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>>2のつづき)
公共の場所である電車と駅。女子生徒は文字通り、衆人環視の状況で被害にあった。このような
婦女暴行事件が近年、後を絶たない。
平成18年8月、解体業の男がJR西日本の特急「サンダーバード」の車内で、20代の女性の隣に
座って「大声を出すな。殺すぞ」と脅して胸などを触り、男子トイレに女性を連れ込み乱暴した。
当時、同じ車両にほかの乗客もいたが、男は「何見とるんじゃ」と怒鳴りつけており、乗客の中には、
車掌に通報したり、男を制止したりした人はいなかったとされる。
男は同年12月にも走行中のJR湖西線の電車内やJR雄琴駅(大津市)構内のトイレで別々の女性に
乱暴しており、それぞれの強姦容疑で逮捕された。
JR東日本でも昨年3〜4月、JR東海道線のグリーン車内で女性乗務員2人が相次いで乱暴される
事件が発生した。飲食店従業員の男が乗務員の首をしめ、「静かにしろ、殺すぞ」と脅してトイレに
連れ込むなどして乱暴していた。乗客が少ない早朝に犯行に及んでおり、逮捕された男は
「グリーン車内に女性乗務員が1人しかいないので狙った」と供述した。
人目のつきやすい電車や駅で、なぜ婦女暴行事件が相次いでいるのか。
「人が大勢いることで、責任が分散してしまい、逆にマイナスに働くことがある。他人が危険な目に
遭っているにもかかわらず、助けを出さない、援助行動をしない『冷淡な傍観者』になってしまう」
碓井教授はこう説明。さらに都心部特有の心理状態も遠因にあると指摘する。
「都会ではさまざまな現象が起きているため、他人のことには首を突っ込まず、トラブルに
巻き込まれないようにする『都会のマナー』が存在する」
「女性を絶望のふちに追いやる卑劣な犯行は、『魂の殺人』といわれる。異変に気付いた周囲の
人が傍観者であることを止めることで、救える尊厳があるはずだ」
捜査幹部は罪深き傍観者への意識改革を求めている。(以上、抜粋)