テイルズ オブ バトルロワイアル

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636砕ける氷 4:2005/11/13(日) 22:57:43 ID:s9R0Sgro
男との距離が一メートルも無かった。
ルーティは意を決し、男に向かって行った。
男が剣を振る──両手を伸ばす──左肩から腰までが斬られる──血が吹き出す──両手が男の腰に届く──
左足がもつれ、転ぶ。男は剣を振り下ろした体制のままだった。
「はぁっ!!」
自らを奮い立たせるように叫び、腕を振った。男の背中に鮮血が走る。
「ぐっ!」
男は動揺した様だった。何故だ、何が起こった──?
振り向く男の目に、膝を突きながらも闘志を失っていない女と、その手に握られている短剣を見た。
その瞬間、男は何が起こったか全て理解した。
その短剣こそ、自分が持っていたもう一つの武器──スティレットだった。
あの一瞬、ルーティは男の腰に差さっていた短剣を『盗んだ』のだ。
「何!?」
「やああああああ!!」
ルーティは左足首から血が噴き出るのも構わず、
勢いを付け立ち上がり、剣を両手で握り締め正面に向けてヴェイグへ突進した。
男が動揺している今しかチャンスは無い。これで、決めなければ、生き残ることは出来ない。
距離は殆ど無い。男の姿が視界内で拡大していく。
あらん限りの力を込めて、全身を伸ばし剣を突き出した。
それは、男が居た位置に、確実に届くはずだった。
男は一瞬の内にバックステップをし、距離を取った。
そしてそのまま、剣を左腰の辺りに下げ、抜刀術の様に一気に右へ薙ぎ払った。
衝撃波を伴った男の剣は、彼女の胸部を深く切り裂いた。
鮮血が飛び散り、男の青髪を紅く染める。そうして、彼女は後ろ向きに倒れこんだ。
男の姿が視界から消えると、既に陽が傾きかけた空が見えた。
だが、それもわずかのことで、彼女の見る世界は、やがて漆黒に染まっていった。
637砕ける氷 5:2005/11/13(日) 22:58:34 ID:s9R0Sgro
男は女が力尽きたのを見届けると、スティレットを拾い、女の荷物を探り始めた。
支給品のグミセット二つを見つけた男は、しばらくそれの効果について書かれた付属の説明書を読むと、
『ミックスグミ』と書かれたグミを手に取り、口へ運んだ。
一気に体力、そしてフォルスが回復するのを感じた。これなら今すぐにでもまた戦うことが出来る。
そしてその他の女の荷物も取り上げると、ゆっくりと歩き出した。
その表情はやはり、女と出会う前と変わっていなかった。

【ヴェイグ 生存確認】
所持品:スティレット チンケエデア グミセット(アップル、オレンジ、レモン、パイン、ミラクル)
現在位置:F6丘の上
状態:右肩に裂傷 背中に刀傷 全身に軽い凍傷
行動方針:ゲームに乗る 最後まで生き残る

【ルーティ・カトレット 死亡】

【残り46人】
638メンバー増員中 1:2005/11/14(月) 05:12:21 ID:PY8OJGkk
ジファイブの町。なんだかそのまんまの名前の町だ。
きっと誰でも覚えられるようにという配慮の上でこういう名前にしているのだろう。

町と村の中間といった方がいいのだろうか?
建物はミンツやバロールよりは田舎だけれどラシュアンよりはもうちょっと都会っぽいといった感じ。
町を四分するように通りが十字に走っていて、道に沿うように木が植えてある。
町の中心には教会があって、その前は噴水広場になっている。
教会自体は決して大きくはないけれど、塔は立派なものだ。
あそこなら町全体も町の周りも十分見渡せることだろう。
もともとあった町をモデルにしたのか、それともこのゲームのためにあの男が作ったものなのかは分からないけど、
それほど大きい町ではないみたいだ。むしろ大きかったら困る。私が迷ってしまう。
ユアンさんが言うには、武器防具、道具があるかどうかは怪しいとのこと。
雑貨や日用品程度はあるかもしれないらしい。

町の観察はそこそこにして、早くグリッドさんと合流しないといけない。
ユアンさんと二人っていうのは雰囲気的に少し気まずい。
こんな状況だからなのかもしれないけれど、彼からは少し冷たい印象を受けるわけで。

ここに飛ばされたとき、初めは怖かった。絶対殺されると思った。でも彼は仲間になって欲しいと言ってくれた。
彼の言動にはなんか和んだし、何故か離れたいとは思わない。
恋とかそういうものじゃない。ただ、彼には人を引きつける魅力でもあるのかもしれない。
だから、グリッドさんは、欠けては困る存在だと思う。
…ただ、支給品の無駄遣いはやめてほしいけれど。
エナジーブレットもそうだし、さっきもユアンさんの持ち物の香水かなにかが入っているビンを使っていたと思う。
639メンバー増員中 2:2005/11/14(月) 05:15:14 ID:PY8OJGkk
グリッドさんは割とすぐ見つかった。
木に普通に引っかかっていた。箒もそばに落ちている。電気が切れたらしい。意外と早い。
ユアンさんが言うには、空を飛ぶというある意味万能な能力はかなり制限されているとのこと。
「やぁ、済まない。少しヘマをしてしまった」
あれはヘマのレベルだろうか? あんなのに乗るべきではないと思うのだけれど。
「それでだな、今すぐ降りたいのだが、この木の傾きが急で降りられない」
また頭が痛くなってきた。
「まったく、世話の焼ける…。ロープか何かがあるだろう。持ってきてやれ」
何で私、と思ったが、ユアンさんは危ないオジサンに襲われて、疲れてると言っていた。見た感じそうは見えないが。

ジェットブーツは偉大だと思う。あちこちを走り回っていると、ロープは意外と早く見つかった。
おそらく荷造り用なのだろう。町の入り口にあった。けれど、どうも誰か来ているらしい。
赤い髪の女の子。私はマジックミストを発動させ、急いで逃げた。
そういえば、着ているのがミンツ大学の制服だった気がする。

なんとか三人の待っているところまでたどり着いたけれど、ユアンさんはかなりイライラしているらしい。
「遅い! ロープ一本にいつまでかかっている!?」
数本持ってきたのは秘密だ。というより、絡まっていたから仕方がない。
「すみません、私方向音痴なもので。そ、そんなことより、誰かここに来てます!」
「それは、こいつのことか?」
そういえば、さっきから一人増えていた。確かに町の入り口で出会った女の子。この人って?
「あれ? 「姿なき晶霊術士」事件を解決した、探偵部のプリムラさん、ですよね?」
「あ、知ってる? 私もすっかり有名人ね。まあ、こんな状況だし、いきなり逃げたのは許してあげるわ」
ユアンさんはため息をついて座り込んでいるようだ。よほど疲れたのだろうか。

「あ〜、君たち、困るなぁ。漆黒の翼のリーダーは俺だぞ。メンバーを増やすのは俺を通してもらわないと」
グリッドさんは相変わらずだ。そういえば、彼を下ろすためにロープを取りに行っていたんだっけ…。
「ちょっと、天下のミンツ大一の名探偵の私が協力してあげようっていうのに、それを断るわけ?」
「君の働き次第だ。見事、この俺を木から下ろして見せたまえ!」
「このプリムラ様にかかればそんなことは朝飯前よ!」
…ロープあるのに何を言ってるんだろう?
プリムラさんが普通にロープを投げた。
グリッドさんが木の枝にそれを結んで、普通に下りてきた。

「やあ、君の働き、素晴らしい! 我らの組織に加えてあげよう!」
…いい加減、仲間になって下さいと言えばいいのに。
「ただ、君の称号は思いつかないので、しばらく無しで我慢してくれ」
むしろ私達も称号はいらないのだが。
「『大食らい』を譲ろうか?」
ユアンさんが提案するが、あっさりと断られた。

私達は教会の方へ入っていった。中は意外と広い。
一階中央に礼拝堂、その左右に二階へ上がるためのスロープ、二階の扉の向こうは宿直室だ。
部屋には屋上へ上がる階段があり、これは塔へつづいているのだろう。
ユアンさんは宿直室で休んでいる。
640メンバー増員中 3:2005/11/14(月) 05:16:19 ID:PY8OJGkk
私達は見張り。あっちで煙が上がったり、向こうで何か光ったり。どちらもかなり距離があるようだ。
ここでプリムラさんが思いついたらしい。
「ねえ、仕掛けでも作ってみない?」
「仕掛けですか?」
「鳴子みたいなものだけどね。爆弾作って知り合いがかかっちゃっても困るし」
爆弾は例えで、彼女自身にそんなものを作る能力は無いようだ。
あのとき作り方を聞いておけばよかったとか愚痴をこぼしてはいるけれど。

「作れるんですか?」
「名探偵はプロの犯罪者にもなりうるっていうでしょ。私に任せておけば大丈夫だって」
「俺は賛同できないぞ。勇者ともあろうものが、そのようなセコイ手段に頼ろうとは…」
「それじゃあ、勇者さんは引き続き見張りをお願いね」
グリッドさんは後悔したらしい。確かに一人での見張りはつまらないものだろう。
「三人もいるんだし、二人くらい抜けたって大丈夫よ。あ、それ貸してね」
彼のアイテムを半ば強引に取った。まあここなら弓矢も届かないだろうし、術もかわせるだろう。

投げるための分厚い本(著:ミクトランとか書いてあった)とか皿とか食器を持ってきた。
小さな石像を持ってきたのは驚いたが、主催者をかたどっているから罰は当たらないだろう、というより真っ先に投げよう。
それから、教会の塔にロープを結びつけた。緊急用の脱出手段らしい。
プリムラさん曰く。名探偵入門212ページ。
『あらゆる状況をあらかじめ想定していれば、百のピンチからも必ず生還できるものなり』だそうだ。
「で、他にどんなことをするんです?」
「ん〜? どうしよう…?」
今一生懸命考えているらしい。大丈夫だろうか。

【グリッド 生存確認
所持品:無し
状態:擦り傷、チャームボトルを使っている
行動方針:漆黒の翼のリーダーとして行動、見張り中】

【カトリーヌ 生存確認
所持品:マジックミスト、ジェットブーツ、エナジーブレット×2、ロープ数本
状態:擦り傷
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。プリムラと、トラップを作る。材料探し】

【ユアン 生存確認
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:疲労回復中
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。休んで、仲間捜し】

【プリムラ 生存確認
状態:健康
所持品:セイファートキー、?、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット、C・ケイジ
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。トラップを作る。材料探し】

現在位置:G5の町
641舞台袖の笑い1:2005/11/14(月) 08:05:46 ID:AOvKo4TE
城から出たものの、何処に行けばいいのかは検討がつかなかった。
とりあえず、クレスは仲間もしくはこのゲームを願わぬ参加者を見つける事を最優先とサレとコレットに提案し、南へ長いこと突き進んでいた。
周囲も暗く、敵も何処からやってくるかわからない。注意を払って進むがクレスは頭を傾げて眉をこらし、何か考える素振りをする。
「うーん、よし!ダジャレ大会第二幕でもしようか!」
「本当ですか〜賛成です!クレスさんの頭にはダジャレ育成成分が入ってるんですね。凄いなあ!」
「……」
この二人は相変わらずだった。
呆けた奴らだ。
サレは溜め息を吐いた。
しかしこの様な事をクレスがするのはコレットを気遣っての事だった(しかし彼の密かな楽しみでもある可能性は拭えない訳ではあるが)。
この二人を殺すのは簡単だろう。しかしそれではつまらない。折角の素敵なステージだ。どうせなら大勢の観客の為にも素晴らしいショーにしなくてはね。
サレはダジャレに興じる二人の背後で密案を練っていた。

サレはふと耳を澄ました。
―――どこからか人の声がする。
人物によっては面白いことになるのかもしれない。
「ちょっと待ってくれないかい?」
サレは二人を呼び止めた。
「どうしたんですか、サレさん」
「…敵の気配がする気がするんだ。僕は少し見回りをしてくるから、クレスはコレットちゃんを守っていてくれないかい?」
深刻そうなサレの顔を見て、クレスにも緊張が走る。
「…わかった。何かあったらすぐに呼んでくれ。駆けつける」
「気を付けてくださいね」
「ありがとう。じゃあ見てくるよ」
サレは踵を返すと
「待ってくれませんか」
コレットが呼び止めた。
「あの…、私も危なければ全力で戦います。仲間を失いたくないから」
そう言うと不安そうに俯く。
「うん、頼りにしているよ。それじゃあ」
サレは笑みをたたえ、東へと歩きだした。

仲間、ねえ。
サレは薄笑いを浮かべながらくくくっと咽を鳴らす。どこまで馬鹿で気に障るのだろう。
裏切ったら二人はどんな顔をするのか…そう考えると体を駆け巡る血がぞわっとサレを揺さぶり、それが心地よかった。
彼はそれが奇異な事とは思わない。
今まで生きている内に築かれた、どうしようもない性だった。
理不尽が支配する場ならば僕はそれに乗ってあげようじゃないか。
サレは欲求に忠実にそれを楽しんでいた。
642舞台袖の笑い2:2005/11/14(月) 08:10:35 ID:AOvKo4TE
やがて、森の入り口に差し掛かると何者かの気配が近づいてきた。
太い木の幹に身を隠し、半身を乗り出して様子を伺う。それは二人いた。
髪を一つに束ね、巻き布の様な服を着た若い女と…あれは―――
サレは思わず喜びに眼を細めた。
ティトレイだ。
どうやら二人は地面に座り込んで深刻な話をしているらしく、何か憤慨している女を彼が宥めているようだった。
張りつめた空気。
サレの脳裏にひとつ考えが浮かんだ。

