ここは住人の投票で決まったお題に沿ってFFDQのSS(二次創作小説)を書くスレ。
漫画サロン板にもある、誰でも参加型のSSスレッドです
毎週日曜日0時〜火曜日0時までお題投票。投票数の最も多かったものをお題とする。上位が同数の場合は
早く投票されたものを優先ですよ。
火曜日0時〜翌週の日曜日0時まで、お題に沿った作品募集。
一週間おきにお題が変わっていくわけ。
注意点
1,投票する時は必ずageてください。(sageの場合は無効票になります)
2..発表するSSは必ずお題に沿いつつ、FFDQを題材にしたもの。
3,作品を発表する職人は無用な混乱を避ける為にトリップをつけることを御勧めします。
4.ここは21禁板ではないので、あまりにもエログロ・下品の程度の大きいお題は無効。
こんなところに
>>1の通知表が!
┏━━┳━━┳━━┳━━┳━━┳━━┳━━┳━━┳━━┓
┃国語┃数学┃理科┃社会┃英語┃体育┃音楽┃人格┃2ch ┃
┣━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━╋━━┫
┃ 1 ┃ 1 ┃ 1 ┃ 1 ┃ 1 ┃ 1 ┃ 1 ┃ 1 ┃ 1 ┃
┗━━┻━━┻━━┻━━┻━━┻━━┻━━┻━━┻━━┛
ミチャダメー
(´フ`) (゚Д゚) ──
□ー =│ ──
ハ ┌┴┘<1
今日はもう月曜日なので、最初のお題決定の時間が少ないですが、
まあそれはナントカしてね
FFDQ板のSSスレ全部過疎状態なのに無理だろ…
まあ気が向いたら参加するよ
そして
>>1よ、こういう場合はまず君が何かお題を出すべきでは。
5 :
1:04/10/11 18:21:37 ID:funDn5Vu
今日覗いたらSS関連スレッドがほとんど落ちてて唖然としたので、FFDQ板復活のために
このスレを勢いで立てたんですよ。
>>4 確かに。基本はまず自分からですな。
ではお題投票
「ラスボス戦」
いかにもFFDQらしいお題かと。
ファンサイトでやってろ
7 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/11 20:13:44 ID:jZn7feMh
お題「レイプもの」
8 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/11 21:56:09 ID:jgBre02s
お題
「うまい店」
でひとつ
>>7 それでいこう。いや真面目に。
テーマだけじゃ別に必ずしもエロになるとはかぎらんだろーが。
最初のお題がエロっぽいものだと、せっかく興味持った人もエロスレとみなして逃走してしまうので、できれば万人が見て面白そうなやつを。
ということで
>>8に関連して、「食事の風景」でおね。
というかみんなバラバラで最終的にどれも一票しか入らないと、
自動的に
>>5に決定されるよね
12 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/11 22:23:02 ID:aP7CPwUl
お題
「グルメの旅」
色々旅してんだし、美味いもんいっぱい食ってんだろ
13 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/11 22:24:41 ID:ervSGpJM
よし自分も
お題
「割り勘」
14 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/11 22:35:53 ID:YYItZbAU
まあ、別に
>>7でもいいけどさ。
とりあえずお題
「魔法」
お題だけで1000まで行くスレはここですか?
お題「優しい魔物と経験値」
ラスボス戦…書ける時間があったらDQ2かFF2で投下するよ。
多分短いものになっちゃうと思うけど
今週の日曜までに提出すればいいんですね?
ちょうどスレが落ちちゃって復興の兆しが見えてないので参加させていただきます。
ファンサイトでやれよ
面白そう、自分も時間があったら参加させて頂こうと思います。
今週の日曜日か…。
21 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/14 22:33:31 ID:7IUkNOOv
すみません。やはり投稿作品の締め切りは月曜日の午前0時(日曜日24時)の方がよかったですね。
休日しかSSを書く時間が取れないという人もいると思いますし。
>>1を改正
毎週月曜日0時〜水曜日0時までお題投票。投票数の最も多かったものをお題とする。上位が同数の場合は
早く投票されたものを優先ですよ。
水曜日0時〜翌週の月曜日0時まで、お題に沿った作品募集。
としましょう。
それと、SSは
短篇・中篇・長篇、なんでも可です
>>18 落ち着いたらはぐりんも書いてくらさいマジでマジで
25 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/15 19:07:42 ID:lPcqsEfy
とりあえずコテハンは全員参加するように
ファンサイトでやれ
29 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/16 18:58:08 ID:opzBip2X
エロなしのほのぼのSSなんて投下しても、とりあえず誉めとけ〜みたいなカンジの感想ばっか集まるのがオチ
>>7なら俺がアリーナたちの3P書くけど。
>>29 エロならエロパロの官スレに書いてください。あっちずーっと日照りなんですから……。
別にノーマルありエロあり何でもありでいいだろ、規制なしで
32 :
30:04/10/16 22:33:47 ID:bggfBJV0
>>31 すみません。
>>30は、お題を変更してまでエロSSを書きたい方は、ここでなくエロパロに書いてくださいという意味でして。
エロは不可と書いたつもりでは決してありません。謝罪。
ギャグにしようかシリアスにしようかはたまたシモかってところでまだ悩んでる……間に合うのかな漏れ。
エロはpink鯖いってくれ。
「よくきた もょもとよ。 わしが おうのなかの おう りゅうおうだ。
わしは まっておった。 そなたのような わかものが あらわれることを・・・。
もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを もょもとに やろう。
どうじゃ? わしの みかたに なるか?」
「はい。」
「ほんとうだな?」
「はい。」
「では せかいの はんぶん やみのせかいを あたえよう! そして・・・
おまえの たびは おわった。 さあ ゆっくり やすむがよい! わあっはっはっはっ。」
一ヵ月後・・・
「よくきた もょもとよ。 わしが おうのなかの おう りゅうおうだ。
わしは まっておった。 そなたのような わかものが あらわれることを・・・。
もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを もょもとに やろう。
どうじゃ? わしの みかたに なるか?」
(眠っている隙に魔法の薬で実力を落とし、城の外に放り捨ててやった。怒りで頭も回るまい。)
「はい。」
(何!?)
「ほんとうだな?」
「はい。」
(おいおい・・・。)
「では せかいの はんぶん やみのせかいを あたえよう! そして・・・
おまえの たびは おわった。 さあ ゆっくり やすむがよい! わあっはっはっはっ。」
更に三ヵ月後・・・
(もう五回目だよ・・・。)
「よくきた もょもとよ。 わしが おうのなかの おう りゅうおうだ。
わしは まっておった。 そなたのような わかものが あらわれることを・・・。
もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを もょもとに やろう。
どうじゃ? わしの みかたに なるか?」
「はい。」
(学習の能力あんのかよ・・・)
「ほんとうだな?」
「はい。」
(ええーーー!!)
「では せかいの はんぶん やみのせかいを あたえよう! そして・・・
おまえの たびは おわった。 さあ ゆっくり やすむがよい! わあっはっはっはっ。」
そして一年後・・・
(もう三十回目だよ・・・。)
「よくきた もょもとよ。 わしが おうのなかの おう りゅうおうだ。
わしは まっておった。 そなたのような わかものが あらわれることを・・・。
もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを もょもとに やろう。
どうじゃ? わしの みかたに なるか?」
「はい。」
(日に日に来るペースが早くなってきやがる・・・)
「ほんとうだな?」
「はい。」
(そろそろお前倒したいんだけどなー・・・。)
「では せかいの はんぶん やみのせかいを あたえよう! そして・・・
おまえの たびは おわった。 さあ ゆっくり やすむがよい! わあっはっはっはっ。」
合計四十年後・・・
(もう二千回は越えてしまったのう・・・。)
「よ、よ〜くきたのう もょもとよ。 わしがのう おうのなかの おう りゅうおうじゃぁぁぁ。
わしは まっておったんじゃぁ。 そなたのような わか・・・ろうじんが あらわれることをのう・・・。
もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを もょもとに やろう。うん。
どうじゃ? わしの みかたに ならんか?」
「はい。」
(まさかおじいさんになるまで繰り返すことになろうとはのう・・・)
「ほんとうじゃな?」
「いいえ。」
(一体何のためにこいつと争うとるんじゃったかのう・・・)
「では せかいの はんぶん・・・え? いいえ!? おっおおお、おろかものめぇ!? おっおおおおもいしるが!?」
りゅうおうは おどろき とまどっている!
もょもとの こうげき!
りゅうおうのむねに ふかぶかと つるぎをつきさした。
かいしんのいちげき!
りゅうおうに 255の だめーじ
りゅうおうを たおした!
もょもとは りゅうおうを しらべた。
へんじがない。 ただの しかばねのようだ・・・。
もょもとは意気揚々とラダトーム城へ還って行った。
ラダトーム王「おお もょもと! すべては ふるい いいつたえの ままで あった!
すなわち そなたこそは ゆうしゃロトの ちをひくもの!
そなたこそ このせかいを おさめるに ふさわしい おかた なのじゃ!
わしに かわって このくにを おさめてくれるな?」
しかし もょもとは いいました。
「いいえ。 わたしの おさめる くにが あるなら それは わたしじしんで さがしたいのです。」
ラダトーム王「しかし そなたは もうとしじゃ。
あらたな くにをさがす じかんは あるまい。!
ながいねんげつをへて ローラとのあいだにも もう さんにんもの こどもが いるではないか!
わしに かわって このくにを おさめてくれるな?」
そして もょもとは いいました。
「わかりました。 そこまで おっしゃられるのならば このくにに とどまりたいと おもいます。」
ラダトーム王「おお。 あらたな おうの たんじょうじゃ。
しかし そなたは かしこい!
りちぎで おろかな りゅうおうは そなたと けっちゃくを つけるまで このくにを せめてこなかった。
そのうえ ぎゃくに うちとってまいるとは!」
ローラ姫「これからも いっしょに くらせるのですね。 うれしゅうございます。 ぽっ」
こうして、もょもとは王として幸せに暮らしたのでした。
めだたし。めでたし?
この物語の主人公たちはとうとう大魔王の前に辿り着いた。
長い道のりだった。
狭間の世界にたどり着くまでに犠牲となった仲間たち。
最後に体を張って前に進めさせてくれた善良なモンスターたち。
それぞれの思いを受けて主人公は幾度と無く死線を超えてきたのだ。
今居る仲間たちの思いも一緒だ。
全ては元凶である大魔王を倒すために!
「あれが大魔王か・・・。俺がみんなの仇を打ってやる!」
「あせっちゃだめですよ。しかし・・・大きい。」
「本当・・・本来の大きさの千倍はあるわ。」
大魔王は動き出した。
その動きは鈍いが一つ動くごとに地面が揺れる。
その大きさは山ほどあった。
「なんて迫力なんだ!」
「大魔王なんてものじゃないわ。王を越えている!」
大魔王は息を吸い込んで灼熱の炎を吐き出した。
「みんな。私の後ろへ。フバーハ。」
しかしその威力は通常のモンスターの比ではなく、先頭に立った女性は無残にもボロボロになって倒れてしまった。
「よくも・・・。よくもねえさんをーーー!!!」
一人の剣士がいきり立って切りかかる!
ぷちっ♪
なんとあっさりと潰されてしまった!
「テリィィィィィーーーー!」
しかしその剣士が弱かったわけではない。大魔王が強過ぎたのだ。
あの巨体に潰されてはたとえドラゴンであったとしても耐えられなかっただろう。
大魔王が体を振って体当たりを行った。
体当たりと言うよりは押しつぶしであった。
「みんな、今の内に逃げろーーー!一人でも逃げるんだーーー!」
「ハッサン!みんなを庇って!?」
一人の男が体を張って体当たりを止めるが数秒で潰されてしまった。
「もういやあああーーー。お家にかえしてーーー。世界なんてどうなってもいいからーーー!!!」
「泣いてる暇があったら逃げて!?・・・もう自分もお別れのようです。」
「足を痛めつけられてしまいました。ドランゴ君。この二人を連れて逃げてください。頼みましたよ・・・。」
「メガンテ!」
想像を絶する大爆発が大魔王を襲う。
しかし大魔王の巨体の前ではかすり傷に過ぎなかった。
主人公から見ればまるで悪夢のようだった。
そして・・・主人公は逃げる途中・・・一匹の魔物の死体を見つけてしまった。
ぺちゃんこにひしゃげているが・・・豪華な服装・・・残忍な顔・・・大魔王が持つといわれる二つの宝玉・・・明らかにあの男が本来の魔王であった。
「なんでこんなことに・・・。何であのモンスターが大魔王なのよ!」
バーバラが泣いている。
後ろでドランゴが倒れた。二人を庇って攻撃を受けたのだ・・・。
主人公はやるせない思いを隠せなかった。
本当に・・・なんでこんなことに!
・・・・・・・・・・・・・
ZZZ・・・ZZZ・・・
ZZZ・・・
・・・
「ゆめかあ・・・。」
一匹のモンスターが目を覚ました。
最近はこんな夢ばかり見ている。
ピーピーと鳴いている。
青い体を震わせて体を伸ばしている。
まだ眠いのか大きなあくびをして見せた。
おっと。どうやら勇者の卵が現れたようだ。
このモンスターは知っていた。
あの勇者の卵は最初こそ弱かったが、最近は強くなっているのだ。
逃げた方がいい。
幾人もの勇者の卵と戦ってきた経験がそういっている。
きっとあの勇者の卵もそろそろこの大陸を巣立つに違いない。
スライムは逃げ出した!
以上ニ作品です。
本当は終わりにENDかFINをつけたかったのですが、改行制限に引っかかったのでつけないことにしました。
分かれ目が分かりづらかったらすみません。
・勇者の計画
計画の意味は本来のエンドをしっていなければ分かりづらいかも・・・です。
・大魔王
dq6の設定が分からないと分けわかめかも知れません。
なんか分かりづらいのばかり書いてしまったような・・・。
もう一つバラモスの話も考えていたのですが、ラスボスじゃないかも・・・という考えと時間の関係で止めました。
最初の投稿に変則的な駄文を持ってきて申し訳ないです。
>>23 これから自治スレにスレ立て依頼してくる所存です。
勇者の〜面白かったよー。
でも、大魔王は6やってないからわからなかった。
44 :
43:04/10/17 20:06:24 ID:wgkYO7oN
勇者の〜を見て思いついたので、俺も書いてみるね〜。
45 :
43:04/10/17 20:07:31 ID:wgkYO7oN
「誰? ああ、勇者くんね。早かったじゃない。ようこそ」
竜王はソファーに座り、午後の紅茶(ロイヤル)を飲みながら勇者を出迎えた。
「大変じゃなかった? ちょっと迷宮複雑にしすぎてさぁ、俺もたまに迷っちゃうのよ」
午後の紅茶(ロイヤル)を机に置き、竜王は笑う。
「でさあ、君、有能だよね。俺の部下になんない? なってくれたら世界の半分をあげるよ」
手を組み沈黙する竜王。勇者はしばらく考え「はい」と答えた。
「マジで? でも賢明な選択だよ。レベル7の君が俺に勝てる筈ないもんな。
もう一度聞くけど、マジで俺の部下になるの? 期待するほど給料出ないかもよ?」
「はい」今度は即答。
「じゃあ君には闇の世界をあげるね。君の冒険は終了だよ。ゆっくり休んでね〜」
―――数週間後。
ベットで眠っていた勇者を、竜王が訪れた。
竜王は勇者に土下座して話し出す。
「な、なにとぞ、闇の世界を私にお返しくださりますよう・・・」
46 :
43:04/10/17 20:08:58 ID:wgkYO7oN
闇の逆は光。竜王が手に入れたのは光の世界。
人々はひたすら働いたが、休息の時間である夜がこない。
人々やモンスターたちの不満は爆発した。
竜王内閣の支持率は一桁にまで落ち、竜王打倒を叫ぶテロがあちこちで勃発した。
「どうか、どうか勇者様、お願いいたします・・・」
一方の闇の世界は御気楽なものだった。
好きなだけ寝て、気が向いたら夜のネオン咲き乱れる繁華街へ繰り出す。
働くこともない。光と闇は均等だから、給料も光の世界と同じだ。
「でもさあ、約束だから」
「そ、そんなこと言わないで・・・」
「じゃあ、もう一回世界を二人で分けようか。
今度の分け方は俺が考えるけど、いいかな?」
「・・・・・・」
竜王は考えた。地獄のような光の世界。
あんな無限地獄のリーダーでいるよりはマシだ。
「はい」
「本当に? いいの?」
「はい」
「じゃあ、俺は人間の世界を治めるよ。
あんたはモンスターの世界を治める。これでどう?」
「あんた、天才だよ!」
こうして世界は人間とモンスター、二つの世界に分割された。
二つの世界は異次元で隔てられたため、両勢力の衝突もない。
てか、始めからこーすりゃよかったな。竜王は思った。
後に大神官ハーゴンが両世界を融合させるまで、平和は数百年間続いたらしい。
〜 完 〜
47 :
43:04/10/17 20:10:08 ID:wgkYO7oN
お粗末様でした。それでは。
ワラタ
面白いですね。
自分のありふれた奴よりも全然いいと思います。
自分的には大魔王の方が好きなんで、ネタバレ可なら以下のスレの12番か6番のリンク先へ行って設定見てから再度読んでみてくださると助かります。
ドラクエ6のストーリーがよくわからない
http://game8.2ch.net/test/read.cgi/ff/1095358783/ ストーリーを説明する物がないか6関係のスレを探していたら発見しました。
100辺りまでしか読んでませんが良スレっぽいです。
というか急用が出来て自治スレに行ってませんでした。
やることあるんで依頼はまた後日になるかも。
49 :
43:04/10/17 23:58:20 ID:Xqbyhgux
ありがとう!理解できましたー!
でも設定読んでて6やりたくなってきちゃったよ。
締め切りは月曜0時でしたっけ?
他の新作カモン!
今回のお題では間に合わず無理だった…。でも楽しいな。
>>45-46 ワラタ。未プレイだけど元ネタの竜王はこの板で見たことが。
戦闘無しで知的に解決。というある意味RPGの新たな可能性を(ry。
>>34-37 賢さの種(なかったらゴメソ)使ったらこうなったんだろうか? 未プレイなのが
悔やまれるけれどワラタ。
…あ。これ読んでて自分も今FFTネタ思いついた。(微妙にラスボスじゃないが)
そんなわけで、出来れば書いてくれる人はタイトル脇か冒頭に出展作品を書いて
くれると未プレイ者に分かり易くていいんじゃないかな? と提案してみるテスト。
>>1さんがいらっしゃらないようなので勝手ながら仕切り厨をやらせていただきます。
-----------------------------------------------------------------------
>>21の改正ルール
毎週月曜日0時〜水曜日0時までお題投票。投票数の最も多かったものをお題とする。上位が同数の場合は
早く投票されたものを優先ですよ。
水曜日0時〜翌週の月曜日0時(日曜24時)まで、お題に沿った作品募集。
ということで先週のお題「ラスボス戦」しゅーりょー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
今回の投稿作品:
◆F/WveZadCUさん ドラクエ1「勇者の計画」
>>34-37 ◆F/WveZadCUさん ドラクエ6「大魔王」
>>38-41 43さん ドラクエ1「(天下二分の計(勝手に仮題))」
>>45-46 以上、ドラクエからの3作品でした。
次のお題を提案・投票される方、御二方への感想などもできれば同時に添えてください。
では、今週のお題の募集のお時間です!
-------------------------------------------------------------------------
漏れは、前回がラスボス戦ということで
お題「はじめてのたたかい」
で。ネタ的に意外と幅広いかと。
>>42 「勇者の計画」勇者らしからぬ遠大な計画な上、ちゃっかり円満な家庭を築いてるところに爆笑。ラダトーム王は何歳なんだろw
「大魔王」史上最強のラスボス相手に次々にあぼーんしていく仲間たちw 夢オチだけで終わらせずRPGの根幹をえぐってるのにもワラタ。
スレ違いですが、めぐれメタルの冒険の続きにも期待してます。
>>43 ネタももちろん、「午後の紅茶(ロイヤル)」とかの小技に禿ワラ。しかし2作品とも竜王ってずいぶん真面目で律儀な奴っすね。
52 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/18 00:55:01 ID:UyLsf/Yo
三つともイイヨーイイヨー。
>>48 >なおぶちスライムは常に弱いスライムの「もっと弱い奴が欲しい」という夢である。
これだけ張ればよかった気もしないでもない。
スライムの夢が「もっと弱い奴が欲しい」じゃなくて「もっとも強い奴になりたい」だったらこうなったってことですな。
>>50 同意。けど大魔王は最初は故意にどの作品かわからないようにしてあるんじゃないか。
最初か最後に書くという方がよさそう。
〆切のについて提案
水曜から月曜までが〆切と言うのは短いのでは?
水曜にお題が変わるのだから水曜までは別に締め切る必要は無いと思う。
お題「名物」
お題投票します
「悪意」
でひとつ
ああ…DQ2で書いてたのに間に合わなかった OTL
◆F/WveZadCUさん、43さんどちらも笑わしてもらいました。自分はギャグ書けないんで尊敬。
で、
>>51「はじめてのたたかい」に一票。
自分の〆切への提案がどう取られるかわかりませんが、個人的には拝見したいです。>間に合わなかった作品
まだ仕上がってないなら無理はして欲しくありませんが。
57 :
仕切厨:04/10/18 01:31:38 ID:HurPqO74
58 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/18 01:32:22 ID:EstbnXl4
>>54 お題投票はageじゃなかったっけ?
自分もネタ的に解釈が幅広く取れる
>>51の「はじめてのたたかい」
(全てひらがななのは意図するところなのでしょうか?)に一票。
59 :
54:04/10/18 01:34:53 ID:vG0fTDI/
すみませんです。ageてなかったですね。
というか私が
>>1ですね。
>>51さん、お手数かけました。是非今後、
>>1の代わりに進行役を努めてくださいw
いや、冗談なんですけど、ただ自分はお題の移り変わり等、節目節目の時に2ちゃんに来れるかどうかわから
ないので、そのときは本当にお願いしたいとも思ってるんです。
>.52
確かに次のお題募集の期間に、前のお題の作品を募集し続けても特に不都合はないですね。
それに改正しましょう。提案ありがとうございます。
三作品、読みました。
しかし最初からどれも変化球で来るとは! とても良かったです。
DQ6は好きだし、竜王と勇者の問答場面のネタは自分も書いてみたりしたことあって、やはり好きです。
それにしてもスライムの夢は本当に超重量級ですね。
さすがの竜王もよぼよぼの爺さんでは足腰が衰えていたんでしょうなw
そして夜は働かなくても給料もらえる勇者……くそ〜自分は夜中も働いてるぜぇw
なにはともあれ、このスレに乗ってくれた人がいてうれしい限りです。
60 :
54:04/10/18 01:38:56 ID:vG0fTDI/
>>57 色々ありがとうございます。
ageで投票するというルールも変えたほうがいいのかな、やっぱり
>>58 54は失敗しましたw
なので変えます
自分も今回は
「はじめてのたたかい」
に投票します
>>52 あ、そう言う意図があったんだ…>大魔王
お題に対する提案は、書く身としては自分も同意。投票は月曜〜水曜でも
いいんだけど、そこからアイディアと形にする作業を(日常の仕事とかと)
並行して、なおかつ多少なりとも他人様にお見せできるまでに推敲するに
は少し時間を頂きたいというのが遅筆な自分の感想。
シリーズ問わず同じお題で話が読めるというのは、大変興味深いのですし
欲を言えば参加させて頂きたいとも思います、お祭りみたいなノリでなんか
ワクワクします。
>>57 でもこの上2行の指摘も頷ける…。
追伸
このスレを最初の方から知らなかった人で、途中参加した人への配慮というか、
あとは
>>56の「無理して」の救済措置として、お題を定期的にまとめてみたりして
番号ふって整理しておくとかっていうのは如何でしょう?
各作品を投下される方には、テンプレとしてあらかじめ題番号記載して貰うように
すれば読む人も読みやすいかな? などと思ってみたり。
色々好き勝手言ってる上に連投スマソ。
63 :
仕切厨:04/10/18 02:18:59 ID:HurPqO74
>>54=59
すみません勝手なことをいたしまして……ヒラm(_ _)mアヤマリ
漏れも、今夜たまたま暇だっただけのSS好きなので……。
月曜と水曜用の〆切&募集告示のテンプレを作っておいたほうがいいかもしれませんね。
で、0時を過ぎ次第、いた人に貼っていただくと。2つ3つかぶろうとどうってことないでしょうしw
ageて有効投票というのは特に変えなくてもいいと思います。さりげない宣伝にもなりますし、下のほうでちまちまやってるとそのうち沈んでしまいそうで。
何より、お祭りっぽいふいんき(←わさと変換できない)のSSスレって楽しいじゃないですか。
そのうち参加される職人さんが増えたら「最萌え」というお題を出す、今からそんなことが楽しみだったりします。
>>58 意図といいますか……「はじめてのおつかい」をもじっただけっす。
>>61 欲なんて言わなくていいですから参加してくださいませ。
>>1さんでも職人さんでもない漏れが書くのもナンですが。
〆切について
再度自分でもうしわけねぇのですが、SSが書かれている間は書き込まないのは読み手のマナーですし、荒らし対策は後からハイパーリンクでまとめるで十分だと思うのです。
で危惧されていることも大切だと思うのですが執筆期間が長い方がより大事だと思います。
ageについては個人的にはどちらでもいいと思います。
基本はageでかといって忘れててsageていても数えると言う感じで。
ぬるぽスレと違ってageのいいところはあってもsageの悪いところはないですから。
というか仕切り屋さん改めてかなり乙です。
テンプレは
>>51の改変でいいと思います。
月曜でなく水曜にするならそれもまとめて最後に書けばいいかと。
で不定期的に過去作品のまとめを張る。
>月曜でなく水曜にするならそれもまとめて最後に書けばいいかと。
月曜でなく水曜にするならお題もまとめて最後に書けばいいかと。
訂正
はじめまして。締め切りを過ぎている上に、
お題に沿っているか疑問のネタですが、投下させてください。
『ジ・ラスト・カッティング』
もうすぐアリアハンが見えてくる。森を抜け、平原へと踏み出せば、
勇者アルス――彼の生まれ故郷が見えてくるはずだ。もはや憎むべき敵はいない。
すべてが終わったのだ。あとは平穏に暮らすこと、それが彼の唯一の望みだった。
突然近くの茂みから物音がして、アルスは息を呑んで王者の剣を構えた。
「誰だ!」
「わたし」緋色の髪に葉を絡ませながら這い出てきたのは、聖霊ルビスだった。
「なんだよ」
不満そうなアルスを気にも留めず、ルビスは服の汚れを掃っている。
「ちょっと相談したいんだけど……ゲームやってるのって普通だよね」
「(゚Д゚)ハァ? 意味わかんね」
「分かりやすくいえば、ヲタかどうかってこと」
「……よく分かんねーけど、普通なんじゃないの。ゲームやってる奴なんてたくさんいるし」
「だよね。……でもさ、この前電車乗ってたら、なんかゲームの音がするの。
それでよく聴いたら斬撃の音で、あっFFだ、って思っちゃったんだよね。
これってヤバくない? わたし『ヲタ』とか『マニア』とかウケ狙いで言うのは
大丈夫なんだけど、なんか本気にされるとねぇ。あっ、でもゲームやってます、
っていう匂いはちょっと残しておきたいなぁ。けっこう、こういう話題で相手と
親密になれたりするし……うわっ、お腹に剣が刺さって……お、の、れ……ウボァー」
拝啓おふくろ様
諸悪の根源は絶ちました。ただ女は信じることができません。もう少し同居させてください。
67 :
43:04/10/18 17:53:38 ID:TpkxjgIl
>>51 ナイスタイトル!いただきます。いいセンスしてますなぁ。
>>66 ルビスが壊れてていい感じですね。笑いました。
ただ、何故ルビスが諸悪の根源なのか理解できない・・・orz
自分もはじめてのたたかいに一票入れときます。
68 :
55:04/10/18 20:19:10 ID:byWpZv+5
>>56 自分の〆間に合わなかったやつは、終わりが見えてない状態で消してしまいました…。
構成をあまり考えずに一気に書いてから修正入れて完成、が自分の書き方なんで1度止めてしまうと続きはなかなか書けないんです…orz
面白そうなお題が出たら、また書いてみたいと思います。
>>66 勢いに圧倒されてしまいましたよ…wその勢い、大好きです。
69 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/18 20:27:36 ID:C2ynWk4l
お題age
真夜中の訪問者
で。
70 :
◆QWzUF/wj3. :04/10/18 21:47:32 ID:1OKsWhsC
お題投票します
「主役交代」
71 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/18 22:04:49 ID:JSgcmux8
お題age
「ビキニ仮面とテリー」
それにしてもここ面白いよね。
住人ひとりひとりが面白い話を持ってきて、みんなの前で発表するって場。
73 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/18 22:24:31 ID:k0cVWJ1Q
お題age
「かいふくやく」
読んでいただき、ありがとうございます!
>43
岩を運ぶのを諦めただけで『なまけもの』と認定するルビスが悪いんです!
>55
他の方のように落語のようなオチができませんので、勢いで。
面白そうなお題が多いので、とても選べません。水曜にどれが選ばれるのか、今から楽しみです。
次のお題でお二人の作品も読んでみたいなぁ、なんて。
(せかすようで、すみません)
>>68 がんばって次の機会に書いてください。
>>72 面白い話を持ってくるのは職人であって住民ではないわけだが(w
ネタを持ってくるのが住民。料理するのが職人。
一人一人って言葉は参加者全員が書かない限りは失礼に当たりそうだ。
書くの大変そうだよ。どのスレ見てても。
こういう祭りが面白いってのは同意。
次もたたかいというのはたたかい連続になるので投票「はじめての・・・」で止めてみる。
76 :
仕切厨:04/10/20 00:44:28 ID:ZlDka5oX
毎週月曜日0時〜水曜日0時(火曜24時)
『お題投票期間』
SSのタイトルを投票により決定する時間です。この期間で投票数の最も多かったものを「お題」とします。
「お題」を提案ならびに投票するときは必ずageてください。ageていないものは有効としません。
(上位が同数の場合は早く投票されたものを優先します) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
水曜日0時〜翌週の月曜日0時(日曜24時)
『SS投稿期間』
投票期間で決定した「お題」に沿ったSSを投稿する期間です。自由参加で人数等は一切問いません。
短編中編長編、ギャグほのぼのシリアスらぶらぶダーク、「お題」に沿っていればなんでもこいです。
一人一作といわず、二作三作、五作六作十作、どんどん投稿してください!
日曜日中に間に合わなかった場合でも、次のお題の決定すなわち水曜日0時(火曜24時)までならOK。初心者歓迎、遠慮せず投稿を!
-注意事項-
投稿する際にはトリップをつけること。(荒らし対策や投稿がかぶったときのため。トリップって何?という人は2ちゃんねるガイドなどを参照してください)
投稿する際はsageること。
元ネタのゲームタイトルを、前書きあるいは後書きのかたちでできれば明記すること。
※21禁以上(自己判断)のエロ・グロ作品は、エロパロ板等のFF・DQSSスレに投稿し、ここには報告だけをするようにしてください。
ということで、お題募集&前回のお題「ラスボス戦」の作品募集はしゅーりょー!!!!!!!
今週のお題は、投票数5票で
「はじめてのたたかい」
に決定しました。
それでは職人の方もそうでない方も、張り切って秋の夜長に(もちろん昼間にも)執筆をどうぞ!お待ちしております!
------------------------------------------------------------------------------------------------
テンプレ案。はしゃぎすぎですがお祭りスレなので大目に見てくださいw
※については勝手に加えました。21禁ネタだからと投稿を拒否するのはもったいないので、妥協案として。
最近この板の圧縮頻度が増しているので、24時間に1レスは気付いた人が書き込みするようにしてください(ageる必要はありません)。
仕切厨氏もトリップ付けた方がいいのではないかと言ってみる。
78 :
43:04/10/20 01:39:39 ID:Jppl+6tU
>仕切厨さん、乙でした!
>A.I.さん
そんな理由かいっ!てか、漏れはあれで必ず苦労人になる・・・orz
A.I.さんも是非書いてください!
乙彼さまー。
でもsageは有効になったんじゃないの?
あと投降の終わりにはageればいいのではないかと思った。書いてるときは別として。
訂正してみる。
80 :
テンプレ1:04/10/20 02:42:56 ID:rq/cyNuf
毎週月曜日0時〜水曜日0時(火曜24時)
『お題投票期間』
SSのタイトルを投票により決定する時間です。この期間で投票数の最も多かったものを「お題」とします。
「お題」を提案ならびに投票するときはage推奨です。sageでも構いませんが作品が多くの人の目に止まるようにageましょう。
(上位が同数の場合は早く投票されたものを優先します)
お題を提案・投票される方、前回作品への感想などもできれば同時に添えてください。
水曜日0時〜翌週の月曜日0時(日曜24時)
『SS投稿期間』
投票期間で決定した「お題」に沿ったSSを投稿する期間です。自由参加で人数等は一切問いません。
短編中編長編、ギャグほのぼのシリアスらぶらぶダーク、「お題」に沿っていればなんでもこいです。
一人一作といわず、二作三作、五作六作十作、どんどん投稿してください!
日曜日中に間に合わなかった場合でも、次のお題の決定すなわち水曜日0時(火曜24時)までならOK。初心者歓迎、遠慮せず投稿を!
-注意事項-
投稿する際にはトリップ推奨。(荒らし対策や投稿がかぶったときのため。トリップって何?という人は2ちゃんねるガイドなどを参照してください)
投稿中はsage。投稿の最後にageてください。
元ネタのゲームタイトルを、前書きあるいは後書きのかたちでできれば明記すること。
※21禁以上(自己判断)のエロ・グロ作品は、エロパロ板等のFF・DQSSスレに投稿し、ここには報告だけをするようにしてください。
ということで、お題募集&前回のお題「ラスボス戦」の作品募集はしゅーりょー!!!!!!!
前回の投稿作品:
◆F/WveZadCUさん ドラクエ「勇者の計画」
>>34-37 ◆F/WveZadCUさん ドラクエ「大魔王」
>>38-41 43さん ドラクエ「(天下二分の計(勝手に仮題))」
>>45-46 ◆FURH7vTTi.さん ドラクエ「ジ・ラスト・カッティング」
>>66 以上、ドラクエからの4作品でした。
81 :
テンプレ2:04/10/20 02:43:57 ID:rq/cyNuf
そして、
今週のお題は、投票数5票で
「はじめてのたたかい」
に決定しました。
それでは職人の方もそうでない方も、張り切って秋の夜長に(もちろん昼間にも)執筆をどうぞ!お待ちしております!
テンプレ2が短いなあ(w
試してなかったけどもしかしたら一つにまとめれるかも。
前回の投稿作品をまとめている際に書き手さんやAIさんの名前をトリップの前に入れてみたのですが、長さがバラバラで見栄えが良くないので元に戻しました。
またわざとタイトルを最後に持ってきた作品もあるという意見もあったので作品前の作品典はシリーズ名のみに絞りました。
前回は出展についてはっきりした決まりがありませんでしたが、次回からは最初か最後に作者さんが書かれると思うのでそれに任せればいいと思います。
あとはその時その時の勢いで訂正して使ってください。
もちろんこうすればもっと良くなると言うのがあれば訂正していただけると助かります。
ID変わってしまったのでトリップつけました。
>>79 投稿終了後のage……。性格上、自作投稿後にageるのはどうしてもためらわれる人もいると思います。
(いると思うというより漏れがそうなんです。感想クレクレとほのめかしてるようで。
もちろん欲しいは欲しいんですが、「どうだ漏れの作品は!」と言わんばかりにageることは、小心者の漏れにはやはり憚られてしまう。
それに、同じ理由で、投稿の最後にageるというルールを作ると、ageに抵抗のある投稿初心者には敬遠されるかもしれません。
実のところ、投稿後にageるという必要の意味がわからなかったりします。
……といっても、そんなのは漏れだけという話の可能性充分。漏れが書かなければ済むという話です)
お題投票で、ageかsageかで有効無効を区別しない場合、投票したつもりなのかただの一言雑談なのかが不明なレスが出てくると思います。
抵抗はあると思いますが、こちらのほうは「推奨」でなく、きっちりageたもののみを有効としたほうがいいのでは……と。
特殊カッコ(《》〔〕{})なんかでくくるというのも手。しかし文字化けする怖れがある……。
>>1さん並びに住民の皆様に検討をお願いします。
>>82 1レスには無理ですね。32行制限で。
ルールは>>.100あたりでまとめて、参照アンカーつけたほうが良かったですね。
>>76や
>>80-81を毎週2度も貼るとなると、SSスレでは貴重な容量を無駄に消費してしまうことになるので。
……以上、厨の分際でいろいろイチャモンつけてすみませんm(_ _)m
>>83 自分もそう思う。投稿時に無理にageる必要はないかと。
漏れも初心者なんで、ageにちょっと抵抗あるし。
あと、テンプレ2が短すぎるなら、次点以降のお題も載せてみてはどうでしょう。
捨てがたい面白いお題もあるかもしれないし。
うむそうですな。>投稿時に上げ
やはりそこは直しましょう。
ただ投票時のsage禁止はやはりいらないと思います。
大抵の人が「」で区切ったりお題とつけたりしてますし。
一行で単語が書いてあればそれをお題とみなすのは問題ないと思います。
どうしても制限を掛けるならばお題を言うときは事前にお題であることを示すとした方がわかりやすくていいのではないでしょうか。
その制限すら要らないと思いますが。
あと「」で区切れば文字化けはないと思いますよ。
寝れないので、ひとつ書いてみました。
またまたやっつけです。すみません・・・。
『性格は大事だよ(ドラクエV)』
城門に勇者がへばり付いていた。
「やだぁ〜行きたくない!」
「うっせえ! てめえ勇者だろ! 冒険出ろよ!」
「ママ〜助けてぇ〜〜!」
僧侶はカミソリを見ながら、何やらブツブツつぶやいている。
そして唐突に自分の手首をズパッ!
ああっ、ついにやりやがった!
「おい! 自分にホイミかけろ、ホイミ!」
「うふふふ、いいの、いいのよ。
どうせ世界は滅びるんですもの。うふ、うひひ」
薬草で応急措置をし、手首に包帯を巻いてやる。
あっちの方では魔法使いが、全裸で変なダンスを踊ってた。
あれは・・・見なかったことにしよう。
しかし、しかしだ!
何で俺はこんなパーティーに入っちまったんだ!?
戦士♂ LV1 やんきー
勇者♂ LV1 まざこん
僧侶♀ LV1 うつびょう
魔法使い♂ LV1 ぼけろうじん
勇者を引きずりながら外に出る。
さっそく魔物の群れが現れやがったぜ。
俺たちの初戦闘だな。腕が鳴る!
戦士の攻撃(バシュッ!)スライムに5のダメージ!
勇者は泣き出した!
僧侶は手首を切った!
魔法使いはナースコールを押した! しかし誰も来なかった!
お・ま・え・ら・なぁ〜〜〜!
頭の中でブチッと、何かが切れる音がして、俺の記憶が飛んだ。
気付くと、俺は血まみれの棍棒を手に、草原にたたずんでいた。
目の前には3つの死体。
俺の初戦闘は、こうして幕を閉じた・・・。
< 完 >
89 :
43 ◆/kp.R9.ULg :04/10/21 01:04:26 ID:Y0Mk6yLU
一応、今のとこ公式ルールみたいなんでageときます。
投稿のサンプル例にでもしてやってください。
それでは。
ついさっき、見知らぬ部屋で目覚めたばかりの私に、彼は捲し立てる様にこう
言った「逃げろ」と。
――なにが何だか分からない。どうして逃げなければならないの?
頭が痛かった。
彼の背後では激しくドアを叩く音がする。「娘を出せ!」と、声を荒げた男達
の怒声が室内にも響いてきた。
――私のこと?
戸惑う私の背を押し、男は裏口の扉の横に立った。
「ここは、ワシがくい止める」
そう言って、彼は私を部屋の外へと追い出した。
――おねがい待って。私は何に追われているの? なぜ追われているの?
今さっき目覚めて、自分の名前を思い出すことだけでも精一杯だった。ここが
どこなのかも、なぜここにいるのかも分からない。
気がつけば、私は追われていた。
橋を渡る最中に、追っ手に見つかった。彼らは口々に何かを叫んでいる。だけ
ど何と言っているのかは分からなかった。向けられた視線は、刃物のように鋭い。
そこに込められた敵意、それだけははっきりと分かった。
――逃げなければ。
訳が分からなかった、とにかく焦燥感に煽られるままに洞窟を走った。その後
を男達は執拗に追ってくる。
「帝国の魔導戦士」。追われている間、私は彼らからそう呼ばれていた。
――誰か教えて、私は誰? 何をしてきたの? どうして……
どうして追われなければならないの?
頭が痛かった。割れるように痛かった。歩くだけでもやっとなのに、それでも
ここで立ち止まるわけには行かない。逃げなければ捕まってしまう。
私はひとり、入り組んだ洞窟――ここが炭坑であるという事を知るのは、まだ
先の話だった――の中を走った。
ところが、私を追うのはあの男達だけではなかった。炭鉱内に生息するモンス
ターが行く手を阻む。
初めて遭遇するモンスターに驚くことよりも先に、私はナイフを振り下ろしていた。
手に持ったナイフが、こんなに重たい物だなんて知らなかった。
携えたそれを振り下ろし、敵を斬りつけた時に伝わって来る奇妙な感覚。
同時に目の前であがる断末魔を聞きながら、血飛沫を浴びながら。
「…………」
まるで他人事のようにその光景を眺めている自分がいる。
――私は今まで、ずっとこんな事を?
剣を伝って、地面に血が滴り落ちる。そのかすかな音までもが聞こえる程の静
寂が薄闇の炭坑内を支配していた。
声を荒く迫る追っ手の罵倒よりも、この静寂の方が恐かった。
モンスターに遭うと、その静寂から一時だけ解放された。けれどナイフを振り
下ろし断末魔を聞けば、また静寂がやって来る。
――自分の名前以外は何も思い出せないというのに、戦い方は知っているの。
その事実に思い至って、ぎくりと身を震わせた。
――私は……?
思考も足も、薄暗い洞窟の中を迷走した。
容赦ない追跡、次々に現れるモンスター。だけど誰も教えてはくれない。だから
逃げるしかなかった。戦うしかなかった。
名前以外は何も思い出せないと言うのに、とっさにその句が口をついて出た。
「ファイア!」
問いかけではなく、相手に向けた初めての言葉がそれだった。
途端に目の前の魔物達は炎に包まれ、断末魔をあげる間もなく息絶えた。その
光景を前にして、自分の口から出た言葉と、身からわき起こった力の存在に足が
竦んだ。
――私……は。
「いたぞ!」
見つかってしまった。逃げなければと走り出したが、うまく足が動かなかった。
そうこうしているうちに、数人の男達に取り囲まれてしまった。
「…………」
決して恐怖で身が強張っているのではない。手に持った刃を、あるいは口をつ
いて出てくる恐ろしい言葉を、彼らに向けまいと必死だった。
にじり寄って来る男達から逃げるように、少しずつ後ずさる。でもすぐに追い
詰められるのは分かっていた。
もう逃げ場はない。
――捕まるなら良い。
でもおねがい、それ以上近寄らないで。私が……私があなた達を……。
次の瞬間、目の前の男達は姿を消した。炭鉱内の薄闇が、完全な暗黒へと姿を
変えた。
全身を叩きつけられたような激痛に襲われる。目を開こうとしたが開かない。
ならばこのままでいい。このまま闇の中に消えてしまえるなら、それで……。
それで終わるのだから。
目の前に広がる闇の中で、声を聞いた。
聞き覚えのあるような声だった。
「そうだ! 全てを焼き払うのだ!」
「選ばれた者のみが使うことの出来る神聖な力だ……」
彼らの声を聞きながら、私は再び眠りに落ちた。
もう二度と目覚めなければいいと、願いながら。
その願いは阻まれ、やがて多くの仲間達と共に光の元へと歩み始める事を、
今の彼女は知る由もなかった。
−はじめてのたたかい<終>−
----------
※ 出典:FF6
設定:オープニングのヴァリガルマンダ戦以降〜ロック登場前でティナ視点。
お題:(自らの意志による)
「はじめてのたたかい」
楽しそうだったので参加させていただきました。
それにしちゃ、暗い話ですんません。拙文にお付き合い頂けた方ありがd。
(って、ここFFネタもOKでしたよね?)
>>87-88 ワロタ。魔法使いの変なダンスが、じつは相手のMPを奪う「ふしぎなダンス」(だっけ?)
だったら、こいつぁ大物になりますね!(変な感想でゴメソ)
それにしても、そもそも仲間集めが酒場だし変なヤツ多くても(ry。
>◆Lv.1/MrrYwさん
初めてのFF&直球話ですね。
うまい文章だし、面白かったです。続きが読みたいですね〜。
こちらの駄文にも感想ありがとうでした。
お題「はじめてのたたかい」に参加します。ドラクエ4です。
ちょっと読みにくいかもしれないけど、お許しを
この私トルネコは、コナンベリーの港で導かれしものたちの一員となり、その翌日いきなり戦力外通告を出され
て二軍行き。いったい私に何が不足しているのかと二昼夜ホフマンさんを問い詰めてみましたが、まるで
取り合ってもらえずマーニャさんから張り手をくらって馬車のなかでノックアウト。
目が覚めて気がつくと、新しく仲間になったライアンさんとブライさん、そしてミネアさんが私を取り囲んでいて
「同じく二軍です」
と、仲良くなりましょうの握手を求めてきたのでした。
まあ最初のうちは、狭い日陰のなかでがたごと揺られながら、のんびりお茶を飲みつつごろ寝の日々をつづけ
ていました。いつか運がむいてくる、その日が来るのを待ちながら。
しかし、次第に私は不安感にとらわれるようになっていきました。
他の二軍メンバーがときどき交代で戦闘に参加することがあっても、私にだけは声がかからないのです。
得意のダジャレや子守り歌、すなかけ遊びに口ふさぎと、多彩な特技をもっているのになぜか私は出番なし。
せめて雑業くらいはまかせてくれてもよさそうなのに、それすらやらせてくれません。
馬車引きにもつかってもらえず、このままでは自分はパトリシア以下だという想いが脳裏をかすめ、
もう故郷に帰ろうかなと弱気な心がもぞもぞ頭をもたげかけたその瞬間、稲妻のような衝撃が体じゅうを
駆け巡り、次のようなセリフが私の口から迸ったのです。
――まだ遅くはない、一念発起しデビュー戦を見事果たしてみせる
絶好の機会がおとずれました。
コーミズ西の洞窟で死霊の騎士の大群に襲われ、外のメンバーが全滅しそうになったのです。
私はチャンス到来だと思い、馬車から飛び出そうとしました。
いまこそ私の真の力をみんなに認めてもらうときなんだ、今を逃がしたら次は無い。
すると血まみれになりながら死に物狂いで剣を振っていた勇者さんが突然我にかえったようにふり返り、
「あなたは最終兵器だから」
と言って私を馬車のなかに押し戻したのです。
勇者さんが私にかまったのはそれきりで、すぐまた血みどろの戦闘に気をむけてしまいました。
ほんの数秒のできごとです。
しかし、私はその言葉にいたく感激しました。
やはりわかる人にはわかっていたのです。私が導かれしものたちの切り札であり、危機に瀕したときに発揮
される底力であって、誰からも期待され最後の望みをかけられる救世主であるということを。
私は今後決して勇者さんたちの戦闘に加わろうとは思いませんでした。
馬車の中で来る日も来る日も食っては寝るという生活を前以上に徹底してくり返し、体力を蓄えるように
なりました。。
雨の日も風の日も、岩石が飛んできても激しい炎が降りそそいでこようとも、たとえイオナズンの呪文がパー
ティを直撃しようとも、私は馬車のなかでじっと耐えていました。
道中とてもきな臭い感じがするので幌をあけて外の様子をうかがった日などは、傾斜のきつい山道でドラゴン
ライダーに襲われてボロボロに傷ついたライアンさんや、高熱のガスで焼かれたクリフトさんの亡骸といった
陰惨な光景が目を覆ったのですが、それでも私は耐え続け、いまだ馬車のそとは真空の宇宙に等しく熱を
帯びて星がうまれて蒸気が覆って空気が満ちるその日まで、籠のなかの毛布にくるまった鳥の雛のように
馬車に身を守られ、長い時を過ごしました。
そして舞台は決戦へ。その日私はいつものように馬車の中で昼寝をしていました。
やけに大きな物音で目を覚ましました。
かなり外は騒がしく、耳をすましているとミネアさんを呼ぶ叫び声が響いてきました。
血相を変えたミネアさんは飛び出していきます。私の次に馬車にいることが多かったミネアさん、尋常ならざる
面持ちで駆け出していくのを見たのは初めてです。
ミネアさんの走る足音だけが聞こえます。
先ほどとうって変わり、外は不気味なほど静まり返っていました。でも私はその雰囲気にのまれようとはせずに
意地でももう一度寝てやろうと思いました。
メガザル、というかけ声が聞こえました。
再び喧騒がもどってきて、私は完全に眠れなくなりました。
何かいつもと違う。そう思ったときには、第二の静寂に襲われていました。
凍てつく冷気と身を焦がしそうなほどの焦燥。これまでにない緊張、圧迫感。
私は確信しました。ついに戦いの時が来たのです。
私はそばに置いてあった破邪の剣を手にとりました。
幌をあけ寒さに身をやつし硬い岩盤のうえに降りたつと、目まいを覚えました。
とても奇妙な感じがしました。
体が思うように動かないのです。足をあげようにも重くすぐ息があがってしまい、その場にへたりこんでしまい
ました。
私は重大なあやまちに気がつきました。
あれだけ長い間力を蓄え続けた結果、私は動こうにも動けないウドの大木のような体つきになっていたのです。
きしむ足腰を無理やり立たせて目を見張るととてつもなく巨大なものが視界に飛びこんできました。
毒々しい緑色をした波打つ巨体は、牙と爪とぎょろりとした目玉の付随した怪物でした。
その傍らに体を折り曲げて地べたに這いつくばっている勇者さんがいました。勇者さんは寝転がって天を仰ぎ、
かすれた声を出しました。
「デスピサロ……」
勇者さんが血と同時に吐きだした言葉に、私は激しい戦慄をおぼえました。
魔王、この世でもっとも恐ろしく強大な力をもった悪の化身。
目の前にいたのはその魔王だったのです。
横に大きく裂けた魔王の口が真っ赤に燃えて、中から千年地の底で練られたマグマのような炎が噴き出しま
した。
私は姿勢を低くして魔王のふところに潜りこうもうとしました。
どうやら今日が記念すべきデビュー戦になるだろうと直感し、勇気ある行動をとるようにと私が身体に命じた
のです。その試みは失敗に終わりました。
私は小石につまづいて転んでしまったのです。前のめりに倒れてお腹を打ってしまった。とても痛い。
悔しい限りです。こんな大事な場面であからさまな間抜けを演じてしまったのですから。こんな体にしてしまった
自分自身を恨みます。
魔王の吐いた炎が頭上をかすめていくのを感じて、私は次の攻撃が吹雪であることを予感し、体がふるえ
ました。そして、握っていたはずの武器が手の中にないことにあらためて気がつきました。
顔をあげると破邪の剣が前方に飛んでいました。転んだ拍子に私の手をはなれた剣がデスピサロの顔面に
刺さったところでした。
会心の一撃です。
デスピサロは悲鳴をあげ、こまどり歩きを見せるやいなや、もつれた足を踏みはずして火口に落ちていきました
これが5章になってからはじめての戦いです。
はじめて戦いの舞台に立った私がやっつけたのは最後の敵、魔王でした。
最終兵器という言葉を私はその身をもって証明した、というわけです。
連日連夜の祝福の宴が済んだ翌日、私たちはマスタードラゴンによばれて天空城にむかいました。
マスタードラゴンは玉座の間で導かれしものたちと勇者を褒め称えました。
長い間戦いの連続を乗り越えた一人一人にねぎらいの言葉をかけ、大きな前足をさしだして握手をもとめます。
照れくさそうに竜の神様と握手をする導かれしものたちの皆さん。次々と一通りの順番が回り終わると
いよいよ私の番がやってきました。
マスタードラゴンは怪訝そうな顔つきをして、さしだした私の手をながめていました。
しばし無言の時間が流れました。
玉座に居合わせた衛兵たちがあわてて私の両隣を囲い、外に引きづり出されるかっこうで追い出された
のを最後にして、私のはじめての戦いの記録は幕を閉じます。
―終―
原淳の四コマを思い出した。
『お題投票期間』
毎週月曜日0時〜水曜日0時(火曜24時)
SSのタイトルを投票により決定する時間です。この期間で投票数の最も多かったものを「お題」とします。
上位が同数の場合は早く投票されたものを優先します。
-お題投票時の注意事項-
「お題」を提案ならびに投票するときはage推奨です。
(sageでも構いませんが、タイトルをカギカッコ「」でくくるなど、投票の意志がはっきりわかるようにしてください)
あまりにもエログロ・下品・誹謗中傷の程度が大きいお題は無効とします。
『SS投稿期間』
水曜日0時〜翌週の月曜日0時(日曜24時)
投票期間で決定した「お題」に沿ったSSを投稿する期間です。自由参加で人数等は一切問いません。
短編中編長編、ギャグほのぼのシリアスらぶらぶダーク、「お題」に沿っていればなんでもこいです。
一人一作といわず、二作三作、五作六作三十作、どんどん投稿してください!
日曜日中に間に合わなかった場合でも、次のお題の決定すなわち水曜日0時(火曜24時)までならOKです。
初心者歓迎。遠慮せず投稿を!
-SS投稿の注意事項-
投稿する際にはトリップ推奨。(荒らし対策や投稿がかぶったときのため)
(トリップって何?という人は2ちゃんねるガイドなどを参照してください)
投稿中はsageてください。
元ネタのゲームタイトルを、前書きあるいは後書きのかたちでできれば明記してください。
21禁以上(自己判断)のエロ・グロ作品は、エロパロ板等のFF・DQSSスレに投稿し、ここには報告だけをするようにしてください。
月曜日0時を過ぎましたので、
前回のお題「はじめてのたたかい」の作品募集はいったんしゅーりょー!!!!!!!
(ルールは
>>102を参照してください)
今回の投稿作品:
43 ◆/kp.R9.ULgさん DQ「性格は大事だよ」
>>87-88 ◆Lv.1/MrrYwさん FF「(自らの意志による)はじめてのたたかい」
>>90-93 ◆QWzUF/wj3.さん DQ「(孤独な最終兵器(勝手に仮題))」
>>96-99 以上、ドラクエから2作、FFから1作でした。
次のお題を提案・投票される方、御三方への感想などもできれば同時に添えてください。
では、今週も「お題」の募集のお時間です。
(ルールは
>>101を参照してください)
このテーマの作品が読みたい!このテーマがいい!と思った方、すぐに書き込みをどうぞ!!!!
