前スレ↓
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1103901272/l50 まとめサイト↓
http://www.geocities.jp/eight_meteor/ お約束↓
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃カップル萌えスレのお約束です
┃1.常時sage進行。この板は下からdat落ちすることはありません。
┃2.煽り・荒らしは放置。特に他カプ萌え派を装うヲチ厨に注意!
┃3.他スレで萌えキャラが貶されていても一切無視しましょう。
┃4.SS投稿するときはできるだけトリップをつけてください。
┃5.エロSSや画像をうpする時は注意書きをしてください。
┃ ∧ノ~ 21禁以上のエログロ汚物系はピンク鯖で投下してね。
┃ ミ| ・ \
┃ ミ| ... '_). /
┗ ミ| (| ゚ヮ゚ノ! / ━━━━━━━━━━━━━━━━━━
| (ノ 姫.|つ
|~ ̄] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ∧ ∧ ∧ ∧
| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚ ) (゚ )
| | | =====⊂ ヽ==⊂ ヽ======
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||──( ノ〜─( ノ〜─||
|| ┏━━━━━━━━┓ ||
2んまり
3んざん
4
5りおし
どぶ6
>>1 スレ立て乙です。お手数おかけいたしました。
エロ画像きぼんぬ
保守
「
>>1様、スレを立てて下さって感謝いたしますわ」
「僕たちを応援してくださる方々、どうもありがとうございます」
「巷ではミーティアたちを『バカップル』と呼んでいるそうですのね。ひどいですわ、ただお互いを大切に想っているだけですのに」
「そうだよね、『好き』っていう気持ちを素直に出しているだけなのに」
「でも時々それはちょっと…ということもあります」
「とっ、ところで新スレなんだし、せっかくだからラブシーンでも」
「話を逸らしましたわね。…恥ずかしいですけれど、エイトがそう言うのなら…」
「じゃ、今日だけ特別に…」
「…」
「…」
「…やっぱり明かりは消そう」
フッ
ホシュ。ミーたん萌え
漏れもw
新スレ記念にもうちょっとサービスして。
>8
はなぢでますた
「続き希望ですってよ」
「やだよ」
「あら、どうしたの?いつもなら『じゃ遠慮なく』って言うのに」
「ミーティアの肌を見ていいのは僕だけだよ」
「エイトったらどうしてそう臆面もなくそう言うこと言うの」
「ミーティアを愛しているから」
「…やっぱりミーティアたちってバカップルかもしれないわ」
15 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/21 21:16:45 ID:C/47dot1
>14 GJ! 保存しました
>14
神 キタワァ*・*。:*・゜(n‘∀‘)η゚・*.。:*゚・*!!
凄すぎ。
う、美しすぃ…
素晴らしいものを見せてもらって幸せ〜
>14
うっとり(;´Д`)
癒されました(T‐T)
>14
ネ申!!!
綺麗杉!鳥肌たった
とりあえず前スレ埋めようや。
私たち 極悪非道のDQプリンセスシスターズ
ネタもないのにsageてはだめ? そんな…ひどい…
+ ∞ノ))).o sage  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /ハ.
川^ヮ)/ __△__ + _ __ sage . _ + ,.-‐- _ + / i!|
ノノ;_;_;ゞ + ヽ___/ . ,'´,. -、ヽ ;'´;.(Ω)ヽ /. ,_丞ヽ. /ニニヽ|!l + sage
*ノノハヽ . ,,-,,/ノノハ)),, -,,. 川―゚ー!| i jii^iii^jji . / /ノノノ))〉.ir―-、_i.!l. (MM).、
|||(*^ヮ=@.;;, ,,ミ^ヮ^ノミ,, ,;; l∩^ヮ゚ノl.,ノ (!^ヮ^ノ、 ( (,^ヮ^∩ .li、ー^∩ノリ〉 ツノノリ゙)ハ +
. /(つミ》O.(,/"ヾ,)~二)/)" .|ヾiトー'と) ハ⊂{i゙ー')つ/ (((ゾ{iつゞlソ .(⊃スソ!トl,ゝJi、ヮ^.∩し;
+ ./::/÷|ヽ .ん'vく/_jゝ +. ソリ゙/iヾi! ~^</~i゚~ヾ> + ./ ,ノ ハ ハ. ⊂i交}!}ノ'"´
∨し'U. 〈_バ_) んレ';_!_リゝ . //.ハヾゝ ん__,___,_ゝ 〈i;;i;;;;,ゝ. + /l j ヽ\
`~^~~^´ `~^~^~´
黒髪ミーティア超キャワイイ
性格ロリっこでまたかわいい
主人公とラブラブで幸せになってほしい!
ちょっとした悪戯のつもりだった。泉の水を口移しで飲ませたのは。
でもミーティアの柔らかな唇に水を含ませた後、腕の中の身体が一瞬震えて喉が動くのを感
じた途端、僕の中で何かが弾け飛び、つい深く激しくミーティアの唇を貪ってしまった。
ゆっくり唇を離すとミーティアの目が開かれた。あの美しい碧の瞳は、濡れていた。これは
僕と交わしたさっきの接吻のせい?毎夜愛を重ね合って、いつもミーティアを愛おしくかわ
いらしく思ってきたけど、そんな瞳は初めて見た。匂うように美しく、目も眩むようなそん
な顔をするなんて、僕のせい?僕が呼び覚ましたの?
「続きはトロデーン城で」
とは言ったけどもう我慢できそうにないよ。あなたが僕を欲しいと思うように僕もあなたが
欲しいから。
もう一度ミーティアの唇を奪う。さっきよりももっと激しく。微かなミーティアの喘ぎがま
すます僕を駆り立てた。そのまま上体に力を込めて草の上に組み敷く。ミーティアがぶつかっ
て痛い思いをしないよう胸の中に包み込んで唇を合わせたまま倒れ込むと、草の匂いが立ち
上った。
「ミーティア…」
唇を離しそう呟くとミーティアも目を開いた。
「エイト?」
でも僕を見上げるその目はいつもの、いや、むしろ悪戯な表情を覘かせている。
「どうしたの?トロデーンに帰るんでしょう?」
「いや、その」
「続きはトロデーンで、でしょ」
全くミーティアには敵わない。くるくる変わるその表情に僕はいつも翻弄されっぱなしだ。
でも悲しい言葉で僕の心を掻きむしってくるよりは翻弄されていたい。
「…そうだね。戻ろうか」
今、ここで、と思わなかった訳じゃないけど、でもいいんだ。幸せな時間は続くんだから。
ミーティアを抱き上げながら願う。この幸せを守り抜く力を僕に、と。
+ +
+ + + +
∧_∧ +
(0゜・∀・) ドキドキワクワクテッカテカ
(0゜∪ ∪ + +
と__)__) +
>25
あ…もしかして続き期待されてる?
ごめんなさい、あれで終わりです。
あれ以上はお約束に抵触しますw
>26
是非大人板のスレで続き書いてください!
>27
期待されているのに心苦しいのですが、続きはないです。
自分の中であれが限界です。
この先も行為そのものを書くということはありません。どの板であっても。
>>28 OK、そこから先は脳内妄想で完結するぜ
ともかく乙ですた!今後も無理せん程度にSSなげてくだちい。
続きがあるのかと期待してしまたーよ。
(終)とか入れて欲すいな。生殺しはいやん。
続き
ちゃーらーらーらーらったったー♪
そして 夜が あけた!
…いや、分かっているんだ、こんな続きが期待されている訳ではないことは。
生殺し感の高い内容で申し訳ない。
文末に(終)を入れる事は今後考えまする。
◆JSHQKXZ7pEさん、いつも乙です〜!
ところで。
エイトタンは結婚後も奥さんのことを脳内で「あなた」とか呼んでいるんでしょうか?
主従関係が抜けきらないというか・・・
いきなり「僕のミーたんv」とか呼んでいても嫌だけどw
変なとこに突っ込んでゴメソ。
結婚後は「キミ」って呼んでそう。
あのルックスならなんとなく。
希望的観測でいえば普通に「ミーティア」でしょう。
>32
それは難しい問題かも。
個人的には
・結婚前 あの方
・結婚後 あなた
かな?互いに思いやっていて欲しいので。
「キミ」も文脈によってはありかも。
えー、「僕のミータン」だけは却下の方向でw
確かに難しい問題だね。幼なじみとはいえ、主従関係あるわけだし。
ただ、ミーたんの場合は夫をたてる女性っぽいし、
結婚後はエイトのほうが主人な感じになって欲しいな。
普段は「ミーティア」です。
ただ今回は「ミーティアが僕を欲しいと〜」だとミーティアを連呼することになって語呂が良くない。
そして「きみが僕を欲しいと〜」だとただでさえかなりアレな内容がもっと生々しくなりそうで避けた、という裏事情が。
あくまでも個人的意見ですが、二人にはどっちが上とか無しでいて欲しいかも。
互いに尊重しあっていてくれるって感じで。
主姫もククゼシもヤンゲルも全部萌ぇ〜(・∀・)!!
40 :
まとめサイト:05/02/24 01:01:27 ID:sq/4bgoN
更新しました
05/02/24 875(Part1)-24(Part2)までの4作品を保管
・◆JSHQKXZ7pE氏 本を読む人 , 真夜中の散歩 , ■(2-8,13) , 真夜中の散歩〜回り道篇〜
(Part1のログは後で保管しておきます)
間違いや保管忘れなどがあれば連絡ください
あと、今はサイトにフレーム使ってますがフレームを使わないほうが見やすいですか?
>>40 いつもありがとうございます。今のままで十分見やすいですよ。
↓話のネタとしては散々ガイシュツですが、改めて主姫中心に萌えてみたくなりました。
通常ED後でお読みください。
「ふくしゅうのドラゴラム 〜新たなる竜神伝説」
子供の頃繰り返し見た怖い夢。洞窟の中、俺は沢山の竜に踏み潰されそうになる。
そして暗黒神を倒し平和な日々を取り戻した今、また竜の夢を見る。竜がいる洞窟。
旅の途中で見た竜の像、不思議な紋章。その向こうから、誰かが俺を呼ぶ声がする…?
またあの夢を見た。その後眠れずに、少し頭が重い。今日は休みなので昼寝でもしよう。
そんなことを考えながら朝食を摂るために食堂へ向かう。
「おはようございます」と挨拶をしながら入っていくと、近くにいた人が手をとめて、挨拶を返す。
「おはようございます、隊長」
「おはようございます、エイト様」
いつも通りの朝。同期のピピンが俺の横に座りに来て、声をかける。
「あれっ隊長は、今日はお休みでしょ?」
「ああ」
「随分お早いんですね」
「午後は約束があるから、ちょっと午前中に書類を片付けようと思ってさ」
「ああ、午後はミーティア様とまったりですか」
「あのなぁ…」
あの日、結婚式から逃げ出したミーティア姫を連れ去ってから数ヶ月が過ぎた。それから時を
経ずして俺と姫は内々に婚約者という関係になり、城の者は皆それを知っている。
「居眠りなんかしちゃダメですよ。姫様、隊長のお休みの日を心待ちにしてらっしゃるんだから」
「うん…俺も、そうなんだけどね…」何か今日は頭がずきずきする。
「元気ないなぁ」とピピン。
食欲もなく、早めに切り上げ、食堂を後にした。
「…エイト…エイト?」
はっとして飛び起きた。姫が俺の顔を心配そうに覗き込んでいる。
「ごめんなさい、起こしてしまって。うなされているようだったから。…大丈夫?」
ここは姫の部屋。姫の他愛のないお喋りを聞いているうちに、長椅子の上でいつのまにか
うたた寝してしまっていたようだ。ぐっしょりと汗をかいている。またあの夢だ。
なんだろう、この頭痛。焦燥感。誰かに呼ばれているようなそんな感じ。
「随分お疲れみたいですね」 姫はわざと拗ねたようにそう言って、にっこり笑った。
「すみません、なんか…寝不足で」
「…本当に大丈夫?」
そう言って姫は俺の顔をまた覗き込んだ。俺は顔を近付けて、唇を重ねる。
気持ちが高まらないよう慎重に。それより先には今はまだ進めない。この方は主君の娘であり、
ここは城の中。そして近衛兵として仕える俺。
それに、結婚式をぶち壊しにしてからすぐに結婚というのは、すこぶる具合が悪いのだ。
それでも、不意打ちの口づけに顔を赤く染める姫の顔を見ると、衝動に駆られそうになる。
「…!」 その時、猛烈な痛みが襲った。
「どうしました?エイト…?」
「…すみません、なんか…変だ…部屋に行って休み…ます…」
目を開けていられないほどの頭痛と体中に走る痛みの中で、ふらふらと立ち上がる。そんな俺を
気遣う姫を、無意識のうちに突き飛ばしていた。自分に近づいたら危険だと本能が知らせている。
這うようにして扉へ向かううちにバリッと音がして、姫が悲鳴を上げた。
音は俺の体が着ている服を弾き飛ばした音だった。履いていた靴も跡形もない。
姫の悲鳴を聞きつけて近衛兵が駆けつけてくる。
「うわぁぁぁぁ!」 俺を見て大声を上げたのはピピンだった。その目線が上を向いている。俺の
体が巨大化しているらしい。恐る恐る自分を見ると、まるで魔物のような姿をしている。
思わず後ずさる。姫のいない方へ。
「ガアァァァァァ」
あまりの痛みに声を上げると、それは人のものではなかった。
姫とピピンが小さくなり、俺の頭は天井を破壊した。苦痛に転げまわると部屋の壁が壊れた。
魔物となった俺はこのまま城中を破壊してしまうのだろうか、と頭の隅で考えた。
「ギャァァァァァァァァ」
その時、紅蓮の炎が体を包み、俺は悲鳴を上げた。
まるで出来立ての皮膚を鉄の爪で切り裂くような新たな激痛が体を走る。炎は俺の皮膚を
焼き、喉を焼いた。呼吸を奪われ意識が遠ざかる中、体の大きさが元に戻るような感覚を味わった。
そして、体中を焼け爛れさせ横たわる裸の俺を抱き、名前を呼び続ける姫の泣き声を聞きながら、
俺は完全に気を失っていた。
(続く)
同期の彼の名前は他スレのSSでそう名付けている方がいらしたので拝借しました。
続きはぼちぼち書きます。ちょと長くなりそう(つД`)ゴメン
5の兵士じゃん
以前主人公の名前がアルスってSS見たけど激しくロト紋が浮かんで全然楽しめんかったな
既出の名前はできれば避けていただきたかった
>>まとめサイト様
いつもありがとうございます。
なんっつーか、その、冗談半分で作った乙コールまで保管していただいてすみません。
>46氏
どこのスレか見当ついたよw
長編のヨカーンですが無理せずおながいします。
楽しみにしています。
>>47 それはちょっと自分には無理ぽ…です。これ書き始める際、一番最初に
「ピピンはドラクエでほんとに既出かどうか」を調べたくらいなので。
でも確かに自分はリメイク5をやってないのでピピンについての印象が
ないに等しいんですが、リメイク5をやった方だとまだ生々しかったかも、
という反省はあります。参考になりました。
>>48 えへへ…と誤魔化すしかない、みたいな。
ありがとうございます。
SFC5でもいるけどね、ピピン。
>>50 やったの10年以上前だしなぁ。一応2周はしたんだけどね。<ビアンカとフローラで
正直、6や7でさえよく覚えていない…。あわわ。
一応ヘッドハントすることは可能…でも使ったことねー>ピピン
PS2だとかなり黒い会話してくれるらしいけど。
DQの仲間になる人の名前使うとイメージが限局されやすいかも。
PS2ピピンは良キャラだぞ。黒くないぞw
思いっきりスレ違いでスマソ。気になったもんで。
うわ、そうなんだ。仲間になるんだ。そりゃダメじゃん。ダメダメだ。うわぁjかlkfjぁjkdふぁl
…全然覚えてないよ。こりゃしまった。
しかしピピンて懐かしい。小ピピン大ピピン。なんで大小やねん。みたいな。
55 :
54:05/02/24 21:32:49 ID:8k5IlR1y
ダメじゃんってのは安易にぱくった自分がダメじゃんってことで。
くだんのSSはツボに入って好きでした。念のため。
リメイク5のピピンは会話がいちばん面白いキャラだぞ。
インパクト一番強い。
仲間会話は萌えネタが話題になりやすいが
ピピンを入れなければリメイク5の半分は…いや5分の1くらいは損している。
そうかー。ありがとう。2周目が終わったら必ず買うよ。リメイク5。
メタルギアソリッド3をやろうと思っていたけど、やめた。
(
>>43-45続き)
うっすらと目を開けると、そこは暗がりだった。石畳に布が一枚ひかれた上に横向きで寝ている。
目が慣れてくるとそこがどこなのかすぐに分かった。城の外れにある今は使われていない地下牢。
自分に起きたことは覚えている。姫は無事だろうか。怪我人はでなかっただろうか。
横たわったまま自分の姿を眺めると、とりあえず今は人間の姿をしているようだ。
鎖でぐるぐる巻きにされているが、そうされるまでもなく、今は指一本動かせそうもない。
誰かが着せてくれたらしい服の下は、やはり誰かがやってくれたのだろう、火傷に薬草をのせ
包帯で巻いてあった。
喉だけが焼けるように痛い。炎を吸って口の中から喉の奥まで爛れているようだ。
「エイト!エイト、気がついたのか?」
「…ピピン…か…?」 しゃがれた声だが、なんとか出た。
お人よしのピピン。同期のよしみでこんな所で見張りなんかさせられてるのか。
「ああ、そうだよ。よかった。俺のこと分かるんだな?」
「…姫様は?」
「怪我なんかしてない。ずっと泣いてるよ。エイトのそばにいたいって。今は部屋で軟禁状態だ」
そういってピピンは自分も泣き出した。
「…俺、どのくらい眠ってた…?」
「もう3日目だ」
「…俺のこと、怖い…?」
「正直ちょっとな。でも怖いから泣いてる訳じゃないんだ。…お前が一番ショックだろうなと思って…」
ショック?そうだな。確かにショックだ。呪いが効かない筈だ。最初から魔物だったのだから。
「あれも呪いなんだろ?なぁエイト。お前だけ後から効いてきたんだろ?」
違う。呪いで姿を変えられたのではない。これは勘だがあれは多分、俺の『血』がそうさせたのだ。
「…ピピン…」
「なんだ?」
泣いてくれてありがと。俺の為に。
「…水、欲しい…」
「ごめん、そこまで持っていけないんだ。鍵はここにないんだ」
「……」
また気が遠くなった。
どのくらい眠っていたのか、次に目を覚ますと、顔の近くに皿に入れた水が置いてあった。
ピピンが槍か何かで押しやってくれたのだろう。今はいない様だが感謝しながらごくごく飲んだ。
火傷はともかく、寝ても寝ても、体力も魔力も全く戻らない。こんなことは初めてだ。
…いや、戻ったとして、その時俺はどうなるんだろう。またあんな風になるのだろうか。
あの時は苦痛のあまり我を忘れたようになってしまったが、自我が失われた訳ではなかった。
でも、次は?何の確証もない。あんな風になって、そして狂った俺を、一体誰が倒せるのだろう。
ふと視界で動くものを見つけ、目で追うとそれはトーポだった。
「トーポ」
こっちにおいで。怒ってなんかないよ。俺のこと止めてくれて、ありがとう。
トーポはとことこ歩いてきて、俺の首の下に潜り込んだ。ぬくもりを感じて少し安心する。
トーポ。
もしまた俺があんな風になって誰かを傷つけそうになったら、今度こそお前の炎で焼き尽くしてくれ。
「お前の処分が決まったよ、エイト。国外退去だってさ。笑っちゃうよな」
「具体的には?」
「鎖で巻いたまま山の上に放置。そのまま死ねってことだろ。酷いよな…」
ピピンはそう言ってまたシクシクと泣き出した。でも、まぁそんなものだろう。仕方がない。
「…そんなんで大丈夫なのかなぁ」
「え?」
「俺、そんなんで死ぬと思う?全然自信がない」
「死ぬなんて馬鹿なこというなよ」
「鎖をバリっと破ってあの姿になって、真っ先にこの城に来たりしたらどうしよう」
「ば、馬鹿なこというなよー!」
泣くなよ。もう。考えたら俺だって嫌になるよ。
その時、入り口の重い扉が外から開かれる音がした。数人の足音がして、俺の房の前で止まる。
「エイト」 と、声をかけられ、耳を疑った。
暗いながらもたいまつの光に姿の輪郭が浮かび上がっている。
「姫様」
なんでこんなところに。近衛兵が数人ついているとはいえ、一体誰が許可したんだ。
王、しかいない。
「お父様からやっと許しを頂きました。そのままじっとしていてね」
「えっ?」
ひざまずき、手と手を合わせ、小声で何かをつぶやく。これは―――呪文の詠唱?
ふわり、と優しい光が俺を包み込む。そして立て続けにもう一回。
「いつの間に覚えたんですか」
「ずっと前から少しずつ練習していたの。いつかエイトの役に立てるかも知れないと思って」
"ベホイミ"と"マホアゲル"。高等回復呪文だ。
「どうですか?」と心配そうに俺に尋ねる。
正直言って、すごく効いた。
「効きました」
「本当に?」と嬉しそうな顔をするのが分かる。
「ええ、もう大丈夫です」
鎖を引きずりながら体を起こすと、近衛兵達が姫を守りながら後ずさる。知った顔ばかりだが、
今はまるで敵同士のようだ。
そんな彼らを押しのけるようにして、姫は俺のいる鉄格子にすがりついた。
「お父様からの伝言です。真実を手にして必ず帰ってくるように、と」
王がそんなことを。そのための国外退去処分なのか?
「わたくしもお待ちしています」
ずっと泣いていたという姫は、俺の前では泣かなかった。さすがだ。
「はい必ず」 と、俺は微笑んで答えた。
(続く)
いつか来るだろうとは思っていたドラゴラムネタ。
遂に来たか!
つーか主人公て竜形態になれるの?
>>62 ならないよ。
主人公は竜神族のハーフだから、そういうネタもありかな、というだけ。
うん、エンディングのその後の二次創作だから、
こういうのもありだよね>ドラゴラムネタ
このスレは宝の山だなあ。
面白い主×姫小説に埋もれて幸せだ。
やっぱりこっちに投下していいですか>親話
ちょっと長くなりますが主姫入れますので
はい
いいえ
→はい
当店は長文大歓迎となっております。
>>65 その前に、ここでなければ投稿できない理由をわかりやすく述べてくれ。
>65
主姫って文字に脊髄反射してしまったけど、
親話ってなに?
メインキャラは主姫にしてほすぃー。
竜神族の里を二人で訪問、という話の関連でかつてエルトリオとウィニアが思った事とリンクさせたかったので。
お嫌な方が多いようでしたら止めます。
エイトとミーティアがエルトリオとウィニアの
生まれ変わりのような運命を感じるので自分は読んでみたいとも思う。
改めて。
→はい
では少し推敲と確認作業を行ってから書きます。
反対したら叩かれそうな流れですね
またすごいタイミングで毒を吐くなw
マターリ頼むよ。マターリ。
メインが主姫であるならばここで構わないと思いますが……。
過去と現在をどう繋げるのか、とくと拝見。
>>65 やっぱりこっちに投下していいですか>親話
ちょっと長くなりますが主姫入れますので
→はい
いれて
何回かに分けて書きます。
前半主姫出て来ないので嫌な方は飛ばしていただけるとありがたいです。
1.
ベルガラックからの帰り道、エルトリオはそれに気付いた。
前々から不審に思っていた人も通わぬ高所に立てられた柱列から、ぼんやりと光が漏れてい
る。一度確かめたいと思いつつも余りの難所に二の足を踏んでいたその場所であることに軽
い興奮を覚えつつ、暁の空の下愛馬を駆った。
断崖をよじ登り漸く辿り着いた先は古い神殿の跡だった。
立ち並ぶ柱頭の中央、竜の飾りの付いた石版から先程見た光が洩れ出ている。何事かと近寄
ろうとした瞬間、石版は急に激しく輝き出した。思わず目を閉じ、盾をかざす。まばゆい光
が収まった時、何も書かれていない石版の前に一人の娘が立っていた。娘はゆっくり辺りを
見回し、呆然と立ち尽くすエルトリオの姿に目を留めた。
「ここまで登ってこられるヒトがいようとは」
不思議な威厳を帯びて娘の口からそのような言葉が零れ落ちる。
「そなた…天人か?それとも妖しの者か?斯様な場所に突然現れるとは常人ではあるまい」
だがしかし視線がぶつかった瞬間、もうこの者が何者であってもよくなってしまった。朝日
に輝く黒髪、銀月のように弧を描く眉や桜貝のような唇、何よりも不思議な輝きを放つ黒い
瞳がエルトリオを強く引き付ける。惚けたように見詰めるエルトリオに娘は答えた。
「私はヒトではありませぬ。ましてこの世界の者でも。人身を取ってはいるけれど本性は別
のもの。かつてヒトは我々を『竜神族』と呼んでおりました」
「竜神族…城の魔法使いが語ってくれた話の中で聞いたことがある。神鳥の伝説の中で」
「そう、我々がこの世界にいたのはそれ程昔のこと。今ではこちらで我々の存在を覚えてい
るのはごくわずか」
一見若く美しく見える娘が古風な話し方をするのに最初は奇異な印象を受けたが、慣れてし
まえばその衣装と相まって不思議な魅力を醸し出す。
「竜神族…初めて見た。なんと美しい一族であろう」
そう呟くと娘は「おや」というような顔をした。
「なぜ驚かない?私はヒトではないと言ったのに」
「あなたがヒトであろうとなかろうと関係はない。あなたはあなたであろう?違うのか?」
そうだ。ヒトであろうとなかろうと関係ない。ただその存在が自分を引き付けて止まない。
「珍しいヒトもいたもの。我々の存在に怯えるかと思っていたのに」
微かな笑みを含みつつ答える娘の姿に見とれていたが、ふと我に返り次の問いを絞り出す。
「その竜神族の姫君がなぜ斯様な場所に一人いらっしゃる?どちらかへ参られるのか?」
もっとこの美しい人と一緒にいたい、そう思いつつ問いかけると娘は華やかに笑った。
「私はこの世界に降り立ったばかり。どこに行くかは決めておりませぬ」
その言葉にエルトリオは一歩前に踏み出す。もはやこの人しか目に入らぬ。恋をしてしまっ
た愚かな男の目には。
「どうか姫君、サザンビークへ。私が御案内いたそう。
我が名はエルトリオ。サザンビークの者です」
「私の名はウィニア。案内いただけるとはありがたいこと。よろしくお願いいたします」
2.
神の前で誓った二人の永遠の愛。愛しいウィニアの手にはアルゴンハートがあしらわれた指
輪がしっかりとはめられている。
「あなたは変わっている。ヒトではないと何度も言うたのに、この私を妻に迎えようとは」
祝宴も果てて戻った寝室でウィニアは微笑む。
「ヒトであろうとなかろうとウィニアには変わりない。誰が何と言おうと私のただ一人の妻
だ。私がアルゴンリングを捧げるただ一人の人だ」
そう言いつつエルトリオは背後から彼女の肩を抱く。
「恐ろしくはないの?この身が変じれば城一つ焼き滅ぼすなど容易いこと。あなたの父もそ
れを案じていたのでは?」
「…焼き滅ぼされたい」
「えっ?」
さらに強く腕の中のウィニアを抱き締めながらエルトリオは囁く。
「あなたを得るためならば王位など惜しくはない。いっそ地獄の業火に焼き尽くされてしまっ
た方がましだ。どうか焼き尽くしておくれ、あなたを愛するあまり愚かなこの男を」
「私の焔はあなたを滅ぼそうとする者にのみ向けよう。あなたには私の愛だけを」
そう言いながらウィニアは身体を回し、エルトリオと向き合った。
「ウィニア…」
「エルトリオ…」
口づけを交わし合う。最初は優しく、次からは激しく。
「今宵からは一つのものに。魂の全てを預け合おう」
3.
それは突然やってきた。
平和な夜の静寂を破り、どこからともなく飛来した巨大な竜がサザンビーク城のテラスに降
り立ち、激しい咆哮を上げる。
「出て来よ、我が娘を盗んだ者め!」
挑みかかろうとする衛兵を薙ぎ払いつつさらに咆哮を上げる。その姿を見とめウィニアが駆
け寄ろうとしたが、傍らのエルトリオが引き止めた。
「父様!」
「帰るのだ、ウィニア。ヒトと我々とは相いれぬもの。結ばれる運命にはないのだ」
巨大な竜の口から言葉とともに紅蓮の焔が巻き起こる。それをものともせずウィニアが前に
進み出た。
「帰りませぬ!私の心はこの方ただ一人のもの。父様と言えど従えませぬ」
「そうか」
竜は喘ぐように言うと傍らに立つエルトリオに目を向けた。
「それ程までに執着するのであれば焼き滅ぼしてくれよう、その男を!」
はっと剣を構えるエルトリオ。しかしその前にウィニアが立ちはだかる。
「父様と言えど許しませぬ!どうしてもと言うのであればまず私から焼き尽くしなさいませ!」
怒りの雄叫びとともに竜は舞い上がった。
「愚か者め、竜に竜の炎が効くものか。…ならばよい、この城ごと滅ぼしてお前の執着断ち
切ってくれよう」
「待て!…私一人を殺せばいいのだろう。他の者を巻き込まないでくれ」
エルトリオは竜の口の前に立ちはだかる。この国の人々、特に父や弟に危害を与える訳には…
「ふん、いい覚悟だ。我が娘を誑かした報い、その身に受けるがよい!」
かっと開かれた口から炎が巻き起ころうとしたその瞬間、
「父様、お待ちを」
ウィニアが静かに前へ進み出た。
「この者たちに危害を与えないと約束を。そうすれば私は里へ戻りましょう」
「ウィニア!」
「おお、よくぞ言うた。聞き分けてくれて父は嬉しい。そうと決まれば長居は無用。すぐに
里へ戻るぞ」
「はい、父様…」
一瞬振り返ったウィニアの瞳はまっすぐエルトリオに向けられた。唇が微かに「必ず戻る…」
と動いたように思われたが、あっという間に竜が連れ去ってしまったのだった。
「連れ戻すことは罷りならん。あのような者が王妃では国の安寧が保てぬからな」
数日後、玉座の間では旅姿のエルトリオと父王が激論を交わしていた。傍らでクラビウスが
二人をはらはらと見守る。
「アルゴンリングはありませんぞ、父上。サザンビーク王族の妃だけがその手にはめる指輪
は、今ウィニアの手に。何者も私の妻になることはできません」
「そのような瑣末なことが問題なのではない!いいか、ちゃんとした人間の妃を…」
「私はこの城を出て彼女の行方を追います。父上が何と言われようと私の妻はウィニアただ
一人。障害があれば戦ってでも取り戻します」
「この国の王位はどうするのだ。お前は王位継承者、この国に対して責任があるのだぞ」
「王位はどうぞ、クラビウスに。私は王位継承権を捨てます。愛する人無くして王位を全う
することなどできません」
「エルトリオ!」
「兄上!」
思わず立ち上がる二人に薄く笑いかけるとエルトリオは言った。
「父上、御身健やかに。クラビウス、我侭な兄で申し訳ない。この国を頼む」
4.
竜神族の里への道は封印されていて、只人には開くことができないと彼女は言っていた。で
も一族の血を引く者が触れると自然に受け入れると。かつてウィニアと取り交わしたロケッ
トの中の一房の髪を石版に当てると、石版は強い光を放ってエルトリオを包み込んだ。
光が消えた時、見知らぬ洞窟の中に立っている自分に気付いた。壁には古い時代に描かれた
と思しき竜の壁画が。そして何より見たこともない魔物が襲い掛かってきて緊張が走る。エ
ルトリオは剣を構え、魔物に対峙した。
洞窟はいつ果てるとも知れず続く。聖水の加護を得てもなお湧き出る魔物との戦いに消耗し
つつも、この先にきっと待っている愛しい人の面影を胸に抱いてエルトリオは進む。
急に目の前が開けた。冷たい風が頬を撫で、疲れを拭い去っていく。雲海を眼下に眺めて、
こんなにも高いところまで登ってきたのだ、と感慨も湧く。回復のための魔力も薬草も尽き
てしまったけれど、もうすぐ辿り着きそうな気がする。彼女の故郷に。
ウィニア、もうすぐ…もうすぐ逢える。もう二度と離すものか…
(続く)
ちょっと話はしょり過ぎたかな…申し訳ありません。
この話書いていて思ったんだけどこの二人って「王冠を賭けた恋」のエドワード8世とウォリス・シンプソンっぽいね。
飛ばせって言うけどそうすると話の繋がりとか大丈夫なのかよ
読んだ人には過去と今を見比べる楽しみを、
読まない人にもそれなりに楽しめるよう努力いたします。
勝手な言い草だとは思うけど、
主姫SSスレで他カプのラブシーンは何だか照れくさくて読めないよ…
主姫だどんなに甘々ラブラブでも平気で、むしろどんと来い!なのだが。
エルトリオ親父はベルガラックからカジノに行った帰りですか?
それともパフパフ屋からの…。
90 :
87:05/02/27 00:43:13 ID:wm4csmEs
>89
1.ギャリング氏と武芸を競っていた
2.カジノで大人の社交を嗜んでいた
3.ぱふぱふ屋の帰り
お好きなものをお選びくださいw
>1.ギャリング氏と武芸を競っていた
うまいこと言うねー。
>>79-84 続き
1.
あれから数カ月、私は未だにあなたの死を受け入れることができない。
最後に見たあなたの頬は蒼ざめ、私を包み込んでくれた暖かい手もすっかり冷たくなってい
た。魂が飛び去ってはいかなる蘇生も受け付けない。本当に、後少しで里に辿り着けたはず
だった。あの朝、やけに里の外の魔物たちが騒がしかった。どうして私は気付かなかったの。
何故あなたを埋葬した時に死んでしまえなかった?何故おめおめと生きている?もう生きて
いる甲斐なんてないのに。もう二度とあなたの笑顔に出会うことはないのに。
それでも命がある限りはあなたの元へ通う。あんな寂しいところでただ一人眠るあなたの元
へ。里から持って来た草花の種を蒔いて、少しでもあなたの眠りを安らかに彩ってあげるた
めに。
エルトリオ…今日も来たわ。だんだんここへ通うのも辛くなってきたけれど生きている限り
毎日来るから。一日が過ぎる度、あなたの元へ行ける日が近付くのを楽しみにしているわ。
そう墓に向かって思いを馳せた後、今日も花の種を蒔こうと立ち上がったその時、身体に異
変を感じた。体内で何かが動く不思議な感触。これはもしかして、胎動?私とエルトリオの
子供なの?あれからずっと体調が悪くてそれとは気付かなかったけれど、私、身籠っていた
の?
もう一度それははっきりと動く。自らの存在を示すかのように。
ああ、エルトリオ、私とあなたの子供が今お腹の中にいるのよ!あなたが生きて私を愛して
くれた証が私の中に育っている。
もう少しだけ待っていて。何としても無事に産んでみせるから。私たちの愛の結晶を。
2.
この子を産むことができてよかった。あなたにそっくりよ。凛とした眉も、口元も何もかも
あなたに生き写し。ほら、この指なんてこんなに小さいのにちゃんと爪がついていて可愛い
の。爪の形まで似ているなんて、不思議。私が指を出すととても強い力で握り返すのよ。
この命が尽きてしまう前にもう一度あなたに逢うことができて、本当に良かった。もうこの
世で逢うことは叶わないと思っていたのに、こんな形であなたに再会できるとは思ってもみ
なかったわ。
でもこの子が育っていく様子を見ることができないのはとても悲しい。長い身籠りで私の力
は全てこの子にあげてしまった。ごめんなさい、こんな母で。
最後の力を振り絞って子供を抱き寄せる。目が開いてやや茶味を帯びた黒い瞳が覗いた。強
く強く抱き締めると子供はちょっと顔を顰めた。父親そっくりな表情で。
あなたはあなたの思う人生を生きて。私たちの分まで自分の愛を全うして。
私たちはいつもあなたを見守っているから…かわい…い…エ…イ…ト…
後一回で終わります。
エイトたん…・゜・(つД`)・゜・
ところでこれはなんと読むんですか?<顰めた
>>95 しかめた。じゃないかな<顰めた
文脈から判断するに。
>95
「しかめた」です。
難しい字は使わないようにしてるんですが内容によって使う時もあります。
ご容赦ください。
>96
顰めた
あ、ホントだ。しかめたで出ますた。サンクス。
涙涙涙・・・・・・。乙です・・・・・。
皆さんの作品に感化されたので・・・SS投下します。
ラブ度はあっさりです。お暇でしたらドゾ・・・
「とうとう私たち…追い詰めたのね」
ゼシカがぎゅっと拳を握り締めて呟いた。
「暗黒神…ラプソーン…!」
俺は唇を噛み締め、空の上の悪魔を睨みつけた。
奴を倒せば、今度こそ姫と陛下の呪いは解ける。
「…ヤンガス、ゼシカ、ククール」
「何でがすか?」
「勝てる、よね」
三人はちょっと目を丸くして、それから笑った。
「何言ってんだよ」
「当たり前でしょ!」
「絶対勝つでがすよ!」
ずっと共に戦ってきた仲間の力強い言葉に、俺も笑顔を返す。
「…うん。ありがとう」
負ける訳には…死ぬ訳にはいかないんだ。
『ねぇエイト、約束よ』
約束したんだ。
あれは、俺が近衛兵になって間もない日のこと。
俺は姫と陛下がトラペッタまで視察に行くというので護衛にあたっていた。
その道中、賊に襲われ、姫と陛下は無事だったものの、俺は深手を負ってしまったのだった。
気がついた時、姫は今にも泣き出しそうに俺の顔を覗き込んでいた。
俺は姫が無事だったことに安堵し、小さく笑んだ。
『エイト・・・気がついたのね』
『…姫、お怪我は』
『ミーティアは平気よ。それよりあなたが…』
『姫と陛下がご無事なら俺の身体なんて…俺は姫をお守りする為なら、死んだって構いません』
その言葉に、姫は怒ったように口を尖らせそっぽを向いた。
>>101-102 またいいところで止まっているな…
そんなところで止めちゃうなんてイケズなんだから、もう。
すまん、ミスって規制かけられてた…。
『嫌よ。ミーティアは嫌。そういう考え方は嫌いだわ』
『姫様?』
『だって、だってそんなの悲しい…今日だって、エイトがもし死んだらどうしようって思ったの。
とっても心配したんだから…』
涙混じりの姫の声に、俺は胸が締め付けられる思いだった。
『申し訳ございません』
『…だから二度と、そんなことは言わないでね?』
『…はい』
そして姫はこちらを見て、とびきり美しい、世界一の笑顔で言ったのだ。
『ねぇエイト、約束よ。私の為に死ぬんじゃなくて、私の為に生きていて欲しいの。
それがミーティアの幸せなの』
その時俺は誓った。
『必ず生きて…お守りします。ミーティア姫様』
一生彼女を悲しませたりしない、と。
「姫様」
俺は姫――今は馬の姿である――に微笑みかけ、その御前に跪いた。
「必ず…必ず生きて戻ってきます。だから…」
そっと、姫の鼻面が俺の頭にのせられる。
「信じていてください」
「ヒヒン」
”いってらっしゃい”
そう言ってくれたような、気がした。
「エイト…ラプソーンの元に向かいますか?」
レティスの問いに、大きく頷く。
「行こうか、みんな」
俺は帰ってこれる。貴方が待っていてくれるなら。
貴方の為に俺は死ねない。
いってきます…姫様。
終了です駄文でスマソ。
ラプソーン戦直前をイメージしてみました。
主人公の一人称「俺」でよかったんだろうか…。
>107
乙ですた。
主人公は「僕」「俺」どちらでもいいのでは。
それから駄文言うなや。>107氏の努力の結晶だろ?
(
>>58-60続き)
トロデーン城のはるか南に連なる山脈、その山の頂に俺は連れて行かれることになった。
国でも指折りの屈強な戦士や魔法使いの護送付きだ。相変わらず鎖で繋がれてはいるが
そんなものが既に役に立たないものであることは、ここにいる者全てが分かっている。
馬にひかれた荷車の上から、俺は隣を行く馬上のピピンに問いかけた。
「ピピン、あれ、なんだったと思う?」
「あれ?」
「俺」
ピピンは考え込んだが、言葉を選んでいった。
「翼があった。―――ドラゴン、いや、竜……?」
「竜……」
「に、見えたけどな。正直分からん」
竜ならば、思い当たることがある。
「着いたぞ」
俺は荷車から降ろされ、その辺りにある木に鎖の端を繋がれた。一応形だけ。
「じゃあ、元気で行ってこいよな」
「ああ」
「それと、これは王から託された装備一式。こっちはおばさんから食料とチーズ」
「うん」
「で、これが替えの服。また破ったら困るだろ。それとこれは近衛隊一同から餞別。
こっちは同期一同から」
「うん」
「これはメイドさん達から手作りお菓子。これは兵士有志から旅のお役立ち用品各種。
そしてこれは俺から」
「結構大荷物だな」
「みんなお前のこと心配なんだよ」とピピンが言って、護送の連中も控えめに頷いた。
「で、これが姫様から。薬草とか飲み薬。山ほどな。それとトーポ」
「……ありがとう」
「じゃあな。俺たち行くけど、鎖を破るのは一応見えなくなってからにしといてくれよな」
「そうする。―――じゃあ、皆さんもお気をつけて帰られて下さい」
「はい。どうかエイト様もご無事で」
「お帰りをお待ちしています」
一人残され、彼らの姿が見えなくなってから、体術で造作なく鎖を破る。
「さてと……」
夢に出てきた場所には覚えがあった。一番近いのは、ベルガラックかサザンビークか。
ふと思いついて、泉へ向かう為に移動呪文"ルーラ"を唱えた。
泉の水を口にすると、身体に残っていた疲労感がやっと全て消えた。そしてしばし泉の
水辺のの美しい様子に目を奪われる。ここは姫との思い出の場所。
竜……か。水の恵みがあるところ、竜神が棲むという人もいる。
場所に覚えがあるのはよかったが、今は鳥になることも出来ず、俺は道端で天を仰いで
途方に暮れていた。あんなところ、翼もないのに無理だ。
翼―――。
いや、ダメだ。元に戻れる保障などない。またトーポに焼かれるのは御免だ。それにあの
苦痛ではたとえ空を飛べたとしても、我を失い、目的を果たすことなど到底出来ないだろう。
「……竜になれー……竜になれー……」
そんな呪文あるもんか。馬鹿か俺は……。
結局何も出来ないうちに夜が来てしまい、道から少し林に入り横になる。
姫のこと、王のこと、城のこと、色々なことが頭を巡る。なんでこんなことになったのだろう。
必ず帰ると姫に約束したのはつい昨日のことなのに。不安が募る。本当に帰れるのか……。
―――またあの夢だ。何もない石碑に竜の紋章が浮き出てきて、その先で誰かが俺を―――
「う……」
深夜、がばっと跳ね起きた。来た!この痛みだ。
悪夢のような激痛に苛まれ、音を立てて服を破り、身体が変化する。翼が欲しいと一瞬でも
思ったことを深く悔やむ。そういや靴は一足しかない。脱いでおけばよかった……。
そんなことを考え、結構冷静でいることに気付く。しかし―――。
「ガァァァァァァァァッ」
痛みに転げまわって林の木々を破壊する。くそ、このままでは。トーポ、もう少しだけ待ってくれ!
―――そうだ翼は?
痛みに耐えつつ、思い切って目を開けた。
そこには不思議な光景が広がっていた。
月光も届かぬ林の、その奥まで昼間のように見渡せる。上を見ると、空は星が降るようだ。
―――いや、今はそんなことはいい。翼、翼。どれだ?背中だ!
立ち上がり、翼をはためかせてみる。飛び方なんて分からない。ええい、ままよ!
俺は空へと舞い上がり、謎の祭壇へと向かって飛ぼうとした。よろよろと上を上を目指す。
飛んでいる。いける!
と思った次の瞬間、あの疲労感が襲ってきて、俺は真っ逆さまに落ちていった。
(続く)
リアルタイムでキタ━━━(゚∀゚)━━━!!
…けどなんですか、最近の流行りですか、いいところで「続く」っていうの。
続きせっつきたくなるよw
115 :
110:05/02/28 22:11:20 ID:J1YH+YL+
今まで黙っていましたが、本当は声を大にして言いたかったことがあります。
誰か早くこのあほっぽいタイトルに突っ込んでくれー・゜・(つД`)・゜・
正直思いついた時は、ドトールでコーヒー吹きますた。でも今は反省していr(ry… orz
>>115 何故突っ込んで欲しいのかわからん。
わざわざなぜ「復讐」ではなく「ふくしゅう」としているんだろうな、とは思ったが。
怪しげなアクション映画の邦題ぽいのを狙ったんだけど、なんか滑りました…。
気にしないでください。また明日…。
◆sVVR0Q7eM2さん
すっごく面白いです!
ワクワクしてます!!
続きは明日ですか…楽しみにしております。
それにしてもタイトル。
初めて見た時は、「変なタイトル〜ふくしゅうって???」でした。
つっこんで欲しかったのですね。
もっと早く突っ込んであげれば良かった…
いろいろな方が書いている中申し訳ないのですがラストいきます。
眠りの園/めぐり会う時の中で
僕たちは二人で竜神族の里を訪れている。ここにはどうしても二人で来たかった。
グルーノさ…じゃなかった、僕の祖父が嬉しそうに迎えてくれ、早速例の紙芝居を上演して
くれた。最後の一枚だけは阻止したけどね。でもミーティアは初めて聞いた僕の両親の話に
感動していたみたいだった。ああいうのって女の子は好きなんだろうか?僕にはよく分から
ない。何というか、自分の親の話だと思うと気恥ずかしくて、本当はやめて欲しい。
「ところでこの後はどこに行くつもりじゃ?」
最後の一枚で自分の正体を明かせなかった祖父がちょっと不満気な顔で聞いてきた。
「うん、父さんと母さんのところへ。僕たちの結婚を報告しに」
本当は真っ先に知らせたかった人たちに。
「そうじゃの…あれも喜ぶだろう」
祖父はちょっと悲しそうな顔をしたけど、すぐに嬉しそうに続けた。
「今夜は泊まっておゆき。特製のチーズ料理を振る舞うからの」
里を出てすぐの場所に両親は眠っている。荒涼とした景色の中、その周りだけは草花が育ち、
魔物を寄せ付けない。
「不思議な場所ね…周りは何もないのにここだけ花が咲いているなんて」
そう、この小さな一角だけ草地で、ヤンガスがいくら魔物を呼んでも何も現れない。旅して
いる中、とても不思議に思っていた場所だった。
下界から持ってきた花を供え、墓前に座った。
「父さん、母さん、長い間会いに来ることができなくてごめんなさい。今日は結婚の報告に
来たんだ。この人が僕の妻だよ。半人半竜の僕でもいいって言ってくれた変わった人」
「はじめまして、お義父様、お義母様。ミーティアと申します」
二人でそう両親に話し掛ける。
「父さん…本当は父上って言わなきゃいけないんだろうけど、ずっと心の中で父さんって呼
んでいたからそう呼ぶね。いきなり『父さん』なんて呼ばれてびっくりした?僕も父さんに
会いたかった。
母さん、僕を産んでくれてどうもありがとう。
僕はあれから…」
なるべく淡々と今までのことを話した。トロデーンのこと、仲間のこと、旅のこと、そして
ミーティアのことを。
「…形見の指輪は結婚指輪にしたんだ。一番大切な人に一番大切なものを持っていて欲しかっ
たから」
そう言った後、言葉が続かなくなった。いろんな思いが込み上げてきて。
父さん…どんな人だったの?どんな思いで母さんを追って来たの?僕の存在を知らずに逝っ
てしまったなんてちょっと淋しい、かな。
母さん…命と引き替えだったなんて、ごめんなさい。僕がいなければもっと長く生きていら
れたのかな。母さんは僕を抱いてくれたことあった?母さんのこと、覚えていたかった…
今はもう答えは得られないと分かっているのにそんなことを考えてしまって、つい目の奥が
熱くなってしまった。傍らのミーティアが膝に置かれた僕の手をそっと包み込んでくれる。
「お義父様、お義母様、エイトをこの世に送りだしていただいたこと、心から感謝いたしま
す。エイトが何者であろうと私の大切な人であることには変わりありません。
エイトとめぐり会うことができて、私はとても幸せです」
ミーティアはハンカチを渡してくれた後、そう僕の両親に語りかけてくれている。僕は顔を
背け、鼻をかむふりをしながらこっそり涙を拭った。両親が恋しい訳じゃない。両親のこと
を知った時にはもう二度と会えないっていうことがただ…
「幸せになるよ、僕たち。だからそこから見守っていて」
ようやくそれだけを絞り出し、無言で祈りを捧げる。
「行こうか」
しばしの祈りの後、努めて明るく言った。
「父さん、母さん、また来るよ。いつか僕たちに子供が生まれたら一緒に連れて来るから」
そう言って立ち上がった時、一陣の風が僕の頬を撫でる。
…私たちはここからいつまでもあなたたちを見守っています…
風は僕たちにそう囁いてくれたような気がした。
(終)
>>118 なんというなんというお優しいレスなんでしょう(つД`)・゚
明日の分、やっと上がりました。夜中なのに元気でますた!
>>121 乙でした。力技と言われてましたが、自然に主姫に移行しましたね。
ヤンガスが口笛吹いても何も現われないってまじですか?
まさかあそこでレベルageとかしてたんじゃ…あわわ……
昨夜はあの後力尽きて寝てました。
>123氏
墓の前の草地にモンスターが出ないというのは本当です。
どっかのスレで見掛けて自分でも確認しました。
その理由にお母さんの蒔いた種っていうのは完全に自分設定ですが。
>ふくしゅうの〜
|∀・)<「ドラゴン怒りの脱出」なんていうパクパクな題を連想したことは秘密だw
125 :
小ネタです:05/03/01 11:10:39 ID:vWW4NU/+
「姫様、今日も一日ありがとうございました」
手馴れた様子でハーネスを外していく、いつもの夕暮れ。
「それでは……少々失礼します」
鞍も掛け布も外してブラシを手に取ったところで
……グイッ
「……姫様?」
頭に鼻面を押し当ててゴシゴシ擦りつける。
「ちょ、まっ、姫様ちょっとおやめください……わっ」
勢い余って外れたバンダナを白い馬がくわえていく。
「いきなり何を……って返してください!姫様!」
取り返そうとする手が届かぬように首をそらせて。
「ああいう馬そのものの仕草を見ていると泣けてくるのう……」
「馬そのものって……ねぇ?」
「トロデのおっさんは分かってないでがすが……」
「つーか馬の時までいちゃついてんじゃねーよ」
おうまさんのまめちしき
馬の手入れをしていると自分もゴリゴリと鼻先や口で
やってくることがあります。
お互いに毛づくろいをしあう馬の習性ですので
気持ちは受け取ってあげましょう。
……すみませんしたーっ!
なんか馬の習性についての文を見ていたら
思いつきで出来てしまった小ネタです。
お口汚しで申し訳ありませんが……
>125
(・∀・)カワイイ!
(・∀・)ニヤニヤ
>>125 カワエエ
でもセリカ号と二階堂(もしくは小林くん)を思い浮かべた漏れってw
>>125 (;´Д`)キャワエエ
体験乗馬いったことあるよー。3回くらい乗ったかな。
お馬さんってホント癒されるよね。
人の背中で鼻かまないでね姫
(
>>110-113続き)
気がつくと、冷たい石の上で霧雨が全身を濡らしていた。
あの絶望的な疲労感が再び身体を蝕んでいる。
―――ここはどこだ……?
意識のなくなる一瞬前、大きな爪で鷲掴みにされるような感じがした。あれは夢?それとも……。
ぼんやりと辺りを見回すと、そこがあの石碑のある場所だと分かった。
自力で飛んでここまで来た?いや、あの時確かに俺は飛ぶ力を失って落下していったんだ。
―――トーポは……?
はぐれてしまったのか、トーポの姿がなかった。俺まさかお前のこと踏み潰したりしてないよな。
どこかでこの雨を凌いでいてくれているといいのだが。
結局それから俺は、まる3日ほど起き上がることすら出来なかった。
ようやく身を起こせるようになり、立ち上がる。そういえば、服や装備は下に置きっぱなしだ。
せっかく癒えてきた疲労感がどっと増したような気がした。やり直しだ。
しかしただ戻るのもシャクな気がして、祭壇のほうへ向かう。
やはりここだった。夢に出てきたのは。
翼竜が翼を広げた像の下には、石碑。そこには不思議な光を放つ紋章が浮かび上がっていた。
この向こうに何か―――。
その時、チュウチュウと声がして足に何かが触った。トーポだった。
「お前無事だったのか」と抱き上げたその時、石の柱の影に荷物があるのが分かった。
しかし、一体なぜこんなところに?
幸い、あまり濡れていない。とりあえず服を身に付け、荷物を調べる。
これは俺から、と渡してくれたピピンの包みを開けると、長靴が入っていた。ああ、ピピン!
そして、姫から頂いた薬草と飲み薬を使う。あの優しい光と同じ効き目が、俺の身体を癒した。
遠く離れていても、姫を体中で感じる。不安は不思議と消えていた。
姫様、俺、絶対に帰ります。
「よし、行こう」 一休みしてから、トーポに声をかけた。袋を手にし、立ち上がる。
石碑に浮かび上がった紋章に手をかざした瞬間、光に包まれた。
ふっ、と体が浮き上がり、光の粒子と一体となって何かを突き抜けるような感覚。
声を上げようとしたその途端、目の前には洞窟が広がっていた。
袋からたいまつを取り出し、明かりを点す。ここは一体…。
奥には相当な広がりがあるようだ。「英雄の槍」と名付けられた槍を手に、進み始める。
「英雄」という言葉が胸をくすぐった。王の必ず帰れというお言葉はご本心なのか。
と、かわいい一つ目の魔物が出た。長靴を履いている。弱そうだ。
この洞窟に迷い込んだのかな。脅かして追い払うか。そんなことを思っていると、
"イオナズン"の洗礼を受けた。そんな馬鹿な。最強の攻撃呪文の一つだ。
戸惑いながらも気合をためて"さみだれ突き"を叩き込む。魔物は消えた。なんなんだ、今の…。
しばらく進むと、今度は魔物の群れが襲ってきた。人間型で大きなオノを手にし覆面を被っている
ものが二体。もう二体は腹ばいで翼と尻尾を持った悪魔。体つきは人間に似ているが、なんとも
形容しがたい不気味な動きで俺に近づいてくる。
以前共に戦った仲間は、今はもういない。たったの一人でこいつらを片付けなければならない。
だが不思議と心細さは感じなかった。誰の為のものでもない。これは俺の戦いなのだ。
オノ男は文字通りそのオノで俺に切りかかってきた。盾で防いだが破壊力のある重い攻撃だ。
直撃せずとも損傷を受ける。槍でなぎ払ったが、防御力も強い。
腹ばいの悪魔は呪いの玉を投げつけてきた。が、俺に呪いは効かない。
魔力を温存しなければ、という気持ちが働くが、そんな余裕はとても与えてくれなさそうだ。
(…地獄の盟主よ 我が呼びかけに応えよ…)
目を閉じて槍に祈りを込め、地に槍を突き立て地獄から雷(いかずち)を呼び寄せる。
槍使いの究極奥義、"ジゴスパーク"。
巨大な魔法陣が地の底から現れ、魔物を飲み込み、雷を降らす。やったか!?
しかし四体ともに生き残っている。なんて奴らだ。
腹ばいの悪魔はすかさず俺にその牙で襲い掛かった。防ぎきれず傷を負う。
回復する暇など与えずオノ男が切り掛かってくる。多勢に無勢だ。先ほどよりも重い攻撃が
俺を襲った。やばい。"ベホマ"で回復するが、次の瞬間、もう一体のオノ男が襲い掛かる。
想像以上の損傷を受けた。たまらずもう一発"ジゴスパーク"を放つと、四体全てがやっと消滅した。
息を切らし、思わず膝をつく。
こんな手強い奴ら、暗黒魔界都市にさえいなかったぞ。
この洞窟、一体どうなっているんだ。
少し進むと、光を放つ白い岩壁の周りに、水をたたえた泉があった。
あの泉を思い出したが、飲む気になど到底なれない。
どうやらここのやつらは気を抜ける相手ではなさそうだ。
幸い、薬草も飲み薬も豊富にある。全開でいこう。
巨大な王にかしずく人々。炎を吐く翼竜。いつの時代に描かれたものか分からない不思議な壁画。
それらを見ながら進むと、巨大な空間へ出た。たいまつの光で照らされ、天井から落ちてくる
水流がきらきらと光る。下を覗き込むと水の深淵が静かに横たわっていた。目を凝らすと
奥の方でも何本も水流が落ちてきている。豊かな水。ここは川の源流なのだろうか。
行き止まりだった。引き返そうときびすを返したその刹那、巨大な輪にがんじがらめにされた。
「!?」
魔物の群れだ!身動きできない。俺を絡め取っているのは、武装した犬の様な魔物の持つ
首輪だった。さっきの腹ばいの悪魔が二体、犬が二体。凄まじい攻撃が反撃できない俺を
次々に襲う。一方的にやられて、大きな傷を受けた。このまま死ねるか!
気を失いそうになる直前、力まかせに輪を引き千切り、"ベホマ"を唱える。
そして"ジゴスパーク"。やはり一発では無理か。反撃に耐え、さらに"ジゴスパーク"
まだ向かってくる。一体全体、ここの奴らはどうなっているんだ!
(続く)
137 :
133:05/03/01 20:51:55 ID:3zqQG9ud
トリ間違った(T_T) ◆sVVR0Q7eM2でした。
オノ男 って
あっしのことでがすかね?
