたい…
なんなら神7でお泊まりもいいなあ
437ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 07:14:15.91 O
夜中にこっそり落とそうと思ったら朝になっちゃった


岸くんと高橋は前歯唇コンビのオリジナル曲のバックに付くことになった。
しかしどうしてもうまく合わせられない部分があり、2人で相談して鬼ヤクザに自主練の許可を取りに行く。
「お。お前らやる気だな。よし!俺もとことん付き合うぞ。」
やる気なのはあんただよ。と岸くんは心の中でつっこんだが、この鬼ヤクザのやる気と2人の集中力のおかげで2時間後にはほぼ満足のいくものに仕上がった。
2人は心地良い疲れと充足感の中帰り支度をする。
高橋は着替えている自分を岸くんがチラチラ見ている事に気が付かないフリをしていたが、着替えが終わってもまだ岸くんがモタモタしていたのでついにこう切り出した。
「岸くん、なんでそんなに遅いの?何してたの?」
「あのー…そのー…颯の腹筋が綺麗で…つい見とれて…それで…」
「欲情した?」
「…はい」
「ちゃんと言って」
「着替えてる颯の腹筋を盗み見て欲情していました…ごめんなさい」
「じゃあ苦しいでしょ。ラクになりなよ。見ててあげるから。」
岸くんは顔を真っ赤にしてブンブンと首を振る。
「神宮寺くんとは見せ合いっこしてるクセに」
高橋の声のトーンが変わる。
「あ、あれはそんなのじゃなくって…」
岸くんは震え上がっていつもの涙目をさらに潤ませる。
「何かいいことあるかもよ。」
高橋はうって変わって可愛く笑いながらシャツの裾をチラッとめくってみせたりする。
岸くんは高橋の掌の上でゴロンゴロン転がされ、気が付けばズボンと下着を膝まで下ろしていた。
覚悟を決めた岸くんは目を閉じ、もう痛いくらいに張り詰めているものを自身の大きな手で包み込み、ゆっくり上下に動かしていく。
「岸くん…オレを見て…」
岸くんはそっと目を開ける。
そこにはその目をまっすぐ見つめる高橋の目があった。
そして微かに微笑んで視線を落とす。
「ああっ……」
その瞬間岸くんの手の中で張り詰めていたものが暴発した。
438ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 07:27:25.23 O
あまりの早さが恥ずかしかったのか、岸くんは涙目を通り越してもう泣いている。
「ふうが…ふうが見てるから……うっ…ぐすっ」
高橋はもうちょっと虐めたかったなぁと思ったが泣いてる岸くんがかわいかったので、
「岸くんいい子だったからご褒美あげるね。」
と、もうすでにすっかり回復しきった岸くんのものに手を伸ばす。
その時、
「おまえら早く帰れよ〜。岸ぃ、いつもより遅くなってるからおまえは責任もって颯を送り届けるんだぞ。くれぐれも変な気おこすなよ。おまえの汚いもん触らそうとでもしたらタダじゃおかねぇからなぁぁぁ。分かってんのかオラァァァァァァ。」
鬼ヤクザの怒号が響き渡った。
「だって。ご褒美はまた今度ね。」
そう言って高橋は手を引っ込め、変わりに岸くんのおでこにキスをした。


「岸くん起きて!もう休憩終わるよ。」
高橋に肩を揺すぶられて岸くんは目を覚ます。
ダンスレッスンの休憩中にウトウトしていたらしい。
今しがた高橋に触られた肩が熱を持っている。
「よっこいしょ」
岸くんは起き上がろうとしたが上手く起き上がれない。
「あー、岸くん勃起してる〜。どんな夢見てたんだよ。ずるいぞ、自分だけ!」
神宮寺の声はよく通る。
その声は鬼ヤクザの耳にも届いた。
「ゴルァァァァァアァァァ。きしぃぃぃぃぃ。いくら休憩中とはいえ神聖なダンスのレッスン中に勃起とは何事だぁぁぁぁ。おまえ…まさか…夢の中で嫌がる颯にあんなことやこんなことをしたんじゃなかろうなぁぁぁぁ。」
なんの覚えもなかったがみんながレッスンを終えて帰った後、岸くんだけが残され、2時間みっちり罵られ続けた。


おわり
439ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 08:55:39.15 0
乙乙ですうううう!

ちょっと岸くんwwwwww
440ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 09:35:00.01 O
いい加減にしろ岸くんww
441ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 09:50:04.93 0
きしふううううううううううううううううう
442ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 11:48:05.27 O
鬼ヤクザも2時間も罵らなくても
たかが勃起だぞwww
443ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 12:29:59.51 i
金環日食で感動して浸ってたら
その後勃○しててお茶噴いたw

颯くんに転がされてる岸くん可愛すぎる
444ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 12:30:23.85 i
あっ書き忘れ

作者さん、本当に乙!!
445ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 12:45:50.38 P
作者さんありがとう!
ドSな颯くんがたまりません…!
颯くん普段はピュアマイルドなのに実はドSっぽいんだよな

しかし、れあたんJJL出演日にアホがイチオシJrジャンケンとは…
これが赤い糸ってやつか…
もしくは、JJLスタッフヤンヤンスタッフ両サイドにれあくりジャスティスビリーバーいるのか…!?
446ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 12:48:24.33 0
アホのじゃんけんって不憫2の次?


んんんんれあたんんんん9時まで何して過ごせばいいのか分かんねえよおおおおおおお
447ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 12:58:52.49 P
>>442
ところがどっこい颯きゅん絡みだとただの○起じゃなくなるんだなこれが
レディダイPVの岸くん半裸事件さえ脱がされてるにも関わらず
「おっ…俺の颯きゅんにビーチク見てもらおうとはなんとふしだらな!この性犯罪者がゴルァァァァァァ!」
と思ってるに違いない
それが鬼ヤクザクオリティ

>>446
不憫2の次の次だな
清々しいまでのアホっぽさだったよ
448ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 13:01:23.97 0
ならうちは来週まで持ち越しだな1週遅れだから
ここのキャラで最も現実に近いのは栗田だろうな
449ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 13:16:42.90 P
まさにこのスレの栗ちゃんって感じの声だった
でもアホにしては頑張ってお澄まししてるようでもあり可愛かった

あの声はもはや才能だな
ジャニ新機軸としてあの声を全力で武器にしていくがいい
450ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 13:22:26.86 I
あの声と打って変わって歌声は綺麗だったらいいのに
実際どうなんだろうか
451ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 13:29:53.14 0
よっぽどいいボイトレについて死ぬほど練習しないと無理だろうな
452ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 13:34:50.59 I
安井は神7とメールで暑い時間過ごしているというのに岸くんは鬼ヤクザと暑い時間か
不憫すぎるwww

神7のメールできゅんきゅんしたいなぁ
453ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 14:22:28.49 0
岸くんのメールにはハートマークがついてるんだよね
454ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 14:34:33.21 0
れあたん限定かもしれんぞ
455ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 14:50:35.35 0
作者さん乙
岸くんついに性犯罪者扱い…w
たにーの台頭にも不憫1の地位は揺るがないね!
456ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 15:56:36.24 0
作者さん乙です!
最近たくさん作品見れて幸せだなぁ

アホのじゃんけんははにかんだ笑顔がなんとも言えない可愛らしさだった
457ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 17:28:31.67 0
ガッシガシ踊って凄い運動量の神7にいながらにしてあのプニプニを保つ倉本は偉大
458ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 18:26:44.50 0
作者さん乙!!
是非もっと颯くんには岸くんを虐めていただきたい
459ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 18:36:55.91 0
神7とボカロが好きな俺がプレゼンする
神7に合うボカロ曲

れあたん  みっくみっくにしてあげる【してやんよ】Vo.初音ミク
みっくみっくにしてあげるをれっあれっあにしてあげると替えて歌って欲しい(れあたんスマイルで)
谷茶浜リンリン岸の不憫たちに捧ぐ
トルコ行進曲-オワタ\(^o^)/Vo.初音ミク
ガチで乙wwwな曲
片想い相手との距離が近いようで近くない颯と羽生田に贈る
メルトVo.初音ミク
歌詞とここでの2人が合いすぎww
エロ大魔王 神宮寺に捧ぐ
くるみ☆ぽんちお Vo.初音ミク
激エロな歌詞ww
注意 タイトルを逆から読まないで!
オンラインゲームにハマってる栗田に贈る
ネトゲ廃人シュプレヒコールVo.初音ミク
こういう人になるなよ栗田(>_<)
倉本に合う曲は思いつかない(泣)
URLの貼り方が分からないから分からない人はYOUTUBEで検索!
460ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 18:45:59.20 I
みっくみくはなぜか知ってる
461ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 18:50:18.69 I
れあたんとたにーに着物きて千本桜歌って踊って欲しい
462ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 19:02:34.48 O
サンクス
ちょっくら聴いてきます
463ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 20:05:44.70 P
ボカロ好きの自分にはたまらないっす…知らない曲も聴いてくる
ありがとう!

前から好きなメルトがあむふうでうれしい

そうだったのか…
颯くんは長めでおしゃれで評判よかった前髪を
はにーはラジコンのときヘッドライトみたいな目が際立つと評判よかった前髪を
それぞれ想い人に「どうしたの?」ってきかれたくて切ったのか…

うわああああああああああああ
なんちゅうハチクロ状態いいいいいいいい
めっちゃ萌えるううううううううううう
464ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 20:48:51.19 I
スマスマは明日?録画機の準備しないと
465ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 22:18:37.74 0
神7メンのコンサ写真がオクに出てるが明らか違法っぽ…
しかし欲しい…くっそ…ふざけやがって…
466ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 22:27:50.15 I
優太丸坊主だったのか 丸坊主…
467ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 23:02:21.08 0
吹き矢を咥えてた
たまらん
468ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 23:17:54.73 0
マジで吹き矢だったか?
別のモノじゃないだろうなあ
469ユーは名無しネ:2012/05/27(日) 23:20:20.00 0
うわああああああああああああ
れあたんが細長いもの咥えてるううううううううううう
神様ああああああああああああああああああ
470ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 00:12:54.45 0
いいんだな上層部
これからもれあたん俺たちにご奉仕してくれるんだな
471ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 00:18:22.91 0
上層部はれあたんの吹いた吹き矢の棒を持って帰りましたとさ
472ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:04:04.87 O
れあたんが銜えた吹き矢の棒は国宝級レベル
473ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:07:12.50 0
咥え方がまたエロイ
もうこれだけでご飯三杯はイケル
474ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:18:53.12 0
明らかに変態オヤジ達を意識してるな
475ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:28:56.97 0
俺達のせい(おかげ)ですか?
476ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:31:52.11 0
もうちょっと太めの吹き矢でもよかった
477ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:32:37.36 0
せやな
478ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:37:14.69 0
お願いだからオレのを(ry
479ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:41:20.75 0
次はソフトクリーム作りかチョコバナナ作りでお願いします
もちろんできあがった奴舐めて咥えて
480ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:51:44.81 0
おwwwwまwwwwえwwwwらwwww
481ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:53:34.27 0
れあたん僕の方は準備OKだよ
482ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 01:56:36.23 0
拙者もいつでもどんとこいでござる
483ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 02:04:57.85 0
れあたんになら喜んで差し出すよ
484ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 02:21:17.33 0
ていうかれあたんのをry
485ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 02:28:36.33 0
れいあ「やだぁ〜きもい変態オッサン達、ちょっとサービスしたらこれなんだから、もう二度とやらない」
486ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 02:32:19.47 0
すいませんでした
浮かれて調子こきました
二度としませんからお許しをそしてより一層の悦びを与えてください天使様
487ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 08:40:17.52 I
>>479
それどんな着エロw
太陽の下水着でソフトクリーム食べるだけでもいいですよ
願わくば、水泳大会みたいところ
昔、裸の少年でやっていたような
亀梨、赤西さんが高飛び込みやったり、2人の近くでやぶひかがウロウロ
して楽しかったな
488ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 10:46:38.59 0
一晩明けたら変態だらけワロタ
489ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 11:19:28.90 O
れあたんの威力凄すぎる
490ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 11:39:00.23 0
れあオタは普段おとなしいけど起爆剤与えたら一気に大爆発起こすよな
491ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 14:54:27.14 0
今までJJLで不遇だったからね
これからどうなるかな
492ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 17:03:19.14 0
http://pic.prepics-cdn.com/iwahika/14631841.jpeg


しこってるみたいだな
493ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 17:30:33.50 0
かおが全然違う
494ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 17:57:45.59 0
れあたん髪型がちょと違うないつもと
495ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 18:19:45.51 O
このスレに嵌り、たまに話を書いたりした結果、実生活で説明する時「〜っぽい中の○○」と言ってしまった
でも通じた!
496ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 19:01:52.14 0
>492
ヤメロ
たまらなくなってくる
497ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 19:40:33.42 0
>487
岸くんにはぜひ高飛び込みが怖くて号泣という上田伝説の後継者になってほしい
れあたんはゴムボートに浮かんでソフトクリーム舐めてほしい
498ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 19:52:43.59 i
岸くんはジェットコースター好きなら意外とタフなのかも
面白くないな
499ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 20:10:11.17 0
ジェットコースターと高飛び込みはちょっと違うぜ
まあ泣きゃしないだろうけど
上田くらい泣いてくれたら大爆笑なんだがな…
500ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 22:24:12.86 O
岸くんは高飛び込みで腹を思いっきり打ちそうだ
れあたんは画面端っこのワイプ画面でアイドルスマイル
501ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 22:27:44.85 0
なんとなくチキンレース的なものは意外とれあたんが一番強そう
なんとなく
502ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 22:34:05.03 0
スマスマ神7全滅でワロタ
503ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 22:36:15.44 I
あえて下ネタ系で喋らされなくてよかったかも
504ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 22:52:13.77 0
これで終わりけ?次週に続くとかはなし?
505ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 22:53:27.64 I
おそらく続かない
あんまり笑い取れなかったんだなあ
506ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 22:58:09.40 0
ウェスリーがなんもなしだったのは意外だ
映してもらった子達は別に推されとかじゃなく単純にテレビ的に面白かっただけだな
507ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 23:25:55.43 O
はにーのデコルテ…
508ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 23:28:39.28 0
ジュニアの個性やキャラなんか知りもしない製作者が作ってるんだから仕方ない
せめてJJLだけはオタの欲望を満たすような番組にして欲しい
509ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 23:34:30.74 0
どこまでも続いているかのように見えた青はまだ、ほんの一部だったのだと気付く夏。それが僕らにとっての忘れられない瞬間になる


「よう、万年補欠」
ふいに頭上で声がして岸優太は見上げた。石段の上に羽生田拳武が立っていた。制服のポケットに手をつっこんでうすら笑いを浮かべている。
「…」
岸優太は何も返さず黙々と道具をしまう。羽生田拳武は鼻を鳴らして石段から飛び降り、目の前に立った。
「このクソ暑いのによくやるね。御苦労さん」
羽生田拳武の軽い口調は今の岸優太にとって少なからず神経に障った。補欠どころか、ベンチ入りすら外れたことを告げられた直後だ。同級生達がゼッケンをもらって喜ぶ姿を、自分は唇を噛みしめながら見ているだけだった。
惨めさから逃れるためにひたすら無心で走った。
だから、精神的な余裕が全くなかったこともあり、ついこう口走ってしまった。
「部活から逃げたお前には言われたくない」
言った後、猛烈な後悔が押し寄せる。
羽生田拳武は自らの意志で部活を辞めたわけではない。それは知っている。だからこんな言い方は間違っている。
羽生田拳武は黙って岸優太に背を向けた。そしてそのまま歩を進める。
「羽生田」
名を呼んだが、羽生田拳武は止まらない。振り返ることもない。その背中が小さくなり遠ざかって行く。
「…ごめん」
それは到底羽生田拳武には届かないであろう小声だった。岸優太は溜息をついて片付けの続きを始めた。


食堂はいつもどおり喧騒に満ちている。苛烈な争奪戦の勝者がその戦利品を胃袋に流し込んでいた。4限終了のチャイムの直後、購買部はバーゲン会場も真っ青な戦場になるのだ。
「これやる」
倉本郁は、戦利品の一つ…やきそばパンを高橋颯に差し出した。
「まじで?いいの?」
「陸上部様はしっかり食べとかないといい記録出ないだろ」
倉本郁は白い歯を見せてにっかりと笑う、この笑顔の裏にあるものを高橋颯は知っていた。
「数学?それとも英語?」
「両方」
仕方なく、高橋颯は宿題を写させてやることを約束した。
「吹奏楽部、全国行けそう?」やきそばパンのやきそば部分だけを先に食べながら高橋颯は訊ねる
「さあ。それを決めるのは俺らじゃなくて審査員様だから」倉本郁は淡々と答えた後で訊き返す「そっちこそ今年はいけそうなの?」
「がんばってはいるよ…最後だし」
少し寂しそうに高橋颯は言う。その答えに、倉本郁は片眉を吊り上げた。
「最後?お前三年じゃないじゃん」
倉本郁がそう訊ねると、やきそばの最後の一本を口にしながら、高橋颯は視線を遠くへ向けて答えた。
「転校するんだよ」
喧騒の中、やたらとくっきり浮き出たようにその声が倉本郁の耳に響いた。
「でもまだ…やり残したことがあるんだ」
倉本郁が言葉を失っていると、今度はその喧騒の中に吸い込まれそうなほど弱弱しく高橋颯はそう呟いた。
510ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 23:34:53.26 0

薄暗い体育倉庫の中、マットの上に座りながら中村嶺亜は窓の外をぼんやり眺めていた。
ゴロゴロ…と重金属が擦れ合う音に振りかえる。扉の向こうに自分を呼びだした人物が立っている。逆光でシルエットがやけに大きく見えた。
神宮寺勇太が立っている。彼は扉を殊更丁寧に閉めるとゆっくりと歩み寄ってきた。もったいぶった動きだった。
「こんなとこに呼びだして何の用?」
単刀直入に訊ねると神宮寺勇太は忍び笑いを漏らしながら真横に座った。
「分かってんだろ?」
顔を近づけて、少し小馬鹿にするような口調をぶつけてくる。だから中村嶺亜は努めて冷淡に返した。
「分かんない。用がないなら帰るけど」
立ち上がり、扉に向かおうとすると手頸を掴まれ、ぐいと引き寄せられる。
「栗田にだけじゃあ、勿体ないよなあ」
耳元で、神宮寺勇太はそう囁いた。何もかも知っている、そんな響きを持っていた。
中村嶺亜は神宮寺勇太を睨んだ。だが神宮寺勇太はものともせず挑戦的な視線で真っ向から対峙する。
沈黙が支配する。
蝉が遠くで啼いている。
握られた手頸がみしみしと痛み、中村嶺亜は眉根を寄せた。頬に一筋の汗がつたった。


木から落ちて瀕死の蝉がもがいている。それを竹ぼうきでさっと掃くと栗田恵は欠伸をして竹ぼうきを担いだ。
木陰を見つけて石段に腰掛ける。汗ばんだカッターシャツを手ではためかせた。
「さぼるなよ」
後ろから声がする。振り向くとそこには険しい表情の谷村龍一がいた。
「さぼってないし。てか真面目にやってる奴なんていねーよ」
言い返すと谷村龍一はより一層眉間の皺を深くした。
「相変わらず秀才君は真面目だねえ」
栗田恵が茶化すと、谷村龍一は近づいてくる。表情は険しいままだ。
「なんだよ?」
「何一つ真面目にやらないくせに」
「あ?」
栗田恵は威嚇しながら谷村龍一を見上げる。しかし谷村龍一は怯まない。
「真面目にやらなきゃいくらでも言い訳できるもんな」
「何が言いてえんだよ!」
栗田恵は谷村龍一の胸倉を掴む。
二人は睨み合う。
その膠着状態を引き裂くようにチャイムがサイレンのように鳴り響いた。


傷つきたくないから、誰かを傷つける

今日も誰かを傷つけて、自らも傷ついて少年達は大人になる。残酷な青い時の中を泳いでゆく…
それは魚か鳥か…それとも…

511ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 23:47:53.95 I
素敵な作品をありがとう
等身大の神7ですごくいいね!
512ユーは名無しネ:2012/05/28(月) 23:58:36.60 i
乙です!
スマスマで意気消沈していたが
そんな心の穴をそっと埋めてくれる作品ありがとう!
513ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 00:02:19.82 0
作者さん乙です!

いつものわちゃわちゃな神7も好きだが
こういった心に響く作品もまた良いなぁ…
514ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 00:21:03.60 O
わぁぁぁぁぁ
素敵
作者さんありがとう
515ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 00:52:07.92 O
今日よりも明日のほうが、笑顔でいられるように、
どこまでも広がる希望を胸に歩いていこうよ
「ありがとう」なんて絶対に言えないけど、
出逢えたことに感謝しながら、ゆっくり僕ら、歩いていこうよ
永遠に忘れられない夏が、今、はじまるよ
516ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 01:08:24.53 O
しみじみする
青春素敵だな
517ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 01:11:59.19 0
MVはよ
518ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 02:06:41.27 0
神宮寺とれあたんにはつっこまざるべきか
519ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 02:46:14.31 P
作者さん乙!
ここから何か始まりそうな雰囲気にときめく作品をありがとう!

神7はダンスのときの表情や目線の良さからしてみんな役者向いてそう
岸くん颯くんはにーは明るい役もシリアスな役も合うし今すぐにでもオファーを!
れあたん神宮寺もどちらも合いそうだが声変わり終了しないとセリフ言いづらそうたまし聞き取りづらそうだから早く終了してオファーしてほしい
…アホはもはや声変わり云々の概念はなく逆にあの声に合う役で印象づけをだな…
…谷茶浜はセリフが尻すぼみになる負のオーラ漂わせるのにたまに笑いに走る役なら…
520ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 06:34:35.85 O
金八があったら何人か出ただろうな
521ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 11:26:57.12 0
神宮寺何やらあやしいな
522ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 13:09:06.42 I
>520
ごくせん!があっでも何人か出ただろうね
学園ドラマに出て欲しい!
523ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 13:51:18.62 i
怪奇クラブ(だっけ?記憶曖昧)みたいなドラマやってくれたら最高なのにw
524ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 21:21:30.02 0
神7は主役級いないからなあ
525ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 22:20:11.74 O
神7の横並び感好きだな
でもクリエで神宮寺に沢山喋らせたり将来的に主役級に育てようという気配はある
526ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 22:47:32.73 I
くらもっさん可愛いから将来どうかな
しっかり者だし
527ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 22:48:15.14 0

【数秒間】


「膝、貸して」
「……なんで」
「眠いから」
寝不足で頭がぐらりと揺れる、目を閉じると明るすぎる蛍光灯の所為でくらくらした。
楽屋でやはり一人図鑑を熟読していた谷村に声をかけると、眉を潜めて睨むようにこちらを見つめてきた。
「そうじゃなくて、何で俺が神宮寺に……」
文句をいってくるのを丸め込むのも面倒で、図鑑を掴んで乱暴に机に放った。
ますます潜められる形の良い眉を目の端に入れながらごろりとソファに寝転がり、ぽかりとあいた谷村の膝に頭を乗せる。
まだなにか言いたげな雰囲気は分かったけれど、谷村は結局何もいわなかった。
溜め息をついて察してくれ、なんて醸し出して来たけれど。
それをいいことに体重をずくりとのせる。
「重い」
「うるさい」
「貸してやってんのに文句いうな」
お仕置き、と、最近密かな悩みの種であるニキビを小さくひっかかれる。
ふざけんな、前歯と唇とおそろいのニキビなんてまっぴらごめんだ。
舌打ちしてムカつきをあらわにするとふふふ、なんてガキを宥めるみたいな笑い方をするからまたイラッとする。
「早く寝なきゃ身長伸びないよ」
「……知ってる」
「俺の身長、抜かしてみせるんでしょ?」
「見てろ、よ」
腹の立つことにこいつは俺よりも身長が高い。
数年前までは"可愛い"という褒め言葉が嬉しかった自分だけど、そろそろ無理が出てくる年齢。
顔の成長と共に身長も成長してって欲しいと切実に願う。
番組の収録するときに一緒になる同世代Jr.にも成長期を迎えてぐんぐん伸びている輩が何人もいる。
少し前までは自分と同じくらいの目線だったはず、なのに。
「またAV巡りでもしてたんだろ」
「……まぁ、な」
本当は違うけど、訂正するのも面倒だからそういうことにしておく。
「寝る」
「ふは、おやすみ」
「ん、時間になった起こせよ」
「分かってる」
図鑑のページがめくれる音が微かに聞こえたけれど、読みなおすわけではないようでぱたんと閉じる音と風を感じた。
乱雑に扱って悪かったな、といいたかったけれど口が回らない。
どろり、と溶けるみたいに眠りに落ちた。
528ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 22:49:43.54 0






「ん、ぁ……?」
「あれ、起きたのぉ?」
目の前に人影を感じて目を開けると何処から持ってきたのかおもちゃのラッパを手にした中村が立っていた。
何するつもりだったか、なんて聞く前に表情から明らかなのでソレは辞めろと目線で訴える。
ごめんね、とぺろりと舌を出して可愛こぶりっこ。
俺に媚びられても困る。
まぁ確かに可愛いけど、ね。
「あれ、谷村寝てる?」
「自分が楽屋に戻ってきたときにはもう神宮寺と一緒にぐっすりだったよぉ」
「あ、そう」
いつの間にこいつも寝てたんだ。
て、いうか俺を膝に乗せてよく寝れんな。
「神宮寺の撮影そろそろだから準備しなよぅ」
「谷村は?」
「最後から2番目のグループじゃなかったっけぇ?とりあえずまだだったと思う」
「じゃ、まだいいか」
起こさないようにそっと頭をあげて、立って伸びをした。
「あとさ、神宮寺ぃ?」
「なに、」
「都合のいい時だけ、谷村に甘えるのやめたらぁ」
谷村の体をソファに寝かせようとその体に手をかけた時、中村に急に話しかけられて肩から指先がピクリと痙攣した。
寝起きだからなのか、妙に乾いている唇をぺろりと舐めて息を吐いた。
動揺から落としてしまわないように気をつけながら谷村の体を置く。
ゆっくり振り返ると相変わらず何考えてるのかよくわかんない表情でこちらを見つめていた。
「谷村も神宮寺のせいで寝不足だってこと、分かってんでしょぉ」
こてん、と首をかしげて微かに笑いかけられる。
笑ってるくせに温度を感じなくて、冷や汗がたらりと流れる。
何なんだ、一体。
「谷村のこと、ちゃんと考えてあげれないならそんな態度やめなってぇ」
「…………」
「神宮寺がそんなんだったら、……俺が谷村のこと、貰っちゃうよ?」
529ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 22:50:00.18 0
中村が大きく一歩、こちらに近づいてくる。
黒目がちな瞳がじっと、俺の目を捕らえて離さない。
やけに白い肌にかかる真っ黒な髪の毛と赤い唇が目にちらついてちかちかする。
寝不足から頭が痛い、のか、そのコントラストに頭痛がする、のか。
「栗田はどうしたんだ」
「栗ちゃんも谷村のこと好きだもん。はっきりしない、傷つけるだけの神宮寺なんかより俺や栗ちゃんと一緒に居たほうがいい、でしょぉ?」
「……選ぶのは谷村、だろ」
「それもそうだねー」
蛇に睨まれた蛙、ってきっとこんな気分。
ふと外された視線に詰まっていた息がすぅっともれた。
「俺、結構本気だから」
「あ、っそう」
余裕ぶってるわけでもなんでもなくて、本当にこうとしかいえなかった。
汗が急激に冷えて背筋がぞくりとする。
冷え込んだ楽屋の中、谷村の寝顔だけがやけに綺麗で無性にほっとした。
ほんとに綺麗な顔してると思う、密かに頬が緩む。




中村はちらりと俺と谷村を見た後黙って楽屋を出て行った。
寝ていた所為で若干崩れた髪をなおしてスタジオに向かう、その直前。
谷村のソファのところでぴたりと足が止まった。
「……ごめん、」
一言呟いて、その瞼に掠めるようにキスを落とす。
唇にもしたかったけれど、谷村の体がひくりと揺れたから、やめておいた。




(近くて近くて、でも届かないこの数秒間の距離)
530ユーは名無しネ:2012/05/29(火) 23:49:10.53 O
作者さん乙
たにーと神宮寺新しいです
素直じゃないもどかしい感じが萌え
531ユーは名無しネ:2012/05/30(水) 00:04:32.80 i
作者さん乙です!

互いを思い眠れぬ夜を過ごしてるなんて
いい…すごくいい…!
532ユーは名無しネ:2012/05/30(水) 00:17:08.65 0
作者さん乙!

ちくしょう、
新境地が開拓されそうだ
533ユーは名無しネ:2012/05/30(水) 11:20:49.64 0
不憫じゃない谷村なんて
534ユーは名無しネ:2012/05/30(水) 16:34:30.86 i
_┗164377.岸優太は絶対オネエ
▼|前|次|1-|新|検|書|リロ
_____________________________________46:名無しさん
05/29(火) 19:45
岸くんが可愛くて可愛くて震える
(iPhone/Safari)
[削除]
______________________________________
47:名無しさん
05/30(水) 15:16
それをごまかすため携帯マナーモードの
モノマネをする颯
(iPhone/Safari)
[削除]
______________________________________



47書いたのお前らだろw
535ユーは名無しネ:2012/05/30(水) 17:04:00.77 0
確かに岸くんはオネエだけどなw
536ユーは名無しネ:2012/05/30(水) 18:20:34.98 O
岸くんは颯きゅんが何で震えてるかわからないんだろうな
まさか自分がかわいいからとはw
537ユーは名無しネ:2012/05/30(水) 23:08:30.42 0
龍神!龍神!颯龍神!!
 
あ龍ってのは谷茶のことな
538ユーは名無しネ:2012/05/30(水) 23:11:59.72 0
中国の方ですか?
539ユーは名無しネ:2012/05/30(水) 23:58:17.40 O
強そうだお
540ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 06:47:59.29 I
名前が龍一だからだよね

谷茶は寝顔綺麗だろうなぁとほんとに思う
541ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 08:41:12.31 0
白目向けてそう
542ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 11:05:06.43 0
泡吹いてそう
543ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 11:28:40.97 O
たにー睫毛長そう
憂いを帯びた美少年なのになあ
今まで人生順風満帆だったろうに
544ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 11:48:28.83 0
それだけ芸能界が特殊ってことさ
545ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 14:10:19.64 O
最近れあヲタのレスが全部ゲイゴくんに見えて仕方がない
546ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 18:21:41.01 0
明日からまたクリエだな
自分行けないけど神7がんばれ
行く人はレポよろ
547ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 19:00:38.43 0
>545
おいおい一緒にすんじゃねえよ
548ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 19:38:39.57 0

どうして放っておいてくれないの
どうして気付いてくれないの
矛盾した気持ちが擦れ合う。青はまだ、見つからない


岸優太は朝が好きだ。一日の中の最もフレッシュな時間。校門をくぐり、昇降口で靴を履き替える時が一番気が引き締まる。
「おはよ」
中村嶺亜がすぐ隣で靴を履き替えながら岸優太に声をかける。岸優太もそれに返す。
射し込む朝陽が中村嶺亜の肌を照らす。光り輝くようなその白さの中に、翳りを岸優太は見つけた。
「どうしたの、それ?」
岸優太は中村嶺亜の腕に痛々しく刻まれる痣を指差し、何気なく訊ねた。
「ああこれ」
腕を見ながら、中村嶺亜は口元に笑みをたたえる。
「転んだんだよ」
シンプルな答えだった。
何故か、それは嘘のような気がした。
根拠はない。だがその嘘はきっと掘り返さない方がいいのだという予感もまたあった。
岸優太が声をかけようとすると、中村嶺亜は黙って階段を登って行った。


「まーたここにいんのか」
特徴的な声に、振り向かずとも誰がそこにいるのか羽生田拳武には分かった。だから振りかえらずに答える。
「何か問題でも?」
「そろそろ水泳部の奴ら来んぞ」
「ご忠告ありがとう」
羽生田拳武は殊更かしこまって声の主…栗田恵に頭を下げた。栗田恵は腰に手を当てながら呆れ気味に見据えてくる。
プールサイドから離れ、水泳部室を横切る。渡り廊下で水泳部員とすれちがったがお互い視線も合わさない。
ふと見やると並んで歩く栗田恵の顔がめずらしく曇っている。羽生田拳武は彼の顔を覗き込みながら訊ねた。
「機嫌悪そうだな」
「最悪」
「なんで?」
「…やられたかもしれない」
栗田恵は唇を噛んでいた。いつも能天気な彼はそこにはいない。その眼に悔悟と怒りが隠しきれずに燃え盛っている。
危険な眼だ。
だが羽生田拳武は栗田恵の考えていることをなんとなく察しながらもそれを止めようとは思わなかった。
きっと、止めたところで無駄だということが分かっていたから。
羽生田拳武は校門に向かったが栗田恵はまだ学校に残ると言った。
別れ際に一言だけ羽生田拳武は栗田恵に言った。
「また明日な」

549ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 19:39:11.08 0

傾きかけてなお容赦のない日射しから逃れるように神宮寺勇太は木陰のベンチに座る。ポカリスエットを口にしたがすでにぬるくなっていた。
「あれこんなとこで休憩中?」
通りかかった高橋颯がユニフォームをはためかせながら神宮寺勇太に声をかける。
「ポカリ持ってねえ?これぬるくて飲めやしねえ」
「買ってきなよ」
答えながら、高橋颯の視線は神宮寺勇太ではなく別の方向を見ていた。その視線の推移に気付いた神宮寺勇太は鼻を鳴らして笑う。
「相変わらずもたついてんなお前」
「神宮寺とは違う。俺には俺のやり方が…」
言い訳はしかし、遮られてしまう。
「お前もうすぐ転校すんだろ?時間ねえじゃん」
「…分かってる」
複雑な思いを噛みしめながら答えると、神宮寺勇太は言った。
「欲しいもん手に入れるのに手段なんか選んでらんねえだろ。俺らの時間はそんなに寛容な流れじゃねえぞ」
ぎらぎらと光るその眼には、不思議な説得力があった。
そしてその眼がひと際不穏な光を放った。
神宮寺勇太の視線の先にあるものに、高橋颯は一瞬暑さを忘れて冷たい汗が流れた。


「なんでこのクソ暑いのにサッカーなんだよ…」
照りつける太陽を睨みつけ、倉本郁がぼやく。水泳の授業ならまだ暑さも凌げるというものだが、何故か体育の授業はサッカーだった。始まって15分、からみつくようなべたつきは不快極まりない頭から水を被りたい気分だ。
すぐ側にいた谷村龍一は、汗一つかいていなかった。この暑いのに特異体質なのだろうか、倉本郁は不思議に思う。
「暑くねえの?」
「…暑いよ…」
その眼はしかしまるで生気がない。だが谷村龍一はいつもこんな感じだということを倉本郁は知っていた。だから別段不思議に思うこともなかった。
「だいたい俺は吹奏楽部なんだから運動は畑違いなんだよ。せめて室内競技にしてくれよって感じ」
「俺なんか帰宅部だよ」
「お前は学年一の秀才じゃん。部活なんかやんなくても充分だって」
「…そうでもないよ」
谷村龍一が自嘲気味に囁いたかと思うと、倉本郁のところにボールが飛んでくる。それを思い切り蹴ったがあまり飛ばなかった。クラスメイトがボールを追うのを見届けて、倉本郁はまたさぼりモードに入った。
ふいに、どさ、という音がする。
振り向くと、谷村龍一が倒れていた。
「谷村?」
呼びかけても、体を揺すっても反応がない。
谷村龍一の顔は、真っ青だった。

550ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 20:10:13.79 i
超大作の続きキター!
551ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 21:25:58.46 I
続きがかなり気になる!
552ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 21:26:07.88 I
たにぃぃぃいいぃ!

殺伐よすぎ!
続きはまだかと夜更かししそう明日はやいのにwww
553ユーは名無しネ:2012/05/31(木) 23:23:01.02 0
たにーとくらもっさんとか新鮮な感じ
554ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 00:10:07.76 0
気になる伏線だらけじゃあ
555ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 09:59:00.52 O
青春は胸がズキズキするなぁ
自分もこんなだったっけ?って思う
556ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 10:29:38.43 0
たにもっさんビジュアル偏差値高いよえろいよ
557ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 13:26:20.71 0
作者さん乙です!
たにーどうした!なにがあったんだ?