104 :
K ◆6VG93XdSOM :04/10/25 01:24:10 ID:6owQ4Lmn
タイトルでなくていいのなら、「生命の価値」というテーマで何か読みたいです。
一票とうじてみよう
前回、提案したお題を採用していただいたので、今回は投票するほうにまわります。
>>89 初戦闘の相手は味方ですかい。でもルイーダさんに頼まれてもこんなパーティ嫌だ〜!特に僧侶w
>>94 わけのわからないまま逃げ、わけのわからないまま初戦闘に巻き込まれるティナたん(*´Д`)モエ・・・って萌えてどうする。
>>96 お約束なネタですがオチにワラタ。最終兵器、見ていたのは彼ばかりなり、哀れw
>>104 タイトル テーマ
そうでした。ここでの「お題」は題名でなく主題ですね。
>>101の「タイトル」は「テーマ」に修正。
-仕切厨議案-
短編はともかく、中長編となると、1週間では書き上げられない場合も出てくると思います。
そういう何週間前のお題の作品について、
ここで投稿OKにするか、別のSSスレ(
>>57など)に誘導するか、または避難所を作るか。
漏れとしてはここでもOKでいいと思うのですが、そうなると〆切の境界が薄れかねないので……。
皆様はどうでしょうか?
107 :
書き手 ◆F/WveZadCU :04/10/25 04:11:29 ID:c+gfMJJk
作者さん&◆qqd/ohs2N2さんおつかれさまです〜。
>>89 面白いですね。SFC版だと考えるならば種を与えた勇者のせいなのだろうか(w
>>94 FF6は好きでした。読んでいると10年ぶりくらいにやりたくなってきました。
やさしいティナというのがきちんと書かれていて細かいなと思いました。
>>96 最後のオチが実はよく分かりませんでした。
手に豆がないから働いてないとばれた・・・のでしょうか。
てっきりメガザルの腕輪役だと思ったので止めさしててびっくりしました。
>>106 むしろ長編を書く場合は毎回のテーマを含めなくてはならないとか!
流石に冗談ですがいずれやってみようかな。
私はOKでよいと思います。
その代わり一話目を次のテーマ決定までに投稿するという感じでどうでしょうか。
お題 秘密
108 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/25 15:15:41 ID:e0ITeIfv
おだい
かなしいときー
109 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/25 16:37:39 ID:VAkvhD3w
お題「ビアンカとの初夜」
110 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/25 16:41:12 ID:jYjzjZmG
お題「呪われた」
>>109 ビミョウなとこついたな(w
ワラタから一票いれてやる(w
112 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/25 18:28:59 ID:qxI8UVVd
お題「ロトの剣」
113 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/25 21:47:02 ID:ZWDkmQAc
あんまりにも登場作品が限定される様な固有名詞は避けて頂きたいんだが。ドラクエも全シリーズやってるって訳じゃないし
投票でお題決定ってルールならその週は仕方ないが、それなら最初から専用スレでやってほしい。
読みたいお題は自分も
「命の価値」
かな。長くてもいい。
テーマには固有名詞を入れないでください
これもテンプレに追加するべきかな
固有名詞にしてもある程度シリーズ出てる固有名詞もある。
極端に絞り込んだ固有名詞は作りにくいからスルーされる。
流れに任せるのがいいと思うが。
どちらかというとSSを書く分にはFF寄りですが、
>>109も「ビアンカ」としてもらえるなら
FF10で無理やり苦し紛れにネタ路線で参加するのも面白そうかな……とか。(w
ただ、あまりにもFF・ドラクエの一作品に限定されるお題だと、正直入りにくい面はあるよな。
せっかく
>>1の1行目で飛び入り参加歓迎な感じを醸し出しているのに。
ドラクエだけに、あるいはFFだけに限定するなら最初からスレを分けるべきだっただろうと
個人的には思う。もっとも、ここまでの流れを見ているとFFではスレ成り立たなさそうだけど(w。
>>116 作為的にこのスレを破綻させようとすれば、この方法での荒しが一番効果的だなとは
予想できるね。(だからこそ事前の予防措置を執ることが出来るって意味です)
>>114-117 難問ですね・・・。
シリーズやキャラクターにこだわらない抽象的なお題ばかりですと、職人さんは自由で書きやすいんですが、
読者が、こういうSSが読みたくて今回のお題に期待してたわけじゃないんだけどな・・・と思うかもしれない。
といって具体的なシリーズやキャラクターに限定すれば、それはやはりキャラ専用の萌えスレで・・・ってことになる。
流れに任せるとはいっても、新作が発売されればその新作の固有名詞ばかりが提案され続けるおそれもありますし。
お祭りスレですからそういう流れには本来乗って行ってほしいんですが、職人さんが新作プレイするとは限りませんから。
漏れとしては、固有名詞はお題からは外して、要望という形で「」の外に添付してもらうって形式がいいと思いますが、
それだと職人さんにプレッシャーを与えてしまうことになりかねません。
どうするのがいちばんいいのでしょうか。
>>116 その場合、「ある程度」をどの程度まで認めるかも難問です。「ロトの剣」ではDQのロト三部作プレイヤーに限定されてしまうので。
>>117 FFのSSスレは、エロパロにはたくさんありますが、この板は千一夜(と萌えスレ)だけでしょうか。
恋する小説スレもこの前落ちてしまいましたし。
だからこそ、FFの作家さんもこのスレで活躍していただきたいと個人的には思うのですが・・・。
119 :
116:04/10/26 00:55:59 ID:wDheug+H
>>118 勝手に考えてみたんだが、
日曜日0時〜火曜日0時で投票されたお題のうち、SS作者が好きな物を選ぶのはどうだろうか。
これなら問題のある物等は作者にスルーされるから大丈夫かと。
FF/DQでSSの場合、プレイしてない作品はわからないというのは絶対にある。
だから、SS作者には未プレイでも楽しめるSS作りをしてもらえれば・・・と思う。
>>119 > SS作者が好きな物を選ぶのはどうだろうか。
これには反対。同じお題で違う作品が出て来るところにこのスレの楽しさがあると思う。
> FF/DQでSSの場合、プレイしてない作品はわからないというのは絶対にある。
> だから、SS作者には未プレイでも楽しめるSS作りをしてもらえれば・・・と思う。
それは理想だけど、そこに捕われると書きにくくなるよね。だから気にせずに書いて
読んでわからないところは、読後に質問okってことで対応すればいいんじゃないのかな。
あまりに限定されるようなものは、SS作者が読みかえてもOKっていうのはどうかな。
例えば今回は「ロトの剣」が出てるけど、これを「パパスの剣」とか「ラグナロク」とすれば
それぞれのシリーズにあわせて書けるよね?
もっと単純なのは、「剣」ってテーマにしちゃうってことかと思うけれど。
>>106 中長篇になるのであれば、千一夜スレの利用を推奨したい。あれは過疎って保守ばかりに
なっても困るスレだと思うので。一話めをこっちに書いてそれから移動でもいいし、最初から
あっちに全部書いて、こっちにURLだけ貼るのも可くらいでどうでしょう。
ということで、お題は「剣」で。
「初めての戦い」は、特にティナの作品が心に残りました。
未プレイなんだけど、すごく情景が思い浮かぶし、作者の方は
きっとティナのことが好きなんだろうなあーと思った。
そういう作品が自分も書きたいと思いました。キャラへの
愛が、読者にも伝わるような、ね。
122 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/26 13:15:26 ID:L3n4z8uF
お題age
「宿屋」
ちなみにお題については
>>120に同意。同じテーマでFFDQの作品が読めるのがこのスレの味でワクワクの源だし。
作品限定するテーマ出すのも、書き側が各々にテーマ選んじゃうのも、なんかワクワクしない。
123 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/26 13:22:42 ID:eyZ7uBCY
そんなにがちがちに決めなくても適当にすりゃいいと思うけどね
まあでもたしかに固有名詞が入ると書く方はけっこうしんどいかもしれない(フェイントにも限りがあるし)
今からじゃなんかもう決定してそうだけど、せっかくだから
>>122の宿屋にいれとく。FFDQ関係ないし。
124 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/26 21:40:43 ID:RrbXeEhy
どんな話が出てくるか興味があるので
「生命の価値」
に一票
火曜日24時を過ぎたので勝手ながら集計しましたー。
「生命の価値」
>>104,113,114,124
「秘密」
>>107 「かなしいときー」
>>108 「ビアンカとの初夜」
>>109,111
「呪われた」
>>110 「ロトの剣」「剣」
>>112,121
「宿屋」>122,123
ということで、今回のお題は「生命の価値」となりました。
いろいろとアイディアが出てきてるけど仕切厨さんにその辺のまとめは
お任せして、ひとまずSS書いてみようと思います。
ところで、このスレにはトーナメント経験者はいないのかな?
こういう投票の際のとりまとめには<<>>で投票内容を括るというトーナメント式が
やっぱりわかりやすいと思ったのですが、どうでしょう。「」て普通の文章でも使う
からちょっとわかりにくいのと、お題提案者が増えて来ると、括られてないのも
拾いにくくなるので、今のうちにちゃんと統一しておいた方が楽かと思いますー。
今回の13票も、見落としがないかどうか確認に少し時間かかってしまったので。
トナメは何百票もあるからスクリプトを使うためにくくったんであって、
この程度のレス数で、しかも具体的な票数よりも一番多いことをたしかめればいいだけなんだから、
形式化する必要性はないと思われ
アゲッ
作業をする人からすれば「 」や<< >>でくくってあげるのは親切だと思う。
今後規模が大きくなる・ならないによらず、現時点でそれを見越しての提案としては
いいんじゃないかな?
たしかに縛りが多くなりすぎると手軽さってのがなくなってしまう懸念はあるけれど。
これはそれぞれの気遣いの範囲かなと思う。読みたいお題を投票するんだから集計人のことも少しは考慮するだろうし。
実際集計する人からの改善要望があるなら、自分は従うよ。
(現に仕切厨氏不在の今回は有志の方が集計してそう感じて意見出して
くれたわけだしね)
そもそも集計する必要がない。
トーナメントじゃないから。一番多いのがなんとなくでもわかりゃいい。
どうせ大した手間じゃないからやってもいいけどさ。
でもそうしなければ無効とかいうのはやめろよ。
「生命の価値」になったのか
たのしみにまってます。
>>125 集計&募集貼付、乙です。
以前も書きましたが、漏れも常に深夜ここにいるわけではない(なるべく来るようにするつもりですが)ので、
0時過ぎたのに気付いた方に貼付をお願いします。
・中長編作品の締め切り後の投稿について。
折々のお題を盛り込んだ「続きもの」の中長編についてはこのスレで連載投稿OK(でも正直無理だと思います……)、
一つのお題による中長編は千一夜スレに貼っていただきこのスレに報告してもらう、ということではいかがでしょうか?
・お題と固有名詞について。
「ここは、ある特定のキャラクターやシリーズについてのSSを依頼するスレではありません。
申し訳ありませんが、キャラやシリーズ限定のSS依頼は、各萌えスレや一般の小説スレ(
>>57など)でお願いします」
という文章を前置きとして加えるというのはどうでしょうか?
・「お題」を複数にするかについて。
もともと同じお題で違う話を書く&読むスレですから、「お題」は現状の1つのままにしておきましょう。
>>119さんの要望は、「今までのお題」や「今回の募集期間で出たお題のうち1つ」はたまた「(ご自由に!)」というお題提案をしていただければかなえられるかと。
前の2つは、お題募集期間が2日間なので、タイミングが非常に難しいのですが。
・投票形式の規格化について。
2日間ですから、集計で困るほど投票レスが集まる事態はそうそう起きないと思います。
ただ、統一してもらうと確かに楽です。<<>>ならば「<<」で抽出できますから。
有効投票数が30を超えてくるようなら考えましょう!と夢をみてみる。
こういう飛び入り参加SSスレで大切なのは、スレに常に誰かがいるという安定度と、
「このお題が一番多かったみたいだけど、もう投稿期間になったけど、書いていいのかなあ?」
という余計な不安を抱かせないことだと思います。
窮屈とはいえある程度形式に則っていたほうが、ルールを守っているのだから大丈夫だという安心感が、参加者とくに初心者の人にありますし。
あとは進行役がしっかりしていることですが、それについては何ともw
ケフカの牙城たる瓦礫の塔へ向かう一行はこの日、竜の首コロシアムへ立ち
寄っていた。
「店では売ってない貴重品を効率的に入手するにはうってつけなんだ!」
という、もはやトレジャーハンターなのか単なるアイテム収集家なのか分からな
くなりつつあるロックの強い要望によりこの地へ赴いた彼らは、受付カウンター
でかつての宿敵・オルトロスと対面した後、闘技会への参加手続きを済ませると
控えの間へと通された。
「オルトロスもずいぶんマジメになったんだな」
メンバーの中では一番長い付き合いになるロックがしみじみと呟く。思い返せば
レテ川に始まり、オペラ劇場、大三角島、魔大陸上空……と意味もなく彼らの行く
先々に現れ、結局4度にも渡る戦闘を経たことで、なぜだか奇妙な親近感が沸い
ていたりする(もっとも、それは彼だけに限った話だが)。当時は小憎たらしいタコ
野郎だと思ったが、こうしてみると中々に愛くるしい姿をしている。
大崩壊を経て、この辺境の地にあるコロシアムの受付でその姿を見つけ思わず
「生きてたんだな!」と満面の笑みで彼に抱きついてしまったのは、ロックだった。
「お前にそういう趣味があるとは知らなかった」
同じくオルトロスとはレテ川からの付き合いになるエドガーは、ロックの姿を
見てそう評している。
「ロック殿の趣味とは一体何でござるか?」
エドガーの言葉を間違った(ある意味では一番正しい)方向で理解しようと試みた
カイエンの疑問に答えたのは、これまた兄の言葉を間違った(こちらは間違うという
よりも、これ以外に解釈しようがない)マッシュである。
「きっと好きな食べ物の事なんじゃないかな? 俺はイカの方が好きだけど」
残念ながら、長い旅路の中で彼らの行く手を阻んだイカというのは記憶にない。
「そんなことはどうでもいいから」
と、間に割って入ったのはセリスだった。大幅に逸れつつあった話の流れを元の
位置に戻そうと、彼女なりに必死だったのだろう。
「エントリー時に大方の説明は聞いたわ。私たちが賭ける品は沙悟浄の槍。対戦
相手はウェアドラゴン……なかなかの強敵だわ」
セリスはここで言葉を切ると、その先を敢えて続けなかった。
コロシアムでは闘技会に参加する手続きにお金は一切かからない。が、手持ち
のアイテムを寄与しなければならず、今回彼らが賭けたのは沙悟浄の槍だった。
こうして1対1で行われる闘技に勝利すると、コロシアムからは賭けた品よりも
高価なアイテムが勝者に授与される。中には非売品の貴重な品などがあり、瓦礫
の塔へ乗り込む前にここへ立ち寄りたいとロックが提案したのはこのためだった。
「……リスクが高すぎると思うわ」
押し黙ったセリスにかわって発言したのはティナだった。恐る恐るそう進言して
みたが、それhはエドガーによってやんわりと却下されたのだった。
「エントリーしてしまった以上取り消しはできない。それにレディ達にそんな危険な
事はさせないよ」
どうも、このコロシアム行きを一番に望んでいたのはロックではないよな気が
するのだが――そんな疑いを抱きながら、セリスは黙って事の成り行きを見守る
ことにした。
言った以上は自分が出ると身支度を始めたエドガーを制したのは弟のマッシュ
だった。
「強敵と聞いたら黙っちゃいられないよ」
彼が参戦する動機はその一言で充分だった。それ以上でもそれ以下でもない。
キンニク男と某女史に形容され、自身も修行好きを自負するだけのことはある。
「しかし……」
「止めてくれるな兄貴!」
そう言って、意気揚々とゲートをくぐる弟の背中を見送ったのだった。
沈黙の声が聞こえる。
静寂の音がする。
そんな不思議な余韻を残して、勝負は一瞬のうちに決した。
闘技場へ出た直後、彼が一番最初に放った拳術がスパイラルソウルだった。
『拳術』――あるいは必殺技――と呼ばれる彼の特殊技能は、10年以上に及ぶ
コルツ山での修行の賜であり、魔法の力を借りることなく攻撃・回復をこなす万能型の
戦法を実現する事ができた。兄であるエドガーの、機械を用いたどちらかと言えば
攻撃重視の戦闘スタイルを補佐する役には、マッシュの様な者が適任だった。
が。
祖国フィガロを離れてから10年もの間コルツ山に篭もって修行を積み、すっかり
逞しく成長した我が弟を尊敬の眼差しで見つめる反面、兄にはどうしても納得できない
事があった。
このコロシアムでの一戦が、顕著な例である。
「……だいじょうぶ? リルムのエリクサーあげるよ」
係員数名に抱えられ、ぐったりとなって戻ってきたマッシュにティナが蘇生魔法を
施したあと、横合いから手を差し出すリルムに首を振ってマッシュが答える。
「いやあ。みっともないところを見られちまったな」
「油断は禁物でござる」
「少し休んで行く?」
カイエンとティナが心配そうに声をかける。ふたりに申し訳なさそうな視線を
送りながら、幾分か体力の回復したマッシュがようやく上半身を起こした。
「心配かけて悪いな。でも本当に大丈夫だから」
ロックや他の仲間達も心配そうに見守る中、一人手厳しい評価を下す男がいた。
「自業自得だ。戦略としてはまるでなってない。お前は何のために10年も修行を
積んできたんだ?」
エドガーである。
「待てよエドガー。いくらなんでもそれは言いすぎだろ?」
「言い過ぎなものか」
ロックの仲裁を呆気なく退け、エドガーは憮然とした口調のままで続けた。
「大体、俺はこの『拳術』自体が戦略性に叶っていないと思っているんだ」
「なんだよ?」
いくら兄とは言え、そこまで否定されてはさすがのマッシュも黙ってはいられ
ない。師ダンカンから受け継いだこの技が否定される要因など考えられなかった。
しかし兄に向けられた言葉と表情には、怒りよりも疑問の色が多く含まれている。
そんな弟の疑問に、正面から対した形でエドガーは言い切った。
「そもそも、自らが戦線を離脱して他の仲間達の回復をさせるという技の意味が
俺には理解できない」
数瞬の奇妙な間を置いてから、エドガーは続ける。
「俺達は、皆が生き残る事で初めて戦闘に勝利したと言えるのではないか?」
誰かの犠牲の上にある勝利など、本当の勝利ではない。エドガーはそう主張した。
マッシュの拳術の中には回復系の技があった。『チャクラ』と『スパイラルソウル』が
それである。前者は自分以外の者の体力を回復させ、後者は自身の戦線離脱と引き
替えに他の仲間達を全回復させるという技だった。
出会したモンスターによって、あるいは戦闘した地によって、また戦局によっては
それらの技が大いに役立つことも、時には彼らの命を救ってくれた事も少なくなかった。
仲間達はその事実を目の当たりにしている。だからこそ反論したくなるのだ。
「エドガーそれは理想論だ」
「セッツァーは黙っててくれないか?」
ちらりと発言者を一瞥した後、再び実弟と正面から対峙する。
「大体な、お前が倒れた後で回復するのにどれだけの時間と労力と費用を費やす
と思っているんだ? それに見合うだけのメリットがあるとは思えん。いいか、
まずハイポーション数個ではお前の体力が完全に回復する見込みはない。エリク
サーの使用など論外だ。たとえケアルラ・ケアルガを使ったとしても消費した力
を回復させる為にはエーテルやあるいはそれに準じたアイテムを使うことになる
だろう。そこにかかる……」
この後、マッシュの巻き添えとして仲間達全員がエドガーからの数十分に及ぶ
講話を賜ることになった。
どこの誰とは言わないが、好んで「銭投げ」を使う者がいるお陰で経済的にも
常に死と隣り合わせの旅を続けなければならず、この機会にそれを訴えておきた
かった、と言うのがどうやら主旨にあるらしかった。
ちなみにこの話の中で、スパイラルソウルと共に(彼曰く)4年前に見たメガザルの
存在も強く否定しているのだが、仲間達の誰一人としてそれを理解できる者はおらず、
更に付け加えるならば、大崩壊を機に蘇りし古の八竜を追っている今の自分達の旅路を
綴った物語が、後にドラゴンクエストという名で一冊の本にまとめられたとかいう妄想
(あるいは幻想)は、ここでは話の外にある余話としておきたい。
というわけで結局、この日のコロシアムで得た収穫は「説教」だったのである。
その後、結論としてはもう少し技を磨いてから再びここを訪れよう、という事で
落ち着いたのだが、マッシュとしてはなぜあんな説教をされたのかが腑に落ち
なかった。
と、言うよりも――なぜ単独戦だったあの場で、一番最初にスパイラルソウル
を放ったのか――誰がどう考えても明らかにおかしな話だ。マッシュ自身が聞き
たいぐらいである。いったい俺はどうしちまったんだ、と。
(俺の考えてることっておかしいのかな?)
――今、考えていることの逆が正解。
だけどそれは大きなミステイク。
後にそんな言葉を耳にすることになるのだが、今日のことを思い出せばこれは
真理だとマッシュは思ったに違いない。
首を傾げながらコロシアムを出ると、彼らは飛空艇へと戻っていった。
***
枯れ果てた大地と旱天の空の間に立ち、地平の彼方に霞んで見える小さな塔を
特に意味もなく見つめていた。
そんなエドガーの背後から、セリスが声をかける。
「……素直じゃないのね」
突然の声に内心では動揺していたのだが、表情にはおくびにも出さず振り返っ
たエドガーはにっこりと微笑んだ。
「どういうことだい?」
「さっきの話よ。……色んな理屈をつけていたけど、本当はただ心配なだけなん
でしょう?」
エドガーは言葉を返さなかった。再び視線を地平の彼方に戻すと、ため息を吐
くような小さな声を漏らした。
「ああ、心配だね」
「彼は本来、戦いには不向きな性格なんだと思うわ」
「そう。……戦や諍いといった類にはまるで向かない男だよ」
――俺とは違ってな。
吐き捨てるように零されたエドガーの思いを、セリスは聞き逃さずに問うのだった。
「後悔している?」
「いいや。誰かがそれをやらなければならないんだ。それがたまたま私だったと
言うだけで、別に後悔している訳ではないさ。国王というのもこれで中々、楽しい
ものだよ」
優雅に微笑んでみせるエドガーに、セリスはやや大げさに肩をすくめてみせた。
「格好つけちゃって」
「別に、そんなつもりはないさ。ただ、私とマッシュでは戦闘に臨む姿勢が違う
というだけのこと」
フィガロという国を背負い、弟の望む自由を与え、そして今は世界を救おうと
奔走する――エドガーが戦う理由は、大切な国と民を守るためなのだ。王者とし
ての風格と、決意の固さが言葉に重みと真実味を与えている。
「守らなければならない者のためなら、どんな手段をも辞さない。そして、私を
含めた全員で生還する。それが、私の戦い方だ」
大切な者の生命を奪う脅威を排除するために、自分が別の生命を奪う側に立つ
事はやむを得ない。それを後から非難されるのも覚悟の上だ。
たとえケフカが、力の傀儡となり果てた哀れむべき生命だとしても、エドガーは
躊躇いなく斬り捨てるだろう。そして、魔導という力をもって戦いに臨む自分達の
存在も本質はケフカと同じであり、紙一重の危ういバランスの上に成り立つ正義
なのだと言うことも承知している。
その上で力を得、それを行使し、他の生命を奪うという行為に及んでいるのだ。
――仮にこの戦いに終止符を打つ事ができたとしたら、次は魔導をもった我々
が追討される番なのかも知れない。
可能性として訪れ得る未来を思い、時にやりきれない気分になる日もあったが、
それは平和を手にしてから悩むべき事であって、今考えるべき事ではない。
それが彼にとっての使命であり、自らの命を賭して戦う理由たる生命の価値な
のだから。
ちなみに後日談として、更に力を付けたマッシュは先の雪辱を見事に果たし、
ウェアドラゴンとの戦いに勝利を収めた。戦利品として得た『ネコ耳フード』は
エドガーたっての希望により、リルムが装備することになったのだが、その理由
がギル収集の為なのか、彼個人の趣味なのかは未だ謎に包まれている。
−生命の価値<終>−
----------
※ 出典:FF6
舞台:竜の首コロシアム(オートバトル処理の闘技場)
お題:「生命の価値」
(メガザルとスパイラルソウルはなぜだか萌える。が、今回はそれを否定してみたい。)
追伸:FF6(1994年発売)の前にDQ4(1990年発売)をプレイしてると思われます。>作中「4年前」の記述意図。
ここまで書いてて説得力無いかも知れませんが、自分FFもDQも大好きです。
今回は拙文と言うよりトンデモナイ代物になってしまいましたが、お祭りというノリの広い心でもって……ってごめんなさい。
>>96-99 読んでて「やられたー!」と言うのが一番の感想。トルネコの自動発動特技の中にこける、
だか、転ぶ、か何かがあった気がします。最初にして最後、そして特技を上手く組み合わせて
話のオチをつけて(お題をこなして)いたので笑いながら感激しました。
それから先のお題で投稿した文章に感想を頂けて嬉しかったです、どうもありがとうございます。
>>131 基本スタンスは、このスレにいる人達が「自分のやれる事をやる」ってので良いんじゃないかな
と思います。それが参加型のスレでお祭り色をより強くしてくれるんじゃないかと。だからこそ
自分も参加させて頂いたのですが。
お題に関しては…ある程度をこなして「まとめ」的な意味で何かやってもいいかも知れません。
(トーナメントであったバトロワみたいな感じ?)そのぐらい繁盛することを願って。(w
ここに一つの木の実がある。
土に生め、鮮やかな山吹色の外皮と、灰色がかった果肉を取り除く。
それだけで、他に何をするわけではない。
だがそれだけで、いのちのきのみと呼ばれる代物になる。
味は…美味くは、ない。
そもそも味を期待するものではないのだ、これは。
割ってみると、ころんとした大きな丸い中身が詰まっているのがわかる。
艶があり、黒光りしている。
噛んでも、快い歯ごたえはない。冷えたバターのように、ぼそぼそとしている。
いのちのきのみ。
「ブトウカを一人…女性の」と、一人の若者が言った。
けばけばしい女が、タバコを燻らせながら、すぐさま声を張り上げた。
駆けつけた娘は、嬉しそうな顔をしている。
「餞別さね」と言って、けばけばしい女が、けだるげな顔をして、お盆を差し出した。
木の実が五つ乗っている。
いのちのきのみだ。
娘は不思議そうな顔をした。若者が、何事か言うと、娘は礼を言って、木の実を取り、懐に収めた。
若者が、母にしばしの別れを告げに言った夜、娘は木の実を齧ってみた。
ぼそぼそとしていた。
いのちのきのみ。
*
がつん、と娘が、巨大な影を殴りつけた。それが致命傷だった。
影が、腹に響く声で唸りたてる。それが影の断末魔である。だが娘の耳にはろくに入らない。
なぜ自分ひとりだけ、こうして立っているのかと娘は思う。その後ろで、影が崩れた。
傍らに倒れた若者をじっと見る。
何か、あっただろうか。何か、命をつなぎとめるものは。
旅の間、ずっと一緒だった袋をひっくり返してみた。薬草の一つすらなかった。いい加減、かさばって邪魔だから、売ってしまったのだ。
誰が売ってしまおうと言い出したのだろう。
…倒れふす若者だった。
娘が頭を抱える。
…袋の中には、一つだけ、木の実があった。
口に押し込んでみた。
涎まみれになった。
いのちのきのみ。
*
百五十ゴールドで売れた。
その金で仲間たちは命をつなぎとめた。
いのちのきのみ。
※ 出典:DQ3
舞台:ルイーダの酒場。その他。
お題:「生命の価値」
>>140 エドガーがかっこいいですね。
マッシュがスパイラルソウルをして凹んだのは懐かしい思い出です。
あえて難癖をつけるならメガザルの登場が唐突で、必要性が無かった気がした点でしょうか。
それを入れても面白かったです。それとリルムに萌えました。
>145
不思議な詩っぽかったですね。
ただ、
>>143から
>>144の間が飛躍していて一瞬えっと思いました。
もっとも命の木の実という名のアイテムで一命を取り留めるという展開は皮肉っぽく、シュールっぽく良かったと思います。
>>131 毎度仕切りお疲れ様ですヨ。
>・中長編作品の締め切り後の投稿について。
一つのお題への中篇・長編も認めるべきだと思う。
書いていると長くなるなんてことはザラだし、お題によっては長い大作が合うという事もありそうだから。
ただし何でも認めればいいというわけではないので(長編といってもめぐメタクラスやFFSクラスが来ても困る)
・12回以内(三ヶ月以内)に完結の長編まで
・最初の投稿はお題締め切りまでに
・二週間に最低二回は投稿する(一週間に一回よりもこっちの方が幅がありそうだから)
という条件を入れた折衷説というのはどうでしょうか。
>・お題と固有名詞について。
これも認めてよいのではないでしょうか。
変なお題はスルーされると思いますし、固定名詞だからこそ読める作品もあると思います。
更に言うと抽象的なお題なんてすぐにネタ切れしそうです。
変なお題になっても一週間で解けるのですから。
あるいは固有名詞は最初に投票した人が最低一作作るというリスクでも負わせればいいのではないかと思います。
>・「お題」を複数にするかについて。
同意。一つでイイと思います。何度も言われているように別々の人が一つのお題を料理するのがこのスレの醍醐味ですから。
>・投票形式の規格化について。
これも同意。基本的に苦労する人が楽になる方法で行きましょう。
age縛りなんかよりも<<>>縛りの方がはるかに有効な物だと思います。
私の意見は「集計人や筆者さんのため以外の制限は入れて欲しくない」です。
中篇や長編を禁止してもこのスレに与えるメリットは薄いですし、筆者さんに無駄な禁止を加えるのではないかと考えています。
あまりにも長くならないように制限を加えるだけで済みます。書くことまで禁止するのはあんまりではないでしょうか。
固有名詞の方は選ばれたお題によっては確かに筆者さんが書きづらいこともあるかもしれません。
しかし固有名詞でなくても書きづらいものはありますし(海とかレベルアップとか)、幅の狭い物はあります(呪いとか魔界とか)。
書きづらいものに挑戦するのもこのスレの醍醐味ですし、筆者さんに書く義務があるわけではありません。
自分に合わない時は書かなくてもいいですし、それは固有名詞に限ったことではないのです。
むしろ固有名詞を入れた方がお題の投票幅が広がって面白いのではないでしょうか。
何に投票するかは投票者の主観でよいと思います。
「……こ、こんな馬鹿……な……」
一人の邪悪な魔術師が崩れ落ちる。眼を不気味に光らせ、血の如き紫衣を纏った男が。
「あ、あの時何も出来なかった子供が、私を凌駕するなど……!」
力を振り絞り、魔術師は眼前の男を見た。
後ろに子供と妻、それに魔物を従えた紫ターバンの男。その男は魔術師を形容しがたい表情で睨みつけていた。
「まだ憶えていたのか。僕の父の事を」
恐ろしく低い声に、彼の家族らしき人間達は思わず震えた。歴戦の魔物達でさえ、険しい表情をしている。普段から考えれば信じられないらしい。
「ふ……」
魔術師は静かに笑みを浮かべた。
「忘れる筈も無かろう。あの男は『勇者』を捜していた。我々にとって、彼の者は宿敵なのだ。あの城で貴様とヘンリー殿の拉致と同時に貴様の父デュムパポスを葬れたのは、幸いだった」
魔術師は乾いた笑い声を発した。
「滑稽なものだ。たかが二人の無力な子供の為に、己が信念を曲げて下賎なる魔物に屠られるとは。実に愉快であったな」
ターバンの男の顔に一層殺気が漲った。
「……父を愚弄するのか、ゲマ……」
「ふ……私は本当の事を言っているつもりだがね」
ゲマの笑みに、嘲りの色が濃くなる。
「哀れな事では無いか? あの男は己が妻を、守れなかった己の妻を取り戻す為に『勇者』を捜していたのだ。だのに、あの愚か者は子供などの為にそれを棄てたのだぞ。それを愚かと言わずして何を愚かと言う? リュカよ」
「哀れなのは貴様だ、ゲマ」
リュカの表情が若干曇った。
「貴様には、大切な者が居ない。生命を擲ってでも助けたいと思う者が居ない。そんな貴様に、父の気持ちは死んでもわからないだろう」
「……下らぬ」
ゲマの息は荒い。もう死が迫っているのだろう。それでも、彼の口は止まらない。
「生命を擲ってでも助けたいだと? 馬鹿馬鹿しい。そんな行為に何の意味があるか。あの場面では世辞を言ってやったが、実に下らない事だ。何が親子の情だ! そんなものの為に、自分の信念を投げ出すだと? 計画を投げ出すだと? 白痴同然ではないか!」
「そう思うのは、お前に大切な人が居ないからだよ、ゲマ」
今度ははっきりと悲しげな表情になった。
「ゲマ。僕が何故堕ちて行かなかったと思う? それは、大切な人が居たからだ。護るべき人が居たからだ。ヘンリーしか僕の傍に居なかったら、どうなっていたかわからない。それ以外に持っていたのは、貴様達への復讐心と、父の志を継ぐという『意地』だけだったから」
リュカは静かに眼を閉じた。
「正直に言おう。僕も嘗ては、何故父が僕の為に身を擲って死んだかわからない時があったよ。まだ奴隷になって日が浅かった頃だ。こんな惨めな僕の為に、何故父は死んだのか。それは無駄死にでは無かったのか、と。それは脱走した後もずっと心の奥底に潜んでいた。でもな」
ゲマは彼の見開いた眼に、思わず慄いた。全てを射すくめる様な強い眼だったのだ。
「ビアンカと結婚し、そして子供が生まれた時、僕の胸は熱くなった。何としてでも、妻と子供を護ってみせると思ったんだ。そこで、父が何故自分の為に生命を、志を棄てたのかがわかったんだよ」
「……」
ゲマは暫し険しい表情で黙っていたが、やがて嘲笑を浮かべた。
「……やはり愚かだよ。いかな家族と言えど、所詮は他人だ。護る理由が何処にあろうか。……不愉快だ。まるで、貴様の父を見ている様だ。自己犠牲など、所詮は自己満足に過ぎぬ。それ以上のものは生み出さぬ。そんなものに、価値があると思うのかね」
「では訊くが」
眼だけでなく、彼の表情も鋭く険しくなった。
「ゲマ。貴様は何故ミルドラースに従っている?」
「何故、だと?」
ゲマは力の及ぶ限り哄笑した。
「愚問だな。一つは、魔界の摂理からだ。魔界の主従意識は単純だ。強き者に従う。それが摂理。もう一つは、私の欲求を満たす為」
「欲求、だと……」
ゲマは嘲りを込めて答えた。
「弱き者を屠り、絶望を与える事。それが私にとって、最高の娯楽であり、馳走なのだよ。リュカ。あの光景は私にとって最高の余興だった」
「余興ですって……!」
今まで黙っていたリュカの妻ビアンカが、怒りを露にした。
「あんたは生命を何だと思ってるのよ! パパスさん……いや、義父さんの戦いが余興ですって!?」
「そうだとも、グランバニア王妃ビアンカ。生命がどうした? 人間の生命など、精々百年では無いか。そんなものに最初から価値など無い。虫けらが一匹や二匹死んだ所で、何も変わりはせん。そんな哀れなる者達が奏でる死の円舞曲。私にとってこれ以上滑稽なものは無い」
ゲマは狂った様に笑った。しかし、ビアンカの次の言葉で笑いは止まる。
「虫けらはあんたよ、ゲマ」
「……何だと?」
ゲマの表情が一気に険しくなる。
「あんた、二人の自己犠牲を自己満足と言ったわよね。でも、あんたのやってる事の方がよっぽど自己満足じゃない! 何が娯楽よ……。その下らない娯楽の為に、どれだけの生命が散ったと思ってるのよ! 無数の屍の上に立つ娯楽。そっちの方がよっぽど下らない自己満足よ!」
ビアンカは一呼吸を置いた。
「確かに、人間の生命は儚いものでしょうね。でもね、それでもあたし達は毎日を一生懸命に生きている! 一人一人、真剣に一生を送っているのよ! あんたみたいなクズに殺されて良い無価値の人間なんか、一人だって居ない!」
ゲマは、ビアンカの迫力に圧倒されて物も言えなくなった。彼は、彼女の中にあの緑髪の勇者の姿を見る思いがした。
「あんたは、快楽を求めて人間を殺した。あんたにとって、義父さんでさえ、真の意味で心に残る存在では無かったでしょうね。でも、あんた達は数えられない程多くの生命を、人生を破壊した! それで嘆き悲しむ人達の姿を正面で受け止めた事が一度だってある!?
生命の価値の重さを真剣に考えた事があるの!? 殺人者だって考えるわよ! 心底、あんた達が大嫌いになった。リュカと魔物達の触れ合いを見て、解り合えない人は居ない筈と思っていたけど、あんた達にはその望みすら無いって事がはっきりと理解出来た」
ビアンカはいつしか涙を流していた。ゲマには、何故涙を流すのかが理解出来なかった。
「理解出来ぬ……。こんな……こんな事など、到底理解出来ぬ……!」
そう言うと、ゲマはすっと死神の鎌を取り出した。リュカの表情が強張る。
「貴様等となど、解り合いたくもない。それなら、死を選ぼう。但し、殺されるのではなく、自分で生命を断ち切ってくれる……!」
「……ッ!」
リュカは咄嗟にゲマに飛び掛り、ドラゴンの杖で死神の鎌を弾き飛ばした。甲高い音を立てて、大鎌が奈落へと落ちて行く。同時に、リュカの身体がゲマの身体に激しく激突した。
「……馬鹿な……!」
ゲマは今度こそ信じられないとばかりに彼の顔を見た。
「何故だ! 何故私を助けたのだ! 仇である筈のこの私を……!」
「助けるのに理由が要るのかッ!!」
リュカの言葉に、ゲマは口を開く事しか出来なかった。
「……本気で、言っているのか?」
「ビアンカは言った。無駄に死んで良い人は一人も居ないと。僕も、心底そう思っている。例え仇であっても、それは同じだ」
ゲマの眼がくわっと開かれた。その瞳には、微かに人間味が混ざっている様に思えた。
しかし、彼はそれを払いのけた。
「……退け!」
ゲマは渾身の力を込めてリュカを突き飛ばし、立ち上がった。
「……貴様達の情けは受けん」
そう言うと、彼は呪文を唱えた。
「さらばだ、愚かなるお人好しども……メラゾーマ!!」
彼が最後の力を振り絞って唱えたメラゾーマの火球は崖を破壊し、彼の身を宙に舞わせた。
「ゲマッ!!」
リュカの絶叫も空しく、ゲマは奈落の底に堕ちて行く。
(……もし生まれ変われるものならば、その時は……)
それが、ゲマの最後の意識であった。次の瞬間、彼は地獄の業火に燃やし尽くされた。
「……ゲマ……」
リュカは地面に拳を叩きつけた。
「どうして生命の重みをわかってくれなかったんだ!」
悔しかった。確かにもうすぐ死ぬ生命ではあったが、何もああいう形で死ぬ必要は無かった筈だ。無駄に消えて良い生命など、何処にも無いのだから。
「……きっと、あの男も生まれ変わる筈よ」
ビアンカが神妙に言った。
「無駄に死ぬ生命は無い。必ず巡り合わせが来る筈よ。生命って、そういうものだと思う」
そう信じたかった。例え仇であっても、大切な生命に変わりは無かったのだから。生命の価値に、差など無いのだから。
以上、DQV(リメイク版)のエビルマウンテンでの決戦をアレンジして執筆しました。
駄文、失礼致しました。
真面目に書こうと思ったら長くなりました。
毎度ながらお題に沿っているか疑問のネタ……
このスレはレベルが高くて、コメントするのもはばかれるくらいです。
でも読み手としては毎回楽しみにしています。
『それぞれの価値』 出典DQ3
空一面に広がる黒雲の隙間から、幾つもの陽光の柱が降り注ぐ。
まるでこの世を終わりを映し出したかのようなその光景は、
戦いの勝利者によって語り継がれていくことだろう。
勇者アルスの手によって原始大陸ネクログンドへの扉が開かれると、
各国はこぞって兵を進めた。
ここに人間と魔物との決戦の火蓋が切られたのである。
アルスは女戦士クリスと共にネクロゴンド山脈の麓の洞窟を目指していた。
魔王の居城に乗り込むためには不死鳥ラーミアの覚醒が不可欠であり、
そのために必要な最後のオーブが洞窟に眠っているからだ。
戦いに出払っているためか、洞窟に易々と潜入した二人は、シルバーオーブを探し出し、
さらに囚われになっていたネクロゴンド王を救い出した。
「私には生きる価値もない。勇者よ、かまわず進むのだ……」
「何をおっしゃるのです! さあ、つかまって下さい」
よろよろと皺だらけの手がアルスの肩に掛かったその時、
「そうだ。貴様に生きる資格はない」
王の背中を剣が斬り付けた。見ると、剣を持った十数人の者達がわらわらと集まってくる。
ただその顔には生気が感じられない。アルスとクリスは剣を構えた。
「何をするんだ!」
「……貴様が勇者か。ならば教えてやろう、我々を生み出したテドンの裏切りの歴史を……」
テドンの言葉にクリスの身体が反応する。
「ネクロゴンド城が落ちるのと同時に、テドンも恐怖に包まれた……」
クリスがアルスに目配せする。アルスは頷きで返した。
「だがテドンには港がある。人々は各国の支援を信じていた……」
アルスが王との距離をじりじりと詰める。
「やがて船はやってきた。そして出航した。ネクロゴンドとテドンの有識者のみを乗せて……」
アルスの手筈が整った。
「だから我々は決めたのだ。必ず復讐してやると」
「復讐なんて間違ってる! それにアルスには生まれる前の話で関係ないはず」
クリスから思わず言葉が出た。しかし、彼女の言葉に反応するかのように
男達は次々と連なっていく。そして一つの何かに変わろうとしていた。
「我々の復讐は永遠に続く! この世代で果たせなければ次の世代を、
そしてまた次の世代をと、憎悪の対象は受け継がれていくのだ」
言い終えると男達は六本の腕の生えた骸骨――地獄の騎士となった。
全部で三体いる。彼らは殺気を放ちながら、ゆっくりと近づいてきた。
隙は今しかない、と悟ったアルスは王を背負い、出口に向かって駆け出す。
ところが突然辺りが暗くなり、アルスの叫び声が反響した。
地獄の騎士が投げ付けた剣がアルスの胸に突き刺さったのだ。
クリスはアルスの距離を稼いでから逃げるつもりだったのだが、
慌てて彼の傍に駆け寄った。息はあるようだが、傷は深そうだった。
もはや、逃げることは絶望的だろう。クリスは決心を固めると自らの剣を捨て、
アルスがこの洞窟で手に入れ、ぼんやりと輝く稲妻の剣を手に取った。
「戦うのか? 無駄だ、無駄だ。我々には見えているのだからな」
クリスは臆することなく、目を瞑り、剣を右手に握ったまま下げ、仁王立ちとなった。
その姿は傍目から見ればただ単に立ち尽くしているようにしか見えないのだが、
剣術を熟知する地獄の騎士達にとって、それは既視感となって現れた。
「……その構えは……将軍の……まさか……いや、面影があるぞ……将軍の娘か!」
地獄の騎士の動揺に答えるように、クリスが口を開いた。
「あたしはテドンで生まれ、テドンで生き抜いた。だから、あの街の歴史が
あなた達の言うように綺麗なものではなかったことも知っている」
「……黙れ! 俺達は生きるために戦った。だが奴らは逃げたのだ。
それだけで万死にする。……殺せ!」
二体の地獄の騎士が襲い掛かってきた。クリスは投げ付けてきた剣を左腕の犠牲によって払い、
斬り付けてきた斬撃を鎧の犠牲によって受け止め、反動で後ろに下がった右腕を
力の限り振り回した。
「……そんな……俺達は間違ってないはずだ」
「早く地獄に来い……その時はズタズタにして楽しんでやる」
二体は砂が崩れるかのように消滅した。しかし、クリスもただでは済まなかった。
すでに左腕には感覚がなくなり、兜も鎧も落ち、癖毛と薄手の服が露出していた。
「素晴らしい……だが生まれた時代を誤ったな。かつてならば地位も名誉も
意のままだったろう……さあ、滅びの舞を見せてくれ」
最後の一体が六つの軌道の斬撃を繰り出した。
クリスは後退りしながら、それを必死に受け止める。
「やはり剣は良い。相手が伝わってくる。それに比べて呪文は無だ。何も生み出さない」
「……呪文が使えれば……」
「そうだな、あの時に呪文が発展していれば悲劇は起きなかったのかもしれん。
しかし逆に言えば、テドンの犠牲が呪文を強化させたと考えられないか。
今の世界はテドンの犠牲の上に成り立ち、その歴史が語られることはない。
……いいぞ、貴様の憎悪を感じ取れる。さらに増幅させてやろう。……将軍を殺したのは俺だ」
クリスは岩壁に追いやられた。息が荒く、もう持ちそうにない。
だが、すでに決意は固まっている。この絶望の中で父親の敵と出くわしたことは、
もはや運命としか言いようがない。残された道は相打ち――
「いいぞ、来い!」
一瞬、地獄の騎士には口髭を生やした男の姿が映った。将軍、と彼が認識した時、
それは気迫に満ちた美しい女へと変わり、騎士は剣で貫かれていた。
「……その剣は俺が将軍から奪い、斬り付けたもの……まさか将軍の娘によって
俺が斬られることになるとは……いいだろう、歴史の闇は俺が地獄に持ち帰ってやる」
地獄の騎士が徐々に消滅していくのと同時に、洞窟が揺れだし、落盤が始まった。
「もし貴様にテドンを思う気持ちがあれば、洞窟を抜けることができるだろう……」
それを最期に騎士の気配がなくなった。暗闇の中、クリスは二人を探し出す。
しかし二人はすでに虫の息だった。
王のかすれた声がわずかに届く。
「君がアレク将軍の娘だったとは……今となっては戯言に過ぎないのだが、謝らせてほしい。
有識者を逃すことを決定したのは、この私だ。しかしその中で将軍だけは反対し、街に残った。
私はと言えば、途中船を襲われてこのざまだよ。……街で何が起こったかは君の方が詳しいね。
本当にすまなかった。さあ、早くアルスを連れてここを出るのだ」
「しかし……」
「この洞窟を見て懐かしさを感じた。君も思わないか? ここはテドンに似ている」
言われてクリスは、はっとした。忘れていた光景が一挙に蘇り、暗闇を彩っていく。
「……思い出したかね。私はもう駄目のようだ。ああ、アレクよ。君の娘は立派に育ったぞ……」
搾り出された王の最期にクリスには涙が溢れた。また自分を知る人を失ってしまったのだ。
目を拭うと、クリスはアルスを背負い、出口を目指して歩み出した。
大通りはここで終わり。一番右の小道に入っていくと、パン屋のおばさんからおやつを貰える。
それを持って絵具店の角を左に曲がると公園があり、友達と落ち合うことになっている。
おかしは自分達では食べず、街のはずれに橋の下に住む、犬のチャッピーにあげるのだ。
だが気を付けなければならない。母親達は街のはずれに行くのを嫌っている。
案の定クリスの母親が現れ、子供達は身を潜めた。どうやら食材を求めているだけのようだ。
将軍の妻なのに下町に住んでいる恐ろしい相手だ。
頃合いを見計らって、子供達は走り出した。まずは土手に出るために
ひたすら右へ右へとジグザクに進んでいく。ただ最も右の通りには酒臭い男達が
いるので注意しながら進む。ようやく川が覗けると、橋をみることができた。
「右に渡る通路がない……」
橋を渡れば、街の外――つまり洞窟から出られるはずだ。
しかし、そこは岩壁が立ち塞がっている。落盤が激しくなってきた。洞窟の崩壊もあとわずかだ。
記憶が間違っているというのか。クリスは目を閉じ少女の姿に戻った。
父がいて母がいる。いつもの夕食の風景が広がる。
「クリス、あの橋には行ってはダメと言っているでしょ? あそこは工事していて危険なのよ」
「行ってないもん」
「うそばっかり言って! あなたからも言ってやってください」
「そうだな、奥の橋の方が安全かもしれない。ただ、あそこは人通りが多いから、
チャっピーには居心地が悪いのかも……」
「ちょっと、あなた!」
そうだ。手前の橋が完成したのは、テドンが無くなる数週間前だった。
この洞窟はテドンが最も平和だった時期をモデルに作られているのだ。
洞窟が大きな唸り声を上げた。落盤の岩の塊が次々と通路を埋めていく。
クリスは駆けた。実際には足の感覚はなく、気持ちで前に進んでいる。
あるのは生きるでも死ぬでもなく、歩くという意志。
「……お父さん、お母さん……」
光が近づいてくる。あと三十歩、二十歩……落石。あと二十五歩、十五歩、五歩。
クリスは洞窟が入り口が崩れるのを感じて、光に向かって飛び込んだ。
戦いは人間の勝利に終わった。
命がすべてだという者達がいた。
命よりも誇りを重んじた者達がいた。
ただ一つ確かなのは、これからも戦いは続いていくという現実だ。
おわりです。長文失礼しました。
A.I.さんに続いて、長文シリアスであります。
FFタクティクス(通称FFT)で書いてみました。
未プレイの方にはわかりにくいと思いますので、まずはFFTのシステム紹介をさせてください。
FFTでは、キャラクター(ユニットと呼びます)が死ぬ時は
HP0となって戦闘不能→3ターン経過→クリスタルor宝箱に変化 という段階を踏みます。
クリスタルに変化した場合、そのユニットの覚えていた技や呪文を、クリスタルを手に入れた
者が継承することができます。
クリスタルにならない場合は、身に付けていた物をひとつだけ入れた宝箱を残して消滅します。
どっちになるのかは、死んでみないとわかりません。
クリスタルによって、複数の職業の技/魔法を一気に継承できることもあれば、何も継承
できない場合もあります。
何も継承できない場合、もしくは継承を選択しなかった場合は、HP、MPが回復されます。
どの技を継承できるのかは、継承してみないとわかりませんし、継承する側のユニットが
転職可能なジョブ(職業)の技/魔法でないと習得できません。
今回の主役であるアリシアとラヴィアンは、必ず仲間にすることができる女性ユニットですが
ゲーム中で固有の台詞もほとんどないので、プレイした方も忘れてしまっているキャラかも?
でも、ゲーム開始直後の戦いから登場しています。
6レスあるので、途中で連投規制にひっかかると思います。少々お待たせするでしょうけれど、
のんびりおつきあいくださいませ。
「ぜーんぶ幽霊だわ……」
白魔導士のローブから顔を覗かせたアリシアが、唖然としながらつぶやいていた。
この森に入ってすぐに、褐色の肌の天冥士、ラファが
「五十年戦争で命を失った者たちが未だ成仏できないようね。
現世に残した未練と共に もう一度、黄泉の国へ戻りなさい」
と、何かに対して恫喝していたのだが、独り言なのかと思っていたのだ。
共に行動するようになって間もないラファに、その独り言の意味を訊ねることも
何となくはばかられ、聞こえなかったふりをしていたのだが。森の奥まで進んで来て初めて、
ラファ以外の者たちにも、そのモノの姿が見えるようになったのだった。
仲間たちの視線の先には、ふわふわと空中に身体を浮かばせながらこちらを見つめて来る
一団がいるのである。
黒魔導士、時魔導士、そしてモンスターの一群。全てがすでに生命の輝きを失いながらも、
この世を去る事の出来ぬ身体となっており、その瞳には虚空の闇が広がっていた。
「死せる者たちの戦闘部隊ってとこね?」
ナイトのラヴィアンが剣を鞘から抜き出しながら気味悪そうに言った。
「だけど、戦闘能力は生前のままに持ってるはずよ」
ラファの警告に、仲間たちの表情が引き締まった。
「ここをこっそり通してくれ、なんてお願いできそうもないね。行くよ」
隊長であるラムザの声に、仲間たちは戦闘隊形に散らばった。
この森に至るまでに、かなりの数の戦いに勝ち抜いて来た彼らだったが、さすがに
死者のみの一団と戦った経験はない。せいぜい数体のアンデッドモンスターと相対した事が
ある程度。今回の相手には魔法使いも含まれている。やっかいな戦いになるだろうと、
ラムザは予想していた。
何しろ、肉体は死を迎えた後であるにも関わらず現世を彷徨って
いる彼らは、戦闘不能状態から復活することも珍しくはないのだ。
そして、ラムザが当初に予想した通り、戦いは長引いていた。
「皆、担当する相手を決めよう。自分の担当の復活に気をつけて」
ラムザの指示に、アリシアは先ほど断末魔の叫びを上げた時魔導士を振り返った。
戦闘不能で倒れ伏したまま空中に浮いている白い服と三角帽子に包まれた体が目に入る。
「お願い、もう蘇らないで。現世はもう充分でしょう? 次の世界へ旅だってちょうだい」
アリシアのつぶやきが聞こえたのか、やがて倒れ伏した身体はかき消え、美しい石が残った。
「これ、私がもらってもいいかしら?」
アリシアの声にラムザが頷く。アリシアはその石ークリスタルーを両手でそっと包み込むと
「鍛えし技を、我に与えたまえ」と祈った。
祈る言葉につれて、徐々にクリスタルと身体が同化してゆく。
と同時に、今までは使えなかった呪文が自分のものになったことも、アリシアにはわかった。
「レビテト、ドンムブ、スロウ……。ありがとう、しっかり使わせてもらうわ」
時間はかかったが、仲間たちが戦闘不能になったりせずに済んだ戦いを終えた一団は、
森の外れに到着していた。明日に備えこの場所に野営することになり、炊事当番だった
アリシアとラヴィアンは慣れた手付きで芋の皮を剥き始めている。ふたりはラムザ隊に入る
前からの長いつきあいがあるので話題も尽きず、調理しながらおしゃべりしすぎてうるさいと
苦情を言われたことも有ったくらいなのだが、今日は少々様子が違っていた。
「ねえ、アリシア。さっきのクリスタル、大丈夫だった? 体調がいつもと違ったりしない?」
アリシアは長い付き合いの中で、ラヴィアンが幽霊を苦手に思っていることを知っている。
けれど、先ほどのクリスタルに懸念を持たれているとまでは思っていなかった。
「クリスタルはクリスタルよ、そういうものでしょう?」
「クリスタルはクリスタル……」
ラヴィアンがつぶやく。その声色がやはり気味悪がっているようだったので、アリシアは
古くからの詩を口にした。
「戦士は剣を手に取り、胸に一つの石を抱く
消え行く記憶をその剣に刻み
鍛えた技をその石に託す」
これはイヴァリースの戦士たちの宿命を詠う詩である。
「イヴァリースの戦士の生き様は、昔から変わらないのよね。哀しいけど、死んでも戦いを
忘れられない限りは同じなんだって、今日はよーくわかったわ。身体は朽ちてしまったのに、
魂だけがこの世で戦い続けていたのは、戦いの場に魂が縫いつけられてしまっていたのかも
しれないって思ったくらいよ。ああなってしまうのは哀しいわね」
「縫い付けられる?」
「どんな糸がそんなことをしでかしてくれるのかは知らないけど」
アリシアは笑ったが、ラヴィアンはやはり気味悪そうな表情を浮かべたままだ。
「何を心配しているの?……ああ、ラヴィはクリスタル継承したことなかったわね」
ラヴィアンが恥ずかしそうに頷くのを見ながら、アリシアは微笑みを浮かべた。幽霊の類が
苦手なあまり、ラヴィアンはクリスタル継承にも及び腰でいるのだと思い出したからだ。
「ああして死んだ後まで戦い続けるなんて可哀想な人たちだったけれど、その技を私が継承して
生きてゆくことで、時魔導士の彼女の思いを浄化できるって考えたら、素晴らしいと思わない?
