もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら11泊目
―――うおー、頭が痛い。昨日は飲みすぎたか?
ってか、やべぇ。昨日、居酒屋出てからの記憶が全くねーんですけど。
こんなんでよく帰宅できたな、俺。犬並みの帰巣本能だ。
ああ、朝日が眩しい。溶けちまう。俺は夜が好きなんだ。どっかいってくれ、太陽。
* 「ううん…」
俺 「おわっ!?…って加藤じゃねえか。驚かすんじゃねぇよ」
俺の隣のベッドにいたのは、親友の正志だった。茶髪のベリーショート。見間違える筈もない。
正志「おはよー、竜司。ってかなんでお前、俺の部屋にいんの?」
と、とぼけた顔でとぼけた事をいいやがる。ちなみに、竜司ってのは俺の名前だ。
俺 「ふざけんな、ここは俺の…」
言いかけて、違和感を覚える。
あれ?ここ、俺の部屋じゃなくね?そもそも、俺の部屋にはベッド1つしかないもんな。
じゃあやっぱ、ここは正志の部屋なのか?
俺 「わり、たぶん俺、間違えて…」
正志「あれー、ここ俺の部屋じゃないやー。ここどこー?」
あれ?正志の部屋でもねぇのか?
じゃあ、ここはいったい何処なんだ?
…考えてても埒があかねぇな。正志に昨日のことでも聞いてみるか。
こいつに期待はしてねぇけど、手がかりにはなんだろ。外に出てみるのが一番早いんだろうけど、心の準備ってやつがな。
俺 「なぁ、正志。昨日のこととか覚えてる?」
正志「えー、ごめん。居酒屋出てからのことは覚えてないやー。竜司は?」
俺 「俺もお前と同じだわ。起きたらここにいた」
正志「マジかぁー。うわー、ありえねー」
こいつも記憶にないのか。やべぇ、怖くなってきた。
ここは一体どこなんだよ。ってか、そもそも日本なのか?
家具とか家の造りが、普段目にしてるのと全然違うぞ。
―――もしかして、拉致られた?
正志「ねーねー」
俺 「…なんだよ。今、考え事してんだけど」
正志「ちょっと外出てみよーよー」
うーん……。まぁ、ここにいてもしょうがねぇな。不安になるだけだ。うし、心の準備完了!
俺 「だなー。その前に、とりあえず着替えよ―か。俺ら、いつの間にかパジャマだし」
正志「うわ、ホントだー。誰かが着せてくれたんかなー」
そんなことを話しながら支度を済まし、ドアの前に立つ。
歯磨きくらいはしたかったけど、洗面所がねぇからしょうがねぇ。
そして俺は、ドアノブに手を掛ける。だが、そこで固まる。
目の前のドアを開け放つ勇気が、どうにも湧いてこねぇ。
もしも、そこが言葉も通じねぇ異郷の地だったら。もしも、ワケのわからん事件に巻き込まれてしまっていたら。もしも―――
正志「さっさと開けちゃいなよー」ドンッ
俺 「わッバカッ!!」
正志の糞バカに背中を押され、俺はドアを開け放った。
そこで目にした風景は俺の想像を遙かに上回るものだった。
【すいません、続きは後日で】
>>606 乙リークリスマス!!
確かに
>>602の言いたいことも分かるのでアレだけど、自重し過ぎないように頼むぜw
投下します。
―――何だこりゃ?
目に入ったのは、見渡す限りの草原。遠くにはでっかい城(?)みたいなもんが見える。さらに遠くには…何だありゃ?塔か?
まぁ、それだけでもここが日本じゃねぇことは解るんだが、問題はそこじゃねぇ。
青くてプルプルした気持ちわりぃ物体やら、やたらでかいなめくじやらが、
嬉しそうにそこら中を跳ねまわってやがることだ。
…ああ、これ夢だわ。最近疲れてるもんなぁ…。だからこんな幼稚な夢を見るんだ。
よし、決めた。冬休みには、久々に実家に帰ろう。たまにはゆっくりして、親孝行でもしてやらなきゃな。母さん、元気かなぁ…。
正志「ねーねー」
うるせぇぞ、夢の住民。俺は今、てめぇの相手をしてる暇はねぇんだ。
正志「あの青いの、スライムだよな?で、その横にいるのがファーラット。かわいーな
ー」
ああ、スライム。ドラクエの。そういやそうだな、似てるわ。
ホントに幼稚な夢見てるなぁ、俺…。
正志「なんかこっちに向かってきてるよー。逃げよーよー」
ほっとけ、どうせ夢だ。痛みなんざ感じねぇし、運がよけりゃ目も覚めるかもな。
ん?頭の中に数字が…?HP 30 MP 0?