今日からクリエで思い出したが…
ロクネンジャー金田は私立小でお弁当らしい
まさかたにーやはにゅと同じ学校?
はにゅは焼き肉弁当が好きで金田くんは卵焼きが好きだって言ってた
558ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 20:06:24.99 0

詩人が僕らに病名を付けた。僕らは「思春期心身症」だと。
病んだ僕らは今日も青を探し続ける。


「A液の濃度が問題で…ほんの少しの違いで粘着力に変化が…」
教師の説明は右から左へ抜けて行く。だがそれは自分ばかりではない。退屈な実験の授業には教室内の大半が興味を失っていた。
ビーカーの底を見つめながら、鬱屈した神経を宥めすかす。しかしそうしたところで気分は一向に優れてはくれない。
栗田恵は教室の隅に位置する中村嶺亜の横顔を盗み見た。真面目に実験に参加している。隣にいるクラスメイトと相談しながら進めていた。
「…」
中村嶺亜の横顔にはいつもと変わりはなかった。少なくとも、栗田恵にはその変化が見分けられない。
大きく溜息をつく。正面にいたクラスメイトがどうしたと訊ねてきたが知らんふりをした。
二度目の溜息をつこうとして、肩がぶつかった。さっきから後ろの席の班がふざけ合う声が聞こえていたから別段気にもしなかった。
だが…
「あ、悪い栗田」
神宮寺勇太の声だった。ぶつかったのは彼だ。
栗田恵はそこで神経が一気にささくれだった。しかし表向き、それを抑えようと努める。無視をきめこもうとすると、神宮寺勇太の小声が栗田恵の鼓膜を振動させた。
「ごめんな栗田。いただいちゃった」
次の瞬間、教室中の視線が自分に集まっていた。
ほとんど無意識だった。床には無残に破壊されたガラスの破片。栗田恵が腕を思い切り振り、机上の実験器具が全て床に叩きつけられたからだ。
あとはもう、滅茶苦茶だった。気がつけば誰かに羽交い締めにされて「やめろ!」と連呼されていた。そして目の前も神宮寺勇太も同じ状態だった。口の中が錆臭い。
栗田恵は神宮寺勇太と共に生徒指導室に呼ばれ、そこで小一時間説教された。だがほとんど記憶はない。
ただ一つ覚えているのは、神宮寺勇太を殴った時に中村嶺亜が怯えたような表情をしていたことだけ…


559ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 20:06:54.54 0

渡り廊下からプールサイドが見える。照りつける太陽の光を無愛想に反射していた。
まるで誘われているような錯覚に陥ったがそれをかぶりをふって打ち消す。
今日は寄り道をせずにまっすぐ校門に向かうか…羽生田拳武がそう自らを戒めていると鼻を押さえた高橋颯とすれちがう。
「どうした?」
「さっきボール飛んできて…ぶつかって鼻血が止まらない。保健室に行こうと思って…」
その指の隙間から今にも赤い液体がこぼれてきそうだ。羽生田拳武はハンカチを差し出し、なんとなく保健室に付き添った。
養護教諭から簡単な治療を受け、高橋颯は保健室のソファにぐったりとうなだれる。疲れているようだった。
何か声をかけようかと考えていると、保健室に誰かが入ってくる。隣のクラスの担任教師だった。
教師は養護教諭に訊ねる。
「谷村の具合はどうですか?」
カーテンに覆われたベッドスペースを見やりながら養護教諭は答える。
「寝不足ですね。ここ数日まともに寝てないみたいで…しかも朝食も食べてこなかったみたいですから、空腹と睡眠不足とこの暑さではたまらないでしょう。貧血も起こしかけてるし、軽い日射病もあります。まあ、ゆっくり寝て栄養をとれば心配ありませんが…」
養護教諭は説明をした後で教師に視線を戻した。
「家の方とは連絡は?」
「何回もかけてるんですが、出ません。勤め先の方でもつかまらないらしく…」
教師は溜息をつきながら首を左右に振った。
「ご両親共働きですか?お忙しいんでしょうね」
「ええ、まあ…。その両親から期待されてるようで、どうもそのプレッシャーが凄いみたいで気になるんですよ。他の子達と違って眼に生気がないというか…この時期特有の無邪気さがないというか…」
「あら、最近の子みんなそんな感じじゃありません?」
「まあそうですが…。特にそういう傾向が強いですね。昨日も隣のクラスの生徒と掃除の時間にいざこざを起こしたみたいで…。ストレスが溜まっているんだと思います」
養護教諭と教師の会話を、高橋颯と羽生田拳武は複雑な気持ちで聞いた。大人達は自分達の存在をあまり気にしていないのか小声にもならず続けている。
保健室を出ると、羽生田拳武は大きな溜息をつき、こう呟いた。
「明日は我が身、か…」
高橋颯は何も言えなかった。


560ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 20:07:37.39 0

今日は風が強い。グラウンドにいたら砂ぼこりがすごいだろうな、などとぼんやり思いながら岸優太は日射しを避けて屋上のペントハウスの陰に横たわっていた。
もう部活は始まっているだろう。ただでさえ評価が低いのにそのうえさぼったことが知れたらもう二度とボールを触らせてもらえないかもしれない。だがそれでも足はグラウンドへ向かなかった。
何もかもが、どうでも良くなった。
くさる気持ちが、自分を蝕んでゆく。黴のように増殖して最後は全身を覆って自分と言う存在をその青臭い菌類で包んでしまうのではないか…
そんな不安にかられていると、ドアの開閉音が耳を撫でた。
「うわびっくりした。何やってんの?」
トロンボーンと譜面台を抱えた倉本郁が眼を見開いていた。
「んー別に。休憩」
「風つえー。楽譜めくれていっちまう。やっぱ中でやるべきだったな」
倉本郁は頭を掻く。しかし言葉とは裏腹にどっかりと座り込んだ。
「なあ知ってる?」倉本郁は唐突に訊ねてきた。
「何が?」
「高橋、転校すんだって」
「え?」
知らない。そんな話は初耳だった。岸優太は思わず身を起こした。
「いつ?そんな話ちっとも知らなかった。だってあいつ今日だって何も言わなかったし…」
「今学期いっぱいだって。今度の陸上の大会がラストだと。転校先には陸上部ないらしい」
「…」
岸優太は愕然とする。
高橋颯が転校するという事実よりも、それを聞かされていなかったことの方が衝撃だった。
心に重いものを感じていると、倉本郁が話題を変える。
「2組の栗田と神宮寺が喧嘩して指導室行きだってよ」
岸優太はその話題に意識を傾けることにした。一時的な逃避だ。
「何が原因?」
「分かんない。だけど栗田の方が先にキレたって。化学の時間。ビーカーやらフラスコやら割って大騒ぎ。神宮寺は顔にものすごい青タン作ってた」
「…中村、かな」
岸優太は何気なくそう口にした。根拠があったわけではない。なんとなく…そう、勘だ。
そして、良くない勘こそ当たるのを自覚していた。
「中村?」倉本郁は怪訝な表情になる
「あいつ、腕に痣作ってた」岸優太はそう言ってその部分を人差し指で印した。
「痣ぐらいどっかぶつかりゃつくだろ。なんでそれが栗田と神宮寺が喧嘩する原因になるんだよ。訳分かんね」
「…だよな」
頷く一方で、ざわめきが生じる。
高橋颯が転校する…それを自分だけが聞かされていない…
栗田恵と神宮寺勇太が殴り合いの喧嘩をした。その原因が中村嶺亜の腕の痣にある気がする…
二つの爪痕はしかし、岸優太の脆弱な精神状態をさらに深刻化させていった。
風は乱暴に吹き抜け、倉本郁の楽譜を彼方に飛ばした。


561ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 20:29:38.33 I
作者さん乙!
たにーと栗ちゃんが愛しすぎて切ない……
あー続きはやくしてはやくぅぅうう
562ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 20:40:10.05 i
作者さんめちゃくちゃ乙です!


コレ、本当ドラマ化して欲しい
563ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 21:15:57.71 I
part4は今までに無かった小説がたくさんでいいね!
564ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 22:18:03.77 O
この先どうなんだろう〜
続きカモン!
565ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 22:30:20.40 P
いいねいいね!
今までとはまた違ったハラハラ感があるね
ありがとう作者さん!
最近いろんな作者さんが投下してくれて嬉しいな
566ユーは名無しネ:2012/06/01(金) 23:19:55.05 0
神れあ栗の続き見たくて寝れない
567ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 02:47:53.76 O
「なんだよ。みんな颯、颯って。熱々おでんかよ。」
神宮寺はご機嫌ななめだ。
昨日も鬼ヤクザに「颯を見習え」と怒鳴られた。
中村、岩橋、あらん、宮近なんかは高橋を応援するチアガールに見える。
肝心の岸くんは高橋の想いにも気付かず能天気だが、たまに2人の世界を作ってたりする。
「やっぱりシンメって特別だよな。よし、俺ももっとダンス頑張ろう!」神宮寺は決意を新たにした。

そんな神宮寺とて初めから岸くんと仲が良かった訳ではない。
仲良くなりたくていろいろ話し掛けに行ったし、遊びにも誘った。
最近では岸くんの好きそうなSM動画も集めている。
私服だって岸くんのローテーションをチェックして(簡単だったので助かった)さりげなく似たような服を着て行ったりしてるし、岸くんがしてるのと同じ時計が売ってるのをたまたま見つけた時は飛び付いた。
それなのに、みな「颯くん健気…」と颯を応援するのだ。
俺の方が健気ではないか?納得がいかない。

そう思っているところへ羽生田がやってきた。
「出たな、筆頭株主」
「なんだよ、それ」
「おまえ、高橋株なん株持ってるんだよ」
「1万株」
さらっと答える所が憎たらしい。

羽生田は袋からアメリカンドックを取り出して、幸せそうな顔で食べ始めた。

なんかエロいな…
ざっくり開いたVネックの胸元に吸い寄せられる。

羽生田のクセに…

「おい、ケチャップ付いてるぞ」
「え?」
「取ってやるよ」
羽生田を壁に押し付け、鎖骨に舌を這わせる。
と、同時に服の上から大事な所を触ってやった。
「チョ…オ、オイ!止めろよ!」
羽生田は神宮寺の悪ふざけだと思っている。
神宮寺もそのつもりだった。
彼にとってこれくらいはスキンシップの範囲内だ。誰かが来たらすぐ止めよう、そう思っていた。
568ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 02:58:09.32 O
しかし、そんな時に限って誰もやって来ない。
だんだんこのままじゃ終われない状態になってくる。
「今、颯が入ってきたらどうする?」
耳元で囁くと羽生田はビクリと身体を固くした。
「あいつはウブだからなぁ。いいように遊ばれてる羽生田くん見たらショック受けちゃうかもなぁ。」
「やめろよっ!」
羽生田が激しく抵抗しだす。が、服の上からでも分かるくらいそれは反応している。
「やっぱりこういうの好きなんじゃん。岸くんと一緒だね。」
「おまえ…岸くんにもこんなことしてるのか?」
「出来る訳ないだろ。分かり易いんだよ、岸くんは。」
「そうか…」
羽生田は安心したような顔を見せる。
颯の悲しむ顔は見たくない…か。そんなに好きなのかよ…

羽生田はもう抵抗していない。どこか遠くを見つめている。
みんなとふざけあった後でも、たまにこういう目をしていることを神宮寺は気付いていた。誰も寄せ付けない、未来までも見通しているような目だと思った。

おまえの目には何が映っているんだよ…

神宮寺はそっと羽生田に口づける。


神宮寺がノロノロと乱れた服を直していると、サッサと身支度を整えた羽生田が食べかけのアメリカンドックを拾い上げ「あ〜、もったいない」と呟いた。
「そんなのいくらでも買えるだろ。俺のならいつでも食わせてやるし。」
「そういうのオヤジくさいから止めなよ。」

14歳の6月、2人の秘密が出来た。
569ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 05:59:05.38 I
安井口説いて逆に食べられそうになったり
たにーと甘酸っぱい青春したり
れあたん巡る血肉の争いを栗ちゃんとしたり
はにーに思わずむらむらしたり

最近じんたん大忙しですな
570ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 06:22:26.53 O
神宮寺の鬼畜さにドキドキする
でも岸くんには手出しできないとかw
571ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 06:25:57.96 O
作者さん乙すぎる!!!
一体どこまでいったんだよ!?
572ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 06:38:37.09 O
素晴らしい

神宮寺は誰と関係を持ってもいつも何か切なさが残る…
神宮寺を幸せにしてくれる相手は誰なんだろうか
573ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 08:52:23.57 0
そんな神宮寺初ドラマおめでとう!!

キスシーンもあるとかないとか…
574ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 08:54:35.55 I
ついに神7からドラマきたー!よっしゃああああ
575ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 09:04:40.70 i
じぐじぐおめ!
神7学園ドラマがまた一歩近づいたな
576ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 09:09:04.53 I
でもヲタとしてだんだん遠くなってしまうのが辛いところ…
他の神7も出てほしい
577ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 09:49:38.51 0
はにーこんなんでも反応しちゃうお年頃なんだね
578ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 12:14:24.97 0
みんなどんどんと人気ものになって行っちゃうんだろうなあ
嬉しいような悲しいような
579ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 13:02:37.31 0
神宮寺ドラマ出演はめでたいが神7解体の懸念材料にもなりかねないな
現時点で人気トップだしドラマ出演で一気に他に差をつけて他の人気メンバーと組まされる…なんてことはないだろうか
580ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 13:15:12.30 O
エロエロ神宮寺おめえええええええええ
それにしても上層部はれあたんガードが固いな
581ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 13:31:53.13 O
よおしめでたいので今日ばかりは神宮寺が鬼畜でも許すwww
582ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 13:39:36.72 0
>580
JJLに出してくれただけでも褒めてつかわそう
583ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 15:26:26.01 0
つまんない内容のドラマなんぞやらないでここの作品そのままやればいいのに
584ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 17:02:14.01 i
神7がでるドラマなら
演技力が学芸会レベルでもみる
岸くん意外に演技うまそう
あと嶺亜も
585ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 18:55:32.31 0

空と海とはどちらが青いか、と誰かが訊いた。そして誰かが答えた。海の方が空より青いのだと
それは、海が空の青さを吸いとったからなのだと
僕達は海なのか、空なのか、そのどちらでもない青なのか…



図書室の隅の窓から谷村龍一はぼんやりその景色を眺める。グラウンドでは陸上部、サッカー部、野球部…様々な部活の生徒が入り乱れて声を張り上げている。変化のない景色がそこに広がる。
窓の桟を握った。
視線がグラウンドから伸びる。そこには屈託のない青。
ふいに、吸い込まれていしまいたい衝動に駆られて手に力が入る。
声が遠くなる。
意識が曖昧になってくる。
だが視界はすっとクリアになった。
この青の中に自分は溶け込んでいくのだと、軽い酩酊感にも似たものを抱く。全てから解き放たれるような解放感…
しかしそれは無遠慮な誰かの声によって遮断されてしまった。
「何やってんだお前?」
振り向くと神宮寺勇太が立っていた。


いつまでたっても解けない問題に頭を掻きむしりながら栗田恵は小一時間かかってようやく課題の提出を終えた。居残りは自分だけだった。
「最近ちょっと目に余るぞ。気を引き締めろ」
職員室で、数学教師がそう叱責してくる。ふてくされながら返事をすると、教師は溜息をついた。
「お前はやればできるのに…」
やればできる…
便利な言葉だな、と栗田恵は思う。そう言われて誰も悪い気はしないだろう。まだ自分は見捨てられていないんだ、期待されているんだという錯覚を起こすことができる。
だけど栗田恵は知っている。
いくら努力してもどうにもならないことがあるのだと。
取り返しのつかないことがあるのだと。
そういう時、大人はなんて言って慰めてくれるのだろう…どういう言葉で救ってくれるのだろう…
今はほんの少しだけ、それを望んでしまう。
「また部活やらないのか?お前だったら今からでも戻れるだろう」
栗田恵が期待した言葉とは遠くかけ離れた言葉が教師の口から出てくる。栗田恵は返事をせず職員室を出た。
昇降口に降りる。そこで靴を履き替える。外靴を足に馴染ませながら中庭に目をやると吹奏楽部の生徒が自主練習をしているのが見えた。
木々の緑と、そのきららかな金の楽器の対比が美しく輝いていた。

586ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 18:56:15.61 0

屋上よりも、中庭よりも、好きな場所がある。そこで中村嶺亜は一人で心を、頭の中をからっぽにする。
風が頬を撫でる。葉擦れの音は子守唄のように優しく囁く。
旧校舎の裏…隣接する山との境目。フェンスに遮られてはいるが緑がすぐ側にある。誰にも忘れられた壊れかけたベンチ。そこに座って目を閉じる。
何もかも、浄化してくれる作用がその空間にはあるようだった。
不安も、後悔も、恐れも…ここにいる時だけは少しだけ忘れられる。だからここが好きだった。
腕をさする。まだ少し痛むがもう大丈夫だ。跡も消え始めている。
うとうとと、夢見心地に浸る。そうして現実との境目が曖昧になった時…
ジジ…と何かが鳴った。
それは蝉だった。それまでなりを潜めていたのにまるでそれが合図だったかのように一斉に啼き始める。
悲鳴のようだ。
そしてその啼き声は、自分の気持ちをそのまま代弁しているようでもあって中村嶺亜は目を開ける。
見上げると、緑の間に薄い青があった。

メールの内容を確認して浅い溜息をつく。いつものこととはいえ気が滅入った。
しかしながら、気に病みすぎるのは良くないことだとちゃんと分かっている。適度にガス抜きをしていかないと、この重圧にいつか必ず押し潰されてしまう。そんなのはまっぴらごめんだ。
保健室で眠っていた谷村龍一のようにはならないように、普段からあまり自分を追い込まないようにしている。羽生田拳武はそうして今日もストレス発散に向かう。
だが、少し遅かった。そこに向かう途中に目に入った。先客がいた。というより本来の正当な使用者達だ。
プールサイドから聞こえてくる音…楽しそうな、弾けるような喜びに満ちた笑い声、水しぶきの音、ホイッスル…
全て自分が失ったものだ。
失ったのは、自分の意志じゃない。だが、最後に決断したのは他でもない自分…
ひどい矛盾と理不尽さに、拳に力が入った。
とっくに踏ん切りをつけたはずなのに、いとも簡単に呼び起こされてしまう。自分の意志とは無関係に。
何故?どうして?
数えきれない疑問符が、頭の中を瞬く間に埋めつくしてゆく。そしてシュプレヒコールのように喚き立て、頭が、耳が痛くなる。
きらめく水しぶきが今は、ひたすらに憎かった。


「違う!楽譜を良く見てみろ、そこはスラーだ。そんな無愛想な音出すな。もっと滑るようになめらかに!」
コンクールが近いから、指導にも熱が入る。バンドディレクターの容赦のない恫喝が飛ぶ。三年生にとっては最後のコンクールになる。だからなのか、彼らの表情は必死だ。
倉本郁はそっと音楽室内の時計を盗み見る。7時半。しかしまだまだ練習は終わりそうにない。辺りは夜のとばりが降り始めていたし、他の運動部ももうひきあげている。
毎年のことらしいが、この時期は甲子園を目指す野球部よりも、県でベスト8に入るサッカー部よりも吹奏楽部の方が遅くまで残っている。
もっとも、野球部は二回戦突破が関の山の実力だしサッカー部は今年に入って部員間のトラブルが多く練習試合の成績も良くないらしい。個人競技は別として、他の部活は目立った成績を残していない。一番好成績が期待されているのが全国大会出場経験のある吹奏楽部だ。
「トロン!そんな普通に吹くな!ただ音鳴らすだけじゃねえぞ!」
慌てて倉本郁は集中を戻した。ここで下手をすればコンクールメンバーから外されてしまう。雑念は捨てなくてはならない。
ようやく練習を終えた頃にはもう9時近くになっていた。これはまだ早い方だ。空腹は休憩時間で満たしたから、肉体的な疲れだけが残る。荷物を持って速やかに下校することを命じられているから校門を出るまでは誰も無駄口を叩かない。
「あ。やべ」
ポケットを探って、携帯電話がないことに気付く。休憩時間に見て音楽室の棚の上に置いたことを思い出した。今ならまだ間に合うかもしれない。職員室で鍵を借りて取らせてもらおう。倉本郁は走った。
その途中で、倉本郁は見た。
暗闇の中に、一つの影。それは校内のとある場所へと消えてゆく。
そしてその影は、よく見知った人物だった。

587ユーは名無しネ:2012/06/02(土) 18:56:48.65 0

「いって…あんにゃろう力いっぱい殴りやがって…」
トイレの鏡を見ながら、神宮寺勇太は自分の不様な傷跡をさする。ズキズキと痛むその不快感に思わず顔をしかめた。
しかしながら、後悔はない。そうするぐらいなら初めからそんなことはしない。
「名誉の負傷、ってとこか…」
呟きながら、そのおかしさに苦笑が漏れた。
廊下を歩きながら、すれ違う生徒が自分の顔を一瞥してゆく。相当目立つようだ。まあ2、3日の辛抱だと自分に言い聞かせる。
歪んでいる、という自覚はある。
おそらくこの歪みは自分以外の者を軒並み傷つけ、消えない傷を与えてしまう。身勝手で、自己中心的で、非難される以外ない卑怯な行為…
だが止められない。もう走り出してしまった。後にはひけない。
もう、二度と失いたくはないから。あんな思いはもう二度としたくない。
だから、あいつの大切なものを俺が奪ってやる。
「…」
湿気を感じて、鼻をひくつかせた。窓の外に広がる空を見ると、さっきまで純粋な青をたたえていたのに今は一面重苦しい鉛色に染まっていた。
誰かの涙のように、それから間もなく豪雨が地上を洗い流すように叩きつけた。


英語の小テストに備えて高橋颯は休み時間を惜しんで英単語と文法を頭に叩き込む。教室内では自分と同じように準備に勤しんでいる者、誰かとヤマを当てようとする者、そしてまるっきり諦めていつもどおり過ごす者…それらがちょうど3分の1ずつ綺麗に分かれているようだった。
単語帳を一定のリズムでめくっていくが、驚くほど頭に入ってこない。
理由は自分でも嫌になるくらい分かっていた。
勉強は、ほとんど逃避だ。
何から逃げているのか…逃げてどうするというのか…
転校する前に、やっておかなくてはならないことがあるのに、そこからどんどん遠ざかっていってしまっている。
自分はこんなに臆病だったか?
自問いしてみる。答えは…イエスだ。
もう時間がないのに、踏みとどまっていることこそがその証だ。
これでは駄目だ。一生後悔する。そんな焦燥感に駆られて高橋颯は単語帳を閉じた。
その決意とちょうど同時だった。彼が目の前に立ったのは。
「高橋、ちょっといい?」
それは岸優太だった。


窓際の席、というのは色々メリットが大きい。
まず、授業に興味がない時、外の景色を見て退屈凌ぎができる。岸優太の席からはグラウンドとその向こうに広がる街並みが一望できる。グラウンドで体育の授業を見おろすとなかなか効率良く時間が過ぎて行く。
そして考えごとをしたい時、その変わらない景色が手助けをしてくれる。
ぼんやりと色んなことを考える。それらが幾つも折り重なって積み上げられてゆく。いつ雪崩を起こすのか分からないくらいにアンバランスな…
しかしながら、窓際の席にはデメリットもあった。
「じゃあ次の問題…岸、答えて」
名前を呼ばれ、岸優太は慌てて黒板に目を戻した。が、黒板には何も記されていない。問題集も閉じてしまっているからどこの問題なのかさっぱりだった。
「わ…分かりません」
「分かりません、じゃなくて聞いてませんでした、だろ」
教師は睨みながら岸優太の目の前まで歩いてくる。背中に汗が流れた。
「31ページ。問い2」
「あ、は、はい…」
ぱらぱらとめくり、その問題を確認する。だがパニック状態では解けるはずもない。周りはクスクス笑いだした。
「授業終わるまでに解け。終わったら、持ってくるように」
厳然と言い放って教師は黒板の前へ戻って行く。そして授業は再開された。
前に座っているクラスメイトが笑いながらぽんぽんと肩を叩いてくる。隣の席からも「アンラッキー」と同情まじりのからかいも飛んでくる。「うるせ」と小声で返し、岸優太は問題を解くべく集中した。考え事の続きは後回しになった。

588ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 12:12:11.54 0
おん...続きたのすぃみ
589ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 13:01:00.02 I
続きカモン!
590ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 13:53:48.42 0
片山さつきを脅す杉村太蔵
http://viploader.net/ippan/src/vlippan278389.jpg
591ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 14:29:49.95 0
食べたい気持ちを我慢して摂取カロリーを抑えるか。
 エクササイズで消費カロリーを高めるか。
そのどちらでもない、
 第3のダイエット方法に、注目が集まっています。
食べたいだけ食べてOK! エクササイズ不要!
 第3のダイエット方法 「スリムサプライズ」
592ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 15:32:55.71 i
作者さんめちゃくちゃ楽しい
また投下楽しみにしてます
593ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 16:03:26.83 0
594ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 16:20:17.39 O
こ…これは…w
595ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 17:14:34.87 0
颯くんのをお触りしてる奴誰許さん
596ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 17:27:45.72 I
エアマイク!いろいろ懐かしいなあ
597ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 19:52:54.03 0
薮は颯くんの大事な所触ろうとするし
痛ポエは出しゃばってれあたんの邪魔するし
優しくない先輩ばかりだな
598ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 20:02:28.67 0

きっかけはほんの些細なことなのにどこまでも歯車は噛み合わなくなり、狂っていく
そうしてもがいている間にもこの青の時は絶え間なく流れていく…


じゃんけんに負けて、ドラム缶いっぱいのごみを焼却炉まで岸優太は運ぶ。焼却炉は遠い。今はもう使われていない旧校舎の側にあり、その往復だけでうんざりする。
何故あの時グーを出してしまったのだろう。他の生徒が全員パーを出したのは偶然なのか、はめられたのか…。
「よいしょ、と」
やっとのことで、ごみを焼却炉に放り込むと荷物が軽くなった分だけ足取りも軽くなった。スキップしながら来た道を戻ると、神宮寺勇太とすれ違った。
「神宮寺?何してんの?」
だが彼の視線には岸優太は映ってはいなかった。無視をされたわけではない、その時の神宮寺勇太の眼はどこか遠くを見ていて純粋に岸優太の存在に気が付いていないだけだったのだ。様子がいつもと違う。
しかし、彼が歩いてきたであろう方向に岸優太は首を傾げた。
神宮寺勇太は旧校舎の中から出てきた…ような気がする。
理論的な説明はできない。それはやはり勘というより他はない。
そして岸優太はその第6感に従って旧校舎の中を足音を立てずに歩いた。
木造建築の、古びた黴くさい建物だ。数年前大規模な校舎建て替えが行われて以来使われていないらしい。誰かが無断で入ったりしないように鍵がかけてあるはずだがいつの頃から開けっぱなしになっているという。普段、立ち寄るものはいない。
電気は全てストップしている。裏は山だから日当たりも悪く、薄暗くて不気味だ。歩くたびぎしぎしと嫌な音がたつ。肝試し以外に使い道はなさそうだ。
不自然に開いているドアがあった。
恐る恐る、そこに足を踏み入れる。倉庫なのか、錆びた器具やマットが積み上げられている。ひどくほこりっぽい。
口を手で覆って中に進んでいくと、人がいた。そこで岸優太は声をあげそうになった。
中村嶺亜が、ぺたんとそこに座り込んでいた。岸優太が入ってきたことにも気付いていない。放心状態で虚空を見上げている。
岸優太を驚かせたのは、それだけではなかった。
彼の衣服が乱れていた。カッターシャツのボタンがすべて外され、そこから肌が覗いている。ベルトもはずされていた。
「中村…?」
岸優太が声をかけても、返事はない。岸優太は急に寒気を覚えた。
「中村、どうしたんだよ!?」
二回目は、声を荒げて肩を揺さぶった。そこでようやく弾かれたように中村嶺亜は岸優太に視線を合わせる。
その眼は驚愕と混乱に満ちていた。どうしてお前がここにいるんだ、とでも言いたげな…
「中村、なあ、どうしたんだよ。何かあったの?」
その返事を聞くことはできなかった。
中村嶺亜は泣き崩れた。

599ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 20:02:51.00 0

クラスメイトに呼ばれ、羽生田拳武は振り返る。彼が指差した先には倉本郁がいた。
「悪い。歴史の教科書貸して。忘れてきちった」
両手を合わせ、拝み倒すように倉本郁は頭を下げる。教室の机の中から歴史の教科書を出し、彼に手渡した。
「サンキュー。昼休みカツサンドやるよ」
快活に言って、倉本郁は隣の教室へ戻って行く。彼は約束どおり、昼休みになるとカツサンドを2つ持って羽生田拳武の元へやってくる。今日は曇りで涼しいからと中庭に誘われた。
「こないださ」むしゃむしゃとサンドを頬張りながら倉本郁は話はじめる。ものを口に入れながらなので聞きとりにくい。
「夜お前学校に残ってなかった?9時前くらいまで」
どきりとする。見られていた。そういえばこの時期の吹奏楽部は遅くまで練習していると聞いたことがある。
「見られてたのか」
変に言い訳や嘘をつくよりはあっさり認めてしまった方がいいと判断した。
「何やってたの?」倉本郁は屈託のない瞳で問う。
「…夜光水泳」
冗談めかしてみたが、倉本郁は笑わなかった。だから羽生田拳武は少し自嘲気味に続ける。
「未練がましいだろ」
「未練も残るだろ、そりゃ」
倉本郁は分かってくれているようだった。彼はこう続ける。
「俺だって今ブラバン辞めろって言われたら未練の塊になるね。今年やっとコンクールメンバーにもなれたし。去年のお前はまさにそんな状態だったろ」
そうだ。なんだか遠い昔のように思えるが、まだ一年前のことなのだ、と羽生田拳武は不思議な感慨に浸る。
「それ、全部食えよ」
倉本郁に指摘されて、羽生田拳武はカツサンドに全く口をつけていないことに気付く。倉本郁はもう食べ終わっていた。彼は別れ際にこう言った。
「今度海行って思う存分泳ごうぜ」
「…ああ」
いつの間にか雲間が切れ、そこから青空が覗いていた。

600ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 20:03:23.82 0

谷村龍一の精神はかつてないほどに不安定になっていた。
これまで抑えていたストレスとは全く毛色の違う、恐怖にも似た恐れ。自分で自分がコントロールできなくなることへの不安。そうしてものがねっとりとまとわりついて離れない。
あの時…図書室で非現実感に襲われた時、神宮寺勇太が声をかけてこなかったら…
窓から飛び降りていた。
「何やってんだ!こんな高さから落ちたら死ぬぞ!」
神宮寺勇太に腕をひっぱられて初めて谷村龍一は自分が窓の桟に乗っていたことに気付いた。
(俺は、死のうとしたのか…?)
分からなかった。
死にたい、と思ったことはない。そう思う余裕すら毎日の生活にはなかった。疑いを抱く暇もなく追い立てられる奴隷のような毎日…。
ただ、自分の人生には他人に笑って話せるようなものが何もないということに最近気付いた。
それがひどく惨めな気分にさせた。
自分が何のために生きているのか分からなくなる。なのに、やるべきことは山積みでそこから逃げることは許されない。今日も、生きていれば同じ生活が続く…。
どこまでも深い闇に落ちて行く思考はしかし唐突に中断される。
前からよく見知った顔が歩いてくる。
栗田恵だった。谷村龍一を現実に戻したのは、彼の眼だ。
その眼に宿るものを察知した瞬間、無意識に谷村龍一は栗田恵の腕をつかんでいた。
「離せよ」
昏い声だった。そして、氷のように冷たい眼。この間の掃除の時間に自分につっかかってきた時とは全く温度が違う。
ぞっとするような眼だ。
谷村龍一の知っている栗田恵ではなかった。
いつも笑っていて、大きな声で話す、明るく快活な、悩みごとなどただ一つもないようなそのあけすけな姿に、妙な苛立ちを覚えていた。
自分に持っていないものを彼は持っていて、それが時々ひどく谷村龍一の神経を揺さぶった。この間はそれが抑えきれなくて溢れ出てしまったのだ。
だがしかし、目の前の栗田恵には微塵もそういった雰囲気は残されていない。
「何考えてるんだよ…すごい眼してるぞ…」
「お前には関係ない」
栗田恵は谷村龍一の手を振りほどこうとした。だが、何故かそうさせるわけにはいかないと強く自分に働き掛けた。
「関係ないけど、放っておくわけにもいかない。お前の眼、尋常じゃない。まるで人殺しに行くみたいな…」
「殺しに行くんだよ」
眼を剥いて、栗田恵はそう答えた。
嘘か真実か、確かめる術はない。だが谷村龍一ははっきりとした意志を持った。
この手を離すわけにはいかない、と。

601ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 20:29:09.67 0
うおおおきたあああああ
602ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 20:39:26.24 O
毎日この時間が楽しみ過ぎる

焼却炉の魔術師キタ…
603ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 21:04:13.06 I
れあたん襲いやがって死にたいんか
っていえばいいのか
たにー助けてくれてありがとう
っていえばいいのか
わかんないけどとりあえずじんたん可愛い!

ドラマも決まったしね
安井さんと共演はいいのか悪いのか……
れあたんと安井じゃなくて良かったけど
604ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 21:08:22.29 O
真剣に映画化してくれえええ

605ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 22:01:59.05 0
れあオタが陸・海・空全ての領域から兵を放った模様
逃げろ神宮寺…!


んんんんんれあたんんんんんん
606ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 22:11:50.49 0
くらもっさん他の作品とキャラ違いすぎて違和感アリアリw
607ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 22:45:36.89 0
お立ち台(下手・中央・上手) 
5/18 岸 塚田颯 れいあ
19昼 あむ 倉本塚田 岸
19夜 神宮寺 颯 れいあ
20昼 倉本 神宮寺 岸
20夜 れいあ あむ 颯

6/1 岸  神宮寺  颯
2昼 あむ れいあ 栗田
2夜 谷村 岸 れいあ
3昼 松倉 神宮寺 倉本
3夜 岸  あむ  颯

ふれあい
5/18 神宮寺 あむ 倉本
19昼 神宮寺 颯 宮近
19夜 岸 あらん れいあ
20昼 栗田 あむ れいあ  
20夜 神宮寺 岩橋 宮近

6/1 しずや あむ 倉本
2昼 神宮寺 岸  颯  
2夜 松倉 あむ 海人
3昼 颯 れいあ 栗田
3夜 神宮寺 れいあ 谷村
608ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 22:54:41.40 0
ふれあい

神宮寺…5
あむ・れいあ…4
颯…3 ←全部昼公演
岸・栗田・くらもっさん…2
最後のさいごで谷茶
609ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 23:34:51.89 O
作者さん乙!
続き気になるけど怖い〜!
610ユーは名無しネ:2012/06/03(日) 23:38:37.81 0





【サッカー】W杯アジア予選 日本、オマーンに3−0快勝! 本田鮮やか先制ボレー、前田岡崎追加点、ブラジルへ好スタート切る★6



http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1338732092/







611ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 04:04:53.83 0
俺も高校時代神7みたいな奴らに出会ってれば…
612ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 09:02:55.59 0
この時代にれあたんにめぐり逢えただけでも幸せ
613ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 19:49:09.41 0

真っ白なキャンバスに打たれた青い点は哀しみのようでもあり喜びのようでもあった
しかしながら、その点はじわじわと滲んで広がってゆく
キャンバスをそうして青く染めようと…


「あれ?言ってなかったっけ?ごめん。もう誰に言って誰に言ってないかが分からなくなって…」
高橋颯の言葉を岸優太は反芻する。他意はなさそうで、至ってあっけらかんと彼はそう言ったのだ。
転校するということを何故教えてくれなかったのか、それを問い質してみたが深く受け取っていたのは自分だけだった。
浅い溜息をつく。ほっとしたような、虚しいような…。
最近、気が滅入ることばかりだ、と岸優太は鬱屈した気分をひきずりながら今日もボール拾いに走る。
結局、部活には出ている。なんだかんだでグラウンドにいる時は少しだけ何もかも忘れられるような気がする。ボールを追っている間は無心だ。
カアン、と爽快な金属音が響く。打ち上げられたボールは高く弧を描いて飛んでいく。それをぼんやりと眺めた。
「何やってんだ、早く取ってこい!」
三年生の恫喝が響いた。2,3人動いたが一番近くにいたのは岸優太だった。暗黙の了解で打球を追った。
「あっれー確かこのへん…」
目をこらしながら球の行方を追っていると、いつの間にか校舎の裏の自転車置き場まで来ていた。いくらなんでもこんなところまで飛んできやしないだろう、と戻ろうとすると気が付く。
校舎の二階部分の廊下に、谷村龍一と栗田恵が見えた。彼らは何やら揉めている。一見して様子が普通じゃないことは岸優太にも分かった。
岸優太は気がつけば校舎に入り、彼らの元に駆け寄っていた。
「おいどうしたんだよ」
「離せっつってんだろ!なんでお前が止めんだよ!」
「駄目だ!絶対に駄目だ!お前なんかやらかす気だろ!」
谷村龍一が必死に栗田恵の腕を掴んで何かを止めようとしている。岸優太は谷村龍一のこんなに大きな声を聞いたことがない。そして栗田恵は狂ったように喚いていた。咄嗟に岸優太も反対側の腕を掴んだ。
「おい栗田、どうしたんだよ!何しようって言うんだ!?」
しかし栗田恵は聞く耳を持たない。
「離せ!離せえ!」
なおも叫び続ける栗田恵に、岸優太は直感的に浮かんだものを口にした。
「もしかして、中村のこと…か?」
栗田恵は目を見開いて岸優太を見た。

614ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 19:49:31.78 0

何度やっても記録が伸びないばかりかファウルの連続だった。周りの部員がどうしたんだという目で見てくる。顧問は溜息をついていた。
「ちょっと休憩して気持ち入れ直してこい」
高橋颯は返事をして重い足取りで手洗い場へ向かう。顔を洗っても何一つ気分は切り替わらなかった。
喉が渇いた。冷たい飲み物を呷れば少しはましになるだろうか、という期待を抱きながら自販機のある食堂を目指す。
放課後の食堂に当然人の気配はなく、時折部活動中の生徒が飲み物を買いに自販機に来るぐらいだ。
しんとした中に、蝉の声が染みいるように響く。西日が射しこんでひどく眩しい。高橋颯は目を細めた。
「お?お前も休憩?」
自販機には神宮寺勇太がいた。タオルを首に巻いてサッカー部のユニフォームを着ている。ポカリスエットのペットボトルを口に当てて一気に呷っていた。指に絆創膏を巻いているのが見える。
「なんか調子悪くてさ。顧問に叱咤激励」
百円玉を自販機に滑り込ませる。人差し指をボタンに当て、取り出し口からミネラルウォーターを出した。
「ありゃ。サッカー部と陸上部期待のエースがお揃い?」
倉本郁が百円玉を手にやってきた。彼はカフェオレを選んだ。少し三人で雑談を交わす。
「高橋、お前岸に転校すること言ってなかったのかよ。なんか俺空気読めない奴みたいになっちゃったんだけど」
少し非難気味に、倉本郁が言った。それを受けて神宮寺勇太が空になったペットボトルをごみ箱に放りながら意味ありげに呟く。
「岸には言えないよな」
「え、なんでだよお前ら仲いいじゃん。岸ちょっとショックそうだったぞ」
倉本郁は目を丸くする。
「誰に話したかもう分からなくなったんだよ。話したと思いこんでた」
岸優太にもついた嘘を、そこでも並べた。倉本郁はふうん、と若干納得いかなさそうに呟く。倉本郁は次に神宮寺勇太の方を見据えた。
「そういやそん時神宮寺と栗田が喧嘩して指導室行ったって話も岸としたけど、あいつその原因が中村の怪我にあるかもなんておかしなこと言ってたな」
高橋颯にはなんの話なのか分からなかった。
だが神宮寺勇太の眼には明らかな動揺の色が浮かんでいるのを高橋颯は見た。

615ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 19:49:57.79 0

「…今日も先客あり、か…」
プールサイドを横目に羽生田拳武は廊下を歩く。折角今日は予備校の授業が一コマ欠講になって時間的余裕があるというのに残念な話だ。
自習をするのもなんだか癪に触る。グラウンドへ行こうかとも思ったがこの間の岸優太とのやりとりを思い出し、足は遠ざかる。
無神経だった、と反省した。岸優太があんな言い方をするのも無理はない。触れてはいけないところに土足で踏み込んでしまったのだ。知らなかったとはいえ、自分が情けない。
あれ以来、口をきく機会がないけれど、そのうち謝ろうか…そんなことを考えていると、曲がり角で人とぶつかりそうになった。
「あ…ごめん」
中村嶺亜が申し訳なさそうに道をあけた。この暑さなのに汗一つかいていない。日焼けとは無縁の白い肌はやけに涼しそうに感じた。
「大丈夫?重そうだけど。一緒に持とうか?」
中村嶺亜の手には大きな図鑑が山積みだった。華奢な彼の腕はその重みに震えている。
図鑑を一緒に図書室まで運ぶ。図書室には人はいなかった。司書もどこかへ行っているらしく完全に無人だ。
図鑑をカウンターに置くと、中村嶺亜は安堵したように溜息をついて腕をさする。そこに青い痣があった。
「もうすぐ夏休みだね」
廊下を一緒に並んで歩きながら、中村嶺亜が言う。
「あんまり嬉しくないけどね。俺にとっては学校に来てた方が気が楽だから」
素直な自分の気持ちを吐くと、中村嶺亜はふっと笑った。その後で寂し気な表情で呟く。
「高橋、転校するんだね」
「みたいだね…。本人は今度の陸上の大会にかけてるみたいだよ。転校先には陸上部がないって…」
「寂しくなるね…」
中村嶺亜は消え入りそうな声で呟いた。羽生田拳武は黙って頷く。
ふと視線を向けるとそこには向日葵が太陽に真正面から向き合っていた。
羽生田拳武と中村嶺亜はその花を見つめながら、それぞれに胸に抱く複雑な思いを走らせた。
向日葵は微笑むようにその金の花びらを揺らめかせた。

616ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 20:47:06.24 O
読む度続きが気になる!