「あたしはなんとしてもあの女の子を殺した奴を殺す」
「だから今は落ち着けって!!」
「うるさい!!」
しいなは立ち上がった。
「…きっとこんなこと終わらせてやるって思ったよ。だけどもうあんなの見ると…」
しいなは拳を握りしめた。
ティトレイは少し考えてしいなに言う。
「だけど殺した奴が誰かわからねえんだ。気持ちは分かるけど…今は我慢するしかねえ…」
ティトレイも悔しげに顔をしかめた。
すずとセネルの死亡は大きく二人の心理を揺り動かせた。
ティトレイも沸き上がる今は行き場のない気持ちに耐えていた。
ひどく不安定な空気が二人の間に流れていた。
そのときだった
「だけど……っ…
――――!!!」
一瞬、反応したが遅かった

しいなの胸を、ブロードソードが深々と差し貫いた。
その背後には…闇に紛れて接近したサレの姿。
「……あ…」
「しいな!!!!!」
サレは素早く剣を抜き取り、また宵闇に紛れてその姿を消した。
致命傷は外してしまったようだがまあいい。サレの目的は別の所にあった。
「しいな!!しいな!!!!」
ティトレイが慌てて駆け寄る。しいなは虫の息だった。
「誰だ…!!誰だ!!!出てこい!!!!」
既に手を下した者はその場になく、ティトレイの恫喝が森の中を虚しく木霊するだけだった。
しいなを脚の上に抱き寄せると、溢れる鮮血で己が体も濡れてゆく。生暖かく、そしてその血は怒りと共にティトレイの心臓に染み入ってゆく様だった。
体が震える。
「何で…なぜだ…」
ティトレイの髪がざわざわと揺れる。
眼には血にも焔にも似た赤い光が宿る。
草木が張りつめた大気の中震え、ティトレイの感情に呼応する様に擦れ合った。
「これが、このゲームの答えかよ…」
ドッ!!とティトレイから本来なら人に有らざる力――――フォルスが凄まじい勢いで放出される。
「うおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!!!」
ティトレイは絶叫を上げた。
643舞台袖の笑い3:2005/11/14(月) 08:23:29 ID:AOvKo4TE
足下や周囲の植物が爆発的に異端な成長を遂げ、ティトレイの周囲に豪風と共に巻きあがる。
「うわあああああああ!!!!!!」
既にティトレイの理性は失われていた。
そう、サレの目的はティトレイのフォルスを暴走させる事、そして――――

「クレス!!コレットちゃん!!!」
サレは息を切らして二人の元に駆けつけた。
「何があったんですか!!?」
二人の間に並々ならない緊張が走る。
「早く来て欲しい。森の中にいる男が凄まじい勢いで暴走している」
「何だって!!」
三人は森に向かい、走り出した。
とてつもない力が森から放たれている。
クレスは頬がぴりぴりとするのを感じた。

森に着くとそこには怒りと憎しみで猛り狂った男がいた。そしてその数メートル先には誰かが倒れている…周囲が暗く、蔦が覆っているのもあり、誰かは確認できないが。
この男がやったのだろうか?
男の燃える眼とコレットの眼が合った。
「ああああああ!!!!!!」
すると叫びと共に男の周りで蠢いていた蔦がコレットを目掛け襲いかかる。
「きゃあ!!!」
しかし間一髪でクレスがその蔦を斬り落とす。
クレスは男を真っ直ぐに見据えた。
この男には既に正気がない。
「…すごい殺気だ!!やるしかないのか!!!」
クレスは剣を構え、男に向けて走り出した。

もうひとつの目的は――――この男と戦わせる事であった。

「おおおおおおお!!!!」
更に蔦が幾重にも重なり、クレスを包み込もうとする。
「クレスさん!!」
するとコレットが支給品の短剣を器用にチャクラムの様に投げ蔦を斬り刻んで道を拓く。

単純な男だ。暴走するティトレイを眺めて思う。そもそも殺し合いの場で馴れ合う方が愚かなんだよ。
君の様な腐った理想を抱いた大根役者には無様に死んでもらうよ。それがお似合いだ。
フォルスが暴走しているとはいえ三対一だ。
勝機は明らかにこちらに有るだろう。
フフ、と思わず笑いが込み上げる。

そしてこの二人は戦いの後真実を知るとなると、どんな顔をするのか――――
尤も、そんなお楽しみはまずこの男を殺してからずっとずっと後だけれどね。

クレスとコレットはゆっくりと…しかし確実にサレの用意したステージの上で踊りだした。
それが仕組まれた脚本とも知らずに。
644舞台袖の笑い4:2005/11/14(月) 08:27:25 ID:AOvKo4TE
【クレス 生存確認
状態:無傷
所持品:ダマスクスソード ????
行動方針:ティトレイを倒す】
現在位置:F4の森入り口

【コレット 生存確認
状態:無傷
所持品:忍刀血桜 ????
行動方針:ティトレイを倒す】
現在位置:F4の森入り口

【サレ 生存確認
状態:無傷
所持品:ブロードソード ???
行動方針:ティトレイを倒す、コレットとクレスを利用する】
現在位置:F4の森入り口

【ティトレイ 生存確認
状態:フォルス暴走
所持品:不明
行動方針:理性がない為眼に付いた者を倒す

【しいな 生存確認
状態:胸を深く刺され重傷
所持品:コルトガバメント弾7マガジン4 ????
行動方針:瀕死の為不明】
現在位置:F4の森入り口
645名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/14(月) 21:20:26 ID:ddcmv9yF
スマンが行動方針にただやってることだけ書くんじゃなくて
基本行動方針とかいくつかに分けて、もう少しキャラの思惑を明確にしてもらえないだろうか
646不死身の男 1:2005/11/14(月) 23:43:31 ID:/t2q0Dyv
エクスフィギュア化したマウリッツの攻撃を避けつつ、ハロルドは充分な距離を取った。
そして詠唱開始。異形の化け物と成り果てた男は、ただ己の本能に従い接近してくる。
「デルタレイ!」
唱え切ると同時に、彼女の正面に三つの光球が現れ、
勢いよく三角形を描きながら男に向かって飛び、その胸を穿つ。健康状態の悪そうな血が飛散した。
しかし相手はたじろぐこと無く、直もハロルドとの距離を詰めていった。
彼女と男の間隔が完全に狭まった。彼女はまだ術を放った構えのままだった。
男が怪物化した腕を振り上げる・・・と同時に、彼女の目が光った。
「更に!」
再度彼女の目の前に光が現れ、雷の如く発光しながら一気に男の左腕を貫いた。
血しぶきが上がり、男の左腕と胴体が分裂した。
「GUOOOOO!!」
苦しんでいるとも、猛っているともとれる雄叫びを上げながら、男は大きくのけぞった。
ハロルドは男のダメージを観察しているようだった。出来ればデータ採取したいものだが。
647不死身の男 2:2005/11/14(月) 23:44:27 ID:/t2q0Dyv
と、突然男の胸部が裂け、内部から茶褐色の触手が何本も飛び出してきた。
「お!」
咄嗟に後方に飛ぶ。触手はそのまま地面を強く砕いた。
更に続けて襲い掛かってくる。ハロルドは連続で飛び跳ねながらも、
何重にも折り重なって迫る触手に次第に追い詰められていった。
そして何度目かの回避の後、眼前に一本の触手が急接近していた。
「わわっ!」
一瞬の判断で短剣を使うことにした彼女は、
杖を持っているのとは反対の左手で短剣を握り、切り払ってそれをやり過ごした。
が、その隙に足元に迫っていた別の一本には気付かなかった。
それは一瞬にしてハロルドの足首に絡み付く。
「げっ」
まるで実験に失敗してしまったかのような調子でつぶやく・・・やっば〜、酢と酸を間違えちゃった〜・・・
次の瞬間、彼女の身体は宙高く舞い上がった。
648不死身の男 3:2005/11/14(月) 23:45:16 ID:/t2q0Dyv
空中に逆さ吊りになった彼女に、追い討ちをかける様に残りの触手が襲い掛かってきた。
「このエロオヤジ!」
逆さ吊りの体勢のまま、彼女は素早く杖を持った右手を頭上に(実際には地面に向けて)高く挙げた。
地面から突如黒色の刃が現れ、迫り来る触手を全て断ち切った。
ついでに彼女の足に絡み付いていたものも切れた。そのまま逆さに落ちる。
「あだっ・・・もー、こいつ一体・・・」
後頭部を右手で撫でつつ、男を見やる。そこに男の姿は無かった。
ちらと上を見る。予想通り、男は跳躍して彼女に襲い掛かって来ていた。
鮮やかに避けようとし・・・突然男の化け物並になっていた爪が、更に伸びた。
だがそれも予想通りだった。まあ、拳の筋肉の動きを見れば一目瞭然なので。
男の爪が大地をえぐる。彼女は余裕だった。
しかしたった一つ予想外のことがあった。いつの間にか、彼女の背中が岩に引っかかっていた。
洞窟の一部が決壊したのか、川から流れ込んだのか、いずれにせよこの状況下では果てしなく邪魔だ。
「WWWGAAAAAA!!」
男は咆哮を挙げると、いつの間にか元通りになった触手を(なんという回復力なのかしら!)再び発射した。
649小さき天才:2005/11/14(月) 23:45:27 ID:86gAiUJo
「う、ううん、ここは?」
ジーニアスは森の中で目を覚ました。
「ッツ!」
どうやら、この鬱蒼と草花や大木が生い茂る森に飛ばされてすぐ、
木に頭をぶつけ気を失っていたようだ。

彼はとりあえず、皮袋の中を見てみた。
最初に出てきたのは、説明書のようなものだった。
この本に書かれている名前の中に姉がいないことがわかり、
次の支給品を見てみようとした時、


「うおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!!!」

「うわっ!何だぁ!」

彼が怒号が聞こえてきた方向に向かってみると、
そこには倒れたしいなと、怒号を発している男と、コレット達がいた。

「しいな!?」
650不死身の男 4:2005/11/14(月) 23:46:12 ID:/t2q0Dyv
しかしそれらは全て、突然飛来した物体によって撃ち落された。
撃ち落された触手は、紅く燃えながら地面に落ち、焼けていった。
唐突な他者の介入に、男は怪訝な表情を浮かべ(たに違いない)、周囲を見回した。
すぐに男はその正体を発見した。流れるような金髪、スタン・エルロンである。
「おっそーい!もう少しで私がこいつにチョメチョメされるトコだったんだから!」
「え、いや、ごめん・・・てか何がどうなるって?」
マウリッツを挟んで会話する二人。やがて男は狙いをスタンに絞ったらしく、彼に向かって突進した。
「行ったわよ!」
「分かってる!」
スタンは何も持っていなかった。彼の武器と思われるものは、先程触手を薙ぎ払うのに使ってしまったのだろう。
「GUGOOOO!!!」
怪物と化したマウリッツが左脚を上げて蹴りかかる。だがスタンもまた右脚を振り上げた。
ぶつかり合う衝撃。そして、当然体格差で今圧倒的に勝るマウリッツが押し切ると思いきや、
なんとスタンの蹴りが男の左脚を吹き飛ばした。気付けば彼の足に紅蓮の炎が宿っている。
男は更に続けて右腕を振り下ろす。スタンも続けて左脚を回す。再度激突。
だがそれでもスタンの勢いは衰える事無く、反動を利用してマウリッツの顔面付近まで飛び上がっていた。
「空牙昇竜脚!!」
炎を纏った右足を思い切り男の首にぶつけ、男の身体ごと力づくで地面に叩き付けた。
砂塵が舞い起こり、男の血液が飛び散る。
それでも男は力尽きることを知らず、再び立ち上がろうとしていた。
「スタン!」
ハロルドが地面に落ちた彼の武器を放り投げた。うまくキャッチしようとして、
しかし丁度刃がこっちを向いている時に彼の元に届いたので、慌ててサイドステップしてから落ちたそれを拾った。
彼は手にした剣・・・攻防一体を考え作成された剣、ディフェンサーを構えると、
表情を引き締めて既に立ち上がっていたマウリッツと再び対峙した。
「WRYYYYYY!!!」
そう叫ぶと同時に、男の胸、腕が千切れた左肩、更に背中から一斉に触手が飛び出した。
それらは全てスタンの五体を狙っていた。とても避け切れない──
しかし彼は表情を変えないまま、剣に力を集中した。
剣から紅のオーラが立ち上り、やがて炎を成した。そして剣を左から右へ一気に振った。
「魔王炎撃破!!」
剣は男の心臓を、付加された炎は触手を焼き払い、今度こそ男は沈黙した。
651小さき天才:2005/11/14(月) 23:46:26 ID:86gAiUJo
彼は急いで皮袋を取り出し、中身を漁った。
最初に出てきたのは、彼の使い慣れている剣玉だったが、放り投げ、
次に出てきたライフボトルを手に取り出した。
それをしいなに飲ませ、彼は逃げようとしたが、

