【もっちー】ELTでエロパロ【いっくん】 Part3
きむまや小説投下が待ちきれずに書いてしまいました
不倫ネタなので現代で・・・また書きます
他の方のきむまや作品待ってます
萌える!もっともっと
いい感じじゃないですか
続けてね
「木村・・・」
震える声で呼ぶと、それに応えるように木村はもう一度松崎の唇をきつく塞ぐ。
そして唇を割り、小さな歯を舌でなぞり、お互いの唾液を啜るような口づけを繰り返していく。
「んっ・・・ふっ・・んっん・・」息がうまく出来なくて、必死に木村の口内の酸素を貪った。
こんなにも苦しくて切ないのは、きっとキスだけのせいじゃない。
木村は、私に言いようのない悦びと同時に、甘い苦痛をもたらす存在だから。
「松崎」吐息混じりの囁きに、背筋がぞくりと震える。
「ベッドに行くか?」即座に松崎は首を横に振る。
「ここで、抱いて・・」もう移動に時間を割くほどの余裕はなかった。今すぐに木村を感じたい。私という存在のすべてが、木村を欲していた。
縋るように木村の背に腕を回し、身を擦りよせると、しっかりと受け止めてくれた。
求めれば応えてくれる。慈愛に満ちた温もりで包んでくれる。
だけど、それだけじゃ足りない。優しくされるより、全てを奪い尽くされたい。
今この瞬間だけは、私のことをひたすらに求めて欲しい。
「木村・・っ・・」
松崎は木村の手を掴み、誘うように自身の胸元へとあてがう。
それに応じ、木村はカットソーの隙間から手を差し入れ、指を埋め込むようにして乳房を愛撫する。
「あっ・ん・・ん・・」
じっくりと感触を確かめるような触れ方。それだけで感じてしまう。
時折、固くなった先端を指先で巧みに弾かれると、身体が過敏に跳ねる。
木村の熱を受ける度に、快感が増幅していく。
「はぁっ!ぁあ・・んっっ」
不意打ちで下から首筋を舐め上げられ、甲高い声が上がった。
「いい声だ、松崎・・もっと、聞かせてくれ」
そう囁くと同時に、今度は木村の舌が色づいた先端へと降りてくる。
「ひっ、んぁうっ・木村ぁっ・・」
乳飲み子のように一心に吸いつく木村の様子に、子宮の奥が疼いた。木村も、求めてくれているの?
木村のすることなら、どんなことでも受け入れられる。木村が求めてくれるなら、どんな淫らな女にでもなれる。
空いた手がスカートの中へと入り、這うように太ももをなぞり、下着へと添えられる。
「やっ待っ・・」
思わず手で木村を制そうとしたが、間に合わなかった。
「・・凄い濡れてる」木村は優しく微笑みながら、蜜を吸ってぐしょぐしょになった下着をそっと取り去った。
羞恥心でどうにかなりそうだった。自身のそこは、もうどうしようもないほどに濡れそぼり、物欲しそうにひくひくと震えているのが分かる。
木村の形を、質感を、熱を感じたくて。
「んっ・・」
長い指がつぷりと音を立て、奥まで飲み込まれていく。中の形を確かめるように、
そして慈しむように、内壁を優しく撫でられる。
「少し狭いな・・大丈夫か?」
「大丈夫・・木村だってもう辛いんでしょう?お願い・・・来て。私も、あなたが欲しいから」
木村はそそり立つ己の欲望を割れ目にあてがった。ぬるりとぬめりを帯びて先端が接触する。
その熱さに酔いしれる暇もなく、次の瞬間には、一気に木村は腰を突き進めていた。
「はっあぁあああ・・・!」
あまりの圧力に、松崎の体全体に軋むような衝撃が走った。髪一本すら侵入を許さない
