【ひぐらし】こちらスネーク雛見沢村に潜入した4

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785通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/07/26(日) 18:59:41 ID:mqemW9zr
移転について
・OK→2
・NG→0

オリスクのアップについて
・今してもよい→2
・やめるべき→0
・完結後→1

まだ意見が出そろってませんね。移転に関してはした方がいいのかもしれませんね。
現在、このスレを見ている人が何人いるのかは分かりませんが、もう少し意見を募集します。
容量に気を遣いながら投下します。
786通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/07/26(日) 19:01:45 ID:mqemW9zr
「……梨花ちゃんが行方不明!?」

 これから、雛見沢へ向かおうとする直前の夕暮れ時。
 大石さんの車の中で、私はそう聞かされた。
 ――衝撃的な事実だった。

「えぇ。そういう事になっちゃいました。学校を欠席したなら在宅している筈ですが、自宅はもぬけの殻でした。入院している訳じゃないらしいです。
同居しているご友人も遊びに行かれたみたいなので、古手梨花さんがどこにいるか分からないんですよ」

 煙草に火をつけながら、大石さんは答えた。
 窓を少し開けて、紫煙を吐き出す。

「……それは、…………何者かに誘拐された、という事でしょうか」
「可能性はゼロではないですね。……私は古手さんの話を聞いていないので、古手さんの命を狙う連中の事を詳しくは知りません」
 煙草をくわえたまま、大石さんは車のエンジンをかけた。
 そして、車はゆっくりと動き出した。

「ですが、決めつけるのはまだ早い。雛見沢で聞き込みをしましょう。休暇中なのに申し訳ないですねぇ、んっふっふ」
 おかまいなく、と私は答えた。
 ――梨花ちゃんが、行方不明。そのフレーズを心の中で反芻する。
 こちらが行動するのが遅すぎたのか。
 或いは、危険を察して、彼女が自ら身を隠したのか。
 どちらにせよ、放っておけない。
 一刻も早く彼女の安否を確認しなければならなかった。

 雛見沢に着く。
 大石さんと私は、二手に分かれて聞き込みを開始した。
 古手神社付近。入江診療所。
 通りすがる人々に話を聞いた。……だが、有力な情報は得られなかった。
 はっきりしていることは、彼女が綿流しでの演舞の役目を果たしたことだけだった。
 その後、つまり今日の事は、誰も分からない。
 時間だけが無駄に過ぎていった。
 鬼が淵沼や吊り橋の方にも足を伸ばしてみたが、そんな所には人すら居なかった。
 結局。日がほとんど暮れてきてしまった。無駄足だったのか。
 ……しかし、引き返す訳にもいかない。彼女との約束を果たすためにも。
787通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/07/26(日) 19:02:43 ID:mqemW9zr
 困りながら、日が暮れた雛見沢の道を歩いていた所で、私はある人物に思い当たった。
 彼女が学校を欠席したなら、当然、学校に連絡が行っているはずだ。
 本人が連絡したのか、同居している友人が連絡したのか知らないが、教師なら何か知っているのでは無いか、と。
 ……雛見沢分校の教師。
 大石さんに連れられ、雛見沢を巡っている時にすれ違った――――「彼」だ。
 殺人犯の可能性もある人物。だが、子供達の教師。
 どちらにせよ、会う必要があるのは前々から分かりきっていた。
 あの時対峙した奴なら、――非常に危険だ。だけど、ここで立ち止まる訳にはいかない。
 ちょうどその時、道の反対側から二人の子供が現れた。
 この付近に住んでいるなら、分校に通っているだろう。私は話を聞くことにした。

「君たち、ちょっといいかい?」
 なるべく警戒されないように話しかける。
「……そこの学校に通っているんだよね?」
 二人は顔を見合わせた後、こくりと頷いた。
「スネーク先生、がどこにいるか知ってる?」
 また、二人は顔を見合わせた。心なしか、少し困っているように見えた。
 やがて、おずおずと、女の子が口を開く。
「……スネーク先生は、今日、学校お休みした」
「休み?」
「うん。何も連絡が無いのに休みだって」
 彼も、……学校に姿を現さなかったのか。偶然にしては何かがひっかかる。
 ――いや、待て。それはつまり。
 ありがとう、と私は言って、走り去る子供達を見ながら、最悪の想像が頭をよぎった。

 「先生は連絡が無いのに休んだ」。彼女はそう言った。
 梨花ちゃんは、休みの連絡が入っているにも関わらず、姿を消している。
 後者の方は可能性が低いが、どちらも「行方不明」だと言えるだろう。
 ……つまり、あのスネークという男も…………、行方不明なのだ。
 梨花ちゃんが姿を消して。あの男も姿を消した。
 あの時、車ですれ違った時に感じた違和感が増してくる。
 ――スネークが、梨花ちゃんを連れ去ったのでは無いのか?
 それならつじつまが合う。
 綿流し祭がある六月という中途半端な時期に赴任してきた教師。
 そして、異常な殺人を犯したあの人物なのかもしれない。
 これだけ条件が揃っていて、疑わない方がおかしい。彼に対して不信感が増してきた。
 「奴」だとしたら――私は、勝てるのだろうか。
 あの時感じた死の恐怖が、迫ってくるのを感じた。
 今回は、銃が無い。鍛え上げた己の肉体で勝負するしかない。
 人知れず、私は拳をゆっくりと握りしめた。
788通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/07/26(日) 19:03:29 ID:mqemW9zr
 とにかく。一刻も早くスネークを見つけ出して、梨花ちゃんの事を聞き出した方が良いだろう。
 ……しかし、彼はどこにいるのだろうか。
 こちらに越してきたのか、それとも一時的な宿を借りているのか。いったいどこで寝泊まりしているのだろう。
 もう一度、子供達に話を聞くべきか。
 足は自然と学校へ向かっていった。
 営林所の建物を間借りしているらしく、学校というにはどこか変だった。
 砂利が敷き詰められたグラウンドで、少年が二人、キャッチボールをしている。
 幸運だ。私は彼らに近づき、話を聞くことにした。

