UXGA以上の液晶ディスプレイ Part32

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193不明なデバイスさん
211HとL997のマルチモニタ環境になったので、じっくりと比べてみた。既出ネタ中心だが
まとめ的な意味も込めてレポするから、訂正あったらよろしく。後、最初に言っておくが、
個体差や個人差、感性の違いは必ず出ることを念頭に置いて欲しい。ついでに長文すまん。

また、前提条件として設定に依る印象差をなくすため、両者ともEye-One Display2を使用
したキャリブレーションを行った状態で比較してる。なお、211Hでハードウェアキャリブ
レーションを実現するRealgamut Calibratorは所持していないため検証していない。


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『基本的な仕様と機能』
ttp://www.eizo.co.jp/products/lcd/l997/
ttp://www.mitsubishielectric.co.jp/home/display/product/rdt211h/index.htm
基本的な機能は大差ないが、L997の利点としてオートファインコントラストが上げられる。
アプリ毎に任意な設定を動的に切り替えられ、慣れると手放せない人も多い。Macintosh
には対応していないが、OSDの階層内にある211Hとは異なり、手動切替がワンボタンで可能
なため利便性は高い。また、アクティブローテーションやピクチャー・イン・ピクチャー
機能もL997にのみ採用されている。


『表面処理及び質感』
L997には微かな光沢感があり、これが絵作りに艶を与えるためか適度な華やかさが付加され、
総じて実写系の写真が映える。211Hに比べ開口率が低いためか画素間の隙間、いわゆるザラ
ザラ感は確かにあるものの、CRTからの違和感はL997の方が少ない。全体的な質感は硬めで、
一見地味な印象を受けるが、211Hよりも鮮やかで綺麗な反面、目への刺激は強い。

211Hには極僅かなギラギラ感はあるものの、L997の光沢感とはまた違ったパネル本来の発色
による鮮やかさが有り、相対的にザラザラ感が少ないのと合わせ、CGやノベルゲーなどの非
自然物の描写に長ける。デフォルトはやや派手に調整されているため、それが誤解の原因に
なっていると思われるが、L997より若干眠たい印象を受ける反面、目への刺激は弱い。
194193:2006/06/18(日) 00:11:18 ID:RUjhcgBO
『視野角及び色変位』
IPS方式なだけあり、両者ともサイズを考えれば優秀だが、211Hには色変位時において特に
グレーやホワイト色にマゼンタ被りが見られる。色変位し始める角度にそう大差はないが、
L997に比べ目立つことから実用的な視野角は一段狭くなると考えれる。
※モニタ間の距離を70cm程度取り、適正な姿勢を取る範囲においては両者の差は少ない


『スタンド』
211Hは机からパネル下(not縁)まで約48mm、一方L997の方は約108mmまで下げることが可能。
L997との約60mmの差が環境によっては支障をきたす場合があり、一つの改善策として211Hの
スタンドを購入、交換すると言う選択肢もある。詳しくは下記のテンプレ参照。また、縁の
太さやスタンド形状の違いから、圧迫感はL997の方がややある。

http://pc8.2ch.net/test/read.cgi/hard/1150073259/4


『応答速度』
両者とも高速とは呼べず、DVDの再生時にすら残像は確認出来る。しかし、その許容範囲には
個人差が大きく、3Dゲームでの利用に支障なしとする人まで幅広い。カタログスペック上では
L997が30ms、211Hは20msであるものの、体感上の差は僅かしかない。比べれば211Hの方が速い
と感じる場面がある程度。


『アナログ品質』
L997も必要十分な品質は確保されているが、この点に関しては211Hが優秀。DVI接続との差が
極めて少ない。ただし、それ相応にビデオカードやケーブル品質に留意した上で、設定を多少
追い込む必要がある。DVI-Iを2本ではなく、排他処理のDVI-D/D-subを採用しているのも利点。
195193:2006/06/18(日) 00:11:51 ID:RUjhcgBO
『輝度の安定性』
両者ともサイズを考えれば優秀だが、211Hは特にグレー全面表示の際に特徴的なムラが確認
出来る。部分的にグレーウィンドウを表示させても同様な形状が再現しないため、輝度ムラ
だけに依るものなのかは不明。この点はL997が優秀だが、四辺へ向かっての輝度低下は目視
でも確認出来る。なお、作業上で支障が出るほどのムラは両者ともない。