それにね、クリスタルを継承する度にその人の分までしっかり生きようと思うし、実際、その
度に大人になってきたような気がするのよ。こう考えても、やっぱり気味悪い?」
ラヴィアンは思案していて、芋の皮を剥く手が止まってしまっている。作業を続けるように
注意した方が良いかなとアリシアが思い始めた頃、ようやっとラヴィアンの答えが出た。
「……うーん、ごめんなさい、やっぱりちょっと……」
「そう……。私がクリスタルになってもそう思う?」
「アリシアをクリスタルになんてさせないわ!」
咄嗟に両の拳を握りしめて叫んだラヴィアンは、せっせと剥いた芋の山を地面に取り落として
しまった。綺麗にするには、貴重な水を使わなくてはならない。
「……この話は、天幕に戻ってからにしましょうか」
「ごめんなさい」
しょげた顔のラヴィアンを笑顔で慰めると、アリシアは他の仲間たちに気付かれる前に現状復帰
しようと提案し、ふたりは猛然と芋を拾い始めたのだった。
迷惑をかけたから食事の後片付けをひとりで担当すると言い張ったラヴィアンが、仕事を
終えて自分の天幕に戻って来ると、すでに同室のアリシアが夜具の支度を整えてくれていた。
「ごめんなさい、今日は迷惑かけてばかりね」
「いつもはラヴィの方がいろいろやってくれるんだもの、このくらい当たり前よ」
アリシアの笑みに、ラヴィアンは頭を下げて感謝の気持ちを表し、夜着へと着替え始めた。
今日一日で、なんだかさまざまなことを考えるようになったような気がする、とラヴィアンは
思った。アリシアと同い年なのに、今までの自分はどうやらのほほんとし過ぎていたようだ。
ひとりで食器を洗いながら考えていたことを、もう一度反すうしてみる。
今までの自分は、クリスタルに込められた思いについて何も考えてこなかった。ただただ、
クリスタルにまつわる「死の匂い」のような物に触れたくなかったせいである。修行もせずに
ぽんっと手に入れた技が本当に自分の技として身につくのか、ついたとしてもそれで良いのかと
疑問を持ち、そうしたズルを嫌う性格だったせいでもあるのだが。でもやはりそれは言い訳で
心の底には「死にまつわるものは怖い」という臆病な気持ちがあったのだとも、今は思う。
このままの自分で、良いのだろうか。
いくら近衛隊出身とはいえ、敵に追われるこの隊に参加した身だ。人を手にかけなければ
ここまで生き残っては来られなかった。命を奪った上にクリスタルを見捨てても来た自分は、
手にかけた人間の思いをも見捨てたようなものではないのか。
たまたまその戦いに勝てたからと言って、その時に自分の奪った命をないがしろにしたり、
踏み付けにするべきではないと思って来たはずなのに。
勝者は敗者の命を奪う代わりに、その思いのこめられたクリスタルをしっかりと受け止めるべき
なのかもしれない。それが、イヴァリースで戦士として生きる上での礼節なのかも、しれない。
「ねえ、アリシア。私、今度はちゃんとクリスタルを継承してみる」
夜具に潜り込んでぼそりとつぶやいたラヴィアンの言葉に、アリシアは「そうね」と答えて、
ランプの灯りを消した。
わ、変な空白行が入っていたりしますね、すみません。
ということで、以上が「生命の価値」について考えてみた作品でありました。
「いのちだいじに!」俺は作戦を叫んだ。
その瞬間、俺以外の仲間は逃げ出した。
ええ、こりゃ問題ですよ。さっそく馬車の中で作戦会議です。
「どうして逃げ出したんだ?」
それを聞き、マーニャが腕組みしながら言う。
「だって命を大事にするんでしょ? 戦ったら危ないじゃん」
「いや、それはそーだけど・・・今回、俺ひとり取り残されてるから。
俺の命、めっちゃ危険にさらされたから!」
「ということは、勇者さんは作戦に従わなかったわけですな」とトルネコ。
「違うよ! "いのちだいじに"は、命を大事にしながら戦うんだよ!」
「でも、それって、矛盾してないですか?」これはミネア。
「とにかく、次からはちゃんと戦うんだよ!」
「は〜い」みんなが答えた。
―――5分経過
「はいはいはいはいはーい!」アリーナが元気よく手を上げる。
「なに?」
「命の大切さランキングをつけてみましたぁー!」
「へ? ちょっと見せて」
『アリーナ>ミネア>ブライ>クリフト>トルネコ>勇者>ライアン>マーニャ』
「・・・ちょっとお聞きします。これはどーいった基準で・・・」
「それはねぇ、あたしはお姫様だから当然いちばんでしょ?
女性や老人も当然守られる存在だと思うしー、
クリフトは回復魔法を使えるから、貴重な存在だよねー。
勇者やライアンはHPや守備力高いから、必然的に下の方に・・・」
「ちょっと待ったぁ!」マーニャが叫ぶ。
「何であたしが最下位なのよ!?
めちゃめちゃ個人的な感情が入ってるじゃん!」
「カジノでお金を浪費する人は黙ってて」
「ハァ? 関係ないじゃん。確かにパーティーのお金を持ち出して、
こないだスッカラカンになったけど、それはこの話と関係ないじゃん!」
いや、マーニャ・・・それは結構問題だと思う。
「だいいち、お姫様とかそーいう身分こそ関係ないじゃん。
あんたはHP高いんだから、もっと下の方でしょ?」
マーニャが紙を取り上げる、そして強引にそれを書き直した。
『マーニャ>勇者>ミネア>クリフト>トルネコ>ライアン>ブライ>>>アリーナ』
「ちょっと待ってよ!
これってあんたの個人的感情ランキングじゃない!」
「え、マーニャちゃん、ワシのことそんな風に見てたの?」とブライ。
「あ、僕けっこう上の方だ・・・♪」にやけながらクリフトがつぶやく。
二人に張り手を食らわし、アリーナが叫んだ。
「返してよ、書き直すから!」
「やーだよ。これで決定〜♪」
「ふざけないで、コラ!」
「何よ、やるっての?」
ギャーギャー! ピーピー! どたばた!
ドゴーーン!!
マーニャのメラゾーマに、馬車の天井が吹っ飛んだ。
馬車の外には腕組みをしたライアン。
彼はカメラ目線でつぶやいた。
「駄目だこりゃ!」
173 :
いのちだいじに ◆/kp.R9.ULg :04/10/31 23:19:00 ID:uM0LL84k
題名:いのちだいじに
元ネタ:ドラクエW(馬車でのフィールド移動中)
お粗末様でした。
>>173 空気ないかりやライアンワロタ。
お題を鑑みるに、シリアスネタが多くなる所ですが、
個人的にはこうしたギャグも(・∀・)イイ!と思います。
しかし、A・Iさんや
>>163さんのシリアスもまた(・∀・)イイ!です。
月曜日0時を過ぎましたので、
前回のお題「はじめてのたたかい」の作品募集はいったんしゅーりょー!!!!!!!
(ルールは
>>102を参照してください)
今回の投稿作品:
◆Lv.1/MrrYwさん FF「生命の価値」
>>132-139 蒼龍 ◆JkKZp2OUVkさん DQ「(愛をもって戦うということ(勝手に仮題))」
>>149-154 A.I. ◆FURH7vTTi.さん DQ「それぞれの価値」
>>156-161 ◆Y2NezmymcEさん FFT「(戦士の遺志(勝手に仮題))」
>>164-168 ◆/kp.R9.ULgさん DQ「いのちだいじに」
>>170-172 以上、FFより2作、DQより3作、いずれも力作ぞろいでした!
次のお題を提案・投票される方、御三方への感想などもできれば同時に添えてください。
では、今週も「お題」の募集のお時間です。
(ルールは
>>101を参照してください)
このテーマの作品が読みたい!このテーマがいい!と思った方、すぐに書き込みをどうぞ!!!!
申しわけありません訂正。ダメダメじゃん……。
月曜日0時を過ぎましたので、
前回のお題「生命の価値」の作品募集はいったんしゅーりょー!!!!!!!
(ルールは
>>102を参照してください)
今回の投稿作品:
◆Lv.1/MrrYwさん FF「生命の価値」
>>132-139 145さん DQ「いのちのきのみ」
>>141-144 蒼龍 ◆JkKZp2OUVkさん DQ「(愛をもって戦うということ(勝手に仮題))」
>>149-154 A.I. ◆FURH7vTTi.さん DQ「それぞれの価値」
>>156-161 ◆Y2NezmymcEさん FFT「(戦士の遺志(勝手に仮題))」
>>164-168 ◆/kp.R9.ULgさん DQ「いのちだいじに」
>>170-172 以上、FFより2作、DQより4作でした。
次のお題を提案・投票される方、上記の投稿された6作品への感想なども、できれば同時に添えてください。
では、今週も「お題」の募集のお時間です。
(ルールは
>>101を参照してください)
こんなテーマの話を読んでみたい!このテーマのSSを書きたい!と思った方、迷わずすぐ書き込んでください!!!!
>132-139:他者の命を守る為に心のどこかを犠牲にする
それを義務付けられている人間もいる。だからって、辛いのには変わりない。
DQネタに(・∀・)ニヤニヤ
>149-154:もし人を愛せたとしても、それ故に却って間違った方向へ赴く可能性も否定出来ない
自分の尊厳を守り抜いたゲマはその一点では人間臭いともいえる
…けどそれを他人への情けに出来ない人間も多いんだよね…VPを思い出した
>156-161:個人的に一番好き
郷愁や魂といったものがテーマに思えるけど、そういったものがあってこそ
より強く生きる事に執着してしまう。ある意味とても大事なこと
>164-168:実感も無しに何かを手に入れる事に抵抗を覚えるラヴィアンに激しく同意。
手に入れる物の重みを知れば意地でも向き合わざるを得ない
それは解っている筈なんだけど…ね
>170-172
結局ひらたく言ったら自分がだいじ、みたいな。ある意味仕方ないんだろうけど。
喧嘩が子供レベルでワラタ。
お題は「溜め」に一票
コメントした時、FFの作品に触れなかったのは単純に知らないからです。すみません。
いのちのきのみについては実にシュールな作品だなと感じました。SSというか一つの詩の様な感覚を抱きました。
後、
>>177さんコメントありがとうございます。
あの文章は即興で書きました。どちらかというと即興よりは計画を立てて小説を書く方が得意なのですが、衝動的に書いていました。
途中で時間が無くなって尻切れトンボになったのが残念です。
ゲマは、塩沢ボイスを前提に書いていたからあそこまで残忍冷酷でクールに書いたのです。
ゲマにしてみれば、自分の魔生を全否定する事は出来なかったでしょうね。プライドも高いでしょうから。
だから結局、奴にはああいう形で死んで貰いました。主人公とゲマは決して交わらない平行線みたいなもの。
それでも冷徹になりきれない彼の優しさと甘さ。それが出せていたら幸いかなと思います。
お題は「父」に一票を投じます。
お題「光と闇」
お題「父」に1票。
色々と批評ありがとん。
今回はシリアス系を書こうと思って
四苦八苦したんだけど結局書けなかった・・・orz
締め切りギリギリになって書いたのがアレです。
次回こそはシリアスを・・・ってことで、
お題「決断の時」に一票。
ずいぶんと亀レス
>>100 トルネコというキャラをおちょくりまくったあの作家ですかい。
>>106>>107>>140 全体的に(ラストの部分は特に)理詰めで書こうとせず勢いだけで書いてたので、これこれこういうオチだと
はっきり言えないんです。「トルネコ、アンタ楽ばっかしてきて最後転んだだけじゃんなにそれ?」
ということが言いたいだけの話なんですが、描写不足だったり適正な語句を使ってなかったり等で
人によって違うオチを想定されてしまったかな、と思ったりしました。
>>106 ◆F/WveZadCU さんみたいに気の利いたオチをつくれればよかったんですが……w
でもとにかく、読んでくださってうれしいです。ありがとう。
>>89 僧侶の自傷行為を見せられてはさすがの魔物も戸惑うかも……という戦術だとしたらすごい策略家
なのですが、そうではなかったかw
再リメイクでキャラクターにこんな性格が追加されたらスクエニを訴え……いえ、尊敬します。
>>90 FF6って始まりから暗い雰囲気がありました。
ナルシェの炭坑内での決死の逃亡、ティナの息づかいが聞こえてきそう。
何より、FF6という作品に対する思い入れが伝わってきます。
とりあえず「はじめてのたたかい」の作者さんたちにだけレスしてますが、
最初の「ラスボス戦」から最新の「生命の価値」まで全部読ませてもらってます。
しかし今回は凄いですね・・・
お前ら、月末に面白い作品ばっか投稿するんじゃねぇよ・゚・(ノД`)・゚・今回は書き甲斐の
あるテーマだったと思います。
>>141-145 価値、というのがここでは値踏みという意味合いで書かれているのかな? というのが
初読時の印象だったんですが、何度か読み返していくうちに、武闘家が自分自身の能
力よりも仲間の生命を選択したんだなと思うと、何だかあたたかい気分になりました。
最初の印象が生命に対する皮肉なのかと思ってしまった分、両面に解釈できて深いと
感じました。
>>149-154 未プレイながら、この主人公と妻ビアンカの生命に対する思いというのを通して、今回の
テーマに対してとてもストレートに描かれていて、展開も相まってDQ5そのものへの興
味も沸きます。ただ(未プレイのせいもあってか)主人公とゲマの対比はすっきり描かれ
ている反面、ビアンカに対する読後感(?)がちょっと複雑です…。矛盾というか、なんか
無理やりに言い聞かせている感じが(最後の「そう信じたかった」はそういう意図なのか
な? とも読めますが)
>>156-161 クリスの戦い様というか、生き様がかなり格好良いです。特に
>>158の戦闘描写に惚れ
そうな勢いです。最後の四行に集約されている通り、生きることに何を見出すのか、
ともすると生きることそのものが結論なってしまいがちの中で、あたたかな記憶が闇から
抜け出す出口へと導いてくれたというところも良かった…。とにかく余韻がいいですね。
>>163-168 FFTのデモ画面で流れるあの行、こんな解釈をした事はなかったですよ…。クリスタルに
なった時に継承されるアビリティの事ばかりが頭の中を占めていたプレイ時の自分が
恥ずかしくなりますね。(あと養殖→密漁とか。ルカヴィ以上に腹黒い主人公一行だった。)
攻略とストーリーを読み解く事の違いを、この作品読んでいて気付いた気がします。
>>170-173 最初の2行読んでノックアウトです。腹がよじれる程ワロタ。確かに「いのちだいじに」だ(w。
ご免、今回はこの2行がかなりツボだった。やられました。
一応断っておくと、これはあくまで一個人の感想であって書いた人の意図する通りに
読めてなかったらスマソ。
184 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/02 00:06:59 ID:uA7I7dWz
お題age
「宝箱」
遅ればせながら感想。明日の0時には来られっかな……。
>>140 仲間を守るために自己の犠牲を厭わぬ者、背負うもののために仲間全員の命を尊ぶ者。兄の心弟知らず。
違和感ない説明の挿入がグッド。FF6はあまり知らない漏れも普通の小説としてそのまま読めました。
>>145 すみません、見逃してました。
見かけはただの木の実、味もドングリと背比べ。けれどその効果と使い道によっては人の命を……。
でも最大HP+5という効果と売値150Gで人を生き返らせるという使い道は、考えてみれば釣合いませんね。
マニアックなプレイヤーだと、仲間死ねば150Gどうにか貯め、命の木の実は預かり所w
>>155 ストレートな話ですね。
失われた命は重い。だからこそその仇を取ってやりたいと思うか、仇の命さえも慈しむべきか……。
誰かを救うのに理由がいるかい?という境地には、なかなかなれないものです。
>>162 犠牲を払って生き長らえた者にも、犠牲となった者にも、残酷な運命が待ちかまえている。
運命に己が命を弄ばれながらも、人は自分のできる限りのことをするしかない。
A.I.さんのSSは、毎回、独自の幅広い世界が待っていて、読むのが楽しみです。
>>169 人の命を受け継ぐことに臆病であることも、人として大切かもしれない。
けれどそこは戦場。利用できるものを利用して強くなって行かねば、自分の命も親友の命も守れない。
FFTまったく知りませんでしたが、説明のおかげでスンナリ読めました。
>>173 自分の命と仲間の命、そして優先順位。誰かの命を守るということは、誰かの命を見捨てること……。
ギャグだからこそ書ける話ですね。こうしたコミカルで和気藹々ムードのSS、漏れも大好きです!
完全なスレ違いですが、昨日11月1日は故いかりや長介氏の73回目の誕生日のはずの日でした。改めて、ご冥福をお祈りします。
186 :
仕切厨 ◆qqd/ohs2N2 :04/11/02 01:21:51 ID:gjk5XNOU
お題は、前回が重かったので、今度は軽く、
「アフター5」
を提案します(ほとんど死語か?)。
・中長編作品の締め切り後の投稿について。
最初の投稿は締め切りまでに、という意見がお二方から出ていますが、
書き出しは、中編長編で最も気を遣うべき箇所ですし、あとあと手を加えたり構成上ガラリと場面を変えたりしたくなる箇所でもあります。
作家さんのスタイルによりますが、将棋の「封じ手」のようにしてしまうと、いい作品に仕上げられなくなってしまうのではと思います。
中長編になるはずが書き上げてみたら10kb程度の短編……ということもあり得ますし。
引き続き審議ということで。書こうという作家さんが出てきたら、その方の意向を優先ということになるでしょうか。
・お題と固有名詞について。
これも審議中で。
が、特定のキャラクターやシリーズのSSのリクエストがこのスレの主旨ではないことを明記しておいたほうがいいかもしれません。
・「お題」を複数にするかについて。
・投票形式の規格化について。
この2つについては、不都合が発生するまで現状のままにしましょう。
-仕切厨議案-
・「批評」について
SSスレであまり話題にしたくないことなのですが、このスレで「批評」を認めるべきでしょうか?
ここでいう「批評」は、
批判的批評(こうしたほうがいい、作者の意図がわからない、〜はこんなキャラクターじゃない)、
好意的批評(〜の描き方がうまい、こうするともっと良くなる、文章は下手だけど味わいがある)、
などとします。
もっとも、どこまでが批評でどこまでが感想なのか、判別は難しいのですが。
>>183 ええ。確かにビアンカの言葉に関しては色々な意見が出るなと思っています。
読む人次第では二人よりむしろゲマに賛同する人も居るでしょうし。(だから小悪党にはしたくなかった)
難しいものですね、小説は。自分には扱うテーマが大きすぎただろうか。
……主ビア話よりヘン主話の方が得意だっていうのもあるのだと思いますが。ビアンカは個性が強いから、描くのが結構難しい。精進せねば。
>>186 まず感想ありがとうございます。
もし主人公に家族が居なければ、こんな境地にはならないでしょうね。
作中で主人公に言わせた事ですが、彼の青年前期(結婚するまで)の目標は、ゲマ一味を討つ事だけだったと思っているのです。
父の遺志を継ぐというのも、結局はその延長線上にある事。
しかし、彼は魔物との触れ合いや結婚、子供の誕生などを経験して大きく変わったと思います。
自己犠牲も、仇を助けようとするのも偽善だと言われればそれまでかも知れませんが、それでも生命の価値は変わらない事だと思います。
この度イラクで死んだ人質にしても、動機は愚かだったにせよ、尊い生命が消えたのだから、謹んで冥福を祈らねばならないでしょう。
後、いかりや長介氏の冥福もお祈りします。ドリフ世代でこそ無かったものの、死んだ時は驚いたものです。
今思えば、ドリフ四十周年番組の時には既に憔悴し切っていたな……。
ところで、「アフター5」って何ですか?
お題
<<インフレ>>
アフターファイブは仕事の後の時間という意味だったような。
お題age。
<<決断の時>>が 読んでみたいです。
ところで、このスレの保管サイトを作りたいのですが、
作ってもいいでしょうか?
仕切り厨さんは三十代後半かい?歳が。
お題
<<スポーツ>>
今回はシリアスな話が多かったですね。
シリアスな話に感想をつけるのは苦手なので他愛もない話になってても見逃してやってください。
>>132-139 普段キザでも一番仲間思いなのはエドガーなのでしょうかね。
城の仲間の安全をいつも考えなくちゃいけないし。
賛成派も反対派も仲間のことを考えていると思いました。
>>141-144 変わってますが伝えたいことは分かった気がします。
多くの方が言われるようにシュールだと思いました。
>>149-154 ゲマがいい人(?)に(;´д`)
私のイメージではゲマはもっと残酷な奴なのですが、そのギャップ差が面白く感じました。
>>156-161 DQ3は何度かプレイしたはずなのに細かい話が思い出せない(;´д`)
いくらかアレンジなさっているのでしょうか。
記憶をたどるという展開と重要なことを思い出したら進めるという展開がドラクエらしいと思いました。
>>164-168 アリシアと聞くと某お姫(ry
クリスタルを継承するということはその人の思いや願いも継承することなのかと思いました。
ラヴィアンが決心した次の日にアリシアがクリスタルになるというダークな展開がまっているのかとふと予想しちゃいました。
>>170-172 個人的に最高です。
各キャラが原作のキャラを崩さずにうまく使われていたと思いました。
ギャグにしろシリアスにしろ熱意を込めて書けば書くほどキャラを無視してしまうものですが、そんな風には微塵にも感じませんでした。
あとライアンがちょっと好きになりました。
インフレレーションに一票
<<インフレ>>に一票
水曜日0時を過ぎましたので、
お題募集期間ならびに前回のお題【生命の価値】の作品募集はしゅーりょー!!
(ルールは
>>101を参照してください)
今回のお題
>>177さん 「溜め」
>>178さん180さん 「父」
>>179さん 「光と闇」
>>181さん189さん 「決断の時」
>>184さん 「宝箱」
>>186 「アフター5」
>>188さん191さん193さん194さん 「インフレ」
>>190さん 「スポーツ」
集計の結果、最多4票で
【インフレ(ーション)】
に決定いたしました。
それでは日曜24時まで『投稿期間』となります(ルールは
>>102を参照してください)。
職人の方もそうでない方も、
インフレという言葉をご存じの方はもちろん、何それ?という方はオンライン辞書を引くなりして(試験に出ます!)、
張り切って執筆をどうぞ!お待ちしております!!
インフレですか……。
RPG恒例の理不尽なインフレを突っ込む様な作品が多くなる気がします。
例 恐らく世界最大の都市だと思われるロマリアの物価より、辺境の異民族が住むスーの村の物価の方が高いとはどういう(ry
ちょっと今の所そういう向き以外のネタが思い浮かびませんね。まあ、考えてみます。
>>192 ゲマは良い人なのではありません。ただ、自分に正直なだけです。私にとってのイメージはこれです。
197 :
193:04/11/03 15:19:43 ID:RoovW0MM
打ち間違ってるよorz
infoseekカタカナ語辞典より
>インフレーション [inflation<ラ inflare(ふくらませる)]
>【経】 通貨膨張.物価の急激な上昇.通貨の増発により,貨幣価値が下落し,物価が上がる状態.邦略してインフレ.⇒デフレーション.〈大〉
>★第1次大戦後のハンガリーでは,1垓(がい)(兆の上の単位)ペンゴ紙幣まで登場した.
※この辞書も間違ってるyp 兆の上の単位は京。その上が垓
10000兆=1京、10000京=1垓
「おい……また増税だってよ」
「マジかよ? ふざけんなよ。ただでさえインフレが進んでるってのに、これ以上重くされたら生きて行けねえよ」
ここはアメリア大陸南方のサマンオサ王国。軍部クーデターによって国王とザグルール元帥が結託し、恐怖政治を行っている。
「止めとけ。こんな所で文句を言ったら断頭台(ギロチン)だぜ? 今日だって八人が処刑されたじゃねえか」
「民権運動家だってケチつけられたんだって? 可哀想にな」
「今日の処刑者の中にはサイモン上級少将派の将校も居たらしい。ザグルールの野郎、手前では何も出来ねえ癖に……」
「だから止めろって。殺されても知らねえからな」
サイモン上級少将は、かの『ネクロゴンドの悲劇』で国際義勇軍の先鋒として前線でバラモス軍と激戦を繰り広げ、アリアハンのオルテガ大佐と並んで『勇者』と称えられていた。
しかしサイモンが戦友オルテガと共にバラモス討伐の旅に出ようとした神聖暦(AD)1036年、彼の好敵手だったザグルール中将が軍事クーデターを起こした。
サイモンは政治的配慮から処刑されずに島流しにされ、他のサイモン派や自由民権運動家は悉く処刑。ザグルールと国王による軍部独裁が確立していた。
以来、この国では反政府運動が激化し、その弾圧の為に秘密警察が跋扈し、毎日の様に無実の罪で多くの者が処刑され、統制経済下に於けるインフレが進行していた。
「全く、寒い時代な事だよ」
男は苦々しげに呟いた。
「また増税かね。ザグルール」
眉間に皺を寄せた国王が尋ねた。その身体は肥えている。
「左様。まだまだ搾り取る事は出来ましょう」
白髪が目立つザグルール元帥が答えた。軍人らしからぬ肥った身体である。彼等の周りには妖艶な踊り子達の舞いがあった。
「自由民権運動など馬鹿げた事でございます。我々の力を誇示せねばなりません」
「然り然り……」
国王、もとい暴腕鬼神ボストロールは満足そうに頷いた。
「それで良いのだ、ザグルール。愚民如きが我等に意見具申など言語道断。まずは価格をどんどん上げて、逆らう事が出来ない様にしてくれる」
この二人は、意図的にインフレーションを進行させていた。それが国民の不満を踏みにじる為の最大の政策である。
「それが、魔王様の御意志でもあるのだ。何の為にクーデターを助けてやったのかを留意しろよ」
「御意にございます。国王陛下」
魔王バラモスはネクロゴンド侵攻に手間取り、アレフガルドよりこのミッドガルドの方が圧倒的に軍事力が高い事を思い知った。そこで彼は人間の力を利用しようと目論んだ。
その策謀の一つが、このサマンオサ王国のクーデターだった。ランシール共和国、バハラタ共和国、ヴェトナム共和国、エジンベア共和国と、多くの国で共和革命が勃発し、多くの国で立憲君主制が採用されていた。
当然、サマンオサでも自由民権運動は高まり、サイモンの協力もあって到頭国王に立憲君主制の採用を認めさせる所まで来ていた。
しかし、ザグルールら軍部保守派(サイモンは開明派)は、それに強く反発していた。バラモスはそれを利用してボストロールを派遣し、クーデターを引き起こしたのである。
「しかし、何だかやりきれないものがあるな」
門番の兵士が唐突に言った。
「何が」
「俺達さ、このままで良い訳?」
「だから、何が」
苛立つ相棒に、兵士は声を潜めて言った。
「この状況がだよ」
相棒は思わず周りを見渡した。誰も居ない様に見える。相棒は溜息をついて答えた。
「全く、こんな所で言うなよ。免職どころじゃ済まねえぜ」
無理も無い。よりによってここは城内の門である。誰が居てもおかしくない。それで密告でもされようものなら一巻の終わりだ。
「でもな……。やっぱり、心が痛むよ」
ここからは、市街を見渡す事が出来る。ここに突っ立っていると、国民がどれだけ政府に怨念を持っているかひしひしと感じるのである。
兵士は、国民よりはマシである。一応、食事が保証されているからだ。国民の中に、食う事が出来ない連中が大勢居る中でのこの待遇だ。国民の恨みを買わない訳は無い。
「嫌になって来るんだよ。毎日の様に、物凄い形相で睨まれるんだぜ。何十何百の人間に。街中なんか歩きたくもねえよ」
「確か、お前は家族にメシを届けてるんだってな」
「ああ。その度に恨めしそうな視線を浴びる。ガキまでが俺の事を激しく睨みつけるんだぜ。時には石まで投げつけられる。もう、嫌だよ俺は」
声を潜めてはいるが、彼の言葉には悲痛さがありありと見受けられた。
「だがな……」
相棒は男を見つめた。
「そういう時代さ。しょうがねえのさ。俺達はこういう職務をやるしかねえんだ。どれだけ恨まれてもな」
「まあ確かに、世の中が変わらねえかなと思う時は俺にだってあるさ」
相棒はしみじみと空を見つめた。どんよりとした曇り空だ。
「俺のダチはサイモン派だと見なされて殺された。何人もな……恨みたくなる時はあるよ。この状況をな」
「俺もそうだよ。ダチが殺された」
男が相槌を打った。二人は寂しげに微笑した。
「また増税だってな」
「ああ。お袋がぼやいてたよ。これじゃあ生きて行けないってな。聞いた所によると最近では、コーヒーを飲むのにも先に金を払うんだとよ」
「何故だ?」
「飲んでいる間にもインフレは進む。飲む前に払わなければ大損だ」
「……狂ってるな」
「俺もそう思うよ。しかしどうにもならねえ」
二人は溜息をついた。
「間違ってるのはわかりきってるのにな。上はどんどん肥って国民は痩せ衰える。まるでガキの時に聞いた童話そのまんまじゃねえか」
「童話の方がマシだよ。大体はハッピーエンドになるからな。でもこの国にハッピーエンドの兆しは見えない。密告を恐れて碌に話も出来ない。八方塞だ」
「救世主でも来ないかな。それこそ世界を救ったとか言う勇者ロトとか」
「それこそ童話だよ、お前」
二人は苦笑した。救世主を望まねばならないとは世も末だ。
「ティルスとか言ったか? バラモスを倒すのも良いけどよ、この国を何とかして欲しいもんだよな。勇者様ならよ」
「止めとけ止めとけ。期待するだけ損だ」
相棒がまた苦笑して手を振った。
「勇者が来たってどうにもならねえよ。相手は国家なんだからな。それこそ革命でも起きなきゃ無理だ」
「自由民主党にでも入るか?」
「冗談。殺されちまう」
「そういうこった。過剰な期待は禁物。不穏当な話題はもっと禁物さね」
二人は苦笑しつつ職務に戻った。いや、戻らざるを得なくなった。市街地から数人の人間がこちらに向かって来たからだ。
「……おい。噂をすれば何とやら、じゃねえか?」
「ああ。どうやら勇者様のご登場だ」
彼等は表情を引き締めた。突っぱねるのが彼等の仕事である。
「何だ、お前達は。ここを何処だと思っている」
「僕の名はティルス。オルテガの遺志を継ぎ、バラモス討伐の為にアリアハンから旅立った者です。国王陛下にお目通り願いたく存じます」
二人は顔を見合わせた。しかし、すぐに事務的な声で言った。
「ならん。誰であっても、事前にアポを取らなきゃ駄目なんだ。例え本物の勇者様だとしてもね」
「取ろうとすれば、どの位で取れますか?」
「さあな。全ては陛下と元帥閣下の思し召し次第さ。百年待っても取れないかもな」
「やっぱりな。だから止めておけと言ったんだ。この国がどんな国だかはわかってるだろうが、ティルス」
ティルスの仲間と思しき魔法使いが舌打ちをした。しかしティルスは取り合わない。
「僕達はどうしても国王陛下に謁見せねばならない重要な用事があるんです。何とか出来ませんか」
「そんな事を求められても困る。俺達が上から言われてるのは、『アポなしの訪問者には丁重にお帰り願い、さもなくば捕まえろ』という事だけさ」
「丁重に、ね。成程、そうかい。流石軍部独裁をやる様な奴は言う事が違うな!」
魔法使いが毒づく。それでもティルスは食い下がる。
「お願いします。僕はどうしても国王陛下に逢わなければならないんです。バラモスを倒す為には、絶対にここの国王に逢って話をしなければならない。どうか……」
「聞き分けが悪いですな、勇者殿?」
不意に男の声がし、一同がはっとその方向を振り向き、兵士が慌てて敬礼した。男は、ザグルールだった。
「お初にお目に掛かる。私はザグルール。この国の軍事最高責任者です。勇者殿ですかな?」
ザグルールは慇懃無礼に問い掛けて来た。それを聞いて魔法使いが食って掛かる。
「あんたか。この国の国民を苦しめてるザグルール元帥ってのは」
「アレシア、止めろ」
ティルスが小声で言っても、魔法使いは言葉を止めない。
「酷いとは聞いてたが、予想以上だ。手前は国民がどれだけ苦しんでると思ってるんだ!」
ザグルールはちかりと眼を光らせて、冷笑を浮かべた。
「アリアハン軍大元帥ゲナント・レヴィンスキー・フォン・レーム殿が孫にして、ティルス殿の従兄アレシア殿でしたかな?」
「ああ、そうだ。良く調べてるじゃねえか。ティルスはともかく、俺の事まで知ってる奴はそうはいねえぜ」
「職務ですからな」
皮肉な笑みを浮かべて、アレシアを見た。嫌な眼だ。
「それで、ティルス殿のご要望は何でしたかな?」
(わかってる癖に、良く言う……!)
アレシアは顔をしかめたが、ティルスは平静を装って答えた。
「国王陛下にお目通りをお願いしに参上しました」
「それは、出来ませんなあ」
ザグルールはますます慇懃無礼に答えた。
「何故です」
漸くティルスの眼光が鋭くなる。
「最近、反政府運動が活発になっております。連中は偶像を求めている。それこそサイモンの様な格好の偶像を、ね」
「何を仰りたいのです」
ザグルールの眼が一気に鋭くなった。肥った身体に似合わぬ鋭さである。
「ティルス殿が、反政府運動の偶像になると、私は考えておる。故に謁見はならぬ」
今度こそティルスの顔色が変わった。
「それは、僕に対する愚弄と受け取っても宜しいですか?」
「どう取っても構わんよ」
いつしか、敬語も無くなっている。ザグルールは一気に態度を尊大に構えた。
「勇者ティルス。ここに来たのが愚かだったな。『正義』の使者たる貴様を我々が受け入れるとでも思ったのか」
気がつくと、彼等の周りを数十人の兵士が取り囲み、窓の向こうでは兵士が銃を構えていた。
「目障りなのだよ。もし貴様が反政府運動を煽りでもしたら、反乱が起こるだろう。我々の邪魔をされる訳には行かん」
「その反乱を起こしている要因が自分達にあると気づけよ、あんた」
「黙れ若造! 政の何たるかも知らぬ小僧が」
「知らねえのは手前だよ。生活を破壊する程インフレを進行させ、民衆を虐げるのが政だって? 笑う気も失せるぜ」
アレシアの言葉に、ザグルールは顔をしかめるが、何も言わずに兵士に向き直った。
「この者達を連れて行け!」
抵抗しようとするアレシア達をティルスが抑えた。
「何故止める!」
「ここで暴れて何になるんだ。機を待つんだ」
「その機が来ればの話だがね」
ザグルールは暫し冷笑し、その後表情を引き締めて言った。
「連れて行け!」
連れて行かれるティルス達を、二人の兵士が見つめていた。
「止めて欲しいと思っているかね?」
二人は慌てて首を振った。ザグルールが近付く。
「……二人とも、妙な事は考えない事だ。生命が惜しければな。家族の生命が」
「御意」
ザグルールが立ち去るのを見届け、二人は溜息をついた。
「本当に、来るもんだな」
「ああ。でも捕まった。救いは来ないだろうよ」
二人はそれっきり黙った。空は相変わらず暗鬱なままだった。
革命の灯火は消える事は無かった。勇者ティルス一行は奇跡的に脱出し、反政府団体に合流。
遂には所謂『サマンオサ革命』によって国王の正体を暴き、更にはこれを打ち倒す事に成功。ザグルール一派は国民の手によって処刑された。
幽閉されていた本当の国王は復位後直ちに立憲君主制を承認し、統制経済を解除。流通を元に戻し、税率も元に戻し、十四年間不当に徴収されていた税も可能な限り還元した。
本来ならこうした開放政策はインフレを生むものなのだが、これまでの統制経済が酷すぎた為、インフレは却って急速に収束する事となった。
当然の事だった。これまでは不当な需要過剰だったのが、一気に供給過剰になったのだから。
物資が無かったのでは無く、溜め込んでいただけだった。それが解決された後のデフレは早いものだった。
あれから、五十年。魔王バラモスの脅威は無くなり、世界は平和となっていた。
第四次世界大戦(これもバラモスが引き起こしたもの)以来、世界は平和協調路線を取り、国際交流が叫ばれた。
このサマンオサにもそれは浸透し、新しく創設された平和の祭典オリンピックも開催された。
最早、あの悪夢の独裁政治は過去となっていた。あの馬鹿げたインフレも同様である。
「やあ、ルドルフ。久し振りだな」
「お、カイゼルじゃないか。久し振りだな、本当に」
城外公園で、たまたま二組の家族が顔を合わせた。二人とも孫を連れていた。
「全く、手前も老いぼれたな」
「手前こそ。また皺が増えたぞ」
「うるせえよ」
二人は朗らかに笑った。このやりとりは彼等にとって挨拶に過ぎない。
「……すっかり変わったもんだな」
孫が子供達と遊んでいる間、二人はベンチに座った。
「ああ。五十年前からすれば考えられんよ。ここからの眺めも嘘みたいに澄んでやがる。雑然としてるのは相変わらずだが、質が違う」
「本当にな」
二人の元兵士は、静かに笑った。この二人は、結局革命軍に付いて政府軍に叛旗を翻した。二人の家族が革命軍に加わっていた為であり、良心の呵責の為だった。
「本当に、勇者は救世主になったな。童話じゃなくて」
勇者ティルスのその後の行方は、誰も知らない。しかし、世界にとって、この国にとって彼等は英雄だった。
「まさか、脱出するとは思わなかった。どんな手を使ったのかねえ」
「どうでも良いさ。こうして俺達は幸せに暮らしてるんだからな」
「元気にしてるかね、あの少年」
「さあな。でも、元気で居て欲しいとは思う。恩人だからな」
二人は空を見上げた。雲一つ無い青空が広がっている。太陽が眩しい。
「おじいちゃーん。アイスクリーム買ってよ」
二人の男の子の声が同時に響く。言うまでも無く二人の孫である。二人は親馬鹿……もとい爺馬鹿の顔になった。
「全く、しょうがない子だな。ばれたらお母さんに怒られるぞ?」
「良いから。おじいちゃんなら内緒にしてくれるでしょ?」
「お願い。買ってよおじいちゃん」
二人の老人は顔を見合わせて苦笑した。
「わかった。買うよ」
「やったぁ! ありがとうおじいちゃん!」
無邪気に喜ぶ孫を見て、二人はもう一度顔を見合わせて苦笑した。
「甘い奴だな」
「お前こそ」
「ねえ、何でお金を先に出すの?」
孫に言われて、二人は思わず自分の手を見た。頼むと同時に、金を渡そうとしていたのだ。
「ああ、大昔の癖なんだよ」
老人二人は恥ずかしそうに笑った。そう、この二人の孫が味わう必要の無い時代からの癖である。
「大昔の癖ってなーに?」
子供の好奇心は何にでも向けられる。本当は二人とも、あの悪夢の時代について孫に話をしたくない。しかし、話さなければ納得はすまい。
「ああ。昔は物を買うのにすごーくお金が必要だった。その時からの癖だよ。そうだな……」
二人は懸命に、あの時の悪夢に触れずに済む話を考えた。やがてルドルフが手を打ち合わせた。
「大昔……そうだな。おじいちゃん達がまだ君達のお父さんよりちょっと若かった時、例えば何か食べ物を頼む時は、先に出すのが常識だったのさ」
「なんで? お金って、貰った後に出すんでしょ?」
「その時はね、先に出さなきゃ損だったのさ。何故なら、食べてる間にも払わなきゃいけないお金はどんどん膨らんでいたから」
「えーっ、何それ。すっごい変じゃない?」
「そう。すっごい変な話さ。でも、当時はそれが当たり前だったんだ。悪い奴が居てね、どんどん物価を引き上げてたんだよ」
「ひどいね……それじゃ例えば、本当は100ディルナールでアイスクリームが買えるのに、その時は最初に払わないと200ディルナールになってたの? おかしいよ、それ」
「まあ、それも昔さ。今ではそんな事は絶対にない。だから君達は安心して良い。受け取った後にお金を払えば良いんだ。本当はおじいちゃん達もそうしたいんだけどね。勝手に前払いしちゃうんだよ」
(そう、絶対に無い。そんな事はあってはならない)
孫に笑顔を見せながら、老人二人はあの時の事を思い浮かべていた。
(もう、二度とあってはならないんだ。平和でなければならない。この子達が幸せである為に……)
「どうしたの、おじいちゃん」
孫の声に、老人二人ははっとした。
「もうお日様が沈むよ」
「ああ、そうだね。帰るかい?」
「うん!」
孫は屈託の無い笑顔を見せた。二人は夕陽に向かって祈った。
願わくば、この子達に幸せがあらん事を。
以上、DQ3のサマンオサ話でしたが、かなりオリジナルが入りました。すみません。
最後に出て来たディルナールは、まあ円だと考えて下さい。
昔世界の共通通貨が金、あるいはドルだった様に、ゴールドもあくまで共通通貨だと思うので。
「インフレ」であえてシリアスを書いてみました。長文、失礼しました。
>>209 オリジナルティストは漏れは好きですし、長文となったことに気を遣われる必要も、ないと思います。
ただ……。投稿時間が15分ほど開いているのは、なぜでしょうか?
>蒼龍 ◆JkKZp2OUVkたん
書き上がっているものをスレに上げる時は、
最初に何レスくらいあるのか書いてくれるか、
name欄に1/11とか書いて、全体のいくつめまで
上がったのかわかるようにしてくれると(・∀・)イイ。
>仕切厨 ◆qqd/ohs2N2たん
連続して書き込めない規制があるから、それにひっかかると
投稿時間があくこともあるよ。10レス越えてる作品の場合、
下手すると投稿終了まで30分とかかかるかも。
詳しくは板の設定とかをみるとわかると思う。今は4連投めで
規制入るんだったかな。
>>210-211 勿論、連投規制を恐れているのもあるのですが、何より、何処までが一レス分なのかの距離感が掴めていないんです。
もし掴めているなら、メモ帳にでも書いてそれをコピペするんでしょうが、何処まで書けるのかが判別しがたいものがあります。
それ故、その場で試行錯誤しながら書いていたのです。「生命の価値」で何度か文字数規制を受けていたので。
とはいえ、それが投稿を妨げる要因になるのは事実でしょうから、それについては謝罪します。すみませんでした。
というかこの話、インフレの話と違うだろと言われる気がしますね……。
確か、「コーヒーを飲む時は先に金を〜」のくだりはブラジルのインフレ話だったと思いますね。後はタクシーではなくバスを使えだとか。(タクシー運賃は走っている間でも跳ね上がるから)
実際、日本でそんなインフレになったらたまったものじゃないですね。良く先人は敗戦直後のインフレ下で生きて行けたものです。
――争いを呼ぶ、己の強大な力の愚かさに気づきし神は互いの力を中和させる
ことにより自らを封印せん。そして最後の力で幻獣に心を与え自らを石に
変化せしむ。 神が幻獣に残した最後の言葉
「われらを永久に封印せよ」
それは遙か過去からの警告。
しかし、像に刻まれたその文字を彼らが目にした時には、既にその封印は解かれ
ようとしていたのだった。
世界を掌握せんと目論む皇帝ガストラと、その右腕として活躍する魔道士ケフカの
手によって――もっと正確に言うならば、皇帝ガストラは封印を解かれた三闘神の
真の姿を目にすることなく、ケフカの造反によって命を落とすことになったのだが
――三闘神を崇める一方で、神々の犯した過ちと、それに巻き込まれた哀れな生命
への弔い、同時に新たな生命への訓戒が込められた石像の文字は、彼らの征服欲
の前に踏みにじられたのである。
神々の手によって幾重にも厳重に張り巡らされた封印を、人は知恵と力をもって
解き放った。
こうして1000年の時を経た今、人はまた、同じ過ちを繰り返すに至ったのだ。
***
引き裂かれた大地は神の産声。数えきれぬ生け贄をもって今世に甦った三つの
神は、世界中の嘆きが集まった瓦礫の塔の奥に住まい、力に取り憑かれてしまった
哀れな傀儡と、地上で怯える人々を見下ろしていた。
――世界崩壊――あの日から1年が過ぎようとしている。かつての帝都ベクタ
には瓦礫の塔がそびえ立ち、そこを中心として世界は恐怖の底へと沈んでいる。
ここから放たれる『裁きの光』はいくつもの街を破壊し、多くの命を奪ってきた。
人々は生き延びるために、大地を這うようにして生活しなければならなかった。
抗おうとすれば、すぐさま天より制裁が下るからだ。
そんな世界の中でただ一つ。瓦礫の塔と並ぶ巨大な建造物があった。
『狂信者の塔』。
ここはその名の通り、三闘神の力を取り込み今や文字通りの“神”となったケフカ
を崇める狂信的なケフカ崇拝者の手によって建造されたものだと言われていた。が、
その実はモンスターの巣窟なのだが、下層階にいる狂信者集団には知る由もない。
どのような工法によって建造されたのかは謎だが、塔内部では魔法以外の使用
ができない。力を持たずに上層階を目指し歩み続けようとした者達の骨が、階段を
上がった先に転がっていた。
塔下層階にいる狂信者達にもはや生気はなく、ただひたすらにケフカを崇め、
祈祷を捧げるのである。彼らにとって生きることにそれ以上の意味はなかった。
ここへ足を踏み入れた者の多くは、祈祷を続けそのまま死を迎える。それを悲
嘆する者は一人もおらず、むしろ彼らはそれを望んでこの塔を訪れていた。
崇め奉るケフカと、三闘神に命を捧げるのだ。
この塔へ集う者達の動機は様々だった。
中には大切な孫と死別した絶望から、この地を訪れた老人もいたのだが、やが
て彼は死んだと思い込んでいた孫娘との再会を果たし塔を後にする。しかし彼の
場合は単に幸運だったというだけである。
大崩壊を生き延びた多くの命がこの塔に集まり、神々に捧げられた。
やがて瓦礫の塔が英雄達の手によって崩壊の時を迎え、この世界から魔導の力
が消えたその後、狂信者の塔がどういう末路を辿ったのかを知る者はいなかった。
「のう、リルムや」
かつてその狂信者の塔で、ストラゴスはある青年と出会った。
話を聞けば、彼はストラゴスのように大切な者を失った絶望からこの塔に辿り
着いたのではなく、自らの意志で訪れたのだと言っていた。
今でも時折、ストラゴスは青年の事を思い出すのである。
***
それは、ストラゴスがここを訪れてまだ間もない頃の事だった。
――なぁ、じいさん。
わしはジジイではない。と、何度言っても聞いてくれそうになかったので、仕
方なく彼の話に耳を傾けることにした。
――破壊を望むことの何が悪いんだろう?
青年はそう言った。
わしは、大切な者を失う痛み――それが現実であると知ること――を怖れ、言葉
を返せなかった。青年は黙り込んだわしを気にかけながらも、話を続けた。
――人は増えすぎた。だからその価値が下がったんだ。俺は破壊を悪とは
思わないし、ケフカ様が行っている事は正しいことだと思うんだ。
生き残るべき人間、残すべき人間は、神の手によって選別されるべきだ。
それを成しているのが、ケフカ様なんだ。だから俺はここへ来た。
語る青年の瞳には、一点の迷いもなかった。
「……じゃが、数だけで人の価値を計るのは間違っとると思うがのォ……」
消え入るような声で、そう反論するのが精一杯だった。
なにかを口にしかけたまま、青年は黙ってわしの顔を見つめていた。結局彼は
わしの言葉に反論する事はなかった。彼もどこかで、わしと同じように大切な者
を失ったのだろうと思った。
彼はわしの肩に手を置いて、静かにこう言ってくれた。
――あんたは、この塔にいるべき人間じゃない。早く故郷へ帰った方がいい。
リルム達が迎えに来てくれたあの日、青年は最後の笑顔をわしに向けてくれた。
共に出ようと手を差し伸べたが、彼はそれを拒んだ。
――悪いけど、俺の考えは変わらないから。
それが、青年を見た最後だった。
***
「なぁに?」
大きなキャンバスと、沢山の絵筆を抱えたリルムが振り返る。
「彼は……」
ストラゴスの言葉を遮って、リルムは祖父の前へ手を差し出した。その手に握ら
れていたのは、小さな絵筆。
「この筆の価値って、なんで決まると思う?」
何の変哲もない絵筆。武器としてではなく純粋に絵を描く道具として町で売られ
ているその筆は、それほど高価な品というわけではなかったが、今でも寝袋など
よりは少し値が張る品だった。
「おじいちゃんにとっては単なる筆だよね。でもね、リルム達にとってこれは大切な
宝物なんだよ」
ピクトマンサーと呼ばれるずっと以前から、リルムは絵を描くことが好きだった。
幼いながらも、彼女は筆を手にケフカに立ち向かった英雄の一人である。
そんな彼女は、狂信者の塔で出会ったあの青年の問いかけに応えるように、
目の前のストラゴスに向けて言った。
「物の価値は数で決まるって言うけどさ、その物自体は変わらないんだ。惑わさ
れちゃダメ、ちゃんとその物を見なくちゃ」
世界崩壊後の物価高騰。
長きに及ぶ干ばつ、裁きの光による淘汰。必然的に生活用品の価格は高騰した。
その上で力あるいは金を持たない者達は飢え、次々と命を絶やしていった。
英雄と呼ばれた者達とは別の場所で、人々は必死に戦っていた。いや、ケフカ
と三闘神を葬った今でもその戦いは続いている。
『復興』という名の戦いだ。
そこに携わる全ての者達が英雄であり、光である。某国王の演説を思い出して
ストラゴスは笑った。――砂漠の機械国家の君主殿は元気だろうか?
「そうじゃな……」
そして同時に、久しぶりに仲間達の所を尋ねたいと思うのである。
神の意志、あるいはその見えざる手によって導かれた者達の物語は、まだ
始まったばかりだった。
−神の見えざる手<終>−
----------
※ 出典:FF6
舞台:狂信者の塔〜ED後
お題:「インフレーション」
追伸:前回のお題「生命の価値」で書ききれなかった分を補足した(つもり)。
…苦し紛れだ。(w
ついでにアダム=スミスはそんなことを主張したかった訳じゃねぇだろ、と
言うごもっともなツッコミが入る前に自分でツッコミ入れておきます。
…あと、極力こう言うことは書きたくなかったんですが1ヶ所訂正させて下さい。
>>132の記述の中に間違いがありました。ロックはレテ川でのオルトロス戦(1回目)には
どう考えても参加が不可能でした…orz。この場を借りておお詫びと訂正を。
>>198-208 正直、最初の2レスを読んでいる間は(教科書を読むことが苦痛でしかなかった自分に)
読み切れるかと不安でしたが、読み進めていくうちに面白くなって来ました。読後感が
かなり良い感じです。
何より圧政下の兵士視点で語られる世界と、勇者を出迎える描写がとても楽しかったです。
兵士っていう立場がツボですね。現体制に寄り添いつつ、それを批判的に思うという板
挟みにあるからこその葛藤が(・∀・)イイ!
ドラクエもFFも全世界単一通貨(もっともドラクエはゴールドだからその物ズバリ金本位制な
のかな?)じゃなく、各地域で変動相場制だったらラスボス到達までの道のりがエライ苦労
するだろうなと思ったりもしましたが。(w
この板の書き込み規制などについてまとめておきます。
・1回のレスで書き込める容量は2048バイトです。
オーバーすると「本文が長すぎます!」という警告が表示されます。
SS作家さんやAA職人さん泣かせの規制です。計測法は次のレスで。
・1回のレスで書き込める最大行数は32行です。折り返しは含みません。
オーバーすると「改行が多すぎます!」という警告が表示されます。
会話メインでSSを書いているとよく引っかかります。ワードや一太郎、エディタなどで行数を数えておきましょう。
・1行あたりの最大容量は……1行レスならば全角255文字くらいです。(わかる方の補足をお願いします)
オーバーすると「長すぎる行があります!」という警告が表示されます。
漏れにとっては、容量制限のためやむを得ず改行をなくした場合に引っかかる規制です。
左右に文が長すぎると解像度を大きくしている人には非常に読みにくいですから、やはり適当に切って改行しましょう。
・この板では、1回書き込んだのち次に書き込めるのは45秒後です(Samba24規制)。
それより早く書き込もうとすると「45secたたないと書けません。(*回目、**secしかたってない) 」という警告が表示されます。
(5回以上この警告を受けた場合、次の何時00分まで、そのサーバーの板には投稿できなくなります)
焦って書き込みボタンを押さず、最後の推敲をしたり名前欄やメール欄のチェックをしましょう。
・この板に最後に書き込まれた20レスのうち3レスが同一人物(正確には同じIP)の場合、その人は4レス目の書き込みはできません(連投規制)。
未明〜早朝、朝〜夕方など、板人口が少なくなったときには、次の投稿まで数十分待つこともあります。
レスをする人が増えるまで、ミルクティー飲みつつ読みかけの小説を片手にでもしながら、おとなしく待ちましょう。
SSの容量を計測する方法について(すべて漏れの経験則であるため、わかる方の補足をお願いします)
・2ちゃんねるブラウザの使用がベストです。最新版ならば書いた分の容量と最大容量とを表示してくれます。もちろんフリーソフトです。
固定ハンドルやsageの着脱に便利で、さらにサーバー負荷を減らすこともできるため、自分所有のPCでHDDに余裕があるならば是非導入してください。
詳しくはこちら。ちなみに漏れはOpen Jane Viewを使っています。なかなか快調。
http://school4.2ch.net/test/read.cgi/qa/1065946671/ ・テキストエディタなど、文章の容量をバイト単位で計測してくれるようなフリーソフトを導入する手があります。
メモ帳では容量が大きくなるとメモリ不足で挙動がおかしくなったりするので、その対処のためにも軽いエディタの使用をお奨めします。
詳しくはこちら。OSによって対応したりしなかったりなので、きちんと確認するようにしてください。
http://pc5.2ch.net/test/read.cgi/software/1095205736/ なお、バイト数の計測法が異なる可能性があるため、2048バイトよりも少なめにしたほうがいいと思われます。
目安としては(漏れのエディタでは)およそ1930バイト以下です。
・諸事情で、他のソフトウェアをインストールできないという方は、
空のテキストファイル(メモ帳)にコピペして保存し、そのファイルサイズを見て(ウィンドウズの場合「プロパティ」等で)確認する方法があります。
事前の面倒はない代わり、作業が面倒です。ノートパソコンなどでマウスを使わないというときは特に!
