【FF6】カイエンたん(;´Д`)ハァハァ

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
「ござる」がとってもチャーミングなカイエンたんに萌えるスレ
2名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 20:12:45 ID:GgcGM5FgO
スレ一覧開いたらいきなり一番上にこのスレがあって少し笑った
3名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 20:19:20 ID:mtDTvqMnO
このスレは伸びる気がしないw
4名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 20:29:21 ID:5Iw7zz7S0
スレタイ:カイエンライアンガラフメルビンヨーゼフパパス
5名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 21:57:15 ID:I52KL6Vp0
カイエンたんのSSでも書くか
6名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 21:57:41 ID:Y2raHRPF0
海援隊(;´Д`)ハァハァ
7名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 21:59:05 ID:Y2raHRPF0
海綿体(;´Д`)ハァハァ
8名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 22:06:15 ID:hh0xpy9Y0
>>2
漏れもww
9名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 22:13:06 ID:D3s8eLr7O
>>1
お前は俺か、ちょうどカイエンの事が気になっていたところだ

実際カイエンってどの程度の人気だ?
アンチは少ないだろうがカイエンが1番好きって奴も居ない気がする
10名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 22:26:52 ID:I52KL6Vp0
拙者は内心青ざめていたのでござる。
元はと言えばこの列車を未だ戦火に巻き込まれていないドマ鉄道だと
勘違いしていた拙者が悪いのだが…
しかしそれを声に出すべきではなかったのでござる。
拙者の発したその言葉が数刻前に合流したモンク僧の男を安心させてしまったのか、
男は何も疑わずに列車に乗り込んでしまったでござる。
そこで拙者はハッとなり申した。
もしかしなくても、これは死者の魂を霊界に送るという「魔列車」なのでは…?
不安は一瞬で確信へと変わったでござる。
…が、しかし遅かったようでござる。
「マッシュ殿!!これは魔…」
と叫んだ瞬間、列車が動き出してしまったでござる!!
マッシュと呼ばれたそのモンク僧もさすがに焦った様子。
必死で車両のドアを開けようとするが都合よく開くわけもなく、
無常に響く汽笛の音を聞いている他ない状態でござった……。

「おいおい、このままこの列車に乗っているともしかして…」
マッシュ殿の問いに、拙者は静かにうなずく。
「ははは…冗談だろ。ハハハハハハハ」
マッシュ殿は笑うが、その表情は明らかに引き攣っていたのは言うまでもないでござる。
ああ、拙者達はこのまま霊界へと運ばれてしまうのでござろうか…
……
…正直、ミナとシュンと一緒に逝けるのならばそれもいいかなーなどと
思ったわけではござらぬぞ。いや、ホントに。
11名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 22:48:28 ID:I52KL6Vp0
さて、魔列車が動き出したとはいえ、
目的地の霊界まで大人しくしているわけにはいかぬ。
拙者達はどうにか魔列車を止めるべく、列車内を探索する事にしたでござる。

と、最後尾の車両で車掌らしき男を発見したでござる。
人間…かどうかはともかく、魔列車の止め方を聞いたところ快くヒントをくれたので
少なくとも悪い奴ではなさそうでござる。
そんなこんなで拙者が車掌と話をしていたところ、
落ち着かないマッシュ殿は室内にある怪しいレバーが気になったのであろう、
何の迷いもなくレバーに手を伸ばしたのを拙者は目視したでござる。
「マ、マッシュ殿!!それは怪しいでござる!弄り回さない方が賢明でござる!!」
という拙者のアドバイスなど聞くに足らずという具合で、
マッシュ殿はためらいもなくレバーを引き、まるでいたずら少年のような笑顔で
「引っ張っちゃたもんね〜」とニヤついてきたでござる。
うぬぬ…どうしてマッシュ殿は拙者の話を全然聞いてくれないのでござるか…!!
拙者は恐る恐るレバーを戻し、再びマッシュ殿がそれに触れない様に警戒したでござる。
「カイエン…もしかして恐いのか?」
うっ…マッシュ殿はその大きな体に似合わず、なかなか鋭い洞察力の持ち主でござる。
しかし拙者とてドマ一の戦士。
ここで弱味を見せてはいけないでござる。
「な、何をおっしゃる!」
本心を悟られてはならないと拙者は噴き出る冷や汗を拭う。
「こ、恐くなどないでござる!別に拙者が機械が苦手なもんで
なるべく機械とは関わりたくない、などと考えているワケではござらぬゾ」と
一応弁明してみたでござる。
…が、マッシュ殿は呆れ顔になったでござる。
何故でござるか…拙者、何かまずい事でも言ったのでござろうか…?
12名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 23:09:12 ID:I52KL6Vp0
とりあえずマッシュ殿の関心はレバーから移った模様。
何だかよく分からないけど一安心でござる。

さて、色々あったもののひとまず列車内を探索を続けるマッシュ殿と拙者。
しかしここは不気味でござる。
何故か?それは霊界へ向かう列車なだけあって、
車両中が幽霊だらけだからでござる。
ああ、こんな時に帝国軍の基地内で同行していた
冷静なシャドウ殿とその愛犬のインターセプター殿がいてくれたらどんなに心強いか…
どうもマッシュ殿と一緒にいたらどんどん寿命が縮んでしまう気がするでござる。
シャドウ殿…どうして抜けてしまったのでござるか…
拙者は心細いでござるよー!
ところがマッシュ殿ときたら、そんな思い悩む拙者の肩をポンと叩き、
「こいつ、仲間に入れたからよろしく」と
車両内を徘徊していた幽霊を捕まえ、笑顔で紹介してきたでござる。
「は…は…ははは…これは愉快でござるな…旅は道連れでござるよ…」
いつまで平常心を保てるかどうか心配になってきたでござる。
はぁ、なんて不幸なせっしゃ…
13名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 23:33:55 ID:I52KL6Vp0
その幽霊とやら、本来仲間であるはずの魔物とは拙者達に協力して共に戦い、
探索中は無言で付いて来るでござる。
仲間になった事に変わりはないのでござるが…
どうも不気味でござる。

む、この車両の先頭には扉が見当たらない?
もしかして行き止まりでござるか??
まったく、この車両の設計者は消費者の気持ちが分かっていないでござる。
仕方なく車両の入り口まで引き返し、扉を開いたところ、
急に幽霊の大群が視界に入ってきたではござらぬか…!
『 に が さ ん 』
あわわわ!!
拙者はまだ逝きたくないでござるよー!
ミナ、シュン、拙者に知恵と勇気を与えてほしいでござるぅ〜!!

拙者の必殺剣とマッシュ殿の必殺技で幽霊の群れを撃破し
安心したのも束の間、再び幽霊の群れに囲まれてしまったではござらぬか。
『逃がすな…逃がすな…逃がすな…』
数え切れないほどの幽霊に取り囲まれ、
たまらずドマ古来より伝わるお経を詠み始めた拙者と違い、マッシュ殿からは
未だ余裕というものが感じられたでござる。
「来い!カイエン!!」
と、拙者の手を引くと
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」と気合を入れ、
なんとマッシュ殿は車両の屋根から屋根を飛び移ってしまったではないか。
最後は着地に失敗してしまったでござるが、何と言う豪快な技…
拙者が女だったとしたら間違いなくマッシュ殿に惚れてしまったでござる。
14名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/18(火) 23:52:24 ID:I52KL6Vp0
「はぁはぁはぁ…」
さすがのマッシュ殿も、先程の大技で疲労してしまったようでござる。
拙者はマッシュ殿に肩を貸し、なんとか次の車両まで移動する事ができたのでござるが…
しかしまだ安心はできないでござる。
いくら車両を飛び越えても、相手は幽霊。
追って来れないわけがないでござる。
ほら、どこからともなく「逃がさん…」といううめき声が…って、やっぱり追ってきたでござるよ!
「マッシュ殿!何かいい案はないでござるか!?」
多少疲労も取れたであろうマッシュ殿は、目線の前にある怪しげなレバーを
車両を引き離すレバーだと確信し、ためらわずにそれを引いたでござる。
どうしてそんな思い切った行動ができるのでござるか…
拙者、だんだん慣れてきたでござるよ…

