【ゾンビか】バイオ小説創作スレFILE5【ガナードか】
初めて来ますた。
職人さんガンガレ!子供達諦めるな!
103 :
Y:2008/03/22(土) 12:04:39 ID:8rznVv8X0
アーサーとクラインは階段を二段飛ばしで駆け上がり、職員室に飛び込んだ。
「! アーサー先生。外の様子はどうでしたか?」
バーグレーが尋ねる。
「殺人鬼達が……校舎に入ってきました。ここにもすぐに奴らが来ます!」
「殺人鬼!?アーサー先生、冗談は止めてくださいよ」
「ラルフさんが奴らに殺されたんです。このままでは生徒達が危険だ。早くどこか安全なところへ…」
そのとき、職員室の扉がバタンと開き、廊下で様子を見ていたクライン先生が入ってきた。
「あいつらが来ました!早くカギをかけるんだ!」
入ってきた扉の鍵を閉めながらクラインが叫ぶ。
「こちらのカギはもうかけてある!皆さん部屋の真ん中に集まって、扉の近くにいかないように!」
ビタンと大きな音がして殺人鬼たちが扉に張り付いて体当たりを始めた。
その顔は血まみれで目の焦点があっていない。
アーサーは危険を再認識した。
他の教師―リドリー、バーグレー、クライン、ニールセン、モーレス、サンドラ―は
呆然とした顔で扉を叩き続ける人たちを見ている。
「バ、バリン先生!?」
バーグレーが素っ頓狂な声を上げたと思ったら、ふらふらと扉に近づいていった。
「開けちゃダメです!バリン先生がいるはずがないでしょう!」
(そういえばラルフさんも教頭を見たと言っていたな…しかしそんな…)
「いや、確かにいたんだ…」
バーグレーが呟きながら扉のカギに手を延ばす。
「開けさせるな!」
アーサーが走り、それにサンドラも加わった。
だが、もう遅かった。
104 :
Y:2008/03/22(土) 12:07:21 ID:8rznVv8X0
カチャンと音がしてカギが開いた。
サンドラとアーサーがバーグレーを扉から引き離したのはその一秒後であった。
サンドラがカギを再度閉める前に殺人鬼たちが部屋になだれ込み、扉の前にいたサンドラと逃げ遅れた
バーグレーを飲み込んだ。
サンドラとバーグレーに喰らいついたおかげでアーサーは間一髪危機を逃れた。
群れの中から二人の絶叫が聞こえ、リドリーとニールセンが悲鳴を上げた。
殺人鬼たちは開いた扉からどんどんと室内に入ってきている。
二人の肉を食いそびれた奴らがこちらに向かってきた。
「来るな!」
そう叫び、モーレスが椅子を投げつけたが、殺人鬼たちはまったく動じていない。
「校長室の方から逃げるぞ!」
アーサーが大声を上げ、隣にいたバレンタインの腕を掴んで走り出す。
モーレスとニールセン、クラインもそれに続いた。
職員室と校長室は隣接しており、職員室内にある扉から簡単に行き来できる。
もちろん、校長室側の出入り口に奴らがいないとは言い切れないが、今ここにいるのは死を待つだけだ。
「キャアッ!」
校長室への扉を開けたとき、ニールセンの悲鳴が聞こえた。
振り向くと、床にうずくまっている彼女の姿があった。躓いたのだ。
そこに殺人鬼たちが群がり、彼女を食い始めた。
「痛いっ!ぎゃあアアッ助けて!!」
聞き取れたのはここまでだった。あとに聞こえたのはこの世のものとは思えない悲鳴だけ…
アーサーたちはその光景を呆然と―と言っても数秒ではあるが―眺めていた。
「ぼーっとするな!早く行け!」
モーレスが叫んだ。その声で覚醒したアーサーは泣いているバレンタインを引っ張り、また走り出す。
105 :
Y:2008/03/22(土) 12:08:14 ID:8rznVv8X0
「奴らがいても強行突破するぞ!」
アーサーたちは校長室に飛び込み、すぐさま廊下側の扉を蹴り開けた。
幸い、まだ奴らは職員室の扉に群がっており、校長室の方には誰もいなかった。
しかし、生者を見つけた何人かがこちらに向かってきた。
「どこか安全なところへ逃げるんだ!」
後ろでクラインが叫ぶ。
アーサーはがむしゃらに走った。
奴らがいたら方向を変え、階段を上ってまた走り…
3Fの廊下を走っているときにはもうリドリーは泣き止んでいた。
「アーサー先生、もう…大丈夫です…一人で走れます」
ぜぇぜぇと息をしながらリドリーが言った。
「リドリー先生、ここは安全そうです。しばらく休みましょう」
言いながら、アーサーは社会科室の扉を開け、中に入った。
――消えた4時間目は社会の授業だった。
106 :
Y:2008/03/22(土) 12:10:40 ID:8rznVv8X0
うp遅れて申し訳ありません。
これからもスローペースになるかもしれませんが、必ず完結させます。
誤字・文才の低さを生暖かい目で見ていただければ幸いです。
GJ!
スローペースなのは気にせずこのまま行っちゃってください。
物語の展開が丁寧に描かれててイイと思いますよ。
108 :
ゲーム好き名無しさん:2008/04/01(火) 08:40:45 ID:3KnDT+wYO
保守
保守の代わりに・・・
------------------------------------------------------------
シンディは夢を見ていた
バーの客との他愛ないジョーク
休日のショッピングセンターでぶつかった風船を持った子供
プランターのハーブを食べてしまった近所の猫
地味だけど今思うと幸せだった
とてもとても遠い日々
気が付くと猫が足元をぐるぐる回っている
子供が遊びに行こうと手を引っ張る
バーの客が振り向く
その目は白く濁っていた
息は腐った臭いがする
客は手を伸ばして近寄ってきた
大きな音とともに客だった怪物は砕け散った
猫が、子供が微笑んでいる
行こう
シンディは足を踏み出した
外はまだ暗かった
ほんのひと休みのつもりがすっかり寝込んでしまったらしい
行かなくちゃ
重いザックを背負って立ち上がる
まだ終わりじゃない
わたしにはまだできることがあるはずだから
E N D
110 :
ゲーム好き名無しさん:2008/04/25(金) 02:04:03 ID:7XbeLVWWO
ほし
111 :
名無しさん@全板トーナメント開催中:2008/05/01(木) 23:00:09 ID:NjkoROX2O
ほしゅ
112 :
Y:2008/05/06(火) 14:33:04 ID:5R9VdaQj0
エンリケの長い長い話が終わり、改めて今後の行動について話し合った。
議論の結果は全員一致で、
「職員室にある電話を使って助けを求める」
事になった。
電話が設置されている部屋は他にもあると思うが、実際に見たことがないのでアウツ。
進路指導室や保健室などにはありそうだが、わざわざそんなところに行く必要はない。
さらに、職員室には特別室のカギも置いてある。
警察に通報すればすぐに助けは来ると思うが、万が一の為だ。
助けが来るまでどこかの部屋で身を潜めていれば良いだろう…
議論が終わった後、皆で理科室内を物色した。
探索中は皆無言だった。できるだけ物音を立てないように物漁りをしていると、
3時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。
「そっか…もう11時半か」
「もういいよな、武器はたくさん見つかったんだから。一旦戻ろう」
フレッドとアルは準備室の探索を切り上げ、理科室に戻った。
「そっちはどうだった?」
「武器になりそうなのはこれぐらいしかなかったよ。やっぱり準備室のほうが色々あるんじゃないか?」
ホウキと棒切れ数本―モップの先を外したものだ―を並べながら答えた。
「これみろよ、すごいぜ」
フレッドが2段式のワゴンを転がしながら部屋に戻ってきた。
ワゴンに積まれているのは大量のアルコールランプだった。
「すごいなぁ…何個くらいあったんだ?」
「ざっと40個。ライターとマッチも見つけてきた。これ以外は特に使えそうなものはなかったな。
薬は沢山あったけど、俺たちには何がなんだか分からないし」
「でも、こんなのを投げてたら火事になっちゃうぞ」
自慢げに話しているフレッドにエンリケが突っ込んだ。
「大丈夫だよ…大体そんな危険なものだったら実験になんて使わないって。ゾンビが灰になる頃にはもう火も消えてるさ」
エンリケはフレッドの話を聞かずに道具をまとめ始めた。
113 :
Y:2008/05/06(火) 14:33:52 ID:5R9VdaQj0
探索が終わってから数分後、出発の準備が整った。
テッドとフレッド、アルはホウキと棒切れで武装し、
エンリケとラリィは片手にアルコールランプ1つと火種、それに追加のランプを5個ずつ袋に入れて携帯した。
もちろん、中身が出ないようにテープでフタのまわりを封印してある。
出発前にエンリケを中心として作戦会議をした。
まず、テッドたちホウキ隊に顔を向けた。
「映画ではゾンビの弱点は頭なんだけど、僕らは銃を持ってないからまともに相手をしちゃだめだ。
邪魔な奴だけをどかすだけでいい」
テッドは強く頷いた。エンリケは次にラリィをみて、
「ラリィ、アルコールランプは危険だから極力使わないようにする。本当に危ないときだけ使うんだぞ」
「うん、わかったよ」
ラリィが小さく頷いた。
「よし、じゃあ作戦会議は終わりだ。…絶対に死ぬなよ。みんなでここから逃げよう」
テッドは言い知れぬ不安を感じていた。
警察は本当に助けに来るんだろうか?