このときの目安は、ウィンドウズOSの場合1.89kb前後です。
・普通の携帯電話からの投稿の場合、携帯側の文字数制限から考えると、規制のかかる可能性はまずないと思います。
>>220訂正。全角でなく半角255文字です。失礼しました。
DQ8発売月間につき、特に夕方から深夜の時間帯は板内でものすごい勢いでレス数が伸びるため、
この時間帯では、45秒規制さえ守っていれば、連投規制に引っかかることはまずないと思います。
(ただし、去年の今頃をご存じの方はおわかりでしょうが、DQ8祭りのために鯖落ちの危険があります。
鯖移転したので大丈夫だとは思うけど…それもあって2ちゃんねるブラウザ導入を推奨)
ということで、職人のみなさま、今が投稿チャンスですよー!!!
>>220 わざわざありがとうございます。よーし、パパ次はこの容量制限を考えてSS書いちゃうぞー。
もし次スレを立てる事があるなら、その記述も追加した方が良いかと思われます。そうすれば自分みたいなのは出なくなるかと……。
>>219 歴史が好きなのでああいう導入になりました。
確かに凄い嫌だw
本日の円相場は1ゴールド101円61銭〜65銭で取引していますなんて言われたらリアル過ぎて投げ出したくなりますね。
ここロンダルキアでは、ハーゴンが地獄の使いと話をしていた。
玉座のハーゴンに地獄の使いが言う。
「勇者の一行はドラゴンの角を越え、ルプガナに到着した模様です。現在のレベルは13程度」
「ふむ、そうか。まだまだヒヨッコじゃのう。
ここまで来るには、まだ時間がかかるじゃろうて」
「ええ、いずれ彼らもここロンダルキアにやって来るでありましょう。
今よりももっとレベルを上げ、強力な武器を携えて。強力な敵として・・・」
「・・・何が言いたい?」
意味深な地獄の使いの発言。ハーゴンは目を鋭く光らせ問うた。
「申し上げます。下界にモンスターを放ちすぎではないかと」
「・・・それのどこが悪い?
多い方が勇者たちの旅の妨げになろう?」
「いえ、下界はまさにモンスターのインフレ状態。
勇者らは相手とするモンスターに事欠きませぬ。
彼らはそれらを次々撃破し、経験と資金をどんどん貯め、
加速度的な速さで強力な存在へとなりつつありまする」
「ふむ・・・続けよ」
「はい、これはまさに敵に塩を送るようなもの。
どうか下界に放ったモンスターを引き上げてくださりますよう。
さすれば、奴らは経験も資金も得ることができぬまま、
貧弱な存在として、ここロンダルキアに来るしかなくなりまする」
「なるほど・・・な」
しばらくハーゴンは考えこんだ。
そして立ち上がり、おもむろに叫ぶ。
「許可する。ただちに下界のモンスターをロンダルキアに引き上げさせよ!」
「はっ!」
こうして、地獄の使いの策略により、各地のモンスターが引き上げられた。
モンスターの大移動が始まる。
しかし、それは困難な道のりであった。
ある者は海で溺れ帰らぬモンスターとなり、またある者は飢餓によって飢え死に。
移動中、弱ったモンスターたちを人間が襲うこともあった。
さらに、ロンダルキアの洞窟で迷い、命を落としたモンスターも少なくはなかったのだ。
現場の実態を知らない、無能な上司の出した命令により、膨大なモンスターたちが亡くなった。
そんな中、ロンダルキア台地に到着した幸運なモンスターたち。
しかし、彼らを待っていたもの、それもまた地獄であった。
モンスター数の爆発的な増加。それにともなう食料不足。
瞬く間にロンダルキア台地は死の大地となり、
食料の奪い合い、または共食いといった血で血を洗う抗争が勃発した。
慌てたハーゴンは命令の取り消しを告知したが、モンスターたちは拒否する。
彼らはロンダルキアの洞窟、あの殺人的な迷宮をもう一度通りたくはなかったのだ。
そんな様子を見て破壊神シドーは言う。「こんな世界、やだ」
その光景にトラウマを負ったシドーは、元の世界にひきこもった。
やがてハーゴンも部下のクーデターに遭い、命を落とす。
指導者を失ったことにより、ロンダルキアの混乱は一層その度合いを強めた。
そして、彼らは絶滅した。
一方その頃、勇者一行は船でアレフガルドに到着していた。
ローレシアの王子が必死でスライムを追いかける。
行動が遅れ、取り残されたモンスターが世界には若干数いた。
結局、スライムには逃げられる。
「ちくしょー、逃げられちまったぜ!」
「それにしても、急にモンスターの数が減ったわね」
「まったくだ。これじゃレベルも上がらねえし、金も貯まらねえ。
俺は光の剣が欲しいのによぉ〜。しょうがねえ、別のを探すぞ!」
「そうね、あたしも早くルカナンの効果を試したいし」
何気に地獄の使いの策略はズバリ的中し、勇者一行を困らせていた。
草むらの中を必死で探索するローレシアの王子とムーンブルクの王女。
その背後では、サマルトリアの王子がボーっと突っ立っていた。
彼は付近を見渡す。草原を走り回る子供たちの姿が見えた。
「じゅうぶん平和だよなぁ・・・。旅を続ける意味、あるのかな・・・?」
ぼそりとつぶやく。そんな彼に王女の声が飛ぶ。
「何してんのよ、あんたも一緒に探しなさいよ!」
「う、うん。わかった」慌てて走り出す。
天空では太陽が、ポカポカと心地よい陽射しを大地にふりまいていた。
題名:モンスター移住大作戦
出典:ドラクエU
す、すまん。いちおうシリアスのつもり・・・
でも、シリアスってよりはドキュメンタリーだな。これわorz
>蒼龍 ◆JkKZp2OUVk様
長文にもかかわらず読みやすくて面白かったっす。
DQと現実の世界が微妙にリンクしてるのがよかった。
何気に自民党に笑いました。
>◆Lv.1/MrrYw様
重厚な文章って感じでした。
しかし、漏れの脳みそ的にはちょいとレベルが高かった・・・。
物の価値は人の思いによって決まる。数ではない。
いいですね。リルムの台詞にちょいと感動。
>>227 自民党は自民党でも利権屋が大集合している某政党なんぞではありませんよ?(笑)
この作品内での自民党とは、自由民権運動、反政府運動の中心勢力です。文字通り、自由な社会と民主的な政治を志す政党という事で。
一応シリアスものであり、パロディーを意図したつもりは無かったのですが、まさか某利権政党を思い浮かべる人が出るとは。
ドラクエ好きな癖に中世が嫌いな性質なもので。現実の中世を知ったら幻滅ものですから。
というか、貴方の作品で吹いたwこれ、ひょっとしたらギャグじゃないのかと思ったのですが。
>>221 変数のバイト数計測法は全部同じはず。大抵は命令1つで計測可能と思う。
前から全角2バイト、半角1バイト、改行2バイトだったかと。
ついでに2048バイト=2Kbです。
前回の私の作品を読んで下さった皆様、ありがとうございました。
「生命の価値」というお題を見て「FFTで価値ある命ってやっぱりクリスタルで
いろいろ継承できる命かー?」と思い、それはプレイヤー側の視点だから、実際に
旅している彼らの気持ちになってみようと思ったら出来た作品であります。
しかし、翌日にアリシアがクリスタルになるような、シュールな展開は考えて
いませんでした。いろいろ感想いただけて嬉しかったです。
他の方の作品も楽しく拝見したしました。特に『いのちだいじに』は、テーマに
真っ向から向かっていながら、読み終えての「ヤラレタ」感が激しかったです。
読者にそう感じてもらえるような作品を自分も書きたいと思いました。
「インフレ」はFF2で挑戦してみました。10レスほどありますので、またしても
投下に少し時間がかかると思います。スミマセン。
「やあ、フレイア。今日は、これとこれをくれないか。いくらだい?」
「13ギルです」
腰にくくり付けた皮袋に右手をつっこんで金を探る。こうして自分で金を払って
食事を取る事にも慣れた、と思う。でも、まだ、どの硬貨がいくらなのか、咄嗟に
計算できない。だから、自分が出した硬貨がきちんとその金額に足りているかどうかの
確認は、いつも支払う相手任せだ。
「これで足りるかな」
「ありがとうございます」
お釣りと共にパンを渡してくれるフレイアの笑顔は、いつも通りに美しく、まぶしい。
『アルテア1の美人だったのに、フィンの都からヒルダ王女が来られてからは2番目に
なっちゃったわ』と、明るく笑っていたことを思い出す。パラメキア皇帝率いる帝国軍に
襲われたフィンから逃げて来た私たちに、少しでも笑顔を取り戻して欲しいと考えての冗談
だろうと思ったが、実際彼女は美しい。ヒルダの高貴な美しさとは質の違う美しさを持って
いて、この町ののどかさを象徴しているような娘さんだ。
とはいえ、この町、アルテアも安全とは言いきれない。あの皇帝は、フィンの生き残り
たちが大人しく従うとは考えていないだろう。実際、フィンを追われてアルテアに来た
人々の多くが、今では皇帝に抵抗する反乱軍のアジトにいる。
特に正義感の強いヒルダは、病床のフィン王に代わって、今では女だてらに反乱軍の
指揮をとっていると聞いている。
それに対し自分は……と、ため息をつく日もあったが、もう、やめた。兄は素晴らしい
騎士だったけれど、私にはあれほどの剣も使えぬし、そもそも人の上に立てる器でもない。
死ぬ間際の兄は「お前には素晴らしい能力がある。もっと自信をもて」と言い残して
くれたそうだが、私にそのような能力がある等とはとても信じられない。兄の買いかぶりだ。
今の私は、町の人々の用心棒のようなことをしている。時折、町の外に出る者たちの護衛を
引き受け、同行している最中にモンスターに襲われればそれを狩り、荷物運びを多少手伝って
金子を得るのだ。王子であった頃には考えられぬような生活だが、細々とこの町に溶け込んで
生きて行ければそれで良いように思い始めている。私のような卑怯者には、似合いの生活だ。
もちろん、いつ帝国軍が攻め入ってくるかわからない。攻められた時には、せめてできる限り
町の人々を守って、兄の後を追おうと思う。
私は、私を逃がす為に傷を負った兄を置いて逃げ出した卑怯で臆病な人間だが、戦い方を
知らぬこの町の人々のために死ぬ事くらいは、できるかもしれないから。いや、できると
信じたいのだ。
「おはよう、フレイア。今日はこれとこれをくれないか。いくらだい?」
「さ……30ギルです」
「30ギル? これでいいかな」
「ありがとうございます」
フレイアの微笑みがいつもよりも強張っていたことに気付いたのは、翌日になってからだった。
私は臆病者の上に鈍感でもあるんだ。
「やあフレイア。今日はこれとこれをお願いするよ。いくらだい?」
「…よ、45ギルです」
「そうか、これでいいかな?」
「……ありがとうございます」
笑顔はいつもと違ったけれど、いつも通りの美味いパンを頬張りながら、このふたつのパンの
組み合わせは一昨日と同じだと気付いた。一昨日は確か13ギルだったような気がする。いきなり
値上がりしたのだろうか?
しかし、フレイアは理不尽な商売をするような女性ではないはずなのだが……。
次の日、私は昨日と同じパンを選んで、フレイアに価格を尋ねてみた。
「………ご、56ギルです」
「56ギル? 昨日は45ギルだったし、その前は13ギルだっただろう? 何故急に値上がり
したんだね?」
「……町に品物が無いんです。パンを作るには粉や卵が必要ですけど、足りなくて。でも、
町を出て材料の買い付けに出るのが大変だってこと、ゴードンさまもご存知ですよね?
それで、粉屋が材料の値上げを始めて、他の物も一気に値段が上がってしまいました。
気付いておられなかったのですか?」
言われてみれば、他の店の価格も値上がっていたかもしれない。継続的に買っているのが
フレイアの店だけだったから、気付かなかったのだろう。
「そうか、それでは仕方がないね。これで足りるかな?」
「はい……ゴードンさま、すみません」
「いやいや、フレイアのせいではないだろう?」
フレイアが私に返してくれた微笑みは、昨日に増してぎこちないものだった。
数日後、フレイアのパンの価格は、ひとつ100ギル以上になっていた。どんな店でも軒並み
価格が上がっているし、何故か用心棒の仕事は入らないから、金は減って行くばかりだ。
毎日価格が変わるので、今までは価格の一覧表が掲げてあったような店も「価格は店員に
ご確認ください」という文言を掲げるようになっている。店員と交渉しているその場で価格が
つり上がる事も珍しくない。
正直なところ、皮袋の軽さが気になるようになってきた。
故郷カシュオーンにはもう誰もいないし、この町で生きて行く以外にないと思っていたのだが、
これではどうなることか……。
戦いによって他の町との交易が途絶え、更に、反乱軍の戦士たちをかくまった上で養っている
この町で物資が不足するのは、考えてみれば当たり前の事だった。そこに更にわけのわからぬ
私まで逗留しているのだから、尚更平和だった時代のようにはいかないだろう。
実際、人々が私を見る目は、以前よりも冷たいような気がする……。
しかし、そもそも、町の人々だって、生活に困っているはずだ。
この状況をヒルダは知っているのだろうか。おそらく、知っているのだろうとは思う。思うが、
数日で物の価格が10倍になるような状態なのに、何がしかの手を打っているようにも見えない。
町の人々は、世界の為に戦う彼らに遠慮して、生活の苦しさを申し出ていないのかもしれない。
いや、というよりも、物資を反乱軍に優先的に回しているから、一般の人々まで回らず、仕方なしに
価格が上がっているのではないだろうか。
ヒルダにこの事を言上してみて何かが変わるわけではないだろうが、一応会ってみる必要が
ありそうだ。
反乱軍のアジトにこもったままのヒルダには、フィンから逃げて以来会っていないが、会ってくれる
だろうか。
アジトの兵士たちは、特に誰何することもなく、私をヒルダに引き合わせてくれた。さすがに
フィンにいた頃よりもやつれた顔をしているけれど、やはり美しい。
王女の椅子に座る彼女の前に跪き、差し出された左手の甲に挨拶の接吻をした。
「ゴードンと二人きりで話をしますから」
白い指が上がって人払いを命じるのを、どこか遠くの国の出来事のように眺めていると、
周囲の戦士たちが引くのを待たず、ヒルダが話しかけてきた。
「それにしても久しぶりね。元気にしていたのかしら?」
「ああ。町の人にも良くしてもらっているよ。ヒルダは少しやせたみたいだね」
「そう? これでも栄養には気をつかってもらっているはずよ。何を食べるかは、料理当番任せだから」
それではこのやつれようは、やはり忙しさと、抱えている問題の大きさから来ているのだろう。
武器の調達、戦士の育成、情報収集を指示し、新たな作戦をたてながら、病床の父王の看病も
しているのだろうから。
だが、私は反乱軍のことについて尋ねてみるつもりはなかった。
「今のヒルダは、アルテアの町の施政者でもあるのだろう?」
「あくまでもお父様の代行だけれどね。この町の町長は、あの日たまたまフィンに来ていて
亡くなったそうなの」
「そうだったのか……」
私は心の中で顔も知らぬ町長氏の眠りが安らかであるように祈った。この町が、穏やかで
良い町なのは、恐らく町長氏の尽力があったせいだろうと思うと、私もその恩恵にあずかって
いる身なのだから。
「それで……?」
「アルテアの人々が、困っている事を知っているかい?」
「困っていること? 困っていることなら山のようにあると思うわ。こういう時ですもの、
我慢してくれていることも知っているわ」
「そうか……」
さすがはヒルダだ。きちんと気配りしているのだ。私がとやかく言うようなことは何もないのだ。
「ほかの町へ仕入れに出られないから、物資が足りないという話も聞いているわ。もしかして、
そのことで来られたの?」
「ああ、そうだ。数日でパンの価格が10倍になってしまったほどだからね。これでは町の人々も
暮らしていけないだろう?」
「10倍?」
私はだまって頷いた。ふと、ヒルダの驚いた顔など一体どのくらいぶりに見るのだろうと
考えた。いつも冷静な横顔ばかり見ているような気がするのだ。久しぶりにみるその表情のまま、
ヒルダは何かつぶやいていた。
「そこまでしなくてもよいのに」
「え?」
「なんでもないわ。それで、ゴードン王子としては、どうするべきだとお考えなのかしら」
………。
私は、打開策があって来たのではなかった。ただ、ヒルダに現状を伝えに来た、それだけだ。
ヒルダなら何か考えついてくれるだろうと、漠然と思っていたのだ。
しかし、考えてみれば、ヒルダがこの立場にあるのは、彼女が王女だからにすぎない。
フィンにいた頃の彼女は、もちろん優しくかしこい王女だったけれど、町の施政や、まして
軍の指揮などにはおよそ向いていなそうな、おっとりとしたところも持っていた。
それが、今では、こうして厳しく意見を求めて来るような立場にある。
ヒルダは無理をしているのだと、初めて思い至った。兄が生きていれば、彼女は兄の補佐に
まわって、もっと余裕のある微笑みを浮かべていられたのかもしれないが。
やはり、あの時に死ぬべきだったのは私なのだ。
「すまない、私はやはりここに来るべきではなかったようだ」
何の役にもたたぬ王子など、来るべき場所ではないのだ。
「ゴードン? どうかしたのですか」
「いや、なんでもない。ヒルダがそれを知っているのなら、私にはもう何も言う事はないさ」
退去の挨拶をして去ろうと立ち上がる。
「お待ちになってゴードン。本当にそれだけなの?」
「そうだが」
ヒルダはため息をついた。
「ねえ、私は、あなたが聡明な方だと知っていますわ。いくら物資が不足しているからといって
数日でパンが10倍の価格になるのはおかしいとは思われなかったのですか?」
「おかしいとは思ったよ。でも、パン屋のフレイアは理不尽な商売をするような人ではないし、
その他の物もかなり高くなっているから、こういう時には仕方ないのだろうと」
「その状況をなんとかしようとは思われなかったのですか」
「……それで、今日ここに来たつもりだった」
ヒルダの言葉には、今までになかったような刺が感じられた。
「ゴードン、あなたには本当はわかっているはずです。このままいても、人々の生活の苦しさは
変わるはずがないのだと。原因を取り除く努力をしなくてはならないと」
「……しかし、私に何ができると」
「共に闘ってください。パラメキア皇帝に勝つためには、あなたの力が必要なのです」
「いや……しかし」
「あなたが今日ここに来て下さったのは、町の人々のためなのでしょう?」
「もちろん、それはそうだが」
ヒルダが言わんとしていることはわかる、つもりだ。
曲がりなりにも王子として育てられた私は、それなりの教育を施されて来た。施政についても、
戦術、剣の技などについても。それは、王女として育ったヒルダの知識とはかなり違うものも
あるだろう。その知識を彼女と人々のために役立てるべきなのかもしれない………が。
「ゴードン、お願いです。私のもとをちっとも訪れてくださらなかったあなたがここに
おられるのは、人々のためなのでしょう? どうかこのまま、人々のために働いてください」
私のような卑怯者が、堂々と人の上にたつなど許されまい。
「それはできない」
「何故です?」
「町の人々だって、そんなことは望んでいないだろう?」
「いいえ。それを望んでいるからこそ、あなたは今ここにおられるのですよ」
ヒルダが何を言っているのか、見当もつかなかった。
「ゴードン、あなたが協力してくださらなかったら、いずれ、この町は本当にパンひとつが
10倍の価格になってしまうでしょう。それを止めるためにも、お手伝いいただきたいのです」
「な……にを、言っているのか、わからない」
まさか。
「私が町の皆に頼んだのです。あなたに物を売る時だけ、価格をつりあげてくれるようにと。
そして、出来れば護衛の仕事も頼まないようにしてくれと」
「そんな馬鹿な事が」
「いいえ、本当です。アルテアの民は、あなたに立ち上がって欲しいのです。嘘をついてでも
あなたにそれを気付いて欲しかったのです」
私は フレイアのぎこちない笑顔を思い浮かべた。私に嘘をついている罪悪感があんな表情に
させてしまったのか。
「ゴードン、わかってください。あなたが必要なのです」
「………私は、私……私は……」
ヒルダの声がぐるぐると頭の中を巡っていた。私が役にたつのなら、そうすべきではないか。
しかし同時に『私には、ここにいる資格などない』という言葉も再び頭に響いていた。
「ゴードン!」
ヒルダの叫びを残して、私はアジトから、そしてアルテアから逃げ出した。
アルテアを飛び出した私は、フィンへと足を向けていた。あてがあった訳ではない。ただ、
あの町にはもういられないと思ったのだ。
そんな私の目に飛び込んで来たのは、空を飛ぶ巨大な船の姿だった。
あれは、もしかして帝国の大戦艦ではないのか……?
フリオニールたちが破壊に向かったはずだが、間に合わなかったということか。
「アルテアが危ない!」
町の人々に伝えなければと踵を返した私の瞳に映ったのは、巨大な火柱だった。大戦艦からの
砲撃によって、町が燃え上がっている。かすかに悲鳴と怒号が聞こえたような気がした。
………………間に合わない。今からでは、間に合わない。
私はやはり役立たずだ。もう少し早く大戦艦の姿に気がついていれば、アルテアの民を
逃がす事もできただろうに。
「私は役立たずだ……、どうして死んでしまったんだスコット!」
久しぶりに兄の名を口にした。命をかけて守ってくれた私の命だけれど、役立たずを救って
代わりに死ぬことは無かったのだ。
この火柱を見て、スコットならどうしただろう。今からでも町へと走っただろうか。
「スコットなら、どうしただろう……?」
それは、スコットの死を知ってから、初めて私の胸に沸いた考え方だった。
ここにスコットがいてくれたなら、とは、幾度も思った。だが、スコットならどうしたかと
想像したことは一度もなかった。
「そう……か」
そうだ、私は役立たずだが、スコットならどうしたかを想像して行動すれば、少しはマシに
なるかもしれない。
スコットは、何を考えていた? 何をしようとしていた?
思い出せ、思い出すんだ。スコットの考え方を私はよく知っているはずだ………。
そして私は、スコットが生前カシュオーンの城を封印したことを思い出した。
あの封印の意味は何だったのだろう? 封印することによって、何を防ごうとしたのだろう?
………もしかして。
私は故郷の城カシュオーンに向かった。スコットの封印した【たいようのほのお】が
今こそ必要なのではないかと気付いたからだ。
待っていてくれヒルダ。今こそスコットの遺志を継ぎ、力になるから。
そしてアルテアの人々よ、どうか無事でいてくれ!
〜Fine〜
書き忘れていましたが、素敵なタイトルをつけていただいてありがとうございました!。
今回のタイトルは「人はパンのみにて……」としたいと思います。
スタッフジャンバーを着た兄さんが言った。
「勇者一行到着まで、あと5分でーす!」
それを聞き、隣りにいた山田が俺に言う。
「5分だってよ。早く準備しようぜ」
そう言うと、山田はオークの着ぐるみを着装し始めた。
それを見つつつぶやく。
「いいよな、お前はオークで。何で俺はこれなんだよ・・・」
「しょうがねえだろ。体型がぴったりなんだから」
「ちくしょー・・・」俺は耐熱性を備えた全身タイツを着る。
「それじゃいきますよー」スタッフの奴はそう言い、おもむろに俺に着火した。
ボワッ!
燃え上がる俺。そう、俺はフレイムだ。
「えーと、3分前。あと注意なんですが、
勇者一行の後ろにいるカメラマンには攻撃しないでくださいね。
それと、カメラが回っている最中は、着ぐるみを脱がないでください」
わかった。わかったから早くしろ。
耐熱性スーツとはいえ、熱いものは熱いんだ!
ほどなく勇者一行が到着した。俺たちは物陰からおもむろに現れる。
勇者一行は驚き、戸惑った。
何やら袋をゴソゴソし、何かを探している。
大方HPが少ないんで、薬草でも探しているのだろう。
「えーとぉ、これじゃないし、これでもない・・・」
じわじわと熱がスーツを伝播し、俺の全身には焼け付くような衝撃が走っていた。
「あれ、これは毒消し草だぁ・・・」つぶやくムーンブルクの王女。
ふざけんな、てめぇはテンパったドラえもんか!?
「早くせんかい!」ブチ切れた俺が殴り付ける。
痛恨の一撃! ムーンブルク即死。
「あきな! 今ザオリクをかけるからね!」
サマルトリアの王子が呪文を唱え始めた。
「○×△&%$・・・」
「長いんじゃ!」俺の回し蹴り。サマル即死。
「よ、よくもトンヌラを!」剣を構えるローレシアの王子。
彼は間合いを測りながら、ジリジリと俺の周囲を回った。
「しゃきしゃき攻撃せんかい!」飛び膝蹴り。ローレシア即死。
勇者一行は全滅した。
そのまま俺はダッシュで海に飛び込む。
火が消え、耐熱スーツを真っ黒に焦がした俺が海に浮かんだ。
「やったな、全滅させたから金一封だぜ」
オークの着ぐるみを脱ぎながら、山田が言った。
「おめーは何もしてねーだろ」
遠くの方には、勇者たちの棺桶を引きずるスタッフの影。
全滅したら、あーやってスタッフが前回のセーブポイントまで運ぶのだ。
「しかしよぉ、不公平じゃねえか? これで給料同じってのは」
「だから仕方ねーって。サイズがねえんだから。
フレイムにLLサイズがあれば俺もやるってば」
「・・・・・・」
その日のアフター5、俺は上司に直訴した。
中年の上司は渋い顔で言う。
「転属願いかね、困るんだよね。この時期に・・・」
「このままだと自分、死んじゃいますから」
「う〜む、わかったよ。どうにか掛け合ってみよう」
「お願いします!」
―――翌日
「おめでとう、転属が承認されたよ!」
「え、マジっすか。ありがとうございます!」
「君の新しい部署は海洋部門。マーマンに決まったよ」
「・・・え、自分、泳げないんですけど・・・」
その瞬間、上司の額に青筋が浮かんだ。
「わがままもいい加減にしたまえ。
今回だって私が無理を言って聞いてもらったんだ!」
いや、ちゃんと履歴書にもカナヅチって書いてあるし。
要するに死ねってことですか?
「とにかく、会社の決定には従ってもらうよ」
「・・・・・・」
その日、俺は辞表を書いた。
題名:中の人物語〜IN THE FLAME〜
出典:DQU(の舞台裏)
言い訳:略してインフレでお願いします・・・
・・・ごめん。勢いで書いちゃった。
そういうオチでしたか。
どこでインフレが来るかと思ったら・・・w
投稿します。ちょっと長めの話になってしまいました。
長いの嫌だって方はスルーしてやってください。
女勇者は宿を出ると一人で歩き始めた。
持っているのは大きなふくろ一つで武器などは持っていない。全てふくろの中にしまってあるのだ。
そして今日は自分の腕一つでお金を得なくてはならなかった。
すれ違った村娘が笑顔で頭を下げてくる。
女勇者もまた笑顔で手を振った。
この村に巣食う魔物を倒したのは昨日のことだった。
まさに死闘と呼ぶべき戦いだった。
死人こそ出ていないものの、他の仲間は大怪我を負った者、精根尽き果てている者、眠り続けている者など休養が必要な者ばかりだった。
まさかこのような小さな村にあれほどの強敵が居るとは誰も思わなかったのだ。
しかし今日はポカポカして天気が良い。
昨日の死闘が嘘のようだ。
勇者はゆっくりと背伸びをして太陽に応えた。
噂に違わぬ「実力と優しさを備えたこの勇者御一行様」にとって「お金がない」というのは不覚な話でしかなかった。
この村に着く数日前までには数万ゴールドの大金を持っていたのだが・・・女勇者が兼ねてより欲しかった装備品一式、仲間の趣味への小遣い、自分へのご褒美(・・・スライムのぬいぐるみだが)、などなど今までにないくらいの散財をしてしまったのだ。
その結果現在の所持金は500ゴールドにも満たなかった。
宿のご主人は「命を懸けて魔物を追っ払った勇者御一行様」に対して、非常に丁寧な歓迎と手当て、第一級の大部屋を用意して向かい入れてくれた。
しかし女勇者には分かっていた。
魔物によって疲弊させられたこの村にとってあの「お泊り」がどれだけ大変な物であるかを。
ご主人は笑顔で代金は要らないと言ってくれたが払わないわけには行かない。
今日明日の分・・・いや、明後日の分まで合わせれば1000ゴールドは払っておきたい。
疲弊した村を助けるという意味でも用意しておきたいのである。
実際には500ゴールドでもいいのだが、力の種を宿のツボから取ってしまったのでその分も支払いたい・・・という理由もある。
それもご主人が困らないように出来るだけ早く。
「んー。大変だあ♪」
女勇者は伸びをしたまま明るく素っ頓狂な声を上げた。
首を回しながら再び歩き出す。
道端の道具屋さんが笑顔で手を振っている。
女勇者が手を振り返すとりんごの入った紙袋を投げてくれた。
村を救ったささやかなお礼なのだろう。
女勇者はこんな暖かいお礼が大好きであった。
ちょうど勇者御一行全員分ある。
頭を下げてお礼を言い、紙袋の中の一つにかじりついた。
残りは宿に帰ってからみんなに食べさせてやろう。
そう思うと勇者はふくろにりんごを投げ入れた。
どれだけの物を入れようと一向に重くならない不思議なふくろだ。
数分後村の入り口にまで着いた。
ここに来るまでの間にどれだけ多くの人にお礼を言われたかわからない。
女勇者にとってその一つ一つが小っ恥ずかしいものの元気の出る素であった。
・・・しかし、実はこの物語の主役は彼女ではない。
かといって昨日戦った魔物が復讐をしてくるという話でもなければ、村のみんなが力をあわせるような物語でもないのである。
話を主役の元へと移してみよう。
ドサッ!
大きな音共に何かが舞い降りてきた。
「うっわお!新入りが来たぞーーー!!!」
どこからともなく声が聞こえてくる。
元気で明るい声だ。
「おおっ新しい仲間か。」
今度は低くて深い声だ。
「えーどうでもいいよう。ねむっていたのにうるさいなあ・・・。」
どことなくだるそうな声。
「そういうことを言うもんじゃないでしょ!新しい仲間が来たというのに失礼よ!」
それをしかる高い声。
「いらっしゃいませ。騒がしいのはここの常なのでご勘弁を。ここはどなたでも歓迎いたしますよ。」
最後に落ち着いた声がみなの意向を示した。
ゴロゴロゴロ。
ズルズルズル。
ドスン!
いくつもの音が重なって近づいてくる。
新入りを一目見ようと多くのものが集ったのだ。
ガヤガヤ。ワイワイ。ザワザワ。
新入りが入るたびに遠くに居たもの同士が話し合うのは定例の行事となっていた。
話題のネタは最近調子はどうか・・・新入りを見てどう思うか・・・○○や××が居なくなった事について噂を聞いたか・・・などなどである。
「なあ・・・そこのねぼすけに賛成するわけじゃないが、最近・・・その・・・増え過ぎじゃないか?」
一つの声が周りの雑音を消してしまった。
話し合いの途中から議論になるのもまた定例の行事であった。
「それは・・・いや・・・どういう意味かね?」
低い声が疑問を投げかける。
「言葉のままだよ。増えすぎだと思うんだ。正直。」
ゆっくりと意見が返ってくる。
「確かに最近は新入りが多いが不都合なことがあるのか?ここはいくらでも広がっている。住む場所は無限だ。」
別の声が反論する。
「俺たちに不都合はないさ・・・でも・・・最近勇者の奴・・・散財し過ぎだと思わないか?」
この意見は更に場の雰囲気を硬くさせてしまった。
「その意見は正しいぜ!ぶっちゃけ要らない奴らが多すぎる!このあいだのあいつ・・・なんていったっけ?モンスターの格好をした奴!何に使うんだよ!」
「ごめんね・・・。役立たずでごめんね・・・。」
鳴き声が聞こえてくる。
「可哀想なこというんじゃないわよ!この子は役に立ってるわよ!勇者ちゃんたら一日に一回はこの子とお話しするんだから!」
「ふん!新入りが来たおかげで用済みになったおばさんは黙ってろ!」
「なんですってーーー!」
「こらこら、そこ。熱くなってはいけないよ。君。暴言はいかんよ。暴言は。」
「いや。まあ確かに言い過ぎたとは思うけど。多いって意見は正しいと思う。だってお金がなくなったら最終手段は・・・。」
そこまで言って暴言を吐いたものは黙り込んでしまった。
「まあ、でも、そうなったら・・・そうなったで構わないんじゃないか。」
「役立たずから居なくなる・・・それだけのことだよ。ぶっちゃけ俺様さえ居れば他の奴ら要らないだろ?」
「極論だ!」
「いや暴言だ!僕たちの存在価値はそんな薄いものじゃない!」
「いいえ。フフフ。不要な物から居なくなる。正しいことじゃなくって?」
こうして更に議論が白熱してしまった。
そのころ・・・女勇者は自分のことでそんな議論が起こっているとは露も知れず、モンスターを探して付近をうろついていた。
「おかしいなー。モンスターさんたちが居ないよー。」
「やっぱり先日魔法使いさんが派手にやりすぎたからみんな隠れてるのかなー。」
「おーい。もんすたーさーん。でておいでー。」
「ここにおいしいおいしい勇者さんが居ますよーーー!」
女勇者は手を振りながら声を掛けて回っていた。
そろそろ出てきてくれないとまずい。
そして場面を変えて再び議論に戻るとしよう。
「バスタードソード君。それは間違っているよ。たとえば破邪の剣君は戦士にとって呪文代わりの存在だし、ドラゴンキラー君はドラゴンに対して君よりも優秀だ。」
「何より噂に名高い破壊の鉄球君やメタルキングの剣君がここに入ってきたら次に出て行くのは君ということになってしまう。」
明るくもしっかりした声が反論している。
この意見はかなり優秀だったらしくバスタードソードは声を言葉を失ってしまった。
「ふっふん!ひのきのぼうは黙ってろ!あんたは随分昔から居るらしいが俺はあんたが使われた所を一回も見たことがないぜ!」
仕方なく出された反論はそんな言葉で終わってしまった。
「ははは。私は最近使われたどころか一回も使われたことがないよ。」
「ほーら見ろ!役立たずじゃないか!」
バスタードソードが声を高らかにして勝ち誇った。
「あんた!さっきから聞いてたら随分と自分に自信があるようね!」
「でもひのきのぼうさんは他の物がしてないことをずっとし続けているのよ!」
「あんたも戦いのたびにお疲れ様といわれたことがあるでしょう!」
水の羽衣が居ても立ってもおられず大声で怒鳴りつけた!
ひのきのぼうは自分が役に立たない代わりに、出番が来た仲間たちには常に「がんばれ」「お疲れ様」を言い続けて来たのであった。
それは多くの物が知っていた。
バスタードソードも戦闘に負けた後、その一言には救われた事があったのでそれ以上は何も言い返さなかった。
「そうそう。そういえばそうでした。」
突然頭上から声がしてくる。
落ち着いた声だ。新入りのりんごたちにみなの意向を示した声と同じ物だろう。
「ふくろ」である。
「つい忘れていましたが、ひのきのぼうさんといえば・・・今日は誕生日ではありませんでしたかな?」
「そして同時に今日は勇者が旅立った一周年のはずです。」
「私は覚えてますよ。あの頼り気のなさそうな勇者のお嬢さんが私を受け取って次々と道具を入れて来た初めての日を。」
「いやいや。色々有りましたが一年経てばあの時の「駄目一行」も今では「噂の勇者様御一行」になってしまった。」
「ひのきのぼうさん。おめでとうございます。」
「そうだ!確かにそうだよ!僕もあのときから一緒に居るもの!」
「確か初めて会ったあの日、ひのきのぼうさんは僕に今日できたてホヤホヤなんだと教えてくれた!」
銅の剣が声を荒立てて叫ぶ。
「あらまあ。そうでしたの。おめでとうございます。フフフ。」
光のドレスが心をこめて祝いを述べた。
「おめでとうーーー!」
やくそうが声高々に祝いを言う。
「おめでとうございまーす。」
どこからかゴールドたちの声がする。女勇者は一体何までこの「ふくろ」の中に入れているのだろうか。
「おめでとう。」
いつもは無愛想なドラゴンキラーがぼそりと祝いを言う。
「え・・・ああ。おめでと。」
眠ってばかりいる戦士のパジャマまでもが祝いを言った。聞き耳でも立てていたのだろうか。
それから一分は皆の祝いの言葉で持ちきりだった。
「みんな・・・ありがとう。」
ひのきのぼうがしみじみと言った。
「はーいはいはいはい。提案がありまーす!」
あぶない水着がおおごえを出したのでみなが注目した。
「今日はひのきのぼうさんをみんなでお祝いしてあげましょうよ!」
「お祝いしてあげる?」
力の盾が今ひとつ分からないという感じで聞き返した。
「えっとー。ですからー。うん。そう。みんなで協力して勇者ちゃんにひのきのぼうさんを使ってもらうのよー。」
「ほう。それは面白いアイディアですな。」
魔封じの杖がコロンと音を立ててつぶやいた。
「アイディアなんて言葉を知ってたのか・・・爺さん。」
隣からアサシンダガーが鋭い突込みを加えたが見事にスルーされてしまった。
「賛成!あたし賛成!」
水の羽衣が声を上げる。
「面白い。協力する。」
刃の鎧がどっしりした声でつぶやく。
「私たち武器一同も協力しよう。構わんよな、みんな?」
鋼の剣が確認を取る。
バスタードソードが何か言いかけたが途中で止めた。
「そこの役立たずって言ったお前!ひのきのぼうさんが役に立ったら謝るのよ!」
水の羽衣がそのバスタードソードに面と向かって言い切った。
「ふん!役に立ったらな!」
「やったー。そうこなくっちゃ!私たちのお祝い!受け取っていただけます・・・よね?」
あぶない水着が最後にひのきのぼうに確認を取る。
「はは・・・。恥ずかしい話で緊張していますが。役に立つことなんて想像できませんが。そうなったら人生最良の日です。」
「よし!決まりよ!」
水の羽衣が最後に場を纏め上げた!
「・・・で何が決まったの?」
戦士のパジャマが眠たそうに隣の幸せの靴にたずねた。
「あんた・・・幸せもんだねぇ。」
幸せの靴はそう呟いた。
その後みんなが作戦を立てている中、幸せの靴は何度も戦士のパジャマを起こしては説明してやらなくてはならなかったことは言うまでもない。
そのころ・・・女勇者はそんな作戦が展開されているとは露も知れず、やっと探し当てたモンスターと対峙していた。
イエティが大量にいる。
もっともこの程度のモンスターは女勇者の実力を持ってすれば大した相手ではなかった。
しかしライオンはウサギを狩るときも、常に全力で挑むモノである。
ましてや今は万が一怪我でもしてお金をかけるわけには行かないのだ。
ここはフル装備で行くべきであろう。
女勇者は「ちょっとまっててねー♪」と笑顔を振りまきながら「ふくろ」に手を突っ込んだ。
バスタードソードか炎の剣があればちょうど良い。
ガサガサ・・・。ゴソゴソ・・・。
では場面を変えて「ふくろ」の中を見てみよう。
「みんなーーーうまくかわすのよー!」
水の羽衣に激を飛ばされて多くの物が転がり始めた。
ゴロゴロゴロゴロ。
ズルズル・・・ズルズルズル。
ズシンズシン。
大分好調だ。
「ふくろ」の真ん中ではひのきのぼうがそわそわしながら待ち続けている。
ガチャン!
「痛っ!んもお!おまえなあ!もっとうまく動け!」
「おまえこそ!」
・・・怪我人・・・もとい傷み物が出てこなければいいが。
「ふくろ」の中に手が降りてくる。中に居る物から見れば大きな手だ。
「ふくろ」の入り口が狭いので勇者は手探りで道具を探さなくてはならない。
勇者の手が入ってきた瞬間、何かつぶやき息を荒立てた「ふくろ」に関してはこの際無視しよう。
勇者の手がバスタードソードを探している。
バスタードソードは動く気配はない。
「バスタードォォォ〜!」
「バスタードソードさん・・・。」
「バスタード君。」
「ふん!必要とされずに使われるなんて、本当の活躍なんかじゃないんだ!」
バスタードソードはそういい捨てるとしぶしぶと隠れだした。
勇者の手が何かを探しているが空回りだ。
考えを変えたのか自然と炎の剣の方へ手が赴く。
しかし当然炎の剣はゴロゴロと転がり続けている。
そして勇者の手がもはや何でもいいといわんかのように「ふくろ」の中を回り始めた。
一つの物にぶつかる。
ひのきのぼうだ。
そのころ・・・女勇者は片手を縦にして謝る動作をモンスターに向けていた。
「えっとー。ほら。ごめん。もう少しだけ待っててよ。ね。いい子だから。お願い。」
「おかしいなー。あっ。ほら。なんか当たった。うん。今。準備終わるから♪」
イエティが何ともいえない表情で様子を見ている。
「ふくろ」の中では勇者の手がひのきのぼうを掴んだ。
ひのきのぼうはドキドキしている。
少しずつ上に上がっていく。
今まで見たこともない景色だ。
みんなが自分を見つめている。
そんなどうとも言い表せない感情を抱いてひのきのぼうは入り口に近づいた。
初めての出番だった。
女勇者はえい♪という掛け声と共に「ふくろ」からひのきのぼうを引き出した!
女勇者はひのきのぼうを見て驚いている。
が・・・決して落胆したわけではない。
この明るい勇者様にとってはひのきのぼうもお洒落なアイテムに見えるのだ。
驚いたのはこのアイテムが「ふくろ」の中に眠っていたことそれ自体だった。
ひのきのぼうを忘れていた女勇者は旅立ちのときに手に入れて、それからたまたま見てなかったこの武器をたまたま引き出したことに驚いたのだ。
その驚きは嬉しい感情に近かった。
「ひのきのぼうかー。そういえばもらったなあ。おうさまにー。よーし。たまにはこいつで戦うというのも面白いか♪」
作戦は大成功!
になったかに思えた・・・が、
「おっまったせー♪」
勇者がそんな声を上げた瞬間、イエティたちは集団でとある特技を使った。
なめまわし。
人によっては最も嫌うと言われている特技のひとつである。
この底抜けに明るい女勇者も例外ではなかった。
「いやぁぁぁあああ!」
勇者の悲鳴がこだまする。
顔をぺろりとなめまわされた勇者はその特技に身震いし不快感をあらわにした。
「ひどーい!ひどーーーい!ひどいひどい!最低ーーー!!!」
「許さないんだから!絶対!ぜっーーーたい!許さないんだから!」
「イオラ!イオライオライオラ!」
あろうことか女勇者はひのきのぼうを投げ捨て両手で呪文を唱え始めたのだ。
イエティの大部分が焦げて倒れこむ。
一部のイエティは逃げ出そうとしたが勇者に回りこまれてしまった。
「もう二度とこんなことしようと思わないようにおねいさんがお仕置きしてあげる!」
「私の鉄拳制裁をぉぉぉ!」
ズコン!
メキメキメキ!
ぐしゃっ。ぐちょっ。
ズーリズーリ・・・。
バシィィィン!
バキバキバキバキ!
ズーリズーリ・・・。
ドッグウァオオーーーン!!!
その惨状を目の辺りにした「ふくろ」はつい目をそむけてしまった。
女性の・・・それも勇者の怒りに触れてしまうとはここのイエティたちも不憫なものだった。
その後勇者は付近のイエティたちに「イオラ」や果てには「ギガディン」、あるいは「鉄拳制裁」でお仕置きをし続けた。
呪文を使い過ぎ、だるくなって呪文が使えなくなった彼女は、落ちているひのきのぼうを「ふくろ」に押し込め、お金を拾って村へと戻って行った。
ひのきのぼうが降って来る。
「ふくろ」の中では仲間たちが顔をうつむけていた。
「ふくろ」に中で実況をしてもらっていたのだ。
女勇者が手にひのきのぼうで闘う宣言をした時は拍手喝さいだったが・・・今ではその雰囲気は微塵としてない。
「みなさん。ありがとうございます。その、結果はこうでしたけど、外に出られただけでも僕は嬉しかったです・・・。」
「ごめんなさい。わたしがこんな提案をしたから・・・。」
あぶない水着は出せないはずの涙を今にも流しそうだった。
「いえ。本当に感謝しているんです・・・。」
「ふん!だから言っただろう!必要の無いものはこうなるんだ!」
「出ていたのが俺様か炎の剣ならそのまま叩斬ってくれたに違いないぜ!」
バスタードソードはそこまで言ってみんなの視線に耐え切れず顔を背いてしまった。
水の羽衣が睨みつけている。
「ははは。バスタードソードさんは正しい。その通りだったかもしれません。ははは・・・。」
その後しばらくはみんな黙りきってしまった。
上からゴールドが降ってくる。
イエティを倒して稼いだお金だろう。
女勇者が数えきったのだ。
「イエイ!エブリワン!元気にしているかい?」
「総勢536ゴールド様がご登場だーーー!」
「・・・・・・・・・。」
いつものはこのノリで来られたら大勢が拍手をするものだが今日はそんな物は一つも居なかった。
元々居たゴールドの一つが転がって行き事情を説明する。
「合わせて1005ゴールドか・・・。嫌な予感がするのう。」
魔封じの杖がポツリと呟く。
「どういう意味だい。爺さん。」
隣でアサシンダガーが質問をした。
・・・そのころ、女勇者は道具屋の前に居た。
「道具屋さん!さっきはおいしいりんごありがとーー!」
いつものようにすっ飛んだ勇者の声が鳴り響く。
「いやいや。こっちこそ感謝の言葉を言い切れないよ。」
「ところで何のようだい?」
「あのですねー。ですねー。何か物を買ってほしいんです。」
「5ゴールドで売れればいいですから。」
「おやおや。そのくらいだったら無料で出しますよ。謝礼にもなりませんが。」
「駄目です!勇者ともあろう物がただで貰うわけには行きません!」
「買ってやってください。高い物は出しませんから。」
「分かりました。それじゃあ何か出してください。1000ゴールドまでなら払いますよ。」
「はーい。あっ。それとりんごを一つ売ってください。そこの10ゴールドと書いてある奴をー。」
「おや。失礼しました。お仲間さんの分も合わせてちょうど渡したつもりだったのですが足りませんでしたか。」
「へへへ。食べちゃったんですよ。一つ。さっき。今度のは私の分確保のためでーす♪」
「あっそうそう。それと今日は変わってる日でしたよー。武器が全然ふくろから出てくれなかったんです。」
「ははは。何でも入る不思議なふくろですからね。そういう日もありますよ。」
道具屋はそう言ってりんごを取り出した。
「ふくろ」の中では大騒ぎになった。
女勇者の言動を聞き続けていたからだ。
みんな逃げ回った。
売られるということはとても恐ろしいことなのだ。
誰に渡るかも分からない。どう使われるかも分からない。挙句の果てには倉庫の中に一生眠ることにもなりかねない。
紙の代わりに火をつけられた布の服の噂は入れ替わるゴールドたちによってもたらされ伝説となっていた。
それだけではない。この「ふくろ」の中は居心地がよかった。
仲間は楽しいし、勇者たちは心を込めて大切に使ってくれる。何より勇者の元ほど人の役に立っていると実感できる場所はなかった。
勇者の手が伸びてくる。
多くの物が逃げ惑う。
まずは10ゴールドが持っていかれた。
ゴールドたちは逃げない。
常に行き来する彼らにとって移動と消費こそが喜びなのだ。
案外回りまわってまた「ふくろ」の中に入ってくることも珍しくない。
再び勇者の手が何かを探す。
やくそうか・・・どくけしそうか・・・可能性の高い物たちは何となく覚悟が出来ていた。
道具屋との会話からか高価すぎる物たちはどこか安心している。
しかしあろうことか「ふくろ」のど真ん中に居る物がいる。
ひのきのぼうだ!
「ひのきのぼうさん!」
やくそうが絶望の更に低い場所から押し上げたような声を出した。
他の者たちも逃げろといっている。
どくけしそうなんぞは俺が行くといわんばかりに真ん中にやってきた。
「いけませんよ。誕生日に売られるなんて・・・。ゆるしませんよ・・・。ここに居る者たちみんながゆるしません。」
天使のローブが消え入るような声を出した。
「違うよ。やっと役に立つときが来たんだ。勇者さんだけではなくここに居るみんなの役立てるときが。」
「やくそう君やどくけしそう君は勇者に使ってもらいなさい。そのために生まれてきたんだから。」
「私にはもうここにいるべきではない。労いをしながらもうすうすは気づいていた。だが決断は出来なかった。今は・・・出来る。」
「ぐすぐすん。」
水の羽衣が泣いたような声を出した。
ぴちゃぴちゃと震える音がまるで涙の落ちた音のように聞こえる。
しかしそんな声を出しているのは一人や二人ではなかった。
勇者の手がひのきのぼうを掴み取った。
どんどん上に上がっていく。
「ひのきのぼう!俺、俺・・・。」
バスタードソードが口ごもりながら叫んでいる。
「バスタードソード君。君は勇者さんの役に立つ。これからもがんばれ・・・。」
「ふくろ」の外に出た。
「りんご♪りんご♪」
「あー。またひのきのぼうか。今日は良く見るなー。うふふ。」
勇者が意気揚々とテーブルの上にひのきのぼうを乗せる。
10ゴールドは既に並べられている。
10ゴールドの中の大半が驚きの色をあらわにした。
「ふくろ」の中でのやり取りを知らなかったからだ。
「そんな・・・そんな・・・。」
「ははは。勇者様。5ゴールドはしまっていただいて構わないんですよ。差し引きゼロですから。」
「あっ。そっか。ははは。みんなには内緒でお願いします。馬鹿って言われちゃうから。」
勇者の手が5ゴールドを掴み取り「ふくろ」に戻そうとする。
ひのきのぼうは動じない。
悔いはある。
しかしもはや覚悟は決まっている。
しかしその時・・・たった一つの1ゴールドがもう一つの覚悟を決めた。
移動と消費が喜びの彼らにとってもっとも危険な賭け。
一生を地獄で過ごさなければならない危険な賭け。
だが、「このまま後悔するよりは・・・ましだ!」彼はそう考えた。
1ゴールドがするりと勇者の手を抜け落ちて転がって行く。
コロコロコロ・・・転がる先は・・・道具屋さんのたんすと壁の隙間だ!
「あっ。」
勇者が声を出したときにはもう既に遅かった。
たんすの隙間に手は入るものの、奥まで入ったゴールドには届かない。
「どうしよう・・・。」
勇者が困った顔をする。よっぽどりんごが気に入っていたらしい。
「1ゴールドくらい構いませんよ。私の家にあるのですし。」
道具屋さんが笑顔でりんごを差し出す。
「まって・・・。・・・太いけど・・・長い。」
そういって勇者の手はテーブルの方へと向かって行った。
ギギッ・・・。
ギリギリの太さだ。
奥へ奥へと入っていく。
きたない・・・よごれた中を突き進んでいく。
ガコン。
ギギギッ。
ぶつかる。擦りつく。ゴールドを救い出すという行為がなかなか難しいらしい。
「えい・・・もうちょっと。そこっ。そこなのに。もうちょっと突き出して・・・。」
「こんどはゆっくりと・・・。」
「やったーーー!」
勇者の声と共にゴールドが隙間から転がってくる。
「あはは。汚れちゃった。」
勇者は手でひのきのぼうを擦ってあげた。
ひのきのぼうは夢のようだった。
まさかこんな所で役に立つなんて。
汚れるほど役に立つなんて。
そしてその汚れを取ってもらえるなんて・・・。
1ゴールドが道具屋さんの手の中でキラリと光る。
なんて大きな餞別だろう。
身をていして仕事をくれた彼を忘れることはない。
これで・・・悔いはない。
「ふくろ」の中では拍手喝さいだった。
興奮した「ふくろ」が実況を続けている。
「とうとう・・・とうとうゴールドを救出しましたーーー!」
1ゴールドをたたえる声。
僕だったら床を燃やしちゃうよとひのきのぼうを褒める声。
さっきまでの雰囲気が嘘のようだ。
「ごめん。おじさん。三十分ほど時間をください。」
女勇者が突然話し出した。
その手にはひのきのぼうが握り締められている。
「なんだか、このひのきのぼうとは縁があるみたいなんで・・・。呪文が使えないし、手も痛いから諦めてたけど、コイツでびしばしイエティをお仕置きしてきます。」
女勇者はそういって走り出した。
「ふくろ」の中は大騒ぎだ。
熱狂的に叫んでいる物も居れば大声で泣いている物も居る。
ウオオオォォォと大声を出して喜んでいるのはあろうことかバスタードソードだ。
幸せの靴がまた戦士のパジャマに何が起きたか説明している。
魔封じの杖がとても素晴らしい格言を言ったが聞こえたのは隣のアサシンダガーだけだった。
水の羽衣はぴちゃぴちゃと泣く音がどんどん大きくなったが誰も怒る者は居ない。
数十分後、いくつかのゴールドと一つのりんごとそれは「ふくろ」の中央に降ってきた。
井の一番にバスタードソードが駆け寄った。
「あなたは本当の意味で活躍しました。あれは俺には出来ません。正しかったのは貴方です。ごめんなさい。そして・・・お疲れ様です。」
それは笑顔で言った。
「ありがとう。いつもと掛ける言葉が逆になってしまいましたね。」
・・・と。
・・・数年後、女勇者は大魔王を倒した。
もちろんかのひのきのぼうはこのあとから活躍したことはない。
しかし、更に数年たった今も女勇者のお洒落な道具コレクションの一つとして「ふくろ」の中に押し込まれている。
そしてゴールドたちによってもたらされたこの「勇者様に愛されたひのきのぼうの噂」は・・・
今もなお、冒険者たちの「ふくろ」の中で伝説とされている。
おしまい。
インフレと聞いて真っ先に思いついたのがこれでした。
ボスが給料の値上げ責めに合う話も思いついたのですが、こっちの方がいいかなあと。
書いていると楽しくなってつい長くなってしまいました。申し訳ないです。
しかもいずれ書けたらいいなあと思っている「ドラキーの人気奪回大作戦!」という中篇とちょっと似ているところがあるのが残念なところです。
書いてたらひのきのぼうかゴールドが主役の様々な持ち主の元を回って見たことを報告するオムニバス形式の話「お引越し(仮)」なんかも面白いかなあと思った次第です。
なお、オチとして結局あっさり売られるというのも考えたのですが、それは全てをぶち壊しそうな気がしたので止めました。
あとゴールドが自分から転がるかたまたま転がるかで迷いましたが、自発的に転がることにしました。せっかく意思があるので。
今思うと地震でもあった方が良かったかも。うーむ。
追記
そういえばレスしようレスしようと思っていながら忘れてました。
>>189 私の作品でよければ構いません。
他の方はどうなのでしょう。
月曜日0時を過ぎましたので、
前回のお題【インフレ(ーション)】の作品募集はいったんしゅーりょー!!!!!!!