運のいい事に、マッシュ殿の勘は当たったと見られる。
追っ手の幽霊の乗っていた車両は引き離され、
拙者はやっと安堵の表情を浮かべることが出来たでござる。
15名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/19(水) 00:14:14 ID:UrHJao3H0
更に先へ進むと、拙者達の仲間である幽霊殿が
突然歓喜の舞のような奇行を見せ始め、拙者達を案内するように
前方へと進んでいったではござらぬか。
何か嫌な予感がするでござる。

扉を開けると、そこは食堂車のようでござった。
幽霊殿は拙者達をテーブルへとエスコートし、また自らも近くのテーブルへ腰掛ける。
「お…?ここで何かメシにありつけるってわけだな?そうと分かれば…
 おい、メシだメシだメシ!山ほど持って来ーい!」
「あわわ…マッシュ殿!少しは疑う事を知ってほしいでござる!!」
ついに拙者はマッシュ殿の行動に直接意見してしまったでござる。
それを聞くとマッシュ殿の顔にも少なからず陰りが見られた。
うむ、マッシュ殿とて話せば分かってくれるのでござるな。
拙者の抱えていたマッシュ殿に対する不満が払拭された記念すべき瞬間でござった。

が、運ばれてきた怪しげな幽霊用の料理をためらう事なく平らげてしまったマッシュ殿…
隣で料理を前に狂喜乱舞する幽霊殿は幽霊だからまだ理解はできるのでござるが…
…拙者、少しだけ一人になる時間が欲しいと思ったでござる。
16名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/19(水) 01:41:15 ID:y7T+QblhO
スレタイに忠実、かつきっちり読みごたえもあるあたりすげえわ
50のオッサンなのに反応がいちいち可愛いwww
今後も期待
17名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/19(水) 04:43:34 ID:shcVVRb8O
ウホッ!いい職人!
18名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/19(水) 17:00:09 ID:sUvj8nSH0
カイエンたん…(;´Д`)ハァハァ
19名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/19(水) 17:06:50 ID:U6kp2Ebe0
>>9
カイエソは人格者だからな
つーかこのオッサンかっこよすぎ
20名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/19(水) 18:06:19 ID:i60FllLs0
カイエンの魔列車イベントはガチ
21名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/19(水) 23:10:55 ID:XUAfs7pE0
幸い、食事に毒などは混入していなかったようでござる。
それどころかマッシュ殿の疲労も吹き飛んでしまった様子でござらぬか?
ふむ、拙者の方が疑い過ぎだったのかもしれないでござるな…
もっと自然体で行動する事も必要だと悟ったでござるよ。

この車両は食堂車という事で、テーブルで注文すると
ウェイターの幽霊が食事を持ってきてくれる仕組みになっているでござる。
料金の概念がないのは少し良心が咎めるでござるよ…
そもそも幽霊には養う家族はいないから関係ないのかもしれぬ…
どちらにしろ、拙者には少し居心地の悪い車両でござるよ。まったく…
ひとまずマッシュ殿を説得して、先の車両へ進む事にしたいでござるな。

また別の車両に到着したでござる。
この車両には車掌の姿も確認したでござるが…
うっ…そういえば先刻、拙者達が幽霊の大群から逃れるために
後ろの車両を切り離した事を思い出したでござる。
最後尾の車掌殿には申し訳のない事をしてしまったでござるな。
仕事に支障がなければいいのでござるが…
22名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/19(水) 23:37:01 ID:XUAfs7pE0
何か役に立つ物が見つかるかもしれない、という事で
なるべく個室も調べてみる事にしたでござる。
む?早速怪しげな宝箱を発見!
ここは警戒しながら開けてみるのが賢明でござるな…って!マッシュ殿!
少しは警戒してほしいでござる!!
案の定、その宝箱は罠だったのか、中から不気味な魔物が飛び出してきたでござる。
「ちっ、まぎらわしいぜ!オーラキャノン!!」
マッシュ殿はすぐさま攻撃態勢に入り、宝箱から飛び出してきた亡霊に向かって
何やら気の塊のような物を飛ばしたでござる。
ムムム…拙者のようなアナログな人間には奇怪な技に見えるのだが…
ともかく拙者も負けてはいられぬ。
精神を集中し繰り出す必殺剣によってマッシュ殿に助太刀するでござる!

「ふぅ…まいったぜ」
宝箱を開けた際に亡霊に不意打ちを食らったのか、
マッシュ殿は肩に少し傷を負ったように思われる。
拙者は自分の荷物から球体の物質を取り出し、マッシュ殿に差し出す。
「使ってくだされ、ポーションでござる」
「ああ、すまねえな…」
マッシュ殿は照れくさそうにポーションを受け取った。
「マッシュ殿、元気がいいのは若い証拠。良いことでござるな。
 しかし、用心を忘れてはならぬ。慎重に行動して悪い事はないでござる」
そう拙者は諭す。
これでマッシュ殿も無茶な行動を慎んでくれるであろう。
そういう考えもあったのは秘密でござる。
23名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/19(水) 23:50:43 ID:XUAfs7pE0
ところが…
「あれ…?」
「どうされた?マッシュ殿」
マッシュ殿は立ち上がり、先程亡霊が消滅した場所へ座り込んだ。
「マッシュ殿?」
拙者もマッシュ殿のそばへと駆け寄たっところ…
「いい物見つけた!見ろよカイエン!」
そう言いながら喜ぶマッシュ殿の右手には、
何やらパワーリストのような物が握られていたでござる。
「どうも、さっきの亡霊の持ち物だったらしい。何か得しちまったな。ハハハ」
……
…なんという事でござるか!
せっかくの拙者の言葉が掻き消えてしまったでござる!トホホ…

これはハイパーリストという腕に付ける装飾品のようなもので、
装備すると力が湧いてくるように感じるでござる。
マッシュ殿の計らいで、拙者が身に付ける事になったのだが…
なんとも複雑な気分でござる。
時には拙者にもマッシュ殿のような行動力が必要という事でござろうか?
24名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/20(木) 00:18:48 ID:tFV5rewX0
気を取り直して、また別の個室に入ったところ、
ここにも宝箱を見つけたでござる。
「フーム、誰が何の目的でこのような箱を設置したのか…謎でござるな」
拙者はマッシュ殿や幽霊殿と共に宝箱へ近付こうとしたその瞬間、
「ちょいと待ちな!」と聞き慣れない男の声がこの狭い部屋中に響いたでござる。
「何奴?姿を見せよ!」
拙者は愛刀・阿修羅に手を掛けると辺りを見回した。
マッシュ殿や幽霊殿も同様でござる。

その男は天井から降り立つとすかさず宝箱の前へと陣取った。
なんと図々しい!
これが噂に聞くジャイアニズムという精神なのでござるか!?
「ふっ、オレ様は世界一の剣士ジークフリード。この宝は俺様の物だ!
 さぁ、ジジイとキンニクだるまは帰った、帰った!」
ジ、ジジイですと!?
ジジイとはもしかして拙者の事でござるか?
こう見えても拙者はドマ国一の侍として女中殿に慕われ、
その度にミナに気を使っていたものでござるが……その拙者がジジイなどと呼ばれるとは
全くもって納得がいかないでござる!
しかし、拙者が行動に移る前にそのジークフリードと名乗った男は剣を抜き、
拙者達に向かって来たではないでござるか。
「うりゃりゃりゃーー!!」
男は疾風の如く剣を振り回し、拙者達に斬りかかって来たでござる。
ム…速さこそあるが、全く腰が入っていないでござる…!
「痛ッてえな! 何しやがるてめえ!!」
さすがはマッシュ殿、一瞬で相手の懐に飛び込み、反撃を加えたでござる。
やはりこの行動力、拙者も見習うべきでござるな。
25名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/20(木) 00:37:33 ID:tFV5rewX0
「はっはっは!世界一の剣士様だか何だか知らないが相手が悪かったな。
 さ、怪我しないうちに帰るんだな」
とマッシュ殿が挑発している隙に、そのジークフリードとやらは
とんでもない行動に出てきたでござる。
なんとそもそもの原因である宝箱の中身を奪い去るという卑劣な手段に出てきたのだから
こちらは呆れて物も言えない状態でござった。
「ふはははは!後に笑うのはこのオレだぁ!このお宝はオレさまが頂くぜ。
 それじゃアディオスアミーゴ!」