「グァッッ!?」

怒号を発していた男に思いっきり殴り飛ばされ、
彼は再び気を失うことになった。



【ジーニアス 生存確認】
所持品:ライフボトル残り2本 ビジャスコア(地面に放り投げられている) ???
現在位置:F4の森入り口
状態:気絶、背中に鈍器で殴られたような痛み
行動方針:気絶しているため無い。


【しいな 生存確認】
所持品:コルトガバメント弾7マガジン4 ????
現在位置:F4の森入り口
状態:完全ではないがある程度回復して動ける状態
行動方針:助けてくれたジーニアスを連れて逃げる

652不死身の男 5:2005/11/14(月) 23:46:59 ID:/t2q0Dyv
マウリッツが倒れこんだしばらく後、男の身体は次第に元通りになっていった。
しかしそれはあくまで怪物から人間へ戻ったというだけで、再び目にする男の姿は、
既に左腕が無く、胸部に深い裂傷を残すおびただしい鮮血に染まった老体だった。
「・・・」
スタンは男の姿を複雑な面持ちで見ていた。
いくらこの男が怪物となって自分達を襲ったとはいえ、元は見ての通り同じ人間なのだ。
それも、自分達と同じ、理不尽に連れて来られて殺し合いを強制された存在・・・
「どったのー?さっさと行くわよー」
ハロルドが声を上げる。スタンは我に帰って歩き出した。
「あ、ああ。」
「やっぱ私が睨んだとおりソーディアンが無くても戦えるようね」
「でも、どうしてこんな指輪をしたぐらいで前に使ってた技が使えるようになったんだ?」
そう言って彼は右手の薬指にはめた赤い指輪、ガーネットを見つめた。
「それはこの島全体のマナがありえないくらい凝縮して複雑に混ざり合っているからよ。
 もっと詳しく説明してもいいけど、それは暇な時にでもして、
 とにかくソーディアンの代わりになる器と魔力を持つ何かが揃えば従来の技や術が使えるの」
「それでもディムロスほどの出力は出ないようだけどな」
「当たり前よ。だってソーディアンは私が作ったんだから。
 間に合わせの代品で同じパワーを出されちゃたまんないわよ」
ハロルドが口を尖らせる。スタンはとりあえず納得して、質問を変えた。
「それで、どうすんだよこれから?」
「そりゃーもちろん・・・・・・」
そこまで言いかけて、不意にハロルドは口をつぐんだ。
そしておもむろに手を首筋にやると、やがて明るい笑顔で言った。
「この島の生態系を徹底的に調べ尽くすに決まってるでしょうが!」
ちょっとまて、と言いかけたスタンは既に鼻歌交じりに洞窟内に消えたハロルドを追いかけるため走り出した。
全く、あの人は一体何を考えているんだ?
653不死身の男 6:2005/11/14(月) 23:47:49 ID:/t2q0Dyv
「はぁ、はぁ、ぐっ・・・!!」
既に空が暗くなりかけた頃、マウリッツは意識を取り戻した。
ゲーム開始以来、常人なら三度は死ねる程の怪我を負わせられながらも、彼は生きていたのだ。
一部では『不死身のマウリッツ』との呼び名もある彼の体力は、最早無尽蔵であるかに思われた。
おのれ、おのれ、おのれ・・・・・・
呪いの言葉をつぶやきながら、彼はじりじりとホフク前進していた。
ゲーム開始早々、結んだ髪を特徴的に体に巻きつけた蛇の様な面の男、
一目で忍者と分かる彼にズタズタに切り刻まれ、
元々マウリッツの支給品だったエクスフィアを手の甲に埋め込まれてあの川に投げ込まれたのだ。
それからの記憶は曖昧になっている。
よく見知った情報屋の少年、清楚な雰囲気の少女、変貌、競争、稲光、気絶、
回復、金髪の男、もじゃもじゃ髪の女、また変貌、光、触手、炎・・・
そうして気付けば左腕を失い、胸は裂けて血と内臓の諸々がはみ出していた。
死にたくない。死ねぬ。このゲームには、メルネス様がおられる。
我等水の民の希望たる人が、こんな理不尽な催し物で失われてはならぬ。
「おのれ、死ぬわけには・・・いかない」
「だがもう楽になった方がよいのでは無いか?」
不意に誰かの声がした。見上げようにも、首を動かすことすらままならない。
かろうじて上を見ると、肩を掠める程の青灰の髪に赤のメッシュの前髪をした男が立っていた。
「お前は・・・!?」
「死人が知る必要の無いことだ」
男・・・デミテルはそう一言告げると、両手から魔力の弾を発射し、マウリッツの頭を打ち砕いた。
そして今度こそ完全に息絶えたマウリッツを尻目に、
先程金髪の剣士とピンク髪の術士が入っていった洞窟を見つめた。
あの洞窟めがけ強力な術を叩き込むのも一興だろう。だが・・・
あの二人、特に女の方は只者ではない。先程の戦闘を垣間見るに、恐らく相当な実力の持ち主だ。
それは自身が術士である由縁の直感と言った所か、
いずれにせよあの時のガキ二人の様に不意打ち一発で仕留めれるとは思えない・・・
ならばより安全で確実に仕留められる獲物を探すべきだ。
そう結論づけるとデミテルは身を翻し薄暗い空の下歩き出した。
654不死身の男 7:2005/11/14(月) 23:48:36 ID:/t2q0Dyv
【スタン 生存確認】
状態:軽い疲労
所持品:ディフェンサー ガーネット ????
現在地:G3の洞窟内部
第一行動方針:ハロルドと共に行動
第二行動方針:仲間と合流

【ハロルド 生存確認】
状態:TP微消費
所持品:ホーリースタッフ ピーチグミ 短剣 実験サンプル(内容不明)
現在地:G3の洞窟内部
第一行動方針:不明 
第二行動方針:スタンと共に行動

【ミント 生存確認】
状態:TP小 中程度の疲労 洞窟内部で睡眠中
所持品:サンダーマント
現在位置:G3の洞窟内部
行動方針:不明

【デミテル 生存確認】
状態:無傷
所持品:フィートシンボル ストロー ミスティシンボル ????
第一行動方針:出来る限り最低限の方法で邪魔者を駆逐する
第二行動方針:ダオスを倒せそうなキャラをダオスに仕向ける
現在地:G2から北へ移動中

【マウリッツ 死亡】

【残り45人】
655名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/14(月) 23:49:29 ID:/t2q0Dyv
うはwwwww被ったwwwwww
656名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/14(月) 23:50:17 ID:86gAiUJo
すいません。 orz
657使用人と大佐:2005/11/15(火) 01:00:12 ID:5TXLtgoD
その場に人がいたらその目に異様な光景が映っただろう。
いや、その光景を作り出している張本人さえも
何が起こっているのか理解しきれていなかった。

彼女―マリアンは、気が付くと浜辺に居た。
何故こんな事になってしまったのだろうと考えながら、
生き残るすべを求めて支給品の袋を開いた。

食料等の他は、大量のスペクタクルズと剣が一振り。
女性でも扱えるような細身の曲刀だったが、
剣など触った事も無い彼女には、大層重く感じられた。

・・・何処からか人の声がした。

(・・・・た、私の声が聞こえる?聞こえるなら、返事をして頂戴・・・)

祈るような、誰かを探しているような声。
何処か遠くから、それでいてすぐ近くから聞こえるような気がして、
周りを見回してみたが誰もいない。

(やっぱりダメか・・・こうなったら誰か知ってる人に出会えるのを願うだけね・・・)
「き・・・聞こえてます・・・」

思わず返事をしてしまった。

( ! あなた、私の声が聞こえるのね?!)
「はい、聞こえます・・・何処に居るんですか?」
(信じられないでしょうけど、あなたの目の前にいるわよ」

周囲を見回しても誰もいない。

(ココよ、ココ)

ふと目の前の剣に目線が奪われ、声の主がこの剣であるかのように感じられた。
しかしそんな筈は・・・

(言ったでしょ?信じられないかも知れないって)
「まさか、本当に剣が・・・?」
(そのまさかよ。いい?これから言うことは信じられないでしょうけど全部本当なの)

女性が浜辺に座り込み剣に向かって話しかける光景は、どう見ても異様であった・・・
658使用人と大佐2:2005/11/15(火) 01:08:09 ID:5TXLtgoD
【マリアン 生存確認】
状態:無傷
所持品:ソーディアン・アトワイト
現在位置:7Dの海岸
行動方針:不明
659名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/15(火) 01:17:48 ID:9CsCMGj0
えー、すでにルーティ死んでるしテラセツナス
660名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/15(火) 01:20:13 ID:qWJAHywm
>>658
携帯から見直したらスペクタクルズ忘れてる事に気付いた・・・orz
追加:スペクタクルズ×15個
661名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/15(火) 01:23:46 ID:XT8Qzpxk
重要な事以外の雑談及び感想はなるべくこちらで
PC http://jbbs.livedoor.jp/otaku/5639/
携帯 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/otaku/5639/
662■キャラ近況■:2005/11/15(火) 12:21:09 ID:vgSrxVOX
間違いあればつっこめ
こうしたら見やすい等の案もあれば改善するので教えてくれ
いい感じに死亡者が増えてきたな
★=戦闘中

★>641-644クレス、サレ、コレット、ティトレイ
>646-648>650>652-653ハロルド、スタンミント
デミテル
>551-553ジョニー、ファラ
>638-640グリッド、ユアン、カトリーヌ、プリムラ
>465-467ジューダス、ロイド
>493-494>506バルバトス、マグニス
>649>641ジーニアス、しいな
>524-527ミトス、マーテル、シャーリィ
>517-519トーマ、ミミー
>619-624リッド、キール
カッシェル
>628-632アーチェ
>524-527ダオス >539モリスン(エドワード)
>528-529リオン >522マリー >516-517コングマン >657-658>660マリアン
>617-618メルディー
>257-258カイル >421-422リアラ >600-601ロニ
>257-258クラトス >495-497ゼロス
>633-637ヴェイグ >598-599ポプラおばさん
>452-454ジェイ >524-527ソロン

【死亡】首コキャ セネル、すず(G4川岸) アミイ モーゼス(C5森出入り口) ジェストーナ(E7海岸) チェスター、ヒアデス(C5橋付近)、ルーティー(F6丘の上)、
マウリッツ(G3洞窟入り口)
【地図】http://www.hasimoto999.aki.gs/img-box/img/858.jpg〔PC〕
http://i.pic.to/2g2oa〔携帯〕
【拠点名】>283
【掲示板】http://jbbs.livedoor.jp/otaku/5639/〔PC〕
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/otaku/5639/〔携帯〕