※前述のマゼンタ被りと合わせ、211Hの欠点としてよく上げられる。この点を許容出来るか
どうかが選択への大きな分岐点となる。


『色再現性及び色域』
ttp://www.imgup.org/iup222454.png.html
大半の個人ユーザーの環境として想定されるsRGB(色温度6500k、γ2.2)においては、L997の
デフォルトは211Hよりも正確だが、個体差によるがキャリブレーションは必須。目視判断が
可能な程にはズレがある。上記画像の下部はキャリブレーション終了時に表示されるもので、
滑らかな一直線に近づくほど基本的には優秀と考えられる。なお、L997同士の比較では僅差
に見えるが、それから受ける印象以上に前後では色調の変化を確認出来る。

上図は標準及び調整後のプロファイルを表示させたもので、キャリブレーション後に変化が
見られるのはゲイン調整をかけたためと思われる。不勉強ながら、図の正確な見方を知らな
いため判断は識者に委ねることにするが、よく評される青の色域が広いと言うのはこれらの
図が根拠になっていると思われる。
196193:2006/06/18(日) 00:12:32 ID:RUjhcgBO
“各画像による比較”
同様な画像を両者に表示させ、その差異や傾向を検証した。おそらく、これが最も具体的で
有効な判断材料になると思われる。なお、かなり主観に依存することを念頭に置いて欲しい。

ttp://www.imgup.org/iup222455.png.html
階調表現はともに優秀で滑らか。目立ったトーンジャンプも確認出来ない。相対的にL997の
方が青の最大値付近にかけて伸びがあり、211Hでは終盤で飽和気味になり若干明るいブルー
にシフトしている。対して、赤では211Hの方に伸びがあるものの、L997で飽和は見られない。
緑に関しては特に差異を感じない。また、暗部の階調表現はL997の方がより滑らか。

グレースケールに不自然な色被りは両者とも確認出来ないが、グレーそのものに若干の色差
が見られる。より正確なのがどちらなのか判断出来ないが、印象だけで言えばL997。

※下記リンク先はCanonサイトへのもの。元データサイズが大きいため、開く際は要注意。
197193:2006/06/18(日) 00:14:21 ID:RUjhcgBO
ttp://www.canon.co.jp/Imaging/eos1dm2n/html/eos1dm2n_sample_6j.html
スケート少女。色調に大差はないが、衣装の青が211Hの方で若干明るめにシフト。腕の質感
は211Hの方がより自然で、人物全体の印象はL997。なお、暗部における黒の締まりは211H。
相対的にL997はゼロ付近の黒表示における光漏れが多い。また、L997のsRGBでは暗部にモヤ
モヤが確認されるが、これはデータが均一にゼロではないため。γ2.2でこれが見えるのは
本来おかしく、キャリブレーション後は目視出来ない。

ttp://www.canon.co.jp/Imaging/eos5d/html/eos5d_sample_5j.html
オーロラと夜景。L997の方が紫寄りで、自然な印象を受けるのは211H。しかし、オーロラの
写真なため、L997の方がより本来の色に近い可能性も高い。また、左上端に見られる最後の
深みが211Hでは飽和しているが、その範囲は極僅か。

ttp://www.canon.co.jp/Imaging/eos5d/html/eos5d_sample_6j.html
測定器具とかいろいろ。階調表現などに際立った差は見られない。両者ともに優秀で、羽の
質感も申し分ない。全体の色調は微かに211Hの方に赤みを感じるが、ともに自然な描写で、
こう言った画像に関しては両者の表現力は拮抗していると言える。


ttp://web.canon.jp/Imaging/eos30d/sample/sample4_j.html
峡谷と滝。全体的な描写に大差はないが、森林では211Hが極僅かに滑らかさがあり、滝の水
ではL997がより緻密な描写をしているが、その差は僅差。色調は本来の色を判断出来ないが、
描写に関しては拮抗、ともに優秀。

ttp://www.canon.co.jp/Imaging/eosdigital2/html/eosdigital2_sample_4j.html
椅子と女性。全体の印象に大差はないが、女性の顔や手足の肌における描写は211Hが優秀。
極僅かな範囲に留まるが、顔などの描写にL997では飽和した部分が確認出来る。印象として
の人物描写や生々しさは211Hの方がより優秀と言えるのかもしれない。

