1 :
マジレスさん:
「うぬが、音に聞こえた極真空手松井派の使い手か」
と声をかけると、ゆっくりと目を覚まして佇まいを正し、
良く通る声で一言、
『如何にも』
刹那、場の空気が緊張に満ちる……
それは、奴の闘気。奴の力は本物だ。
俺は呼吸を整えると、奴の鋭い視線に己の視線を交錯させた。
「……格上の相手なれど、兄として退くわけにはいかぬ!」
『よくぞ吼えた!その蛮勇に敬意を表し、全力で屠ってやろう!
かかってくるがいい!』
最後の闘いが始まる……
2 :
マジレスさん:2005/05/21(土) 08:02:28 ID:Q8it8jjF
テラワロス
3 :
マジレスさん:2005/05/21(土) 08:03:13 ID:WP0Y6dEn
終了
4 :
マジレスさん:2005/05/21(土) 08:03:58 ID:J5FvPppt
朝っぱらから笑い殺す気かw
5 :
マジレスさん:2005/05/21(土) 10:44:54 ID:RY/UXOM7
6 :
マジレスさん:2005/05/21(土) 10:46:51 ID:1RgrqSuk
いや、結構面白かったよ
7 :
マジレスさん:2005/05/21(土) 10:49:32 ID:XUiHEMVT
何故人生相談板で?
おもろいが毒男板にでも書いててくれ…
8 :
マジレスさん:2005/05/21(土) 10:53:24 ID:yni0hNdu
これほかの板でやっていたやつのコピペだろ?
ツマンネ
わらた くっそー。。
10 :
マジレスさん:2005/05/22(日) 23:14:33 ID:85t8hYvx
漢字が読めない自分に笑った
11 :
マジレスさん:2005/05/22(日) 23:17:17 ID:aycC7ZK6
正直ワロタw
12 :
マジレスさん:2005/05/23(月) 00:53:51 ID:k9jT0ZIb
エロスレかと思ったらやられた
13 :
由 ◆UsF/eVSscw :2005/05/23(月) 00:57:30 ID:e2ikj4f5
おもしろいと思うよ。うん。
14 :
マジレスさん:2005/05/23(月) 01:40:35 ID:MLVJ+JQi
やべ、どうしよ、ウケちまった。
15 :
マジレスさん:2005/05/23(月) 01:51:22 ID:s3VaVTVO
あーおかしい。
続きはないの?
16 :
(・、・ ) ◆sOeqMOCCHU :2005/05/23(月) 01:52:43 ID:LDoZZDfB
17 :
マジレスさん:2005/06/22(水) 22:01:51 ID:VxBtyiNd
安芸
18 :
マジレスさん:2005/06/22(水) 22:03:26 ID:f+6GivYT
続きを激キボンヌ
19 :
マジレスさん:2005/06/22(水) 22:49:48 ID:iCUq4wGE
何…?とおもて見たら、ホンマ何やぁ(゜д゜*)
オモロイやなぃか…
お笑い板に持ってってもよろしと思うw
20 :
マジレスさん:2005/06/22(水) 23:49:03 ID:fOCsTi3Q
俺と妹は、互いを見据えたまま、全く動けずにいた。
この戦い、先に動いた方が負けると直感していたのだ。
余裕の表情を見せている妹。
しかし、俺とて数ヶ月にわたり師匠である弟(5歳)のもと、凡人ならば100回死ぬと言われる特訓を繰り返してきた。
負けるわけにはいかない。
21 :
マジレスさん:2005/06/23(木) 00:11:29 ID:bWen0xut
笑ってしまった自分が悔しい…
22 :
マジレスさん:2005/06/23(木) 00:19:05 ID:TVb2pVnK
先に動いたのは意外にも妹の方だった。
しかし、余裕の表情はそのまま。
なめられている…
しかし、頭に血がのぼったままでは奴は倒せない。
妹の手刀を紙一重でかわし、続く蹴りを避けながら、俺はソファーの後ろへ飛び越える。
妹の正拳突きが鋭い音とともに突き刺さる。ソファーが盾になったものの、その一撃で真っ二つになるソファー。
後ろへ飛びのけて距離をとる俺。
再び訪れる沈黙。
23 :
マジレスさん:2005/06/23(木) 00:30:23 ID:TVb2pVnK
沈黙の最中、師匠の声が聞こえてきた。
「あんどーなちゅ!」
どーなちゅ…
舌足らずの弟の口から発せられた言葉は、何かの暗号なのだろうか?
それとも…
そうかっ!
俺は気づいた。その言葉の意味するもの。それは…
そうこうしている間にも、一気に間を積めてくる妹。
迷っている暇はない。
「たぁっ!」
「ふんっ!」
互いの気合いが居間に響きわたる!
もう駄文はこの辺にしておこうか…
24 :
マジレスさん:2005/06/23(木) 00:34:16 ID:6Ckp9Ckw
やられた…。でも面白いから許す。
>>8 どこの板か教えてくれたら飴あげちゃう。
25 :
マジレスさん:2005/06/23(木) 00:36:21 ID:6Ckp9Ckw
あんどーなちゅ!あんどーなちゅ!
>>23 マイペースで良いから続き希望。
26 :
マジレスさん:2005/06/23(木) 00:56:00 ID:TVb2pVnK
続き選んでください…
A あんどーなちゅ、それは妹の…
B 「幼子に頼りすぎたのう、兄よ!」妹の声が…
C 俺は懐にしまい込んでいた…
27 :
マジレスさん:2005/06/23(木) 02:00:04 ID:6Ckp9Ckw
もう寝てると思うけど…「C」で。
さて、おやすみなさい。
28 :
マジレスさん:2005/06/23(木) 21:17:59 ID:TVb2pVnK
構えた右手を突き出した俺を背景に、妹はゆっくりと、しかし鋭く手を下に振った。まるで、刀についた血を振り払うかのように。
「くっ!」
俺はたまらず呻き、ひざをつく。
俺の心の臓の位置に赤く痕が残っている。我が妹ながら恐ろしい。
それでも俺は、ここで引くわけには行かなかった。
妹は、勝利の余韻に浸るかのようにその場から動かずにいる。
だが…まだ早い!
俺は懐にそっと手を伸ばした。
最後の切り札だ。
29 :
マジレスさん:2005/06/23(木) 21:29:03 ID:TVb2pVnK
「待て!」
全身全霊をかけ、俺は叫んだ。
取り出したのは、あんどーなつ。
天井から、ソファーのものと思われる羽毛が降ってくる。それに一瞬目がいった時、俺たちの間に過ぎていく時間があまりに短かったことに気づいた。
「どうした?隙丸だしで天井などを…それは!?」
あんどーなつは、俺たちの絆の証でもあった。
詳しいことは省くが。
30 :
マジレスさん:2005/06/24(金) 02:30:55 ID:ePXu8jmR
省くのか。
31 :
マジレスさん:2005/06/25(土) 09:14:31 ID:CBsG5JAg
俺は、あのお淑やかだった妹を変えた原因でもあるそれを彼女にかざしつつ、視線は彼女から離さずに、こう言った。
「もうあの時とは違う。俺はお前を守れるほど…強くなった」
「何を今更…お前ごときに守れるほど、華奢な小娘と一緒にするな!」
妹から発せられる闘気は、明らかに強い格闘家のそれである。
あたりを痺れるような空気が漂い、それだけでも彼女がただの女子高生ではないことを直感させる。
32 :
マジレスさん:2005/06/25(土) 12:43:03 ID:CBsG5JAg
「貴様も格闘家の端くれならば、その脚で!その拳で!語ってみせい!!」
そう言って、構える妹。
カウンターをとるつもりか、その所々に隙が伺える。
「ならばっ!」
俺はあんどーなつを天に放り投げ、言った。
「受け取れっ、俺を倒して!」
「ほう…正面から挑むか。それでこそ武道極めんとする者よ!」
俺は妹に全力で拳をぶつける。
妹は息を整え、その拳に己のそれを重ねた。恐ろしいまでの早さで。
俺と妹の拳がぶつかり合い、激しい火花を飛ばした。
33 :
マジレスさん:2005/06/25(土) 16:04:26 ID:gETXWK9T
面白くもなんともない
34 :
マジレスさん:2005/06/25(土) 16:28:59 ID:jQvcrX5C
俺は、妹が引いた拳を再び突き出してくるのを避け、蹴りを放つも、それはいともあっさりと弾かれ、さらに数え切れないほどの鋭い反撃をなんとかかわしつつも、俺も必死に攻撃を続けた。
最強を志す格闘家の互いの気は光となって輝き、夕暮れ時の薄暗い部屋を煌々と照らしている。
しばしの激戦ののち、俺と妹は互いに一度飛び退き、再び向かい合ったまま動かなくなる。
あんどーなつが、俺と妹の目の前まで迫ってきていた。
(あのあんどーなつが落ちる前に…!)
1秒とも1時間とも思える沈黙の末、先に動いたのは俺だった。
ただ、突っ込むだけの攻撃ならば、またかわされてしまうだろう。
ならばっ!
俺は床を蹴り、高く飛び上がった。
あんどーなつを真下に見ながら回転して妹のすぐ目の前に着地する。その間わずか0.2秒。
「…!」
妹の表情に明らかな動揺の色が見えた。
秘技・神速回転。
体の重心の全てを脚にかけることで得られる力を利用することで、ものすごい速さを得ることができるのだ。
37 :
◆mxVuuLcR0U :2005/06/25(土) 20:34:19 ID:CBsG5JAg
そのまま、妹の喉元へ拳を近づけ、わずか数ミリのところで、止めた。
「腕を上げたな…」
その表情は、どこか嬉しそうにさえ見えた。
「究極奥義、会得した暁には…最初の犠牲者は、兄…貴様だ」
そう言うと、妹は俺の前を通り過ぎ…そのまま表へと出ていった。
「どこへ行く?」
「決まっている。我が修行…最終段階に入る…これはもらっていくぞ」
一言しか発せられなかった俺の前に、妹はいつの間にか俺のあんどーなつを手に、そう言い残して去っていった。
妹の死を聞かされたのは、それから間もなくのことであった…
序章・完
38 :
マジレスさん:2005/06/25(土) 20:49:32 ID:gJqnXwhu
乙
つづき木盆
第1話 あらすじ〜
妹の死に悲しみに暮れる俺。
そこにあらわれたのは、妹の恋人と名乗る男であった。
「あなたの妹は…生きています。天命山で!」
「何だって!?わかった、すぐに出発だ!」
疑うことなく飛びついた俺。とにかく、信じたかったのかもしれない。妹が生きていることを。
「あ、申し遅れました。僕の名はさか…」
「Bだ。妹のボーイフレンドだろう?Bと呼ぶ!」
「ぼ…ボーイフレンドって…」
かくして、俺とBは天命山へと向かうのだった。そこで待ち受ける恐ろしい事実が待っているとも知らずに…
なんだかんだあって、北の地、天命山にたどり着いた俺とB。
入り口で待ち受けていたのは…
「遅かったな…兄よ。そして…」
「! 妹…!?」
「どこにいる!」
Bがあわててあたりを見回すも、その姿が見えない。
「気配でわからぬか?主も極真の使い手…わからぬはずがあるまい?」
「何…!」
妹の一言で、表情を険しくするB。
「気配でわかる…我が松井派に異を唱える、もうひとつの拳…木村の手の者よ」
「そこまで知っておきながら、何故ここまで俺達を…?」
「知れたこと…我が汚点、主を倒すことで消し去りたいがためよ!」
陽炎の様にほんの一瞬、目の前の空気が揺れた。
『わかっておろうが…恋人だから撃てぬという理屈は存在せぬ。主は我の敵、我は主の…敵だ…Bよ』
「なんでその名前をっ!?」
『語るのは…己の拳のみっ!』
動揺するBの腹部めがけて、妹は拳を叩き…こもうとした。
しかし!
『…ほう…』
「動揺する相手を殴るのは…武道に反することではないのかっ!?」
俺はBの前に立ちはだかり、右手で妹の拳を受け止めた。手と拳の間から煙が出ている。
『それは確かに卑怯なこと。しかし…武道に反することではないわ!』
『それはそこにいるBもよく心得ているはず…同じ武闘家として!』
「そうか…その状態の君と会うのは、初めてだな…きょ」
「妹ぉっ!」
何かを語ろうとするBを遮り、俺は叫んだ。
「お前が急に死んだと聞かされ…俺はどれだけ心配したか!今からでも遅くない…帰ろう、俺たちの家に!」
「ちょっとお義兄さん…」
「だれがお兄さんだっ!」
「どうして僕が説得しようと…」
いいかけたBと俺の間を、一筋の閃光が通り抜けた!
あわてて左右に散る俺とB。今まで俺たちのいたところが、黒くくすぶっている。
『貴様等の漫才など…聞く耳持たぬ!そうまでして我を欲するのならば…この山の頂上にて待つ。我が最終奥義を完成させた上でな…』
妹の周りの空気が震えた。
『頂上までの10合の間には、我が門下におる者達を待たせておる。くれぐれも…途中で命、落とさぬことを望む…』
「ま…待て!」
Bの叫びもむなしく、妹の姿は消えてしまうのだった。
次回、あっさり3合目へ突入した俺たちを待っていたのは!?
お楽しみに!
第2話(全3話中)
ダイジェスト
妹を連れ戻すべく、天命山へと突入した俺とB。1合目の敵は、ただの巨体が鉄球を振り回すだけで、あっさりクリア。
2合目は、ただただ数で攻めてくるだけで、一騎当千の俺たちは、簡単に通り抜ける。予告にあった3合目にいた男は、地面に罠を仕掛けるという汚い手を使ったため、妹自ら『この外道が』とどつきにきて終了、とあいなった。
そうして4合目の虎、5合目の竜、6合目の亀、7合目の鳥もあっけなく倒し、8合目までやってきた。そこには…
「わぁ〜い!」
「!?」
驚いたまま、後ろに仰け反るB。
それもそのはず。そこにいたのは、ここでは今まで一度も姿を見せていなかった、武闘家状態ではない、もう一人の…妹の、仮の姿であった。
しかも、1人2人ではない。
まるでその場を埋め尽くすかの如く、大量の妹(仮)がわいのわいの言っているのだ。
最初はとまどっていたBだが…
「!そうか…そういうことか、このまやかし!」
「B!!?」
「お義兄さん、下がってください…こいつらは、俺が倒します!」
Bはそう言って、ゆっくりと呼吸を整える。「狂猿豪雷波!」
Bの手から出た波動が、あたりの妹(仮)をことごとくなぎ払った。
「B…お前…」
「これが、あなたの妹の考えです…おかげで、吹っ切れました。あいつは俺が…道は違えど、同じ武道を歩む者として!」
Bが高らかに宣言した直後、目の前に陽炎が。
妹か!?と思いきや、現れたのは古ぼけたローブに身を包む老人の姿。
「我が名は幻流斎兼鞆…そなたらの力量、しかと見届けた…通るが良い…9合目へ!」
ついに9合目までやってきた俺たち。最後に待ち受けるは、自称妹の両手、彼女を拳帝とまで呼び付き従う、武道着を着た女だった。歳は妹より幼いくらい、といったところか。
「我が名は轍…」
自らを轍を名乗る少女は、淡々と話を続けた。
「我が拳帝の前には行かせん。覚悟してもらう」
「お義兄さん…先に行ってください。ここは僕が!」
「B…」
「大丈夫。僕とて武道極めし者。こいつを倒し、すぐに追いつきます!」
「死ぬなよ!」
そのまま轍の横を走り抜ける俺。止めようとする彼女を、Bが制した。
「松井派の拳…1対1の方が、有利なんじゃないのか?」
「…お前、名は?」
「僕は…」
Bが名乗るより早く、俺は頂上目指して山を駆け登るのだった。
次回、いよいよ完結!兄と妹の決着は!?
そして、残ったBに勝算は!?
第3話
すでにボロボロのB。
少し離れたところで、構えを崩す轍。
「拳帝と合間見える男がこの程度か…せめて、苦しまぬようあの世に送ってやろう」
「くっ…」
暗転。何かがぶつかり、砕けるような効果音。
所変わって。
「! B…」
俺はBの身に、何かが起きたことを察した。しかし、目指す頂上はこの先。戻れば、Bの想いが無駄になってしまう…。
俺は黙って、頂上を目指した。果たして、太陽が西へと沈む頃、目指す地にやってきた。
『ついにきたか…兄よ。我が奥義も、今し方完成したところ…』
そびえる石碑の前に立つ、拳帝。
『Bも…鍛え方が足りぬ。あの程度で、我の相手をしようとは…』
「妹よ…Bはやはり…」
『ここで倒される主にの…知るところではない!』
言うが早いか、妹の鋭く、重い突きをギリギリでかわし、一瞬できた隙をついた俺の蹴りは、しかし妹が予期せぬ後方からの手刀により、あっさりはずしてしまう。それどころか…
「そんな…一撃でこれほど…!?」
一度の蹴りを受けただけなのに、その場を動くことができないほどの強烈な痛みに襲われる。
『これぞ我が奥義、高速熊手…これまでの重さに、主や、Bの力の源である速さを交わらせた…』
『去れ、兄。それほどまでに弱く、儚きもの…我が武道の礎にすらならぬ』
「いや…まだだ」
俺は何とか立ち上がると、フラフラの意識を何とか保ち、構えた。
『まだ来るか…その心意気、見事…ならば…』
俺が死を覚悟したそのとき。
「まちなしゃい!」
『その声…』
「師匠っ!?」
俺が登ってきた道から、師匠とB、そしてBに担がれて(気絶しているようだ)轍がやってきた。
「ひさしいな…あねうえ!」
「師匠、どうしてここに!?」
「かんちゃんなこと…おまえたちのてにもちゅにまぎれておった!」
『子供の妄言につき合っている暇はない…かかってくるが良い!』
その言葉をきっかけに、師匠が走った!
目にも留まらぬ速さで妹の眼前に立つ。
「しゅきだやけ(隙だらけ)…しょうししぇんびゃん(笑止千万)!」
舌足らずの口調はそのままに、しかし幼い子供とは思えない俊敏すぎる動きは、じわじわと妹の力を押さえ込んでいく。
力には技…いくら、強大な力にわずかばかりの速さを加えたところで、真の神速拳の前に、さすがの妹も歯が立たない。
しかし。
そんなすさまじい闘いが始まってわずか3分、師匠の「おなかへった」の一言により…
あっさりと負けを認める師匠なのであった。
続いてはB。
「君が熊ならば…我が木村派は猿!この切れ味、味わえ!」
Bは、轍との闘いに敗れ、止めをさされる直前に、鞄の中から現れた師匠により救出、その後轍は師匠との激戦の末、倒されたのだった。
しかし、今なお傷の癒えていないBでは、妹を倒すことは…不可能。
やはりと言うべきか、あっと言う間にボロ雑巾のようになってしまった。
師匠も動けなくなり、Bも倒された今。
闘うのは…俺しかいない!
「待て!勝負は…終わってない!」
『貴様に何ができる…その動けぬ体で!』
「俺の心は…まだ屈していない!勝負は、これからだ!」
背を向ける妹に、俺は全身全霊をかけて叫んだ。
『よく言った…それでこそ我が奥義最初の前に積み重なる、最初の屍にふさわしい』
「屍は築かせない!俺も、お前にもだ!」
『甘いな…兄!』
妹の闘気が、増すのを感じた。
決着の時は…今!
もはや一刻の猶予もなく、決め手は、いかに自らの力を出し切るか。ならばここは…
「俺の愛すべき妹よ…親愛なる者に、俺の魂をぶつける…受け取れ!」
『気の流れが…変わった!? 兄…貴様は…』
俺は構えの姿勢のまま、神速拳の極意を噛みしめるように、しっかりと、その拳で、その目で相手…妹の姿をとらえた。
『はぁぁぁ…』
「行くぞっ!」
地を蹴り、俺は狭い頂上を走る。妹は気のせいか、笑みさえ浮かべているようにさえ見えた。
『猛獣幻影豪掌拳!』
「神龍…裂撃!」
妹の気が作り出した熊と、俺の拳が放った龍が交わり、凄まじい光を放った。
「何て兄妹だ!」
「さすが、ぼくちのあにとあね!」
Bが驚愕し、師匠が頷いたその時、舞い上がった粉塵から姿を現す俺。
「お義兄さん…」
俺の足下で倒れている。妹
「…!」
「心配するなB。この程度では死なん」
俺は妹をかつぎ上げ、元来た道へ向かった。
「B…お前は、そいつを頼む。麓まで行って休憩しよう」
「じゃあ、ぼくちも鞄に…」
「師匠〜っ!」
「歩いてください!」
俺とBの叫びが木霊する、夕闇の山頂であった。
〜第1部完〜
〜作者コメント〜
いかがでしたでしょうか?
果たして見てくださった方がいたのかどうか、そこからして気になります。
もしいらっしゃったら、このような稚拙な作文に、よくぞ最後まで目を通していただいたと、感謝の言葉を述べさせていただきたい所存。
第2部をもし書かせていただけるのならば、今度はあんどーなつ、妹が格闘家に目覚めたのは?という謎も明らかにしていきたいと思っております。
しかし、僕には
>>1さんの『よくぞ吼えた!』的な台詞は書けないかも…兄の喋り方も違うし。
皆様からの感想、お待ちしております。
57 :
マジレスさん:2005/06/27(月) 23:31:02 ID:pKJdMMyN
だらしなく股開いて寝てた女が武道の達人のわけがないだろ。
58 :
マジレスさん:2005/06/27(月) 23:45:08 ID:+PGX2yG8
超大作だ!