作者さん本当に素晴らしい大作をありがとう!
617ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 21:35:17.98 i
更新キタ?
こんなに読み応えのある作品本当にありがとう!

しおり失礼
>>509>>510>>548>>549
>>558>>559>>560
>>585>>586>>587
>>598>>599>>600
>>613>>614>>615
618ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 21:36:45.28 O
作者さん毎日ありがとう
展開が読めませんw
619ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 23:02:05.80 0
>617

乙っす
見返してみた
>>328>>329追加で
620ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 23:46:11.14 i
621ユーは名無しネ:2012/06/04(月) 23:49:15.86 O
なんとなくだが
『俺のれいあ』ってより
『くりちゃんはぁ、渡さないもぉん』って
腕にしがみついてるんじゃないかと
クリエで思った。
622ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 00:02:59.39 i
作者さんおつです!いつもありがとう!
いつもの楽屋劇場とかの作者さんかな?
わかんないけど、他の作者さんもどんどんカモン!
623ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 00:28:48.40 i
今また最初から読んだ
すごい読み応えあるしどんどん引き込まれる
すごい作品をありがとう!
624ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 00:32:09.14 0
BLゲームの設定とかにパクられそう(w
625ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 01:52:09.74 0
さあさ編集共さっさと実現させろお
626ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 08:35:10.68 0
>621
なんじゃそりゃくっそ萌えるわ


しおりすげえありがたい
サンクス
627ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 19:27:28.30 0

少年達の未熟で繊細な心の中を不協和音が奏でて行く
だがぶつかっている音もまた、和音であると音楽家は言う
青いメロディがぶつかり合い、鮮やかなトーンクラスターを放つ


「昼メシそんだけ?」
食堂でうどんをすすっていると通りかかった倉本郁と羽生田拳武が戦利品の調理パンを抱えて高橋颯に問いかけた。
「今月あんまり金ないから。弁当も作ってくれないし」
汁の残りを流し込み、高橋颯は答えた。それに、この暑さもあるが今食欲がない。
「しっかり食べとかないといい記録も出ないぞ」羽生田拳武がサンドイッチをかじりながら諭す。
「あ、それこないだ俺が言った」
倉本郁は羽生田拳武を指差してパンを口にする。今日はおごってくれる気はなさそうだ。
その倉本郁が何かを見つけ、手を振った。
「おいここ空いてるぞ、岸」
倉本郁はカレーライスの乗った盆を手にうろうろしている岸優太を呼んだ。
高橋颯は少し神経に緊張が走る。
「ここのカレー、量少ないよな。450円でこれはないだろ」
羽生田拳武が岸優太のカレーライスを覗きこみながら言う。岸優太はやきそばよりはコストパフォーマンスがいいと主張した。
「毎日毎日嫌になる暑さだよな」
岸優太が自分の額に流れる汗に目を細めながらぼやく。頷いていると、倉本郁がやきそばパンの最後の一口を口に放り込み、羽生田拳武を指差しながら、
「夏休み入ったらさ、みんなで海かプール行かね?こいつ予備校詰めでストレス溜まってるしその息抜きも兼ねて。どっかで時間作れんだろ。高橋の引っ越しだって8月なんだろ?」
「ああ、うん。いいね。大会が終われば俺は部活出ないし。岸も野球部の甲子園予選の合間とかあるだろ?」
高橋颯は岸優太を見た。しかしその表情は優れない。
そして彼は硬い声でこう返事をした。
「いや…俺はいいや」
いつもの岸優太ではないことは明らかだった。ガラス玉のようなブラウンの瞳に翳りが宿っているのを否がおうにも高橋颯は感知する。
見えない壁ができたようだった。
そしてその壁を作ってしまったのは他でもない自分であることを高橋颯は自覚していた。

628ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 19:28:11.62 0

放課後の誰もいない教室で谷村龍一は一人残ってルービックキューブを動かしていた。
いつもなら、図書室で予備校に向かうまでの時間自習をしているのだが、図書室に向かう気にはなれない。あれから大分精神的にも落ち着いたと思っているがしばらく行くのは控えよう、と思う。
かしゃかしゃと、渇いた音をその6面立体パズルは奏でる。この無機質な音と鮮やかな色彩は不思議と安らぎを与えてくれる。行き詰るとよくこれを動かして落ち着きを取り戻していた。あの時は、それを忘れてしまうほどに追い詰められていたのかもしれない。
不思議なことに、自分を取り戻しつつあるのは、栗田恵の影響があるのだと谷村龍一は確信していた。
栗田恵の取り乱した姿を目の当たりにして、苦しみと哀しみと、そして闇を抱えているのは自分だけではないことを知った。
どんなにあっけらかんとしているように見えてもそれぞれの悩みというものが存在する。それを垣間見たことで、精神的な安定が促されたのだ。皮肉といえば皮肉な話だが…
栗田恵のことが少し気になった。あんなに我を忘れるなんて、一体何があったのか…
風の噂で、暴力沙汰を起こしかけて指導室行きになったと聞いたがそのことと関係あるのだろうか。岸優太は「中村のことか?」と訊いていたが…
しかしながら、無関係の自分がそんなことを詮索したところで無意味な気がした。だから思考を打ち消した。
ルービックキューブは綺麗に揃っていた。
「あれお前今日は窓に立たねえのな」
からかうような声が聞こえて、谷村龍一は顔をあげた。神宮寺勇太だった。
「お前さ、死にたいとか思ってる訳?」
神宮寺勇太は近づいてくる。
「…いや…」
「悪ふざけにしちゃ、危険すぎんだろ」
腕を組み、神宮寺勇太は見下ろしてくる。正論ではあった。
「お前も羽生田もストレス溜まってるって顔してんな」
神宮寺勇太は窓際に立った。その自信に満ちた表情が少しずつ変化してゆく。谷村龍一はそれをぼんやりと見つめた。
「俺みたいになる前に、適度に発散しといた方がいいぞ」
言っている意味が、谷村龍一には分からなかった。
ただ、その時の神宮寺勇太はまるで迷子になって泣きそうになっている小さな子どものような目をしていたことだけははっきりと認識できた。

629ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 19:28:43.83 0

定期券を改札機に滑らせて、中村嶺亜は駅から続く通学路を歩く。この時間帯でも紫外線はまるで凶弾のように降り注いでくる。できるだけ日陰を選んで歩いた。
足取りは、この上なく重かった。自分を取り巻き始める黒い煙に恐怖に似た感情を抱く。何かが狂ってしまっている。いや、そうではなくて自分が狂わせた…その罪悪感と自己嫌悪…
その中で、一つの回想が脳裏をかすめる。あれは、確か2か月ほど前…5月の少し汗ばむほどの陽気の中…

その日の昼休み、いつものように中村嶺亜は栗田恵と向かい合って昼食を食べていた。中村嶺亜は作ってもらった弁当を、そして栗田恵は購買で買ってきたパンをそれぞれ口にする。
「今日さ、学校終わったらどっか行こ。ゲーセンとか買い物とか」
栗田恵がサンドイッチをむしゃむしゃと頬張りながら言う。中村嶺亜は「え?」と目を見開く。
「部活は?もうすぐ練習試合近いって…」
「辞めた」
栗田恵は極めてあっさりとそう答えた。
寝耳に水だった。栗田恵はサッカー部のエースストライカーだ。この学校のサッカー部は県でベスト8には入る強豪校で、彼はそこで一年生の時からレギュラーで活躍している。
その彼が、何故部活を今、辞めるのだろう。
怪我?それとも何か部内でいざこざでもあったのか…
「なんで?なんで辞めたの?何かあったの?」
身を乗り出して訊ねると、栗田恵はへへっと笑う。そして引き出しからノートを取り出してそれをびりっと破った。その破片に何か書いている。
ややあって彼はそれを中村嶺亜に見せた。そこにはこう書かれていた。
『お前ともっと一緒にいたいから』
中村嶺亜は驚いてメモと栗田恵を交互に見据えた。栗田恵はいたずらっぽく笑って満足げにサンドイッチの続きを口にしている。
「そんな…勿体ないよ。あんなに期待されてるのに…別に部活辞めなくても毎日学校で会え…」
「サッカーより大事だから」
中村嶺亜の言葉を遮って、栗田恵は断言するように言った。
「一秒でも惜しいんだ」
「…」
中村嶺亜は顔が熱くなっていくのを自覚する。
いいんだろうか、本当に…。
そんな不安がないと言えば嘘になるけれど、それでも中村嶺亜は栗田恵の気持ちが嬉しかった。
「でも、なんて言って辞めたの?まさか僕達のこと話したわけじゃないでしょ?」
小声で中村嶺亜は栗田恵に耳打ちした。
「うん。表向き勉強が忙しくてっつっといた」
「それ、一番嘘っぽいよ…」
呆れながら、栗田恵らしさに笑いが漏れる。栗田恵は破顔した。
「うんだからさ、一緒に考えてよ。それっぽい理由」

あの時は夢にも思わなかった。それが今、こんなことになるなんて…
すうっと体温が自分から逃げて行った。同時に目眩と頭痛。中村嶺亜は思わずこめかみのあたりを抑えた。
何人もの生徒が中村嶺亜を抜かして通り過ぎて行くそしてやがて人の流れは途切れてゆく。
遠くでチャイムが鳴っている。
行かなきゃ…遅刻してしまう…
その焦りとは逆に、どうしても足が動かなかった。

630ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 19:49:39.29 O
れあたんのことが気になって仕方ない…!

颯くん切ないいいいい

作者さん毎日ありがとう!
631ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 20:12:14.78 i
ぬおおおおおおおおおおお
作者さんありがとー!
632ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 20:52:32.14 I
れあたんとじんぐに何があったんだろうか…
岸くんと颯も気になるし…
633ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 23:27:45.17 0
作者さんありがとう。
く、くりちゃんが凄くカッコイイお
ますます続きが楽しみ
634ユーは名無しネ:2012/06/05(火) 23:28:00.91 O
栗ちゃんなんか切ない…
そして岸くん心配
635ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 18:06:33.26 0
他の作者さんたちがいなくなった
636ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 19:55:24.01 0
いいんだけどねえ
前の天真爛漫な神7メンバーの作品の方が好み
637ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 19:57:34.33 0

夏が少年達の若さを磨く。少年達はその分だけ傷つきやすくなる。
誰しも心に病みと闇を抱えている。違いがあるとすればそれを照らす光に導かれるかどうか…


昼休み。体育館にはいち早く昼食を終えた生徒がてんでにバスケットボールやバレーボールをしたり隅で雑談をしたりして楽しんでいる。上履きがキュッと床に擦れ合う音が少しだけ暑さを和らげた。
岸優太と栗田恵はその片隅に座っている。岸優太の手にはバスケットボールがあったが掌に乗せて回しているだけだった。
「…中村はなんて言ってる?」
岸優太は栗田恵の横顔をみやりながら訊いた。栗田恵は貼りついたような無表情で答える。
「なんも。今日も風邪がまだ直らないから休むってだけ」
中村嶺亜はここ2日学校を休んでいた。夏風邪をこじらせた、と連絡があったらしいが本当かどうかは分からない。
「電話かけても出てくれないし、メールもそんだけ」
栗田恵は目に見えて落ち込んでいる。明るかった彼の姿は今はどこにもない。
「神宮寺がやったっていう証拠はないし、実際何をされたのかなんてとても訊けやしないけど、ただごとじゃないのは俺にも分かる。だけど無理矢理掘り返したらまた中村を傷つけることになるかもしれないし…」
岸優太があの日、旧校舎で目撃した中村嶺亜の姿は思い出すのも辛いぐらい悲壮に満ちていた。
あの後、なんとか彼を保健室まで運んだが結局何も訊けずじまいだった。その日の夜に「今日はごめんね」というメールがあったが、やはり岸優太には何があったか訊くことはできなかった。
岸優太は自分が目撃したものを栗田恵にも話していなかったが中村嶺亜に一番近い距離にいる彼が気付かないわけがない。あんな風に半狂乱になるのも無理はないだろう。
証拠はない。中村嶺亜本人も何も言わない。
しかし、それよりも確かな予感があるのもまた事実だ。
「…神宮寺に訊くしかないんじゃないのか…?」
岸優太がそう言うと、栗田恵は爪を噛んだ。神経が昂っている証拠だ。
「俺は冷静でいられる自信はない。今度こそお前らが止めてもそれでも殺すかもしれない。だったらいっそ何も聞かない方がいいのかもしれない」
栗田恵の声は少し震えていた。
それは、そうかもしれない。
知ってしまえば今度こそ取り返しのつかないことになるかもしれないし、そうすることで大切なものを失うことだってある。だったらもう、気付かないふりをして、知らんふりをきめこんで今までどおりに過ごすのが最善なのだ…。
「なんでなんだろうな…」
岸優太は疑問を吐く。その疑問はしかし何かに対してではなく、どうしてこうなったのかというぼんやりとした不安のようなものだった。
掌の上にのせたバスケットボールは岸優太の大きな手から逃れ、小さくバウンドして転がって行った。


638ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 19:58:02.87 0

「あんまり無理はするな。気持ちは分かるが、体調を崩したら元も子もないだろう。たまには息抜きをしなさい」
昼休み、担任に呼びとめられて谷村龍一はそう声をかけられた。返事をして、頭を下げる。
体調はまだ万全とは言えない。5限の体育の授業は大事をとって見学することにした。木陰のベンチに座り、レポートのためのメモを取る。他の生徒は南中高度の太陽の下、汗まみれでサッカーをしている。
眩しく照らす太陽。そこから逃れるように陰に佇む己がなんだか妙に滑稽だった。遠くにぼんやりと見える太陽の花…向日葵に憧れに近いものを抱いた。
やりきれない思いを抱えていると、ふいに風が吹き抜ける。レポート用紙が飛ばされ、谷村龍一は慌ててそれを追った。レポート用紙は校門近くまで飛ばされていた。固く閉ざされた門扉に遮られ、その格子に貼りつくようにしてもがいている。
それを手にしようとして、気がついた。
校門の向こう…そこは緩やかな下り坂になっている。春にはそこに桜並木ができる。今は青々とした緑の木々で、木陰を作って通学路の暑さを緩和してくれている。
「…?」
そこに、人影があった。
思わずその名を呼んだ。
「中村!」
中村嶺亜とおぼしき人影は、谷村龍一の声に驚いたように体を震わせた。
早退したのだろうか…しかしその割に去って行く様子もない。荷物も持っていない。それに制服姿ではなかった。
ややあって、中村嶺亜はゆっくりと校門に歩み寄ってきた。
話ができるぐらいの距離になると、谷村龍一は疑問を率直にぶつける。
「何してるの?遅刻?早退?」
格子の向こうで、中村嶺亜は力なく首を振った。
なんだか、消え入ってしまいそうな儚さがあった。真夏の蜃気楼に攫われてしまいそうな…
「谷村…」
ほとんど聞きとることができないくらい、掠れた弱弱しい声だった。
中村嶺亜は谷村龍一を見つめる。
「僕は…」
彼が何を言おうとしているのか、谷村龍一は聞き逃すまいと聴覚を研ぎ澄ませた。
白い肌が、太陽の光を受けて透き通るような色彩を放つ。
それはこの上なく繊細で、触れた瞬間に消えてしまいそうな印象を谷村龍一に与えた。
谷村龍一は格子の隙間から手を伸ばした。


639ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 19:58:42.76 0

手渡された用紙を持つ手が汗ばんでいる。それは暑さのせいではない、緊張しているせいだと素直に認めた。
溜息を一つつき、用紙を開く。文字と数字の羅列…しかしながら羽生田拳武の視線は一番重要な部分だけを捕えた。
「…B判定、か…」
可もなく不可もなく、という結果に安堵してしまっていることは確かだ。こんな紙きれが自分の存在価値を握っているかと思うと少し腹がたってくる。だが、そんな愚痴をこぼしても仕方がない。
先月受けた模擬試験の結果が収められた用紙は学級委員の手から無遠慮に返ってきた。担任は出張で今日はHRはない。誰の手から返ってきても結果は同じだ。だからその点については差しさわりはない。
今日は泳げるかもしれない。模試の結果もそうひどくはなかったし、予備校の授業も少しぐらい遅刻しても罰は当たらないはずだ。鞄を掴んでまっすぐプールに向かった。
青い水面がきらきらと光っている。おいでおいでと手を振っている気がする。羽生田拳武ははやる気持ちを抑えてプールサイドに立った。
意外な人物がいた。
「なんでこんなとこにいるんだ?」
思わず、そうこぼれた。羽生田拳武の声に振り向いたのは神宮寺勇太だった。左目の周りの青痣がまるで陰のように見えた。
神宮寺勇太はサッカー部のはずだ。しかも、彼のクラスはまだHRが終わっていない。担任不在の羽生田拳武のクラス以外にHRが終わっているクラスはなかった。
「いちゃ悪いかよ」
機嫌の悪そうな声だった。首筋にかけられた細いシルバーのネックレスが反射している。
「意外すぎて。水泳部に転部?」
飛び込み台に腰掛けながら冗談っぽく言うと、神宮寺勇太は鼻を鳴らす。
「俺はサッカー以外興味ない」
「だろうな。だったらなんで?」
「水でも被れば頭冷えるかと思ってな」
少し意味ありげな言い方だった。そういえば…と羽生田拳武は思い出す。神宮寺勇太の左目の青痣の原因…彼はつい先日栗田恵と殴り合いの喧嘩をして指導室行きをくらったはずだ。
「栗田と揉めたって聞いたけど。そのことかな?」
羽生田拳武は彼ら二人の喧嘩の原因に関して大して関心はなかった。二人とも、あんまり穏やかな性格でもないしむしろ血気盛んと言ってもいいほどだ。どうでもいいことで殴りあうぐらいのことはあるかもしれない。
そんなことをなんとなく思っていると、神宮寺勇太の口からこんな言葉が漏れた。俄かには信じがたい内容だった。
「俺が奪われたものを別の形で奪ってやった。栗田の一番大切なものをこの手で傷つけた」
独り言のように呟いた後で、神宮寺勇太は羽生田拳武の目を見すえた。
「中村のことを滅茶苦茶にしようとしたんだよ」
嘘や冗談を言っている顔ではなかった。
羽生田拳武は中村嶺亜の顔を思い出す。最後に彼に会ったのは…そう、図書室まで図鑑を運ぶのを手伝った時…


640ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 21:04:45.57 O

だんだんと核心に迫ってきた感じだな…!毎日ドキドキする!

私はこの連載大好きです!作者さんいつもありがとう!

641ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 21:25:39.43 I
作者さん乙!
もちろん他の作者さんもどんどん来て頂きたいけどこれはこれで好きだよ
完結までじっくりお願いします

それにしても今日の少蔵は神7と同じラインに松倉がいたな
かといって他の神7麺が外される訳でもなし
ライン加入ってわけではなく二軍から少し上がってきた程度かな
それよりも岸くんが神7での曲+高校生組三軍のセンターを地味にやってたのが気になった
642ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 21:36:07.37 O
みんな同じ衣装で嬉しいな
643ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 21:39:36.59 i
>>641
それ気になった
いろいろ変動があったね

岸くんわき毛生えてきたぽかったから
そのせいで神7外されるのかしらと心配になったw

644ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 21:52:07.60 O
たぶん、収録で8時の枠を越えられるのが岸くんだけだから、8時までは神7で、8時以降は岸くんだけ残って高校生組に入れてもらったんじゃないかな?
645ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 22:21:03.09 O
脇毛で外されるwwwwww
さあ次は誰の番だ!
646ユーは名無しネ:2012/06/06(水) 23:16:07.99 0
脇毛www剃ってるんだと思ってたけどまだ生えてなかったのか
まぁ>>644の理由だとは思うけど岸くんには神7に居て欲しいな
647ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 00:42:52.72 O
脇毛ペナルティwww
648ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 01:20:34.75 i
作者さん乙です!
楽しい作品ありがとう!
更新ある度にドキドキしてます。

他の作者さんももし作品あったらみたいな。

にしても…わき毛が生えたら神7卒業w
面白すぎるww
649ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 04:22:21.47 O
前もそうだったけど続き物の間って書き込み辛い
しかしいつもの作者さんに10日も会えてないのは寂しい
650ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 08:26:41.92 0
自由にやればいいのに余計なこと考えずぎ
651ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 14:16:20.63 0
ミヤネ屋で神7取り上げてるぞ!!!
652ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 14:34:03.49 i
>>651
内容kwsk
653ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 14:54:50.70 0
昨日のでしょ。
654ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 14:58:20.83 O
まあ昨日の今日だからやるだろうな
655ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 15:15:23.65 i
なんだAKBか釣られたw
656ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 20:06:50.53 0
どうでもいいけど挙武な

拳ではない
657ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 21:33:08.39 0
ここのスレの人たち今月の$誌読んだかな?
WとDは神7が対談してるし内容も盛りだくさんだぞ!
『彼氏にしたいJr.』ランキングで岸くんを1位に選んだ颯きゅんとか…
658ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 21:48:26.72 O
また岸くんが颯きゅんに対して安定の鈍感っぷり
659ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 21:49:54.45 0
彼氏にしたいもそうだし雑誌で見るページに岸くんて書いていたような気も…
660ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 22:11:02.07 O
颯きゅんはここにネタを提供してくれるなぁw
661ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 22:27:32.07 0
鏡と神せぶん
・岸くん
やっと待望のわき毛が生えてきたので鏡の前で日々観察
多分まだひげそりの必要はないがほうれい線をなんとかしたい
・ふうくん
鏡に向かってステージに立った時のキラキラ笑顔の練習
だがしかしそれが鏡ではなくマジックミラーで向こう側に鬼ヤクザがいることをうぶな彼は知ることはない
・神宮寺
カメラアピとファンサのウインクの練習
チャラいからセクシーへの路線変更の苦悩の日々
・はにー
全身が映る大きな鏡の前で日々ダンスの練習
と共に村木くんに奪われそうな藤ヶ谷モノマネも練習
・倉本
最近ますますまるっこくなってきているが気にすることなく食欲旺盛
まるっこいなりにかわいい笑顔の練習とかしてみようかなと思いつつジャンクフードをもぐもぐ
・れいあ
今日も鏡の前でお肌のお手入れ
ふと、後ろに某はぎや先輩がうつったような気がするけれど気のせいかなあと思いつつ
ちょっと怖いのでアホを呼び出しいつも通りイチャイチャ
・たにー
時々映らない
662ユーは名無しネ:2012/06/07(木) 22:29:16.21 I
颯きゅんw相変わらず愛しい
Wのくらもっさんなんて井上に公開告白だったからなあ
663ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 00:17:43.06 O
たにー鏡に映らないって時々魂抜けてるんじゃw
664ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 00:22:57.30 i
>>661
作者さん乙!
岸くんのわき毛、一時停止して凝視してしまったわ
赤飯たかなきゃw
665ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 03:17:12.30 O
今日は岸くんと高橋の2人で雑誌の撮影のため某スタジオに来ている。
2人での撮影、1人ずつの撮影、それぞれの取材が終わり、今は2人並んでアンケートに答えている。
雑誌スタッフは席を外している。

「ふう…」
岸くんの呼び掛けに高橋がそちらを見ると、岸くんが目を閉じ唇を突き出してピヨピヨしていた。
ふざけているのかと思ったがどうやら本気でキスをねだっているらしい。
2人での撮影の時、必要以上にひっつくポーズが多かったためその気になってしまったようだ。
「岸くん、お仕事中にムラムラしちゃダメでしょ。最後の方何かコツコツ当たってたよ。」
と、ピヨピヨしている所にかっぱえびせんを差し入れた。
「だってあれは…颯が腰の所触ったり、耳に息吹きかけたりするから…」
かっぱえびせんをモグモグしながら上目使いで見てくる。
「指示されたポーズしただけだよ。仕事中にイヤらしい想像しといて口ごたえするんだ?」
「ちが…ごめんなさい。そんなつもりじゃ…」
「口ごたえするような子にはお仕置きだよ。」
岸くんはお仕置きと聞いて目を輝かせている。
分かり易いな。かわいいな。と思いながら高橋は積み上げられていたバックナンバーの中から1冊抜き出した。
666ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 03:27:32.77 O
「はい。ここ音読して。」
「え…ヤダ……これ恥ずかしい…」
「恥ずかしくなかったらお仕置きにならないでしょ。ハイ!読んで!」
「……キ、キミというシ、SEASON
たいせ、大切な存在ってよくわからなくて
気づかないフリしてた…
(略)
forever ユ、ユ、ユ…ムリッ!」
「だ〜め。はい、頑張って。」
「forever YOU and ME
………………
見つけたあの光
逃さないように
(略)
キミのすべてが
僕の宝物…」
「よくできました。衣装汚しちゃうといけないから今はこれで我慢してね。」
高橋は岸くんに深いキスをする。
(ごめんね、岸くん。さっきの取材で羽生田の事ばかり話したよ。ちょっとはやきもち妬いてくれるかな…岸くん…)


岸くんは広げた雑誌の上で目覚めた。
雑誌撮影の合間に今月号のチェックをしようとして雑誌を枕に眠ってしまったらしい。
ふと見ると、高橋の顔のアップの上に涎の水たまりを作ってしまっていた。
「わわわわわ…」
必死で涎を拭きながら高橋のコメントを読む。
テーマごとにジュニアの名前を出して思い出やエピソードを語る企画だったが、そこに書かれていたのは、羽生田、羽生田、羽生田、岩橋、羽生田、中村だった。
どんなに探しても自分の名前はない。
はは、あいつらほんとに仲良いなぁと微笑ましく思いつつもなぜか胸がモヤモヤと重苦しくなる。
そんな気持ちを拭い去るように岸くんは涎を拭き続けた。
数十分後、そのベロベロになった雑誌を見た神宮寺が「こんなとこで颯オカズにオ○ニーしたやつ誰だよ!」と騒ぎ出すなど夢にも思わずに…

おわり
667ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 03:30:12.51 O
special thanks 前歯

お茶もありがとう
668ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 03:38:02.06 i
作者さん乙です!
岸颯たまらん…
甘えん坊岸きゅん可愛すぎる…
669ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 04:18:10.56 O
お仕置きもっと引っ張ろうかと思ってたけど前歯のポエムに脱力してさっさと切り上げてしまった…
670ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 04:23:10.21 0
夢オチドM岸くんの人じゃないか待ってたよww
前歯もケントティ-然りポエム然りこんなところで羞恥プレイに使われてるとは夢にも思うまい
671ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 07:42:52.13 O
プレイのネタに使われるポエム先輩すごいw
672ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 14:58:58.69 0
ピヨピヨがかわいいピヨピヨ
673ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 18:22:55.32 I
久しぶりに見たかったwさんくすです
674ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 20:51:19.62 0
岸くんは颯くんと新芽でいるために身長伸ばしてるのさ
675ユーは名無しネ:2012/06/08(金) 22:30:42.22 O
健気なドMの岸きゅん…w
676ユーは名無しネ:2012/06/09(土) 09:37:45.25 0
そろそろ神7全員でジュニランのコーナーに出演して欲しいよ!
皆でここにリクエストしてみませんか

「ジャニーズJr.ランド」では、皆さんの番組に対するご意見・ご感想を募集しています。
http://ow.ly/bgkQy
677ユーは名無しネ:2012/06/09(土) 23:23:39.03 0
学園モノの大作書いてた作者さんはお休み中かな?
確かに明るくはない作品だけど、読み応えあるしアホがかっこいいしで続きがとても楽しみだお!
無理しない程度に頑張って〜楽しみにしてます!
678ユーは名無しネ:2012/06/09(土) 23:33:29.35 O
いつもの作者さんも学園物の作者さんも鬼ヤクザ好きの作者さんもお休み中で寂しいね。お休みしてるだけだよね?
679ユーは名無しネ:2012/06/09(土) 23:42:26.20 0
どうだろね…
なんかやな感じのレスついてたから心配
680ユーは名無しネ:2012/06/10(日) 00:28:00.57 0
あげ
681ユーは名無しネ:2012/06/10(日) 00:38:43.24 i
作者さんいつも面白い作品ありがと
もちろんマイペースでOKですが
心から更新まってるよ
682ユーは名無しネ:2012/06/10(日) 15:48:05.31 0
>676
リクしてきた
神7たちで牧場で乳搾りして欲しいって書いてきた
683ユーは名無しネ:2012/06/10(日) 16:02:37.86 O
乳搾りエロス
神宮寺意味ありげに騒ぎそう
れあたんヤバイ…
684ユーは名無しネ:2012/06/10(日) 18:34:38.15 I
作者さんは土日休みかね?
685ユーは名無しネ:2012/06/10(日) 19:01:18.61 0
>635>636>649>656
多分同一人物だと思うけど…
ネチネチと粘着されだしたから避難したのかも…先週の土日は投下あったわけだし
686ユーは名無しネ:2012/06/10(日) 19:29:22.21 0
先週したからって今週も出来るとは限らないだろ
いちいち催促するようなことやめろよ意地汚い
687ユーは名無しネ:2012/06/10(日) 19:47:44.61 0
催促ではなく心配
688ユーは名無しネ:2012/06/11(月) 00:20:32.83 0
前にここで神7でとびらのムコウをってあったよね
それが実現されただけでなんかうれしい
689ユーは名無しネ:2012/06/11(月) 10:03:03.82 0
>>685決め付けよくない
雑談でもしながら待てばいい
690ユーは名無しネ:2012/06/11(月) 14:15:22.22 O
>>688
ニヤニヤしちゃったね
ここではモジモジかわいかった颯くんがまさかひったくりしちゃうとは思わなかったけど
691ユーは名無しネ:2012/06/11(月) 15:38:59.19 0
鑢もいいけど急行曲やってって
こことかズニランスレで言ってたらクリエで叶ってウレフィス
692ユーは名無しネ:2012/06/11(月) 22:49:34.44 0
そして誰もいなくなった
693ユーは名無しネ:2012/06/11(月) 23:40:34.16 I
今日は蔵収
694ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 19:05:58.59 0

太陽が眩しい笑顔で少年達を見る。少年達は時にその眩しさから目を逸らし、影へと向かう。
そうしてあのまばゆさをひどく昔のことのように思うのだ。


汗と砂ぼこりでどろどろになった全身を抱え、岸優太はグラウンド整備を終えて片付けを始める。昼間はあんなに激しく、突き刺すような紫外線を放っていた太陽も今は溶かされたバターのようになっていた。
夕暮れの祈りが聞こえるようだった。
ブラスバンドの音が微かに漂ってくる。彼らはまだ練習が続いている。野球部よりもずっと活動時間が長い。倉本郁も、普段は少しおどけているがその厳しい練習に文句一つこぼさない。それを今、少し尊敬した。
「おいどうしたんだよ。帰んねえの?」
野球部の友人に尋ねられて、岸優太は先に帰っててくれと返す。
なんとなく、校門に足が向かなかったこともあり、岸優太は屋上へと上がった。そこで色んなことを考えよう、と思った。気分が冴えない時、岸優太は屋上へ向かう習慣があった。
同じ習慣をあいつも持っていたっけ…「ナントカと煙は高い所に昇りたがるって言うよな」と笑いあった日のことを思い出した。
考えよう、と岸優太は決意する。
高橋颯のこと…
神宮寺勇太のこと…
中村嶺亜と栗田恵のこと…
何かが、ほんの些細な歪みが原因で狂ってしまっているような気がした。傷つけて、傷つけられて…傷つきたくないからそこから目を逸らして…
そこまで分かっているのに、実際は何一つ確かなものはない。もどかしくてたまらなかった。
階段を登りきる。屋上に通じるドアを開けるとキイ…と金属が軋む音がたつ。
視界が開ける。もう太陽はかなり痩せ衰えていた。頼りなく射すオレンジ色…
影が伸びていた。
「高橋…」
岸優太はそこにいた影の名を呼んだ。その声に振り返り、高橋颯もまた岸優太の名を呼んだ。
「岸…」
どうしてここにいるんだ、という疑問はなかった。ここにいるということは高橋颯にも考えたいことがあるのだ。同じ習慣を二人は持っていた。
自分の胸のなかに痛みが生じる。それと向き合うことができなくて、岸優太は高橋颯に背を向けた。
「岸!」
引き返そうとした岸優太を高橋颯は追ってくる。階段の途中で追いつかれ、腕を掴まれた。
「岸、あのさ…」
息を乱しながら、高橋颯は何かを伝えようとする。だが岸優太はそれを聞かなくてはいけないと思う一方で、聞きたくないと強く反発する。どうしてなのか自分でも分からない。
だけど、そう…自分の中でも何か歪みが生じてしまっている。だから岸優太は考えるよりも先に口が動いていた。
「なんなんだよ、何が言いたいのか知らないけど、俺が高橋と話したいことなんかなんもないよ。お前にとっては俺なんか話したことも曖昧になるくらいどうでもいい存在だろ!」
違う、と岸優太は自らの言葉に否定をする。
だけど駄目だった。何がどう違うのか、それを冷静に組み立てることができない。感情が付いてこない。
高橋颯の手が岸優太の腕から離れた。
岸優太は逃げるように校舎の中を走り抜けた。

695ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 19:06:17.56 0

楽器というものは不思議な道具だな、と倉本郁は時々思う。
自分が息を吹き込む。それだけでメロディーが流れ、世界が作られる。組み合わせ次第で無限に広がって行く。
己自身を楽器とする声楽にはまた別の表現や世界があるのだろう、倉本郁にはそれは未知の領域だから知る由もないがどこかで通じるものがあるのかもしれない。
気持ちが音に現れる、というのは倉本郁はまだ半信半疑だ。「心をこめて」という指導を今の指導者はしない。心はいつだってこめられている。それを音にするのはやはり技術だ。日々の弛まぬ努力こそが美しい音色を奏でる唯一の方法である。
だけど、時々思う。
楽器は、今の自分の気持ちを代弁してくれるものかもしれない、と。心が乱れている時にはどこかでそれが音色に現れる。そんな些細な変化を聞きわけられる人間などいないのかもしれないけど…。
そんなことを思いながら今日も音楽室に向かう。練習はいよいよ佳境に入ってきている。気を引き締めなくてはならない。
渡り廊下に差し掛かると、そこでぼんやり立ちつくしている神宮寺勇太を見かけた。窓の桟にもたれかかって景色を眺めている。
「何物思いに耽ってんの?キャラじゃねえよ」
肩を叩きながらそう茶化すと神宮寺勇太は軽く蹴りを入れてきた。
倉本郁は部活の休憩時間に飲む飲み物を予め自販機で買うことにしている。神宮寺勇太もそれに倣って付いてきた。
「毎日夜遅くまで御苦労さんだな、吹奏楽部」
「まーな。これに文句言ってもしゃあねーよ。秋には普門館っつう目標があるからこそだよ。長けりゃあと3カ月は続くし」
「フモンカンって何だ?」
「野球で言う甲子園みたいなもん」
ふうん、と神宮寺勇太は興味なさげに呟く。
「いいよなお前らは。俺らサッカー部はゴタゴタばっかだ。インターハイ予選だって出られるかどうか…」
珍しく神宮寺勇太は声のトーンを落としていた。サッカー部は県内でも強豪のはずだったが今年は色々問題をはらんでいる…らしい。
「去年は楽しかったなあ…」
遠い目をして、頭の後ろで手を組み、神宮寺勇太はそんなぼやきを口にした。その後で唇を噛みながら、
「あいつがいきなり辞めたりしなけりゃ、今だって純粋にサッカー楽しんでられたのによ」
そういえば、そんなことがあったっけ、と倉本郁は自分の中にある過去の情報を記憶の引き出しから開けた。

696ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 19:06:36.69 0

通学路で選ぶとすれば、この学校は大ハズレだ、と羽生田挙武は思う。
駅からそう遠くはない。徒歩圏だし閑静な住宅街は歩いていて爽快でもある。だが、いよいよ学校に着くというところで坂道が立ちはだかる。季節がいい時には気にならないが夏は辛い。登りきるだけで汗が流れてくる。並木道になっているから陰ができるが気休め程度だ。
いつものことではあったが、今日は朝から暑さが厳しい。ポケットからハンカチを出して汗を拭いても追いつかなかった。
昇降口に辿り着くとほっとする。靴を履き替えていると、隣のクラスの谷村龍一が通りかかった。
「おはよう」
声をかけると、谷村龍一は顔を上げる。彼はいつもうつむき気味に歩くことを羽生田挙武は知っている。
「あ、おはよう」
教室に向かう途中で話をする。去年は同じクラスだったが今年は離れた。そのせいか、実に久しぶりに声を聞いた気がした。
「お互い予備校ばっかで息が詰まるな」
「うん。俺はこないだ体育の授業中に倒れちゃったから担任が、なんかやたらと心配してくる」
お互いの境遇が少し似ているからか、不思議と滑らかに会話ができる。
谷村龍一が倒れたことは知っていたが、あえて口には出さなかった。
「息抜きしろ、って担任には言われたけど、考えてみたら俺にはそういうのが何もないんだ」
羽生田挙武が、自分がまだ倒れずにいるのはその「息抜き」があったおかげかもしれないとぼんやり思っていると、谷村龍一が苦笑する。
「そういうの、見つけないといけないなと思って」
「そうだな」
羽生田挙武は頷く。
それは自分にも言えることだ。何かを失ったなら、また別の何かを手に入れなくては。
今日も暑い。教室にもクーラーを導入してくれたらいいのに、と羽生田挙武は思う。
暑さが、ただでさえも病んだ精神を余計に蝕んでいくような気がして羽生田挙武はまた汗を拭いた。


697ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 19:07:09.58 0

「そうか…。分かった。保健の先生にお願いしに行こう」
中村嶺亜が今日一日は保健室で過ごしたい、と申し出ると担任教師は保健室まで連れ添い、養護教諭に事情を説明してくれた。
独特の、薬の臭いが鼻をつく。決して好きな匂いではないが今は少し落ち着けた。
いつまでも休むわけにはいかない。親が心配するし、何の解決にもならない。
しかしそれでも教室へ向かおうとすると足が竦んだ。悩んだ結果、保健室登校を決めた。
「そこの机使っていいよ。疲れたら休みなさい」
「ありがとうございます…」
養護教諭は自分の仕事を始める。他に生徒はいない。有り難かった。
4限終了のチャイムが鳴ると、養護教諭は保健室を出て行く。中村嶺亜は自習を一旦切りあげ、鞄からペットボトルを出してソファにうなだれた。
大きく溜息をつく。そこでガラリとドアが開いた。養護教諭が戻ってきたのかと思ったがそうではなかった。
栗田恵だった。
「先生に、ここにいるって聞いたから…」
心配そうな顔で、栗田恵はゆっくりと近づいてくる。3日ぶりのその顔は、懐かしくもあり…
直視できなかった。
「なあ、何があったんだよ?神宮寺に何かされたんだろ?言えよ。そしたら俺が…」
「なんにも…ないよ」
声が震えてしまう。これではまるっきり正反対の印象を栗田恵に与えてしまう。その通り、彼は中村嶺亜の腕をつかんでまくしたてるように叫ぶ。
「頼むから教えてくれよ!このままじゃ俺気が狂いそうだよ!お願いだから!!」
必死の形相に、申し訳ないという気持ちと、助けてほしいという願いという葛藤が大渦となってこの身を飲み込もうとする。
だけど、話そうとしても声が出ない。
自分の中でどうしていいのか、まだその結論が出ない。だから、栗田恵の願いに答えることができなかった。
自分の意志とは無関係に涙が溢れた。
「ごめん…ごめん…」
「だから何がごめんなんだよ!お前が謝ることなんか何一つないだろ!俺は…」
「なにやってるの!」
養護教諭の怒鳴り声が飛ぶ。栗田恵が中村嶺亜に危害を加えようとしているのではないかと勘違いした養護教諭は彼を激しく非難した。通りかかった他の教師が栗田恵を保健室の外へと連れ出した。
「中村!!」
悲鳴のような栗田恵の声に、中村嶺亜は耳を塞いで嗚咽を漏らした。

698ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 20:53:25.71 i
きたああああああああ
699ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 20:54:48.34 0
ぃよっしゃああああああああああああああああああああ
700ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 21:02:20.15 O
作者さんありがとう!
感激ひとしお
701ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 21:02:52.76 O

続きを更新してくれてありがとう…!ひそかに待ってました。
読めば読むほど気になって話に引き込まれていく…最終回まで見れるといいな。

702ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 21:03:38.24 i
うおおぉぉぉぉきたあぁぁぁぁぁぁ
待ってました作者さんありがと!
703ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 21:12:24.19 0
長かった…
長かったよおおおおおおおおう
704ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 22:26:25.59 I
久しぶりに…ありがとう!最高です!
705ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 22:42:04.00 i
待ってましたああああああああ更新ありがとうございますうううううううううう
706ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 22:51:37.79 O
『ふうくんのハナウタ』
うったっうたーううたうたったうたーう
んっふふんーふーふふー
ゆうたゆーうたゆーうたゆうーたゆーたー
ゆーたーゆーたゆうたゆーたゆーたー

ゆうたあああああああああああああ

…んっふふんーふーふふー
ゆーたゆたーゆーたきっしっゆっうた!
707ユーは名無しネ:2012/06/13(水) 23:58:48.80 0
れあたん…
切ねえよ…
708ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 00:58:25.91 0
栗ちゃんも切ない…
颯くん落ちつけ
709ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 07:17:48.85 0
重すぎてイヤだ
これじゃあ最後破滅しかないじゃん
710ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 07:28:08.43 0
作者さんありがとう
711ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 08:53:36.56 0
軽いのと重いのの切なさをかきたてていいかんじなのだが
エヴァ本編とシンジ補完計画みたいで
712ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 11:07:15.20 0
読んでて気が重くなるな
もっと明るいやつで行こうぜ
713ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 12:02:20.23 i
文句あるなら自分で書けよ
714ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 12:08:13.05 O
いろんな人いるけど、ほんとに楽しみにしてる人いっぱいいるから連載続けてください、作者さん

作者さん待ちの暇つぶしに
またかって言われそうだけど…
ワチャワチャ書きたいけど難しいんだよ
715ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 12:11:06.05 O
岸くん、高橋、神宮寺、羽生田、中村、岩橋の6人は雑誌で王子様をテーマに語った。
衣装がどうみてもホストだったが、そのことを口にするものはいない。

撮影が終わり、岸くんが鼻歌を歌いながら楽屋に戻ると高橋がうかない顔で鏡に向かっていた。
「颯、どうしたの?」
「岸くん…やっぱりオレ老けてるよねぇ?」

え、まだ気にしてたの?全然気にしなくていいのに。

そう思った岸くんは高橋を元気づけようと肩に手を置き明るく答えた。
「老けてるっていうか、大人っぽいっていうんじゃないの?こういう格好もすごく似合ってるし、かっこいいと思うよ。」
「え…かっこいい…?」
「うん。かっこいい!でも笑ってる時はかわいくってやっぱり中学生だなーって…」
「岸くん…」
高橋はガタッと立ち上がり、熱のこもった目で見つめながら岸くんに近づいて行く。
「えええ…なになになに…」
動揺して後ずさり、背中が壁にぶつかった岸くんの顔の両脇に手を付いた。
「オレ、ずっと岸くんのこと…」
衣装のせいもあり、妖艶な空気を纏っていて思わず息を呑む。
716ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 12:16:43.01 O
「え、颯…どうしたんだよ…オイ…」
岸くんは混乱した。

もしかして颯、俺のこと…?いやいや…男同士だし、仲間だし、まさかそんなこと…
でも彼氏にしたいジュニアで俺を選んでるんだよな…取材とか番組とかでもすごくいいように言ってくれるし、よく目が合うのに合ったらすぐ逸らすし、やっぱり…
いや、でもおと……俺は颯のことどう思ってる?嫌いじゃないよな?嫌いじゃない、むしろ…

高橋の顔がゆっくり近づいてきて岸くんはギュッと目を閉じた。

その時、「テッテレ〜♪」という声と共に「大成功」と書いたスケッチブックを持った神宮寺と羽生田が入ってきた。
「遅いよっ!」
高橋がパッと離れ、その場にへたり込む。
神宮寺と羽生田は、ポカンとしている岸くんに、
「ドッキリでした〜」
「岸くんはひっかかり易くて騙し甲斐がないな」
と声をかけ、嬉しそうに顔を見合わせニコニコしている。
あっけらかんとした態度に怒るのも恥ずかしくなり、高橋に視線を向ければ真っ赤になって携帯のマナーモードのように震えていた。
ますます何も言えなくなり、
「はは…颯もドラマとかいけるんじゃないの」とおどけてみせる。
「ごめんね、岸くん。あの2人にそそのかされて…メロンパン買ってやるって言うから……」
「まぁ俺が岸くん落としてやるっつったんだけどよ。羽生田Pがいや、ここは颯で!って譲んなくって、出来ないって言うのを口説き落としたんだよ。しかし羽生田Pの話術は凄かったね。あれはもうマインドコントロール…」
「まぁその話はいいじゃないか」

「でも気持ち入り過ぎたっぽい中の本気っていうかごにょごにょ」
高橋は誰にも聞こえないように小さな声でつぶやいた。


おわり
717名無し:2012/06/14(木) 13:52:07.96 0
皆にもやってみて欲しい!

この相性占い!
http://jozty.com/

皆さんの結果もちょっと気になっちゃうw
私はいま超旬なあの俳優M君だった。
おもしろいのでぜひやってみてください。
718ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 15:34:45.17 i
>>715>>716
面白かった!
撮影の時ちょうど颯くん誕生日だよな
素直な気持ちを伝えさせてやるっていう
はにゅなりの誕生日プレゼントかな
でもだったら「テッテレ〜♪」せずそのまま…w

719ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 17:16:57.85 O
気に入らなきゃ読まなきゃいいと思います
私は読んでません長いから疲れるから
全部読まなきゃいけない決まりも書いちゃいけない決まりないと思います
それより昨日の少クラでの神7の脇毛の無さが気になりました
岸くん脇まだつるつるじゃないかあああああああああああああ
720ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 18:19:40.51 O
あの程度が疲れるってこのスレにいる意味あるのか?
書いてくれる人あってのスレだし暗いだの疲れるだのわざわざ不愉快にさせる書き込みする奴ってこのスレ過疎化させようとしてるのか新手の荒らしかなんか?
まあこれだけ書ける人には変な粘着もつくかもしれんけどちょっと目に余るわ
721ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 18:33:49.01 O
別だがパロディ?パラレル?設定は苦手な人もいる
まあこのスレ全部妄想ではあるけど
>715はドM岸くんの人かな?今回もかわいい
722ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 19:00:39.08 0
文盲粘着荒らしは徹底スルーでいいだろう
723ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 19:05:09.19 i
長編作者さんも>>715作者さんも乙!
長編更新待ってた
荒らしは気にせずまたマイペースに更新してほしい

>>715さんも面白かった
ネタバラシもう少し待ってくれたら
晴れてカップル成立だったのに惜しい
724ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 19:12:18.78 0
書いてくれる人あってってのは本当にそうだな
現に長編作者氏が休んでる間は過疎化著しかったし
作者同士の刺激もあるだろうし読み手から書き手になる人もいるしやっぱ作者さん達はこのスレの宝です
725ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 19:57:20.19 0

美しいものほど、壊れやすい
壊れない強さが欲しい
手を伸ばす。永遠の青に


「なんだよ、俺に用って」
ポケットに両手を突っ込みながら、不貞腐れた感じで神宮寺勇太が現れる。岸優太は腰かけていた椅子から立ち上がる。
「中村に何をした?」
単刀直入に岸優太は訊ねた。
「は?」
「あん時お前、旧校舎の方から出てきたろ。俺には気付かないでそのまま行ってしまったけど…」
岸優太は旧校舎前で神宮寺勇太とすれちがったこと、そして旧校舎の体育倉庫の中で中村嶺亜を見つけたことを神宮寺勇太に話した。
中村嶺亜は保健室登校を続けていた。その初日に栗田恵が彼に事情を確かめようとしたが教師に誤解され、栗田恵は保健室への出入りと中村嶺亜への接触を禁じられた。
栗田恵が限界寸前にあることを岸優太は感じていた。だからせめて、自分が事情を訊こうとしたのだが…
「人のこと詮索してる場合かよ」
思わぬ返事が神宮寺勇太から返ってくる。しかし、岸優太にはすぐにその意味を理解することができない。
「どういう意味?」
訊ねると、神宮寺勇太は真剣な眼をして言った。
「高橋がなんでお前にだけ転校すること言わなかったのか、お前は分かんないのかよ」
「え…?」
「え、じゃねえよ。まさか自分だけ教えてくれなかったなんてガキみたいに拗ねてんじゃないだろうな?」
耳に痛い言葉だった。
神宮寺勇太の言うとおり、自分は子どものように身勝手な怒りを高橋颯に対して抱いた。そしてそれを態度に出してしまった…。
あれ以来、高橋颯とは口をきいていない。同じクラスだから毎日顔を合わせるがお互い避けてしまっているのは感じていた。
「もっともあいつはそんな態度表に出そうとしなかったからお前が分かんないのも無理はないけどな」
神宮寺勇太は意味ありげな言い回しをして、岸優太に背を向けた。
「待てよ、話はまだ…」
追いかけようとして、その言葉が耳に突き刺さる。
「明日栗田に全部話す」
神宮寺勇太は、ゆっくりと歩いて行った。
岸優太はただその背中を見つめることしかできなかった。

726ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 19:57:39.57 0

6限終了のチャイムと同時に中村嶺亜は保健室を出た。保健室登校はこれでもう4日目だ。いつまで続くのだろうと自分でも不安になった。
あと一週間ほどで夏休みに入る。そうすれば一時的に解放されるが根本的な解決には至らない。
暗澹たる思いを抱きながら昇降口に降りると予想外に生徒がまばらに降りてきていた。どのクラスもまだHRのはずだから少し不思議に思った。
「あ、中村」
後ろから声ををかけられる。それは倉本郁だった。
「HR終わったの?」
訊ねると、倉本郁は口元を吊りあげながら答える。
「俺ら吹奏楽部だけ抜けさせてもらってんだよ。今日ホール練習なんだ。ちょっとでも早くに着いて練習しなきゃなんないし」
「そう。がんばってね」
「中村は?なんか用事?」
「ううん。僕は…今教室に行ってないから」
正直に答えると、倉本郁は心配そうに見つめてきた。濁りのない瞳。それが今はひどく眩しく見える。
並んで歩きながら、中村嶺亜は倉本郁と話す。
「栗田が荒れてるって聞いたけど、なんかあった?」
「多分…僕のせい。僕がなんにも言わないから」
蝉の声に、自分の声が吸い込まれそうになる。倉本郁にちゃんと届いているかどうか心配になった。
倉本郁はしかしきちんと聞こえているようで、こう言った。
「なんで?お前ら誰よりも仲いいじゃん。いつも二人でいてさ。別々で見かけることなんかほとんどないのに。喧嘩したの?」
「喧嘩じゃないよ」
喧嘩なら、素直に謝っておしまいだ。しかしこれは全く別の問題だ。
一緒にいたいのに、一緒にいることが誰かを傷つけている。そこに気付かされたからもう前のようにはいられない。
それが、たまらなく辛かった。
校門を出る。緩やかな坂道が長く伸びている。その向こう側にある景色が揺らめいていた。密度の異なる大気が蜃気楼を作っている。
「喧嘩じゃないなら簡単じゃん。栗田を落ち着かせられるの、中村しかいねえよ。なんとかしてやったら?」
倉本郁は屈託なく言った。だがそれは、中村嶺亜の不安をより一層濃いものにした。
「僕が栗田と出会わなければ、今頃あの二人は笑っていられたかもしれない…」
倉本郁はきょとん、としていた。
中村嶺亜は来た道を振り返る。
無愛想に佇む鉄の塊が見えるだけだった。

727ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 19:57:56.74 0

HRでは夏休み前の進路相談についての説明が担任教師からされていたが栗田恵はその内容が全く耳に入ってこない。抜け殻のようになった魂が浮遊している。ただ暑さだけを感じていた。
神宮寺勇太への憎悪も怒りも、今はもう空虚に支配されてしぼんでいってしまった。彼に問い質したところで中村嶺亜はこの教室に戻ってくるわけではないという理解がなんとなくあった。そこに行きつくと不思議とあれだけ燃え盛っていたものは鎮火された。
廊下側の前から三番目の席を見つめる。一つだけぽっかりと空いた席…ほんの数日前は中村嶺亜がそこに座っていたのに…
栗田恵は中村嶺亜の顔を思い浮かべる。
会いたい
会って話がしたい。もう何があったかなんてどうでもいい。前のように無邪気に笑いあって、一緒にいて…それで十分だ。いや、それ以上も以下もない。望みはただ一つだけだった。
いつの間にか、HRは終わっていた。誰もいない教室を出て昇降口に降りる。靴を履き替え校門に向かった。
その途中で足が止まる。
グラウンドにはすでに部活動の生徒が活動を開始している。野球部、陸上部、バレー部…そしてサッカー部の姿が入れ替わり立ち替わり視界に現れては消えて行く。
テン、テン…と渇いたバウンド音がして足元にボールが転がってくる。サッカーボールだった。
ボールを追ってきた生徒と目が合う。サッカー部員は栗田恵の顔を見ると少し顔が強張ったがすぐに目を伏せ、ボールを素早く拾い上げると戻って行った。
複雑な思いでそれを見届けると、隣に人が立った。
高橋颯だった。彼は制服姿のままだった。
「部活は?」
栗田恵が尋ねると、高橋颯は視線をグラウンドにやりながらぼそっと呟いた。
「今部活やってもきっといい記録出やしないだろうから…」
その横顔はひどく寂しげで、栗田恵が高橋颯に抱いていた印象とはまるで違っていた。それが気になったのと自分自身の心境に投影して栗田恵は訊ねる。
「なんかやなことでもあったのか?」
高橋颯は目を細めた。
「…なんで言わなかったんだろう、俺…」
独り言のように高橋颯は呟く。栗田恵には何のことか分からない。
「何が?」
「なんで、岸に一番に転校するってこと言わなかったんだろう、俺は…」
それは疑問ではなく後悔のような口調だった。
高橋颯が転校することはどこかで耳にしていた。彼はそのことを、一番の親友である岸優太に報告しなかったことを悔いているということだろうか。
「そりゃ、言えないだろ」
栗田恵にはなんとなく分かった。もし自分が高橋颯の立場だったら…そう考えると自ずと答えは出る。
「でも、言わなきゃいけなかったんだ」
高橋颯は涙をこらえて、唇を噛んでいた。
栗田恵は黙ってそれを見つめた。
大好きな相手と離れ離れになることの辛さが、今の栗田恵には痛いほどに分かっていた。

728ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 19:58:27.59 0

放課後、自習をしようといつものように谷村龍一は参考書を開いたが、勉強する気は起きなかった。
HRの途中、何気なく窓の外を見た。谷村龍一の席は窓際だったから校庭と校門までの道が見える。吹奏楽部の生徒達がHRを早退してぞくぞく校外の市民ホールまで向かって行く姿の中に、中村嶺亜を偶然見つけた。
中村嶺亜が保健室登校をしていることを、谷村龍一は先日当番の日誌を届けに行った職員室で偶然耳にした。
「いじめというわけではなさそうですが…どうも栗田と何かあったみたいなんですね。保健室で栗田が中村を泣かせていたのを保健の先生と一年の担任が目撃してますし…」
「栗田は最近問題ばっかりですね。その前にも神宮寺といざこざを起こしてる。部活もいきなり辞めちゃうしどうしちゃったんでしょうね」
何の話だろう、と耳をそばだてたがそれ以上何も分からなかった。
あの日、校門の外で見た中村嶺亜を谷村龍一は思い出す。何かに怯えているようにも、不安を抱えてるようにも、助けを求めるようにも見えた。
だが谷村龍一にはどうして彼がそんな表情をしてあそこにいたのかが分からなかった。ただ無意識に手を伸ばすことしかできなかったのだ。
「瞑想か?」
声がして、谷村龍一はその方向を見やった。教室の入り口に羽生田挙武が立っていた。彼はゆっくり歩み寄ってくる。
「いや…ちょっと考え事」
「考え事?受験?進路相談?」
羽生田挙武は隣の席に座った。
「そうじゃなくて…ちょっと気になることがあって」
「気になること?」
谷村龍一は少し迷ったが羽生田挙武はあの二人とよく知った仲だし何か知っているかもしれない。そう判断し話してみた。
そこで想像だにしない答えが羽生田挙武から返ってくる。谷村龍一は耳を疑った。
「神宮寺が自分で言ったから間違いないと思う。俺も詳しくは知らない。だけど今一番危険なのは栗田だ。あいつが何をやらかすのか想像つかない」
閃光のように炸裂する記憶が蘇る。
栗田恵が取り乱した時、それを止めようとして岸優太がやってきた。その時彼が口にした言葉と栗田恵の反応…
それらが奇妙に符合した。
「あの時…」
何故気付かなかったんだろう…。
差しのべた手を、中村嶺亜は握らなかった。
だが、何がなんでもつかんでおくべきだったのだと後悔する。
掌には、汗が滲んでいた。

729ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 20:30:16.10 O
作者さん乙です
ほんとどうなるんだろう…
ドキドキします
730ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 20:35:26.38 0
心から更新サンクス!
作者さんいつも感謝感激岸優太!
ねちっこいのはスルーで以前のように作者さん賛美でゆるくいこうず
731ユーは名無しネ:2012/06/14(木) 22:49:42.57 O
感謝感激岸優太懐かしいwww
そういえば小さくなったふうくんが岸くんのポケットで暮らす話はどうなりましたか
732ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 00:36:08.03 O
作者さんありがとう
たにーかっこいいな…

ちっちゃくなった颯くんの話読みたいって言い出したの自分だwww
ちょっと真剣に考えてみよう
733ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 15:39:36.95 0
まじでれあたん心配だ
734ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 16:21:18.42 O
作者さんおつです
続き気長に待ってる!
そしていつもの作者さんもいつか戻ってきて欲しい

小さくなった颯くんの話実現したらいいなあ
735ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 19:57:14.46 0

遠く遥かな子守唄が聞こえる
じっと耳を澄ます
安らかな青の眠りへの誘いに


屋上で風に吹かれながら岸優太は頭の中をからっぽにしようと努めた。
一度何もかも全部消去して、新しい器を作る。そしてその中に自分の気持ちを詰める。
しかしながらそれはちっとも捗らなかった。そんなことがすぐできるなら今自分はここにはいないだろう。とっくに部活に行ってボールを追っている。
神宮寺勇太の言葉を反芻する。
「高橋がなんでお前にだけ転校すること言わなかったのか、お前は分かんないのかよ」
彼はそう言った。
何故高橋颯は自分にだけ言わなかったのか…
高橋颯本人は岸優太がそのことを問うと「言ったと思ってた」と軽く返してきた。それが自分にとって少なからずショックだったし理不尽な怒りもこみあげてきたことは確かだ。
自分は所詮高橋颯にとってその程度の存在だったのだ、という絶望感に似た思いもあった。
だけどそうではない…のかもしれない。
神宮寺勇太には分かっていて、岸優太自身にはその正解に辿り着くことができない。それが情けなくもあり、悔しかった。
高橋颯はどうして言わなかったんだろう…
頭の中はその疑問ただ一つになった。
「こんなとこにいた」
ふいに、後ろで声がして岸優太は思考が中断されて反射的に振り返る。
そこには声の主である羽生田挙武と、
高橋颯がいた。
「羽生田…高橋…」
岸優太が驚いていると、羽生田挙武が頭を掻きながら口をすぼめた。
「偶然にも二人とも岸に言いたいことがあってね。部活に出ていないみたいだから高橋がここだろう、って」
「…」
岸優太は羽生田挙武と高橋颯の顔を交互に見た。羽生田は少しばつが悪そうに唇の端を結び、高橋は辛そうに目を伏せていた。
「俺から先に言わせてもらっていいか?」
羽生田挙武は高橋颯に問いかける。彼は反応を示さなかったが羽生田挙武は岸優太に歩み寄る。
「こないだはごめん。無神経だった」
何の話なのか、岸優太にはすぐに分かった。何故なら謝らなくてはならないのは自分の方だからだ。無神経だったのも自分だ。
「それは俺だって同じだよ…ごめん。あん時全然気持ちに余裕なくて…」
「俺もだ。いつもなら、お前のそんな様子ぐらいすぐ気付いただろうけど、やっぱり自分の中になんか余裕がなかったんだろうな」
「謝らなきゃって思ってたんだけど、なんか色々あってタイミング逃してた…今更でごめん」
「タイミングが悪かったな。お互い」
羽生田挙武は笑う。岸優太は少し救われた気分だった。それが高橋颯と向き合う勇気をくれた…ような気がする。
羽生田挙武はフェンスにもたれかかりながら高橋颯を見た。それを受けて高橋颯が岸優太を見た。
どくん、と何かが鳴った。
それは心臓の鼓動だったかもしれないと岸優太は一瞬の後に気付いた。

736ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 19:57:49.16 0

「岸…」
高橋颯の声は掠れて震えていた。聞きとるのがやっとの頼りない声量だった。
「ごめん…」
それを言うのがやっとだと証明するように、高橋颯は泣いた。
岸優太は思う。
涙を止める方法があれば、今すぐ教えてもらいたいと。
自分にも言わなければならない言葉が沢山あるのに、それが全て涙に掻き消されていく。もどかしくて、情けなくて、唇を噛む。できることと言えばしゃくりあげながらただ高橋颯から目を逸らさないことだけ。
「しっかりしろよ、二人とも」
羽生田挙武が少し強い口調で諭した。
「今言わなきゃもう言う機会がないかもしれないぞ」
岸優太と高橋颯は同時に羽生田挙武を見る。彼は強い眼差しを空に向けていた。
高橋颯は腕で涙を拭った。
「ずっと…言わなきゃっ…て思ってたけど…どうしても…言えなかったんだ…」
途切れ途切れに、喘ぐように高橋颯は語りかける。
岸優太は黙って聞くことしかできない。
「言ったら…もう二度と会えなくなる気がした…離れるのが辛くて、考えるのが怖かった…」
その哀しみと向き合うことが高橋颯にはできなかった。
岸優太の存在が大きすぎてそれを失うことを受け入れるのを拒絶した結果、彼にはどうしても言えなかった。
言ってしまったら、その時から別れへのカウントダウンが始まる。だけど、言わなければそれは止まったままで、その日を迎えるまでは忘れていられる…
幼稚な発想ではあった…。無意味でもある。そんなことをしても転校するという事実は変わらないのだし岸優太自身にも少なからぬ傷を与えることになる。
だがそれは高橋颯の耐え難い辛さを緩和してくれる唯一の方法だったのだ。
「岸といるのが当たり前で…この先もずっと一緒にいられると思ってたから…」
それは岸優太も同じだった。
いつも隣にいた。
いつも、何かあったら一番に高橋颯に話していた。
離れることなど考えられない、そこにいて当たり前の存在…。
「でもそれが岸を傷つけることになるんなら、やっぱり一番に言わなきゃいけなかった」
岸優太が自己嫌悪に押し潰されずにいられるのは、高橋颯が真っ直ぐに自分の目を見つめてくれたからだ。
その目には、あの日屋上で出くわした時に吐いた自分の子どもじみた暴言への非難は微塵もなかった。それが今の岸優太にとってどれほどの救いだったか…
「ごめん、高橋…」
上手く声に出せていたか自分でもよく分からなかった。
だが岸優太は続けた。
「俺はお前の気持ちちっとも考えようとしないで…自分のことしか見えてなくて…。なんで話してくれないんだってそれしか考えられなかった」
「ううん。」
高橋颯は首を振った
「俺が岸に訊かれた時、ごまかしたから…あの時ちゃんと謝ってれば良かったのに…」
悔いるように眼を伏せた後、高橋颯は言った。
「でも、岸があれだけ怒るってことは、それだけ俺のことを大切に思ってくれてたってことだって気付いた。だからやっぱり言わなきゃいけないって思うことができたし、このまま別れるのは嫌だったから…」
その感情の名は、高橋颯本人にも分からない。
きっと、言葉や文字で明確化できないものなのだろう。
岸優太は高橋颯の気持ちが嬉しかった。高橋颯の目にはまだ涙が溜まっていたが、彼は微笑んだ。
久しぶりに見たその笑顔に、岸優太も自然と笑いがこぼれた。
「とりあえず、涙はともかくそのみっともない鼻水を拭けよ」
すっとハンカチが差し伸べられる。羽生田挙武からだった。
岸優太はその心遣いが嬉しくて、また別の涙が押し寄せてきたがそれをこらえるべく思いきり鼻をかむ。すると羽生田挙武が「うわ」と目を見開きながら、
「そのハンカチ返さなくていい。次使う気になれないから」
と掌を突きだした。
高橋颯は声をあげて笑う。
岸優太も笑う。
羽生田挙武も浅い溜息をついた後、歯を見せて笑った。


737ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 19:58:52.60 0


描かれた8本の青い線は交じりあう。そしていつかは一本の線になる。


旧校舎の裏。誰にも忘れられた壊れかけたベンチ。そこから歯車は狂って行った。しんとした中に渦巻く歪んでもつれた感情がぶつかり合う。神宮寺勇太と栗田恵はそこでお互いを真正面に捉えた。
「俺が中村に何したか教えてやるよ」
神宮寺勇太は静かに旧校舎を指差した。そしてゆっくりと語り始める…


「栗田?」
中村嶺亜は栗田恵からのメールで旧校舎の中の体育倉庫にやって来た。ほんの数日前、神宮寺勇太に呼び出された場所でもある。そこでの出来事を彼はなんとなく察して気にしている。だが中村嶺亜は話さなかった。
しかし神宮寺勇太が化学の時間に何かを栗田恵に囁いたらしく彼ら二人は授業中に殴り合いの喧嘩をしてしまった。
だから、そのことを問われるかもしれないと思いながら足を踏み入れる。
だけど、と中村嶺亜は思う。
何故栗田恵はこんなにまわりくどいことをするのだろう、と。
彼らしくない。訊きたいことがあればこんなところに呼び出さずともいつでも訊けるのに…しかもわざわざメールで…
メールの内容を、もう一度確認する。
『委員会中止になった。話したいことがあるから旧校舎の体育倉庫に今すぐ来て』
栗田恵は体育委員だ。その委員会が放課後にあり、中村嶺亜は図書室で自習をしながらそれを待っていた。そのわずか10分後である。
(昼休みに携帯がないって言ってたけど…見つかったんだ…)
疑問符を打ち消すその前に、いきなり腕を後ろから引っ張られた。
何だ、と思う間もなくマットにねじ伏せられる。すごい力だ。一瞬で腕力の差を思い知らされるような狂暴さ。思わず顔を上げた。
神宮寺勇太だった。
「神宮寺…?」
何故彼がここに…?
「よお」
神宮寺勇太は冷たい眼で中村嶺亜をとらえている。剥き出しの憎悪に背筋に戦慄が走った。
738ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 19:59:32.46 0
「なんで…?なんで神宮寺が…?」
「俺が呼びだしたってもうお前来やしねーだろ」
数日前のことだ。神宮寺勇太に呼び出され、栗田恵との関係を指摘された。からかいまじりに襲いかかってこようとしたからそこから逃れるために腕を振りほどこうとして用具に強打した。それは青痣になった。
その日はそれで終わったが、中村嶺亜にはその日から少しずつ不安が胸の内を染み込んでいった。
「これ栗田に後で返してやれよ」
神宮寺勇太は何かをマットの上に放った。それは栗田恵の携帯電話だ。中村嶺亜はようやく理解した。
はめられた。
携帯電話は、体育の授業の時にでも取ったのだろう。それを使って栗田恵を装い、自分を呼びだした。栗田恵は何も知らずまだ委員会の途中だ。
「こないだの続きだ」
低く呟くと、神宮寺勇太は覆いかぶさってきた。とまどっている間に制服のボタンがはずされてゆく。何をされるのか察知した瞬間猛烈な嫌悪感に襲われる。
「嫌だ!離せ!」
ありったけの力でもがくが態勢が悪い。ほとんど抵抗が不可能だった。元より、腕力にはかなりの差があった。
ベルトが外される。神宮寺勇太の手が伸びてきた。全身が凍りつく。
ぞっとするような暗い声で神宮寺勇太は中村嶺亜の耳元で言った。
「どんな風にしてほしい?栗田にはどうやってされてる?言えよ、同じようにしてやるから!」
「嫌だ!!嫌だあ!!」
中村嶺亜には叫ぶことしかできない。神宮寺勇太は舌打ちをし、口を塞いできた。
無我夢中で、その指に噛みつく。神宮寺勇太が低く呻いてその力が弱まった。その一瞬の隙に中村嶺亜は全力で拘束から逃れようとした。
しかし駄目だった。髪を掴まれ、激痛が走る。
「逃げたって無駄だ!何度だって俺はお前にこうしてやる!お前らの関係ぶち壊してやる!」
神宮寺勇太は耳を覆いたくなるような大声でそう叫んだ。中村嶺亜は恐怖で動けなくなった。
「なんで…?なんでこんなことするんだよ…?」
体の震えが止まらない。だがそれでも訊かずにいられなかった。
「僕が神宮寺に何をしたっていうの…?」
ようやく出てきた疑問に、神宮寺勇太は中村嶺亜のはだけたカッターシャツを掴みながら興奮気味にまくしたてた。
「聞きたいか?なら話してやるよ!」
神宮寺勇太の声は震えていた。
739ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 20:00:44.89 0
「栗田が抜けた後のサッカー部の状態知ってるか?エースがいきなり練習試合前に抜けて、混乱が収まらないまま練習試合に挑んでいつも楽勝のはずの相手にボロ負けした。
そのせいで部内の雰囲気は最悪になって部員が大量に辞めてった。15人いた二年は今俺含めて3人だし一年も4人しか残ってない。三年は最後の大会があるからほとんど残ってるけど来年このままじゃ廃部だ。
俺はサッカーやるためにここに入ったようなもんだしそれだけはなんとしても避けたかった。だから栗田にも何度も戻ってくるように頼んだけど無駄だった。あいつは「サッカーより大事なもんがある」の一点ばりだ。
その大事なもんがなんなのか分かんなかったしどうしようもないことだと諦めようとしたけど俺は見ちゃったんだよ」
ぞくりと背中に冷たい汗が流れた。思わず耳を覆いたくなる。だけど体が動かない。
神宮寺勇太は親指で後方を差しながら、
「お前らがそこの裏でキスしてんのをな!」
中村嶺亜は眼をきつく閉じた。
「俺は全部理解した。あいつの「サッカーより大事なもん」ってのはお前だって。お前と少しでも長くいたくてサッカーも俺らも全部見捨てて放り投げたんだって。こんなバカな話ってあるかよ!」
もうやめて…そう言いたかったが声が出なかった。
「お前さえいなけりゃ栗田はサッカー部辞めなかったし俺だってこんなことせずにすんだんだ!お前が俺から大切なもん全部奪って行ったんだ!俺だってこんなことしたくてしてるわけじゃねえんだよ!!」
息を乱し、そうぶちまけた神宮寺の目からは…
涙が一筋流れていた。
中村嶺亜は頭が真っ白になる。
気がつけば岸優太が側にいて何があったんだと心配そうな目を向けていた。答えることも、考えることもできない。そういった機能が一時的に失われてしまっていた。
中村嶺亜はただ泣くことしかできなかった。