安心して 違うから  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄
,〃彡ミヽ .,'^y'⌒⌒ヾヽ |>-∧,、 ii ,ノヽ
. 〈(((/(~ヾ》 ))! .八~゙リ))( . <Z△,(7ヾ>(. !|
ヾ巛- _-ノ" (.(ヾ(;゚ヮ゚ノ! ,)) (゚C_.:゚メ`6ノ,||ヾ、ノ
ニタヨーナ /~'i':=:゙iヽ ゙ /ヽ、)ノ)づ /i!:::i¥il:::::《つ|
モン ダケドナ ん、」"Yヾlノ U曰ニ〈 . じi!;:;!≡il;;;;;;;!. ||
i†=|=|ノ // ,!@ (iWi(iW.!). ||
|ー |-| ん、_!__!,ゝ 〉ニ.〉ニl ||
 ̄  ̄
実は最初、ナタ男と書いてた…。
おおーーっ!
続きがうpされてる!!
戦闘シーンとか、動きがあって臨場感溢れる描写が素晴らしいとオモ。
続きが楽しみ。
◆sVVR0Q7eM2さん、ラストまでがんばって下さい。
このスレは何気にレベル高い職人さんが多くて嬉しい。
始め誰かとオモターヨ>トリップ
続き楽しみにしています
確かあのダンジョン回復の泉なかったよな、大丈夫かな、エイトタン。
実際墓の辺りでMP尽きたぞ(ギガスラ&ベホマズン連発で)、四人旅でも。
戦闘シーンは正直邪魔だとおも
主人公の竜化を扱う上でこの戦闘が必要だというならしゃーないけど
>>140 ありがとうございます・゚・(つД`)・゚・お言葉、メッチャ励みになります。
>>141 という訳でヤクゼぬっ頃してやってみました。ドラクエ一人旅in「竜神の道」
Lv66 英雄のヤリ、竜神一式・アルゴンリング装備(ズルイじゃんw)
3回くらい死にましたね。あと色々検証で10回くらい…(つД`)ゴメンエイト
>>142 自分も書く前はかなり鬱でした…。
>>142 書き手が必要だと思って書いているのだから
それで口をはさむのは失礼じゃないか。
戦闘シーンも含めた上で◆sVVR0Q7eM2さんのこのSSなんだよ。
おまえが邪魔だと思っても
>>140のようにいいと思う人もいるんだから。
>>143 気にせず、自分の書きたいものを書いてください。
おもしろいです。このSSのために一人旅をしたとは!
力はいってますね。素晴らしい。
>>143 ずるいぞ!>竜神装備とアルゴンリングw
それはともかく検証乙。
実際一人旅はかなり辛いはず。
眠らされたり踊られてよくヌッ頃されてたな、そういえば。
親父スゲーw
146 :
125:05/03/02 21:13:51 ID:Fm/58Nuq
亀ですがレス下さった方ありがとうございます。
可愛いと言っていただけて嬉しいです。
なんか友達が「彼氏が可愛いと思ったら髪くしゃくしゃしたくなる」と
言ってたのもネタの元になってるので
実は脳内では馬鹿ポーネタに分類されてたりw
では、またなんか降りてくるまで名無しに戻りますです。
147 :
143:05/03/02 22:10:24 ID:d2526Ca9
>>144 じ〜んときますた。
このお言葉は、今後続きを書く上で大きな糧とさせて頂きます…。
息切れしてしまいました_| ̄|○ 続きは週末になりそうです。
長い上に引っ張って申し訳ないです。
無理はしない
>>147。
長丁場になりそうだし、呪文せつやくでおながいします。
えー、
>>147氏を待つ間のつまみドゾー
「何て言うかドラマよねー。まさに『王冠を賭けた恋』だわ」
竜神族の里でエイトの出生の秘密を聞いた後、ゼシカがうっとりと呟いた。
「しかしトーポがあんなじじいだったとはね。…ってエイト、どうした?」
ククールの横でエイトがものすごく凹んでいる。
「いきなりあんなにたくさんの秘密を聞かされたら誰だってショックでがすよ。
兄貴、大丈夫でがすか」
ヤンガスの気遣いにエイトが呻く。
「…姫様が…」
「馬姫様がどうしたでげす?」
「時々トーポを抱き上げて『トーポかわいい』ってキスしてたんだ」
「「「えええええええええーっ」」」
「中身が僕の祖父だったなんてもうどうしたらいいか…」
がっくりうなだれるエイト。三人が事態を何とか収拾しようとする。
「ほっ、ほら事故ってあるじゃない?人工呼吸はキスのうちに入らないとか。外側はかわいいネズミなんだし」
「いやでも中身はグルーノさんだぞ。姫様のファーストキスはじじいかよ。そりゃショックだわな」
「兄貴、黙っていればいいんでがすよ。アッシらも協力するでがす」
「そうよ、私たちも絶対言わないわよ」
仲間たちの懸命のフォローに対し、エイトがぼそりと呟く。
「違う…」
「ん?何が違うんだ?」
ククールの問いにエイトがうつむきながら答える。
「姫様とはキスしたことあるんだ」
「「「えええええええええーっ」」」
今日二回目の「えー」の大合唱。
「そっ、それは意外だわ…」
「兄貴も隅におけないでげすねー」
「奥手だと思っていたのに意外と手の早いヤツだな。で、いつしたんだよ」
興味津々の三人に若干引き気味になりながらもエイトは答える。
「九つの時…将来結婚しようっていう約束で」
唖然とエイトの告白を聞いていた三人のうち、ククールがぷっと吹き出した。
「なんだよそりゃ。期待して損したよ。城の物陰とかで熱いのをかましていたのかと思っていたらガキの頃の話かよ。ガキの頃のキスなんてそれこそ犬とするようなもんだぜ」
手ひどいククールの言葉に対してエイトはさらに深く凹む。
「あら、そうかしら?私はロマンチックでいいと思うけど。あんたみたいなスレたヤツには分からないかも知れないけど、こういうのって女の子はいくつになっても好きなものよ」
「アッシはパルミドみたいなスレた街で育ったんで兄貴みたいな純愛が羨ましいでがす」
「はあ、ありがとう。…でも、トーポの中身がアレなことは変わりないんだよね」
ヤンガスとゼシカの言葉に感謝しつつもため息混じりにエイトは答えた。
「まあ、あれだ。この件についてはトロデ王と姫様には黙っておこうぜ。レディーに無駄なショックを与えるのはオレも本意じゃない」
「そうよね、ククールもたまにはいいこというじゃない。世の中知らずにいた方がいいこともたくさんあるってことで」
「アッシも口が裂けても言わないでがす。兄貴のためなら死ぬまで秘密を守るでげすよ」
「みんな、どうもありがとう。そうしてもらえると助かるよ」
仲間うちで今後の方針が定まったその時、ククールが禁断の一言を呟いてしまった。
「それにしてもあのじじい羨ましいな。あの美しい姫様に抱かれてキスされていたなんて」
「それを言うなーっ!」
エイトの叫びとともに怒りのギガデインがククールの脳天を直撃した。
「シロツメクサの約束」及び「眠りの園」のコラボでひとつ。
バカネタですみません。
>150
ヤクゼとの掛け合いが楽しくて(・∀・)イイ!
>>150-151 面白い!
ちなみに俺はトーポネタで、
ゼシカが一回トーポをお風呂に入れてあげてた事があって、
正体を知ったゼシカがキレまくってヤク主にイオナズンをお見舞いするってのを考えたことがある。
155 :
152:05/03/03 17:56:23 ID:B2oMUPFQ
>153>154
楽しんでいただけたようでよかったです。
実際ショックだったよ、あのイベントorz
もしかしたらゼシカもあったかもしれん。
バニーさんにはモテモテだったし、罪作りなトーポw
>>150-151 ホント、ほのぼのしていいねー。こういうのは。
てか皆さん発想が健全だ。
漏れがあのイベントで真っ先に思ったのは…('A`)
やっぱやめとくw
この洞窟の中に入って、一体何日経ったのだろう。時間の感覚は既にない。
出現する魔物はどれも強敵で、恐ろしく消耗してしまった。薬草も飲み薬も残り少ない。
一度出ようかとも考えるが、あの苦痛を思うと、引き返すのがためらわれた。
もう一度ここに来られる保証はない。
その時、行く先に陽光を感じ、思わず早足になる。出口か?
なんだ、この場所。
俺は思わず息を呑んだ。あの旅の途中でも、これほど奇妙な光景は見たことがない。
頭上には青い空が広がり、眼下には雲の海。今来た道はすぐまた別の洞窟へと繋がっている。
その洞窟の先からまた別の洞窟へと道は続いている。
まだあんなに歩くのか。少しうんざりした。
ぼろぼろだった。姫から頂いた薬草も飲み薬も、もうない。
"いのりの指輪"も、たった今の回復で崩れ去った。あと一度くらいの魔物の来襲は
凌げるかもしれないが、その後はもう無理だ。ここらが潮時だ。
また外に出るようだ。最初は太陽の光が拝めて嬉しかったが、先に続く道を見ると辛くなる。
しかし、そこは今までの殺風景な風景の中とは少し違った。緑があり、花が咲いている。
そして墓石があった。刻んである文字を読む。
『わが最愛の人エルトリオ ここに眠る 願わくば その眠りの安らかならんことを』
エルトリオ?どこかで聞いたような名だ。
確かあれはサザンビークだったか。クラビウス王の行方不明の兄がそんな名前だった。
別人だろうと思いながら、なんとなく手を合わせた。俺も同じだ。この場所で座り込んだら、
きっともう立てない。
引き返さなければという気持ちと、少しでも先に進んでおきたいという気持ちが混じる。
こんな時に迷いは禁物であることは分かり切っている筈なのに。
また陽光が見える。眩しい。あそこで終わりなのか?
思わず駆け出したその時、また魔物が現れた。悪魔の将軍が二体。最悪だ!
こいつらは素早い動きでこちらが体勢を整える前に二度攻撃してくる。凶悪な突き、それに
"イオナズン"。この洞窟の中で出会った魔物の中でも、最強の連中だ。
どうするか。残された魔力では、技を放てるのは1度きりだ。しかしそれでは届かない。
―――賭けるしかない!
気を練るほど相手に与える痛手は大きくなる。しかしその間は一方的にやられることになるのだ。
こちらが単体で相手が複数の場合、ためるのは危険だ。もし一撃で仕留められなければ
回復する前にやられてしまう。
だが今は賭けるしかない。槍を手に、気合をためる。
強力な四度の連続攻撃と二度の"イオナズン"が、無抵抗の俺を襲った。
―――よし、残った…!
崩れ落ちそうになりながらも、通常の三倍の威力を乗せた"ギガブレイク"を放つ。
魔物は消滅した。
そして俺は、陽光溢れる外に向かって歩き出した。
(続く)
(133-136の続き)←入れ忘れました。
キリがいいので、ここで一度切らせてください。ぶつ切りでごめんなさい。
てか、なんかまたトリが違う(つД`) 前と同じ間違いしてる…。◆sVVR0Q7eM2です。
…もうやだぁ(つд`)・゚ スレ汚しスマソ…
tst
(しかもテストを誤爆してしまった…orz…しかし謎は全て解けた…)
>>156 乙!トリの問題も解決出来たようでよかったね。
ちょっと気になってたんだが、もしかして漏れのss邪魔だった?
同じ時に例の場所の話だったし。
もしそうだったらごめんなさい。
>>162 いやいや、とんでもないです。漏れもちょうど試練受けてるから考え付いただけだし。
ぱくらないように気をつけなくちゃ…とは思いますたがw
早く城に帰って本題に入りたいなぁというのが本音です<萌え話
でもなんか姫主になってしまう(;´Д`) このスレ的には誤りでしょうか…。
ネタが溜まってきちゃったのでssいきます。
>◆sVVR0Q7eM2氏の登場を待つ間の暇つぶしにドゾー
春まだ遠いトロデーン城の寝台の中で、僕たちは密談していた。
「だから、内緒で出かけるのはよくないって言ってるでしょ。この前だって結局お父様に見つかって大目玉だったじゃない」
この前の真夜中の散歩は結局お義父様に見つかって、二人して怒られてしまったんだ。でもスリルがあって楽しかったんだよね。
「何言ってるんだよ、ミーティアだって結構楽しんでいたじゃないか。それにあんな場所で色っぽい目で僕を誘うし」
そう言いながらミーティアの頬に口づける。
「そっ、それとこれとは別問題よ。ああいうことするはよくないって言っているの。周りの人に迷惑をかけてはいけないでしょ」
頬を染めつつ反論するミーティアはとてもかわいい。でもここで引き下がる訳にはいかない。ミーティアの黒髪を手で梳いてやりながらこう言った。
「でも、出かけるって言ったって二人きりで出かけられないじゃないか。必ずお付きの人がくっついてきて『姫様、それはいけません。エイト様、斯様な行動はお慎みください』って休まる暇もないよ」
「それはそうだけど…」
「僕たち夫婦なんだよ、一緒の時間が持てなくてどうするの。たまには二人きりで出かけたいよ」
と畳み掛けるとちょっと困った顔をした。
「…それはミーティアだって二人で一緒に出かけたいわ」
「でしょ」
「でもお父様に心配おかけするのはよくないと思うの」
「うっ」
そう言われてしまうと反論の余地はない。でも…
「二人きりになれるのってこの小さな空間しかないじゃないか。真っ昼間からここに籠り切りって訳にはいかないでしょ?僕はいいけど」
いや、まあ人払いすればいいだけなんだけど、「後は下がって結構です」って言うのって結構恥ずかしい。要するに、その、これから人には見せられないことをします、って言っているようなものだし。
「そっ、それはちょっと…」
まあミーティアの躊躇する気持ちも分からなくはない。いつもミーティアの部屋で朝を迎える僕なんて、かつての同僚たちに
「若いなあ」
「最初から飛ばし過ぎはよくないって」
「ほどほどにしないと腎虚になるぞ」
とことあるごとに言われている。最初はいちいち反応していたけどもう慣れっこだ。
それにしてもほっといてくれよ。こっちは何年も想ってきた人と晴れて結ばれたんだぞ。多少のことは大目に見て欲しい。大体腎虚って何だ。
「じゃあさ、お義父様に頼んでみるから。『二人で出かけたい、できればお忍びで』って」
多少は譲歩するか。「二人きり」っていうのが一番のポイントなんだし。
「…ええ、そうね。それならいいかしら」
渋々、といった感じでミーティアは頷いたけど、本当は嬉しいと思っていることを知っている。その証拠に、ほら、はにかんだ目をしている。
「今夜はどこに行くか考えようか。眠りに入るまでの間」
あ、(終)入れるの忘れてた。
今回はこれで一応終わりです。
微笑ましいラブラブバカポーですなv
こういうお話、大好き。
…でもいつもいいところで寸止めくらったような気分になるのは何故?
172 :
170:05/03/05 00:52:54 ID:wSJ3gtM3
>171
す、すみません…
今回のみに関していえば、次の話の繋ぎなのであの程度の描写なんです。
そうでない話(特に回り道篇)はあれ以上はお約束に抵触するし、自分の力ではとても書けないのでどうしても生殺し状態で終わらざるを得ませんでした。
どうも自然な流れの中で愛あるものであるならば削除にはならないらしいです。
でも通常の話と違って性行為そのものを書くことはすごく難しいと思ってます。
例えるならばおいしい料理を人に説明して相手に食べたいと思わせる、そんな感じ。
173 :
163:05/03/05 18:06:12 ID:4/NKlwhP
>大体腎虚って何だ。
すごく今更なので聞きづらいんですが、私も分かりません。お子様なので…。
>>171 本当にすごく難しそう(;´Д`)
でも『生殺しじゃー!』って声は誉め言葉だと思いますよ?
なんというか、>167を読んで、あー今の状態では投げにくいのかなぁと
思ってしまいました。甘えてしまっていましたが、長いのをだらだらと続けているのは、
他の書き手さんにも読んで下さっている方にも、ご迷惑ですよね。
今後気を付けます。どうか今回までお許しください。(あと3回くらいの予定です)
>173
腎虚【じんきょ】
漢方の病名。精力を失って衰弱した状態。
漢方では腎臓に性関連の役割があると考えられているらしいので、よく「やり過ぎ」の意味で使われる。
男のみ。
大体DQ世界にそんな言葉があるとは思えないんだけどあからさまに言うのもどうかと思って。
ネタが溜まることは全く気にしておりません。
どうぞ氏のペースで書いていただけるとありがたいです。
レスアンカーも付くことだし。
つーかss書くのに力入り過ぎて精力奪われているのは漏れの方だ。
適度に間置かないとこっちこそ腎虚だよw
あ、またも書き忘れてました。
◆sVVR0Q7eM2氏の続き楽しみにしています。
でも無理はなさらぬよう。
>>174-175 そうでしたか。いらぬ心配をしてしまいました。どうもすみません(;´Д`)
腎虚の意味と、お言葉、ありがとうございました。
(
>>157-158の続き)
その老人はグルーノと名乗った。この村での俺の案内役だという。
竜神族の里。やはりあの石碑の向こうには、竜にまつわるものが存在していた。
しかし、竜神族。竜と人の二つの姿を持つ不思議な存在。言い伝えとして耳にしたことはあるが
本当に存在していたとは。
初めて目にする変わった耳を持ってはいるが、見た目にはさほど人間と変わらない。
「どうした。食欲がないな。まぁ無理もないか。あの道を一人で抜けてくる人間がいるなど、
到底信じられんわい」
「……友達とはぐれてしまったんです。今までこんなことなかったのに」
チーズ料理を振舞ってもらったが、チーズを見るとトーポにも食わせてやりたくなる。
トーポが消えた扉の向こうから現れたお爺さんは、俺を自分の家に招き入れてくれた。
「小さな村じゃ。そのうち出てくるじゃろうて。…ところでお前さん、竜神王様を正気に戻すという話、
本当に引き受けてくれるのかね?」
「俺に出来るかわからないけど……、なんだか、その為にここに呼ばれたような気がするんです」
「そうか……。そうかも知れんのう」
この荒れ果てた竜神族の里は、滅亡の危機に瀕しているのだという。
人の姿を封印しようとした竜神の王が正気を失い、他の竜神の力を吸い取っているのだと。
最強の竜である竜神王を倒す手立てを、弱ってしまった竜神の里の人々は持っていないのだ。
竜神王ならば、俺がなぜ突然竜の姿に変化するようになったのか、知っているかも知れない。
そして竜の姿を封印する術を知っているかも知れない。
「今日のところはもう休みなさい。さぞかし疲れているだろう」
「はい。ご馳走様でした。おやすみなさい」
グルーノ。初めて会ったのに、そんな気がしない不思議な人だ。
寝床に入っても、トーポは来なかった。いつもは俺が布団に入るとすぐに走ってくるのに。
お前一体、どこに行ってしまったんだ?
竜神王がいる天の祭壇。そこに到る道は、あの壁画の洞窟よりも過酷な魔物が待ち受けていた。
しかし、二度と来られないかも知れないという恐れがない分、あの時よりは気は楽だ。
時々戻って慎重に進む。竜神王との戦いが待っているのだ。
また墓があった。昨日の墓とは違って、日も当たらぬ寂しい場所。名前が刻んである。
『わが最愛の娘ウィニア ここに眠る』
グルーノの従者が口にしていた、グルーノの娘さんの名前だ。人間の男と恋に落ちたという。
そうか。亡くなっていたんだ……。
「あなたなんですね。俺を呼んだのは」
俺の前に、一体の巨竜が牙を剥いている。これが正気を失った竜神王の、竜の姿。
凄い形相で俺を睨み付けている。
―――俺もこんな恐ろしい姿をしているのか?
そんな邪心がかすめた俺を、竜神王の痛恨の一撃が襲った。
たった一撃食らっただけなのに、その牙の威力は強力で、俺は気を失いかけた。
くそっ!
"ベホマ"で回復するが、その直後巨竜が吐いた灼熱の炎が俺を焼いた。
―――……っ!だめだ。強すぎる!
また"ベホマ"。反撃する暇も与えないのか。それに一撃一撃が重過ぎる。
「!?」
ミスだ。助かった。すかさず"ギガブレイク"で反撃するが、どれほどの損傷を与えたのか、それさえ
分からないほどの巨体だ。だがやれることは一つだ。少しずつ削っていくしかない。
最初の痛恨の一撃は効いたが、後の攻撃はなんとかその後の回復で凌げそうだ。
消耗戦だ。根気よくやるしかない。
俺の体力と魔力が尽きるのが先か、竜神王を倒すのが先か。
一進一退の命の削り合いは長い時間続いた。
またミスだ。敵も疲れてきたのか。ためていく絶好の機会かも知れない。
槍を手に気合を練る。だが―――!
―――やばい、痛恨の一撃が来た……!
これで決まらなければ、次の攻撃で一貫の終わりだ。
「……頼む、決まってくれ!!」
俺の願いが通じたのか、気合の威力を乗せた"ギガブレイク"は巨竜を直撃し、その巨体は
ゆっくりと崩れ落ちた。
倒れた巨竜は内側から鋭い閃光を放ち、消えた。
そして、その光の中から、錫杖を持った長い髪の男が姿を現した。
「……私は何をしていたのだ……?あの儀式からずっと夢を見ていたようだ」
どうやら正気に戻ったようだ。俺はホッとして胸を撫で下ろす。あと一撃食らっていたらやばかった。
竜神王は俺の顔を見て、驚きの声を上げた。
「お前は……! エイト、エイトなのだな!?」
なぜ俺の名前を?
「お前が私を……竜神族を救ったとは。なんと宿命的な……」
「俺のことをご存知なんですか?宿命的ってなんのことです……?」
そして、竜神王は俺に関する衝撃の事実を話して聞かせたのだった。
正直言って、差し当たって一番驚いたのは、トーポの正体が俺の祖父だったということだ。
確かにねずみとしては長生きだと思っていたし、炎を吐くねずみというのも尋常ではない。
だが、同じ布団で寝ていたのが、よりによって自分のお爺ちゃんだったなんて……。
グルーノは片手で顔を覆った俺の背中をポンポンと叩いた。
グルーノは俺に両親の形見の指輪を渡し、エルトリオとウィニアのことを話して聞かせた。
ここまでに見た二つの墓は、両親の墓だったのだ。もっと念入りに祈っておけばよかった。
竜神族と人間という種族の違いによって引き裂かれ、命まで落とした両親のことを思うと
悲しい気持ちになった。が、同時にその竜神の血が自分にも流れているという事実に
俺は愕然とした。
「俺は一体どうなるんでしょうか。えっと……」
「グルーノで構わんよ。―――そうさのう、お前の中の竜神族としての血が目覚めてしまった。
いや目覚めつつあるということだ」
「じゃあ、これからもあんなことが度々起こるんですか」
少し慌てた。あの苦痛と疲労が何も制御できずに襲ってくるなんて、考えたくもない。
「竜の姿を封印することは出来ないんですか?人間の姿を封印することが出来るのなら
逆に竜の姿を封印することも出来るはずですよね」
「もしかしたら可能かも知れん。だがその儀式によって竜神王様は狂ってしまわれたのだぞ。
お前も見ただろう」
確かにそうだ。だが、何か方法はないものなのか。
「……竜神王に会ってみます」
竜神王なら何かよい方法を知っているかもしれない。俺は竜神王の元を再び訪れることにした。
「よくぞ来た。どうやらお前の出生の秘密、全て知ったようだな。我らの誤った判断のせいで
エイトには苦労をかけてしまった。改めて詫びよう」
「いえ、そんなこと今となってはもういいんです。それよりもあなたに教えて頂きたいことがあって
ここに参りました」
「竜の試練を受けるつもりで来たのではないのか?」 竜神王は怪訝そうな顔をした。
「ええ」
「試練を受けて我に打ち勝つと、それなりの褒美が用意されておるのだぞ?」
「褒美など必要ありません」
「そういわずに」
「……」
俺は竜神王から褒美の一覧表のようなものを見せられた。欲しいものから順にとってよいという事だ。
「う〜ん、やっぱりどれも俺には必要ないです。ラプソーンを倒す前だったら役に立ったかも
知れないけれど」
「何……!?ラプソーンを倒しただと!?」
「ええ、まぁ……。仲間と一緒にですけど」
「ならばなおのこと竜の試練を受けてもらいたいものだな。時にエイトよ。お前が知りたいこととは
何だね」
俺はこれまでのことを竜神王に話した。
「あいわかった。お前の望みの褒美も加えよう。これでどうだ」
もう一度一覧表を見せられた。最後に、たった今書き加えられた文字がある。
―――『ドラゴラム』
「我に打ち勝つことが出来たら『ドラゴラム』を授けよう」
「……あの……さっき順番は好きなようにしていいっておっしゃてたのに、なんか番号が
ふってあるんですけど……。最後なんですか?ドラゴラムだけでいいんですけど……」
「そうはいかん」
あいわかった、って言ってくれよ。
(続く)
やっとトリが成功しました。続きはまた明日か明後日くらいに…。
∧_∧
( ゚∀゚) ワクワク
( ∪ ∪
と_)_)
毎回楽しみにしています。
頑張ってください!
>>◆sVVR0Q7eM2さん
いや〜今回のSS最高です。
特に181の最後のセリフ、ツボでした(w
続きを楽しみにしていますので頑張って!
最初のほうの戦闘意味NEEEEEEEEEEEEE
天の祭壇と同じ手法でよかったやん
SSっていうかシナリオ読んでるみたいな感じ
>>183-184 お優しいお言葉ありがとうございます(>_<,)
ラストに向けてテンション上げていきたいと思います!
>>185 あの戦闘シーンは、最初に弱っちい主人公を書いてしまったので、ちゃんと強いんだぞってのも
書いておかないと竜神王倒したりするのに説得力がないなと思ったので入れました。
結果的に『意味ない』と思われたのであればそれは私の力量不足ですが。
皆さん通った道なので、難しかったです。だから前に自分も鬱でしたと書いたじゃないですか(つД`)
厳しいご指摘ありがとうございます。
いや、最初のほうの戦闘で瀕死になって竜化して気づいたら竜人族の里にいましたとかだったらまだ意味はあったんだが
瀕死→竜化というイベントのための戦闘な
だけど、戦いました、厳しいです、疲れました、なんとか到着、回復して天の祭壇へGO!じゃあまりに普通すぎるし
戦闘シーンをわざわざ書く必要はなかったんじゃないかということ
竜化して気付いたら〜〜というパターンは直前にやっていたのでちょっと・・・。
竜神の道を通らせるのに戦闘シーンを書かないのは、それまでの流れではちょっと
リアリティに欠けると思いました。主人公の視点で書いてますしね。
普通すぎだというご批判は甘んじてお受けします。もうこの辺でご勘弁ください。
ちなみにベリアル2体の連続攻撃を一人で耐え、2ターンためてテンション20の
ギガブレで葬り去るという検証も実際やってみたのですが、ちゃんと成功しました。
しにまくりましたが。(;´Д`)イジメヤ… 決まったときはめっちゃカッコよかったっすよ。
いつかDQ8で一人旅してみたいなぁと思いますた。
誰もいないみたいなので、そっと置いていきます。
初めて不思議な泉へ行った時の事だと思って下さい。
ミーティアは悲しそうに泉に映る自分の姿を見つめている。
呪いは完全に解けたものだと、全員がそう思っていたのに。
元の姿に戻れたのは束の間で、呪いは今もなお、彼女の身に深く絡みついているのだ。
ヤンガスがぽつりと呟いた。
「元に戻っていられる時間がほんの少しだけとは……なんとも罪作りな泉でげすなぁ」
それに続いて、溜め息混じりにククールが言った。
「かわいそうに……姫様はすっかり落ち込んじまったようだ」
そしてエイトの肩をぽんと叩き、
「さあ、出番だぜエイト」
そのままそっと前に押し出した。
「姫様になぐさめの言葉のひとつでもかけてやるんだな」
無理だ。思いつく言葉などない。
ためらう彼の背を、ククールの手が再び押し出した。
その勢いのままミーティアの前まで歩み寄る。
彼の後を追うように一歩踏み出したトロデ王を、ゼシカがさりげなく制止した。
「ここはエイトに任せましょう」
トロデは寂しげにエイトとミーティアを見やった後、「そうじゃな」と頷いた。
ミーティアにとって、エイトの存在が小さくないことをトロデは知っていたのだ。
「では、わしらはあのご老人の小屋へ参ろう」
四人は静かにその場から去っていった。
ミーティアは俯いたまま泉のそばから離れない。
ごめんね、姫。
エイトはやりきれなさに拳を握る。
僕には姫をなぐさめる資格なんか、ないんだ。
心のどこかで、僕は姫の呪いが解けることを本当には望んでいないから。
呪いが解ければ旅は終わる。トロデーンへ戻り、ミーティアはサザンビークへ嫁ぐだろう。
もう傍にいられなくなる。
それが嫌なんだ。
誰にも渡したくない。
相手が許婚のチャゴス王子であろうとなかろうと、他の誰にも君を渡したくない。
だから。
このまま旅が少しでも長く続けばと……そう願っている。
あの道化師はトロデーンを呪っただけではなく、行く先々でも兇行を巻き起こしている。
一刻も早く捕らえなければ。そう思う同じ心で、このまま追いつかなければいいとも考えている。
何人も人が死んでいるのに。この先も増えるかもしれないのに。
それを止められるのは自分達だけだと知っているのに。
最低だな。
自嘲の笑みを浮かべ、エイトはミーティアを見上げた。
そしてその場に凍りつく。
泉を覗き込む白馬の瞳が潤んでいた。
ああ。
溜め息と共にうなだれる。やっぱり僕は最低の人間だ。
君はこんなにも元の姿に戻りたがっているのに。
呪いによりあの美しい姿を奪われて、何よりも辛いのは君なのに。
ほとんど城から出たことのないミーティア。そんな彼女にこの旅がどれほど過酷なことか。
魔物に脅かされながら、昼となく夜となく、平原を駆け、荒野を歩き、大陸まで超えて。
大切な人に辛く厳しい旅を強いておきながら、たったひとつの想いのために、それでも
長引けばいいなどと考えてしまう自分には、いつの日かきっと罰が下されるだろう。
胸の中にいつしか大きく育ってしまったこの想い。これは決して報われることのない想いだ。
そしてこれがあるからこそ、近衛として彼女を見守るだけでは満足できない。
永遠に自分のものにはならないと分かっていながら、それでも。
どうしてもそれ以上を望んでしまう。
はじめはもっと違う形であったはずなのに。どこでこんなに歪んでしまったのか。
幼かったあの頃、ミーティアが笑ってくれるならそれだけで幸せだったのに。
あの笑顔を守るのはいつでも自分でありたいと、そう思ったからこそ剣をとった。
それは彼女が誰よりも何よりも“大切な女の子”だったから。
そう。結局は、そういうことなのだ。
彼女を“姫”と呼び、家臣としての態度をとりながらも、しかし自分は一度だって彼女を
“仕えるべき姫君”として見てはいなかった。
その事実が、この身勝手な想いを育てることになってしまったのだ。
どうしようもない人間だと思う。
こんな風に傷つき悲しむミーティアを前にしながらも、この気持ちを捨てきれないなんて。
――それなら、この想いは自分だけの秘密だ。これから先も、ずっと。永遠に。
だから心の中の一番深くて大切な場所に閉じこめておかなければ。
「ミーティア様」
精一杯の笑顔を作り、エイトはミーティアに呼びかける。
ゆっくりとこちらに向き直る白馬に両腕を差し伸べ、その首を優しく抱きしめた。
ミーティアは驚いたように身をすくませたが、やがておずおずと彼の肩に顔を寄せてきた。
ごめんね、姫。もう余計なことは考えないよ。
……僕はトロデーン王家に忠誠を誓った近衛兵。それ以上の何者でもない。
自分の為すべき事を為すだけだ。
想いを封印し、決意を改め、エイトはミーティアに囁きかける。
「必ず、僕が」
その呪われた運命から解放してさしあげますから。
だから、もう少し辛抱して下さい。
腕の中でミーティアが小さく頷いてくれたので安堵する。
――エイト
不意に呼びかけられた、ような気がした。
え?
ミーティアの顔が動いて、頬にすり寄せられた。突然のことに一瞬、身体が硬直する。
彼女に触れたのはなぐさめるつもりで、だからこんな風に返されると困ってしまう。
せっかく閉じこめた想いがあふれ出しそうになったが、これはきっと言葉に出せない彼女の
感謝の気持ちなのだと考え直して、躊躇いながらも首を撫でることでそれに応えた。
……本当は、元の姿の彼女を抱きしめたかったのだけれど。
エイトのポケットの中でトーポだけが見ていた。
泉に映るエイトと白馬の姿は、お互いを支えるように抱きしめ合う青年と姫君のそれだったことを。
しまった。
(終)って入れるの忘れてた。
ゲーム本編とかみ合わない部分はご容赦下さい。
>194
激しくGJ!
萌えを補充しますた。
>>194 分かる、分かるよ…。
おれもラプ倒しに行くのがなんか寂しくて、
ずっとウロウロしてた。
(
>>190-193)と同じシーンで姫バージョン。
泉に映る自分の姿はいつまでも白馬のそれだった。
呪いは完全に解けたものだと思ったけれど。
元の姿に戻れたのは束の間で、呪いは今もなおこの身に深く絡みついているのだ。
どうせなら、とミーティアは思う。姿だけでなく、心もすっかり馬になってしまえばいいのに。
そうすればこんな思いをしなくてすむのに。……こんな、矛盾した思いを。
覗き込んだ水面にエイトの姿が映った。
傍らに寄り添うようにして立つ彼は、けれど苦渋の面持ちのまま言葉をくれない。
なぐさめの言葉を探してくれているのだろうか。
ごめんなさい、エイト。
あえて彼を振り向こうとはせず、ミーティアは更に顔を伏せた。
ミーティアにはあなたになぐさめてもらう資格などありません。
心のどこかで、ミーティアは呪いが解けることを本当には望んでいないのですから。
呪いが解ければ旅は終わる。トロデーンへ戻り、やがてはサザンビークへ嫁ぐことになるだろう。
エイトの傍にはいられなくなる。
それが嫌だった。
自分に許婚がいることは幼い頃から知っていた。
トロデーンを離れ、地図でしか知らないサザンビークへ嫁ぐことも。
分かっていた。それが自分の歩むべき道だと分かっていた。――けれど。
幼い頃からずっとエイトを見つめていたのだ。今更、他の誰かの手を取るなんて考えられない。
それが許婚のチャゴス王子であろうとなかろうと、エイト以外の誰かの手を取るなんて。
呪いが解けても、本当に想う人と結ばれないくらいなら。
……そんなことになるくらいなら、このまま馬の姿でいても構わない。
それはなんて身勝手な考えなのだろう。
あの道化師はトロデーンを呪っただけではなく、行く先々でも兇行を巻き起こし、それを止める為に
エイト達は命懸けで過酷な追跡と探索の旅を続けているというのに。
何もできない自分がこのまま長く旅を続けたいと願うなんて。
ごめんなさい、エイト。
伏せた顔が上げられない。エイトの顔をまともに見られない。
ミーティアはどうしようもない人間です。
呪いが解けなくても構わないと思う同じ心で、やはり元の姿に戻りたいと強く願ってもいるのです。
いつからこんな矛盾した思いを抱え込むことになってしまったのか。
旅を始めたあの頃は、ただただエイトに済まないと思うだけだった。
自分や父だけでなく、トロデーン全体の運命を彼一人に背負わせて。
守ってもらうばかりで、足手まといにならないようにすることだけで精一杯。
そんな中、旅を楽しむ気持ちが生まれたのは、いつでもエイトの傍にいられたから。
幼馴染みであっても自分と彼は王女と家臣。それ故、常に一線引かれた距離が、この旅ではとても
近くに感じられて嬉しかった。だからこの旅を辛く感じることはなかったのだ。
そしてそんな気持ちに影が差したのは、やはり“彼女”が旅の仲間に加わったからだろう。
……ゼシカさん。
彼女の顔を思い浮かべると、心が不安に揺れ動く。
ゼシカ・アルバート。強くて凛々しい彼女は、いつでも自分の気持ちに正直だ。
常に自分の気持ちを押し殺し続けてきたミーティアには、そんな彼女がまぶしく見えた。
羨ましかったのだ。
自分はエイトについて行くことしかできなくても、ゼシカは彼の隣に立てる。
自分はエイトに守ってもらうばかりでも、ゼシカは彼の背中を守って戦える。
ゼシカはどこまでも彼と一緒に歩いていける。
それがとても羨ましい。
ある日、並んで戦う二人を見て、ふと思った。
エイトの伴侶には、彼女のような女性がふさわしいのではないだろうかと。
この旅が終われば、エイトは彼女の手を取るのかもしれない。
一度そう考えてしまうと、もう駄目だった。
エイト達四人が町へ入ったり、洞窟などを探索する時、いつも自分は置いてきぼり。
自分がいない間、エイトとゼシカはどんな会話を交わすのだろう。そればかりを考えている。
前を歩くエイトとゼシカを追いながら、二人の交わす視線に変化がないかそればかりを窺っている。
そして、どうしても自分とゼシカを比べてしまうのだ。
ゼシカの足音は軽快。自分のそれは重い蹄の音。
颯爽と歩くゼシカ。自分はその後を馬車を引いてのろのろと続く。
ゼシカの笑い声は朗らかで、自分の声はいつだって馬のいななきでしかない。
ゼシカ達がエイトの用意した夜食を食べる時、自分は少し離れたところで草を食む。
元の姿に戻りたいと願うのは、こんな時。
わたしだって――、心の中で何度叫んだことだろう。
わたしだって、自分の足で大地を踏みしめたい。楽しい時には歌を歌いたい。
みんなと輪になって食事をしたい、お喋りしたい。
エイトと一緒に歩きたい。
……なのに、泉に映る姿は馬のそれなのだ。
どうしてこんな気持ちを抱え込まなければならないのだろう。
これは罰?
定められた相手がいながらも、他の相手に心を移してしまった罰なのだろうか。
エイトを想う気持ちを切り捨てれば楽になれる?
まさか。手遅れだ。もはやこの気持ちは変えられない。
それにいくら矛盾していても、旅を続けたい、元の姿に戻りたい、そう願う心はどちらも真実なのだ。
ではどうすればいいのだろう。自分の気持ちなのに思い通りにならないなんて。
ふいに視界が揺れて、景色が霞んだ。
馬でいても涙が出るのか。なんて中途半端な呪いだろう。
どうせなら、このまま姿だけでなく心まで馬になってしまえばいいのに。
先ほどの自暴自棄ともいえる感情がよみがえった時、
「ミーティア様」
そっと呼びかけられた。
優しい声に暗い思考から引き上げられて、ミーティアは顔を上げた。
エイトが微笑んでいる。その笑顔に陰りがあるように見えるのは、こちらの気持ちが沈んでいるせいなのか。
それでも、彼が笑いかけてくれるのが嬉しい。その澄んだ黒い瞳に自分が映っているのが嬉しい。
たとえそこに映るのが馬の姿であっても、今、彼が見つめているのはここにいるこのわたしだけだから。
そうやっていつもわたしだけを見つめていてくれればいいのに、そんな事を考えていると、差し伸べられた
彼の両腕が、そのまま優しく首を抱きしめた。
驚いて身がすくんだ。こんなのは初めて。
幼い頃から手は何度もつないだ事がある。だけどこんな風に抱きしめられたことは今までになかった。
胸が高鳴るほど嬉しいのに。今、この瞬間、馬の姿でいることがこんなに悲しい。
心が揺れる。やっぱりわたしは元の姿に戻りたい。
元の姿であなたと向き合って話をしたい。
おずおずとエイトの肩に顔を寄せると、耳元で彼の声が囁いた。
「必ず、僕が」
その呪われた運命から解放してさしあげますから。
だから、もう少し辛抱して下さい。
その声は幼馴染みの青年のものではなく、忠実な近衛兵のものだった。それを聞いて目が醒めた心地がした。
彼は自分の為すべき事を心得ている。その目的を果たすまではどんなに傷つき、疲れようとも、諦めない。
彼はそういう人だ。
ミーティアはエイトの腕の中で頷いた。
――もう余計な事は考えない。己の事ばかり考えるのは今日限り。
エイト。ミーティアはいつまでも待ちます。あなたが目的を果たしてくれるその日まで。
わたしにできるのはただ、待つ事だけだから。あなたに全ての運命を委ねて。
そして祈り続けよう。この旅が早く終わりますように。その辛い使命からエイトが早く解放されますように。
あなたへの想いはわたしだけの秘密にして、胸の奥深くに封印するから。これから先も、ずっと。
届かない言葉に代えて、そっとエイトの頬に顔をすり寄せた。
硬直した後、躊躇いつつも照れくさそうに首を撫でてくれる、そんな彼を本当は抱きしめたかったのだけれど。
ミーティアは知らない。
泉に映る彼女とエイトの姿は、お互いを支えるように抱きしめ合う姫君と青年のそれだったことを。
(終)
何か長くなってしまった。ごめんなさい。
これでも、色々削ったんだけど…。
>>203 このやろー、みじかくするなー、そのままうpしるー
多少長めになってしまってもいいですよ、字数制限もないですし。
まあ、穴があればその部分は妄想で補填するからそれもそれでよし。
とにかくGJ!
両方の視点があってよかったですよ。
ミーティアのほうはゼシカに嫉妬の念を持っているところが新鮮でした。
ちょっと後半は描写が少なかったような…ここら辺を削られましたか?
あと、適度に空白行を1行入れると間が演出できるかもしれないんで
間をおきたいときには入れてもいいと思います。
何より、そんなに長くなることを気にされなくてよろしいかと。
いろいろ言いましたが、今後のご参考になれば。
……切ねーっ(つД`)・゚ 涙が出てきました。
同じ場面を違う視点で見せるのがすごく上手だと思う。
僕タマみたい。
どっちも切ない…。・゚・(ノД`)・゚・。
とにかくGJ!!
切なくて萌えたYO!
ついでにたまには上げとく。
(177-181の続き)
爽やかな風が頬を撫でている。温かい日差しと木々の香り。見慣れた世界。
「……大丈夫か?」
「……もうやだ。城に帰りたい……」
俺は横たわったまま、グルーノに駄々をこねた。
あれから何度、あの苦痛を味わったことだろう。もう数えるのが嫌になった。
『鍛錬の丘』と呼ばれるところに、グルーノと俺は来ている。人里離れた山の中、人の目も届かぬ
崖の上にそこはある。山篭りの修行にはうってつけの場所だ。
特に、今の俺のように、突然人から竜に姿が変わってしまうような者には都合がいい。
『ドラゴラム』なるものを竜神王から受け取るために、竜の試練とやらを受け始めた俺だが、
それは想像以上に手強いものだった。何度も挑戦し、挫折を味わうことも多数だった。
それでも竜神の剣、竜神の盾、竜神の兜、竜神の鎧と順番に受け取り、後は『ドラゴラム』を
受け取るのみ。
だが、その最後の巨竜がどうしても倒せない。
「そうは言っても今のまま帰っても同じことを繰り返すだけじゃろう」
「……」
そうなのだ。このままでは帰れない。それは分かっているのだが。
俺はやっと起こせるようになった身を起こし、グルーノに尋ねた。
「大体、ドラゴラムってなんなんですか?」
「それはわしの口からは言えんな」
「えー」
「えーじゃない。とにかく後一歩だ。必ず帰ると約束したのじゃろ?」
「……」
姫に会いたい。早く会いたい。
「……はい」
回復した今が決着をつける機会だ。俺は立ち上がり、グルーノに言った。
「グルーノ、竜神の里へ向かってください。竜神王に会いに行きます」
「うむ」
グルーノは頷き光の中に消え、一瞬にしてその姿を竜に変えた。
俺の前に一体の紅い光を放つ黒い巨竜が立ちはだかっている。
『黒鉄の巨竜』
何度こいつに煮え湯を飲まされたことだろう。鉄のように固い皮膚に覆われ、こちらの攻撃が
まるで通用しない。守備力も攻撃力も今までで一番強い。
そして竜神の剣でのドラゴン斬りが通用しないことも分かっている。
だが、俺には『鍛錬の丘』で思いついた秘策があった。
"雷光一閃突き"
成功率は2回に一度。一か八かの勝負だ。今度こそ決着を付けてやる。
連続攻撃を受け、それに耐え"雷光一閃突き"、次の連続攻撃に耐え"ベホマ"、その繰り返し。
何度か決まった。が、なかなか倒れない。作戦は失敗なのか?
当たる確率が落ちてきている。疲れで集中力がなくなっているのか。
―――くそ……!
"雷光一閃突き"!
外れた。反撃で狂ったように牙での連続攻撃を受け、たまらず回復。また連続攻撃。だが……。
―――今度こそ!!
やった。直撃だ。『黒鉄の巨竜』は叫び声を上げ、ゆっくりと倒れた。
「よくやったな、エイトよ。お前の望みに応えよう」
いよいよ『ドラゴラム』を受け取る時が来た。俺の心は期待で膨れ上がった。
これで城に帰れる。姫に会える―――。
「よいか、エイト。これが『ドラゴラム』だ。ブツブツ……」
えっ?今のは呪文……?
「呪文……ですか?」
「そうだ。古の呪文だ。この呪文を唱えると、竜に変身することが出来る」
「ちょ、ちょっと!人の話をちゃんと聞きましょうよ。俺は竜になるから困っているんですよ。
なんでわざわざ竜に変身しなくちゃいけないんですか」
「そう急くでない」
竜神王は諭すように言った。
「よいか、エイトよ。お前の竜神族としての力は目覚め始めたばかりだ。不安定な分、自分で
制御することができないのだ。これからも姿を竜に変えることは、突然に起こりうるだろう。
だが、その前にこの呪文を使えば、苦痛もなく竜に変身することが出来る。―――例えれば、
便通をよくする為にあらかじめ薬を飲んでおくようなものだ」
そ、その例えは嫌すぎる。
なんとなく理屈は分かる。だが、結局俺は竜に変わってしまうのか。俺は追いすがった。
「竜の姿を封印することは、出来ないのでしょうか」
「それは到底出来ない相談だ。エイトよ。自分の力に気付かない訳でもなかろう。ラプソーンを
倒し、我をも倒したお前を、誰が封じることが出来るというのだ?」
「……でも、俺は人間です」
「半分はな。だが半分は竜神だ。それも最強の力を秘めつつある、な。じきに『ドラゴラム』も
必要なくなるであろう」
そんなこと言われたって、俺は人間だ。姫と結婚して、あの城で普通に暮らしたいんだ。
最強の竜神なんかになりたくない。そんなこと一度だって望んでない……。
「……ありがとうございました」
王にはどう説明したらいいんだ。姫にはなんと伝えたら―――。
「エイトよ、ちなみに竜の試練はまだ二つほど残っているが、どうだ?受けてみるか」
「……いえ、もう結構です」
俺はにべもなく断った。こっちはそれどころじゃない。
「あいわかった。ところでエイトよ。納得できないかも知れんが、お前の為なのだ。ちゃんと
復習しておくのだぞ。『ドラゴラム』」
グルーノは夕食の時、いつになく無口だった。
「……グルーノ、ごめんなさい」
「何がじゃ?」
「竜神族の血は、母さんやあなたからもらったものなのに」
「……いや、いいんじゃよ。この竜神の里はお前を一度追放したのじゃ。それに、お前が
あの城のことをどんなに大切に思っているか、わしが一番よく知っておる」
王から真実を手にして帰れと言われた。
真実とは、その血によって俺がこれからも竜に変わるという事実。
―――王よ、それでも俺は、城に帰ってもいいのですか?
(続く)
次回、いよいよ城に帰還!! (あと2回お付き合い下さい)
213 :
203:05/03/08 22:18:54 ID:kUWNkJpS
>>212 毎回楽しませてもらってます。あと2回で終わっちゃうのか…。
>>204 お話、とても参考になりました。
改行多すぎで弾かれまくった経験アリなもので、いつも行数とか
気にしちゃうんですよね。
エイト視点はすんなりまとまったのですが、姫の方が…。
後半になって、自分の惨めな心境を長々と語り出したものだから、
(いや、書いてるのは自分なんだけど)そこのところをカット。
「姫を鬱にしちゃいかんだろう」と。
それではまた何か思いついたら、人のいなさそうな時に置いていきます。
>>203 切ない話GJ!好きだーこういうの。
僕たま…あれの最終回はなかったことにしてますたw
>>212 ラストスパートですね。がんがってください。
つーか竜神王サギじゃんw
ss書いていたんですがえらく長くなってしまった…
イベント削ってもまだかなり長い。
どうしよう…
>214
そのままうp
ある日エイトからメモを渡された。いつもはこんなことはしないので不思議に思って開くとこう書いてあった。
ミーティアへ
昼のうちに温かい服を用意しておいてください。
後、夕食は控え目にしててね。
着替えしないで待ってて。
こうやって手紙を書くのは何だか変な感じです。
それでは夜に。
エイト
そういえば手紙をもらったことって今までなかった。人目を憚ってはっきりしたことは何も言えずにいたし、手紙も書けなかったから。あの頃は想いを伝え合う術は限られていて、それを思うと今は本当に幸せ。
でも今更手紙って何かしら。それに防寒着って?…もしかしてまたどこか行くの?今回は前もって分かっているし、行ってもいいかしら。でもまたお父様に心配おかけするのは悪いわ。
この前の夜もお父様に許可を貰うって言っていたけれど、無理だと思う。エイトったら二人でお父様に怒られている時も私をつついて笑わせるんですもの、あれではお父様がますます怒っても仕方ないわ。
でももしかしたら行けるかもしれないし、準備だけはしておきましょう。
夕食後、エイトが部屋にやって来た。いつもと違い長いマントを羽織っている。
「手紙読んでくれた?…準備良さそうだね、じゃ行こうか」
そう言いながら手を取ろうとするので、
「待って。どういうこと?」
と聞くと嬉しそうに答えた。
「色々交渉して決まったんだ、見張りを立てない場所を作るって。要するにこっそり出掛けて見つからないように帰ってくればいいんだよ」
「まあ」
「だから早速お出掛け」
エイトと二人きりでどこかに行けるなんて嬉しい。
「ええ、行くわ…行きたいわ」
ルーラで着いた先は…空気が冷たい?
「ここは…」
と口にした瞬間、凍りつくような空気が流れ込み、咳込む。
「オークニスの近く。寒いから慣れるまでゆっくり息を吸って」
そう言いながらエイトは私の口と鼻の前に手を翳してくれた。エイトの手の温もりで息が楽になる。
「もう冬も終わりだし、雪遊びしようと思って」
そういえば一面の雪景色を見たのはここが初めてだった。トロデーンはほとんど雪が降らない。もし子供の頃こんなに雪がたくさんあったらきっとエイトと雪遊びしていたのかしら?
「オークニスの中で見たんだ、雪だるま。作ってみようよ」
「どんな形だったの?」
「おっきい雪玉が二つで、上に顔が付いてた」
子供みたいな会話がとても楽しい。真夜中だったけれど、辺りは星明かりに照らされた雪でほんのりと明るい。私たちは雪だるまを作ったり追いかけっこをしたりして遊び回った。
「小腹空いてきたんじゃない?一緒に食べようと思ってちょっとだけど持ってきたんだ」
追いかけっこの果て、二人とも足を取られて雪の中に倒れ込んだ後、エイトが私を抱き起こしながら言う。
「ええ、ちょっと休みたいかも」
エイトの手料理を食べるなんてひさしぶり。トラペッタへ遊びに行くためにお弁当を用意してもらった時以来かしら。
風を遮るような場所に移動してエイトはふくろから鍋を取り出し、調理を始めた。小さな竈を作り、火を起こして鍋を掛け、温まったところでベーコンの脂身を溶かす。
を竈の横に移して削ったチーズと白ワインを入れると、代わりにやかんを火に掛けてお茶を沸かす。
「冷えたでしょう。はい、ヌーク草のお茶。変なカップしかなくてごめんね」
差し出されたカップは確かに武骨なものだったけれどとてもエイトらしい言い方に口元がほころぶ。
「ありがとう。…とってもおいしいわ」
「あまりたいしたことはできないけど、チーズフォンデュしよう。祖父からたくさんチーズを貰ったんだ」
二人で食べるチーズフォンデュはとても美味しい。先程のお茶の効き目もあって、すっかり温まった私たちは火の側に座って楽しくおしゃべりした。
ふと話が途切れた時、エイトが
「こっちおいでよ、寒いでしょ」
と手招きする。火に面した側は温かいけれど、確かに背中側は寒い。私はエイトの隣へ座ろうとした。
と思ったらあっという間に抱き寄せられ、マントの中にしっかりと包み込まれてしまった。
「こうしていれば温かいよ」
エイトの息が耳元にかかる。
「あ、ありがとう…とても温かいわ」
最初は驚いたけれど、慣れてしまうと伝わってくるエイトの温もりが心地よい。寒さに強張っていた身体も安らぎ、私はエイトの肩に頭を持たせかけた。
「もしかしたら、明け方にあるものが見えるかもしれないんだ。それまでここにいてもいい?」
何かしら、エイトが見たいものって。でも私もここでこうしていたい…
「いいわ。エイトの見たいものって何かしら」
そう言うとちょっと笑った気配がした。
「今はまだ秘密」
それから明け方までそこにいた。よく話の種が尽きないと不思議に思うくらいいつまでも話し続けた。何を話したのか覚えていられたらよかったのに、話す端からどんどん忘れてしまう、そんな他愛もない、でも幸せなことを。
そうこうしているうちに東の空が白み始めた。空気は身を切るように冷たく澄んでいる。すぐ側のエイトの顔を見上げると、エイトは「しーっ」とでも言うかのように指をそっと私の唇に乗せた。
お互いの温もりだけを感じながらそのまま夜明けの光を待つ。やがて山の端が輝き始め、太陽が顔を出す。暁の光が私たちに届いた瞬間、辺りの様子は一変した。
何か、透明なものが光り輝きながら空を漂っている。雪ではない、完全に無色透明なもの。無数のそれが太陽の光を受けて燦然ときらめく。
「エイト…」
「すごい…こんなだったなんて…」
私たちはただ言葉もなく眼前の光景に見蕩れていた。
そういえばかつて城の図書館で見た、世界の不思議な現象を集めた本の中に書かれていた。うんと寒い地方では、空気の中の水が凍ってこういうことが起こる時があるって。そう、エイトと一緒に見ていて、いつか見たいね、って話していたこと。
「見られてよかった…」
「ええ、見ることができて本当によかった…」
かつての思いを紛れこませたことに気付いたのか、エイトは優しく頬を寄せる。
無言のまま見詰め続けることしばし、エイトがぽつりと呟いた。
「そろそろ帰ろうか」
「ええ」
帰ろうと二人で立ち上がった時、一陣の風が巻き起こる。辺りの空気はかき乱され、空中の結晶も吹き払われるかと思った瞬間、眼前で光の柱が天へ立ち上った。
朝日に輝く黄金の柱。無数の氷の欠片が風に吹き集められそこに太陽の光が当った、ただそれだけなのに、こんな夢にも思わないことが起こるなんて。
ほんの一瞬のことだった。けれど、しっかりと心に刻み付けたわ。
「エイト…ここに来ることができて本当によかった」
「うん」
「エイトと一緒ならどこへでもついていくわ」
エイトは背後から強く私を抱き締める。
「僕もミーティアと一緒ならばどこへでも行ける。一緒にいよう、いつまでも」
そう言った後、ちょっと笑ってこう付け加えた。
「さしあたっては家へ帰って温かい朝食を食べようか。」
家。温かい朝食と、何よりお互いの思いに包まれた部屋が待っている、私たちの家、トロデーン。「ただいま」とエイトと二人帰っていける場所。
時々なら出かけてもいいかしら、真夜中の散歩。だって二人で同じ場所に帰っていけるんですものね。
(終)
かわええ(*´д`)
カワ(・∀・)イイ!
いいねー、こういうの。
いつまでも仲良くねーって、応援したくなるね。
お幸せに〜〜!!って感じで(・∀・)イイ!!
>>220-222 読んでいただいてありがとうございます。
今回はイチャイチャではなくラブラブな感じにしてみますた。
なのでそう言えばチューすらしてないしw
(
>>208−211の続き)
翌日からドラゴラムの特訓が始まった。練習場所はここに来るときに通った壁画のある洞窟。
あの時は出現する魔物全てが手強く感じ、抜けてくるだけでも命懸けだったが、竜の試練を受けることで
俺の強さが増したのか、魔物もあまり寄って来なくなった。仮に囲まれたとしても苦もなく倒せるだろう。
右手を掲げ、竜神王に教えられた呪文の詠唱に入る。
竜の御霊(みたま)よ 我が身に宿りて その化身と成せ
紅蓮の炎よ 汝の敵を 灼き滅ぼせ……"ドラゴラム"!
体が光に包まれ、一瞬のうちに竜へと変化する。
確かになんの苦痛もなく竜になれる。だが―――。
「ゴアァァァァァァ」
うわ!火ぃ吹いた、火!
「よし、その調子じゃ!ちなみに隼の剣を装備しておくと炎を二回吐けるぞい」
炎なんか吐いたら困るし、そんな機能は要りません……。
「人間の姿に戻りたいときは、自分の姿を念じるのじゃ」
俺はグルーノに言われた通り自分の姿を念じた。すると体が光に包まれて、一瞬のうちに元の姿に戻った。
すごい。服も破れていないし、疲労はあるが前ほどじゃない。
これならこれまで通り普通に生活することも可能だ。定期的に城を抜け出して竜に変身しにいけば
力を制御できるようになるまで、なんとか誤魔化せるかもしれない。
―――誤魔化す?嘘をついて、自分の正体を偽り続けるのか?