さすがは夢。ここまでゲーム通りとは。
正志「わ、来たー!!竜司、そっちにスライム行ったよー!」
だから、大丈夫だっての。夢の中でまでうざったい奴―――
ド ン ッ !
次の瞬間、俺はあばらに強い衝撃を受け、2,3m吹っ飛ばされていた。
クソが、なんだよこれ…!!めちゃくちゃ…痛ぇじゃねぇか…!
呼吸が……できね…ぇ!夢じゃ…ねぇのかよ…!!
正志「りゅ、竜司!誰か!たっけてー!!」
* 「おーい!大丈夫か!?」
ん…この声…誰か…きてくれ…たの…か?
これが…大丈夫な様に…見え…るのかよ…クソが…。
ぜってーアバラいってるぞ…これ…。痛恨の…一撃ってやつか…。
* 「大丈夫じゃないみたいだな…ホイミ!」
ん…?あ、あれ…!?痛くねぇ!!
すげぇ!これは…呪文か!?
* 「これでだいぶ良くなったはずだけど…」
顔を上げ、俺を助けてくれた男を見る。やたら毒々しい色遣いだな…特に髪。
真っ青はねぇだろ…。まぁ、助けてくれたわけだし、礼は言っとくか。
俺 「ありがとな。助かったわ」
* 「礼は後でいい!今は敵を倒すことだけ考えて!」
倒すっつったってなぁ…元剣道部員とはいえ、素手じゃ到底無理だろう。
* 「何してんだ!その腰の剣は飾りか!?」
何言ってんだ、剣なんてどこに…。あ、あれ?
刀がある…。そんなバカな、ついさっきまでは無かっただろうが!
正志「戦おう、竜司!元剣道部員、なめんな!」
俺 「あぁ!?」
見れば、正志は既に刀を抜き、正眼に構えている。
なんて適応力のある奴だ…バカの癖に。
しょうがねぇ。俺もぼちぼち行くか。死にたくはねぇしな。
しかし、いきなり武器が現れるとは。しかも、「刀」なんて俺らにお誂えの物が。
都合が良すぎねぇか?やっぱ…夢なのか?
* 「早く!」
分かったよクソが。そう急かすな。
考えてても仕方ねぇ。やっぱりここは、戦うしかねぇか。得物もある事だしな。
腹を括った俺は、腰に差した刀を抜き、右上段に構えた。息を整え、心を落ち着ける。
そして…
「りゃあ!!」
気合を発する!心なしか目の前の青い化け物が、怯んだように感じる。
その機を逃さず、抱えた刀を振り下ろす!
「っ面ーーーん!!」
ビチャア!と水を叩いたような音がした。
命中。当然だ。こちとら、高校時代は掌が豆だらけになるまで、何万回、何憶回と練習
してたんだ。化け物如きに、避けられてたまるか。
口の辺りまで真っ二つになったスライムは、一度、二度と点滅したかと思うと、幻か何かのように消え去っちまった。
…ん?頭の中に文字が流れ込んできやがった。なんだこれ?…
「スライムAをたおした!」 だぁ?…ゲーム通りってことか。ご親切にどうも。もう何が起きても驚かねえよ。
正志の方を振り返ると、あいつもちょうど化け物を始末し終わった様だ。荒い息をついている。
クリスマスは仕事支援
リアルタイムktkr!支援
普段はとぼけてるが、やる時はやる奴だからな。
「スライムBをたおした!」アナウンス(?)が聞こえた。
正志「竜司!今、変なのが頭ん中にきた!すっげー!」
俺 「俺もだよ。何なんだろうな?」
で、あのツンツン青髪野郎は、と。
今まさに、モコモコした緑色の化け物(ファーラットだっけ?)に止めを刺そうとしている所だった。
手にした剣で、化け物を袈裟掛けに斬りつける。化け物は、俺の時と同じように、明滅して消えた。
「ファーラットをたおした!」
どうやら、これで全部片付け終わったようだ。…ああ、疲れた。
ひと息ついていると、そこでまた、アナウンスが流れる。
「まもののむれを やっつけた!
それぞれ 10ポイントの けいけんちを かくとく!
りゅうじは レベル2に あがった!
りゅうじは メラを おぼえた!」
ああ?俺か?…そういや、なんか強くなった気がするぞ。
メラってあれか?火の呪文か?