(・ω・;)(;・ω・)最初のつかみがよかったよ〜
59 :
マジレスさん:2005/06/29(水) 00:43:05 ID:pqpGNLxq
もういいよ。糸冬
60 :
マジレスさん:2005/06/30(木) 23:15:26 ID:83HBfETK
そして浮上
61 :
マジレスさん:2005/06/30(木) 23:17:30 ID:C913qyBD
ジャンプ並みの第一部完だぁねぇ
62 :
マジレスさん:2005/06/30(木) 23:46:06 ID:IPA2vJOy
やべっ、ウカツにも笑ってしまったw。
そして最後まで読んでもうた。
気に入りました。 つづきよろすく。
63 :
マジレスさん:2005/07/01(金) 00:50:14 ID:dDnsngYW
思わず白熱して読んでしまった。
今書いてるのは
>>1さんじゃないのかっ
気が付かなかった。
あんどーなちゅ!
64 :
マジレスさん:2005/07/01(金) 01:22:12 ID:l82pnxIK
なんてほのぼのと心温まる、激しく硬派な物語なんでしょう
と言ったらいいのか なぁ
土埃のする中でミルクセーキ飲んでるみたいな気分だよ
65 :
マジレスさん:2005/07/01(金) 22:00:50 ID:5aGDfM5X
ありがとうございます。
好評につき、
>>1さんに代わって続きを書かせていただきます。
それでは、ただいまより第2部始めます。
とは言うものの、ここに書き込むのは今日中かどうか…
期待せずお待ちください。
天命山の闘いから数ヶ月が過ぎ、太陽は眩しい夏の光を街に発している。
そこから少しはずれたところにある墓地。
妹が1人、墓の前で目を閉じ、黙って手を合わせていた。
一陣の風が吹き抜けるが、蒸し暑い気候は、ただただ汗を流させる原因を作っているに過ぎなかった。
妹は、不意に後ろに現れた気配に振り向いた。
妹の一番弟子である「轍」が…
倒れていた。
「!?」
一瞬の同様も顔には出さず、妹は正面に現れた黒いスーツに視線を移す。
「なるほど…あなたが拳帝…」
第2部 恐怖の組織編
「あまーい!」
ガガガガガガッガガガッ!
擬音に表すならばこんな感じだろうか。
この日何十度目か、もう数え切れない(最初から数えてない)パンチの応酬を受け、俺はまた倒れた。
「たちなしゃい!そのちぇいどで、このぼくちをたおしぇるわけないでちょ!」
「言われなくとも…!」
呟きつつ立ち上がり、俺は左右にステップを踏んで師匠に近づく。
だが。
「そこっ!」
ガツッ!
「ぐっ!?」
確かな打撃とともに、視界が左右にブレる。
「よけいなたいりょくのひへいは、すきをちゅくいやしゅくしましゅ!」
師匠は、本気を出せれば「拳帝」の異名を持つほどに強い我が妹を凌ぐ強さを誇る格闘家であるもののまだ5歳の俺の弟である。
文章にすると平仮名になる舌足らずの口調も、本気の戦闘に耐えうる時間が少ないのも、仕方ないことなのである。
そして、そんな弟に弟子入りし、俺は今日も訓練に勤しんでいるのである。
最初は何かと抵抗もあったが、彼の強さは疑いようもなく、俺が本気を出しても、実力を出し切っていない彼に勝つことができないのは、それを何度も確認する作業にすら思える。
俺が師匠の一撃によって倒されたのと、家から少し離れた所にあるこの市立総合体育館へやってくる一つの影が現れたのは、ほぼ同時だった。
「おや?あにゃたは…」
広いグラウンドに姿を表したのは…轍。
「2人とも…力を貸してほしい…拳帝が、捕まった」
「な…?」
「なんでしゅって!?」
「こ…」
「こうしちゃおられましぇん!」
「い…」
「いったいだえ(誰)がしょんなことを…」
「師匠…」
言いたいことを全て言われ、俺は倒れたまま動くことすらできない。
「わがだいごてんちんけんをまなぶものが…なしゃけない!」
言いながら、俺の元に駆け寄り、背中と首の境目あたりの位置に指で一突きする師匠。
「だいご…てんちんけん?」
「大吾天心拳。この師匠が編み出した、隙のない素早さを極意とする奥義だ。」
その一発で痛みから解放された俺は、訝しげな轍のつぶやきに答えた。
「そうなのか…確かに、私を倒した程の猛者。そうであっても不思議じゃない」
そう。
数ヶ月前の闘いで、彼女は師匠と合間見え、そして敗れた。
だからこそわかるのだ。彼の強さが。
「場所は突き止めてある。ただ、相手は私では歯が立たない相手。そこで…」
「そうでしゅか…おねえたま、たしゅけにいきましゅ!」
「そうだな。行こう、師匠、轍!」
俺たちはその足で、妹が捕らえられているという場所へ向かったのだった。
補足だが、師匠である弟の極意「大吾天心拳」の名から察することもできるが、師匠の本名は大吾である。
「どうしたんだい?」
よれよれながらも、何故か清潔感のあるスーツに身を包んだ華奢な老人が、誰かに向かってにこやかに話しかけている。
彼の目の前にいたのは、4、5歳くらいの女の子。何か悲しいことがあったのか、涙を流している。
「あのね、なっちゃんのおかあさんがね、あたしのせいでね、なっちゃんがしんじゃったっていったの。しんじゃったから、もうあそべないんだっていったの」
「そうかい…お嬢ちゃんは、その…なっちゃんと、また遊びたいのかな?」
「うん、あそびたい」
「なら、その願いを叶えてやろう」
目を覚ますと、そこは見慣れない部屋の中だった。
「お目覚めですか…」
傍らにいた女が語りかけてくる。それはまるで、確認作業のようだった。名前、住所、通っている学校。妹は、ぼうっとそれらの言葉を聞き流していった。
意識が朦朧としている。どうして自分は、こんなところにいるのだろう?
「いえ、極真空手松井派の…拳帝」
何を否定したのかはわからなかった(名前だろうか)が、「拳帝」という言葉が酷く心に残る。
「ここは…どこですか?あなたは…」
「申し遅れました。私は…」
妹の意識は、また遠のいていった。
「…確かにこの目で見たこと。でも、信じられない…拳帝ともあろうお方が、こうも簡単に…」
「いや、今のあいつは…そうなってもおかしくないかも知れないな」
夕刻、俺たちは俺のバイトの初給料で買ったボロの車を走らせ、敵のアジトへと向かっていた。
「それはどういう…」
「時期からしても…そろそろなんだ」
困惑の色を浮かべる轍をよそに、車はどんどんアジトへと近づいていく。
「まずはあいつを助ける。話はそれからだ」太陽の光も見えなくなってきた頃。
俺たちはついにたどりついたのだった。
第2幕〜あらすじのみ〜
拳帝とまで呼ばれていたはずの妹。しかし、気迫の数値を測ろうとも、闘おうとしても、全くもってその力を出そうとしない妹に、女は困惑する。
一方、アジトへと突入した3人を待ちかまえていたのは、妹のクローン。1年前、ある場所で採取されたデータをもとに作られたという。しかし。
「拳帝の力…愚弄するな!」
叫びとともに放たれた轍の怒りの鉄拳の前に、クローン(妹)は撃沈。
ついでに「制作者」である博士もぶっとばし、奥の部屋へ。そこにいたのは…
「早かったわね。私はデス・スパイラル四幹部の…鴉よ」
第3幕 〜あらすじ〜
デス・スパイラルの四幹部の一人という鴉。
後ろでは、妹が眠っていた。慌てて助けようとした兄は、鴉の前に張られていた壁に包まれ、消滅してしまう。
轍と弟も、その力を警戒し近づくことができずにいた。
謎の空間に飛ばされた兄は、同じく飛ばされてしまっていた妹の恋人、Bに遭遇。出口を探しても見つからないと諦めかけていた彼に、兄は叫ぶ。
「妹を助けられるのは、俺と、師匠、轍、そしてB…お前だろーがぁっ!」
そして、兄の気をもらい放ったBの覇道砲の一撃により、兄とBは脱出を果たしたのだった。
驚愕する鴉を背景に、妹を助け出すB。
鴉は、妖術を用いて兄と弟、Bの動きを封じるも、その力は轍には通用せず、鴉は轍のさらなる怒りの一撃の下に粉砕される。
しかし、鴉が最期に放った妖術により、5人はどこか別の場所にワープしてしまう。
果たして兄、弟、轍、Bの運命は?そして妹はどうなってしまったのか?
79 :
マジレスさん:2005/07/04(月) 14:34:24 ID:X2Od8vLs
板違い。
夢・独り言板へ移転してください
80 :
マジレスさん:2005/07/04(月) 15:55:47 ID:vJS6kJv4
>>79つまらない奴だお。さてはモテないちゃんだな?
81 :
マジレスさん:2005/07/04(月) 17:24:04 ID:L9sgxyJD
〉1
ツマンね(゚Д゚
82 :
マジレスさん:2005/07/04(月) 18:27:50 ID:T3hFhuEU
作者がかわったのが一行でわかった。
センスが違うのだろうか?
83 :
マジレスさん:2005/07/04(月) 18:41:24 ID:vJS6kJv4
>>1は最高だった。まわりの視線を集めつつ大爆笑した。
なかなかあれほどの作品は作れないな。
第4幕〜あらすじ〜
5人は広い舞台の上にいた。
数え切れないほどの客席が目の前に広がる。「闘いは美しい。特に…何かを賭けた闘いは…守るも、攻めるも、倒れるまで闘うも…諦めるも」
そんな台詞を吐いて現れた四大幹部の1人、仮面の男・雀。そして、人の姿をした…影。
攻撃をしかけると分裂するという性質を持つ強敵を、あっという間に舞台が真っ黒に染まるほど増やしてしまった一行。しかし、よくよく考えるとただ増えるだけということに気づく。
結局は、Bの閃光砲により、1人残らず消え去るのであった。
85 :
マジレスさん:2005/07/04(月) 23:58:15 ID:UIhdM51n
あんどーなちゅ!
>>84 増えるだけかよっ
微妙なバカさ加減が好きなわけだが。
こういう板違いはダメですか?
「ふん…鴉の小細工、所詮この程度か」
実はこの影、恐ろしい?強敵になるかも知れなかったのだが…
それは、また別の話。
呟きつつ、仮面をはずす雀。なんというか、十人並みの顔…だが。
「この気配…極真の使い手か?」
「お前も…?確かに俺は、極真空手安室派を極めた男だ」
身構えるBに、雀が応えた。
「安室派だと…?」
呟きながら、同じく戦闘態勢をとる轍。
「あぁ…鳥の力を持つ奥義だ。奴の名前ほど可愛い力じゃない」
Bは姿勢はそのまま、相手を見据えた。
「ぼくちにまかせなしゃい!」
後ろにいた師匠が跳んだ!
唐突に放たれた師匠の蹴りを、あっさりかわす雀。更に雀の両の腕に収まる位置に入った刹那、無数の拳が師匠を捕らえた!
しかし、流石は師匠。
その拳の一つ一つを、全て片手で防ぎきっている。さらに、もう片方の手で隙を狙っているのだ。
しかし、隙がなかったのか、師匠は一度後ろへ退いた。
「こんな子供が…翼乱打を…ただ者ではないということか…」
「しゃべゆじかんがあったら、しゅこしでもたたかいなしゃい!」
叫ぶと同時に、師匠の姿が消えた。
そして。
「うおっ!?」
雀の動揺の声があたりに響きわたる!
雀の動揺も無理はなかった。
目の前には、師匠、師匠、師匠。
総勢10人の師匠が、雀の周りを取り囲む。
ガガガガガガガガガガっ!
轟音が去ったあとには、倒れた雀が残されただけだった。
「よわい…」
師匠は、少し離れたところで雀に背を向け、得意げな表情をしている。
「四幹部とか言ってたよな…ってことはまだ二人…」
「それより…拳帝はどうしてこんな…」
暗い客席を見ながら呟いた俺に、轍が問うてくる。
「あぁ…それは…」
俺が話そうとしたそのとき。
「気配…!」
Bの表情が険しくなる。
「それも、1人2人じゃ…ない」
「あれは…!?」
Bの声で辺りを見回した轍は、客席の黒い人の群を見つけたのだった。
「舞台にいたのが…全部じゃなかったのか」
俺の声に呼応するかのように、影の群は舞台に這いあがってくる。
「さすがにこれは…ちと厄介かもな…はっ!」
Bが閃光砲を放つも、氷山の一角を削ったに過ぎない。
その間にも、影はじわじわと押し寄せてくる。
「こえって…まじゅいかも…」
師匠が後ずしたそのとき。
「諦めちゃだめ…」
その声に振り向いた俺たちがみたのは、影をしっかり睨んだ妹の姿だった。
「妹!」
「おねーたま!」
「拳帝!」
「ま…」
「あいつらは恐怖の感情が好きなの。今のままじゃ、あの影にたべられちゃう」
「君まで無視っ!?」
「あらB…来てくれたの。ありがと」
「しかもなんでその呼び方!?」
Bの叫びも空しく、話はどんどん進んでいく。
「まぁ…ただ増えるだけだ。大したこと無いしな」
「それだけじゃないの兄ちゃん。奴らは恐怖に捕らわれた人間を乗っ取るのよ。体も…心も」
「よけいこわがやせてどーすゆ!」
「拳帝…いや…この気配は…」
師匠が叫び、轍が動揺している間にも、影は更に近づいてくる。
「今の妹は…ともかく、話はあとだ。みんな、気をしっかり持て!B!」
「あぁ!一気に行くぞ。みんな、力を!」
俺、師匠、轍がBに触れる。
「最大級…撃滅閃光っ弾!」
俺たちの周りを、ものすごい勢いの光が包み込み…
そして、光が消えたとき、舞台にも、客席にも影の姿はなかった。
「客席の向こうの扉…行ってみよう」
Bを先頭に、俺たちは歩きだした。
「どうしてわかったんだ?妹…」
「あの鴉って人と誰かが…話しているのを聞いたのよ」
客席を出て、俺たちは延々と続く廊下を歩いていった。
「兄上…ちょっと…」
「…拳帝…妹のことか?」
「あぁ…拳帝、いや、彼女は…」
「あいつは…もう1人の…本来の妹の姿だ」
「もう…1人?」
「時間をおいて、交互に現れるんだ。俺と…Bもどういうわけか知ってるみたいだけど…あいつがちっちゃいとき、色々あってな。君のいう『拳帝』は、妹を守るために生まれた…妹のもう一つの人格なんだ」
「そう…なのか…信じられない話だ…」
「事実は小説より奇なり、てなところか…」
「ふたいとも、おしょーい!」
師匠の呼ぶ声に、俺と轍は急いでその方向へと走ったのだった。
第5幕〜あらすじ〜
廊下をまっすぐ進むと、大きな広間につながっていた。
そこにいたのは、四幹部の三人目、燕。
彼の必殺武器は、気の力で作られた緻密な剣。その恐るべき破壊力に、四人は避けるので精一杯。
しかし、その切っ先が妹に向けられたその時、Bの力が覚醒する。
Bもまた、波動の力を手に集め、光の剣を作り出した。
「猿真似がぁっ!」
燕が吼えるのとともに仕掛けた秘剣・剣の舞。
対するBは、修行中に会得したステップを思い出し、究極剣技・剣猿舞を披露する。
二つの剣がぶつかり合い…そして見事、燕は倒されたのだった。
広間の先にある階段を上り、その先の扉を開く。またもや無限に広がる廊下。
「拙の出番で…ござルか」
煙とともに、真っ黒な忍者ルックに身を包む男、鳩。
先の闘いで疲弊している三人。次は、兄の出番である。
しかし、こちらの攻撃は当たらず、鳩による紅(赤い煙で目を眩ませる)、蒼(手裏剣攻撃)、恒(素早い動きでじわじわと攻撃)などにより、兄はピンチに追い込まれていく。
さらに五月蠅い外野の三人は、兄をいらつかせるばかり。
そんな中、妹に変化が。
突然、糸の切れた人形のように倒れてしまったのである。
95 :
マジレスさん:2005/07/06(水) 09:54:11 ID:NOspl71P
「…まだ早いだろう…お前が出るのは!?」
俺の明らかな動揺を、鳩は見逃さなかった。蹴りが鳩尾に突き刺さる。
「ぅぐっ…」
よろめいたところに、畳みかけるように背中に肘鉄。俺はたまらず倒れた。
「まず…1人!」
「まずい!」
Bがこちらに駆け寄ってくる。しかし、今いる位置からでは間に合わないだろう。
俺は、死を覚悟した…が。
「うおっ!」
倒されたのは、鳩の方だった。
腹に強力な打撃を受けている。妹だった。
『全て見ていた…我の力を己の物にしようとするなど…許さぬ!』
「この気配…拳帝!」
轍が妹のもとに向かった頃には、鳩はもう動かなくなっていた。
「待て…お前が出るのは、まだ早いはずだろう?」
『小娘の意志によるもの…我とて、本来ならば眠っていたところよ』
こちらに背を向けたまま、俺の問いに答える拳帝としての、妹。
「こえで、よんかんぶぅは、じぇんぶやっちゅけたこちょになゆ!」
「そうだな…残るは、大物が1人だ。今なら勝てるな!」
師匠とBが闘志を燃やしている。
だがしかし。
『お前達は足手まといに他ならぬ。あとは我が1人で決着をつけよう』
「待て、妹。俺も…俺たちも、ここまで闘ってきたんだ。ここではいそーですか、なんてあまりに中途半端だろ…何より武人として」
しばしの沈黙の後、妹はこちらに背を向けた。
『死んでも知らんぞ…もしかしたら…我が力により死するかも知れん』
「…死なない…大丈夫だ」
『大丈夫…か…』
俺は、うつむき加減になった妹の前に立つ。
「俺は死なない。ここにいるみんなも…死ぬもんか。誰も死なない!」
『…勝手にしろ…だが、もし死にそうになったら…我が殺すぞ』
「…行こう、みんな」
師匠、B、轍は、黙ってうなずいたのだった。
99 :
マジレスさん:2005/07/07(木) 21:28:47 ID:QZwWttPv
ぎゃーー
100 :
1:2005/07/07(木) 21:37:08 ID:x8GhnjU6
「よいではないか。よいではないか」
と言いつつ、ズボンを脱ぎ
101 :
1:2005/07/07(木) 21:43:57 ID:x8GhnjU6
さらに妹のパンツを両手でわしづかみにしつつ
102 :
マジレスさん:2005/07/07(木) 21:44:43 ID:x8GhnjU6
接吻を求めた。
103 :
マジレスさん:2005/07/07(木) 22:16:52 ID:bOJOWjPc
そこで妹が目を覚ましかけたので
周りの視界が、唐突に歪んだのはそのときだった。
「なんだ…!?」
「拳帝っ!」
Bが狼狽し、轍が拳帝…もとい、妹に駆け寄った。
そして、辺りは不思議な空間に包まれた。
地面も、天井もないところ。それなのに、足場はしっかりとしている。現に、5人はそこに立っていた。
『そちらから来たか…望むところだ』
妹が構え、B、轍もそれに続く。
俺はなれない空間に辺りを見回し、師匠はただ、静かに目を閉じていた。
その声は、突然聞こえてきた。
「我が空間は華麗に…生まれ変わる…醜い家鴨(あひる)が美しき白鳥になるがごとく」
静まり返る空間。またも、口を開いたのは突然現れた、男…老人の声。
「久しぶりだの、お嬢ちゃん…」
『やはり…最後に控えるはお前か!』
妹の表情が一気に険しいそれへと変わった。
「強くなってきたか…お前さんの望みは…友達をこの世に呼び戻すことだったな…そして…そのために必要なのは…」
『強く…なることだ……』
老人がニヤリと笑む。
「お前さんはあっさりとそれをやってのけた…そして、お前さんの仲間も…すばらしい…これで願いは叶うぞ」
「そんな…!人が黄泉帰るだと?」
後ろにいたBが叫ぶ。
「ふふ…はははは!」
老人の笑い声が辺りに響きわたる。
「愚かな奴ら…かなうのは我が望み!」
「どういうことだ?」
轍の問いに、老人は笑みを絶やさずに続けた。
「お前さん達の力…いただく!」
老人が今までマントに隠されていた手をおもむろに出し、屈みながら顔の前で振った。すると。
「…いいよね?」
『!?』
驚愕する妹、そして俺。
その声は、明らかに老人の物ではない。幼い女の子の声。だが、それだけじゃなかった。
「君は…」
『アンドウ…ナツ…』
驚きのあまりそれ以上言葉を続けることができない。
「まさか、彼女が君の…」
とB。
そう。
彼女こそ、妹の友人で、交通事故により命を落とした友人、安藤 夏だったのである。
「あたしをギセイにして…こいびとまでいるんだね。しあわせだね…」
『う…うわぁぁっ!』
妹が少女…夏に向かい走った。そして、その拳を夏に叩きつけようとした…が。
「できないよ…おねえちゃんになっちゃった…あなたには」
『ぐっ…ぅ…』
妹は険しい表情はそのままに、振り上げた拳を叩きつけることができないでいる。
妹はただ、夏の瞳を見つめていた。
「拳帝っ!ここは私が!」
轍が何かを察したか、夏の前に立ちはだかる!