ttp://web.canon.jp/Imaging/eos30d/sample/sample6_j.html
ラリーカー白黒。ともに色被りもなく、描写に破綻もなく滑らか。写真上の砂煙に関しては、
211Hで飽和が見られるが、その範囲は極僅か。パネルの印象もあり、主観的な質感はL997の
方がよりリアルに感じられる。
198不明なデバイスさん:2006/06/18(日) 00:15:12 ID:t0WH5xzh
>>193-197
乙。参考にさせて貰う
199不明なデバイスさん:2006/06/18(日) 00:15:23 ID:t1jSNJ3l
> 用途はエロゲ

L997一択。どうしても予算が厳しいならL887かRDT211Hで妥協。
万一、買った後で動画性能に不満が出たらCRTを買い足したほうが良い。
200193:2006/06/18(日) 00:16:10 ID:RUjhcgBO
※以下はWin成人向けゲーム。画像自体に18禁物はないが、18歳未満閲覧禁止。なお、画像を
探して回っただけで、選択したソフトメーカーに他意はない。

ttp://key.visualarts.gr.jp/gallery/index.htm
3つある内の真ん中の少女。左下端にかけての星空で211Hでは若干の飽和が見られ、L997では
端まで滑らかに色変化している。少女の衣装に関しては両者に目立った差異は認められず、
ともに色調も近く、滑らかに描写されている。また、好みに依存するが、全体の描写は211H
の方が柔らかな印象。L997では髪の毛などの表現が微かに硬い印象を受ける。

ttp://www.lucha-game.com/dl/wall.html
下の方にある女子マネ。色調も含め、両者の差は極めて少ない。左少女の衣装における青や髪
の毛部分に差は認められるものの、かなり意識しないと判別出来ない程僅かに留まる。印象に
関しては上述と同様。

ttp://august-soft.com/yoake/download.htm
姫様と少女とかたくさん。右上にかけての青部分で僅かな色差は認められるが、描写そのもの
に両者の差はない。印象に関しても、前述のような差はほとんど感じられないが、ベタ塗りの
多い部分ではL997のザラザラ感が若干目につくため、211Hの方が印刷物に近い印象を受ける。

ttp://www.project-navel.com/navel/service/downloads/wallpaper.html
下の方にある永瀬沙佳と言う少女。右少女の背景で211Hに若干の飽和が見受けられ、その差は
僅かに留まるものの、比較すればL997の方により深みがあるのを確認出来る。左の少女には特
に際立った差異は認められないが、右下にかけての緑部分に関してはL997で極僅かな飽和が見
受けられる。ただし、上述の差に比べれば差は極僅か。
201193:2006/06/18(日) 00:16:49 ID:RUjhcgBO
『購入への考察』
両者ともに一長一短だが、全体の完成度や満足度はL997の方が頭一つ分ほど高い。しかし、
一部のハイエンド機種を現在使用している人を除けば、RDT211Hでも十分に高品質と言える。
両方並べて初めて見えることも多く、双方を罵倒し合うほどの品質差はないと感じる。自分
が一台だけ買うならL997、当面は211Hメイン+L997サブで使用するが、L997側にアイコン類
を乱雑にならべる気はないため、メイン+メインと言った方が正確かもしれない。

現在の価格差で考えるならば、211Hに10万はコストパフォーマンスが極めて高く、予算的な
問題があるなら、選択肢としては十分検討に値すると言える。ただし、マゼンタ被りと輝度
ムラだけは許容出来るか要確認。後に引きそうな人は無理してでもL997を買った方がいい。

逆に評判の良いL997を購入する場合は、完璧を期待しない方がいい。T2020との差は実物が
手元にないため確認出来ないが、211Hとの比較でも光漏れは確認出来る。暗部階調ではなく、
黒の締まりに拘る人は要確認。とは言え、先入観なしで購入すれば、満足度は極めて高いと
思われる。

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こんな感じ。まぁ別に俺はプロでも何でもないから、素人の主観的な意見と言うことで、
参考程度に捉えてくれれば幸い。それにしても疲れたよ(´・ω・`)