 二人はボールを投げる手を止めてこちらを向く。
「突然ごめんよ。怪しい者じゃないから安心してくれ」
 ……こう言うと、余計に怪しく見えるか。まあいい。
「スネーク先生を知っているよね?」
「……まぁ、はい」 
「どの辺りに住んでいるとか、そういうの、分かるかな?」
「えーと……、それは…………えっと、」
「……ちょっと待っていて下さい」
 二人は後ろを向いて、何やらひそひそ話を始めた。

「大樹、ど、どうしよう、言う?」
「言う、って……確かにあそこで野宿しているって言っても信じてもえるかな。……てっか傑、顔青いぞ」
「先生の居場所らしき所、ち、知恵先生に伝えなかったからさ……。先生に知られたら怒られるかなあって思って」
「大丈夫だって、カレーの悪口を言うよりかはマシさ」
「大樹は先生の怖さと正体を知らないからそう言えるんだよ!」
「何だよ正体って。……別にこの人変な人じゃないと思うし、言っちゃおう」
「……そういえば梨花ちゃん、何で先生のテントと荷物の事、知ってたんだろうね」
「……さあ?」

 少年がまたこちらを向いた。内緒話をする程、「何か」あったのだろうか。
「信じられないかもしれないけど……あっちに先生のテントがありました」
 ……テント? 何のことだろう。
 あっち、と言いながら、少年は学校からちょっと離れた、裏手にある山を指さしている。
「テント……、って一体……?」
「前、遊んだときに裏山に入ったんです。そしたら奥の方にスネーク先生のテントらしきものがあって」
「そこに住んでいるのかどうかは分からないんですけど……。先生の荷物らしきものがありました」
 しどろもどろになりながら答える。
 ……裏山で寝泊まりしている? 何故?
 しかし、子供達は嘘を言っているようには見えなかった。
「……はは。信じられないですよねー」
「……いや、信じるさ。山の正確な場所と、テントがある大体の位置を教えてくれないか?」
789通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/07/26(日) 19:04:33 ID:mqemW9zr
以上です。
>>780に対する意見、お待ちしております。ノシ
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/28(火) 14:02:51 ID:H3p7dIzb
本編乙です。
移転については別に構わないとおもうけどニコニコにUPするのには反対ですね・・・
確実に荒れる
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 06:36:17 ID:YDbH+7ZH
保守。

……個人的にはニコニコ利用はありだと思う。
でもある程度作品ができてから一気に上げたほうがいいとも思っている。
792通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/08/07(金) 21:28:50 ID:Fh+5uUJq
移転について
・OK→3
・NG→0

オリスクのアップについて
・今してもよい→2
・やめるべき→1
・完結後orある程度作品が出来たら→2

http://namidame.2ch.net/mitemite/ (創作発表板)への移転は決定でいいですかね。
容量が残り480kBぐらいになったら向こうに次スレを立てましょう。
オリスクのアップは様子見ですかね……。

投下についてですが……まだ執筆途中です。
私用のため8/8〜8/11までの四日間はスレに来られません。
なので投下は8/12以降となってしまいますがご了承下さい。ノシ
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/13(木) 08:44:45 ID:d+WAWAtl
保守
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/17(月) 05:43:12 ID:h4Rnw8BM
保守
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 06:40:15 ID:cLuYm04i
保守?
796通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/08/24(月) 23:08:53 ID:AQsNLoT0

 食事を終え、一段落ついた所で、ようやく事態が動き出した。羽入が園崎家に戻ってきたのだ。
 探しに行ったはずの梨花は一緒では無い。
 羽入の話によると、山狗の車が梨花の潜む山までたくさん向かってきたらしい。
 ぎりぎりで梨花と合流する事が出来たが、二人ではどうにもならないので、助けを求めた――ということだ。
 魅音、圭一、レナは各々の武器を持ち立ち上がる。
 ようやく出番が来たか。休憩時間はもう終わりだな。

「やっと出番が来たな。魅音、準備はいいか?」
「雛見沢の詳しい地図に各自が使う無線機、護身用の武器。バッチリだよ。あとは梨花ちゃんを助けるだけ!」
「幸い、ここから位置は遠くないみたいだね。すぐに向かおう!」
「スネークも来ますですよね? 梨花が心配していたのです」

『………スネーク、貴方は…いざというとき、私達を守ってくれますですか?』

 梨花とそう約束した。……助けなければならない。動く時が来たのだ。が、その前にやる事がある。

「ああ、勿論行くさ。だが少し準備が必要でな、後から向かうから先に行ってくれないか」
「スネークぅ! いよいよ出陣って時に全員揃わなきゃしまりが悪い……って、綿流しの日以来、宿に帰れてないんだっけ」
「ぁぅぁぅ。荷物も服もお祭りの時と一緒なのです」
「…それなら仕方ないかな。梨花ちゃんがいる山の場所は分かるんだよね?」
「大丈夫だ。『宿』の位置もそこから遠くはない」
「あの辺りに宿ってあったっけ? ……まあいいか。見せ場無くても知らないぞ。早く来いよ!」