街の方もゾンビだらけになっていて、大混乱になっているのでは?
何より非常事態にもかかわらず、どこかまだゲーム感覚…緊張感に欠けているこの空気が不安だった。
地獄ようなサバイバルが今、始まった。
114 :
ゲーム好き名無しさん:2008/05/13(火) 12:39:12 ID:/iNosqVwO
保守
☆
100時字までの制限を付けようかなと考えています。
117 :
ゲーム好き名無しさん:2008/06/16(月) 19:54:18 ID:NQDBjV7PO
保守
119 :
Y:2008/06/29(日) 22:01:47 ID:QB4Oc2zi0
テッドが理科室の引き戸を少し開け、廊下の様子を伺った。
「奥のほうに数人いるだけだ。出よう」
5人は静かに理科室を出て、忍び足で廊下を進みだした。
いつもは何気なく通る廊下が異常に長く感じられた。
それにしても今日は暑い。
9月も終わりだと言うのに、天気予報では最高気温が29度と言っていた。
廊下を歩く五人は皆顔に汗を浮かべ、着ている服はべったりと肌に張り付いている。
階段までもう2・3メートル…その時だった。
「あっ」
思わず声が出た。
十字に分かれている廊下の左側からぬうっと男が出てきたのだ。
服は血に塗れ、今にも倒れるんじゃないかと思うぐらいの足取りは映画で見たゾンビそのものだった。
焦点のあっていない目がテッドたちを見つけ、唸り声を上げながらをあげながらゆっくりと近づいてきた。
「うわあぁぁああ!!」
後ずさりながら、ラリィが悲鳴を上げた。
その声に反応し、廊下の奥にいた何人かがこちらに向かってきた。
「横をすり抜けよう!1・2…3!!」
エンリケの合図で5人は一斉に走り出した。
120 :
Y:2008/06/29(日) 22:06:34 ID:QB4Oc2zi0
良かった、奴らはいない!
階段を駆け下り、途中の踊り場で廊下にゾンビがいないことを確認してから一気に職員室に駆け込んだ。
室内に飛び込み、すぐさま扉を閉め、錠をかける。
周りを見渡し、ゾンビがいないことを確認した僕達は心のそこからほっとした。
「だれもいないな」
フレッドが荒い息をしながら言った。
ひっ、と小さな悲鳴が聞こえた。ラリィだ。
「これ、血じゃ…」
扉付近の床は血の海だった。
給食当番のときに、スープで満たされた容器を倒してしまい、
中身を全部ぶちまけてしまったときのことを思い出した。
思わずそれを思い出してしまうほどの血の量だった。
それを見てエンリケが小声で言った。
「誰かがここで殺されたんだ。それで生き返って…
だから死体がないんだよ」
誰かが殺されたって、まさか先生が!?
いや、たまたま職員室に来ていた生徒かもしれない…
そうだ、今はそんなことを考えてる場合じゃない。警察に電話をかけなければ。
僕は一番近いデスクの電話の受話器を取り、警察の番号を叩いた。
番号を押してすぐに待機音が鳴り始めた。
他のみんなも行動を始めた。
アルとフレッドは特別室のカギを取りに、職員室の奥へ進んでいった。
その場に留まったエンリケは、周囲を警戒している。
ゾンビが現れたらすぐに知らせられるようにするためだ。
「ぼ ぼくも家に電話するっ」
ラリィが別のデスクにおいてある受話器を取り、番号を叩き始めた。
どこの番号かはなんとなく想像はつくが。
121 :
Y:2008/06/29(日) 22:35:56 ID:QB4Oc2zi0
ルルルル…ルルルル…
何コール目だよ!?
テッドは心の中で毒づいた。
まだ、待機音が鳴り始めてから1分も経ってないが、警察とかならすぐに電話に出るはずだ。
「つながらないのか?」
エンリケが不安そうな顔で尋ねてきた。
「押し間違えたかも」
一旦電話を切り、もう一回…今度は慎重に警察の番号を押した。
さっきは慌ててたから番号を押し間違えてしまったのだ。
きっとどこかに繋がってしまったんだろう、と自分に言い聞かせた。
再度、待機音が鳴り始める。
しかし、誰も出ない。
それを察したエンリケが言った。
「救急は!?」
僕はエンリケに返事もせずに電話を切り、乱暴に番号を叩いた。
ブツッ
「出た!」
喜びのあまり、つい大きい声が出てしまった。
122 :
ゲーム好き名無しさん:2008/06/29(日) 22:36:26 ID:QB4Oc2zi0
《こちらは救急対応司令部です》
若い男が電話に出た。
「もしもし、もしもし!学校が大変なことに…」
テッドは状況を説明しようとしたが、それを遮るように男が話し始めた。
《……現在、ラクーン市全域で大規模な暴動が多発しております。その為――》
「は?なんだよそれ。何なんだよ!?」
「どうした?なんて言ってるんだ??」
不安そうにエンリケが聞いてきた。
「留守電だったよ…」
「え…」
「ラクーン全体で暴動が起きてるって…救急隊も全部出ちゃってるんだ」
嫌な予感が的中してしまった。
隣のデスクでは、ラリィがガチャガチャと受話器を置いては取ってを繰り返して
いるが、全く気にならなかった。
というより、街全体で暴動が起きている事がショックだった。
一体僕たちはどこに逃げればいいんだ!
「じゃあ学校だけじゃなくて街のほうにもゾンビが…!」
エンリケもそこまでは考えていなかったらしい。
顔には一旦引いたはずの冷や汗が、見る見る浮いてきていた。
そのときだ。
職員室の奥へと慎重に歩を進めていたフレッドたちの悲鳴が聞こえた。
お、続きがアップされましたね乙です。
だいたい月イチペースのようですのでまた来月覗いてみます。
124 :
Y:2008/07/01(火) 21:28:55 ID:oeLRZotJ0
毎度毎度書くのが遅くてすいません…
文章力無さ杉て泣けてくる
125 :
ゲーム好き名無しさん:2008/07/18(金) 05:22:07 ID:qmo3Fh6BO
保守
126 :
ゲーム好き名無しさん:2008/08/01(金) 16:45:23 ID:puKBqLOX0
>>124 すごく面白い。
ただもう少し早く書いてくれるとうれしいw
127 :
Y:2008/08/08(金) 21:39:55 ID:qz4f/j8w0
フレッドは今まで生きて来た中で、一番気持ち悪いモノを見ている。
一年生の時に、樹に張り付いた毛虫にふざけてデカい石をぶつけた事があった。
毛虫は石と樹皮にサンドイッチにされ、緑色の体液をぶちまけて死んだ。
最初は面白半分でやったことだったが、潰れた毛虫を見ているうちに怖くなり、その場から逃げた…
あの時みたいに今すぐにでもここから逃げ出したい。
安全な場所があれば、だが。
「フレッド」
後ろから声が聞こえた。
悲鳴を聞き付けて、テッドとエンリケがやってきたのだ。
「何かあったのか……!!…これって…!」[それ]をみた途端、二人の表情が固まった。
128 :
Y:2008/08/08(金) 21:40:58 ID:qz4f/j8w0
女性が床に仰向けの状態で倒れていた。
身体の至る所を食いちぎられた様な跡があり、特に腹部に至っては内臓が飛び出している程だった。
それが死んでいるのは小学生であるテッドたちも即座に分かった。
「この服…ミリー先生だよな…」
アルが続ける。
「他の先生たちもゾンビに殺されたんだ!もう、どおすりゃいいんだよ!」
俺は反射的にアルの胸ぐらを掴んだ。
「うるせえぞ、アル…先生が皆死ぬはずねえだろ!この野郎!」
「フレッド、やめろよ!争ってる場合じゃないだろ!皆を探しにいくんだろ!?」
「ミリー先生もすぐにゾンビになる!はやく、鍵だけとって出るぞ!」
割って入ったのはテッドとエンリケだった。
そうだった…!