ほど、木村でぴっちりと埋まっている。こうして木村を受け入れるのはどれくらいぶりだろう。
久し振りなせいか、今まで以上に木村の存在を感じる。痛みすら感じるほどに。
「くっ、締まっ・・っ、松崎、大丈夫、か?」
木村は快楽に流されそうになるのを堪えながら、気遣わしげに再度問った。
「平気・・だから、やめないで・・もっと、そばに」
松崎は脚を木村の体に絡ませ、露出した肌の部分を密着させた。
想いを流し込むように、縋るように震える手で木村の頬を撫でる。
「松崎・・・っ」抗えるはずがなかった。
木村は松崎を抱きかかえ、体を押し開くように自身をねじ入れていく。
「はっあぅっ・・んあっ奥まで・・来てる」
少しでも奥深くまで木村を埋没させようと、松崎は肩で息をしながら、必死で体の力を抜こうとする。
そんな気持ちを汲もうとしたのか、蜜をなじませた指で、木村は濡れた松崎の肉芽を転がした。
「んふっ・・はぁっそこ・・っ」
甘い痺れが広がる度、奥から新たな蜜が溢れ出てくる。
垂れた蜜は太ももを伝い、木村の下腹部周りまで汚していた。
その情景を目のあたりにして実感する。自分は木村の前ではこんなにも淫らな女になれるのだと。
やっと濡れ場突入です、また書きます
たのむ続きを
きむまや大好きだ
956 :
えっちな18禁さん:2009/07/03(金) 01:18:49 ID:+qK2u/+bO
一樹作者さん
きむまやについていけないゆとりな私はもちいくんが生活の源です
あなたのもちいくんは暖かさを感じます
13年活動してきた二人の情景が浮かぶようです
これからも楽しみにしてまふ
「動くよ・・」
木村の囁きとともに、ずん、と甘く重い衝撃が内部に走った。
「はああっ・・!」
松崎はたまらずに胸をそらせて喘ぐ。
奥まで受け入れたはずなのに、内壁はいやらしく蠢き、もっともっとと木村を求めている。
「はぁ・・・っはぁ、松崎っ」
淫靡な音を立て、蜜を掻き出すように、木村の肉棒が何度も何度も激しく出入りする。
入口ギリギリまで引き抜かれたかと思うと、再び子宮口に達するほどに深く貫かれる。
お互いの粘膜は灼けそうなほどに熱く、溶け合うような錯覚に陥る。
「ひうっあぁ・ああ・・っ!きむ、ら・・木村ぁっ!」
ブランクが空いても、木村への気持ちが色褪せることがないように、
この肉体は木村のすべてを、狂おしい快感をしっかりと覚えていた。
お互いを最高のパートナーだと、かつ恋人と呼びあえた日々の記憶が頭の中を駆け巡っていく。
今はもう、何の肩書きもないこの身でも、せめてこの瞬間だけは激しく愛してほしい。
他のことを忘れて。木村にならこのまま壊されてもいい。
「はぁ・・あっ・・くっぅ・・松崎・・」
切なげに眉を寄せ、一心不乱に突き上げる木村。
肌からは珠の汗が吹き出し、揺れる度に、体液の匂いと男物の整髪料の香りが鼻腔をくすぐる。
濡れた赤い髪は、より色鮮やかに、私の目には眩しいほどに映る。
ああ、本当に綺麗・・・
この人は、今、本気で私を欲してくれてるんだと、松崎は蕩けた頭で思った。
「木村っ木村・・・!」木村の激しい律動に身を委ねていた松崎も、いつしか自ら腰を使っていた。
求めてくれるなら、いくらでもあげる。少しでも多くの悦楽を与えたい。
「んはぁっあんっ・・木村っ・・・愛してる・・・愛してるのぉ・・っ!」
うわごとのように何度も名前を呼び、腕を、脚を、木村の体に蔦のように絡ませた。
それに応え、木村は松崎の背を強く抱き、隙間なく唇を合わせて貪るようにキスをする。
