主人公は七つの勢力の中から一人を選んでTotemを渡す。
そして、魔術師でもあるLysandus王の母親の助けによって異次元へと向かい、
宝石Mantellaを得る。
主人公がTotemを渡した勢力によってエンディングは七つに分岐する。
帝国、Daggerfall、Wayrest、Sentinel、Orsiniumに渡した場合はその国家の征服エンドとなる。
Mannimarcoに渡した場合、彼はMantellaの力で神となる。
Underkingに渡すと自分の命の核を取り戻し、ようやく死ねることとなる。
エンディングはこのように分岐するが、後のシリーズで語られる後日談が存在する。
『Daggerfall』の20年後を舞台とした『The Elder Scrolls IV: Oblivion』にエンディング直後のことを
書いたゲーム内書籍がある。それによれば、主人公が引き金となった大破壊が発生し、
数十あったIliac Bay周辺の領地や国家郡はほぼすべてが崩壊、都市機能が崩壊した。
無事だったSentinel、Wayrest、Daggerfall、Orsiniumは装置の起動を察し、
防衛のためにそれぞれ空所を征服し国土を拡張。
そして、現在は平穏で帝国に臣従的な国家に変貌を遂げた、ということである。
主人公のその後については杳として知れない。他の歴代の主人公と同様に、行方不明である。
終わり
---------------------------
まとめを見ましたが、The Elder Scrolls III: Morrowindについても、
もし良ければもう少し詳しく書くことが出来ます。
もしまだ出ていなかったらSteins;Gateをリクエストします。
よろしくお願いします。
リクエストの前になんでルールを読まないのか
「東方萃夢想」の続きと「東方星蓮船」をリクエストします
どっちもWindowsのゲームです
よろしくお願いします
『東方萃夢想』と『東方星蓮船』予約します
372 :
流行り神:2009/10/20(火) 10:40:51 ID:+lIODfw+0
流行り神PORTABLE:第二話『鬼』
【主な登場人物】
間宮ゆうか(まみや・――)
風海の義兄・霧崎の教え子で助手。
自称・オカルト専門ジャーナリスト(見習い)だが、霊感はない。
海外出張中の霧崎に代わって、風海の捜査を手伝うことになる。
道明寺秋彦(どうみょうじ・あきひこ)
警視庁捜査一課の刑事。印南警視の部下で、極秘裏に協力している。
見た目ヘラヘラした軽薄な青年だが、被害者救出に関しては真摯な態度を見せる。
「小暮と同期」(道明寺談)だが、小暮は覚えてない。
【前置き】
この事件は二人が配属後に初めて手がけたもので、
時系列で言うと第一話のあと、第零話の前となります。
1)前半部
配属後十日目。謎の男から、児童誘拐の捜査に参加するように頼まれる。
ところが、担当の印南警部から二人を呼んだ覚えはないと追いだされてしまう。
結局、彼の部下・道明寺巡査長の協力により、調査を極秘裏に行うことになった。
被害者は斉藤裕介、小学二年の八歳。両親は離婚、家族は母親の由香利のみ。
母親の由香利は、レストランを経営する女性実業家だった。
犯人は、身代金ではなく「由香利が〔柘榴の実〕に一人で来ること。」
という変わった要求を出してから、沈黙を保っている
〔柘榴の実〕について、由香利は心当たりがないと言う。
誘拐の現場を見た少年は、「鬼が連れて行った」と言い張っていた。
印南は作り話だと切り捨てたが、二人が調べると実在した可能性が高くなった。
奇妙なファックスが斎藤宅に届いた。
「鬼」の天辺の「ノ」が取れた字が一文字だけ、大きく印字されているという代物。
これも、由香利は判らないという。
その後の聞き込みで、他の家二軒に似たような脅迫状が郵送されたことが判明する。
この二軒と斎藤家をつなぐ線上に、斎藤家の隣人・安西聡子が浮かんだ。
安西が脅迫状を出したのか? 安西を密かにマークする二人。
しかし、安西を巡って騒ぎがおき、その余波で印南に極秘調査がばれてしまった。
これを機に、風海は脅迫状の件を印南に託す。
その上、二人が安西を疑っていることを、安西本人に悟られてしまう。
笑みを浮かべた安西は、とんでもない爆弾を二人に投下した。
「あの母親は、息子が居なくなって、せいせいしている……。」
(続く)
373 :
流行り神:2009/10/20(火) 10:43:17 ID:+lIODfw+0
/* 前半部最後の安西の一言をどう扱うかで、2ルートに分岐します。
/* 先に取り上げなかった場合、次に取り上げた場合の順に投下します。
2)−1 安西ルート(安西の証言を取り上げなかった場合)
安西は、捜査の目を逸らそうとしてるのかもしれない。
そう判断した二人は、安西のサークル仲間に安西の人となりを聞きいてまわる。
サークル仲間は、ほとんどが“セレブ”と呼ばれる婦人たちだった。
その中で、庶民で借金に追われている未亡人の安西は、
彼女たちから優越感を滲ませた同情心で「可哀想な人」と見られていたようだ。
これは、安西にとって屈辱であり、苦痛だったのではないだろうか。
そんな安西だったが、最近になって生き別れていた妹と再会したらしい。
そして、妹から贈られたブレスレットを肌身離さずつけているという証言も得た。
聞き込みのまとめをしているとき、道明寺から安西の経歴が送られてきた。
そのなかの記述に、全員が唖然とした。
妹の名は、雪村恭子。「グラナダ・マタニティクリニック」副院長だったが、
夫の無理心中に巻き込まれ、二年前に死亡。
と、その時、一緒に居たゆうかがひらめく。
ガーネットの和名は柘榴石。柘榴は、スペイン語で「グラナダ」!
〔柘榴の実〕とは、この病院のことを指していたのではないだろうか。
由香利に、もう一度〔柘榴の実〕を問いただす必要がありそうだ。
ゆうかは、グラナダ・マタニティクリニックを調べるといって飛びだしていった。
ゆうかの身を案じつつ斎藤家へ向かう風海。その家の前で、道成寺と出くわした。
彼によると、印南が安西の逮捕状を取って、彼女の行方を追っているという。
鑑定の結果、安西が例の脅迫状を出したと判ったからだ。
由香利の頑な態度は、『グラナダ・マタニティクリニック』の一言で切り崩された。
「どうして、放っておいてくれないの?」
由香利は、最初から子供を見捨てるつもりだったのだ。
「子供には何の罪もないのですよ?」思わず問い返す風海。
「でも、あの子は……」何かを言い出そうとして口をつぐむ由香利。
「いいでしょう、〔柘榴の実〕へご案内します。」
一行は、小暮の車で目的地に向かった。辺りは、夜になっていた。
移動中、由香利は誰ともなく語りだした。
思い描いた「幸せな家庭」のために、由香利は子供が欲しかった。
でも、裕介が生まれた時にできた借金で、夫婦は押し潰され、離婚してしまう。
うちつづく不幸の中で、由香利が抱いていた息子への愛情が揺らぎはじめた。
(この子さえ居なければ……。)この考えが、由香利を折檻に走らせたのだ。
息子が誘拐されとき、一旦は息子を見捨てようと考えたが、やはり出来なかった。
「私は『ママ』と呼ばれるのがつらかった。……あの子はね……。」
そのあとに続く言葉は、由香利の口から紡がれることはなかった。
(安西ルート、続く)
374 :
流行り神:2009/10/20(火) 10:46:22 ID:+lIODfw+0
目的に着いて、風海が降りたときだった。
ゆうかが声をかけてきた。どうやら情報をたどって、ここまで来たらしい。
ゆうかの身を案じて、思わず叱責する風海。ゆうかも、予想外の叱責に素直に謝った。
しかたなく、風海は、小暮に建物の外でゆうかを護衛するように頼んだ。
由香利は、廃墟の前の看板を指差した。
「産婦人科 グラナダ・マタニティクリニック」――その脇に柘榴の実の絵。
「ここで生まれたんです。」由香利は、そうつぶやいた。
由香利のあとを追いながら、風海は引っかかるものを感じた。
(“産んだ”のでなく“生まれた”? どういう意味なんだ?)