 反対されると思ったが、意外と事はスムーズに運んだ。
 幸いと言うべきか、梨花が潜んでいる山林は『宿』がある山と近かった。
 宿――自分のテントに戻り、準備をしてからすぐに向かえばどうにかなる距離だ。
 山狗達は戦闘職では無いと聞いている。子供達もそれほど危険な訳ではないだろう。
 それに、ブカツメンバーなら大丈夫だ……と、妙な安心感があった。

「それでは諸君! ただ今より古手梨花の捜索を開始する! 敵は排除してかまわないけど、合法的に頼むよぉ!
 危ない時や、梨花ちゃんを見つけた時は無線を使用する事。スネークは出来るだけ急いでね。それではしゅっぱーーつ!!」

 魅音のかけ声を合図に、梨花の捜索が開始した。
797通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/08/24(月) 23:10:03 ID:AQsNLoT0
 部活メンバーと分かれた後、小走りで学校の裏手にある山へ向かい、自分のテントを目指す。
 日は暮れていたが、周りの木や目印などを頼りに進むことが出来た。
 だんたん目が慣れてくる。完全な暗闇の中にいるわけでは無いので、容易に進めた。
 ……そこで、無線のコール音が鳴った。
 この辺りに人はいないので、歩きながら大佐と会話をする。

『園崎お魎から情報は得られなかったようだな』
『ああ。彼女は何も知らないだろう。……振り出しに戻されてしまった』
『うむ……。入江京介が嘘をつくとはな。これからどうするつもりかね?』
『古手梨花と北条沙都子の救出が優先だ。子供達が危ない状況にある。
メタルギアについては……、彼らを助けてから考える。フォックスからも十分な話を聞けてないしな』
『……致し方ないか』
『それと大佐。武器の使用についてだが――』
『駄目だ』
 …まだ俺は何も言ってないぞ。
『どうして?』
『山狗程度ならCQCで十分通じるだろう。切り札は伏せておくものだ』
『あの兵士達が襲ってきたらどうする? また助けを待つのか?』
『……』

 こればかりは大佐も返答を濁した。
 もちろん、無闇に発砲する訳では無い。子供達もいるので、本当の危機に陥った時にしか使わないつもりだ。
 しかし――なかなか許可は下りないようだ。
 尚も食い下がろうとしたその時、俺は足を止めた。 
 自分のテントが見えてきたからだ。
 ――正確に言うと、テントの手前にいる人影を認めた為、立ち止まったのだ。
 ……一体誰が。何故こんな時間に、こんな場所にいるのか。
 切るぞ、と小声で大佐に告げる。謎の人影も、こちらを振り返った。
798通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/08/24(月) 23:10:57 ID:AQsNLoT0
「……こんな所で何をしている?」
 若い青年が強い口調で言う。
「ただの野宿だ。あんたこそ何故ここに来た? 散歩か?」
「…俺は警察だ」
 警察だと?
 表情には出さなかったが、……厄介な相手が来たものだ。
 何故ここが分かったのかが気になるが、どうにかして現状を切り抜けなければならない。たとえ強引にでも。
「職務質問をさせてもらう。お前は――」
「拒否する」
 そう言い放って男の横を通り抜けようとしたが、「待て」と肩を掴まれた。
「最近の警察は横暴だな。手を振り払ったとしたら『公務執行妨害』で逮捕か?」
「……」
 挑発的な言葉に対し、男は何も言わない。緊張した空気が辺りを包み始めた。
「何故宿に泊まらない? 足がつくからか?」
 足が付く、とは何の事だろうか。
「……それに答える義務は無い」
「義務は無くても尋問は続ける。――――古手梨花の行方を知っているか?」
「なんだって……?」
 掴まれていた手を離された。振り返って男の顔を見る。
 怒り――と言うべきだろうか。そこには形容しがたい表情が浮かび上がっていた。
「知っているんだな」
「……」
「彼女をどうした? 殺したのか!?」
「何の話だ? 俺は――」
「……6月17日の夜。貴様はどこにいた?」

 あの日は確か――、知恵と接触し、北条鉄平がまた帰って来て、胡散臭い大石警部と出会った日だ。
 殆どの時間にアリバイがある。
 どうやらこの男に決定的な誤解をもたれてしまっているらしい。……それも、かなり深く。
 感情がからむと、思い込みや間違いを正すのは難しい。どうしたものか。

「落ち着け。何の疑いがかけられているか知らないが、俺は只の教師だ。殺人を犯してなどいない」
「普通の教師が何故6月に編入してくる? それも――連続怪死事件が起きている、綿流しの日の前に」
「……」
「あの日の夜。確かに俺は貴様と出会った。あの異様な現場で。……何故殺したんだ!?」