「殴りたかったら殴れ。なんなら殺してくれてもかまわない。もう俺はやりたいことはやったしな」
話し終えると投げやりな口調で神宮寺勇太は栗田恵にそう言った。栗田恵は硬直して眼を見開いている。
沈黙。
蝉はうるさいくらいに啼いているが神宮寺勇太の耳には痛いほどの静寂だった。
どのくらい、その重く澱んだ沈黙が続いたろうか。それを破ったのは栗田恵の掠れた声だった。
「…返して…」
神宮寺勇太の耳にはそう聞こえた。予想とは全く違った言葉に、神宮寺勇太は一瞬混乱した。その混乱がおさまらないうちに栗田恵は神宮寺勇太の腕を掴んだ。
「中村返してくれよ…。俺、なんでもするから…神宮寺の言うことなんでも聞くから、だから中村を俺のところに返して。お願いだよ…」
栗田恵は涙を流してそう懇願する。それが神宮寺勇太の精神をより深き淵へと誘った。
自分への憎悪や怒りよりも、もはや栗田恵には中村嶺亜の存在そのものが遥かに大きかったのだ。
まだ殴ってくれた方が幾分か救いがある。罵ってくれた方がどれだけましか…そうされる覚悟でおよんだのに、全く違う方向へと向かって行く…
ゴオ…と頭の奥で轟音が響く。
誰かの声が、遠くに聞こえた。


740ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 20:21:43.28 0
作者さん乙です!
自分も何か書きたいけれどこんな長編無理だしなー
小さい颯くんも楽しみだけれどドラクエの続編も読みたいです
741ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 20:25:57.60 i
作者さん乙
本当面白い

これドラマ化されないかな
最近みたどのドラマよりも面白い
742ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 20:49:33.25 0
作者さんありがとう!
皆それぞれ若いなりの悩みや苦しみがあるんだな…
これからの展開も期待!
743ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 21:21:06.14 0
ある雨の日のこと

「僕としたことが失敗した」
羽生田はつぶやいた。
今日はダンスレッスンの日。駅に着いてレッスン場まで歩いて10分、なのだが、あいにくの土砂降り。
「天気予報でも雨だと言っていたのに、僕としたことが。」
いつもなら鞄に折りたたみ傘を入れているのに、今日に限って入っていない。
道路の向かい側にコンビニが見える。コンビニで傘を買おう。そうだ欲しかったんだビニール傘。一度、使ってみたかったんだビニール傘。
仕方がない、少し濡れようか、と覚悟を決めて1歩踏み出そうとしたその時だった。
「あー!あむあむだ!もしかして傘忘れたの?笑」
振りかえると、屈託のない笑顔、と言うよりも少し意地悪げにニヤニヤしてる同期が立っていた。
「颯おはよう。傘忘れちゃったんだよねー!颯の傘に入れてくれない?」
「しかたないなー。その代わり、あむあむが持ってよね!」
そうして、レッスン場まで颯と僕は一緒に行くことになった。
「帰りころには止むらしいよね、雨。でも心配だから大きな傘できちゃった」
見上げると、確かに、颯の傘は大きかった。ふたりで入っても、どちらの肩も濡れることなく歩けた。
「僕と颯で相合傘かー。れいあたちみたいに噂になったらどーする?」
ニヤニヤしながら僕は言ってみた。噂になったらどーする?その噂が岸くんの耳に入ったら、どーする?
「噂…?あむあむとだったら…いいかな。」
「え?」
予想しなかった返事が返って来て、僕は一瞬立ち止まってしまった。え?今、何て言った?
「うそうそwwwあのふたりみたいにイチャイチャしてないんだから噂になんてなるわけないじゃん!!」
「だよなーあはは。あはははは」
そう言って、なんともない振りをしてまた歩き出した。動揺がバレなくてよかった。動揺?何で僕が動揺?
とりあえず、もしも、僕が岸くんだったら…?岸くんと相合傘したい?という質問は投げかけずに飲みこんだ。
そんなことを考えていたら、今度は颯が足を止めた。
「どーしたの颯?急に止まるから濡れちゃうじゃんwww」
と笑いかけた僕を無視する颯の視線の先には、ひとつの傘に仲良く入るれいあと岸くんがいた。
相合傘か。質問するまでもなかったか。まーどーせ、僕らと同じような状況だろう、と僕は思った。
「気にすんなよ颯。何なら今から声かけて、僕とれいあ代わろうか?笑」
と、冗談混じりで話しかけたけれど颯は乗ってこない。まっすぐ岸くんを見つめたままだった。
どんなにあの男が好きなのだろう。
僕が、岸くんだったらよかったのかな。
このまま颯が泣きだしたらどうしよう。
どさくさにまぎれて抱きしめようか?いやいやいやwwww
そんな妄想はさておき、このままだとレッスンに遅れてしまう。歩きださねば。
「どうせ僕たちと同じような状況じゃ…」と言いかけたその時、颯が口を開いた。
744ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 21:21:40.89 0
「ねえあむあむ。岸くんの肩を見て。ずぶぬれだよ。あれはさ、れいあくんを守ってあげてるから自分が濡れちゃってるんだよね。
れいあくんを女の子扱いしてるってことだよね?うらやましいいいなあああああああああああ
彼氏にしたいジュニアナンバー1にしたの僕なのにあの男はああああああああいつもこうだよおおおおおおおおおおお」

羽生田は思った。
「乙女心はわからない」と。

嫉妬に狂い、マナーモードのように震える颯を誘導しつつ、ふたりにこれ以上近づくまいとわざわざ信号を渡り、少し遠回りしてレッスン場に向かった。
遠目に見た岸くんの顔は誰がどこから見てもわかるくらいデレデレしていた。
ひとつの傘に入るくらい近づいているのだから、また変な気を起こしているのだろう。

レッスンが始まり、鬼ヤクザの怒号が飛ぶ
「おらあああああああああ岸がいねえぞおおおおどこだあああああ」
あれ。確かにれいあはいるのに岸くんがいない。
「ねえあむあむ。岸くんどこいったのかなー岸くんいないとおれ踊れないよー岸きゅうううううんん」
「れいあに聞いてみようか」
僕と颯はれいあに尋ねようとしたけれど、その前にアホが立ちふさがって詳しくは聞けなかった。
ただ「ごめんねぇ僕がぁ傘忘れちゃってぇ岸に入れてもらったんだけどぉ外にいるんだけどぉ」と教えてくれた。
レッスンが終わり、颯と僕はダッシュでレッスン場を出た。
レッスン場の前にある駐車場の大きなみずたまりに岸くんは沈んでいた。
れいあと相合傘をしてるところをアホに見つかったらしい。
まあ、ただ一緒に傘に入ってるだけじゃなくて、あのデレデレ顔だからしかたないだろう、と僕は思った。
「ぎゃあああああああ岸きゅううううんんんんんんんんん!!!」
颯は駆け寄り、ボロ雑巾のような男を抱き上げ、タオルで頭や顔を拭いてあげていた。
「ありがとう颯…」
意識を取り戻したボロ雑巾のその一言で、心配で泣きだしそうだった同期の顔が見たことのない笑顔に変わった。
「今度は僕の傘に入れてあげるからね岸きゅん!!!」
「いやあれは俺の傘でれいあの傘がなくてアホが鉄拳の脇腹がパンチで…いいや俺、颯の傘がいい…」
「え?僕がいい??もう一度言って岸きゅんんんんんんんn僕にとっては岸きゅんがナンバーワンでオンリーワンだよおおおおお」
雨上がりの太陽が水たまりを照らし、無駄に二人をキラキラに演出していた。
れいあとアホよりも、こっちのふたりのほうがバカップルに見える…羽生田は思った。
…コンビニ寄ってビニール傘買って帰ろっと☆
そう思って見上げた空には、きれいな虹がかかっていた。

めでたしめでたし
745ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 22:07:21.27 0
web限定でもいいからこの長編はドラマ化すべき
急げ事務所
746ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 22:08:45.81 i
颯くん壊れ過ぎワロタ
これ位アピールできたら流石の岸くんも
気づいてくれそうなのにねw
747ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 22:26:53.18 O
乙です!
岸くんボロ雑巾wwww
それにしてもあむあむ切ないのう
748ユーは名無しネ:2012/06/15(金) 22:58:05.60 0
書き手の皆様おつです

岸くんがいないと踊れないとかw
749ユーは名無しネ:2012/06/16(土) 00:53:01.86 O
作者さん乙です
はにーがんばw
750ユーは名無しネ:2012/06/16(土) 09:31:23.73 I
颯くん可愛いなw
いま梅雨の季節だし、いいね!
751ユーは名無しネ:2012/06/16(土) 19:56:46.98 0

翼を失くした鳥は空を見上げる
泳ぐのを忘れた魚は海を失う
そして、笑顔を奪われた少年達は、またそれを取り戻そうともがく。そうして青を見つける。


6限終了のチャイムが鳴る。中村嶺亜は保健室を出る。いつものようにそのまま昇降口へ降り、一人で校門を出る…
だが、足が止まる。
このまま帰ったら…今日もまた同じだ。いつまでも逃げていたって、避けていたって何の解決にもならない。
「…」
だけど怖い。
向き合うのが怖い。そして、その結果大切なものを失ってしまうのがたまらなく怖い。
神宮寺勇太の抱えていた痛みを知ってしまったから、もう以前のように栗田恵と二人で笑い合うことができる自信がない。そうしているうちに栗田恵まで遠ざかって行くような気がして胸が張り裂けそうな思いが突き刺さる。
葛藤。
いつの間にか、ぞくぞくと生徒達が下校してくる。部活動も始まりつつあり、いつもの放課後の風景が広がる。
「…」
校舎を見つめて、自分がどうするべきか、どうあるべきか中村嶺亜は考える。結論は出ない。
だが、自分の願いは何か…
どうしたらいいか、ではなく、どうしたいか。
そう思考を切り替えると自ずと答えが出た。
中村嶺亜は校舎へと引き返した。
歩みに迷いは不思議となかった。それは一直線にあるところを目指している。
栗田恵のいるところだ。
靴を履き替える。階段を急ぎ足で登る。
まだ帰っていないはずだ…HRはどのクラスもとっくに終わっているだろうがもしかしたら教室にまだいるかもしれない…。途中ですれ違っていないから校内にいることは確かだ。
教室を目指す途中で声をかけられた。
それは谷村龍一だった。

752ユーは名無しネ:2012/06/16(土) 19:57:20.48 0

「谷村?」
中村嶺亜は不思議そうな表情で谷村龍一の声に振り返った。
思ったよりも元気そうな姿で、少しだけ安心する。少なくとも、この間校門前で会った時よりは眼に力が宿っている気がした。
「保健室登校してるって聞いて…。栗田や神宮寺とも何かあったのも詳しくは知らないけど聞いたからちょっと気になって。なんだか辛そうだったから、あの時…」
うまく言葉が出ない。誰かのために、なんてこれまで動こうとしたことなんてなかったから谷村龍一にはその方法が良く分からない。もどかしかった。
だが、中村嶺亜は感じとってくれたようだった。
「ありがとう。ごめんね、あの時手を出してくれたのに僕はどうしていいのか分からなくなってそのまま帰っちゃって…」
「いや…」
何を話していいのか谷村龍一は少し言葉に詰まる。放っておけないという強い思いはしかし中村嶺亜の抱える傷をより一層深くしやしないかという懸念に変わりつつあった。
谷村龍一のそうした内なる葛藤を察したのかそうでないのか分からないが、中村嶺亜は真剣な表情で訊いた。
「栗田見なかった?多分、まだ帰ってないと思うんだけど…」
分からなかった。だが一緒に探すぐらいはできる。それぐらいしか今の自分にはできない。
谷村龍一が返事をしようとすると、倉本郁が通りかかった。


HRが終わり、倉本郁は今日も音楽室に向かうべく鞄に荷物を詰め込む。
「じゃーな。また明日」
隣の席の岸優太に声をかけたが彼はどこかうわの空でなんの返事もせずそのままふらふらと教室を出て行った。
「高橋?どうした?」
岸優太の背中を、高橋颯が何かを思いつめたような目で見ていた気がしたから倉本郁はそう問いかけた。
「ん?なんでもないよ」
その返事は到底「なんでもない」と感じとれるようなトーンではなかったが倉本郁は何も訊かず教室を後にする。
どうも、あの二人の間には何か蟠りができてしまったようである。
それは自分が余計なことを言ってしまったからかもしれないと今更ながらに倉本郁は思う。
岸優太が親友の高橋颯から転校することを知らされていなかったのは彼にとってはショックかもしれない。誰かの口からではなく、本人の口から聞きたかっただろうから…
もしあの二人がこのままの状態で別れを迎えることになったとしたら…?
そんな懸念がよぎる。
「…」
音楽室でトロンボーンを手に取ったが、息を吹き込むことができなかった。
何か声をかけておくべきだったかもしれない。岸優太か、高橋颯に…
「倉本?どこ行くんだよ今から合わせだぞ」
「悪い。ちょっと用が…すぐ戻るから始めといて」
若干の迷いの後、倉本郁は音楽室を飛び出した。とりあえず、グラウンドに行こう。
その途中で倉本郁は神妙な面持ちの中村嶺亜と谷村龍一に出会った。

753ユーは名無しネ:2012/06/16(土) 19:57:54.36 0

「谷村と中村…何してんの?」
倉本郁が目を見開きながら訊ねてくる。谷村龍一は話そうかどうか迷ったがそうしているうちに中村嶺亜が倉本郁に訊ね返した。
「どこかで栗田見なかった?」
「栗田?さあ…。あ、お前ら岸か高橋見てねえ?」
質問が入り乱れる。三人はそれぞれに想いと目的があったがそれらが錯綜しかけていると、階上から楽しそうな声が漏れてきた。それはよく知った声だった。
その声のする方へと倉本郁、中村嶺亜、谷村龍一は振り向く。
「あれ?何やってんのお前ら?…あ、中村」
岸優太は不思議そうに呟いた後、中村嶺亜を見て目を見開いた。
「三人揃ってどうした?」
羽生田挙武も首を傾げている。
「何かあった?」
高橋颯は少し心配そうに三人の顔を交互に見据えた。
「なんだ岸と高橋…普通じゃん…」
肩すかしをくらったような倉本郁とは対照的に、中村嶺亜は真剣な表情で岸優太達に訊ねる。
「栗田を探してるんだけど、どっかで見なかった?」
「栗田?」
岸優太の表情が変わる。その横で羽生田挙武も同じような顔つきになった。
「栗田が…何かやらかしたのか?」
羽生田挙武は声のトーンを落としてそう問いかけてきたが中村嶺亜は首を振る。
岸優太が呆然としながらこう呟いた。
「あいつ…多分神宮寺と一緒だ…」
「え?」
何人かが同時にそう声にした。
「昨日…神宮寺は俺と話した時に『明日栗田に全部話す』って言ってた…」
岸優太がそれを今の今まで頭の中になかったのは無理もない。高橋颯のことで一杯だったのだから。
だが今、それは岸優太にとって何よりも緊急を要する事態となる。そう、中村嶺亜を目の前にしてそれは急激に跳ねあがった。
「早く見つけなきゃ…あいつら…」
それが合図のようになり、6人はそれぞれ手分けして栗田恵と神宮寺勇太を探した。しかし彼らの姿はどこにもない。携帯電話を鳴らしても反応はなかった。
再び集合した後、中村嶺亜が何かを思い出したように目を見開いた。
「もしかしたら…」
中村嶺亜は走りだした。
岸優太、高橋颯、倉本郁、羽生田挙武、谷村龍一はその後を追う。
辿り着いたのは、旧校舎の裏だった。
ひと気もなく、鬱蒼とした、誰も立ち入る雰囲気もない寂れた場所…
だがそこにこそ、栗田恵と神宮寺勇太の姿があった。


754ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 03:02:40.09 0
http://nagamochi.info/src/up110609.jpg
スレ内イメージ通りの
755ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 08:36:10.23 O
作者さん乙です!
大作もいよいよクライマックスだね!
続き待ってます
そしてたにーの画像がイメージ通りで苦しそうなのにモエ
756ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 09:49:05.54 I
更新ありがとう! 続き楽しみだよ
そして気づけばレス750超えてたってことでpart5まであと少し!
もうpart5なんて涙ちょちょぎれ
757ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 19:45:08.48 0

幾つもの涙があり、幾つもの笑い声があった
静かに若き喜怒哀楽たちを見守り続けてきたその青はそっと瞳を閉じる
そしてまた、新しい青を輝かせる
そうして青は永遠となる


「ふざけんな!!」
神宮寺勇太は激昂し、栗田恵の胸倉を掴んだ。
「中村返せだと!?よくそんなことが言えるな!!俺から何もかも奪って行ったくせに!!」
感情を抑えることができない。たとえそれが理不尽で身勝手な怒りだとしても。
「俺はただ、中村と一緒にいたかっただけだ…!」
栗田恵は唇をわななかせた。
「俺だって…!!」
ただ、純粋にサッカーを楽しんでいたかった。
それは、やはり尊敬し信頼できる仲間がいなくては成り立たない。神宮寺勇太にとってエースプレイヤーである栗田恵はライバルでもあり良き仲間だった。お互いを高め合い、喜びと苦しみを共感できる大切な…。
それがどうして、こんなことになったのだろう…
栗田恵が退部したのをきっかけに、サッカー部は乱れに乱れていった。楽しむどころか一人、また一人と仲間が去ってゆく。そしてサッカーそのものができなくなるかもしれないという懸念。
栗田恵は「サッカーより大事なもの」のために部活を辞めた。
その「大事なもの」が中村嶺亜であることを偶然知った。
仕方のないことだと何度も割り切ろうと思った。
中村嶺亜にはなんの罪もない、と思おうともした。
そして、栗田恵を責めるのは筋違いだと自分に言い聞かせようとした。
だが、駄目だった。
感情が付いていかない。そうやって自分を抑えようとすればするほどに、歪んだ怒りと憎悪は肥大していった。なんでもいいから傷つけて、破壊して、自分と同じ思いを味わわせたいとどす黒い感情に蝕まれてゆくのを止めることができない。
何かが完全に狂ってしまっている、そんな恐れと慄き…。
「お前らが笑ってる横で俺がどんだけ歯ぁ食いしばってたかお前に分かんのかよ!!今度はお前がそれを味わう番だ!!大切なものを奪われるのがどんだけ苦しいかお前も中村を失うことで俺の気持ちが分かるだろ!!」
涙と共に、神宮寺勇太は全ての感情を吐露する。
しかしそうしたところで救いなど一片ももたされなかった。
それを証明するかのように誰かの声が後ろから響いた。
758ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 19:46:33.90 0
「神宮寺、それは違う…」
振り向くとそこには岸優太、高橋颯、倉本郁、羽生田挙武、谷村龍一…
そして、中村嶺亜がいた。
何故ここに?
神宮寺がその疑問で一時的に激情を停止させていると声を発した谷村龍一が首を横に振りながら言った。
「それは、中村を傷つけていい理由にはならないよ…」
「神宮寺…」
谷村龍一の後で、羽生田挙武が一歩こちらに歩み寄った。
「俺には少しだけど、お前の気持ちは分かる。俺だって二年後なんていう先の受験のために水泳部を辞めなきゃならなくなった時、親も、部活のみんなも憎くて仕方なくなった。なんであいつらは楽しむことができて、俺はできないんだ、って…」
「俺だって分かる」
倉本郁と高橋颯も頷いた。
「今俺が誰かのせいでブラバン辞めなきゃいけなくなったり、コンクールに出られなくなったりしたら…多分そいつのこと殺したいくらい憎むだろうし、何しでかすか分かんねえ」
「俺も転校することで色々マイナス思考ばっかだったから…何もかも嫌になったことだってあるし目を逸らしてたから」
彼らは真剣な眼差しを神宮寺勇太に注ぐ。それは非難でも同情でもない。
共感だ。
その後ろで、中村嶺亜が涙まじりの震える声を絞りあげるように響かせた。
「ごめん…」
中村嶺亜の目からは涙が流れていた。
「僕は、神宮寺の気持ちにちっとも気付かなかった…栗田といるのが楽しくて、それしか考えられなくて、その裏でそんな思い抱えてるなんて…少しも疑わなかった…」
「中村…」
栗田恵が、声を発した。それは自動音声のようでほとんど無意識に近い発声だったように思う。
「それに気付いたら、栗田と一緒にいるのが怖くなったんだ…このまま神宮寺をどんどん傷つけて…もしかしたら栗田もそれに気付いて僕から離れていくんじゃないかって…。でも…」
そして栗田恵と神宮寺勇太の二人を見つめながら、中村嶺亜は一度だけ唇の端を結び、こう言った。
「でも僕はやっぱり栗田と一緒にいたい。それが神宮寺を傷つけてても、僕は…」
中村嶺亜は両の手で顔を覆う。
神宮寺勇太はそれを呆然と見つめた。
759ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 19:47:52.33 0
何かが足りなかったのかもしれない。
それはほんの些細なこと。誰かの助けだったり、言葉だったり、ほんの少しの「痛みを知ること」だったり…
羽生田挙武が水泳を一時的にとはいえ奪われた苦しみを、倉本郁が和らげてくれたように、
高橋颯と岸優太がお互いに分かり合うことができたのを羽生田挙武が後押ししたように、
谷村龍一が自分を見失って窓の外へと飛び出そうとしたのを止めたのは、偶然通りかかった神宮寺勇太だったように、
中村嶺亜を谷村龍一が思いやったように…
わずかな語りかけや偶然、そして意志が織り重なったにすぎない。だがそれこそが一人で抱える悩みを暴走から救った。
自分のことしか見えなくて、他人のメッセージを見逃していた。
自分だけが辛いと思いこんで、誰かを傷つける方向しか見えてなかった。
だけどそれを少し知った時から世界は広がってゆく。誰かに共感してもらえることで自分の中の受け皿は大きくなる。許すことも、受け入れることもできてゆく。
一人では分からなかったことも、誰かに気付かせてもらえる。
一人では抱えきれなかったことも、誰かと共有することで緩和される。
迷いや恐れは水に溶けるインクのように薄められてゆく。
それに気付きさえすれば、失ったものは取り戻せるだろう。きっと、傷も癒えてゆく。
「神宮寺、栗田…俺は偉そうに言えないけど…」
岸優太が二人に語りかける。
「神宮寺の辛さはもう栗田には十分すぎるほど伝わったと思う。中村が言えなかった理由も栗田には分かっただろうし、中村の気持ちも今栗田にも伝わった。みんなだって三人の気持ちは分かる。だからさ、なんて言っていいのか上手く言えないんだけど…」
岸優太は神宮寺勇太と栗田恵の元に歩み寄った。
「みんなで考えようよ。どうしたら笑ってられるか。前向いてられるか。三人寄れば…って言うけど、ここには8人もいるんだからさ」
誰かが言った。
世界は大きな風景画だと。
異なる色が合わさって鮮やかな色彩を放ち、見る者に幸福を与える。無限に広がってゆく。
汚れた色も、世界を彩る一つ。それらが調和されて世界を作ってゆく。不要な色なんてない。
それはほんの一瞬の出来事
それはほんの片隅の世界の色
僕らはその一つにすぎない
だがその輝きは確かに刻まれる。
空を飛ぶ鳥も、海を泳ぐ魚も、未熟な少年達もこの青の中を生きる
永遠の青
それは今、確かにこの掌の中にあった。


760ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 19:48:55.71 0


季節は真夏、快晴。空には雲一つない。
痛みを少し知った少年達はその染みわたる青の下、取り戻した笑顔を咲かせる



照りつける太陽は今その最盛期にある。蝉は精いっぱい生きた証を鳴き声に託す。
屋上に8人の少年の声が響き合っていた。
「んじゃとりあえず高橋の転校先での健闘を祈って乾杯!」
岸優太が高々とコーラのペットボトルを空に掲げて音頭を取ったが失笑が漏れる。
「健闘ってなんだよ。闘いに行くんじゃないし」
高橋は溜息をついてミネラルウォーターのキャップを開けた。
「やっぱ岸にやらせたのは間違いだな」
「まあこんな感じだとは思ってたけどな」
倉本郁と羽生田挙武はもう弁当に口をつけていた。
「ちょっと待てよ、俺は俺なりに色々と考えた結果これがいいって…」
岸優太は言い訳を始めるが7人は聞く耳持たず勝手に食べ始めた。少し拗ねたように口を尖らせたが岸優太は自分の昼食に手をつけ始めた。
一学期の終業式が終わり、屋上で8人でささやかながら高橋颯の送別会を行っていた。
あれから一週間…お互いの思いを全て出し、それを皆で共感し合った。すぐにというわけではないが黒い霧は晴れていき、青空は再び広がりつつある。そして今、笑顔を向け合うことがこうしてできている。
「中村、それ美味そう。いっこちょうだい」
栗田恵が中村嶺亜の弁当箱に入っているミートボールを指差す。
「あ、うん。はい」
爪楊枝で刺されたそのミートボールを差し出すと栗田恵はそのまま口に入れてだらしなく笑った。
「俺にも一個」
神宮寺勇太が手を出す。中村嶺亜は「え、僕のがなくなるよ」と言いながらも同じように差し出すと神宮寺勇太が栗田恵の真似をしてそのままぱくついた。そしてニヤニヤといたずらな笑みを栗田恵に向けた。
「お前今のわざとだろ」
栗田恵が睨む。
「お前があんまりだらしねえ顔してるからだよ」
神宮寺勇太は舌をつきだした。二人の幼稚なやりとりを横目に谷村龍一は呆れ顔だった。そして隣にいた高橋颯に問いかける。
「いつ引っ越しすんの?」
「8月末だよ。お盆を外して…あと1カ月くらいかな」
「そっか…」
谷村龍一は寂しそうに呟いて、サンドイッチを口にした。
「よーし、一学期も無事終わったことだし、今からそれぞれの抱負を宣言しようぜ!」
倉本郁がいきなり立ちあがり、人差し指を天に指した。
761ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 19:49:54.51 0
7人がきょとんとしている間に「まずは俺から」と彼は高らかに屋上のフェンスの向こうに叫ぶ。
「ブラバン全国出場!!来年はソロパートもらうぞ!」
谺するものがないからか、その声は空の青に吸い込まれてゆく。
倉本郁が次を促すと羽生田挙武がやれやれといった様子で立ち上がった。
「じゃあ俺は、受験戦争に勝って大学ではやりたいことを思いっきりやる!とりあえずこの夏は一回は海に行って思い切り泳ぐこと、かな」
さあ次、と羽生田挙武は掌を前に出した。
谷村龍一が周りを見渡して遠慮気味に立ちあがる。
「俺はこの夏で勉強以外に打ち込めるものを見つける」
谷村龍一らしい宣言だった。皆うんうんと頷いている。
「じゃ、俺も言っとくか」
岸優太がかしこまって咳払いをした。そして両の拳を突き上げ、
「目指せベンチ入り!春のセンバツにはゼッケンもらう!!」
一瞬の沈黙ののち、爆笑が起こる。岸優太は「え?」と目を点にした。
「志低すぎだろ、そこはレギュラー目指せよ!」倉本郁が腹を抱える。
「まあ、岸らしいと言えば岸らしいけどな」羽生田挙武が肩を震わせた
「まじウケる、岸サイコー」栗田恵は足をばたつかせた。
岸優太が拗ねていると高橋颯が彼を宥めながら立ちあがる。
「俺は転校先で陸上部作る!で、自己ベスト更新!」
高橋颯の宣言には拍手が起こった。自分との違いに岸優太はさらにいじけるが、それをよそに神宮寺勇太が続いた。
「やっぱ俺はサッカーだな。サッカー部再建だ。来年の勧誘のためにまず俺らが実績作っとかないとな」
栗田恵と中村嶺亜は少し複雑な思いでそれを聞いたが、しかし栗田恵は一瞬で気持ちを切り替え、堂々とこう叫んだ。
「俺はこの夏で中村と最後までいく!!」
7人は、我が耳を疑った。岸優太なんかは顎が外れそうになるくらいに口をあんぐりと開け、倉本郁も目玉がこぼれそうなほど見開いている。他の皆もほぼ同様の反応を示していた。
とりわけ中村嶺亜は顔を真っ赤にして栗田恵をばしばしと叩いた。
「なんてこと言うんだよ!羞恥心ってもんないの!?」
「え、俺そんなおかしなこと言った?」
栗田恵は全く理解していない。
微妙な空気が流れる。岸優太はそれを想像して体温が上がり、少しおかしな気持ちになっていたし羽生田挙武と倉本郁も同様だった。神宮寺勇太は大きな溜息をつき、高橋颯は落ち着きなく視線をさまよわせた。
762ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 19:50:43.81 0
谷村龍一がやっとのことで中村嶺亜に
「と…とりあえず中村も何か抱負を…」
谷村龍一に言われて、中村嶺亜は顔を赤くしたまま弱弱しい声で考えながら宣言した。
「僕は…体力ないから、体力作り…かな…」
中村嶺亜のその抱負に、このおかしな空気を少しでも戻そうと倉本郁が提案する。
「中村もなんか部活やったらいいんじゃね?あ、そだ、栗田は中村と一緒にいたいならサッカー部に入ってもらえば良かったんじゃん?」
「え?」
中村嶺亜はきょとん、としたが他の皆は「ああ」と手を叩いた。
「そっか。そうすりゃいいじゃん。そしたら栗田サッカー部辞めずに中村と一緒にいられたのに」
高橋颯の呟きに、神宮寺勇太はわなわなと肩を震わせ、倉本につかみかかる。
「お前なんでそれ早く言わなかったんだよ!そうすりゃ俺あんなことせずにすんだのに…!」
「知るかよ!お前俺たちになんにも相談もしなかっただろ!頭悪いんだから誰かに相談すりゃ良かったのに!」
「今更そんなこと言ってもしょうがないだろ、まあこれはアイデアの一つで…」
羽生田挙武が宥めようとする。
「でも僕サッカーとかほとんどやったことないし、自信ない…」
「じゃあマネージャーとかは?どこの部活にも必要だし」
岸優太がそう言うと、栗田恵は腕を組んで何かを想像しながら、
「いいかもしんない…」
と呟いた。
それを受けて神宮寺勇太は二人の気が変わらないうちに、と何故か鞄に入れていた入部届けにサインをさせた。
「これで本当に一件落着、ってとこか…」
岸優太がそう言うと、「あ」と高橋颯が何かを見つけて見上げた。それにつられてそれぞれが頭上を見上げる。
そこには、飛行機雲が一筋、青空を分けるかのように線を引いていた。



END
763ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 19:52:05.66 0
Epilogue


「お前バッカじゃねーの!練習の時間なくなんだろが!さっさと終えて提出しろよ!」
昼休み、食堂で神宮寺勇太の怒号が響く。栗田恵は不貞腐れて耳をほじっていた。
「呆れた奴だな…9割やってないって…」羽生田挙武がやきそばパンを食べながら絶句する。
「お前が付いていながらなんなんだよこのザマ、おい中村!」
神宮寺勇太は矛先を中村嶺亜に向けた。中村嶺亜は困ったように眉を下げた。
「僕は何度も宿題やってからにしようって言ったんだけど…宿題より大事だからって栗田が…」
「つまりは二人でずっと夏休みじゅうちちくりあってたわけだ」
羽生田拳武の鋭い指摘に、中村嶺亜は顔を赤らめてうつむく。栗田恵がそれを見てだらしなく笑いながら中村嶺亜の髪を愛おしげに撫でた。
こいつら、この夏休みで一線越えたな…と神宮寺勇太と羽生田挙武は確信する。
谷村龍一は中村嶺亜のフォローに入った。
「でも中村はちゃんと宿題を終えてるわけだろ?やろうという意志があればちゃんとできたはずだ。栗田がやってないのは単なるサボリで中村のせいじゃない」
「まあその通りだな」羽生田挙武は頷く。
二学期が始まったが栗田恵は夏休みの宿題をほとんどやっていなかった。それが教師の怒りに触れて全て終えて提出するまで部活動を禁止された。
栗田恵は夏休みからサッカー部に再入部した。
もっともこれは中村嶺亜がサッカー部のマネージャーになるから、という条件で承諾したのである。
三年生のほとんどは引退したが散り散りになった部員も少しずつ戻ってきて、サッカー部は新しいスタートを切った。
「うるせーよ谷村。じゃあお前俺に写させろよ。お前なら全部模範解答だろ?」
栗田恵は谷村龍一につっかかる。谷村龍一は呆れて溜息をついた。
「それじゃやったことにならないだろ…」
「んじゃ俺に分かるように教えろ」
「それは宇宙一無茶ブリだな」
羽生田挙武の言葉に、神宮寺勇太が腹を抱えて笑う。それにつられて栗田恵も、中村嶺亜も、谷村龍一も笑った。「何?楽しそうじゃん」
調理パンを抱えた倉本郁とカツ丼の乗ったトレイを持った岸優太が通りかかる。彼らは一緒に輪の中に入って食事を始めた。
「くぁ…」
岸優太は大きな欠伸をした。目が半分閉じている。緩慢な動きで自動的にカツ丼を口の中に運んでいた。
「なんだよ岸、寝不足か?」神宮寺勇太がペットボトルに口をつけながら訊いた。
「夏休みボケじゃね?」栗田恵が言う。
「コイツ、授業中ほとんど寝てて今日なんか歴史の先生キレさせたんだよ。『俺の授業はそんなにつまらんか!?』って。化学の時間はチョーク飛ばされてほらここ、まだ赤いの残ってるだろ?」
倉本郁が説明する。確かに、岸優太の額のあたりには赤い粉が見えた。
「なんで?野球部も今そんなに練習してないでしょ?朝練だってないし」
中村嶺亜が問う。岸優太はもう一度大きな欠伸をして目をこすった。
764ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 19:53:46.24 0
「毎朝4時起きだからさ…もう眠くて眠くて…」
「4時!?」
羽生田挙武と神宮寺勇太が同時に叫んだ。
「なんで4時なんかに起きてんの?」
中村嶺亜の問いに、岸優太は口の中にカツ丼を放り込みながら答える。
「新聞配達のバイト始めたんだよ」
「新聞配達ぅ!?」
もう一度羽生田挙武と神宮寺勇太が声をシンクロさせた。
「借金でもしてんのか、岸?」
栗田恵が笑う。岸優太は眠そうな顔を少しだけ引き締め、首を横に振る。
「行きたいところがあるんだよ。そのために金貯めてるんだ」
「行きたいところ?」
羽生田挙武の問いに、岸優太は頷き、答える。
「あいつのとこ」
ああ、と6人は納得した。
あいつ…高橋颯は8月、この国を発った。親の海外赴任で今は遠く太平洋に浮かぶ島にいる。日本からは約8時間。時差は19時間のリゾート地として有名なハメハメハ大王のいた島…
「なるほどな。高橋喜んでるだろ?」
神宮寺勇太の言葉に岸優太はゆっくり首を横に振る。
「あいつには何も言ってない。いきなり行って驚かしてやろうと思って」
岸優太は微笑む。
ほう…と感心したような溜息が漏れだした。
「岸にしちゃいいアイデアだな」倉本郁が指を差す。
「高橋の驚く顔がなんか目に浮かぶね」中村嶺亜が言った。
「意外といいこと思いつくんだな」谷村龍一が目を丸める。
みんなに褒められて、岸優太は嬉しそうに最後の一口を食べた。そして窓の外を見ながら呟く。
「元気かなあ、高橋…」
岸優太は遠い国にいる友人の顔を思い浮かべた。
「元気だよ、きっと」羽生田挙武が言う。
「今頃地元人と区別つかなくなってたりしてな」神宮寺勇太が冗談めかす。
「岸いっそ泳いで行けよ。そしたらタダで行けんだろ」栗田恵はわりと真顔で提案した。
食堂に、7人の明るい笑い声が満ちる。
遠く離れていても、生きている時間は同じ。その遠い空の下、高橋颯は友人達の顔を思い浮かべていた。
「颯?外になんか見えるの?」
母親に問いかけられて、高橋颯は窓の外から視線を戻した。
「ううん、なんにも」
「そう。早く食べちゃってよ。片付かないから」
急かされて、夕飯に手をつける。日本から送ってもらった材料で作ってくれたカツ丼だ。
それを口にしながら、ぼんやりと高橋颯は思う。
そのうち「よ」と手を挙げて誰かがひょっこりこの家の前に立っていそうな…
そんなありえない予感がふっと風が吹くようによぎっていった。


END
765ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 19:55:38.58 0
最後まで読んでくれた人ありがとう
次回より通常営業に戻ります
766ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 20:39:15.37 O

作者さん超大作をありがとう…!
今全部読み終わって、感動で目頭が熱いです。
岸颯の、友情以上のような、曖昧にしてある思いが自分はたまらなく好きだった。

毎日楽しみにしていたから終わってしまったと思うと寂しさもあるが…本当にありがとうという気持ちでいっぱいです!

767ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 20:52:16.50 O
終わってしまった。
最高の読後感を味わった。
幸せな気持ちになったのに何故か切ない感じが青春だなぁ。

作者さんこんなに素晴らしい作品を本当にありがとう。そして神7大好きだ。いや、もはや神8だ。
768ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 21:17:30.97 I
感動をありがとう!
完結してくれて嬉しいのに切ない……
皆愛しい、大好き、愛してる
769ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 21:40:39.93 0
れあオタだがこれを完璧に演じてくれたらおそらく栗オタになってしまう
それぐらい栗ちゃんかっこいい
770ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 21:49:28.19 I
全部読みました!
作者さん、長丁場で大変だったと思うけれど、
本当にお疲れ様でした!
クライマックス、言葉の一つ一つが心に染みてきて胸が熱くなりました

岸くん、いつか颯くんに会いに行けるといいなあ…!
そして他の皆も、それぞれの青春を存分に楽しんで欲しい

本当に作者さんありがとう!神7愛してる!
771ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 21:58:21.67 0
作者さん本当にお疲れ様!
完結まで見届けられたことが幸せです

神7愛してる!
772ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 22:31:06.54 O
作者さん乙でした
いつも楽しみにしてました
大好きな神7が作者さんのおかげでもっと好きになったよ
お疲れさまでした
773ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 22:57:07.12 0
んんんんんかみせぶんんんんん
774ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 23:07:40.96 O
作者さん、素敵な作品ありがとう
お疲れ様でした
今1番見たい神7だった

っていうか、やっぱりいつもの作者さんだったの?
775ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 23:39:33.53 I
>774
それ気になった
そうだったら、本当に神作者さんだね!
776ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 23:50:25.88 O
岸くんの恋人(になりたい)


岸くんの胸ポケットの中が好きだ。
It'sもあったかいし、It'sも心臓がドキドキしている。
オレのドキドキと岸くんのドキドキが重なってすごく落ち着くんだ。


「……………あつ……」
「颯起きて。もう部屋に着いたから出てきていいよ。」
岸くんは颯の服をつまんで胸ポケットから出し、机の上にそっと置く。
「あれ、オレ寝てた?」
「うん。汗だくで寝てたよ。ほら湿ってる。」
岸くんは颯をそっと撫でる。
「違うよ〜。これ岸くんの汗だよ。岸くんの汗でベチョベチョだよ。」
「え、俺の汗なの?やっぱり夏場は胸ポケット無理かなぁ。うちで留守番してる?」
「やだ!岸くんと一緒にいたい。それに…学校について行かないとレッスンにも行けないし…」
「そうだよな。よし、俺も気を付けるけどおまえも具合悪くなったらすぐ言えよ。あと、まめに水分補給すること。」
岸くんは颯の頭にチョンと触れた。
「うん。岸くん大すき!」
「颯に言われてもな〜。」
「え…」
「可愛い女の子に言われたい。」
「岸きゅんのあほ〜!」
ドールハウスのドア、バタンッ!
ベッドにバサッ!
「キィーーーーーーーー!」
うつぶせで足バタバタ

777ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 23:58:41.76 I
なにこれ悔しいくっそ可愛い
778ユーは名無しネ:2012/06/17(日) 23:59:49.69 O
5分後

「ふう〜、そろそろ出て来いよ。風呂入ろ。濡れたままにしてたら風邪ひくし、くさくなるから…」
「………うん。」
颯は岸くん手作りのお風呂セットと着替えを持って出て来た。

風呂場

岸くんは泡だらけの颯にそっとシャワーをかけている。
「ちょっと岸くん、あんまり見ないで。」
「そんなにちっちゃくなっても恥ずかしいの?」
「今に始まったことじゃないけどさ…さっきから岸くんデリカシーなさすぎるよ。だいたい…そんな…丸出しで…」
「いちいち隠してられないよ〜。自分ちの風呂で面倒くさい。はい、おわりっ!」
岸くんは湯船に浸かり、颯は湯船に浮かべたお椀に浸かる。
気持ちがよくなり顔を見合わせ笑いあう。
「岸くん、いつも世話かけてごめんね。お礼ってわけでもないけどモノマネ練習したよ。」
「え〜なになに。見せて見せて」
「オイ、岸郎!ろうろうろう…(風呂エコー)」


「…………………」



つづく
779ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 00:01:50.23 O
颯くんは岸くんと暮らすようになって、結構言いたいことが言えるようになりました
780ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 00:29:04.39 0
可愛すぎてもだえた
781ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 00:35:36.67 O
はあああぁぁああぁ
映像で見たいです
782ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 04:37:49.68 O

ミニ颯くんかわいい!
いつもより岸くんと心の距離縮まってる!
続き楽しみにしてます!


永遠の青の作者さん、感動を本当にありがとう…!
妄想で済ませろよと言われるかもしれないが…もしよければ、岸くんが颯くんに会いに行く話を書いてもらえないかなあ、と…


783ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 04:57:24.51 O
岸くんの恋人(仮)かわいいな
一緒に風呂だなんてよかったね
784ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 11:16:47.06 0
前の更新からずっと書き込み規制で
なかなか感想書けなかったが…

作者さん本当にお疲れ様でした
素敵な作品をありがとう
文才なくろくな感想もかけないのが恥ずかしいが
読み終わった今胸がいっぱいです

神7の個性が光ったストーリー本当楽しかった
これジャニさんに読ませたい
神7大好きだ

そして…岸くんの恋人きたー!
785ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 13:02:47.46 0
>>764
読み終わった後泣きそうになったのを必死にこらえたのに
そのあとなぜかJJLドリームライブのHARUNATSUAKIHUYUのやつ見たら泣いてしまった
今神7がいとおしくていとおしくてたまらない妄想もとまらない
素晴らしい作品を本当にありがとう!!

そして岸くんの恋人かわいすぎる!
言い合いする二人の距離感が新鮮!
786ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 18:27:52.15 O
岸くんの恋人いいわ
岸くんの寝顔にこっそりちゅーしちゃう颯くん希望
787ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 18:35:45.72 O
颯くんにメロンパンを分けてあげる岸くん希望!
788ユーは名無しネ:2012/06/18(月) 18:57:16.72 0
作者さんたち乙です!!
完結してしまったけれど番外編とかちょっとした続編とかあったらいいなあ
そして岸くんの恋人wwwwww
it'sもとかwwwwwwwww
うつぶせ足バタがかわいすぎるよふうくん
789ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 00:50:23.36 I
さすが岸颯ジャスティスたまらん
790ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 04:02:54.87 O
岸くんの恋人(になりたい)


オレはつい最近まで普通の中学生だった。
え、ああ、ジャニーズJr.であるという以外は普通の…
え、それだけじゃない?ジャニーズJr.として頭で回ってる以外は普通…
なに?そんな問題じゃないって?…もう、岸くんうるさい。
あんまり普通じゃなかったみたいだけど、ある日突然手のひらサイズに小さくなってしまった。
そんなオレを岸くんが見付けてくれて、今は岸くんの部屋に住んでいる。
家族も学校の友達もJr.の仲間もオレのことを忘れていた。というより、初めから存在していないようだった。
すごくショックだったし怖かったけど、岸くんだけはオレを覚えていてくれた。
それに考えてみれば、ヒトがいきなり小さくなったり姿を消したりすればパニックにもなるし大騒動にもなるだろう。
これでいいんだ。
岸くんがそばに居てくれたらそれでいい。
岸くんは小さくなったオレに変わらず優しくしてくれるし、自分の事なにひとつ1人で出来ないオレの面倒をみてくれてる。
例え同情だったとしてもそれがすごく嬉しかった。
だから岸くんに心配かけたくなくて、明るく楽しいことばかり考えて生活するようにしていた。たぶん岸くんも…

それでもたまに怖い夢を見る。
岸くんにも忘れられたオレが消えていく夢…


「岸くん…起きてる?」
「起きてるよ。」
「ねぇ、一緒に寝ていい?」
「ダメだよ。俺寝相悪いから颯潰しちゃうよ。
…また怖い夢見たの?」
「…うん」
「じゃあおいで。颯が寝るまで俺起きてるから。」
「岸くん…」
791ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 04:15:09.73 O
岸くんの隣で颯は安心して眠りについた。が、ちょっとした揺れを感じて目を覚ます。
「地震っ!?」
目を開けた颯の隣で岸くんが自慰行為に耽っていた。
颯は急いで目を閉じる。心臓が早鐘を打っている。
ドキドキしながら薄目を開けて見てみると、岸くんは目を閉じていたけれど時々こちらを窺っているようだ。オレが目を覚まさないか気にしているのだろう。
颯は再び目を閉じた。
しばらくすると、
「…………ふう……うっ…」
という声が聞こえ、ゴソゴソしている気配がした後、颯は自分のベッドに移された。
「ごめんな…」
岸くんの消え入りそうな声を聞き、颯の脳みそはショートした。
結局朝方まで眠れなかった。

「颯、そろそろ起きて用意しないと置いてくぞ。」
颯は岸くんの声で目を覚ます。
ほとんど眠れなかったのでぼんやりしていると、岸くんがドールハウスの屋根を外して覗き込んできた。
颯は岸くんの顔が見れない。
「おまえ顔赤いぞ。なんかボーッとしてるし…熱でもあるんじゃ…」
と、颯のおでこに人差し指を当てる。
「全然わかんない…」
「わっ!だ、だ、だ、大丈夫。何でもないよ。元気元気。」
「ほんとに?無理すんなよ。メロンパン食べれる?」
「食べれる!岸くん、甘いところとパンのところとバランス良くちょうだいね。昨日甘いところちょっとしかなくてもうメロンパンじゃなかったよ。」
「う、うん…」
仲良くメロンパンを食べる2人。
「あ、そうだ。昨日考えてたんだけどさ…」
「えっ…な、な、な、何を?」
「うん、颯が元の体に戻れるようにいろんなこと試してみたほうがいいんじゃないかって…」
「あ、あ〜そうだね。でも何したらいいか全く検討つかないよ。」
「例えば…神社の階段から転げ落ちてみるとか…」
「岸くん、それ中身が入れ替わるやつだよ。小さくなったオレの中身が岸くん、って複雑すぎるよ。」
「じゃあ、ラベンダーの香りを…」
「それタイムスリップするやつ!」
「えっと…昔の写真をぶちまけて…」
「それは若い頃の母親が現れる少年の初恋のやつでしょ。岸くん尾道三部作好きなの?」

颯、いつの間にそんな流暢なツッコミが出来るように…
そう思っていた岸くんに颯は言った。

「岸くん、今日は甘いところばっかりだよ。甘すぎるよ…」


つづく
792ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 05:40:20.61 O
おつです!
颯くんの突っ込みがwwwwwww
793ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 06:15:45.46 O

ぬおおおこんなに心の距離の近い二人が新鮮で!でもこういうの見たかった!

手乗り颯くんてかわいいだろうな…

続き楽しみにしてます!


794ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 15:05:28.46 O
尾道三部作絶対知らねーよww
795ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 19:54:02.12 0
神7に岩橋も入ったの?
796ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 21:30:19.54 0
神7と作者さんの年齢のギャップが露わに・・・
797ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 21:39:28.27 0
岩橋は栗田谷村より扱いは上
798ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 22:38:07.01 O
尾道三部作はあえて放り込んだけど、ドッキリの効果音がテッテレーでいいのかは気になってた…
799ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 23:14:38.47 0
いつもの時間、いつもの場所で


今日はレッスン日だ。
半年ぶりに岸くんは時間通りにスタジオに到着した。
「おはよー…あれ?」
いつものわいわいがやがやを予想してドアを開けると中はなんと無人だった。
うわ、場所間違えた…?とあわてて鬼ヤクザ手製の予定表を確認したけど、ちゃんと合っている。
「もしかしてドッキリかけられた?」
滝ちゃんねるにでも使われるのかと思い天井やロッカーや物置を探し回ったが
それらしきものは見当たらない。
「おかしいなあ…みんなどうしたんだ?」
高橋か神宮寺に連絡をとろうとスマホを取り出したが料金を滞納していたので使えなくなっていた。
がらんと大きな部屋にぽつんとひとりでいると何だか取り残されたようで
寂しさと不安がこみ上げてくる。
もう誰でもいいから来てくれよ…と制服からレッスン着に着がえようともせず
岸くんはしゃがみこんでつぶやく。
すると早くも祈りが届いたのか、廊下で足音がして誰か入ってきた。
岸くんが期待に目を輝かせて振り向くと、入ってきたのは実靖だった。
軽く拍子抜けしたけどべつに不仲ではないのでとりあえずホッとする。
実靖は岸くんを軽く一瞥しただけで無言で椅子に座り
持参したビニール袋から何やら取り出した。
弁当かと思い見ていると、それはまぐろのぶつ切りが入ったパックだった。
実靖はまぐろを醤油につけ白飯と交互に口に運んでいる。
その様子は熟練したタッチタイピングのごとし…
もっと若者っぽいもん食えよーアメリカンドッグとかブリトーとかドリアとか…
と岸くんは思ったが、口には出さない。
ふと実靖と目が合った。「何?」と目線で問いかけられる。
「なんか久しぶりだな。どう、楽しくやってんの?バク宙とかできるようになった?」
テンパって喋り出す岸くんを実靖はじっと見つめたまま口をもぐもぐ動かしているだけだ。
普段、年下の中学生やはたまた小学生と騒いでいる岸くんだが
実靖も奴らと同世代とはどうしても思えない。
大人っぽいを通り越してお爺さんの域に達しているような気がする。
「…楽しい……」
実靖がツイッターのようにボソッとつぶやいた。
何のことかと思ったがさっきの質問の答えかと納得する。
岸くんは実靖の隣りに座ってみた。
ごはんを食べ終えた実靖はお茶のペットボトルを飲みながら遠い目をしている。
「……昔………ぼうず」
何を言ってるのかちょっとわからない。
「………髪………のびたよね」
岸くんはようやく気づいた。入所時に丸坊主だった黒歴史(?)を
実靖は覚えていたらしい。
「いや、野球に夢中で髪伸ばし忘れてたからさー」
イミフな言い訳をすると実靖は声を立てずに笑い出した。
よく見ると口角が通常より2.7ミリ上がっている。
800ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 23:49:52.23 0
さwwwwwねwwwwwやwwwすwwwww
801ユーは名無しネ:2012/06/19(火) 23:53:34.21 0
実靖が笑った。
クララが立った、と同じイントネーションで岸くんは少し感激した。
こうなるともっと笑わせてみたくなる。
実靖の前でしゃちほこを試みるが、それは不発に終わった。
急にドアがバーンと開く。
今度こそ仲間たちかと思ったが、入ってきたのは唇先輩だった。
「あっれー、岸とさねやすしかいねえの?」
そう言いながらズカズカと歩いてきて岸くんの隣の椅子にドッカと座る。
この人は前歯先輩と違って動作がいちいち大きい。
「まぁいいや。ちょっとさ、新作の一発ギャグ見てくれよ」
「はあ、いいっすけど」
「じゃあ、まず1発目〜昆布のおにぎり食って顔がよろこんぶ!!」
耳が痛くなるほどの静寂にスタジオ内は包まれた。
唇先輩は不満そうに後頭部をかく。
「まったくお前ら、笑いの沸点高すぎじゃね?じゃ次、レコメン稲メン僕タレメ(目)〜ン」
岸くんは冷や汗ですっかり汗だくになっていた。
実靖はというと、もはやうつむいてしまっている。もしかしたら眠っているのかもしれない。
常日頃、過度にイジってくれたりして世話になっている先輩だし、あんまり笑わないってのもなー
岸くんはムリヤリ口角を上げて法令線を極限まで深く刻みつけて笑い声を上げた。
「…アハハッ!それ、いいっすね!」
「お、そうかあ。オイさねやすはー?」
唇先輩はドカドカと実靖に歩み寄り顔をのぞき込んだ。
「キラキララ!キラキララ!」
変顔して狂ったように右手を振り回す唇を見て実靖は吹き出した。
「ブッ……ぶははははは……!!!!」
実靖が歯を見せて笑った!
あんなに大ウケしている実靖を見るのは入所以来初めてのことだった。
「あひゃひゃひゃ!!@@ゲハハハハ!!……★%#&$」しかしすげー笑い声だ。
実靖という人物がますますわからなくなった。
なんか盛り上がっている2人を置いて岸くんは部屋を出た。
何やら廊下の向こうからどやどやと人の気配がする。

「あっ、岸くん!」
先頭にいた高橋が走って近づいてくる。その後ろに神7のメンツや他のjrがぞろぞろやってくる。
「ど、どうしたんだよーお前ら……」
「事故で電車止まってさぁ、大変だったんだぜー」
制服をチャラく着こなした神宮寺がダルそうに説明する。
「そのせいで車内激込みでさぁ…もう少しで近くにいたJD風美人にチカンプレイかますとこだったぜ」
「そういう火に油を注ぐような真似をして鉄道マン及び警察の手をわずらわせて違う意味で
有名になって果たして君は満足かい?」
羽生田がコンビニで仕入れたらしいポテトをつまみながら冷静に言う。
「もー栗ちゃんたらぁ、人前でお尻触ったり○▼×押しつけてきたりしてあーいうの反則だしぃ」
「たまにはいいだろ?あーいう狭こいとこも新鮮だろ?ゲヘヘ」
中村と栗田がもつれ合いながら歩いてくる。どうやらこっちはチカンプレイを実践しちまったらしい。
「みずきごめんなー助けてやれなくて。お前ちっさいから人に埋もれただろ?」
「いいよ。知らないおじさんが抱っこしてくれたから平気。くらもっちゃんこそ大丈夫?」
「なにそれ…変質者じゃん!許せねー」
倉本と井上がピーピー甲高い声で言い合いながらこっちへやってくる。
802ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 00:27:24.99 0
「岸くん…どうしたの?」
放心状態で仲間たちを見送る岸くんに高橋が心配そうに声をかけた。
岸くんは振り向いて高橋をじっと見つめた。
その茶色がかった大きな目はいつもと違う光を放っていて、高橋を一瞬ゾクッとさせる。
「颯…いつもありがとうな」
「えっ?それってどーいう…」
「なんか、仲間っていいよなーって思ってさ。みんなでいつも楽しくやって、同じ目標に向かって一緒に努力して
俺がバカなことやれるのも受け止めてくれる仲間がいるからだもんな…」
「俺は岸くんのことバカだなんて思ってないよ!」
「うん…でもバカってある意味いいことかも。1つのことを極めるのってすごいじゃん」
「じゃあ岸くんはバカだよ。ダンスバカ。俺はスピンバカかなー」
「あはは、シンメでバカ同士か」
そういえば颯って3つ年下だっけ、と岸くんは思う。
いつもとなりで踊ったり回転したりしているのが当たり前になってきて
あまり年の差を感じなくなっていた。
ひょっとしたら俺たちは少し似てきたのかもなー…
岸くんは安心のあまり、目の前の高橋を抱きしめた。
高橋はその場にフリーズした。岸くんの頭が自分の目と鼻の間にある。
何だか甘酸っぱい、黒酢のような、健康に良さそうな香りがする…
というか、岸くんの薄っぺらい胸の中にもちゃんと心臓が息づいているのを感じる的な…
俺と岸くんのセクシーローズ的な部分が微妙な中にもふれ合っている的な、いやそれは気のせい…
「あっ……あああ岸きゅううううん!!!」
高橋は喜びのあまり岸くんの背中に回した腕に力をこめた。
「あ、あのさ。颯、ちょっと痛…」
「ああああああああごめんんんんn」
狼狽した高橋は岸くんを離そうとして逆につき飛ばしてしまう。
岸くんは壁に激突し、その場に伸びた。
「お前らようやく揃いやがったか!まあ俺も遅れたんだけどよ!岸てめー何寝っころがってやがる?!
邪魔なんだよコルアアアア!!!………あ、颯も早く来てね」
鬼ヤクザは岸くんの首根っこをズルズル引きずりながらレッスン場へと入っていった。
高橋はさっきまで腕の中にいた岸くんの残り香を思いっきり心ゆくまで吸いこんでいた。

遅れること1時間、ようやくレッスンがはじまった。
「そーいや、谷リョウコは?」神宮寺が聞く。
「民主党だろ」羽生田が返す。

谷村はまだ電車の中にいた。
乗車率300%な激込みの車内から降りられずに終点まで運ばれてしまい
そこから折り返しで目的の駅に着いてもまた降りられず…と現在13ループ中だった。
「…すいません、どいて下さい…もう、出たいんですけどお……」
性格上、人波を押しのけることもできず、谷村のかすれ声は周囲には届いていないようだった。


終わり
803ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 00:33:26.05 0
乙です!
久々不憫もの面白かった。
804ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 01:08:56.75 0
民主党ww
805ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 01:12:41.90 I
たにー久々の不憫おつwww
806ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 06:29:58.53 0
おれもじんたんと満員電車で一緒になりたい
807ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 08:37:58.25 0
たまには岸颯以外も見たい
808ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 16:47:37.90 O
岸颯以外って…
809ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 18:17:34.09 O
全員まんべんなく書き分けるのは難しい
長編の人はほんと凄いと思うわ
810ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 20:17:19.89 O
カップル的にはやはり岸颯、れあくりがしっくりくるけど…
れあむマドリードも捨て難いのは確か
811ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 20:37:23.71 0
このスレの始めの方にある大塚君の話は何回読んでも涙ぐんでしまう
神7たちもいつ突然バラバラになったり辞めたりするかわかんないもんな…
812ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 20:42:24.41 0
だから後悔しないよう今全力で応援するんだ!
813ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 22:11:11.65 I
解体か…他と年齢の離れてる岸くんがちょっと危ないな
814ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 22:19:54.34 0
いつも大事なところで外されるれあたんも危ない
815ユーは名無しネ:2012/06/20(水) 22:31:42.88 0
ほんとお前ら後悔だけはすんなよ
コンサいっときゃ良かった、とかファンレター贈っときゃ良かった、とか辞めた後はできないんだからな
俺なんか初めて観に行った公演で一目ぼれした子がそのステージで卒業宣言した経験があるんだからな
てなわけで今回セクゾンコンもジャンプコンもできるだけぶっこんどいた
816ユーは名無しネ:2012/06/21(木) 12:35:40.23 O
☆誌ありがたいね
見たい組み合わせだといいけど
817ユーは名無しネ:2012/06/21(木) 19:09:28.41 0
それゆけ!神7 番外編「チュウガクイチネンジャーの挑戦」


「地味すぎる…」
梅雨のおり、ただでさえもじめじめした空気の中、チュウガクイチネンジャーこと玉元風海人、松田元太、岡田蒼生、海宝潤達4人の楽屋は停滞ムードに支配されていた。とはいえ湿った空気を放っているのは専らキャラ立ちに悩む玉元一人である。
「そんな湿っぽい顔してないでピーナッツトーストでも食べなよ〜」
海宝が間延びした口調で玉元をなだめた。岡田は相変わらず爆弾の身体表現に精を出し、松田はラジオを聞きながら競馬新聞を読んでいた。
「お前らもっと危機感持てよ!前回の登場から俺らなんにも変ってないじゃんかよ!あれから一回でも話題に出たか俺達?」
玉元の悲痛な叫びにはしかし反応の薄いチュウガクイチネンジャーである。
「俺JJL出たよ。声優もやったしナントカアートもがんばったし。滝沢歌舞伎も無事終了したしねー」
岡田は得意げだ。
「俺もつい先日ヤンヤンJUMPのじゃんけんに初登場してリフティングを披露させてもらったぞ。肌のコンディションが悪かったからなあ徹マン続きで」
松田は競馬新聞から目を離さず耳にかけていた赤エンピツで何かをマークしだした。
「僕はこれといって何もないけどお〜雑誌の取材くらいはこなしてるし〜」
海宝はピーナッツトーストをうまそうにかじる。
三人は一斉に玉元に訊ねた。
「で、玉きゅんは何したの?」
「う…」
鋭いツッコミに玉きゅんではなくて玉もっちだ、と反論すら玉元はできなかった。だがしかし意地っ張りな性格はまた別の方向へと向かいだす。
「とにかくキャラ立ちだよ!俺らもキャラ立ちして認知してもらうんだよ。そのためにも奇人変人万国博覧会の神7観察でヒントつかむんだよ!お前らついてこい!」
なんだかよく分からないが勢いに押されてチュウガクイチネンジャーは神7メンバーの生態観察に出かけた。
818ユーは名無しネ:2012/06/21(木) 19:09:59.90 0
「見ろ、あれがナイアガラ…じゃなくて岸だ」
廊下の影に隠れ、チュウガクイチネンジャーは岸くんのダンス自主練を覗き見る。玉元が囁きながら指さした。
「うわぁ…もう汗があんなに流れてるよお〜」海宝が目を丸くする。
「体の水分含有量どうなってんだろうな」岡田が呟く。
「あ、自分の汗ですべってこけた」松田がすってんころりんと滑る岸くんを指差し笑った。
「俺が聞くところによると…あいつには「不憫システム」ってもんが内蔵されていてそれが発動すると物凄く不憫な目に遭うらしい。死にかけること数回だとかなんとか」
玉元は聞きかじりの知識を伝える。三人は怪訝な顔つきになった。
「不憫システムって…そんなの手に入れて嬉しいか?」岡田がもっともなツッコミをする
「う〜ん…そういうキャラ立ちはリスク高いな…」玉元は悩む
「不憫ってひと口に言ってもいろいろあるからなあ〜」海宝は考えている
「にしてもあんなに汗をかいたら臭いが凄いだろうな。若いのに加齢臭が心配だな」松田は腕を組んでいる
「岸くん…自分の汗で滑ってこけるなんておいたわしい…」
いつの間にか一人メンバーが増えていた。チュウガクイチネンジャー達が視線を合わせるとその人物は慌てて言い訳を始めた。
「いいいいや別に僕は岸くんの自主練をこっそり覗き見てうっとりしていたわけじゃ…きききき君達の方こそ岸くんをそんな熱い視線で見つめて一体何を考えて…ああああもしかしてまたライバル出現!?そそそそそんな…」
「…」
チュウガクイチネンジャー達は黙ってその場を離れ、振り返りつつ
「あれは高橋って奴だ。いつでもクルクル回るヘッドスピン野郎だと聞いている。ナイアガラが好きだとかなんとか…」
玉元はメモを読む。
「高橋君はあ〜優しいから好きだな僕〜扇風機代わりになるし〜」海宝は好意的解釈である。
「でもおかしくない?マナーモードみたいに震えてたよ。俺の爆弾の方が面白くない?」岡田が言う
「若いのにちょっと頭にキテるのはやっぱり回りすぎだからかね…みんなも気をつけるんだぞ」松田がじじくさく諭す。そして一行はトイレ休憩に入った。
819ユーは名無しネ:2012/06/21(木) 19:10:31.42 0
「…」
4人はトイレに入ってまず時を止めた。
「おいおいお前らドアの前の看板見なかったのかよ清掃中だぞ今」
チャラチャラしたJrが一人、トイレを独占してスマホ方手に下半身を広げていた。チュウガクイチネンジャーは唖然とする。
確かに、入口に「清掃中」の看板はあったが清掃員などいない。
「何やってるんですかあ〜?」
こういう時、天然で訊ける海宝がある意味便利だ。海宝の問いにそのチャラチャラJrはドヤ顔で答えた。
「何ってお前下半身おっぴろげてダンスの練習なんかするか?オ○ニーだよオ○ニー!久々に超ヒット動画見つけたんだよこれはもうやるしかねーだろ!」
「個室でやりゃあいいのに」岡田がつっこむとチッチッチとそいつは指を左右に振った。
「お前分かってねーなー。こういうのはトイレ全部開放してやるのがオツなんだ。よし、俺が今からお前らにオ○ニー講座してやる!全員脱げ!」
とんでもないことをそいつは言いだした。玉元が焦っていると松田が冷静に言い放つ。
「これはとりあえず子ども110番に連絡だな。退散」
そしてトイレを出ると清掃中の看板を外し、代わりに「危険 変態棲息中」の看板を手作りしておいた。
「あーびっくりした。あれは神宮寺って奴だ確か…危ないところだったな俺ら…あいつには半径3メートル以内に近寄っちゃダメだイタズラされるからな…特に俺のような玉のように可愛い子は要注意だ…」
息を乱し、蒼ざめながら玉元は説明する。そして更に進むとおやつタイム中の倉本に遭遇する。井上と二人でかっぱえびせんの分量で揉めている。
「こいつは食欲で全てが構築されてるから特に見習うべき点はなし。第一年下だし」
玉元があっさり切りあげようとすると井上が玉元に駆け寄ってきた。
「玉きゅん、くらもっちゃんがさーどう考えても自分の方多くするんだよ見てくれよ」
「玉きゅんじゃねーよ玉もっちだよ」
「どっちでもいいから助けてよ年上だろ」
井上がそう言って玉元の腕を引こうとすると倉本の表情が変わる。
「お前俺のみずきに馴れ馴れしく口きいてんじゃねーよ吸い込むぞコラア!!!なにが「玉きゅん」だ!!下ネタで俺のみずきにセクハラかあ!?あぁ!?」
嫉妬に狂ったブラックホールが襲いかかってくる。歌舞伎で一緒だった玉元はもうそれだけで倉本のジェラシーターゲットなのである。とりわけスノープリンスから一緒だった岡田には凄まじい嫉妬の炎メラゾーマが降りかかった。
「てめえみずきが9歳の頃から一緒とかふざけんなあああああ!!!!」
「うわああああ!どっかーん!どっかーん!」
岡田は半分パニックで爆弾になろうとする。
「海宝てめえもこないだみずきが雑誌で「待ち合わせ場所にいなくてなかなか会えなかった」なんつってたぞ俺のみずきなのにいいいい!!!」
「僕はただ迷ってただけえ〜」
海宝も逃げ惑う。
「いかんなあ暴力は…最近の子どもはキレやすくってかなわん」
松田だけがそれをぼんやり眺めながら側にあった袋菓子を手に「かっぱえびせんは塩分が多いな…」とぽりぽり口にしながら呟いた。
820ユーは名無しネ:2012/06/21(木) 19:11:57.45 0
命からがら逃げおおせたチュウガクイチネンジャーはかなり疲労がたまっていた。そこへコンビニの袋をさげた羽生田が通りかかる。
「なんだ君達疲れた顔をして…若いんだからもっと溌剌としないと。若干一名じじくさいのもいるが」
「でた、ハニューダーム…」
玉元が呟く。海宝も岡田も松田もそのぎっしり詰まったコンビニの袋を見つめた。
「いいなあ〜おいしそうなのいっぱいある〜」海宝はうらやましそうだ
「これ全部一人で食べるの?ある意味倉本級じゃない?」岡田が目を丸くする
「若いうちからお金の使い方が荒いのは感心せんな…」松田は渋い顔だ
しかしながら羽生田はその時機嫌が良かったのかチュウガクイチネンジャーに一つずつ肉まんをくれた。4人はすっかりまるめこまれ「あいついい奴だ」と口々に讃えながら肉まん食べ食べ廊下を突き進んだ。
そしてつきあたるととんでもない場面がそこに待っていた。
「栗ちゃん、ダメだよぉ誰かきたぁ…」
「いいじゃんれいあ、誰が来てもかまわねえよこのまましようぜー」
4人は目が点になる。ここはレッスンスタジオ、そして廊下の一角。決してラブホテルでもなければハッテンバでもない。
「あっ…やだ…栗ちゃん…」
「れいあ愛してる…」
おかまいないに続行する中村と栗田のいちゃこらをチュウガクイチネンジャーは呆然と見学した。
「…」「…」「…」「…」
少し大人になったチュウガクイチネンジャー達はふらふらと階段を降りる。
「あーすごかった…男同士であんなことしていいのか…」玉元は体温が上昇し続けている
「栗田くんってえっちだねえ〜。中村くんも可愛い顔してすごいねえ〜」海宝はぽや〜っとしている
「スノプリの頃はちゅーだけだったのにいつの間にあんなに…」岡田は遠い眼になっている
「ううむ…けしからん…だけどすごかった…いやけしからん…」松田は興奮していいのか憤慨していいのか分からない。
チュウガクイチネンジャー達がそれぞれ桃色妄想を膨らませているといつの間にか地下に降りていた。人の気配を感じて覗いたドアの向こうにはスパゲティを鼻で吸い込もうとしている美形が一人むせていた。
「…あれは谷…なんだっけ…谷なんとかっていう奴だ。一説によると地球侵略に来た宇宙人で金田に猛烈アタック中だ。金田から聞いたけど緊縛SMプレイを強要されそうになったらしい」
生唾を飲みながら玉元は説明する。三人は唖然とした。
「え〜怖いよ宇宙人とかえすえむとか〜」海宝がしがみつく。
「宇宙人には爆弾きかなさそうだしな…あれ、でも俺あいつと一緒に活動してたことあったようなないような…記憶が定かじゃないけどこれも宇宙人の念波の影響かな…」岡田が呟く
「とりあえず地球の平和のためにこのドアを塞いでおく必要があるだろうな」松田が冷静な判断を下す。
そしてチュウガクイチネンジャー達は4人で力を合わせてロッカーを運びドアの前に置いて塞いだ。念のため、その前にガムテープもドアの全面に貼りつけておいた。
「俺達地球の平和を守ったんだな!」
玉元は清々しさと誇らしさでいっぱいになった。キャラ立ちの悩みも今ばかりは綺麗さっぱりと吹き飛び、限りない充足感に包まれる。
「地球の平和を守るジャニーズ戦隊チュウガクイチネンジャーだね僕ら〜」海宝はるんるんだ
「よーしみんなで「どっかーん!」やろうぜ!」岡田もテンションが上がっている
「一日一善。さ、腹も減ってきたしみんなで一杯飲みに行くか」松田の誘いかけでチュウガクイチネンジャーはスタジオのロビーで缶ジュースで乾杯をした。結束も少しだが強くなった気がする。この後の本番へのモチベーションも上がるというものだ。
そして迎えた本番…
「ゴルア!!!!!!!谷村はどこ行ったあ!!!!!!!」
鬼ヤクザもとい振付師の怒号が響き渡る。皆恐ろしさのあまり硬直していた。
「てめフォーメーションとれねえだろうが!!!!おい岸ぃ!!!」
「え、俺?」
岸くんは突然の指名にきょとん、とする。
「貴様神7の最年長だろうがメンバーの所在管理くらいせんかあ!ふざけてんのかスカイツリーのてっぺんから吊るすぞゴルアああああああああああああああああ!!!!」
「いやああああああああああああ俺高所恐怖症なんですそれだけはいやああああああああああああ!!!!」
泣き叫ぶ岸くんを見ながらチュウガクイチネンジャー達は「これが不憫システムか」と納得しつつこうはなるまいと固く心に誓ったのであった。
そして…
「ちょ…なんで開かないんだ…!誰か、誰かあああああああ!!!!!!!」
谷村が救出されたのは翌朝のことだった。


END
821ユーは名無しネ:2012/06/21(木) 19:32:07.92 0
作者さんおつ!ありがとう!
久々でなんかホッとした…!
チュウガクイチネンジャーが日の目を見るる日はいつ来るのだろうか…
そして不憫1・2安定しすぎワロタwww
822ユーは名無しネ:2012/06/21(木) 19:55:36.70 O
谷茶安定の不憫だが鬼ヤクザには名前覚えてもらえたんだなw
823ユーは名無しネ:2012/06/21(木) 19:57:10.33 O
玉きゅんキター!
やっぱりいいなぁ
神宮寺のオ○ニーも久しぶりwww
作者さんありがとう
824ユーは名無しネ:2012/06/22(金) 17:54:50.46 0
谷村名前覚えてもらってるwww
作者さんの作品好きだ ありがとう
825ユーは名無しネ:2012/06/22(金) 21:36:21.18 0
岸くん谷やん安定の不憫乙ですwwww
826ユーは名無しネ:2012/06/22(金) 22:40:34.12 0
久々の常套句w
827ユーは名無しネ:2012/06/22(金) 23:33:48.91 0
828ユーは名無しネ:2012/06/22(金) 23:49:29.03 0
Myojo始まったな
829ユーは名無しネ:2012/06/22(金) 23:56:27.06 0
あむが



あむが
830ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 00:00:31.87 0
左端:ハーフっぽくてかっこいい
左から二番目:信じられないくらい可愛い
真ん中:目がきらめいていてかっこいい
右から二番目:チャラそうだけどかっこいい
右端:いい足してる
831ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 00:01:07.82 0
露出を多くしていくべきだ
832ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 00:01:59.08 0
何この宝箱
833ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 00:02:28.27 0
>827

△◎◎○△
834ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 00:02:53.22 0
あむちゃんは◎だが
835ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 00:12:15.75 0
(太すぎてユニフォーム入らなかったのかな)
836ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 00:15:02.56 0
倉栗谷も出せやコラ
837ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 00:45:34.28 I
素晴らしい!
時代を創ろう神7
838ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 00:57:41.81 I
岸くんの野球ユニ姿見たら長編神小説を思い出したよ
839ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 01:30:22.92 0
れあたんの格好はなに?バスケ?
840ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 01:43:22.95 O
たそがれてるショットもあったら完璧だったな
841ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 03:51:55.65 O
岸くんの恋人(になりたい)


「いてっ!」
「岸くん何してるの?」
「ん、暑くなってきたしおまえの夏服作ってやろうと思って…」
「岸くんっ!」
岸くんに飛び付く颯。
「あ、コラ!飛び付くな。針持ってるから危ないよ。………イテテ、またやっちゃった。」
「岸くん、指見せて。」
颯は岸くんの傷にチュッと吸い付く。
指先から全身に甘い痺れが広がった。
「舐めたら治るっておばあちゃんが言ってた。」
「そそそそうなんだ…」
岸くんは少し照れている。

「ファ〜…」
「眠いの?寝てていいよ。」
「なんか小さくなってからやたらと眠くって…」
「そういえば最近よく寝てるね。身体のリズム狂っちゃってるのかな?」
「そうかも…でも起きてる!」
そう言いながらも、しばらくすると颯は岸くんの膝の上で寝てしまった。
岸くんは颯をおもちゃのベッドに寝かせる。
妹が小さい頃に遊んでいた人形の家やおままごとセットを押し入れから引っ張り出してきていた。

颯の寝顔を見ながら、こんな理不尽な目に合ってるのに愚痴のひとつも吐かず、投げやりにもならず、よく頑張ってるよな〜と岸くんは思う。
出来る限り力になってやりたいと思う。
「こうして見ると結構可愛いな…あっ!」

842ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 03:59:14.87 O


「ごめん。昨日寝ちゃった……あ、服いっぱい出来てる!」
「まぁ俺がその気になればこれくらいちょちょいのちょいよ。」
「指傷だらけ…ありがとう岸くん!」
颯は嬉しそうに出来上がった服をひとつひとつ手に取って見出した。
「岸くん。これ…何…?」
「フリフリエプロン!」
「岸くん……これは変態だよ…」
「似合うと思うけどなぁ。」
(こんな小さなエプロンにフリルまで付けてる。この人本気だ!しかもあんなに目をキラキラさせて…着なければ!恥ずかしいけど着なければ!!)