口の端から唾液が零れるのも構わずに、何度も角度を変えてそれを繰り返す。
「んんっはっ・・木村っ・・もう、だめえっ・・・!」
松崎はじきに来るであろう絶頂の波を感じ取ったのか、せわしなく脚を震わせる。
そんな松崎の官能的であられもない姿に、木村も限界が近かった。
「木村っ木村ぁっ・・あっんあああああ・・・・・・っっ」
松崎が達した瞬間、内壁が収縮し、強烈に締め付けられる。
その衝動で、木村にも絶頂の波が訪れた。
「っっ!!」
薄皮一枚で繋がったギリギリの理性を頼りに、瞬間的に松崎の蜜壺から自身を引き抜き、腹部に欲望を解き放つ。
「くっ・・・う・・・」
低く呻きながら、すべてを吐き出し終えると、糸が切れた人形のように崩れ落ち、頭を松崎の胸元に乗せた。
「は・・・ぁ・・・木村・・・」
甘い余韻にびくびくと体を震わせながらも、松崎はゆっくりと木村を受け止め、頭を胸の中で抱きしめる。
本当は中に出してほしかった。結合を解かずに、ずっとずっと、木村のすべてを感じていたかった。
木村の子種を、胎内に受け入れたかった。だけど、もうそれは許されないことだ。いまさら叶わないことだ。
だから、せめてこうして抱きしめあって、お互いの存在を感じていよう。
心地良い疲労に包まれながら、木村が瞳を閉じて耳を澄ませると、松崎の鼓動が聞こえる。
先ほどまで早鐘のようだった松崎の鼓動がは、徐々に落ち着いたものへと戻ってきていた。
その穏やかな心音は、自分の呼吸と同調するようで、この上ない安心感をくれた。
「この音を・・・忘れない」
慈しむような木村の優しい声音が、部屋全体に染みいるように響く。
「・・・木村・・・」ゆっくりと瞼を上げた木村の瞳とぶつかる。
その瞳は、あまりに優しくて儚いものだった。
それでも。言葉はなくても、愛していると言ってくれているような気がした。
「・・次は・・いつ会える?」
次という言葉を使う度に、私達に残された時間は少ないのだということを思い知らされる。
あとどれくらいの時間、木村と過ごせるのだろう。
このまま、いつまでも一緒にいられるわけじゃない。いずれ報いを受ける。
そして望まなくても、必ず誰かを傷つけることになるから。
「また、連絡するよ。・・今度は、海にでも行こうか?」
「嬉しい・・・」
これ以上、罪を重ねるわけにはいかない。木村に甘えるわけにはいかない。わかっている。
だけど、私にはまだ、木村を思い出にできる強さと勇気がない。
生き続ける限り、私の中の木村という烙印は消えることはない。
結ばれたい。だけどそれはもう、諦める。諦めるしか道はないから。
だから、せめて、もう少しだけ。どうか木村を愛することを、許して。
きむまや完結です
自分にはこれが精一杯です
他にきむまや投下予定の方がいたら是非投下して下さい
乙ですた!切なくて良かったです
>>962 名字で呼び合うと不倫って感じだよね
その暗さいい感じです
違いのも読みたいです
965 :
えっちな18禁さん:2009/07/04(土) 22:53:37 ID:DUqkYy4lO
もちいくんが待ち遠しい
母親が泊まりにきて三日目を迎えていた。二人は昼食を済ませ、リビングでテレビを見ていた。
「ん?、あれ?、始まったかもしれない…」
「始まった!?どう?産まれそう?」
「うん。よく分かんないけどそんな感じ。なんか、今までとちょっと違う」
「ちょっと待って!かおちゃん、今、先生に電話するから!」