…行ってしまったでござる。
いや、元から逝ってしまっていたのかもしれないでござるが…
この男にはプライドがないのでござるか?
そんな会話をマッシュ殿と交わしながら、
仕方なくこの宝部屋を跡にする事となった次第でござる。
26名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/20(木) 01:05:18 ID:tFV5rewX0
気がつけばもう最前列の車両が近い。
今まで静かに拙者達の後をついてきた幽霊殿が
何やら別れのジェスチャーを取り始めたではないでござらぬか。
「そうか…行ってしまうのか」
マッシュ殿も残念そうでござった。
「ここからは拙者達だけでござるな」
そう確認する拙者達の間には、この列車を止められる…そんな確信が生まれていたのだ。
そして遂に機関室に辿り付いたのでござる。
ああ、ここまでくるのに色々あったでござるなぁ…
マッシュ殿が車掌室のレバーで遊んだり、マッシュ殿と車両の屋根を飛び越えたり、
マッシュ殿が食堂車で怪しげな食事を摂ったり
マッシュ殿が宝箱の魔物に襲われたり、はたまたマッシュ殿が…
色々あったでござる…本当に色々な事があったでござるよ。

そう物思いに耽っている場合ではござらん。
早く魔列車と止めなければ、拙者達は生きながら霊界へと運ばれてしまうでござる。

機関室にあった説明書きによると、
魔列車を停止させるためには機関室の圧力弁をマニュアル通りに操作し、
最後に先頭車両の煙突の横にある停止スイッチを押せ、との事らしいでござる。
となると、あとは煙突部分のスイッチでござるな?
マッシュ殿と拙者は、機関車を停止させるべく、
先頭車両の煙突へと向かったでござる。
これでやっと開放される、と思いながら……。
27名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/20(木) 16:05:19 ID:ubGTSFZB0
相互リンク

FF6のマッシュ編だけが異様に長い理由は何?part2.2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1140964567/
28名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/20(木) 17:53:17 ID:02qLDU0eO
>>27
すんません、マジ勘弁してください
29名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 00:16:33 ID:bNK0wIdf0
さて、先頭の機関車に備えられたスイッチを押す事に成功し、
これで本当に停止すればよかったのでござるが…
…そう都合よくはいかなかったようでござる。
世の中には様々な怪奇現象が存在するもので、時に無人の機械が人を襲ったりするという事実を
拙者達は身をもって感じる結果となってしまったのでござる。
まさか機関車が我々人間を襲ってくるとは…
機関車のキャラクターの絵本を読むのが好きだったシュンが
あの光景を見たら悲しむに違いないと…少々心が痛む出来事でござった。

とは言え、こうして淡々と先刻の出来事を語る事が出来るのは
無事に魔列車から降りられたからこそ。
降りる事が出来たのは、やはりマッシュ殿の活躍があってのものでござるよ。
特にメテオストライクという大技は、一度見たら忘れられぬ。
拙者も負けじと剣の腕を磨かなくてはなるまい。

互いに安堵の表情を浮かべながら、プラットホームへ足をつけた。
しかし次の瞬間、魔列車での苦労が一気に消し飛んでしまう程の衝撃が
拙者の全身に走り、暫し瞬きすら忘れてしまうほどでござった。
30名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 00:21:38 ID:lqGqw44YO
わくわく
31名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 01:02:49 ID:bNK0wIdf0
そこには列車内にいた幽霊とは違う、明らかに死んで間もない人々の魂が行列を作り、
今にも魔列車に乗り込もうとしているではござらぬか。
そう、ケフカの毒による大量虐殺でドマは滅びたのだ。
死者は数百名にのぼり、霊界へと死者の魂を運ぶこの魔列車には
どこか見覚えのある者ばかりが乗車していく。
ドマでただ一人生き残った拙者は、ただその光景を見守る事しかできなかったでござる。
それが拙者にはとてつもなく辛かったでござるぞ…

怒りが込み上げてくる。
「マッシュ殿…拙者は、拙者は何よりも自分自身が許せないのでござる。
何もしてやれなかったでござる…
国も守れず、陛下も守れず、妻子も守れず、部下やドマ国民も…」
「カイエン…」
気を利かせてくれたのか、マッシュ殿は立ち尽くす拙者から距離を置き、
また拙者と同じように、魔列車へと続く人々の列を見守っている。

そして、その中にはもう逢えぬかと思っていた妻・ミナと息子のシュンの姿が…
見間違うはずもない。拙者の最愛の家族でござる。
「ミナ!シュン!!拙者は…!」
そう言おうとした時、ホームに汽笛が鳴り響いたではござらぬか。
もう出発でござるか?
「ミ、ミナ!シュン!待ってくれ!!」

『あなた…幸せだったわ。ありがとう…』
『パパ!僕、頑張って剣の稽古をしてママを守るよ!』

すまぬ、ミナ…拙者がふがいないばかりに…
シュン、もっと色々な事を教えてやりたかったでござる…

死者の魂を乗せた魔列車の姿は霊界へと出発し、次第に視界からは消えてなくなり、
プラットホームにはマッシュ殿と、膝を落とし落胆する拙者の姿だけが残った…。
32名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 02:15:11 ID:XUHUaVsJ0
ktkr!!!!!!
思い出がマッシュ殿のみwwwwwwwwwwwww
33名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 03:12:38 ID:ECV2vw230
「ナルシェへ行くのではなかったのでござらぬか?」
「まぁまぁ…疲れも溜まってるし、外ももう暗い。今夜はこの小屋で休もうぜ」
そもそも、ナルシェへいる兄と急いで合流しなければならないと聞いたはずだったのだが、
当人のマッシュは食事の支度をしながらあどけない表情で笑い、
困惑するカイエンの前に暖かいお茶の入ったカップを置いた。
「まったく…拙者は今日にでもナルシェへ向かうつもりでござったのに…」
そう言いながらも、マッシュの出したお茶をすするカイエン。
「む?この茶は?」
「美味いだろう?この辺で作られててさ。俺が子供の頃から好きだったお茶なんだ」
そう言いながら、戸棚から食器を取り出すマッシュ。

「うーむ…何か手伝える事はござらぬか?マッシュ殿」
お茶を飲み終えたカイエンは辺りを見回す。
この小屋はもともとマッシュが修行中に使っていた物らしく、
特に荒れている様子もなく、更には花まで飾られており、中々快適な雰囲気が漂っていた。
34名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 03:20:10 ID:ECV2vw230
そしてマッシュ本人も自炊に慣れているらしく、野菜の皮を剥いている姿だけでも
なかなかの手際の良さが見受けられた。
「マッシュ殿、拙者も何か」
カイエンがそばに来た事に気がつくと、マッシュは手を止め、
そばにあったバスケットからタオルを二枚出しカイエンに手渡し、
「食事の準備は俺だけで何とかするから、カイエンはゆっくり休んでてくれ。
 まずは風呂でもどうだい?」
と続けた。
「風呂、でござるか?」
「この小屋の裏にでかいドラム缶があるだろ?狭いけど今日はそれで我慢してくれないか」
「すまぬ、マッシュ殿。そうさせていただくでござる」

「これでござるな…」
マッシュの言ったとおり小屋の裏にはドラム缶があり、
それは大の男がすっぽりと入れるほど余裕のあるサイズであった。
早速近くにあった水道から水を汲み入れ、薪の準備をする。
そして湯加減を確認すると、カイエンはおもむろに身に付けていた物を脱ぎ始めた…。
月が辺りを静かに照らし、それは簡易的な風呂ながら
カイエンは久し振りに安らぐ事が出来たように感じた。
「いい湯でござるな……ミナ、シュン…これからも拙者を見守っていてほしいでござる」
亡き妻子の事を想うと肩が震え、目頭が熱くなったが
慌てて湯船の中に潜り、気を持ち直す。
35名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/21(金) 03:46:14 ID:ECV2vw230