廃病院を進むなか、由香利は、風海の呟きから隣人の安西が犯人だったことを知る。
「安西さんが「鬼」のファックスを送りつけたのは、
息子を虐待する自分を嘲笑うためなのでしょうね。」
「いまなら、安西さんのその気持ちがわかる気がします。」
かつて、由香利は安西を『可哀想な人』と思った。それは優越感からきている同情だった。
今度は自分が周囲から『可哀想な人』と言われて、由香利はそのことに気がついた。
同情される自分が恥ずかしくなり、心が他者を受け入れられなくなっていった。
そして、自己嫌悪と自己否定に陥り、由香利は、他人、つまり息子を攻撃することでしか
自分を守れなくなっていったのだ。
病室の一室に、裕介少年は寝かされていた。
たどたどしい足つきで近づいた由香利は、息子を抱きかかえると涙を浮かべた。
あとは、ここから逃げるだけだ。――と、その時、不快な冷気を感じた。
「由香利さん!」風海が振り返ると、横たわる少年の前にうずくまる由香利の姿だった。
まわりを黒いドロドロした靄が取り囲まれた状態で、由香利は何かを抑えようとしていた。
そして、風海の面前で由香利の目は白目ごと真っ赤に染まっていった。
その目は――まさに鬼。
「ふふふふ……」地の底から響く、くぐもった笑い声。安西がいつの間にか立っていた。
髪はふり乱れ、衣服もボロボロ、眼は赤い狂気に満ちていた。
安西は、うずくまる由香利を凝視したまま話しだした。
「アンタも可哀想な女だよ。アンタは息子を愛せない。違うかい!」
「ちが…う。」由香利は必死に抵抗を試みるが、安西は容赦しなかった。
「子供を愛せないから、今こうして苦しんでいるんだろ?
無理することはないよ。あたしと一緒におなりよ。」
妖しい魅力を含んだ呼びかけに、風海の意識まで朦朧としはじめた。
(安西ルート、続く)
375 :
流行り神:2009/10/20(火) 10:48:36 ID:+lIODfw+0
由香利の中の「何か」が弾けようとした時――
「ママ……ママ」裕介の寝言が漏れた。
「ゆう…すけ?」由香利の赤い目から、涙が溢れ出していた。
鬼になりかけた彼女は、息子の寝言で救われたのだった。
その様子を見ていた安西が、呻いた。
「アンタなら……わかってくれると思ったのに……」
ナ ゼ ダ ァ ァ ァ ァ ァ ァ
最後の叫びは、鬼の咆哮だった。それと同時に、安西の姿が大きく変容する。
猛獣の牙、狂気に満ちた深紅の瞳、額から生えた角。まさに――鬼。
安西だったモノは、腕一振りで風海をなぎ払って弾き飛ばした。
どこかで照明用のランプが割れる音がして、部屋に火の手が上がった。
「ソノコヲ、コロセ! コロセ! コロセ!」呪文のように言葉を繰りかえす鬼。
その言葉に苦しみながらも、由香利ははっきりと言い放つ。
「自分の息子を愛している!」
拒絶された鬼は、裕介を殺そうと襲い掛かる。鬼の前に、由香利が立ちはだかった。
「安西さん、もう止めて。」その言葉には、鬼と化した安西への悲しみが篭っていた。
同じ苦しさを経験したものだからこそ、紡がれた言葉だった。
その言葉に、鬼の動きが止まった。泣いているのか?
風海は、母子を逃がすために鬼に取りついた。
燃え盛る炎の中、鬼は風海を剥がそうと壁に叩きつけるが、風海は必死にしがみついていた。
そして、建物から逃げる母子を見たとき、彼の身体は宙に舞い、落ちていった。
風海は、右足骨折などで入院を余儀なくされた。あの状況では、軽傷と言っていいだろう。
見舞いに来たゆうかの話では、裕介少年は病院に運ばれるとき、
しきりに『お姉ちゃんはどこ?』と聞いていたという。
安西なら『隣のおばちゃん』と言うはずだ。安西のほかにも、誘拐犯はいたのか?
今度は小暮が見舞いがてら報告にやってきた。
母子はほとんど無傷で助かり、由香利は自ら進んでカウンセリングに通いだしたという。
ただ、安西のほうはケリがつきそうになかった。
斎藤宅に送られたファックスは、鑑定した結果、安西以外の人物が送ったと断定された。
また、廃病院の焼け跡からは安西のブレスレットしか見つからず、
捜査陣の間から「本当に安西がいたのか」という声すらあるらしい。
それともう一つ不可解なことがあった。
捜査一課の名簿には、『道明寺秋彦』なる人物はいなかったのだ。
道明寺は、何者で何のために現れたのだろうか?
安西は普通の人間だった。彼女を鬼にしたのは、周囲の心ない同情心だった。
何の自覚もなく、他者を追いつめる人間。風海は、無性に人間が怖くなった。
(安西ルート終わり、続いて雪村ルートです。)
376 :
流行り神:2009/10/20(火) 10:50:07 ID:+lIODfw+0
2)−2 雪村ルート
思い返せば、由香利の態度は子供を誘拐された親とは思えないところがある。
風海は、道明寺を通じて令状を取り、斎藤家の家宅捜索をおこなう。
しかし、解決につながる手がかりはなく、息子への虐待が判明しただけだった。
二人は、別の観点から犯人像を洗い出し、雪村恭子に行き当たる。
彼女の留守宅から、祐介少年の教科書が見つかる。
風海は、道明寺に雪村のことを伝えて留守宅を出た。
彼女の日記には、雪村と少年の出会いと交友が記されていた。
世間に絶望して引き篭もっていた雪村は、偶然であった裕介に生きる希望を見出していった。
それと同時に、彼の傷から彼が虐待されていることを察知し、
彼の母に義憤を感じていたこともわかった。
道明寺が、雪村宅の家宅捜査の結果を知らせてきた。
雪村宅から、ファックスされた文字と同じ奇妙な文字が書かれたお札が見つかったという。
風海は、小暮とゆうかと一緒に発行元の鬼哭寺(おになきでら)へ向かった。
住職にお札のことを尋ねると、祭っている鬼子母神に由来するものだという。
鬼子母神は、子煩悩な神だったが、人間の子をさらって食べる神でもあった。
釈迦は、彼女の子を一人隠すことで、彼女に子を失った親の悲しみを実感させた。
悪行を悔いて改心した鬼子母神は、子供を守る神となった。
お札の変形「鬼」は、「改心して神になった」=「角がない」ことを示しているという。
柘榴も鬼子母神とは縁が深く、釈迦が鬼子母神へ人肉代わりにと渡した果実が柘榴だった。
「予想外の要求」「鬼子母神のお札」――風海は、誘拐犯・雪村の真の狙いに気づいた。
彼女は、由香利に「自分の子を愛せ」と言いたかったのだ。
寺の聞き込み後、ゆうかは調べごとがあるといって別れた。
警視庁では、道明寺が二人を待っていた。
一時間ほど前、斎藤家に少年本人から助けを求める電話がかかってきたという。
これを機に、捜査本部は雪村を全国指名手配するつもりらしい。
腹を決めた風海は、斎藤宅へと向かった。
(雪村ルート、続く)
377 :
流行り神:2009/10/20(火) 10:52:21 ID:+lIODfw+0
風海は、印南の制止を振り切り、由香利を説得し始めた。
「犯人は、鬼子母神のように改心して欲しいと願っているんです。」
「あの子は私を捨てて別の女に走った男の子供よ、居なくなってせいせいしたわ。」
風海は、口調とは裏腹に、彼女の様子から子供への愛情がまだ残っていることを確信する。
「〔柘榴の実〕で、裕介君が待っています。そして、犯人の雪村恭子も。」
「――――!!」
「雪村恭子」に異常な反応をした由香利は、唐突に〔柘榴の実〕へ一人で行くと言いだす。
風海と印南は、一人か二人の護衛をつけるように説得する。
彼女は、逡巡のあとで風海だけを護衛に指名した。
風海は、印南警部にバックアップを頼み、彼女の車に乗り込んだ。
暗い夜道を、由香利は迷うことなく目的地まできた。
ここはどこだ? 風海が降りたとき、ゆうかが声をかけてきた。
どうやら別口の情報をたどって、ここまで来たらしい。
ゆうかの身を案じて、思わず叱責する風海。ゆうかも、予想外の叱責に素直に謝った。
ゆうかには後から来る応援を待つように言って、彼は由香利のほうへ急いだ。
由香利は、廃墟の前の看板を指差した。
「産婦人科 グラナダ・マタニティクリニック」――その脇に柘榴の実の絵。
由香利が言うには、グラナダは柘榴という意味があるらしい。
彼女は、ポツリポツリと語りだした。
この病院は、極秘裏に代理母出産を請け負っていた。
産めない由香利は、ここに借金をしてまで代理出産を依頼した。
希望どおりに裕介が生まれたが、その時の借金がその後の人生を変えてしまう。
潰れかかるレストラン経営、すれ違う夫婦、調停離婚。
借金は、二年前に焼死した両親が残した死亡保険金でようやく返済できた。
離婚、両親の急死と不幸が続く中、由香利の心に恐ろしい考えが芽吹く。
(息子さえ居なければ。息子は、他人が生んだ他人の子。)
