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>>1のつづき)
そして女子生徒は連れ込まれた男子トイレの個室で乱暴された。
「女子生徒はとてもまじめな子。『悲鳴を出せばいい』と考える人もいるかもしれないが、こういう
事件の場合、被害者は恐怖で声を出せないことがある」
捜査幹部は女子生徒の心情をおもんぱかった。
多くの人の目はごまかせた男だが、防犯カメラが生徒の腕を引っ張る男の姿をとらえていた。
女子生徒側からの告訴を受け、警視庁捜査1課は映像の解析や張り込みなどにより、1人の
男の存在を浮かび上がらせた。
東京都町田市中町のコンピューター関連会社社員、別府信哉容疑者(49)。
捜査員が別府容疑者の行動を監視下において捜査したところ、私鉄のホームで別の女子高生に
物色するような視線を投げる別府容疑者の姿が確認された。
「第2の被害者を出さないためにも捜査を急いだ」(捜査幹部)
捜査1課は10月30日、強姦の疑いで、別府容疑者を逮捕した。
「痴漢をしているうちに我慢できなくなった。人込みを避けるように移動していたらたまたまトイレがあった」
小田急線町田駅から徒歩十数分。住宅街の一角にある家賃12万円の3LDKのありふれた賃貸
マンションに別府容疑者は事件前日の10月1日から、妻と高校生の娘と3人で暮らし始めていた。
マンションを仲介した町田市内の不動産会社の従業員によると、別府容疑者は9月27日、妻とともに
不動産会社を訪れ、マンションの賃貸契約に向けた手続きを行った。
「奥さんに頼られている感じ。(別府容疑者は)明るくて言葉数は多い人で、嫌みな感じはまったく
しませんでした」
卑劣な犯罪を行った容疑者とは結びつかない父親像。以前に住んでいた町田市内のマンションの
近隣住民らも同じ印象を持っていたようだ。
近くの動物病院の職員は「奥さんと娘さんの3人で来院し、飼い犬のダックスフントを預けにきた
ことがあった。仲が良く、幸せな家庭といった感じでした」と話す。
マンション住民の女性は「日曜日には本人が犬の散歩に連れていた。うちも犬を飼っていて、なでて
くれたこともあるんですよ。あの人が事件を起こすなんて考えられない」と首をかしげた。(
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