母親は、携帯電話から記憶させた番号をよびだした。この部屋に来て以来、常に身につけていた。
「すぐ来てって!」続けざまタクシー会社へ電話を入れた。10分ほどで下まで配車できるようだ。
「着替えなくてもいいよね?」スエット姿の持田は、立ち上がるとそのままコートをはおった。
「ねえ、ほんとに産まれそうなの?わたし、あなたのこと産むとき大変だったのよ」
陣痛の苦しさをまるで見せない娘に、母親も拍子抜けしている様子だった。
「そーなんだ…、でも、出てきそうな感じするよ」
「まあ、とにかく行きましょ」テレビを消し、二人は玄関へと向かった。
桜の香るよく晴れた穏やかな午後だった。
「待ちきれなかったみたいね」母親は笑った。娘の33回目の誕生日まであと6日だった。
三軒茶屋の医院までは30分ほどで着いた。妊婦と知った運転手は巧みに裏道をすり抜けた。
「香織ちゃん、お疲れさま。今日は私がとりだしてあげるからね」
若い助手二人を従え、腰に手をあた女医が入り口で迎えてくれた。
「先生、わざわざすいません。よろしくお願いします」先に降りた母親が頭を下げた。
「よろしくお願いします」支払いを済ませ、持田もタクシーから降り立った。
「香織ちゃん、あんまり苦しそうじゃないね?けっこう大きい赤ちゃんなんだけどな…」
「ハルちゃんにも言われた。でも、産まれそうな感じするよ」
「まあ、とにかく入って。あれ、一朗くんは?」女医がタクシーを覗きこんだ。
「今日、仕事なの。でも向かってる。青山からだからもう来ると思う」
午前中に打ち合わせがあるとのことで、伊藤は会社に行っていた。
今朝の持田の様子から、今日とは思っていなかったらしく、電話口でひどく慌てていた。
「お母様はこちらでお待ちください」助手の一人が母親を待合室へと案内した。
「ハルちゃん、行ってくるね」持田がふりかえった。さすがに神妙な面もちだった。
「がんばって」母親は笑顔を向けた。
まもなく日付が変わろうとしていた。女医からは、出産は夜中になるだろうと言われていた。
「これから始めます」助手が分娩室から顔をだし、二人に声をかけた。
非常灯のともされた廊下のイスに座り、二人は子供の誕生を今か今かと待っていた。
「お義母さん、今日は、いろいろありがとうございました。」伊藤がとなりの義母に声をかけた。
「なに言ってんの。それより、ご両親には連絡したの?」
伊藤の実家は神奈川の海ぞいにあった。長男のおそい孫を楽しみにしているはずだ。
「はい。ただ、こういうのは父親側の親がでしゃばるもんじゃないって言って…」
「あら、そうなの?じゃあ、近いうち一緒にごあいさつ行かないとね。お蕎麦が好きだったわよね」
伊藤の両親とは結婚式以来となる。マスコミを抑えた披露宴では終始、伊藤家がかしこまっていた。
「聞こえた?」ことばをとめ母親が立ち上がった。
「ええ!」伊藤も立ち上がった。分娩室から、けたたましい産声か聞こえてきた。
二人はドアにかけよった。磨りガラスの向こうに、白衣を着た人影がせわしなく動いていた。
また書きます
詩織生まれたー><
イラストこい
ドアが開き女医が出てきた。額に玉のような汗を浮かべていた。
「産まれました。おめでとうございます。元気な女の子です」
二人の顔を交互にながめながら言った。午前1時を回ろうとしていた。
「ありがとうございました」二人は申し合わせたように同じことばを口にした。
「これから病室にお連れします。それまで待合室でお待ちください」