この子は自分の子ではない――だから、たたいても心は痛まなかった。
そう告白する彼女の頬には、一筋の涙が流れていた。本人も気づかなかった涙だった。
風海に指摘されて、はっとする由香利。
気持ちが吹っ切れた由香利は、廃病院へ入っていった。
二人は、ようやく光が漏れる病室にたどりついた。
そこには、凄まじい形相の中年女が、裕介に鎌を突きつけていた。その様は、まさに鬼。
雪村は、すぐに迎えに来なかった由香利に母の資格はないと断罪し、
裕介を出産した自分こそが母親だと言い放つ。
息子に一番知らせたくなかったことを暴露されて、由香利は絶望に打ちひしがれる。
その姿を嘲笑う雪村に、裕介が反論した。
「ぼくのママは、一人だけだもん!」
「……ゆ、裕介っ……っ!」涙を浮かべる由香利。
(雪村ルート、続く)
378 :
流行り神:2009/10/20(火) 10:55:15 ID:+lIODfw+0
その瞬間、雪村が甲高い悲鳴を上げる。
「どうして! みんな、私を存在してはいけないものとしか見ない! 夫もそうだった!」
「どうして、あんな女をママと呼ぶのよ!」
裕介に向かって振り下ろされる鎌。間一髪、風海が少年を助ける。
今度は、由香利に襲いかかった。風海は何度も雪村を羽交い絞めにするが、
そのたびに華奢な中年女性とは思えない力で振り解かれてしまう。
「ママを放して!」裕介は、近くにあったランプを雪村に投げつけた。
雪村に弾きかえされたランプは壁に激突して割れ、炎がとび散った。
火の粉を浴びた雪村は、狂ったように暴れ、取りついていた風海を投げ出した。
病室の窓から放り出された風海は、植え込みの上に墜落。
植え込みのおかげで、九死に一生を得ることになる。
廃病院に火の手が上がったとき、由香利は裕介と離ればなれになっていた。
ひどい仕打ちをした母親。失うことに怯え、我が子を見捨てた母親。
それなのに、あの子はママといってくれた。
「私は、裕介の母親!」由香利は、身体の痛みや炎を省みずに走った。
裕介と再会したとき、由香利は泣きながら抱きしめた。
「ぼくが悪い子だから、泣いているの?」
「違うのよ。あなたが私の子でよかったって、泣いているの。」
逃げる母子の前に、鬼――釜を持った雪村が立ちふさがる。
「裕介は、私の子よ!」
「……」
しばらくして雪村は幽霊のように業火の中に消え、母子の前に道が現れた。
「最後に……お姉ちゃん……笑ってたね。」裕介が小さくつぶやいた。
母子が外に飛び出したとき、廃病院は崩れ去った。
(雪村ルート、続く)
379 :
流行り神:2009/10/20(火) 10:56:12 ID:+lIODfw+0
右足骨折で入院した風海に、小暮が報告を兼ねて見舞いにやってきた。
あの晩、印南たちは、風海の発信機がすり替えられていたためフォロー出来なかった。
いつすり替わったのかは、全く判らない。
それより不可思議なのは、道明寺秋彦。捜査一課の名簿には、彼の名はなかったのだ。
実在しない刑事。彼は、謎の男の関係者だったのか?
送られた二通の脅迫状は、鑑定により安西が出したものと判明。
それ以上のことは、安西が失踪したので判らないという。
最後に、小暮が裕介の手紙を見せた。雪村に渡して欲しいと頼まれたのだ。
便箋には、雪村“お姉ちゃん”を気遣い、また遊びたいと綴られていた。
読み終えた風海は、小暮に焼け跡に埋めて欲しいと頼んだ。
そこへ、犬童警部がやってきた。
彼女は、印南から“無断持出し”した雪村の履歴書を出してきた。
二十年前、夫ともに産婦人科を開業。
不妊治療の限界を感じた彼女は、自ら代理母となった。
二年前、夫がいきなり病院を廃業し焼身自殺する。動機は不明。
自殺する際には、恭子までまきこもうとしたようだ。
焼身自殺の数日前に由香利の実家が焼失したが、
この二つに因果関係は見出されなかったようだ。
「雪村の遺体な、見つからへんかったみたいやで。
もしかしたら、二年前の時に死んどったんかもしれんなぁ」
言いたいことだけをいって、警部は帰っていった。
鬼の目撃談、人並みはずれた力――導き出された結論に、
刑事二人は沈黙するだけだった。
【余談】
・まとめではほとんど良いところがなかった間宮嬢ですが、
本編ではきっちりと働いています。
題名にもなっている「鬼」について学問的に分析したり、
編纂室の“三人目”として聞き込みに従事したりしています。
ただし、思い込みは人一倍強く、本編で主人公が頭をかかる
場面が何度もあったりします(笑)。
・これもまとめでは削除しましたが、ゆうかを叱責する主人公をみた
由香利が笑みを浮かべて「あの子は彼女なの?」と軽く突っ込む場面が、
両ルートにあったりします。もちろん、主人公は慌てて否定してますが。
・雪村ルートで出てきた鬼哭寺とその好々爺の住職は、隠しシナリオの
「退魔師・犬童蘭子」で再登場します。
(第二話『鬼』終了。第三話『名前の無い駅』は近日中に投下します。)
流行り神乙です
たまに出てくる絵がいい味だしてるんだが
怖いよなw
382 :
流行り神:2009/10/21(水) 10:33:17 ID:RNeAObdX0
>>380 レスをありがとう。
怖がりな自分は、「流行り神」初回プレイではPSPの音量をゼロにするのが
デフォルトですw
で、流行り神の第二話にて、重要な単語が抜けているのに
たった今きづきましたorz。
安西ルート中ではだいじな単語だというのに、愚か者!>自分
>>373 (安西ルート)
誤:そして、妹から贈られたブレスレットを肌身離さずつけているという証言も得た。
↓
正:そして、妹から贈られたガーネットのブレスレットを肌身離さずつけているという証言も得た。
ノーバディ。それは良くも悪くも強い心を持つ人物が闇に飲まれ、
心無き魔物ハートレスになったときに生まれる分身。
彼らには「心」というこの世界に存在するものの核というものが無く、世界をただ彷徨う儚い存在であった。
そのノーバディでも特に強い、特別な力を持つ存在で結成された組織、「機関」。
邪悪な闇の探求者、ゼアノートのノーバディである指導者ゼムナスを筆頭に
10数人の強力なノーバディで構成されている。
彼らは姿は人間だが心が無く、記憶を元に感情を模倣する。故に、非情な心無い言動をも容易いとされる。
彼らの目的は世界の心であるキングダムハーツを我が物とし、自らを心を持つ完全な存在と昇華させ、
さらなる強大なチカラを手に入れ、大いなる目的を成すことであった。
その機関にある日新たな同志が現れる。13人目のその機関員・「ロクサス」は世界を背負う勇者の武器、
「キーブレード」を扱う少年であった。
彼の本体は光の勇者「ソラ」。先のキングダムハーツを巡る争乱にて、
ソラがハートレスに一時的になったときに生まれた、特殊なノーバディの中でも
さらに稀有な性質のノーバディであった。
心の鍵とも言えるキーブレードを扱う彼を、狡猾な指導者ゼムナスは機関へといざなう。
まだ生まれ落ちて間もなく、さらにオリジナルであるソラの記憶を持たないため、
情緒をしっかりもてないロクサスであったが、彼の教育係として機関員の一人、bWの「アクセル」が面倒を見る。
いつしかロクサスも精神が安定し、ただの同志以上に、まるで親友のような仲になるロクサスとアクセル。
機関の目的のため、戦うチカラを目覚めさせたロクサスはさまざまな世界へ任務に出かける。
そんな日々を繰り返すうち、機関にまた新たな同志が登場する。
ロクサスに続く14「シオン」。その少女もまた、ロクサスと同じようにキーブレードを扱うことが
出来るノーバディであった。彼女のオリジナルの存在は不明とされるが共にオリジナルの記憶を持たず、
存在の性質が近いためか、ロクサスとアクセルはシオンとも親友として仲を深めていく。
だが、そんな平穏な日々はいつもでも続かなかった。シオンは
突然チカラが失われ休養を求められたりする。
また、逆にロクサスのチカラを犠牲に、吸収してしまったように
チカラを取り戻していると伺えることも起きる。
そんな折、シオンはある任務中、黒いコートを身につけ、機関に成りすます男「リク」に出会う。
彼はロクサスとは別行動の機関員との戦いの末、休眠状態に入った親友ソラを救うため、旅をしていた。
そのソラを目覚めさせるキーパーソンが、ソラの分身であるロクサス、そしてシオンであった。
その頃アクセルはゼムナスの右腕であるサブリーダーのbV「サイクス」から、シオンの正体について
聞かされる。シオンはキーブレードの力を機関が扱うための人形で、ソラの記憶などを
吸収していく機関が創りだしたレプリカ<人形>。