 有無を言わさない口調だ。待ってくれ、とも、人違いだ、とも言えなかった。
 再び、緊迫した空気が流れる。
 見たところ、この男はかなりの使い手だ。強引にでも俺をねじ伏せ――、署まで連れて行くつもりかもしれない。
 殺人容疑に関してはシロだが、この辺りの地面には重火器が埋まっている。
 警察に辺りを調べられたら――任務続行は不可能になる。それどころか梨花達も危ないのだ。
 どうするべきか。
 やはりこちらも強引に切り抜けるべきなのか。

 今は男の顔をじっとみながら、機会を窺うことしか出来なかった。
799通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/08/24(月) 23:12:43 ID:AQsNLoT0
以上です。遅くなってしまいました。
一回分の投下量が4〜6KBなので、次スレは490KBになったら立てましょう。
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/25(火) 06:36:44 ID:9tHH17uV
本編北! 乙!
801メサルギア:2009/08/29(土) 03:28:38 ID:zz4w9moD
遅くなってすいませんメサルギアです。
仕事で忙しく、家に帰れない日が続き、続きが進みませんでした。
フィニックス甲板
扉を開けた時、風が強かったのを今でも覚えてる
「・・・スネーク、俺は」時計を見ると爆破までの時間が迫っていが俺は何も考えれなかった
「後5分だよね圭一君」
「レナ」ナタを持ったレナが俺の目の前に立っていた
「さあ決着をつけよ」
「レナ、聞いてくれ俺達は」
「知ってるよ、私達は仲間だったんだ、でもあのお猿さんや賢者達のせいでバラバラになって敵同士になってたんでよね」
「・・・思い出していたんだな」
「うん、でももう思い出したところでどうすることも出来ないんだよ、だって私は」眼の色が変わった
「圭一君も私ももう殺人マシーンなんだから」レナはナタを振りかぶり、俺は間一髪で交わした
「レナやめるんだ」
「もう全部遅いんだよ」
「サトコちゃんもシーちゃんも葛西さんも梨花ちゃんも、みんな死んだんだ」
「みんな殺したんだよ圭一君が」
「・・・」
「でも関係ないよね、私達兵士だもん」いきなり通信が入った
『圭一、戦え』魅音の声だった
『お前は戦うために私達が作り出したんだ』違う、魅音じゃない
「賢者か」
『そうだ、我々が賢者だ、否賢者の残党を言うべきか』
「どうしてこんなことをした、俺や魅音を騙し仲間を殺させたのは、何が目的なんだ」
『君と一緒だよ、圭一』魅音から違う声になった
「一緒だと?」
『復讐だ』
「何だと」
『今から少し前に私の仲間が殺された、最後の仲間だ』
『彼は私の親友だった、だが奴らに殺された、その復讐だよ』
「俺は復讐なんて考えていない」
『そうかな?君は奴らに家族や仲間を実験の材料にされてなんとも思わないのか?少なくとも私が保護したときは君はこの手で奴らを殺してやると言っていたが?』
「・・・」
『だから私は君に力を与えてやったのだ、君はこんなことも言った』
『奴らを殺せるならこの命くらいくれてやる』俺の声だ
「・・・」
『感謝して欲しいものだな、私は君に力を貸してやったのだ、文字通り私の全てを費やした』
「こんなの間違ってる」
『さあ戦えフリークス』「さあ殺しあおう圭一君」
この時、俺の何かが吹っ切れ、俺は刀を抜いた
「あっはっはっは、流石だよ圭一君、流石はお猿さんの一番弟子」
「がたがた抜かす暇あるならかかってこい」
「最高の五分にしよう圭一君」
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/29(土) 21:13:27 ID:9o+wufAj
おお! メサルギアも来た! 乙!
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/02(水) 19:43:48 ID:KLegg4OB
乙&保守
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/06(日) 07:05:19 ID:2+hRHImD
保守
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/10(木) 06:20:55 ID:Vvbylv11
保守
806名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 07:00:24 ID:rI0LzVIS
保守
……もうこのスレも終わりだな。
807名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 00:56:51 ID:ueoIyfqG
保守?
808通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/16(水) 22:17:11 ID:KZaxrSLX
>>806
まだだ、まだ終わっていない!

…書きたい気持ちは山々ですが、中々時間がとれず。シルバーウィークに書き溜めたいと思います。
それでは投下します。梨花視点です。
>>798の後に当たる話は後日書きます。
809通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/16(水) 22:18:01 ID:KZaxrSLX
 まずい。
 頭の中を占めている単語はそれだけだ。まずい、非常にまずい。
 とうとう山狗が戻ってきた。それも大勢で。
 今まで本格的な捜索を行わなかったのがおかしいのだ。
 ……さっき寝なければよかった、と今更ながら私は後悔する。
 何やかんやで羽入と合流出来たのは大きい。羽入は圭一達に助けを求めに行ってくれた。
 スネークも見つかったらしい。…良かった。あとは、彼らが来るまで隠れ続けるだけ。