そんなことを考えていると、頭の中に、また何かが流れ込んでくる。
…どうやら今度は、呪文の使い方を教えてくれるらしい。
…えーと、何?「メラを使いたいと念じ、相手に手をかざす」…か。
随分と簡単だな、オイ。まぁ、今はMPが無いから、使えないんだろうな。
…なんだかんだ言って、適応しつつあるな、俺も。
「まさしは レベル2に あがった!
まさしは ホイミを おぼえた!
8ゴールドを てにいれた!」
今度は正志か。あいつはホイミ、か。イメージ合わねぇな、オイ。
どうやら、あの青髪はレベルアップしねぇらしいな。
元のレベルが高いからか。
正志「竜司ぃ!俺、レベル2だってさー!ホイミ覚えちゃったー!!ホイミ!ホイミ!
あれ?MP足りないや!あはは!!」
俺 「うるせぇよバカ」
正志とそんなやりとりをしていると、先ほど助けてくれた青髪が、話しかけてきた。
* 「いやー、強いな、あんたら!レベル1とは思えないよ!こりゃ、助けなくても
よかったかな?」
などと笑っている。親しみやすそうな奴だ。
俺 「いや、危なかったよ。ホントにありがとな。えっと―――」
そういや、こいつの名前、聞いてねえな。
俺が困っていると、青髪はそれに気付いたのか、自分から名乗ってくれた。
* 「ごめん、まだ名前を言ってなかったな!俺はボッツ!ライフコッドのボッツだ!
よろしくな!」
【ここまで。支援ありがとうございます。最早ネガティブでもなんでもない件。
本来ライフコッド周辺にはスライムは出現しないんですが、
最初の敵はやはりスライムがいいと思ったのでこうなりました。】
おお、続きが投下されている〜〜〜。
剣道部員強ぇぇぇ〜。
しかも早速レベルあがって呪文も覚えているし。
wktk
まさしきゅんハァハァ
埋め用短編投下します。
腰まで届く桔梗色の髪をブラシでとかして艶をだす。軽く化粧を施し頭からシルクのローブを身に纏う。セットしたあと手に気品ある緋色の天鵞絨に包んだ水晶玉を携える。
ドレッサーの鏡に写る自分の姿はまるで占い師の様な風貌。否、今の私は占い師だ。
目が覚めた時、知らぬ場所にいた。ココハドコワタシハダレと軽く混乱していると丁度よくドアから現れたのが…。
ちらり、とベッドでだらしない格好で寝ている踊り子マーニャを見た。
踊り子マーニャとくれば私はマーニャの妹、占い師ミネア。そう、何故か私はミネアになっていたのである。もうかれこれ一ヶ月たつと思う。
私には年子の姉がいる。背丈も顔もそっくりだが姉は運動好きで明るくムードメーカー。対する私は占いが好きな大人しいタイプ。
丁度小学生高学年に流行っていたドラクエ4のキャラクター、モンバーバラの姉妹の設定が似ていると良く言われた。
ドラクエ4。そう言われたからプレイした。姉ちゃんは見ているだけだった。確かに似てるねって二人で話していたことがある。
顔は似ていても性格は真逆だから喧嘩やぶつかり合いも多かったし、姉ちゃんなんていなければいいなんて何度も考えた。
そんな私たちも歳をとるにつれて生活スタイルも変わっていった。
私は地元の専門学校を卒業してから地元で就職。姉ちゃんは都会の大学へ行き卒業してそのまま就職した。
仕事は忙しい、だけどやり甲斐はあると以前電話で話してた。
大型連休がとれても遊ぶことがメインになってるようで、地元には一年に数回程度にしか帰郷することしかなくなった。海外旅行に行った時はお土産だけは荷物で送ってくれてた。
仕事も遊びも楽しんでやる姉ちゃん。最後にうちに帰ってきたのは結婚すると将来の旦那さんを連れてきた時かな。もう随分前だ。
小さい頃から一緒に過ごしていた姉ちゃんがいつの間にか私の知らない他人の妻になり、やがてそのうち母になるなんて身内としては複雑だけれど…。
…姉ちゃん最近連絡を寄越さないな。きっとまた忙しくしているんだろう。
あ、もう仕事の時間だ。行かなければ。私は寝ているマーニャを起こさないようにこの宿屋兼踊り子の寝所から離れた。
私は小さいながらも街の隅に店を構えていた。お店っていってもテントだけど。
野外でやってもいいけど天候に左右されるのが難点だったので。
テント内の光源は数本の蝋燭だけにしている。お香も焚いて雰囲気作り。
お客さんとは基本的には一対一。カップルを相手することもある。
テントの外には既にお客さんは何名か待機中。準備が整い次第お客さんを招き入れた。
私は小さい頃から占いが好きで占星術、風水、血液と様々な占いを勉強してきたけどタロットは一番得意だ。姉ちゃんは占いは見向きもしなかったけど。
幸いドラクエ世界のタロットは現実世界と一緒だから占い方法も一緒だ。
私はお客さんに悩みを聞いてからタロットをシャッフル、その悩みに似合った展開をし、ガードから意味を読み取る。それを悪い内容ならやんわりと、良いようならそのまま伝える。
