アグリアス様に萌えるスレ part22

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
素っ気ない彼女は最高です。

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2名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 00:06:41 ID:L1tfjEIP0
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4名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 00:08:25 ID:L1tfjEIP0
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アグリアス様に萌えるスレ
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5名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 00:16:39 ID:nRokA3so0
>>1
兵士よ、よくやったー!
6名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 00:17:14 ID:XQtTQEje0
>>1
7名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 00:19:52 ID:L1tfjEIP0
しまった
partのpが小文字・・・orz
8名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 01:29:18 ID:gnpY22F00
>>1
あぐりあす・乙くす
9名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 09:29:06 ID:VDRC51JN0
タクティクスやること終わっちゃったが、>>1
10行く人 ◆yDU/dR5FV. :2005/12/01(木) 18:11:09 ID:aCh/Ob160
前スレのとあるレスを見たら変な妄想が浮かんでしまった。
『天才アグリアス 電光石火の市民プール』と似たような話になりそう、
と思ったら訳の分からん方向に話が転がり出してしまった。

とりあえず投下してみる。
11ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 1/8:2005/12/01(木) 18:11:29 ID:aCh/Ob160
それなりに流れの速い河というのは、水音も相当のものである。
だがフィナス河の水音は、人々の賑わいにかき消されていた。
河の両岸を人と屋台が埋め尽くし、かけられた橋の上から急流を見下ろす子供。
高々と造られた来賓席には王侯貴族が集まっている。

標高6千ドーマのゼアラ山脈より流れ込む水は、夏でも氷点下まで下がることがあるまで言われており、
真冬の今、フィナス河に飛び込むのは自殺行為にも思えた。
だからこそ意義がある! だからこそやる価値があるのだと人は言う!
これは、運命という大河に巻き込まれる前の数奇なめぐり合いを描いた物語ではなくただのコメディである!

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 ドキッ!
   真冬のフィナス河寒中水泳大会。
     ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
主催者:アグスーレ・ニジュイ・クササン男爵
協力 :北天騎士団団長ザルバッグ・ベオルブ聖将軍
    :南天騎士団団長シドルファス・オルランドゥ伯

優勝賞金
1位……50万ギル
2位……20万ギル
3位……10万ギル
審査員特別賞……エクスカリパー(オルランドゥ伯からのご提供)
12ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 2/8:2005/12/01(木) 18:12:04 ID:aCh/Ob160
五十年戦争の傷がまだ微妙に残ってたりするイヴァリースを活気づけるため、何かイベントやろう。
そんな感じで始まったこのイベント、寒中水泳大会。
古来より伝わる『寒中水泳』とは、寒い中わざわざ冷た〜い水に入って心身を鍛えるとかいう嫌な修行らしい。
騎士の熱き魂が煮え滾って天の願いを胸に刻んで心頭滅却すれば寒くないとか言い伝えられてるが、
そんな言い伝えを信じている人間などこの世のどこを探しても多分いないと思う。
というかそんな言い伝えを知っていたのは南天騎士団団長シドルファス・オルランドゥ伯だけであり、
もしかしてオルランドゥ伯の捏造なんじゃないかと考えてる参加者もいっぱいいる訳です。

「――で、そのオルランドゥ伯は?」
「病欠だそうです」
「やはり歳のせいでしょうかね」
来賓席の片隅、どこかの貴族の娘を警護している3人の女騎士が呆れ顔で主催者席を見つめていた。
距離があるせいで顔まではよく分からないが、
3つの席の2つにアグスーレ・ニジュイ・クササンとザルバッグ・ベオルブが座り、
空いた3つ目の席に座るはずのシドルファス・オルランドゥ伯の姿は無い。
一応、義理の息子であるオーラン・デュライは来ているが、大会の警護のためこの場にはいない。
「まあ、心配だわ……お見舞いに行けないかしら?」
「なりません。教会を抜け出した事が知れたら……」
「分かってるわアグリアス。でも……」
「お嬢様、あなたおお優しい心……きっと伯に届くでしょう」
正体を隠すため主をお嬢様と呼ぶ女騎士こそ、アトカーシャ王家直属のルザリア聖近衛騎士団所属、
アグリアス・オークスその人である。
同行しているのはラヴィアンとアリシア。アグリアスほどではないが腕の立つ騎士だ。
「……そろそろ選手は説明会に行かねば。ラヴィアン、アリシア、頼んだぞ」
「お任せあれ。隊長も寒中水泳がんばってくださいね〜」
「ここで応援してますから」
「…………やけに楽しそうに見送るのだな」
13ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 3/8:2005/12/01(木) 18:12:35 ID:aCh/Ob160
アグリアス・オークスはこの寒中水泳大会の参加選手だ。
なぜ彼女が参加するのか、それにはまずどう参加者が選ばれたかを説明せねばなるまい。

参加者1 騎士
オルランドゥ伯曰く、寒中水泳は騎士の魂で耐えるものらしいので、北天騎士団も南天騎士団も、
神殿騎士団までもがこの大会のために騎士を参加させている。
王侯貴族も参加すべきだとオルランドゥ伯は熱弁したが、
身分ある者にそんな危険な真似をさせる訳にはいかないという正論に残念がりながらもアッサリ納得した。
そしてアグリアス・オークスはアトカーシャ王直属ルザリア聖近衛騎士団という重い看板を背負っての参加だ。
様々な騎士団から集められた騎士の合計は男女合わせて20名だ。

参加者2 一般人
これはせっかくの一大イベントだから民衆も参加させようというオルランドゥ伯の提案だ。
騎士は名誉のために参加するが、民衆は優勝賞金目当てで参加する。
厳選な予選試合の結果、実に30名もの参加者が選ばれた。

ついでに寒中水泳大会についていくつか説明しておこう。
レースは対岸から対岸へと泳ぎ切ればゴールとなるが、下流には溺れた選手を回収するための網が張られており、
そこまで流されてしまった者は失格となってしまう。
前ばかりに気をやっていると下流に流されてしまうため注意が必要だ。

また、レースは男女別に行われる。参加者50名中、女性は20名だ。
1レースに10人参加し、レースは合計5回行われる。
男、女、男、女、男と交互にやり、タイムを計って最終的な順位が決まるのだ。
アグリアスは第4レース目に参加予定で、控え室に行くのは遅くとも第3レース終了直後でなくてはならない。
が、開会式の前に出場選手全員を集めた説明会がある。
どんな説明かというと、前記の通りの説明だ。対岸から対岸へ、下流には網、失格の条件だ。

という訳で説明会を終えたアグリアスは、これから競い合う他の選手を見回してみた。
河からやや離れた位置に設置されたテントの中を、50人の選手と運営委員会の数名が埋めている。
筋肉の鎧に包まれた熊のような男、ガラが悪そうだがどことなく貴族っぽく見える少年、
何事かを話している兄妹らしき男女、何か元気そうなご老体など、様々な選手がいた。
14ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 4/8:2005/12/01(木) 18:13:05 ID:aCh/Ob160
「……負けられん」
アグリアスは力拳を握り、意志を燃やした。
説明会は順調に進み、すべての説明が終わった後、なぜか第1レース以外の男性選手も残るよう言われ、
20名の女性選手は首を傾げながらもテントを後にした。
その後はレースが始まるまで好き勝手していいようだ。
アグリアスは当然、主の元に戻った。すると部下のラヴィアンとアリシアが困り顔で出迎える。
「どうした?」
「オヴェ……お嬢様が、屋台に行ってみたいと」
「たこ焼きが食べたいそうです」
「たこ焼き? お嬢様、そんな下々の物よりチョコバナナなどいかがでしょう。
 ここなら頼めばすぐ持ってきてもらえます」
甘いお菓子のチョコレートを、果物のバナナにかけたチョコバナナは、
来賓席に座る貴族や富豪達しか食べられぬ高級品だ。正確には一般客も食べられるのだが、代金が高いのだ。
大会運営費を出資している者は来賓席に座れるため、頼めば無料でもらえるのだが。
――ちなみにオヴェリア自身は出資していないものの、ルーヴェリア王妃が金を出しているので問題ない――
たこ焼きはというと、タコを小麦粉で包んで焼いただけという、栄養バランスの悪い大衆料理だ。
しかも青海苔が歯につく。女の食べるものではない。
だがオヴェリアは子犬のような眼差しでアグリアスに頼んだ。
「お願い……。お友達のアルマから聞いた事があるの、たこ焼きはすごく美味しいって」
「アルマ様から?」
ほんの数ヶ月前、教会から実家へと帰ってしまったアルマ・ベオルブを思い出し、アグリアスはなるほどと思った。
あのベオルブ家のご令嬢でありながら、母が平民であったため、たこ焼きを作ってもらった事があったらしい。
「しかし……畏国中から貴族が集まっているのです、それを狙った暗殺者もいないとは……。
 そのための来賓席、ここに座っているだけで警備を務める精鋭の騎士団が安全を約束しております」
「でも、もしかしたらアルマもこの大会を見物に来ているかも」
「……かしこまりました。ただし開会式が始まるまでですよ?
 レースが始まれば騒がしくなり危険ですし、第3レースが終わりましたら私も着替えのため控え室へ行かねば……」
「アグリアス! ありがとう……」
15ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 5/8:2005/12/01(木) 18:16:02 ID:aCh/Ob160

「わぁ、たこ焼きだ。懐かしいわね」
「みんなで食べようか、1箱8個か……どうする?」
「2箱でいいだろ。すいません、2つください」
平民出のせいだろうか、こういう所で頼りになるのは親友のディリータだ。
屋台が初めてのラムザ、アルマに代わり、率先して屋台で注文をする。
焼き立て熱々のたこ焼き、2箱で合計16個で1人4個の計算になり、
多すぎず少なすぎず間食としても適度な量だった。
「アカデミーじゃこういう庶民の物ってのを食えないから懐かしいや」
「来賓席の方ならリンゴ飴やチョコバナナを無料で食べられたのに、よかったのかい?」
「せっかく冬休みの帰省を利用してるのに、堅苦しいのは嫌だ」
ディリータはたこ焼きを美味そうに頬張りながら、近くにあった橋の方へと行ってみた。
レースが始まるまで適当にブラブラしようと決めているので、橋を渡るのに特に理由は無かった。
あえて言えば橋の上から河の急流を見下ろし、冷たい飛沫を少しだけ浴びる事だろうか。

アルマは食いしん坊なのか、もうたこ焼きを4つ食べてしまい、ラムザの分をねだってきた。
長い間離れて暮らしていた妹に甘えられるのが嬉しくて、ラムザは気前よくたこ焼きをゆずる。
ディリータもまだ食べている最中だったので、アルマはディリータの持っている箱からたこ焼きをつまむ。
微笑ましくアルマを見守りながら、ふと振り向き、ラムザは橋の手すりにしがみついて河を見下ろしている少女を見た。
「魚でもいるかい?」
「あっ、いえ、凄い流れだなって。本当に泳ぐんでしょうか? 飛沫でさえこんなに冷たい……」
「だからこそ泳ぐんだろう、寒中水泳ってそういうものらしいし」
ラムザも少女の隣に立って河を見下ろした。ザアザアと音を立てて白い飛沫を上げている。
飛沫がラムザの頬を冷たくした。顔をそむけると、少女の分のたこ焼きがまだ2つ残っているのが見えた。
16ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 6/8:2005/12/01(木) 18:17:13 ID:aCh/Ob160
「……あの、ラムザさんは……」
「何だい?」
「チョコバナナ、食べた事ありますか?」
「食べたい?」
「……その……」
「主催者席にはザルバッグ兄さんがいるから声をかければ来賓席に入れるよ。
 そこならお金を払わなくても頼めばすぐ持ってきてもらえる、行ってこようか?」
少女がパッと顔を輝かせるのを見て、ラムザも微笑み返した。
この優しくもやや内向的な少女は、久々に自由を満喫するディリータを見て言い出せなかったのだろう。
「あっ……でも、ラムザさん一人じゃ……」
「久々にディリータに会えたんだろ? 僕一人で行ってくるから、ディリータと一緒にいれば……」
と、ラムザはディリータを見ようとして、どこを見回しても人ごみしか見えない事に気づいた。
「……ディリーター! アルマー……!」
「わ、私のせい?」
「たこ焼きに夢中になって身内を忘れる彼らも少しだけ悪い」
ラムザはため息をついてから、少女の手を握った。
「僕達ははぐれないようにしよう」
「……はい」
突然手を引かれて、少女は少し頬を染めた。
そしてうっかりたこ焼き2つの残った箱を、手すりの上に置き忘れてしまった。
「ふふっ。運営委員会に頼んで『迷子のお知らせ』で2人を呼び出してみようか?」
「それは……ちょっと恥ずかしいんじゃ」
「それもそうだね。それにアルマを呼び出したらザルバッグ兄さんに怒られそう……。
 ザルバッグ兄さんに会っても、アルマ達とはぐれたって言わず、どこかで待ち合わせしてる事にしてくれないかな?」
「いいですよ。その代わり、私、リンゴ飴も食べたいです」
「アルマが意外と食いしん坊だって思ったけど、ティータもなかなか……」
ラムザの言葉に、ティータは顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
17ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 7/8:2005/12/01(木) 18:17:58 ID:aCh/Ob160

「あっ……」
「いかがなされました?」
「今、アルマがいたような」
オヴェリアの視線の先をアグリアス達も見た。
金髪を後ろで縛った若者の姿が見えたが、服装から男性と分かった。
それに長い黒髪の女の子を連れている、多分恋仲なのだろう。
「でも、さっきの人、男の方だったみたいだし……他人の空似だったみたい」
「アルマ様に似た殿方ですか」
小さく笑いながら、アグリアスは気を取り直して周囲を見た。オヴェリア様を狙うような怪しい人影は無い。
「さあ、たこ焼き屋はこの橋の向こうです」
「ええ、楽しみ……あら? あんな所にたこ焼きが……」
「たこ焼き屋なら向こうですよ」
「違うの、ほら、手すりの上。置きっぱなしになってる……もったいないわ」
「まったくです」

仮にも王女であるオヴェリアが、置きっぱなしのたこ焼きに手を出すはずもなく、
ちゃんと橋を渡った先にあるたこ焼きの屋台で一人前を注文した。
ついでにとアグリアスはジュースも購入し、
歯に青海苔がついていた場合は多少はしたなくともジュースでゆすぐように言った。

「……ティータ……? まさか迷子に!?」
「ラムザ兄さんもいないわ……いつはぐれたのかしら?」
たこ焼きを食べ終わったディリータとアルマは、対岸にあった射的屋をやろうと盛り上がったところで、
ようやくラムザ達とはぐれた事に気づいた。
「ラムザと一緒ならそう心配する事も無いだろうけど……ティータ……」
「それよりディリータさん、あれを見てあれを、射的屋のあれ」
射的屋はおもちゃの弓矢で賞品を棚から落とし、その賞品をもらえるというルールだ。
そしてその射的屋には、おもちゃの弓で落とせそうにない大きな熊のぬいぐるみがあった。
まさに運命の出会い。アルマは一目惚れというものが確かにこの世に存在するのだと知った。
18ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 8/8:2005/12/01(木) 18:19:05 ID:aCh/Ob160

アグリアスはぼんやりと思う、いっそ王女などにお生まれにならず、
町娘として生きておられた方がオヴェリア様は幸せなのではないかと。
たこ焼きを食べ終え、ジュースで口を流しても、まだ歯に青海苔がついていたため、
ハンカチで拭って差し上げたら、お母さんに甘える子供のようにじっと身を任せていたオヴェリア。
王族としての気品はある、しかしオヴェリア様が生来持っているのは、
飾り立てる薔薇の美しさではなく、見る者の心をなごませる春のタンポポではないか。

「さあ、たこ焼きは食べましたでしょう? 来賓席に戻りますよ」
「えー? もう少し見て回りたいわ」
「……………………下々の者の生活を知るのも王族の務め、もう少しだけですよ。開会式には戻りますから」

アグリアスはオヴェリアの右手を握った。
「人が多いです、くれぐれもおはぐれにならぬよう……」
「心得てます」
「ラヴィアンは左側へ、アリシアは後ろ」
「お任せあれ」
「了解しました」

遠く――上流側にあるちょっとした小丘の上から、獲物を見つけて喜ぶ蒼の双眸が、獲物を見つめていた。
獲物は4人の美女達。狩人はニヤリと微笑んだ。

to be continued……
19名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 18:40:23 ID:UqpXMRlJ0
新作キタ!
時勢的には本編が始まる直前あたりですかね
なんかたこ焼き食いたくなった
20名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/01(木) 21:51:00 ID:VaQ9nYRu0
gj
私もたこ焼き食べたくなってきたなー。明石焼き食べてー
21ふみんしょ ◆QjqnRqGxSY :2005/12/02(金) 00:47:30 ID:eO9w8lz90
新スレ乙。
たこ焼きも乙です。
22名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/02(金) 05:13:07 ID:9QSo2WTY0
アグスレであえて言おう。
ラムザxティータたまらん・・・(*゜∀゜)=3
23前スレ933:2005/12/02(金) 20:32:11 ID:BVksiBhL0
実は前回の「天才アグリアス〜」もそうだったのですが、
今回も俺のアホ妄想をSS化して頂いて、ごっつぁんです。

「ぽろり」、それは魔法の呪文。
24名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/02(金) 23:27:59 ID:i1g1JlzQ0
予言しよう。
ポロっとするのはラムザだと。
そしてボロ〜ンとするのは雷神だと。
25名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/02(金) 23:34:15 ID:Z19trpya0
ポロリするのはアルマだと
信じている俺ガイル
26名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/03(土) 04:45:00 ID:XoG3CZ590
ぜひともアグリアスさんにサラシ+ふんどし+ゴーグル+シュノーケルの海女スタイルで。
ウニなんか素手でワシャワシャ掴んできますよ。

アグ「ラムザ、ウニは取れたてに限る。キョーゴク氏もそう仰っていた」
27行く人 ◆yDU/dR5FV. :2005/12/03(土) 19:24:36 ID:1g6gdGYG0
>>23
えぇぇっ!? あの時のあの人だったのー!?

と驚きながら続き投下開始。
28ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 9/16:2005/12/03(土) 19:25:07 ID:1g6gdGYG0
フィナス河で真冬の寒中水泳なんかやろうってお馬鹿なお祭りやってます!
アグリアスはオヴェリア様の警護とレース参加のためにやって来ました。
そんなアグリアス達を狙う蒼の双眸。
さらにはチョコバナナを目指して旅をするはぐれ者ラムザとティータ、
一目惚れしたぬいぐるみを射落とさんと意気込むアルマとなぜか弓矢を持っているディリータ。
他にも一癖二癖ありそうな連中がいっぱいおります大レース、
開催時間はもうじきでございます、多分。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 ドキッ!
   真冬のフィナス河寒中水泳大会。
     ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
主催者:アグスーレ・ニジュイ・クササン男爵
協力 :北天騎士団団長ザルバッグ・ベオルブ聖将軍
    :南天騎士団団長シドルファス・オルランドゥ伯

優勝賞金
1位……50万ギル
2位……20万ギル
3位……10万ギル
審査員特別賞……エクスカリパー(オルランドゥ伯からのご提供)
29ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 10/16:2005/12/03(土) 19:25:56 ID:1g6gdGYG0

「アカデミーで何を習ってるんですかぁ……」
「ちゃ、ちゃんと当ててるだろ!?」
ディリータは最後の一本の矢を弓にあてがい、力いっぱい引いた。
狙いは悪くない、4本中2本もターゲットに当てている。
(チャージだ……力を溜めて、渾身の一撃をっ!!)
そして5本目を放つ! 先端が丸い布で包まれた矢が弧を描いて飛ぶ!
弓の張りは弱くたいしたスピードが出ず、威力も当然無く、ターゲットにダメージを与えられない。
ターゲットは揺れた。揺れただけだった。棚から落ちない。
「はい残念っ!」
射的屋のおっちゃんが大声で言う。ディリータ・ハイラル、敗北の瞬間。
アルマのハートを盗んだ熊のぬいぐるみは依然として棚の上に座り込んでいた。
「うぅ……ティータは頼れる兄だって自慢してたのにぃ」
「ほ、本物の弓ならあんなの……」
「本物なんか使っちゃ熊さんに穴が空いちゃうでしょ!」
「いや、矢だけおもちゃのままなら……」
愚痴を言いながら2人は射的屋を後にし、ラムザ・ティータ探しを始めていた。

ディリータ・アルマが去って数分後、橋を戻ってきたオヴェリアが、熊のぬいぐるみにハートを奪われた。
「あ、アグリアス。あのぬいぐるみは?」
「ン……何でしょう、射的屋? いったいどういう……どうやらおもちゃの矢で倒した物をもらえるようです」
10歳くらいの少年が、お菓子の入った箱を射倒し、それをもらうのを見てアグリアスは的確な推理をした。
「それじゃあ、あのぬいぐるみを落とせば……アグリアス、やれる?」
「私は剣が専門ですが……弓の心得も一応」
「お願い、あのぬいぐるみすごく可愛いわ」
30ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 11/16:2005/12/03(土) 19:26:48 ID:1g6gdGYG0

「とおぉー」
アグリアスの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
「照準がズレる!? ここか!」
アグリアスの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
「見切った、ぬえーい!」
アグリアスの攻撃。熊のぬいぐるみは揺れている。
「今だっ、そこ!」
アグリアスの攻撃。熊のぬいぐるみはぐらついた。
「落ちろ!」
アグリアスの攻撃。クリティカルヒット! ノックバック発生!
アグリアスは熊のぬいぐるみの隣にあった紙風船セットを手に入れた!

「ど、どうでしょう? 膨らませると面白いかもしれませんよ?」
「……幼い頃、よくシモン先生が持ってきてくれました。今でもお部屋に膨らませてない物がいくつか」
「あ……ぐぅ……」
面目が潰れそうなアグリアス! しかしこんな時こそ救世主が現れるものである!
「私に任せたまえ麗しいレディ」
エレガントな男が現れた!
長い金髪を首の後ろでしばった20代の青年。キザったらしい顔は正統派美形。
彼こそ4人の美女を獲物として見つめていた狩猟者の正体、蒼い双眸の青年である!
前回ラストの意味深な描写と打って変わって、ただの変なお兄さんだ。
「き、貴公は何者か?」
「私の名はエドガー、愛の狩人といったところかな。お嬢さんのお名前は?」
「あ……アグリアス」
「アグリアス、いい名だ。私があの熊のぬいぐるみを取って差し上げよう」
何だこいつ。アグリアスはそう思った。
31ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 12/16:2005/12/03(土) 19:27:37 ID:1g6gdGYG0
救世主の登場に瞳を輝かせるオヴェリア。
まあオヴェリア様が喜ぶならと様子を見守っているアグリアス。
いい男だけど狙いはアグリアス隊長か残念無念と考えているラヴィアン。
そんな事よりとっとと来賓席に戻ってオヴェリア様の警護をしながらリンゴ飴が舐めたいアリシア。

そして――弓を構えるエドガー。

「さあ! 科学の力を見せてやる!」
「ちょっとお客さん、その変な道具は何です」
「これこそ私が開発した『オートボウガン』だ! 何とこれは引き金を引くだけで自動的に矢が次々とぉー!」
「このおもちゃの弓使ってくださいね」

エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。

「大将、もう一回!」
「毎度〜」

エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。
エドガーの攻撃。ミス、ダメージを与えられない。

という光景を何度か繰り返すエドガーさん。次第にエレガントさが喪失していきました。
32ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 13/16:2005/12/03(土) 19:29:20 ID:1g6gdGYG0
「もうあきらめたらどうだ?」
「くっ……ここであきらめてはレディに失礼というもの」
「かすりもしないが」
「我が友ムスタディオと共同開発したオートボウガンが使えればぁ〜!」
ムキになっているエドガー。
もうあきらめて飽き気味のオヴェリア。
格好いいのは外見だけかと落胆しているラヴィアン。
リンゴ飴〜♪ リンゴ、リンゴ、リンゴ飴〜♪ と頭の中で歌ってるアリシア。

「何やってんだ兄貴?」

ヒーローとは遅れてやってくるものである!
「おおっ、マッシュ! いい所にきてくれた」
マッシュと呼ばれた男にアグリアスは見覚えがあった。
熊のような大男。筋骨隆々のこの姿を大会の説明会の時に見た、つまり彼も出場選手だ。
「マッシュよ、フィガロ家の名誉にかけてあの熊のぬいぐるみを射落としてくれ」
「またナンパかよ」
「もう5回分も負けているんだ、このまま引き下がっては男の面子が!」
「弟に頼ってる時点で面子潰れてるんじゃねーか?」
口では文句を言いながらも、マッシュはおもちゃの弓を構えた。

マッシュの攻撃。クリティカルヒット! ノックバック発生!
たいやき引換券を手に入れた!
マッシュの攻撃。クリティカルヒット! ノックバック発生!
射的屋の親父は額を押さえてうずくまった!
マッシュの攻撃。クリティカルヒット! ノックバック発生!
悪名高き黒本を手に入れた!
マッシュの攻撃。クリティカルヒット! ノックバック発生!
射的屋の親父は鼻を押さえて転げ回った!
マッシュの攻撃。クリティカルヒット! ノックバック発生!
熊のぬいぐるみを手に入れた!
33ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 14/16:2005/12/03(土) 19:30:34 ID:1g6gdGYG0
「ほらよお嬢ちゃん」
「貴様、無礼な言葉は慎め!」
熊のぬいぐるみをプレゼントしようとするマッシュに向かって、アグリアスは思わずきつい言葉を言ってしまった。
懐の深いマッシュはその程度の事で怒ったりはしなかったが、アグリアスの態度から、
オヴェリアが身分ある方であり、お忍びでここにいるのだと気づいてしまった。
もっとも王女様とまでは見抜けなかったが。
「そう怒鳴るなよ、お嬢ちゃんが何者かは知らないがあまり騒ぐと注目されるぜ」
「ムッ……すまん、せっかくぬいぐるみを……」
「いいって、ほら」
ニカッと唇の端をつり上げて、マッシュはオヴェリアに熊のぬいぐるみを渡した。
オヴェリアは、赤ん坊より一回り大きな熊のぬいぐるみを抱きしめる。
「ありがとうマッシュさん」
「ワッハッハ。礼なんていいって。でも、そうだな、俺が寒中水泳のレースに出る時は応援してくれよ!」
「まあ、出場選手なのですか?」
「おうっ、第3レースだ。1位は俺がいただくぜ!」
「ぜひ応援させてくださいな。そうそう、アグリアスも第4レースに出るのよ。ね?」
オヴェリアが話題を振ると、マッシュはちょっと意外そうな顔をしつつも嬉しそうにアグリアスに微笑んだ。
「そうか、あんたも出場するのか」
「君の水着に乾杯」
「ばくれつけん」
「ぎゃひーっ!」
マッシュに殴られるエドガー。マッシュの拳の速さに感心するアグリアス。
「むうっ、今の連続拳……ただ者ではないな」
「鍛えてますから。つか、今のばくれつけん」
「いやはや、本当素晴らしい連続拳だ」
「いやいや、ばくれつけんだって」

この世にばくれつけんなどという技は無い! 断じて無い!
34ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 15/16:2005/12/03(土) 19:31:15 ID:1g6gdGYG0

「しかし、その体躯……さぞ体力には自信があろう。
 見たところ出場選手の中で一番ガタイがいい、一番の強敵はマッシュ殿かもしれんな」
「へへっ、アグリアスも引き締まったいい筋肉してそうじゃねぇか。服の上からでも分かるぜ?」
「そうか? まあ、私も日々鍛錬を重ねているからな……負ける気は無いぞ」
エドガーのそれと違い下心が感じられなかったため、アグリアスは素直に応じた。
と、そこに――。

「フッ……弱い犬ほどよく吠える」
竜騎士の鎧に身を包んだ男が現れた。アグリアスは眉をしかめて訊ねる。

「何だお前は?」
「俺はバロン男爵にお仕えする竜騎士団隊長カイン・ハイウインド。残念ながら1位は俺のものだ」
「自信だけはあるようだが、それに伴う実力があるのか?」
「必勝の策が俺に勝利を約束してくれている」
「いい度胸だ、貴様には負けん」

マッシュをいいライバルとするならば、カインは嫌なライバルとでも呼ぶべき存在だった。
過剰な自信の中にある秘められた力を薄々感じ取っていたアグリアスとマッシュは、
こいつも強敵だと認め、闘志をメラメラと燃やすのだった。
この闘志こそ! オルランドゥ伯の言っておられた騎士の魂、もののふの魂である!
熱く煮え滾った思惟の力でフィナス河を沸騰させて、アグリアスよ行け! 行けよアグリアス!!
35ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 16/16:2005/12/03(土) 19:31:35 ID:1g6gdGYG0

一方その頃。
「ほらティータ、チョコバナナだよぉ」
「わぁい、ありがとうラムザさん。ペロペロ、もぐもぐ」
「ディリータ達もいずれ来賓席に来ると思うよ。
 向こうにはアルマもいるんだから、はぐれたらザルバッグ兄さんの所に来るかもしれないし」
「むぐっ、ごっくん。ザルバッグ様に私達がはぐれちゃったってバレる前に合流しないといけませんね」
「クスッ、そうだね――ほっぺにチョコがついてるよ」

一方その頃。
「うぁー!? く、く、熊のぬいぐるみが無い!?」
「誰かに取られたんだろうな……それより早くティータ達を」
「くっ……なぜ、なぜなの!? なぜディリータさんはあの時あの瞬間、熊のぬいぐるみを取ってくれなかったの!?」
「……ラムザ、助けてくれ……」

to be continued……
36名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/03(土) 20:52:36 ID:r4c7gOVZ0
いったいどうなるんだこの話はw
37名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/03(土) 22:34:10 ID:tzNAFEGS0
色々出てきたwたまらぬな
38名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/03(土) 22:38:40 ID:5TB/Kcmq0
乙です。続きを楽しみにしてます。
39名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/03(土) 23:43:27 ID:tyCkastg0
そういやフィガロ兄弟も王族だったっけ
すっかり忘れてた
40名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/04(日) 07:14:39 ID:fT7iXFKpO
フィガロ兄弟とカインがゲスト出演w
なんか得した気分w
41名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/04(日) 15:18:08 ID:hyjkEFWu0
次回こそはアグリアスさんの水着とポロリとチョコメテオが来るんだろうな。
俺のオーラキャノンも暴発寸前です。

最初のばくれつけんの入力決定がよく分からず延々死にまくったのも今は昔。
42名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/04(日) 20:17:43 ID:bA2z7wuP0
>>41
おれもおれも。
高速で入力しなきゃいけないと思って必死でやってた。二時間ぐらい。
姉貴がゆっくり入力して発動するのを見てむなしさに泣いた。
43名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/04(日) 21:08:34 ID:rLKSZ+Tf0
もしFFTをピューと吹くジャガーに当てはめてるとしたら……

ジャガー:アグリアス
ピヨ彦:ラムザ
ハマー:ムスタディオ
高菜:メリアドール
間池留:オルランドゥ
ハミデント:労働八号


……けっこう難しいな。ハマーが悩む。
44名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/04(日) 21:12:03 ID:4irEt+Td0
ハマーはムスタディオでいいでしょ、このスレでの彼の処遇を考えればw
んでリーゼントのあいつ(名前失念)はラッドかな。

ピヨ彦の親父は普通にバルバネスなんだろうか、イメージ合わんw
45名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/04(日) 23:59:28 ID:VJGZANWE0
とりあえずジャガーとピヨ彦は不動のツートップですな。
46名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 18:37:05 ID:zHWkSX8N0
アグリアスさんもたまにはスカートはいたっていい。

そしてバグパイプを吹く。
ブビー。
47ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 17/28:2005/12/05(月) 21:15:27 ID:d1J5Wcmt0
前置き長かったけどようやくレーススタートしそうではありますが、
ポロリ(と赤チョコボ)までの道のりを考えるとまだまだ時間がかかりそうです!
まあそれはそれとして第1レースに備えて控え室に集う男達。
見よ、しかと見よ、これぞ男の花道、男の生き様、目に焼きつけておくんなせぇ!

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 ドキッ!
   真冬のフィナス河寒中水泳大会。
     ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
主催者:アグスーレ・ニジュイ・クササン男爵
協力 :北天騎士団団長ザルバッグ・ベオルブ聖将軍
    :南天騎士団団長シドルファス・オルランドゥ伯

優勝賞金
1位……50万ギル
2位……20万ギル
3位……10万ギル
審査員特別賞……エクスカリパー(オルランドゥ伯からのご提供)
48ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 18/28:2005/12/05(月) 21:15:48 ID:d1J5Wcmt0

「ルェディィィィィィッスッ、ェアーン、ジュゥウェエンッットゥルメェンンッ!
(レディース、アンド、ジェントルメン)
 我輩が主催者アグスーレ・ニジュイ・クササン男爵であーる!!
 お集まりいただきあーりーがーとぉー! ありがとうッッ、ありがとおッッ。
 みんなありがとう! 世界中にありがとう! 生まれてきてくれてありがとう!!
 今日はこんな真冬の中、寒中水泳なんて危険極まりない事をやっちゃう猛者の宴ぇ!
 みんな甘いお汁粉や紅茶を飲みながら高見から見物しちゃったりするのかなぁっ!?」

「あっ、お汁粉もあるんだ」
「……お汁粉……」
物欲しそうなティータの顔が可愛らしくて、ラムザはつい微笑んでしまった。
「クスッ、開会式が終わったら頼もうか」

「さー! さぁさぁさぁさぁっ!! みなさんご存知、今日この大会のために、イヴァリース中から猛者がやってきた!
 注目選手が入場するたびガンガン紹介していくよぉん。
 トトカルチョもやってます! まだ受付中ですので、ご希望の方はあちらのカウンターにヒァウィゴー!
 OKOK、OK、長ったるい挨拶は抜きにして……こらそこぉっ! バロン男爵ですな!?
 聞こえましたぞ聞こえましたぞ『あれで本当にわしと同じ男爵か?』だってぇーん? あーん?
 はい、すみません。ハッチャケすぎました。こんな大会開けて興奮しすぎました。
 あー、えー、では、あー、第1レースはこれより10分後に開始いたします。
 第1レースの出場選手は、あー、あちらの控え室にお集まりください。もうすぐ始まりますので。
 それでは、えー、第1レース開始までもうしばらくお待ちください。これにて開会式を終わります」

階段状の来賓席の最上段で、ラムザとティータは並んでお汁粉を食べながら、
ディリータとアルマが来賓席の方に来ないかなと周囲を見回していた。
そしてラムザ達から一番離れた席には、オヴェリアとアグリアス達がいた。
49ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 19/28:2005/12/05(月) 21:16:08 ID:d1J5Wcmt0
「第1レース……カインさんが出場するんでしたね」
「ええ、あなどれない男です。だが第1レースとは不憫な……他者がこの急流をどう泳ぐか観察すれば、
 対策を講じる事も出来ように。しかし、必勝の策とはいったい……」
「隊長ー、あーだーこーだ想像してもどうにもなりませんよ。気軽に見物しましょうよ気軽に」
「ペロペロチュパチュパ」(リンゴ飴美味しい)

割りと平和な雰囲気の中、第1レースの開始時間が迫った。
5分前になると出場選手が河の前に集合する。
「キャッ……!」
オヴェリアは思わず熊のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。
「な、何だアレは……まさか説明会の後、男だけ残したのはアレが理由か!」
会場内でざわめきが広がる。
出場選手の男子達。
騎士だったり一般参加の予選通過者だったり、みんな立派な筋肉をしている。
しかし一番の共通点は水着。
いや、それを水着と表現していいのかは分からない。
ただ、それはこう呼ばれるものだった。

「ふんどし! しかも赤い、赤ふんです!
 これこそオルランドゥ伯が東洋から貿易で仕入れた奇跡の下着!
 サムライスピリッツを燃焼させる聖なるコスチュームなのでぇっす!
 ちなみに女性は普通の水着でもOKですから!」

「当たり前だっ」
主催者の説明にアグリアスは毒づいた。
布で作られた水着など冗談じゃない、水に濡れたら透けてしまう。
50ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 20/28:2005/12/05(月) 21:16:29 ID:d1J5Wcmt0
「さて第1レース注目の選手は、バロン男爵直属の精鋭、竜騎士団隊長カイン・ハイウインド選手!
 イヴァリース最強の竜騎士と誉れ高い彼の戦績は輝かしいものがあります!
 果たしてその実力を寒中水泳という場で発揮できるのかー!?
 さて、次の注目選手はワーキヤク騎士団のドウ・デーモイ選手!
 彼は〜(中略)〜の戦場を駆け抜け主君の命を守り抜いた騎士なのです!
 そしてもう一人! 一般からのご参加、漁村ドッカ在住の漁師、カーマ・セイヌ選手!
 彼は〜(中略)〜という偉業を成した村の英雄! まさに漁師オブ漁師!」

「何か説明がいい加減じゃありませんでしたか?」
「気のせいですオヴェリア様。ドウ・デーモイ選手やカーマ・セイヌ選手の感動的な過去、胸を打たれました」
「そう、ならいいけれど……」

「お汁粉ってさ、美味しいんだけどこの小豆が苦手なんだよなぁ〜」
好き嫌いをするラムザが幼い子供のように見えて、ティータはついクスクスと微笑んでしまった。
「好き嫌いはいけませんよ。残したらもったいないお化けが出ます」
「もったいないお化けか……ディリータはそれ信じてるみたいなんだよね」
「えっ、まだ信じてるんですかディリータ兄さんは?」
「アカデミーの食堂で騒いでたよ。ディリータに話を聞かされた子が泣きながらニンジン食べてた」
「ニンジン……美味しいのに」

盛り上がる会場だが、来賓席の一部はとても平和だった。
51ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 21/28:2005/12/05(月) 21:16:50 ID:d1J5Wcmt0

「さあ! いよいよ10人の男達が赤ふん一丁で冷たい冷たいフィナス河に飛び込みます!
 えー、ちゃんと準備運動してますので、心臓麻痺を起こす事は多分ありません!
 良い子は真似しないでくださいませ! ええ、絶対真似してはいけません! 我々は責任取りません!
 さて、テンションが上がってきたところで開始といたしましょう。
 時計係、準備万端ですね? それでは選手のみなさん、ゴングが鳴ったら問答無用で飛び込んでください!」

ひゅー。北風が吹き選手の身体を震わせた。
この状態でフィナス河に飛び込むんかい、みんな真っ青になった。
カーン。ゴングが鳴った。みんな飛び込んだ、悲鳴と水を叩く音が上がった。
「ヒギャアアアッ!?」
「冷たっ……いや、痛いッ!? 痛いよコレェッ!!」
「ブリザドよりつらいぃぃぃッ!」
「パトラーッシュ!」

「あーっと、一気に4人もの選手が這い上がりました、失格で……あ、さらに1人流されてます。
 このままでは下流の網に引っかかって失格ですね、もう5人脱落! これが寒中水泳の威力なのかー!?
 ……おっと、これは? カイン選手まだ飛び込んでいません、屈伸していま……ああーっ!! こ、これはー!?」
「フフフ、こんな氷点下以下の水に飛び込むなど愚か者のする事よ。
 見よ我が秘策! 必勝の策をー!! とぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁっ」
「ジャンプだーぁー! カイン選手、さすがは竜騎士、ジャンプで一気に河を跳び越すつもりぃー!?
 これはすごい、伸びる伸びる、凄まじい跳躍力だ! げぇー! 何と何と10秒と経たずに対岸へ到着ー!?」
「フフフッ……鎧袖一触とはこの事よ」
「とんでもない記録が出たーと思ったらカイン選手担当の時計係さんが手を振っているぞ? あれは?
 ああーっ、何と失格だぁー! 今私の元にも報告が来ました。
 えー、この大会は寒中水泳をするものであって幅跳びではない、だそうです。残念! カイン選手まさかの失格ゥー!」
「グ……ズ……ギャアアアム!!!!」
「カイン選手、どっかのラスボスチックな悲鳴を上げて倒れました! 失格が余程ショックだったのかぁー!?」
52ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 22/28:2005/12/05(月) 21:18:32 ID:d1J5Wcmt0

こうして第1レースは散々な幕開けとなり、結局対岸まで泳ぎきったのは3人だけだった。
現在の順位。
1位 3分15秒 カーマ・セイヌ
2位 4分29秒 ラッド
3位 4分44秒 ドウ・デーモイ

「1位はカーマ・セイヌか……空気抵抗を無くすため潜水して泳ぐとは、さすが漁師。この寒い中よくやる。
 他の2名は流されぬよう必死に斜め前に泳いでいたが、 あれではあまりスピードは出ん……しかし、
 だからこそ泳ぎきれたとも言えよう。他の2人は下流に流され網にかかってしまった」
冷静に分析するアグリアス。ルザリア聖近衛騎士団の名誉にかけて情け無い結果を出す訳にはいかない。
「アグリアス、勝てますか?」
「まだ何とも言えません。まだ第1レースが終わったばかりですし、他にどんな参加者がいてどんなタイムを出すか……。
 果たしてあの急流がどれほどの障害になるかも分かりませぬし、氷点下以下の水温、手足の感覚も失いましょう」
「無理に勝つ事はないのよ、つらいようなら棄権しても恥ではないわ」
「恥です。それに完走して敗北するならまだしも、棄権とあっては王家の顔に泥を塗るようなもの」
「アグリアス……」
「第2レースは10分後、私と同じ女性が参加します。目を離せません」
「その通り。いったいどんな水着で出場するのか目が離せない」
突如隣からした声に振り向いてみれば、あのキザ男、エドガーがいた。
白い歯をピカッと光らせて微笑んでいる。
「き、貴様なぜ来賓席に!?」
「私も出資しているからな。あの失格者を拾う網、うちの工場で作ったんだ。ベヒーモスでもあれは破れん」
「そうだったのか……マッシュ殿は一緒じゃないのか?」
「あいつはこういう堅苦しい場が苦手でね、多分一般客に混じって見物してると思うが……。
 ところでアグリアス、私もご一緒に観覧してよろしいかな?」
「……嫌だ」
53ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 23/28:2005/12/05(月) 21:19:32 ID:d1J5Wcmt0

橋の上から第1レースを見物していたディリータとアルマは、たいやきを頬張っていた。
「やっぱり漁師さんだと速いですね。モグモグ」(ラムザ兄さんとティータ、二人きりか……)
「ン……そうだな。それにしても竜騎士のジャンプ失格は笑った」(ティータ大丈夫かなぁ)
「名前何でしたっけ」(これはこれで面白い展開かも。兄さんにもついに春が!?)
「忘れた」(それにしても、女の子なのによく食べるなぁ。ラムザの食は細い方だが、本当にあいつの妹か?)
「カ……カニ太郎」(でもラムザ兄さん頼りないところあるし、ティータとポケポケカップルになっても不安だわぁ)
「カイだった気が」(こんなに食って太らないのか? その点、ティータは甘い物を食べまくったりしないから大丈夫だ)
「もっと男らしい名前じゃ?」(兄さんにもティータにも、年上でキチッとしてる人が似合いそうなのよね)
「カイゾック」(ティータは食べ物ねだったりしないだろうから、ラムザは楽してるだろうな。俺は財布が……)
「カイ……カイソ! 間違いないわカイソよ」(ん、何か微妙に違う気が?)
「そうそう、カイソだ」(カイソだっけ? まぁいいや)
「疑問が解けてスッキリ」(あれ? 合ってるのかな……まぁいいや、次は手羽先屋の方に二人を探しに行こう)
「そりゃよかった」(こんだけ食えばもう腹も膨れたろ。ティータはレース見てたかな?)
この後、二人は手羽先を焼いている屋台に行き、さらにディリータの財布が軽くなった。
ディリータはティータの質素さを思い出していた……。

「まるで雲みたい。甘くて……とろけちゃうっ」
わたがしを舐めたり、パクッと食べたり、ティータは幸せな一時を来賓席で過ごしていた。
「僕もわたがしは初めてだなぁ、ペロリ、ん〜……美味しっ」
ラムザもラムザで甘いお菓子に舌鼓。
さらに温かい紅茶を飲んだりしながら、来賓席で食べられる甘味を制覇してみようかなんて計画を二人で立てたりしていた。
アルマの期待とは違い、恋人なんてロマンチックな雰囲気じゃなく、甘い物に大喜びする子供のような二人。
ディリータの想いとは違い、今までにない贅沢に大喜びしているティータ。
さあ、お次はクレープだ。トッピングが色々あって制覇は大変だぞ!
54ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 24/28:2005/12/05(月) 21:20:30 ID:d1J5Wcmt0

カイソは落ち込んでいた。バロン男爵に会わす顔が無く、ちょっと会場から離れた丘の上に逃げてしまった。
「ううっ……『寒中水泳大会で圧勝してローザのハートゲット作戦』もこれで終わりか……。
 今頃ローザはセシルの奴と……ハッ! 俺が大会のためフィナス河に来ている今、バロン城に邪魔者はいない!」
負け犬100%モードのカイソ。暗雲を呼びかねないほどどんよりとしたオーラを漂わせている。
こんなんじゃ愛しい女性を振り向かせられないのも当然かもしれない。
カイソの情けなさは最高潮に達しようとしていた。
「くそっ……俺は竜騎士団隊長のカインだぞ、こんな事で……グスッ」
カイ、ンは涙ぐんでしまい視界がかすれた。そのかすれた視界の中で何かが動いた気がした。
カインは涙を拭う。会場の上流、フィナス河の中、何かがいる。
「何だ? まさかモンスター……」
カインはスピアを構えた。
「マッイ〜〜〜ン!」
水柱が立ち、中から人間より一回り大きい影が飛び出し、カインを襲う。

「そっ! っれではいよいよ第2レースの始まりでぇっす!
 第2レースは美しくも勇ましい10人の美女がこの大河に身を投じるのです。
 鼻の下なんか伸ばしてないでちゃんと応援してくださいねぇ〜」
第2レースの開始時刻となり、実況が始まる。
アグリアスは、左隣にオヴェリア、右隣にエドガーという布陣で観戦していた。
「おおっ……水着9人、赤ふん1人か……」
「何っ、赤ふんの選手がいるのか!?」
エドガーの呟きに困惑するアグリアス。だって赤ふんなんて、そんな、上はどうするのだ。
だが赤ふんを着けている女性を見て、アグリアスはホッと胸を撫でた。
ちゃんとさらしを巻いている、あの厚さのさらしなら濡れても透けないだろう。
だが布で出来ている以上、水を吸って重くならないだろうか?
紫の長髪で、凛々しい印象を持つ美女から、力強い自信をアグリアスは感じていた。
55ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 25/28:2005/12/05(月) 21:21:16 ID:d1J5Wcmt0
「さあ! では注目選手の紹介いってみましょう!
 右端の金髪の美女が誉れ高い北天騎士団の(以下略)
 続いて中央の黒髪の女性こそ南天騎士団所属(以下略)
 左端から二番目! 一般参加の女傭兵の(以下略)
 いやぁ〜、素晴らしい経歴の持ち主達ですねぇ」

オヴェリアは、ツンツンとアグリアスの腕を突いた。
「ねえ、やっぱり紹介がいい加減なような気がするのだけど……」
「気のせいです。紹介された3人、皆立派な……武人の心がなければあのような活躍は出来ないでしょう」
「…………どういう説明だったか何故か思い出せないわ」
「それより気になるのは赤ふんの女、紹介はされなかったが……あの不適な笑み、自信……何者か」
アグリアスの疑問に、エドガーが微笑み、手帳を取り出す。
「私のデータによると……ファリス・シュルヴィッツという一般参加の選手だ。
 職業は貿易商となっているが……私の情報によると海ぞ、コホン、海賊のように強く勇ましいとか」
「海賊のように? それは褒め言葉ではないぞ」
「例えが不適切だったね。まぁ海の戦士みたいなものだと思えばいいだろう」
「……ところでその手帳は何なんだ」
「今大会の女性選手のデータを記すため新調した手帳だ。君のデータも絶好調更新中!
 アグリアス・オークス。アトカーシャ王家直属、ルザリア聖近衛騎士団所属で……」
「どこまで知っているかは知らんが、それ以上言うな、それ以上詮索するな」
アグリアスに睨まれたエドガーは、まるでそう言われるのが分かっていたように苦笑し手帳を閉じた。
「まあ、私とて君のすべてを知っている訳ではないし、誰かにお喋りするつもりも無い、安心したまえ」
56ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 26/28:2005/12/05(月) 21:22:57 ID:d1J5Wcmt0
果たしてアグリアスの隣にいる女性、念のため防寒用のフードで顔を隠している美女の正体が、
オヴェリア・アトカーシャ王女だと気づいているのだろうか。
「……お前は何者だ?」
「別大陸にある砂漠の国に大きなマーケットを持っていてね、機工都市ゴーグをはじめとし、
 イヴァリース相手にも様々な商売をさせてもらっていて……今回この大会を知り、ちょっと出資しただけの者さ」
「砂漠の国? そういえば貴公……マッシュ殿とフィガロ家がどうとか……」
「おっ、レースが始まるようだ。あのファリスという女性に5万ギル賭けてるから応援しなくては」
「トトカルチョを? 祭りとはいえ褒められた行為ではないな」

第2レース開始のゴングが寒空の下に鳴った。
10人の美女が一斉に河に飛び込み、甲高い悲鳴が天まで昇って、いきなり3人ほど岸に戻った。
そして7人の選手は急流に負けじと前へ前へ手足をばたつかせて進む。
「おーっと! 選手が一人、他の6人を引き離して凄まじいスピードで泳いでいるぞぉー!
 しかも、何だぁー!? 全ッ然水しぶきを立てず、頭を出したままススーっと泳いでる、ススーっと!
 ファリス選手です! 下流の方へ微妙に流されてはいますが、急流をものともしていないように見えます!
 まるで河童だぁー! 河童とは東の国に伝わる妖怪で、あっ、
 最後尾の選手が沈んだまま浮かびません、救助班が飛び込んだー! あっ、救助班の一人も浮かんできません!
 おっと流されて網に引っかかった選手もいるぞ失格だぁー! 溺れてた選手と溺れた救護班を救護班が救出ー!」
多少のトラブルがありながらも、第2レースも終了した。
トップのファリスは網の3メートル前まで下流に流されながらも、見事ぶっちぎりのタイムを叩き出した。
下手に流れに逆らってスピードを殺すより、多少流れに身をまかせた方が速く進めるのかもしれない。

現在の順位
1位 2分22秒 ファリス・シュルヴィッツ
2位 3分15秒 カーマ・セイヌ
3位 4分05秒 フランソワ・クーロホン・ダーサマレタ
4位 4分22秒 ニキータ・マナ
5位 4分29秒 ラッド
6位 4分33秒 モエ・イキトーメ
7位 4分44秒 ドウ・デーモイ
8位 6分10秒 ジャンヌ・イナメラキア
57ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 27/28:2005/12/05(月) 21:23:26 ID:d1J5Wcmt0
第1レースの男子以上の健闘を見せた美女達に拍手が送られる中、エドガーがポツリと呟いた。
「ポロリを期待してたんだながぁ……残念」
「ポロリとは何だ?」
「そりゃ急流の流れで水着がポロリと」
「しんくうは!」
「あじゃぱアー!」
橋の上から突如放たれたかまいたちが、エドガーをピンポイントで襲った。
透明の風だったため警備の気づかなかった。意外とザルかもしれないこの警備。
「おおっ、あれに見えるはマッシュ殿。橋の上からかまいたちを放つとは……風水術の心得もあるのか!」
「くっ……来賓席の私にツッコミを入れるとは、テロリストと勘違いされかねないぞ」
額からダラダラと流れる血をハンカチで拭いながら、エドガーは弟を睨みつけた。
「エドガー殿、マッシュ殿はどういう方なのだ? あれほどの達人そうはおるまい」
「私の大陸で有名なダンカンという格闘家に弟子入りしていたとかいないとか……あの、ケアルとか使えませんか?」

橋の上からかまいたちを放ったマッシュは、奇妙な違和感を感じていた。
「俺の必殺技『しんくうは』を見て……アグリアスが何か勘違いしてる気がする。なぜだ?」

この世にしんくうはなんていう必殺技は存在しません念のため!
風水士のかまいたちは地形が橋の時に使える風水術です! かまいたちったらかまいたちです!

来賓席に向けて大げさに手を振った熊のような男の隣で、アルマは焼きそばを食べていた。
「兄さんもティータもどこ行っちゃったんだろう。モグモグ」
「たこ焼き屋と射的屋とたいやき屋と手羽先屋と輪投げ屋とおでん屋と焼きそば屋にいない事は確かだな」
「ザルバッグ兄さんに探して探してもらおうか? モグモグ」
「怒られそうで嫌だなぁ」
そろそろお腹いっぱいになってきたアルマは、ふと隣にいた熊男を見た。
しかしそこにはもう誰もおらず、アルマはその事を特に気にせず焼きそばに入っていたキャベツを食べた。
58ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 28/28:2005/12/05(月) 21:23:52 ID:d1J5Wcmt0

第2レース終了にあたり、動き出す人影がいくつかある。
控え室に向かいながら語り合う男女が2組には共通点がいくつかあった。
まず血が繋がっている事、そして、男女ともに出場選手だという事だ。

ミュロンド・グレバドス教会所属の神殿騎士、それが姉弟の背負う看板。
イズルードとメリアドールは、控え室に向かいながら話し合っていた。
「イズルード、いよいよあなたの番ね」
「ああ……。姉さん、俺……勝てるかな?」
「絶対勝てるわ」
「でも姉さんが考えてくれた『ジャンプで河を跳び越しちゃえ大作戦』は使えないよ」
「カインとかいう竜騎士のおかげで命拾いしたわ……つまり天運は我らにあり! きっと上手くいくわ」
「……はぁっ。ちなみに姉さんは何か対策あるの?」
「水中でこっそり強甲破点突きを使って水着を破壊すれば他の選手の動きを止められるわ。うふふ、完璧な作戦!」
「……バレたら失格になると思うよ」
「冗談よ冗談」

骸旅団のリーダーとその妹、という看板を背負っていないのがこの兄妹だ。
「兄さん……がんばってね」
「ああっ、賞金を手に入れて旅団のみんなに肉の入ったスープを食わせてやらねばな」
「もう10日も豆のスープだものね……」
ぐぅ、とミルウーダの腹が鳴った。
「案ずるな……俺達はたこ焼きを1個ずつ食べた、それが力を与えてくれる」
「あのたこ焼き、美味しかったわね。橋の手すりに置き忘れていってくれた人に感謝しないと……」
「そうだな、出会う事はないだろうが、骸旅団としての活動を続けていけばきっと何らかの形で恩を返せるかもしれん。
 そのためにも賞金で旅団の活動費を得ねば……」
骸旅団の活動は、支配者階級の圧政に苦しむ民を解放するためのものだ。
その将来解放されるだろう民の中に、たこ焼き2個を置き忘れて行った誰かが入っていてくれたらと、
ウィーグラフとミルウーダは思った。

to be continued……
59名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 21:26:40 ID:/AXhCEvm0
ラストは橋の上に置き忘れられたたこ焼きが風に転がって下の川へ「ポロリ」
という肩すかしオチだと読んでいたのだが、外れてしまった……

まあ何はともあれGJ
60名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 21:37:53 ID:zkZMdcgU0
やはりファリスでたなw
61名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 22:06:39 ID:C1hDMTxL0
暗殺者兄妹は出ないのね
62名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/05(月) 23:57:45 ID:zHWkSX8N0
いまだアグリアスさんのレース順は回ってきてないので、
彼女がどんな水着を着るかは予想をするしかないのだが…

今回の話でサラシの線は消えてしまった。泣ける。
あとは競泳用かスク水かだが…
63名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/06(火) 02:16:14 ID:ouuOO7uV0
なげーYo BoKeNaSu
64名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/06(火) 02:44:27 ID:ShwlhCUnO
そしてくだらねーーーーー
http://h.pic.to/58zes
65名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/06(火) 07:32:50 ID:Mob6Omak0
普通に面白い。GJ!!
アグは機能性重視のようだから布面積が少ないものを選びそう。
66名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/06(火) 16:35:33 ID:X2DZfk/i0
アグ「そぉい!!」
67名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/06(火) 16:36:41 ID:SvJZNPlP0
王都脅威の技術力と近衛騎士団の根性を持ってすれば、
アグたんがブラジル水着やスリングショット等のエロひも系水着を着た際に、
どんな激流下でもポロリしないように出来るのだ!
68名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 00:55:22 ID:nCbjRJ04O
ウィーグラフとミルウーダにホロリと…(ToT)
69名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 02:36:56 ID:NBvQOAsV0
最近のVIPスレ侮れんな。

ttp://vippic.moo.jp/up/files/up16221.gif
70名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 07:55:16 ID:AlVGGfFX0
>>69
なんていうか…アグがラムザを犯してるように見える
71名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 11:21:24 ID:SSOTGGMC0
そのつもりで描いたらしいよ
72名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 17:55:54 ID:qEZmCuOK0
アグたんはファッションに疎い
73名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/07(水) 19:57:20 ID:NBvQOAsV0
全身ゴールドのヘルム&アーマーとダイヤの腕輪なんつーキラキラ成金装備だからな。
74名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 00:05:37 ID:3vXjGi740
保守
75名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 04:14:58 ID:MCLDV1wQO
76名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 07:32:00 ID:CLf7AuNc0
>>73
逃亡には路銀が必要だからな。
77あぐぽにだっしゅ!(謎):2005/12/08(木) 07:52:50 ID:FsMk0l5j0
「血みどろバカンス」
唄:異端者合唱団

騎士剣振るう戦乙女(オトメ)は
ダイヤソードで眩しい
無双稲妻巻き添え食う季節 よ ビ・リ・ビ・リ
OH〜アグ、BAN、BA、BAN、BA〜N!
何処を見ているのだ!女の尻でも追いかけてたのだな
肢体は危ないフェロモン 覗きがばれたら一殺(イチコロ)
瞳がギラリと大暴走の季節 よ ガ・ク・ガ・ク
OH〜アグ、BAN、BA、BAN、BA〜N!
何をしていたのだ? 我が剣技の露と散れ
人間 風に揺れて 私も風になる
死神 手招きをして
カウント早すぎだわ ちょっと危険なカ・ン・ジ
ブン、ブン、ブ、ブ、BU〜N 血みどろバカンスよ
ブン、ブン、ブ、ブ、BU〜N 血みどろバカンスよ
78名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 15:09:15 ID:cBue3yV60
>>72-73
アグリアスさんの普段の部屋着はノーブラ・ジャージです。
ジャージは古今東西、体育会系娘の普段着です。

緊急時にもサッと脱いで、パッと騎士服と鎧を装備して、ダダッと出撃できるのだ。
79名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 19:58:03 ID:GrHzg1fj0
トリビア: 実はアグさんは、動きの邪魔になる自分の胸を嫌っている
80名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 20:49:51 ID:Z2nbGoxZ0
木枯らしアグアグーン
81名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 21:29:13 ID:WJ06S3Jx0
アグ「胸が大きいと損だ!肩は凝るわ、剣は振りにくいわ、いいことなどひとつもない!」
ラム「でも、ぼくアグリアスさんの胸すきですよ」
アグ「ラムザ……」


出産
82名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/08(木) 23:31:36 ID:Ask0usIp0
個人的にはアグたんはブラよりさらしがいいなぁ
83名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 00:51:47 ID:ezOiYfNi0
アグリアス・オークスはホーリーナイトである!
彼女は出撃準備の際には0.1_秒でサラシを装着するのだ!

だが着替え中のテントにいきなりアホ毛隊長に
「アグリアスさ〜ん、準備できましたか〜?抜き打ち隊長チェックしますよ〜」と踏み込まれると、
とたんにアタフタ赤面して装着時間が0.1_秒から数分間にまで伸びてしまうのだ!
84名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 02:24:22 ID:YVBvFs9c0
女性が着替えをしてるタイミングを狙って抜き打ち隊長チェックするエロラムザというのもなかなか……。
微妙にHなラムザが女性にちょっかい出して、アグリアスが毎度ツッコミ(聖剣技)をやりつつも、
自分だけを見てくれないラムザにヤキモチ焼いちゃうという、典型的なラブコメ展開も新鮮でいいかも。
このスレでもたいていラムザっていい子ちゃんに描かれてるし。
85名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 02:37:10 ID:X2FD7myt0
>>84
それなんてうる星やつら?

…というのはさておいて、ちょっぴりだけエッチなラムザはいいね。メリアと仲良しさんに
なったりレーゼさんに甘えたりラファと談笑したり。アグさん大変。
86名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 03:21:22 ID:il9Ir5MO0
>>84
それなんて極楽大作戦?

