コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ5
ここはPS2/PSPソフト「コードギアス反逆のルルーシュ LOST COLORS」SS投稿スレです。
感想等もこちらで。このゲームについて気になる人はゲーム本スレにもお越しください。
基本sage進行で。煽り・荒し・sageなし等はスルーするか専ブラでNG登録して下さい。
■SSを投下される方へ
・投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい。(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
・規制に掛かる場合があるので、長文の場合支援要請の旨も冒頭に書いて下さい。
・投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。
・投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
・固定ハンドルは投下時にだけ付けること。その際成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」 #は半角で。
・読む人を選ぶような内容(オリジナルキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
・単発の方でも投下しやすいように義務ではないですが、
投下時にはなるべく作者名・タイトル・カップリング表記をして下さい。
・ゲーム内容以外で本編放送前バレ情報があるSSは始めに注意書きを。
・460kb近くなったら次スレを立てるか聞くこと。立てる人は宣言してから。
・保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は以下のアドレス(
[email protected])に
※修正依頼の際には スレ番号_作品の最初のレス番号 で指定して下さい
例 0003_0342 のタイトルを ○○○○ カップリングを ○○○○
(↑この部分が特に重要です!)
全力で乙
乙
乙!
そして
1000 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/29(日) 17:58:30 ID:Xi2CrmLM
1000ならカレンはライの嫁
見事だ。そして千葉もライの嫁
>>6 あの作品の女性キャラの8割はライの嫁の間違いだろう
残りの2割は?
ニーナとか第一皇女とかのゲテモノ系
ゲテモノww
でも、ニーナはともかく第一皇女は案外惚れると可愛くなりそうじゃなかった?
絶対にルートとかないけど
済みません、いきなり質問なのですが良いでしょうか?
SSを書くに当たって、一人称と三人称ってどちらが良いのでしょうか?
また他の職人さんと重なる部分は前持って告知していれば大丈夫でしょうか?
(例としてはラウンズのナンバーなど)
>>8 攻略対象外とかじゃないか?
しかしネリ様はより美しくなられたな
ギルの見る目は本物だ
>>11 書きやすいほうでいいと思うよ。あと、ラウンズのナンバーはもう、
かぶっちゃうのはしょうがない部類の設定だと思うから大丈夫だと思う
>>12 なんか、髪の色が桃色に近くなってた気がするな。
というか剣て……はっ! そうか!
ノネットさんの領地でライと一緒に休養してる時に、
ライに稽古付けてもらったんだな!
>>11 書きやすい方で良いと思います。
視点の差がある為一人称の文章は全体が見えにくくなる傾向があり
三人称はその逆です。
しかし、旨い物書きさんの三人称の文章は一人称よりも臨場感が出ます。
ラノベだと一人称が多くなっていますがやはり文章の基本は三人称だと
思うので練習しといて損はないと思います。
個人的には、主人公視点の一人称が書きやすいですが、話としては三人称の方が面白くなる場合が多いと思います。
限定するつもりはありませんが、一発ネタや短篇は一人称、連載物なら三人称がしっくりくるのではないかと。
もしLCで今日のイベントやったらアーニャ(モルドレッド)だけじゃなくて…
・捕虜の設定無視したカレン(紅蓮)参戦
・中華連邦からわざわざ来たC.C(蜃気楼?)参戦
・同じく千葉(暁?)参戦
・ブリタニア帝国から来たノエット(専用機)参戦
・同じくコーネリア(専用機?)参戦
・そして作品の枠を超えたナナリー(ネモ)参戦
学園崩壊ってレベルじゃないよな〜これ
むしろルルーシュとロロとライとジェレミア先生による壮絶なギアスの打ち合いが始まります
>>16 誤解を招きかねないので、修正します。
最後の文、しっくりくるというより、書きやすいと言った方が適切かな。
20 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/29(日) 18:30:18 ID:SFB2vyBP
>>17 バトレーじゃないけど、学園どころか世界が滅ぶのでは?
>>20 いいえ、ライはまとめて面倒みてあげられる男なので世界は救われます
さらに何故か生きてる井上さん(無頼or暁?)、未登場だけどモニカさん(専用機?),
天子さまにお願いされた星刻(神虎)も参戦して戦火が拡大します
王たるものそうでなくっちゃなあ
そこでオデュッセウスお兄様が「頼むから仲良くしてくれ」
と良い人っぷりを発揮して終結します。
なので、いい加減スレ違いと怒られそうなこのネタはこれで終わりです
新鮮なネタは早い方がいいですよね!
というわけでさっそく今週のアニメネタ投下です。
ただし注意
・ライはルルーシュとロロの兄だという記憶を埋め込まれています
・狂王の頃の記憶無し、ナナリーとの記憶も無し
・ただの学生生活をエンジョイしているライです
・ロロがブラコンっぽい
という設定です。
ライがアニメに出てきてくれた記念です、私的に。
「相変わらず、ミレイさんはミレイさんだな…。」
そう呟いて僕はつい昨日知り合ったばかりのアーニャという女子生徒の近くに立った。
ここは極めて安全だ、なぜなら男子生徒が狙っているのはアーニャ、僕を狙う人はいないからだ。
…いや、僕を狙う女子がいるかどうかは不明なのだけれど、ミレイさんが最後に提案した企画なんだ、全力でやりたい。
持ち物はピコピコハンマー、僕の相棒だ。
叩くたびにピコピコと音のなるこの武器は役に立つことはないが、何かに使えそうな気がする。
それにしても…と、今は傍にいない弟二人のことを思う。
ロロにはルルーシュを助けてやれと言ってあるし(ロロは「ライ兄さんも気をつけて」と心配そうな顔をしていたが、僕を狙う女子なんてそうそういないだろう)ルルーシュも何とか逃げ切れるだろう。
最近のルルーシュは女付き合いは激しいし運動神経も物凄くよくなって別人にしか思えないのだが、昨日になってようやく元に戻ったらしい。
結局アレはなんだったのか。
正直最近のルルーシュの行動は怪しくて仕方が無いし、兄としては心配だ。
けれどルルーシュにはルルーシュの考えがあってそうしているのだろうから、僕は見て見ぬふりをすることにしている。
いつか、ルルーシュが話してくれるまで。
開始の合図と共に走り出す生徒達、ルルーシュは会長の餌食にされてしまったらしくルルーシュめがけ走り去っていく生徒の姿が何人も見えた。
アーニャは平気だろうかと見てみればさすがはラウンズ、男子生徒を次々とかわしていた。
何かあったら助けようかと思っていたのだが、これなら心配ないだろう。
そう思っていると、助けようかと張本人であるアーニャの手がずいっと僕の帽子へと伸びてきた。
「なっ!?」
慌てて距離を取る。
今、アーニャは僕の帽子を狙おうとしなかったか!?なんて酔狂な!
「帽子。」
「な、なぜ僕の帽子を…」
「恋人になれるから。」
「(なんで僕なんだ!?君とは出会ってまだ一日くらいしか経ってないじゃないか!)」
アーニャの手から離れるべく窓からの逃走を試みる。
幸いにも周りの男子生徒の多くはアーニャを狙っており、結果的に僕の帽子を取ろうとするアーニャの邪魔をしてくれた。
それに安堵の息をつき、外への脱出に成功する。
それで終わりだと思ったんだ、僕が狙われるだなんて、これで最後だと。
支援しとく
「ライくーん!」
「ダーリン!帽子を頂戴!」
「私の帽子を受け取ってえぇ!!」
「な、なんで…!?」
両手では数えられないほどの女の子に追いかけながら、僕は必死で逃げていた。
どうして僕を追ってくるんだ!?皆してルルーシュとロロに僕を通じて知り合いたいとでもいうのか!?
どうなっているんだ一体!!
「あ、ライ、ルルーシュは…」
「すまない今時間がないんだ!!」
途中、話しかけてきたシャーリーに走りながら謝る。
シャーリーはルルーシュを探しているのだろう、だがすまない今協力できないんだ。
みっともないが自分のことで精一杯だ、ルルーシュに構っていたら捕まってしまう。
それに今の僕の持ち物はピコピコハンマーだけだ。
とても武器にはならない、すまない相棒。
建物と建物の間を急カーブするように滑り込んで進んでいく。
逃走用のルートはルルーシュのために確保しておいたのだが、僕も使わせてもらおう!
「ライ兄さん!こっち!」
「ロロ!」
「そのまま全速力で!」
しえん
31 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/29(日) 18:56:08 ID:SFB2vyBP
全力で支援
支援
僕の行動をある程度予測していたのか、待っていたらしいロロが僕に向かって手を振る。
どうやら僕の手助けにきてくれたようだ。
よかった、ロロの手助けがあるならこの場を乗り切ることが出来る。
「すまない、ロロ。」
「気にしないでよライ兄さん。」
「とりあえず逃げ込む場所を決めなくては、…そうだ、いっそヌゥ先生と帽子を交換」
「それは駄目!」
「え…?」
「だってあの人ライ兄さんに本気だよ、それは駄目だよ。」
「…なにが、本気なんだ?」
時々ロロは分からないことを口にする、だがその質問に答えてはくれない。
今も、ロロは何でもないと不機嫌そうに口をへの字に曲げていた。
…なにがそんなにロロの機嫌を損ねるというんだ?
「ふう、無事終わったな…」
「お疲れ様、ライ兄さん。」
「ああ、お疲れロロ。助かった。」
無事にミレイさんが提案した企画は終わり、僕の帽子も奪われることを死守出来た。
ルルーシュはシャーリーと交換していたが…まんざらでもない雰囲気だったので良しとする。
これでミレイさんが卒業することは寂しいが、だからといって彼女に悲しい顔をさせるのはいただけない。
精一杯の笑顔で卒業を見送ろう、と普段はあまり笑いもしない顔に笑みをうかべた。
(その瞬間やけに女子生徒が騒ぎ出したんだが…なぜだろうか。)
「ミレイさん」
「あら、ライ、なんだあなたは帽子を取られなかったの?」
「ええ、精一杯逃げさせていただきました。…卒業、おめでとうございます。」
「ありがとう。でも、私はこれからもあなたの保護者ですからね?」
「勿論です、これからもお世話になります。」
「よろしい!」
会長ありがとう!と周りの生徒達が感謝の言葉が聞こえる。
ミレイさんと先輩後輩としてこんな風に騒ぐのは最後なんだな、と少し感傷にひたりながら、それでも僕は笑い続けた。
(後日談)
「ふう、これで必要な買出しは最後かな。」
手にもったメモを見て、忘れたものはないかを確かめる。
ああそうだ、なにか弟達にお土産でも買っていくかな、と近くの店に寄ろうとして…
「ぐうぅ!!?」
頭の中がいじられたような感覚に思わずその場で立ち止まり声をあげる。
急激に壊れていく世界、まるで湧き出るかのように蘇る記憶。
僕は私は、何をしているんだこんなところで!?
弟!?私には弟なんて存在しない、なぜ私は眠りから覚めている!?
ナナリーはどこだ、ロロとは誰だ!?
まるでパズルのピースが揃っていく妙な感覚、次々と思い出す記憶たち。
母上、妹、ルルーシュ、ナナリー、ブリタニア、日本、狂王、ギアス、バトレー、実験。
そして知らない弟、知らない世界、偽りの記憶。
「私…は……。」
持っていた荷物が手から落ち、ぐしゃりと嫌な音を立てた。
私はギアスを暴走させ眠ったのに、母上と妹を殺してしまったのに、どうしてこんなに平和で幸せな世界に生きているのか!
「もう…ここには…。」
いられない、いてはいけない。
思わず口元を手で覆う。ああ、私は、僕は…。
ここにいていい資格なんて、一つもない大罪を背負った人間だったのだ!
ぐらりと視界が揺らぐ。果たして揺らいだのは世界か、自分か。
それさえも分からずに、ただ涙がこぼれていくのを止められなかった。
支援
いきなりの鬱展開…!
支援ですね
というわけで投下終わりです、アニメ出演おめでとうライ!
このスレではトップバッターです、なんかすみません。
今まで辛いギアスアニメを見ていたのは
この時のためだったのだと思確信しました。
ぐはっ、連続ですみません、
支援ありがとうございました!もう本当感謝です!
アリスの名前といいライといい
やってくれたなスタッフめ…
しえ〜ん
ラスト1分の超展開はギアスの持ち味ですね
ひ、聖卿!最後にそんな鬱な…いやGJです!出来れば別でコミカルなのをもう一本ぐらい…
支援乗り遅れてシモタ。聖卿@あなたにこの言葉を送ろう
GJ!!!!
聖卿GJ!
ピコハン持ってたのがライ説が濃厚(笑)だけど俺はその前の階段で女子生徒たちに包囲されてた
男子生徒がライぽかったな。顔かかれてなかったしwwww
>>13 >>15 >>16 回答ありがとうございます。
結果としては、一人称視点を基本として三人称視点の場面も加えて使い分けることにしました。
トリップ表示は……これであっているのかな?
なにぶん初めて尽くしで心配です。
SSを書こうと感化されて思った辺り、改めて職人さん達のレベルと投稿の賑いが凄いなぁと思います。
>>40 GJ!
ラストにそうもってくるとは…
>>47 自分もあっちの方がライっぽいと思った、と言っても順番的にジノかもしれんけど
イベント開始直前って他にジノ出てたっけ?
>>40 GJ!
最後の鬱展開…だと…?
>>49 金髪っぽかったしジノだろ
その後追いかけられてたし
KOUSEIです。前回の『プロローグ』の続きを投下します
<オリキャラ注意!>
今回から、オリキャラが登場します。不快に思う方はスルーでお願いします。
○ロイ・キャンベル。
スザクと同じ日にナイト・オブ・ラウンズになった若き騎士。ナンバーはゼロ。
ゼロと言っても、ナンバーワンより地位的に上というわけではなく、
本来は存在しない。という意味のゼロであり、どちらかと言えば、他のラウンズより地位は下かもしれない。
そのため、自分専用のカラーも無ければ、マントも与えられていない。
能力は高くルルーシュ並の知性と、スザク並の戦闘力を兼ね備えている。
しかし、ラウンズに至るまでの経緯とその出自が原因で軍全体の評価は総じて低い。
それでも一部の皇族、軍人、騎士からは、その人柄と指揮能力の高さから厚意や好意を抱かれている。
おお、待ってました!支援
○ターン1『ナイト オブ ゼロ』
『キャンベル卿。あなたの屋敷が完成しましたそうですよ』
EUの戦線から帰国したとたん届いたその知らせを受けて、ロイはある場所に来ていた。
肩まで伸びた銀の長髪。線の細い端正な顔立ち。絹のように白い肌は、無駄の無い筋肉を包み、その体格は細身ながらも、物腰はしっかりとしていた。
「ここか……」
ロイは家と呼ぶには少々抵抗のある建造物を見上げながら呟いた。
そして、今だ慣れない白い軍服の襟を締め、なんとなく身だしなみを整えてから改めて歩き出す。
ちなみに、その軍服はブリタニア内において特別な意味を持つ服だった。
ナイト・オブ・ラウンズ。
帝国で十二人、いや“十三人”にだけ着用を許された名誉の軍服。
ブリタニア最高最強の騎士団。その団員。その騎士。もっと言えばブリタニア軍の中枢の一角を担う者の証だった、
ロイが自分の身長の何倍もある門を通り抜けると、広がるのは暖かい日差しと、良く手入れされた庭園。そして、数十人は楽に暮らせそうな、豪勢な屋敷が広がっていた。
「うわ、お金ってあるところにはあるんだなぁ……」
ロイ・キャンベルは自分がブリタニアのスラム街で住んでいた頃に使っていた、ほったて小屋みたいな家と比べて、なんか虚しくなりながら呟いた。
「それにしても……」
ロイはグルリと周りを見渡す。
ラウンズとして拝借した領土の中に、自分の意見など一切無視で立てられたお屋敷。その装飾は壮観を抱かせるには充分な豪華さを誇るが、どこか古き良き穏やかさを取り入れたかのような、静かな趣を感じさせる。
半年程度でこれ程のお屋敷が完成するのだから、ブリタニアの建築技術は素晴らしいの一言だ。
庭にポツンと立つ銅像なんて売ったらいくらするんだろうか? そんな事を考えながら、公園のような庭を歩き、今日から自分の家になる屋敷に足を踏み入れた。
屋敷に入ったら入ったでエントランスホールの広さにまた唖然としつつ、とりあえず任務帰りで体の疲労がピークなので二階にあるはずの自室で休む事にした。
これまた高級そうな絨毯が敷かれた階段を上りつつ、ロイはなんとなく自分の境遇を振り返った。
スラムで賭けKMFパイロットをしていた所を何の因果か皇帝陛下の目に止まり、あろう事か帝国最強の騎士団ナイト・オブ・ラウンズに任じられてから約一年。
生活は一変した。
大出世。貧乏人から貴族へ。
しかし、元がスラム出身ということもあり、いくらKMFの操縦技術が優れているといっても、あまり貴族の人達には良い目で見られてはいない。
まぁ、そこらへんは仕方がない。とロイは思った。
なにせ自分は苗字すら無いような地位だったのだ。キャンベルという名もラウンズ就任と同時に皇帝陛下直々に付けていただいたたものである。
そんな事を考えている内に、自室と思われる部屋の前に辿りついた。
「ここか……?」
ロイはドアのノブに手をかけて、
「……」
それを回さずにピタリと止めた。
部屋の中から気配がしたのだ。一人、いや二人……。
使用人? それともメイド? という考えが浮かんだがそれは無い。
今、この屋敷にいるのは自分一人。使用人やメイドは明日から来る事になっている。となると……。
(泥棒か?)
ロイは素早く腰に備えてあった銃を取り出す。そしてドアにそっと耳を当て、中の様子を伺った。
中の人物はこちらに気付いていないようで、何か会話をしている。
内容は良く聞き取れなかった。だが、中にいるのは二人で間違い無いようだ。
(二人か……なら)
静かに深呼吸し、ドアノブを持つ手に力を入れ、そして、
「動くな!」
ロイは勢い良く扉を開くと同時に、銃を構えてなだれ込む。そして、即座に中の人物に照準を合わせた。
中には、予想通り人が二人いた。その二人は銃を突き付けられても、特に驚きもしなかった。それどころか、
「よぉ、ロイ。先にお邪魔してるぜ」
「……お帰りなさいロイ」
と、優雅に椅子に腰掛けてティーカップ片手にロイを優しい微笑みで迎えた。
ロイはその二人の事をよく知っていた。
「ジノ! それにアーニャ!?」
一人はジノ。ジノ・ヴァインベルグ卿。
金髪碧眼の顔が整った美男子で長身。黙っていれば二枚目たが口が開くと三枚目になる。
性格は一言でいえば子供。見た目は一見優男だが、そこはナイト・オブ・スリーの称号を持つ騎士。
支援
支援
KMFの腕前は半端では無く、特に愛機“トリスタン”を駆っての空戦に持ち込まれたら彼の右に出るものはいない。
そしてもう一人はアーニャ。アーニャ・アールストレイム卿。
ピンクの髪に、虚ろな瞳の少女。少々感情表現の波が穏やかではあるが、付き合っていれば悪い子じゃないのは良く分かる。
彼女もれっきとしたラウンズで、ナイト・オブ・シックス。
史上最年少でラウンズになっただけあってKMFの扱いは大人顔負けである。
「おいおい何だ何だ銃なんか持って。泥棒でもでたのか?」
「……二人とも、来るなら来るって言ってくれればいいのに」
ロイはほっとしつつ、少し呆れながら銃を下げた。
ジノにアーニャ。
貴族でありながら、スラム出身のロイに分け隔て無く接してくれる数少ない人物で、ラウンズの仲間であり同僚であり友達だった。
「あっ、台所借りたから」
ジノはそう言って軽く手を振り、多分自分で持ってきたと思われる紅茶を口に含む。
「あ、うん。それは構わないけど……」
「とりあえず、その銃をしまえよ。紅茶が不味くなる」
「……分かった」
ロイは、抜き身になっていた銃を慣れた手つきで腰のホルスターに戻した。
「でも、どうしたのさ急に……?」
「俺は野暮用。アーニャはロイに会うって言ったら勝手に付いてきた」
と、ジノは隣のアーニャにチラリと視線を向けると、ニヤリと微笑んだ。
「将来の自分の家になるかもしれないから、見ておきたかったんじゃねーの」
「……ジノ」
ニヤニヤ笑うジノにアーニャは咎めるような視線を向けた。
「?」
ライはよく意味が分からなかったが、自分の屋敷を気に入ってくれたのかな? と解釈した。
「アーニャはここに住みたいの? 僕としては大歓迎だけどね」
「えっ……」
ライの言葉に息を飲むアーニャ。そして、
「……本当?」
と、何かを期待するような瞳をロイに向ける。
それにロイは無情にも笑顔で答えた。
「ああ、いつでも“泊まり”に来てくれて構わないよ。どうせ、部屋なんていくらでも余ってるし。なんなら友達も連れてきてくれ」
「泊まり……」
すると、アーニャはなぜか落胆したように、小さく息を吐いた。
「? どうしたのアーニャ?」
「……別に、なんでもない」
「はははははっ、泊まりでも結構凄いと思うぞ俺は。あっ、でも明日から使用人も来るんだったな。だったら大した事でも無いか」
ジノが心底楽しそうに笑う。対してアーニャは不機嫌そうな顔をジノに向けた。
「……ジノ。笑いすぎ」
「……?」
ナイト・オブ・ゼロ。
ラウンズでありながら、“存在しない”ゼロという名を持つ男――ロイ・キャンベルは自分の銀髪を掻きながら、はてなと首をかしげたのだった。
○
ロイは席に座り、アーニャからティーカップを受け取ると優しく微笑んだ。
「ありがとうアーニャ」
「……うん」
「今回の任務では、俺がいた時もそうだけど、俺たちが帰った後も、一人残って大活躍だったそうだなロイ」
ジノはテーブルの上に出されたクッキーをボリボリ豪快に食べながら言った。
「ジノ……。喋るか食べるかどっちかにしたら」
ロイは呆れて言った。
食事会の時とかは見惚れるぐらい優雅に食べるくせに、こういう所ではスラム出身の自分が呆れるような食べっぷり。
もっとも、ジノに言わせれば、自分はスラム出身の割に、貴族みたいな仕草が板に付きすぎていて、逆に異様らしいが……。
「おお、悪い悪い」
ジノは紅茶で口の中のクッキーを流し込むと、改めて口を開いた。
「で、今回は凄かったよな。EU相手にスザクと二人で大暴れ」
ジノの言葉にアーニャが付け足す。
「……青い聖騎士(ブルーパラディン)」
青い聖騎士。ロイの二つ名。約一年間のラウンズとしての戦いで、いつの間にか敵からそう名付けられていた。
自分から名乗るならともかく、敵が名付けたにしてはやけに綺麗な言葉を使うものだと最初は笑ってしまったものだ。でも、
「やめてくれよ二人とも。っていうか、僕のあげた功績なんて君たち二人が今まで築き上げてきたものに比べたら……」
と、ロイは伏し目がちに息を吐く。
「……」
それを見たアーニャは、手に持ったティーカップをカチャリと置いた。
支援
「ロイ、もしかしてまた何かされたの?」
「えっ」
「どうなの?」
目をスッと細めるアーニャ。その瞳には軽い怒りの色が浮かんでいた。
(……鋭いな、この子は)
ロイは、フッと軽く笑う。
実を言えばロイはここ最近いじめ、というか陰湿な嫌がらせを受けていた。
やはり、平民以下の立場にいたロイが一気にブリタニアでも最高峰の地位であるラウンズに就任することを快く思わない人は多い。
弱肉強食。
実力主義が国是のブリタニアにおいては、力が全てであり、
力を持っている者は敬意を払われて当然なのだが、ブリタニア人の全員が全員それでロイの大昇進を納得するという訳もない。
仕方が無いとも思える。元々軍で頑張っていた人たちから見れば自分はただの成り上がり者。
分かりやすく一般企業――会社で例えるなら、社長が、社員でもなかった一般人をただ気に入ったからという理由だけで、いきなり幹部にしてしまったようなものだ。
その会社内で長年その幹部を目指してきた人たちや、社員はさぞかし面白く無いだろう。
だからといってラウンズである上に実力もあるロイに表立って文句を言う者などいるわけもなく、必然的にその文句は裏、つまり陰湿で陰険なものになる。
もっとも、その悪戯自体は大したものじゃない。せいぜいが悪戯メールに無言電話ぐらいだ。と言っても、それが365日続けば塵も積もるが……。
「心配してくれてありがとうアーニャ」
そう言ってロイはアーニャの頭を軽く撫でる。
アーニャは特に抵抗することも無く、その差し出された手を受け入れた。
「でも大丈夫。君みたいに僕のために本気で怒ってくれる人もいるし。それに……」
ロイは正面のジノを見る。
ジノはその視線に気付いてニカッ、っと清々しく笑った。
「僕を気に掛けてちょくちょく会いに来る悪友もいるからね」
「おいおい。悪友とはひどいなロイ」
と、口では文句を言っていても、顔は笑っている。どうやら、悪友というのは、彼にとってまんざらでも無いようだった。
「……」
アーニャはまだ納得がいっていない様子だったが……。
「分かった……ロイがそう言うなら」
と言って、紅茶を一口含んだ後、話題を変えた。
「ロイ……。ラウンズの生活には慣れた?」
「ああ、アーニャにも手伝ってもらったし。お陰ですっかり慣れたよ」
「……良かった」
「良かったなアーニャ! お礼に今度遊園地連れてってくれるってよ! もちろんロイの奢りで」
唐突にジノが訳の分からない事を言い出した。
「ジノ……」
ロイは、ジノに咎めるような視線を送る。
別にアーニャに奢るのが嫌なわけじゃない。
アーニャは自分がラウンズに入ってからしばらく世話係に任命された事もあって、本当に良くしてくれた。
だから、一回や二回ぐらいむしろこっちからお願いして、奢らせてほしいぐらいである。
でも、アーニャは見た目こそこうだが、まごうことなき誇り高きラウンズ。このような子供扱いな物言いは、アーニャが不快に思うだろう。
「んっ、何だ?」
「何だって、君ね……」
ロイがジノに文句を言おうと口を開いた時、
クイッ、クイッ。
と、ロイは軍服の裾を引っ張られた。振り向くと、アーニャが、「本当?」と呟きながら小さく首をかしげていた。
「……」
ロイは熟考した。
あれ? まさか? もしかして……。
そう思っておそるおそる聞いてみる。
「い、行きたいのかい? 遊園地」
すると、誇り高きナイト・オブ・シックスは、コクリ。と小さく可愛らしく頷いた。
再び熟考。
「……分かった。今度一緒に行こう」
「うん。約束」
そう言って、アーニャは手の小指を立ててこちらに突き出してきた。
ロイは迷わず、その小指に自分の小指を絡ませる。そして歌った。
「指きりげんまん。嘘付いたら針千本の〜ます……ってあれ?」
ロイはリズム良く歌ってる途中で歌を止めた。
なぜかは知らないが、アーニャは無言で、しかも奇妙な物でも見るような顔でこちらを見ている。
「アーニャ?」
「……ロイがこれを知ってたのが意外だった」
そう言ったあと、アーニャは指きりの歌をあまり緩急の無い口調で歌い、
支援
「指切った」
と絡めていた指を解いた。その後、改めてこちらに視線を向ける。
「これは、私が最近ある人から教えてもらったもの。だからそれをロイに教えてあげようと思ったんだけど、ロイはすでに知ってた」
「あ、そうなんだ」
「どこで、知ったの?」
「へっ?」
そう聞かれて、ロイは返答に困った。なんで、自分がこの歌を知っているのか分からなかったからだ。
過去に誰かに教えてもらった記憶も無ければ、書物などで読んだ覚えも無い。
それでもアーニャに小指を出されたら、勝手に体が反応し、無意識にその歌の歌詞が頭に浮かんだ。
「そうだね。何でだろう、不思議だ……」
ロイが腕を組んで悩んでいると、
「そんなのどうでもいいだろ〜」
と、ジノが立ち上がって、こちらに歩いてきた。
ジノはそのまま、その長い腕をロイの肩に回してもたれかかる。長身のジノにこれをやられると結構重い。
「ジノ、重いんだけど……」
「で、遊園地はいつにするんだ? 俺の予定も考えて決めてくれよ」
「ジノも来るつもり?」
アーニャがつまらなそうにジノに言った。
「当たり前だろ。来なくていいとか、寂しいことは言うなよアーニャ」
「……来なくていい」
「え〜、何でだよ」
「なんでも」
「まぁまぁ二人とも……ところでジノ。僕に用事があって来たんじゃないのかい?」
「あっ、そうだった」
と言ってジノは自分の席に戻る。そして、カップに残っていた紅茶をグイッと飲み干して言った。
「単刀直入に言おう。お前、俺と一緒にエリア11に行かないか?」
「エリア11?」
その名を聞いて、ロイの頭に真っ先に浮かんだキーワードがあった。
「ああ、あの“日本人”の」
元日本。今現在、色んな意味でもっとも熱い地区。
そして、ロイの頭脳が日本に関する、過去の事件。現在の情勢等を検索し、思い起こしていると。
「ロイ……」
と、アーニャがなにやら複雑な表情を浮かべながら呼びかけてきた。
「んっ、何だいアーニャ?」
「“イレブン”の呼び方」
「あっ」
ロイは、はっとした。
「まっ、ラウンズとしてはマズイわな」
ジノも、微笑みを浮かべながら、やんわりと言った。
旧日本――現在エリア11。
旧日本人――現在イレブン。
これは、簡単に言えば国の決定事項。そして、軍人はその国の決定に従うのが当然。
ましてやその軍の中枢の一角を担うラウンズが、その国の意思決定を些細な事とはいえ守らないというのは言語道断である。
軍で地位を得たものは、その地位に見合うだけの範を示さねばならない。
が、しかし。この二人の友人が心配しているのは、そんな範とか、規律の遵守とかそういうものではない。
そもそも目の前の二人はそんな事に拘られない。ジノもアーニャもさすがに公の場では、しっかりと軍の規範を示すが、プライベートともなれば、
日本? 日本人? 呼び方なんてそんなの分かればいいんじゃない? といった感じだ。
だが、先ほども言った通り。ロイは実力はありながらも出生、そして出世の経緯から軍内部で反発を受けやすい立場にある。
こういう呼び方一つ取っても、そういう人たちにとってロイを中傷する絶好の材料になりかねない。その点を二人は心配してくれているのだろう。
「そうだね、ちゃんとそう呼ばないと……」
そう言ってロイが二人に微笑んだ時、
<違う! イレブンじゃないっ! 日本人だ!!>
唐突に。本当に唐突に、そんな誰かの言葉が頭をよぎった。
「……」
「どうした?」
「いや、そのイレブンって呼び方、誰かが凄く嫌がっていたような気がするんだ……」
「? そりゃあ沢山いるだろう。イレブンなんて特にそうだろうし」
「いや、なんていうか、もっと身近に……」
「イレブンの知り合いでもいるのか?」
「……いや、いない」
ジノの問いをロイはキッパリと否定した。
ロイは人を記憶する事に関しては自信がある。だから断言できる。
今までイレブンと出会った事は無い。もちろん、スラムで生活してる時にもその様な知り合いはいなかった。
しかし、なんとも言えない妙な違和感が止まらない。
支援
「……ロイ。とりあえず気を付けた方がいい。個人的には分かればいいとは思う。だけど」
「そうだな、俺とアーニャ。あとスザクはもちろん気にしないが……」
「ああ、気を付ける」
それでも、アーニャはまだ心配そうな顔でこちらを見ていた。。
ロイは、そんな少女に優しく微笑む。
「心配はいらないよアーニャ。これからは気を付けるから」
そう言ってロイはアーニャの頭を優しくなでる。アーニャはまた、特に抵抗することも無くロイの手を受け入れた。
そんな光景を見ていたジノが、ため息混じりに言った。
「ロイ」
「んっ、何?」
「お前さ。俺に良くアーニャを子供扱いするなって言うけど、はたから見ると、お前が一番子供扱いしてないか?」
「えっ、あっ、ごめん。つい……」
ロイはパッと、アーニャの頭から手を離す。
「あっ……」
アーニャはそのロイの手を名残惜しそうに見送った後、ジノにムッとした瞳を向けた。
「ジノ。私は構わない」
「スマン。悪かった。ごめんなさい……。で、話を戻すぞ。エリア11の件だが。実は近々カラレス総督に代わって、新たな総督が赴任される事になった」
「あ、うん。その話は聞いたよ。ずいぶんと思い切った人事をされるもんだと驚いた」
「で、それに伴って、エリア11には俺とスザクが派遣される」
「スザクが?」
ロイは声を弾ませた。
枢木スザク。ロイの同僚。そしてナンバーはセブン。
二人は同じ日にラウンズに就任した事がキッカケで知り合った。
最初、スザクはロイを避けているような態度が多かったが、今ではそんな事も無く、二人はとても仲が良かった。
任務も共にこなす事も多く、二人で専用機に騎乗して戦っている姿を“ブリタニアの二本槍”なんて呼称される事もあるぐらいだった。
その呼称一つ取って見ても、どれだけ二人が信頼し合っているか見て取れるだろう。
「でも、君やスザクが行くなら僕は必要無いだろ?」
そう言うと、ジノは口元を歪ませながら、軽く笑った。
「俺もそう思っていたんだがな……」
「ゼロ」
アーニャがそういうと、ロイの頭に一人の男が浮かんだ。
<聞け! ブリタニアよ。刮目せよ、力を持つ者よ!>
そう言って始まったあの演説を知らないブリタニア人はいないだろう。
魔人ゼロ。黒いマントに黒い仮面。全身黒一色のいでたちは、まさに魔人の名に相応しい男。
その男が、一年の沈黙を破って再び姿を現した。それも、エリア11の総督を殺害するというオマケ付きでだ。
しかし、ゼロは公式には一年前のイレブンの未曾有の大反乱ブラックリベリオンで死んだ事になっている。だが……。
(復活したゼロが本物かどうかなんて関係ない……)
そう、関係ない。そもそも、ゼロの正体など誰も知らない。だからあの黒い仮面を調達すれば誰だってゼロになれる。
ゼロは象徴なのだ。正体は関係ない。ただ、ゼロという象徴に見合った力と奇跡があれば、正体が誰であれ、それが日本の救世主、魔人ゼロなのだ。
「話は分かった。けど、それだけでは僕が行く理由にはならないだろ?」
だが、いくらゼロが実力を持ったテロリストであったとしても。それは過去の話。
ロイが軽く調べた限りでは、現在、ゼロが率いる黒の騎士団はその力を大きく落としている。
やっかいな事と言えば現在ブリタニアとの同盟関係の締結が進んでいる中華連邦の領事館に立て籠もっている事ぐらいだが。それは大した問題ではない。なぜなら、領事館の立て籠もりも長くは続かない。なにせ、ブリタニアと中華連邦は同盟関係になろうとしているのだ。
そして、その達成はそう遠い日の事ではない。そうなれば、流石に中華連邦の領事館だってゼロを追放するだろう。
その後は簡単な話だ。敵が――ゼロが中華連邦の領事館外に姿を現した瞬間、ブリタニアの軍の力で蹴散らせば良い。それで終わりだ。
そんなロイの思考を感じたのか、ジノは言った。
「黒の騎士団。何日も経っていない内にかつての力の復活の兆しを見せつつある」
そう言って、ジノは懐から何枚かの写真を取り出し、テーブルの上に軽く放った。
写真に写っている人物は、老若男女様々な囚人だった。しかし、ロイはその写真を見てピンときた。
「これは黒の騎士団の幹部の写真だね。確か、僕がラウンズに就任するちょっと前に捕まったっていう」
「ほう。良く知ってるな」
「まぁね。特に、この人には戦術を勉強する上で、何度も世話になった」
支援
そう言って、ロイは一枚の写真を手に取った。その写真には精悍な顔つきをした三十代前後に見える四十台前後の男が写っていた。
藤堂鏡志朗。黒の騎士団軍事総責任者。
彼が黒の騎士団に入る前、日本軍に所属していた時に起こした厳島の奇跡は、戦術を学ぶ者にとって参考になるべき教訓がいくつもある。
ロイもラウンズになってから、何度もその厳島の奇跡のデータを検証し、彼から戦術を学ばせてもらったものである。
「一度直にお会いしてみたかったよ……」
そう、ロイはどこか遠い視線をして言った。
藤堂鏡志朗は一年前のブラックリベリオンで逮捕されたと聞く。
どんなに優れ、尊敬できる軍人でも、そうなってしまえばただのテロリスト。
そして、今までのエリア11の総督が冷徹カラレスだったことを考えれば、すでに生きてはいないだろう。
「そうか、なら会いに行こうぜ」
「は?」
ジノの言葉に、ロイはキョトンとした。
「実はここにいる全員、ゼロに奪還された」
「ちょっと待ってくれ。奪還された?」
「ああ、まだ公式発表はされてない。ほんの二時間程前の話だ」
奪還。という事は、それをしたのはゼロだろう。
確かに、ゼロは前にも一度、ブリタニアに捕まっていた藤堂鏡志朗を強奪した事がある。だがあの時とは状況が何もかも違う。
先ほども言ったとおり、今のゼロには大した戦力は無い。
いや、というかそれ以前に、
「まだ生きてたのかい。この人たち?」
「何だ、知らなかったのか?」
「僕はてっきり、捕らえられた幹部はすでに処刑されているものだとばかり思っていたよ」
というより、そんな事に気を回す暇が無かったと言った方が正しいかもしれない。
いくら尊敬できる人と言っても、所詮テロリスト。しかも捕らえられたとなれば、その後辿る道はブリタニアには一つしかなく、それは当然であり必然。
ロイは、そんな当然な事を気にするより、ラウンズとして学ばなければならない事、身につけなければならない事、気を向けねばならない事は腐るほどあった。
「まぁ、お前の疑問はもっともだが、その論議はまた今度にしてくれ。とりあえず話を続けるぞ」
と言うと、ジノはコホンと咳払いして、仕切り直した。
「いくらゼロが過去団員を救出できたといっても、その戦力は依然大したものじゃ無い。俺が懸念しているのは、もっとブリタニアの私的な問題だ――」
「……分かった。読めたよジノ、君の言いたい事が」
ジノの言葉が終わる前に。ロイは口を挟んだ。
理解できた。
聞けば、新総督就任に伴ってエリア11には大量に文官が派遣されるらしい。
だが、あのエリアは今まで、カラレス総督の性格や気質に合う、多数の武官が幅をきかせていた。
従来より、文官と武官は仲が悪いもの。
その上、それを統括する新総督は決断力、経験、統率力に乏しいときている。
結果、導き出されるのは、ブリタニア内部の文官、武官の衝突。それに伴う無意味な派閥の発生。しかも、新総督にはそれを止める力は無いため、最悪、自滅と言う名の内部分裂が起こる。
その影響は、黒の騎士団に対抗するブリタニア軍全体の混乱を招き、テロリスト共のテロの多発を許す事になるだろう。
「察しがいいなロイ。しかし、お前が思っている事態を未然に防ぐ事が出来るのが俺達ラウンズだ」
と、ジノが不敵に笑って言った。
意味は分かる。
再び息を吹き返しつつあるテロリストと、対立が目に見えているブリタニア軍内部。
その両方の監視をラウンズがやってのけなければならない。とジノは言っているのだ。なぜならラウンズにはそれが出来るだけの地位と権限がある。なにせ、ラウンズは皇帝直属の騎士。そのラウンズの行動、言動はエリアの総督だって、無下に無視できるものではない。
「とは言っても、何事も限界というのはある」
ジノは、軽くため息をついて言葉を続けた。
「俺とスザクの派遣が決まった頃と比べて、エリア11の変化が激しい。んで、どう考えてみても俺“一人”だと手があまりそうになってきた……」
スザクの派遣は決まっているのにジノが使った“一人”という言葉。
ロイは小さく頷いた。
友情は友情。能力は能力。だから、ロイはハッキリと言った。
「分かるよ。スザクは確かに強いけど、そういう能力はザルだからね」
そういう能力。とは、部下の間を取り持ったり、指揮したり、纏め上げたりする能力の事だ。
帝国最強の騎士団。なんて言われているから勘違いされる事も多いが、ラウンズとして求められるのは“人を倒す力”だけじゃない。
支援
支援
それはラウンズ入団の必須条件なだけであって、ラウンズは軍の一角を担う者。いわゆる将校でもある以上、“人を生かす”術を身に着けなければいけない。
しかし、スザクは贔屓目に見ても、そういう能力や才覚に恵まれているとは言えなかった。
「そこで、お前に白羽の矢を立てた訳だ。だから行こうぜ。っていうか、来てくれエリア11に」
「どうしようかな……」
ロイは顎に手を添えて考えた。
ゼロ復活の放送には、正直に言えば興味を持った。
あの時はブリタニアに一時帰国していて、さらに偶然に偶然が重なってラウンズ一同が集合していた時だったから尚更鮮明に覚えている。
――魔人ゼロ。
面白い男だと思う。エリア11において、世界たるブリタニアに反旗を翻し、そして一時的とはいえ日本の王と言える程の勢力をほこった男。
その正体は全て謎に包まれているが、それが人々にミステリアスな魅力と、探究心を抱かせる。
そして、その魅力には正直ロイも引き込まれている。
「……うん。行ってみよう」
ロイがそう言うと、ジノが嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「おお、そうかそうか。それは良かった」
「でも、皇帝陛下が許可をして下さるかどうか」
「大丈夫、大丈夫。実を言えばこの話はシュナイゼル殿下が言い出した事なんだ。文武に優れるラウンズをもう一人ぐらい派遣できたらいいのにね。ってな。俺はそう言われた瞬間ピーンときたよ。ああ、これはキャンベル卿も誘ってみてはどうかな? って言ってるんだなってな」
皇帝陛下に次ぐ権力を誇っているシュナイゼル殿下がそう言っていたのなら問題ないだろう。
「分かった。出立はいつだい?」
「三日後だ」
「三日後? それはまたずいぶん急だね。分かった準備しておこう」
「……私も行く」
その時、アーニャが二人の会話に割り込むように言った。
「え?」
これには、さすがにジノもびっくりしたようで、彼は軽く目を見開き、キョトンとしていた。しかし、すぐに困ったような顔をした。
「おいおい。一つのエリアにラウンズが四人も行ってどうするんだよ」
「……じゃあジノが残ればいい」
「元々任じられたのは俺なんだけど……。ってか、今の話聞いてたか? 一人じゃどう考えても厳しい――」
「ジノ一人なら無理だけど、ロイ一人ならこなせる。問題ない」
「はは……」
ジノは冷や汗交じりの苦笑いを浮かべる。そんなのを気にせず、アーニャは言葉を続けた。
「どちらにせよ私も行こうか迷ってた。でも、決心がついた」
「え、そうなの?」
ロイが聞くと、アーニャは小さく頷く。
「うん。あそこにはナナリー皇女殿下が行くことになってるから。だから、お願いジノ」
「……分かったよ。四人ともエリア11に配属していただけるよう、俺が陛下とシュナイゼル殿下に頼めばいいんだろ」
こうして、一つのエリアにラウンズが四人も派遣されるという前代未聞の事態がほぼ決定した。
次回『青 い 騎士』に続く。
支援
支援支援
今回はこれで終了です。長文すいません。マジですいません……。
次はもっと短くします……。
さて、今週のコードギアス見てないから。今から見よう。
なんかライが出たらしいので楽しみだ。では〜
GJ!続きが凄く楽しみですw
あと
>>58でロイではなくライとある部分がありましたよ〜
>>78 GJ!KOUSEI氏のSSも毎回待ち遠しいです。
今回も面白かったです。次回が酷く楽しみ
>>78氏GJです。
>>79氏の指摘で思いっきり見直してしまいました。
なんというネタバレw
そして修羅場のにおいがプンプンするぜ!!
あ、ごめん誤字指摘のつもりだったんだがネタバレになってしまった・・・・・・orz
>>79 あ、本当だ。ご指摘ありがとうございます。
あと、ネタバレとか、そんなの気になさらないで下さい。
だって、
ライがロイだなんてそんな事は無いよ(棒読み)
>>83 そうですか、それなら問題ありませんねww
KOUSEI卿GJ!!
長くても問題ないです
むしろ短いと、もっと読みたいと思ってしまうしw
今日は良い日だ。本編でもライらしきキャラが出てくるわ
卿のSSが投下されるわ、幸せ過ぎて死にそうです
次回も楽しみにしてます
KOUSEI卿GJ!!
毎回毎回緊張しますよっ!!
次回も楽しみに待っていますっ!!
そんでもって修羅場のニオイがぷんぷんするよっww
>>78 GJ!
なんという修羅場展開…思わずwkt…ガクブルしてしまった…
長文についてはこれくらいならそんなに気にしなくてもいいのでは?
何はともあれ次回も全力でお待ちしますw
ロイがライかと思ったがそんなことは無かったぜ!
GJ!
ロイ・キャンベルwww
部下に不可能を可能にするコードネームに蛇を持つ男をよろwww
>>41 やっぱアリスはナナリーゲットのためにルルーシュから攻略するつもりだったんだろうかねぇ…
つまり話が進むと紅少女と桃幼女の壮絶なドツきあいが始まるわけですね、わかります。
アリス出たの?
>KOUSEI氏
待ってましたGJ!長髪良いなこれ…!
長文は読み手の自分としては気にしないから
好きに書いて欲しい限り!続き楽しみにしてるよノシ
>>92 名前だけね
あと、年齢と思しき項目に15(ナナリーとタメ)とあったから、悪夢のアリスでいいと思う
>KOUSEI卿
待ってましたぁあああ!!!!
相変わらずの素晴らしい作品、ゴチになりました。
いつになったら修羅場展開が・・・wktk
>>94 さすがにそいつぁ深読みでは?
……そういえば、悪夢版では特区構想の為にキョウトに根回しっぽい事してなかったか?
親衛隊員なライが交渉に出向いてたりして……
97 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/29(日) 23:27:22 ID:1rmztb7E
なるほど。悪夢なら出してもなんら問題ないね。ストーリー自体これからだし。
ライ出たらコミックス買うよ!
そろそろスレ違い、かな。
99 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/29(日) 23:40:48 ID:vVhN2Qot
何故かライを巡ってのマークネモVS特殊名誉外人部隊の戦闘が浮かんだ。
俺末期?
すまんsage忘れた
吊ってくる
てかスレ違い
今日の本編のライらしき人はLC2でルルーシュの指示でアーニャを見張るライという流れになりそう
で、そこからアーニャとライのラブコメスタートみたいな
そのテの話はゲーム本スレで語ると盛り上ると思うよ
104 :
保管庫の人:2008/06/30(月) 00:03:59 ID:D/PK1zeh
更新完了しました。
本日のレス数 203 最高記録達成
ライ効果は凄いですね。
もしLC2で漫画版からアリスやマリエルが参戦したらどうなるんだろ?
とりあえずアリスは攻略不可な悪寒…
つーか、ブルームーン編のナナリールートのルルーシュみたくなりそうw
いい加減にしとけよ、レス違いだ!
107 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/30(月) 00:09:10 ID:GSVu59UF
確かに。
しかし、管理人さんご苦労様です。
もう少しで七夕近いな〜と思ったら、なんとなくライと神楽耶って織姫と彦星に似てる
気がしてきた。
書こうと思ってかいてるけど中々筆がすすまねー。
職人さんたちはどんな感じでSSかいてますか?
>>109 筆が止まったらロスカラ再プレイしてます
しかし、このスレにおけるライのフラグ建築士としとの能力は凄まじいな!
前スレのラストは扇さんの信頼までゼロ<ライだったばかりか、
このスレではとうとうロスカラのトラウマ、ロロまで!!
せめて玉城くらいはゼロに残しておいてやってください
お願いします
>>109 そう言えばそういう常套とも言えるイベント物のSSはこれまであまりなかったですね
シャーリー父の葬式場面を見ても一応ブリタニアはキリスト教がメインな世界っぽいんで
クリスマス等のイベントSSもありかなぁと考えてみたり。アニメ誌見てもそんな絵ありましたし。
学園編、青月編あたりではミレイさんが〜祭りと称してなんでもできそうですね
>>111 前スレのラストって、コウ卿のか?
扇さん出てなくね?
>>17読んだら思いついたんで、誰も居ない今投下します。
内容は、かなりコメディ。みんなキャラが壊れかかってます。
初めての作品なんで読みづらかったらすいません。
「何で、僕がこんな目に遭うんだ・・・」
僕は、多数の女生徒や男子生徒に追いかけられ学園内を走っていた。
何故こんな状況になったのか?このことを説明するには何日か遡らなければならない。
黒の騎士団が日本の代表としてブリタニアとの和平を成功させ、多くの人が望んでいた平和が訪れようとしていた。
黒の騎士団の幹部である僕には、和平が成功した途端に今までの倍以上の仕事が増えていた。
忙しい日が続いていたのだが、黒の騎士団のリーダー、ゼロことルルーシュが僕に話しかけてきた。
「なあライ。ナナリーに会いに日本に戻るんだがお前も一緒に来ないか?」
「行きたいのは山々なんだけど、仕事が・・・」
「そんなのは、玉城にでもやらせておけ!日本に戻り、ナナリーに会うのは、お前の最優先事項だ!」
といった感じで半ば無理矢理、シスコン君に蜃気楼に乗せられ日本に戻ってきたのだ。
しかし、無理矢理とはいえルルーシュには感謝していた。
ここ最近は忙しかったから良い息抜きになるとも思ったし、ナナリーや生徒会のメンバーに会えるという期待もあった。
日本に着いた途端ルルーシュは咲世子さんに連れて行かれてしまった。
「どういうことだ!咲世子!何故こんなにデートの予定が入っている!?」
「人間関係を円滑にと言ったのはルルーシュ様ですよ。」
「だからと言って、これはやりすぎだ!俺はナナリーに会いに来たんだぞ!」
「今日ナナリー様は公務がお忙しいので無理ですよ。」
「何だと・・・ナナリー・・・俺に会いたくないのかぁぁぁぁぁ!」
ルルーシュが壊れてしまったみたいだが、無理矢理連れて行かれてしまった。
「ナナリーは公務か。仕方ないから先に学園に行こう。」
支援
支援
学園に着き、生徒会室に入るとミレイさんが居た。
「あっれー?ライいつ戻ってきたの?仕事があったんじゃないの?」
「仕事が一段落したので今日帰ってきました」
「そっかそっか、それよりここにはどれくらい居るの?」
「三日くらいですかね。まだまだすることは多いので」
「三日か〜だったらOKね!ライ、明日の私の卒業イベントに参加して行きなさい!」
これがキッカケとなり、キューピットの日なるイベントに強制参加させられた。
相手の帽子を奪ってかぶれば、強制的に恋人同士というワケらしい。
「(僕を狙う人が居るわけないから、純粋にイベントを楽しもう)」
そう思って、アーニャの横でピコピコハンマー装備をして開始を待っていた。
アーニャとは、和平が開始されてから知り合った人の一人だ。
「(初対面で写真を撮られたのにはビックリしたけど・・・しかしアーニャ狙いの人多いな)」
アーニャと僕の周りには殺気立った男子生徒がかなり居る。
「(殺し合いでもしそうな雰囲気だな。巻き込まれないようにしないとな)」
そして、校内放送でミレイさんからルールの説明が始まった。
「ライ!」
「どうしたの?アーニャ急に話しかけてきて・・・うぁ!」
アーニャさん・・・なぜ僕の帽子を奪おうとしてるんですか?
しかも金属バット振って!
「おしい、もう少しだったのに。」
この子何考えてるの!!!!!!!
その時だったミレイさんが
「では、スタートの前に私から一言・・・」
ミレイさんなにを言うつもりだ?
「3年D組ライの帽子を私の所に持ってきた部は部費を10倍にします!」
120 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/30(月) 07:43:01 ID:ZySIzbNq
しえん
ちょっと待て、今の一言でみんなこっち見てる・・・
この状況はまずい!早く逃げなければ!
その瞬間、ブンッ!と空を切る音がした。
「危ないから!アーニャそれ置いて!落ち着こうよ!」
「 誰かにライ盗られるくらいならここで・・・」
「ここで何する気なんだ!怖いから!」
「おい!こっちに居たぞ!捕まえろ!」
なんてことだ・・・ここから早く逃げなければ!
しかし、前方には狂気のアーニャとアーニャを狙う男達が!
後方には、部費目当ての生徒と何故か女子生徒が!
ここで僕が取るべき行動は一つ!
「全力で窓から逃げる!!!!!」
そして、冒頭に戻るわけです。
「(しかし、どうやって逃げる?頼みの綱のルルーシュも女生徒に追われている・・・)」
その時だった聞き覚えのある声が僕の耳に聞こえた。
「こっちよ!ライ!」
「カレン!どうしてここに?」
「そんなのはどうでも良いから!早くこっちに!」
僕はカレンのもとに走った。
さらに、支援一閃!!
123 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/30(月) 07:47:56 ID:GSVu59UF
支援
とりあえず、ここまでです。支援ありがとうございました。
とりあえず学園内の人はライが騎士団に居ることは知ってるけど、ゼロがルルーシュとは知らない
設定です。
?
アーニャが金属バットを振ってくる・・・ヤバい、下手なホラーより怖い。
ギアス編?黒の騎士団編?
>>124 GJ!!カレン出てきて終わりとは、俺にとっては生殺しだw
続きの構想はあるのかな?
あるなら期待してます
>>127 今回本編のIFバージョンでいいんじゃないか?
せめてオチを付けようよ……
文句言いなさんな。というかアドバイス形式にするなり言い方あるだろうに
スルーで。
でも以前出た話では、あまりに過剰なオリジナル要素以外の話なら、読む読まないは読み手の責任。
ここはSSスレ。
何よりも優先されるのは書き手さんの意志、モチベーションのはず。
特に今回は新人さん。
アドバイス程度なら必要だけど、わざわざ文句を書き込む必要はない。
自分の言葉足らずでスレの空気悪くしてすいませんでした。
ちゃんと続きは書いてあります。今日の夜に投下しょうと思っています。
>>132 お気になさらず。
誰でも初めての時は何かしらあるものなので、
そこから学ばれるがよろしいかと思います。
とSS投下したことない俺が言ってみた
コーネリア様、復活してた━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!
と言うわけで、コーネリア様復活記念のSSを投下させて頂きます
特区未成立での親衛隊END後の話になります
「着きましたよ、コーネリア様」
軍用のジープを運転していたシルバーブロンドの髪の青年が、助手席の女性に声をかける
「ここで間違いは無いのだな?」
コーネリア様と呼ばれた女性は、手に持つ双眼鏡で前方を注意深く見つめている
「間違いありません。先日のゼロのクーデターの後、大規模な物資の搬入を確認しています
よほど慌てた見たいで、簡単に尻尾を掴ませてくれましたよ」
「ライ、何時の間に情報局の真似事など覚えたのだ?」
「生前、ダールトン将軍が『何時か必要になるだろうから』と・・・・・・」
コーネリアに「ライ」と呼ばれた銀髪の青年は、寂しげに微笑んで答えた
「そうか、ダールトンが・・・・・・」
二人の共通の知人であったアンドレアス・ダールトン。コーネリアにとっては、優秀な参謀で
ライにとっては、父親のような存在だった男性だ
一年前のBRで命を落とさなければ、ライの代わりにここに居たのは彼だったかもしれない
「さて。往くぞ、ライ。奴等には、相応の対価を支払わせてやらねばならん!」
「イエス・ユア・ハイネス! 何処へなりとも!」
『今、白日の下へ 〜皇女殿下と銀の騎士〜』
「邪魔だッ!」
ライの振るう騎士剣が、薄明かりの中で光の筋を描く
その度に、白い服を着た男達が呻き声を上げる間もなく倒されていった
(やはり、この時代の兵士は脆いな・・・・・・)
倒れた男達を見て、ライは改めてそれを実感する。彼の居た時代であれば
この程度の男達では、城の兵士を務めることも出来なかっただろう。良くても、民兵レベルだ
現に男達は、身体的に強化を施されたライのみならず、右腕の使えないコーネリア相手でさえ歯が立たない様だ
「腕を上げたな、ライ!」
「この一年間、コーネリア様にッ! お付き合いしてきましたからね! それにッ!」
言いながらも、ライの振るう剣は正確に敵の急所を捉える。遥か昔の時代、幾度となく戦場へと赴き、その度に
歳の離れた猛者たちを相手取り、それでも生き延びてきたライにとって此処は戦場足り得なかった
やがて、二人を除いて動くものが見当たらなくなった時、ライが先程の言葉を続ける
「ギルフォード卿の下へ、無事にコーネリア様をお連れしなければいけませんから
弱いままで居る訳にはいきません」
ギルバート・G・P・ギルフォード。コーネリアの選任騎士である
その名前を聞いて、コーネリアはそれまでの笑顔を一変させた
「ラ、ライ。勘違いするなよ! ギルフォードとは、決してそういった仲ではないぞ!」
微かに顔を赤らめるコーネリアをみて、首を傾げるライ
「僕、何か変なこと言いました?」
「・・・・・・往くぞッ!」
どうにも納得がいかないと言った顔で自分に着いて来るライを見て、コーネリアは一年前の事を思い出していた
支援
「やはり行かれるのですか、殿下?」
総督位を返上したコーネリアは、ノネット・エニアグラムに挨拶する為にその領地を訪れていた
「えぇ、どうしてもやらねば成らない事が有りますので・・・・・・」
「せめて傷が癒えるまで、此処に居られては如何です?」
心配げに見つめるノネット。だが、コーネリアの決意は変わらなかった
「エニアグラム卿、そのお気持ちだけで充分です」
「そう仰ると思いましたよ。相変わらずですね、殿下・・・・・・仕方が無い、入って良いぞ!」
ノネットの呼び声を受けて、隣の部屋から
「失礼します」
と言う、聞き覚えのある声と共に、一人の青年が姿を現した
「ライ!? お前、傷は大丈夫なのか!?」
「コーネリア様よりは軽傷ですよ、僕の怪我は」
自分の傷を棚に上げて他人の怪我を心配するコーネリアを見て苦笑し、ライはノネットの隣へと腰をかける
「殿下は必ず旅に出るから自分も着いて行くんだと言って、聞かないものでしてね」
「ノネットさん、その事は言わないって約束したじゃないですか!