もう一つの占い、水晶占いも人気。これは「ミネア」になってから見えるようになったんだよね。水晶から未来が見えるなんて嘘臭かったけど実際見えるんだからびっくりだ。
透視ではないから部分的なものを伝えるだけどね。
今が変われば未来が変わる。自分が変われば未来が変わる。これは私の持論。
占いはあくまでもより良い
翌朝私とマーニャはモンバーバラの街を離れた。
殺された父親の仇討ちの旅に…。
私はミネアではないが外見はミネアなのでマーニャは普段変わりなく話しかけてくる。どうやらバレていないようだ。まさか外見がミネアで中身は別人だなんて理解していないとは思うが。
私はゲーム内のミネアの言葉使いを思い出しながら言葉を選ぶ。姉ちゃんと呼んできた私に姉さんと呼ぶのは照れがあるがそれは慣れだ。
性格もちゃらけた姉をみるしっかりものの妹のように。
私たちはモンバーバラを離れ、モンスターと戦いながら北へ向かう。途中生まれ故郷コーミズに寄り、飼い犬のペスタと戯れたり洞窟に潜り父さんの弟子のオーリンを仲間にして…とゲームでいう第四章をリアルに体験してゆく。
私はこの物語の結末を知っている。私にとってこの旅はドラクエとしてプレイした『ゲーム』だからだ。
これから何処へ行き、誰と対面して敗れ、逃げるようにして何処へ行くのか…。
だからこそ岬の御告げ所の占い師にあなたはこれから先を視ていると指摘されたとき頷いた。マーニャはそのことに驚いていたが私は冷静であった。
「そう、分かっていた。今の私たちではバルザックに勝ち目のないこと…ううん何でもな
私たちはエンドールで暮らすことになった。世界の中心地。大都会エンドール。
ここで私たちは劇的な出逢いを果たすことになる。それがいつになるか分からない。だが待たなければならない。それまでに生活もしなければ食べていけないので仕事をしていた。
占いが好きで自分で占いをするようになってから実は恥ずかしながら占い師になりたいとは思っていた。
だが現実は厳しいもので得られる金額が微々たるものと知ると副業にするには良いがそれだけではご飯は食べれないと。
副業といっても現実世界では本業が忙しく副業にまで手が出せないのでせめて趣味でと占いをしていたのだが。
都会で人が多いからなのか、占いの腕がいいからなのか。連日お客さんは途切れなかった。
外見は違うけど中身は私。占い一本でごはんが食べれるようになり夢が叶った。仕事は大変でも好きなことをしていく苦労は辛くなかった。
エンドールで生活をして数ヶ月たったある日。その日はやって来た。絶望に打ちひしがれた顔でこの都会をさ迷う緑髪の青年。勇者と定められた者の姿を。
勇者を加え、エンドールを離れ、私たち姉妹の旅はまた始まる。旅の途中同じ光を持つ仲間たちを導く。
最後の戦士を迎える為に私た
マーニャは火炎呪文メラゾーマを唱え、巨大な火炎球を進化の秘法を使い進化した巨大な敵にぶつける。
敵は開口し冷たく輝く息を吐いた。
「フバーハ!」
私はすかさず光の粒子の衣で仲間を守る。
「ありがとミネア」
マーニャがウインクした。
「進化の秘法は父さんのものよ。あんなものに悪用されてたまりますか!」
マーニャは再度メラゾーマを唱えた。
私は回復呪文ベホマを唱え、仲間の傷を全快する。回復呪文で傷を癒すのが私ならば精神的なフォローをしていたのはいつもマーニャだった。そして今日も。
以前から思っていた。この戦いが終わったらもしかしたら私、元の世界に帰還するんじゃないかって。だってこれで『ゲーム』は終わりだもの。
隣で攻撃呪文を舞うように放つマーニャ。そこにいるのはマーニャなのに、何故だろう。自分の姉ちゃんに見えてしまっていた。
「姉さん…」
「こら、これは戦いよ。ぼっとしている間もないわ!」
「姉ちゃん!」
マーニャは驚愕した顔だった。
「姉ちゃん、わたし、姉ちゃんが結婚してもずっとずっと好きだから。喧嘩しても、離れてしまっても。だって、二人っきりの姉妹だもの!」
私は何を口走っているんだろう。だけど言わずにはい
『昔ドラクエに出てきたモンバーバラの姉妹っていたじゃん?あたしが姉のマーニャであんたがミネアになっているの。それで最後の敵いるじゃん。その時ミネアが姉ちゃんってあたしに話しかけるの。姉ちゃん好きだって。なんだかすんごくリアルだったんだ』
え…もしかして…。
姉ちゃんの告白に私は驚きを隠せない。
『離れてしまっても、ずっと思っている。だって、二人っきりの姉妹だもの』
姉ちゃんには、私も同じ夢を見たよとメールを打ち返した。
―――了―――
GJだが途切れてるぞ。
そうなんです!ごめんなさい。文字数も確認したんですけど。もう一回最初から投下させてください!