機関の目的のためには「自分達のキーブレード使い」が必要でそのためにロクサスとシオンを手もとに置いた。
シオンがソラの記憶を吸収してロクサス以上にチカラを増せばロクサスは無用、逆も然り。
シオンの例が成功するなら、キーブレード使いを量産できる。
シオンのチカラはとうとうロクサスのチカラをも吸収しそれを上回り、機関上層部はロクサスとシオンを戦わせるように
仕向ける画策。同行したアクセルになんとか止めるが、二人は自身の存在に苦悩する。
そして、シオンも機関の研究施設「忘却の城」にて自分の正体、つまりソラやロクサスの
レプリカということについて知り、また、任務で出逢ったリクや彼の同志でソラの記憶を
修復する少女・ナミネの話から彼らの目的も理解し、自分が成すべきこと、自分の結末を自身の中で確信する。
つまり、自分とロクサスが消滅=ソラにチカラや記憶を還すことである。
たとえそれが、自分の存在の記憶・記録を全て消滅させることでも…彼女は確固たる決意をする。
任務中に反旗を翻し機関を脱走するシオン。
親友のアクセルは彼女を連れ戻そうとするが、もはや彼女の決心が揺るがないようで、失敗。
そしてもう一人の親友であるロクサスも機関に背信、アクセルの制止を払い、機関を抜ける。
ついにシオンに再会するロクサス。シオンはソラの記憶の影響でその顔がロクサスそっくりの少年(=ソラ)となっていた。
シオンは自分のチカラをロクサスに返し、またそのロクサスのチカラをオリジナルである勇者ソラへ戻すこと望み、
ロクサスと刃を交える。
ソラをオリジナルとする二人のキーブレード使いが激突。その末、ロクサスはシオンを彼女の望みどおり討つ。
「キングダムハーツを解放して」と言い残し消滅、否、還っていくシオン。
同時にシオンについての存在の記憶が周囲から消える。
ロクサスは彼女の言葉を胸に、機関の根城、存在しなかった世界へ、自分とシオンの二つのキーブレードを手に舞い戻る。
ロクサス自身でゼムナスの野望を討とうと、不気味なネオン街を群がる敵を蹴散らしながら
機関のアジトである城へと疾走する。
そこで目隠しをした銀髪の黒コートの男、リクが立ちはだかる。
ソラの完全復活のため、ロクサスを親友ソラの元へ連れて行こうと戦いを仕掛けるリク。
今は記憶も消滅した親友シオンの最期の願いを成すためロクサスはリクに刃を向ける。
激闘の末リクを打ち破るロクサスであったが、直後、自身の内に眠る
闇のチカラを解放したリクに捕獲されてしまう…。
――暗い闇の記憶の夢の後、黄昏の町トワイライトでロクサスは目覚める。
楽しい夏休み。ロクサスは町の友人達の元へ走り出す。
物語は、キングダムハーツ2へと繋がる。
このスレの
>>385までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。
ゲームボーイアドバンスのサムライエボリューション桜国ガイストのストーリーをお願いします。
389 :
ゲーム好き名無しさん:2009/10/25(日) 11:20:33 ID:SJA7Tq240
スパロボZクリアしたのですが、次元崩壊とか多元世界とか良く分かりませんでした
らすボスが、あちらの世界の君は、、とか喋っても??です
誰か簡潔に教えてくれないでしょうか?
涼宮ハルヒを知らない人へ。
俺は夢見がちな子供だった。
心の底から、宇宙人や未来人や幽霊や妖怪や超能力や悪の組織が目の前にふらりと出てきてくれることを望んでいたのだ。
俺が朝目覚めて夜眠るまでのこのフツーな世界。それと比べて、アニメ的漫画的特撮的な物語の中に描かれる世界の、
なんと魅力的なことだろう。俺もこんな世界に生まれたかった!
いや待て冷静になれ、仮に宇宙人や(以下略)が襲撃してきたとしても俺自身には何の特殊能力もなく太刀打ちできるはずがない。
ってことで俺は考えたね。
ある日突然謎の転校生が俺のクラスにやってきて、そいつが得体の知れない力なんかを持ってたりして、
でもって悪いやつらなんかと戦っていたりして、俺もその戦いに巻き込まれたりすることになればいいじゃん。
おお素晴らしい、頭いーな俺。
しかし、現実にはそういったことはもちろん起こるはずもなく、中学を卒業する頃にはそんなガキな夢を見ることからも卒業した。
そんな俺は何の感慨もなく高校生になり――
涼宮ハルヒと出会った。
ここで登場人物の紹介をする。
俺はこの物語の語り手だ。みんなから「キョン」と呼ばれているがそれは叔母が俺の名前をもじってつけたあだ名であって、
本名は今のところ名乗るつもりはないから了承してくれ。
俺は後述の奴らと比べれば至って普通の高校生であると自負している。
涼宮ハルヒ(すずみや −)は皆さんご存知のとおり天上天下唯我独尊的なこの物語の主人公だ。
主人公が語り手の俺じゃないってのが、ちょっとややこしいな。
泣く子も黙るSOS団の団長様。いつもみんな(特に俺)を振り回す台風のようなヤツ。
容姿端麗学業優秀スポーツ万能。性格以外は完璧。気の強そうな顔に根拠の無い自信を漲らせている。
古泉が言うには、俺はハルヒに必要とされている特別な存在なんだと。そんならもう少し俺のことを労わってくれよ。
長門有希(ながと ゆき)は一年の文芸部員のはずだがいつの間にかSOS団に入団させられていた。
ハルヒは長門のことをSOS団に不可欠な無口キャラだと言っていたな。
長門の正体は情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。
簡単に言えば宇宙人に作られたアンドロイド。もっと簡単に言うと宇宙人だ。
長門が持っている数々の不思議な能力、そして無感情な話し方は確かにアンドロイドなんだと実感できる。
俺がおかしなことに巻き込まれたとき、いつも助けてくれるのは長門のような気がする。
朝比奈みくる(あさひな −)。その可愛らしい外見からは想像もつかないが二年生。
SOS団には萌えが必要だからとハルヒにマスコット的キャラとして強制的に連れてこられた。
ハルヒにオモチャ扱いされメイドやらバニーガールやらのコスプレをさせられてしまう気の毒なお方。
思わず守ってあげたくなるような愛らしいお姿。朝比奈さんとお近付きになれただけでもSOS団員でよかったと思える。
その正体は未来からやってきた未来人だが、自由に時間移動出来るわけではないらしいので
能力的には普通の人間と変わらない。
古泉一樹(こいずみ いつき)は5月という中途半端な時期に一年に転入してきた。
ハルヒは古泉を謎の転校生キャラだと言ってSOS団に強制加入させた。
成績が良く背も高い。いつも柔和な微笑を浮かべている胡散臭い奴だ。
こいつの正体は超能力者。「機関」という秘密結社に所属しているそうだ。
なんでも、ハルヒの精神状態が不安定になると閉鎖空間が発生してその中で神人(しんじん)という怪物が暴れるんだと。
古泉の能力はその閉鎖空間で神人を倒すことのみにしか使えないらしい。だから普段の古泉はただの高校生だ。
さて、話を元に戻そう。
高校の入学式を終えて自分のクラスに入り、一人一人自己紹介をする。
俺の後ろの席に座っている女子が、後々語り草となる言葉をのたまった。
「東中学出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。
この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
それはギャグでも笑いどころでもなかった。
涼宮ハルヒは常に大マジで心の底から宇宙人や未来人や超能力者といった非日常との邂逅を望んでいたのだ。
のちに身をもってそのことを知った俺が言うんだから間違いはない。
こうして俺たちは出会っちまった。しみじみと思う。偶然だと信じたい、と。
ハルヒはクラスではかなり浮いた存在だった。ポツンと一人で席に座っていつも不満そうな顔をしている。
俺は何度かハルヒに話しかけてみたが、不満の原因は毎日が退屈でつまらないから、らしい。
そりゃそうだ。俺も昔夢見ていたような非日常なんて現実にあるわけがない。
ゴールデンウィークを過ぎたある日、ハルヒはいきなり俺の制服のネクタイをひっ掴んでこう言った。
「どうしてこんな簡単なことに気付かなかったのかしら!ないんだったら自分で作ればいいのよ!」
かくして、ハルヒは持ち前の強引さで「世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団」略して「SOS団」を作ってしまった。
表向きは同好会という名目で、活動内容はハルヒが面白いと思ったことをなんでもやるというものだ。
団長はもちろんハルヒ。メンバーは俺と、強引に連れてこられた長門と朝比奈さんと古泉。
この三人の正体はそれぞれ宇宙人未来人超能力者だということをなぜか俺だけに知らされることとなった。
三人が口をそろえて言うには、ハルヒは特別な存在で、この世界はハルヒを中心に動いているんだと。
だから三人はそれぞれの目的のためにハルヒをこっそり監視するためにハルヒに近付いたのだという。
当然のことながらハルヒに正体をバラすわけにはいかないらしい。
ハルヒがこいつらの正体を知ったらさぞかし喜ぶだろうな、とは思う。
以上。小説「涼宮ハルヒの憂鬱」(全1巻)を相当端折って短くまとめてみた。
細かいことは原典を読む(見る)べし。俺が言うのもなんだが読んで(見て)おいて損は無いと思うぞ。
漫画でもアニメでもいいが小説を是非お勧めしたい。一冊だけですっきりと纏まっているし、
軽妙かつ小難しい俺の独特な語り口が存分に堪能できる。
重要なことはただ一つ。
ハルヒが「そうあって欲しい」と願ったものは本人が知らないうちに実現しちまうってことだ。それがハルヒの特殊能力と言ってもいい。
今回も非日常との邂逅を願ったハルヒの前に長門や朝比奈さんや古泉が現れたが本人は彼らの正体を知らない。
俺はこれ以降もハルヒに、そしてハルヒが願ったものに振り回されることになるのだが――それはまた別の物語。
何?異世界人は出てこないのかって?よくぞ聞いてくれました。
異世界人は実は俺のことだとか、読者諸兄のことだとかいろいろな説があるな。
特にあのプロローグ(上記の冒頭から「涼宮ハルヒと出会った」までの部分)が我ながらいろいろと思わせぶりだよな。
そうそう。大した事じゃないかも知れないが、覚えておいた方がいいことがある。
漫画もアニメも小説も、基本的に俺が知覚できないものは物語にならないって事だ。
考え方を変えれば、俺の身の回りにいろいろと不思議なことが起きるのは俺が存在するからだ。なんか哲学的だな。
この世界がハルヒ中心で回ってるのも実は俺の特殊能力のせいだという説もあるな。
ともあれ新刊が出なくなって数年。不明な点気になる点、伏線になりそうなあれやこれやは回収されないまま残っている。
もしかしたら永遠に答えは出ないのかもしれない。
さて、ゲーム本編の話に入る前に一つだけ。
「エンドレスエイト」という単語を知っていたり、またはその内容を知っている諸兄は
今だけはキレイさっぱり忘れた上で読んでくれることを切に願う。
プロローグ
俺は高校最初の夏休みを順調に消化していた。
ある日のこと、車のボンネットで目玉焼きが焼けるんじゃないかという熱い日差しの中、
俺と妹の二人は涼宮ハルヒに呼びつけられた。
そして我が暴君の招集に応じることを渋々と決意したわけだが――。
「よりによって、こんな場所に集合とはな」
そこは近郊の港だった。豪華客船といった雰囲気の船が係留されている。
「遅いわよ、キョン。団長を一人で待たせておいて、なんとも思わないわけ?」
集合場所には我らが団長、涼宮ハルヒだけが口をアヒルのように尖らせて待っていた。
ハルヒは俺と妹に一枚ずつ紙片を差し出した。そこに泊まっている豪華客船の写真とともに、
オーベロン号ご乗船券一日限り有効の文字がある。出港は今日の10時となっている。
「町内会の福引で当たったのよ。7名様ご招待よ。でももったいないわね。
1枚余っちゃうなんて」
SOS団のメンバーに俺の妹を含めて6人。他の知り合いにも声をかけたが皆都合が悪いとのことだそうだ。
「キョン君、先に行ってるね〜」
妹はとっとと船に乗り込んでしまった。
ああ、紹介がまだだったな。我が妹は幼く見えるがこれでも小学5年生である。
何度か会っているうちに妹は団員たちにすっかり懐いてしまっていた。
こいつが面白がってキョンなどと俺のことを呼ぶからそれが広まり定着してしまったのだ。
悔しいので俺も妹の本名は明かしてやらないことにする。
俺たちも船に乗り込もうと思ったそのときである。
一人の少女が物憂げな表情で船を見上げているのに気付いた。
「何してるのかしら、あの子」
清楚な白の上下(ツーピースっていうのか?)に白い靴の彼女はいかにもお嬢様といった雰囲気だ。
「ねぇそこの人、船に乗らないの〜?もうすぐ出航よ」
突然ハルヒは見知らぬ少女に声をかけた。
「乗れないんです。乗りたいんですけど、でも、チケットが無いんです」
物憂げな表情の中に静かな決意を感じる。何やら彼女には事情がありそうだな。
「この乗船券はあなたにあげる。どうせ一枚余ってたことだし」
「ほ、本当ですか」
ハルヒは少女に乗船券を渡した。ハルヒらしからぬ真っ当な常識人らしい対応に
俺は少なからず驚きを覚えた。まったく、普段からこうならいいんだがな。
「でも、その券で乗船するからにはSOS団の仲間。つまり、団員と同じ扱いってこと」
前言は撤回させてもらう。ハルヒはやっぱりハルヒだ。
「わたし、何でもします。この船に乗れるなら、何でも……」
「時間だわ。さっさと乗り込むわよ」
とまあ、相も変わらず傍若無人なハルヒの一挙一動に振り回されつつ、物語は始まる。
ハルヒの関わる事だ。平穏無事に終わるはずがない。俺だって学習くらいはするのさ。
かくして、涼宮ハルヒを筆頭に掲げ、我らがSOS団の航海は幕を開けたのである。
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第一章
俺たちが乗り込んですぐ、船は港を離れた。まずロビーにやってきて、その広さに圧倒される。
海に浮かぶホテルとはよく言ったものである。まさしくそこは、豪奢なホテルのようだった。
少なくとも俺のような、全身カジュアル男がおいそれと闊歩していい場所には思えない。
「涼宮さーん、キョンくーん!」
こちらにやってくる愛らしいお姿は言うまでも無い、朝比奈さんである。
俺たちが乗り込むのを待っていてくれたらしい。
「えっと、そこの方は……?」
朝比奈さんはハルヒに隠れるように立っている見知らぬ少女を見て首を傾げる。
「あ、申し遅れました。三栖丸(みすまる)ミコトといいます」
「ミコト、SOS団員としての活躍、期待してるわよ」
すまん、三栖丸さんとやら。今日一日だけハルヒの無茶に付き合ってやってください。
「あの、ところでSOS団って何なんですか?」
三栖丸さんは誰でも抱くであろう疑問を投げかけてきた。
「世界にある不思議や面白いことを探して楽しもうという、サークルのようなものです」
的確かつ簡潔に説明する。
「あとでラウンジに集合ね。そこで出航セレモニーがあるから」
ハルヒは三栖丸嬢を引っ張ってどこぞに連れて行った。
「そうだ朝比奈さん、妹を見ませんでした?」
「妹さんなら、甲板の方に行ったみたいですよ」
朝比奈さんの言葉に従い甲板に行くことにする。
いやしかし、外見も相当に巨大な客船だがその中身もよくもまあここまで、
と感心するほど広大に作ってある。俺ですら迷子になっても不思議じゃないね。
それはつまり、妹も迷子になっている可能性があるわけで――。
我が妹はいずこ、と甲板を見回していると、見慣れた二人組を見つけた。
長門は読書中で、古泉は……よく分からん。海でも眺めているんだろうか。
「長門、うちの妹を見なかったか?」
「見ていない」
いつもの無感情な声でそう言うと長門は本に視線を戻した。
「古泉は?」
「妹さんですか?さあ、僕は見ていませんが。ところで、気になりませんか?
このクルーズのこと。この船で今度は何が起きるのでしょう」
まるで預言者みたいな口ぶりだ。こいつの物言いはいつも芝居じみている。
「言いたいことはハッキリ言え」
「もちろん、涼宮さんのことです」
例の願ったことを現実にしてしまうハルヒの特殊能力のことか。
考えたくないね、そんなことは。
「これより、ラウンジにて出航セレモニーを執り行います」
アナウンスが流れて、その話は打ち切りになった。
ハルヒの言いつけに従ってラウンジに集合したわけだが、そこには既に大勢の人がひしめき合っていた。
なんだ、正月の餅投げでも始まるのか?
「これより、本クルーズの主催者であり、本船のオーナーでもある伊集院泰一郎さまに
ご挨拶いただきたいと思います」
船長らしき人に代わって気障ったらしいスーツを着込んだ男が壇上にのぼる。
「やあ皆さん。今日は僕のために集まってくれてありがとう。
最初に言っておくが、このクルーズは僕の婚約者を選ぶためのものだ。
今夜のパーティで花嫁コンテストを開催する。お集まりの淑女諸君は、皆花嫁候補だ。頑張ってくれたまえ」
壇上の伊集院とかいう男をまじまじと眺める。いかにも金持ちというような感じだ。年は俺と同じか少し上……か?