さっき聞いた話をもう忘れていた。
ゾンビに噛まれたら、そいつもゾンビになる。
ゾンビになったミリー先生なんて…俺は絶対に見たくない!
129 :
Y:2008/08/08(金) 21:48:05 ID:qz4f/j8w0
「悪い…アル。俺がどうかしてたよ」
そう言い、シャツから手を離した。
「ごめん、俺もパニくってた」
アルはそう謝るつもりだった。
だが、自分の真後ろで物音が聞こえ、喉まで来ていた言葉を唾と一緒に一気に飲み込んだ。
腸が飛び出ている人間がいきているはずがない。
眼球がえぐられ、そこから血の涙を流している人間がいきているはずがない。
それなのに。
絶対に死んでいるはずなのに。
ミリシア・ニールセンは起き上がり、ギクシャクしながら体勢を整えた。
食べ物は?
たっぷりある。
彼女はかつての教え子を喰うために、歩き出した。
130 :
Y:2008/08/08(金) 21:49:30 ID:qz4f/j8w0
>>124 本当に申し訳ないです…
今月はもう一回UPできるように頑張ります。
131 :
X:2008/08/11(月) 14:27:43 ID:xfqC8MVK0
どうも。バイハで検索してたら偶然ここにたどり着きました。ちょっと暇なので、駄作でよければ書こうかと思います。良かったら感想プリーズ。
あ、後2chへもカキコはこれが初めてだったり。
132 :
X:2008/08/11(月) 14:56:38 ID:xfqC8MVK0
最初はアウトブレイクから。
【あるハンターの話】
俺に名前は無い。ただ、一部の奴らが俺の仲間を含めて<ハンター>と呼んでいた。ニンゲンと呼ばれる奴らがそう呼んでいる。
俺がやることは大して変わり映えが無い。仲間以外の動く物を殺すだけ。しかし、最近それに疑問を覚えてきた。
イヌとかいう生き物や、カラスとかいう生き物はまぁいいとしよう。奴らは死ぬときに大きな声を出すだけだ。しかし俺達が主に狩っているニンゲンという生き物は違う。死ぬときに様々なことをするのだ。
「助けてくれ!!」と大声で叫んでくる奴。こいつはイヌとかと変わらない。
「逃げろぉ!!」他のニンゲンを助けようと叫ぶ奴。自分が殺されると分かっているからだろうか。それとも仲間が助かることを確信したのだろうか。こいつ等は妙な顔をして死んでいく。何故だろう。こいつ等の顔を見ると胸ん中が変な風になる。
「おおおおお!!!!」囮になって向かってくる奴。こいつ等は手強い。死ぬことを覚悟して向かってくるから、物凄く強い。後、こいつ等も死ぬときに妙な顔になって死んでいく。
何故なのだろうか。様々な人間の死を見ていくうちに、俺は段々とニンゲンを殺すのが嫌になっていた。
仲間に話そうにも、俺以外の仲間は口を聞くことすら出来ない。叫んだり、俺の指示通りに動くことはできるのだが、ニンゲンのように会話をすることは出来なかった。どうやら俺が特別なようだ。
しかも最近、俺は頭が痛くてしょうがない。時たま頭痛と一緒に変な物が見えることもある。
一体何だってんだ? 何で俺だけなんだ? と言うか俺は一体何なんだ?
様々な疑問が浮かんでは消えていく。しかし、どれにも答えることが出来ない。俺はいつしか震えていた。
誰か・・・俺に教えてくれ・・・・・・。
133 :
X:2008/08/11(月) 17:06:59 ID:xfqC8MVK0
続き行きマース。
【あるハンターの話】その2
俺は血や死体、事故車が散乱する町を1人(いや1匹か?)で歩いていた。
いつもなら、指示出しや狩りのときの効率を重視して何匹かの仲間とともに獲物を探しているのだが、今は違った。
話掛けても何も返さないあいつ等といると、自分には仲間がいないように感じてしまい、どうしても一緒にいることが出来なかった。
幸いにも他の仲間は俺が離れていっても何の反応も示さず、俺は簡単に1人になれた。しかし、仲間と思っていた奴らから何の反応も無かったとき、俺の胸の奥に少し痛みが走った。
俺はそのことを頭から振り払おうと勢い良く頭を振り、取りあえず回りを見ることにした。
俺は町の通りを歩いている。道路には行かない。時々車と言うやつが来て危ないからだ。
前を見ると、体の所々が腐っているニンゲンが突っ立っていた。あれは確かニンゲン達が<ゾンビ>と言っていたやつだな。こいつ等は少しメンドイ。首をぶった切るか頭を文字通り真っ二つにしない限りくたばらないからな。
ゾンビとかいうやつは、俺の存在に気が付くとのろのろとおぼつかない足取りでこちらに近寄ってきた。俺はその場で飛び上がり、ゾンビの頭上まで近づいたところで自慢の爪を振り下ろした。
134 :
X:2008/08/11(月) 19:17:03 ID:xfqC8MVK0
変なとこで切ってしもたーーー!!
取りあえず続き逝きます・・・。
【あるハンターの話】その2
「いよっと・・・。」
俺は最後に残っていたゾンビに近づくと、右手の爪で首を切り落とした。切り落とされた首は地面へと転がり、ゾンビはそのまま崩れるように倒れた。
俺はこれ以上ゾンビがいないのを確認すると、爪に付いた血を振り落とす。こいつ等は血があんまり出ないから、俺には返り血は少しも付いていない。ただ、ちょっと問題が起きてる。
「あ、ああ・・・・。」
ニンゲンの女が俺の後ろにいるのだ。
実は最初のゾンビをぶった切った後、10数匹ほどのゾンビの群に追われてこいつが走ってきたのだ。無視するのも何だったので、取りあえず助けたのだが、俺を見て随分と怯えていらっしゃる。
まぁ緑色のごつごつした肌に、爬虫類みたいな顔。血まみれの鉤爪を持ってる俺を見たら誰でもビビるか。
・・・とりあえず、どうしよう?
136 :
X:2008/08/11(月) 22:54:24 ID:xfqC8MVK0
また間違えてもたーーー!! その2が二つあるーーー!!!