・・・・・・コーネリア様、ユーフェミア様の汚名を晴らしに行くんですね?」
「当然だ! ユフィが、あのような事をする筈が無い! 必ず何か裏がある!」
予想通りの答えに満足げに頷くライ。妹の為に。その想いがライには痛いほど理解できた
「なら、コーネリア様に聞いて頂きたい事があります・・・・・・」
支援射撃
ライの口から語られた事は、コーネリアにとって、にわかには信じがたい事ばかりだった
ギアスと呼ばれる特殊な力。そのギアスを、ゼロとライが使う事が出来る事
ゼロのギアスによってユーフェミアは虐殺を命じられ、ライはユーフェミアを止めようとして
そのユーフェミアに撃たれ、重傷を負った事
そしてライの出自の事と、ライにギアスを与えた契約者と教団の事・・・・・・
ライが全てを話し終えた時には、部屋の窓から西日が差し込み始めていた
「ライ、お前は・・・・・・」
「今まで黙っていてすみません、コーネリア様
信じてもらえるか判りませんが、全て・・・・・・事実です」
それが真実だとすれば、全てに説明がつく
「信じるよ、ライ」
嘘にしてはあまりにも出鱈目すぎる。騙すつもりなら、もっとマシな嘘がつけるだろう
そもそもコーネリアの知る限り、この青年がこんなくだらない嘘をつく理由が無かった
「私の方でも少しばかり調べてみましたが、幾つかの検査結果の全てが、真実だと言っていますよ」
しかも、ノネット・エニアグラムの保証付きだ。疑う余地は無いだろう
「しかし、真実だとすれば辛い旅になるぞ? それでも着いて来る覚悟があるか?」
「僕は貴方の親衛隊員です。何処まででもお供しますよ。その腕では、何かと不便でしょうし
それに、ナリタで言って下さったじゃないですか。覚悟は問わぬ、背に立つ栄誉を与えるって」
まだ、有効ですよね? と、微笑むライ
「愚問だったな、許せ・・・・・・ならば、何処まででも着いて来るが良い!」
この時から、コーネリアとライの新たな戦いの日々が始まったのだった・・・・・・
(あの日から、よく着いて来てくれるな・・・・・・お前は)
誰に聞かせるでもなく、呟く
様々なルートから情報を集め、世界を飛び回って教団を探しつづけた日々
その間、常に自分の傍に居続けた青年の後姿を、微笑を浮かべて見つめる
言葉遣いこそ以前のままだが、この一年で様々な技術を修め、陰日向なくコーネリアを補佐してくれた
(全てに決着をつけたら、その時は・・・・・・)
「コーネリア様、通気口から人の声が」
自分を呼ぶ声に、我に返る。気がつくと、ライが下へと続く通気口の網を外しているところだった
近付けば、確かに人の声が聞こえる。専門的な用語が混じっている所を見ると、恐らくは研究者達だろう
「遂に捕らえたましたね、ギアスの尻尾を」
ライの言葉に顔を見合わせ、同時に頷く
「日の当たる場所に引き摺り出し、ユフィの汚名を雪いでやる!」
───もう暫く待ってくれ、ユフィ
ライと私で、必ずお前の汚名を雪いでやるからな───
以上、ロスカラとR2を繋ぐSSは如何でしたでしょうか?
出だしで書くのを忘れてしまいましたが、保管庫の管理人様へ
このSSは「ライ×コーネリア」でお願いしたします
それでは、失礼致します ノシ
GJ
ライもギアスという異能には思うところあるだろうし
ネリ様を止めるんじゃなく一緒に行くのも納得できる展開
うまいなー
144 :
142:2008/06/30(月) 15:52:48 ID:yFDCo3pZ
半分寝た状態で気が着かなかった・・・・・・
沢山の支援、ありがとうございます
携帯からですが、改めて感謝致します!
ではでは ノシ
145 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/30(月) 17:05:04 ID:GSVu59UF
んなっ!?公式ではジョイ君と若本皇帝が双子の兄弟だと・・・。
sageてアニメ本スレ行け
ネリ様どうやってギアスのこと知ったんだろ?と思ったので
これは良い脳内保管がされた
>>144GJ!
しかしLCR2ではシャーリーみたいにルル好きなんだけどライもいいな・・・みたいなキャラが大半になるのかな?
ミレイさんやカレンはLCではライ一本だったから凄く複雑だわ
スレ違いですよー。
そういう話題は本スレでお願いします。
昨日の放送辺りからSSスレ向きでない雑談がやたら多くなったね。
正直、迷惑。と言ってる俺も空気悪くしてるんで自重する
スレ違いの雑談トークはここの持ち味(笑)だろ
そらそうよ
ライについてのキャラはゲームキャラ板へ、ゲームについてはゲーム板へlet's go。
時折間違えて誤爆しているのも居るし誤爆は華麗にスルーしてやろうやw
もちろん誘導も忘れずに
まあ、SSの妄想ネタ位は良いんじゃないか?
ナナリーとライが主演のロミオとジュリエットを妄想したぜ!
講演時はお兄様が乱入しないためにグラストンナイツと都合の良い駒(スザク)を配備するナナリー
対するルルーシュは理由をでっち上げて黒の騎士団を突撃させたりする
カレン、ノネットさん、ヴィレッタ、アーニャはナイトメアフレームで学園を襲撃
そこでオレンジも乱入してオチが見えない展開に
そうですね。
妄想ネタの雑談で今までいくつかの作品が生まれたのは事実。
スレ違いの雑談が続きすぎるのは良くないけれど、あまりに過剰反応しすぎると作品誕生の可能性も潰してしまうわけか。
難しい。
雑談やネタ拾いは全て本スレかキャラスレで、というふうに完全に住み分け出来ればいいんでしょうけど。
現状は住民の匙加減とに委ねるしかないかと。
どうでもいいけど、ここで人大杉って初めて見ました。
人が増えれば民度は下がる
なんかいろいろ難しい話が出てるけど、
ここで一発気分変えていこうぜ。
というわけで投下。支援、だれか、頼む
コードギアス The reborn world 第三回
目を覚ました青年は、未だ残る頭痛に軽くうめき声を上げた。
謎の少女、C.C.と接触してから当てもなく歩き続けた青年は、いつの間にか租界の一角に入り込んでいた。
今にも気絶しそうになりながらも気力を振り絞り、なんとか使われていない建物に身を隠すと、青年は泥のように眠りこんだ。
それから青年は、起きては眠り、眠っては起きるを繰り返し、今日に至っていた。
シンジュクでの戦いからどれくらいの時間が経ったのか。恐らく数日は経過しているだろう。
青年はここで身を休めている間に見た朝の回数と、己の空腹具合からそうあたりを付けた。
何か口にしなければいい加減まずいと青年は分かっていたが、金もなければ知り合いもいない青年に、
食料を手にする手段はない。
青年は考えた末、ゲットーに戻ることにした。あそこならば知り合い、とまではいかないが、
顔を知っている人間くらいはいる。食べ物は貰えないだろうが、それを手にする手段くらいは教えてもらえるかもしれない。
青年はふらつきながら立ち上がると、建物の外へ出た。
幾らか進み大きな通りへと出ると、途端に人の数が増えた。喧噪が頭に響いて青年は顔をしかめる。
大通りに出たのは失敗だった。そう思った青年が踵を返そうとした瞬間。
視界のすみに、見覚えのある少女が飛び込んできた。
「あの子は……」
C.C.。記憶の無い自分が持つ、奇妙な力を知っているらしい神秘的な少女。
彼女は以前見た白い服とは違い、目立たない普通の服に大きめの帽子を被っていた。
C.C.の姿が細い路地へと消える。青年は慌ててC.C.を追って走り出した。
走るうちに動悸が激しくなる。運動をしたというだけではなく、
恐怖、焦燥、そうした感情が胸の奥で渦巻いていた。
どれくらい走ったか。青年は廃ビルの中にいた。C.C.を追って飛び込んできたのだが、どうやら見失ったらしい。
と、不意に背後に気配を感じて青年は振り向いた。
「ほお。なかなか気配を読むのが上手いじゃないか」
からかうような笑みを浮かべた、C.C.がそこにいた。
「また会ったな、銀色の王よ。ふむ、見ないうちに少しやつれたか?」
「C.C.、と言ったな。君は、僕の何を知っている。何故、僕を王と呼ぶ」
C.C.の軽い言葉に応える気はないと態度で示して、青年は問いかける。
しかしC.C.は真剣そのものな青年の視線を受けても、笑みを崩さなかった。
「何故と言われてもな。お前は王の力……ギアスを持っているだろう?
だから、少々気取った呼び方をしただけだ」
「ギアス?」
C.C.の言葉をなぞるように呟いた途端、ズキリと頭痛がひどくなった。
膝が落ちそうになるのをなんとかこらえた青年の姿を見て、C.C.は笑みを消し目を細めた。
「……そうか。そういえば、記憶を失っているのだったな」
「ぐぅ……な、ぜ、その、事を……」
気を失いかねない痛みに耐えながら、咄嗟に青年はC.C.の腕を掴んだ。
刹那。世界が反転した。
現世の理はあてはまらないパズルのピース。完成しないパズルの矛盾。
その矛盾を解消するために合わせ鏡の常世が解読不能の原理で持って失われた理想郷を構築する。
天は上に無く海は下に無い。海はダイヤモンドより硬く、星々はどんな闇よりなお昏い。
正と否は入れかわり混じり合う。誰よりも尊い誰かが涙を流し、生まれた混沌だけが静かに浸透していく無限宇宙。
「あ、あ、あ、あ」
気が付けば世界は元の姿を取り戻し、青年は膝をついて呆然としていた。
青年の目の前には先ほどと変わらぬ表情をしたC.C.が立っている。
「見たのだな。お前の世界を」
異常なほど人間味の感じられない声。その声に、青年は怖気を覚えた。
尻もちをつき、C.C.の視線から逃れるように青年は後ずさる。
C.C.はそれを、何の感情も感じさせない瞳で見下ろしている。
とうとう、青年はC.C.に背を向け走り出した。得体の知れない存在への恐怖が、
青年に生物としての本能を呼び起こしたのだ。
「お前は人とは異なる理の中で生きている。異なる摂理、異なる時間、異なる命。
王の力はお前を孤独にする。それを忘れるな」
C.C.の言葉はビルを飛び出した青年の脳裏に、こびりついて離れなかった。
164 :
保管庫の人:2008/06/30(月) 22:49:30 ID:ay6EgynH
>>160 普段は使っていますよ。ただ、SS抽出の際に、どうしても使わなければならないのです。
ログ取得のタイミングで出くわしたら嫌だなあ。
>>161 了解、おまかせあれ。
青年が冷静さを取り戻した時、青年は見知らぬ場所にいた。辺りを見回した所、
どうやら何か大きな施設の内部に入り込んでしまっていたらしい。
一先ず周囲に人の気配が無いのを確認すると、青年は木の根元に腰をおろした。
そうして、C.C.の言葉を思い出す。
「異なる理、か。あの時見たもの……僕の世界と彼女は言っていたが、
あれは、一体……?」
そこまで考えをめぐらしたところで、青年の視界がぐらりと揺れた。
体から力が抜け、抵抗することも出来ず崩れるように倒れこむ。
頬に当たる冷たい土の感触が心地よい。
(ああ、そうか。ここしばらく何も食べてなかった上に、体力使ったから…)
気付けば、すぐ近くから人の話し声が聞こえてきた。身を隠さねばならない。
そう頭では理解していながら体は青年の意思に反して動かず、青年の意識は闇に落ちた。
「ごめんね〜、急な仕事入れちゃって。でも前サボってるんだから、
これでチャラね」
「だから、あれは不可抗力だと説明したでしょう? 何度も……」
アッシュフォード学園生徒会長、ミレイ・アッシュフォードの言葉に、
ルルーシュ・ランペルージは表面では心外だと言わんばかりの態度で受け答えをしていたが、
内心では別のことを考えていた。
(俺だけの軍を作る、とはいえ……使える駒が少なすぎる)
ルルーシュの言う軍とは、そのまま軍隊のことを指すのではない。
自分の指示に従う部下、組織のことを意味しているのだ。
何故ただの学生でしかないルルーシュが、そんな物騒なことを考えているのか。
それは彼が、今エリア11で話題の仮面の男「ゼロ」その人であるからである。
今でこそランペルージなどと名乗っているものの、
本来のルルーシュの名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア……神聖ブリタニア帝国の皇族である。
何故彼が名を捨て、ブリタニアの敵となっているのか……それを自ずと明らかになることだろう。
そのルルーシュが今、何故軍を求めているのか。それは先日の、サイタマゲットーでの戦闘が関係していた。
サイタマゲットーでの攻防戦。彼は、シンジュク同様日本解放を目指すレジスタンスを指揮し、そして、
新総督コーネリアの前に明確な敗北を喫した。それどころか、C.C.の助けが無ければ今頃どうなっていたか分からない。
この事は、単独で行えることには限界があることをルルーシュに悟らせることとなった。
その為ルルーシュは、ある程度統率の取れており、かつ頭が変わっても混乱が生まれない程度の規模の組織を作りかえることにした。
選ばれたのは、シンジュクゲットーの戦いやスザク救出戦で利用した扇要がリーダーを務める組織。
この組織にはルルーシュのクラスメイトであるカレン・シュタットフェルトも属しており、
高いKMFの技術を持つカレンは戦力の要となると言っていい。
上記の二つの条件を満たしている上に、カレンという優れたパイロットの存在もあって、
ルルーシュはこの組織を現在再構築中なのであるが。
支 援 。
支援
(クロヴィス程度だったならば今の組織のレベルでも十分やりあえるが、
コーネリアはギルフォード、ダールトンなど、優秀な部下を親衛隊に揃えている。
俺の策だけでは、決定力に欠けるのは否めん。地力が違い過ぎる。
加えて……白兜のこともある)
今は無理でも、何れはブリタニアの正規軍に劣らぬ戦闘力を持つ組織に育てる自信が、
ルルーシュにはある。十分に育った組織にルルーシュの戦略が加われば、コーネリアに負けるとは思わない。
しかし、仮にそんなものを歯牙にもかけない存在がいたとしたら?
単純な強さだけで戦況を変えてしまうような存在がいるとしたら?
例えば、シンジュクに現れた白兜のような。
策も無く、ただただ突撃してきただけの白兜に、ルルーシュの戦略は粉砕された。
もしもあの機体が、コーネリアの指揮下に入って襲ってきたら?
とてもじゃないが、対処しきれるとは思えない。
しかしながら。
(カレン達の話していた謎のパイロット……サザーランドで、あの白兜を止めるほどの凄腕)
そのパイロットが加われば、ルルーシュの策は万全になる。
白兜さえ止めてしまえば、あとはコーネリアとルルーシュとの知略の勝負。
そうなれば遅れを取りはしない。サイタマでの借りを返す意味でも、完膚なきまでに粉砕してくれる。
だからこそ。
(何としてでも手に入れるぞ。俺の軍の穴を埋めるラストピースを。
例え、この力を使ってでもな)
密かな決意を抱きながら、ルルーシュは拳を握り締めた。
不意に、視界の隅で何かが動いた。ミレイも気付いたらしく、
二人は顔を見合わせると、動いたものの正体を確かめるべく舗装された道を外れて、
茂みへと近づいて見れば、銀の髪を持った青年が、酷く衰弱した様子で倒れていた。
「不審者……という感じじゃないが、この服は生徒じゃないな。
どうします、会長?」
「う〜ん。誰かしらね、この子。ま、とりあえず放っておく訳にもいかないわね。
んじゃ、保健室に連れていくわよ。ほらほら、男子。ガーッツ!」
「はいはい。まったく、人使いが荒いんだから」
ため息をつきつつ、その青年を起こそうとしたルルーシュは、青年の意外な重さに驚いた。
見た目こそ細いものの、存外に筋肉が付いているようだ。
結局、青年を起こすのにも四苦八苦しているルルーシュを見かねたミレイと二人で、青年を運んだ。
「……ルルーシュ。あんた、もう少し筋力つけた方が良いわよ。本気で」
「……ジャンルじゃないんです!」
支援
支援
支援
支援
終了。人大杉出過ぎで吹いたぜ!
あと保管庫の人卿、投下してから誤字に気づいたのですが、
「ブリタニアの敵となっているのか……それを自ずと」のところを、「それは自ずと」
と直していただけますか? それと、出来ればこのシリーズは名前を統一してもらえるとありがたいです。
どうかお願いします。
では、支援感謝!
GJ!!!
>>175 GJ!
CCに合うのが早いw
今後のルートにwktkしつつ次回もお待ちしておりますw
178 :
保管庫の人:2008/06/30(月) 23:08:39 ID:ay6EgynH
>>175 誤字とタイトルを修正しました。ご確認ください。
凄い。SSまとめサイトは俺も何個か知ってるが、ここは職人はもちろんだが管理人の対応速度も半端じゃないな。
なんにせよGJだ。
>>177 そうだ、そのことを言い忘れてたな。
この作品のライは、まだ黒の騎士団成立前に学園に来てる設定になってます。
>>178 確認しました。お手数をかけて申し訳ないです。
そして、GJ言ってくれたみんなに感謝。それでは〜
ちょっと皆さんに質問ですけど、
SS書いてから投下まで何日ほどかけてます?
自分は前日に書いたものを次の日の自分が見ても
文章が変じゃなかったらOKという風に見直しをしているのですが。
投下していなくても自分ならこうするっていう意見も是非聞いてみたいです。
>>182 一日目 全体を読み直して、変な文章を直す→新しく思いついたシチュエーションを追加する
二日目 全体を読み直して、変な文章を直す→その間に思いついたシチュエーションを追加する。
・
・
・
あれ、いつまで経っても投下できんぞ?
>>182 書き終わる→速攻投下する。
寝かせておくと迷うから、勢いも大事かな、と。
オチまで書く間に推敲して、何度も読み返して誤字も直してる。
でも構成考えてる時間と書いてる時間が長いんだよな…。
ただ、俺は2000字くらいの単発物ばっかりだから、連載の人は違うだろうなぁ。
>>182 全部書き上がったらざっと見返して即投稿
そして誤字や同じ言い回しをやたら使ってる箇所に後日気づいて
そっとブラウザを閉じる
いんだよSSは勢いで!!
大体184と同じ。推敲はするけど納得したらさっさと投下する
ところで本スレにて
600 名前:名無しくん、、、好きです。。。 投稿日:2008/06/30(月) 23:33:49 ay6EgynH
V.V.なら是非とも…
603 名前:名無しくん、、、好きです。。。 投稿日:2008/06/30(月) 23:45:23 ay6EgynH
…別に変な意味じゃないぞ?
ふーん別に興味ないね
↓
少しは使えるみたいだね
↓
なかなかやるじゃない
↓
…今夜、一緒に食事でもどう?
↓
君は僕のものだよ
てな感じの爽やか物語がいいのであって、不埒な妄想などちょっとしか(ry
管理人さん…完全にソッチに行っちゃったのね…w
わざわざ持ってきてさらすのが理解できないのだが
>>182 >>183氏と同じ感じです。さすがに読み直す度に、毎回新しくシチュエーション思いつきませんから
全体を読み直して、変な文章を直す→追加する事がない→前書きや後書きを書いてみる
全体を読み直して、変な文章を直す→他の事で、6時間ほどつぶす→SSスレを見て空気を読む
→前書きに感想追加して投下
スルースルー
自分は連載物は8割くらい書き上げてから1話毎に区切って投下してますね。
短篇は即ですけど。
とりあえず書く→筆が止まったら、読み直す→そしてまた書く
……みたいな感じを繰り返すかな?
そしてゴメンなさい、カレンからナナリーに浮気してます。
あ〜流石に連載が二つは不味いかな?
>>187 すまん調子に乗りすぎた。管理人さんにも謝っておく。
>>190 不味い わけがないじゃん。作品は大歓迎だぞ2つでも3つでも4つでもどんと来いだ
182です。皆さん回答ありがとうございます。
SSをスレで見るのも書くのも初めてなので勝手がわからず、
他の職人さんはSSを上げるまでにどのくらいの期間を設けているのか
知りたかった次第です。
返答をもらえたことに安堵しつつ、
皆様の意見を参考にさせていただきます。
本当にありがとうございました。
と、この文章にすら10分以上考えている自分は考えすぎか・・・。
まあ、結局は自分のやりやすいようにやるしか無いよね。
この人がこうだから、自分もこのやり方で!みたいなやり方がしっくり来るとも思えないし。
取り敢えず、初めてだったら、自分の納得が行くまで何度も推敲すれば良いんじゃなかろうか。
数こなして行けば、自分のペースみたいのが解るよ……たぶん。
この間前スレで予告したライカレ告白ものがようやく完成しました。
皆さんいますか、投下してもいいですか?
195 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/01(火) 01:49:55 ID:GId7SBUw
go
お待ちしてます
支援必要かな?
このスレには初めての投稿なので緊張しています。
多少おかしくても勘弁してください。
ライカレで蒼月編と黒の騎士団編の設定がごっちゃになっています。
多少の矛盾はギャグだと思って流してください。
またこんなのライじゃねえという苦情は受け付けませんのであしからず。
僕の名前はライ、その名前も本当かどうかわからない。
記憶喪失だった僕はこのアッシュフォード学園で倒れていた所を
生徒会長のミレイさんと副会長のルルーシュに拾われた。
ミレイさんをはじめこの学園の皆には感謝している。
こんな身元もようと知れない僕を皆は優しくしてくれる。
でも最近気になる娘が・・・
その娘の名前はカレン・シュタットフェルト、いや本当の名前は
紅月カレンだ。
彼女はミレイさんから僕のお世話係に指名され、僕の記憶探しに付き合い
彼女とはたびたび行動するようになった。
シンジュクゲットーでテロに巻き込まれたり、ヴィレッタ先生のおこした
ボヤ騒ぎから彼女を助けたりといろいろなことがあった。
その過程で彼女のことがいろいろわかった。
最初はお嬢様だと思っていたけど、実は黒の騎士団に入ってることや
日本人とブリタニア人のハーフであること、昼にはドカベンを食べていること。
そんな彼女に僕は次第に惹かれるようになっていった。
だけど最近そのカレンにさけられてるような。
支援
「はあ・・・」
僕は生徒会室の机に突っ伏してため息をついた。
生徒会の仕事は全部終えている。
僕の横には処理済の書類が束になってつまれている。
ちなみに僕は生徒会では副会長補佐というミレイさんが思いつきで考えた
役職を与えられている。
最近ルルーシュもよくいなくなるし、カレンも黒の騎士団で忙しい。
シャーリーも部の大会が近いのであまり生徒会にはこれないらしい。
よって必然的に僕の仕事が多くなるのだ。
まあ、お世話になっているのだからこれくらいはしないといけない。
僕がため息をついたのはもっと別の理由だ。
「こら、ため息なんかついちゃって、幸せが逃げちゃうぞ」
「すいません・・ミレイさん」
そんな僕に声をかけるミレイさん
「全く辛気臭いわね、もしかしてカレンとのことが原因」
「え!!そんなことは・・」
ミレイさんの指摘に僕は思わず声を上げていた。
「ふふん、その様子じゃあ図星みたいね、さあ、このお姉さんに
話してごらんなさい」
「ミレイさんを姉に持った覚えはないんですけど・・」
そんな風にいいながら僕はミレイさんに僕の悩みを話し始めた。
最近カレンが僕を避けている。
話しかけても
『ライ、ごめん、私用事があるから・・』
そんな風に何かと理由をつけて僕から離れようとする。
「もしかして僕嫌われたんじゃあ・・」
ありえる話だ。
僕のお世話係なんて本当は迷惑だったのでは?
黒の騎士団に入ってることを知られたのを後悔してるとか?
そんな風に考えた僕はますます暗い顔になる。
「ああ、もう、ますます辛気臭くなっちゃて、
私が思うにそんなことは絶対ないわよ」
「何でそう思うんですか」
「女の勘ってやつよ」
「なんですか、それは?」
僕は呆れながら言った。
(まったく鈍いわね、カレンが何で貴方のこと避けてるかどうか
は知らないけど、カレンが貴方の事が好きなんて皆にバレバレなのに
まあ、知らないのは貴方とスザク君ぐらいかしら)
ミレイさんがほほえましい目で僕を見ている。
しぇん
「だいだい、貴方はカレンの事どう思ってるの」
「え、僕は・・・」
僕はどうなんだろう。
カレンのことを思うと胸がドキドキしたりするし、避けられていると思うと
とても悲しい。
これが恋という奴なのだろうか。
記憶喪失の僕にはわからない。
こういうことはシャーリーが詳しいと思うけど聞くに聞けない。
「僕はカレンのことが好きなんだと思います」
僕はシンプルに自分の気持ちを言葉にした。
ん、心なしかミレイさんの顔が赤いような・・
「まったく恥ずかしげもなくそんな言葉言えるなら、ここはドーンと
男らしく告白しなさい」
「告白ですか?」
「そう。カレン今の気持ちを伝えるの」
告白、考えても見なかった。
でも今告白してカレンに迷惑じゃないだろうか。
今のカレンとの関係が壊れてしまうんじゃないだろうか。
僕はますます悩んでしまった。
そんな僕を見たミレイさんが
「あーもう、貴方カレンが好きなんでしょう、
カレンのためなら火の中に突っ込むぐらい、今のままでいいの?」
ミレイさんの言葉に僕はカミナリを喰らったような衝撃を受けた。
今ので確信した。
僕はカレンが好きだ。
だからあの時、危険もいとわず火の中に飛び込めたんだ。
今のままなんて絶対駄目だ。
どんな結果になっても後悔しない。
この思いをまっすぐカレンに伝えよう。
でもその前に・・
「ミレイさん、僕に勇気をください」
「え、どういう意味?」
「ガッツの魔法を僕にかけてください」
「そういうことね、いくわよ、ガーッツ!!」
ミレイさんの声に僕は奮い立つ。
この魔法、もしかして僕のギアスよりきくかもしれない。
「ありがとう、ミレイさん」
「こんなんでよければいくらでもかけてあげるわよ」
「僕これからカレンに告白してきます」
「うん、がんばれ男の子」
ミレイさんは親指をあげてサムズアップで僕を送り出した
僕が生徒会室から駆け出した後
ミレイさんがポツリと漏らした声を僕は聞けなかった。
「ちょとカレンが羨ましいかな
こんなに貴方にまっすぐ想われていて・・」
205 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/01(火) 02:07:45 ID:pIFhoDr8
支援
僕は全力で廊下を駆け出す。
途中教師に『廊下を走るな』と言われたけど今日だけは勘弁してください。
「あ、副会長補佐だ」
「どうしたんですか、副会長補佐」
声をかけてくる生徒達に適当に返事をして走り去る。
僕はこの学園で完全に副会長補佐で定着したらしい。
声をかけてくる生徒の女子の割合が多いような気がするけど。
僕はある場所に向っていった。
カレンがいる場所じゃない。
今カレンに告白しようとしても避けられるかはぐらかされるかのどっちかだ。
告白したという既成事実をしっかりつくなけばならない
カレンが逃げられないように。
だから僕が向った場所は
「副会長補佐、どうしました」
向った場所は放送室。
中には放送部の子がいて、突然入ってきた僕に驚いた。
「ごめん、ちょっと貸してね」
「あ、ちょっと、困ります、今放送中で・・」
そんなことはわかっている。
だからこそ来たんだ。
僕のやろうとしていることはすごい人に迷惑かけるかもしれないけど
かまうもんか。
終わった後、停学でも退学でもなんでもいい。
今は自分のするべき事を全力でするだけだ。
『あー聞こえますか、僕は生徒会副会長補佐のライです』
学園中に僕の声が響き渡る。
全力で支援!
突然の放送に学園の生徒達はざわついた。
「今の声って」
「ライだな」
テラスでお茶を飲みながら談笑していたルルーシュとスザクが驚きの声を上げる。
「咲世子さん、今のって」
「ええ、ライ様ですね」
クラブハウスにいたナナリーとメイドの咲世子は不思議そうな顔をした。
「ん、何事だ?」
職員室で勝手にティーセットを持ち込み、お茶をしていたオレ・・もといジャレミア先生は
眉をひそめた。
「ライ・・?」
そして今回の当事者であるカレンはライの声に振り返った。
『今から話すのは僕の個人的なことで、公共の放送をこんなことに使うののを許してください。
でも、言わせてください』
僕は少し一泊を置き、すーっと息を吸っても思いっきり声を出した。
『カレン・シュタットフェルト!!僕は君のことが好きだー!!』
一瞬学園がシーンとなりそして思いっきりゆれた。
「「「えーーー!!!」」」
『カレン、聞こえてたら僕に返事をください、僕は礼拝堂で君を待っています
いつまでも待っています』
言うだけいって僕はマイクを切った。
隣では放送部の子が呆然としている。
「勝手に借りてごめんね、でもありがとう」
僕は笑顔で彼女達に礼を言った。
全力で支援するぜ!
「うそー!!今のってライだよね」
水泳部で部活動中のシャーリーは驚いた。
2人の中が良い感じになってるのは知っていたがあのライここまで大胆なことをするとは思ってなかった。
「いてて、ちょっとうそだろ」
中庭でバイクをいじっていたリヴァルは今のライの告白におもわず頭をぶつけてしまった。
「うそ・・・」
研究室でパソコンをいじっていたニーナは何が起こったのかわからずそのまま固まっている。
「おやおや、何か面白そうなことになってるね、確か彼スザク君の友達だよね」
保健室で研究資料を見ていたロイド先生はニヤニヤしながら言った。
「あははは、ライ、貴方最高よ」
生徒会室ではミレイが当初は呆然としていたが、気づくと机を叩いて笑っている。
そして彼女も生徒会室から駆け出した。
「ルルーシュ、ライってカレンのこと好きだったの!?」
「気づいてないのはお前ぐらいだ、それにしてもあいつがこんな馬鹿な告白するとは・・・」
何故か動揺するスザクと呆れるたうようにルルーシュは言った。
wktkが止らない
「え・・・うそ・・」
そして当事者であるカレンはその場でへたり込んでしまった。
一体何が起こったのかわからずとりあえず頭を整理してみた。
(今・・私・・告白・・された)
結果そのものはシンプルな物だがやり方と相手が問題であった。
カレンも告白されるのはこれが初めてではない。
自慢ではないが今まで何度も告白を受けたことがある。
でもそれは学園でのお嬢様である自分に対してであり、もちろん
今まで全部断ってきた。
でも今回の相手のライは自分のすべてを知っている。
自分が病弱なお嬢様でないこと、黒の騎士団にいることも
知っている。
そんな自分にライは少し驚いていたようだが決して否定はしなかった。
それどころか自分の事を優しいといってくれた。
そしてそんな自分を守ってくれた。
気づけばカレンはライのことを好きになっていた。
でもライにはもうこれ以上関わってはいけない。
これ以上関わったらますますライのことが好きになってずっとそばにいてほしいと思うようになる。
そしたらライがますます危険な目にあわせてしまう。
それだけは避けたかった。
そしてカレンはライのことを極端に避けるようになっていた。
(でも返事はしないと・・)
全校生徒の前で告白されて最早ごまかすことは不可能だった。
そして何よりこんなにもまっすぐで熱い思いをぶつけてきたライからカレンは逃げたくなかった。
『全校生徒の諸君、うちの副会長補佐の恋の顛末を見届けたくば今すぐ礼拝堂に集合
もちろんカレン貴方も来るのよ』
僕は礼拝堂に向って全力疾走していた。
放送から聞こえるのはミレイさんの声だ。
全くあの人は・・・人の恋までイベントにする気だな。
でも僕にとっては好都合だ。
「副会長補佐、がんばれー!!」
「応援してますよ!!副会長補佐!!」
「はいはい」
そんな無責任な声援に後押しされながら僕は礼拝堂に着いた。
「咲世子さん」
「はい、これは行かないわけにいきません」
咲世子はナナリーの車椅子を押し礼拝堂に向った。
「ふふふ、このジェレミア・ゴットバルト、迷える生徒の恋の結末見届けなければならない、全力でな」
オレ・・もといジャレミア先生も職員室から飛び出した。
「今の本当」
「会長のドッキリじゃないよね」
学園の生徒のほとんどが半信半疑ながら礼拝堂に向った。
支援
全力で支援するぜ!
猿か!?
支援
やられたか…いいところだったのに…
面白いので、解除されたら続きお待ちしてます
支援砲火
朝又投稿します
僕が礼拝堂に着いた時にはすでに人が集まっていた。
そしてその数はドンドン増えていく。
「って何で皆来てるんですか」
生徒会のメンバーはカレンを除いてすでに皆来ていた。
シャーリーは部活中だったのか水着の上にバスタオルをまいている。
「そりゃあ、こんな一大イベント逃すては無いでしょう」
「俺はこんな馬鹿な告白をした馬鹿の顔を見に来ただけだ」
「ルルーシュはどっちにかける、俺はふられるほうにかけるけど」
リヴァル、うるさい。
「ライ、僕は何もいえないけど頑張って」
「ライさん、がんばってください」
「がんばってください・・・」
「ライ、君すごいよー、私も応援するから頑張ってー」
皆から励ましの言葉を受けるが、何をどう頑張れというのだろうか。
でも皆こうして応援してくれるのは嬉しい。
「中どうなってるんだー!!」
「入れろー!!」
礼拝堂には最早人が入りきれないほど人が集まっている。
外には入れない生徒達が礼拝堂を取り囲んでいるらしい。
人が来るとは思ってはいたがここまで来るとは予想外だ。
皆案外暇なのか?
「全くここの生徒達ははしゃぎすぎだ」
「いいんじゃない、面白そうだし、それに君だって見に来てるんだし」
「迷える若人よ、君の恋をこのジェレミア・ゴットバルト全力で応援するぞ」
ジェレミア先生、ヴィレッタ先生、ロイド先生、いくら密偵といっても
教師としての自覚あるんですか。
明らかに楽しんでますよね。
「ライ君、がんばってー!!」
「ふられちまえー!!」
僕には男子の嫉妬や女子の喝采などいろいろな声が
送られ、礼拝堂はいつもの静けさは無く、騒乱の渦とかしている。
「来たぞー!!」
外からした声に皆しーんとする。
そして人垣がモーゼの十戒のように割れていき、その先には僕が待ち望んでいた人がいた。
カレンは僕の前に歩いてきた。
その顔はどこか物憂げな様子だった。
「カレン、来てくれてありがとう、ここに来たってことは放送聞いてくれたってことだよね」
カレンは少し頬を染めてうなづいた。
「それじゃあ、改めて言う僕は君が好きです、君はどうですか」
「「「おおおー」」」
僕の2度目の告白に周りから感嘆の声が上がる。
カレンはそれを聞いてますます頬を染める。
「わ、私・・]
カレンの返事を僕を含め皆が固唾を呑んで待っている。
「私は貴方の気持ちはとても嬉しい」
え、今なんて
正直僕は玉砕覚悟で告白したのでカレンのその言葉に驚いた。
「「「おおお!!!」」」
それは皆を同じらしく驚愕の声があがった。
「でも駄目、私に関わるとこの間みたいに危ない目にあう、詳しくは言えないけど
だから貴方の想いには答えられない」
もしかしてカレンが僕を避けてたのは僕の身を案じてだったのか。
ならば僕の答えは決まっている。
支援
復活乙。支援支援!
再開キター!!!!!!全力支援!
「カレン、僕は君が好きだから君を守る!!」
「私を守る・・」
「ああ、僕は君が危険な目にあっていたらいつでも、どんな時でも
どんな状況でもどこからだって何度でも僕は君を助けに行く」
「何度でも・・」
「そう何度でもだ、君が好きだから、君が僕を好きになってくれなくても
君を守る、この命に代えても、全力で、それだけは知っていてほしい」
カレンは顔を紅潮させて目が潤んでいる。
「あ、ごめんね、迷惑だった」
「違うの、嬉しくて・・」
「え?」
「私も貴方が好き、大好き」
そう言って涙を流しながら微笑んだカレンはとても綺麗だった。
僕にはまるで女神のように見えた。
「カレン、とても綺麗だ」
「え・・」
僕が思わずいった言葉にカレンは顔を真っ赤にした。
僕は思わずカレンを抱きしめそうになったがその前に僕達に生徒達が駆け寄ってきた。
支援爆撃
「おめでとー!!」
「ライ、よくがんばった、これで学園公認カップル誕生ね」
「ライ、おめでとー」
スザクが抱きついてきた。
「スザク、何で君が泣いてるんだ」
「だって僕すごく感動しちゃって・・」
はあ、よく考えてみれば全校生徒の前だったんだ。
カレンしかみえてなかったから忘れていた。
これで当分冷やかされるな。
「おめでとうございます、ライさん、カレンさん」
「カレンおめでとー、ライもすごかったよ、あんな情熱的な告白されたら
誰だっておちちゃうよ、聞いててこっちが照れちゃうぐらいだもん。
私もルルに・・」
「はい、すごかったです、はい、おめでとうございます」
シャーリーやニーナ達女子は顔を真っ赤にしている。
僕はそんなに恥ずかしい事いったのだろうか。
「いったんだよ」
うわ、ルルーシュ、君はどっかのギアス使いのように人の心が読めるのか。
「違う、お前は今思いっきり口に出して喋ってるぞ、まったく良くあんな恥ずかしい事
臆面もなく言えるな、ま、なんにせよおめでとう」
「ありがとう、ルルーシュ」
「ちぇ、ふられると思ったのに」
リヴァル君後でしめるよ。
「うおおお、このジェレミア・ゴットバルト、全力で感動した。
おめでとう、迷える若人よ」
「私もあんな情熱的な告白されれば・・・はっ何を言ってるんだ私は」
「本当に面白い子だね、スザク君のお友達って」
全校生徒たちから祝福を受ける僕達。
明日からのことを考えると頭が痛くなるけど
それでも僕は幸せだ、
僕にはみんながいる。
そして何よりカレンが僕のそばにいるのだから。
ちなみにこのことは礼拝堂告白事件と呼ばれ長く学園史に刻まれることになる、。
そしてブルームーンの伝説に全校生徒の前で告白すると結ばれるという伝説が
追加された。
ちなみにそれをやったのは後にも先にも僕だけらしいが。
全力支援!
というわけで投下完了です。
稚拙な文章すいませんでした。
ゲーム本編でライから告白するところがないなと思い
今回の話を思いつきました。
予想以上に長くなり規制されたときは焦りました。
朝又しなおそうとおもったぐらいです。
保管庫の人カップリングはもちろんライ×カレンで
タイトルは礼拝堂告白事件でお願いします。
皆さんの全力の支援に感謝。では又
>>231 乙!!最後に一抹の希望持って覗いたら投下されててワロタw
面白かったです。いい夢が見れそうですよ!
やっぱり、ライカレはいいな〜
>>231 Mrスケアクロウ卿、素晴らしい!
Good Jobじゃ足りんよ、excellentですよ!
祝おうではないか。新たなる神の降臨を!Mrスケアクロウ卿GJ!!
やっと完成・・・駄文ですが投下します。
236 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/01(火) 04:17:47 ID:GId7SBUw
支援
「なんとか巻いたみたいね。」
「助かったよ、カレン。でも何で日本に?」
「会長とルルーシュに呼ばれたの。私(会長)の卒業イベントに来なさい(来い)!って」
そういうことだったのか・・・ルルーシュもこうなると予測してカレンを呼んでいたのか。
何にせよ助かった。後は終了時間までカレンに匿ってもらえれば・・・
「本当ありがとうカレン。助かっ、カレンサンナニヲシテルノデショウカ?」
そこに居たカレンはあの帽子をかぶり、何故か!手にロープ持っていた。
あれ〜僕を縛ろうとしてるよね?何でだろう?匿うだけならロープなんていらないよね?
身の危険を感じた僕はカレンから離れた。
「ライどうしたの?外に出たら危ないよ。ここに居なきゃ。」
「それはそうだけどね・・・ほらそれならロープなんて要らないでしょ?」
「駄目!ライを狙う泥棒猫は多いから私の側に居なきゃ駄目!」
「君もアーニャも何考えてるの!勘弁してよ!」
「アーニャ?あのガキが居るの!?ここで決着をつけなきゃね・・・ライは渡さないからね。フフフフフッ」
不気味な笑いをしてるカレン。逃げるなら、今しかない!
僕は脱兎の如く、カレンから逃げた。
このままでは本当に僕の身が危ない・・・何か方法はないか?
その時だった通信機が鳴った。
「もしもし、ライか?ルルーシュだ。今どこだ?カレンからお前が居なくなったと連絡が来たんだが・・・何をしてる?」
「そのカレンから逃げてるんだよ・・・ルルーシュどうにかしてくれ!」
「お前らしくないな、そんなに慌てているなんてな。分かった裏門に向かえ!そこにヴィレッタが居るはずだからヤツに地下司令部まで連れってもらえ。」
「分かった。だけどルルーシュは何んで余裕なのさ?」
「知りたいか?今咲世子が俺の変わりに学園内に居るから、俺は高みの見物さ。」
なんてヤツだ。自分でやらずに咲世子さんにさせるとは何てヤツだ!
後でナナリーに言いつけてやろう!と思っていたら
「ここにライ君居るわよ!みんな来て!」
「くそ!早く裏門に行かねば!」
逃げてる途中に見た咲世子さんは変な掛け声と人間離れした動きでみんなを翻弄していた。
「(ルルーシュのヤツ今度から体育どうする気だろう?)」
そんなことを考えている内に何とか裏門にたどり着いた。
「ヴィレッタさん!ルルーシュに言われて来たんですが・・・」
「こっちだ!早く来い。」
言われたまま、ヴィレッタさんに着いて行くと体育館の用具置き場に着いた。
「(こんな所からも司令部に行けるようになっていたのか)」
先に僕が入った後から、ヴィレッタさんも入って来た。
その瞬間、ガチンと金属音が響いた。
239 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/01(火) 04:21:28 ID:GId7SBUw
支援
「ヴィレッタさん・・・何故鍵を閉めてるんですか!?」
「ああ・・・これで邪魔がはいらないだろう。」
「邪魔って、何ですか!そして距離を詰めないで下さい!」
背中に壁が当たった。これ以上の後退は不可能。
本能が「コレハキケン」と警報を鳴らしてる。
その時だったとてつもない音ともに倉庫の半分が崩れた。
「ライ、見つけた。」
「アーニャ!?何でモルドレッド乗ってんの!!!」
倉庫を破壊したのは、アーニャのKMFモルドレッドだったのだ。
「ナイトオブシックス校内でKMFはお辞めください!」
「うるさい。ライに近づいたから消す。」
いやいや、アーニャがとんでもない事言ってる。
パドロン砲がこっち向いてる・・・僕は死を覚悟した。
「(母上、今会いに行きます・・・)」
と思っていたら、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ライ!!!!!こんのおぉぉぉぉぉぉ!!!!」
紅蓮可翔式がモルドレッドに体当たりを仕掛けていたのだ。
モルドレッドが一瞬怯んだが直ぐに体勢を立て直し、紅蓮に向き合った。
「何をするの?乳だけ女。」
「なっ!うるさいわよ。まな板娘が!あんなの撃ったらライも消し飛ぶわよ!」
「私以外の女に行くなら、消えてもらった方がいい。」
「へぇー言うわね。あんたを倒さないとライは手に入らないみたいね。」
「乳だけのあんたには、負けない。」
2人が何度か言葉を交わすと戦闘を始めた。
ナイトオブラウンズと黒の騎士団のエースが学園内で戦闘を開始するという奇妙な光景が僕の目の前で起きていた。
今の内に逃げなければ・・・そう思ったのだが安全な場所が考え付かない。
「(考えるんだ!ライ!どこかあるはずだ・・・)」
「そうだ!あそこなら安全だ!」
僕が安全だと思った場所は、クラブハウスだ。
しかし、僕はある人がそこに居ることをすっかり忘れていたのだ。
何とか、元自分の部屋へと逃げ込んだ。
「(懐かしいな・・・ここに初めて来た時のことを思い出すな。)
などとセンチメンタルな気分に浸っていると、後ろから突き飛ばされた。
顔面からベッドに突っ込んでいった。
「ぶっ!誰だ!こんなことするのは・・・ミレイさん。」
「ライ〜あなたを狙っている人が居る場所にノコノコ来るなんてね〜」
「(忘れていた!この騒ぎの原因作ったのはこの人だったんだ!)」
「まあいいか!ここで帽子取っちゃえば、私の一人勝ちだしね。」
会長が僕の帽子に手を伸ばした。
「(これで終わりなのか・・・)」
「ライ!」
「その声は、スザク!」
窓の外には、白カブトことランスロットが居た。
会長が窓の外に居るランスロットに気を取られている。
逃げるなら今だ!
出口に向かい全速力で走った。
クラブハウスを出るとそこにはスザクが待っていた。
いやーSSスレってながれめちゃ早いんだな
ライの妄想してた俺としてはうれしいわ
「ライ早く、ランスロットに乗って!」
「分かった!助かったよスザク。でも、君が何でここに?」
「ある人に頼まれてね。君を迎えに来たんだよ。その人は屋上の方に居るからこのまま屋上に向かうよ。」
「ああ、分かった。」
僕のことを迎えに来たと言っているが一体誰なんだ?
「(そうか!ルルーシュがスザクに連絡しておいてくれたのか!ごめんルルーシュ・・・君のことをイレギュラーに弱いシスコンだとばかり思ってたけど撤回するよ!)」
などと考えてるうちに屋上に着いたそこに待っていたのは、
ルルーシュでなく、彼の妹のナナリーだった。
「ナナリー?何でここに?公務があるって聞いてたけど?」
「ライさんに会おうと思って、急いで終わらせてきました!」
「そっか、ありがとうナナリー。本当にありが・・・スザク何をしてるのかな?」
お礼を言おうとナナリーの手を握った僕の手に手錠が掛けられていた。
「これでいいの?ナナリー?」
「はい!スザクさんありがとうございます。」
「あの話が見えないのですが・・・どうして手錠かけられているのでしょうか?」
「こうでもしないと、ライさん抵抗するでしょ?だから強行策です!では帽子をいただきます。」
と満面の笑顔で言うナナリー。
というか、君も帽子持ってたんだね。びっくりだよ・・・
もう終わりかと思っていた時、
「「ライ!」」
すっかり忘れていた。二体のKMFが屋上に現れた。
「スザク!貴様ぁーライに何をしてる!」
「スザク邪魔するなら、あなたを倒す。」
「ナナリーのためなんだ!ここは邪魔させない!」
三体のKMFが戦闘を開始し始めた。
その時屋上の扉が乱暴に開けられた。
「見つけたぞ!ライ!」
「見つけたわよ!ライ〜」
ミレイさんにヴィレッタさん。その後ろには部費目当ての生徒たちと何故か大勢の女生徒。
もう逃げ場はないのか・・・・
「ライ飛べ!受け止めてやる!」
声のする方を向くと蜃気楼がこちらに向かって飛んできている。
僕は走った。そして屋上から飛んだ!
何とか蜃気楼の操縦席に乗り込むことが出来た。
「このまま、ここから逃げるぞ。いいな!」
「ああ、やってくれ。」
蜃気楼は変形し、そのまま全速力で学園から離れた。
なんとか助かった・・・みんながあんなに暴走して襲ってくるとは、全く想像出来なかった。
でも、ドタバタしていたが久しぶりにみんなに会えて嬉しかったな。
おっと!この状況から救ってくれた、彼にお礼を言わなきゃな。
「ありがとうルルーシュ。いや今の君はゼロかな?」
とゼロの仮面を被った彼に言った。
「まあお前は勘違いをしてるみたいだな。私はルルーシュではない」
と言うと、ゼロは仮面を取った。
「C.C.!?何故ここに?」
この質問、今日で何度目だろう?などと考えていたらC.C.が話し始めた。
「 お前を助けに来たんだよ。これで満足か?」
と、C.C.は笑った。
「はいはい助かりましたよ。とりあえず中華連邦に向かってくれな・・・え」
とC.C.に話しかけたら、帽子を取られた。そして女子用の赤い帽子をかぶらされた。
僕の目の前には、僕の帽子をかぶったC.C.が居た。
「これでお前と私は恋人同士というワケだな。」
「え?ええええええええええええええええええええ?」
どいうことだ?この魔女は何をしてるんだ?
「何を混乱している?そうだ。オーストラリアにでも行くか。あそこには白くて静かな綺麗な家があるらしいから、そこに行くとするか。」
「嘘だろ!誰か助けてくれええええええええええええええええええええ。」
この後、紅蓮やモルドレッド、ランスロットがオーストラリアにやって来て、恐ろしいことになるのはまた別の話。
これで終わりです。支援ありがとうございました!
ssはホントに難しい。
>>246 GJです!!
面白かったです。次の作品も期待してます
>>246 最後にC.C.オチとか最高すぎるwww GJ!
誰も自重しないwww
ランスロットと紅蓮とモルドレッドとか学園全壊だろwww
GJ!!
アーニャがヤンデレに
是非、続きが読みたい(笑)
251 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/01(火) 10:33:50 ID:GId7SBUw
マオ「あーっ、みんな忘れてるかもしれないけど、オーストラリアの家は僕が建てたんだよ。」
手錠はどうしたんだろうか。
GJ!
CCの事は忘れていたので良い不意打ちでした
ハーレム修羅場スキーの私には楽しく読ませてもらいました
またの投稿をお待ちしています。
>>242 念の為に言うと、SSスレの中でも此処は職人&保管人共に異常なんだぞ
もちろん最高に良い意味でね
「念の為に言うと、SSスレの中でも此処は職人&保管人共に異常なんだぞ
もちろん最高に良い意味でね」
なんてくさい台詞を爽やかにいえてしまう
>>242に不覚にも惚れた
>>246 GJ!
正しく「修羅BAR」へようこそ、ですなw
今日は楽しい作品の多いいい日だな〜
ドタバタオールキャラ物は面白いなぁ。C.C.オチは読めなかった、素晴らしいGJ!!
どうも空マメです。「狂王降臨」の続きを投下させていただきます。
CPは特にありません。
多少の残酷な描写がありますからご注意を。
「狂王」過去をご覧いただきたく存じます。
こちらSKY BEAN。これより投下を開始する!…畜生猿どもめ!今日もいやがるな!
支援要請、支援要請!投下の間に来る猿どもが厄介だ!貴君らの支援を願う!
頼りにしてるぜ、『戦友』!
…それじゃまた後でな
では
258 :
さようなら:2008/07/01(火) 19:14:31 ID:XKBUuOn/
…さようなら…、僕は…
「……っここにもいない…!」
私は斑鳩でのことが終わってからすぐにライを探している。
ライが行きそうな場所を考えて、手当たり次第当たっているけど一向に会うことは出来ていない
ルルーシュと私はもうすぐ神楽野様と一緒に朱禁城に行くことになっている。
だからそれまでにライを探し出して話さなきゃ!
私とルルーシュのことを、なんでもないんだってことを、何よりも謝らなくちゃ!
……確かに私は彼を恐れた。あの圧倒的な雰囲気にのまれて、ライが怖かった……
…そして、彼を避けてしまった……
なんてバカなことをしてしまったのだろう!
とにかくライに会いたい!会って謝って、笑いあえばきっと……
自分でも分かるほど儚い希望を抱きながら走った。そんな簡単なことじゃないと分かってるのに…
ルルーシュがライについて少し教えてくれた。本人が言うべきことだから詳しくは話せないという前提だったけど。
ルルーシュが言うにはあの時豹変した後のライはライの過去の姿だと言った。
今のライとはまるで違う冷徹な雰囲気、あれが過去のライなんだと。
……それ以上は教えてくれなかったけど、それを聞いて悲しくなった。…ライは私に昔の事を話してくれることがなかったら。
なんで隠そうとしたの?! 私とあなたはそんな希薄な関係だった?! ライ……!
私はまだあなたのこと全部知っていない、あなたの過去がどんな酷いものだったのかも知らないけど…
私があなたを支えるから!だから…ちゃんと私に話して…ライ…!
闇夜が腕を広げ、僕を閉じ込めようとしていた。だけど僕は、自らその中の奥深くに行こうとしている。
期待支援
260 :
さようなら:2008/07/01(火) 19:15:41 ID:XKBUuOn/
ライは駆ける。 ただ走り続ける。 何かに追われ逃げるように。
事実逃げていた。怖かった。自分自身が怖かった……
怒りで我を失い、感情に身を任せ、人を傷つける自分が怖かった
そんな自分から逃げたかった。 どんなに走っても影からは逃げられるはずもないのに。
何人にもぶつかったが、それでもとにかく走り続けた。
人に会いたくなかった、誰にも触れて欲しくなかった。
会えば、触られれば、その人を自分が傷つけてしまいそうで。
扇さんが「どうした?」と声を掛けてくれたけど、それを無視して走り続けた。
肺が酸素を要求しても、心臓が破れそうになっても、身体からの声を黙らせて駆け続けた。
肺の空気が空になり、目の前が白くなりかけた時、ライは蓬莱島の周りを囲む桟橋の一番端にたどり着いた。
目の前は波が白く泡立つだけの何もない海、後ろは多くの人々がいる人工島。
その間に、たった一人で立っていた。
「……やはり、『ここ』が僕の場所なんだな…」
たった一人、誰もいない、何もない場所が彼の居場所。
壁を見つけ、背中を預ける。焦点の定まらない眼でまだ明るい空を見ていた。
…そうしていると昔の事を思い出す。自らの過去。
自分の事を『私』と呼び、『狂王』と呼ばれ、壊すことしか出来なかった愚者の記憶。
何一つ守ることが出来ずに、自らの手で壊し、大切なものが目の前で消えた。彼の過去を。
そっと目を閉じ、昔を思い起こす。それはまだ昨日のことのように色あせず彼の中に残っていた。
『僕』から『私』に呼び方が変わり、その時に戻る。
261 :
さようなら:2008/07/01(火) 19:16:39 ID:XKBUuOn/
今は昔、ブリタニアの地方領主の子として私は生まれた。
私が居た世界に居たのは私と、母上と、妹だけだった。その二人だけが色を持っていた。
東の果て、日の本の国から来た美しい母上と、私と同じ血の繋がった、たった一人の妹。その二人が私の全てだった。
私が感情を灯し、顔に表すのは二人の前だけで、あとは仮面のように冷たい瞳のままで、表情を変えることはなかった。
父も兄たちも居たが、彼らは居ただけ。
母は政略結婚でこの国に来た。父は異国から来た母を、その国との外交の為だけに妃に迎えた。
母は『道具』としてこの国に渡ってきた。それでも私達を生み、育ててくれた優しい母上。
そんな母の辛そうな顔を見るのが嫌だった。母にはいつも笑っていて欲しかった。
穏やかな日々を過ごして欲しかった。そのためなら私はどんな事でもやろうと思っていた。
傍から見ても、父が母よりも、正妻である他の妃に多くの寵愛を割いていたのは目に見えて明らかだった。
母が他の妃から苛烈な仕打ちを受けても、父は見て見ぬふり。
幼い頃からそんな父親に対する感情は全くなかった。だから私はあの男を父親と認めたが、それ以外のことを認めることはなかった。
自ら望んで母を迎えたくせにそれっきり……、そんな男は必要なかった。
幼いころから父に憎しみを抱いていたが、無力だった私に出来る事はなかった。
けど、いつの日か必ず、父には報いを受けさせると、まだ小さい心に誓いを立てた。
支援
263 :
さようなら:2008/07/01(火) 19:17:58 ID:XKBUuOn/
兄は二人居たが、彼らは私達兄妹を忌み嫌っていた。私達には異国の血が流れているからという理由で。
事あるごとに私は殴られた、酷く汚い言葉も吐き捨てられた。自分が殴られるだけなら、我慢が出来た。
しかし、妹に矛先が向かった時、怒りで目の前が赤く染まったのを覚えている。
私は幼い身体に似つかわしくないほど大きな剣を振るい兄たちに向かった。
「私の妹に触れるな! 指一本でも触れれば、その指を切り落としてくれる!妹に罵りの言葉を浴びせれば、その喉を切り裂いてくれる!!」
地獄の犬が吠えかかるように兄たちに牙を剥いた。
兄たちからすれば、普段から感情を表すことのない私の豹変ぶりにさぞかし驚いたことだろう。
彼らは戦き、必死な形相で逃げ出して、臣下に助けを求めた。
そのさまがあまりに滑稽で、私はその場で笑ってしまった。
「ははははっははは、なんと滑稽な!あれが兄上達?!実に臆病だな!ははははっはは、
剣を振るっただけで、ああも変わるとは、……そうか……『力』か!『力』があれば守ることが出来るのか!!」
一つの答えにたどり着いた、力ある者には人は逆らえない。
なら、『力』を手にすれば全てを従えることが出来るのではないか?母と妹を守ることが出来るのではないか?