663崩壊の序曲 1:2005/11/15(火) 23:36:02 ID:tGjUDNj/
静かな森の中から、二人の男の声が聞こえる。
「おやおや、そんなに気を猛らせて。そんなにあの女性が大切だったのですか?まあ私にはどうでもいい人物ですが」
並み居る木々の枝に悠然と佇むその男、ソロンを見上げながら、金髪の男、ダオスはその男を強く睨み付けた。
「・・・ふざけるな!」
彼がそう叫ぶと同時に、ソロンの頭上から突如雷が起こり、足元から土塊が飛び出し、
彼から男へ向けて火の玉、氷柱が飛んだ。
しかしそうした攻撃も、煙幕と共に姿を消した男には届かなかった。
「怖いですね、その表情。
 あまり怒りに囚われすぎると顔が恐ろしいままになっちゃいますよ。
 まあ、私はそういう歪んだ顔の方が好きですが。アハハハハハハハハ!!!」
いつの間にか自身の後ろに出現していた男に対し、再度術を放つも再び消えてしまった。
「逃げるな。マーテルを傷つけておきながら、私と戦うのを臆するか。卑怯者が」
「やれやれ、随分な言いがかりですね。まあ卑怯なんて言葉はむしろ誉め言葉としてありがたく受け取っておきますが、
 それについてはあなたの不注意が原因の一つであるのではないですか?」
痛い所を突かれたらしく、ダオスは顔をしかめる。だがやがて憤然とした面持ちでソロンを見やると、声高く言った。
「確かに私の不注意ではあった。だが、もうあのような失敗はしない。
 私は彼女を守り通す。その為にも今、ここでお前を葬る!」
もう一度ファイアーボールを飛ばし、ソロンの位置を動かす。次に奴が現れた場所へ、間髪いれずに追撃をする。
ダオスは両手を開いたまま前に突き出し、大きく脚を広げ地面を強く踏んだ。
「ダオスレーザー!」
極太のマナエネルギーの塊が、木々をなぎ倒し草を焼きながら収縮して突き進んでいった。
それは確実に男に直撃すると思われたが、またしても男は煙の如く消え去ってしまった。
「あ〜、駄目ですよ、その程度で私に当てようなんて。それにあなたも、
 こんな序盤からそんな大技を撃っていては、いつか力尽きてあっけなくやられてしまいますよ?」
敵である自分に忠告をしてくれるとは、この男、どこまでふざけるつもりだ。
ダオスは内心そう思いつつ、次なる攻撃に出ようと構えていた。
遠距離戦が駄目なら、接近して戦うまでだ。
「まだやる気ですか。どうやら逃がしてはくれないみたいですね。
 いやぁ困った、困りましたね。ええ、実に困りましたよ。困りすぎて独り言を言いたくなりました」
独り言と言いつつ、しっかりとダオスに聞くことができる声で話す男の言葉を聞きながらも、
彼は一瞬の隙を逃すまいと神経を集中させていた。
「あなたは私が単独で動いてると思っているかもしれませんが、
 そういえば私には弟子がいましてね〜、彼は今頃うまくやってるのでしょうか」
「何・・・?」
「ああ、勿論独り言ですからお気になさらずに。
 いやぁ、もし彼が今あなたのお仲間を襲っているとしたら、これに勝る喜劇は無いでしょうなぁ」
男の独白に、ダオスは身震いした。まさか、いや、そんなことが・・・?
「馬鹿な」
「もしこれであなたの大切な人が亡くなられたら、
 あなたは全く同じパターンでお仲間を二度も傷つけたことになりますね。
 いやぁ、想像するだけで腹がよじれそうだ!!アハハハハハハハハハハ!!!」
大げさに腹を抱えて笑みを浮かべるソロンをよそに、ダオスは猛然と駆け出していた。
そんなことが、本当に・・・・・・!?
もしそうだとしたら、自分は最早生きていけないほどの大馬鹿者だ。
はやる気持ちを抑えつつ、彼は元来た道を戻っていた。
664崩壊の序曲 2:2005/11/15(火) 23:36:49 ID:tGjUDNj/
「やれやれ・・・」
ダオスの姿が消えたのを見届けると、ソロンは軽やかに跳躍し森の中へ消えた。
あの男は間違いなくこの試合で最強クラスの力を持っている。
そんな者とまともにやりあえば、こちらは当然無事ですまない。
ソロンはそうなるつもりは更々無かった。わざわざ嘘を付いてまで彼から逃れたのは、
せっかくこんな面白いゲームに招待されたのだから、
もっともっと色んな参加者達の姿を見て、かき乱してやりたかった。
そうすることで浮き彫りになる人間の醜い素顔、奇麗事を口にする青二才どもの仮面が剥がれ落ちるその瞬間、
そういったものを想像するだけで男の心は絶頂に達しかけた。
「全く、こいつは最高のゲームですよ!!」
木々の上を駆けながら、ソロンは大声でそう叫んだ。その顔は、既に常人のものでは無かった。
665崩壊の序曲 3:2005/11/15(火) 23:37:51 ID:tGjUDNj/
「マーテル!」
「ダオスさん!」
いち早く反応したのは金髪の、といってもダオス達に比べればやや色素の薄い髪の少女、シャーリィだった。
真っ先にマーテルの容態を見る。が、その姿は彼がこの場を立ち去る前より変わっておらず、
いやむしろ、顔色もよくなっているようだった。
「・・・お前のくれた薬が効いたようだ」
背後から声がし、振り向くとマーテルと同じ輝くような金髪の少年、ミトスが立っていた。
あまり気もちよさそうでない表情と、少しトゲのある言い方から、まだ少年は自分を咎めているのだ、と彼は思った。
「心配かけて、御免なさい・・・」
マーテルが苦しそうに身を上げる。傷も殆ど直っている。
どうやらこの島においても、回復アイテムは正常に機能するようだった。
三人の様子を見るに、彼が居ない間に何かあったとは思えない。
ということは、やはりあの男、はったりをかけたのか。
ちっ、と軽く舌打ちをすると、とりあえずマーテルが無事だったことに安堵した。
「あまり無理はなさらないで下さい。とにかくあなたが無事でよかった」
立ち上がろうとするマーテルに手を貸してから、辺りを見回した。少しずつ空が暗くなり始めていた。
ふとミトスが厳しい顔でこちらを睨んでいる事に気付いた。
マーテルとシャーリィに背を向け、彼女等と少し離れて彼は少年と話した。
「どうした?」
「敵は・・・姉さまを襲った奴はどうした」
ダオスは少し黙り込んだ。あの時、気を荒げて襲撃者に向かっていったのは彼自身だった。
「いや・・・逃げられた」
「何だと!?」
少年の語気が強まる。あからさまにダオスの手落ちを批判しているようだった
「お前・・・もしこれでまた姉さまが襲われたりしたら、お前のせいだからな!
 こんなことなら、僕が敵を倒しに行けばよかった・・・!」
彼は反論しなかった。自分の判断ミスが今回の事態を招いたのは確かだし、
それに、この少年は彼が睨んでいた通りの凄まじいマナの持ち主であった。
「いいか」
少年が続けて言った。
「僕はお前を信用しない。姉さまは僕が守る。
 けど、もしお前のせいでまた姉さまが傷つくことがあれば、僕はお前を許さない」
「・・・了解した。ただし、約束がある」
少年の表情が一瞬こわばったように見えた。
「な、なんだ・・・」
「守ると言った以上、必ずマーテルを守れ。私も全力を尽くそう。彼女は失われてはならない」
しばらく黙っていたが、やがて表情を引き締めキッとダオスを睨むと、力強く言った。
「言われなくてもそうするつもりだ」
「なら、安心だ」
666崩壊の序曲 4:2005/11/15(火) 23:38:54 ID:tGjUDNj/
既に空は暗く、ゲームが始まってから結構な時間が経過していた。
ダオスは参加者全員に支給されていた時計を見た。
「もうすぐ、最初の放送か・・・」
その放送で、それまでに死んだ者達の名と、禁止エリアの位置と時間が発表されるらしかった。
先程彼らを襲った神出鬼没の男といい、ゲームに乗った者は少なくないようだった。
彼は神経を尖らせ、周囲を見回した。もう何人たりとも、マーテルに近づけさせはしない。

ダオスが見張りをしている場所から少し離れた場所で、残る三人は休息を取っていた。
当然、先程のソロンの襲撃もあって、何か異変があればすぐに気付ける距離ではあった。
そしてダオスは限界まで気を張っていた。
この状態なら、例え空間を跳躍して接近してきても、大気の異常にすぐに気付けるはずだった。
疲れがたまったか、姉と再会できて気が緩んでいるのか、ミトスは既に眠ってしまっていた。
その傍らでマーテルとシャーリィが話し込んでいる。
「もうすぐ・・・放送があるみたいですね」
「お兄ちゃん・・・大丈夫かな・・・」
シャーリィは物憂げにつぶやいた。
彼女の最も大切な人、セネル・クーリッジもまた、この島のどこかに居るはずなのだが。
「不安なのですか?」
「はい・・・こんなことになってしまって・・・それに何だか、とっても嫌な予感がするの・・・」
マーテルは姉が妹を慰めるように、シャーリィの頭を撫でた。そして口調も柔らかく、少女に語りかけた。
「大丈夫よ。家族は、強い絆で結ばれているものなの。だからあなたも、きっとお兄さんに会える」
「あ・・・」
何かを思い出したように少女は口を開けた。
「どうしたの?」
「いえ、ここに来る前に、魔法陣に乗る前に・・・私達の仲間の人も、同じようなことを言ってました」
「そう・・・きっとその人は、家族をとても大切にしてる人なのね」
「ええ、ことあるごとに『ワイらは家族じゃ』って言って・・・お兄ちゃんとも仲がよかった・・・」
その彼も、このゲームの参加者だった。
「お兄ちゃん・・・」
さみしげに、再度つぶやく。マーテルは少女を抱きしめた。

ダオスは空を見上げた。
絶対に、誰も、マーテルに近づけさせも傷つけさせもしない。
緩みかけた精神を再度張り詰めなおす。睡眠など取るつもりは無かった。
・・・・・・しかし、襲撃者のこともあり、彼は外部に気を取られすぎていた。
彼はこの時気付いていなかった。
いずれ彼自身をも焼くことになるだろう炎の火種が、彼の外側では無く、内側に存在していたことを。
667崩壊の序曲 5:2005/11/15(火) 23:39:43 ID:tGjUDNj/
【ダオス 生存確認】
所持品:エメラルドリング
現在位置:B7の森林地帯
状態:多少TP消費 精神の緊張
行動方針:マーテルを守る
      :マーテルと行動

【ミトス 生存確認】
所持品:ロングソード ????
現在位置:B7の森林地帯
状態:擦り傷
行動方針:マーテルを守る
      :マーテルと行動
      :クラトスとの合流
      :ダオスを信用しない

【マーテル 生存確認】
所持品:双眼鏡 邪剣ファフニール アクアマント
現在位置:B7の森林地帯
状態:極めて普通
行動方針:ダオス達と行動
      :ユアン、クラトスとの合流  
      :戦いをやめさせる

【シャーリィ 生存確認】
所持品:???? ????
現在位置:B7の森林地帯
状態:普通
行動方針:マーテル達と行動

【ソロン 生存確認】
所持品:???? ????
現在位置:B7から移動中
状態:狂気
行動方針:周りをかき乱し、傍観して楽しむ
      :ジェイの監視
668分裂 1:2005/11/16(水) 23:23:41 ID:El+iNwg8
何がどうなっているのか、ミズホの民・しいなはさっぱり分からなかった。
確かに自分はティトレイと口論をして、その最中に誰かに刺された。
大量に流れ出る自分の血と、薄れていく意識の中で、彼女は既に自分が助からない容態だろうと悟った。
そこまでは覚えてる。
気付けば、目の前によく見知った仲間が一人。イセリアの天才こと、ジーニアス・セイジである。
だがその彼もまた意識を失っているようだった。一方彼女はもう意識を取り戻していた。
状況がつかめない中、とりあえずその辺に放置してあった、
彼の持ち物と思われるケンダマを拾い、彼のザックに入れる。
そしてふと気付く。ティトレイは、どこに・・・?
彼の荷物はそこに放置してあった。彼が自分を見捨てて行ったとは思えない。
いや、この極限の状況を考慮したらもしかしたらそうなのかもしれないが、
いずれにせよ食料や水の入っているザックを丸ごと放置することはありえないことだった。
自分を刺した相手を追いかけていったのだろうか。
そう思った瞬間、刺された場所がジワリと痛んだ。
669分裂 2:2005/11/16(水) 23:24:51 ID:El+iNwg8
しかしそうした彼女の疑問も、突如戻ってきたティトレイの尋常ならざる様子、
そして彼がしいなに攻撃したことによって吹き飛んだ。
「うおおおおおおおお!!」
全身から異常なほどの闘気を発し、彼は彼女に突進してきた。
咄嗟に避けようとするも、胸の傷が痛んで体がうまく動かなかった。
彼の拳が右側頭部を打つ。脳が揺れる。
「ティトレイ!どうしてあんたがこんな・・・」
その言葉に全く反応せずに、彼は直も攻撃を仕掛けようとしてくる。
しいなはティトレイが正気を失っていることに気付いた。
なんで、どうして──・・・
思いつく理由は一つしかない。彼女が刺されたことである。
それと彼が一旦姿を消したこと、そして目の前でジーニアスが気絶していることが
どう関係しているか、彼女には到底分からなかった。
分からなかったが、ただ一つ言えることは、このままでは自分がティトレイに殺される、ということだ。
ならば戦うしかなくなる。しかしそれは出来なかった。
時間にすればほんの数時間だが、彼女は確かに彼と共に動き、語り、誓った。
こんなゲーム、絶対に許さない。あそこで朽ち果てていた、少年と少女の為にも。
そして、たとえ一度でも仲間意識の芽生えた者を、殺すなんて出来はしない。
冷酷に任務を遂行する忍として育てられた彼女だが、人としての情は人一倍であった。
だから、逃げる。
例えこちらが銃を持っているとしても、この怪我、更にジーニアスが倒れているとなると、
到底こちらが有利とは言えない。せめてティトレイを説得したかったが、それも難しいことだった。
彼女はそう決めると、素早く自分とジーニアスの荷物を両手に持ち、彼を背負って走り出した。
派手に動いたせいで刺された胸からまた血が出たが、気にする余裕は無かった。
ティトレイは直も叫びながら追いかけようとしてきたが、不意にその足を止めた。
理由は分からなかったが、とにかくどこか落ち着ける場所へ行くのが先決であった。
自分がどこへ向かっているのかすら分からず、彼女はひたすら走った。
そうして、彼女と少年はやがて川に出た。
670分裂 3:2005/11/16(水) 23:26:44 ID:El+iNwg8
「おやおや、こんな所に隠れたのかい」
突然自身の身を襲った風の刃が飛んできた方向を睨みつけていたティトレイの前に、サレが現れた。
サレは素早く周囲を見回した。しいなは既にその場に居なかった。
内心彼はほっとした。もし女の姿が発見されれば、自分が女を刺した事、
ひいてはすべての事を仕組んだのが自分であるとバレる恐れがあったのだ。
・・・全く、こいつがいきなり逃げ出した時はどうなるかと思ったよ・・・
「コレットちゃん、クレス、こっちに居たよ!」
口に手を添え、彼の右手方向に叫ぶ。やがて、コレットとクレスも現れた。
「こ、この血は・・・!?」
クレスが地面に溜まった赤い血を見ながら動揺して言った。それこそがサレがしいなを刺した時のものなのだが。
だがその瞬間またしてもサレの頭に黒い考えが浮かんだ。
「それはこの男がやったんだろうね。ここに居た別の誰かは、命からがら逃げたという所かな?」
「そんな・・・ひどいです!どうしてこんなひどいこと・・・」
「無駄だよ、コレットちゃん。もうこの男には声なんて届きゃしないさ。
 あえて例えるなら、モンスターと同じ。やらなければ、こちらがやられるのさ」
そう言ってティトレイを指差す。更に男は猛った様だった。
「うおおおおおお!!」
男の周囲から、再び蔦が伸びだした。
「さあて、第二ラウンドの始まりだ」
そう言うサレの口元には、冷酷な笑みが広がっていた。
671分裂 4:2005/11/16(水) 23:27:37 ID:El+iNwg8
【クレス 生存確認】
所持品:ダマスクスソード ????
状態:無傷
行動方針:ティトレイを倒す
      :コレット、サレと行動
      :生き残るためなら戦いも辞さない
現在位置:F4の森

