>>654 ちょっと専門的な話なので分かりにくいと思いますが、印欧語の場合、その言語が
守旧的かどうかは一概に保存される格の数などの文法現象だけで判断されるとは
限りません。
リトアニア語より明らかにより古風な古プロシア語には中性名詞がありますが、
リトアニア語にはありません。しかしこの点でも、じゃプロシア語がより印欧語と
してより守旧的かと言うと、そうとは断言できません。
なぜなら、ヒッタイト語が暗示するように、原始印欧語(初期印欧祖語)には
もともと文法性は存在せず、生物類名詞と非生物類名詞の区別しかなく、
文法性は後期印欧祖語で発達したカテゴリーで、中性名詞は非生物類名詞から
発して出来たものという可能性もあるからです。だから、リトアニア語における
中性名詞の消失は、それによって男性名詞と女性名詞の二つの「言語形態の対極的
配列」を現出せしめ、それは初期印欧祖語の生物類・非生物類名詞の対立という、
やはりニつの形態の「対極的配列」を想起されるからです。
これはリトアニア語が遠い初期印欧語の記憶を保っているから生じた簡略化と
も解釈され、もしそうなら結局リトアニア語はその簡略化によって守旧性を示すとも
言えることになります。
因みに双数は標準リトアニア語にはありませんが、方言によってはまだ使われる
ことがあり、私自身 kada mudu ?enysivos? 「いつ僕たち(二人)は結婚
出来ますか?」のように、「結婚する」というような、双数形が本来使われる
べき表現においては(リトアニア人に古臭い表現と笑われようと)頑として
使用し続けていますw
これ以上の詳細は巻き添え規制が解消されてから、改めてレスします。