「がう〜っ」
「ハッ!」
自分の世界に浸っていたカイエンだが、背後から響いた第二者の声により
唐突に現実の世界へと引き戻された。
声の主は、まだ年端もいかないような少年であった。
「な…何奴!?…ム、ガウ殿でござったか?今まではどこへ?」
思えば小屋の中で茶をすすっていた時からガウの姿が見えなかったのではないか。
そんなガウの腕の中には水でびしょ濡れになった熊のぬいぐるみが抱かれていた。
「ガウゥ…風呂?暖かいのか?」
どうやら風呂という物に興味津々らしく、カイエンの浸かっている湯船に手を漬けては
不思議そうなの表情を浮かべていた。

『むむ…これは出るに出られないでござる。
 しかしガウ殿を傷付けたくはないでござる。ここは我慢するでござる…!』

しかし限界はやってくる。
しかたなくカイエンは傍らに置いてあったタオルに手を伸ばし
そそくさと湯船から上がるべくドラム缶の端に手を掛ける。
「あ、カイエン、危ないぞ!」
「何? のわーーーーーーっ!」
ガウの声が響いたかと想うと、突然ドラム缶のバランスが崩れ、
カイエンは無残にも生まれたままの姿で地面に投げ出されてしまった。
こんな姿を在りし日のドマ兵たちに見られたら拙者は生きていけぬ!などと
考えながら、カイエンはそのまま意識を失った。


つづく
36名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/22(土) 04:50:22 ID:/gH01e6I0
wktk!!!
37名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/22(土) 10:09:55 ID:YghLgxkQ0
マッシュスレから来ました
38名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/23(日) 09:38:24 ID:6vZo6MEqO
必殺剣 豪斬流(ござる)
39名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/23(日) 21:59:46 ID:u42RlItD0
カイエンたんはじつはすんごい巨根で、必殺剣のエネルギーも普段はそこにたまっている…
んだったらいいな。

※このスレが腐女子化しないように気をつけてね。
40名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/23(日) 23:03:35 ID:LsTtcOys0
「おーい!メシが出来たぞー!!おいカイエン、ガウ、どこだー?」
何も知らないマッシュは、夕飯が出来ても静まり返っている小屋の中から
ただひたすらにカイエンとガウの名前を呼び続けた。
しかし返事がない。
「…どうしたっていうんだ?」
眉をしかめながらも鍋から皿へ料理を移し、それをテーブルへ運んでいたその時――。

「ガウー!!大変!たいへん!!」
と、ガウが全裸でびしょ濡れのカイエンを背負いつつ小屋に入って来たのだった。
"背負っている"というよりは"引き摺っている"という表現の方が正しいかもしれない。
マッシュほどの体格でないにしても、カイエンも身長が180cm近くあるのだ。
160cmほどしかないガウに背負える筈もなく、
実質膝から下を引き摺っている状態だった。
マッシュは一瞬ぎょっとしたが、焦るガウと失神したカイエンを見て何となく事情を察した。
「ええと、まぁ…と、とりあえずベッドに運ぼうか…ああ」

「う……」
目を覚ましたカイエンが最初に見たものは、
心配げに自分を覗き込むマッシュとガウの姿だった。
と同時に、何故か全裸なのにも気がついた。
「うっ…せ、拙者は何を…拙者は何をしたのでござるか!?マッシュ殿!ガウ殿!!」
取り乱すカイエン。
どうやら転倒した際に頭を打ったらしく、はっきりとした記憶がない。
何故自分が全裸で寝ていたのか、事情が全く飲み込めないのだ。
そしてそんな自分を見つめているマッシュとガウのこの表情…

『もしや拙者は…この二人に対しとんでもなく破廉恥な行動を取ってしまったのでは?
例えば裸踊りとか、それどころか自慢の一物を見ろ見ろと迫ったりなどと…
いやいや、拙者はそんな事をする性分ではござらん。
しかし、何故裸なのか説明がつかないでござる…』

元々の真面目な性格が祟ってか、被害妄想はどんどん広がって行った。
41名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/23(日) 23:41:42 ID:LsTtcOys0
「ゥウウ…すまんカイエン。ガウ、悪い奴」
最初に口を開いたのはガウだった。
その、何か言いたいのを堪えているような含みのある複雑な表情を見て
カイエンの被害妄想はまた大きくなる。
『ああ、拙者が何をしてしまったのか…知るのが恐ろしいでござる…!』

「いやあ、まいったぜ。突然ガウがカイエンを連れて入ってきたんだからな」
とマッシュが豪快に笑う。
しかし、そんなマッシュの冷や汗をカイエンは見逃さなかった。
『や、やはり拙者は…』
不安に押し潰されそうになり、カイエンの中では様々な葛藤が生じていた。

「このままではいられぬ…マッシュ殿!!」
カイエンは意を決したように、マッシュへ問いかけた。
「拙者は何故こんな姿で寝ていたのか?
 全く記憶にござらん…正直に話してほしいでござる」
「何故って、そりゃあ…」
そうマッシュが言ったところで、叱られるのを恐れたガウがマッシュの後ろへ隠れた。
その事がカイエンの不安を一層高め、ガウ殿が拙者を拒んでいる――と
悪い方向へ脳内変換してしまったのであった。
42名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/24(月) 15:57:32 ID:DuKTISRk0
      __ 
     ´ヽ(( )ノノ
     ! 彡~ ~  l⌒
    ゞ'  ゚ ワ゚ノ  <ガウー
     ⊂,!ー!つe
     〈__ 〉_〉ゝ
      し’_ノ


     、、 ,  , ,
   ヾ VVWノノ
    ! 彡~ ~  l
   !ハ` ワ´ノ <ござるござる!
   从⊂'、_Å;つ
     く__y_j
     し'_ノ


      ___
     ,´ヽヽ,,,,,`〉
     l 彡 - -|
    >! 、 ゚ 冖゚ノ  / <マッシュ殿ー
  ノ⊂已〔工lつメ
     i=・=!
     し’_ノ
43名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/24(月) 17:51:29 ID:UZ0IAZtMO
必殺剣 漢
44名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/24(月) 19:13:20 ID:Kq1EbSZtO
42>>あんた神、ガウが可愛すぎWWW
45名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/27(木) 05:26:58 ID:UC0RodVV0
相互リンク。ヒゲ戦士つながりで。

ライアンとカイエンを魔列車に閉じ込めてみた
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1151784165/l50
46名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 17:37:04 ID:pT2gjya20
ウホッ!な獣ヶ原トリオ
47名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/29(土) 22:18:57 ID:5U9UIRXNO
愛知のキチガイ脳糞古川は神だと思っている。

半年ほど前の正月休みに両親と愛知のキチガイ脳糞古川の実家(もんじゃ焼き屋)に 食べに行った時の話。
両親と3人で鉄板を囲んで食事をしているといきなり脳糞古川が玄関から入ってきた。
もんじゃ焼き屋に似合わない勝負服ないでたちで。

脳糞古川が「私いつもの〜」と言って二階へ上がろうとすると、
店内にいた高校生集団が「脳糞古川さん!」「脳糞古川さんかわいいー!」などと騒ぎ出し、
脳糞古川が戻ってきてくれて即席サイン会になった。
店内に13、4人ほど居合わせた客全員に店内にあった色紙を使い サインをしてくれた。
高校生達が脳糞古川の母校愛知のキチガイ高校トラウマ部だとわかった脳糞古川は いい笑顔で会話を交わしていた。
そして脳糞古川は「またね〜」と二階に上がっていき、店内は静かになった。

私と両親は脳糞古川の気さくさとかわいさに興奮しつつ食事を終え、会計を済ませようとレジに向かうと、
店員さんが階段の上を指差しながら 「今日のお客さんの分は出してくれましたから。また来てくださいね」と。

あれには本当にびっくりした。

中学校の同窓会に行こうとしたら
「中学の時のクラスメートや先生に、愛知のキチガイ脳糞古川だなんて、わかったらどうする。
 みっともない。
 愛知のキチガイ脳糞古川の身で、同窓会なんかに行くな!」
と怒られた。

「同窓会くらい、いいだろう」と反論したら
「親の言うことが聞けないのか!」と玄関先から、家の中に
押し倒された。

脳糞古川だと、同窓会にも行けないのか?
48名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/30(日) 01:52:54 ID:CfmUhr6h0
「ああっ、マッシュ殿にガウ殿ッ!そ、そんな目で拙者を見ないでほしいでござるぅ!」
堪らなくなったカイエンはベッドから飛び降り、全裸のままマッシュとガウの間をすり抜け
小屋から出ようとドアノブに手を掛け乱暴に回した。

ガチャ!

「ぬ…こ、これは…!?」

次の瞬間、彼の目に飛び込んで来たものは、
マッシュが拵えたであろう、木で出来た簡素な物干し台に揺れるカイエンの着衣や褌、
ついでにガウの持参品だと思われる痛んだ熊のぬいぐるみだった。

『そうだ…ひょっとすると拙者は風呂に入っていたのではござらぬか!?
 確かに拙者は入浴中にガウ殿に会ったでござる。
 そうしたところでトラブルに巻き込まれて… なるほど、思い出したでござる!』

悩みも解決し、心のモヤモヤも晴れたところで
「あーあ、もうカイエンは…何やってんだか。ほら、いい加減に何か着た方がいいぜ」
と、背後からマッシュの声がした。
振り向くと、マッシュとガウが、がに股且つ全裸で直立する自分に注目しているではないか。

「ぬうっ! いや、あの…その。
 拙者は別にこういう趣味があるわけではござらぬぞ…いやホントでござる!」

カイエンは物干しから自前の褌を引っ張るようにして取り、急いで腰に巻き付けた。
まだかなり湿っていたがそんな事を考えている場合ではないのだ。
49名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/30(日) 13:06:38 ID:RiTzuG2c0
カッパカイエン出そうぜ
50名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/31(月) 01:31:58 ID:1R+0gnyw0
結局、入浴前に渡された大判のタオルを下半身に巻き、
カイエンはマッシュとガウと共に食事にありついていた。
今夜のメニューは焼き飯、スープ、サラダという簡単な料理ではあるが、
焼き飯の具にはモブリズでガウのために購入した干し肉の残りが使われていたり、
また、野菜の切り方ひとつにもなかなか丁寧な仕事が見て取れて
まるで自給自足生活をしてきたマッシュの生き様が凝縮されているようであった。
「ガウ!熱い!!」
と慣れない米料理に悪戦苦闘するガウと、
「あのなぁ、飯を手掴みで食う奴がいるかよ!こういう時はだな…」
と、そのガウにスプーンの使い方を教えているマッシュを見ていると、
つい昔の事を思い出しそうになる。

『これ、シュン!箸の持ち方はこうだと言うのに!』
『うわーん、パパ。ママが怖いよー』
『ミナ、そう急かす事もないでござる。ゆっくり覚えさせていけば…』
『あなたは黙ってて下さい!変な癖がついて困るのはシュンなのですよ!!』
『わ、分かったでござる…』

回想を打ち消すべく、カイエンは首を横に振った。
過去ばかりにとらわれていてはいけないでござる――
51名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/02(水) 16:24:37 ID:Xmos+eHl0
カイエンたんのアナルを開発 (*´Д`)ハァハァ
52名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/03(木) 01:51:15 ID:XBZH+AV70
>>51 (゚ ∀゚)イイ!! 
で、誰に開発してもらうの?
 ケフカ?マッシュ?ストラゴス?セッツァー?ロック?エドガー…ってことはなさそう。
 意外とセリス?ティナ?
 意表を突いてライアン?

↓以下意味無し
ほら タニマ。
53名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/03(木) 19:14:57 ID:IZwQ+qNs0
ガストラ
54名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/05(土) 14:44:23 ID:0w8ck67J0
純情なカイエンたん
55名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/05(土) 18:06:18 ID:c1FG5mq30
>>9
一番すきだぞ
56名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/06(日) 23:36:43 ID:tBCdiHSyO
必殺剣 月って一番かっこいいけど、一番役に立たないよね

必殺剣 龍もかっこいい。しかも便利。

かぜきりのやいばといい、カイエンはかっこよすぎ

ってここはマジメに語っちゃダメなの?
57名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/07(月) 02:30:40 ID:lto4tHHq0
弱味(エロ本所持)を握られて
エドガーとセッツァーに犯されるカイエンたん (;´Д`)ハァハァ
58名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/07(月) 19:41:32 ID:4+IXIWhq0
夢3兄弟でウーマロ、カイエン、ガウ、エドガーのパーティで挑んで
カイエンバーサク、エドガー死亡。ガウ暴れるの状況になって無限ループした。
59名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/08(火) 21:35:47 ID:1WomRtKC0
ローラさんとの話はとてもよかった・・
60名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/08(火) 23:03:22 ID:WGVQ+jXJ0
ローラさんとカイエンの絵や小説、探しても1個づつしかなかった・・
61名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/11(金) 03:05:00 ID:sMs61Ybp0
>>60
それをうpしる!
62名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/12(土) 20:17:18 ID:BEH1WXT50
63懸想人:2006/08/12(土) 20:18:46 ID:BEH1WXT50
 木立の間から差し込む木漏れ日の下で、一家は平和な団らんを過ごしていた。
「パパ! みて見て!!」
 嬉しそうに走り回るシュンの姿を見ながら、夫妻は顔を見合わせて微笑む。
「シュンもすっかり大きくなったでござるな」
「元気が良すぎて困るくらいですわ」
 ドマ城下町に居を構えるカイエン一家。国王陛下に使える侍であったカイエン
が、こうして家族水入らずで過ごせる時間は滅多にない。妻であるミナは、夫の
勤めを理解し、留守がちだったカイエンに代わって家を守っていた。
 決して楽とは言えない生活の中でも不満一つ漏らすことなく、いつも笑顔を
向けてくれるミナと、息子シュンの存在が何よりも自分の支えになっている事を、
カイエン自身よく痛感している。
「……いつも済まない」
 だからこそ、感謝の言葉より弁明の句が先に出てしまうのだろうか。
「そんな風に謝られても困ります……。私達は、あなたのお陰で暮らせるんで
すから」
 柔らかな日差しに、愛おしい妻の笑顔が重なる。
「パパ! 勝負だーっ!」
 久しぶりに一緒にいられる父に、思いっきり甘えようとはしゃぎ回るシュンの
姿は、木立の若葉のような活気に満ちていた。
 二人の姿を見やり、カイエンは強く思う。

 掛け替えのない大切な家族と共に、幸せになろうと。
 この国と共に、末永く――。
64懸想人:2006/08/12(土) 20:19:15 ID:BEH1WXT50
 その日、悲痛な叫び声が城のあちこちであがっていた。
「気を確かに! 一刻も早くここを出るでござる!」
 救助に駆けつけたカイエンの呼び掛けに、城の兵達は皆、苦痛と無念の表情を
浮かべながら、彼の前で息を引き取っていった。
 声にならない叫びと死の空気に満ちたドマ城の、それでもなんとか中層に辿り着く。
 この扉の前へ至る過程で、何人もの仲間の最期を看取ってきたカイエンにとって、
最も恐れていた瞬間に立ち会わねばならない――そんな気がしていた。
 扉を開け放ち、広がる光景は予想していた最悪の事態を告げる。
「……ミナ! しっかりするんだ、ミナ!」
 まだ温もりのある妻の身体を何度も揺さぶり、ありったけの声でその名を呼ぶも、
彼女が返事をする事はなかった。
 意識を失くしたミナの身体が、揺さぶられた拍子にすぐ横のベッドのシーツに触れる。
「シュン!!」
 反動で、息子の身体がベッドから転げ落ちた――その様は、まるで無機質な機械
仕掛けのおもちゃのようで。
「あ……、あ……」
 カイエンは恐る恐る、床の上に横たわる息子の身体に触れた。
 まだ僅かに温もりを感じる、その身体に。
「そ、そんな…バカ…な……」
 目の前に広がる惨状を受け入れられず、カイエンは喘いだ。
 ――幸せになると、誓ったのに……。
「ゆるさん…許さんぞ! 帝国め!!」
 絶望と怒りに打ち震えながら、カイエンはサイドテーブルに転がった懐中時計
だけを手にすると、振り返ることなく部屋を後にした。