と、取りあえず前回の134は「その3」ということにしといてください・・・。
137 :
X:2008/08/11(月) 23:14:20 ID:xfqC8MVK0
それじゃ続きです。
【あるハンターの話】その4
ん〜取りあえずニンゲンがやってるみたいに話しかけてみるか。俺はそう考えると彼女に近づいていく。
「!? こ、こないで! あっち行って!!」
俺が数歩近づいただけで彼女はヒステリックに叫び始めた。腰が抜けてるらしくて立てないようだ。あんまり怖がらせるのもなんだし、話しかけてみるか。
「待てよ。俺はあんたを食ったりはしねぇって。」
「あっちへ行って・・・・・へ?」
俺が言葉を発すると、余程驚いたのだろう。彼女は叫ぶのも止めて呆然としている。
「だから、危害を加えたりはしねぇって言ってんだよ。OK?」
「え、あ、えと・・・・・ハイ・・・。」
混乱はしていたが、俺がさらに話しかけると彼女は返事を返してくれた。彼女の警戒心を少しでも減らすため、俺はしばらく喋り続けることにした。
続く。
今回は少し短くしました。もうそろそろアウトブレイクのキャラを出そうかと思います。
138 :
X:2008/08/11(月) 23:49:10 ID:xfqC8MVK0
【あるハンターの話】その5
彼女に最初に話しかけてから15分ぐれえかな。俺は彼女とともに街を歩いていた。
10分ほどの時間をかけて、ようやく彼女の警戒を解くことができた。親睦を深めるために彼女の話を聞いてみると、元々彼女はこの街の生まれではないらしい。
この街に暮らしていた兄が音信不通になり、消息が分からなくなったため彼女は心配になり探しに来た。そしてこの地獄に巻き込まれたらしい。
「なんつーか、運がねえな。」
「言わないでください・・・。」
だってそうだろ? こんなときに来るなんてよっぽど運がねえ証拠だぜ。
「それにしても・・・。そんなに兄貴が大事なのか? わざわざ探しに来るなんて。」
「はい。兄は私を心配してますから、連絡をよこさないなんてありえないんです。事件に巻き込まれてるかも・・・。」
あ〜あ〜随分とまぁ暗い顔になっちゃって。何でだろ、こいつが暗くなると嫌だな。
・・・しょうがない。励ましてやるか。
「んな暗い顔すんなって。まだ面はおろか死体すら見てないんだろ? なら、まだ無事かもしれねえだろ。」
「ハイ・・・。」
「信じろって。お前の兄貴は絶対生きてるよ。」
139 :
X:2008/08/12(火) 00:00:33 ID:xfqC8MVK0
【あるハンターの話】その6
「・・・ありがとうございます。でも、あなたに励まされると何だか変な感じですね。」
「うるへー気にすんな。」
俺は照れ隠しにぶっきらぼうに返すと、彼女は可笑しそうにクスクスと笑っていた。
・・・まぁ笑顔になったから良しとするか。
そのまま俺達はしばらく他愛も無い話をしていたが、ふいに彼女があることに気づいた。
「あ、そういえばお互い自己紹介がまだでしたね。私はレイ=アーノルドと言います。」
「ん〜俺は名前がねえんだよなぁ・・・。」
そう、俺には名前が無い。他のハンターといたときは名前なんていらなかったので、特に名前なんてついていないのだ。
「あ、じゃあ私が付けてあげますよ。」
とても楽しそうに提案するレイ。なんだろう・・・・すっごい不安・・・。
「まぁ、お手柔らかにな・・・。」
一抹の不安を抱えつつ、俺の名前が考えられることになった。
・・・あれ?何だろう。何か、前にもおんなじことをしたことがあるような・・・・・・・気のせいか。
続く。
140 :
X:2008/08/12(火) 11:37:35 ID:LZE/IRg80
出ない・・・・まだアウトブレイクのキャラが出ない・・・。
【あるハンターの話】その7
つーわけで、俺の命名大会(参加者1名と1匹)が開かれたのだが・・・。
「グリーンさん!」「却下。」「えっと・・・ガイくん!」「何それ?」「ゴリさん!!」「泣くぞコラ。」
・・・ネーミングセンスゼロだった。つーか適当に言ってねえか? これ以上変な名前付けようもんならキレるぞ。
俺が少しバイオレンスな考えに傾こうとしたとき、彼女が呟いた。
「シャープ・・・。」
・・・なんだ? 俺の爪のことを言ってんのか? ま、確かにシャープそうかもしれねえが・・・。
「コレです!!コレですよ!! あなたの名はシャープです!!」
「しゃ、シャープ?」
余程気に入ったのだろうか、彼女は随分とご機嫌だ。俺の名前を決めてんだけどな。
しかしシャープか・・・・。中々カッコいいし、俺のことをきちんと表してるし、こいつでいいか。
「よし分かった。俺の名はたった今からシャープだ。よろしくなレイ。」
俺が片手を上げてそう言うと、レイは嬉しそうに笑った。
「よろしくシャープ。」
こうして、俺は<シャープ>となった。
141 :
X:2008/08/12(火) 16:44:07 ID:LZE/IRg80
【あるハンターの話】その7
俺の名前が決定した後、レイと俺は街を当てもなく彷徨っていた。何せどこから脱出できるか分からんし、いけるかなと思ったらゾンビがわんさかいたなんてこともあった。
レイは武器を持っていない為ゾンビは俺が担当するしかなく、いつしか俺は返り血で酷いことになっていた。
「ああくそ、段々赤色が嫌いなってきた。」
俺は近寄ってきた2体のゾンビを同時に葬り去ると体についている血を鬱陶しそうに見る。
「ごめんなさい・・・・。私が足手まといだから・・・。」
「武器持ってねえんだから仕方ねえだろ。後で頑張ってくれ。」
俺は彼女が暗くならないよう気を配りつつ、周囲を見渡す。すると、地下鉄の入り口らしき階段が目に入った。
・・・・外よりはマシだろ。俺はそう考えるとレイとともに地下鉄へと向かう。
「レイ。あそこに行くぞ。」
「あ、ハイ。」
さ〜て、何が待ってるかね・・・。
【あるハンターの話・巣窟編】に続く。
142 :
X:2008/08/12(火) 16:48:54 ID:LZE/IRg80
取りあえずここで一区切りとします。
次回はOBのFILE2の巣窟が舞台になります。OBのキャラも出していく予定です。
感想、意見などありましたらどうぞズバズバ言って下さい。
143 :
X:2008/08/16(土) 13:39:17 ID:P/rqBCNN0
4日ぶりに来ました。Xです。
久しぶりにOBやったら随分と迷いました。ジムはやっぱきつかったか・・・。
それじゃあ巣窟編、逝きマース。
144 :
X:2008/08/16(土) 13:54:04 ID:P/rqBCNN0
【あるハンターの話・巣窟編】その1
地上よりはマシだろうと、地下鉄に足を踏み入れた俺とレイ。たった今駅構内へと入ったのだが、見事に誰もいない。いたらいたで困るけどな。
「誰もいませんね・・・。」
「ゾンビが見当たらないだけマシだろ。まぁ1匹もいねぇってのは無いだろうが・・・。」
周りは不気味に静まり返っている。外ではゾンビの喚き声なんかがずっと響いていて鬱陶しかったが、この静けさも少々キツイな。レイの奴なんかは大分びびってるみてえだし、先行きが不安になってきた。
そんなことを考えつつ、俺達は改札口を抜けていった。
146 :
X:2008/08/26(火) 19:07:25 ID:SaLN97YT0
随分と間が開いてしまった・・・。
【あるハンターの話・巣窟編】その2
改札口を抜けても閑散とした雰囲気は薄れなかった。気味が悪いほどに静かなままだった。
「! シャープさん、あそこに誰か倒れてますよ!!」
「ん?・・・ホントだな。しかし、様子が変じゃないか?」
奥にあるトイレの前に、男が座り込んでいた。パッと見ても怪我などは見当たらなかったが、彼女の声が聞こえているはずなのに全く反応を示さないのも変だ。
俺は何気無く近づきつつ、どんな体勢でも爪を振るえるように身構えた。
ある程度近くにまで行き、声をかける。
「おい、大丈夫か?」
俺の問いに、男は黙ったまま立ち上がることで答えた。
その顔は、見慣れたゾンビのものだった。
「やれやれ・・・・。」
俺は素早く爪を振るい、男の顎から頭へ突き刺してやった。男は脳にまで達した爪の一撃であっさりと動かなくなった。
「そんな・・・・。」
リンは随分とショックを受けているようだ。ようやく生きている人に出会えたと思えたらゾンビだったもんな・・・。
俺は彼女をどう慰めたらいいか考え、ふと地下鉄のホームへと続く下り階段が目に入った。
「下に行ってみよう。ここでじっとしてても始まらないし。」
「・・・はい。」
幾分明るくなった彼女に安心しつつ、俺は会談へと足を向けた。
147 :
Y:2008/08/27(水) 17:32:42 ID:VbfdAxQB0
「おい!!今、動いたぞ!」
最初に気付いたのはエンリケだった。
僕たちは驚いてその場から飛び退き、様子を見た。
死体の手がピクッと動いたと思うと、ミリー先生はゆっくりと上体をあげ、危なっかしく立ち上がった。
僕たちは全く動けなかった。
映画のショッキングなシーンで、これから殺されることが分かっているのに逃げようとしない―たった今分かった事だが、これは逃げようと思っても驚愕のあまり身体が動かないからであった―哀れな死に役の気持ちを一瞬で理解した。
ぐちゃぐちゃになった腹から血と肉片がぼとぼとと落ちる。
僕たちは死体がゾンビとして生き返る瞬間をこの目で見てしまった…!