「香織は?」中に戻ろうとする女医に、伊藤が声をかけた。閉じかけたドアから女医が振り向いた。
「だいじょうぶ。疲れてるけど元気だよ。伊藤くん、おめでとう」
静かにドアが閉められた。何事もなかったように、廊下はもとの静寂につつまれた。
「行きますか」伊藤の呼びかけにうなずくと、母親は先に待合室へと歩き出した。
「女の子ね。まあ、こればっかりはしょうがないわね。」
「あれ?お義母さん、男の子がよかったんですか?」
「ううん、そうじゃないのよ。ただ、かおちゃんは男の子の母親かなって。いっくんはどうなの?」
「僕はどっちでもよかったです。でも、香織は女の子欲しがってた気がするな…」
子供服の雑誌を、楽しそうに切り抜く持田の横顔が思い浮かんだ。
「お待たせしました」30分ほど待たされた。看護婦に案内され、二人は病室へと足を踏み入れた。
女医と看護婦に囲まれた奥のベットに持田の姿が見えた。
「女の子。けっこう大きいよ」電動式のベットに背中をあずけ、赤ん坊を抱えていた。
かなり汗をかいたのだろう。普段しないポニーテールの顔が、一回り小さく見えた。
「3300グラムあります。健康優良児ですね」女医が微笑んだ。
「お疲れさま」「お疲れさん」二人は枕元まで進み持田を労った。
「いっくん、決めた?」持田が顔をあげた。女の子は伊藤の役目と決めていたようだ。
「名前のこと?」女医が続いた。恐る恐る赤ん坊に触れる伊藤に、みんなの視線が集まった。
「おう。しおりなんてどう?歌詞の詩に織で」
「あら、いいじゃない。いいわよ。香織からつけたの分かるし、話題になるわ」
「ハルちゃん!」持田が睨んだ。
「でも、いい名前だと思うよ。この子、きっと喜んでくれると思う」女医が赤ん坊を抱えあげ伊藤に渡した。
「そうかな」回りもうなずいていた。持田は一同を見渡し、照れ臭そうに笑顔を浮かべた。
詩織はすくすくと育った。4月に完成した新居での生活も、はや半年が過ぎようとしていた。
「ん?いっくん、つけないの?」
「うん、もうそろそろいーかなって思うんだけど…。どお?」
「どお?ってなに?二人目のこと言ってんの?」
横で眠る詩織に目を向けた。母乳をあたえ、ようやく寝かしつけたところだった。
「ひとりっ子じゃ可哀想だし、詩織も弟か妹いたほうがいいんじゃないかな」
「まあね。でも、わたしはもうちょっと間あけたいな…。一年くらい」
「すぐできるかどうかなんて分かんないよ。それは神様にまかせてさ、な」
「アハハハハハ。詩織すぐできたじゃん」重なってくる伊藤の耳元で笑った。
唇が重なるとやがて体の力をぬいた。枕元のスイッチに手を伸ばし、部屋の明かりを消した。
明日の夜、伊藤はニューヨークへ飛ぶ。
プロデューサーである五十嵐の誘いを受け、三週間におよぶレコーディングを行うことになっていた。
「詩織をよろしくな…」しばしの別れを惜しむように二人は愛し合った。
幸せの絶頂だった。第二子の誕生を夢見た夜だった。
また近いうちに
詩織おめでとう、
愛し合ってる場面、よかったらお願いします!
978 :
えっちな18禁さん:2009/07/16(木) 02:06:12 ID:aKYbY4yqO
最後の夜ぐらい
合意の上で顔にださせてあげて
>>975 本当に最高です!
このままハッピーエンドで終わって次の作品に移るのか・・・、
それともいっくんの単身赴任中に何かが起こるのか・・・楽しみに待ってます!!