腰まで届く桔梗色の髪をブラシでとかして艶をだす。軽く化粧を施し頭からシルクのローブを身に纏う。セットしたあと手に気品ある緋色の天鵞絨に包んだ水晶玉を携える。
ドレッサーの鏡に写る自分の姿はまるで占い師の様な風貌。否、今の私は占い師だ。
目が覚めた時、知らぬ場所にいた。ココハドコワタシハダレと軽く混乱していると丁度よくドアから現れたのが…。
ちらり、とベッドでだらしない格好で寝ている踊り子マーニャを見た。
踊り子マーニャとくれば私はマーニャの妹、占い師ミネア。そう、何故か私はミネアになっていたのである。もうかれこれ一ヶ月たつと思う。
私には年子の姉がいる。背丈も顔もそっくりだが姉は運動好きで明るくムードメーカー。対する私は占いが好きな大人しいタイプ。
丁度小学生高学年に流行っていたドラクエ4のキャラクター、モンバーバラの姉妹の設定が似ていると良く言われた。
ドラクエ4。そう言われたからプレイした。姉ちゃんは見ているだけだった。確かに似てるねって二人で話していたことがある。
顔は似ていても性格は真逆だから喧嘩やぶつかり合いも多かったし、姉ちゃんなんていなければいいなんて何度も考えた。
そんな私たちも歳をとるにつ
腰まで届く桔梗色の髪をブラシでとかして艶をだす。軽く化粧を施し頭からシルクのローブを身に纏う。セットしたあと手に気品ある緋色の天鵞絨に包んだ水晶玉を携える。
ドレッサーの鏡に写る自分の姿はまるで占い師の様な風貌。否、今の私は占い師だ。
目が覚めた時、知らぬ場所にいた。ココハドコワタシハダレと軽く混乱していると丁度よくドアから現れたのが…。
ちらり、とベッドでだらしない格好で寝ている踊り子マーニャを見た。
踊り子マーニャとくれば私はマーニャの妹、占い師ミネア。そう、何故か私はミネアになっていたのである。もうかれこれ一ヶ月たつと思う。
私には年子の姉がいる。背丈も顔もそっくりだが姉は運動好きで明るくムードメーカー。対する私は占いが好きな大人しいタイプ。
丁度小学生高学年に流行っていたドラクエ4のキャラクター、モンバーバラの姉妹の設定が似ていると良く言われた。
ドラクエ4。そう言われたからプレイした。姉ちゃんは見ているだけだった。確かに似てるねって二人で話していたことがある。
顔は似ていても性格は真逆だから喧嘩やぶつかり合いも多かったし、姉ちゃんなんていなければいいなんて何度も考えた。
私は地元の専門学校を卒業してから地元で就職。姉ちゃんは都会の大学へ行き卒業してそのまま就職した。
仕事は忙しい、だけどやり甲斐はあると以前電話で話してた。
大型連休がとれても遊ぶことがメインになってるようで、地元には一年に数回程度にしか帰郷することしかなくなった。海外旅行に行った時はお土産だけは荷物で送ってくれてた。
仕事も遊びも楽しんでやる姉ちゃん。最後にうちに帰ってきたのは結婚すると将来の旦那さんを連れてきた時かな。もう随分前だ。
小さい頃から一緒に過ごしていた姉ちゃんがいつの間にか私の知らない他人の妻になり、やがてそのうち母になるなんて身内としては複雑だけれど…。…姉ちゃん最近連絡を寄越さないな。きっとまた忙しくしているんだろう。
あ、もう仕事の時間だ。行かなければ。私は寝ているマーニャを起こさないようにこの宿屋兼踊り子の寝所から離れた。
私は小さいながらも街の隅に店を構えていた。お店っていってもテントだけど。
野外でやってもいいけど天候に左右されるのが難点だったので。
テント内の光源は数本の蝋燭だけにしている。お香も焚いて雰囲気作り。
お客さんとは基本的には一対一。カップルを相手することもある。
テントの外には既にお客さんは何名か待機中。準備が整い次第お客さんを招き入れた。
私は小さい頃から占いが好きで占星術、風水、血液と様々な占いを勉強してきたけどタロットは一番得意だ。姉ちゃんは占いは見向きもしなかったけど。
幸いドラクエ世界のタロットは現実世界と一緒だから占い方法も一緒だ。
私はお客さんに悩みを聞いてからタロットをシャッフル、その悩みに似合った展開をし、ガードから意味を読み取る。それを悪い内容ならやんわりと、良いようならそのまま伝える。