 ドマ王国の――ミナとシュンの仇。
 帝国を、滅ぼすために。

 何人もの帝国兵の血飛沫を浴びながら、彼は無心に刀を振るっていた。
65懸想人:2006/08/12(土) 20:19:45 ID:BEH1WXT50
 あの時、彼らに出会っていなければ恐らくカイエンは修羅の道を歩んでいたに
違いない。
 その後訪れた魔列車で、旅立つ妻と息子を見送った。
『あなた……幸せだったわ……ありがとう』
 いつもカイエンに向けられた、柔らかな日差しの様な妻の笑顔。
『パパ! ぼく、がんばって剣のけいこしてママを守るよ!』
 その隣で微笑む、若葉のような活気に満ちた息子シュンの姿。
 徐々に加速しながら、愛する二人を乗せた魔列車は目の前から去ってゆく。

 ――拙者だけを、ここに残して。

 心に満ちる光を失った事。
 それが、何よりも辛かったのだ……。


 自らの弱さはケフカへの憎しみに。
 故国への想いを、戦うための理由にかえて。
 この刃に懸けて、世界を守ると誓ったのだった。
66懸想人:2006/08/12(土) 20:21:14 ID:BEH1WXT50
 モブリズの村で傷付いた兵士と出会った。彼はマランダ出身でドマ城攻略作戦
の最中に脱走し、傷を負ったのだという。
「ローラの望みをかなえてやりたい…。この体さえ動いたら…」
 ベッドの上で横たわる彼は、無念そうに呟いた。
 深い傷を負った彼に同情しながら、それでもカイエンはどこかで思っていた。
傷が癒えれば、隔たれた距離と時間を取り戻すことはいくらでも可能なのだから
――彼ら二人の前途は光に包まれている、と。
 彼の口にするローラという女性に失った家族の姿を重ね、まるで罪滅ぼしとで
も言わんばかりに、動けない彼のかわりに彼女の元へ様々な物資を送り続けた。
 手紙を託した鳩が小屋から飛び立つその姿に、カイエン自身が慰められていた
のかも知れない。

 ――この鳩が、ミナやシュンの所へ……――

 あり得ない事だと知りながら、それでもこの遣り取りが心の支えとなっていた
事実に彼自身、この時はまだ気付いていなかったのだ。
67懸想人:2006/08/12(土) 20:23:51 ID:BEH1WXT50
 祖国ドマを発って三つ目の街――そこは冷たい雪に閉ざされた炭鉱都市ナルシェ。
豊富な資源に支えられ、故に帝国やリターナーには属さずに自国の力のみで流転
する世界の中に立つ自治都市だ。
 周囲と必要以上の交流を閉ざし、孤立するその姿はまるで今のカイエンのようで。
「何処ぞで見た顔と思いきや……ガウ殿、どきなされ!」
 眼前の少女を瞥見する彼の瞳は、氷の様に冷ややかだった。
 しかし、それを溶かす――憎悪という名の――熱が己の内より沸き出てくる事
に気付く。徐々に心の中を満たしていく熱に、抗える術はなかった。
「マランダ国を滅ぼした悪名高いセリス将軍……この帝国のイヌめ!」
 その熱に任せて暴言を吐く。ロックやエドガーの制止を振り切り、脇に携える
刀を引き抜くと、さらに声をあげた。
「そこになおれ!」
 ――目の前にいる『将軍』は、年端もいかぬ小娘ではないか――そんな理性の
声も、今の彼には届かない。
「成敗してくれよう!!」
 ――今こそ、仇を!――
「待ってくれ!!」
 その身を挺して女を庇おうと、目の前に現れる青年の叫びに、カイエンは我に返る。
 カイエンを止めるべく青年は必死に経緯を説明していた。帝国を抜け出し、リターナーに
協力すると言っている。しかし、そんな事はどうでも良いのだ。
 ただ。

「俺はこいつを守ると約束した。俺は一度守るといった女を、けっして見捨てたりしない!!」

「…………」
 一人の人間を守るというのが、どれだけ大変な事なのか――この青年は本当に
その意味を理解して言っているのだろうか? 覚悟の上で言っているのだろうか?
 ふと、そんな愚問が頭をよぎる。
68懸想人:2006/08/12(土) 20:24:28 ID:BEH1WXT50
「帝国は悪だ。だが、そこにいた者すべてが悪とは限らない」

 フィガロ国王というこの男の主張も分からなくはない。けれど、祖国を滅ぼさ
れ、愛する家族を失った人間にとって。
 既に、善悪など存在しないのだ。

 それでも、彼らと共に戦いの地へ赴こうと思ったのは……。
 彼らの瞳に宿る何かを見出したからなのかも知れない。
 小さいが、確かにある強い意志を。

「忘れるな! お主の全てを信頼したわけではないぞ」
「良いだろう。私が敵か味方か、その目で確かめろ!」

 剣を携えた金髪の少女と、刀を脇に抱えた黒髪の老侍が、道を同じくして歩む。
ケフカという同じ敵を目指して……。
「ドマの民の仇……必ずとる!」
 この刃に懸けて、今は世界を――この奥に眠る氷の幻獣とやらを――守る事が
己の使命なのだと信じていた。

 ――この世に残された拙者が、果たさねばならない役目なのだと。
69懸想人:2006/08/12(土) 20:25:41 ID:BEH1WXT50
 引き裂かれた大地は神の産声。数えきれぬ生け贄をもって今世に甦った三つの
神は、世界中の嘆きが集まった瓦礫の奥に住まい、力に取り憑かれてしまった哀
れな傀儡と、地上で怯える人々を見下ろしていた。
 あれからおよそ半年。
 離ればなれになった仲間達の消息も分からぬまま、カイエンは一人絶望の中を
さまよい歩く。
「拙者……は、また。生き延びて……?」
 生気を失いただ延々と続く荒涼とした大地の上を、今いる場所もこれから目指
す場所も分からぬまま、それでも歩みを止める事はできなかった。
「……あれは……」
 そんな彼の前に光が射す――しかしそれは希望ではなく、裁きという名の破壊
の閃光。
「……いかん!!」
 恐ろしいまでの美しさと共に、臙脂色の空を一瞬だけ明るく照らし出す光珠が
視界に広がる。やがて暫しの静寂を経て、地響きと轟音が海を越えてこの地に到
達する頃には、既に手遅れだと言う事をこの世界に生き残った誰もが知っていた。
 もちろん、カイエンも。
(拙者は……進まねばならぬ……!)
 何かに追い詰められている様に、ただひたすらに前へ向かって歩き始めた。
 その光が到達した地点がモブリズだと言うことを、この後訪れたコーリンゲン
の村で人づてに聞いて知る事となった。

 モブリズ。その名を聞いた瞬間から、彼の足はある町へ向かっていた――マラ
ンダ――故国ドマと同じく、帝国によって滅ぼされた国。
 そして半年前にモブリズで出会った、傷付いた脱走兵の懸想人が暮らす町。
 彼女は無事だろうか?

 顔も知らぬ女性への想いが、彼の背を押していた。
70懸想人:2006/08/12(土) 20:26:13 ID:BEH1WXT50
 実際にマランダの地を踏んだカイエンが、初対面だったはずのローラと出会う
までにそれ程の時間は要さなかった。
 無言のまま力無く空を見上げ、届くはずのない手紙をひたすら送り続ける彼女
の姿は、誰の目にも痛々しい。
 ローラは初めて会う女性なのに、なぜだか良く知る人の様に近しく感じた。
(……拙者は何もしてやれないでござるか……?)
 手を差し伸べてやりたい。カイエンは心の底からそう思った。
 たとえそれが、届かない所にある想いだとしても。