私はそう思った、そう信じた。
私が剣を振るったその日から、兄達が直接危害を加えることはしなくなった。けれど、毎日のように浅知恵を使った嫌がらせを仕掛けてきた。
そんな見え透いたものに引っかかるほど愚かではない、その下らないものを利用して逆に兄たちを引っかけたりしていた。
もちろん兄たちの行為を父には言わなかった。父は兄たちを心底可愛がっていたので、言っても無駄だと分かっていた。
兄たちには純粋なブリタニアの父親と母親の血が流れている。そのことが、父が兄たちに愛情を向ける強い要因だったのだろう。
そんな兄たちのどちらかが将来、この属国とはいえ一国の王位を継ぐのは自明の理だった。
支援
265 :
さようなら:2008/07/01(火) 19:19:14 ID:XKBUuOn/
愚かなる兄たちが王位を継いだ時、私達は、私と妹は母と同じく政略の道具にされるだけの存在だった。
それが我慢ならなかった!
あんな奴らに母と妹が虐げられ、利用されるだけの人生など受け入れることは出来なかった。
私はあの日から『力』を求め、毎日勉学に勤しみ、武を鍛えた。
力が欲しかった、誰よりも強い力が。 母と妹が安心して暮らせる世界を創り出す力が欲しかった。
私は十になる頃には城にある全ての本を読み尽し、十四になる頃には国の数ある武術の多くを極めた。
父の部下で有能な臣下を見つけると、その者から政治を学んだ。父に頼み、北の国との戦争にも従軍し、戦の術を実戦で刻みつけた。
常に多くの人間に囲まれた城の中で、事象を深く読み、人の考えを見透かす技術も自然と身に付いた。
それでも足りなかった。こんな力じゃ二人を守れない。私が王位に就かなければ二人を守ることは叶わない。…そう…考えていた。
でもそれは、いくら望んでも不可能だった。私の王位継承権は第三位。
目障りな上の二人の兄たちが消えない限り、王位に就く事は出来ない。
十四の春、望みは絶たれた。父が王位を退き、一番上の兄がその年の秋に王位を継ぐと告げられた。
そのことを聞いた私は反乱を起こし、父と兄たちを討つことも考えた。しかし、その時の私に賛同する者がいるはずもなく、実行出来ずに終わった。
…力が欲しかった…! 何事をも成し遂げる力が! その為なら私の命など惜しくはなかった。
私の命はただ二人を守る為だけにある……二人のためならどん苦難でも耐えられた、どんなに汚れても構わなかった。
ただ二人が安心して過ごせればそれで良かった。私の全てはたった二人の家族である母と妹のために……
266 :
さようなら:2008/07/01(火) 19:20:02 ID:XKBUuOn/
過去の思い出に怒りを覚え、ライは歯が砕いてしまいそうなほど上下の歯を噛み締め、爪が掌に食い込み血が滲むほど拳を握りしめる。
母と妹を守る術が断たれてしまう、愚兄が王位に就く、その後の自分たちの処遇。それら全てが彼を怒りに包む。
今、ライは昔を鮮明に思い出している。過ぎ去った過去の記憶のはずだが、彼にとっては過去ではない。
ライは遠くを見るように眼を細める。その顔は懐かしむような、悔やむような複雑な色をする。
ライと『彼』が出会ったのは、偶然なのかもしれない。けれど、世界は偶然により生まれたものが必然へと変わる。
故に、彼らが出会ったのは必然だったのだろう。それより起こる結果もまた必然のものとなるのだろう。
支援
268 :
さようなら:2008/07/01(火) 19:21:04 ID:XKBUuOn/
絶望の淵に立たされていた私は『彼』に会った。
『彼』は問うた。力が欲しくないかと、君が望めば皇帝にもなれるほど力を欲しくはないか、そう問いかけた。
ただし、力を与える代り、一つだけ願いを叶えろとも言った。
答えは決まっていた、一片の迷いもなく私は言った、「力が欲しい」と。
「貴様が何を望んでいるかは興味もない、だが私にそれ程の『力』をくれるのなら、貴様の望みを叶えてやろう。」
そうして『契約』は成された。
彼は、私の願いが叶った後に自らの願いを叶えてもらうと言い、別の理の中で生きることになり、私は自ら死ぬことは出来なくなったと言われた。
そんなことはどうでも良かった。元から二人を残して死ぬつもりは毛頭ない。
私が別の理の中で生きようと二人を守れるなら構わなかった。
『彼』から与えられた力は『絶対遵守』の力。言葉によって人を従わせる力。
どんな相手にでもたった一度、拒否することの出来ない命令を与えることが出来る力。
私は思った。これで、私は望みを叶える事が出来ると。
「……でも、出来なかったんだよな…」
ライは海に向かってそっと呟く、これから過去の自分が起こした大罪の懺悔を聞いてくれと、願いながら。
私は目的を達成するために、与えられた『王の力』を使う。
一番はじめに、互いに仲が良かった兄たちに、「互いを憎め、殺し合え」と命じる。
すると、あれ程仲の良かった兄弟が互いを憎み出した。
彼らの互いへの憎しみは日に日に大きくなって行き、そしてそれぞれの派閥の貴族を巻き込んで兄と弟で戦争を、殺し合いをした。
私は何度も馬鹿げた戦いを重ね、幼稚な戦略を使う彼らをいつも遠くから見ていた。口元に冷笑を浮かべながら。
憎しみに駆られた兄たちは互いに呪いの言葉を吐き、甲高い金属音を響かせながら、それぞれの腹に刃を突き立てこの世から消えた。
269 :
さようなら:2008/07/01(火) 19:22:00 ID:XKBUuOn/
これが十四の秋のこと。
「ハっ…ハハッハッハハハハッハ」
その姿を見た私は高らかに笑っていた。これで邪魔な者が二人一緒に消えてくれた。私はそれが嬉しくてたまらなかった。
これにより兄たちに加担した貴族は疲弊し、私にいい印象を持っていない貴族を炙り出すことにも成功した。
兄たちが共倒れでいなくなり、王位継承権第一位は私になった。
このまま行けば、何もせずとも私が王になるはずだった。
けれど、王位を退くと言っていた父がそれを撤回した。
彼は初めから私が王になることを快く思っていなかった。私が妾の子だったから、純粋な血が流れていなかったから。
私は父を殺すと決めた。ただ殺すのは私にとって非常に簡単だった。剣で切り伏せる、毒を飲ませる、ギアスで死を命じる。
殺すだけならいつでも出来た。けどただ殺すだけでは私は正式に王位に就けない。
王を亡き者にし、尚且つ私が正式に王になる方法。私は一計を案じた。
それは、父に「皇帝の暗殺を企てろ」とギアスをかけ、一人の商人に「王が皇帝の暗殺を企てていると噂を流せ」とギアスをかけた。
支援
271 :
さようなら:2008/07/01(火) 19:23:51 ID:XKBUuOn/
最も他者と接触する機会の多い職業である商人が噂を流せば驚くべき速さで人から人に伝わる。
国内では不穏な噂が流れ、民に動揺が広がる。
父がいよいよ実行するために動き出すと、臣下に皇帝に早馬を出すよう告げた。
すぐさま皇帝の耳に情報が入り、父の討伐のために皇帝が軍を出した。
討伐軍が国を囲み、戦の火蓋が切られようとした時、私は戦装束で身を包み、玉座に座る王の前に立っていた。
多くの紋様の刻まれた王家の鎧、その上からマントを濡れた鴉の羽のように黒いマントを羽織、腰に剣を携え、たった一人で王の眼前に立つ。
「国王陛下、いえ父上!何故このような事をなさったのですか?何故皇帝陛下に刃を向けるのですか?!」
私は多くの臣下の前で、如何にもという顔で父に問うた。
「私は皇帝を亡き者とする…、それが私の望みだからだ!」
そう父が言った時に笑わなかったのが不思議に思える。これほど滑稽なことがあるだろうか?
これで王を討つ正当な理由が皆の前で示された。
「ならば父上!私は、皇帝陛下に不忠を抱き、民にいらぬ犠牲を強いるあなたを討つ、我が国の平和の為とブリタニアの為に!」
そう叫び、玉座に向かい飛びかかる。そして玉座に座る父を剣で胸を貫き、玉座に縫い留める。
苦悶の表情を浮かべ、口から血を吐き、胸から剣を生やした父が何かを声に出そうとする、やがて父が最後に口にしたのは二人の兄の名前だった。
それを聞いた私はすぐさま刺さっている剣を抜き、父の首を刎ねた。父を殺す時に、私は何も思わなかった。
この男の眼には最後まで私たち母子が映ることはなかったのだ。 そんな男に何を思えば良かったのか……
謀反を企て首謀者を殺し、戦を寸前で止めた勇敢な王子として、皇帝からは信頼を、民衆から圧倒的な支持を得た。
皇帝からは王位継承権のことも鑑みられ、私は正式にこの国の王に任ぜられた。
全ては私の掌の上で収まった。これで母と妹が安心して暮らせる国が創れる。そう思った。
ライは父と兄弟の最期を思い起こす。その顔に、心情に変化はない。
彼らの最期をその眼で見たはずなのに彼の心は動かない。父も兄達も、彼の中では居ただけだったのだ。
支援
支援
畜生ここまでか!
最後の最後に出やがったな猿どもめ!
だが予想よりも投下出来た、支援してくれた貴君らに心からの感謝を!
必ず続きを落としに帰って来る!待っててくれ!
とまぁ、こういう訳ですので今回はここまでで勘弁して下さいorz
支援してくれて本当にありがとう。
では。
>>274 一応指摘。
> ルルーシュと私はもうすぐ神楽野様と
神楽耶様ね
>>276 しまった〜〜!!全然気付かなかった!
管理人さん保管の際に修正お願いしますorz
>>274 過去話、よくできてますねGJ
ただ、しょっぱなでキャラの名前を間違えたのがイタイ
神楽耶様が好きなオレには特に・・・
管理人さんの対応早すぎワロタwww
職人と管理人に等しくGJを
>>274 GJ!淡々と語っている感じが狂王時のライっぽくていいですね。
というかなんだか空マメ卿に狂王ライが乗り移ったかのようだ…
管理人さんもいつもいつも乙です。
282 :
黒兎:2008/07/02(水) 00:13:26 ID:0yZO/rpz
ウトウトしてたら電波を受信したので、投下させて頂きます。
カップリングはライ×アーニャです。
よろしければ支援をお願いします。
「ライ」
大きな屋敷に、少女の声が響く。
「…ライ」
もう一度。声は先ほどよりも大きい。
しかし、その名を持つ者の返事は聞こえない。
「…」
声で呼ぶことを諦めたのか、少女は桃色の髪を
揺らしながら、どこかへと歩いていく。
コツ、コツ、コツ―――
使用人によって鏡のように磨かれた床は、
足音を大きく響かせる。
美術館のように大きい屋敷、なのに足音は
迷ったような素振りも無く、正確にある一点を目指す。
不意に、足音が止まる。
「…」
少女はとある部屋の前で立ち止まった。
通り過ぎて来た他の部屋よりもどこか厳かな雰囲気のある扉。
そこへ、軽くノック。
「ライ、いないの?」
やはり返事は無い。
「…」
返事を待たず、扉を開く少女。
支援
支援
286 :
sage:2008/07/02(水) 00:14:43 ID:iPyFj0YQ
支援
支援
扉の先にあったのは、ダブルベッドよりも大きい豪華なベッド。
部屋主の性格なのか、キッチリと整理してある机。
そして、大人10人は余裕に入れるであろう巨大なクローゼット。
部屋主はというと、ベッドの上で安らかな寝息を立てていた。布団も掛けずに。
ラウンズの制服は当然ながら着ておらず、黒いインナーにズボンという出で立ちであった。
後ろから倒れこんだような体勢から、帰って着替えて直ぐに寝たんだな、という事が解る。
「…寝てる」
少女が部屋主、ライに近寄る。
その寝顔は安らかで、ようやく得られた安息を満喫しているようだった。
「記録」
素早く携帯を取り出し、ライの寝顔を撮る少女。
シャッター音が鳴っても、ライは起きる気配すら感じない。
「そんなに、疲れたんだ」
少女は少し意外だ、という感じに呟いた。
支援
支援
事は数時間前に遡る。
"ナイトオブナイン"ノネット・エニアグラムの下で
同じくナイトオブラウンズを目指し続けて早数ヶ月。
毎日のようにノネットとの模擬戦、戦術論の習得、対多数ナイトメアシミュレートを続け、
ナイトメア操縦の腕はかなり上達したものの、既に彼の体力は限界に近かった。
そんなときであった。"ナイトオブスリー"ジノ・ヴァインベルグからの模擬戦の誘いは。
人の良いライはそれを断れず、了承。
エナジーフィラーギリギリまで、身を削るような死闘を行った結果、
ライが互いの専用騎の性能差を覆し、見事引き分けとなった。
が、ライの専用騎ランスロット・クラブは、連日の無理が祟って各所にガタが来ており、
今回の模擬戦で更にそれが悪化。数日間徹底的に整備する運びとなった。
更にライ自身も気力、体力共に尽き果て、フラフラになりながらも自分の部屋へと帰ったのであった。
「…ジノ、やりすぎ」
少女――"ナイトオブシックス"アーニャ・アールストレイムは浅くため息をつく。
ジノもアーニャもこの未来のラウンズを気に掛けており、ノネットがライを連れて来た頃から
気さくに(主にジノが)話しかけ、一人の友人として付き合っていた。
それ故に、ジノもライの疲労状態がよくわかっていたはずだ。それなのに。
「そのうち、模擬戦で…」
語尾はよく聞き取れなかったが、ジノが危ない目にあう事は想像に難くなさそうだ。
支援
「…」
元々様子見のつもりで訪れたアーニャ。
しかし、ライの気持ちよさそうな寝顔を見ている内に、アーニャ自身にも眠気が襲う。
「んっ…ふぅ」
小さくあくびをする。帰って寝ようか、そう考えた時にアーニャにちょっとした悪戯心が芽生えた。
「…」
突然制服の上着を脱ぎ、髪留めを外し、中身の少ないクローゼットに上着を掛ける。
そして、何を思ったのかライと同じベッドに寝転がった。
ライを起こさないように、ゆっくりとライに忍び寄る。
そして投げやられたライの右腕の肘あたりに、そっと頭を乗せた。
無駄なく鍛えられた、たくましさを感じる腕。細くも無く、太くも無く。
依然、ライはゆっくりと眠っている。呼吸のリズムも乱れる事無く、至って平穏だ。
「…」
アーニャはそれに安心した様子で、緩やかに目を閉じた。
アーニャは惹かれていた。
ライの顔ではなく、ライそのものに。
優しい顔、優しい言葉。しかし、どこか孤独感を感じる雰囲気。
興味の無い事はとことん無関心なアーニャは、いつしかこう想っていた。
「この人の事を、もっと知ってみたい。」と。
ライの出生、人となり、好きな物、嫌いな物、好きな人―――
ありとあらゆるライを、知ってみたくなった。
ウトウトとしていたアーニャに、突然何かが乗ってくる。
「!」
少し驚くアーニャ。何が乗ってきたのかを見ると、それはライの左腕だった。
つまり、ライが寝返りをうっただけ。勿論ライ本人は未だに起きる気配が無い。
「…びっくり、した」
安堵のため息。
「よいしょ」
頭を少し前進させるアーニャ。
ライの胸板が、目の前に来る形となる。
飼い主の側で眠る猫のように体を丸め、アーニャはもう一度目を閉じた。
程なくしてライの両腕が曲がり、アーニャを優しく包む。
今度は驚いたりせず、彼女はそれを快く受け容れた。
どれくらい、時が流れたのだろうか。
「う……ヤ」
不意に、ライが搾り出すような声を出す。
アーニャは何事かと慌ててライの顔を見上げた。
「…上……ヤ…待ってくれ…僕は…」
ライの顔はとても険しくなっていた。
何かに苦しめられているかのような、痛々しい表情。
アーニャの肩を掴んでいた大きな手に、力が込められる。
「何処に…何処に行ったんだ…ふたり、とも…」
ライの目から、一筋の雫が流れ出てくる。
ソレが自らの髪を濡らす事を気にも留めず、アーニャは思い出していた。
数日前、ライが言っていた事。
支援
『僕には、昔、妹と母親が居たんだ。…いた、と思う。』
『偶に夢で見るんだ。髪の長い少女と、母親らしき人影を。』
『最初は、三人で仲良く生活する夢を見ていた。だけど…』
『急に二人が立ち上がって、何処かへ走り去ってしまうんだ。』
『僕がいくら呼んでも二人は立ち止まらない。いくら走っても、全然追いつけない。』
『いつしか二人が見えなくなって、夢は…そこで終るんだ。』
「…」
アーニャが身を捩じらせ、ライの顔に自らの顔を近づける。
そして、ゆっくり口を開く。
「兄様。私は、ここに居ます。あなたの、腕の中に。」
小さいが、はっきりとした声。
その声が、声に込めた想いが届いたのか、ライの表情は次第に和らぎ、呼吸も落ち着いてきた。
ライの腕に力が入り、アーニャの体を引き寄せる。
アーニャはというと、嫌だという顔も無く、むしろ心地良いといった表情で、ライに抱きしめられるがままになっていた。
ほんの少し、顔を赤らめながら。
抱き合って眠る二人。その姿は、まるで兄妹のようだった。
また一筋、ライの目端から雫が流れ落ちる。
その雫に込められた意味は、眠っているアーニャも、流したライですらも、知る由も無かった。
支援
「たーのもー!」
新たな来訪者が、大きな声を出して屋敷を訪れる。
数時間前にライと死闘を繰り広げたはずだが、疲れた素振りは一切無く、逆に妙にテンションが高い。
「わっ、ジノ!駄目だよ、ライは今寝てるかもしれないんだから!」
もう一人の来訪者が、慌てて声を潜める。
「二人とも、悪いがそういうわけだ。今は出直してくれないか?」
二人の来訪者に、この屋敷の主が現れる。
「あっ、ノネットさん。」
「そういう訳って…どういうわけだ?」
要領を得ないジノの返事。
「ぐっすり眠ってるっていうワケだよ、ジノ。模擬戦から帰るなり、すぐに眠りこけてしまった。
最近疲れが溜まってる様子だったからな、その、しばらく眠らせてやってくれないか?」
ノネットの頼みは、すんなりと受け容れられた。
「わかりました、自分達はライの様子見に来ただけなので。行こうか、ジノ」
「そうだな、寝てるんなら仕方ないし。ノネットー、ライに宜しく言っといてくれー」
「あぁ、わかった。」
二人の姿が見えなくなったとき、ノネットはため息をついた。
「…全く、抱き合って寝ている所を見られたと本人達が気付いたら、
ジノもスザクも大変な目にあってしまうからな。いや、ジノはもう手遅れかもな?」
フフッと、ノネットは心底楽しそうに笑った。
「幸せになってほしいな、二人には…。」
ノネットは靴の音を響かせ、自室へと帰っていった。
支援
数日後。
「おはよう、アーニャ」
「…おはよう」
何時も通りの挨拶。ライの体調は、すっかり万全の状態に戻っていた。
「ライ、すごく元気」
「うん、ちょっと前にいい夢を見たからかも知れないけど、とてもスッキリした気分なんだ」
「夢?」
「そう。いい夢って言っても、母親と妹と僕とで、ずーっと遊んでる夢なんだけどね」
「…そう、よかった」
普段より機嫌も体調もいいライ。疲れから来ていたのか、どこか曇った表情も今は晴れ晴れとしている。
「ライ」
「ん?どうしたアーニャ?」
「模擬戦、しない?」
「あぁ、いいよ。ジノみたいに、何か賭けるのかい?」
因みにジノは前回、"負けた方が勝った方に美味い料理を奢る"という賭けをしていた。
勿論踏み倒されること無く、後日、ライはジノから美味しい料理を奢ってもらった。
ついでにアーニャも。スザクも付いてきたが「間違った方法で食べた料理に、意味は無いから」
という事でスザクだけは自分の分を払った。
食事中、スザクがアーニャに冷たい視線を浴びせられたのは言うまでも無い。
さておき、アーニャは携帯を取り出した。
「私は」
カチカチと携帯を弄り、ある画面をライに突きつける。
支援
瞬間、ライの顔が固まる。
画面には、自分の無防備かつだらしない寝顔。
ライの硬直が解け、携帯が奪われる前にアーニャは携帯を閉まった。
「私が勝ったら、これをブログに上げる。」
「えっ、えぇえ!!?」
ライが素っ頓狂な声を上げる。
それもそうだ。自分の寝顔を不特定多数に見られるのは誰だって嫌がる。
「…いい?」
「ま、待てアーニャ!それ何時撮ったんだ!?
いやその前に、早くそれ消してくれ!!頼む!」
去ろうとしたアーニャを慌ててライが引き止める。
「…」
不満を視線に込めるアーニャ。
それを受けて、ライはちょっとだけ後ずさる。
「…じゃあ、ライが勝ったら、消す。」
とても不満そうな声でアーニャが妥協した。
「よし、それでいこう!…あっ」
賭けを承諾してから、ライは大変な事に気付く。
パイロットの体調は万全でも、ナイトメアフレームは…
(…クラブ、まだ整備中だった…)
それを見越しての妥協案だったのか、アーニャはそ知らぬ顔で格納庫へと歩み去る。
「ちょっ、待って待ってアーニャ!!模擬戦、先延ばしにしてくれないか!?お願いだから!」
ライが必死でアーニャを引きとめようとするが、アーニャは知らん振りで先へ先へと歩く。
「アーニャさーん!?お願いですから聞いてくださいー!!」
模擬戦が当日行われたのか、としたらライの乗騎は何だったのか。
そして、勝敗はどうなったのか…。
それはまた、別のお話。
支援
304 :
黒兎:2008/07/02(水) 00:22:52 ID:0yZO/rpz
以上で投下終了です。
たくさん支援して下さった皆様、本当にありがとうございました!
まさかここまで支援がつくとは思っていませんでしたw
ちなみにどっちかっていうとアーニャよりカレンの方が好きです。
あれ?何か空から赤い光が
>>304 乙ー
甘酸っぺええ!
いいなあこういうの
支援
支援
>>304 GJ!
アーニャかわええ。
支援しようと思ってたのに読んでたらいつのまにか投下が終わっていたぜ。
>>304 GJ!
なんだかほんわかしましたwええ娘やなぁアーニャw
自分はあえてノネットさんが好きです。
うん?辺りが急に暗くなって…
>>304 GJ!
アーニャ、かわいいよアーニャ。
スザクの「間違った・・・」のくだり笑ったw
>>304 ノネットさんENDでこう来ましたかアーニャかわぇええ!!
また新たな職人の降臨なのかな。すごいなここのスレ
眠いですが、これを一応投下しないと寝れないです。
修羅場の人卿の「惚れ薬」を読んで影響されてしまったので選択肢系のSSを投下します。
「ライ〜いる?」
ラウンジのドアが開かれ、中を覗き込んで尋ね人の名を挙げるが誰もいないその場所ではカレンの声は空しく空間の中を漂う。
見渡し、ラウンジ内に誰もいないことを認識するとドアを閉める。
「ここにもいないか・・・」
アジトに着いてから、三十分か四十分は経っているのだろうか。紅蓮弐式の整備を手伝ってくれるはずの捜し人が一向に見つからない事で作り出される溜め息と共に言葉が出てくる。基本的にライはカレンよりもいつも早く来ている。
カレンの方が先に来ることもあるのだが、それでもごく稀だ。突然の体調不良や遅刻も考えられたが、そう決め付けるのは早すぎる。
もしそうであった場合は連絡を回すようにとライはカレンに提案し、二人の間で取り決めていた。
少なくともライは自分が言い出して決めたことを破るようなことはしない。
しかも今回は集合時間も設けたので、易々と破ることはまず無いはずだ。
それは、ライが黒の騎士団に入団する前からお世話係としてライを見てきたカレンの揺るぎの無い答えだ。
だが、今現在彼が見つからないのも揺るぎの無い答えである。
「別の所かしら?」
別の所・・・そうは言っても、このアジトのあらゆる場所は調べた。
人が居そうな所、人が隠れられそうな所、はたまたは逢引のできそうな場所など十ヶ所以上は探し回った。ここまでしていないのであるならば、ゼロか誰かに捕まっているのだろうか。
仕方ない・・・暫し考えた結果、カレンは紅蓮弐式の元へ向かうことにした。もし、ライが自分を見つけられなくても、一緒に整備を手伝うのだから自分が紅蓮の元に居るかもという思考を導かせる為である。
「あら、カレンちゃん?」
格納庫の方へ歩き出したその時、カレンは後方から聞こえてきた声に反応して振り向いた。
「あ、ラクシャータさん」
顔を振り向かせてカレンは紅蓮弐式の生みの親の名を呼んだ。額のチャクラ、褐色の肌、白衣などと特徴的過ぎる要素を
数個所持するラクシャータ・チャウラーは手をヒラヒラと振ってカレンに応えて近づいてくる。
「さっきからあっちこっち動き回って何か探し物でもしてるのぉ?」
「えぇ・・・ちょっと人を。ラクシャータさんはどうかしたんですか?そんなファイルを持って・・・」
カレンはラクシャータの脇に挟まっていた分厚いファイルの方に目を移して訊ね返した。
「私?私も探し物・・・・っていうよりは、捜し人ね」
「誰を捜しているんですか?」
「ライよ、ラ・イ。彼の月下に駆動系や他の部位に新しいパーツを組み込んだから、それの使い心地を訊いてみようと思ってさ」
ということは脇にあるファイルはその新しいパーツに関する書類が入っているのだろう。
「え、ラクシャータさんもライを捜しているんですか?」
カレンはラクシャータの捜し人も自分と同じ人物ということにトーンを抑えた声で驚く。その声にラクシャータは聞き返す。
「も・・・ってカレンちゃんも彼を捜しているの?」
「はい、紅蓮の整備を手伝ってくれるって言っていたんですけど、捜してもどこにも居なくて・・・・」
「どこにも?遅刻とかじゃなくて?」
「いえ、それはないんです。何かあったら、私の方に連絡を回すようにって二人で決めてましたし・・・」
「へぇ〜随分と仲がよろしいこと。熱いわねぇ」
ライの遅刻説を否定するカレンの言葉の途中で割り込んできたラクシャータの言葉は明らかにカレンを茶化すモノであった。
「え!?な、何言ってんですか!わ、私とライは別にそんな・・・」
顔を真っ赤にし、手を大きく振って否定する様はまるで、何かの小動物を連想させる。
カレンのそんな様子を間近で見たラクシャータは最初だけは面白そうに見ていたのだが、数瞬後には興味なさげに声を掛ける。
「それで、どうするの?」
「先に紅蓮の整備を始めてようと思って、今格納庫の方に行こうとしてたんです。」
「ふ〜ん、それじゃあ私も同行しようかしら。いい?」
ファイルと一緒に脇に挟んでいたキセルを取り出して銜える。
「はい、大丈夫ですよ」
カレンもラクシャータの言ったことには賛成した。
もし、何らかの不具合が発生して対処する場合には設計者である彼女に助けを借りることができるからだ。カレンが先導で歩き出すと、ラクシャータはそれについて行く。
(・・・・・・・・?)
歩き出して数十秒も経たない内にカレンは妙な感覚を覚え始めた。
まるで、誰かにじっと見つめられている・・・・親愛の情を向けると言ったそんな視線というわけではない。自分に敵対心を持っている、そんな感じの視線だ。強いて言うならば、殺気と言った方が正しいか。
それは、自分の後ろから放たれている――位置的にはラクシャータしかいない。
カレンがゆっくりと後ろを振り向くとラクシャータの顔が視界の中に入る、彼女はカレンの行動に反応して微笑む。
(まさかね・・・)
ここ最近、ブリタニア軍との交戦が多かったせいで神経質になっているようだ。
気のせいと自分に言い聞かせてカレンは格納庫へ向かう為にひたすらと歩いていった。
こっそり支援
妙な感覚を覚えながらも、格納庫に着くまではさほどの時間は要さなかった。紅蓮の整備手順を頭の中に思い描きながら、眼前にある格納庫の扉が開かれる。
「うっ・・・・!」
扉を開けるや否やカレンとラクシャータの鼻腔にアルコールの臭いが入り込む。思わず声を上げて鼻を抓んでしまうほどに、それは強烈なものだった。
「ラクシャータさん、この臭いって・・・・」
「アルコールね」
ラクシャータが鼻を二、三度ひくつかせて臭いの正体を割り出す。
気のせいか空気が淀んでいる様にも見える。この臭いはアルコール物が一つや二つあるものではない、かなり大量のアルコールが格納庫の中にあることを如実に表していた。
とりあえず格納庫に入ってカレンとラクシャータはアルコール臭漂うその中を歩いていく。
格納庫には月下、紅蓮弐式、無頼などの日本製KMFがまるで博物館のように並べられている。
その中の一体、蒼い月下の前に人だかりの様なものができているのがカレンの目に飛び込んできた。その中にはラクシャータのように白衣を着込んだ人物達がちらほらと見える。
そういえば、技術班が格納庫にいつも待機しているのに入ってから一人も見かけなかったことにカレンは気づく。更にその中にいる黒の騎士団の制服に身を纏った団員達、
大部分はカレンも知っている顔ぶれだがその他はどうにも初めて見る顔が多すぎることにも気付いた。
「・・・・まさか」
近づくにつれて耳の中に入ってくる笑い声や涙声、なんとはなしにカレンの頭の中に嫌な予感が過ぎり、
その人だかりには近づかないほうがいいと考えるが、そんな訳にはいかないと歩を進める。
「やっぱり」
318 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/02(水) 01:18:53 ID:BevxjY1U
支援
支援
自分の予想が当たった事でカレンの口から大半が呆れの感情を占める高濃度の溜息を放出した。蒼い月下の前の人集りの正体、それは酒盛りだった。
床に転がり何本あるか数えるのも億劫になるような未開封と空っぽの酒瓶。口が開きっぱなしのツマミ袋、中身が入っていないと思われるものはその辺に散らかっている。
「おぉ〜!!カレンじゃねぇか!どうしたんだよ、んなところに立ってないでこっちに来いよ!!」
カレンの接近に気がつき、七分ほど残っている酒瓶を手に持って振る酒盛りの中心人物(と思われる)――玉城はカレンを呼び寄せた。
「玉城・・・・・あんたねぇ」
頭を抑えて、玉城に呆れの声を浴びせるカレン。更に言葉を続けようとするが喉の奥に飲み込む、さすがに酔っている状態の玉城にそんな事を言っても暖簾に腕押し、馬の耳に念仏、糠に釘――要は何を言っても無駄だということだ。
「で?このバカ騒ぎは何なの?」
額に浮き上がりかけた血管を何とか抑え付けるカレンの代わりにラクシャータが問い質す。その声に数秒遅れで反応し、玉城はようやく問い返す。
玉城が言うにはこの酒盛りはここ最近新入団員が入ったことによる歓迎会らしい。事実こういう事は玉城の専売特許であり、彼が自分から名乗り上げることも少なくはない。
だが、今回は新入団員の数が多く、全てを入れる事のできる飲み屋が見つからなかったらしく、格納庫に酒とツマミを持ち込んで歓迎会を開くことになったらしい。
しかも、ゼロからは許可も貰っているらしい。普段は思慮が浅いのに、こういう事だけには知恵を働かせる。
「ほんとっ、何考えてんのよ・・・」
呆れてものも言えないとはまさにこういう事だろうか。咎める言葉が思いつかず、それを紡ぐ気力もない。
ブリタニア軍との交戦が激しくなる中で団結力を強める為に歓迎会や酒盛りを開くのは良いことだ。しかし、ものにも限度は有るはずだ。どうすれば、格納庫中アルコールの臭いを充満させることが出来る。
「・・・はぁ」
支援
支援
「・・・はぁ」
今は説教を垂れる気にはなれず当初の目的である紅蓮の整備ができればとにかくはどうでもいい。
そう思って、人集りから離れようとした時カレンの眼にある色が飛び込んできた。
日本人の多い黒の騎士団内では珍しい灰銀色の髪、それはすなわちカレンの捜す人物が持つ特徴の一つであった。
ここにいるということは、恐らく玉城に無理矢理にでも連れてこられたのだろう。
「!?・・・ライ!」
人目を憚る事のなく、カレンは少量の怒りを含んだ声を出す。
それに反応して、灰銀の少年はカレンの方に振り向く。カレンとラクシャータがライの方に近づいていく。
その途中、ラクシャータは何かが足に当たり、立ち止まってしまう。それに気がつかないままカレンはライへと歩を進める。
「あなた、こんなところ・・・・で、何を・・・してるの」
灰銀の少年――ライに近づくにつれてカレンの声が小さくなってくる。
正座したライの姿を完全に視界に納める頃には、カレンの顔は面白いことになっていた。
「あれ・・・・・カレンどうかしたの?」
湯呑みを片手に持つライがカレンに話しかける。自分の目がおかしくなっていないのであるならば、
ライの顔が普段ではありえないほどに紅潮している。心なしか目も虚ろ気味だ。
明らかにアルコールを摂取した証拠と見ていい。
少なくとも、彼がこの中にいたのであれば見つけた時に予測するべきであった。
記憶喪失者であるライは自分の年齢さえもよくわかってはいないが、
少なくともカレンは自分と同じ未成年者であると考えている。
以前、ライは四聖剣と酒盛りを行った際に彼らの飲む酒の酒気だけで酔ってしまい、最後はカレンが介抱をした。
酒気だけで酔っ払ってしまう彼が酒などを飲んでしまえば、こうなることぐらいは考えておくべきだったかもしれない。
「ライ・・・・あなたもしかしてお酒飲んでる?」
「お酒?いや飲んでらいよ」
支援
飲酒者特有の症状を出しながらも否定するライ。それを追及するカレンはライの持つ湯呑みを指差す。
「嘘言わないの。じゃあ、コレは何なの?」
「ジュース、玉城がくれた」
「また嘘言って・・・・って、玉城が?あなたに?」
「うん。酒飲めないんだったら、これ飲めって」
コクリと小さく頷くライ。一瞬、玉城に殺意が剥いたカレンであったがすぐにそれを収める。
湯呑みの方に目を移すと、宝石の紫水晶のように綺麗な色の液体がその中で水面を揺らしている。
鼻を近づけると、果実や花のような良い香りが鼻腔に入り込む。
確かにジュースみたいだ。だが、そうなるとライに出ている症状の説明がつかない。
「ねぇ、あんたが飲んでいたのってまさかコレ?」
頭の中で疑問符を大量に思い浮かべていたカレンの耳にラクシャータの声が入ってくる。
後ろを振り向くと、花の紋様が描かれた白磁でできていると思われる瓶が手に収まっており、
蓋を開けて注ぎ口に鼻を近づけて匂いを嗅いでいた。
「ラクシャータさん、それは?」
「コイツ?これはね“神蘭”よ」
「神蘭?」
支援
支援
支援
支援
聞き慣れないその名前にカレンは聞き返してしまう。名前からして、中華連邦系の物だと推測する。
「そう、中華連邦原産の花とかで造られたリキュールなんだけど、ジュースに見えちゃう見た目とは裏腹に
すんごいアルコール度数が高いクセ物でね。素人が一杯でも飲んだら、すぐにベロベロよ」
そう言いつつ、ラクシャータはライの持っていた湯呑み取り上げ、鼻を近づけてから指に液体を浸して舐める。
「じゃあ・・・・・ライが飲んでいるのは・・・」
「大当たり、神蘭ね」
「玉城・・・あのバカ」
酒瓶を片手に持ち、後方で一気飲みを始めた玉城に向かって呆れ声を紡ぐ。玉城にはいずれ地獄を見てもらおう。
だが、その前にやるべき事があった。二人は自分たちを見上げているライに目を移した。
△カレンがライを介抱する
○ラクシャータがライを介抱する。
×思わぬ伏兵
ここは△で
投下終了です。コレで寝られる・・・・
各選択肢を選んだ際の続きは鋭意作成中でございます。出来上がり次第投下致します。
支援してくださった方々有難う御座います。
GJだけど、なんかラクシャータのしゃべり方に違和感があるなぁ。
つーか、ラクシャータってカレンをちゃん付なの?
334 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/02(水) 01:33:59 ID:Hs6guyBK
△希望
337 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/02(水) 01:39:08 ID:BevxjY1U
×思わぬ伏兵で
誰だろうか?酒に強いC.C 模擬戦を誘いにきた千葉 たまたま通りかかった神倶耶と天子
様子を見にきたルルーシュ 意外なところで三人娘か
選択肢が多すぎる
>>330 お久しぶりですね。ラクシャータをからませつつ△希望!!
僕も△で・・・
短い作品ですが、投下します。ライ×マオのSSです。
タイトルはこころのこえ
「 マオ・・先に行って待ってろ・・Cの世界で・・」
「やめろ!彼を殺すな!」
ライは叫んだ。その声を聞いたC.C.は銃を撃たなかった・・・
こころのこえ
ライは一人オーストラリアに来ていた。
ここに来た目的は、自分と同じようにギアスを持った青年マオに会いに来たのだ。
オーストラリア郊外にある白い家・・・ここでマオは怪我の治療をしている。
ライはその家のチャイムを鳴らした。反応はない。
扉を開け、中に入った。
「マオ!居ないのか?勝手にあがるぞ。」
そう言うと、家に入りマオ探した。しかし彼の姿は見つからない。
「(また、いつもの場所かな。)」
ライは裏口から、外に出た。ここから少し離れた場所に小さな温室がある。
マオはライが来るときは、必ずそこに居た。
ライが温室の扉を開けると、そこには椅子に座り、虚ろな目をして空を眺めているマオがいた。
「やっぱり、ここに居たんだね。探したよ。」
ライが話しかけるがマオを何も答えない。
「怪我の調子はどう?前よりは楽になった?ご飯はちゃんと食べてるかい?」
いつものように一方的な会話の時間が流れていく。
ライは何度もここに訪れているが、いつもこんな感じである。
ライがマオに話しかけ、しばらくしたら料理を作り帰る。
このようなことが続いている。
しかし、今日だけは少し違っていた。
「 なあ・・・なんで君はここに来るんだい?何のメリットも無いだろ?」
マオがライに話しかけてきたのだ。
「何でって・・・僕は君のことを友達と思っているからさ。」
ライは自分の気持ちを正直に答えた。
「嘘をつくなよ!お前は、ただ僕を助けてる自分に酔ってるだけだ!お前は最低の偽善者だよ!C.Cを無くした僕を心では、嘲笑ってるんだろ?そうに決まってる!お前もそこら辺にいる人間共と一緒なんだよ!帰れよ!二度とここに来るなよ!」
マオは自分の感情をライに向かってぶちまけた。
「だったら、集中して僕の心を読め!僕の本当の気持ちを知ってくれよ!マオ!」
「分かったよ!読んでやるよ!お前のその腐った心の声をな!」
それから、無言の時間が過ぎていった・・・
「じゃあ・・・僕はもう帰るよ。」
ライは温室の扉に手を掛けた。その時だった。
「また来いよ・・・ライ。今度来た時は茶ぐらいは用意してやる。」
マオがライにそう告げた。
「マオ・・・うん!また来るよ!」
そう言うと、ライは帰っていった。
マオは一人空を眺めた。
「(初めてだったな・・・心の声と言ってることが一緒のヤツなんて。しかも馬鹿みたいにまっすぐだったな。あいつのこころのこえ)」
彼はゆっくり目を閉じ、眠りについた。
こころのこえ 完
>>332GJ!
俺も△希望。
そして、他の人も延々と△を押すギアスを掛ける。
>>333 ラクシャータはカレンちゃん呼びしてるよ。
カレンちゃんのデータが、とか言ってる。
空気読まず投下してしまった・・・とりあえず終了です。
>>345 GJ!
しかしまた新しい組み合わせだな
>>345 ある意味ギアスの被害者とも言えるマオにも日の当たる見方があってもいいと思ってたんで
短い文章内にもライに絆されていくマオの感情の変化が読み取れて良いですなぁ
ああでも、読んだ限りでは必ずしもBLカップリングには思えなかったけれど
ライ×マオとなると誤解を招くかも。ギャルゲ板全体でそれっぽい話題は禁止ですし。
友情話となると+とかの表記の方がいいのかな?
>>274 おお、何というつらく哀しい過去。最後の時にも父親に見向きもされないとは。
しかしこれでもまだ前半なんですよね。狂王と呼ばれるほどの凄惨かつ残虐な過去は
一体どれほどのものか。続きをwktkしながら全力で待っています! 空マメ卿、本当にGJです!!
>>304 GJ! さ、策士や。アーニャが可愛いくて、KOUMEIになっている。
陰から見守るノネットさんも、姉御らしくていいですねー。
>>330 選択は×でお願いします。しかし玉城、どうしてあなたはこう楽しくよけいなことを……。
さて、先がどうなるか。×の場合、誰が来るやら。GJです。
>>345 マスク・ド・月下! 以来のライとマオのSSでしたね。
ただ一つ言わせて貰えばライがどうしてマオに友情を感じているのか、理由が知りたかったです。
GJでした。
さて、Return Colors六話を投下させて貰います。
こんな時間での投下ですので殆ど支援もないでしょうから最後の投下より五分以上経過し、
支援がなく続きがない場合はお猿さんに引っかかったものと判断してください。また後で続きを投下します。
作者名 RC
タイトル Return Colors
カップリング 現在のところなし
注意事項
このSSはギアス編の続きとなっています。
本編に出てこない地名や設定は捏造だらけです。
人物も本編に近づけるように書いていますが齟齬は当然あります。
主人公はライです。
一話の長さは結構あります。規制に引っかからないよう、支援をよろしくお願いします。
Return Colors 六話 〜逆襲の策略〜
自室の扉を控えめに叩く音が聞こえる。
「入って」
自分の側にいるアーニャがそう言うと僅かな軋みの音を立てて扉が開かれ、遠く離れた
兄ルルーシュと似た気配を持つ人物が入ってくる。
「何かご用でしょうか。ナナリー皇女殿下」
礼儀正しく堅苦しい口調と声音。しかしその中には絹のような柔らかさが感じられる。
「いいえ、今日はただの"私事"です。ライさん」
ナナリーは笑みを浮かべ、いつもの言葉を口にする。するといくらか固さを持っていた
彼、ライ・ランペルージの気配が優しげなものへと変わる。
この瞬間を、ナナリーはとてもよく気に入っている。普段も言葉や態度の端端に優しさ
を感じさせるが、私的な時間においての時の彼はさらに優しく、柔らかくなる。ルルーシ
ュに匹敵すると言っていいほどに。
とはいえ、このような変化が起こったのは今からおおよそ一月前。疲れていたライに休
暇を与え、その休暇の最終日に故郷にて事件に巻き込まれ、病院の精密検査が終わり帰っ
てきてからだ。元々こちらを気遣ってくれていたライだったが、それがさらに強くなって
いたのだ。
侍女達が運んできたお茶やお菓子を口に運びながら、いつものように談笑するナナリー
達。今日は珍しくアーニャから話を切り出した。内容はラウンズ達の面白い話だ。その大
半はジノやスザクのことだったが、他にはコーネリアと友達のナイトオブナイン、ノネッ
ト・エニアグラムやアーニャ達と同年代、ナイトオブトゥエルブのモニカ・クルシェフス
キーらの話もあった。
一騎当千、帝国の切り札と言われるラウンズの意外な一面にナナリーは素直に驚きつつ
も楽しげに笑う。内容が面白いこともあるがアーニャが淡々と語るところが真実みや想像
をかき立てるのだ。
「しかしジノやスザクはわかるとしてもノネットさんやモニカにもそんなおもしろエピソ
ードがあったとは……。
ところでアーニャ、君のはないのかい? さっきのジノみたいな――」
「ライのならある。この間、ジノと」
「あー、ごめん。ちょっと調子に乗りすぎたかな。うん。それは忘れてくるとありがたい」
「記録はしてる」
「消してくれないかな?」
「駄目」
二人のやり取りにナナリーは思わず小さく笑ってしまう。目が見えなくとも焦ったよう
なライの様子は手に取るようにわかる。
二人のやり取りが一段落したところで、今度はナナリーから話を展開する。
「折り紙?」
「ええ。私がエリア11にいたときに教わった日本の遊びなんです。紙を折って様々な形
を作る遊びなんです」
側に置いてある折り紙用の紙を手により折り始める。久しぶりなのでゆっくり正確に、
慎重にナナリーは手を動かす。
「折り鶴です。どうでしょう、きちんと折れていますか?」
「うん。綺麗な形だよ」
「皇女殿下、上手」
感心の声を上げるライ。アーニャもいつも通りの淡々とした響きだが、ナナリーを素直
に褒めていることはわかる。
他に覚えているものを幾つか折り、二人に見せる。
「紙で物を形取るなんて、イレブンは器用」
「そうですねえ。私も最初知ったときは凄く驚きました。紙一枚で――」
その時、ナナリーはライの様子が変わったことに気がつく。先程まで楽しげだった彼の
気配が、何故か驚きへと変わっている。
「ライさん?」
「……ナナリー、これは…」
「何、その花」
花、と聞いてライが何を見たのかナナリーは理解する。
「ああ、それですか。日本の花を模した折り紙なんです。桜って言うんです。綺麗でしょ
う?」
「うん。それに他のより、大きい」
「はい。一枚じゃ完成しない折り紙で、幾つか組み合わせて作るんです」
「……よく、こんな難しい折り紙が折れたね」
何故か感激したような様子のライ。
「いっぱい練習しましたから。でも、一つ不思議なことがあるんですよね」
「何?」
「この桜を含む幾つかの折り紙なんですけれど、誰かに教わったのか思い出せないんです」
言ってナナリーは桜を手に取る。
まだナナリーがエリア11にいた頃、アッシュフォードのクラスメイトから千羽鶴を貰
ったのが折り紙を始めたきっかけだ。それから咲世子やクラスメイト達に習い、数々の折
り紙を覚えた。
しかしこの桜や他数種類だけは誰に教わったのか、はっきりと思い出せないのだ。
「でもこれを折ると不思議に心が温かくなるんです。きっと大切な人に習ったのだと思い
ます」
我ながら意味不明なことを言っていると思う。だがそれだけは間違いないと確信できる
自分がいるのも確かなのだ。
落ち込んだりしたときに桜や他の折り紙を手に取ると、不思議に気持ちがとても安らぐ。
まるでルルーシュに慰められているような、そんな気分になるのだ。
「ナナリー」
「はい?」
「他にはどんな物が折れるのかな。よかったら見せてくれないか?」
「はい! 喜んで」
何故かとても嬉しげな様子のライにナナリーも嬉しくなり、微笑んだ。
自室に戻るとライは服も脱がずパソコンを立ち上げる。
目にも止まらぬ速さで両手がキーボードの上を動く。すると瞬く間にモニターに無数の
ウィンドウが表示される。
出現したウィンドウに表示されているのはブリタニア本国の詳細なマップに、エリア1
1への経路。他にはブリタニア各地の港町の経済や軍事の情報など、他にも無数の情報が
びっしりと書き記されている。
「ここは駄目。あそこは……危険すぎる。ではこのルートは…」
高速でキーボードを指が叩き、マウスが動く。同時にモニターが大きく表示されたり消
えたり、また新しい情報が書き込まれては消える。何度も何度もそれが繰り返される。
しばらくそうしていると、部屋のチャイムが鳴る。ライはすぐにパソコンの電源を落と
し、客を出迎える。
入ってきたのは副官のヘンリーだ。しかし彼の表情がどこかうつろで、そして彼を見つ
めるライもまた、普段とはまるで別人のごとく冷え切っている。
「それじゃあ、情報を貰おうか」
頷くヘンリー。すると彼は懐から一枚のデータチップをライへ手渡す。
このデータチップに入っているのは彼が本来所属している機情の極秘データだ。
「ご苦労様。下がっていいぞ。それと今日も機情には何もなかったと伝えることを忘れる
な」
「はい」
機械的な口調で返事を返し、ヘンリーは部屋を後にする。ライは再びパソコンに向き直
り、立ち上げてヘンリーより渡されたデータチップを端末に入れる。
かつての記憶を取り戻したライがまず最初にしたことは情報の入手源を手に入れること
である。副官であり機情の一員であるヘンリーはもちろん、ブリタニアや他の二国、そし
てエリア11の現状や情報に詳しい軍人には例外なくギアスをかけた。内容は"ライのい
かなる命令にも従う"こと。
絶対遵守の力に抗うことなく彼らは先程のヘンリーのように会いに来たり、時には郵送
などでデータチップを送ってきたり、またはメールに暗号文を書き記して送ってきたりな
ど、思った通りに動いてくれていた。そしてそれを元にライはナナリーと共にブリタニア
本国からの脱出策を練っていた。
二人の幸せを望むライにとって、現状はそれに叛していると言っていい。普段は気丈な
表情を見せているナナリーだが、ルルーシュがいないことが心身に堪えていないはずはな
い。そしてそれは行方不明となっているルルーシュとしても同じ事。
しえん
だから特に急がせたのはエリア11にて消息不明となっているルルーシュの安否である。
皇族であるナナリーがブリタニア本国に言うというのにどういう訳か兄のルルーシュだけ
いないというのは余りにも不自然である。死亡したならばリストに載ったり、噂ぐらいは
立つものだがそのどちらも確認できていない。
彼が死んでいるとは考えない。何の根拠もないが、ライは彼が生きていると思っている。
――ナナリーを置いて、君が死ぬなんて考えられないからな
そう呟き機情の情報に目を通していると、奇妙な項目を発見する。
「魔女の餌についての報告書…?」
すぐさまクリックするが、プロテクトがかかっているようで開かない。舌打ちしライは
以前ルルーシュに教わったパスワード解除の裏技を駆使する。
するとものの数分でプロテクトはあっさりと解除される。
「さすがはルルーシュ。さて、何が入っているのか」
ファイルを開き、まず目にしたのは写真だ。しかしその写真に写っている人物を見て、
驚きの余りライは腰を浮かせてしまう。
「な……!?」
写っていた人物は二人。そのうちの一人はライが捜し続けていた友、ルルーシュ・ラン
ペルージ。
そしてもう一人は忘れようもない。かつて行方不明になったゼロとカレンを探しに神根
島へ赴いたライが出会い、そしてライを殺そうとした少年だ。
「ロロ・ランペルージ……!?」
どういう訳かその少年はルルーシュの弟として彼の側にいるようだ。その事実にライは
反射的に頭に血が上る。
だがすぐに心を落ち着かせ、ようやく手に入った友の情報を食い入るような目つきで読
む。
「ルルーシュが、CCを誘き寄せるための餌だと……!?」
淡々と記された報告の文章を読み、ルルーシュの現状をライは悟る。どういう訳か知ら
ないがルルーシュは記憶を失っており、しかも何故か機情――いや、皇帝――はCCを狙
っているという。
「どういうことだ……」
――記憶を失っている? 一体どこからどこまでだ。全てなのか? いや、ならばアッシ
ュフォードに通わせるはずはない。と言うことはごく一部なのか。いや、まだ確実とは言
えない。
最後の・・・支援
支援
支援…遅かったか……
支援…
時すでにオスシ
そもそもこのロロとか言う奴はなんなんだ。何故この男がルルーシュの弟に、ナナリー
の場所にいる? ミレイ会長達は不思議に思っていないのだろうか? いや、そもそもナ
ナリーが本国にいる時点で二人をかくまっていたアッシュフォードは――
謎が問いを呼び、問いが謎を呼ぶ。思考の連鎖に入りかけたところで慌ててライは正気
に返る。
「落ち着け、ライ…」
ゆっくり椅子から立ち上がり、部屋に備え付けられてある冷蔵庫から水を取り出すとコ
ップについで一気に飲み干す。
キンキンに冷えた水が喉を潤し、働かせる余り加熱していた脳も冷やす。
再びコップに水を注ぎ、飲み干す。冷や水を二回も呑むと、混乱しきっていた頭もすっ
かり落ち着いていた。
立ち上がり、再びパソコンの設置されたデスクに腰を下ろす。
疑問や予想は一切考慮せず、確実な情報のみで現在の状況を再認識する。
「いまするべきことはエリア11への確実な航路と逃げ場を探すことだ」
最悪、こちらの動きが皇帝やVVに知られてもナナリーを連れて逃げられればさしたる
問題にはならない。
仮にそうなったときの唯一の問題はスザクだが、皇帝の騎士である彼は身勝手に動くこ
とはできないし、スザクの性格から考えて彼が独断行動を取ることはあり得ない。もっと
も最悪なのは皇帝がスザクにナナリー奪還を命じることだが、それも可能性としては低い
だろう。皇帝もよもやかつて捨てた――皇位継承権も低い――娘のために全力で捜索する
はずはない。
先程のお茶会のことを思い出す。あの後ナナリーは多くの折り紙を見せてくれた。
中には自分は知らない物、教えていない物もあった。自分との触れあいを忘れても、別
れにかわした約束はしっかり覚えていてくれたようだ。
そのことにライは嬉しくなり、ますます彼女たち兄妹への思いを強める。
「待っていてくれナナリー、ルルーシュ」
――離れてしまった君たち二人を、僕が必ず引き合わせる
ライ達の乗っているリムジンが、静かに停車する。ゆっくりドアが開かれ、ライは外へ
出る。
周囲に何か危険はないか慎重に気配を配る。今いる場所のことを考えれば可能性は低い
が何かしらの危険があることは否定できない。今日の言う日を考えればなおのこと。
ライの正面には今まで見た中でも間違いなく最大の大きさと頑強さが伺える扉がある。
そして周りにはSPの姿が絶えない。ネズミ一匹見逃さない厳重に厳重を重ねた警備だ。
ここはブリタニア首都ネオウェルズにあるブリタニア皇帝のみが使用できる特別な離宮
だ。そして神聖ブリタニア帝国建国日である今日、ここでは建国の記念パーティが開かれ
ている。
周りに異常がないことを確認するとライは中にいるアーニャにそれを伝え、座席に乗せ
てあった車椅子を取り出す。そしてそこへナナリーを抱き上げ、座らせる。
「それでは参りましょう。皇女殿下」
頷くナナリーを見て、ライはナナリーの車椅子を引く。その左側に立つアーニャ。
門の前を警護しているSPへ身分証明書と招待状を見せると、ゆっくりと扉が開く。
多くのSPと豪華な調度品が並ぶ廊下を進むこと数分、目の前に広がるのはライが普段
見ている世界とは全くの別世界。
目を指すような目映い光が果てしなく広い部屋に降り注いでおり、壮麗な風貌をした多
くの人の姿が見える。その迫力に思わず圧倒されそうになる。
ライも王の時代に幾度もこのようなパーティを開いたことはあるが、それとは桁違いの
規模だ。まさしく目の前の光景こそ、現在のブリタニアという国の強大さを表してると言
ってもいいかもしれない。
「アーニャさん、お父様はいらっしゃいますか?」
「ううん。皇帝陛下の姿は見えない」
「では、他の皇族の方々は?」
「右斜めの方にシュナイゼル殿下がいる。どこかの貴族と話している。他は、わからない」
「そうですか。ではお話が終わり次第――」
「あら〜? そこにいるのはもしかしてナナリー?」
突如可愛らしくもとげとげしさを含んだ声が聞こえた。振り向けば貴族を引き連れたナ
ナリーやアーニャと同世代の少女の姿がある。
周囲の貴族達も華美な衣装をしているが、少女のはその中でも特に絢爛なドレスを身に
まとっている。普段はきっと可愛らしい表情は傲慢と蔑みに満ちて、ナナリーを見ろして
いる。
「カリーヌ姉様…」
曇った表情でナナリーがか細く少女の名を呟く。それを聞いてライも目の前の少女の名
前を思い出す。
カレーヌ・レ・ブリタニア。神聖ブリタニア帝国第五皇女。ナナリーとは同い年である
が、生まれが一月速い皇女である。
ナナリーはすぐに表情を変えて、いつもの柔らかい微笑を作ると、小さく頭を下げる。
「ご無沙汰しておりますカリーヌ姉様」
「ええ。あなたも元気そうねナナリー」
ナナリーの安らぐ微笑を前にしてもカレーヌは表情を変えない。ナナリーの顔に向けて
いた視線を足に向けて、
「と言っても、相変わらず目や足の方は変わってないみたいだけれど」
公の場にもかかわらずはっきり侮蔑の言葉を吐く皇女。途端、ナナリーの気配が暗くな
る。ナナリーの変化とカレーヌの言葉に、ライの頭は一気に加熱する。
「あなたも相変わらずみたいね。アーニャ・アールストレイム卿。目も足も不自由な皇女
のお守り、ご苦労様」
傲慢な態度を崩さず、カレーヌはアーニャへ視線を向ける。いつもの無表情を保ってい
るアーニャは何も返さない。
「――で、あなたは?」
そしてライを見るカレーヌ。よく見ると母親は違えど姉妹だけあってナナリーと似てる
部分が見られる。
しかしナナリーと似た顔立ちの少女がナナリーやアーニャへ言葉の暴力を放つ姿は、似
ているからこそ醜悪に見え、ライの神経を苛立たせる。
「騎士侯ライ・ランペルージと申します。お初にお目にかかります、カレーヌ・レ・ブリ
タニア皇女殿下」
内心の怒りを必死に押さえ、作り微笑を浮かべ、必要最低限の礼儀を取るライ。
「あなたがあのランペルージ卿? ラウンズと互角の力量を持つって言う」
「それはだの噂ですカリーヌ皇女殿下。私如きがラウンズと互角など――」
「事実」
淡々としたアーニャの肯定に周囲がざわめく。ライは咄嗟にアーニャを見るが、彼女の
様子は全く変わっていない。それを見てライは心中にため息をつく。
注目を集めないため否定したというのにアーニャのよけいな一言のおかげで逆効果にな
ってしまっている。アーニャとしては自分が思っていることを口に出したのだろうが。
――空気を読んでくれ、アーニャ
「ねぇ、ランペルージ卿。せっかくだからあなたの実力を見せてくれない?」
「と、申しますと?」
何故か先程より不機嫌そうなカレーヌが行った言葉に、ライは首をかしげる。
「あなたの隣にラウンズがいるじゃない。余興に彼女と決闘でもしてもらえないかしら?」
「……は?」
突拍子な提案にライは思わず口を開けてしまう。
「カリーヌ姉様、このような場で……」
「あんたには言ってないわよ。私はランペルージ卿に言ってるの」
さすがに黙っていられなかったのか、口を出すナナリーだがカリーヌの不機嫌な声音に
黙らされてしまう。
「ラウンズに匹敵する騎士なんてそういないわ。是非その腕を見せてほしいわね」
暗い愉悦を秘めた声に、ライはカレーヌがナナリーや自分たちに恥をかかせようという
魂胆を悟る。
もし勝負して自分が負ければ所詮噂は噂だったと広まり、自分の評判についてカレーヌ
はナナリーを口撃するだろう。逆にアーニャが負ければアーニャへ悪態が放たれる。かと
いって断れば不敬な騎士を側に置いているということで自分やナナリーが非難の対象とな
る。
さて、どうやって断るべきか。ライが思考し始めたその時だ。
「カリーヌ姉様」
「なによ、うるさいわね。あんたは黙って――」
「黙っていられません。お二人とも私の大切な騎士であり友人です。お二人が傷つくよう
なことは見過ごせません」
毅然としたナナリーの言葉にライとアーニャの対決に賑わっていた周囲は静まる。
対するカレーヌはますますその表情を醜くゆがめる。
「ナナリー、あんたっ」
「何を騒いでいるんだい?」
カリーヌが激高した瞬間、落ち着いた声音が割って入る。
「シュナイゼル殿下……」
そちらを見れば騒ぎを聞きつけたのか、シュナイゼルと彼の側近の姿が見える。
ナナリーにカレーヌ、そしてシュナイゼル。同じシャルルの子供とはいえ、その存在感
は桁違いだ。二人に集中していた周囲の視線が一気に彼に集中する。
「やぁ、ナナリー。久しぶりだね」
「はい、シュナイゼル兄様」
「ナイトオブシックス、それにランペルージ卿も。元気そうで何よりだ」
「お久しぶりです、シュナイゼル殿下」
アーニャは無言で一礼し、ライは同じように頭を下げる。
見る者を和ませるような柔らかい笑みを浮かべたシュナイゼルは、その表情が僅かに硬
くし、周囲を見渡す。
「ところで何か騒がしいようだけど、何があったのかな」
ばつの悪そうな表情のカレーヌは視線をそらし、
「別に大したことではありませんわ、お兄様。……私、少し気分が優れないので、申し訳
ありませんが失礼させていただきます」
兄へ小さく一礼して、カレーヌは取り巻き達と一緒に消える。喧騒の主がいなくなった
ことにより周囲へ集まっていた野次馬たちも散り散りになる。
――シュナイゼルに救われたな
ライは小さく安堵の息をつき、ナナリーと話すシュナイゼルへ視線を向ける。
こちらの視線に気がついたのか、一瞬目だけ向けて小さく微笑む。
感謝を込めて、再びライは小さく頭を下げた。
支援砲撃
支援
支援
間に合った?
支援
父、シャルルから送られてきた祝辞が終わり再び周囲がにぎやかになる。
アーニャが皿に盛ってきた料理を口に運んでいると、再びナナリーの元へシュナイゼル
がやってくる。
「シュナイゼル兄様、どうしたのですか?」
正直ナナリーとしては、シュナイゼルがまた会いに来るというのは意外だった。自分と
違いとても忙しく、帝国でも重要な人物であるシュナイゼル。今日もEU戦線の指揮を部
下に任せての帰国だという。そんな忙しい兄が、また会いに来るとは。
「大勢の人と会って、少し疲れてしまってね。可憐な君の側にいると気分が和むからさ。
お邪魔でなければ少し側にいてもいいかな」
「お邪魔だなんて、とんでもありません。私なんかの側でリラックスできるのであれば、
是非そうしてください」
気障な台詞をさらりと言ってシュナイゼルは頬を染めるナナリーの隣に並ぶ。異母兄は
無言で手に持ったクラスの中のワインを堪能する。
シュナイゼルの言うとおり疲れのようなものを感じたナナリーは、同じように無言を通
す。気がつけば側にいたアーニャも側近のカノンもある程度距離を置いている。
しばらくしてシュナイゼルが静かに言葉を発する。
「ナナリー」
「はい」
「君から話のあった"例の件"。皇帝陛下は特に反対の意は示されなかったよ」
その言葉にナナリーは表情を明るくする。
「ただ決定するとなると多少は時間がかかるだろうね。あそこに、エリア11に行きたが
らない皇族がいない分、君が新たな総督になれる可能性は高いとは思うけれど」
「はい」
「しかし、もし君がエリア11へ行くとなると、私としては君の側に"騎士"がいればい
いとは思うね」
その言葉に、ナナリーはシュナイゼルを見上げる。
「現在のエリア11は矯正エリア。それがどれがけ危険かと言うことぐらいは知っている
だろう?
君を守る"騎士"がいれば私はもちろん、周りや皇帝陛下も安心するだろう」
異母兄の言うもっともなことにナナリーは頷く。目も足も不自由な自分。選任の騎士が側
にいれば自分への配慮もいくらかは減るだろう。
「君としてはナイトオブセブン、もしくはナイトオブシックスが希望かもしれないが――」
「わかっています。お二人とも"お父様"の騎士ですもの」
スザクにアーニャ。友人である二人だが彼らはラウンズ。父シャルル直属であり、ブリ
タニアの誇る最強の剣。
シャルルが彼らをラウンズより除名しない限り、ナナリーの騎士になることは決してな
い。
「ところでランペルージ卿の姿が見えないようだけど、彼はどうしたんだい?」
「お父様からお話があると先程従者の方が、ランペルージ卿を呼びに来ました」
「皇帝陛下が? ラウンズでもない一介の騎士をわざわざ呼びつけるとは……」
思案げな表情になるシュナイゼル。再び黙った兄を見ながら、ナナリーは先程兄より言
われたことを考える。
――騎士
シュナイゼルの口より出た瞬間、真っ先に思い浮かんだのはスザクだ。だが父の騎士と
言われる前から、彼が自分の騎士になることはないのではないかと、ナナリーは思ってい
る。
――スザクさんの心は、今でもユフィ姉様と共にある
月日が経てばどうなるかわからないが、少なくとも今は間違いなくそうだ。だからこそ
ナナリーはスザクを騎士に望まない。大切な二人の間に割って入ろうとは思わない。
スザクが何を望んでいるのか、ナナリーも薄々察している。なぜなら彼が望むものと自
分が望むものは近いものだからだ。
それがわかっているからこそ、ナナリーはエリア11の総督になることを望んだのだ。
スザクのため、何より自分自身のために。
「騎士……」
誰にも聞こえない小さな声でナナリーは呟く。
スザクやアーニャを除外した場合、自分が騎士に望むものは一人しかいない。ふと脳裏
にその人物の姿を思い浮かべた。
離宮の一室にて、膝を折り、頭を垂れているライ。その目の前には巨大なモニターが見
え、そこにはブリタニアの頂点に君臨する男の姿が映っている。
「面を上げよ」
男の言葉に従い、ゆっくりと顔を上げる。モニターに映るシャルル・ジ・ブリタニア。
直接の面識でないにもかかわらず放たれる威圧感は以前感じたものと何ら遜色ない。
「こうして顔を合わせるのは二度目か。ライ・ランペルージよ」
「はい、皇帝陛下。お顔を拝見でき、恐悦至極にございます」
「ベリアル宮の警護、良くやってくれているそうだな。ナイトオブシックスやナナリーか
ら報告が上がっておるぞ」
「もったいないお言葉にございます。皇帝陛下」
"ライ・ランペルージ卿"を意識してライはシャルルと言葉をかわす。
世界の三分の一を占める超大国の主だけあって、目の前の男の底は知れない。少しでも
"ライ・ランペルージ"、もしくは"ライ・カ・ブリタニア"の表情を見せれば自分の異変
に気づくだろう。
「さて、長々と話すのは趣味ではない。ナナリーからの一件、おぬしは聞いておるか」
「一件? ……申し訳ありません皇帝陛下。何のことでございますか」
「ナナリーをエリア11の新総督にすると言う話だ」
当たり前のように告げられる言葉。驚きの余りライは言葉を失う。
「……ナナリーが!?」
数瞬してようやく肯定の言葉の意味を悟ったライは、動揺の余り"ライ・ランペルージ"
として驚きの声を上げる。
だがすぐに己の失態を悟り、深く頭を下げる。
「た、大変申し訳ありません! 何という無礼を……!」
「かまわぬ。あれはユーフェミアと同じ。親しくしていれば情も移ろうというもの。だが
その様子では本当に知らぬようだな」
「は。今初めてお聞きいたしました」
必死に平静を装うライだが、頭の中は混乱の極みにあった。
――ナナリーが総督になる? しかもエリア11の? 矯正エリアであるあの土地の?
"ライ・ランペルージ卿"の記憶があるライは、矯正エリアがどのようなものか知識と
してだけではなく、実体験として知っている。
支援
――ナナリー。君は、なんと言うことを考えているんだ!?
「儂としてはナナリーを総督にすることに異論はない。
だが現在カラレスが総督を務めておるエリア11は矯正エリア。身体的にも、政を取り
仕切る能力を鑑みてもあの娘を一人送るのはいささか危険」
皇帝の言葉に素直に頷くライ。
「よって、あの者には騎士を取らせようと思うておる」
「騎士……」
皇族の選任騎士。確かにそのような存在がいればエリア11でのナナリーの負担や心配
はいくらか減るだろう。
意外にも皇帝がナナリーのことを憂慮していることにライが驚いていると、
「そしてナナリーがエリア11の総督に正式に任じたと同時、おぬしにはベリアル宮の警
護の任を解き、再びEUにてその力を振るって貰う。新たなるナイトオブラウンズとして」
「……!!」
先程の――ナナリーがエリア11の総督になる――言葉に匹敵する衝撃がライを揺さぶ
る。
ラウンズへの昇格。"ライ・ランペルージ卿"としてならば驚喜に値するその任命だが今
のライにとっては最悪の命令だ。
ラウンズとなれば自分がナナリーの騎士になることはできなくなり、またEUのシュナ
イゼルの元へ向かうとなると必然的に彼女から離れることにもなる。
長期的視野で見ればラウンズになることは決して悪いことではない。だがライは全てを
思い出した。己の命がギアスの酷使により決して長くないことも。
現在どういうわけかギアスを使用しても体に負担はかからないが、生い先短いと言う事
実を考慮しないわけにはいかない。ギアス能力がある以上、あの苦しみが無くなるとは考
えられないのだ。
そう、自分がそうだとわかっているからこそライは急いでいた。皇帝やVVに自分が記
憶を取り戻したことがばれるよりも先に――多少の危険を冒しても――ナナリーとルルー
シュを引き合わせることを。
「光栄にございます。皇帝陛下……」
声を震わせてライは三度、王へひざまずく。しかしうつむいたその表情は焦燥と憤激に
染まっていた。
縦長に広々とした会議室にでも使われそうな部屋に、面に疲れを浮かべたライの姿があ
る。
彼の目の前には複数のノートパソコンが並び、そこにはブリタニア脱出の必須事項の
数々がデータや文章として映し出されている。
「……もう、こんな時間か」
ふと気がつけば、時刻は夜を迎えている。このままでは二日連続の徹夜に突入しかねな
いと思ったライはパソコンの電源を落とし、部屋を出る。
明かりに照らされた廊下と違い、窓の外は夕闇の中にある。ライはしばし無数の小さな
明かりが灯った復興中の港町を眺める。
――復興は順調に進んでいる、か
今ライがいるのは"ライ・ランペルージ卿"の故郷にあるブリタニア軍の施設だ。シャ
ルルより衝撃的な二つの情報を知らされてから三週間、以前以上にライはナナリーと共に
ブリタニアを脱出し、ルルーシュを引き合わせる計画を急いでいた。そしてナナリーに休
暇の申請をして昨日よりここへ来ていた。
数々のルートを考慮した中でも、この港町からの脱出ルートがもっとも安全という結論
に達したからだ。すでに施設内のブリタニア軍人、この港町の重要人物全てにギアスはか
けており、下準備のためいろいろと動いて貰っている。
海の幸満載の料理を手早く片づけて、ライは再び作業に戻る。ブリタニアから脱出する
算段は大まかに立っているものの、最大の問題の一つであるエリア11でのライ達二人の
受け入れ先の問題が難航しているのだ。
矯正エリアとなっているエリア11は当然のことながらブリタニアの締め付けが厳しい。
イレブンは当然にしてもそれはエリア11にいる同胞にも向いているのだ。総督であるか
らレスにギアスをかけ人形にすれば条件はほぼクリアされるが、ナナリーを連れ出したラ
イは当然のことながらブリタニアにとっては皇族拉致という罪を犯した人間。カラレスと
会う機会など簡単に作れるものではない。
最悪の形、黒の騎士団に守らせるという手もあるがそれはあくまで最悪の場合だ。でき
ることならば避けたい手ではある。
支援
支援爆撃
そうやってライが頭を悩ませていると、施設の観察班より高速な何かが街に接近すると
言う連絡が入る。
「高速な何かとは何だ? すぐに探れ」
ノートパソコンの一台を施設の観察室につなげる。報告通り何かが基地へ接近する様が
モニターに映し出される
『判明しました! こ、これは……!』
何故か観察班の声が震え、その先が聞こえない。
「何なんだ! はっきりと報告を――」
苛立ち怒鳴り返したと同時にライはモニターを見て、絶句する。
「……な…」
――まさか。何故、どうして。彼がここに――!?
観察班より報告が入るが、ライは聞こえていない。見開いた目はただ施設の正面を移す
モニターを凝視している。
『こちらは皇帝陛下直属ナイトブラウンズ、ナイトオブセブン枢木スザクだ。
ライ・ランペルージ卿。貴殿を国家反逆罪の疑いで逮捕、拘束する』
白き死神と渾名された機体、ランスロットより友の声が響いた。
つづく
毎度毎度沢山の支援、ありがとうございます。六話終了です。
。さてブリタニア編最終回の第七話、12話を見て驚喜して、
13のネタバレを知って落ち込みんだ自分が悲しみの感情に任せるまま一気に半分以上
書き上げてしまいました。7話はもしかしたら明日辺りにでも投下できるかもしれません。
ああ、しかしネタバレを知ってから繰り返し繰り返し、OOのBGM「REASON」、
「SEPARATION」が脳裏でリフレインしている……。
R2本編は後半戦に入りますが一体どうなる事やら……。
スザクキター!!
これはいい引き…続きが気になるってレベルじゃねーぞ!
GJでした
ナカオケンタロウ21歳卿の二作目が保管庫で見れないんだけど・・・
俺だけかな?
>>377 マジで大作だ。毎回楽しみすぎます
そういや読み手も「362の2行目に文字欠けがあるようだ」とか細かいことまで指摘した方がいいのかな?
文の流れで誰でもその文字が分かるようならスルーでいいかな
>>345 GJ!そして、すみません割り込んでしまった……
何故か投下規制されて謝罪が遅れてしまいました、申し訳ない。
>>377 GJ!
自分もバレスレ見てしまい、今書いてるお馬鹿話の続きが書けなくなってしまった……
>>382 俺は本編とロスカラは別物だと考えてる
そうすれば書けないかな?
お馬鹿話、読んでみたいです……
>>377乙&GJです
シリアス長編楽しませていただいております
特に今回の絶妙な引き!続きを楽しみにせざるをえません!!
気になったのは
>>368の「あそこに、エリア11に行きたがらない皇族がいない分」は
「行きたがる皇族がいない分」のではないかということと、
数ヵ所カリーヌがカレーヌになっていた事です
また、お気持ちは察しますが、バレに関する一文は正直微妙です
どうもお久しぶりです。
そうです、オレンジやダールトンを書くのが得意なロスカラSS職人です(ぉ
このたびは「すれ違い、ぶつかり合い」の続編……ではありません!!
カレン好きな同士たちよ、許してくれ。決して彼女への愛が醒めたわけじゃないんだ〜
ただ……『皇女ナナリー×騎士ライ』が猛烈に書きたくなった『だけ』です!(爆
と言う事で書いてみました。と言っても、まだブラックリベリオン途中にV.V.がナナリーを拉致しに来た辺りだけど……
投下して宜しいか、諸君?(……返事が無くても投下はするが(ぁ
>>387 もちろんどうぞ、一発かましてやりましょうや!大将!
>>387 猛烈に何かの衝動に駆られることってあるよねw
ということで同士よ支援は任せろ!
「ライさん……」
エリア11で起こり、後にブラックリベリオンと呼ばれる事になる大規模な騒乱。
その渦中であるアッシュフォード学園、クラブ棟の一室で二人の男女が居た。
女性はまだ少女と言っていい年齢。車椅子に座っている事からわかる通り足が悪く、硬く伏せられた瞳は光を捉えていない。
栗色で僅かなカーブを描く長い髪、整った白亜の表情は心配そうに歪んでいた。彼女の名はナナリー・ランペルージ。
「大丈夫だよ、ナナリー。スザクも、会長達も、ルルーシュも」
そんな彼女の隣で片膝をついて震える小さな手を優しく、だがそっと握っているのは少年と青年の狭間。
特徴的な銀色の髪と端正な顔立ち。弱々しい細さではなく、鍛えられ引き締まった細身の体。
彼はライ。名字は無い。わずかばかり前にこのアッシュフォード学園に転がり込んだ記憶喪失者。
「…はい、でも…」
「ルルーシュやスザクや生徒会のみんなが、僕たちを悲しませた事があったかい?」
「……ありません」
「そうだね。だから信じて待っていようよ」
ナナリーにそんな言葉をかけながらも、ライは自分が恐ろしく冷たい目で事態を分析している事に驚いた。
この辺りまで反乱軍 黒の騎士団が攻め込んできた辺りを見ると、租界外縁の防衛ラインは突破された事がわかる。
外では同じく生徒会の仲間にして、ブリタニア軍のナイトメア・フレームのパイロット、枢木スザクが罠にハマって動けず。
そんな彼を助ける為に飛び出して行ったミレイ・アッシュフォード達も最良の選択とは言えない愚行だ。
支援
「ライさんも……」
「ん?」
「ライさんもスザクさんを助けに行きたいですよね?」
冷静に状況を見極めようとしている自分と、それに首を傾げつつ観察する二人の自分を感じていたライに、ふとナナリーが聴いた。
そしてソレは彼自身も感じていた疑問。
本来ならば現在の面子の中で、運動神経や状況判断に優れていると自他共に認めるライこそが、スザクの救出に向かうべきだったのだ。
しかしライは絶対的に救出に参加できないナナリーと共にここに居る。その理由はきっと……
「もちろん、そういう気持ちはあった。けど……さっきミレイさんに言われたんだ」
「? どんな事を言われたのですか?」
「『恋人を自分でチャンと守んなさい!』ってね?」
「っ!?」
こんな状態になってから初めて、ナナリーの頬に赤みが差し、少女らしい恥かしげな表情が浮かぶ。
そんな様子に僅かにながらも表情に余裕を取り戻したライが続ける。
「それに僕はルルーシュ公認の君の恋人だ。彼が居ないのに、ナナリーを放って置くわけには行かないよ」
「もう! ライさんったら!」
そこだけ見れば完全にじゃれ合うカップルの図だろう。
だがライのナナリーに触れる反対の手には、スザクを助けに飛び出す前のミレイから渡された、学内施設のマスターキーが握られていた。
『もし本当にどうしようもなくなったら、ソレを使ってナナちゃんと逃げなさい』
ライはミレイから言われたもう一つの事柄を思い返し、何日もかけてブラブラと歩き回り蓄積した学園内構造を再生。
脳内で早く、安全に非戦闘エリアに抜けられるルートを検索していた時、『 ソ レ 』は来た。
支援
シュッと小さなエアー音。自動の扉が人の存在を確認し、道を開けた音が一つ。
そこから現れたのは貴族風の服を来た少年だ。いや……少年の形をした何か。
ライは思わず立ち上がり、ナナリーを庇うように立つ。
「あら? C.C.さんですか?」
聴きなれた足音と雰囲気でナナリーが口にするのは、時折クラブハウスをふら付いている女性の変わった名前。
その女性の事はライも知っている。確かに不思議な雰囲気を纏っていたが……コレほど神経を逆撫でする悪寒を生む存在ではない。
「違うよ、ボクはV.V.。君を迎えに来たんだ、ナナリー」
「えっと……」
「何を言っているのか解らない。お引取り願えるかな?」
穏やかなのは声色だけ。これが最初で最後の忠告。ライが拳を静かに、確かに握り締める。
そんな邪魔者の様子を興味無さそうに見下ろしていたV.V.がふと表情を崩す。
最初は訝しげに、徐々に驚愕へと移行し、最後は嬉しそうな微笑へ。
その雰囲気の変化にライたちが戸惑っているのを見て、彼は思い出したように言葉を紡いだ。
「まさか、こんなところでお目にかかれるなんて……ねぇ? ライ」
「っ!? なんで僕の名前を知っている」
「もちろん知っているよ。辺境の小国を一代で大帝国まで育て上げた狂…「あの、V.V.さん」…なんだい? ナナリー」
普通ならば人の会話を遮ってまで話す事など、決してしないだろうナナリーがライとV.V.の会話を遮った。
その表情には先ほどまでの恐怖や戸惑い以外に、覚悟を決めたようなリンとした色が宿っていて、ライは思わず見入ってしまう。
「先ほど私をお迎えにきたと仰いましたよね?」
「そうだよ」
「そのお迎えは今すぐ受けなければなりませんか?」
「今すぐが良い。というよりもこの時じゃないとダメ。運命は動き出しているんだよ?」
「そう……ですか」
396 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/02(水) 18:56:32 ID:Hs6guyBK
支援
支援
ライは二人の会話に疑問と憤りを濃くしていく。
これではまるでV.V.がナナリーを何処かへ連れて行くのが決定事項であり、彼女自身もそれを受け入れようとしている風に聴こえる。
そんなことは絶対にさせない! 再び気合を入れなおし、策を練りだしたライにナナリーが向き直り、言った。
「ライさん、ゴメンなさい。こんな形になってしまって……お別れが」
「何を言ってるんだ、ナナリー? そんな奴の言う事なんて……」
「でも! この方はきっとそういう事を躊躇いなく行える人です」
『気にする必要は無い』 『狂言さ』
そんな言葉で否定できない理由がライにはあった。まずはあの神出鬼没なC.C.と同じ雰囲気を纏っている事。
そして現実としてV.V.は黒の騎士団が制圧しているはずの学園に一人で現れた。誰にも気づかれる事なく……
「本当はナナリー以外には会わない算段で来たから、ボク一人で穏便に済ませられた。
でもね? ライ、君が抵抗するとなるとちょっと面倒な手段を使わなきゃいけなくなる」
「人質のつもりか? アッシュフォード学園を、みんなを!!」
「そう思ってくれていい。だからこそナナリーはボクについて来てくれるって言ったんだから」
何度も言うが妄言で済ませるのにこの少年の形をしたナニカは危険すぎる。
本当に何のためらいも無く、学園都市の一角を爆弾で吹き飛ばしそうな……
吹き飛ばしてなお軽薄な笑みを浮かべている姿が簡単に想像できた。
だがここでナナリーを渡すわけには行かない。ルルーシュやスザク、ミレイ達に合わせる顔が無くなる。
ライが必死に対抗策を練っている時、V.V.が出したのは思わぬ提案。
「もし君が抵抗しても、ボクはナナリーを連れて行く。
でも君がナナリーと一緒に来るって言うなら……ボクは君を歓迎するよ、ライ」
支援
「? どういう意味だい?」
「言葉通りに受け止めてもらって構わない。ボクは君にも興味が湧いたんだよ」
どちらを選ばれようと構わない。相手に選択権を与えているというのに、V.V.は余裕を崩さない。
どの選択肢も不利にならないからか、それともライが既にどちらを選ぶのか解っているからか?
「一応確認したい。ナナリーと僕、引き離されると言う事は無いんだな?」
「もちろん。城に戻る『姫』には……『騎士』が必要だもの」
「まさか……お父様方のお知り合いですか?」
「そうだよ、ナナリー。シャルルとはちょっと長い付き合いなんだ」
『姫』
その言葉の意味は正しくナナリーが世界の三分の一を占める大国 神聖ブリタニア帝国の皇女であると指し示す。
ナナリー・ヴィ・ブリタニアとしての彼女をライはこのとき初めて認識した。
それと同時にV.V.がブリタニア皇帝の意思により、ブリタニア帝国皇女のナナリーを欲している事。
同時に皇女として欲する以上は身の危険が少ない事まで読み解けた。外からは更に激しい戦闘の音。
廊下からも人が走る音が聞こえる。ここも既に安全とは言えない状態。ならば……ライが選ぶのは……
「解った。君の条件を飲もう、V.V.」
「いけません、ライさん! これ以上ご迷惑をかけるわけには…「ナナリー!」…はいっ」
401 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/02(水) 18:59:15 ID:Hs6guyBK
支援
支援
今度はライがナナリーの言葉を遮った。今までに無い強い口調。
思わず返事を返しつつ、沈黙する彼女の前で片膝をつき、ライは再び彼女の手を優しく握った。
「正直この後、どうなるか僕にも予測が付かない。でも……君は僕が守る」
「でもずっと私は……流されてばかりで、自分では何も出来なくて……何時もお兄様やスザクさんにご迷惑をかけて……
今度はライさんにこんな事を……私はヒドイ女の子ですよね?」
不甲斐ない。足はともかく目が見えないのは心に原因があると言われてきた。
世界を見ることも出来ない自分がどれだけの事ができようか?
母が暗殺されたあの日から、枢木神社に預けられてから、アッシュフォードに身を寄せてから、私 ナナリーは何もしていないのかもしれない。
「ナナリー、君は大事な事を忘れているよ」
「え?」
「さっきも言ったけど、僕は君の恋人だ。僕は君を愛してる。
好きな人を守るのに損も得も、良いも悪いもありはしない。
『君がナナリーで、僕がライである』それだけで理由は充分なんだ」
「ライさん……」
だけど向けられた言葉には代わらぬ愛が満ちていて、ナナリーは硬く閉じられた瞳の奥から込み上げて来る熱い物を押さえられなかった。
透明な涙を拭いながら、ライは続ける。
支援
「それに『守りたい』と言う言葉も適当ではなかったかな?」
「そうなのですか? ではどんな…『一緒にいたい』…!」
「病める時も、健やかなる時も。富める時も貧しき時も……」
まるで婚約の誓いの言葉。イヤ……これはもっと純粋で愚かで神聖な……
「死が二人を別つまで……ですか?」
「イヤ、死すら二人を別つ事は出来ないよ」
「ライさんって……ズルイです」
「ん?」
愛おしく幼稚で幻想的な……
「「ずっと一緒だ(です)」」
……契約。
406 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/02(水) 19:02:21 ID:Hs6guyBK
支援
支援
以上でした〜
罵詈雑言が無ければ、今度こそ騎士「っぽい」ライと姫「っぽい」ナナリーを書きたいと思ってます。
とりあえずR2の総督になったナナリーとソレを支える騎士ライくらいまでは書きたい。
本編が何処に行くのか知らんので、捏造万歳!になるとは思いますがw
>RC卿
長時間乙&超GJ、そして続きが超気になる!上手いな〜読んでて引き込まれた。
このライすごい好きだ!!
>貧弱な軍馬卿
GJ!こういうライナナも良いね〜。
しかし皆、様々なパターンを持ち出してくるよな…捏造上等、どれも楽しみに待ってるよ!
>>408 GJ!
しかし、V.V.はこの間ずっと待ってたのか!?
恐るべきエアリード能力だぜ!!
>>408 GJです
VVそっちのけで2人の世界を作ってるライとナナリーに吹いたw
413 :
保管庫の人:2008/07/02(水) 21:05:48 ID:DGzX5+Vz
>>380 申し訳ありません、完全に当方のミスです。ナカオケンタロウ21歳卿にも重ねてお詫び致します。
>>RC卿 381で指摘された箇所と「カレーヌ」を修正しました。ご確認ください。
言い忘れた〜貴君らの支援攻撃に感謝の意を表す!(敬礼
そして感想ありがとう〜ついでに言い訳〜
「書いてる途中でVVの事なんてどうでも良くなってしまったんだ!!(爆」
『まだかな〜』
眼前で続く甘い言葉のキャッチボールに、V.V.は正直退屈していた。
でも手は出さない。口も出さない。もはや覚えてない遠い昔、シャルルと一緒に怒られたんだ。
『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて地獄に落ちる』って
「どんな馬なんだろう……試してみようかな?」
でもやっぱり止めた。怖いもん。
以上、その時のV.V.でしたw
>>414 何という空気紳士。
あのダルそうな座り方が脳裏に浮かぶw
VV可愛いすぐるだろwww
しかしこういうルートでR2に入るのもありですなー
417 :
保管庫の人:2008/07/02(水) 21:17:16 ID:DGzX5+Vz
>>「書いてる途中でVVの事なんてどうでも良くなってしまったんだ!!(爆」
ほほう……
>>414 貧弱な軍馬卿、GJ!
ライとナナリーいいなぁ〜と思ってたらV.V.の可愛さに全部持ってかれたw
>>417 管理人さん怖いよ……
419 :
保管庫の人:2008/07/02(水) 21:47:32 ID:DGzX5+Vz
>>418 いやいや、ほんの冗談なのでマジに受け取らんでくださいw
〜管理人より重要なお知らせ〜
以前申し上げたサーバーの容量限界がいよいよ秒読みの段階にさしかかりました。
近日中に自宅でサーバーを立ち上げる予定ですが、実運用まで長期間を要するものと思われます。
そこでそれまでの繋ぎとして、プロバイダとの契約を更新するのですが、今月の25日頃〜末の間、更新が
全く出来ない可能性があります。(保管そのものはします)
詳しいことが解り次第お伝えいたします。
>>保管庫の人
いつもご苦労様です。
容量の限界が近づいているようで……
私が今書いているSS(子供に変化と多人数のバカ話)は少々長いので
早めに投下した方が良いですかね?
それとも新天地ができてからの方が良いのでしょうか?
421 :
保管庫の人:2008/07/02(水) 23:00:15 ID:DGzX5+Vz
もっと大事な事を言い忘れてました。
容量云々は、極端に言えばしがない管理人のどうでもいい戯言と思ってくれればいいです。
作品投下を躊躇するようなことだけは、どうかお止めください。
ライ「今日の朝ごはんは目玉焼きか」
僕は目玉焼きに…
△ 醤油をかけた
× ソースをかけた
○ ケチャップをかけた
□ 塩コショウをかけた
L1 マヨネーズをかえた
L2 そのまま食べた
R1 メープルシロップをかけた
R2 ×××××をかけた
最悪このスレをHTML化してローカルに保存しておくこともできるし、
保管庫の人さんにそういった形で協力もできると思うんで、投下を踏みとどまるのはどうか、どうか…!
管理人さん了解しました。
誰もいないようなので・・・、
初めまして、犬男と申します。
ここの職人さん方のSSに触発されて、初めてSSを書いてみました。
初投下故、荒があるとは思いますが、その時はどうぞご指摘ください。
(勉強になります故)
それでは投下いたします。
作者名:犬男
タイトル:『七夕の奇跡』
カップリング:ライ・神楽耶
注意事項:このSSでライは、青月編の神楽耶ルート後、C.Cの誘いで黒の騎士団に入団し、入団後に神楽耶と再会しています。
特区設立際、ユフィに撃たれた事と、ギアスを使用したことにより意識が戻らず眠り続けたままの状態ってことになっています。
>>384 違うな、間違っているぞ。
本編ではない、R2アニメ版だ(LCR2原作も可)。
取り敢えず、ライカレキスの馬鹿話は書き上がってる前半部分を明日にでも投下します。
>>保管庫の人
いつもご苦労様です。
容量云々言われたのに平気で投下するつもりの配慮の無い人間でした、反省。
>>422 自分はソースをかけてたんだが、SE1でフルボッコされてて悲しい……そんなに異常だったのか、俺。
戦いは一時の終焉向かえた。
黒の騎士団とブリタニアとの戦いは終わり、イレブンはブリタニア第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアの唱えた、
特区日本の設立を契機にゆっくりと、だが確実に平和への道を歩んでいた。
その特区日本設立の窮地を、己が想いと命を賭して救った青年がいた事は、あまり知られていない。
ここは特区日本内の病院の一室。
窓から夕日に照らされたサクラダイトプラントが優雅にそびえている姿が見える。
そこには一人の銀髪の青年が眠りに付いていた。
彼の名前はライ。黒の騎士団に所属し、ゼロの片腕とも呼ばれた男。
そして特区日本設立の窮地を救ったその人である。
あの日、彼は血だらけで発見された。
一命は取り留めたものの、血を流しすぎた為か、意識が戻らず数ヶ月経っていた。
そんな彼の病室に、一人の少女が入ってきた。
彼女の名前は皇神楽耶。
ライの思い人であり、彼女もまたライを愛しているのだ。
「ライ、今日7月7日は七夕って言うんですよ?短冊に願い事を・・・・。」
彼女は眠り続けるライにそう語りかけながら、近くにあった花瓶に短く切った竹を刺し、その先端に数枚の短冊を吊るしていく。
神楽耶は一日の仕事を終えると、毎日ライに会いにきてはその日にあった事を話したり、
ライの身の回りの世話をするのが日課となっていた。
本来ならば神楽耶がやることではないのであろうが、本人いわく
「夫の世話をするのは妻の役目ですから・・・。」だそうだ。
あらかたやることが終わり、神楽耶はベットの横に置いてあった椅子に腰掛ける。
神楽耶はライから視線をそらして窓を見るとすっかり暗くなっていた。
せっかくの七夕だと言うのに空は雲に覆われ星が見えなかった。
神楽耶は
「先ほどまで晴れていたのに・・・。」と
ため息をつき、再びベットの上のライに視線を戻し、
「ライ、貴方が眠ってからどれ位の月日が流れたのでしょうか?」
未だ眠り続けるライの髪を優しく撫でながら寂しそうに呟いた。
あの日、彼が倒れたとの連絡を受け、急いで病院に駆けつけた神楽耶が見たのは、様々な計器につながれているライだった。
愛すべき人の変わり果てた姿を見たとき、ライに抱きつき、声を上げ泣いてしまったのだ。
最近、俺タイミング悪すぎるな……
割り込み申し訳ない、反省しつつ支援。
今思えばあの時は自分が自分で無い様だった。いつも皇家の頭首として気丈に振舞ってきた自分が、
いつからこんなに脆くなったのか、神楽耶はライの髪を撫でながら、弱くなった原因である、ライとの日々を思い出す。
アッシュフォード学園での出会いと別れ、黒の騎士団の使者としてキョウトにきた彼との再会。
それからの思い出の数々・・・。
今でも昨日の事のように思いだせる。彼女は髪を撫でていた手を止め、彼の右腕を両手で抱きしめる。
両手に感じるライの確かな温もり、言葉を交わすことができなくてもライがそこにいる確かな証。
ライが起きるまで泣くのを止めると心に誓ったはずだが、自然と涙が溢れてくる。
「ライ、早く起きてください、でないと私心が壊れちゃいそうです。」
神楽耶はライの手を抱きしめながら、溢れてくる涙を拭う事もせず泣き続けた・・・。
「ここはどこだろう?」
ライは自分のいる空間を見回した、どこかで見たことあるような風景だが思い出せない。
(それにしても自分は何でこんなところにいるんだろう?
確かユーフェミアに撃たれて、ギアスを使ってそれから・・・。)
「お兄様、ここにいらっしゃったのですか?」
思考の渦に捕らわれそうになったライの背後から少女の声がした。
ライは突然聞こえた声に振向くと、そこには今は居ない筈の大切な妹・咲久耶が居たのだ。
「え、咲久耶どうしてここに?」
ライはそういいながら妹の傍に駆け寄る。
そのライの言葉を聞いた咲久耶はほほをぷぅと膨らませ、
「お兄様がいつまでも寝ていて、あの子を悲しませてるから怒りにきたんです!!」
咲久耶がプンプンと怒ってる様な仕草をする。
ライはそんな妹の姿に懐かしいものを感じながら、気になった部分を咲久耶に聞き返す。
「あの子?悲しませてる?」
咲久耶は、「はい」と答え
「私と似た様な名前の女の子で、たしか神楽耶さんと言ったと思います。」
その名前を聞いた瞬間、ライの脳裏に自分の傍の寄り添い泣いている神楽耶の姿が映る。
自分のとてもとても大切な少女。自分が愛した少女、この時代に生きる意味になった少女。
「神楽耶!!神楽耶!!」
ライは大声叫ぶが神楽耶には伝わらない。
ライは咲久耶の方に振り向き、
「咲久耶、彼女の傍に戻るにはどうしたらいい?」
咲久耶は笑みを浮かべ、
「安心してください、お兄様。お兄様が目覚めて彼女の事を思い出した今、
傍に戻れますよ。」
咲久耶のその言葉をあらわす様にライが光に飲まれ徐々にその形を失っていく。
ライは消える前に咲久耶に最後の言葉を投げかける
「咲久耶、ありがとう、そしてさよなら。」
咲久耶は笑みを浮かべたまま
「お兄様、今度こそ幸せになってくださいね?」
そう呟き、ライがいた場所をしばらく見つめていた。
432 :
保管庫の人:2008/07/02(水) 23:16:46 ID:DGzX5+Vz
支援
>>425 いや、お願いですから投下してください。そうでないと契約更新そのものが無意味になってしまいます。
徐々に意識がハッキリとして来たライは、ゆっくりと目を開ける。
ぼやけていた焦点が次第にあってくると、傍にいるだろう神楽耶の姿を探す。
すぐ見つけることができたが、泣き疲れたのだろうか、彼女は寝息を立てていた。
痛む体と右手を無理やり動かし、神楽耶の髪を優しくなでる。
誰かに髪を撫でられてる感触に気付いたのだろうか、神楽耶ゆっくりと目を覚ます。
見上げた視線の先には、待ち望んだ笑顔があった。
「・・・・・ライ?」
神楽耶は自分の見ているライが夢なのか、それとも現実なのか分からずにいた。
そんな状態の神楽耶を見てライはゆっくりと神楽耶のほほに手を持って行き
「ただいま、神楽耶」
神楽耶はその言葉を聴いた瞬間、現実だと悟り
「おけりなさい、ライ!!」
そう言うと神楽耶はライの胸に抱きつく。
ライはそんな彼女を優しく抱きしめる。
先ほどまで曇っていた空が嘘のように晴れ、
二人を祝福するように夜空には天の川と二つの星が輝いていた。
以上で御座います。およみくださった方々有難う御座いました。
見ても分かるように、後半は力尽きてぐだぐだになっています。
咲久耶に関しては名前は依然見たSSより拝借しました。
あと織姫と彦星の話で手助けする鳥がいたような記憶があるのでその鳥の代わりに出しました。
思いついたきっかけはもうすぐ七夕近いな〜→織姫と彦星って神楽耶とライっぽくね?
→よし書いて見るか、という経緯です。
しかし、頭の中で妄想するのはすごく簡単なのですが、
いざ書き始めると文章することが異常に難しい事に気が付きました。
改めて他の職人さん方々を尊敬いたします。
だた書く事は楽しかったので、また機会があれば投下したいと思います。
ああ・・お礼夕の忘れたorz
支援有難う御座いました。
支援
>>434 GJ!楽しませて貰いました!
いいなぁ、俺もこんな風に書いてみたいぜ。
>>433 「おけりなさい、ライ」は、修正したほうが宜しいかと。
>>435 GJ
本編は鬱期間に入りそうなので、こんな幸せ感の漂う作品に出逢うとほっとします
440 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/02(水) 23:34:34 ID:Qaol3pdv
忍ぶ恋…いいなあ
明るい神楽耶もいいけど、奥ゆかしい神楽耶もかわいくていいっす!
441 :
保管庫の人:2008/07/02(水) 23:55:57 ID:DGzX5+Vz
419は「今月末は更新が滞ることがあるだろうけど待っててね」ぐらいの軽い意味合いで受け止められるかと思ったのですが、
思ったより反響が大きくて自分でも驚いております。そこで、スレを混乱させてしまったお詫びとしては何ですが、
た っ た 今 契 約 を 更 新 し ま し た
よって当分は容量問題を懸念することはなくなりました。(当然、月末の更新停止云々も無くなりました)
ですので、職人の皆様、どうかこれからもどしどし作品を投下してください。
443 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 00:06:54 ID:ULBDMxcg
相変わらず神速っすねぇ…
>>435 GJ!今本編のせいで涙もろくなってるから、こんなハッピーエンド見るとやばい…
>>441 あなたが管理人になってくれて本当に良かった!!
445 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 00:10:18 ID:1CMK1ker
>>441 職人の方々や作品を見る私たちに対する細やかな対応ありがとうございます
これからもお体や管理人様の予定に支障が出ない程度にがんばってください
>>441 管理人さん、あなたはどんだけ愛に溢れた人なんですか…!
あなたがいる限り私はSSを書き続けますよ!
448 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 00:20:55 ID:1S+pq86d
そういや、七夕の時期ですね。SSもそのネタ多くなるのかな?
七夕とセシルさんの作る料理・・・・。
トイレ逝ってきます。
すんません、感想入れずに書き込んじゃったよorz
>>434 GJですじゃ!こんな優しいお話は本当に貴重ですね
これから神楽耶とライの日々が幸せなものでありますように
支援の時は「支援」のみにして欲しい
>>413
管理人さん、381の修正確認しました。ありがとうざいます。
あと一つ、申し訳ありませんが385で指摘されているとおり
「あそこに、エリア11に行きたがらない皇族がいない分」の文章を
「行きたがる皇族がいない分」へ変更をお願いします。
13話まであと三日…。
441>>
いつもご苦労様です。
我々も保管庫とは思えない更新速度で管理してくれている管理人様には頭が上がりません。
私は書き手ではありませんので、これからも常に全力で支援させていただきます!!
>>435 GJ!神楽耶はもうちょっとゲームでの待遇良くして欲しかったなぁ…好きなキャラだけに
454 :
保管庫の人:2008/07/03(木) 07:00:01 ID:Ifxb7fmx
管理人卿へ
>>414は保管しないのでしょうか?
あまりにナイスオチですのでこのままでは惜しいと思うのですが……
まあ、軍馬卿の意見次第ですけど。
>>414 VVのライ並みのエアリード能力に和んだ。
しかしバカップル恐るべし。これこそ想いの力か(笑)
貧弱な軍馬卿、GJです。
>>434 GJです。しおらしく健気な神楽耶が可愛いですね。
本編があれですからよけいにそう思えます。
……いえ、あれはあれでいいと思っていますよ? パワーがあって可愛いですし。
管理人さん、再びの修正本当にありがとうございます。
さて、今までにない速さで書き上げたReturn Colors 七話投下します。
今回は5話並に長くなっております。最終投下より10分経過したあと投下がないならば
お猿さんになったと思ってください。その場合は五時か、六時当たりに続きを投下します。
Return Colors 七話 〜激情の白騎士達〜
秘書官が書類を抱えて出ていく音を聞き、ナナリーは一息つく。時刻は九時を回った頃
だ。
いつもこの時間なら公務は終わっているのだが、今日に限って妙に確認する書類が多か
ったのだ。
とはいえ不満を漏らすようなことはない。エリア11の総督になった時には、今まで以
上に働かなければならないのだ。この程度で弱音など吐いていられない。
そう思うナナリーだが、その表情は暗い。再び小さくため息をつくと、
「どうかした?」
側に立っているアーニャが話しかけてくる。ナナリーは何でもないと返そうとしたが、
「スザクのこと、気にしてる?」
ずばり心中の悩みを言い当てられ、ナナリーは黙ってしまう。
今日の昼、所用でブリタニア王宮ペンドラゴンへ出向いたときだった。玉座の間から普
段とはまるで違う雰囲気を漂わせたスザクと会ったのだ。
あまりに冷たく剣呑なその様に声をかけることを躊躇ったナナリーだったが、勇気を振
り絞り、恐る恐る声をかけた。
『どうかしたんですか? スザクさん』
『――なんでもないよ。ナナリー』
平静を装っていたが、人一倍周囲の気配に敏感なナナリーにとってそれは全くの無駄と
いえた。どういう事なのかスザクはひどく怒っている。それもナナリーが感じたことのな
い不可解な怒りだ。
カリーヌや他の皇族達からぶつけられている熱い憤激や冷淡な憤嫉のどちらでもない。
それらとは比べものにならないぐらい熱く、そして冷たいものだ。
「アーニャさん、心当たりはありますか?」
同じラウンズである彼女なら、何か知っているかもしれない。そう思い訪ねるが、
「ううん。知らない」
458 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 15:18:52 ID:1S+pq86d
早速支援
即座に味気ない答えが返ってくる。嘘をついている、とは考えない。普段から表情や言
葉の揺れがほとんど無く淡々とした彼女だが、他の人間と違いどのような場合でも嘘をつ
かない。――つくかもしれないがナナリーは少なくとも彼女がそうした覚えはない。ただ
事実のみを短く言うだけだ。
大切な人が何かに憤っている。しかしその理由がわからず力にもなれない。その事実
がナナリーに重くのしかかり、憂鬱な気分を誘う。
「……アーニャさん。すみませんが少し窓を開けてもらっていいですか?」
冷たい夜気を感じたく言うが、珍しくアーニャからすぐに返答は帰ってこない。
「外は雨が降っているけど、いいの?」
言われ、ナナリーは耳をすませる。確かに彼女の言うとおり外から雨音が聞こえる。
それもたたきつけるような激しい音だ。どうやら外は相当な大降りになっているようだ。
周囲の空気もどことなく湿っている。
「天気予報で夜は大降りだって言ってた」
「窓は開けない方が、いいみたいですね……」
ため息をつき、ナナリーは今ベリアル宮にいないライのことを思い浮かべる。
先月の事件以降、ライは賢明に仕事をこなしつつも、しっかり休みを取るようになって
いた。ただ休みの日はベリアル宮には殆どいない。正直に言うと、少し寂しい。
――ライさん。あなたが帰ってきたら言いたいことがあるんです
自分がエリア11の総督に立候補したこと、他の候補者がおらず総督になるのはほぼ決
定的と言うこと。
そして最後の一つ、それは正式にナナリーがエリア11の総督に任命されたら彼、ライ・
ランペルージをナナリー・ヴィ・ブリタニアの選任騎士になって貰うようお願いすること
である。
スザクやアーニャがなれない為、いや仮に二人を選べたとしてもおそらくナナリーは彼
を選んでいただろう。能力的に見ても申し分ないこともあるが、それ以上に彼が側にいる
と不思議と何でもできるような気がするのだ。
彼はルルーシュと似て、しかし違っている。兄のように一方的に自分を庇護している部
分もあるが、何もかもと言うわけでもない。ここ二月弱の間、兄のことを思い出し落ち込
んだ自分を慰めたり、公務のことで悩んでいるときはそれとなく助言をしてくれたりもし
た。きっと彼が側にいればエリア11でもしっかりやっていけるだろう。
そしてエリア11にいる兄ルルーシュに彼を紹介したい。自分を支えてくれた大切な友
人だと。きっと兄とも仲良くなってくれるだろう。
「ライのところも、雨が降ってるのかな」
外を見てポツリとアーニャが言う。雨音が先程よりもさらに強くなっている。
雨は嫌いではない。すてきな思い出があるから。だけど、
「早く止むと、いいですね」
今降る雨は何故か好きになれそうになかった。
『五分時間をやる。手を挙げて施設の外に出てくるんだ』
いつもとはまるで違う無感情な声を発するスザク。腰部に設置されているヴァリスを引
き抜くと、銃口を施設へ向ける。
「スザク……!?」
余りにも彼らしくない一方的な、高圧的な手段にライは驚きを隠せない。
ライの知っているスザクは決してこのような真似はしなかった。一年前のエリア11で
も、そしてEU戦線でも。
そのスザクが、こうも武力を全面に押し出すなど。
「スザク! いくら何でも横暴だろう! 国家反逆罪だと!? 証拠もないのに一体何
を言って――」
その先はヴァリスの銃撃により阻まれた。青白い光弾が施設の正面をえぐり取る。
『次は施設を撃つ』
ぞっとするような冷たさと鋭さがこもった声が響く。それを聞き、スザクが本気だというこ
とをライは悟る。
どういう経緯かわからないが、どうやらこちらの企みがばれたらしい。となれば――
スザクの態度は予想外だったが、ばれたときの対処はしっかりと立てている。自分を捕
縛、または殺すためにはラウンズクラスの騎士が来ること予測済みだった。
支援
パソコンからメモリーを取りだし破壊すると、パニックになっているであろう施設にい
るブリタニア軍人達へ待機の命令を出す。そしてライは部屋を飛び出し、地下格納庫へ向
かう。
多くのサザーランドが並ぶ奥に、ライの愛機であるヴィンセントがある。木に登る猿のよう
に機体を駆け上がり、コクピットへ。機体を起動させる。
搬入口を開かせ、飛び立つヴィンセント。ヴァリスを構えるランスロットがモニターに
映る。空気を振るわせるような殺気を放つ様を見て、ライは機体の両腕を上げる。
『スザク、説明してくれ。国家反逆罪とは一体どういう事なんだ』
抵抗の意を見せないこちらに、ヴァリスの銃口が僅かに下がる。
『あくまで知らないふりをするのか。君が部下や多くの人間を使って情報を集めていたこ
とはすでに調べがついている』
『そうか。だがそれだけで国家反逆罪扱いされるのは納得がいかないぞ。僕が何のために
そうしていたのか、理由は言えるんだろうな?』
『……あくまでとぼける気なのか』
下がっていたヴァリスの銃口が再びヴィンセントに向く。周囲に放たれていた殺気が白
い機体へ凝縮される。
ライはヴァリスをかわせるよう操縦レバーから手を離さない。しかし向けられた銃口か
らは銃弾は発射されない。
細かな雨粒がかすかな音と共に二つの巨人をぬらす。気がつけば分厚い雲が空を覆って
いる。
空から降り注ぐ霧雨は、あっという間に土砂降りへと姿を変える。
『――ギアス』
「!?」
ランスロットから聞こえたあり得ない言葉に、ライは驚愕する。
『君のギアスはあの男、ゼロと同じ絶対遵守らしいな。ゼロは視覚だったが君は聴覚。つ
まり声に出して命令するという訳か』
「……な」
――なぜ、ギアスのことを。……いや、待て。今スザクはなんと言った? あの男――ゼ
ロと同じだと!?
援護
464 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 15:23:36 ID:1S+pq86d
支援
もうお猿さんにつかまったか
『君を逮捕する理由だったな。全て皇帝陛下から聞いている。
部下であるデイビス卿や多くの人々にギアスをかけ、思うがまま操り、情報を集めてい
た。
ルルーシュのことを知るために。ナナリーをブリタニアから脱出させるために』
次々にこちらの思惑や真実が言い当てられ、ライは声も出ない。総身に震えが走り、操
縦レバーを握る手に力が入らない。
『皇女殿下をさらい独断で他のエリアに行くなど国家への反逆以外の何者でもない。これ
が君を捕らえる理由だ。納得したかい?』
『スザク……お前』
ようやく声を発したライ。それに反応してかヴァリスから放たれる銃弾。
「っ!」
反射的にライは機体を動かしていた。青白い光弾をかわすヴィンセント。
ランスロットの機体を横殴りの激しい雨が叩く。左背部よりMVSを引き抜くランスロ
ット。
『ライ・ランペルージ卿。貴殿を国家反逆罪の疑いで逮捕、拘束する』
素っ気なく言い、白き死神がヴィンセントへ突っ込んできた。
首都ネオウェルズにそびえ立つ巨大なホテル。その最上階のスイートルームに二つの人
影がある。
「ギアスキャンセラー。上手く発動したね」
「はい」
VVが隣に立つ男へ嬉しげに告げる。男の端整な顔立ちが嬉しげに歪む。
彼の隣に立つ男は服を着てもはっきりとわかる屈強な肉体をしている。また身なりも一
分の隙もなく整っており、きっと彼を見た者は誰もが高貴な貴族か、屈強な騎士だと思う
だろう。
そしてそう思うことは間違いではない。どちらも正解なのだ。VVの隣に立つ男はブリ
タニアの貴族であり、騎士でもあった。名をジェレミア・ゴットバルトという。
「とはいえまだ完全と言えるにはほど遠いですな。まだまた調整が必要でしょう」
「うん。これからもいろいろと頑張って貰うけど、いいよね」
「もちろんです。私はあなた様にこの命を救われたばかりか、このようなすばらしい能力
まで授けてくださった。その恩は我が名にかけて必ずお返しします」
恭しく頭を垂れるジェレミア。それを見てVVは小さく笑む。そしてふと機情の自白部
屋に集められた男達のことを思い出す。
その中にはヘンリー・デイビスの名前でライ・ランペルージを関していた機情の男もい
る。彼や彼の横にいる者達にかけられたギアスはジェレミアの能力にて破壊している。
――ギアスキャンセラー
長い、長い間ギアス能力を研究している教団がその途方もない時間の果てに生み出した
"王"の力を消し去る異能。王の理を砕く悪魔の刃。
まだ調整中のこの力を使用したのはシャルルより連絡が入ったからだ。ライ・ランペル
ージが記憶を取り戻し、さらにギアスを使用している可能性がある、と。
連絡を受けたVVはまだ調整中のジェレミアと共にブリタニアを訪れ、嫌疑のかかって
いる者達へギアスキャンセラーを使用。ライのかけた絶対遵守の命令は砕かれ、彼らが素
直に吐いた情報からシャルルの嫌疑を確かな事実とした。
こちらからの報告を聞いた後のシャルルの動きは速かった。以前からライを監視してい
たのか、彼の行ったことのある居場所を徹底的に探り、彼の目的を悟ったのだ。――ライ
がナナリーとルルーシュを引き合わせようとしていることを。
そしてシャルルは己の剣に――刃向かった彼への意趣返しのつもりか――彼ともっとも
繋がりの深いナイトオブセブン、枢木スザクへライの捕縛を命じたのだった。
「ふふふ……」
「? どうなさいました」
「ううん。別になんでもないよ」
VVはほんの数時間前のスザクの様子を思い出し思わず笑みをこぼす。
シャルルより命令が与えられた直後だった。VVは再び彼と出会った。
その時スザクは混乱の極みにあった。彼から見れば何故ライがルルーシュのことを知っ
ているのか、ナナリーをルルーシュに引き合わせようとするのかが、わからなかったから
だ。
そんな彼へ、VVはライよりかけられたギアスを半ば強引に解いた。
絶対遵守の、それも暴走状態の命令がもし一人にかけられたならば不可能であっただろ
うが、眠る直前ライは知り合った全ての人間へ神根島の力を利用して自分を忘れるようギ
アスをかけた。
あまりに多くの人間にかけたためライのギアスは能力が弱まっていた。実験中、ライよ
り入手した記憶をスザクの脳裏に強引にはめ込み、強制的に記憶を戻したのだ。
記憶の戻ったスザクへ、優しくVVはささやいた。
『彼はあのゼロと同じ絶対遵守の命令のギアスを持っているんだ』
話を聞いたとき、まさかという表情を浮かべたスザク。
『そしてその力の元に、彼は大勢のブリタニアの者達を手駒として扱っていたんだ。奴隷
のようにね』
ヘンリー達の名前を並べるとスザクの驚きの表情が困惑や嫌疑など、様々なものへと変
わる。
『記憶を奪った理由? 自分がギアスを持っていることを悟られたくなかったんじゃない
のかな。いろいろと便利な力だしね』
一滴一滴、毒を垂らすように言葉を放つVV。言い終わったときにはスザクの表情が灼
熱と極寒が入り交じってできる平坦なものになっていた。
その表情をVVは見たことがあった。かつての彼の主、ユーフェミアが殺されたときに、
ゼロの真実を教えたときに見せたのと全く同じもの。自身でも制御しきれない怒りと憎悪
がこもった人間の顔。
――残念だよ、ライ。君はいい手駒になると思っていたんだけれど
ライは強いが、怒れる鬼神と化したスザクに勝てるとは思えない。いや、今のスザクに
勝つには強さやナイトメア操縦の腕よりも、彼と同じ狂気に似た感情に染まっていなけれ
ば不可能だろう。ライ・カ・ブリタニアに戻ったならばともかく、ライ・ランペルージな
らば勝ち目はない。
ライは負ける。そしてシャルルの元に引き出され殺されるか、記憶を抹消され、人形と
して生きるか。どちらにしても、もう彼が彼として生きることはない。
――さよなら、狂王
愉悦の笑みを浮かべて、VVは心中でライに別れを告げた。
豪雨が一時も休まず降り注ぐ。暴風は吹き荒れ、幾度も幾度も雷鳴が闇を照らし、轟音
を響かせる。
そんな大嵐とも言える天気の中、二機のナイトメアが激しく激突と離脱を繰り返してい
る。ライのヴィンセントとスザクのランスロットだ。
「ぐああっ!」
ランスロットのMVSをかわしきれず、ヴィンセントの左腕が切り落とされる。続く猛
撃をライは必死に機体を操ってかわし、そらし、大降りの攻撃が来た瞬間を見計らって右
のMVSで斬撃を放つ。
――今度こそ、もらった!
フロートユニットを狙ったその一撃。ライの知っているスザクならば回避はできないで
あろう斬撃を、あろうことかスザクはこちらへ体当たりして直撃を防ぐ。
「ぐっ!」
軋みを上げるヴィンセント。反射的に膝蹴りを放つがスザクはまるで読んでいたかのよ
うに碗部のブレイズ・ルミナスで防ぐ。
「っ!!」
後方に下がろうと思った瞬間、ランスロットより放たれた猛獣の如き殺気が総身を震わ
せる。
ライは慌てて機体を引くが、一瞬遅かった。ヴィンセントの膝蹴りを受け止めていたラ
ンスロットのブレイズ・ルミナスが小さな三角を形取る。
そのエネルギーを幾分か受けたヴィンセントの膝が小さなスパークを発し、煙を噴く。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
必死の思いで間合いを置き、コクピットにて肩を弾ませるライ。先程までの猛撃が嘘の
ように目の前で静かに佇む白騎士。
豪雨を浴びながらもその機体にはさしたる損傷は見えない。逆にライのヴィンセントは
ひどい有様だ。
左碗部は切断され、腰部のスラッシュハーケンの片方は切り落とされている。さらに右
脚部は先程のランスロットのカウンターにて完全に壊れており胴体部にも相当なダメージ
がたまっている。先程からフロートユニットも不調を訴えており、まさしく満身創痍だ。
――なんなんだ。このスザクの変わり様は……!
今目の前にいる白騎士はライが知っている者とは全くの別物だった。動きや攻撃一つ一
つがまるで今周囲に吹き荒れる嵐のように激しく強く、そして轟く雷鳴の如き早く鋭い動
きでこちらを追いつめる。
469 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 15:28:08 ID:1S+pq86d
支援
支援
支援
472 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 15:37:04 ID:1S+pq86d
支援
支援
5時まで待つか
支援
支援
何この支援の数www
それだけ期待しているのさ、支援
それは分かるんだがね数に驚いたんだw
というワケで支援
んじゃこのまま投下終わってから
投下しても何とかなるよね支援
支援
支援
ライの知っているスザクの動きからあまりに違いすぎるため予測も全く役に立たない。
戦いの最中、ある程度読み切ったと思ってもさらにその上を行き、予想もしない動きや攻
撃を見せるのだ。
いや、もはや彼の動きは人のものと表現するのはふさわしくない。怒りと狂気をはらん
だ舞闘。それはまさしく戦いの化身、阿修羅という表現が似つかわしい。
――どうする…?
真っ向勝負して、スザクに勝てるとは思っていなかったにしてもこれほど一方的な状況
に追いつめられることも想定していなかった。
逃走するための策は当然用意してある。だが阿修羅と化した今のスザク相手に確実に逃
げ切れる保証はない。
『これ以上の抵抗は無駄だよ。おとなしく連行されたらどうだい』
冷淡に告げるスザク。微塵の変化しないスザクの様子を見て、ふとライは何故こうも怒
り猛っているか、疑問に思う。
スザクのいったことは全て自分がやったことで事実だ。だが、どこに彼がここまで怒る
要因があるのだろうか?
そう思うと同時、ライの胸中に新たに湧き出す幾つかの疑問。それらに促されるように
ライは自然と口を開く。
「スザク。聞きたいことがある。君は僕がやろうとしていることを知っている。にもかか
わらずそれをどうして邪魔をするんだ?」
『……』
「僕がナナリーをブリタニアから脱出させエリア11にいるルルーシュと会わせる。ラウ
ンズの立場からすれば君がそれを止めるのは当然だ。だが、何故そのことにそこまで憤る?
何故君はルルーシュとナナリー。あの二人が引き離されたままの状態を許しているん
だ? あの二人を誰よりもよく知り、ルルーシュの無二の友である君が、何故」
ルルーシュ達兄妹が母国であるブリタニアに対し、忌避を覚えていたことは短い付き合
いライも解っていた。スザクもそれを知ってたからこそエリア11にいたときにも二人の
ことを軍に、主であるユーフェミアにさえ報告しなかったのだろう。その彼が、何故あの
二人を引き離したままにしているのか。
『……ナナリーにルルーシュは必要無いからだ』
ランスロットより響く乾ききった言葉に、ライは唖然となる。
「な……。何、を言っているんだ? 同じ血を引くこの世でたった二人だけの兄妹だぞ。
それがどうしてそう言うことになる? 君だってルルーシュがどれだけナナリーを大切に
思っているか、知らないはずはないだろう」
『ルルーシュは必要ない。あんな男、ナナリーには必要ないんだっ!』
血を吐く叫びが荒れ狂う闇夜に響き渡る。
言葉には、間違いなくルルーシュへの怒りと憎悪が詰まっていた。先程から見せる全く
予想していないスザクの態度や反応に、ライは慣れず戸惑うばかりだ。
「何が……あったんだ。僕が神根島根で眠りについた後、君とルルーシュの間に」
『……ライ。君は黒の騎士団に所属していたそうだね』
荒い呼吸がおり混ざった声が聞こえる。
「ああ。……VVから聞いたのか」
『それじゃあ君はゼロがギアスを持っていたことは知っていたかい? ゼロの正体を知っ
ていたかい?』
「いや……今君から聞いて、初めてゼロがギアスを持っていることは知った。ゼロの正体
は僕も知らないが……。
それがルルーシュと何の関わりがあると言うんだ」
ライの問いにスザクは嘲るような、悲しむような声で返す。
『ゼロは弱者の味方。強者への反逆者。しかしその正体は己の望みのために世界を壊そう
とした愚か者だった』
「のぞ、み…? 世界を、壊す?」
『自分にとっての宝。たった一人の実妹、ナナリーが幸せに暮らす世界を作るために』
ライは息を呑む。スザクの怒りを理解し、脳裏でバラバラだったピースがゆっくりと形
を成していく。
「ま、さか。ゼロの、正体は、」
『そうだ。君が想像したとおりだ。
ルルーシュ・ランペルージ。いや、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアこそが、ゼロだった
んだ』
『ルルーシュがゼロ……。そ、それはわかった。だがそれでも彼がナナリーにとって必要
でないとは言えないだろう』
狼狽えを声に出し、ライは言葉を放つ。
「ライ。以前君とブラック・リベリオンの事を話したのを覚えているかい」
『あ、ああ』
「あの事件のブリタニア側の公式発表も当然知っているだろう?」
『……ユーフェミアの突然の精神失調及び、それに乗じたナンバーズ不穏分子の妄動だっ
たか…』
「以前は話せなかったが、事実は違う。ライ、君はルルーシュと親しかった。彼から少な
からずユフィのことについて聞き及んでいないかい?」
『少しだけならな。ブリタニアという国とその皇族を嫌悪していたルルーシュがユーフェ
ミアのことを話すときだけは穏やかな口調だったよ。
エリア11でも副総督として慈善事業などにも貢献していた彼女が、とてもあのような
虐殺を命じる人間とは――』
言葉を突然打ち切るライ。発する声の震えがさらに強くなる。
『まさか、ルルーシュ、が』
「そうだ。ゼロ、いやルルーシュが彼女にギアスをかけた。"日本人を皆殺しにしろ"とね」
『馬鹿な! それこそあり得ない!』
「だが事実だ! ルルーシュも否定はしなかった! 悔いもせず過去と、あの惨劇を、ユ
フィの死を、過去と言い切った! 切り捨てた!!」
反論するライへ、スザクは内の激情そのままに言葉をぶつける。
今でも鮮明に思い出せる。神根島でゼロ、ルルーシュと対峙したときのことは。
あの男、ルルーシュは全てを見下し、嘲笑っていた。その顔は自分が知るルルーシュの
ものとは全く違う。
まさしくゼロとしての、いや、あれこそがルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの本性。あん
な男を友だと思っていた自分は今でも許せない。
『違う。違うそスザク。ルルーシュがそんなことをするはずはない。そんなことを望むは
ずが――』
支援
「だが俺はこの目で見た! ゼロが、ルルーシュがユフィを撃ち殺すその瞬間を!!」
ユフィが掲げた特区日本。ルルーシュが協力すれば間違いなく上手くいっていたであろ
うそれを、ルルーシュは身勝手な理由ユフィを汚し、無惨に壊した。多くの日本人の命を
失わせた。
眼怒りのボルテージがさらに上昇し、眼前ユフィが撃たれるところ、彼女の最後がフラ
ッシュバックする。
「ライ。君はあの二人を会わせようとしているが、それがどういう事態を引き起こすこと
にあるか、もう解っただろう。僕が黙っていた理由も」
あのままナナリーを側に置いておけばいずれはルルーシュの愚かな反逆に巻き込まれる
のは目に見えている。もしそうなれば彼女がどうなるか、それは火を見るよりも明らかだ。
何よりこの事実を知れば、ナナリーは決してルルーシュを許しはしない。だがスザクが
あえて黙っているのはナナリーが壊れることを防ぐためでもある。
ルルーシュの反逆の理由が自分にあると知れば、あの少女は罪の意識に耐えきれないだ
ろう。自ら命を絶つことさえも考えられる。
だから事実を明かさない。ルルーシュはもう違うが、ナナリーは自分にとって大切な存
在だ。ユフィの二の舞は決して踏ませない。
「必要ない。ユフィを殺したあの男に――自分の望みのために大切な者すら踏みにじるよ
うな男にナナリーは必要ない。ナナリーもあの男を必要としていない!」
誰よりも平和を願い、心優しいあの少女側に血と罪で汚れたルルーシュが必要であるは
ずがないのだ。ナナリーの為に世界を壊す? 死と破壊にまみれ、多くの屍の上に築かれ
た世界をナナリーが喜ぶはずもない。
ナナリーの側には自分がいる。いや自分だけではなく多くの人間が。そのうち誰かがル
ルーシュの変わりにナナリーと共にまっすぐ正しい道を歩んでくれるだろう。
だから、ルルーシュはもう必要ないのだ。
沈黙するヴィンセントへ、スザクはランスロットの片手を差し伸べる。
「わかっただろう。ライ、ルルーシュは君ほどの男が友誼をかわすにはもったいない男だ。
このままブリタニアで僕と一緒にナナリーを守っていこう」
大勢の人間を操ったことは許し難いが、ルルーシュのように人の運命を彼はねじ曲げていない。命を奪っていない。
皇帝陛下に進言し、ギアスに関する記憶だけ消去すれば問題はない。
『――ふざけるな、枢木スザク』
「!?」
突然聞こえた怒りのにじむ声に、スザクは驚く。
半壊状態のヴィンセントの目に光が灯ると、MVSを掲げ、突っ込んできた。
ヴィンセントが放った必殺の斬撃を、ランスロットはMVSで受け止め、動きの停止し
たヴィンセントへ片方のMVSを突きだしてくる。
回避はおろか、反応さえ難しいそれだが、その行動はすでに予測済み、とライはほくそ
笑む。突き出されたMVSへヴィンセントはスラッシュハーケンを放ち、突きの軌道を大
きく外す。
受け止められたMVSを引くと同時、機体を右回転。遠心力を加えた稼働する左足で蹴
りを放つ。しかし右腕を上げ、間一髪のタイミングで受け止めたランスロット。お返しと
ばかりに左腕のスラッシュハーケンを放ってくるが、ヴィンセントもMVSで弾き、その
まま横薙ぎへ変える。
『くっ!』
くぐもった声の漏れたランスロットはかがめて斬撃をかわし、左のMVSをヴィンセント
の胴体部めがけて突き出す。
眼にも止まらぬ高速の突きをヴィンセントは少し機体を傾けさせて紙一重にかわす。ス
ザクとてそれは予測していたのか、次の瞬間、突きを横薙ぎへ変化させる。
しかし斬撃は当たらない。ヴィンセントはもう一回転してランスロットに近づくと同時、
MVSの赤い刃を回避。またその回転の勢いを利用して再び横薙ぎを放つ。
咄嗟にランスロットが左腕を上げエネルギーシールド――ブレイズ・ルミナスを発動さ
せる。受け止められたMVS。しかしその時にはすでにヴィンセントに残されたスラッシュ
ハーケンがランスロットの頭部へ放たれている。
『くっ!?』
命中は必然であるそれをランスロットはぎりぎりにかわす。しかし無傷とはいかず頭部
の側面がえぐりとばされる。
さらに続くヴィンセントの攻撃。体勢の崩れたランスロットの胴体部を蹴り飛ばし、フ
ルパワーで直進、機体を半身にして矢の如き勢いで突きを繰り出す。
ランスロットは咄嗟の反応を見せ、同じように突きを放つ。激突するMVSの剣先。
――馬鹿め
内心で冷笑するライ。ここはかわすかこちらの突きを反らすのがベストだというのに、
よりにもよって同じ突きを放つとは。
全力を込めたヴィンセントの突きに対し、ランスロットの姿勢は不十分。いかな機体性
能が上とはいえヴィンセントは第七世代の量産機、その上ライの実力を十全に発揮できる
よう強化されたこの機体に対し、明らかに間違った対応だ。
均衡は一瞬だけだった。全体重を乗せたヴィンセントの突きはランスロットのMVSとそ
れを握っていた前碗部を破壊する。
『っ…! ライ!』
怒りの声がランスロットから響き、主の怒りを受けて白騎士は左の蹴りを放つ。
「馬鹿め!」
まるで子供のようなランスロットの反応にライは嘲りの言葉を吐き出し、機体を操作。
すると右の前腕部から跳ね上がったヴィンセントの隠れ武装――ニードルブレイザー―
―がランスロットの脚を受け止める。
武装に装着されている円形が光を放ち、ランスロットの左脚部へ押し出される。危険を
察知したのかランスロットが一瞬の接触後、慌てて足を引くがもう遅い。爆発するランス
ロットの左脚部。ランスロットは苦し紛れのようにスラッシュハーケンを発射しこちらを
牽制。間合いを取る。
「脚部をパージしたか。後数秒間ニードルブレイザーと接触していれば機体を破壊できた
ものを」
冷徹にランスロットを眺め、吐き捨てるライ。
ライが再開した激闘は最初とはまるでうってかわった状況へとなっていた。
一方的に押されていたライが、スザクの余りにも身勝手勝つ一方的な理由を聞いた途端、
一切の容赦が消え、彼と同じような猛撃を繰り出していた。またひどく頭が冴え渡り、あ
れほど予測ができなかったスザクの動きが今まで以上に正確に予測、対応ができていた。
そう、ライは今怒っている。内から絶え間なく溢れ出る憤怒のエネルギーがライの体と
心を埋め尽くしている。
当初はスザクを上手く止めて隙を見ては逃げようかと思っていたが、もうそんな考えは
微塵もなくなっている。
――立ちふさがるなら、倒す
ライは自分が押さえきれない怒りと狂気の衝動に突き動かされているのを感じる。だが
それをライは不快に感じない。目の前の男はもう、ライの知っている友ではない。倒すべ
き敵なのだから。
『あくまでルルーシュに義理立てするのか…! あんな男に!』
苦渋に満ちたスザクの声にも罪悪感を覚えない。溢れている激情が強まるだけだ。そし
てそれとは逆に口調は冷静さを帯びる。
「スザク。お前は正しい」
『!?』
「どういった理由であれ確かにゼロの、ルルーシュのしたことは許されないことだ。
――だがそれはお前の正義が決めたことだ。万人がそれに当てはまると思っているのか!」
この世に確固たる正義や法などは存在しない。個人の価値観、取り巻く環境によって目
まぐるしく変化していくものなのだ。
それをこの男は解っておらず、しかも自分が正しいと一方的にこちらへ押しつけてきた。
それだけでもライの神経を逆なでするというのに――
「ナナリーにルルーシュが必要ないだと? 怒りと憎悪に目が曇り、冷静に物事を判断す
ることすらできなくなったか!
例え血にまみれていようとも、多くの屍を築こうとも、ナナリーにとってルルーシュは
もっとも大切な人。それをお前は誰よりもその目で見ていただろう!」
そう、これこそライがもっとも許せず、スザクを排除の対象、敵として断定した理由だ
った。
「ユーフェミアという、掛け替えのない主を失った悲しみは解る。だが、だからこそ貴様
はルルーシュから真実を聞き出すべきだったのだ。ルルーシュの真意を、確かめるべきだ
ったのだ」
『解らない奴だな! さっき言ったのは紛れもない――』
「愚か者め! 今一度考えてみよ! 貴様が知っているルルーシュ・ランペルージと言い
男は本当に目的のためならば、何もかも犠牲にするような男なのか!?
そうであるならば枢木スザクよ。何故貴様は今ここにいる!」
『!?』
先程とは間逆に、スザクの反論をライの激情がねじ伏せる。
「黒の騎士団は散々貴様とランスロットに勝利間近の状況を覆されてきた。その仇敵と言
っていい貴様を何故ルルーシュは殺さなかったと思う?
チョウフ、キュウシュウ内乱、そして式根島。貴様を葬る、見殺しにする機会は私が知
る限りでは三回もある。特に後者はその気ならば、間違いなく貴様は死んでいた。キュウ
シュウ内乱にしても私は詳しい状況は解らないが、集めた資料によればルルーシュの介入
で命を救われたのだろう。
……何故だ?」
『……それは、ルルーシュが、僕とランスロットを必要としていたからだろう。僕らの力
を』
「それも事実の一つだろう。だがルルーシュは度々貴様に軍を抜けろと説得していたはず
だ。ゼロとしては味方になってほしいとも。それはどうしてか、今ならわかるだろう」
『……』
押し黙ったランスロットを見て、ライは鼻を鳴らす。
――ふん、ようやく気づいたか。いや、認めたか
ゼロの仮面を被ったルルーシュの度重なるスザクへの勧誘。その真意は全ての謎が明ら
かになった今、よく考えれば誰にでもその理由は簡単に理解できる。
幼き頃、人質同然に日本に送られたルルーシュ達。そこで心を通じ合わせた友、スザク。
彼の心に入り込むことを許された存在は彼の唯一の至宝であるナナリーに次ぐ存在であ
り、大切な宝。
それらに対し本当の本当にルルーシュが刃を、殺意を向けることなどあり得ないのだ。
そしてそれは当然、ユーフェミアにも当てはまる。
支援
支援
スザク同様ユーフェミアとてゼロとしてのルルーシュがその気ならば殺せる機会はあっ
た。だがそれにもかかわらずそうはしなかったのは、スザクと同じ理由。
そのルルーシュがユーフェミアを殺したというあり得ない事態の理由もライは気づいて
いる。
――ギアスの暴走
スザクが言っていたギアスによって虐殺を命じた経緯はわからない。だがそれ以外の理
由など考えられないし、そうでなければルルーシュ自らの手で彼女を殺すなどあり得ない。
母親が違うとはいえ彼にとってはナナリーと同じ妹であるユーフェミア。ブリタニア皇族
を嫌悪する彼が、唯一微笑みながら語った少女。ルルーシュの心に住むことを許された存在。
さらにライはスザクがどういう経緯でギアスを知ったのかも、予測はついていた。
――VV、間違いなく奴がスザクに曲解した真実を吹き込んだのだろう。スザクの殺意が揺
らがぬようにギアスの暴走を隠して。
そしてそれを真に受けたに違いない。まぁ、親しいものが死んだ直後で言われれば、信
じたくもなるだろうが。
「――だがな」
だからといってスザクがルルーシュにしたことを許せるわけではない。ルルーシュにと
ってのスザクのように、ライにとっては人生で初めて心を許せた友。もう一人の自分と言
ってもいい存在。
その無二の友をいかなる理由があったとしても裏切り、尊厳を踏みにじった目の前の男
を許すわけにはいかない。あの二人の幸せな世界を壊したのなら、尚のこと。
ライはヴィンセントのエナジーメーターを見る。残量が一割を切ろうとしている。後数
分で機体は動かなくなるだろうが、ライは引くことなど考えない。
「枢木スザク。お前はここで消えて貰う」
『……ライ!!』
今は記憶を失っている――理由はわからないが――ルルーシュだが、必ず彼はゼロとし
て復活し、ブリタニアを叩きつぶすため立ち上がるだろう。そしてその時にこの男がいれ
ば、間違いなく最大の壁としてルルーシュの前に立ちふさがるだろう。それを考えればこ
の男を放置しておく訳にはいかない。
支援
支援
支援
支援
支援
――ナナリーは悲しむだろうな
ルルーシュと同等に大切な少女のことを思うとさすがに心は痛む。だがすでに覚悟はで
きている。
以前ライは全てを思い出したとき、あの二人を、自分を支えてくれた皆をギアスの暴走
に巻き込まないために眠りについた。しかしあのVVによって起こされ人形として使われ、
今再びかつての自分を取り戻した。
己を取り戻した日に決意した誓い。今の自分はそれを果たすためだけにいる。そしてそ
れを達成できるのであればいかなる手段も選ばないし、犠牲も顧みない。結果あの二人、
ルルーシュとナナリーに恨まれ、憎まれようともかまわない。
あの二人が幸せになるためならば、今再び自分は修羅の道を歩む――
突きの姿勢を取ヴィンセントに対し、ランスロットも同じような姿勢を取る。どうやら
あちらもエナジーが尽きかけているようだ。
今まででひときわ大きい雷鳴が轟く。周囲が白く染まり、遅れて竜の方向の如き轟音が
鳴り響いたと同時に、二機は互いへ向けて飛び立つ。
両者とも全く速度を落とさず、切っ先の軌道も変えない。
「ライィィィィィッッ!!」
「スザクゥッ!!」
ヴィンセント、ヴィンセント両方の刃は、胴体部の中心に向かっている。それを見てラ
イは残りわずかな全エネルギーをフロートユニットへ叩き込む。
するとほんのごくわずかだが加速するヴィンセント。モニターでそれを見て、ライは勝
利を確信する。
──勝った!
双方が突きだした刃は、同時に、互いの機体へ吸い込まれるように突き刺さり、貫通し
た。
そんな二機を、再び雷光が照らした。
支援
――元気ない
自分の隣で沈んだ顔をしているナナリーを見て、アーニャは思う。
現在のベリアル宮にはライがいないのだ。ナナリーと仲の良かったライが。彼は休暇
を申請し、戻るといった期日から一週間をすぎた今でもどこにいるのかわからない。
何故彼が戻ってこないのかとナナリーは軍部や宰相府、さらにはブリタニア王宮ペンド
ラゴンにも尋ねていた。しかしそのどれからも"現在調査中"という全く同じ回答が帰っ
てくるばかりなのだ。アーニャもそれとなく同僚のラウンズや軍部に尋ねてみたが、やは
り同じ回答か、わからないのどちらかだ。
そしてナナリーを落ち込ませているのはそれだけではない。スザクのことだ。
ちょうどライが姿を見せなくなったのと同じ時に、スザクは皇帝陛下から何か勅命を受
け、それを遂行した。相当に重要なものだったらしく、ジノや他のラウンズ。ベアトリス
さえも詳しい話は聞いていないという。
ただその時に機体、スザク自身も相当なダメージを負ったらしいのだ。
――早く、来ないかな
そのスザクだが通院は昨日で終えており、今日ジノと共にナナリーの元へ挨拶に来ると
いう。二つの懸案の内、一つでもなくなれば少しは皇女殿下も元気が出るかもしれない。
消沈しながらも公務をこなすナナリーを見ながらアーニャがそう思っていると、ちょう
ど昼の時間の直前、待ち望んだ客はやってきた。ナナリーは昼食を取ることもなく客を迎
え入れた。
「お待ちしておりました。スザクさん、ジノさん」
嬉しげに微笑むナナリー。しかしそれとは反対に二人の表情は暗く、重い。スザクは痛
みを堪えているような表情で、普段、やかましいほどに明るいジノさえも深刻そうな顔つ
きだ。
「……お二人とも。どうしたんですか?」
二人の気配を察知し、笑顔だったナナリーの表情が曇る。
「……ナナリー、一つ報告しなければいけないことがあるんだ」
「は、はい……。何ですか?」
スザクの表情が苦渋の色を強める。
「ライ・ランペルージ卿のことだ」
支援
重い口調でスザクが告げると、ナナリーの肩が一瞬揺れる。
「ライさんが、どうかしたんですか……?」
「……先日、彼は国家反逆の罪でブリタニア軍と交戦。消息不明となった」
ナナリーの総身がびくりと反応し、そして震え出す。
「国家、反逆罪? ……そん、な。どうして、ですか……?」
「その辺は現在調査中です。ナナリー皇女殿下」
答えたのはスザクではなくジノだ。しかしナナリーは聞いていないのか、震えたまま小
さな声で「どうして」、「なぜ」を繰り返すばかり。
――どういうことなんだろう
震える皇女を見ながらアーニャは思う。アーニャの見た限り、彼が主義者や現体制に不
満を持つ反政府運動の連中には見えない。
何か底の知れない人物ではあるが、それでも悪人と言うにはほど遠い。その彼が国家反
逆罪という重罪を犯すなど――
そうアーニャが内心で首をひねっていると、ナナリーの体がゆっくりと前に倒れる。ア
ーニャは慌てて――表情は変えず――彼女の前に回り込み、体を支える。
「ナナリー!」
即座に駆けつけるスザクにジノ。アーニャはゆっくりとナナリーを車椅子に戻し、表情
を伺う。涙に濡れた頬。静かな呼吸。体に力は入っておらず、ぐったりとしている。
「気絶してる」
すぐに宮の侍女を呼び、寝室にナナリーを運び込む。それを見届けるとアーニャはスザ
クへ振り向く。
支援
「どういうこと」
「何がだい?」
「ライと戦ったの、あなたでしょう」
アーニャを見るスザクの眼がすっと細くなる。
「……どうしてそう思うんだい?」
「先日の極秘任務に怪我。ライの行方不明。これ二つとラウンズのあなたとランスロット
があそこまで負傷することを一緒に考えれば、簡単に想像がつく」
スザクは唇をかみ、こちらから視線をそらす。しかしすぐに元に戻し、
「アーニャ」
「解ってる。皇女殿下には黙っておく」
スザクの言葉を先取りするアーニャ。スザクは心底申し訳なさそうに表情をゆがめ、小
さく頭を下げる。
「ごめん。説明できたらいいんだけれど、皇帝陛下から誰にも話すなって言われていたか
ら」
「そう」
「しっかし、何を考えて反逆なんかしたのかねあいつ。そんなことをするような奴には到
底見えなかったけど」
「さあ」
「……」
納得のいかない表情で首を傾げたジノへアーニャはいつもの素っ気ない返事を返す。
再びスザクを見ると、彼は苦しげな表情で沈黙していた。
気がつけば、寝室のベットにいた。どうしてここにいるのかわからず、ナナリーはしば
しぼんやりする。
だがすぐに思い出す。重苦しい表情でスザクが告げた、信じられない、信じたくない事実。
「どうして……」
再び震え出す体を、両腕で強く抱きしめる。しかし震えは収まらず、閉じた双眸からは
涙が溢れる。
「どうしてなのですか……ライさん。なぜ……」
何かの間違いだと、悪い夢だと思いたかった。だがスザクの表情、悲しみ、涙する己が
現実だと認めている。
支援
「あなたも、私から離れていってしまうのですか……」
ユーフェミア、ルルーシュ、ミレイ達アッシュフォード生徒会の皆。そして、ライ。
自分が心を許した、通わせた相手がまた一人、自分の側からいなくなってしまった。
これも罰だというのだろうか。今まで周囲に甘え、何もしてこなかった自分に対しての――
扉の開く音が聞こえ、侍女が駆け寄って来るのを感じる。しかしナナリーはこちらを気
遣う声に答えず、ただ涙を流し続けた。
エリア12へ向かう客船の船長に自分を無視するようギアスをかけて、ライはVIPル
ームへ戻り、ベットに体を沈ませる。
「はぁ……」
重いため息が漏れる。ベットに横たわるライの姿はひどいものだ。
表情には重い疲労の色が浮かんでおり、病人のように青白く血の気がない。体のあちこ
ちには包帯や絆創膏があり、左腕は肌よりそれらの面積が広いぐらいだ。
ズキリ、と重い痛みが左腕に響く。ゆっくりライは起きあがり、左腕を押さえて椅子に
腰をかける。
「くそ……」
――力を尽くした最後の一撃。勝者は自分ではなく、スザクだった。
双方のMVSは確かに互いの機体を貫いた。だがヴィンセントの刃がランスロットの右
腹部を貫通したのに対し、ランスロットの刃はヴィンセントの左胸とコクピットブロック
――ライの左横を貫通したのだ。
機体のみならずライ自身にもダメージが加わり、またランスロットの刃はフロートユニ
ットの翼も切り落としていた。もはや為す術はなくヴィンセントは地上に落下。
身動きの取れないライの前にゆっくりとランスロットが降り立とうとするその姿を見た
ライは、敗北したときのための策の一つを実行した。
施設からの砲撃がランスロットへ放たれたのだ。しかもそれだけではなくナイトメアや
戦車、戦闘ヘリが施設から出撃し一斉にランスロットへ襲いかかった。
施設に待機させておいた人間全てにはライのギアスの制御下にあった。"いかなる命令に
も従う"と言う命令の。自分が敗れたときには、逃げる時間を稼ぐ命令の合図を基地へ送
ったのだ。
支援
支援
全力で支援
万全の状態ならば彼らを相手にしつつも自分を逃しはしなかっただろう。だが半壊状
態だったランスロットは施設の人間の攻撃を防ぐことで精一杯だった。
ランスロットが防戦一方の隙に、ぼろぼろの体をライは無理矢理に動かし、その場か
ら離れた。そして考案していた脱出ルートを使い、命からがらブリタニア本国より逃げ
出したのだ。
そう、逃げたのだ。枢木スザクに負けて、逃げたのだ。
敗北の屈辱を思い出し、ライは右拳を壁にたたきつける。
「スザク…!」
悪鬼の如き形相をライは見せ、再び壁を殴りつける。
これほどの思いを味わったのは久しぶりだった。過去の記憶を辿っても、片手で数える
ほどしかない。
──スザク。お前は僕の宝を壊し、友を踏みにじっただけに飽き足らず、僕の邪魔をした。
敗北を、屈辱を味あわせてくれた
「必ずナナリーは取り戻し、ルルーシュと共に彼女が幸せに暮らせる世界を作る。
そしてお前が犯した罪の報いは必ず受けさせてやるぞ。枢木スザク……!」
ライは憤怒と憎悪のこもった声で言った。
つづく
七話終了です。しかし支援の多さに嬉し驚きです。ありがとございます、ありがとう
ございます。
スザクの狂いっぷりはどうでしたかね? つられてライも狂王モードになりましたが、
(汗)
さて次から舞台はエリア11、日本に移ります。ブリタニア編と違い、日本編はさして
長くありません。二、三話程度で終わり、R2に移動する予定です。
それでは、また。
>>513 この感情はもはやGJという言葉では表せないです
GJでした。
読み応えがありますね。
素晴らしい作品だと思います。
ただ一つ、なんだかスザクが一方的にルルーシュを裏切っていて、全部罪がスザクにあるかのような描かれ方になってますが、どうなんでしょう?
ライが少しルルーシュ寄りすぎる気がしました。
彼なら二人に理解を示せると思うので。
516 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 18:20:43 ID:1S+pq86d
RC卿、GJです。
エリア11に狂王モードのまま突入ですか?なら卜部さんたちは死なずに。
>>513 過去最大級の投下お疲れ様でした
規制がもどかし過ぎる…!
一転二転する展開に引き込まれてしまいました
日本編も期待しています
>>508でエリア12になっていますが、それでいいのか?
GJ!
まールルーシュとスザクはどっちもどっちではあるよなぁ…
前者は悪であることを認識していて、後者はあくまで自分の考えが正義だと信じてるわけですが。
つかスザクよ、ギアス駄目駄目いってるのに普通にライにギアスかけてもらえば万事OKはなかろうよ(苦笑
覚醒モードのライの日本での活躍が気になります。
うわぁ、狂気が狂気を生み出す展開……
また続きを心待ちにして身悶えなくてはならないのか!?
>>513 自分もライがルルーシュ寄り過ぎる気がします。
ギアスを暴走させてしまったルルの気持ちも、
ギアスに大切な人を奪われてしまったスザクの気持ちも
わかるはずだから、どちらか一方だけを断罪(?)したりは
しないんじゃないかと……個人的な意見ですが。
そこ以外はGJでした。
>>513 GJ!
すげぇ…こんなシリアス展開すげぇ…
さてと、前スレの続き出来ましたので投下
注意:
・大体6,7レス程度を使います
・シリアスです 多分
・ギャグでもシリアスでも楽しめます
ではそれを踏まえたうえでどうぞ
特区日本、ユフィの執務室――
「…なんだ、ユフィの寝ている部屋で話すわけじゃないのかい」
「…全く、お兄様は…」
「そうですよ…」
そう言いながらゼロは仮面を外し始める…
…でも、待てよ…確かゼロはギアス能力者…
もし、ギアスがシャルルみたいに視覚に作用するなら…!
「…全く、昔からお変わりありませんね、兄上」
「…ルルーシュ?」
ルルーシュ!?
何でブリタニア人の彼が…いや、兄上だって?
「…どういうことか説明してほしいよ、ルルーシュ」
「ライにも色々聞きたいが…その前にちょっと大切な話だけでも…
…ルルーシュ・ウィ・ブリタニアが問いに答えよ」
「ッ!?」
僕の中にギアスが入ってくる
…でも、僕にギアスは通用しないっ!
「…では、兄上、あの日…私の母である閃光の…」
「ライが命じる!ルルーシュのギアスを受け付けるな!」
「何!?」
「ライ!?」
…僕のギアスは絶対遵守の力
おそらくルルーシュと同じだろう
違うのは視覚と聴覚という点だけだろうな…
…そして、ギアスとギアスは矛盾したときは強力なほうが優先され、
もう片方は…効力を失う
「…マリアンヌ様のことかい?…答えられないな…
それよりもルルーシュ、生きててよかった…」
「兄上!抱きつくのをやめてください!」
「感動の再会だからいいじゃないか、…ナナリーはどこだい?」
「…今私と一緒に住んでますよ」
「じゃあ会いに行こう!今すぐ行こう!」
「…今、ナナリーがどんな状況かわかっているのですか?」
「…目が、見えないのだろう?」
「…わかっているのならいいですが…」
「…本題そっちのけでじゃれあわないでくださいよ殿下、
…僕を呼んだ理由はゼロの正体を見せるためですか?」
「いいえ、違います」
「…では、何故ですか?ユーフェミア殿下」
支援
ゼロの正体を見せるためならラウンズである僕を同行させる必要がない
スザクも居るのだから…
…いや、僕もスザクやルルーシュの知り合いだからと言うのもありうるが…
…でも、本題は一体…
「その事は僕から説明するよ、ユフィ。
…もう一度、アッシュフォード学園に編入してこないか、ってことだけど…」
「ラウンズの仕事で無理ならば…それは仕方がないことだが
兄上、どうなのですか?」
「別に構わないよ。…学生生活は楽しいのかい?」
「ええ。まぁ」
「なら君も、もう一度行きたいと思わないかい?」
正直、うれしかった
でも…ギアスが暴走したときのことを考えると答えにくい
ここは…やんわり断るしかないか…
「で、ですが…その、僕は特区日本での仕事も…」
「いいえ、アッシュフォード学園がこちらに移転するのですよ」
「…え、どういうことですか?」
「うん。…ゼロであるルルーシュの正体がばれないようにするためと、
後はここ…特区日本に学校を建てたかったというところだよ
まぁ、みんながみんな来る訳じゃないけど、でも生徒会のメンバーはこっちにみんな居るよ?」
「本当?」
「嘘をついてどうするんだ」
支援
「で、どうなのですか?」
「…行きたいなら行っても構わないよ。」
…もう一度ギアスが暴走したときはどうすればいいんだ?
…でも、正直なところもう一度戻れるなら戻りたい
楽しかったアッシュフォード学園に…
「…少し、考えさせてください」
「そうですか…」
「…ライ、お前と話があるから後で俺のところまで来てくれ
兄上、それと出来ればゼロの正体が」
「わかっているさ。かわいい弟のためだからね
あ、そうだルルーシュ、君にプレゼントが…」
「猫耳とかメイド服以外なら頂きますよ」
「…君は僕のことが嫌いなのかい?」
「図星ですか兄上」
「…それよりも、もうすぐ夕食会の時間ですよ」
「わかった、それじゃあ行こうか」
「その前にいつになったら放してくれるのですか兄上」
…最後までシリアスブレイカーな人だな…
そして、夕食会(という名のパーティ)の時間になっていった
「…生魚がお米の上に乗ってる…」
「…これが寿司か!…お、うまいぞアーニャ!」
「…記録」
この二人は楽しそうで何よりだ
…ノネットさんはどうやらコーネリア殿下の所に居るらしい
で、エリア11の食文化とかに詳しい僕が色々教えてるんだけど
「…この置物、綺麗」
「…それは、飴細工って言って」
「(ポキッ)…おいしいぞこれ!」
「…食べるものじゃないよそれ」
…話聞いてよ二人とも
「…どうしたの?」
「…あ、いや…別に…」
「お前何か悩んでるだろ?…考え事するとき右のこめかみが動くからな…」
「…なんでそんなこと知ってるのさ」
まぁ、ラウンズだからこの程度常識とか言いそうだけどね
「まぁそんなことはいいじゃないか、…で、俺たちに相談できるような事か?」
「…聞きたい」
「…拒否権は?」
「答えるかどうかイエスかはいで答えてくれ」
「…あれ、拒否権無し?」
支援
この状態になった二人は結構しつこいからもうあきらめるしかないか
「…実は…」
アッシュフォード学園に戻るかどうかという話だけ話した
…ゼロの正体は教えるわけにはいかないからね
「へぇ!学校か…」
「…殿下は、行っていいと言った?」
「…そうだけど…」
「じゃあ断る理由も無いじゃないか!」
…二人にとっては、だけどね
「…でも…」
そんな感じで色々考えていると…
「ライ?…本当にエリア11に戻ってきたのね」
「ミレイさん!?」
そこにはミレイさんが居た
532 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 18:38:26 ID:Wuvk0JZP
支援!
支援
534 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/03(木) 18:39:58 ID:1CMK1ker
支援
今日はこれくらいで
Q:時間軸どうなってるの?
A:基本ブリタニアルートです。詳しく言うと
オレンジ君(ぽんかん)への輻射波動を防いで
後は親衛隊ルートです
ただし学園の女性にフラグは立てています
というか3日着てないだけでここまでスレが伸びるとは思わなかった
後今日からテスト始まったんで多分投下回数が増えると思いますが
その辺はご了承ください
支enn
>>513 GJ! 素晴らしいとしか言えません。
七話、最高に燃え上がりました!
それと誤字っぽい報告を。違っていたらすみません。
>>500の竜の方向→竜の咆哮?
ヴィンセント、ヴィンセント両方の刃→どちらかがランスロット?
>>535 GJ! ブリ側のキャラクターがwwwこういうのもありですね。
GJとしか言いようがない
心情描写も戦闘シーンも巧みですなー
日本編にも期待したい
>>513 仕事中にも関わらず熟読してしまいましたw
個人的には
ライだと境遇が似ているルルーシュ側についてしまうのも納得
してしまった。
>>535 シリアスブレイカーに吹いたw
・・・ふと思ったのですが・・・
テスト期間中に投下回数増えたら駄目だと思うw
>>513 RC卿お見事です!まさか『狂王』が出てくるとは…
スザクくんドンマイ…真っ直ぐな思いは嫌いじゃないけど
>>535 よっシリアスブレイカー!!修羅場の人卿GJ!
こんな兄さんいいな〜w
541 :
保管庫の人:2008/07/03(木) 19:52:49 ID:Ifxb7fmx
>>455 私も同感ですが、現状ではどういう形で保管したらいいのか判断しかねています。ですので作者様の返答待ちです。
RC卿GJ!!
本当に読み応えあります。
ますます先が楽しみです。
ライがルルびいき過ぎるとの意見も多いようですが、ライが怒ってるのはスザク自身のあり方に対してなんでしょう。
ルルが先に裏切ったんだからというのも理由にはならないかと。
裏切られたから同じように裏切って返すってのは、スザク的には間違った方法のはずですしね。
>>513 GJ! 熱い…熱すぎる!
SSにここまで熱中して読んだの久しぶりです。
ライが黒の騎士団寄りになるのは、ルルと境遇が似ていて、そしてスザクがその兄妹を引き裂いた、
正に簒奪者だから、だと捉えてたんだけどそんなに不自然な展開だっただろうか。
>>535 GJ!
おかげ様で私の中のシュナイゼル像は最早粉々ですw
ここで議論してる奴なんなの?
それに喧嘩吹っかけてる奴なんなの?
>RC卿
素晴らしい。
市販小説に劣らぬ読み応えです!
ただルルびいきというよりスザクヘイトっぷりがひっかかった。
例えライがルルよりになって、スザクを敵視したとしても、
不倶戴天の仇敵のように憎悪するというのはいくらなんでもらしくなさすぎる。
心理描写が秀逸なため、余計そう感じました。
ライとルルーシュはたしかに似た境遇だけど
ギアスの暴走のせいで最愛の人をなくしてしまった人(被害者)が身近に
いるってのが最大の違いだわな。
>>513力作乙
騎士団ルートなら、スザクにギアスをかけてバッドエンドになりそうなライですね
ライがルルーシュに引きずられ過ぎな感はありますが、
「ライにとってのルルーシュ」が「ルルーシュにとってのナナリー」の言葉が示すように、
TURN06相当の展開が待っているのでしょうか?楽しみにしています
あと
>>500の「突きの姿勢を取」は送り仮名「る」がもれているのではないでしょうか?
>>535乙
シリアスの後に楽しい話がきてタイミング的にもナイスです
シュナイゼルがこういうキャラだと、ブリタニア皇族は皆シスコン&ブラコンばかりで、
皇位継承争いしてるなんて嘘だろwって感じで微笑ましいですね
ただ、セリフのみで進行している部分が長いので、
一部、誰のセリフなのか考えないと判らないものがありました
セリフ自体はテンポよく楽しく読ませるものになっているだけに残念です
>>513 GJ!物語が重厚なので、他の人から出てきた感想も含めて
もしライの境遇なら…ライの性格なら…とか色々と考えさせられますね。
RC卿の描くコードギアスの世界観の続き、待ってます
>>535 GJ!兄上は本編ではいまいちよくわからない人だけどこんなんだったらいいなw
あと、このままでも誰が話しているかは十分想像がつきますが
もう少し会話部分以外の描写をしていただけると読みやすいかなぁと思いました
>>544 議論というか、あるSSに対して
こういう感想があったけど自分はこう思う、ってただの感想じゃないですかね
あんまりやりすぎるのは不穏な空気になりそうだけど
ギアス編だとスザクとあまり仲深まらないし、ルルーシュとは境遇も似てるしね。
さらにこの話ではブリタニアに飼い殺されているところまで同じだから
ルル贔屓というか、スザクに怒りを感じざるを得ない展開だとは思う。
狂王的にも家畜として生かされていたのは屈辱だろう。
何にせよ、RC卿いつも楽しみにしています!
人格交代的な狂王もよいですが、王様吸収型もいいなぁ…
言いたい事やツッコミたい所もあるけれど今後への複線で、
スザクへの態度ががらりと変わるフラグかもしれないんで
次回もwktkしてお待ちします。
>>548-549 いつも自分ではセリフ以外が多いとちょっぴり悩んでたので
今回セリフ大目にしました
反省はしています
からけを読まずにこっそり投下。
ライという話の続きです。
あらすじは
カレンに事故キスしたルルーシュにライが怒って、
話を聞かないライにカレンが説教する、そんな話です。
・・・覚えている人いるかな(汗
ここがダメやここをこうしたほうが良いなど批評大歓迎です。
注意:
ライ×カレンものです。
ほのぼの?を自称してます。
話が最初っからクライマックスです。
頬を包む感触が強くなる。
「違う、私にとって貴方はそんな簡単な存在じゃない!!
私・・・私がどれだけ心配したと・・・!!」
「カレン、僕は・・・」
声を詰まらすカレンを抱きしめようと手を伸ばそうとするが、
突然両頬をむにっとつままれた。
「いひゃっ!?」
「だめ、私のことを信じてくれなかった罰なんだから。」
縦に横にむにむにむに・・・弄られてるほうとしては地味に痛いけど、
そう言われてはこちらとしては返す言葉も無いので、
仕方なくカレンに頬をむにむにと弄られるがままになっていた。
「ひゃのー、ひゃれん、もういいひゃい?」
さすがに頬も痛くなってきたので、頃合を見て声をかける。
あ、ごめんなさいとカレンは顔を赤らめて両手を引っ込める。
何だか罰とか忘れて途中から単純に面白がっていたような気がするけど。
「でも、意外だった。ライがそんなに怒ってくれるなんて。
もしかして嫉妬してくれたの?」
何か期待を込めた目でカレンは僕に聞いてきた。
言われてみると、あの時のもやもやとした気持ちは嫉妬、なんだろう。
でもそれを認めるのが何だか気恥ずかしくて、
カレンに目を合わせられずそっぽを向いてしまう。
「あれは、ルルーシュに肩を抱かれてカレンが嫌そうだったから仕方なく出てきたんだ。
カレンの為に仕方なく・・・だ。」
言い訳にも聞こえない言い訳が思わず口をついてしまう。
「ふーん、私の為ねぇ・・・フフ、まぁいいわ、そういう事にしておいてあげる。」
悪戯っぽく笑いかけてくれるカレン。
「そういう事にしておいてくれると、その・・・ありがとう。」
僕の言い訳が嘘だと気づいてくれているんだろうけど、
そう言ってくれるカレンに自然と笑みがこぼれた。
「あ・・・ようやく笑ってくれた。」
いつも通りのライね、と本当に嬉しそうにカレンが微笑みかけてくれる。
「カレン・・・泣いているの?」
でもその頬には一筋の涙が流れていた。
「あれ・・・どうしたのかしら、ライが帰ってきてくれて嬉しいのに。」
一度溢れた涙は止まることを知らず頬を濡らす。
声を上げずに肩を震わすカレンを今度こそ僕は抱きしめた。
「ごめん、ずっと心配をかけたね。」
「バカ・・・。もう何も言わずに私の前から居なくなっちゃダメだよ・・・?」
僕を抱きしめる力が強くなる。
嗚咽を漏らすカレンの背中をさすりながらカレンに優しく語りかける。
「約束する。僕はもう勝手にいなくならないよ。」
「・・・うん。」
「だから、その・・・また君の傍にいてもいいかな?」
「うん・・・うん!」
涙に濡れた顔を上げるカレンに僕は微笑みかける。
「ありがとう。それから、ただいま…カレン。」
「お帰りなさい・・・ライ。」
目を閉じ少し背伸びをするカレンを愛しく思いながら、
彼女にそっと口付けをしようとする。
そのとき、カレンの携帯がけたたましく鳴った。
あまりのタイミングにお互いキョトンとしながら見つめ合う、
携帯はまだ鳴りっぱなしだ。
「・・・もう、こんなときにデリカシーがないんだから・・・」
といいつつ、むくれた表情のまま携帯を取り出すカレン。
「はは・・・全くだね。」
僕はカレンの邪魔にならないように体をどけて、少し離れた位置に立つ。
「もしもし、C.C.?こっちは今忙しい・・・」
どうやら相手はC.C.のようだ、カレンは不機嫌な声を隠そうともせず話している。
何とはなしに長くなりそうな予感がしたので、カレンに身振りでルルーシュの様子を見に行くことを伝え、
少し離れた位置で無惨に転がっているルルーシュのほうへ向かった。
「ルルーシュ、大丈夫か?」
やはり返事は無い。
かすかに胸が上下に規則正しく動いているので命に別状はなさそうだけど、
こんな場所で気絶しているのも可哀相なので、目を覚ましてもらおう。
眠っているルルーシュを起こす方法といえばアレかな。
思いついたままを僕はルルーシュの耳元で囁いてみる。
「ルルーシュ大変だ、ナナリーが大柄な男に言い寄られている。」
発言に対する反応、わずかコンマ2秒。
「ミ゛ナ゛ミ゛ィィィィィッッッ!!!」
憤怒の形相で起き上がったルルーシュの絶叫が響き渡る、電話をしていたカレンも何事かとこちらを見ている。
気にしないで、とカレンに声をかけ、隣で殺気立っているルルーシュに声をかける。
「あー、おはようルルーシュ?さっきのは君を起こすための嘘だから気にしないでくれ。」
「なん・・・だ・・・と?」
「あまり人のことは言えないけど、冷静に考えて
中華連邦にナナリーがいるはずが無いと思うけど。」
ルルーシュは少し考えたあと、ふむと頷くと、
「一理あるな・・・だが、そういう冗談はやめてくれないか、心臓に悪い。」
・・・色々指摘したいことはあるけど、余計こじれそうだ。
先ずはルルーシュに謝るほうが先だろう。
「ルルーシュ、その、さっきはすまなかった。僕が勘違いしたせいで君に酷いことも言ってしまった。」
ぺこり、と頭を下げる。
「いや、こちらにも非はあった。お前が分かってくれれば問題はない。」
そう言って、こちらが拍子抜けするくらいあっさりと僕を許してくれた。
少し不思議に思い、ルルーシュの表情を伺ってみると少しバツの悪そうな顔をしていた、
ルルーシュにも思うところがあったのだろう。
557 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/04(金) 01:14:35 ID:lH5g3SrL
支援
「ありがとう、それじゃあ仲直りの証として」
右手を差し出す、ルルーシュもこちらの手を握り返してくれた。
「もとより俺はお前と喧嘩をしているつもりはなかったけどな。」
そう言いながらも嬉しそうなのは僕の見間違いではないだろう。
「お前が傍に居てくれれば心強い、本当に良く戻って来てくれた。
・・・俺と共にまた歩んでくれるか、ギアスを暴走させたこの俺と。」
暴走したギアスで、多くの人たちを犠牲にしてしまったルルーシュの後悔がそこにあった。
今でもそのことを引きずっているのは、上に立つものとしては甘過ぎるだろう。
でもそんなルルーシュだからこそ、友人として、同じギアスの力を持つものとして力になりたいと思う。
「勿論だ、ルルーシュ。君の友人として君と共に。
君がギアスを暴発させても今度こそ僕が止めて見せる、それは全力で絶対だ。
だから安心してくれ。」
「・・・ありがとう、願ってもない・・・返答だ。」
ルルーシュはそれを聞いて、とても嬉しそうに笑ってくれた。
「あら、ルルーシュともう仲直りしたの?」
流石はライね。と何が流石なのか良くわからない感心の仕方をしながらカレンがこちらに来た。
もう少し長くなると思ったが、意外に早く電話は終わったみたいだ。
「C.C.から伝言、偵察なんかそこの二人に任せてお前はさっさと戻って来い、だって。
郊外でC.C.が待機しているそうよ。」
ルルーシュが全然電話に出ないから私のところにかかってきたのよ、
と少し不機嫌そうにカレンはルルーシュに伝える。
「誰のせいで・・・」
「こんなことでギアスを使おうとしたからでしょ、自業自得よ。」
次あんな命令を出そうとしたら容赦しないわよ。とまで釘を刺されていた。
しかし、カレンはあれで容赦していたんだ。
これからは本気で怒らせないように注意しないと、命が危ない。
「あ、あとルルーシュがもし郊外に来ることを断るようなら、空気を読め、とも言っていたわね。」
わ、私が言ったんじゃないからね、
とちょっと恥ずかしそうにカレンは付け加えた。
C.C.とのやり取りの中で何か恥ずかしいことでもあったのだろうか?
空気を読めと言うなら、電話するタイミングをもう少し考えて欲しかったけど。
「空気を読めとは・・・何のだ?」
「・・・さぁ?」
僕とルルーシュは互いに顔を見合わせてしまう、偵察任務に空気を読むとは何の暗号だろう?
「もう、C.C.の本心なんて私も知らないんだから、本人に直接聞けば良いでしょ?」
ほら早く行きなさいとルルーシュはカレンに追い立てられる。
「全く、何なんだC.C.もお前も・・・ライ、またあとでな。」
と追い出されるようにルルーシュは郊外へと続く道へと歩き去っていった。
「それじゃあ、私たちで朱禁城の迎賓館の偵察に行きましょうか。」
何故だか妙に嬉しそうなカレン。
「あぁ・・・わかった、それと戻ったら黒の騎士団の現状を教えてくれないか?」
「ええ、良いわよ。貴方がいない間に色々あったんだから・・・」
来た道を戻りつつカレンと一緒に歩く。
ふと思い出したように、カレンは僕に質問を投げかけた。
「そうそう、C.C.から貴方にも伝言があったわ。今度は逃げるのではなく打ち勝てよ。だって。」
一体何の話、と気になるのかカレンが聞いてくる。
王の力に、力がもたらす孤独に、ということなのだろう。
C.C.は僕がどうしていなくなったのか気づいていたのか。
「伝言たしかに受取ったよ。カレン、僕は今度こそ打ち勝つよ。」
君が居てくれる限り、僕は孤独になどならないと分かったのだから。
カレンの手をそっと握る、今度こそ愛する人たちを守れるようにと願いながら。
支援
以上で終了です。
支援してくださった方ありがとうございました。
元々一期25話をライで再現したかっただけの話がここまでひっぱるとは・・・。
読んでくださった方々、投稿時に支援してくださった方々、
感想を述べてくださった方々、本当にありがとうございました。
うちのライはカレンが大好きなんですが伝わったでしょうか?
支援
>>562 GJ!
>「ミ゛ナ゛ミ゛ィィィィィッッッ!!!」
深夜に大笑いしちまったじゃないかw
全編通して大笑いさせてもらいました。
あとライのカレン大好きっぷりはしっかり伝わりました。大好きです、このカップル。
「ミ゛ナ゛ミ゛ィィィィィッッッ!!!」
は秀逸。見事だよ!
GJ!!やっばライカレはいいですね
二人のやりとりに心癒されました
>>562 GJ!あらすじっぽいのを少し書いてくれて親切ですね
カレンは本編で2回ルルーシュのことを引っぱたいてるけど、ライにはそう来たかw
カレンもライもお互い想い合っているのが出ていて良かったと思います
ライはルルーシュよりかはまだ余裕ありそうだけど
スザクと違って恋愛関係は少し天然っぽい感じもいいな。ツンデレ要素はあまりないけど
良い作品ばっかだ・・・投下すんの怖い。
ライ×C.C.です。タイトルが趣味丸出しなのは、目をつぶってください。
行きます!
百万人をゼロに変装させるという、ルルーシュのとんでもない作戦の成功から、数日が過ぎていた。
中華連邦に来てから来る日も来る日も僕は仕事に追われていた。しかし、今日ほど仕事が進まない日はない。
その理由は・・・・
DESTRUCTION BABY
「C.C.・・・ちょっと離れてくれないかな。仕事がやりづらいんだけど・・・」
「 嫌だ。何故、私がお前の命令を聞かないといけないんだ?」
今の状況を説明すると、ベットに腰掛ながら資料に目を通しているのだが・・・
何故か背中にはC.C.が抱きついている。
普通の格好だったら、あまり気にならないのだが・・・今のC.C.は何故かシャツ一枚という格好である。
僕だって、男なワケだから色々と気になってしまうワケだ。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、C.C.は僕の肩に顎なんか乗せている。
「なあ・・・何とかしてタバスコを手に入れてくれないか?あれが無いとピザがおいしく食べれないんだ。ライどうにかしろ。」
「僕じゃなくて、ルルーシュに言いなさい。百万人の生活環境整えなきゃいけない時にタバスコひとつにかまってられません!」
「お前は器が小さいな。こんなに人が頼んでいるというのに・・・。」
「それが人にモノを頼む態度なのか?自分で何とかしなさい。」
「やだ!面倒じゃないか。そういう細かい仕事をするのがお前の役割なんだろ?それにこの私のために働けるなんて、とても名誉なことだぞ。」
相変わらず、自分本位な魔女だ。しかし、こうも密着されてると・・・二つのふくらみが背中に当たるわけで・・・駄目だ!意識したら余計に気になってきた!
「どうした?急に黙りこんで?おい聞いているのか!」
そんなこと、お構いなしにふくらみを押し付けてくるC.C.。
僕の精神衛生のためにも、そろそろ離れてもらわなければ・・・
「 ほら・・・あの・・・色々あるからさ・・・出来れば離れてほしいんだ。その・・が当たってるし。」
もの凄く恥ずかしいことを僕は言ってる。多分顔は物凄く真っ赤だろう。
僕そう言うと、C.C.は僕の耳元で
「当ててるんだよ。童貞ボーヤには刺激が強かったかな?」
トドメに耳に息を吹きかけられた。
慌てて体を離そうとしたが出来なかった。C.C.が僕の腰に手を回し、体の自由を奪っているからだ。
「ほら・・・暴れるんじゃない。」
「(何で離れられない!この細い腕のどこにそんな力が!)」
「仕方ないな・・・」
C.C.はそう言うと、僕の体から手を離した。
「C.C.!悪ふざけはよせ!大体君は、うわっ!」
文句を言ってやろうと思ったら、次はベットに押し倒された。
C.C.が僕の上に馬乗りになっている。どうしたらいい?この状況は確実逃げられない。
「なあ・・・お前は知っているか?魔女の主食はピザだけじゃないんだぞ。」
「えっ?それよりもC.C.さん。そこどいてくれませんか?」
出来るだけ、下手に出て平和的解決を望んだのだが・・・C.C.はそのまま喋り続けた。
「もうひとつの主食は、魔女の森に迷い込んだ子供だ。」
「は?ってなに言ってんの・・・うっ」
何が起こった。冷静に考えよう・・・僕の唇にC.C.の唇が・・・キスされたのか。
支援
「おやおや・・・キスひとつで惚けるなんて、本当に子供だな。まあいいか、ピザの代わりにお前をいただくか。」
「C.C.!ちょっと待って!タバスコなら、僕からルルーシュに頼んどくから・・・」
「うるさい。黙ってろ。」
「お願いだから・・・嫌!らめええええええええええええええええええええ!」
つつきは、ビックローブストリィィィーム!!!
「ねえ,ルルーシュ今ライの悲鳴が聞こえた気がするんだけど?」
「何を言ってるんだ?カレン。俺には何も聞こえなかったぞ。」
「そうかな・・・ちょっと様子見てくるわ。」
「行くのはいいが、仕事を終わらせてから行け。」
「はいはい、分かりましたよ。」
数時間後・・・
「うっっ・・もうお婿に行けない・・・」
「何を言っている。お前は私のそばにずっと居ろ・・・他の女の所には、行かせないからな。」
C.C.は微笑みながら、僕に言った。
そんな魔女の微笑みを見たとき、僕は二度この魔女の森から出れないと感じた。
しかし、さっきからドア越しにカレンの怒号が聞こえる気がするんだけど・・・気のせいだよね?
支援…もし終わりなら宣言はして欲しい
終わり宣言忘れてました。すいません。
支援ありがとうございました。
575 :
銀飯:2008/07/04(金) 06:12:37 ID:K+Qcon20
誰もいないようなので投下させていただきます。
時間軸はR2の5話より少し前です。
ブラックリベリオン起こってノネットさんの家に匿われていたライとネリ様が
饗団を弾劾する旅に出ようとしているときの話です。
576 :
銀飯:2008/07/04(金) 06:13:07 ID:K+Qcon20
「殿下、どうしても行かれるもですか?」
「エニアグアム卿、答えは言わなくてもすでにご存知でしょう。」
殿下、かつて日本と呼ばれていたエリア11の総督であった神聖ブリタニア帝国皇帝第二皇女コーネリアは、かつての先輩であり、現在は父である皇帝直属の円卓の騎士ナイトオブラウンズの一人であるノネット・エニアグラムに半ば自嘲気味に答えた。
「ユフィの汚名を晴らすためならば、例えこの身を悪魔に捧げようとも・・・。いやっ、ユフィを貶めた悪魔の力、ギアスを滅ぼせるのなら、この命なぞ。」
「はぁー、やはり意思は固いようですね。ならば、全力で放置させていただきますよ。第二皇女コーネリアは、精神に支障をきたし、徘徊の上行方不明になったとか・・・。」
こうなった時のコーネリアには何を言っても無駄だということを、9年前にすでに経験済みであるノネットは、半ばあきらめたように続けた。
「しかし、それがどういうことかお分かりですか?皇帝陛下に対し弓を引くということに。」
「・・・エニアグラム卿には、ろくな恩返しをできないどころか、多大なご迷惑をおかけすることになりますが・・・。」
「いやいや、そんなことは気にしなくてもいい。コーネリア、お前の覚悟を聞きたかったんだ。まっ、ギアスに関してはライのこともあり、私も気になるし。」
「ありがとうございます。先輩」
577 :
銀飯:2008/07/04(金) 06:19:52 ID:K+Qcon20
いつの間にか二人の関係が先輩後輩に戻っていることを
当の本人たちは気づいているのだろうか、と傍にいた銀髪の青年は思った。
青年の名はライ。かつて第二皇女コーネリアの親衛隊で記憶喪失の身
でありながら、この時代の主力兵機KMFで卓越した操縦技術と指揮能力で
瞬く間に大尉(結局は保留になったが)に上り詰めた男であり、
記憶を失う前は悪魔の力ギアスを用い、「狂王」あるいは「辺境の覇王」
の二つ名で地方領主でありながら周辺の領土を併呑、
ブリタニアの領土拡張に大きく貢献した伝説の王であった男である。
が、ギアスの暴走によって守るべき人民、家族すべてを失い深い眠りに
ついた男でもある。バトレー将軍によって研究所に連れ出され、
肉体を改造され、研究所から脱走しアッシュフォード学園で拾われ、
友人のきっかけで軍隊に入り、武功を認められ親衛隊に入り
目覚しい活躍をあげたが、最後の最後で自分の持つ忌まわしい力
ギアスを克服できず、主であるコーネリアの存在理由そのものである
ユーフェミアを守ることができず、ブラック・リベリオン後は
コーネリアとともにかつて交誼のあったノネット・エニアグラムによって
かくまわれていたのだ。
「殿下、殿下のご意思は確かに承りました。しかし、傷口が完治している
といってもまだまだ腕の調子は本調子ではないでしょう。僭越ながら僕、
いやっ、私もお供させていただきます。」
「腕のことについては、なんら問題ない。だが、お前がついて来てくれる
というならこれほど心強いことはない。ギアスのことについてお前ほど
良く知っている人間は他にいないからな。
578 :
銀飯:2008/07/04(金) 06:23:52 ID:K+Qcon20
殿下「最初は信じられなかったが・・・。」
その通りだろう。この人の世の理から外れた力を理解するなど普通の人間には
できないがコーネリアには信じられる理由があった。ライの過去の告白、
そして妹ユフィ突然の人格の変化。
「ギアスの暴走。それによってユフィが・・・。ええい、忌々しい。
ライよ、なんとしても饗団の存在を明るみにし、ユフィの汚名を晴らすのだ!」
「イエス・ユア・ハイネス」
ライは力強く答えたが、それを見ていたノネットは、茶化すように
「おやおや、殿下はずいぶんとライを信頼しているようですね。
一年前には想像できませんでしたな。まるでライが専任騎士みたいだ。」
「っ先輩!?」
気恥ずかしくなったのか、コーネリアはノネットを叱責したが、
「殿下の専任騎士はギルフォード卿ただ一人だけですよ。
ギルフォード卿の下に殿下をお連れするまでは、及ばずながら全力を
尽くすだけです。」
「はぁ・・・。」
「10点だな、ライ」
どこまでも、恋愛に関しては空気の読めないライに関して嘆息した
年上二人であったが、こういうところがこの男の美点なんだろとも思った。
「えっと、何かまずいことを言ったでしょうか。」
「い、いや、何でもない。しかし、ギルフォードに及ばないという
発言は間違っているな。お前の腕はギルフォードに匹敵、
あるいはそれ以上かもしれん。」
「殿下、いくらなんでもそれは・・・。」
「はっはは、謙遜するな、ライ!なんせ私が毎日稽古を付けてやったんだ。
昼夜を問わずな。」
ギルフォード卿に匹敵するかどうかは別として、ノネットとの稽古によって
肉体が鍛え上げられ、ギアスの暴走も沈静化していったのは事実だった。
そのことには感謝している。しかし・・・、
「だからといって、夜中に人のベットにまで入ってこないで下さいよ。」
579 :
銀飯:2008/07/04(金) 06:24:52 ID:K+Qcon20
「んなっ、ライそれはどういうことだ!?」
コーネリアが激情している。先ほどギアスについて激昂していた
ときのように・・・。
「おやっ、殿下はどういった想像をなさっているんですかな。
夜中にライの寝室に行き、ライをたたき起こして稽古を付けた
だけですが・・・。殿下が考えておられるようなやましいこと
はありませんよ。そんなに心配なら四六時中首輪をかけて傍に
置かれたらどうです。はっはっは。」
今度はコーネリアが恥ずかしさのあまり、真っ赤になっている。
明日槍でも降るのだろうか。こんな反応の殿下は見たことが無いなと
思っていたら、部屋に電話音が鳴り響いた。
「なんだ、面白いところだったのに。私が出てくるから、
ライお前は殿下の相手をしていろ。」
「わかりました。」
「ふぅ、あの人には毎度毎度振り回されるな。」
それについては、否定しませんが・・・。
580 :
銀飯:2008/07/04(金) 06:27:05 ID:K+Qcon20
今回の投下は以上です。つづきは夕方以降に投下します。
沢山の感想、意見ありがとうございます。感想の多さは過去最大ですが、誤字の多さ過去最大。
やはり一日程度は寝かせるべきだったか…。
前回に続き申し訳ありませんが指摘のあった箇所の修正をお願いします。
>500の竜の「方向」→竜の「咆哮」
「ヴィンセント」、ヴィンセント両方の刃→「ランスロット」、ヴィンセント両方の刃
突きの姿勢を「取」ヴィンセント→突きの姿勢を「取る」ヴィンセント
あと506の「先日の極秘任務に怪我」→「先日の極秘任務。」もすみませんがお願いします。
やはりと言うべきかスザクに関して言われていますね。515、521でルルーシュに
より過ぎと言われていますが、ギアス編の続きであるこのSSではスザクの好感度は
生徒会メンバーの中では最下位となっています。
ルルーシュ=ナナリー>カレン>シャリー=ミレイ=リヴァル=ニーナ>=スザク
眠りについた時点でこうなっていました。そして現在(七話終了時点)は、
ルルーシュ=ナナリー>>カレン>シャリー=ミレイ=リヴァル=ニーナ>>>>スザク
となっています。
>上を見てスザクの符号が離れすぎだろう! と思う人もいるでしょう。また、546の方が「不倶戴天
の仇敵のように憎悪するというのはいくらなんでもらしくなさすぎる」と仰っていますが、これにも
理由があります。
何人の方が言うとおり、確かにライならば一定の理解を示せるでしょう。断罪もしないし、あそこま
で怒り、憎悪しないでしょう。でも、それは「ライ・ランペルージだけ」ならば、という条件です。
ギアス編の続きであるこの話ではライにとってもっとも大切なのはルルーシュとナナリー。
そして二人の生活。ルルーシュの自業自得とはいえそれを壊した事実+スザクのルルーシュ
いらない言葉によって融合したはずのライ・カ・ブリタニアさんが目覚め、一時的とはいえライ・
ランペルージと人格融合してしまったのです。(続く)
(続き)
過去の自分から見ればルルーシュ達兄妹は自分の母と妹と同等の存在。それを壊されたため
スザクへの理解<大切なものを壊され、友人を侮辱された自身の怒りという
優先順位ができあがり、大切なものを壊した=敵という答えになってしまったというわけです。
自分の小説の狂王さんは七話でも描写しましたが、敵に対しては一切の容赦がありません。
自分が何よりも誰よりも正しく、反対、敵対するものは自分よりは正しくない、間違っているという
思考の持ち主です。まさしく暴君です。
ちなみに狂王モードは一時的なものです。現在のライの人格はライ・ランペルージが主人格と
なっていますので、狂王モードはライの怒りのメーターが振り切れたときか、追いつめられた時のみに
発動する仕掛けです。
とはいえ今回の覚醒は多少の影響はあります。
あと>518で指摘されたエリア12は誤字ではありません。
またやらかしてしまった……。
「管理人さん」、581で上げた箇所、申し訳ありませんが修正をお願いします。
ご丁寧な説明ありがとうございました。
恐らく自分を含め、色々言いたい事がある人はいるでしょうが、ここはSSスレでありスザクとルルーシュについて議論する場ではない事は確かですので、この辺りで終わらせませんか?
RC卿のSSへの反響は大きいし、多様ではありますが、それは当然次回への期待があってのことですし。
書き手への過度な反応は自由な創作の妨げになりかねませんから。
>>RC卿
修正依頼は投下直後ならまだしも、それ以外なら管理人さんに直接の方が良いと思います
テンプレにもある事ですし
生意気言って申し訳ないです
>>ナカオケンタロウ21才卿
見事に俺の中のC.C像をぶっ壊してくれましたねw
しかし、これはこれで…良いっ!!
>>銀飯卿
コーネリア丸くなり過ぎw
けど、R2でのあの容姿でこんな台詞言われた日には…。
ライも何か感じ取れよっ!!w
鈍すぎるってレベルじゃねーぞ!!w
586 :
銀飯:2008/07/04(金) 14:54:10 ID:K+Qcon20
誰もいないので投下します。579の続きで、時間軸はR2第5話の少し前。
カップリングはライ×ナナリーで、保護者の年上女性がそれを見守るという形です。
ネリ様の人格が変わっているのとギルフォードが壊れているのであしからず。
タイトルは「旅立ち」です。
587 :
銀飯:2008/07/04(金) 14:56:21 ID:K+Qcon20
「饗団についてですが、当然ながらその存在については明らかにされていません。
ですが、饗主を頂点としてかなりの影響力を持った組織だというふうに
考えられます。」
「例えばお前が本来いた時代に『北の蛮族』たちをけしかけたようにか?」
「っ!?」
「いや、すまない。そういうつもりは無かったのだが。しかしそれほどの組織
であるならば、少なくとも総督時代の私の耳に多少なりとも情報が入っていても
いいはず。ならば、ブリタニア領以外にあると考えたほうがいいのか。」
「殿下、先ほどの発言はお気に召さずに。自分が向き合わなければならない過去です
ので。饗団の位置に関しては、ブリタニア領にないという殿下の意見には賛成です。
となると、ブリタニア以外で人目につかず、安全な地域ということになりますね。」
「人目につかない地域・・・。砂漠あるいは山脈か?」
「そのどちらかでしょう。地下や海底、無人島であれば、出入りの際に不意に人に見ら
れる可能性もありますから。そして、ブリタニアと関係のあるギアス饗団に対し、
露骨に敵意をむき出しにしていない上に安全な場所という条件を合わせていけば・・・。」
「・・・・中華連邦・・・」
「おそらくは。ですが、その広大な国家のどこにあるかまでははっきりしませんが・・・。」
「いいや、それだけわかれば十分だ。例え這いずり回ってでも必ず見つけ出してみせる。
ライよ、中華連邦への手はずが整い次第すぐに渡るぞ。」
ライが答えようとしたまさにその時だった。
「ライ、お前宛に連絡だぞ。映像も映していいか」
先ほど電話に出ていたノネットさんが、僕に電話をつないだ。
588 :
銀飯:2008/07/04(金) 14:58:16 ID:K+Qcon20
「殿下」
「ああ、私は席をはずした方がいいだろうな。行方不明ということにしておいた
ほうが何かと都合がいいし。」
コーネリアはそう言い、席をはずし、ノネットもそれに続いていったが、
「なら、別室で音声だけでも聞けるようにしましょう。それにしても、
ライ、お前が殿下以外のお姫様に仕える騎士だったとはな。少し驚いたが、
青春を謳歌していたようで安心したぞ。」
「どういう意味ですか?」
「なに、すぐにわかるさ。じゃ、再会を大いに楽しめよ、青年!!」
誰かさんの言い方に似ている上、何か奥歯に物が挟まったような言い方が気になったが、
再会というからには自分の知り合い、スザクやギルフォード卿だろうかと思ったが、
お姫様という言葉が引っかかった。自分の知り合いでお姫様と呼べるのは、殿下(「姫様」
はともかく「お姫様」と言えば殺されるだろうが)と亡くなったユフィだけだ。
学園でお世話になったミレイさんは貴族令嬢だが、姫様とは呼べないし・・・。
「うーん、とりあえず相手を待たせるのも失礼だし、回線をつないで見るか」
軽い気持ちで回線を付けたが、そこには懐かしいかつての妹分いや恋人といえる、
だが驚愕の人物、車椅子に乗った盲目の少女ナナリーが写っていた。
「なっ、ナナリー?ナナリーなのか?ど、どうして君が・・・。」
あまりの驚きに頭が混乱しきっているが、ナナリーの方は感極まって泣きそうになっている。
589 :
銀飯:2008/07/04(金) 15:01:25 ID:K+Qcon20
『お久しぶりです、ライさん。ご無事で何よりです。任務中に行方不明になったと
聞いていたのでとても心配していたのですが・・・。』
「あ、ああ。あの時たまたま居合わせたナイトオブナインのノネットさんに助けて
もらったんだ。今も屋敷で住まわせてもらって・・・。君のほうこそ無事で、
いやよくここが、ええっと、どうして、そういう皇女みたいな服装を」
彼女の兄であり、救いようのないシスコンであるルルーシュ・ランペルージが好み
そうな服装だなと、半ば現実逃避をしかけたが、そんな混乱したライに声をかけた
のが、ライの上官であったギルフォードだった。
『ライ、久しぶりだな。元気そうでなりよりだ。どうした、そんな腑抜けた顔をして。
それでも姫様の親衛隊の一員か!』
懐かしく暖かい叱責の声だったが、ギルフォードの登場がライの混乱にさらに拍車を
かけそうになった。
「ギルフォード卿、お久しぶりです。状況が飲み込めていないので、
説明していただけますか。」
『ふむ。そうか。どこから話すべきだろうか。ライ、お前はナナリー皇女殿下
とは旧知の仲なのだったな?』
「っチョ、ッチョト待ってください、ナナリーが『皇女殿下』!?」
どういうことだ、ナナリーはアッシュフォード家と縁のあるランペルージ家の、
貧乏貴族の娘だったはず。それが皇女殿下?
『ライさん、ごめんなさい。今まで黙っていて。私の本当の名前は
ナナリー・ヴィ・ブリタニア。かつて閃光のマリアンヌと呼ばれた
マリアンヌ后妃の娘で、皇位継承権87位の皇女なんです。』
「んなっ!?」
ナナリーの衝撃の告白に声を失ったが、別室の方で殿下はどのような反応をされて
いるのか気になった。
『私とお兄様は母の暗殺事件後、日本に人質として送られ、戦争後は皇族の地位を
捨ててアッシュフォード家に匿われていたんです。』
そうか、だからユフィは僕とナナリーとの仲をしつこく聞いてきては喜んでいたのか。
徐々に冷静な思考ができるようになってきた。
『そして、ブラックリベリオンの時に生存が確認され、皇位継承権87位の皇女殿下として
改めて本国に帰ってこられたのだ。』
支援
591 :
銀飯:2008/07/04(金) 15:05:36 ID:K+Qcon20
ギルフォードが話を締めくくり、ようやくすべて理解したが、
「じゃ、じゃあ、ルルーシュは?ルルーシュもそこにいるのかい?」
『っ!?それは』
ナナリーの顔が今までの歓喜とは一転し、悲しみに包まれていた。
『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア殿下に関しては現在も行方不明で捜索中だ。
皇女殿下として復帰されたナナリー姫様が最初に取り組まれたのはルルーシュ
殿下の捜索なのだが未だに・・・。』
そう言ってギルフォードが言葉を濁したが、最悪のケースもありうるという
ことなのだろう。
『でも、ライさんだけでも無事が確認できて良かったです。本当に・・・。』
「ナナリー・・・。」
自分のために人目もはばからず、涙を流すナナリーを見て、その場にいたら
抱きしめてあげられるのにと思ったが、しかし、今のナナリーは皇族である。
自分も皇族だが名乗り出るわけにもいかないので、社会上の立場は予備役の騎士候
そのような行為が許されるわけはないし、逆もまたしかりだ。にもかかわらず、
自分に対してこうして連絡してくるというのは、また現在はカラレス公爵に代わって
エリア11の総督代行の地位にあるギルフォードがナナリーのそばにいるという
ことは・・・。
「まさか、エリア11に赴任される新しい総督というのは・・・。」
『察しがいいな。やはりこの1年間、エニアグラム卿の下で鍛錬を積んでいた
だけのことはある。そう、こちらにおられるナナリー皇女殿下が新しい総督だ。』
しえん
593 :
銀飯:2008/07/04(金) 15:07:43 ID:K+Qcon20
なんか、規制にひかかったようですので、続きはまた後で。
支援してくださった方ありがとうございます。
ルルはもういじりキャラだな
その救いようのないシスコンが別の妹(ユフィ)殺した挙句にネリ様を酷い目にあわせたんですけどねw
てかライ、素性告白イベントなしでナナリーを恋人にしてるのか…
よくルルーシュが認めたなそれで…
597 :
銀飯:2008/07/04(金) 16:55:25 ID:K+Qcon20
591の続きです。前回の設定を補足説明すると
時間軸は親衛隊経由でR2第5話の少し前。
カップリングはライ×ナナリーで、保護者の年上女性2人(ネリ様、ノネットさん)
がそれを見守るという形です。
ネリ様の人格が変わっているのとギルフォードが壊れているのであしからず。
>>596卿、ルルーシュは二人の仲を正式に認めたわけではありません。
その辺はうやむやです。
598 :
銀飯:2008/07/04(金) 16:57:55 ID:K+Qcon20
「ナナリー、本気かい?今のエリア11は・・・。」
『ライさん、確かにエリア11、いえ日本の皆さんがブリタニア対して
どのような感情を抱いているのか目の見えない私でもわかっています。
でも、だからこそ私はいかなければならないんです。日本の皆さんに
恩返しをするために、なによりユフィ姉さまの残した行政特区日本を
成立させ、やさしい世界を作るために。』
「!?ナナリー、君は特区日本を?」
『はい、今度こそ成功させたいんです。人はみんな戦争の無い優しい
世界を望んでいるはずです。』
行政特区日本、かつてナナリーの姉ユーフェミアが作ろうとした政治特区。
ブリタニア領国であるエリア11の内部に日本の名を持つ行政特区を作り、
その中では日本人は日本人としてのすべてを取り戻すことができるという
構想があった。強者が弱者に哀れみをくれてやるようなものだという
批判的な意見もあるが、武力を用いない独立運動のさきがけとなる可能性も
あった。しかし、ゼロのギアスの暴走により、ユーフェミアは大虐殺を行い、
それを止められなかった自分は命を落としかけた。その後は、ユーフェミアが
ゼロによってではなくブリタニアによって処刑されたということ以外は周知の
通りだ。
「それで、僕に何をしろというのかな?君の姉であるユーフェミア殿下や
直属の上司であるコーネリア殿下を守ることができなかったこの僕に・・・。」
半ば自暴自棄な自嘲を浮かべながらそう言い放った。
599 :
銀飯:2008/07/04(金) 17:00:20 ID:K+Qcon20
『・・・ライさん・・・。』
『ライ、その点に関しては私も同じだ。しかし、こうして生き恥をさらしても
なお軍部にとどまっているのは何処かにおわす姫様のために、黒の騎士団、
いやゼロを捕らえるためなのだ』
何処かにおわす。ああ、ギルフォード卿は心の中にいる殿下を拠り所として
いるのだなとわかったが、自分の場合は常に殿下のそばにいたので、多少とは
いえ救われていたことにはじめて気づいた。
『ライよ。私は新総督としてエリア11に赴任されるナナリー皇女殿下の護衛
として本国に来ているのだが、私と会うなり殿下は開口1番にお前の所在に
ついて質問されたぞ。』
「・・・ギルフォード卿。それは・・・。」
ナナリーがあわてて口を挟み、
『ナナリー新総督が言わんとしていること、お前ならばわかるだろう。」
つまりは、ナナリーは僕に専任騎士になってほしいということなのだろうか?
しかしコーネリア親衛隊である自分が、いかにナナリーの頼みといえど、すぐ
近くに殿下がにいるのに引き受けられるわけがなかった。
「申し訳ありません。ナナリー皇女殿下、ギルフォード卿。あまりのことに
頭が混乱してしまって。しばらく時間をいただけませんか。」
そう言って返事をするのが精一杯のナナリーに対するやさしさだと思った。
『っそ、そうですよね。いきなりな上にこちらの都合ばかり言っても、
ライさんを困らせてしまうだけですよね。』
ナナリーは悲しみを押し殺すように言ってくれたが、
『しかし、新総督はもうまもなくエリア11に向かわれる。そんなに時間が無い。
もしコーネリア殿下がおわしたら、そのあいまいな態度をお許しにならんぞ!』
とギルフォード卿は叱責した。確かに、別室にいる殿下ならそうだろうな。しかし、
どこか懐かしむように言っているギルフォード卿の様子が気になった。
600 :
銀飯:2008/07/04(金) 17:02:43 ID:K+Qcon20
「では、1時間だけ時間をいただけませんか?」
『ふむ、それならば殿下と同じ船に乗って随行するのは難しいかもしれんが、
私と合流して警護につけるな。新総督いかがいたしましょう?』
『わかりました。ライさんがそうおっしゃるなら。」
『では、一時間後にいい返事を期待しているぞ。』
「イエス・マイ・ロード」
あくまで、上官であるギルフォードに返事をしたのは、ナナリーに対し、
「イエス・ユア・ハイネス」と答えるとそれは専任騎士を引き受けるつもり
なのだととられかねないからだ。
『新総督、エリア11についてからのスケジュールを
確認させていただきたいのですが・・』
そう言って会話に割り込んできたのは金髪の女性だった。
『ミス・ローマイヤ、もう少しだけならいいのでは。総督も積もる話もある
でしょうし・・。』
『恐れながら、総督は公人であられます。公人としての職責をきっちりこなし
ていただかねばなりません。』
『・・・わかりました。それでは、ライさんひとまず失礼します。
例えライさんがどういう返事をされても、こうして無事でいてくれたことが
何よりです。』
その言葉の裏には、ミス・ローマイヤと呼ばれた女性を含め、彼女に対して
いい感情を抱いている人間が少ないことが読み取れた。
「ああ、僕もこうして再会できてうれしいよ。返事は期待に沿えるかどうかは
わからないけど。」
『新総督!』
『では、これで。ギルフォード卿、後はよろしくお願いします。』
ナナリーはそういい残し、画面越しではあるがギルフォード卿と1対1の状況
になった。
601 :
銀飯:2008/07/04(金) 17:04:56 ID:K+Qcon20
『さて、ライよ。君にどうしても聞きたいことがある。』
その言葉は、拒否権はないというニュアンスが読み取れた。
『君が特区日本の会場から姿を消し、エニアグラム卿のもとに移った事情に関しては、
姫様もご存知のことだったので、あえて問わん。しかし、姫様の居場所を君は
知っているのではないのか?ならば、ぜひとも教えてくれ!』
あまりにも必死なギルフォードの様子に殿下はここにいますと答えそうになったが、
専任騎士であるギルフォード卿にも事情を話さないのは何かお考えがあるのだろうと、
あえて伏せることにした。
「申し訳ありません。僕なりに本国のほうから殿下の行方を探っていたのですが。」
『ふぅ、やはりそうか。ひょっとしたらエニアグラム卿のもとで養生されているの
ではとかすかな希望を持っていたのだが・・・・。一体何処におわすのか・・・。』
「ギルフォード卿、先ほどの件ですが・・・」
『ああ、ナナリー新総督ははっきりとはおっしゃらなかったが、この一年間、
あのお体で騎士を持たれなかったのは、君を騎士にしようと決めておられた
からのようだ。』
「スザクがナイトオブセブンになったからでしょう。だから代わりに知り合いの僕を選んだ
だけですよ。」
そう苦笑しながら答えた。ナナリーの騎士になる。1年前、スザクがユフィの騎士になると
決まったときに、クラブハウスでナナリーと折り紙をしている時に、ルルーシュから呼び出され
思いつめた様子で、「ナナリーの騎士になってくれ」と頼まれたが、あの時はルルーシュの
代わりに体が不自由なナナリーを支える存在になってくれ、交際を認めてやると言う意味だと
思っていたが、まさか本当の意味で騎士になるように頼まれるとは・・・。
602 :
銀飯:2008/07/04(金) 17:07:50 ID:K+Qcon20
「いずれにせよ、まずは保護者であるエニアグラム卿に報告しなければなりません
から、ひとまずは。」
『ああ、いい返事を期待しているぞ。君が戻ってきてくれればこれほど心強いこと
はないからな。それと、ロイド伯爵から伝言だが、君のクラブはいつでも
動かせるように整備されているようだ。』
「ロイドさんが。そうですかわかりました。では」
『ああ』
回線を切り、通信が完全に途絶えたことを確認し、ライは別室に移動した。
「全く、ギルフォードめ。なんという無様な、あれでもわが騎士か!?」
コーヒーカップを机の上にたたきつけ、見事に皿ごと割ってしまった。
「まあまあ殿下、彼は殿下に公私ともどもぞっこんなのですから許あげたら
どうです。」
「はあ、それがやつの軍人としての力量を抑えていることにいい加減に
気づいてほしいものです。」
いや、殿下。その前にギルフォード卿の気持ちを汲んであげてくださいよと
ライたちは思ったが、
「しかし、ライ。お前はどうするつもりだ?殿下についていくのか、それとも
あの新総督について行くのか?」
完全に面白がってるな、この人はと思った。
「答えるまでも無いでしょう。僕は殿下の親衛隊です。殿下に着いていきますよ。」
答えはしたが、歯切れの悪さがあった。
「ほお、か弱い昔の彼女の袖を振り捨てて、主である片腕の不自由な殿下に付き従うか!」
ノネットさん、それはあまりにも曲解のしすぎです。
支援
604 :
銀飯:2008/07/04(金) 17:10:47 ID:K+Qcon20
今回の投下はこれで終了です。
しかしこの年上軍団、ノリノリである
606 :
保管庫の人:2008/07/04(金) 19:51:18 ID:B9XwruGB
銀飯卿、恐れ入りますが本日投下されました作品について、区切り場所をレス番号で指定して頂けないでしょうか?
>>RC卿
説明乙です。お陰様でこれまでの物語が理解できて、思わず読み返してしまった。
別にルルーシュとスザクについて議論とか、そういうのとは違うと思うけどな…
続き楽しみに待ってますので!
そして他の職人の方々も乙&GJですよ!
人それぞれのライ像があるから、他のキャラとの関係性も多様性があって自然だしな
各職人の作品によって色々なキャラクターを見られて面白い
どんなキャラでも好きな人が居る事、そういった人達への配慮を最低限忘れなければ
その辺は書き手の自由じゃないかな
スザク好きだけどRC氏の話は展開が気になって面白いw
そんな俺は需要が殆ど無さそうなヴィレッタルートを妄想してる最中だぜ!
学園編やってから純血派ルートやると余計にツンデレの破壊力が増すな・・・
携帯から失礼します。オレはヴィレッタさん好きだから是非やって欲しい。
>>608 ヴィレッタさんのデレが需要がないだと?!
そんなことあるか〜!(必死)
是非書きあげて投下してつかぁさいorz
そうそうSS投下したいんで支援要請したんんですが、どなたかいらっしゃいますか?
支援
しえん
支援して下さる方がいらっしゃるようなので投下したいと思います。
『狂王降臨』の続きの続き。
「さようなら」という主題は付いてますが、今回のものに副題を付けるなら『狂いの王』ですかね
CPは特にありません。
シリアス(多少の残酷描写有り)読む方はご注意を。
では
邪魔な父と兄達を殺し、私が王になってから初めて行ったこと。
それは兄たちに加担していた貴族と、私を疎んじる貴族を一族郎党まで滅ぼすことだった。
ある家は謀略をもって没落させ、ある貴族は一族郎党に至るまで屋敷に縛り付けた上で焼き尽くした。
自らの肉親を手に掛けた時に何も思わなかった私が、他の人間を消す時に何も思わなかったのは当然と言えた。
それらの行為はただの『作業』だった。掃除をする時に塵芥に対して一々感情を持ってやる者が何処にいる?
炎によって身を焼かれていく者達の悲鳴がこだまする中、私の意識は次の一手に向けて動いていた。
幾つかの紛争で疲弊し始めた国を立て直すために、幾つもの政策を実行に移した。
医学の発展と医師の充実を図り、法を改め、犯罪に対する処罰を明確にし、どんな些細な芽も摘ませた。
国民へは減税を行い、無駄な歳出の一切を取りやめ、そして周辺国に対抗するために、兵力の増強に踏み切った。
農業、工業に関しては新しい技術を積極的に取り入れ、生産量と品質を向上させようとした。
しかし、いくら先進技術を取り入れてもこの国は土地も資源も目ぼしい物が無かった。無いなら他国から奪うしか他ない。
私は周辺国を侵略し、手中に治めるべく軍を動かすことを決めた。
私の頭の中にあったのは二人が安心して暮らせるようにすることだけ。他のことに興味はなかった。
そのために国の治安、生活水準の向上は必須だ。民草の生活が安定すれば、それだけで国は落ち着く。
そうすれば国が荒れることはない。
母と妹が穏やかに暮らすために、母と妹が悲しまないように……ただその為だけに私は居た。
私が王になり、二人に何かをしようとする者は現れなくなった。私が皆殺して来たから。
私にとって母と妹以外の他者は、物と同じだった。父も二人の兄も、私にとっては家族ではなく物だった。
人の命は軽かった。他人に興味を示すことは無く、たった一言で他者の命を奪える私には命の重さは分からなかった。
支援
支援
支援
血と死の匂いが立ち込める戦場で、権謀術数蠢く貴族の世界で私の前に立ち、私の邪魔する者は皆悉く消した。
時には剣で、時には計略で、時にはギアスで。
必要ないと感じたものは慈悲の欠片もなく消していった。
私が目的を果たすことで誰が死のうが、誰が苦しもうが関係の無いことだった。
貴族たちは自分の欲望と、保身の為だけに私に近づいてきた。奴らの目的は顔を見れば一目瞭然だった。
不要な者はすぐに消した、利用出来る者は利用するだけ利用して、使えなくなったらすぐに捨てた。
自分の意に反する臣下は容赦なく粛清し、敵対する者は一片の情けも掛けず葬り去った。
私に逆らう者はいなくなった。なぜなら私がたった一言「死ね」と言えば皆そうなるのだから。
周辺国を平定すべく兵を率いて自ら最前線で戦った。
敵軍の動きは手に取るようにはっきりと分かり、悪魔が耳元で囁くような戦略を使い絶望的な敗北を敵軍に与えた。
たった一人で敵軍の本陣に向かい、目の前の敵兵たちに声を発する。
「愚かな蛮族の兵達よ、我が国に敵対する愚を犯した報いを自らの命で償え!貴様たちは皆死ね!」
そう言えば、皆その通りになった。たった一人で敵の本陣に向かい、数千の敵兵を皆殺しにした若い王。
自国の兵も恐怖しただろう『この者に逆らえば命は無い』と。
戦場では自ら先陣を切り、多くの敵兵を矢で射り、槍で貫き、剣で切り裂いた。
哀れな兵が救いの叫びを上げても、気にも留めず命を奪った。
敵の血で髪も身体も紅く染まっても、殺し続けた。
馬から引きずり降ろした敵兵の喉首に切っ先を当てながら言った。
「私に刃を向けるとは貴様たちも哀れだな……、大人しく我が軍門に下れば良かったものを……」
私は自然と冷笑を浮かべていた。
「…黙れ悪魔めっ!!何故我らの策が読み切れる?!」
「貴様たち下郎の策など、幼稚すぎる。変化に乏しい策は意味を成さないと知れ。」
「…貴様が私を殺しても必ず我らの王が貴様を打ち取り、貴様と同じ悪魔の血を持った者を滅ぼす!!必ずだ!」
「……私と同じ血の者を殺す?あの丘の上で戦を眺めてるだけの愚鈍な王が?」
ニィと口が弧を描いた。視線は丘のある一点に向かう。そこには敵国の王が、豪奢な鎧に身を包み戦局を見つめていた。
「やってみるが良い……貴様の国の下郎共が全てこの世から消えても出来るならな!」
「この『狂王』、っ?!」
呪いの言葉を最後まで言わせる訳もなく、剣を首に深々と突き刺した。
首から鮮血が飛び散る。敵は口を虚しく開閉させていたがまだ息があった。
剣を抜き、心臓に一直線に突き下ろす。体内を剣を抉ると腕が私を掴むように伸びたがそのまま動かなくなった。
「兵士達よ、我が声を聞け!!」
声が響き渡ると敵見方問わず一斉に私に意識が向けられた。
「私に敵対する兵と王の一族を一人残らず殺せ!」
『おおぉぉおおおぉおおぉおおぉおおおおおぉ!!!!』
屈強な兵達の雄叫びが響く。敵見方問わず、私の声を聞いたものは命令に従い駈け出した。
敵兵のみならず、自国の兵も自らに向かってくる敵国の王は一目散に逃げようとしたが、逃げおおせることが出来るはずもない。
その場で傍にいた近衛兵達と同じよう首を刎ねられ、私の眼前に首を晒すこととなった。
「はははははっはっはは!『我らの王が必ず』なんだって?!結局無様に首と胴が分かれているではないか!」
顔を動かさず視線だけ敵兵の亡骸を見ると笑い声が上がった。
殺した敵兵を槍で串刺しにし、血を吸った大地につき立てた。
何本も槍が並べ立てられた戦場の様は、さながら地獄の入口のようだったろう。
それを一目でも見た敵軍の戦意は大きく削がれ、簡単に蹂躙することが出来た。
支援
支援〜
支援
支援
私の姿は敵国の兵士を畏怖させた。
屍が累々と積み重なった戦場で誰かが私を『狂王』と呼んだ。
それは私が殺した敵兵が最後に発した言葉。
他国に伝わり、周りの国々は私を『狂王』と恐れるようになっていったらしい。
その事態は私にしては好都合だった。私を恐れれば戦争継続の意思は削がれる。この国に争いを仕掛ける国は少なくなる。
武力によって幾つかの国を侵略、統治した後で残りの国々に、私は『狂王』の異名を使い領主と会談を設けた。
他国の領主と直接会うたびにギアスを使って私に絶対の忠誠を命じた。一年足らずで周辺国は北の国を残し、平定し終えた。
ただ一国会談に応じない北の国、ギアスが使えないのなら武力で滅ぼすだけだ。
北の国の動向に注視しながら、私は比重を内政へと向けた。
血で汚れた玉座に座る私は生ける屍、傀儡と同じ。二人のためにと糸を引き、動かしているだけの身体。
…だけど、二人の前では人間になれた。自然と笑うことが出来た。二人と他愛もない会話をすることが幸せだった。
二人が幸せに暮らせるようにする、これが唯一つの願い。私はよく祈っていた。
『神よ、もしもいるのなら、どうか願いを叶えてくれ…!私はどうなってもいい、生きたまま地獄の業火に焼かれても構わない。
あなたの息子のように、この世の罪を全て背負ってもいい。この命が欲しいのなら喜んで差し出す。……だから。
どうか私のたった二人の家族に穏やかな日々を。どうか……!!』
……そう祈っていた。…けれど……
壁に背中を預け、朧げに空を見つめ、昔を思っていたライの眼が明らかに悲しみの色に染まった。目線が自然と下に向う。
「狂王……か。『狂いの王』…僕に相応しい名だな…」
ふっとライの頭に過去の情景が浮かぶ。それはライが王位に就いて数年経った時のもの。
それは城下の市場で、自らの目で民の状態と、物資の質と状態を視察している時のことだった。
市場を預かる者からここ最近の状況を聞いているが、そんな事はライにとって市場を見れば分かる余計な世話。
疎ましく思っているライの耳に「国王陛下…!」と小さくか細い声が聞こえてきた。
妹と同い年位の少女の声。
この世で最も大切な者の声とどこかが似ていたのか反射的に振り替える。
「……?今私を呼んだのは貴様か?」
少女に向かって尊大な口ぶりで答えるライ。しかし少女は怯える素振りを微塵も見せずに「はい」と明るく言った。
「下々の者が、容易く陛下と言葉を交わすでない!下がれ!」
付いて来ていた文官が高圧的な態度で少女に言う。
「私自らが声を掛けた者に対していささか無礼ではないのか?」
少女に気遣ってか声音は優しい、だが人を射殺せる眼を文官を黙らせる。
「娘、私になんの用だ?」
眼だけを動かした臣下に対するそれと違い、身体を向けて少女に聞く。
「これを、陛下に!」
少女が差し出したのは赤く輝く林檎だった。
「これを私に?毒でも入っているのではあるまいな?」
意図せず皮肉を込めた言葉が出る。嘘で固められた城で育った来たライにとっては仕方のないことだ。
「そんなことしません!」
少女は強く否定する。その姿があまりにも必死でライは苦笑を漏らす。
「ふっ…それはすまなかったな。しかし解せんな、何故私に林檎を差し出す?それほど私は食べ物に困っているように見えるのか?」
「これはお礼です!少ないけど……」
照れたように少女はほほをかいた。
支援
支援
「……私に、お礼?」
「そうです!陛下が王位に就いてからこの国はとても良くなったとみんなが言ってます。
ここは辺境の国で、物もなくて、いつも周りの国に怯えて暮らしていたけどライ陛下が王になってからはとっても良くなったって。」
はにかむように言う。
「悪い貴族もいなくなって、私たちが暮らし安いように色んなことしてくれて、他の国が攻めてくれば真っ先に駆けつけてくれる。
そんな私たちを大事にしてくれる陛下にお礼がしたかったんです。」
純粋な少女の言葉はライを励ますと同時に苦しめもした。
それはお前たちが言いように取っただけなんだと、私は自分の目的のために数多の人間を殺して来たんだと。
「……貴様は私が恐ろしくはないのか?」
『狂王』と呼ばれるにはあまりに相応しくない質問だった。少女に問いかけるのものではないがライはどうしても聞いてみたかった。
「…恐ろしい?怖いってことですか?…そんなこと全然ありませんよ!」
明るい声でそう言われると、ライは自分でも分からずに安堵していた。
「……そうか、つまらない事を聞いたな。」
ライは膝を折り、少女と同じ目線まで身体を持ってくると両手で大切に林檎を受け取った。
「ありがとう。」
その言葉に少女は笑顔で応え、周りの文官たちは驚愕する。
『陛下がお礼の言葉を述べられた?!』その事実は普段から傍にいる彼らにとって信じがたい事実であった。
周りの反応を余所にライは新たな決意を固めていた。利己的に動いてきただけのライを敬っている民がいる。
世界が少しだけ色づいたライの心に一つの思いが浮かぶ『私が民を守る』と。
しかし、それも過ぎ去った過去の出来事。
「僕は守れなかった……。あの子も他の人たちも…」
その願いも儚く散ってしまったと、ライは悲しみにくれる。
あの少女と出会ってから数か月でライは全てを壊してしまったのだ。
国も、民も、家族も、願いも、自分も。
支援
私が王位に就いて数年、領地も格段に拡がり、国が安定し、これから発展を遂げようとしていた時期。
国中の誰もが希望を描いていた、もちろん私もそうだった。しかしそれは絶望の幕開けだった。
私は度々訪れる眼の奥が割れるような、抉られるような痛みに悩まされていた。
どんな名医に見せても分からなかったが、分からないならそれだけで気にすることはなかった。
こんな痛みで休んでいる暇はない、あと少しで私が思い描いた国が成る。
会談を設けた周辺国の領主はギアスを使って服従させた。それ以外の国は武力で統治した。
あとは北の国を滅ぼし後顧の憂いを断てば、ブリタニア皇帝の喉首を掻き切る手筈が整う。
そうなれば……私の望みは叶うはずだった。
玉座に座る私の元に、酷く慌てた兵士が駆け寄ってきた。
「騒々しいな、何事か?!」
眼で射ると、兵が怯えた表情を表すがそれを意識して隠すのが見えた。
「恐れながら申し上げます、陛下!北の蛮族が、我らが領土に侵攻して参りました!」
発展を遂げようとする我が国の技術と領地を狙い懲りもせず何度目かの侵攻を北の国が行った。
何度も凄惨な敗北をした北の国は数年かけ軍備を拡張し、最後の決戦を仕掛けてきたのだ。
玉座に座り、臣下達が並ぶ場で、それを臣下から告げられた私の感情は暴発寸前だった。
狂気が私の感情を染め上げた。
感情が思考に送られ私の口から言霊が飛んだ。
「北の蛮族共を皆殺しにしろっ!!」
その言葉を発した直後、大地が揺れた。雷のような雄叫びがあがる。
眼前の臣下たちが、控えていた兵たちが、城に居る全ての人間が、そして城下にいる民草までもが叫んでいた。
「蛮族を殺せ!」
「ブリタニアに敵対する者に死を!」
「我らが王のために、敵を殺せ!」
皆が口々に呪いの言葉を叫んでいた。屈強な兵士も、貧弱な文官も、女も子供も、老人も…
私の声が微かにでも聞こえた者はみな修羅になっていた。
数えきれない程多くの人が、雪崩のように敵の居る地に向かって走り出す。
……その波の中に私は見つけてしまった。
この世で最も大事な、自分の命より大切な二人が武器を手に走っていくのを………
支援
「行くな…!二人は行っては行けないんだ!戻ってきてくれ!!」
叫ぶと同時に走り出したがこのままでは間に合わない、私は愛馬に乗り駈け出した。
もう先頭の集団は敵軍との戦いに入っている。
弓矢の射程に入り、雨のように放たれる矢を受け民が次々と死んでいく。
まだ生きている者は突撃をかけるが、強固な陣形を破ることなく倒れていった。
当然だ、彼らは本能で敵を殺そうとしているだけ、綿密に練られた敵の策にかかり、命が枯れた花のように簡単に散った。
数百人も犠牲になろうかという時、敵の壁が壊れ、白兵戦に突入した。
敵見方が入り乱れ、血が川となり流れる中を走り続けた。
「狂王ライ!御首頂戴するっ!」
敵兵が騎馬で剣を振りかざし向かってくる。
「邪魔だぁ!自分の首でも落としていろ!」
敵兵は首を剣で薙ぐ。その動作を見届けることなく駆け続ける。
邪魔する者は武器とギアスで排除した。馬が倒されると自分の足で走った。
私の姿を見る度に何人も、何人も私の命を奪いに来る。
「私の邪魔をするな!私は二人を止めねばならんのだ!!」
向かってくる敵をひたすら殺し、二人を捜し続けた。
敵兵の鮮血が顔に塗られても構いもしなかった。
足に矢が刺さり、脇腹が刃で抉られても止まることなく走り続けた。
痛みを意思でねじ伏せて二人の名を叫び続け走った。
『早く見つけなくては!どうか無事でいてくれ!お願いだ!』
それだけを願い続けた。
修羅となった民が、命ある限り敵を殺し続けていた。
戦場は混沌とし、あっという間に両軍は壊滅状態に陥り、生きる者が数える程しかいなくなり戦は終わった。
私は多くの傷を負ったが探し続けていた。痛みが体を引き裂いていたが歩き続けた。
母と妹が着ていた服装に似た物を見つけると顔を覗いた。何人も何人も顔を見つめ続けた。
……そして見つけた。
支援
支援
手にしていた剣が手から滑り落ちる。私はその場に崩れるように膝を着いた。目からは止めどなく涙が零れる。
母と妹は折り重なるように、母が妹を抱きしめるようにして亡くなっていた。
恐らく初めに妹が致命傷を負ったのだろう。そして母は妹を守るように抱きしめ、背から切られていたのだと分かった。
私は母と妹にも命じてしまっていた。『敵を殺せ』と。
それなのに母は最後にギアスに逆らって妹を、自らの娘を守った。
「…っ………っ………………あああぁああぁぁぁっぁあぁああぁああ!!!!!」
死が溢れた場に獣の声が響いていた。それが私の喉から出たものだとは気付かなかった。
冷たくなった二人を力の限り抱きしめた。浴びた血が溶けた薄い赤の涙が二人の顔にぽたぽたと落ちて細い線になる。
どんなに強く抱いても声一つせず、優しい暖かさがあった身体に熱が戻ることもなかった。
「…私が、守りたかったのは二人だけだ…二人のためなら私がいくら汚れても、
……ただ…ただ二人が安心して過ごせればそれで、良かった……私の全ては愛しい母と妹のために…あった、それなのに……私は…!!」
誰に言うでもなく、言葉が出た。
「……あぁあああっぁぁっぁああああぁあああぁ!!!!」
私のたった一つの願いが叶うことはなかった。
力を求め、超常の力を身に着け、父と兄を殺し、邪魔する者を粛清し、どれだけよく国を治めても叶うことはなかった。
「……二人を守ることすら出来ずに、……何故、私だけが生きている?
……二人を守るというたった一つの願いすら叶わず、何故この世界で生きているのだ!!」
そこには私以外誰もいなかった。ここが、これが私の居るべき場なんだと唐突に理解した。
生きる意味をなくし、絶望し、持っていた剣で胸を貫こうとした。
だが、切っ先が胸の前で止まった。何度やっても出来なかった。
『契約を果たすまで、君は死ぬことが出来ない』
支援
私の後ろから声が聞こえた。その声は私に『王の力』を与えた者の声だった。
「……頼む!死なさてくれ!私はもうこの世界にいる意味がなくなったんだ!!私は……もう…」
言葉の最期が途切れる。私は必死に頼んだ、けれど彼からの言葉は無情なものだった。
『君は死ねない。願いを叶えるその時まで君は死ねないんだ。』
彼は表情を変えることなく告げた。
「…それは『契約』の為か? だが私は貴様の願いを叶えることは出来ない…、私の世界は色を失った。もう何も、出来ないだろう…」
『……君に一ついい提案がある』
無機質だった彼の声に感情が籠った。
「……なんだ?」
反射的に答えてしまった。
『私が願いを叶える為に動く、その時まで眠り続けるのはどうだ?眠っていれば死んでいるのと同じだろう?』
酷く優しい声が聞こえた。
「……そうだな……死ねないのなら…眠り続けるのは最上の手かもしれん……眠り続ければ私は死んだことと同じだ……」
『なら、おやすみ。ライ。』
彼が私に触れると意識が薄れていった。そうして私は眠りについた。
眠り堕ちる直前に今までの出来事が走馬灯のように駆けまわった。
母と妹を守ると誓ったこと、父と兄達を手に掛けたこと、多くの者たちを殺したこと、民から言われたこと。
全てが辛く圧し掛かってきた。それに耐え切れず私は自らにギアスを使った。
『ライよ、全てを忘れろ』と……
これがライの過去。何一つ守れなかった過去の自分。自分の大切な者すら自らの手で壊した愚かな王だった自分。
過去を思い起こし、ライの眼から涙が溢れた。
日が暮れて、空が夜の始まりを告げようとしていた。闇が抱き締めに来てくれているようだとライは感じた。
眼につく全てを壊して来た『狂王』。 彼はルルーシュ、カレン、C.C.の前でその自分に戻った。
きっかけは関係ない。彼は友人を壊そうとした。初めて愛し、愛された女性を壊そうとした。
過去と同じように邪魔だと、煩わしいと感じただけで人を殺めようとした。
理性が告げる……僕は、この世界にいてはならないと。
…彼はギアスと同じなのかも知れない。いつ暴走するか分からないが、いつか必ず破裂して全てを道連れにして滅ぶ存在。
「こんな僕が居ていい場所があるだろうか?…いや…そんな場所はこの世界には存在しない。
だれが好き好んで抜き身の刀を持つだろうか? ……僕は……」
ライは立ち上がり、歩みを進める。黒くなった海に向かって。
……さようなら……
支援
支援
今回はこれにて閉幕とさせて頂きます。
これ以上やると猿どもが来そうな気がしますんで。
そろそろC.C.さんに一発気合い入れなおして貰いますんで暫しお待ちを…
オリキャラに近い女の子出してしまってすみませんorz
支援要請に応えてくれた方々ありがとうございます。
では
>>641 乙乙乙
自分に語彙力がないのでうまく褒められないんだけど
すごすぎて、タダで読んでしまって良いのだろうかと思った
よく練って書かれていてロスカラとライに対するものすごい愛情を感じます。
個人的に細かい書き間違え指摘はどうでもいいや…もう一回読もうっと
GJです!!
王様時代が鮮明に描かれていて、公式でも良いんじゃね?
って思うくらい良かったです。
でも、こんな体験すれば世界から色も失うわ・・・と納得。
>>641 GJ! これはいい狂王ですね。
結末が切なすぎる。この場面、ゲームだとそれほど感動できなかったのに、細かく描写されるとここまでブワッと来るんですね……良いものを読ませてもらいました。
続きに全力で期待!
645 :
保管庫の人:2008/07/04(金) 23:09:11 ID:WLusSCC8
614からのものを狂王降臨4として保管しましたが、領地からしか行けないようになっています。暫くご辛抱ください。
646 :
保管庫の人:2008/07/04(金) 23:32:01 ID:WLusSCC8
>>RC卿 言い忘れてた。581で指摘された誤字を全て修正しました。ご確認ください。
あと出来ればメールでお願いしたいのですが、いかがでしょうか?(当然ですが強制ではありません)
>>645の件は解消しました。空マメ卿、お疲れ様です。
サーバーの納入に備え、てんてこ舞いの管理人でした。
647 :
銀飯:2008/07/04(金) 23:46:31 ID:K+Qcon20
575〜579と587で一区切り。588と589と591で一区切り。
598〜600で一区切り、601〜602で一区切りです。
すみません、区切りについて深く考えず投稿してしまいました。
648 :
保管庫の人:2008/07/04(金) 23:57:27 ID:WLusSCC8
では3作品に分けるということで進めます。明日の朝には反映されると思います。
……古参の職人達は着実に進化していて、
その職人が生み出した作品が新たな職人を生み出す。
そして、それを受け止めきる完璧な保管人……圧倒的じゃないか、このスレは!!