「うええっ」
僕は急に気分が悪くなり、その場に吐いてしまった。
アルがそれに続いた。
血で真っ赤になった目を向け、先生はギクシャクと歩き始めた。
他の皆が悲鳴をあげ、後退る。
口内に残った胃酸を吐き出しながら、僕とアルも壁際まで後退した。
ミリー先生だった者は2メートル弱まで近付いて来た。
148 :
Y:2008/08/27(水) 17:39:05 ID:VbfdAxQB0
「お、落ち着けみんな。ゾンビは走れないんだから」
エンリケが向かって左手側にある机(リドリー先生のだ)を指差し、
「そっちから奥へ行って、鍵だけ取ったらすぐに出るぞ!」
「分かった!」
僕は反射的に答えていた。
返事を聞くやいなや、エンリケは走り出した。
僕と他の皆もそれに続く。
壁際の通路を進み、並んでいる机の裏に回る。
先生は獲物を捕らえようと腕を突き出したが、机の向こう側にいる僕たちには届かない。
しかし先生はそれが分かっていないようで、バカみたいにいつまでも腕を突き出して机の上に置いてある物を引っ掻き回していた。
これが「ただの頭がおかしい殺人鬼」であったなら、机を乗り越えてあっさり僕たちは殺されていただろう。
「分かってないのか?」
「はは…ゾンビになるとバカに」
「いや」
アルが慌てて言い直す。
「ゾンビになると、体育の成績が悪くなるみたいだな」
鍵が入った小型ロッカーの前につき、その中を漁る。
いくつかの鍵がフックから消えているのは、先生達が授業で使うために持ち出したのだろう。
「全部もってくの?」
「当然」
150 :
ゲーム好き名無しさん:2008/09/05(金) 19:25:12 ID:C0zj5NPJO
151 :
ゲーム好き名無しさん:2008/09/05(金) 23:25:33 ID:otZgG4HmO
やばい、ハンター小説熱すぎる
ネタ投下の人GJ!
続き楽しみだわ
152 :
X:2008/09/07(日) 21:03:09 ID:IZFelk7H0
久しぶりに見てみて、随分と反響があって驚きました。皆さんありがとう!!マジで!!
Yさんも中々素晴らしい作品を書いてるみたいですし、私も頑張りますよ!!
・・・でも今日は無理です。すんまへん。orz
明日ぐらいにアップします。
153 :
X:2008/09/08(月) 19:43:43 ID:jLRVkiMZ0
それでは宣言どおり逝きます。
【あるハンターの話・巣窟編】その3
地下鉄のホームへと続く階段を、俺とリンは無言で下りて行く。彼女はまださっきのことを引きずっているらしく、少々落ち込んでいる。
だがここで彼女を慰めている時間は無い。ここにもゾンビが居る以上長居は出来ないからな。
俺は早く彼女が安全に休めるところを探してやろうと、足早に階段を下りる速度を早めにする。
ホームに降り立つと、俺は彼女に目配せして周囲に敵がいないか確認するよう指示する。
彼女も理解してくれたようで、俺の背後に回って目を光らせる。
ホームには人影はなく、壊れたベンチと何故か止まっている電車があるだけだ。
「電車か・・・・。リン、運転できるか?」
「さ、流石に電車は・・・・。でも、何か武器が残ってるかも。」
「かもな。よし、入ってみよう。」
「ハイ。」
俺は爪を肩ぐらいの高さまで持ち上げていつでも闘えるようにしつつ、電車へと近づいていった。
154 :
X:2008/09/08(月) 19:46:23 ID:jLRVkiMZ0
こんなものですかね。
取りあえず、週一のペースで書いていこうかと思います。
完結まできちんと持っていくので、気長に付き合ってください。
155 :
ゲーム好き名無しさん:2008/09/08(月) 23:48:45 ID:ySsMVCJwO
今さら何だが・・・
地下鉄が出てくるのは「巣窟」じゃなくて「異界」だぞ
もっと言うと「巣窟」はFile1
157 :
X:2008/09/20(土) 22:30:06 ID:vM3lAn2l0
アアアアアアアアアアーーーーーーーー!?!?!?!!??
うわ恥ずかしい!! マジで気づいてませんでしたよ!!?
今度からは直すにしても今までのは残ってるし・・・・・。
死にてーーー!!! 口にマグナム咥えて引き金引きてーーー!!!!
ショットガンでもいいから誰か貸してくれーーー!!!!
158 :
X:2008/09/20(土) 23:04:23 ID:vM3lAn2l0
・・・気を取り直して続きです・・・・。あと今回から異界に直しときます・・・。
あ、あと今回は視点を変えます。OBのケビンに。
【あるハンターの話・異界編】その4
俺の名はケビン・ライマン。このラクーンシティで警官をやってる。
そこそこ気に入ってたバーでいつものように仕事をサボり、いつものように1人で酒を飲んでいたら、突然妙な客が入ってきてマスターのウィルに噛み付きやがったんだ。
そっからは随分と慌しかったぜ。何せ、いつの間にか外にはウィルに噛み付いた奴のお仲間がたむろしてて、俺はすぐさまやばそうな雰囲気を察して店にいた連中と一緒に逃げ出した。
そんで、どこからともなく現れるゾンビ(だってよ、どうみても致命傷受けてんのにピンピンしながら襲って来るんだぜ?そう呼ぶしかねえだろ)どもを振り切って逃げまくり、挙句の果てには通りでアホ面下げて集会かましてたゾンビの大群を強力してふっ飛ばしてやったぜ。
その後、乗ってた護送車がゾンビどもからの熱いアプローチ(つまりは囲まれて)事故って使えなくなっちまって、地上よりは安全だろとの提案でここに逃げ込んだんだが・・・。
「なぁ・・・ありゃなんだ?」
俺は気がついたら一緒に逃げていた仲間に尋ねてみる。
「さぁ・・・?少なくとも人間じゃないでしょ。」
新聞記者のアリッサは、その職業柄か好奇心に目を輝かせつつ窓から外を見てる。こんなときにもネタ探してんのかね。
「で、でも言葉を話してるぜ?」
地下鉄に逃げることを提案した、駅員やってるジムがどうみてもビビッちまってる感じだ。声震えてんぞ。
「でも、傍に居る女の子は怖がってないわよ?」
あの逃げ出したバーでウェイトレスやってたシンディは、比較的冷静にそれを眺めてる。あ、それ俺も気になってたんだよ。
何を見てるかって?・・・いやよ、何だか妙なモンがプラットホームにうろついてんだよ。
緑色の変なバケモンが。女の子連れて。
159 :
X:2008/09/21(日) 21:59:02 ID:UzTSTC6R0
もう就職関係のことは落ち着いたんで、週に2回ほど更新してきます。
160 :
Y:2008/09/24(水) 01:02:32 ID:wylKNkHn0
エンリケにそう言われ、次々にフックから鍵を外し始めた頃だ。
「おい!先生、気付いたぞ」
アルの言葉を聞き、僕は振り向いた。
ミリー先生が例のギクシャクした動きでこちらに迫って来ている。
「もうすぐだ」
そう呟き、僕は鍵を外す作業に戻ろうとしたその時だった。
校長室につながる扉が開き、ゾンビが2体飛び出してきた!
