DQの自作SS・小説を晒すスレ
テンプレとかよくわからないので誰かよろしく
3 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/13(水) 13:23:57 ID:LqtOBEpA
3
4 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/13(水) 17:15:32 ID:JEbZ9UdO
ここってドラクエSSの投稿スレって事だよね?
今DQVのSSを温めてる最中で近いうちに投下しようと思うんだが、
ここは千一夜スレとどう違うの?
五郎
>>4 あっちは保管とかそういうもので、
こっちはそういうものとは関係なしに長編短編関係なしに投稿していくスレだろ。
それにここはDQ専門で。
第一小説系をひとつのスレに集約しすぎると
読む側にとってもとっても読みづらいものになるしな。
さて、ちょっくら過去スレでも捜索してくるわ。
このままじゃ即死しかねん…
とりあえず保守。
過去スレ3つの内容を保存できたのはいいがどっかに保管してもらわんといかんな…
12 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/15(金) 21:16:30 ID:+uRrqgn9
13 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/15(金) 21:20:46 ID:qkpKEZnp
おもったんだがゲームに限らずドラクエ関連の物語で、
雨が降ってるシーンってある?
8のオディロ院長の葬式
7のダイアラック及びグリーンフレーク(街の名前違ってたらスマソ)
7は街が多くてどれがどれだったか記憶が定かじゃないw
書き手を今暫く待ちましょう
スレ立ってすぐには無理でしょうから
なんか小説スレが復活してら。
1だけ転載
これは連作短編ゲームブック方式の小説です。書き手は固定されていませんので
いつもはROMの方も書き手になってみてください。
1)主人公は旅の扉を使って新しい町へゆき、冒険し、また次の町へ 旅の扉から旅立ちます。
冒険中の行動を全て書き手さんが決めても、途中にゲームブック風選択肢が登場しても構いません。
ただし、冒険の最後の旅の扉の行き先だけは複数の選択肢を用意してください。
2)次に書く人は、どの選択肢を選んだか明記して進めてください。
書き手以外の人が希望を書き込む事も可能ですが、その希望に沿って進むかどうかはわかりません。
3)書き手は選んだ選択肢以外については、書く事ができません。以前の選択肢に出たのに選ばれなかった場所を再び選択肢に出す事は可能ですし、過去に行った場所の事を思い出す、等はOKです。
例:A、B、Cの中からAに行ったとしたら、B、Cに行った場合の話をAの中で書くことはできません。
4)基本的にはひとつの冒険をひとりで書いた方がやりやすいように思いますが、
途中で書き手が交代してもOKです。
5)旅の扉が出た時点で、次の書き手さんに交代します。書き手希望者がいない場合は続行もOKです。
6)ドラクエ世界の中なら、どこへ行っても構いません。アリアハンの次にフィッシュベルへ飛ぶ等もアリです。
☆簡単Q&A☆
Q:短編って何レスまで使っていいの?
A:今の所、レス数制限は特にありません。
Q:エロはなし?
A:話の流れ次第ですが、エロで続けるのは禁止です。1レスでやめてください。
Q:これ、いつ終わるの?
A:皆で書きながらエンディングを考えましょうw
Q:感想とか希望とか書き込んでいいの?
A:是非書いてください。皆で楽しく進めようYO!
Q: トルファの出ないSSをこのスレに書いてもいいの?