もう一つの占い、水晶占いも人気。これは「ミネア」になってから見えるようになったんだよね。水晶から未来が見えるなんて嘘臭かったけど実際見えるんだからびっくりだ。
透視ではないから部分的なものを伝えるだけどね。
今が変われば未来が変わる。自分が変われば未来が変わる。これは私の持論。
占いはあくまでもより良い未来への手助けに過ぎない。それに頼り過ぎたり占い内容を丸のにしてしまったりしてしまうのは違うと思っている。
占いの捉え方は人それぞれだからそれはその人に任せる。
そうこう考えているうちにお客さんはひっきりなしに入る。いつもの倍かな?それは今日でお店を終うからだと思うんだ。別れを惜しむ人も多い。だけど明日から父さんの仇討ちにマーニャと旅立つんだ…。
翌朝私とマーニャはモンバーバラの街を離れた。
父親の仇討ちの旅に…。
私はミネアではないが外見はミネアなのでマーニャは普段変わりなく話しかけてくる。どうやらバレていないようだ。まさか外見がミネアで中身は別人だなんて理解していないとは思うが。
私はゲーム内のミネアの言葉使いを思い出しながら言葉を選ぶ。姉ちゃんと呼んできた私に姉さんと呼ぶのは照れがあるがそれは慣れだ。
性格もちゃらけた姉をみるしっかりものの妹のように。
私たちはモンバーバラを離れ、モンスターと戦いながら北へ向かう。途中生まれ故郷コーミズに寄り、飼い犬のペスタと戯れたり洞窟に潜り父さんの弟子のオーリンを仲間にして…とゲームでいう第四章をリアルに体験してゆく。
私はこの物語の結末を知っている。私にとってこの旅はドラクエとしてプレイした『ゲーム』だからだ。
これから何処へ行き、誰と対面して敗れ、逃げるようにして何処へ行くのか…。
だからこそ岬の御告げ所の占い師にあなたはこれから先を視ていると指摘されたとき頷いた。マーニャはそのことに驚いていたが私は冷静であった。
「そう、分かっていた。今の私たちではバルザックに勝ち目のないこと…ううん何でもないの。姉さん」
そして、本懐を遂げられないまま私たちは大陸を離れる―――。
私たちはエンドールで暮らすことになった。世界の中心地。大都会エンドール。
ここで私たちは劇的な出逢いを果たすことになる。それがいつになるか分からない。だが待たなければならない。それまでに生活もしなければ食べていけないので仕事をしていた。
占いが好きで自分で占いをするようになってから実は恥ずかしながら占い師になりたいとは思っていた。
だが現実は厳しいもので得られる金額が微々たるものと知ると副業にするには良いがそれだけではご飯は食べれないと。
副業といっても現実世界では本業が忙しく副業にまで手が出せないのでせめて趣味でと占いをしていたのだが。
都会で人が多いからなのか、占いの腕がいいからなのか。連日お客は途切れなかった。
外見は違うけど中身は私。占い一本でごはんが食べれるようになり夢が叶った。仕事は大変でも好きなことをしていく苦労は辛くなかった。
エンドールで生活をして数ヶ月たったある日。その日はやって来た。絶望に打ちひしがれた顔でこの都会をさ迷う緑髪の青年。勇者と定められた者の姿を。
勇者を加え、エンドールを離れ、私たち姉妹の旅はまた始まる。旅の途中同じ光を持つ仲間たちを導く。
最後の戦士を迎える為に私たちは大陸を渡る。故郷の地。再度踏むことが出来た。
二人では不可能だったことが仲間を得てようやく叶った。本壊を遂げられた。仲間たちは我が身のように喜んでくれた。今度は私たちが皆にお返しをしてゆく。
旅の仲間は面白い人たちばかりだった。時には深い話しもした。深い話しが出来るほど仲間たちの絆は深まっていた。
だがやはりマーニャ以上にはなれない。
それは血の繋がった二人っきりの姉妹だからなのか。旅の仲間たち以上に長い時間を過ごしてきたからなのか。
ミネア一人では仇討ちを決意しなかった。性格上泣き寝入りしていただろう。姉が、マーニャがいたから、行動に移すことが出来た。
それはきっと―――マーニャも同じだっただろう。
苦労した。だけどそれ以上に笑顔で旅が出来た。あんな散々に姉のことを愚痴っていたけどそれは愛嬌。他者がマーニャのことを悪く言ったらミネアは怒り狂っているかもしれない。