そんなのは嫌だ。
"ドラゴラム"の練習は何日か続けた。変身しても炎を吐いたりしないように。
数日経つと慣れてきた。
俺が帰ると聞きつけて、長老の一人であるお婆さんがグルーノの家にやって来た。
せっかく貰ったものの、身に付け方が分からなくて放っておいたままになっていた竜神の鎧を
俺に着付けてくれるのだという。
「恋人が待っていてくれとるんだってなぁ。グルーノから聞いたよ」
着せながら、お婆さんは俺に言った。
「ここでのことを、話すのかい?」
俺はためらったが口を開いた。
「話すも何も、初めて竜の姿になったのは彼女の部屋の中でした。俺は苦痛で暴れまわって
部屋をめちゃくちゃに壊してしまって……」
「そうだったのかい」
お婆さんは気の毒そうに顔を曇らせた。
「でも、それでも、待ってるって言ってくれました」
「そうかい。お前さんは幸せに暮らしていたんじゃのう。―――さあ、出来たぞ。おお、似合うのう。
お前さんは父親似ということじゃが、こうしてみるとグルーノの若い頃にもなんとなく似とるわい」
俺がグルーノに?吹き出しそうになったが、悪い気はしなかった。
「でも、なんか変じゃないですか?帰るだけなのに鎧なんか着て。戦いに赴くわけでもないのに」
「戦いじゃよ」とお婆さんは言った。
「迷うておるのじゃろう?自分の心との戦いじゃよ」
そうなのかも知れない。
お婆さんは俺の両腕をしっかりと掴んで言った。
「いいかい、エイト。この鎧はな、竜神王が次の竜神王だと認めたまだ若い竜神に託すものなのじゃ」
「なんですって!?」 俺は驚愕した。
また騙された。そんなこと俺は聞いてない。それにこの鎧は無理矢理押し付けられたようなものだ。
「なに、うんと先の話じゃよ、……うんとな」
そう呟いて俺を見るお婆さんの目には、まるで哀れむような色が混じっているように見えた。
グルーノは、俺としばらく行動を別にすると言った。久しぶりに帰った里にもう少しいたかったのかも
知れないし、もしかしたら俺と姫に気を使ってくれたのかも知れない。
俺は"ドラゴラム"を唱え、竜へと姿を変えた。
そしてグルーノと里の人々が見送ってくれる中、俺はトロデーン城へと向かった。
この姿で城に向かうことは今日決めた。自分を偽ることは、俺には出来ない。
拒絶されたとしても、それはそれで仕方がない。嘘を言って騙し続けるよりは、ずっといい―――。
トロデーン城が見えてきた。
二階の露台に置かれた椅子に座り、姫が南の山々を眺めているのが見える。
あの日、俺が連れて行かれた山。姫はあそこで、ずっと俺の帰りを待っていてくれたのだろうか。
夕焼けの太陽を背にして城に向かう俺に、いつ気がつくだろうか。
こんなに離れているのに、今の俺にはあなたの愁いを帯びた表情まで見えるよ。
姫は城へ向かってくる一匹の巨竜に、城で一番初めに気がついた。立ち上がり身を乗り出す。
喜びと不安が入り混じった顔。そのうちに城は大騒ぎになった。
城の上空を旋回し、庭の中央へと降り立つ。
誰もがその場で凍りついたように動かず、一言も発しなかった。
姫が露台から駆け下りてくる。
俺は元の姿を念じた。竜を光が包み、その光が一点に集まり、竜神の鎧姿の俺が姿を現す。
完璧だ。服も破れていないし、何の苦痛もない。疲労も。
……いや、正直立っているのがやっとだ。
姫は俺から少し離れたところで立ち止まった。
―――姫様、今帰りました。
俺は姫に微笑みかけた。
姫はそれ以上俺に近寄ろうとはしなかった。
その顔が見る見るうちに悲しみで歪み、涙が溢れ、手で覆って泣き崩れた。
俺はその場に、立ち尽くすより他になかった。
姫が泣き崩れ、誰もが凍り付いて動かない中、一人の男が俺に近づいてきた。
「隊長、王がお待ちです」
ピピンだった。その顔は微笑んでいて、『おかえり』と言っているようだった。
そうか、お前だけは俺のことが怖くないんだな。
「……ああ、今行く」
俺は姫と言葉を交わすこともないまま、ピピンの先導で謁見の間へと向かった。
謁見の間へと向かう途中は、まるで見世物のようだった。見たこともない珍しい鎧を身に付けた俺は、
竜から姿を変えた化け物のように映ったのかも知れない。
誰一人として俺に近づこうとせず、話しかけようともせず、無事を喜んでくれる人など一人もいなかった。
俺はただ必死で歩いた。王に真実を伝えるために。
謁見の間に入る前に少し待たされた。
俺とピピンが連れ立って入ると、そこには王と大臣と数名の近衛兵、そして姫もいた。
泣き腫らした目で、なんとか椅子に座っている。
俺は跪き、王へ帰城の挨拶をした。
「ご苦労であった。その様子では、何か得るものはあったようじゃな」
「は。真実はこれに」
両親の形見の指輪を差し出すと、近衛兵が受け取り、王に渡す。
王は指輪に刻まれている文字を読み上げた。
「『エルトリオからウィニアへ 愛をこめて』とあるが、これは?」
「エルトリオは父の名前にございます。父はサザンビーク出身の男でございました」
「サザンビークのエルトリオ?二十年前に失踪したクラビウス王の兄のことか?」
「ご存知でいらっしゃいますか」
「当たり前じゃ。顔を合わせたことはなかったがな。―――それで彼は今どこに?」
「わたくしが生まれる前に、亡くなっておりました」
「なんと……」
「……ウィニアは母の名前でございます。母は……竜神族の女でございました」
「な、なにぃ!竜神族じゃと!?」 王は驚きの声を上げた。
「あ、あの伝説の……」 大臣も声を震わせた。
姫はその俺の言葉を聞いて、椅子から立ち上がった。そして足早に謁見の間を後にした。
俺は言葉を失った。もう話すら聞いてもらえないのか。
それでも絞り出すように言った。
「……母は父と恋に落ちましたが、里へと連れ戻されました。父はそれを追う途中で絶命いたしました。
……そして母はわたくしを生む際に、命を落としました」
「……なんと惨いことじゃ、お前の出生にまさかそのような秘密があったとは……」
「里では祖父が存命でございました。祖父より事情を聞き、こうして戻って参りました」
「そうか、それはご苦労であった」
「いいえ……」
「それで、今後はどうするのじゃ?」
俺は一呼吸おいて応えた。
「―――お暇を頂戴いたしたく思います」
「……そうか。お前が決めたことならば、仕方がないのう……」
俺は必死で言った。
「幼き頃より、慈しみ育てて頂き、ありがとうございました。このご恩は、一生、忘れません」
「何もそう泣くこともなかろう」
「………」
そうだ。何も泣くことなんてない。11年前にこの城に来る前と同じに戻るだけだ。
―――でも、俺は寂しいんです。こんな風にお別れを告げる時が来るなんて思ってもいなかったのに。
城が呪われた時も、鎖で縛られて放り出された時も、いつだってここが俺の帰る場所だと思えたのに。
もう帰る場所はなくなってしまった。そう思うとどうしようもなく寂しいんです―――。
(続く)
次回、最終回は週末あたりに。
次回最終回ですか。
待ち遠しいような、寂しいような…
も、もちろんグッドエンドですよね?!
てゆーか主姫に持っていかなかったら荒らすからな
うわ空気が重いね(困)
>>231 まーまーもちつけ。
そういえば一回だけ主人公登場しなかった話書いちゃったことあったな。
推敲しているうちに主人公登場部分だけ全部カットしちゃったんだった。
あれは単純な漏れのミスだorz
>◆sVVR0Q7eM2氏のことだ、大丈夫でしょう。
>>228 GJ!なるほど、どこにも居場所が…ということになるのか。
ただただ戻れるもんだと思ってたのでちょっと意外だった。
最終回を楽しみにしてます。
>>219 うーむ、いい感じですねぇ。
ほのぼのできる話を読むのはいいものです。
これからも暇があったらSSを投下してください。もつかれさま。
235 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/12 15:20:05 ID:yV+az9YH
>◆sVVR0Q7eM2氏
続き楽しみです。
久しぶりに上げておきます。
王は俺に言った。
「ミーティアとは話をしたのか?」
「姫様はわたくしを見て泣かれておられました」
「そりゃあそうじゃろうのう」
と、王は頷いた。王も俺の恐ろしい姿を目にされたのだろうか。ならば話が早い。
「もうお会いしない方がよろしいかと思います」
王は首を振った。
「そりゃあいかん。あれはお前の帰りを、首を長くして待っておったのじゃ。ちゃんと会って話をするのじゃ」
「……」
「よいな」
「……は」
「下がってよいぞ」
「―――畏れながら、陛下にお願いがございます」
「なんじゃ?」
立ち上がりかけた王を呼び止めたものの、俺は言ってよいものか迷った。
「……今夜もう一晩だけ、おいて頂けますか?」
王はうんざりしたような顔をした。
「お前の部屋はそのままにしておる。好きに使うがよい」
「ありがとうございます」
本当はすぐにでも城を去りたい思いだった。だが竜になったことで、どうしようもなく疲れていた。
部屋で休んで、夜が明ける前にこの城を出よう。
近衛隊長になった時に、初めて小さな個室を与えられた。
この部屋で過ごしたのはわずか半年ほどだ。前の旅で手にした珍しい品々や武器防具の類は
全て王に渡してある。出て行くといっても身軽なものだ。特にこれといった私物もない。
姫の部屋に行かなければ、と思い鏡を覗いた。目が少し赤い。こんな顔で会うのか。
それに竜神の鎧と兜。やっぱりこんな妙なもの着てくるんじゃなかった。馬鹿みたいだ。
鎧を脱ぐ元気もなく、兜だけとった。髪にクセがついていたので、手で撫で付けてみた。
肩の防具も外した。
―――あんな姿を見せておいて、今更こんな身繕いしたって、一体なんになるんだ。
自分の部屋を出て姫の部屋に向かってみたが、考えてみたらあの部屋は俺がめちゃくちゃに
したのだった。誰かに聞こうかと思ったが、それも気が引ける。
以前の部屋の前に行ってみると近衛兵がいた。俺を見て敬礼するので、つい癖で敬礼を返してしまった。
もうここの兵じゃないんだ。内心で肩をすくめて、尋ねてみた。
「姫様はどちらにいらっしゃいますか?」
「こちらのお部屋です」
「ここに?」
半信半疑で扉をコンコンと叩いてみると、中から姫の声がした。
「エイトです」 と答えると扉が開いた。暗い顔をしていた姫は、俺の顔を見てさらに顔を曇らせた。
その顔を見て俺の心臓は震え上がった。やっぱり俺のことが怖いのだ。王も無茶を言う。思わず口篭る。
「……ご挨拶に」
「どうぞ。入って」 と姫は俺を部屋に招き入れた。
奥へと通されそうになるのを「ここで」、と固辞する。姫は黙って頷いた。
俺は軽く深呼吸して姫に向き合った。
「陛下にお暇を頂きました。明日の朝早くに発つつもりですので、ご挨拶に」
「……そうですか。そんな気がしていました」
「牢ではご配慮頂きましてありがとうございました」
「……当然のことをしただけです」
「頂いたお薬で、命を繋ぐことが出来ました」
「……お役に立てたのなら、嬉しいですわ」
「……」
「……」
「……じゃあ、これで……」
と、部屋を出ようとした俺を姫が呼び止めた。
「あの……」
「……?」
「あの……やっぱり少し時間をいただけないかしら……」
姫は美しい眉を寄せて、そう言った。
「……構いませんが」
「じゃあ、どうぞ座って」
姫は初めて俺に笑顔を見せた。とは言っても、それはどう贔屓目に見ても、何か悲しげな笑顔だった。
いつもの長椅子に、いつものように少し離れて座る。
この長椅子の上で、姫のお喋りを聞きながらよく居眠りしたものだ。でも姫は怒りもしなかった。
椅子に座って見回すと、俺が壊した壁や天井は直してあった。そして床の敷物は取り替えてあった。
俺が踏み潰したピアノも新調されていた。
―――この部屋にずっと?
ふいにあの時の姫の悲鳴が脳裏に蘇った。
直前まで口づけを交わしていた恋人が、突然竜に変わったのだ。どんなに恐ろしかっただろう。
あんな目に合わせておきながら俺は―――。
「エイト」
名前を呼ばれて、俺ははっとして顔を姫に向けた。
「……はい?」
「……」
姫は少しためらってから、口を開いた。
「もう少しそばに行ってもいいかしら……?」
「ど、どうぞ……」
何か決心を秘めたような口調だった。
姫は俺のすぐ横に来て、潤んだ目で俺の顔をじっと見つめた。
漆黒の髪と白く広い額。美しい眉の下の緑色の目が俺をまっすぐに見ている。
姫は少し顔をかしげながら俺に言った。
「……あなたに触れてもいい?」
「ど、どうぞ……?」
姫は手を伸ばして指先で俺の顔をなぞった。眉、瞼、頬、そして唇。
思わず鼓動が早くなる。姫は一体何を……?
きょとんとしている俺の顔に、不意に姫の顔が近づいてきて、頬と額に唇で触れられた。
ほんの少し触れただけだったが、不意を突かれた俺は、それだけで一気に高まった。
姫は、今度は一心不乱に俺の前髪をいじっていたが、顔を紅潮させ急にもじもじし始めた俺の
そんな有様を見て、何かを察し手を引いた。
俺は赤くなってしまった顔をそむけて椅子に座り直した。
姫は一体何を考えているのだろう。
しばらく二人とも黙って座っていたが、そのうち姫はおずおずと俺に言った。
「あの……、お願いがあるの……」
「……なんでしょうか?」
「……ミーティアと、呼んでくださらない?」
―――もしかして、姫様……。
そうか。そうだったんだ。
俺は出来るだけ温かくて力強い声で名前を呼んだ。
「ミーティア」
姫はとても嬉しそうな顔をして、それからぽろぽろと涙をこぼした。
ミーティア。
もっと早くそう呼んであげればよかった。幸せな気持ちでそれを耳に出来るうちに。
いつも俺にそうせがんでいたのに、結婚まではって聞き流していた。
やっと分かったよ。あなたは俺のことが怖いわけでも、嫌いになったわけでもないんだね。
今ここにいる俺のことは相変わらず愛してくれているんだね。だから苦しんでいるんだ。
俺は卑怯者だ。自分を偽るのが嫌だった。だからあの姿を見せた。その方が苦しくなかった。
受け入れるのも拒絶するのもあなた次第だと、苦しむことを全部あなたに丸投げしたんだ。
俺は椅子に座ったまま体を横に向け、隣に座って泣いているミーティアを抱き寄せた。
そしてもう一度名前を呼んだ。
「ミーティア」
恋人だったと言っても、こんなことすらしたことがなかった。
世間体や立場を考えながら、時々慎重に唇を重ねることが、俺たちの交わした全てだった。
ミーティアの細くて柔らかい体をぎゅっと抱き締めていると、幸せだと思う気持ちが突き上げてきた。
たとえこの先ずっと一人きりで暮らすことになったとしても、今のこの幸せをずっと思って生きていける。
ミーティアは俺の肩に顔をうずめた。時間だけが静かに流れた。
しばらくしてそうしていて、ミーティアは体を離し、意を決したように俺に聞いた。
「……故郷にお帰りになるの?」
俺は首を振った。俺にとって故郷だと思えるところはここだけだ。その気持ちは変わらない。
「……じゃあどちらに?」
俺はまた首を振った。行き先はまだ決めていない。でも、そうだな。もう明日の朝の話なんだ。
「まだ決めていませんが……、無人島でも探そうかと思って」
「無人島?」 姫は怪訝そうな顔をした。
「魚釣れるかなぁ。そういえば俺、あんまりやったことないんですよね」
「……竜神としての使命を果たされるのでしょう?」
「は?……ああ、なんかそんな様なこと言ってましたけど、断ろうと思って」
「こ、断るって……そんなこと出来ますの?」
ミーティアは目を丸くして驚いた。
「じゃあどうして無人島だなんて、そんな寂しいところに……」
「俺、どうしても竜にならないといけないんです」
「……」
ミーティアの顔が曇った。俺は思わず苦笑した。
あなたでさえ俺の姿を受け入れることが出来ないのに、他にどこに行く場所があるんだ。
「もう誰かを怖がらせたりしたくないから」
「なにが怖いの?」 と、ミーティアは不思議そうな顔をした。
「え?だから……、俺ですよ」
「エイトが怖い?―――それって、何の話ですの?」
「りゅ、竜の姿ですよ。俺の。恐ろしいでしょう?」
「まぁ。恐ろしいだなんて。そんなはずないじゃない。あんなに美しいのに」
「う、美しいぃ?なんですか、それ」
ミーティアは、はっと気付いたような顔をした。
「私が怖がっているって……そう思っていたの?それで城を出るって……そうなの?」
俺は答えられなかった。
「そうなのね?」
俺は仕方なく頷いた。
「……姫様、俺が帰ってきてから、ずっと泣かれていましたから」
「そんな……。ごめんなさい。誤解させてしまったのね。違うのよ。泣いていたのは、あなたが
行ってしまうと思ったからなの」
「……俺が?」
「だって……。竜の中からあなたが出てきた時、神様が降りてきたかと思ったのよ?」
「か、神様って。そんな訳ないじゃないですか」
と、俺が呆れると、
「だって。本当に竜神様だったじゃない」
と、ミーティアは少し口を尖らせた。
「……」
そんな大層なものじゃない。竜になるのだって一苦労だ。
ミーティアは俺の顔を両手で包み込み、顔を覗き込んで言った。
「本当に美しいのよ?目はあなたと同じで真っ黒なの。吸い込まれそうな澄んだ目をしていたわ。
優しい目。それにちょっと寂しそうなの。……あなたと同じよ」
「……俺、そんなに寂しそうですか?」
何も応えずに、ミーティアは俺の目から溢れそうになっていた涙をそっと指で拭った。
「体の色は海の色を映したような青なの。うろこの一枚一枚がきらきらと輝いていて、どんな宝石よりも
きれいだったわ……」
「……」
「……竜神様は、私のお願いを聞いてくださるかしら」
「……俺に出来ることなら、なんなりと」
「トロデーンにいてください。そして私と結婚してください」
「……」
俺は唖然とした。最低だ。俺の願いを、結局全部ミーティアに言わせてしまった。
「……時々竜に変わったりしますが、それでもいいんですか?」
「またあんな風に苦しむの?」
ミーティアは顔を少し曇らせた。なんだ。そんなことを気にしていたのか。俺は微笑んだ。
「いいえ。本当は竜の姿を封印して欲しかったのですが、出来ないって言われて。でも簡単に竜になれる
呪文を教えていただきました。"ドラゴラム"っていうんです」
「……"ドラゴラム"……私にもできるかしら」
椅子から転げ落ちそうになった。
「そ、それはちょっと……。やめておいてください。ものすごく疲れるので……」
ミーティアの視線が俺に注がれた。俺もミーティアを見つめた。
―――あなたを抱いてもいい?
目で訊くと、ミーティアは瞼を閉じた。
俺は顔を傾けてミーティアの口を強く吸った。息が続く限り。
何度も繰り返すうちに、ミーティアの息が切なげになったので、明かりを消して服を脱がせた。
そして―――。
「……!?」
俺はもがいた。くそ。やっぱりこんな鎧受け取るんじゃなかった。
「……ど、どうしたの……?」
ミーティアが体を隠しながら明かりを点けると、そこには鎧の色んな紐やら止め具やらがもつれて
身動きできなくなった俺がいた。
ミーティアは笑いをかみ殺しながら、俺の鎧を脱がすのを手伝った。
その様子がなんだかとても楽しそうだったので、俺はされるままになっていた。
王にはなんと言おう。泣いて暇乞いをしたのに、この有様だ。もうミーティアと離れるなんて考えられない。
下っ端からやり直しでいいからまた雇ってもらえないだろうか。いや、それ以前に、竜に変わってしまう
ような男との結婚を許してもらえるのだろうか。そんなことを考えながら朝食を摂るために食堂へ向かう。
「おはようございます」
「……」
いつも通りの朝―――ん?!
見回すと、食堂にいた全員が、動きを止めて俺を見ている。まるで珍獣でも目にしているような顔で。
……やってしまった。昨日の今日で普通に入ってきてしまった。
「あ、あの……」 俺は素直に頭を下げた。
「この度のことでは、皆様に大変なご迷惑と、それからご心配をおかけしました。
……それから昨日は驚かせてしまって申し訳ございませんでした。このように元気に帰って
参りましたので、どうかまたよろしくお願いします……」
「……」
反応がない。どうしよう……。
「エイト様、ここにはあなたの召し上がるものはありませんぜ」 と、ベテランの兵士が声を上げた。
「あ、そ、そうですか。そうですよねぇ……」
うわ。どうしよう。泣きそうになってきた。と、その時。
「こらこら。お前さんたち、あんまりからかうんじゃないよ。エイト様泣きそうになっているじゃないか。
―――エイト様、あなたのお食事は食事の間にご用意しておりますよ」 と、おばさんは言った。
それはどういう……。その時ピピンがプーっと吹き出した。隣では昨日姫の部屋の前にいた
近衛兵がくすくす笑っている。
「俺たち、王からのご命令で、報告するように言われていたんですよ。ずっと前から」と彼は言った。
「な、なにを……?」 嫌な予感がした。
「明け方に隊長が姫様の部屋から忍び足で出てくるようなことがあったら、報告しろって」
「な、な、な……」
「すみません、遠慮して遠くにいたんですけど、見ちゃいました。鎧の部品を小山のように抱えて
歩いていかれるところを……」
み、見られていたのか。
「紐を踏んで転びそうになったのも見てしまいました……」
食堂は爆笑の渦と、それからおめでとうございますの声に包まれた。
―――か、勘弁してくれ……。
それから食事の間に行き、緊張した面持ちで入っていくと、すでに王とミーティアは座って俺を待っていた。
王は俺に、
「だからそんなに泣くこともなかろうと言ったであろうが」
と、うんざりしたような顔で言った。
俺とミーティアは真っ赤になって、二人で結婚の許しをもらった。
それからしばらくは、時々城の近くの泉に行き、"ドラゴラム"を唱え竜になって過ごした。
もちろんミーティアも一緒に。
そのうちに"ドラゴラム"を唱えなくても簡単に竜になることが出来るようになり、竜にならなくとも
溢れた力が暴走するようなこともなくなった。完全に制御できるようになったのだ。
それでもミーティアは俺の竜の姿をいたく気に入っていて、時々見たいとせがんだ。
泉にいると、よく旅人に出くわした。旅人はびっくりして逃げ出したり、珍しい夫婦に感心したり
その反応は色々だった。
いつしかこんな噂が飛び交った。
「トロデーンは、今度は竜に滅ぼされた」
「トロデーンの美しい姫は、竜の妻になった」
俺が心配すると、ミーティアは全く意に介さずに、こんなことを言った。
「あら、伝説っていうのはそうやって作られるものなのよ。とっても素敵なことじゃない」
彼女は少し風変わりで、あくまでも前向きなのだ。
その前向きさに、何度救われてきたことだろう。
本当はとても不安なんだ。俺はあなたを失ったあと、どれだけ生きればいいんだろう。
長い長い一生の中で、あなたと過ごした夢のように幸せな時間を、どんな風に狂おしく思うことだろう。
次の竜神王はお前だと言われた。
でも俺は竜神の王なんかになりたくない。あんな寂しいところにいたくない。
どうしても竜神として生きなければならないのなら、人の世にいたい。
行き先はもう決めてあるんだ。
あなたと二人で過ごしたあの泉。あの泉にいたい。あの泉に棲んで、旅人を癒す力となりたい。
そしてその時、旅人の口から、泉から見えるお城に住んでいた美しいお姫さまと竜の伝説が
語られるのを聞く事が出来たなら、それはとっても素敵なことかも知れないなぁって、そう思うんだ。
(完)
長い間お付き合い下さいましてありがとうございました。
またその間、ご感想や励ましのお言葉を頂き、大変励まされました。
ありがとうございました。
◆sVVR0Q7eM2氏
一陣の風のように爽やかで、それでいて少しの切なさを感じさせる素晴らしいラストでした。
兎に角GJ!
はぁ……、幸せだなぁ……。
未だ余韻に浸りながら、
GJ!!!
◆sVVR0Q7eM2 氏
なるほど、ラストはこうなりましたか。
最初は変なタイトルだと思ったけど、最終回まで読むと、これがばっちりハマってる。
GJでした!
スゲーとしか言えない……。
話としてはシンプルでシリアスなのに、
マターリ系でラブラブな話を読んだときみたいに心が安まってる。
GJでした!
次回作、リクルートスーツで正装してお待ちしております。
◆sVVR0Q7eM2さん
長編乙彼さまでしたーーー!
ちょっとだけ切ない余韻を残す素晴らしいラストでした〜(泣)
素晴らしい小説、ありがとうございました。
長編を書き上げられたばかりですが、
次回作を楽しみに待ってます。
>>247-251 ご感想ありがとうございます。
ラストは最初に考えていたのですが、それでも切なさからの脱却を図ろうと
妙なタイトルにしてしまい、途中ちょっと苦しかったですw
>まとめサイト様
いつのまにか2000hitも大幅にオーバーですね。
細切れで長期に渡ってしまい、しかも途中で2回もトリを間違ってしまいました。
大変ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。
>>◆sVVR0Q7eM2さん
素敵なSSありがとうでした。お疲れ様でした。
最後はボロボロ泣いてしまいました。
永遠の時を生きるエイトが切ない。
◆sVVR0Q7eM2さんのSSはラストが素晴らしい。
宮廷音楽家もそうでした。
このスレは本当に良スレですね。
知恵蔵さんのホワイトデー企画でキタ━━━━━━ヽ(≧∇≦)━━━━━━!!!!!
知恵蔵って誰さ
>254
同一人物だと思うが毎回しつこいぞ。
ククゼシじゃねえか消えろよハゲ
ククゼシは反対。
姫→主←ゼシ
(姫×主)←ゼシなら別に構わんよ
で?
結局『ちえぞう』って何者なの?
エニの関係者?
前スレで255と全く同じことを訊いた記憶があるんだが……。
>>260 禿げ上がるほど同意。
個人的には、むしろゼシは絡めないで欲しい。
>>261 「ちえぞう ドラクエ」 あたりでググろう。
素敵なイラストが見られますよ。
更新しました
http://www.geocities.jp/eight_meteor/ 05/03/13 Part2 25-245までの11作品を保管
・◆sVVR0Q7eM2氏 ふくしゅうのドラゴラム 〜新たなる竜神伝説〜
・◆JSHQKXZ7pE氏 眠りの園/始まり , 眠りの園/懸け橋 , 眠りの園/めぐり会う時の中で , 秘密会議 , 真夜中の散歩〜intermezzo〜 , 真夜中の散歩〜雪野原篇〜
・101氏 ■(2-101)
・125氏 小ネタ
・◆nw3zSJjQag氏 ■(2-190) , ■(2-190 姫バージョン)
間違いや保管忘れなどがあれば連絡ください
姫→主←ゼシはまだいいんだが、
姫→主ゼシやゼシ→主姫がダメだ…。
女の子二人とも大好きだからどっちかが振られるのが嫌。
>>263 デザインも変更になってますね。
いつも乙です!
>>263 いつもありがとうございます。
>>264 このスレ的に 姫→主ゼシ は有り得ない。
ゼシ→主姫 もスレ違いだが、
主姫自体を否定する気ならこのスレは向かないと思うよ。
主姫だけの方がいいんでしょ。264は。
ゼシがでるならせめて姫→主←ゼシでという意味かと思ったよ。
ここに来といてあれだけどドラクエでカプ論騒ぎはしたくないな。
このスレだったら主姫以外は読む方が流すか
あくまでにおわせる程度がいいな。
>>267 ああ、そういう意味なのか。勘違いしてたかも。スマソ。
>>263 いつもありがとうございます。
新しいデザインも素敵ですね。
>>246 いやー…うまい話の持っていき方だ。正直感動した。
長いことお疲れ様でした。またなんか思いついたら
投稿おながいしまふ…。
お城出るって決意したけど姫に泣かれたから留まりましたってどうなのよそれ?
えー、保守がてらss投下いたします。
が、内容的にちょっと…という方もいるかも。
お約束抵触を避けているので生殺し状態かもしれませんが。
トロデーン城の一室から美しいピアノの音が溢れる。
午後の一時をミーティアはピアノの練習に充てていた。幼い時からずっと弾き続けてきたピ
アノ、それと別れて見知らぬ国へ嫁ぐことにならなくてよかった、そして最も愛する人と結
ばれることができて本当によかった、と心から思う。
幸せな気持ちが音にも表れるのか、自分でもいい音が出せているような気がする。部屋の中
は美しい音に満たされ、ミーティアは音楽に包まれる幸せに浸っていた。
背後で静かに扉の開く音がした。絨毯を踏む静かな靴音はエイトのもの。ミーティアは手を
止めて振り返ろうとした。
「いいよ、そのまま弾いていて。邪魔にならないように聞いているから」
優しいエイトの声が背後からした。
「ありがとう。しばらく弾いてなかったから練習したくって」
ミーティアはそう答え、再びピアノに向かう。最初はエイトに気を遣っていたが、演奏に没
入するうちにその存在を忘れていく。
だから、その瞬間何が起こったのかとっさには分からなかった。いつの間にかミーティアの
すぐ近くに寄っていたエイトが髪を一房掬い取り、そっと口づけを落としたのだった。
「やめないで…そのまま弾いていて…」
驚いて手を止めたミーティアの耳許でエイトが囁く。
「でも」
「お願い」
優しいけれど何か断固とした調子を感じて、仕方なく再びピアノを弾き始めた。しかしすぐ
側に感じるエイトの気配と、先程のように突然何かされるのでは、という不安に音色も曇る。
エイトもそれに気が付いた。
「どうしたの?不安そうな音だね」
「そんなことないわ」
頭を振るミーティアの髪を梳き遣りながらエイトはさらに問う。
「もしかしてピアノを弾いている時って思っていることが音に出てしまうの?」
「ち、違うわっ…」
否定したけれど、頬は薄紅に染まる。その様子にエイトは「ふうん」と悪戯っぽく笑った。
「やっぱりそうなんだ。…僕が怖い?」
もう何を言っても墓穴を掘りそうで無言で頭を振る。ここは早く音楽の世界に入り込んでし
まおうと急いで新たな曲を弾き始めた。なるべく感情の出ない、指のおさらいのような曲を。
「怖くない、よね?」
そう囁かれながら頬に口づけされ、ぴくりと反応した。その途端、つややかな音が飛び散る。
「ミーティア、かわいい。そのままずっと弾いていて」
エイトの声が耳許で囁き、指が髪を梳く。もう一度口づけされる。今度はこめかみに。頬よ
りもっと直接的な唇の感触がミーティアを混乱させ、テンポが乱れる。
「…びっくりした?じゃ、こっちは?」
エイトの唇が耳を啄む。時々「かわいいよ」と囁きながら。その度に温かな息が耳に掛かり、
ミーティアは思わずぎゅっと目を閉じた。
「緊張しないで。心のままに弾いて…」
こんな悪戯に付き合わないで立ち上がって部屋を出ていってしまおう、そう思っても裏腹に
甘く切な気な音が部屋に響く。音が気持ちを表すのなら、こんな気持ちだなんて恥ずかしく
て知られたくない。ただの練習のはずなのに。
ずっと耳を啄んでいた唇が離れ、空気の冷たさにひやりとした。漸く解放されてほっとした
はずなのに手は勝手に淋しそうな音を紡ぐ。
「淋しくさせちゃったかな、ごめんね」
背後から囁かれ、髪をかき寄せられたかと思ったら今度はうなじに口づけされた。唇が背骨
の突起に沿って動きミーティアの輪郭を描き出す。
ミーティアは急にテンポの速い、元気な曲を弾き出した。せめてこの空気を払いたい、その
一心からだったのだけれど。
「だめだよ、ミーティア。自分の心に素直になって。本当はそうじゃないんでしょう?」
見透かされてしまう。仕方なく再び元の曲を弾き出すミーティアの鎖骨をエイトの指がなぞ
る。繊細に動く手にうっとりするような感覚が呼び覚まされ、音も甘くつややかなものに変
容した。
エイトの指は眉をなぞり、鼻を滑らせ、唇の形を描き出す。口づけを交わし合う時とはまた
違った感触。でも不快を感じていない証拠に音は甘い。
ミーティアはとても不思議だった。自分がどう感じていたのか音によってはっきりと示され
ることに。結婚して数日、毎夜愛を交わす時も恥ずかしいという思いの方が強くて、本当は
自分がどんな気持ちだったのか分からずにいたことが思い知らされる。
エイトの手が二の腕の内側に優しく触れる。透き通る白い腕にうっすらと透ける静脈に沿っ
て指が滑らされ、その感覚の鋭さにピアノの音も戦く。
這い登ってきたエイトの手が止まり、腕が肩に廻された。そのまま優しく背後から抱き締め
られ、頬が寄せられる。頬と頬を寄せ合う感触が安らかな気持ちにさせた。先程まで甘美に
激しく連なっていた音も柔らかく穏やかなものに変わる。
「ミーティア…」
エイトの右手が顎にかかり、顔を横向けられ優しく接吻される。最早ピアノを弾き続けるこ
とはできず、ミーティアも腕を廻して口づけを交わし合った。
「行こうか」
ようやく唇を離したエイトがにっこりする。
「どこへ?」
「奥へ」
予想外の言葉に返事もできずにいると気恥ずかしそうにエイトは続けた。
「いつも恥ずかしがってるでしょ。気持ちは分かるんだけど、どう思っているのか知りたかっ
たんだ。本当は嫌がっていたらどうしようとか」
言葉もないままエイトの顔を見詰めているとエイトはさらに問う。
「嫌?」
淋しそうな目に首を横に振ることはためらわれる。でもここで頷いてしまったら…
「…い、嫌ではないわ…でも今は」
「よかった。じゃ、行こうか」
返事を最後まで言わせず、エイトは誘う。
「お願い、今は練習したいの」
そう言うとエイトは意地悪な顔をした。
「本当に練習したいの?本当は立てないだけなんじゃない?」
「違っ…」
ミーティアの抗議もものともせず、エイトはミーティアの身体に腕を廻し軽々と抱き上げた。
「エイト、降ろして」
「落ちちゃうよ。静かにしてて」
そう言いながらますます強く抱き締め、軽々と運ぶ。長い旅で鍛えられた身体は細くても鋼
のよう、もがいたくらいでは腕は離れない。
* * *
エイトはミーティアを抱きかかえながら扉を開け、奥へ入っていった。開いた扉の向こうで
寝台が軋む音がする。続くミーティアの抗議も何かに塞がれ、微かな衣擦れの音だけがした。
ややあってミーティアの抗議する声が聞こえる。でもその声は先程より弱く、頼り無い。
「確かめたいんだ、今すぐに。いいよね?」
「でも…」
抗議の声は弱々しい。
「いいよね」
返事は聞こえなかった。しばらくしてエイトの声が扉に近付く。
「一日中夜だったらいいのに…」
手が伸びてきて部屋の扉が静かに閉められ、鍵の音が響く。
こちらには静寂ばかりが残された。
(終)
生殺し乙!(違
ちょっと意地悪でエロいエイトさんも萌えますなーー(;´Д`)ハァハァ
18歳といえばヤリたい放題な年頃ですからなぁー
エロイよー(;´Д`)ハァハァ
すまん…無駄にエロくなってしもた…
夜中にテンション上がってしまった方、ごめんなさい。
萌えた(*゚∀゚)=3
ハァ────(;´Д`)────ン!!
本当はこう、もっと切ない話でも書こうと思ってたのにどこで間違ったのやら。
すみませんすみませんごめんなさいもうしませんorz
ぜひともエロパロの方に本番を投下願いたいものですな (´Д`*)ハアハア
ある意味本番よりエロいかとw
GJ!! & Thank you!!
昨夜は調子こいてあんなss投下してしまったけど、あれ、大丈夫だったのかな。
このスレでのOKラインってどの辺りなんだろう
「エイトの××がミーティアの××を××し…(自主規制)」はまずいよな、絶対。
朝チュン
朝チュン?
うん、朝チュン
ていうか、
ふつーのエロSSと21禁エロってどう違うのか分からん。
◆JSHQKXZ7pEさんのSSは全然許容範囲内だとオモ。
(むしろチラリズム萌えー!な感じ?)
個人的にはもっと激しくてもOK(;´Д`)ハァハァ
性描写を飛ばして次シーンへワープ
やっちゃったことだけを前後の文章で匂わせる>15禁
性描写あり・性器の名称はぼかす>18禁
バリバリの性描写ありで放送禁止用語垂れ流し>21禁
いや、最近よくわかんなくなってしまって。
かつて最高裁で猥褻認定されたのってあの程度の描写なんだよね。確か。
でも今や少女漫画でもあんなことやこんなことやそんなことまで(自主規制)しちゃって全年齢だし。
>>292 フムフム、勉強になりました。ありがとう。
>>293 ちなみに今までで漏れが一番(;´Д`)アハァンと思ったフレーズは
>身の内に残る鈍い痛みとすぐ隣から聞こえる微かな寝息が
これですねw The 初めての朝!
いやー、この歳になってやっと「朝チュン」の正確な意味わかったよw
>294
そうやって結構アレな内容のとこ抜き打ちされると恥ずかしいっすね。
気付く人だけ気付くようさらっと書いてるんで。
>>292 ありがトン
このスレ的には、18禁まではいけるのかなあ?
一応年齢制限かかってない板だし、18禁はまずいんじゃない?
>>295 ごめんなさい。
…いやいや、それだけ印象に残ってるフレーズということですよ。
恥ずかしいとかなしなし。
>>296 18禁はさすがにまずいとオモ。
以前はそういうスレもあったけどね(かつての千一夜とかファリス超萌えとか)。
まさに
>>292氏の書いてくださった内容で15禁までなのでは?
>>298 …最後まで入れるか入れまいか迷った文の中の一つなので拾い出してくれたことに
感謝!なんだけどやっぱ恥ずかしいかな。
かなり強い印象を与えうるかな、とは思っていたんだが。
うほほーいすごいなすごいなーなんでこういう描写ができるんだろうー
>>277 生殺しにするなぼけぇ。そして乙でした。
生殺し系は妄想の幅があっていいですな。
301 :
宮廷絵師:05/03/16 10:23:37 ID:HkzCCoAW
>>301 _
. _ _ ,'´ .__ _ヽ
,'´,. -、ヽ i /メ))ヘゝ
. 川--'ー!|(ソゞ(.゚∀゚ノ
. kissキタ━━━━━━ |!(|゚∀゚ノl .K゙ヽY/ス ━━━━━━!!!!!!
. と)|ト-チiつU〉-l=ト!J
. ソリ゙/iヾi! /エ_iイi_〉
. んレ';_!_リゝ |-/|-|
 ̄  ̄
(*´Д`)
宮廷絵師さんスゲー。この絵一枚で3本はSS書きたくなるよ。
>>301 _ ∩
( ゚∀゚)彡ディープキス! ディープキス!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
宮廷絵師さま御降臨キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
北ーーーーーーー!!
宮廷絵師サマ素敵な絵thx!
このスレで見ることができるなんて!
>>301 もうすっごいすっごい幸せです!!
ありがとうございます!!
・゚・(つД`)・゚・
有名な人なの?
エイトの襟足がふぁっさーとしてるのがかなりイヤ
昨日の救命病棟24時に出てきた社長の息子とかマジウザかったし
>>308 おまいはなぁ…、折角投下して下さってるのに、そう誰かれ構わず毒を吐くなよって。
しかも最後の方、意味分からんし ってドラマか…。
主人公が雑談するスレの559を見に行くと幸せになれるよ。
うはwwwwww萌えた!!
お腹イパーイだv
姫様が可愛ければ全て問題なし!!
漏れのID、ククールアルス・・・
>>309 見てきたけど4の主人公がかなりイラつく
ID:WOJGxF8nは批評じゃなく煽りレベルの内容のレスだから、
今後放置でよろ
感想じゃん
お前らがキターと連呼するのと本質は変わらないだろ
率直にものを言うのがカッコイイと思えている世代がうらやましいよ。
>>314 ここは萌えスレなんだからさ、そこのところよろしく頼むよ。
たとえ感想であっても、空気を悪くするようなレスの仕方は控えて欲しいんだ。
てかいつもの人?だよね、多分。
何を求めてこのスレにいるのか、正直よく判らんようになってきた…。
317 :
宮廷絵師:05/03/16 23:05:09 ID:HkzCCoAW
喜んでもらえたら幸いです。でも今回の絵は自分内評価では低いです。
構図もパッとしないし、色もべたっとしすぎたかもしれません。
UPするか迷ったんですが、このスレが好きなので、少しでも燃料となればと…。
>>302 ぜひ!SS投下キボ〜ン
>>304 そういう書き込みは非常に照れるので勘弁してくださいw
>>314 …まぁ4主もえり足がもふもふしてますねぇ。
あなたのような率直な感想もありがたいです。精進するんで今回はお許しを。
>317
なんか変なのが沸いてますが、
2ちゃん特有の煽りにすぎないんで
どうか気にせず投下してくださいおながいします。
いやんな空気だな…
>>301に触発されて書いてみますた。
おつまみ程度ですがドゾー
先日僕は近衛兵に昇進した。
十五で近衛兵になるというのは今まででもかなり早い方で、それに加えて貴族でないばかり
か身寄りのない自分が近衛兵になるということは今までにないことだと聞いている。王に近
侍してその身を守るため、ある程度以上の武芸の心得が必要とされるためだ。でもそれ以上
に家柄や容姿が重視されることを知っている。美と威厳で王の権威を守るのが近衛兵なのだ
から。
なのでなぜ自分が近衛兵になれたのか不思議でしょうがない。僕は少しでも王家の皆様の─特
にあの方の─お役に立ちたくて懸命に武術の稽古を重ねていた。何か災いが起こったら身を
挺してお守りできるように。でもそれは一般の兵士として。自分の立場を考えたらそれ以上
は望むべくもないのだから。
この青天の霹靂のような人事に周りは「よかったな」「大出世だね」と喜んでくれたけど、
僕には今一つぴんとこない。なぜこの僕が?
僕には身寄りというものがない。気付いた時にはもう自分の名前と年令しか覚えていなくて、
ひとりぼっちだった。自分はどこから来て、どこに行こうとしていたのか、自分は何者なの
か分からないままさまよい、この城の門前で倒れていたところを助けられて今日に至る。
ここに住み込みで働くようになってもう七年。城の方々は記憶のない僕にも親切だった。仕
事の傍ら、読み書きや簡単な算術を教えてくれ、武術の稽古もつけてくれた。そしてあの方…
この城には僕と同い年の人は一人しかいない。ミーティア…様、この国の王女様だ。幼い頃
はそんな身分の違いがあることも分からず城の外で転げ回って遊んでいた。時にはトラペッ
タに足を伸ばしたり、トロデーン西教会まで行ったり、この城に来るまでの記憶が無いこと
などすっかり忘れて。あの方と出会うことができて僕は本当に幸せだった。
そう言えば「将来結婚しようね」って誓ったことがあったっけ。何も知らなかったんだな、
あの時の僕。いつまでも子供の約束を覚えている今の自分も馬鹿気ているけど。
あの方には生まれる前から定められていた婚約者がいる。それに、何の身分も持たない自分
があの方を望むなんてあってはならない。今までのことは「子供だから」とお目溢ししても
らっていただけなのだから。
自分の想いが禁じられる類いのものであると知ってからはなるべくあの方を避けてきた。そ
うでもしないとますますあの方を想ってしまうから。あの方を想ってはならない、決して想
うまいと心に誓ったはずだった。にもかかわらず少しでもあの方の近くにいたいと思ってし
まうのはなぜなのか。
かつてあの方への想いが何であるか知った時、同時に身の内に湧いた自分の感情が恐ろしい。
破壊的なまでに強いその感情の奔流はそれから度々僕を悩ませるようになった。能うる限り
近くにいたい、その焼け付くような思いに引きずられて三階テラスでの見張りの度、つい窓
の近くに寄ってしまう。部屋の中の音が聞こえないか、聞こえたら聞こえたで何をしている
のか、全身を耳にして聴かずにはいられない。
運良くピアノの練習時間に居合わせることができた時は幸せで、でも苦しい。ピアノの音に
はあの方の思いが溶け込んでいて、僕の心を狂おしく掻き乱す。
『お慕い申し上げております、ミーティア様!』
と叫んでしまいたくなる程。
耳を塞いで聞かずにいることができたなら。でもそんなことはできはしないのだ。吸い寄せ
られるように聞き入ってしまう。毒だと分かっていても飲み干さずにはいられない甘い水の
ように。
お役目なのだから手を取らなければならない時もある。馬車から降りる時、階段を下る時。
その時毎に「エイト、手を」と言われる。そんなことでもなければあの方の手に触れること
など叶わないんだけど、でもそれが、辛い。
あの方の柔らかでほっそりとした手が僕の手に乗せられる度に心が震える。握ることは許さ
れないその手をしっかりと押し包み、そのまま胸に抱き寄せて唇を奪ってしまいたい。細く
華奢な身体を折れんばかりに強く抱き締めてしまいたい。どこか遠くへ攫って僕一人のもの
にしてしまいたい…
こんな思いを抱く自分が汚らわしい。こんな僕があの方の澄んだ碧の瞳の前に立つ資格なん
てない。ましてやその微笑みを受ける資格なんて。
なのにどうして僕はあの方の姿を追わずにはいられないんだ!
…こんな浅ましい自分にはいつかきっと罰が下るだろう。誰が知らずとも僕は知っているの
だから…
十五で近衛兵って早い気もするんですが、オスカルも確かそれ位でなってたはずなので。
…はっ、ミータン登場させるの忘れてた!
いや、エイトの妄想の中では色々されてますがw
ごめんなさい。
エイトくんはミーティアさんをおなぺっとにしている。
エイトたん…かーいい顔してそんな目でみーたんを…
と思ったらかなり萌えますた(;´Д`)ハァハァ
>>322 >「エイト、手を」
ミーたんも内心ドキドキしながら言ってるんだよきっと
>>◆JSHQKXZ7pE氏
短編乙です。
ところでオスカルはアントワネットと同じ年??
彼女の輿入れパレードの警護が近衛兵デビューだったかな??
そういえばこの漫画で「近衛」−このえ−という読み方を知った(w
329 :
324:05/03/18 00:16:19 ID:z+Ql5lb+
15歳なんで微妙に歯止めの効いていない感じで書いてみますた。
ただ、エイトの名誉wのために申し上げますが、抱きしめてチュー以上のことは
思いついていません。
それ以上の描写のある本がトロデーンに転がっているってなさそうだし。
>>328 オスカルはアントワネットと同い年という設定です。確か。
14歳で嫁いできた時すでに近衛兵だったはず。
…あるところに美しい姫君があった。ある日隣国の王が姫を妻に迎えるため、若き騎士を姫
の元へ差し向けた。騎士はかつて姫の許嫁を決闘で撃ち破った者。憎い敵でありながら二人
はなぜか惹かれ合っている。
嫁ぐ国へ向かう船の中、姫は船室から出ようとはしない。
騎士「姫、間もなく船は岸に着きましょう。わが主君もお待ちでございます」
姫「意に染まぬ結婚をせねばならぬのならいっそ死んでしまいましょう、いざという時に使
うよう渡されたこの薬で…ああ、そなた、妾と共にこの盃を干してはもらえぬか」
騎士「姫は死のうとなさっているのでは。だが姫の盃ならば例え死の盃であっても甘美であ
ろう…謹んでお受けいたします、姫」
二人は死ぬつもりで盃を交わす。突如として二人を襲う激しい目眩。
二人「ああこれで現世の悩みから解放される…」
しかし目眩は収まった。二人が飲んでしまったのは死に誘う毒薬ではない。二人で飲めばた
ちどころに恋に落ちる愛の妙薬。
姫「斯様に狂おしくも慕わしい方があったであろうか?生まれたばかりの神のような凛々し
いお方!」
騎士「麗しい方、我が心を攫う流星のごとき美しき姫君よ!」
(流星の…ミーティア…)
* * *
「ちょっと、エイト!いいかげん目を覚ましなさい!」
「兄貴、しっかりするでがすよ〜」
はっと気付くと僕は草原に横たわっていた。
「どっ、どうしたの?あれ、魔物と戦っていたんじゃ…」
まだぼんやりする頭で事態を理解しようとする。船を手に入れパルミド西の岬に着いて、そ
したら…
「兄貴はドールマスターの『愛のものがたり』を聞いて混乱してしまったんでがすよ」
「そういうこと。ゼシカはうっとり聞き入ってしまうしお前は混乱して勝手に麻痺してしま
うしで大変だったぜ。ま、オレとヤンガスであっさり片付けてやったけどな」
「ゼシカの姉ちゃんはあの手の話をされるといつもうっとりしているでがすが、アッシには
どこがいいのかさっぱり分からないでがすよ。
それにしても兄貴があの手の話に引っ掛かるのは珍しいでげすね」
「うっ、うるさいわね。女の子はああいう話が好きなの!」
「そうかそうか、じゃオレが話そのままの体験をキミに…」
「メラ」
「あぢーっ」
キメラとげんじゅつしの人形に反応してしまうなんて何やってんだろう、弛んでいる証拠だな。
でもあの話…知っている。あの後二人は密会していて、男の方は姫の夫に殺され、姫もその
場で嘆き死んでしまうんじゃなかったっけ。城が呪われる数日前に同僚が無理矢理貸してく
れた本の話だった。
…多分そういうことなんだろう。主君の姫に恋をするなんてあってはならないこと、恋によっ
て身を滅ぼすなという警告だったんだ。でも正直その運命に惹かれなくもない。あの方への
想いに殉じてしまえるのなら…あの方の腕の中で息絶えることができるのなら…想いを告げ
て口づけを交わせるのなら…
「エイト」
突然名を呼ばれはっと我に返る。目の前で王が僕の顔を心配そうに覗き込んでおられた。
「何じゃ、おぬし、打ち所でも悪かったんか?ボサっとしよってからに」
「あっ、その…御心配おかけして大変申し訳ございません。大丈夫です」
慌てて立ち上がった時、目が合った。あの方と。
(大丈夫?エイト)
瞳だけはそのままのあの方が問う。澄んだその瞳の前に僕の思いの醜さが恥ずかしかった。
自分一人ならともかく、あの方をそんな運命に引きずり込むことはできない。願ったことは
あの方の幸せだったのではなかったのか。あの災厄の時にお守りできなかった自分がすべき
ことはただ一つ、一刻も早く呪いを解いて差し上げることだけだ。
(ごめんなさい。こんな醜いことを考えてしまう僕を許してください)
警告をくれた同僚は西塔の詰め所で呪われていた。他の同僚も、先輩も、トーポにチーズを
くれる厨房のおばさんも、一人残らず呪われて悪夢のただ中にある。
立ち止まることは僕の心が許さない。何としてもあいつを追い詰め倒してやる。そして…御
結婚の決まっていらっしゃるあの方を元の姿に戻して差し上げるのだ…今度こそ最後までお
守りしようと心に誓ったのだから。それが自分にとってどんなに辛いことであっても。
その時はまだ知らずにいた。あの方の許嫁者がどんな人であるのかということを。
ドールマスターの話はワーグナーの楽劇「ト/リ/ス/タ/ン/と/イ/ゾ/ル/デ」の超簡略化した粗筋を使いました。
会話はオリジナルですが。
ググるともっとちゃんとした筋が出ます。
話自体は中世からあったものらしいです。
>>333 GJ!!
愛のものがたりに混乱するエイトに萌える(;´Д`)ハァハァ
ってちょっと趣旨が違うなw
それにしても多作で関心してしまいます。
余計なお世話かもしれませんが、眼精疲労にはお気をつけて下さい。
うちの主人公「愛のものがたり」でこんらんしたことない。
いつも「見ていなかった!」ばかりだった。
しょっちゅう誘われて踊ってたくせに。
見たかったなあ…
うちの主人公もないなぁ。そういえば「見ていなかった!」ばっかりだったような気がする。
337 :
333:05/03/19 00:09:07 ID:z+Ql5lb+
>>334 二周目やってて初の「愛のものがたり」に反応wしたので。
ほんとはこっちが先にできてたんですが、せっかくの絵に一つ思いついたので、
チュー話(それも妄想)入れさせていただきました。
体力が有り余っている訳ではないのですが、なんっつーか気分が乗っている時には
むしろ書いている方が調子いいかも。
ただ書いている内容に引きずられて(特に月光や眠りの園のお母さんの話とか)
落ち込んだりでちょっとしんどいかなw
>>335-336 あっ、もたもた書き込んでいたら感想が。
ありがとうございます。
うちのエイトも普段は「見ていなかった!」っす。
なので初の「こんらんした!」になってちょっとうれしかったw
(勝手に麻痺したんでほんとは迷惑だったんですが)
>>337 実は眼精疲労は漏れ自身のことでした(;´Д`)時々ディスプレイが霞んで何も見えなくなる。
体力より視力との戦いでしたね…(遠い目)<ドラゴラム
ほんとに◆JSHQKXZ7pEさんの視力も心配です。
遅ればせながら、自分もチュー話書いてますが、エイトの妄想でカブってますw
…それしか思いつかなかった… Orz
>遅ればせながら、自分もチュー話書いてますが、エイトの妄想でカブってますw
是非!
…やっぱ疲れてるかも。
今風呂場で溺れたし。今日は鼻血も噴いたしな。
「いのちだいじに」でいかないとなw
「兵舎にて」
トロデーン城の兵舎の一角。
夕食も終え、就寝前の一時、机の上で兵士達が賭け事に興じている。
その中の一人が、壁際の机で本を読んでいる少年の物憂げな様子を見咎めた。
顔をかしげて物思いに耽っている。そういえば、さっきからちっとも頁をめくる音がしない。
「エイト、どうした?元気がないな」
声を掛けられたエイトは、はっとして本に向き合った。
「いえ、別に…」
一番若い兵士がその様子を見ていて、エイトをからかう。
「エイト、お前今日馬屋で姫様につれなくしてただろう」
「つれなくだなんて…。仕事中だったし、あの方がいらっしゃるような場所ではありませんから」
ちょっとムキになってエイトはそう言った。
兵士の仕事と言っても、まだ見習いだ。歩哨に立ったりもしたが、まだまだ子供。
馬の世話をしたり兵舎の掃除をしたり武器防具の手入れをしたり、要するに雑用ばかりやっている。
それでもエイトは真剣なのだ。もう自分は子供ではない。この城の兵士の一員なのだ。
「でも姫様、悲しそうにしていたぞ。折角人目を忍んでエイトに会いに行ったのに可哀相じゃないか」
「……」
エイトの頬がほんの少し赤くなっているのに気付き、本格的にからかうことに決めた彼は、
丁度キリのよかった賭け事を中断し、エイトを机に呼びつけた。
「何赤くなってるんだ?さてはお前、姫様の夢でも見たんだろう。夢の中で姫様に…」
「……」
言いかけたが、エイトの顔が見る見る赤くなっていくので、言うのをやめた。
「図星か」
兵士達は声を上げて笑った。
しかし、ますます赤くなり、うつむき、目には涙が貯まっているエイトの様子を見て、皆は笑うのをやめた。
「そうかぁ…。エイトももうそんな年なんだなぁ」
「うっかりしていたなぁ。俺達も」
「ちゃんと教えておいてやらないといけなかったなぁ」
「…?」
一番若い兵士がエイトに向き合って、慰めるように言う。
「エイト。男の子だったら、好きな女の子の夢を見ることは、普通のことなんだよ」
「…好きだなんて、そんなんじゃ…」
「姫様のこと、好きだろう?」
「……」
エイトは、頷くことも首を振ることも出来なかった。
「その夢を見て、どう思った?」
「…不忠者だと思いました」
兵士達は顔を見合わせた。まだ子供でも、それはいかにも生真面目なエイトらしい悩みなのだ。
「そんなことないよ」、と彼は慰めた。
「ひょっとしてエイト、姫様のことを好きになってはいけないんだって思ってる?」
「……」
またしてもエイトは、頷くことも首を振ることも出来なかった。
でも、いけないことに決まっているではないか。自分は兵士で、あの方は主君の娘なのだから。
「姫様を好きだと思う気持ちは、エイトが忠誠を尽くす上で邪魔なことだと思う?」
「……」
少し考えて、エイトは首を振った。
「だったらいいじゃない」
エイトは顔を上げて、彼の顔を見返した。
「心の中で思うことは、誰だって自由なんだよ」
(心の中で思うことは、自由?)
「誰を好きになったって、構わないんだ。…心の中にしまっておけるならね」
少し寂しそうに、彼はそう付け足した。エイトのこの恋は、決して叶わないものなのだと知っているから。
エイトは頷いた。そして自分を気遣ってくれる彼の為に、微笑んで見せた。
一同は安心したので、寝るために各々の寝台に散っていった。
ミーティアはエイトを探している。
昨日は仕事の邪魔をしてしまったみたいで、エイトはなんだか不機嫌だった。
やっと見つけて、庭に立つエイトに窓から笑顔で手を振ると、エイトは会釈を返した。
ミーティアは手を下ろした。その笑顔が、寂しそうな笑顔に変わる。
少しだけ視線を交わした後、エイトは顔を元に戻した。
ミーティアは少し悲しい気持ちで窓際を去った。エイトはいつも仕事中だ。
エイトは横目でちらりと見て、ミーティアの姿が消えたことを確認してから、その窓を見つめた。
もう子供ではないのだ。手を振ることは出来ない。
視線を交し合うことも出来ない。恋人ではないのだ。
でも、心の中で思うことは自由だ。
姫様の肩を抱き、背中を抱き、口づけする。そんなありえないことが起きる僕の夢。
いや、夢でみるだけじゃない。本当は、姫様のことを考えるだけで、息をするのすら苦しくなる。
決して知られてはいけない思い。叶うことのない思い。
それでも、心の中で思うことは自由なのだ。
(姫様を、好きでいてもいいのだ)
そう思うと、エイトの顔には笑みが浮かぶのだった。
その胸は少しだけ苦しいのだけれど――。
(終わり)
正直、自分の進むべき道を見失っています…。
>>340 すみません、慌てて出かけてました。
年間、お風呂で命を落とす方は交通事故の3倍らしいですよ。
まじで「いのちだいじに」でおながいしますね。
からかわれて頬染める子どもエイトタン
カワ(・∀・)イイ!