A:ぜひぜひ!ただし、混乱するので、最初にタイトルを決めて、明記しておいてください。
現在、『華龍光臨』のみが連載中。
うーむ連作ゲームブック方式かー。
にしては誰も書き出す人がおらんな。
前スレ見てくれりゃわかるだろうけど
トルファの続き書こうって言う人がいたんだけど
書かないうちにスレが落ちてしまった。
ゆえにちょっと手が引けている状態かもしれない…
25 :
華龍光臨:2005/07/17(日) 19:20:22 ID:ne2wHtDV
「なるほど、石化する雨が降ると町一つ、いや、国一つが滅びる…と言うことですね。」
簡単にダイアラックの事情を話す。趙雲は少ない情報である程度理解できたようだ。
近くに町や村の姿はないが…
「北に雲が集まってますね。おそらくはあそこに街があると思われます。」
周囲を見回すとちょうどいい按配に隠れて進むのに適した森がある。
敵がどういうものかが想像も出来ない状態で闇雲に進むのは危険すぎた。
町の入り口に着き、とりあえず作戦会議を行う。
空はいつ雨が降り出してもおかしくはない。
「劉備殿。灰色の雨というものは屋外にいては浴びてしまいますが、屋内ならば問題はないのではないでしょうか。」
「いや、趙雲。石になるという雨はたとえ屋内にいたとしても石になることは避けられない。」
ダイアラックの住民はほとんど屋外にいた。
しかし、唯一屋内にいて石から戻ることは出来たヨゼフがいる。
どうあっても雨が降ったら石になることは避けられないのだ。
「救いはいまだ雨が降ったばかりであることですな。」
「ああ。ダイアラックのときは既に何十年と時が経ってこの特効薬ですら治す事が叶わなかったが、今なら必ずや治療することが出来る。」
劉備の手には天使の涙が。あのときに大分使ったはずだがビンの中には並々と残っている。
26 :
華龍光臨:2005/07/17(日) 19:29:24 ID:ne2wHtDV
「でもそれは自分たちが危険ということでもあります。」
「うむ。まさに相手に息つく暇を与えてはいけないな。」
雨が降ってきたら…終わりだ。
「まずは相手の姿を確認できれば良いのだが…」
一瞬息を潜め、町の中を伺う。…街中からまったく気配が感じられない。
敵は完全に気配を殺しているのか?
「いや、劉備の兄ちゃん。そこのでかい家になんか感じるぞ?」
町の中央の家…町長らしき実力者なのだろうか。ガボはそこを指差している。
「ふむ。」
影があるようなないような…
「とにかく、あの屋敷から死角になるような場所を選んで…」
ガタ…ッ!
緊張が走る。
音の出所は…大きい家ではない。
ボスがいるだろう家の目の前の宿屋だ。
無事な者がいるのか、それともほかの魔物か。
「雲長、翼徳。」
「うむ。」
大きな家にも注意を払いながらまずは宿屋に向かう。
扉を慎重に開く。
───…一階には誰もいない。
「兄者、二階にも誰かがいる気配はございませんぞ。」
もちろん石と化した旅人や住人はいるがそれ以外の者はいないということ──
「劉備の兄ちゃん。ここからなら見えるんじゃないか?」
二階から声が聞こえる。ガボの声だ。
保守
28 :
華龍光臨:2005/07/19(火) 03:37:16 ID:Imid/Khz
窓から精一杯背伸びして外を眺めるガボ。
音の主か?そう思ったが何か様子が変だ。
「外に何があったか?」
なるほどガボは自分で判断して外の監視をすることにしたのだろう。
第一大人数で創作しなければならないほどこの宿屋は大きくない。
一人でもこうやって動いてくれると何かと安心できる。
注意深く外を眺める。…見えるのはあの大きい家。
「兄ちゃん。あそこだ。」
「どれどれ…」
──外はかなり暗く、おおっぴらに様子を見るわけにもいかない。
しかし、屋上に何かうごめく影がある。
思っているより影は小さい。
「確認できた。しかし、思ったより小さな相手のようだな…」
動き回られると厄介だ。時間を稼がれることになる。
雨を降らせるような時間は稼がせてはならない。
しばらく監視していると階下から声が聞こえてきた。
「兄者。ここから地下へいけるぜ。」
当人は声を抑えているつもりだが十分声は大きい。
「翼徳、もっと声を落とせ。気づかれる。…それでは、頼んだぞ。」
ガボに見張りを任せ、階段を下る。
入り口のカウンター奥に張飛がいた。指差すところに階段がある。
なるほど、普通ならカウンターの後ろなんて目は届きにくい…
酒場の看板がある。どうやら宿屋裏側の入り口は酒場の入り口…というわけか。
「真っ暗だな。灯りになるようなものはないか?」
「劉備殿、灯りが外に漏れるのでは?」
「うむ。…われらが地下に行ったら階段を何らかの方法で蓋をしてくれ。皆、頼んだぞ。」
保守
保守2
31 :
華龍光臨:2005/07/23(土) 03:12:06 ID:fFHfMe+X
階段を下ってランプに灯りをつける。
ランプを中心に光の世界が広がる。
ランプに明かりが灯ったのを確認して階段の蓋が閉じられた。
「皆、石化した住民には注意して辺りを捜索してくれ。」
皆がいっせいに散る。おそらく相手からは劉備の姿しか確認できていないだろう。
危険ではあった。しかし、灰色の雨の元凶の姿が確認できたのならば危険度は幾分少ない。
敵か味方かわからないが…
味方ならそれでよし、敵ならば元凶に連絡される以前、もしくはこちらの姿を確認していないということ。
──もし、こちらの姿を確認して連絡が送られていたなら今頃雨が降ってきてもおかしくないと言うことだ。
ワインのボトルやグラスが散乱している。
事件が起こったときの混乱を表しているようであった。
石化しているのは…バーテン含めて五人ほど。
「劉備殿!」
趙雲が声を上げる。どうやら音を立てた本人が見つかったようだ。
「生存者です。怯えている様子ですが…」
まずは敵でないことに安心。
相手の反応としたら…まあ、仕方ないことだろう。魔物と自分しか生き残っていないはずの世界に人がやってきたのだから。
「む…。」
姿はおよそ旅人には見えない、この世界での女性の給仕の人たちが見につける衣服…
顔を確認すると見覚えが…
「あ、あなたは…!」
相手も劉備の顔を見て安心した様子。
「劉備殿、面識があるのですか?」
趙雲は知らないはずである。
「一度世話になったことがある。顔は忘れたこともない。」
彼女は過去のエンゴウのパミラの助手であったエルマであった。
トルファの続きを書いてくれる人はやってくるのかな?