私は…ミネアは…悔しいけれど…マーニャが大好きだった。
それは…真逆の性格をした私の姉に対する感情と同じだった。
旅を続け、大いなる運命に導かれ、私たちは最後の戦いに挑む。
マーニャは火炎呪文メラゾーマを唱え、巨大な火炎球を進化の秘法を使い進化した巨大な敵にぶつける。
敵は開口し冷たく輝く息を吐いた。
「フバーハ!」
私はすかさず光の粒子の衣で仲間を守る。
「ありがとミネア」
マーニャがウインクした。
「進化の秘法は父さんのものよ。あんなものに悪用されてたまりますか!」
マーニャは再度メラゾーマを唱えた。
私は回復呪文ベホマを唱え、仲間の傷を全快する。回復呪文で傷を癒すのが私ならば精神的なフォローをしていたのはいつもマーニャだった。そして今日も。
以前から思っていた。この戦いが終わったらもしかしたら私、元の世界に帰還するんじゃないかって。だってこれで『ゲーム』は終わりだもの。
隣で攻撃呪文を舞うように放つマーニャ。そこにいるのはマーニャなのに、何故だろう。自分の姉ちゃんに見えてしまっていた。
「姉さん…」
「こら、これは戦いよ。ぼっとしている間もないわ!」
「姉ちゃん!」
マーニャは驚愕した顔だった。
「姉ちゃん、わたし、姉ちゃんが結婚してもずっとずっと好きだから。喧嘩しても、離れてしまっても。だって、二人っきりの姉妹だもの!」
私は何を口走っているんだろう。だけど言わずにはいられなかった。
マーニャは私を見つめ…そしていつものように笑った。
「あたしもミネアがいて良かったよ。ありがとう。結婚して離れてもあたしたちはずっと一緒よ」
まだ感傷に浸るのは早いわ。さぁ、片付けちゃいましょとマーニャは再度メラゾーマの呪文を紡ぎ出した。
私たちは敵を倒した。魔族と人間の戦いに人間が勝った。
父エドガンが発見した進化の秘法は私たち姉妹が奪回し封印した。
マーニャはまたモンバーバラのステージを踏んだ。私はまた占いを始めようとしていた。そこで…記憶は途切れた。
…私はどうやら夢を見ていたようである。現実と間違えてしまいそうな長い長い夢を。
部屋の中は真っ暗。今日が休みだとはいえ一日潰して夜まで寝込んでいたようである。身体を伸ばすと間接がパキポキ乾いた音を立てた。
携帯をチェックする。メールが届いていた。姉ちゃんからだ。久々だ。
『おひさー。元気でいる?あたしは元気だよっ。別に用事はないんだけどさ、夢にあんたが出てきたんだ。だからどうしているかなって』
更に続く。
『昔ドラクエに出てきたモンバーバラの姉妹っていたじゃん?あたしが姉のマーニャであんたがミネアになっているの。それで最後の敵いるじゃん。その時ミネアが姉ちゃんってあたしに話しかけるの。姉ちゃん好きだって。なんだかすんごくリアルだったんだ』
え…もしかして…。
姉ちゃんの告白に私は驚きを隠せない。
『離れてしまっても、ずっと思っている。だって、二人っきりの姉妹だもの』
姉ちゃんには、私も同じ夢を見たよとメールを打ち返した。
―――了―――
投下しました。連投や文章が途切れてしまい散々でした。ごめんなさい。今度は気を付けます。読んでくれた人ありがとう。
乙です。
次スレ立ててきます。
・タロウの犬活躍
「ジロウ聞いて。僕の大冒険した物語を!」
「冒険なんてどこでしたのタロウお兄ちゃん。」
「不思議な世界だよ。僕はそこでお嫁さんまで貰ったんだ!」
「わー! お兄ちゃん現地妻ゲットだね!」
「ジロウ、どこでそんな言葉覚えたの?」
「それでそれで、その世界でどうしたの?」
「いろんな人や犬に助けられていろんなところを冒険したよ。」
「知らない人ばっかりで寂しかった?」
「はじめはね。でもみんな親切だったよ。それにね。」
「それに?」
「しなのさんとヨウイチさんっていうこっちの世界の人もいたんだ。」
「お兄ちゃんと同じようにその世界に行っちゃったんだね。」
「そうみたい。それでね、僕はその世界で石版を手に入れたんだ。」
「石版?」
「うん。それでおうちに帰れるっていう話だったからね。」
「ふーん。不思議だねー。」