…が。
夏をかばう何者かにより、放った蹴りを弾かれる。そこにいたのは。
「け…」
轍の表情に、動揺が伺えた。無理もない。夏をかばった人物。それはまさしく…
「拳帝!?」
「瞳の色…まさかっ!」
「かんたんだね…あたしのちから、どう?」
夏の眼が怪しく輝く。
「きをちゅけなしゃい!あのめは…きけんなけはいをかんじましゅ!」
「あいつ…催眠術を!」
師匠とBが身構える。
「拳帝…なぜ…」
「目覚めたとは言え、まだ力は完全じゃない…ってことか」
轍と俺は、眼の色の光が淡く輝いている妹を、しっかりと見つめた。
「ならば…拳帝は私が止める!あなた方はあいつを!」
「轍さん…僕も闘う」
轍に向かって、Bが微笑った。
「じゃあ頼む。師匠!」
「あしでまといになっちゃやめやよ(だめだぞ)!ちゅいてきなしゃい!」
師匠が走り、俺も続いた。
「かてるの?たったふたりで…」
「何なら、1対1でも良いぜ?ここまでだってそうやって…」
「まぁ、ひとりだけあっさりとややえてゆわかやが(やられてるわけだが)…」
「師匠っ!」
「あなたは…このすがたにどうようしないの?」
夏の瞳が、俺に向けられた。
110 :
マジレスさん:2005/07/08(金) 00:15:23 ID:3jsnBG6X
あわてて妹の顔に放尿した
「ふざけるなっ!だれがそんなもの!」
そんなもの…
そんな…
「ばかでちがぁっ!」
バシーンっ!
師匠の平手打ちが、俺の頬に響いた。
「あれ…師匠?」
「しっかりかかりそうになってゆ!」
きょとんとしている俺。そしてハッと我に返る。
「とっ、とにかく…お前のなっちゃんは偽物だ…妹は負い目があるから騙されたのかも知れんが、俺はっ…」
おれは…
お…
「またおまいはぁっ!」
スパパパパーン!
師匠の往復ビンタが、見事に俺の両頬を叩きつける。
「めをみちゃだめでしゅ!」
「あっ…そうかっ!」
「もうやめておこう。これいじょうばかなおあそびにつきあうきぶんでは…ない」
「こんな子供にまで…」
「みためだけでしゅ!」
夏が手を再び顔の前で振る…と。
背の高さは先ほどの老人よりやや高めか。
長髪の男の姿に変わる。つけていたマントを外すと、鍛えられた格闘家の姿が、そこにはあった。
「小細工はここまでだ。全力で…相手してやる!」
「お前の名は?」
「俺の名は…白鳥!」
何もないはずの空間に、一陣の風が走り抜けた!…ような気がした。
一方その頃。
「恋人を…討てるのか?」
「君こそ…尊敬してんだろ?あいつを」
「お互い様か…」
「そういう…ことだ!」
轍とBは、左右から妹を囲むようにして近づいていった。
轍の蹴りと、Bの突きを同時に両の手で受け止め、直後右の脚てわ2人を同時になぎ払う。
「さすがは拳帝…力は落ちているとは言え、簡単に倒せる相手では…」
「轍さん…僕が正面からぶつかる。僕が倒される前後…どこかで隙ができるはずだ。そこを…」
「そうか…」
「行くぞっ!」
Bは果敢にも、妹に向かっていき…あっさりと倒された。
しかし轍は、動ずる気配すらない。
ふらふらになったBが、轍のところに戻ってくる。
「隙がなかったか?」
「いや…やはり、武人として相手の隙をつくような闘い方は…」
「早く言ってよ…でも闘いってそーいうもんで」
その瞬間、Bが横に吹っ飛ばされる。そして、今までBのいたところに妹の姿が。
「拳帝…目を覚ましてもらいます!」
轍は深呼吸し、妹を睨むように見据えると、松井派秘奥義の構えをとった。
「拳帝の力をぶつける…そして、拳帝…あなたを!」
拳帝…妹は、己を見据える轍をただじっと見る。
「拳帝っ!」
轍の後ろに、吼える熊がその爪を振り降ろす!
轍は高く跳び、反転しながら両腕を妹の体に叩きつける。
「秘奥義・熊撃一閃(ちからあるすばやいくまのいちげき)!」
その一撃により、妹はその場に倒されたのだった。
これで残るは、白鳥のみ!
しかし、俺の攻撃ももちろんのこと、師匠の流れるような早さの攻撃でさえ、いとも簡単にかわしていく白鳥。
「さて…そろそろ遊びは終わりだ」
白鳥が深々と紳士的な礼をすると、今までのタンクトップに短パンという不釣り合いな格好が、タキシードに早変わり。
「我が名は魔の貴公子…もはや勝ち目はない…黒薔薇乱舞!」
白鳥の放った薔薇の束が、疲弊しかけた俺と師匠を襲う!
それだけで、一気に戦況は悪化した。
「紳士の嗜み…スワンステッキ!」
白い鳥を模した棒を手に取る、白鳥。
「悪あがきは…終わりぃっ!」
「くっ…!」
俺が諦めかけたそのとき!
「間に合った…お義兄さんっ!」
「その呼び方…Bかっ!」
Bは、波動を集めた剣で、ステッキを受けた。
「拳帝には…眠ってもらった。あとは…お前だけだ!」
隙をつき、Bの剣が、白鳥の脇をかすめる。
「うっ!?」
「今です、お義兄さんっ!」
Bが叫ぶ。
「よし、わかった!B、轍、師匠!」
「この剣…託します!」
Bが波動を集めて作りだした剣に、師匠、轍が気をそそぎ込む。
そして!
「俺の力…受けとれぇっ!」
波動の剣が、金色に輝く!
「いいぞ…その力…その力があればっ…」
「うぉぉっ!」
ズバァッ!
剣の軌道上にいた白鳥が…倒れた。
かくして、悪の組織による野望は、潰えたのである。
建物から出ると、外は朝焼けに包まれていた。
「しかし…力がほしい…だからといって、拳帝の力をどう利用しようと…」
「まぁ、良いんじゃないかな?こうして、悪の組織は壊滅したんだからさ…ねっ、お義兄さん?」
「その呼び方は…って、段々どうでもよくなってきたな…」
「もう…ねみゅい…」
「あれ…みんな?」
「妹…大丈夫か?」
妹に、全員の視線が集中する。
「あ…そうか。終わったんだね…よかった」
「あぁ。これでもう、お前を…」
赤く光る太陽を前に、俺たちはしばしの勝利の余韻に浸るのだった。
第2部・完
119 :
マジレスさん:2005/07/08(金) 01:32:26 ID:kO3VhpBE
映 画 化 決 定 !
時々現れる馬鹿さ加減がイイネ
作者挨拶〜
>>1のゴーストライターです。
ここまで読んでくださったみなさま、改めて感謝感激です。どうもありがとう。
さて、今回の第2部、果たしていかがでしたか?
かなり無茶苦茶な設定・流れもあったかと思われますが…
実は、第3部(完結編)の構想もある程度できあがってます。
板違い&自己満足な感じもしますが楽しんでいただければ、これ幸いかと思う所存。
感想、意見、また、この設定はおかしい・矛盾がある!ってところがあったら、是非カキコを。
ついでに、拳帝による悩み相談も…受け付けたら、板違いじゃなくなる? w
121 :
マジレスさん:2005/07/08(金) 02:34:58 ID:s3b5K1kQ
あんどーなちゅ!
>>120 お疲れさん。ここまで来たら、最後まで。
スワンステッキて・・・。白鳥バカシロイ。
122 :
マジレスさん:2005/07/08(金) 18:21:56 ID:3jsnBG6X
ちょとしたいたずら心で妹の顔に脱糞してやろうとズボンを脱ぎ
123 :
マジレスさん:2005/07/08(金) 18:25:03 ID:UJ/5MSrW
妹のパンツも脱がせて
124 :
マジレスさん:2005/07/08(金) 20:35:11 ID:dXRJK3KF
体の上にのしかかったところで姉貴が帰ってきて
125 :
マジレスさん:2005/07/08(金) 22:11:50 ID:UJ/5MSrW
部屋の中の光景を見るや否や
自己満足承知で、第3部突入させていただきます。
よろしくおながいします。
127 :
マジレスさん:2005/07/09(土) 01:03:18 ID:rdkqCAvw
今日は無いの?
ないみたいなんで寝ようかな。
悪の組織壊滅から数ヶ月後。
俺たちは別々の生活に戻っていった。
俺はバイトをしたり修行したりで日々を過ごし、拳帝の人格も姿を現さない妹は大学受験に励み、師匠…いや、弟もついに小学校に入学。
Bは妹に会うのも惜しんで就職の試験や面接に精を出し、轍は、各地流浪の旅に出ていた。
そんな俺たちが、再び集うことになろうとは。きっかけは、それぞれに送られてきた手紙から始まった。轍がどうやって受け取ったかは…秘密である。
手紙には、こう書かれていた。
復讐の時は来た。待っていろ 白鳥より
第3部〜地球滅亡編〜
白鳥…あのとき確かに倒したはずの男だ。
白鳥が指定してきた場所には、俺とB、轍が来ていた。
今の妹は戦力にはならないだろうし、師匠は師匠で、友達との遊ぶ約束があるのだという。白鳥もなめられたものだ。
しばし懐かしさのあまり歓談に…耽りたいところだったが、あまにそういう雰囲気ではなく…やがて太陽も暮れかけた頃、白鳥は約束の時間より少し遅れて現れた。あの長髪にタキシードという姿そのままに。
彼は唐突にグレートスワン・ステッキをどこからともなく取り出すと、声高らかに叫ぶ。
「この星は潰える!」
と。
130 :
sage:2005/07/10(日) 01:42:50 ID:mT7IR8/i
一方そのころ、友人宅で勉強していた妹は、突然激しい頭痛に襲われる。拳帝としての妹が、覚醒しようとしていたのだ。しかし、そこは模試も近い妹。ただの頭痛と勘違いし、半分は優しさでできているバ○ァリンを飲んだら見事沈痛。
師匠はというと、いきなり公園に乱入してきた上級生7人をあっさり撃退。すっかり英雄扱い。格闘家としての腕をそんなところに利用して良いのか、弟よ?
まぁ、良いのか。俺も修得している流派・大吾天心拳作ったのは他でもない彼な訳で。
ついでに上級生のボス格の奴らを倒しに行くことに。
131 :
マジレスさん:2005/07/10(日) 01:42:54 ID:fVJMZbH7
んだなやー
俺とBと轍の3人は、ステッキより放たれる謎の音波攻撃をかわしつつ、白鳥に迫ろうとするも、奴の作り出したのであろう羽根型の遠隔操作型オールレンジ攻撃兵器(ビット君1号〜10号)による上空からの攻撃で、邪魔されてしまう。
「時は来た…お前達を楽しいショウに招待しよう。この矮小な星を救いたいのならば…救ってみろ!その手でな…」
叫び振りかざしたステッキから溢れ出た光の力なのか…気がつくと俺たちの前に広がるのは、どこまでも長く続く階段。
「小細工が…」
そうは言いながらも、轍は先陣をきり上っていくのだった。
133 :
マジレスさん:2005/07/10(日) 02:25:16 ID:fVJMZbH7
ハズッ
寝ようかなってレスに
んだなやとか書いてる間に
続編続々届いとるやん!
〜第1階層〜
入り口をくぐり、中に入った俺たち3人。
最初に待ち受けていた敵は…
「来たか。俺が極真…」
「覇獣一閃撃!」
轍の強力な拳が炸裂し、最初の敵は腕組みの姿勢のまま倒されるのだった。
階段を上っていった俺たちを後ろに、倒れたままの男が一言。
「ず…ずるい…」
〜第2階層〜
階段の先にいたのは、小柄な女の子だった。
「先の極真空手の使い手を破るとは…でも、我が流派はどうかしら?」
「君も…極真を?」
Bの声に、彼女はニヤリと笑ったかに見えた。
「そう…私は亜流極真空手・沖田派の使い手!」
「亜流…?」
「極真をさらに極めた奥義だ。亜流の沖田派は…」
「鳥…ペンギンだな」
「ペ…」
轍とBの解説を聞きながら、俺は改めて少女を見る。確かに…
「可愛いなぁ…」
思わず見とれていると、少女の姿が不意に消えた。
「羽毛千烈拳!」
「ぐぁっ!?」
突然後ろに、無数の針を刺されたような衝撃を喰らった。
「お義兄さん、可愛さに見とれてはいけない!それが奴の…」
言いかけて、Bの言葉が止まる。
「嘴(くちばし)無双連撃!」
「だぁあっ!?」
「情けないな2人とも…この程度の可愛さなどにうつつを…これはっ!?」
そして、轍の動きも止まった。
「今ねっ!皇帝乱…」
「そこかっ!」
かきーん。
乾いた音を響かせて、少女…亜流極真・沖田派の使い手は、遠くへと飛ばされていった。
「松井派1の拳、跳ね鮭殴り…」
殴った姿勢から、再度構えに戻る轍に、俺とBは拍手を送った。
「卑怯な手と思っていたが…それでも、戦術の一つならばな。卑怯なBの言い分だが」
「卑怯は…つけないでほしいなぁ…」
そんなBを気に留めずに、轍は続けた。
「私一人でも十分だな…」
「まぁ、次こそは僕の出番だからさ」
「武人が隙をつかれて倒されておいて、よく言う…」
苦笑いのBとともに、俺たちはさらに上を目指すのだった。
138 :
マジレスさん:2005/07/10(日) 18:53:19 ID:Hk1yNXbC
139 :
マジレスさん:2005/07/12(火) 15:58:34 ID:S7akqAO3
140 :
マジレスさん:2005/07/12(火) 18:38:14 ID:fj6Vj/gm
もうね、いい加減にしてよ。人のパソコン勝手に起動させようとするな。何が「あれ?これは違った」だ
一体どこの誰がパスワードをSEXとかPENISにするんだよ。どんな奴だよ。で、俺がトイレから戻ると何ベッドの下
覗き込んでるの?「ベッド下にエロ本はないのか」ふざけんなよ馬鹿野郎。待て勝手に押し入れ開けるなタンス開けたりするな
ねーよ。女の下着なんかあるかっての。お前とは違う。つーかお前持ってるのかよ。何に使うつもりだよ。素でヤベーよ。
彼女いない暦=年齢+童貞のくせにどうやって手に入れた。まさか下着泥棒なんかやってないよな。いや、こいつならやってるな
あーだからエロゲーなんか入れてない。エロサイトの履歴もない。エロ本もAVも無いっての。うるせーよ
お前の脳内では俺がそういうの持ってるのは確定事項かよ。きもいんだよ。お前が一応先輩だから黙ってやってるけどな
俺の前から即消えろ。つーか死ね。自分がめっちゃ嫌われてるとわかってねーのか?性格と顔と体型が最悪なんだよ
さすがにもう慣れたが、初めてお前見たときは吐きそうだったよ。生理的に駄目だなお前の顔は。その上「寿司でいいから」だと?
人の家にいきなり押しかけて寿司?しかも一番高いの頼みやがって。自分の分は金払え。な、「泊まらせてもらうから」だと
絶対嫌だ。何その偉そうな態度。てめーは路上で眠れ。永遠に眠れ。「迷惑かけるな」と言いながら何でお前が俺のベッドで寝る
何故俺が床で寝る羽目になる。全然相手に迷惑かけてると思ってないだろ。うわ、本当に寝てるよ。そしていびきと歯軋りがうるさい
口と鼻を閉じてやりたい。何が悲しくて自分の部屋なのに他人のいびき、歯軋りに悩まされながら床で眠らなきゃならない
何とか眠れたと思ったら、人のこと蹴りつけやがって。起こし方にも礼儀があるだろ。トイレの場所など勝手に探せ
で、また俺より先に寝る。やっと眠れたと思ったら、今度は毎朝やってる健康にいい体操。まだ5時じゃねーか。ドスドスうるさい
叫ぶな。眠れない。「腹から声を出すのがポイント」知るか!いやいや、いいから。 そんな奇怪な体操を習得したいとは思ってない
遠慮なんかしてねーよ。本当に嫌なんだよ。頼むから眠らせてくれ。いっぺん自分の動きを鏡で見ろよ。
這い回ってるゴキブリ見るほうが気分が和む。お、やっと帰るんだ。もう二度と来るな。死ね
一方そのころ。
弟は単身、上級生達のアジトへと乗り込んでいた。
次々と倒される手下たち。
しかし、ラストに控えた上級生のボスをあまりにあっけない早さで倒し、外へ出ようとしたそのとき。
弟は不意に姿を消してしまうのであった。
それを目の前で見ていた上級生のボスは、朦朧とした意識の中「作戦は…成功です」とつぶやき、そっと眼を閉じたという(気絶しただけ)…。
142 :
マジレスさん:2005/07/15(金) 12:42:55 ID:lPcKlYbY
続き近日公開保守
143 :
マジレスさん:2005/07/17(日) 21:02:15 ID:fkEI+LmG
公開待ち保守。
〜第3階層〜
階段を駆け上ってきた俺たちの前に現れた次の敵。
「ついにここまで来たか…だが、これ以上は行かせん!」
そう叫ぶ…猫のきぐるみ。
「な…!」
「ね…!?」
「にゃんま…うぐっ!?」
唖然とする俺と轍。
そして、訳の分からないことを言い出したBが、なぜかきぐるみに殴られている。
「よく見ろ!ってゆーか、見なくてもわかるだろ!?あんな猫にちょんまげをつけたのと一緒にするな!大体何人がそのネタ通じると思っているんだおまえは!?俺は極真空手、今井派の」
「えい。」
轍は淡々と、きぐるみの頭を180°回した。
「こっ…こら!話の途中に何をっ!?」
「奥義熊手連撃。」
やる気なく発せられた技名とともに繰り広げられる、強烈な拳の数撃に、きぐるみは頭を後ろにしたまま、倒されたのだった。
「…馬鹿馬鹿しい…私はもう帰って良いな?」
「いや…そろそろ僕の活躍も見てもらわないとな」
殴られた頭を押さえながら、なんとBが起き上がり、仲間にしてほしそうにこちらをみている。
「少し前にも同じ事を言っていたな。だが、そんな地の文で笑いをとろうなどというのがそもそもの間違いだ…B」
轍は、文句を言いながら第4階層へ。俺たちもあとに続く。
146 :
マジレスさん:2005/07/21(木) 12:19:26 ID:V9P+WWUD
>>125 かばんの中をごそごそとあさって取り出したのは
147 :
マジレスさん:2005/07/21(木) 15:39:47 ID:AKxAAmdp
書籍化しそうな件について
「ここは…いっちゃい…」
弟が目を覚ましたのは、今までいたところとは明らかに違う空間だった。
再度あたりを確認しようとしたその時、目の前に現れたのは…
「どうやら、かんちゃんにぬけだしぇにゅ、とゆーこちょか!」
異形の姿をした怪物が3体。こちらの姿を見るや、そのうちの1体が唐突に襲いかかってくる!
〜第4階層〜
「このっ!」
問答無用で斬りかかったBの波動の剣の太刀筋をかわし、目の前の怪物はBから間合いを取る。
「何をするかと思えば…また卑怯な手か」
轍が、後ろから情けない物を見るような目で、ぼそっと呟く。
「轍さんの心の中の僕は、いつの間にかただの卑怯者になってるような…うわっと!?」
苦笑するBの横を、鋭い爪が通り過ぎていく。
「どうした?私に強いところを見せたいのだろう?」
「う〜ん…でもここは、もう少し協力的な雰囲気が激しく望まれるんだけど…」
「いいからとっととやっつけろ。死んでも屍は拾わんぞ」
「参った…なあっ!」
語尾に勢いがついたのは、その瞬間にも怪物の蹴りが鼻先をかすめたからだった。
俺は、怪物を見ていて、あることに気がつく。
「似ている…あの闘い方は…大吾天心拳…師匠なのか!?」
「B、轍!こいつは俺が相手をする。二人とも先へ向かってくれ!」
「お義兄さん…」
「…そうか、やはり…」
Bが涙目で笑みを浮かべている。轍も俺と同じ事に気づいていたのか、意味ありげなことをぽつりとこぼした。
そして、Bと轍は階段へと去っていく。
「命拾いしたな、B…」
「あぁ、いやぁ…残念だな。僕の見せ場、見られなくてさ」
「あの怪物は…お前には倒せんよ。そして…私にも」
「…何だって?」
戸惑うBに、轍は続ける。
「あいつは…あの化け物は…」
轍は、いつになく心配そうな顔で、階段の下を振り返るのだった。
151 :
マジレスさん:2005/07/22(金) 20:47:02 ID:tjAkKwc3
そこにはなんと妹が全裸でだらしなく股をひらいて寝ている姿がぁ!!!!!!!!!!!
弟は、2体の異形が階段へと向かって走っていくのよりも、ただそこに残されたもう1体のことがなぜか気になった。
「それ」は、何やらこちらに叫んでいるが、それが何を意味しているのかはさっぱりわからなかった。
……………
「師匠っ!師匠でしょう!?」
俺は、小柄な怪物に問いかける。しかし、言葉が通じていないのだろう。怪物は、少し首を横に傾げただけだった。
「あの怪物の動き…間違いなく師匠の動きをトレースしたものだ…ならば、その弱点を知るのもまた、同じ流派を極めんとする俺ならっ!」
俺は、最初の頃に聞いた師匠の言葉を思い出す。
「よいか、おにいちゃま…このおうぎのやくてん(弱点)、そえは…」
俺は、高らかに叫んだ。その声が、あのときの師匠の声と重なった…気がした。
「あんどーなちゅ!」
「あんどーなつ!」
そう、あんどーなつ。中にあんこの入った…
……………
違う。そこじゃない。つまり弱点は天心の極意、その…
「あんどーなちゅ!」
「あんどーなつ!」
そう。その甘いあんこにより、虫歯になる人があとを絶たない…
…………
俺の中の師匠…ピンチの時に関係ないことを語りかけるのは勘弁です。
154 :
マジレスさん:2005/07/22(金) 22:36:40 ID:d3vu8Fzd
あんどーなちゅキター!