颯は「ちょっと待っててね」と一旦ドールハウスに引っ込み、フリフリエプロンを付けてみる。
だんだん気分が乗ってきた。
「…可愛いかも!」
すっかりその気になった颯は「ジャーン!」と岸くんの前に飛び出し、フリフリエプロンの裾を摘まんでクルリと回り、膝を軽く折ってポーズを決めた。
岸くんも「可愛い!可愛い!」と喜んでいる。

その時、岸くんの部屋のドアが勢いよく開かれた。
「ちょっとお兄ちゃんでしょ!私のソーイングセット勝手に……イヤァァァァァ。お母さん、お兄ちゃんが人形に向かって可愛い可愛い言いながらニヤニヤしてる〜〜〜。」
その後、人形について詮索されることはなかったが、岸くんはしばらく家族から腫れ物に触るような扱いを受けることになった。


つづく
843ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 11:31:37.99 O
作者さんおつです!

颯くんのために傷作ってまで頑張っちゃう岸くん
岸くんのためにフリフリエプロンだって着ちゃう健気な颯くん

愛だなあ
844ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 11:35:08.37 O
フリフリエプロン乙!
ちょ、岸颯www
845ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 16:57:34.58 O
>839
そう。バスケ
846ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 19:12:27.91 0
なんかの雑誌でれあたんバスケ苦手とか言ってたような希ガス
847ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 19:13:58.75 0
チビだもんね
848ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 19:49:47.42 O
着なければ!恥ずかしいけど着なければ!
ってふうくん…w
849ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 19:54:28.44 I
神宮寺って運動神経よくないんじゃなかったか?
850ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 20:03:46.92 0
れあたんは得意教科に体育のサッカー苦手な強化に体育のバスケとあった
シャトルラン113回ってどれぐらいすごいのかやったことないからわからん

神宮寺は運動神経あんま良くないでしょう
851ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 20:21:51.38 0
個人競技なら陸上が真っ先に浮かぶけどそうしなかったのはやはり運動神経に自信がないからだろうな
852ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 22:10:37.09 O
オカマの場合サッカーはなでしこに入るのかな?
853ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 22:26:51.93 I
シャトルランで100超えは普通にすごいと思うよ
854ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 22:43:44.00 O
どこがだよ
信者の自演がうざったい。
855ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 22:47:48.91 0
君あちこちで見かけるけどそんなにれあたんのこと好きなん?
856ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 22:50:51.81 O
お前が一番嫌い。
857ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 22:56:39.33 I
1人でアンチスレでも立ててやってろ邪魔
858ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 23:01:31.00 O
5:ユーは名無しネ 05/13(日) 23:59 0 [sage]

いちおつ
どうしてこのスレの1000はいつもいつも変態れあオタに奪われてしまうのかwwwwww




こういうのがすごくきもいしうざい
邪魔だし出ていけよばかれあオヤジ
859ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 23:03:44.62 O
スルースキル
860ユーは名無しネ:2012/06/23(土) 23:49:19.77 0
シャトランで113回はすごいと思う

...多分

運動神経のない俺は34回でへとへとだった
861ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 02:44:23.88 0
作者さんたちほんとにありがとう
862ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 02:53:51.78 0
中3男子で113回は10点満点の9点

調べてきたぜ〜
863ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 09:20:21.09 O
杉ちゃんwwww調べてくれてありがとう杉ちゃんwwww
サマリーで綱渡りとか空中ブランコとかはやるのかな
平成コンで岸颯だけグルグル回らされてたから何かないかと期待
その下でなぜかユニホームを着た神7が無駄に謎の抗争とかしないか期待
864ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 09:29:35.94 0
それゆけ!神7 〜(有)神7商事の一日〜


神7商事の一日は羽生田係長の朝礼から始まる。
「えーみなさんおはよう。今日もいい天気で何よりですね。先日のハワイでの社員旅行の写真ができあがったのでここにアルバム置いときますから焼き増ししてほしい人は番号書いとくように。それでは今日一日がんばりま…」
「すんません遅刻しましたー!!」
ばたばたと駆けこんできたのは営業の岸くんである。ネクタイは半分ほどけて、Yシャツの裾がはみ出していた。そして食パンを口に咥えたままである。
「岸くん…また遅刻か?減給ものだぞ」羽生田係長は渋い顔だ。
「目覚ましが止まってて…あと電車乗ろうとしたら目の前でドア閉まってさらにそこで空き瓶につまづいて転んでですね…」
岸くんは涙目で言い訳するが係長始め社員は白い眼を向けている。同情の眼差しを向けてくれるのは同じ営業の高橋だけだ。
「オホン、とにかく岸くんは気を引き締めるように。ただでさえトラブルメーカーなんだから…。それでは皆さん今日一日がんばりましょう」
羽生田係長の号令で社員達はそれぞれの仕事を始める。といっても係長含め社員8人の弱小企業である。社員もどこか緊張感に欠けた連中ばかりであった。
「れいあー、れいあー、ちょっと営業回りのついでにホテル行こーぜー」
営業の栗田が中村を誘う。勤務中にホテルとはとんでもない奴である。
「ダメだよぉ栗ちゃんちゃんとお仕事終わってからぁ」
ふんわりとたしなめて中村は受付の仕事についた。そこにHHJカンパニーの営業マンの萩谷慧悟がやってくる。
「今日良かったらどっか食事でも行かない?」
ぎらりと肉食獣の如く獰猛な視線を向けて萩谷は中村の肩に手を回した。
「ごめんなさいぃ萩谷君。僕今日残業でぇ…また今度誘って下さいねぇ」
中村はさらりとかわすが萩谷は引かない。しかし何故かそこにミサイルが数十発飛んできた。
一方、庶務の谷村はやさぐれていた。
「なんでエリートの俺がこんな零細企業に…しかもこんなやつまでつけられて…」
庶務の机は窓際だった。そこにただ一人の部下である倉本もいたが彼は仕事をせず早々と弁当を食べながら朝のワイドショーを見ていた。その横で羽生田係長がゴルフの素振りをしている。
「係長アンタゴルフなんかやんねえだろ…」
谷村は呟いたが羽生田係長は聞いていない。時折問い合わせの電話がかかってくるがそれには必要以上に懇切丁寧に答えていた。PCには無駄にエクセルが立ちあげられている。
865ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 09:30:20.48 0
「谷村ー、トイレットペーパーとティッシュ足りないから発注しといてくれ。特にティッシュ多めな」
管理の神宮寺が欠伸をしながらやってきた。そういえば朝礼の時に姿が見えなかった。何をしていたのかと羽生田係長が問うと彼はドヤ顔で
「休憩室のエロ本新調しといたから。ちょっと夢中で読んでたら朝礼終わってた。朝から心地いいひとヌキさせてもらいやした!」
「仕方ない奴だなあ…。あ、僕はスカ○ロはダメだからな」
羽生田係長はまんざらでもない様子で神宮寺の肩をつつく。
「神宮寺、こないだエロ動画のダウンロードで社内のPCにウイルス感染させておしゃかにしたんだから気をつけてくれないと」
「んなこと言ってはにうだ…係長だって久々のヒットだなとかって盛り上がったくせによー」
羽生田係長はそらとぼけて谷村の肩を叩く。
「谷村発注頼んだぞ」
「いやそれなら倉本に…」
しかし倉本の姿はなかった。彼は忽然と姿を消していた。
「倉本君は隣のロクネンジャー株式会社のみずき君に最近オネツだからなあ」
羽生田係長はうんうんと頷く。オネツって今時そんな表現昭和生まれでも使わねえよと谷村は思ったがあえて口にださずしぶしぶトイレットペーパーとティッシュの発注を始めた。
一方その頃営業の岸くん、高橋、栗田は社外へ出ていた。しかし営業に精は出ず屋台のたこやきを公園で三人でつまんでいた。
「あー営業とかつまんねー。売れるわけねーんだからさっさと終えてれいあとホテルでヤりてーなー。今度は吹き矢プレイお願いしたいしー」
子ども連れがいるというのに栗田は大声でとんでもないことをずけずけと言う。
「栗田くん…お子様もたくさんいるんだからさ…」主婦の冷たい視線を受けて高橋がたしなめる
「知るかよ。俺はこんなクソつまらない営業とかよりオンラインゲームかれいあとエッチしてすごしてえよー」
「まあまあ俺らががんばらないとこの会社潰れるわけだし…」
岸くんが前向き発言を出すと、たこやきの匂いにつられて野良犬が尻尾をふりながらやってきた。犬を飼っている岸くんは慣れた仕草で
「ウェンディもたこやき好きなんだよな…そらおいで。うまいぞ」
手を出したその瞬間、手ごと噛まれた。
「うぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
昼下がりの平和な公園に岸くんの絶叫が轟く。条件反射で高橋が野良犬をヘッドスピンで蹴散らした。
「岸くんになんてことすんだあああああああこの犬畜生!!!!!!!」
野良犬は白目をむきながらピクピクしていたがそこに黒スーツの「いかにも」な風貌のおっさん達が現れる。
「ワレ組長のお犬様に何しでかすんじゃあ!!」
野良犬だと思っていた犬は放し飼いのヤ○ザの組長の愛犬らしく、黒スーツ達は襲いかかってきた。
「うわああああ!!逃げろおおおおお!!!」
三人は一目散に逃げ出した。
866ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 09:30:50.95 0
「あーやっぱりお昼休みはウキウキウォッチングだな。なになに…こっちがヌーンでこっちがボーイズとな…ふむふむ」
休憩室で羽生田係長は緑茶をすすりながらコンビニ弁当をご機嫌で食していた。谷村は資格試験の参考書肩手にきのこ弁当を、中村はホッケ弁当を上品に食べていた。
神宮寺は昼食の時間を惜しんでエロ本を熟読し、倉本はロクネンジャー株式会社の井上をランチに誘うことに成功して外に出ているのでいない。
そこに営業の三人が悲鳴をあげながらなだれこんできた。
「なんだ騒々しい…契約は取れたの?」
羽生田係長はデザートのメロンをかぶりついていた。
「いやそれが…岸くんが負傷してヤ○ザに追いかけられて…」
高橋が事情を説明する。岸くんは今更ながらに噛まれた右手を見てまた悲鳴をあげた。血が流れている。
「もう岸おっちょこちょいだねぇ」
中村は食後のロイヤルミルクティをこれまた上品に飲みながら笑う。ホッケと紅茶とはなんとも奇妙な組み合わせだ。
「れいあ怖かったよー。慰めてよーとりあえず俺の吹き矢吹いてー」
栗田は甘えながらおっさんみたいな下ネタを飛ばすが中村は「もう栗ちゃん…それは後でぇ」とまんざらでもない。そして神宮寺は吹き矢プレイの想像でトイレを独占し始めた。もちろんティッシュペーパーもトイレットペーパーも底を尽きた。
「とりあえず俺らも昼飯、昼飯、と」
高橋の手当ては非常にざっくばらんとしていて岸くんの手の包帯はすごいことになっていたが高橋は幸せそうだった。岸くんは出前のカタログをごきげんに見比べ始める。
そしてこの後何故か社内でマリオカート大会になり、ゲームにめっぽう強い栗田の優勝で幕を閉じた。
こうして神7商事は今日も契約成立ゼロのまま一日を終えた。なんの偶然か退勤時間間際に社内の電灯が一気に寿命を迎えてその発注のために谷村だけが残業を強いられて残らされていたという。


END
867ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 09:44:25.45 O
ぶされあが出てきたところで吐いた
きもっ!おかまきもきもっ!
868ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 09:57:33.67 0
不憫1と2安定の不憫乙
869ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 10:08:50.35 O
作者さん乙です!
実写で見たい
少蔵でカツンがやってたコントみたいなやつで
870ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 12:10:19.42 O
おかまはキモすぎるから実写のときモザイクかけてー
871ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 13:33:24.56 0
れあたん可愛いから好きって人多いけど
自分はカッコイイ表情の時の方が好きだけどなあ
872ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 14:28:07.13 O
作者さんさすがです乙です!
岸くんが犬に手を噛まれた所盛大に吹きましたw
実写化希望!吉本みたいだw
873ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 14:31:26.87 O
嫌われてるよおかまだし歯が汚いからね
874ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 14:45:28.41 0
れあたんは一応おかまじゃないお

男に興味があるんじゃなくて栗たんだけに興味があるんだお

875ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 15:11:11.42 I
>>873いい加減出てけ中学生
876ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 15:17:53.18 O
アンチ行為はそれまで関心のなかった人まで惹き付けてその結果その子の人気を上げることになるお


まあそれもこれもれあたんおよび神7メンバーが素晴らしすぎるが所以か
神7とこのスレに幸あれ
877ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 15:31:05.71 0
878ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 17:14:17.42 O
ぶされあたんは6月24日から『かま7』に移籍なんです!


かま7メンバー

ぶされあ、はるな愛、マツコ、ミッツ、IKKO、かばちゃん、もう一人の中村
879ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 17:18:06.81 O
中村の代わりに京もとでもいいよ☆
880ユーは名無しネ:2012/06/24(日) 17:36:21.13 0
栗ちゃんのスチャラカ社員っぷりが面白いな
881ユーは名無しネ:2012/06/25(月) 16:07:36.59 0
俺の吹き矢も吹いてーとか言ってみてえよ畜生
882ユーは名無しネ:2012/06/25(月) 19:37:48.38 0
ていうかれあたんの吹き矢を…ゲフンゲフン
883ユーは名無しネ:2012/06/25(月) 22:15:12.42 0
884ユーは名無しネ:2012/06/25(月) 22:23:22.40 I
最近あらんらんはれあたんに急接近してるなあ
885ユーは名無しネ:2012/06/25(月) 22:44:08.49 0
れあたん曰く「優しすぎる」らしいけどとても見た目からは想像できんよね
886ユーは名無しネ:2012/06/25(月) 23:14:58.16 O
あらんれあたんに下心ありありだろww
887ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 02:01:59.89 0
>885
そうか?良い子そうだけど

前からぺろんてする癖多いなとは思っていた
勝利とはにーと良い勝負
888ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 08:19:42.72 0
似たような雰囲気を持つ子でくっついたりするかられあたんと阿部ちゃんはおっとりしてるんだろうな
栗ちゃんはおっとりしてるというよりあっけらかんとしててそういうところがおっとりしてる子にとって安心するのかもね
889ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 19:20:18.56 0
おお牧場は緑、山は招くよ!神7


蒸し暑さが徐々に増し始め、不快指数も上がり始める今日この頃、爽やかな涼を求めて神7一行は都心から離れた山に建つ別荘にやってきた。
羽生田の親戚の所有で一週間後にリフォーム工事が始まるのでそれまでなら使ってもいいとのことだった。行ってみるとなかなかに瀟洒な建物で年代を感じさせるが高級感があった。
「お、すっげーじゃん二階建て!しゃれてるう〜!」
神宮寺が吹き抜けのリビングを見て感嘆符をあげた。
「8人も泊まれんの?蒲団ある?」
倉本が訊いた。羽生田は「蒲団は人数分用意してるよ」と答える。中を見ると二階にベッドが二つ入ってる部屋が2部屋あった。残り4人は広いリビングで雑魚寝だ。
「食事や風呂は離れの施設にあるからそこでしよう」
山の中には個人所有のペンションや別荘が点々としているが、大きな建物が一つだけあった。来る途中に通ってきたがレストランや銭湯、コンビニが入った大型の総合施設だ。たいていのことはそこでこと足りる。
「空気が澄んでて気持ちがいいなー!」岸くんは汗ばんだシャツをはためかせた
「岸くんとお泊り…」高橋はわくわく感いっぱいだ
「今日の俺の目標は野外オ○ニーだ!」神宮寺は宣言する
「腹減った。とりあえずおやつ食おうぜ」さっき昼ご飯を食べたばかりなのにもう倉本はお菓子の袋を開けた
「うんまあまあな造りだな」羽生田は中を見渡してうんうんと頷く
「栗ちゃんあとで二人で散歩しようねぇ」中村は栗田と手をつないで幸せそうだ
「れいあ野外でしよーよ」栗田はでかい声でとんでもないことを言う
「…」谷村は己の意志の弱さを今更ながらに後悔していた。
もう嫌だ。もう不憫は嫌だ。絶対断ろうと思っていたのに…。谷村は自己嫌悪でいっぱいだ。
今回はどんな目に遭うのだろう。いっそのこともうここで引き籠っていれば楽かもしれない、だがそうしたらそうしたでここに隕石が落ちてくるかもしれないし山賊が押し掛けてくるかもしれない。考え得るパターンは無数にある。
この地球上に安全な場所なんてないのかもしれない…。いっそ本当に宇宙に旅立った方が安全かも…谷村は底知れぬマイナス思考の恐怖と闘っていた。
「谷村何難しい顔してんのぉ。はいこれ」
いつの間にかみんなは荷物を置いてリビングで寛いていた。中村が首を傾げながら谷村にプリンを手渡してきた。
「これは…?」
「プリンでしょぉ見れば分かるじゃん」
「いや…これ俺に?」
谷村が事態についていけないと、栗田がギャハハハハとバカ笑いして指を差す。
「プリンも分かんねえのかよアホだなー。ありがたく食えよ!」
「栗ちゃん優しいねぇ」中村に褒められて栗田はデレる「まあ一応シンメだからな!あいつの出来が悪いと俺もとばっちり食らうし」
よく分からないがこのプリンは栗田が買ってくれたらしい。その栗田は早速中村に「あ〜ん」をしてもらって超ごきげんだ。その後ろで「なるほどフムフム」という顔をしながら高橋と倉本が何やらメモっていた。
谷村はプリンを口にする。ほどよい甘さが口の中でとろける。幸せの味だ。これをプール一杯食べるのが谷村の夢だ。
まあそう悲観したものでもない…笑う門には福来る…その逆もまた然り。ネガティブ思考ばかりだと本当にろくでもない目に遭いかねない。谷村は意識を変えることにした。
890ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 19:21:30.66 0
別荘の近くには高原牧場があった。神7一行はそこで動物と触れ合いを楽しむ。
「ひいいぃ…」
岸くんは離し飼いのヤギに怯えている。リアルすぎて鳥肌が立っていた。
「何やってんだよ岸くんヤギエサ欲しがってるよほらほら」
神宮寺が岸くんの手をヤギの口に近付けたが岸くんは「いやあああああ」と言ってのけぞる。その様をメンバーのみならず親子連れや飼育員に笑われていた。
「岸くん、あっちにウサギがいるよ」
高橋はそれとなく岸くんをおとなしめの動物ゾーンに誘ってみた。岸くんは「あれなら平気」と乗り気で来てくれた。高橋が幸せに浸ろうとすると岸くんはエサをやろうとしたウサギに手まで食べられそうになり悲鳴をあげた。
一方、倉本はヤギと羊はどっちが食べたらうまいかを真剣に考えていた。ヤギの乳で作るチーズも捨てがたい。涎をたらしながら動物を見ていると動物は本能的に危険を察知して逃げて行った。
「獣○か…アリだな…ヤギと羊と馬ではどれが一番そそるか…」
こちらも動物がその並々ならぬ煩悩から身の危険を感じて避けて行く。そんなことはおかまいなしに神宮寺は品定めを続け、獣○プレイのあれこれを妄想する。
「栗ちゃん羊可愛いねぇ。僕ねぇ羊に似てるって友達によく言われるのぉ牡羊座だしぃ」
「れいあの方が可愛いよー」
甘いセリフをこの上なくアホっぽく囁いて栗田は中村を抱き寄せてその先へ迫ろうとする。だが中村は栗田の唇に人差し指を当て、
「だめだよぉ栗ちゃん羊さんが見てるぅ」と照れる。
「いいじゃん見せつけてやろーぜー」と栗田はおかまいなしにぐいぐい迫る。
「…」
ていうか羊以前にすぐ横に俺がいるんだけどな、と谷村は呆れる。だがこのアホップルの世界観からは完全に除外されているのだろう。気を取り直して羊にエサをあげようとすると羊はスルーしていく。虚しい風が通り過ぎて行った。

夜になると一行は牧場から少し歩いたところにある大型施設のレストランで食事をする。まだハイシーズンに入っていないせいか客はそう多くない。
「お。ここ電波入んじゃん。早速今日のオカズ探し、と」
神宮寺はスマホの電波が入ることに色めきたった。別荘は電波が入らなかった。だがここは入るようになっているらしい。
「え、まじ?だったら俺携帯取ってこよ。さっき繋がらなくて困ったし。家に録画してほしい番組言うの忘れてたから頼まねえと」
栗田が立ちあがる。羽生田もうっかり携帯電話を置いてきてしまったから一緒に行くことにした。他は携帯電話の使用に関しては特に必要に迫られてはいなかったのでのんびり食後のお茶を楽しむ。
「岸くん岸くん、これすっげーぞ」
「おお、これは…」
「ここじゃ音出せねえからちょっと外出ようぜ」
神宮寺はエロ動画鑑賞に岸くんを誘った。ここに高橋がいたならばそれを阻止していたか一緒に付いて行ってたのだろうが生憎彼はトイレに立っていて不在だった。
戻ってくると案の定「あれ?岸くんは?」と倉本に問いかけ、「知らね。神宮寺とどっか行った」と言われ気が気でなくなる。
「そのうち戻ってくるでしょぉ。焦んない焦んない」
教祖になだめられて高橋は一時的に落ち着きを取り戻す。しかし次にその教祖が心配そうに呟いた。
891ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 19:22:19.69 0
「栗ちゃん遅いなぁ。別荘までそんなに距離ないのにぃ」
中村の呟きに、谷村は時計を見た。彼らが出て行ったのはおよそ30分前。別荘までは数分の距離らしいから確かに時間がかかっている。
そしてそれから一時間経っても栗田と羽生田は戻ってこなかった。岸くんと神宮寺も戻ってこない。
いよいよ心配し始めると従業員らしきおばちゃんが通りかかってその会話が耳に入った。
「あそこの看板早く撤去しないとねえ…工事関係で道ずいぶん変わっちゃったから。初めて来た人が迷っちゃう」
まさか…と中村と谷村、そして高橋は顔を見合わせた。
そんな中、倉本だけが呑気に食後のデザート(二回目)を食べていた。

「な。ほれほれすっげーだろ?」
「おお、確かにこれはなかなか…」
岸くんと神宮寺は外に出て二人でエロ動画鑑賞を楽しんだ。ひと気のない場所を選んだから音声も最大だ。夜の山にあえぎ声がこだまする。
いよいよ最高潮、というところでぬっと人影が踊り出た。
「すみません…あのう…」
それは若い女の人だった。従業員か誰かだろうか、白い着物を着ていて独特の色気のある美人だ。仲居さんっぽい。
「はい?」
神宮寺は慌ててスマホの動画をオフにした。訊き返すと、女の人は困ったように眉根を寄せて、
「人を探してるんですけど…一緒に探してもらえないでしょうか…」
「はあ…」
岸くんはなんとなく気のりしなかったが神宮寺はノリノリだ。着物がそそったらしい。女の顔より着物に目が行っている。
「なあ神宮寺、施設の人に言った方がよくない?俺らこのへんの道よく分かんないし暗いし…」
岸くんは神宮寺に耳打ちする。
「大丈夫だって三人いれば迷うことなんてないでしょ。ジャニーズJrは困ってる人を見過ごすなんてできねえよ。これ終わったら次は着物動画探そうな岸くん」
らんらんと神宮寺は女の案内に従って進んでいく。どんどん歩いて今どこにいるのか分からなくなった。
しかも女は人を探している割に名前を呼んだり辺りを見回す気配もなく至ってしずしずと歩いている。そして嫌な予感がした頃、いい加減神宮寺も怪訝な表情になり、女に訊ねた。
「あのー、どのへんではぐれたんですか?どんな人で名前とかは…」
女はぴたりと止まった。そこで振りかえり、
「私の赤ちゃん…赤ちゃんがいないの…去年ここに忘れてきちゃったから…返して…私の赤ちゃん」
女は目がイっていた。
二人は悲鳴をあげて一目散に逃げ出した。
892ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 19:23:02.70 0
「なあおいこれ道違ってね?まだ着かねえの?」
栗田が羽生田に訊ねる。羽生田はうーんと唸って
「おかしいな…看板の示す通りに歩いてるはずなのに…暗くてよく分からないからな…」
懐中電灯を持ってはいるものの、街灯もまばらな山道では景色もよく分からない。行けども行けども別荘に辿り着けない。時計を見ると一時間経っていた。
「れいあが心配する。戻ろーぜ」
「その方が良さそうだな」
しかし戻ろうにもどうやってきたのかもよく分からなくなっていた。二人は焦り始める。
「れいあ俺のこと探してるかなー。俺がいないうちに岸とかがなんもしてなきゃいいけど」
「岸くんは数回殺されかけてるからもう二度と手は出さないだろう。神宮寺あたり気をつけた方が良くないか?これはチャンスとばかりに…」
夜道の不気味さから気を紛らわすため、羽生田は冗談めかした。が、アホにこういう冗談は通じない。栗田は声を荒げた。
「神宮寺も俺一度半殺しにしたし!ていうか指一本でも触れたら今度こそ二人とも東京湾に沈めてやるからな!」
「案外谷牧場あたり危険かもな。何せ小学生相手にスパゲティプレイや緊縛SMプレイを強いるようなド変態だ。今頃栗田がいないのをいいことに二人きりになった途端に狼になったりして…中村という羊を襲ってあんなことこんなこと…」
羽生田はこの直後「口は災いの元」を学習することになる。栗田はいよいよ暗黒破壊神の顔になった。
「谷村みてえなアホがれいあに手ぇ出したら東京湾どころじゃすまねえし!!市中轢き回しにしてチ○ポギロチンにして検視官ですらトラウマになるような惨たらしい死体にしてワタリガニのエサにしてもまだ足りねえし!!
れいあ待ってろ!俺が今すぐ助けに行くから!!!」
アホはトランス状態になって恐るべき速さで駆け抜けていった。羽生田は唖然とする。
「おいちょっと待て栗田、一人にするな…!」
しかしもう栗田はいなかった。懐中電灯も彼が持っていたから闇が羽生田を包み込む。
「ちょっと待て…いかん。これはいかんぞ…」
羽生田は半ば戦慄しながら己に振りかかった危機を回避すべく脳をフル回転させた。

いよいよ心配になった中村は懐中電灯を持った。
「僕探しに行ってくるぅ」
「え…でも一人じゃ危ないよ中村くん。真っ暗だし」高橋が止めに入る。
「そうだよ変なおじさんとかに襲われたらどうすんの」倉本が冷静に言う。
「じゃあ谷村一緒に来てぇ。変なおじさんには変なおじさんで対抗すればいいしぃ」
中村に言われて、谷村は「へ?」と素っ頓狂な声を出した。変なおじさんって俺のことか…?俺はモノマネをしただけで俺自身は至って普通のエリート美形中学生なのに…
「なんで俺が…」
谷村は難色を示す。夜の山道なんて考えただけでもおぞましい。これまでの経験上、それは危険すぎると脳内で警報がなった。断固拒否だ。
だがしかし、絶対零度が飛んでくる。
「こないだ動線移動間違えた分のおしおき今すぐされたいぃ?」
「行きます…」
しぶしぶ、谷村は中村のお供で栗田(と羽生田)捜索に向かった。
「…暗い…怖い…」
どこかで梟が鳴いている。鬱蒼と繁った木々に風が吹き葉擦れの音が闇を撫でている。街灯はほとんどなく懐中電灯と月明かりだけが頼りだ。心細さを掻きたてるその雰囲気に谷村は早くも心臓が変拍子を打ち始める。
「どこ行っちゃったんだろぉ栗ちゃん…。栗ちゃーん、栗ちゃーん」
中村は栗田の名前を連呼しながら進む。だが谷村は恐怖でうまく歩けない。
「な…中村、待ってよ。もう少しゆっくり…」
「ゆっくり歩いてたって栗ちゃん見つからないでしょぉ。谷村もっと早く歩いてぇ」
「そんなこと言われても…足が…」
弱音を吐くと中村は冷たい視線だけを向けてずんずん歩きだした。女の子並みの体力のくせになんでこんなに山道を歩くのが早いんだ…谷村が不思議に思っている間にもどんどん距離は空いて行く。
しかしここで置いて行かれたらそれこそ不憫一直線だ。笑う足に力をこめ、谷村は中村に必死で付いて行った。
893ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 19:24:16.60 0
「岸くんも戻ってこない…僕も探しに行く」
高橋は立ち上がる。いくらなんでも遅すぎる。不憫システムが発動してどこかで不憫な目に遭ってるんじゃないか、とか神宮寺とWゆうたでワッショイワッショイになっちゃってるんじゃないかとかろくでもない妄想ばかりが浮かんできていてもたってもいられない。
しかし倉本が止めに入った。
「お前小学生の俺を一人にすんなよ。こないだだって俺一人置いてみんなで火遊びしてただろ。俺一人じゃ別荘まで戻れないし」
「そんなこと言ったって岸くんが…」
「岸は小学生一人にするような冷たい奴は嫌いだと思うね。だからここにいろよ」
倉本の小学生らしい短絡思考はしかし高橋に葛藤を植え付けた。迷っているうちに時間だけが過ぎて行く。でも岸くんは一向に戻ってこない。高橋は考えた。
「じゃあ一度別荘まで戻ろう。それから僕が岸くんを探しに行く。それでいいだろ?」
倉本は「しゃーねーなー」と妥協し、二人で施設を出たその時である。
前方からすごい悲鳴×3が聞こえてきた。

「落ち着け、羽生田挙武。君はエリートだ。決して不憫じゃない。不憫なんかじゃないんだ。だから大丈夫…」
ぶつぶつと呪文のように唱えながら羽生田は一人山道を行く。当然ながらほとんど灯りがないので足元を確認しながらである。ここで焦って崖にでも落ちようものなら本当に不憫の仲間入りですありがとうございました、だ。いくら怖くてもそこは冷静にならなければ。
「お〜ま〜きばっは〜み〜ど〜り〜…」
恐怖をまぎらわすために歌いながら考える。
道があるということはどこかには通じているはずだ。よその別荘でもいい、どこかの施設でもいい。人がいれば助けを請うことができる。震える全身に鞭打って羽生田は進む。
「…?」
ふいに何か、獣じみた声が聞こえた…気がする。
まさかこんな山に熊や狼がいるはずがない。いたとしても猪ぐらいだろう。だがはずがないと分かっていても足が笑いだした。
「アムスメロン、アンデスメロン、マスクメロン、プリンスメロン、アールスメロン、クインシーメロン、メロンパン、メロンソーダ、メロン記念日、キャメロン・ディアス…」
羽生田は恐怖や緊張が一定の度合いを超えるとメロンの種類やメロンがつくものを呟いてそれらと闘う癖がある。それでも無理な時は素数を一から順に挙げて行く。
「1,2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31、…」
あああもうだめだ限界だイってしまう…羽生田が泡を吹きかけるとそれが目に映った。
「…岸くんと神宮寺…?」
数少ない街灯の頼りない光が二人の姿をぼんやりと照らした。なんと岸くんと神宮寺が何やら叫びながら走ってくるではないか。獣じみた声は彼らの叫び声だ。救世主降臨。羽生田は今だけは岸くんと神宮寺を救い主と崇めてもいいとすら思えた。
「岸くん、神宮寺、良かった。たすけ…」
「あああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
「ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
が、しかし岸くんと神宮寺は物凄いスピードで走り抜けて行った。羽生田など目に入っていないかのようにマッハGOGOGOだ。あの二人、こんなに早かったか…?あっという間にその姿が闇に吸い込まれていく。
絶望に浸る間もなく次に女の声が聞こえた。
「私の赤ちゃん…赤ちゃん返してえええええええ」
懐中電灯を持って白い着物を着た世にも恐ろしい形相の般若の女が追いかけてくる。羽生田は恐怖のあまり頭の線が飛んだ。
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
気付けば岸くんと神宮寺に追いつき、三人揃って施設の前に辿り着く。そこにきょとんとした表情の高橋と倉本がいた。
894ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 19:36:48.54 O
「いない…どこ行っちゃったのぉ…栗ちゃん、栗ちゃーん!」
「ねえ中村一度戻ろうよ。もしかしたら施設か別荘に戻ってるかもしれないし…」
「うーん…そうだといいんだけどぉ」
依然として栗田の身を案じながら中村は谷村の提案に妥協した。懐中電灯だけでは心もとないし、第一道もよく分からなくなってきた。
とりあえず明るい所に戻りたい。人がたくさんいる所にいたい。夜の山道は谷村にとって過酷すぎる。もう少し、あと少しと自分を奮い立たせたのだが…
「なんか誰かの悲鳴聞こえなかったぁ?」
中村が耳をそばだてながら尋ねる。
谷村は、そんなもの聞こえないと自分に言い聞かせたが中村はまたずんずん進みだした。
「ちょっと…待って…」
「栗ちゃんかなあ…栗ちゃーん、栗ちゃーん!」中村は止まらない。
「待ってってば…お願いだから置いてかないでもう動線移動間違えないからああああ」
谷村が必死に追いつこうとすると、それは視界の端に映った。
見えないふりを決め込んでそのまま中村を追えば良かったのに何故か谷村はそこに視線を合わせてしまった。ぼんやりと光る薄灯りの街灯の下にそれはいた。
白い着物をきた女の幽霊が、こちらを見てにたりと笑った。全身の毛が一瞬で逆立つ。
「ぎぃやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
谷村は恐怖のあまり無我夢中で中村の元に走り寄り、しがみついた。脳髄の髄まで恐怖に支配され、半狂乱になりながらひたすら中村に助けを請う。
「ちょっとぉ…谷村離してよぉ…苦しいぃ…」
中村は嫌がるが、谷村はもう前後の見境がきかない。叫びながらありったけの力で中村に抱きつく。後でおしおきされようがなんだろうが幽霊にとりつかれるよりましだ。だが…
「あ。栗ちゃん!」
中村の声が明るくなり、そう叫んだ。
「へ?」
谷村が後ろを振り向くと、確かに栗田がいた。中村の持つ懐中電灯の光に照らされて見える栗田の様相は悪魔じみていた。幽霊の恐怖といい勝負だ。
理由は単純、谷村が中村に抱きついているからである。
そして、理解した時にはすでに遅し。最悪のタイミングとはこのことだ。そう、「盲亀の浮木」である。
「谷村てめえ俺のれいあに何しようとしてた…」
ゆらりと栗田が近づいてくる。幽霊パニックから一転して死の危険。谷村はどっちみち発狂寸前だ。
今回も安定の不憫乙です本当にありがとうございました…
1998年12月21日、谷村家の長男としてこの世に生を受け、「龍のように雄々しく存在感のある人になるように」と「龍一」と名付けられた。
6歳で超難関小学校に合格、11歳で大手事務所ジャニーズ入り、そして13歳でワタリガニのエサになりその短い生涯が幕を閉じる。俺の人生三行で説明終了。
どうせなら、カニのエサよりきのこの肥料にでもしてもらった方が成仏できるかもな…。墓には毎年プリンをお供えしてねお父さんお母さんお姉ちゃん…先立つ不孝をお許し下さい。
僕は一生懸命生きました。でもアホの逆鱗に触れちゃいました。どうあがいてもジ・エンドです。
本当にごめんなさい。親不孝な僕をお許し下さい。来世ではしめじかエリンギに生まれ変われたらいいな…
谷村が死を受け入れようとすると、中村が谷村の腕から逃れて栗田に駆け寄った。
「もぉ栗ちゃんどこ行ってたのぉ心配したんだよぉばかばかばかぁ」
中村が涙声で甘えるように栗田に抱きつくと、奇跡が起こる。
栗田の悪魔モードが解除された。暗黒破壊神から一転、鼻の下を伸ばしデレながら中村の頭を愛おしげに撫でる。まさにミラクル。ミラクルルーンだ。
「ごめーんれいあ。はにうだが道間違えてさあ。そんなに心配だった?俺のこと」
「心配に決まってんじゃんばかばかばかぁ」中村は栗田の胸をぽかぽかと叩く。
「ごめんごめん。もう絶対離れないからな」
そしてアホと乙女は谷村の目の前で濃厚キスシーンをおっぱじめた。その横を着物の女が「私の赤ちゃん…私の赤ちゃん…」と呟いて通り過ぎて行く。
「はは…あはは…」
谷村は渇いた笑いをあげた。助かった安堵感と幽霊に対する恐怖心が螺旋状に渦巻き、安心していいのか怖がっていいのかもう分からない。回線がショートしてしまった。
「あー良かった良かったこれにて一件落着…」
アホと乙女のラブシーンの真横で谷村は一人で一本締めをした。
895ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 19:41:05.22 O
「いやああああああああああああああ!!!!!」
「ぎゃああああああああああああああ!!!!!」
「ひぃいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
高橋と倉本の目の前に岸くんと神宮寺、羽生田が絶叫しながら駆けてきた。
「般若が…般若がああああああああああああ」岸くんの涙目は臨界点に達していた
「着物が…着物がああああああああああああ」神宮寺は唾を飛ばしながらそうまくしたてた
「赤ちゃんが…赤ちゃんがああああああああ」羽生田は開眼し、目が血走っていた
高橋と倉本は訳が分からない。岸くんと神宮寺は一緒に出て行ったが羽生田は栗田と一緒のはずだ。なぜ栗田はいなくてこの三人が一緒なのだろう。
「岸くん…神宮寺くんとはにうだもどうしたの?てかはにうだは栗田くんと一緒じゃなかったっけ?」
高橋にはこの三人が悲鳴をあげて走ってきた理由がちんぷんかんぷんだったが次の瞬間にそんなことは吹っ飛んでしまった。なんと岸くんが高橋の腕にしがみついてきたのだ。
「た…高橋…俺から離れるんじゃないぞ…シンメだろ俺達…」
「き…岸くん…!」
高橋は体温が一瞬で沸点に達する。頭のてっぺんでやかんが沸かせそうだ。これは現実か…?なんという幸せ。目眩がしてきた。
「高橋、俺からも離れるなよ。あとでエロ動画セレクション見せてやるからな…」
「高橋、君と僕は同期だろう…こういう時こそ同期の絆を見せるべきだ…」
神宮寺と羽生田も同じようにしがみついてきたが高橋の五感には岸くんの腕の感触のみが伝わってきた。半酩酊状態のようになりながらちどり足で別荘に戻る。その後ろで倉本が「揃いも揃ってビビリばっかだよなー情けねえ。
俺なんかみずきがピンチだったら幽霊だろうが狂った女だろうがブラックホールで吸い込むし。なんせみずきは将来俺のお嫁さんになるしちゃんと守ってやんねえと」と呆れ口調で呟いていた。
その夜は般若女に追いかけられた3人の要望により8人でリビングで雑魚寝をした。
高橋は寝ぼけて夜通しヘッドスピンをし(興奮していたせいかいつもより高速回転)、同じく寝ぼけた倉本は岸くんと谷村の腕やら尻やらに噛みつき、羽生田も寝ながらうんちくをえんえん語っていた。
そして神宮寺は中村と栗田の夜の営み(その晩はひと際燃え上がってそれはもうめくるめく官能の世界)という最高のオカズを目のあたりにし、念願の野外オ○ニーこそかなわなかったが充実した夜を明かしたのだった。