一応そっちがメインだと思うし…
そういやスラリソはバトロワ3rdに参加してるの?
ちょっと気になったんだが
34 :
華龍光臨:2005/07/25(月) 00:41:51 ID:wjE62YB1
「ここは位置的にエンゴウの西にあるということか。」
見張りに趙雲を立たせて酒場で事情を聞く。
「この村に近づいたとたん周囲の大地がせりあがって、エンゴウ地方に帰れなくなりました。」
地図を見せてもらう。
どうやら自分たちが過去のエンゴウ地方にやってきたあの石版があった場所からこの地方にやってきたと言う。
「…せりあがったということは普通ではありませぬな…」
「うむ。大地が何もせずにせりあがることはあるまい。」
「てぇいうとどういうことだ?」
どっかりと派手に椅子に座る。
「何かしらのまやかしの術を大陸全体にかけていたのやも知れませぬな。」
と言うより、まやかしとしなければ納得はできないだろうし、今はそれがさほど重要ではない。
「あと、パミラ様から手紙を預かっています。」
「ん?パミラ殿が?」
「あなた方に会うようだったらこれを渡してくれと、パミラ様から手紙を預かってあります。」
手紙を受け取って封を切る。
「ふむ…」
一通り目を通す。
しばらくの沈黙後、エルマに手紙を渡す。
「これはあなたも見るべきであろう。」
「え?」
>>33 今回は参加していない。
次あれば参加したい。
落ちてしまった番外編ではちょくちょく書いていたが、
それとの同時並行は無理だったしね。
保守
37 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/26(火) 17:09:24 ID:rr9lScGm
hosyu
38 :
華龍光臨:2005/07/26(火) 21:38:57 ID:GT9+MCX+
目を丸くして手紙を受け取る。
手紙を途中まで見ると表情は驚愕のそれに。
「…!パミラ様はこのことを予言していたのでしょうか。」
「おそらくはわかっていなければこのような手紙は出せまい。」
「…いったい、パミラ殿はなんと?」
「…あなた方に出会ったら手伝いをするように、と。」
エルマが手紙を読み上げる。そして続けて…
「私に持たせてある秘薬が役立つことになろう、と。石化を回復することができても後遺症に苦しむようなことがあれば使うといい…と。」
「薬?」
「今のご時世旅行するにも何かと物騒で、パミラ様は大量の薬を持たせてくれたのですが…普通の怪我に対して使うものではないものも多くてちょっと困惑していたのですが。」
パミラは占い師であり、薬師である。
以前受け取った薬はこれまでの旅でほとんどを使い切ってしまっていた。
自分のためにも使ったがフォロッド城の戦闘の際に負傷者のために分け合ったのだ。
エルマから薬を受け取る。秘薬と書かれているものがある。おそらくそれが石化に効果的な薬なのだろうか。
「石化の特効薬なら持ってはいるが…」
「あのお婆ちゃんのことよ。無駄なことはしないに決まってるわ。」
「確かに。おそらく何かが起こると言うこと…か。」
ぐっと雌雄一対の剣に手を掛ける。
「エルマ殿はここに隠れていてくれ。アルスたちもいるだろうから大丈夫だろう。」
「兄者。いくか!」
慌てて張飛の口をふさぐ。
「翼徳…流石に声が大きいぞ。」
ここってドラクエならなんでもいいの?
それともなんかお題でもあるの?
41 :
華龍光臨:2005/07/29(金) 01:13:37 ID:WC03spU2
巨大な家の前に一行が立つ。
まずは趙雲が先陣を切る。
体が大きすぎる張飛、関羽ではとっさの動きに反応できないだろうし、その大きすぎる体が災いすることがあるやも知れない。
それに家の中には石化した民もいる。彼らを傷つけるわけにもいかない。
ならば、細かいことにも気がつくし体躯もいたって標準の趙雲ならばもし、屋内での戦闘になったとしても間違いなく仕事を果たすことができよう。
趙雲が扉を開ける。
酒場の見張りをしていたため事の仔細のことは聞かないが、大意はわかる。
事の仔細を仮に知っていても自分は剣となるだけである。
家の周りにはアルスたちが身を潜めている。
もし、仮に敵が屋上や窓から飛び降りたとしてもこちらが追いかける時間はあるだろう。
ふと広い世界の中にはこのような脅威の中に晒されていた人々もいたものだな…
今まで蜀、魏、呉の三国の中でのみ物事を考えていた自分の小ささを痛感した。
一歩階段を上る。
…何かしら気配を感じ反射的に背後に合図を出す。
奴は屋上から動いていない。
身を屈めて槍を構える。
──…一気にしとめるつもりだ。
緊張が走る。
「……参る!」
hosyu
43 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/31(日) 19:58:48 ID:VMSp9ILt
つまらねーんだよ
晒しあげ
44 :
華龍光臨:2005/08/01(月) 01:54:04 ID:GUHi5hz6
屋上では曇り空の下コップに何かしらの液体を注ぎ、一人…一匹、自分の世界に陶酔していた。名をあめふらしといった。
この魔物の能力は黒い雲を呼び寄せ黒い雨を降らせる。
黒い雨を降らせた後には命あるものはたとえ雨に濡れなくとも例外なく石と化してしまう。
自分自身はその雨に濡れても石化しないものはもちろん、相手にとっては何もわからずに滅びを待つだけになる最強最悪の能力である。
しかし実践と経験を積み、自信を深めていくうちに忘れてしまったものがある。
…自分の実力である。
一瞬の出来事だった。
完全に気が緩みきったあめふらしを一突き。それはまるで疾風の如く。
「…!」
あめふらしは自分の身に起こった出来事を理解したようだ。
驚愕と焦り。何せもういないはずの生存者がここにいたのだから。
槍を引き抜き、すかさず払う。あめふらしは柵にたたきつけられる。
「お、お前ら!何故!雨を降らせたはずなのに動いていられる…!」
あめふらしに穂先を突きつける。
「単純な理由だ。我らは雨が上がってきた後にやってきた。」
何故だ!大陸の封印は絶対のはず…!
あめふらしはそこである可能性に気がついた。
「貴様…!エデンからの…!」
「覚悟!」
趙雲の槍が一閃した。
やっとゼミの答案が書き終わったぜ。
このスレのみんなも頑張れ〜。
46 :
華龍光臨:2005/08/04(木) 13:14:16 ID:Ao4T5RnT
「劉備殿。」
「うむ。終わったか。」
趙雲の言葉が合図となって一斉に上へと駆け出す。
穂先は血にまみれ、そこには一匹の魔物の死骸。
「さすが趙雲だぜ。」
「下のアルスたちにも終わったと伝えてきますぞ。兄者。」
関羽がゆっくりと階段を下りていく。
「後は秘薬を使うだけです。」
この魔物の死骸はどのようにしようか…
すぐにでも取り去ってあげるべきではあるがどのようにこうなった経緯を説明すべきか。
ふとそんなことを考えた。
だが、何にしても、まずは天使の涙を使うことが最重要。
ダイアラックのように一番高い場所から振りまけば問題はないはず…
すべての民が救われるように祈りながら、天使の涙の瓶を…
47 :
華龍光臨:2005/08/04(木) 13:18:32 ID:Ao4T5RnT
瓶の中から開放されたそれは煌きながら天に昇る。
「力強く美しい。それしか形容はありません。」
錯覚でない…天かける龍の姿。趙雲は龍の姿を見るのは初めてだろう。
知識では知っていても実際に見ることなんて夢のまた夢。
よもや、このような全く文化も習慣も歴史も異なるような地で見ることができるとは思いもしなかったことだ。
龍が禍々しい黒い雲を突き抜ける。
その刹那に黒い雲は消え去り、溢れんばかりの光の世界が復活する。
「ああ。これでここも開放されることだろう…」
「兄者。どうやらうまくいったみたいだぜ。」
屋上から町の景色を眺める。
まるで雨が降っていたようなことなんて嘘のように…
「確か、雨が降った後の記憶はないはずだな。」
「そうね。きっと雨が降ってきたという記憶はあると思うけど。いろいろと説明しないといけないわね。」
外では関羽とアルスたちが手を振っている。エルマもそばにいるようだ。
「それでは下に行こうか。」
「行きましょう。劉備殿。」
階段を下りる。
これでここも無事解決…
「!あの、ぺぺの野郎!俺のリンダに何をしてやがる!」
──どうやら、そう簡単にはいかないようだ。
保守保守
保守
50 :
華龍光臨:2005/08/08(月) 01:18:23 ID:vVdioKyT
凄まじい怒声を聞いたのは近くだ。
屋上から階段を下りるとものすごい剣幕でこちらに向かってきた男がいた。
こちらのことなんて眼中になしといったところか、劉備にぶつかっていったがまるで気にも留めず、といったところだ。
「なんでぃ、兄者にぶつかっておいて謝りもしないのか!」
「よい、翼徳。私のほうも不注意だった。」
飛び掛らんとする張飛を抑える。それすらも気付かずに階下へ駆け出す。
どうやら完全に頭に血が上っているようだ。
「お人よしもいいところね。…ところでさっきの人、窓の外をものすごい形相で見ていたようだけど?」
「…外に何かあったのか?」
外には関羽やアルスがいる。もし仮に魔物の襲撃ならば容易に撃退できるだろう。
どうやら騒ぎは村の北部、この領主の家のものの庭であろう、そこで起こっていた。
窓から外を眺めると喧騒にかき消されて声は届かないが一人の男が倒れていて、その傍らには一人の女性がいた。
しばらくすると先ほどの男がやってきてすごい形相で女性を問い詰める。
女性がそれに言い返すように反論する様子も。
倒れている男性はぴくりとも動かない。
「とにかく、行ってみたほうがいいわね。おそらくあの様子だと誤解しているようだし。」
「ふむ。誤解は解いてやらねばなるまいな。それにあの男性を早く介抱しないといけない。」
51 :
華龍光臨:2005/08/10(水) 10:34:17 ID:hadiK/WK
劉備たちが群衆を掻き分けて三人の下に駆け寄る。
関羽たちは裏の通用門からやってくる。
倒れている男のようすは全く変わらないが、女性に詰め寄っていた男はどうやら状況を飲み込んだがどうすればよいかわからない模様。
「如何なされた。」
マリベルと孫尚香が倒れている男に駆け寄る。
とりあえず情報を女性のほうから聞き出す。
この女性はリンダ。詰め寄った男はイワン。倒れている男性はぺぺ。
黒い雨が降ってきた際、他の者はすぐに屋内に避難したがリンダは逃げ遅れ、ぺぺが身を挺して黒い雨の直撃を免れたとのこと。
それを押し倒していると勘違いしたイワンが激しく詰め寄った…ということだ。
「劉備殿、彼は意識を取り戻しません。」
「…!天使の涙が効かなかったと?」
「効いたことには効いたみたいよ。ただ体中が石化した時のように固まったままで動ける様子じゃないわ…」
確かにぺぺの石化は解けていた。しかし、触れてみると石のように冷たく固まったままで直ってはいないようだ。
それだけではない。体がずっしりと重く、変な形で動かすわけにはいかない。
「いったいこの騒ぎはどういうことだ?」
喧騒を聞きつけ領主らしい者がやってくる。
「ぺぺが、黒い雨を直接浴びてしまって体が動かないみたいだ!」
「!!」
飛び上がるように領主は驚く。
「何をしている!早く介抱せぬか!」
「でも、これでは固まってて動かすに動かせないよ!」
「情けないわね。」
反射的にマリベルが小声で貶す。アルスが慌てて口をふさぐ。
どうやら聞こえてはいなかったようだ。もしくは聞こえていたがまあ、仕方ないといったところか。
「我らにお任せください。翼徳、雲長、趙雲。いくぞ。」
「そうですな。安全に運ぶなら念には念を押していくべきだろう。」
52 :
華龍光臨:2005/08/13(土) 21:46:37 ID:SZyHsJGr
ぺぺの体の各部を下手に動かさないように細心の注意を図って担架に乗せる。
リンダをかばったままの格好で固まっているため仰向けにして近くの小屋に運ぶ。
どうやらこの領主の庭師のための家で、ぺぺはここの庭師、ということであるらしい。
やはり領主ほか石化した後の記憶がないため説明は必要であるらしいが、ぺぺのこの様子を見て納得してもらえるだろう。
それにしても、黒い雨を直接浴びてしまうと天使の涙では効果ないわけではないが回復しきれないとはやはり恐ろしい。
ヨゼフの場合は風雨の害を受けなかったことと直接浴びなかったというのも幸いしたことを再確認できた。
なんにしてももう二度とこのような黒い雨は降ることはない。
強大な敵の一手を潰すことができたのである。
「そうでしたか。魔物の仕業…と。」
ぺぺを家に運び込み、しばらく様子を見させる。
劉備たちは領主に事の顛末を。
傍らではエルマが
「おそらくこのときのために使うのでしょう」
と、薬を取り出しぺぺに投与している。
かなり繊細なものであり、扱いには気をつけないといけないという。
「しかし、まことにそのような魔物がいたとは。」
「ご存知でしたのですか?」
「うむ。以前、老人と子供がやってきて黒い雨のことを村の皆に説いていたのだ。」
ヨゼフたちに違いない。
無事に旅をしているのだと、少しほっとする。
「信じられぬが、このような事態になったのはそのために違いあるまい。まことに感謝する。」
「まだ魔物の死骸が屋上にあるはずです。ご確認を。」
「うむ。」
53 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/14(日) 05:55:41 ID:j/keSpSN
保守
54 :
華龍光臨:2005/08/15(月) 23:33:16 ID:f9/LPi4a
小一時間後領主の屋上から魔物の死骸が運び出された。
自分たちが運ぼうと言うと、恩人にそんなことはできないと強く言われたので領主の家の客間でくつろいでいた。
「ぺぺっていう奴の容態はどうなっているんだ?」
「見たところ…あまり容態がよくなっているとは思えぬが。パミラ殿が間違いなんてあまり想像できんな。」
とりあえず、ワイン樽を貰ってきて豪快に空ける張飛。
自分が飲む前にとりあえず他の全員分のコップに注ぐ。
「あの薬を見る限り体中に塗って少しずつ「毒」を抜き取るのだと思います。」
「ふむ。」
「毒って言ってもバブルスライムとかの毒とは違うのかしら。」
とりあえずグラスに注がれたワインを一飲み。
「マリベル、根本は同じかもしれないよ。例えばバブルスライムなどの毒には即効性のある毒消しがすでに一般化されているね。」
「私やアルスは使えないけどキアリーっていう解毒の呪文があるらしいわね。」
「それはその毒が一般的に認知されているってことだね。オルフィー地方には体の痺れを解消する満月草もあるね。」
アルスは回復呪文の使い手だ。それだけではない、薬草とかの知識も豊富だ。
「城の文献にはキアリクという呪文もあったぜ。」
「うん、麻痺にもそれに対する対策も一般的だったんだと思うよ。」
趙雲がじっと考え込む。
「…劉備殿。石化と言う「毒」はこの世界であっても非一般的であり薬はあれども日常的に使うような薬はないということですね。」
「なるほど、様々な「毒」に対する研究があり、試行錯誤が進められてきて様々は薬が世に出回る。…しかしながら、席かに対する薬と言うものが研究が乏しく、いまだに試行段階…」
「パミラ殿に間違いはないでしょうが、即効性があるような水準には達しておらぬと言うことですな。兄者。」
「そういうことだと思います。」
もしかしたら明日、明後日になって回復するものなのかもしれない、と言うことだ。
「回復するのを待つのは面倒だなぁ。兄者。魔物の残党が近くにいるかも知れねぇから出かけてこないか?」
「そうだな…なにか怪しいような場所はないか手分けして探っていこう。」
kh
56 :
保守ついでに:2005/08/19(金) 09:36:08 ID:fOb7iqak
スラリソさん、孤軍奮闘お疲れ様です。
現在トルファの方はダーマ神殿に行き先が決まったところでとまっているんでしょうか。
反応がなければ書いちゃいま〜す。
57 :
華龍光臨:2005/08/19(金) 10:06:13 ID:b1/lBvp4
その時突然魔王オルゴデミーラが現れた!
アルスは食われた!マリベルはバラバラになった!
アルス達の冒険はここで終わってしまった!!!!!
―華龍光臨 完―
トルファは即座に判断し、右の──ダーマ神殿へと通ずる扉へと駆け込んだ。
ガツン!