もう師匠はとりあえず置いといて、本題に入ろう。
この奥義の特徴は、重心を一部に集中させる事による強力な一撃を放つ。つまり、弱点とはそれを放つための部分以外は、ほとんど無防備になってしまうことなのだ。
要は、その隙さえつくことができれば…
迷っている暇はない。
俺は、怪物めがけて跳び、その体制からただの蹴りを放つ。左右の2回。
かわしたところから、怪物の攻撃。鋭い爪の一撃は、だがしかし、奥義の体制から放たれたそれではなかった。
まさか…読まれている…!?
先に奥義を繰り出した方の負け、ということなのだろうか?
だが…だからといって、引き下がるわけには…まだ半分もすぎていない。ここで苦戦するわけにはいかないのだ。
早期決着をつけるため…ならばっ!
俺は腰を屈め、右半身に己の重心を込めた。左半身がふっと軽くなるのを感じたのを合図に、俺は高く飛び上がり、右に込められた重心により素早く回転し、怪物へとその身をぶつける!
秘技・天空蹂躙撃。
重力を加えることにより、そのダメージは計り知れない…
はずだった。
しかし。
「ぐぅっ…」
やはりと言うべきなのだろうか。俺の体には、怪物の爪が深く食い込んでいる。
その場に崩れ落ちる俺。
傷が深いのか、息をするのさえかなり辛い。
立ち上がることさえ、すでに…
目の前の怪物は、俺にとどめを刺すのかと思いきや、全く気にも留めていない様子で、あたりを見回している。
はやくとどめを刺せ、このやろー…
言葉すらも、息を吐き出すことがやっとででてこない。
と、怪物が、何を思ったか、いきなり空高く飛び上がり、今まで気づかなかったが天井でずっと浮かんでいたのであろう光の球体をその拳で思い切り殴りつけた。
拳…こぶし!?
球体がはじけて消えたあと、俺の目の前にいたのは怪物ではなかった。
「まや(まだ)…みゆく(未熟)!」
「し…師匠っ!?」
そこにいたのはただの師匠の動きを真似しただけの科学生命体、みたいなものだと確信していた俺には、目の前に突然現れた師匠の姿が信じられない。
「たかやか(たかだか)いちげきにちゅきに、そこまでいちゃみをおぼえゆか!?」
「一撃の…突き!?」
思わず腹を見る。あるべきはずの爪痕が、どこにもついていない。
「え…なんでっ!」
「そうおもいこんでただけだかや…ではないか?ぼくちにも、おにいちゃまのすがたがおばけにみえたから…あとのふたい(2人)は…」
「轍とBだ。もう、この上の階に向かっている。早く行かないと…」
「ならば…」
「師匠!」
俺と師匠も、階段を上っていく!
一方そのころ…
〜第6階層〜
「くっ…こいつっ!」
「ここまでしぶといのか…!?」
そこに待ち受けていたのは、狼のような姿はしているものの、二足歩行で歩いている…
言ってみれば狼男のような奴だった。
先ほどから2人が幾重にも与えている攻撃は通用しないのか、全く気にせずにただ、その場に立っていた。
「そんなものか…極真の力…落ちたものだな」
狼男がニヤリと笑う。
次の瞬間…
獣の雄叫びが響きわたり、そのまわりを衝撃波がうねる。耐えきれず吹き飛ぶBと轍。
「なんなんだ…こいつ、狼人間か?」
「極真獣化法…己の姿を獣に変えることで、人の持つ力の限界を超えるという、恐るべき極意…。遠い昔に途絶えたと聞いていたのに…」
Bがぼやき、轍は動揺しながらも何とか立ち上がり、狼男を見据える。
しばしの沈黙。先に仕掛けたのは、B!
「くらえ、この波動の太刀筋!」
走りながら剣を作りだし、その勢いのまま浴びせるように放たれた一撃だったが、それは体に傷をつけるでもなく弾かれてしまった。
「ならばっ!」
続いて轍。
力の限り放たれたその拳は、やはりというべきか、通用しているとは言いがたかった。
「何て頑丈なんだ、こいつは!?」
「だが…この奥義にしては、何かが足りない…」
攻撃を躊躇する2人に、狼男が少しずつ距離を縮めてくる。
「ピンチって…やつかなぁ?」
「ピンチだと?」
苦笑いするBの方を、轍が睨む。
「本当の危機は…己自信が危機という念にとらわれることだ…」
「あー、そうなんだ、勉強になるなぁ…」
「B…卑怯ものはそれらしく、さっさと上に逃げていけば良い…」
「ちょっと待って轍さん…僕はね、君が思っているほど…」
「余計なことを話す暇はない。ここで2人とも倒されるのだけは得策じゃない。だから先へ行けと言っている。…案ずるな。こいつを倒したら、私も…」
「そんな!」
轍がさらりと放った一言に、Bが反論する。
「2人で倒せない相手を、どうやって…」
「いいから、行け!1人でも己の力で敵を倒して…私に見せたいのだろう、お前の強さを!」
「わかった…じゃあ、早く追いついてきて。来たところで、もう敵は残ってないかもしれないけどね」
轍に背を向け階段へと向かうB。
「死ぬなよ…轍さん。さっさとこんなバカな建物造らせたバカ野郎ぶっ倒して…」
「わかっている。行け!」
Bが階段へ走っていくのを後ろに、もう目前まで近づいてきていたのに、今まで手を出してこなかった狼男の方を見やる。
「話の途中に攻撃を仕掛けてくると思っていたが…以外と紳士的だな」
狼男の動きが止まる。
「さて、と。いかなる事情であれ、嘘をつくのは良くなかったか…?」
胸中で呟きつつ、その両の手で、狼男のわき腹を掴む。
「申し訳ありません、拳帝。そして、B…見たかったな、お前の活躍を…」
「松井派・禁忌の技…冬眠獣・気孔拳!」
次の瞬間、無数に散らばった拳の雨が、狼男に降り注ぐ!
しかし。
全霊をかけて放ったその一撃すら、まったく効いている様子がない。
「そんなものか…」
気力を失い、膝をつく轍を前に、狼男が初めて口を開いた。
「もう倒れるか…もう少し楽しませてくれると思っていたが…」
ゆっくり倒れる轍。
俺と師匠がようやっとたどり着いたのは、まさにその時だった。
「轍ぃっ!」
俺が倒れた轍を抱き上げると、轍は弱々しく目を開けた。
「あぁ…すまない。どうやら私は…」
「待ってろ、今…師匠っ!」
しかし、轍を前にした師匠は、ただ無言で首を横に振るだけだった。
「師匠ぉっ!」
「しじゅかにしにゃしゃい…こえはもう…」
「気をつけろ、2人とも…こいつには…いかなる攻撃も効かない…そして…」
「轍…もういい。なにも…」
「あいつはまだ…実力を…」
轍の言葉が。
そこで途切れた。
沈黙が支配する。それを破ったのは…狼男。
「まぁ、1人はこの上に登っていったが…どのみち、次にいるあいつには叶わないだろう。そして…お前達もだ」
「もう1人…Bのことか…」
「だったや…」
166 :
マジレスさん:2005/08/01(月) 10:10:55 ID:97wadbxG
保守
「おにいちゃま…ここは、わやち(轍)しゃんをつえて、いっちゃん(一端)ひきなしゃい。まやいきてゆかや、びょういんでてあてを…」
「師匠…でも、あいつは…!」
「かんたんにはやられないかや、だいじょうぶ。それから…おねえちゃまを、ここに…」
「…師匠…ご無事で!」
頷き、轍を両手に抱えて、俺は下へと続く階段へ向かう。
「悪いが…これ以上は!」
「おまえのあいてはぁっ!」
師匠が、狼男の後方から蹴りをぶつける!
「ぼくちだ!」
「なんだと…こんなお子様が…」
強力な一撃に、動揺する狼男。
「おまいのやくてん(弱点)、すえに見切った!」
「何っ!」
「おまいのやくてんは…」
ここから先は、ひらがながめんどいので要約して記しておこう。
つまり、この狼男は、全身に気を張り巡らせることでダメージを吸収させ、敵の攻撃を防いでいる。しかし、攻撃を受けるときにはその気を一点に集中させなければならない。
すなわち、予想範囲外の攻撃をすれば、難なく打撃を与えられるのだ。
まだ未熟なBや轍は、攻撃のパターンが読まれやすく、今回の事態に陥ったのだった。
「大体はわかったが…舌足らずで、なんとも聞きにくいっ!」
「だが…そうか。ならば、俺としても本気を出さねばならんな…」
「ふ…たかがしえてゆ…」
「お子様よ、冥土のみやげに良いことを教えてやる。俺たちの目的は、世界の侵略ではない。最強の極意を受け継ぐ者を、探し出すのが目的だ」
「どういうこと?」
「つまりだ…お前みたいなお子様がぁっ!」
唐突に語気を荒くする狼男。
「最強のぉっ!極意をぉっ!受け継ぐなんてぇ…」
周囲に重圧がかかる。
それは、狼男が守りの気をすべて攻撃に転換したために起きた、すさまじいものであった。
「あるわけねぇんだよぉぉぉっ!!!」
刹那の爆音。
床が裂け、柱にひびが入り、天井からはホコリが舞い落ちてくる。
「どうだ…原型すらとどめておるまい…跡形もなくなったか…この…お子様…が…あ」
その場に崩れ落ちる狼男。
かくして、名前を名乗ることは無かったが、極真空手・蛮、沢田派の使い手、山田吾郎は倒されたのだった。
〜第7階層〜
ついた矢先に、Bは跳んだ。今いた所が、唐突に爆発する。
「ようこそ…そうか、来たのはお前だけか」
「お前は…!」
「忘れたとは言わせん。あのあと、俺は…苦渋を味わったのだ。お前も…」
「誰だっけ?」
続き近日公開保守。
先日ラジオから「ラジオネーム、あんどうなつ」って聞こえてきて、関係ないだろうに、ちょっと嬉しくなりました。
172 :
マジレスさん:2005/08/13(土) 18:29:32 ID:j4DQPGYv
「そうか…お前はっ!」
「思い出したか?」
どこか期待しているようにみえたのはBの気のせいだろうか?
そして訪れる長い沈黙。
先に口を開いたのは、Bの方だった。
「すまん、思い出せない」
「…くっ!」
それが悔しかったのか、こちらに背を向ける男。
どういうつもりだろうか、背中には大きく「3」と書かれており、その下に小さく、だが目立つように「番手」の2文字。
と、そこで唐突に振り向き、こちらに…Bに向かってビシィッ!と指を向ける。
「俺は、極真空手・松井派を破門された男!」
「おぉっ!」
「思い出したか!」
「あの卑怯な奴!」
Bの一言に、破門された男の顔が引きつる。
「まぁ…できるなら名前も思い出してほしかったが…仕方あるまい」
しかし彼は、名前を名乗る前に倒されてしまった(拳帝によって)ので、名前など知る由も無いのだが。
「ふふ…今頃、拳帝…いや、お前の愛するあの女は、我が刺客の餌食になっていることだろう」
「なん…だと?」
Bの顔から笑みが消える。
「どういうことだっ!?」
「拳帝は力を失い、さらにその一番弟子の轍、拳帝の兄弟が拳帝のそばを離れた今は、絶好の好機ということ!」
「卑怯な…!」
「卑怯さなら負けないさ、B…」
「がっ!?なぜっ!」
「ほれ」
破門された男(以下、Bは破門と名付けることにした)が首を向けた先には、液晶モニターが一台。
破門が手に持っているリモコンを操作すると、画面は様々な場面を映し出している。
「なるほど…これで、俺たちの活躍を見ていたってわけか…」
「君の活躍なんて二の次だよ、B」
「言ってくれるじゃないか…」
「さて。では君に奏でてもらおう。俺が受け、苦しみ続けた絶望の輪舞曲…その続きを!」
「何っ!?」
「第一楽章は、信じてきたものが離れていく絶望…そして、第二楽章は…」
破門の顔が恐ろしいほどに歪んだ。物凄い陰険さを醸し出している。
「愛するものが…少しずつ内側から壊されていく絶望…」
その頃。
拳帝…妹に忍び寄る影があった。
(お前の苦しみを、私は知ってる。あんどうなつ…彼女の死が、お前に新たな力を与えた。力は失ったが…その苦しみからは解放されていない)
「誰…?」
いつのまにか誰も居なくなってしまった友人宅の一室に、謎の声が響き渡る。
次の瞬間、「それ」は後ろに立っていた。
「それだけの想いがあれば…その苦しみは我が力により増幅され…お前を内側から破壊していくだろう」
妹が振り向くと、そこには誰もいない。
「な…に…?」
なすすべもなくその場に、眠り込むように倒れる妹…拳帝。彼女の友人(Bの幼なじみで、彼女を紹介してくれたのも彼女なのだが)が部屋に戻ってきて、突然の事態に慌てふためいている。
それを、テレビ画面越しに見ている…Bと破門。
「一体何をしたっ!?」
「言ったはずだ。絶望の輪舞曲、その第二楽章」
「ふざけてんじゃねぇっ!」
Bの手元から、波動の剣が伸びる。今までにない凄まじい威力を放っていた。
「ふん…そんなお遊びでは倒されないよ。俺は…」
「うぉぁーっ!」
嘆きとも怒りとも思える叫び声とともに、Bは走った!
「波動剣・菊一文字!」
横の鋭い一閃が、破門の体を捉える!
「ふっ…はははは!」
破門の姿が掻き消える。まるで、最初から存在していなかったかのように。
「馬鹿に…して…」
それだけ呟くと、Bはその場に膝をつくのだった。
大吾点心拳の師…Bの愛した人の弟が階段を上ってくるのが見える。
しかし。Bは、体にまとわりつく怒りを鎮めようとするので一杯なのだった。
「ここは…」
わたしは辺りを見回した。一面の暗闇が支配している。
(きがついた…?)
「その声…なっ…ちゃん?」
(そうだよ…あなたをかばって…トラックのしたじきになって。それから…ずっとくるしかったんだよ?)
「…ごめん…ごめんなさい…」
わたしは目を閉じ、頭を抱えた。でも、そんなことで状況が良くなるとは思えない。目を開けたとき、もっと最悪な状況に陥ってることだってあるのだ。丁度…
「あの時のわたしのように」
(あのときのあなたのように)
わたしは目を開けた。周りはまだ暗闇の中で、わたしは安心したような、複雑な気持ちになった。
(ねぇ…おねがいがあるの。あなたのこころ…あたしにちょうだい?いっしょなら、さみしくないから)
なつの声が近づいてくる。
「なつ…わたしは…」
『その声に従っては…いけない!』
突然に、聞き覚えのある声が響き渡る。それは…わたしの声だった。
「あなたは…」
『我は汝。そして…汝は我だ。この空間が…汝との解逅を可能にした。我は…汝を守っていた、もう一人の汝』
「もうひとりの…?」
『そう。人の死を受け入れるには…汝は脆すぎた。その想いから我が産まれた』
「でも…わたしのせいでなっちゃんは死んじゃったんだ。だから、わたしは…」
『真にあんどうなつの事を思いやる気持ちがあるのならば…許せぬのは、汝の気持ちを騙し、追い込もうとするその卑怯さ』
「!!」
(ねぇ…なにやってるの?はやくきて、いっしょに…)
『やかましぃっ!』
なつの言葉をさえぎる、もう一人のわたしの声。
その声に勇気づけられたのか。それは自分でもわからなかったが、わたしは毅然とした態度で、目の前の幼女…なっちゃんを見つめた。
「ごめんね、なっちゃん。わたし、あなたとは一緒に行けないよ。まだ…やらなきゃいけないことがあるから」
(なんだと…!)
その瞬間、なっちゃんの口調が変わったのがわかった。
(お前は…このガキに立ち向かうことが不可能なはず!なのに…)
「なっちゃん…?」
『ついに本性を現したな…』
なっちゃんの手が、物凄い速さで伸びてくる。それはまるで、触手のようにさえみえた。
『こうなったら…我の力を与える…大丈夫だ。汝の体はこの力を、覚えている』
『覚えているって…?』
動揺している間にも、わたしの体は光に包まれていった。
その間にも、触手がわたしに向かって突き進んでくる。
すでに、目の前にもう一人のわたしはいない。でも、一つだけはっきりしたことがあった。
この動き…遅い!
わたしは右と左からくる触手を容易くかわし、
なっちゃんの姿をした化け物の懐に入り込み、回し蹴を放った!続けて、左右の手で力強く殴り付ける。
「ぐっ…おぉっ!」
よほどのダメージだったか、化け物が悲鳴をあげる。
「この幻影の使い手、箕輪を追い詰めるとは…」
その一言が、わたしの怒りの導火線に火をつけた。
『幻影か…もはや、おいつめるだけでは終われなくなった。黄泉の国であやまりなさい…なっちゃんに!』「お前がこの私を倒すとでも?」
『倒す…だと?甘い…死ね』
一瞬の爆音のあと。
なっちゃんの姿からやっと戻った赤い目の痩せ細った男は、粉々に砕け散ったのだった。
『え…こんな…わたしは…』
その光景はあまりに気持ち悪く、描写するのも嫌なほどである。
あまりの凄惨さに唖然としていると、遠くから友人の…ユウミの声が聞こえてきた。
そのうち、意識も徐々に遠退いていくのだった…。
「!?」
目を覚ますと、わたしはベッドのうえにいた。
「気がついたのね?」
声がするほうを見ると、看護士がこちらに笑いかけてくる。どうやら病院のようだ。
「あなた、急に倒れて…でも、検査の結果はなんでもなかったから、様子を見て…明日には退院できるわ」
「でも…わたし、行かなきゃいけないところがあるので…」
わたしは足元の確認もしないまま、開いていた窓から勢い良く飛びだした。なにやら悲鳴らしき声が聞こえてきたが、まったく気にならない。軽々と四階の高さからの着地に成功し、わたしは嫌な気配のする方向へと歩いていくのだった。
さて。
俺は、轍を抱えて近くの病院へと向かった。保険やら何やらというのは割愛するが…治療費は高額になりそうだということだけ記しておこう。
俺は、轍を置いたその足で、再度あの建物へと向かう。
そのころ、弟とBは。
「すまない…あいつが…君の姉さんが…」
涙混じりのBの言葉を、弟が制した。
「ちんぱいいやない…けはいはかんじゆかや、きっといきてゆ」
「…そう…なのか…」
力が抜けたか、安堵の表情のまま座り込むB。
「でも…あんしんすゆのはまやはやい…」
「!?」
あわてて起き上がったBの前を、蒼い光線が横切る!
「つくづく運が良いな…だが、そろそろ尽きてくるころだろう」
Bと弟の目の前で、倒したはずの破門がニヤリと笑った。
「俺も松井派の使い手。本気を出せば、一人二人、簡単にあの世に送ってやれる」
「本気で卑怯な戦い方をするのか?」
「ふはははっ!」
破門の掴み掛かってくるのを避け、Bは隙だらけの脇に拳を叩きつけた…はずだった。しかし、当たったと思いきや変わり身の術。
「熊になる以前に人間なんだ。人間なら…うまくやらないとなぁ?」
声は、Bの後ろから聞こえてきた!
「それが、お前の答えか、破門っ!?」
「はっ…!?」
突然そう呼ばれた破門は、思わず立ち止まった。
「ちょっと待て…破門って…何だそれは?」
「知れたこと!」
Bは、破門に向き直ると、得意げに指をさし、続けた。
「お前の名前だっ!」
「訂正しろ!俺には…っ!?」
破門が名前を名乗る前に、Bの鋭い波動の剣先が鼻先をかすめた。
「ぐっ!?」
「覚悟決めろよ。お前は、俺の大事な人をひどい目にあわせたんだ…ここで決着をつけてやる」
「ましゃに…ひきょうものちょうじょうけっていしぇん!」
弟の一言に、Bは危うくずっこけそうになった。
「君ってぇやつは…」
弟の方を振り向いたBに、凄まじいまでの光線が襲い掛かった!
「ふ…どうした。お前の卑怯さはそんなものか」
「この…卑怯、卑怯って…お前はナガサワかぁーっ!」
Bの叫びに、周囲の時間が止まる。
「なが…しゃわ?」
「何だそれは…?」
「何って、ちびま…いや、これ以上は色々と引っ掛かりそうだから、言えん!」
弟と破門の問いに、思わず赤面するBであった。
「それが日曜の嗜みか、フジキ君っ!」
「知ってたの!?」
目を見開くBに、破門の蹴が突き刺さった!
書き込みが滞ってしまい、ヤキモキさせてしまってごめんなさい。
まだ見てくれている人はいますか?
184 :
マジレスさん:2005/08/20(土) 22:40:23 ID:UdU0TmtJ
ここに居ます!
と言いつつ、最近2ch自体これない事が多いですが。
後でまとめ読みしようかと。
あんどーなちゅ!
185 :
マジレスさん:2005/08/21(日) 20:30:38 ID:RQxh5dzG
一応みてるよー
「一瞬の隙をも活かす。それも最大限を越えたやり方でな。それを一般には『卑怯』と呼ぶかも知れない…だが、俺に言わせれば、あくまで一つの手段だ」
「なるほど…まるで、俺のような考え方だな、同志よ」
「お…おぉ…」
破門がうめくかのようにあげた声がまるで、歓喜の叫びにも聞こえたのはBのきのせいなのだろうか?