 草むらに伏せ、息を殺し、気配を殺す。
 遠くの方で聞こえる足音。小枝が踏み折られる音。ひぐらしが飛んで行く羽音。がさがさと鳴る木々。
 目で見える範囲には限界があるので、全ての“音”に対して意識を集中させる。
 私が伏せている草むらよりはるか前方に、山狗が三人いた。
 …迷彩服がカモフラージュになっているといい。他の所に行ってくれ!
 そんな願いも虚しく、彼らは徐々に近づいて来た。
 先頭を歩いている山狗には、何か双眼鏡のような物が装着されていた。
 アレは確か……、熱源で物を見る装置だったっけ。サーマルなんとかと言った気がする。
 ……熱源。目立つ動物はこの山にはいない。だから、「熱」として認識されるのは人間だけ。
 そして山狗は、こちらの草むらを見て…………。
 山狗が「いたぞ!」と叫ぶのと、私が草むらから飛び出したのは、ほぼ同時だった。
810通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/16(水) 22:18:58 ID:KZaxrSLX
 走る、走る、走る。
 後ろは振り返らない。自分がどこへ向かっているのかも意識しない。
 彼らから逃げ切る事だけを考える。ただひたすら走る!
 …けど、大人と子供の体格差は埋まらない。徐々に足音と息づかいが迫ってくる。
 私が、このぐらいで諦めるものか!
 今に仲間達が駆けつける。お前らなんか敵じゃない。
 本当の敵は、どこかで私達をあざ笑っている。そいつらを倒すまで、私は運命に屈しない!
 近くにあった木を掴んで、ぐるりと右に方向転換する。当然、山狗も追ってくる。
 右に行き、左に行き、坂を駆け下りる。小さい体ですばしっこく走り回れば、大丈夫!
 そして、大きい木の根を飛び越えようとしたとき――、迷彩服の裾が、枝に引っかかってしまった。
「…ぅあっ!!」
 あっけなく体が放り出され、地面に強く打ち付けられた。
 慌てて立ち上がろうとしたが、それよりも早く、山狗が私を押さえつけた。
 じたばたしても、拘束からは逃げ出せない。しまった……!!
 前方から誰かが歩いてきたので、私は顔を上げた。

「探しましたんね、梨花さん。あなたは大事な身なんですから、急に姿を消されちゃたまりませんね」

 ……山狗部隊のリーダー、鷹野の手下の…小此木だ。

「…ボクを殺そうとしても無駄なのですよ」
「殺す? 何の話ですんね?」
 強がって見せたが、小此木はすっとぼけただけだった。

「話している暇はありませんでね、とりあえず診療所に来てもらいましょう。……おい」

 隊員のひとりが、ケースから注射器を取り出す。……私を昏睡させてしまうものだ。
 注射器を構えた男が私の腕に迫る。
 …私は目を閉じ、願った。

 
 ……信じてる。私は………、信じてる…。

 もしも私が眠らされてしまったとしても、仲間が助けてくれる。

 どの世界でもそうだった。だから、私は安心している。捕まっても怖くない。

 ……このぐらいの事で、…………私は、……殺されない…!!
811通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/16(水) 22:20:00 ID:KZaxrSLX
 その時、風を切る音が聞こえた。
 何が起きたのかは直ぐに分かった。私を押さえつけていた拘束が解かれたからだ。
 ついに来たのだ、私の仲間達が。 


「…………間に合った………。」


 その声は、後悔と苦渋を知る者にしか出せない重みがある。
 絆が深いといえども、部活メンバーにはまだ無い貫禄がある。
 …そう、「彼」は部活メンバーでは無い。
 ……でも、…………「彼」とは、この世界で接触出来て無いはず。…………ぇ……?


「数え切れない世界で後悔した。いつも、気付くときには手遅れだった……」

「…て、手前ぇは、……まさか…………!!」


 小此木が驚く。
 ……でも彼より、私の方が驚いている。だって、だってだって……!!


「………私が、ずっとずっと、…伝えたかった言葉を言うよ」

「……あ、……………あ、」

 私と小此木の前に現れた、その人物は。



「梨花ちゃん、君を助けに来たッ……!!」



「赤坂ぁあぁああああぁぁああぁッ!!!」


 ――赤坂衛だった。
812通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/16(水) 22:22:29 ID:KZaxrSLX
「来てくれたのですね! でも、どうしてここが…!」

「ごめん梨花ちゃん、説明は後だ! 伏せてッ!!!」

「はいです!」

 すぐにその場にしゃがみこんだ。
 彼も来てくれた、私を助けに。
 まだ詳しい事情は説明していない。
 それでも、昔の約束を覚えていてくれて、こうして来てくれた。

 すぐに山狗が沸き、小此木が何かを指示する。
 山狗の一人が、赤坂に組み付こうと低い姿勢で向かう。
 だが甘い。「低い姿勢で」来たことが命取りだった。
 何故なら、赤坂は初弾から手加減を止めているからだッ!
 何枚も重ねられた瓦を砕く、その拳の勢いで叩きつぶす!
 人が瞬きをする間に、その山狗は地面へと伏せた。何が起こったのかを理解しないまま。
 梨花が呼吸する間に、一人、また一人と地面に叩きつけられる。
 ……いずれも一撃で。鍛えられた拳が、彼らを容赦なく粉砕する。
 山狗は赤坂に触れることすら出来なかった。
 赤坂との実力の差は、小学生でも分かる!
 一対多数なのに、赤坂はかすり傷すら負っていない。
 さらに、圧倒的でかつ、優雅に戦う赤坂は、余裕すら見せているのだから!
813通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/16(水) 22:24:27 ID:KZaxrSLX
「ぱちぱちぱち〜。赤坂はすごいすごいのです。…………??」