(ルールは
>>102を参照してください)
今回の投稿作品:
蒼龍 ◆JkKZp2OUVkさん DQanother「(コーヒーと戦士とアイスクリーム(勝手に仮題))」
>>198-208 ◆Lv.1/MrrYwさん FF「神の見えざる手」
>>213-218 ◆/kp.R9.ULgさん DQ「モンスター移住大作戦」
>>224-226 DQ「中の人物語〜IN THE FLAME〜」
>>241-243 ◆Y2NezmymcEさん FF「人はパンのみにて……」
>>231-239 書き手 ◆F/WveZadCUさん DQanother「インフレに負けるな大作戦」
>>247-270 …以上、DQより4作、FFより2作でした!
次のお題を提案・投票される方は、上記の投稿された6作品への感想なども、できれば同時に添えてください。
では、今週も「お題」の募集のお時間です。
(ルールは
>>101を参照してください)
こんなテーマでSS書いてもらえませんか?このテーマでSS書かせていただけませんか?という方、どうか書き込んでいただけないでしょうか?
インフレとはまた難しいお題だと思いましたが、さすがに力作揃いでした!。
それぞれに面白かったです。トーナメントの時にも感じた事ですが「書く理由」があると
普段出て来ないようなアイディアさえも沸いて来て、作品につながっておられるのでは
ないかと思いました。どうでしょうか。
さて、189でちらりと書いていたこのスレの保管サイトですが、こんな形で作ってみました。
いかがでしょうか。何か不具合があれば教えてください。
http://yotsuba.saiin.net/~1001ya/odai/index.html なお、私は「FFDQ千一夜物語」の管理人であり、サイトが置いてある場所も千一夜の
サーバーです。が、このスレの作品を保管する際には、千一夜のような表記チェックを
していません。
千一夜に保管されている作品については、以下のような表記ルールに基づいてチェック&
訂正を行なっています(基本的には)。文章を書く上での基本的な表記ルールのみをまとめて
ありますので、SS書きさんは参考にしてみてください。
http://yotsuba.saiin.net/~1001ya/guideline.htm 「絶対にここに記されている事が正しいのだ」と主張する気はありませんが。
>>274 ぶーーー(紅茶吹いた)。
ら、ら、ラトームさんでしたか。無視して失礼いたしました!
このところ、萌えスレでもSSスレでも、保管サイト管理人さんの消息不明ということが多く、
保管サイトは気合いのある人に作ってもらわないとな〜などと浅はかに思ってしまい、
1度目のありがたいご提案を敢えてスルーしてしまいました。
二代目殿だったんすか!早く言ってくだされれば菓子折持ってこちらからお願いに参上いたしましたのにw
ページのほうは軽量シンプルで、SS保管サイトとして文句つけようもありません。はー、ありがたやありがたや。
手間がますます増えるのに何のお手伝いもできず心苦しいですが、このスレが廃れるまで、どうかよろしくお願いいたします。
ということで、投稿される職人さん方へ。
SSのタイトル(なるべく「お題」以外)を、きちんとつけてください。
でないと、精神年齢三十代後半の漏れが勝手につけたタイトルのまま、保管サイトに載せられちまいますよ〜。
>>275 最初に名乗っていませんで、すみませんでした(紅茶被害は大丈夫でしたか?)。千一夜との
関連もあるし、形にしてから名乗った方が良いかと思ったのであります。それと、他に保管庫を
考えておられる方がいらっしゃらないかどうか、確認もしたかったものですから。
> このところ、萌えスレでもSSスレでも、保管サイト管理人さんの消息不明ということが多く、
そうなのですね。なるほど……。
私も一時はあまりの消息不明状態に死亡説も出ていたくらいですし、そういう管理人さんの
気持ちもわかります(問題発言?)。でもしばらくは今くらいの更新頻度でやっていけそうです。
怪しくなったら、その時にご相談させていただくかもしれません。
> ページのほうは軽量シンプルで、SS保管サイトとして文句つけようもありません。
であれば良いのですが。他の方のご意見もお待ちしております。
千一夜をこれから携帯対応にするのは難しいので、こちらは携帯でも楽しめつつ、私の手間は
最小限になるように考えたつもりですが、どうでしょう。
そういえば、こちらで「出典」として元のゲーム名が書かれている事が多いですが、二次創作で
「出典」というのはなんとなく違うような気がして、「From」で統一させていただいています。
タイトルがネタばらしになってしまうような作品や、元のゲーム名は最後に出て来た方が良さそうな
モノなどは、作品リストに正式なタイトル等が出ていない場合もあるかと思います。
その他、「どうしてこうなっているの?」「ここを直して欲しい」というような事がありましたら、
遠慮なく教えてくださいね。
感想を既に書いているヤツは省いてます。長くてスマソ
>>224-226 ワロタ。そしてこれは真理だと思いつつも、この話を突き詰めていくとRPGの根底から
揺るがす大変な事態になるんじゃないかと妙な心配をしたりもしました。(w
ところでどちらも未プレイなのでアレですが、ロンダルキアの洞窟とクリスタルタワー
に住むモンスターは方向感覚良かったんですかね…。
>>231-239 FF2は未プレイ、でもこのSSを読んだだけでもかなり自分好みなんじゃないかと期待
に胸膨らませてしまいます。アルテアの人々とヒルダの思いは、インフレという形で、
あるいはそれ程の勢いをもってゴードンに向けられているんですね。兄を失った失意
から立ち上がり、前を向いて歩き出そうとする様が良かったです。
それにしても闇金もびっくりの価格操作だ。(w
>>241-243 なんていうか勢いが好きです(w。モンスター移住と言いこの話といい、なんか哀愁が
漂ってます。…棺桶を引きずって前回のセーブポイント(教会?)まで搬送している黒
子さんを想像して切なくなりました。(w
>>247-270 読んでてこんなに楽しかった話は初めてです(いや、マジで)。ギャグというわけではない
のに、なんだろうねー。アイテムネタは実は自分大好きだったりするんですが、こういう
ほのぼのとした、それでいてほろりと来るようなお話って書きたいと思っていても中々
書けなかったんです。もう、なんか、ひのきのぼうに萌えた。(w
初期装備と、(シンシアの)羽帽子は使わなくても大事に取っている方なので、この袋の
中の展開がかなりツボにはまりました。
ぶっちゃけ、今回の「インフレ」というテーマでこんなに沢山の方向で作品を読めるとは
思ってませんでした。どんな話が飛び出すのかが分からない、このスレやっぱりワクワク
しますね! こうなると、差詰め「お題」はパルプンテの呪文ですかね。(w
皆様乙です。
>>274 乙です。仕切厨さんといいラトームさんといい、他の書き手さん&読み手さんといい、
このスレは「みんなで楽しもうぜ!」って勢いがあっていいですね。FFもDQもシリーズ
問わずっていうところが、個人的には書く意欲に拍車をかけている感がありますね。
個人的に我が侭を言わせて頂けると、改行が省略されていて少し(´・ω・`)でした。
(苦し紛れに主題としている部分を分かり易くするために改行を使う場合もあったので。
とはいえあくまでも個人的なものなのでスルーで大丈夫です。次回からは違う方法で
書いてみます)
「出典」という記載方法は確かに「From」の方があってますね。気付かなかった…。
>>275 てっきり「お題」をタイトルにしないといけないのかと思って、自分の中で決めていた
タイトルを付けずに投稿していた…orz。でも良かった。次からは好きなタイトルうって
みます。
今回は純粋に、自分が書きたいと思うものをお題投票させて頂きます。
<<故郷>>
すいません。今回の自分の作品にはお題をつけさせて下さい。
「或る兵士の回想」という名前に変更願います。
本来ならひのきのぼうの話のレビューしたい所ですが、今は時間が無いので。
後、一応上げておきますね。
次のお題は「後悔」を推しておきます。
大作戦最高。文句なし。長文嫌いだが読めた。
>>277 俺は女勇者に萌えたW
ひのきのぼうになりたいと思う日が来るとは思わなかった。
他の作品も質がよくていい。ギャグ系は特にたまらん。
お題を書いてなかった。
通るか分かりませんが<<カッコイイ青い人・物>>で。青い人ならどの作品でもかまわない。人ですらなくて良い。大切なのは形容詞の方。
それとずっとFF6でかかれてる方がおられますよね。大好きなのでしょうか。自分が好きなので気になる。
パンの話も良かった。上と同じく2をしてないので背景が分からなくて残念。どんでん返しが◎でした。
お題
「男達の筋肉祭り〜汗と胸毛のハーモニー編〜」
とりあえずハッサンは出演よろ!
283 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/08 13:27:58 ID:bwKIs2Ld
バーバラ「きゃー!いやー!死ねてめーメラゾーマ!」
テリー「へっへっへ、MPがたりない!」
バーバラ「いやー!このままだと犯される」
テリー「大人しくやられるがいい!」
???「待てえい!」
テリー「むっなに奴」
バーバラ「あなたは大工の息子!」
テリー「おのれーダックキングのくせに調子にのりやがって、野郎どもやっちまえ」
チャモロ「へい!」
ハッサン「あまい!てやー!イオナズン!」
下僕「ぎゃー!160のダメージ!おぼえてろー!」
ハッサン「はっはっは、正義は勝つ!大丈夫ですかドラゴンさん」
バーバラ「ありがとう、でもあなたの戦いを見てたら濡れてきちゃいました。入れて」
ハッサン「いいのですか、俺がキミの初めてでも」
バーバラ「処女膜はベホイミで再生するわ」
ハッサン「なら遠慮なく、へっへへ、もうグチュグチュじゃねえか」
バーバラ「ああん凄いの、大工さんの正拳をぶちこんで」
ハッサン「いくぜてめーうっ、ずぶずぶと入っていくぜ!」
バーバラ「ああああああ大工さんステキよいくー!」
ハッサン「俺は旅の武道家だ無礼者!死ね!」
バーバラ「ぷち!ぐしゃ!きゅう」
ハッサン「し、しまったお嬢さん!大丈夫ですか」
バーバラ「初めての人があなたでよかった・・・さよな・・・ら」
ハッサン「おのれー!全てはダークドレアムが悪い」
そして魔王討伐の旅がはじまった・・・
お題投票!
「妊娠中絶」
で
お題「後悔」に一票!
>仕切厨さん
毎度乙です。がんばってください。
>書き手さん
素直にすげーなぁと思いました。
シリアスでもなくギャグでもなく、ほのぼの系ですかね?
道具ひとつひとつの性格が良かったです。
次回も期待してます!
287 :
妊娠中絶:04/11/08 22:18:24 ID:bwKIs2Ld
ビリッ!ビリビリ!
ビアンカ「きゃー!いやー!」
主人公「大人しくやられろ!俺は王様だ!」
ビアンカ「私は宿屋の娘よ!」
主人公「くっおのれ。しかし俺には勝てない。だから犯す」
ビアンカ「いやー!あふん、あんあんあん」
主人公「へっへっへ、嫌がってるのに感じているのかい?この好き者め」
ビアンカ「あん違うあっダメーいくー!」
主人公「俺も中にいくー!」
ビアンカ「ううう、初めてだったのに」
主人公「夜はこれからだぜ」
???「待てえい!」
主人公「むっ何者だ!」
ゲマ「私のことなどどうでもいい!助さん角さんやっちまえ!」
主人公「なんだとー!げっ!うげ、ぷあ、お、おぼえてろー」
ゲマ「正義は勝つ!お嬢さん大丈夫ですか」
ビアンカ「はい、しかし私中出しされたから妊娠しちゃいます」
ゲマ「大丈夫、こんなこともあろうかと浣腸をもっています」
ビアンカ「なるほど、マンコに差し込めば胎児も出てくるとの同じ要領ですね」
ゲマ「ほっほほ、わかってるじゃねえか、ズボ」
ビアンカ「ああん浣腸気持ちいいの、いくー!ビシャー!」
ゲマ「ぎゃー!からだとけるー!まさかこれは聖水なので貴様は天空の・・・ぐふっ」
ビアンカ「ゲマさん!おのれグランバニア王め、よくも私の貞操と子供を」
そしてビアンカは悪魔に魂を売ってエスタークと子供を作り
生まれた子供は正義と悪の力を持った最強の戦士になってグランバニアを滅ぼしました
めでたしめでたし
>>227,281
FF2の背景がわかりにくかったですね。前回のFFTのようにまとめようとしたのですが
「ゲーム的には、世界を支配しようとする悪の帝国軍対反乱軍の物語。
このSSの重要登場人物は三人の王族たち(パン屋の娘は原作に登場しない)。
ヒルダ:フィンの都の王女。フィンを帝国軍に奪われてから、アルテアの町に潜み、反乱軍と
共に戦うために立ち上がる。
スコット:カシュオーンの王子。帝国軍のフィンへの攻撃から弟を逃がすために命をおとす。
故郷カシュオーンの城にある【たいようのほのお】の悪用を恐れて、城ごと封印を施していた。
ゴードン:カシュオーンの王子。スコットの弟。どうやらカシュオーンの最後の生き残りらしく
城の封印を解けるのは彼だけになってしまったらしい。アルテアでは町の片隅にうずくまるばかりで
何もせず、共に戦おうというヒルダを落胆させている。ちなみに、今回の話ののち、カシュオーンの
封印を解かなくてはならなくなった時には行方不明だったので、ヒルダの落胆を倍増させたようだ」
という、なんだか「あってもなくても良いような?」説明になってしまい「いっそ作品中に埋め込んで
しまおう」としたのですが、重要な部分を推敲の途中で省いてしまっていたようです。まとめサイトで
読んで初めて気付きました。未プレイの方々、すみません。
そういうわけで、お手数おかけしますがまとめサイトには上記の説明文を加えてください……<ラトームさん
それでも、物語としては楽しんでいただけたようで、ほっとしました。ありがとうございました。
今回は大作戦がふたつあったのですねー。どちらもホントに「大作戦」という感じで堪能させていただき
ました。
ひとつめの大作戦は、住環境の悪そうなロンダルキアにモンスターがひしめいているのは不思議すぎると
前から思っていたので、膝をぽんとうつような気分でした。モンスターでもあの洞窟は嫌なんですね、納得。
ふたつめは、途中から水の羽衣の気持ちになって読んでいたかもしれません。ひのきのぼうの為に何か
できることはないの?と一緒に考えてしまいました。はっぴーな終わり方で良かったです。
リルムの言葉に感動を覚え(老人が年の離れた彼女に言われるから、尚更良かったと思います)、
アイスクリームが食べたくなり、中の人になるならイエティがいいかなと思ったりして、今回も楽しかったです。
次のお題は<<故郷>>が読みたいかな。冒険のはじまりはいつでもここから、というイメージがあります。
290 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/09 14:05:21 ID:UvjyMv18
故郷ってなんだか言葉だけでもあったかい響きでいいですねー
前回出ていた中で父も気になってたんですが…
お題投票age
<<父の背中>>
僭越ながら「インフレ」で1作書いてみました。
むちゃくちゃ長いうえに読みにくいので、どうにも暇なときにどうぞ。
「1万ゴールド!」
「1万1千!」
それは今日の競りの最大の目玉だった。豪華な毛皮で身を包んだ貴族や、場違いなほど
白いドレスをまとった淑女、顔立ちや体つきと服装がまるで一致していない成金、それに
ごく平凡な服装の旅人たちが、目をこらして舞台の上の額におさめられた紙片を見つめる。
ほとんどの者が感嘆し、そのうち何人かは財布を確認し、さらに何人かが舞台の司会に向かって
数字を叫ぶ。
その広場からスロープで登ったところに、この競り市の支配人が立っていた。彼はモーニン
グコートをぴったりと着て趣味のいいネクタイをしめ、背をぴんと伸ばして広場を見下ろして
いた。鼻眼鏡をかけ、しわの刻まれた顔をじっくり観察されれば中年以上の歳だと判るだろう
が、整えられて黒光りする髪としゃっきりと伸ばした腰が、見た目の年齢をだいぶ下げていた。
傍らには椅子が置いてあるものの、使うのは長引いたときのためで、たいてい彼はその椅子の
右横に直立して、競りの成り行きを見守っているのだった。
「2万!」
「2万1千!」
見慣れたいつもの光景を眺めながら、彼は微笑していた。客が見れば、お人好しで物わか
りの良い微笑みに映るかもしれなかった。しかし、長年彼とここで仕事をしてきた赤帽や出入
りの仕入れ屋、それにいま舞台で逐一金額を述べあげて司会役なら、彼のこの笑みは彼が
呆れているときの冷笑だと断定するだろう。そして彼の微笑の区別のつく者は、出品されて
いるものが何なのかわからずとも、その価値のおおよその検討がついた。もっとも、そちらの
区別のほうが、はるかに難しいのだが。
「2万2千!」
「3万っ!」
と……彼の微笑が急に消え、彼の目はその声の主を探りはじめた。間もなく、むきになって
数字を叫んでいる小柄な娘と、どうにかなだめようとしている若者が見つかった。彼は鼻眼鏡の
下の目を細め、じっとその若者と娘を見つめた。顔立ちなどからみて二人は成年にあと2、3年
という年頃で、そのこと自体は、年齢制限のないこの競り市において問題ではないはずだった。
「3万1千!」
「3万5千!」
娘が腰を浮かし、腕を振り上げた。それを見て彼は薄笑いを浮かべて舌うちし、首を小さく振った。
何が原因か、もう二人に興味を失ったらしく目線をそらすと、鼻眼鏡に指をやって、先ほどまでの
冷笑に戻りかけた。
ふと彼は、内側の廊下からその支配人席に登ってくる階段のほうを振り向いた。
「支配人様でいらっしゃいますか?」
男が一人、彼を見上げていた。ひげを生やした丸い顔に丸い目、丸い体をした初老の男だった。
着ているタキシードは安物で、顔立ちも寒村の農民のように貧相だった。しかし、礼服の着こなし
や髪の整え方、シルクハットの脱ぎ方などは、格式に慣れた様子を感じさせた。
「おや、お客様は……2年前にもいらっしゃいましたね」彼は進み出て、にこやかに男を迎えた。
「ええ。確かに2年前です。支配人様、変わらずご健勝そうで、何よりでございます」
「いやいや、お客様こそ変わっておられない。……それで、あのときのお探し物は、見つけら
れましたか?」
男は残念そうに首を振った。
「まだ探し続けています。あれからわかったのは、買って行ったのがかつて金山で財をなした
人物で、今は奥様とどこかでひっそりと暮らしておられるというだけで……。今日も競りがある
と聞き、もしかしたらいらっしゃるのではと思い、やって来たのですが」
「なるほど。しかしあいにくと……私もあの方とは、あれから一度もお会いしていないのですよ。
今日も、いらっしゃってはおりません」
「そうですか、やはり……」男が、がっかりしたように肩をすくめ、ため息をついた。
「まあ、お元気であるならば、いつかまた必ず会えますよ」彼は言った。「それに、あれほど
見事な石像でしたから、再びここで競りにかけられることが、ないとも限りませんよ」
「ええ、おっしゃる通りでしょう。そのときには、是非」
「連絡いたします。必ず」彼は胸に手を置き、軽い会釈をした。
「……ところで」
男は、急に前の広場に顔を向け、見渡した。「ここへ来る船の中で伺ったのですが……
かの『銀の女神像』が扱われたのは、この会場だというのは、本当ですか?」
「『銀の女神像』ですか」彼は広場を振り返りながら、うなずいた。「ええおっしゃる通りです。
あの昔話に出てくる競り場というのは、ここですよ」
男は丸い目を輝かせた。
「やっぱりそうでしたか!」と男は叫んだ。「いやあ、2年前に来たとき、どこかで見たことの
ある景色だと思っていたのですよ。しかし、本の挿絵の通りだ!あの女神像の話は、祖母
から子供の頃何度も聞かされましてね。今だって暗唱できますし、時間さえあれば挿絵だって
1枚1枚描けますよ!」
「そうですか」彼は笑った。「私も子供の頃よく読みましたが、なにぶん私は記憶が良くないので。
おぼろげですが……『金と銀と木の女神像』という題名でしたね。洞窟の奥で眠っていた『銀の
女神像』が、かつて繁栄を極めた城下町へ、ある商人によって持ち込まれ、さるお金持ちに数万
ゴールドで売られた……出だしは、こうでしたかな」
「そうです!」男は嬉々としてうなずいた。「その続きはこうです。その好事家の死後、何人もの
人間を経て、競りにかけられました……それがここなのですね……。競り落としたのは、世界を
またにかける大商人。しかもその商人は、別の競り場で、その『銀の女神像』と対になる『黄金の
女神像』というものまで手に入れていたのです。商人は2つの女神像を自分の家と別荘に置く
つもりで、意気揚々と競りの会場を後にしました」
そこまで話して男ははっとしたように頬を赤らめ、頭をかいた。「申し訳ありません。つい……」
「続けてください」彼は微笑んだ。「久しくその童話を、最後まで聞いておりませんので」
「そ、そうですか、こほん、それでは……」男は続きを話しはじめた。「その商人が船に女神像
や荷物を積んでいると、一人の年老いた修道女がよろけながら近づいてきました。用は何かと
訊けば、修道院を作るための寄付を集めているのだが、もう三日も何も食べていない、どうか
食べ物を分けてほしいと訴えます。さらに商人が、背中に背負っているものは何だとたずねると、
お婆さんはその包みを下ろしてほどきました。それは木を削って作った、人と同じ大きさの
『木彫りの女神像』でした。お婆さんは毎日その女神像に祈りを捧げながら旅を続けていたのです。
欲の深い商人は僅かなお金を取り出し、ただでは金はやらない。その女神像を売るというのなら
パンを買えるだけの金をやろう、と持ちかけました。お婆さんは驚き、断ろうとしましたが、どうしようも
ないくらいお腹が空いていたので、仕方なく女神像を商人に渡し、お金をもらってとぼとぼと去って
行きました。商人は、いいことをしたぞと周りの人にいばり散らし、薪にでもしようと言って『木彫りの
女神像』を船に積み込みました」
男は宙を見上げ、だんだん早口になった。、
「商人の乗った船は、港を出て三日目の晩、嵐に巻き込まれました。大波に何度も打ちのめされ、
とうとう船は沈みはじめました。乗っていた人たちは急いでボートに乗り込みましたが、商人は
せっかく手に入れた女神像も持って行こうと、止める人たちに耳も貸さず船室に降りていきました。
するとどうでしょう、塩水をかぶった『黄金の女神像』が、すっかり金が剥げ落ちて真っ黒になって
いるではありませんか。金箔を貼っただけの、真っ赤な偽物だったのです。商人は怒り狂いましたが
どうにもなりません。せめて『銀の女神像』だけでもと、重い女神像を大変な苦労をして運び上げ
ました。ところがやっと甲板まで戻ったとき、ボートは商人をおいて出てしまっていました。商人は
あわてたけれど、もうボートは波間に見えなくなっています。女神像を抱えたまま甲板を気が狂った
ように駆け回っているうち、船が大きく傾き、商人は暗い海に放り出されました。泳げない商人は、
ぶくぶくと沈みかけながら、普段祈ったこともない神様に必死で助けを求めました。すると、抱えて
いた女神像が急に軽くなった気がし、夢中でしがみつきました」
話しながら男が何かに抱きつくように両腕を前に回したので、彼はかすかに鼻を鳴らした。
「気がつくと商人は砂浜に打ち上げられていました。助かったのです。商人は思わず神様に感謝
しました。とそのとき、自分の隣に転がっている、自分を助けてくれた物が目に入りました。それは
『銀の女神像』ではなく、あのお婆さんからタダ同然で買った、木の女神像でした」
ふうーっ、と、男が感慨深げに息を吐いた。
「改心した商人は、その後、私財を投げうって、流れ着いたその海岸に修道院を建立しました。
その修道院では、シスターたちが今でも、『木彫りの女神像』を作っているということです……」
話を結んだ男の、うっとりした表情を見て、彼は柔らかい微笑を浮かべた。
「あなたの歳でお祖母様と言われるなら、もう何十年も前にお聞きになった話でしょう。よく覚えて
おられましたね」
「いいえ。それが……このお話は、聞いたのは昔なのですが、ついこないだも話してお聞かせした
ところでして」
「なるほど。そうでしたか」すぐに悟って、彼は祝福をこめ二度、首を揺らした。「それはそれは」
「ところで、いま出されている品物はいったいどのようなものなのでしょうか?」男が訊いた。「ずい
ぶんと、大きな値段がついているようですが」
「ああ、あれですか」
彼はフロックコートのしわを伸ばし、姿勢を正した。「あれはですね、ある村の……と言っても今は
かなり大きな街になっていますが、そこの村人が、ある日、修理をしようと屋根に登ったところ、屋根
に紙切れが落ちているのを……どこかに引っかかっていたわけでなく、そこに置かれたようになって
いるのを、発見したのです」
何度か鼻眼鏡の留め具に指をやりながら、彼は話し続けた。
「その紙切れは、古びてしわくちゃで、一見子供の落書きのような文字が書かれていました。
普通の人間が見たなら、何の変哲もない、ただの紙切れだったわけです。しかし拾った村人は、
なぜこんなところに落ちていたのか、もしかしたら空から降ってきたのではと気になり、調べて
もらおうとお城に届け出た。まあ、届けられた城のほうも最初は、ただの紙切れだろうとまともには
取り合わなかったのですが、たまたまその城に招かれていた大学者が、興味を持ち、書かれた
文字の解読や、紙の素材の研究をはじめた。その結果、驚くべき事に、その紙切れはこの世界に
存在してはならぬ物、すなわち『オーパーツ』、いや、それよりもはるかに不可思議なものだと判明
したのです」
「ほう……そのような不思議なものなのですか」
感心したように男は丸い目をさらに丸くして、舞台の中心に置かれた紙片をもう一度見やった。
「あいにく……私には鑑定するような目がないので、ただの紙切れとしか見えませんな」
「そんなものですよ」と彼は微笑んだ。「本当のところを申しますと、この私も、あれに今ついている値
ほどの価値があるとは、思わないのですよ」
「えっ。支配人様も」男はちょっとびっくりした。
「まあ、この市では、普通に見てとても価値のなさそうなものに、とんでもない値段がつくのは珍しく
ありませんからね。ごく当たり前の古びた銅の剣でも、昔勇者が使っていたと噂のあるだけで、1千とか
2千の値がついてしまいます。今までここで売られた勇者様愛用だという剣や鎧の数は、勇者様と言えど
とても一生の間に身につけられるような数ではありませんよ」
勇者という言葉を彼が口にしたとき、男がぴくりとした。彼は少し眉を動かした。
「そ、そういえば『うまのふん』の話、なんてのもありました」男は誤魔化すように言った。「あれも
勇者様がらみの童話ですが……あまり坊っちゃまたちには聞かせたくない、むごいお話ですな」
「ああ……『うまのふん』の話ですか」彼はため息をついた。「あれは、私がここで働き始める、その
前の支配人のときのことだったそうですよ」
「えっ。すると、あの話に出てくるのも、ここなのですか」男がまた、驚きの声をあげた。
「そうです。道具屋に頭下げてやっと1ゴールドの代物のはずが、かの勇者御一行が最後まで
持っていたアイテムだと文献に記されていたこと、そしてなぜかこの世界でただ1個しかないもの
だということになり、ある好事家が6万ゴールドという値段をつけて手に入れたのです。しかし……」
「しかし、その好事家の一行は帰路山賊団に襲われ、金目のものを出せと言われた好事家は
しぶしぶ、落札したばかりの『うまのふん』を差し出し……」男が彼のあとを続けた。
「ええ。激怒した山賊どもに、無惨にも皆殺しにされたのです。もっとも、この話にはいろいろと
脚色もあるようですけれどもね。ま、何にしても、ものの価値は人それぞれだとは言え、やりきれ
ない話ですよ」
彼は鼻眼鏡を上にずらした。眼鏡の下の目には、言った言葉ほどの感情はなかった。
「あっ!いたよ、おにいちゃん!」
いきなり下の通路から女の子の声が上がった。見ると、6歳くらいの少年と少女が二人、階段を
駆け上がってくる。髪の色が同じところや、印象が何となく似通っているところをみると、兄妹か
姉弟らしい。「こんなところにいたの。探しちゃった!」二人は楽しそうに笑いながら、男の両脇に
飛びついた。男とは、あまり似ていなかった。
「坊っちゃま!お嬢さま!」男が素っ頓狂な叫びを上げた。「まさか、この私めを、宿から追って
来られたのですか?」
「うん。ここなんでしょ、お父さんとお母さんが売られてったところって。だから、ぼくたちも見て
おこうって」
「あれ……。ここって、絵本で見たところと、ちょっぴり似てるの……」
「と、とにかく坊っちゃまたち、ここは支配人様たちのご迷惑ですから、さあさ外へ」
男が二人を何とかして通路側へ戻そうとするが、子供二人はきかない。
「何やってるんだろう、面白そう。ねえねえ、見て行っていいでしょ?」
「わたし、人がいっぱいいるところ、ニガテです……。おにいちゃん、手を放さないで」
「ぼ、坊っちゃまたち、私たちにそのような時間は……ああ、待ってください!迷子になられ
ますよ!」
広場へと駆け下りていってしまった少年と少女を、男はあわてふためいて追っていった。
中年の支配人は、微笑を浮かべてそれを見送ると、未だあちこちから声の上がっている広場を
一瞥してから、廊下に降りた。がっくりと肩を落とした商人や、使用人に荷物を持たせてほくそ笑ん
でいる老人に、いちいち礼をしながらすれ違い、彼は扉の開け放してある喫茶室に入った。奥の
ほうに人の気配があった。隅の長椅子に、さっきの若者と娘が並んで座っていた。
娘は両手を膝にはさんで、むすっとしている。そんな娘を、若者がしょうがないなと苦笑をしながら
眺めていた。彼が目を向けてすぐ若者も彼に気付き、二人は礼を交わした。
「紅茶、いかがですか?」
彼はカウンターからカップを2つ取り出して、若者に訊いた。
「すみません、いただきます」若者は、横の娘に目をやって、うなずいた。
2つのカップに手際よく均等に紅茶を入れ、トレイに乗せて二人に差し出した。
「あたし、いらない」娘が不機嫌そうに言った。
「喉乾いてたってさっきから言ってたじゃないか。いただきます」
言われて、娘はしぶしぶカップを受け取った。若者も彼もにこりとした。
「やめてしまわれたのですね」
北側の壁……広場の方角を向いて、彼は話しかけた。
「ええ」若者はちらと娘を見て、ばつが悪そうに笑った。「あんなにつり上げてしまいましたけど……
さすがにもう高すぎますし、俺たちだけのお金じゃないので。それに、欲しかったものは、手に入り
ましたから」
「そうですか」
若者と娘が落としたのは、魔法の効果が2倍になるというソーサーズハット。2万5千ゴールドだった。
落札が決まったときの若い男女らしい無邪気な喜びようを思い出して、彼は小さく鼻を鳴らした。
「あーっ、もう、ばかばかしー!」
突然、娘が椅子にふんぞり返り、叫び出した。
「あんななんだかよくわかんない紙にどうして6万ゴールドもつくのよ! ただの紙なのに! そうよ、
あんなの、買わなくて良かったのよ。……ね、そう思うでしょ?そうよね?」
「そ、そうだね」
肩を揺さぶられた若者が、苦笑しながらうなずく。
「それに、百歩譲ってさ、あれがすっごい貴重な物だとしてもよ。ああいうのって、あたしたちが
持ってたところで意味ないじゃん。ああいうのは、学者さんとか、そういう不思議なモン大好きな人が、
大切に保管しておくものよ」
「……あんなにむきになっといて、今になってそんな……」言いかけた若者が、娘ににらまれて
すぐに黙った。
そんな二人に、彼は、笑みをたたえながら、静かに言った。
「私としましては……あれは、あなたがたに落としていただきたかった」
「え……?」
二人は、顔を見合わせ、怪訝そうに彼を見上げた。「なんでですか?」
「私が長年ここで数々の品を見てきたカンなのですが……あの紙切れは、もしかしたら、かつて
ここで売られ、買われたものより、はるかに多くの人の手を渡ってきたのではないか……
そして、所有者が代わるごとに、その持ち主のもつ夢や欲望、ひいては、その世界の善さ、汚さ、
すべてを染み込ませてきたのではないかと……あの紙を手に取ったとき、そんなことが思いついて
しまいましてね」
若者と娘は、きょとんとなった
「あんな紙が? ……まさかあ。ただのシワシワな紙じゃん」娘が吐き捨てるようにつぶやいた。
「あの。そのことと、僕らに落としてほしかったというのは、どう関係するんですか?」
娘の手を咎めるようにギュッと握ってから、若者は真剣な面持ちで、彼に訊いた。
「あなたがたなら、あの紙切れに執着せず、いずれさっさと手放してくれると思ったのですよ」
「へ……?」
さらに不思議そうな顔になった二人に、彼はまた、にっこりと笑いかけた。
「人から人へ次々に渡ってきたものというのは、今後も、そうあるべきなのですよ。特にあの
紙切れのような、さまざまな人の思いが染みついたものは。どこかで誰かの手で止まってしまうと、
とたんにその染み込んでいたものが滲み出してきて、何か悪いことを起こす……『万物は
流転する』と大昔の哲学者がおっしゃったそうですが、すべての物がそうだと言わずとも、
常に流れていなくてはならないもの、ひと所で滞ってはならないものが、世界にはあると思うのです」
彼はいったん息をつき、続けた。
「そういうものを手に入れるにふさわしい方は、残念ながら今日の会場にはいらっしゃいません。
みなさん、流れていくべきもの、価値のないはずのものに、ばかげた値段をつけ、手元で無理に
とどめておこうとする方たちばかりですからね。しかしあなたがたなら。すぐにここと同じような
ところか、どこかの街の道具屋かで、別の人の手に渡してくれるはずです。つい今お嬢さんが
おっしゃった通り、持っていたところで何の役にも立たない、ただの紙切れなのですから」
「よくわかんない。支配人さんがそんなこと言っていいわけ?」
若い子らしく率直な娘に、彼はむしろいっそう微笑を深めて、静かに言った。
「けれど、よろしいですか。手に入れたら最後、絶対に手放してはならないもの、人に渡しては
ならないものもあるのですよ。私は……長年さまざまなものを見てきた人間としまして、ほんとうに
大切なものを見抜いて選びとる目を、若いあなたがたに持っていただきたい。……ま、しかしながら、
あなたがたは今、すでに……」
「ふぁー……」
娘があくびをした。あわてて若者が娘の手を握る。彼ははっとなって眉を上げ、再び柔らかく
微笑んだ。
「申し訳ありません、お説教じみたことを長々と喋りすぎました。こんなことを申し上げても、
お若い人には、おわかりにはなられないでしょう」
「はあ……」
人が良く、また正直なのだろう、すまなそうに若者は頭をかいた。
「お茶、ごちそうさまでした」娘がカップを置くと、立ち上がり、若者の手を引いた。「ね、もう行こ?
夜中になっちゃうよ」
「行くって、井戸で帰るの?」
「何言ってんの。デートこれからじゃん! 今晩、思い出いっぱい作るって、言ったでしょ!」
娘は思い出したように瞳を輝かせ、満面の笑顔で若者の腕を抱きしめ、引きずるように
歩きだした。喫茶室の入り口で若者は、にこにこして見送る支配人に一礼したが、たちまち
恋人の手によって連れ出されていった。
支配人は、カウンターで自分の紅茶を入れ、すぐに飲みほした。3つのカップを洗い場に置き、
手袋を取り替えた。それから廊下に行き、階段を登った。帰路につく人々の数は増えていたが、
上から眺めてみると、広場にいる参加者はそれほど減ったようには見えなかった。
「ええい、9万ゴールドだ!」
「……9万2千!」
「9万2千百!」
紙切れの競りはまだ続いていた。彼は定位置に戻り、鼻眼鏡をなおして伸びを一つすると、
ふと表情を緩めて前髪を軽く引っ張った。髪が2本抜けた。2本とも根本のほうは白かった。
彼はそれを床に捨て、おかしさと寂しさの混じった表情になり、大きな息をひとつついた。そして
椅子に腰掛け、目を閉じ、物思いにふけりはじめた。
けっきょく、「1ギル」と書かれたその紙片は、落札限度額10万ゴールドで競り落とされた。
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お題:「インフレ」
題名:インフレーション世界論
出典:DQ5その他
言い訳:だああああ推敲してないほうを前半載せちまったああ!!!!!
『金と銀と木の女神像』があまりにも酷いので『三つの女神像』に直しといたのに……。
文書ファイルはいくつも作るものではないですね。ぐふっ。
こんな自分語りSS書くと、漏れの精神年齢はプラス10かマイナス25されそうっすねw
お題は<<故郷>>に一票。
遅ればせながら感想など。
>>209 インフレのない世界の平和の尊さ……必ずしもそうはならないとはいえ、象徴的な話ですね。
ゲームの内容とは両立しない世界のため"another"としました。こういう一歩進めた話もかなり好きです。
リアルの政治をファンタジーに持ち込むとどうしても生臭さがでてしまいますが、それを感じさせないのがまたいいです。
>>218 本当に価値のあるものを見定めるには、どんなに数が多くても1個1個の大切さ貴重さを確かめていかなければならない。
しかし高い塔の上から見ると、その1個1個はただの2個としか見えない。その結果、暴走がはじまる。
FF8世界の「インフレ」と実際の意味のインフレとを絡めて話を作れていて、すばらしいです。
>>227 敵の能力のインフレを防ごうとしたら、自分のところの社会が崩壊してしまった。
かなり笑い転げました。それでもシリアスですかこの話w
モンスターさえも迷うロンダルキア洞窟の難易さは、あの当時のRPGプレイヤーにしかわからないでしょうね。
>>240 意図的なインフレ……それは一人の皇子の勇気を奮い立たせんがため……。
しかしここまでしてもらったのにまたも逃げ出すゴードン君。あいかーらずヘタレですねw
でも育てると能力値があんがいインフレなんですよね奴は。やればできるキャラ。
>>244 どこがインフレな話ですか……ってINフレイムっすかい!!
この発想から入ってここまでの舞台裏な笑話にしてしまうところに、さらに笑いました。
ドラえもんは……伏せ字でなくてもいいんでしょうか?
>>271 凄すぎ。発想も各キャラクターも展開も、「楽しい!素晴らしい!!」としか感想の書きようがない。
元気で無邪気な女勇者に(;´Д`)ハァハァ
DQ3の話らしかったですが、イエティが出てきてなめ回してきたりしたのでanotherをつけました。
お題投票
「後悔」
がいいです
<SS投稿期間>
水曜日0時〜翌週の月曜日0時(日曜24時)
投票期間で決定した「お題」をテーマにしたSSを投稿する期間です。自由参加で人数等は一切問いません。
短編中編長編、ギャグほのぼのシリアスらぶらぶダーク、「お題」に沿っていればなんでもこいです。
一人一作といわず、二作三作、十作二十作、どんどん投稿してください!
日曜日中に間に合わなかった場合でも、次のお題の決定すなわち水曜日0時(火曜24時)までならOKです。
初心者歓迎。遠慮せず投稿を!
-SS投稿の注意事項-
投稿する際にはトリップ推奨。(荒らし対策や投稿がかぶったときのため)
(トリップって何?という人は2ちゃんねるガイドなどを参照してください)
投稿中はsageてください。
SSの題名(「お題」とは別のものが望ましいです)を、名前欄もしくは前書きあるいは後書きで明記してください。
元ネタのゲームタイトルを、前書きあるいは後書きのかたちでできれば明記してください。
21禁以上(自己判断)のエロ・グロ作品は、エロパロ板等のFF・DQSSスレに投稿し、ここには報告だけをするようにしてください。
ラトームさんによりSSを保管していただけるようになりました。保管してほしくない場合はその旨を明記してください。
SSの表記ルールは、保管サイト管理人ラトームさんによる千一夜サイト記述ガイドラインを参考にしてください↓
ttp://yotsuba.saiin.net/~1001ya/guideline.htm 1レスあたりの容量や板の規制などについては、
>>220>>221>>222>>229を参考にしてください。
>>291-301 良かったです。綺麗な文章ですね〜うらやましい。
うまのふんの話に笑いました。そりゃ殺されるわなw
オチもイイです。あそこでギルが出るとは思いませんでした。
それと余談ですが、ロンダルキアの話。
確かに読み返してみると完全なギャグでした。
次回こそは・・・!
<お題投票期間>
毎週月曜日0時〜水曜日0時(火曜24時)
SSのテーマを提案・投票により決定する時間です。この期間で投票数の最も多かったものを「お題」とします。
上位が同数の場合は、早く提案されたものを優先します。
-お題投票時の注意事項-
「お題」を提案ならびに投票するときはage推奨です。
(sageでも構いませんが、投票の意志がはっきりわかるようにしてください。
カギカッコで「お題」でも構いませんが、ギュメの二重<<お題>>にしていただけると、集計側が助かります)
あまりにもエログロ・下品・誹謗中傷の程度が大きいお題は無効とします。
なお、このスレは、特定のシリーズやキャラクターのSSをリクエストするスレではありません。
水曜日0時を過ぎましたので、
お題募集期間ならびに前回のお題【インフレ(ーション)】の作品募集はしゅーりょー!!
(ルールは
>>306を参照してください)
今回のお題
>>278さん289さん302 「故郷」
>>279さん285さん303さん 「後悔」
>>281さん 「カッコイイ青い(人・物)」
>>282さん 「男達の筋肉祭り〜汗と胸毛のハーモニー編〜」
>>284さん 「妊娠中絶」
>>290さん 「父の背中」
集計の結果、最多3票・先着順で
【故郷】
に決定いたしました。
それでは日曜24時まで<投稿期間>となります(ルールは
>>304を参照してください)。
職人の方もそうでない方も、故郷にお住まいの方も故郷を離れておられる方も、うさぎを追ってた人もうさぎを食べてた人も、
張り切って執筆をどうぞ!お待ちしております!!
なるほど、次は故郷か。
>仕切厨さん
ごめん、かぶっちゃった。気付きませんでした・・・
>>229 OpenJaneViewでは改行は6バイトと計測されています。エディタ等とのズレはそのせいでしょうか。
>>309 いえ、お気になさらないでください。
感想ありがとうございます。次回こそは本格的なギャグSSですか?w
漏れのSSは、DQ4〜6やったことのある方にしかわかりませんでしたね。漏れはギャグのつもりで書いたんですよ一応w
今さらですが、単語と段落だけでも訂正させてください。
>>293「『金と銀と木の女神像』」→「『三つの女神像』」
>>295「話を結んだ男の〜」→「 話を結んだ男の〜」
「フロックコート」→「モーニング」
>>299「若者と娘は〜」→「 若者と娘は〜」
次の「お題」はいよいよ【故郷】!
DQを貫くテーマの一つですが、8でもそうなるのでしょうか。
声が聞こえる。男、女、子供や老人、赤ん坊の泣き声。
見知らぬ光景が映る。頭の中にそのまま流れ込んでくる。
俺の身体を形作っていたはずの輪郭は限りなくゼロに近くとても曖昧になっていた。
精神だけが漂っている。
懐かしい感覚だ。ずっと昔、俺はこんな風にしてこの世界に存在していた。
生まれる前、母親の胎内で。
いや、それよりも昔、大いなる生命の流れ、ライフストリームの中で。
マテリアの輝きと流転する記憶。そうか、ここはライフストリーム?
俺の意識はばらばらになり、そして再び一つになる。いつまでもその繰り返しだ。
まるで呼吸をするように。心地よい眠りの中にいるように。
星が俺を包んでくれる。
いくつかの記憶が俺をかすめて過ぎ去っていく。囁くような声を残して。
俺は記憶の断片を拾う。記憶を追体験する。その瞬間、俺が俺でなくなる。
見知らぬ顔と会った記憶のない人々、それなのに懐かしい。
夜明けの仄かな輝きや星々の瞬き。真昼の太陽。
俺には全てが明るすぎて、眩しすぎて。
これは目を灼くような魔晄の光が眩しいからじゃない。
人々の思い出が綺麗すぎるからだ。
喜びも、悲しみも、苦しみも、楽しみも。全ては『星』の上に存在していたという証。
だけど俺は知らない、分からない。
彼らのその感情はどうして生まれたのか?
記憶として魔晄に焼き付くほどの強烈な思いを、支えている体験とは何なのか?
垣間見ることのできる記憶は一瞬だ。
フルスピードで走るバイクの上から眺める街の灯のように、全ては後ろへと流れていく。
だから俺は彼らの思いを理解することはできない。
そして俺にはそれをどうすることもできない。
この星が、生まれついた時から続いている営み。
俺だけが先へ先へと流されていく。俺だけ流れる時間が違うから。
寂しい、と思う暇はない。次々に人々の思いを受け取っているから。
刹那、耳に響いたのは懐かしい声。
『クラウド』
ああ、エアリス、君はここにいたんだ。
思い出した。
ここに来る前、俺は君を探していた。君も俺を探していた?
『クラウドは 自分のこと考えて。自分が壊れてしまわないように、ね?』
記憶は思い出を反芻するばかり。俺の声はもう君に届かない。
すぐ近くにいるはずなのに遠い。俺達は無限の距離で隔てられている。
もう触れることすら叶わない。そして君もまた遠ざかる。
『……わたし……くね……部終わっ……また、ね?』
けれどまたいつか出会うことはできるだろう。
永遠にも似た、この流れの中で。
終わりはない、全ては循環する。
生き物がこの星に存在する限り。
この星が生きている限り。
魔晄の尽きた日が終わりなのではなく、魔晄を形作る記憶が尽きた時が、星の終わり。
星の命は、俺達の命。
ライフストリームは命の故郷。
どこまでも続くライフストリーム。
どこまでも流されていく。本来なら俺は今ここに存在すべきではないからだ。
「クラウド!」
誰かが呼ぶ声がする。誰かが俺の手を引いている。
曖昧だった俺の輪郭が、徐々に形を取り戻す。
偽りの記憶を塗り込めた、欠けた心が宿る。
いつしか俺の中を流れていた記憶は途切れ、
目覚めた時にはもう、何もかも忘れてしまう。
------------------------------
お題「故郷」
出典はFF7です。
前々から書き上げてあったものでしたが、ちょうどいい機会だったので投稿しました。
このスレのSSにはいつも楽しませていただいています。
実質五日間しかない期間の中で、作品を仕上げてしまう書き手のみなさんには、頭が下がる思いです。
>>311-313 FF7ですか。これは夢の話・・・かな?
きれいな文章ですんなり読めました。神秘的な感じで良かったです。
実は7はエアリス死ぬ前に飽きてプレイ中断しちゃったんですよね。
魔晄ってあのでっかい釜でしたっけ?すんません、記憶がおぼろげで・・・
母さん、お元気でしょうか。
早いもので、僕がアリアハンから旅立ち、もう3ヶ月が経ちました。
僕たちは今、ポルトガという国にいます。
船を手に入れました。これから大海原へと旅立ちます。
丁度よい機械ですので船出の前に、母さんに初めての手紙を書こうと思います。
そちらはお変わりありませんか? おじいちゃんは元気でしょうか?
僕は元気です。仲間たちもみんな元気です。
ロマリアではカンダタという盗賊をこらしめ、金の冠を取り返しました。
王様はとても喜び、僕を王様にしてくれると言ったんですが、僕は断りました。
だって僕の旅の目的は、王様になることじゃないですからね。
ノアニールという町では、人々を眠りから開放しますた。
イシスは砂漠のオアシスにある国でした。
ここでは王家の墓を探索し、数々の財宝を手に入れましたよ。
ダーマ神殿では、僧侶のボブが戦士に転職しました。
また、バハラタでは人さらいがあり、黒こしょうを手に入れました。
その黒こしょうをポルトガの王様に献上し、僕たちは船を手に入れたんです。
とりあえず、かいつまんで話しましたが、
この一文では語り尽くせぬほどの冒険をしました。
その話は魔王を倒した後、ゆっくりと母さんに聞かせてあげますね。
それでは、また後ほどお頼りしたいと思います。お元気で。
アベルへ。お手紙ありがとう。
魔王を倒す旅に出たお前の手紙ということで、親戚一同を集めて拝見させてもらいました。
誤字が多いですね。また一部分「〜しますた」という表現がありますが、これは2ch用語です。
こういう手紙では使わないようにしなさい。はっきり言って母は恥をかきました。
じゃぱねっとタカダの推奨する電子辞書。買いなさい。今すぐ買いなさい。
それから、王様にしてくれる話。何故断ったのですか。
お前は身分というものの重要性を、いまひとつ理解していないようですね。
もう一度、ロマリアの王様に頼んできなさい。必要とあらば土下座しなさい。
あと、人々の眠りを妨げ、墓荒らしをし、人をさらって身代金として黒こしょうを貰う。
お前はかなり人様に迷惑をかけながら旅をしているようですね。
一度アリアハンへ戻ってきなさい。話したいことがあります。
ちなみにカンダタさんはうちの親戚です。
追伸、
ボブさんに伝えておきなさい。
滅多に転職などするものではありません。
職を転々とするようでは、ろくな人間になれませんよ。
お題「故郷」
題名:故郷への手紙
From:DQV
またギャグ系です。発作的に書きました。
時間があればもう1つくらい投稿させてもらいます。
毎度駄文で申し訳ないです。もっと綺麗な文章が書きたいなぁ・・・
仕切り屋さん毎度お疲れ様です。
そしてラトームさん丁寧な保管庫ありがとうございます。
それと「天下二分の計(仮)」の筆者さんは◆/kp.R9.ULgさんで確定じゃないかなあと。
色々と感想ありがとうございました。
イエティになるとメリットもありますがデメリットの方が(w
個人的にオススメな中の人は水の羽衣ですね。
だって女の子みんなが着て(ry
世界観的にはDQ3です。
戦士のパジャマや炎の剣、イエティは出てこないのですが話の関係から出しました。
最初はドラゴンでも出して火傷させようかと思ったのですが、それだと闘い慣れした勇者は激昂しないと思いましたのでこの結果に。
突っ込まれたら「DQ3に〜は出てきませんがご愛嬌ということで」と無理矢理流す予定でした。
anotherは原作と同じ場面でストーリーや主人公を変えた作品に使うものかなーと思うので自分としてはDQ3の作品のつもりです。
(ラトームさんと似た基準?)