「でも、誰も理解してくれないんだよなぁ…」
「そっ…そーなんだよぉ!俺の最強の作戦を、拳て…いや、あの女は『我の流儀に合わぬ』なんて言いやがってよ…その答えが破門よ?」
なぜか意気投合してしまったBと破門を背景に、弟はただ、その有様を眺めていた。
「…しかし、だ。それを恥と思っているところに…お前の弱さがある」
「なっ…」
「隙を最大限に活かす…悪いけど、それは木村派の教えの一つだ。その卑怯さにでさえ、苦痛や後悔を感じちゃいけない。なぜなら、勝つことこそ…誇りなのだから」
「確かに、我が流派にはそんな教えはない…しかし、こうでもしないと俺に勝ち目はなかった。どれだけ努力しても、他の奴らも同じか、それ以上の努力の結果を示してくる。まともにやっていたのではいつまでも…」
「ならばなぜ、お前は己の道を貫こうとしなかった?破門の言葉に従い、ただその師を憎むことしかできなかったお前に…勝利の文字はないっ!」
「くく…卑怯というものは、つまりはそういうものだろう?」
破門が言葉を言い終えるより早く、Bは高く飛び上がり、空中でその動きを止める。
どんな物理の法則が成り立っているのかはわからないが、Bはその体勢を数秒間の間保った。
「木村派秘奥義…」
空中に浮かんだまま、大気を全身に集める。
「波動剣・脳天殻竹割りぃぃーっ!」
剣を持つ手から真っ逆さまに、破門目がけて落下するB。その切っ先は、見事頭にぶち当たった!
「くっ…くおぉぉっ!」
それにはさすがの破門も耐えられなかったか、断末魔の叫びとともに、塵となって消え去ってしまったのだった。
「さぁ…とっとと行こう、義弟」
「なんときのはやい…」
意気巻くBと、その様に半ばあきれ気味の義弟…もとい、弟。
二人は、階段をのぼってゆく。
一方、その頃…
「とうとう辿り着いた…ここに、最強の奥義とやらが隠されているのだな」
「はい、マスター。私の情報網によると…間違いありません」
筋骨粒々の男と、華奢な眼鏡の女。
新キャラの登場である。
俺はと言えば(この時は、まだそこに謎の二人組の存在を知ってはいなかったが)、彼の新キャラ達の少しあとにやっと…どこだっけ?
まぁともかく、目的の建造物に戻ってくることができた。
遠くから、聞き慣れない叫び声が聞こえてくる。
…誰だ?
俺は、階段を急いで上がっていく。そこにいたのは。
「なんじゃこりゃあぁーっ!」
「情報が錯綜しているようです。ここからは、どうすればいいのやら…」
こちらに背を向け、静かな空間に向かって叫んでいる男と、眼鏡を上げ下げしている女。その二人が、同時に振り向いた。
「何だお前はぁーっ!?」
「…雑魚、ですね」
「なっ…何だとっ!?」
「お前がこの階の守人かぁっ!?」
「確かに、そう考えるのが妥当かと」
「ここにいた奴なら、とっくに倒した。この先に俺の仲間がいる。お前達は…?」
「ほう…おもしろいことをいうな。俺は、この神殿に眠る奥義をいただきにきた。その名も…」
「大佐、そうとわかれば早く、彼の言う仲間に追い付くべきかと」
「そうだな、曹長」
そう話し合いながら、俺を置いて先へと進んでいく二人。
「ち…ちょっと待て!」
俺は、二人の後を追い掛けていった。
二人組を追って、俺も階段を駆け上がってしばらくたった時。
先程とは違う空間に出たことに、俺は気付いた。
〜第五階層〜
「ようこそ、この建造物最大のイベントランドへ」
「お前は…!」
俺は思わず身構えた。
白鳥を模したステッキ、長髪に似合わない格闘家の体型。その男こそ…白
「変態かぁーっ!」
先に進んだはずの仮面の男が、俺の後ろで叫びだしたのに、俺は思わず飛び上がってしまったのだった。
「大佐…どうやら、我々が闘うべき最初の相手は、彼のようですね」
「そうか…色者を、成敗するも、また一興!」
「相変わらず素敵な川柳ですわ、大佐」
大佐と呼ばれた仮面の男は、得意げに腕を組んだ。
「では…修業の成果、見せてやれ、曹長」
「はっ!」
曹長と呼ばれた眼鏡の女は、返事をした直後、目の前の変た…いや、白鳥に向かって、猛スピードで走りだす!
そして、白鳥の横をただ通り過ぎたかのように見えたその時。
白鳥は、そのままゆっくりと倒れたのだった。
「なっ…何が起こったんだ!?」
「格闘家の端くれが、今の早さにもついてゆけなかったというのかっ!?」
「倒したのか…あいつを!?」
〜第八階層〜
「さて…と。次の相手は誰だ?まぁ、どんな奴だろうとコテンパンにのしてやる!」
「あまくみちゃいけない…ここかやさきも、なにがあゆかわかやないんだから」
Bと弟がわいのわいの言いながら歩いていたが…。その歩みが、同時に止まった。
「この気配は…」
「ちょっと、いままでとはちがう…」
その声を合図にするかのように、目の前に男が現れた。動きやすそうながらも堅そうな鎧に身を包み、右手には一振りの刀を携えている。
「まぁそろそろ、これくらい勢いの良い奴が出てこないとな」
「ふ…調子が良いようだな。だが…ここでその勢いも終わる。見ただけでわかる。お前達では…勝てんよ」
「言ってろ!波動剣・二刀流っ!!」
Bは、一本の剣を両手で握ると、左右に引いた。すると、波動の剣が二本になる。
「たあぁーっ!」
Bの左右の剣を一本の刀で軽々と受けとめる男。前から、そして後ろからと、どこから繰り出されるかわからない攻撃は、彼には全く通用していなかった。
「そんなでたらめな戦い方では、ここで終わりだ。自らの流派も極めてない男が、この強の奥義、柳派の拳帝を倒すことなどできぬ」
「なっ!?」
「け…けんてい!?」
動揺したBの後ろに、柳派の拳帝が立つ。
「どうした、木村派…お前の動きはまるで、猿真似の猿真似…その程度ではな」
「こんなときにあいつがいれば…」
「おねえたまは、まだぼくちたちのまちにいゆ。ここはぼくちたちだけでなんとかしないと…」
一方、そのころ。
妹は、遠く離れた病室のベッドにいた。
どこからともなく、声が聞こえてくる…。
(汝の仲間…Bと弟が、危機に陥っている。この危機を救えるのは、お前だけだ)
(あなたは…拳帝のわたし?)
(左様。このもう一つの自我が消えるまで、汝の指南役、そして…導いてしんぜよう)
(わたしを…導く?)
(次元を越える。今の汝ならば耐えられよう。目を閉じ、強く仲間を思うのだ)
妹は、そのとおりに目を閉じ、Bを心に強く思った。体をまばゆい光が包み込んだ…
「あぁっ!」
「義弟!?…くっ…くそぉ…」
柳派の拳帝を前に、Bと弟は瀕死の危機に追いやられていった。
その頃俺は、第七階層にやっと到達していた。目の前を走っていく大佐と曹長。追い付くのに精一杯の俺。
なんて奴らなんだ…
そして再び舞台は、第八階層に戻る。
「さぁ…もう終わりだ。せめてもの情け…それ以上は苦しまぬように死なせてくれよう」
「ま…まだだ…」
「このぼくちが…こんなところで…!」
その時だった。柳派の拳帝とB、弟の間に、球状の光が突如現れたのは。
「何だ…!?」
「この感じ…お前なのか?」
「おねえたま…」
光が消えたその場所にいたのは、二人の思ったとおり、妹の姿だった。
「ふふ、中々に味な出方をするな、小娘。だが、デモンストレーションだけでは…」
「あまり調子に乗らないことね。奢りは、拳を極めるのに障害にしかなり得ないもの」
「…拳帝?いや、違う…君は…?」
妹の雰囲気の違いに、Bと弟は戸惑う。
「お待たせ、B。あとは、わたしにまかせて」
「いや、だからなんでBって…」
「おねえたま…でも、いまは…」
「大丈夫だよ。あの人とわたしは、ひとつになったの」
「ひ…」
弟に微笑む妹の後ろで、Bがなぜか、良からぬ妄想を膨らませている。
「じゃあ、いくよ…わたしは極真空手・松井派の拳帝…あなたは?」
「極真の使い手、しかも拳帝か。我もまた、拳帝の名を冠するもの。その気迫…偽りは無いようだな」
言いながら、刀を鞘にしまい、脇のボタンらしきものを押して、鎧をはずす。
「Bと弟の大吾をイジメた罰…しっかり味わってもらう!」
「拳帝とあらば、本気で相手をさせてもらう…悪く思うな、小娘」
193 :
マジレスさん:2005/08/26(金) 20:46:48 ID:h0QvRvUK
保守
対峙する妹と、柳派の拳帝(以下、柳)。
Bが、良からぬ妄想に暴走しかけているのを見かねて、弟が一撃のチョップで悶絶させた音を合図にして、二人は同時に跳んだ。
互いに組み合ったと思いきや、相手がいた場所に着地する。その間、1.5秒。実はこの時二人は、少年誌の格闘家並みの速さで動いていたのだ。
その激しい攻防の行く末は、互いについた傷跡が証明していた。
「松井派は、熊の流派…しかし、これほどまでに緻密な動きができるとは…」
「甘く見ないことね。今のはほんの…小手調べよっ!」
妹が跳んだ。それにあわせるかのように、柳も構える。
「勝敗は…次の一撃で決まるな…ぐぅっ…」
Bのチョップを受けた痛みに耐えながらの実況に、弟は静かに頷いた。
ごずっ。
体にめり込むかのような音が、空間に響く。
柳の拳が、妹の脇に突き刺さっている…かに見えた。しかし。
「いや…あの拳は届いていない。直前で放てなかったんだ。勝負はついた」
Bの言ったとおり、柳はその場に膝をつき、倒れた。
「おねえたま…」
「大丈夫?二人とも…」
「あぁ…よほど手を抜いていたんだろうな。君の弟のチョップの方が痛かったくらいだから…さっきの闘い方をされたら、間違いなく勝てなかった」
195 :
保守:2005/08/31(水) 11:40:44 ID:oaJLjoJ3
あんどーなちゅ!
196 :
マジレスさん:2005/09/06(火) 09:17:40 ID:AmaANf3u
あんどうなつ!
197 :
マジレスさん:2005/09/08(木) 12:24:05 ID:TYqqrPIX
◆AvbD5SjaIMさん、もうここ見てないのかなぁ。
続きキボン(´・ω・`)
俺と大佐、曹長の3人は、とうとう第8階層まで辿り着いた。
「敵はどこだぁーっ!」
「どうやらここも…すでに倒されたあとのようですね…」
「次の変態は、どこだぁーっ!?」
「大佐…あれは多分特殊なケースと考えられます。次に現れるのは、恐らくさらに屈強な…ここの『残気』を感じてください…強いもの同士が闘ったあとです」
「そうかお前かぁーっ!」
「違うっつってるだろぉーがっ!」
「大佐…話を聞いてください」
俺に指をさし、叫ぶ大佐に思わず叫び返す俺と、冷静に突っ込む曹長。
「大佐…闘いの気配を感じます。どうやら…」
「うむ。参るぞ曹長!それと…刺客っぽいやつ!」
「何かいやな言われ方だが…まぁいいや、どうでも」
第9階層への階段を駆け上がる俺たち。
そして俺と妹は、間もなく再開を果たすことになる…。
〜第9階層〜
「やっと9階か…まだ半分も来てないんだなぁ…」
「ねぇ…Bと大吾を助けるために来たのは良いけど…ここはどこなの?」
「ここは…世界を破壊するために作られた神殿だよ。それを阻止するために、俺たちはこの建物の20階に行かなきゃいけないんだ」
「でも、おねぇたまもいれば…」
かったもどうぜん。
そう言い終えるよりも早く。
「さすがだ…もうここまで来たのか…」
くぐもった声とともに訪れたのは、圧迫されるような気配。
「どうやら、この階にも敵がいるみたいだな」
B、妹、弟は、それぞれ構える。
「ここで相談なんだけど、2人とも、いい加減俺も…」
わずかの沈黙をさえぎるかのように、Bが重々しく口を開いた。
「見せ場を作らないといけない頃じゃないか?スレを見て、俺の活躍を期待してくれているファンの期待に、そろそろ応えないといけないとな…」
「B…そんなひといるはず…」
「B…あんた、何を…」
「ククク…最初はお前か?全力でかかってこいよ。さもないと…!」
相手が言うより早く、Bは跳んだ。そして、一気に間合いを詰める。
「この猿真似、お前にかわせるかっ!?」
言いながら、両手に波動の剣を作り出すB。
「波動剣・卍解(ばんかい)!」
叫びとともに、Bの剣が金色に輝きだす!
「なっ…!」
「それってもしかして…BR○ACHの!?作者もタイトルうる覚えで、綴りが間違っているかも知れないという、某少年誌の…」
「でも、どうしてそえを…」
「きっと作者の人、最近になって友達にBREA○H見ていたがいたのがわかったから、いい気になってるのよ…もういい歳のくせに」
ほっとけ。
さて、妹と弟がそんなことを話している間にも、Bの波動の剣は、ますます輝きを増していく。
「輝け…俺の渾身のぉっ!」
「このっ!」
相手の鋭い手刀をまともに受けても、Bは微動だにしない。
「なんと…この天文字 平権平の斬芯手刀を受けておきながら…」
いつまでも相手とか書いてるのも具合が悪いので、適当なところで名乗ってもらったこの男、権平が動揺するのを嘲笑うかのように、Bの口元が緩んだ。
次の瞬間、Bの姿が閃光とともに掻き消える!
「なんだと…どこだ、どこへ消えたっ!?」
あたりを見回すも、Bの姿はない。
次に妹が気配を感じ取り振り返ったのと、そこにBが現れたのは、ほとんど同時のタイミングだった。
「…B!?」
Bは、妹の目をじっと見て、ゆっくりと口を開き、一言。
「奴の実力は見切った。俺たちの力を合わせれば…勝てない相手じゃない」
「B…まさか、たった1人に3人で挑もうって考えてるの?」
妹の半眼の一言に、Bがドキッとしたのが表情で知れた。
「まっ、まさか…あんな奴、僕1人でも倒せるに決まってるだろっ!?」
「ならばその相手、この私がかわろうぞ!」
「そうそう、何か今来た人もこう言って…え?」
Bと妹、弟と、そして権平が同時に階段の方を見ると、そこには見たことのない男の姿が。
「大佐…微妙に会話が噛み合ってないように思われます。もう少しタイミングを…」
男のあとに続いて、若い女。さらに、その後ろにいたのは…
「兄ちゃん…!?」
「おにいたま…」
「お義兄さん!」
そう。
やっとのことで戦線に復帰できた…俺!
「…ククク…はははは!」
再会の歓びをわかちあうより早く、権平が高らかに笑いだした。
「…気に入らないわね。さっきから何かしようとすれば邪魔して」
妹が権平の方を向き直り…しかし、権平にびしぃっ!と指をさしたのは、大佐だった。。
「とうとう見つけたぞ!お前が…我が仲間だな!」
そろそろ浮上しま専科?
その瞬間、時が止まった。
「大佐…」
「ん?なんだね雑魚1号」
「…闘う相手は、そいつだ」
「あぁ、そうだろう!実は何を隠そう、そう思っていたのも事実!」
「大佐…嘘は虚しくなるだけです」
大佐は、あらためて権平の方へ向き直った。
「何だかよくわからんが…」
「そうだろうな…よくわからないという点に関しては、この私と同じだ!」
「何なの…あの男」
「わかやないけど…」
「これだけはわかる…バカだ」
妹と弟、Bが好き勝手なことを言っている中、大佐は不敵に微笑むのだった。
大佐が権平に向き直り、構えなのか「おまえをたべちゃうぞ、がお〜」のポーズなのかわからない姿勢になったその時、権平は唐突にこう言いだしたのだ。
「うむ…よかろう!人数は揃っておる。それに、メンバーを入れ替えながらも、隠し階層のボスまでもを、短時間で倒し、ここまでこれたこと、称賛に値する」
呆気にとられている俺たちを気にせず、権平は続けた。
「よって、わずかに過ぎてはいるが、期間内にクリアできたとみなそう。この先の…第2関門へと進むがよい。お前達が…」
無いマントを翻すかのような仕草で、高らかに叫ぶ!
「最後の挑戦者だっ!」
『最後の挑戦者!?』
「さいごのちょうせんしゃ!?」
珍しく(俺は本当に珍しい、と思った)全員の声がハモった。
「そうだ。この階段を上った先では、多数の挑戦者が待ち受ける史上最強の異種格闘技戦が行なわれる。その勝者達には…」
「勝者達には!?」
Bが興味津々に近づくも、権平はただ、笑いながら風のように消えてしまったのだった。
「よし、そうと決まれば…行くぞお前たち!」
「大佐、この団体が挑戦者達たいう一括りの団体ならば…チーム名が必要かと」
「ちょっ…何でいきなりあんたが仕切っているんだ!」
「それより、その闘いに優勝したチームには…何があるんだろうね?」
「そうだな…我々の特徴を活かして、『大佐と愉快な雑魚集団、そして曹長』…っていうのはどうだ?」
「決定稿ですわ、大佐」
「全然センス無い…っていうより、何だその雑魚集団って!あんた、僕の実力を…って、決定稿!?小説じゃないんだから…」
「いくよ、みんな!」
「義弟!?」
皆が思い思いに好き勝手なことを言い合っている中、俺は1人、第10階層への階段を上るのだった。
下から声が聞こえてくる。
妹や大佐達も、すぐに追い付いてくることだろう。
俺は階段の先にある扉を…開けた!
〜第10階層〜
扉を開けた俺を、俺たちを待っていたのは、広大な空間。まぶしいほどの照明。今までより高いところにある天井と、真四角のステージ。
さらには、ご丁寧にというべきか、客席まで用意されている。そこには、沢山の人で埋め尽くされていた。
「これは一体…」
あとから来たBが、呆気にてられたようにこの空間に見入っている。
「異空間だな。師匠がここに来たときみたいに…多分、この空間は、別の入り口と、トンネルのようなものでつながっているんだ」
「異空間だか大食漢だか知らんが、面白い余興が行なわれそうな予感が満載!良い哉良い哉」
「大佐…私が思うに、その余興に投入されるのは我々かと思われますが」
「それもまた一興っ!」
「勝手に言ってろ…」
「お義兄さん、押さえて押さえて…」
さんな風に騒いでいると、客席から歓声が巻き起こった。ステージの中央で、司会らしき女性が何やら喋っている。
「お待たせいたしました。いよいよ!お待ちかねのグランドバトルフェスティバルを開催いたしますっ!」観客達の声が一つにまとまった瞬間が今、訪れたのだった。
司会の女性は小柄だが、威圧感か何か、ものすごい強烈な力が、彼女を大きく見せているように感じられた。派手とも地味とも言えないスーツに身を包んでいる。
「それでは…まずは、挑戦者紹介!」
司会が手を正面にかざすと、一番左奥の照明がつく。
そこにいたのは、力士とレスラーとボクサーと柔道家ともう一人は…わからないと思いきやハチマキに「テコンドー」と書かれている5人。
「過去の世界大会で好成績をおさめた格闘家集団、その名も『異種格闘チーム』!」
ワァー!と歓声。
このあとも、紹介ごとに歓声がバンバン巻き起こるが、面倒臭いのであとは省略。
「続きましては…」
司会の声に続いて、その隣の照明が光る。
以下、残り5チームにも、次々と照明が照らされるのだった。
あとは、延々とチーム紹介に専念したいところだが…
あいにく、そうも言っていられないようであった。
光に照らしだされたのは倒されたはずの白鳥、さらに鴉、雀、燕、鳩の四天王!
「地獄よりの不死鳥、『復活☆デス・スパイラル』!」
『な・なんだってーっ!?』
叫んだのは俺とBと師匠と妹!
ついでにいえばこの時、轍も嫌な予感を感じていたのだという…
驚愕する俺たちをよそに、司会はサクサクと残りのチームを紹介していった。
次にあらわれたのは、赤、青、桃色、黒、白、緑と、それぞれが一色の戦闘服…とでもいいたげな服装に身を包んだ6人。
「正義こそ我が信条!『必殺!正義隊』!」
今度はよくわからないが、5人のうち、3人が上半身裸、というある意味個性的とも言える奴ら。
「謎の力を操る最強武術集団、『ラントバ』!」
次は6人組。何やら中でも暗いオーラを持つ男と、彼らのリーダーらしき男が熱血漢っぽかったのが印象的だった。
「強い絆と熱い友情!そして最強の後ろ盾っ!『チームマックス ウィズ777!』」
その隣の団体には、俺たちも見覚えがあった。
と言っても、戦った時は省略されていたので、ちゃんとした登場は今回が初めて。
詳細は後程記すことにしよう。なぜならば…
「拳帝死すとも我らは死せず!最強の力を得て拳帝の座を狙う…『松井派・乱』!」
そして、7番目。どこからどう見ても一般人のようだが…?
「遺伝子操作が生んだ最強のミュータント!今宵の満月にご用心…『獣人団』!」
最後に、俺たちがライトに照らされる。
「そして…彼らは!」
そのことばに高らかに叫んだ男がいた!