後半ちょっと切ない感じでGJ!!
◆sVVR0Q7eM2さん
それ、もしかしてスランプってこと?!
◆sVVR0Q7eM2氏
どうぞ己の萌えの導くままにお進みください。
今回の話もよかったです。
途中急にミータン目線になってびびったけど。
>>345さんは優しいね…(ゼシカぽく)
ウエーン何を書いていいのか分からないよ〜う(つД`)
…すみませんこんなところで弱音を吐いてもしょうがないのに。
>>346 ありがとうございます。目線が定まらないのは迷っている証拠なのかも。
萌えの方向性が変わってきていて戸惑ってます…。よりエチーに…(モシモシ?)
なんかすごく今更なんですけど、とっても悔やんでいることがあるので、それを書いて
踏ん切りつけてまたがんばろうと思います。
>253さん、気付いたときにはすでにレスしにくい流れだったのですが、お言葉とても嬉しかったです!
そして、最終回で皆様に寄せて頂いた温かいレスの数々は全部宝物です…(つД`)・゚
…とずっと言いたかった。自分語りすみませんでした。
>347
長編書くとどうしても疲れって出ますよ。
方向の違うものを書くのもまた一つの手かも。
…ってエチー系すか。それもまたイイ!
けど労力は三割増し(当社比)っすよw
なにしろ
エイトはハアハアしている!
ミータンはドキドキしている!
…サクーシャは困惑している
状態でしたからw
気長にお待ちしております。
>>348 >労力は三割増し(当社比)
お疲れ様ですw
なんか元気でました。ありがとうございましたv
誰かエイト×ミータンのエチーなSSのあるスレやHPを教えてくれい。
>>274-
>>277見てからそっち系の興味がでかくなった(;´Д`)
ゼシカに犯されるエイトならエロパロで見た
352 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 16:16:37 ID:e/tPKNVo
たまにはage
>350
エイトとミーたんの初夜話、エロパロ板の前スレで見たよ。
個人のサイトはここで晒すわけにいかんだろ…
>>354 キモーターが必死に写真撮ってるのキモすぎ
上の流れとは全然関係ないけど、
ミーティアは絵にするのが非常に難しいキャラだね。
全然可愛く描けないよ・゚・(つД`)・゚・
前髪が無いからゴマカシが効かないんだって話が前にあったような気がする。
ゼシカも少ないけど、それでも有ると無いとでは違うんだそうだ。
うん。まさしくそのとおりなんだよ…。
なかなか納得のいく絵にならない。
何はさておき、資料がなさすぎだ。目をさらのようにして何度EDみたことか。
私たちは再び一緒に歩けるようになった。先日漸くエイトが近衛兵になったので、散歩の時
に供をしてもらえるようになったから。
一緒に遊ぶことを禁じられて三年、今までは遠くからこっそり窺うことしかできなかった。
エイトがいる事を願って厨房に降りていってみたり、部屋の前の廊下を掃除してくれている
時に恋の歌をピアノで弾いてみたり、自分の想いの一端でも伝えたくて、今思い返すとかな
り恥ずかしいことをしてしまったと思う。
身分という壁は辛いけれどエイトが近衛兵ならば身近にいてもらっても何の問題もない。庭
を散歩する時でさえ供がいるのだから、それがエイトになっただけ。
それにしても堂々とエイトの手に触れることができるなんて。段差のあるところを通る時に
「エイト、手を」と手を借りることができる。手を繋ぐなんてもってのほかなのにエイトの
手に手を乗せることは作法として許される。
ずっと働いてきたエイトの手は荒れている。武術の稽古をするようになってからは肉刺がで
きて節くれ立っている。でも私はその手が好き。世界で一番好き。暖かくて大きくて、その
手に頼っていいなんて、なんて幸せなの。ほんの一瞬だけだし見詰め合うこともできないけ
れど、想いを伝えることができない私にとっては大切な一瞬。
三階テラスでの見張りの時もできるだけピアノの練習をするようにしている。エイトの身体
にはまだ大きすぎる槍の影が窓に映る度、想いを込めてピアノを弾く。
「エイト、大好きよ…」
と。
でも浮かれてばかりはいられない。婚約者がいるのに想い人がいるなんて知られてしまえば
エイトは罰せられる。きっとこの城を追放されてしまう。行く当てのないエイトがこの城を
追放されてしまったらどうなってしまうの。
私が想いを抱くことでエイトが罰せられるなんてあってはならない。きっと守るわ、一番大
切なあなただもの。最後まで守り通すから、この想いを…
「十五の思い」ミーティアバージョンで。
…駄目だ、漏れもスランプだ。
原因は分かってるんだが、どうしようもない。
花粉症で氏にそうだ。
く゛ふっ
辛いときは無理しないで、と思いつつ
SSを投下してくれる◆JSHQKXZ7pEさんが好きだ。
でもやっぱり無理はしないで。
>>363 あの大きな槍に萌えるのはミーたんも同じ、と…。
鼻炎の薬といえば眠気ですよね〜〜。花粉症じゃないけどそれで
気を失うように眠ったことありますた。お大事に。
>>363-364 うう、ありがとうございます(つД`)
ミータン風に言うなら
「このスレが好きだから…」
ってとこですかね、ss置いておくのって。
頭がすっきりしたらまた…
どうもありがとうございました。
チュー話思いついたのでお一つドゾー
エンディングの中の話です。
細い銀色の月が西の空に沈もうとしていた。
呪いの眠りから覚め、元の威容を取り戻したトロデーン城の四阿に独り佇む影があった。名
残を惜しむように花に触れ、愛おしげに辺りを見詰め、一つため息をついて兵舎の方を見遣
るその影はもうすぐサザンビークに嫁ぐミーティア姫のものだっ
た。
もしかしたら…という願いはトロデーンが復活してすぐ、打ち砕かれた。サザンビークから
の使者という形を取って。丁重で、しかし有無を言わせぬその態度に父王も異論を挟めず呪
いの前と同じ結論に達したのだった。トロデーンのミーティア姫とサザンビークのチャゴス
王子との婚姻を執り行う、と。
全ては呪いの前と同じに。何もかも全て!城の人々は元に戻って幸せに暮らしている。この
城に笑いや歌が戻ってどんなに嬉しいか。でも…
ミーティアは行ってはならない方向へ思いが向かおうとしていることに気付き、頭を振ると
視線を手元に落とした。
ただ一つ違うことがあるとするならあの人が─エイトが─名前で姫の名を呼んでくれるよう
になったことだった。「ミーティア様」と「様」付きだったけれど。
あの人の声が自分の名前を言う。優しく、柔らかな声で。ただそれだけなのに心が震える程
嬉しく、胸を締め付けられる程苦しいのはなぜなのだろう。
そして…以前にも増して自分に対して礼儀正しくなった。名前で呼んでくれる、でも目は合
わせない。いつも一歩下がって控えている。まるで儀礼の壁を張り巡らせて己の身を守るか
のように。
責めることはできない。自分も「主の姫」の立場に逃げているから。それに今更想いを告げ
たところでどうなると言うのだろう。あの人の心を掻き乱し、苦しみを与えるだけなのに。
でも自分の想いを告げ、あの人の想いを知ることができたなら…
相反する感情に引き裂かれ、ミーティアは再びため息を落とした。
その時背後から草を踏む静かな足音がした。あれは…
「ミーティア様」
エイトだった。
「そろそろ風が冷たくなって参りました。部屋にお戻りになられた方がよろしいかと」
それは、かつて聞いた言葉。あの運命の夜、二階のテラスで投げかけられた言葉そのままで
あった。
「エイト」
振り返ることができず、ミーティアはエイトに背を向けたまま呟いた。
「覚えているかしら、あの夜を」
エイトの返事は無かった。けれども微かに身じろぎした気配が感じられた。
「あの夜、あの場所にいたのはあなたに逢いたかったからなの。どうしてもあなたとお話し
たくて」
「はい」
声は揺れていた。思い切って振り返る。と、一瞬エイトと目が合った。すぐに逸らされてし
まったが。
「ずっと前から伝えたいと思っていたことがありました。でも言うことができなかった」
ふっとエイトが目を上げ、ミーティアの目を真直ぐに見詰めた。
「どうかそれ以上は」
闇を照らす篝火がエイトの瞳に反射する。その瞳に吸い寄せられるようにミーティアは口を
開いた。
「いいえ、言います」
「駄目です!」
エイトが一歩前に進み出る。ミーティアは反射的に後ずさり、踵を石畳に取られよろめいた。
はっと足下に気を取られた瞬間、エイトに手を取られた。
「どうかそれ以上のことは仰らないでください。さもないと…」
熱いエイトの手。それよりも真直ぐに向けられた瞳には普段と違う何か不穏な煌めき。
もうこのままエイトに何をされても構わない、どこか遠くへ攫って欲しい、そう願った時、
エイトが言った。
「あの夜、僕の気持ちが知りたかったのではないのですか。ならば今、お答えいたします」
さらに一歩エイトが近付く。危険なまでに輝く瞳に魅入られたかのようにミーティアの身体
は動くこともできず、うっとりとその様を見詰めるばかり。
「お答えしたします。これが僕の答えです」
息がかかりそうな程近くでエイトが囁く。その声にミーティアは何かを期待する。このまま
抱き締められて、そして…
無限とも思える程長い時間見詰め合った後、エイトは身をかがめミーティアの手を押し頂い
て口づけた。いや、正確には口づけたのはミーティアの手の上の空気。それは騎士が心から
の愛を捧げる女性に対して許されている行為。ただ、愛を捧げるだけ。それ以上は決して、
ない。
「どうかお幸せに、ミーティア様」
ごく低い声だったが、エイトの声は震えていた。ミーティアは離された手を胸に抱く。涙が
一筋、頬を伝った。
こんな時でも自分の想いを隠さねばならないことが悲しかった。このまま自分の中に封印さ
れてしまうエイトへの想い、そしてエイトの中に封印されてしまうエイトの想いが辛かった。
「御前、失礼いたします」
エイトが去っていく。四阿にはミーティアだけが取り残された。
暖かな夜気に花々も静かに揺れ、ただ噴水の水音ばかりが響く。夜も更けていく中、ミーテ
ィアは独り、立ち尽くすばかりだった。
なんっつーか…チューすらしてませんw
おつまみ程度ですが。
一回エロネタやっちゃうと中々やりにくいものがありますね。
四阿
↑
読めないよ
ぶっちゃけ勉強不足とかいうレベルじゃないぞ
普通に生活しててこんな言葉見かけないもん
ネットの辞書にぶち込んだらわかったけどさ
東屋じゃ駄目なのかよ
東屋では、意味の知らない人が調べもせず「東側にある建物」と誤解するので、
普通は「四阿(あずまや・しあ)」と書きます。
名作古典小説を数冊読んだ方なら1度はお目にかかったことがあるはず。
リアル厨房以下の方は読めなくてもOK。この機会に覚えましょう。
工房以上なら……残念ながら読書不足だと認定されても文句は言えません。
どっちもあおるような書き方はやめれ。シラケさすな…。
>いや、正確には口づけたのはミーティアの手の上の空気。
ここのところグッときました。
うーん、こういう切ないのが大好きなんだが、おれも読めなかったし意味も分からなかった。
「東側にある建物」と誤解された方がましなのでは内科と思う。
そういや最近、読書とか全然してないな…。
376 :
371:2005/03/23(水) 00:14:57 ID:YFo/pzTd
あずまやで紛糾してしまった…申し訳ありません。
難し過ぎる漢字は使わないようにしているつもりでした。
規準はラノベ程度で。
ただ、たまたま読んでた本に「四阿に腰掛け〜」とあっさりと出てきていてついつられてしまったのでした。
今思えば中国風ファンタジーで難しい漢字バンバン出てくる話だし、スタンダードではなかったですね。
でも「東屋」にはしたくないのでごめんなさい。
わかんない単語はちゃんと自分で調べるから、
浮かんだ言葉は気にせずに使っちゃってくだちい。
小説は浮かんだことをそのまま書いたほうが、
文章に勢いがあって面白かったりする。
エイトタン×姫のSS読みながら勉強にもなるなんて、
素晴らしいじゃんか。
生まれて初めてうpしようとしたら出来なかったヨー(つД`)
何が悪いんだろう…。ただのJPEGなんですけど。
379 :
378:2005/03/23(水) 02:25:50 ID:FXRc7ylz
誤爆しますた(つД`)ゴメン
>手の上の空気
正式な作法ではそうだったと思うので。
ちなみにドニでククールがゼシカにしたのは多分バッチリチューだと思います。
あれは口説きの一環なのでまた別物w
難しい漢字にはふりがな振った方がいいですか。
それともひらがなのままの方がいいですか。
>380
読みがわかっても意味が理解できなきゃ
どうしようもないので一概には言えないけど、
馴染みの無い語句を使用する際には、
SSの雰囲気を壊さない程度に
かな振った方がいいかも、と思う。
ところで。
◆JSHQKXZ7pEさんのエイトたんは精神的Mじゃないか
と思うくらいストイックですな。
バカポー成立後のエイトたんと比べるとギャップが凄いw
そんなエイトもいいけど、ミーたんの期待どおり(?)
あの場面でギューしてチューしちゃうエイトも見てみたいv
難しい漢字を使わざるを得ない場合は今後臨機応変に対応するとして…
バカポー前のエイトたんがやたらストイックな件ですけど、自分の中ではあんなイメージかも。
恋心を打ち明けてはならない、という葛藤の為不必要なまでにストイックな態度、というのが自分設定かな。
まあその反動でバカポー炸裂になるんですがw
どちらのエイトたんもみーたんラブ!なことには変わりありません。
>>341 乙!最初馬小屋で姫様と…というから姫=馬???なんて思ってしまいますた
>>343の6〜7行目あたりで視点が変わるのをもうちょっとしっかりとかかれたほうが
よかったかもしれません。それかもう少しミーティア視点で進めてエイト視点に戻すのも
ありかもしれませぬ。稚拙ながらご参考になれば幸いです。
>>363 むりしなさるなー、そして医者へ行け(藁
漏れも最近のあまりのひどさに体がだるい…病院行くと結構違うようなので
マジお勧め。
>>373 勉強になったなぁ。しかし、現実では使わないだろう(藁
>384
遅レススマソ。どうもありがとう。
ちゃんと薬飲んでてある程度コントールは効いてます。
ひどい鼻閉もないし。
でも微熱がね…ハァ
こんな状況が影響するのか最近エイトたんいじめが激しいかな…
まあEtudeでいい思いしたんだししばらくは切ない思いをしてもらいましょうw
後で銀の月エイトバージョンいってみる予定。
>>383 丁寧な批評をありがとうございます。今後の参考にさせて頂きます。
状況だけあっさり書きたかったので何度も書き直してあんな感じになったのですが、
なんっか空回りで判りづらかったですね〜…。精進したいと思います。
「銀の月」エイトバージョンいきます。
が、申し訳ありません、ちょっと鬱展開かも。
兵舎の中でエイトは闇を見詰めていた。
目を瞑れば瞼の内に浮かぶはミーティアとの思い出。他愛も無い、ささやかなもの。けれど
もそれがエイトの記憶の全てだった。
夢のように美しかったその記憶に溺れてしまわぬよう、エイトは目を開き続ける。それでも
遠いかつてを思い返さずにはいられない。己の気が弛んでいる証拠だと自分を叱ってみても、
止むことはない。
懐かしい記憶の全てはミーティアとともにあった。その記憶の元となった人はもうすぐこの
城を去る。自分の従兄弟の妻となって!
何の見返りも欲しくはなかった。呪われてしまったこの城と主君と…ミーティアを元の姿に
戻したい、ただその一心で旅をして暗黒神を倒しただけだった。なのになぜ、己の心に苦い
しこりが残るのか。目を背ければ背ける程、それは重く激しく心を苛む。
「ミーティア様との結婚をお許しください」と王に言えばよかったのかもしれない。でもそ
の前にサザンビークの使者がトロデーンにやってきてしまった。
最早遅すぎる。ミーティアの行く道は定まってしまい、エイトの割り込む隙はなくなってし
まった。後はただ、行くしかない。二度とミーティアには会えない道を。
暗い物思いにうんざりしたエイトは寝台から身を起こし、静かに兵舎を出た。冷たい夜風に
当たって愚かしい自分の思いを覚まそうと。
しかし兵舎から出た途端、エイトの足は動かなくなってしまった。庭の四阿に寂し気に佇む
人影を見つけてしまったから。それは心の中で何度もその名を呼んで想いを叫ぶ人のものだっ
た。
ミーティアはまだこちらに気付いていない、このまま兵舎に戻れ、とエイトの心は命じる。
けれども足は勝手に動き出し、四阿に向かって歩み寄っていく。
「ミーティア様」
自分の意志とは無関係に─いや、本当は望んでいたのかもしれない─言葉が滑り出す。
「そろそろ風が冷たくなって参りました。部屋にお戻りになられた方がよろしいかと」
このような夜に二人きりにはなりたくない。これ以上一緒にいたら自分がどうなってしまう
のか心許ない。そう思いつつエイトは言う。幸いにしてミーティアは背を向けている。後ろ
姿ならば大丈夫…ミーティアの瞳さえ見なければ自律できる…そ
の時、背を向けたままのミーティアが呟いた。
「覚えているかしら、あの夜を」
あの運命の夜、想いを打ち明けそうになった気まずさからミーティアの側を離れたその時に
呪いをかけられたのだ、と思うと辛かった。そのまま警護に従ってさえいれば。
「あの夜、あの場所にいたのはあなたに逢いたかったからなの。どうしてもあなたとお話し
したくて」
「はい」
もう止めて欲しい。締め上げられた自分の心が痛い。痛みに耐えるべく拳を握り締め、ミー
ティアの背を見詰めた。と、ミーティアが振り返った。一瞬視線が絡み合う。
「ずっと前から伝えたいと思っていたことがありました。でも言うことができなかった」
エイトははっと身を固くした。行ってはならない方向に進もうとしている。このまま進めば
自分も、何よりも大切なミーティアも奈落の底へ沈んでしまう!
「どうかそれ以上は」
本当はその奈落の方がどんなによかったか。けれどもミーティアをそこへ行かせてはならな
い。
「いいえ、言います」
「駄目です!」
言わせまいとエイトは一歩前に踏み出す。後ずさるミーティアがよろめく。はっとその手を
取った瞬間、エイトの心に再び迷いが生まれた。
「どうかそれ以上のことは仰らないでください。さもないと…」
このままミーティアを攫って逃げてしまえたら。そう、ルーラを唱えて逃げてしまえば誰も
追っては来られない。
「あの夜、僕の気持ちが知りたかったのではないのですか。ならば今、お答えいたします」
言ってしまおう、ずっと心に押し隠してきた想いを。ミーティアの瞳もそれを望んでいる。
想いを打ち明け、そして…
「お答えしたします。これが僕の答えです」
今まででは考えられない程ミーティアに近付いてエイトは囁いた。このまま腕を廻せばミー
ティアは自分の腕の中にすっぽりと収まるはず。自分の胸に抱き締めてもう二度と離すまい、
ただ二人だけの世界へ攫っていこう…
エイトはそう決心して改めてミーティアを見詰めた。碧の瞳に吸い寄せられるように次の行
動に移ろうとした時、篝火の光が金の髪飾りに反射した。それは高貴な身分の証だった。
ミーティアはこの城の姫君として何不自由なく育ってきた。庶民の暮らしに耐えられようか。
何物にも替え難く大切に思う人を一時の気の迷いでそんな運命に堕すことができようか?
それはエイトにはできなかった…
この世で最も大切に思っているならば言ってはならない。決して言うまい。でも…己の心の
命令の焼け付くような痛みに耐えながらエイトはその手を押し頂き、手の上の空気に口づけ
した。自分の心は永遠にミーティアのものだ、とせめて伝えようと。
「どうかお幸せに、ミーティア様」
ようやく手を離したエイトの声は震えていた。これ以上側にはいられない。
「御前、失礼いたします」
最後にちら、と見たミーティアは手を胸に抱いていた。もう振り返るな、早くこの場を去れ、
と急き立てる心の声に抗うこともできずミーティアに背を向けて足を運ぶ。その足の何と重い
ことか。
エイトは兵舎の陰に入り込んで漸く立ち止まった。無意識のうちに握りしめていた拳を開く
と手の平にはくっきりと爪の痕が残っていた。ミーティアを誰よりも強く想っているはずだっ
たのに結局傷つけるばかりだった自分が腹立たしかった。
拳を城壁に打ち付ける。ただもう自分を壊してしまいたくて。けれども竜神王の試練を乗り
越え、暗黒神を倒したエイトの手にはかすり傷一つ付くことはなかった。それでも幾度とな
く壁に向かって拳を振るう。
いつしかエイトの頬は濡れていた。その姿をトーポだけが見詰めていた。
なんだか連投規制厳しくなってる?
何回も弾かれた…
1つ投下したら60秒我慢すればまた投下出来るYO!
切なくてイイヨイイヨー
>>391 切ないよーっ(つД`)こんな二人が大好きだよーっ
…ここまでストイックなエイトが何故あんなエロエロになっちゃうんだw
394 :
391:2005/03/26(土) 12:08:05 ID:oPalMwDq
>>392 うーん、「3回目ですよ」みたいなこと言われてうまく書き込めなかったんだよね。
初めて言われたよ。あれはなんだったんだろう。
ストイックエイトとエロエロエイトwの境目ですが、何年も想いを告げられずにいて、
ついに結婚したらタガも外れるんじゃないでしょうか。
実は大事なイベントなんだけど書けずにいる話が一つ二つあるんですよね。
一体どこで終わりにすればいいのか、どちらの目線を使えばいいのか(両方でも
いいんだけど)迷っていて書けずにいます。
どうしようかな、生殺し系間違いなしだし。
>生殺し系間違いなしだし。
またそんな期待させるようなことを(・∀・)
ガンガンいっちゃって下さい。
>生殺し系
そういう系の話ってある意味劇薬みたいなものだから、書いていいものかどうかいつも迷います。
実際生殺し系の話の後って書きにくいものがあって。
切ない話を書きたくても書けなくなっちゃうんですよね。個人的には。
読んでくださる方々の意識もそっち方面に向かってしまうし。
…でもやれるところまでやってみるか?
時間はかなりかかると思いますが。
生殺し系でもいいから◆JSHQKXZ7pEさんのSSが読みたいです。
期待してますので、頑張ってください。
>>396 無理なさらず、自分のペースでがんがって下さい。お待ちしています。
皆様どうもありがとうございます。
腰を据えてじっくりいきたいと思ってます(労力3割増しだしw)。
時々気分転換で短いのを書きつつ、書いていくっす。
>341を書いてから、ふと思いました。
まだ一回も幼い仲良しな二人を書いたことがないΣ(゚口゚;
そんな訳で書いてみました。
かけおち
それはまさに晴天の霹靂だった。毎日のように城中を駆け回るようにして遊んでいたミーティア姫と
小間使いのエイト少年の二人であったが、突然遊ぶことを、いや会うことすらも禁止されてしまったのだ。
ミーティアは部屋から出ないように厳しく言いつけられてしまった。エイトもまた、ミーティアの部屋の
近くに近づかないよう命じられた。それから五日が過ぎた。
小さなエイトがあんまりにも沈痛な面持ちでイモの皮をむいているので、おばさんは彼を慰めた。
「たったの一ヶ月じゃないか。すぐに過ぎちまうよ」
一ヶ月!それは、子供たちにとっては、永遠のような日々なのだ。
「それむいちまったら、遊びにいってもいいからね」
「はい」
いつもはミーティアが待っていてくれているので早く終わらせようと一生懸命に急いでむくのだが、
ここ数日はそんな必要もなく、時間をかけてむいた。何も考えずに仕事に没頭していると少しは気が
まぎれた。それでも終わってしまったので、エイトは厨房を後にして馬屋に向かった。
ここにいたら時折ピアノの音が聞こえてくるのに、今日はそれも聞こえない。
エイトはため息をついた。ミーティアはお姫さまで、自分は身元すら不明な人間だ。二人の間に身分の
違いがあることなんてそんなことはちゃんと分かっている。けれどなぜ今突然なのか。もっと大人に
なれば、二人の間に横たわる隔たりがどんなに大きなものであろうとも、受け入れることができる日が
きっと来るはずなのに。
背伸びをして馬の顔をなでながら、三回目にため息をついた時、不意に声をかけられた。
「エイト…」 驚いて振り向くと、そこにはミーティアがたたずんでいた。
「姫さま…」 思わず駆け寄った。「だ、大丈夫なのですか?こんなところにいらっしゃって」
「こっそり抜け出してきたの…」
エイトは辺りを見回して、二人で馬房の奥へと入り、座って身を隠した。
ややあって、ミーティアは口を開いた。「ねぇエイト…『かけおち』って知ってる?」
「はい…」 エイトにはミーティアが何を言いたいのか分かっていた。
「ミーティアはエイトとかけおちしたいの…エイトはどう?」
「……」 エイトは途方に暮れた。かけおちという言葉も意味も本で読んで知ってはいるが、それは
生活力のある大人のやることだ。子供がやることではない。というか、姫さまはなぜそんな言葉を
知っているのだろう。ああそうか、きっと同じ本をお読みになったのだ――。
「…エイト、ミーティアをここから連れ出して」
エイトは頭を抱えそうになった。連れ出したってそこから先はどうしたらいいのか全く見当もつかない。
すぐに食べるものにも寝るところにも困るだろう。それに自分のような身分の低いものが主君の娘を
連れ去るだなんて、万が一見つかって連れ戻された時、どんなにひどい罰を受けることか。そうだ。
殺されてしまうかもしれない――。
しかしあからさまに困った顔をするのも、ミーティアに悪い気がした。そしてエイト自身もミーティアを
連れ去りたい気持ちになっていたのは紛れもない事実なのだ。ここ数日、頭の中で色々と空想して
いたこと。それを現実として行動に移すだけなのだ。
「わかりました。ここで待っていてください」 エイトはきっぱりと言って、この城に来た時から自分の
寝床となっている場所がある兵舎へと荷物をとりに行った。幸い兵舎には誰もいなかった。
そして唯一の家財道具である布の袋を寝台の枕元からとり、首からかけた。
これは王に対する裏切りだ。そう思うと、そんな大それたことをしようとしている自分が恐ろしく思えた。
この時間、正門ではない裏の通用口に立つ見張りは一人だ。自分が話しかけて気を引いているうちに
姫さまを行かせて、自分は後から追おう。子供らしい稚拙な作戦だが、意外とうまくいくものだ。
門番は自分の方からエイトに声をかけた。
「おうエイト。姫様に会えないからしょんぼりしているかと思ったら、意外に元気そうじゃないか」
「えっ…ええ、まぁ…」
「どうした、街までお遣いか?」
「はっ、はい…」
「気をつけていけよ」
なんて簡単なのだろう。門を出て少し先で身を隠していたミーティアと合流してから、二人はどちらから
ともなく手を繋いだ。これから先に待ち受ける苦難がどんなに大きなものであれ、二人が一緒ならば
乗り越えていける――、とエイトは思った。
五十歩ほど歩いた頃だろうか。前方から馬に乗った城の兵士が近づいてきて、身を隠す間もなく
二人は見つかった。引きはがされ、エイトは顔をぶたれてこっぴどく叱られた。
ミーティアはそれを見て泣いた。兵士が門番を罵倒するので、ミーティアはさらに泣いた。
エイトは自分がしたことをひどく悔やんだ。いくら大切な人が望んだことであっても、叶えて
あげられないことだってあるのだ。自分がどんな罰を受けるのか分からないが、それは覚悟していた。
けれど、ミーティアがそれによって泣くことになることまでは考えが及ばなかった。
ああ、自分が死んだら姫さまはどんなに激しく泣くことだろう――。
翌日、ミーティアは高熱を出し寝込んだ。エイトはそれを聞かされて泣きじゃくった。自分のせいだ。
自分が姫さまを連れ出したせいで、病気にさせてしまった。エイトはそのまま、王の前にひき出された。
王は彼をにらみつけ、「自分が何をしたのか分かっておるな」、と言った。
エイトは泣きながらうなずいた。「どんな罰でも受けます」
「そうか、ならばこっちに来て尻を出せ」
エイトは涙をぬぐって泣くのをやめた。そして言葉に従って、王の前に行きおずおずと尻を差し出した。
王はそんなエイトを抱え上げ、自分の膝の上にうつぶせにし、尻をばしばしと叩いた。
「聞き分けのないやつはお尻ペンペンの刑じゃ!」
それからの十日間ほどの間、エイトは必要なこと以外、誰とも口をきかなかった。相変わらずミーティアと
会うことは禁じられていたし、自分は王の怒りに触れた人間なのだと思うと、自分を見る皆の目が
冷たくなったように感じた。そしてもうここにはいられないのだと思うようになった。
夜になると、いつもなら兵士たちが賭け事をしている横で本を読んだり、手の空いている兵士と
話をしたりするのだが、そのことがあってからは、いつも一人でいて、早々に床に入りふとんを被って
眠った。そして会えないとは分かっていても、部屋の前に行ってみた時に、メイドがエイトに告げた
一言が、彼を絶望の淵においやった。
「姫様、今はエイトに会いたくないって」
その晩のこと。一人の兵士がエイトの寝台の方へやってきて声をかけた。
「おいエイト、まだすねてるのか?」 エイトをぶった人物だった。
「お前が悪いんだぞー。言うこと聞かないから…」 言いながら、被っているふとんをそっとめくると、
エイトは真っ赤な顔でうつろな目を向けた。驚いて額に手をやると火のように熱い。
「おいみんな大変だ!エイトすごい熱だ!」
「なにぃ!?じゃあやっぱり伝染ってたのか」
「おれまだやってないんだよ」
「おれもだよ」
「早く部屋から出せ!」 怒号が飛び交った。
エイトはそれを聞いてみじめな気持ちになった。重い体を引きずるようにふとんから這いだし、唯一の
家財道具である布の袋を首にかけた。人の手を借りるまでもない。出て行くのなら自分の足で歩いてゆく。
「…お世話になりました」
そう言ってふらふらと寝台の下に飛び下りたが、膝が立たず、ぺたんと座り込んだ。
「やばい、なんか錯乱してるぞ」
兵士はひょいと小さなエイトを抱え上げ、再び寝台の上に戻し、毛布でしっかりと包んだ。
「とりあえずおばさんのところに連れて行こう」
「じゃあ、おれ先に行って知らせてくるよ」 他の者が慌てふためいて走って行った。
ミーティアもエイトも知らなかったのだ。しばらく前に城に滞在していたミーティアのまたいとこが
屋敷に戻った後に高熱をだし、両方の耳の下をぷっくりと腫らしてしまったことを。
ミーティアにも伝染っていた恐れがあるため、エイトと引き離していたことを。そしてそれは子供に
多く見られる流行病であるが、大人が感染すると、時に重病化する厄介なものであることを――。
エイトは小さな空き部屋に移された。両方の耳の下が腫れあがり、ひどく痛んだ。そして入れ替わり
誰かがやってきて、額と顔に置かれて温もってしまった布を、冷たい水で洗って取り替えてくれた。
二日後、すっかりよくなったミーティアがその部屋にやってきた。エイトは腫れあがった顔を見られる
のが恥ずかしくて、目から下をふとんで隠した。…ああそうだったのか。姫さまもこんな顔になって、
ぼくに見られるのが嫌だったんだ。そう思うと、ミーティアの女心がとてもかわいいと思った。
「ごめんなさいエイト。ミーティアのせいであなたまでこんな目にあわせてしまったわ…」
ミーティアはしょんぼりしていた。
「…姫さまのせいじゃないですよ」 エイトはふとんの下からなぐさめた。――ぼくだって姫さまに
会いたくて仕方がなかったのだ――。そしてふとんを下げて腫れあがった顔をちらっと見せて
恥ずかしそうに微笑んだ。数日前までミーティアを嘆かせていたのと同じ顔がそこにあった。
二人は顔を見合わせて「ふふふ」と笑った。
ミーティアはかいがいしくエイトの看病にいそしんだ。もう誰も二人を引き離そうとはしなかった。
エイトが完治して仕事に復帰したのは、会わないようにと言いつけられてからちょうど一ヶ月後
のことだった。
大人の言うことはちゃんと聞くものだな――とエイトはしみじみ思った。
幸いにして、兵士たちの中に感染者はでなかったという。
(終わり)
カワ(・∀・)イイ!
ちっちゃい二人もほのぼのしててツボ突きすぎv
GJ!
おたふくですな。
そりゃ確かにまだかかってない兵士にとっては大事だw
エイトは子供のうちに罹っておいてよかったね。
麻疹も水疱瘡も子供の時に、だけどこれと風疹だけは大人になって罹ると特殊ダメージ大だし。
>>406-407 おお、早速のご感想をありがとうございます。
こんな感じで仲良しのまま真EDを目指してみようかなぁと…。
自分の中では3組目の主姫という感じです。(前二つは切ない系、竜化系)
節操ないですねスミマセンorz
>特殊ダメージ大
作中で書けなかったことをやんわりと書いてくださってありがとう。
言葉の魔術師だとオモタw
>特殊ダメージ
そういえばどういう理由でそういうことになるのか知らなかったな。今度調べてみよう。
まああまりに高熱を出したりしても特殊ダメージ(男のみ)受ける可能性あるし。
妊娠中の麻疹も両方にとって危険だし。
ワクチンのない時代の人は大変だ。
タネナーシ!!タネナーシ!!コワイヨォー!!
>>410 前に聞いたけどその種のウィルスは細胞分裂を頻雑に行ってる箇所に
ダメージを与えるそうだ。
だから子供の頃は全身に分散されて症状が軽い。
でも大人になると集中攻撃を受けて……
ダメージ受ける器官が活動するのも大人になってからだし。
(女性はほら月一だから)
妊娠中の胎児に悪影響するのも同様。
>412
これはサンクス。
まあ何にせよ罹らないことが肝要ですね。
現在試練に立ち向かうべく各地の宝箱回収中…
闇のレティシアの宝箱未回収ですた。
結構いいもの入っていますね。
ここのやつを読んでるといろいろ勉強になるなぁ。
>>405 乙!トロデ王のお尻ペンペンの刑がいいですね。大きくなってもまだ言うのかトロデ王(藁
>>411-412 解説して頂いてありがとうございます。
「おたふく」とは書けないよな〜と書くときに困りましたので皆様に助けられました(つД`)
有り得ない言葉とかはできるだけ避けるようにしているのですが、
前にミーティアの髪を「漆黒の」とやっちゃいましたね…「漆」はないだろうorz と。
>>414 子供の時にやってたんだろうなと思うとほほ笑ましかったので、いつか書きたかったのですw
トロデ王にミーティアが「お父様、もうミーティアもエイトも子供ではないのです」とか言ってそう。
漆黒=「光沢のある黒」の意味で美しい黒髪を形容するのに
よく使われているよね。
間違いではないのでは?
漆は西洋にはなかったね。
Japan=漆の国(中国は陶器の国)という意味だったぐらいで大航海時代以前はなかったとおも。
同様にトマトだのジャガイモだのもアメリカ原産なので厨房で料理しているその芋は何なのかと小(ry
…とつっこみはじめるとどうしようもないよな。
漆黒の髪じゃなくて緑の黒髪(漢字これでよかったかな)ではいかがでしょうか。
>>417 普通の文だと構わないかなと思うのですが、その時はエイト一人称での
文中だったのでまずかったなと思いました。
>>418 >緑の黒髪
是非今度使わせて頂きます。
芋は…うーん、間違いなく薩摩イモでは無いだろうなぁw
でも落ち葉で焚き火して
「姫様イモが焼けましたよ」
「まぁ、なんて美味しいのかしら」
…いいかも… (*´Д`)
>「姫様イモが焼けましたよ」
>「まぁ、なんて美味しいのかしら」
カワエエ(*´Д`)
エイト目線の時のみーたんの表現に苦労中…
個人的にエイトは直球勝負なやつなので「黒曜石の髪に緑柱石の瞳…」なんていう
やけにきらきらしい表現を使えないため、萌えパワーが足らん気がする。
(口説き時も直球勝負だなw)
親父の時はばしばし使ってやってそれはそれで気持ちよかったんだが。
おたふく調べたらちょうど今ぐらいが流行時期だって。
ご注意ください。
色に限らず表現を詳細に表現する時は、モンスターを使ってみるのもいいかもしれない。
例えば、
「スライムのようなみずみずしい肌」
とか、
「ゴールドマンのように光り輝いている」
とかねw
>黒曜石の髪に緑柱石の瞳
こういう表現されると萎えるのは俺だけですか
>>420 例の生殺し予定の分ですか?
正座してお待ちしています。
>>421 ワロタw
「ブチュチュンパのように魅惑的な唇」
散々考えて、こんなのしか浮かばない…Orz
>黒曜石の髪に緑柱石の瞳
自分で書いておきながらそんな表現は本当は嫌だと思ってます。
そういうお耽美系は誰かさん(クから始まる人とか)にお任せしたいw
>>421 挑戦してみる。
「バブルスライムのような緑の目」
…嫌かもwそして濁ってそうだ。
425 :
421:2005/03/28(月) 00:52:01 ID:OqZPr0r7
後から自分の書き込み読んでみるとおかしい箇所が。
「色に限らず表現を詳細に表現する時は」は、
「色に限らず何かを詳細に表現したい時は」と変換して
読んでやってくだちい。
エイトの視点、レベルで表現してやると萌えると思われ。
子供なりの表現で。
427 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/30(水) 07:33:40 ID:Luh4iZex
保守上げ
自分の想いは自分の中に隠しておこう、そう心に誓っていたはずだった。この想いが禁じら
れるものであるということを知ってからは特に。けれども想いは日を追うごとに大きくなっ
て私の心を押しつぶしそうになる。
エイト…あなたを好きだと気付かなければよかった。そうすればそのまま自然に毎日を送っ
ていけたはずだったのに。明日もきっと顔を合わせる機会がある。私の想いに気付かれたら
どうしよう。気付いて欲しいけれど、でも気付かれたくない。
矛盾した思いに囚われつつそっとピアノの蓋を開ける。ピアノを弾くことでこのもやもやし
た思いを晴らしたい、と思ったから。練習中の汚い音を聞かせるのも気の毒なので人払いし
て弾き始めた。
いくつか楽譜を出して弾いてみたけれど、何かが違う気がする。こんな味も素っ気もない曲
じゃなくて、もっと別の何かがあればいいのに。
今日はもう、難しい曲の練習はできそうにないわ、と思い、歌曲集を取り出した。歌の伴奏
なので手もそんなに難しくなく、手慣らしによく弾いている曲集だった。
最初からずっと通して弾いているうち、漸く心が静まって曲に集中していく。そうすると手
に余裕が生まれて歌も自然に口をついて流れ出す。
でもある曲─恋の歌だった─を弾いている時だった。気分が乗っていてかなり強く弾いてい
たし、声も出ていたと思う。部屋には誰もいないし心置きなくエイトへの想いを重ね、
「わたしはあなたのことを想います
陽の仄かな光がわたしに
海から差し込んでくる時に…」
と歌っていたら、突然、
「こらっ、エイト!」
という怒鳴り声が窓の外から響いてきた。
「見張り中だろう、ぼんやり姫様のピアノに聞き惚れているんじゃない!」
エイトが壁を隔ててすぐ近くにいたなんて。もしかして、聞かれていたの!?で、でも歌声
までは聞こえていないわよね?
「わわ、す、すみません」
エイトが謝っている声が聞こえる。そんなに大きな声でもないのに聞こえるっていうことは、
歌も聞かれていたの?それに、声の近さから私の部屋の窓のすぐ下辺りに立っていたみたい。
そうなるともうピアノを弾き続けることなんてできない。震える手で蓋を閉め、楽譜を片付
けようとしたけれど、足に力が入らない。
「見ろ、お前がぼさっとしているから姫様の練習のお邪魔をしてしまったじゃないか。見張
りがぼんやりするんじゃない」
どうしよう、これから先どんな顔でエイトに会えばいいの?恥ずかしいわ、どうしたらいい
のかしら。
でもエイトに会いたい。すぐ側にいるのならせめて一瞬でもいいの、その姿を見たい。そう
だわ、ただピアノを弾いていただけですもの、や、疚しく思うことなんてないわ…
意を決して立ち上がり、そっと窓枠を押した。
「あっ、姫様」
まさに窓のすぐ下にエイトと年長の兵士の二人がいて、私の姿を見ると慌てて片膝を着いた。
「見張り御苦労様です。あの…」
エイトったら槍が長過ぎて背中からやけに飛び出しているわ、兜も大きすぎて目深になって
いるし、などとつまらないことを思ってしまってちょっと言葉が途切れた。でもまず言うべ
きことは言わないと。
「私の拙いピアノで迷惑をおかけしてごめんなさい。どうかないものと思っていただけると
ありがたいですわ」
「恐れ入ります、姫様」
年長の兵士が答える。エイトは俯いたまま。ああ、やっぱり今日も目を合わせてはくれない
のね。さっきまでは顔を合わせることが恥ずかしかったけれど、でもこうしてあなたの姿を
見てしまうと「見詰め合いたい、もっと近くにいたい」と思ってしまう。
その時、エイトが顔を上げた。その視線がエイトを見詰めていた私の視線とぶつかる。真摯
な眼差しで私を見詰めたかと思うと、唇が微かに動いた。
「…わたしはあなたの近くにいます…」
それは、中断してしまった歌の最後の部分。エイトの唇はそう動いた。ちゃんと音で聞いた
わけではないけれど、でも確かに。
とても嬉しかった。涙が出そうなくらい。でもいつまでも浸ってはいられない。
「…どうぞ見張りを続けてください。いつもありがとう」
そう言うことが精一杯だった。頬が染まっているような気がする。他の人もいるのだから変
に思われないようにしないと。エイトのためにも。
他の人には絶対に気付かれてはならない私の─私たちの─想いを守るために。
ミータン13、4歳ぐらいの話、かな。
本当はずっと前に概要はできてたんだけどその直後Etude思いついてしまったもんでお蔵入りしてますた。
保守がてら投下します。
…つーか今書いてるのめっさナゲー。
こんなことになると分かってたらよっぽど21禁の話の方がましだったかも。書かないけど。
週末には、と思ってますが…
>>430 GJです!13.4歳でかわいらしいながらもすでに切ない二人がイイ!
ちょとだけ喋るエイトも凛々しくていいですね。
ただ、難しい漢字が所々見られるせいか、13,4歳頃のお話だとは
ちょっと分かりにくいかな…と思います。
「仄かな」「疚しい」「漸く」「俯く」
…これらはひらがなでもよろしいんじゃないかな、と感じました。
とにかく乙です。週末を楽しみにしています。
大事なことを書き忘れました。
今回ss中に使った歌はシューベルト(魔王の人)の歌曲「恋人のそばに」、題はメンデルスゾーンの歌曲「歌の翼に」から撮りました。
音楽の話だったので。
漢字難しいはご指定通りだったかも。
ただ、前の話で使っている漢字との整合性で「漸く」「俯く」を使いました。
「ほのかな」はかなでもよかったかも。元ネタそのままの仮名遣いにしたので漢字でしたが。
何やってんだ…
「ご指定」じゃなくて「ご指摘」だろうが。
魔王に連れ去られてきますorz
435 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/30(水) 23:02:03 ID:idQlVvhj
>>434 バッテラ〜
…間違った。
行ってら〜(^ー^)/~~
…間違って上げてしまったorz
おれも魔王に連れ去られてくるよ…
|
|
| ̄ ̄\/|
| ▼ |/ <
>>434と
>>435を連れ去りに来ました〜
| 皿 /
| /
|⊂
|
質問すみません。
新婚主姫お風呂でいちゃいちゃネタを書いてみたいのですが、
DQの世界にお風呂ってあるのでしょうか。
(お風呂どころかトイレすら…)
世界観を激しく壊しそうなら止めときます…
もちろん風呂もあるし(DQ1マイラ温泉、DQ4イムル等)、トイレもある(DQ5奴隷部屋の壺)。
あまり神経質にならなくてもいいですよ。
ベルガラックの宿にはお風呂ついてたぞ。
それにしても年月日がすごいことになってるなw
テスト
>>442 _
. _ _ ,'´ .__ _ヽ
,'´,. -、ヽ i /メ))ヘゝ
. 川--'ー!|(ソゞ(.゚∀゚ノ
. Last Battleキタ━━━ |!(|゚∀゚ノl .K゙ヽY/ス ━━━━━━!!!!!!
. と)|ト-チiつU〉-l=ト!J
. ソリ゙/iヾi! /エ_iイi_〉
. んレ';_!_リゝ |-/|-|
 ̄  ̄
ひんぬーミーたん(*´Д`)ハァハァ…(見るとこそこか!!)
こっちのスレなら大手振って主姫萌えで受けられる。黒髪カプっていいなあ……。
ところで、宮廷絵師さん本人じゃないですよね?IDみると。
このスレの皆様、ぜひ8主スレへGJ!しに行ってください。
いやそうすればエイトたんもう一枚描いてくれるのではないかと……ゴニョゴニョ。
あれ、削除されちゃった?
(´・ω・`) ショボン
向こうでは変なの湧いてたし消しちゃったんだろうか。
スクエニ暦記念ぱぴこ
>>443 誘導するなよ…
また主姫厨ウザーって言われたいの?
エイトって黒髪だっけ?茶髪だと思ってた。
そんなことより他スレで迷惑かけるのはいくないな。
書き方からしてむこうの777=442なんじゃないの?
なんか、どうしても対立や荒れを生みたい工作員がいるようだ…。
SHTになって帰宅すればイヤンな流れになっているとは…
前から言ってたss投下します。
話的にちょっとアレな内容なのでご注意下さい。
灯火が静かに揺れる。階下の大広間ではまだ祝宴が続いているようだったけれど、その喧噪は
ここまでは響いてこない。
一日中着ていたドレスを脱ぎ、新しい夜着とガウンに袖を通す。ずっと身体を締めつけていた
コルセットから解放されてほっとした。メイドさんが温かなハーブティーを煎れてくれ、寛い
だ気持ちになる。
椅子に身を沈め、昼間あったことを思い返す。長い旅の中で出会った人々との再会と祝福、美
しい楽の音と踊る人々、嬉しそうな父王の顔…たくさんの心配をかけてしまった父が楽し気に
人と話し、ジグを踊り、盃を掲げている姿を見ることができて、本当によかった。そしてエイト…
エイトは着慣れないはずの礼装を凛々しく着こなしていた。玉座の間への扉が開いて顔を上げ
た時、通路の先の祭壇の手前にエイトが立っていた。初めて見るエイトの礼装…でも衣装負け
するどころか生まれながらの王のような気品があって、思わず目を伏せてしまったことを覚え
ている。
式の中エイトが手を取り指輪を薬指にはめてくれた時も、誓いの口づけを交わした時も、その
後の祝宴で一緒に踊った時もなぜか直視できずにいた。それでもちらと様子を窺うとエイトは
微笑みかけてくれる。その笑顔がとても眩しい。強く晴れやかで、でもまともに見詰めれば眼
の奥を焼き尽くす。真夏の太陽のように。
そんなエイトと結婚したのだ、と思うと自分の身の内に喜びがしみじみと広がっていく感触を
覚えた。何年も想い続け、一度は押さえ付け封印しようとした想いは無駄にはならなかった。
生きながら死んでいるような運命から解放され、真に慕わしく、心からの愛を捧げている人と
この先の人生を歩んで行ける、ということがただただ嬉しかった。
温かなハーブティーを飲みながらそんなことを思っていると部屋の扉が叩かれた。
「どうぞ」
と答えると、扉が開いてエイトが顔を覗かせる。
「遅くなってごめん。ククールとヤンガスに捕まって色々からかわれちゃったんだ」
そう言いながら部屋に入ってきた。
「まあ、何て言われたの?」
エイトは礼装のままだった。私は急に薄物しか身に着けていないことが気になりだした。
「いや、その…あんまり覚えていない…けど」
珍しくエイトが口を濁す。その頬は燃えるように赤い。
「大丈夫?お酒で気持ち悪くなったのではないかしら。ハーブティーでもいかが?」
隣の椅子を勧めるとエイトは頷いて腰掛ける。
「あ…うん、いただきます」
用意されたハーブティーを口にして、エイトは漸く人心地付いたような顔をした。
「ミーティアこそ、大丈夫?今日は一日、長かったでしょう」
エイトが自分の名を呼ぶ。「ミーティア」と呼んでくれなくなってもう何年過ぎたことか。最
後に私の名を呼んでくれた時、エイトの声はまだ甲高かった。
今、こうして呼ばれると全く違った印象を受ける。低く、柔らかな声で「ミーティア」と呼ば
れるだけで嬉しい。身体中の血が逆流してしまいそうなくらい。
「…どうしたの?やっぱり疲れているんじゃない?」
物思いに沈んでしまって返事を忘れてしまったらしい。怪訝そうにエイトがこちらを見遣って
いる。
「…ううん、何でもないの。ただ、ひさしぶりって思って。名前で呼ばれるの」
「そうだね…」
沈黙が二人の間に落ちる。しばらく無言のままお茶を飲んでいるとエイトがぽつりと呟いた。
「長かったね…」
エイトと知り合ってもう十年。その間絶えることなくエイトが好きだった。最初は兄のように、
そして気付いた時には自分の心はエイトただ一人に捧げられていた。身分と言う壁に阻まれ想
いを伝えられないもどかしさに涙して幾歳月、本当に長かった。
「ええ、そうね、エイト…」
どんなに引き離されても魂は呼び合わずにはいられなかった。エイトを想って幾夜枕を濡らし
たことか。でも今日からは…
と、エイトが立ち上がった。
「後は下がって結構です。お疲れ様でした」
はっと気付くとメイドさんが下がっていくところだった。彼女がいたことをすっかり忘れてい
た自分が恥ずかしい。
扉が閉まってもしばらく私たち二人とも身じろぎばかりしていた。周りの人たちから今夜のこ
とについて何とも釈然としない説明をされて、分かったような分からなかったような気持ちに
なったけれど、エイトはどうだったのだろう。
確か…一緒の寝台で寝る、とか言っていたような。そういえば子供の頃一緒にお昼寝したりし
たことはあったけれど、でもそれとは違うような気がする。それにその後「服は脱いで」「い
や、着たまま」とかで揉めていたけれど、あれは何だったのかしら。
「最初は多少辛いかもしれないけれどエイトなら優しくしてくれるだろうから」とも言われた
ような。エイトはいつも優しいけれど、どうも意味合いが違っているような気がする。それに、
え?…辛い?
「あの」
「あのね」
同時に話し掛けて顔を見合わせる。エイトは緊張した面持ちだったし、きっと私もそうだった
と思う。それが何だかとても可笑しくなってどちらともなく吹き出した。
「笑わなくてもいいじゃないか」
「ごめんなさい。でもエイトの顔、変だったんですもの」
「そういうミーティアの顔だって」
「エイトったら!」
かつてのように笑いあった後、エイトの顔が静かに近付いてきて唇が重ねられた。
「エイト…」
長く優しい口づけの後、眼を開いた私の前には真剣な眼差しのエイトの顔があった。その黒い
瞳が優しく、強い光を湛えて私を見詰める。
「いつまでも、どんな時もミーティアを守る。僕の全てはミーティアのものだから…」
「ミーティアは、エイトの妻になるために生まれてきたの。いつまでもあなたの側にいるわ。
ミーティアの全てはエイトのものよ…」
もう一度、口づけを交わす。と、急に肩を抱くエイトの腕に力が込められ、唇を割られ舌を搦
め取られた。初めてそんなことをされたのに驚いて身を捩ろうとしてしまったけれど、でも…
そんなに嫌なことではない…かも。
「ごめん、嫌だった?」
しばらくして唇を離したエイトが問う。無言で頭を振るとほっとし
たように言った。
「嫌だったら嫌って言ってね。正直よく分からないんだ」
「嫌なのではないの…ただ、ちょっとびっくりしてしまって」
何だかこの展開はちょっと怖い。次々と知らないことが起こって、どうすればいいのか分から
なくて混乱してしまいそう。
そんな様子に気付いたのかエイトがちょっと笑った。
「怖い?」
正直に答えていいものか迷う。怖いと言ってしまったらエイト自体が怖いのだと勘違いされて
しまいそうで。でもエイトの優しい様子に促されて本当のところを話した。
「…怖いわ。何が起こるのか分からなくて。どうすればいいのかも分からないし。
あ、でもエイトが怖いのではないのよ」
そう答えるとエイトはますます笑みを深くした。
「うん、僕も怖い」
「エイトも?」
「そう。すごく不安。お互いの想いを確かめ合うだけなんだよ、って言われたんだ。でも…」
「でも?」
私の問いかけにエイトは私の髪を梳いてくれながらためらいがちに答えた。
「女の人は初めてだと負担があるって聞いて。あっ、あの、できるだけ辛くないようにするけ
ど、でもミーティアにそんな思い、ちょっとでもさせたくないんだ。自分にそれができるか自
信なくて」
最後の方は悲しそうだった。私は手を伸ばし、そっとエイトの頬に触れた。
「ミーティアも聞いたの。『最初は多少辛いかも』って。でもそれが想いを交わすことなら喜
んで受け取るわ、どんなに辛くても。だってエイトの想いなんですもの」
エイトならば構わない。エイトだから受け入れられる。そんな思いを伝えたい。
「ありがとう…」
エイトは頬に触れていた私の手を取り、そっと口づけた。そのまま私を抱き締める。その胸は
暖かかった。まるで日溜まりのような。
「エイト…エイトってお日さまの匂いがするわ」
すると微かに笑う気配がする。
「だったらミーティアはお花の匂いかな」
「お花は…お日さまがなかったら生きてはいけないわ」
エイトがいなかったら生きていけない、そんな想いを込めて言うとエイトも答えてくれる。
「お日さまだってお花の姿がなかったら悲しくて輝いていられないよ」
その言葉に心が震える。私がエイトを必要としているようにエイトも私を必要としてくれてい
る、ただそれだけなのに嬉しさが戦慄にも似て身の内を駆け巡った。
エイトは立ち上がった。手を取られていた私も一緒に立ち上がる。まるで花に触れるかのよう
に優しく唇を重ね合う。優しく髪を梳いていた手が私の髪飾りに掛かり、するりと抜き去った。
留められていた髪がはらはらと額に零れ落ちる。それを梳き遣るエイトの手が心地良い。額に
一つ、口づけを落とされたかと思うと今度はガウンを留める胸元のリボンに手が掛かる。微か
な衣擦れの音を残してリボンは解けた。
何かを問うようにエイトが私を見詰め、接吻した。あの深い口づけを。それが何であるか分かっ
ていたので今度は怯えたりせず、受けた。最初は何事かと驚いたけれど、慣れてしまうと何だ
か頭の芯が蕩けそう。ちょっと怖い。自分ではないものになってしまいそうで。
漸く唇が離れた時、衣擦れがした。はっと足元を見るとガウンが滑り落ちていた。口づけに気
を取られていたけれど、そう言えばエイトの手が私の肩をなぞっていたような気がする。ガウ
ン一枚脱がされただけなのに、なぜかとても頼り無く剥き出しになってしまったような気持ち
になった。
「寒い?大丈夫?」
知らず知らずのうちに震えていたようだった。気遣うように私の肩を抱き寄せてくれる。エイ
トも上衣を脱いでいて、薄衣を通して温もりが伝わってきた。上着を着ている時は気付かなかっ
たけれど、エイトの胸って意外にがっちりしていて自分の肩幅よりも広い。剣を捌き、槍を扱
うエイトがただ細いなんてことはあり得ないのに、なんとなくもっと細いものだと勝手に思い
込んでいた。その胸に抱き締められている、と思った途端、急に鼓動が早まった。こんなに激
しく脈打っていたらエイトに聞こえてしまいそう。落ち着こうとしたけれど、エイトの腕が離
してくれない。
「あ、あ、あの」
「どうしたの?」
「き、緊張して…心臓が壊れそう」
あまりの動悸に言葉も途切れ途切れになる私に、エイトは私の手を取ると自分の胸へと導いた。
「僕も壊れそうだよ。ほら」
指先からエイトの心拍音が聞こえたように思えた。確かに速く強く脈打っていたけれど、とて
も力強くて頼もしい。なぜか急にエイトが私の側で生きている、という実感が湧き上がった。
「エイト…」
「なあに」
「本当にエイトなのよね。夢ではないのよね」
「夢じゃないよ、全部本物だよ。夢のように消えたりしない。いつまでもミーティアの側にい
るよ」
「ええ、そうね…」
今夜からは悲しい夢に惑わされない。現のエイトの腕はこんなにも強く私を抱き、その唇は私
の唇に重ねられている。
と、エイトの両手が夜着の肩紐に掛かった。そのまま滑り落とそうとするので慌てて胸元で押
さえつつ抗議する。
「えっ、あの、ちょっと待って」
「もう待たない、待てないよ。僕たち何年待ったと思っているの」
「あの、そうじゃなくて、こ、心の準備が…」
そう言うとエイトが笑った。
「じゃあ、僕は後ろ向いているから。心の準備ができたら、振り返って」
私の背後でエイトが服を脱いでいる気配がする。もう何が何なのだかどうすればいいのか分か
らず立ち尽くしていたけれど、でも話を聞いて思っていたような汚らわしくて嫌な感じはしな
い。むしろ全てを取り払ったらもっとエイトに近付けそうな気がする。私は心を決め恐る恐る
肩紐に手を掛けた…
最後の一枚を取り払って私たちは生まれたままの姿になった。とても恥ずかしかったけれど思
い切って伏せていた眼を上げ、振り返る。視線が絡み合った瞬間、お互いにひしと抱き合って
いた。
「行こうよ、ミーティア。僕たち二人だけの世界へ」
「ええ、エイト。一緒にどこまでも行くわ」
エイトが私を抱き上げ、寝台へと運んでくれた。寝台の手前で私を降ろすと、今夜幾度目かの
─もう数を覚えてはいられない─口づけを交わし合う。エイトの腕に力が込められて二人寝台
の上に倒れ込んだ。エイトの身体の重みが不思議に心地よい。
「長かったわ…でもこの物思いはもう終わるのね」
「そうだよ、もう一人じゃないよ…悲しい物思いは昨日で終わったんだ」
口づけを交わしながら囁き合う。もう誰にも邪魔されない二人だけの世界。
私たちの運命の輪が今、閉じる。
(完)
長かったね…ごめんなさい。
そのくせチューだけだし。
実際の行為は官スレにもあったし漏れは辞退します。
乙です!