【コレット 生存確認】
所持品:忍刀血桜 ????
状態:無傷
行動方針:ティトレイを倒す
      :サレ、クレスと行動
      :ロイド達と合流
現在位置:F4の森

【サレ 生存確認】
所持品:ブロードソード ????
状態:無傷
行動方針:ティトレイを倒す
      :コレットとクレスを利用する
      :コレット、クレスと行動
現在位置:F4の森

【ティトレイ 生存確認】
所持品:不明
状態:フォルス暴走
行動方針:眼に付いた者を倒す

【しいな 生存確認】
所持品:コルトガバメント弾7マガジン4 ????
状態:胸を深く刺され重傷
現在位置:F4の森 川付近
行動方針:安全な場所へ逃げる
      :ティトレイを正気に戻す
      :すず、セネルの仇を取る

【ジーニアス 生存確認】
所持品:ライフボトル×2 ビジャスコア ????
状態:気絶
現在位置:F4の森 川付近
行動方針:不明
672違いの解る男1:2005/11/16(水) 23:55:12 ID:QrqqtTFU
先程の戦いの傷を癒していると、徐々に近付いてくる足音が聞こえた。
その足音は、彼のすぐ背後で止まった。

「やれやれ・・・俺様もここまでか・・・」

ゼロスは呟くと、傷が癒え切らない体で後ろを振り向いた。
そこには、不慣れな手つきで剣を構える女性の姿があった。

「やあハニー、俺様を殺すなら今がチャンスだぜぇ〜」

作り笑いを浮かべながら言った。

「・・・1つ質問に答えてください」

先程スペクタクルズで調べて
大怪我を負っていることが判っている目の前の男が、
こんな状況に笑顔で答えたことに困惑しながら
マリアンは言った。

「ん〜、何かな〜?」

相変わらず男の口調は軽い。

(私の声が聞こえる?)

今更声が聞こえるも何も無いだろう・・・と思ったが、
先程の声とは別人の様な声であった。

「バッチリ聞こえてるぜぇ〜、ハニー・・・・で?もう一人は何処だ?」

ゼロスの声がいきなりトーンダウンする。

(どうやら聞こえてるみたいね。聞こえる人に何人も巡り会えるなんて幸運ね)
「いいですか?私もついさっき知った事なんですが、今から私たちが話す事を信じて下さい」

明らかに、二人分の女性の声が聞こえる・・・・・。
673名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/17(木) 00:20:21 ID:S3nVhcaJ
674名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/17(木) 00:25:38 ID:9WR/u19p

675違いの解る男2:2005/11/17(木) 00:28:14 ID:LyKb0Rm4



「・・・・・・俺様と一緒にいたいと、そういう事でいいのかな?ハニー?」
「そうですけど・・・そのハニーって言うのはやめてもらえませんか」

ゼロスは、マリアンとアトワイトから
アトワイトが作られた経緯や、その声が一部の者にしか聞こえない事、
その特徴を活かして信用できそうな人物を特定して
仲間を集めてミクトランに対抗する方法を探すという作戦を聞かされた。

もちろん、首輪からミクトランに伝わらないように一部を筆記で伝えあった。

剣が喋っている事も気になったが、
考えて見れば、精神が肉体を離れて存在する例など何度も見てきたではないか。

それよりも気になったのが、
ミクトランの元の世界で唯一脅威となりうる存在であるソーデイアンが、
何故支給品として配られたのかという事だった。
自分なら、即座に破壊してしまうだろう。

そう考えると、何故自分にアトワイトの声が聞こえたのかが解らなかった。
我ながら、心は純粋でない自信がある。
アトワイトが思っている以上に声が聞こえる者は多いのではないか?
会場のマナがソーディアンの声を聞き易くしているのかもしれないと憶測する事もできる。

下手をすると、完全に心を閉ざした殺戮を楽しむ者にさえ声が届くのかも知れない。
そうだとすれば、この作戦は、完全に意味を成さなくなる。

しかし、殺伐としたこのゲームの中で、
このような提案をされたことを少し嬉しく思った。

「俺様はこの通りしばらく動けねぇから、もう少し待っててね〜、マリアンちゃん」
「・・・まあ、いいでしょう」
「アトワイト様ぁ〜、回復手伝ってちょうだいよ〜」
(誰かが来ない限り、今は温存すべき時よ)
「俺様、しょんぼり」

空がゼロスの髪の色に染まるのはもうすぐだった。
676違いの解る男3:2005/11/17(木) 00:35:19 ID:LyKb0Rm4
【ゼロス 生存確認】
所持品:壊れたけん玉 ナイツサーベル ???? ????
現在位置:D8海岸
状態:切創 (多少回復、割と重傷)

行動方針:回復するまで待つ マリアンと共に行動

【マリアン 生存確認】
所持品:ソーディアン・アトワイト スペクタクルズ×14
現在位置:D8海岸
状態:普通
行動方針:ゼロスの回復を待って共に行動 アトワイトの提案した作戦を実行する
677心構え 1:2005/11/17(木) 04:25:09 ID:P3DYtXcC
「いつの間にか眠ってしまったか…」
日はすでに傾き、窓から入る光は赤みを帯びている。
海は、その光をあびてきらきらと輝いている。
反対側の空は、すでに暗い。
「もうすぐ日没か…」
ユアンは少し気怠そうに立ち上がり、たまたま近くで風呂桶を抱えていたプリムラに話しかける。

「お前、確か探偵だと言っていたな。この状況についてだが…。どう思う?」
「どうって…。当〜然ムカついてるわよ! ミクトランとかいうやつをぶん殴って、石板に縛り付けて海に沈めてやりたいわ」
プリムラはちょっと違った方向に解釈したらしい。ユアンは訂正する。
「私の言い方が悪かったようだ…。私が言いたいのは、最後に残った参加者は本当に願いをかなえてもらえるのか?
 最後の一人が生きて元の世界に帰ることができるのか? ということだ。」
「え〜と、つまり、どういうことよ?」
ユアンの言いたいことが分からず、プリムラは首をかしげる。

「ゲームの勝者の願いをかなえるというのは、ゲームを円滑に進めるための嘘かもしれないということだ。
 それどころか、最後の一人になったとしても帰ることができるという保証は無い。
 ミクトランが言ったことは鵜呑みにするのは危険だと思わないか」
「そういえば、あのオヤジ、顔も声も胡散臭そうだったわよね…」
顔はともかく、声は関係ない気がしたが、そう思わなかったわけでもないので同意しておいた。
「そういうことだ。だから私はゲームには乗らない。勝者とならずとも脱出できる方法を探す。
 ところで、お前の仲間や家族はこれに参加しているか?」
「仲間…」
プリムラは同僚の学士を思い浮かべる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
キール「プリムラ。君は僕の命の恩人だ。君がいなければ僕はあのゲームで死んでいたことだろう」
プリムラ「もう、何言ってるのよ。私達、パートナーじゃない」
キール「君への感謝の気持ちは表しきれない。僕にとって君は世界一大切な人だよ」
メルディ「キールぅ! メルディとその人とどっちが大事か!?」
キール「…メルディ、済まない。僕には君よりも大切な人ができてしまった。
   プリムラ、僕の一生のパートナーになってくれないか」
プリムラ「喜んで!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「……い、どうした?」
「はっ…?」
現実に引き戻されるプリムラ。目の前でユアンが呆れていた。
「はっ…?ではないだろう…。その様子だと参加しているようだが、もうすぐ放送が始まる。
 覚悟はしておけ。何があっても早まるな。他の二人にも伝えておいてくれ」
プリムラはさきほどの表情とはうってかわって、緊張した面持ちで頷く。
678心構え 2:2005/11/17(木) 04:27:43 ID:P3DYtXcC
「ところで、さっきから気になっていたのだが、お前、何をしている?
 風呂にでも入るつもりか? 気持ちは分からんでもないが…」
「違うわよ。誰かが忍び込んできてもすぐ分かるように罠を仕掛けてるの。
 警報機みたいなものだから、命に関わるようなものはないけどね」
ユアンが想像をめぐらす。風呂桶で警報?

「罠か警報かは知らんが、このゲームの参加者がそうやすやすと引っかかるとも思えんぞ。
 あまり頼りすぎるなよ。私はまだ背中に受けたダメージも残っているので、放送までは休ませてもらう」
ユアンはドアを開けて寝室に入る。その瞬間、金ダライがユアンの頭に直撃した。
教会内に少し早めに、ゴ〜〜ンという鐘の音が響き渡った。

「みなさん! 誰か侵入してきたみたいですよ!」
「バカな! 俺が見張りをしていたというのに、敵はどこから入ってきたのだ!」
どうやら警報としての役割は十分果たせているらしい。

【ユアン 生存確認
所持品:占いの本、エナジーブレット、フェアリィリング、ミスティブルーム
状態:疲労回復中、頭部に金盥直撃(ダメージはほとんどなし)
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。休んで、仲間捜し
      :仲間と共に脱出。ミクトランを完全には信用していない

【プリムラ 生存確認
状態:健康
所持品:セイファートキー、?、チャームボトルの瓶、ナイトメアブーツ、エナジーブレット、C・ケイジ
行動方針:漆黒の翼の一員として行動。トラップを作る。材料探し
      :仲間と共に脱出。ミクトランを石板に縛り付けて海に沈める
679マグニスさま、だ。豚が!! 1:2005/11/18(金) 01:03:06 ID:xjjdnY67
俺さまは、五聖刃マグニス。
泣く子も黙る東の牧場のマグニスさまとは、俺さまのことよ。
俺さまの暴虐非道の行いの数々については、最早説明する必要は無いだろうな。
シルヴァラントでは俺さまを知らない豚は居らず、テセアラでも俺さまの名声は通っているようだった。
そんな俺さまが、このバトル・ロワイヤルという酔狂な余興に呼ばれたのも、至極当然のことだろう。
見れば、俺さまの他に招かれたのは、貧弱そうな劣悪種の豚共ばかりだった。
こんな奴等、ゲーム開始一時間も生きてられねえな。内心そう思ったもんだ。
はやる気持ちを抑えつつ、主催者の豚がルールについて説明している時に、
邪魔立てする豚が居た。聞けば、俺さまの統治するパルマコスタの豚だと言うじゃねぇか。
奇遇だな。そう思いつつ、さっさと殺し合いがしたかったので、その豚を黙らせた。
俺さまを呼び捨てしたので、当然首コキャだ。いい音がした。
何だかそいつに首コキャするのが初めてではない様な気がしたが、気にしないことにした。
680マグニスさま、だ。豚が!! 2:2005/11/18(金) 01:03:53 ID:xjjdnY67
そうして説明の後、魔法陣に乗って島に飛ばされた。
俺さまは地図北西の塔に飛ばされた。
そこでバルバトス・ゲーティアという猛者に出会ったのだが、
なんのかんのでこいつと行動を共にすることになった。
こいつはそこいらの豚とは違う。劣悪種であるようだったが、
そんなハンデは微塵も感じられない程の戦闘力だった。
その後お互いの装備を整えて、塔から移動した。
とにかく目に付いた奴は殺してやろうという点ではバルバトスと同意したが、
実際島に潜む豚共をあぶりだして始末するのは結構な苦労が居ることが分かった。
手当たり次第に焼き尽くすという案も出たが、余計なマナを消費するということで却下された。
そうこうしている内に上空に煙が見えた。
即効で俺さまは煙を起こしてる奴は殺してくださいと言っていると思った。
バルバトスも同様で、そのポイント目指して進むことにした。
待っていろ、劣悪種の豚共。
この俺さまが、全員まとめてその貧弱な体をぶっ潰してやる。
681マグニスさま、だ。豚が!! 3:2005/11/18(金) 01:04:43 ID:xjjdnY67
・・・だが、これは一体どういうことだ!?
既に歩き始めて数時間は経ったろうに、一向に豚共は姿を見せない。
怖気づくにも程があるぞ、豚が!!
「もうすぐ砂漠に入る。準備は出来ているか?」
バルバトスが喋る。こいつもずっと仏頂面だが、内心血がうずいて仕方がないだろうな。
「準備も何も、豚共が居なきゃ話になんねぇなぁ」
「仕方が無いな。俺達が動いた道中に、何人かは接近してただろうが、
 どいつもこいつも恐れを為して出てはこなかったようだ」
「ケッ、豚共が浅知恵を働かせやがって。どうせ皆死んじまうんだから、隠れたって無駄だろうにな」
「まあ好きにやらせておけ。俺は力のある奴にしか興味は無い。
 勿論、道中で出くわしたものは容赦なく皆殺しにするが、特に英雄と呼ばれるもの共は全員抹殺だ」
またか。こいつはさっきからそればっかりだな。まあ俺さまも似たようなものか。
何かに執着し、周りが見えなくなる。そしてひたすらに己の本能を弄ばせる。
俺さま達の場合、それが殺戮行為による快楽、飢えた欲望を満たす為の儀式だ。
「砂漠に豚の一匹や二匹放し飼いになってねぇかな」
笑いながらそう言った。バルバトスも微かに口元を緩めた様だった。
俺さまも、こいつも、乾きが限界近く来ている。
早く、早く、戦いたかった。
この俺さまが、マグニスさまが、ミンチにしてやる、豚共。
そうして歩き出す。既に陽は傾きかけていた。

もう一度言おう。
マグニスさま、だ。豚が!!!!!