「うわっ!!」
驚いた僕は手に持っていた鍵の束をすべて落としてしまった。
カシャンと音をたてて鍵が床に散らばる。
ゾンビは扉をぶち破った勢いはそのままに、こちらに突進して来た。
「こっちだ!!」
そう叫ぶやいなやフレッドが目の前のアーサー先生の机に飛び乗り、向かいあって設置してあるバーグレー先生の机上にあるものを蹴り飛ばしながら向こう側に飛び降りた。
僕は床に落ちている鍵を適当にひっ掴んでポケットに滑りこませ、机に上がった。
「そんなもん捨てて早く逃げろ!」
ああ、とか、わあと声をあげているラリィに先に机に乗っていたアルが怒鳴った。
そんなもん、とはアルコールランプが入っている袋の事だ。
161 :
Y:2008/09/24(水) 01:04:05 ID:wylKNkHn0
ラリィは袋を放り捨て泣きながら机に上がって来たが、ゾンビの手はすぐそこまできていた!
咄嗟に僕はラリィの腕を掴んで思いっ切り引っ張った。
反動で僕たちはバランスを崩して机から転げ落ちてしまった。
獲物を見失ったゾンビたちが机にダイブし、ふっとばされた机上の雑貨がばらばらと頭上に降り注いだ。
「テッド、ありがとう」
鼻水を啜りながらラリィが言った。
「早く皆のいるところにいくぞ、ラリィ」
「うん」
扉の前には既にエンリケたちが待機している。
僕たちが駆け付けると廊下の様子を伺いながらエンリケが言った。
「奥から5人来てる…遠回りになるけど右のトイレ側からいくしかないな」
「分かった、行こう」
僕たちはあまり音をたてないよう注意しながら職員室を後にした。
(さよなら、先生)
生者のいなくなった部屋にああ、という呻き声が小さくこだました。
[これは録音です。こちらは救急対応司令部です。現在ラクーン市全域で大規模な暴動が多発してており、救急・消防・警察ともに車両及び人員がすべて出払っている状況です。
以上の理由により、真に申し訳ありませんがそちらの救助に向かう事が非常に困難な状態です。
屋内にいる方は頑丈な扉の付いている部屋で鍵を掛け、救援がくるまで今しばらくお待ち下さい!
屋外にいる方は速やかにお近くの建物または消防指定避難所に避難して下さい!
消防指定避難所は警察署、セントミカエル時計塔、ラクーン・ズー正門トラムターミナル,ラクーン大学、レイブンズゲートブリッジの以上5箇所です。
なお、ラクーンスタジアムは避難する事が出来ません!絶対に近付かないで下さい!繰り返します…]
162 :
X:2008/09/27(土) 21:27:33 ID:t7mfenfs0
>161さん乙。いやぁこういうとこが舞台なのもええね。
さ〜て、俺もいっちょ書きますか。棒アイス片手に。
163 :
X:2008/09/27(土) 22:00:00 ID:t7mfenfs0
【あるハンターの話・異界編】その5
引き続き、ケビン視点です。
「何なんだ? あの緑色のバケモン?」
何かやたらと鋭そうな爪持ってるし、肌色宇宙人みてぇな色だしよ。けど、どうやら話ができるみてぇなんだよなぁ・・・・。
一緒に行動してる17〜8くらいの嬢ちゃんも随分と信用してるみてえだが・・・。でも外見おづみてもバケモンだしなぁ・・・。
「アラ?」
俺が悶々と悩んでいると、後ろの座席に座って外を見てたアリッサが突然声を上げやがる。何だよ。面白いモンでも見つけたのか?
「アレ、こっち近づいてきてるわね。」
・・・はいぃ!!??
「ちょ、マジィ!?」
ジムの奴が慌てて窓を覗き込む。おい! 俺が見えねぇだろ!!
身を乗り出すように窓に張り付いちまったジムを、中身の足りてねぇオツムに殴りつけることでどかすと、俺はあの化けモンの姿を確認する。
確かに、あのバケモンは嬢ちゃんを引き連れてこっちに向かってきてる。段々と聞こえてくる2人(1人と1匹か?)の会話を何とか聞き取ってみると、どうやらこの車両に入ろうとしてるみてぇだ。
・・・つーことは、俺らは意地でもアレと顔合わせをしなけりゃならねえのか・・・。
「どうするの?」
シンディが不安そうな声色で皆に尋ねる。どうするっつったってなぁ・・・。
「このタイミングじゃ逃げることもできねえし、迎え撃つしかないだろ。」
「全く、いい加減にしてほしいわね。」
アリッサが、駅内で発見したグロック17を構えてため息をついてる。俺だってうんざりしてるよ・・・。
けどま、まだ死にたくねぇしな。
164 :
X:2008/09/27(土) 22:03:23 ID:t7mfenfs0
ああくそ・・・。ミスってるとこが・・・・。
でも外見おづみても化けモンだしなぁ・・・。
↓
でも外見どうみても化けモンだしなぁ・・・。
に変えといてください。脳内で。
本日はこんなもんです。続きはまた。
165 :
ゲーム好き名無しさん:2008/10/07(火) 22:06:13 ID:QJSzCEFu0
保守
166 :
X:2008/10/18(土) 19:18:17 ID:wzGeAIOT0
視点シャープに戻しまっせ〜。
【あるハンターの話・異界編】その6
「すんませ〜ん・・・。誰かいるか〜?」
電車内へと体を入れつつ、俺は声をかけてみる。すると、返事は弾丸になって帰ってきた。うわアブネ。
元々当てるつもりはなかったのか、突如として飛来した弾丸は俺の頭上の何も無い空間を飛び去っていく。
俺は顔色を変えることなく(つーか変わるのか?)、撃ってきたと思われる人物へ視線を向ける。
視線の先には、硝煙の立ち昇る拳銃を構えている警官とかいう人間と、赤いスーツとやらを着ている同じく銃を構えてる女。それから肌が黒い男と、唯一敵意の感じられない目で俺を見つめてくる女がいた。
俺はリンに流れ弾がいかないよう後ろに庇いつつ、警官の男へと放しかけてみる。
「・・・随分と手荒い歓迎だな。こっちはか弱い女の子を連れてるんだぜ?」
「お前さんみたいなのが来たら、絶対こういう対応だろ。」
・・・否定できないのが辛いとこだな。
「ま、待ってください!」
俺と警官が今にも殺し合いになりそうな緊張を出しているのを見て耐え切れなかったのか、リンが俺の後ろから出て声を張り上げる。
167 :
X:2008/10/18(土) 19:19:52 ID:wzGeAIOT0
今回はこんだけっす。
次回はいつになるかな・・・・。
オリジナルキャラとの絡み、楽しみだな
またよろしく
169 :
Y:2008/10/28(火) 00:40:14 ID:bzBIe5sW0
「少し休んでいて下さい」
アーサーが扉のサムターンを回した後に言った。
「ええ…」
リドリーはそう言い、近くの椅子に座った。
「このぶんじゃ中等部も…」
アーサーが窓から外の様子を見ながら呟く。通りも怪物だらけだった。
遠くには白煙をあげているビルも見える。
「今、聞こえた!?」
リドリーの声にアーサーはびっくりして振り向いた。
「いえ、何も…」
ぼうっと外の様子を眺めていたせいか、声は聞こえなかった。
「ほら…また!」
窓を締め、アーサーは耳に神経を集中させた。
「あ…!」
確かに、女の子の悲鳴のような声が聞こえた。
この遠さから考えると…
170 :
Y:2008/10/28(火) 00:54:19 ID:bzBIe5sW0
「助けに行かないと!」
リドリーが叫び、扉の取っ手に手をかける。
「待って下さい!声の遠さからして生徒がいるのは上、四階なんですよ!」
「でも!」
「それにもう…」
少し間を開けて続ける。
「もう、どこか別の場所に逃げているはずです。
今から助けにいくのは危険過ぎる」
「ごめんなさい…私、またパニックを起こしてしまって…」
「気にしないで。彼女が無事であることを祈りましょう…」
このあと、二人は何も話さなかった。
耳に入るのは廊下から聞こえて来る怪物の不規則な足音と唸り声だけ。
生徒たちは無事だろうか?
どこか安全なところに隠れられていれば…
時間は刻々と過ぎて行く。
事が起きたのは時計の針が正午を回った頃だった。
今度は男子生徒の悲鳴が聞こえたのだ。
171 :
Y:2008/10/28(火) 01:03:30 ID:bzBIe5sW0
「先生!」
「今度は近いぞ!」
声の主がいるのは間違いなくこのフロアだ!