この二人萌えるぅぅぅぅぅぅ
…凹んでた気分が上昇しますた!!
はぢめての夜キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
グッジョブです。萌えました。
なんっつーか、「この話を書く!」と言ってss書くのって初めてですた。
ちょっとだけ追い込まれた気持ちになったよw
でも悪くはないかも。
イヤンな流れを掃いたかったので、今夜投下しますた。
萌えて貰って嬉しいです。
宮廷絵師さん
こっちにщ(゚Д゚щ)カモォォォン
昨夜書くの忘れてたことがありますた。
みーたんはことの成り行きを直前まで知らないことになってました。
基本的に西洋のお姫様は直前まで教えてもらえなかったようです。
でないと「あんなジジイ(あんな豚)と××で××なことしたくない!」と近衛兵(若くて粒選り)と駆け落ちしちゃうのでw
後にロシアの女帝になった人の自叙伝から。
不審に思ってた方、そういう理由からあのような内容だったのです。
やっぱりSHT状態でうpするとろくなことがないっすね。
職人たる者いちいち後書きで言い訳せんでもらいたい。
グッジョブでした!!
初夜の初々しい二人の姿に限りなく萌えた。
長編乙です。
生殺し系だとか、正直あまりそういう感じはしなかったな。
行為そのものを書かれないほうが萌える場合もある。
>ことの成り行きを直前まで知らないことに
納得。
いかにみーたんが王族とはいえ、ケコーン=(あんな豚)と××で××なこと、
と知ってればさすがに結婚式場までいかないだろう。
>>463 まーいーじゃん。硬いこと言うなよ。
あ、上記の納得は、ゲーム上でのEDについてです。
スマソ
>>463 君そこらじゅうで神経尖らせすぎてるね。あれが荒れて腹立たしいのはわかるけど
もう何も言ってはいかんのですかね…
自分が書いていく上で参考にしたことが今の常識と違っていて馴染みのないことだと思ったら説明要ると思って。
なんか分からなくなってきたなあ。もういっそ全部現代の話の方いいんだろうか。
みーたんの下着はコルセットじゃなくてブラジャーにして説明無しにした方がいいのかもなw
>>466 雑談スレはカリカリしてたかなと反省している。でもこのスレとあれのスレは普段のままっす。
>>467 ……そういうことは、SS書きさんというのは、作品中でどう描写するか最後まで悩むものなんですよ。
それでもうどうにもならなかったら、最後に用語解説つけるとか。
ただし、その用語解説までひっくるめて「作品」。
前書き後書きなければ理解できないような作品なら、前書き後書きひっくるめて一つの「作品」。
SS本文を書いてるときと同じくらいの緊張感をもって、その後書きだか言い訳だかは書いてますか?
それはそれとして、
主人公の名前ってゲームじゃ誰がつけたことになってるんでしたっけ?いやプレイヤーの漏れじゃなくて。
>>467 ご説明の中で度々、中世ヨーロッパではこうだった、というような書き方をされているのは
個人的に気になりました。ドラクエ世界であって中世ヨーロッパ世界ではないですしね。
そして「ジグ」という言葉で辞書を引きました。色々とこだわりはあられることとは思いますが、
あまり一般的でない語句を使われると、思考がSSの世界の中や登場人物の気持ちの中に
入りづらくなってしまいます。そこはすごくもったいないと思います。
>>468 その描写はなかったように思う。竜神の里で「お前は○○・・・!」と驚いていたんで
竜神の里の時はすでに名前がついていたようだけど。
しかしまぁ、主姫好きとしては切ないよね。あんな荒れ方はさ。
いっそここも エイトたん(;´Д`)ハァハァ ミータン(;´Д`)ハァハァ のノリで行きますかw
…Otz
470 :
469:2005/04/02(土) 19:43:31 ID:KtaZ9OJ5
やっぱ心がすさんでるのかな。折角SS投下して頂いて萌えももらったのに
自分の不明を棚に上げる自己中なレスをしてしまったと反省…。
「ジグ」は補足し忘れてました。申し訳ありません。あ、言い訳かw
ドラクエ世界が架空であっても元になった物があると思ったんですが、どうも邪魔だったようですね。
書き込む時はいつも真剣ですが言い訳ととるのでしたらそれも仕方ありません。
こだわりウゼーなようなので今後はもっと簡単にします。
あんな荒れかたとかあれとか指示語を使うな
宮廷絵師とか言ってる奴がいるからどこのスレかは見当つくけど
主姫と関係ない話を持ってくるなヴォケ
流れぶった切り。
4コマ2巻ゲット。
主姫的にはP40の添い寝の話が萌えた。
>>472 いちいち、んなもん
わざとに決まってるんだから
スルーしろバカ!
いや、むしろ、萌えを提供しろ!萌えネタ
書き込みたくても
今浮かばないんだよ・・・!
ずっと更新してなかった・・・
ごめん。
4コマだけど、ミーティアたん人間バージョンは登場しないのかな〜
(馬姿も可愛いんだけど)
まあ、攻略本にも出てなかったくらいだし、公式で拝めるのはまだ先か…
>>471 エイトとミーたんが「長かったね」と語り合うセリフが自然な感じで萌えますた。
禁欲的なエイトも好きなのですが幸せそうな二人もいいものですね。
478 :
471:2005/04/03(日) 16:18:07 ID:vIUPB0NM
>>477 萌えていただけてよかったです。
変に生殺し系にはしたくなかったのでそういう気配にならずほっとしています。
>>470 変に難しい言葉を使った漏れが悪いので、気になさらずとも結構です。
色々調べて書くのは楽しかったのですが、今後はそういうのはいたしませんので、
補足なしで気楽に読めるようにいたします。
場を悪くして申し訳ございませんでした。
でも最後で意味不明なこと口走ってるのはいただけなかった
二人だけの世界とか物思いが終わるとかFF10の物語物語連呼してた某ヒロインが浮かんじまったぜ
>>479 そうですか。
よそ様の連想まで考えが及びませんで申し訳ありませんでした。
>>478>>480 いつもあなたのSSで萌えをいただいてます。
バカポーネタあり切ない系あり、いろいろな傾向のSSが書ける
その才能にも感嘆してる。
でもここに投下される以上、批判やら意見やら注文やらいろんな
レスがつくのもある程度仕方の無いことと思うんだが。
割り切って、参考意見程度に留めておかれては?
いちいち真面目に受け止めてちゃ疲れるでしょ?
そんでもって同じSS書きとしては、一本仕上げるのに
すんごく労力使うってのは良くわかる。
特に言葉の使い方に拘りをもって調べながら書いていくってのは
楽しい反面、書きあがるとぐったり疲れたりもする(自分の場合)
んで、その労力に見合う反応が返ってこないと疲れが倍加する。
(あくまでも自分の場合ですよ)
でも自分が創作の都合上どうしてもここでその言葉を使わなきゃ駄目なんだ、と
思うんなら、読み手の都合はあえて考えない、それもありだと思うんだが。
余計なお世話だったらごめんなさい。
数々の主姫萌えSSを投下してくださったあなたの作品を
こんなことで読めなくなっちゃったら悲しいかも、と考えた上でのレスです。
長文ウザくてごめん。
まぁ、2ちゃんねるだからってわけでもないのだろうけど…
上手い絵師や職人はちょっかいだされやすい。半分はやっかみなんだろうけどな。
2ちゃんに投下するなら、始めから煽り批判は覚悟した方がいい
それが嫌なら二次創作HPで大人しくする方が身のためだ
おれも楽しみにしてる一人です。
うーん…。SSを投下して思ったような反応がないとくさりたくなるのはよく分かるよ。
商業作家じゃないんだから自分の好きなように書いていいとも思うし。
ただ反応見ながら方向性を変えていくのも、自分が投下しやすいような雰囲気を作るためには
時として必要なんじゃないかな〜と思います。
485 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/04(月) 09:21:59 ID:3DWnkWx3
大人数が見るところだから、多少の非難は仕方無しと思われ。
自分の書きたいものと、みんなが見たいものがぴったり合うわけでも無し。
万人にあったものを書くなんて、それこそ無理だし。
まったりじっくりと。
言葉の方は、そんなにぐちゃぐちゃ言うほど難しくないですよ。
学術用語でもないし、検索すれば一発で出てくるんだから。
分からなかったら、雰囲気で飛ばせみたいな。
きらきらした表現もミーティア一人称ならそんなもんでしょう。
下調べは結構大変だと思うので、お疲れさまです。
次も楽しみにしているので。
486 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/04(月) 09:24:12 ID:3DWnkWx3
ごめん、上げた
まぁ、「外野の声はほどほど聞き、ほどほど流せ」
姫とは立場が違うから自分を抑えないと系に
飽き飽きしている漏れの意見。
昨夜は申し訳ありませんでした。
色々鬱憤が貯まっているところに言い訳ウゼーで自分の何が壊れてしまったようです。
ここにうpした以上、どのように解釈するかは読み手さん次第だと言うことはつねに心しています。
反応ないも別に気になる訳でなし(反応あるとうれしいですが)。
自分の力量不足から、あるいはssの流れを止めたくなくて補足したいと思ってしたことがウゼーと思われるのだったら
もうこだわらなくてもいいか、という気持ちになってしまいました。
「物思い」が物語と思われてしまって、何の為に切ない系の話を続けたのか自分でも分からなくなってしまったし。
何っつーか昨日の精神状態は最悪だったかも。
ネットの海をさ迷って見つけたサイトで主姫と言っておきながらヤってるのはクク主(主ククかも)のss読んでしまったのが発端。
みーたんは出歯亀。
ベッコリへこんだところにあれでスルーできんかった…
皆様方にご迷惑おかけしたのでお詫びにss置いていきます。
長文スマソ
……だから。
職人は作品の中でのみ雄弁であれ、ですよ。
誰も人間性まで求めちゃいません。アマチュアだもの。2ちゃんねるだもの。
↓でわお願いします。
さらさらとしたものが顔に触れている…この重みは一体…?
夜半を過ぎた頃、エイトは寝覚めの中で思う。
ああ、これはミーティアの身体…こんなにも優しく柔らかなものがこの世に存在したなんて…
意識が現実に戻ってくるにつれ、頭の中で像が鮮明になっていく。
仄かな灯火の影に見たミーティアは何よりも美しかった。抱き締めた華奢な身体はちょっとで
も力を込めたら折れてしまいそうだった。白く透き通るような肌に添えた自分の手があまりに
武骨で、申し訳ないような気持ちになったことを覚えている。
そう、できる限り優しく触れている時だった。ミーティアが身を捩って
「…んっ…」
と声を洩らしたのだった。そんな声が出てしまったことに驚いたのか、眼を見開いて口を押さ
える。初めて聞いたその声があまりに可愛らしくて
「かわいい…」
と言ったのに、見る見るうちにその眼に涙が溜まる。
「かわいいのに…」
という呟きにも嫌々と頭を振る。よほど恥ずかしかったのか顔を背けようとしたので口づけし
たら漸く落ち着いてくれたけどもうあの声は聞けなかった。自分の行為に反応してくれたこと
が嬉しく、もっと聞きたくて接吻を繰り返し、優しく身体をなぞる。その度に息を乱し身を震
わせ、その肌をほんのり薄紅に染めていたけど、乱れる吐息の中でさえ声は洩らしてはくれな
かった。
それを物足りなく思った─なぜそう思うのか分からなかったが─けど、でもミーティアが気持
ちよさそうにしていたので自分も嬉しかったのを覚えている。
「男は気持ちいいだけだけど女は苦痛があるから、できるだけ気持ちよくさせてやれよ」
とククールが言っていた。でもその時は「苦痛」の意味がよく分かっていなかった…
「大丈夫よ」
とミーティアは言ってくれた。けれども固く閉じられた瞼の縁にはうっすらと涙が滲んでいた
し、何より身の芯の方から震えが伝わってきて可哀想でならなかった。
なのに、とエイトは思う。辛い様子を見せたらすぐに止めようと思っていたはずだったのに止
められなかった。可哀想だ、もう止めるんだ、と頭の隅で警告されていたのに初めて知る圧倒
的な快楽の前に押し流されてしまった。
そう、自分が自分ではないものになってしまいそうな程の快楽!よく「酒色に溺れる」と聞く
けれど、酒はともかく確かに溺れてしまいそうだった。限り無く柔らかく美しい曲線を描くミ
ーティアの身体にいつまでも耽っていたかった。自分とは全く違っているのに身を添わせれば
どこまでもしっくり馴染む。こんなに近くにいるのに狂おしい程ミーティアが恋しい…
はっと我に返った時、ミーティアの上に倒れ伏していた。
「あ…ごめんね。辛い思いさせて…怖かったんじゃ…」
結局苦痛を与えてしまったという罪悪感が心に広がる。
「大丈夫よ…優しくしてくれてありがとう」
懸命に微笑もうとしていたようだったがどこか儚気で、やっぱり負担だったんだな、と思う。
辛かったのは自分だったはずなのに気を使わせてしまったことが申し訳なかった。
そっとミーティアの身体に腕を廻す。一瞬身を固くされ、拒まれるのかとひやりとしたが、ミ
ーティアも腕を廻し返してくれた。そのまま黙って抱き合っていると腕の中でミーティアが呟
く。
「エイトの胸って暖かいわ…」
その一言は優しく沁み入って自信を失いそうになっていた自分の心を潤した。自分の想いを伝
えることに性急で、ミーティアの想いを受け止めることが疎かになっていた。一番それを望ん
でいたはずだったのに。
ちゃんと愛を交わせるようになろう。自分一人の快楽に耽溺するのではなくて二人で幸せな気
持ちになれるように。そうしたらあの可愛らしい声を聞かせてくれるようになるのかもしれな
い。
エイトは腕の中のミーティアの額に口づけた。「いい夫になれるよう頑張るよ」というつもり
で。そしてその身体をしっかりと抱き直すと再び眠りの中へ落ちていった。
(終)
初夜SSキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
色っぽいのに、清潔感があって可愛らしい。
やっぱあんたネ申かも。
とりあえず元気になられたようでヨカタ
>>492-493 読んで下さりどうもありがとうございました。
…まだ氏んでないので神ではないです。
うおおおw立ち直り早ええw
…いや、すみません。なんかもうどうなることやらと思ってたので。
>>492さんのおっしゃるように清潔感のあるお色気だと思います。
こんな美しい濡れ場話をみたのは初めてかもしれない。GJ!!!!!
…いや、正直まだ凹み気味かな…
ssは既にあらかた出来ていたので。
エイト目線の初夜話書いてなかったことを思い出したんです。
エイト目線はエチーくなりがちなんですが、回避出来てホッとしています。
乙です
しかし
>>489が十秒遅かったらかなりマズーだったな
GJ!!
とりあえず自分語りはどれだけ良いこと言っていてもウザーとなりがちなので、
ほどほどにね。
>>499 気持ちはわかるが直接そこの管理人が迷惑かけてる訳でもないのに晒すのだけはやめとけ
晒されただけで閉鎖しちゃうサイトもあるんだから
何事もなかったかのように萌え語りドゾー↓↓
スマソ…
いや、単に漏れの不注意だっただけで801いやんという訳じゃないんだけど…
なんっつーかテーブルの上にあったものを「わーいモッツァレラチーズだ!」と食べたら石鹸だった、そんなものなので。
トーポでネタになりそうだな。
エイトが間違って石鹸食べさせちゃってこうなるの。
ヽ `、 _. -‐- ..__、_.. ._ ,.′ .,:;ソ);:';::.ソ. .
|/ / ̄ ̄ ̄ ̄ \\ / . .:::)V ソ))V... ソ) .
|/'━━、 、━━ ヾヽ| ::';(;ノ ,;' (ノ)::: .'(ノ)::: .
| .<ニ●ン 、'<ニ●> | |丿) :(ソ ノ 'ノ):;::' 'ノ
.,_| ` ' .| | ` ' .| |_ιネ :( ': ヘソノ;:'ヘソ ノ;:
i .|  ̄  ̄| |. ̄ ̄ ̄ ◎)r、`i ⌒ヾ ,'∧ )ヽ:::;;ノ)
| .ヽ __| |____| /り//:::: ;,、ノ)::::/ ヽ_ヾ
ヾ'', | __| |___ /|(_ノ ::::!、丿)//ヽ、`⌒ヾ⌒
λ ; |ヽ _| |__ / .| し∧::丿/ u (.....ノ(....ノ
丿 ) | ヽ / | 丿 ノ |
ノ) | ヽ__/ | ぁゎゎ / ̄ ̄ヽ
ずれた。ごめん。
>499
ちゃんとトップに「九九主」って書いてあるじゃん。
すげー私怨臭っ。
人目を憚りつつssうpしまつ。
バカ系?
「あっ、王様」
封印の間への扉の前に立つ兵士がトロデ王の姿を見とめて礼をとる。
「うむ、見張り御苦労。姫は部屋かの」
「はい、ピアノの練習をされるとかで…」
「おおそうかそうか、では聞かせてもらうとしようかの。姫のピアノを聞くのはひさしぶりじゃて」
「で、ですが先程エイト様が部屋に入っていかれまして…」
上機嫌なトロデ王とは反対に見張りの兵はしどろもどろだ。
「ならば一緒に聞くとしようぞ。後で茶を持ってきてもらおうか。三人でのんびり茶を飲むのもまたよかろう」
「で、で、ですが…」
「なんじゃ、言うてみい。なんぞまずいことでもあるのか」
「エイト様が部屋に入られてからピアノの音がしないのですが」
「!…あの バ カ 夫 婦 が!さっさと新婚旅行に送り出せと言ったであろうが」
「でもまだベルガラックのスイート押さえられないんです〜。せっかくの新婚旅行なのでと思っているのですが〜」
「そんなもんどうでもいいわい!あやつらならどこでも満足するぞい!
…今度昼間から部屋に籠りおったら問答無用で叩き出すぞ!」
「ひい〜王様〜お考え直しを〜」
(終わり)
>>505 あえて聞くが、エイトとミーティアは部屋の中でどんなことをしている真っ最中なんだ?
ID違うけど505です。
>>507 いずれにせよトロデ王は部屋には入れません。
「Etude」の中でエイトが鍵かけちゃったのでw
その内容は…××で××なこと、とだけしか書けませぬ。
笑ってもらえてうれしいです。
>>505 乙です!
ベルガラックってサザンビーク領なんじゃ…。
いいのか?w
>505
GJ!!
>274->277←Etude
見た後探しちゃいました
>>509 気になったので公式攻略本確認しますた。
ベルガラックはサザンビーク領じゃなかったです。
みーたん載ってなくて金ドブに捨てたかと思ったんですがたまには役にたつね。
>>510 あ、レスアンカー忘れてますた。申し訳ありません。
>>513 あ、これはどうも。自分も公式本は積読ですよ。
ミータン絵のってる本とかでませんかね。
アクションフィギュア、ミータンもでたらいいのになぁ。
>>514 ほんとだね。是非ミータン出て欲しい。
シークレットでもいいよ、ウエディングドレスのとか。
オープニングで馬姫がいなくなったのはウンチしてたから
517 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/07(木) 20:32:11 ID:pt9suxIq
運子ねたはもう飽きた。
といいつつ、age
保守がてら何か置いていこうと思ったんだが、書 け な い…
見てしまったショックにじわじわと蝕まれる自分がいる。
うっかりカエル踏んずけて××が××(残虐性から自主規制)にしてしまった感じだ…
よく注意しなかった自分が完全に悪いんだ。誰か日曜日の漏れをぬるぽ頃してくれ…
疲れてるのかな。リハビリ兼ねて短いの頑張ってみます。
愚痴スマソ
自分語りうざー
520 :
悟空さん:2005/04/08(金) 01:13:47 ID:9uZfVrNS
>>518 疲れているときには休養も大事ですよ。心も体も休めなきゃ。
しばらくSSから離れて、花見にでも行ってみるのも一つの方法かと。
>>518 休むのも手だけど、書いて自分の世界を取り戻すのもいいのかもしんない。
復活を楽しみにしています。
ゴメン…
>>520の絵で限りなく癒されますた。
花見は…そのうち。まだ咲いてないので。
きっと上野なんて「しづこころなくはなのちるらむ」どころの騒ぎじゃないんだろうなあwいいなあ
どこで地雷踏んだのか分からなくなってしまいますた。
履歴はすぐ全部消してしまったので。
晒されてたサイトさんかどうか分かりませぬ。
また地雷だったら今度こそ浮上できないだろう…なので確認できない。
通常エンディング見て思ったんだけど、みーたんCカプぐらいはある気がする。
細いから目立たないだけで。
ミーたんは貧乳でいいよ
フツー乳。
B〜Cカップ。
>>525 ……キミ、喋り杉。
1週間ROMってて。
529 :
悟空さん:2005/04/08(金) 23:29:43 ID:9uZfVrNS
>>524 ありがとう(^^)
>>525 へー、そうなんだ。こっちはもう散り始めてるぜ。
>>525 トップとアンダーの差が大きいってことか!
>>526 貧乳(;´Д`)ハァハァ
…疲れるなこれ。悟空がどんなのか忘れたんでなりきりにならんしw
気持ちわからんでもないが他サイトでの愚痴書かれても
正直どうしようもないわな。変な煽りも来るしほどほどにな。
>>525 ここはおまえの日記じゃねーんだよバカ
自サイトにひっこんでろ
↑さっそく来たじゃないかw
>>525さん、こんな煽り気にしないでゆっくり休んで、
また素敵なSSを読ませて下さい。
…まぁ正直
>>525は自己顕示欲過剰って気はするな。
もっとも、創作活動において、こういった行為がエネルギーになるタイプもいるわけで。
「タイプもいる」というより、「タイプが多い」という気もするが、自分も含めて・・・。
ちょっと言いすぎかな・・・。
まあいいじゃないの。
人間性がどうだろうと、書かれるものに萌えられればそれで問題なし。
私もSSを書いている一人ですが、お前は自己顕示欲が過剰だ、
と言われてしまうと、正直ぐうの音も出ません…。
自己顕示欲が過剰と言われてるのは
SSの事じゃないと思う
やはりこうなったか
書き手はSS投下以外は顔出すなといった俺を最初に荒らし扱いした奴出てこい
前スレの俺の発言↓
245 :名前が無い@ただの名無しのようだ :05/01/11 23:09:37 ID:thhB0772
書き手がでしゃばりすぎるのは正直よくないよ
ここ、某スレでオチされて晒されてるから気をつけた方がいいよ。
…いつもは閑散としてるのに、荒れると急に人が増えるような気がするのは気のせいでしょうか(汗)
SS書いてる人だって2ちゃんねらーなんだよう〜(つД`)・゜・
雑談したい時もあるし、和やかな雰囲気の中で萌えを語ったりもしたいんだよう〜(つД`)・゜・
なので私は>525さんの気持ちが分かります…。
分かりますがしかし、一つだけ参考にして欲しいことがあります。2chは名無しが基本。
普通にレスしている中で「あ、これはあのトリの人なんだ」と思わせるようなことは、
あんまり書かない方がいいと思う。
名無しとして埋没していれば、「書き手がでしゃばってる」なんて思われもしないしね。
>>538 「書き手はSS投下以外は顔出すな」ってそういうことだよね?
ここでみんなが言ってるのは、
「地雷を踏んで最悪なSSを見てしまった自分がいかに辛い思いをしたか」
ていうのを悲劇のヒロインぶって自分語りしてる部分が「ちょっと……」ってことなんじゃない?
名無しでそんな内容のレスしても不快にとられる所を
SS職人を名乗りながら書いたもんだから余計に叩かれたんだと思う。
追加
レスの内容が明るいものだったら、
そんなにでしゃばってるって印象は受けないと思う。
「こんな私って可哀想でしょ」なスメルが漂ってたレスだったから
スレがこういう流れになっちゃったんじゃないかな。
>>540 SS書きが雑談したい時はコテを外す。
SS書きであることには触れない。
ここ重要。
まぁ、コテでも書き込み内容次第で何の問題も無いけどな。
熟練者でないと無理だ。
結論でたっぽいしそろそろいいんじゃね?
これだけ意見出たんだし当人も分かったんじゃ
つーことで超個人的萌えネタ
真エンドトロデ王「これからは二人が決めることじゃ」
の後の二人が「「いいよね」」って感じなのが好きだ
エンディングといえば、ミーたんたらトロデ王の台詞のあとに
「そんなことよりお父様、ほら」って言ってるよね。
主人公との未来が「そんなこと」ですか?!とクリア当時は
ちょっと切なくなったのを思い出したよ…orz
アレはアレだ、「今更そんなこと言わなくても、もう決まりきったこと」っていう風に俺は取った。
俺は照れてて、話をそらしてるのかとおもた
ED見直してみたら、二人とも手を取り合ったまま一瞬俯いてるよね。
そうかーミーたん照れてたのかーカワイイナ(´ー`)
「仲良しエイト&ミーティア」第2弾。
順番が前後しましたが、時間的には>401よりも前の話です。
トロデーンの人々
トロデーン城の兵舎で暮らす兵士達の多くは独身で、武器の扱いに慣れてはいても、子供の扱い
に慣れている訳ではない。なので兵士長がしばらくここで寝泊りするといって連れてきた孤児らしい
という男の子の扱いについても、当初困ったことになったな、という雰囲気だった。
無邪気で活発なくらいの男の子ならばまだ接し易かったのかもしれないが、この男の子ときたら
名前を名乗り礼儀正しくあいさつした後は、ほとんど口もきかずに、与えられた寝台に座って
ねずみと共にただぼんやりと過ごすのみだった。2日目に誰かが平易な本を渡すと、お礼を言って
隅の机に行き、読み始めた。――記憶はなくても、字は読めるらしい――。皆は顔を見合わせた。
言葉を口にし、本を読んだりも出来るのに、まるで心から何かがすっぽりと抜き取られたよう、
泣きもしないが笑いもしない。エイトはそんな少年だった。
エイトは小間使いとして働き始めた。その顔はいつも無表情で、口を開くこともあまりなかったが、
仕事ぶりは申し分なかった。それはまるで、自分の食べる分は自分の働きによって得るのだと
いうことを、幼いながらにも健気に誓っているようだった。
台所の隅で懸命にイモの皮をむいたり豆をさやからだしたりしている小さなエイトの姿を見ながら、
おばさんは考えた。まだ幼いエイトには、同い年くらいの友達と遊ぶことだって必要だ。
子供らしく過ごした思い出がないままこうやって働き続けて、そのまま大人になるのでは、あまりにも
可哀想だ。そういえばこの城にはもう一人、友達を欲しがっている子供がいたではないか。
それからしばらくして、王から新しい小間使いを紹介すると聞かされていたミーティア姫は、小さな胸を
わくわくさせていた。城には同じ年頃の子供はおらず、年に数回訪れる、父王であるトロデ王の親戚
筋にあたるまたいとこだけが唯一の遊び相手だったのだ。お近づきのしるしに二番目に気に入って
いるお人形をその子にあげようと心に決めて、元気でねとお別れをしている時に、扉を叩く音がした。
「どうぞ」と、答える胸が高鳴る。
「失礼いたします」と、入ってきたメイド長であるおばさんが連れていたのは、小さな男の子だった。
「ミーティア様、新しい小間使いのエイトでございます」
紹介された男の子は、ミーティアの前でひざまずき、小さな体を折りたたんで言った。
「エイトにございます」
ミーティアは驚いた。男の子の小間使いなんて初めてだ。いや同じ年頃の男の子を間近で見ること
すら初めてだ。それになんて可愛らしいのだろう。少しだけくせのあるこげ茶色の髪の毛が、
やわらかく頭の上にのっていて、その下のきりっとした眉と真っ黒な目。
彼がその小さな手足で礼儀正しく振舞う姿は、まるでお人形が動いているようだった。
「ミーティアです。よろしく」
ミーティアはにっこりと可愛らしい笑みを浮かべて、エイトを見た。エイトの顔には、まるでミーティアに
つられたように、子供らしい笑みが浮かんだ。
エイトとおばさんが部屋を出て行った後、ミーティアはお人形をもとあった場所に戻した。
男の子ならお人形は必要なさそうだ。――でも、そしたら何をしてあそべばいいのかしら。
それから何日かは、エイトはお人形遊びにひたすら付き合うことになった。それはひどく退屈で息が
詰まる遊びだった。ミーティアもまた、あまり口を開かないエイトとお人形で遊ぶことに飽きてきたので、
何か他の遊びをと真剣に考え始めた。「何をしてあそぶか、エイトもかんがえておいてね」
エイトは困った。遊び方など自分が知るはずがない。そしてその日の夕方、ミーティアから一つの
提案があったので、とりあえず明日はそれをやって遊ぶことにした。
「あのう…」その日の晩、小さなエイトが自分達の前に立ち、遠慮がちに声をかけてきたので、
兵士達は珍しいこともあるものだと顔を見合わせた。「どうした?エイト」
エイトはもじもじしながら言った。「しゃせいってどんなことをやるんですか」
一同は一斉にむせた。爆笑するもの、そのまま咳き込み続けるもの。そしてエイトの頭をポカリと
叩いて「ばか野郎!お前にはまだ早すぎる!」と叫ぶもの。
エイトはそう痛くもなかったが叩かれた頭を両手でなでなでし、何か変なことをいったのかしらと
不思議に思いながら、「明日、絵師さまがいらっしゃるから、姫さまとお庭でしゃせいをすることに
なったんです」 と言った。
「ああー…」兵士達はまた顔を見合わせて今度は笑いをかみ殺した。悪くもないのに叩かれて
可哀相に。大人になるとどうも発想があっちの方に行ってしまう。
誰かがエイトに教えた。「エイト、写生っていうのはね、建物や風景を見ながら絵を描くことなんだよ」
「……」
「お庭できっと、お花を描いたりするんだと思うよ」
「…ぼくやったことないです」
「うーんと…こういうので描くんだよ」と、この季節には火の入っていない暖炉から、真っ黒な木の
燃えさしを持ってきた。たとえここが城であっても、絵の具は貴重な品物なので、子供の遊びには
とても使わせてもらえない。「これでね、ホラ、こんな風にやるんだ」と、炭で石の床をひっかいた。
下手くそではあるが、それはかろうじて花だと分かるものであり、エイトは合点がいったような顔になった。
「…わかりました。ありがとうございます」エイトはぺこりと頭を下げて自分の寝台へと戻っていった。
絵師はミーティアとエイトを庭に連れ出して、好きなものを描くようにいった。
お手本として木炭で紙に花をさらさらと描いて見せると、二人は感心したような声を上げた。
そして何を描こうかと庭を走り回り始めたので、絵師は二人をおいて、城の中へ入り、再び王の元へと
向かった。しばらくして戻ってみると、なんと二人は向かい合って、お互いを描いているではないか。
描いている絵を覗いてみると、ミーティアの方はなかなか写実的で上手に描いている。エイトの方は
初めての体験だったので仕方がないのだろうが、かろうじてこれは人かなと分かるような代物だった。
「エイト、ちゃんと笑って」
「はい…」
恐らく、何度も言われたのだろう。少し疲れたようにエイトは唇の端で笑みを作った。
その夜、夕食を終え兵士達が兵舎に戻ってくると、エイトはいつものように寝台に座っていた。
兵士の一人が、エイトを呼んだ。「おいエイト。今日描いた物見せてみろよ」
エイトは持っていた紙を手に、小走りに走ってきた。
「へっえー、結構上手いじゃん…ん?これお前じゃないのか。自分で自分を描いたのか?」
「姫さまが描いてくださいました」
そこには兵士達が見たこともないエイトの笑った顔が、上手に描いてあった。
ほんとにこんな顔をするのかな、と内心思ったが、「ふうん、そっくりに描いてあるな」と言ってみると、
自分が褒められた訳でもないのだが、エイトは嬉しそうににっこりとした。絵と同じ顔で。
こんな風に笑えるのだ。兵士達はびっくりして顔を見合わせた。
ミーティアは知らなかっただろう。エイトが城に来てから誰もその笑った顔を見たことがなかったことを。
「あのう…」エイトがもじもじしながら口を開いた。「ん?なんだ、エイト」
「あのう…姫さまとどんなことをしてあそんだらいいのか、教えてください」
「いいよ。なんでも教えてやるよ」
兵士達はあれやこれやと子供の遊びを口々に言い合った。誰もが昔は子供だったのだ。
こういうことなら得意だ。
エイトが一生懸命に話を聞いている様子がとても可愛らしかったので、皆は心が和んだような
気持ちになり、兵舎に子供がいるのも悪くはないな、と思い始めていた。
(終わり)
下ネタは欠かさず入れていくつもりです…。
ほのぼの〜(´∀`)
癒されますた。
一瞬ドキッとしたけどね。
かわええのぅ〜
日本語は漢字変換で簡単に下ネタ系になるねw
>555
その心意気やよしw
ほのぼのSSだな。こーいうの好き。
いいねー。
ミーティアとの触れ合いをきっかけに、徐々に周りの人たちとも
打ち解けてゆくエイト。
平易でほのぼのした語り口が読んでいて心地よかったです。GJ(・∀・)b
ご感想頂きましてありがとうございます。続きはまたそのうち書かせて頂きます。
このスレの作家さんは全体的にレベル高いと思うけど、
その中でも、個人的に◆sVVR0Q7eM2さんは最高峰の一人だと思ってます。
特に「ふくしゅうのドラゴラム」は公式のアンソロジーみたいなのに入っていても何らおかしくない出来かと。
次回作も楽しみにしてます!
すみませんしたーーーー!
お詫びの品です
茨に蝕まれたこの城に戻ってきてしまった。呪いを解くまで絶対帰らない、と心に決めていた
のに。
けれども海を渡って西の大陸へと逃げていったドルマゲスを追うためには船が要る。荒野で見
付けた古代の船は僕たちにとってまさにうってつけだった。海から遠く離れた場所にあるとい
うことを除いては。
もしかしたら城に何か手がかりがあるかもしれないという王の言葉に従ってここへ来たけど、
今の城の様子はあまりに悲しい。茨に取り込まれてしまった同僚たち、恐怖の表情を浮かべた
まま時を止めてしまった厨房のおばさん。茨と化していたネコは旅立つ前とは違って花が咲い
ていた。呪われていても確実に時は流れている。手後れになる前になんとかしなければ…
城内は記憶以上に凄まじい様子だった。記憶の中で自分の故郷を美化していたんだな、と思う。
茨が暴れたおかげで広々とした廊下─掃除大変だったな─もあちこち通れなくなっている。窓
のない廊下にはかつては灯が点されていたけど、今はそれが無いため薄暗くて歩きにくい。
「旅立つ前に見ておるし、覚悟は決めてここに来たつもりじゃったが…」
隣でトロデ王が肩を落とす。御自分の城がこのような有り様になってしまったのだ、衝撃の大
きさは僕以上だと思う。
「これから何とかして図書館に向かますが、それと共に城内の様子を確認しておきたいと思い
ます」
僕がそう言うと王は力無く頷いた。
「うむ。旅に必要な物があれば持って行こうぞ…じゃが、この有り様では…」
案の定、使えそうな武器や防具は皆茨に絡み付かれていて使いようがなかった。宝物庫は無事
のようだったけど、鍵が失われていて開けられない。
それでも順々に部屋を確認しながら三階まできた。封印の間に何か手がかりはないかと見回し
てみたけど、何もない。ただ茨がのたうちまわっているばかり。
「このように茨が蔓延って(はびこって)いては…そうじゃ、姫の部屋は無事なんじゃろうか」
…本当はそれが一番気掛かりだった。王が言って下さったおかげであの方の部屋へも行きやす
い。
扉を開け、中を見回す。幸い大きな蔓は部屋の中に入り込んでいないようだ。部屋の真ん中に
置かれたあの方のピアノも無事だった。
そう、見張りの時に洩れ聞こえるあの方のピアノを僕は密かに楽しみにしていた。晴れた日に
は時々部屋の窓から僕とおしゃべりしたりして…
ふと、壁際にある本棚が気になって調べることにした。時々役にたつ情報が手に入ることがあっ
たから…
分厚くいかにも何か書かれていそうな一冊を手に取り、ページをめくる。字が細かくて薄暗い
中で読むのは難しい。内容は…何だろう、まだよく掴めない。
それでもぱらぱらとめくっていくと、突然余白に大きく
「大 吉」
と手書されていた。そうだ、これは確か…
* * *
それは確かミーティアの部屋で一緒に遊んでいた時のこと。きっと冷たい雨の降る日だったは
ず、雨じゃなければ外に出ていたはずだったから…
小さい時僕は雨が嫌いだった。冷たい雨は行く当てもなく自分が何者か分からないままさまよっ
ていた頃を思い出させるから。
あの時もせっかくミーティアと一緒に遊んだりお菓子を食べたりしていたのに窓に打ち付ける
雨の音にいつの間にか暗い顔になっていたらしい。
「エイト?」
気が付くと不安そうなミーティアの顔が目の前にあった。
「大丈夫?何だか悲しそうな顔だわ」
「あ…うん、何でもない」
何だかちょっと「雨は嫌い」と言うのが恥ずかしくてぶっきらぼうな言い方になってしまった。
「でも…雨の音って嫌?」
「…うん」
そう、とミーティアもちょっと悲しそうな顔になってしまった。僕は気まずくなって
「でももう平気だよ。気にしないで」
と言ったんだけど、難しい顔をしている。
そうやってしばらく考え込んでいたんだけど、ぽん、と手をたたくと
「あのね、じゃあ悲しい気持ちになったらこの本を開いて」
ミーティアは本棚から一冊の分厚い本を取り出すとぱらぱらとページをめくり、大きな余白の
あるページを出した。
「ここにミーティアがこう書いておくの。忘れた頃に見たらきっと『ああ、きっといいことが
あるわ』って思うわ」
そう言って机の上から羽ペンを取ると大きな字で「大 吉」と書き込む。さらにその下に小さ
く「今日はきっといい日になるでしょう ミーティア」と書き添えた。そして、
「エイトも何か書いて」
と言うので僕も「明日もね エイトより」と付け加えたんだった。
その後本に落書きすることがすっかり楽しくなった僕たちは余白という余白に落書きしまくっ
てしまって、後で音楽の先生に怒られたんだった。この本はミーティアの楽典(注:音楽用語
等の辞典)で、稽古の時に突然先生の似顔絵−書いたのはミーティアだ−のページが出てきて
しまったらしい。
あの時は本当にそんなもので明るい気持ちになれるのか疑わしかったけど、今こうして見ると
何だかとても嬉しい。
ありがとう、僕は旅を続けられる。今の今まですっかり忘れてたけど、あの時のあなたに励ま
された気がする。
この本は僕と…ミーティアが幸せに暮らしていた証のようなもの。城がこんな姿になる前確実
にあった平和な生活の印。
くじけそうになる度思い出そう、あの時の僕たちを。そうして進んでいくんだ、ヤツを−ドル
マゲスを−倒すために。
>>563 勇気スキル40 「くじけぬ勇気」GJ!!(違)
ふりがなや注釈も付けて下さっているし、文章も読みやすくなっていると思いますよ。
色々ありましたが◆JSHQKXZ7pE さんのSSをまた読めて、ホッとしました。
今後も期待しています!
乙です!!
復活めでたい!
確かゲームで同じ場面がありましたよね?
トロデーンだったかな?
>>567 トロデーン城三階みーたんのピアノ部屋にある本棚にて。
◆JSHQKXZ7pE さんお帰りなさい。
そして乙でした。
もう書いてもらえないんじゃないかと思いましたよ。
それにしても、「大吉」でくるとはなー。
そうだった!!
「大吉」を見つけて、「エイトはちょっと嬉しく」なったんだよね。
◆JSHQKXZ7pEさんが書いていらっしゃるとおりの展開だと微笑ましいよね。
次回の作品も楽しみにしています。
読んで下さった方々、感想を下さった方々、どうもありがとうございました。
お前一言多いんだよ
>572
誰に対するレス?
誤爆?
自己顕示欲
575 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/15(金) 21:44:44 ID:kjNDMyhi
主ゼシスレ荒らすんじゃねーよヴォケが
576 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/15(金) 21:46:03 ID:y0eAJ7lU
俺はギガデインやベホマズンを唱えられるというのに、子孫の堕落ぶりは何だ!!
ザオラルはおろか、ベホマやライデインすら唱えられないときている。
ベホイミやベギラマ程度で竜王を倒しにいくなど、恥ずかしいと思わないのだろうか。
その程度の強さでは、俺は旅の目的の半分も達することができなかっただろう。
まぁ竜王を倒すことができたのは不幸中の幸いであろう。
もし竜王がもっと力をつけていたらと思うと、俺はおちおち死んでもいられなかった。
それに一人で向かうとは、まったく無鉄砲にもほどがある。
その点においては、3人でハーゴン討伐に向かった王子達は賢いと言える。
が、彼らの低落ぶりは竜王を倒した子孫など比べものにならない。
王子二人が合流するまでに多くの無駄な時間が費やされた。
国同士の連絡体制が全くなっていない。
討伐の旅に出る以前の問題である。
そして犬にされた王女を元に戻すまでにも時間を費やし、
挙げ句の果てにサマルトリアの王子は呪いにかかって病に倒れる始末。
自分たちの都合で、どれだけ時間を無駄にしているのかわかっているのだろうか。
そして、この3人の能力。
一人の王子はまったく呪文の使えない力バカ。何も言うことはない。
もう一人の王子は使える呪文も装備できる武器も中途半端。
ザラキだのメガンテだの使えるが、いったいどこから僧侶の血をひいてきたのだろうか。
王女にあっては魔法しか能がない。
イオラをすっ飛ばしてイオナズンを唱えるあたり、変な魔法使いの血を濃くひいてしまったのか。
よくこんな3人でハーゴンやシドーを倒せたものである。
俺の血は、どんどん薄まっていっていることを痛感せざるを得ない。
この先、また悪が現れたらと思うと、ロトの家系は役に立たないかもしれない。
嘆かわしいことである。
>>575 情けない。
中国でデモ煽ってる連中のほうがよほどいいアジ文句書くな。
なんかもう嫌になっちゃう(つД`)・゚
2.煽り・荒らしは放置。特に他カプ萌え派を装うヲチ厨に注意!
スルーよろ
あっち見たけどひどいな…
なんであんなことしたんだ
出張してるやつ戻ってこい
また主姫厨って叩かれるじゃないか…orz
他スレ荒らすような香具師を萌え仲間などとは決して思わない。
そういう香具師は、気に入らないことがあればこのスレだって荒らす。
主姫を装ってるアンチミーティアに見えるんだが…。
同じIDで主人公に萌えスレでも変なのが涌いてたしさ。
真性か装いヲチ厨かはわからんが
他スレ荒らしたり他人の萌えに口出しするのはいかんよな。
そんな子供でも分かることをいちいち書かなくてもよろしい。
>>SxOA4LOO
アンタ煽ってるようにしか見えんよ。
主ゼシでもイタタ気味だったし。
少し口をつぐむってことを覚えたら?
向こうの荒れ加減は気の毒だと思うが、
自スレの荒れは自スレで解決してもらわなきゃ。
こっちが荒れても向こうに持ち込もうとか思わないしな。
まあ、こっちはこっちでマターリ主姫に萌えようじゃないか。
そうそう、マターリといきましょう。
ミンナデテオイデ
マターリマターリ…なんかネタをくれ(;´Д`)
○月△日 晴れ
今日から私ことミーティアは日記をつけることにしました。
先生のおっしゃることによると、「自分をかえりみる練習」になるそうです。
でもどんなことを書いたらいいのか初めてなのでよく分かりません。
そう先生に申し上げたら、
「身の回りのことを書けばよろしいのです」
とのことでした。
身の回りのこと…でもミーティア、じゃなかったわ、私の身の回りって毎日同じことの繰り返しのような気がします。
「同じように見えても全く同じではありませんよ」
とも言われました。
書き続けられるよう、頑張ります。
○月×日 晴れ時々くもり
今日の朝食にそら豆の冷製ポタージュがでました。
お父様はうれしそうに
「こういうものが食卓に並ぶと春を感じるのう」
とおっしゃっていました。
食後、エイトが食器を下げに来てくれたので、
「とってもおいしかったわ、ごちそうさま、って厨房のみなさんに伝えてね」
と言づてしました。
今日はピアノの稽古をしました。今習っている曲は難しくてなかなか弾きこなせません。
「エチュード」って練習曲ですわよね。
こんなに難しいなんてもう練習曲の範囲を超えてますわ。
○月◇日 雨
昨日の夜から降り出して、今日は一日冷たい雨でした。
天気の移り変わりが早くて、体調がすぐれません…
仕方なくずっと部屋にこもっていたらエイトがお花を持ってきてくれました。
「ありがとう。とってもうれしいわ」
って言ったのに
「どうってことないよ」
って愛想ありませんでした。
最近のエイトは時々ぶっきらぼうでさびしいです。
○月○日 晴れ
今日はとってもいい天気でしたわ!
午前中のお勉強が終わった後、外に出てみたらエイトが槍の稽古をしていました。
でも長過ぎて扱いにくそう。槍を振り回すと自分も一緒に回ってましたもの。
「まだ習ったばかりだもん。これからだよ、これから」
そうエイトは言っていました。
ええ、きっとうまくなると思うわ。
今日は難しかったフレーズもようやく弾けるようになりました。
明日もピアノ頑張ります。
△月○日 晴れ
今日は晴れていたけれど風が冷たい一日でした。
お父様は神経痛がひどくなってしまい、夕食はご一緒できませんでした。
明日はお元気になりますように。
食器を下げに来てくれたエイトも一緒に願ってくれました。
△月△日 みぞれ
ああやっぱり…昨日あんなに冷たい風が吹くなんて、と思っていたら今日はみぞれ混じりの冷たい雨でした。
こんな天気ではお父様もさぞおつらいでしょう、と思ってエイトに手伝ってもらい、夕食後ハーブティーをいれてお父様のところへ持っていきました。
お父様はとっても喜んでくださって、顔色も良くなったように見えましたわ。
△月×日 くもりのち晴れ
お父様はまだちょっと痛むようです。でも雨は上がりましたので庭に出て花をつみ、お父様に差し上げました。
庭でエイトがブーメランの稽古をしていました。
でも投げたブーメランはエイトの手元には戻らず、あさっての方向へ飛んでいって木に引っかかってしまいました。
…大丈夫よね?
△月◆日 晴れ
先生に
「エイト以外のことも書くようになさってください」
と言われてしまいました。
そんなにエイトのことを書いていたかしら?お父様とピアノのことばかりだと思ってましたわ。
夕方エイトが部屋の前のテラスに来てくれたので少しおしゃべりしました。
「槍のあつかい、うまくなったんだよ」
と言うので
「すごいわ、見せて」
と言うといろいろ振り回した後、槍をくるくると回し…くるくる…ゴン!
「いてっ!」
回している最中に槍はエイトの手を離れ、頭の上に落ちてしまいました。
「大丈夫?!」
「へっ、平気だよ、これくらい」
と言っていましたけれど、涙目でしたわ。
エイトは細いし、兵士に向いているのかどうか、何だか心配になってきました…
◇月○日 晴れ
今日もいいお天気でした。
こんな日にお部屋の中でお勉強なんてちょっとしょんぼりです…
新しい先生がいらっしゃったので今日はその先生とお茶を飲みながら顔合わせをいたしました。
何だかちょっと気むずかしそうな方。
授業も難しそうです…気が進まないの…
いけないわ、ミーティア。
立派な大人になるための授業なのですから、文句を言うんじゃありません。
◇月×日 晴れ時々くもり
気になって日記を読み返してみました。
エイトのこと…確かにほとんど毎日書いていたかもしれません。
でも限られた毎日の中、何か違いがあるとしたらエイトと何かお話ししたりすることぐらいしかないんですもの。
前はお城の外に遊びに行っていたりしていたのに、最近はそういうこともありませんし。
エイトとお城の外へ遊びに行けたらいいのに。
◇月◆日 晴れ
ひどい、ひどいわ!「いいなずけ」って結婚のお約束をした人のことだったなんて!
知らなければよかったわ。大人になんてなりたくない!
なのに私…エイト…
名前を書くだけで胸がはりさけそう。
◇月△日 雨
今日は一日雨で、外には出られませんでした。
でも、それでいいのかもしれません。
外に出ればきっと目で追ってしまうから…
そんなことをして気付かれてしまったらどうしよう。
気付かれて、何もなかったようにされたり、嫌われてしまったら?
そんなのは嫌!
何もなかったようにしていくしかないの…
◇月◇日 雨
廊下で偶然、会えました。
曲り角のところだったので、本当に「ばったり」という感じ。
とってもとってもうれしい!
それにおしゃべりできたんですもの。ちょっとだけ。
他愛もないことなのに、とってもうれしいの。
その時、エイトといちごはお砂糖無しが一番おいしいって意見が一致しました。
お父様はいちごにブラウンシュガーをつけて召し上がります。
虫歯になっても知りませんわ。
×月○日 晴れ
もう先生にはこの日記をお見せしません。
机の中にしまいこんで隠しておきましょう。
だって私の秘密の想いなんですもの…
エイト、大好き。伝えられないけれど、世界で一番好き。
この後ミーティア姫の日記帳にはエイト萌えネタが延々と記入されていたという。
乙です。
うう・・。ミータンかわいい・・・。ただ、最後の1行言わずもがなかな〜。
>槍をくるくると回し…くるくる…ゴン!
え、エイトたん…(;´Д`)キャワエエ
恋する乙女なみーたん…(´ー`)
598 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/17(日) 20:30:00 ID:RqumUX8l
みーたんいいですなぁ
599 :
>>598:2005/04/17(日) 20:30:45 ID:RqumUX8l
うわ、ageてしまったorz
600じゃないか!!
>>600 主ゼシスレでいらん事しゃべるな、バカ!
わざわざ波風たててどうする?
>>600 そういやきみ、ククゼシスレにもいたね。もしかして誤爆ったの?
主ゼシスレ荒さんといてーな。頼むわ。
なんつーか……ヲチスレに晒されたら最後ってことがよくわかる。
>603
それ、ここに居着いてる住民じゃないと思う。
多分。
向こうを荒らしたらこっちも荒れるのわかってるから、
わざわざこのスレがごたごたになるような真似はしない。
うーん、ここのところのククゼシスレは雰囲気良くて羨ましいなぁ…。
このスレも盛り上げていきまっしょ!
>606
お互いがんがりましょう。
このスレ読んでてやっと気づいた。
なんで今回は馬の糞がなくて牛の糞になってるのか。
納得。
ミーティアドッキングモード
ss書いているんですが、エンディング若干変えてもいいですか?
もちろん主姫であることは変わりありません。
スクエニ発刊の小説や漫画でも変更しまくりなんだから構わないと思われニキビ。
ただし、親近感が湧く、納得できるものにしてくれ。
思われニキビ。 ←これ何? 新しい流行なの?w
今までずっと一つの設定の中で書いてきたんだけど、ちょっと違うもので書いてみたくなったので。
今まで書いてきた話とは全く繋がってません。
最初に注意
・今回わざと漢字に振り仮名をしておりません。
同様に注釈もあえてつけてありません。
・エンディング中のイベントを若干変えています。
・そういう描写を含みます。
「通してください。どうしても今夜のうちに姫様に話しておきたいことがあるんです」
「ですがこのような時間に。私が罰せられます」
「罰は僕だけが受けます。あなたは僕に脅迫されたとでも」
僕の中の何かを感じ取ったのか侍女は引き下がる。
旅が終わってからも僕は避け続けてきた。ミーティアと話すことを。でもどうしても話してお
きたいことがあった。とても大切なことだったから。
頼みの綱のアルゴンリングは取り上げられてしまった。今、話さずしてもう機会はない。夜が
明ければミーティアはサザンビークへ嫁いで行ってしまう。
衝立の内側に踏み込むと、ミーティアは起きていた。
「エイト、どうしたの?こんな時間に」
さあ、話さなければ。
「ミーティア様…」
言葉が出てこない。あんなに話さなければ、と焦っていたのに。
「ずっと前から…」
ずっと前から?何を言っているんだ僕は。
「お慕いしておりました…」
「エイト!」
ミーティアの碧の瞳にみるみるうちに涙が溜る。
「どうして今になって…」
そうだ、話すことなんてこれしかない。他に何を話すというんだ?
「好きだ!」
そう叫んでミーティアの身体をひしと抱き締め、唇を奪う。怯えるミーティアの舌を搦め取り、
貪る。悪い夢でもみているようなサヴェッラの夜の中、ただ腕の中のミーティアの存在だけが
確かなもののように思えた。
僕の胸にミーティアの鼓動が伝わる。生きている証。押し付けられた柔らかな胸の感触。明日
には従兄弟のものになってしまうミーティアの身体。
あらゆるものが僕を導き、押し流す。このまま、想いを、遂げ…!
腕の中でミーティアが啜り泣く。
「離れたくない」
と。離れ難いのは僕も同じ。一度知ってしまったらもう二度と離したくない、ミーティアの肌
の感触。身体を包む絹よりも滑らかで、夜目にも白く手に吸い付くような肌。手のひらにすっ
ぽりと収まるその乳房は小振りだけど美しい形。そして白い敷布に点々と散らされた破瓜の印…
「このまま朝までいて、打ち首にでもなってみようかな」
ふと思いついたことを口にする。はっ、とミーティアが腕の中で身を固くした。
「そんな…」
「だってそうでしょ?王族の花嫁を寝取ったんだから」
「だったらミーティアも一緒に」
「駄目。罪は僕だけにあるんだから…」
口づけしながらそう囁く。
本当に死んでしまってもいいような気がした。ミーティアが他の男のものになると思っただけ
で暴れ狂う、嫉妬の痛みの方が辛かったから…
明日の夜には他の男の腰にその腕を廻すのか、さっきまで僕にしていたように。愛撫の手に熱
に浮かされたような声をあげるのか、ついさっきまでのように。見たくない、聞きたくない、
知りたくない!ならばいっそ…
「いいえ、」
僕の唇を振り払い、ミーティアがきっぱりと言う。
「ミーティアも同罪だわ。本当はあなたに抱かれることを望んでいたんですもの…婚約者のあ
る身でそのようなことを願うのは罰せられることでしょう?」
「違う」
もう一度口づけしようと抱き寄せようとしたけど、身を捩って逃げる。
「婚約者以外の人と…寝るようなふしだらをしたんですもの、一緒に罰をうけます」
「ミーティア!」
「エイトとなら怖くないもの」
「駄目!」
「どうして?婚約者以外の方の手で快楽を得てしまったミーティアが、どうして罰せられずに
いられましょう」
今なんと言った?「快楽を得る」?僕との行為で快楽を?
問いただそうとした時、衝立の陰から密やかな声が僕たちを制した。
「あの、どうか…速やかにお引き取りを…」
「ごめんなさい、もう少しで終わりますから…」
僕が「まだ」と言う前にミーティアが返事する。衝立の向こうで侍女が下がっていく気配がし
た。
扉が閉まり、部屋の中は再び僕たち二人きりになる。ややあってミーティアが躊躇いがちに口
を開いた。
「この結婚は国と国とのもの。ミーティアはどうしても嫁がなければなりません。
この先ずっとあの人をエイトだと思って抱かれていきます。だから…忘れないように…」
やっぱり行ってしまうんだね。ならばその願い通り僕の熱をその身体に刻み付けるよ。僕もあ
なたの感触を忘れないために抱くよ。一生忘れないために。
下の宿屋に戻ったのは夜も明けようかという頃合だった。仲間たちの寝息が不自然に高かった
ような気がしたが、疲れきっていたため気にせず布団の中へ潜り込む。一つため息をついて眠
りに落ちようかという時、不意にそれは起こった。
ただ一人横たわっていたはずの僕の隣にミーティアがいた。手を伸ばしてもそこにあるのは空
漠ばかりなのに、一糸纏わぬ姿のミーティアが僕に縋り付いているということだけが分かる。
触れることは叶わないのに、その存在だけを感じ取ってしまう。
『エイト…』
乱れる吐息の中から呼ばれた僕の名も耳朶に蘇る。涙の味の口づけも。
「ミー…ティ…ア…」
…これがこの先ずっと続くのか。でもそれでいいのかもしれない。
きっとこれが僕に下された罰。その存在をまざまざと感じながら、触れることはできない。夢
よりも生々しく僕の前に現れて、でも気配ばかり。
もう二度と触れることの叶わないミーティアを思って、僕は心の中で哭くしかなかった。
もうすぐ、夜が明ける。
(了)
・゚・(つД`)・゚・
…応援しましょう、応援…。
>>アルゴンリングは取り上げられてしまった
っつーことは真エンドってことだね。
…結婚の決まってる人と下手にえちーとかしちゃったらドツボだよね。
エイト頑張れ(つД`)
感想どうもありがとうございました。
気付いている方もいるようですが、真ED中に「もしみーたんの部屋に入れたら」という設定で書いてみますた。
無駄に悲壮感漂わせてるけどこのあと式場に乱入するんだろ?