【マグニス 生存確認】
状態:無傷
所持品:オーガアクス ピヨチェック
現在位置:D3の砂漠地帯入り口からF4へ移動中
第一行動方針:バルバトスと同盟を組み、残る参加者を全員抹殺する
第二行動方針:F4で起こった煙が気になり、移動する。

【バルバトス 生存確認】
状態:無傷
所持品:銃剣付き歩兵用対戦車榴弾砲(弾丸4発付き。一射ごとに要再装填) クローナシンボル
現在位置:D3の砂漠地帯入り口からF4へ移動中
第一行動方針:マグニスと同盟を組み、残る参加者を全員抹殺する。特に「英雄」の抹殺を最優先
第二行動方針:F4で起こった煙が気になり、移動する。
682 ◆R8H5mAOmrY :2005/11/18(金) 20:24:18 ID:vggbm/Rj
683戸惑い1:2005/11/18(金) 23:00:16 ID:nsvHQrcc
ティトレイの暴走が始まる少し前…川縁では二人の男女が楽しそうに話をしていた。

「どうパン?おいしいパンか?」
「ああ、旨いぜ。こんな旨いパンを食ったのは初めてだ。」

自分の作ったパンの味を気にしている少女の名前はミミー。
一流のワンダーパン職人を目指している超前向きな少女だ。

そして、「魚鍋パン」を食べながらそれに応えている男。名前はトーマという。
ガジュマと言う獣の姿を持つ種族のもので、その姿は二つの角を持つ荒々しい
雄牛の様相を成している。
自分たち種族よりも力の劣るヒューマと言う種族を忌み嫌っている。
−・・・しかし、なぜかミミーにはそのような嫌悪感を持っていないようだ−

「・・・それで、ウシさんはこれからどうするパンか?」
「決まってるじゃねぇか!俺の邪魔する奴を全員ぶっ潰す。
 邪魔するやつだけじゃねぇ!力がねぇくせに威張り散らすヒューマもだ!!」

と、トーマは今後の自分の目的を高らかに言い放った。
ここで決まれば少しも格好がついたのだろうが、ミミーからツッコミが入る

「『ひゅーま』ってなんだパン?」
「ヒューマってのはだなぁ…・・・」
トーマは答えようとするが言葉に詰まる。いつもならば、
『ガジュマの肉体を持たない、貴様らのような軟弱な奴らの事よ』と言い放ち、
眼前の"物"を、動かなくなるまで弄ぶのだろうが…彼女の前ではなぜかそれが憚れた。
そんな自分に躊躇しつつも、何か答えなければならないと思ったトーマは

「・・・あー、そんな事よりもパンもっとくれねぇか?まだちょっと食い足りねぇんだ」
「もちろんパン!何かリクエストはあるパンか?」
「それじゃあ、あんたのお勧めのパンを作ってくれ」

そうトーマが言うと、ミミーは楽しげに自分の起した火の元へ行くと
「分かったパン!それじゃホタテクレープを作るから、ちょっと待ってて欲しいパン」
と、楽しげに調理に取り掛かり始めた。

(俺様が言うのもなんだが、コイツ人の話を疑わなさすぎじゃねぇか・・・?)
そう言いながらも、トーマは自分の心境の変化にも疑問を抱いていた。
(何で俺様は、こんな小娘と一緒にいるんだ?)
(何で俺様は、コイツをぶっ殺そうとしないんだ?)
(何で・・・もしかして、俺様は・・・・・・コイツを・・・・・・)

トーマは自問自答の末、その答えを見出せそうだったが、
その答えは、ミミーの悲鳴によって失われた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ、なにパン!これはいったいなんだパン!?」
684戸惑い2:2005/11/18(金) 23:01:15 ID:nsvHQrcc
ミミーのほうを見ると、なんとミミーが植物に襲われているではないか。
植物といっても、野原などに咲いている可愛らしい花々では無い。
その植物は地面を抉り、岩を砕き、さらには天を覆いつくしながらミミーへと向かっていく
巨大な蔓が大きくしなり、ミミーへと向かい……地面に大きなクレーターができた。

(あぁ、小生死んだパンね…佳人薄命とはこのことパン……)
「おい!さっさと起きろ!この場から逃げるぞ!!」
(・・・?小生は死んだパン。今更逃げるも何も無いパン)

彼女はすっかり自分は死んだものと考えていたが、実は蔓が地面に叩きつけられる瞬間、
トーマの磁のフォルスによって彼女は一瞬のうちにあの場所から引き離され
間一髪のところで一命をとりとめたのだ。
しかし、そんな事がまったく分かっていないミミーは、
自分は死んだものだと決め付けてしまった。

(お父さん…先立つ不幸をお許し下さいパン)
(コッペ…コロネ……あんまり遊んであげれなくてごめんパン)

何度呼びかけても起きないミミーに、
トーマは彼女がどこかに大きな怪我をしてしまったのではないかと思い始めた。
「…しょうがねぇ、気が進まねぇがここは一旦どこかに身を隠すか」
「それで、コイツが眼を覚ましたら…」
 −…ヒューマの小娘を助けて、どうするんだ? …何で助けるんだ?−

そう考えが頭をよぎったが、今はその考えを頭から払拭した。
植物たちがトーマをも襲い始めたのだ。
「…ちっ!」
舌打ちをすると、ミミーを抱きかかえ、その場から逃げ出した。
(これはあの緑の髪の野郎の力だな…形振りかまわない所を見るとフォルスの暴走か…)
(サレの仕業…か?)

眼を覚まさないミミー…フォルスの暴走…サレ……そして自分のミミーに対する感情。
それらに思い悩まされながらも、雄牛は南東の方角へと走っていった。

【ミミー 生存確認】
所持品:ウィングパック×2 イクストリーム
    金のフライパン マジカルポーチ ペルシャブーツ
現在位置:F4の森林地帯の河に最も近い辺り → トーマに抱きかかえられ南東へ移動中
状態:無傷。しかし、自分は死んだものと錯覚している
第一行動方針:不明

【四星トーマ 生存確認】
所持品:なし
現在位置:F4の森林地帯の河に最も近い辺り → ミミーを抱きかかえながら南東へ移動中
状態:無傷。
行動方針:ミミーが眼を覚ますまで、一時身を隠す
     フォルスの暴走から逃れる
685名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/19(土) 18:22:13 ID:9o14bAZf
 
686運命は時に厳しい 1:2005/11/19(土) 23:56:20 ID:jwmkP6bP
砂漠。
レーダーに反応のあった方向に歩を進めると、小さな湖が見えた。
オアシスというにはあまりに小さく、巨大な水溜りと言う方が適切かもしれないので、地図には載っていない様だった。
そしてその傍らに、一人の女性が立っている。手にした壷に水を汲んでいる様だった。
「ん?」
褐色の男、ロニ・デュナミスは一瞬立ち止まり、目を細めた。知っている誰かに似ている。
よく見極めようとし、更に進むと、不意に女がこちらを振り向いた。
目が合った。お互いに緊張と疑惑が走る。
「──魔神剣!」
女が手にしている棒を振り、地を這う衝撃波を放った。
ロニは驚愕の表情を浮かべた。そして体を右にずらして攻撃をかわす。
衝撃波によって生じた砂塵が、視界を曇らした。
一瞬女を見失う。次の瞬間、砂煙から突如棒の先端が現れた。
突然のことに全く反応できないでいたロニは、棒によって顎を跳ねられた。
更に追撃の横薙ぎが頬を打つ。口の中が微かに切れた感触がした。
その場に尻餅を付きそうになるのを堪えて、二、三歩下がる。
そして至近距離ではっきりと女の顔を見た。
間違いない、この人は・・・・・・
687運命は時に厳しい 2:2005/11/19(土) 23:57:11 ID:jwmkP6bP
直も追撃をやめない女は、体を縮ませ溜めを作っているようだった。
「獅子──」
まずい、ロニはそう思うと同時に自身の右手に獅子の闘気を纏わせた。
「戦吼爆っ破!!」
右の掌底を思い切り振った。
女の獅子と、彼の獅子がぶつかり合う。
しかし向こうの方が威力が高かったらしく、彼は派手に吹っ飛んだ。
女の方も衝撃は伝わったらしく、微かに揺らいだ様だった。
ロニが急いで立ち上がると、女も表情を引き締め、再度向かってくる。
だが・・・・・・
駄目だ・・・これ以上は・・・
彼はそう思い、咄嗟に叫んだ。
それを口にすることで当面の問題は解決できても、
新たな問題を作ることを理解しながら。
「待ってくれ・・・マリーさん!」
688運命は時に厳しい 3:2005/11/19(土) 23:58:01 ID:jwmkP6bP
女、マリー・エージェントは明らかに戸惑いの表情を浮かべて、中途半端に佇んだ。
「私のことを知ってるのか?」
やはり・・・とロニは思った。このマリーさんは、十八年前のマリーさんだ。当然、自分のことなど知る由も無い。
「はい。あなたとは戦うつもりはありません」
「お前は何者だ?」
言われて、返答に詰まった。
十八年後の世界から連れてこられました、なんて言っても、信用してもらえそうに無い。
いや、明らかにこのゲーム自体が異様な顔ぶれで行われているから、あるいは信じてくれるかもしれない。
勿論、名簿で見て名前を知ったなど言うのは論外だ。
それでは信用されるどころかまた攻撃を受けかねない。
ちなみに、ここに来るまでに名簿を見て気に入った女性をチェックしていたことはここだけの秘密だ。
しばらく考えた挙句、とりあえず無難な回答をすることにした。
「あなたとソーディアンチームの活躍は常日頃聞いています。ファンなんですよ、俺」
あながち嘘ではない。
「そうか・・・」
「特にあなたとルーティさんにほれぼれとしております。仲がいいですよね」
「ルーティ・・・か・・・」
少しずつマリーの顔から戸惑いと疑惑が消えていった。
つたない弁論だったが、何とか敵ではないと思ってもらえたようだ。
689運命は時に厳しい 4:2005/11/19(土) 23:59:57 ID:jwmkP6bP
「・・・つまりロニ・デュナミス。お前はゲームに乗った者の討伐を優先して動いているのか?」
小さな湖で水を汲ませてもらいながら、ロニは答えた。
「ええ。勿論仲間達との合流も優先すべきですが、
 乗った奴等を放置しておけば何の罪も無い者達にも被害が及びます。俺はそれを見過ごせない」
そうか、と言うマリーを横目に見ながら、
ロニは水を入れたペットボトル─マリーに会うまでに飲みつくしてしまっていたそれ─をザックに入れた。
そして身なりを整え、レーダーを構えた。中心の光点に、赤い点が一つ映っていた。
「マリーさん」
声をかけ、こちらを向いた。
「よければ、一緒に・・・」
彼女はしばらく目を瞑り、何事か考えているようだったが、やがて目を開けると、
「・・・いや、それは無理だな」
ロニは黙っていたが、ショックは大きかった。・・・まるで告白に失敗したみたいじゃないか、おい・・・
マリーが続けた。
「お前は私を知っている様だが、私はお前を知らない。
 このゲームにおいて、あまり面識の無い者が組むのは危険と私は考える。
 今はこうして普通にしているが、やがて切羽詰った状況に陥った時、
 お互いがお互いを信頼しあって動けるかどうかは疑わしいものなんだ。」
彼女の言っていることは確かに納得できることだった。
だが、それゆえに悲しかった。
・・・ルーティさんの友人であるあなたを、俺が裏切ったりする訳無い・・・
その秘密を打ち明けることが出来れば、どんなに楽だろうか。
しかしそれは出来ない。それを口にすることでこの場のみならず、
彼女等や彼等の元居た世界にどんな影響を及ぼすか、計り知れなかったからだ。
・・・最も、このゲーム自体が既に参加者達の居た世界にどれだけの影響を与えているか分からなかったが。
「・・・・・・分かりました。俺は俺の道を進むます」
「すまないな・・・私のことを薄情な人間と思っているかもしれない。ルーティに会ったら私は元気だと伝えてくれ」
「はい。マリーさんも、スタンさんやルーティさんに会ったらよろしく伝えてください」
ロニは身を翻した。空が既に薄暗い。
「これからどうする?」
「向こうっ側に行ってみようと思います」
そう言って彼は東の方角を指した。
「そうか。私はもうしばらくここに居よう。もう夜になるから、暑さも薄れるだろうからな。
 あまり動き回ると体力を消耗する上に、敵に遭遇しそうだからな」
「分かりました。では・・・」
「ああ。達者でな」
690運命は時に厳しい 5:2005/11/20(日) 00:00:44 ID:jwmkP6bP
マリーと別れてしばらくした後、ロニはふと振り返った。
既に彼女の姿は見えなかったが、彼はしばらく砂丘を見つめ続けていた。
もし、彼女の身に何かあれば、それは経過は関係無しに自分が彼女を見捨てたことになる。
いや、逆もありうる。自分が誰かの手にかかって、彼女が生きて逃げ切る可能性もある。
しかしそれはくだらない考察だった。この状況においては、どんなことだってありうるのだ。
せめてお互いが仲間と合流して生きて再会できるように祈りながら、彼は再び歩き出した。