出ないアイテムを出しているので原作を変えているといえば変えていますから、その時その時まとめた方やラトームさんの判断にお任せしますね。
好意的批評と批判的批評については、好意的批評は構わないかなーと思います。
(少なくとも自分の作品に対しては)
批判的批評は専用のスレがありますし、荒れる元になりますから書き手が望まない限りは禁止でいいんじゃないかと思います。
締め切りが終わったので前回までの感想を書かせて頂きます。
テスト的に好意的批評も入れて見ます。私もこのスレで勉強させていただいている&昔から言われる欠点がある身なので余り参考になりませんが。
>>198-208 お金を先に出すという小ネタが良かったです。
最後の方でもいいタイミングで出ましたね。勉強になります。
好意的批評をすると主役の兵士二人の活動劇がもっと描かれてもいいんじゃないかナーと思いました。
お金を先に出すという小ネタ(筆者の伝えたいこと?)が前に出すぎていた感があったからです。
小ネタが二番手に回りつつ、作中のようにまとめも兼ねているともっと良かった予感がします。
小ネタ→主役の活躍→勇者のその後→最後小ネタで締め→ウホッ
>>213-218 FF6の戦いの終わった後の話というのはとてもよいツボを突かれましたね。
人々も戦っているというのはとてもよいところに目をつけられて居たと思います。
そこから更に広げた話になっても面白かったかナーと思います。
上の方でも出ていましたがFF6がお気に入りなのでしょうか。実は私も好きなのです。
>>224-226 まとめサイトになって初めて気づきましたが、皆勤賞+ギャグの大半は◆/kp.R9.ULgさんだったんですね。
私はギャグスキーなのでいつも大変楽しみにさせていただいています。
勇者三人の描写がうまいと思いました。キャラを崩さずにギャグを書くのが本当に上手ですね。
とっても難しいはずなのに。
>>241-243 こういうぶっとんだギャグを書けるようになりたいですね。
給料同じなのは納得いかないでしょうね〜。
かなり笑わせていただきました。
>>231-239 背景説明お疲れ様です。私もFF2は未プレイなのですっきりしました。
パンのインフレがうまかったですね。勉強になりました。
その後が気になる話だったと思います。
>>291-301 ギャグじゃなくてまったり系に読めてしまった私はorz
ギャグの途中もどこかシリアスな感じがしたからかもしれません。
心温まる感じがしてよかったですね。童話を話すスタイルからおばあちゃんが子供に絵本を読ませるような風景を連想してしまいました。
じゃあ自分がFFDQの世界に数百円持っていったら(*´д`)
他作品はまた締め切りの後に。
…こんな遅い時間になっちまいましたが。まずは感想をば。
>>291-301 中盤に差し掛かる辺りまでは元となったゲームも、話の主題も朧気だったので少し戸惑い
ましたが、
>>299で紙片が紙幣という意味合いを持ってるんじゃないかと分かった時には
感動すら覚えました。読み違いだと恥ずかしいのですが、この話の中には、現代の実体を
伴わない通貨制度に対する痛烈な皮肉が込められているのかなとか読めたりもして、
中々深いところまで作ってるなぁと。(この辺は二次創作とか関係なく、ちょっと考えさせら
れました。)
って、うまのふんもですが、オチが1ギルなのはワロタ。
余談ですが、毎度テーマ毎に気の利いた文章を練って居られるところに心意気を感じます。
>>311-313 一文一文テンポもいいし、情緒豊かな文章表現がとても上手いと思います。FF7作中の
ハイウェイバトルとライフストリーム内の描写とが絡んでいるのが7好きとしては細かい
演出だなぁ〜などと、勝手にニヤニヤしてました。あと、最後の一文の効果もあって読後感が
かなり切ないです。自分の目指す文章の形の1つという事もあり、読んでてため息が出ます。
人の記憶、地上を生きた生命の記憶や感情の蓄積が星を形作っている=星の意志って
いう読み方が神秘的なのに、とても理に適っているなと。(ウェポン登場も納得です(w。)
>>315-316 遊び人から賢者への見事な転身を図った場合、母は何というんでしょうか? それも
気になるところではありますが。(w
それにしても大陸を出る前(後もだっただろうか?)は、何かある度にすぐに家へ帰り
無料でHPMPを全快させたのは誰もが通る道だと思うのですが、こうして考えると…
日帰り冒険旅行だったんだなと思い知ります。母は強し。という事でしょうか…。
ギャグなのに鋭いところを突っ込んでいるところが、いつもながら見事だと思います。
>>281 多分、狂信者の塔1Fで踊ってるんだろうと思うぐらいFF6が大好きな者です。FF6好き
と聞くだけで妙な親近感が沸くのは狂信者たる由縁でしょうか(w。ネタが浮かんだら
是非読ませて頂きたいです。
西の空に沈み行く太陽が見える。柔らかく、あたたかな色に包まれた空の先に、
彼の故郷がある。
血で染まった大地の下に、人々が眠る故郷。
今や彼の記憶だけが、そこを故郷だと示す唯一の手掛かりだった。
弔う者もなく、置き去りにされた屍は。
思い出されることもなく、忘れ去られた大地は。
……それでも、彼にとってはたった一つの故郷だった。
***
瓦礫の塔。
世界崩壊と共に姿を現した巨塔を目指して、ファルコンは進路を取っていた。
この飛空艇に再び集った者達はそれぞれの思いを胸に、決戦の地へと赴こうと
している。
絶望という闇と、死という静寂が支配する世界の中で、ファルコンは希望という名の
光を纏い一直線に塔を目指していた。
世界最速の飛空艇ファルコン号の甲板には、かつて自分の故郷を奪われた男と、
奪った女が肩を並べて立っていた。ふたりの後ろには長い影が伸びている。
「……恨み……ではないと言い切る事はできぬが、それだけではござらんよ」
長い長い沈黙の後、男はようやく口を開いた。
カイエンの故郷はドマ。そこは帝国によって滅ぼされた国の一つである。
王に仕える侍として生きて来たカイエンにとって、国を失うという事はどれ程の痛みを
伴うものだっただろう。しかも国王や民を守る立場であった自分だけが生き残って
しまったのだ、それだけでも彼の心中は察するに余りある。
そのうえドマ城侵攻では、帝国の魔道士ケフカの暴走によって城の堀に毒が流され、
帝国側ドマ側を問わず大勢の人間が命を落とす惨劇が起きた。被害は兵士だけでなく、
非戦闘員にまで及んだ。
こうしてカイエンは妻と子を同時に失った。
祖国を失い、大切な家族を奪われたカイエンが刀を振るう理由を問われれば、それは
「恨み」の一言で片付けられるほど単純な感情ではなかっただろう。
それでも、敢えてその問いを投げかけたのは――セリスだった。
「……恨みだけではないと言うなら、一体なにが貴方を動かしたんだ?」
マランダ国を滅ぼしたのは、かつてセリスが率いた帝国軍勢であった。ドマ城を舞台に
した惨劇とは直接の関係がないとはいえ、かつての敵、故国の仇とも言うべき立場にいた
セリスとカイエンはこうして今、同舟しているのだった。
立ちはだかるケフカという共通の敵を倒すために、今では互いに背中を預けて戦える
程の信頼関係にある両者だが、ここに至るまでには数々の苦難と危機があった。
ナルシェで初めて出会ったあの日、怒りに我を忘れたカイエンが刀を抜き放ちセリスの
前に進み出た。今となってはそんな自分が恥ずかしくもあり、一方では否定しきれない
思いとして心の奥底にしまわれているのも事実である。
瞼を閉じ、カイエンはこれまでの記憶を辿るようにゆっくりと言葉を吐き出した。
「正直なところを申せば、……分からないでござるよ。ただ……」
「ただ?」
セリスの方を振り向くと、夕陽に照らし出された彼女の顔を見つめてぽつりと呟いた。
「拙者のような思いをする者が、これ以上出て欲しくはないのでござる」
その言葉の向けられた先がセリス自身であるという事に、彼女は気付いていなかった。
だから。
「……すまなかった」
言ったところでどうにもならない、頭ではそう分かっていても自然と彼女の口をついて
出た謝罪の句に、カイエンは苦笑する。
「セリス殿に謝ってもらう事が、拙者が今ここに居る理由ではござらんし、それはお門違い
と言うものでござる」
正宗――その刀に宿る家族の想いを今一度確かめるように、カイエンは柄を握りしめた。
そして再び顔を上げると、セリスに向けてこう言ったのである。
「拙者と同じ痛みを知っているセリス殿に、そんな風にして謝られたのでは……なんと
申して良いのか分からんでござるよ」
そう言った彼の表情は、とても穏やかだった。
「カイエン……」
セリスの言葉を遮るように、カイエンは黙って首を横に振った。そうしてまた、空と大地の
交わる場所へと視線を転じた。
そこには夕陽を背にした塔の影が、迫る宵闇よりも深い色を染み込ませて佇んでいた。
それが、帝国の将軍として多くの者達の故郷を奪ってきた罪に対して与えられた罰だと
いうのならば、神は皮肉な演出をするものだと思った。
瓦礫の塔――そこはかつての帝都ベクタであり、同時にセリスの故郷でもある。
***
世界中の瓦礫と嘆きが寄せ集められた大地の下に、人々が眠る故郷。
今や彼女の記憶だけが、そこを故郷だと示す唯一の手掛かりだった。
弔う者もなく、置き去りにされた屍は。
思い出されることもなく、忘れ去られた大地は。
……それでも、彼女にとってはたった一つの故郷だった。
−帰郷<終>−
----------
※ 出典:FF6
舞台:ラストダンジョン・瓦礫の塔
(を、目前にしたファルコン号の甲板上)
お題:故郷
追伸:ドマ城侵攻〜ナルシェ幻獣戦のカイエンとセリスの遣り取りの後日談というか、決着を描いてみたかった。
と、いうか
>>289最後の一文で思いついた話。閃きをありがd。
性懲りもなくFF6ネタですんません。「出典」という言葉はなんとなく使ってしまいました。(w
すみません。もう一つ投稿します。
今度のはちょっと長いです。
ザッ!
アルスの一撃がハーゴンの肩口を切り裂いた。
「ぬぅ!」ハーゴンは肩を抑え、よろけながら数歩後退る。
その肩口からは紫の霧状のものが、絶え間なく噴出していた。
苦悶の表情。血走った眼光がアルスら三人をじっと見据えている。
「もう、終わりだ」アルスが剣を構えながら言う。
ほぼ勝負は決していた。先程のアルスの一撃は致命傷であろう。
やがてハーゴンは突如、彼らに背後を見せて走り出す。
「待て、逃げるのか!?」すかさずトンヌラが追いかける。
いや、ハーゴンは逃げるわけではなかった。
彼は玉座にしがみ付くと彼らを振り返り、そして高らかに笑った。
それを見てトンヌラの足が止まる。
ハーゴンの体は、徐々に朽ち始めていた。
肩口から噴き出す紫の霧。それが彼の生気を流出させているかのようであった。
ゆっくりと肌の色が灰色に変化してゆく。しかし、それでもハーゴンは笑っていた。
「お、おのれ、口惜しや・・・・・・。
このハーゴン様がお前らごときにやられるとは。
しかし、私を倒しても、もはや世界を救えまい!
我が破壊の神シドーよ! 今ここに生贄を捧ぐ・・・ぐふっ!」
最後の言葉を残し、玉座に倒れ込む。
もはや、ハーゴンの体は人の形を成してはいない。
そこにはただ、衣服とともに大量の灰が残るのみ。
そしてその灰が舞い上がる。
舞い上がった灰は周囲を覆い、光を遮った。
突如として出来上がった暗黒空間。
そして玉座のむこう、そこにある暗闇よりも深い闇。
そこから、何かが出現し始めていた。
「・・・・・・」無言のまま、マリアががくりと膝をつく。
トンヌラも固まっていた。その体は小刻みに震えている。
アルスも流れ出る冷や汗を止められない。
あの向こうにいるのは、これまでの敵とは比べようもない程の、桁違いの何かだ。
まず、巨大な3本の鉤爪が現れる。そして深紅の目と、残忍な牙を持つ凶悪な顔。
竜を思わせる巨大な体と翼。破壊神シドーの全体像が顕わとなってゆく。
三人はただ呆然と、攻撃もできぬままシドーの出現を見守ることしかできなかった。
フシャアァァッ!!
深淵より降り立ったシドーが咆哮する。
本能的にアルスはシドーに向かい走り出した。
これを外の世界に放ってはならない。いや、その存在すら世界の人々に知らせてはならない。
ここで俺たちがこれを止められなければ、間違いなく世界は滅亡する!
そして、ラストバトルの火蓋が切って落とされた。
まさしく桁違い。そう表現するのが適切だろう。
シドーの強さは、三人の力を軽く凌駕していた。
その口から吐き出される暗黒の炎。まずトンヌラがそれに倒れた。
世界樹の葉を持ち、アルスが彼に駆け寄る。
しかしシドーの巨大な尻尾が、アルスに向け横殴りに叩き付けられた。
アルスは吹っ飛び、壁に激突する。瓦礫に埋もれた彼は、そのまま動くことはなかった。
ゆっくりと、シドーの凶悪な顔がマリアへと向く。
よだれを床に垂らしながら、シドーはもう一度大きく咆哮した。
―――絶望。
そのとき彼女が感じたものは、まさしくそれだっただろう。
悲鳴すら上げれぬまま、ゆっくりと後退する。
しかし、ハーゴンの作り出した暗黒空間が、彼女を無情にも押し返した。
恐ろしく怖いはずなのに、涙すら出ない。
どうすれば生き残れるのか。答えは出ないまま、その問いだけが彼女の脳内をループしていた。
迫り来るシドーの鋭い爪。ゆっくりと、ゆっくりと迫ってくる。
あれがあたしに到達した時、あたしは死ぬのね・・・。
呼吸をすることも忘れていた。"死"を受け入れたと思っていた。
しかし、彼女の中にある"何か"がそれを叫ばせた。
「パルプンテ!」
マリアは とてつもなく おそろしいものを よびだしてしまった!
シドーが出てきた暗黒から、一本の手が伸びる。
3本の鉤爪。シドーと同じものだが、それよりもひと回り大きい。
それはシドーの肩を掴み、ぐいっと背後に引き付けた。シドーの顔に驚愕が浮かぶ。
背後を振り向いたシドーは、そこにあるものを見て大きく叫んだ。
「か、母ちゃん!」
その暗黒には、シドーと良く似た顔。しかしひと回り大きな顔がのぞいていた。
口の周りが赤っぽいのは、口紅なのだろうか・・・?
そのシドーママは、シドーに向けて言う。
「ここんとこ顔を見ないと思ったら、あんたはこんなとこで何やってんだい!?」
「いや、その・・・俺、ハーゴンって奴に呼び出されて・・・その・・・」
「こんな弱小生物の世界で王様気取りかい? おめでたいね!
そんなことだから、学校でいじめられるんだよ。全く情けない。
それにあんたの"夏休みの友"見たけど、ほとんど真っ白じゃないかい!」
「か、勝手に見るなよぅ・・・。ちゃんとやるってば・・・」
シドーママの手が、シドーの頭をパシッと叩いた。思わずシドー涙目。
「どうせエスターク君にでも写させてもらうつもりなんだろ?
たまには自分の力でやりな。将来父ちゃんみたいな駄目人間になってもいいのかい?」
返答に詰まったシドーは、マリアに向けて悲しそうな視線を送る。
(ごめん、無理)マリアは思った。
やがてシドーママは、シドーの耳を掴みながら、彼を元の暗黒へと引きずってゆく。
「痛い! 痛いよ母ちゃん。帰るから、帰るから手を離して!」
そしてシドーは引きずり込まれた。
マリアは座り込みポカンと口を開け、呆然と一部始終を見守っている。
二人の消えた暗黒から、いきなりシドーママの顔がのぞいた。思わずマリア身震い。
「ごめんねぇ。うちの馬鹿息子が、そっちの世界めちゃめちゃにしちゃったみたいで」
「い、いえ・・・」
「とりあえずモンスターたちは、こっちに呼び戻しとくから。
こんど菓子折りでも持って、そっちの世界に挨拶に行くよ」
「け、結構ですっ! お構いなく!!」
そして暗黒が閉まる。こうして世界に平和が戻った。
3人はそれぞれの故郷へと帰り、やがて月日が流れる。
それぞれの国の王となった後も、3人は1年に1度は会うようにしていた。
そして、その時に話題に上るのはいつもこの話。
「でもよぉ、マリア。お前どうやってシドーを倒したんだ?」
「うんうん、聞きたいな。話してくれてもいいじゃん」
「だめー、秘密だよー♪」
「何でだよ、一緒に冒険した仲だろ。水臭え!」
「う〜ん、何か理由でもあるの?」
「ふふふ♪」
いつも威張り散らしているアルスも、隠居した父親の前では頭が上がらない。
トンヌラだって、おてんばな妹の前では四苦八苦してる。
それぞれの故郷には、それぞれの秘密があるのだ。
シドーも、きっとその秘密をばらしてほしくはないだろう。
きっと彼は、現実の世界が苦しいから、違う世界で威張ってみたかったんだ。
何となく、可愛い奴じゃないか。黙っててあげよう。
まあ、かく言うあたしも素敵な旦那様の前では、従順な子猫ちゃんなのである。
お題「故郷」
題名:それぞれの秘密
From:DQU
長文、失礼しました。
ギャグから一歩、脱却できた・・・かな?
うあ、
>>328の「駄目人間」、人間じゃないじゃん・・・orz
駄目魔族・・・?
相変わらずワラタ
◆/kp.R9.ULg氏の作品は面白杉。
とてつもなく恐ろしいものの正体はジャイアン辺りが深く頷いてくれそうですね。
ジャイアンシドーワロタ。
というか、万年居眠りの奴(エスターク)に宿題写して貰ってどうするんだw
今も執筆中ですが……途方も無い分量になってきています。今日中に仕上がるだろうか……。
やっと完成した……。
未熟者が途方も無い分量を書いてしまいました。長くなってしまいますが、それはご容赦を。
題名は「少女の歩み」です。出典は一応DQ4のつもりですが、
著しくキャライメージが損なわれる恐れがありますので、予め忠告しておきます。
城門の前に立っている一人の少女が居た。年頃は十六、七歳。少女らしく華奢であるが、そればかりでなく精悍な身体の持ち主である事は見る者が見ればわかる。少女の身体は格闘家のそれと言えた。
その後ろに、複雑な表情をした従者らしき二人の男が居た。一人は若い神官風の青年で、少女より一、二歳は年上に見える。もう一人は老魔導師で、七十歳頃だろうか。眉間に皺を寄せて険しい表情で城を見つめていた。
城には、まるで生気が感じられなかった。傍目から見れば立派な城なのだが、それが一層不気味さを引き立てている。
(神は、本当に酷い仕打ちをなさる)
神官風の青年は、少女の後姿を見て小さく溜息をついた。この城は、その少女の故郷であった。
サントハイム王国は、嘗ては世界の強国の一角であった。世界一の大国エンドールと友好関係にあり、長らく平和の時を享受して来た。
そんな平和に、飽き足らなかった一人の少女が居た。それがこの少女――アリーナ姫その人だった。
「……結局、あいつを倒しても何にもならなかったね」
アリーナの声が二人の胸に深く突き刺さった。彼女の声には絶望にも似た響きがあったのだ。
この三人――アリーナ姫とその幼馴染の神官クリフト、それに目付け役のブライは、サントハイム城を抜け出して大陸を行脚し、やがて友好国エンドールに於ける武術大会の存在を知ったアリーナは、エンドールに渡った。
武術大会は、彼女にしてみれば少しばかり拍子抜けするものであった。確かに、戦った相手はいずれも歴戦の猛者。苦戦を強いられた。しかし、一つだけ腑に落ちない事があった。デスピサロという名の男である。
彼は、殺戮の獅子だった。容姿こそ端麗だが、戦い方は残忍そのもの。圧倒的な戦闘力で相手をねじ伏せ、容赦無く殺したのである。これに色を失ったエンドール王アルフォンソ八世が、大会の形式を変更した程だった。その男が、決勝戦に姿を現さなかった。
アリーナは、彼の戦い振りを聞かされている。どれだけ恐ろしい男かは承知していた。覚悟を固めて決勝戦に挑もうとしていたのだ。そこで聞かされた、デスピサロの行方不明。腑に落ちなかった。今更恐れをなした? そんな事はありえない。
それが、彼女の喉に引っ掛かった小骨だった。その点が不本意であり、優勝者と言われても心の底からは喜ぶ事が出来なかった。あの男は、何故消えたのか?
彼女の何とも言えぬ感情は、城門前に居た瀕死の兵士の言葉によってはっきりと不安へと変わった。
「さ、サントハイム城が……陛下が……。アリーナ様、す、すぐにお戻りを……」
急いで戻った三人は城を見て愕然とした。誰一人、城には居なかったのである。あるのは城という器だけ。アリーナの父サンシュ七世も、姿を消していた。後に、『サントハイムの神隠し』と呼ばれる出来事である。
呆然とするアリーナの脳裏に、再びデスピサロが浮かんで来た。まさか、あの男がやったのか。一個人にそんな大それた芸当が出来る筈はないが、デスピサロは只者ではない。ありえない話とは言い切れない。
とにかく、彼等はこのまま無為に時を過ごすつもりは無かった。こうして、更に三人の旅が続く。途中でクリフトが病に倒れ、ミントスに足止めされるが、そこで魔を滅ぼす運命を背負った勇者ユーリルと出会った。
「……デスピサロ、だって?」
クリフトの病が一段落した後、アリーナとブライは今までの経歴について話した。その中の『デスピサロ』という単語に、ユーリルの顔色が変わった。
「知っておられるのか、勇者殿」
ブライの眼に鋭い光が走った。アリーナの顔も真剣になる。
「……」
ユーリルは唇を噛んでうつむいた。それを見たマーニャが小さく溜息をつき、代わりに話した。
「ブランカの北の山奥に、小さな村があった。その村がこの子の故郷。……焼け落ちた村の話って聞いた事ある?」
「ええ、一回噂で聞いた事はあるわ。山道を歩いている内に道に迷い、ふと開けた所に出た。すると、そこにあったのは村と思しき無残な焼け跡だったって……」
「そう。そこが彼の――ユーリルの故郷“だった”村よ」
アリーナは絶句し、流石のブライも唸った。
「……」
マーニャは、ユーリルに目配せした。ここからはお前が話せという意味である。彼は静かに頷いた。
「……僕は、何も知らない子供だった。村の大人達は僕に様々な鍛錬をさせて、外に出そうとはしなかった。何度も何度もその意味を問い質したけれど、父さんと母さんは寂しげに首を振るだけで、答えてはくれなかった」
そんなある日、来訪者が来た。彼は吟遊詩人ピサロと名乗り、迷ってしまったから今晩だけ泊めて欲しいと頼んだ。宿屋の主人は渋々彼を迎え入れた。
それがまさか、敵をも迎え入れてしまう事になるとは。
「奴等だーッ! 魔物どもが来やがったーッ!!」
その言葉に、父母はさっと顔色を変えた。宿屋の主人が駆け込んで来た。
「申し訳無いッ! あの吟遊詩人が呼び寄せたんだ! 畜生、ピサロという名前で気付いていれば良かったものを……! あの神託の事を思い出していれば……」
「落ち着け! こうなっては仕方が無い。何とかユーリルだけは死守せねばならぬ! それが神との誓約なのだからな」
そう言うと父は、ユーリルの手を取った。
「急ぐぞ。ここは危ない」
「父さん! 何がどうなっているんだ!」
ユーリルの言葉に、父母は威儀を正し、それでいて悲しげに言った。
「……今こそ本当の事を話そう。お前は、わし達の実の子供じゃないんだ」
ユーリルは暫し呆然として物も言えなかった。
「……何を、言っているの?」
父が何かを言おうとした瞬間、衝撃が走った。
「……どうやら、時間が無い様だ」
そう言うと父は無理矢理ユーリルを引っ張った。母の瞳から涙が零れ落ちる。
「母さん!」
「私の事には構わないで! 貴方は急いで逃げるの!」
今まで見た事も無い様な険しい表情に、ユーリルはひるんだ。しかし、すぐに優しい母の顔に戻った。
「ユーリル……どうか、元気で……」
「母さんッ!!」
ユーリルは叫んだが、どうしようもなかった。父の手から離れようとしたが、母は涙を流して首を振った。その顔を見たら、抵抗する気が失せた。
既に村の入り口では戦闘が繰り広げられていた。次元が違う戦いだった。この周辺に生息する魔物とは比べ物にならぬ力を持った魔物達が押し寄せているのが見て取れる。
父が連れて来た先は、剣術の師ソールズと幾度と無く剣戟を交えたあの倉庫だった。
「……来るべき時が来たか」
「いささか早すぎるがな。デスピサロめ、動きに気付いていたのだ。それで吟遊詩人の振りをして自ら内偵を……」
ソールズはユーリルに向き直り、険しい表情で言った。
「……既に父上から聞いているだろうが、お前を今まで育てて来た父母は、本当の父母ではない。お前は、『勇者』となるべく生まれて来た子供なのだ。それで我々が密かに匿い、お前を『勇者』に育てようとした。しかし……どうやら、時は待ってはくれない様だな……」
そう言うと、父に代わってユーリルの手を取り、倉庫の中に入った。ソールズはその中の奥深くにある隠し部屋にユーリルを押し込んだ。
「良いか! ここに隠れていろ。絶対にここから出るな! さっきも言ったが、お前は『勇者』の素質ある男だ。やがては魔王をも葬る事が出来る力を得られるだろう。しかし、今のお前では到底無理だ。今は、生き延びる事だけを考えろ」
「……でも!」
「案ずるな。俺を誰だと思っている。『ロングソード・ソールズベリ』の名は伊達では無い。そう簡単には通させはしない」
そう言うと、ソールズは隠し扉を閉めた。ここから、やりとりが聞こえて来る。
「うおおーッ! 魔物どもめ! 俺達をそう簡単に倒せると思うなよッ!!」
「……ええい、メラゾーマッ!!」
「キシャアアアアッ!!」
「うぐっ……む、無念……」
「何をしているか! 精鋭の名が泣くぞ。必ず勇者を仕留めろ! 絶対に逃がすな!!」
喧騒が続くが、次第に人間の発する声が少なくなって来る。一人、また一人と倒れて行く。そんな時、部屋に入って来た一人の少女が居た。姉弟同然につきあっていたシンシアだった。
「……シンシア!」
二人は抱き合った。しかし、すぐにシンシアは彼を放した。
「……ユーリル。今まで、本当に楽しかった。まるで貴方が、本当の弟の様に思えた。護るべき弟の様に」
そう言うと、彼女はユーリルから離れ、呪文を唱えた。
「……貴方をやらせはしない……!」
彼女の身体に光が宿り、思わずユーリルは眼を覆った。眼を開いた時、彼は驚愕の余りのけぞった。彼女の身体が、自分そっくりに成り代わっていたのだ。
「これ……まさかこないだ言っていた……」
「そう。モシャスの呪文。対象物そっくりに姿形、更には声質まで変える事の出来る魔法」
シンシアの声は、確かに少年――ユーリルのそれに変わっていた。
「さよなら、ユーリル。本当に、楽しかったよ」
そう言うと、彼女は部屋を飛び出した。
「シン……!」
ユーリルの声は、届く事は無かった。表の声が聞こえる。
「……成功したか、シンシア」
「……ええ」
「すまんな。お前を犠牲にしなければならないとは」
「構いません。ユーリルの為に死ねるんだから。私の死で、ユーリルが……ひいては世界が救われるのだから」
「……ッ!!」
声を出してはならないという事はわかっていた。しかし、叫びたいという衝動、今すぐここを飛び出してシンシアを止めたいという衝動に駆られた。しかし、彼の中に残る理性が、それを辛うじて止めていた。今の自分が飛び出して、どうにかなるものではない。
「行くぞ!」
ソールズの声がすると同時に剣戟と魔法、炸裂音が響いた。
「でぇぇーいッ!! 貴様等全員、この『ロングソード・ソールズベリ』の剣の錆にしてくれるッ!!」
立て続けに断末魔が響いた。しかし、それもやがては一段と大きな絶叫にて終わりを告げた。
「……残るは貴様だけだな、勇者ユーリル」
何故か、自分の目の前に映像が鮮明に浮かび上がった。ソールズの返り血を受けた銀髪の魔族が、ユーリル、もといシンシアを睨みつけている。シンシアは『勇者ユーリル』として毅然と魔族を睨み返した。
「……メラゾーマ!!」
シンシアは最大の呪文を唱えた。その瞬間、凄まじい轟音が響き、魔族の居た場所を粉微塵に吹き飛ばした。しかし、魔族はそこには居なかった。はっと気付いた瞬間――。胸には、剣が突き刺さっていた。
「当たらねば、どうという事はない」
いつの間にか、後ろには魔族が居た。端正な顔に冷笑を浮かべて。
「終わりだ、勇者よ」
剣が引き抜かれ、血染めの剣が今度は袈裟懸けに振り下ろされた。シンシアは、声もなく崩れ落ちた。
「……終わりましたな、デスピサロ様」
「うむ。これで、後顧の憂いなくエスターク様を甦らせる事が出来るというもの。大儀であった」
そう言うと、デスピサロはシンシアの亡骸を見て、冷笑を浮かべながら何処かに消え去った。魔物達もまた、次々とその場を後にした。
村には、焼け跡と亡骸だけが残された。見えない筈の映像が終わると、ユーリルは駆け出した。隠し扉をこじ開けた。倉庫もまた、殆ど焼け落ちていた。しかし、そんなものは眼に入らなかった。彼は一目散に彼女を捜した。
シンシアは、元の姿に戻っていた。いつしか雨になり、彼女の血が洗い流されて行く。彼女の身体を抱き上げようとした。
重かった。一度、彼女に『お姫様抱っこ』をせがまれた事があるが、その時の重さなど比べ物にならないものだった。今自分の眼前に居るものは、『生物』ではなく、『死んだ物体』に過ぎなかった。
「……アアアアアァァァァァァァーッ!!」
少年は少女の亡骸を抱き、声にならぬ絶叫を発した。その傍には、彼女が愛用していた羽帽子があった。
ユーリルの話はこれで終わった。掛ける言葉が見つからないブライが、ふとアリーナを見て、瞠目した。
彼女は、涙を流していた。悲しみと怒りの混ざった涙を。
「……こんなのって……!」
彼女は拳をぐっと握り締めた。そのせいで身体が震えている。
「あの男、サントハイムだけじゃなく、ユーリルの故郷まで……!!」
アリーナの疑念は、確信に変わった。そうだ。あの男だ。ユーリルを抹殺しようとした時と同じ様に、何らかの理由で彼等を消し去ったのだ。
父王サンシュ七世に限らず、サントハイム王家の男子には代々ある程度の予知能力があった。自分には生憎そんな能力は無かったが……。その予知能力の為に、消された可能性が強い。城の人間だけ消されたのがその証拠であろう。
「……僕に力があれば、こんな事にはならなかった」
ユーリルが呟く様に言った。
「僕に力があれば、魔物達を撃退する事が出来たのに。デスピサロも退ける事が出来たのに! 皆を……シンシアを護る事が出来たのに……」
その言葉を聞いて、アリーナはどきりとした。あの時の自分にそっくりな考えだったのだ。あの時の自分も、己の無力さを嘆き、悔し涙を流したものだ。
「ユーリル」
アリーナは正面から彼を見た。
「私も、サントハイムを見た時は、同じ様な思いに駆られた。でも、そうしていたって死んだ人は生き返らないし、消えた人だって元に戻る訳じゃない」
ユーリルが顔を上げる。アリーナは続けた。
「残された私達に出来る事は、一つだけだよ。それは、彼等の分まで懸命に頑張る事だと思う。私の場合は別だけど、彼等は、貴方を護る為に死んで行った。その思いを、無にする訳には行かない。そうでしょ?」
ユーリルは黙って頷いた。
「だったら、自分を悔いるのは止めなよ。過去を変える事は出来ないんだから。死んだ人達だって、いつまでもそうしている事を望んでいない筈だよ」
「……」
ユーリルは黙ってうつむいた。すると、マーニャも神妙な顔になって呟いた。
「確かに、もういい加減脱皮しなきゃいけない時よねぇ……」
皆がマーニャを見た。
「あんたの境遇は確かに『不幸』なのかも知れない。後悔に沈むのも頷ける話だとは思う。でも、それだっていつかは振り切らなきゃ駄目。振り切れない奴の事を、負け犬って言うの。いつまで経っても進む事が出来ないから」
「……」
マーニャの言う事には説得力があった。彼女は何度も挫折を味わっている。小さい挫折はカジノで金を全て擦ってしまう事。大きな挫折は、仇討ちの失敗。しかし彼女は、悉くその挫折から這い上がって来た。それは全て、過去を振り切ったからこそ為せる事である。
「ま、他人がどうこう言った所で、自分でどうにかしなきゃ意味は無いけどね」
そう言うと、マーニャは席を立って部屋を出た。
「……ただの遊び女とも違うのだな。パデキアを取りに行った時はそういう素振りを見せなかったものだが」
「私も、時々驚かされます」
ブライの呟きにミネアが応じた。
「キングレオの城から逃げる時、私は躊躇っていました。オーリンを見殺しにする事になるから。私がその事を言うと、姉は本気で怒った顔になりました」
「馬鹿言ってんじゃないわよ! あんたはオーリンの気持ちを踏みにじるつもりなの!? 今あたし達に出来る事は、逃げ出す事だけよ。このままここに残って、オーリンが喜ぶと思う!?」
尚も抵抗するミネアに、マーニャはトドメをさす一言を言った。
「ここで死んだら、それこそ負け犬じゃない! こんな所で、仇も討たずにみすみす殺されるって言うの!?」
その一言で、遂にミネアは逃げ延びる決意を固めた。
「もし姉が居なかったら、今頃私はここには居ないでしょうね。姉は確かにいい加減な所が多々あるのですが、その一方で、現実をしっかり見つめる所があるんです。それこそ、重大な決断をする時には」
ミネアはふっと息をついた。その眼差しがユーリルに注がれる。
「さっきの言葉は、多分後者の方で言ったんだと思いますよ。悪意があって言ったんじゃないと思う。……気に病んだならごめんなさいね」
「いや、良いんです」
ユーリルが顔を上げた。明らかに顔つきが変わっている。
「確かに、アリーナやマーニャの言う通りだ。いつまでもこうしてはいられない。わかってはいたけど、踏ん切りがつかなかった。でも、二人のおかげでそれが出来そうだ。……ありがとう」
ユーリルは、アリーナに頭を下げた。
それから、最後の『八星』ライアンの居場所を知った彼等は、姉妹にとって因縁の場所キングレオに向かった。そこに居たのは、嘗て姉妹を圧倒的な力でねじ伏せたキングレオだった。しかし、八人となった彼等の猛攻の前に、遂にキングレオは力尽きた。
だが、彼等に喜びは無かった。
「バルザックか……あの男はサントハイムに移った。ここには居ない」
その一言で、アリーナ達三人の顔色が変わった。嘗ての城に、魔物が巣くっているというのか。一行は大急ぎでサントハイムに向かった。
「……暫く留守にしていた間に、城の雰囲気が変わりました」
クリフトが珍しく険しい表情で言った。
「以前はまるで生気が無く、虚無感を覚えましたが、今感じているのは、邪気です。城全体が、邪気に包まれています。魔物の巣窟になっているのは、間違い無いでしょう」
アリーナの身体は震えていた。よりにもよって、自分の家を魔物の巣窟にするなどとは。
「……バルザックを討てば、少なくとも魔物は退散するだろう。大将はそやつなのだから」
ブライの言葉も、アリーナには届いていなかった。
門が開いた。先頭はアリーナだ。クリフトとブライは、止めた方が良いのでは無いかと進言したが、聞き入れる事はなかった。
魔物達は当然侵入者を止めようとするのだが、アリーナの凄まじい殺気に、皆がたじろいだ。攻撃する事が即死に繋がるのであれば、誰も攻撃しようとは思わない。そういう意味で、魔物達の反応は至極動物的だった。
彼等は何の抵抗も無く二階に上がった。その玉座に、憎らしい姿をした悪魔がふんぞり返って寄りかかっていた。
「バルザック!」
マーニャとミネアの叫びに、バルザックは野卑な笑みを浮かべた。
「久し振りだな、エドガンの娘達。まさか生きていたとは思わなかったぞ。キングレオに散々に打ちのめされたというのに」
「そのキングレオも、もう居ない。次はあんたの番よ、バルザック!!」
しかし、バルザックの視線はマーニャには向かわなかった。それよりも遥かに凄まじい殺気を自分に向けているもう一人の少女が居たからだ。
「……お前は、誰だ?」
「それはこっちの台詞よ」
アリーナの声に、クリフトとブライは震えた。今まで聞いた事も無い様な低く冷たい声だった。
「その玉座はお父様の……サントハイム王サンシュ七世の玉座よ! その玉座に、何であんたなんかが座ってるのよ! 何で魔物達が私達の城に居座ってるのよッ!!」
かつてない殺気に、バルザックでさえたじろいだ。だが、彼はそのまま気圧される事はなかった。
「ならば、力ずくで奪い返すのだな! 今の主はこのバルザック。奪い返せるものならやってみるが良い」
「上等よ……」
「姫様!」
ブライの叫びも、彼女には聞こえなかった。戦端は、開かれた。
最初はアリーナとバルザックの一騎討ちの様相を呈していたが、怒り狂うアリーナの一瞬の隙を突いてバルザックは渾身のマヒャドを唱えた。
これまでかと思った時、マーニャがメラゾーマを放ってアリーナの危機を救う。危機に直面して少し冷静になったアリーナは距離を取り、集団戦の態勢を整えた。
その後は呆気無かった。アリーナとの戦いの中で、バルザックは体力を消耗していた。その為、次第に攻撃を捌き切れなくなり、遂にマーニャが放った渾身のメラゾーマを受け、バルザックは遂に力尽きた。姉妹の宿願は叶った。
だが、アリーナにとっては違った。
確かに魔物達は消えた。しかし、父は、皆は戻って来なかった。バルザックの話を聞いた時、僅かな望みを抱いていた。彼を倒せば、皆が戻って来るのでは無いだろうかと。
だが、その願いは脆くも崩れ去った。怒り狂って戦い、バルザックを倒した後に残されたのは、巨大な虚無感だけだったのだ。
今こうしてこの城を見つめている彼女の心は抜け殻に等しかった。先程の言葉も、その虚無感から生まれたものだ。
「……サランに、戻りましょう」
クリフトが意を決して言った。
「皆さんが待っています。これ以上ここに居たら……」
クリフトはその先の言葉を飲み込んだ。
「……わかった」
彼女が振り返った。帽子を深く被っている。顔を見られたくないのだろう。クリフトとブライは、これ以上何も言う事が出来なかった。
その日、アリーナは誰とも言葉を交わそうとせず、早々と部屋に入った。クリフトはアリーナに食事を摂る様部屋の外から言い続けたが、取り付く島も無かった。
夜になった。笛の音が聞こえる。サントハイム一の吟遊詩人マローニの笛だろう。アリーナは、笛の音に導かれる様に部屋を抜け出した。向かった先は教会の屋上である。
「……」
暫く、彼女は星空を見つめた。月は煌々と輝き、星も数多煌いていた。それは、幼い頃から見ていた星空そのままだった。
「本当に、美しい空ですね。まるで、地上で起こっている事が嘘の様に感じられます」
不意に青年の声がした。しかし、アリーナは振り向かない。誰かはわかっている。
「……皆さん、心配していましたよ」
「……どうして、ここがわかったの」
「長年の勘というものです。城におられた時、アリーナ様は度々屋上に登って星空を眺めていましたから、もし居るとすればここではないかと当たりをつけたのです」
「……」
暫し、沈黙が流れる。その中で、クリフトはアリーナの身体が僅かに震えているのに気がついた。
思わず、後ろから彼女の身体をそっと抱き締めた。
「……クリフト……?」
驚いた拍子に、彼女の瞳から涙が零れた。慌てる彼女に、クリフトは呟く様に言った。
「我慢なさらなくても良いのです。泣きたい時は、存分に泣けば良いのです」
その言葉で、アリーナの瞳から堰を切った様に涙が流れ落ちた。アリーナは姿勢を変え、クリフトの胸に顔を埋めた。クリフトはただ、無言で抱き締めた。
(こんなにも細いお身体だったのか)
クリフトは、彼女を抱き締めてその頼りなさに驚きを禁じえなかった。しかし、幾ら武術の練磨によって鍛えられた肉体の持ち主であっても、彼女はまだ十七歳の少女なのである。強い様に見えても、まだ心が揺れ動く年頃の少女なのだ。
彼は、アリーナの気が済むまで彼女を抱き締め続けた。やがて泣き止んだと見ると、彼女を離した。
「……失礼、致しました」
「……謝る必要なんて無いよ」
アリーナは笑みを浮かべた。
「ありがとう、クリフト」
沈黙の時間が再び流れる。しかし、それは気まずい沈黙のそれでは無かった。クリフトは穏やかな笑みを浮かべた。
「身に余るお言葉ですが、そのお言葉は皆さんにも向けて下さい。私は、皆さんの代表としてここに来たんですから。誰が行くか、皆で話し合ったんですよ」
「……うん。帰ったら皆に謝るよ」
クリフトは笑みを浮かべたが、すぐに真剣な顔つきになった。
「ご自分を、責めておいでですか」
アリーナは一瞬驚いた表情をしたが、静かに頷いた。
「少しは、晴れたけどね」
寂しげに言った。
「バルザックと戦った後、自分が凄く嫌になった。恨みで、相手を倒そうとしていた。それが一つ。もう一つは、自分の無力さ加減に嫌気がさした。結局、何も変わらなかった」
また涙が込み上げてくるが、辛うじて堪えた。
クリフトは真剣ながらも穏やかな表情になって言葉を述べた。
「パデキアの事は、今でも覚えています」
「パデキア……?」
思わぬ所に話が向かって戸惑った様子のアリーナに、クリフトが補足を入れた。
「ユーリルさん達がブライ様と一緒にパデキアを取りに行く前、アリーナ様はその話を聞いてすぐに駆け出されたのですよね」
その言葉を聞いて、アリーナはあの時の事を思い出した。
「……そうね。でも、あの時程自分の無力さを思い知った事は無かった」
パデキアの存在を知って駆け出したは良いが、思う様に進む事が出来ず、結局断念せざるを得なかった。彼の横臥する様を見た時、涙が止まらなかった事を覚えている。
「そんな事はありませんよ。私などの為に生命懸けで取りに行って下さった事だけでも、私にとっては本当に嬉しい事でした。責める必要など無いではありませんか」
「……でも!」
「アリーナ様、私がまだ眠っていた時、ユーリルさんに言った言葉を覚えていますか? マーニャさんが言った言葉を覚えていますか?」
突然の質問に、アリーナは面食らった。
「己の無力さを必要以上に気に病む事なく、前に進むしかない。悔いてばかりいても、死んだ人、消えた人達は決して喜ばない。……あなた様はそう言われました」
アリーナははっとした。そう、過去の出来事を話してうつむいたユーリルを見て、思わず口を突いて出た言葉だった。
「その時のユーリルさんを見ていない私が言うのも何ですが、今のアリーナ様はユーリルさんにそっくりです。ご自分を必要以上に責め、無力さを必要以上に嘆いておられる。
……誰がアリーナ様を責める事が出来ましょう。仮にアリーナ様、私、ブライ様が居た所でどうする術も無かったと思います。恐らくやったのはデスピサロでしょうから……」
そう言うと、クリフトは満面の微笑を浮かべた。
「……パデキアの事、本当に嬉しかったです。ブライ様に言われました。『薬師に聞いた話だがな、姫様はお戻りになった後、泣きながらお前の看病をしておられたのだそうだ。……この馬鹿者が。もう二度と、姫様を心配させるでないぞ』その時私は、一方では申し訳無さを感じ、
……もう一方では、不謹慎ながらも嬉しいという気持ちがありました。取れなかった事なんて、大した事じゃありません。その行動に出てくれた事が、何より私は嬉しかったのです」
クリフトはもう一度笑いかけた。
「無力でも良いではありませんか。人間とは生来弱いものです。強く、賢い存在ならば神など必要ありません。すがらなければならない程弱いからこそ人は神を頼るのです。……かくいう私も、またその一人です。
しかし、その中にも違いはあります。前に進む者と、進まない者です。……私は昔、何故自殺が最大の罪の一つなのか司祭様に尋ねた事があります。その時、司祭様はこう言われました」
「……クリフトよ。生きると言う事は、その時点で一つの試練です。何度も何度も、挫折を味わいます。時には、死んでしまいたくなる程の絶望を味わう事もあるでしょう。
しかし、死ぬ事は至極簡単なのですよ。ナイフが一本あれば良い。固い縄が一本あれば良い。毒を飲むという手段もあれば、崖から飛び降りるというものもあるでしょう。
やろうと思えば、決意次第で人間は簡単に死ねます。ですが、それは怠惰ではありませんか? 人間は弱い生き物ですから、楽な方に楽な方に流れる傾向があります。
自殺というものは、『楽な方向に向かう究極の手段』なのです。死ねば少なくとも現世での苦しみは無くなりますからね。ですが、それは結局は逃避に過ぎないし、死んだら二度とやり直す事は出来ないのです。
理想論と笑われるかも知れませんが、どんな大罪人であっても、生きてさえいれば、やり直す機会は与えられます。死んだら、もう二度とやり直せません。贖罪をする事も出来ません。
……死ぬという事は、歩みを止めるという事です。天寿を全うする人は、どんな歩みをしたにせよ、全てを出し尽くした人です。『死』という永久の停止を選ばず、『生』という波乱に満ちた街道を歩く道を選んだ人なのです。
それだけで、実に尊い事ではありませんか。勿論、その中にも差はありますよ。無気力の者と、精一杯生きた人は同列とは言えませんから。……私にとっての『自殺』の禁止理由は『歩みを止めてはならない』という一つの神託にも等しいメッセージだと思います。
人によっては単純に背教者が自殺をしたから自殺が禁じられたのだと解釈している人も居ますが、少なくとも私はそんな考えを抱いています」
「……眼から鱗が落ちましたね。どんな大罪人でも生きていればやり直す事は出来る。しかし、死ねばやり直せない。歩みを止めるなと……。それは、宗教云々を越えた尊い観念だと思います」
そう言うと、クリフトは優しくアリーナを見つめた。
「……歩みを、止めないで下さい。過去を振り切って下さい。ユーリルさんは、最初の頃の彼を知らない私から見ても逞しくなっているのが感じられます。過去を振り切る事が出来たから、歩みを止めなかったからだと思います。どうか、歩みを止めないで下さい。それに……」
クリフトは何故か照れた様に笑った。
「失礼ではありますが、正直、アリーナ様が塞ぎ込むのは似合わないです。明るく、笑って頂きたく思います」
クリフトの言葉に、少しきょとんとしたアリーナだったが、やがて吹き出してしまった。考えてみれば、こうして心の底から笑ったのは久し振りだった。
「そりゃそうね。元気さが取り柄の私が、塞ぎ込むなんてどうかしてるよね。」
ひとしきり笑った後、アリーナは会心の笑みを浮かべた。
「ありがとう、クリフト。もう大丈夫。私、歩みを止めない。頑張るよ」
「その言葉を聞いて安心しました」
クリフトも笑みを浮かべた。
「戻りましょう。皆さんが待っている筈です」
「……うん!」
二人を照らす月の光は優しいものだった。それは、一人の少女の新たな歩みを祝福するかの様に思える光だった。その月を見て、青年は祈りを捧げた。
願わくば、この少女に幸があらん事を。
二人の男女が屋上から降りて来るのを見ている一人の老人が居た。
「ふむ……やはり、気心の知れたクリフトで正解だった様だな」
ブライは密かに様子を見に来ていた。アリーナが恐らく一番素直に耳を傾けるのはクリフトだろうという事で、
クリフトを派遣したのだが、やはりブライも彼女が心配だった。しかし、すぐにそれが杞憂に終わった事を知って胸を撫で下ろした。
「あやつもまた、成長しているという事なのだろうの」
自分の孫同然の二人、孫同然に可愛がって来た二人の姿を遠目に見て、ブライは思わずこみ上げたものを抑えねばならなかった。
「しかし……」
ブライはにやりと笑った。
「あやつめ。家臣の分際で姫様に抱きつきおって。もし国王陛下がお戻り遊ばされたら、告げ口してくれるぞ」
その眼差しは、何処か楽しそうだった。
終
という訳で、終わりました。
DQ4ファンの皆さん、すみません。_| ̄|○
イメージが壊されたと感じる人が多いと思います。
石を投げつけられても文句は言えますまい。
長文、失礼しました。
>蒼龍 ◆JkKZp2OUVkさん
うおっ!これぞ長文、これぞ大作!乙でした。
ちゅーか
>>329で長文とか言ってる俺、ハズカシー!
これを読んだ後、自分のを読み返したらハナクソに見えましたw
で、感想なんですが、長さにかかわらずすらっと読めました。
それにキャライメージも壊れなかったですよー。
>>351の司祭の話はいいですね。現実でも十分教訓になると思いました。
おまけもいいです。これがあるとないとじゃ全然後読感が違いますね。
>◆Lv.1/MrrYwさん
FF6は途中で挫折。カイエンというキャラは知りません。
でも、キャラの背景とかが何気に説明されてるんで、すんなり読めました。
ラストダンジョンの前らしいですが、何となくこれから物語が始まるような雰囲気ですね。
前文と後文で繰り返されてるフレーズが文を締めてますねぇ。うん、上手い。
みなさんの文を見て、自分のを見ると凹みますな。
ぶつ切りの文じゃなくて、流れるような文を書きたい。
そして次回こそはシリアス系を・・・!
申し訳ありません、今回のお題「故郷」2作目になりますがレス数は10程度になるかと
思います。(嘘ついてたらすんません)必死にギャグを書こうとしたが撃沈したモノです。
と最初に断っておきますです、はい。
締切間に合いません、ごめんなさい。
最初は遠くに感じた視線。しかし共に旅を続けるうちに気心も知れるようになった
のか、徐々に彼らの距離は近づいていった。
今では彼女からの視線は至近距離にある。それを彼が望んでいるかどうか、は
全く別の問題だとしても。
眼下に見える永久凍土をも溶かすような熱っぽい視線に晒されて、彼は困惑して
いた。そもそもこういう表情で人に見つめられると言うのは、どうも気分の良いもの
ではない。男が決して口に出すことはない、それが本音である。
「な、なんや……?」
訝しげな声をあげたのは、目の前に立つ少女に対する僅かばかりの抵抗を試みた
ためである。
この日、遂に見るだけでは飽き足らなくなったのか、少女は彼の体をまさぐり
始めた。
「なんやお前、気色悪い! 用もないのに触んなや!」
身の危険を感じて思わず大声をあげたのだが、少女は意に介す様子を見せず、
動かす手を止めようとはしなかった。それどころか。
「いーじゃん別に。触ったって減るモンじゃないし」
などと反論してくる始末だ。
「そういう問題やない! それに減るモンだってあるんじゃ!!」
「何が減るのさ。お腹?」
あはは、と少女は自分で言っておきながら声を立てて無邪気に笑った。
「アホか!! こっちは神経すり減っとるんじゃ……って、わいの話聞いとるんか
こら!」
傍で聞いても、この会話からでは知性のかけらも感じられないだろう。自分が
その一端を担っているというのは彼の本意ではないし、むしろ心外だった。
「アタシだって神経すり減ってるんだよ。毎日まいにち戦闘ばっかでさ、いつま
で経ってもアタシの目的は果たせないし、メテオは落っこちて来るしでさ、イヤ
になっちゃうよ……実家帰ろうかなぁ、もう」
愚痴をこぼしながらも少女は手を止めようとはしない。彼の体の上を丁寧になぞる
仕草は、忍びの末裔だという少女にしては妙に色っぽい気さえするのだが、脳裏に
横切ったそんな感想を追い出そうとして、彼は声をあげた。
「ええ加減にせえ! セクハラで訴えるぞ」
「せくはら? なにそれ」
「はぁ〜、セクハラも知らんのかい。これだから田舎者は困るんや」
ため息を吐きながら、心底呆れた声を出す彼の方を睨み付け、少女は言い放った。
「田舎者!? ……こん中、手ェ突っ込むよ?」
少女の目には怪しい輝きが宿り、口元だけで笑うと彼の顔を見上げている。その
表情を見れば、彼女が今腹の中で何を考えているのかという事など、考えなくても
すぐに見当がつく。
「やめんかい! わ、悪かった。せやからそれだけは堪忍したってくれ、頼むわ」
「……もしかしてさ、こう言うことされた事ないんでしょ? 初めて」
「当たり前じゃボケ!」
たしかに“こういうこと”をしてきたのは、彼女が初めてだった。
「へぇ〜、初めてなんだ」
その言葉を聞いて、どうやら少女の悪戯心に火がついてしまったようだ。彼に
止める術はない。少女に弄ばれる体を、ただ見つめているだけである。
「だ〜〜っ! やめんかい!!」
それ以上されたら、“命”に関わるんや!――それは決死の叫びである。
時を同じくして、永久凍土とは全く無縁のあるビルの一室で、同じ声が響き渡っていた。
「あはははっ! そんなムキにならなくったっていいじゃん。アタシさ、アンタに
興味があるんだよねー」
(アンタの持ってるマテリアにね!)
表向きには少女からの告白だった。しかし、彼はあっさりとそれを断ったのである。
「わいは興味あらへん!」
(その後に「マテリア」って付けんの忘れとるやろ……意図的か?)
きちんと発言者の本意を汲みながら、しかも話の腰を折らない様にと配慮するのは
彼の優しさ故だろうか、それとも職業柄身に付いた特技(アビリティ)だろうか。
「あらら〜、そんなこと言ってると頭つんつんの誰かさんみたくなるよ?」
「…………」
デブモーグリの腹を撫でながらユフィは屈託のない笑顔を向けている。「触り心地
いいよね〜」などと言いながら、いつの間にかその腹に背を預けていた。
「……どいてくれへんか?」
「ちょっとぐらいいーじゃん。ただでさえ船酔いで苦しんでるんだから、少しは休ませてよ」
「わいは枕やあらへん。占いロボットや」
小さな声で「一応な」と付け加えておく。現状、設計者の意図する本来の用途と外れた
使用方法をしているからだ。しかし考えてみれば、戦闘への転用も見越しての設計が
されているようにも思うのだが、そんなことはどうでも良い。
「おい」
……聞いとるんか?
「まったく、しゃーないやっちゃ」
とは言った物の、少女に背を預けられているため動けない――正確には「動かす
ことができない」のだ。毛布ぐらい取ってきてやりたいのだが、あいにくと彼自身は今、
ミッドガルにいる。ここから毛布を届けるためには数日を要するだろう。
ユフィとの会話も映像も、ケット・シーとデブモーグリに内蔵された機械を通して交わされる
信号でしかない。戦闘ばかりで疲れるとぼやいていたユフィだったが、彼自身は
遠隔地からケット・シーを操作すればいいので、それほどの疲労は感じていない。
そのかわり、他の仲間達は感じない後ろめたさを感じているのだが。
そんな事を内心で考えていた彼の耳に、通信機から小さな声が聞こえてきた。
「……ねぇ、アンタはどこから来たの?」
妙に間延びした声、どうやら睡魔は彼女のすぐ傍にいるようだった。
その問いに答えるならば、製造工場からだと言うのが一番適切だっただろう。
彼らにとって自分は“2号機”だが、製造工場には他にもケット・シーがいる。
これはそのうちの一体に過ぎない。
しかし、ユフィの言葉には別の意図があるように思えた。その意図通りの答えを
返そうとすると、うまく単語がつながらないのだ。今さら彼らに自分の正体を隠そうと
している訳ではないのだが、どう切り出して良い物かと考えてしまう。結局、今でも
彼の正体は明かされないままで旅が続いていたのだった。
返答のないケット・シーを見かねて、ユフィは話を続けた。
「懐かしい感じがするんだ……アンタのしゃべり方。ウータイの訛じゃないはず
なのにね、不思議だね……」
「…………」
心地よい沈黙の中、ふたりは言葉を失いひと時――セフィロスのいる北の大空
洞に到着するまでの束の間ではあったが――の休息を得ることとなった。
***
「あのお嬢ちゃんには参ったな……」
男はようやく自分のデスクに戻ることが出来た。机上には散乱した書類が山となって
積まれていたが、そんな雑然とした光景にさえも安堵感を得られた。なんだかんだ言って、
自分にはここが一番落ち着く場所なのだろうかと苦笑しながら椅子に腰を降ろすと、
閑散としたフロアを眺めやった。
彼がこの計画に荷担して以来、本業には全く手が回らない状態だった。おまけにビルは
半壊するしで通常業務に割ける時間など取れるはずもなく、机上の書類は日を追う毎に
その標高を増していくばかりだった。
……もっとも、今となっては彼の勤める神羅という組織自体が崩壊しているも同然なのだが。
「しゃべり方……か」
ユフィの言葉を呟いてから、男は思いだしたように脇机の引出しを開けると鍵の束を
取り出し、席を立って部屋の奥にある扉に向かった。建て付けの悪くなって開きにくく
なってしまった扉には「書庫」の文字が掲げられていた。
この奥には、様々な書類達がほとんど人目に触れることなく眠っている。ここに長年
勤めている者でさえ、収められた記録のすべてを把握している人間は少ないだろう。
彼は、そんな数少ない人間の一人だった。
所狭しと並べられた書棚の高さは男の背丈を優に越えている。通路は人が一人
通れるだけのスペースしかなく、照明のスイッチを入れても薄暗いし、書庫特有の
臭いもあってか息苦しい。慣れない者にとっては苦痛に感じるかも知れない。
しかし、ここには大切な記録が眠っている。見る者が見れば宝の山だ。
ミッドガルの中心で、天に向けてそびえ立つ神羅ビル。
そこを中心とし、機能性と快適性を追求した都市・ミッドガルの都市計画。
その統括責任者を勤める彼は、中年を過ぎたいい年齢である。ケット・シーを
通して彼らと共に旅を続けながら、監視役として神羅に内通し――一度は彼らを
裏切った。
組織の中に生きる彼にとって、それはやむを得ないことだ。
そんな風にして人知れず自分に言い聞かせていた。
――もしかしたら今でも、そうなのかも知れない。
部屋の奥まで来ると、一際年季を感じさせる古いキャビネットの前へ屈み込み、
一番下の引出しに視線を落とした。
「確かこの棚だったはずだ……」
そう言いながら、鍵の束に振られている番号と棚に書かれている数字を交互に
見比べる。
「この奥に……」
――わいが捨ててきたものが、大切にとってある。
いいや、捨てようとしても捨てきれんかったモンばっかりや。
「あった!」
一致する番号を見つけだして思わず声を出してしまった。誰も見ている者はいな
かったが、少し気恥ずかしく思えて頭をかいた。
棚の一番下に取り付いている引出しに鍵を差し込む手が、心なしか震えている。
ここ何年も開けられていないその引出し。他の者達から普段は見向きもされない
そこに、ずっと眠り続けていた物が大切に収められていた。
彼――都市開発部門統括責任者――リーブが今のポストに就くまでに、捨てて
きた物が2つあった。
そのうちの1つが、この書庫の最奥に眠っている。
「……これや……」
埃をかぶって、封筒の色も変色してしまってはいたが、中の書類は無事だった。
この書類をしまった当時と何一つ変わっていない。
『ミッドガル都市開発計画書』
表題には簡潔にタイトルが打たれている。総ページ数2000以上にも及ぶそれを
作ったのは、若かりし日のリーブ自身だった。
彼はその書類を手にしただけで、中身を見ようとはしなかった。見なくても、
何を書いたのかは今でも鮮明に覚えている。
――ミッドガルが、人々にとっての故郷となるように。
そんな願いを込めて作った物だから、忘れようはずがない。
結果的に、会社の方針に沿わなかったこの原案が形になることはなかったが。
「その時に……一緒に捨てたんや。わいも、わいの故郷を」
ぽつりと呟いた。誰もいない書庫の中で、反響することもなく立ち消えた声。
あの日も、こんな風にして書庫の奥でこの書類を見つめていたことを思い出す。
***
『コストとリターンがまるで合ってない。よくもまぁ、こんなモノを提出できたものだな。
簡単な計算だろう? それとももう一度学校へ通い直した方が良いんじゃないかね? ん?』
当時の上司は嘲笑と共に分厚い書類を放り投げたのだ。
「せやけど……!」
一介の社員、それも新人にはなんの発言権もない。苦心して作り上げた計画書が
突き返されるのは当然だった。そんなことぐらい、当時の彼にも分かっていた。
分かっていたが、自分のやりたい事があった。その為にここへ来たのだ。
引き下がるわけには行かなかった。
そんな思いを、上司はいとも簡単に吐き捨てたのだった。
『だいたいなんだ、その変なしゃべり方は。ばかげた計画書と言い、私に対する
嫌がらせかね?』
「違います!」
『出ていけ。不愉快だ』
そう言った奴の、あの視線に晒された時に感じた言い様のない感情は、二度と
味わいたくないと思った。放り出された書類を拾い上げ、彼はデスクへと戻った。
その後こっそりこの書庫を訪れた彼は、遠い将来の開封を誓い、計画書を封印
したのである。
***
その日以来、彼は故郷を捨て生きてきた。
書庫の最奥にある引出しと、心の奥底にそれらを封印して生きてきた。その封印を、
こんな形で解くことになろうとは夢にも思わなかった。
「……忘れたわけじゃないんだ。もちろん、捨てたなんてこともない」
誰もいない部屋で、誰に聞こえるはずもないと知りながら、言葉を発した。
それは自分に確かめるために。
ミッドガルが、故郷であると言うことを。そして――
書庫を出たリーブを迎えるように、内線電話がけたたましい音で彼を呼んだ。
求めに応じて受話器を取り上げれば、狼狽しきった様子の男が半ば叫びながら報告を
もたらす。
『統括、大変です!! 魔晄炉の出力上昇が止まりません! 今すぐ来て下さい』
わかったと短く応じた後、受話器を置いたリーブはフロアを出て行った。
故郷であるミッドガルを守るための戦いに、身を投じる事を。
−封印の書<終>−
----------
※ 出典:FF7(続編がどうなろうと知ったこっちゃない捏造です)
舞台:魔晄キャノン(シスター・レイ)発射後の神羅ビル(…だと思う。宝条戦前)
お題:故郷
追伸:ケット・シー(の中の人)の役回りって、けっこうオイシイと思う。
中途半端な時間に投稿してすみませんでした。
月曜日0時を過ぎましたので、
前回のお題【故郷】の作品募集はいったんしゅーりょー!!!!!!!