伊藤がニューヨークに発ち二週間がすぎた。持田は詩織をつれ実家へと帰っていた。
「むこうで元気でやってるの?」詩織を抱え、母親が風呂から上がってきた。
帰って以来、かたときも孫娘を離そうとしない溺愛ぶりだった。
「昨日、電話あったよ。なんか、予定より早く終わりそうだから、あと2〜3日で帰るって」
「また偏った食事してるんじゃないからしら。かおちゃん、好きなものばっかり食べさせてちゃダメよ」
実家ではすることがなく、母親から料理を習っていた。すでに三つほどレパートリーが増えた。
「わかってる。ねえ、ハルちゃん、ミホちゃんにもいろいろ教えたの?」
姉は早くに結婚していた。そのせいか、こうして帰ると、しつこいくらい料理を教えたがる。
「もちろんよ。悪いけど、今のところ、お姉ちゃんのが上よ」
持田は、はにかむように笑った。二人姉妹ということもあり、当初、ここに同居する計画もあった。
だが、父親がそれを認めなかった。女は結婚したら出ていくものと一喝された。
経済的には問題なかった。仕事のことも考えた上、二人は都内に新居をかまえることを決めた。
四人は昼食の最中だった。
昨夜遅くに姉夫婦が遊びに来たため、まだ酒ののこる父親にあわせソバの出前をとった。
父親が席をたつと同時に電話がなった。母親は詩織を持田にあずけ電話機へと向かった。
「かおちゃん、森下さん」母親がもどってきた。今でもコード式の電話機を使っている。
「森下?なんだろ…」携帯がなった形跡はない。実家にかけてきたのは初めてだった。
ふたたび詩織をあずけ持田は立ち上がった。すでに10キロを超える詩織は、うけ渡しも一苦労だ。
20分ほど過ぎた。なかなかもどって来ない持田に母親が声をかけた。
返事はなかった。ふすまに遮られ、となりの部屋にいる持田の姿を見ることはできない。
「もう食べないの?」詩織を座布団にねかせ和室をのぞきこんだ。
「かおちゃん!」持田が呆然と立ち尽くしていた。床に落ちた受話器から、森下の声が聞こえていた。
「なにがあったの!?」急いで駆け寄り正面から声をかけた。
「飛行機事故…」かろうじて口が開いた。だが、ことばは続かなかった。
母親は受話器を拾い上げた。必死に呼びかける森下の声に、一瞬、受話器を遠ざけた。
訃報は、森下の一報のあと直ぐに国際電話で知らされた。墜落事故による伊藤の死を五十嵐の口から聞いた。
デトロイトからだった。レコーディングを終えた一行は、ニューヨークから早朝に移動したという。
五大湖観光が目的だった。日本人が経営する、セスナを使った観光施設を五十嵐が知っていた。
持田は受話器を耳にあて、泣きながらことの成り行きを聞いた。涙をこらえることなどできなかった。
乗員制限の関係で、伊藤だけ別の機に乗り込んだらしい。
「なんだよ〜」最後に聞いたことばだった。それでも、おどけながら先発メンバーを見送ったという。
「俺が決めたんだ…」電話口の五十嵐は声をふるわせていた。何度も何度も繰り返し持田に詫びた。
伊藤は現地での検死解剖ののち、3日後に遺体となって帰国した。幸い、それほどひどい外傷はなかった。
遺体は空港から直接伊藤の実家へ運ばれ、翌日、葬儀が執り行われた。喪主は伊藤の父親がつとめた。
持田は喪服に身をつつみ娘とともに現れた。泣き腫らした目を、五十嵐は直視することができなかった。
このまま、この母娘を不幸にしてはいけない…。五十嵐は心に誓った。
不謹慎すぎるな
すみません。また近いうちに
984 :
えっちな18禁さん:2009/07/18(土) 07:39:47 ID:FMSw3BNC0
いがちゃん期待!