錠を回し、スライド扉をほんの少しだけ開けて廊下の様子を伺う。
「いた!理科室の前…!」
理科室前の廊下に生徒数人と、その怪物が一体いる。
理科室は社会科室とちょうど真向かいの位置関係にある。
距離はあるが全力で走ればまだ間に合う!
「僕が助けに行きます。先生はここで待っていて下さい。
僕が出たらすぐに鍵を!」
「え、あッはいっ」
返事は聞かず、アーサーは部屋を飛び出した。
172 :
Y:2008/10/28(火) 01:18:48 ID:bzBIe5sW0
職員室から出たあと、僕たちはずっと走りっぱなしだった。
途中、たくさんのゾンビとすれ違ったが、身長が低い僕たちは(子供でよかった!)
なんとか捕まらずにとうとうゴールにたどり着いたのだ。
「はぁ…なんとか…はぁ…ついたね…!」
ラリィが息を切らしながら言う。
「はやく、中に入ろうぜ」
エンリケが取っ手に手をかけた。
が、回らない。
「カギがかかってる!」
「はぁ!?」
フレッドは声を上げ、扉に近づいた。
「開けろ!」
そういい、扉をけりだした。
173 :
Y:2008/10/28(火) 20:54:27 ID:bzBIe5sW0
「テッド、職員室から持ってきたカギの中には?」
僕はポケットからカギを引っ張り出し、一つ一つタグを確認したが
視聴覚室のカギはなかった。
首を横に振ると、アルは一言呟いた。
「マジかよ」
「開けろって!いるんだろ!!」
さっきより大きな声でフレッドが叫び、扉に激しく蹴りを当てた。
「やめろ!ゾンビがきたらどうするんだよ!!」
「おい、中で何か音がするぞ」
アルの言葉でフレッドは扉を蹴るのをやめた。
確かに、扉のすぐ後ろでガタゴトと何かをごかしているような音がする。
それと同時に僕はあることに気づいた。
扉の上についてる小さな小窓から、男子生徒が一人、こちらをじっと見ていた。
見張りなのか…?
そう思ったとき、扉がガチャンと音を立て、中から六年生
が二人出てきた。
「なんで早く開けないんだよ」
フレッドが早速噛み付いた。
「先に入れ。話は中でしよう」
174 :
ゲーム好き名無しさん:2008/11/01(土) 12:57:46 ID:9LLKoJlUO
保守
175 :
ゲーム好き名無しさん:2008/11/13(木) 23:37:30 ID:QYE1weZgO
期待アゲ
ハンター小説の人、乙なんだがオリキャラの名前途中で変わってるよ
177 :
Y:2008/11/24(月) 21:50:56 ID:KKDTt0g60
視聴覚室の重い扉が開かれた。
最初に目についたのは、そこら中に転がっている机と椅子だった。
僕たちがしたように、彼らもこれを積みあげて、砦の防壁をより頑強なものにしていたのだろう。
「よっ」
声をかけてきたのは、さっき小窓から様子を見ていた男子だった。3段積み重ねた机のてっぺんからこちらを見下ろしている。
「助かったよ」
僕がそういうと、彼は自分の坊主頭を引っ掻きながら二カッと笑いかけてきた。
「フレッド、エンリケ!無事だったんだな!」
生徒たちの中から飛び出して来たのはおなじクラスのベンとメイスン、それにロブだ。
「ベン!」
「良かったな!助かって…
ここなら安全だぜ」
フレッドやアルたちのように、僕もはやく同級生たちと再会を喜びあいたかったが
「メイスン、ここには何人いるんだ?」
パッと見たところ四、五十人いるようだが…
僕がメイスンに聞くと、背後から返事が返って来た。
「七十七人」
返事をしたのは砦の扉を開けた六年生だ。
「エドっていうんだ。宜しく。あとあいつは見張り役のジム」
そう言い、エドが手を差し出してきた。
僕はそれにこたえてから、簡単な自己紹介をした。
178 :
Y:2008/11/24(月) 21:51:49 ID:KKDTt0g60
「五年が44人、六年が33…うち風邪引き5人」
エドが続ける。
「こんな時に風邪でダウンなんてついてないよな」
教室の隅に目をやると、男女が5人床に寝かされていた。
服装・顔に覚えがないから多分全員六年生だろう。
「なんか、人数が思ったより少ないな」
フレッドだ。
「五年生はもうちょいいると思ったんだけどなー、メイスン」
「そ、それは…」
メイスンが口ごもる。この部屋で何かあったのだろうか?
「仕方がなかったんだ」
アルがえっ、と声をあげる。
「仕方がないって、なにが」
「ここに入れたのは本当にギリギリセーフだった」
「だからどういうことなんです?」
アルが質問した。
「俺たちは友達を見捨てたんだよ」
エドは信じられないような事を話し出した。
「六年の先頭集団にいた俺たちは、奇跡的にここに逃げ込めた。
しかし、後方集団のすぐ後ろからやつらが迫ってきていた。全員がここに逃げ込むまで待っている余裕は…なかった」
なんということだろう。適当に計算したとして、一クラス30人で1学年4クラスあるんだから、5・6年生だけで約240人。
ここにいるのは77人…そのうちのたった三分の一だけ。
つまり、まだ170人以上もの生徒が校舎のどこかにいるという事だ。
179 :
Y:2008/11/24(月) 21:52:28 ID:KKDTt0g60
「てめえ!」
フレッドがエドに掴み掛かる。
「そんなかには五年生もいたかもしれないのに!」
見兼ねた二人の六年生が、友達を今にも殴り倒さんとしているフレッドを無理やりひっぺがした。
「バカ野郎!」
金髪の六年生が怒鳴る。
「扉を閉めることに全員が賛成した。
つまりみんな共犯ってワケだ」
もう一人、眼鏡をかけた方の男子が続ける。
その言葉を聞いてフレッドは愕然とした。
「みんなも、みんなもほんとに同じ意見だってのかよ!?」
フレッドが叫び、生徒たちを睨み付けた。
目があった生徒は、皆一様に目を伏せた。
「なあ、どうなんだよマイク、ブレア、ルシエ、ケイミー…」
同級生たちに答えをあおぐ声は次第に小さくなっていった。
「フレッド、仕方がなかったんだ」
「やつらを一匹でも入れてたら、俺たち皆殺しにされてたんだぜ…?」
親友たちの言葉を聞いたフレッドは床にドカリと座った。
「分かってるよ!分かってるけどよお…くそっ…!畜生…」
もし自分がそんな状況にあったらどう行動すればいい?