 赤坂の舞うような戦いを感心して見ていた梨花は、ふと“何か”を感知した。
 安堵の表情が消え、真剣なそれと入れ替わる。
 “それ”に気づけたのは、百年以上生きてきた魔女のカンというものだろうか。
 嫌な予感がする方向――小此木の方を見る。
 ……彼はインカムで何かを話していた。
 普通に考えれば、山狗の増援要請をしているに違いない。
 …………でも、……今回は……、…………違った。
 小此木は顔を挙げた。
 その表情は、先ほどのような焦りは一切無かった。
 増援部隊が十人ほど走ってきた。
 十人という差は、赤坂にとっては苦では無い。
 梨花が感じている胸騒ぎは、いっそう大きくなる。
 そして、……冷静に、…………山狗達に指示を下した。


          「許可が下りた。発砲しろ。」


 銃口が、一斉に赤坂に向けられた――――。
814通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/16(水) 22:26:06 ID:KZaxrSLX
以上です。
スネーク、赤坂、フォックス予約します。
時系列は>>798の直後で、TIPSになります。ノシ
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 22:41:28 ID:2K5s1yJX
おお!上がってる!ありがとうございます
赤坂カッケーなぁ…実は、ひぐらしは暇つぶししか知らなかったんだけど(ガンガンにあったから偶然見ただけ)
ニュースやBADENDばっかりとの噂で他の話は敬遠してたんですよ
それが、赤坂が助けに来るシーンを偶然見てから「これってそんな話なのか!」って驚きからハマりましたね

さすがの赤坂も銃には勝てないはず…多分
でも、この雛見沢には『彼』がいますからなんとかしてくれると思ってます
それでは続き、楽しみにしてますね
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/16(水) 22:56:44 ID:PI2DdW2f
本編ktkr乙!
竜ちゃんのノリの文章に心が躍りました。さすがてっこうだん(なぜかry
初期の頃からいるから、遅くても続いているだけで嬉しいぜ
817名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/18(金) 07:37:09 ID:K5Z2uWaF
本編乙!
さすが赤坂、最強だな・・・とか思ってたらまさかの発砲許可www
だが赤坂なら銃弾をマッハ3の速度でぶったたいてそらしてくれる(え
818名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/24(木) 08:04:53 ID:PNPD2TO2
保守・・・
819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/25(金) 07:19:05 ID:SqvDQ3HN
保守
820名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/25(金) 08:34:28 ID:LKdSuOfi
投票数:93レス 07:48:25現在

■第1試合
1位 48票 水銀燈@ローゼンメイデン
2位 39票 綾波レイ@新世紀エヴァンゲリオンシリーズ

■第2試合
1位 45票 池田華菜@咲?Saki?
2位 42票 竜宮レナ@ひぐらしのなく頃にシリーズ

■第3試合
1位 48票 翠星石@ローゼンメイデン
2位 34票 竹井久@咲?Saki?
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/vote/1253832893/
821通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/27(日) 20:44:02 ID:Zu4YL0Tu
 緊迫した空気の中、1分、2分と時間だけが過ぎていく。
 スネークと赤坂は、互いに何も言わなかった。
 いつ暴力沙汰になってもおかしくない緊張感の中、
 スネークは誤解を解く事を必死に考え、赤坂は「殺人犯」をどう捕まえるかのみをずっと考えていた。
 そして、どちらかが動いた時――。

「待て」

 機械から発せられる特殊な声が、どこからか聞こえてきた。
 二人ともその声の人物に心当たりがあったので、はっと顔を上げる。

「味方同士で争ってどうする?」

 その人物――、グレイ・フォックスがステルス迷彩を解除して現れた。
「フォックス!?」「…あの時の忍者か!?」
 驚きの声が重なり、赤坂とスネークは顔を見合わせた。

「……アカサカと言ったか。こいつは、あの時お前が戦った相手では無い」

 全身から力が抜け、改めて赤坂はスネークの顔を見る。
 確信は持てない。だが……、似ているだけで、殺人犯とは違うような気がした。

「……味方同士と言ったな。どういう事だ?」
「敵の敵は味方だろう、スネーク。アカサカはリキッドと対峙したのだ」
「なんだって?」

 スネークは驚く。
 フォックスに対し、さらなる質問をぶつけようとしたがフォックス自身に遮られた。

「時間が無い。向こうの山で少女が――ヤマイヌとかいう連中に囲まれているようだ」
「……古手梨花か?」

 スネークが尋ねたので、フォックスは少女の特徴をいくつか伝えた。
 特徴は、古手梨花と一致していた。
 まずいな、とスネークが舌打ちをする。
 赤坂は状況が飲み込めていないようだったが、梨花が襲われている話には反応を示した。

「助けに行くなら早くした方が良い。後から俺も行く。伝えたぞ――」

 端的な要点だけ伝え、フォックスは闇にへと姿を消した。

 致命的な誤解は、第三者によって解かれたのだった。
 二人はすぐに和解し、味方となったのだ。
822通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/27(日) 20:44:56 ID:Zu4YL0Tu
 
「……本当に申し訳ないです。スネークさん、でしたよね。今から助けに向かいますか」
「こちらこそすまない。ちょっと準備をしたら行くさ」

 スネークは、持ち運び用の小さな鞄を外し、荷物を取り出す。祭りのお菓子や景品がいくつも出てきた。

「一つ聞きたいが、赤坂と梨花はどういう関係だ?」
「……昔、仕事で村に来た時色々ありましてね。その時約束をしたんです」
「約束?」
「五年後に助けて欲しい、と梨花ちゃんが言ったので」