ごめん>>85に便乗しただけ。
87名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 09:17:28 ID:ODIH1MAS0
ラムザは気安い軟派男なわけではなく、単に純真なお子さまなだけなのです。

アグたんもそれはわかってはいる。わかってはいるのだが…
88名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 11:35:07 ID:RfPnqNvW0
ラムザ君は本当は純真な振りをしたいたずらっ子なのです。
今日もすてきな笑顔を張りつけて純な振りでアグリアスさんにセクハラの日々。
89名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 16:47:35 ID:reXvRp0yO
ラムザはハードゲイ
90名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 18:50:31 ID:pFKeyJFy0
ラムザ「これでも元貴族フォーーーーーー!!!!」
91ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 29/36:2005/12/09(金) 20:15:05 ID:RL8c6lwG0
いよいよレース中盤、第3レース開幕間近!
エドガーの弟にしてツッコミ名人兼格闘家のマッシュ!
若き神殿騎士にして得意のジャンプを使う作戦が駄目になって弱気になってるイズルード!
骸旅団活動費のため、たこ焼きを忘れていってくれた人に報いるためにやる気満々ウィーグラフ!
はてさて、いったいどんな熱戦激戦超決戦を繰り広げるのか!?
そしてポロリ(とチョコメテオ)はいつになったらあるんだ!?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 ドキッ!
   真冬のフィナス河寒中水泳大会。
     ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
主催者:アグスーレ・ニジュイ・クササン男爵
協力 :北天騎士団団長ザルバッグ・ベオルブ聖将軍
    :南天騎士団団長シドルファス・オルランドゥ伯

優勝賞金
1位……50万ギル
2位……20万ギル
3位……10万ギル
審査員特別賞……エクスカリパー(オルランドゥ伯からのご提供)
92ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 30/36:2005/12/09(金) 20:15:35 ID:RL8c6lwG0
第3レースのため、控え室に集まった選手達。その全員に赤ふんが渡された。
「……これを履くのか……」
神殿騎士イズルードはげんなりとした口調で言った。
「……これは、武人の魂が形になったような物だ。素晴らしい」
骸旅団リーダーのウィーグラフは感動に震えた。
「……これこそまさに男の下着の理想形だ」
マッシュも感動に震えてた。
「……何か俺以外みんな赤ふん気に入ってるような……」
神殿騎士イズルードは周囲を見回して思った。
何か第1レースに比べてマッスル率が上がっているというか、男臭い男ばかり集まって、
ベビーフェイスのイズルード以外赤ふんが似合いまくってる。
「ふぬぅっ! お主、いい筋肉をしている。
 わしはアトカーシャ王家直属のルザリア聖近衛騎士団長、アグリッパ・オークスじゃ。お主は何者か?」
「拙者はトンプソンでござる。侍傭兵として10種類の刀を集めるための軍資金目当てに参加でござる」
「あっしはイジュラン、元漁師だ。北海の荒波に比べればぬるいぬるい! 賞金で息子の船を新調じゃぁー!」
「俺はマッシュだ。地割れに挟まれてもこの肉体でこじ開ける自信がある! 同様に氷点下の急流も泳ぎ切る!」
「我輩はロギンス。南天騎士団切り込み部隊に所属、何事にも体当たりで挑む熱血漢であるっ!」
「オッス! 自分はヒューゴであります! 世界中を旅して己を鍛えるモンクであります!」
みんな筋肉を誇示するようにポーズを取って会話している。
こんな連中の集まりに放り込まれたイズルードはすっかり怯えてしまっていた。
ウィーグラフはというと、自分が実はテロリストであるため他者と関わろうとせず、
隅っこでひっそりと瞑想していた。
93ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 31/36:2005/12/09(金) 20:15:59 ID:RL8c6lwG0

「エドガー殿、顔色が悪いが気分でも?」
「ああ……むさくるしいオーラが漂ってくる……」
来賓席にて、エドガーは控え室から風に乗って運ばれる『男の臭気』に気分を害していた。
そのために彼が取った行動は、濃密な『乙女の香り』で肺を満たそうと、
アグリアスの豊かな、髪、に顔をうずめた。
豊かな、胸、にうずめたいのが本心だったが、さすがにそこまでのセクハラ野郎ではない。
「エドガー殿……重いのでどいてくれ」
「ふふふっ、マッシュは控え室……今なら邪魔出来まい」
ニヤッとエドガーが微笑むと、なぜかアグリアスに悪寒が走った。
そしてエドガーに肩を貸している(ように見える)アグリアスを見て、オヴェリアは頬を染めた。
「あら……アグリアスったら、エドガーさんといつの間にそんなに仲良く……」
「ご、誤解ですお嬢様……このような男、私の趣味では……」
弁解しつつ、アグリアスはエドガーの髪を引っ掴んで、引っこ抜くような勢いで、引っ張った。
「アイタタタッ!!」
エドガーの頭がアグリアスの髪から離れ、涙目になる。
その後、二人は適当に漫才をしてオヴェリアとラヴィアンとアリシアを楽しませた。

「おっ待たせいったしましたぁっ! それでは寒中水泳大会第3レースの出場選手入場ですっ!!」
歓声が上がる中、アグリアスは10名の参加選手の中から2人の男性を探した。
その2人はすぐに見つかり、やはり注目の選手らしくアナウンサーが彼らを紹介する。
94ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 32/36:2005/12/09(金) 20:18:04 ID:RL8c6lwG0
「第3レース注目の選手の紹介をいってみましょう!
 まず、アトカーシャ王家直属、ルザリア聖近衛騎士団長の肩書きを持つ騎士の中の騎士!
 アグリッパ・オークス!! 鍛え上げられた筋肉と、ジェントル魂満載のダンディなお髭を生やした大人の男!
 輝かしい軍歴を誇り、王家の人間を狙う悪漢には、騎士も傭兵も盗賊も暗殺者も貴族ですらも容赦なく、
 バッサバッサと切り倒す凄腕の騎士なのです!」
紹介されながら、アグリッパはマッスルポーズやダンディポーズやジェントルメンポーズを取り、
さらには来賓席の女性貴族達に熱烈な投げキッスを送りまくった。

「……ねえアグリアス」
「何でしょうお嬢様」
「あの方、あなたのご親族?」
「いいえちがいます」
「でもオークスって……」
「よくある ふぁみりぃねーむ です」
「アグリッパって名前もどことなくあなたと……」
「ははは よくあるなまえですよ そんなもん」
「それに彼の所属、あなたと同じよ? しかも団長」
「なまえが にていて ふぁみりーねーむが おなじで ちょくぞくのじょうし。
 まぁ なにかと めをかけていただいたおかげで わたしもほーりーないとになれて かんしゃしてるんですけど」
「何だか喋り方が変よ?」
「あのおかたが きかくした せいこのえきしだんしんぼくぴくにっくは まさに じ ご く」
「顔が真っ青よアグリアス。ねえアリシア、お薬をもらってきてくれない?」
結局――アグリッパ・オークスはアグリアスの直属の上司という事以外、すべては謎のままだった。
父親かもしれないし父の兄弟かもしれないし遠縁かもしれないし、完璧に赤の他人かもしれない。
そんなアグリッパ・オークスの次に紹介されたのは――。
95ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 33/36:2005/12/09(金) 20:19:49 ID:RL8c6lwG0
「お次は遠い砂漠の異国からお出でになったマッシュ選手!」
他の選手と違いファーストネームしか紹介しないのは、マッシュがファミリーネームだけで登録したからだ。
なぜファミリーネームを書かなかったか、事情を詮索するのは野暮だろう。
ただ単に面倒くさかっただけかもしれないが。
「一般参加の彼は予選をブッチギリのタイムで合格した猛者であります!
 本当に砂漠出身なのかー!? 泳ぎも実に野性的で天才的!
 事実確認は取れておりませんが、あの悪名高いレテ川、バレンの滝、蛇の道を制覇したという噂を持つ、
 ミステリアスなマッスルマンだぁー!」

アグリッパと違い、マッシュは特にポーズを取ったりせず普通に岸に立った。
その引き締まった肉体は、来賓席の婦人達からピンク色の吐息を漏らさせる。
「おのれマッシュめ……」
とエドガーが呟いたりもしてた。

「お次はロギンス・タックラー! 南天騎士団切り込み部隊所属の(中略)という熱血漢だぁー!」

「ねえアグリアス、不思議とロギンス選手の説明だけ投げやりな気がするの」
「何をおっしゃりますお嬢様。アグリッパ団長とマッシュ殿に引けを取らない立派な紹介ではありませんか」
「そうよね、ちゃんと紹介してた……はず、だもの」
「あの『ゼクラス砂漠完全包囲網』を一転突破し血路を開いて多くの兵を救った切り込み部隊の一員とは、見事」
「そ、そんな説明あったかしら……?」
「さらにバリアスの丘で敵一個小隊をタックルで崖から落としまくり『タックルマスター』の称号を持っている猛者とは」
「そ、そんな称号あったかしら……?」
96ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 34/36:2005/12/09(金) 20:21:49 ID:4+OlyyUx0

「さて、注目所の紹介が終わったのでさっそくレース開始と行きましょう。ゴングを鳴らせー!」
カーン。
「ゴングが鳴ったー! いっせいに飛び込んだー! 今回は即リタイアな軟弱者はいないぞぉー!
 先頭に踊り出たのはアグリッパ選手だ! 続いてマッシュ選手、イジュラン選手、ウィー選手と続いているぅ!」
ちなみにウィーとは、ウィーグラフの偽名だ。
骸旅団のリーダーともあろう者が本名で出場する訳がない。
「これは速い! みんな速い! 壮絶な記録塗り替え劇が起こるというのかぁー!?
 ああっと! な、これはー!? アグリッパ選手が突然沈みました! 何が起こったー!?」
「足つったー!」
「大変です足つっちゃってます! これは大波乱だ、優勝候補なのに呆気ない幕切れー!」
この展開はアグリアスに冷や汗をかかせた。
アグリアスは、ルザリア聖近衛騎士団の名に恥をかかせないよう、最後まで泳ぎ切る事を目標としていた。
好成績を出そうという考えは、優勝候補にして直属の上司アグリッパが表彰台に上がるだろうと思っていたからだ。
アグリッパが表彰台に立てばルザリア聖近衛騎士団の面子は立つ。
だがそのアグリッパが失格となると……アグリアスの双肩にルザリア聖近衛騎士団のすべてが圧し掛かる。
ルザリア聖近衛騎士団という看板は、アトカーシャ王家直属という意味もあり、
敬愛するオヴェリア様の名誉まで背負わなくてはならない。
重圧に押し潰されそうになりながらも、祈ったところでどうにもならぬと割り切り、
最大のライバルだろうマッシュの動きを注視した。
クロールで泳ぐマッシュ。何と急流をものともせず真っ直ぐに対岸へと直進しているではないか!
驚異的な身体能力に会場がざわめく。
現在の1位は一般参加のファリス、これにマッシュが加わり表彰台を一般参加者が埋めたとあっては、
イヴァリースの騎士はいい笑いものだ。
だからマッシュに少なからず友情を抱いているアグリアスでさえ、この結果には危機感を覚えた。
アグリッパの他に2名の脱落者を生んだ第3レース、総合1位になったのは――。
97ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 35/36:2005/12/09(金) 20:22:20 ID:4+OlyyUx0

 1位 2分08秒 マッシュ
 2位 2分22秒 ファリス・シュルヴィッツ
 3位 2分55秒 ウィー・フラグ
 4位 2分56秒 イジュラン・モートリョシー
 5位 2分58秒 ロギンス・タックラー
 6位 3分15秒 カーマ・セイヌ
 7位 3分25秒 ヒューゴ・オーツス
 8位 4分05秒 フランソワ・クーロホン・ダーサマレタ
 9位 4分22秒 ニキータ・マナ
10位 4分26秒 トンプソン・ジュシュール
11位 4分29秒 ラッド
12位 4分33秒 モエ・イキトーメ
13位 4分44秒 ドウ・デーモイ
14位 4分59秒 イズルード・ティンジェル
15位 6分10秒 ジャンヌ・イナメラキア

そしていよいよ――アグリアス・オークスの出場する第4レースが迫っていた。
ポロリ(とチョコメテオ)の日も近い?
そしてさらに――。
98ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 36/36:2005/12/09(金) 20:22:56 ID:4+OlyyUx0

「ぐほっ!」
雷神シドの義理の息子、オーラン・デュライは河原に倒れた。
「フフフ……これで雑魚は片づいた」
黄色いチョコボに乗った竜騎士が男が呟く。
「不覚っ……我々が、敗れるとは……」
「魔物の力をあなどったのが貴様らの敗因よ」
周囲にはオーランの部下達が死屍累々と倒れ、勝利の余韻も無く殺気で双眸を光らせるチョコボの群れがあった。
「我が偉大なる主、ゴルベーザ様……」
「…………」
「準備は万端です。我らの総力を持って、愚かな王侯貴族に天罰を……」

人間より一回り大きい影の前にひざまずく男……彼こそ第1レースの失格者、バロン男爵配下の竜騎士団隊長、
カイン・ハイウインドその人だった。
その双眸は偉大なる主の思惟を浴びて妖しく煌いていた。

そして……ようやく登場したオーランの出番は、これでついえるのだった……。

to be continued……
99名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 20:56:18 ID:9g6bL7zU0
99ならアグたんがぱんつ脱ぐ
100名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 20:56:45 ID:9g6bL7zU0
100ならそれを俺がもらう
101名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 21:15:08 ID:NMAxs1X50
101なら俺がそれを奪ってネットーオークションに出品
102名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 21:29:11 ID:7IK/h3uS0
熱湯オークションは危険すぎる
103名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 21:44:00 ID:4h/W6ke+0
そうだな。煮沸消毒した方が良いな。
104名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 22:05:21 ID:L48VTltdO
誰だ、アグリアスさんのぱんつを煮て食べるなんて不埒な事を考えてる奴は!
105名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 22:06:43 ID:NMAxs1X50
煮沸消毒しますか?
 rァ はい
    いいえ

それを消毒するなんてとんでもない!
106名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 22:07:00 ID:DdzlbVMa0
銀の元素記号はAg












ごめん言ってみただけ
107名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 22:23:55 ID:NMAxs1X50
ええい、アグさんのスク水姿はまだかっ!
108名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/09(金) 22:39:47 ID:ezOiYfNi0
つまりアグたんは煮沸済みのサラシを巻き、
さらにその上からスク水を着る、ということで。
これならどれだけ乳首が大きかろうと寒さで勃起してようと目立たんよ。
ポロリ対策も兼ねて一石二鳥。

浪漫はなくなるが。
109名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/10(土) 01:29:50 ID:Q8gKJxwK0
今日はアグリアスさんに一日署長ならぬ一日隊長に就いて頂きました。
貿易都市で皆が個室を貰えるほどの上宿に泊まると、隊員一同なにかと気が緩みがちなので、
アグリアスさんも仕事ぶりに嬉々というか鬼気迫る感じです。

アグ「抜き打ち(一日)隊長チェ〜ック!貴様らダベッてる暇があったら素振りを軽く一万本でも振っとれー!!」
アリ「は、はいいい!!」ラヴィ(ワタシらの場合、いつもと変わらん気が…)
アグ「抜き打ち(一日)隊長チェ〜ック!いかがわしい本でも読んでるぐらいなら武具の手入れでもしろー!!」
ムス「ひい!?いきなりドア開けんじゃねーよ!!」

アグ「さて、次はラムザの部屋だが、あいつの事だ、抜き打ちなどやらずとも常に万全、
   真面目に過ごしているものと私は信じる。信じるが…
   ラムザとて男、ムスやラッドのようにいかがわしい本など読んでいたら…
   あまつさえ『どう見ても○○です、ありがとうございました』のような事態になっていたら…
   そんなときは見て見ぬフリをしてやればいいのだろうか!?
   それとも一歩進んで隊員の慰労に努めてやるのも隊長の責務なのだろうか!?
   あああ!私はどうしたら良いのだ!!??」
ラム「あのアグリアスさん、ドアの前で悶えられていると僕が中に入れないのですが…」
110イタンシャの翼:2005/12/10(土) 18:20:00 ID:03OskbtV0
 正確に言えることは、ただひとつ、ラムザはアグリアス・オークスの女陰を見たいのである。
 しかし、その為には、仮令ガフ・ガフガリオンに凌辱されたアグリアス・オークスであっても、
ラムザはバリアスの谷で相対した時に、アグリアス・オークスの凛々しさと気品と哀しみを
知ってしまっているのである。
 ラムザは、あのアグリアスの気品を愛したいと思うのだ。そのためには、自分があの
アグリアスに比する気品と凛々しさというものを身につけられぬ限り、アグリアスの肌の
臭いを感じられる距離に近づくことは出来まいと想像するのである。
111名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/10(土) 23:34:40 ID:yq7WpG+X0
112ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 37/46:2005/12/11(日) 09:08:28 ID:hMEHtVA60
アトカーシャ王家とルザリア聖近衛騎士の看板を一身に背負うアグリアス・オークス!
ついに第4レースの時間となりました、アグリアスの勇姿は見れるのかー!?
さらに第1レースで失格になってしまったカイン・ハイウインドの暗躍。
出番と同時に戦闘不能になってオーランの身を嘆いている暇はない、
果たしてカインの目的とは!? カインが主と仰ぐゴルベーザとはいったい!?
ラムザ、ティータ、ディリータ、アルマ……この4人もどうなっちゃうのか!?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 ドキッ!
   真冬のフィナス河寒中水泳大会。
     ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
主催者:アグスーレ・ニジュイ・クササン男爵
協力 :北天騎士団団長ザルバッグ・ベオルブ聖将軍
    :南天騎士団団長シドルファス・オルランドゥ伯

優勝賞金
1位……50万ギル
2位……20万ギル
3位……10万ギル
審査員特別賞……エクスカリパー(オルランドゥ伯からのご提供)
113ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 38/46:2005/12/11(日) 09:09:09 ID:hMEHtVA60

オヴェリアは手が痛くなるくらい拍手をしていた。
「マッシュさんが1位よ! すごく速かったわ」
エドガーも弟の成績を我が事のように喜んでいる。
「フフフ……倍率は少なかったが、その分多く賭けた甲斐があった。トトカルチョ万歳」
訂正。
×我が事のように喜んでいる。
○我が事として喜んでいる。
ただ――これが何を意味するのか分かっているアグリアス、ラヴィアン、アリシアの表情は暗い。
特にアグリアスは複雑だ。
マッシュが1位になった事は素直に嬉しい思う。反面、このままではイヴァリースの騎士が恥をかいてしまう。
1位のマッシュは他国から、しかも砂漠から来たモンク。
2位のファリスは貿易商のような事をしているらしい一般参加者。
3位のウィーも素性は知れないが一般参加者のはずだ。
これで表彰台すべて一般参加者が埋めてしまった。
いかに騎士20人、一般30人の差があるとはいえ、これではあまりにも情けない。
騎士組の優勝候補であったアグリッパ・オークスまさかの失格さえなければこうはならなかったろう。
来賓席では拍手喝采が起きているが、よく見れば浮かぬ顔をした王侯貴族の数も少なくはない。
(最低でも2分55秒を上回らねば表彰台はありえない……私にそれが出来るか?)
動悸が早まる。寒さ以外の理由で震える手をぎゅっと握り、アグリアスは立ち上がった。
「お嬢様、第3レースが終了しました……私は続く第4レースのため控え室へ行かねばなりません」
「アグリアスもがんばってね、ここで応援してるから」
「はいっ。ラヴィアン、アリシア……お嬢様を頼んだぞ」

アグリアス・オークス。いよいよ決戦の時!
114ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 39/46:2005/12/11(日) 09:09:56 ID:hMEHtVA60

控え室の中、アグリアスはショップにある試着室のような所に入って水着に着替えた。
アグリアスが選んだのは、ルザリア聖近衛騎士団入団前にアカデミーで使用していたスクール水着を、
今の体格に合わせて新しく購入した物だ。やはり慣れた水着の方が泳ぎやすい。
何だがアカデミー時代に戻った気がして、アグリアスは小さく微笑む。
着替えを済ませ控え室内で待ちながら、他の選手を観察してみた。

忍者のように頭巾をかぶったまま、緑を主とした色合いの水着を着ている女性。
頭巾に神殿騎士の紋章が小さくついているので、教会の神殿騎士と見て間違いないだろう。
引き締まった筋肉をしていて手強そうだ。

長いブラウンの髪で、運営委員会から支給された赤ふんと、赤い布をさらしのように胸に巻いた女性。
それなりに鍛えてあるようだが、少し身体が細い気がする。
支給された水着を使っている事ため、もしかしたら水着を用意できなかった一般参加の貧民なのかもしれない。
控え室にいる選手の中で一番気迫を感じられるため、ただ者ではないとアグリアスは判断した。

他は特に気になる選手はいなかった。
あえて言えば、水着に金糸の刺繍を施した見栄ばかりの女騎士や、
華やかにカラーリングされた煌びやかな水着の騎士がいた事が眉をしかめさせた。
祭りにおいて騎士が着飾るのは権威を誇示するため当たり前なのだが、
チャラチャラした水着で氷点下のフィナス河に挑んでも駄目な気がなんとなくだがするのだ。
もっとも、その水着を着た女騎士達がチャラけているとまではアグリアスは考えていない。
単に見栄っ張りの主君らの命令に従ってあんな格好をしているだけかもしれない。

何となく控え室内の女性の人数を数え、自分も含め7人いると確認する。
まだ3人ほど来ていないようだが、アグリアスは来たるべきレースに備え両目を閉じ瞑想を始めた。
115ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 40/46:2005/12/11(日) 09:10:58 ID:hMEHtVA60

「ラムザさん」
「今度は何を食べたいんだい?」
「そうじゃなくて、あそこ、あの橋……ディリータ兄さんとアルマじゃないかしら?」
来賓席の天辺に近い隅っこの席から、小指より小さく見える二人の人間を見てティータは言った。
ラムザも目を凝らしてその二人を見る。なるほど、髪色と服装から多分そうだと判別出来る。
「よく気づいたね。あそこでレースを見ていたのかな?」
「多分。アルマはレースを楽しみにしてましたから、レース中は私達を探さず熱中してたと思います」
「何かはしゃいでるみたいだけど、1位のマッシュって人の泳ぎを見て興奮でもしてるのかな?」
「すごかったですよね、あの流れの中を一直線に泳ぐだなんて」
「うん。ところで二人が見つかったのはいいとして、ここからじゃ声も届かない。
 僕があそこまで行ってくるからティータはここで待っててよ」
「私も行きます。こんな所に一人で残るのって、何だか怖くて……」
「全メニュー制覇したから、もういる理由は無いって事かな?」
「あうっ……」
「ははっ、それじゃ一緒に行こうか。二人に移動されちゃ大変だ」
ラムザとティータが来賓席から降り、上から見下ろせなくなったため、一時的にディリータ達の姿を見失った。
だが居場所は分かっている。でも移動されると困るので早足で向かった。

「ホント、マッシュ選手すごかったなぁ」
「ああ……化け物だよありゃぁ」
アルマは手に汗を滲ませるほど昂ぶり、もはや冬の寒気などものともしていなかった。
「ところで……ラムザ達を探さなくていいのか?」
「あの二人なら大丈夫でしょ。同じ宿を取ってるんだから大会が終われば自然に合流できるし」
「でもなぁ、やっぱり心配……」
「あっ!」
突然、アルマが来賓席を見て叫んだ。
ディリータも首を傾げてそちらを見る。特におかしいものはない。
「どうした?」
「来賓席に友達がいたの。ごめんっ、一人で会いに行かせて」
116ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 41/46:2005/12/11(日) 09:11:35 ID:hMEHtVA60

突如駆け出したアルマにディリータは手を伸ばすが、それより速くアルマは人ごみに埋もれてしまった。
「友達って……貴族の誰かか?」
追いかけようとしたディリータだが、一人で行かせてという言葉に戸惑いしばし黙考する。
来賓席ならアルマは入れるだろう、警備もしっかりしているしザルバッグも弟妹が来ている事は知っている。
だがラムザがティータの面倒を見てくれているだろうに、自分だけアルマをほったらかしにしていいのか?
今ならまだ追いつけると思ってディリータが走り出した時、選手入場が始まった。

「いよいよ第4レースの出場選手入場です! さぁて注目の選手は!?
 やって来ました、北天騎士団団長ザルバッグ・ベオルブ直属の女騎士! セリス・シェール!!
 わずか18歳で伝説の魔封剣を使いこなす超美女だー! 女性選手の中で最も注目されている人物です!!
 全国指名手配されていた大犯罪者、魔導士ケフカを討伐した功績は記憶に新しいと思われます!!」

「アグリアスは紹介してもらえるかしら?」
オヴェリアの呟きに、ラヴィアンが顔をしかめる。
「多分、されないと思いますよ。ルザリア聖近衛騎士団の看板はアグリッパ団長で使っちゃいましたし。
 成績だって特別すごいって訳じゃないですもの。紹介は騎士2人、一般参加者1人の計3人しかやりませんから。
 多分もうひとつの騎士枠で紹介されるのって神殿――」

「お次は神殿騎士団団長のご息女! メリアドール・ティンジェルー!
 教会の威信にかけて! 神殿騎士団団長にして実父ヴォルマルフの名誉にかけて――」

これほど緊張した事があっただろうかとアグリアスは思った。
騎士として重い看板を背負ってこの場に立ったのだが、今は別件に気を取られていた。
数多くの観客、その半分は男性。そんな中、薄い水着一枚でいる事にアグリアスは恥ずかしく感じてしまう。
日々鍛錬を重ねているため、恥ずかしいような身体はしていないつもりだった。
だが今は逆に、筋肉がついた肉体が女性的ではないような気がしてならない。それを馬鹿にされる気がする。
同時に剥き出しの白い肩や太もも、紺色に包まれた胸の膨らみから臀部へと続くライン、
それらを性の視線で見られているように思え、事実そういう目的で見物に来た男は多かった。
117ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 42/46:2005/12/11(日) 09:24:52 ID:hMEHtVA60

「お次はシンシア・スール! 何と彼女は五人姉妹の長女です!
 妹四人を食わせてやるため、優勝賞金目指してレースに参加。泣ける! 泣けるよぉ〜ん!
 予選でもなかなかのタイムを出しているダークホースだ! 果たしてどうなる!?」

アルマはレースが始まりそうなのに気づき、慌てて足を止めた。
そして川岸からレース場の様子を見て、レースを見終えてから来賓席にいるオヴェリアに会いに行こうと考えた。
その後ろを、ラムザとティータが通り過ぎて行った。

「それでは期待の第四レース! ゴングを鳴らしてください!」
寒空の中、高らかにゴングが鳴り、アグリアスは急流へと身を投じた。
途端に全身を痛みが襲う。冷たいを通り越して痛かった、氷点下の急流は。
全身の筋肉がパニックを起こしそうになり、意思に関係なく動こうとしたが、
アグリアスはグッと我慢して潜水を少し続けた後、頭を水面に出してクロールを始める。
過酷な状況が騎士道精神を刺激して、かえって冷静さを取り戻させたのが幸いした。

メリアドールは予想外の冷たさに上手く身体を動かせず、震える手でがむしゃらに水を掻いた。
顔まで冷たくするのが嫌で平泳ぎを選んだが、飛沫が頬を叩いて痛かった。
(くっ……このままじゃっ!)
自分の順位が心配になって左右を確認したが、自分より前に出ているのは二人だけだった。
他の選手もこの冷たさに苦戦しているらしい。
(前……両方とも金髪っ、トップがセリスね!?)
クロールをしているトップの金髪を見て、メリアドールはこっそりかぶったままのフードに手を入れた。
そしてそこから折りたたみ式の小さなナイフを取り出す。
(弟が下から二番目なんていう屈辱の結果になった今、なりふりかまっていられないわ。
 ナイフによるミニ強甲破点突きで、水着の肩紐を切らせてもらう!)
本来は正々堂々と戦う誇り高い騎士のメリアドールだが、弟の無念を晴らすためなりふりかまっていられなかった。
だが、せめて第4レース内だけでも1位にならねば。ブラコン魂が彼女を暴走させた。
あの時イズルードに言った作戦だって本当に冗談のつもりだったのに。
118ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 43/46:2005/12/11(日) 09:26:23 ID:hMEHtVA60

セリスは自分が二番手に甘んじている理由が、勘違いではなかったと悟ってしまった。
先ほどから感じていた奇妙な殺気。それに気を取られて泳ぎに集中できず、
金髪の選手(確かアグリアスという選手)に抜かれたのだ。
クロール中、水の冷たさからつい必要以上に顔を上げてしまったセリスは、上空に見えるそれを目視してしまっていた。
そして隣の選手が水音を立てて泳ぎを止めたのを見て――。

アグリアスは焦った。最初の異変は音。
水音と歓声に混じって、ピリッと小さな音が聞こえた気がしたのだ。
その時、左肩がわずかに痛んだが、冷たい水のせいだとアグリアスはたいして気にしなかった。
だが今度は肩からビリリッという音がハッキリと聞こえ、突如左胸にを強烈な冷たさが襲った。
「あぐっ!?」
ビックリして左腕を大きく上げて、左胸を水から出す。
すると剥き出しの白い乳房が、冷水の上にプルンッと浮かんだ。
ほんのわずかに、胸で一番敏感な部分まで水面から出てしまっている。
しかも身を切る冷たさに反応して、それはツンと立っていた。
(――何で!?)
パニックになったアグリアスは泳ぐのをやめ、胸を腕でおおった。
レース中だという事は、耐性の無い女性としての羞恥によって忘れ去られてしまった。
「ヤッ……」
「危ないッ!!」
アグリアスの小さな悲鳴は、セリスの大きな叫びにかき消された。
そして上流側からセリスが体当たりを仕掛け、アグリアスは下流へと押しやられた。
バランスを崩しながらも、何とか顔を沈めずにセリスの方へ向けると、セリスのすぐ頭上に岩の塊があった。
何で、こんな所に、あんな物が?
セリスの身体が水中に消え、巨石が巨大な水柱を立てた。
119ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 44/46:2005/12/11(日) 09:28:37 ID:hMEHtVA60

突然のアクシデントに会場中から悲鳴が上がる。
そして一番その悲鳴に注意すべき人間達は、寒中水泳という過酷な状況下の中、とても他所事に気をやれなかった。
だがメリアドールは、アグリアスが突き飛ばされるのとセリスが巨石に沈められるのを目撃したため、
その悲鳴の理由を悟った。そして空を見上げた時、もう自分も手遅れなのだと知る。
(これは――ズルをした私への天罰?)
咄嗟に受け止めるように突き出した手が軋み、水中へと押し込まれたため衝撃のすべてを受ける事はなかったが、
それでも骨に異常を来たしたのは間違いなかった。

「何事だ!!」
ザルバッグ・ベオルブは剣を抜きながら立ち上がった。
そしてフィナス河上流側から、黄黒赤のチョコボの大群が迫ってくるのに気づく。
「馬鹿なっ、野生のチョコボだとぉ!? 南天騎士団、来賓席の皆々様を避難させろ! 北天騎士団は私と来い!」
南天騎士団に避難を命じたのは、北天騎士団団長による贔屓ではない。
万が一何かあった場合、南天騎士団の方がフィナス河付近の地理に詳しいため、
避難誘導をするようオルランドゥ伯が前もって決めていたのだ。
その指揮はもちろんオルランドゥ伯が取る予定だったが、不在の今、後任の騎士が会場をまとめるはずだろう。
その間、ザルバッグはあのチョコボの達と戦うのだ。

「ティータ、こっちだ!」
ラムザはティータの手を引き、空から舞い降りた黒チョコボが放つチョコボールから逃げた。
屋台の影に隠れ、身を潜める。
機を見て来賓席の方へ逃げれば、護衛の騎士達が守ってくれる――とラムザは計画を立てた。
「ティータ、来賓席まで一気に――」
逃げ込もうと考えていたその来賓席に向かって隕石、チョコメテオがいくつか落ちる。
隅の席に座っていた何人かの観客が、来賓席から転げ落ちた。
120ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 45/46:2005/12/11(日) 09:33:40 ID:hMEHtVA60

「オヴェッ……!」
友達の名を最後まで言わなかったのは、途中で友達の名前の重さに気づいたからだ。
いきなりトップを泳いでいた選手にチョコメテオが落ちたと思ったら、
今度は会場の中に黒チョコボが空から降ってきてチョコメテオを他の観客に向けて放った。
そして、友達のオヴェリア王女がいる来賓席へと視線を向けた直後、そこにチョコメテオが落ちた。
来賓席から転げ落ちた、フードをかぶった女性。あれは、オヴェリア様ではなかったか?
橋の上から彼女の姿を見た時「もしかしたらオヴェリア様かも」とアルマは思った。
だから近くに行って確認しようと思った。
見間違いじゃなくオヴェリア様だったらとさっきまで思っていた。
今は、見間違いであって欲しいと祈った。
確認するため、アルマは来賓席に向かって駆け出す。その前に――黒チョコボが舞い降りた。
「クエーッ!」
クチバシがアルマに向けられる。

「アリシア!」
エドガーは隕石の下敷きになった女騎士の髪を撫でた。
アリシアは突然空から降ってきたチョコメテオに気づき、
前の席に座っているオヴェリアとエドガーを左右に突き飛ばしたのだ。
結果オヴェリアは直撃を免れ、さらに右隣に座っていたラヴィアンと一緒に来賓席から落下した。
その二人がどうなったかも気になったが、エドガーはまず恩人のアリシアの無事を願った。
彼女が突き飛ばしたのがオヴェリアだけだったら、エドガーもチョコメテオに巻き込まれどうなっていたか分からない。
「アリシア、しっかりするんだ! アリシア!」
アリシアの頭から血が垂れ、美しい顔を濡らしていた。
「お……オヴェ、リア……様は?」
「わ、分からない。来賓席から落ちたようだが……」
アグリアス達が守っていた女性がオヴェリア王女だと知って、
エドガーは自分の冗談半分の推理が当たっていた事に驚いていた。
121ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 46/46:2005/12/11(日) 09:35:05 ID:hMEHtVA60

第4レースで最後尾を泳いでいたミルウーダは、慌てて身体を反転させ岸へと泳いだ。
他の参加選手を助けるという考えが浮かばなかったのは、兄ウィーグラフを第一に思ったからだ。
(控え室――そう、控え室に行って、剣、私の剣を……兄さんは無事なの?)
まずは武器。
元義勇軍骸騎士団の一員として、無辜の民を守らなければ。
その使命感がミルウーダを突き動かしていた。

「ハーッハッハッハッ!!」
赤チョコボにまたがった竜騎士が高笑いをしている。
無数のチョコボと共に、東側から会場へと突っ込んできたのだ。
「北天騎士団本隊は、北から攻めてきた囮部隊に気を取られている。この隙に運営委員会本部を襲撃だ!」
無数のチョコボを連れて会場を駆け巡り、竜騎士は大会運営委員会の小屋に突入した。
そこには南天騎士団の部隊長がおり、部下に指示を出しているところだった。
「貴様っ……そのチョコボは!? 貴様が先導したのか!」
「ご名答」
竜騎士はニタリと狂気の笑みを浮かべた。その顔に部隊長は見覚えがあった。
「貴様は……カイン・ハイウインド!? これはバロン男爵の差し金か!」
「クックックッ。あんな卑小な人間が、こんな素晴らしい戦いを挑むと思うか?
 これは我が真の主、ゴルベーザ様の御意思なのだよ」
「ゴルベーザ? それはいったい……ぐあっ!」
カインの突き出した槍が、部隊長の右肩を貫く。これでもう戦えない。
部下達が慌てて剣を抜くが、運営委員会の小屋にチョコボが雪崩れ込んできたため応戦が手一杯だった。
「ぶち壊してやる……俺を失格にした、こんな大会など……」
カインの呟きは、チョコボ達が暴れる音に埋もれ、誰の耳に届く事も無かった。

to be continued……
122名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/11(日) 11:47:48 ID:2bzwbW590
休日の朝からGJ!
123名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/11(日) 14:52:01 ID:JeGSh++M0
ポロリキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
124名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/11(日) 20:43:16 ID:mv8dDGHg0
ポロリを、ポロリをもっと堪能したかっ…(チョコメテオで圧死)
125名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/11(日) 21:40:17 ID:fDZjeU5WO
乳首勃っちゃってたアグさんにハァハァ…
126名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/12(月) 00:13:26 ID:WOnQPzaC0
どうなるのかな?
+   ∧_∧      +      +
    (0゚・∀・) ドキドキ    。
  oノ∧つ⊂)     +
  ( (0゚・∀・) ワクワク     。
  oノ∧つ⊂)     +   +    。
  ( (0゚・∀・) テカテカ     。
  oノ∧つ⊂)        。
  ( (0゚・∀・) ワクワク     +
  oノ∧つ⊂)       。
  ( (0゚・∀・) テカテカ      +
  oノ∧つ⊂)
  ( (0゚-∀-) ワクワク +
  ∪( ∪ ∪            。
    と__)__)
127名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/12(月) 09:50:59 ID:WcNPFZGk0
アグスレで敢えて言おう

ミニ強甲破点突き萌え
小者っぷり全開のカインにも萌え
128名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/12(月) 18:57:41 ID:8HtXCsfW0
スク水アグリアスさんにおもいっきり開脚後転していただきたい。

そしてそのまま倒立に移行していただきたい。
さらにそのままグラウンド一周していただきたい。
さらにそのまま縄跳びしていただきたい。
129名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/12(月) 21:20:54 ID:UVQYLudc0
ラムザにクンニされて赤面しているアグたんの画像って以前ありましたか?
130名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/12(月) 23:32:11 ID:zcU6X6W70
どうだろう?絵掲になら以前そんなようなのがあったような気がしないでもないが。
131名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/12(月) 23:44:00 ID:MJ7HpCbh0
同人でならあるが、お絵描き版とかでは実はほとんど無い気がする。
まあシチュは違うけど一応体勢的に近いものが一個あったが。
ttp://fftonly.s3.x-beat.com/up/data/471.jpg
132名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/13(火) 00:15:19 ID:gJ7YExmQ0
旧絵掲にあったもので近いものならこれとかかな。
ttp://u.skr.jp/128/files/29171.png
もっともキャプションでは、ラムザはアナル舐めをしているとのことだったが、
体勢的にクンニもしていると見ても差し支えなかろう。
133名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/13(火) 00:57:03 ID:XvIiu+yO0
(・∀・)イイ!!
134名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/13(火) 03:06:54 ID:jYXh8CYD0
ウホッ!
135名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/13(火) 22:18:58 ID:5uM1ph++0
136名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/13(火) 22:31:47 ID:gJ7YExmQ0
さすがの毒蝮もアグさんには「クソババア」発言はしないようだなw
137名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/14(水) 01:51:51 ID:jv7Kcuxm0
アグたんは冬場は毛糸のパンツをはいている。

そしてダンジョンに入るときは毛糸の先を入り口付近に結びつけ、奥へ奥へと…
138名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/14(水) 01:55:39 ID:cADymhh70
……つ、つまりいずれは………ゴクリ
139名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/14(水) 05:01:01 ID:YCv5vztj0
戦って戦って、君はアグリアスのために死ねるのか〜!?
140名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/14(水) 07:04:46 ID:cfwabYji0
>>135
朝っぱらから吹いたw
141名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/14(水) 22:17:30 ID:ZkbwWfVE0
保守ッ!
142畏ヴァの拳:2005/12/15(木) 01:48:49 ID:o89TAGc20
おじいさん「どうかお許しくだされ、このお人は本当によく出来た剣聖さまなんですじゃ!」
アグリアスさま「よく出来た剣聖〜?
         いいか!ホーリーナイトより優れた剣聖なぞ存在しねえ!」

アグ(―な〜んちゃったりして)
ラム「は?アグリアスさん、何か言いましたか?」
アグ「うむ、一日も早く畏国に平和が来るよう戦いぬかなければ、と思ってな」
143名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/15(木) 11:17:26 ID:CJrPf/F00
ツマンネ
144名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/15(木) 13:07:43 ID:0OtrByXH0
M字開脚の状態でクンニされてるアグたんが見たい
145名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/15(木) 15:50:08 ID:4nJ/jMu70
最近、えがあったりなかったりというサイトで
踊り子や時魔導師やチョコボ姿のアグリアス絵が書かれてたけど、
チョコボの破壊力はなかなかのものだったな
146名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/15(木) 17:02:24 ID:NMfeZmVq0
チョコボ姿のアグリアス
チョコボ姿のアグリアス
チョコボ姿のアグリアス

チョコボに乗ってるアグリアスじゃなくて、
アグリアスがチョコボになってるのか・・・
想像デキネw
147名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/15(木) 17:43:21 ID:D540whZLO
またアグアグ言ってるんでしょう、たぶん。
148名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/15(木) 17:54:19 ID:tLsehoCu0
アグがチョコボになるというと、
ちょうど前スレであったアグとチョコボの中身入れ替わり騒動みたいなのか、
はたまた単純にアグたんがチョコボの着ぐるみ来て駆け回るのか。



まあどう転んでもお腹いっぱいな状況だが。
149名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/15(木) 20:58:11 ID:sZ4y2+Ad0
>>146
チョコボの着ぐるみ着たアグリアスは?
150名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/15(木) 21:47:16 ID:DNj4eAJh0
チョコボの羽毛布団ならありそうだけどな。
軽くてあったかい掛け布団だ。
冷え性なアグさんのために、ラムザが少しずつボコの綿毛をためて、こっそり作ってる。
151名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/15(木) 23:53:14 ID:pyf0RtSz0
敵状視察の為に着ぐるみを着て敵地に潜入後、なんかの間違いで
群れのリーダーに納まってしまい、近隣の人々から悪魔のチョコボと呼ばれ
大いに恐れられる… とか そんなの。
152名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/16(金) 01:51:19 ID:n/axXKQA0
真新しいチョコボ羽毛布団でアグリアスさんとラムザをまとめて簀巻きにして、
ユーグォの森の大木に一晩ぶらさげておく実験をしてみたい。
153名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/16(金) 14:35:25 ID:878P5/ZW0
ラムザ君がムラムラしてパンツの中に白い液出してしまいます
非常に危険なのでやめましょう
154名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/16(金) 15:10:26 ID:MSRRO9x20
とりあえず何でもいいからアグたんの匂い嗅いでみたい
155名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/16(金) 21:37:51 ID:BcsWg8fS0
そういえば、冬祭りで再販するってたアグ本はどのサークルだっけ?
覚えてるてる人か絵師さん詳細うpきぼん
156名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/16(金) 23:34:57 ID:L/aPA1aA0
俺もきぼん
157名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/16(金) 23:42:59 ID:n/axXKQA0
従者さんのとこじゃなかったか。
参考までにロダのスレを。
ttp://fftonly.s3.x-beat.com/up/fft.cgi?mode=res&no=471&st=11

上三つの絵のラフはオンリー本にも掲載されてたしね。
158名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 02:39:49 ID:P0fRA7gB0
159名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 04:38:59 ID:jldYv/+Y0
FFTの学園パロものの小説を書いてみようと思うのだがどう思う?
もちろんメインはアグたんで。
160名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 05:11:29 ID:njSApHLZ0
女教師なのか女生徒なのか、そこが問題だ。
161名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 05:16:01 ID:RMhkQlApO
別にどっちでもいいんじゃね?
162名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 05:16:38 ID:jldYv/+Y0
すまない女生徒になる予定なんだ・・・。
163名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 05:22:05 ID:jldYv/+Y0
でも ID:njSApHLZ0の好みにあわせて女教師者も書く努力もしてみるよ。
164名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 05:33:13 ID:njSApHLZ0
あぐあぐ。
165名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 05:34:49 ID:njSApHLZ0
俺は>>160の書き込みをした覚えはないんだが・・・
もしかして同じID?
166名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 05:45:59 ID:jldYv/+Y0
こんな時間にたくさん人がいるんだね。
てかさらにすまないんだが実はもう書いてある上に投稿してあるんだ。
誰も見てないっぽいので宣伝してしまった↓
http://fftonly.s53.xrea.com/ss/normal/anthologys.cgi

学園モノとか嫌う人いるかな?と思い反応をうかがってった、スマソ。
さらに面白くないからもっとすみません。
167名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 09:38:32 ID:jldYv/+Y0
http://fftonly.s3.x-beat.com/ss/adult/anthologys.cgi
さらにこちらにアグたんの教師ものを追加。
エロ注意してください。
こんな時間から俺はなにやってるんだ。。。orz
168名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 12:42:46 ID:H8P3hp+N0
エロは半角へ
それ以外はここで
まあなんにせよ乙
169行く人 ◆yDU/dR5FV. :2005/12/17(土) 18:56:41 ID:uLNrbosw0
ゲーム本編で初めて会うキャラを、過去話のコレでどう扱おうか……とか考えてたら、何か長くなっちゃった。
何はともあれ投下開始。
170ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 47/66:2005/12/17(土) 18:57:23 ID:uLNrbosw0
チョコボの奇襲!
水着の肩紐が切れたアグリアスをかばい、セリスはチョコメテオを受けて河に沈む。
ズルをしたメリアドールも、これが天罰かと思いながらもう一発のチョコメテオで沈んだ。
ラムザはティータを守ろうと屋台の影に隠れ、逃げ込もうとした来賓席の惨劇を見る。
アルマは来賓席にいた女性がオヴェリアか確認しようとするが、その前に黒チョコボが立ち塞がった。
アリシアはオヴェリアとエドガーの身代わりとなってチョコメテオの下敷きとなってしまう。
ミルウーダは応戦すべく控え室へ剣を取りに戻った。
そして裏切りのカイン――まあ当然っちゃ当然の展開ですねカインの裏切りは。
果たして寒中水泳大会はどうなってしまうのか!?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 ドキッ!
   真冬のフィナス河寒中水泳大会。
     ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
主催者:アグスーレ・ニジュイ・クササン男爵
協力 :北天騎士団団長ザルバッグ・ベオルブ聖将軍
    :南天騎士団団長シドルファス・オルランドゥ伯

優勝賞金
1位……50万ギル
2位……20万ギル
3位……10万ギル
審査員特別賞……エクスカリパー(オルランドゥ伯からのご提供)
171ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 48/66:2005/12/17(土) 18:58:03 ID:uLNrbosw0

「セリス殿!?」
剥き出しの胸を腕で隠したまま、アグリアスは恩人の名を叫んだ。
羞恥にアグリアスの女性の精神が乱れたが、恩人の危機は騎士の精神を前面に押し出させた。
力強い思惟で氷点下の急流に潜り、目を凝らしてセリスの姿を探す。
チョコメテオはすでに河の底に落ち濁りを作っている。
その濁りの中、宝石よりも美しい金糸の束が紅い水流になびいていた。
髪の毛穴すべてを冷水に刺激され鋭い痛みが走りながらもアグリアスは深みへと泳ぎ、
ようやく濁流から出たセリスの身体を発見した。
口から空気を吐くセリスを見てアグリアスは焦る、だが、冷静を努める。
気がつけばもう露出した胸を隠してはいなかった。
さっきまで水着に守られていた胸は、まだ冷水に慣れず身を切るような痛みを感じた。
それでも水を掻いて、ひたすらセリスへ。
(無事でいてくれ、頼む!)
伸ばした手がセリスの手を掴んだ。
気絶しているらしくセリスは動かない、ある意味好都合とアグリアスはセリスを抱いて水上へと泳いだ。
自ら顔が出たアグリアスとセリス。意識の無い恩人の頬を力いっぱい叩き呼びかける。
「しっかりしろ! セリス殿! 水を吐いて息をするんだ!!」
「ゲホッ……ガフッ、カハッ……はぁっ」
「よし……よかった、セリ、わっ!?」
突如背中に何かが食い込み、今度は何事かとアグリアスは困惑する。
だがそれがレース場の下流に張られた網だと気づき安堵した。これを伝って岸まで戻ればいい。
「セリス殿、網を掴めるか?」
「肩が……駄目だ、左手はかろうじて動く……」
「一人では無理か、しっかり私に掴まって――あぁっ!?」
アグリアスは周囲を見回し、会場の至る所に野良チョコボが入り込んでいる事に気づいた。さらに――。
172ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 49/66:2005/12/17(土) 18:59:03 ID:uLNrbosw0

「オヴェ……あ、ぐぅ……」
セリス以外にも負傷している選手がいたらしく、他の選手に救出されている様子などを確認した後、
アグリアスは来賓席の一角を見て絶望した。
岩に押し潰されている金髪の女性を、エドガーが助けようとしている。
「オ……いや、金髪ならラヴィアンかアリ……うっ、うぅ……」
「アグリアス殿。あそこに貴公の主君がおいでとお見受けするが、スタート地点の方が近い……そちらに戻ろう」
「しかし……!」
「急がば回れだ、すぐ下流の所に橋がある……そこを通った方が速い」
「あ、そ、そうか。急ごう……」
アグリアスは恩人を連れて網を伝い、岸へ戻ろうとした。

控え室に戻ったミルウーダは自分の剣を手に取るとすぐ兄の所へ行こうとしたが、
その控え室にも黒チョコボが一匹侵入していた。チョコボールが壁に穴を開ける。
「くっ……こんな所で死ぬ訳には!」
剣を振るいながら、ミルウーダはあのたこ焼きを忘れていった誰かは無事だろうかと思った。

「ティータ、しっかりして、ティータ」
震えているティータの肩を強く抱くラムザ。外傷は無い、腰が抜けてしまったのか。
屋台の影で怯えるティータをどうにか守ろうとラムザは考えるが、
来賓席にはいくつかのチョコメテオが落ちパニックになっていて、助けを求めに行くには不適切に見えた。
せめて剣があればと思うが、お忍びで来ているため帯刀はしていない。
「ら、ラムザさん」
「大丈夫かい?」
「に、兄さん……兄さんとアルマは……」
「ディリータは僕より腕が立つしトラブルにも強い、きっと上手く逃げてるよ」
そう言うラムザの後ろを、一人きりのディリータが来賓席へと駆け抜けて行った。
ティータはうつむいていたためそれを見逃した。
173ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 50/66:2005/12/17(土) 18:59:44 ID:uLNrbosw0

「アルマ……来賓席に向かったはず、無事でいてくれよ。……ティータ、ラムザも……」
この時、視野の狭くなったディリータは気づけなかった。
左の屋台の影にティータとラムザがいた事。
右の岸で今まさに黒チョコボに襲われようとしているのがアルマだという事。
気づかずに、ディリータは来賓席へと走った。
来賓席の前に貴族特有の金の髪が見えたため、それがアルマだと勘違いしたのが拍車をかけた。
が、金髪が二人組みであり、さらに服装も違うと気づき、
それでも二人の金髪の女性に向かって走るのをやめなかったのは、その二人に向かって黄チョコボが向かっていたからだ。

身体に二度目の衝撃が走った時、オヴェリアは身体の下からうめき声を聞いた。
オヴェリアを抱いたまま来賓席から落ちたラヴィアンが自ら下敷きとなったのだ。
「ラヴィアン……!?」
「っく……大丈夫、立って下さい、避難しましょう」
「でも、アリシア……私をかばって。アグリアスも、河に石が落ちて」
「チョコメテオってやつですよ。さあ立って、オヴェ、お嬢様が立たないと、私も」
オヴェリアが身体の上からどくと、ラヴィアンは半身を起こして剣を抜き、それを杖にして立った。
「アリシアは……」
「……大丈夫ですよアリシアなら、ああ見えてしぶといですから。
 アリシアが身を挺してかばったそのお身体、危険にさらしてはアリシアが悲しみます。逃げ……ツァッ!」
「ラヴィアン!?」
ラヴィアンのプレートメイルの背中にヒビが入った。
黄チョコボの鋭いクチバシによる衝撃がラヴィアンの身体を痛めつける。
「クエェィッ!」
凶暴な鳴き声を上げ、チョコボは続いてオヴェリアの顔面を突こうとした。
「危ないっ!」
そこに、男がオヴェリアを体当たりで突き飛ばす。
174ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 51/66:2005/12/17(土) 19:00:23 ID:uLNrbosw0
オヴェリアは土で服を汚し、横たわった状態から自分を助けた男の背中を見た。
その男は倒れているラヴィアンの前に立ち、ラヴィアンの剣を持って、チョコボに対峙している。
「クェッ!」
「このっ!」
男は剣をチョコボの顔面に突き出すが、チョコボは首を傾けて避ける。
しかし上手なのは男だった。避けられた剣をチョコボの首にあてがう、
勢いが死んでいるためそこで押し斬る事は出来なかったが、引き斬る事なら可能なのだ。
剣を後ろに引きながら、チョコボの首筋を斬り裂く。
鮮血が男の顔面を汚した。
よろめくチョコボに、今度は渾身の力を込めて男は剣を突き刺した。心臓を貫かれチョコボは息絶える。
「大丈夫か?」
「え、ええ……」
男は顔を血で染めていたため恐ろしく、月に一度に自身の血を見るだけのオヴェリアは、とても男を正視出来なかった。
男もまた、王女である事を隠すためオヴェリアが咄嗟にフードを深く被ったため、
顔の半分ほどしか見えず少し美人だなという程度しかオヴェリアの事は分からなかった。
「なぁっ、こっちに金髪の女の子……の平民が来なかったか?」
「い、いえ……知りません」
「そうか」
男、ディリータが平民と言ったのはアルマの事だ。
お忍びのため、それなりに上等ながらも貴族の物ではない服を着ている。
金髪という言葉で貴族を想像されると思ったため、ディリータは平民と付け加えたのだ。
一方オヴェリアは金髪の女の子と聞いてアルマを想起したが、続く平民との言葉でアルマである可能性を否定した。
アルマは名門ベオルブ家の末娘であるからだ。
「親友の妹なんだ、探さなくちゃいけない。剣は騎士さんに返すぜ」
ディリータはラヴィアンの前に剣を刺すと、アルマの姿を探して走り去った。
お互いの名も知らず顔も知らず、小さな出会いは終わった。
再会の日が来るのかどうか、知る由があるはずもない。あるはずもなかった。
175ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 52/66:2005/12/17(土) 19:01:25 ID:uLNrbosw0

下から二番目のタイムという恥をかいたイズルードは、来賓席に戻りにくかったため、橋の上からレースを見ていた。
姉がチョコメテオを受けて沈んだのを見た時はショックだったが、
他の選手が姉を抱えて浮かび上がったのを見てホッと安心する。
急いで網の張ってある所へ行き姉の介護をしようとイズルードは考えたが、
視界の端で捉えたものに注意を向けてしまったがために彼は力強く木造の橋を蹴った。
ナイトブレードであるイズルードの得意技は、竜騎士のそれと同様、天空を飛翔するジャンプだ。
金髪の平民の少女にクチバシを向けている黒チョコボを見たイズルードは、
弱者を守る騎士の信念から黒チョコボの頭上に舞い降り、その勢いで剣を首に突き刺した。
一撃で仕留めたと確信したイズルードは、助けた少女に目を向けた。
腰を抜かしてこちらを見上げている。結構可愛い子だな、なんて思いながらイズルードは微笑んだ。
「怪我は無いか」
「だ、大丈夫です」
イズルードは素早く周囲を確認し、他にも人を襲おうとしているチョコボの姿を確認してしまった。
こうなっては、姉を助けるために民を見捨てるなど心優しいイズルードには出来ない。
「早く逃げろ、俺はモンスターを倒す」
「あっ、待って!」
「何だ!? 逃げるのまで面倒見切れないぞ!」
「ブツブツ……マバリア!」
少女はイズルードの言葉に耳を貸さず呪文の詠唱をし、聖なる光の膜でイズルードを包んだ。
「これは……聖魔法? クレリックか?」
「ありがとうございました、がんばって!」
イズルードは自信を見せるように微笑んで、チョコボの上からジャンプで飛び立った。
そして新たなモンスターを駆逐しに行く。
イズルードは、さっき助けた少女の顔を可愛らしいと思ったものの、
実際に顔を見ていた時間は一分もあるかないかで、チョコボを三匹ほど倒した頃にはもう顔はうろ覚えになっていた。
見れば思い出すだろうが、数ヶ月も経てば、見てももう思い出さなくなるだろう。
助けられた少女、アルマもイズルードと同じようなものだった。
ちょっと格好いい騎士さんだなと思いながらも、
来賓席の前にたどり着きオヴェリアらしき人物の姿がもう無い事に落胆して、
もうイズルードの顔はうろ覚えになっていた。そしてオヴェリアを探しを再開する。
176ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 53/66:2005/12/17(土) 19:02:05 ID:uLNrbosw0

オヴェリアとラヴィアンが無事逃げる姿を確認したエドガーは、岩をどかしてアリシアを救助する。
「骨が折れてるか……よくてもヒビが入っているだろう。私の背に」
「申し訳ありませんエドガー様……」
来賓席から雪崩のように逃げようとする王侯貴族の中、エドガーはアリシアを背負ってゆっくりと歩いていた。
下手に動いて人ごみに飲み込まれては、人を背負っているエドガーでは転びかねない。
アリシアの身を気遣ってエドガーは未だ来賓席の出入口までたどり着けていなかった。
そこに空から黒チョコボが降りてくる。
「エドガー様、上!」
気づいたアリシアが危険を知らせると、エドガーは即座にオートボウガンを構えた。
黒チョコボが着地するタイミングを狙って引き金を引く。
すると通常のボウガンより矢の速度は遅いものの、連続で5本もの矢が放たれチョコボに突き刺さった。
「すごい……」
「熊のぬいぐるみには使えなかったが、モンスターには使える」
言いながら、オヴェリアが抱いていた熊のぬいぐるみの事を思い出した。
自分達が座っていた席を振り返ってみると、人に踏まれたのか汚れた熊のぬいぐるみが転がっていた。
さらに――対岸のスタート地点に這い上がっているアグリアスの背中が見えたため、
エドガーはいったんアリシアを下ろし、手帳を取り出した。

「アルマー! ディリーター!」
ラムザの呼びかけに答える者は無かった。
当然というか、この騒ぎのせいで人々は逃げ惑い、橋の上にいたアルマとディリータの姿はもう無かった。
ラムザ達がやってきた方向に二人ともいるのだが、そんな事を知るはずもなかった。
「……向こう岸に行ってみよう。ディリータを探さなくちゃ」
「は、はい。……兄さん無事ですよね? アルマも」
「もちろんだよ」
ふとラムザはレース場に視線を向けた。
網の前に緑のフードの女性と、金髪の美女が横たわり、それを幾人かの人間が介護していた。
その内の一人が、なぜか水着の左肩部分が切れて、左の胸が丸見えになってしまっていた。
思わず視線をそらし、改めてディリータ達を探す。
177ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 54/66:2005/12/17(土) 19:02:47 ID:uLNrbosw0

さすがセリス・シェールだとアグリアスは感心した。
セリスはチョコメテオの直撃を受けるよりも早く水中に潜ったため、
水の抵抗を受けたチョコメテオの一撃は致命傷にはならず、右肩の骨にヒビを入れる程度で済んだのだ。
一方チョコメテオの直撃と水上で受けたメリアドールは、右腕を骨折していた。
「セリス殿、身を挺してお助けいただき何と礼を言ったらいいか……」
「気にするな……それより、いい加減それを隠せ、はしたない」
セリスに言われて、アグリアスは慌てて肩紐を引っ張り上げてきつく結ぶ。応急処置は済んだ。
女性以外に見られていなかっただろうかとアグリアスは不安になる。
そんなアグリアスを見てセリスは苦笑し、隣で寝転がっている女性に視線を向けた。
「ところで、そちらの……うっ、く……」
「そっちの方は、右腕の骨を折ってるようで……白魔道士の心得がある者がケアルを。
 他にケアルを使える者は!? 私はレース前、故あって魔力を使い果たしてしまって」
負傷したセリスとメリアドールを他の選手に任せたアグリアスは、剣を取って戦うため控え室へと駆け戻った。
その控え室は壁に穴が空いていたのでアグリアスは驚き、中で黒チョコボが暴れていると知った。
構わず飛び込んで、アグリアスは自分のロッカーに行き剣を握り、次に盾を掴もうとして、
「危ない!」
咄嗟に横っ飛びに避けた刹那、アグリアスのロッカーにチョコボールが叩き込まれる。
アグリアスの盾と鎧は使い物にならなくなった。
声をかけてくれたのは同じ参加選手の女性で、長いブラウンの髪に見覚えがある。
騎士では無かったはずだが、剣の使い方が様になっているから傭兵だろうか。
「我が名はアグリアス・オークス! 助太刀する!」
「私はミルウ……ミル・フラグ! 感謝する!」
骸旅団リーダーの実妹ミルウーダは、本名を口走りそうになり慌てて言い直した。
助けに来たのが敵である貴族だったため一瞬眉をしかめたが、今は協力するしかない。
大会を警備していた騎士は来賓席の貴族達を優先して避難させるだろうから、
ここで無駄に争っても一般客への被害が増加するだけだ。
178ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 55/66:2005/12/17(土) 19:03:54 ID:uLNrbosw0
ミルウーダが黒チョコボを引きつけている隙を突いて、アグリアスは不動無明剣を放つ。
聖なる氷山がチョコボに傷を負わせ動きを止めさせた。
「ミル殿、とどめ!」
ミルウーダは遠心力をつけて力いっぱい剣を薙ぎ、黒チョコボの首を半ばまで切り裂いた。
野生のチョコボの鍛えられた筋肉を切断しきれなかったのは恥ではないが、
貴族の手前情けない姿を見せてしまったのではと嫌な気分になってしまった。
「岸にいるみんなが心配だ、護身用に剣だけでも届けてやらねば……ミル殿、手伝ってくれ」
「……ええ」
二人が手分けして剣を回収していると、突如天井が破れ隕石が控え室の中心に落ちた。
新たな侵入口から赤チョコボが2匹飛び込んでくる。
威力の高いチョコボールとチョコメテオの両方を使う赤チョコボは、
ある意味ドラゴンやベヒーモス以上にやっかいな相手だ。
「キャアッ!」
赤チョコボに注意を向けた直後、ミルウーダが悲鳴を上げる。
見れば壁の穴からも黄チョコボが一匹、ミルウーダの間近に現れていた。
こいつはチョコケアルを使うため、攻撃力の高い赤チョコボと組まれた時は非常にやっかいだ。
ミルウーダは回収した剣を手放して黄チョコボから距離を取ろうとする。
アグリアスはチョコケアルを使う黄チョコボを先に倒さねばと考えるが、赤チョコボがそれを阻む。
(どうする……どう戦う……)
早くミルウーダの援護もせねばならない。
焦るアグリアスの視界が、白光に包まれた。
「なっ……」
白光は窓から射し込んでいるが陽光ではない。白光は赤チョコボ2匹を吹き飛ばした。
179ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 56/66:2005/12/17(土) 19:04:33 ID:uLNrbosw0
アグリアスは窓の方を見て、パッと表情を輝かせた。
まさかここでこの男が来てくれるとは!
「マッシュ殿!」
「……無事か? アグリアス」
マッシュは壊れた窓から控え室に飛び込み、黄チョコボにも両手を向けて白光を放った。
「オォーラキャノォーン!!」
赤チョコボを治療するため駆け寄ろうとしていた黄チョコボは、真正面から気の力を浴びて絶命した。
「なっ……何という威力の波動撃だ」
「オーラキャノンだ」
「先の攻撃も、一撃で赤チョコボ2匹を戦闘不能に。波動撃は単体攻撃だというのに」
「だから……これはオーラキャノンつって……」
マッシュが眉をしかめていると、今度は壁の穴からナイフが飛来してきた。
身体を緊張させる3者だが、ナイフが倒れたままの赤チョコボに突き刺さるのを見て安堵する。
「中途半端はよくない……そこの筋肉ダルマに向かってチョコボールを放とうとしてたぜ」
壁の穴から入ってきたのは、第2レースをトップでゴールし、総合順位2位のファリスだった。
「よう、そこの3人。ちょっと手伝ってくれないか? どうやらこの騒ぎの黒幕は運営委員会本部にいるらしいぜ」
「しかし、私は主君の無事を確認しに行かねば……」
「あんたが助けた選手達の所に、こんな物が射ち込まれてたぜ」
言いながら、ファリスは矢とクシャクシャの紙切れをアグリアスに渡した。
「その矢は兄貴のオートボウガンの……矢文か?」
「何? エドガー殿からの伝言……」
恐らく女性選手のデータをまとめていた手帳の切れ端を、矢に結んで来賓席から飛ばしたのだろう。
アグリアスは期待と不安に鼓動を早まらせた。
『アグリアスへ。お嬢様はラヴィアンと無事避難、アリシアは負傷し私が保護している。安心せよ』
アグリアスは安堵の笑みの後、力強い騎士の表情に変えた。
これならひとまずは安心だ。ならば今は、騎士として――。
「このような悪逆、人の意思によるものならば許す訳にはいかぬ。手伝おう」

アグリアスは剣を川辺にいる騎士に届ける役目をミルウーダに任せると、
水着の上から服を着てマントを羽織り、マッシュとファリスと共に外のチョコボの群れに挑んで行った。
180ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 57/66:2005/12/17(土) 19:05:26 ID:uLNrbosw0

矢文を書き終えた時、アグリアスの濡れた後ろ髪が控え室に向かっている事に気づいたエドガーは、
自分の行為が無駄になるのではと唇を噛んだが、まだ何人かの選手が川岸にいたため、
彼女らが矢文を届けてくれるだろうと思いオートボウガンの引き金を引いた。
本来数本の矢を連続して放つ機械は、1本だけ装填された矢を対岸へと放った。
矢に気づいた選手達は最初は慌てたものの、手紙に気づくと控え室の方を見て、
その控え室がチョコボの襲撃を受けている事と、チョコボが2匹こちらへ向かっている事にも気づき悲鳴を上げた。
エドガーがオートボウガンに再装填して構えるまでの短い時間の間に、紫の風がチョコボを紅く染めた。
紫髪の美女ファリスは刀を手にしており、選手達はファリスが控え室の様子も見に行こうとしていたため矢文を渡す。

ファリスは手紙を一読しているわずかな間に白光が控え室を襲う。
見ればマッシュがオーラキャノンを放っていた、恐らくアグリアスを救うためのものだろう。
矢と手紙を持ってファリスは控え室へと走る。
それから少しして、ファリスはアグリアスと――なぜかマッシュも連れて、
大会運営委員会の小屋の方へと駆けて行った。

エドガーは、もうこれ以上この場に留まって出来る事はないと判断し、
負傷したままのアリシアに再び肩を貸して来賓席から避難しようとするのだった。
181ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 58/66:2005/12/17(土) 19:06:17 ID:uLNrbosw0

「しんくうは!」
マッシュの放った疾風の刃が、こちらに向かってきていたチョコボの群れを牽制した。
「不動無明剣!」
アグリアスの追撃で、最前列にいたチョコボを聖氷の檻で捕縛する。
「いあいぬき!」
ファリスが猛攻を受けてうろたえている魔物の群れに素早く飛び込み、次々に一刀両断していく。
今日出会ったばかりの3者は、初めての共闘でありながら優れた技術により見事なコンビネーションを決めた。
敵陣のど真ん中にいるファリスをチョコボが取り囲むが、ファリスは刀の二刀流で舞うようにチョコボを切り刻み、
ファリスの背後を取ったチョコボはアグリアスの不動無明剣で動きを止めさせられた。
さらに上空からファリスめがけて落下してきたチョコメテオを、マッシュのオーラキャノンがぶち壊す。

アグリアスは戦いながら、マッシュとファリスの強さが自分とは異なる質のものだと知った。

マッシュは鍛え抜かれた筋力を、優れた技術によって100%生かして戦っている。
しんくうはやオーラキャノンといった遠距離攻撃だけではなく、
ばくれつけんやメテオストライクといった近距離で圧倒的破壊力を誇る必殺技を持ち、
素手でありながら3人の中でもっとも攻撃力に勝る男だ。
赤チョコボ2匹に迫られると、マッシュはオーラキャノンを2匹の間に放ち左右に吹き飛ばすと、
赤チョコボがまだ倒れていないにも関わらず2匹の間を突き抜け、
その奥にいたチョコボを引っ掴んで天空に飛び上がり、勢いをつけて地面に黄チョコボの首を叩き込む。
やっかいなチョコケアルを使う黄チョコボを倒す時に重要なのは、いかに早く息の根を止めるかだ。
戦闘に支障がある程度の傷を負わせても、驚異的な治癒力で回復されてしまうため、いたちごっこになる。
だからこそ一番攻撃力に優れる自分が、回復の暇を与えず黄チョコボを撃破すべくだとマッシュは自覚していた。
必殺技を使う余裕が無い時も無理に回避しようとしたりせず、
凄まじい筋力による通常攻撃でチョコボの突進を止め、
正拳、裏拳、アッパー、肘打ち、回し蹴り、かかと落とし、水面蹴り、四肢を自在に使いこなして敵を叩き潰す。
182ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 59/66:2005/12/17(土) 19:07:17 ID:uLNrbosw0

そしてファリスは力こそアグリアスと同程度だろうが、単純な剣の技量はアグリアスに劣った。
我流なのだろうか、勇ましく荒々しい動きは攻撃に特化しており、防御面では不安がある。
そんなハンデをものともしない理由が、臨機応変に敵を翻弄し的確な攻撃を加える点にあった。
近くのチョコボを二刀流で苛烈に斬り伏せながらも、常に戦場全体を把握する目を持ち、
敵がどう動くか、味方がどうサポートするかも見抜いているようだった。
刀で胴体を半ばまで斬った黒チョコボは絶命しなかったが、
横から赤チョコボが迫っていたため無理にトドメを刺そうとせず、
ファリスはすぐさま距離を取って回避して手裏剣を投げて牽制する。
赤チョコボの足に手裏剣が刺さって動きが遅くなった刹那、
倒れたままチョコボールを放とうとしていた黒チョコボにも手裏剣を投げてトドメを刺す。
危地に身を投じながらも、本当に危なくなる前に後ろへ下がり、
無理にトドメを刺そうとせず、だがトドメを刺せる時には着実にトドメを刺す手際のよさ。
近くのチョコボが片づいて一息入れられるような暇があれば、
刀を構えてタイミングを見計らい、マッシュやアグリアスに気を取られているチョコボの群れに飛び込んで、
いあいぬきで一気に無数のチョコボを斬殺する。

教科書通りの剣術を勤勉にこなしてきたアグリアスにとって、
実戦の荒波で鍛え抜いただろう戦い振りは非常に参考になるのもだった。
183ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 60/66:2005/12/17(土) 19:08:44 ID:uLNrbosw0
しかしアグリアスとて負けてはいない。
速射性に優れ範囲攻撃であり、尚且つ敵の動きを止める効果の持つ不動無明剣を最大限に使いこなす。
マッシュとファリスが瀕死まで追い込んだモンスターに、次々とトドメの一撃を叩き込む。
また、特に興奮して暴れている危険なチョコボがいれば聖なる氷檻に閉じ込めてやるので、
マッシュやファリスは安全にそのチョコボに攻撃を仕掛ける事が出来た。
練度の高い正統派剣術で接近戦もこなしたが、
応戦している間にたいていマッシュやファリスが横からトドメをさらった。
少々地味な役回りになってしまったアグリアスだが、縁の下の力持ちとして無くてはならない存在だ。

もしかしたらこの時すでに、
あるパーティーに入って主戦力として大活躍するも後から入ってきた超強いお爺さんに出番を取られ、
お爺さんがトドメを刺し損ねた奴をちまちま仕留めるような未来が決まっていたのかもしれない。
――が、どんな未来が待ってるかはまだ誰も知らないんだからそうなるとは限らないよね!(多分)

大会運営委員会本部の小屋の前には赤チョコボが5匹、黄チョコボが2匹も待機していた。
外を見張るよう命令でもされていたのか統制が取れている、一筋縄ではいくまいとアグリアス達は感じた。
「いっくぜぇ! しんくうはぁー!」
早速マッシュが烈風を放つと、チョコボは左右に分かれてそれを避けた。
今までのチョコボとは違う、明らかにレベルが高いようだ。
184ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 61/66:2005/12/17(土) 19:09:33 ID:uLNrbosw0
左に避けた赤チョコボ3匹と黄チョコボ2匹が突っ込んで来る。
ファリスがいあいぬきで一網打尽にしようと前に出た刹那、その眼前にチョコメテオが落ちた。
「なっ!?」
ファリスの攻撃を予期して放たねばありえない攻撃。
無理に地面を蹴って左に避けたファリスを、狙いすましたように赤チョコボのチョコボールが追撃。
さすがにこれは避けきれず、ファリスはチョコボールの直撃を受け吹き飛んだ。
「マッシュ殿ッ、チャクラを!」
「俺のチャクラはステータス異常しか治せねぇっ!」
「それは気孔術ではないのか!?」
「俺の大陸のチャクラはそうなんだよ!」
話し合いながらもアグリアスとマッシュは果敢にチョコボと戦った。
まず黄チョコボを潰そうと、マッシュがオーラキャノンを放つ。
赤チョコボ1匹の身体をかすめ、黄チョコボの肩羽をえぐる。
その間に突っ込んできた赤チョコボ2匹をアグリアスの不動無明剣が止めた。
直後、最初に右へ回避した赤チョコボ2匹がそれぞれチョコメテオとチョコボールを放つ。
2人は後ろに飛んで避けるのが精一杯で、マッシュは倒れているファリスの横に着地した。
その間に黄チョコボが、チョコケアルで赤チョコボ3匹を回復する。
内2匹は氷漬けのままだが、もう1匹はオーラキャノンがかすった怒りに突撃してきた。
「ばくれつけん!」
赤チョコボの巨体を拳の弾幕で防ぎ、即座にアグリアスが横に回って剣を首へと突き刺す。
さすがに絶命した生物まではチョコケアルで回復出来ない。
「クエッ!」「クエェー!」
右に回った赤チョコボ2匹が、マッシュの真似をするようにチョコボールの弾幕を張って肉薄する。
しかも悪い事に、ファリスを巻き込みかねない角度でだ。
オーラキャノンの威力なら迎撃できるが、気を溜める時間が決定的に足りない。
不動無明剣の氷壁など簡単に貫くだろう、攻撃には便利な技だが防御に使える類いの技ではない。