いがもちのターンですか
続き気になる
「詩織、変なこと聞くんじゃないの!」ふと我にかえり持田はいましめた。
叱られても気にした様子はなく、小さく舌を出し笑ってみせた。
あのとき誓ったんだよな…。五十嵐は二人を見つめていた。伊藤の葬儀を思い出していた。
まだ一歳に満たない詩織を連れ、持田は泣き暮れていた。第二子を流産したことは後から聞いた。
立ち直るまでには長い年月を要した。その間、自分も結婚し、そして終りをむかえた。
やがて持田は立ち直った。幸せだとまで言えるようになった。この娘が支えになったことは間違いない。
「ママ、きつくない?だいじょうぶ?」詩織は、持田にも腕時計をはめようと悪戦苦闘していた。
「詩織ちゃん、もし、おじさんがママにプロポーズしたらどう思う?」
詩織が手をとめ振り向いた。母親によく似た目が、五十嵐の目を見つめ返してきた。
「いいよ。でもね、ママ、まだパパのこと好きだよ」
「詩織、いい加減にしなさい!イガちゃんも、もう、そういう話しやめて!」
「怒られちゃったね」詩織が肩をすくめた。無邪気な笑みを浮かべ五十嵐に向けた。
四月の二週目を迎えていた。満開をすぎた桜の枝には、うす緑色の新芽が見え隠れしていた。
真新しい制服に身をつつんだ少女を連れ、自信に満ち溢れた母親たちが続々と校門から出てきた。
東京でも有数の進学校に入学した喜びは、少女たちよりも母親の顔に浮かんでいた。
「詩織ちゃん!」名前を呼ばれ、少女が振り向いた。母親も気づいたようだ。
「充おじさん!来てくれたの!」詩織が駆け寄った。
「イガちゃん、どうしたの?時間教えてたっけ?」
「いや、昼には終わるだろうと思ってさ…。詩織ちゃん、入学おめでとう。制服姿も可愛いね」
「ありがとう」詩織は照れくさそうに笑顔をうかべた。
「詩織ちゃん、お腹すいたろ?お昼どっか食べに行こうか?」
「行く!ママも行くでしょ?」
「よし!じゃ、詩織ちゃん乗って」持田の返事をまたず、五十嵐はガードレールを跨いだ。
着なれない制服のせいか、詩織はガードレールのすき間から車道の車へと回り込んだ。
「ママ、早く!」五十嵐に後部座席のドアを開けられ、詩織が叫んだ。
もう…。五十嵐に目を向け持田も車へと歩き出した。
車は神保町から神田へとぬけた。一方通行の密集した駅周辺は、とても先に進める状況ではなかった。
「ちょっと歩くけどいいかな」五十嵐は、時間貸しのパーキングを見つけ車を入れた。
「なに屋さん?」先に車から降りた詩織が、運転席に問いかけてきた。
「ん〜、着いてからのお楽しみかな」
二人は五十嵐に続き歩きだした。ランチタイムを終えたサラリーマンが、路地にあふれ返っていた。
「さあ、着いたよ」五十嵐が振り返った。オープンテラスのある、洋食屋の前だった。
「あれ、充おじさん、ここ知ってるの?」詩織が店の前に駆け寄った。持田も不思議そうな表情をうかべた。
「うん…、まあね」ことばを濁し、五十嵐は店の中へと入っていった。
三人は窓際の奥の席へと案内された。テーブルにはすでに、グラスが3つセットされていた。
「どういいこと?いっくんに聞いたの?」五十嵐が知るはずはない。持田は立ち止まった。
「時々、ママと食べにくるんだよ。いつもこの席だよね」詩織が席に着き言った。
「座って」五十嵐がイスを引いた。肩を押され、持田はしかたなく詩織のとなりに座った。
詩織の合格祝いの場面に戻りました
次で終わりにします
>>989 最終回も楽しみです
きむまやが無理だったら、まやもちの友情話みたいなの書いてくれませんか?
番外編でいいので、もっちーといっくんが結ばれるまでの話が読みたいです
992 :
えっちな18禁さん:2009/07/19(日) 21:24:30 ID:giI8UWx30
私も
>>991様に同意です。
多分2009年現在いっちゃんは脈なしです。
そこからどう結ぶかあなたに書いていただきたいです><
993 :
えっちな18禁さん:2009/07/20(月) 00:06:37 ID:0yV6blzh0
エロパロ板に立てたほうがよかったんじゃない?
995 :
えっちな18禁さん: