生物は作れるの?

このエントリーをはてなブックマークに追加
70遊び人の玲さん
散逸構造体システムのお手本とも言える、生物を模倣して、
自己組織化する性質を持つ人工物を作るのは、私の専門分野だ。

生物は、知的情報処理によって、自身の体を自己組織化する能力を有する。
この最も基本となる構造物として注目されているのが、
『リボザイム』と呼ばれる、自己複製機能と、触媒機能を併せ持つ、RNAである。

このリボザイムこそが地上の生物全ての元になったと考えられていて、
原始の地球の海底熱水噴出孔付近の『マジックサーフェイス』(生命を生み出した魔法の表面)上に、
RNAのもとになった有機高分子がどんどん積み重なるように付着して、結合して行き、
最終的にリボザイムの形になったものと考えられている。

海底熱水噴出孔付近の環境を再現した、バイオリアクターなどを作って、
熱心に生命誕生の瞬間を研究していた研究者がたくさんいた時期があるが、
ついに、RNAを作ることは叶わず、最近ではあきらめムードが漂っている。

そこで、新たな方法として、マジックサーフェイス上で起こる出来事を
シミュレーションする装置を用いた研究へと移行しつつある。

マジックサーフェイス上で、RNAを構成する有機高分子が
どのように結合していったかを再現するのに、
分子一個一個を電磁的な力で正確に動かすことが出来る、プラズマを精密に制御する技術や、
光の力で小さな物体を掴んで動かす、光ピンセットの技術などが使われている。

そうして、リボザイムはもちろん、自然界には存在しない、
RNAやDNAも作り出すことが可能になってきている。

RNAを自己組織化させるためには、
高分子で構成された情報処理とエネルギーサイクルの系が必要であり、
それこそが、私が研究しているメインテーマ、散逸構造体システムに他ならない。
71遊び人の玲さん:2007/01/19(金) 07:26:42 ID:b9lpG3sr
携帯可能な散逸構造体として、
人間と共生関係を持つことができる、腸内寄生虫タイプのものが開発されている。

腸内挿入型バイオ発酵方式携帯トイレという位置付けになるので、以下を参照のこと。
『紙なし:未来のトイレ:水なし』
http://science5.2ch.net/test/read.cgi/future/1102137995/270-277

完全に自立して機能するものではないので、
まだ、人工生命と呼べるレベルに達していない部分もあるが、
この方向のアプローチで、将来人体内に共生可能な人工生物が作れると考えられている。

男性用は、腸内に挿入するタイプしか現時点では考えられていないが、
女性は子宮内にこの種の人工生物を入れて、
子宮内の子供に栄養を与えるのと同じように、
血液から直接栄養と必要な物質を与えることが出来る、
子宮内寄生生物型の、散逸構造体の開発も構想され、
現在私の娘が中心になって、実用化に向けて試作品のテストなどが行われている。

また、男性の体内に子宮と同じ機能を持つ人工物を埋め込んで、
女性と同じように、体内に子宮内寄生生物型の散逸構造体を飼う方法も検討されている。