避けるしかない、ファリスの身を危険にさらしてでも。
2人ともそう判断した、それが実に的確な判断であると分かっていた。
185ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 62/66:2005/12/17(土) 19:10:55 ID:uLNrbosw0
アグリアスは、未だ倒れたままのファリスの前に立って剣を構えた。
剣が折れてしまうだろう、6つの弾の内たった一発しか迎撃出来ないだろう、
残る弾は自分自身を盾せねばならぬだろう。ファリスを守るために。
初対面のファリスにそこまでしてやる義理は無い。
が、アグリアスの優しい性根が意思に反発し突発的に飛び出してしまった。
迫るチョコボールの前に大きな背中が割り込む。
「マッ――!?」
「ば く れ つ け ん!!」
鈍く重い音が大気を揺らす。
チョコボールの破片がマッシュの前に飛び散った。
しかし仰向けに倒れたマッシュの腹部にチョコボールが一発だけめり込んでいた。
さらに両の拳の皮はずり剥け、赤く染められている。骨に異常があるかもしれなかった。
「ぐっ……」
「うおおぉぉぉっ!!」
吼えるしかなかった。
今日会ったばかりの自分のために身を投げ出したマッシュをやられた怒りを咆哮という形で放出する。
自分自身が、今日初めて会ったばかりのファリスのため身を投げ出した事など気にも留めず。
「不動無明剣ッ!!」
迫る赤チョコボ2匹も氷壁に封じ込め、直接トドメを刺すべくアグリアスはマッシュの身体を飛び越えて迫った。
しかし横で、さっき止めた赤チョコボの1匹が氷を破って突っ込んで来る。
がむしゃらに、けれど長年積んだ修練によりそれなりの型を守って、アグリアスは剣を横薙ぎにした。
赤チョコボ突進の勢いとタイミングが偶然にも合い、刀身は赤チョコボの首へ深く斬り込まれた。
だがアグリアスの筋力では両断には至らず、赤チョコボの首に剣が刺さったままになる。
引き抜こうとする間に左の黄チョコボが再び羽をはばたかせる。
チョコケアルでもう1匹の赤チョコボを回復し戦わせようと考えたのだろう。
その考えを読んでいた人間がいた。
ファリスは軋む身体を気合で捻じ伏せ、黄チョコボに飛び掛った。
黄チョコボは驚きながらも、チョコケアルを止められずにあり、敵ファリスをも回復してしまった。
「おらぁっ!」
男のように叫んだファリスは、刀を黄チョコボの首に突き刺し、捻って傷口を広げる。
186ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 63/66:2005/12/17(土) 19:13:21 ID:uLNrbosw0
自らの血液に溺れた黄チョコボは、窒息と激しい痛みに目を剥いて倒れた。
直後、赤チョコボが呪縛から解き放たれ、氷の欠片を撒き散らしながらファリスに迫る。
アグリアスはまだ剣を引き抜いている最中だった。
ファリスはよろけてながらも刀を向け、マッシュは倒れたまま手を伸ばし赤チョコボの足を掴んだ。
「クェッ!?」
凄まじい握力に驚いた赤チョコボはその場に立ち止まり、掴まれたままの足でマッシュを蹴る。
尖った爪先はマッシュの脇腹の下に入り、それを不幸中の幸いというのだろう、
突き刺さらずすくい上げるように蹴飛ばされるだけですんだ。
その隙に、ファリスは渾身の力でいあいぬきをした。赤チョコボの首が刎ねられる。
直後、力を使い果たしたようにファリスは倒れた。
最初に左側へ避けたチョコボは全滅。
残るは右側に避け、今は不動無明剣に封じられた赤チョコボ2匹と、無傷の若い黄チョコボ1匹。
黄チョコボはさっそく赤チョコボ2匹の側に立ち、チョコケアルをしていた。
それを口惜しげに見ながらアグリアスはようやく剣を抜き、しつこく不動無明剣を放つ。
驚いた黄チョコボは情けなく尻餅をつきわずかに後ろに下がったため効果範囲から逃れた。
どうやらこの黄チョコボはまだ若いらしく、他のチョコボに比べレベルが低いように思われた。
好機と見るアグリアスだが、チョコケアルを受けた影響か二度目の不動無明剣をものともせず赤チョコボが氷を破る。
「ふっ、不動無明剣!」
赤チョコボが最初のように左右に分かれたため、1匹にしか技をかけられなかった。
しかもその赤チョコボは動きを止める事なく、傷つきながらも突っ込んでくる。
そもそも、2度も連続で赤チョコボ2匹両方の動きを止められた事自体が幸運だったのだ。
3度も幸運が続くほど、天運はアグリアスを向いてはいなかった。

「ふ、不動――」
ならば4度! アグリアスは聖剣技を放とうとしたが、呼吸が続かず上手くいかない。
不発だとアグリアスは悟り、咄嗟に剣を盾に赤チョコボのクチバシを受けた。
圧倒的な体重と速度に、アグリアスは剣を弾き飛ばされながらその場に押し倒される。
チョコボの足がアグリアスの胸を踏みつけた。
187ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 64/66:2005/12/17(土) 19:14:16 ID:uLNrbosw0
「ガハッ!」
圧迫された肺から酸素が全部吐き出される。鎧を着ていればここまではならなかったろう。
踏まれた拍子にチョコボの爪がアグリアスの右肩を裂いており、服が赤く染まった。
さらにもう1匹の赤チョコボがいたぶるような目でアグリアスを見ると、
鋭いクチバシをアグリアスの眼球目掛けて振り下ろし、
「乱命割殺打!」
巨大な剣の気によって上空へと吹き飛ばされた。
アグリアスに圧し掛かっていたチョコボは新たな敵に驚き、睨み据える。
アグリアスも見た。
ブラウンの髪をした精悍な顔立ちの男が剣を握っている。
傭兵だろうか? 服装は至って普通、いや、どこかで見たような気がした。
「ウィー……だっけ」
呻くような声でマッシュが名を呼んだ。
そしてアグリアスは思い出す。
ウィーとはマッシュと同じ回のレースに出場した男で、現在の総合順位が3位という強豪にして、
骸旅団リーダーであるウィーグラフ・フォルズの偽名だ。
「お前は確か1位のマッシュ……? ここまで続いていたチョコボの死体はお前達の仕業か」
「へ、へへ……まぁ、な……」
「後は任せろ」
ウィーグラフは不適に微笑み、剣をアグリアスの上にいるチョコボに向かって大きく払う。
アグリアスなどとは比べ物にならない剣速に怯んだ赤チョコボは、アグリアスの上からジャンプして逃げた。
圧倒的跳躍力で距離を取ろうとした赤チョコボを見据え、ウィーグラフはその着地点を見極める。
「あそこか……死兆の星の七つの影の経路を断つ!」
剣を振りかぶり、赤チョコボが降りるだろう箇所目掛けて力いっぱい振り下ろした。
「北斗骨砕打!」
紅い尖塔が赤チョコボの落下する勢いを利用して、一発で急所を突き破った。
何と鮮やかな手際か――アグリアスは自分より優れた聖剣技の使い手に感動を覚えた。
188ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 65/66:2005/12/17(土) 19:15:13 ID:uLNrbosw0

残るは若い黄チョコボ1匹。
尻餅をついたまま、足をばたつかせて必死に立ち上がろうとしている姿が実に滑稽だった。
ウィーグラフはその黄チョコボに剣を持って近づき、のど元に切っ先を突きつけ――。
「く、くぇえ……」
「…………」
剣を引いた。
「……そこにいる奴、出て来い! チョコボを操り、祭りを楽しむ民衆を蹂躙した罪、赦す訳にはゆかん!」
「ふふ……甘い男だ。あいつを思い出す……!」
運営委員会の小屋から、返事とともに赤チョコボが――いや、赤チョコボに乗った男が現れる。
竜騎士の鎧に身を包み妖しく光る双眸をウィーグラフに向けている。
「貴様……第1レースのカインという男か」
「ご名答。我が主ゴルベーザ様の命により、貴様ら愚かな人間共を粛清する!!」
「ゴルベーザ……黒幕の名か。そいつもまとめて成敗してやろう」

ウィーグラフは剣をカインに向けた。
カインは不適に微笑み槍を構えた。

マッシュとファリスは倒れたまま成り行きを見守る。
アグリアスは――震える手に力を込め、土を握り、何とか半身を起こす。
このまま倒れているなど騎士のプライドが許さぬ。
そしてそれに応えるだけの体力が、まだアグリアスにはあった。
189ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 66/66:2005/12/17(土) 19:16:00 ID:uLNrbosw0

標高6千ドーマのゼアラ山脈より流れ込む水は、夏でも氷点下まで下がることがあるまで言われており、
真冬の今、フィナス河に入るのは自殺行為と言えよう。
だからこそ寒中水泳大会を開き、心身の強さを競い合おうとしたのだ。
しかし、それを嘲笑うかのようにそれはそこにいた。
人間とは何と弱き者か。
他者の住処を侵さず各々のあるべき場所で、バランスの取れた生き死にを連綿と積み重ねる調和の取れた世界。
そこに土足で蹂躙し血肉で汚し、同属同士で調和を破壊する争いを繰り返す愚かな人間……。
屈する訳にはゆかぬ、暴虐には暴虐で応えよう。

「貴様、なぜこのような騒ぎを起こす! モンスターをけしかけ無差別に人々を襲うなど、騎士の恥さらしめ!」
「ハッハッハッ、無差別だと? それは違う、我々の目的はこの会場にいる人間全員だ!
 この馬鹿げた祭りをする腐れネズミに何をしようと構わんだろう?」
「貴様も参加選手だろうに! ゴルベーザなどと如何わしい者と結託するとは、バロン男爵への忠義はどうしたぁーッ!」
言い合いながら、ウィーグラフは決して足を止める事なく動き回り、
赤チョコボの放つチョコボールから逃れていた。
カインは赤チョコボを巧みに操り攻撃を放ちながらも接近を試みている。
槍が届く距離なら、聖剣技発動より槍の方が早い。
かといってウィーグラフに接近され剣の間合いに入るのも御免のようで、動きは慎重だ。
「バロン男爵などもう知らん。下らん民衆を守るのももうやめだ……。
 弱肉強食、それぞ古来より続くこの世の掟! なぜ強者たる我らが弱者のため身を張らねばならん!?
 弱い奴のために苦労するなどもう真っ平だ! 弱い奴は黙って死ね! 俺は強者として生きる!
 そして誰よりも強いお方がゴルベーザ様なのだ! ゴルベーザ様の理想の力に貴様も敗れろー!」
「貴様のような腐った騎士や貴族がいるから、この国はッ!!
 貴様が理想を力で押し通そうとするなら、私も私の理想を力で貫かせてもらう、貴様を倒す事によって!」
「面白い、やってみろ!」

ウィーグラフの高潔な思惟の光が剣に宿り、聖なる気を集中させた。
「鬼神の居りて乱るる心、されば人かくも小さな者なり! 乱命割殺打!」

to be continued……
190名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 19:23:31 ID:1GSNYb9v0
乙です、偉い大長編になってきたなぁ(;´Д`)
191名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 19:35:47 ID:yoyve+IZ0
ぬるぽー!
192名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 19:38:22 ID:HGQvAsIU0
なんかすげえぞ
193名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/17(土) 23:41:41 ID:03EXPpuJ0
どーでもいいけどバロン男爵ってバロンバロンだな。
194名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/18(日) 02:24:19 ID:w+DDHPxd0
鶏肉食いたくなってきたぽ
195名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/18(日) 05:06:42 ID:NW67WL/k0
超GJ!
ところで、マッシュのチャクラは
自分に効果がないだけでHPの回復もできるぞ
196名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/18(日) 07:12:31 ID:0ZegaN/60
アグ戦争
197名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/18(日) 12:19:36 ID:XbnBtpIH0
アグとマッシュの異文化交流が大好きだ。
198名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/18(日) 16:54:38 ID:SsUzdiut0
そろそろミニスカサンタアグたんの絵や
アジョラ聖誕祭といったエセクリスマスSSがくる季節になりましたか。

アグリアスさんが重い袋かついで良い子にダンベルとかプロテインとか配るのですよ。
199名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/18(日) 17:27:28 ID:wVd7aMI30
24日の夜はSSの嵐と思われる。
いや、そうに違いない!頼むよ職人さん!
200名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/18(日) 18:05:35 ID:PpEexNiS0
200ならアグたんがフィギュアスケートイヴァリース代表
201名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/18(日) 18:45:50 ID:B5+UGtlr0
滑れずへっぴり腰で氷を砕き歩くアグたん萌え
202名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/18(日) 20:08:30 ID:ewfTto7X0
よい子のラムザは今なおサンタの存在を信じていると思われ。
もう血にまみれた自分にはサンタ来ないんだと思い込んでる。
そんなあほ毛にアグサンタが…
203名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/19(月) 03:49:18 ID:jhVKhlB+0
プレゼントを届けにひっそりとアホ毛の部屋に忍び込んだアグサンタ。
ついついラヴリーな寝顔を覗こうとしたら、
ラムザはジークデンの悪夢にうなされ、うっすら涙さえ浮かべていた。
アホ毛の悲痛なまでの寝姿を見つつ、切ない気持ちで胸がいっぱいになってしまったアグサンタ。
それまであった(額に『肉』と落書きしちゃおうかな)といういたずら心はキレイさっぱりなくなっていた…
204名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/20(火) 09:50:01 ID:OI5hdkf9O
あぐあぐ
205名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/20(火) 11:33:33 ID:3xwPqh2A0
誰か従者さんのサークル名か配置を教えて欲しい…
アグ本への最後の望みが消えてしまう。
むしろ従者タソ降臨きぼーんぬ
206行く人 ◆yDU/dR5FV. :2005/12/20(火) 19:43:16 ID:jXtKXxgD0
従者さんじゃなくて申し訳ないが、ポロリを投下しに来ました。
207ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 67/76:2005/12/20(火) 19:44:26 ID:jXtKXxgD0

騎士の精神を具現化したような巨剣のオーラが、カインの赤チョコボを襲おうとする。
「はっ!」
カインは巧みに赤チョコボを操り乱命割殺打を回避して、
ウィーグラフの横を通り抜けながらスピアを繰り出し肩当てをかすめる。
衝撃に肩を痺れさせながら、ウィーグラフは身体を回転させて向き直り、届かぬ刃を振るった。
「命脈は無常にして惜しむるべからず……葬る! 不動無明剣!」
氷岩が降り注ぐ中をカインは突っ切り射程外へ逃げると、ニタリと笑って赤チョコボを旋回させようとする。
そのタイミングを見計らいウィーグラフは左手を突き出した。
「渦巻く怒りが熱くする! これが咆哮の臨界! 波動撃!」
強烈な気が唸り、聖山を砕いて氷弾とした。
回避不能な細かく無数の弾丸を前に、カインは咄嗟に剥き出しの顔を手で覆った。
散弾は小さく威力に欠け、カインの鎧に次々と弾かれてしまう。
チョコボも羽毛が氷弾を受け止め、せいぜいいくつかの氷刃が浅く刺さっただけだ。
だが隙を作るには十分。
気を溜め直し聖剣技や波動撃を撃つよりも、接近して刃を振るった方が早いと判断したウィーグラフは、
力強く地を蹴ってカインに肉薄し剣を突き出す。
視界を閉ざされていたカインは、ウィーグラフの殺気を感じたため咄嗟に足でチョコボの脇腹を蹴った。
赤チョコボは城壁すら跳び越える脚力で力いっぱい天空へと飛翔する。
ウィーグラフの剣は空を切った。
だがこれなら着地点を狙えばいいと、ウィーグラフは目標を見上げながら聖剣技の準備に入る。
赤チョコボは太陽の中に消えた。いかにウィーグラフといえど太陽を直視は出来ない。
立ち居地を変えれば角度も変わりカインを目測出来ようと、ウィーグラフは横に飛んだ。
ゴオッ、と風の切る音が聞こえ、ぼんやりと見える太陽の中の影が大きくなった気がし、
カインの企みに気づいたウィーグラフはさらに地を蹴って移動する。
太陽の中から落下してきたチョコメテオは、さっきまでウィーグラフが立っていた場所をえぐった。
そして太陽の中から赤チョコボの姿がズレ、その赤い身体がハッキリと瞳に映る。

「死兆の星の七つの影の経路を断つ! 北斗骨砕打!」
208ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 68/76:2005/12/20(火) 19:45:08 ID:jXtKXxgD0
紅の尖鋭が紅の身体に向かって屹立する。
赤チョコボはどうする事もできず心臓を串刺しにされ紅い鮮血で羽毛の色を濃くした。
だが騎乗していたはずのカインの姿が無い事にウィーグラフは気づき、直後、
天空から猛スピードで竜を模倣した鎧が槍を構えて迫る。
空中で赤チョコボの背中からさらにジャンプをしたその威力は凄まじく、
剣で攻撃を受け止めたウィーグラフは背中から地面に倒れ、肺から酸素を搾り出されてしまう。
「ガハッ!」
「クククッ……お前の負けだ!」
カインが槍をウィーグラフののど元に向けた瞬間、横からの衝撃によろけた。
裂けた右肩を左手で押さえながら、アグリアスが体当たりをしたのだ。
「ぬぅっ!?」
よろけたカインに向かってアグリアスは剣を振るが、カインは体当たりを食らった勢いをそのままにアグリアスから離れ、
槍の間合いで立ち止まり強い殺気を放つ。
「邪魔をするな……女ッ!」
「命脈は無常にして……」
「させるかァー!」
この距離なら槍の方が早い。カインはアグリアス目掛けて槍を突き出したが、
それを予期していたアグリアスは身体を捻って避けると同時に前進、カイン目掛けて剣を払った。
聖剣技ではない、直接剣でカインの鎧を叩く。
さらに手首を捻って、柄でカインの顔面を突き上げた。
鼻っ柱を強打されカインの意識が白む。
さらに腹部を蹴り飛ばされカインは後退し、鋭い眼差しでアグリアスを睨み、剣を構えているのを見て青ざめた。
「命脈は無常にして惜しむるべからず……葬る!」
「しまっ……」
「不動無明剣!」
一瞬にしてカインの身は氷結され、体力を一気に失った。
氷が砕けると息を荒くし、槍を上段から振り下ろす。
一歩下がって避けるアグリアスだが、槍は地面とほぼ水平の高さで止められ、そのまま強烈な突進をされる。
咄嗟に剣で払い軌道をそらしたものの、カインの接近を許してしまい、傷めている右肩を小手で殴られてしまった。
209ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 69/76:2005/12/20(火) 19:45:44 ID:jXtKXxgD0
「ぐあっ……!」
思わず剣を落としてしまうアグリアス。
さらにカインは傷ついている右肩を掴み、力いっぱい下に引っ張り地面に這いつくばらせる。
その時ビリリッとアグリアスの服が破けた。もともとチョコボの爪で裂かれた時に、
服も水着も半分以上破れていたためだ。
倒れたアグリアスの横に回ったカインは、苛立たしげに脇腹に爪先を入れ蹴り起こす。
「よくも邪魔をしてくれたな!」
脅すようにカインはアグリアスの顔の横に槍を突き立てようとしたが、
負傷のせいで手元が狂い、アグリアスの左肩を小さく裂いた。
止め具が壊されたマントがアグリアスから外れてしまい、さらに服もわずかながら穴が開き白い肩が露出する。
「ククッ、相手が女だからといって容赦はせんぞ……」
「殺したければ殺せ!」
「いい度胸だ!」
振り上げたカインの槍に波動撃が炸裂する。先端に衝撃を受けたため思い切り弾かれてしまった、
手放さなかったのは幸運だろう。カインは唸りながら攻撃の主を睨んだ。
「うおおっ!」
ウィーグラフの袈裟斬りを後ろっ跳びにかわしたカインだが、ウィーグラフは立ち止まらず続けて剣を振る。
「うっ、ぬうっ!」
後ずさりしながらカインは剣を避け、時に槍や小手で弾き、追い込まれていった。
轟々と流れる河の音が背中に迫る。
カインは焦る、相手の方が地力は上だ、このままではやられてしまう。鎧の中で冷たい汗が噴き出た。
さらにウィーグラフの向こうでアグリアスが立ち上がる姿まで見える。
形勢はあまりにも悪い。
あと一歩も下がれば河に落ちるだろう位置まで追い詰められたカインは、何とか逃げようと咄嗟にジャンプをした。
だが着地を狙える技量を持つウィーグラフの前では自殺行為だ。
ウィーグラフは着地点を見極めるべく、飛翔したカインを追うように見上げ、突如、顔を漆黒で包まれる。
「これはっ!?」
顔を押さえて後ずさろうとしたウィーグラフの足を何かが掴み、急流へと引きずり落とした。
210ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 70/76:2005/12/20(火) 19:46:37 ID:jXtKXxgD0
「おおっ! ゴルベーザ様!!」
「何ッ!? ゴル……うわぁっ!」
早瀬に呑み込まれたウィーグラフは、レースで3位の実力でありながら消耗した体力と水を吸った服のせいで、
いともたやすく溺れてしまった。
「ウィー殿!」
助太刀しようとしていたアグリアスが叫び、その横を、黄色い風が吹き抜けた。
「何っ!?」
上空からカインはすべてを見ていた。ウィーグラフに見逃され尻餅をついたままだった黄チョコボが、
河に向かって失踪し、飛び込んだのだ。
「まさかあの男に恩返しをしようとでも!? おのれ!」
カインが着地した頃にはもう、ウィーグラフもチョコボも見えなくなっていた。
代わりに――河から何かが上がってきた。
「ゴルベーザ様、先ほどは危ういところをありがとうございました」
ひざまずくカインを一瞥した後、アグリアスは河から上がったそれの姿を見た。
「きっ……貴様がゴルベーザか!?」
同様に、さっきから倒れたまま事の成り行きを見守っていたマッシュとファリスもそれの姿を見た。
「こいつが今回の事件の黒幕だと……?」
「馬鹿な……こいつがか?」
アグリアス、マッシュ、ファリスの3人は、呆然とそれを見た。

ぬるぬるした顔にヒゲのように伸びた触手っぽいもの、手は普通に触手だったりして、どっからどう見てもこれは。
『マインドフレイアー!?』
顎が外れるほどの勢いで3人は叫んだ。
それに対しカインは、
「無礼な! この方こそ地上最強の暗黒の力を持つゴルベ……うっ、頭が痛い……ハッ! 俺はいったい何を」
『マインドブラスト』
「ぐはっ! ……ふふふ、俺はゴルベーザ様にお仕えする竜騎士カイン! 愚かな人間を粛清してやる」
『脳みそが変色したー!?』
息ピッタリにツッコミを入れる3人。
『マイ、マイフレ〜イア。インドイーンマイフーレフレ』
(どうも、マインドフレイアのゴンザレスいいます。住処荒らされて頭キたんでいてこましたろー思うてなぁ)
ゴルベーザじゃなくゴンザレスだったが、残念な事に魔獣語が分かる人がいなかったのでツッコミは無かった。
211ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 71/76:2005/12/20(火) 19:47:19 ID:jXtKXxgD0
「わはははは! ゴルベーザ様の高貴なお姿に恐れおののくがいい!!」
『マイマイマイマイ、フレフレフレフレ。
 マインードフレフレマイフレイア。マ、フレイーアフレ……マイ?』
(洗脳したんわいいけど、何やハッチャケすぎとるなぁ。
 ゴルベーザやのうてゴンザレスやっつーの。ゴ、しか合っとらんやないか……おや?)
マインドフレイアのゴンザレスは、アグリアスに視線を向けた。
『マイン!? マイマイフレフレイーイア!』
(うおおうっ!? わい好みのべっぴんさん発見や〜!)
アグリアスに悪寒が走った。
「むうっ! ゴルベーザ様が殺気立っておられる。そうか、あの女を殺せというのですね? お任せあれ!」
カインはゴンザレスの興奮を勘違いし、アグリアスに槍を向ける。
『マ、マインド! マーフレイアッ!』
(ちょ、何すんのや! やめんかボケッ!)
「ゴルベーサ様!? ぐあわぁぁぁっ!」
怒ったゴンザレスはカインを触手で締め上げ、さらに地面にドカドカ殴りつけた。
何度も頭から落とされたカインは気を失い倒れる。
そしてアグリアスにゴンザレスの魔の手が迫った。
『マーインドフレフレ』
(よーしさっそく脱がせちゃうぞぉ)
「くっ……もう戦えるほど体力が、ここで死ぬのか……」
後ずさるアグリアスに触手が伸び、服の上から身体中を撫で回した。
「キャアッ!? なっ、何だ!? やめ……ヒャアン!」
ゴンザレスの触手がアグリアスの服を湿らせると、ピッタリと肌に張りついて布越しに身体のラインがあらわになる。
それがまた裸体とは異なるエロチズムに満ち溢れていた。
濡れて張りついた衣類の股間から横に向けてスクール水着のラインがバッチリ見えてしまう。
さらに太ももにもズボンがピッタリとくっつき、余った布がしわを作った。
「こ、こんな……うぅっ、いっそ殺して……」
半泣きになってしまうアグリアス。
マッシュはとても見ていられぬと顔をそむけ、ファリスは怒りに立ち上がろうとしたが身体が言う事を聞かなかった。
212ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 72/76:2005/12/20(火) 19:48:03 ID:jXtKXxgD0
『マイィン。マーイフレイアマイマイフーレ』
(可愛いなぁ。それじゃそろそろこの邪魔くさい布を取っ払うとしよか)
ゴンザレスの吸盤がアグリアスの鎖骨に張りつき、ヌルヌルとした感触とともに奥へと侵入し出す。
「うぁあ……気持ち、悪い……やめ……アッ!」
腕の方から入った触手がアグリアスの脇を舐めるように撫でた。
くすぐったさと気色悪さにアグリアスは鳥肌を立てる。
その反応が面白かったのか、ゴンザレスはいたぶるようにアグリアスの脇くすぐった。
触手の先端で、触手の吸盤で、触手のツルツルした表面で、執拗になぶる。
「だ、駄目……あうっ、ウンッ! くすぐっ……たっ、あアッ! ヒャッ、ヒャウ。やめ……アハッ、アァァンッ!」
『マイフレ! マイ、マイフレ!!』
(ブラボー! おお、ブラボー!!)
狂喜乱舞するゴンザレスの触手に力が入る。
「ぐぅっ……!」
そのせいで身体が絞められ、アグリアスは苦悶し涙をこぼした。
直後、触手から力が抜ける。
『マインッ!?』
悲鳴を上げて触手を解くゴンザレス。よろよろと後ずさり、腹を押さえた。
アグリアスは地面に四つん這いになって咳き込みながら、涙でかすんだ視界の中に金髪の少年を発見する。
少年――ラムザはアグリアスの剣を持っていた。
「たあっ!」
『マッ!』
ラムザの振るった剣がゴンザレスの身体を袈裟斬りにする。
内臓までは達していないものの、鋭い一撃を受け痛みに苦しむゴンザレス。
「このっ……いくらモンスターだからって、女性に何て事を!」
『マ……フレ……』
剣の心得があるラムザは、基本に忠実な剣技を繰り出す。
力強く踏み込み、体重を乗せて剣を真っ直ぐ縦に振り下ろした。ゴンザレスの触手が2本、地に落ちる。
続いて下から斜め上に斬り上げゴンザレスをさらに後退させると、腰を落として力を溜めた。
213ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 73/76:2005/12/20(火) 19:48:57 ID:jXtKXxgD0
優勢になったラムザは、渾身の力を込めて剣を横に振った。
しかし半円を描く銀光の下をゴンザレスがくぐり抜け、触手でラムザを捕縛しようとする。
危険を承知でラムザは剣を手放し、ゴンザレスに向かって体当たりをした。
体重で負けるラムザは、ゴンザレスの巨躯に弾き返され尻餅を着く。
直後、その顔面に真っ黒い墨が吹きかけられた。金の髪が黒く染められる。
「うあっ」
続いて触手が一本、ラムザの首に絡まりぎゅうぎゅうと締めつける。
本来ならラムザの細い首程度ならへし折れる強力を誇るマインドフレイアの触手だが、
刀傷により弱った今、時間をかけて窒息させる程度の力しか出せなかった。
「ぐっ、ぐぐ……」
『マイフレフレイア!』
(何してけつかんねん小僧!)
首を締めつけられるというのは、ただ息を止め続けるのとはまったく異質の苦しみだとラムザは知った。
黒い墨の下で顔が真っ赤に染まる。
首と触手の間に指を突っ込もうとするも、滑って上手くいかずのどを掻くようにもがき、
子供のように足をばたつかせていた。着実に死の階段を登ってしまっている。
「ぐゥ、ゲェッ……」
端整なラムザの唇から、蛙のような潰れた声が漏れる。
それが聞こえたのだろうか、もしくはラムザの苦しむ姿をそれ以上見ていられなかったのか、
弾かれたように少女は飛び出した。
「やめてぇっ!」
ティータの声だと、薄れ行く意識の中でもラムザは聞き取った。
ティータは半泣きになりながらラムザに駆け寄り、首に巻かれた触手を掴んだ。
しかし非力なただの少女がどうこう出来るはずがなく、結局は新たな獲物でしかない。
214ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 74/76:2005/12/20(火) 19:50:01 ID:jXtKXxgD0
『マーッイッイッイア』
(可愛らしいお嬢さんが自らお出でになった)
嗜虐の笑みを浮かべるゴンザレス。
「イィ……ゲッ……ェエ」
逃、げ、て。その一言さえ言えないラムザ。
「放してっ! やめてください……こんな酷い事、イヤッ……!」
健気に、必死に、ただただラムザを助けたいと願うティータ。
「鬼神の居りて乱るる心、されば人かくも小さな者なり!」
ラムザが手放した剣――元々自分の物だった剣を拾ってゴンザレスの隙を狙ったアグリアス。
まだヌルヌルした感触が身体に張りついているが、気色悪さを闘志と使命感で捻じ伏せる。
あのマインドフレイアを倒す。
あの恩人である少年を助ける。
ゴンザレスがアグリアスの動きに気づいた時すでに! アグリアスは刃を振るっていた。

「乱命割殺打ッ!!」

轟音が空気を裂き、騎士の魂たる巨剣を模ったオーラが太陽に向かって高く屹立する。
その圧倒的パワーをまともに食らってしまったゴンザレスの身体は上空に吹っ飛ばされる。
『マイイィィィンッ!?』
太陽の中へ消えたゴンザレスは、数秒経ってからフィナス河の急流へと落下し水柱を立てた。
「やった……か?」
マインドフレイアが浮かんでこないのを見て、アグリアスはホッと息をついた。
それから、触手から解放されながらもまだ咳き込んでいるラムザへとアグリアスは歩み寄る。
「少年、大丈夫か?」
「ゲホッ、ゲホ……」
「しっかり……」
ラムザは返事を出来ず、ティータはラムザの背中を優しく撫でていた。
アグリアスは2人が友達か恋人か、もしくは別の何かかと考えたが、それで何かするつもりは無かった。
215ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 75/76:2005/12/20(火) 19:50:56 ID:jXtKXxgD0
「どれ、ちょっと首を見せてみろ」
アグリアスはラムザの前にしゃがみ込み、首の痣を撫でた。
「ン……大丈夫だな、少し休めばよくなるだろう」
「ど、どう……ゲホ、どうも」
「無理に喋るな」
アグリアスはラムザを見てなかなか端整な顔立ちをしていると思いながらも、
黒い墨で汚れているため、だいたいの輪郭しか分からなかった。
とりあえず拭いたほうがいいだろうと思い、アグリアスはポケットからハンカチを取り出す。
「ハンカチを貸そう……それで顔を拭うがいい」
「……あり、がと……」
目を閉じたまま、視界を閉ざされたまま、ラムザは声の方へと手を伸ばした。
手は、アグリアスが取り出したハンカチの横を通ってさらに奥へと進んだ。
ムニュ。
アグリアスの、剥き出しの白い乳房を、ラムザの手が、掴んだ。揉んだと表現してもいいだろう。
「あぐっ!?」
「……ん?」
己の手に何が触れているのか自覚出来ないラムザは、感触を確かめるようにむぎゅっと握った。
ラムザの指の隙間から白い柔肉がはみ出る。
手のひらの中心に当たる粒のようなものは何だろうとラムザは思った。

なぜアグリアスの胸が剥き出しなのかおさらいしてみよう。
その1、メリアドールのミニ強甲破点突きで水着の右肩の紐が切れる。
その2、その上から服を着た。
その3、チョコボに踏まれた拍子に右肩が浅く裂かれ、服の右肩部分も避けた。
その4、カインの槍に左肩を裂かれた。同時に服の左肩部分と、水着の左肩の紐も切れた。
その5、マインドフレイアのゴンザレスの触手に身体を弄ばれた。
その6、ラムザに助けられた時に四つん這いになり、服の前身部分がハラリと腰へ落ちた。
その7、その状態のまま、気づかずラムザの前まで来ちゃいました。
216ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 76/76:2005/12/20(火) 19:51:55 ID:jXtKXxgD0

横からその光景を見たティータは、顔を真っ赤に染め、パクパクと口を動かす。
アグリアスは呆然と、けれど驚いた表情で胸を握るラムザの手を見下ろす。
ラムザは、ハンカチはどこだろうと思った。

あらわになっているのはアグリアスの双乳だけでなく、お腹やおへそもだった。
それをティータはバッチリ目撃する、綺麗だなと思う。
ちょっと離れた位置から様子を見ていたマッシュとファリスは、倒れたままの状態でそれを目撃し、
どう声をかけたらいいかと悩んでいた。
ちなみに禁欲を課しているマッシュは、目の前のエロスに心奪われる事なく、平常心のまま途中から視線をそらしている。
もし兄エドガーがこの光景を見たらどうするだろうと一瞬考え、ため息を漏らしたりもしていた。

「あ……あ、あぐ……あぐぐっ……」
「?」
わなわなと震え出すアグリアス。墨で目を塞がれ状況が分からないラムザ。
手のひらの中心に触れる粒のような物は何だろうと思って手を引き、
指でそれを摘み取ろうとしてみる。
引っ張っても取れない事から、手と柔らかい何かの間に挟まっていた物ではなく、
その柔らかい物にくっついている物だと悟る。
そして、その柔らかい物の形状が球体である事と、人肌のような感触だと思い出した事と、
その粒がある物といえば何があるかを思い出したラムザは、ようやく、ようやくそれが何なのか気づいた。
「こっ、これはまさか……おっ」
「キャアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
慌ててラムザが手を放した直後、アグリアスの鉄拳がラムザのテンプルに直撃した。

こうして――とりあえず寒中水泳大会を襲った事件は解決したのだった。

to be continued……
217名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/20(火) 20:09:38 ID:CEEcgs6r0
SS面白いー!
GJ!
218名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/21(水) 03:37:03 ID:NIXlmqFZ0
シリアスなかっちょいいバトル物を貫くのかと思いきや、
いきなり俺が当初に望んでいた展開に雪崩れ込みましたな。

とりあえずラムザの坊主は最後までキチンと

 )_  ∩
( ゚∀゚)彡 アグリアスさんのおっぱい!おっぱい!
 ⊂彡
と言うべき。
219名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/21(水) 06:16:15 ID:VNax2q+w0
バトルあり、笑いあり、エロスあり
もう最高
あんた神だよ
220名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/21(水) 08:05:11 ID:3m4TxSt90
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡
221名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/21(水) 14:16:19 ID:XFMibj9y0
>>205
カタログめくってたら従者さんのサークルを見つけたのでメ欄。
ただアグ本があるかどうかは分からんです。
222名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/22(木) 00:19:55 ID:1Tr0Z2IN0
アグリアスさんはおっぱいが弱い、とダーラボン先生の講義で教わったような記憶があるのだが、
あれは夢だったのだろうか…
223名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/22(木) 03:22:20 ID:qL4GFd6G0
>>222
講義中に眠ってしまうのは、ダーラボン先生の講義に問題があるのが理由。あなたのせいではありません。

気持ちはわかるよ、ラムザ。あとは確かめるだけだ
224名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/22(木) 19:15:14 ID:1xjExJOb0
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡
225名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/23(金) 00:07:10 ID:DBu+7u730
226名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/23(金) 00:41:54 ID:+AHQRbF00
>>221
dクス
前スレで少し売るといってましたので微かな希望を胸に逝ってきます
227名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/23(金) 02:00:02 ID:teEVa6Kf0
「アグリアス48の殺人技」
それはアグリアス・オークス嬢、秘蔵の秘伝書とのこと。
我が優秀なる諜報部員達が決死の努力でその内容を探ったところ、
五つの聖剣技を筆頭に様々な必殺技が書き記されていたという。
全ての記載は割愛させていただくが、例を記すと「フロントネックロック」「上四方固め」「首四の字」etcetc。

だが最後、48番の欄がいまだ空白であるらしいのだ。
風聞によると、その48番目の欄に「乳ビンタ」と書き込もうと挑戦する痴者いやさ猛者が後を絶たぬが、
誰一人生きて返った者はいないとかなんとか…
228名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/23(金) 02:28:05 ID:rHOsqQrW0
馬鹿な。
アグたんの最終奥義といったら「あぐぱんち」に決まっているじゃないか。
229名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/23(金) 02:28:06 ID:DEPsjgV70
SSでニタリとワロタ
230227:2005/12/23(金) 02:32:56 ID:teEVa6Kf0
あえて私の私見を述べるならば、
「乳ビンタ」は某アホ毛隊長へのお仕置き専用技なので、
他者に使う目的の秘伝書にはあえて記載されていないのではないかと。
231名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/23(金) 02:54:10 ID:UZkAf2HE0
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 ちちビンタ!ちちビンタ!
 ⊂彡
232名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/23(金) 05:14:48 ID:IiWUobf60
ちちびんたリカならぬ
ちちびんたアグですか
233名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/23(金) 15:12:37 ID:a+4D23bW0
ラムディウスだ!!に出てくる巨大女性聖騎士だな
234行く人 ◆yDU/dR5FV. :2005/12/23(金) 16:15:21 ID:M7eIuAz40
クリスマス前に何とか寒中水泳大会完成。投下開始。
235ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 77/92:2005/12/23(金) 16:16:01 ID:M7eIuAz40
チョコボとカインとゴンザレスとの戦いは終結した!
負傷者の手当ても、戻ってきたザルバッグ率いる北天騎士団所属白魔道士の方々が加わって、
順調にケアルやらチャクラやらポーションやらがあちらこちらで使いまくられる。

こうして――真冬のフィナス河寒中水泳大会は無事再開となった。
そしてようやくこの物語も終結しそうである。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 ドキッ!
   真冬のフィナス河寒中水泳大会。
     ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
主催者:アグスーレ・ニジュイ・クササン男爵
協力 :北天騎士団団長ザルバッグ・ベオルブ聖将軍
    :南天騎士団団長シドルファス・オルランドゥ伯

優勝賞金
1位……50万ギル
2位……20万ギル
3位……10万ギル
審査員特別賞……エクスカリパー(オルランドゥ伯からのご提供)
236ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 78/92:2005/12/23(金) 16:16:43 ID:M7eIuAz40
「はっ! 俺はいったい……こ、この惨状は何だ? 何があった!?」
医務室で目覚めたカインの第一声は、事情を知る幾人かの負傷者の血圧を上げさせた。
セリス、マッシュ、ファリスの見舞いをしていたアグリアスも、ちょっと握り拳を握る。
ここは主に参加選手が集められた医務室で、メリアドールなども治療を受けていた。
ならウィー殿もと思ってアグリアスとマッシュは恩人の姿を探したが見当たらず、
捜索を頼んだところ、河の側で黄チョコボにチョコケアルをかけてもらっていたらしい。
後でお礼を言いに行こうと、アグリアスはマッシュと約束した。
同様に、マインドフレイアから助けてくれた少年も探すようアグリアスは運営委員会に頼んでいた。
墨のせいで顔が分からず似顔絵も作れなかったが、貴族特有の金髪でありながら平民の服を着ていたため、
それを手がかりにするよう言ったのだが、果たして見つかるかどうか。
恩人だというのに、胸を事故で触れられたがために、アグリアスは少年のテンプルに鉄拳をぶち込んでしまった。
今は深く反省している。
一般客の負傷者は簡易テントの中で治療をおり、その数はかなりの物らしいので、探すのには少々時間がかかるだろう。

ちなみにオヴェリア達は、観覧席の貴族用の医務室にいるとエドガーが伝えに来てくれた。
オヴェリアは幸い無傷で、ラヴィアンは軽い打撲、アリシアはケアルをかけたおかげでだいぶ回復したらしい。
「南天騎士団の能力が高かったのだろう、来賓席連中の避難 だ け は素早かったし、
 最初に落ちた数個のチョコメテオを除けば、来賓席から出た負傷者はほぼゼロに等しい」
とエドガーは付け加え、アグリアスとマッシュにねぎらいの言葉をかけた後、
アリシアの容態が気になるからと戻って行った。
237ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 79/92:2005/12/23(金) 16:17:22 ID:M7eIuAz40

一方、貴族用の医務室。
アリシアのベッドの横にオヴェリアとラヴィアンがいた。
オヴェリアはアリシアの身を心配して、まだオロオロしている。
そのため――ほぼ反対側のベッドで横になるラムザと、その看病をしているアルマの姿には気づけなかった。
「災難というか幸運というか……」
ティータから女性のおっぱいモミモミテンプルツッコミ事件を聞かされたアルマは呆れ返っていた。
「仕方ないだろう、墨のせいで目が見えなかったんだから……」
「だからってさぁ、普通触った瞬間に気づかない? 声で相手が女性だって分かってたんでしょ?
 もしかして兄さん、むっつりスケベってやつじゃないの?」
それを聞いてディリータはニヤニヤと微笑んで、
「まっ、確かに宿舎のラムザのベッドの下には……」
「ディリータ! それは君も同じだろう!?」
「ばっ……馬鹿ッ! こんな所で……あっ」
アルマとティータから冷たい目線を向けられるラムザとディリータ。
2組の兄と妹の間に不動無明剣より強力な氷壁が立った。
「兄さん、ディリータさんに『おまじない』でもしてもらっててね。私、ザルバッグ兄さんの所に行ってくるから。
 ほら、ティータも行こ。こぉんなむっつりスケベ達と一緒にいる事ないわよ」
「でもっ、あ……それじゃ兄さん、ラムザさんをお願いします」
こうしてアルマは医務室を後にし、結局オヴェリアとの再会は実現しなかった。

そんなこんなで負傷者の手当ては進み――優先的に回復魔法などをかけてもらえた第4・5レースの参加者達は、
全員レースに参加出来るコンディションにまで回復した。
238ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 80/92:2005/12/23(金) 16:18:00 ID:M7eIuAz40

ザルバッグ達主催者から事件の顛末……あまりにも大勢の人間が集まったがために、
驚き興奮したチョコボの暴走は無事鎮圧したとの解説の後、第4レースが再開された。
所々壊れた来賓席や、河岸、橋に再び観客が詰め寄る。
そんな中、事件の真相を知るアグリアス、マッシュ、ファリスは苦笑するのだった。
まさか参加選手でもある竜騎士団隊長カイン・ハイウインドが、マインドフレイアにマインドブラストされて、
脳みそ変色した挙句逆恨み大暴走しちゃいました、だなんて言えるはずがない。カインだけでなく騎士全員が恥をかく。
バロン男爵は主催者に平謝りし、いくらかの賠償と引き換えに事の真相は秘密にしてもらったのだった。

「それでは第4レース参加選手は入場してください!」
中断された第4レース、今度こそと意気込んで入場する9人の選手。
「なお――神殿騎士団所属メリアドール選手は負傷のため棄権するとの事です」

来賓席の隅、フードを被って顔を隠したメリアドールは、弟イズルードと一緒に会場を見下ろしていた。
「……本当によかったの? 姉さん。ケアル連発とエクスポーションがぶ飲みで怪我は治ったんだろ」
「いいの……あの怪我は天罰なのよ、ズルイ事を考えた私への……」
「でも……情けない結果を出した俺のために、姉さんは……」
「だからってあんな事をしてまで勝っても、真の名誉など得られないわ」
この後メリアドールとイズルードはさらなる修練を積み、心身ともに騎士として成長する事となる。
特にメリアドールは、イズルードが誇れる姉になろうと、その精神を練磨し高潔なものへと昇華させていった。

来賓席の隅、フードを被って顔を隠したオヴェリアは、回復したラヴィアンとアリシア、
そしてエドガーとマッシュの2人も加えて観戦していた。
「おっ、アグリアスが入ってきたぞ」
マッシュの言葉に誘導されるよう、みんなでアグリアスを見て、マッシュ以外全員驚いた。
「あっ、あれは!? なぜアグリアスがあんな格好を!?」
興奮をあらわに目をひん剥くエドガーのあごに、マッシュの華麗なショートアッパーが決まった。
オヴェリアは首を傾げ、ラヴィアンは面白そうに口笛を吹き、アリシアはまだ残る頭痛に眉をしかめていた。
239ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 81/92:2005/12/23(金) 16:21:30 ID:M7eIuAz40

「ううっ……は、恥ずかしい……」
「そう言うなアグリアス殿、せっかくのご厚意だろう?」
セリスに笑われながら、アグリアスはスタート地点へ向かっていた。
好奇の視線を敏感に察知し、水着姿を見られた時以上の羞恥にアグリアスは体温を上げた。
アグリアスが着ている物、それは水着ではなく、赤ふん+さらし。
水着の肩紐が両方とも切れ、サイズの合う新しい水着が無く、どうしたものかと困っていたアグリアスに、
ファリスが「貸してやる」と渡してくれたのだ。
赤ふんとさらしなら、巻き加減次第でどんな体形にも対応出来る。
こうしてアグリアスは、ファリスに手伝ってもらって赤ふんとさらしを装着したのだった。

豊かなバストの形が潰れないよう脇の肉を寄せるように巻いたさらしによって、
アグリアスの鎖骨の下には立派な谷間が出来上がっていた。
しっかりと身体にフィットする水着と違い、巻いてあるだけどいうさらしは何かの拍子で解けてしまう気がして、
アグリアスは不安に思い鼓動を早めてしまう。しかもその不安は2倍に跳ね上がった。
さらしはみぞおち辺りまで巻かれており、その下には剥き出しのおへそがあって、さらに下には、これまた頼りない赤ふん。
布を股間に巻いて、腰部分を細い紐でキュッと結んだだけというふんどしの頼りなさは、明らかにさらし以上だった。
水着と違い肌に密着しないため冷気がお尻の隙間に入り込んできて、まるでお尻丸出しのような錯覚さえ覚え、
ついお尻をキュッと引き締めてしまうのだった。
果たしてこんなコンディションで実力を出し切れるのか。不安は尽きないが、やるしかない。
何としても上位3位に食い込み、一般参加者による表彰台独占を阻止せねばならぬ。騎士として。

第4レース再開。
スタート地点に並んだ9人の女性が、急流へと一斉に飛び込んだ。
アグリアスは慣れぬさらしと赤ふんに手間取り出遅れてしまったが、
先頭を泳ぐセリスには例え元の水着を着ていてもかなわなかったろうと思った。
控え室で共闘したミル含め2人の脱落者を生み、計7人が無事ゴールする。
アグリアスは総合順位7位に食い込み、セリスも上位3位を崩すには至らなかった。
240ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 82/92:2005/12/23(金) 16:22:17 ID:M7eIuAz40

 1位 2分08秒 マッシュ
 2位 2分22秒 ファリス・シュルヴィッツ
 3位 2分55秒 ウィー・フラグ
 4位 2分56秒 セリス・シェール
 4位 2分56秒 イジュラン・モートリョシー
 6位 2分58秒 ロギンス・タックラー
 7位 3分13秒 アグリアス・オークス
 8位 3分15秒 カーマ・セイヌ
 9位 3分25秒 ヒューゴ・オーツス
10位 3分33秒 シンシア・スール
11位 3分39秒 ガーネット・ミヅキ・ワースレィ
12位 4分05秒 フランソワ・クーロホン・ダーサマレタ
13位 4分09秒 シェリル・シーチャック
14位 4分11秒 キララ・シタドーロ
15位 4分22秒 ニキータ・マナ
16位 4分26秒 トンプソン・ジュシュール
17位 4分29秒 ラッド
18位 4分33秒 モエ・イキトーメ
19位 4分38秒 ロゼ
20位 4分44秒 ドウ・デーモイ
21位 4分59秒 イズルード・ティンジェル
22位 6分10秒 ジャンヌ・イナメラキア
241ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 83/92:2005/12/23(金) 16:22:53 ID:M7eIuAz40

「残念でしたね」
とはオヴェリアの弁。
「お疲れー」
とはラヴィアンの弁。
「ラッキーセブン」
とはアリシアの弁。
「君のさらし&赤ふんに乾杯」
とはエドガーの弁。
「メテオストライク!」
とはマッシュのツッコミ。
「ギャフッ!? わ……私のベッドの下にある本は……すべて、燃やして、くれ……」
とはエドガーの遺言。

とまあそんな感じでトップは一般参加者に埋められたままという、貴族や騎士達には屈辱の展開となっていた。
「まぁ最終レースには強豪が揃ってますし、悔しいですが最終レースの騎士を応援しましょう」
アグリアスは冷えた身体に熱い紅茶を流し込んだ。
来賓席でオヴェリアの左隣に座り、さらに左隣にはエドガーではなくマッシュだ。
エドガーはさらにその横隣に追いやられていて寂しそうだ。ちなみにアリシアはオヴェリアの後ろ。
「それにしても3位から6位までダンゴだなー」
1位の余裕か、順位表を見てマッシュは言い、アグリアスはどこか嬉しそうに眉をしかめた。
「確かに3位から6位までたった3秒の差しか無い。4位など2人もいる」
「んで7位からまたちょっと引き離されてるんだよな」
「それは7位に対する私への嫌味か? マッシュ」
「そういう訳じゃないぜ、純粋な感想だよ。やっぱ元々泳いでた連中は速いもんだが、
 それと渡り合える畏国の騎士達もすごいな。士官学校で水泳の授業でもやってるのか?」
「水泳の授業が一応あるが……砂漠生まれの貴公に言われてもな。砂漠はオアシスがいくつもあるのか?」
「わっはっはっ。俺は武者修行しまくってるし、レテ川だって……」
「タコの怪物にのされて流されただけな気がするけどな」
珍しいエドガーのツッコミが入るが、マッシュはわざと聞き逃す。
242ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 84/92:2005/12/23(金) 16:23:27 ID:M7eIuAz40
「バレンの滝を飛び降りたり……」
「滝の中を降りた訳でなし、落下しながら魚と空中戦をやるのと泳ぎが、いったいどうつながるのか」
「蛇の道を泳ぎきったり」
「潜水ヘルメットをかぶってほとんど流されっぱなしだったとカイエンから聞いたぞ」
「仕返しか兄貴?」
「さあ、どうだかな」
遠慮の無い会話をする二人を見て、アグリアスは兄弟というのはいいものだなと思った。
もし自分に兄弟がいたとしたら、兄、弟、姉、妹、誰がいいだろうか?
ラヴィアンやアリシアの面倒を見る機会が多いので、世話のかかる弟妹というのはうんざりしそうだし、
頼れる兄か姉は……と思ったが、人を頼りにするというのは甘えに思えてしまい、
結局自分に兄弟は向かないのではと思った。
それよりもラヴィアンとアリシアが、いざという時以外もちゃんとしっかりしてくれればと思う。
――と、アグリアスの中で何かが噛み合った。
妹のようなラヴィアン、アリシア。
しっかり者。
仮に兄弟が出来るとしたら、しっかり者の弟妹がいいなとアグリアスは思った。

「クシュン」
会場のどこかで金髪坊やがクシャミをした。

そしていよいよ最終レースの選手入場が始まる。
いずれも精鋭揃いのこのメンバー、表彰台のメンバーがガラリと入れ替わる事に期待している人間は多い。
243ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 85/92:2005/12/23(金) 16:24:09 ID:M7eIuAz40
「さあっ! いよいよ最終レースと相成りました。泣いても笑ってもこれでおしまい、勝者の栄冠は誰の手にー!?
 それでは今回も注目の選手をご紹介いたしましょう。その誰もが優勝候補であります!
 まずは髭犬騎士団レオ・クリストフ将軍! 顔は怖いが心は優しい!
 五十年戦争においては鴎国からも聖人君子と尊敬を集めた伝説的人物です!
 純粋な剣術だけなら雷神シドに匹敵するとかしないとかー! 寒中水泳においてはどれほどの力を発揮してくれるのか!?
 勝利の栄光をガストラ閣下に捧げると公言してはばかりません!
 続いて彗星騎士団団長シャア・ララハマミネレコナナクェ!
 赤い鎧がトレードマークの彼より赤ふんの似合う男はいな〜〜〜〜〜〜〜〜いッッ!!
 数々の女性を泣かしたその甘いマスクが氷点下の水流でどう歪むのか!? 色んな意味で楽しみです!
 最後にご紹介するのは脅威のタイムで予選を潜り抜けた謎の老人、ミドルファス・オンラルドゥー!」

ザルバッグ、オヴェリア、他多くの貴族達が、目を丸くした。
何か見覚えがある。
あの爺さんどっかで見たぞ。
そういえば主催者席を一つ空席にしたシドルファス・オルランドゥ伯は風邪で病欠したんだっけ。
あそこのお爺さんは元気そうだなぁ、風邪なんか縁が無さそうだなぁ。
顔も名前も似てるなぁ。
そういえばオルランドゥ伯も寒中水泳に参加したがってたけど、あんま身分高い人が参加すると色々危険だから、
参加は断念してたっけ。やけにあっさりと。

ミドルファス・オンラルドゥは白い髪と髭に似合わぬ肉体美を見せつけるようにポーズを取ったりして、
なぜかその左右を南天騎士団の出の参加者がガッチリ固めてたりして。

「それでは最終レースいよいよスタートの時間と相成りましたぁッ!
 ゴングを聞くのもこれが最後、さあ、行ってみようッ!!」
244ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 86/92:2005/12/23(金) 16:26:58 ID:M7eIuAz40

カーン。10人の猛者が一斉に急流に飛び込み、凄まじい水飛沫を立てまくった。
「速ッ!? ミドルファス選手、何だこのスピードはー!?
 まるでヘイストがかかっているかのような手足の動き! 水飛沫っつーか水柱立っちゃってるよおい!
 圧倒的すぎるぅ〜! 2位と何メートル離れてんのこれ!?
 チョコボより速〜い! チョコボより、チョコボよりも〜〜〜〜ッッ!!」

こうして、ミドルファス・オンラルドゥはぶっちぎりのトップでゴールした。
1分ほど遅れて髭犬騎士団レオ将軍や他強豪達がゴールを果たし、
そのほとんどが上位陣に食い込み順位に大変動を起こした。
が、上位3位に入ったのはミドルファスだけだった。
脱落者は2名で、完走者は8名。
第1〜4レースでゴールした選手が22名のため、合計30名が真冬のフィナス河を泳ぎきった事となる。

その圧倒的な結果を目にし、ウィーグラフはため息をつき、ミルウーダに微笑んだ。
「さすがにあんなタイムを出されては太刀打ち出来んな。
 私の順位も3位から落ちた……賞金は望めん。旅団の皆には申し訳ない事をした……」
「兄さん……兄さんは頑張ったじゃない」
「賞金が入らぬとなればもう用は無い、帰ろう。あまり長居をしては正体がバレる可能性もある……。
 それにカインの謀略を秘匿し、責任を逃れる貴族連中をこれ以上見ているのもな」
ウィーグラフは水に落ちてゴンザレスの姿を見ていなかったため、
カインが単にマインドブラストで操られていただけだという真の真実を知らない。
そしてその事も発表されなかったため、ウィーグラフは貴族への敵意を深めてしまった。

「だが……今回の大会、骸旅団にとっても無駄では無かった。心強い仲間が出来た……なぁ?」
「兄さん、この子だけど……ボコっていうのはどう?」
「チョコボだからボコか。いいんじゃないか? なぁ、ボコ」
「クエッ!」
一組の兄妹と一羽の黄チョコボは、人知れず会場を去って行った。
245ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 87/92:2005/12/23(金) 16:28:53 ID:M7eIuAz40
真冬のフィナス河寒中水泳大会最終結果
 1位 1分00秒 ミドルファス・オンラルドゥ
 2位 2分08秒 マッシュ
 3位 2分22秒 ファリス・シュルヴィッツ
 4位 2分55秒 ウィー・フラグ
 5位 2分56秒 セリス・シェール
 5位 2分56秒 イジュラン・モートリョシー
 7位 2分57秒 アフロ・レイ
 8位 2分58秒 ロギンス・タックラー
 9位 3分03秒 シャア・ララハマミネレコナナクェ
10位 3分07秒 レオ・クリストフ
11位 3分10秒 ハリー・ハンシン
12位 3分13秒 アグリアス・オークス
13位 3分14秒 マフティー・オカーユ・リンゴ
14位 3分15秒 カーマ・セイヌ
15位 3分25秒 ヒューゴ・オーツス
16位 3分33秒 シンシア・スール
17位 3分39秒 ガーネット・ミヅキ・ワースレィ
18位 3分47秒 カミーユ・ビタミン
19位 4分05秒 フランソワ・クーロホン・ダーサマレタ
20位 4分09秒 シェリル・シーチャック
21位 4分11秒 キララ・シタドーロ
22位 4分22秒 ニキータ・マナ
23位 4分26秒 トンプソン・ジュシュール
24位 4分29秒 ラッド
25位 4分31秒 バーナード・ミンチ
26位 4分33秒 モエ・イキトーメ
27位 4分38秒 ロゼ
28位 4分44秒 ドウ・デーモイ
29位 4分59秒 イズルード・ティンジェル
30位 6分10秒 ジャンヌ・イナメラキア
246ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 88/92:2005/12/23(金) 16:30:05 ID:M7eIuAz40

表彰式での出来事。
表彰台最上段に立つミドルファスの前に、ザルバッグ・ベオルブが赴き、何か口論を交わした後、
ミドルファスは何故か表彰台から引き摺り下ろされた。
「よいではないか! 賞金は全額民に寄付するつもりだし、1位になったのも純然たる実力だ!」
「そういう問題ではありません! いったい何をお考えになってるのですか!?
 ミドルファス選手は失格! 順位は全員1つずつ繰り上げとする!
 優勝はマッシュ選手! 準優勝はファリス選手! 3位は……ウィー選手だ! ウィー選手、表彰台へ!」
しかし何故かウィー選手の姿は会場のどこにもなく、3位の賞金はセリス選手とイジュラン選手で分けられる事になった。
マッシュ、ファリス、そしてアグリアスは、姿を消したウィーの安否を最後まで気遣っていた。

「えー、次は急遽風邪が治り会場へお越し下さいましたシドルファス・オルランドゥ伯から、
 審査員特別賞の授与を行います。名前を呼ばれた選手は舞台にお上がりください。
 では発表します。審査員特別賞は……アグリアス・オークス選手! はい拍手〜。
 さあどうぞ、ええ、アグリアス選手あなたですよ〜。照れてないでどうぞどうぞ。
 えー、アグリアス選手が審査員特別賞に選ばれた理由は……ポロリとか、
 水着姿だけじゃなくさらしと赤ふん姿を見せてくれた事などではなく、
 いや、本当だからそんな顔を赤くしないでください。
 選ばれた理由は、チョコボ暴走の際、群れのリーダーと果敢に戦ってくれた功績です。
 マッシュ選手とファリス選手も類いまれなる活躍をしてくれましたが、
 2人が賞金獲得者である事と、審査員特別賞が騎士剣である事、
 何より2人ももらえる権利があったのに辞退した事などがあります!」

辞退という言葉を聞き、アグリアスは耳を疑った。
「ま、真か!? マッシュ、ファリス!」
「いいって。俺達は賞金いただいたし、剣なんかもらったって使わねーしな」
「お前だけ何も無しというのも気が引ける。かばおうとしてくれた恩義もあるしな。
 エクスカリバーは一本しかないんだ、騎士のあんたが受け取った方が有意義に使える」
「マッシュ……ファリス……ありがとう」
247ドキッ!真冬のフィナス河寒中水泳大会 89/92:2005/12/23(金) 16:30:53 ID:M7eIuAz40

感動的な雰囲気が会場に漂う中、オルランドゥ伯が首を傾げて言った。
「待て、審査員特別賞の賞品が一本しかないと誰が言った?
 ほれ、ちゃんと数人分用意しておる。マッシュ選手とファリス選手にも差し上げようぞ」
『へ……?』
会場にいる全員が目を丸くする。
だって、
「え、エクスカリバーといえば雷神シドの愛刀と誉れ高い、畏国に一本しかない伝説の聖剣!
 そ、それが何本もあるなどと……そんな、ありえません!」
「エクスカリバー? 何を言っておるのだ、いくら私でもエクスカリバーを賞品にしたりはせん」
「し、しかし……ほら、広告にもこの通り……」
オルランドゥはアグリアスが指差した広告を引っぺがして、それをアグリアスの眼前に突きつける。
「よく読みなさい、エクスカリ……の次の文字を」
よく読んだ。

エクスカリ

     \ ○
  /   \   ──────
/      \


【エクスカパー】ブレイブストーリーより
伝説の聖剣『エクスカリバー』をモチーフに作られている。
偽作といえども、その切れ味は素晴らしく、一部の冒険者の間で好んで使われていた。

会場が静まり返った。
一応切れ味が素晴らしい一品であるため、なかなかの賞品と言える。
でも何か釈然としないものがあった。
そしてアグリアス、マッシュ、ファリスの3人は、あまり嬉しくなさそうに審査員特別賞を受け取るのだった。
248ポロリ(とチョコメテオ)もあるよ 90/92:2005/12/23(金) 16:38:59 ID:M7eIuAz40

「それではマッシュ、エドガー殿。お元気で」
国へ帰るという2人と、アグリアス達は順々に握手を交わした。
「じゃあなアグリアス。次会う時はお互いもっと強くなってようぜ」
「もしフィガロに来る事があったら歓迎しよう。最高級の紅茶で乾杯だ」
夕暮れの中で別れを告げ、マッシュとエドガーはチョコボの馬車に乗り込んだ。
馬車の影が小さくなるまで見送ってから、アグリアス達も帰りの馬車に向かう。
「いい方達でしたね」
オヴェリアは、ボロボロになったぬいぐるみを抱いたまま呟く。
マッシュが取ってくれた、エドガーが拾っておいてくれた、大切なぬいぐるみだ。
そのぬいぐるみとオヴェリア、そしてアリシアを馬車に乗せたアグリアスは、
ラヴィアンと一緒に馬車の先頭に乗って手綱を握る。
「さあ、オーボンヌ修道院へ帰りますよ」
チョコボを歩かせ馬車を引かせ、一台の馬車の横を通り過ぎようとした時、
アグリアスは見覚えのあるような金髪を横目に見つけた。
視線を向けると、金髪の少年が黒髪の男女と何かを語らっていた。
もう一人金髪の少女が見えたような気もしたが、黒髪の男女の影に隠れてよく分からない。
目を凝らしてよく確認するよりも早く、
身を乗り出して馬車の後ろを覗き込まないと彼らの姿を確認出来ない位置まで馬車が進んでしまった。
「隊長、どうしました?」
「ん……いや、何でもない。お祭りは家に帰るまでがお祭りだ。ラヴィアン、警護を怠るなよ」
「分かってますよ。アリシアにも少し楽をさせて上げないとね」
治療を終えたとはいえ、一番重い負傷をしたアリシアをラヴィアンは気遣っていた。
何だかんだ言って自分達3人が強い信頼で結ばれている事を実感したアグリアスは、つい微笑むのだった。

馬車はオーボンヌ修道院目指して進む。平穏のある場所へと。
しかし今日出会ったある少年とそこで再会し、歴史の裏に秘められた戦乱に身を投じる未来をアグリアスは知らない。
もらったエクスカリパーをその戦乱に持っていくのを忘れ、本物のエクスカリバーに出番を奪われる未来も知らない。
ラムザが今晩アグリアスの胸の感触を思い出し悶々として眠れない事とかも当然知らない。
後日、骸旅団秘密基地より。

「大変だウィーグラフ! この新聞を見ろ!」
「何事だギュスタヴ。いったい何があった……何ぃっ!? 寒中水泳大会、順位繰り上げ!? ミドルファス選手失格!?
 3位になるはずのウィー・フラグ選手不在のため、
 賞金は同タイムで5位となっていたセリス選手とイジュラン選手に……」
「せっかくの10万ギルを……この馬鹿団長! 10万ギルあれば豆のスープに肉を、肉を〜!」
「さ、さらに審査員特別賞エクスカリパーも、アグリアス、マッシュ、ファリスだけでなく、
 私にも……受け渡す予定だった、だと……?」
「エクスカリパーといえば! エクスカリバーの偽者というイメージが強いが、高級品なんだぞ!
 ああっ! うちの団長は貧乏神に祟られてはるぅ〜〜〜〜!!」
「落ち着けギュスタヴ! キャラクター変わってるぞ!」
「ええい、こうなったらボコを焼き鳥にして骨まで食い尽くす!」
「クエーッ!」
「ボコ!? やめろ、気持ちは分かるがギュスタヴはサブリーダーだぞ! 攻撃するんじゃない!」
「ぎゃあー! 髪を、髪をついばむなー! 抜けるー!」

こうしてギュスタヴはより金に汚くなり、エルムドア侯を誘拐して身代金を要求しようとしたりするのだが、
それはまた別のお話。
250ポロリ(とチョコメテオ)もあったよ 92/92:2005/12/23(金) 16:40:31 ID:M7eIuAz40
後日、魔法都市ガリランドのアカデミーの宿舎にて。

「ラムザ、本当に処分していいのか?」
「構わない、僕にはもう必要無いんだ……」
「しかしせっかく集めたコレクションだろう、ベッドの下が寂しくなるぞ」
「いいんだ……あの感触を知ってしまった今、もう本なんかじゃ何の感動も無い」
「あの感触? 何の事だラムザ、いったい何を触った!?」
「嗚呼、そうと知っていればもっと楽しめたけど、そうと知っていれば触ったりは出来なかった……。
 ディリータ。人ってさ、矛盾を抱えて生きる生物なんだね」
「ラムザ……ま、まさかお前、俺がいない間にティータに変な事を……」
「ティータ? いや、僕が触ったのは……」
「見損なったぞラムザ! お前との友情も今日限りだ、あの世で俺に詫び続けろラムザー!」
「うわぁっ! 宿舎の中で剣を抜くな!」

騒ぎを聞きつけたクラスメイト達が割り込んでくれたため大事には至らなかったが、
ディリータによるラムザ暗殺未遂事件は、容疑が晴れるまで一週間の時を有した。
双方の誤解が解けるまでディリータは反省室に入れられて惨めな思いをし、
一方ラムザは宿舎で普段通りの生活をしていた。そしてディリータはこう思うのだった。
「騒ぎを起こしても悪者にされるのは俺……そりゃ誤解もあったが、やっぱりラムザの方が贔屓されてる気が……。
 ふっ、所詮俺は"持たざる者"という事か……」
こうしてディリータは自分が"持たざる者"だというトラウマを作り、
その後にトラウマ大爆発するような大事件が起きて本当に大爆発に巻き込まれたりするのだが、
それはまた別のお話。

後日、オーボンヌ修道院。
「さすがエクスカリパー、素晴らしい威力だ。ラヴィアン、アリシア、今日の訓練は本気でかかってきていいぞ」
「そうですか? それじゃ遠慮しませんよ、とりゃぁ〜!」
「ラヴィアン下手に突っ込まないの! エクスカリパーの攻撃力を封じるために、まずブレイク技を使うのよ!」
「了解! ブレイクで攻撃力を封じるというと……そうか! ウェポンブレイク!」
「違っ、パワーブレイクを……あっ」

   THE END
251名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/24(土) 01:59:10 ID:pvDggKtU0
大作乙
252名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/24(土) 02:55:00 ID:87MDRfmD0