「金持ちのボンボンだか何だか知らないけど、何様のつもりなのよ」
傍らでハルヒが伊集院に悪態をついている。
「確かに、あいつの態度は気に食わないな。どこの誰なんだあのボンボンは」
「あの人は伊集院財閥の御曹司です」
どうやら三栖丸さんと伊集院は知り合いらしい。
「ルールを説明しよう。招待状をお持ちの皆さんはそのままパーティの参加資格がある。
だが、乗船券をお持ちの一般庶民がパーティに参加するためには、参加券が必要だ。
参加券はこの船内のどこかに隠してある。せいぜい頑張って探してくれたまえ。
コンテストで会えることを楽しみにしているよ。ではこれで失礼する」
伊集院は壇上から降り、ラウンジから出て行こうとする。
「待ってください、泰一郎さん!」
三栖丸さんが伊集院を呼び止めた。
「わたしです。三栖丸ミコトです」
「ああ、君か。没落した三栖丸家に招待状を出した覚えなど無いんだが……。
まあいい。せいぜい僕を楽しませてくれたまえ。僕は忙しいから、これで失礼するよ」
伊集院は悠々とラウンジから去っていった。
「やっぱり話も聞いてもらえなかった……」
うなだれる三栖丸さん。
「ミコト、あなた、あのボンボンと何かあったの?」
「はい」
「なるほどね。これは我がSOS団の活躍する、絶好の場面だわ」
ハルヒの目は100カラットのダイヤモンドもかくやという程に輝いている。
やばい。ハルヒがああいう顔をしているときは、ろくなことになった試しがない。
SOS団メンバーは客室の一つに集められた。
「これから洋上緊急SOS団会議を始めるわよ。さあ、ミコト、事情を話してちょうだい」
ハルヒに促され三栖丸さんは話し始める。
「わたしと泰一郎さんは許婚(いいなずけ)の間柄でした。
わたしが小さな頃は、三栖丸家は伊集院家と付き合いがあったんです。
でも、ある時期に三栖丸家は財産を失ってしまって、それを理由に許婚の約束も取り消されてしまったんです」
「ふぅん。でも、あんな無神経なボンボンと結婚しなくて済んだんだから、良かったじゃない」
「泰一郎さんは、昔はあんな独善的な人じゃなかったんです。もっと優しくて、思いやりがあって……。
わたしは今の彼が許せないんです。花嫁コンテストなんて、人を人とも思わないようなことをするなんて。
だから、泰一郎さんと話して、分かってもらおうと思って……」
「それじゃダメね。ああいう手合いはじっくりたっぷりお説教してやらなきゃ、何も変わらないわよ。
そうね、花嫁コンテストの会場がいいわ。ビシッと、人生の何たるかをあいつに説教してやるのよ!」
ハルヒはそう言い切った。
誰よりもまず、人生の何たるかを説教されるべき人物がいることに自覚がないのか?
ないだろうな。あるわけがない。
「いい?全員でパーティの参加券探しをするわよ!」
しかし、あろうことかハルヒの策略に少しだけ乗ってやってもいいなどという
不埒な考えを俺は抱き始めた。
「じゃあ、一休みしましょ。みくるちゃん、お茶入れてくれる?」
しばらくして、
「皆さん、お茶がはいりましたよー」
カップを載せたトレイを持って朝比奈さんがこちらに向かって歩き出そうとした。
そのとき船は揺れカップの一つが床に落ち、割れてしまった。
「あっ、すみません」
「謝る必要はないわ、みくるちゃん。このカップはあのボンボンに請求がいくんでしょうし」
お茶の時間を終えたあと、手分けして参加券を探すことになった。
ハルヒは三栖丸さんと一緒に行動するという。
三栖丸さんが無茶なことをさせられるんじゃないかと心配になった俺はハルヒたちに付いて行くことにした。
さて、今は午後1時。パーティの開始は午後8時。それまでに全員分の参加券が集まるだろうか。
参加券が足りない、なんていう事態になったら真っ先に俺が留守番させられるだろうからな。
俺とハルヒ、そして三栖丸さんは甲板にやってきた。
「あ、あれ、参加券じゃないでしょうか」
三栖丸さんが指差した先の電灯には参加券らしき紙切れがヒラヒラと揺れている。
「でかしたわ、ミコト」
でも、あれじゃ手が届きそうにもないぞ。
「だからあんたが登るのよ」
そうですか。俺は手近なテーブルの上にさらに椅子を乗せてその上に上り参加券を取った。
「はい、ミコト。これはミコトのぶんね。あんたが見つけたんだから」
ハルヒは俺の手から参加券をひったくると三栖丸さんに渡した。
それで、これからどうするんだ?
「とりあえず、部屋に戻ってみましょう」
客室前の廊下に来た。
「ん?今のは……」
角を曲がる怪しい人影がチラリと見えた。
追いかけようと思ったが、
「何やってんの。早く来なさい」
アヒル口のハルヒに急かされ追いかけることは出来なかった。
俺たちは客室に戻った。といってもここは先ほど会議を開いた部屋とは違う、みんなの荷物置き場と化している部屋だ。
床に雑誌が落ちているのを見てハルヒは声を上げた。
ハルヒは荷物が動かされたら雑誌が落ちるように細工をしておいたのだという。
「あたしたちが出て行った後で、この部屋のどこかに参加券を隠したのよ!」
三人で参加券を探すが見つからなかった。
「あの、わたし、どうすれば……」
三栖丸さんが不安げにハルヒを見る。
「ミコトはもう行ってもいいわ。キョン、あたしたちは絶対参加券を見つけるんだから」
三栖丸さんが出て行った後、さらに室内を探す。皮肉にも参加券は床に落ちた雑誌に挟まっていた。
やれやれだ。灯台下暗しというか、盲点というか。
ハルヒは気が済んだらしく部屋を出て行こうとする――が、
「変ね。扉が開かないわ」
「ちょっとどいてろ」
俺は扉のレバーを持って回そうとしたが回らない。どんなに力を入れようとも1ミリもレバーは動かなかった。
鍵を掛けられたとかつっかい棒をしたとかでも、1ミリも動かないというのはおかしい気がする。
「もしかして、あたしたち誰かに閉じ込められたんじゃない?
ライバルを少しでも減らそうっていう魂胆ね。見え透いてるわ。となると犯人はあのボンボンって線が濃厚ね」
ノッてるところすまんが、ここから出ないことにはどうしようもないぞ。
「その通りね。キョン、何とかしなさい」
そう言われてもこの扉はけっこう頑丈そうだ。
テレビドラマでよく見るように体当たりで開けるなどという行為に及べばものすごく痛い思いをすることになるだろう。
どうすればいい、と悩んでいると、ふいに扉のレバーが回り扉が開けられた。
「キョン君、ここにいたんだ〜」
なんと我が妹だ。どんなトリックを使ってこの扉を開けたのかと問い詰めたが妹は普通に開けたのだと言った。
とにかく、助かった。
SOS団メンバーの6人は再び客室に集まった。
「さあ、みんなが集めた参加券を出しなさい」
古泉はラウンジで、長門はカジノで、朝比奈さんはプールでそれぞれ参加券を1枚ずつ見つけてきたらしい。
俺たちが見つけたのは2枚で合計5枚。
かくして案の定留守番になった俺は一人きりの客室でベッドに横になり、やがて睡魔に襲われた。
ハルヒ書いてる人には悪いが、お前にwikiにある愚痴スレを見せてやりたいわ。
ハルヒの人お疲れさまです。
ハルヒをよく知らなくてもわかるように書いてほしいっていう
俺のリクエストどおりになっててうれしいです。
続きもよろしくお願いします。
今日入手したので、未解決にある「アンシャントロマン 〜パワー・オブ・ダーク・サイド〜」を予約します
どなたかPS3
RESISTANCE〜人類没落の日〜
RESISTANCE2
そしてPSPの
RESISTANCE 〜報復の刻(とき)〜
のストーリー、概要を教えて貰えないでしょうか?