END

896ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 20:46:45.82 0
みんな幸せ
897ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 21:21:37.28 0
この8人好きすぎる 作者さんいつもありがとう
898ユーは名無しネ:2012/06/26(火) 22:14:23.78 O
安定の不憫乙です
そしてはにーようこそいらっしゃい

羽生田観光好きだー!
899ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 00:24:28.76 0
三行でまとめられた不憫2の人生ww
栗にプリンもらってよかったね
900ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 02:15:13.64 0
みんながみんな愛おしい
901ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 16:58:20.47 O
ふうくんのハナウタ

たらったらったーふふふーふーふふーん
たらったらったーふふふーふふふーん
もおーやーめーにしてーきっしっゆうったああ〜

抱いて抱いて抱いてきーしゆーたー強く強く強く離さないで
ふふふーふーんーっふふふふふー
ふふふふふーふふーん
きしきしゆうったあ〜

踊れ踊れ踊れきーしゆーたーおれのおれのおれの隣でずっと
ゆうたのーそーのほーれーせーんんっがああああ

じれっったいのよお〜
902ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 19:24:37.09 0
神7は雑誌の企画(たぶん☆誌あたりの)で女装を披露することになった
ちなみに全員女子高生コスである

この中で唯一のDKである岸くんがトップバッターだ。ガツガツした足取りで控え室から現れる。
「岸くんキモイよー……あれ?」
お約束でディスったものの、一同は奇妙な既視感に襲われていた。
「こういう微妙な女子いるよなー」神宮寺が笑いながら指摘する。
やや猫背なのを除けば、小柄で色白だしスタイルは申し分ない。
「いやーこのスタジオあっついな〜!俺女の子ムリだわ」
言ったそばからメイクが滝汗で溶かされていき顔面がすごいことになっている。
約1名の少年が必死の形相で隠し撮りしていたのを羽生田は見逃さなかった。

「次はれいあだな」「ここは安定じゃね」
そのわりには栗田の表情が固い。中村はゆったりとした足取りで優雅に現れた。
前評判通り、清楚系JKに仕上がっている。
「さすが上品だな!ヤッベ」「僕のお姉ちゃんよりカワイイんだけど!」
神宮寺と倉本がほめたたえるが栗田だけは見ようともしない。
喉元にホクロのあるライバル出現で機嫌が悪いのか…と一同はひそかに予想する。
「栗ちゃあん、どうしたのぉ?」中村は栗田の側に寄り、肩をゆすった。
一瞬、栗田はビクッとしたが、首をブンブン振った。
「いやいや!見たくねーだよ!れいあのJKコスとかさあ!激可愛いに決まってんじゃん!全国発売の雑誌に載るんだろ?
買い占めたくなっちゃうじゃん!つーかマジやべえだろ!そんなの耐えられる自信ねーし!」
ユニークな声でわめきちらす栗田の頬を中村は両手で挟んで自分のほうに向けさせた。
「…う?」
「でもさぁ栗ちゃん。僕は君のものだよぉ?」
「……れいあああああああああああ!!!!!!」
栗田は中村の腰に手を回して引き寄せ、胸にタッチした。
「なあ、オパーイは?なんかつめてんのか?」
「よしなさいって君たち。これから撮影なんだから」羽生田が同級生カップルに自重を呼びかける。
「次、はにうだだな」と高橋は声をかけた。
「こういうのは僕の目指す方向じゃないんだけどな」ぶつぶつ言いながらも、羽生田は10分ほどで控え室から現れた。
「はにー、意外とイケてんじゃん!」
倉本が意外そうな声を上げる。高橋も驚いて言った。
「エキゾチックな中にも目元がアジアンビューティっぽい的な感じだ…」
たしかに体型が華奢なのでそれなりに女装が似合っている。
「ちょっと交換留学生っぽいけどな」神宮寺がツッコむと、羽生田は冷静につめよった。
「ちなみにどこからの留学生?」
「えーっと…」と言葉に詰まる神宮寺。
「インドじゃね?」と近くのソファで中村といちゃついてた栗田がひょっこり顔を出した。
「そうか、インドはスケールでかいしIT大国だし哲学や宗教も見るべきものがあるし日本よりも可能性を秘めた国だからな…」
うんうんと頷いている。彼なりに納得したらしい。
「しかしこの格好じゃ1人ラーメンはできないな…」

次は高橋だ。少しぎこちない足取りでこっちへやってくる。部活に燃えるハツラツ体育会系JKといった感じだ。
「足がスースーする的だよなあ…」スカートのすそを押さえながら恥ずかしそうに高橋が言う。
「なかなかの脚線美だな。さすがヘッドスピンで鍛えただけあるね」すかさず羽生田がほめた。
「えっ、そうかな」高橋は照れくさそうに頷き、ある方向を見つめた。
視線の先にはパンダのようになった顔面をメイク落としシートでごしごし拭いている岸くんがいた。
「ふぅ〜…あっつうぅー」岸くんはリボンを外し、はだけたブラウスの胸元やスカートの中に下敷きで風を送り込んでいた。
今の季節でこんな状態じゃ真夏とかどうすんだろ…としか他メンバーは思わなかったが
高橋だけは「ああああ岸きゅんのセクシーショット撮りたいいいいいいいい」と今にもヘッドスピンかましそうだった。

903ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 20:04:07.69 0
次は待ち時間にテイクアウトの松屋の牛めしをサクッとたいらげた倉本だ。
「みずきいないんじゃやる気でねーよ、ゲップ」
まだ小学生なのにーとぶーたれつつもちゃんとJKの格好に着がえるところがえらい。
「あれ?この衣装サイズちっちゃくね?きっつーい!」
「うわ……かーーわーーーーいーーーいーーーーー!!!!!!」
お兄さんたちはどよめいた。ちょっとぷっくりしてるけど愛らしさでは一番かもしれない。2昔前のアイドルみたいだ。
けど、この可愛さはなんかヤバイと誰しもが思った。それはロリコンを刺激してしまいそうな的な…
「なんだよー!なんかみんな目つきがヤラシイぞ!」
「ハイハイごみんな…えっと次は谷川連峰のおいしい水かぁ?」興味なさそうに振り向いた神宮寺は一瞬ムセた。
憂いを秘めた表情のテラ美人なJKがこっちへやって来る…と思ったらよく見ると谷村だった。
一同はまたまたどよめいた。
「お前やればできる子じゃん!!すっげえキレイだよ!」神宮寺は興奮したが、谷村の表情は相変わらず闇夜のカラスみたいに暗かった。
「こんな格好、親きょうだいに、いや学校関係者に見られたら俺は退学だ……あああどうしようう!」
「何言ってんだ。これから全国誌に載るんだぞ?」
「うわあああああやっぱそういうの困るううううう」
「バカ!おいこらふざけんな!!」
衣装を脱ごうとした谷村の腕を神宮寺はつかんだ。
「その前に撮らせろ!」と谷村を激写しまくる神宮寺。
「たしかにすごい美人なんだけど、将来悪い男に騙されて会社の金を横領してしまうOLに成長してしまいそうな…
そんな幸薄そうなオーラが漂っているな」言い辛そうに羽生田は告げた。一同はうんうんと頷く。
「負のオーラは女になっても消えねえんだな」とペロペロキャンディーをなめているロリJC風の倉本に言われて谷村は立つ瀬がなかった。
「くそぅ…どうやったらこの負のオーラを消せるんだ…」
神社でお祓いとかしたほうがいいのか、と谷村は深刻な表情で考えこみながら岸くんの隣りに座った。
岸くんはメイク落としの手を止めて口をポカーンと開けたまま谷村の白い横顔に見とれていた。
その様子を見た高橋の顔は一気に曇り出し、そんな高橋を見て羽生田は……まさに負の連鎖おそるべしである。

ところで、大トリは神宮寺だった。
唯一の経験者だけあってメイクに1時間ほどかけている。
待ちくたびれたメンバーとカメラマンの前に神宮寺はようやく現れた。
「つけまつけてたらこんな時間たっちゃって…あれ結構ムズイよな」
「渋谷あたりをうろついてそうなチャラいJKだな」と眠たげな目をした羽生田が一刀両断する。
「思ったよりフツーだな…そのへんにいそう」岸くんにまで言われて神宮寺の顔はひきつった。
「おい反応薄すぎだろ!せっかくフルメイクがんばったのに!!フン、こうなったら俺は俺を夜のオカズにしてやっからな!!!」
神宮寺はギャルピースとかてへぺろポーズで自撮りしまくりはじめた。
「よーっし、そろそろ撮影はじめるぞー」
カメラマンの声がして、神7はわらわらと集まったのだった。



終わり
904ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 20:09:41.43 0
谷茶やるじゃねーか
905ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 20:11:55.14 0
栗ちゃんの女装は?
906ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 20:28:42.47 0
神宮寺の女装はブサかったもんな
907ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 20:43:42.88 0
れあたんも案外女装はそんなにな気がする
栗ちゃんあたり大変身すんじゃない?
908ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 21:38:59.52 0
谷川連峰のおいしい水w
909ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 22:06:50.74 0
れいあはオタが言うほど美形ではないからね
色白とのっぺりした顔で誤魔化してるけど
顔面レベルは神7底辺でしょう
910ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 22:17:53.14 0
いやそういう意味ではなくて嶺亜の場合は顔が女の子っぽいわけではないから女装はあんまり似合わないだろうなという意味だろう。オタはそれでも狂喜乱舞するだろうけど
顔「だけ」なら栗田の方が女の子っぽいし
神7で女装が似合うのは倉本栗田ぐらいかな
あとは男顔だったり体格がごつごつしていたりで似合わない。見てみたいけど
911ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 22:18:15.15 0
>909
はぁ?
912ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 22:26:53.11 0
最近れあたんのアンチが暴れてるから気にせずスルーで
913ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 22:35:30.24 0
くらもっさんって今一番小さいけど5年後は一番デカくなってそうだよな
ちょうどスマの香取みたく
914ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 22:37:54.82 O
くらもっさんってよく見たらすげージャニ顔だよな
うまくいったら手越みたいになりそう
915ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 22:46:57.28 I
まさおはくらもっさんどのくらい出てるのかね?
916ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 22:47:22.68 0
すでに手越と中島裕の小さい頃に似てる
917ユーは名無しネ:2012/06/27(水) 23:05:03.72 0
くらもっさんはジャニさんのドストライクなんだろうなって思った
だからセクゾンから外れた時はまじで驚いた
けど神7で育成されてるというのがよく分かる。ジャンプの龍太郎とイメージ被るけど龍太郎は年上メンからあまり大事にされてなかったけど神7メンはわりとくらもっさんに好意的だし結果的にこれで良かったのかもしれないと思ったり
918ユーは名無しネ:2012/06/28(木) 00:23:09.50 I
ここでこんなにくらもっさんが話題になったのは初めて
919ユーは名無しネ:2012/06/28(木) 20:23:44.18 0
あげましょう
920ユーは名無しネ:2012/06/28(木) 22:08:16.96 I
谷茶は眉毛薄くすれば女装完璧だと思うよ
栗ちゃんと谷茶のツーショット見たいな
921ユーは名無しネ:2012/06/28(木) 22:22:21.29 O
作者さん乙です
颯くんは岸くんが女装してもイケるんだなw
922ユーは名無しネ:2012/06/28(木) 22:30:48.43 0
れあくりはスノプリ時代に出た事あるけど神7メンバーでうたばんに出てるのが見てみたい
まぁもう無理な話だけど
923ユーは名無しネ:2012/06/28(木) 22:45:21.68 O
中居くんの隣に座るの誰だろう
石橋に言わされる大野くんポジは?
トータライザーもやるよね
924ユーは名無しネ:2012/06/28(木) 23:33:09.95 O
大野くんポジは岸くんどうよ
925ユーは名無しネ:2012/06/28(木) 23:39:30.04 0
岸くんは案外いじられなさそう
いじりやすいのは金持ちで慶應の羽生田とかヘッドスピンという一発芸持ってる高橋とかかな
栗田のアホっぽさもうまくいけばいじってもらえそう
れあたんとかは脇でニコニコして終わりそうだし谷やんの場合は「いたっけ?」みたいなことになりそうな気が
926ユーは名無しネ:2012/06/28(木) 23:58:55.10 O
岸くんのあの感じはいじられ対象だろw
けど中居の隣はくらもっさんな気がする
ひたすらおっにくー
927ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 00:01:57.22 O
大野くんポジとして毒吐くれあたん見たい
でも涙目で言わされて中居に殴られそうになる岸くんも捨てがたい
928ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 00:04:52.42 0
いじられる要素があるとすれば
岸くん→涙目オチキャラ
高橋→ヘッドスピン
神宮寺→なんとなくしゃしゃり出る
倉本→おにく
羽生田→金持ち
中村→乙女キャラかスケボー
栗田→アホとガスガスボイス
谷村→ルービックキューブかエリート

でもまあ全員借りてきた猫みたいになるだろうな
929ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 00:08:42.08 0
れあたんがオカマキャラに仕立て上げられそうで怖い
930ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 13:36:19.17 O
れあたん「ヘタクソな歌うたってんじゃねーよw」
931ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 19:54:14.48 0
いったんあげまふ
932ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 21:01:56.50 0
れあたん「うわあフサフサになりましたね」
933ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 21:05:31.26 0
れあたん「栗ちゃんと中居くんってなんか声の種類似てますね」
934ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 21:40:07.28 O
石橋さんにやたら気にいられるれあたん
935ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 21:48:38.08 0
れあたんは確かにバシタカに気に入られそう
岸くんには中居くんのツンデレが待ってる
936ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 21:49:52.41 0
しかしユニ名はまじでつけないっぽいな
吉梶阿宮中のトラビスはあっさりついたのに。今こっちの方が売り出し中なのかね
937ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 22:35:05.05 0
どうせデビューさせないなら安易に付けなくていいよ
938ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 22:38:56.68 0
全員揃ってなかったり岩橋や松倉が入ってたり不安定だし色々試して選抜されていくのかな
フレッシュJrって呼ばれなくなる頃にはどうなってるんだろう
939ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 22:43:20.67 0
神7+秋葉岩橋あらんが至高
940ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 22:58:39.91 0
神7って今何人なの?
941ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 23:04:37.97 0
ジャンプコンでは岸高橋神宮寺倉本羽生田中村栗田谷村松倉が一つのくくり
セクゾンコンでは岸高橋神宮寺倉本羽生田中村岩橋阿部宮近が一つのくくり
雑誌などの撮影では岸高橋神宮寺羽生田はほぼ固定。そこに倉本と中村が入ったり入らなかったり
倉本中村井上岩橋の場合もある
雑誌では松倉はまだニューフェイス扱いだし栗田谷村は脇山さねやすあたりと載ってることもある

確かに安定はしないな
トラビスが安定しちゃったから
942ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 23:05:38.24 0
>940
ずっと6人
943ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 23:13:53.60 0
俺の中では8人
944ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 23:31:01.77 0
岸高橋神宮寺倉本羽生田中村谷村でいいじゃん
945ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 23:42:59.34 0
お前が栗田アンチだということは分かった
946ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 23:43:26.69 O
松倉はどうだろうね
自分としては今いちだが
947ユーは名無しネ:2012/06/29(金) 23:45:30.01 0
松倉入れるなら井上だな
バランス考えると岩橋かもしれんが岩橋はダンスが下手すぎる
948ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 00:06:47.01 0
>945
すごい!よくわかるね
949ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 00:28:59.59 0
JJLのガチリンピックでは不憫1と2が同じチームで颯れあが同じチームか
950ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 01:38:48.91 0
チーム制なの?
951ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 09:17:17.25 O
952ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 18:39:11.85 I
もうすぐpart5
953ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 22:23:15.66 0
乱太郎関連の動画を色々見てたんだが
終わらないSCHOOLDAYSとか0点チャンピオンとか神7に歌って欲しいw
954ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 22:24:30.07 0
自分的に岩橋あらん宮近は惜しかったな
本家神7に対抗して神11が作れたのに
955ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 22:40:27.42 0
岩橋は入る可能性大だけど阿部宮近はもうトラヴィスってユニット名までついたからね
岩橋松倉井上が今後の展開次第で入ってくるかと
何気に古林もまだ可能性があるし
956ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 22:43:28.00 0
にじきはちょっと…
957ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 22:45:00.04 0
でも一緒にハワイにまで行ってるでそ
栗田谷村は一歩下がったっぽいな。谷村はまだJJL出てるけど栗田はラジコン以来出てない
一時期栗田はヤンヤンにまで出してもらえてバラエティ推しされてたのに
にじたんはなんか持ってる気がするから怖いんだよな
958ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 23:02:14.22 0
栗田のラジコンの時の態度というかキャラは不快だった
959ユーは名無しネ:2012/06/30(土) 23:04:56.98 0
不快とまでは言わんが神宮寺と一緒で軽薄チャラ男だということは良く分かった
960ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 00:23:56.60 O
明日のJJLは岸くん出るし、要望出せば神7のJJLも可能かもしれん…
961ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 01:17:44.73 0
冗談で千田出せ千田出せって要望おくりまくったら出るようになったよ
偶然かもしれんが
962ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 01:31:28.20 I
小さなことからコツコツと
963ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 19:50:30.89 0

「はあ…」
いつも陰気だとよく言われるが、今の気分はどん底レベルだ。足取りがまるで鉛の枷をはめられたかのように重い。谷村龍一は足を引きずるようにしてホテルの廊下を歩く。
部屋の前まで来ると、逃げ出したくなった。だが逃げたところでどこへ行くというのか。ここは大阪だし帰る家もないし自宅に戻る術もない。ここに入るしか選択は残されていないのだ。
(なんで…よりによって中村と…)
部屋割を聞かされた時には卒倒しそうになった。異議申し立てしようにも本人の前でなどできるはずもない。
谷村がこんなにも憂鬱になっている理由はただ一つ、今日のステージでの失敗だ。
本番のステージで谷村はおもいきり移動を間違え、それどころか焦って中村にぶつかり、小柄な中村は谷村の勢いに吹っ飛んでスピーカーに体を強打した。思わずその場で謝ったものの本番中だし、それが満足にできなかったのだ。
本番が終わって、謝ろうと思ったがあまりにも中村の「怒ってます」オーラが凄まじすぎて声がかけられなかった。
一晩明けてほとぼりが冷めた時に謝ろうと発想を変えたが部屋が同室になってしまった。
(怒ってるだろうな…こええなあ…)
中村は普段誰に対しても温厚なのに、何故か自分が失敗したりへまをすると急にドSになる。その南極のブリザードのような、永久凍土のような凍てつく視線を受けると脳髄が震えあがる。
ファンには「天使」だのなんだの言われてるがそういう時の中村はもう鬼ヤクザの比ではないくらいに恐ろしい。
恐る恐るドアをノックする。もういっそこのまま閉めだしてくれた方がましかも…なんて思っているとドアが開いた。
そこで谷村は「部屋間違えました」と言って引き返したくなった。
「…」
ドアの隙間から絶対零度の視線が突き刺さってくる。もう泣きたくなった。
「きょ…今日はごめんなさい…テンパってしまって…」
部屋に入りながら、谷村は震える声でやっとそれだけ口にした。
「…」
中村は無言で谷村を睨んだ。真っ白な肌が余計に怖さを引き立てている。天使は一体どこへ行ったのだ…
「つ…次は絶対迷惑かけないから…あの…本当にごめんなさい…」
「お風呂入ってくる」
ぶっきらぼうにそれだけ言って、中村はバスルームに入って行った。一時的に緊張の糸がぷつんと切れ、谷村はベッドに倒れこんだ。
(くっそー…このまま寝ちまおうかな…いっそその方が…)
そうやってやきもき考えているうちは決して眠気などやってこない。そのうちに中村がバスルームからあがってくる。
「あ、お…俺も入ってこようかな…」
谷村は逃げるようにバスルームに入った。

「はあ…」
狭い湯船に浸かり、疲労を少しでも削ぎ落としていく。コンサートで疲れているのに、その比ではない試練を前に谷村はくじけそうになる。
だいたい中村はなんで俺にだけこんなに厳しいんだ。倉本が間違えたり本番で確認してきたりしても親切に教えてやるし怒ったりしないのに何故俺にだけ…。普段はなよなよして女みたいなのにこういう時だけ豹変するのがなんとも理不尽だ。
それに、俺の方が年下ではあるけど背も高いしエリートだし負けてるとこなんかない。ほんの少し入所したのが中村の方が早いだけだ。こんな風に怯えるなんて馬鹿げてる。堂々としてりゃいいんだ。
だけど…
964ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 19:51:47.13 0
何故か逆らえない。怖いのもあるが、それよりももっと根深い何かが自分の中にある。そんな気がする。それがなんなのかまだ分からないが…
風呂からあがったら中村はもう寝ていた…という展開を期待したがそれは儚く散る。中村はテレビをぼんやりとした表情で見ていた。その横顔はまだ穏やかで、不覚にも少し安堵してしまったがやはりそれは勘違いだったようだ。
「谷村」
来た。
全く抑楊のないトーンで中村は谷村の名前を呼んだ。だが視線はテレビの方を向いている。
「な…何…?」
谷村がどもりながら返事をすると、ゆっくりと中村は振り返る。湯上りで髪が少し濡れている。肌は恐ろしいくらいに白い。
「そこ座って」
中村はベッドを指差した。谷村は言われたとおりにベッドの上に正座をする。しろと言われたわけではないが無意識に正座をしてしまった。
中村は谷村と真っ直ぐに向かい合って座った。正座を少し崩した座り方で、妙に艶っぽかった。
中村の表情は冷めていた。完全にドSスイッチが入っている。谷村は身震いした。
「今日のこと…本当に反省してる…?」
「してる。めっちゃしてます。」
もう背中に汗が滲みだす。どっかの法令線男みたいにダラダラと。
「じゃあそれ脱いで」
中村は谷村のズボンを指差して言った。谷村は唾を飲む。逆らえるはずもなく言われたとおりにした。
始まる…おしおきが…
「なんでもうこんなになってんの?」
冷たい視線で、中村が問いかける。それは、もうこの時点で谷村のものが最大限にまで張りつめていたからだ。怖くてたまらないのに、何故かそこは反応してしまう。これからの展開を予測して…
「えっと…それは…」
「言い訳はいいや」
冷たくそう言い放って、中村は谷村のものに触れた。しなやかな指の感触に一瞬、びくっと体が反応する。
「僕がいいっていうまで出しちゃダメだよ」
忠告を終えると、中村が谷村のものを口にした。じらすように最初はソフトに舐めてくる…
「ぅあっ…!」
この時点でもう全身を強烈な快感がかけめぐる。雷に打たれたかのような衝撃。谷村は思わずのけぞった。
長い前髪からわずかに覗く切れ長の瞳。その奥が妖しく光っている。ぞくぞくするようなサディスティックな視線。谷村の神経はびりびりと痺れた。
「はっ…うっ…!」
たまらず、シーツをきつく握った。中村の唇と舌の動きは徐々に激しさを増してくる。まるで大蛇に這われたかのような感覚に陥りこらえきれず大きな声が出てしまう。
「あ…!い…!あ…!!」
「谷村、うるさい。声出しちゃダメ」
この上声も我慢しろというのか。こんなに気持ちがいいのに、声を出しちゃダメ、射精するのもダメなんて拷問もいいところだ。これこそ究極のおしおきである。
上目遣いで睨みながら中村は根元から吸い上げるかのようにしゃぶりつくしてくる。、谷村はもう限界だ。だが今出したらもうしてもらえなくなる。それはある意味で一番辛い。
965ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 19:53:12.90 0
「ぁぐ…ダメだ…出る…!」
しかしもう無理だ。黙って出すよりはマシだろう。谷村はそう宣言すると間もなくせき止めていたものを放出した。勢いよく飛び出したその粘液が中村の顔にかかる。中村は一瞬驚いて目をきつく閉じ、顔をそむけたがすぐにドSの眼つきを復活させた。
「まだいいって言ってないのに…」
「ごめん…でも…我慢できなかった…」
息を整えながら、谷村はとりあえず謝った。だがこれを我慢するのは到底無理というものだ。気が狂ってしまう。
中村はそれには答えず、バスルームに入った。バシャバシャと水の撥ねる音が聞こえる。顔を洗っているのだろう。
戻ってくると、相変わらず冷たい目線で谷村を見て、
「なんで穿いてないの?」
「え…あ…」
ズボンを穿かなかったのは、まだ続きがあるのかもと期待してしまっていたからだ。だが続きはなさそうだ。
しかし…
「何?」
「…」
ズボンを穿くと、谷村は無意識に中村に近づいていた。中村の座ったベッドに谷村も座ろうとすると、中村は頬を膨らませる。
「いいって言ってないのに出したから今日はもうおしまい」
「そんな…」
耐えられるわけがないと分かってて言ったくせに、どこまでサディストなんだ…
谷村は中村に詰め寄った
「じゃあ…俺が…俺がする。それでいいよね?」
「やだ」
中村はそっぽを向く。しかし谷村はもう引き下がれない。こうなったら力づくででも…
しかし谷村のその意識を感じ取ったのか中村はこう言った。
「させて下さい、でしょ?」
「させて…下さい」

中村はベッドに座ったまま穿いていたものを脱いだ。谷村は床に膝を立てて跪くような態勢で中村のものを咥えた。
「あっ…」
中村が吐息のような喘ぎ声を漏らした。そのいやらしい響きに谷村は興奮する。いつも俺を蔑んで見下している中村を今だけは俺がよがらせている…その現実に脳の奥が痺れるほどの快楽に包まれる。
固くなり始める中村のものを谷村は一生懸命に舌と唇で奉仕した。
「あっ…あっ…」
中村の声が徐々に大きくなり始めた。ふとその表情を盗み見てみると、瞳を潤ませてその白い頬がわずかにピンク色に染まっていた。
感じている…
しかも、その表情は今までに見たどの顔よりも可愛かった。
それが起爆剤となり、猛烈な興奮が谷村を飲み込んだ。
いつも俺のことを冷たいドSな眼でしか見ないのに、こんな可愛い表情を見せるなんて反則だ。
「えっ…ちょっと、谷村…?」
気がつけば谷村は中村を押し倒していた。口淫だけでは満足できずその先を求めたのである。だが当然というか、中村は抵抗した。
966ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 19:54:47.35 0
「誰がそこまでしていいって言ったの?ダメだからね!」
「でも…我慢できない…」
あんな表情をされたら、抑えがきくはずがない。谷村は中村の叱責を無視して彼の着ていたパジャマのボタンを外し始めた。
「こらっ谷村!」
大きな声で中村は谷村をたしなめる。条件反射でびくついてしまうがすぐにそれは欲望によって掻き消されてゆく。
全て外し終え、はだけさせるとそのすべすべとした白い肌にむしゃぶりついた。つるんとしていて、ほのかに温かくて…優しささえ感じるその極上の感触に、谷村はもうブレーキがかからない。暴走が始まった。
中村の力はか弱い。元々、腕力や体格に関しては自分の方が上だ。精神的支配から逃れられればねじ伏せることなど容易い。そう、今は精神的支配を欲望が上回ってしまっている…
「やっ…もう…やりすぎ…!」
谷村の執拗で強引な愛撫に、中村は息を乱しながら逃れようとする。だが谷村は止まらない。
心臓が変な鼓動の打ち方をしている…なのに頭の奥は妙に澄んでいてどこまでも透明だ。迷いも躊躇いもない。
「やだっ…もおっ…!」
頬を染めながら抵抗しようとする中村を、谷村は押さえつける。何故か、嫌がられると余計に欲望の炎が燃え盛ってくる。
「中村が悪いんだよ…あんな顔するから…」
「やっ…」
中村は目をきつく閉じた。まるで少女のように恥じらう。
初めてではないだろうに、俺にされるのがそんなに恥ずかしいのだろうか…そんなことが脳裏をよぎると谷村は自分でも思ってもみない行動に出ていた。
「あっ…!?」
中村の中に、侵入を試みた。すでに限界にまで張りつめていた自分のものを押し当てると中村は息を飲んで短い悲鳴のような声をあげた。
「やめてっ…!お願い…!」
涙声で、中村は懇願する。いつも上から目線の半命令口調でしか口をきかれたことのない谷村にとって、それはぞくぞくするほどの快感を与える響きだった。
中村が、俺に「お願い」…って…
谷村は震えた。支配され、隷属する快感とはまた別の、今度は自分が主導権を握る悦び。新しい感覚が自分の中にかけめぐる。それはひどく蠱惑的で、骨の髄まで染みわたらせる強烈な中毒性があった。
その衝動に従い、谷村は中村の細い腰に手を回す。
「あ!!」
「だめ…やめない」
耳元で囁くと、谷村は欲望を満たすべく行動に移る。俺に貫かれて、どんな反応をするんだろう…どんな声で喘ぐんだろう…想像するだけで叫び出しそうになる。
「いい?挿れるよ…?」
視界が真っ白に染まる。目も眩むほどの白さ。それは閃光かそれとも…
967ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 20:01:37.99 0

「…!」
谷村は眼を覚ました。そして数秒の間現実と非現実の境で彷徨った後、見慣れた白い天井がぼんやりと映し出された。
慌てて起き上がる。自分の部屋のベッドの上…カーテンの隙間から朝陽が射し込んでいる…いつもの朝の風景だ。
しかしながら谷村を愕然とさせ、動揺の淵に陥れたのは…
「うそ…」
見事に夢精していた。夢の内容もはっきりと覚えている。
まさか自分の潜在意識にそんな願望があったなんて…
違うぞ。俺にはそんな趣味はない。第一、中村のおしおきは風景画静物画その他もろもろスケッチなのだからあんなうれしはずかし18禁ちっくな…いや淫猥なおしおきなわけがないじゃないか
更には俺の方が襲いだすってありえねえアホが生きてる限りそんなことやりたくたってできるわけがない。俺はまともな死に方をしたい。東京湾ではなくちゃんと墓場で眠りたい。
いやそんなことよりこの始末をどうしよう。洗濯カゴに入れるわけにもいかない。かといって洗おうにも人目につかずそれができる場所がこの家にはない。どうやったってばれる。
早くしないと、母親が自分を起こしに来てしまう…。
どうしよう、どうしよう、どうし…
数分の脳内での谷村会議によって導き出された答えに従って、谷村は証拠隠滅作戦を開始した。


「きゃあああああああああ!!!!!龍一、何やってるのおおお!!!!!!」
母親の叫び声に、谷村は用意していた台詞を口にした。
「さ、寒いから暖をとろうと…」
「何を言ってるの!!?あなた気は確かなの!!?お父さん来て!!龍一が、龍一が…!!!」
谷村の部屋の屑籠の中には燃えて灰になりかけたパジャマと下着がもうもうと煙を上げていた。
汚れた下着とパジャマを燃やして隠滅してしまえばいい。そこに行きついたはいいが谷村は服を着るのをうっかり忘れていた。これは手痛いイージーミスである。てへぺろというやつだ。
朝、起こしに行ったら息子が全裸で部屋で火遊びをしている姿を目の当たりにした母親は半狂乱になって父親を呼びに行った。彼女にとっては夢精して下着を汚してごめんなさいという方がまだ救いがあっただろう。
そして谷村は二度目の白い壁の病院に入院をした。よく分からない薬を処方され、なくなるまで飲み続けることを義務付けられたという。


END

968ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 21:53:34.23 I
JJLの神7可愛すぎてふわふわしながら来てみたらこんなものが投下されてたwww
969ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 22:18:18.05 0
夢とはいえ谷ヌラごときがれあたんのあんなことやこんなことけしからん
れあたん俺のもなめて
んんんんれあたんんんんん
970ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 22:20:54.86 0
また終了間際に問題作がwwwwwwwww
971ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 22:55:09.69 O
作者さん……飲んだね?
972ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 22:59:33.86 O
いい加減にしろ谷村wwwwww
973ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 23:27:48.26 0
俺の精液干乾びさせる気か
974ユーは名無しネ:2012/07/01(日) 23:56:34.14 0
終了間際の問題作いつも楽しみにしてるよ
うわあああああああああれあたんんんんんんんんn
975ユーは名無しネ:2012/07/02(月) 00:15:20.71 0
そこで今日のプレッシャークラブ見返したらすんごいムラム…微妙なきもちになりました…
976ユーは名無しネ:2012/07/02(月) 00:16:43.49 O
やばい読んでてどうにかなりそうなところに夢オチw
頼むよ…いや楽しかったけどw
977ユーは名無しネ:2012/07/02(月) 17:48:10.98 O
谷村会議w
978ユーは名無しネ:2012/07/02(月) 21:06:06.94 0
作者さん乙デス

アンサー何とかでのれいあはなんか理屈っぽくて相手を冷静に追いつめる感じで
ここのお仕置きキャラな雰囲気が出てたw
979ユーは名無しネ:2012/07/02(月) 22:12:35.69 0
同室シチュエーション大好き
980ユーは名無しネ:2012/07/02(月) 23:05:41.82 0
作者さん乙です
そのアンサー何とかで
れいあが自分を持ちすぎて若干引くふうくんw
981ユーは名無しネ:2012/07/02(月) 23:52:45.45 O
作者さん乙です
れあたんにジワジワ追い詰められたい
982ユーは名無しネ:2012/07/02(月) 23:54:38.86 O
ここでの岸くんがはにーの弁当の豚肉食べる話好きなんだけど、実際似たようなことしててワロタ
983ユーは名無しネ:2012/07/02(月) 23:56:17.02 O
岸くんはお菓子持ってこないわ人の弁当取るわ
おしおきだな
984ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:03:49.96 0
れ、れあたんのおしおき…ゴクリ
985ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:07:33.20 0
岸くん貧乏なの?
986ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:09:58.72 O
確かに岸くんは貧乏顔だが何も考えてないのでは
987ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:10:19.88 0
単に食い意地がはってるだけかと
988ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:19:04.80 0
デパ地下で買い食いしてるのに貧乏ということはないだろう
989ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:21:42.18 0
>982
ナツカシスwwwwww
誓約書書かされたあれかwwwww
990ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:24:50.83 0
岸くん大型犬かってるんだよね
貧乏ならでかい犬なんて飼えない
991ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:27:42.79 0
さーて、990超えたぞ
もうpart5か
感慨深い
992ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:31:30.15 0
デパ地下で買い食いってことにしてるけど実は試食品巡りで
大型犬は雑種育ててたら大きくなっただけかもしれん
993ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:35:39.51 0
黒のラブラドールだぞ
でも真っ白に煤けた学ランはたまらん何かを感じさせる
994ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:43:49.31 O
岸くんがリアルにJJLでれあたんにセクハラまがいのことしたから
れあヲタ怒らせてたらどうしようと心配だったけど平常運転で安心
995ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 00:46:15.45 0
>>993禿同
996ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 01:05:11.88 0
>994
ん?脇腹チョン、のことかお?
もちろん許さないお
997ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 01:13:01.46 I
カウントダウン!part4も楽しかった!
作者さん、ここのスレの人、そして親愛なる神7に愛をこめて
ありがとう
998ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 01:13:24.67 0
誰かたててくれ俺できなかった
999ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 01:15:08.00 0
またいつものように・・・
1000ユーは名無しネ:2012/07/03(火) 01:16:00.31 0
またいつものようにれあヲタが・・・
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