:|::::::::::::::::::::::i...ii  .i::::::ii::/.,,─-,,"ヽi:::::::i:::ii:::::|まさかこんなモノで満足する女がいると思ってるんじゃないだろうな?
:i::,,-""""-::::i..i:i  |:::::::::::.i  .. i...i:::i:::::i:::ii:::::i何だ、その期待に満ちた目は? 罵られて勃起してるなんて真性の変態だな、ラムザ。
i:i .,-""..ヽ::::ii:::i ..i"".. "..,,__丿ヾ:i::::i:::ii::::::|しかも包茎まで真性だなんて、おまえにいいところ、何かあるのか?
i,,i |   ..|." ...i i         ...i::i::::ii::::::|どうせそれも自慰にしか使ったことないんだろう?
i::",,,ヽ ,,/   ii          ....i:::::i:::::::|いつまでも妄想で果てるのが似合っているぞ、この早漏。
::::::::""      i          ...|::::::::::::::i童貞なんて信じられんな。私はおまえの半分の歳でSEXしていたが?
:::"        ..ヽ:::::::::::::      i::::::::::::::|一体今まで何していたんだ? 童貞だなんてオスに属している「だけ」だなッ!
ゞ        :::::::::.,,, --,,"    ,":::::::::::::|そのチャチなモノをしごくしか能のないおまえと私は全然違う。分かるか?
-".,,      --,,,"   ./    .,"::::::::::::::::lおまえが私より上回ってるものは何だ? 魔力か?力か?年齢も私が上だな?
::|::::ヽ       ."- .-"::::::::: /::::::::::::::::::::|私の中に入ったって1分と持たないだろう。私が膣を締めたらイチコロだ。
::::i::::|:"--.,.,,,   :::::::::::::::::::::::::/:|:::::::::::::::::::::::iふふふ…負けたような気分になったけど、今すっごく萌えてるだろう?
::::::::::::::::::_,r-┤"--.,,,,,:::::::::::,-":::├、,:::::::::::::::::::l童貞にはどんな感触か分からないものな、膣を締めるなんて淫らな技は。
-‐‐ '''"  ...i:::::::::::::::::::"""::::::"."i  `ヽ、,:::::::::::|無様に白いの出す瞬間、私が最後まで見ててやろうッ! あっははは!
253名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/24(土) 11:41:47 ID:Hm66guRs0
畳みかけるオチが見事。いいモン見させてもらいやした。
254名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/24(土) 11:51:18 ID:RBrHV2aZ0
>>252
「ラムザきゅんハァハァ」まで読んだ。

…ところで「年齢が上」ってのは自慢にならない気ガス。
255名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/24(土) 12:11:07 ID:eO1oe7Qn0
ラムザは自慰知ってるの?
256名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/24(土) 16:54:18 ID:XNWINdAP0
ガフガリオンが教えてそうだな、性欲関係は
257名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/24(土) 20:28:04 ID:ub/WS3li0
わーい
ひとりクリスマスだー
258名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/24(土) 20:48:05 ID:H7cVg1aa0
慌てん坊のアグたんクロース
259名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/24(土) 22:06:12 ID:0418AxDU0

本編とのつながりの布石が秀逸だった
260行く人 ◆yDU/dR5FV. :2005/12/24(土) 23:29:37 ID:YPR6nNUD0
92レスも使っといて何だが、クリスマス用のが出来たので投下します。
多分今頃の時間にからサンタさんが本格的な活動を始めていると思うので。
261赤い 赤い サンタクロース 1/5:2005/12/24(土) 23:30:07 ID:YPR6nNUD0
「そういえば、もうすぐクリスマスですね。ふふっ、昔は楽しみだったなぁ……。
 え? そりゃ今でも楽しみだけど、昔はパーティーもケーキも気軽に用意してたし。
 異端者の僕達がクリスマスを祝うなんてのも変な話ですけど、資金に余裕がある訳でなし、
 パーティーを開く場所もお金も調達するだけで一苦労するじゃないですか。
 もちろんしようとは思いますよ、クリスマスパーティー。みんなもクリスマスくらいは楽しみたいだろうし。
 でもね、一番の楽しみばっかりはどうしょうもないのが寂しくて……。
 え? もちろんクリスマスプレゼントですよ。こればっかりはもうどうにもならない問題です。
 だってそうでしょう? サンタクロースは良い子の所にしか来てくれないんですから。
 20歳まではプレゼントをもらえると思って、良い子になろうと頑張ってたんですけどね……。
 でも去年のクリスマス、サンタさん、来なくて……。やっぱり駄目ですね、人を殺しちゃうと。
 傭兵なんかになってガフガリオンと一緒に色んな戦場で戦ったり、
 異端者になって教会から追われたり、去年よりずーっと酷くなってますから、
 もう今後クリスマスプレゼントをもらう事は無いんだなぁ……って。
 アグリアスさんはきっと20歳まで毎年サンタさんからプレゼントをもらってたんでしょう?
 え、そうなんですか? 10歳までだなんて、何か悪い事しちゃったんですか?
 あっ、すみません変な事を聞いちゃって。
 ……え? メリアドールさんはちゃんともらってたんですか、すごいですね。
 ムスタディオはどうだい? ……一度も、って、嘘だろう? 赤ん坊の時は悪い事のしようが無いじゃないか。
 サンタさんがうっかり忘れただけとか……サンタクロースが本当は何だって?
 あっ、アグリアスさん!? メリアドールさん!? ちょっ、ムスタディオに何を!?
 わーっ! フェニックスの尾はどこだー! ムスタディオ、死ぬなー!」
262赤い 赤い サンタクロース 1/5:2005/12/24(土) 23:30:41 ID:YPR6nNUD0
「そういえば、もうすぐクリスマスですね。ふふっ、昔は楽しみだったなぁ……。
 え? そりゃ今でも楽しみだけど、昔はパーティーもケーキも気軽に用意してたし。
 異端者の僕達がクリスマスを祝うなんてのも変な話ですけど、資金に余裕がある訳でなし、
 パーティーを開く場所もお金も調達するだけで一苦労するじゃないですか。
 もちろんしようとは思いますよ、クリスマスパーティー。みんなもクリスマスくらいは楽しみたいだろうし。
 でもね、一番の楽しみばっかりはどうしょうもないのが寂しくて……。
 え? もちろんクリスマスプレゼントですよ。こればっかりはもうどうにもならない問題です。
 だってそうでしょう? サンタクロースは良い子の所にしか来てくれないんですから。
 20歳まではプレゼントをもらえると思って、良い子になろうと頑張ってたんですけどね……。
 でも去年のクリスマス、サンタさん、来なくて……。やっぱり駄目ですね、人を殺しちゃうと。
 傭兵なんかになってガフガリオンと一緒に色んな戦場で戦ったり、
 異端者になって教会から追われたり、去年よりずーっと酷くなってますから、
 もう今後クリスマスプレゼントをもらう事は無いんだなぁ……って。
 アグリアスさんはきっと20歳まで毎年サンタさんからプレゼントをもらってたんでしょう?
 え、そうなんですか? 10歳までだなんて、何か悪い事しちゃったんですか?
 あっ、すみません変な事を聞いちゃって。
 ……え? メリアドールさんはちゃんともらってたんですか、すごいですね。
 ムスタディオはどうだい? ……一度も、って、嘘だろう? 赤ん坊の時は悪い事のしようが無いじゃないか。
 サンタさんがうっかり忘れただけとか……サンタクロースが本当は何だって?
 あっ、アグリアスさん!? メリアドールさん!? ちょっ、ムスタディオに何を!?
 わーっ! フェニックスの尾はどこだー! ムスタディオ、死ぬなー!」
263赤い 赤い サンタクロース 2/5:2005/12/24(土) 23:31:15 ID:YPR6nNUD0
クリスマスイブの機工都市ゴーグは、戦時中だというのに街中が浮かれているように見えた。
賑わう町の中、買出しを終えたラッド、ラヴィアン、アリシアがムスタディオ宅に戻る。
そして部屋の飾り付けをしていたラファ、マラークにいくつかの飾りを渡した後、
キッチンで下準備をしていたアグリアスとメリアドールに合流して、晩餐の準備に協力する。
ちなみに一番料理が得意なのはラッドだ。他の四人の女性はちょっと屈辱を感じてたりする。
ラムザはというと、寝室で眠るムスタディオの看病をしてたりする。
先日、ラムザに「サンタクロースなんていねーよ」と言いそうになったところに、
アグリアスとメリアドールの超強烈なツッコミを受けた結果だった。
そしてオルランドゥ伯とベスロディオは、呑気にチェスを打ってたりする。
そんなこんなでパーティーの準備は進むのだった。

『サンタクロースの正体暴露禁止令』が敷かれた中、クリスマスパーティーが始まる。
調査の結果、ラムザ以外にサンタクロースを信じてるピュアな子はいなかった。
そのため『サンタクロースの正体暴露禁止令』を知らないのはラムザだけである。
クリスマスケーキとチョコボの丸焼きをメインとし、様々なご馳走が並び、
ムスタディオが急激な復活劇を見せチョコボに食いついたり、ラヴィアンが酔っ払って歌いだしたり、
ラッドがアリシアに料理の秘訣を語ったり、オルランドゥ伯が隠し芸としてフードからベヒーモスを出したり、
ラファがケーキの甘さに感激しておおはしゃぎしたり、マラークが蛙になったり、
ベスロディオが新作クラッカーでぼやを起こしそうになったり、アグリアスとメリアドールが牽制し合ったり、
ラムザが楽しそうに歳相応の笑顔を見せて一部女性陣を魅了したり、それは楽しいパーティーだったそうな。

だがしかし、サンタクロースを信じているラムザのために、
クリスマスプレゼント交換会みたいなものは開かれなかった。
クリスマスプレゼントはパーティー終了後にそれぞれ勝手にやってくださいという決まりであり、
ラムザに対してはプレゼントを直接渡す事は禁じられ、
アグリアスとメリアドールの魂胆が分かっていた他メンバー全員は、
ラムザにクリスマスプレゼントを上げようとは微塵も思わなかったりする。
264赤い 赤い サンタクロース 3/5:2005/12/24(土) 23:32:16 ID:YPR6nNUD0

――夜。深夜。ホーリーナイト(聖なる騎士にあらず、聖なる夜なり)
闇の中を駆ける忍者二人の手が、ラムザの戸の前で重なった。
「あ」
「あ」
忍者アグリアスと忍者メリアドール。
お互い前衛系ジョブしかやってないので、テレポという便利アビリティは習得していない。
そのため素早く移動すべくMove+2をセットしている二人だった。
そして……。
「貴様、何だその格好は」
「アグリアスこそ何よその格好」
お互いがお互いの格好にツッコミを入れる。
アグリアスは青いサンタ服。白ヒゲ付き。
メリアドールは緑のサンタ服。しかもミニスカサンタ。
「……破廉恥な格好をしおって」
「そっちこそ何よ、付け髭なんて、受け狙い?」
お互い色にはツッコミを入れなかった。イメージカラーみたいなものだからどうしょうもない。
むしろどんなジョブにチェンジしようが、基本ジョブの服装を変えようとしない彼女らにとって、
サンタ服に着替えるだけでも驚嘆すべき事態だ。
「どうやら考える事は同じらしいな」
「フンッ、そういうあんたもね」
剣を抜く。忍者になろうと武器は剣、しかも冬場はつらいアイスブランド。
聖剣技、剛剣を使うために、剣装備可能をセットするのはお約束な二人なのだ。
「アグリアス、この勝負私の勝ちよ」
「何だと?」
「剛剣は対人で最も威力を発揮する。剣装備可能をセットしているお前はメンテナンスセット不能!」
「くっ……だが私は戦技をセットしている! メンテナスを使えないのは貴様も同じ、ウェポンブレイクしてくれる!」
「あいにく私は見切り+エルフのマント(緑色)をセットしているわ。ウェポンブレイクが当たるかしら?」
「うぬぬぬぬ……!」
265赤い 赤い サンタクロース 4/5:2005/12/24(土) 23:32:51 ID:YPR6nNUD0
ちなみにアグリアスのアクセサリはゲルミナスブーツだ。鈍足を気にしている彼女ならではといえよう。
そして青サンタ帽と緑サンタ帽、青サンタ服と緑ミニスカサンタ服で、両者ほぼ共通装備。
装備、アビリティ、総合して考えればアグリアスが圧倒的に不利だ。
「こうなったら先手必勝! ウェポンブレイク!」
「ヒラリ、見切って回避!」
ムスタディオ宅、客室(ラムザの部屋)前の廊下にて二人の壮絶な戦いが始まろうとしていた!
「ふふふ、邪魔な聖剣技を封じさせてもらうわ!
 地獄の鬼の首折る刃の空に舞う無間地獄の百万由旬……冥界恐叫打!」
「ウボァー」
アグリアスのアイスブランドが粉砕され、強烈な剛剣の威力がアグリアスの身体を激しく痛みつける。
「オルランドゥ伯さえ上回る我が攻撃力の前に敵は無し! たった一撃で瀕死になったわねアグリアス」
「うっ、ぐぐ……」
「トドメを……はっ!? アグリアスの目が死んでいない!? これは……」
「う、お、お、お、おぉぉぉっ! 肉斬骨断!!」
「キャアアッ! 一撃で瀕死に陥れた冥界恐叫打の威力がそっくりそのまま返ってきたー!
 しっ、しかしダメージは同じでも、武器を壊されたあなたの方が不利……」
「即死しろ! 死兆の星の七つの影の経絡を立つ! 北斗骨砕打!」
「なぜ聖剣技を……ウボァー」
「愚か者め、忍者は二刀流! アイスブランドも当然二本用意していたわ!」
「ふ、か、く。ガックーン」
「勝った」
ダラダラと血を流しながら勝利宣言するアグリアス。青いサンタ服が赤い血を吸って赤く染まらず、
赤と青が混じった濃い色になってしまった。
「ふっ、ふふ……今行くぞ、ラムザ。アグサンタからのクリスマースプレゼンッ、受け取ってくれ……」

アグリアスが戸を開けると、ラムザのベッドの前に赤いハイレグを着たムチムチプリンの女性が浮かんでいた。
266赤い 赤い サンタクロース 5/5:2005/12/24(土) 23:33:47 ID:YPR6nNUD0
「なっ……き、貴様何者だ! どこから入った!? ラムザに何を……」
ハイレグの女は背中から灰色の翼を生やしていた。便宜上、ハイレグサンタとでも呼ぼう。
ハイレグサンタは氷のような目線をアグリアスに向け、眉にしわを寄せた。
「……兄サンハ……渡サナイ……。赤イ 赤イ サンタクロース 私ノ役目ダ……」
「何者かは知らんが、黙ってサンタの役目をゆずる訳にはいかん!
 天の願いを胸に刻んで心頭滅却! 聖光爆裂破!」
光の柱が降り、ハイレグサンタの身体を焼く。
「ウゴゴゴゴ……ナルホド、ソレナリノ強サダ……ダガ甘イ」
「ぬぅっ! 何だ? この桁違いのパワーは……ひ、光が集まる!?」
「渦なす生命の色、七つの扉開き力の塔の天に到らん! ア ル テ マ!!」
「えええええええっ!? ちょっ、何だその反則的な……ギャアアアアアアッッ!!」

翌朝――ラムザは枕の横に置かれた手編みのマフラーを見て、サンタさんが来てくれたと大喜びした。
そしてなぜかアグリアスとメリアドールは重傷のままムスタディオ宅の庭に放置されていた。
真冬の寒空の下で一晩過ごした二人は熱を四十度くらい出したそうな。


   赤い 赤い サンタクロース
   お し ま い
267名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/25(日) 00:09:44 ID:2/+cYTtj0
良い子のラムザきゅんは
リボン(だけ)で包装されたアグたんをプレゼントしてもらうんでないの?
268聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 12:51:31 ID:BvvQ/8JI0


 聖誕祭。
 グレバドス教が崇める最高の聖人、聖アジョラがこの世に生を授かった日を讃える祝祭。

 国中のあらゆる場所で灯の明かりが溢れかえり、イヴァリース全土がきらびやかな宝石を
ちりばめたように輝く。その明るさときたら、夜空に踊る星々だって瞬きをするほどだ。
 この盛大な祭りは、磨羯の月の初頭、季節はもうすっかり冬に入り込んだ頃に催される。
街路に立ち並ぶ樹々はその葉を残らず落とし、流れる川の水すら凍りついてしまう、そんな
寒風吹きすさぶ寒さのなかで祭りは開かれるのだ。それにも関わらず、人々は服を着込んで
こぞって家の外に繰り出してゆく。イヴァリースに生きる彼らにとって、それだけこの日は
大切な意味あいを持つのだ。
 グレバドス教は、古より質実剛健を旨として厳格な戒律を重んじてきた宗派であるから、
彼らには祝日などという概念がほとんどない。しかしながら、この日はイヴァリースの建国
記念日とも重なり、流石に教会もこれを軽んじることは出来ない。そうして許された、年に
一度かぎりの国を挙げての祝日、それだけに人々は誰彼となくこの催しに心躍らせるのだ。
 また、欲望が服を着て歩いているような統治者たちも、この日だけは、領民に鞭を打って
労働を強いるようなことはしない。そんなことをすれば、たちまち激しい暴動にあってその
身を追われてしまうのが目に見えている。
 このように言うと、気位の高い貴族連中などは顔をしかめているのではないかと思うかも
しれないが、ぐるりと祭りの顔ぶれを見回してみると、もちろんそれなりの風体に身を窶し
てはいるものの、どこか格式ぶったお上品な顔がちらほらとまぎれこんでいたりするのだ。
 ことによると、この陽気に当てられて、魔物たちすら賑わっていることかもしれない。

269聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 12:52:43 ID:BvvQ/8JI0

 畏国の誰もが平等に喜びに浸れるこの日。
 かけがえのない、神聖なる日。
 それゆえに、この日を汚すような真似をするものを、人々は決して許しはしない。
 もしも人混みに紛れて盗みを働こうなどとする輩がいたら、それこそ通りに溢れる街中の
人間に袋だたきにされることだろう。
 でも、今日という日に限っては、そんなことをする人間などどこにもいやしない。通りの
孤児たちは駆け回り、孤児たちを売り飛ばす商人はその様子に微笑み、商人からかすめ取る
悪党どもはポケットにしまいこんだ手を出そうとしない。嘘だと思うなら、あなたもここを
訪れてみればいい。いつのまにか顔じゅう笑顔を浮かべている自分に気づくことだろう。

 だから。
 アジョラの存在を信じようが信じまいが、この日の輝きはちっとも色褪せはしない。
 もちろん、アジョラがただの人間だという真実を知っている人々にとっても。


 夜空が気を利かせてくれたらしい。
 真っ白な雪が、ちらちらと舞い降りだしていた。


270聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 12:53:18 ID:BvvQ/8JI0

 *


 曇った窓から星空を見上げていたアグリアスは、窓辺に雪が積もっているのを見つけて、
そっと窓を開けた。途端に震えるような澄みきった冷気が忍び込んでくる。慌てて雪をひと
かきすくいとり、彼女は窓を閉めた。掌の上の雪はひんやりとしてて、さらさらとしてて、
なんだか触っているだけでも嬉しくなってしまう。彼女はそれをこねくりまわすと、小さな
小さな雪だるまをこさえて、窓辺にちょこんと座らせてやった。その出来上がりに満足して
クスクスと笑い、それから冷えで赤くなってしまった手に息を吐きかけた。
 アグリアスは部屋の中を振り返る。そして、今度は正真正銘の溜息をついた。
「まだ終わらないのか、ラムザ」
 すらすらと机の上の書面に筆を走らせていたラムザが顔を上げる。
「すみません、もう少し」
 悪びれた苦笑を浮かべて、彼はまたすぐに目を机に落とした。
 このやり取りも何度目だろう。アグリアスは首を振り、また窓の外を見やった。
 窓から見える景色は楽しそうだった。街のところどころに小さな出店が並び、その灯りと
人々の楽しげな声がアグリアスを強く誘う。
(外はあんなににぎやかだというのに……)
 アグリアスはまた、恨めしげな目をチラリと向けた。
 もうかれこれ二時間近く、ラムザは切迫した隊の資金をやりくりすべく頭を抱えていた。
その間、ときどき今のように声をかけながら、アグリアスもずっとそれに付き合っていた。
 仲間はとっくに街に出ていってる。宿に残っているのはラムザとアグリアスの二人だけ。
宿主すら、店をほったらかして出ていってしまった。アグリアスだって、今すぐ飛び出して
行きたいところだ。
 それなのに………。
271聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 12:53:55 ID:BvvQ/8JI0

 はぁ、とわざわざ聞こえやすいように溜息をしてみせる。大事な仕事であったし、それを
隊の長たるラムザが自ら引き受けているということもあって、アグリアスも大人しく待って
いたが、流石にこうも長々待たされると苛立ってくる。こんなことをしていたら、聖誕祭が
終わってしまうではないか。
 そんな彼女を見かねて、ラムザが申し訳なさそうにけれど明るい調子で声をかける。

「アグリアスさん。僕のことは気にしないで、出かけて下さって構わないんですよ」

 その言葉で、外を見つめていたアグリアスの背がぴくりと震えたのだが、俯きながら声を
かけたラムザには当然分からなかった。
 次にラムザの目に映ったのは、だしぬけに机の書類をひったくるアグリアスの手だった。
「あっ、ちょっと……!」

 ビリリリッ!

「あぁぁぁぁーーーーーッッ!!!」
 驚いて口が塞がらないラムザをよそに、アグリアスは細切れにしてしまった書類を今度はランプに綺麗さっぱり焼べてしまうと、パンパンと手をはたきながら清々した顔で言った。
「行くぞ。今日という日に、宿に籠って折角の祭りを楽しまないなど罰が当たる」
「……あぁ………、三時間もかけて……書いたのに……」
「行くぞ!!」
 未練がましそうに燃えカスにすがりつくラムザに、アグリアスは乱暴に外套を投げつけ、
返事も待たずに戸を飛び出した。
「ひどいなぁ……もう…」
 半ば呆然気味にぶつくさいいながら、ラムザも慌ててその後を追って出て行く。

 戸が閉まったときには、窓辺の雪だるまはもうほとんど溶けてしまっていた。


272聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 12:55:26 ID:BvvQ/8JI0

 **


 遠くから見ても街の楽しかった街の光景は、中に入るとその何倍も楽しい。雪が降り注ぐ
戸外にも関わらず、楽を鳴らす陽気な男たちや、目を丸くするような曲芸を披露してくれる
芸人たち。ごった返す人々のざわめき声。それらの音色と交じりあって、通りに並ぶ店から
食欲をそそる香ばしい匂いが漂い、アグリアスは夢心地にそれらを見渡した。色とりどりの
菓子類や、唾を飲むような様々な料理、そしてもちろん酒も欠かせない。豪勢な品揃えに、
通りの人々は圧倒される。こんな大盤振る舞いをして、商売が成り立つのかと思うほど。
 いいや、もちろん成り立つわけがないのだ。
 彼らははなから利益など求めていない。これは競争なのだ。どれだけ通行人の目を惹き、
お客を楽しませられるか。彼らの目的はそれだけに尽きる。例え明日無一文になろうとも、
それさえ叶うなら悔いることなど何一つない。実際、祭りが終わった後に店を畳んでしまう
連中が毎年後を絶たないくらいだ。
 だから行き交う人々も、立ち並ぶ店の一つ一つをじっくりと眺める。それが店を開いてく
れている人間たちへの最大の誠意であり、義務でもあった。彼らもまたこの日に財布をすっ
からかんにさせてしまおうが、意にも介さない。
 誰もが全身全霊をこめて、この日の喜びを味わうのだ。
 それを「畏国民の楽観主義」と嘲る国もある。アグリアスは鼻先で笑い飛ばす。何とでも
言うがいい。これこそが生きるという喜びではないか。人生の醍醐味ではないか。
 アグリアスはイヴァリース人のそんな豪快な気質が大好きだったし、自分がまぎれもなく
その一員に属していることが彼女をいっそう喜ばせるのだった。

273聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 12:58:32 ID:BvvQ/8JI0

 さて、アグリアスの方はかくも上機嫌なのだが。

「見ろラムザ、お前の好物のミートパイがあるぞ」
「おいしそうですね」
「あそこで売ってるもの知ってるか? 綿菓子というんだぞ」
「へえ」
「何だあれは。あんな大きなケーキをつくって、誰も買うわけがないだろうに」
「ほんとですね……」
「………」

 どうにも淡白な反応しか返してこないラムザ。
 楽しそうどころか、なんだか申しわけなさそうな面をしている。
 それでもって、たまに口を開いたかと思えば、
「あ、アグリアスさん、あそこ」
「えっ、どれだ。何かあったか!」
「あの小屋、チョコボの厩舎みたいですよ。ボコの飼い葉をわけてもらえるかも」
「………」
 まだしつこく隊費のことを気にかけていたりする。
 アグリアスは苛立つ。周りを見ると、睦まじげな恋人たちの姿が目障りなぐらいちらちら
目に入ってくる。誰も彼も、お互いのパートナーを周囲に見せつけるように振る舞って。
 対してアグリアスの隣にいるのは、変装用に深々と帽子をかぶった、上の空のラムザ。
274聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:00:23 ID:BvvQ/8JI0

「……ラムザ、帽子をとれ」
「へ?」
「いいからよこせ!」
「ちょちょ、ちょっと」
 止める間もなくラムザの帽子をひっつかむアグリアス。
 素顔が露になって、ラムザは慌てだした。
「まずいですよ……! 見つかったら」
「心配するな。祭りの最中に密告する人間などいない」
「そう言いましても……」
「うるさい! 少しは隣の私にも気を遣え!」
 がなり立てながら、アグリアスはかっかと顔を火照らす。
 要はこれがアグリアスの本心だった。別に彼女はラムザに気を遣っているわけではない。
 むしろ、彼に要求しているのだ。

 年に一度の聖誕祭。
 もう二度と訪れないような機会だからこそ。
 わざわざ二時間以上も待っててやったのだから。
 お前を選んでやったのだから。

 少しは私を喜ばせてくれたっていいじゃないか。

 尤も、この愚鈍なまでに謙虚な男は、そんなアグリアスの気など露ほども知らず、彼女は
自分に気を遣わせまいとして、わざとこんなことを言っているのだろう、などとひねくれた
考えに落ち着いてしまうのだが。


275聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:01:53 ID:BvvQ/8JI0

 ***


 街の中心に近づくにつれ、並んで歩く二人の目に巨大な影が見えてきだした。
 周りの建物を突き抜けてそびえ立つ、とてつもなく雄大な大樹。
「今年のスウィージはまた立派だな」
「スウィージ?」
 感嘆しているアグリアスに、ラムザは尋ねる。
「あの大樹の名前だ。スウィージの森の奥深くには、樹齢千年以上を超える大樹林がある。
あれはそこからとってきたものだ」
「あぁ、それでスウィージの森なんですか」
「あれが見れるのは畏国の中でもここだけでな。だからドーターの聖誕祭は名物なんだ」
「なるほど」
「尤も森から一番近いこの街まででも運んでくるのは必死だ。森の中には魔物もいるしな。
何しろもともとスウィージというのは『巨大な樹』という意味で、イヴァリースで一番……
ラムザ、お前、学校で何を聞いていたんだ」
「………」
 呆れ顔の彼女にラムザは恐縮して俯きながらも、内心でそっと抗弁する。
 別に決して自分が不真面目なわけじゃない、教官があのダーラボンだから悪いのだ。
「もっと近くにいこう。真下からみると、きっと驚くぞ」
 アグリアスはそう言って悪戯っぽく笑いながら、ラムザをうながした。
 
276聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:02:39 ID:BvvQ/8JI0
 
 スウィージの根元には、他にも増して大勢の人がいた。そして誰もがその大樹の姿を首が
痛くなるまで見上げていた。ラムザもその中に加わった。
 確かにアグリアスの言う通りだった。冬風に緑の衣装を奪われたスウィージは、今は葉の
代わりに雪の衣を纏っていた。降り積もる雪はその重みによって下の方から少しずつ溶けて
ゆき、輝く氷の塊となる。樹の真下から見ると、その巨大な氷を通して、夜空がうっすらと
突き抜けて見えた。張り巡らされた無数の枝が独特の網模様を描いて、まるで天然のステン
ドグラスを見上げているような気分になる。
 言葉を失って見上げているラムザに満足して、アグリアスも同じように顔を上げた。
(相変わらず綺麗だな……)
 アグリアスは心の中で呟く。
 彼女はこの眺めを見るのは初めてではない。以前にも一度、ここに来たことがあるのだ。
 アグリアスは見上げながら思いを馳せた。
 あまり美しいものを目にするとしばしば多くの人がそうなるように、彼女も些か哲学的な
気分になっていた。
 季節というのは、子供のようなものかもしれない。変わりゆく容姿は決してこちらの目を
飽かせることはなく、例え私が関わらなくとも変わらず生き続けて、またこのように美しい
姿を見せてくれる。そして、少し淋しいけれど、恐らくそれは私が死んだ後も変わらない。
 子供、という言葉が自分の頭から出てきたことにアグリアスは苦笑した。
 そんな母親のようなことを考えつくなんて、自分は女を意識しだしているのだろうか。
 だとしたら、それは多分、誰かさんのせいなのだろうな。

「アグリアスさん」
 ふいに声をかけてきたラムザは、なにやらほくそ笑んでいた。
 そうしてラムザは向こうの方を指差している。その先にあるものを認めて、アグリアスも
にやついた。
 笑いながら二人は良からぬことを思いついて、足下の雪をすくい出す。
 そしてよく固めた雪玉を、前方の人影に向かって投げつけた。アグリアスは石を混ぜた。
 投石で鍛えた腕前は、正確に標的を捉える。
277聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:04:12 ID:BvvQ/8JI0

「いでっ!?」
「なっ、なにすんのよ!!」
 だしぬけに後頭部にぶつけられた雪玉に激怒した二人組の男女は、しかし振り返ると威を
そがれた表情になった。
「なんだ、お前らかよ」
「やあムスタディオ」
「アグリアス、来ないかと思ってたわよ」
「危うくそうなるところだったがな。メリアドール」
 軽く挨拶を交して、彼らはそのまま立ち話に耽りだした。

「もうだいたい回ったの?」とラムザ。
「まさか」ムスタディオが一笑する。
「ドーターの祭りは盛大だから、一晩かけても回りきれないわよ」とメリアドール。
「ラムザはまったくものを知らないな」極めつけに、アグリアスにまで笑われてしまう。
 些か顔をむくれさせながら、ラムザは話を逸らした。
「他のみんなはどうしたんだい」
「他の連中かぁ、アリシアはラッドと一緒だろ?」
「ラヴィアンの方はダメもとでクラウドを誘ってみるとか言ってたわね」
「無理無理、あいつボコの餌やりにいってたぞ」
「あと、ラファは確かエレーヌと一緒にお菓子を食べて回るって張り切ってたわ」
「マラークが置いてかれて、電源入ってない労働八号に愚痴ってたな」
「それからベイオウーフさんとレーゼのお二人は言うまでもないでしょ」
「そうだそうだ、ギルとローゼンは女を口説きまくってくるとか豪語してたっけ」
「サンドラなんか、宿で別れたときにはもう知らない男がくっついてたわよ」
「あとは伯か。なんかモトベとややこしい話してたな」
「あれは完全にオルランドゥ様の方が絡まれてたわね、お気の毒に」
278聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:04:49 ID:BvvQ/8JI0

 ぺらぺらと息の合った調子で説明する二人に、アグリアスが告げる。
「なるほど、そしてお前たちは二人仲良く楽しんでいるというわけか」
 すると二人は揃って首を横に振り、
「ちがうちがう、こいつが売れ残ってたから哀れでさ……」
「そうじゃないわよ、ムスタディオが誘って欲しそうな顔してたから…」
 揃って同じようなことを言って、じろりと睨み合う。
 絶妙な夫婦漫才にアグリアスたちが笑っていると、
「へ、お前らこそ、仕事があるからお先にどうぞ、なあんてうまいこと言っておいてよぉ」
「ねえ、そんなこそこそしないでも、私たち誰も邪魔しないわよ?」
 今度はこちら側に好奇の矛先が向けられる。
 これにラムザは実に屈託のない笑みで答えた。
「いやあ、そうじゃないよ。僕一人だけ宿に残ってるのを見かねて、アグリアスさんが気を
遣ってくれたんだよ。ね、アグリアスさん?」
「………そうだ」
 アグリアスはどっと疲れた様子で頷く。
 いかなる揶揄や挑発も、ラムザの持つこの鈍感という名の鉄壁には何の意味も為さない。
 毎度のことではあるが二人も呆れ果て、それからアグリアスに同情の視線を送った。
「……じゃ、まあそろそろいくか」
「そうね。二人の邪魔しちゃ悪いしね」
「じゃあ、またあとでね」
「お前たちも楽しむといい」
 人混みに溶けていく二人の背中を見送りながら、ラムザは嬉しそうにささやく。
「似合いの二人ですよね」
「確かにな」
「喧嘩ばかりしてますけど、二人とも実は他人にお互いのことばっかり話してるんですよ」
「よく観察してるんだな」

279聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:06:01 ID:BvvQ/8JI0

 アグリアスはひそかに皮肉った。
 もっと近くも見ればいいのに。

 遠ざかっていくムスタディオたちを見つめていると、急に不安な気持ちが彼女を襲った。
 ラムザのこのあまりに平然とした素振り。
 もちろん確かめたことなどないから、決めつけたりはしないけど。
 それでも、自分の想いは通じてると思っていた。
 自分が感じる想いは、錯覚などではないと信じていた。
 しかし、ラムザはどこまでも鈍感なばかりで。
 いや、それが鈍いのならまだいい。
 もしも、全部がアグリアスの淡い思い込みだったら。

 遠ざけようとすれば、想いはいっそう膨れ上がる。
 駆け巡る不安は、やがて彼女の頭に一計をはじき出す。
 アグリアスは起伏のない声を作り、言った。

「思い出すな」
「何をです?」
「私は前にもここの祭りに来たことがあってな」
「そう言ってましたね」
「あいつらみたいに、二人で仲良く見て回ったものさ」
「えっ」
 ラムザが小さな声を上げる。
 アグリアスは素知らぬ顔で歩き出した。


280聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:07:22 ID:BvvQ/8JI0

 ****


 二人はまた並んで街路をあるく。響き渡る楽の音は尽きないし、街のにぎわいはますます
熱を帯びて、祭りは栄えるばかりだった。ところが、二人の様子はがらりと一変していた。

「あ、アグリアスさん、あそこミートパイが売ってますよ」
「おいしそうだな」
「さっきまた綿菓子が売ってましたね。一つ買ってみますか?」
「あぁ」
「あっ、見てくださいよあの人。片手でリュートを」
「そうだな」
「………」

 熱心に話しかけるラムザを、アグリアスはぼんやりと受け流す。先程までとはまるっきり
立場が逆である。
 ただ、さっきのラムザとは違って、アグリアスは実際はぼんやりとなどしていなかった。
 それどころか、すこぶる上機嫌だった。
 それでも彼女は退屈そうな仮面を顔にかぶり、こんなことを言ったりする。
「……ラムザ、あの芸人を見ろ。きっとこれから剣を飲み込むぞ」
「え……あっ、すごい。どうしてわかったんです?」
「あの人と来たときにも、ここで同じ芸をしていたんだ」
「へえ…」
 あの人、という言葉をかすかに強調させるアグリアス。
 ラムザはなんだか溜息のような相づちを返した。
 そのしょぼくれた様子に、アグリアスは顔には出さないが、ますます気を良くする。
 もちろん彼女のこの態度は、わざとやっていることなのだ。
 けれど、『鈍感』なラムザはもちろんそんなことには気付かない。
281聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:09:10 ID:BvvQ/8JI0

「……あの、アグリアスさん」
 やがて、ラムザは決意めいた声を出す。
 ふいに離れたところから聞こえてきた騒ぎがそれを遮った。
 祭りの場に相応しくない争い声。
「なあ! おっさん、頼むよ!」
「だめだだめだ。坊主、諦めな」
 近づいて見ると、なにやら男と子供がもめている。
「これしかないんだ、これでそのオルゴール譲ってくれよ!」
「悪いがな、こいつはそんなに安い代物じゃないんだ」
 少年は手に握ったわずかな銅貨を押し付けながら懇願する。
 察するに、少年は男の持っている小綺麗な箱を欲しているようだった。
「家で母さんが待ってるんだ! なにか持って帰ってあげて、喜ばせたいんだよ!」
「すまねえけどな、俺も娘の土産にわざわざ探して仕入れて来たんだよ、坊主」
「貸してくれるだけでもいいよ! 嘘じゃない、ちゃんと返すから!」
「………今日っていう日にお前を疑いやしないけどよ、けどなあ、そろそろ放してくれよ。
俺ももう家に戻らなくちゃならねえんだ。家族が待ってるからな」
「頼むよ……頼むよ……!」
 少年は病の母親のためか、それでもなお必死でかじりつく。
 男は性根の悪い人間ではないらしく、懸命な少年をあしらいかねているようだった。
 それでも、あまり彼がしつこいので、男も流石に痺れを切らしてきた。
 人々の好奇の視線を受けながら、やがて男は少年を荒っぽく振り払った。
 少年に同情の目が注がれるが、男を咎めるような声は出ない。状況を考えれば、当然の、
むしろ辛抱していた点で紳士的な態度と言えた。アグリアスも複雑な心情でその状況を見届
けていたが、ふと隣にラムザがいない事に気がついた。
282聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:10:07 ID:BvvQ/8JI0
「待ってくれ」
「あん?」
 去りかける男の前に、ラムザがいた。
「これでそのオルゴール、売ってくれないか?」
「えっ……」
「なんだいだしぬけに。誰だか知らねえが、こいつはちょっとやそっとの金じゃ」
 言葉の続きを遮って、ラムザは懐から出した袋を彼に押し付ける。
「一万以上入ってる。これだけあれば、もっといいものが買えるだろう?」
「……あんた、本気か?」
「売ってくれるかい?」
「まあ、そりゃあ……こんだけもらえりゃ俺も娘も文句はねえよ」
「ありがとう」
「あんた………いや、なんでもねえ。じゃあな。坊主、悪かったな」

 男はしばし気まずそうな視線を漂わせてから、そそくさとその場を去っていった。
 後に残された少年が、おずおずとラムザに話しかける。
「あの……」
「ほら、これだろ。持っていくといい」
「ありがとう。でも……俺………もらえない…」
 彼はそう言って、悲痛な面持ちで、箱を差し出すラムザの手を突き返した。
 少年は、貧しいけれど、乞食ではなかった。
 幼いけれど、尊厳というものをもっていた。
 そして、さっきラムザが男に手渡した大金を見た以上、自分の手のなかのわずかな銅貨と
引き換えにそれを受け取ることなどできなかった。
 けれど、ラムザもその手を引っ込めようとはしなかった。
283聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:13:54 ID:BvvQ/8JI0

 ラムザはうなだれる彼の肩に手を添え、優しく言葉を続けた。
「『かささぎ亭』って宿屋がどこにあるかわかるかい?」
「え? う、うん」
「僕はそこに泊ってる、名前はルグリアだ」
「え?」
「そして君は明日の朝一番にそこに来るんだ」
「……?」
「それは君にあげたんじゃない、貸してあげるんだ。だから何も遠慮することはない」
「あ……」
「どうしたんだ、お母さんが待ってるんじゃなかったっけ?」
「……ありがとう、ありがとうお兄さん!」
「落とさないでくれよ、それは僕のなんだから」
 最後に付け足した言葉は、どうやら聞こえなかったらしい。
 顔いっぱいに満面の笑みを浮かべて、少年はとっくに雪の彼方に消え去っていた。
 満足げに彼を見送るラムザに、アグリアスは歩み寄った。
「随分と気前のいいことをしたな」
「あげたわけじゃないです。あとで返してもらいますよ」
「……甘かったんじゃないか?」
「そうかもしれません。でも、あの子が自分のお菓子や玩具を欲しがっていたら、僕だって
お金なんか出しませんでしたよ」
「そうだな……、そうだろうな」
「それに、彼にも言ったように貸しただけですから」
「母親が喜んでくれるといいがな」
「アグリアスさん、言ってたじゃないですか」
「ん?」
「今日という日に祭りを楽しまない人間がいるなんて、罰が当たるって」
 そう言って得意げな目配せをしてくるラムザの顔に、アグリアスは思わず見とれた。
 他人の幸せを実感することが出来たときにだけ見せる、慈愛に満ちた笑顔。
 アグリアスが、この世のなによりも好きな顔。
 スウィージの木陰で覚えた不安が、静かに消えてゆく。
284聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:15:00 ID:BvvQ/8JI0

「…それにしても、一万ギルは些か奮発し過ぎだ」
「なんとかしますよ。どのみち帳面は書き直さなくちゃいけませんでしたし」
「私への当てつけか、それは。悪かったな」
「いえ、いえ、そんなこと。やっぱり外に出て来てよかったです。とっても楽しかった」
「馬鹿を言え。これまでは序の口。祭りの見どころはまだたくさんあるんだから」
「……それも、前に来たその彼と回った場所ですか?」
 また顔を曇らせだすラムザ。
 アグリアスはくっと笑い出してしまいそうなのを堪えながら、首をかしげてみせた。
 もうそろそろ、意地悪をするのはおしまいにしてやろう。
「彼? ラムザ、いったい何の話をしてるんだ」
「ですから……アグリアスさんが以前ここに一緒に来た」
「そう、オヴェリア様と来たんだ。いけないと言ったんだが、どうしてもと聞かなくてな。
シモン先生の目を盗んで修道院をこっそり抜け出して、お連れしたんだ」
 懐かしそうに話すアグリアス。
 ラムザの方は目をぱちくりさせている。
 にっこり笑って、アグリアスはまたもや白々しい声を出す。
「どうかしたのかラムザ?」
「……え、いえ、別に。別になんでも……あの、何だかお腹空きませんか?」
「そうだな、何か店のものをつまもうか」
「じゃあさっき見つけたミートパイを」
「そればっかりだなお前は。私はチョコボエッグが食べたい」
「そんなもの売ってましたっけ?」
「探そう、街は広い」
「えぇー、とりあえず先に何か食べましょうよ」
「じゃあミートパイ以外だ。私も好物を我慢するから、お前も我慢しろ」
「そんな無茶な」
285聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:16:12 ID:BvvQ/8JI0

 笑い声が溢れる。
 もうすっかりいつもの調子で、仲睦まじい二人に戻っていた。
 楽しそうな言葉は尽きない。
 ラムザもアグリアスも、気のむくまま、競うあうように言葉を交わした。


 夜はこれから。
 ずいぶん長い遠回りだったけれど、二人はようやく祭りを楽しみだしていた。



「あ、さっきのチョコボの厩舎にも寄ってみたいんですが」
「それはだめだ」


286聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:16:46 ID:BvvQ/8JI0

 *****


 しんしんと雪は積もり、夜はいっそう更けた。
 街を一回りして、二人の視界にまた巨大なスウィージが見えてきだした。
 樹の根元に人だかりができていた。近づくと、西部訛の強い胴間声が聞こえてくる。
「おぉい、みんなちっと聞いてくれ! 俺ンとこにガキが出来たんだ。双子だぁ!!」
 泥臭い顔の男が人々の注目を浴びていた。
 ピューゥと誰かが口笛を鳴らし、一斉に笑いと喝采が弾ける。
「ありがとよありがとよぅ。そいでよ、図々しい話なんだけどよぅ、もしよけりゃあ、この
場を借りてよぉ、お前さん方に俺のガキめらを、なんだ、そのよぉ、祝福してもらいてえん
だぁ。寝込んでる女房にも聞こえるようにさぁ、アジョラ様のほんのついででいいからよ、
なぁひとつよろしく頼むわぁ。そんじゃあ、フォーラム!」
 馬鹿野郎、ファーラムだ。野次が飛んでまた周りが笑いにざわめいた。
 それでもその場の誰もが身を縮ませて照れている男とその家族へ、心からのフォーラムを
贈った。街中に幾百幾千ものフォーラムが広がり、男の話など聞こえていない者たちにまで
それは伝染していく。暖かい祈りの中でアグリアスはふっと空を見上げた。
 黒一色の天井では、星たちがところ狭しとひしめき合い、下界の明るさに負けまいと争う
ように光っている。点々と散らばる星の軌跡は、彼女に様々な顔を思わせてくれた。それは
大切な友人の顔であり、懐かしい両親の顔であり、それから彼女自身の顔であったかもしれ
ない。やがてその光はアグリアスの瞳の中で、ひとつの顔を結ぶ。


 ────────オヴェリア様。


287聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:17:30 ID:BvvQ/8JI0

 貴方もこの空を見ておられるのでしょうか。
 不思議ですね。貴方と遠く別れてしまった今、なぜか貴方がとても身近に感じられます。

 オヴェリア様。
 貴方はあの日のことを覚えておいででしょうか。
 手袋を落としてしまった私に、寒くないようにと手を繋いでくださいましたね。
 私の持ち合わせが少なくてろくにお菓子も買って差し上げられなかったのに、
 見ているだけで満足だと、お腹の音をならしながら言ってくださいましたね。 
 それから、あの樹の下で、二人寄り添って空を見ましたね。

 オヴェリア様。
 ごらんください。この星空は、あの日私たちが共に見上げた時のままです。
 貴方はこの星空の下、何を思われているのでしょうか。
 笑っておられますか。それともまた、泣いておられるのですか。

 貴方の側には、誰か共に手を取って星を見上げてくれる方がおいでですか?


 私は────

288聖誕祭 ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:18:15 ID:BvvQ/8JI0

 そっと手に触れる暖かい感触に、アグリアスは視線を戻した。
 いつのまにか、左手にラムザの手が寄せられていた。彼は手袋をはずしていた。
「フォーラム、アグリアスさん」

 ちょっと目を丸くしたアグリアスは、けれどすぐに微笑んで左の手袋を脱いだ。
 それから優しい手をしっかりと握る。
「フォーラム、ラムザ」
 それから、そっとその手の主へと顔を近づけた。



 季節は巡る。
 それでは、季節を回しているはいったい誰なのだろうか。
 その人はひょっとして、この雪を降らせている人なのではないか。



 はるか頭上に広がる真っ黒な空、それよりも、もっとずうっと遠く。

 誰かが笑ったような気がした。





 終
289ふみんしょ ◆QjqnRqGxSY :2005/12/25(日) 13:20:13 ID:BvvQ/8JI0

素朴な話で。
アグスレのみんな、メリークリスマス。


>諸作者のみなさん
汎用キャラいろいろお借りしました。ひとつご容赦を。
290名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/25(日) 23:38:37 ID:Wa6Di4LF0
>>261
ttp://www.geocities.jp/mes_chansons/simamoto.html

とりあえずムスタにはこのフラッシュを百万回見直して来いといいたい
291名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 01:04:24 ID:udsBdsSP0
>>289
すごく良かった…ありがとう
こういうほんのり恋愛な話に弱いんだよ
292名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 01:40:43 ID:k4P/j3vU0
結局フォーラムなのかファーラムなのかと突っ込みつつ乙

ふとこのスレのSSで過去に出た汎用キャラの一覧とかあったら
どうかとか思ったが、まとめたらみんな読む?いらん?
293名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 01:48:07 ID:X66P+ZaU0
みんな男の間違いに乗ってわざとフォーラムって言ってるんだろ

それはそうと、汎用リストはちと見てみたいかな。特徴付きで。
294名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 02:03:55 ID:fdVRTUfd0
素でフォーラムと勘違いしてた俺には耳が痛いぜ(ノ∀`)

ふみんしょ氏、超GJ。
クリスマスに和んだ。いや、もう日付変わっちゃったけれども。

汎用リストは俺も見てみたい。
295名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 02:13:46 ID:B8vbvSRB0
アグ「ラムザ、今夜は聖誕祭だな」
ラム「そうですね・・・・・・戦時下ですけど」
アグ「なぁラムザ、お前はサンタさんに何を頼んだ?」
ラム「は・・・・・・ええと、あの、まだ何も考えてない・・・・・・です」
アグ「そうか。私はな、いい加減盾古くなってきたので新しい盾をお願いしたんだ」
ラム「そ、そうですか」
アグ「さて、そろそろ寝るかな。今日ばかりは夜更かしすると
   折角のプレゼントを貰い損ねるからな・・・・・・じゃ、おやすみ」
ラム「お、おやすみなさい(・・・この人はこの歳でまだ信じていたのか・・・・・・)」
296名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 05:13:12 ID:t7vX5PDD0
仕方ない、俺が新しい盾になってやるか
297名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 08:07:29 ID:MU6tXGhs0
サンタガフがクリスマスプレゼントとしてアグたんのブーツくれました
298名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 08:20:37 ID:Vx7wLtTgO
聖天使ハイレグサンタが『あぐりあす』と書かれた某セイバーのブロマイドをくれました。
これはサンタさんからの遠回しの愛の告白ですか?それとも素で間違えてますか?
よくわかりません>_<
299名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 10:35:54 ID:VL/c9J8s0
『あぐりあす』と書かれたスカイセイバーのブロマイドか…。
きっと「私(アルマ、アルテマ、アジョラ)と四体合体してくれ」という愛の告白だよ
300名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 23:21:19 ID:uJn9bGXT0
ふみんしょさん乙。
いいなぁ
301名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/26(月) 23:59:11 ID:Gh7YXY5T0
>>295
その会話が宿部屋の外の廊下でなされたのか(その際、二人は同部屋にあらず)
一つベッドの中でだったのかで、
アグリアスさんが遠まわしにラムザに催促したのか、マジでサンタ信者なのかが変わってくるのではないかと。
302名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/27(火) 02:10:03 ID:xPzh6uJ20
ふたばに久々にいじり絵師さんのラムザ&アグ姐がサンタで来てた。
どちらがお色気担当かということは特に問題ではない、はずw
ttp://up.2chan.net/q/res/759181.htm
303名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/27(火) 03:20:56 ID:tvBOTb5S0
この人のアグ姐はむしろこれでイイ
304名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/27(火) 03:55:39 ID:Ze39yYMb0
少し前までアグたんの口調はGPMの舞姫に似てるという意見が多かったが、
その舞姫のモデルになった(製作者が公言してる)星界の戦旗のラフィールとは
似てるだろうか?
305名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/27(火) 09:54:18 ID:p58vkilN0
アグは単に男言葉なだけだからなあ
306名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/27(火) 10:11:23 ID:t7rk3LbR0
           ...-‐――--.. 、
           /::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
        /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ  アグたんと呼ぶがよい!
        l:::::::/\:::::::::::::::::::::::::::l  
        l/l/   \l\l\:::::::ノ))
        |::l ○   ○   |:::|6)))
         |::l`ー-    -‐ |:::|  ))
        |::!         l:::l
        l/.         ;/
307名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/27(火) 14:02:55 ID:d1aHJ1Mi0
どなたか>>302の「メガストア」「描き下ろし〜」のあたりの詳細をご存知ないだろか?
308292:2005/12/27(火) 14:55:50 ID:t7rk3LbR0
やってみた。結構大勢いた。

《アグスレSSラムザ隊オリ汎用キャラ一覧》

マーガレット(顔無し黒魔道師「ティンカー・リップ」他)
 明るい風水士。ラムザ隊のトラブルメーカー。「ラムザー!!見て見て〜!!
温泉発見〜!!」

ロビンズ(顔無し黒魔道師「ティンカー・リップ」他、昼寝士「剣と野望とチョコレート」)
 軽薄だが覗きに懸ける気迫は本物。マーガレットのことが最近気になる。
「アグリネエのやつすごいペースで歩くんですよラムザさん」

ワイアット(顔無し黒魔道師「ティンカー・リップ」他、昼寝士「剣と野望とチョコレート」)
 普段は無口だが覗きには参加。「伝説の『忍びの衣』があればな〜…もう見たい
放題なのにっ!!」

マロン(顔無し黒魔道師「ティンカー・リップ」他)
 クールで知的な白魔道士。ムスタディオとちょっといい感じらしい。「だってここに
眠れるお姫様と王子様が………いるじゃない?」

ザック、カーマイン、ヴァレリー(れっどふぉーど)
 アカデミー時代からの古参メンバー。

オフェーリア(昼寝士「乙女にキッス」)
 研究好きの黒魔道士。ネコの飾りがトレードマーク。「そういうことです。じゃ、
あたし戻りますから!」
309292:2005/12/27(火) 14:56:36 ID:t7rk3LbR0
エスメラルダ(昼寝士「ベルベニア・エクスペリメント」)
 アルマがラムザとアグの関係をリサーチした相手の一人。

ジーン(昼寝士「ベルベニア・エクスペリメント」他)
 ラムザとアグリアスの微妙な仲に気付いていない。アグリアスの手作りチョコを
貰おうと勝負を挑んで撃沈した。

エリオット(Part4「Please shake hands」)
 白魔道士。

リサ(おーらん?)
 古株の踊り子。「アグリアスはさっ!好きな人とかいないの?」

セス・ベルオムダ(昼寝士「れっつアタック」)
 アカデミーからの仲間で勝ち気な秀才。ラムザのことが好きで、アグリアスと
対立する。「そっちこそ、何がわかるっていうの。貴女よりもラムザとのつきあいは
長いのよ!」

パーカー(昼寝士「剣と野望とチョコレート」)
 アグリアスの手作りチョコを貰おうと勝負を挑んで撃沈した。

サリバン、ガストン、テンスベルガー(Part11スレ)
 チンピラ系メンバー。アラグアイの森で蹴散らした盗賊の女弓使いをヤろうとして、
アグリアスに叱られた。のちに離脱。
310292:2005/12/27(火) 14:58:10 ID:t7rk3LbR0
闇風、カリュオペー(昼寝士「吾輩はボコである)
 ボコの後に入ってきた黒チョコボと赤チョコボ。

ギルデンスターン(ギルロゼ珍道中「あなたがいれば」他)
 ラムザ隊最古参の一人。あまり面白みのない性格。「本とかでも読んでんじゃ
ねえか?」
 名前の元ネタはローゼン共々、映画「ローゼンクランツとギルデンスターンは
死んだ」(1990英)から。

ローゼンクランツ(ギルロゼ珍道中「あなたがいれば」他)
 ギルデンスターンの相方。脳が変色気味。ローゼンクランツと共に、しばしば
狂言回しを務める。「それじゃあ部屋に行ったら慌てる理由がないだろ? 
きっとなんか、こう淫らな感じの秘密 が・・・」

ヴィンセント(ギルロゼ珍道中「あなたがいれば」)
 ラムザ隊の新人。画家の卵。穏健な性格だが、服の上からアグリアスの3サイズを
見抜く眼力を持つ。

サンドラ・ラスカリス(昼寝士「同窓生」)
 アグリアスのアカデミー時代の同期。陽気でものにこだわらない性格。「ぶっちゃけ、
あなた達の夜の生活って、どうよ?」

エレーヌ(ふみんしょ「新人入隊」他)
 ラムザ隊の新人。ドジで天然な白魔道士。ラムザにときめいてはアグリアスに
一方的に敵視される。一時はスレがエレーヌ萌えに染まりかけたほどの萌えキャラ。
「これからうまくやっていけるでしょうか。姉さん、わたしかなり不安です」
311292:2005/12/27(火) 14:59:01 ID:t7rk3LbR0
モトベ(モトベ「黒い聖騎士」他)
 ラムザ隊随一の博識を誇る侍。蘊蓄は凄いが、実戦では今一つ頼りない。「吸血…
闇の眷属しか使えない邪技だと聞く。対象の血を(以下略)」
 元ネタは『グラップラー刃牙』同名の柔術家から。

アスカ(昼寝士「月夜風呂」)
 東方出身の女傭兵。ラムザ隊に温泉の趣味を広めた。

ゴンザレス(行く人「天才アグリアス 電光石火の市民プール」他)
 アグリアスの男気とムチムチっぷりに惚れて子分になったマインドフレイア。
触手プレイ要員。「マイマイ〜ン、マーインドーフレーイフレーイア?(俺もう姐さんに
メロメロや、姐さんから誘ってこん限りエロい事もせえへんから仲間にしてくれへん?)」

ラット(行く人「勧誘で行く!」)
 アグリアスに勧誘されて隊に入った、養豚の得意な話術士。後にアビリティ用
クリスタルにされかけたが、アグリアスのおかげで逃げ延びた。「故郷に置いてきた
弟よ、お前は農民として真っ当に素朴に幸せに生きてくれ、兄はクリスタルとなって果てる」

ソウテツ(寒椿「風、薫る」)
 日の本の国出身の忍者。ラムザを主君として仕える。忍びの割にフランクで
面倒見のいい性格。「どうもしないさ。大した事ではないよ、殿」
312番外:2005/12/27(火) 15:00:29 ID:t7rk3LbR0
ラムザ隊メンバー以外の主なオリキャラ。

アグ・ガフガリオン(昼寝士「悪の華」)
 ガフの娘のダークナイト。アグリアスにちょっと似ている。「アーッハッハハハ! 
そうかいそうかい、あンたの名前もアグってのかい。こりゃ面白い」

メイソン(通行人R「メモリー」)
 アグリアスの士官学校時代の友人で、初恋の相手だったが、盗賊に身を落として
再会した。「・・・・・・アグリアス、お前は変わらないよ」

片目のマルゲ(昼寝士「美しきアグリアス・決闘の捕虜収容所」)
 ツィゴリス特別女子収容所に入れられていた盗賊集団・雷霆団の女首領。

トニー(ふみんしょ「シャッフルタイム」)
 マンダリアのプレーンと呼ばれたギャンブラー。アグリアスに負けた。
313名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/27(火) 15:24:08 ID:tvBOTb5S0
>>307
今出てるコミックメガストアの
ホームページ紹介コーナーでこの作家が紹介されてて
書き下ろしのオリジナルイラストとサイト絵数点が載ってた
314名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/27(火) 15:39:24 ID:d1aHJ1Mi0
>>292
乙!

>>313
d!
315名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/27(火) 19:23:06 ID:6YIJCM/g0
乙。
オリ汎用キャラいっぱいいるんだなw
316名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 00:23:35 ID:Ipn/sw7C0
ちょっち質問いいだろか。
結構前だと思うんだがアグリアスがケーキをこっそり買ったんだけど誰かに食べられたってSSのタイトルってなんだっけ。
SSまとめサイトいっても更新されてないから見つからなくて…ログも残ってないし
誰か覚えてないか
317名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 00:31:35 ID:SQaMGAXt0
SS最高でした。
FFTもっかいやろかな…
318名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 00:44:44 ID:XjVqiqE+0
アグたんを三十路にしたくないばっかりに
改造まで使って時間を止めてる俺は負け組なのだろうか
319名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 00:48:31 ID:8GSnEg7J0
>316
ログは>4を参照で。全部見れるよ。
でもそんな話あったっけ……?
320名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 00:54:41 ID:rP6XbB0c0
調べてみた。

アグリアスさんのケーキ事情
18スレ目の638-647

だと思う。
321名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 01:09:30 ID:tNmKN7Ju0
ふと思ったんだが…
アグさんは、あの物言いのスタイルを取る事で、実は田舎な方言を隠してるんじゃなかろうか?
本当はものすごく訛ってる希ガス。
どんな地方の方言なのかわからんが…それをラムザに知られまいと無理してるような気が
322名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 01:14:54 ID:XjVqiqE+0
津軽弁のアグリアスさんとかか?

「今更うだがう(疑う)もんだが!!
 わだすはお前をすんずる(信じる)!!」

……う〜ん。
323名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 01:20:46 ID:Ipn/sw7C0
>>320
おお、これだーっ
まじでありがとぅ
324名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 01:21:52 ID:8GSnEg7J0
興奮すると地が出ちゃうのか。
「や、やんだ〜、こっぱずかしーー!」
325名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 01:23:25 ID:JQuPG/vo0
>>321
何そのネフェニー
326名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 01:23:48 ID:/7Hhwc320
親父が魔王のアグアグですか
327名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 01:27:55 ID:6Sxvs7z90
>289
最近ひそかにあんたのファンになりつつある俺がいるよ・・

ところでさ、千一夜更新止まって随分になるし、
アグスレのSSだけでも仮保管庫とかつくらないか?
328名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 03:34:02 ID:k6r/TrnVO
このスレを覗く度にFFTをやりたくなってしまう俺ガイル。
そして2章でアグたんが喋る度にニヤニヤしてしまう俺は特殊なのだろうか?
329名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 04:17:33 ID:ojIcIcRI0
そういえば昼寝士さんと、もみもみ士さん
最近見ないなー
330名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/28(水) 17:12:36 ID:hTHHqPfr0
それでも昼寝士さんは1スレに一本は作品投下してるだろ。
確かにもみ氏はかなり前に「そろそろ書こうかな」発言を見たような気もするが、以後は音沙汰ないね。
もっとも社会人男性の書き手の場合、SSに割ける時間なんて年々減っていくものだろうし、しょうがなかろう。

まあ、このアグスレは他のFFT系スレに比べて、
発言内容や書き込み時間からも住人の平均年齢の高さがうかがえるしな。
331名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/29(木) 03:07:51 ID:XUtrGwks0
僕20歳ですよ
332名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/29(木) 14:01:16 ID:Z2wIUj5l0
30代が多いのでチャラ
333名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/29(木) 14:50:05 ID:l+mMdz6Y0
10代ですが何か?
334名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/29(木) 15:00:47 ID:jJeGQtvZ0
同じく十代ー
335名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/29(木) 15:46:35 ID:qIkNF3IS0
あと2年で三十路です……
336名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/29(木) 18:16:20 ID:DgkmSrLm0
部隊日誌から抜粋

獅子の月2日 晴 今日の見張り担当 ラッド
アグリアスの姉御がラムザのテントに入っていくのを見た。とりあえず何も言わないことにする。
ラヴィアンとアリシアを見かけたが……また姉御とラムザ絡みの騒ぎが起きないよう祈るだけだ。

獅子の月3日 晴 今日の見張り担当 ラヴィアン
今日もコソコソと出ていくアグリアス隊長を発見。つけようとすると追い出されたのか自ら出たのかラッドとムスタディオに阻まれた
明日の戦闘ではうっかりファイジャを当てようと思う。
その前に昨日はやっぱり隊長、ラムザさんと・・・明日アリシアと一緒にからかってやろ。

獅子の月4日 晴 今日の見張り担当 アグリアス
ラヴィアンとアリシアは覚悟するように

獅子の月5日 雨 今日の見張り当番 ムスタディオ
落ち着くんだ姉御!?