「知らぬ者もおらぬ、知らぬなら今知るべき最強軍、『日本甘党』!」
「素敵です、大佐…」
「なっ…!」
Bが反論しようと振り返るも、司会は高らかにこう叫んだのだった。
「最後の挑戦者は…その名も、『日本甘党』ーっ!」
そしてやや沈黙のあとに、歓声。
「先手をとられたか…良いチーム名、思いついたのに…」
歓声を浴びたまま、悔しそうにそうつぶやく妹。
そんな中、師匠はというと…実は、その名も良いのではないかと思っていたのだとか。
「では、今大会のルールを説明しましょう!」
歓声がやんだあと、司会者は相変わらずのテンションの高さでそう叫んだ。
「チーム対抗、5対5の勝ち抜き戦を行なっていただきます。そして、負けたチームには退場していただき、勝ったチームはトーナメントに従って次の対戦相手と闘い…上位2組には!次のステージへと進んでいただくことになるのです!」
どっと起こる歓声。
「ちゅぎのすてーじって…」
「まだある…みたいだね…」
「チームの組あわせは、すでに決まっております!」
スクリーン上に、でかでかと映し出されるトーナメント表。
俺たちの出番は、4開戦。
第1〜3回戦まで
第1回戦
『異種格闘チーム』対『必殺!正義隊』
格闘家達は型に染まった戦法を好み、対する色者達も格好からは想像できないほどの地味な闘い方で、試合展開は鋭くまったりと進んでいった。
勝敗は4対5で、『必殺!正義隊』の辛勝。
第2回戦
『復活☆デス・スパイラル』対『チームマックスWith777』
確かにギャグ属性ともいうべき白鳥を始め、今や強いとはいえない集団だったが、それにしても、先鋒に現れたたった少女『リン』がたった1人で倒してしまったのだった。
第3回戦
『ラントバ』対『獣人団』
獣人達も、満月があれば強敵だったのかも知れない。
ただ、ここは室内。
誰も変身できる者はおらず、従って結果は0対5。
〜第4回戦〜
「お久しぶりですのぅ、皆様…そして、拳帝」
「あんたは…あの山にいた…」
「これは拳帝の兄上。まさしくワシは、幻術使いのナンブ。そして、ここにいるのは…」
「玄武、朱雀、白虎、青龍…『松井派の四聖獣』ね…」
「左様でございます。ワシらは、拳帝と袂を分けてからというもの、血の滲むような修業を重ね、更なる実力を手にしました。もうあの時のように、ダイジェストで倒されてしまうほどの簡略化はできませぬぞ」
「なぁ…」
Bが、何やら妹に話し掛けている。
「あの爺さん、あんなに丁寧なしゃべり方だったっけ?」
「さぁ…わたしも、しっかりとは覚えてないんだよね…」
舞台に立った俺たちに司会の声が聞こえてくる。
「それでは、第四回戦、『松井派・乱』対『日本甘党』を始めます!」
先鋒に立つのは、B。対する松井派は玄武。でかい図体の男で、その名にふさわしく頑丈そうな筋肉をしている。ちょっとやそっとの攻撃ではビクともしないだろう。
「始めっ!」
審判のヒゲの掛け声とともに、俺たちの闘いが始まった!
でも、どうしてまたこんな展開になるんだ?
…と、俺がそんなことを考えている間にも、Bと玄武は激しい攻防戦を繰り広げていた!
玄武の重い攻撃を簡単にかわしながら、Bは十八番である波動の剣を作り出す。
素早い動きで玄武を蹂躙しながら、隙をつくように前後左右から剣撃を与える。
少しずつ、しかし確実にダメージを受ける玄武。
しかし、Bの猛攻もそう長くは続かなかった。
「よし玄武、見せておやりなさい。最強の秘術…聖獣降臨を!」
「おうっ!」
それまで無口だった玄武が、ほえる!
「聖獣…降臨っ!」
同時にまばゆい光が玄武を包み込み…さらに頑丈そうな鎧に斧で武装という凶悪極まりない姿になる。
「ちょっと!武器を使うのは、松井派の流儀に…」
「反するのは確かですな。しかし、大切なのは伝統を守り、敗北を喫することではない。それに、言ったはずですな。拳帝とは…袂を分けたのだと」
妹が抗議するも、ナンブはニヤリと笑いながら、黙って試合の行く末を見守ろうとするのだった。
一方のBは、上から振り下ろされる斧の斬撃をギリギリかわし、剣で反撃するが、堅牢な装甲は簡単には破られない。
素早く飛び回っていたBは、徐々に疲弊していくのだった。
そして、Bが斧の攻撃をよけたものの、体勢を崩し、倒れたその時!
「ふんぬっ!」
斧が唸りをあげ、Bへと降り掛かる!
大会の表現において、勘違いしていたようです。
今行なわれているのが第1回戦ですね。
で、勝ってそのチームの次の試合が第2回戦。
今までの第1〜第4「回戦」の部分、「試合」という表現に訂正させていただきます。
「開戦」って変換されてる所もありました。
重ね重ね訂正を。
しかし。振り下ろされた斧の下に、Bの姿はなかった。
振り下ろしたまま、眉を少しだけ動かす玄武。真後ろにいたBに気付いたとき、彼は形勢の逆転を思い知ることになる…
「後ろががら空きだぁっ!」
「さすがはひきょーもの…」
師匠の呟きは、俺以外には聞こえていたのだろうか?
そんなことを気にしている間に、玄武はBの背後からの渾身の一撃により倒されたのだった。
第2ラウンド
「2番手、朱雀!聖獣降臨っ!」
「いきなりっ!?」
Bの戸惑いをよそに、朱雀を名乗る、玄武とは対照的とさえ思える小柄な少女。
着ていた真っ赤な服が朱雀の言葉とともに火に包まれ、やたら露出度の高い服にその姿を変える。
「…!」
Bがその姿に見惚れた隙を、朱雀は見逃さなかった。
「我が舞に散れ!朱雀炎舞!」
まさに踊るような炎の前に、Bはあっさりと場外に投げ出されててしまったのだった。
「B…ちょっとだけ見なおしたのに…」
妹から辛口の酷評を受ける、場外で真っ黒に焦げたままピクピクしているBなのであった。
「次は俺が行く!」
「いや、ここは…」
「やめんかばかでち!」
「大佐…下心丸見えです」
俺よくわからないが、俄然張り切る俺と大佐を止める、師匠と曹長。
その時だった。
「次は…私が出る!」
扉の方から聞こえてきたその声に、俺たちは振り向く。そこにいたのは…
「轍ちゃん!」
真っ先にそう言ったのは、他でもない拳帝、轍の師でもある妹だった。
その呼び方が気に食わなかったのか、轍の目つきが一瞬だけ鋭くなる。
「おおっと!『日本甘党』に、思わぬ助っ人が登場した模様です!」
司会のその一言に、今度は肩の力が抜けたようであった。
「誰だっ!?こんな…センス0のネーミングを…」
「この間、選挙があったからなぁ…皆行ったか?」
「大佐…恐らく、彼らはまだ、選挙権を得ていないのでは…」
問いに答えたのは、轍にとっては、見知らぬおっさん。
取りあえず気にしないことにしたのだろう。轍は舞台にあがり、朱雀と対峙する。
試合が始まった。
「おまえも、この華麗なる舞に散るのだっ!」
「ふん…自らの流派をあっさりと捨て、新たなる力などにうつつを抜かすお前に、勝ち目などないっ!」
「食らえっ!火炎玉!」
上下方向から飛んでくる火の玉を華麗にかわし、轍は朱雀の懐にもぐりこむ。
「…早いっ!?」
「これで終わりだっ!強芯熊拳連打!」
「朱雀炎舞っ!」
2人の力がぶつかり合う!
2人の攻撃範囲を比べると、炎によりプラスαのある朱雀の方が有利。ここは、朱雀の攻撃が決まる…はずだったが…
舞が再び決まり、ポーズを決めた朱雀。しかし、吹っ飛ばされているはずの轍の姿がない。
それを予測していたのか、朱雀は火の玉を手に作り出し、右斜め後方に 投げ放った。
火の玉は弧を描き、その先から跳ね返って戻ってくる!それを横に弾く朱雀。場外から響く爆音。
「あぁっ、Bがっ!」
どこからか聞こえてきた声は気にせず、轍は態勢を整える。
「熊の極意なんだから、芸もなく突き進んでくれば良いのよっ!」
「くだらない冗談を!」
「どのみち、次の攻撃は避けられないっ…受けて御覧なさい!」
朱雀が作り出したのは、10個の火球。ひとつひとつが野球のボールくらいの大きさがある。
「この火の地獄からは逃れられない!」
真っすぐ伸びてくる球を手で跳ね返そうとするも、直前でそれは爆発した!
轍はあわてて防御姿勢をとるが、とても間に合ったとは思えない。吹っ飛ばされながら、場外ギリギリで何とか持ちこたえていた。
「言うまでもありませんが、場外にに落ちた場合も当然!負けとみなされます。甘党の飛び入り次鋒、ピンチ!」
「こんなものか…大したことはない…」
「でも残り9個、あなたにかわせるかしら?」
「先の一撃で見当はついた。次は当たらない」
「残念だけど、この球は360度の角度から飛んでくるの。よけるのは無理よ」
「ならば…全て受けとめてみせる!」
「面白い。せいぜいおいしくないグリルにでもなるがいい!」
朱雀から放たれた9個の球が、正面、左右、上そして後ろから轍に襲い掛かる!
そして、次々と爆発を起こし、轍がいた辺りは煙に包まれる。誰もが助からないことを予感した…
が、煙が晴れたところにいたのは無傷の轍。
「轍っ!?」
「轍さん…」
「わやちしゃん!」
「あ、えーと…雑魚飛び入り!」
「大佐、無理に命名する必要は皆無です…」
「轍ちゃん!」
仲間達の呼び声を聞きながら、轍は交差させていた腕をゆっくりと戻す。
「なんですって…!?」
一番驚いたのは、他でもない、朱雀だった。
「極真の流派の1つ、『蛮』の力…コツさえつかめば、この私でも簡単に会得できる代物だ」
「轍ちゃん…」
「気の力を集中させ、盾にする…それができれば、この程度の攻撃など通用しない。それから、拳帝…その呼び方は辞めていただきたい」
217 :
マジレスさん:2005/09/16(金) 18:52:28 ID:pqtXFBqt
あんどなーつ
「えっ…でも…」
「あなたは黙ってみていてください。早い話が、彼らを全員倒せば良いのでしょう?」
「轍さん…簡単にいうけどさぁ…」
そう呟くのは、医務室で包帯ぐるぐる巻きにされて帰ってきたB。
「B…少しはできると思っていたのに…」
「君までそういうことを…」
がっくりと肩を落とすBを尻目に、轍はゆっくりと朱雀に近づいてゆく。
「いくぞ、朱雀…入門したときは、ともにこの道をすすんでいこうと約束したな…」
「そう…だったわね…」
「だが、馴れ合う気はない。私は、次の一撃に全てをかける。お前もそのつもりでこい!」
「言われなくても!」
「受け取れっ、朱雀!極真、轍秘奥義・大車輪崩!」
「轍、いくわよ…全身全霊をかけて!炎の大槍!」
轍の気を膨らませて作り出された大きな車輪と、朱雀の火の槍がぶつかりあい、その2つは大きな音をたてて衝突する。
やがて炎の槍は、車輪の回転に負け、巻き込まれて消失し…朱雀を弾き飛ばして、その闘いに決着をつけたのだった。
第4ラウンド
轍の次なる相手は、白虎。上半身は裸で、毛皮で腰から下を覆っている。
審判の号令。突っ込んでくる白虎の右ストレートを軽く足で払い除ける轍。
「白虎!」
「はいっ!聖獣降臨!」
ナンブの声に呼応して、白虎の両手の爪が光りだし、まっすぐ…およそ50センチほどの長さまで伸びたところで、白虎は再度その爪を振りかざしながら突進してくる。
「これは…相当厳しい相手かもしれないな…」
「B…どうしてそう思うの?」
問うてくる妹に、Bは得意げに話しだした。
「今までの2人は、降臨した時に、服装も変わっていた。それは、つまり彼らのいうところの『聖獣』の力が、攻撃と防御の両方に影響していたことになる。つまり、それが武器にだけ影響を与えるということは…」
「わかった!」
妹が自信満々にこう答える。
「その分だけ殴られたら痛い、ってことだよね?」
「それもあるけど、一番の問題は…」
Bの額から汗が滴り落ちる。
「その分だけこっちも…殴られたら痛いってことだよ。奴は攻撃一点に絞って強化しているのだろうからね」
俺はそんな2人の会話を、頷きながら聞いていたのだった。
迫り来る白虎の左右の爪を当たるか当たらないかでかわしながら、轍は隙をうかがってみるが、隙をカバーするほどの巧みな爪の動きのせいで中々攻撃できない。
〜何年か前〜
「なぜです!なぜ私は選ばれないのですかっ!?」
「残念だが、必要な人数は揃った」
俯いたままの少女に、目の前の老いた男は続けた。
「確かに、彼らの中にはお前と同じか、もっとあとに入門した者もおる。しかしだ。すでに決まったことなのだよ」
数刻後、近くの川原を眺めていた彼女に、近づいてきた少女がいた。
「…我の元に来い」
「あなたは…?」
「昨日入門した。名前は…」
確か彼女はそういって、自分の名を明かした。しかし、今の名前で呼ぶ事しか無かったこともあって、今はもう覚えていない。
「名前なんて意味無いよ。ここでは皆、入門した時に名前を授かる決まりがあるでしょ?あなた…もらってないの?」
「今は好きに決めて良いというから、好きに決めてみたのだが…言った途端に殴られそうになった。後日決めると言われたきり…今は名無しとしか名乗れぬ」
「じゃあ今は名無しさんって呼ぶね?私の名前は轍。ねぇ、ところで…どんな名前にしようとしたの?」 轍の問いに、名無しの少女は鋭い眼光でこう言ったのだった。
「拳帝」
そう聞いた途端、轍は思わず吹き出してしまった。
名無しの少女がその名で呼ばれるのは、それからすぐのことだった…
爪をかわしながら、ふと過去のことを思い出す轍。
(しかし、意外なこともあるのだ。私にとって、自分よりあとに来たものに先を越されること程悔しいことは無かった。それが…)
まっすぐ突き刺すような一撃を、体を横にしてかわす。
(不思議とあなたの力には悔しい気にならなかった。それどころか…)
背後からの爪を、振り向きざまに力一杯蹴り返す轍。
(あなたが松井派の中でも数年空きのあった最高位の称号を得たとき…あなたの欲していた名前を得た時には、一生ついていこうとさえ思えた)
弾かれて少し上にあがった腕から生まれた隙をつき、轍の鮮やかな三段突きが決まる。
(私が目覚めた時にいた拳帝が本物ならば、今の拳帝は…しかし、それならば尚更、あの約束は守らねばならない。だから私は…)
「私は…お前に負けるわけにはいかないっ!」
轍の拳に白虎の爪がぶつかる。
音を立てて砕けたのは、白虎の爪。
驚いた白虎が次に目を覚ますのは、10時間後、医務室でのことだった。
第5ラウンド
いよいよ残り2人。
4人目は、青龍。体中に入れ墨を施した、異様な風貌をしている。着ているのは短パンらしきズボンのみ。とことん裸なチームである。
「久しぶりだな、轍…しばらく見ないうちに、随分と魅力的になったもんだ」
「青龍…いや、楓か…」
「それにしても、落ちこぼれだったお前にしては頑張った方だなぁ…名前を変えたらどうだ?」
「その言葉、そのままお前に熨斗をつけて返そう」
轍の一言に、青龍はただ、ニヤリとしただけだった。
「もうお前は…丸顔で体が重くてすり足で歩いたところが車輪のあとみたいに残らないだろ?」
「悪いが、意味は変わった。車が過ぎ去ったしばらくあとにも、しばらくはその場所に影響力を与える。武術史に私の跡を残す…この名の…轍のように!」
「それじゃあ、その歴史に幕を閉じてもらおうか!」
「言わせておけば…私は、あのころとは違う。決して負けるわけにはいかない!」
「回りくどいのは抜きだ。とっとと死ね…聖獣降臨!」
青龍の体中の入れ墨が、蒼く輝く!
次の瞬間、青龍の体がみるみる変貌していった。その姿は…
「なんだありゃあ…」
「青い…ドラゴン!?」
客席がわずかにざわめく。
「獣化!?しかし、これは…」
沈黙していた俺たちの中で、最初に口を開いたのはB。
見たものを震え上がらせるような眼光。何もかもをも引き裂くような爪。そして…
舞台をはみ出すほどの巨体。
はみ出すほどの…
審判が、高らかに叫ぶ。
「青龍選手、場外!」
場内の空気が冷めた瞬間でもあった。
「あぁっ…くそぉ…」
龍の姿のまま、青龍が頭を抱えた。
「愚か者が…最後の切り札を…仕方ない、ワシが出よう。戻れ、青龍」
ナンブの指示に従い、青龍は元の姿に戻る。
第6ラウンド
「やっとあなたの出番か、師匠…」
「拳帝の元にいるお前に、師と呼ばれる筋合いはない!」
「あなたは…松井派の奥義を受け継いだ人。それがなぜ、それと無関係の力を求めた!?」
「くだらん問答な答えている暇などないわっ!」
唐突に消えるナンブ。
その瞬間、轍も姿を消した。
辺りに連続して何かと何かがぶつかる音が響く。それが轍とナンブの闘っている音だということに気付いたのは、それからすぐのことだった。
俺を始め、ほとんどの人がその動きについていけずにいる中、妹やBに師匠、さらに大佐と曹長もその動きを追っているように見える。
激突音が止み、轍とナンブは、少し離れた位置に互いに着地する。
「ほう…この師を凌ぐ力を持つか…」
「私は…あなた達を倒し、自らの行いが正しいことを証明しなければならない…拳帝と過ごし、共に互いを高めあった日々を…無駄にはできない!」
「共に高めあうだって…!?なぁ、一体2人とも何を…」
「…多分Bの考えることは起こってないと思うよ」
Bの興奮しながらの問いに、妹が呆れながらも速答する。
しかしB…いつの間にそんな変態ちっくな男に…!?
「ならばこのワシが、何故あれほどの力を持つ4人の頂点に立てるかを教えてやろう」
ナンブの気が、一気に高まる!
「何をする気だっ!?」
「こうするのだ…玄武、朱雀、白虎、青龍…お前達の力、少しずつ借りるぞ。四聖獣、降臨!」
ナンブの体が激しく輝いた!そして、光がおさまった時、そこにいたのは、金色で要所要所を覆った鎧に、手の甲から伸びる一本の爪。背中には鋭いギザギザがあり、その姿は…
ナンブを一回り大きくした熊のようであった。
「師よ…それがあなたの追い求めた姿かっ!」
「文句を言うのは、このワシに勝ってからにするのだな!」
「ならば…この身砕け散っても、あなたの野望を止める!」
「ワシの…野望だと!?」
「私は知っている。あなたはその力を広め…さらなる化け物を作り出そうとしていることを。だがそれは…武術にあらず!ただの怪物を作り出す実験に過ぎない!」
「文句は勝ってからにしろと言った!」
「勝つのは私だ。だから、少し早めに言っておいても問題はない…」
「戯言を抜かすか!選ばれなかった者がぁっ!」
轍は目を閉じ、強く念じた。
(拳帝…私に力をください…)
数刻前。
病院のベッドで眠る轍。
『起きろ、轍…』
聞き覚えのある声に、目を覚ます。
「拳帝…」
『話しておかねばならないことがある。我の意思は…もうすぐ彼女の意思の元、1つになる』
「どういう…ことですか!?」
『我は、彼女の何かを否定したい気持ちが生み出した、もう1人の人格…だから、彼女がその苦しみを乗り越えた時、存在する意義はなくなる』
「拳帝…」
『我がこうして意識を飛ばせる時間も、残り少ない…そして、轍…貴様には、まだ不安定な彼女を助けてやってほしいのだ。まだ…立てるか?』
「はい…まだ…闘えます!」
ベッドから起き上がろうとする轍を見て、看護士があわてて病室に飛び込んできた。
「まだ寝ていなさい!あなたは…」
看護士には、拳帝の姿が見えないようであった。
「私には…行かなければならないところがあるんです」
「でも…検査の結果が出たんですよ!あなたは…」
看護士の制止を振り切り、轍は窓から、病院を抜け出したのだった。
その時、俺たちは確かに見た。
轍の姿に、妹の…拳帝の姿が重なるのを。
「何だと…この気はっ…!」
轍が、蒼く光る。彼女を包む気は、まるで拳帝のそれであるかのようであった。
『はああーっ!』
「だが…やられはせん、やられはぁっ!」
ナンブが轍に幾重にも重なった光の束を飛ばしてくるのを手から放った気で防ぐ。
「しかし…轍さんはいつ、あんな力を身につけたんだろう…」
と、B。
まぁそれは、後々明かしていくから今は置いといていただきたく。
更に近づいてたところで振り下ろし、次いで突き刺すようにした爪を、すぐにかわす。
「食らえっ!」
飛んできた十数個の背びれを全て叩き落とす。
「ならば…この舞いを受けてみろっ!」
『師よ!…いや、見せ掛けだけの力に溺れた愚かな男、ナンブ!お前の弱点、すでに見切った!』
「何っ!?」
『お前の舞いは…魂がこもっていない!』
轍の拳が、ナンブの鎧を砕いた。
「がっ…はぁ…」
そして、ナンブはその場に膝をつき、倒れたのだった。
「勝者、日本甘党!」
観客からの歓声が、場内に響き渡った。
227 :
マジレスさん:2005/09/19(月) 00:25:45 ID:ZJ7jWQDQ
なんだこの糞スレは?
