比較言語学

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進化生物論的な見地からの言語・思考
http://science3.2ch.net/test/read.cgi/life/1096651213/863
への回答です。
全文引用形式で書いたので長文すんません。

>>863
>成立の初期段階で 孤立語→屈折語→膠着語 という順序で変化が起こり
>そのあとは後戻りはしないし、

比言4の話だと膠着語や屈折語みたいな類型は
言語にピッタリ当てはまらないことが多いらしいです。

>またある程度言語が確立してしまったら
>上記変化もその後は起きない、なのかなあと想像していました。

言語学では「規範化」というんですが
文字ができて文法書を誰かが書いた時点で
文法の変化は起きにくくなってしまいます。

すると絶えず変動する話し言葉を必要としている民衆は
俗語という形で新しい語彙を作ったり書き言葉と話し言葉が
大きくかけ離れるという現象が起こります。

これが「俗ラテン語」の例です。
>この英語の話は膠着語的屈折語が孤立語的屈折語に
>後戻り的に変化したととらえていいのでしょうか。

いいえ。膠着語と屈折語と孤立語は
同じ言語間では長い歴史を通して
(これを通時的、といいますが)
絶えず流動するものだと考えるのが
19cの比較言語学の一般的な捉え方です。

そしてそれが孤島などに分散して
もっと単語間の区別がつきにくくなって
しまったものがエスキモーの諸言語の類型
である包合語(あるいは包括語)です。

ただし比言4の発言どおりこのような
類型は必ずしも一致しないのであまり
役に立たないというのが近年の考え方です。
(比較言語学は19から20cにだいたい法則を発見し
尽くしてしまい話し合う議論が少なく
論文数が少ないので50年前でも近年です…笑)
      ↑
だからどの教科書を使っても同じことしか書いていない


>(調べてみたらハンガリー語は印欧語の影響を受けて
>膠着語のまま語順がSOVからSVOに変化したそうです。)

それはハンガリー語ではなくフィンランド語。
ハンガリー語は今でもSVOです。
フィンランドは一時スウェーデン領だったので
スウェーデンの政治的な理由もあるかも。
>このあたりの話は言語が世界の何箇所で
>独立に発明されたかという疑問にも関連すると思います。

今のところ複数起源説が有力です。
しかし文献比較を重んじる比言では
このテーマはタブーとされています。
(パリの言語学会は間違いだよ>>837>>800?)


>ちなみに文字は2箇所(中東と中国)だと思いますが。
>脱アフリカ時点で人類共通の祖語があったのかどうか。

生物学の世界ではアフリカ起源説も
賛否両論だと聞いていますが、
上に書いたように比言では扱えないので
憶測の域を抜け出せません。


>言語が変化する理由の一つとして、
>言いたいことが簡単に言えないからというのも
>あると思います。

1つの理由として考えられますが
他いろんな理由で変化します。