獅子の月6日 くもり 今日の見張り当番 オルランドゥ
若い者は元気があって良いことだ

獅子の月7日 晴 今日の見張り当番 アリシア
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい(ry
337名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/29(木) 21:58:04 ID:OU0GbT150
>>336
ちょ・・・何があった!?
338名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/29(木) 23:21:18 ID:v37B/FmZO
部隊日誌ってことは隊長のラムザが毎日チェックしてるはずだよな…
339名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/29(木) 23:39:02 ID:qIkNF3IS0
これは隊長非公認の裏日誌に違いない
340名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/30(金) 01:20:26 ID:4xKz1aL70
以前SSにもあったけど、
アグリアスさんなら誰にも言えない秘密日記ぐらい書いててもおかしくはなかろう。

こう、くんずほぐれつ、汗みどろでヌルヌル…
激しく乱れる吐息、飛び散る二人の体液…
金色の三つ編みと亜麻色のアホ毛が絡み合う…
深夜の森の片隅、そこは二人だけしか入れない神聖なる空間…

アグ「…神聖なる空間と。ふう、今晩も充実した拳術の秘密特訓だった。
   私的には秘孔拳のキメ台詞にもっとこう独自色を…」
341名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/30(金) 04:34:01 ID:1gcaCmCn0
何してたんだラムザァァァァァ
342労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 07:05:50 ID:9anCWmvH0

 その日、アグリアスは粗末な宿の一室にひとり閉じこもっていた。
 外は秋晴れの散歩日和。陽はうららかで風もやわらかく、健康なものならば誰しも外に出かけ
たくなるだろう。そうでないものでも、せめて窓を開けて、表の陽気に触れようと思うはずだ。
 だがアグリアスはそれさえしない。雨戸を閉め切って、毛布を頭から被り、両手でしっかりと
剣を握りしめたまま、部屋の隅で小さく縮こまっている。
 まるで隔離された病人のような有様だが、彼女の身体には別段なんの異常もない。至って健康
そのものである。目をギラつかせているので、顔色が良いとまでは言えないけれど。
 そうかといって、もちろん彼女は誰かに閉じ込められているわけでもない。そう易々と誰かに
捕まるようなアグリアスではないし、もしそうなら剣を持たせたまま閉じ込めはしないだろう。
だいいち、壁の薄い安宿だから叫べばすぐに人が来る。部屋には鍵がかかっているが、もちろん
それは彼女自身がかけたもの。つまり、アグリアスは紛れもなく自らの意志で、朝っぱらから、
こんな薄汚れた場所に、雨戸まで閉めて、ひとりで閉じこもっているのだ。
 壁に背を付けたまま、アグリアスは油断なく部屋中に目を彷徨わせている。毛布に包まって、
真っ暗な部屋で縮こまり、およそ普段のアグリアスとは似ても似つかない滑稽な有様なのだが、
彼女の目はあくまで真剣そのものだった。
 既に鞘から出ている抜き身の剣は、部屋のドアに一直線に向けられている。まるで、いつ誰が
やってきても、即座に切り伏せることができるようにと。そう、彼女は誰かを待っているのだ。
 歓迎されるような客ではない。そんなことは、この様子を見ればわかりきったことだ。しかし
誰が来るというのか。盗賊や、教会の追っ手が来るとして、それで震え上がるようなアグリアス
だろうか。まして他の部屋には彼女の仲間が何人もいるというのに。
343労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 07:07:07 ID:9anCWmvH0
 アグリアスが考えているのは、もっとまったくちがったものだった。例えば夜道を歩いている
ときに、ふと後ろに誰かが歩いているような気がして振り返る。もちろんそこには誰もいない。
しかし歩き始めると、また後ろからついてくる気配がする。そんな目に見えない、けれど確実に
迫ってくるような、漠然とした恐怖。アグリアスの頭の中を、そのような得体の知れない足音が
蝕んでいた。
 やがて、その気配が現実のものとなっていることにアグリアスは気付いた。すなわち、部屋に
近づいてくる足音が聞こえてきたのだ。廊下を歩いてくる人物は、床をきしませながら近づき、
そして彼女の部屋の前で止まった。
 剣を握るアグリアスの手に力が入る。
 続けて、ノックの音。

「誰だ」
「アリシアです、アグリアス隊長」
「なにか用か」
「お食事をお持ちしたのですが」
「すまないが持ち帰ってくれ。私のことは構わないでほしい」
「はい」

 最後の返事はやや躊躇いの色があったが、アリシアは素直に引き返していった。やがて彼女の
足音が聞こえなくなると、アグリアスは大きく息を吐き出し、それからまた油断なく両方の目を
ギラつかせだした。


344労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 07:07:51 ID:9anCWmvH0
 こんなことになったそもそものきっかけは、貿易都市ドーターの近辺に駐留した折。どこから
仕入れてきたのか、ムスタディオが朝食の席で取り出した、タロットカードなる代物だった。
 タロットカードというのは、12枚のそれぞれ異なる絵が描かれた絵札を使って、天候、人事
などといった様々な物事の行末を予測する、いうなれば、占い道具の一種である。

「くだらん」
 と、にべもなく一蹴したのはアグリアス。
「あら、そう決めつけるのは早いわよ。タロットは見ての通り単純だけど、それだけ奥が深くて
その実用性には多くの賢人たちが注目しているのよ。北方の国では、タロットで王位の継承者を
決めることもあるとか」
 一方で、メリアドールなどはここぞとばかり饒舌に知識を披露する。
 その他、各々好き勝手な意見が飛び交い、しばらくしてムスタディオが仕切り直す。
「まあまあ、ものは試しだ。ちょっとやってみようぜ」
 被験者には、ご高説を証明してみろということでメリアドールが選ばれ、しばらくの間絵札を
選んだり戻したりを繰り返す。やがてムスタディオ、一枚のカードを取り出して曰く。
「どれどれ、ええと。メリアドール……近く出産の兆しあり」
「なんですって!!」
 あまりの内容に怒り狂ってムスタディオに掴み掛かるメリアドール。これには一同大笑い。
「いや、これは私が失礼だったようだ。タロットの実用性とは、なかなか確かなものだな」
「うるさいわよアグリアス!」
「おかしいなぁ…」
 散々笑われてメリアドールはカッカと顔を火照らせている。ムスタディオも頭をかきながら、
なんとか嘲笑から逃れようと、近くに座り込んでいる労働八号を見つけてこれに話しかけた。
「そうだ、労働八号、お前やってみてくれよ。これで今日の天気を占うんだ」
「今日ノ天候ハ、午前中ハ快晴デスガ、正午ヲスギタホドカラ、ヒドイ豪雨ガフルト、オモワレ
マス! オキヲツケテ、ゴシュジンサマ!」
345労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 07:09:09 ID:9anCWmvH0

 無口な労働八号がいきなりそんなことをベラベラ喋りだしたので、一瞬その場の全員が呆気に
とられてしまった。今の今まで大笑いしていた仲間も、憤慨していたメリアドールも、皆一様に
驚きの目で彼を見ていた。
 ようやく我に返ったムスタディオが、もう一度話しかける。
「おい、今なんて言ったんだ」
「ハイ! 今日ノ天候ハ、午前中ハ快晴デスガ、正午ヲスギタホドカラ、ヒドイ豪雨ガフルト、
オモワレマス! 西方カラ強イ風がアリ、ハゲシイ雨天ノナカデノ戦闘ガ、予想サレマスノデ、
手袋ノオ手入レヲ、オススメシマス! ゴシュジンサマ!」
 やはり同じことを喋る。機械の故障というわけでもないらしい。念には念をと、もう一度だけ
聞いてみたが、結果は同じだった。皆は狐につままれたような、なんともいえない奇妙な心情の
まま、雲ひとつない青空を見上げた。
 そして、まさかというべきかやはりというべきか、労働八号の言葉は確かだった。空は昼近く
から急激に崩れだし、正午には桶を返したような土砂降りとなったのだ。彼らは口が塞がらない
様子で雨に打たれたものだった。
 もちろんこれ一回きりならば、やっぱりただの偶然だったのかと、それまでの話だったろう。
 だが、そうはならなかった。すなわち、その後も労働八号の言葉はことごとく的中したのだ。

 労働八号が、古代の文明人が製造した工作機械だということは皆が知っているが、その構造に
関しては、機械に精通しているムスタディオですら、ほとんど何もわからないと言っていいほど
複雑な知識で埋め尽くされている。それゆえ、いま現在わかっている他に、どんな未知の機能が
搭載されていてもおかしくはない。ラムザたちもそれくらいのことは自覚していたが、しかし、
この意外なる特技は流石に彼らを驚かせた。
 とはいえ、いかに仕組みのわからない機能といえども役に立つことに変わりはなく、むざむざ
これを利用しない手は無かった。それ以来、一日のはじまりには労働八号に天気を尋ねるのが、
ラムザたちの習慣となった。
346労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 07:10:07 ID:9anCWmvH0

 そして話はこれだけにとどまらなかった。
 もともとのきっかけが占いだったものだから、ある日、思いついたひとりがこう尋ねたのだ。

「ねえ、私たちのことは占えないの?」

 果たしてそれは可能だった。
 労働八号の胸部には、大きなパネルが搭載されている。ここに両手を添え、そのまましばらく
待っていると、口元から占いの文句が記された紙が出てくるのだ。内容は抽象的な五つの節から
なっており、いかにもそれらしい文章だったので、これは明らかに占いの目的でつくられた機能
だとわかった。
 そして、彼の予言したことは、天候を予測するのと同様に、必ず何らかの形で的中した。
 例えばそれはこんな具合だった。


 ***

 影の化身の少女。
 身も心も、その肌までも影に染めて。
 ただ、無垢なる好奇だけが彼女の光。
 流れ落ちるは、いずれの元か。
 幸と不幸は光と影。
 
 ***

347労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 07:16:54 ID:9anCWmvH0

 後日、山道を行軍している途中、崖の近くに珍しい果実が生っている樹を見つけたラファが、
果実を採ろうとしてあやまって崖から足を滑らせた。幸いにも落ちた所は深い滝壺だったため、
大した怪我もなく無事に済んだ。ところが、そのあとで彼女は滝の裏側に大きな遺跡が広がって
いるのを発見し、探索の末に彼らはなんと聖石のひとつを見つけたのだ。まさに、怪我の功名。
ラファはその日一日自慢げな顔をしていた。

 占いの形は実に様々で、とことん抽象的な文句もあれば、一見してすぐに想像のつくような、
あからさまなものもあった。一方、大がかりな出来事を予期していることもあれば、取るに足ら
ない些事を示していることも少なくなかった。それから、予見した出来事が実際に起こるまでの
時期もまったく不規則で、紙を受け取ってから五分と待たずに的中することもあれば、数週間も
経って本人もすっかり忘れたころに起こることもあった。
 また、占いは必ずしも良い結果だけでなく、ときには不幸な結果も予言した。
 例えば…。


 ***

 髪を結んだ青年。
 鉄の中に生まれ、鉄と共に育った。
 青年よ、しかし疑い深くあれ。
 長年の親友ですら、己を裏切らない保証は無い。 
 煤にまみれて、彼はそのことを知る。

 ***
348労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 07:19:03 ID:9anCWmvH0

 数日後、ムスタディオが銃を整備していると、突然彼の銃が暴発し、あわやという目に遭うと
いう騒動があった。注意に注意を重ねてたのに、わけがわからないなどと漏らしていたとか。

 そして彼らはしばらくこの遊びに夢中になった。仕事の暇を見つけては、労働八号のパネルに
手を押し付けて、出てきた紙の内容に一喜一憂した。ときには列をなして順番を待っている姿も
見られた。
 一種のゲームだった。奇妙な文章の意味を想像するのは面白かったし、それが良い結果のよう
ならばもちろんのこと、危険そうな内容でも、スリルがあり待ち遠しかった。死と隣り合わせの
日々において数少ない貴重な娯楽。賭け事にも似ている。うまくいけば良い目を見れるのだし、
どのみち、少なくとも興奮だけは味わえる。申し分のないことではないか。
 もっとも、仲間たちがいくら知りたがっても、労働八号が占うことのできない事柄もあった。
畏国の行く末だとか、彼らの戦いの結末とかいったことがそれに当てはまった。話があまり漠然
としているせいなのか、それとも彼自身が深く関わっている事柄については予測できないのか、
とにかくその類いの質問をすると、労働八号は困惑し、あげくオーバーヒートしてしまうのだ。
 また、彼の占いにはある種の制限があるのか、不幸な結果にしてもある程度の上限があった。
例えば労働八号の占いの結果によって、重傷を負ったりしたものはいない。そういうことだ。
 だから誰もが安心して、この遊びにのめりこんだ。

 ……すくなくとも、その日までは。

349労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 07:21:06 ID:9anCWmvH0

「アグリアスさん」
「なんだラムザ」
 ノックの向こうからその声がかけられるのとほぼ同時に、アグリアスも声を返した。ラムザは
陽気に口笛を吹きながら廊下を歩いてくるので、すぐに彼だとわかってしまう。
 尤もそれは、アグリアスが廊下の足音にいちいち身構えているのを知っているため、わざわざ
警戒を解いてやろうとの気遣いだったのだが、いや、そんなことはどうでもいい。アグリアスは
苛立たしげに、しかし何とか穏やかな声を作った。
「今度は何だ、ラムザ」
「今度はってひどいなあ。お腹を空かせてると思ったんですが、お食事ご一緒しませんか?」
「ありがたいが、さっきアリシアが持って来てくれたので事足りている」
「え、困りましたね。アグリアスさんも食べると思って、二人分買って来てしまったんですが」
「それならお前が二人分喰えばいいだろう」
 あまりラムザが白々しいので、もう口調に怒気が混ざりはじめている。
 しかしそこは食わせ者のラムザ、落ち着いた様子で一言。
「そうですか。チョコボエッグだったんですが」
「!」
 思わず言葉と一緒にごくりと唾を飲むアグリアス。扉向こうのラムザはニヤリと笑った。
 チョコボエッグというのは、要するにチョコボの卵をゆでただけの代物なのだが、実はこれ、
アグリアスの大の好物である。およそ食事に関しては好みを持たないアグリアスであるが、この
食べ物にだけは目がない。以前これを一つ分けてもらいたいがために、隊全員の装備から靴まで
磨きあげた話はあまりに有名である。
 だいたいさっきアリシアの持って来た食事だって、実際は手を付けていないのだ。空きっ腹に
好物というのは、単純だがそれだけに効果があった。
350労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 07:25:56 ID:9anCWmvH0

「生みたてのが10個も手に入りましてね」
 言うまでもなく卵は生みたてに限る。
「しかも黒チョコボなんです」
 黒チョコボの卵が他に比べて格段にコクがあることは通には常識だ。
「バターと塩もありますよ」
 炒めたバターと塩を卵にふりかけると、これはもう絶品である。

「────────ッッ!!!」
 アグリアスはそれは部屋の外まで聞こえんばかりの大音響で生唾を飲み込んだのだが、

「……良かったな、ラムザ」
「え…?」
「よ……、よく味わって……食べろ………くっ」
「な、泣いてませんか?」
「何を馬鹿な……用がないなら早く行け」
「……じゃ、じゃあ……失礼しました」
 これに面食らったのはラムザだった。まさか彼女がこれを断るとは……。これも失敗か。
 すごすごと引き上げていくラムザ。古びた廊下が歪み、キシキシという虫の悲鳴のような音を
あげる。それと共に、彼の手の中のチョコボエッグも遠ざかって……。
 ぱん、とアグリアスは頬をはたいた。慌てて好物のことも、ラムザのことも頭から追い払う。
余計なことを考える余裕などないのだ。彼女は再び剣を強く握りしめる。
 それにしても今のは際どかった。危うく決心が折れてしまうところだった。まったくラムザの
やつめ。回を追うごとに手口が周到になっているではないか。侮りがたい男だ。まさかチョコボ
エッグなど持ってくるとは、それも甘い黄身のたっぷりつまった黒チョコボの、生みたての卵に
焼きバターを添えて……………。もやもやと恍惚に陥りかけて、また彼女は頬をはたいた。
351名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/30(金) 08:36:45 ID:bGEgrHPd0
やっぱりこっちにあったか。
ちなみに俺はアグリアス貧乳派
352労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:39:44 ID:9anCWmvH0

 アグリアスが部屋に閉じこもってからというもの、彼女を案じた仲間が代わる代わる見舞いに
やってきた。先程のアリシアもその一人である。
 そうしてみな、彼女を慰めたり外に誘いだそうと呼びかけてくれた。そのたび、彼女は仲間の
あたたかい気遣いに感謝し、そして自分のことで彼らを煩わせていることに罪悪感を覚えつつも
その申し出をはねのけたのだった。
 尤も、それはやってくるのが一度や二度ならの話である。五回、六回と訪問されると、もはや
親切を通り越してしつこいとしか言えない。しかも、ラムザはアグリアスの性格をよく把握して
いるだけにタチが悪く、毎回毎回、彼女の決意を鈍らせるような小賢しい策を用意してやってく
るのだ。暢気な口笛を吹きながら。
 まったく腹立たしいことこの上ないのだが、アグリアスは決して怒鳴りつけたりはしない。
 なぜならラムザはそれをこそ待っているのだ。彼女が怒り心頭で部屋から威勢良く飛び出して
くるのを。そのために、あらゆる手段を用いて岩屋の女王を挑発しているわけだ。
 言うまでもないが、そこには悪意などない。ただラムザは他の者より少しばかりお人好しで、
少しばかり心配性で、また少しばかりアグリアスに特別な想いがあった。それだけこうも執拗に
彼女に絡むのだろう。
353労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:41:40 ID:9anCWmvH0

 彼女が部屋から出てこなくても、こうやって自分と話しているだけで彼女の気が紛れることを
ラムザは知っていた。だからどれだけ取りつく島がない様子でも、ラムザはまた何かを見つけて
アグリアスを訪問することだろう。それぐらいしか、彼に出来ることはないのだから。
 アグリアスだって、もちろんラムザがそんなことを考えていることぐらいお見通しだ。部屋に
彼がやってくるたびに、なんだかんだと言って気が緩み、時間を忘れてしまう。そのたび慌てて
彼女は気を引き締め直すも、しばらくするとまた口笛が聞こえてくる。
 はっきりいってありがた迷惑なのだが、それを言ったところでラムザはやめはしないだろう。
結局のところ、彼らは二人とも頑固なのだ。
 だからアグリアスも譲らない。決して篭城をやめようとはしない。次からは、ラムザが来ても
黙殺することにしよう、そう決めて、彼女は再び部屋中に目を光らせた。
 彼女は時がゆったりと過ぎてゆく様を、ひたすら全身で見守った。傾けた砂時計の一粒ずつを
数えるように、丹念に、絶え間なく。ただの一秒たりとも気を抜くことは許されない。
 瞬きひとつほどの一瞬に、”それ”は訪れるかもしれないのだから……。



 昨日の晩。曇った夜だった。
 占いにのめりこんだと言ったが、ラムザたちの皆がみな、この騒ぎに加わったわけではない。
中には占いなど根っから信じないタチのものもいれば、逆に神経質なために怖くて手が出せない
ものもあり、単純に興味がないだけのものもいた。アグリアスもその類いだった。
 そもそもムスタディオがタロットカードを持ち出したときにして、「くだらん」と即座に吐き
捨てた彼女である。基本的に、その頑な現実主義が曲げられるようなことはない。
 しかし、その日はちょっとした気まぐれが起きた。久しく屋根のある場所での休息とあって、
些かアグリアスの気持ちは緩み、酒の酔いも手伝ってか、アリシアやラヴィアンにそそのかされ
るまま、彼女はついつい労働八号のパネルに手を伸ばしていった。
 やがて出てきた紙の内容は、こうだった。

354労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:43:30 ID:9anCWmvH0

 ***

 蝶の名前を持つ女。
 その美しさに、花すら恥じらいの蜜を零す。
 やがて、おぞましい悪魔の嫉妬を買うだろう。
 逃れられぬ災いは、目と鼻の先。
 その羽は、もう二度と剣を持つことは無い。

 ***


 酔いなど即座に吹っ飛んだ。
 相変わらず抽象的な文章だが、それにしたって、どう好意的に解釈しても縁起のいい内容では
ない。最後の一節に至っては決定的だ。アグリアスは紙を睨みつけたまま、硬直していた。
 部下の二人も同様。笑い飛ばすなり、慰めの言葉をかけるなりしたいところだったが、生憎の
占いの的中率である。いやでも無言にならざるを得ない。
 ややあって、アグリアスは顔を上げた。
「労八、もう一度頼む」
「リョウカイシマシタ、アグリアスサマ!」
 先程とは打って変わって、慎重な手つきでアグリアスは両手を差し出した。労働八号の両目が
チカチカと赤く点滅して、やがて再び紙が出てくる。アグリアスは静かにそれを受け取り、食い
入るようにじっと覗き込んだ。書かれていたのは、一枚目とまったく同じ文句だった。
355労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:44:27 ID:9anCWmvH0

「…故障ではないな」
「各部、異常アリマセン!」
 そうあってほしいというアグリアスの気も知らず、労働八号の声はよく通る。
 苦笑して、彼女はねぎらうように労働八号の肩を叩いてやった。
「悪いが、少し疲れた。私は先に休ませてもらうぞ」
「隊長、あの……」
 なにか言いたげなアリシアを制して、アグリアスはするりと自室に戻ってしまう。
 残された二人も顔を見合わせ、馬鹿なことを言ったと後悔しながら、やがてとぼとぼと各々の
部屋に向かった。

 そして翌朝。つまり今朝である。
 どういうわけか、朝食の段になってもアグリアスが部屋から出てこない。
 寝坊だろうか。いやまさか、彼女に限ってそれは無い。いつも誰よりも早く目覚めて、仲間が
目を覚ます頃には素振りに精を出しているアグリアスだ。ということは、身体の具合でも悪いの
だろうか。あれこれ言いあっていると、やがてラヴィアンとアリシアが昨晩のことをおずおずと
話しだした。
 話を聞いて、仲間たちは笑った。あのアグリアスが、たかが占いの言葉などを気にして部屋に
閉じこもっているとはなんとも滑稽な話ではないか。だが次第に笑い声が止みだすと、そこには
一様に深刻な表情が並んでいた。理屈で考えれば確かに馬鹿げている。馬鹿げているが、それが
ただの占いではないことも、彼らは身をもって知っていたのだ。
 何より、今まで己が剣一つを糧に生き抜いてきたアグリアスである。その彼女にとって、剣を
失うということがどれほどの意味をもつのか。多少なりとも推し量れるというものだった。
356労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:45:04 ID:9anCWmvH0
 不穏な空気の中、ラムザが席を立ち、様子を見に行った。
 部屋の扉をノックをする。か細い声が返ってきた。
「誰だ」
「ラムザです」
「ラムザか。どうしたんだ」
「どうしたはこっちの台詞です。もうみんな下に集まっていますよ、なにをしてるんですか」
「体調が優れなくてな、どうやら風邪をひいたらしい」
「嘘つかないでください。あの二人から話を聞きました」
「そうか」
「いったいどうしたっていうんですか、占いなんか真に受けるなんて」
「だから言っているだろう、風邪をひいただけだ」
「アグリアスさん」
「ラムザ、どのみち今日はここに滞在するのだろう?」
「そうですけど…」
「それなら今日一日は好きにさせてくれ。明日からはこのような事は無い」

 ラムザは息をついた。 
 どうやら説得は難しいらしい。このアグリアスという女性は、その意志が強く堅固なときほど
決まって落ち着きはらった声で話すのだ。
 このときもそうだった。仕方なくラムザは引き下がり、仲間たちにもそのように告げた。

 かくしてアグリアスは、その日一日、部屋に閉じこもるところとなったのだった。


357労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:46:00 ID:9anCWmvH0

 ・
 ・

 かくん、と頭が揺れた。
 アグリアスは目を飛び開けて、辺りに目を走らせる。暗がりの中に人の気配は感じられない。
次に彼女は自分の身体の具合を確かめた。特に両の手を念入りに。幸いどこにも異常はない。
 どうやらうっかりうたた寝をこいてしまっていたらしい。なんと不用意な……。
 気を取りなして、アグリアスは窓に近づいた。満月が煌煌と上空で輝いていた。どうやら深夜
近い時刻らしい。眠る前に、階下で仲間が夕食を囲んでいたのを覚えている。つまり眠り落ちて
からさほど時間は経っていないことになる。早朝から部屋に籠りっぱなしでかなり疲弊していた
はずなのに、なぜこんな半端な時間に目覚めたのだろうか。
 首を傾げていると、ぐうと腹の虫がそれに応えた。アグリアスは苦笑する。何のことはない。
空腹のために身体が目覚めてしまったのだ。
 アグリアスはもう一度窓の外に目を移した。今日の終わりが近いことを改めて噛み締める。
 明日になれば。そんな大見栄を切ったものの、胸に手を当てても、鬱蒼とした気分はちっとも
晴れていない。一日でいい、何事も無く過ごしきれればそれで踏ん切りが付くと思ったのだが。
こんな状態で、明日からまた平常の隊務に戻ることが出来るのだろうか。疲労に蝕まれたせいか
占いの文句は頭の中でいっそう大きくなっているようだった。
 ふいに、廊下から、かたりという物音がした。

 アグリアスは窓を閉めると、静かに構えた。
 日が終わる直前。ついに来るものが来たのだろうか。
 いつでも飛びかかってくるがいい。日がな一日待ったのだ。心の準備はとうにできている。
 悪魔だろうが何だろうが、一閃の元に斬り伏せてくれる。

 だが、部屋の外の気配はそれきり動きを見せなかった。
 アグリアスは苛立つ。
 誘っているつもりなのだろうか。
 ……いいだろう、それならこちらから出迎えてやろうではないか。
 アグリアスはじりじりと戸に歩み寄る。
 そして、取っ手に手をかけると、勢い良くその手を引いた。
358労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:48:09 ID:9anCWmvH0

「……ラムザ?」
 落胆と、驚きと、安堵が、等分に混ざりあったような声。
 部屋の前に腰を下ろしているのは、他でもないラムザだった。
「やっと出てきましたね」
 疲れた顔で、ラムザは得意げに笑う。
 すっかり気を呑まれてしまった。何と言っていいものやら、アグリアスは言葉に詰まった。
「……深夜に女性の部屋の前に座り込むとは、非常識だな」
「違いますよ。ここは僕の部屋の前ですから」
 言われてみれば、向かいはラムザの部屋だった。ラムザはまた得意そうな顔をして、それから
大きな欠伸をした。アグリアスはそれになにか言おうとしたが、代わりに吹き出してしまった。
つられてラムザも笑う。夜更けの廊下、二人分の笑い声が木霊した。
「わかったわかった、私の負けだラムザ」
「ぎりぎりでしたけどね」
 言いながらラムザは腰を上げようとしてフラついた。一体いつからこうしていたのだろうか。
「いつから……」
 と尋ねかけるアグリアスを、ぐううと豪快な腹の虫が遮った。
 腹を抑えかけて、ラムザが恥ずかしそうに俯いているのに気付く。腹の音は彼からだった。
「……食べていないのか?」
「ええ、まあ」
 頭をかきながら、ラムザは小脇に置いていたバスケットを持ち上げた。それからアグリアスに
笑いかけて一言。
「今度は断りませんよね?」

359労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:49:08 ID:9anCWmvH0

 宿の近くの草っ原に焚き火を囲んで二人は腰を下ろした。
 風もなく、空気は緩やかだった。薪の火は気ままに燃えていて、時折羽虫がその明かりに惹き
つけられては弾けた。足下には無数の多年草が茂り、むせ返る草の匂いで彼らの鼻を満たした。
 小さな鍋がくつくつと煮えて、その中で黒い水玉模様の卵がいくつも転げている。
「それでは……いただく」
「お好きなだけどうぞ」
 ゆで上がったそれをしばらく掌で転がし、それからどこか遠慮げにラムザを見つめた。やがて
アグリアスは一気にかじり付いた。柔らかな歯ごたえと一緒に、甘く濃厚な味が口中に広がる。
卵の熱さと、感嘆に息を零しながら、彼女はうっとりと目を閉じた。それから意を決したように
目を見開き、あとは夢中でゆで卵を貪りつくしていった。
 チョコボの卵はよくゆでると殻まで食べられるほど柔らかくなってくる。ぱりぱりもぐもぐと
どこかあどけない音は、火の粉の弾ける踊りと虫たちの歌と混じりあい、ラムザは至極満足げに
アグリアスの様子を眺めていた。
 空腹であったためか、好物の味はいっそう素晴らしく、アグリアスは瞬く間に10個もあった
大きな卵を残らず平らげてしまった。

 食事を終えて、腹ごなしに散歩がてら、その辺りを歩く。
「満腹ですか?」
 まだ卵の余韻に浸っているらしいアグリアスに尋ねる。
「すっかりだ、ありがとう。……お前の分まで食べてしまった」
「いいんですよ、良かった。気分の方はどうです?」
「一日中考えた甲斐あって、だいぶ良くなった」
 アグリアスは微笑んだ。本当はついさっきまで鬱屈としていた。気分が晴れたのは部屋に閉じ
籠ったからではなく、ラムザと卵のおかげだ。
360労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:49:59 ID:9anCWmvH0

 歩き足で小石を引っ掛けながら、アグリアスは呟いた。
「馬鹿馬鹿しいと思うだろう」
「え?」
「占いなど気にして、不安がったりして」
「いいえ。………でもアグリアスさんは、そういう不安と縁がない人だと思っていました」
「私もそうだと思っていた。……ただ、ちょっと昔のことを思い出してしまったんだ」
 彼女はちょっと歩調を緩めて、空を見上げながら語りだした。
「あれは、まだ六つか七つのころだった。外国へ行かれていた遠戚のおじ様が、帰国されて私の
家にいらっしゃって、その方がそれは可愛いらしい子猫を連れていらしたんだ。畏国にはいない
種の珍しい猫で、私はそのふわふわした青い毛並みに一目で夢中になってしまった」
「猫ですか」
「そんな私を見て、おじ様は言われた。今日一日、お利口にしていたら、この猫を君にあげても
いいとな。私は俄然火がついたように張り切った。すぐさま台所の女中を全員はねのけて、お茶
を炒れて、お菓子を作って、おじ様の肩をお揉みして……」
「微笑ましいですね」
「それだけ可愛い猫だったのさ。そして夕刻となり、とうとうおじ様がお帰りになられることに
なった。もちろん私は外に飛び出して急いで厩舎からおじ様のチョコボを引いて来た。その間、
私がおじ様から離れたのは、ほんの三分ほどにも満たなかっただろう。だけど私が戻ったとき、
おじ様の手の中に猫はいなかった。代わりに、その側で二つ下の妹が無邪気に喜んでいたよ」
「あぁ……」
「私は当然泣きわめいた。どうしてあの子にあげてしまうのです。お言いつけを守ったのはアグ
リアスです。一生懸命おもてなしをしたのは私です。あんまりです。おじ様たちはお困りのよう
だったが、やがてお決まりの言葉。わかるだろう? お姉さんなんだから我慢しなさい、だ」
「よく分かります」
 ラムザは苦笑する。兄妹の辛いところだ。
361労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:50:59 ID:9anCWmvH0
「でも私もそれで納得するにはまだ幼かった。その後もしつこく猫のことを根に持って、そんな
私の気持ちも知らず妹は嬉しそうに猫を見せびらかしてきた。それでとうとう頭に来て、ある日
二人で花占いをして遊んでいるときにこう言ってやったんだ。まあ大変、かわいそうに、お前の
猫がもうすぐ焼け死んでしまうそうよ、とな。
 妹は無邪気にもそれを真に受けて、血相を変えて騒ぎ立てた。父上や母上にまで泣きついて、
そのおかげで私はこっぴどく叱られたのだが、妹の泣き顔をみて私はせいせいしていた」
「だけどそれだけじゃなかった。何があったんです?」
「次の朝、家族全員が見ている前で猫が自ら暖炉に飛び込んだ。わけが分からなかったよ。妹を
はじめ、皆が呆気にとられたが、一番驚いていたのは私だった。私を見る父上の気味の悪そうな
目をよく覚えている」

 アグリアスは言葉を止めて、また少し歩いた。さくさくと草分けを踏みしめる音が続く。やや
あって、今度はラムザが口を継いだ。
「ショックだったでしょうね」
「うん。結局どうして猫が暖炉に飛び込んだりしたのかは分からなくて、お父上は私を悪魔祓い
しようなどとも考えたらしい。でも、口からでまかせの占いが当たってしまったことはもちろん
だが、むしろその後、死んだ猫の価値が私にとってひどくちっぽけなものになっていったことが
何より哀しかった。子猫への情熱などほんのひとときの気まぐれのようなもので、私はきっと、
あんな猫などそれほど欲しくもなかったのだ。そんなことのために妹を傷つけて、猫を死なせて
しまったのが辛かった。いつか罰が当たるのではないかと、しばらくの間眠れない夜が続いた。
昨日までは、そんなこともすっかり忘れていたのに、あの予言の文句を見たらふっと……」
 アグリアスは淋しげに目を伏せた。気付けば二人は原っぱを一回りして、焚き火のところまで
戻って来ていた。火が消えた薪の下で、かすかに炭火が燻っている。
「……とうとうツケが回って来た。そんな気がしてな……」
362労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:52:30 ID:9anCWmvH0

 吸い込まれるように、アグリアスの声は消えていった。話に聞き入っていたラムザは、彼女に
ならい消えかけた焚き火へと目を落とした。
 彼女には、この炭火が幼い日の暖炉と繋がって見えているのだろうか。そうして、無垢な頃の
過ちに心を痛めているのだろうか。ラムザはいたたまれぬまま、横目で彼女の顔を窺った。
 だが、意外にもそこにあったのは明るい表情だった。

「ラムザ、お前はもう労八に占ってもらったのか?」
「えっ……いえ、僕はまだですけど」
「そうかそうか、それじゃあ私がひとつ占ってやる」
「ええっ?」
「ゆで卵のお礼だ。まあ任せておけ、私の占いは当たるぞ」
 上機嫌でそう言うと、アグリアスは腰を曲げて、足下を探りはじめた。ラムザは首を傾げる。
話をしていたときの彼女は、確かに沈み込んでいるように見えたのだが、空元気なのだろうか。
いや、この様子を見るとそうも思えない。
 実際アグリアスは浮き立っていた。思い出は胸にかげりを落としたが、話し終えると不思議と
清々しい気分が満ちていた。誰かに話したので胸のつかえのようなものが外れたのか、それとも
その相手がラムザだったからなのか。いずれにせよ、アグリアスは、今の晴れ晴れとした心地を
ラムザにも分けてやりたい気分だった。
「ほら、ちょうどいいのがあったぞ。さあ、よく見ていろよ」
「なるべく火に関係のある予言はやめてくださいよ」
「ふふふ……さて、どうかな」
 アグリアスは拾い上げた花をひらひらと回して、それからその花弁の一つをつまんだ。
 そのときである。
363労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:53:37 ID:9anCWmvH0

「痛ッ!!」
 アグリアスは右手の甲に走った激痛に花を取り落とした。同時に何かがふらふらと飛び立つ。
 ラムザはそれを払い落とし、声を上げた。
「蜂だ!」 
「手……、手が…」
 アグリアスは呻きながら、刺された右手がみるみるうちに赤黒く岩みたいに膨れ上がっていく
様を驚愕の目で見ていた。目を疑うような光景に、痛みは隅へ追いやられた。
「アグリアスさん、動かないで!」
 ラムザが彼女の手首をきつく抑えこんだ。それほど大きくはないが、意外に彼の手は力強い。
掴まれたのは手首だけなのに、彼女は身動き一つできなくなってしまったような錯覚に陥った。
 ラムザは素早く腰から短刀を抜くと、なおも膨れ上がるアグリアスの甲に鋭い刃を走らせた。
真っ赤な手に真っ赤な裂け目が引かれ、黒く淀んだ血が勢い良く噴き出す。一瞬遅れて、痛みも
やってくる。
 噴き出す血の勢いにも構わず、ラムザはアグリアスの傷口に唇をあてがい、強く吸い立てた。
手の中に入り込んだ針の毒を吸い出すのだ。
 それらの素早い処置の甲斐あってか、右手の腫れはまもなく治まりだした。ようやくラムザも
アグリアスの手首を介抱し、懐から手ぬぐいを取り出すと、それを彼女の手に巻きつけながら、
少し落ち着いた様子で話しはじめた。
「痛みはないですか?」
「大丈夫だ。ありがとうラムザ」
「いえ……あの、手……動かせますか?」
「ん? ………いや、だめだ動かない。どうしたんだろう、感覚が全くない」
「やっぱり毒が回ってしまったみたいですね。この蜂に刺されると、その部位が腫れ上がって、
神経が痺れてしまうんだそうです」
「厄介だな………なんだ、何を笑っている?」
 手ぬぐいを巻くラムザの頬が緩んでいるのに気付き、アグリアスは不満げな声を出した。
 それでもにやけながら、ラムザは話を続けた。
364労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:54:30 ID:9anCWmvH0
「いえ、これも今日聞いて来た話なんですが…………さっきの花ですけどね、ここらの農家では
ちょっと嫌われ者らしいんですよ。毎年勝手に畑に増えちゃって、処理するのに苦労するとか」
「それで?」
「それでこの蜂、実はその花の蜜が好物で、よく花の中に隠れているんです。それで花を引き抜
こうとした農夫がよく刺されるんだそうです。ちょうどさっきのアグリアスさんみたいに」
「だから?」
「だから」
 ラムザはひときわ頬をほころばせた。
「この辺りじゃこの蜂のことを、『農園の悪魔』って呼んでるらしいんですよ」
「なんだと……」
 悪魔、という言葉でアグリアスは目を見開いた。
 ようやくラムザの笑みの意味を理解する。いや、理解はしたが、理解しがたいといった様子。
「まさかこれが『災い』!? 蜂に刺されるのが逃れられぬ災いだと!?」
「怒らないでくださいよ、僕が言ったわけじゃないんですから」
「馬鹿な、馬鹿を言え、蜂などと、まさか、そんな話があるか!!」
「じゃあアグリアスさん、右手、剣持てますか?」
 布を巻き終えた右手に、ラムザが短刀を手渡した。アグリアスは必死の形相でそれを握ろうと
した。しかし、しなやかな指はわずかにへなへなと震えただけだった。
「………そんな……たかが蜂のために…………」
「そう侮ったものでもないですよ。喉を刺されたりすると命に関わるそうですし……」
 ラムザの声は聞こえていないようだった。アグリアスは、世の中がまるで信じられなくなった
ような顔で、その日の徒労を思い返している。やがてどっと疲れた様子で息をつき、恨めしげな
声を出した。
「労八のやつめ……人騒がせな占いを……」
「そりゃお門違いですよ。占いにケチつけるなんて。だいたい嘘は言ってないじゃないですか」
「しかしな……あぁ、こうなることが分かっていたら、部屋を出なかったのに」
「そうしたら、もっと悪い形で占いが叶っていたかもしれませんよ」
「う……」
「良かったじゃないですか、この程度で済んで。素直に喜びましょうよ」
365名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/30(金) 18:55:22 ID:4kiY1ElV0
しえん
366労働八号は知っている ◆QjqnRqGxSY :2005/12/30(金) 18:56:10 ID:9anCWmvH0

 アグリアスはがっくりと肩を落としていたが、慰めるラムザは楽しげだった。
 やがて、彼女も観念したらしく苦笑いを浮かべた。確かに、ここはラムザの言う通り、素直に
安心しておくのが妥当なところだろう。こうやって和やかにラムザと笑いあっていられるという
のは、案外、用意された結末の中でも最良のものを引き当てたかもしれないのだから。
 二人はどさりと草っぱらに横になった。
「やれやれ、やはり占いなどくだらん」
「現金だなあ」
 寝ころんだまま、アグリアスはぶつくさと愚痴り、ラムザがそれに相づちを返す。
 弾みがついてしまったのか、他愛もない会話はいつまでも止むことを知らなかった。
 頭上の月はいつのまにか雲に顔を隠してしまっていた。
 虫たちの鳴き声は薄らぎ、草木もそろそろと眠りにつきはじめていた。
 それでも、二人分の話し声だけは、いつまでたってもその場に響いていた。
 そうやって笑いあう二人はもちろん気付いていないけれど。
 アグリアスのその笑顔に宿る想いは、確かな未来、彼女の手から剣を奪い去るものだった。


 それは、労働八号の目に灯る、ほのかな赤い光だけが知っていること。





 終
367名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/30(金) 21:52:01 ID:gq2BKIgs0
GJ
乙でした
368名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/31(土) 02:04:22 ID:IlwBbk8W0
乙だけど、ちょっと冗長
369名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/31(土) 02:12:06 ID:+ZZubZG50
確かにこのネタでこれは長いな
上手いのに惜しい
370名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/31(土) 05:48:28 ID:o0fo32Js0
GJです。面白かったですよ。私は長さはあんまり気にならなかったですね。
371名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/31(土) 07:01:43 ID:IlwBbk8W0
そういやアグリアスさんが花占いって前にもネタがでたけど、
なんか元ネタみたいのなかったっけ?
372名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/31(土) 12:02:17 ID:jRCtxPmB0
「半熟英雄」に出てきた将軍アグリアスの趣味が花占いじゃなかったかと
373名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/31(土) 20:15:05 ID:yDvUZ+ZD0
花占いをするときは、占う内容によって
事前に花びらの枚数が奇数か偶数か目を血走らせてチェックしておくアグリアスさん。
374名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/12/31(土) 22:36:28 ID:qL1JI4Ra0
冬コミで従者タソのアグ本げと記念
375名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/01(日) 00:07:58 ID:rstlL+Qd0
あけましてハッピーニューイヤー。
今年もアグたんの聖剣技が炸裂だ!(誰に)
376名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/01(日) 00:09:36 ID:cprA+23u0

                 |
                 |  …今年はがんばるぞ、
           ...-‐――--..!、             ホントに…
           /::::::::::::::::::::::::::::::ヽ             ……うん、がんばろう
        /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
        l:::::::/\:::::::::::::::::::::::::::l
        l/l/   \l\l\:::::::ノ))
        |::l ○   ○   |:::|6)))
         |::l`ー-,   -‐ |:::|ヽ、))
        |::!  /    _ l:::l  l
        l/./  ̄`Y´   ヾ;/  |
______,|    |    |´  ハ
           |    |    |-‐'i′l
            |__ |   _|   7'′
        (   (  ̄ノ `ー-'′\
           ̄   ̄           \
377名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/01(日) 00:18:25 ID:TOJ/Imv60
ラム「アグリアスさん、年が明けましたね」
アグ「……ああ」
ラム「どうしたんです。気乗りしなさそうですね」
アグ「家を離れてしまったからな……今年はお年玉なしだ」
ラム「……(この人はこの歳になるまで貰っていたのか……)」
378名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/01(日) 00:29:10 ID:NjTGV9kG0
とりあえず今日はラムザくんの暫定デフォルト誕生日なので、
誕生日プレゼントを兼ねて一発「姫はじめ」でも。

アグ「王家の姫君からの新年のご挨拶を賜ることを『姫はじめ』と言うのだが、
   オヴェリア様とは離れてしまい、いまさら中央にも戻れず…
   ラムザ、オーボンヌでお前と『姫はじめ』をしたかったな…」
ラム「そ、そうですね、残念です…(誰だよウソ吹き込んだのは)」
379名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/01(日) 00:45:58 ID:XgpX7BP00
あけましておめでとうアグたん
>>376
とりあえずmoveを4にする所からだ
380名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 00:29:15 ID:4ENBu+Mb0
冬祭で買った本の作者が見ているかは思わないが、
あとがきで書いてた描きたかったネタを是非描いてくれ!

メールも出来ないヘタレですいません…
更に言うと興味のない、嫌いな住民の人すいません…
381名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 03:53:13 ID:QqFIF9O3O
発売後10年で依然繁盛しまくってるスレで気にせんでも。
しかしほんと間欠泉だなここ
382名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 08:37:29 ID:enJWKtCV0
「ラムザって素敵ですよね」

アリシアがアグリアスに言った。
ラヴィアンもうんうんと頷く。アグリアスの視線は宙を彷徨う。

「さ・・さあ。どうだろうな」

「やだぁ、隊長もそう思ってるくせに」

「べ・・別に、お・・思ってない」

 戦いの旅路。戦士たちもたまには軽口もたたけば恋もする。
後に世界を救ったと言われるこのパーティも例外ではなかった。

「隊長はこういうこと、ほら疎いからさ」

「そうですよー、私たちが微力ながらお手伝いしちゃいますよ」

風が花の匂いを運んでくる春。アグリアスは部下たちの下世話で大きなお世話に少々いらだっていた。
恋だの愛だのに疎いのは確かだが他人にそれを指摘されて面白いはずがない。

「お前たち私が上官だということを忘れてないか」

「いや〜私たちは所詮、流浪の私兵集団ですからね」

「そうですよ楽しまないと」
383名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 08:38:11 ID:enJWKtCV0
パーティが馬を休ませる泉から満たした水袋を手に持ち歩いてくるのはラムザだ。
水袋に口をつけて顔をしかめた。

「雪融け水です。冷たいですけど美味しいですよ」

ああ・・と言いながらラムザから水袋を受け取り口をつけようとした瞬間──

「間接キス・・・」

アリシアが小さな声で言った。アグリアスの頬は一瞬で林檎のように赤くなる。
ヒューヒューとはやし立てるふたり、ラムザも苦笑いだ。

アグリアスは自分にやや赤面症のケがあることを最近発見した。
このオチャラケた部下ふたりのおかげで・・・

アグリアスの顔から表情がスッ・・と消え、水袋をラムザに付き返した。

「えっ・・・?」

そしてやや大きめのよく通る声で言った。

「ラムザ、言っておく。私はオヴェリア様との忠義によってここにいる。私はお前の部下でもなければ主君でもない。わかっているな?」

「は・・はあ?」

「それだけだ。私は実をいうとお前みたいなやつが嫌いだ──」
384名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 08:38:42 ID:enJWKtCV0
「た、隊長!!」

「なんてことを!!」

「喋り方も歩き方も顔も剣の使い方も嫌いだ」

アグリアスはそれだけ言うとラムザに背を向けスタスタと馬車に歩いた。
慌ててラヴィアンとアリシアがあとを追った。

「隊長!!」

「なんてこと言うんですか!!」

アグリアスは鼻でフンと笑い二人に言った。

「お前たちが誤解しているようだからハッキリさせたのだ。私はお前たちの下世話な期待には残念ながら添えられないのだ、ふふふ」

「もう!!ふふふじゃないですよ!!」
385名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 08:39:19 ID:enJWKtCV0
取り残されたラムザは呆然としていた。
馬車の手入れをしていたメリアドールとムスタディオはことの一部始終を目撃してしまい、どうする?と目で問いかけあっていたが答えは出そうになかった。

「・・・ぼく何か嫌われるようなことしたかな?」

突然尋ねられたメリアドールは狼狽した。

「わ・・・わたしに聞かれても、ど・・・どうなのかしらねムスタディオ」

「えっ!?おれ!?さ・・さあ嫌われるようなことしたんじゃないの?なにせ喋り方も歩き方も顔も剣の使い方も嫌いらしいから・・・」

メリアドールはとなりのアホを殴った。ラムザはこの世の終わりのような顔をして天を仰いだ。


「えっ?別行動?」

ラファは何を言っているの?という顔をして兄のマラークと顔を見合わせた。
マラークは瞑想の姿勢をとっていたが妹の問いかけに方目だけを開き首をかしげただけだった。

「別におかしいことじゃないだろ。今までだって資金集めのために別行動したことは何回もあったじゃないか」

「そうだけど、ラムザが資金調達にいくなんて・・・しかもこんなに急にひとりで、もう夜よ?」

ラファがそういっている最中もラムザは荷物を作る手を休めなかった。
386名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 08:40:31 ID:enJWKtCV0
ラムザはラファの言うこともろくに聞かず、フラフラした足取りでひとり夜の森に消えていった。まあラムザほど腕が立てば何も心配することはないのだろうが、あの状態ではそうも言いかねる。いったい何があったのかラファにはわからなかった。
メリアドールは何か言いたげにアグリアスに視線を投げているが、アグリアスは焚き火を枝でいじりながら近寄りがたいオーラを発していた。

「私たちが悪いんですぅ・・ちょっとからかい過ぎて・・・」

ラヴィアンとアリシアがうなだれている。
ラファはため息をついた。何があったか少しだけ想像がついた。ええっと、犬にけられて・・?

「しょうがないわね。ゴーグで合流するのはもう決まってるんでしょ」

「は・・はい」

「私たちにはオルランドゥ伯もいることだし、まあ大丈夫でしょう。ラムザのことは心配だけど私たちは私たちでしっかりしましょう」

そうと決まれば早寝早起きだ。流浪の私兵集団は夜営の準備にとりかかった。
387名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 08:44:42 ID:enJWKtCV0
炎を見つめながら瞳をゆっくりと閉じた。涙が頬をつたった。
驚いて手の甲で拭った。なぜ泣いているんだろう。
これでも少しぐらいは責任を感じているのだ。
アグリアスは夜の見張りを自らかってでた。次の交代はメリアドールだができるだけ長く寝かせてやろう。

少しだけラムザのことをひとりで考えてみよう。
ラヴィアンとアリシアも寝てしまっている。

ラムザは行ってしまった。少しだけ責任を感じている。そのくらいの責任感は持っているつもりだ。
行ってしまうラムザの後ろを見送るとき心が少しざわついた。
パチパチと音を立てる金色の炎がアグリアスの記憶を優しく刺激する。

──眠れないから、話に付き合ってくれ。そう言っていたと思う。
アグリアスはラムザが夜営の見張りをしているとき寝袋から抜け出して、小さな声でふたりで喋るのが
好きだった。ラムザの喋ることが好きだった。アグリアスがラムザに昔のことを話したりしたこともあった。
そんなことに興味をもって聞いてくれるのが嬉しかった。もちろんラムザにそういったことはない。
本当はアグリアスも眠かった。でも決まってラムザが夜営の晩のときは決まって眠れないと嘘をつく。

馬車を引くラムザの歩き方。自然体で雲の上を歩くように軽やかに歩く。
身体はぜんぜんがっちりとはしていないのに背中を見ていると心強い。

ラムザが剣をとって戦うのを見る。自分の正義のために剣を取る。
きっと私と同じ思いで戦っているのだと信じている。私にも勇気が沸いてくる。
388名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 08:45:30 ID:enJWKtCV0
ふ・・と、声に出して笑った。
本当はわかっている。自分で自分を騙している。

ラムザの話し方も声も笑顔も好きだ。歩き方や戦う姿も。もちろん言えない。
だって二つ年下の男の子にそんなことをいうのは恥ずかしいから。わたしは女の子だから──まだ女の子だから。涙が止まらなくなった。肩を震わせて泣いたのは何年ぶりだろう。

「──好き」

 この夜一番密やかな告白が真っ暗な森の中で行われた。
少女はゆっくりと目を閉じて硬い樫の木の幹にもたれかかったまま夜営の番を果たさずに眠ってしまった。
しかしこの夜、聖アジョラは迷える子羊のもとに魔物をつかわしたりはしなかった。

──それどころか森を抜ける吊橋を落とし、ここにいるはずのない少年を再びパーティに連れてきた。
少年は彼女の身体に毛布をかけなおした。

「僕もです」

 眼の下を少し腫らした聖女は、金色の篝火を受けて煌いていた。小さな寝息は少女のそれだった。
少年が彼女の唇をそっと盗んだ罪は聖アジョラもきっと許してくれるだろう。
389名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 12:37:56 ID:OnHyksgc0
乙、でも何か違和感があるのはなぜだろう?
雰囲気のせいかな?
390名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 12:51:25 ID:TTjId8/D0
>>389
コピペの際入れ替わった行がありまして・・
スンマソ・・
しかしすぐバレますねやっぱ
391名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 16:14:39 ID:JM31pnQK0
ラヴィアリに催淫薬飲まされたアグリアスさんに迫られる夢を見た……

なんちゅう初夢だ……
392名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 18:59:08 ID:CEfLHfU/O
>>391
お前の初夢、
メ几
木又してでも奪い取る!!
393名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 19:54:22 ID:indMmEh6O
391=ラムザ
394名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 21:02:37 ID:6YtxQyv60
部隊日誌から抜粋

山羊の月2日 雪 今日の見張り担当 マラーク
今日も出番が無かった。

山羊の月3日 晴 今日の見張り担当 ムスタディオ
マラーク、除名されないだけでも良かったと思っとけ?な?

山羊の月4日 晴 今日の見張り担当 アグリアス
お前らちゃんと日誌を書いたらどうだ?ラムザが困るだろう?

山羊の月5日 雨 今日の見張り当番 ラッド
姉御、それを言うならあんたもだ。
取りあえず今日はいつも通り姉御がラムザと一緒に居るところをラヴィアンとアリシアがからかって爆音が響いただけだった。

山羊の月6日 くもり 今日の見張り当番 アリシア
……ラッド、後で一発殴るわね?ここに書いたからいいわよね?

山羊の月7日 晴 今日の見張り当番 オルランドゥ
若い者は(ry

山羊の月8日 雪 今日の見張り当番 ラムザ
みんな、今度依頼受けるけど参加したい人は書いておいてね。

こんなのが取り交わされていたらいいなぁ
395名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/02(月) 21:08:07 ID:JM31pnQK0
細かいことですまんが山羊の月ではなく
磨羯か白羊なんだが。
396名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/03(火) 00:02:39 ID:rX6Oqv4O0
アリシア新春・魂の叫び
「うおおおお!アグ×ラムのレディコミ同人描きまくりてええええ!!」
(オヴェ×アグ物はオーボンヌ勤務時代に既に描きまくった)

ラヴィアン新春・魂の叫び
「うらあああ!アグリアス様のオサゲの中に大豆と納豆菌仕込みてええええ!!
そして納豆できたらご飯と一緒に食う」
397名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/03(火) 01:45:47 ID:LcyJNG4A0
>ご飯と一緒に食う

アグたんごと食わないようにw
おお、カリバニスム!
398名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/03(火) 09:38:16 ID:hf1JOJ4I0
耳年増のアリシア
色気より食い気のラヴィアン

うちのFFTでは2人はそんな感じです。
399名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/03(火) 10:03:46 ID:eNICWdhB0
アリシアとラヴィアンはやたらとアグたんをからかううが、実は二人とも耳年増というのが俺のジャスティス。
400名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/03(火) 14:04:26 ID:rj0Cvqe+0
ラムザは傭兵時代の上司がガフガフだから色んな意味で床上手だろうな
401名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/03(火) 15:26:26 ID:iStQMbmp0
>>400
うむ、同意だ。
色々詳しく述べたいところだが、板違いになるので自主規制しておこう。
402名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/03(火) 21:34:22 ID:hf1JOJ4I0
だがそんなことはおくびにも出さないハニーフェイス

アグリアス「うっうむ、やはりここは年上の私がリードせねば…」
403名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/03(火) 23:13:22 ID:BIFTeGtu0
うっかり実はラムザは……と言って後でボコられるラッドを想像
404名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/04(水) 01:00:20 ID:6bQuw+ZX0
ラッド「そういえばラムザ、傭兵時代に100人切りした中で、
    一番よかった子ってぇと誰だ?」
ラムザ「……」
ラッド「どした?……うぉ! ア、アグ姐!!」
アグ「ラムザが、傭兵時代、なんだって?」
405名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/04(水) 01:29:18 ID:Sr9qLcNk0
>>404
翌日早朝。野郎組は上半身裸で歯磨き中。
ラッド「うおーすラムザ、あれからアグ姐にシボられたんじゃねーの?」
ラムザ「うん、シボられた…」
ムスタ「うお!?ラムザお前、肩にでっけえ歯型ついてるぞ!?」
ラムザ「うん、ちょっと拳術というかレスリングの稽古をね…」

古代パンクラチオンにおいては、目潰しと噛み付きは反則とされていた。
だがそんなこととは全く関係無しに、
その日一日ラムザとアグリアスさんは仲間達の生暖かい視線に晒されていたという。
406名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/04(水) 04:32:30 ID:OQGMtPBe0
>>382
SS面白かったよー
407名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/04(水) 12:52:04 ID:MA3y2Oy80
知力:ダイスダーグ>ザルバック>>ラムザ
戦技:ザルバック>ダイスダーグ>>ラムザ

精力:ラ>>>>>>>>>>ザ>ダ
性技:ラ>>>>>>>>>>ダ>ザ
408名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/04(水) 13:44:22 ID:l/35YzUE0
ラムザ「やったぞアグリアスさん!」
ヴォルマルフ「兄弟よお! 
       今、女の名前を呼ばなかったかい?」
ラムザ「ヴォルマルフ・ティンジェル!?」
ヴォルマルフ「戦場でなあ! 恋人や女房の名前を
       呼ぶ時と言うのはなあ!
       瀕死の兵隊が甘ったれて言う台詞なんだよ!」 

「ぬう……どうにも良いものが見当たらないな」


通りに並ぶ店を覗き込みながら、唸るように呟くアグリアスさん。
いつもの騒がしい取り巻き二人組も遠ざけて、今日は一人で買い物のようです。
それもそのはず、今日ばかりはあの口の軽い二人についてこられては困るのです。
なぜならアグリアスさん、ここへはラムザの誕生日の贈り物を選びに来てるのですから。
もしもあのお調子者の部下二人に知られたら、
厩舎のボコにまで噂を広められて贈り物を渡すどころではありません。

それにしても、ラムザの誕生日は磨羯の月の十日。
今日はもう十三日です。
なぜ今さらプレゼントなど探しているのでしょうか?


三日前、それはアグリアスさんにとって手痛い失態の日でした。
あらかじめ行程を調整して街に宿を取ったこの日、隊の皆はラムザの労を労うべく
盛大なパーティを開きました。
日頃仲間のことしか考えていないラムザです。
当然誕生日のことなどすっかり忘れていたものだから、彼はひどく驚きました。
ところが、すっかり忘れていたのはラムザだけではありませんでした。
アグリアスさんは仰天しました。
気がつけばめぼしい仲間は手に手に祝いの品を用意していて、
そうでない仲間も予め承知しきった様子で宴を盛り上げているのです。
アグリアスさんだけは全然知りませんでした。
皆当然のようにそのことを知っていて、なおかつ当日にラムザを驚かせるために、
パーティのことは口にしないのが暗黙の了解となっていたからです。
今思えば、アグリアスさんには意図的に知らされなかったような雰囲気がありましたが。
ラムザは驚きながらも、顔いっぱいの笑顔で仲間から贈り物を受け取っています。
アグリアスさんには何もあげるものがありません。
呆然と手を叩いてやることしかできませんでした。
「そんなこと、気にしないでください。僕だって全然気付いてなかったんですから」
いたたまれない様子で謝るアグリアスさんを、ラムザは穏やかに慰めてくれましたが、
その後ろで勝ち誇ったようにニヤつくメリアドールの笑顔が、
アグリアスさんの脳裏に深く深く焼き付いたのでした。

そして今日。
再び街に駐留したのを幸い、アグリアスさんは贈り物探しに奔走しました。
とはいえ贈り物などしたことのないアグリアスさんですから。
まず初めに武器屋に走る辺り、センスのかけらもありません。
そんなわけですからめぼしいものがみつかるはずもなく、
とうとう時刻は夕刻になり、疲れ果てた彼女はフラフラと怪しげな店に足を踏み入れていました。


「いらっしゃい」
もう一目でうさんくさいとわかる汚い店主が声をかけてきました。
アグリアスさんはほとんど期待も抱かず、うろうろと店内の品々を見渡しました。
ところが、棚のなかに一つ、綺麗な淡い桃色の薬瓶がありました。
「親父、これはなんだ?」
「流石お嬢さん、お目が高い!」
いつのまにか背後に来ていた店主が、大げさに説明する。
「それは蚊の涙と、山鹿の生き血、それにイモリのしっぽに処女の枝毛を加えて…」
「ええい、まどろっこしい! 要は何の薬か聞いているんだ!」
「つまりは、あれです。惚れ薬ですな」
「ほ、惚れ!?」
思わず声を乱すアグリアスさん。
店主は目ざとく彼女の変化につけこんできます。
「ははあ、お客さん! さては想いを寄せておられる方が!」
「な、なななにを馬鹿な!」
「いやいや、お隠しになっても分かります! 恋をされた女性は美しいものです!」
「美し……ちっ違う! ラムザはそんなものではない!」
「いえいえ! 隠されることはありません! 恋は偉大なもの! 恥じることなどありません!」
「し……しかしだな」
「あなた様の切ない想い! 悩ましい想い! それをラムザ様にもお伝えするのです!」
「ラ、ラムザにか……」
「ラムザ様も、きっと心の底ではそれを待ち望んでおられるのでは……!?」
「……そうかな」
「そうですとも! さあ、今なら3割引で7000ギルぽっきり! タオルもつけます!」
「じゃ……じゃあ、買う」
「おありがとうございましたっ!! 袋にお入れしますか!?」


そんな具合に、気付けば薬瓶とタオルを手に店を出されていたアグリアスさん。
我に返って少し後悔しかけましたが、手のなかの惚れ薬を見つめているうちに
そんな思いは彼方に吹き飛び、足取りも軽く宿に引き返していったのでした。
もはや当初の目的をすっかり外れてしまっていたのですが、
揚々と舞い上がるアグリアスさんはそんなことに気付こうはずもありませんでした。


さて、夜もすっかり更けて。
そろそろ寝ようかと部屋の明かりを落とそうとするラムザ。
そこへなにやら慌ただしいノックの音。
返事も待たずに入って来たのはもちろんアグリアスさんです。
「アグリアスさん?」
「や、やあ……、こんばんはラムザ」
「こんばんは。……あの、何か?」
「何か? あ、いや、何か……うん、何か……あ、うん……ちょっと」
「はぁ」
ノックの音もさながら、かなり挙動不審なアグリアスさんにラムザは首を傾げます。
なおも口ごもるアグリアスさん。
「あ、あー……その、ラムザ」
「はい」
「あのだな、お前、先日……誕生日で」
「あ、そのことですか。あんなこと気にしなくたって良いのに」
「えーと………いや、そんな気にしてなど」
「よかった。それじゃその……おやす」
「りっ、林檎食べないかラムザ?」
「はぁ?」
あたふたと林檎を取り出すアグリアスさん。
無茶苦茶な話の流れに呆れながら、ラムザはアグリアスさんの手のなかの林檎を見ました。
真っ赤なほっぺたに、ぼんやりと桃色を帯びた大きな林檎。
なんだか不思議と惹きつけられるような…………。
言うまでもなく、一服盛ってあります。
アグリアスさんが夕方からつい先程までじっくりコトコトと薬を染み込ませた一品です。
「はは……その、今日市場で買って来て……う、うまいぞ?」
へらへらと林檎を薦めるアグリアスさん。
ほとんど白雪姫に出てくる老婆の姿そのものです。
ラムザもかなり不審に思いましたが、
これは先日の失態を気にしてのことだろうと彼らしい好意的な解釈をしたのち、
「じゃあいただきます」
と笑顔で一言。
桃色の林檎にかじりつきました。
「ど……どうだ?」
「うん、おいしいですよこれ!」
むしゃむしゃと頬張るラムザ。
アグリアスさんは固唾をのんでその様子を見守ります。
店主の言葉が真なら、薬を飲んで始めに目に入った人間を………。
「…………んっ」
ふいに喉を詰めたように、頬張る手を止めるラムザ。
ここぞとばかり、アグリアスさんは白々しい声をかけました。

「ど、どうしたラムザ!」
「………」
「どこか具合でも悪いのか!? どうした、私を見ろ!」
「アグリアスさん……」
「ラムザ、しっかりしろ! 私を見ろ! 大丈夫か? ほら、こっちを見ろ!」
アグリアスさんが必死に呼びかける間にも、ラムザの顔には見る見るうちに
異変が起こっていきました。
顔は火照った赤に染まり、目は熱病にかかったように朦朧とアグリアスさんを捉えていました。
(これは、薬が効いて来たのだろうか?)
声をかけながらもそのことを気にかけていると、やがてそれを証明するように、
ラムザの手ががしりとアグリアスさんの肩を強く掴みました。
「アグリアスさん」
「ラ………ラムザ……」
「アグリアスさん……」
「………あ、あぁ……」
「……す………」
「…………」
「す…………」


(す………!?
 ラムザ、続きは!? 続きは────!?)

「す……」
「………ラムザ……」
「……すいませんが」
「…………?」
「万能薬を……急いで……」
「………は?」
「………もう、……だめ………すいま……せん」
「ラムザ……? わっ、おい! ラムザ、しっかりしろ、ラムザーー!!」


アグリアスさんの呼びかけも空しく、
結局ラムザはそのまま倒れ込み、意識を失ってしまいました。
騒いでいるアグリアスさんの声を聞きつけて集まって来た仲間たちによると、
薬物によるアレルギー反応だということ。
ラムザはその日以降高熱に悩まされることになりました。
ラムザは何も言わなかったのでアグリアスさんが責められるようなことはありませんでしたが、
もちろんアグリアスさんは彼の看護を進みでました。

それにしても、冷静になると、いい加減な薬を掴ませたあの店主も憎いけれど、
なにより浮かれて軽はずみな過ちを犯した自分がつくづく憎いアグリアスさんでした。
そんなわけで、アグリアスさんは薬の空き瓶を怒りに任せてゴミ箱に投げ捨ててしまい、
瓶の横に書かれていた『既に自分に惚れこんでいる相手には使わないこと』という注意書きに
とうとう一度も気付くことのないまま、とっぷり落胆の吐息をつくのでした。
416名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/04(水) 21:25:55 ID:2+McRN220
GJ
つまり、効きすぎちゃったって所かな?
417名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/04(水) 21:29:03 ID:ECIGLcgA0
いや、もう惚れてるから効き目無いんだな、これが。
418名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/04(水) 22:51:16 ID:6bQuw+ZX0
GJ

アグリアスさんってベッドですごい声を上げそうだな……
419名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 01:09:17 ID:3p83qTJI0
袋にも入れてくれる接客熱心なオヤジにワロタw

>>418
アグ「し、信じるぅ!!」
男子にとって女性からの信頼は励みともプレッシャーともなるわけでして…
420名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 01:16:26 ID:YCzBGIqU0
というかタイトルが意味不明w

>418
アグリアスさんは声など出さない。
ただじっと背中にしがみついて、涙目になりながら歯を食いしばっているんだ。
421名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 09:10:40 ID:QOFTWwen0
ラムザの占いの結果と絡ませてオチに持って行ったら良かったのに。

でも面白かったよ。まったりしててよかった。GJ!
422名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 10:07:47 ID:p9wqQ2X30
でもあれだ。アグリアスとラムザの初夜には何故か部隊全員で聞き耳立ててそうなんだが
それはもう壁に耳あり天井に目ありって感じで
423名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 10:29:46 ID:zYHTdNG40
いやさすがにそれはキモい
424名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 13:12:54 ID:K40Quh7J0
425名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 13:15:18 ID:K40Quh7J0
426名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 13:19:50 ID:xFPv67Qy0
おろろ?
427名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 21:13:59 ID:N06O6Yfp0
何がしたいんだろう?
428名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 21:15:52 ID:YCzBGIqU0
行く人のファンだろう
429名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 23:15:28 ID:OFWO3sl80
>>409-411
ってふみんしょ氏?
430名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 23:16:35 ID:OFWO3sl80
間違えた
×>>409-411
>>409-415
431名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 23:17:52 ID:nLOs3/300
段落の付け方が違う気がするが……でも話の雰囲気は似てるよな。
432名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 23:29:47 ID:H3hQcHxy0
え、どう見てもふみんしょさんだろ?
最後が「終」じゃないのが気になるけど。
433名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 01:42:47 ID:LRzXNxKX0
アグ「なぁ、ラムザ、ちょっといいか」
ラム「どうしたんです、顔色悪いですよ」
アグ「この際だからはっきり言うが、私にはその……持病がある」
ラム「え? どのような?」
アグ「うむ……その……ほぼ一月おきになんだが……体液が漏れる病気なんだ」
ラム「体液が漏れる……どこから?」
アグ「その……股間から……尿の出る穴から……なのだが……」
ラム「………え? ……それって……あの、アグリアスさん、その症状っていつ頃から……?」
アグ「確か11の時が最初だったと思う……しかもこの症状の時はきまって情緒不安定になるんだ。
   あるいは精神的なものなのかも知れん……なぁラムザ、私は何か悪い病気なのだろうか?」
ラム「…………(どう、説明したものやら……)」
434名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 03:14:07 ID:/+IUrFg00
貴族出身でそれはありえないのでは…
と整理ネタはちょっとしんどいのでいってみた
435名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 03:54:37 ID:+Oyx3eZW0
アグリアスさんはアカデミー在学中に剣の稽古に没頭するあまり、
座学の保健体育をサボっちゃったんだよ。

ただ常に移動を強いられる小部隊の長としては、
女性陣の月のモノの把握はしておきませんとな。
436名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 04:52:52 ID:G4rVP+bn0
>>435
それはいくらなんでもラムザも躊躇うと思うんだけどな・・・w
437名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 16:53:34 ID:GTTTAHGN0
メイドアグリアスのSS置いてあるサイトに久しぶりにいったら閉鎖してて欝。
ひそかにお気に入りだったのにorz
438名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 17:15:53 ID:tNOxaYFF0
NAGさんな
保存しといてよかった
439名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 17:21:17 ID:tNOxaYFF0
つうかこのスレの職人さんはあんまりサイトとか持ってないんだろうか?
かなりたくさんいるのに、もみもみ士のサイトしか知らない。
440名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 17:50:26 ID:ucW2JZYR0
とびねずみさん、はちまるいちさん、従者さん、甘々士さんはサイト持ち。
後の二人はFFTとはあんまり関係ないサイトだけどな。
441名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 17:53:46 ID:+Oyx3eZW0
>>437
そんなときはInternet archiveを使うとよい。
ttp://www.archive.org/web/web.php
右上の記入欄に消えたサイトのURLをブチこめば、まだデータがweb上に残っていれば発掘できますよ。
画像系はまず消えてることが多いけど、文章系ならなんとか拾える可能性は高い。
実際NAG氏のとこも試してみたら、SSはいくつか死んでたもののだいたい残ってた。
442名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 23:20:57 ID:L+fY8bg20
>>433
尿道からなら血尿だから・・・って原因の病気を考えた俺は異端
443名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/06(金) 23:49:10 ID:H+3bdFZp0
>>442
アグタンは自分の秘部を鏡とかで見た事がないので、尿道から出てると勘違いしてるんだよ!!
444名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 01:34:31 ID:k3Xbq08K0
アニメのfateのセイバーがどうみてもアグリアスにしか見えません
アグスレ暦長いとみんなこんな感じなのだろうか・・・・
445名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 01:39:48 ID:xQb36c8f0
いや、アグスレ暦が長いとそもそもその話題はしない
446名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 02:05:47 ID:G3xL9nOv0
最近初めてラムザとアグたんを星座相性最悪でプレイしてみた。
3章半ばで難易度というより精神的に限界を迎えたので、
ラムザを誕生日デフォのアグたんとの最高相性で再度初めからプレイし直した。
至福だった。

やはり殴り合い&チャクラ掛け合いは萌える。
たぶん絵にすると敵味方双方呆れて近づけない図になってると思うが。
447名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 03:00:15 ID:X0mDig7m0
>438
ごめんね
448名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 10:51:31 ID:QnDGpKLe0
アグたんにフェラしてもらって口内射精したい
449名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 10:56:04 ID:xQb36c8f0
>448
喰いちぎられそうだな
いっこうに構わんが
450名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 12:11:16 ID:eXuDqIoMO
>444
同意はする






しかし笛厨が寄って来かねないからココでその手の発言は控えような
451名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 12:40:35 ID:SrGD4ybb0
>>446
漏れもそうしようか非常に悩んだが磨羯宮あんまり好きじゃないから結局自分の誕生日を入れた。

が白羊宮は相性が悪いのでチャプター3入った所辺りでやっぱり後悔。
452名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 12:58:07 ID:xYAS3+v80
尿道……からなわけNEEEEEEEEE!!
本当ならマジ病気。
453名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 13:25:44 ID:Sx4/64sx0
露出の高い女性に何気に釘付けになるラムザ。
それに気付いてラムザの耳を引っ張るアグリアス萌え
454名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 14:02:17 ID:EcZV3hC90
>>453
おそらく、耳を引っ張るまではいかないな。
妙に不機嫌になるくらいだろう。
455名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 17:38:08 ID:G3xL9nOv0
アグ(そ、そんなに露出の多い衣装のほうが良いのか…?)