228 :
マジレスさん:2005/09/19(月) 01:04:03 ID:2QFpyt1B
コレ全部読んだ奴いるの?
2回戦、第2試合ダイジェスト
『必殺!正義隊』対『チームマックスウィズ777』
0対5で、あっさりと『チームマックスウィズ777』の勝利。
誰がどう闘ったかもカット。見せ場無し。
その間、俺たちは。
「でも、まさかすぐに来てくれるとは思わなかったよ、轍さん…」
「拳帝の導きがあったからな…だが、結局私は、Bの活躍を見れてないわけだが」
「それは言わないでよ…」
そして轍は、妹の方を見る。
「あなたの事は、拳帝から聞きました。試練を乗り越え、拳帝の力を得たと…」
その言葉に、妹はゆっくりと頷いた。
「うん…これから、あらためてよろしくね?」
妹が差し出した手を、轍は無言で払い除ける。
「わやちしゃん…」
「私は、馴れ合うつもりはありません…あなたが得た拳帝の力がどれほどのものか知っておきたい…一手、よろしいですか?」
言いながら、構える。
「轍ちゃん…?」
「その呼び方はっ!」
轍の拳による突きを、不意を打たれながらも、妹はひょいとかわした。
「あなたに私を倒せるほどの力が無いのなら…もう我々の中に、あなたは必要ありません」
「何だって…」
「院長…これは、恐らく検査ミスでしょう。そうでければ…」
「いや、間違えようが無い。彼女の名は…?」
「それが…本名は決して教えてくれなかったんです。確か…タイヤの跡みたいな名前で…あ、カルテに記載されてました。名前は…」
「轍…」
「そう…それで良い。本気でかかってきてください…行きます!」
轍の上段突き、回し蹴り、飛び膝蹴りを全て手で受け、後ろに跳ぶ妹。
「逃げてばかりでは勝てませんよ!」
「でも…どうして闘う必要があるの!?」
「拳帝がそれを…望んでいるから!」
轍は言いながら、妹の懐に潜り込む!
「はぁっ!」
「う…うわああっ!」
妹の叫びながらの渾身の突きが、轍のみぞおちに命中する!
口から血を吐き、倒れる轍。
辺りの時が、止まった。
「轍っ!」
「えっ…わだ…」
「轍さんっ!」
「なんと…ドラマチック雑魚その5!」
「大佐…こんな時にそんな発想では、ただ顰蹙をかうだけです」
「難しい漢字を使うな曹長。何を言わんとしてるかわからんではないか」
「ひんしゅく…ですわ、大佐」
大佐と曹長がそんなやりとりをしている中、轍はゆっくりと目を開けた。
「ぐっ…その力、まさしく拳帝のもの…」
「轍…あなた一体…」
「それだけの力があれば、20階層も制することができましょう…」
「轍っ!」
「私は…あなたがどんな相手とでも闘えるかどうかを見極めなければならなかった…でもあなたは…」
「もうしゃべらないで…医務室に…」
「無駄です、拳帝…私はもう…ここまで…お願い…最強の座に…あなたが…!」
轍の力がふっ、と抜けた。
まるで、壊れた人形のように…
「いやあぁーっ!」
妹の悲鳴が、試合中の会場に響き渡る…
「落ち着くんだ。轍さんはまだ、生きてる。次の試合は、今度こそ俺が何とかしてやるからさ」
「妹…轍はこうなることを覚悟の上で、それでもお前に闘いを挑んだ…それがどうしてなのかはわからない。けど、今は立ち止まるわけにはいかない。俺たちはこの先を目指さないといけないんだ」
「うん…大丈夫だよ、B、兄ちゃん…轍、あとはまかせて」
担架で運ばれていく轍を見送りながら、妹は20階層への到達を決意したのだった。
2回戦 第2試合
第5ラウンド
…
…
…
何だかんだあって、Bの回転しつつも活きの良い一撃が、そこにいた敵に命中!
「勝負あり!勝者、B!」
「さぁ!ついに決勝に進む2組のチームが決まりました!」
「やったよ、轍さん…僕だってやるときには…」
勝利の余韻に浸るBの活躍を、ほとんど全部省略したのは…まぁ気にしないでおこう。当の本人も気付いていないようだし。
舞台上では、あがりきったテンションで、力の限りそのマイクを持った小柄な女が、その司会っぷりを全開にしていた。
「ここから先の11〜15階層では、皆さんに様々な闘いをしていただきます。その様子は…こちらの!」
司会がかざした手の先で、ライトアップされたモニター画面が照らしだされる。
「巨大スクリーンより実況中継されます!」
巻き起こる歓声。
「では、勝者の皆さん、こちらの階段より上へとお進みください!」
豪華にライトアップされた階段を上り、俺たちともう1組のチームは上の階へと向かった。
〜第11階層〜
階段の先には、鬱蒼とした木々が生い茂っている。
「ここからは、このように趣向を凝らした様々なバトルフィールドで闘っていただきます!」
力を込めた勢いはそのままに、司会は続ける。
「1つの階層ごとに1人ずつ選手を選んでいただき、1対1で闘い、最終的に勝利数の多いチームが、16階層へと進むのです!」
階段を隔てたここからでも、観客達からの歓声は、止まることを知らない。
「なるほど…そういうことなら、まずはお前の出番だ…オン!」
「承知!」
オンと呼ばれた鮃顔の男が、1人前へと歩み出る。
少しはだけた着流しのくたびれた感じと、背中の大きな刀が、どこか強さを語っている。なんというか、只者ではない、という雰囲気を発しているのだ。
「じゃあこっちは…Bか…」
「Bだね」
「うむ、参れ雑魚2号!」
「ちょっと待って!今さっき闘ったばかりだし…」
「でも…ほとんどカットされてたぞ?」
「え?」
懐から携帯を取り出すB。「あぁ…本当だ…」
何やら確認して、涙を流しながら…Bはゆっくりと前へ出る。
そして。
「決勝戦第1ステージ、B対オン!それでは…試合、始めっ!」
「では…参る!」
オンは、背中の刀を鞘から抜き、全力で走ってくるが、幾重もの木々が邪魔をし、思うように進めない。
「極真・木村派の力…今こそフルに活かせる時っ!」Bは、木々の上を縦横無尽に駆け抜ける!
「ならば…秘剣・その名も…大木倒し!」
オンの振るった刀で、周囲の木々が薙ぎ倒される!ついでにBも、落ちてくる。
「覚悟っ!」
振り下ろされた刀を転がってかわすB。
次いで横からの攻撃もバック転でかわし、やや後方の木を使っての三角飛び蹴りを放つ!
そこを待ってましたとばかりに迎え打たんとするオンの太刀筋に対し、Bは刃先に立つという荒業を披露。
刃をうまく利用して、Bは再び木に飛び移る。
「小癪なぁっ!」
オンが次々と木々を伐採していく中、Bは少し離れた枝から高く飛び上がる。
華麗な空中回転を決めながら…
オンの少し前に頭から転落した。
「…」
オンが、無言で刀を首元まで近付ける…
「そこまでっ!勝者、オン!」
オンは口元を歪ませながら、刀を鞘に戻すのだった。
その時だった。
Bの体が、俺たちの目の前から消える!
「Bっ!?」
妹が思わず叫ぶ。
「心配しなくても大丈夫です。敗者は、階下の医務室に強制送還されます」
〜第12階層〜
…真っ白だ。
濃い霧に覆われている。
「ここは…この私、マックスの燃える流星・フジが出よう」
進み出たのは鉄の仮面をかぶったマントの男、フジ。
「むぅっ…仮面などをつけた面妖な奴よ…変態には変態!行け、雑魚1号!」
「誰が変態だっ!?」
「大佐…彼では勝ち目はありません。ここは私がでます」
「うむ…ならば任せる!」
「決勝戦第2ステージ、曹長対フジ、始めっ!」
「見せてもらおうか…日本甘党の格闘戦における戦闘力とやらを!」
「それでは…!」
最初に仕掛けたのは、曹長だった。視界が悪すぎるほどの霧の中を、真っすぐフジの所へ進んでいく。
「当たらなければ、どうということはないっ!」
曹長の手が届くギリギリの範囲でそれをかわし、フジの指から光線がほとばしる。
しかし、その閃光の先に、曹長の姿はなかった。
「大佐の部下…やるようになったっ!」
背後にあらわれた曹長の手から放たれた波動に、フジもまた、振り向きざまに指からの光線で応戦する。
2つの光はぶつかり合い、消滅。
「接近戦で…倒されはしない!」
「…喋りすぎですっ!」
いきなり目の前にあらわれた曹長に、蹴りを当てるフジ。確かな手応え(足応え?)しかし…
霧の中から現れた曹長には、ダメージを受けた形跡など微塵も感じられない。
「甘党の力…これほどのものかっ…!」
フジの幾重にもわたる攻撃はすべてかわされ、攻撃した数だけ、いやそれ以上にフジへのダメージは蓄積していった。
「…リリィよ…私を導いてくれっ…」
フジは何者かの名を呟きながら目を閉じ、あたりの空気に意識を研ぎ澄ませる。
「私とて…格闘家のはずた!」
頭に力をいれ、さらに強く念じる。
その目を…カッと見開き、フジは叫んだ!
「見えるぞ…私にも敵が見え…ッ!」
隙だらけのフジの脳天に、曹長の肘打ちが命中したその時…勝負はついた。
「認めたくないものだな…自分自身の、若さ故の過ちというものを…」
フジは最後に、朦朧とした意識の中、そう言いながら消えていったという…
〜第13階層〜
「さぁ、現在の互いの勝ち数は1対1!まだまだこの勝負、行方がわかりません!次のステージは…!」
司会が手を掲げるその先には。
球体を横に割ったような物体が、その中央に鎮座する部屋。周りを、穴が取り囲む。
「では、ここも私が…」
進み出ようとした曹長を止めたのは、他でもない司会者だった。
「1ステージに1回のみ!登場することができるルール、お忘れなく!」
「!?…あぁ、そうでしたね…」
驚きながら、曹長は後退する。
「じゃあ、ぼくちが!」
誰もの止める隙もなく、1人球体へと向かったのは…師匠!
一方…
「じゃぁ…アタイがいくよ。アタイならどうせ落ちても良いでしょお?」
そう言いながら球体に飛び移る女…アンを、止めようとするものは誰もいなかった。
「第3ステージ、大吾対アン!始めっ!」
「殴らないでね…殴ったら…痛いでしょうねぇ…もし痛かったら…一生…お前を…恨んでやる…」
師匠の攻撃を全てブロックしながら、アンは何やらお経のようにぼそぼそと続けた。
「痛いのは嫌よねぇ…だって…痛いんですもの…殴られたところが腫れて…そこがじんじんと痛くなるのよぉ…?」
師匠がアンを端まで追い詰めたその時…
2人の足元が傾き始めた!
師匠はあわてて後方に飛び退こうとする師匠の足をむんずと掴み、、アンはただその場に立っている。
「アン、何してんだよ!前!前に行けっ!」
「ふふ…あははは…氏ぬ…お前を道連れに…あーっはっはっはっは!」
アンは高らかに笑いながら、穴へと落ちていった。師匠と一緒に…
「ちなみに、こちらの穴は階下の医務室に直通して…おりますので、ご心配なく!」
司会の声を聞くより早く、マックスの面々(現在4名)は、階段へと向かっていった。あまり気にしていなかったのだろうか?
「師匠ーっ!」
「皆さん、行きましょう…下にいるというのですから、早くここでの闘いを終わらせ、迎えにいくんです」曹長の言葉に、俺と妹は黙って頷いた…。
〜第14階層〜
そこは、紐が空中に浮かぶ、不思議な所だった。
「次は、こちらの紐の上での闘い…当然、落ちたら負けです!」
「さて…このわしの出番だな!」
「大佐…お戯れを。このような場所、大佐のバランス感覚では…」
「まぁ見ておれ、この最強の格闘術、曹長…お前の目にしかと焼き付けるのだ!」
「では…第4ステージ、シン対大佐!始めっ!」
「ぬぅおぉーっ!」
「んんーにやぁあーっ!」
紐の上に立った2人は、その場で叫びあうだけで、全く同じない。
「なぁあーっ!」
「うぬあうぉーっ!」
しばらく叫びあったのち…このままでは埒があかないと思ったか、足を踏み出したのは、2人同時のことだった。
そして、落ちたのも…
「両者、引き分け!」
それが、審判の出した答えだった…
〜第15階層〜
目の前にあるのは、足元に設置された巨大な扇風機。
「おぅーい、そこの兄ちゃん!」
俺に向かって呼び掛けてきたのは、マックスのメンバーの1人、セン。
「なんだ?」
「そろそろ…お前さんの実力、見せてくれても良いをじゃあないのか!?」
「どういうことだ?」
「簡単なことだ…オイラと闘えっつってんだよ。生憎、女と子供は殴らない主義でね」
「それはまた…大層な主義だな…」
「だったらなおのこと、あたしが出たら良いよね…簡単に勝てちゃう」
妹の言葉に頷きかけた俺だったが…
声が聞こえてくる…
『進め…脆弱なる者よ…我が兄よ…』
その声は、どこか懐かしささえ感じられた。
「妹…拳帝…」
俺はその声に導かれるように、ゆっくりと前に…
「兄ちゃん!負けちゃうよ…弱いんだから!」
「妹…心配するな。俺は、負けない…そんな気がする」
「兄ちゃん!」
心配そうに見ている妹に背中越しに親指を立て、俺はセンのいる扇風機の羽の上に降り立った。
「では、第5ステージ、セン対…」
司会が俺の名を呼ぶのと同じタイミングで、俺とセンは空高く舞い上がった。
「オイラは、疾風のセン…この風こそ、オイラの力を最大限に生かせる空間っ!」
「だったら、戦法を誤ったな…俺は、このチーム1最弱なんだよ…俺の妹の方が…」
「言ったろ?女子供は殴らない趣味だと」
巻き上げられながら、俺とセンは言葉の応酬を繰り広げていた。
「この風の力を…その身で受け止めてみろっ!食らえ!」
センが放った突風が、俺の体を切り刻む!
「ぐあぁっ!」
あまりの痛みに、たまらず悲鳴をあげる俺。
「じわじわと…風と戯れながら、死への道を歩むが良い…」
さらに向かってくる突風をかわすすべもなく、俺は全て受けてしまった。
圧倒的な力の差に、俺はすでに傷だらけ。
意識もなくなりかけてきて…妹の声が、どこからともなく聞こえてくる…いや、これは…
『基礎は組まれている…あとは、この極意を体にたたき込むのみ。封印されし流派を受け継ぐべき者は、汝にこそ相応しい…』
その声が聞こえてきて、すぐに…
強い衝撃が、俺の体の芯を貫いた。しかしこれは…風の力では、ない。
『我が得ようとしたが使いこなせなかった奥義…その流れを、汝に授ける。その名も…』
しばらくの間をおき、拳帝は言った。
『極真空手・禁の奥義…龍!』
「よぅーし…そろそろやっつけましょうかぁ…?」
何本もの突風を放ち、構えた右手を突き出そうとしたその時…センは気付いた。
俺の姿が、そこに無い事に。
「力尽きて…上に舞ったかっ!?」
上に放たれた風は、しかし、俺の姿を捉えることはなかった。
黙って上を見上げるセン。その足元から、真っすぐセンを目がけて突き進む俺!
「なんだって…っ!」
俺の脳裏に、技の名前が閃く!
「神龍・スパイラルパーンチ!」
俺の突き出した両の拳が、センの体に食い千切るかのようなダメージを与える!
実際食い千切ったわけではない。念のため。
「ぐぉお…ま…まだまだぁ…」
フラフラになりながらも、こちらに竜巻を仕掛けてくるセン。
しかし、あっさり食らってしまう俺ではない!
体の重心を一点に集めるよりも早く、俺は周囲の風の流れに身を任せた。
そのまま、俺の体は高く飛ばされてゆく。
「…っ!読めたっ!」
俺が飛ばされながら移動するあたりを予想してそこに突風を放つセン。その風は俺を捉える…しかしっ!
俺は目の前まで迫っている風と、その先で勝利の笑みを浮かべるセンを見据えて、両手を前で合わせた。
俺の手に、熟成された黄金色の気が光る。
俺がその気を前に向けると、目の前の風は全て掻き消えた。
「ば…馬鹿な…こんなっ…」
その『気』を、俺はセンに投げ付けた!
風に乗りながら、かなりの速さで飛んでゆく『気』。
それは、センに命中し大爆発を起こす。
風が止まったその時、センの姿はなかった。それは同時に、俺の勝利を意味していたのだった…。
『そう…汝はその力を使いこなせる…』
「確かに、この力はすごい。でも、これこそ…ここにいる誰もが欲しがった奥義じゃないのか?俺なんかが…」
『我は…最強になるための鍵を与えたに過ぎない。その力を本物にしたくば…貴様が20階層へと辿り着かねばならぬ』
「辿り着けるのか…俺たちが…?」
『その力と、今までの力を合わせれば…容易いはずだ』
「拳帝…あんたは一体、何を考えてる?」
『それは、20階層にきたとき、明らかにしよう。進め、汝…我が兄よ!』
虚空に向かって頷く俺を、妹はただ、混乱と心配を半々、その顔に浮かべて見つめていた…
243 :
マジレスさん:2005/09/23(金) 22:52:13 ID:pj/lveTg
久々に見たらセンスのないSS厨のオナニースレになってるな・・・・
「ここは…?」
Bが目を覚ましたのは、第10階層にある医務室のベッドの上だった。
ふと隣を見ると、大佐と呼ばれていた男が、笑いながら痛みに堪えている。
その向こうでは、Bの愛する人の弟が、先程闘っていた対戦相手の中にいた暗そうな女に、熊のぬいぐるみよろしく抱き抱えられている。抜けだそうにもがっちりと離さない様子だった。
反対側を見ると…そこにいたのは、全身包帯まみれの女の姿があった。Bは、その姿が轍であるとすぐに悟った。
「なんて格好だ…とても、さっきの闘いの活躍なんて想像できない」
「ほっておいてくれ。何でも、禅田派…あの狼男と闘った時、私の体の骨が、何本か折れていたらしい」
「何だって…!?」
「それを気で押さえ込もうとしたら…この有様だ。体中腫れて痛い…もう復帰することさえ難しいかもしれない」
轍とBがそんなことを話していた一方で。
「…本当に行かれるのですか?」
「うむ。すでにあの男は最後の地へ向かった。第一、目的を目の前にして、指をくわえて見ているのは性に合わぬ」
「しかしお師様。その体では、これ以上…」
「案ずるな。最後に笑うのは…ワシらじゃ」
老人は1人、痛みに苦しむ弟子達に見送られながら、医務室をあとにした…
〜第16階層〜
「さて、いよいよ最終決戦!この闘いに勝ったチームには、勝数がもう1点追加されます。つまり、チームマックスのみなさんも!まだ優勝の可能性があるんです!」
「何だって…」
「確か、5回闘えば終了のはず…盛り上げるためとはいえ、ちょっと許せませんね」
「じゃあ、次はあたしだねっ!」
唖然とする俺と、怒りを抑える曹長を気に留めず、目の前の舞台にあがったのは妹だった。
「すまないな…ルールをねじ曲げてしまった。しかし、どんな手を使っても、私はあの奥義を手に入れなくてはいけない」
先に舞台に立ち、そう言いながら、懐の札束をちらつかせる女…リン。
「心配せずとも…闘いだけは、正々堂々とする。安心して良い」
「あたしも丁度…闘わないまま優勝っていうのはちょっと嫌だったし…良いんじゃない?楽しくやりましょ♪」
妹って…こんな性格だったろうか?
「では…行くぞっ!」
妹の目の前まで来たリンの姿が、フッと消える。
妹は、危険を察知してか、高く飛び上がる。
妹のいた場所が爆発を起こした時には、妹はそこからやや離れた場所まで移動していた。その目の前に、唐突に現れるリン。
「それが、正々堂々とした闘い方っ!?」
「生憎…戦法の1つなのよっ!」
妹とリンは、そこから構えた姿勢のまま、微動だにしなくなる。
しばらく後、先に動いたのはリンの方だった。
「我が人の闇が操る奥義が1つ。全てを切り裂け…札束雪月華!」
リンの放った札束が、リンの目の前で舞う。まるでそれぞれが意志を持っているかのように、リンがその指を妹の方に向けると、一斉に襲ってくる!
両の手を高速で動かしたかと思うと、その札の1枚1枚を全てその手で捕まえる妹!
それらを握り潰し、今度は妹が、リンに向かって突っ込んで行く!