 約束は破れませんからね、と赤坂は笑った。

「スネークさんは?」
「……あの子達の、…………教師、だからな」

 スネークは、どこか言いにくそうに言った。

「場所は分かるな?」
「だいたいの位置は。周辺の地理は頭に入れてきましたので」
「そうか。……手分けして探した方がいいだろう。すぐに俺も向かう」

 赤坂が姿を消した後、スネークもすぐに梨花が隠れている山へと向かった。
823通りすがりの人@本編執筆中 ◆/PADlWx/sE :2009/09/27(日) 20:46:07 ID:Zu4YL0Tu
以上です。……もう次の展開は分かりますよね?
スネーク、赤坂、フォックス、山狗・小此木、梨花予約します
824名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/27(日) 21:12:14 ID:ClT6FOFD
ナイスフォックス!
乙でした
825 ◆k7GDmgD5wQ :2009/09/28(月) 01:30:42 ID:oamwK8gi
突然ですが、カケラTIPS投下。
一応本編準拠で。
826 ◆k7GDmgD5wQ :2009/09/28(月) 01:32:02 ID:oamwK8gi
TIPS「猫と狗」

――五月蝿い。
五月蝿い女の言葉が、俺の耳に入って反響する。
毎度のこととは言え、流石に聞き飽きた。この女の甲高い声は妙に人を苛立たせる。
だが、それも数分のこと、怒鳴りすぎて喉が疲労した女は、要点だけを最後に吐き捨てるように言うと、乱暴にドアを開け放ち出て行った。
「……ふう」
傍にあった会議室の椅子を引き寄せると、俺はそれに腰を下ろす。
女が言った最後の要点――、それは『古手梨花を捕獲すること』だ。
生け捕りだ。殺してはならない。そしてその幼子は同時に――生け贄でもあった。
「……お疲れ様です。小此木隊長」
同じ部屋で同時に説教を受けていた部下が俺に対して声をかける。だが、俺はねぎらいの言葉が欲しいわけじゃない。
「……どうした? “R”の所在は掴めたのか?」
「いえ、まだです。哨戒部隊からの報告では――」
「だったらお前も行ってとっとと捕まえて来い!」
さっきまでと変わらない進展の無い返事に、俺は怒りを隠さずに吼えた。
「し、失礼しました!」
起立し敬礼をし、部下は急ぎ足で会議室を出て行く。
まったく、どいつもこいつも――使えない。肝心なところを見落とす。これでは――有事の際には、全滅しているに違いない。
……いや、今こそがそれだ。有事の真っ只中だ。
「後手に回っちまったな……。いや、してやられたというべきか」
あの年端も行かぬクソガキに――天下の山狗部隊が、まんまと手玉に取られている。
すでに丸一日、こちらの行動は足踏み状態だ。
膠着状態と言うのは、戦場では呆れるほどよくある。相手も攻めてこない。だがこちらも打って出ない。にわか兵士共は一日寿命が延びたなどと言い、貴重な食料を消費

する。全く生産性も攻略性も、戦果も被害もない。無益な日々――そう、俺は認識している。
そうだ、全くの無駄だ。兵士には膠着などあってはならない。兵士は――銃弾が行き交い、爆音が響き、血が流れ、いつも誰かの死体が転がる。
そんな日々でなければ、息が詰まって死んでしまうのだ。
勿論――大戦に敗れ、大国の属国となり、高度成長だなんだと言ってぬるま湯に漬かる日々を尊ぶこの国にいる限り、そんな日々のほうが稀だ。
事実、俺もこの地で――数年、無駄に歳を喰った。全く利益にならぬ日々だった。やったことと言えば、女のままごとにつきあわされ、只の一般人を数人、黙らせたこと

くらいだ。
まったくこの日々は――、息が詰まる。
息抜きが必要だ。
俺は椅子から立ち上がった。
向かったのは――ある男の元だった。
827 ◆k7GDmgD5wQ :2009/09/28(月) 01:32:48 ID:oamwK8gi
その男がいる部屋の前に立ち、俺はドアをノックする。
「……開いている。入れ」
ドアを開け、その前にいた男に、俺は会釈せず室内に入る。当然だ。俺はこの男と同格なのだから。
「どうした小此木。……その顔では、まだ“R”は行方知れずか?」
「ああ、そうだ」
隠さずに言う。情報ならこいつにも別ルートで入っている。隠したところでどうにもならない。
「……当初の目的が軌道修正を余儀なくされる。工作ではよくあることだ。……そのためのプランも考えていないわけではないのだろう?」
流石に鋭い。現段階では“R”の同居人を利用したおびき出し作戦を準備しているところだ。……しかし、この作戦も、目の前の男の発案だったことに、俺はわずかなが

ら憤りを持っている。
この男――オセロットは、“愛国者”側の人間だ。“東京”ではない。なのに、こいつの影響力は大きい。“東京”の上層部が、こいつを協力者として送って寄こしてか

ら――ますます山狗部隊は肩身が狭くなった。
情報収集、物資輸送、拠点防衛、そして資金援助――、全て“東京”以上の水準で、提供し続けた。……鷹野の雌はこれにいたく喜んだようだが。
俺は納得できない。何故なら“東京”は元々――諸外国からの支配、影響を拒否し、国内だけで独自の体制を取るために結成された組織だからだ。
“愛国者”という諸外国の産物を――どうして容認する?
「……不満か?」
不意にオセロットに聞かれ、俺は答えることが出来なかった。
「……なんだと」
「不満なのだろう? 我々“愛国者”がお前達に協力することに」
図星をつかれ、咄嗟に返答ができない。
「お前達が作り上げたあの新型メタルギア――あれは素晴らしい。日本人で無ければ造れない機構をいくつも兼ね備えている。だが――、お前達だけであれを作りだそう