「アグリアスさん踊り子ジョブチェンジ計画」の野望へとまた一歩。
456名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 20:21:53 ID:5/zrbjrd0
アグリアスさんは本質的には露出狂



……なわけないか。
457名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 21:57:12 ID:XxKnOnD10
ラヴィ「……って言う噂流してきたー!」
アリ「おーい、後ろ後ろー」
458名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 22:29:13 ID:sIoeGhhI0
ラヴ「た隊長って なんでいつもあたしの背後にいるんですかー?」
459名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 22:30:39 ID:xQb36c8f0
アグ「お前はこれだけ長く私といて、まだ私の気持ちに気付かないのか」
460名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/07(土) 22:37:40 ID:nTqj7enK0
アグ「お前、私の事が分かってるつもりなのか?
    私を救えるつもりでいるのか? とんでもない思い上がりだッ!」
461名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/08(日) 00:24:53 ID:MIMRUwKY0
酒を飲んで酔ったメリアドールの魔の手がラムザに及ぶ!!!

ムス・ラヴィ・アリ・マラ・ベイ「おおおおお〜〜〜〜〜〜!!!」
ラムザ「メリアドール!?うわあああ!!」
メリアドール「ラムザぁん・・私鎧脱いだら、結構凄いのよ?(はぁと)」
ムス「・・(一回で良いから言われたい)」
ラット「・・(ちきしょう!ちきしょう!)」
伯「・・(これが若さか)」

アリシア「た・・隊長は?」
ラヴィアン「多分、酔いつぶれて寝てると思う・・」
アリ・ラヴィ「・・(ホッ)。」
462名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/08(日) 01:22:26 ID:xx2QhfHN0
そのころアグリアス・オークス23歳(仮)は悩んでいた。
その両手には森のクマさんパンツが握られている。
昼間こっそり行った自慢の花占いにおいて、「ラッキーアイテムは森のクマさんパンツ」という卦が出たのだ。
いかによく当たると自負している(むろん皆には内緒)花占いだからといって、
いい歳こいた己がこのようなラヴリーな下着をはいて似合うものだろうか?
こんなことならこの間、ラムザが幼少の頃クマのぬいぐるみが好きで
アルマ殿と取り合っていたなどという昔話など聞かなければよかった。

アグ「勝負、勝負なのだアグリアス…今夜こそが天下分けめの決戦のとき…ッ!」
463名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/08(日) 04:27:03 ID:Nm6friN/0
ラムザ「わけめとわれめって似てますよね。あとわかめも似ているかな」


ラムザ「わーかめスキスキ!」


ラムザ「……そういえば、今年はわれめでポンを見逃しちゃったなあ……」
464名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/08(日) 04:47:49 ID:HeypoedW0
アリ「ねぇラヴィアン、洗濯物にこんなのがあったんだけど」
ラヴィ「へぇ、熊さんマークのスキャンティ? かわいいわね」
アリ「先週までこんなの洗濯に出てなかったのよ……誰のなのかしら?」
ラヴィ「さぁ……あ、ちょっとラファちゃん、この下着に見覚えない?」
ラファ「私のじゃないです」
アリ「そう。……メリアドールさん、知りません?」
メリ「子供じゃあるまいし……そんなメルヘンなの穿かないわよ」
ラヴィ「うーん、そうするとこないだ何人か入ってきた子達の誰かのかしら?
    でも新人さんに『これあなたの?』って聞いて回るのも……
    あ、隊長隊長、これ、誰の下着だか知りませんかぁ?」
アグ「!! い、いや、私は知らん! 大方、ムスタディオあたりがくすねてきた物だろう!
   そ、そうに決まってる!」
ラヴィ「またあいつかぁ! あとでお仕置きが必要だわねッ!」
アグ「……(許せムスタディオ……)」
465名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/08(日) 10:39:31 ID:ZeGs9ji60
ラッド「なぁラムザ、ムスタディオがまた闇討ちされたんだが」
ラムザ「また……フェニックスの尾はどこだっけ?で、なんでまたそんなことに」
ラッド「話ではムスタディオがクマさんパンツをくすねてきたとか、いや待てラムザなんで剣を持つんだ」
ラムザ「僕のクマさんパンツ……!」
ラッド「お前のかよ」
466名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/09(月) 01:12:46 ID:XX3NsDQQ0
ラムザ専用勝負下着……アグリアスさんも大変だ。
467名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/09(月) 01:34:31 ID:w8P1b4ZE0
最近スキャンティってまた人気出てきてるらしいな。

まあアグリアスさんが穿こうと思ったら相当な覚悟が要るだろうが。
アグ「ここ、こんな生地が少ない下着が昨今の流行なのか!!」
468名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/09(月) 01:45:07 ID:HGdLtyPk0
ウボァーwdsrdtfgyふじこlp;@
敵陰陽士のドンムドンアクとコンドル系の壁に嵌められて復活させられずにアグ死んだー!・゜・(ノД`)・゜・
スクエアの%計算絶対おかしいって… orz =3
469名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/09(月) 01:47:19 ID:rfApnHeT0
いいんだよアグたん…
貴女は何の変哲も無いどころか、ほとんど男物と言わんばかりのサルマタかトランクスで…(もしくはカボチャパンツで)
そのほうが勝負パンテーをはいたときのギャップと恥じらいが一段と増すではないか。

レーゼ「どうアグリアス、私のドーター行きつけのお店なんだけど?貴女なら何でも似合うと思うけどw」
ttp://fairis.net/main.cgi
アグ「ななななんと破廉恥な!!私にはこのような物は…」
レーゼ「メンズ物もあるのよ〜♪ラムザにもプレゼントしてあげたら♪」
アグ(あ、鼻血が…)
470名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/09(月) 21:58:43 ID:os36h39i0
ttp://www.toranoana.jp/mailorder/detail/04/0000/095/040000095222.html

買ってみたが、アグは表紙と裏だけだった。じわり
471名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/09(月) 22:03:31 ID:Wm7MRmLQ0
偉いぞ、よく買った。俺は、ラムザにプレゼントをあげようとして
アグたんが真っ赤になりながら悪戦苦闘する話を想像しながらも買わなかった。
472名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/09(月) 23:42:42 ID:rfApnHeT0
>>470
お前、裏表紙に「アグは1%もないです」と書かれてたろ。
473名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/10(火) 01:17:03 ID:/9ONazZ40
BGMにオヴェリア様のテーマ、シドのテーマ、でこっぱちのテーマがあるんだから、
アグリアスさんのテーマがあっても良かったよなぁ……
474名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/10(火) 01:42:51 ID:O+qVdueS0
個人的にはtrisectionがアグリアスさんのテーマ
475名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/10(火) 19:26:14 ID:7gENjrWa0
オメェに食わせるタンメンはねぇ!!
476名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/10(火) 20:53:18 ID:IgpeNFSZ0
そういえば千一夜まったく更新されて無いな・・
過去ログ残して無いから前の見れないorz
477名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/10(火) 20:56:13 ID:DjUZEa6A0
漏れのアグたん!!
478名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/10(火) 21:05:27 ID:3JbBTN2J0
>476
テンプレ見ろよ。
479名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/10(火) 23:52:54 ID:yckYiDhj0
FFTの世界観なら貴族や武家の「成人の儀」は十代後半が妥当かもしれんが、
それでも20歳というのはそれなりに区切り扱いされる数字であってもいいだろう。
>>471
というわけでラムザの20歳の誕生日に赤面しながらもプレゼントを贈る図なんかも良さげだ。
事前にレーゼさんあたりから「名実ともに大人の階段を上らせるのは年上女性の義務よ」
とかなんとか吹き込まれたことがさらに赤面(&妄想)に拍車をかけたりしちゃったり。
480名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 00:37:35 ID:m+T3zmfQ0
エレーヌネタ書いてもいい?
481名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 00:52:19 ID:KlgS6s7DO
いいですとも!
482名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 01:48:58 ID:cGBg+Hkq0
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
 ⊂彡
483名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 02:03:24 ID:bjR2drGY0
エレーヌって誰だっけ?
ぜんっぜん記憶にない……。
484名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 02:29:35 ID:gA8NvtOj0
>>483
ドジッ子モード炸裂でラムザに迫り、アグリアスさんを逆上させる天然娘。
485名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 02:36:43 ID:bjR2drGY0
ああそうか、思い出した。本編キャラじゃないのね。
486名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 03:12:37 ID:ME6A9v5b0
487名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 04:19:23 ID:OQ/OdV/X0
488名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 04:21:07 ID:OQ/OdV/X0
直リンしちまった…orz
489名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 04:45:32 ID:vNhJ5k7I0
一応貼っとこう
ttp://ranobe.sakuratan.com/up/src/up81448.png
某「ひなたのまど」からなんだが、ランダムで出る拍手絵なのでUPロダに。
490名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 06:57:20 ID:CwX2H+d10
                .   ´  ̄  ̄  `   .    __
              /        . ´     \/´ ̄ `ヽ
             /     ,   /         ヽ.    |l
               /     /   ,'     /  / i  ヽ    リ
               ,'     / '  l|   / /  / lト.   ヽ
              ,'  '   / ./   i「 77 メ、 / / i  l i i
           i  i l  /⌒|  i i|ィテ.〒く/ /  .|  l l |
           |  l l i l イ|  l l|イr' rリ   /  メ  ノル'
           |  l l l ト、 {|  l l| `='      ,ィくイレ'     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           |  l l l l i\|  l l|/////   〈;// |リ       |  アグリアスは
           |  l l l l l  |  l l|      .   イ |     <   セイバーのパクリ
           |  l l l l l  |  l l|   r‐‐;  ノ  |      |
           |  l l l l l>┴.┴く.    ̄ /  l l|       \________
           |  l l l/     \__ イ| l| l l l|
           |  l l /        i   ll | l| l l l|
           |  l /         }  リリ l| l l l|
           |  l/          | // llリく.レ'
           |  {          / くく/⌒ヽ、
           |  ト.        レ'   \ r‐ ‐ 、\
           |  リ        j     \r‐‐‐ 、\
           |. 〈         〉   ,. -- ヽ ヘ   i\
           | ハ          |         ヽ\_ム イ
           | ハハ        |    __   _, }    j
           リリノ        l   ´      /   〈
491名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 07:07:17 ID:HdwsxbqBO
そういやフェイトステイナイトってアニメにアグリアスの元ネタみたいなキャラでてた
492名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 07:52:33 ID:0DJpxqPF0
ところで絵師の人って
絵を描くときってペンタブ使ってるの?
それとも描いたのをスキャナで取り込んでるの?
493名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 20:15:25 ID:KWwSzkKm0
マウスでドット打ちですよ?
494名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 20:37:33 ID:leKY5L0R0
エレコムのゲームパッドコンバータを使うと
PS2のパッドがそのまま使えて描きやすいよ
495名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 20:56:06 ID:SRXnrBjY0
セイバーって何?
マイナーすぎてわからん
496480:2006/01/11(水) 21:01:54 ID:m+T3zmfQ0
すまんだめぽ……なんかただの頭おかしい子になっちまった。
497名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 21:14:13 ID:vNhJ5k7I0
>>496
結局のところ、君がふみんしょ氏ご本人でないならやらないほうが無難だ。
どうせだったら他の汎用キャラ名を使って1から自分のネタを作るとかな。
ttp://www.mickey.ne.jp/~pierrot/gc/fft/oh_me.html
498名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 22:01:39 ID:J/U67LI40
>>308-312みたいに紹介されるような魅力的なオリキャラを目指して頑張れ!
499名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 22:36:18 ID:gA8NvtOj0
>頭おかしい子

それはそれで読んでみたいような気がs(tbs
500名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 22:44:11 ID:KWwSzkKm0
たぶん
『戦ってはダメ!』
とか言いながら、攻撃魔法撃ちまくったりするんだろう。
501480:2006/01/11(水) 22:53:31 ID:m+T3zmfQ0
正月なので餅つきに励むラムザ隊。
エレーヌはアグリアスさんと組むことに(どっちもすごく嫌そう)。
それでもエレーヌ叩く、アグこねる担当でけっこううまくやってたんだけど、
ラムザが見に来て、「うわー二人とも上手ですね」とかいった途端エレーヌ暴走。
叩くタイミングがずれてアグたんの手が「ギャヤヤアー」みたいな話だったんだが……。

ぶっちゃけふみんしょさんのエレーヌのキャラ壊してるっぽいんだ…。
502名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 23:00:05 ID:KWwSzkKm0
こういうときこそインスパイヤだ!
エレースとか。
エしーヌとか。
エレータとか。
503名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/11(水) 23:10:05 ID:NFiASioE0
自分とこの汎用キャラ使えば良かったのに。
504名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 00:32:05 ID:4CgHBS3kO
ふぅ。たった今クリアした・・・でタクティクスってエンディング一つだけだよね?
505名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 00:37:18 ID:3b92D04U0
>>504
そだよ
506名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 00:40:12 ID:4CgHBS3kO
そうか・・・アルマを死なせたままエンディングをラスボス倒しちゃったから他のもあるかな〜って思ったんだが違ったか。なんかスッキリしないかも・・・
507名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 02:12:18 ID:Bi2CNSRb0
誰か通訳たのむ↑
508名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 02:31:43 ID:IxzV+evy0
ヒント:アルマは頑丈。
509名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 02:34:56 ID:3b92D04U0
ティータを復活させようとあれこれ手を尽くしたのもいい思い出だな……
510名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 08:33:10 ID:GLsWqBkEO
最強ジョブ「ディリータの妹」か
511名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 08:39:00 ID:0WJoSpkz0
ラスボス弱かったな・・・
ラムザとの一騎打ちだったら面白かったかもしれんが
512名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 10:56:57 ID:arA43kjN0
アルテマたん…(*´Д`)'`ァ'`ァ

トリビア: 実はアルマは、第一形態までなら今でもアルテマ化可能。
       兄様にキレるとアルテマ化。
513名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 13:54:14 ID:W16kYeku0
もれも昨日クリアした。ラスボス弱過ぎ…
つか、デボネア(マバリア解除)と通常攻撃しかされてねぇよ。しかも攻撃はアルマに行ったから事実上無傷勝ち…

まあ最後はアグの乱命活殺打で〆たからよしとしておく( ´∀`)
514名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 14:06:18 ID:C4s6tpLo0
漏れのアルテマ初撃破はアグの無双稲妻で一撃くれておいてから
ラム>アルの連続アルテマだったな…ナツカシス

その時二人とも詠唱セリフが出たけど
アルテマの詠唱が二人とも違うのが印象的ですた
515名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 14:18:25 ID:AGbyMZsw0
漏れの初撃破は、ムスタの戦技でマジックブレイクとパワーブレイクとスピードブレイクで弱体化させながら
最後にアグリアスさんの聖光爆裂でたおした
516名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 14:22:24 ID:GLsWqBkEO
俺はラグナロクとエクスカリバーの二刀流だったな。ラムザ一人で余裕勝ちwww
517名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 14:34:05 ID:tiW2ink50
俺はアグパンチで倒した
518名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 15:10:22 ID:YscR4DbZO
俺はアグぱんちゅ(ry
519名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 15:20:38 ID:W16kYeku0
木綿、上のレス嘘ついた
調べてみたら「デボネア」じゃなくて「デスペジャ」だった。何と勘違いしたんだろうか。

>>514
初耳だ、詠唱違うのか?
詠唱違うのはラスボスが使う方のアルテマと思ってたが
520名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 15:32:39 ID:KE+udUyB0
デボネアはオウガバトルだ
521名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 15:34:58 ID:W16kYeku0
ああ! それだそれw
522名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 17:37:22 ID:3b92D04U0
アグ「デブとは何だデブとは! 体格がいいだけだッ!!」
523名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 17:53:40 ID:AC3vYL050
>>518
アルテマ「オノレ、非力ナル者メ、何ヲシタ!?目ガ見エヌ!!」
アグ「ラムザ!奴の動きは封じた!とどめを!!」
悶え苦しむ聖大天使の顔面には三角形の白い布が被せられていた。
布切れの中心にはクマの刺繍が施されていたが、激戦の最中それに気付く者はいなかった。

ラムザ「はい!虚栄の闇を払い(中略)アルテマ!!」
アルテマ「モット…チカラヲ…」
アグ(さらば、私の勝負パンツ…)

アグリアスがドーターでの最後の夜にはいた勝負クマさんパンツ。
ドーター出立の早朝、アグリアスはやや寝坊をしたために慌てて出撃準備を整え、
パンツをおもわず懐にしまい込んだまま、オーボンヌへ向かってしまったのであった。
アグ(それがこんな土壇場で役に立とうとはな…)

そして飛空挺の墓場、大爆発。
後にはクマさんの刺繍が虚空に浮かぶのみ…
524名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 18:38:06 ID:oyERxpcJ0
>>512
それは着替えてプレイを楽しんでるのとは違うのか?(*´Д`)
525名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 19:38:53 ID:vlxuyU1A0
アグ様のおま○こペロペロ(・∀・)イイ!
526名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 21:00:44 ID:DZqVj0hz0
ムス「ラムザ・・・髪下ろしたお前、女の子みたいだな」
ラ「う・・うん(ゴク)」
ラムザ「な・・・なんだよ!変な目で見るなよ!」
伯「・・・・若かりし奴の面影か・・・」
ラヴィ「・・・結構カワイイかも」
アリ「ラヴィアン!アグリアス隊長に聞かれたら!」
ラヴィ「あっ!ヤバ!」

ラムザ「僕は男だ!!!」

527名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 23:37:59 ID:uEuNKlgU0
アグ「いや私もかわいいと思うぞ」
ラム「…(このまま髪下ろそうかな)…」
528名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 23:49:35 ID:3b92D04U0
ラムザ「僕は男だ!!!」
アグ「な、なんだってーーーー!!!?」
529名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 01:03:09 ID:bn7+LfBb0
つまりアグリアスさんはショタなのかレズなのか
530名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 01:16:07 ID:ZA87pmtu0
アグ「我が名はアグリアス・オークス!オヴェリア様の剣なり!!」
       ↓
アグ「我が名はアグリアス・オークス!ラムザの剣なり!!」
531名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 01:37:05 ID:5QUXHEV30
俺的には、

アグ「我が名はアグリアス・オークス! ・・えーと・・・」
ラム(・・オヴェリア様の剣なり、ですよ)
アグ「オヴェリア様の剣なり!」

の方が萌える。
532名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 01:52:57 ID:lIgMAuB40
アグ「(ありがとうラムザ)」
533名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 02:10:02 ID:yTaLzPhH0
4章ぐらいには剣と身をラムザに預けきる覚悟を決めて、
飛空挺の墓場では堂々と>>530のセリフを吐いてアルテマ様に突貫していただきたい。

アグ(おのれ食い込み!あのような破廉恥な服装でラムザに甘言の数々弄しおって!タタッ斬る!!)
いやもちろんアルテマ様は「オ前ラブッ殺ス」と言ってるだけなんですけど。
534名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 02:20:18 ID:kAKjRqdL0
かと言って自分も一度はああいう格好してみたいと思ってるアグたん
535名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 02:31:01 ID:yTaLzPhH0
アグたんアルテマコス装備案

・適当な長剣
・ 同上
・リボンあたりが無難か
・ラバーコンシャス(カラーリングはもちろん青)
・シェルシュorフェザーブーツ

フワフワでピチピチです。
536名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 02:38:41 ID:5QUXHEV30
そこでリボンを胴体に装備ですよ。
当然シャンタージュ付きで。
537名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 02:41:19 ID:bn7+LfBb0
体にリボン巻いてラムザにプレゼント



……なんてSSあったなぁ。
538名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 02:55:10 ID:5QUXHEV30
なにげにFF&DQキャラのSSはここのが一番多いよな?
千一夜更新しねーかなぁ
539名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 09:30:52 ID:CykV1T2B0
それどこの小さな夜?
540名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 12:32:02 ID:TeN8nrlk0
アグリアスってセイバーのパクリジャン
541名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 13:21:47 ID:El2BeeMQ0
pacrisien(仏)
=目標とする、手本とする人物。師匠、師範、先生。
542名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 14:07:41 ID:ugRAqlDb0
みなさん!
「ぷいぷいぷ〜 うにっ 」が出ましたよ〜っ
543名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 21:34:11 ID:Y0raIBu+0
ブルーガーネットの『VALKYRIE』を買った奴はいないのか
544名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 22:04:18 ID:ZA87pmtu0
ラムザ「ふ〜、今日も歩き疲れた〜」
アグ「待っていた,一緒に寝るぞラムザ!」パンパン←布団を叩く音
ラムザ「マホッ!いいツンデレ、ヤ ら な い か ?」
545名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 22:51:57 ID:LUJ1AvFB0
ところで、アグさんの得意料理ってなんだろう?
546名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 22:54:32 ID:tbcGFU8D0
うりぼーの丸焼きだってさ
547名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 23:01:36 ID:ytqviSUp0
>>543
ノシ
548名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 23:02:24 ID:ytqviSUp0
ageちまった
549名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 23:07:04 ID:LUJ1AvFB0
>>546
そりゃまた野性的でつね…(*´Д`)'`ァ'`ァ
550名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 23:30:45 ID:bn7+LfBb0
ラム「アグリアスさん、何食べたいですか」
アグ「貴公」
551名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 23:47:21 ID:5QUXHEV30
ラム「はぁ、キコウ・・?よくわからないけど、炊事の方に聞いときますね」
アグ(・・知っていたさ、そうやって反応することは・・・・ほろり)
552名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/13(金) 23:56:28 ID:Y0raIBu+0
>>538
キャラ別ならファリスとどっちが多いかな?
作品別ではDQ4に遅れをとっているが。

>>547
あの本の後書きに書いてあった「最近ラム×アグのSSをたくさん読んだ」
って千一夜のことなのかな。他にラムアグSSを大量に読める所って
知らないんだけど。
553名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 00:03:32 ID:Yq2Te7gA0
過去ログを緻密に読んだのかも
554名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 00:13:46 ID:fXhaeXvO0
>>551
ラム「えーと、今日の炊事番はラヴィアンさんか。
   ……あ、ラヴィアンさん、ちょっと」
ラヴィ「あら隊長、どうしました?」
ラム「あの、キコウって料理、知ってます?」
ラヴィ「……は?」
ラム「いえ、いまアグリアスさんに『何食べたいですか』って聞いたら
  『キコウ』って言うんです。でも僕、そんな料理知らないもんですから」
ラヴィ「(…………天然?)」
555名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 00:21:38 ID:X1/ITyl70
>>552
今日買ってきて書き込もうと思ったら既に同士がいて唖然。お前は俺か。

>あの本の後書きに書いてあった〜
俺もそうだと思う。暇つぶしにネットしてたら見つけたとか、そんなとこか。
しかし、仕事多そうなのによく書いてくれたもんだ。
他のネタはどうでもいいから、ラムザ×アグリアスってのを読みたいな。
次のコミケあたりに期待したいが。
556名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 00:40:25 ID:nR2O2Pmg0
このスレの住人だったら面白いのに
557名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 02:05:24 ID:pZCH70fJ0
本の内容をkwsk
558名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 02:11:38 ID:nR2O2Pmg0
>>552
昔はそうだけど、あそこ更新しなくなって久しいじゃん?
他のドラクエスレとかファリススレを見ても、今はアグたんがぶっちぎりだと思うが。
559名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 02:19:16 ID:4G886A5A0
DQ系スレは見てないが、ファリスレは停滞しまくってるしなあ。

>>557
ドラクロワ枢機卿にリョジョークされるアグたん漫画18頁。
あとがきに「FFTは7周した」「ラム×アグのラブコメ書きたかった」
「最近ラムアグSSをたくさん読んだ」とのコメントあり。
漫画自体にはラムアグのラの字もないので注意。
560名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 02:22:31 ID:X1/ITyl70
>>557
よくあるネタ。ドラクロワ枢機卿が我らがアグたんを犯っちゃうの。

瓜を破ると書いて破瓜・・・人の夢と書いて儚い・・・
561名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 02:25:31 ID:o8MIO17w0
恥を晒すと>>380はその本のことだ
562名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 02:29:59 ID:JBM9Zflp0
昔録ったガキの使いのビデオ見てたら
視聴者(ハガキ投稿者)の作った歌詞に松本が歌を付けるネタがあって
内容がこんなの


『ひっと〜のゆめーとかいて〜 はっかっないとよ〜む〜

ら・ら・ら・らーらーらー や・や・や・や〜や〜や〜

ゆめやぶ〜れたみや〜こに〜〜 た〜たず〜む  おんな!!』


真っ先にアグが唄ってる所を想像しましたw
563名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 14:25:07 ID:q9d0k8cu0
>>562
ラヴィ(ジー)
アリ(ジー)
ラッ(ジー)
ムスタ(ジー)
ラムザ「………みんな、何してるの?」
564名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 19:04:43 ID:LnEA2NaY0
アグたんの告白
565名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 19:33:49 ID:9zvVKkSF0
リア工当時ガフガリオンにレイプされるアグたんを
妄想してオナニーしまくっていたおれはここに
来る資格はありますか?
566名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 20:21:11 ID:d7xvlwXS0
>>561
おまいの代わりに掲示板へ逝ってくる ノシ
567名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 20:22:49 ID:d7xvlwXS0
ごめん、誰か名前考えてくれない?
568名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 20:53:10 ID:Qrzgr5UR0
ぶっちゃけゲームだとアグリアスとラムザって何の接点もないよね、うん
569名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 21:09:05 ID:nR2O2Pmg0
・「草笛イベント」
・「今さら疑うものか、私はお前を信じるっ!」

これだけの材料で20数スレまでネタが続くあたり、アグリアスさんは偉大。
570名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 00:27:59 ID:l6ze57R40
その接点のなさが我々の妄想を喚起させるのだよ。
571名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 13:39:07 ID:/RsoUHJs0
最後にスレみて、かれこれ半年以上経つが・・・おまいら最高だw
572名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 15:38:13 ID:XZ47NDOX0
千一夜の話しがぽつぽつ出て来てるんで、試しに簡易まとめサイトつくってみたんで、
おまいさんがた、ちょっと問題ないかどうか見てもらえないだろうか。
俺はHTML能力ほぼないので手抜きブログだし、まだ試しの段階だけど、
問題なさげだったら過去ログからも補完したい。

ttp://d.hatena.ne.jp/agu_kanri/
573名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 15:44:16 ID:evfmm7190
GJだ!問題なさげ。
過去ログからの保管は相当量のSSがあるので、無理が無い範囲でお願い致します。
574名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 16:13:59 ID:tkN3DcPL0
アグたん(;´Д`)ハァハァ・・・
575名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 17:13:21 ID:vv1piYqs0
基本は大事だよな
576名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 17:32:51 ID:tkN3DcPL0
以前もこの流れ見たような・・・
577名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 17:47:17 ID:S9MaTQCj0
余裕があったら関連リンクやAAも保管してくださると嬉しいです
578名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 20:13:05 ID:YantBAAo0
除名しようとした時のセリフ
「この身、貴公に捧げると言ったはず・・・」
ってのも萌えるな
579名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 20:22:30 ID:ax8CQ5Sy0
仲間になった後セリフが無いのがつらい・・・
完全版みたいなの出さないかな
580名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 20:34:33 ID:vv1piYqs0
>>579
ミンサガのように劣化してしまう悪寒
581名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 20:47:20 ID:jiwY9no50
>>580
人それぞれだとは思うがミンサガは劣化はしてないと思う。
スレ違いだけど
582名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 20:54:57 ID:ax8CQ5Sy0
>>580
ラムザがアルベルトでアグがツフってことかw
583名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 21:22:34 ID:1CMsYnle0
どちらかというと角が生えるのはメリアドール辺りのような…うわなにをするやめr
584572:2006/01/15(日) 22:40:14 ID:XZ47NDOX0
だいたい保管し終わった……。
>>577
AAは明日にでもやっときます。
関連リンク、他にどこか必要ですかね。
585名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 22:52:34 ID:gu3pdiq60
>>584
アグスレでのSSをまとめるサイトである以上、
エロパロ板でのアグSSはやっぱり対象外になっちゃいますかね?
586名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 23:01:36 ID:mbjgPRIR0
>>584
乙です。偉いなぁ。アグさんの肩叩き券をあげたいよ
587572:2006/01/15(日) 23:19:09 ID:XZ47NDOX0
>>585
あー、そっちがあったか。
幸せルグリア一家とかありましたね。
追加しておきます。
588名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 23:21:26 ID:czKPdWUa0
>>586
(;´Д`)ハァハァ・・・
589名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/15(日) 23:26:48 ID:czKPdWUa0
あっ…、そういえば物質で
「人の夢とかいて儚い」ということを書き込んだら結構反応があって、
さらにアグ様と言う人までいたんけど
もしかしてここの人?
590名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 13:18:50 ID:zfIepV+V0
僕も4つ年上のお姉さんと付き合いたい(´・ω・`)
591名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 13:25:53 ID:LLEhaTze0
>>572
乙です
結局「桜花の約束」を書いた&さんは珍道中さんということでいいのか?
なんか文体違う気もするんだけど。

エロに関しては「★FINAL FANTASY 壱〜壱拾&拾壱エロパロ小説スレ」
に昼寝士氏2本、風呂屋氏1本があって、それで全部だと思うな。
千一夜に入ってないのは。
592名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 14:37:27 ID:0Eg+PCZa0
千一夜の方が119、>>572のサイトが100個以上あるから、
アグたんのSSは既に200越えか……すげー。
593名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 15:54:44 ID:6rX832wG0
SSスレでもないのにこんなにSSに恵まれるなんて、いったい何故?
594名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 16:10:34 ID:nBFo6Vq50
595名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 18:28:28 ID:KBwHaCug0
>>593
アグがすばらしいからにきまってるじゃないか
596名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 19:25:31 ID:LLEhaTze0
そりゃ、スレ初期に顔無しさんや従者さん達がよってたかって萌えSSを
投下し、良SSスレの基盤を作ってくれたからだろう。
597名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 20:43:53 ID:nIBX++zT0
598名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 21:06:37 ID:0Eg+PCZa0
>>597

           ...-‐――--.. 、
           /::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
        /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
        l:::::::/\:::::::::::::::::::::::::::l         ……鼻血吹いた
        l/l/   \l\l\:::::::ノ))
        |::l ○   ○   |:::|6)))
         |::l`ー-    -‐ |:::|  ))
        |::!         l:::l
        l/.         ;/
599名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 21:09:12 ID:5wRI7Shn0
>>597
専用タンクわろす
600名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 21:26:24 ID:LkCEIrer0
今気付いたがアグとメリアの星座の相性最悪だったんだな。














俺のラムザは蟹座だが
601名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 22:27:00 ID:OvzSe5DZ0
誰かニュー速に11日くらいに立ってたスレのログとってある人いないかな?
602名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 22:31:41 ID:H0JfO91r0
味方顔有りキャラ全員と相性が普通以上の星座ってどれだろう。
何も考えずに自分の誕生日入れたらアグ&ムスタディオ&ベイオウーフの3人と相性悪で後悔真っ只中orz
603名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/16(月) 22:41:00 ID:0Eg+PCZa0
>601
>>4の29chで見れる。
でも画像とか結構死んでたぞ。
604名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/17(火) 00:05:44 ID:QGt1ANXb0
>>572
千一夜みたいに各SSに説明つけないの?
登場人物とか。
605名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/17(火) 00:07:49 ID:9wxMFGId0
そこまでは求めなくてもいいと思う。
606名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/17(火) 00:54:42 ID:49Sa4glB0
>>597
もっと「ラムザ専用タンク」をめぐるSSや絵を見たいのう。

いくら女性同士でもアグリアスは(触っても大丈夫♪)なキャラには
仲間内からは見られないだろうからな。
せいぜいラファたんがすっこけた時に、アグたんが「あぶない!」と体ごと地面に倒れた状態でラファたんをキャッチ。
ラファたんが立ち上がろうとした際にアグたんの豊かなエアクッションをムンズと掴んでしまって、
「ご、ごめん、アグリアス」とバツが悪くなるラファたん。
「なに、ラファに怪我がなくてよかった」とやや困りながらも苦笑するアグたん。
でもラファたんは自分とのオパイサイズの差にコンプレックスを抱かずにはいられないのであった…とかな。

なるほど、夢というのは結構広がるもんだ。
607名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/17(火) 01:31:49 ID:yDGGSAox0
超いまさらだが、「北斗骨砕打」なる技を使うアグリアスは
北斗神拳伝承者ですか?
608名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/17(火) 02:27:41 ID:pvZxMNO30
アグたんがバイストンウェルに召喚されたら、もの凄い聖戦士になれる
609572:2006/01/17(火) 03:15:35 ID:G7AYLyI/0
乙レスありがとう。

>>591
俺もちょっと違うかな、と思ったんだけど、
珍道中さんは複数トリもってるみたいだから統合しちゃったんですよね。
桜花の約束の作者の方か、珍道中さんいたら指摘してもらえると助かります。

>>604
やっとく?
610名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/17(火) 22:36:26 ID:Hxqov0ba0
611名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/17(火) 23:16:01 ID:hgBj0MS40
アグたんの髪は普段編んでるから、解くとそういう風になるということなのか。
いやしかし尻が良いな。
612名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/18(水) 00:52:57 ID:4dJSeJK50
>>610
AOI氏のとこなら、もう一つ髪を解いたものが(やや分かりにくいけど)
ttp://edelweiss-box.hp.infoseek.co.jp/FFT/1115413824350.png

もっともこっちはオッパイ強調ですけど。
613名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/18(水) 01:40:48 ID:e5Pkuzrb0
これらの絵ではラムザの身長はアグリアスさんより低いってのが
デフォなのね。
614名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/18(水) 01:55:18 ID:4dJSeJK50
もともとこの絵師のラムザ&アグのシリーズは
ラムザが女装ショタ少年というところから始まってるからな。
615名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/18(水) 02:29:52 ID:QIU2GpkR0
ラトームさん帰って来たな
616チョコボヘッド:2006/01/18(水) 04:13:42 ID:RrL592j/0
お久しぶりです、流れを読まず1年以上ぶりに投下
617自己犠牲と喪失感:2006/01/18(水) 04:15:22 ID:RrL592j/0
ラムザ達は異端者として狙われる身である事はご存知であると思う。
度重なる教会の追っ手、そして野生のモンスター達に襲われる事も少なくない。
ラムザ隊が現在通過している場所はゼイレキレの滝、山岳地帯の部類に入るために地形の起伏も激しく
教会の追っ手や野生のモンスター達も迂闊には近づくことの出来ない危険な場所である。
その為にラムザ達はゼイレキレの滝を敢えて進路として選ぶこともある。
物資や食料なども底が尽きそうにある、貿易都市ウォージリスならば色々な物も見れるし様々な食料も買える、何より現在地からは一番近い。
ウォージリスに行くにはゼイレキレの滝を通るしかない、足場に慎重にならなければならないが
それ以外のデメリットは少ないので迷わずゼイレキレの滝に進路を選んだ。
だが・・・「確実に何者も居ない」という保証はない、今回は野生の黒チョコボ・赤チョコボに出くわしてしまったのである。

「くっ・・・!! 迂闊に動けばチョコボの鋭い爪に抉られてしまう!!
 しかも足場の悪いこの岩場、足を取られないようにせねば・・・」
「アイテムも底を尽きかけている今では、私の剛剣も貴女の聖剣技もやたらむやみに連発できない・・・
 ここは私達が囮になってムスタディオ達の狙撃組・マラーク達の魔術師組に期待するしかないわ」
「ああ、チョコボが疲弊したところを確実に仕留める!!」
「前に出れないということがこんなにももどかしいなんてね・・・躓いたら崖に真っ逆さまなんてゴメンだわ」

アグリアス・メリアドール前衛組は慣れない足場に加え、野生のチョコボの力強さに苦戦を強いられていた。
赤チョコボのパワーと巨体は人間とは比較にならない、足場の不安定さもありいつもの様に戦うことが出来ない。
黒チョコボの飛行能力は狭い足場を物ともしない、狭い足場しかない前衛組達には脅威である。
618自己犠牲と喪失感:2006/01/18(水) 04:16:39 ID:RrL592j/0
「くそっ!! デカい割にチョコマカと飛びやがるぜ!! しかもこちらが狙撃しようとすれば巧い具合に岩陰に隠れやがるぜっ!!」
「落ち着け、ムスタディオ。 黒チョコボは魔術師組に任せるんだ、オレ達は少し近づいて岩陰に隠れながら赤チョコボを仕留めるぞ」
「だが黒チョコボを魔術師組に任せるのはいいがアイツら危ないぜ、軽装備なんだぜ」
「黒チョコボは様子を見つつ威嚇射撃をするんだ、ムスタディオは前衛組を助けるんだ」
「ラッドは魔術師組を援護だな、わかったぜ!! だけど無駄打ちは控えないとな」

ムスタディオは前衛組の動きを見つつ着実に銃で赤チョコボを狙撃する。
ラッドは黒チョコボが魔術師組を襲う瞬間、動きが単調になるのを見逃さずに弓を射る。
二人は飛行する相手を攻撃できる分、まだ少し余裕があるようだ。

「ラッドが援護に来てくれたのか!? これで少しは詠唱に集中出来そうだな」
「ええ、兄さん。 ここは確実に仕留めないとダメね」
「そうだな、みんなも後がないはずだ。 集中して確実に・・・」

マラークとラファが詠唱を始める、黒チョコボの周囲は急激に気温が下がり頭上には暗雲が集まり始める。
二人は精神を集中し囁く様に詠唱を始める。

「天空を満たす光、一条に集いて 神の裁きとなれ!!」
「無念の響き、嘆きの風を凍らせて 忘却の真実を語れ・・・」
「サンダガッ!!!」「ブリザガッ!!!」

黒チョコボは巨大且つ鋭利な氷柱に貫かれ、そして追い討ちをかけるように爆音とともに轟く雷に撃たれる。
黒チョコボは絶命しながら崖の下へと落ちていく。

「ラファとマラークは巧く仕留めてくれたみたいですね」
「あの兄妹だもの、ベストパトーナーだと思うわ」
619自己犠牲と喪失感:2006/01/18(水) 04:18:42 ID:RrL592j/0
救護組のラムザとレーゼは敵の攻撃を隠れながらやりすごしていた。
戦いも終わりに近くなり皆の疲労もピークに差し掛かる頃になる、本格的に救護活動を始めようとしていたところである。

「魔術師組・前衛組・狙撃組の順に救護活動を行いましょう」
「そうね、狙撃組は見ている限りそこまで攻撃を受けた気配はなさそうだわ」
「善は急げという言葉もありますし、足場に注意しつつ急いでいきましょう」
「黒魔法と違って感覚が掴めなかったけど、こんな時の為に白魔法を勉強しておいて良かったわ」

ラムザとレーゼは魔術師組のガルテナーハ兄妹に駆け寄った。
軽傷は負っていたものの特に行動に支障は無さそうだった。
確認の言葉を軽く交わして、前衛組のところに走っていった。
前衛組の居る場所に辿り着いた頃には赤チョコボも既に倒した後であった。
620自己犠牲と喪失感:2006/01/18(水) 04:19:38 ID:RrL592j/0
「今回は数こそ少なかったが、地形にしてやられたということか」
「野生の動物の恐ろしさをまた一つ知ったわね、地形をモノともしていなかった」
「とりあえずみんなが無事でよかったです、軽傷者が数名ですし」
「そうね、軽傷者の治療をして此処を早く抜けた方が私は良いと思うわよ」
「うむ、その意見は私も同意する、レーゼ殿」
「そうね、大群に押し寄せられたら一溜まりもないわ」
「そうと決まれば控え隊の居る馬車に戻りましょう」
「おいおい、オレ達を忘れないでくれよ〜」
「そうだぜ、隊長殿」
「ああ、ごめん。 ムスタディオとラッドも無事で良かったよ」

皆で今後の予定を相談しているその時・・・アグリアスの後ろに倒れていた赤チョコボが微かに動いた。
アグリアスと周りの仲間はどうやら気づかない、アグリアスの前に立っていたラムザだけがその動きを見ていた。
赤チョコボは立ち上がり、チョコボが最も危険視されている攻撃「チョコメテオ」を繰り出す。
ラムザはとっさにアグリアスを安全な方向へと全力で突き飛ばす。
ラムザの体にチョコメテオが降り注ぐ、ラムザはチョコメテオを瞼を瞑りながら覚悟をした。

「ラッ・・・!?」
「ラムザッ!?」
「ラムザァァァァァッ!!!!」
621チョコボヘッド:2006/01/18(水) 04:21:55 ID:RrL592j/0
とりあえず今回はこの辺りまでを書けたので〜

そして誤字発見
「あの兄妹だもの、ベストパトーナーだと思うわ」

この部分を

「あの兄妹だもの、ベストパートナーだと思うわ」

に脳内変換おねがいしますorz
622名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/18(水) 13:20:38 ID:vdG5jsOj0
どうやって八人出撃しているのかが気になる
623名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/18(水) 14:46:50 ID:5aDtazye0
>>610
その絵のアニメーションログ見て感動した
624名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/18(水) 20:21:14 ID:4dJSeJK50
ttp://www.geocities.jp/nekokaniti/agrias.png
久々に「アグリアス」イメージでググッて発見。
サイト自体はすでに死んでるようだ。

アグたんの指先が何を表してるのか非常に気になる。
625名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/18(水) 22:13:54 ID:e5Pkuzrb0
>>624
ラムザにクンニの指示をしている


・・・・・・わきゃないか。
626名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/19(木) 03:22:35 ID:9GOB/etn0
指の輪っかに指スコスコといういわゆる男女の営みサインを恥ずかしそうにやっている図と見た。

まだ生娘時代のアグたんが一人Hをし終わった際に、
(私もいずれは殿方と…)と未知の世界に対する畏れと憧れと恥じらいを…
627名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/19(木) 20:06:51 ID:G9LzJ79A0
ズボン越しでいいからアグたんの股間に顔うずめてクンカクンカしたい
628名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/19(木) 23:36:00 ID:bBUHdGQ80
                ,,、,、、-‐-、.,
               ,、-'゛ '゛   `  ゛'‐、,
              / ,r .i   、  、ヽ, ヽ
.             / ,' /'l; l、ヽ.  \ ヽ ',  ゛、
.            ,' :l;. / l:.l、\、.  \ '、;  l
             ,' .:l:./  '、'、. ヽ、\ ヽ、; :l l,
            ,' .:.:l:l'‐--‐'ヽ、 `゛'‐、,ヽ ゛、l .l
            l  ..:リ、,--ゥ、 \ ,ィ''''‐ァ、゛、:. /
.           l  .l ヽー'    .`‐-゛ l :.:lノ
            l.: :.l.'、 ///  l;  /// ノ, .:lノ、
            l  l. ヽ、   ( ヽ   ,イ:.:.l :.l/)
            l  .:l.  ゛i 、.,   / .l.:.:.:l .:lィ゛
            l  .:l   '、,、l゛'0''゛-‐-l:.:..:l  l 〉
.            l  l    l'"゛lll::::::::::::::゛);l. l/
            l  l   ノ::::::lll:::::::::::::::(:.l  l
.           l   l,、‐'゛':::::::lll:::::::::::::::;;;;`l:.  l,,
          ,、-i   lヽ:::::::::::::l l l:::::::::::::::::::ノl  l:::゛"'‐-、,
       ,、-'゛:::::l   l、ヽ::::::/人ヽ:::::::::::::::lノ  l:::::::::::::::::::゛'l


き、気持ち良くしないと北斗骨砕打だからなッ!!
629名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/19(木) 23:37:36 ID:iCHOGI6A0
>>624
これ野外のようだが背景何処なんだろな?
630名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/20(金) 00:11:42 ID:iS09aKdX0
布団をファサっと敷いて、「ラムザ一緒に寝るぞ」パンパン。

みたいなAAキボン
631名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/20(金) 01:30:21 ID:UgVbc9QE0
>>629
あえて既存のマップから推測するなら、
巨大な石柱(倒れてるものもある)あたりからネルベスカ神殿とかだろうか。
あそこなら人ッ気も無いだろうし、朝っぱらから建物の側で半裸になってても大丈夫かと。

シチュエーションとしては、七号が出てきた神殿奥で
ラムザと二人して大人の階段を上った次の日の早朝。
632名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/20(金) 02:03:42 ID:ta/dL91J0
朝っぱらから野外プレイか。お盛んなことで……
633名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/20(金) 06:20:26 ID:BzdfZN0T0
ここってエロおk?
描いてみようと思うのだが。
634名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/20(金) 06:46:09 ID:UgVbc9QE0
「描く」と言うからには絵のほうなんだろうが、
>>1から行けるお絵描き掲示板や
専用アップローダーに投稿して「描いたよ」と告知すればいんでないの。
URLまでここに貼るかどうかはその人の判断次第、てところか。

あと専用アップローダーは>>1からだと分かりづらいんで
ttp://fftonly.s3.x-beat.com/up/fft.cgi
635名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/20(金) 09:39:21 ID:KuIsyWWc0
ちなみに文章の場合はここかな↓
FF総合エロパロスレ2
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1129822592/
636633:2006/01/20(金) 16:19:12 ID:BzdfZN0T0
>>634−635
案内どもです。
637名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/20(金) 23:33:39 ID:iS09aKdX0
本を真剣に読んでるラムザの横顔を見てドキッとしてしまうアグリアスさん萌え
638ふみんしょ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:34:20 ID:faWkDXcn0
ドリエル効かないんで一本投下します。

でも、アグさんちょい脇役です。
639麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:35:41 ID:faWkDXcn0

 五十年戦争の終結以来、畏国のあらゆる場所を貧しさが覆い尽くし、潤いを求めて大小様々な
徒党が溢れ返るようになったが、その内情は実に様々だ。
 利用するだけ利用され、終戦と共に切り捨てられた敗残兵たちの義賊もあれば、田畑を捨てた
元農夫の連中もいるし、数組の世帯が集って結成された、キャラバンのような山賊たちもいる。
もちろん貧困に窮したのは平民だけではない。没落貴族が野盗に身を窶していることもあった。
とにかく身分や人柄を問わず、道を失ったものが寄り添い、集団を形成しているのだ。

 しかし、異端者ラムザの小隊ほど変わった集団はないだろう。
 なにしろ、そもそもあの名門ベオルブの三男が、こともあろうに異端者である。それだけでも
耳を疑うような事態だというのに、その仲間がまたさらに異色なのだ。
 元南天騎士団団長で、公には既に死人とされているオルランドゥ伯を筆頭に、王立近衛騎士や
神殿騎士、そして傭兵たち、あげくは古代の工作機械に、異世界人、ビブロスと、畏国のどこを
探したってこんな妙な取り合わせはいやしない。
 それというのも、彼らの置かれている状況が多分に絡んでいた。

 そもそも彼らには目的があった。
 日々を食い繋ぐためだけに生きているものとは違う、特別な目的が。
 だが、誰もその目的を知らない。畏国の民を苦しめている本当の存在を、誰も知らないのだ。
そして誰も知らないからこそ、ラムザは戦い続けていた。ルカヴィという名の悪魔と。
 しかし、異端者というレッテルを張られたラムザには、敵は多くとも仲間はめっきり少ない。
金や野心などではなく、真意から志を共にしてくれる者となれば、ほとんど無縁だ。しかし敵は
強大であり、彼らには一人でも多くの戦力が必要だった。
 それゆえ、ラムザはたとえ無謀だとわかっていても、他者の理解を求めた。ラムザは、自分の
首を狙っている連中にすら、出来れば仲間になってほしいと考えていたくらいだった。ラムザは
呆れるくらい辛抱強く、そして優しい人間だったのだ。
 結果、わずかな少数の人間だけがラムザの真意を理解し、彼の信念に志を共にしてくれた。

640麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:36:29 ID:faWkDXcn0

 そんなわけだから、必然的にラムザの隊には共通項の少ない人種が集う。
 だが、ラムザたちはそんなことを少しも気にかけなかった。多少素性が知れなかろうが、多少
人柄が疑われようが、ラムザたちは彼らを喜んで受け入れた。仲間は貴重なのだ。
 もちろん多少身体が鉄で出来ていようが、多少別世界の人間だろうが、多少角があって尻尾が
生えて身体が毛むくじゃらだろうが、まあ、おおよそにおいてラムザたちは彼らを受け入れた。

 しかし、ほんの一度だけ、少しばかり例外的な出来事があった。


641麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:37:28 ID:faWkDXcn0

 *

 ゼルテニアの北西に位置するネルベスカ神殿。
 孤島に佇むこの神殿は、先の戦争でゲリラの拠点として使われたために、今では見る影もない
荒廃ぶりだが、かつては神聖なる婚礼の場として使われ、多くの恋人見習いたちを祝福してきた
そうだ。
 そうして今、人の気配の絶えた神殿で、一組の恋人が睦まじい抱擁を交わしていた。
 その傍らには、まるで仲人のように立ちつくす青年の姿がある。他でもない、ラムザだ。
 たっぷりの抱擁の後に、抱き合っていた男、ベイオウーフはラムザに向き直った。
「ラムザ、改めて紹介するよ。彼女が、僕のレーゼだ」
「はぁ……」
 気の抜けた声を出すラムザは、空いた口が塞がらない。まだ目の前の光景に、頭が追いついて
いないようだった。
 それもそのはず、なにしろ目の前の女性は、ほんの数分前まで醜い竜だったのだ。
「レーゼ=デューラーと申します。ラムザさん、本当に、なんてお礼を申し上げていいか…」
「い、いえ……僕は、ほんのお手伝いをしただけで」
 目を潤ませ、ラムザの手を取って、心から礼を述べるレーゼ。ラムザは思わずどきりとする。
レーゼは、元が竜だったことを差し引いても、文句なしに百人並み以上の美人だった。

 まったく驚きの連続だった。しばらく前に仲間になったベイオウーフ、そして彼が探していた
というホーリードラゴン。ところが、ネルベスカへ向かう船の上で、ベイオウーフは突然、実は
この竜は自分の恋人で、呪いで姿を変えられているのだと打ち明けたのだ。当然、目を丸くする
ラムザに、聖石さえあれば彼女は元に戻れるとベイオウーフは告げた。ついでに、レーゼは綺麗
なんだぜ、とも付け加えた。
 そうして半信半疑で訪れた神殿。警備の工作機械を倒して得た聖石を持って、竜は神殿の中へ
足を踏み入れた。やがて、光と共に出て来たのは……。

642麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:38:35 ID:faWkDXcn0

 で、今に至るわけだ。
 どうだ、俺の言った通りだったろう、と言わんばかりに自慢げなベイオウーフ。ラムザは肩を
すくめながら苦笑してみせる。確かに彼女は綺麗だった。
「おめでとうございます、ベイオウーフさん」
「君のおかげだよ、ラムザ。君には本当に世話になった。感謝している」
「僕の方こそ、お二人の力になれて本当に良かったです」
 ベイオウーフは力強い握手をよこした。
「君は恩人だ、ラムザ。今度はこちらが力になる番だ。レーゼ共々、今後もよろしく頼むよ」
「こちらこそ喜んで」
 ラムザも強く手を握り返す。
 また一人、素晴らしい仲間が出来た喜びを噛み締めながら。
「そろそろ行きましょう、みんな待ちくたびれているでしょうから」
「そうだな。さあ、行くよレーゼ」
「ええ」
 そうして、丘の上のネルベスカを後にし、彼らは草原の坂道を下りはじめた。ふもとの波止場
では、仲間が首を長くして待っていることだろう。
 道々、ラムザはこっそり後ろを窺ってみた。寄り添う二人はなにやら夢中で喋りあっていて、
ラムザのことなどすっかり忘れてしまっているようだった。
 ラムザはすぐに目を背け、満面の笑みを浮かべる。ベイオウーフもレーゼも彼には年長の相手
だったが、ラムザの胸はとても微笑ましい気分で溢れていた。
 誰かの幸せを手助けできたことの実感。こんなとき、ラムザの心は至福に包まれる。
 浮かれ気味の気分のなか、坂を下るラムザの足は、心なしか早まってゆくのだった。

 このときは、もちろんラムザの顔にはまだ不安の色などなかった。


643麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:39:11 ID:faWkDXcn0

 **

 ゼルテニアへ向かう船の上、ラムザはレーゼを仲間に引き会わせた。

「初めまして……ではありませんが、改めまして、レーゼ=デューラーと申します。
 こうしてみなさまと、うなり声以外の言葉でお話しできるのは誠に嬉しい限りですわ。
 なにぶん未熟者の次第ですので、いろいろとご迷惑をおかけすることとは存じますが、何卒、
よろしくお願い申し上げます」
 緊張しているのか、多少どもり気味な声でレーゼが話し終えると、途端にムスタディオから大
げさな賛辞が飛び、みな一斉に笑った。レーゼも顔を赤らめながら、嬉しそうな顔をしている。
ラムザはほっとして、隣のベイオウーフと目を合わせた。ベイオウーフも調子の良いウィンクを
返してくる。流石に仲間も少し驚いたようだったが、見たところ、問題はなさそうだ。
 なにしろ美人なのである。男たちは言うまでもなくそろって大歓迎。女たちも、彼女の嫌味の
ない穏和さに好意を持ってくれたようだった。
 どうやらレーゼさん、うまくやっていけそうだな。仲間の顔を見渡しながらラムザは満足げに
思った。

 ふとラムザの目が止まった。
 上機嫌な人混みのなかに約二名ほど。
 向こうのレーゼに冷たい眼差しを送っている仲間を見つけてしまったのだ。
 その顔ぶれに、ラムザはいいしれぬ嫌な予感がした。


「ラムザ」
「ちょっと話があるんだけど」
 案の定、部屋に戻ろうとしたところを呼び止められ、ラムザはぎくりと振り返る。
 彼を呼び止めたのはもちろん先程の二人、アグリアスとメリアドール。
 隊の中でもキツい二人柱が、揃ってキツい視線を向けていた。
 ラムザは本能的にその場から逃げ出したくなった。
644麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:39:54 ID:faWkDXcn0



 夕刻ネルベスカを発った船は、今は黒い、空との区別がつかなくなった海の上を進んでいた。
 航海は順調だ。この闇が晴れる頃には、船はゼルテニアの港に辿り着いていることだろう。
 乗客は船室で眠りにつき、甲板にはわずかな船員だけが散らばり、欠伸をしていた。
 そんな人気のない甲板の船尾、人目を避けるように、数人の人影が集まっていた。
 彼らは緊迫した様子で、何か話しあっているようだ。


「それで? どういうことなんだいラムザ」
 開口一番ベイオウーフが尋ねる。 
 説明もなしに呼ばれた彼にしてみれば、当然の台詞だ。
「それは……」
「貴公の連れて来た女性のことだ」
 ラムザを遮って、アグリアスがきっぱり言い放つ。
 ベイオウーフはちょっと目を丸くした。
「レーゼがどうかしたのか?」
「そうだ」
 そうだ、と言われてもわからない。ベイオウーフは怪訝な顔をしている。
 ラムザはため息をつきながら、言葉を添えた。
「お二人は、レーゼさんの加入に反対なんだそうです」
「なに?」
 ベイオウーフはまたも目を丸くし、
「珍しいな、君らが同じ意見とはね」
 と、おどけた声を出してみせたが、二人の態度を見てすぐにそれを引っ込める。
 アグリアスたちの顔は、本気だった。
「理由を聞かせてもらえないか」
 彼はいつもの穏やかな顔をつくり、言った。
 彼女たちは次のように述べた。
645麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:40:48 ID:faWkDXcn0
「理由というのなら、そもそも彼女を入隊させるべき理由が見当たらない。なるほど、竜だった
ときの彼女は、確かに頼もしい助力となってくれた。だが、今のあのあえかな女性が一体なんの
力になるというのだ」
「かといって彼女に雑務が出来るとも思えないわ。なんでも幼少の折りから、厳正な教会の中で
聖女として育てられて来たんですって? そんな人に、力仕事だの、炊事だの、身体を使う仕事
なんてできるのかしら」
 否定すべき点が見当たらないのか、ベイオウーフは無表情で口を閉ざしている。
 二人はさらに言う。
「とどのつまり、彼女を加入させる理由は、貴公の恋人であるからという一点に過ぎない」
「それでは困るのよ。街で拾って来た女を、俺の恋人だからで加入させられるのと変わらない」
「メリアドールさん!」
 耐えかねてラムザは声を上げた。
 あんまりだ。何てひどいことを言う。この人たちが、どれだけ辛い道のりを歩んで来たのか、
彼女たちはなんとも思わないのか。
 だが、ベイオウーフは依然として落ち着きはらった顔で、ラムザを制した。
「レーゼが役に立たないというのなら、それは認めよう」
 ベイオウーフはゆっくりと続ける。
「それならば、彼女の分も僕が働いて補う。それで、納得してもらえないか?」
 挑発や反感のない口調だった。言葉の一つ一つに彼の誠意がこもっており、決してそれが偽り
でないことがひしと伝わってくる。
 だが、二人はやはり冷淡にこう言う。
「他への示しがつかないと言っているのだ」
 ベイオウーフは、哀しそうに顔を歪めた。

「彼女が去るときは、僕が去るときだ」


646麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:41:59 ID:faWkDXcn0


 ラムザは船尾に寄りかかり、ひとりぼんやりと黒い海を眺めていた。
 船の進んだ後に、わずかな白い泡が立ち、水に色をつけている。
 吸い込まれそうな水面に心を移しながら、ラムザは先程のやり取りを思い返した。


「彼女が去るときは、僕が去るときだ」
 ベイオウーフがそう告げると、お互いに一歩も退く意志がないことが決り、彼らの間に険悪な
空気がたちこめだした。
 ラムザだけが、どうやって仲裁したものかと、懸命に考えを巡らせていた。
 だが、やがてベイオウーフは呆気なく緊張を解き、軽く微笑むとラムザの方へ向き直った。
「いずれにしても、最終的な判断をするのは君だ、ラムザ」
「……」
「それではおやすみ、諸君」
 そう言って、彼はまだ穏やかな様子で去っていった。
 その背中を見送り終わらないうちに、嘲るような溜息が一つ溢れる。
「話は終わりね」
「メリアドールさん」
「賢明な処置を期待してるわ、隊長さん」
 そして彼女もまた自分の船室へと去っていった。
 後にはラムザと、こちらはまだ険悪な空気を纏ったアグリアスが残る。ラムザは去り行くメリ
アドールの背中へと同じように、アグリアスに訝しげな目を向けた。
647麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:42:44 ID:faWkDXcn0
 ラムザにはわからなかった。メリアドールも、アグリアスも、彼が知る限り相手が誰だろうと
あんな無下に人を傷つけるような物言いはしない人間のはずだった。それなのに、今回のことは
どう考えても単にレーゼか、またはベイオウーフが気に入らないだけとしか思えないのだ。それ
では、いったい何が気に入らないのだろうか?
 どうして、と問いかけるラムザよりも先に、アグリアスは言った。
「ラムザ、お前は本当にレーゼを加えるべきだと思うか?」
 彼女の声は、先程のように淡々としたものではなかった。いつもと変わらない口調、むしろ、
心なしかそこには親しみすらこもっていて、ラムザは些か困惑したが、すぐにきっぱりと、
「もちろんです」
 と、答えた。
 ただ、ラムザはすぐにそれが彼女の期待した言葉ではなかったことを悟った。アグリアスは、
淋しそうに背を向けると、ぽつりと言い残し、やはりその場を去っていったからだ。

「お前は男だな」


 彼女の言葉の真意がわからぬまま、海を見るラムザの胸に不安が泡立ちはじめていた。



648麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:43:39 ID:faWkDXcn0

 ***

 かくて、主に二人の人間を除いた大部分の歓迎を受けて、レーゼはラムザ隊の一員となった。
 翌日からさっそく、彼女は積極的に仕事にとりかかっていった。
 ところが、
「あ、あの、これはどちらに運んだら……」
「あぁ、いいっていいって、俺がやりますよ!」
「え……ですが、あっ、このチョコボは……」
「危ない! レーゼさん、チョコボは嘴を触ると噛み付かれますよ。ここは僕に任せて!」
「す、すみません………あの…」
「レーゼさんは何もしなくていいですから!!」
「はぁ………」
 と言った調子。何をやろうとしても、上機嫌な男たちに全部やめさせられてしまうのだ。
 折角の厚意を無理に断るわけにも行かない。レーゼは些か困った様子を見せながらも、
「みなさん、どうもありがとうございます」
 と言ってにっこりと微笑む。男たちはその笑顔に、だらしなく顔をゆるめるのだった。
 大人しく、か細くて、どこか危なっかしい美女。こういうのの前では、ちょっといいところを
見せてやりたくなるではないか。それが男心というものである。
 しかし、実はこれが問題だった。
「ムスタディオ! こっちの荷物も手伝いなさいよ!」
「あーあー、聞こえない」
「ちょっと、マラーク! どこいくの!?」
「ん、うむ、その件だが、つまりだ、俺は急用を思い出してな」
「あんたたちっ!!」
 レーゼを手伝う男たちにも、もちろん手持ちの仕事がある。男手の足りなくなった方面では、
必然的にこのような事態が発生していた。
 女性陣としては、面白くないことこの上ない。あからさまもあからさまな贔屓である。馬鹿な
男連中にはもちろんだが、そのうち腹立ちはレーゼの方にまで向かい始める。新入りのくせに、
少し生意気なんじゃないかと。実際レーゼの方にはなんの他意もないのだが、この場合そっちの
方がはるかに始末に悪い。
649麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:44:30 ID:faWkDXcn0

 そうして一度矛先が向かうと、他の点まで気になりだした。
 すなわち、会った初めこそ抑えてはいたが、同性としての、彼女の美しさへの嫉妬。
 これにおいては、彼女たちとレーゼの間には歴然とした差があった。レーゼは竜族の血を引く
娘として生まれ、教団の厳しい教育のもと淑女として育てられてきた。年月と共に生まれ持った
美しさにいっそう磨きをかけ続け、竜になっていた年月を差し引けば、今日まで彼女はその美麗
さを全く失う機会もなく生きてきたのだ。そうして出来上がった、今の彼女の柔和な物腰には、
砂粒ほどの粗も見えない。
 対して隊の女たちにも、例えばアグリアスやメリアドール、それにラムザのアカデミー時代の
同窓など、貴族の出身の者も少なくなかったが、彼女たちは長い放浪生活のうちに、どうしても
その仕草に、民衆特有の泥臭さを身につけてしまっている。かなうはずがない。
 ずるい。
 そんな理不尽な感情が、彼女たちの顔にちらほらと表れはじめた。

 ラムザはこの状況に頭を抱えた。アグリアスたちは、これを想定していたのだろうか。
 とにかく解決しなければと、彼女の恋人であるベイオウーフに相談を持ちかけてみたのだが、
「はっは、流石はレーゼだ」
「………」
 状況をわかっているのかいないのか、ベイオウーフは暢気なことを言うばかりで真面目にとり
あわない。
 ベイオウーフがそんな様子だから、男たちも、安心してレーゼにちょっかいをかける。いわば
公認の恋人同士ゆえに、気楽に手を出せる状況。女たちはますます顔をしかめる。
 ラムザもいっそう頭を抱えた。こんなことが続いたら、終いには本当に彼女を追い出す羽目に
なるかもしれない。どうしたものだろうか。
 しかし、彼女たちの怒りが、ラムザが心配しているような発展を遂げることはなかった。
650麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:45:36 ID:faWkDXcn0


 いつものように仕事を探していたレーゼ。
 そこに、やってきたアグリアスが声をかける。
「レーゼ殿、火を熾しておいてくれないか。薪はここにある」
「あ、アグリアスさん。火なら俺が」
 当然のように、そこへすぐさま沸いて出るムスタディオ。だが、 
「貴様の名前はレーゼか。違うならすっこんでいろ」
「………」
 次にやってきたのは、メリアドール。
「あら、レーゼさん。ちょうどよかったわ。ボコに餌を上げて、身体を洗ってあげて下さる?」
「……チョコボの世話は、俺の担当だが」
「ほーらクラウド、セフィロスセフィロス」
「う……あぁ、お、俺は人形じゃない、俺は……」
「それじゃレーゼさん、よろしくね」

 流石、というべきか。
 こんな具合に、アグリアスとメリアドールの二名だけは、男連中の介入を許さないド迫力で、
レーゼに次々と仕事をもってきた。
 これにより、一転してレーゼに忙しい日々が訪れる。
 なにしろこの二人が言いつける仕事の量、尋常ではない。おまけにレーゼはひどい不器用で、
やたらと失敗続き。男たちはもちろん、あれだけ怒っていた女たちすら、やりすぎではないかと
心配になったが、それを口に出す勇者は残念ながら畏国にはいなかった。
 しかし、どれだけ大変な仕事を言いつけられても、どれだけ失敗して恥をかいても、レーゼは
嫌な顔一つせず、それどころかはきはきと働くのだ。
 そんな健気な様子を見て、女たちの腹の虫は次第に治まっていった。ラムザも息をつく。
 しかし、例によって例の二名だけは、どういうわけかいつまでたっても不満そうな顔だった。

 ラムザはまだなにかあるのかと、またも小さな不安を抱えていた。

651麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:47:26 ID:faWkDXcn0

 ****

「レーゼ殿」
 進行中の馬車のなか、アグリアスとレーゼは隊員の具足を手入れしていた。
 声をかけると、微笑と共に向かいの彼女は顔を上げる。
「なんでしょうか、アグリアスさん?」
「貴女は確か、ライオネル聖院教会に仕えていたと聞いたが」
「ええ、その通りですわ」
 上品に頷いてみせるレーゼ。顔はアグリアスの方に向けながら、その手は、兜の金具を丁寧に
磨き上げ続けている。
 飲み込みの早い女性だ。アグリアスは素直に感心した。手作業など生まれてからほとんどした
こともないだろうに、複雑な武具の構造をこうも短期間で覚えるとは……。
 それも、彼女の熱意の表れなのだろうな、と思いつつ、アグリアスは言葉を続ける。
「つかぬ事を聞くようですが、グレバドス教の教えでは、聖なる教会に仕える女性は、必ず純潔
でなくてはならないはず。聖女として育てられた貴女に、なぜ婚約者などがいるのだ」
 そんなことを尋ねられたのは初めてなのかだろうか、レーゼは嬉しそうに首を振った。
「あなたのおっしゃる通りですわ。でも、私の場合、少し事情が違いますの」
「よければ、聞かせて頂きたい」
「もちろん喜んで」
 そう言うと、彼女は手を止めて、ゆったりと語りはじめた。

652麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:48:04 ID:faWkDXcn0


「そうですね………まず、私のいた聖印教会では、神のご加護を受けた女性として、代々竜族の
末裔を奉っていました」
 竜族と言えば、先祖に竜を持つと言われる一族のことだ。
 アグリアスも名前くらいは聞いたことがある。レーゼがそれだったとは、少しばかり意外だ。
「竜族の男性は?」
「いいえ、竜族には女児しか生まれません。そうして生まれた子供は、聖女として立派な教育を
受けて育てられます。本当に立派な教育でした。二度と思い出したくないぐらいですわ」
「………」
「そして、二十歳を迎えた聖女には、教会側から婚約者が選ばれます。やがて、懐妊した聖女は
竜院と呼ばれる教会付きのお堂に移されて、そこで子供を出産するまでの期間を過ごすのです。
そして、産まれた子供は次なる聖女となり、先代の女性は教会を去ります」
「え?」
 アグリアスは思わず声を上げた。
「子供はどうなるのです?」
「純血を失った女性に、聖女を育てる権利はありません。子供は教会の手に引き取られます」
 淡々と話すレーゼ。アグリアスは少しばかり唖然とした。
 自分の意志で結婚相手を選べないというのは貴族も同じだ。自身も貴族であるアグリアスに、
そのことはさして気にはならない。しかし、彼女には子供という救いが用意されている。
 だが、レーゼはその我が子を育てることすら許されないと言う。
 ということは、当然彼女は母親の顔も知らない。母親も我が子も、愛すべき人間との繋がりを
知ることのないまま、彼女は偽りの夫とともに人生を終えるのだ。なんと残酷な宿命だろうか。
「でも」
 驚いているアグリアスに、レーゼは自嘲気味に笑いかける。
「私はそれが我慢できませんでした」
 そうして、それから彼女は、見たこともないような和やかな表情をつくった。
653麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:48:47 ID:faWkDXcn0