妹からの連続した鋭いコンボを軽く受け流し、リンは後方に跳び、札の固まりを跳ばしてくる。
札って表記しているが、これらは全て1万円札。俺なんかは勿体ない…なんて思ってしまったりする。
しかし、妹はそんなことなどまったく気にしない様子。
その札を払い除ける。しかし、目の前にはすでにリンの姿がない。
後方に気配を感じた妹は、右へと跳ぶが、その先にいたリンの蹴りをまともに受けてしまう。
「簡単には倒さない…」
「じわじわと…」
「苦しみながら…」
「敗北の痛みを味わうが良い…」
リンの声が、妹を取り囲む四方八方から聞こえてくる。
俺と曹長は驚いた。そして、妹も。
妹を取り囲んでいたのは、4人の同じ顔をした女…リン。
しばらく考え込むようにうつむいていたが、急に何かに気が付いたように、4人の隙をついてそこから抜け出し、距離を置く。
「マンがで見たことあるよ…4人に分身して、攻撃をしかける技。その弱点は…」
言いながら、妹は左側のリンに飛び蹴りをぶちかまそうとした。
「人数が増えた分だけ、1人1人の力は分散されているはず!」
しかし、放たれた蹴りはあっさりかわされ、反撃とばかりに後方から拳の応酬。
舞台上に倒れる妹に、4人の笑い声が突き刺さる。
「4分の1ではなく…」
「4倍よ」
「あなたの勝ち目は…」
「絶望的…フフッ…」
「そ…そんなはず…」
妹が、痛みに堪えながらゆっくりと起き上がる。
「審判ッ!相手が4人なら、俺も…」
審判に申し出ようとした俺を、妹が無言で首を振り制する。
「でも…圧倒的に不利だ!このままじゃあ…」
「大丈夫だよ兄ちゃん…あたしは…勝つ!勝ってみせる!」
俺に微笑みかけ、リンに向き直る妹。
「相手は4人…次のレスで決着をつける!」
「甘い…」
「はちみつに…」
「砂糖をかけて…」
「ついでに黒蜜も…」
妹は構え、ゆっくりと呼吸を整えた。
「迷った時は原点に戻る。これぞ、それを行なうための…松井式呼吸方…」
それを好機と判断したか、4人のリンが、一斉に妹の元に走ってくる!
後ろから突きを与えようとしてきたリン1に肘鉄を与え、左右からのリン2、3の攻撃を間をぬってかわし、上から翔んできたリン4をバック転でよける。
起き上がってきたリン1がはがいじめにしてきたところで、前からきたリン3の蹴りを腰を捻り、リン1を盾にする。
自由になったところで、リン2と4のパンチを両手で受け、数歩下がって構えなおす妹。
またも後ろからきたリン3の頭に叩きつけようとしてきた両手を左手のみで掴み、背負い投げを決める。
後ろを向き、気を溜めていた右手をリン1に解き放つ!
「松井派奥義・獣爪斬!」
それをまともに受け、場外に吹っ飛ぶリン1。
妹は、正面のリン2、4が一瞬怯んだ隙をついて、今度は両足に込めていた気を一気に解放する!
「野獣蹂躙回転脚!」
両足を前後にあげ、竜巻でも起こせるほどにも感じられる勢いで回転し、2と4をノックアウトする妹。
残るはリン3、ただ1人!
じりじりと詰め寄る妹と、ゆっくり後退していくリン3(以下、リンと表記しよう)。
あと数歩で場外に落ちそうになったその時、リンは、懐から取り出した何かを、妹に向かって放つ!
右後方によけたところに、またも飛んでくる…札束の矢。
体を左に向ける妹に、リンが高らかに叫んだ。
「その動き…捕らえたっ!」
リンはその手に持った札束を扇状に広げる。
「その名も…札束鉄様扇!」
そのまんまだ。
両手に一つずつ持ち、妹の懐に飛び込む。
「もらったっ!」
そう発したのは、間違いなく妹。
左右の扇を難なくかわし、1歩下がったかと思いきや、それは松井派の秘奥義を出す構えに過ぎなかった。
両の手を円を描くかのようにゆっくりと回旋させたあと、その手はリンの両肩をガシっと掴んだ。
リンが一瞬動揺したところで、妹の体がリンの体と密着する。
辺りに悲鳴にも似た叫びが響いたのは、次の瞬間だった。
「松井派・禁じ手の1つ…秘奥義、猛獣抱擁背骨肋骨折り(ベア・ハッグ)!」
妹がそう言う横で、リンが倒れて痙攣している。
「心配しないで…骨は折れてないから」
そう告げた妹の目が、猛獣そのものに見えたのは、俺の気のせいだろうか?
「拙達の敗北…というわけか」
ただ1人残されたオンが俺に話し掛けてきたのは、闘いが終わり、リンが医務室へと送られ、俺たち3人が次の階へと向かおうとしたそのときだった。
「今回は…このような不様な結果とあいなったが…次に逢うときには、かならず我らが勝利を果たしてみせよう。その時まで…御免っ!」
俺たちが見送ろうとするのを振り切り、オンは階下へと向かうのだった。
そして、俺たちは階段を上ってゆく…
〜第17階層〜
「やっと来たか…」
「待ちくたびれた…お前達の到着を!」
どこかで聞いたことのある声。
それもそのはず。そこにいたのは、白鳥とナンブの2人。
「2人とも…ここは私にお任せください。何故か胸騒ぎがします。早く20階へ!」
言うや否や、曹長は眼前の2人に駆ける。
俺と妹は、階段をのぼる。
〜第18階層〜
「では…いよいよクライマックス!次の相手は…私、司会が努めさせて頂きますっ!」
「なんだって…」
司会が両手を広げながら、煌びやかな衣裳とともに、ゆっくり空中に舞い上がる。
「まずは、驚異の全方向ミサイルを御胆嚢ください!」
全身から放たれたミサイルが、辺り一面を火の海に変える!
「これ以上は…っ!」
妹が、ミサイルの雨を掻い潜り、司会へと走る。
俺もまた、妹を追って走った。
とめどなく響き続ける爆音は、お互いの会話さえもかき消す。
そんな中、妹が司会目がけて跳び、勢いのついた回し蹴りを浴びせる。
「この…最強兵器『鳳凰』を破る…とはっ!」
司会は気絶し、ミサイルの雨はやんだ。
「…行こう、兄ちゃん」
妹が先導し、俺も階段へ急ぐ!
〜第19階層〜
「お前らっ!1階では、よくもあっさり倒してくれたな…ここはこの俺様…」
ビシッとポーズを決めながら、男は高らかに叫ぶ!
「極真空手・井戸派のシルバ・シルバ様がぁっ!?」
「邪魔だどけぇっ!」
待ち受けていた男を跳ねとばし、俺たちはついに!
20階への階段へ!
〜第20階層〜
「ここが…」
「ついに20階だね…」
俺と妹は、赤い絨毯の上を歩いていった。
その先に…
『待ちわびた…この時を』
その先にいたのは、玉座に座っている鎧。
『我はこの時が来るのを待っていた。最強の格闘技を知るための鍵を得た者と…至高の戦闘力を持つ…我の魂の器となるべき者よ』
その声と『』で、俺はその正体が拳帝であることに気が付いた。妹も、どうやらすぐに気が付いた様子。
「拳帝っ!?どうしてあなたが…」
拳帝と思しき鎧は、その手を、ゆっくり妹に向ける。
『我は汝より生まれし存在…本来ならば、汝との融合を果たした時。我は滅するはずであった』
拳帝が纏っていた鎧が、音もなく砕け散る。そこには、何も存在しなかった。
ただ、声だけが聞こえる。
『だが、我はまだ消えるわけにはいかないのだ。我が望みである…最強と言われる闘士との闘いを経て、我が最強であることを確かめないかぎり』
声は、なおもどこからか聞こえてくる。
『そして…汝に与えたその力に…ここで授ける力を以て、兄よ…貴様は最強の戦士になる』
「その力を俺に与え…あんたは何をするつもりなんだ?」
『知れたこと。最後の闘いは、汝ら2人…』
『共に闘い、決着をつけるのだ』
「悪いが…それはできない。妹と俺には、もう闘う理由はない。倒すべきは…あんただ!」
『だが…そうも言っていられなくなる。我が力は、今ものすごい勢いで膨張しつつある。このままでは…世界は我が力により支配されよう』
「どういうことなの!?」
『この神殿…そして、第10階層における巨大格闘空間。そこにいた大量の観客を集めた異次元トンネル。全て我が力により生み出された』
「なんだと…」
『あとは日本全国より、極真の使い手を中心に格闘家を集め、足りぬ人員は…我が手で作り出した』
俺の脳裏に、司会と審判、さらに何人かの姿が浮かぶ。その中には、いつだったか、拳帝だった頃の妹にどつかれ、闘いを辞退させられた卑怯者の姿もある。
恐らく、妹にも見えているのだろう。何故ならば、これは拳帝の力の影響であることは間違いないからだ。
「そんなことができるのか…」
『今の我には、1人、2人に人外の力を与えるなど、造作もないこと。だからこそ…危険極まりないのだ』「だからあんたは…俺たちで拳帝の力を受けとめ、延々と消化し続けることで、その力を失わせよう、と考えたわけか」
『左様…』
『だが、この力は…常人には、あまりに酷なもの。全てを使い果たす頃には、汝等の命はないかも知れぬ』
「わかった…拳帝、あんたの最期の頼みだ、聞いてやるよ。ただし…条件がある」
『…言ってみろ』
「どんなことがあっても、こいつ…妹だけは生かしてくれ…それだけの力は残して…消えてなくなってくれ」
『わかった…努力しよう』
「努力…か。あんたも人間らしいことが言えるんだな」
『我とて、もとは彼女の体を借りた人間。ここまで来たのとて、惚けていた結果ではない』
「まあ…そうなんだよな。ともかく…」
俺は、隣にいた妹の方を向いた。
「妹。あいつに、お前の体を貸してやれ。お前の命は、借り受ける本人のあいつと…この俺が保障する」
「でも…兄ちゃんは…」
「心配するな。俺は…そんな簡単に死なない。早く終わらせて帰ろう…皆で」
少し間を置いた後、妹は、俺に強く頷いてみせる。
「…わかった。それじゃあ…」
俺より前に出て、両手を広げる妹。
「おいでよ…今度は、離れないようにね…」
『…感謝する!』
何もない空間に、突如紅い球体と、蒼い球体が生まれる。紅い球体は、うごめきながらゆっくりと、妹の体に入り込んでいった。
一方の蒼い球体も、俺の体に吸い込まれる。
途端、熱い何かが、俺のからだを支配する。
それは、気を抜いただけで自身を燃やし尽くしてしまいそうなほどだ。
もしかして妹も…と思ったが、それは違った。
その目は鋭く、周りにかかる威圧感もまた、さっきまでの妹のそれとは、比べものにならない。
それはまさに、極真空手・松井派の拳帝のものだった。
「よう…久しぶり」
『これで…闘えるな…貴様と再び…』
「…嬉しそうだな…」
『無論だ。貴様と合間見えることを願っていた』
「…さっさと始めるぞ、妹…いや、拳帝!」
先に仕掛けたのは俺の方。
一気に距離を詰め、妹の腹部めがけて拳を突き出す。
それを高く飛んでかわし、妹が手から放ってきたのは、いくつかのエネルギー波。
俺のいた辺りが爆煙に包まれるが、俺はその中から飛び出し、その勢いで妹を地に向けて叩き落とすが、先回りしたはずの地面に、妹の姿はない。
唐突に後ろから衝撃を受け、吹っ飛ばされる俺。そこには、薄く笑みを浮かべた妹の姿があった。
『そんなものか…』
しかし、体からあふれ出る力が、俺をなおも立ち上がらせる。
「こんな攻撃…痛くもなんともないっ!」
俺は飛び起きざまにその直前に練り込んでおいた気を一気にぶつける!
「龍激…練気拳っ!」
それをまともに受けながら、ニヤリと笑う妹。俺がその反応に一瞬動揺した隙をつき、妹の必殺拳が炸裂する!
『松井派奥義・獣殺連撃!』
最初の何発かはかわせたものの、一発の拳をきっかけにそれ以降のダメージをまともに食らう俺。
少し距離をおいたものの、気を抜けば一瞬で負ける。
さらに、俺を包む圧迫してくるような空気…俺が闘う相手は、妹だけではないのだ。
俺は、大吾天心拳の要領で、指先だけに力を込め、妹のいる方へ走った。
そして応戦しようとしてきた妹の攻撃をかいくぐって後ろを取り、指に溜めていた気を放つ!
しかし、それをあっさり受けるような妹ではない。
そこにいたはずの妹が、いつの間にか俺の後ろにいたことに気付いたのは、妹な蹴りが俺の脇に食い込むわずかに前のことだった。
咄嗟に妹のその足をつかんだが、反対側の足が、俺の脇を捉える。
『落胆させるな…貴様の力は、そんなものではないはずだ』
俺はゆっくり起き上がり、両の拳に力を入れた。
一方、17階層の曹長は。
3対1の戦況にピンチに追い込まれるも、駆け付けてきたBの登場により、一気に好転する。
「虎の拳帝…悪いが、あんたは僕が倒すっ!」
しかしそこへ。
「待たせたな曹長!」
「大佐…!」
「え?あ…僕は?」
突如現れた大佐。果たして3人になり、勝機の程は!?
「増えたところで…この白鳥の最強形態には勝てはせぬ!スワンステッキ・極!」
杖以外に変わったところが見受けられない白鳥。先端のの白鳥が、杖の先に更に優美にきらめく。
「ワシも本気を出そう…四聖獣・降臨!」
ナンブの身から、すさまじい闘気があふれる。外見こそ変わりないものの、力は幾分増幅されているようであった。
「闘技場での姿は幻…この姿こそ、4の聖獣の力をすべて受け継いだ…最強のぉっ!」
応援してくれる大佐を背景に、曹長はその2人を見据える。
「闘う相手も減り…さらに大佐の加護があれば…勝てる!」
BはBで、柳派の拳帝と対峙していた。
「今回は…逃げられんぞ…」
「あんたこそ…逃げたほうが身のためだと思うけどね」
「お前ごときには勝てんよ…三下のお前には」
「そいつは…闘えばわかることだ!」
「強気だな、小僧…」
「それほどまでに、この神殿での闘いで倒れたものの仇を討ちたいのか…さては…」
Bの脳裏に、一瞬轍の顔が浮かんだ。
「ちっ…違うぞ?そんなんじゃあない!」
「ふっ…必死だなW」
「そんな笑い方をするな!…行くぞ!木村派・免許皆伝秘技…潜在力、解放!」
「…ほう…甘く見ていたようだ。この拳帝の肌をしびれさせるほどの気圧…ならばっ!」
「さすがは拳帝の力…なかなかやるが…しかしっ!」
Bは、全身に入れた闘気はそのままに、高らかに言った。
「柳派の拳帝、破れたり!」
「戯けたことをっ!」
2人は同時に翔び、天井スレスレのところで激しくぶつかった。
互いにもといた場所とは反対側に降り立ち、しばしの沈黙が訪れる。
先に片膝をついたのは、柳派の拳帝だった。
「悪いな…間違った情報を与えるのも、戦術の1つでね。やっぱり、主役としては…勝つべき時に勝っておかないと」
どうやらこのB、今まで自分が主役だと勘違いしていたらしい。
「間違った…?どういう意味だ?」
「僕の今の気配でも気付かないのか?僕こそが…木村派の拳帝…その名も…」
言いながら辺りを見回すが、いるのはB、ただ1人。
「…」
Bは無言で、階段へと向かう…
そして俺と妹(拳帝)は。
しばし、力と力とのぶつかり合いをした末に、徐々にその力が薄れてきているのを感じていた。
拳帝の攻撃の1つ1つがかなり痛い。それが、そう感じる理由の1つでもある。
しかしそれは、向こうにとっても同じのはず。
『さすがは我が兄…この程度では倒れぬか』
「当たり前だ…けど、それも長く保ちそうにない。そろそろ決着をつけるぞ。そして、妹を…」
『そうか…ならば、その命に変えても救ってみせぃっ!』
そんな会話を繰り広げていた時。階段から、大佐と曹長の声が聞こえてきた。
「大佐…!この力…」
「どうやら我々は、ついに見つけたようだ。最強の力を…曹長!」
「わかってますわ。力が消滅する前に、何としてでも…!」
何やら話した後、曹長がこちらに向かってくる。
「行きます…獅子爪掌!」
曹長の放った光の軌道が、俺と妹に降り掛かる!
何とかかわした俺たち。
しかし曹長は、それを幾度にも重ねてぶつけてくる。
俺はついにかわしきれず、壁まで吹っ飛ばされてしまった。
「曹長…何のつもりだ!?」
「その力を我が手に収め、我らが…極真空手・東雲派が極真最強の座を得るのだ!」
「貴様も極真の…技の名の通り、獅子の力を持つもの達か」
妹が、曹長と大佐に向き直る。
「方法は知っています。大人しくその力を我々に…」
『残念だが…極真の力は、1つに束ねる。貴様達のような者達に…この力を授けはしない』
「あなたの意志を…聞いているのではありません。あなたに選択権は…」
曹長が言い終える前に、妹が放った気の固まりが、曹長の体を撃つ。曹長は、その場に倒れてしまった。
「ぬぅっ!そうちょおっ!」
「そこまでだ!」
次に現れたのは…B!
「お義兄さん…壁にめりこんでまで…あなたの遺志、僕が受け継ぎます!」
「まだ死んでないっ!」
俺は、壁から剥がれ落ち、床に着地した。
「そんなことわかってます…この男は僕にまかせて、あなたはっ!」
「あぁ、まかせろ!」
『次の一撃で…決まるな…』
「あぁ…拳帝、出せる力を全部出すんだ…良いな!」
『言われずとも!』
俺の龍、妹の獣…
2つの闘気が激しく衝突し…
そして、世界を危機に陥れた神殿は、砂のように崩れ去った。
「気がついたのか?」
あたしが目を開けると、いきなりBの喜ぶ顔。何故か目がパッと覚める。
何かを探さなければと、あたしは辺りを見回す。
沢山の人々が、呆然と立ち尽くしていたり、帰る支度を始めたりしていた。しかし、探している…その人は見つからない。
「…兄ちゃんは?」
あたしは、探している人の名を呼んだ。Bはただ、無言で首を横に振るだけだった。
少し離れたところでは、弟が変な女に追い掛け回されていた。決勝戦で闘った対戦相手の1人だ。
Bの話によると、重傷者は先にヘリコプターで運ばれていったらしい。轍も、すぐに担架に乗せられたのだとか。
あたしは、Bと一緒に、崩れ去ったあとの神殿の辺りを、ただ呆然と眺めていた。
そう…
闘いは終わったのだ。
〜第3部 完〜
さて、いよいよ!
3部作として長きにわたり書き込ませていただいたこの物語も、やっと終わりを迎えさせていただくことになりました。
最初から最後まで、見捨てずに呼んでくださった方、感謝感激です。
途中から読んでみてくれた方、1部、2部も読んでいただけると、これ幸いです。
一言で言うならば、この第3部…
長すぎましたね。
しかも、19階層のボスがどうなったのかを書き忘れていました。
ここに書いておきましょう。
曹長に吹っ飛ばされで大佐に踏まれ、Bがとどめをさして10階に強制送還…という感じです。ちなみに、井戸派の動物は、ハムスターという設定でした。がいしゅつ?
感想是非おながいします。
僕としては、もう少しこの設定を使いこのスレで板違いなことをさせていただきたい…
エイジ
264 :
マジレスさん:2005/10/09(日) 08:42:17 ID:M5sDRjwc
うはWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWW全員無視WWWWWWWWWWWWWWWWテラカワイソスWWWWWWWWWWWWWWWW
265 :
マジレスさん:2005/10/15(土) 02:49:18 ID:7zchTNxl
書きたきゃ書けば?
読む気しないけど。
266 :
マジレスさん:2005/10/15(土) 02:54:55 ID:o4K7WutV
後半、見事なまでに完全スルー状態だな。
カワイソス(´・ω・`)
267 :
マジレスさん:2005/10/15(土) 06:53:10 ID:B9d1ULdQ
まあ、そのなんだ…
ガンガレ
268 :
マジレスさん:2005/10/15(土) 13:53:35 ID:o4K7WutV
周囲の冷たい視線を無視して、大長編のネタを繰り広げた
>>1に乾杯
269 :
マジレスさん:2005/10/15(土) 15:29:06 ID:/w+VEUv/
>>1 は俺を笑わす才能があるな。妄想族だろ?
スレタイから極真空手とは…
>>268と同じくお前のアホさ加減
に乾杯。父ちゃん情けなくって涙が出てくらあ!!
消化不良だから、設定とかシナリオを練り直して、板違い承知でもう一度
>>1の続きを書かせていただきたい。
これでは自己満足さえできやしない。
271 :
マジレスさん:2005/10/19(水) 08:35:06 ID:xQUxAujQ
2chに小説書いたとしても、仮にそれがノーベル文学賞クラスの名作であったとしても
誰も読まんよ。やめなされ。
272 :
マジレスさん:2005/10/19(水) 14:51:53 ID:FpZm8q7y
273 :
マジレスさん:2005/11/01(火) 01:53:52 ID:AX1G5ZB3
新作マダー?
274 :
マジレスさん:2005/11/09(水) 22:13:26 ID:jiwK1Y4V
妹がソファーでだらしなく股を開いて寝ていたのでぶち込みましたー
275 :
マジレスさん:2005/11/09(水) 23:15:07 ID:wpPvb6sA
このスレは・・・一体何が言いたいんだ・・・・?
276 :
マジレスさん:2005/11/11(金) 14:27:25 ID:0zv9t2+4
>>1がおもしろいって言ってるヤツは頭やばいんじゃないのか?
277 :
マジレスさん:2005/11/11(金) 21:53:28 ID:8sCwE+iI
278 :
マジレスさん:2005/11/20(日) 20:43:48 ID:k5rNqOFx
期待さげ。
279 :
マジレスさん:2005/12/04(日) 03:15:38 ID:RKP8I+0P
( ・3・) 喪板でやれ もう妹ネタも下火だけどな
280 :
マジレスさん:2005/12/04(日) 03:26:09 ID:yiwExBbh
「うぬが〜までよんだ
281 :
マジレスさん:2005/12/04(日) 23:08:27 ID:n0rJgPor
>>279 じゃあageんな。
もう2ヶ月も前に終わったスレだよ
282 :
マジレスさん:2005/12/11(日) 12:33:55 ID:xFwHIdhY
283 :
マジレスさん:
げあえす