もしかしたら3がでるとの噂があり、過去作品の話を知りたくて
このスレの
>>401までをWikiに収録、未解決リストに反映しました。
スレの容量が480KBを超えているので次スレ立てを試みます。
乙っ
>>403 乙。スレ立て規制されててもどかしかったぜ…
では前編から三週間もたったけどHALO2の後編、投下します
こっちに入りきらなかったら次スレに繋げるという事で
LEVEL10~11
帰還し、ハイチャリティと共に新たなヘイローに到着したアービター。だが彼が預言者に呼び出されたとき、周囲の状況は一変していた。ブルート族が預言者の護衛をしていたのである。
何世紀にも渡って預言者の護衛はエリート族にのみ許された特権であったが、悔恨の預言者の死と先のヘイローの喪失により、その名誉にもかげりが生まれたのであった。
この仕打ちに怒りを隠せないアールタス。彼は評議員に訴えると言い、エリート族の評議会からの離脱をちらつかせる。
エリート族への不信と軽蔑を表しつつ、真実の預言者はアービターへ次の命令を与える。オラクルによってもたらされた情報に従い、ヘイローを起動する鍵、インデックスを手に入れよ、と。
マスターチーフ達と別れインデックスを探していたキース中佐とジョンソン軍曹は、ライブラリの最深部に存在したインデックスを確保した。
その一瞬の隙を突きアービターは彼らを制圧、インデックスを持ったキース中佐もタルタロスが取り押さえたのだった。
次に起こった事は、信じられぬ事だった。アービター、たった一人のエリートをとり囲むように、逃がさぬように、威嚇するように動くブルート達。
「能無しのエリートどもには血塗られた運命が待っているだろう」
「預言者殿に知れたら、首が飛ぶぞ」
嘲笑うタルタロスに冷静に対処するアービター、だが次の一言で彼の顔色が変わった。「バカめ、全て預言者様の命令さ」
タルタロスの言葉と攻撃により動きを封じられたアービターは、そのまま、深い深い穴へと突き落とされた。
LEVEL12~15
「これは機械と神経…そして強い意思が備わっている。これは生身の肉体と信仰心。だが…その信仰は惑わされている」
チーフが気が付いた時、彼は巨大な触手に捕まっており、目の前にはさらに巨大な肉塊が存在した。
多量のフラッドが集まった時に生まれる、知識と意思有るフラッド、全ての罪の記念碑、無限に響くコーラス、グレイヴマインド。
落下していたアービターも回収したグレイヴマインドは、二人に対しインデックスの回収を求めた。
デルタヘイロー、05のモニター、2401ペネテントタンジェントと死んだはずの悔恨の預言者を吸収、同化し、グレイヴマインドは、状況の全てを把握していたのだ。
そして当然、リングが起動すれば全て終りだということも。
惑わされた信仰、即ち大いなる旅立ちが救済ではないという言葉に、耳を貸さないアービター。
ならばオラクルにあって確かめよといなしたそれは、二人を別々の場所へ送り出した。
「運命が我々を敵対させた…だが、リングが我々を味方にするだろう…」
ペネテントタンジェントの能力でテレポートさせられたチーフ、彼の目の前に居たのは、二人のプロフェット族。インデックスを文字通り手にしている真実と慈悲の預言者。
慌てて逃げ出した二人を追うチーフは、周囲の異常さに気づく。コヴナントがエリート族とブルート族を中核に、同士討ちをしていたのだ。
追い討ちを掛けるように、ハイチャリティに墜落するアンバークラッドと、そこから湧き出てくるフラッド達。
内戦とフラッドへの対策に追われるコヴナント。それらに助けられつつ、チーフは預言者たちを追い詰めた。
だが降下艇のプラットフォームには真実の預言者も、捕らえられていたジョンソン軍曹とキース中佐の姿もなく、フラッドに襲われ真実の預言者に見殺しにされた、慈悲の預言者の姿だけが存在した。
瀕死の慈悲の預言者は、真実の預言者は地球へ向かったと語った。ヘイローを確保した今、不定な汚れである人類を滅ぼすために。
ハイチャリティの動力部として利用されていた、フォアランナーシップとエリートのシップを除くコヴナントの全艦隊を率いて、慈悲の預言者を見捨てて。
そしてタルタロスはインデックスと二人の地球人を連れ、大いなる旅立ちのためにヘイローへ向かったとも。
真実の預言者を追い地球に戻らねばならない。だがヘイローの起動も確実に止めねばならない。
ジレンマを解消したのはコルタナであった。自分はハイチャリティに残り、ヘイローが起動しようとしたらアンバークラッドを自爆させ阻止しよう、と。
「コルタナ、奴を片付けたら直ぐに…」
「女の子と約束しちゃダメ…特に、出来ない約束はね」
フォアランナーシップに便乗したマスターチーフは相棒であるコルタナと別れ、一人地球へと向かった。
一方、アービターはデルタヘイローの地上部へ送り出されていた。そして気づく、斃れ付す同胞と響く銃声に。
タルタロス率いるプルート族の反乱。いや、預言者の指示によるエリート族への攻撃である。
生き残ったエリート族とエリートに付き従うグラント族、ハンター族に合流したアービターは、ブルート族への報復を開始した。
アービターがアールタスと合流した時、タルタロスがキース中佐を連れヘイローのコントロールセンターに進入するのを二人は目撃した。
センターの扉は分厚い。だがアールタスにはそれを突破する策が存在した。
大型起動兵器スカラベ。ヘイローに下ろされていたこの巨人兵器の主砲ならば、あの扉を突破出来るだろう、と。
「いいか。お前は俺が嫌いだし、俺もお前が大嫌いだ。だが今手を打たなければ、お頭がリングを作動させちまう…そうなりゃ、俺らは全滅だぜ」
エリートとブルートの戦いの隙を突き、スカラベを乗っ取ったジョンソン軍曹。彼はアービターに共闘を持ちかけた。
目的は二つ。ブルートを叩きのめし、ヘイローの真実をオラクルに聞く。アービターに否やはなかった。
コントロールセンターに突入したアービターは、キース中佐にインデックスを挿入させようとするタルタロスに追いついた。
そして問いかける。タルタロスがつれてきたオラクル、ギルティスパークに、ヘイローとは何か、と。
そしてギルティスパークは語る。ヘイローの性能と目的を。
特殊なパルスを発し、数十光年、数百光年単位で全ての知的生命体を殲滅し、フラッド餓死させるための最終兵器だと。
「リングを作った者たちは?フォアランナーはどうなった?」
「万策尽きた後、私の創造主はリングを作動させました。その結果、彼ら及び銀河系の半径三倍以内の全知的生命体は消滅しました…計画通りです」
沈鬱に頭を垂れるアービター、困惑したように顔を見合すブルート達。
「タルタロス、預言者たちは大嘘吐きだぞ!」
「そんなはずは無い!大いなる旅立ちは始まったんだ。そしてエリートではなく、我々ブルートが預言者様と行くのだ!」
オラクルの言葉と周囲の不安を振り払い、タルタロスは中佐に無理矢理インデックスを入れさせる。リングが、起動するのだ。
タルタロスを倒し、キース中佐はリングを止めるためギルティスパークの指示に従いインデックスを抜きさった。
そしてリングが停止…しない。リングは動きを止めず、何かを打ち出した。
困惑する中佐達にギルティスパークは語る。アレはビーコンであり、他のリングとの通信であると。
フェイルセーフプロトコル。緊急シャットダウンが実行されると、全てのリングの全システムは待機状態へ移行し、遠隔操作が可能になると。
そして、遠隔操作ができるのはアークだけであると。「で、一体それは、何処にあるんだ?」アービターが問いかける。
その頃、フォアランナーシップに乗ったチーフは、真実の預言者達とともに彼らの目的地、地球に到着した。
陥落寸前のステーションカイロ、今だ其処に残るフッド卿に、帰還報告をするチーフ。
そこで何をしているのか、問われた彼は答える。「ケリをつけにきました」と。
以上でHALO2終了…なんだが、今投稿始めてからエンディング書き忘れてるという事に気づいた
それは書き終えたらwikiに直接投稿するのでリストでは完結と言う事で
ちなみに日本語版だと最後の台詞は「ケリをつけてきました」になってるんだが、誤訳という話
実際にプレイしてると凄い盛り上がって終るので最初は気づかなかったが、アークの位置も悔恨の預言者の地球到達理由も不明なままだったりする
結局、地球のニューモンバサ近くにアークに至るワープポータルとやら有ったので、それが諸々の理由じゃないか思われます
>>398 あそこは最近スパムしか投稿されてないじゃないか
何だ?もしかしてこれを書いている筆者に文句があるんじゃなくて
涼宮ハルヒシリーズの語り手でみんなから「キョン」と呼ばれている俺自身に文句があるのか?
そりゃ悪かったな
俺のこの語りも涼宮ハルヒシリーズの魅力だから致し方ない
>>399 気に入って頂けたようでなにより
これでいいのかと自問する毎日でしたよ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2nd loop━━━━━
俺たちが乗り込むとすぐに、船は港を出た。
朝比奈さんはロビーで待っていてくれた。ハルヒのヤツは全くいつもの調子で、まあ元気なことだ。
いつの間にか三栖丸さんはSOS団の一日団員になっていた。
……何だ、今の感覚は?
まるで俺一人だけ取り残されたような、それでいて妙に冷めている自分が気にかかる。
俺が三栖丸さんに会うのは初めてか?自問するまでもない。初めてに決まっている。
なのに、なんなのだろう、この違和感は――。
甲板に行き長門と古泉に会い、ラウンジに行って出航セレモニーとやらに出席した後、客室に行く。
ハルヒの顔を見た瞬間、俺はなんとも説明しがたい、不思議な感覚を覚えた。
以前こんな場面を経験したことがあるような気がするが、思い過ごしだろうか?