 ……間違った想いの形だとしても。


 彼女の姿を一目見たら、すぐにここを発とうとカイエンは決めていた。
 しかしそれは偶然か、必然か。
「ござる! ござる!!」
 耳慣れた声に呼ばれて振り返ると、そこに立つ懐かしい少年の姿に思わず感嘆
を漏らす。
「……ガウ殿! 無事であったか」
 嬉しかった。ガウが無事だったと言う事ももちろんだが、仲間達の安否を確認
できず、てっきり自分だけがこの世界に生き残ってしまったのかと思っていたか
ら、ガウとの再会を果たせた喜びは一際大きく感じられたのだった。
 けれど。
「ケフカを倒すためにつよくなる!! ござるもつよくなる!!」
 真っ直ぐで純粋な少年の瞳に、今の自分では応えられないとカイエンは彼の申
し出を拒んだ。
「ござる?」
 不思議そうな表情で見つめるガウの視線を背に受けながら、まるで逃げる様に
してカイエンは町を後にした。
71懸想人:2006/08/12(土) 20:27:01 ID:BEH1WXT50
 あれから更に半年の月日が流れた。いつしか気が付けば、人目をは憚るように
この洞窟に居着いていた。大地から緑の失われた世界を慰めるかの様に、所狭し
と並べられる造花に囲まれながら、何通目になるか分からないローラ宛ての手紙
をしたためていた。
  ローラへ
   これまで、うそを書き続けてきた儂を許してほしい。
   もう真実から目をそらすのは終わらせなければならぬと思い
   今は、筆を執っている。
   モブリズのあの若者はもう、この世にいない。
   拙者が代わりに手紙を書いていたのだ。すまない…。

   過ぎ去ったことに縛られ、未来の時間を無駄にすることは容易い。  
   だが、それは何も生み出さぬ。前に進むことができぬ。

   もう一度、前を見ることを思い出してほしい…。
  カイエン
 この手紙を書き上げてから、幾度と無く出そうと試みた。
 けれど、いつも出せずにまた机の上に戻って来てしまう。
(拙者の弱さ……だろうか)
 机上に置かれた手紙を見下ろすと、声には出さず苦笑を浮かべた。
72懸想人:2006/08/12(土) 20:28:35 ID:BEH1WXT50
 送った手紙に返事が来るようになっておよそ半年が経つ。いつしか気が付けば
笑顔の失われたローラの心を慰めるかの様に、所狭しと並べられる造花に囲まれ
ながら、何通目になるか分からない彼に宛てた手紙をしたためていた。
  名前も知らない誰かへ
   これまで、うそを書き続けてきた私を許して下さい。
   もう真実から目を逸らすのはやめようと思い、
   今、こうして筆を執っています。
   モブリズは裁きの光に襲われたという事を、本当は知っていました。
   そして、あなたが代わりに手紙を書いていてくれた事も…。
   ごめんなさい…。

   過ぎ去った日々に囚われ、未来の時間を無駄にするのは簡単です。 
   けれど、待っているだけでは何も生まれませんし、前にも進めません。

   私の事なら大丈夫です。
   どうぞもう一度、あなたはご自身の道を歩んで下さい。
  ローラ
 この手紙を書き上げてから、何度も出そうと思っていた。
 思っているだけで、実際にはずっと引き出しの中にしまわれた手紙を見ながら
ローラは複雑な笑みを浮かべた。
「それでも私、嬉しかった……」
 ――この手紙の主は誰かは分からない。けれどこの人は、私やモブリズにいた
彼の事を良く知っている――文面から伝わる温もりと優しさに、この人の心遣い
を感じずにはいられなかった。
「……いつか、会ってみたい」
 それは彼女の中に生まれた小さな希望だった。
73懸想人:2006/08/12(土) 20:29:25 ID:BEH1WXT50
>>569
>    もう一度、前を見ることを思い出してほしい…。
    愛するという事を、思い出して欲しい‥。
74懸想人:2006/08/12(土) 20:30:01 ID:BEH1WXT50
 幸か不幸か、これまでずっと出しそびれていたローラへの手紙を読んだのは、
カイエンを追ってゾゾの山奥まで辿り着いた仲間達だった。
「……これは」
「やっぱり……あれはカイエンだったのね」
 マランダで、ローラという女性から見せてもらったあの手紙が、彼の居場所を
突き止める最初の手掛かりになった。
 あの日、孤島でセリスを救ってくれた一羽の鳥が、マッシュやエドガー達の所
へ導いてくれた様に、今は手紙を運ぶ鳥がカイエンの居所を教えてくれていた。
(きっと、ロックにも会える日が来るわ)
 ――だから諦めない、諦めるわけにはいかない――セリスは決意を新たにした
のだった。
「……心の迷い、か」
 横にいたマッシュは珍しく神妙な面もちで小さな呟きを漏らす。マランダで出
会った老人の言葉を思い出していたのだ。
『以前ここを訪れた剣士…なかなかの腕前じゃった。だが心に迷いがある。迷い
がなくなったその時きっと、最強の必殺剣をあみだすじゃろう!』
 マッシュの拳術の師ダンカン――彼の消息は今もって不明のままである。彼な
らきっと生きている。そう信じてはいるけれど、それでも心配なのは仕方がない。
 それに……。
 いくら成り行きとは言え、師の実子であり兄弟子バルガスをこの手にかけた事
への罪悪感が、全くなかった訳ではない。
(おっしょうさまの事、大丈夫だ!)
 大きく頭を振って、心の内に巣くう迷いを払おうとするマッシュの姿に、この
時誰も気付いてはいなかった。

 ――壊滅直前の世界。
 だが夜明けの光は変わらぬ
 人の心も、決して変わらぬ……。

「皆……無事であったか!!」
 心からの安堵と、喜びに満ちたカイエンの声。かつて故郷を滅ぼされた自分を
救い、そして共に戦った仲間達との再会。
75懸想人:2006/08/12(土) 20:31:10 ID:BEH1WXT50
「……でもどうして、ここが……? ま、まさか、わしの書いた手紙を読んだで
ござるか?!」
 喜びの波が過ぎたあと、理性が冷静な回答をもたらす。
 慌てて手紙や造花をしまうカイエンの仕草が、とても人間らしいと感じながら。
「カイエン。この造花、けっこう上手いよ」
「むむっ、おぬしらー!!」
 そんな誉め言葉をもらって照れる一方、やっぱり嬉しかったりするのである。
「……ほんとでござるか?」
 全員ではないものの、かつて打倒帝国の名の下に共に戦った仲間達の顔がそこ
にある。三闘神の封印解放から世界崩壊――絶望に満ちたこの世の中で、それは
小さくも確かな光明を見出したような気がした。

 人の心は変わらない。迷いが完全に無くなった訳でもない。
 けれど、だからこそ前を向いて一歩を踏み出せるのだ。
 今こそ出立の時なのだと。
 前から来る、光へ向かって……。



 『心の迷い』。
 それは自分の過去にあるものだ、と旅の途中に町で出会った名もない女性は言っ
ていた。恋人、家族、あるいは故郷、そんな物にあるのだと。
「拙者、一つお頼み申したいことがあるのでござるが」
 この船に集う仲間達に、カイエンは願い出た。彼には三闘神とケフカのいる瓦礫の塔へ
赴く前に、訪れなければならない場所がある。
 そして、決着をつけなければならない――憎悪と、過去に捕らわれた己の心と――。
76懸想人:2006/08/12(土) 20:33:36 ID:BEH1WXT50
 目指すは故国、ドマの城。
「……そうだな。こちらの体勢もまだ完全ではないし」
「揃ってない仲間だっているわ」
 仲間達の中で指揮官と参謀役を務めるエドガーとセリスはそんなことを口にし
ながら、カイエンの申し出に賛同した。
「ファルコンなら問題ない。デスゲイズの野郎が出てこない限り、コイツの行く
手を阻めるモンは無いからな」
 かたや、飛空艇ファルコンの所有者となったセッツァーも自信に満ちた表情で
ドマ城行きを後押しする。
「忝ない」
 深々と頭を下げるカイエンに、仲間達は皆あたたかな言葉を返す。
「ウー……ガウ! なかま、なかま!!」
「そうだぞカイエン。みずくさいぞ」
 ガウとマッシュの屈託のない表情に。
「何ならあの手紙の娘の所にだって行ってやるぜ?」
 揶揄を含んだ様なセッツァーの意味深な笑顔。
「私も喜んで手を貸そう……もちろん、マランダの娘の所でも、さ」
「もう、みんなしてカイエンの事……私もちょっと気になるけどね」
 頼もしいエドガーとセリスの振る舞い。
 彼ら全員に支えられているのだと感じる事ができたから、余計に嬉しかった。