火花が散る。
トルファはいきなり固い壁に頭をぶつけてしまった。
そこは真っ暗だった。足元には砂利の感触があり、靴の固い底皮と小石がこすれあう音がする。
そこでトルファはカンテラと火打ち石を取り出し、明かりをつけた。
思ったとおり、狭く閉ざされた空間だ。手をのばすとすぐに石壁にぶつかる。
上を見上げると、(目測ではあるが)トルファの身長を10倍掛けしたあたりの高さまで石壁は続いている。その上には光がある。
「どうやら古井戸の底みたいだな。こんな変なところに扉がつながっているとは……それほど慌てていた、ってことかな」
トルファは一瞬、自分をこの旅に導いた「彼」に思いをはせた。彼は自分を逃す為に、謎の男達を食い止めてくれたのだ。
果たして彼は無事なのだろうか。
「まあ次に会う時に分かるか」
トルファはまだわずかに痛む頭をなでると、靴ひもと手袋を締め直した。
「よし、上まで登るとするか!」
トルファはカンテラの取っ手をひもでバックパックに固定し、石壁へと張り付いた。
石壁はかなり年月を経ているようで、登るのに十分な取っ掛かりがある。
崩れやすい箇所もあり、苔で手を滑らせそうにもなった。しかしトルファはカンテラの明かりを頼りに、三点支持で登攀を続けた。
そして数分後──トルファはとうとう井戸の縁に手を届かせた。両手で縁をつかみ、一気に身を起こす。
……目が合った。
槍を持った若い男が、井戸のほうを向いて立っていたのだ。
男は予想だにしなかった光景に目を見開き、口はあ然としたまま開いていた──それはトルファも同様だ。
「……」
「……」
しばし、二人の間に気まずい沈黙が流れる。が、トルファはようやくのことで言葉をしぼり出した。
「……や、やあ、ここはどこだい」
男は声をかけられたことで緊張の糸をほぐし……いや、断ち切ってしまった。
彼は甲高い声で叫んだ。
「い、井戸魔人だーー!!」
「待てい、こら!」
トルファは慌てた。確かに自分は井戸から出てきた。それに先の冒険で薄汚れた格好をしている。
しかしだからといって、あんな醜いモンスターと一緒にされるとは!
トルファは急いで井戸から飛び出て、男をなだめにかかる。しかし彼はすっかりパニックを起こし、槍を無秩序に振り回すばかりだ。
「くそ、気の小さいやつだ」
トルファは弱った。そして追い討ちをかけるように事態は悪化した。
男の声に非常を察知したのか、部屋の扉の向こうから多数の駆け足の音が聞こえてきたのだ。
男はそれに勇気付けられたかのごとく急いで扉を開け……10名ほどの戦士や魔法使い達がなだれ込んできた。
トルファはおとなしく手を挙げるしかなかった。
「……どうしてもあなたは、全く別の異世界からやってきたと主張するのですね」
トルファを詰問するのは金色の長い髪を垂らした女魔術師だ──彼女はヘルメスと名乗った。
そして彼女は、まるで信じがたいことだ、とでも言いたげに天を仰いだ。
トルファは今、狭い部屋で取調べを受けている。むろん武装を解除された上でのことだ。椅子に縛り付けられ、なおかつ魔力封じだという手錠もされている。
窓どころか、机一つない殺風景な部屋。脱出は不可能だ。その事実はトルファを大人しくさせるのに十分なほど重すぎた。
先ほどからヘルメスと、彼女と瓜二つの──双子の妹だという──マーズという女性がトルファの尋問を担当している。
彼女たちは自分たちのことについてはそれこそ何一つ話さないくせに、トルファのことについては根掘り葉掘り訊いてくる。
トルファは嘘を感知するという魔法まで使われたので、洗いざらい自白せざるをえなかった。しかし、
「にわかには信じがたいことです。ですが私たちの魔法には反応しない……」
「これは彼が本気でそう信じ込んでいるか、あるいは強大な魔法で私たちの嘘発見の魔法をごまかしているのか……」
こんな調子だ。すっかり信用してもらえない。扉から出るところでもみせていれば話は別だったかもしれないが、いまさらどうしようもない。古井戸の底の入り口も既に消えてしまった。
(八方ふさがりだな……)
それが現状であった。トルファとしても、美人に囲まれるのは嫌ではないがこんなシチュエーションを好む性的嗜好はない。
トルファは何度目かの反論を試みた。