(ルールは
>>304を参照してください)
今回の投稿作品:
◆BELLSBdFOIさん FF「endless flow」
>>311-313 ◆/kp.R9.ULgさん DQ「故郷への手紙」
>>315-316 DQ「それぞれの秘密」
>>325-329 ◆Lv.1/MrrYwさん FF「帰郷」
>>321-323 FF「封印の書」
>>357-364 蒼龍 ◆JkKZp2OUVkさん DQ「少女の歩み」
>>334-353 …以上、DQより3作、FFより3作でした!
次のお題を提案・投票される方は、上記の投稿された6作品への感想なども、できれば同時に添えてください。
では、今週も「お題」の募集のお時間です。
(ルールは
>>306を参照してください)
こんなテーマのSSなら読んでやる、このテーマのSSなら書いてやる、という人はサッサと書き込んでやってくれ!
--------------------------------------------------------------------------------------------
ラトームさんへご連絡します。
蒼龍 ◆JkKZp2OUVkさんより(
>>279)
「コーヒーと戦士とアイスクリーム(仮題)」のタイトルを、「或る兵士の回想」で確定
以上です。
お題 『親子』
お題<<こんらん>>
>>315さん
じゃぱねっとタカダワロタw
手紙如きに親戚一同集めるなよw
いえいえ、ギャグを書くのはシリアスを書くより難しいと思いますよ。失敗したら白けますからね。
特に私が気にかかっているのはアリーナなんですよね。
こんなのアリーナじゃねえよと書いていて思いました_| ̄|○
◆Lv.1/MrrYwさん
FF6は忘れていて、FF7を少ししか知らないという私では、背景について語る事が出来ないのが残念です_| ̄|○
どちらも良い話だっただけに、無念です。
お題は『親子』で。ここ用ではありませんが、人様との合作として作った小説があるからすぐ転用出来るので。
369 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/15 20:59:53 ID:Nc76dsZC
お題age
<<連鎖>>
<<こんらん>>に一票。
親子は故郷と何となく被るので。
371 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/16 20:12:16 ID:SCykbHQ0
お題age
<<連鎖>>でおながいします。
お題は
<<連鎖>>
にしましょう
>>325-329 ……どの世界でも母者最強なのか?(w
マリアの描写が良かったです。(なんていうか、読んでると彼女の気持ちが一番近かった)
投稿されている作品を毎回拝読させて頂いていると、思わず顔がほころんでくるんですが、
そんな話を自分も書きたいと思う次第であります。
余談ですが、人を泣かせるよりも笑わせる方が数倍難しいモンだと思います。それを文字で
実現できるのだから凄い事だと思います。
>>334-353 それぞれの章の見せ場が話の中に上手く盛り込まれてあって、読んでても全く違和感
なくいけました。ゲームプレイ中、無音のサントハイム城に衝撃を受けた事を思い出し、
しかもあの不気味さと無情さが文章に表現されてあって(そしてアリーナの描写には
まったくもって2章終了時点のプレーヤー(自分)として共感できました。)キャラも生きて
ました。シンシアの羽帽子…(は、思い出しただけで涙が)
>>365 …時間跨ってお手数をおかけしたかと思います、すみません&ありがd
>>369以降のお題を見て、思わず<<奇跡の人>>とか書く自分は…板違いネタでした。
<<親子>> きぼん。
水曜日0時を過ぎましたので、
お題募集期間ならびに前回のお題【故郷】の作品募集はしゅーりょー!!
(ルールは
>>306を参照してください)
今回のお題
>>366さん368さん374さん「親子」
>>367さん370さん「こんらん」
>>369さん371さん372さん「連鎖」
>>373さん「奇跡の人」
集計の結果、最多3票・先着順で
【親子】
に決定いたしました。
それでは日曜24時まで<投稿期間>となります(ルールは
>>304を参照してください)。
職人の方もそうでない方も、親の方も子の方も、牛丼ギョクダクの他人丼が好きの方も、
張り切って執筆をどうぞ!お待ちしております!!
>◆Lv.1/MrrYwさん
シャドウとリルムの親子ネタ、是非きぼんぬ。
小説を投下します。例によって長いです。
この小説は実は人様に捧げた小説の続き物という形を取っているので、冒頭部のくだりに首を傾げるでしょう。それは読み流して下さい。
この小説自体、ヘンリーお題20という人様が作ったお題を、その作った人と合作をする為に書いたものだったりします。
何気に一人称です。
区切りたいと思った所で区切ったら、随分長くなってしまいました。悪しからず。
「……さ、リュカ。家族が心配しているだろうから、部屋に戻りな」
「……うん。ありがとう、ヘンリー」
頬を腫らした二人の青年が深夜の城の一室で話し込んでいた。ターバンの青年が、緑髪の青年の言葉に従って部屋を出て行く。辺りには酒類が散らばっていた。ある所には血も飛び散っている。
「……やりすぎだな、こりゃ……」
ラインハット王国護国卿ヘンリーは、頭を掻いて苦笑した。
改めて冷静に辺りを見回すと、もう凄まじいとしか言えない。恐ろしい量の酒が消費された証が、こうして散らばっているビンだ。普通なら、とうに倒れていて然るべき量である。二人してこれで酔ってすらいないのだから恐ろしい。
「……ううむ」
後始末をどうしてくれようかとヘンリーが頭を捻る。従者の溜息が聞こえて来る様だ。
「ここまで散らかったら、最早潔い部類に入りますわ」
その声に、ヘンリーが振り向く。誰かはわかっている。
「起きていたのか」
「ええ……」
公妃マリアは、平静とした表情で中に入って来た。しかし、長年連れ添っているヘンリーには、彼女の表情が微妙に変わっている事がわかる。
「心配させたか? まさか殴りあうとは思っていなかっただろう」
「いえ……。その事ではありません。ただ、貴方が少し悲しそうに見えましたので……」
ヘンリーは暫し黙った。小さく息をつく。
「……まあ、違うとは言わないよ」
眼を伏せて彼は静かに残っていた酒を呷った。
「後悔もある。あいつへの負い目もある。しかし、それ以上に、羨ましい事がある」
「羨ましい事?」
「あいつは、親父と酒を酌み交わしたんだよ」
彼の親友リュカが、ヘンリーに対して懺悔の言葉を紡いだ時に、ヘンリーは彼とその父パパスとの邂逅の事を聞いていた。
「それが羨ましいよ。たった一度であっても、あいつは自分の親父と一緒に酒が飲めたんだ。何処の父親でも、自分の息子が生まれた時、『いつか一緒に酒でも飲みたいな』という願望を抱くだろう?
俺だって、コリンズが生まれた時はそうだった。息子の方は成長したらほぼ間違い無く親父に対抗心を持つから、親父程はそう思わないだろうがな」
そう言うとヘンリーは溜息をついてもう一度酒を呷った。
「俺もそうだった。親父なんてクソ喰らえと思っていた。あの時はな。だが、今になって、思うんだよ。『一度で良いから、親父と酒でも飲んで語り合いたい』ってな。
……人って、無い物ねだりするもんだな。今更そんな願望を抱くんだから。もう二度と、そんな事なんか出来やしないのに……」
ヘンリーは眼を細めた。そして、今までの事を思い返した。
物心ついたときから、既に父親に対して嫌悪を抱いていた。父ベルギスは、ラインハットの王。世界最強の大国の王である。そんな年寄りでも無い癖に、妙に年寄りの印象があったと記憶している。
立派な口髭と顎鬚(あごひげ)を持った人物で、唇が見えなかった程だ。要するに、人々が思い浮かべる『力強い、威厳ある国王』というものを現出させた様な男だった。眉間に深々と皺があった。
一度だけ、ごく幼い時に父と風呂に入った記憶があるが、彼の身体は戦士の如く引き締まっていた。
普通なら、彼に対しては尊敬の念ぐらいは抱いただろう。しかし、彼の治世の特徴というのは、とかく協調を大切にする、波風を立てないというものだった。それ故、俺にとって彼は優柔不断な情けない親父と映ったのだ。
自分が何か悪さをしても殴りもしない。本気で怒りもしない。少なくとも、当時はそう思っていた。最初から彼の事を色眼鏡で見ていたのだと、今は思っているが……。
「ヘンリーよ。そなたは世継ぎなのだぞ。行いを慎め」
知るか! それが、当時の俺の思いだった。今思えば馬鹿としか言いようが無いが、当時は、何もかもがうざったかった。親父の言葉なんぞ聞きたくも無かった。
お前は何をしてくれた? 何をしてくれたのだ? お前に、一体何を言われる筋合いがある? それが、自分の偽らざる気持ちであった。
「ヘンリー。我が愛しい子よ。愛しい故に、そなたに申し渡す。これから暫く、このパパスを師と仰ぎ、これを敬え。己を見つめ直すのだ。
本当の為政者とはどうあるべきか、本当の『男』とはどうあるべきかをパパスにしっかり仕込んで貰う」
「これは昨日今日の考えではない。兼々そうしようと思っていた。その儂の眼に適ったのがパパスだ。お前はまだ何も知らぬ。知らぬから姦計に陥れられて生命を落とすやも知れぬ。今のままでは家督など継がせられぬ。
猛気だけあるのでは……群狼の中に仔犬を投じるのと同じだ。お前が思っている程、世は甘くない。国王なら誰だって従う? そんなのは大きな誤解だ。国王に器量が無かったら、心の底からは誰も従わぬのだ!」
「……儂は、いつまでも生きているのでは無いのだぞ……! ヘンリーよ。儂の言う事を、パパスの言う事を聞くのだ」
あの日。リュカ達が来た日。父のこの一連の言葉を、自分はわなわなと身体を震わせながら聞いていた。
冗談では、無かった。その時の光景は、今でも鮮明に記憶している。自分の言葉も、暗誦出来る。
「冗談じゃない! 今まで何もしてくれなかったくせに、今頃何言ってんだよっ! ふざけんな、そんなの願い下げだこのクソ親父っ!!」
そうして、自分は駆け出して行った。これが親父との今生の別れになるとは思いもせずに。ましてこれが、あいつとパパスを引き裂く事になるとは……。
それから、十年の月日が流れた。あの地獄から逃れて流れ着いた先の修道院。そこの老シスターは、親父が心を開く数少ない人物だったという。
彼女から親父の偽らざる気持ち、苦悩を始めて聞かされた時、自分の中に初めて親父に対する懺悔の念が生まれた。
「全てを、話しましょう。貴方の父上がどんなお方であったか。そして、殿下の事をどう思っていらしたのかを」
彼女のこの言葉は、忘れる事が出来ない。
「のう、ドゥーマ……」
皇帝(イルシューム)の間。分裂したラインハットを一つにまとめ、かつノルズム大陸の統一を果たした中興の祖イルシューム王を記念して名付けられた、王の私室である。
ここだけは、神聖不可侵の存在。安心して、本心を吐露出来る場所であった。
「何で、ございましょうか? 国王陛下」
五十かそこらの修道女とまだ三十代半ば程の男。この室内には二人きりだ。陰鬱な雰囲気だった。修道女もそれを悟っている。その雰囲気を放っているのは、他ならぬ国王ベルギスである。
「誰にも、言わぬと誓ってはくれぬか」
ますますドゥーマと呼ばれた修道女は眉をひそめた。静かに頷いて言葉を待つ。何か恐ろしい事が語られる気がしてならなかった。
「……儂の生命は、長くは無い」
ドゥーマは、暫し呆然として何も考えられなくなってしまった。そんな馬鹿な、と笑い飛ばしてみせる事さえ出来ない。どう考えてもベルギスの言っている事は本気だった。
「ヘンリーが成人する姿を見る事は無理な様だ。不治の病に罹ってしまった。情けなき事よ……嘗てはパパスと共に過酷な旅に耐え抜いた身体が、病如きに耐えられぬとは……」
ベルギスの眼には涙が光っていた。口髭に隠れて見えないが、唇を噛んでいる事は容易に推測出来る。身体はわなわなと震えていた。漸く正気に戻ったドゥーマも、何も言葉を掛ける事が出来なかった。彼女の眼にも涙が浮かんでいた。
神は、こうも無情な真似をするというのか。まだ精悍な三十代半ばの男が、幼子を残して逝かねばならないというのか。しかも、母親を喪った幼子を。
「おまけに、ヘンリーも病弱と来ている……。死にかけた事が何度もある程だ。儂が死に、ヘンリーまでもが死んだならば……ここは再び争乱の巷となろう。連中は自分の事しか考えていないからな!」
連中、とはラインハットに従う諸侯、重臣の事だ。あまりに国王に権力を集中させると良い事が無いと判断した先々代が、彼らにある程度の力を与えた。
しかし、今となってはそれが仇になっている。彼等の発言力は無視出来ず、結果として彼の意図した以上に国王の権力が弱くなってしまったのだ。
そして、彼等は決してラインハットに忠誠を尽くしてくれる忠臣とは言えない。頼みになる家臣は数える程しか居ない。
それがベルギスにとっては腹立たしく、情けなかった。友の治める国は小国ではあるが、こことは大違いだ。国王への忠誠心が異常な程強い。この日ほど、ベルギスが友の事を羨ましいと思った事は無かった。
「……これは、後添えを貰わねばならぬかも知れぬ……。死んだあれには申し訳無いが、せめて確たる世継ぎだけは確保せねばならぬ……」
ベルギスはうわ言の様に呟いた。そして数年後、彼は本当に新たな妃を迎える事になる。
ところが、皮肉な事にヘンリーは新たな妃の子……デール王子が生まれた後急速に持ち直し、むしろ普通の子供よりも丈夫で元気な子供に育った。どうやらデールという弟が出来た事があまりに嬉しく、病魔が吹き飛んでしまったらしい。
それは本来喜ばしい出来事の筈であった。しかし、ベルギスは喜ぶどころか愕然としていた。
とんでもない失策を犯した。ベルギスの思いはそれであった。よりにもよって異母兄弟が並び立つというあってはならない事が起きてしまった。
貴人の法則として、異母兄弟は大体が不仲になり、そして争う運命にある事を、彼は知っていた為だ。そして、その危惧は現実のものとなった。
例の信用ならない馬鹿どもが、派閥を組んで家督争いを始めたのだ。しかも新妃は、擦り寄ってくる者達の讒言を真に受けてしまい、ヘンリーを邪険に扱ってデールのみを溺愛する様になった。徹底的にヘンリーの妨害をした。
ベルギスとしては、どうする術も無かった。『止めろ』と言う事は出来なかった。無理に押し通すと、国王さえ殺されかねない様な情勢になってしまっていたのだ。
最早、重臣どもの頭にはベルギスは居なかった。ただ己の権力を固める事、政敵を蹴落とす事、そして己が担ぐ御輿を家督に据える事しか考えていなかった。そんな連中であるから、下手をすれば平気で国王暗殺もやってのけるだろう。元々王家に忠なる者では無いのだから。
ベルギスは絶望した。そして、手を拱いている内に、いつの間にかヘンリーの心が自分から離れていた。煩悶の日々を過ごす内に、息子の事を見ていなかった自分に気付き、深く悩み苦しんだ。しかも、それを吐露出来る人間は城内には居ない。
気がつくと、彼はドゥーマに手紙を書いていた。その文面はただ一言だった。『助けてくれ』と。
「儂は、もう厭になった」
最初の一声がそれだった。その後、彼は口をつぐんで黙ってしまった。それが、彼の言いたい事全てをこれでもかと見せつけていた。
ドゥーマは、彼の姿を見て絶句してしまった。病が進行しているのもあるかも知れないが、それにしても彼の憔悴ぶりは眼を覆うものがあった。
頬はすっかり痩せこけ、骨が見えそうだ。急激に皺が増え、豊かな緑髪も、口髭も、顎鬚にも、白い毛が目立っていた。
何より、生気が全く感じられなかった。初見ならば、誰もが彼の事を五、六十の老人と思うだろう。
しかし、実際には彼はまだ四十三歳の壮年なのである。息子もまだ幼子に過ぎぬ。そのギャップが凄まじすぎた。
心労から来たものである事は間違い無い。残り少ない寿命が、更に削り取られてしまっただろう。
「……申し訳ございません」
思わず、ドゥーマは頭を下げた。もっと早くに、逢いに行けば良かったのだ。そうすればせめてもの慰みにはなったかも知れない。そもそもの身分が違いすぎるから遠慮していたのだが、その憚りが完全に仇になってしまった。
「そなたのせいでは無いよ……」
ベルギスの声に力が無い。掠れている。身体まで老人になってしまったか。そう思うと、思わずドゥーマの眼から涙が零れ落ちた。彼女の知るベルギスと、ここに居る老人は完全に別人だった。
「……家督騒動については、最早是非も無い……。しかし、儂はどうやらヘンリーの事を放ったらかしにしてしまっていた様だ。連中との下らぬ駆け引きに忙殺されるあまり、あの子の事を考えてやれなかった……。
それが、一番許せない。儂は、何と最低な父親だろうな」
ドゥーマは、一言も喋る事が出来なかった。
「……もう、儂の生命も長くない。そなたもわかっているだろう。儂が急激に老いている事を。皆の前では必死に隠しているがな。薬を飲み、化粧をし、酒を飲んで顔色を無理に赤くして執務をしておる……。
だが、もうこれ以上は無理だ。耐えられぬ。もうすっかり身体が駄目になった。満足に動いてくれぬ……」
絶句した。まさかそこまでやっているとは。確かに、よくよく彼の顔を観察すると、化粧の痕跡が見受けられた。彼の顔色も病人の如く蒼白かった。
もう、無理矢理体裁を整えなければならない程、彼の身体は衰弱し切っていたのである。普通ならとうに安静にしていなければならない筈だった。しかしこの人は、国の為に死に物狂いで戦っていたのだ。
「パパスを呼ぶつもりだよ」
長い沈黙の後、彼は絞り出す様に言った。
「パパス様……あのお方を……?」
「そうだ。あいつが、もうすぐ『仮の住処』に還るらしい。だからあいつにヘンリーを託すつもりでおる」
「……」
ドゥーマは、唇を噛んでうつむいた。もう、この人の死が間近に迫っている事を、実感せざるを得なかったからだ。
彼女はベルギスとパパスの仲を知っている。彼が誰よりも信頼する人間にヘンリーの後事を託す。最早、これが何を意味するか、考えるまでも無い。
「儂は……あの子に何もしてはやれなかった。だからせめて、あの子に悲惨な結末が訪れない様にしたいのだ」
話は、それで終わった。もう、二人とも何も言う事が出来なかった。
そして、次にドゥーマが彼と逢った時、既に彼は危篤であり、ヘンリー王子は行方不明になっていた。しかも、その誘拐犯にパパスの名が挙がっているという。彼女は老骨に鞭打って急いで彼の病室に駆けつけた。
「……やっと、信頼出来る者が来てくれた」
厳重な人払いをした後で、ベルギスは涙を浮かべてドゥーマの手を弱々しく握った。彼の腕は白く、とても人間の手とは思えなかった。身体が小刻みに震えている。もう、その小さな動作をする事も満足に出来ない様だ。
「……謀略、なのだ。デールを戴く者達の。彼奴等がヘンリーを何処ぞに連れ去り、その罪をパパスに押し付けたのだ。死人に口無しと言わんばかりに……!」
涙を流しながら、彼は怒りをドゥーマにぶつけた。眼光だけが炯々と光り、後は全てが弱々しかった。もう動く事すら出来ない。その無念さが、ますます彼の震えを大きくしていた。
「頼む! もし……もし万一あの子と逢う事になったら、あの子を助けてやってくれ。その為に、これを用意しておいた」
そう言って、彼は必死な形相で傍にある袋を指差した。中身は、何と金塊だった。それも庶民なら一生食える金額である。
「……何処までもふざけた父親だろうが、儂に出来る事は、これしか無い……。せめて、あの子の無事を願う他無いのだ……頼む。受け取ってくれ。馬鹿な事を言うと思っているだろうが……」
そう言うと彼は何と起き上がり、深々と頭を下げた。ドゥーマは慌てて身体を上げさせた。これ以上身体の負担を増やす訳には行かない。また、そこまでしなければならない程疲れ果てた彼の姿をもう見たくなかった。
「わかりました。確かに、お預かりします。責任を持って……」
「ありがたい……ありがたい……!」
もう、彼の哀願を見ていると廃人にすら思えて来る。それが悲しすぎて、彼女は袋を抱えたまま泣き崩れてしまった。ベルギスは静かに横になり、涙を流しながらも、少し安堵した様子で悲しげに笑っていた。
その数日後、ベルギスは四十四年の生涯を閉じた。これによってデール派……というより王妃派を止める者が居なくなり、『暗黒の十年』が開始される事になる。
「……これが、私と陛下とのやりとりの全てにございます」
自分は暫し呆然と立ち尽くした。何も考える事が出来ず、ただ虚ろな表情で突っ立っているだけだった。
ぽつり。
瞳から、何かが零れ落ちる様な感触がした。思わず地面を見つめる。そこには、滴が落ちた痕があった。そして、その痕が次々と地面に生まれて行く。
「……ううっ……!!」
顔を覆って呻いた。思わずひざまずいた。意志が介在する事無く、身体が震えていた。
その時、俺は言葉に出来ぬ悔恨、悲しみを抱いて、初めて誰に憚る事も無く、泣いた……。
「……ヘンリー、さま……」
マリアが、心配そうに夫を見つめていた。彼の頬を、涙が伝っていた。マリアの言葉に我に返ったか、彼は慌てて涙を拭いた。
「……ごめん。昔を思い出しちゃってな……何て馬鹿だったんだろうって思って……」
彼の瞳は未だ悲しく光っている。マリアは何を言う事も出来なかった。
「……そういえば、明日は親父の命日だったな……」
そう。正確には既に今日であるが、その日はベルギス王の二十三回忌である。
しかしヘンリーは、一回も彼の墓に参った事が無かった。今まで、パパスの墓にこそ行っていたが、父の墓にはどうしても食指が伸びなかったのである。
「あいつを見送ったら、墓に参るかな……」
ヘンリーの瞳は、やや虚ろだった。
朝。リュカ達を見送った後、俺は執務に移り、いつも通りに仕事を終えた。もう二十三回忌ともなれば、特別な式典は催さない。
グランバニアは今でもパパスの命日に式典を行っているが、それは国民性の違いであろう。それでも、正午に国民は黙祷を捧げた。
夜。皆が寝静まった頃、俺は静かに郊外に歩みを進めていた。その行く先は王室墓地ではない。森の中にぽつんとある小さな墓だった。そこに父が眠っている。
彼は、王室墓地に入るのを拒んでいた。ドゥーマに頼んでここに小さな墓を作って貰ったのだ。果てしない権力闘争にうんざりしていた彼は、せめて死後の世界ぐらい静かに過ごしたかったのだろうか。
それとも、息子に顔向け出来ないと思って、身を隠したのか。
俺は無言で墓の前に立った。手には二つの酒がある。自分の分と、父親の分。
「……ごめん、親父。二十三年も放ったらかしにしちまって」
そう言うと、俺は酒を開けた。自分の杯と父の杯にそれぞれ酒を入れ、墓に酒を注いだ。
「……本当……馬鹿だな、俺」
そう言って酒を含んだ時。
「……!?」
不意に、目の前が真っ暗になり、意識が溶けた。
「……はっはっはっ。到頭お前も妃を迎えたか、パパスよ」
俺の目の前に、二人の精悍な男が談笑しているのが見えた。しかし声は出ない。その内の一人に、俺は思わず慄然とした。
その男は、嘗てリュカと自分を庇って死んだ男だった。幾らか若いが、忘れる筈も無い。そして、緑髪の男は……。
「ベルギス。お前は俺がそんなに朴念仁だと思っていたのか」
パパスは莞爾として笑った。ベルギスもつられて笑う。
「そうだ。お前は朴念仁だよ。だが、少しは甲斐性のある男だとわかった。全く、感心するよ。まさか大巫女と一緒に駆け落ちするとは。お前らしからぬ行動だ。余程惚れたんだろうなぁ」
ベルギスの言葉に、パパスは照れ笑いを浮かべた。無論、彼のこんな顔を見るのは初めてだ。きっとリュカも見た事は無いだろう。
「……お前も、やっと落ち着く気になったか」
「お前もな」
パパスに返され、ベルギスは思わず吹き出した。パパスもつられて笑った。小気味良い笑いだった。
「おお、生まれたか!」
景色が変わった。見覚えのある所だ。そう、城の廊下。そこをベルギスが嬉しそうな表情で猛然と駆け抜けて行く。兵士が呆然と、遠ざかって行く彼を見つめていた。
「テレーゼ!」
産室に駆け込むと、赤子が勢い良く泣き出した。
「陛下」
年かさの行った侍女がベルギスをたしなめた。彼は小さくなった。この手の出来事で女に勝てる男は居ない。
(……俺の時とそっくりだ)
ヘンリーはしみじみと、自分の愛息コリンズが生まれた時の事を思い返した。自分も父と同じ様に勢い良く走り抜け、同じ様に産室に飛び込み、同じ様にたしなめられて小さくなった事を、今でも覚えている。
「テレーゼ……」
ベルギスは妻の名を呼んだ。聞き覚えがある名だった。
「……あなた……」
妻が応えた。顔色はひどく悪い。真っ白だ。やつれている様にも見える。しかし、恐ろしく美しい女性だった。そして、何処か温かい気持ちにさせられる女性だ。
(母さんだ)
俺は一目で彼女の正体を悟った。そう。自分が二歳にもならぬ時に死んでしまった母だ。面影は殆ど覚えていない。しかし、忘れる筈も無い。この温もりを、母以外の誰が持ち得ようか。
「よく……良くやったぞ……」
ベルギスは既に涙を流していた。優しく彼女を撫でる。
「……はい……元気な男の子で……」
テレーゼ妃は白い顔で微笑った。彼女の頬も涙で濡れていた。相当な難産だったのだ。産む前からトラブル続きだったと聞かされた事がある。だから喜びもひとしおだろう。
「ほんに……ほんに可愛い子だ……俺の……俺達の子供なんだな……」
ベルギスは産婆から子を渡された。その瞬間、また勢い良く泣き出す。
「……生きている……こうして元気良く、泣いておる……」
そう言って、彼も息子と負けぬぐらいに泣き出した。号泣と言って良い。思わず貰い泣きする程のものだった。
「……そうだ。名を決めねばな」
漸く正気に戻ったベルギスが、妻に言った。妻は笑って応えた。
「ヘンリーはどうでしょうか」
「ヘンリーか……うむ、異論は無い。ならば、この子の名はヘンリーだ!」
ベルギスがそう言うと、すっと一人の修道女がヘンリーの前に進み出た。ドゥーマだった。
「……神よ。新しくこの世に生を受けし者ヘンリーに、どうか祝福あれ……また、その者の両親に安らぎがあらん事を」
ドゥーマは十字を切って繰り返し唱えた。
(親父……あんなに……喜んでいたのか……)
俺がそう思った瞬間、また場面が移った。部屋の中には母とベルギス、そして薬師が居た。
「……最早、これまでにございます」
薬師の言葉に、ベルギスは呆然と立ち尽くす。その隣では一人の女が生を終えようとしていた。
「そんな……そんな事……」
ベルギスは身も世も無く泣いていた。顔を覆っていた。地面にひざまずき、身体を震わせていた。
「……あなた……」
母の声はか細かった。眼を閉じている。もう、開ける気力すら残っていない。
「テレーゼ……!」
その声に、ベルギスは彼女のベッドにしがみ付いた。
「……手を……」
テレーゼは手を差し出し、ベルギスはそれを握った。テレーゼの握力がまるで感じられない。
「申し訳……ありません……添い遂げる事……かなわぬ様です……」
「馬鹿な事を!」
もう、ベルギスの顔はぐしゃぐしゃだ。
「ひ、一つだけ……頼みがあります……」
ベルギスは無言で頷いた。
「ど、どうか……あの子を……あの子を、頼みます」
「わかった……わかった! だから頼む! 死ぬな! 死なないでくれ!!」
ベルギスの哀願に、テレーゼは涙を流し、笑って首を振った。
「あなたと一緒になれて、幸せでございました……」
その瞬間、彼女の手から、力が抜けた。
「……残念ですが」
薬師は残酷な一言を残し、静かに立ち去った。ベルギスには、薬師の言葉など聴こえていなかった。呆然と、彼女の手を放した。
ぶらりと、力無く垂れ下がった。
「……」
ベルギスは信じられない面持ちで彼女を見た。安らかに笑みを浮かべて眠っている。とても死んでいるとは思えなかった。もう二度と、動かないとは思えなかった。
「……起きて……くれ……」
言葉にならない言葉で、彼は愛しい人を呼んだ。しかし、返事は返って来ない。
「……まだ、ヘンリーは二歳にもなっていないんだぞ……これから、お前の事がもっと必要になるんだぞ……」
ベルギスは力無く崩れ落ちた。
「畜生……」
彼は天井を見上げた。遥か天空の神を睨むが如く。
「畜生……! 畜生ォォォォォッ!!!」
男の咆哮が、空しく部屋に響き渡った……。
俺が一言も紡ぐ事が出来ないで居る内に、また場面が入れ替わった。パパスとベルギス。再び彼等の光景だ。しかし、最初に見た時よりも齢を取っていた。特に父の老け込み具合は凄まじいものがあった。こんなに彼が衰えているとは、知らなかった。
「……本当なのか。もう、余命幾許も無いとは……顔色は良い様に見えるが……」
パパスは信じられないと言いたそうだった。それを聞いたベルギスは無言で顔に指をこすりつけ、彼に押し付けた。べったりとしている。化粧だった。それに気付いて、パパスの表情が強張る。
「お前……」
「……そういう事だ」
無言になる。酒が置いてあるが、手をつけようとはしない。つけられる訳が無かった。
「……そこで、お前に頼みがある。一生の頼みだ」
「……」
「頼む。ヘンリーの後見人になってくれぬか」
パパスの表情が今度こそ変わった。顔面蒼白になった。
「お前……!」
「……この通りだ、パパス! いや、デュムパポス!!」
彼は深々と頭を下げた。涙が地面に落ちる。
「俺には……俺には、もう時間が無いんだ……。頼れる者も居ないんだ……。もう、お前しか頼れる男が居ない! 頼む、デュムパポス! どうか……どうか、あの子を助けてくれ!
せめてあの子には幸せに暮らして欲しいんだ。無駄死にして欲しくない。それが、俺が出来る唯一の謝罪だと思っている……」
「顔を上げろ、ベルギス……!」
パパスは顔を上げさせた。ベルギスの顔は涙で一杯だ。パパスの眼にも涙が浮かんだ。
「どうしてもっと早く言ってくれなかったんだ、ベルギス! お前が言ってくれれば二年前だって駆けつけたものを、どうして言ってくれなかった!!」
「すまぬ……! お前が旅に出る身で無ければ引き止めていたのだろうが、お前の事を考えたら、どうしても引き止める気には……」
「馬鹿野郎ッ!!」
パパスは号泣して親友に怒鳴りつけた。
「何を水臭い事を言っている! 俺の事より、自分の事を心配しろ! 何もかも自分の中に抱え込みやがって! どうして俺に打ち明けてくれなかった! 力になったのに! 生命を賭してでも駆けつけたのに……!!」
パパスはベルギスの服の袖を握り締め、そのまま泣き崩れた。涙が滝の如く流れ落ちて行った。
これ以上の言葉は必要なかった。
「……すまぬ、デュムパポス……! まだ、マーサ殿も、勇者も見つかっていないというのに……」
「水臭い事を言うなと言った筈だ。俺は大丈夫だ」
パパスは涙を拭いた。
「さあ、お前も涙を拭け。化粧が崩れる……まだ執務は終わっていないのだろう」
「あ、ああ……」
ベルギスは涙を拭い、化粧をした。酒を飲んで気持ちを整える。その姿を見て、パパスは泣きたくなった。こうまでしないと、彼は人前に出て来られないのだ。それが無性に悲しかった。
(……親父……)
不意に、身体の感触が戻って来た。意識が現実に還る。
「……!!」
俺は驚愕のあまり声も出なかった。
「……ヘンリー、か」
信じられなかった。緑髪、豊かな口髭、顎鬚の持ち主。その精悍ながらも優しげな男。まさか、そんなまさか。
「立派になったな、ヘンリー」
「親……父……!」
そこには、確かに彼が居た。それも幽霊では無く、実体を持つ『人間』として。
「……!」
俺の眼に、みるみる滴が溜まった。
「すまなかった、親父……! 俺、自分の事しか見ていなかった。あんたの事を考えてやれなかった……!!」
「良いのだ、ヘンリー」
泣きじゃくる俺を、親父は優しく抱きしめてくれた。がっしりとした、実感のあるものだった。
「それは、儂の台詞だ。儂は、お前に父親らしい事を何もしてやる事が出来なかった。お前が儂を憎むのは当然だよ。儂は、最初から最後まで父親失格だったな」
「そんな事は無い!」
俺は親父を見上げた。
「俺、あんたの事を何も知らなかった。いや……知ろうとしなかった、と言う方が正しいのかな。実の親父なのに、何も知ろうとしなかった……。あんたが、こうまで俺の事を考えてくれていたなんて……」
涙が止まらない。十年以上抱いていた彼への後悔。垣間見た彼の真実。それを思うと、己の情けなさに涙が止まらない。何と心が狭い男であっただろうか。どうして彼がこうまで追い詰められている事をわかってやれなかっただろうか。
子供だからというのは言い訳にならない。明確に老け込んでいた。病んでいた。彼を真正面から見ていればすぐにわかる筈だった。
俺は、自分が蛇蠍の如く嫌っていたあの亡者どもと同じでは無いか。
「それは違うよ、ヘンリー」
何故わかる? 俺はそう問い掛けたかった。彼は俺の心の動きを読んでいたかの様に言った。
「パパスと再び逢った時、儂は悟った。自分が己の殻に籠っていた事をな。儂は、怖かった。誰が敵で誰が味方かわからなくなった。……いつしか、奴の事さえ疑う様になっていた。
何もかも話したいという欲求はあったのだ。だが、自分の中の何者かが、疑心がその邪魔をした。それを解き放ってくれたのが、パパス本人だった……」
親父は一瞬遠い眼になった。
「そこで、改めてお前の事を考えた。自分は、ヘンリーの事を考えているつもりが、実は彼から遠ざかっていたのでは無かろうか。彼と真正面から向き合っていなかったのでは無いか。とな。
……言い訳がましき事だが、最早余生も無き身。残りの生命を、お前と向き合って過ごしたいと思っていた。その矢先に……」
父は言葉を切った。
「しかし……神の悪戯か、こうして再び逢う事が出来た。現実にしても、幻想にしても、これ程嬉しき事は無い。やっとお前に、言わなければならない言葉を伝える事が出来るのだから」
そう言うと、彼は何と平伏した。
「本当に、すまなかった」
俺は、暫し呆然と立ち尽くした。が、やがて我に返り、慌てて父の身体を起こした。
「……もう良い! もう良いんだよ親父! 俺は、もうあんたの事を憎んでなんかいない! 頼むから顔を上げてくれ!!」
無理矢理、父を起こした。もう、父を憎いと思う気持ちは無かった。結局、どちらも自分の事しか見えていなかったのだ。お互いに、直視するのが怖くて、互いに知らぬ振りをしていたのだ。その背景はどうあれ。
どうして彼だけ糾弾出来ようか。どうして、自分だけ謝罪を受けられようか。自分もまた、心の底から謝らなければならない。
「……謝らなければならないのは、こちらの方だよ……」
また、涙が瞳に溜まるが、必死になって耐えた。
「……『あの時』の貴方の言葉は、今でも覚えています。今思えば、全て正論だった。俺の考えは、何もかもが甘かった。助けなんか必要無いと思っていた。でも、助けが無い自分はあまりに無力だった……」
実感だった。リュカやパパスが悲惨な目に遭ったのは、彼等が自分を助けようとしたからだった。自分が無力でありすぎたせいで、パパスは死に、リュカの心にも深い傷を負わせる事となった。
あの地獄の神殿から逃れる事が出来たのも、リュカのおかげであり、マリアの兄ヨシュアのおかげ。そして、そこで生きて行く事が出来たのは多数の心優しき者達のおかげであった。
ラインハットを奪還出来たのも、リュカと仲間達が居たからだった。助けられてばかりの人生だった。
「……どうか、言わせて下さい……」
瞳に溜まった涙が、弾けた。
「ごめんなさい。本当に、ごめんなさい、父さん……」
いつからか、季節外れの雪が降っていた。静かに、ゆっくりと落ちて行く。俺は、涙と雪とで顔をびしょびしょに濡らしていた。
「……儂の事を、父さんと呼んでくれるのか……?」
父は信じられないと言わんばかりだった。余程自分に対して負い目があるらしかった。それを振り払う為、俺は笑ってみせた。
「俺にとって、あんたは世界でただ一人の、かけがえの無い父親だよ。いつまで経ってもな」
その時の俺の顔は、きっと満面の笑みだったと思う。父に対して、こんな無邪気に笑い掛けるなど、一体何年振りの事だろうか。今は、心の底から父に対して笑い掛ける事が出来た。やっと、その資格を得たと思った。
「……儂もそうだよ」
漸く、彼も莞爾として笑った。そう、それは自分が見ていた彼の軌跡の最初に出て来たあの小気味良い笑顔と同じだった。父もきっと、心の底から誰かに笑い掛ける事を、何年も忘れていただろう。
俺には妻が居て、息子が居て、デールが居て、リュカ達が居た。しかし、父は独りぼっちだった。それを考えると、彼はもう何十年も笑う事を忘れていただろう。それだけに、彼の笑いは凄く心地良いものだった。
「……ヘンリー」
「ん?」
呼びかけに応えると、父は杯を持っていた。いつの間にか中身が無くなっている。
「……酒を、注いでくれ」
父の意図する所が、すぐにわかった。そう、男の親子ならば誰もが夢見るであろう、それだった。
「……わかったよ、親父」
二人とも、これが最初で最後の邂逅だという事はわかっていた。死人が生き返る事はありえない。あってはならない。これは、最初で最後の、親子の杯であった。
(あいつと一緒だな)
自分と同じく、父と最初で最後の親子の杯を交わした友の事を思い浮かべて、俺はくすりと笑った。しかし、心は晴れなかった。彼と同じという事は、結末も同じという事だ。
必ず、今生の別れをせねばならない。
「……どうした?」
父が怪訝な顔で自分を見つめていた。慌てて酒を注ぐ。きつい酒だ。その辺りは父譲りだ。彼もまた、凄まじい大酒のみであり、随分きつい酒を飲んでいた様だった。
「……乾杯」
二人は、静かに、そして一気に酒を飲んだ。
(……苦い、な)
本当に苦かった。飲み込むのが惜しく、辛かった。普段は流し込む様に飲むというのに。
「……旨い、旨いよ」
父は、涙を流していた。それでいて、笑っていた。心底嬉しそうな表情だった。
「これが、自分の子供と飲む酒だ……これが、儂が昔抱いていた、ささやかな夢の結晶……」
つられて、俺も涙を流していた。本当に、涙腺が弱くなったものだと思う。今なら、父の気持ちもわかる。
「……飲み込むのが惜しい。物凄く苦い。でも、今まで飲んだ中で一番旨い酒だ」
二人は笑顔を浮かべた。良い気分だった。しかし、それにいつまでも浸っている事は出来なかった。
「これで、思い残す事は無くなった。もう、行かねばならない様だ」
不意に父が真剣な顔になって言った。俺の顔が強張る。
「……親父……」
また、涙が出て来やがる。最後ぐらい、笑顔で見送りたいのに。
「泣くな。お前には、愛する者が居る。かけがえの無い奥方が居る。お前にそっくりな、儂の孫、お前の息子が居る。デールという、出来た弟が居る。
それに、頼れる友も居る。城も昔とは違う。寂しい事など、何も無い」
「……デールの所には、出ないのか?」
「……残念だが。これは、神の思し召し。儂自身はデールにも謝りたい。お前と同じ様に、父親としての愛情を注げなかったから。しかし、今の儂には叶わぬ夢だ」
一瞬、父の顔に寂しさが浮かんだ。しかし、すぐに穏やかな笑みを浮かべる。
「だが、満足だ。本来は出来ない事を、やる事が出来た。長年のつかえを、取る事が出来た。それだけで、儂は嬉しい」
「……」
父の身体がふわりと浮かんだ。幻の如き雪景色の中で、彼は満面の笑みを浮かべて、俺に手を振った。
「幸せに暮らせ。我が最愛の子よ」
「親父!」
俺の叫びに、父はにっこりと笑った。その刹那、彼の姿は天に帰って行った。
「親父ィィィッ!!」
もう届かない事はわかっていた。それでも、叫ばずにはいられなかった。俺は、精一杯の笑みを浮かべ、精一杯の叫びを発した。
「俺、あんたの子で良かった! 本当に、良かったッ!!」
そして、俺は天を見上げた。雪がしんしんと降っていて空が見えないが、一点だけ光が見える場所があった。そこに向けて、静かに言った。
「……ありがとう、父さん」
季節外れの雪は、いつまでも降り止む事が無かった。俺と親父の絆を、映し出しているかの如く……。
「……ん……」
日差しを感じて、俺は眠りから覚めた。雪は何処にも無い。
「……夢……? いや、そんな筈は無い……」
そんな馬鹿な事などある筈が無かった。あれだけ確かな感触を持った出来事が、どうして夢であろうか。
「……」
俺は無言で荷物を取ろうとした。そこで、気付いた。
「……やっぱり、夢なんかじゃないな」
にやりと笑った。手にした物は酒ビン。白いカバーがついたビンに、文字が書いてあった。
『それにしても、お前が持って来た酒はぬるすぎだ。儂がお前ぐらいの時には、もっときつい酒を飲んでいたぞ。次に墓参りする時は、もっときついのを持って来い』
「……馬鹿親父!」
俺は馬鹿みたいに笑った。俺が持って行った酒はラインハット特製ウオッカだった。これより更にきつい酒になると、ただのアルコールを飲むだけになっちまう。そんなの、人間が飲めるもんじゃない。見栄っ張りな父親だった。
「本当に、俺とあんたはそっくりだよな、親父……」
幾度と無く、俺と親父が『似ている』と言われた事はあった。やんちゃだった時もそう。ラインハットに戻って来た時もそう。妻を迎える時もそう。コリンズが生まれた時もそう。事あるごとに、そう言われ続けて来た。今までは、何処かに反発があった。その大小を問わず。
だが、今なら胸を張れる。素直に嬉しく思う事が出来る。そう思うと、嬉しかった。
「……さあて、もう帰らなきゃな!」
もう夜は明けている。帰らなければ、まずい時間だった。俺は立ち去りかけて、踵を返した。言い忘れていた事があった。
「今度は、あの世でゆっくり飲もうぜ。待っていろよ、クソ親父!」
俺は、穏やかな笑顔で父の眠る墓に手を振った。確かに、二度と現世で親父に逢う事は出来ない。死んだ後の事はわからない。しかし、それであっても、昨日確かめ合った絆は不滅の筈だ。それが、親子というものなのだから。
ヘンリーファンの皆さん、イメージが壊れたらごめんなさい。(またかよ)
ヘンリーはドラクエシリーズの中でも二番目に好きなキャラクター(一位はV主人公)なのですが、こんな感じになってしまいました。
>>373さん
光栄の極みです。クリフトのイメージ崩壊に('A`)
アリーナのイメージ崩壊に('A`)
だった私としては、本当に嬉しい言葉です。ありがとうございます。
最初はシンシアに喋らせるつもりだったんですが、止めました。良い言葉が浮かんで来なかったので。
今度こそ石を投げられそうだ_| ̄|○
おっと、一応出典を。
お題『父親』 DQVより
お題は 親子 だと思うの……
子供視点で親父を語ってる話ってことなのかな?それならちょっとは分かるけど
なんかお題投票やってる意味なくないか?w
出だしがつまらなくて読めないものが多いです。
面白い内容かもしれないので勿体無い。
最初に読み手をひきつけるって事を意識して書いてみてください。
偉そうにすいません。
>>413-414 申し訳ありません。
確かに、
>>414さんの言う通りの視点で書いたんです。
これでも『親子』というテーマに沿って書いていたのですが……。
作品で叩かれるとは思っていましたが、テーマ違いだと叩かれるとは正直思っていませんでした。
とはいえ、そういう指摘を受けた以上、深刻に考え直さなければならないと感じました。
申し訳ありませんでした。
413だけど。
お題「父親」ってあったから、今週のお題は「親子」だよ、ってつっこんだだけ。
お題じゃなくて、作品タイトルが父親ってことならつっこみ間違いですまぬ。
>>417 それはただの打ち間違いです。タイトルはメール欄に書いてある通り『邂逅』です。
『父親』というのはこれの原題でして……間違って打ってしまいました。勿論お題が何かはわかっています。
突っ込み間違いにせよ、そもそもの原因は間違って書いた私にあります。ごめんなさい。
タイトルは『邂逅』なんだよな? あ、俺
>>414な。長文だったんでまだ読んでなかったんだけど
読んでみたらたしかに間違ってなかない。
でも作者がお題を『親子』ではなく『親父』と言っちゃってるんだから、投票で決まったお題は
どこへ行ったんだ?って思ったわけ。気分悪くしたら謝る。けど、一応投票している側から言わせて
もらうと、それってどうなの?とつっこみたくなるわけだ。
>>412も言葉のアヤだろうが、そのぐらいは
考えてもらいたかった。
前後のつながりは分からないけどまあまあ面白かった。
すまんリロードしてなかった。
>>418で納得したからレス不要
>>415 >面白い内容かもしれないので
それは結局読んでないってことかよw
今までの中で面白くて最後まで読んだものってある?
あと、ぐっちゃんのSS読みたい
ぐっちゃん?
ぐっちゃんって、意外とSSスレチェックしてるみたいなんだよね。
>>378-410 自分がちょうど、その辺(ビアンカ再会前)までプレイしていたので、なんかじーんとしま
すね。親子で酒を酌み交わすというのは、男親ならば恐らく誰もが持つ小さな夢です。
その辺(国王という身分で特殊な事情もありますが)かなり頷けます。「親子」というよりは
「親父の夢」って感じがしっくりきますね。でも「親子」というテーマでも充分良かったと思い
ます。
お題についての解釈は人それぞれですから、そこまで気に病む必要はないと思います。
それがこのスレの醍醐味であり面白さだと自分は解釈していますので。って、あまりマジ
レスをダラダラ書くのもあれなんで、割愛。
>>415 導入部が大切だというのは仰るとおりだと思います。それにしてもここまで素直に言って
くれるとかえってやる気が出てきますし、気持ちのいいものです(w。精進あるのみです。
>>376 そのきぼんぬに添えるかは分かりませんが…。い、一応シャドウとリルム…かな。思われ
ている物とは多分描き方が違いますので、その点はあらかじめご了承ください。
以下、15〜20レス程度の見込みです。
暗殺者は眠らない。
そう言えばシャドウが寝ている姿を、仲間達の誰も見たことがなかった。
彼はいつ眠っているのだろう? そんなことが気がかりだった。
「俺はいつでも死神に追われている」――これは一人の暗殺者が、彼らと共に歩もうと
したとき最初に告げられた言葉だった。
生い立ちも、歩んできた道もまったく違う14人の仲間達は、やがて「英雄」と呼ばれる
ようになる。
帝国の軍拡に端を発した魔導による侵略戦争、幻獣の大量殺戮、三闘神の復活、
そして起きるべくして起きた世界崩壊……後の世まで語られることとなった悲劇の歴史と
そこに立ち向かった14人の英雄の物語。
しかし、彼らの偉業は語られることのない小さな物語の積み重ねだった。
***
草原にぽつんと佇む一軒家。そこが小さな悲劇の舞台だった。
「しかし、そう言えば昔悪い夢を見たことがあるな。……悪魔の子が生まれる夢じゃ!!
わしは子どもを負ぶって獣ヶ原まで行くんじゃ……悪魔の子を……」
それは悲しみに閉ざされた親子の対面だった。青年が言うのも聞かず、小屋の主は
淡々と話を続けた。
「そして獣ヶ原にその子を捨てる……。ワシは後ろを見ないようにそこから立ち去るんじゃ……」
「おいっ、親父さん……」
目の前で言葉を続ける男の姿を見つめながら、青年は自分の背後でじっと立ち尽くす
少年の事を思った。
その少年こそ、この男の実子である。
青年の善意が招いた悲劇だと言うことを、少年は理解している。青年が自分を責めて
しまうのではないかと言う事も、恐らくは分かっていただろう。
しかし、小屋の主はふたりの気持ちなど知る由もなかった。筋肉質の青年を見上げて
ため息を吐くと、さらに言い募った。
「あんたみたいな立派な子をもった親は幸せじゃろうて。ワシは今でも悪魔の子に
追われる夢を見るんじゃ。恐ろしや恐ろしや」
「言わせておけばこのじじい……! ガウの気持ちも考えないで! ぶん殴られ
たいのか!?」
マッシュが初めて見せた激昂。止めなければ本当に手を挙げていただろう。彼を
止めたのは、他でもないガウである。彼は自分を父親に会わせようとしてくれた
マッシュの好意と、二度と会うことのない父に向けてこう答えた。
「オ…ヤジ……生……きてるガウ……し…あ…わ…せ……」
あの時、思う存分殴れていたらどんなにか楽だっただろう。
笑顔を浮かべた後、俯いてしまったガウを見下ろしながらマッシュは己の浅はかさを
悔いたのだった。
***
「何かに追われるのって、それに背を向けてるからじゃない?」
少女は周囲の大人達を糾弾する。仲間達の中で最年少であるという彼女は、自分の
演じるべき役割を良く知っている。
大切に思うからこそ気遣い、我慢しあい――しかし、本当に伝えるべき事を、言わな
ければならないことを誰も口にしないのでは意味がない。
その役を引き受けられるのは、自分だと彼女は思っていた。感じたこと思ったことを
素直に口にする。あくまでも屈託無く純粋な少女のそれとして。
「後始末ぐらい、自分でやれってのよ。情っけない!」
「まぁ、落ち着いてリルム……。君の言いたいことはもっともだけど」
宥めようとしたエドガーに向けられた言葉は、触れようとする者全てを拒む凶器となって
向けられた。
「勝手に産んどいて、勝手に背を向けて……勝手すぎるよ。これだから男はイヤなのよね!」
悪いのはエドガーでもなければ、世界中の男がそうだと言いたかった訳でもない。なのに
口をついて出た言葉は、本来彼女が向けるべき人間には向けられなかったもので、いわば八つ当たりだ。
――言い過ぎた。
そう思った時には既に遅かった。目の前のエドガーは悲しそうに微笑んで。
「……そうだね」
それっきり言葉を発すことはなかった。
その夜、少女は月のない空を見上げていた。街の灯火は遙かに遠く、輝く星々だけが
心細い光で世界を照らし出している。ようやく髪を揺らすほどの微風が吹き抜け、草達が
肩を寄せ合う音が僅かに聞こえる。
独りきりだった。
だけど、なぜだかその心地は良いもので。
――ごめんなさい。
たったそれだけの言葉が言えなくて、それでもエドガー達は笑いかけてくれた。
どうしてだろう? みんな、どうして怒らないんだろう?
ガウも。
――どうして怒らないの? 諦めてるから?
あれ以来、ずっと頭の中で繰り返す疑問の声。繰り返すだけで答えが返ってくることは
なく、その声だけがこだましている。
許せないことだと思った。そんな奴が親だなどと言う資格は勿論ないし、言われたくも
ない、言って欲しくもない。だけど……寂しくはないのか? 悲しくはないのか?
――リルムは……。
父の顔を知らないリルムもまた、ガウと同じ身の上だった。
***
――そろそろ名前を決めないとな。え? もちろん俺達コンビの名前さ。
俺は考えてあるんだ。
鬱蒼とした森の中、懐かしい旧友の声がする。
「何だ?」
――『シャドウ』だ! どうだ、かっこいいだろ?