乱入せずに、憐れミーティアはチャゴスのお嫁さんになってしまい
エイトとは二度と会うことはありませんでしたって展開ならエエ作品やなーって感想だけど
>>623 (了)と打たれてるんだから、続きはないだろ。
ここで筆が置かれてるからイイんじゃないか。
芸術作品がわかってないなあ……。
>>622で真ED中にミーティアの部屋には入れたらって設定って言ってんじゃん
ハッピーEDになることがすでにわかってるのに
悲劇っぽい話持ってこられても首を傾げてしまうと言うかなんと言うか
626 :
619:2005/04/20(水) 21:32:13 ID:ZVgEPauY
えっ…。
おれもバッドエンドだと思ったんで、いやいや応援しようよ、と思ったわけだけど。
>>625 この話に続きなどないと書いただろうが。
作家が筆を置いた先は、そのまま真ED通りに転がるか、歯車狂って別の展開になるかは読者の脳内次第。
わざわざ自分の感動を打ち消す展開にもっていきたければそれも結構。
>625
そりゃあ、話の中の本人達にとっては普通に悲劇なんじゃないの?
真ENDに流れるにせよ、この時点でのエイトは結婚式に翌日乗込むこと
になろうとは予想してないような気がする・・。
個人的にはそのつもりで読んでいたので、この時点で悲壮感が漂っていることは
全く不自然には思わないし、真END前提にしても、いい作品だと思った。
つうか、ここから後は、個々で妄想しましょう。そのまま真EDもよし、ばれて2人で手に手を取って
逃亡もよし、ミータンが幽閉されたんで救出してもよし、エイトが捕まって死刑になったのでミータンが
後を追っても・・よくはないが話の展開としてはあり、その逆もよくはないが、話の展開としてはあり、
ということで。好きなように妄想しましょう
いい作品なのは同意。
でも…エイト1人称なら「破瓜」とかいう言葉、使って欲しくなかったかな…
(なんとなく、そんな単語知らなさそうなイメージが…)
だれか、いやどなたか、
>>630さんのネタで続きを書いてくれ〜〜〜〜〜〜。
やっぱ主×姫は切なさがいいw
いっそ源氏物語的にみーたん懐妊→そのままケコーン→生まれた子供はほんとはエイトの子
(クラビウスは「兄上そっくりな孫が!」)とか。
でもそうするとみーたんが結構したたかな感じになっちゃうか。
それはヤダな…
破瓜が発覚。結婚式中止。ミータン幽閉。相手と疑われたエイト逃亡。
仲間を率いてミータン奪還。竜神族の村に逃げ込む。竜神族を率いて
世界制服??
ちょっとやりすぎ?
>>637 疑われるもなにも相手はエイトじゃんw
なんだか妄想がふくらむな。
破瓜が発覚。結婚式中止。ミーティア反逆罪で打ち首寸前にエイト乱入。そして・・・
その1 自らの罪を認め2人で刑場の露と消える。
その2 周囲の兵士をなぎ倒し、ミーティアを奪還し、2人はいずこともなく消える。
そして、数年後、かわいい赤ん坊を抱いた若いカップルが・・・・。
その3 ミーティアを奪還したものの逃亡に失敗し、追い詰められた2人は手を取り合って
激流に身を投ずる。
ダメだ、妄想が広がりすぎる。
どうやったらケコーン前に墓が発覚するのでしょうか。
もしかして式の前にお付きの者がミーティアのマン(ry
…応援しましょう…応援…・゚・(つД`)・゚・
>>641 マジレスするとみーたん次第だな。
月のみ(ryと言い張れば確かめる方法はないんだし。
発覚すればおつきの人々も連帯責任だろうから言わんだろ。
>>640 その2推奨
うお、何か知らんうちに議論になってたし。
とりあえず読んで下さった皆様、どうもありがとうございました。
個人的な思考実験みたいなものだったのであれの続きはないです。
それから
>>631氏、そういう劇物な言葉をあまり抜き打ちしないでくれ。
恥ずかしいじゃないか。
それに他のレスがみなハカハカ言うようになっちゃったしw
あと、おつまみおいていきます。
今日は天気もいいし、ミーティアと二人、庭でお昼を食べることにした。
サンドイッチとサラダ、冷たいポタージュ、それからちょっとだけのワインでのんびり外の空気を楽しもうと思っていたんだけど…
「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
「どっ、どうしたの?」
「どうもしてないわようふふふふふふふふふふふふふ」
「どうもしてるって!あっ、ミーティア、これワインじゃないよ、ブランデーだよ!」
樽からデキャンタに移す時、間違ったな。地下室は薄暗いし、ワインの樽とブランデーの樽は並んでいる。時々あったな、そういうこと。
「あら、そう?いつもと色が違うし飲んだ時にずいぶんびりっとするのねって思っていたの。うふふふふふふふふふふふふふ」
「ああああ…完全に酔っているよ…」
「酔ってなんていないもんうふふふふふふふふふふふふふ」
ワインとブランデーなんて色が全然違っているのに何で気付かなかったんだ。あ、それより先にミーティアはそんな強いお酒を飲んでしまって大丈夫なんだろうか。
「大丈夫?気持ち悪くない?」
「ううん…とーっても幸せな気持ちなの…」
「あっ、眠くなっちゃったの?」
「ええ、ちょっとだけ…」
眠そうに目をこするミーティアの頭を膝に乗せてやる。
「まあ、エイトの膝枕ねうふふふふふふふふふふふふふ」
ミーティアは笑い上戸だったのか。泣き上戸よりはいいのかな。でも結構始末悪いな、これって。
「エイト…」
「なあに」
また笑い続けるのかな。
「エイト、だいすきよ…」
「ミーティア?」
返事はなく、ただ安らかな寝息ばかり。僕は一つため息をついて、でもさっきの言葉を反芻して幸せな気持ちでミーティアを見詰める。
ほんの少し頬を染め笑みを浮かべたその寝顔はとっても可愛らしい。つい口づけしたくなって、眠りを妨げぬようそうっと身をかがめた時、背後から声がかかった。
「エイト、何をしておる」
げっ、お義父様!
「あ、あの、ワインだと思っていたのにブランデーが入っていて、それで飲んだらミーティアが酔ってしまって…」
「何じゃと!姫を酔わせて狼藉をはたらこうとは言語道断。そこになおれ!」
「ちちち違います!それにそんな大声出したらミーティアが起きてしまいますよ!」
「話を逸らすでないぞ!おしりぺんぺんの刑じゃ!」
ミーティア、罪のない顔で寝てないで僕を助けてよ。
「う…ん…お父様?」
あっ、目が覚めたかな?
「何をさわいでいらっしゃるの…エイトの膝枕はとっても気持ちいいのに…そうだわ、お父様もご一緒しましょう…」
ええっ、それだけは勘弁してよ。男の人を膝枕するなんて嫌だよ。
「えっ、いや、その、ワシは…」
「…むにゃむにゃ…エイト…」
お義父様がしどろもどろになっているうちにミーティアはまた寝入ってしまった。
「やれやれ、正直あせったわい」
完全に毒気を抜かれたような顔でそう呟くと僕に向き直った。
「おぬしは姫を酔わせた罰として、目が覚めるまでそうして膝枕してやるのじゃ」
「…はい」
とは言えそれは望むところだ。
「無論チューは無しじゃぞ、チューは」
「ええっ」
そんな。こっそり楽しみにしていたのに。
「見つけたらトロデスパークの刑じゃからな!」
トロデスパークってどんな技だよ。聞いたことないし。
「ほおー、命が惜しく無いとみえる。受けてみるか?」
いや、いいです…知りたくもないです…
「では頼んだぞ」
ミーティアは僕の膝ですやすやと眠り続けている。
日が落ちてきて大分肌寒くなってきた。『起きるまで』と言われたけど、このままでは風邪をひいてしまう。
「ミーティア、起きて」
そっと呼びかける。
「んん…」
僕の声に反応してミーティアの目が開いた。状況がまだよく掴めていないのか碧の瞳をさまよわせる。
「エイト…?」
「ミーティア、大丈夫?」
少しずつ周りの様子が見えてきたのか視線が定まってきた。
「あ…、ごめんなさい。ずっと膝枕していてくれたの?」
そう言って身体を起こす。
「ごめんなさい。そしてどうもありがとう」
「いいよ、それくらい」
そう言ってあげるとはにかんだ様子を見せた。
「あのね…変じゃなかった?」
「変って?」
「お酒飲んでしまった後、覚えてないの…」
覚えてないのか!…ということはそれに乗じて…いや、やめておこう。
「ずっと笑いっぱなしだったよ。すごくかわいかった」
「エイト!」
「ミーティアって笑い上戸だったんだね。でも笑い方ちょっとおかしかったよ」
そう言ったら、ちょっと不安そうな顔になった。
「ほんとにほんとにそれだけ?ああ、何だかもっと変なことをしてしまったような気がするわ。どうしましょう」
おろおろするミーティアも可愛いかも。だけど…うう…
「どうしたの?大丈夫?」
ずっと膝枕していた後ミーティアの頭が除けられたので足に再び血が通い始めた。それがめちゃくちゃ痛い。腕枕する時はこんなに痛くならないのにな。
「ごめんなさい、ミーティアのせいね。…ホイミできたらよかったのに…」
「いいよ、大丈夫。こうしていればそのうち治るから。ありがとう」
ホイミじゃなくてキアリクかな、と思ったんだけど嬉しいのはその気持ち。
「先に戻っていたら?寒くなったんじゃない?」
「ううん、いるわ。一緒にいたいの」
そう言うと頭を僕の肩に乗せてきた。髪がさらさらと僕の胸にかかる。僕は腕を廻してしばらくそのままでいた。
「そういえば…」
「なあに」
「さっきお義父様に『トロデスパークの刑じゃ』って言われたんだけど、それってなんだろう。ミーティア、知ってる?」
「うふふ」
げっ、まだお酒残っているんだろうか。
「ミーティアがうんと小さい時、よく言われたの。お父様のおひげを引っ張ったりすると『トロデスパークじゃぞ!』って」
「へえ…」
「でも一度もされたことなかったわ。だからどんな技なのかミーティアも知らないの。
ところでエイトはどうしてトロデスパークの刑になりそうになったの?」
「いや、その…」
「ど・う・し・て?」
うう、からかわれているよ。
「そっ、その、ちょっと…」
「言えないようなことをしようとしたの?」
こうなったらもう直球勝負だ。言ってしまえ。
「…キスしようとしてたんだ。寝顔があんまりかわいかったから」
「もう!そんなことしたら怒られるに決まっているじゃないの」
「だってすごくかわいかったんだもの」
と言うとミーティアが頬を染めながら微笑んだ。
「エイトったら!…うふふふふふ。やっぱりトロデスパークの刑を受けてみた方がいいかしら。うふふふふふ」
もう酔ってなんかない。むしろ悪戯な眼差しで僕を見上げる。
「えっ、いいよそんなの」
「ミーティアもどんな技なのか知りたいと思っていたの」
「僕は知らなくていいよ!むがっ…」
僕の口を塞ぐようにミーティアの唇が重ねられる。だから見つかったら…ああでもミーティアの唇は甘くて柔らかい…
「エーイートー!」
げげっ。どこから出てきたんだよ!
「おぬしあれ程言うたに人前でいちゃつきおって。よっぽど受けたいようじゃな」
「ちっ、違うんで…」
「必殺!トロデスパーク!」
「ぎゃー助けてー!」
ワロタ。ギャグ系かつ甘々ですな
GJ!!かわいいです。
酔っ払ったときの笑い方が、悩み相談室の姫みたいw
こういうギャグ系の話好き。
トロデスパークむっちゃ気になる。
トロデスパーク気になる、10通りくらい妄想したが、書いちゃうと職人さんに
迷惑をかけると思うので必死に我慢している。は、早く、続きを・・・・。
「仲良しエイト&ミーティア」の第3弾です。
禁じられた遊び
「おばさん大変!エイトが死んじゃう!エイトが死んじゃう!!」
「ええっ!」
小さなミーティア姫が珍しく大きな声を出しながら台所へと駆け込んできたと思ったら、なにやらとても
物騒なことを叫んでいるので、おばさんは肝を潰した。そしてミーティアからかなり遅れてよたよたと
走ってきたエイトを見て腰を抜かしそうになった。「どうしたんだいそれ!」
「すみません…」申し訳なさそうにそう言うエイトの頭から血がぽたぽたと流れ落ちていて、顔や服を
赤く染めている。傷を押さえていたらしい両手も血だらけだ。
「エイト!じっとしてなきゃだめじゃない」と、エイトが後を追って来ていることに気がつかなかったらしい
ミーティアが、彼を気遣った。
事情は飲み込めなかったものの、とりあえず医者が呼ばれてエイトの手当てがされることになった。
その前にまず、傷の中に入った砂や土をきれいに洗い流さなければならない。
兵舎に運ばれ、非番の兵士が二人掛りで暴れないようエイトの手足を押さえつける。
「姫様は外へ」と医者が促すと、ミーティアは毅然として言った。「いいえここにいます」
そしてうつぶせに寝かされているエイトの手を握りしめた。「エイト、ミーティアの手を握っていて…」
「はい…」エイトは顔面蒼白になりながら、ミーティアの手を握り返した。
そしていよいよ傷の洗浄が始まるので、エイトとミーティアはぎゅっと目を閉じた。
「ううー…」とエイトが呻いて身体に力が入ると、ミーティアも一緒に手に力を入れる。「ううー…」
激痛が走り、目に涙が滲む。エイトはそれでも泣かずに我慢していた。途中でうっすらと目を開けて
ミーティアを見ると、ミーティアもうっすらと片目を開けてエイトを見ている。
ただし、エイトの顔ではなくエイトの頭の傷を――。
エイトはびっくりした。姫さまはすごい。自分など泣きはしなかったものの、血を見ただけで気が
遠くなりそうだったのに。ああ、ひょっとしてこれが、「怖いもの見たさと」いうものなのか。
けれども薄目を開けて自分の傷を見ているミーティアの目にも涙が滲んでいるのをみて、
エイトは何も見なかったことにしようと思い、また目をつぶった。
そうしているうちに、水で濡れた頭を拭かれ、包帯が巻かれ、手当ては終わった。
それから二人の口から事情が語られた。
その日エイトとミーティアは常々やってみたいと思っていた遊びを、実行に移した。それは露台(*1)から
伸びる階段の手すりを、滑って降りること。階段が緩やかなので手すりの傾斜もさほどではない。
最初はよかった。低い場所からほんのちょっと滑ってみて、着地が決まるとそれだけで楽しかった。
だがそのうちに、だんだんと高い場所から滑ってみたくなるものだ。ミーティアが着地を決めたのを見て、
エイトはさらに高さを上げた。大丈夫かしら、とミーティアが思った瞬間、遠心力がついたエイトの体は
手すりを曲がりきれず、外側に落下してしまったのだ。
「なんて馬鹿なことを」
大人達は呆れ、そしてもしも落ちたのがエイトではなくミーティアだったら、と思うと背筋が凍るのだった。
「二度とこんなことをしてはいけませんよ」おばさんはエイトとミーティアの両方を叱ったが、
言われるまでもなく二人は、もう二度とこの遊びはするまい、とすでに心に誓っていた。
(*1露台…建物から同じ高さで張り出した屋根のない部分。バルコニー。テラス。ここでは城正面の
2階の扉に通じる階段を上りきった場所のこと)
後年、エイトはこの時のことを思い出してはニヤニヤと笑った。ミーティアが気味悪がって笑っている
理由を尋ねると、決まって手すりで滑って遊んだ思い出話をし始めて、自分が転がり落ちた場面に
さしかかると、腹を抱えて笑うのだった。そして最後には必ず「あの時のミーティア、可愛かったなぁ」と
付け加えるのだった。
しかし子供達が大きくなって城中をちょろちょろと走り回るようになると、二人は心配でたまらなくなった。
そこで王と話し合って、階段の手すりを作り変えることになった。
作り変えられてしまった思い出の手すりをエイトが少し寂しそうに見ていると、ミーティアが隣に来て
慰めるように黙って手を重ねた。思い出ならこれからまた沢山作ればいいわ。
それにミーティアにとってはいい思い出ではなかったのだ。大好きな人が血を流して痛がっているのを
見て、胸が潰れそうだった。傷を見ていたのも、怖いもの見たさなんかではない。
こんな時の手当てはどうやったらいいのかしら。こういった傷はどのくらいで治るのかしら。
傷は残らないかしら。そういうことをちゃんと知っておかなければならないのだ。
「…最初からこんな形だったら、あんな痛い思いをしなくてすんだのにね」と、ミーティアは言って、
エイトのこげ茶色の髪の毛をまさぐった。エイトは気持ちよさそうに片目を閉じた。
しっかり見ていたし、あの後も何度も見せてもらったので場所は知っている。ミーティアの右手の指先が
見つけ出したそこには、硬貨くらいの大きさの丸い形をした小さな禿が…。
(終わり)
脱線してしまいましたが、一応真ED目指してますので、もう少し続きます。
可愛いっすねえ…
思わず顔が綻んでしまいます。
そうかだからエイトはバンダナを巻いうわなにをするやめvgbhんjmkトーポ:vbんjmk
>>657 うふふふふふふふふふふふ二人ともかわいいわ。
…ってくせになりそうだw
ともあれ◆sVVR0Q7eM2氏の二人はかわいくて好きです。
今回の下ネタは題ですかw
トロデスパークは…何も考えてなかったw
スーパートルネードデコピンみたいなのかなあ?
>>652氏のネタが知りたいと言ってみるテスト
661 :
652:2005/04/23(土) 20:28:23 ID:fu3uC3uW
660さんのお言葉に甘えて、妄想書いちゃっいます。
「トロデスパーク」について推理するにあたって最も重要な手がかりは↓の1文です。
>「ミーティアがうんと小さい時、よく言われたの。お父様のおひげを引っ張ったりすると『トロデスパークじゃぞ!』って」
おいたをしたかわいい娘にすることですから
@ 660氏のご指摘の「デコピン」・・なんとなくミータンに合いそう?
A おいたをした時の定番である「お尻ぺんぺん」
このAは、さらに、手で叩く、杖で叩く、ムチで叩く、といった
3〜4通りに分けられる。でも、手で叩くが普通でしょうね。
ここまでが、多少は真面目?な妄想。
他には、両耳を引っ張って象さんにする、脇の下をくすぐる、突然高い高いを
してびっくりさせる、ヘッドロックをして引っ張りまわす、突然肩車をして走り出す、
抱き上げて放り投げる振りをしてビックリさせる、目の前でパンと手を叩いて驚かす、
鼻の穴に指を突っ込む、などなどいっぱい出てきます。
しかし、本命は、@かAと考えるのが普通でしょうね。職人さんのプレッシャになる
と申し訳ないのですが、予想を裏切って欲しいです。
「怖いもの見たさと」いうものなのか。
↓
「怖いもの見たさ」というものなのか。
しまったしまったorz。訂正です。
ご感想くださいました皆様、ありがとうございました。
>>661 そうか、ミータンにも言ってたんだ。
スパークというくらいだから、「電気アンマ」しかないだろ?
と思ってしまったよ。ははは…。
>>663 その辺りは各個人様のご想像におまかせしたいです。
…私個人のイメージでは、ゴールドは直径3.5cmくらいはありそうなので
ちょっとそれでは傷跡としては大きいかな、ということで漠然と硬貨としました。
エフェクトだけはジゴスパーク並の電撃ワザ。
威力は微弱静電気…とか。
トロデパパにはMPあるんかな。剣は達人ぽいが。
リーザス村の女の子がモシャス唱えてたりしたから、
結構イパーン人でもMPあったりするのかもしんないね。
ミータンにもMPあるかなぁ。あるといいなぁ(´ー`)
EDでトロデパパは杖を使っているようなイメージがあるんだけれど。
だとすると、MPはイーパイかも。
EDのは小枝だったような。
見た目は魔導士ぽいから戦闘に参加するとしたら魔法かなぁ。
王族たるもの、武芸の一つや二つは
そういえばチャゴスのHPは20000というレスをどっかで見たなw
すばやさも半端じゃなかった希ガス
早漏多発型。
いてて…さっきのトロデスパーク、まだ残っているよ。もうお年だというのに無茶するなあ。あー痛い。
「どうじゃ、ワシの技の切れ味は。これに懲りてもう人前でいちゃつくでないぞ」
「でもあれは」
「ほう、もう一回かの」
「すみません何でもないです」
「うふふ、こんな技でしたのね」
ミーティア、笑ってないで止めてくれよ。薄情者め。
「そろそろ夕食じゃ。城に戻ろうぞ」
お義父様の言葉に頷いて立ち上がり、三人連れ立って城へと歩く。
「しかしまあ思い付きでやってみても上手くいくもんじゃな」
まだニヤニヤの収まらないままの呟きをミーティアが聞きとがめた。
「まあ、では子供の時のあれは何でしたの?」
「あれは口から出まかせじゃよ。かわいい姫に技をかけるなぞできる訳なかろうが」
先を行くお義父様はぶらぶらと歩きながらそう答えた。
「まあ男の子じゃったら技をかけたかもしれんがの。生憎ワシには姫しかおらんかったし」
そうだった…僕がここに来た時には既に独り身になられていて、ただ一人の娘、ミーティアとお二人だけで暮らしていらっしゃった。
「お父様…もしかして私が男だったらと」
「いやいや、姫は姫でよいのじゃ。ワシゃ娘というものがこんなにかわいくいとしいものだとは思わなんだ。
ただの、もし息子がおったならレスリングごっこやチャンバラごっこがしたかったのう、と常々思っておってな」
「まあ…でしたらお相手をしましたのに」
「そんなおてんばはさせられんわ。格闘家な姫や剣士な姫になってしまったらいかんじゃろが」
笑いながら二人は会話している。なんだかとてもうらやましい。いかにも家族、って感じで。
「じゃがの、」
と言ったところで僕を振り返る。
「今やワシにはエイトがおる」
えっ、僕?
「姫はすぐ側におるし、その婿はトロデーンの誇りとも言うべき勇者じゃ。
ワシゃの、ずーっとおぬしが本当の息子じゃったら、と思っておったんじゃよ」
そうだったんだ。昔からいろいろよくしていただいていたんだけど、そんな理由もあったんだ。
「今やエイトは義理とはいえワシの息子じゃ。それも自慢のな。念願叶って嬉しいのう」
と言ったところではたと手を打つ。
「そうじゃ、これからは『親父様』と呼べ」
「えっ?」
唐突な言葉に頭が真っ白になっているとさらに畳み掛けられた。
「息子に親父と呼ばれてみたかったんじゃ。エイト、ほれ」
「お義父…」
「違うっ!」
ひえー、言いにくい。ずっと『王様』とお呼びしてきて『お義父様』でさえ気後れするのに。
「おっ、親父様…」
「うむ!」
よほど嬉しかったのか何度も何度も頷く。でも親父っていわゆる庶民の言い方なんじゃないかな?父さんを卒業した男の子の。
「父上もいいんじゃが、昔トラペッタで見掛けた親子が何ともいい感じでな。子供が『親父』と呼んでおって、それが恰好よかったんじゃよ」
「いやでもこの呼び方は」
「うむ、分かってはおるぞ。じゃがの、おぬしには父上がおるじゃろうが」
そう、僕の父上、エルトリオ。一度もそう呼ぶことができなかった父上。
「エルトリオ殿を差し置いて父上と呼ばれては申し訳ない。それは本当の父にとっておくのじゃな」
「はい」
その心遣いがありがたかった。最初は慣れなくて『父さん』だったんだけど、最近は心の中ででも『父上』と呼び掛けるようにしているんだ。
「フッフッフ」
突然不気味な笑い声が上がった。
「な、何ですか」
「おぬしに『父上』はただ一人。じゃが」
と言ったところでびしっと僕に指を突き付ける。
「『親父』はここにおるぞい。生きて、おぬしとレスリングごっこしたりするのはこのワシじゃからの」
なんだかとても嬉しそうだ。こんな感じなのかな、家族って。技かけられるのは勘弁だけどね。
そういえば僕もしたことなかった。よくしてくれてても城の人たちは皆他人だったし。封じられた記憶の中にはあったのかもしれないけど。
だけど断ったんだ、竜神王様の申し出。「記憶封じの呪いを解いてやろう」っていう言葉。
僕にはもう幸せな記憶がある。失われた記憶がどんなに幸せなものであったとしても所詮過去のことでしかないのだから。それにこの呪いも悪くはない、他の呪いにかからないんだから。
先を行く義父の後ろで僕たちはこっそり手を繋ぐ。失われた過去より未来を見たい、ミーティアと一緒に。
「また新たなる技を思い付いたぞ」
「えっ、あの、ほら夕食なのでは…」
「何じゃ、腰が引けとるぞ、だらし無い。すぐに終わるぞ、覚悟はよいか」
「うふふ、今度はどんな技かしら」
そこのお姫様、笑ってないで止めてくれよ。
「行くぞ!トロパフ!」
嫌だよそんな名前からしてあからさまにアレじゃないかどうせならミーティアに…ってちょっと待ってよ!
「たーすーけーてーっ…ぐふっ」
>>645-648の続き
結局トロデスパークは不明のままだった…スマソ
かなり荒っぽい技のようですが。
技の名前はチャゴスレだったかな、HP20000の考察してたとこで見つけたものから取りますた。
個人的には「チャゴパフ」食らったら即死しますw
レスリングごっこやチャンバラごっこをして育ってたら第二のアリーナ姫になってたんだろうか?
・・・それはそれでいいかも。
笑えるのにちょっとホロリ…。
トロパフは想像したくないっw
なんてこと書くんですか
な〜るほど、こういう落ちですか。トロデスパークは不明のままですが、
これなら納得。でも、いつかトロデスパークの正体をお願いします。
トロパフは・・・・・・。体形からするとヤン(ガス)パフは可能かも???
>677
ミーたんが、第二のアリーナ姫になっていたら
エイトがザラ(以下省略)しか唱えなくなっちゃうyo!
682 :
sage:2005/04/29(金) 09:44:01 ID:c48UKFyY
アリーナまではいかなくても、ちょっとお転婆なミーたん・・・(;´Д`)
トロデスパーク・・・このスレでは流行語(?)になりそうですねw
ちょっとおてんばみーたん。
ミニスカートにタイツにブーツのみーたん。
髪が邪魔なのでポニーテールにしてみましたなみーたん。
…それもありかなw
一緒に外を歩けてこっそり幸せなエイト。
「うふふ、わたくしだってやればできますのよ!」
「ひ、姫、あまり無理はなさらぬよう…」
子供のようにはしゃぐ姫に戸惑いつつも
新たな魅力を感じて内心ドギマギするエイト
「きゃっ!?」
バギでみーたんのスカートめくりを試みるククール
その後ろでジゴスパークの準備しているエイト
「きゃっ!?」
バギでみーたんのスカートめくりを試みるククール
その後ろでジゴスパークの準備しているエイト
その後ろですべての魔力を解き放とうとしているゼシカ
「きゃっ!?」
バギでみーたんのスカートめくりを試みるククール
その後ろでジゴスパークの準備しているエイト
その後ろですべての魔力を解き放とうとしているゼシカ
その後ろでおっさんを呼ぼうとしているヤンガス
怒り狂うトロデ王
集めたおっさんの数はいつもの三倍
禿ワロタwww
いいなーこの流れ(*´∀`)
そこで、トロデ王のトロデスパークが炸裂した。
それより速くみーたんのハイキックが炸裂!
パンチラ見れて本願成就のククール
それより速くみーたんのハイキックが炸裂!
パンチラ見れて本願成就のククール
それを見て、鼻血噴出し、倒れた純情エイト。
倒れるエイトをおぱーいで受け止めるゼシカですか?
ゼシカが解放したすべての魔力は、倒れたエイトの上を通り過ぎ、ククールを
直撃した。あぼ〜ん。
というので、どうでしょう。
ちり紙を丸めてエイトの鼻に詰め込むヤンガス
それをちょっとふくれながら見つめるミーティア
それを見て何を勘違いしたかミーティアの鼻にちり紙を詰めようとするトロデ王
それを振り払ってエイトを膝枕してあげるミーティア
ますます鼻血の止まらないエイト
絵板のミーたん祭萌え萌え(*゚∀゚)=3
み、見てきちゃたよ(;´Д`)やばい。や、やばい…(;´Д`)ハァハァ
エイト出血多量で瀕死の重傷。
ミーたんの呪いがタイムリミット付きで一度だけ解けるシチュってなんかないかなあ
なにかなにか
泉か夢以外でってこと?
ドルマゲスに深手を負わせて魔力が弱った、とか
何か夢じゃなくて実体化して触れるような…うむむむ
イシュマウリがミーティアの歌声に対する礼で呪いを一時解くとか…
1、思いっきり何かを捏造する。
・食べたら一時的に人間に戻れるような実、種がある
・泉の水の力は実はあのじいさんの力が溶け込んだもので、
じいさんが本気を出せば呪いを解くことなど造作もない
2、竜神王に記憶を抜いてもらう
↑使ったら使用料プリーズねw
魔法の鏡または太陽の鏡に姿を映したら一時的に戻れた…とか。
三角谷のラジュさんが頑張って一時的に呪いを解いてくれた…とか。
無理矢理捏造してみた。
>707
エイトが呪いにかからないのは『先に』竜神王の記憶封じの呪いにかかっている為で、馬状態で記憶封じして貰っても元には戻らないのでは?
むしろ記憶封じの呪い自体かからないかもよ、ミーティアは『呪い』で馬なんだし。
個人的にはヘチマ売り氏かな…でも太陽の鏡も捨て難い。
8の鏡は性能悪そうだから戻すとしてもちょっとだけっぽいし。
>709
マ、マジレスセンキュー…(;´Д`)
やはり、真実の姿を映しだす「ラーの鏡」の復活しかありませんね。
ドルマゲスが拾い食いして腹壊して危篤に陥ったとか…
>712
ドルマゲスは拾い食いであたって死んでしまいました。
トロデーン王国の呪いは解けました。王様とお姫様は手を取り合って喜びました。
お姫様の婚約者だった王子は食べ過ぎで(ry
お姫様と幼なじみの兵士は消去法で結婚できました。
めでたしめでたし。
(´Д`) < ……
そういうSSもありかも知れないw
あるあるwww
闇の遺跡にこもっていたのはギャリング邸で食中毒になったためw
カジノ兄妹に世界は救われたわけか。深いな…
718 :
まとめサイト:2005/05/03(火) 20:46:01 ID:W2GH6Cmj
更新しました
間違いや保管忘れなどがあれば連絡ください
05/05/03 Part2 246-675までの18作品を保管
・◆JSHQKXZ7pE氏 Etude , 十五の思い , 愛のものがたり , あの人の手 , 銀の月 , 歌の翼 , 運命の輪 , 夜半の寝覚め , Etude/番外篇 , 落書き , 秘密の日記帳 , サヴェッラの夜 , 春の宴と新たな技 , 家族の肖像
・◆sVVR0Q7eM2氏 兵舎にて , かけおち , トロデーンの人々 , 禁じられた遊び
>>721 URL通り、お絵かき掲示板より。PC無害。青少年有害。
18禁絵貼るなら前置き千回。
まとめサイト様
いつもありがとうございます。
GWの暇つぶしにおつまみドゾー
チッ…もう刃こぼれしやがった。ちょっと魔物を斬ったぐらいなのに騎士団支給の剣って実は
なまくらだったんだな。
全く旅ってのは難儀なものだぜ。埃まみれじゃ色男もだいなしだし、連れが美女だけならとも
かくオレより明らかに年下の男を「兄貴」と慕う怪しいオッサンにエラソーな口をきく緑の化
け物だ。
おっと、エイトを忘れてた。こいつもよく分からない奴だ。見た目細いしどうも頼りになるの
かならないのかはっきりしない。よく道に迷うし。その上緑のオッサンの家来で、さらに馬車
を引く馬はオッサンの娘でお姫様なんだと。全くお伽話も真っ青な展開だぜ。
まあこの中では一番ゼシカに歳が近いしこれはライバルか?と思っていたんだがどうも違うよ
うだ。奥手なのか何なのかあれ程の女を前にしてちょっかいすら出さないってどういうことだ。
ま、無駄な競争をしなくて済むならそれはそれでいいけどな、エイトにとって。
おっと、話が逸れてしまった。誰かに砥石を借りないとな、オレは持ってないし。借りるなら
是非ともゼシカに、と言いたいところなんだが生憎彼女はムチ使いだ。これを口実に話し掛け
たかったんだがなあ。仕方ない、エイトでいいか。
が、今エイトは宿にいない。いつもそうだ、宿を取るとどこかへ消えてしまう。
最初は女でも引っ掛けてんのかと思っていたんだがその気配はない。もしそうなら酒と白粉(お
しろい)と香水の混じったお馴染みの匂いがするはずなんだが、全くしないからな。
「なあヤンガス、エイトどこにいるか知らないか?」
と隣で今日も元気に眠りに入ろうとするヤンガスに尋ねる。すると意外な答えが返ってきた。
「兄貴なら街の外だぜ。多分オッサンの相手してやっているんじゃねえか」
「えっ、でももう夜だぜ?」
「オッサンはあの姿だから街に入れねえだろ。だから酒持ってって相手してやってんだよ」
…これで謎が一つ解けた。なるほどな、家臣の責務遂行中ってやつか。だけどよく夜に街の外
に出られるよ。それも知らない土地の。オレには…ゲフンゲフン…行くしかないか。
「ありがとよ、ヤンガス」
礼を言って宿を後にした。
城門を出てすぐのところで野営組が火を囲んでいた。
といっても緑のオッサンは火の側でうたた寝していて、エイトだけが馬のたてがみの手入れを
していた。馬は気持ちよさ気に目を閉じ、エイトが何事か話し掛けながら結んでいくその手に
身を委ねている。その光景は何だか恋人の語らいに似ていて(馬と人間なのに)、オレは邪魔
者な気がして立ち止まった。
が、馬に気付かれた。頭を上げこちらを見つめる様子に、魔物かとエイトは背中のブーメラン
に手を掛けながらこちらを窺う。
「よお、エイト」
声をかけると構えを解く。こっちも攻撃されてはかなわない。
「やあ、ククール。珍しいね、こんな時間に」
不審そうだったが親しげな様子で答える。
「…刃こぼれしちまったんだ。荒砥持ってないか」
馬の手入れをしていただけなのになぜ恋人の語らいに見えたのか疑問に思いつつも、本来の用
件を切り出す。
「うん、持っているけど…荒砥だけでいいの?」
「うっ…あ、ああ」
実を言うと刃物の研ぎ方はよく分かってなかった。修道院には専門の研ぎ師がいたから、知識
として「刃こぼれしたら荒砥」と知ってはいたが実際に研いだことはない。
「はい」
さらに追い討ちをかけるように渡された砥石は修道院で見てきた物と全く違っていた。あそこ
にあったのは確か回転して刃を当てれば勝手に研磨してくれるやつだった。今目の前にあるの
はただの平べったい石だ。
これは困ったぞ…えい、刃を当てて引けばいいだけだ、やってしまえ。
「…ククール、もしかして刃物研いだことないの?」
いや、知ってはいるんだ。…できないと言いたくないのはささやかなプライドってやつかな。
「貸して。自分のも研ぐつもりだったし」
その言葉に甘え自分のレイピアを渡した。受け取ったエイトはしげしげと刃を見つめ
「刃こぼれもだけどずいぶん刃が丸くなっているね」
えっ、そうなのか?
「こんな状態でよくやってきたね。こんなんじゃチーズも切れないよ」
それはないだろうが、大袈裟な。でもマイエラを発ってから確かに切れ味が落ちてきたなとは
思っていたんだ。
エイトは砥石を二種類水に沈め泡が出なくなるのを待っている。その様子を見ているうち旅に
同行するようになってからずっと抱いていた疑問が口をついた。
「なあ、それ、本当にお姫様なのか?」
ちら、とこちらを一瞥したが、オレの問いには答えず水から取出した荒砥に刃を当て研ぎ出し
た。馬はこちらに耳を向けて話を聞いている風だったが、その話題になった途端耳を伏せうな
だれる。
「いい馬だとは思うが、どう見ても馬じゃん。本当に人だったのか?」
と、馬の方に顎をしゃくって問い掛ける。確かに賢そうでいい馬だとは思う。でもどうしても
中身がお姫様だとは思えない。
「…ごめん、姫様をモノ扱いしないでくれないか」
力を込めて研いでいるせいか声が揺れている。
「いやでも馬じゃんか。…実は二人とも本当に化け物と馬で、オレたちはかつがれてい」
バシッ!
オレの座っていたすぐ側の地面にブーメランが突き刺さって震えていた。手加減されてはいた
が(本気だったら当たっただろう)、ブーメランは深く地面に食い
込み、怒りの大きさを物語っていた。
「…信じろ、とは言わない。だけどお二方をモノ扱いしないでくれ。せめて僕の前では」
怒りのあまり握り締める拳が震えていた。
「頼む、どうか」
エイトがそこまで言いかけた時、馬が静かに近付いてきてその肩に頭を載せた。まるで「喧嘩
は止めて」とでも言うかのように。そしてオレの方に目を向けた。悲しげな緑の目を。
「悪かった」
その言葉を発した時了解した、確かにこの二人は人だったのだと。それもエイトにとって大切
な。思えばあの道化師の持つ杖はトロデーンの宝ではなかったか。
「エイト、すまなかった。もう疑ったりしない」
「…僕も言い過ぎたよ、ごめん」
そう言いながらブーメランを拾い上げ、背負い直した。そして馬の方を振り返り
「ごめんなさい、心配おかけして」
と詫び、再び砥石の前に座る。だけどその口調は姫君に対するというよりはどこか親しげで、
さっきの光景と併せて腑に落ちないものを感じた。
「なあ、お前ずいぶんう…姫様と親しいように見えるんだが、姫様ってどんな方なんだ?美人
なのか?」
最後の問いはまあなんだ、単なる男の好奇心みたいなものだったんだが、エイトの反応は明ら
かに変だった。
「そっ、それはその…音楽がお好きでとてもお優しくてお、おおおお美しい方だけど…」
アクセントもおかしい。何をそんなに狼狽(ろうばい)しているんだ?荒砥から中砥に変えて
刃を研ぐ手つきも滞りがちだし。
…はっはーん、これはもしやアレか?
「で?エイトは?」
「ぼっ、僕が何?」
「お前は姫様をどう思っているのかってこと」
オレの目は姫様に道ならぬ恋心を抱いていると見た。それも相思相愛で。後は追求して確証を
得るだけだ。全く隅に置けないなあ。奥手そうなふりしといてやられたぜ。
ほら、言ってしまえ、姫様も期待の眼差しを向けているぞ。
「…ククール、研ぎ終わったよ」
明らかに動揺していた。レイピアを渡す手が震えていたからな。まあ、あまり追求するのも気
の毒か。でも今一瞬姫様と見交わしていたのは見逃さなかったぞ。
「…むにゃむにゃ…はっ、ワシ寝とったんじゃな。ククールがいつ来たんか分からんかったぞ。
エイト、もう夜も遅い。ここは大丈夫じゃから宿に戻りなさい」
ちっ、緑のオッサンが目を覚ましちまった。ま、旅が終わるまでに聞き出してやろう。
「はい、ではおやすみなさいませ、王様、姫様」
エイトは二人に挨拶すると
「じゃ、戻ろうか」
とやけに爽やかに言って立ち上がった。ふっ、いくら爽やかなふりしたってお見通しだ、さっ
きの話で動揺していたのは。
オレも立ち上がり振り返って姫様にニヤリと笑いかけた。「やるじゃん、姫様」の意味を込め
て。馬の表情はよく分からないが、にこっとしたように見えたぞ。
エイトはまだ動揺しているようだ。歩き方がぎこちない。よっぽど好きなんだろうなあ、あん
な程度で狼狽するなんて。若いせいなのか育ちなのか初々しい反応なのがちょっとうらやまし
い。オレはもうすっかりスレちまったからなあ。
…いやいやオヤジ臭い感想を抱いてどうする。ま、旅は長くなりそうだしじっくりお近づきに
なるか、まずはゼシカから、な。
(終)
補足:刃物の研ぎ方
刃物は物を切ると刃が丸くなっていきます。
特に生き物を切ると血液や脂肪であっという間になまくらになってしまいます(特に日本刀は『斬る』ための刀なので手入れが大変)。
西洋剣は『叩き切る』ものなので切れ味はそうでもないですが、ある程度は切れないと困るので研磨も必要です。
砥石は荒砥、中砥、細砥の三種があり、通常は荒砥、中砥だけを使います(包丁とかも)。
砥石は水によく浸しておきます。
まず荒砥で丸くなってしまった刃を作ります。全部同じ角度で作らないと切れ味が落ちるので難しいです。
次に中砥で鋭さを出します。刃が片方にまくれ上がったりしないよう数回研ぐと完成です。
文中修道院にあったという「回転する」タイプの砥石は大きい刃物を研磨するのに便利。
ろくろに砥石が付いて回っているところに刃を当てると研磨されるもの、らしい(実物見たことないんでスマソ)。
いや、達人の手に掛かればその辺の石ころでも研げるらしいけど、そこまでサバイバリストにするのは気が引けたので。
ククール視点でバカポーではない主姫。新鮮だ。
武器の手入れという勇者一行の描かれない日常が垣間見れてよかったです。
GJ!!!
ククール視点は(・∀・)イイ!!ね。
GJ!!!!
みーたんの額が広く開いてるのとエイトとの背があんまり変わらないのって
エイトがちゅっとしやすそうでいいよね
ケコーンしたあと「おはようちゅっ」「いってきますちゅっ」とかやってそうだ。
みーたんからする時は額の場合エイトにかがんでもらわなくちゃいけなくて
唇なら背伸びですみそうなのがまた(*´Д`)ハァハァ
↓「仲良しエイト&ミーティア」第4弾です。
感想どうもありがとうございました。
主姫語りはちょっと食傷気味だったので目先を変えてみますた。
>733
個人的にはほっぺチューが好き(*´Д`)ハァハァ
身長差ないから不意打ちチューもできそうだw
「ミーティアあのね…」
「どうしたの?」
チュッ
「きゃっ」
城の台所は朝が早い。中でも一番朝が早いのはパン職人だ。まだ真っ暗なうちから起きて、
城で供される一日分のパンを何度かに分けて焼き上げる。
何度目かの焼き上がりを迎える頃、決められた時間よりも少し早めに起き、厠で用を足し、顔と手を
洗った後、いそいそと台所にやってきて、背伸びをしてパン焼き釜の中を観察するのがエイトの日課だ。
所狭しと並べられた大きなパンが、甘くていい匂いを放ちながら色づき膨らんでいく。
エイトはこのパンの焼ける匂いが大好きだった。
あんまり熱心に見ているので、最初パン職人はきっとこの少年はお腹が空いているのだろうと
思った。そして内心お行儀の悪い子供だと思いながらも、その子供が城に来る前にしていた生活を
考えるとなんだか可哀相になって、腹が減っているのなら何か食わせてやろうか、と声をかけた。
エイトは驚いたように首を振った。そしてパンが焼けるところを初めてみたことや、焼きたてのパンが
こんなにいい匂いがすることを知らなかったことなどを言葉少なに語った。パン職人は目頭が
熱くなった。きっとこの子は焼きたてのパンなど食べたことがなくて、固くなったパンしか口にすることが
できなかったのだろう。パンが焼ける幸せな匂いとは全く無縁の生活だったのだろう…。
そして、「お手伝いするので見ていてもいいですか?」と遠慮がちに尋ねるエイトのことが大好きに
なった。パンの焼ける匂いが好きなやつに悪いやつはいない。パン職人である彼の持論だ。
「おはようございます」
エイトは、ちょうど奥から次に焼くパンの種を運んできたパン職人に挨拶をした。
「おう、おはよう。ちんちん触ってちゃんと手を洗ったか」
彼が毎朝エイトにいう朝の挨拶であるが、それを聞いてエイトは子供らしい笑い声を上げた。
子供が好きそうなこんな言葉で笑いをとるなんてちょっと姑息な気もするが、エイトが笑ってくれるのが
彼には嬉しい。そしてナイフを使って冷めたパンを上手に切り分けていくエイトを見ながら、こいつは
俺が一人前のパン職人としてちゃんと仕込んでやるぞ、と心に決めるのだった。
「エイト、今日の午後お菓子の作り方を教えてやるから、姫さまと一緒に厨房に来いよ」
「えっ、いいんですか」エイトは目を輝かせた。
「もちろんさ」パン職人はほくそ笑んだ。最初はお菓子からだ。
卵と砂糖と少しのミルクをよく混ぜて、荒めに挽いた小麦を手早く合わせる。仕上げに木の実を
入れてそれを小さく丸めて釜で焼き始めると、子供達にとってはパンが焼けるよりもさらに幸せな
甘い香りが台所に立ち込めた。エイトとミーティアは夢中で釜の中をのぞき込み、笑顔でなにやら
言葉を交わしている。
その様子を苦々しい思いで見つめる一人の男がいた。料理長だった。お菓子で釣るとは小賢しい。
エイトはこの俺が一流の料理人として仕込むつもりでいるのに。
城の台所で働く者達にとって食事の支度はある意味戦争のようなものだ。それが一日三度である。
食事を供する者の食事が一番後であることはどこも同じで、この城でも例外ではない。城の全ての
人間の食事が終わって、くたびれ果てて食卓に座り、やっと食事にありつける。エイトがまだ城に
来たばかりの頃、そんなひと時、食事の前に静かに手を合わせる様子を見て、料理長は後でそっと
声をかけた。「お前、教会に行ったことがあるのか?」
エイトは答えた。「…どうしようもなかった時に、教会でほどこしを受けました」
「そうか…」料理長は目頭が熱くなった。こんな小さな子供が一人で放浪していること自体が、どうしよう
もない事態であるのに。なんと辛抱強く、なんと誇り高い子供なのだろう…。
料理長はエイトのことが大好きになった。食べられるということへの感謝を忘れない人間に悪いやつは
いない。料理人である彼の持論だ。
エイトとミーティアは出来上がったお菓子に歓声をあげ、二人で作った美味しいお菓子に舌鼓をうった。
そしてエイトは仕事に戻り、夕食も終わり、鍋や皿を洗っているところに、料理長が声をかけた。
「エイト、明日はイモの切り方を教えてやろう」
「えっ、いいんですか」エイトは目を輝かせた。
「ああ、いいとも」エイトの嬉しそうな顔に、料理長は目を細めた。
骨から出汁をとり、肉と豆とイモを、香草を入れて煮込む。なにも特別な料理ではないが、エイトに
とっては特別だった。給仕のかたわら兵士達の席にさりげなく近づいて行って、「今日はぼくがイモを
切りましたよ」と嬉しそうに報告した。兵士達にはイモを切ることの何がそんなに嬉しいのかあまり
よく分からなかったが、「へー、そりゃよかったな」と言ってやると、エイトは満足そうな顔をして、
軽い足どりで行ってしまった。
その様子を苦々しい思いで見つめる一人の男がいた。兵士長だった。小間使いの仕事をしている
からって、料理を仕込もうなんて抜け駆けも甚だしい。エイトはこの俺が立派な兵士に育てあげる
つもりなのに。
その夜、兵士長は本を読んでいるエイトのそばに行って声をかけた。
「エイト、お前城に来てもう2年になるな」
「はい」エイトは本を置いて立ち上がった。
「そろそろ剣術を教えてやろうかと思っているんだが、どうだ?」
「えっ、いいんですか」
「明日の午後、兵舎の練兵場に来い」
「はい」エイトは目を輝かせた。
剣術を教わるとはいっても、先ずは基本だ。練兵場の隅で木刀を持ち、構え方と立ち方を教わる。
そして素振りの仕方と足さばき。呼吸を整え、姿勢をよくし、何度も何度も繰り返す。額に汗が滲んでくる。
うん、やっぱりなかなかいい筋をしている。エイトを観察する兵士長の顔は満足げだ。
「よし、今日はこれまでだ」日が傾いてくる前に、兵士長はエイトに声をかけた。
エイトには彼の仕事が待っているのだ。
「ありがとうございました」ほっとして汗を拭いながら、道具を片付け、夕方の仕事のために台所へ
向かう。そしてその途中でミーティアとばったり会った。
「姫さま…」
どうしよう。今日は遊べませんとお伝えしていたのに。
「…エイト、夜、花壇のところで会えない?仕事が終わってからでいいから」
「もちろんいいですよ」
なんだろう、姫さま少し暗い顔をされている。エイトはそれを少し気にしながら、仕事場へと戻って行った。
仕事を終えてエイトが花壇のところへ行くと、ミーティアはすでに花壇の縁に座って待っていた。
「遅くなってすみません」
「いいのよ、仕事なんだもの…仕方がないわ」
ミーティアは数日前に二人で作り大事に食べていたお菓子を取り出して、分け合った。これで最後だ。
「…昨日はイモを切ったって喜んでいたのに…」
責めるというわけでもないのだろうが、なぜかちくりと胸にきて、エイトは戸惑った。
姫さまはぼくが剣術の稽古をするのはお嫌なのだろうか。
「…エイトは将来、何になりたいの?」
将来。自分で決めてもいいのなら、なりたいものは一つしかない。
「ぼくは…」
でも言ったら笑われるかもしれない。だってぼくは小さいし、やせっぽちだ。
エイトの身長は伸び悩んでいて、2年前には変わらなかったミーティアの背丈に、だいぶ負けているのだ。
「…ぼくは兵士になりたいです」
「そう…」
それはミーティアがあまり聞きたくない答えだったらしい。ミーティアはそれっきり黙ってしまった。
エイトにはなんとなくミーティアの気持ちが分かったので、黙って座っていた。そして心の中で
そっと呟いた。パン職人も料理人もいい仕事だと思うけれど、姫さま、ぼくは兵士になりたいです。
――…ぼくは兵士になりたいです。
――強い兵士になって、陛下と姫さまをお守りしたいです…。
(終わり)
740 :
734:2005/05/04(水) 22:49:10 ID:iHaw+Dl4
いやんごめんなさい。もたもたしてたらなんかタイミングが(;´Д`)
>みーたんからする時は額の場合エイトにかがんでもらわなくちゃいけなくて
>唇なら背伸びですみそうなのがまた(*´Д`)ハァハァ
想像したら萌えに萌えますた(*´Д`)
なんかほほえましいのに切ないよ(つД`)
>>734 割り込んだようになってしまって申し訳ありません。
もたもた打ってて邪魔してしまいました。
城の皆さんはみなエイトがかわいいんですね(*´Д`)
デコチューネタ
エイトだけお出かけ、ミーティアはお留守番。
「じゃ行ってきます」
「あ、エイト、ちょっとかがんで」
「えっ、なあに?」
と言いつつかがむエイト。
「いってらっしゃい。早く帰ってきてね、チュッ」
(わーいちゅーだ!)
〜数時間後エイト帰還〜
「ただいま」
「おかえりなさい、エイト」
「………?」
(あれ、おかえりちゅーは?)
「どうかしたの?エイト」
ミーティアはおかえりちゅーを忘れていた。
(えーいじゃあ僕からしよう)
「ただいまミーティア、チュッ」
「あっ、ごめんなさいエイト。そうだったわ。チュッ」
こんな感じ?
>エイトだけお出かけ、ミーティアはお留守番。
>「じゃ行ってきます」
なんかリーマン臭が漂ってるんですがw
>744
たとえ即位しても基本は小間使いですから。
気がつくとうっかり手が芋剥いてますから。
品が良くてもタンスあさりますから。
ワロタ
即位しても無性につぼを割りたくなるエイトw
ワロタ
即位しても無性にタルを投げたくなるエイトw
ワロタ
即位しても無性に小さなメダルを集めたがるエイトw
>743
最後ので屈んでないということはつまりそれは最後のは唇ちゅふじこふじこふじこ!
エイトです…
趣味は錬金です…
エイトです…
即位後も道に落ちている物を手当たり次第拾ってしまいます…
エイトです…
物が捨てられません…
エイトです…
押し入れが一杯になりました!
ミーティアは死んでいいと思う。または馬のままでいいと思う。
結婚してもいつまでも仲良しなんだろうなぁ〜。
いいなぁなんか理想の夫婦って感じがする。
>>750 ついくせで『うしのふん』を拾ってしまったエイト。
ミーティア「そんな物拾って押し入れに入れちゃだめ」
遠い記憶の中で、一人の女性が揺り椅子に身を沈め暖炉の炎を眺め遣っている。
あの方は、私のお祖母様。お若い頃は黒髪の、それはお美しい方だったそうで、たくさんの吟
遊詩人が競って詩を捧げたとか。
あの時はもう年老いて黒髪も銀色に変わり、顔には深い皺が刻まれている。あの姿は確か亡く
なられる一月程前だったと思う。お祖母様は他の方とお話しなさることはほとんどなかったけ
れど、私だけはよく部屋に呼んでくださり、色々なお話を聞かせてくださった。ほら、揺り椅
子の前には四歳の私が座り込んで毛糸玉で遊んでいる。
やがてそれに飽きた私はお祖母様の膝に乗るだろう。そしてレースの襟飾りの下にひっそりと
忍ばされた銀色のロケットに興味を示したはず。
お祖母様は微笑まれて─今思えば悲し気だった─ロケットを開き、中を見せてくれながら昔語
りをしてくれたのだった。
* * *
私が若い頃、そうね、ミーティアが生まれるよりもずっとずっと前にサヴェッラにお参りに行っ
たことがあるのです。サヴェッラは知っているでしょう?そう、法皇様のいらっしゃるところ。
サヴェッラの大聖堂へは長い階段を昇らなければならないのです。誰であっても自分で昇って
いくの。なのにその時おしゃれしたくて踵(かかと)の高いダンスの時に履くような靴だった
ものだからすぐ疲れてしまったのね。
しばらく休んでいるうちにお父様、ミーティアにはひいお祖父様ですね、とは離れてしまって
周りにはお付きの人しかいなくなってしまったのです。それで急いで追いかけようとしたら靴
が脱げてしまったのですよ。
あ、と声をあげた時にはもう靴はサヴェッラの門まで転がり落ちていました。慌てて侍女たち
が追いかけましたが、先に一人の青年が靴を拾い上げてくださったのです。
それがこの肖像の方なのですよ。
* * *
そうお祖母様は仰ってロケットの中の小さな肖像画を見せてくださった。細かくてよく分から
なかったけれど、亜麻色の髪に涼やかな目もとが印象的な人に思えた。
「すてきなひと!」
って私は言ったと思う。するとお祖母様は本当に嬉しそうに微笑まれて
「ええ、本当に素敵な人だったのよ」
と仰ったのだった。
今思えばその方はエイトにちょっと似ていたの。だから後でエイトに出会った時に『どこかで
会ったことがあったかしら?』と思ったんだっけ。
お祖母様が亡くなられた後、その肖像画の方について周りの方からまるで何かの物語のように
して聞かされた。その青年はサザンビークの王子だったこと。お互いに一目で恋に落ちられた
こと。けれどもその頃トロデーンとサザンビークはとても仲が悪く、お二人は泣く泣く別れた
こと。ただ一人のお世継ぎだったお祖母様はしかたなく婿を迎え、お父様を産んだこと。
そして最近になって聞かされた、お二人が別れる時、
「いつか必ず二人の血を一つにしよう」
と誓われたことを。子供が生まれたら、その子供たちを結婚させようって。けれども子供の代
では叶わず、私の代に持ち越されたのだと。
お祖母様、お気の毒な方。過去の中に留まられて今を見ようとはなさらなかった。私にも想う
人があるかもしれないとは決して思い遣ってはくださらなかった。ただご自分の悲しみの中に
閉じ籠って叶わぬ恋を悔いるばかりの日々を送っていらっしゃった。
そのお気持ちは分かる、よく分かるの。でも…
けれど、生まれる前から定められた婚約者がいなくても…きっと叶わない。私には王家に生ま
れた者としての義務があるから。それにもうすぐ近衛兵に昇格するとはいえ、あの人はただの
兵士。認めてなんかもらえない。
自分の想い人と自由に結ばれる人が羨ましい。エイトと手に手を取り合ってどこかへ行ってし
まえたらいいのに!
似ているのなら我慢できるかしら?
…エイトに…似ているのなら…
みーたん正式婚約の前の話です。15、6ぐらいかな。
補足:亜麻色
黄色がかった明るい褐色。亜麻色の髪だと明るい茶髪って感じですかね。
エルトリオとクラビウスがあまりに髪色違うのでお祖父さんの髪色を無理矢理捻り出しました。
遺伝の法則の中の分離の法則から、亜麻色×亜麻色ならば濃い茶髪〜黒と金髪の子供もあり得るかなあと。
あまり気にするなってやつなんだと思うんだけど、DQ5やってて「それは本当にオレの子か!」と思ってしまったこともあったので。
ああでもいいんだ…お母さん緑髪だったしな。
きっとDQ遺伝学なんだろうw
(黒髪×金髪だと濃い茶髪になる。黒髪が優性だから)
乙です。確かにエイトの祖父はエイトにそっくりかも知れん!盲点だったよ。
GJ!!
GJ!!いつもお疲れ様です
>757-758
読んで下さりありがとうございました。
あちこちのスレが落ちてしまって寂しいね。
とするとエイトたんとミーたんの子供は……母方の祖父には似てほしくないなあ……。
官スレにも主姫SSキタ━━━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━━!!!!!!
来たけど馬ネタとか正直ギャグにしか見えなくて萌えられなかった
ウンコーで萌えられなかった
いや、萌えたよ。
お馬さんネタいいじゃん。
764 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/08(日) 23:26:52 ID:2zOSR74C
たまには上げとこ。
保守保守。
765 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/09(月) 07:49:17 ID:t+SjfDNW
エイトとミーティアはエイトね両親に似てない
保守がてらおつまみドゾー
私はミーティア姫様の教育係としてマナーなどを指導している者でございます。
姫様が十の時からですのでお仕えして八年になりますでしょうか、姫様は概ね(おおむね)ご
立派な生徒でいらっしゃいました。私の申すことを素直に聞かれ、ご自分に非があればすぐに
直されます。ごく稀にですがご機嫌が悪いと
「分かりましてよ、エチケット先生」
などと仰っしゃることもございましたが、普段から親しくさせていただいておりました。
そのご縁かどうかは存じませんが、今宵サヴェッラでのお世話を申しつかっております。
城が恐ろしい災厄から復活してすぐにサザンビークから勅使※がいらっしゃり、ご縁談も元の
通り復活いたしました。なんとめでたいことなのでしょう。両国の民にとっても平和の印とな
るこのご婚礼は歓迎されておりました。当のご本人を除いては。
いえ、サザンビーク側がどうこうと言うのではございません。式の行われるサヴェッラに着い
てまず先方のメイドさん方に言われたことは
「これで王子様も落ち着いてくださるでしょう」
でしたから。
ですが姫様は…あのお美しい姫様のお相手は近衛隊長のような凛々しい貴公子ならばよろしゅ
うございましたのにあのようなぶ…いえ、何でもございません。
先程王様とお二方での最後の晩餐をとっていらっしゃいました。姫様は表向きにこやかになさっ
てはいたものの食事には手をお付けになられません。王様もお気付きになられて
「何か口にしてはどうかの」
と勧めればフォークを口まで運びはしますが召し上がることはついにありませんでした。
「…疲れておるのじゃろ。無理はせんで今夜はゆっくり休むがよい」
王様のお言葉を有り難く思い姫様は寝所に戻られました。
「本当に何か口にされた方がよかったのでは」
と申し上げたのですが、
「…ごめんなさい、今は何も食べられませんの」
と仰るばかり。
「ではお休みになられますか」
と伺いますと
「そうね、そうします」
漸く姫様は頷かれました。
お召し替えも終わりほっとなさっていた時、急に扉がバタンと開きました。
「まあ、このような夜更けにいかがなさいましたか?王子様のお部屋は二階だったと思います
が」
サザンビークのチャゴス王子でした。王子は気取った様子で仰せになられます。
「ミーティア姫におやすみの挨拶をと思いまして」
衝立(ついたて)の向こう側では姫様が必死で合図を送っていらっしゃいます。涙目になられ
見るもおいたわしいご様子でした。
「大変申し訳ございませんが、もう姫様はお休みになられました。どうぞお引き取りを」
そう申し上げたところ、
「僕は姫の夫だぞ。寝顔を見ても何の問題もないはずだ」
と仰っしゃって衝立の向こう側を覗こうとなさいます。
「畏れながら申し上げます」
姫様はお気の毒にも突っ伏して震えていらっしゃいます。私は衝立の隙間に立ちはだかって申
し上げました。
「結婚前の女性の寝所に入るは無礼の極み。これ以上のことがあれば衛兵を呼びますが」
明日こそ結婚式ではございますが、サザンビークの王子とか言う男はまだ姫様の夫ではござい
ません。言外にそれを匂わせたところ、漸く部屋を出て行かれました。ぶつくさ言いながらで
ございましたが。
「怖かったわ…」
背後で姫様が呟かれました。なぜか姫様はチャゴス様を大層嫌っていらっしゃいます。あの災
厄の前はなかったことなのですが…
私のような下々の者があれこれ言ってはいけないとは思うのですが、今のようなことがありま
すとご結婚の正しさに疑いを抱いてしまいます。これは私一人だけではなく姫様のお側近くに
お仕えする者ならば誰しも思ってしまうことのようです。本来ならば人生の中で最も輝くべき
時でしょうに、姫様のご様子は…
いえ、私どもの浅はかな思いなど及びもつかない両国国王陛下のお考えあってのご縁談なので
しょう。私は職分を全うするばかりでございます。
明日はご婚礼の朝でございます。ドレスやお化粧などの準備があるので早く起きていただかね
ばなりません。
「お早くお休みになられませ」
私の言葉に頷かれ、姫様は寝台に横たわりました。
「よくお休みになられますよう」
と申し上げましたが、姫様のお顔を拝見いたしますと虚しい言葉のように思えてなりません。
姫様がずっと前から一人の方の面影を心に抱いていたらしいことは気付いておりました。まし
て長い困難な旅を共になさっていては想いはますます強くなられておいででしょう。それに暗
黒神の脅威から世界を救った勇者ですもの、姫様の婿君として何の不足もないでしょうに。
返す返すも残念なのはそれを王様が言い出す前にサザンビークの勅使が来てしまったことでし
た。
やはり姫様はお休みになられずにいらっしゃいます。溜息や啜り泣きの音すらせず、衝立の向
こう側は深閑として恐ろしいくらいでございました。息を止めてご自分を亡き者にしようとな
さっているのかと思ってしまう程に。
「…」
ふと姫様が何事か呟かれた気配がいたしました。はっきりとは分からなかったのですが、誰か
の名前だったかもしれません。
ところがそれが聞こえたかのように扉が静かに開き、近衛隊長が入って来たのでございます。
「まあ近衛隊長!こんな夜更けにどうされたのです?姫様はもうお休みになられました」
常日頃の快活な様子はなく、暗い影を目に宿しておられました。何か言いたげでしたが、私は
敢えて何も言い出させませんでした。
「あしたはいよいよ結婚式です。姫様にお話があって来たとしてもこの場はあきらめてくださ
いませ」
隊長はうなだれて立ち去って行かれました。
私とて次の機会がないことは承知しております。
ですがこのままお通ししてしまったらどうなるでしょう。お二方を罪にお落としすることはで
きません。
幸い姫様はお気付きにはならなかったようです。
ですが…これが幸いだったのでしょうか?お二方手に手を取り合って逃げてしまわれた方が真
に姫様のお為になったのでは?
私には分かりません。できることはただ、姫様の眠りをお守りすることだけでございます。
(終)
勅使:王直々の使者のこと。王の代理なのでただの使者より格が高い。
横から見た「月光」のつもりで書いてみますた。
なのでエイトはちゃんと引き下がってます。
チャゴスマイル。
.・゚・(ノД`)・゚・。ミータン…
ともかく>768-771GJ!
>エチケット先生
アントワネットキタ━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━!!
感想どうもです。
久々に真EEクリアしたんだけどやっぱりあの馬鹿王子様むかつくw
「ぐふへへ」なんて笑う奴にみーたんは渡せない!
>775
あ、ばれたw
確か彼女は「エチケット夫人」だったね。
【ぐふへへ】チャゴス王子にザラキしたいヤシの数【キモ杉】→(1)
【ぐふへへ】チャゴス王子にギガブレイクしたいヤシの数【キモ杉】→(1)
(1)って、主人公だけかいw
>779
ギガブレイクあたりは使える奴が…
次元を越えてバラン登場
前の晩こんなチャゴスが来たら当日逃げ出して
馬のがよかったってのも道理だな…肝杉
いやおまいら、なんぼなんでもザラキやギガブレはよそうや
やっぱりここはそうだな、結婚祝いと称してトカゲの詰まった箱を(ry
取猫商店の特選ギフトはご結婚のお祝いにも最適です
・産地直送トカゲ詰め合わせ 3000G
新鮮なトカゲがぎっしりと詰まったお手頃価格の一品です。
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お子様のいらっしゃる方にピッタリです。トカゲエキスでトカゲとふれあう素敵な一時を。
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限定生産につきお早めに。
ただ今10000G以上お買い上げの方にホイミンのイラスト入りトートバッグをプレゼント。
イラストはあのライアンさんです!
>784
酢敵
スレ違いかもしれないけれど、チャゴスが最後までDQNだったのは、どうも今一つだったんだよね。
陳腐であることは承知で、なんか目覚めて前非を悔いて、身を引く展開にして欲しかったんだよね。
スレ違いスマソ。
>786
まあね。
ただ、試練のイベントであった虐待事件(こう書くとなんかやらしいw)みたいなことするようなやつって改心しなさそう。
あれがみーたんじゃなくても動物いじめて平気なのって人としてどうよ。
権力や金への執着は捨てられるけど根性はそう簡単に直らないのでは?
サザンビーク行く前に泉行っておくとみーたんが
「どんな人なのかしら。エイトみたいだといいのに」
みたいなこと言うんだよね。
ちょっとかわいそうだ…
そこはほれ、「本人はもうばっちり改心したつもりだけど傍から見てるとまだてんでダメ」って感じで、
まぁ時間はかかりそうだけど少しずつ前進はしてるみたいだな、ぐらいにすればリアルになったかも。
自分もチャゴスには何か変化の兆しを見せてほしかったなぁ。
あのまま終わってしまうのは、なんか見てるほうとしても救われない…
>>788 そうかな?それも説得力ないよ。
なにしろチャゴスには改心する動機がない。
せっかく自分を鍛える機会になるはずの王家の試練を
上げ膳据え膳で人にやってもらって慢心だけして帰ってきたわけだし。
EDで小一時間説教されてやっと目覚め始めるくらいで丁度だと思うよ。
かなり人の悪い自分としてはそれでも改心しない方に10000ゴールド。
性格って悪い方には変わり易いけど良い方には変わりにくいものなんじゃないかな。
まあチャゴスを擁護してみよう。
バザーでアルゴンハートを買う
→少しでも大きいので馬鹿にしているやつらを見返したい。これで親父も見返せるだろう。
…虚しくなってきた。馬鹿にされていることに気付く頭はあるようだ。
試練の後良くなったのはDQ6のホルス王子ね。
でも奴は元々性格悪くなかったよ。逃げたり口は悪かったけど。
チャゴスがEDまでに何か学んだとすれば女の口説き方ぐらいなものだってw
つーことで性格変わらんに秘蔵のキングアックス(かんむり使用)を!
確かに、皆さんのおっしゃることは正論ですね。こうなったら、そもそも、なぜ、チャゴスが
ああなってしまったのかを過去を遡って解明し、そんなチャゴスの琴線に一番触れるイベントを
起こすしかないか。ッて、このスレとは、全然関係ないか。
うーん、変わろう、変わりたいって本人が思わないと変われないんじゃないかなあ。
〜無理矢理改心ストーリー〜
サザンビーク城が茨城に!
「やばい、これじゃカジノに行けない(金くれる人いないから)」
↓
「そうだ、バッフィーちゃんのところなら只だ!」
チャゴス王子様はパフパフ部屋で幸せに暮らしましたとさ。
…あれ?
チャゴスなんざどうでもいい
これ以上続けるなら荒らしと判断する
まあ確かにチャゴスじゃ萌えないな。
というわけで萌えをщ(゚Д゚щ)カモォォォン
そう言えばちょっと前に出てた「新婚主姫お風呂でラブラブ」の話ってどうなったのかな。
かなりテカテカでお待ち申し上げているんだが。
自分で考えてみたけどどうあっても18禁だよ…
>>795 「新婚主姫〜」
たぶん、自サイトで発表してるんだよ。
「これかな?」って思うの見たことある。
あ、それ私も読んだ。ブクマサイトだ。
はじめからその気のエイトにワロタ。そして萌えた
晒すの(・A・)イクナイ
>798
DQTに登録されてる。DQメインのサイトではない。
普通にそこの小説読んでれば裏の入口も見つかる。
のんびり主姫めぐりしてれば見つかると思うよ。
仲良しエイト&ミーティア 第5弾です。
数日後に控えた舞踏会の準備で、トロデーン城は上を下への大騒ぎだ。台所では諸公に召し
上がっていただく食事の準備で忙しく、兵士たちも多数お迎えする要人の警護の打ち合わせ
のため、てんやわんやしていた。
皆が忙しそうにしているので、エイトも何か手伝うことがないかと方々でうろうろしていたが、
どこに行ってもピリピリしていて、子供は邪魔だと追い払われた。仕方がないので自分の仕事が
終わった後は、練兵場の片隅で一人で木刀を振っている。
剣術を教えてもらうようになって以降、ミーティアと遊ぶ頻度はめっきり減った。
それでも二人が大の仲良しであることには変わりはなかったが、遊び方は変わっていった。
前のように走り回って遊ぶことなどはしなくなり、図書館で一緒に本を読んだり、ミーティアの
部屋に招かれてピアノを聞かせてもらったりした。
舞踏会の準備で忙しいとはいえ、食事の時間は毎日きっちり3回訪れるので、エイトの仕事が
減ったわけではない。それでもなんとなく手持ち無沙汰な気がするのは、他の大人達が忙しく
している中で、エイトだけが子供扱いされているからなのだろう。
一日の仕事を終えて兵舎に戻ると、兵士達はいつもなら賭け事に興じていたりするのだが、
今日もなにやら図面をみて色々と話し合いをしているのだった。
エイトは邪魔をするのも悪いと思って、お休みなさいの挨拶をして寝床へ向かおうとした。
すると兵士の一人がエイトを呼び止めた。話し合いにも、いい加減飽き飽きしているのだ。
「エイト、舞踏会って何か知ってるか?」
エイトは本で読んだことがあったので、その言葉は知っていた。それがどんなものかは、
よくは分かってはいないのだが。
「はい。色んな方が集まって、踊りを踊ったりするんですよね」
「そうそう。今回はな、姫様のお見合いも兼ねているから、諸国の王族方もいらっしゃるんだぞ」
「お見合い?」エイトはきょとんとした。姫様はまだ子供なのに?
「まぁ、お見合いといっても、ちゃんと婚約を交わす前に、ご本人達を会わせておこうか、
くらいのもので、ご結婚される相手は、ほぼ決まっているんだけどな」
「……」
「エイト固まってる」他の兵士が少し気の毒そうに言った。
「…まぁ、あれだ。まだ先の話だ」言った本人も子供相手にする話じゃないと思ったのか
それで話をそれで打ち切ろうとしたのだが、エイトは他ならぬミーティアのことなのだから
ちゃんと知っておきたいと思い、兵士達の知りうる限りのことを教えてもらった。
エイトが聞いた話は、まるでおとぎ話のような話だった。ミーティアの亡くなったお祖母さんは
サザンビークの王子と恋仲だったが、当時の両国の関係はよいとは言いがたく、結婚することは
叶わなかったこと。お互いの子供を結婚させようと誓い合ったが、生まれたのは両国ともに
男児ばかりでそれも叶わなかったこと。そして遂にトロデーンにはミーティア姫が、サザン
ビークにはチャゴス王子が授かり、晴れて両国の念願通りに、二人を結婚させようという話に
なったこと。
自分の親の顔すら知らないエイトにとってはなんだか夢のような話だったが、それでもそれは
とてもおめでたいことなのだということは理解できた。
そんなおめでたい姫様の一大事に、なにも出来ないなんて。エイトはがっかりした。
自分に出来ることは、せいぜい邪魔にならないよう隅にいるくらいだ。
舞踏会の当日、エイトにはやはりどこにも出番は無く、それどころか、今日はエイトの仕事は
休みでよいから邪魔にならないように兵舎でじっとしているように、と言いつけられてしまった。
ミーティアの結婚相手であるチャゴス王子という人をひと目見たいと思っていたが、
それも叶いそうもない。
「エイト、エイト」小声で呼ばれて扉の方を見ると、仲良しの兵士が手招きしている。
「なんでしょうか?」かけ寄ると彼はエイトに耳打ちした。
「王族方が今、続々と到着しているんだ。チャゴス王子、見たいだろ?」
「えっ、いいんですか?」
「こっそりだぞ。こっそり…」
「はい、こっそり…」
正門から次々と馬車が入ってきて、中から豪華な着物で着飾った王侯貴族が降りてくる。
エイトが兵士とともに物陰からこっそり覗いていると、そのうちに王と王子らしき二人連れが
到着し、トロデーンの大臣がより一層、丁重に出迎えた。
「金髪の巻き毛…あの方かな?」兵士が小声で耳打ちする。
「あの方がチャゴス様…」エイトは目をこらした。
美しい金髪は肩のところでくるっと巻き上がり、とても愛らしい感じがした。無造作に短く
切ってある自分のこげ茶色の髪の毛とは大違いだ。年はミーティアや自分よりも二つほど上
と聞いていたが、背はすらりと高く、隣にいらっしゃる父王様ともうたいして変わらない。
あの方が姫様のご結婚のお相手。ご立派な方だ。エイトは安心した。そしてそれと同時に
寂しくなった。もう姫様と仲良しではいられないのだ。そして近い将来、あの方とご結婚
されたら、姫様はこの城からいなくなってしまうのだ。
エイトは兵舎に戻って、本の続きを読み始めた。晩餐会の後の舞踏会が始まったようで、
荘重な音楽が広間からここまで漏れ聞こえてくる。
姫様はどんな服を着られたのかな。何日か前にお会いした時は、踊りを練習していると
おっしゃっていた。どんな風に踊られるのかな。ひと目でいいから見たいなぁ。
そんなことを思っている頃、夕食のために食堂へ呼ばれた。晩餐会で饗されたものと同じ
とはいかないが、いつもの料理とは違う少しだけ贅沢な食事に、皆もあずかれ、満足した。
エイトだけはまた寂しくなった。いっぱしに働いているつもりになっていても、自分がいつも
ここでしている仕事など、本当は仕事のうちにも入らないのだ。肝心な時には邪魔にしか
ならないのだ。
エイトが兵舎に戻り、また本を読み始めた頃、職務中である近衛兵がエイトを呼びに来た。
「エイト、姫様が花壇のところで待っているから来てくれって」
「えっ、こんなに遅くにですか」エイトはがたっと立ち上がった。
「早くな」
「は、はい」
事情は分からなかったが、エイトは花壇のところまで駆けていった。今夜は庭にもいつもより
多くの兵士が配置され、物々しい雰囲気だ。子供がうろうろしていて怒られないだろうか。
花壇のところにいくと、ミーティアが座っていた。エイトの姿をみると、立ち上がって笑顔を見せる。
「エイト」
「姫様。どうされたのですか?今、舞踏会の真っ最中で…」
「お父様が、子供はもう寝なさいって」
お陰でエイトに会える時間が出来た、という風にミーティアはほほえんだ。
「エイトに見て欲しかったの。…どうかしら、これ」
そう言ってミーティアは身に着けている夜会用の豪華な着物を、ひらっと広げて見せた。
エイトは自分の前でそんな仕草をしてみせるミーティアをじっと見つめた。
その美しさに釘付けになった。最近ミーティアはぐんぐんと背が伸びて、エイトよりも頭一つ分
ほども大きくなっている。体は女性らしく丸みを帯びてきた。胸の部分のふくらみはまだ小さな
ものであるが、それはエイトにはとてつもなく眩しく感じられた。
着ている服のせいもあるのか、ミーティアはまるですっかり大人の女性のようで、居場所がない
まだ子供の自分と同じ年とは到底思えないほど、置いて行かれてしまった気になった。
「…とても…、とてもお似合いですよ。すごくお美しいです」
エイトは夢見るように言った。ミーティアはエイトに褒められて満足したようにまた座った。
「あの…汚れますよ?」
「いいのよ。…エイトも座って」
エイトはミーティアの隣に座った。エイトの頭の中はミーティアの結婚のことで頭がいっぱいに
なっていて、つい言葉になって出てしまった。
「…チャゴス様、ご立派な方でしたね」
「…えっ?」
「伺いました。ご結婚のこと…」
「そうなの…」
「背もお高くて、明るい髪のご立派な方でした」
「エイト…。多分それはアスカンタのパヴァン様よ。今日はチャゴス様はいらっしゃらなかったの」
「えっ?!…そうなんですか…」
エイトは自分の勘違いが恥ずかしくて真っ赤になってしまった。
「…結婚なんて…」
ミーティアは消え入りそうな小さな声で、悲しそうに呟いた。エイトは本当は自分も悲しかった
のだが、ミーティアを慰めるように言った。
「…素敵なお話ですね。運命的というか…」
「…そうかしら。全然素敵じゃないと思うわ」
「……?」
「好きでもない人との結婚を勝手に決められているのよ。運命的かも知れないけれど、
素敵なんかじゃ、全然ないと思うわ」
「……」
それもそうだ。ミーティアのいうことも、もっともだ。
「…でも…、仕方がないわよね…」
「……」
「…ねぇ、エイト。踊りましょう」ミーティアは唐突に立ち上がり、エイトにそう言った。
「えっ?」
「ねぇ立って」
エイトは立ち上がったが、どうしたらいいのか分からない。
「…ぼく、躍り方が分かりません」
「こうするのよ」
ミーティアはエイトの右手を自分の腰に置かせて、自分の左手はエイトの肩に置いた。
そして残りの手をお互い取り合った。
広間から漏れ聞こえてくる音楽に合わせて、ミーティアは足を動かした。エイトもミーティアに
導かれるように足を運ぶ。
ミーティアも実のところ踊りはまだ習いたてで、エイトの足を3度も思いっきり踏んでしまった。
けれどもエイトは笑って許した。踊っている姫様を見たいと思っていたけれど、まさか一緒に
踊ってもらえるなんて。エイトは気が遠くなりそうなほど、幸せな気持ちがした。
庭にいる兵士達は、見て見ぬ振りをした。
暗い庭での二人だけの舞踏会は、誰にも邪魔されずに、いつまでも続くのだった。
(終わり)
あと3回くらいで終わります。
…今回は下ネタがない?!
これ書くためになんとなく「舞踏会」をごおglでイメージ検索。
最初に出たキモエロイ写真でその気もなくなりました。
もう、今回はそれでいいや…みたいな。
ご気分悪くなりそうな写真なので、責任は持てません。実行は慎重にミ☆
ところで、チャゴスって子供の時は美少年だったんじゃないかなぁと。
肖像画のように金髪くるくるで。小公子セディな感じで。連投スマソ。
いつも乙です〜
可愛いじゃないか!子供時代のエイト&みーたん。
小さいときはミーたんの方が身長高かったみたいに
書いてあるけど、確かにそんな感じする。
今でも、みーたんが踵の高い靴なんか履くとやばいかも…
ところでパヴァン王って何歳くらいなんだろう?
チャゴスは痩せればまあ何とか許せる範囲にはなるかも。
>>800 アリガトン。見つかった。これから読んでくる。
乙です。
確かに女の子の方が成長早くに始まるし、みーたんがこの時点で身長勝ってるってありだと思う。
>809
あの肖像画は完全にインチキだと思ってた。骨格からして違うし。
>810
パヴァン王…そうだね、いくつなんだろう。
奥さんいたけど子供無しで、ゲーム中の感じだと20代前半かと思ってたんだけど。
ほのぼの主姫萌え
船を捜しに再び定期船でポルトリンクへ。
「姫様、到着致しました」
先に立って渡し板に踏み出し、馬車を先導する。
「段差があります、足元にお気をつけください」
「……なあ」
「何よ」
「普通に馬引いてるだけだよな」
「そうね」
「なんだか姫君をエスコートしてるみたいに見えるな」
「なんとなくそう見えるわね」
「なんか変じゃね?」
「何言ってるのよ」
「実際姫様をエスコートしてるんじゃない」
わけわからんネタですみません。
普通ルーラで行かないかという突っ込みは却下の方向でw
>813
カワエエ
ちょっとだけエイトの台詞がデパートのお姉さんっぽいと思ったのは秘密だw
ちょっとだけエイトの台詞が電車のアナウンスっぽいと思ったのは秘密だw
817 :
125:2005/05/15(日) 20:47:39 ID:tkSdJ0oB
>エイトの台詞
……精進しますorz
>817
ああっ、気にしないで。
いい感じの小話だったと思ってんだよ。
ただ、日常でああいう丁寧な口調なのってデパートとか電車とかぐらいなんで、連想しちゃったんだよ。
820 :
125:2005/05/15(日) 21:45:36 ID:tkSdJ0oB
いや、言われて読み直してみたら自分でもそんな気がしたもんで。
とりあえずがんばります(`・ω・´)
それではまたしばし名なしに戻ります。
821 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/15(日) 23:43:41 ID:PIMd69pb
>>820 ゴメンヨ…orz
次回作も超待ってるよ!
保守sage
「姫様がわがままだったって、信じられないな」
ある日の泉でこんな会話になった。以前ミーティア姫は
『小さい時はミーティアもわがままだったし…』
と言っていたんだが、オレにはあの馬鹿王子のわがままとは違ってんじゃないかと思えて仕方ない。
そう思って聞いてみた。すると
「本当にわがままだったんです」
と恥ずかしげに話し始めた。
※* ※ ※
エイトとお友達になって一緒にお外で遊んでいる時、エイトからプレゼントをもらったの。
エイトは葦の茎にお花をいっぱいつけた簪(かんざし)を作って、髪を結わえて挿してくれたのよ。
とっても嬉しくてお城に帰ってお夕食の時もしていて、
「エイトにもらったの」
ってお父様にも自慢したの。
そうして寝る時になって、メイドさんに外されそうになったの。
「御髪(おぐし)をお梳きいたしますので」
って。
「どうして外すの?エイトにもらったミーティアの大切な物なのに。絶対嫌!」
って駄々をこねて、お父様に
「姫のために働いている人々に迷惑をかけてはいかん」
って怒られてしまったの。
※ ※ ※
「…本当にわがままだったと思うわ。
あっ、あとお祖母様が亡くなられる時に『死んじゃいや!』って言ったのもわがままよね…」
段々姫様の身体が光に包まれてくる。
「あの時の花の簪、朝起きたら花が萎れたからって捨てられてまた大泣きしてしまったのよ。
あっ、もう時間切れね。いつもありがとう、エイト」
そう言いながら馬の姿へと戻ってしまった。
…どこがわがままなんだ?
そして結局のろけかよ。エイトもそっぽ向きつつ顔赤くして嬉しそうだし。
最近のオレの役回りってこればっかだな。はあ。
(終)
クックルごめんw
でもこういうのろけ話聞かされる役回りな感じなんだ、自分の中で。
ゼシカだと「いいわね、幼なじみって」って感じになりそうだし。
題付け忘れてた!(トリも)
「ミーティア姫のわがまま」です。
本当にごめんなさい。
乙です。ククール可愛いね。
泉の会話、聞き逃しかなりありそうだ。
どこかのサイトで、へーこんなの聞いてないやっての沢山あったよ。
サザンビーク前に泉に行くパターンは見てない人多そう。
子供の頃の話とか聞けるんだよね。
ゼシカ失踪中は泉どころじゃない気分だけど用意されてるし。
煉獄島→ゴルドもつい直行してしまいそうだけどしっかりある。
あと見落としがちなのが、最初に泉で水飲んだ直後に
もう一度水飲むと聞ける台詞とか。
>828
あー、サザンビーク到着前のね。
あの時の会話ってかなり大事なことが多いような気がする。
エイトが活発でみーたんついて行くのが大変だったとか、「エイトみたいな方だったらいいのに」とか。
でも一番好きなのは鳥取った直後の「エイトにはエイトの人生が〜」かなー。
最初に萌えたのは「一緒に庭を〜」ってやつだけど。
「元に戻った姿を見てしまうと
いつもは馬だから気にもしなかった姫様をみょうに意識しちまうぜ。」
「そういうものかな。」
「あの馬ヅラですら 今のオレの瞳にはプリティーに映ってしまう。」
「でも元々姫様は馬の姿でもお綺麗だし。」
「いかにも当然って顔だったわね……」
「……なんだろうなこの敗北感は。」
「ククールが兄貴に勝てるわけないでがすよ。」
831 :
125:2005/05/20(金) 00:32:53 ID:YpDZoNkU
ネタはやってくるときは続けてやってくるもんなんですねw
ククールの台詞は泉イベントの後のフィールドでの会話から、です。
(*´д`)カワエエ!!
小ネタ萌える〜。
>830
萌えた(*´д`)カワエエ
ヤンガスのツッコミがいい感じ。
このまま125氏の元にネタ神が居着いて、数々の萌えを投下してくれますように。
本当によかった。この形で決着がついて。
私は今、トロデーン城に来ている。前に来た時はエイトは暗い顔してるし、ミーティア姫様は
今にも泣き出しそうで、見ているこっちまで辛かった。
実はあの時、エイトが来る前に話してたの。姫様と。
※ ※ ※
「ねえ、本当にそれでいいの?」
「国と国とのお約束ですもの。私個人の意思でどうなるものでもありませんわ」
そう言ってピアノを弾き続ける。弾いている曲も悲しいのに音までも涙を零すよう。
「自分の幸せは大事じゃないの?」
「トロデーンとサザンビーク両国の平和の方がもっと大切ですから」
そういう考えは正しいのかもしれないけど人としてどうなんだろう、って思う。
大体こんなことになる前にトロデ王がなんとかしてやればよかったのに。あれから数ヶ月も時
間あったんだから。エイトだって「主人だから」とか言ってないで言いたいこと言っちゃえば
いいのにって腹が立ったのよね。
※ ※ ※
なーんて思っていたのは昔の話。
今日はトロデーン城でやり直しの結婚式。私は「何か借り物」のためにアルバート家に伝わる
髪飾りを持って早く来たの。
姫様の部屋に直接飾りを持って行くとそこは準備の真っ最中だった。
「大切な物を貸していただいて本当に感謝いたしますわ」
準備の手を止めて出迎えてくれた。
「いいの、使う予定もないし。ホコリ被っているより使ってもらった方が髪飾りも嬉しいんじゃ
ないかと思って」
飾りをメイドさんに渡して部屋の中を見渡す。ドレスやらスカートをふんわりさせるためのパ
ニエやらがずらりと並ぶ様は壮観だった。
「ゼシカさんのおかげでみな揃ったんですもの、本当にありがとう」
そう、何か新しい物、何か古い物、何か借りた物、何か青い物の四つを身につけた花嫁は幸せ
になるという言い伝えがあるの。
新しい物は簡単なんだけどその他の三つが意外に難しい。借り物かな、一番厄介な物って。
「古い物は?」
「お母様の結婚式の時の首飾りとイヤリングのセットよ」
確かにちょっと古めかしい感じの宝石が準備されている。
「じゃ青い物は?」
「パニエのリボンとそこに載っているそれなの」
指差す先に鏡台の上に式で使うブーケが載っていた。レースとリボンで飾られた花嫁が手に持
つ花束。
「素敵なブーケね」
「まあ、嬉しいわ。どうもありがとう」
白い花の中に青の矢車草が入った花束はとてもかわいらしい感じ。これが「何か青い物」ね。
でも見ているうちにちょっと変なことに気付いた。
「こう言っては何なんだけど…この花束、ちょっと地味なんじゃない?だってこの国の王女様
の結婚式でしょ。もっとこう薔薇とか百合がいっぱい入った豪華な花束の方がよかったと思う
んだけど」
シロツメクサを基調としたその花束はかわいらしかったけど、やっぱり地味な感じだった。薔
薇も入ってはいたけど少ないし。普通の人の結婚式だってこれよりはもう少し華やかな花束な
のに。
「うふふ、そうかもしれないわね」
姫様は意味ありげに微笑んだ。
「でもこれでいいの。エイトと二人でこれにしようって決めたのよ」
…何かあるの?そっか、二人とも幼なじみだもんね。何か特別な思い出があるんだろうな。
幼なじみかぁ。運悪く同い年くらいの子って村にいなかったのよね。いてもお母様が遊ばせて
くれなかったと思う。だから結局お兄様としか遊べなかったかも。
だから旅に出て初めて同世代の友達ができて楽しかったのよ。いろいろ辛いこともあったし、旅
に出たいきさつも悲しい出来事だったけど、これだけは断言できる。旅に出てよかったって。
「じゃ、式を楽しみにしているわ」
準備の進まなさにでメイドさんたちがいらいらし始める前に部屋を出た。もう一人の当事者に
も会っておきたかったし。
エイトはもう着替えていた。赤いバンダナしてないと何か変な感じだわ。で、既にヤンガスと
ククールが来ていて何か深刻そうに話をしていた。
「エイト、結婚おめでとう。
二人とも早かったのね。何話してたの?」
と声をかけると三人とも飛び上がった。
「やややややあゼシカ、早かったね。そう言えばお願いしてた物持って来てくれたんだって?
どうもありがとう」
「げっ、ゼシカの姉ちゃんいつの間に!」
「よよ、よう、ゼシカ。久しぶりだな」
「三人とも変よ。悪いことでも企んでいたんじゃないの?」
と何の気無しに言ったらエイトは俯いてしまった。あら、悪いこと言ったかしら?でもあから
さまに変だったし。
「それはだな、初心者に正しいしょ」
「ククール!」
ククールの言葉を遮るようにエイトが叫ぶ。
「…ゼシカ、式まで時間あるし、お茶でも飲んで寛いでてよ」
いつものエイトと違ってかなり強引に話を打ち切り、私を隣の部屋に連れ出した。
「なによ、何の話してたのよ」
「ごめん、男同士の内輪話。問題が起こったとかそういうことじゃないから気にしないで」
気になるわよ、そんな言い方されると。でも深刻な問題じゃないならまあいいかしら。
「じゃ僕は先に行かなきゃならないから、また後で」
お茶が運ばれてくるとエイトはそう言ってそそくさと部屋を出て行ってしまった。仕方なく私
はお茶を飲んだり−すごくおいしいお茶だったわ−部屋の鏡でドレスを直したりしてたの。
そうこうしているうちに式の時間になった。私たち三人は連れ立って式場へ下りて行った。だ
けど隣でヤンガスとククールがやけににやにやしている。気持ち悪いんですけど。
「絶対何か企んでいるでしょ」
「何でもないって。オレはただエイトとミーティア姫様の幸せな結婚生活をだな…」
「ほっ、ほら着いたでがすよ」
…はぐらかされた?まあ後で追及してやるからいいわ。
式は玉座の間を設えて行われる。私たちも式場に入ったのでそれらしい神妙な顔つきになった。
もうすぐ式が始まる。旅で出会った懐かしい人々が座っている中、私たちも席に着いた。
※ ※ ※
式は無事終わり、二人が腕を組んで出て行った後、私たちも何となく外に出たの。そうしたら
噴水のところに並んで何か話していた。うん、やっぱりお似合いだわ、この二人って。
「あっ、みんな。今日は本当にありがとう」
私たちに気付いてエイトが手を振る。
「いい式だったわ。呼んでくれてどうもありがとう」
そう言うと二人は顔を見合わせちょっとだけ見詰め合った。
「違うよね」
「ええ、違うと思うわ」
「みんながいてくれたからいい式になったんだよ」
そう言うエイトの隣で姫様が頷く。いい雰囲気よね、やっぱりこうでなくっちゃ。
いつの間にか庭は式場から出て来た人たちで一杯になっていた。二人はまた何か話し込む。と、
私たちを含めた参列者に向かって呼び掛けた。
「本日は私たちのためにおいでくださいましてありがとうございました。
ささやかですが幸せのおすそ分けです」
「どうぞ独身の皆さん集まってください」
もしかしてブーケを投げて受け取った人が云々、っていうアレ?
「ほれ、ゼシカ、おぬしもおいで」
トロデ王が手招きしている。
「せっかくだし行って来たらどうだ?」
「そうでがす。ゼシカの姉ちゃんも楽しんでくるといいでがすよ」
ヤンガスとククールが私を前へと押しやる。
「ちょっと押さないでよ」
…もう!仕方ないわね。
メイドさん方や他の独身の方と混じって並ぶ。まあ周りの人たちに言われたってこともあった
し、こんなにたくさん人がいたんじゃまぐれでも来る訳ないしと思ったのよね。
「…」
ふとエイトと目が合った。エイトは私に向かってにこっとするとミーティア姫様に何事か囁く。
「…」
姫様も嬉しそうに頷いて何か答える。ふふーんだ、ここまでは届かないわよ。花束ですもの。
だけどブーケは真っ直ぐ私の元へて飛んできて手の中に納まった。
『次の幸せはゼシカさんに』
…最初から狙っていたのね。
「おっ、次はゼシカか。花婿にはこのオ」
「メラゾー…」
「わーっ、やめるでがす!」
「…やめた。素敵な式を台なしにしたくないわ」
うん、今日ぐらいは大目に見てあげる。いつか先のあたしの素敵な式を台なしにされたら困る
ものね。
「さあ、祝宴じゃ!トロデーン一の料理長が腕を奮ったご馳走じゃぞ」
あちらからトロデ王が私たちを呼んでいる。
(終)
乙です〜。
「シロツメクサの約束」は個人的にすごく好きでした。
たくさん使えば花束もかわいいかも試練。
乙です
125さんの小ネタといい今回のJSHQKXZ7pEさんのお話といい
メンバー皆で和気藹々しつつラブラブなお話は大好きだ〜
私はドラゴラム神の兵舎にてが好きだなー
成長につれて夢も進んでしまって罪悪感からつい姫の手をふりはらってしまうエイトとか
想像して更に萌えた。馬になって手をとれなくなって後悔するんだゥヘヘ
( ゚д゚)<ポカーン ドラゴラム神…?! 何の話かとおもたよ…orz
…萌えて下さってありがとう。ちょっとこの流れでは投下しにくい内容だけど、
ま、いっかー(・∀・;)
仲良しエイト&ミーティア第6弾です。
広間に音楽が鳴り響き、着飾った人々が踊ったり談笑したりしているのを、エイトは感慨深げに
眺めていた。
今日はミーティアの十七歳の誕生日。サザンビークの王子との結婚式の日取りも正式に決まり
そのお祝いも兼ねての盛大な祝宴が開かれている。数年前、自分には姫様のために何もして
あげることがないと嘆いていた、子供だった自分も、今日は大切な日に重要な場所での警護を
任されている。
集まった人々の中にあって一際目をひくミーティアの輝くような美しさに、エイトは目を
奪われずにはいられなかった。あの時は足を三度も踏まれたものだが、ミーティアの足運びは
格段に上手くなっていて、見るものを感嘆させている。
ミーティアと踊る機会は二度となかったしこれからもないだろう。
こんな風に踊っているミーティアをこの城で見るのも、最後になるだろう。
ミーティアは広間の隅に立っているまだ新顔の近衛兵に近づいた。
「エイト、それ着るの初めてね」数種類ある近衛兵の制服のうちでも、今日エイトが着ているのは
一番華やかなものだ。紅色の外衣に揃いの色の手袋と帽子の飾り。右手に槍を、左手には盾を
持つ。
「このような場所ですから」エイトは軽く会釈しながら、不謹慎にならない程度に笑みを作った。
「とっても素敵よ。よく似合っているわ」ミーティアは心から言った。
兵士になりたいと語った小さなエイトは、成長してその言葉通りに兵士となった。今では近衛兵
という職務を、立派に勤めている。背も伸びて、ミーティアの視線は少しだけ上を向く。剣も
槍も、城では右に出るものがいないと言われるほどの使い手になった。
周囲の目線が気になって、エイトは小声でミーティアに言った。
「皆様こちらを見ていらっしゃいますよ」
「平気よ。…ねぇ、これどうかしら」
エイトは、そう言って昔と変わらない仕草をしてみせるミーティアに、微笑みを送った。
「お似合いですよ。とってもお美しいです。諸侯の皆様の目も釘付けです。…あ、私もです」
ひそひそとそう言って、最後の言葉を冗談ぽく付け加えると、ミーティアの顔がほころんだ。
「ありがとう。…それじゃあね」
エイトは頷いて、ミーティアの後姿を見送った。
エイトとミーティアは、成長しても相変わらず仲良しなのだ。
ミーティアの結婚の日は確実に近付いてきていて、城ではそのための準備に余念がない。
そんなある日のこと、兵舎で非番の先輩兵士達がエイトを取り囲んで、街に連れ出そうとしている。
「お前が城に来てから、もう十年だ、な。エイト」
「そ、そうでしたっけ…」
「そうだ。つまりお前ももう十八歳だ。十八はもう立派な大人だ。言っている意味が分かるな?」
「いや、あんまり…」
「おれ達は考えた。お前ももう、女を知るべき年頃だ」
「……」
「そこでだ。小遣い程度のお前の安月給ではとても無理なので、おれ達が金を出し合って、
お前に素敵な夜を贈ることにした」
「ちょっと待って下さい」先輩兵士の言葉に、エイトはたじろいだ。
「いや、いや。遠慮するなって」
「遠慮とかじゃなくて…」
押し問答の末、兵士達は諦めて、エイトを残して酒場へと繰り出していった。
「はぁ…」参ったな。
エイトは花壇の縁に腰をかけて溜息をついた。自分が姫様のことを好きだということは、きっと
みんなには周知のことなのだろう。どうせ実らぬ恋心なのだから、早めに諦めた方がいいに
決まっている。酒を飲んでいい気分になるのも、時には必要かもしれない。お金を出して
女性に一夜を共にしてもらおうというのも、素晴らしい思いつきなのかもしれない。
それでもせめて結婚の日までは、ミーティアのことを思っていたいのだ。
花が咲き乱れているこの場所に静かに座っているほうが、今は心が安らぐ。
「エイト」
急に名前を呼ばれてびっくりした。ちょうどミーティアと一緒にここで遊んだ日々のことを
思い出していたところだったので。
「姫様」
エイトは立ち上がって、ミーティアを迎えた。ミーティアはエイトの隣に腰掛けた。
「今日は非番なのでしょう?皆さんと一緒に出掛けなかったの?」
非番の日の兵士達は、揃って街の酒場に繰り出すものと相場は決まっている。でもエイトは
酒も飲めないし、雰囲気にもなんとなくなじめないので、時々しか出掛けないのだ。
「ええ…」とくに今日は出掛けられない事情があった。ミーティアには口が裂けても言えない
ような事情が。
「…でもよかったわ。エイトに会えたもの」
「そうですね…」
ここでミーティアに会うのは久しぶりだ。
「…今日、結婚式で着る服のために寸法を測ってもらったの」
「そうなんですか」
「真っ白な生地で作るのよ」
「白ですか。きっとお似合いになるでしょうね」エイトは笑顔で言った。
黒い髪のミーティアには、白がよく似合う。それを身に着けた姿を、是非とも見たいものだと思った。
「エイトにも見て欲しいわ。…だけど、結婚式にはエイトの席は作れないって、お父様が…」
ミーティアは悲しげに言った。
「私の席など…、そのような無理をおっしゃらないで下さい」エイトは慌てた。
一介の兵士に過ぎない自分の席など、王族同士の結婚式で用意できるはずがないではないか。
「だって…。エイトはミーティアの一番の仲良しなのよ?エイトの席がないなんて…」
「…遠くで拝見させて戴きますよ」
「えっ…?」
「式が行われます大聖堂までの警護の一団に、私も加えていただけるかも知れないんです」
「本当?」
「ええ。…だから遠くで見ています」
「……」ミーティアは寂しげにこくりと頷いた。
「もう戻るわ…」
「お部屋までお送りしましょう」とエイトは立ち上がりかけたが、ミーティアは身振りで止めた。
「いいのよ。…今日は非番なのでしょう?」
そう言われて、どきっとした。そうだ。今は仕事中ではないんだから、本当はこんな風に会ったり
してはいけないのだ。
――子供の頃は仕事が終わってからしか遊べなかったのにな。
ミーティアが去ってから、エイトはもう一度腰掛けた。そして今までミーティアが座っていた
場所にそっと手を置いてみた。そこはミーティアの体温でぬくもり、まだ温かかった。
こんなことでもエイトには嬉しくて仕方がない。
エイトはミーティアのことを素晴らしい女性だと思った。仲良しといってもそれは子供の
頃の話なのに、今でも自分を仲良しとして大事に思ってくれる。きっとサザンビークの王子も、
ミーティアをすぐに愛すようになるだろう。そしてミーティアを大切にしてくれることだろう。
サヴェッラ大聖堂に本当に行くことが出来たら、どんなにいいだろうか。
その日自分は寂しくて泣いてしまうかも知れない。けれど、ミーティアの幸せを願う気持ちは
きっと誰にも負けない。だから遠くからでも、ミーティアの幸せそうな姿をひと目みたい。
その夜エイトは夢を見た。エイトが大聖堂の中で花嫁を待っていると、白い服を着たミーティア
が入ってくる。
指輪を交換して、くちづけを交わし、そんな風に結婚式を挙げて、皆に祝福される。
そして二人は初夜を迎えるのだ。有り得ない出来事で、エイトにはそれが夢であることは
すぐに分かった。全ては妄想の産物だ。花嫁の白い服がどんなものか知らないし、
初夜がどんなものかも知らない。
分かっているのだ。目が覚めたら憂鬱な後始末が待っているし、自己嫌悪の嵐に陥るのだ。
だがその夢は泣きたくなるほどに幸せな夢で、いつまでも見ていたいと願わずにはいられなかった。
浅い眠りの中、エイトは身を切られるような幸福に、全てを委ねるのだった。
(終わり)
高まる切なさ、エスカレートする下ネタ…。と、そんな感じであと2回です。
>高まる切なさ、エスカレートする下ネタ…
ワロタ。切ないのに下ネタw
後でこっそり洗濯しに行くエイトなんだろうなあ。
いい話なのにそればっかり気になるw
「花束の約束」読んで下さった方、どうもありがとうございました。
そう言えばシロツメクサの花言葉の一つは「約束」。
ちょっと思い出したので参考までに。
ホシュ
人少ななので話を振ってみる。
ここの住人的に好みの話っていうのは何系?
バカポー系や切ない系、子供時代ほのぼの系、生殺しちょいエロ系などいろいろあるけど。
自分は切ない系と子供時代ほのぼの系が好きだ。
>851
ノシ同じく。
でも切ない系が一番好きかな。
何系でもカモーンですがね(´∀`)
バカポー系が好きだな。あとちょいエロ系も。
誰か書いてくれ。
切なくてちょいえろいのがすきです
切ない系が好みだけど、最後はハッピーエンドじゃなきゃイヤだ
>>851 色んな系統があって結構オールマイティーだよねw
自分も切ない系が好きだけど、やっぱハッピーエンドが前提ですな。
でも、お互いに思いを隠してた分、結ばれたら今まで我慢してた反動でバカポー爆発!って感じになりそうでバカポーもいいですがね(*´д`)
なんか自治スレで一作品一スレ論議が起こってる
やだなあ…ノーマルだけならともかくヤオーイとか女体化とかとは一緒くたにされたくないよ
主姫でハアハアしたいのに横で「クク主萌え!」とか喚かれた日には…orz
たとえば公式カプが2組あった場合、立てられるスレッド数は2=2本なのか2+1=3本なのか。
どちらにしろ裏エンディングでの結婚は公式か否かという議論になりそうだ……。
避難所作ってそっちに移動すんのもいいかも
>859
なるだろうね…
その上トロデの台詞「二人で決めることじゃ」でまだ抜け道が有り得るのが匂わされてるし
だいたいすぐ上にあるようなブーケトスの話なんて主ゼシ派には辛いだろうし、
「ゼシカとはずっと一緒に旅して好きになったから」って結婚破棄される話なんて読んでしまったらもう立ち直れねえ
官スレはあくまで「エロ」だからいいんだが、ここは「萌え」だし他カプは読みたくない
エイトに会いたい。
だけどエイトには仕事がある。偶然会えてもほんの少しの間おしゃべりできるかできないかぐ
らい。それに最近避けられているような気がする。
どうして?私はせめて、前のようにお話しするだけでいいのに。
あるよく晴れた日の朝、私は意を決して兵舎へと向かった。最近エイトは兵士見習いとしてそ
こに移ったの。今までのように厨房の仕事も手伝ったりしてはいるけれど。
エイトは兵舎の隅で本を読んでいた。以前の私のようにできるだけさりげなくしているつもり
で近付いて話し掛けた。
「あのね、お願いがあるの。谷に近い木立の中で木いちごが赤くなっているんですって。ミー
ティアは摘みに行きたいのだけれど、一人でお城を離れてはいけないって言われているの。だ
から一緒に来てもらえないかしら?」
なるべく不自然にならないようにしたつもりだったけれど、こんなに動悸していては息も乱れ
てしまいそう。今の私、何か変な調子ではなかった?
「…はい」
エイトは渋々、といった感じで頷いた。よく考えたら今日はひさしぶりのお休みだったはず。
なのに私のせいで休みがなくなってしまって、そのせいかしら。
「では、上着を取ってきますので」
ぎこちないまま連れ立って城門を出て、谷の方─トラペッタの方─へ向かった。谷に程近い木
立の中で、木いちごは真っ赤に熟れていた。
「まあ、なんてたくさんあるのでしょう。きっとおいしい木いちごのソースができると思うわ」
嬉しくなって思わず手をたたく。きっとお父様も喜んでくださるはず。エイトとも、始めはぎ
こちなかったけれど徐々に昔のように会話が弾み出した。もう前のように「ミーティア」とは呼んでくれなかったけれど…
暖かい陽射しの中、私たちは夢中で木いちごを摘む。けれどもいつしか日は陰っていた。
さわ、と冷たい風が私の頬を撫でたと思ったら、谷底から霧が湧き上がり始める。はっと気付
いた時にはもう私たちは濃い霧の中に包まれてしまっていた。
「エイト、どこにいるの?」
すぐ側にいたはずのエイトの姿さえ見えない。不安になって呼びかける。
「ここにいます、姫様」
霧の中からエイトの手が差し出される。
「離れないようになさってください。迷ってしまったら大変です」
よかった、エイトの手よね。…エイトの手…握っていいかしら?触れても、いい?
「失礼いたします。どうぞこちらへ」
ためらっていたらその手が伸びてきて掴まれた。しっかりとした、温かい手。一生懸命働いて、
武芸の稽古で肉刺(まめ)ができている、懐かしい手。このままずっと手を繋いでいたい…
霧の向こうにぼんやりとエイトの芥子色(からしいろ)の上着が透けて見えた。
「確かこの先に岩が突き出していて雨を防げるような場所があったので…」
はっきりとは見えなくてもその手と声に導かれ私は走る。
二人で岩棚の陰に駆け込んだ。
「この霧では動かない方がいいですね」
「ええ」
帰りたくても帰れない。霧の中、道に迷ったり崖から落ちてしまう人もいるって聞いたことが
ある。できるだけ動かないで霧が晴れるのを待つしかない。
だけどお願い、晴れないで。このまましばらくエイトと一緒にいたいから。
岩棚の陰にいるしこれで大丈夫、と思っていたのだけれどそれは甘かった。霧は容赦なく横か
らも入ってきて私たちを包む。エイトと一緒に外に出るから、と思って着てきた新しいドレスはあっという間に濡れて冷たくなってしまった。
「くっしゅん」
…我慢していたのに。どうして出てしまったの。
「あっ、気付かないで申し訳ございません」
エイトが慌てて何か探り始めた。かちゃかちゃと音がして一瞬何かためらった後、私の背中に温
かいものが掛けられる。
「火を起こす道具を持ってきていなかったので…失礼かとは思いますが僕の上着で辛抱してい
ただけますか」
「ありがとう」
上着を羽織ると残っていたエイトの温もりが身に優しかった。
「…温かい」
そうつぶやくとエイトはさっと頬を赤らめた。
「ごめんなさい、重くてごわごわしていてお嫌かとは思ったのですが…」
「ううん、そんなことないわ」
…言ってもいいかしら。言ってしまいたい。
「エイトの着ていたものですもの、ミーティアは嫌だなんて思わないわ」
一瞬、視線が絡み合う。その目の中に浮かんだ表情の意味を知りたいと思ったけれど、エイト
はうつむいてしまった。
「恐れ入ります」
そう答える語尾が震えていた。はっとしてエイトを見ると唇が蒼ざめている。濡れたシャツ一
枚になって寒い思いをしている。私のせいで!
「エイト」
思い切って近付く。つい最近までは何とも思わなかった距離、でも今となっては…
「ごめんなさい。ミーティアのせいで寒い思いをさせてしまって」
そう言って上着を返そうとしたのだけれど、押し止められてしまった。
「いけません、どうぞ着ていてください。僕は大丈夫です」
「でも…」
「本当に大丈夫ですから」
シャツの袖口からのぞく腕は鳥肌をたてている。このままではエイトが風邪をひいてしまう、
でもエイトは上着を受け取ってはくれない…
ふと、あることを思い付いた。私は思い切って
「一緒に入りましょう」
とすぐ隣に立って上着の半分をエイトに掛けた。
「姫様!」
エイトと一緒に入っているおかげでさっきよりもずっと温かい。
「一緒の方が温かいわ。お願い、エイトに寒い思いしてほしくないの」
「…」
背けられたエイトの横顔が複雑な表情を浮かべていた。ごめんなさい、エイト。でもあなたが
寒い思いをしているのに自分一人ぬくぬくとしていたくないの。どうかお願い、我慢して。
「…座りませんか。立っているよりはましだと思います」
「ええ」
二人並んで膝を抱えて座った。ああでも自分の心臓の音ってなんてうるさいの。エイトがすぐ
隣にいるのに、聞こえてしまいそう。
「寒くない?」
沈黙の重さに堪えかねて言わなくてもいいようなことを口にしてしまった。寒くない訳ないの
に。こんな中途半端な着方なんですもの。
「姫様こそ…僕が気を付けていなければならなかったのに寒い思いをさせてしまって申し訳ご
ざいません」
「いいの。ミーティアは平気よ」
そう答えながらつい身を震わせてしまった。地面が思っていたよりも冷たくてぞくぞくする。
霧はますます深く私たちを包み、濡れたドレスが冷たくて寒い。
「姫様」
「だ、大丈夫よ。心配しないで」
そう答えながらも震えは止まらない。ちょっとの間沈黙があって、何かためらった気配の後、
エイトの腕が私の肩に廻され、ぐいと引き寄せられる。勢い余って私はエイトの肩に頭を載せ
る形になってしまった。
「失礼かとは思うのですが…震えていらっしゃるし寒いよりはこの方がましかと…」
「あ…ありがとう…でも冷たくないかしら?」
「平気です」
そう言った後、やや間があって小さく付け加えられた。
「姫様のためならばいくらでも」
肩を寄せあっているうち、ふと気付いた。私のこめかみにエイトの口の端が触れている?それ
に気付いてしまったらもうそればかりに意識が行ってしまう。
このまま霧が晴れなければいいのに。ずっと…
けれども無情にも霧を透かして薄日が…
(終)
>>863 あ、本当だ、すげえ綺麗だ・・・(*´∀`)
真ん中の暗闇から顔が出てくるのかと思ってまともに見てなかったwww
キタ━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━!!
先生!萌えすぎて鼻水が止まりません!(*´Д`)ハァハァ
狭いところでお互いの顔が見えないっていいよね
ちょっと大胆になっちゃったりするんだ(*´Д`)ハァハァ
(*´Д`)ハァハァ(*´Д`)ハァハァ(*´Д`)ハァハァ
>869
あ、感想どもです。
…って鼻水大丈夫か?
萌えてもらったのは嬉しいけど鼻かみすぎて鼻血出すなよ。
こめかみに口の端が
こめかみに口の端が
こめかみに口の端が━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
(*´Д`)ハァハァハァハァ…
唇の端と肩から手にかけてに全神経を傾けているであろうエイトにまた萌え。
>871
アンタ興奮し過ぎw
とか言いつつ折れも(*´Д`)ハァハァ
エイトもきっと(*´Д`)ハァハァ
でもあまり(*´Д`)ハァハァだとばれるからジレンマだよきっとw
874 :
864:2005/05/26(木) 22:48:38 ID:kueEjs7b
少し上の方で色々意見が出ていたのに全然外れたネタですみません。
萌えていただけたのならば幸いです。
サスケの紫陽花の詩思い出した
あれは雨だけど
「よく来てくださいました、ミーティア嬉しいですわ」
そう言いながらも姫はまるで嬉しそうに見えない。
憂いに満ちたその様子にゼシカは問わずにいられなかった。
「ねえ、本当にいいの?今からでも結婚をやめられないかしら?」
ミーティア姫は力なく首を振った。
「仕方ありませんわ。結婚は王族の義務ですもの」
「でも、相手はあのチャゴスでしょ!いくらなんでもひどすぎるわ!」
つい声を荒げたゼシカを姫は悲しそうに見つめ返した。
「確かにチャゴス王子がせめてエイトの半分でも頭がよくて
剣の腕が立って優しくて人望があって礼儀正しくて
素敵な方ならと思いますけど……でも国同士の取り決めですものね?」
(……本当にどうにかならないものかしらこの二人……)
トリップつけてみました。
なんか上の方で切ないのがいいという意見が多めだったので
不本意な結婚の前の哀しい気持ちを……すみません、嘘です。
なんかむしろ「こんなミーティア姫は嫌だ」って感じでw
>876
切ない話なのかと思いきや、バカポー話ですかw
だんだん被害が広がってますなw
何はともあれ125氏GJ!
>>877 >こんなミーティア姫は嫌だ
最初、「?」と思ったけど、なるほど、バカポー話でしたかw
エイトバカなミーティア姫なんですねw GJです!
今度は姫バカなエイトも見てみたいですね〜(*´д`)
ついなんとなく切ないイメージを抱いてしまいがちだけど、
ミーティアが天然ぽいから、基本はバカポーなのかもしれない。
何かss投下の間隔が短すぎて申し訳ないんですが、おつまみ置いていきます。
「ひさしぶりね、お散歩に出かけるのって」
城の東翼二階のテラスに向かいながら隣のエイトに囁く。本当は内緒の真夜中の散歩、大きな声で話しては見つかってしまうから。
「だって黙認なんだって分かっているとスリルないし」
エイトはそんなことを言う。でも本当は嬉しくて仕方ないことを私は知っている。だって足が弾んでいるんですもの。
「うふふ」
「どうしたの」
「ううん、秘密」
言ってしまったら隠そうとしてしまうかも。だからこのことは言わないの。
「教えてよ。教えてくれないとキスするよ」
「あら、お父様」
「えっ」
私の言葉に慌てて辺りを見回す。
「…うふふ、誰もいないわ」
「ひどいよ!」
「しーっ」
つい声を高くするエイトの唇に人差し指を当てる。
「秘密のお散歩、でしょ」
ルーラで荒野の山小屋に飛んだ後、ゆるゆると丘を下り荒野へと歩を進めた。
「本当に不思議。この荒野が全部水の底だったなんて」
「うん、そうだね。あんなに高い山も水の底だったんだよね」
のんびり歩きながらそんな会話をする。旅の途中幾度となく不思議な出来事に出会ったけれど、ここでの出来事程心を揺さ振られたことはそうそうなかった。
「ミーティアのおかげだよ、あんな不思議な光景を見ることができたのは」
「そうかしら?」
ふと思い出したの。人の姿を奪われ話すこともできなかった私だったのに、あの時はハミングだけだったけれど歌うことができた。
「口を開けば嘶き(いななき)しか出なかったのに…あれもイシュマウリさんのおかげだったのかしら」
「僕も久しぶりにミーティアの歌声が聞けて懐かしくて嬉しくて…本当はちょっと泣けたんだ」
隣でエイトが恥ずかしそうに言う。
「ミーティアもね、少しは旅の役に立つことができて嬉しかったの」
エイトは何も言わなかったけれど私の手を強く握ってくれた。そのまま二人で荒野を歩いていく。
それがあった場所は砂が少しえぐれて、かつてここに古代の船があったことを指し示していた。
「あの時…歌とともに水が湧き出てあっという間に海になったんだよね」
二人で夜空を見上げる。あの時私たちの足元から水の記憶が湧き上がり、幾尋*もの深い海になった。魚が泳ぎ海藻がたなびいて、明らかに水の中にいるって感じているのに息苦しくなくて、形容し難い感覚だったの。
「あの船はいつからここにあったのかしら。イシュマウリさんの言っていた旧い世界って?」
「七人の賢者とレティスの頃かなあ?この船も彼らのものだったりして」
過ぎ去った過去に思いを馳せるうち、突然エイトが地面に寝転んだ。
「エイト?」
「星がきれいだなって思って」
「えっ?」
言われて改めて空を見上げる。水の記憶にばかり気を取られ星は意識していなかった。
「ミーティアも寝転んでみなよ…ってそのままじゃ嫌だよね」
そう言って起き上がると上着を脱いで地面に敷いた。
「足の方はみ出しちゃうけど」
「ううん、ありがとう」
エイトの心遣いに感謝しつつ地面に横たわる。と、腕が伸びてきて頭の下に滑り込んだ。
「そのままじゃ痛いでしょ」
「あ、ありがとう」
エイトの腕枕…確かに地面は硬くてごつごつしているけれどそんなに辛くはない。エイトのおかげね、ありがとう。
夜空を見上げる。星々が瞬いている様子を見ているうち、空へと落ち込んでいきそうな感覚に襲われた。もしかしたら私、本当は一人ぼっちでこのままどこかへ落ちていってしまうのかもしれない…
「エイト」
訳もなく隣のエイトの存在を確かめたくなってしまった。
「何?」
「キスしてもいい?」
エイトはびっくりしたようにちょっと目を見開いたけれど頷いてくれた。私は顔を横向けて唇を重ねる。
「初めてかも」
「えっ?」
唇を離した後、エイトが呟いた。
「『キスしてもいい?』って聞かれたの」
「そうだったかしら?」
「うん。…僕もキスしてもいい?」
返事の代わりに腕をエイトの首に廻し、目を閉じた。エイトの手が私の頬に触れ、唇が静かに重なる。
「ミーティア」
唇が離れて、夜の空気が冷たかった。エイトの唇が熱かったからかしら。
「怖がらないで。いつも、いつまでも側にいるから」
もう一度エイトの唇が重なる。頬に触れていた手が───
(終)
尋(ひろ):海の深さを測る古い単位。一尋は両手を広げた幅
砂場で青姦すると痛いぞ。
小説5主は避けれ。
乙です。
手が手が手が━━(゚∀゚)━━!?どうなのかと。なんなのかと!
ほんのり艶っぽいね。
感想どうもありがとうございました。
そういえば小説版DQ5読んでなかったな。そんなシーンあったんだ。
DQの小説はボクアリーナで止まってたよ。
本当は砂地は危険だと知ってはいたんですよね。
痛いばかりじゃなくて傷からばい菌入るし。
破傷風なんかなったら大変だ(ワクチンちゃんと受けた人はいいけど)。
最悪に苦しい氏に方らしいし。
…分かっていたのになんか筆が滑りました。
その後の展開は不明なのでどこか別の場所に移動したとでも思っていただければ。
手が──首に止まった蠅を叩いたという事なら無問題
>>882-884続き?
もう一度エイトの唇が重なる。頬に触れていた手が───あっ!
べしっ。
「いてっ」
「ご、ごめんなさい。エイトの頬に蚊が止まっていたの」
…なんちゃって。
くだらなくてスマソ。
こんな続きが期待されている訳ではないと分かってますがつい。
>「いてっ」
うう、かわいい。この一言で和みます。
…下ネタじゃ萌えられるわけないよね(つД`)・゚ …寒いよママン…
もうすぐ終わるから許してくださいね。
仲良しエイト&ミーティア第7弾です。
その時エイトは外で哨戒の任についていた。突然凄まじい衝撃が襲い、エイトは石の床に叩き
つけられ気を失った。そう長い時間が経ったわけでもないのに、目が醒めると城の様子は一変
していた。あちらこちらから巨大ないばらが突きだし、壁や床を破壊している。
王のいる居館の方へと走りながら人影をみつけて話しかけると、それはいばらだった。いや、
いばらと化した確かに城の人々であった。王の部屋に行ったが王の姿はない。それらしき
いばらもない。姫の部屋にも行ったが、姫の姿もない。絶望のあまり座り込もうとした時、
視界で動くものがあった。燭台の灯りは全て消え失せ、月の光だけがその緑色の魔物を
照らしている。手にしていた槍はとうに手元になく丸腰だったが、エイトは叫び声を上げ
お構いなしに魔物に掴みかかろうとした。
「エイトか」魔物は言葉を発した。
「……!?」
「わしじゃ。トロデじゃ」
「陛下!?」
「お前は無事じゃったのか」
「陛下も…」ご無事で、と言おうとして口篭った。
耳は尖り体は緑色で、どう見てもそれは魔物の姿であり、何かが王の身に起こったことは
確かなようなのだ。だがまじまじと見るとその魔物にはどこか王の面影があり、エイトは目の
前の魔物が王であることを信じざるを得なくなっていた。
「…姫様は…」
まさか姫もこんなお姿に。さっきとは違う絶望が支配しかけた時、王の後ろに静かに立っている
馬と目があった。その目にエイトは見覚えがあった。エイトは無言のままミーティアに近づき、
信じられない気持ちで目の前の馬を見上げた。
「そうじゃ、それがミーティアなんじゃ…」王の言葉にエイトは我に返った。
エイトは王に向き直り、一体何が起きたのでしょうか、と訊いた。
王はエイトに、杖の封印が解かれたこと、その邪悪な力により城が呪われてしまったことを
話した。そして呪いをかけたドルマゲスという道化師の行方を知るかもしれない人物が
トラペッタにいるというので、エイトは王と姫を連れてトラペッタへと旅立った。
旅の始めの頃、王はミーティアの結婚のことについてよく口にした。このままでは破談になって
しまうとそのことばかり気にしていた。結婚式を目前に控えた中での災厄だったので、エイトは
それも無理のないことだと思った。
旅の間、エイトは心を込めて二人の世話をした。食事の支度は言うに及ばず、ある時は身を
呈して魔物から守り、常に二人の盾となった。たった一人残された臣下の者として、出来る
限りのことを精一杯やろうと思った。
呪われたミーティアの姿は白馬の姿をしていて、それはそれは美しい馬であった。姿は馬と
なってしまってもミーティアが相変わらず美しい姿をしていることは、エイトにとっては
大きな慰めだった。ミーティアを目にした人々が、こぞって美しい馬だと口にするのが
何よりも嬉しく、エイトは時間をかけてミーティアの身を清め、髪を飾った。
旅を続けるうちに、仲間が増えた。彼らはそれぞれの事情からエイトに同行することになったが、
目指す目的は一つだった。戦いは激化していき、いつしか四人の間には何物にも代えがたい
絆が生まれた。そんな中でも、いつも変わらないエイトの王への忠誠を、他の三人は少し
不思議な気持ちで見ていたが、それでもそれを理解してくれ、エイトの気持ちを優先してくれた。
やがて、不思議な泉の力を借りて、ミーティアは人の姿を取り戻すことが出来るようになった。
久しぶりに目にするミーティアの姿にエイトの心は躍った。そしてそれがたとえかりそめの
ものであるとしても、エイトは足繁く泉へと通った。王も喜んでくれたし、人の姿に戻れて
ミーティアも嬉しそうだった。エイトとミーティアは三人の仲間の目にも仲良しに映った。
成り行きからサザンビーク王国と関わることになったが、本当のところをいうと、エイトは
チャゴス王子と出会って失望した。チャゴス王子の王と姫への振る舞いを思うと、きっと
破談になるだろうという気もした。だがサザンビークを離れてしばらくした後、王はエイトに
こんなことを言った。
「なかなか礼を言う機会がなかったが、チャゴス王子と一緒だった時、わしがトロデーンの
王であることを内緒にしてくれたこと、感謝しておるぞ」
王のその言葉を聞いてエイトは少し落胆した。そんなことで王から感謝されても嬉しくない。
王にはミーティアとチャゴス王子との結婚を破談にする気は、どうやらないらしい。
それでもそのことを気にしているような場合ではなかった。旅が進むにつれ、何度も絶望や
悲しみを味わった。目の前で人が殺され、その度に無力な自分を責めた。
それでも呪われた城と、王と姫を元に戻したい一心で、エイトは先へと歩みを進めた。
元に戻ったら、ミーティアはチャゴス王子と結婚してしまうのだと思いながら。
その旅も終わりに近付いた頃、エイトは自分の出生の秘密を知ることとなった。そのことは
ねずみのトーポに姿を変えていた母方の祖父であるグルーノが語ってくれた。生まれる前に
亡くなってしまったエイトの父親は、サザンビークのクラビウス王の兄なのだという。
エイトはそれを聞いた時、自分の両親が既に亡くなっていたことへの悲しみの感情と共に、
ひとつの希望が胸に沸いた。では自分にもミーティアと結婚する資格はあるのではないか。
チャゴス王子には王も腹を立てているだろうし、ミーティアだってよくは思っていないだろう。
王に言ってみたらどうだろうか。ミーティアと結婚するのは、チャゴス王子ではなく、
このエイトではだめでしょうか、と。今でなくてもいい。全てが終わった後でも…。
だが思ったよりも早く王はその事実を知った。その時王は驚きを隠さなかったものの、
冷静にこう言った。
「では世が世なら、エイトこそがミーティアの許婚だったということではないか。今と
なってはもはやどうすることもできぬ話だが、何という運命の皮肉じゃろうか…」
そしてひとしきり唸った後、「それにしても惜しいのう…」と付け加えた。
エイトは唖然とした。そして自分の思い違いに顔から火が出るような思いがした。
ミーティアの夫に必要なのは、血ではないのだ。サザンビークの王子という地位なのだ。
国と国が決めた結婚なのだから、いまさらどうしようもないのだ。
エイトは変なことを口走らなくてよかったと思った。そんなことでなじられでもしていたら、
深く傷ついて立ち直れなかっただろう。
――惜しい、か。チャゴスよりはおれの方がよかったとは、思ってくれてはいるんだな。
なんの慰めにもならなかったが、そう思おうとすることで少しは救われるような気がした。
苦難の道のりの末、エイトとヤンガス、ククール、ゼシカの四人は力を合わせてついに暗黒神
ラプソーンを倒し、旅は終わった。トロデーンは元通りになり、王と姫も元の姿を取り戻した。
城が元通りになったので、ミーティアの結婚の話も元のまま進み始めた。エイトの生活もまた
元に戻った。だが以前と違うこともあった。エイトの役職は上がり近衛隊長になったし、
子供扱いされてお小遣いみたいな額しか貰ってなかった給金は、やっと一人前貰える様になった。
先輩の兵士達に金を出し合ってもらったりしなくてもいい。
思いを通わせ合う人が現われたら、結婚だって出来るだろう。
ミーティアの結婚の日を間近に控えたある日、王はエイトを呼んだ。
「エイトよ、ミーティアの結婚式に警護の隊長として同行してもらうことは聞いておるな」
「は。伺っております」
「言っておくが、お前の席はないぞ」
「…承知しております」
あんな風に旅立って長いこと寝食を共にしたけど、やっぱり結婚式には呼んでもらえないんだ。
「なんじゃその顔は。不満があるなら申してみよ」
「ふ、不満など…」エイトはうろたえた。
「大役を仰せつかり、光栄に思っております」
「ラプソーンを倒したお前が、何の大役じゃ。白々しい」
「……」
それを見ていた大臣は思わず王に呼びかけた。
「陛下…?」
王の前で小さくなっているのは城を救った英雄で、エイトのことは王も気に入っていたではないか。
城に来た頃は拾われてきた仔犬のようだった彼が、王の望み通りの頼れる忠臣に育ったというのに、
何か気に入らないことでもあったのだろうか。
「下がってよい」
「は…」エイトはそのまま下がった。
大臣は恐る恐る王に尋ねた。「エイトが何か」
「エルトリオ殿の息子なのだそうじゃ」王は嘆息した。
「は?誰がでございますか?」
「エイトがじゃ」
「それは…、惜しゅうございましたな」
「お主もそう思うか」
そう言ってもう一度溜め息をつく王の顔があまりにも情けない顔をしているので、大臣は
王の苛立ちの原因をやっと察することが出来たのだった。
エイトにはその日、もう一つ訪ねなければならない部屋があった。
扉をコンコンと叩くと侍女が出てきて、姫様は今着替え中です、という。それならとまた改めて
出直す旨を伝えていると、奥から「入ってもらって」というミーティアの声がした。
エイトが入ると、窓際にミーティアの姿があった。ミーティアは、結婚式で着るといっていた
あの真っ白い服を身に着けていた。黒い髪が白に映え、光を背にするその姿は声を失うほど
美しかった。エイトは呆気にとられて、その場に立ち尽くした。
ミーティアは少し暗い顔をしていたが、気を取り直したようにエイトに声をかけた。
「やっと出来上がったのよ。…どうかしら」
ああ、やっぱり聞くんだ。とエイトは思った。喉に何かものが詰まったような感じがしたが、
それでもいたって自然に誉め言葉は出てきてくれた。
「すごく似合っていますよ。…お美しいです。とても…」
「…ありがとう」
「…出発の日のことについてご説明に伺ったのですが、出直します」
エイトはきびすを返そうとしたが、ミーティアはそれをとめた。
「いいのよ、気にしないで」
おれは気にするんです、とも言えず、エイトは「では手短にお話します」と事務的に応えて
椅子に座って話を始めた。警護の一団にはヤンガス、ゼシカ、ククールも来てくれること、
そして自分が警護団の隊長であることを話すと、ミーティアは喜びの顔を見せた。
「みんなにもお祝いしてもらえるなんて嬉しいわ。それにエイトが見てくれているって思うと、
なんだか頑張れそうな気がします」
「……」
エイトは曖昧な笑みを浮かべた。警護の依頼を受けているだけで、三人の席は
用意されていない。自分の席もない。けれどもそれを今、口にすることはとても出来ない。
「…では、これで」と立ち上がると、ミーティアは悲しそうな顔をした。
「まだお茶も来ていないのに」
「汚したら大変ですよ。それにお疲れになるでしょう、それ」
「……」
「失礼します」
エイトはミーティアと少しだけ目を合わせて微笑んだ後、振り切るように部屋を出た。
部屋を出てから、ちょっと冷たかったな、とエイトは思った。姫は今でもおれのことを仲良し
の幼なじみだと思ってくれているから、仕事でというより部屋に遊びに来たように思ったかも
知れない。さっさと部屋を出てきてしまって、不自然に思っただろうか。
『どうかしら?』って?
…本当の気持ちを言ったら驚くだろうな。『似合っていますよ、美しいです、チャゴスが
妬ましくて気がふれそうです』きっと姫は思ってもみないだろう。目の前にいる幼なじみの
近衛兵に、想像の中で何度も抱かれ、夢の中で数え切れないほど汚されている、などとは。
エイトは自分の中にいつのまにか生まれている醜い思いが、嫌で嫌で仕方がなかった。
旅に出る前には、ミーティアの結婚式に自分の席がないことなど当然のように思っていたのに、
王にあんな風に言われると、今は寂しさが込み上げる。かといってミーティアの結婚を心から
祝えるのかというとそんなはずもなく、大恩ある王を恨み、クラビウスを呪い、チャゴスを
憎悪する気持ちがこれでもかと湧き出てくる。心の中でグルーノを罵倒し、自分という命が
芽生えたことすら知らずに死んでしまった父親のことも、生んですぐに命を落とした母親の
ことも、無責任じゃないかと非難がましい思いでなじった。
それでもいつも、人前では微笑を浮かべて気持ちを隠して、取り繕っているのだ。
チャゴスの祖父とミーティアの祖母はなぜあんな約束をしたのだろう。
チャゴスの祖父、自分にとっても祖父であるはずの人。彼のことも、憎くて憎くてしょうがない。
けれどエイトは、もしもその祖父が生きていたらと考えることがある。
そして心の中で、こんな風に彼に問いかけてみるのだ。
――おじいちゃん、なんて呼んでもいいのだろうか。おれはあなたの名前も知らないけど。
エルトリオのこと、ずっと待っていたんだよね。帰ってこなくて寂しかった?
あんまり帰ってこないから、もしかしたら怒って勘当してしまったのかもしれないね。
…死んじゃったんだ。あなたが亡くなる随分前に。
孫ってかわいいものなのだろうか。たった一人の孫だから、きっとあなたはチャゴスのことを
かわいがっていたんだろうね。あいつのことだから、我侭たくさん言って、あなたのことを
困らせたりしたんだろうな。
…もしもあなたが生きていて、エルトリオが子供を遺していたって知ったとしたら、果たして
あなたは喜んでくれたんだろうか。その子のことも、かわいいって思ってくれたのだろうか。
もしそうだとしたら、我侭を一つだけ、聞いて欲しかったよ。
おれじゃ駄目なのかな。あなたとミーティアのお祖母さんの約束を果たすのは、おれでは駄目?
…ミーティアと仲良しなんだ。ずっと好きだったんだ――。
(続く)
果たして仲良しのエイトとミーティアが迎える結末とは。
――次回、「結婚」!!
.。::+。゚:゜゚。・::。. .。::・。゚:゜゚。*::。.
.。:*:゚:。:+゚*:゚。:+。・::。゚+:。 。:*゚。::・。*:。゚:+゚*:。:゚:+:。.
.:・゚:。:*゚:+゚・。*:゚ ゚( ノA`)ノ゚ ゚:*。・゚+:゚*:。:゚・:.
。+゜:*゚ー゚:・。:+゜ = ( ┐ノ ゜+:。゜・:゜+:゜*。
.:*::+。゜・:+::* :。; / *::+:・゜。+::*:.
⌒::;;⌒⌒⌒;;::⌒⌒.:: :⌒;;⌒::.;;.⌒⌒/ /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄./ /::. :; ;⌒⌒:.:⌒:;⌒;;⌒⌒:.:⌒:;⌒;
::: ;;: :,;: ;;.. : :; ,::.; / /| ̄. ̄ー ̄. ̄/ /.., ,; .: ,,。, :: ;;: . :
::: :;.. .,;; ; : :::., / /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ /,,; ::: :; :;. ; : :::
ここのSS書きさんは悲恋モノや立場が許さないモノが好きじゃのぅ。
王道じゃもんのぅ。
>890
おっ、このスレ好物の切ない系が!
後一回でおしまいなのか〜寂しいような決着ついてうれしいような気持ちだよ。
最後まで頑張ってください。
>下ネタ
がイマイチだったのではなくていわゆる生理現象が人を選ぶのでは?
リアリティは必要だけどやっぱりファンタジーだし。
>>901 ありがとうございます(つД`)
やっとここまでこぎつけたぜ…!と内心拳が震えております。
うーん、そうですね。ちょっと行き過ぎた下ネタもありました。
全編通して、不快に思われた方いらっしゃったことでしょう。
申し訳なかったです。ここでお詫びしておきます。
そのあたりも含めて(!?)、最終回に続きます…。
いつの間にかレス数も900を超えましたね。
ここらでひとつ投げかけてみる。
「なあなあエイト。馬姫様って――」
「俺にそんな名前の知り合いはいない」
「…ミーティア姫ってさ、美人なのか?」
「うちの姫様はトロデーンの至宝と謳われている」
「っつーことは美人なんだな」
「――美人…」
「何だよ今の間は」
「いや別に」
「あのさ、自国の姫だからって無理しなくていいんだぜ。不細工なら不細工ってはっきり
言えよ。お前んとこの王様にしてアレだからな…まあ想像はつくが」
「誰が不細工だこのバカリスマ!そして、今何をどんな風に想像した!」
「うわっ、何だよいきなり!わかったわかった、オレが悪かったから、剣をしまえ!」
「それにしても、お前の女に対する基準が今イチよくわからんな。町でいい女を見ても
ナンパするでなし、バニー姿のゼシカが隣にいても無反応。男としてそれはどうよ?」
「お前と一緒にするな」
「そんなことだから彼女できないんだぞ」
「ほっとけ」
「ん?おい、まさかその年で好きな女すらいないっていうわけじゃないだろうな」
「――っう、うるさいなっ。ククールに関係ないだろ!」
「お、その反応。…いるんだな。そうか、いるのか。よしよし、百戦錬磨のこのオレ様が
必ずその女とくっつけてやるから安心しろ。で、どこの誰だ?」
「ああもう、なんでそんな話になるんだよ」
「そうだ。ミーティア姫の姿が実際にどうかって話だったな。えーと、試みに聞くけど、
ゼシカと姫様だったらどっちが美人だ?お前の基準でいいからさ、答えてみろよ」
「…ゼシカかなぁ」
「へえ、以外な答えだ。そんじゃ、アスカンタのシセル王妃とでは?」
「…シセル王妃」
「あの王妃様はヘタレ王にはもったいないほどの美女だったな。じゃあ次は…メイドの
キラとではどうだ?」
「うーん…………キラさん?」
「ちょっと葛藤したな。今度は変化をつけてみるか。女盗賊のゲルダとでは?」
「ゲルダさん」
「即答かよ。わかんねーな。ああそうだ。さっき会ったメダル王女とだったら?」
「んー。…メダル王女?」
「……(どんな姿してんだよ、トロデーンの至宝は)」
〜 ふしぎな泉に立ち寄った後 〜
「元に戻った姿を見てしまうと、いつもは馬だから気にもしなかった姫様を妙に意識
しちまうぜ」
「言っておくが、ククール。姫様の半径三メートル以内に近付いたら問答無用で斬り
つけるからな」
「誰が馬相手に――いやしかし、あの馬ヅラですら今のオレの瞳にはプリティーに
映ってしまう…」
「訂正。姫様の半径五メートル以内に近付くと、トーポによる炎の裁きを下す」
「そんなひどい。それよりお前、ミーティア姫があんなに可愛いだなんてひとっことも
言ってなかったじゃねーかよ!」
「訊かなかったじゃないか」
「訊いたぞ。確かあの時、お前はゼシカの方がミーティア姫より美人だって言ってた」
「それは――美人かと訊かれたから」
「あ!……そうか、質問の仕方が悪かったのか」
「姫様は誰よりも何よりも可愛い。世界で一番可愛い。たとえ今のお姿が馬であっても」
「そうだよな、どっちかっていうとお前の姫様は可愛いタイプだよな」
「ちなみに俺の好みのタイプは肉体派よりも清純派」
「納得」
アホな話ですんません。
こういうのはすぐに思いつくんだけどな。
シリアス話は無理だ…。
ちなみに後半のククールの台詞は仲間コマンドのものをいじってます。
フェチ!
>907
そうか?
◆nw3zSJjQag氏の泉の話は個人的イチ押しなんだが。
でも今回のギャグなネタも好きだ。
ワロスwww
姫バカなエイトいいねw
911 :
907:2005/05/30(月) 21:59:31 ID:CRmBY8zf
感想ありがとうございます。
> 個人的イチ押し
うひょー。マジっすか。
どちらかというと、アホな話の方が書きやすいんですけどね。
シリアス話は書けば書くほど長くなるばかりで…。
それはそうと、このネタって125氏の「小ネタ 3」とかぶってましたね。
ごめんなさいorz
そうそう泉の話ですよ!
視点がみーたん視点とエイト視点からそれぞれで書いてあって
それぞれ(つД`)セツネーッ って感じで大好きでした。
>911
>シリアス話は書けば書くほど長くなるばかりで…。
シリアス系は長くてなんぼでしょうw
三人称ならともかく、主姫一人ずつ一人称なんだし。
自分は長いとは思わなかったよ。
ドラゴラムも好きなんだけど敢えて泉の話イチ押しで。
馬のミーティアもかわいいよミーティア
DQ8絵板に可愛らしい主姫絵が!
916 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/01(水) 11:41:43 ID:EfA427ft
保守あげ。
その日の公務を終えたミーティア姫が自室へ戻るために廊下を歩いていると、行き会った
メイドが膝を曲げてお辞儀をした後、素敵な情報を教えてくれた。
「エイト隊長がお部屋に戻っておられますよ」
ミーティアは大きな瞳をまたたかせた。「――本当?」
夕食までにはまだしばらく時間がある。近衛隊長のエイトが仕事を終えるのは夜も更けて
からで、このような時間に自室へ戻ることは珍しかったのだ。
「はい、姫様。会議が早く終わったからだそうです。――ですから…ね?」
「ありがとう。すぐに行きますわ!」
ミーティアは喜びに顔を輝かせながら踵を返した。
近衛隊長の部屋へと小走りに急ぐミーティアを見送って、メイドはにっこり微笑んだ。
――なんて姫様は素直でお可愛らしいのかしら。
想い人と一緒にいられると知った時のあの嬉しそうな笑顔ときたら。見ているこちらまで
幸せな気分になれる。本当に――、
本当にチャゴス王子との婚姻が破談になって良かった良かった――とは、トロデーン城
に住む者全員にとっての正直な気持ちであった。
フレンドリーでアットホームなトロデーン王国。それ故、城の住人の連帯感も強い。
近頃の彼らの関心事は、自分の気持ちに素直な姫君とちょっぴりおとぼけな近衛隊長の
仲であり、そんな二人を城内一致団結して温かく見守っていたのだった。
――そう言えば今日はまだ一度もエイトの顔を見ていなかったわ。
まだ正式に婚約したわけではないが、ミーティアとエイトは国内公認の恋人同士。
けれど、一国の王女と最高位の武官の近衛隊長でもあるわけだから、同じ城で生活して
いてもお互いの公務や職務が忙しくて二人きりで過ごせる時間は少ない。
胸を高鳴らせながらミーティアが近衛隊長の部屋の扉をノックしようとした時、
「……姫様」と、遠慮がちな声がかけられた。振り向くと歩哨の若い兵士が拝礼した。
「隊長は陛下のお呼び出しがありまして――」
「それではお父様の執務室へ?」
「はい。たった今」
「……そうですか」
仕事なら仕方がない。…だけど、とミーティアは足を止める。
トロデ王は時々、退屈しのぎや執務の息抜きにとエイトを呼んで、旅の思い出話に
つき合わせることがあるのだった。
今、彼を呼び出したのもそのためだとしたら――ちょっと面白くない。
仕事なら仕方がない。だけど、ただ雑談がしたいだけなのだとしたら…。
――お父様からエイトを取り戻さなくちゃ。
ミーティアはくるりと向きを変えた。目指すは王の執務室。
「エイトならおらんぞ」
トロデ王はあっさりとそう言った。
「大臣が連れて行ってしもうた。わしはただちょっと息抜きしたかっただけなんじゃぞ」
「…それだからですわ」
父の言葉にミーティアは苦笑を返した。いつまでもエイトと話し込んでいては王の執務が
滞る。それを避けるために大臣は彼を連れ出したのだろう。
「ところで姫や。せっかく来たのじゃから、ちょっと話でもしていかんか?」
「お父様。その日の仕事はその日の内に済ませてしまいましょうね」
とっておきの愛らしい微笑みを父に投げかけてミーティアは王の執務室を出た。
あの大臣に捕まってしまったのなら仕方がない。今頃は王に回される陳情書のより分け
でもさせられているのだろうか。…気の毒なエイト。
ミーティアはため息をついた。――今日はもう会えないかもしれないわね。
しょんぼりと肩を落とした時、
「おお、姫様」
とことこと大臣がやって来た。そして彼女の前で一礼をする。
「――エイトなら会計係のところですぞ。請求書を回してもらおうと思いましてな」
請求書の受け渡しぐらいならすぐに済ませられるだろう。そう考えたミーティアは
近衛隊長の部屋へと戻る。自分のことに無頓着なエイトは部屋に鍵をかけることを
しない。彼が戻るまで部屋の中で待たせてもらおう。――エイトは驚くかしら。
わくわくしながら彼女が近衛隊長の部屋へ戻ると、
「――あれ?」と、先ほどの歩哨が目をぱちくりさせた。
「どうかしました?」
「あの…隊長ならたった今、姫様のお部屋へ行かれました」
ミーティアがきょとんとすると、歩哨はばつが悪そうに、すみません、と前置いて、
「姫様がお立ち寄りになられたことを私がお教えしたのです」
――エイトが待っていてくれる。
喜びに胸を弾ませながらミーティアは自室へと向かう。
廊下を見渡して誰もいないことを確認すると、彼女はドレスの裾をつまんで階段を一気に
駆け上った。三階にたどり着いたところで足を止め、呼吸を整えながら乱れた髪を手櫛で
梳く。裾を軽くはらうと、右足を軸にその場でくるりと回った。――これで完璧。
そうしてミーティアは慎み深い王女の表情を作って歩き出す。
「姫様?」
封印の間の前に立つ衛兵が彼女を見て目をぱちくりさせた。彼のこの反応は――。
「…まさかとは思いますが、エイトはどこかへ行ってしまったのですか?」
「はい姫様。隊長は兵舎に行かれました。たった今です」
どこで行き違ってしまったのだろう。少し迷った。もうこのまま自室に戻ってしまおうか。
――いいえ、ミーティアは諦めません。
心の中で拳を握る。こうなったらとことん追いかけよう。彼の顔をひと目見るまでは。
ミーティアが兵舎に立ち寄ることは今までにほとんどなかった。姫君が出向くような
場所ではないからだ。少し緊張しながら兵舎へ続く廊下を歩いていると、行き会った
兵士が彼女を見て目をぱちくりさせた後、慌てて礼をした。彼のこの反応は――。
「…もしかして、エイトは兵舎にいないのですか?」
「はい姫様。隊長は武器庫へ行かれました。たった今です」
ミーティアが武器庫に立ち寄ることは今までにまったくなかった。姫君が出向くような
場所ではないからだ。少しばかりの好奇心を抱いて武器庫へ向かうと、
「おお、姫様!」
武器や防具の制作を担当している鍛治屋の親父がちょこちょこと駆け寄ってきた。
「姫様、エイトの奴に錬金釜の使用許可を出さないようにしてもらえんでしょうか。
あいつはこのわしに、自分の作った武器の自慢をしよるんですよ」
――たとえ市販されていたとしても、貴重な道具を失うことになったとしても構わない。
このキングアックスはこの手で作り出した世界でひとつだけのキングアックスなんだから。
そう言って錬金釜から取り出した武器をうっとりと眺めるエイトの姿がミーティアの
脳裏に浮かんだ。
「…それで、エイトはどこにいるのでしょうか」
「あいつなら、ついさっき厨房へ行きましたわい」
料理長たちが夕食の支度に追われている傍ら、厨房のおかみさんは大いに不機嫌だった。
「ああ、姫様聞いて下さいよ。エイトったらこのあたしの目を盗んでつまみ食い
していった上に、あそこのタルまで割っちまったんですよ」
――旅から戻って何ヶ月も経つのに、まだタルやツボを見ると投げつけたくなるんだよね。
そう言って笑うエイトの顔がミーティアの脳裏にはっきりと浮かんだ。
「あの変な癖を早くどうにかするように姫様から言ってやって下さいな」
「…わかりました。あの、それでエイトはどこに?」
「確か、図書室へ行くようなことを言ってましたねえ」
図書室担当の文官は穏やかな笑顔で、
「エイト隊長なら先ほど、そちらの扉から外へ出て行きましたよ」
外へ出てはみたものの、そこからのエイトの足取りを見失ってしまい、ミーティアは
途方に暮れた。辺りを見回したが誰もいない。――どこへ行ったのかしら…。
ここからならどこへでも行ける。厩舎だろうか。庭園かもしれない。それともこのまま
突っ切って兵舎へ戻ったのか。――分からない。
一旦中へ戻ろう。そう考え直して二階のテラスへ上がる外階段を見上げた時、
――今まさにテラスの扉に手をかけようとする彼がいた。
「――エイトっ!」
「――はいっ!」
さすがは近衛隊長。突然の呼びかけにも機敏に振り向く。そして、
「あ。…姫」
下から見上げているミーティアを認め、階段を下りてこようとする。
「ダメっ!そのまま動かないで!」
エイトは「え?」と、一歩踏み出したままの中途半端な姿勢で固まった。
「ミーティアがそこに行くまで絶対に動いちゃ駄目よ!」
もう誰に見られたって構わない。ミーティアは慎み深い王女の態度をかなぐり捨て、
ドレスの裾を持ち上げるとテラスへの階段を駆け上った。
「…あの、もう動いてもよろしいでしょうか?」
ミーティアがエイトの元へ駆け寄ると、その勢いにひるんだ彼はおずおずと尋ねた。
「いいわ。…剣を外して」
息を整えながらミーティアがそう言うと、エイトはきょとんと小首をかしげたが、
何も問わず彼女の言葉に従って剣を剣帯ごと背中から外し、手すりに立てかけた。
「背中を向けて」
それにもエイトが黙って従うとミーティアは両腕を伸ばし――
「……姫?」
――彼の背中に抱きついた。
ミーティアはエイトの胸に腕を交差させて、彼の肩にこつんと額をくっつける。
――ああ、やっと捕まえた…。
ミーティアがほうっとため息をつくと同時にエイトがくす、と笑った。
「おめでとう」
彼はそう言ってミーティアの腕を優しくほどき――
「やっと追いついたね」
――振り向いて、彼女の華奢な身体をぎゅっと抱きしめた。
「……エイト」
「ん?」
「あなた、わざとミーティアから逃げていたのね?」
「うん」
ミーティアはエイトの胸に両手をついて少々乱暴にその身体を押し離した。
エイトは黒い瞳を茶目っ気たっぷりに輝かせながら微笑んでいる。
「どうしてミーティアのお部屋で待っていてくれなかったの?」
「いくら何でも勝手に中には入れないよ。かといって廊下で待つのも何だか間抜けだし。
仕方がないから見回りがてら城内をうろつこうと思ったんだ」
「その結果、見事に行き違ってしまったわ」
「そう思う?――兵舎に行く途中で君を見たよ」
「それなら見てないで呼んでくれればよかったのに」
「だって声をかけようとしたら、ものすごい勢いで階段を駆け上がっていくんだもの。
あのまま三階まで行ったんだろ。誰も見ていないと思って油断したね、おてんば姫様」
その時の状況を思い出したのだろう、エイトはくすくす笑いながら、
「で、ちょっと逃げてみようかなと思いました」
「…どうしてそうなるの」
「君が一生懸命追いかけてきてくれるのが嬉しかったから」
「意地悪」
ミーティアが上目遣いに軽く睨むとエイトはふわりと微笑み、
「ごめん」
と、わずか身をかがめて彼女の頬に軽く口づけをし、再びその身体を抱きしめた。
――ずるいわ、エイト。そんなことをされるともう何も言えなくなる。
ミーティアはエイトの背に腕をまわした。そのまま肩に顔を埋めると、彼の手が髪を
優しく撫でた。その感触が心地良くて瞳を閉じる。そしてぽつりと呟いた。
「……お馬さんでいた頃のことを思い出したわ」
エイトの手が止まった。
「旅している間は、馬車を引いてあなたの背中を追いかけてばかりだったから」
「…ごめん。辛いことを思い出させたね」
ミーティアが顔を上げるとエイトは反対に顔を伏せた。
「違うわ。責めているのではないの、懐かしくなったって言いたかったのよ。それに
あなたを追いかけてあちこち走り回るのは楽しかったわ」
確かに呪われた姿を悲しみはしたが、あの旅は自分にとって決して辛いだけのものでは
なかったのだから。
それでもまだエイトはしょんぼりとうなだれている。ミーティアは少しだけ踵を上げて
身を乗り出し、彼の頬に優しく唇を寄せた。
「――本当よ」
彼の顔を覗き込んでそう言うと、はにかんだ笑みが返ってきた。
いつの間にか日が沈み始めていた。
エイトは立てかけていた剣を取ると、剣帯を右肩から胸を斜めに横切らせるように
かけた。そして背中の剣を具合の良い位置に直しながら、思案顔で小首をかしげる。
「どうしたの?」
不思議そうに尋ねるミーティアへ彼は片手を差し伸べた。
「夕食までにはまだ少し時間があるよ。散歩でもしよう」
「ええ」
ミーティアは嬉しそうに微笑んで彼の手に自分の手を乗せた。これはお馴染みの仕草。
王女の共をするために従者はその手を支えるのみ。二人の手はただ重なるだけ。
けれど今の二人は王女でも近衛隊長でもないから――、
ミーティアはエイトの手の中に自分の指を滑り込ませ、そのまま彼の手を握った。
エイトも当たり前のように彼女の手を握り返してきた。
そして恋人達は仲良く手を繋いで歩き出す。
ミーティアの歩みに合わせてゆっくりと階段を下りながらエイトが言った。
「追いかけてもらうのもいいけど、やっぱりこんな風に一緒に歩く方がいいな」
「エイトったら、今頃気が付いたの?小さい頃はよく手を繋いだでしょう」
「あの頃はそれが当たり前だったから気付かなかったんだよ」
最後の段を下りたところで二人は足を止めた。エイトは握っているミーティアの手を
見下ろしながら、
「また君と手を繋げる日が来るなんて、ほんのひと月ほど前までは想像もつかなかった…」
ミーティアは小さく笑って、
「ミーティアの手を取ることができるのはあなただけよ。そして同じ道を一緒に歩いていくの」
「――それじゃあ、今日のところは庭園を目指そうか」
視線を交わし、幸せそうに微笑み合い、二人は再び手に手を取って歩き出した。
(終)
うはwwwwwwモエスwwwwうぇっうぇっ
ぅゎ 主姫 ヵゎぃぃ
あまりの萌えに更新ボタンを連打してしまった
鯖ごめんなさい
トロデーン城の見取り図、一切無視。
切ない話とアホ話を書いたので、次はほのぼの話にしようと思いました。
でも、ほのぼのの定義がよくわからん。
そして無駄に長くなってしまいました。
それでは名無しに戻ります。
ゼシカ×主人公の堂陣史の方が圧倒的に売れるんだから仕方ない
×5のペースで売れる
>――たとえ市販されていたとしても、貴重な道具を失うことになったとしても構わない。[
ここのところ爆笑してしまったw
も〜う、かわいいったらかわいい(;´Д`)
>そして無駄に長くなってしまいました。
当スレは長文推奨ですw
小ネタも好きだけどね。
疲れて帰ってきたけど926氏のおかげで萌えパワー補充完了しますた。GJ!
930 :
926:2005/06/03(金) 00:16:19 ID:fHZz9ACD
感想ありがとうございます。
萌えていただけたようでよかったよかった。
内容薄い上に長くて(どこで区切ればいいのかわからなくなった)、
受け入れてもらえるのかとドキドキものでした。
>>928 うちの近衛隊長はキングアックスを錬金したことについて微塵も
後悔しておりませんw
それではまた何か思いついたらひっそりこっそり置いていきます。
>>930 >うちの近衛隊長はキングアックスを錬金したことについて微塵も
後悔しておりませんw
もうこの部分だけでエイトたんに萌え萌えできます・゚・(ノ∀`)・゚・
早いものだ…このスレもはや930を超えたよ。
このまま無事完走できることを願いつつ、次スレはどうしよう。
わりとマターリだし980くらいで大丈夫かな。
テンプレもそのままで良さそうだし。
>933
いいとオモ
あ、余裕あったらお約束聞いてるAAの中に「オウマサンデモカワイイ」入れてみるとか。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃カップル萌えスレのお約束です
┃1.常時sage進行。この板は下からdat落ちすることはありません。
┃2.煽り・荒らしは放置。特に他カプ萌え派を装うヲチ厨に注意!
┃3.他スレで萌えキャラが貶されていても一切無視しましょう。
┃4.SS投稿するときはできるだけトリップをつけてください。
┃5.エロSSや画像をうpする時は注意書きをしてください。
┃ ∧ノ~ 21禁以上のエログロ汚物系はピンク鯖で投下してね。
┃ ミ| ・ \
┃ ミ| ... '_). /
┗ ミ| (| ゚ヮ゚ノ! / ━━━━━━━━━━━━━━━━━━
| (ノ 姫.|つ | オウマサンデモカワイイ
|~ ̄] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄\| ̄∧_∧ ∧ ∧
| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (゚\ 8 ) (゚ )
| | | =====⊂ ∞ヽ==⊂ ヽ======
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||──( ノ〜─( ノ〜─||
|| ┏━━━━━━━━┓ ||
ちょっと無理があるか。
おまけ
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ∧ノ~ ┃
┃ ミ| ・ \ ミーティア先生の言うことちゃんと聞いてくださいねv ┃
┃ ミ| ... '_). / ┃
┗ ミ| (| ゚ヮ゚ノ! / ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
| (ノ 姫.|つ | オウマサンデモヵヮィィョハァハァ
|~ ̄] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  ̄\| ̄∧_∧ ∧ ∧
| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| (`\主) (゚ 九 ) < 馬面さえプリティー
| | | =====⊂ ∞ヽ==⊂ |||ヽ======
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||──( ノ〜─( ノ〜─||
|| ┏━━━━━━━━┓ ||
楊や是も加えたかったけど
>937
乙。自分はいいと思うが、他の人はどうだろう。
私も>937のとおりでいいと思う。
ところでスレが埋まるまで雑談でも。
(ちょっと早いか…)
主姫好きなみなさんは通常ED派?真ED派?
私は断然通常ED!
幼馴染の兵士が姫とくっつくというシチュエーションに萌える。
すでにガイシュツな話題だったらごめん。
どっちも好きだけど真ED。
姫が逃げ出さないのは自分の口から辞退する旨を伝える為だったりすると嬉しい
実は925-936なんだが、8とバンダナの結び目がなんかしつこいので主のがいいかも
(顔は普通のままで)
まちがえた、935-936です。
まあ925も自分なのだが。
バンダナの結び目はそのままにしてほしいな。
>936の主にしてクックルはなしにするとか。
自分は真ED派。
いや、通常も好きではあるんだが、妄想をふくらませようとすると
山積する問題が見えてきてしまってなんかイマイチ。
みーたんが自発的に行動する、っていうのは好きなんだけど。
943 :
937:2005/06/05(日) 14:53:58 ID:Aw5vtGe4
>>942 人それぞれですね。僕は通常ED派。942さんとは逆に山積みの問題は、あれをこうして、
これはこうなってとか、妄想するのが楽しいんです。
ところで、980超えたところで新スレ立てればいいですか?
それから、スレタイは【主人公×ミーティアを応援してみるスレ part3】ということで
よろしいでしょうか。
>943
一回通常EDで書いてみようとしたんだよね。二人で駆け落ちしちゃう話。
だけどみーたんは家事っていうの多分ほとんどできないだろうし、
そうするとエイトの負担が大きくなってお互いぎくしゃくしちゃうんじゃないかなー、
でもそうするとHappyEndじゃないよな、と思ってしまいそのまま闇の彼方へ。
もはやファンタジーじゃないし、書いてるこっちも楽しくないから。
絡んでいるようで申し訳ない。
980くらいで丁度いいのでは。
スレタイもオケー。
通常EDが好きだな。
真EDでのケコーン式は嬉しかったけど、主人公の生い立ちは正直いらないっぽい。
おまけ扱いの隠しダンジョンで「実は王子様だったのです!」なーんて言われてもね。
主の父母のテンプレ悲恋があんまり好きでないからってのもある。
国を継ぐ身でありながら女追っかけて行方不明かよ、おめでたい奴(プとか思ってしまった。
父母は嫌いだが主姫は大好きなんだよな…なんでだろ。
確かにミーたんには庶民の暮らしってのは似合わないだろうが…
家事するエイトってのもいいじゃんv
それに通常EDでは駆け落ち以外結婚できないってわけでもないだろ?
エイトのために、必死で家事に取り組み、手にアカギレを作るミータンに
ハアハア。
みーたんは確かに風変わりなところはあるが、不器用という設定は無かったとオモ
やってみたら結構たくましく順応しそうな気がする。
うわっ萌えた!(*´Д`)
腕まくりするミーティア。
「ミーティアお魚さんをさばくの初めてですわ。でもエイトの為ですもの。――ごめんなさいお魚さん!」
身が少なくなる魚。。
「姫、無理なさらなくても、僕がやりますよ」
「だって、今後のこともありますもの。ミーティア頑張りますわ」
いちゃいちゃいちゃ…
夢の中でだけ、私は自由になれる。
この身にかかる呪いからも、「立場」というものからも。人目憚ることなく想う人とも話すこと
ができるの。
その夜の夢の中でも私は人の姿に戻り、見覚えのない場所を独り歩いていた。どことも知れな
い泉の畔(ほとり)、月の光をいっぱいに湛えた水のせいなのか、どこかから聞こえる楽の音
のせいなのか、普通ならば感じる、知らない場所に一人でいる不安も全くなくてただうっとり
と辺りの景色を楽しむ。
柔らかな草地を歩く感触にかつてを思い出しながら進むうち、扉を見つけた。どこに通じるで
もなく、空に向かって開くその扉が私を誘う。『さあ、開きなさい』と。
そっと手を伸ばして扉に触れた瞬間、私の身体は光に包まれた。
眩い(まばゆい)光が収まった時、私は今までとは違う場所にいることに気付いた。さっきよ
りもはっきりと聞こえる楽の音、なのにしんと静まり返っている空間。見上げる天空には夜毎
に姿を変える月の姿。
そして月が巡るその下に見覚えのある人影が竪琴を爪弾いていた。
「イシュマウリさん…?」
「これは流星の姫君、私の世界へようこそ。といっても月影の窓を開いた訳ではないようだな」
「はい、あの…」
「夢の中からお出でになられたか?呪いはまだ解けてはおられぬ様子」
「お分かりになるのですか?」
驚いて問い返す。私はまだ何も言ってはいないのに。
「あなたのその身に纏う衣がそのように語っている。ドルマゲスを倒したはずなのにどうして
呪いは解けないの、と」
そう、この人はあらゆる物から記憶を読み取るのだった。
「はい。せっかくエイトたちが必死になって倒してくれたのに私もお父様も呪いは解けなくて。
その上ゼシカさんまで」
「苦労なさっておいでだね」
「はい…あの、この呪いはもう」
と言いかけた時、その人は身ぶりで言葉を遮り、私の背後を差し示した。
「この場所で逢瀬のお約束でもしておられたか」
「えっ?」
振り返ると先程入ってきた扉が再び輝いていた。と、開いてエイトが姿を現す。
「ここは?」
不思議そうに辺りを見渡すうち、私と目が合う。一瞬、エイトの目が輝いたように見えた。
「お座りなさい、お客人方。ここは夢の中から通じる私の世界。人には本来通うことのできぬ
場所なれど、あなた方ならば喜んで迎えよう」
「あ、ありがとうございます」
ぺこり、と頭を下げるエイトにつられるように私も頭を下げた。そしてイシュマウリさんの指
し示す岩の上に二人並んで腰掛ける。夢の中、と分かっているけれど、エイトがこんなに近く
にいるなんて。
「先程姫君がこちらにお出でになり、呪いの解き方について答えようとしていたところだ」
エイトが俯く。その横顔が悲しそう。ごめんなさい、あなたは何も悪くないわ。必要以上に苦
労しているって知っているもの、誰もあなたを責めたりなんかしない。お願い、そんな顔しな
いで。
「なかなか難儀な旅のようだね」
「はい。あの後西の大陸に渡って、呪いが解けるという泉に行ったのですが…」
この人はもう分かっているだろうとは思ったけれど、手短に状況を話そうとした。でも「呪いが
解けた!」と思ったのにまた馬の姿に戻ってしまった時の落胆を思い出すとやっぱり辛い。
ドルマゲスを倒してもまだ呪いにかかっているという事実も手伝って俯いて涙を堪え(こらえ)
ているだけで精一杯だった。
「あの泉の力を借りても解けぬのならば、かなり強い呪いだな。古くからの聖なる力が溶け込
んでいる故、通常の穢れならば祓うことができるのだが…術者の力が大きいのだろう」
「はい、それに…」
「うむ、術をかけた本人を倒したはずなのに呪いはかかったまま、だな」
「何とか呪いを解く方法はないのですか?このままではあまりに…」
俯く私の手をエイトの手がそっと包みながら問いかけている。ゆ、夢の中なんですもの、いい
のよね?でも夢の中のはずなのにこんなにはっきりと温かなエイトの手の感触が分かるのはど
うしてなの?
「なくはない」
「それは?」
私もエイトも思わず身を乗り出して、声を揃えて問う。それに対して悲し気に微笑むと答えて
くれた。
「古来から、強い呪いを解く方法は三つしかない。一つ目は術者の『解けよ』という言葉。
二つ目は術者の命を断つこと。三つ目は…」
「三つ目は?」
ためらうイシュマウリさんをエイトは急かす。早く知りたい。けれども何だか嫌な予感がした。
「…呪いにかかっている者に対して真実の愛を捧げる者の命と引き換えに」
「具体的にどうすればいいのですか?」
はっと口を覆う私の隣でエイトがさらに身を乗り出す。
「実は姿を変える呪いがかかってる間は死ぬことができぬ。真の愛を捧げる者と死ぬことで呪
いを打ち破る、と言われている」
全ての呪いを打ち破ることができるのならば、私一人の命と引き換えでも構わない。でも…!
「では」
エイトが振り返った。静かな、でも熱い決意を含んだ視線が私の心を射る。
「駄目!」
「いいえ、ドルマゲスを倒したのに呪いが解けないのならば僕の…」
言わせまいとする私、言おうとするエイトの言葉がぶつかり合う。そこにイシュマウリさんの
言葉が静かに割り込んだ。
「だがその方法で呪いが解けたという話を聞いたことがない」
「えっ?」
「どういうことなんですか?」
月の人は竪琴を爪弾く。急いた心を静めるかのような優しい静かな音だった。
「なぜかは私も知らぬ。だが、人の心ほどうつろいやすいものはない。例え真実の愛だとその
時思っていてもいつかは色褪せて別のものに変わってしまう。それに…」
と、言葉を切ってエイトの方を見遣る。
「真実の愛だと思っているものが別のものであることも多いのだ」
エイトはなぜかはっとしたように頬を赤らめ、俯いた。
「忠誠心だけでは足りぬ。この世で最も強い男女の愛でなければ。
だが、これ程自分を見失わせるものはない。『強い』と『激しい』を混同していたり、『誰か
の為に死ぬ』という行為に酔っていることもある。
それでも断言できると言うのか?真実この者を愛していると」
エイトはしばらく拳を握り締め俯いていたけれど、ややあって静かに顔を上げた。その唇の上で
音にならない言葉が微かに震える。あの運命の夜、どうしても聞きたかった言葉が!
けれどもそれは音にはならず虚空へと消えていってしまった。
「そのような不確実な方法に頼らなくともあなた方ならば確実に呪いを解くことができるので
はないか、と思っている」
はっと振り返るとイシュマウリさんが話し始めていた。
「あれ程の海の記憶を蘇らせることができるあなた方ならば」
「でもヤツを…ドルマゲスを倒しても…」
「その者は術を行使しただけで、術をかけた者は別なのかもしれぬ。お仲間が杖を手にした後
行方不明になったそうだね」
「あっ」
そういえばお父様も言っていた。ドルマゲスを倒した後、国宝の杖を手にしたのはゼシカさん
で、その夜の宿でも様子が変だったと。
「その辺りに鍵となるものが隠されているのかもしれぬ。まずはお仲間を杖から解放してやら
ねば」
隣でエイトが力強く頷く。
そうよね、私一人の問題ではないのですもの。皆が納得できるようにしなければ…
不意に辺りの景色が揺らぎ始めた。
「おや、もはや夜明けのようだ。お二方、元の世界にお戻りなさい」
促されてごく自然に手を取り合い扉へ向かう。最後に振り返ると彼の人は竪琴を弾きながら私
たちを見送ってくれていた。
扉を開こうとして手を止め、エイトは私を振り返る。
「もうしばらく我慢してください。必ず呪いは解いて差し上げますから」
「ありがとう」
エイトは右手で扉に触れた。同時に私の頬に唇が寄せられ−−−
…目が覚めたの。
消えかけた焚火の燻る(くすぶる)臭い、その隣でお父様が伸びをなさっている。そこへ街か
ら三人が出て来てゼシカさんを追う旅が始まる。
いつものように先導しようと前へ出るエイトと一瞬目が合った。人よりも鋭くなった私の耳が
その時小さく発せられたエイトの呟きを捉らえる。
『必ず…』
…待っています、いつまでも。どこまででもいくわ、だってエイトと一緒なんですもの。
まずはゼシカさんを助けないと、ね。
(終)
「呪いの解き方」の元ネタはバレエ「白/鳥/の/湖」から。
リブルアーチ〜ライドンの塔近辺の話です。
いい話だと思う。イシュマウリも主姫SSには新鮮だし、存在感があってそれらしい。
題材の持ってきかたもいい。
ただそのスラッシュはちょっといただけない…。
主ゼシとチャゴ姫最悪
主姫嫌いものの当てつけにしか思えない
自分は主姫本命カプだけど主ゼシも嫌いじゃない。
ただ茶姫はほんとに最低だと思う。
ヤオイカプール成立のために姫が人身御供にされたような…
ふざけんなとかオモタ。
>956
なんか深い意味があるのかとググってしまった>スラッシュ
本当の意味での、だよね。
スラッシュもなんだが、罫線が半角だよ…今気付いたorz
すみません。
主ゼシはありなんじゃないかとは思う。主姫書いていながらこんなこと言うのはなんだけど。
人には好みってあるし。ゼシカ好きな主人公がいてもしかたない。巨乳だしw
自分では絶対書かんし絶対読みもしないが。
だけど茶姫って何さ。21禁ものですか、邪魔だからくっつけましたカプですか状態。
そこに萌えはあるのか、あるのはエロだけじゃないのか。
なんでこんなにむかつくのか考えたら、書き手か本気で萌えとるのか疑わしいからだと気付いたよ。
主人公別カプでもいいから姫を無理矢理誰かとくっつけんでもいいのに。
主姫・ククゼシは、両立でもいいですか?
>>959 そうなんだよねー。
本当に萌えてるのなら他人の萌えにケチつけるつもりはないけど…
茶姫書いてる奴って自萌えカプを成立させるための方便で
余り者同士をくっつけてみましたがどうですかー、みたいな。
そんなんならいっそスルーしてくれよ(つД`)
エロ目的でカプられるほうがまだマシとさえ思うよ。
>>960 両立も何も、主姫とククゼシは別物じゃん。
主姫好きが全員ククゼシ好きとは限らないし。
逆もまた然り。
漏れは主姫・主ゼシ、ハレーム派。
主中心に都合良く物事を考えてしまうな。
チャゴ姫はありえないけど(つーか存在することに驚いたよ自分は)、
他はまあ受け入れられるってとこかな。
基本的にキャラの扱いに愛があれば割と何でもOK。
それこそ別板向きであったとしてもw
そして自分的には主姫は別格。
萌えで話書きたくなったのは初めてだ。
いつもはカプ論はご法度なのに、今日は語られてますねぇ。
自分的にも主姫はもう別格の別格。
歴代DQでまず『萌える』という体験をしたのすらハジメテ。
なんでこんなことになっちゃったのやら…。
…ってな感じで呆然とする今日この頃でございます。ハイ。
>963-964
全くもって同意。
人生初萌えが主姫だよ。ss書いてみようと思ったのも主姫だけだし。
他カプは別にどうでもいいかな。書き手の萌えさえあれば。
嫌いなものは避けて通ればいいだけだし。
でも、余り物でくっつけましたー感が漂う茶姫とかクク姫とかは受け付けないな。
966 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/07(火) 03:21:40 ID:mVmJLOGS
嫌いなカプ吐き出しスレはここでつか?
そうだね。吐き出しはイクナイ。
好きなものについてだけ語ろうではないか。
個人的には主姫・ククゼシ・ヤンゲルということで、満足してます。
主姫・ヤンゲルはともかく、ククゼシはありえないな。
カプ論しつこい。主姫トークのみお願いします。