>>4のスレにも書いてあるが、昔は「を」と書くのは助詞の「を」だけではなかった。
例えば、以下のような単語にも「を」が入っていた。
青(あを) 魚(うを) 終える(をへる) 丘(をか) 可笑しい(をかしい) 犯す(をかす) 拝む(をがむ)
小川(をがは) 桶(をけ) おこがましい(をこがましい) 長(をさ) 幼い(をさない) 収める(をさめる)
叔父(をぢ) 教える(をしへる) 鴛鴦(をしどり) 惜しむ(をしむ) 雄(をす) 夫(をつと) 男(をとこ)
一昨日(をととひ) 乙女(をとめ) 囮(をとり) 踊る(をどる) 斧(をの) 折々(をりをり) 折る(をる)
終わる(をはる) 女(をんな) 香る(かをる) 鰹(かつを) 竿(さを) 萎れる(しをれる) 十(とを) 夫婦(めをと)
これは、元々は全て「wo」と発音されていた。しかし、まず語頭の「お」と「を」が平安時代初期(8世紀末〜
9世紀初頭)に混同し始め、11世紀初頭には語頭以外も含めて「お」と「を」は合流した。この時、
語頭ではどちらも「o」になり、語頭以外ではどちらも「wo」になったと考えられている。
さらに11世紀初頭には、語頭以外のハ行音がワ行音で発音されるようになるハ行転呼が起こり、
語頭以外の「ホ」も「wo」と発音されるようになった。顔(かほ)、氷(こほり)などだ。
こうして、青は「アウォ」、顔は「カウォ」、丘は「オカ」、氷は「コウォリ」と発音されるようになった。
このような状況は江戸時代中期まで続いたが、18世紀半ば頃から、語頭以外の「お」「ほ」「を」も
「wo」ではなく「o」と発音されるようになった。この変化は当時有力だった江戸語と京都語のいずれでも
起こったが、比較的最近のことであるため、日本全国の方言のなかには、この変化をまだ被っていない
ところもある。