【ロニ 生存確認】
状態:無傷
所持品:簡易レーダー なりきり剣士セット
行動方針:ゲームに乗った者の駆除
      :仲間との合流
      :武器の調達
現在地:E4の砂漠地帯から北東へ移動中

【マリー 生存確認】
状態:無傷
所持品:ハヌマンシャフト ディクティオン(壷)
行動方針:しばらく休憩
      :生きるために動く
      :仲間との合流
現在地:E4の砂漠地帯
691名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/20(日) 01:32:05 ID:JjKN2zpC
 
692抱擁する天才 1:2005/11/20(日) 01:32:51 ID:JjKN2zpC
不死身の男、マウリッツが命を散らしたその少し後・・・・・・
暗がりの洞窟の仲から、若い男女の声が聞こえてくる。
「・・・そうか、それでキミは気を失って、この洞窟の前に居たんだね」
「はい。その後、一旦目が覚めて、近くに居たマウリッツさんという方を回復しましたが・・・」
少女はそこで口をつぐんだ。向き合って会話している男も少しうつむく。
そのマウリッツも、もう死んでしまったのだ。
「でも、その君を撃ったというジェイって子、ちょっと気になるな。
 それまでに動いてる間には、そんな素振りは見せなかったんだろ?」
「はい・・・恐らく、何かやむにやまれぬ事情があったものかと・・・」
そう言う少女の顔には、あまり元気が無かった。
事情がどうあれ、自分が殺されかけたことに変わりはないのだ。
「とにかく、君だけでも無事でよかったよ」
大体の話が終わったと見て、彼は口調新たにそう言った。
「ありがとうございます、スタンさん」
少女も応えて、頭を下げる。所々焼け焦げた法衣が少女の内面を表しているように見え、痛々しかった。
金髪の男・スタンは頭を上げた少女・ミントと目が合い、少し微笑んだ。
693抱擁する天才 2:2005/11/20(日) 01:33:37 ID:JjKN2zpC
「で、ハロルド?言われた物も仕掛けたし、そっちはどうだ?」
スタンは立ち上がり、ピンク髪の女性・ハロルドの居る方を見た。
彼らは今、洞窟内でも中心部と思われる特に広い場所に居た。
ここは水も流れているし、先程まで少女を寝かせていた様な小部屋に通じる穴がたくさんあったので、
ここを活動拠点にすることに決めた。何よりハロルドが気に入ったのは、この大部屋にある
縦一メートル横ニメートルほどの机のような平らな岩と、
そばにあった椅子のようなこれまた平らな岩があったことだった。
彼女は研究するのに寸法ピッタリと言い、諸々の荷物を乗っけてごそごそと何やら始めた。
その間スタンは支給品にあった釣り糸を使い、洞窟の入り口と反対側の入り口に鳴子を仕掛けた。
洞窟の外で調達した木材を糸に結び付けてつなげたもので、誰かがこの洞窟に侵入しようとすれば
たちまち振動がこの大部屋まで伝わり危険を知らせてくれる。
ハロルド曰く、「術で攻めようにも私たちの正確な位置が分からない限りヤバイことは無いから、
これで全然安心よ。んー、私ってやっぱ天才」だそうだ。
ちなみに少し余った糸は適当な木の棒に結び付けて本来の用途通り釣り竿にした。
川にたらしているが、魚がかかる気配は無い。
694抱擁する天才 3:2005/11/20(日) 01:34:23 ID:JjKN2zpC
「んーやっぱ明らかに植生がおかしいわね。
 これはもしかして大気の異常な収縮率と関係あるのかしら?
 でもだとしたらどうしてアイツはこの世界を・・・」
「ハロルド?」
「んん、ああ、ごめんなさい。で、何?」
「・・・彼女から話を聞いたんだけど」
「ああ、それならいいわ。私も聞いてたから」
さらりと言ってのけるが、明らかにミントが話をしている間ハロルドは研究だかをしていたはずだった。
・・・やはりこの人は只者では無い・・・
はあ、とため息をついてかぶりを振った。
「それで、これから具体的にどうする?まだはっきりしたことは何も言われて無いぞ、俺達」
んー、とハロルドが指を唇に当て考え込む。
スタンとミントがやや不安そうに彼女を見る。
「ねぇ、鏡ある?」
「は?」
鏡?そんなものがあるはず無い。
そう言うと、彼女は「やっぱそうよね」と言い、おもむろにスタンに近付いた。
「しょーがない」
「?」
怪訝な表情を浮かべるスタン。ハロルドは無表情に真っ直ぐ彼の顔の辺りを見つめた。
そして唐突に両腕を彼の首に回し、抱きついた。
「え!?」
あからさまに戸惑うスタン。
年上の割りに童顔な彼女に密着されて上目遣いで見つめられ、顔が赤くなった。
だがそんな彼の様子はおかまいなしに、彼女は絡めた腕を動かし後頭部から首の辺りを撫で回した。
「だっ、駄目だハロルド!まだ会ったばかりでこんな・・・・・・・・・」
パッと手を放し距離を取る彼女。スタンはぜいぜいと息も荒く、前かがみに両手を膝についた。
そしてハロルドはくるりと回り、無表情のままミントを見つめた。
ビクっと体を震わせ、一歩下がる少女。だがそんなささやかな抵抗に構う事無く、
彼女はズカズカと少女に歩み寄り、先程と同じように抱きついた。
「い、いけませんハロルドさん!私にはそういう趣味は・・・・・・・・・」
パッと手を放し距離を取る彼女。ミントはハァハァと息も荒く、ペタリとその場に座り込んだ。
695抱擁する天才 4:2005/11/20(日) 01:35:09 ID:JjKN2zpC
そして最後に自身の首筋に手をやって、納得したように頷いた。
「ごめんごめん、ちょっと確かめたいことがあって」
「い、一体何を調べたんだよ?」
まだ落ち着きを取り戻していて居ないスタン等を余所に、
彼女は机(のような岩)に歩み寄り、ごそごそと何かを取り出しているようだった。
「んーとねぇ、世界の違いによる人体構造の相違点について調査したのよ」
そう言いながら机の上で何やら字を書いている。
スタンとミントは理解できないといわんばかりに息を吐いた。
そしてしばらく後、彼女は振り向いて紙を二人に見せた。
そこには彼女が熱く綴った字が書かれていた。
『でも、本当はそうじゃない』
二人は気の抜けたようにそれを見つめていた。
彼女が何を言いたいのかまだ分かっていないようだった。
そして二枚目が出される。
『首輪について調べたの』
二人は彼女の言に釘付けにされていた。
そして彼女は三枚目、最後の紙を見せた。
『私達、盗聴されてる』
呆気に取られて口を開けっぱなしにする二人を見て、彼女はにやりと笑った。

【スタン 生存確認】
状態:精神の激しい動揺
所持品:ディフェンサー ガーネット 釣り糸
現在地:G3の洞窟内部
第一行動方針:ハロルド、ミントと共に行動
第二行動方針:仲間と合流

【ハロルド 生存確認】
状態:TP微消費
所持品:ピーチグミ 短剣 実験サンプル(植物やらなんやら色々)
現在地:G3の洞窟内部
第一行動方針:不明 
第二行動方針:スタン、ミントと共に行動

【ミント 生存確認】
状態:精神の激しい動揺 TP小 小程度の疲労
所持品:ホーリースタッフ サンダーマント
現在位置:G3の洞窟内部
行動方針:スタン、ハロルドと共に行動
696第一回放送:2005/11/20(日) 21:08:12 ID:Byyfdy5B
「さて・・・そろそろ時間だな」
とても常人が使うとは思えない大仰な椅子に腰掛けながら、
壁にかかった時計を見やり、このバトル・ロワイアルの主催者、ミクトランはそう呟いた。
先程まで見続けていた画面にもう一度目をやり、薄ら笑いを浮かべる。
そこには、まるで劇場の様な巨大なスクリーンと、そこに表示される45の光点があった。
それはこのゲームの参加者達の現在位置を示すものであり、
彼ら彼女らの生死の判別も行う、簡単に言えば超巨大なレーダーであった。
当然参加者の支給品として配られた簡易的なものとは、性能に雲泥の差がある。

ミクトランはおもむろに右手を前に出した。
突如その場から黒い光が起こり、不気味に蠢く魔力の球体が出現した。
それは次第に歪み、凹み、うねりながら形を変えていった。
そして、やがて放送用に使われる拡声用のマイクが形作られた。
彼はそれを手に取り、何の気なしに右に左に傾けた。
これから自分が行うことによって、残る45人の参加者がどの様な反応を見せるか、彼は非常に楽しみだった。
「あ〜・・・」
喉を鳴らす。これから起こる出来事に、誰よりも彼自身が心を弾ませていたのかもしれない。

「諸君」
マイクに向かって言葉を投げかける。
彼の言葉はそれを通じて、島全体に設置された拡声器により、参加者全員の耳に届いているはずだった。
「どうだ、調子は?だいぶ時間が経過したが、バトル・ロワイアルには、もう慣れたか?」
自然と彼の内面にある嬉々とした感情が言葉に出てしまう様だった。
この放送を今、参加者達はどのような状況で聴いているだろう?
ある者は戦いながら、ある者は歩きながら、ある者は走りながら、立ち止まりながら、眠りながら、腰を下ろしながら、
怒りに身を焼き、悲しみに身を沈め、歓喜に震え、恐怖に怯え、自我を失いながら。
「諸君も知っての通り、現在時刻は午後六時、すなわち、第一回の放送を行う時間だ。
 説明するまでも無いが、この放送を行うまでの間に脱落した者達の名前と、
 これから三時間おきに設置される禁止エリアについての発表を行う。
 さて、諸君等は自分達の仲間や友人達の安否が気になって仕方が無いだろうが、
 まずは禁止エリアについて発表する。一度しか言わないので、よく聞いておけ」
そこで言葉を一旦切り、顔を上げて再びモニターを見る。
既に彼によってランダムに選ばれた禁止エリアが、赤く光っていた。
「まず、今から三時間後、つまり午後九時よりH6、更に三時間後の午前0時よりB4、
 次に午前三時よりG1、そして今より十二時間後の午前六時よりE7だ。
 時間になるまでは今指定したエリアに入っても問題ないから、各自よく考えて動くがいい」
そこでまた口を止めた。モニターごしに、参加者達の緊張が伝わってくるようだった。
ミクトランは暗い笑みを浮かべてモニターを見た。45の点は、どれも動こうとはしない。
「では全員お待ちかねの、脱落者、すなわち死亡者を発表する。
 既に諸君等が知っての通り、ゲーム開始前に散った彼については今更説明の必要も無いだろう。
 それでは発表だ。ここまでで死んだ者は彼を除いて九人──
 直、今から発表する者達の名前の順序についてはこちらが勝手に決めたものだ。
 死亡した順に言ってしまうと、余計な詮索をする輩が出て困るからな。では改めて言おう」

「アミィ・バークライト、チェスター・バークライト、藤林すず、ジェストーナ、
 ルーティ・カトレット、ヒアデス、セネル・クーリッジ、モーゼス・シャンドル、マウリッツ、以上九名だ」
言葉を発する最中、モニターとは別に設置している機械から参加者達の多種多様な声が聞こえてきた。
「残りは45人、まだまだだな。もっともっと殺し合え。
 ではこれで放送を終わる。これからは夜だ、くれぐれも闇討ちなどに気をつけるんだな」
彼の発表が参加者達にどの様な反応を与えたか、彼は気になって仕様が無かった。
そしてマイクを切り、放送を終えた。ミクトランはふう、と息をつくと、再び椅子に腰掛けた。
その顔には張り付いたままの暗い笑顔があった。彼は完全にこのゲームを楽しんでいた。

・・・この発表で奴等がどんな反応を見せるか、楽しみで仕様が無い。
697逃亡 1:2005/11/20(日) 23:53:15 ID:ONGRHGKd
「バイバ!!」
どこからともなく聞こえてくる主催者の声。
はじめのほうこそ恐怖によって上手く聞き取れなかったが、ある単語にメルディは反応した。
〈禁止エリア〉 そしてそのあとに続いた〈B4〉 というエリアを指す単語。
そして………死亡者の中にいた〈ヒアデス〉という名前。
「ヒアデス……どうしてか……」
メルディには、ヒアデスが死んだと信じられなかった。
自分を殺そうとしていた男であったが、それはネレイドの所為であるところが大きい。
本来の彼は、セレスティア総領主である彼女の父バリルを補佐し、また仕事に追われる
バリルの代わりに父親代わりをしてくれる優しい男で、メルディはそんなヒアデスを好いていた。
年若い娘が、自分の父をスーパーマンだと錯覚するようなある種の感覚。
自覚しないまでも、彼女はヒアデスに対してそんな感情を抱いていた。
そんな彼が死んだ。あっさりと死んだ。
誰が殺したのか? いや、誰が殺せたのか?
メルディには見当もつかなかった。考える分だけ、恐怖は大きくなった。
自分がこの参加者の中で一番弱いのではないか。そんな考えが頭の中をよぎる。
《ならば誰にも負けぬ力をやろうか?》
まただ。ぶんぶんと頭を振って、少女はその声を追い出した。
698逃亡 2:2005/11/20(日) 23:55:20 ID:ONGRHGKd
ヒアデスの死をしばらく悼んだ後、慌てて地図を開く。
遠くになった塔と、徐々に見え始めてきた絶壁にかかる橋。そこから、自分がまさにエリアB4にいるのだと分かった。
本当ならその区域は午前0時をもって禁止エリアになるのだが、恐れる少女にそこまで考える心の余裕もなかった。
このエリアから離れないと、死ぬ。
それが少女の頭の中を占領し、そして行動に移させた。
塔と、橋。とりあえずここから見えるシンボルはそれだけ。
つねに薄暗いセレスティアで育っていなければ、この二つも見えなかったかもしれない。