「……皆、本当にありがとう」

 しかし、ここからは拙者の心の内――己自身との戦い。
 彼らを巻き込むわけにはいかなかった。
77懸想人:2006/08/12(土) 20:34:28 ID:BEH1WXT50
 仲間達の有り難い申し出を丁重に断ると、カイエンは一人故国の地を踏んだ。
「…………」
 帝国軍の――その殆どは狂ったケフカによる――卑劣な攻撃の爪痕は消える事
はなく、無惨に放り出された残骸があの日の惨状をそのまま留めていた。さらに
世界崩壊の衝撃も加わって、完全な廃墟と化したドマ城内の奥へと足を進める。
 せめて、苦痛と無念のうちで息絶えた彼らを弔ってやりたいと、カイエンは城
中を回り、可能な限り散らばる残骸を片付けて行った――その孤独な作業の中で、
己の心と対面しながら。
 彼らのために立派な墓碑を拵えてやる事はできないが、それでも今できる最大
の敬意を払い、小塚に愛刀を立てそれの代わりとした。

(……すまない。だが今度こそ、必ずこの世界に平和を取り戻してみせる故……)

 声に出さぬ誓いを故郷の仲間達に伝え、カイエンは再び城の中へ戻った。
 やがて見えてきた扉の前で立ち止まると、ゆっくりと小さな呟きを漏らす。
「遅くなって済まない……今、戻ったでござる」
 その扉の先に待っていたのは――今は亡き愛する家族の記憶。
 そしてここから始まった帝国、ケフカへの憎悪に囚われた日々。
「…………」
 己と向き合い、決着をつけると。
 その為に訪れたはずなのに、やはりその扉を開くのは容易ではなく。
 身体の動きが止まった。まるで、時計の針すらも進むことを止めたような錯覚
さえ感じていた。

「……カイエン!!」
 
 駆けつけた仲間達の声を遠くに聞きながら、悪夢を司る三人の妖精に己が身と
心を囚われながら、カイエンは成す統べなく夢幻に身をやつしたのである。
78懸想人:2006/08/12(土) 20:35:33 ID:BEH1WXT50
「パパを助けて!」

 その声は、確かに届いた。
 ドマを守れなかった事。世界を救えなかった事。そして、愛する家族を苦しみ
の中で失った事……。
 けれど、それは彼女らとて同じ。
 心に住まう、カイエンの懸想人。

「お願い……私の夫を……カイエンを助けて……」

 1000年前から続く、哀しみの連鎖が生みだした古の魔物――アレクソウル。
 人の負の心を喰らい、その闇に溺れる者を取り込みながら、生き続けた伝説の
怪物。
 カイエンを、渡すわけには行かない。
「悲しみが、怒りが、憎しみこそが我のみなもと。さあ、貴様らも我の一部とな
るのだ!」
 もちろん、こんな化け物に負ける気など毛頭ない。
 俺達の手で、永き時を経てなお続くその連鎖を断ち切るのだから!
 ――その為に、ここへ来たのだ。
 こうしてカイエンを救うべく、仲間達の死闘は幕を開けたのだった。
79懸想人:2006/08/12(土) 20:37:02 ID:BEH1WXT50
「あなた……私達はいつも一緒です……」
 戦いとはかくも虚しいものなのかと。
「パパ……大好きだよ!」
 この時ほど痛切に感じた事はなかった。
 カイエンを闇から救い、けれど失った家族や故郷を取り戻す事は出来ない。
 そうと知りながら尚、『平和を取り戻すため』の戦いに赴こうとしている。
 ――そんな自分たちの姿は、矛盾している様な気がした。
 それでも。
「いつも、あなたの、傍に……」
 失われゆく家族の姿と引き替えに、輝きを放ちながら降りてくる一振りの刀を
手にしたカイエンから、迷いは消えていた。
「妻と息子は、拙者の心の中に生き続けているでござる」
 あとは己の信ずる道を――愛する者達の想いと、彼女たちを想う自身の心が宿
った――この刀と共に、進むのみ。

 
 武器が人を殺めるのではない。
 人が人を殺めるのだ。
 己の携えるそれらの道具に“心”が宿り、
 いつしかそれは、己の一部となる。
80懸想人:2006/08/12(土) 20:38:05 ID:BEH1WXT50
 巧みなエドガーの口上と、純粋な思いから出されたロックの提案。何より仲間
達の気遣いに負け、カイエンは再びマランダの土を踏んでいた。
 カイエンにとっては、再会。
 彼女にとっては……通りすがりの旅人に過ぎないだろう。
 それでも。
「一度、ちゃんと会って話をしてみた方が良いと思うんだ」
 フェニックスの洞窟から戻ったロックの言葉に、カイエンは頷かざるを得ない。
 出しそびれたままの手紙――なにより彼女には詫びなければならない事がある。
(……拙者が伝えなければならぬこと……)
 数カ月ぶりのマランダ、そしてローラの家。何もかも変わっていない。1年前
のあの日から。
 しかし、彼女の口から語られた真実はカイエンにとって実に意外なもので。
「この花や手紙が彼からでない事は分かっていました。でもそれを認めてしまう
のが怖くて……。自分に、嘘をついていたの」
 まるでカイエンと同じだった。
「でも、もう大丈夫」
 そして、この時になってようやく分かった事がある。半年前、この街でローラ
を初めて見た時、まるで昔からの知り合いの様に――彼女に一方ならぬ思いを抱
いた――訳を。
「どなたかは分かりませんが、その人から届く手紙を読むうちに心の傷が癒えて
きて……」
(そうか)
「きっと、その人も同じ様な傷を心に持った人」
(拙者と……同じだったのか)
 同じ傷を持ち、同じ痛みを味わった二人だからこそ。
「できれば、お会いしたい……」
 臆病なほどに優しくなり過ぎたのだろう。
81懸想人:2006/08/12(土) 20:38:44 ID:BEH1WXT50
「実はそれは……」

 真相を告げようとする仲間を制して、カイエンは静かに語りかけた。

「前を向いて生きなされ。光は前からやってくる」
 そして今度こそ、この世界に平和を取り戻すのだと誓う。
「前を向いて……光の来る方へ……私、がんばります」
 戦うために。
 失われた緑と、平和な未来を手にするために。
 今は臆病な優しさを捨てて、一時の別れを告げよう。

 この想いを刀に託して。


 その後、彼ら14人が世界の英雄として語られる頃、この二人は再び出会う事に
なるのだが――それはまた、後日談としよう。
82名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/12(土) 20:40:48 ID:BEH1WXT50
以上です。身勝手な転載、申し訳ございませんでした。
83名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/12(土) 23:22:05 ID:WWL0dSvd0
わざわざの転載お疲れです!
そして、良いものを読ませていただきました。いみじくサンクス。
84名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/12(土) 23:25:04 ID:BEH1WXT50
あかん、FF610周年も見てみたんだけど、「手紙」のお題書いてるサイトさんが見当たらない。
燃料が足りない・・。
85名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/15(火) 07:27:49 ID:oAnO/d180
保守ついでにカイエンの陰茎の長さと太さ、それに剥けているか否かを知りたい。
マッシュによるアナル開発は行われていないの?
カイエンが機械音痴なのは、バイブでやられすぎたために機械に対する嫌悪感を催したからかな?
86名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/15(火) 07:48:49 ID:U//XTKgd0
マジキメェカラヤメロ
87名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/15(火) 10:12:00 ID:aL8YyTHW0
gatihomo?
kimosukimosu
88名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/17(木) 00:01:08 ID:kMXzbDGF0
やっとクリアしたわ
89名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 18:25:39 ID:I/WBTSE50
90名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 22:16:14 ID:5HwXBM1C0
ED、カイエンの出番もうちょい増やしてほしかったなぁ
91名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 22:17:36 ID:5HwXBM1C0
まあガウとかにも言えるかな
92名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/21(月) 23:28:49 ID:zG2PREmU0
崩壊後強制加入じゃないからな…
93名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 14:46:57 ID:eGTPcXdK0
FSSの剣聖に萌えるスレはここですか?
94名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/02(土) 14:06:51 ID:TzPUJO7d0
保守らないの?
ポニーテール侍ハアハア。
95名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/02(土) 14:48:26 ID:cQlaqQBmO
カイエンって漢字で書くと『快艶』かな?
96名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/03(日) 22:30:39 ID:nrOt7zRr0
「戒艶」だろw
97名前が無い@ただの名無しのようだ
海塩じゃね?