とすれば」
確実にあと50年はかかっていただろうな、とオセロットは言った。
「残念ながら日本は物資が致命的なまでに不足している。いくら技術を持っていても、発揮できる材料が無ければ完成はしない。我々はそれが我慢ならなかった。素晴ら

しい技術と高度な文明の結晶は早く生み出されるに限る――、そうは思わんか小此木」
「……それだけか? 我慢できない? それだけで、“東京”に、俺達に――力を、貸すと?」
「無論だ。何よりもアメリカは日本と同盟国だ。協力しない道理はない」
相手に塩を送るとは思わないのか。飼い犬に手を噛まれるとは――思わないのか。
「……まあ、そんなことが目的で私のところに来たわけではなかろう。“R”についても進展はなし。ならばお前がここに来たのは――」
これが目的だろう、とオセロットは小さなビンを投げて寄こす。それは小さなアンプル、その中に入っている得体の知れない液体が――、目的だった。
828 ◆k7GDmgD5wQ :2009/09/28(月) 01:33:58 ID:oamwK8gi
『我々“愛国者”が開発した新種のドーピング剤だ。人体への副作用は一切無い。安全で確実に――兵士にとって必要な肉体を手に入れることができる』
無論、それ相応のトレーニングが必要だが、とオセロットはそのとき笑って言った。
効果は覿面だった。衰え始めた俺の肉体でさえ、用意に20代の筋肉の増加量を実感した。鍛えれば鍛えるほど、俺の肉体は年齢の、いや人間の限界を超えた。
自分が究極の兵士になった錯覚さえ覚えた。
愛国者という素性の解らない連中は好きでは無い。それは今も変わらないが――、山猫がくれるこの薬だけは、俺は気に入っていた。
オセロットから受け取ったアンプルの中身を、俺は注射器に吸い取って自分の静脈に打ち込む。……心臓が高鳴る感触を覚えたが、すぐに血流は落ち着きを取り戻した。
「ああ、すまない」
すぐにでも体を動かしたくなって、俺は部屋を出る。その直前。
「お前は、このままでいいのか?」
オセロットが、そう切り出した。
「なんだと」
「遅かれ早かれ、鷹野三四の野望は潰える。あの女は人の上に立つ器ではない」
それは、これ以上無いほどの、裏切りをする発言だ。
「オセロット!? 貴様やはり!」
「やはりなんだ!? このままあの女を神輿に上げていては、いずれ我々も! 貴様も潰れる! そのぐらい見通せない貴様ではあるまい!? いいか! 我々はな」
あのメタルギアを守らなくてはならないのだ、と、山猫は腕を振り上げた。
「……オセロット、馬脚をあらわしたな」
「違う! 真実が見えていないのは、貴様のほうだ! あの女の感傷で立ち上がった任務に、どれだけの価値がある!? どれだけの大義がある!?」
確かに――、鷹野のやることに、それらは。
「あの女の言うことに、お前はもう付き合いきれないと――そう思っているのだろう?」
「……だが、彼女は――、三佐は、我々の、東京の――」
「その東京が、彼女を見限るとしたら、どうだ?」
「!?」
言葉が、出てこない。だが――確かに、たしかにそれは――――、ありえる、ことだった。
「見せてやろう。東京の上層部が――私に寄こした極秘メッセージだ。今の貴様なら、知る権利がある」
「……あ、ああ。頼む」
何もかもがどうでもよくなっていた。あの注射を打った瞬間から――山猫の言葉が、まるで神託のように、聞こえた。
属国となった日本。その中で蟻の如く蠢く東京。そのせせこましさに嫌気が差した。
オセロットが映し出したモニターから流れる映像に、俺はぼんやりしながら聞き入っていた。
兵士が兵士として生きられる世界――、それは、愛国者となら、得られるのだと、俺は理解した。
「それでは、貴様に一つ、任務を与えよう。貴様と、鷹野三四が二人きりになった瞬間、お前は」
鷹野三四を抹殺するのだ。そう、猫は、なでもしない声で言った。


俺はそれに、――了解したと、吼えた。
829 ◆k7GDmgD5wQ :2009/09/28(月) 01:38:08 ID:oamwK8gi
以上、投下終了。
何年ぶりだろ投下。やっぱり緊張するね。
じゃ、あとは本編氏頑張ってー。
830名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 20:29:30 ID:dcmJ5mt+
おおおおお、元本編氏&現本編氏投下乙です!! wktkが止まらない!
そして容量がヤバイから【創作発表板】に次スレ立てて来ますんね
831名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/28(月) 20:43:08 ID:dcmJ5mt+
【ひぐらし】こちらスネーク 雛見沢村に潜入した5
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1254137921/l50

立てました
感想で埋めつつ、こっちに移転しよう
832名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 07:30:35 ID:PmLetJFh
ちょっとまて、移転するかどうかは最終決定したのか?
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/29(火) 07:49:38 ID:mNe6JXfM
>>792
834名無しさん@お腹いっぱい。
>>833
すまん、あれで決定だったのか。