「毎日、教会の窓から眺めてました。通りを歩く幸せそうな家族たち。子供が楽しそうに歩いて
いて、その横でしっかりと手を握りあう、優しげな両親の姿。羨ましかった。憧れていました。
私は何を捨ててでもあれが欲しかった。子供の頃から、いつも夢見ていたんです」
「だから、私は教会の定めた婚約者ではなく、自分が愛したベイオウーフを選びました。教会の
戒律も、かつて母たちが守り続けてきた聖女の宿命も、すべて捨ててしまっても構わなかった。
彼と二人で、あの通りを過っていった人々のように、ささやかな家族をつくろうと…」
「けれど、それを知った教会は、私たちを許しませんでした。私の婚約者であったブレモンダと
いう司祭は怒り、ベイオウーフに呪いをかけようとしました。でも私が邪魔をしたため、呪いは
私の身にふりかかりました。死に至る呪いだったのですが、竜族の血が、私の命を守ってくれた
ようです。私は醜い竜に姿を変え、彼は異端者として騎士団長の地位を剥奪されました」
 空を仰ぐレーゼの瞳には、懐かしさと哀しさが同居している。
「こうして振り返ってみると、ひょっとしたら私のしたことは間違いだったのかもしれません。
だけど、いいんです。このまま死んでしまっても、悲しくなんかありません。だって、全て私が
選んだことなんですもの。後悔なんてするはずがありませんわ」
 レーゼはアグリアスに目を戻す。やはり優しく微笑んだままで。
「……でも、本当の順序はきっと逆。教会に訪れたベイオウーフに、私が、一目で心を奪われて
しまった。それが全部の始まりでした。彼への想いが、私にいろんなことを気付かせてくれた」
 そう言って、彼女は静かに終わりの言葉を結んだ。

654麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:49:48 ID:faWkDXcn0


 気付けば、アグリアスも手を止めて、レーゼの話に聞き入っていた。
 彼女は、目を見張る思いで話し終わったレーゼを見つめた。
 目の前の、弱々しい女性からは想像もできない生き様。
 それが正しいことだったのかどうか、アグリアスには決してわからない。
 きっと、誰にもそれを決めることは出来ないだろう。
 けれど、ひとつだけ。

「なぜ、夢を諦めてしまわれたのだ?」
 アグリアスは、抑えきれずそう尋ねた。
 それだけの思いで生きてきた貴女が、こんなところで死んでしまって満足なのかと。
 だが、レーゼは再び目を落とし、兜を磨く手を動かしながら、こともなげにこう言った。

「諦めていませんわ」

 アグリアスはなにか言おうとしたが、ちょうどそのとき馬車は目的地にたどり着き、レーゼは
するりと馬車を降りていってしまった。
 アグリアスはしばらくそのまま座り込んでいた。
 そうして、彼女は長い間、レーゼの磨き上げた具足をじっと眺めていた。

 やがて立ち上がった彼女の目には、何かを決意した輝きが灯っていた。


655麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:50:57 ID:faWkDXcn0

 *****

 夜。
 アグリアスは、野営の近くを歩いていた。
 冬の草原に、音を奏でるものは存在しない。静寂に包まれた夜の闇を、アグリアスはひとりの
人物を求めながら、歩き回る。ベイオウーフ、その人を探して。
 アグリアスには、どうしてもベイオウーフに言わなければならないことがあった。
 レーゼが竜から人に戻ったそのときから思い、しかし、黙っていたこと。
 自分が言うべきことではないと思っていた。それは彼が気付くべき事柄だと。
 だが、レーゼの話を聞いて、もはや彼女は黙っていられなかった。

 やがて見つけたベイオウーフは、半ばわかっていたことだがレーゼと一緒だった。
 小さな雑木林。そのなかの一つに、彼らは寄り添いながらもたれていた。
 耳を澄ますと、二人の話し声が遠く聞こえてくる。
「………」
 聞いている方が恥ずかしくなってくるような、甘い台詞を囁きあっている。
 さしものアグリアスも躊躇ったが、彼女はすぐに足を踏み出した。
 近づくにつれ、彼らの話し声はだんだんと大きくなる。
「レーゼ、もう隊には慣れたかい?」
「ええ。みなさんとっても良くして下さるわ」
「そうかい、それならいいんだ。どうも君がアグリアスやメリアドールと折り合いが悪いように
見えたものだから、少し心配していたんだ」
「そんなことないわ。彼女たち、私のことを一番心配して下さっているのよ。一日でも早く私が
ここに馴染めるようにって、たくさん仕事を教えてくれるの」
 アグリアスは足を止めた。
 レーゼは嬉しそうに続ける。
「あのお二人はね、多分、ここを去った方が私にとっては幸せだ。そう考えてくれているのよ」

656麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:52:00 ID:faWkDXcn0

 アグリアスはびっくりしてその場に立ち尽くした。
 まさに自分が告げようとしたことを、当のレーゼが口にしている。
 語りあう二人は、そんな彼女の存在にもちろん気付いていない。
 そして、ベイオウーフはふいに哀しそうな声を出した。
「ごめんよ、レーゼ。本当なら、僕は君に静かな暮らしをさせてあげるべきなのに……」
「言わないで、ベイオ」
 レーゼは優しく彼の口に指を当てる。
「私、何にも辛いことなんてないわ。今だって、夢を見てるような気分なのよ。こうしてまた、
あなたの腕に抱かれるているだけで、どんなに幸せなことか。彼が、ラムザさんがいなければ、
それだって叶わなかったはずなんですもの。彼にご恩返しするのは当たり前のことだわ」
「レーゼ…」
「それにね、今のあなた、とても立派よ。騎士団長だったあの頃よりも、ずっと素敵な顔をして
いるわ。きっと、あなたにとってラムザさんを助けることは、私たち二人の生活よりも、ずっと
大切なことなんだと思うの」
「そんなこと…」
「違うの、嬉しいのよ。私はそれが嬉しいの、あなたの目が輝いているのが。だから、私もそう
したいの。きっとラムザさんたちについていく。そのためなら私、どんなことだってするわ」
「レーゼ…」
「頑張りましょう、ね、ベイオウーフ。いつも私がそばで見ていてあげるから」
「……ありがとう」
「……でも、そのかわり、いつもこうして私のことを抱きしめていてね?」
「もちろんさ……、愛しいレーゼ」
 二人は唇を重ねる。
 とても自然なキスだった。二人が離れているときよりも、それはずっと自然な姿に見えた。
 やがて、目を開けたレーゼはうっとりとした様子で言った。
「……ねえ、あなたの話が聞きたいわ。私と離ればなれになった後、どうしていたの?」
「ああ、レーゼ。それはもう、一生かけても語り尽くせないくらい、長く苦しい年月だったよ。
君がいなければ、いつだって僕の心は……」

657麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:53:26 ID:faWkDXcn0


 ふいに肩を叩かれて、すっかり見入っていたアグリアスは大声を出しそうになった。
 振り返ると、神妙な面持ちのラムザがいた。
 覗き見は感心しませんね、とでも言いたげな顔。
 アグリアスは赤くなる。確かに、やっていることはそれと変わらない。
 ラムザが無言のまま林の外へと歩き出した。アグリアスもそれに習い、ベイオウーフたちから
離れていった。
 言い訳ではないが、彼女はラムザが来る前に、もうそこを去るつもりだったのだ。
 それ以上、二人の場所に他者が存在することは許されないと知っていたから。


「レーゼさん、竜だったころはほとんど記憶がなかったそうなんです」
 いくらか歩いてから、ラムザがぽつりと口を開いた。
「名前どころか、自分が人間だったことも忘れていて、意識自体もひどくおぼろげだったって」
「……そうなのか」
「すごいことだと思いませんか? 完全に自分をなくした状態でも、彼女はベイオウーフさんの
ことだけを想って、ただひたすら聖石を守っていたんです。何年もずっと長い間、ベイオウーフ
さんだけを待ち続けていたんです。レーゼさんにとって、ベイオウーフさんは本当に、大切な人
だったんでしょうね」
「……そうだな」
「レーゼさんは、強い人なんですよ」
 アグリアスはうなだれる。
 ラムザの言う通りだった。レーゼは強い人間だ。そして、たとえ戦う力を失くしたとしても、
きっと彼女の強さは変わらない。

658麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:55:15 ID:faWkDXcn0


 私はどうだ。
 もしも私が竜になったら、果たして私はオヴェリア様のために戦い続けられるだろうか。
 もしも……。

「ラムザ」
「なんです?」
「もし、お前が竜になったら………お前はどうするんだ?」
 ラムザはそれに眉をひそめたかと思うと、急にクスクスと笑いだした。
「アグリアスさん、メリアドールと同じことを聞くんですね」
「そ、そうか?」
「どうでしょうかねえ。なんだか寝てばっかりの怠け者な竜が出来そうですけど」
 適当にも本気とも区別のつかぬ口調でラムザは答える。
 アグリアスは、頭の上にちょこんとくせ毛の生えた竜が昼寝をしている様子を想像してみた。
あんまりすんなりとその絵が思い浮かんだので、思わず彼女は笑った。あながち、本当にそうな
りそうなところが彼らしい。
 ひとしきり笑って、彼女は夜空を仰いだ。
 見上げる彼女の口から、小さな呟きが漏れる。
「余計なことだったな……」

 レーゼのような女性にとっての幸せは、愛する男と二人で生きることだと思っていた。
 自分たちと共にいるよりも、彼女のためにはその方がずっと良いのだと思っていた。
 そしてベイオウーフやラムザがそれに気付かないというのなら、自分が追い出してやろうと、
アグリアスはそう思っていた。
 だが、実際にはレーゼもベイオウーフも、アグリアスなどよりずっと賢明だった。
 結局、彼らを理解していたのは、他ならぬ彼ら自身だけだったということだ。
 出過ぎた真似をしてしまったことを恥じいるアグリアス、すると、
659麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:56:02 ID:faWkDXcn0

「仕方ありませんよ、アグリアスさんは女なんですから」
 ラムザがそんなことを言った。
 どこかで聞いたような口ぶりに、アグリアスは眉をひそめる。
 なにか意図して言っているのか。それとも、単にこないだの雑ぜ返しのつもりなのだろうか。
「残念ながらな」
 いかにも不服そうにそう言ってやると、ラムザは大笑いした。アグリアスも笑った。
 笑いながら、彼女はレーゼの言葉を思い出していた。

「彼への想いが、私にいろんなことを気付かせてくれた」

 自分は変わったと思う。
 今のような考え方も、昔の自分ならできはしなかっただろう。
 そもそも、オヴェリア様を除く他人の存在など、私には無意味に等しかった。
 まして、その他人の世話を焼くなどと。
 やはり変わったのだなと思う。
 そして、私が変わったというのなら。
 それは多分、あの日ラムザに出会ったときからなんだろうな。

「でも僕は男で良かったなあ」
「知るか、馬鹿」


 アグリアスの、頑なだったレーゼへの思いが、静かに溶けていった。
 そのかわり、

(メリアドールも同じ……、か)

 そのときから、彼女のなかで、奇妙な対抗心が生まれかけていた。

660麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:56:47 ID:faWkDXcn0

 ******

 ところで、この一連の出来事にはもう少し続きがある。
 アグリアスとメリアドールの態度も柔化し、レーゼもすっかり仕事に慣れかけた頃であった。

「ぐあっ!」
「ベイオウーフ!」
 銃弾の飛ぶ音。
 敵の話術士を相手にしていたアグリアスは、背後から聞こえたうめき声に振り向き、倒れ込む
ベイオウーフの背中を見た。アグリアスの避けた銃弾が、不運にも彼を捉えたのだ。
「ベイオーーッッ!!!」
 馬車に控えていたレーゼから、悲痛な叫びが上がる。
 話術士を仕留めたアグリアスはすぐさま彼の元に駆け寄ったが、その間に巨大な三頭竜が立ち
はだかった。先程の話術士が飼い馴らしていたハイドラだ。主人を殺されたハイドラは、瞋恚の
炎を仇に向けていた。
 アグリアスは舌打ちする。いかに手練の彼女とはいえ、相手は手強い。仲間もそれぞれの敵を
相手にしているから、助力は期待できない。なにより、ベイオウーフの容態は一刻を争うのだ。
 彼女は決然と剣を振りかざし、ハイドラの漆黒の巨体めがけて突進した。

 だが、前に進んだはずの彼女の身体は、どういうわけか空高く飛び上がっていた。
 そうして高々と宙を舞ったアグリアスが、頭から着地するまで、およそ三回転半。
 恐らく竜騎士の高い跳躍にも引けを取らぬ、雄大な空の旅。
 しかして、下は草生えとはいえ、固いレナリアの土壌。
 旅路の果てに、彼女の意識はさらなる境地へ飛び立つことになるのだが、その間、彼女の目に
映った光景は、筆舌に尽くしがたい。

661麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:57:54 ID:faWkDXcn0

 鎧背の違和感と共に、空に浮かんだ最初の一回転。まずアグリアスは、眼下を怒竜の如く突き
進むレーゼの姿を見た。驚嘆と共に、自分が彼女の手で投げ飛ばされたことを知る。
 次なる二回転目、レーゼは一歩も怯むことなく直進し、吼え狂うハイドラの目前まで迫った。
三つの首が牙を剥き出し、レーゼの細い身体に襲いかかる。アグリアスは緊張と共に、とっさに
柄を握る手に力をこめた。
 おそらく記録的な三回転目。アグリアスは、ハイドラに剣を投げつけることも、受け身を取る
ことも忘れ去る。レーゼが、三つの首に片っ端から、とんでもない音のする平手打ちをぶちかま
していた。首がもげるのではないかと、アグリアスは場違いにも一瞬心配してしまった。
 そして、落下と同時に意識を失った最後の半回転。



 レーゼは、火を吹いた。




 ややあって、無事意識を取り戻したベイオウーフは首をかしげた。
 彼の胸には、安堵の涙を流しながらすがりつく愛しい恋人。
 そして、そんな自分たちを、なぜか引きつった顔で遠巻きに窺っている仲間たち。
 おまけに、あれだけ凶暴だったハイドラが、どういうわけか怯えきった様子でおすわりをして
いるのだ。
 
 しかし、もちろん彼の疑問に答える声は、仲間の誰からも上がらないのだった。
 

662麗しのレーゼ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/20(金) 23:59:02 ID:faWkDXcn0


 翌朝。
 レーゼはいつものように、優雅な足取りで隊の仲間と挨拶を交わす。
「おはようございます、ムスタディオさん」
「お、おはようございます! にっ……荷物、御持ちいたしましょうか!?」
「うふふ、大丈夫ですわ。これくらい持てますから」
「そ、そうでしょうねえ」
「……おはよう、レーゼ殿」
「おはようございます、アグリアスさん。あ、焚き火でしたら、私が」
「い、いや、結構」
「そうですか? 私、火をつけるのは得意なんですのよ」
「………」

 それまでとは違う理由で男たちは仕事を申し出て、
 それまでとは違う理由で女たちは彼女を避けた。
 変わらないのは、レーゼの美しい笑顔だけ。

 その理由を知ってか知らずか、ベイオウーフは愛おしげにこう言う。
「レーゼ、もうすっかり隊に慣れたようだね」
 そしてレーゼは魅力的な微笑みを返す。

「ええ、みなさんとっても良くして下さるわ」


 こうしてまた一人、ラムザの隊に頼もしい戦力が加わったのだった。




 終
663名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/21(土) 00:13:10 ID:68iee6sL0
レーゼがいつキレてにっこり笑いながら岩を握りつぶすかと思っていたら、そう落としましたか。
何か変な方向にイメージが固まっていたので今回のレーゼさんは新鮮でした。
GJです。
664名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/21(土) 01:05:46 ID:QoG2ThQK0
超乙です。
この時間軸上の続きでアグとメリアの物語も興味深くなりますな。

>>663
確かに固定女性キャラ最年長ということで、
アグリアスやラムザを余裕でからかえる大人の女性というノリが今まで多かったけど、
ゲーム中での僅かなイメージだけならいわゆる「淑やかな女性」だったからな。

今までの俺的イメージだと、襲いかかってきた山賊の両肩をがっしり捕まえて
「あら私をエスコートするには少々腕力が足りないのではなくて?」
ニッコリ、ボキボキ、ゴワー!みたいな。
665名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/21(土) 11:00:35 ID:+GU2e0H70
クラウドの扱いに妙に手馴れてるメリアワロスw
666ギルロゼ珍道中 ◆.cOjTjK0LY :2006/01/21(土) 14:24:43 ID:JVQOzpRH0
お久しぶりです。珍道中です
ちょっと離れてました。アグ萌魂は依然として健在ですが
新まとめページが出来てますね。ありがたいことです
一応そこにも報告しておきましたがご迷惑をかけた方に対する謝罪も込めて明言しておきます
俺の投稿した作品は
「或る少女の一日」「あなたがいれば」(part12 954〜972)
「APOCALYPSE NOW 」(part13 879〜889)
「ルザリア道中膝栗毛」「ルグリア道中膝栗毛」「剣とリボン」
の6本で、「見張りの夜に」と「桜花の約束」は俺じゃないです
トリップもこれ一つです。おそらく「剣とリボン」投稿の際に名前が不安定だったために誤解を生んだのでしょう
住人の皆さん、特に作者であるお二方と572さんにはご迷惑をお掛けしました
667名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/21(土) 17:49:22 ID:9bjMXP8Y0
ふみんしょ氏超乙です
相変わらず凄いなあ、なんだかFFTって実際こんなことあったんじゃないのか?
って思えてくる。おもしろいし。
668572:2006/01/21(土) 21:22:55 ID:IHFQKOoY0
>>650
>「貴様の名前はレーゼか。違うならすっこんでいろ」
アグリアス様にこんなんいわれたら、チビるw


訂正しておきました。
珍道中さん、ふみんしょさん、わざわざありがとうございます。
669名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/21(土) 23:59:09 ID:hWspQQoZ0
ふみんしょさん、乙です。レーゼ観が変わりましたよ。
何気にベイオウーフがスッゲー良い男だし。お似合いカップルですな。
670名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 00:54:31 ID:PptoStaQ0
まったくあんたは!
アグ以外のキャラに萌えさせるなと、何度言ったら!!(;´Д`)ハアハア


ていうか、ドリエルてw
671名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 02:47:49 ID:JIrLK4x80
GJ!(*´Д`)'`ァ'`ァ
うーん、この場合はドリエルの効力貧弱さに感謝して良いのだろうか?
672名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 02:53:29 ID:ispN3ARG0
レーゼお姉さんがアグたんに淑女の夜のお勤めをレクチャーするのはいつですか?

レーゼ「まずはボディーブローで愛しの殿方の動きを止めて…次は―」
アグ「もう少し初心者向けの技法をお願いしたいのですが…」
673チョコボヘッド:2006/01/22(日) 03:07:39 ID:jLTWegQz0
反応無しなので今回限りで投下は止めときます。
少し書いただけの身ですがありがとうございました。

やっぱり巧い人は違うなぁ、ふみんしょさんGJでした
674名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 03:32:21 ID:PptoStaQ0
>>673
反応ないというより、微妙なところで切れてるからコメントしにくいだけだと思うよ。
とにかく終わりまで乗せられてみては?少なくとも俺は続き待ってますよ。
675名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 04:44:29 ID:Bsj3vv5O0
>>673
俺は一介のSS作家ですが、レスが少なくてもめげちゃだめだと
思いますよ。レスが貰えるのはもちろん嬉しいですけど、書く楽しみも
それ以上に大きいと思いますから。
>>572氏のおかげでSS管理体制も整ったことですし、これからが
俺たち作り手の腕の見せ所じゃないですか。続編期待してますよ。
頑張ってください。(最後に説教くさくてごめんなさい)
676名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 16:38:22 ID:pRMJqTbd0
>>673

んじゃレスを
戦闘シーンを書くのは初めてなのかな?
キャラの台詞が長くて説明じみてるのが
読んでてちょっと不自然に感じた

集団スポーツを見ればわかると思うけど
試合中、選手は無駄口をたたかないし
指示を出すときは手短に要領よく話す
つまりはそういうことなんだと思う

チョコボヘッドさんのSSの場合
選手が必要以上に指示を出し合い
実況や解説までやってる。そんな感じ

説明は極力第三者視点で書いて
キャラのセリフはもっと人間臭さを出して
そのキャラの個性を出せれば
格段によくなると思う

あと、戦闘は少数のキャラに絞って
スポットライトを当てた方が
書く方も読む方も楽だと思うよ
677名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 18:51:39 ID:1pBzTi2I0

アグ「好きだラムザァーーーー!!お前が欲しいーーーー!!!」
678名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 20:35:00 ID:ZUVgDRbS0
アグアグーン
679名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 21:35:57 ID:BTb/CWa/0
アグさんは、両親健在なのか?兄弟姉妹はいるのか?
どんな家族構成で育ったんだろ?
680名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 21:38:42 ID:7fXlALEJ0
食い込み天使「私に従えばお前の望みをかなえよう……」
アグリアス「馬鹿にするな! 私がそんな誘惑に屈すると思うのか!?」
食い込み天使「ラムザと永遠にラヴラヴエチーでいることも可能なのだぞ?」
アグリアス「従います」
681名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 21:51:05 ID:Pb9BL5GO0
>>679
 お父さんは若死にしてて、1人娘ってイメージがあるんだけど、なんでかな。
 家族構成とかって、本編中には全然出て来ないよね?
682名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 22:04:51 ID:BTb/CWa/0
>>681
うん、ゲーム中ではそういうの俺も記憶に無いんだ。なんか手がかりあったかな?
家柄はしっかりしてるはずなんだが。
でも普通の貴族階級の娘さんなら騎士目指したりしないだろうし、その辺りの事情に何かヒントがあるのかな?
683名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 22:10:09 ID:ispN3ARG0
>>677
アグ「聖!」
ラム「光!」
アグ&ラム「ラ〜ヴラヴッ」
アグ「爆裂破ーッ!!」ラム「投石ーッ!!」
アグ(ええええええええ!!??)

吹き飛ぶ聖大天使。
そして大団円。
684名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 22:32:54 ID:qLMnMm+a0
風雲再起はボコかw
685名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 23:06:51 ID:iPxZ/k9z0
>>681
このスレに過去投下されたSSにそんな感じの話が多かったためでは
686名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 23:46:38 ID:i0CD3U140
>>683
せめてアルテマにしてやれよww

それか「叫ぶ」とか。
687名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/23(月) 00:43:54 ID:TOVVPIsu0
>>683
>そして大団円。

アグ「さあ、これが私達の門出、…でいいのか?」
ラム「はい♪」
ttp://edelweiss-box.hp.infoseek.co.jp/FFT/end.png

俺もラムザはモンクでいることが多かったけどな。
688名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/23(月) 00:49:17 ID:Z8BLqLIm0
何の絵か見ずとも分かってしまった私
689名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/23(月) 00:58:44 ID:A4TAjVag0
>>681
従者さんの「少女」って絵本じゃない?
690ふみんしょ ◆QjqnRqGxSY :2006/01/23(月) 01:07:00 ID:43Ta2zyO0

感想レス感謝です。
もともとレーゼってこういうイメージだったんで書いてみたんですが、
スレ的には外れかとも思ってたけど、意外と賛同が得られたようで良かった良かった。

チョコボヘッドさん、続き待ってますよー。



>>670
ドリエルは、安定した効能、一般市民にも御求めやすい価格の良薬で、
あなたの眠れぬ夜を力強くケアしてくれます。
翌日以降、身体への負担や副作用及び中毒性もありません。
俺もすっかりお世話になり、もう三年近くも毎日服用しています。
691名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/23(月) 02:15:49 ID:2W8bTqFY0
アグ「最近眠れないんだ」
ラム「ドリエルをどうぞ」

一ヵ月後
アグ「ドリエルでも眠れなくなってきた」
ラム「じゃ、サイレースをどうぞ」

一ヵ月後
アグ「サイレースでも眠れなくなってきた」
ラム「仕方ない、ユーロジンをどうぞ」

一ヵ月後
アグ「駄目だラムザ、ユーロジンでも眠れない……」
ラム「ええ? 仕方ない……ベゲタミンBで。これより強いのはありませんよ」

翌日
ラヴィ「隊長、アグリアス様まだ起きないんですか?」
ラム「そうみたい」
ラヴィ「お二人ともお元気なのは分かりますけど、
    翌日起きられないほど頑張ることはないでしょうに」
ラム「違うってば!!」
692チョコボヘッド:2006/01/23(月) 04:36:33 ID:bIKVIrxQ0
>>674
少しどころかかなり早とちりみたいでしたね( ;´Д`)
最後まで書いてから投下した方が良かったみたいでした

>>675
説教くさいなんてとんでもないです
単に空気読めなかっただけなので気にしないでください

>>676
戦闘シーンは初めてに近いものがありますね、前に一度書いてみて止めましたので・・・
確かに人物達が解説口調になってますね、セリフも多いと指摘されて気づきました
簡素にわかりやすく書くという大事なことを忘れてたみたいです

>>690 ふみんしょ氏
続きは多分書かないと思います、すいません
「止める」とまで言っちゃった以上は撤回するのもアレかな・・・と思いましたので
これから一住人としてスレを見守って生きたいと思います
693名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/23(月) 22:32:53 ID:o+f8hJYa0
夜中に洗濯籠漁ってアグたんのパンツクンカクンカしてるところをラヴィアンに見つかって弱み握られたい
694名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/23(月) 23:19:47 ID:uWow1G370
>>681
ナウシカを読んでから、母親が精神的にあぼんしちゃってるのも合うかなー、と思い始めた。
695名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/23(月) 23:42:22 ID:TOVVPIsu0
>>693
闇の中でアグたんのパンツを一発で掴めればいいが、
間違って野郎のパンツ籠の方に手を突っ込んだのを見られたら、精神的、社会的ともにヤバイ。

ムスタ:機械油臭いトランクス
ベイオ:兄貴フェロモン漂うビキニパンツ
雷爺:赤フン
ラムザ:ブリーフ(アグたんとお揃いの森のクマさんプリント付き)
696名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/23(月) 23:59:15 ID:q3Os8Z360
age
697名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 00:42:04 ID:bJ99xlIc0
ラヴ「ちょっとアリシア、アリシア!!」
アリ「どうしたの?」
ラヴ「見てよこのブラジャー! 洗濯物に出てたんだけど、牛並み!」
アリ「ええ、誰の!? レーゼさん!?」
レゼ「私ノーブラよ」
ラヴ「そ、そうですか。ラファちゃん……な訳ないわね……えーと、メリアドールさん?」
メリ「悔しいけど私ここまで大きくないわ……」
アリ「ということは……まさかアグリアス様!?」
ラヴ「ええ〜!? まさかぁ? だって『騎士たる者は質実剛健!』とかいってサラシ巻いてたじゃない?」
アリ「しかもこれ黒でめちゃくちゃ色っぽいし……どう見たってアグリアス様の好みじゃないわね」
レゼ「……あなたたち、彼女と長年付き合ってる割に察しが悪いわね」
アリ「というと?」
レゼ「女が急に下着に気を使うなんて、オトコに見せる以外にありえないでしょ」
ラヴ「つ、つまり勝負用ってことですか? あのアグリアス様が!?」
アリ「一体誰と!!」
レゼ「……最近、ラムザ疲れ気味みたいね。アグリアスはやけに肌がつやつやしてるし……」
一同「!!!!!」

―――その日から周囲の二人を見る目が変わったという
698名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 01:20:45 ID:E1Ph4Hy+0
>>639-662
GJです。話、よくつくってるなと感心してしまいました。
ただ地の文が淡々としていて、いまいち話の起伏にかけるような気が……。
699名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 01:39:52 ID:2iU2vyFaO
たまにはクラウドのことも思い出してあげてください
700名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 02:18:46 ID:9i0I1Jff0
>>697
ラムザお疲れ&アグたん肌ツヤツヤの原因は
絵掲に怒涛の連発きてたアレでござんすか?(先日『描くよ』言ってた人の作かね)

着衣ズリとお日様の下でブループレイとはいい仕事してるじゃねーかw
701名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 09:23:31 ID:0+lFjtAk0
>>697
しかし実は最近ビブロスのことが気になるペンテシレイア(牛鬼♀)の
ものだったという罠
702名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 18:29:15 ID:/f7YU1HF0
703名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 19:34:22 ID:kNttbJrT0
クリックできる所がないか探したり
何分も待ってみたりした俺ガイル
704名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 19:36:24 ID:WOOZIdx60
ビビらせんなよ!あせったわ
705名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 19:43:32 ID:/f7YU1HF0
>>703
>>704
悪い悪い

作成元はこれ
ttp://2next.net/swf/R3_temp.html
706名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 20:15:31 ID:7nk0WUIQ0
色気激減w
707名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/24(火) 23:35:26 ID:IaADRca50
俺はそのくらい激しい方が好きッ!
708名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 00:28:52 ID:gYucbryw0
懐かしいフラッシュだ。
709名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 00:33:01 ID:Qn7t76n+0
>>697
>ラファちゃん……な訳ないわね

って、暗にラファは貧乳だと言ってるのか?
ひどいやラヴィアンw
710名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 01:04:16 ID:Cm0PSrJs0
トップサイズはともかくカップでは
ラファちゃん>アグリアス様
な漏れはどうすればいいんでしょうか?
711名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 01:09:05 ID:XOkZ0C5/0
ラファたんはこれで
ttp://milktank.sakura.ne.jp/diary/2005/9_15a.jpg
アグリアスさんはこっちでイメージすればいいと思うよ。
ttp://milktank.sakura.ne.jp/gallery/cha02.jpg
712名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 01:15:56 ID:SC3fuqXv0
>>711
上キモス
713或る女戦士:2006/01/25(水) 01:23:20 ID:LkJbCB5O0
「――シャレーヌ、君を除名する」

 テントの中の空気がシンと静まり返る。
 言われた本人、シャレーヌは信じられない、といった目でラムザを見た。
 シャレーヌとラムザの付き合いはアカデミー時代にまで遡る。
 一人去り、二人去り、ついにアカデミー時代から残ったのは
 シャレーヌともう一人だけになった。
 ずっと一緒にいられると思っていた。なのに――
「どういうことだよ、ラムザッ!」
 つかみ掛からんばかりの動きに眼鏡をかけた白魔導師にして
 アカデミー時代からのもう一人、ボーヴィルが抑える。
「落ち着け、シャレーヌ」
「落ち着いてなんかいられるか!
 もう一度訊くよ、ラムザ。
 何でアタシが除隊しなければいけないの?」
「それは……」
「それはお前の実力では生き残れないからだ」
 割り込んできた凛とした声。
 その主は聖騎士アグリアス=オークスである。
「ここから先は厳しい戦いになる。
 腕を怪我したお前の力では、生き残れない。
 そしてその回復を待っている時間も我々にはない。
 お前ほどの戦士ならどうしたほうがいいか、わかるだろう?」
 アグリアスは容赦なく、残酷な現実を告げる。
714或る女戦士:2006/01/25(水) 01:23:57 ID:LkJbCB5O0
 シャレーヌは、一週間前の野盗との戦いで、右腕を負傷しその機能を失った。
 骨にまで達したその一撃は深く、アイテムも魔力もほとんど尽きた、
 ラムザたちでは完全に治すことは出来なかった。
 半年ほど治療に専念すればまた剣が握れるようになれるとの話だが、異端者として追われる身であるラムザたちにそんな時間はない。
 ならば、除隊して治療に専念したほうが彼女にとってもいいのではないか。
 例え、その間に全てが終わってしまっても。
 そうラムザは考えたのだろう。
 だがその優しさはシャレーヌにとっては残酷な優しさだった。
「……腕一本なくたって、やって見せるよ」
「魔術師ならばともかく剣士にとっては致命的だ。
 お前は死ににいく気か?」
「アカデミーを出たときからその覚悟は出来ている」
「わからないのか!? ラムザはお前を――」
「いや、僕から言うよ」
 アグリアスを手で制し、シャレーヌの真正面に立った。
「シャレーヌ、僕は誰も失いたくないんだ。
 甘いといわれてもいい。罵ってくれてもいい。
 君を失いたくない。だから君を除名する。

 その言い方は卑怯だ。そう言われて言い返せるものなどいはしない。
 そしてしばしの沈黙の後、シャレーヌが口を開いた。

「――わかった。だけど一つだけ、条件がある」
715或る女戦士:2006/01/25(水) 01:27:36 ID:LkJbCB5O0
 シャレーヌが言い出した条件とはアグリアスとの決闘だった。
 その真意はラムザにもアグリアスにもつかめなかったが、シャレーヌの目は真剣だった。
 故にアグリアスは承諾し、ラムザも許可した。
 そして現在、キャンプから離れた草原にシャレーヌとアグリアス、
 立会人のボーヴィルの三人がいた。
 ラムザもリーダーとして、除隊を言い渡した人間として、
 そして何より友人として立ち会いたかったがシャレーヌがそれを拒否した。

「では、確認する。
 剣、打撃、何でもありのバーリトゥード方式。
 決着は降参か、もしくはどちらかが戦闘不能に陥るまで。
 いいな?」
 二人が頷くのを確認すると、ボーヴィルは右手を挙げた。
「――では、初め!」
 ボーヴィルの右手が下に下りきらないうちに、剣同士がぶつかり合い、火花と鋼音を散らした。
 その初撃でシャレーヌの体制は崩れていた。
 わかっていた。たとえ右腕が無事でもパワーでは最初からアグリアスに分がある。
 シャレーヌは唯一勝るであろうスピードで勝負を仕掛けるしかない。
「はぁぁぁぁぁ……」
 息を吐き、複雑なステップを踏む。
 シャレーヌが実践の中で生み出した独自の歩法――“無拍子”と彼女は呼んでいるが、
 リズムのない独特の歩法は攻撃に移るタイミングをずらす効果がある。
 それは戦い慣れたものにこそ効果を発揮する技法であった。
716或る女戦士:2006/01/25(水) 01:28:15 ID:LkJbCB5O0
 アグリアスも当然それを警戒し、距離をとる。
 だが、それこそがシャレーヌの目的だった。
 シャレーヌは無拍子だけでなく二つ目の奥の手を持っている。
 この数日間必死に特訓した“片手突き”である。
 ここイヴァリースで、突きといえば諸手突きの事を指す。
 基本的に剣とは重量で“叩き切る”ものであって“切り裂く”ものではない。
 だが、遥か東の国で作られたといわれる刀は違う。鋭い刃で“切り伏せる”ものなのだ。
 故に突きも杭を打つような諸手突きだけではなく、鎧の隙間を狙う片手突きが存在するのだ。
 片手突きは当然ながら諸手突きよりもリーチが長い。
 無拍子はフェイント。射程距離外と思われいてる場所から一気に勝負をかける!

(――今だ!)
 わずかにアグリアスの剣先が下がった瞬間に、加速。
 体をひねり、甲冑のない脇腹を狙う!
 タイミングは完璧。速度も申し分ない。予想どおりの最高の一撃だった。
717或る女戦士:2006/01/25(水) 01:29:14 ID:LkJbCB5O0
 だが次の瞬間、シャレーヌの手から刀は弾き飛ばされていた。
「え……」
 一瞬何が起こったかわからなかった。
 手には痺れが残るだけで、そこにあるはずの刀はアグリアスの剣によって弾き飛ばされていた。
「無駄だ。その程度の速さでは、私には通じない」
 剣技では勝てない。力では勝てない。
 そして唯一勝てると思ったスピードも見切られている。
 それはシャレーヌの剣技ではアグリアスには勝てないという残酷な事実であった。
 剣先を突きつけ、アグリアスが口を開く。
「降参しろシャレーヌ。これ以上、無益な戦いはしたくない」
「――ッ!! ふざけるなッ!」

 ゴキュッという鈍い音が草原に響き渡る。
「な―――」
 驚愕するアグリアスの視線の先にあるのは自分の甲冑に突き立てられたシャレーヌの拳だった。
「まだ勝負は終わっちゃいない!」
 シャレーヌはモンクのアビリティを持っている。
 だが如何にモンクとはいえ、鎧の上から殴りつけるなど正気の沙汰ではない。
「やめろ! 左腕が使い物にならなくなるぞ!」
「承知の上よ! 隊にいられないのなら左腕などいらない!」
「何故だ!? 何故そうまでして戦う意味がある!」
718或る女戦士:2006/01/25(水) 01:30:13 ID:LkJbCB5O0
 その意味を、ボーヴィルは知っている。
 なぜ彼女がこうまでして戦うのかを。

 シャレーヌはアカデミー時代から、ラムザ=ベオルブのことが好きだった。
 下級貴族とベオルブ家……身分が違うことも知っていた。それでも好きだった。
 そして様々な出来事が起こり、異端者として追われる様になった。
 親や兄弟たちと二度と会えないとはわかっていた。
 だが、それでもラムザと一緒に居たかったのだ。
 それだけで、よかったのに。
 右腕の機能を失ったあの時、シャレーヌは見とれてしまったのだ。
 一瞬、背を預けあって戦いあう二人を見て、動きを止めてしまったが故に、
 信頼しあう二人の姿に見とれてしまった故に、
 そして、背中を預けてもらえる彼女に嫉妬してしまった故に、
 彼の傍にいる資格さえ失ってしまった。
 それは誰が悪いわけでもない。だからこれは、
「最初から戦う意味などない! これは、単なる八つ当たりだッ!」
719或る女戦士:2006/01/25(水) 01:30:44 ID:LkJbCB5O0
 シャレーヌが吼え、アグリアスの足元に拳を突き立てる。
「大地の怒りがこの腕を伝う! 防御あたわず! 疾風、地裂斬!」
 大地を伝う衝撃がアグリアスの体を吹き飛ばす。
「熱き正義の燃えたぎる! 赤き血潮の拳がうなる! 連続拳!」
 鎧の上からだというのに構わず拳を振るい続ける。
「渦巻く怒りが熱くする! これが咆哮の臨界! 波動撃!」
 一瞬でチャクラを練り、渾身の力を込めた一撃を放つ。
 シャレーヌの全身全霊の力をかけて放った連続技。
 だが、これだけの技を叩き込んでも

「――それで、終わりか」

 アグリアスは立っていた。
 口の端から血をたらしているだけで、ほとんどダメージを受けていない。
 全ての攻撃は往なされ、防がれたのだ。
 それを見てボーヴィルは把握した。シャレーヌは理解した。
 例え天地がひっくり返ろうとも、シャレーヌではアグリアスにはかなわないということを。
720或る女戦士:2006/01/25(水) 01:31:50 ID:LkJbCB5O0
 熱くなった二人の体を冷ますように曇天から雨が降り始める。
 最初は小雨ほどだった雨脚も次第に強くなっていく。
 その雨音に負けないほどの声でシャレーヌは問いを投げかける。

「一つ聞きたい。
 この先、アンタはオヴェリア様を助け出せたらこの隊を抜けるんだろ?」
「……そういうことに、なるな」
「その時、もし、命令があれば、アンタはラムザを殺すのか」
「オヴェリア様がそんな命令を――」
「オヴェリア何ざどうでもいい!! アタシはアンタに聞いてるんだ、アグリアス=オークス!」
「……私は、」

 ――ザァァアアアアア

 その答えは一瞬強くなった雨音に掻き消されて、二人以外には聞こえない。
 だが二,三言葉を交わしたシャレーヌが少しだけ笑ったようにボーヴィルには見えた。
「そうかい。それがアンタの答えか。でもアタシも、アタシの意地を張らせてもらう」
「来い、シャレーヌ。全身全霊を持ってその剣に答えよう」
 シャレーヌは包帯を巻きつけ、握力のなくなった手に無理やり刀を握らせる。
 そして構える。刀の力を引き出すという奥の手を使うために。
 それに答えるようにアグリアスも剣を担ぐように構える。
 聖剣技――アグリアスの持つ必殺剣の構えだ。
 二人の間の空気が張り詰める。
 膠着してから一瞬かそれとも数分後か、彼らにはわからなかったが、
 一筋の雷光が轟音と共に山へと落ち、それが合図となった。

「闇にありし怨恨の魂よ、 此処に集結せよ・・・虎鉄!」
「大気満たす力震え、我が腕をして 閃光とならん……無双、稲妻突き!」
721或る女戦士:2006/01/25(水) 01:34:48 ID:LkJbCB5O0
「――じゃあ、ここで」

 町の喧騒の中、見送りに来たアグリアスとラムザに向けてシャレーヌは微笑んだ。
 腕には包帯を巻き、あちこちにも細かい傷が見える。
 シャレーヌの傷は如何に魔法とはいえ、そうそう治るものではなかった。
 その傷を見て『あの時止めていればよかった』という顔になるラムザを見て、
 シャレーヌはすまなそうに笑う。

「そんな顔するんじゃないよ、ラムザ。
 悪いのはアタシなんだから、意地を張り続けたアタシがね」
 シャレーヌはそのまま視線をアグリアスのほうに向け、清々しい笑顔を浮かべる。
「アグリアス、約束を忘れるんじゃないよ」
「ああ、忘れるものか。この剣に誓ってな」
「そうかい。あ、そうだラムザ、ちょっと耳貸しな」

 そういってラムザに近づくと強引に耳に口を寄せた。

「(な、なんだい)」
「(まぁまぁ聞きなって。一つ友人としてアドバイスしてあげるよ。
  いいかい、アンタの好きな女騎士はニブチンだから
  ちょっと強引なくらいのアプローチをするんだよ)」
「なっ……!!」

 顔を真っ赤にして離れるラムザ。
 その様子を可笑しそうに見つめると、包帯の巻かれた左腕を差し出した。
 ラムザはそれをそっと握ると、同様に微笑んだ。

「アンタ達の無事を願ってるよ」
「うん、シャレーヌも元気で。それにボーヴィルも」
「ああ、そっちも元気でな」
722或る女戦士:2006/01/25(水) 01:35:54 ID:LkJbCB5O0
 いけしゃあしゃあとシャレーヌの隣にいるボーヴィルが答える。
「……何でアンタがここにいるのか訊いていいかい?」
「つれないね。俺の居場所はシャレーヌの隣だってんのに」
 ボーヴィルは表情一つ変えずに答える。
 ため息をつく。この男にこれ以上質問しても無駄だろう。
 昔から、こういう奴なのだ。
 さて、名残惜しいがラムザたちは先を急がなければならない。ここでお別れだ。
「じゃあ、また会おう。シャレーヌ、ボーウィル!」
「ああ、また、いつか何処かで。お前たちが使命を果たしたそのときに会おう」
「じゃあな二人とも。アタシのこと忘れんなよ!」
「忘れたくともそんな人間ではないさ。お前はな!」

 自分たちなりの別れの挨拶を交わし、ラムザたちは背を向ける
 だんだんと二人の背中が大通りを遠ざかっていく。

「そういえば……さっき何を耳打ちされたんだ」
「え、あ、大したことじゃありませんよ」
「大したことじゃないなら話してもいいだろう?
 私に話せないようなことか?」
「そういうわけじゃありませんけど……
 あ、そういえばアグリアスさん、シャレーヌとの約束って何なんですか?」
「そ、それは……それこそ大したことではない!」

 そのまま二人の姿が雑踏に消えるのを見つめてから、
 シャレーヌたちは反対方向に歩き出す
「シャレーヌ、これからどうする?」
「さぁね、腕を治して冒険屋にでもなろうかね。
 そういうアンタはどうするんだい?」
 ボーヴィルはその言葉に口の端を吊り上げながら
「俺はシャレーヌについてくだけさ、どこまでも、な」
 と、答えた。
723或る女戦士:2006/01/25(水) 01:36:33 ID:LkJbCB5O0
 そして、時は流れ、獅子戦争は終結した。
 ラムザたちと別れ、傷の言えたふたりは冒険者として生計を立てていた。
 そしていくつもの儲け話を成功させ、この業界では
 『刀姫シャレーヌ』と『白導師ボーヴィル』はそこそこの有名人になっていた。
 今日も新しい冒険に旅立つための準備をしているのだが、
 ふと、荷物の一つである愛刀虎鉄にふと、目が留まった。
 あの日から愛用し続けている刀を見るたびにあの約束を思い出す。

『殺さない』
『何故だい?』
『私は――ラムザを愛している。これでは不服か』
『じゃあ誓えるか、その剣にかけて。この先何があってもラムザを守り抜くと!』
『――誓おう。我が剣と誇りにかけて。
 アグリアス=オークスは全身全霊を持って、ラムザ=ベオルブを守り抜くと!』

 今、異端者・ラムザ=ベオルブの行方はようとして知れない。
 だがシャレーヌは信じている。ラムザの無事を。そして彼女の言葉を。
 だから彼らを探しに行こう。動くようになった右手をしっかりと握り締める。

「準備は出来たか?」
「ああ、さあ行こう。アイツらを探しに!」

 ――彼らが辺境の村でラムザとアグリアスという若夫婦に出会うのは、まだ、暫く先の話である
724或る女戦士:あとがき:2006/01/25(水) 01:38:37 ID:LkJbCB5O0
初めてSSというものを書いてみました。
微妙にスレ違い気味になってしまった……
最初はアグリアスがもっと出張る予定だったのに。
精進せねば。お目汚し失礼しました。
725名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 01:43:07 ID:EsFjVDZZ0
嫌いな作風じゃねーな、
これからも頑張ってね。
726名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 01:44:13 ID:SC3fuqXv0
>>724
GJ。良かったと思いますよ。
727名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 01:49:20 ID:4Kd22VLBO
ここは心の奥底からGood Job!と言わせていただこう

機会があれば、また書いて下さい
728名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 01:50:21 ID:Qn7t76n+0
>>724
うん、面白かった。
なんか終わり方がガンダムの第08MS小隊を連想したなぁ。
729名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 01:54:55 ID:XOkZ0C5/0
>>724
乙かれさんです。
次回作も書いてくれるのであれば期待大ですね。

シャレーヌ
「『連続拳』は、当たり具合がまちまちね」
ボーヴィル
「宿題のない世界ほど素晴らしいものはないよね!」

今回の話の役どころ同様、ボーヴィルのセリフは地味だが深い。
730名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 01:58:59 ID:qr2G7p/u0
GJ!
脇役視点からのラムアグは大好物です。
適度に改行してあって読みやすくて、お話も見事な出来。
乙でした!
731名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 07:42:51 ID:RdZf07dtO
朝起きてSSが来てるって
イイよね
732名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 17:14:20 ID:CxPJMYy/0
そんな日がずーっと続くといいよね
733名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 17:39:08 ID:sUvD9CMv0
>>731-732
心の底から同意しながらちょっとしたものを投下。
御暇つぶしにどうぞ。
ttp://avg-maker.com/313436.html



※自分でやってみてもツッコみたくなる点があったので、そのへんは生暖かくスルーしてね
734名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 18:03:01 ID:XOkZ0C5/0
>>733
よっしゃ!2番目クリアー!!

冷静になるとちょっと虚しい気もしないではないが、
匍匐前進やハイハイするアグリアスさんさんやマジック眉毛のラムザきゅんに萌えたので良しとしよう。
735名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 18:46:50 ID:2TctaVAz0
8ゲット!
>>734やるじゃないか・・・
736名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 18:54:12 ID:5mKLvLN40
コソーリ9番目クリアー
737名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 18:56:35 ID:6N+06nHN0
ふむ…
十人目か…

萌えたので良し!
738名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 19:00:39 ID:6M6+EVGk0
12ばーん。ギリギリでゾディアックブレイブのメンバー入り。
コーラうどんウマー。
739名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 19:14:00 ID:D1+E7nrg0
15…
740名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 19:42:30 ID:ArdwOQb+0
20番目ー。切りのいい数だったんでちょっと嬉しい。
741ゼロレイジ:2006/01/25(水) 19:54:05 ID:5TjmIkp+0
25ゲット!!・・・全然キリ番じゃねーよ(# ̄3 ̄)
でもアグリアスさんの波乗り姿が拝めたから良しとしよう。
742名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 21:55:36 ID:dwf2LXBY0
51番!
もうちょいでキリ番だったな…

ムスティのストリップショーを堪能しますた
743名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 22:03:24 ID:2TctaVAz0
甘いぜブラザー!50は俺がいただいた!
744昼寝士 ◆BIdtzyaiEw :2006/01/25(水) 22:57:45 ID:HNmH4tUs0
62番ダタヨー
745名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 23:21:19 ID:tDWmsa+w0
66番。

俺のアグさん水虫だった。
746名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 00:07:47 ID:6WRzy16t0
さりげなくネ申が降臨してる
747名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 00:33:00 ID:ontZsdIzO
う〜ん。クリア出来ない…orz
お気に入り登録してじっくり楽しもう…。
748名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 00:38:18 ID:2mCC8jrX0
初めてFFTをやった時、最初の頃はオヴェリアがヒロインだと思ってたな・・・
お姫様で主人公の妹の友人で。
それが今やアグリアス。
時が経つのは早いな・・・
749名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 00:55:31 ID:s+g44g+w0
テキトーにやったら解けちゃった。
ハッピーエンドのフラグ多いのか?

>>748
そういやオヴェリア様って全然萌え対象にならんね
750名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 01:26:49 ID:l71cGskB0
オヴェリア様はアグタソを操作している黒いイメージが(何
実際はエライ悲劇のお姫様なんだが
751名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 01:56:01 ID:zw2Xe6TM0
オヴェ様は早々にアグリアス見捨てたじゃん
752名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 02:38:22 ID:s+g44g+w0
>>751
せめて忘れたと言ってあげて下さい……
753名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 02:53:16 ID:bhw8dNj90
つーか、プレイヤー側であるこっちも長々とプレイしてると、
プレイ時間の中ではオヴェ初めとする南天サイドのストーリーなんて微々たるもんなんで忘れちゃうんだよねw

ひたすらアグたんをラムザ軍団の中で斬ったはった、
踊った密漁した混乱したカエルになった空飛んだ水潜った、なんて珍道中やってると99時間軽くいっちゃうからな。
EDのトンベリイベントなんて初プレイ時の一回目だけ見れば、それ以後の周回ではすっ飛ばしちゃうし。
754名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 07:58:02 ID:hji9dRKB0
>>752
忘れられるという方が逆に酷いと思う。
755名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 13:29:48 ID:zb6h+5Oo0
>>733
もう123番目になってた…(゜゜;)
これでも一発でハッピーだったんだ象!
756名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 16:59:20 ID:mPUIhKaC0
>>751
まあ真面目に考えるとラムザからディリータが守ってるから大丈夫ですとか、
何を考えてるのかは分からないけど悪い人間ではないから安心して下さいとか何とか言われて、
かの名言が示すとおり最早絶対の信任を与えてるから
「ラムザがそう言うなら大丈夫なのだろう」とか思ったか、
あるいは意識してその言葉に縋り付いたんだろうな
手の届かないところに居るほど不安なもんだしそんな時は最悪ばかりが思い描かれる
頭の中では色々考えるが口に出すと余計不安がこみ上げるから黙して語らない
後半全く喋らないのはきっとそのせい。
気丈に振舞っていても心の中ではいつも不安に押しつぶされそうだったんだよ
やっべ、これSSのネタになるわ。書く時間無いけど
757名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 17:02:11 ID:mPUIhKaC0
うん、書き込んでから間違いに気づいた
腹掻っ捌きます。アグ姐介錯お願い致す。
758名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 18:14:06 ID:bhw8dNj90
ttp://www.toranoana.jp/mailorder/detail/04/0000/095/040000095245.html

以前話題に上ってたアグ本だが、どうやら書店でも買えるか?
759名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 18:44:17 ID:T6WT1MaS0

アグはクレイモア派閥。
けっしてFate派ではない
760名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 22:06:03 ID:Ey98AuzP0
アグルイ
761名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 23:51:58 ID:rbC+XfWG0
アグリアス・オークスがラムザ隊に入隊してはや一年余
この頃ラムザ隊の男たちの間で 元近衛騎士の美騎士の噂の上らぬ日はなかった
762名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 01:48:28 ID:lzn8jBcR0
>>758
とらで買える。つーか、持ってる。
763名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 01:54:05 ID:MiAeBpKE0
>>759
アークザラッド厨乙
764名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 02:08:10 ID:+BAAqYhz0
ttp://gentou.sakura.ne.jp/cgi-bin/fft_uploader/src/fft1883.jpg
俺のFFTプレイ時における脳内シナリオでは、
ベスラ要塞での決戦に向かう前のベルベニアの宿でこの展開に。
765名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 02:33:47 ID:vy9nutjV0
こんなスレがあったんだな。
しかも22スレ目とは、流石アグリアスさん。
やはり涼し気で凛とした女騎士は良いな。

ところで、さん付けで呼ぶとどうしても、
「アグリアっさん」って発音になってしまうのは俺の愛が足りない所為?w

>>758
チト興味引かれたけど>>713-723の良いもの読ませて貰った後だと、
全然欲しい気になれないなw
絵の好みが合わないってのもあるけど。
766名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 03:09:56 ID:LwrkHWSG0
>>764
アグたん、シーツ破いてるw
767名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 03:14:07 ID:MiAeBpKE0
>>765
新人さんいらっしゃ〜い

てかこのスレを支えてるのは膨大かつ良質なSSですよ。
>>572のブログに歴代SS全部あるから目を通すといいよ。
768名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 05:35:34 ID:L6DXcwIh0
>>761
シグルイかよw
769名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 07:51:26 ID:so9fn6HZ0
アグたんはゼイレキレの滝あたりからラムザに惚れ始めたと解釈しておk?
770名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 08:16:07 ID:+BAAqYhz0
>>769
他人に聞くより、自分がFFTをプレイしてるときはこうなんだと妄想膨らませてればいいじゃねーか。
脳内妄想というもんはプレイヤー各自のエンドルフィンと我慢汁しだい。
人それぞれ違ってて当然だし、でも自分のモンモンとした妄想こそが自分にとってのオンリーワンでありたい。
つまりアグたんハァハァ。
771月映えの人形姫 1/12:2006/01/27(金) 12:51:32 ID:BLEzVaQa0
「隊長、私たちの隊の上位10名で決闘をしてもらいましょう」
桜の花弁がはらはらと舞い落ちる、うららかな春の午後にまどろむラムザへの
アリシアのそんな言葉はまさしく寝耳に水だった。
春の暖気に普段よりも余計にぼうとしたラムザをよそに、アリシアの熱弁はとどまるところを知らない。
夢と現の境を浮遊するかのような惚けた様子のラムザに、彼女の熱意が
期待していた通りに伝わったのかははなはだ疑問であるが、アリシアの話の概要は以下のようなものであった。

『現在は10名の実力者がその時その時で適当に5人に組んで出撃しているが
 勝利を確実にするためにもっとしっかりと戦力を考慮した編成を行うべきである。
 そのためにも上位10人が決闘をして、上位5人を決める必要がある』

確かに"しっかりとした編成"というのはかねてからの課題事項だった。今までが適当すぎたのだ。
出撃した後でメンバーの編成に致命的なミスを見つけるというのは一度や二度のことではなかった。
このままではいつの日か取り返しのつかない事になるかもしれない。
熱のこもった論調と曇り一つ無い誠実な眼差し、そしてラムザの不安を煽る巧みな話術に
いつしかラムザは彼女の提案を神託とばかりに思い込み、諸手を挙げて同意するばかりである。
こうしてラムザは隊の皆にアリシアの提案の要旨を伝え、10日間の猶予の後に決闘を行うことを公表したのである。
アリシアの陰の助言は幾度と無くラムザと隊全体に影響を及ぼしてきた。
虚実が交差する、公明正大を装った進言とは名ばかりの彼女の巧みな誘導によって、
今回もまんまとアリシアたちは10日の休暇と決闘という余興を手にしたのである。
猶予期間の10日の間、隊の皆はここぞとばかりに遊び惚け、さりとて決闘日という祭りの為の準備にも余念がない。
上位10名も稽古に精を出す者、寝て過ごす者、酒盛りに参加する者などさまざまである。
772月映えの人形姫 2/12:2006/01/27(金) 12:52:25 ID:BLEzVaQa0
戦いの連続の日々である彼らにとって、10日の休暇は夢のように愉しい娯楽続きで時間は飛ぶように流れた。
決闘当日、会場は沈黙の緊張に彩られた厳粛なもの……かと思いきや、現実はその対極にあった。
暖かな日差しのもと、咲き誇る桜の木々に囲まれて、隊の皆は酒を飲み交わしながら
今か今かと決闘という極上の肴が差し出されるのを待ち構えている。
公にはされていないものの、この決闘の勝敗に賭博まで絡んでいるのだから始末に負えない。
このような祭りじみた空気の中で緊張できようはずもなく、10戦士もどこかたるんだ様子である。
この決闘には以下の三つのルールが定められていた。

一つ、この決闘は互いの殺傷を目的としないものであり、武器は本物を使用してはならない
二つ、上位10名の決闘の組み合わせはくじ引きによって公正に決められる
三つ、勝者を正戦士、敗者を補欠とする

二つ目のルールに従い、決闘の組み合わせが発表されるたびに、酒に酔った観衆は蜂の巣をつついたようにどよめき続けた。
滞りなくくじ引きと決闘の組み合わせの発表は完了し、しばしの準備時間の後に、いよいよ決闘が開始される。
駆けつける友人に激励を受ける者、対策を考えあぐねる者、楽勝とばかりに余裕を振りまく者など十人十色であるが、
ことアグリアスに関して言えば…普段と何一つ変わらない。
まるで感情を欠いた乾いた碧眼はひたと虚空を見据えたきり微動だにせず、いささかの動揺も感じられない。
傷痕一つ無い端麗な相貌は、彼女が未だ誰にも地に屈服させられたことの無い絶対の強者であるところを示していた。
携えた巨大な長剣は大の男の剣士でさえ扱いに困窮するような代物である。
そんな大剣を難なく振るい使いこなすアグリアスは、女の身としては破格の剣豪である。
対戦相手が誰であろうと顔色一つ変えないのは、己の力量への自信故か、それとも彼女に大切な何かが欠落しているからか―――。
熱気のさなかである会場を一瞥さえせずに、アグリアスはその場を立ち去った。
773月映えの人形姫 3/12:2006/01/27(金) 12:53:08 ID:BLEzVaQa0




決闘の半ば以上は既に終わっていた。
この日の為にムスタディオが徹底的にカスタマイズした新生・労働8号は
試合開始と共に暴走、最終リミッターを解除した最大出力による一斉射出された砲撃はマラークを即座に粉砕し、
ベイオウーフの魔法剣・コンフュを喰らったモトベが混乱して解説が止まらなくなり失格、
武器を開始早々オルランドゥに弾かれながらもラファが健気に奮闘し、
それを見かねた観衆たちに酔いの勢いも加わってオルランドゥに対しての帰れコールが勃発、
オルランドゥが突如腰痛を訴え敗退するという、狂気じみた結果に終わった。
「ううう・・・いつかレギュラーに戻って見せるんだから・・・!」
頭にできた大きなこぶをさすりながら、メリアドールは重い足取りでアグリアスを探しあぐねていた。
メリアドールの対戦相手はレーゼであったのだが、レーゼが風邪で出場不能であったため、不戦勝かと思われた。
しかしそれはぬか喜びに終わることになる。
レーゼが数ヶ月前に手なずけたペットのレッドドラゴン(名前:キャシー、♀)を代役として差し向けてきたのだ。
刃物としては最高級の切れ味と硬度を誇る刀、それも名工のこしらえた業物を
でこぴんでへし折ったという伝説をもつ怪物レーゼを相手取るよりかは、なるほどよほどましではあるかもしれない。
しかし眼前にそびえ立つ小山ほどもある竜を相手するのに、手に携えた木剣では何の意味もなさなかった。
開始数十秒で木剣はキャシーの吐き出した業火によって灰にされ、体当たりを受けて
まりのように吹き飛ばされたメリアドールは石に後頭部を強打して昏倒し、敗退したのだった。
774月映えの人形姫 4/12:2006/01/27(金) 12:53:57 ID:BLEzVaQa0
会場の喧騒も届かない平原に音を立てるのは時折吹きすさぶ風のみ。
生き物の気配さえなく、岩肌がそこかしこに散見される寂しい不気味な場所だった。
見るからに長居はしたくない、まるで人でない亡者か何かに出遭いそうな荒野に
独り座り込む者は…心胆の小さな人間ならば出会い頭悲鳴さえ上げるかもしれない。
冷たく光る白刃に見入る、アグリアスだった。
職人が慈しんで創り上げた人形のような顔立ちは紛れも無い美女のそれである。
きらびやかな金の髪、整った目鼻立ち、透き通るように白い肌。欠点など何一つない。
そんな彼女を亡霊かと見紛わせる原因は…その眼にあった。
感情の欠片さえうかがわせない虚無が滲んだ瞳は、それを見る人間を畏怖せしめる。
いかに容姿が端麗であろうが、いかに声が美しかろうが、彼女はその双眸だけで
それらの印象の全てを反転させていた。
同じ人間のものとは思えない、およそ血の通った人のものとは思えないその眼はまさに人形のそれだった。
まるでその瞳に宿る、光さえも帰ってこれないような
底なしの闇に引きずり込まれるような、そんな不安をかき立てる眼だった。
整った顔を眉一つ動かす事無く人間を斬殺し、屍の山を築き続ける人形のような女―――
恐怖と揶揄を込めた"殺人人形"という裏のあだ名は、よく彼女の的を得たものだった。
「あっ、いたいた!こんな所で何やってるのよ。もう!」
ようやくアグリアスを探し出したメリアドールが、息を切らせてアグリアスのもとに走りよってくる。
無言で俯くアグリアスを前に、心の準備を整えたメリアドールが思いの内を語り始めた。
「……私は負けたけど、同じ女の剣士として、あなたには勝って貰いたいのよ。
 だ、だからその…が、頑張りなさいよ……!」
気恥ずかしいのか、顔を赤らめながらささやかながらも精一杯の声援を贈るメリアドールをよそに、
アグリアスはやはり無言のまま立ち上がり、彼女に見向きもせずにすたすたと会場へと出向いていく。
いかに無愛想で無口が常であるアグリアスだろうが、せっかくこうしてわざわざ応援に
出向いてやった戦友に対し、この反応はあんまりではなかろうか。
775月映えの人形姫 5/12:2006/01/27(金) 12:54:54 ID:BLEzVaQa0
腹に据えかねたメリアドールは思わず声を張り上げていた。
「ちょっ…ちょっとお!無視しないでよ!」
「………なに?」
ゆるゆると振り向くアグリアスの視線に囚われた瞬間、メリアドールは戦慄に動けなくなっていた。
殺気でも怒気でもない、力強い何かが彼女の双眸に灯っている。
何者の指図にも力にも屈しない圧倒的な意志……こんなにも強い感情を顕わにした彼女など
メリアドールは滅多に見たことが無かった。
こんな目をする時の彼女…そうそれは決まってアグリアスが人を斬り殺し、血の海に佇む時だった。
倒れ付すラムザをこの異様な眼で見下ろす、返り血に染まったアグリアスという不吉な光景が脳裏に去来する。
「…あ、あなたまさか変な事考えてるんじゃないでしょうね…!」
他を威圧してやまない今のアグリアスと対峙してなお問いかけるメリアドールは、幾多の死線をくぐり抜けてきた闘士だけのことはあった。
「…心配するな。終わらせるだけだ」
抑揚の無い乾いた声で短く言い放つと、アグリアスは再び歩みだす。
「(お、終わらせる…?)」
釈然としない物言いに戸惑いながらも、立ち去るアグリアスを見取って慌てて最後の助言を贈った。
「と、とにかくしっかりやりなさいよ!あなたが本気を出せば
 ラムザなんて敵じゃないんだから!」

残る一試合、宴もたけなわという時分で会場は盛り上がりの一途を辿る。
ラムザは木剣を握って未だ現れぬ対戦相手に思いを馳せる。
その名も知れた剣豪アグリアス、そして浅からぬ因縁がある人間。
果たして己に勝算はあるのかと自問し、この宿命めいたくじ結果に感じ入る。
満を持した観衆の前に影のように現れたアグリアスが一瞬にして皆を黙らせたのは…
その手に携えた冷たくも禍々しく光る凶刃故か、白刃に勝るとも劣らない鋭い眼光故か。
緩みきった空気がたちまち温度を下げ、異常な密度の緊張に氷結していく。
776月映えの人形姫 6/12:2006/01/27(金) 12:55:44 ID:BLEzVaQa0
「だ、だめです!原則として本物の武器は使用禁止です!」
しばし呆然としていた審判のアリシアが慌ててアグリアスに詰め寄るが、彼女の眼中にアリシアは映らない。
「黙っていろ」
一切の反論を許さない威厳さえ漂わせる語気に、アリシアはすくんで動くことさえ出来ない。
「ラムザ。これは正戦士の座を賭けた勝負…だったな?」
見たことのないアグリアスの鬼気迫る目に気圧されながらも、ラムザは肯定の意味を込めて首を振った。
「よし。ならばこうしよう。この勝負に私からの試験の意も込めよう。
 私からの最後の課題だ。
 真剣を以て私と立合い、そして勝って見せること。
 剣の師としてお前に命ずる。真剣で私と戦え」

ラムザはアグリアスに剣の指南を受けていた。ラムザ自身がそう彼女に志願したのだ。
軽捷にして流麗、いかなる屈強な猛者を相手取ろうと、己に触れさせる事さえなく悉く斬って捨てる。
稚拙な我流の剣しか知らなかった当時の彼にとって、アグリアスの振るう剣はこの上なく力強く、そして美しく感じられた。
弟子入りした後は幾度と無く難題を課せられ、木剣で叩き伏せられる日々が続いた。
彼女は手加減というものをまるで知らず、ラムザがアグリアスとの乱捕りで勝ち得た事などただの一度すらなかった。

相変わらずアグリアスは表情の一切を変えず、ただ針のように突き刺さる眼差しを向けてくるばかりである。
手には女性が扱うには規格外ともいえるほどの巨大な剣。その鈍い光が肉食獣の牙を思わせる。
まるで抜身の刃物そのもののような、その場の者を緊張させずにはおかない危うさが彼女に纏わりついていた。
このアグリアスを前に、真剣を以て戦う。その意味を考える。
一切の攻めは届かず、ただ打ち据えられるのみ。過日の乱捕り稽古の光景がありありと蘇る。
その手の内の剛剣で一刀の下に斬り捨てられるやもという冷え冷えとした不安が胸を凍てつかせた。
―――しかし。だからといって逃げるわけにはいかなかった。
この決闘は、曲がりなりにも正戦士の座を賭けた正式な勝負。
加えて師であるアグリアスの最後の課題となれば、受けざるを得ない。
幾度地に這い蹲ろうが、幾度その身に木剣の打擲を叩き込まれようが、
ラムザはアグリアスの課した試練をこれまで全てこなしてきたのだ。ここで降りてはいけない。
777月映えの人形姫 7/12:2006/01/27(金) 12:56:22 ID:BLEzVaQa0
「…誰か、僕の剣を持ってきてください」
重苦しい静寂が場を支配するさなか、ラムザの毅然とした声が響き渡る。
「た、隊長!」
アリシアが堪らず止めにかかるが、ラムザとてこの対決以外に心を割く余裕などない。
「お互いが同意の上なら…別に構わないでしょう」
「うっ…ううう〜〜〜…け、怪我しても知りませんよ…!
 し、真剣の使用を認めます!」
渋々了承したアリシアの判定に、沈黙は大歓声に破られる。
歓喜と声援に色めき立つ周囲をよそに、当の二人の間には言葉一つなく、視線が交錯するばかりである。
声をかければすぐに届く距離にお互いがいるというのに、決して踏み越えることができない隔たった境界の先に彼女はいた。
まるで此岸と彼岸に互いの身を置いているかのような、絶望的な距離を感じていた。
今ラムザの眼前で剣を携え、その双眸に常軌を逸した何かを灯らせるアグリアスは…彼が知っているどの彼女とも違う。
なぜこのような目を自分に向けるのか?彼には到底答えを出しえなかった。