「あんたら、こんなこと続けても意味ないだろ。そろそろ俺の言うことを信じてくれよ」
「ですが、あなたの言うことには無理があります。この神殿はルーラ、バシルーラやリレミト等の呪文による侵入、脱出を拒む結界を張っていますし、だいいち井戸の底などという構造上複雑な場所へ正確に出現させることは技術上の問題があります」
「それはだから……」
「旅の扉がいつの間にか古井戸の底に出現していたという仮説もすぐに否定されます。過去数百年にわたってあの古井戸は封印されてきました。またあなたの出現後の調査でも、時空移動の魔術が引き起こす、時空間の歪みの痕跡は検出されませんでした」
これにはトルファも驚いた。赤い扉が超常の力により出現しているだろうとは想像したが、まさかそのような検証がなされていたとは。
果たして、自分に冒険を提供してくれている「彼」は一体何者なのであろうか。謎は深まるばかりだ。
しかしそれもトルファの証言を証明する役には立たない。むしろ真相の究明を困難にさせている。
たちまち二人からなされた反論にトルファが何度目かのため息をついたとき、取調室の扉が開いた。武装をしていない若い男だ。おそらくは神官見習いだろう。
「ヘルメス様、マーズ様、最高神官様がお呼びです。その男を連れてくるようにと仰せられました。そして……その……彼を丁重に扱えとのことです」
ヘルメスとマーズは……困惑を顔に浮かべてトルファを見つめた。
そしてトルファは、ようやく事態が動いた事に安堵した。果たして吉と出るか凶と出るか。
いずれにしても構わない。冒険はトルファが望む事なのだから。
63 :
華龍光臨:2005/08/22(月) 12:40:53 ID:0B2AX6h1
町の状態を観察する。
町はいまだ若干混乱している様子が見受けられるがそんな様子はどこ吹く風。
混乱には巻き込まれたがいつもどおりに動いているものたちがいる。
冒険者だ。
自分たちは考えたこともなかったが世界の果てを知りたい。世界中の宝物を集めたい。様々な知識を得たい。様々な理由で安定した生活を捨てて死と隣り合わせの日々に身を投じるものが多い。
しかし、そのような者たちを狙う魔物の影も少なくない。
もちろん冒険者の側も承知の上だ。
彼らから情報を聞き出して魔物の住処を見つけ出す。
奴らのことだ。甘い汁を忍ばせているに違いない。
「しかしながら先の魔物が主だと思われます。劉備殿。」
まずは各人散会。趙雲だけは癖なのか劉備の傍らに。
「そうだろうな。だがもしものことを考えていないとは思えないな。」
旅商人から話を聞く。
おそらく敵は焦っているだろう。
ここで徹底的に叩いておくべきだ。統率されている魔物を減らすことは重要だ。
一礼して旅商人に別れを告げる。
しばらく住民から話を聞いていると宿屋から張飛の姿が見えた。
どうやら酒場に行っていたらしい。酒は飲んでいないようで何かを掴んだというような様子だった。
「兄者!」
「うむ。翼徳、酒は飲んでいないようだな。」
「もちろんだぜ兄者。…ところで奴らが潜んでいそうな場所を聞きだすことができたぜ。」
なんかちょこまかSSとか、勝手にカキコしてもいい
のかい?ここは?
(返事レスなきゃ書くか)
66 :
華龍光臨:
その時だった。突然、劉備達の目の前に曹操軍が現れた。
100万の兵を率いた曹操軍に劉備達は勝てるはずも無かった…
趙雲は劉備の退路を確保すべく曹操軍の前に立ちはだかった。
趙雲が100万の軍勢に向かって叫ぶ。
「劉備殿には指一本も触れさせぬ!この趙子龍が…あぴゃ!」
言い終わらぬ間に趙雲は魏の名将の徐晃公明に首を刎ねられた。
「ちょ、趙雲っ!糞、てめえら許さんぞ!この張翼徳様が相手になってやる!」
張飛は怒りに震え100万の軍に立ち向かった。
「この道、生きて通れると…ひでぶっ!」
またも言い終わらぬ間に討ち取られた。張飛を討ち取ったのは曹操親衛隊の一人、典イだった。
関羽も同じく曹操親衛隊の一人の許チョにより叩きつぶされた。孫尚香は楽進により心臓を貫かれて死んだ。
劉備は必死に逃げている最中だった。
「翼徳、雲長、すまない…私のせいで…あの日の誓いを果たせず…」
「待て劉備!その天命、この曹孟徳が頂こう!
振り向くとすぐ後ろに剣を構えた曹操がいた。劉備はなす術もなく曹操に首を刎ねられた。