メルディの決断は、意外なほど早かった。
その決め手となったのは、あのとき塔で見たふたりの男。
あれらの所為で、彼女には塔がひどく不気味なものに思えた。
クイッキーの代わりであるかのように、鉱石を一層強く抱きしめながら、彼女は橋を目指した。


【メルディ
 状態:弱パニック。ネレイドの干渉は押さえ込んでいる
 所持品:スカウトオーブ、リバヴィウス鉱
 行動方針:仲間と合流、元の世界へ帰る
 現在地:B4の海岸部寄り】
699波紋 1:2005/11/21(月) 22:56:20 ID:Zlpr10oA
「嘘だろ・・・十人も・・・」
ロイド・アーヴィングは口を開けたまま、呆然と立ち尽くした。
発表された者の中に彼の見知った仲間が居なかったとはいえ、
既に殺し合いが行われてる、死者が出ている、という事実が彼を大きく動揺させた。
「言った通りだ。もうこれは始まっている」
仮面の男・ジューダスは草花が微かに生い茂る地面に腰を下ろし、名簿を眺めつつ、手を動かしていた。
それは何度も聞こえた術が炸裂する音、銃器が撃たれる音によってもはや疑う余地の無いことでもあった。
「でも・・・、あのマグニスや、お前の言ってたバルバトスって野郎がやったことじゃないのか?」
ジューダスは動作を止める事無く、
「無論彼らが手を下した者も含まれているだろう。
 だがこの短時間で10人も相手をするのは不可能だ。
 他にもこれに乗った者や、疑心暗鬼から殺し合いを始めたものもいると考えるべきだ」
「そんな・・・そんなことって・・・」
がくりとうなだれて、かぶりを振る。
現在のこのおぞましい状況は、ひたむきなまでの直情を持った彼にはとても我慢できないものだった。
そしてふと、ロイドはジューダスの手元を見やった。
仮面の男は手にした名簿に、放送された者に印を付けている様だった。
「・・・やめろよ、そういうの」
咎める口調でそう言った。ジューダスはそれまで動かしていた手を止め、顔を上げてロイドを見た。
「何故悪い?彼らは死んだ、その事実は記録しておいた方がいいだろう」
「だからって」
「情報は正しく整理されるべきだ。
 お前も、さっきの放送をただ聴いていたようだったが、禁止エリアの場所をちゃんと記憶しているか?」
ロイドは返答に詰まった。
尤も、彼がしっかりと注意して放送を聴いていたとしても、
禁止エリアの場所と時間を正確に復唱できるかどうかは怪しいものだが。
そんな彼の様子はお構いなしに、仮面の男は「いいか」と続けた。
「この程度のことも割り切れないようでは、これから先、生き残ることは到底無理だ。
 死んだ者達のことをいつまでも気にかけていては、己の心に隙を生む。
 いいか、これが行われている間は死者を気にするな」
ロイドはただ仮面の男の言葉を聞き、うつむいて考え事をしているようだった。
一緒に行動するようになってから頻繁に思っていたことだが、このジューダスという男は、
自分とあまり年は変わらないはずなのに、やたら大人びた物の言い方をする。
700波紋 2:2005/11/21(月) 22:57:08 ID:Zlpr10oA
「・・・ちょっと頭を冷やしてくる」
そう言うと、くるりと背を向け、ジューダスから離れて三、四歩進んだ所でどかりと腰と降ろした。
そのまま背中を向けながら、思案にふけっている様だった。

それから十数秒後、ジューダスは足元に置いた名簿に視線を移した。
彼によって十の印が付けられたそれを拾い上げ、改めて死亡者達を一人一人見やる。
・・・死者を気にするな、か・・・
ジューダスは自嘲気味に微笑を浮かべると、ゆっくりと顔を上げて薄暗い天を見た。
そしてそのまま瞼を閉じ、近くに居るロイドにも聞こえないぐらいの微かな声で一言呟いた。
「ルーティ・・・・・・」

【ロイド:生存確認】
状態:無傷 放送による動揺
所持品:ウッドブレード(自作)、忍刀桔梗、 トレカ、カードキー
行動方針1:ジューダスと共に協力してくれる仲間を探す
行動方針2:皆(Sの仲間及び協力してくれる仲間)で生きて帰る
現在地:B5の森
【ジューダス:生存確認】
状態:無傷 放送による悲しみ
所持品:アイスコフィン、???、???(アイスコフィン以外の武器は持っていない)
行動方針1:ロイドと共に協力してくれる仲間を探す
行動方針2:ミクトランを倒す
現在地:B5の森
701強者を求めて:2005/11/22(火) 04:05:21 ID:85mLcDNW
ゲームが開始してから、彼はまだ誰とも会っていなかった。
森に飛ばされ、位置が特定できなかったので無駄に時間を過ごしてしまったのだ。
ようやく森を抜け、近くの教会を訪れてみたが、すでに人のいる気配はなく、
変わったところといえば、女神像から水がしたたり落ちて机の上の聖書を濡らしていることくらいであった。

次の目的地として、G5の町を目指していたとき、放送が行われた。
どこからともなくミクトランの声が聞こえる。
「そうか、アイツは死んだか」
ルーティの名前が呼ばれたのを聞いたが、それだけを思う。
このゲームに、正義や悪は関係ない。ただ強ければ生き、弱ければ死ぬだけだ。
いわば弱肉強食の世界。それは自然の摂理。彼はこの考え方に心酔している。
カイル達の時代にはノイシュタットの英雄として、外殻の落下によって破壊された町の復興に尽力すると記されているが、
それはまた別の歴史なのである。

「スタンの野郎も参加しているんだったな。今ので腑抜けてなけりゃいいがな」
自分を打ち破った唯一の男、スタン。最初の広間で他の参加者とは一線を画す力を見せつけたダオス。
大勢の前で自らゲームに乗ることを宣言したマグニス。そして、まだ見ぬ、いずれ戦うであろう強者達。
彼の心はそれらの者に対する闘争心で占められていた。
彼もまた、このゲームの気に当てられてしまったのかもしれない。

優勝した際に何を願うかは考えていない。強者を打ち負かし、このゲームで優勝すること、これが彼の願いなのだから。
もうすぐ町だ。明かりが点いているらしい。今度は誰かがいることだろう。

【コングマン
状態:健康
所持品:レアガントレット ???
基本行動方針:とにかく強い奴と戦い、それらを倒して優勝する。
現在の行動方針:G5の町へ
現在地:G6の街道】
702名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/24(木) 21:35:04 ID:O1wvw+cG
上げ
703天才と忍者1:2005/11/25(金) 00:27:31 ID:I2ynArZ7
「僕たちの知っているメンバーはいないみたいだね。」
放送を聞いて、『優等生』こと、ジーニアスは少し安心した。
しかし、気絶する前にコレットが誰かと一緒にいた事が気になってしょうがないようだ。
「それよりもサ、ライフボトル2個も使っちゃってよかったのかい?
 これって貴重な物じゃないのかい?」
木にもたれかかりながら、しいなが心配そうにしている。
「な、何言ってるんだよ!しいなの命の方が大切じゃないか!
 それよりも、今のうちに皮袋の中身を見たほうがいいんじゃない?」
「ああ、それもそうだねぇ。」

2人はそれぞれ自分の皮袋の中を見てみた。
ジーニアスは、あの時興奮していて気づかなかったが、
闇の装備品であるビジャスコアが入っていた。
どうやら、このビジャスコアはアビシオンを倒した後の物らしく、
あまり禍々しい気配はしなかった。
もう一つの支給品は、アビシオンのフィギュアだった。
ご丁寧に、背中にあるスイッチを押すと、
『甘い、甘いぞぉ!』
としゃべった。
「・・・。」
「・・・。」

「なにこのフィギュア・・・。」
「はずれアイテムじゃないかい?」
704天才と忍者2:2005/11/25(金) 00:28:49 ID:I2ynArZ7
「で、そっちは何支給されたの?」
しいなは皮袋の中をガサゴソと探り、
「こっちは、良く分からない鉄砲と、え〜とあとは・・・。
 って、なんだいこりゃ?」
彼女の皮袋には、コルトガバメント弾7マガジン4以外に、
ホイッスルのような物が入っていた。

「・・・何に使うんだい、こんな物。」
彼女はジーニアスに尋ねた。
「僕にそんな事言われても・・・。」




「支給品も見たことだし、とりあえずここを離れよう。
 川沿いは人に見つかりやすくて危険だし。」
「でも、ティトレイが・・・。」
「しいなはそんなこと言ってられる場合じゃないでしょ!
 とりあえず、一番近い町のイーツー村に行こう!
 食料を今のうちにどうにかしないといけないしね。」
「仕方ないねぇ、わかったよ。」



【しいな 生存確認】
所持品:コルトガバメント弾7マガジン4 ウグイスブエ
状態:ほとんど回復
現在位置:F4の森 川付近
行動方針:安全な場所へ逃げる
    :E2の町に
    :ティトレイを正気に戻す
    :すず、セネルの仇を取る

【ジーニアス 生存確認】
所持品:ビジャスコア アビシオンのフィギュア
状態:少し背中に痛み
現在位置:F4の森 川付近
行動方針:E2の町に行く
    :食料を手に入れる
705名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/25(金) 03:54:10 ID:0tLfww4/
新スレ
テイルズ オブ バトルロワイアル Part2
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1132857754/

以降の投稿はこちらへどうぞ。
706名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/25(金) 17:03:54 ID:Fdq4Ex/p
いくらなんでも早すぎ。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/25(金) 17:18:48 ID:fe0kOlVH
>>706
容量が、もうないんです。

ロワスレなのに容量が越える前に1000行くような、スカスカなスレにはしたくないものです。
708名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/25(金) 21:10:27 ID:cCfj+KcO
あ...本当だ。よく見てなかったな。ごめん。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/27(日) 00:18:31 ID:sZ0Kx2Ej
まとめサイト出来るまで2〜3日周期で保守しとく
710名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/27(日) 02:53:07 ID:corWjj5C
 
711ローグ消えろ:2005/11/28(月) 15:06:59 ID:ZyZ1h1gm
テイルズで一番はリオンくんだけ!
712名無しさん@お腹いっぱい。:2005/11/29(火) 12:45:37 ID:tenyvPQR
>>711
はいはいキモスキモス^^;
713名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/01(木) 11:52:38 ID:4I0xzaGO
保守
714名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/03(土) 15:27:18 ID:6h0ydQXQ
保守
715名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/06(火) 12:35:04 ID:jJVUWQGs
保守
716名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/06(火) 21:12:35 ID:tLY9A8Z1
 
717名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/08(木) 06:49:19 ID:ke0yZ0Su
718名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/10(土) 00:32:48 ID:uRZNbof+
719名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/15(木) 00:04:02 ID:7ppw8sZz
まとめサイトと次スレは別物・・・と
720名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/16(金) 21:48:40 ID:8fwS2WyF
初めはスレ違いとか叩かれてたが頑張ってるみたいだな。
保守
721名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/19(月) 11:19:24 ID:bsrY0jaD
保守
722名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/23(金) 10:50:21 ID:zC6eymXR
保守
723名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/27(火) 18:53:52 ID:/Kecjdk7
まだか・・・
724名無しさん@お腹いっぱい。:2005/12/29(木) 16:42:14 ID:qr2iRHC1
725名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/01(日) 18:49:59 ID:WKCsJ/Eh
              (^^)」<うんこするぞー
             「||
          三   >>

    (^^)」<あたしおしっこー
   「||
三   >>

            (^^)」<うししし
           「||
        三   >>

726名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/01(日) 19:39:28 ID:RlXjr2EK
727名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/04(水) 08:37:17 ID:trIv8tW0
ここのスレはクソだな・・
728名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/05(木) 20:49:07 ID:TuezTKL+
既に次スレに移ってますから。
729名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/07(土) 02:31:17 ID:xlJqIVlT
一応保守
急いで落とす必要も無いだろ
730名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/07(土) 23:31:30 ID:QhGO4lkM
いや、このスレになんの利用価値があるのよw
731名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 12:24:00 ID:+tLvVU6c
まとめサイトがもうできたからな。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 16:19:42 ID:cvNgYxCq
まあ、それもそうか
んじゃぼちぼち埋めるか
733名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 19:51:25 ID:bX0oJK/3
てっきり保守だけで1000を目指すスレにすると思ったのに
734名無しさん@お腹いっぱい。:2006/01/08(日) 21:24:24 ID:V+MfWGTw
じゃ目指そう
735名無しさん@お腹いっぱい。
                    =========== 、 
                    ヽ マ グ ニ ス ヽ================================、、
                     ii ==========='                         .ll
                     ll                                .ll
                     ll  マ グ ニ ス さ ま、 だ 。 豚 が ・ ・ ・   ll 
            _        ll                                .ll
          /  `ー 、    ll、                               .ll  
        /:::::::::::::::::::::::::::ヽ    `-======================================>>==''
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