>>385 平安初期くらゐには、漢字音の音節末鼻音は、
[-ng]は「う」または「い」
[-n]は「ぬ」または「に」
[-m]は「む」または「み」
と表記することで、文字表記上も区別してゐたやうだ。
やがて、[-ng]は表記通りの普通の母音として発音されるやうになり、[-n]と[-m]は発音区別が曖昧になり、ともに「ん」と表記されるやうになった。
現代語の「ん」は、あとに続く音によって[ng]にも[n]にも[m]にもなるし、単独で発音される場合はまた別の音になるといふ極めて不思議な文字となった。