「でもね。石版で帰れるっていうのはサクヤって人の嘘だったんだ。」
「えー、悪い奴だね。」
「しかもね、石版は魔王を復活させるためのものだったんだ!」
「怖いよぉ! でも、魔王って何?」
「凄く悪い奴だよ。僕が吠えたおかげで復活を阻止したんだぞ。えっへん!」
「お兄ちゃんすごいねー。」
「それからみんなでサクヤと戦ったんだ。酷いんだよ。嘘ばっかりつくんだ。」
「サクヤというよりヤクザだね。」
「最初は仲間の振りをしていて最後に正体を現したんだ。」
「飼い主に手をかまれるとはこのことだね。」
「そうだね。……あれ、ちょっと違わない?」
「そいつはお兄ちゃんがやっつけたの?」
「やっつけたのは勇者さんたちだよ。でも僕も活躍したんだぞ。」
「魔王は復活しなかったんだね。」
「ううん。最後は魔王が復活して僕はこっちに帰ってきたんだ。」
「なにそれー。」
「あのね。魔王は勇者に倒されなきゃいけないんだって。」
「うーん、不思議な世界は複雑だね。」
「魔王が復活して全てが元通りになって僕も帰ってこれたんだ。」
「ところでさお兄ちゃん。」
「なんだいジロウ。」
「お兄ちゃんが吠えなきゃもっと簡単に帰ってこれたんじゃないの?」
「駄目ー! それは言っちゃ駄目なの!」
>>639 スレ立て乙!
なんというほんわか後日談(*´Д`)
しなのさんやヨウイチさんもアレンやドラオの事思い返しているのかな…
643 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/28(金) 22:41:22 ID:YhkjIkomO
埋め
アリスちゃん出ておいで〜
残り少ないから厳しいかもな
今年もこのスレにはお世話になったな〜
「今年ももう終わりだね」
「何勘違いしてるんだ! 俺の2007年はまだ終了してないぜ!」
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ´・ω・) < 目が覚めたらドラクエ世界の宿屋だったよ
( つと ) \___________________
と_)_)
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ´・ω・) < 仕方ないから魔王を倒しに行くよ
( つと ) \_______________
と_)_)
∧_∧ コソーリ
( ´・ω・)
( つ つ◇
._ ∵パラパラ
|毒| 旦
. ̄
∧_∧
( ´・ω・) 魔王様、お茶が入りましたよー……。
( つ つ ∫
と_)_) 旦
_, ._
( ゚ Д゚) イタダキマス
( つ旦O
と_)_)
_, ._
( ゚ ◎゚) ズズ…
( ゙ノ ヾ
と_)_)
_, ._
( ゚ Д゚) …………
( つ旦O
と_)_)
_, ._
( ゚ Д゚) ガシャ
( つ O. __
と_)_) (__()、;.o:。
゚*・:.。
_ _ ξ
(´ `ヽ、 __
⊂,_と( )⊃ (__()、;.o:。
゚*・:.。
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´ ・ω・) < 世界が平和になったよ
( つと ) \_______________
と_)_)
埋め乙
└(´・ω・`)┘
ミ\丿('A`)\ノミ
┌V┐
彡 ミ
, -‐―― 、
/O ヽ、 ,-、
/r‐, V l
// / L_ `ー-、 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
///, '⌒ヽ /⌒ヽ \\ ヽ / 11泊目は終わりだよ
/ し' ( ○ l l ○ ) ヽ l l < 12泊目もよろしくね
l `ー‐' `ー ' l .| | \_________
ヽ、 (`ー―'⌒) ノ / l
`ー-、_ニ二二ニ-―=ニ二/ /
_ノ _/ ∧ l ヽ` 、___ノ
( (/ /l .l ∧ iヽ、`、
) l l 〉' 人ヽ l ) ヽ
し'l V 入 V l / /
L_/ / )l / (__/
し' L| l
ヽ、_)