650 :
銀飯:2008/07/05(土) 01:14:50 ID:fVVtOza7
602の続きを投下します。今回は保護者二人とライのお話です。
たぶんこの投下で、全体の半分くらい行くかと。
支援のほどをお願いします。
>>保管庫の方、今度は区切りを終了の際にに入れますので
651 :
銀飯:2008/07/05(土) 01:16:28 ID:fVVtOza7
「ライよ、お前の気持ちはうれしく思う。だが、ナナリーが新総督として
お前を専任騎士として選んだからには、お前はギルフォードと共に
ナナリーにつき従え!!」
「殿下、それはどういう意味ですか!?」
「騎士を選ぶのは皇族のみに許された特権だ。例え私の配下であろうとも、
他の皇族が望めば、専任騎士であるギルフォード以外は拒否することが
できん。」
「ですが、殿下。」
なおも食い下がろうとしたが、
「おそらく、死んだユフィがここにいれば私と同じことを言っただろうな。
あれは他の誰よりもナナリーと仲が良かったしな。そのナナリーの頼みと
あれば断ることはできん。」
死んだユフィの名前まで出されては、それ以上口を挟むことはできなかった。
652 :
銀飯:2008/07/05(土) 01:17:54 ID:fVVtOza7
「それに、黒の騎士団の動きも気になる。ギルフォードは確かに軍人としては優秀だが、
生真面目すぎて、策略にむかん。ユフィが大事にしていたナナリーまでやつらの、
ギアスの犠牲にさせるわけにはいかん!」
「ライ、殿下のご意思は固いぞ。例えお前がついていくといっても許してくれんぞ。」
「殿下、ノネットさん・・・」
久しぶりに見たナナリーの姿を思い出した。少し大人びた、しかしどこか擦り切れたような
感じがした。皇族としてさまざまな苦労があるのだろう。まして、目が見えない分周囲に
敏感なナナリーであればその苦労は並大抵のものでは・・・。おそらく殿下もそれを感じ
取って自分に行けといっているのだろう
「わかりました。僕、いや、私はナナリー新総督とともにエリア11に行きます。」
「そうか・・・。ならば、ライよ、ナナリーの騎士として剣となり盾となり、
大いに励んでこい!」
「イエス・ユア・ハイネス」
支援
支援
655 :
銀飯:2008/07/05(土) 01:20:43 ID:fVVtOza7
どこか安堵したそれでいて少し寂しげな表情を浮かべたコーネリアに対し、
素直になればいいのにと、ノネットは思ったが、
「ですが殿下ひとつだけお願いがあるのですが・・・。」
「なんだ?ああ、軍部復帰の推薦状か?私は名前を出すわけにはいかないから、
それならばエニアグラム卿に・・・。」
「いえ、そうではなくて。ギルフォード卿に画面越しでもかまわないので
お会いしていただけませんか?」
っぶ、危うくノネットはコーヒーを吹き出しそうになりかけた。馬鹿か、この男は。
さっき殿下がライに対して浮かべた表情がどういうものだったかを考えれば、
この台詞は無いだろう。
「ふぅ、今はまだ。その時ではない。それにやつならば一人でやっていけるだろう。」
「先ほどの会話をお聞きになられたでしょう?あんなに痛々しいギルフォード卿を
見るのは初めてです。姿を見せるのがまずいのであれば手紙だけでも・・・。」
「はぁ、わかった、わかった。ギルフォード宛の手紙を書いておこう。それより、
そろそろ約束の時間だろう。あいつは生真面目だからな。1秒の狂いもなく
かけてくるぞ。」
「なら、さっきの部屋に移動したほうがいいな。私もこっちで推薦状を書いておこう
それに他に渡したいものがあるしな。」
「お二人とも、ありがとうございます!」
晴れやかな笑顔で、颯爽と部屋から出て行ったライを見て、この笑顔が罪作りの原因
なのだと改めて感じた。
656 :
銀飯:2008/07/05(土) 01:24:28 ID:fVVtOza7
「しかし、殿下。良かったのですか?」
コーヒーカップを置き、真顔でノネットが尋ねた。
「何ですか?」
「いや、なに。あそこで殿下が泣いて、新総督のところに行かず、 自分についてきてくれと
頼めば、いくら鈍いライでも殿下の気持ちに気づいたでしょうに。」
「んなっ、エニアグラム卿。私は別にそのような!?大体それを言うなら先輩のほうこそ
ライに対してどう思っているのです?エニアグラム卿が若い男を囲っているという噂を
知らぬわけではありますまい。」
「ああ、そういう噂もありますね。いや親が真に受けてぜひ紹介しろとうるさいのですが、
殿下から預かっているわけですし、遠慮してきたのですが・・・。しかし、まあ、殿下が
そういうつもりなら両親に紹介して婿として迎え入れるつもりですよ。」
「ほ、っ本気ですか!?」
「さあ、どうでしょうね?しかし、ライにはさらさらその気は無いようですな。殿下が
来られる前にも何度かそういう機会があったというのに・・・。」
「っく・・・。」
大げさなそぶりを見せたがそれが冗談なのか、本気でしているのかいまひとつ判断が
つかない。大体この人は昔から人の心の中に土足で入ってきてと改めて思った。
「まあ、ロリコンかそっち方面に気があるのかと思いましたが、
要するにあのお姫様以外には目が向いていないということなのでしょうね。」
「はじめは、あれをユフィの騎士にと思っていたのですが・・・。」
「しかし、いつの間にかというわけですか。」
こんなに女らしいコーネリアを見るのは、士官学校で散々に打ち負かしたとき
以来かなと思った。明日はハドロン砲の粒子でも降るんだろうか。それほどまでに
ライの存在が大きくなっているのだろう、自分もその点に関しては吝かではないが。
「さて、そろそろ連絡が入っているころですな。
早めにお互いの書き物を仕上げましょう。」
sien
猿が来たのか!?
659 :
銀飯:2008/07/05(土) 01:26:34 ID:fVVtOza7
今回の投稿は終了です。
区切りは651,652,655,656でひとつです。
支援していただいた方々ありがとうございました。
この凄まじい質と量に全力でGJと叫ばざるを得ない。
なんてGJに溢れたスレッドだ……
素晴らしい!正に無敵!!
でも、猿だけは勘弁な?
662 :
銀飯:2008/07/05(土) 02:21:53 ID:fVVtOza7
規制が解けたようなので、再投下を。何とか本編開始までにオレンジを登場させねば。
656の続きで、ネリ様シックのギルフォード卿が完全にネタになっています。
663 :
銀飯:2008/07/05(土) 02:23:11 ID:fVVtOza7
『ライ、新総督は公務で席をはずせないためここにはいないが、返事を聞かせてくれるか?』
本当に1秒の狂いも無いなと苦笑しけたが、今度は迷いなく答えた。
「ギルフォード卿、専任騎士の件、謹んでお受けします。微力ながら新総督のお力添えを
させていただきます。」
『おお、そうか。やはり引き受けてくれるか!いや、君ならば引き受けてくれると思い、
もうすでに迎えのヘリを寄越しているのだ』
この人がこんなに感情をあらわにするのは珍しい。しかし、
「!?迎えのヘリですか?」
『ああ、新総督はまもなく発たれるからな。少しでも合流が早いほうがいいと思って、
どうした何か問題があるのか?』
「い、いえ。色々準備がありますので。」
まさか殿下の存在を明るみにするわけにはいきませんのでとは言えずそう答えたが、
『ああ、最低限必要なものはこちらで準備しているし、エリア11についてから
そろえれば問題ないだろう』
「そうですか・・・。ヘリは後どのくらいで?」
『およそ30分といったところだろう。君はヘリに乗って空港に停泊中のアヴァロンの
前まで来てくれればいい』
664 :
銀飯:2008/07/05(土) 02:24:12 ID:fVVtOza7
30分か。屋敷の中にいてもらえれば何とかなるな。
「わかりました。ナナリー総督もアヴァロンに?」
『いや、そのことについてだが、ナナリー総督は別艦にのられ、新型ナイトメアを搭載した
アヴァロンに乗っているわれわれが護衛のためにつく形になる。』
「そうですか・・・。」
安全性を考えればシールドを展開できる旗艦アヴァロンにいるほうが確実なのだが・・・。
『君が言わんとしている点に関しては私も同意見だ。しかしアヴァロンではエリア11を
刺激しかねないという意見もあってな。では、合流を楽しみに待っているぞ。新総督も
楽しみにしておられる。』
「イエス・マイ・ロード」
通信を遮断した後急いで別室に向かった
支援
666 :
銀飯:2008/07/05(土) 02:25:16 ID:fVVtOza7
「まったくギルフォードめ!?こういうところはきっちりしている。」
今度は紅茶のティーカップとお皿を見事に叩き割っていた。
「さすが殿下の騎士ですね。」
「お二人とも、今はそんなことを言っている場合じゃないでしょう。
殿下一刻も早くお隠れに。」
ギルフォード卿の手はずについて言い合っていたが
「ああ、そうだな。まだ見つかるわけにはいかんしな。」
「まあ、ライが早めにヘリポートに行っておけば大丈夫でしょう。ほらっ、
推薦状とギルフォード卿への手紙だ。」
「ありがとうございます」
ノネットさんから手渡された手紙を受け取り、かばんに保管した。
「それっとだな。これも持っていけ!」
ノネットさんにいきなり渡された衣装ケースを開けると、そこにはラウンズの
装束が入っていた。ノネットさんの装束の金色の部分が銀色になっているという
違いがあるが、だれが見てもラウンズの装束だった。
667 :
銀飯:2008/07/05(土) 02:27:09 ID:fVVtOza7
「ノネットさん、これは?」
「いや本来はお前のラウンズ就任祝いにと思ってとっておいたが、
こういう事情だしな。前の親衛隊服も少し窮屈になっているだろう。」
「いや、でも・・・。」
こんなラウンズ服を着た日にはなんと言われるか・・・。
「なーに、お前はいずれラウンズになれる器だ。気にするな」
気にしますよ、普通の人間は・・・。
「ライ、せっかくの好意だ。着てみろ。それと私からは
この剣を餞別に渡そう。」
「っちょ!?殿下まで」
「さあ、決まりだ。時間が無いし早く着替えろ。ああ、時間が無いし
ここで脱いでもかまわんぞ。」
「全力で遠慮します。」
先ほどの部屋に行って着替えた後、二人が待つ部屋へと戻った。
668 :
銀飯:2008/07/05(土) 02:29:58 ID:fVVtOza7
今回の投稿は終了です。区切りは663,664、667、669でひとつの区切りです。
タイトルは「旅立ち」で統一して、区切りごとに1,2,3と番号を入れて
いただければと思います。
シャーリー(ノ∀`)
>>668 GJ!この選り取りみどりの状況、うらやましすぎなのにいかんせんライ鈍すぎw
ネリ様かわいいなぁ。つづき楽しみ。
ちょっとセリフ以外の描写で
第三者視点とキャラ視点がごっちゃになっているのだけ少し気になったかな
>>641 そういや以前「自分のSSを待ってる人もいるんだろうか」って言ってたの、空マメ卿?
自分が言うのも何ですが、以前のSSからもより進化していると思うし
もしかしたらまだまだこんな人も投下を躊躇してるのかと思うともったいない。
反応が不安な人でも、初心者でも、どんどん投下していって欲しいなぁ
どなたか1レスに入る文字数・行数を教えていただけないでしょうか
行数は32かな?
673 :
銀飯:2008/07/05(土) 07:41:53 ID:fVVtOza7
おはようございました。667の続きでを投稿します。長々とした文章になってしまいましたが、
ネリ様に「自慢の息子」という台詞を言わせるための前振りが長くなってしまいました。
カップリングはライ×保護者2名です。タイトルは「旅立ち最終話」です。
人間関係の若干の捏造と、とりようによってはネリ様に死亡フラグが立っています。
支援のほどをお願いします。
674 :
銀飯:2008/07/05(土) 07:43:39 ID:fVVtOza7
「・・・・」
「殿下、どうかなさいましたか?」
やはり違和感があるのだろうかと、自分を見つめるコーネリアの視線を不審に思い、
思い切ってたずねたライだったが、
「いやっ、何。私には子供はいないし、生んだ経験が無いのでわからんのだが、
親元から巣立つ子供を持つ母親とはこういう気分なのかなと、ふと思ってな。」
自分の言った台詞があまりにも臭かったので苦笑を浮かべていたが、
「はあ?」
言わんとすることがいまひとつのみこめなかった。
「お前のような息子だと、さぞや自慢の息子になるだろうな。それに、この一年
お前を見てきたが、やはりお前は似ているな。閃光のマリアンヌと呼ばれた
マリアンヌ様に。」
「それは・・・。」
バトレーの研究所で、KMFの操縦に関して徹底的に埋め込まれたことが原因なのだが、
「私が言っているのは、操縦技術だけではなく、人間性そのものを言っているのだ。
だからこそナナリーはお前に惹かれたのだろうな。ライよ、ナナリーが許して
くれるなら、『閃光の』二つ名を使ったらどうだ?その剣も元はマリアンヌ様から
賜ったものだしな。」
「殿下、重ね重ねもったいないお言葉です。」
675 :
銀飯:2008/07/05(土) 07:44:41 ID:fVVtOza7
「だが、子供が親より先に死ぬことほどこの世に不義・不孝なことはない。
いいか必ずナナリーを守り抜き、生きて私の元に復命せよ!」
ノネットさんも同じくうなずいていた。二人とも本当の母上のように慈愛に満ちた目だった。
ああ、この人たちは自分のことを本当に大事に思ってくれているのだなと改めて感じた。
「イエス・ユア・ハイネス!イエス・マイ・ロード!」
「さっ、そろそろヘリポートに移動しておけ。ほんの少しだが音が聞こえるし。」
「わかりました。では殿下、ノネットさん、これで。殿下もあまりご無理をなさらずに。」
「ふっ、私をそこいらの女と一緒にするな。片腕が動かぬため無理ができぬが、
反対に理性がきくからな。ちょうどいいバランスだ。」
最後まで殿下は殿下だなと思いライは部屋を後にした。
676 :
銀飯:2008/07/05(土) 07:46:02 ID:fVVtOza7
「しかし、なんとも損な役回りですな、殿下?」
惜しいことをしたのではありませんかという響きがノネットの言葉にあったが、
「っふ、まあ否定はしませんよ。それを言うならお互い様でしょう。しかし、
ナナリーのそばにはあの男が必要なのです。公私共々心の底から支えてやる
必要がありますからね。」
そう、記憶があいまいだがもしあの時、自分にギアスをかけたのが、やつならば。
いや、やつに間違いないはずであり、それを知ったときにナナリーはどうなるだろうか?
容易に想像できる。だからこそ、それを支えてやれる存在が必要なのだ。そう思って
窓を見やるとヘリが飛び立て行った。
「どうやら行ったようですな。」
「ええ、私も中華連邦に移ります。先輩お世話になりました。」
「水臭いぞ、コーネリア。困ったときはお互い様だ。それとマリアンヌ様の件、
私のほうでも可能な限りは調べておく。マリアンヌ様の直弟子としてな。」
「お願いします。もしライの言うとおりならば、あの事件も・・・・。」
白銀の王は盲目の白き魔女の下に、紅耀石の姫君は饗団を追い求め、運命の欠片が
埋まろうとしていた。
677 :
銀飯:2008/07/05(土) 07:47:34 ID:fVVtOza7
場所は変わって、中華連邦某所。
竜玉に出てくる精神と時の部屋を連想させる空間に、退屈そうに階段に腰掛ける少年V.V.と、
冷やしたシャンパンを飲む改造人間オレンジがいた。
「うん、C.C.やルルーシュだけでなく狂王達も動いたみたいだね。これから急がしくなるけど、
調子はどう?」
「多少のバグはありますが、おおむね順調です。C.C.やルルーシュ、狂王の始末は
お任せください。」
「そう良かった。君を助けた甲斐があったよ。」
「命を助けていただいた上に、完全体に近づけていただいてありがとうございます。
このジェレミア・ゴットバルト、ご期待には全力で!」
「そう、でも君には彼を殺せるかな?彼は強いよ・・・。」
完全に自己陶酔に陥っている、改造人間オレンジに対して冷たい視線を浴びせるV.V.
であった。楽しみだなあ。
『こうやって絶好調になっているオレンジがライ達の手によって再び奈落の底へと落ちて
いく姿をもう少しで見れるんだもん。どっちに転んでも面白いね?シャルル』
くすっ。
支援
679 :
銀飯:2008/07/05(土) 07:54:15 ID:fVVtOza7
以上でタイトル「旅立ち」の終了です。
長々と稚拙な文章を並べてしまいましたが、ご意見・ご感想があれば、
次回の創作の参考にしようと思いますので、よろしくお願いします。
>>保管庫の人卿
最後の677のV.V.の心の声を『』で書いたんですが、保管の際は、
最後から4行目の「たのしみだなあ」から入れていただくようお願いします。
このGJぶりをどう表現すればいいのかわからないぜ
>>679 どの台詞も自然で、各キャラをしっかり掴んで書いてるんだなあと感じた…GJ
ただちょっとぶつ切りすぎやしないか?書けた端から投下するのも良いけど、このスピードで書けるならある程度、前後編くらいに纏めたほうがいいんじゃないかな?
時間帯にもよるが支援者は多いし
あまりバラバラ投下しすぎると他の職人のタイミングを奪いかねないしね
…なんだか苦言だけ長くなったな…すまん
銀飯卿の次回作に期待します
682 :
銀飯:2008/07/05(土) 09:00:51 ID:fVVtOza7
>>681卿早速のご意見ありがとうございます。
実は投稿する以前に作品自体は完成していたんですが、投稿できる文字数や
行数のわからず、手探りだったためぶつ切りみたいな形になってしまったのです。
ご指摘の通り、今回のような投稿の仕方だと他の職人の方々の投稿を妨げること
になりかねませんので、以後気をつけます。
ベテラン職人の方で、上限や規制に詳しい方がいれば教えていただきたいのですが。
今日はもう投下はなさそうだな、断言できる
ほぼ連日投下して下さってた、ある職人さんのSSを一週間くらい読めずに俺涙目W
ここでちょっと職人諸卿に聞きたいことがあるんだ。
このスレ的に三次作品の投下はOKかNGか。
際限なくなってしまうからNGだろうと俺的には結論出てるんだがとりあえず質問させてもらった。
もしOKなんてことになったら保管庫の人卿がさらに大変になるの目に見えてるしなぁwww
三次作品の定義を教えておくれ
三次作品て何?
三次創作?そりゃダメに決まってる
なんとか出来た。
分割するからあと30分後くらいに他に投下する人がいなけりゃ投下する。
えらく長いので支援者も募ってますたい
wktkしてお待ちしております
>>銀飯卿
連日GJ!コーネリアとライのやりとりにほのぼのしてたら…V.V.鬼畜すぎw
銀飯卿ももう結構な量を投下して下さってるから、できたらコテハンつけて欲しいな
>>685 ちゃんとこのスレ見てたら明文化してなくても分かることもあるかと
>>688 支援準備完了
691 :
685:2008/07/05(土) 17:49:59 ID:SPISVkJz
話が大きくなる前に言っておくことがある。
こんな質問しといてなんだが、実は俺は職人じゃないから執筆予定も投下予定も全くないんだ。
騒がせてすまんかった。
ちょっと神根島でギアス暴走させてくるよ。
『みんなが忘れますように・・・』
>>688 全力で支援させていただくので、wktkしておきます。
長くなってしまい、日を開けて投下しようとも思ったが、明日には次の話のオレンジで、キューピッド成分が薄れてしまうと考え、1日で書き上げたぜ。
注意
・初投稿(しかも携帯)なので、皆さんの期待には応えられないかもしれんが、よろしく。
・アーニャ&ライです。需要なんて気にしない
・LC終えてしばらくたつのでライの性格やしゃべりが崩れてたらゴメン
・8つのセクションとおまけからなるので長いですがよろしくお願いします。
マジで投下か?ならば支援するしかルマイ
キューピッドの日。
ミレイ・アッシュフォードの卒業記念に開始された行事で、後のアッシュフォード学園の伝統となる。
§1
穏やかな朝日の下、登校中のアーニャ・アールストレイムは静かに思った。
(………ライ)
美しい銀髪の青年の姿を脳内に浮かべると、それだけで胸があったかくなる。歩くスピードも心なしか速くなる。隣の金髪三つ編みもおいてけぼりだ。
ルルーシュ・ランペルージの正体を知るために、本人だけでなく、兄弟であろう(姓がランペルージだった)彼にも聞いてみたのが始まりだった。
波長が合う、というのだろうか。アーニャの中ではライという存在がすっぽりと心の穴を埋めたのだ。
まるでずっと彼と一緒にいたような…。それこそラウンズとして共に戦い(何故か蒼いランスロットで戦っているのだ)、互いに信頼し合っているような感じだ。
支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援
(………馬鹿みたい)
自分がここまで他人に興味を持てるのかと内心驚くが、それが妄想の域にまで達するとは。
それでも、止まらない。止められない。
彼の笑顔をもっと近くで見てみたい、彼の優しい手でもっと頭を撫でてもらいたい。その思いは日々募ってゆく。
“キューピッドの日”の話を聞いた時、真っ先に浮かんだのは彼の帽子を取る事だった。あまり感情を出さない自分にとってこのイベントは大チャンスだ。
何とかして彼の帽子を手に入れ、この気持ちに何らかの決着をつけなければ、任務にも支障が出る。
携帯から、昨日調べた学園内の地図を再確認する。
また、どうやってさり気なく彼の帽子を手に入れようかなどと考えてみたり。
そうやってちまちま考えるのはあまり好きではないのだが、
「………つまんなく、ない」
「ん?」
「うるさいジノは黙って」
「……すいません」
―――見上げた空はあの機体のように蒼く
支援
私怨
§2
キューピッドの日前日、ライはというと…
「会長め、また面倒なイベントを…」
「あはは、いいじゃないか。上手くやれば問題は全てクリアできるよ」
ルルーシュ達と機情で作戦会議。
我らが咲世子さんのお茶目で、ルルーシュは約100人とデートしたりしてなかったりで大変な状態にあるのだ。
また、“全てクリア”は失敗フラグな気がしないでもない。
「で、ルルーシュ。作戦は決まった?」
「ああ、ギリギリまで逃げて、最終的にヴィレッタに取ってもらう」
ビクッと反応したヴィレッタ。彼女としては迷惑この上ない。ただでさえ最近、サヨーシュのフォローに回っているため、学園内で噂されているのだ。
厄介な役回りだ…とは思うが仕方がない。とほぼ諦めたヴィレッタだったが、ロロとしては不満たらたらである。
「兄さん、ヴィレッタと恋人になるの?ヴィレッタがお姉さん?そんなの嫌だよ!」
「ロロ、落ち着け。そんなものイベントが終わればどうにでもなるだろう」
ロロをなだめるルルーシュ。そんな2人をライは微笑ましく見守る。
横で咲世子が「でしたらライ様がルルーシュ様の帽子を取る、という作戦は…アッー!」とか言ってるが無視である。
支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援
しえん
「ところでライ、お前の事も考えないとな」
「僕かい?気にしなくても適当にぶらぶらしてれば大丈夫だろう?」
「「「………」」」
「え?何?」
ルルーシュは、こいつも天然だった…と再認識し、当日ライが痛い目を見ればいいとは思うが、かといって見捨てる訳にもいかず…
「念のため、だ。逃走ルートを用意して……いや、待て。お前は誰か希望はあるのか?」
「希望?」
「あぁ…その…帽子を取りたい相手とかはいないのか?」
「いや別に…」
と言った直後、ライはふとピンク色の少女を思う。
最初、ルルーシュが皇族ではないかと疑問を持ち掛けてきた少女。
最近はルルーシュの事は聞いてこないのだが、何故か一緒にいることの多いアーニャ。
何故彼女が頭に浮かぶのか…答えてくれる人はいない。
「ライ?」
「え、あぁ。希望は無いよ。うん、無い」
「…それは暗にあると言ってるような反応なんだがな」
「う…」
朴念仁ルルーシュですら分かってしまう程ライはうろたえる。
支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援
だがライ自身、よく分からないのだ。あのアーニャという子を自分はどう思ってるのだろうか、と。
黒の騎士団でゼロの右腕どころか両腕両脚であるライにとって、ナイトオブシックス・アーニャは敵でしかないのであるが…
何故か憎めない。
つい兄として接してアーニャを妹のように扱ってしまう。気付いたら頭を撫でていたなんてしょっちゅうだ。
ただ妹、というよりはやはり異性としての認識も多少はライにもあるらしく、アーニャといると気恥ずかしさに絶えない。
波長が合うのだろうか、ライの脳裏に自分がラウンズとして共に戦う(何故か乗機は空気の読めない元・友人の機体によく似ているのだ)姿が…
(って何を考えてるんだ僕は…)
アーニャは敵なのに。
敵なのに。
…敵だけど。
次々と頭に浮かんでくる妄想を頭の隅に追いやり、ライはルルーシュとの作戦会議に集中した。
―――キミのふわふわ揺れる髪はまるでボクのココロのようで
支援
支援!支援!さっさと支援!シバくぞ!
§3
キューピッドの日当日…開始5分前
結局昨日からアーニャの事が頭から離れなかったライは、欠伸をしながら、開始時刻を待つ。
どこかあまり人の来ないところで寝てしまおうかなどという考えも出てくる。
どうせ、自分を狙う人などいないのだし……と、そこまで考えて周りの女子の密度が非常に高いことに気が付いた。
(近くにモテる人でもいるのか…?)
ルルーシュ以外にもいるんだなとか妙に感心し、その男は満足な逃走ルートも確保してないだろうから大変だろうにとか同情するライ。
しかしミレイのルルーシュ持ってこいや宣言と共にイベントが開始された瞬間、彼の世界は崩壊する。
「あはは、ルルーシュのやつもかわいそうに…、てええぇぇぇぇぇぇええええええええええええええ!!」
と、ゲシュタルト崩壊する程“え”を連発するのも無理は無い。
彼にとってはあり得ない事なのだ。自分を狙って女子が迫ってくるだなんて。
油断をしていたライには逃げ場も何もあったもんではない。
開始直前から既にサザーランド(女子)に囲まれている。いくらライが蜃気楼や紅蓮でも、この状況では勝ちようがない。戦局を左右するのは戦術ではなく戦略なのだ。
支援
「うわああああ!!ライはあっちの奴だー!!」
少し離れたところにいたハンマーを持った自分に少し似た男を指差し、ライはギアスを発動する。
すると周りの女子は、ライからそのライ(偽)へとターゲットを変更する。
その隙に包囲網を脱出するライ。声の届いてない女子からもなんとか逃げ、急いでルルーシュと昨日打ち合わせた逃走ルートへと向かう。
と後ろでは「なんだこれーー!」とライ(偽)の声がしたが、ライは振り返らない。
この上なく無駄な、しかしこれ以上のないくらい有用なギアス運用だったとライは後に語る。
(すまない偽僕、お前が作った刹那、無駄ではなかった…!)
眠かった事など忘れて、ライは走る。
(そこを右…!)
ルルーシュの指示を思い出しながらライは逃走を続ける。
(ありえない…)
『ありえないなんてことはありえない』と中世の哲学者(錬金術師)アルフォンス=エルリックが著書で語っていたが…
かといってこの状況を他に説明する事も出来ず、ライは走る。
「はぁ……はぁ…」
ルルーシュの用意したルートがなければ何回帽子を取られていたことか…。もう昼だが、既にギアスを4,5回使用してしまった。これ以上は使いたくない。
「いた、ライくんー!!」
「逃がさないわよー!」
「く、イレギュラーにも程がある…!」
(ルルーシュはこれすらも予測していたのだろうか、流石はゼロ!カオスだ!!)
と感心した矢先に、目の前に煙が巻き起こる。どうやら着色ガスのようだ。
とその煙の中からにゅっと腕が伸びて、手を掴んできた。振り払おうとしたら、その腕の主が呼びかけてきた。
「ライ」
「っアーニャ!?」
「こっち」
「分かった!」
アーニャと共に木の陰に隠れ、なんとかグロースター(女子)をやり過ごした。
ライは繋いだ手の温かいやら柔らかいやら(?)な感覚にどぎまぎしながらも、息を整え、しばらくここで隠れていようと考えた。
それはもちろん、アーニャも含めての事で、無意識にしろ共にいることを選んでしまう。
―――何となく共にいる。だから大事だと気付かず、気付いても照れくさくて
支援
§4
「ふう…ありがとうアーニうわあ!」
落ち着いたところで感謝の言葉を掛けようとしたライは不意に伸ばされた細い腕をかわす。
「おしい」
「おしいじゃなくて、なんでアーニャまで!」
とりあえず逃げようとしたライだが、しゅん、とうなだれてしまったアーニャを見て、その足を止める。
「アーニャ?」
「……い」
「へ?」
「…ライの帽子、欲しい」
「なっ……」
ライは顔が真っ赤になったのが自分でも分かるくらい真っ赤になった。
知り合って数日しか立たないが、あまり感情を表に出さない子が、いきなり告白(?)らしき事をしてきたのだから。
アーニャもアーニャで、さり気なく帽子を取ろうなどと考えていた自分からとっさに出てしまった言葉に真っ赤である。
しかし、もう言ってしまった手前、引き返すまいとアーニャは決意。
憐れピコハン君支援
しえ〜ん
(おかしいこれは何かの間違いだ。アーニャが僕に好意を持ってるだなんて…!そうだ、素数を数えよう、1,1,2,3,5,8…)
「ライ」
「な…ナニ!?」
フィボナッチ数列を頭に並べていたライはもはや声が裏返って、普段の彼からは想像も出来ない程慌てている。
「帽子」
「……っ!!」
アーニャの手がライの帽子に触れる。そっと持ち上げようとすると、
「駄目だ!!」
「…っ」
ライの叫びと共に、アーニャの手が引っ込む。
アーニャは怯えたように、ライの顔を覗き込む。
「…駄目?」
俯いて答えようとしないライを見て、アーニャは駄目なのだと判断し、ズンと凹む。
また、このまま一緒にいても気まずいだけだろうと考えて、立ち去ろうとする。
「待って!」
「……なに?」
「その…君の気持ちは…凄く嬉しい」
その言葉はマントルにまで達していたアーニャの心を成層圏まで押し上げるには充分なものだった。が、ライが帽子を取る事を拒否した事を思い出す。
「じゃあ……何で駄目?」
「………敵だから」
「……?」
ライの言葉の意味が理解できない、とアーニャは首を傾ける。その仕草一つ一つがライの心を弾ませ、締め付ける。
(そう、アーニャは敵だ。それに…僕には大事な人を守る力なんてないんだ。だから…)
「……僕は、君の敵なんだ」
「どうして?あなたはただの学生」
「…違う」
「?」
「僕は……」
深く息を吸う。
(ルルーシュにギアスをうち明けるより緊張するな…)
「……日本人で、黒の騎士団なんだ」
―――響く言葉は後悔ではなく、ただ大事だからこそ、だからこそ自分には不似合いだと
支援(暁)
§5
(言ってやった。アーニャの気持ちは嬉しいけど…いや、これでいい。これが在るべき立場なんだ。罰なんだ)
「…それがどうかしたの?」
「うん、これで分かって…ええ!?」
「………?」
心の底から理解できないというように、少し怒ったように眉を顰めるアーニャ。
ライはというと、自身の決意を乗せた言葉が一蹴されてしまった事で、さっきまでの緊張を忘れ、オロオロとアーニャに説明する。
「いや、アーニャはラウンズで、僕は黒の騎士団で日本人で…!」
「だから?」
「僕は、その…蒼い機体…斬月って言うんだけど、それでアーニャと戦ったこともあって…!」
「…あの機体、強かった。かっこよかった」
「ちがっ…!」
自身の情報を次々とさらけ出すライ。アーニャが諜報員だったらさぞかし満足であろう。
しかし、アーニャはそんな事はどうでもいいと言いたげに一言。
「私は、あなたが好き」
「………っ!!」
「それだけ。敵とか関係ない。一緒にいさせて」
支援
ブリタニアなんて裏切っても構わない。ライと一緒にいたい。
淀みなく出る自分の言葉にアーニャは驚きを隠せないが、しかしこれも全てライが自分を引き出してるのかと考えると、胸が嬉しさでいっぱいになる。
――彼なら、彼といれば、もう記録して自分を保つ必要も無い。
それはもはや勘ではなく確信だった。きっと大丈夫だと。
ライもまた、己の決意に揺らぎ始めていて。
――彼女なら、彼女といれば、過去を乗り越えられるのではないか。
それこそ、自分が今まで罪や罰だと思い背負ってきたことを『それが?』と吹き飛ばして。
もっと大事な事があるのだと、在るべき自分の姿を見つけてくれるのではないか。
(しかし、彼女を巻き込む訳には……!)
それはもう決意と呼ぶには脆く、抗いと呼ぶにはあまりにも弱々しいものであったが、しかしそれが彼を成り立たせていたのも確かで、
「君の気持ちには答えられない…!」
「あ……」
走り去るライ。
アーニャも、告白(っぽいもの)を断られた手前、強く引き留めることも出来ずに、その場に立ち尽くす事しか出来なかった。
―――親しいけど、だからこそ手の届かぬ関係は、距離を測り間違えたから
支援(無頼)
やっぱ蒼い斬月は射撃性を上げてるのか?
いや騎士団ルートだと違うか
書けない
何っ!猿だとっ!?
想定外だ!!
猿どっかで聞いたことあるようなないような
どうやら規制かかったので、飯食ってから続きを投下します。
支援どうも
クソォ、ほんの30分ほどクソに行ってる間に規制か…がんばってくれ待ってるぞ707!
>>723 急いで飯かっこんできたけど猿…orz
でも状況からして支援があっても限界がありそうですね
続きすごく楽しみにしてます。ライとアーニャもイイ!
あと面白い表現の数々とところどころの小ネタにやられたw
つかこれを携帯から…ゴクリ
こんな生殺しなところで止められるなんて・・・
規制・・・恐ろしい子
§6
「……ふられた」
言葉として紡ぐと、やけに重くのしかかる言葉だとアーニャは思う。
「…ライは敵」
それは自分としてはどうでもいい事でも、ライにとっては違うのだろう、と。
そんな事は当然で、でなければ世界最大の国家に逆らう事など出来ないのだ。自分、というものを強く持たない自分にとって、それは理解できないのだろう、と。
「…知りたい」
知りたいと思う。ライは何を思い、何を背負って戦うのか。
知って、出来れば少し軽くしてあげたい。
「でも、」
もう無理だ。ふられてしまった自分は彼からそれらを聞くことも出来ず、また彼の側にいる事も出来なくなってしまったのだ。
敵なのだ。その立場を崩すには容易ではない壁がある。
ブリタニアを裏切ることなら出来る。でも、それでは意味が無い。
ライの戦う理由を知って、それで初めて共に戦う事になるのだ。自分の望む一緒にいる、というのとはそういう事なのだ。
しかし、それらを知る事が出来ない立場に自分はいて……
「……立場?」
ふと、頭によぎる。悩みや、思いをうち明け合い、それらに束縛されつつも、共に歩める立場がある。敵だとか味方だとかをそんなものを覆せる立場がある。
―それは、
「恋人」
そう、恋人であれば、ライの事を知る機会が出来る。ライの側にいる事が出来る立場になれる。
彼は自分の気持ちを嬉しいと言った。彼の立場と自分の立場が壁となるなら、それらを崩せばまだ可能性はある。
そして今日はそれを成せる日なのだ。
――だから
アーニャは腕を天高く上げ、指を鳴らす。
その音はとてもよく響き、彼女を狙う男子や数名の女子に自分の位置を知らせるものとなる。しかし――
ドオオオォォン!!!
と上空から巨大な物体がアーニャの目の前に舞い降りる。
天使というにはあまりにも厳つい、そして機械的なそれ。ダン・オブ・サーズデイの要領(もしくはシャイニングガンダムでもいい)で降ってきたその名は、
「モルドレッド」
そう、あろうことかアーニャはナイトメアフレームを呼び寄せたのである。
ルール違反かもしれないだとか、そんな小さな事は考えもしない。
仮にルール違反だとしても…
全てはライと恋人となるために。
ライと一緒にいるために。
ライと共に歩くために。
もうアーニャに迷いはない。
―――距離も遮蔽も道のりも立場も、心を映す視線の敵ではない。
支援
支援
アーニャを支援
§7
「ライ様、そんなに焦ってどうされたのですか?」
「べ、別に…!」
現在ライはサヨーシュと共に逃走中。
アーニャの事を頭から追いやる意味でも、ライは無我夢中に走り続けていた。
去り際のアーニャの、捨てられた子犬のような表情を思い、あんな顔をさせてしまった自分にまた楔を一つ打ち立てる。
「ライ様、化学部の攻撃です」
「あぁ!」
化学部の花火攻撃を初号機と弐号機な動きでユニゾン回避。イスラフェルも真っ青だ(パターン青なだけに)
ライの動きに付いてこれるどころか、追い越してしまうサヨーシュの動きに驚く反面、ルルーシュの今後の体育の授業が心配になる。ヴィレッタになんとかしてもらうのだろうか。
「ライ様、水泳部の攻撃です」
「あぁ……はあ!?」
純真無垢なライにとって、流石に水泳部の水着美女達を飛び越える度胸もない。
しかしサヨーシュにとっては意味もなく、結果2人は別行動となる。咲世子は腐女子であっても百合属性はない。
仕方ない、と振り向いたライは、後方から迫ってきていた巨大な物体に圧倒される。
支援
支援(鋼髏)
そよーしゅが壺なんだけど支援
「も、モルドレッド〜!!?」
しかもあろうことか自分を狙ってくるのだ。パイロットは間違いなくアーニャだろうが…
「アーニャ!?なんで!」
『捕まえて、恋人になる』
スピーカー越しの迷いの無い声を聞いて、ライは確信する。アーニャは本気なのだと。自分の決意を理解した上で、それらを崩そうとしているのだと。
それはとても嬉しい事で、出来る事ならアーニャに帽子を取られたいとも願う。
しかし、一度決めた事を簡単に投げ出す訳にもいかない。意地があるのだ、男の子には。
「なら、捕まえてみろ!!」
『そうする』
それを合図に1人と1機は動き出す。
ライは瞬時に作戦を弾き出す。
(相手は1機、周りの生徒はモルドレッドに圧倒されて近付けない。邪魔は無いが、利用する事も出来ない。
だが相手はKMF。第七世代とはいえモルドレッドの機動性はグロースター程度、こちらは小回りの効く生身、いける…!)
モルドレッドから繰り出される腕を次々とかわすライ。
「残念だねアーニャ。その動きでは僕は捉えられないよ!」
『大丈夫』
なに?と思ったのも一瞬で、ライはモルドレッドの頭部に穴が開いたのを確認する。
支援
支援
支援
(新兵器か何かか…?)
ライが疑問に思っていると、シュン、とモルドレッドの頭部の穴から何か尖った物が飛び出す。
何ともないただの飾り、しかしその存在感と威圧感は他の何よりも強く――
「……つの?」
『そう』
つの。角。角が生えただけ。ただ、それだけ。
赤い機体に角が生えた。それだけの事実に、周りは驚愕に包まれる。
しかし、現代まで眠っていたライは知らない。その事実が作り出す結果を。
「「「「あ、赤い彗星…」」」」
「へ?」
『これで、3倍』
「なにぃぃいいいい!?」
モルドレッドが急激に速度を上げた。通常の3倍。
「そんなのあり!?」
『ふぃくしょん』
「何の解決にもなってないよ!」
しかしそんな叫びがアーニャに届くはずもなく―
―――恋と戦争のためにはあらゆる戦術が許される
支援(宴会大政大臣)
支援
氏エーン
支援
§8
モルドレッド通常の3倍。
その速度は紅蓮のおよそ2倍以上の速度であり、いくらライでも避けることなど出来ない。
終わった、と決して悔しくはなく、逆にすがすがしい気持ちでライは思う。だが、
「っアーニャ危ない!」
『!!』
3倍モルドレッドを、急に扱える事も出来ずに、アーニャを乗せたままモルドレッドはバランスを崩す。
さらに周りに被害が及ばないよう機体を無理やり回転させたためモルドレッドは派手に地面に激突。
轟音とともに、モルドレッドは機能を停止した。
「アーニャ、大丈夫か!アーニャ!?」
コクピットブロックに向かうライ。
(無事で、どうか無事でいてくれ…!)
と、モルドレッドのコクピットが開く。中からアーニャがひょっこりと意外に元気な姿で出てくる。
支援
「アーニャ、大丈夫か?怪我は…あ!!」
怪我はない?と聞こうとしたところでアーニャの腕が、帽子に向かっている事に気付く。だが時既に遅く、次の瞬間にはアーニャの手の中にはライの帽子が収められていた。
「これで、恋人」
「………」
「だから、大丈夫」
一緒にいても。という言葉はアーニャから紡がれない。
その時にはもうアーニャはライの腕の中にいたのだから。
「あははははははは!」
「…ライ?」
急に笑い出したライをアーニャは訝しげに覗き見る。だがライは心底楽しそうで。僕の負け、と一言呟き
「アーニャ。聞いて欲しい事があるんだ」
「うん」
支援
紫煙
支援
神虎
分かってる。そう言いた気な顔で頷くアーニャ。
でも、分かってない、とライは思う。きっとアーニャは僕の戦う理由、そんな下らない事を聞こうとしているのだ。そんなもの、ほとんど君が吹き飛ばしてくれたのに。
だから、そんな事より言うべき言葉がある。伝えたい気持ちがある。そう、僕はアーニャが…
「好きだ」
「っ!!」
全く予期していなかった言葉に、アーニャは真っ赤になる。
ライは、言ってしまえば、こんなに大きな気持ちだったのかと改めて思う。
このピンク色の少女への気持ちが溢れて止まらない。この気持ちを伝えるのに、ライは言葉で出すのも億劫になり、自分の顔を少女に寄せる。
すると、面白いくらい肩を上げたアーニャを見て、そんな姿も愛らしい、と感じるのは僕が君を好きだから。
「嫌かな?」
「っい、…嫌じゃない」
そして2人は身を寄せ、手を重ね合い、唇を重ねた。
―――ずっと一緒にいよう
§おわりのおまけ
なんて説明しよう―…
ルルーシュには?黒の騎士団には?仮にもアーニャはラウンズだ。下手な理由じゃアーニャの立場が悪くなる。
合流のタイミングも重要だ。スザクに感づかれたらまずい。
(考えることが多すぎる…)
思わずため息を出した瞬間、
「はぁ……む、んん!?」
アーニャが唇を重ねてきた。こちらのため息ごと奪うように。
「ぷはぁ……って、アーニャ!何を!」
「ため息は、幸せが逃げる」
「あのね……」
悪びれる事もなく(まあ実際ライにとっては嬉しい事だったのだが)アーニャはさらりと言ってのけると、ライは脱力する。
悩んでいるのがバカバカしいと感じる。
何を悩む必要があるんだ。
なぜなら絶対に彼女は自分と共にいるのだから。
「なに?」
「いや、アーニャは可愛いな、と」
「っ………ライの方が可愛い」
「それはあまり嬉しくない…」
さあ、一緒に行こう。
―――今日も、明日も、キミと
ワロス支援
なんとか終了……
『今日も、明日も、キミと』でした
支援してくれた人ありがとう。
初めて投稿したけど、結構緊張するねコレ。
楽しんで頂けたら幸いです。
LC2があり、アーニャEDがあったらもっと幸いです。
無ければ作る
>>759 GJ!
ツノ吹いたwアーニャが淡々と言うから威力あるな、これ。
実に爽やかでした。次回作を心から期待してます。
>>695 >>706 期待する気持ちは分かるけど、ちと落ち着け。個人的にかなり引いた。
乙です
無いことを想定してアーニャENDの執筆にかかるんだ
咲世ーシュwww
>>759 乙でした!
アーニャとライのやり取りにニヤニヤさせてもらいました
ところどころにある小ネタにも吹いたwwww
赤い機体+角=赤い彗星って、笑い過ぎて腹いてぇよ。
>>760 そうか。ネタのつもりだったんだが気に障ったんならあやまる
>>759 すばらしい力作なのでぜひともコテを付けてもらいたいんだがどうじゃろ?
>>765 支援はネタを挟むべき所では無いので気をつけよう
SSの一連の流れを壊してはいけない
後コテはちゃんと付けてあるみたいだけど…?
>>759 うおおおおおおおおおお!もふもふさせろおおおおおおおおおおお!
>>766 あ、ほんとだ保管庫にもちゃんと領地付きで収録されてる。しかしホントにはやいなあ保管庫。
時々管理人と作者が手を組んでるんじゃないかとおもえてくるぜ
>>759 アーニャいい!にやにや出来るお話はいいw
>>768 職人の一人ですが、管理人さんとは『断金の契り』だと思っています
GJすぎるw
ネタに溢れているくせに、さっぱりとしてしつこさを感じさせず、程よく甘い・・・!
貴方が鉄人か!
>>768 本当に保管されてる…。
管理人さんどうも。
しかし“卿”が付くならもう少しカッコ良く名付けるべきだったか……まぁ
>>767が喜んでる(?)様なのでよし
―――これは契約。管理人の力はお前のSSを即座に保管する。その覚悟があるのなら…
「いいだろう、投下するぞ!このSSを!!」
なんていうふうにすぐに投下できればいいんだけどね。
一段落ついたところで次の投下を待とうか
すまん
一期とR2の間のライカレ投下しようと思ったら、アクセス規制に巻き込まれてる!
いつ解けるんだろうか……
なんともったいない話か。
ごめん途中で書き込んだorz
多分解除されたとして1ヶ月くらいだったような。
最終手段で保管庫の人さんにtextファイル送って直でアップて手段があるんじゃなかろうか
専ブラでも駄目だっけ?
ギコだと駄目だね…
全く…どこの馬鹿だ…
毎日エロ新聞終了とかマルチポストしたのは…
というか、まだスレ立って1週間経ってないぞ
すげぇなこのスレ
>>759 至る所にネタが仕込まれていて面白かったw
しかし猿激しさを増してるなぁ・・・
猿にもライ並みとはいわんけどエアリーディング能力があればいいのに…
まあマジレスするとサーバーダウンよりかはなんぼかマシだからある程度はしゃーねーべ。俺たちでがんばって支援しようぜ
取り敢えずネカフェ行く事にした。
そこまでして投下する程のSSでもないが…
したらばに避難所作るのはどうだろうか?
投下途中に猿が出たなら、したらばに書き込んでもらって、そこから住人の方に代理投下を頼むとか。
>>784 …(今”舞って”の文字に気づいた)
…ライとヨサコイソーランかライと12話並のルルーシュ(咲世子さん)で
空を舞うべきか…(無茶・無理・無謀)
787 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 00:08:29 ID:ETKn63Rq
V.V.「アクセス規制か…確かに難しい問題だね」
管理人「人多杉とかと違って、専ブラどうこうの問題じゃないですからね。
作者様のモチベーションが心配です」
V.V.「まあ大丈夫だよ解決策ならあるから」
管理人「おお、流石ですね。で、どんな方法です?」
V.V.「君が代わりに投下すればいいんだよ。テキストファイルをメールで受け取ってさ。頑張ってね」(ポンと肩を叩く)
管理人「……マジで?」
788 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 00:09:16 ID:ETKn63Rq
787の続きです
こんばんは。784氏ではありませんが、連日てんてこ“舞い”の管理人です。今回はアクセス規制時の投下代行依頼について説明いたします。
作品が出来上がったのにアクセス規制に巻き込まれ投下出来ない!
↓
作品をテキストファイルにしてメールに添付して geass_lc_ss に送信
↓
管理人が作者様に代わって作品を投下します
〜重要!〜
1. 現在コテハンで投下し、尚かつまだ私にメールをされてない方は、依頼の際にコテハン名を記述して下さい
2. 添付するテキストファイルについて
・概要を記したものを本文とは別に一つ作ってください。ここでいう概要とは、タイトル、カップリング、分類、注意書きなどがあります
・本文は1つの区切り毎に1ファイルとしてください
例 作品1と作品2という2つのファイルが送られてきた場合、保管庫には2つの作品として保管されます(続き物でも同様)
3. 投下開始時に、誰々の代行で投下を行うということを宣言します。この時、概要に記された内容を書きます(支援依頼も同時)
4. 管理人が規制を食らった時は、その旨をメールでお伝えいたします
5. 1と2が作者様、3と4が管理人の作業です
6. メールを受け取ってから投下まで、最大で24時間程度の空白が生じることがあります
添付ファイルをそのまま保管すればいいのでは?と思うかも知れませんが、その場合、 スレ番-レス番 を最優先管理コードとしている当方としては
管理が出来なくなってしまうのです。感想も貰えなくなりますしね。
>>786 ライのあまりのラブギアスっぷりに本気で惚れてしまったサヨーシュ(咲世)
う☆っ☆か☆り☆ライの誘いにOKを出すサヨー^シュ(咲世子)
当日デートの予定にライの名前があって固まるルルーシュ
こうですね?わkり(ry
あなたはどこまでこのスレに尽くそうと言うのか……
漢だぜ…
792 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 00:23:43 ID:ETKn63Rq
788の続き
あと、したらば?への投下ということですが、結論を出すのは出来ればもう少し待っていただけたら、と。
前述の管理コードの問題がありますので、余所に投下されるよりは私に振ってくれた方が最終的に負担が少なくなるのです。
私も改善案を日々考えてはいるのですが……、我が儘言ってすみません。
>>790 纏めサイトの管理をする決めた時から、この程度は当然というのが私の認識です。この速度は予想外でしたがね。
>>保管庫の人
あなたはなんて漢なんだっ
今のあなたは神すら凌駕する存在だ…!
>>789 それなんてカオス?w
794 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 00:29:24 ID:ETKn63Rq
言い忘れてました
7月5日の時点で、日毎SS投下平均が3に達しました、おめでとうございます。後でいつものアドレスにグラフをUPしておきます。
連投失礼しました。きょうはもう寝ます、おやすみなさい。
796 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/06(日) 01:01:32 ID:Q6HULoDG
すごい
真に恐るべきは
ハイペースで投下されるSSを高速で保管する 管理人卿
市井の風評はそのような形に落ち着いた
798 :
781:2008/07/06(日) 01:46:58 ID:tjp9lzyf
みんな、すまない……
まずは待っていてくれた人に感謝と謝罪を。
そして、少しだけ雑談ぽいレスになってしまう事をその他大勢の住人の皆様に謝罪を。
結論から言えば投下出来ないようだ。
最初についたネットカフェはコンピューターが空いてないと言われ、次のネットカフェではCD-Rは開けないと言われ、
やっとたどり着いたこのネットカフェでは、wordのデータが開けない。
テキストデータに変換してから持ってくるべきだった……
無駄に大量に増えた会員証が俺をあざ笑うように見ている。
こんな時間まで待っていてくれた人。
自分のレスのせいで投下出来ずに待っていたかも知れない職人の皆様。
そして、自分のレスのせいで、このスレをかき乱してしまった事。
本当にすみませんでした。
それでも必ず、明日の放送までに投下する予定です。
コテは晴天・タイトルは三人。
もしSSを無事に投下できた暁には、どんな辛らつな意見でも感想が貰えると嬉しい。
最後にもう一度、本当に申し訳ない、すみませんでした。
>>798 そんなに謝らなくてもいいですよ。というより、そこまでして投下しようとしてくれた事に感謝します。
>>798 それだけの熱意を見せられて文句言う奴なんていないよな
素晴らしい熱意だがドジっ子すぎると言わざるを得ない。
ちゃんとしっかり確認してから行動しようぜい。
ネカフェにはワード入ってないのかw
>>798 なんという素晴らしいドジっ子・・・
本日は卿の投下を楽しみにして寝ますよ。
>>759 遅レスだがこれはまさしく
ライ「ナイトオブラウンズに手を出したんだから覚悟はしてる」
というやつですね
つまりアーニャが妊s
よしなんとか本編始まる前にライカレ書けたので投下するわ
ブルームーン編カレンルートその後って感じで
微妙な尺なので誰か居たら支援とかしてくれると嬉しいです
以下注意書き
・微…エロ?
・なんか学園編と若干混ざってるけどあのあとそういうイベントがあったということでひとつ
・ライもカレンもなんかムッツリになった。今は反省している
では支援
放課後。ライはひとり、生徒会室で耳掃除をしていた。
「ん…よっ…あいてっ」
持ち手の先端についているコケシが、ふらふらと揺れている。
耳掻きを操るライの手つきは、なんとも不慣れな感じで危なっかしい。
「あら、今日はまだライだけなの?」
ライが耳の中を強く引っかきすぎたり、
危うく鼓膜を突きかけたりと四苦八苦していると、カレンが生徒会室にやってきた。
「あ、カレン…痛っ」
「…何してるの?」
「いや、耳掃除を…ほら、これ」
「ああ」
ライが指し示した耳掻きに、カレンも見覚えがあった。
いつぞや生徒会メンバーで温泉旅行に行ったとき、ライが自分用のおみやげに買ったものである。
よくある手彫りの民芸品で、コケシが付いているあれだ。
ライはこれをいたく気に入っていて、よく使っているのだが…
一向に扱いは上手くならず、耳の穴を強く引っかいては涙目になっているライの姿は、
もはや生徒会の日常の一部と言って過言ではない。
ちなみに、今も「うー…」と唸りながら涙目でコケシを睨みつけている。
完全なやつあたりである。
支援
普段は大人びているライのそんな姿が、可笑しくて、可愛くて。
「ライ、良かったら私が掃除してあげましょうか?」
微笑みながら、カレンはそんなことを思わず口走っていた。
無論、冗談のつもりで。しかし、
「いいのか?じゃあお願いするよ」
「…え?え、えええええっ?」
即答である。
カレンは忘れていた。ライはかなりしっかり者のように見えて、その実けっこう天然だということを。
ライは普通に本気で、彼女の申し出を受け取ってしまった。
(ど、どうしよう!?)
予想外の展開に焦るカレン。
しかし、嬉しそうに眼を輝かせているライを前にしてしまっては、今更言を翻すわけにもいかず。
広い生徒会室の一角には、何故か四畳ほど畳が敷いてある。
スザクが生徒会に入った時に、会長がイレブンの文化を取り入れてみようとか言い出してにわかに設置されたスペースだ。
「じゃ、じゃあここに頭を乗せて」
そこに正座しながら、カレンがぽんぽん、と自らの太ももを叩いてみせた。
…各方面で可愛いと評判のアッシュフォード学園の制服。そのスカートは結構短い。
つまり正座したりするとカレンの白い太ももがばっちり見えてしまうわけで。
(…もしかして僕はさりげなく結構すごいことをお願いしてしまったんだろうか)
ライは今からそこに頭を乗せるのかと思うと、それだけでくらくらキてしまった。
ごくり、と生唾を飲み込んで、軽く深呼吸。
「お、お邪魔します」
支援
支援
意を決して横になり、頭を乗せると…そこはまさしく理想郷。
太ももはしなやかで柔らかく、頭がほんの少しだけ沈み込むような感触。
カレンの甘い女の子の匂いが強く薫り、すぐ上には彼女の立派な双丘が。
(こ…これは結構…来るものがあるな…!!)