――思い過ごしだろうな。似たような記憶はそれこそ山のようにある。
だが、何かを思い出せそうで思い出せないような、そんなもどかしさが俺の頭から離れない。
「じゃあ、一休みしましょ。みくるちゃん、お茶入れてくれる?」
しばらくして、
「皆さん、お茶がはいりましたよー」
カップを載せたトレイを持って朝比奈さんがこちらに向かって歩き出そうとした。
そのとき船が揺れたせいで床に落ちたカップの映像が鮮明に俺の脳裏にひらめいた。
一瞬の後、本当に船は揺れた。
考えるより早く俺の手は伸び、落ちていくカップが床に到達する前にそれを受け止めていた。
「やるじゃない、キョン」
珍しくハルヒに褒められているんだが違和感にとらわれている俺はうれしくもなんともなかった。
「知っていたから」
長門がふいに口を開いた。
「カップの落下を事前に予測したから。その結果、受け止めることが可能」
何だって?俺がカップが落ちることを知っていた?
結局カップのことはうやむやになってしまい、俺はそれを偶然だと自分に無理やり言い聞かせることにした。
手分けして参加券を探すことになり俺はハルヒと三栖丸さんについていくことになった。
甲板で一枚目の参加券をゲットする。
それで、これからどうするんだ?
「とりあえず、部屋に戻ってみましょう」
「ちょ、ちょっと待った」
思わず引き止めてしまったが、俺は何をしたいんだろう。
「キョン、あんたさっきから変よ?はっきり言って、不審人物ね」
んなことは俺だって解っている。しかしこの違和感というか、気持ち悪さというか――
そう、まるで心のどこかが警鐘を鳴らしているかのような感覚。
「あの、どこか、具合でも悪いんですか?」
三栖丸さんが俺のことを気遣ってくれる。待てよ、そうか。
「ちょっと船酔いしたみたいだ。医務室で酔い止めをもらって来ようと思うんだが……」
医務室に行き、船医から酔い止めをもらって飲みはしたが、もちろん俺は船酔いなんかしていない。
何故か無性にこのまま戻れないと感じてしまった。さて、弱ったな。この後どうすればいいのやら。
不機嫌そうなハルヒと不安げな三栖丸嬢の視線を背中に受けながら俺は途方に暮れた。
そもそも自分が何故仮病を使ってまでこんなことをしなければならないのかすら理解不能なのだ。
「あ、キョン君みっけ〜」
なんだ妹か。
「ねーねー、アイス買って〜」
いきなりそれかよ。こうなると言い出したら聞かないからな。
俺はハルヒと三栖丸さんと別れ妹を連れてレストランへと向かった。
妹にアイスを買い与えた後、長門と会ったので二人で参加券を探すことにした。
長門と二人でカジノへ行く。
「いらっしゃいませ。こちらはご家族で楽しめる健全なカジノとなっております」
船員さんの説明を聞く。この船の乗客は一人につきチップ100枚がもらえるらしい。
それを使ってゲームを楽しむわけだが、稼いだチップは換金は出来ず景品と交換するらしい。
景品には何があるのかと見てみると、なんとパーティ参加券があった。
俺はさっそくチップをもらい、多少は自身があるポーカーをすることにした。
小一時間が過ぎた頃、俺のチップの山はほとんど無くなりかけていた。
俺の方に何がしかの役が出来たとしても、ディーラーの方がそれ以上の役で上がってしまう。
そうだ。長門がいるのをすっかり忘れていた。
「長門、教えてくれ。どうすれば勝てる?」
「今まで出されたカードを全て覚えれば、次に来るカードの予測が可能」
そりゃそうだろうよ。そんな芸当が出来るのは長門、おまえだけだ。
「代わってくれ、長門。俺には無理だ」
長門に交代してゲーム続行。長門は機械のような正確さで勝ち続けていって、
俺の負けを取り戻しさらに参加券と交換するのに必要なだけのチップを稼ぎ出した。
ディーラーに少々申し訳ない気がしたが、まあいいか。参加券が手に入ったんだし。
SOS団メンバーの6人は再び客室に集まった。
「さあ、みんなが集めた参加券を出しなさい」
古泉はラウンジで、朝比奈さんはプールでそれぞれ参加券を1枚ずつ見つけてきたらしい。
ハルヒと三栖丸さんは甲板で見つけたのが1枚と、もう一つの客室で見つけたのが1枚。
さっき長門と俺がカジノでゲットしたのが1枚で合計5枚。
かくして留守番が決まった俺は失意のうちに廊下へ出た。
「キョン君、どうしたの。元気ないよ」
ああ、妹よ、兄は不公平な世の中にちょっとばかり文句を言っていただけだ。
「んー、わかんない。ねえ、キョン君はパーティに行かないの?」
参加券がないんだよ。
「そっかー。じゃあ、これあげる。アイス買ってくれたお返しだよ」
妹が差し出したのは紛れもない、パーティ参加券である。
でもこれをもらったら、お前がパーティに参加出来ないだろ?
「だいじょーぶだよ、ほら!」
十数枚はあろうかというほどのパーティ参加券を俺に見せる妹。
いったい、俺たちの苦労はなんだったんだろうね?
最後の一発大逆転により6人全員でパーティに出席できることになった。
勢いこんでパーティ会場であるラウンジに乗り込むが、
「優勝はエントリーナンバー14番の方です!!」
壇上の司会者らしき人がマイクに向かってそう言うのが聞こえた。花嫁コンテストは終わろうとしていたのだ。
「そこのボンボン!どういうことなのよ、これって!」
掴みかかりそうな勢いでハルヒが伊集院に言う。
「少々退屈だったのでね。パーティの時間を早めたんだ。君たちの所にも連絡が行ったはずだが、どうやら手違いだったようだね。いや、済まないね」
なあハルヒ、これってもしかして……。
「そうよ。あのボンボン、わざとあたしたちに知らせなかったのよ!」
これは予想の斜め上を行く展開だな。やれやれだ。もはやどうしようもない。
クルーズは終了し、俺たちは港に下ろされた。怒りがおさまらないらしいハルヒを朝比奈さんと古泉がなだめている。それを少し離れたところで眺めている俺と長門。
「なあ、長門。一つ聞いてもいいか?」
「なに」
「朝比奈さんがカップを落としたときのことなんだけどな。俺は今日一日、ずっと妙な感覚があったんだ。
あのとき俺は朝比奈さんがカップを落とすのを知っていたような……。今日という一日を前にも一度経験したようなことがあるような……」
「今回が769回目」
な、なんだって?今、何て言った?
「同一時間のループを確認」
じゃあ、俺が今日一日感じていた既視感は気のせいじゃなかったってことか?どうしてそんなことになっているんだ?
「涼宮ハルヒの能力の影響と推測される」
確かにそんなトンチキな現象を起こすのはあいつだと決まっている。しかし、どうしてハルヒがそんなことをする必要があるんだ?
「理由は現段階では推測しきれない。涼宮ハルヒの無意識下で発生している現象だと思われる」
ハルヒ自身も時間がループしてることに気付いてないってことか。考えてみれば、あいつは自分の特殊能力のことを知らないんだったな。
「待て、長門。お前はこのループに気付いていたのか?」
数ミリ単位で長門の頭が縦に動く。肯定の意味だ。
「最初の一回目から?」
また肯定。
「だったら何で言わなかったんだ」
「聞かれなかった」
そりゃそうだろうな。何しろ、俺は今初めてループに気付いたんだから。
「もしかして、ループ開始地点に戻ると、ループに気付いたってことも忘れちまうのか?」
「そう」
なんてこった。同じ毎日を延々と繰り返すだけの日々。永遠に明日は来ないのか?
「長門、聞いてくれ。俺たちがこのループを抜け出すのに協力してくれないか」
「涼宮ハルヒが同一時間をループさせている理由を突き止めることが必要。それを解消することにより、ループから脱出できる可能性が高い」
ハルヒが時間をループさせているとしたら、それはハルヒが望んだことということになる。おそらく、ハルヒはこのクルーズに満足していないんだ。
だから、今日という日が何度も繰り返される。ループから抜け出すにはハルヒを満足させてやればいい。でも――記憶がなくなっちまうってのは厳しいな。
「ループの開始地点でナノマシンを直接注入することにより、現在の記憶の持越しを行うことは可能」
どういう理屈かは解らんがそれに賭けるしかない。
「長門、それを頼めるか?」
「わかった」
「ちょっとキョン、聞いてるの?」
寺院にある金剛力士像のような凄まじい形相でハルヒが俺に近付いてきた。
「あのボンボン、今度会ったら絶対改心させてやるんだから!って言っても、もう会うこともないのかしら。そう思うとますます悔しいわ!」
果たしてそうだろうか。長門が言う通り時間がループしているならば、また伊集院や三栖丸さんと会うことになるんじゃないのか?