僕は何も言わず、それを考えていた。
……フレッドの前では絶対言わないけど僕もきっと、エドさんたちと同じ事をしていただろう。
アルたちも同じ意見だと思う。
でも、僕はフレッドのことも六年生達のことも攻めたりはしない。
状況する発言が違えど、お互いの言っていることは間違いなく正しいからだ。
一区切りついたところで、今度は僕たちが何を見てきたかを伝えなきゃ。
180 :
Y:2008/11/24(月) 21:55:12 ID:KKDTt0g60
状況する発言 ×
発言する状況 ○
誤字+更新ペース遅くてすいません…
ハンター小説おもしろいですね!!俺もなんか書いてみようかな。
182 :
X:2008/12/05(金) 19:46:02 ID:nV6rhyvH0
ども、お久しぶりです。ハンター小説書いてたXです。
最近めっきり書いてませんでしたけど、やっぱ完結まで書かないと気がすまないんで、勝手ながら再開させていただきます。
あと、
>>176さん、ご指摘ありがとうございます。そして俺のバカ・・・orz
オリキャラの名前はレイです。ホントすいません。
今日中には更新する予定ですが、マウスが故障してて、何故か勝手に画面が上下に激しく動くという謎の怪奇現象に見舞われているので遅れます。
たまに直るから始末に負えない・・・。
ぜひ完結まで読みたいですよ
今このスレで発表を続けているのはXさんとYさんだけなんで
おふたりには期待しています
184 :
X:2008/12/05(金) 22:37:10 ID:nV6rhyvH0
【あるハンターの話・異界編】その7
「ま、待ってください!」
レイの叫びが功を奏したのか、今にも飛び掛ろうとしてた俺は飛び出すタイミングを見失ってしまい、警官とスーツの女もレイへと気を散らしちまったようだ。
「この人は襲ってきたりしません! だから銃を下ろしてください!!」
「わりいがお嬢ちゃん、こんなゴリラのバケモンみてーなのを信用できるほど、俺はおおらかじゃないんでね。」
警官はレイの言葉を全く聞き入れずに俺に銃を向け続ける。う〜んどうすっかねぇ・・・。正直レイをこいつらに預けて俺はどっかに行こうかと思ってんだけど。
でもそれだとレイがうるさそうだな。
「・・・随分余裕なのね。」
「ん? そうか?」
対応に困って爪で頬をぽりぽり掻いていると、スーツの女が呆れた様子で話しかけてくる。
「いやまぁ・・・・おたくらの銃じゃ2,3発食らっても平気だし、俺はレイが無事ならそれでいいしな。大して問題ないんだよ。」
「アラそうなの? じゃ、こんなの向けてても意味無いわね。」
そう言うと、女は銃を下ろした。
「お、おいアリッサ!? 何で銃下げてんだよ!!」
アリッサと呼ばれたスーツの女の後ろでビクビクしてた肌の黒い駅員が慌てて噛み付くが、アリッサは肩を竦めるだけだ。
「腕が疲れたのよ。ちょっと休憩させて。」
「いやいやいやいや! この場面で休憩とかありえないだろ!! そいつに殺されるかもしれないだろ!?」
そんなキャラだったんだなお前。ちょっと意外。
「アラ、それなら大丈夫よ。」
185 :
X:2008/12/05(金) 22:40:20 ID:nV6rhyvH0
【あるハンターの話・異界編】その8
「ど、どうしてですか・・・?」
「何でそう思うんだ? もしかしたら、次の瞬間には俺の爪がおたくの喉に食い込んでるかもしれないぜ?」
俺と一番後ろにいるウエイトレスの女が疑問をそのまま口にする。
俺は若干声質が楽しげな物に代わっていたと思う。何せ、初対面でこんなことを言われたのは初めてなのだ。つい面白がってしまう。
「そうね・・・・。あなたが一度もその鉤爪をこっちに向けてないからかしら。」
「む・・・。」
「あ・・・。」
中々鋭いなコイツ・・・。思わず俺は唸ってしまい、ウエイトレスも気づいたのか微かに驚きの声を出している。
そう、確かに俺はこいつ等に対して一度たりとも俺の唯一にして一番の武器である『爪』を向けてはいない。
「・・・だが、それだけじゃ信用なんてできねえぜ。」
「別に信用しなくてもいいんじゃない? お互いに利用し合うなりすればいいでしょ。」
警官が俺に銃口を向けたままアリッサの持論に反論していたが、簡単に言いくるめられてしまい二の句が告げなくなってた。アララ。
「・・・・・。」
「お願いします・・・。」
「ケビン・・・・。」
しばらく無言のまま俺を睨みつけていたが、レイの懇願とアリッサの不機嫌そうな声に説得されたのか銃口を下ろしてくれたぜ。
「・・・不審なマネするんじゃねえぞ。」
「分かってるよ。」
警官はまだ疑念の篭っている目で俺を睨みながら釘を刺してくる。俺は軽く手を振って返事をしてから、自己紹介を始める。
「俺の名は<シャープ>。見ての通りバケモンだが、まぁよろしくな。」
「あ、えっと・・・。レイ=アーノルドです。」
「ケビン・ライマン。警官だ。」
「アリッサ・アッシュクロフトよ。職業は新聞記者。」
「し、シンディ・レノックスです。」
その後、各自自己紹介やこれまでの経緯を話すことに。
「ちょ、俺は!?」
黒人の男が忘れ去られてたことに気づいたのは、大体の話が終わった頃だった。お気の毒。
186 :
X:2008/12/05(金) 22:43:17 ID:nV6rhyvH0
今日はこんなモンっす。
続きはまた今度で。ではさいなら〜。
保守
新春保守
ほ
し
ゅ
そろそろバイオ5ネタの小説来ないかな
ほしゅ。
それにしても3ヶ月も誰も書いてないんだな・・・
誰かカキコしないかなぁ・・・
「やあ、主任(チーフ)。このところ徹夜続きだと聞いていたが、案外元気そうじゃないか」
クリス・レッドフィールドはBSAA北米支部付属研究所の主任研究員から呼び出しを受けた。
アフリカへの出張当日、まさにこれからヘリで空港に向かおうというところだったが、
重要な件でどうしてもと言われて寄り道をすることにしたのだ。
「そうでもないのよ。でもあなたの出発までにどうしても完成させたかったの」
そう言ってチーフはデスクの脇のワゴンに乗せられたものをクリスに渡した。
それは透明な筒状の物体で、中には乳白色の液体が4分の1ほど入っている。
ちょうど大ぶりな試験管のようだ。
クリスはその筒状の物体を目の高さにかざして中身を蛍光灯に透かしてみた。
「これは?」
「新兵器という訳ではないのだけれど、きっとあなたの役に立つと思うわ」
チーフはワゴンの上にもうひとつ乗っていた同じ筒を取り上げた。
先端はキャップになっていて外れるようだ。
チーフは部屋の隅のプランターに群生しているラクーンハーブの葉を数枚ちぎって
筒の中に押し込み勢いよく振った。
一瞬の後、激しく泡だったと思うと乳白色だった液体が、ハーブの緑色に変わっていた。
「ハーブをその場で救急スプレーに合成するの」
そう言ってチーフは出来たてのスプレーを自分の手に噴射して見せた。
クリスは目を見開いて手に持った筒を凝視した。
「そいつはすごい」
「今まではハーブをすりつぶして使用するか、工場で加工してスプレーにする必要があった。
でも、これは見ての通り一瞬よ。持ち運べるスプレー工場といったところかしら」
クリスはちょっと首をひねってチーフに言った。
「しかし、使い切りではこれを何本も持ち歩かなければならない」
チーフは噴射したあとの筒をクリスの目の前に差し出した。
その中身は先ほどの乳白色の液体に戻っていた。
「これはどういうことだ?」
「この液体はハーブをスプレーに合成するための触媒の役割をするの。
しかも、一定の割合を合成すると一部は元の状態に還元するのよ」
「ということは・・・無限に使える?」
チーフは微笑んで言った。
「無限という訳にはいかないわ。
そうね、今のところ実験では数十回から条件が良ければ百回弱程度ね」
「申し分ない。これは素晴らしい発明だよ、チーフ」
「なるべく土などの不純物を入れないことが長く持たせるコツよ」
クリスのヘッドセットに通信が入った。
短く答えると、クリスはチーフに握手して言った。
「もう行かなきゃ」
チーフは自分が持っていた分もクリスに渡した。
「さらに改良版を試作中よ。帰ったら使用データをお願いね」
「もちろんだ。
素敵な贈り物をありがとう、スズキチーフ」
そう言ってクリスは旅立っていった。
恐怖と混沌が彼を待ち受けていだろう。だが、彼はきっと帰って来る。
スタッフの誰もがそう信じて疑わなかった。
E N D
>>194-195 久々に来てみたらナイス作品が!
5の背景にこんなエピがあったらいいなぁ
すげぇ面白そうなスレなのに過疎ってんな‥‥
文才のない自分には支援できないのが辛い。
保守
Hey DJ 俺は声をかけた。 だが返事がない 首が変な風にまがっている おい、だいじょうぶか! おれは体を揺すってやった そいつがふりかえった・・・
200 :
Z:2009/04/02(木) 23:49:28 ID:ITZqq18DO
今日もいい天気だ
おっとそろそろ昼か、メシにしよう
そんな事を考えながら車を走らせる男がいた。
名前はロジャー・ハイソン。
アメリカ北西部フレゴリアタウンに住む陽気な男―
軍隊に所属していたが、上司とのいざこざで辞めて今はいわゆる「遊び人」である。
短い間だが、特殊部隊グリーンベレーに所属していた事もあった。
そんな彼が、お気に入りのレストランに行き、車を降りる・・・
※登場する街や団体は架空の物です
但しグリーンベレーは例外として出します