ラムザとアグリアス、師弟である二人が同様に剣を構えて対峙する。
女の双眸に滾るものは炎より熱く、手に随える得物は氷よりなお冴え冴えと冷たく光る。
「アグリアスーーーっ、何考えてるのか知らないけど殺しちゃだめだからねーーーっ!」
遠くからのメリアドールの呼びかけも、まるで彼女の意中には響かなかった。
「…それでは…決闘、開始っ!」
掛け声と共にアグリアスが疾駆する。
1/2秒間に繰り出されたアグリアスの三連撃は凡夫からすれば太刀筋さえ視認できない速度である。
かつてない剣の速度と重みに驚愕しながらも、驟雨の如き刺突と斬撃にラムザは感情に捉われている暇さえ与えられない。
女の細腕から紡ぎだされるものとは信じがたい入神に域に達した剣術は、
その身のこなしは疾風が如く、その打擲は迅雷が如く猛々しい。
秒間数手に渡る虚実入り乱れた軽捷極まりない怒涛の剣撃を、ラムザはただ必死の形相で受け続けるばかりである。
一切の遊びの無い、神速の一撃を次々と叩き込むアグリアスは、依然としてその端麗な顔を歪める事も無い。
その身に刻み込んだ秘技絶技を繚乱させ、圧倒的優位を譲らぬままアグリアスの猛攻は続く。
絢爛と咲き誇る桜花の下、刹那の剣の激突であまたの火花が狂い咲く。
778月映えの人形姫 8/12:2006/01/27(金) 12:57:06 ID:BLEzVaQa0
自分の弟子を手ずから死地に追い込みながら、アグリアスはその人形然とした顔を微塵も崩さない。
ただその透き通る碧眼にのみ、秘め隠した内なる激情を滲ませていた。
幾年月の修羅道の果て、彼女の心は固く閉ざされ、内なる心情を言葉にすることは叶わなくなった。
声にならない叫びを剣に託し、ただこうして打ち続ける他になかった。
こうしてラムザと剣を打ち合わせていると、今となっては遠い過日の情景が目に浮かぶ。

未来への期待と展望を胸に剣士を志した時は、人生で最も恵まれた時期だったのかもしれない。
白刃と血飛沫が交錯する、幾多の地獄をくぐり抜けるうちに、彼女はいつしか人間性を失っていた。
自分が斬り殺した人間の怨霊を幻視し、夢の中でさえそれらは追いすがってくる。
返り血に赤く染まった半身からは亡者の怨嗟の声がいつまでも耳に響いてくる。
己の業に悔い悩み、戦場の地獄絵図が脳裏に不意に蘇り、
ついには人を殺すことに前ほど抵抗を示さなくなった己自身さえもが恐怖の対象となった。
殺人術ばかりが上手くなって、心の方は擦り切れる一方だった。
外見ばかりを誰にも負けないように強くして、肝心の中身はからっぽになっていた。
感情は次第に抜け落ちていき、目からは生気が失われ、人とは必要最低限しか口を利かなくなっていった。
自分が陰で"殺人人形"などと呼ばれているのも知っていた。
怒りを感じるどころか、己の所業を顧みてなるほど相応しい二つ名だと感じる程度だった。
胸の内に巣食う狂気が少しずつ自分の正気を侵していくのを止めることもできず、
それでも頑なに最初の誓いだけは護り続けた。
即ち、己の悪行を悔い、殺した人間の冥福を祈るささやかな黙祷と、剣士を辞めないという意志の確認。
前者の理由は、いかに鬼畜外道に身を堕とそうと、それでも人でありたかったから。
人の人生を絶ちきったという現実に後悔さえ感じなくなるようになれば、それはもはや人ではない。
後者の理由は、いかに人殺しが心を引き裂こうが、それでも自分が自分でありたかったから。
幾多の人の命を奪い、心まで擲って今日まで繋いできた剣の道を終わらせることは、自分の存在意義が消失することだから。
斬り伏せた人の屍を前にする度にこの誓いを胸に思い出し、鋼の意志が刹那の間だけ乾いた瞳に去来した。
779月映えの人形姫 9/12:2006/01/27(金) 12:57:41 ID:BLEzVaQa0
生ける人形も同然と化して久しい頃、ラムザが剣の指導を願い出てきた。
そんな面倒事は御免だったし、人と話すのも嫌気が差すので断ったが、彼の熱意に根負けした。
人に何かを教えるのはほとんどした事がなかったし、甘やかすつもりも毛頭なかったので酷い指導だったかもしれない。
しかし彼には情熱と向上心があった。今思えばあまりに無茶な私の課題もよく努力してこなしていった。
技量の上達に一喜一憂し、懸命に剣を振るう彼は輝いていた。
狂気の闇に怯えて暮らす今を遥かに遡る、少女時代の無垢な自分を眺めているようで心が和んだ。
笑いもしなければ冗談の一つも言わないこの私に、ラムザは笑顔で接してくれた。
その笑顔を見て、私の廃れきった灰色の心は少しずつ色を取り戻していくかのようだった。
彼と共に在ることが、彼と共に剣を振るうことが楽しかった。
伽藍の心に咲く一輪の花のように、その日々と思い出は暖かく、大切なものだった。
こんなからっぽの私でさえ、あるいは人の心を取り戻せるのではないか、と思えるような時間だったのだ。

ラムザとアグリアスの剣が鍔迫り合いの形をとり、ほんの数瞬だけ両者の動きが硬直する。
これまでのアグリアスの猛攻を忘我無心の境地で受け続けていたラムザの意識が一瞬だけ引き戻された。
その時ラムザの目に映ったアグリアスの双眸には…先ほどの刺すように他を威圧する力が篭っていなかった。
それが何かは分からない、玄妙な何かが彼女の目を彩っていた。
再び剣と剣は主に振るわれて互いを喰い合う極限の応酬劇を紡ぎだす。

この戦いで、そんな暖かい日々を終わりにしようと思った。
勝者のみが正戦士の権利を獲得できる。つまり、私たち二人のいずれかはもう戦陣に身を投じることはない。
十分に私の技を受け継いだラムザになら、安心して後を託せた。
ラムザとの最初で最後の真剣勝負を始める前、全力をもって決闘に臨もうに誓った。
それが今まで全身全霊で私から剣を学んでくれた、彼への果たすべき最後の礼儀だと思ったから。
私が半生を賭けて積み上げてきた剣の技を、こうして受け続けているだけで彼は文句なく免許皆伝だった。
私にほんの一時でも暖かい時間を与えてくれた感謝と、優しい寂しさが静かに胸をつつんでいた。
最後に微笑んで―――終わらせた。
780月映えの人形姫 10/12:2006/01/27(金) 12:58:23 ID:BLEzVaQa0
始終優勢を譲らなかったアグリアスの剣が、何の前触れもなく宙を舞って地に突き刺さる光景は、
その場に居合わす名だたる戦士達を驚愕させてやまなかった。
技を繰り出したラムザ本人でさえ、拍子抜けするほどの呆気なさに呆然としている。
「ちょっ…何やってるのよ!そんな手にあなたが剣を弾かれるはずがないじゃない…!!」
メリアドールの叫びも、棒立ちのまま微動だにしないアグリアスには意味がなかった。
「私の負けだ」
無手のアグリアスがぽつりと呟いた。
誰よりも高く、誰よりも強く、そうあろうとしたアグリアスに初めて突きつけられる敗北という現実。
悔恨と憤怒の情に駆られているかと思いきや、彼女はあくまで平静で、いつも通りの無表情を保っていた。
ようやく我に返ったアリシアが声高らかに判定を告げる。
「勝者、ラムザっ!」
大歓声に包まれる中、今しがたの激闘の疲れなど微塵も窺わせない平然とした様子で剣を拾い、ラムザに向かって歩いてくる。
未だ事態を把握しきれず、混乱のていを隠せないラムザだが、その目に映る彼女の目は、かつてないほど穏やかなものだった。
楽しかった師弟関係は幕を閉じ、胸に溢れる感謝の意を伝えたいというのに、息が上がって言葉を発することすら叶わない。
歯噛みするラムザをよそに、まるで普段と変わらず凛然とした彼女は顔色一つ変わらない。
すれ違う瞬間、時間にして1秒にも満たない間に聞いた言葉は…果たして疲弊したラムザの幻聴だったのだろうか。
「ありがとう」
その声はあまりに優しく、柔らかく、かのアグリアスが口にしたとは思えないほど温もりに満ちたものだったのだから。

こうしてラムザ隊の長い一日…狂気と死傷者交差する5試合が終わった。
意気込んだ参加者10名のうち半数の5名が勝利に至らず敗北に呑み込まれ消えた…。
彼らの正戦士としての時代は閉じた。ここから先は補欠の一語。
781月映えの人形姫 11/12:2006/01/27(金) 12:59:00 ID:BLEzVaQa0
その日の夜、ラムザはアグリアスに呼び出された。
燦然と輝く満月が舞い散る桜の花々を煌々と照らす静かな夜だった。
舞う花の香気が芳しい、花明かりの桜の木の下で彼女は待っていた。
月映えに濡れそぼつ金の髪は艶やかで、白い服は月華を受けて光り輝いていた。
鎧を着込んでいる姿しか見たことのないラムザにとって、今の彼女の細い体躯は繊細な硝子の彫像のように映った。
月光を吸う碧眼はどこまでも透明で、それを覗くラムザの目を捉えて離さない。
冷然としたアグリアスしか知らないラムザにとって、眼前の女性はまるで別人かと思えるほどだった。
とめどなく降り継ぐ桃色の花弁を身に纏うアグリアスは、まるでこの世のものでない花の精か何かのように思わせた。
「卒業、おめでとう」
その美貌に浮かぶのは、一点の曇りもない満面の笑顔。
伽藍の胸の内で慈しんで育て上げた、華の笑顔だった。
その晴れやかな笑顔は全くの無垢で、年齢不相応な、穢れを知らない新雪の少女を思わせた。
今度こそ信じられないものを目にしたラムザは、ただ固まって眼前の奇跡に瞠目する以外にない。
「酒でも…飲まないか」
酒瓶を手に微笑するアグリアスに、ラムザはただ呆然として頷くばかりだった。
音もなく静かに散っていく桜花の下、冴える月夜に二人は言葉もなく酒を飲み交わしていた。
この日、この夜に言葉は無粋だった。語らずとも、共に切磋琢磨し剣に励んだ在りし日を追想し、心を繋ぐことができた。
782月映えの人形姫 12/12:2006/01/27(金) 12:59:38 ID:BLEzVaQa0
こんなにも穏やかな目をしたアグリアスを、ラムザは想像だにしなかった。
追憶に浸り、月を見上げるアグリアスは、まるで夢見る少女のような面持ちだった。
鎧で身を固めることも、冷え切った目で死を織り成すこともない、
柔らかな眼差しで、雅趣薫る夜を楽しむ一人の幽雅な麗人だった。
微笑みをたずさえた、月映えに輝くアグリアスは一点の穢れもない人形姫のように尊く、気高く、美しかった。
一陣の風が吹き、盛大な花吹雪が夜空に舞う。
月に叢雲が縋りつくように、花を風が吹き散らすように、雅はとかく妨げられるもの。
アグリアスの心を和ませた、夢の日々も今夜をもって終わりを告げる。
美しくも儚く舞い散るこの桜も、花の命が費えようとしている最後の瀬戸際である。
楽しい日々は終わっても、胸の内にしまわれた暖かな思い出は消えることがない。
華の想いは、決して散る事無く心に咲き続けるのだ。
気がつけば心はかつてないほど安らぎに満ち、心の内の闇は洗い流されていくようだった。
この胸の内の温かな灯火を大切にしていけば、いつの日かまた心穏やかに暮らせる日を迎えられると、そんな気さえした。
頬を薄桃色に染め、心地良いほろ酔いの気分の中、アグリアスは滅多に口にしない心中を話していた。
「…生きて帰って…もう一度こうやってお前と桜の下で酒を飲みたいな…」
嘯風弄月の夜に、彼女のそんな言葉が吸い込まれて消えた。

                                        fin
783モトベ ◆AYF418a.SQ :2006/01/27(金) 13:00:37 ID:BLEzVaQa0
こんにちは。
少し早いのですけれど、春のお話です。
784名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 13:01:42 ID:LwrkHWSG0
GJ!
モトベさんのSSを読むとき、いっつも辞書を引いてるのは内緒だ
785名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 15:19:58 ID:hELfgUQY0
>>こうしてラムザ隊の長い一日…狂気と死傷者交差する5試合が終わった。
意気込んだ参加者10名のうち半数の5名が勝利に至らず敗北に呑み込まれ消えた…。
彼らの正戦士としての時代は閉じた。ここから先は補欠の一語。

ここがなんかカイジの限定ジャンケンの最後に似てる。
なにはともあれGJ。
786名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 18:59:23 ID:TQt4rJQk0
おいおい誰が死んじゃったのよ
787名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/27(金) 22:51:53 ID:3iLNGujj0
メリアドールはツンデレなんですか
788名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 00:09:57 ID:vY974wYu0
アグリアスさんのオッパイ吸いたーい!!!

と叫べばココロは軽くなるのではないかと今までは思っていた。
だがそんなことを実際しでかせば本当はココロは重くなるだけ。
それに気付いたということは、それだけ、ほんの少しだけ大人になったということなのかな…
789名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 01:02:47 ID:Y05pRNLb0
>>786
>>この日の為にムスタディオが徹底的にカスタマイズした新生・労働8号は
試合開始と共に暴走、最終リミッターを解除した最大出力による一斉射出された砲撃はマラークを即座に粉砕し、
ガイ者はマラーク
790名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 01:10:06 ID:LUz3PkDc0
ラファが気にもかけてないところを見るとすぐに生き返ったみたいだけどな。
791名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 01:15:27 ID:LUz3PkDc0
ラファが気にもかけてないところを見るとすぐに生き返ったみたいだけどな。
792名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 01:55:44 ID:k88/Vs0f0
俺はメリアドールも好きだから月映えの人形姫に出演しててちょっと楽しかったなw
因みにウチのメリアドールはクラウドが入隊してからというもの、
二人でレギュラーの座を争ってましたよw
793名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 05:20:08 ID:xJwu96AW0
俺の中では
ラムザは見た目は華奢だが、実際に剣を取れば聖剣技を使うアグリアスよりも
なんだかんだで一歩上を行く強さという脳内設定なので。
794名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 09:23:17 ID:VSYiNysL0
上位5位を決めるためのはずなのに
もしくじ引きで1・2位が潰しあったら意味無いじゃん。
やるなら前もって大まかな順位を決めて5・6位をはっきりさせるか(Jリーグ式)
総当たり戦にしないと。・・・アリシアの話術恐るべし。
きっとすぐにラムザもこの決め方はおかしいって気づいて
今回の結果は御破算になると思われ。
795名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 12:48:36 ID:UrhkXA3m0
まあそもそも伯が落ちた時点で
796名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 14:46:31 ID:IxatBK1O0
>>794
ラッキーマンみたいだ
天才マンのカッで16人選ばれると・・
797名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 17:42:46 ID:zmeInxsN0
現在のアリシア:ジョブ・話術士 ジョブレベル8 全アビリティ習得済み
798名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 22:35:12 ID:vY974wYu0
>>793
なんだかんだとストーリー上ではchapter3終盤で
ウィーグラフより強くなっちゃったという流れになってしまってるからなw

俺のプレイヤーとしてのクセを反映させるなら、
器用貧乏も経験積みまくっていれば器用金持ちになるというところか。
逆にアグリアスは聖剣技を基本に置いておけば十分てなもんだし。
799名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 23:55:20 ID:WHZ2Pdd10
うちのラムザ君は延々モンクだったから剣なんてほとんど手にとって無いな・・・。
アグリアスさんもモンクか踊り子で剣持ってなかった。

こぶしで殴ると死んじゃうから、剣を使うことがハンデとなるんだよ!!
800名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 00:05:43 ID:m9G8hfFE0
ガシャーン!!

ムス「なな、なんだ!? アグ姐のグラスが破裂したぞ!?」
ラム「マスター、困るなぁ。ヒビでも入ってたんじゃないの?
   ちゃんとしたグラス出してよ」
店主「相すみません。すぐ替えを用意しますんで……」
ラム「アグリアスさん、手、大丈夫でした?」
アグ「あ、ああ、平気だ(……言えない。握力つきすぎてちょっと力入れただけで
   グラスが割れてしまうなんて……明日からモンクやめたほうがいいな……)」
801名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 00:17:16 ID:obfisr2X0
すまん。我が輩はボコである、って
保管されてなかったっけ?
タイトルちがいました?
802名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 00:22:15 ID:JtEVyFIz0
>>800
ラム「あ、アグリアスさん、少し血が出てますよ。
   その傷治すのにおまじないとチャクラとケアル、どれがいいですか?」
アグ「………」
ラム「全部、てのは無しですよ」
アグ「………ポーション口移しで」
803名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 00:31:35 ID:4Hb0ec0D0
皆のアグリアスさんには脳内音声付いてるか?
俺は安藤麻吹なんだけど。
サヴァイヴのメノリがアグリアスさんとしか感じなくなってる程重症だw

君たちのも教えてくれよ。
今のより似合ってたら脳内音声変更するからさ。
804名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 01:32:43 ID:KqSjexga0
>>801
保管されてるよ、俺は作者別のところから行った
千夜一夜のことを言っているならまだだった気がするけど

>>803
声優ネタはたまーに話題になるな、過去ログ検索してみるといいかも
突っ走りすぎると温度差が生まれてしまうから難しい
805名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 01:49:05 ID:JtEVyFIz0
俺などここ10年来アニメなんて見とらんから
最近の女性声優なんざ全く知らん。

共通断末魔の「アー!」でアグたんのデフォルトボイスとして十分クるねw
806名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 02:01:15 ID:cUSAcrti0
「キャー!」の方じゃないのかよw

>>801
>>572のまとめサイト行け
807名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 02:13:31 ID:JtEVyFIz0
>>806
そのつもりで書いたのだが、表記はそちらのほうが相応しいですなw

ラムザの体当たりでアグたんにトドメ刺して悲鳴あげさせるのが最近の密かな楽しみなもので。
808名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 02:13:47 ID:qNxn5G6J0
今FFTが出たら俳優が声を当てるンだろうか
809名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 02:32:09 ID:m9G8hfFE0
ベイオウーフは井上和彦かな
810名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 02:43:06 ID:6oMMGhYt0
いや、山ちゃん
811Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:19:01 ID:UuEjuoLT0
 その日、ラムザ達は儲け話から帰ってきたラッドとラヴィアンの報告を聞いていた。
 今回、ダンジョン探索の儲け話に出発した二人だったが、儲け話自体は困難の末に何とか成功を収めたという。
「あと、嬉しいかどうか判らないがお土産もあるんだよ」
 そう言ってラッドが取り出したのは煉瓦色の革張りが成された一冊の本であった。
 本来表紙に書かれていたであろう題名は煤汚れて判読が出来ない。
 ダンジョンで見つけた物品は、スポンサーである学院が基本的には引き取ることとなっていた。
 しかしラヴィアンが見つけたこの本はその場にいた誰もがどうやっても開けることが出来なかったのである。
 この本は汚れているため判別も不可能、さらには魔力も感じられないということで廃棄処分になりかけていたのを
 ラッドが『捨てるぐらいなら俺らにくれ』と言って、引き取ってきたのだ。
「開かない本か……」
「いや、ウチの隊ならレーゼとかクラウドとか結構な力持ちがいるからどうかと思ったんだけどな。
 もしかしたら値打ち物かも知れないだろ?」
「私は捨てろって反対したんですけどね。ラッドがどうしても試してみたいって言うから……」
「あ、ズリィぞラヴィアン! お前だって『アグリアス様ならもしかして……』って言ってたじゃないか!」
「え、あ、それは言葉の綾って言うかなんて言うか……」
 責任を擦り付け合う二人の横でムスタディオが額に汗を浮かばせながら悪戦苦闘していたが、
 大きく息を吐いて本を放り投げた。
「無理だ。どうやっても開かねえってコレ! いっそ労働八号にでもやらせてみるか?」
「いやいや破けちゃうって。しかし開かない本か……どうしよう?」
 悩むラムザ。火にくべれば燃料にはなるかな、と考え始めたとき、
812Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:19:34 ID:UuEjuoLT0
「ラムザ、明日のアタックチームのことだが……おや、ラッド、ラヴィアン帰ったのか」
 テントに新しい人影が入ってくる。
 パーティの副リーダー・聖騎士アグリアス=オークスである。
 ムスタディオが放り投げた本はちょうど入り口の方に投げられていたので
 アグリアスは足元に落ちていた本を拾い上げた。
「何だ、これは?」
「ああ、俺達が今度の冒険で見つけたものなんだけど、どうしても開かないんだ」
「そうなのか? どれどれ」

 ――パカッ

「「「「ええ!?」」」」
 アレほど苦労して開けようとした物がいとも簡単に開いてしまった。
 狐に摘まれたような顔をしている4人に向かって、呆れたように鼻を鳴らす。
「何か引っかかっていたのではないか?」
「そんな感じじゃなかったけどな……ま、いいや、なんて書いてあるんだ?」
「ええと……『我が名は大魔術士ミンウ。
 ここに……我が……友のため……あの素晴らし……き……日々を……』」
 アグリアスがおかしいと気付いた時にはもう遅かった。
 瞼が重い。それどころか体中に力が入らず、膝をついてしまう。
「アグ……さん」
「早く……を……」
「しっか……ア……様」
 仲間達の声が遠くに聞こえる。
 意識を保とうと思っても、手から零れ落ちる水のようにとりとめもなく消えていく。

「アグリアスさん!」

 アグリアスが意識を失う前に最後に感じたのは
 自分を呼ぶラムザの声としっかりとした腕の感触だけだった。
813Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:20:41 ID:UuEjuoLT0
 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 アグリアスが目を覚ましたのは見慣れない部屋だった。
 宿屋にしては私物が多いような気がする。
 というかそもそも建物の造りが違う。
 少なくともアグリアスが今まで見てきた建築物の中にはこんな造りの物はない。

 これまでの経緯を思い返そうとしてもぼんやりと靄がかかったように思い出せない。
 私は、ええと……

「アグリアスさん! 起きてください! 遅刻してしまいますよ!」

 目を上げるとそこにいたのはラムザであった。
 ただし着ていたのは見たことも無いような黒い服であった。
 絹でもなければ麻でもない不思議な素材で出来たその服はぴっちりとした襟があり、
 袖と胸には金色のボタンが並んでいる。
 見慣れぬ服について聞くべきかと思ったがまず言わなければならないのは――

「そ、そのだなラムザ。如何に貴公といえども女性の寝所に無断ではいるのはどうかと思うのだが?」
「? 何言ってるんですか、アグリアスさん。
 アグリアスさんは朝に弱いから毎日僕が起こしてるじゃないですか」
「え?」
 ラムザの口から出てきた言葉に状況を整理する。
 私はアグリアス=オークス。オークス家の騎士で私は――

≪脳内探査。情報収集開始――終了≫
≪入手情報ニ従イ、情報ノ上書キ開始≫

 そうだ、私は……
814Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:21:19 ID:UuEjuoLT0
「そうだ。私はアグリアス=オークス。私立イヴァリース学園の3年生……
 部活は剣道部。趣味は花占い……」
「? そうですよ。寝ぼけているんですか?」
 ふわふわとした笑みを浮かべる幼馴染のラムザ。
 ラムザのベオルブ家とアグリアスのオークス家は家が隣同士。
 ラムザはそこの三男で、上の二人とはあまり話したことは無いが、
 ラムザとその妹アルマとは昔から遊んでいた。

 ――そうだ。そのはずだ。

 一瞬頭をよぎった違和感を打ち消し、ラムザに微笑みかける。
「ああ、すまない。まだ寝ぼけているようだ。どうも変な夢を見てしまったらしい」
 そう言うとラムザも安心したように微笑む。
「さて、このままだとお前の言うとおり遅刻してしまうな。早く着替えないと……」
 ベッドから体を起こす。
 すると一瞬ラムザの表情が凍りつき、次の瞬間には顔を真っ赤にして明後日の方向を向いてしまった。
 冷静に自分の姿を見下ろしてみる。
 そうだ。春になって暖かくなってきたから昨日はついついシャツ一枚で寝てしまったのだ。
 当然シャツは自分のものな訳だから下半身をカバーできる訳もなく、純白の下着が丸見えになっている。
 血が一気に顔面に上がると次の瞬間には腹の底から声が出ていた。

「で、出て行けーッ!!」
「すみませんでしたーッ!」
 謝りながら、脱兎のごとく駆け出すラムザ。
 深呼吸して心を落ち着かせると、箪笥から制服を取り出す。
 白を基調としたシンプルなデザイン。
(そうだ。これは制服。セーラー服だ。いつも自分が着ているもののはずだ)
 まるで自分に言い聞かせるようにして、セーラー服に袖を通す。
 全身鏡で改めて自身の姿を見てみると、何故か毎日着ているはずのその服が妙に恥ずかしく思えた。
815Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:23:32 ID:UuEjuoLT0
 暖かな春の日差しの中、ラムザと並んで学校への道を歩く。
「それにしても随分と暖かくなってきましたね」
「ああ、そうだな」
 登校路の脇には見事な桜並木が立ち並び、道往く人々の目を楽しませている。
 二人もその例に漏れず、季節の作り出す色彩に見とれていた。
「よーっす、ラムザ、アグリアス姐さん」
 そんな二人に長髪を後ろ手にまとめた少年が朝の挨拶をする。
 ムスタディオ=ブナンザ、ラムザと同じクラスで、自称・ラムザの無二の親友だ。
「あ、おはようムスタディオ」
「あれ? 今日はアルマちゃん一緒じゃねーの?」
「アルマはもう学校へ行ったよ。何でも部活の朝練があるんだって」
「そっかあ、残念だな。そういえば姐さんんトコはそういうのは無いのか?」
「ああ、私はもう三年生だからな。
 それにテストも近いからな。部活動は控えめで行く方針らしい」
「げ。嫌な事思い出させるなよアグ姐さん。な、ラムザ?」
「そろそろ勉強し初めないとまずいんじゃないの」
「チッ優等生め。いいんだよ、俺は一夜漬け派だから」
816Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:24:06 ID:UuEjuoLT0

 ムスタディオを加えて他愛ない話をしながら歩いていると、程なくして校門が見えてくる。
 天に向かって大きく聳え立つ私立イヴァリース学園の校門には、いつも通り生徒会長のメリアドールが背筋を伸ばして立っている。
「おはようラムザ、ムスタディオ、アグリアス」
「おはよう、メリアドール」 
「おう、おはようさん。今日も綺麗だな」
「お世辞言っても無駄よムスタディオ。今度遅刻したら裏山の草刈は免れないわ」
 三者三様の挨拶を交わし、雑談に興じる三人。
 いつもと変わらない朝――だというのに、この違和感は何なのだろう?
 一人だけぼうっとしているアグリアスをメリアドールは不思議そうに見つめる。
「どうしたの彼女?」
「アグリアスさん、何だか今日は変なんだ。今朝変な夢を見たって言ってたけど」
「ふーん、鬼の霍乱ってやつかね? まぁいいや、ラムザ、そろそろ行こうぜ。
 ダーラボン先生が来る前にラッドに漫画を返したいからな」
「じゃあ、アグリアスさん、また」
「……ああ、また後でな」

817Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:24:48 ID:UuEjuoLT0
 ラムザたちと別れ、3階にある自分の教室で授業を受ける。
 一時間目から順にベイオウーフ先生の国語、レーゼ先生の数学、シド先生の歴史、オーラン先生の物理と進み、
 何事もなく昼休みへと移行した。

 学校という空間において、昼休みは閉塞感と開放感を併せ持った独特の雰囲気に包まれる。
 その雰囲気の中、アグリアスは同窓生のラヴィアンとアリシアと共に
 生徒と同じように席を寄せ合って昼食をとっていた。
「……それでムスタディオがベイオ先生とレーゼ先生がホテル街に消えていくのを見たんですって!」
 アリシアが幾分か興奮しながら弁当のから揚げをつつく。
「それ本当なの? この間もクラウドが他校の巨乳美人と歩いてたって噂があったけど
 結局、そんな女性見当たらなかったじゃない」
 対するラヴィアンは冷静な顔で紙パックの牛乳を飲んでいる。
「今度こそ本当よ! って……アグリアス様ボーッとしてどうかしたんですか?」
「いや、今朝変な夢を見てな。どうもぼんやりとしてしまう」
「変な夢? まさかエッチな夢じゃ……」
 アリシアの額に顔を真っ赤にしたアグリアスの手刀が炸裂する。
「痛いですよアグリアス様」
「お前が変な事を言うからだ! 第一私にはそんな相手はいない!」
「ラムザ君がいらっしゃるじゃないですか」
 当たり前の事実を確認するようにラヴィアンが言う。
「私とラムザはそんな関係ではない!」
「じゃあどんな関係なんです? 毎朝起こしに来る幼馴染なんて答えはなしですよ?
 そんな関係、『それ何てエロゲ?』って話ですよ」
 “えろげ”なるものが何なのかアグリアスには見当もつかなかったが、馬鹿にされているのだけはわかった。
 いいだろう。この機会にこの二人にもこれ以上誤解を生まぬようにしっかりと言っておかねば。
「私はラムザに剣を――」
818Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:25:19 ID:UuEjuoLT0

≪エラー削除≫

「私はラムザに――何なんです?」
 何を言おうとしたのか、言葉に詰まる。
 ど忘れとは違う。言うべき言葉を消されてしまったような、そんな違和感。
 だがアリシアはその沈黙を別の意味にとったようで大きくため息をついた。
「そんな暢気な事言ってたらラムザ君ラファに盗られちゃいますよ」
「――ラファ?」
「ラファですよラファ。知ってるでしょう? 4組のマラークの妹さんで天文部の」
「1年の中でアルマちゃんと人気を二分してるって噂ですし」
「生徒会長のメリアドールさんもラムザ君のことを気にかけてるって噂もあるらしいですし」
「ぼやぼやしてると他の人に“ハートを盗む”されてしまいますよ」
 好き勝手言うラヴィアンとアリシア。
「ラムザは――そうだ、言うなれば弟みたいなものだ。
 お前達が想像しているようなことは何も――なんだお前達。
 その子供を見守る母親のような眼差しは!」
「そんなことないですよ〜。ね、ラヴィアン」
「ええ、そんなことはありませんとも。あ、噂をすれば」
 ラヴィアンが指差す先にいるのはラムザであった。
 何故か心持ち緊張したような顔つきをしている
「どうしたラムザ。三年の教室に何か用か?」
「あの……その……今日、放課後はお暇ですか?」
「ああ、部活も今日は早く終わるしな。それでどうした?」
「あ、あの……部活が終わったら校舎裏に来ていただけませんか?」
「? かまわないが」
「ぼ、僕待ってますから!」
 そういって踵を返すラムザ。
 訳がわからないが、そういうのならきっと重要な用なのだろう。
 振り向くと二人がニヤニヤと笑っていたので、とりあえず手刀を叩き込んでおいた。
819Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:26:26 ID:UuEjuoLT0
 五時間目のガフガリオンの体育、6時間目のダーラボン先生の倫理
(体育とのコンボは通称“夢邪睡符”と呼ばれ、恐れられている)が終わり、
 シド先生の指導の下、剣道部が終わったときには殆ど日も暮れかけていた。
 放課後の校舎裏。人気のないそこにラムザとアグリアスの姿はあった。

「どうしたんだ。わざわざ呼び出して」
「二人っきりで伝えたいことがあったんです」

 夕日のせいか、いつもは幼く見えるラムザの顔が大人びて見える。
 そういえば同じぐらいだと思っていた身長もいつの間にか追い越されて、
 アグリアスが少し見上げる形になっている。
 そんな何でもないことなのに何故か気になったのはラムザの持つ雰囲気がいつもと違うせいだろうか。
 口を開けばこの世界が壊れてしまう様な、そんな気まずい沈黙が数秒続いた後、
 意を決したラムザが口を開いた。

「好きです、アグリアスさん。僕と付き合ってください」

 一瞬、世界が止まった。
 次第に綿に水が染み渡るようにその言葉がアグリアスの中で理解されるまで数秒を要した。
 そして理解した瞬間、アグリアスの思考は爆発した。
(ちょ、ちょっと待て!? ラムザが私を――?
 そんな馬鹿な。ありえない。でも事実私は告白されている訳で。
 こ、告白!? そんな馬鹿な。考えられない。私は自分で言うのも何だが武門一辺倒の堅物だ。
 女性らしいところなど皆無で――そんな私にラムザが惚れるなど。
 ほ、惚れる!? 私などに私などに――)
820Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:27:13 ID:UuEjuoLT0
「じょ、冗談はよせ」
 爆発する思考の渦の中で搾り出せたのはそれだけだった。
 あるいはそれがアグリアスにとっての最後の防壁だったのかもしれない。
 冗談であればいつも通りの気安い関係でいられるのだ、という。
「僕は本気です。僕は本気でアグリアスさんのことが好きなんです」
 強甲破点突き。あっさりと最終防壁は破られる。
 真っ直ぐに瞳を見据えられたアグリアスの混乱は一層加速する。
「聞かせて欲しいんです。アグリアスさんは僕のことをどう思っているのかを」
 迫力に押されて、一歩引いてしまうアグリアス。
 だが見た目に反して強い力で引き寄せられる。
「頼りない弟としてしか見れませんか? それとも一人の男として見てくれますか?」
「わ、私は――」

 アグリアスが答えを言わんとしたその時であった。
『しっかりしてください、アグリアスさん!』
 掴まれた腕の感触から突然、脳裏に音と映像がフラッシュバックした。
 驚いているムスタディオ
 呆気にとられいてるラッド
 泣きそうなラヴィアン
 そして、真剣な顔をしているラムザ。
 みんな制服を着ていない。マントにローブ、鎧といった戦姿だ。
 どうしてそんな格好をしているのだろう。
 いや、違う。私にとってはこの世界こそ異常なのだ。
821Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:28:27 ID:UuEjuoLT0
『アグ…リ…ス…ん』
 目の前のラムザの声が遠い。代わりに聞こえるのは労働八号のような奇妙な響きを持った声であった。

≪危険。危険。危険。エラー削除。エラー削除。エラー削除≫

 今や明るかった世界は歪み、耳には訳の判らない言葉が響く。
 口に出そうとした違和感は片っ端から削られ、思考が泥のようなものに囚われる。
 確かなものなど何一つない世界で、唯一つ、この世界が幻想だという確信だけが心を満たしていた。

≪危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険危険≫
≪エラー削除エラー削除エラー削除エラー削除エラー削除エラー削除エラー削除エラー削除エラー削除≫

「――五月蝿い、黙れ雑音!」
 聴覚を支配するノイズじみた声を一喝し、心を静める。
 もはや記憶の大半は削り取られ、自分が誰なのかも判らなくなってきている。
 ならば、いっそ思考を空にする。
 心さえ削られるのならば、その心を空にしろ。
 空洞になった体は最も慣れた行動をとる。
 アグリアスにとってそれは即ち剣を構えることである。
 いつの間にかその右手には鈍い光を放つ騎士剣が握られている。
 耳障りなノイズはもはや耳には届かない。
 アグリアスは剣を大きく振りかぶると、

「幻よ、消え失せるがいいッ!」

 振り下ろした剣から放たれた閃光が“世界”を切り裂いた。
822Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:28:59 ID:UuEjuoLT0
 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「これは安楽死用の本らしいな」

 パーティー1の識者である召喚士イングラムが本を調べながらそう言った。 
 現実世界に帰還したアグリアスが最初に見たのは憔悴したラヴィアンの顔だった。
 現実の世界で、気を失ってから丸一日が経過していたらしい。
 アグリアスは自分のテントの中で毛布に包まっていた。
 あのあと『自分のせいでアグリアス様が』と半泣きのラヴィアンを
 ラッドとアリシアがなだめながら、ラムザがアグリアスを別のテントまで連れてきて休ませたのだという。
 今までずっとそばについていたラヴィアンはアグリアスが目を覚まして気が抜けたのか、
 今は別のテントで休んでいる。
 そうして今このテントの中にはラムザ、ムスタディオ、イングラムの三人がいるのであった。

「この本に書いてあった物語に読んだ者の身近な人物を投影させ、
 安楽な夢を見させながらあの世へと連れて行くシロモノのようだ」
「おいおい、そんな物騒なもん読んでお前は大丈夫なのか?」
「ああ、残念ながらこの罠は一度こっきりのもののようだ。
 文字もすべて消えて読めないよ」

 イングラムの言うとおり、本に書かれていたはずの文字はすべて消え去り、帳面のようになっている。
 ムスタディオは本を受け取ると不思議そうに何度も見返している。
823Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:29:42 ID:UuEjuoLT0
「それにしても何でアグリアスさんだけがこの本を開けれたんだろう?」
「こればかりは憶測の域を出ないが、俺はこの本を必要とした人間と何か共通点があったんじゃないか、と考える。
 指紋か声か……もしかしたら気付かない内に何らかの手順を踏んでいた可能性だってある。
 まぁ、結局は判らないということだ」
「それにしても古代と現代の文明は大分違うものといわれてるけど、『これは夢だ』って気づかないものなのかな」
「ラムザ、君は夢というものを見たことがあるか?」
 ラムザは首肯する。
「夢というものは見るものの願望などが自動的に加味されて、
 都合のいいように意識が修正されていくものだ。
 よほど大きな違和感が無い限り、それが夢だと気づくことは無い」
「しかしアグリアス姐さんは僅かな違和感を見破り、無事生還したというわけだ」
「そういうことだ。流石我らが副隊長といったところだな」

 そういって笑いあうムスタディオとイングラム。
 その二人から視線を外すと固まっているアグリアスがラムザの目に飛び込んできた。

「……アグリアスさん?」

 問いかけても反応が無い。その目はここではないどこか遠いところを見ているようであった。
 心配になったラムザは覗き込むと再び声をかける。
824Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:30:43 ID:UuEjuoLT0
「大丈夫ですかアグリアスさん?」
 するとアグリアスは顔を耳まで真っ赤に染め、
「な、何でもない!」
 と言って毛布を頭から被ってしまった。
 そんなアグリアスの態度に首を傾げるラムザ達。
 先ほどからイングラムが知的好奇心から夢の内容を聞きたがっているが一向に話さないのと関係があるのだろうか?
 そんな取り留めのない思考に囚われそうになった時、イングラムが外を見て立ち上がる。
「おや、そろそろ俺は見張り交代の時間だ。ラムザ達もアグリアスを休ませてやれよ」
「そうだな。じゃあなアグリアス姐さん、大人しくしてろよ!」
「今日は大事をとって寝ててくださいね。アグリアスさんの分は僕達がやっておきますから」
 そう言い残し、ラムザ達がテントから出て行ったあともアグリアスは毛布の中から顔を出せないでいた。

 一人になった馬車の中で幻想をリフレインする。

『好きですよ、アグリアスさん。僕と付き合ってください』

 先ほどイングラムが言った言葉が確かなら、あの言葉は自身の内なる願望だというのだろうか。
 だとしたら、
825Feeling Hearts:2006/01/29(日) 03:31:39 ID:UuEjuoLT0
『――私は、』

 あの時私は何と答えようとしたのだろう。
 弟としてしか見れないと言うつもりだったのか、それとも―― 

『大丈夫ですかアグリアスさん』

 意識の中でラムザの声が反響する。
 先ほど覗き込まれたとき、夕日に照らされたラムザの顔は
 幻想の中のそれと寸分も違わず、思わず顔をそらしてしまった。
 真鍮色の瞳。幼さを残した精悍な顔。剣を預けるに足る気高き意思。
 そして――自分を支えた力強い腕。
 今まで意識していなかったラムザの男の部分が思い返され、
 アグリアスは訳もなく胸が締め付けられるのを感じた。

(私は……ラムザのことを……)

 アグリアスは毛布をきつく握り締め、それ以上考えないようにした。
826Feeling Hearts:あとがき:2006/01/29(日) 03:34:40 ID:UuEjuoLT0
どうも、以前『或る女戦士』を投下したものです。
言い訳はしません。
ただ、セーラー服のアグリアスさんが書きたかったとです。
前回より調子乗って色々やってしまった感はありますが読んでいただけると幸いです。

そういえばそろそろコテ&トリつけた方がいいですかね?
827名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 05:47:35 ID:RzwNCh+Y0
G---OOD JYOBUDESUお疲れ様でした。セーラー服のアグ様をこんなに自然な形で見せてくれるとは
828名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 12:19:43 ID:eo15CXlT0
チョップするアグを見て誰か「モルスァ」とか言わないかとヒヤヒヤした。
829名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 12:45:10 ID:2LZ5Czrm0
文書ける人はいいなあ。GJ!

>>803
アグリアスは河村万梨阿、ラムザは緒方恵美ってイメージがある。



830名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 14:32:50 ID:6ZvAJKNM0
>>803
冬馬由美。VPのレナスとイメージが重なる。
831名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 16:33:31 ID:ol9loUUI0
ダイスダーグ=磯部勉  ザルバック=大塚明夫  ウィーグラフ=池上秀一
ヴォルマフル=銀河万丈 バルク=野沢那智    ローファル=中田譲治
エルムドア=速水奨   ガフガリオン=若本規夫 オルランドゥ=阪脩
アルガス=檜山修之   オーラン=井上和彦   バルバネス=羽佐間道夫 
野郎ばっか浮かんでアグリアスが出てきません。どうしましょう
832名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 16:57:03 ID:oGRzOvH50
アルガス「貴族の力を舐めるなよ!」
833名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 21:43:23 ID:m9G8hfFE0
>>826
GJ!

霍乱てああいう字書くんだ……
834名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 22:39:55 ID:O2AqJNj30
皆はラムザの誕生日どう決めてるか知らないけど、
デフォの1/1にすると山羊座になってアグリアスの蟹座と最高の相性になるんだよな。
やっぱ運命じみたものがあるんだなぁ、と勝手に思ってる。
ムスタディオとは相性が最悪だった気がする。
どうりで初めて会った時にアグが怒鳴ったワケだ。

因みに俺自身はアグと同じ蟹座で、アグとは相性が悪かった気がする…。
イヴァリース暦に直した事は無いからそっちは判らんが。
835名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 22:43:33 ID:gjsXQeXX0
俺も蟹座じゃけえのお
836名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 23:04:47 ID:9CZ6G8680
>>831
マジレスしてみる。
野沢那智は自分的にはラーグ公だったんだが。
ガフの若本氏、オーラン井上はかっこ良すぎる気もする。 が全体的にいい感じ。
若い女の声優はだれがやってもおんなじなんで(失礼)女性キャラはどうでもよい。
もちろんアグ姉さんは特別と言いたいが、実際は誰がやっても大差ないだろう。
アホ毛みたいな優男も興味ない。 関や保志や森久保、あたりの雑魚から適当に選べばよし。






837名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 23:05:06 ID:JtEVyFIz0
初プレイ時は普通に自分の誕生日でやっていたが、
デフォが相性最高と知った2回目プレイ以降は常にそれだな。
チャクラの掛け合いすると効果の違いが如実に出るしな。
これならラム&アグ二人のみ出撃プレイも楽になる。
838名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 23:20:29 ID:m9G8hfFE0
16歳のラムザはガキ声で今井由香あたりとか。
839名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/29(日) 23:41:25 ID:C7SdDV4G0
某黒本に載っていたラムザの誕生日はどっから出てきたのだろう。
設定的にはあっちが正しいのか?
840名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 00:04:58 ID:HIkC8obO0
>>803
遅レスだがかなり同意。
メノリ様の中途半端に役に立たなさっぷりもアグリアスさんとかぶるw
841名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 02:02:51 ID:Udvuc/rf0
>>839
あれがデフォ誕生日(1月1日)。
842名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 02:14:33 ID:evjkDi4r0
デフォっていうか
普通誕生日入力は1/1から始まるんじゃね?
1/1を入れるとたまたま磨カツになるようにしてあるだけであって(まあそれが確信犯って言われてる訳だけど)
公式の誕生日はまた別にある気がする、でも無いんだろうな
843名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 04:39:05 ID:F1laaz2I0
つまり何も考えなくともアグリアスさんと
相性が良くなるようにできている、と
844名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 05:16:24 ID:JAzI8uBJ0
ときにラトームさんが顔を見せたようだけど、千夜一夜復活したら今のまとめサイトはどうするの?
845名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 05:35:55 ID:UYj04bJb0
ラムザの誕生日って
デフォルトの磨羯の月の10日だと
アルマの妊娠期間が7ヶ月になるな…
ゲーム開始直後が白羊の月の1日で
この時ラムザ16歳、アルマ15歳だから
矛盾が起こらない誕生日は
白羊の月2日〜処女の月の中旬だな
846名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 05:41:55 ID:UYj04bJb0
アルマの妊娠期間が7ヶ月って言葉が変だな…
妊娠7ヶ月でアルマが生まれたと脳内変換してくれ
847名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 08:35:12 ID:4Pla9d4R0
腹違い?
848名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 09:13:33 ID:KwhwcKc90
早産とか。

>>844
一度顔を見せただけで更新はほとんど動いてないから、千一夜が
きっちり動き出してから考えればいいんじゃないかな。
なんかラトームさんまたフェードアウトしそうな気配だし……。
849名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 09:33:08 ID:CcJLbGuh0
ツンデレ聖騎士アグリアス
850名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 10:29:36 ID:7Mzz0h2h0
>>845
アルマは腹違いじゃ無かったか?
851名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 10:41:19 ID:fMTbEyYZ0
>>850
「ラムザの妹。長兄、次兄とは腹違い」ってのが公式設定
852名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 11:36:28 ID:evjkDi4r0
ダイ、ザル母
ラムザ母
アルマ母
の三人がいてもおかしくね?本編で二人しかいないって限定されてたっけ
信じられる肉親はアルマだけって言ってたけど
年が近いから信じられるって言う意味かも知れんし
853名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 13:01:09 ID:mzb/bWar0
あるいは事故か病気かなんかで早産とか?帝王切開ってかなり昔からあったみたいだし、
その影響で母親が早死にとか。
854名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 14:06:10 ID:KEbBRrhh0
あーるまのむっねーはでっかいぞーう☆
855572:2006/01/30(月) 14:12:34 ID:2bDO09Ho0
>>844
時期を見て消すよ。
もともと千一夜の補完のつもりだったから。

ラムザとアルマは母親が同じなのかと思ってた。
856名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 15:57:03 ID:gfU/Z1n40
進めかたによったらアルマとラムザが同い年になるんで、ラムザ母とアルマ母は違うというのが俺設定
ベオルブ家で二人だけがアルテマ使えるから、母親は同じ。と、言われたら俺は何も返せんがなw

やっぱりラムザはアグたんと相性最高の磨羯がいいね
俺の誕生日が磨羯よかったw
857名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 16:15:33 ID:h2c8/6470
「ラムザの妹。長兄、次兄とは腹違い。」

まあ、この文章から普通に考えて
ラムザとは同腹だわな
もし兄弟全員と腹違いならそう書くだろうし
ラムザの妹、とわざわざラムザだけ強調されてるのは
実妹ってことを言いたいんだろう
858名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 18:14:29 ID:F1laaz2I0
同腹であろうが異腹であろうが兄貴しか眼中にないのが
アルマクオリティ。

アグたんよ、最大のライバルは小姑だぞ、と
859名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 19:21:17 ID:KEbBRrhh0
アグたんの布団の中に入ってクンクンスーハ−したいのー
860名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 19:31:04 ID:3430GTKz0
ラムザのプリケツを狙ってるのは結局何人いるんだ?
861名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 20:21:48 ID:OR0CvsbQ0
そんなときは「風雲!尻相撲祭り・異端者カップ―お前と私でお尻合い―」を開催すればいいんだよ。
トーナメントで尻相撲を行い、
最強の尻の持ち主たる優勝者には晴れてラムザのプリケツが進呈される。

服装は当然マワシ(さすがに女子はTシャツとスパッツの上から着用)

MOVE値の低さから伺える低重心と回避値の高さを持つアグリアスはもちろん優勝候補。
問題は「ラムザのププププリケツが欲しいなどと、私はそのような…ッ!!」などと
己の欲望に素直になりきれぬメンタル面にある。
覚悟さえ定まれば鬼のような強さを発揮するのであろうが、そこに至るまでが鍵かと。
862名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 20:25:40 ID:3430GTKz0
アグさんとドンケツ相撲…(*´Д`)'`ァ'`ァ
863名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 22:11:13 ID:bF8fTosO0
馬鹿な……。
9本尻尾のアグリアス様に尻相撲で勝てるものなど、
地上にも地底にもおらぬわ!
864名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 22:13:18 ID:3430GTKz0
アグさんにふさふさ尻尾…(*´Д`)'`ァ'`ァ
865名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 01:41:27 ID:n3OAjpEZ0
>>811じゃないがなんか学園ものってあったような気がするんだが
タイトルわかる人いませんか?
866名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 02:25:57 ID:u2n8s5MD0
どっかでイヴァリース学園だかを見た気がするが・・・ググっても見つからない
ってコトは俺の勘違いだったか・・・

しかし、FF12のおかげで検索が面倒になった。「イヴァリース」でググったら35000件だってよ・・・
867名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 02:49:16 ID:1mqu+/6C0
>>865-866
http://fftonly.s53.xrea.com/bbs/index.html
ここのSS投稿所(健全&18禁共に)にあるブツだな。
正直>1のリンクはたいがいここのページから行けるんで、俺はこのURLをブクマしてる。
868名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 03:16:34 ID:xfBjBE920
869名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 06:00:11 ID:Bv6Ao9Fe0
久しぶりにFFTやったんだが…アグリアス…何この萌えキャラ
870名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 06:56:07 ID:tPhks2EeO
Tスタッフはまさかこんなに祭り上げられるキャラになるとは思わなかっただろう
871「拳士」ラムザ 1/7:2006/01/31(火) 06:58:08 ID:uRv6MRY00
 異端者一行の旅は過酷なものであった。いかに戦力が充実していったとしても、その道中は
ルカヴィのみならず、教会の尖兵や野生のモンスターの脅威にさらされている。
 貿易都市ザーギドスへ向かう途中のフィナス河にて、この日も一行は赤チョコボをはじめとする
モンスターの群れの襲撃を受けていた。

 「ムスタディオは赤チョコボの足を止めて! アグリアスさんはアリシアさんと黒チョコボの
相手をお願いします!」

 戦場にラムザの指示が飛ぶ。チョコメテオの間合いの外からムスタディオが狙撃し、比較的足の遅い
黒チョコボに、忍者にジョブチェンジしたアリシアと攻撃力に長けたアグリアスが向かう。
 アグリアスの剣が舞い、行く手を阻むチョコボを切り崩しながら黒チョコボに迫る。先行していた
アリシアがチョコボールをかわしざまに二刀流の斬撃を加え、黒チョコボの脚が崩れた矢先に、遠間から
聖剣技の閃光が手負いの獣を圧し潰した。

 「ラムザ、そっちは!?」

 ムスタディオの狙撃により、赤チョコボの最大の武器ともいえるスピードは封じられていた。ラムザは
雄叫びをあげると、チョコメテオの届かないギリギリの間合いから瞬時に距離を縮め、赤チョコボの懐に
潜り込んだ。その様を目で追っていたアグリアスが一つ瞬きを終えたときには、赤チョコボの喉はラムザに
貫かれていた────

 「ああ……」

 アグリアスは嘆息した。申し分のない、完璧な戦いぶりだと思う。ラムザが傭兵であった頃から剣術を
指導し、ガフガリオンに代わって戦闘のいろはを教授してきた身としては、云わば「弟子」の成長
この上なく嬉しいもののはずである。
 しかし、それでもアグリアスの中に、何とも言い難いもやもやとした気持ちが引っかかって晴れないのには
理由があった。それも、すぐ目の前の、ラムザの手首からその先に。
 赤チョコボの頚椎を貫いていたのは白刃ではなかった。鋭い切っ先の代わりにその先端を覗かせていたのは、
刃に勝るとも劣らぬ鋭さを匂わせるラムザの指先であった。ぐぷ、と音を立て、血に塗れた拳を抜くと同時に
赤チョコボは絶命して横転した。
872「拳士」ラムザ 2 /7:2006/01/31(火) 06:59:07 ID:uRv6MRY00
「僕、こっちの方が向いてるのかもしれません」

 ラムザがはにかんでアグリアスにそう言ったのは、モンクにジョブチェンジして最初の戦闘を終えた後だった。
軍資の節約のため、隊の何名かは常時、装備品のコストの低いモンクにチェンジすることにしようと言い出した
のはアグリアスであったのだが、固有アビリティの強力なオルランドゥ伯やアグリアスらは初めから候補より
除外されていたし、ラヴィアンやアリシアといった女性陣は素手で戦うことに強い抵抗を示し、ラムザに直訴
してまで候補から抜けようとする有様であったため、実質モンク候補の該当者はラッドと、そしてラムザくらいの
ものであった。
 ラムザに剣を教えてきたアグリアスとしては、ラムザをモンクにするのはあまりいただけないことであったが、
言いだしっぺが自分であるということと、ラムザにこんなことを言われたのでは、表立って反対することも
できなかった。それでも、控えめに口を出したりはしていたのだが。
 そうして、「拳士」ラムザは誕生した。才能か血統か、ラムザは幾多の戦闘の中でめきめきと強くなっていき、
忍者にジョブチェンジできるようになってからは、前衛メンバーの中でも最強の攻撃力を誇っていた。
 こうして結果もついてくるものだから、ますますアグリアスに反対する理由は見つからない。今日も今日とて
ミノタウロスを薙ぎ倒すラムザの細腕を見つめて、アグリアスは嘆息するのだった。
873「拳士」ラムザ 3 /7:2006/01/31(火) 06:59:54 ID:uRv6MRY00
 ザーギドスの宿に到着した一行は、束の間の解放感を堪能するべく思い思いに振舞っていた。アグリアスも
自分に充てられた部屋に荷を降ろすと、昼食をとろうと食堂に向かった。
 食堂の入り口に差し掛かると、中から聞きなれた声がアグリアスの耳に入ってきた。
 ラヴィアンとアリシアであった。

 「ラヴィアンはいいわよね、黒魔道士で魔法使ってればMP回復してもらえるんだから。私なんて忍者やってる
から、直接ダメージ受けないと回復してもらえないもの。HPも低いからヘタしたら蘇生なんて受けることになったり
するしー」

 「特権よね。でも、あんな格好するくらいだからそれくらいの役得があってもいいと思うわ」

 (何の話をしてるんだ……?)

 アグリアスは気に留めつつ、食堂の中へ入っていった。

 「あ、隊長」

 「隊長もこれから昼食ですか?」

 肯いて、二人の着いているテーブルに同卓する。

 「ところで、二人ともさっきは何の話をしていたんだ?」

 ぶしつけに聞く。立ち聞きをしていたことへの悪気など、微塵も見せない潔さがこの隊長の良い点であり欠点だと
二人の部下はいつも口を揃えて言う。無論、当人の耳には入らぬように。
 そしてまたこのときも同じことを思いつつ、それでも諦めを悟っている二人は、どちらからともなく口を開いた。

 「チャクラの話をしていたんですよ」
874「拳士」ラムザ 4/7:2006/01/31(火) 07:00:50 ID:uRv6MRY00
 「チャクラ?」

 今更チャクラの説明もないだろう。ハイトの条件こそあるが、無償の回復手段で常に重宝されているアレだ。
 そのチャクラがどうしたのだ、と言わんばかりに、アグリアスの表情にはクエスチョンマークが張り付いている。勿論
アグリアスもチャクラを受けたことはある。体内のツボに「気」を流し込まれると、疲労していた肉体が活性化する
アレだと、真面目なアグリアスはチュートリアルそのままに記憶している。

 「あれ? 隊長、もしかしてまだラムザさんのチャクラ、受けたことないんですか?」

 「もったいない……これまでの人生の三割は損してますよー」

 何をばかなとアグリアスは鼻で笑ったが、「ねー」と顔を見合わせて頬を染めている部下たちの姿を見ていると、
興味を持たざるをえないのが人情なわけで。

 「それで、どうだというのだ。ラムザのチャクラは」

 喰いついた! と言わんばかりに、アリシアの唇の端がつりあがり、ラヴィアンは両手を頬にあて、いやんいやんと
首を振っている。ラヴィアンはともかくとして、アリシアの意味ありげな笑みにアグリアスは気がついていない。
 どんな状況でも楽しめるのならそうしてしまえというアリシアの機転は、またここに成功を収めるのだった。
875「拳士」ラムザ 5/7:2006/01/31(火) 07:01:59 ID:uRv6MRY00
 「は? チャクラ、ですか?」

 「う、うむ。最近少しばかり疲労がたまっているようなのでな……無論、ラムザさえよければ、だが」

 「百聞は一見にしかず、です!」と異国の諺をもって促されたアグリアスは、部下たちに背中を押されるままに
ラムザの部屋の前に連れてこられた。まったく強引な、と小さく不平を漏らしたが、プライベートでラムザに会いに
行ける理由を作ってくれたことには素直に感謝することにした。こちらも、口には出さないが。

 「とんでもない、むしろ嬉しいんですよ。アグリアスさん、僕が格闘で戦ってるのに反対みたいでしたから。こうして
頼りにされるのは、認められたみたいで男冥利につきるってものです」

 ラムザがまた満面の笑顔でそう言うものだから、アグリアスは複雑な気持ちになってしまう。それでも

 「それじゃあ、始めましょうか。今日は戦闘中でもないですし、じっくり腰を据えてできそうです。そこのベッドに
うつ伏せになって寝てください」

 これから受けるラムザの「診療」に期待八割不安二割で、アグリアスは言われるがまま、ラムザに背を晒した。

 「肩の力を抜いてください、さて、いきますよ……」

 そうしてラムザは「気」を集中させた指先を、アグリアスの腰にゆっくりと下ろしていった。
876「拳士」ラムザ 6/7:2006/01/31(火) 07:14:35 ID:uRv6MRY00
 「ひあんっ!」

 アグリアスの体が、まるで電流を流されたように跳ね上がった。

 「くすぐったいですか? でも、少し我慢してくださいね。すぐに気持ちよくなってくるはずですから」

 「いいいいいやそんなこと言われても、もう十分すぎるほど気持ちいいのだが……んはぁっ!」

 びくびくと震えるアグリアスの腰を、肩を、背筋を、ラムザの端正な指が縦横無尽に蹂躙してゆく。ただの指圧では
ないことは理解できるのだが、それでも経験上、ここまでの快感は異常だ。自分が感じやすい体質なのかなどとは
考えたこともないアグリアスだったが、ラヴィアンとアリシアの言っていたことの意味は十分すぎるほど理解できた。
 そんな折、ふとラムザの指がアグリアスの体から離れた。安堵二割と、もうおしまいなのかという不安八割で、
少し涙目になって振り向くと、ラムザの腕が肩へ伸ばされていて、そのまま抱き起こされてしまった。

 「こっちの方もしちゃいますけど、嫌だったら止めるので、言ってくださいね」

 「こっちの方」が何を意味するのか思いつく間がアグリアスに与えられる間もなく、肩越しにラムザの指が伸びてきた。

 「ひぃっ、ひゃああっ! ラララムザ、そこはッ! ひぃん!」

 ラムザの指が触れたのは、鎖骨の下方部。平たく言えば、アグリアスの乳房の付け根であった。
 腕の中で嬌声をあげて身悶えるアグリアスに

 「嫌ですか? やっぱりやめましょうか……」

 などと言い出すほどラムザも野暮ではない。逆にラムザはアグリアスが喜んでくれていると思い込み、それはけして
間違いではないのだが、なおのこと熱心に指先を振るうのだった。
 付け根から乳房の下方へ、そして腹部へ。大切なところには触れないように気遣いながら、ラムザはアグリアスの
嬌声のリズムを狂わせることなく、まるでピアノを弾くようにその指を走らせた。
877「拳士」ラムザ 7/7:2006/01/31(火) 07:15:42 ID:uRv6MRY00
 どのくらいの時が流れていたのだろうか。ラムザが楽曲を弾き終えたときには、アグリアスは目も虚ろに仰向けになり
天井を見上げていた。少し経って、思考力が回復してくると、戦闘中こんなものを受けた日にはまともに戦うことも
できぬだろうと思い、ふっと笑ってしまった。
 体の調子は良好だった。疲れがたまっていたのは本当だったが、それもきれいさっぱりなくなっていた。
 脇には、満足そうに微笑んでいるラムザがいた。その笑顔がふいにアグリアスの中で、先刻のラヴィアンとアリシアの
紅潮した顔と重なり、彼女の可愛らしい嫉妬心に火をつけてしまった。

 「痛ッ! 何するんですかアグリアスさん!」

 無意識のうちに、アグリアスの指はラムザの尻をつねっていた。
 アグリアスは身を起こすと、頬を染めながらも、きっと目じりを吊り上げてラムザを睨み据えて

 「やっぱり私は、お前が剣を捨てるのには反対だからなッ!」

 裏返り気味の声でそう言い放って、ぴっときびすを返してラムザの部屋から出て行った。
 ぽかんと口を開けてその様を見ていたラムザは、日がな一日「やっぱりやりすぎたのかな」と困惑するのだった。野暮
ではなかったが、少し鈍感であることは否めなかった。


 自室に戻ったアグリアスは、アリシアら娘たちに対する嫉妬心と、ラムザのチャクラとを天秤にかけて悶えていた。
この日からアグリアスは、昨日までとは違う意味で「拳士」ラムザについて複雑な思いを巡らせることになるのだった。
878名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 07:18:03 ID:Z2WqkJo90
GJです
アグさんは毎日チャクラをねだるようになるのでしょうか
879「拳士」ラムザ:2006/01/31(火) 07:18:16 ID:uRv6MRY00
上のほうで「ラムザ=モンク」って話題が出てたので、脳汁垂れ流してみた。
後悔はしていない。
締まりが悪いのも妄想ゆえキニシナイ
880名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 08:01:03 ID:qw+83Wkz0
容量的にそろそろヤバイのでどなたか次スレを…
881名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 09:32:43 ID:pC4H5OuZ0
500kbくらいまでは平気じゃね?
しかし容量危ないだなんて、嬉しいなあ
882名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 11:35:18 ID:Xb7VumuK0
容量足りないって
別にAAスレでもないのに・・・・・

す  げ  え
883名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 13:07:51 ID:2sIW5EBW0
次スレ用意したよー。長編SSを書きたい職人さんとかがドキドキしてもいかんかなと。
SSまとめサイトもリンクしておいた。
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1138680183/l50
884名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 14:28:21 ID:XBPfrdeK0
1000いかずに次スレってアグスレの歴史の中でも初めてじゃないか?
885名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 14:50:21 ID:pC4H5OuZ0
SSの量が尋常じゃないもんなあ……

行く人氏のポロリは言うまでもなく、ふみんしょさんも平均20レス以上のを三本、
モトベさんや或る女戦士の名無しさんとかも結構長い。
数えてみたら、合計228レスがSSだった。凄すぎ(´・ω・`)
886名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 15:14:56 ID:VJaqyK3p0
新しい人が入ってくる一方で、来なくなった職人さんもいるな……
もみーさんのSSをいつかまた読みたい。
887名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 15:29:12 ID:1mqu+/6C0
>>879
GJです。
ちょうど北斗の拳読みふけった後にSS読んだので、
ラムザの顔に原哲夫補正が脳内でかかりまくって大変だったw
確かにゲーム序盤は、ラムザは戦技をいくつか付けたモンクにすると大活躍してくれて実に重宝。

>>886
もみ氏は以前サイトでも「一ヶ月海外出張に行ってました」なんてあるくらいだから、
年々忙しくなってしまってるのはしょうがないんじゃないかな。
888名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 15:34:38 ID:fFPLx8Qr0
900が立てるということで。
長編SS来たらそれまでに埋まるかもだけどw
889名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 15:36:28 ID:CkcUiqZK0
もう立ってるっつーの
890名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 16:59:09 ID:2sIW5EBW0
>>879
面白かったです。
戦場であんなに時間かけてチャクラかけてんのか、やるなラムザ。
891名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 17:12:24 ID:amRg3TIu0
>>871
GJ! こう短くて若干エロスな話ってのはいいよね
892名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 17:16:33 ID:xfBjBE920
>>879
面白かった。

「挙士ラムザ」を見たとき「ラムザは2chに書き込むとき必ずageるのか」
と思った俺は逝ってよしですか。
893名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 17:55:18 ID:pC4H5OuZ0
ところで誰か、これ買った奴いる?
ttp://www.dmm.co.jp/digital/doujin/-/detail/=/shop=doujin/cid=d_009387
894名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 19:04:04 ID:Xb7VumuK0
埋め上げ
895名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 19:49:13 ID:nev39YtB0
 /Hヽ
( 0M0) finish
896名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 21:07:09 ID:efkoJSFxO
そうは言うがな、ダディャーナザン
897803:2006/01/31(火) 23:23:22 ID:BFLy1yJD0
以前メノリがアグリアスさんに感じるって書いた者だけど、
他にもナウシカのクシャナやベルバラのオスカルでも感じるんだよね。
オスカルはイメージカラーも同じだし。ナウシカはま〜た今度TV放送するらしいね。
本当はゲームで本物のアグ分を補うのが良いんだけど、
その為にプレイし直すのは手軽じゃないし、かじり程度にやっても味気無いし。
だもんでここを含めた色々な所でアグ分補充してるんだけどw
結構、俺みたいな人も居るんじゃないかな?とワケ無く思ってみた。

ここのSS読んでると映像で見たくなるな。同人誌とかで。
本はいいよな。手軽にアグ分補えそうで。なんか良いのが欲しいトコだね。
…一冊も持ってないけど。
898名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 23:29:23 ID:BFLy1yJD0
イメージカラーと言えば、Fateのセイバーも同じだな。
でもあっちにはアグリアスを感じ無かった。
むしろ、見た目だけでアグ分を探してる時に、
セイバーが目に入ってくると邪魔になるw

Fateは全く知らないから何とも言えんが。
899名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/31(火) 23:39:15 ID:I8pm5LNk0
>>897
このスレの職人さんが数人集まって小説本を作ったのは知ってるか?
900名前が無い@ただの名無しのようだ
>>897
同人誌、作ればいいじゃない

あとFFT本スレにあるリンク
ttp://www.mickey.ne.jp/~pierrot/gc/fft/
ここで台詞は補完してあるから
もしSSが書きたくなったら存分に利用するといいと思う