今更ながら、ライは滅茶苦茶緊張していた。
しかし、それはカレンだって同じこと。
同年代の男の子に対して、耳掃除はおろかこんな風に膝枕をしてあげることなんてもちろん初めてなのである。
(うぅ…、恥ずかしい…)
「よ、よし、じゃあ、始めるからね」
「あ、えーと、うん、任せる」
こうして、この初々しいカップルは、お互い緊張しまくりながら初体験を迎えたのである。…耳掃除の。
「あっ…も、もうちょっと、上…っ」
「こう?」
ぐり。
「はぅっ、う…うん、そんな感じ…」
「…じゃ、ここは?」
ぐりぐり。
「うぁっ!?そ、そんな奥まで…あぅっ」
「ふふ、可愛い…」
…誤解が無いように言っておくと、
これはあくまで耳掃除中のふたりの会話である。
言わずもがな、あられもない(?)声を挙げてしまっているのはライなので勘違いしないように。
結局、お互いに緊張していたのは最初のうちだけで、
耳掃除が反対側の耳に移る頃には、ライはすっかりリラックスして骨抜き状態になっていた。
一方カレンもカレンでそんなライの姿に母性本能を刺激されまくり、
妙な気恥ずかしさはどこかに吹っ飛んでしまっている。
支援
支援
「はーい、終ったわよ」
やがて、どこか名残惜しそうにカレンが告げた。しかし、ライからの返事はない。
「ライ?」
返事の代わりに、ライはすやすやと寝息を立てていた。
「なんだ、…寝ちゃったの?」
全くしょうがないんだからと呟きながらも、カレンもライを起こそうとはしない。
幸せそうに寝ているライの柔らかい銀髪を弄んでみたり、よしよしと頭を撫でてみたり。
端正な容貌の輪郭をなぞるように指を這わせてみたり、ぷにぷにと頬を突いてみたり。
「ホントに、子供みたいなんだから」
優しく微笑みながら、たっぷりとライを堪能するカレン。
そのまましばし、穏やかな時間が流れた。
「ん、んん…」
「…あ、起きちゃった」
ライが眼を覚まして最初に見たのは、自分の顔を覗き込むカレンの顔。
「ご、ごめん!僕、寝ちゃってたのか!?」
慌てふためきながら、がばっと上体を起こすライ。恥ずかしさからか声が裏返ってしまっている。
支援!支援!支援!
「別にいいわよ、……私も、じゅうぶん堪能できたし」
「え?何だって?…胆嚢?」
「な、なんでもない!それよりもっ、そろそろ仕事始めないとね…会長にこんなところ見られたら、なんてからかわれるか分かったもんじゃないわ」
適当に誤魔化しつつ、カレンは勢いよく立ち上がった。
否、立ち上がろうとした。
正座したうえに、結構な重量がある人間の頭を太ももの上に長時間乗せていたりすれば、当然ながら足は痺れる。
足が痺れているのに勢いよく立ち上がったりすればどうなるか。わざわざ言うまでも無いだろう。
「! あ、あれっ、きゃあっ!?」
「ちょ、カレン…うわぁ!?」
そのままカレンはすっ転び、まだ畳の上に座っていたライに
覆いかぶさるように倒れていった。
「っ…、いったぁ…、……あ、う……」
「カレン、大丈夫…、か…」
咄嗟にカレンを受け止めることには成功したライだったが、いかんせん態勢が悪い。
結果的に、まるでカレンに押し倒されたような格好になってしまった。
身体が密着している。お互いの吐息が掛かるほどに、顔が近い。
「ぁ…」
「……」
普段ならふたりとも、顔を真っ赤にしながらごめん、とかなんとか呟いてすぐに起き上がったことだろう。
しかしながらこのカップルはすでに先刻までの耳掃除イベントで完全に出来上がっていた。
「……」
カレンが黙って目を閉じた。何かを待っているかのように。
(こ、これ…いいんだよな)
肝心な所で鈍いことが多いライだが、今この瞬間の判断力は冴え渡っていた。
押し倒されたまま腰に片手を回してカレンを抱きしめ、髪を撫でながら唇を触れ合わせる。
「ん…」
触れ合った唇、その甘い感覚に酔いしれるふたり。
やがて、触れ合うだけのキスから、恋人同士がするような優しいキスへ。
唇が深く結びつき、そこから舌先を軽く触れ合わせて、互いの吐息を感じる。
やがて、どちらからとも無く、唇が離された。
「……あは」
いまさら真っ赤になりながら、そろそろと唇に指をやるカレン。
「キス…しちゃったわね。こんなところで」
艶やかに潤んだ瞳に、ライの視線が吸い寄せられた。
(そんな目、されたら…!)
ごくり、と生唾を飲み込む。
カレンの味がした。
ライの本能が理性をロケットで突き抜ける。これは無理だ。もう無理だ。
ここで最後まで行かなかったらそれはもう男じゃない。
ここがどこだろうともう関係あるものか……!
いただきます。
ライはすっかり失念していた。
ここが生徒会室であることを。つまりそれがどういうことかというと、
「さぁっ、今日も張り切ってお仕事するわよー!」
「会長……また何か良からぬことを企ててるんじゃないでしょうね?」
「え、そうなんですか?はいはーい!じゃ、オレ、コスプレ祭り希望しまーす!」
「もー、リヴァルはそんなのばっかじゃない」
「(くすくす)」
「それじゃ、またチアガールの…」
「……それは全力で止めろ」
ミレイとかルルーシュとか、他の役員もやってくるということである。
そして皆、生徒会室に入るのにわざわざノックしたりしないわけで。
「「え」」
「「「「「「……あ」」」」」」
時が―――凍った。
誰も動かない。動けない。
誰もが(スザクでさえ)今の状況を瞬時に理解していたが、
誰も言葉を発することさえ出来ない。
絶望的気まずさと沈黙が生徒会室を支配した。
支援
「お…」
最初に立ち直ったのは誰か、それは分からない。
だが少なくとも、ライとカレン以外の誰かだったのは間違いない。
「「「「「「お邪魔しましたッ!!」」」」」」
後から入ってきた面々はKMFの超信地旋回よろしく高速で踵を返すと、
逃げるように生徒会室から走り去っていった。
後に残されるのは、恋人ふたり。
「もう私…恥ずかしくて明日から学校来れない…」
「ああ…僕も…」
天国と地獄。
ついさっきまでの甘い雰囲気から最終地獄まで叩き落されて。
お互いに、真っ白に燃え尽きていた。
後日。
ミレイを初めとして、余裕を取り戻した生徒会メンバーにこの一件でいじられまくって
テンパったライが皆の前でカレンと婚約させられたり、
恥ずかしさが極限に達して同じくテンパったカレンがライをぶん殴って
ムチ打ちにしたりと色々あったが、それはまた、別の話。
以上で終わりということでー。
なんか文章の量がブツ切りだけどキニシナイでクダサイ。
支援射撃を下さった同胞たちに無限の感謝を。
感想とかあったらよろしくどうぞ。
824 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 12:10:38 ID:ETKn63Rq
GJお疲れ様でした。確認したいのですが、貴方は晴天卿ですか?
>>824 あ、いや、違いまする。だいぶ前の2スレ目で「危ない遊び」っつー題のSS書いたものです。
遅筆だし気が向いたときしか書かないから別にコテつけるまでも無いかなーということで
名無しのままでいました。
すんません。
826 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 12:19:46 ID:ETKn63Rq
了解しました。ではその形で保管しましたので。
>>823 GJ!
確かに膝枕は浪漫ですねwww
「危ない遊び」の時と言い、寸止め上手いなー
>>827 膝枕じゃなくて耳掃除でした…
いやまあどっちも男の浪漫という事で;
>>823 GJ!堪能させていただきました!待っていた甲斐があったというもの。
ヤバい、脳みそ溶けそう…
いい物読ませてもらいましたっ!
やっぱりライカレは良い
>>829 ちなみに、
>>823氏は昨晩の773(晴天卿)とは別人のようです。
ということは、今日の本放送までに少なくとももう一本の投下があるということ。wktkして待ちましょう。
ライカレ ラブコメ 最高
にしてもこのスレの投下速度は異常ですなあ。読み手としては嬉しすぎる。
このスレ、お色気ってどの程度までOKなのかな。
限界を狙いたいのだが……
>>823氏
もはやGJという言葉ですら生ぬるいこの感動をありがとう!!!
氏の書くライカレは初々しいのに微エロ(褒め言葉)で最高です。
直接的な性描写じゃなければセーフなはず。
たとえやっちゃったとしても行為を飛ばして朝チュンとかならOKだろうしね。
そもそも原作からして裸で戦闘したりシャワー覗きがある話だしww
>>823 GJ!!卿の作品はエロ寸止めで悶えるw
続きエロパロでも見たいけど最近あっちはLC物や特定CPには空気が悪いしなぁ…
>>823 GJ!
何というライカレ。
「危ない遊び」に続き、堪能させていただきました。
そして、823氏、保管庫の管理人様、ならびに多くの住人の皆様。
相変わらず、昨夜の自分のレスのせいで誤解を招いてしまっているようで申し訳ありあません。
晴天改めドジっ子は、こんな甘いライカレを描けないのです。
悲しいお話ですね。
>>801 いやあ、最初のネカフェならワードあるはずだったんだよね。
まさかコンピューターが空いてないなんて事態は想定していなかった。
イレギュラーだ!
今日は、ワードファイル・テキストファイル・HTMLデータ、さらにプリントアウトしたペーパーメディアも持ってきたから、大丈夫のはずだ!
838 :
晴天:2008/07/06(日) 14:45:20 ID:lxNqvE7v
これだけ大騒ぎしておいて、本当に大した事のないSSなのが申し訳ない。
というか、自分でハードルを高くした感じがして、今更ながら恥ずかしい。
でも、内容が内容だけに今日の放送後だと投下し辛いのと、何より昨日の夜投下するつもりで、レポートを後回しにして(それは問題があるだろう)仕上げたのに、
自分の預かり知らぬ事(毎日新聞マルチポスト)で予定が狂うのが嫌だという、半ば意地で動いてしまっていたみたいだ。
時間が経てば経つほど恥ずかしくなってきた。
しかし、苺食らわば皿まで。
投下を開始します……投下が出来そうです。
前書き後書きを除いて17レス予定……大分削ったハズなのに、まだ多かったか。
もし誰かいるならば、支援をお願いします。
839 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 14:48:36 ID:ETKn63Rq
では僭越ながら支援に参加いたしましょう
840 :
晴天:2008/07/06(日) 14:49:50 ID:lxNqvE7v
SE1を聞いていて、思いついたネタです。
注意点
・黒の騎士団カレンルートからブラックリベリオン発生後、R2までの一年間の話です。
・ライ、カレン、C.C.で逃亡生活を送っております。
・音声多重放送です。主音声:ライ・副音声:赤いキツネvs緑のタヌキ 第4回戦の模様をお送りいたします。
・ただの馬鹿話です。ブラックリベリオン後の苦悩や、耐え難きを耐え忍び難きを忍ぶ、そんな展開を期待してはいけません。
・上記の理由により、このスレを覗いている藤堂さんは読まない方が精神衛生上良いと思われます。
・カップリングは、ライ×カレン+C.C.です。
・カレンの事を赤いキツネとかC.C.の事を緑のタヌキとか言っていたのは他言無用です。
・本当はハッシュドビーフです。
841 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 14:51:09 ID:ETKn63Rq
支援
842 :
晴天:2008/07/06(日) 14:53:28 ID:lxNqvE7v
『三人』
カナカナカナカナカナ……
ひぐらしが鳴いている。
なんて物悲しい声なのだろうか、と思う。
僅かしか生きられない自分を知って、彼らは鳴くのだろうか。
こんなにも……悲しい声で。
窓から差し込む光が、狭い部屋を赤く照らす。
夕日が、とても綺麗だ。
綺麗なのに、なぜか悲しい気持ちになってしまうのは、なぜだろう?
だが……だが、あの太陽は、明日も必ず昇る。
黒の騎士団も同じだ。
日本の日は、必ずまた……
「西日が眩しいぞ。ライ、カーテンを閉めろ」
「あんたが閉めれば良いでしょ!ライを顎で使わないで」
ピザを食べつつ、ベッドに寝そべっている緑の髪の少女。
床に座り本を読んでいる、夕日に負けない位の赤い髪の少女。
僕の同居人たち……だ。
「だったら、お前を顎で使うとしよう。カーテンを閉めろ、カレン」
「窓まで投げてやるから、自分で閉めなさいよC.C.!」
……僕も一緒に沈ませてくれ。
夕日に向かってそう呟くと、僕はカーテンを閉める。
「毎日毎日、食っちゃ寝で……それくらい自分でやりなさいよ、太るわよ!?」
「私は、お前と違って気にしないといけない体型では無いのだ」
843 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 14:54:41 ID:ETKn63Rq
支援
844 :
晴天:2008/07/06(日) 14:57:48 ID:lxNqvE7v
「また始まった……」
僕が、彼女たちと共同生活を始めてから、この言葉を口にしたのは何度目だろう?
カレンとC.C.……
まるで水と油のように相容れない存在。
呆れるのを通り越して、感心する。
「君たちは、なぜそこまでどうでも良い事で喧嘩が出来るんだ……?」
しかし、僕の声は彼女たちの耳には全く届いていないようだった。
845 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 14:58:38 ID:ETKn63Rq
支援
支援
847 :
晴天:2008/07/06(日) 15:01:48 ID:lxNqvE7v
お風呂はいつも僕が一番初めに入る。
それは流石に気が引けるので、最後で良いと何度も言ったのだが、たとえ一日たりとも提案が受け入れられた事は無い。
「ちょっとねぇ!あんた、自分が脱いだ物くらい自分で片付けなさいよ!」
風呂上りのカレンとC.C.は、目のやり場に困るような薄着で、また喧嘩を始める。
僕はといえば、窓際の特等席に腰掛けてあの時の事を思い出していた。
「どうせ、ライが片付ける」
ブラックリベリオン。
ブリタニアの日本人虐殺をきっかけに、決死の独立戦争を挑んだ。
「ライは、あんたの召使いじゃない!」
もちろん、僕たちは勝つつもりだった。
勝てる……つもりだった。
しかし、度重なるイレギュラーに僕たちは少しずつ後退を余儀なくされ……
「だが、ライは嬉々として私の下着を片付けてくれるぞ?」
黒の騎士団は壊滅。
助かったのは、本当に極少数の人間だけ。
「イ・ヤ・イ・ヤ・で・す!あんたの汚い下着で、私のライが喜ぶわけないでしょうが!!」
だけど、それでも僕たちは、日本の解放を諦めてはいない。
来るべき時に備えて、僕たちは雌伏する事にしたのだ。
「待て、『私の』とはなんだ?『私の』とは」
潜伏期間中、僕は本来、卜部さんと行動を共にするはずだった。
男だし、それが当然だと誰もが思ったのだが……
「あら、ご存知無かったようですわね、ライは『私のライ』なんですのよ」
しかし、多数……ではないが、妙に発言力のある二人に却下され、僕は今ここで……妙に威圧感のある二人と共に行動している。
848 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 15:02:04 ID:ETKn63Rq
支援
849 :
晴天:2008/07/06(日) 15:04:11 ID:lxNqvE7v
「いつライが、お前のものになったのだ?」
僕たちはもう学園には戻れない。
いや、エリア11のどこにも居場所は無い。
「私が……彼の『お世話係主任』になった時からよ」
指名手配写真が至る所に貼られていて、うかうかと外も歩けない状態だ。
買い物の時なども、多少なりの変装をしている……
「ほう、何も知らないライを篭絡した訳だな?この泥棒猫め」
あの時、僕たちはアッシュフォード学園を……生徒会のみんなを巻き込んでしまった。
僕とカレンが黒の騎士団であると知った時のミレイさんの顔は忘れられない。
「泥棒猫って何よ!?それに、どちらかといえば篭絡したのは……ライの方よ……」
ルルーシュの行方も解らない。
そして、スザク……君は……!
「抜け抜けと良く言うな……大体、そんな汚い肌でライを『私のもの』呼ばわりするとは、片腹痛い」
黒の騎士団に入った事、それは全く後悔していない。
「き……汚い肌……」
だけど、あの日本人虐殺は……って、悩み事をするには、少し外野がうるさ過ぎやしないか?
支援
支援
852 :
晴天:2008/07/06(日) 15:07:38 ID:lxNqvE7v
「ちょっと、ライ!聞いてよ!!」
カレンが僕に呼びかける……傍観者で居られる時間は終わったようだ。
「C.C.が、私の肌がボロボロだって言うのよ!?」
「は……?」
僕に肌がどうだとか言われても困る。
紅蓮の装甲なら、「確かに傷んでいるな」と即答出来るが、君の肌は正直よく解らない。
そもそもボロボロだと何か問題があるのか?
「そんな事……無いわよね!?」
無理矢理、頬を触らせられる。
確かに少しカサついている気もするが……
「そんな事は無いだろう」
多分、もっとも肌が荒れないであろう……違う、場が荒れないであろう答えを選ぶ。
「ほら見なさい!」
見たか、この魔女!と言わんばかりの視線でカレンが吼える。
「じゃあ、普段からガサガサだったのだな」
「なんですってぇ!!」
……荒れない選択肢は無かったのかも知れない。
支援
支援
855 :
晴天:2008/07/06(日) 15:10:16 ID:lxNqvE7v
「だったら、あんたはどうなのよ!」
「ふふん、つるりんタマゴ肌に触れたいか?」
まだ装甲の話を続けている二人を尻目に、C.C.の脱ぎ散らかした服を片付ける。
その周りには様々な重さのダンベルが……
流石に洋服はちゃんと片付けるが、カレンも何と言うかその……大雑把で困る。
支援
支援
支援
859 :
晴天:2008/07/06(日) 15:13:21 ID:lxNqvE7v
「ライ、腹が減ったぞ、何か作れ」
おはよう、おやすみ位にもう聞き慣れた言葉だ。
「C.C.!ライを当たり前のように使うの、やめなさいって言ってるでしょ!!」
なんてことは無い、これもただの日常だ……枕詞に『平穏な』が付かないのが悲しいが。
「まったく、うるさい小姑だな、お前は」
今日は、何を作るか……
「な、なんですって!?どちらかと言うとあんたが姑でしょ!私とライの邪魔ばっかりして!!」
ハンバーグならカレンが喜ぶんだが、C.C.が嫌がるんだよな……
「ほう、では何か?お前はライと二人で生活するから、私に出て行け、とそう言うんだな?」
しかし、C.C.の喜ぶピザはカレンが嫌がるし……
「えーえ、是非ともそうしていただけると助かるんですけど」
あら、こんな所に牛肉が。
「ほう?私を追い出した後、この部屋で、ライと二人で■△●な事をしたり、□▼○をしたりするのか、この牛女め」
タマネギ玉葱あったわね。
「?■×○!?」
……今日はカレーだな。
それで良いか、と尋ねようと8畳のリビングに戻ると、顔を真っ赤にさせて固まっているカレンと、ニヤニヤ笑っているC.C.が目に入る。
これもいつもの光景だ。
口では勝てないのだから、カレンも放って置けば良いのに、どうして食って掛かるのだろうか。
支援
支援
支援
支援
864 :
晴天:2008/07/06(日) 15:18:15 ID:lxNqvE7v
「今日は、カレーにするぞ」
「ああ、解った。それよりも、ライ」
金色の目を細めて僕に呼びかける。
この表情のC.C.がろくでもないことを言い出すのも、また日常だ。
「カレンの奴が、お前と▲……「わーわーわー!!」」
その言葉に、カレンが息を吹き返しC.C.の口を押さえた。
「なんだ?C.C.」
「い……いいのよ、ライ。カレーね、私も手伝うわ」
C.C.に尋ねようとすると、カレンが真っ赤なまま慌てて僕をキッチンへと引っ張って行く。
一体何だというんだ……?
「辛口で頼むぞ」
キッチンに向かう僕たちの背中に声が掛かる。
支援
866 :
晴天:2008/07/06(日) 15:21:36 ID:lxNqvE7v
二人と生活をするようになって、僕は大分料理が上手になった。
C.C.が何もしない為、毎日カレンが料理を作ってくれていたが、流石にそれは彼女の負担が大きすぎる。
僕は、大丈夫と断るカレンに必死で頼み込んで料理を教えて貰ったのだ。
「カレンはニンジンを切ってくれるか?」
「私は、甘口が良いのに……」
拗ねて口を尖らせるカレンの頭を撫でる。
「辛口を作るのね……」
自分の意見より、C.C.の意見が選ばれた事がショックだったからか、悲しそうに目を伏せるカレン。
僕は、魔女の死角で軽くキスをする。
……確かにカサついているのは、問題があるかも知れないな。
「甘口はこれで我慢してくれ……C.C.には逆らえないだろう?」
真っ赤になったまま返事をしないカレンを放置してタマネギを刻む。
僕も大分、処世術を学んだようだ。
勿論、キスをしたのは本気だから、だが。
「ずるい……」
そうとも言う。
支援
支援
支援
870 :
晴天:2008/07/06(日) 15:24:28 ID:lxNqvE7v
「イチャついてないで、早く作れよ?私は腹が減って死にそうなんだ」
見ていたのか!?と驚けば良いのか、君は死なないだろう!?と突っ込むべきなのか。
「だったら、あんたも手伝いなさいよ!」
怒鳴りながらも手は動かしてくれているので、作業効率には支障をきたさないだろう。
「私は、お前たちが二人っきりになれるように気を使ってやっているのだ」
リビングから、とても嘘くさい返事が聞こえる。
「カレン、指を切るなよ?」
「いっそ、あのピザ女を切ってやりたいわ……」
冗談を言う余裕があるようで、安心した。
その包丁をじっと見つめる目は……本気にも見えるが。
支援
支援
873 :
晴天:2008/07/06(日) 15:27:12 ID:lxNqvE7v
「「「いただきます!」」」
せっつかすC.C.と暴れるカレンを窘めつつ、カレーが出来たのはそれから1時間近く経った頃だった。
上機嫌に食事の挨拶をする二人を見て、今日こそは平穏な食卓を願う。
例えそれが、叶わぬ願いだとしても……だ。
支援
支援
876 :
晴天:2008/07/06(日) 15:30:54 ID:lxNqvE7v
「カレーにソースだと!?」
ニコニコとカレーにウスターソースを掛けるカレンを、まるで汚物を見るような目で一瞥すると、C.C.はそう吐き棄てた。
やはり今日も……恒例の、調味料談義が始まってしまうのですね。
「カレーにタマゴ入れる!?」
ニコニコとカレーに生卵を掛けるC.C.を、まるでブリタニア人を見るような目で一瞥すると、カレンもそう吐き棄てた。
……僕は思う。
辛口と中辛のルーを混ぜたのは正解だった……良い味加減になっている。
「お前のような味覚オンチに食べられるカレーが気の毒だ」
多めに作ったから明日もカレーで良いかも知れないな。
「それはこっちのセリフよ!ライが作ったカレーを穢さないで!!」
見切り品のハンバーグを買ってきて、ハンバーグカレーにするのも良いかも知れない。
カレンも喜んでくれるだろう、今日は彼女に我慢をさせてしまったからな。
「カレーに限った事ではない!お前は目玉焼きにも!」
「あんたは、ライの手料理を食べるな!!」
支援
878 :
晴天:2008/07/06(日) 15:33:55 ID:lxNqvE7v
ルルーシュ。
改めて思う。
やはり……君は凄い。
彼女たちをコントロールしていたのだから。
君は絶対に無事だと信じている。
早く戻って来て欲しい。
黒の騎士団の為に、日本の為に、ナナリーの為に。
何より……僕の為に。
負けを認めるのは嫌だが……僕に、この二人をコントロールするのは、無理な気がするんだ。
支援
支援
881 :
晴天:2008/07/06(日) 15:37:26 ID:lxNqvE7v
洗い物を終えて、やけに静かになったリビングに戻る。
そこには、カレンとC.C.が重なり合う様にして眠っていた。
そんな二人を見て、思わず笑みがこぼれてしまう。
喧嘩に疲れたのだろうか。
「寝顔は、二人とも穏やかなんだな……」
もう……二児の親にでもなった気分だ。
「ん……」
寝惚けているのだろうか、カレンがC.C.の手を握る。
「……本当は仲が良いんだよな」
風邪を引かないようにと、タオルケットを掛けてやる。
「おやすみ……カレン、C.C.」
二人が起きないようにそっと声をかけ、僕はキッチンで寝袋に入った。
支援
支援
884 :
晴天:2008/07/06(日) 15:41:00 ID:lxNqvE7v
ブラックリベリオンで散った仲間たち。
今も捕虜となっている仲間たち。
巻き込んでしまった数々の人たち。
不謹慎なのは承知の上で、ふと思う事がある。
この三人で過ごしている日々は……結構、楽しい。
そんな事を考えながら、僕は深い闇の中に沈んで行った……
支援
886 :
晴天:2008/07/06(日) 15:45:08 ID:lxNqvE7v
翌日。
また、いつもの『平穏な』が付かない日常が始まる。
僕を起こすのは小鳥のさえずりではなく……
「重いのよ!ピザの食べすぎなんじゃないの!?」
「それはこちらのセリフだ。その胸を少し削った方が良いんじゃないのか?」
……朝から元気だ。
「これはライが『私の為に』掛けてくれたのよ!」
「馬鹿は風邪を引かないのだぞ?それはライが『私の為に』掛けたに決まっているだろう」
今日はちゃんと、1枚ずつタオルケットを掛けよう。
支援
支援
889 :
晴天:2008/07/06(日) 15:49:24 ID:lxNqvE7v
カレンとC.C.が水と油。
それならば僕は、マドラーになるとしよう。
きっといつか、綺麗に混ざり合う事を信じて。
「あんたが居なければ、ライと二人で静かな朝を迎えられるのに!」
「お前の寝相で、ライを殺す気か?」
彼女たちが脱ぎ散らかしたパジャマをたたむ。
「出て行け!」
「出てけー!」
……本当は仲が良いんだよ……きっと……
支援
891 :
晴天:2008/07/06(日) 15:50:26 ID:lxNqvE7v
以上です。
特にオチも無く、勢いで書いたのですがどうだったでしょうか……
やかましくも仲が良い感じを表現する為に、説明の無いセリフ書きを多めにしましたが、見づらいかもしれません。
本当は、ほぼ丸々一日分書いたのですが長くなりすぎたので省略したら、展開がぶつ切りになってしまった感じがします……
端折った部分は、また機会があれば書いてみようかと思います。
次は投下投下詐欺を続けているキス物だと思われます……結局、馬鹿話ですが。
自分も甘い話が書けるようになりたい。
次からは、アクセス禁止が解除されるまで、管理人様のお世話になろうと思います。
ROMは出来るようなので、皆様の感想や、他の職人の方々の作品を見てニヤニヤしたり、次の作品を書くモチベーションを保とうかと。
今日も、数々の支援ありがとうございました。
そして何より、このどうでも良いような馬鹿騒動に付き合ってくれた皆様、巻き込まれた皆様、ごめんなさい、そしてありがとうございました。
892 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 15:51:20 ID:ETKn63Rq
GJです。ライの苦労人っぷりに不覚にも笑ってしまいました。どこからともなく「40秒で保管しな!」という電波を受信したのでその通りにしてみました。
>>891 GJ!!二人のやりとりも面白いし、それを我関せずといった感じで
聞き流しているライがまた面白かったです
また、楽しみにしてます
>>891 乙です。こいつら本当にルルーシュを助けるつもりがあるのかw
>>892 兄貴!クーガーの兄貴じゃないか
>>891 GJ!そして今回は色々とお疲れ様でした
2人のやり取りが微笑ましいね。その横では常にマイペースなライもいいw
それに十分読みやすいと思う
速さが足りすぎる管理人さんも休日に乙です。
>>891 GJです!お疲れ様でした
自分もSE聞いたとき、これにライ巻き込まれるんだろうなとニヤニヤしてたので最高でした
つ―かカレンとC.C.はホント仲良いよなw
とても楽しませていただきました、ありがとう!
>>892 速いwwいつもありがとうございます!
支援
晴天卿、GJ!
フリーダム過ぎるC.C.に萌えてしまいましたよw
晴天卿、GJ。
そして残り100をきった。
本編のほうも残り20分を切った…
902 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 16:58:52 ID:ETKn63Rq
ろ、ロロめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
気持ちはわかる。これ以上無いくらいわかるけど、アニメ本スレか、ゲーム本スレへ行こうな
ロロォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
落ち着け!その怨みをSSにして投下するんだ!
スレチでごめん
ロロに殺意を抱く前に
ギ ア ス 劇 場 の 主 人 公 の 名 前 が
ラ イ に 見 え た ん だ が
908 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/06(日) 17:42:34 ID:1Kp3qqQm
ライという名前が見えましたよ
やはり」意識しているよなw
いや、スレチって分かってるならゲーム本スレ行こうぜ…
さて、鬱な気分を吹き飛ばすためにもSSを投下してよろしいか?
またもや分割中で、10分後に投下予定。
それほど長くないが、一応支援部隊を要請する。
支援
支援
全力で支援
そのうち誰かが今日の話をライ介入救済SSで書いてくれるさ…
投下開始。
残念ながらシャーリー救済編ではない。
注意
・アーニャ&ライです
・ジノとスザクのキャラが明らかに壊れてますが、アーニャ至上主義なのでゴメン
・6〜7レス程使用するので一応支援よろしく
支援
アーニャ・アールストレイム。
帝国最強の騎士ナイト・オブ・ラウンズのシックスであり、貴族の出でもある彼女。
冷静な判断力やKMFによる圧倒的な制圧力はもちろん、彼女の存在を際立たせるものがあった。それは――
――かわいい
ブリタニア軍抱きしめたいランキングでは不動の1位。他、彼女にしたい、妹にしたい、仕えたい、踏まれたい、作者脳内ランキングでも1位を記録している。
アーニャ自身はそんなことも気にもせず、露出の多い服装を着たりするので、もう周りはリビドーまみれだ。
アーニャは基本1人が好きなので、何かと話し掛けてこられるのは嫌なのだが…
今日も今日とて男どもが群がってくる。ここで作者はこの現象をブラックホールならぬピンクホールと名付けたい。
アーニャが訓練を終え、報告書を完成させたあたりで、ジノとスザクがやってきた。ピンクホール現象を確認。
「スザク、模擬戦くらい手加減しろよ!トリスタンの腕が取れてしまったじゃないか!」
「許しは請わないよ」
と会話になってるかなってないのか、ともかく2人の男はピンクホールに吸い寄せられる。
支援
支援。だが猿と残量に注意してくれ。下手すれば、途中から新しいスレに挙げるということになりかねない。
「お、アーニャじゃん。報告書書いたのか?」
「…………はぁ」
アーニャはひっそりとため息をつく。ジノは人なつっこいので、自分にもよく絡んでくる。
別に嫌いではないのだが、どうか静かにして欲しい。今日の仕事は終了したので、もう無視して帰ろうとアーニャは思う。
しかしジノはそんなアーニャの思いを知ってか知らずか、得意のスキンシップ攻撃をし…ようとしたらスザクが間に入った。
あまりの自然な入り方に、いつものようにジノがスザクにのしかかってるようにしかアーニャには見えないところが、スザクの熟練の技といったところか。
「スザク、お前… (もうすこしだったのに…!)」
「許しは請わないよ (アーニャは渡さないよ!)」
とりあえずスザクとジノは互いにアーニャに近づけないよう、ガッチリ固定し合う。咲世子から見ればもうBL的な要素以外の何者でもないのだが。
互いの足を踏み合い、「痛い痛い…!」「ゆ、許しは請わないよ…!」とか言いながらも離れない2人を見たアーニャは、
(…ジノとスザクはマゾ)
と結論を出し、2人の邪魔をすまい、とアーニャは部屋から静かに出て行った。
アーニャが出たのを気付かない2人は、ヒートアップして互いに顔を見合わせながら言い争う姿は、咲世子から(ry
――――…‥
ふぅ…とアーニャは一息つき、廊下を歩こうとしたところで、銀色の髪の青年が歩いてくるのを見て、少し眉をひそめた。
支援 スザクw
「やぁ、アーニャ」
そう話し掛けてきたのは最近ラウンズに入った新入りのライ・ランペルージ卿だ。
特に変な所はないライだが、アーニャは何故か彼を苦手としていた。
ライといると、緊張や腹立たしさが出てしまう。
嫌いではないのだが…
「シュナイゼル殿下がどこにいらっしゃるか知らないかな?」
「確か今は執務室」
「そっか、ありがと」
そう言ってライはポン、とアーニャの頭に手を乗せて一撫でして通り過ぎる。
それだけ。他の人と違い、あまり絡んでこようとはしないこの態度は、本来アーニャの望むところなのだが…。
気に食わない。
あまり話し掛けてこない事が。そのくせ子供をあやすように毎回頭を撫でてくる事が。しかも何故か自分はそれを受け入れていることが。
このもやもやした気持ちが説明できないまま、つい呼び止めてしまう。
「ライ、」
「なんだい、アーニャ?」
支援〜
「………」
呼び止めたはいいものの、特に振る話題も無いので沈黙してしまう。
その様子を見てライは、不思議に思いアーニャの顔を覗き込んでくる。
「アーニャ?」と呼ぶ彼の声は届かない。アーニャの目の前には、一度もじっくりと見たことがなかったライの顔があり。
さらに少し近づければ触れてしまいそうな位置にある唇を見る。
ドキドキドキドキ。
今まで感じたことのない不思議なキモチにアーニャは、
目を閉じ、
「アーニャ?」
―――ゴッ
鈍い音がした。アーニャが目を開けると、なぜか痛そうにうずくまるライがいる。さらに自分の右腕が真っ直ぐ伸ばされていて、つまり――
「いきなり殴るなんてなにするんだよアーニャ!?」
どうやら顔面を殴ってしまったらしいとアーニャは認識し、しかし理由を問われても自分にも分からないし、
かといってそれまでの自分の気持ちを伝えるなんて恥ずかしいことこの上ない。
だから、とりあえず…
支援
「撫でて」
「はい!?」
「なでなでして」
と、とりあえず希望を伝えてみる。
ライは少し「なんでだ…?」と文句を言いながらも頭を撫でてくる。
気持ちいい、と目を細めその感触を楽しむ。
そんなに強く殴ったのだろうか、とライの頬が少し赤くなってるのを見て、心の中でごめんなさいと言う。
でも謝らない。こんなもやもやした気持ちにさせたのはライ。だったらライがそれを解消するのは当然のことだ。
でも文句を言いながらも付き合ってくれたライにはお礼くらい言ってもいいだろう。だから―
「………帰る」
「ええ!?」
だけど、なんだかお礼を言うのもしゃくで、困った顔をしたライを見るのも楽しいな、と思いつつ歩き出す。
新しい遊びを見つけたような顔でアーニャは歩く。
とても楽しい気分だ。苦しくなるほど重く、それでいて天にものぼるようなこの気持ちの名は――
「ひみつ」
―――今はまだ、このキモチの意味は分からないけど。いつかきっと、伝える時がくるのでしょう
支援、私怨、紫煙
§おまけ
さっきのアーニャはなんだったんだろう?
不機嫌そうな顔をしていたと思えば、珍しく話し掛けてきたり。しかも何故か殴られた。
しかしその後「なでなでして」と言ってきた彼女の笑顔はいつもの無表情からは想像できないほど美しく、
新OPの時の彼女もそれはそれは可愛らしかったのだが、それすら超えるあの笑顔に逆らえるはずもなく。
(なんだったんだ…)
機嫌を良くしたアーニャはさっさと帰ってしまって答えは出ないので、とりあえず仕事を片付ける。
「シュナイゼル殿下、例の報告書です」
「ああ。ありがとう……おや?それは?」
シュナイゼルが指差した僕の手にはアーニャのピンク色の髪の毛があり、
「またどこかでフラグを建てたんだね?」
「はい?」
「いや、こっちの話さ」
この人の考えていることも良く分からない
―――今はまだ始まったばかり。浮かんでは消える小さなキモチ
支援
\支援だー/ \支援だー/ \支援だー/
終わったー
タイトルは『素直になれないキモチ』で。
勢いで書いたからどっか変かも?
書いてから、“ピンクホール”で検索かけたらエッチなビデオが上に来たのは気にしない。
とりあえずアーニャが書けたらいいです。
あま〜くを目指して書いたつもりが…なぜか殴ってしまった。あそこからキスにもっていく予定だったのに。
まぁ楽しんでいただけたら幸いです。
アーニャ至上主義の自分が、次はなぜかライカレ書いてます。
半分ほど出来てはいますが、容量も厳しいようなのでまた今度
咲世子さんモノってありか?と咲世子至上主義でもある自分は考えてみるが…ギャグにしかならないぜ!
支援
934 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 19:30:57 ID:ETKn63Rq
>>咲世子さんモノってありか?
全力で所望する!とサイト改装中の私が申し上げます。
>>932 GJ!
咲世子さんモノだって…?なら次回も支援するしかないじゃないか!!
wktkしながらお待ちしておりますw
GJ!
ネタがうますぎる…
駄目だ、何故か負けてしまった感がしてたまらない
>>932 GJ
最後のシュナイゼル兄さんがまた良い味だしてますなwww
ライカレにも期待してます
>>932 GJです!
アーニャがかわいい… そして天然なのか狙って言ってるのかわからないシュナイゼルもww
特派EDベースでライとスザクの友情をメインに書こうと思ってたらミレイが出てきてライ&ミレイ気味な話に方向転換
で、今日の話を観たらライ&シャーリーも書きたくなってきた
シャーリーの話って少ないと思うけど、ライ&シャーリーもあり? 下手するとライ&ミレイよりも先に書きあがるかも…(;´∀`)
>>939 そんなの読みたいに決まってるじゃないか!
今日のでダメージ食らい過ぎて涙で前が見えない俺が全力で支援する。
支援だが、残量が?
943 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 21:20:17 ID:ETKn63Rq
あと一つぐらいいけるのでは?もしスレを跨るような事になっても、私が全力で保管致します。
>>891乙&GJ
仲良くケンカする二人と苦労性のライ、二人の会話とライの地の文とのバランスが絶妙で読みやすいです。
>>932乙&GJ
アーニャが可愛らしさとライの天然っぷりが素晴らしい!
そして、引きのシュナイゼル兄上もいい味出してますw
そして自分も投下に初チャレンジ。
あまりにもカプ成分・ラブ成分が低く状況も判りにくいので、本当はこれのライ側視点バージョンを
先に投下して、こっちは様子見て投下するつもりだったんですが、今日の展開に少なくとも
今週一杯は落ち着いてSSを書いてられなさそうなので、人様についたレス
>>934-936を
勝手に追い風にして、スレも終盤だし恥はかき捨て!って事で見切り投下。
SS初投下なので1レスで文量どのくらい入れられるのかよく判らないのですが、
前にあった32行/1レスを信じて、本文は8レスの予定です。
支援宜しくお願いします。
<注意事項>
・タイトル通り、腐チックな咲世子さんの日記形式SSです
・一見シリアスに始まりますが、お笑いです
・咲世子さんがマジな家政腐に読めるかもしれませんが、あくまでもお笑いです
・お笑いなんですったら!
・ナナリー以外の女子の名前は辛うじてミレイさんが一回出てくるだけなくらい女の子成分が低いです
・webラジオネタを含んでいます。聞いた事がない人には面白くない&ワケが判らないかもしれません
・すっごい判りにくいけど、ライ×咲世子です
某月某日
夕方テラスでルルーシュ様とライ様が談笑しているところをお見かけしました。
同じクラブハウス内にお住まいとはいえ、まだ出合って間もない、しかも身元が不確かなライ様と
仲の良いご様子で話をされる姿に、私は驚かずにはいられませんでした。
ルルーシュ様はどこか警戒心がお強いところがあり、簡単に心を許す方ではありません。
はしたない事だと思いながら、どんなお話をされているのだろうかという好奇心に負け、
頼まれてもいないのにお茶をお出ししてしまいました。
日が傾き少し肌寒くはなっていたのですが、夕食にはまだ少し間がある半端な時間でしたので、
熱い紅茶と軽いサブレをご用意しました。
ごく簡単なものですのにライ様はとても喜んでくださり、下心のある身としては
些か心苦しさを感じざるをえませんでした。
お茶をサーブする間に聞こえた会話は、リヴァル様のバイクにかける情熱や
スザク様が如何に頑固で融通がきかないかといった実に他愛の無い話だったのですが、
普段のルルーシュ様のご様子からすればとても微笑ましく思われました。
私がナナリー様にお仕えするようになってから、ごく最近まで、生徒会活動でお付き合いのある
リヴァル様以外とは親しくされているご様子が見受けられなかったルルーシュ様。
ナナリー様との時間を大切にするあまり、あえて親しい友人を作られないおつもりなのではないかと、
差し出た事とは知りながら憂慮しておりました。
それはナナリー様にとってもルルーシュ様にとってもあまり良いことだとは思えません。
ルルーシュ様がたった一人の妹であるナナリー様を大切に思うのは当然のことです。
しかし、時にはナナリー様のことをしばし忘れ、青春を謳歌する時間も必要だと思うのです。
そういった意味で幼馴染であるスザク様が転入され、今またライ様が現れたことで
同性のご友人が増えたことは喜ばしいことだと思います。
ルルーシュ様がご友人と過ごす時間を些かの憂いも無く楽しむためにも、
全幅の信頼をもってナナリー様を任せていただけるようなりたい、と思いを新たにする出来事でした。
備忘録:
ライ様はコーヒーより紅茶を好まれる様子。
着香されたものよりナチュラルな香りを楽しまれるタイプ。
支援
支援
某月某日
今日は急ぎの作業がないらしく、生徒会室ではいつもの方々がチェスに興じられていました。
ルルーシュ様はチェスが大変お強いということで、一時は賭けチェスの代打ちといった
ナナリー様のお耳に入れるのが少し憚られるようなことも、頻繁にされておりました。
今でもリヴァル様の元には代打ちの話がきているご様子で、
ルルーシュ様に断られてお困りになっているところを何度か拝見しました。
ルルーシュ様が代打ちをやめられたのは、新しいご友人であるライ様が
よい影響を与えているからなのかもしれません。
リヴァル様は大変気のよい方であると思うのですが、少し悪ふざけが過ぎるところがおありです。
ルルーシュ様の悪友……という感じになるのでしょうか。
若いうちに多少いけないことをしておくのも、後々振り返れば青春の思い出という輝きになるのでしょうが、
過ぎたるは及ばざるが如しと申します。
学生のうちに多額の金銭を手にしたり、賭博場めいたところに出入りすることは
あまり好ましいとは思えません。
何より「賭け」という性質上、犯罪に巻き込まれる心配があるのではないかと懸念されます。
私は進言できるような立場にはありませんが、ナナリー様のためにも、
そのような事はやめていただきたいと常々思っておりましたので、今の状態は喜ばしく思っております。
ただ、リヴァル様がルルーシュ様と疎遠になったと感じられていらっしゃるようで、
お寂しそうにしていらっしゃるのを見るのは、少しばかり心が痛みます。
チェス自体は良い趣味なのですから純粋にゲームとして楽しめばよいと思うのですが、
残念ながら今まで身近にはルルーシュ様に伍する打ち手がいらっしゃいませんでした。
生徒会の方々では実力差がありすぎて、ルルーシュ様は物足りなく感じられていたようです。
ですが途中から参加されたライ様は中々の打ち手でいらっしゃったようで、
ルルーシュ様は久しぶりに充実した内容の対戦ができて、満足していらっしゃる様子でした
ひょっとしたら、今後は折り紙をするライ様と同じくらい
チェスをするライ様をお見かけすることになるのかもしれません。
備忘録:
ライ様がお越しが増えるのに備え、MH茶園のファーストフラッシュと
K茶園のセカンドフラッシュを買い足す事。
支援
支援
某月某日
最近は他に興味が移られ、賭けチェスはやめられたルルーシュ様。
ただ外出自体は以前より増え、帰りも遅くなっており、また外泊も少なくありません。
外で何をされているのか判らない事もあって、ナナリー様も心配なご様子で、
残念なことに寂しげなお顔をされる事が多くなっています。
本当にルルーシュ様は何処で何をしていらっしゃるのでしょう?
詮索することは許されない立場とはいえ、ナナリー様のお顔を見ていると色々と考えてしまいます。
そんなナナリー様のお寂しさを察するかの様に、最近、ライ様の訪れが増えました。
ナナリー様も大変楽しみにされています。
生徒会での出来事や幼馴染であるスザク様と過ごされた幼少の頃の思い出話をしたり、
折り紙をしたりする様子は、見ていて和やかな気持ちになります。
ナナリー様がルルーシュ様の話をする時などは、お兄様自慢の様子を呈しており、
お二人は本当に仲の良いご兄妹なのだと思わずにはいられません。
稀にスザク様も交えて三人でいらっしゃる時などは、ルルーシュ様が聞いたら憤慨しそうな話が
こぼれ落ちたり、大変楽しそうなひと時をお過ごしになっております。
あまりにも楽しそうなご様子に、いけないことと知りながら、ついついお話を聞き入ってしまいます。
すっとこどっこいな自分が嘆かわしく、己の未熟さを痛感せざるをえません。
ライ様は本当に不思議な方で、私だけでなくスザク様も知らないような、
一般的ではない複雑な折り紙をご存知です。
ひょっとしたら記憶を失う以前、日本文化の研究でもしていらっしゃったのでしょうか?
備忘録:
ライ様は繊細な香りや水色を楽しむストレートティーがお好みと推察していたが、
ミルクティーや癖のある燻製茶もお嫌いなわけではない模様。特に今回お出しした燻製茶
(MF社ロワ・ソレイユ)とスモークサーモンのティーサンドイッチの組み合わせは
お好みにあったようで、いつもより手が伸びていたように感じた。
支援
支援
sien
管理人さんの男気に惚れたw
支援
某月某日
本日もライ様がいらっしゃいました。
話題はやはりルルーシュ様のことが多かった様子です。
ライ様はルルーシュ様とも本当に仲良くなられたようで、夜遅くにルルーシュ様のお部屋を訪ねられることも
しばしばあるようです。
私はあくまでもナナリー様付きのメイドで、ルルーシュ様のお世話は最低限のことしかしていないのですが、
クリーニングから戻った衣類をお部屋に届けた時にライ様が代わりに受け取られたこともありました。
見目麗しい殿方が二人揃っていらっしゃる様子は、眼福としか言い表しようがありません。
ルルーシュ様は本当にお綺麗な方で、殿方にしておくのは勿体無いような容貌の持ち主ですが、
ライ様もルルーシュ様の横に立たれて決して見劣りすることはありません。
以前ミレイ様が催された男女逆転祭りを再び開催したら、きっとルルーシュ様に劣らぬ美少女振りを
発揮されることでしょう。いえ、線の細いルルーシュ様は美少女に見えますが、
ライ様でしたら臈たけた美女と呼ぶにふさわしい姿になられるかもしれません。
お二人はきっと嫌がられることでしょう。でも、美しいものをみたいのは女の性。
せめて想像するのはお許しいただきたいと思います。
備忘録:
やはりミルクティーもお嫌いというわけではなさそう。
今まで杯を重ねたことのなかった着香茶(M島バニラティー)も、ミルクティーで二杯召し上がられた。
機会があれば一度シチュードミルクティーか、もし良いクローブが手にはいったら
チャイ風のミルクティーを試していただくのもいいかもしれない。
支援
支援
支援
後スレ立ててくる
支援
965 :
◇家政腐日記byKAMEI ◆0zkc8WmJ3k :2008/07/06(日) 21:57:25 ID:uYOQUK1J
某月某日
今日は久しぶりにルルーシュ様もいらして、ライ様と三人で仲良く過ごされていました。
スザク様と三人の時はルルーシュ様の話になりがちでしたが、
ルルーシュ様がいてスザク様がいらっしゃらない状況では逆にスザク様の話になるようです。
スザク様は猫が大変お好きなのに反して、生徒会で飼われている猫、
アーサーによく噛まれている話などをしていらっしゃいました。
私自身、スザク様がアーサーに噛まれているのを何度もお見かけしたことがあります。
アーサーは別にスザク様のことを嫌っているというわけではないようなのに、
何故あんなに噛むのか不思議です。
ルルーシュ様とライ様は本当に親しくなられたようで、今日はピッタリと寄り添うような場面を見かけました。
あんなにくっついて、一体何を話されていたのでしょう?
ライ様がルルーシュ様に顔を近づけた時など、そのまま頬にキスをされるのではないかと思ってしまいました。
そのようなことにはなりませんでしたが、しばらくそのままでしたので、
耳元で何か囁いていらしたのかもしれません。ナナリー様には内緒の話だったのでしょうか?
その時は離れた場所から拝見しておりましたので、残念ながらどんなお話をされていたのかは判りません。
しかし、どのような話の流れなのか、ルルーシュ様の髪をライ様が指に絡めている様は見て取れました。
疼く好奇心に負け、それとなくナナリー様にも聞いてみたのですが、
ナナリー様は特に何も気付かれていなかったようです。
大切なナナリー様にも内緒のお二人の秘密……。
大変興味深くはありますが、残念ながら知る術はないようです。
実質の主家はアッシュフォード家とはいえ、ナナリー様にお仕えする身でありながら、
ナナリー様のお兄様であるルルーシュ様の秘密を探るような真似をしてしまう私は罪深き女なのでしょう。
備忘録:
新鮮な硬水が手に入ったので、今回もミルクティー向きの茶葉でお出ししたが
気に入っていただけたようだ。
クロテッドクリームとブルーベリージャムは自作。スコーンが改心の出来だったこともあり好評だった。
支援
支援
そろそろ970で次をたてよう。
しかし、一週間に1本のペースで消化するとは。
C円
支援
支援
974 :
◇家政腐日記byKAMEI ◆0zkc8WmJ3k :2008/07/06(日) 22:00:58 ID:uYOQUK1J
残念ながら今日はスモークサーモンの質の良いものがなかったので、キューカンバーとチーズの
ティーサンドイッチをお作りした。
次回はマヨネーズを自作してみるのもいいかもしれない。
某月某日
本日もまたライ様がお越しになり、ルルーシュ様を交え三人で午後のひと時を過ごされました。
ルルーシュ様とスザク様も傍から拝見していて、仲の良いご友人だと思っておりましたが、
最近のライ様とルルーシュ様の仲の良さも負けておりません。
スザク様には幼馴染であるという一日の長があることを考えれば、
ごく短期間で接近したライ様とルルーシュ様の仲の良さは特筆すべきものがございます。
ルルーシュ様は簡単に人を私室に招き入れる方ではございません。
少なくとも、私の知る限りリヴァル様を自らお部屋に招いたことはございません。
ルルーシュ様にとってクラブハウスは自宅同然であり、生徒会で使われているお部屋で事足りていて、
改まって私室で話すこともないということなのでしょう。
またリヴァル様は察しの良い方で、ルルーシュ様が踏み込んで欲しくないと思っていると感じれば、
意外なほど無理なことはされません。三枚目として振舞われることが多いリヴァル様ですが、
実際には繊細なところがおありなので、踏み込んでルルーシュ様に嫌な思いをさせたり、
その結果としてご自身が傷つくのを厭われているのだと思います。
スザク様を見ていて感じたことなのですが、ルルーシュ様のようなタイプの方と親しくなるには
寧ろ本人の意思を尊重せずに敢えて踏み込むといった、ある意味空気の読めない対応をすることが、
必要なのではないかと思います。
このように自分の領域に人が踏み込んでくることに対し警戒心の強いルルーシュ様ですが、
不思議とライ様にはその警戒心も働きにくいようです。
同じ釜の飯を食べるという言葉がございますが、やはり、一つ屋根の下で暮らすことは
距離を縮めるのに最適なことなのかもしれません。
昼間何ヶ月も共に過ごすより、一晩飲み明かした方が親しくなれるといいますし、
学生であれば、何ヶ月も同じ学び舎で学んできた者同士が、修学旅行や臨海学校といった行事で
より関係が親密になるというのもよく聞く話です。
最近、ルルーシュ様は私がお部屋に入るのを殊更疎まれるようになった節があり、
ルルーシュ様も年頃の男性ですから色々と不都合もあるのではないかと、入室するのは最低限になるよう
努めております。
そういった事情もあり、はっきり断言できるわけではありませんが、ルルーシュ様の方から
ライ様のお部屋を訪ねることはあまりない様子で、ライ様がルルーシュ様の部屋で過ごされているように
お見受けします。
やはり、自ら踏み込む積極的な方がルルーシュ様と親しくなれるのかもしれません。
備忘録:
今日はライ様のお好きなサーモンとクリームチーズのティーサンドウィッチをご用意できた。
燻製茶(ラプサン・スーチョン)と共にお召し上がりいただいたが、
やはり、この組み合わせは特にお好きな様子。
ドライフルーツのパウンドケーキはアルコールがきつかったようで、あまり手が伸びなかった。
仕上げに使ったブランデーの量が多く、酒精の飛びがが充分でなかったのかもしれない。
寝かせれば落ち着くはずなので、後日改めてお出ししてみようと思う。
アール・グレイを使った紅茶のシフォンケーキは好評で、こちらは綺麗に召し上がっていただけた。
また、以前お出ししたことのあるオレンジピールクッキーのリクエストをいただいた。
良いオレンジが手に入るとよいのだけど……。
>>971 乙&支援
しかし今までで最短ペースじゃないか?
某月某日
どうやら、私は大変な勘違いをしていたようです。
私はずっとライ様はルルーシュ様のことがお好きなのだとばかり思っておりました。
ですが、本日ライ様が私にくださったのは、何と ラ ン ス ロ ッ ト のプラモデル!
その時、私は雷に打たれたような気がいたしました。
ライ様がお好きだったのは、ルルーシュ様ではなく、スザク様の方だったのですねーーーっ!!
ご乗機のランスロットのプラモデルをこんなに買い集めるほどまでに、スザク様のことを……!!
アッーーーーーー!!
そう、思えば確かに、ナナリー様とよくスザク様のお話をしていらっしゃいました。
ルルーシュ様を交えて三人でお話をされている時も、スザク様の話題は頻繁にでておりました。
スザク様がいらっしゃって、珍しく軍からの呼び出しもなくナナリー様と三人で過ごされていたときは、
本当に楽しそうなご様子で、私もついつい話を聞き入ってしまうほどでした。
それなのに。
アッー!なんということでしょう!
私としたことが、大変な見たて違いをしておりました。
ですが、まだ遅くはありません。勘違いしていたのなら今後改めればよいことです。
ライ様にいただいたこのランスロットにかけて誓います。
今後はライ様のため、スザク様とよりよい時を過ごしていただけるよう、
私、篠崎咲世子は最大限の努力をするということを!
ライ様のためとあらば、全力で!!
支援
980 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/06(日) 22:06:32 ID:x+pHAFlp
支援
支援
>>977 すこしずつですが、確実にスレの寿命が短くなってますw
以上です。
支援ありがとうございます。そして途中sage忘れを二回もしてしまい、申し訳ありません。
32行以内に区切ってまとめていたのですが、行数でなく文字量の制限にひっかかって
急遽行をずらしたりしていたので、あせってしまいました。
補足:
咲世子さんはライのことが好きですが無自覚です。
日記中の備忘録は特に名前があがってなくても、全てライのことです。
最後に内容がいきなりぶっ飛んでいるように見えるのは仕様で、ライ視点で補足が入る予定です。
(スザクはともかく、ナナリーやルルーシュの好みは既に把握しているので書き留める必要はない)
備忘録が微妙に長くマニアックになって言いってるところに、咲世子さんのライに対する愛情を……
感じていただけたら嬉しいなあ……。
ちなみにライ視点はライ一人称でくだけた文体で書いてます。
誤字脱字、他、何かありましたらご指導ください。
983 :
保管庫の人:2008/07/06(日) 22:10:59 ID:ETKn63Rq
GJでした。早速質問なのですが、どこからコテハンでどこからタイトルなのでしょうか?
>>982 さすが咲世子さんだ、腐ってやがるが激しくGJと言わせて頂く!!
アッーーーーGJ!!!
GJだあっー!
最後の最後で思いっきりミスってしまった。
補足内の行が入れ替わっていました。
判断できるかと思いますが、正しい順番は下記の通りです。
日記中の備忘録は特に名前があがってなくても、全てライのことです。
(スザクはともかく、ナナリーやルルーシュの好みは既に把握しているので書き留める必要はない)
最後に内容がいきなりぶっ飛んでいるように見えるのは仕様で、ライ視点で補足が入る予定です。
>>983 タイトル:家政腐日記
コテハン;KAMEI
でお願いします。byは written by な感じで付けただけで深い意味はないです。
◇も自分のコピペ用目印用だったので深い意味はないです。
最初は1/8とか付けるつもりだったのですが、長すぎと言われてしまい断念しました。
全力でGJ…アッー!
GJ!!
家政腐の鑑ww
食べ物がうまそうで、こんな時間に腹が。
重箱の隅ですが、セカンドフラッシュの農園はひょっとしてKではなくC茶園では?
GJ!
腐ってる…腐りきってるよこのメイドさん…
うめちゃっていいのかな?
>>990 一応、キャ○ルトンのつもりで書いていましたが、後で確認した方がいいかな?と
思いつつ、失念していました。ありがとうございます。
>>管理人様
こんなお遊び部分の修正でお手数をかけて申し訳ないのですが、
K茶園をC茶園に変更していただければ幸いです。
埋めましょう
埋めるべ
>>915 今回の話にライ介入か〜
難しいな…ぼかす感じでいいなら書けそうな感じだけど
如何せん自分書くのが遅いからそれがネックだな
他の職人さんが綴る話も読んでみたいし
保管庫が格好良くなってる!
新スレに既に投下が来ているという素晴らしさ!埋め
埋め、で
うめ
1000なら
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。