希望に満ちた友の声に賛同し、頷き返す。
「世紀の列車強盗団、シャドウか……」
シャドウ。
それは今の彼の名だった。
「……!」
瞼を開けば、薄暗い宿の天井が彼を出迎えた。全身がじっとりと汗ばんでいる。
――夢。
彼がまともに眠りに落ちる事など殆どなかった。それは暗殺稼業に従事する身であった
事以上に、彼自身が眠ることそのものを嫌っているせいもあった。
眠れば、こうして旧友に会ってしまうからだ。
シャドウは他の仲間達がそれぞれの寝台で眠っているのを確認してから、そっと宿を
抜け出し、建物の裏にあった井戸へと足を運んだ。
汲み上げた水の中に手を浸せば、刺す様な痛みが伝わってくる。顔を覆い表情を隠して
いた衣を剥ぎ、一心にその水を浴びた。
痛みよりも、冷たさも、染み渡っていくような安堵感が得られる。ほんの一時ではあったが、
それでもシャドウはそれを求めた。求めるあまり、注意が散漫になっていた事に気付かぬまま。
「……大丈夫か?」
迂闊だった。
背後からかけられた声に手が止まる。声の主の方を振り向くわけにもいかず、かといって
“この男にだけは”己の顔を見られるわけには行かなかった。立ち上がろうとしたシャドウを、
その声が制す。
「待ってくれ、そのまま聞いていて欲しいんじゃ。お前さんの顔を見るのがワシの目的じゃないからのォ」
――ストラゴス。
彼はまるでシャドウの心中を察しているかの様に、優しくそう告げた。どうすればいいかと
判断を窮したが、結局は彼の言葉に従うことにした。
「ありがとう。実は話というのは……頼み事なんじゃ」
「なんだ?」
シャドウの声はいつもと変わらなかった。
「この指輪を……もらって欲しいんじゃ」
「なぜ俺に?」
ストラゴスの言葉を遮るようにシャドウは問う。そのたびに老齢の魔道士はゆっくりと、
言葉を選びながらではあったが確実に答えを返す。
「ワシらが持っておっても……役に立たないからじゃよ」
少しだけシャドウの方へ歩み寄り、井戸の笠木にそれを置いた。気配と音でそれを感じ、
シャドウは振り向くことなく言い放った。
「俺によこしても同じだ」
「同じならそれでも良い」
ストラゴスからの返答は早かった。シャドウが言うよりも早く先を続ける。
「役に立たなければ捨てても構わん。この指輪は……ワシの家から出てきた物なんじゃ」
「それじゃあ、あの娘にでもやれば良いだろう?」
――リルム、そうだリルムにやればいい。
「リルムはもう1つ持っておるんじゃ。……それに……」
僅かばかりの間をおいて、ストラゴスは告げた。
「本来の持ち主に返さなければ、指輪もかわいそうじゃろう?」
その言葉に思わず振り返ったシャドウの目に映ったのは、まだ薄闇に支配された町の風景と、
笠木の上に置かれた指輪だけだった。
***
部屋に戻ったストラゴスは、後ろ手に扉を閉めると小さくため息を吐いた。しかし
あまり大きな音を立てては他の者達が起きかねないので注意しなければならない。
慌てて室内を見渡せば、仲間達はまだ眠りの中にあるようだった。
そうして今度は、安堵のため息を漏らした。
――「勝手に産んどいて、勝手に背を向けて……勝手すぎるわよ。」
残された子ども達にとって、それは当然の主張だ。その主張に反論できる者など誰も
いないだろう。仮に本当の親が正体を隠したまま傍にいたとしても、だ。
さっきまで休んでいた寝台まで来ると、ストラゴスはそこに腰を下ろした。目が冴えて
しまい、再び眠ることなどできそうにない。視線をあげた先にはリルムが安らかな寝息を
立てている。
もう何年も一緒に暮らしていて、見慣れている寝顔。贔屓目を抜きにして見ても、見とれて
しまう愛らしい表情だった。
だが今は、その頬に一筋の雫が伝っていた。
悪い夢を見ているのだろうか、ストラゴスは彼女の傍まで行くと、手で頬の涙を拭って
やった。小さな嗚咽の間から聞こえてくる言葉に、耳を傾けながら。
――パパは?
パパはどこ行ったの?
もう、帰って来ないの?
リルムはあの日の光景を夢に見ているのだろうと、すぐに分かった。
悪夢――ではない。あの日の光景その物が悪夢だった。父が出ていった部屋でリルムは
泣きもせず、ただ疑問だけを口にした。
あれから二度と父親のことを口に出さなくなったからこそ、ストラゴスの目には余計に痛々しく映るのだ。
(言って欲しいんじゃ……それともワシには言えんのかのォ)
親子。
――血のつながりが何だ、ワシらはずっと一緒に暮らして来たじゃないか。
(覚えとるか? お前が母さんから初めて絵筆を貰った日の事。一番最初に何を描いたか……)
ストラゴスは記憶を遡り、思い出を辿っていく。
――楽しいときも、悲しいときも、共に……。
(覚えとるか? お前が母さんから誕生日に大きなリボンをもらった日の事。自分じゃうまく結べなくて、
泣きべそかいておったじゃろ)
まるで縋る物を探すように。
鮮明に思い出される光景の中心には、いつでもリルムの姿があった。
――共に歩んできた。ワシらは、親子じゃないか。
(覚えとるか? お前の母さんを送り出したあの日の事を。お前が一生懸命揺すって起こそうとする
ものだから……)
――親子だと、家族だと思っていたのはワシだけなんじゃろうか……。
絆を求めようとするあまり、繰り返される懐旧。
しかし、いつも辿り着く先は決まっていた。
今のリルムに必要なのは翁ではなく親なのだと。そして、それは自分にはなれないものだと言うことも。
あの指輪に託した老いぼれの思いが、少しでも伝われば……。
祈るような思いで、最愛の“孫”を見つめていた。
***
リルムは自分の抱える痛みを、周囲の大人達に見せようとはしなかった。
「ねえねえエドガー、みて見て!」
その言葉に振り返ったエドガーが、なんだい? と言って近づいてくる。
じゃ〜ん。
言いながら彼の前に左手を翳した。
「指輪……?」
「そう。カワイイでしょ?」
「だけど少し大きいね」
左手の人差し指にはめられた指輪を見て、エドガーは微笑んだ。その表情を別の
意味でとらえたリルムが反抗的な口調で対する。
「……どーせ『お子さまには早い』とか言いたいんでしょ!」
そういってそっぽを向こうとするリルムの手首を掴んで、エドガーはにっこり微笑んで
見せた。
「いいや、そこの薬指をあけておいてくれさえすれば、構わないよ」
「はぁ?」
きょとんとするリルムを引き寄せて、耳元で囁く。
「薬指にはめる指輪は、私に贈らせてくれないかな? エンゲージリ……んぐっ!」
エドガーが全てを言い終わらないうちに、リルムの爆裂拳が炸裂したのは言うまでもない。
(ああ、それは弟の特技(アビリティ)のはず……)
右の脇腹を押さえながら、エドガーが内心でこぼしていた愚痴など知る由もなかった。
気を取り直して話を戻す。
「だけど不思議な指輪だね」
「でしょう?! おじいちゃんに貰ったんだ〜」
「ストラゴスさんに? するとサマサの物かな」
リルムは頷いた。
「もしかしたら特殊な効果とかがあるのかも知れないね」
現にエドガー達が装備する事はできない。幻獣の力を借りているからかも知れないが、
エドガーにもその指輪から不思議な“何か”が伝わってくる。
「大切にするんだよ」
そう言ってリルムの頭をぽんぽんと撫でてやった。少女は嬉しそうに頷く。
「……で、さっきの話の続きなんだけど……」
あ。
吹き抜ける風が、エドガーのマントを虚しく揺らす。
フィガロの国王の口説きのテクニックは、もはや錆び付いたどころの騒ぎではなさそうだった。
***
エドガーの手をすり抜けたリルムは、飛空艇まで続く草原を走っていた。
――「かたみのゆびわ」
本当は母親が残してくれたそれを、リルムは今でも肌身離さず持っている。
エドガーの言うとおり、その指輪には不思議な力が宿っていた。リルムは何度か、その力に
助けられたことがあった。理屈は分からないけれど、紛れもない事実なのである。
嬉しそうに指輪を見つめていたものだから、その気配に気付くのが遅れてしまった。
「リルム!」
背後からかけられたその声に、意識が初めて前方へと向かった。その時はじめて
モンスターの一群と遭遇した事を知る。
筆を取るか、魔法を唱えるかで迷っている間に、自分の背後から投げられた刀で
敵の一体が倒れた。後ろにいたのはシャドウだった。
スケッチする時間はない。リルムは手に持っている筆に意識を集中させた。満足な
装備を持たない彼女ではあったが、魔力は仲間の中でもティナに次いで高かった。
魔導士たちの末裔が暮らす地、サマサの娘。腕力や戦闘技術はなくとも、彼女には
別の力があった。
胸の前で手を組み、瞼を閉じる。幼い娘にも戦う術はある。
決まった詠唱の文句というものはなく、彼女は脳裏に描いたイメージを魔法として放つ。
そのために僅かばかりの時間、敵に対して無防備にならざるを得ない。
敵の手を退けてくれたのは、走り寄ってきたインターセプターだった。礼を言う間もなく、
リルムは瞼を開き敵に向かった。
――いける!
幼さの中に鋭さを秘め凛とした表情は、戦いに身を置く者の持つ強さの象徴のようで。
彼女が次に口にした言葉で周囲の光景は一変する。
「サンダガ!!」
迸る閃光が敵の群に襲いかかる。その隙に、リルムの横にシャドウが進み出た。
「軽はずみな行動は慎め」
「……」
リルムの放った強烈な魔法に倒れる事なく、なおも襲いかかってくる敵にシャドウは
容赦ない攻撃を加える。彼の姿をリルムは黙って見つめていた。
こうして彼女が二度目の魔法を放つことなく戦いは終わった。
「指輪に守ってもらう事ばかりを考えるな」
「……」
草原に散らばっている死骸を手早く片付け、ギルを回収するとシャドウは背を向けたまま
歩き出した。リルムはその後を黙ってついてく。
「……いつまでも……守ってやることはできん。それを覚えておくんだな」
小さく呟いた。辛うじて耳に届いた声に反論する。
「心配しなくてもリルム、強いもん。守ってもらわなくたって戦えるよ」
「口だけはな」
「なっ……!」
言い返そうとしたが、いま助けられたばかりだから確かに説得力がない。黙ったままで
ふたりは草原を歩き続けた。
別に気まずいという訳でもなく、逆に安心できるのが不思議だった。なぜだろうと考えた
事もあったが、きっとそういう奴なんだろうとリルムの中では結論が出ていた。
「お前が」
「なに?」
唐突にシャドウが口を開いたので、思わず驚いた声をあげてしまった。彼から話を切り出す
なんて珍しいこともあるもんだと思いながら、リルムは話の先を促す。
「お前が言っていた事は正しい。背を向ければ追われるのは当然だ」
「……」
「だがな、産みっぱなしでいる親などいない。愛という眩しい光があれば、必ず
影ができる。どちらかが光を、どちらかが影となって子どもを見守る。それが」
――それが、親子というものだ。
お前の手の中にある指輪が光となってお前を守っているのなら、俺は影になろう。
お前が後ろを振り返った時、俺はそこにいる。だから――
「シャドウ……?」
いつの間にか自分の横まで来て、怪訝な表情で見上げてくるリルムに気付いて、
シャドウはふと我に返った。
――ああ、確かに自分でもおかしいと思う。
「悪かった、しゃべりすぎたな」
――この指輪のせいか?
「いいよ。もっと話してよ」
この時シャドウに向けられたリルムの笑顔は、とても素朴なものだった。だからつい。
「口は悪いが、そんな顔でも笑えるんだな」
つられてそんな言葉が出てしまったのかも知れない。
「失礼ね!」
飛空艇に着くまでの短い間ではあったが、ふたりは並んで歩きながら言葉を交わした。
遠くでその後ろ姿を見ていた者は、彼らはまるで本当の親子のようだと言っていたが、
その声は聞こえるはずもなかった。
いつでも、お前を見守っている。
それが、同じ大地の上でなかったとしても……約束だ。
お前がこんな思いをすることなく生きられる世界になるまで、俺は戦おう。
死神に追われるのはまっぴらだからな。ならば俺が死神になってやる。
ケフカを葬るための、死神にな。
男は懐に収められた指輪と、目の前の少女の笑顔に誓った。
***
――見つけたのですか? この死に絶えようとしている世界で。
生きる理由を。
ケフカよ、そんなに知りたいのならば答えてやろう。
「友と……家族と……」
そう、それが俺の生きる……生きてきた理由だ。
[かたみのゆびわ]
亡き母の愛が 即死魔法から
身を守ってくれます。
それは瓦礫の塔から唯一戻らなかった、シャドウの遺した品である。
―あの日の風景−母の愛、父の影−<終>―
----------
※ 出典:FF6
舞台:草原の一軒家、ガウと親父の再会イベント後
お題:親子
追伸:我が子を捨てた2人の父親、ガウの親父と、シャドウ。
彼らの言ってることには相通じる物があると思います。
……それとは関係なしに、覆面を取ったシャドウがストレスでハゲて
いたらどうしよう……と余計な心配をしてしまい、シャドウの描写が出来ずorz。
というか、今回色々手落ちがあってすみませんでした。あと、未プレイの方を考慮した
構成を取れてません。本当に申し訳ありません。
投稿します。8レスくらいになる予定。
破壊神を倒してどれくらいの月日が経ったのか。俺はローレシアの国王となっていた。
まあ、国王っていってもお飾りみたいなもんだ。実権は隠居した親父が握っている。
親父としては、世界を救った英雄を早く玉座に据えたかったのだろう。
自分で言うのも何だが、俺って国民に人気あるし。
ちなみに、サマルトリアのトンヌラも、ムーンブルクのマリアも、みんな王様になってる。
さらに二人はそれぞれ早々に結婚した。一方の俺は独身。でも問題ないだろ、だってまだ20代前半だし。
しかし親父はそれをグチグチ言うのだ。早く身を固めろと。
今日もまた、親父の部屋に呼び出されてその話。
「ああ、何故じゃ。何故なんじゃ? 何故お前は結婚できないんじゃ〜〜!?」
「いや、結婚できないワケじゃないから。結婚しないだけだから」
「容姿は悪くない。性格も問題ない。家柄に至っては申し分ないのに、何故、何故?」
「だから、俺は結婚する気は・・・」
「正直マリアちゃんとくっついてくれれば良かったんじゃ。
そうすれば我がローレシアの領土は倍増していたものを。お前は、お前はっ!」
領土とか倍増とか、何言ってんですか。このオジサンは。
だけどまあ、確かにマリアに惹かれた時期もあったな。
だけど、あいつは俺よりトンヌラを気に入ってたみたいだったし、実際二人は仲が良かった。
あのまま冒険が長引けば、二人は恋人になっていたかもしれない。
しかし唐突に冒険は終わりを告げ、俺たち三人はそれぞれ別の道を歩み始めた。
トンヌラは地元の貴族の娘と結婚し、マリアはムーンブルクの生き残り家臣の息子と結婚。
俺たちはそれぞれの"国"というものをを背負っていたのだ。それに気付いたのは冒険が終わってから。
苦しかったが自由に羽ばたけたあの時期が、いちばん楽しかったのかもしれない。
最近そんな風に俺は過去を思い返す。
「おい、聞いておるのか?」親父の声が飛ぶ。
俺は聞いちゃいなかったが、適当に「はい」と答えた。
「うむ、それでは1週間後にいたそう」
「は、何が?」
「何がって、さっき言ったじゃろう。サマルトリアの妹君との縁談じゃよ」
俺が回想にふけっている間、話はとんでもない方向に進んでいたらしい。
「ちょ、ちょっと待てよ。そんな勝手に・・・」
「エリー殿はな、武術の達人らしいぞ。お前にぴったりではないか」
「いや、だからって、そんな急に・・・」
「噂によると豪傑熊を一撃で倒せるほどの腕前らしい」
・・・そんな嫁いらん。
「よし!」親父はポンと手を打ち、続ける。
「善は急げじゃ。さっそく早馬をサマルトリアに出そう!」
「待てってば!」俺は親父の肩を掴んだ。しかし親父は動じない。
顔を俺に近づけ、耳元でボソッとつぶやいた。
「この縁談が成立し、トンヌラ殿が死去すれば、この大陸の覇権は我がローレシアのものぞ」
(親父殿、不吉なことを言うなよ。てか、それを狙ってる・・・?)
俺はその腹黒い考えに絶句し、そのまま固まった。やがて気付けば俺はひとり、部屋に取り残されている。
「勘弁してくれ・・・」俺はつぶやき、その場に崩れ落ちた。
―――1週間後。
エリー・・・か。確かそんな妹がトンヌラにはいたな。
はっきりと覚えてはいないが、過去に何度か会った記憶がある。
内気なトンヌラとは正反対に、活発そうな女の子だった。
「お見合いねぇ・・・」ボソリとつぶやく。そして、別の疑問が頭に浮かんだ。
(でも何で、ここに俺はいるんだ?)
普段、兵士たちが鍛錬する武闘場。そこに俺はたたずんでいた。
「エリー様、ご到着!」兵士の声が響く。数名のお供を連れた女性が武闘場に入ってきた。
「あら、アルス様。お久しぶりですね」ニコリと笑いながらエリーが言う。
おい、けっこう可愛いじゃないか。思わずにやけて「どうも」と返す俺。
「それじゃ、私は準備しますから。そちらも準備してください」
そう言うと、エリーはお連れの者から"鉄の爪"を受け取り、それを右手に装備し始めた。
ツカツカと背後の親父に歩み寄る。そして、胸倉を掴み上げながら俺は聞いた。
「おい、どーいうことだ?」親父は目線を反らしながら答える。
「いや・・・な、エリー殿は自分より弱い男と結婚したくないらしいんじゃ」
「で、戦って俺の強さを見極めると」
「正解!」
何じゃ、そりゃ? 聞いてねーぞ!
背後を振り返ると、そこには鉄の爪をつけたエリーの姿。
「武器は使わないんですか? では、いきますよっ!」
凄まじいスピードで、エリーが踏み込んできた。
キラーマシーンを彷彿とさせる攻撃っぷり。
てか、この女の存在そのものがキラーマシーン?
こいつ、笑顔で殺人しようとしてやがる!
繰り出される攻撃を、ギリギリのところで俺はかわし続けた。
そして連続攻撃の途切れた一瞬の隙をつき、俺は背後に大きく飛ぶ。
かわし切れなかった浅い傷がいくつかあった。服は軽く引き裂かれ、うっすらと血が滲んでいる。
「なかなか・・・やりますね」エリーは若干息を弾ませながら、笑顔でつぶやいた。
「おい、待て。話し合おう!」
「いえ、これは旦那様を見極めるための大事なお見合い。そうもいきません」
「てか、普通お見合いってのは話し合いをするもんだ!」
「問答無用!」一息ついたエリーは、再び俺に向かいダッシュ。
仕方がない。俺は壁にかかる"ひのきの棒"を手に取った。
隣りに銅の剣もかかっていたのだが、これで攻撃するとマジで殺しちまう可能性がある。
再び迫り来る怒涛の攻撃。それを俺はひのきの棒を駆使して防ぎ続けた。
こう見えても俺は、かつて世界一の戦士だったのだ。覚悟さえ決めれば強いぞ、俺は。
ちゅーかこいつもマジで強ぇ。少なくとも、白兵戦においてはトンヌラよりも上だ。
だが、俺には及ばない。
彼女の右手にひのきの棒を打ち落とし、そのまま背後へ飛ぶ。そして肩に強烈な一撃を見舞った。
「きゃっ!」可愛い悲鳴を上げ、エリーが倒れる。彼女はそのまま気絶した。
気が付けば汗をびっしょりかいていた。最近、剣術はサボり気味だったからな。
やがて一息ついた俺の心に、凄まじい罪悪感が襲う。初めて女を殴りつけちまった・・・。
何となく、サマルトリアの従者たちの視線が痛い。
でも仕方ねーだろ。正当防衛だ。やらなきゃ俺が死んでた。気絶させるつもりはなかった。今は後悔してる。ごめん。
心の中で文句に似た謝罪をつぶやきながら、仕方なくエリーに近付き、彼女を抱き上げる。
意外なほど華奢な体だった。「おい、大丈夫か?」ちょっと赤面しながら頬を軽く叩く。
いきなり、エリーの両目がぱちりと開いた。そして俺を確認すると、おもむろに組みかかってくる。
いや、正確には『抱きついてきた』んだろうが、俺には組みかかってきたように感じた。そしてそれは間違ってない。
「結婚してくださいっ!」彼女はそのまま叫ぶ。
一方の俺はそれに返答することも、女の子の体の柔らかさを楽しむ余裕もなかった。
だって、ガッチリとロックされた腕が、俺の首筋の頚動脈をジワジワと締め付けてたんだから。
「結婚してくださいっ!」その声が繰り返される。だから答える余裕ねーってば! 腕をほどけ、腕を!
必死に彼女の肩をポンポンと叩く。『まいった』の合図。だけど気付きゃしねー。馬鹿みたいにセリフを繰り返してる。
やがて俺は落ちた。要するに気絶した。かつてない屈辱だった。
―――翌日。
俺はサマルトリアのトンヌラを訪ねた。
乱暴に扉を蹴破り、玉座のトンヌラに歩み寄る。
「あ、アルスじゃない。久しぶりだねぇ〜」能天気なトンヌラの声。それがまた腹立たしい。俺は叫ぶ。
「おい・・・、あの妹をどーにかしろ。あの妹をっ!」
「え? ああ、そうだ。お見合いしたんだよね。どうだった?」
「どうもこうもねーよ!」
あの日、気付くと俺は自室のベットに寝かされてた。
何か城の様子が慌しい。歩き回るうち、大聖堂を見て俺は唖然とした。
結婚式の準備がされている!
おやぁ、誰が結婚式を挙げるんだろうねぇ〜。あははははは。
神父さんが僕に『おめでとう』とか言ってるよ。
エリーは『幸せになりましょうね』とか言って抱きついてくるし・・・って俺かい!
冗談じゃねぇ! 俺の意思は? 人権は? そもそも夫を締め落とす妻ってどーなんですか?
その夜、俺は城を脱走した。
「でもさぁ、お似合いだと思うけどな。僕は」
「お前・・・厄介な妹が片付くってんで、内心喜んでるんじゃねーのか?」
「ば、馬鹿言うなよ・・・、そんなこと・・・ないさ。あははははは」
視線を反らしながらトンヌラが笑う。思いっきり乾いた笑いだ。
思わず殴ってやろうかと俺が考えた瞬間、兵士が俺たちの間に入ってきた。
「国王、妹君が帰ってこられましたが・・・」
「!?」
遠くで「アルス様ぁ〜、いらっしゃいますかぁ〜?」という、エリーの声が聞こえる。
反射的に俺は窓を蹴破り、逃走していた。
その後、俺は勇者の泉に潜伏。そこがバレるとローレシアに戻った。
そこでは親父に捕縛されそうになり、さらにリリザへと逃走。
皮肉なもんだ。かつて俺がトンヌラを探したルート。そこを今は俺が、奴の妹から逃げ回ってる。
そしてこれは運命だったのか。トンヌラの時のように、俺はリリザの宿屋で捕まった。
「アルス様ぁ、探しましたよぉ!」
エリーの姿を見て、とっさに窓から飛び出そうとする。しかしそれを遮ったのは、彼女の悲しげな言葉だった。
「お待ちください。そんなに嫌なら・・・、嫌ならいいんです」思わず振り返る。
「嫌いだ・・・と、おっしゃってくれれば、あたしも諦めます・・・」
彼女の目が光ったのは、そこにためられた涙のせいだった。それがひとつ、ぽろりと頬を伝う。
俺は窓にかけた足を下ろし、そのまま固まった。返す言葉が見つからない。
そもそも俺は、何故逃げ回っていたのだろう。その時初めて、俺はエリーを嫌いではないことに気付く。
彼女が嫌なわけじゃない。恐らく、俺は『結婚』というものを押し付けられることが嫌だったのだ。
もしかしたら、彼女にものすごく酷いことをしたのではないか。などと考える。
「いや、嫌いなわけじゃない。ただ、会ってすぐに結婚というのはどうかと思うんだ」
彼女は両手で顔を覆い、体を震わせながら沈黙している。
「だから・・・どうだろう。しばらく時間を置いて考えてみないか。
時間を置いて考えて、お互いが必要だと感じたなら結婚しよう」
その体勢のまま、彼女が小さくうなずいた。
このままここにエリーを置いていくわけにもいかず、俺は彼女の手を取ってローレシアへと戻る。
俺たちの盛大な結婚式が挙行されたのは、その翌日のことだった。
そして月日が流れた。
彼女は予想に反して良き妻になった・・・と思う。やがて俺たちの間に子供が産まれた。
俺は屈強な戦士。そしてエリーは最強の女武闘家。その間に産まれた我が子。
何か、すんごいのが産まれた。名前はアベル。
4歳にしてスライム撃破。
7歳にして勇者の泉に単独で旅立ち。見事洗礼を受けて帰還する。
12歳にしてデルコンダルの闘技場でキラータイガーと戦闘。勝利する。
アベルはそのまますくすくと育ち、16歳になった。
俺の親父はすでに他界している。俺も真面目に国王の仕事をこなすようになり、貫禄も付いてきた。
そしてある日、ローレシアの城へ、傷付いた兵士がたどり着いた。
「ローレシアの王様、大神官バゴーンの軍団が我がデルコンダルの城を・・・!
大神官バゴーンは禍々しい神を呼び出し・・・世界を破滅させるつもりです!
王様、何とぞご対策を・・・、ぐふっ!」
俺の前でデルコンダルの兵士は息絶えた。すぐさま隣りに座るエリーに言う。
「エリー、アベルを呼んできなさい」
「はい、わかりましたわ」
しかしなかなか帰ってこない。どうやらアベルはプチ家出をしていたようだ。
発見するのに3日かかった。
「王子アベルよ、先日の話は聞いておるな。そなたもまた勇者ロトの血を引きし者。
その力を試される時がきたのだ。悲しんでいる時間はない・・・。すぐに旅立つのじゃ!」
「えー、マジたりぃ〜!」茶髪にピアスのアベルが答えた。
ピアスはやめろって、こないだあれほど言ったのに、聞いちゃいねぇな。
「サマルトリア、ムーンブルクには、同じロトの血を分けた仲間がいる筈。
その者たちと力を合わせ、邪悪なる者を滅ぼしてまいれ! これはわしからの餞別じゃ」
俺はアベルに銅の剣と50Gを渡す。
「・・・これだけ? しけてやがんな」
まあ、確かにそれは当時俺も思った。だけど俺は口には出さなかったぞ。
ぶつぶつ文句を言いながら、アベルはそれらを受け取る。
「そんじゃ、ちょっくら行ってくるわ」
まるで散歩に出かけるかのように、アベルは城から旅立った。
それを見送る俺はちょっと心配だった。エリーにいたっては、号泣しながら見送っている。
でもまあ大丈夫だろう。あいつの実力なら、ルプガナ辺りまで楽勝で進める筈だ。
やがて彼の姿は見えなくなり、俺はエリーの肩を抱いて城内へと戻る。
そしてふと思った。俺が旅立つ時、親父もこんなふうに感じていたのだろうかと。
俺も40代半ばに差し掛かり、親父の気持ちを理解できるようになった。
やたらと息子の行動が気になる。若い頃の自分と比べたがる。
そしてそれは、恐らくアベルにとって"ウザい"ことなのだろう。だけどやめられない。
(トンヌラにはひとり娘がいたな・・・。それとアベルが結婚すれば、ローレシアはサマルトリアを併合・・・)
玉座でそんなことを考えてみる。そんな自分にちょっと嫌気が差した。
血脈は、親から子へ、そして孫へと継承される。
ロトの伝説はまだ終わってはいない。
お題「親子」
題名:果てしなき伝説
From:DQ2(の後日談)
全部で9レスか・・・これでやっと長文と呼べる?
今までの思いつきのやつと違って、ちゃんと考えて頑張ってみました。
ちなみにバゴーンは昔流行ったやきそば・・・知ってる人いるかな?w
向こうで詰まらないって言ったら荒れそうだよね。
同じく批評もしづらい。
そして面白い作品にレスしたら他の作品にふれざるをえないのコンボ。
辛口と詰まらない作品無視が構わないのならレス出来る作品は増えると思う。
誤爆った。正直すまんかった。
果てしなき伝説面白かったですよ。誤爆したから取り繕ってるわけではありません。
今回も笑えました。シリアスとしても◎でした。
>>450-451 どうもありがとうです。
辛口やスルー、個人的にはOKだと思います。
全部読んで全部レスってのは大変だと思いますし、読み手の義務でもないと思うんで。
ただ、半分荒らしみたいな理不尽な批判はやめてほしいかな。理にかなっていればいいと思います。
月曜日0時を過ぎましたので、
前回のお題【親子】の作品募集はいったんしゅーりょー!!!!!!!
(ルールは
>>304を参照してください)
今回の投稿作品:
蒼龍 ◆JkKZp2OUVkさん DQ「邂逅」
>>378-410 ◆Lv.1/MrrYwさん FF「あの日の風景−母の愛、父の影」
>>426-438 ◆/kp.R9.ULgさん DQ「果てしなき伝説」
>>440-448 …以上、DQより2作、FFより1作でした!
次のお題を提案・投票される方は、上記の投稿された3作品への感想なども、できれば同時に添えてください。
では、今週も「お題」の募集のお時間です。
(ルールは
>>306を参照してください)
今週土曜日いよいよDQ最新作発売!FFドラクエ板は連日連夜お祭り状態!さあ負けないだけのテーマを!!
>>453 今週DQ8発売でしたね。
祭りにあやかって、お題も<<祭り>>で。
455 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/22 15:35:31 ID:FW2gneos
お題age
<<裏切り>>でおながいします。
<<お祭り>>期待あげ。
しかし8発売と同時にSSを書く人が激減しそうな予感。
DQ書きの方が多そうだし。
ま、それも祭りのうちか。
>>440-448 「探しましたよ」と餞別の場面はかなりニヤニヤさせて頂きました。確かにこれから魔王を
倒してこいと希望を託したわりには安いよなと(w。(それと同じぐらい気に食わないのが
「おお○○よ死んでしまうとは情けない」…ってテメーに言われる筋合いねーよ!……
閑話休題)時間経過と心情描写がバランス取れていて読みやすかったのも(・∀・)イイ!
サウスフィガロで出会った少年の言葉に、彼らは救われた。
「たとえ『裁きの光』で町が100回壊されたって、101回直してやるんだ!」
三闘神の復活とケフカの圧倒的な力によって、世界は破壊され尽くしていた。
どの町もかつての賑わいを失い、人々の顔に笑顔がのぼることもなくなった。
あれから1年。
大地の底より蘇りし希望の翼・ファルコンを駆り、再び仲間達を探す旅に出た
彼らの目に映るのは、各地に蔓延する救いがたい絶望の色だった。
天から見放され緑を失った大地の上で、流す涙さえも枯れてしまったと膝をつく
人々の姿を見るにつけ、言いしれぬ不安に襲われる。
――破壊という行為は、強力な武器さえ持てば1人でもできる。
飛空艇に集った仲間達がいる。彼らはそれぞれの理由の為にここへ帰ってきた。
そして今、ケフカを倒すという同じ目的をもってあの場所を目指している。
では、彼らが目的を果たした――果たされてしまった――後、世界は一体どう
なってしまうのだろうか?
――どんなに強くても、ここに居るたった14人の力では何もできないのでは?
彼らの目的の先にあるもの、それは今と何ら変わらぬ絶望なのではないのか?
考えれば考えるほど、否定的な答えばかりが浮かんでくる。考えるのをやめよう
としていた矢先に訪れたのが、このサウスフィガロだった。
少年は目を輝かせて彼らに言い放った。
「たとえ『裁きの光』で町が100回壊されたって、101回直してやるんだ!」
その後ろでは、崩れた屋敷の補修に勤しむ青年達の姿があった。
「落ち込んでばかりもいられません。町を生き返らせないと」
笑顔とまでは言えないけれど、彼らの表情はこれまでに訪れた他の町で見るどれとも
違って見えた。
そして気付く。
――この町の人々は我々よりも強い武器を手にしているのだ。
それは剣でも槍でも、刀でも杖でもない。
ある者は工具を両手に。またある者はペンを――そう、彼らはそれぞれの方法で
戦っている。それは、繰り返されてきた争いとは違うものだ。
破壊という絶望に立ち向かう、創造という力があることを知っている。そんな彼らに、救われたのだ。
それはこの町に限った事ではなかった。徐々にではあるが人々は希望を取り戻し始めている。
そう、それはまるで大地が芽吹くかのように。
彼らは各地から集った14人の英雄達と、空を駆けるファルコンにケフカ打倒の希望を託し、
また自らも地上で希望を見出そうと奮闘している。
希望を託された彼らがもう一度、前へ進もうと背を押してくれたのは、そんな名前も知らぬ多くの人々だった。
「行こう! 瓦礫の塔へ。ケフカを倒しに!!」
大地に緑が、人々に笑顔が戻る日は、もうそこまで来ている。
ケフカを倒したその先に待つ平和と幸福のために、彼らは武器を手に塔へ挑む。
−名も無き英雄<終>−
----------
※ 出典:FF6
舞台:サウスフィガロ
お題:―
(強いて言えば「
>>450」)
補足:とはいえ、これだけじゃ上手く伝えられないので補足。
自分は酷評(納得できる理由を提示or心意気が汲めれば)別に構わないと思いますが。
レスの取捨選択はここに限らず誰もがやる事だろうし(もちろん自分も含めて)。
以上を踏まえて、言いたいことは上記です。
好きな物を楽しみたい、まず最優先はそれで。
お題投票。
DQ8発売がよりによって月末ですか…。
やはりお題はDQ最新作発売にちなんでサブタイから……
ドラゴンクエスト VIII 空と海と大地と呪われし<<姫>>君
……ってサブタイ長過ぎ(w。
今回もまた変則的なお話。
珍しく人が主人公です・・・てあれ?
気をつけているのですが微妙に長めです。
夜更け過ぎ。魔物たちが自らの力を十二分に発揮する時間。
町の人間は寝静まり次の日に備えて休息を取っている。
アリアハン。
ここにはそんな時間にも関わらず一際賑やかに騒いでいるところがあった。
ルイーダの店。
旅人達が仲間を求めて集る出会いと別れの酒場。
もっとも今日は・・・いや今週はいつもと雰囲気が違う。
いくつものテーブルが置いてあり、人々が集っている。
戦士から遊び人まで様々な人間が宴を楽しんでいるようだ。
しかし中央のテーブルでは・・・。
「ぐすんぐすん。うぅ・・・お母さんなんて大ッ嫌いーーー!」
近くに座っていた男僧侶と魔法使いのおじいさんがビクッとして離れる。
ビールの入ったゴブレットが力いっぱいテーブルに叩きつけられる。
しかし割れたのはゴブレットではなくテーブルの方であった。
ごつい戦士が無言で新しいテーブルを担いでくる。
「いつまでめそめそ泣いているのよ!」
唯一席から離れなかった女魔法使いが怒った口調で叱り付ける。
「ははは。荒れていても仕方ないよ。久々に帰ってきたのに喧嘩しちゃったんだから。」
少し貧弱だが優しそうな男僧侶が笑ってかばいたてる。
「あんたはいっっっつもコイツに甘いのよ!」
「五回目よ!五回目!なんべんテーブルを壊せば気が済むのよ!」
女魔法使いはそう言いながらテーブルを割った御本人の首を腕で締め付けていた。
「見なさいよ!魔法使いのおじいさんが泡吹いてるじゃない!」
「わわわ。大変だ。ホイミ。ザメハ。」
男僧侶は立ったまま気絶している魔法使いをそっと椅子に座らせた。
魔法使いのおじいさんが目を覚ます。
「勇者ちゃん。そろそろわしも冒険に連れてってくれんかのー。」
「最近ずっと彼女ばっかりじゃないかー。わしもこうっ胸のすくような冒険をまたしたいんじゃ。」
「おじいさん変態だぜー。休めるならずっと休んでた方が幸せに決まってるじゃないか。」
別のテーブルから男遊び人がちゃちを入れる。
「それはあんただけ!」
女魔法使いが呆れておじいさんの代わりに言い返した。
「えー。私も賛成ですよー。」
女遊び人が酒を配りながら反対する。
「いやー。実は僕も・・・。」
男僧侶が頭を描きながら遊び人に賛成した。
テーブルを割った本人が冷静になっておじいさんに話しかける。
「おじいさんは賢いんだけどちょっとおっちょこちょいだから。それにその・・・歳も心配なんで。」
「何を言うかーーー。まだまだ若いもんには負けんぞい。」
おじいさんはそういうとビールをぐびっと飲み干した。
ああ、いけない・・・また気絶してしまった。
「ちょっとー!おじいさんの前にお酒は置かないでってあれほど言ったでしょう!」
女魔法使いが女遊び人の方に顔をやり、男僧侶がまたザメハを唱えた。
「ごめんなさい。つい。」
何故か女商人の方から返事が返ってくる。
「僧侶のお兄さんが休みたいなら交代してあげればいいんじゃない?」
別の席から女盗賊が告げた。
「おおっそれはいいアイディアじゃあーーー。」
魔法使いのおじいさんががばっと起き上がって叫ぶ。
「お待ちください。僧侶と交代ならば私の方が適任ですわ。フフフ。」
女僧侶がにこやかに話した。
「いや、ちょっちょちょっちょっと待ってください。」
「僕もまだ勇者のそばを離れたくない・・・いや、冒険をしたいという気持ちがーーー!」
男僧侶が焦りながら反論する。
「分かったよ。みんな。今度またローテーションするから。ね♪」
男僧侶の声も空しく女勇者はそういってビールを飲み干した。
「大体私がお父さんに生き写しってどういうこと。女の子に向かってお父さんとそっくりって酷いじゃない。」
「っていうかそもそも16歳の娘に世界を任せるって言うのがおかしいのよ。」
「王様の珍品コレクションには稲妻の剣よりも強い武器が有るって言うし・・・。」
「だったら最初にくれたお金の低さと装備の弱さって何ってことよ。兵士の方がいい物持ってるじゃない。」
明るかったはずの女勇者が再びぶつぶつ言っている。
「それよりも・・・それよりも・・・うぅ。お母さんのバカーーー!」
凶器と化したゴブレットが再びテーブルを叩き壊す。
おじいさんがまた気絶して男僧侶が元気のない声でザメハを唱えた。
「バカはお前だーーー。」
女魔法使いがそう言って女勇者の顔に手拭をたたきつけた!
「いったーーーい。だって魔法使いのお姉さま。お母さん酷かったんですよ!」
女勇者が頭をさすって反論した。
「何度も聞きました!テーブルを割るごとにね!」
「久々に帰ってきて料理も掃除も出来なかったから叱られたんでしょ!」
「百人が聞いたら百人があんたが悪いというわ!」
「だってだって・・・戦闘ばっかりで料理や掃除なんてする機会なかったんですよ!」
「そりゃ・・・家事の練習を怠けたのは自分だけど・・・だけど!お嫁の貰い手がないなんて言わなくったっていいじゃない!」
戦士がちょうど持ってきたテーブルが叩き壊される。
しかし戦士は即座にもう一つのテーブルを差し出した。
どうやら先を考えてもう一つ担いできたらしい。
「ふっ。帰ってくるたびに荒れるね。あのお嬢ちゃんは。」
男盗賊が髪をかき上げて『とうとう別のテーブルに非難させられた魔法使い』に話しかけた。
・・・そう。女勇者は数週間ぶりにアリアハンに帰ってきたのだ。
前回滞在したときは国を挙げてのお祝いのときであった。
女勇者御一行がバラモスを討ち取ってきたその日である。
しかしその日はこの世界に生きているものならば誰として忘れることが出来ない日になってしまった。
大魔王ゾーマが兵士を焼き払いその存在を多くの人々に明かしたその日だからである。
女勇者達はその日のうちにゾーマと戦う旅に出た。
しかしどうすればゾーマの元へ辿り着けるのかが分からない。
この数週間の間に得た有益な情報は少なかった。
疲れきった一行は一週間ほどアリアハンで休養をとることにしたのである。
今日はルイーダで仲間を集めての宴であったのだが・・・主賓の勇者が荒れていたことは言うまでもない。
「いやいや、わしは長いこと生きとるがあの手の話はここじゃあよく聞いたよ。」
「あの子に限った話じゃない。」
おじいさんはそういうとお酒をゆっくりと飲み込んだ。
「ははは。どこもそうか。それじゃあこの間会った町娘も、そこらで遊んでる坊やも、おじいさんあんたにもあったのかも知れんな。」
男盗賊はそういうとビールに口をつけた。
「モンスターにだって家族の喧嘩はあるかもしれないし、王様だってしてるかもしれないしね。」
女商人が話に加わる。
「あっはっはっ。モンスターも家族で喧嘩かよ。バラモスは父親とかい?息子とかい?」
男遊び人が笑いながら話に加わる。
「あらー。当然息子よ。夜遅くまで遊んでるからバラモスパパは大怒り!」
女遊び人が両手を挙げて話す。
「バカモン!いつまでも遊んでおるのだ!お前はいずれ魔族の王となるのじゃぞ!」
「あーバカ親父。俺はそんなかったるいモンやらネーよ!」
「そして今日も大喧嘩。」
男遊び人が手振り身振りをしながらバラモス父子の振りをする。
「待った!」
「案外父親思いのいい奴かもしれないわ。今頃バラモスパパの遺体を抱いて泣いているのかも。」
女武闘家が横から待ったをかけた。
「おっとそれなら復讐を考えているかも知れんな。」
男盗賊がアゴに手をやって考え込んだ。
「各地に散った魔物を集め・・・再び統括し地上を支配しようとしているかものう。」
おじいさんが目を輝かせて提案する。
「それじゃあ今から乗り込みに行かないと手遅れになるわ!」
女武闘家が叫び声を上げる。
「その通りだ。倒してしまわなきゃまずい。復讐をしようとしているならばその実力は修行により父親を超えていると考えていい!」
「ねえねえ何の話をしているの?おねーさんに聞かせなさい。」
女勇者が酔っ払いながら賑わってるテーブルにやってきた。
他の仲間も集りつつある。
「へへへっ。バラモスムスコの話さ。バラモスとよく大喧嘩するけど父親思いで今人類絶滅を考えてて魔物を集めてる途中で世界中の支配もしようとしててその実力は修行により父親の十倍はあるのさ。」
男遊び人がその偉業を並び立てた。
「ばからし・・・。」
女魔法使いが呆れて他のテーブルに歩いていく。
「えーーーーすっごい!そんな奴が居るの!?」
「わわわ。大変だ大変だ。そんな奴が居るなんて!」
女勇者が大騒ぎを始める。
「ああそうさ。早く倒しに行かないとゾーマなんて言ってる場合じゃねえ。世界が滅ぶ。」
男遊び人が腕を組んで大きくうなずいた。
「どうしよう。どうしよう。おねーさま。おねーさま!大変!」
女勇者はそういって女魔法使いを探し始めた。
「知恵」を借りに言ったのだ。
譲歩するときはいつも「さま」付けである。
そんな勇者の大慌てな姿を見てみんなが笑い出した。
そして始まるバラモス息子の伝説。
夜が明ける頃にはゾーマの数百倍強く神々を超え、実は影の支配者であり、指一つで一つの国を吹き飛ばす魔力があり、あと数日で魔物を引きつれ世界中を攻め立てる計画を持った危険な存在へとのし上がっていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
何かが自分を叩き起こした。
そう思って女勇者が顔を上げた。
もう真昼なのだろう。辺りが明るい。
女魔法使いがとても大きな声で怒鳴っている?
頭が痛くて訳が分からない。
「ごめんなさい。ちょっと待って。」
女勇者はそういって起き上がった。
ルイーダさんが水を持ってきてくれる。
どうやら昨日はここで眠ってしまったようだ。まだ眠っている者も居る。
意識がしっかりしたところで女魔法使いが女勇者を引っ張り始めた。
どうやら城に行けと言っているらしい。大変なことが起きたらしい。
女魔法使いは女勇者を歩かせると自分は他の者を起こし始めた。
城に向かって歩いていく。
一体何が起きたというのだろうか。
道端を見て回ると周りの顔が暗い。泣いている者も居る。
ゾーマが知れ渡ったときでさえこんな様子ではなかった。
城に着く。
城の中も騒がしい。武器という武器を持ち兵士が走り回っている。
王の間に着くと王様が自ら駆け寄ってきた。
「おおっ、待っておったぞ。」
王様はそういうと女勇者を温かく迎えた。
「単刀直入に聞く。それほどまでに強いのかそやつは。」
「え・・・そやつとは?」
頭が痛いからか元が悪いからか今ひとつピンとこない。
「ゾーマの数百倍強いと聞く。もはや国中の噂じゃ!」
「はあ・・・」
「父親の復讐を考えるとはなんと言う・・・。」
「あ!分かった!バラモスムスコ!」
「そうだ!しかし安心しろ!」
「わしらもいつまでもお前達だけに頼っているわけではない。」
「へ・・・?」
「既にロマリア、エジンベア、ポルトガ・・・各国に使者を送った!」
「はい・・・。」
「国一つを指先で消せるというのであればわしらも戦うしか道はあるまい。」
「君たちだけを危険な目にあわせるわけは行くまい。」
「あれは・・・いや・・・その・・・どうして知っておられるのですか?」
「昨日兵士たちが町を見て回っていてルイーダの酒場の前で聞いたのだ。」
「君のあわてよう。その場に居た者たちの迫真の言葉。疑う以遠もない。」
「念のため、今朝兵士がルイーダの酒場から出たピエロ風の男に確かめたが事実だという。」
「それは・・・その・・・えっーと・・・その・・・なんと言うか。」
「嫌な顔をするな!わしだって命を賭けねばならんときくらい分かる!遠慮するではない!」
「それでは軍議があるのでこれでな。」
女勇者はそういって城を追い出されてしまった。
女勇者は確信した。大変なことになった・・・。
どうしよう・・・。
女勇者は急いでルイーダの酒場に向かった。仲間たちは既に集って席についていた。
「どうしよう!みんな!全部本当になっちゃった!」
女勇者は泣き顔でみんなに王様の言ったことを話し始めた。
「ちょっとまったあ!」
女魔法使いが立ち上がった!
「あんた!あれほど私が『嘘でした』といってくるように言ったのにそのまま黙ってたの!?」
「うぅ。ごめんなさい。だって。うぅ。王様がすっごく真剣で言うにいえなくて。ごめんなさい。ぐすん。」
「やっぱりそうか!ここ一番の根性がないんだから!あんたは!」
「仲間を集めておいて正解だったわ。だけど・・・まさか既に各国に連絡をしていたなんて・・・あの老いぼれも妙なときに張り切るんだから・・・。」
女魔法使いはそういって頭を抱えてしまった。
戦士が何かを抱えて中央のテーブルに近寄った。
テーブルの上にその何か、男遊び人を座らせる。
「そういやおまえ、なんで嘘なんてついたんじゃ。」
魔法使いのおじいさんが男遊び人に問い詰める。
「いや・・・まさかこんなことになるとは。・・・いつものクセで。スマン。」
「分かったわ!」
女魔法使いが手をポンと叩いた。
「この愚か者二人を縛って王様の前に連れて行き、土下座させるのよ!」
「アリアハンが終わったらロマリア!ロマリアが終わったらエジンベアと順番にね!」
「それで解決!」
「そ・・・それはかんべん。」
男遊び人がすごく嫌そうな顔で答える。
「しかし嘘つきのバカ一行という名は残る。」
男武闘家がポツリと行った。
「嘘つき集団の一員とは師匠にどんな顔で会えばいいのか・・・。」
「それだけじゃないわよ。男の子の商人って居たじゃない。自分の国で牢に入れられたあいつ。」
「最初は慕われてたのに悪いことをしたらあの扱いよ!」
「世界中の国を騙した悪人になったらみんなで牢に入んなくちゃいけないかも・・・。」
女商人がため息をついた。
「ははは。僕は勇者と一緒なら一生牢の中でもいいですけどねえ。」
男僧侶のその意見は重たい雰囲気の中見事に流されてしまった。
「ほんと・・・どうしよう。」
女勇者の声はもう弱りきっている。
しかし・・・この噂に騒いでいたのは実は勇者達や王様達だけではなかった。
遠い地。地下世界。
ここ。ゾーマの城でも噂は届いていた。
「その話はまことか?」
王座に座った男がひれ伏す部下に確かめた。
「はっ。恐れ多くもその実力はゾーマ様に匹敵するとか。」
「なるほど。それほどの跡継ぎが居るとはバラモスめ。」
「独身かと思って居たがやるではないか。ハハハハハ。」
「その息子を迎え入れ、新たな地上の支配者にしてやりたいものよ。」
「はっ。仰る通りでございます。」
「よし!キングヒドラよ!その息子を探し出し、我が軍に加えるのだ!」
「はっ!」
「そうだ・・・キングヒドラよ。」
「はい?」
「タキシードを着てネクタイをちゃんと締めていけよ。」
「はあ・・・。」
「お土産も忘れるでないぞ。」
「・・・・・・。」
その頃女勇者は土下座の練習をしていた。
出来るだけ心象を良くするためだ。
武闘家二人がきちんとした礼儀を教えている。
「あっ・・・思いついちゃった。」
女魔法使いが椅子からすっと立ち上がった。
「何を思いついたって?」
男遊び人が聞き返す。
「ふふんっ。あんたらのミスを取り返す魔法の呪文よ。」
「よし。女勇者、それに僧侶ちゃん。おじいさん。武道家ちゃん。」
「あんたら一日何処でもいいから人目につかない洞窟を冒険してきなさい。」
「今日の夜中にここに戻ってくること。」
「んー。なんでじゃあ。」
魔法使いが聞く。
「冒険に出れるなら何でもいいですわ。フフフ。」
女僧侶が質問を妨げて冒険の準備を始めた。
「あっ。あたし精霊の泉ってところに行って見たい!」
女武闘家が勢いよく手を上げる。
「あのー。俺は?」
男遊び人が恐る恐る女魔法使いに尋ねる。
「貴方にもちゃんと懺悔の機会を作って差し上げます。」
女魔法使いはそういいきった。
「さて・・・私たちは昼寝でもしますか。」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
そして次の日の昼になった。
勇者は夜更け前に帰ってきた。
そして男遊び人が入れ替わり昼まで町をぶらぶらし始めた。
町はどうなったであろうか。
なんと町の人々は笑顔で生活している!
昨日の暗さが嘘のようだ!
「しかしなんだかんだ言ってバラモスの息子っちゅうのは大したことなかったべ。」
農家のおじさんが息子に話しかけている。
「違うよ!勇者のお姉ちゃんがもっとすごかったんだよ!」
息子の反論だ。
「オホホホ。やっぱり勇者のお嬢さんはすごいわねえ。」
どこかで上品な女性たちが話し合っている。
「ええ。これならマーゾとかいう魔物もあっさり倒してくれるに違いないわ。」
「あら、奥さん。マーゾじゃなくてゾーマよ。」
城の中も明るく元気だ。
王様は女勇者に宴をしようと持ちかけたが、断られてしまったらしい。
兵士の間で女勇者の新たな武勇譚が流行り始めている。
町の片隅で男遊び人が三人ほどの子供達に話をしていた。
彼が脚本を手がけた女勇者対バラモスムスコの物語だ。
・・・そしてその頃地下世界では。
タキシードを着た八首の竜が王の間へドスドスと走ってくる。
「ゾーマ様!大変です!バラモスムスコは既に勇者によって討ち取られてしまったそうです。」
「なんじゃと?まことか!」
「はい!それどころかオルテガが生きていてゾーマ様を狙っているそうです!」
「何!?お前!食い殺したとか焼き尽くしたとか報告してたではないか!あれは嘘か!」
「(え・・・俺オルテガとはまだ会った事ないって!)それは間違いです!火山で命を落としたというのが定説です!」
「それどころかラーミアが大量に生まれたとかルビスが復活したとか魔物が大勢裏切ったとか色々な噂が飛びかっています!」
「むむむ。だとしたら戦略を練り直さねばならん。」
ゾーマは腕を組んで考え出した。
二人のやり取りを見てバラモスブロスが机にもたれ掛かっていた。
「(ただでさえ忙しいのに何訳わかんない会話してんだよ。つーか早くバラモス生き帰してくれ。仕事が多すぎる。)」
・・・その頃女勇者は様々な噂に驚いていた。
「ルビス様が復活したって本当!?魔物が味方になったって本当!?」
「あ・・・。それ俺が言った作り話だから。」
様々なホラ話を流してきた遊び人が答える。
「まったく。他のホラ話まで噂にするなんて!」
「いずれ土下座どころか首を落とすことになるわよ!」
女魔法使いが再三呆れて言い放った。
「なーんだ。お父さんが生きていると聞いて喜んだのに。」
女勇者がポツリと言った。
「へ?俺オルテガさんの話なんかしてないぜ?」
遊び人が頭をかしげる。
「噂が噂を呼んだ様じゃのう。案外本当かも知れんぞ。」
魔法使いのおじいさんが髭をなぞった。
「そう。それにこんな噂話も聞いたよ。ギアガの大穴の下に世界が広がっているという噂をね。」
「しかもこの話を聞いたのは今回が初めてじゃない。」
男僧侶が告げる。
「一度降りてみる必要があるわね。」
女魔法使いが相槌を打った。
そしてあと数日でアリアハンを後にしなくてはならなかった。
女勇者は仕方なく実家に再び顔を出した。
「また戦闘に明け暮れたらしいわね。」
母親が勇者に声を掛けた。
「仕方ないじゃない!私がやらないとどうしようもないんだもん!」
女勇者は少し罪悪感を感じつつもそう言い返した。
「一つ聞いていいかしら。」
「なーに?」
「仮定だけど・・・この家に帰れなくなるとしても世界を救うために立ち上がるのかしら?」
「不吉な事いわないでよ!」
女勇者が嫌そうな顔をする。
「行くわよ。行かなくちゃいけないんだもの!」
「そうね。お父さんが居たらきっと同じことを言うわ。」
「やっぱりそっくり。でも気をつけて欲しいの・・・。」
「分かってるわよ。私の帰る家はここしかないんだもん。」
その日から数日は女勇者は実家で過ごした。
疲れを癒した女勇者は新たな旅に旅立ったのであった。
女勇者がこの数日料理に奮闘したエピソードもあるがそれはまた別のお話。
このあと二つの不幸が彼女を襲うがそれもまた別のお話だ。
おしまい。
というわけでDQ3の話でした。
今回の反省
・テーマが分散している
・お題よりも他の物が優先されてる悪寒
感想も批評も遠慮なく。
ラトームさんへ
インフレに負けるな大作戦のコメントのところを全部消していただいてもらって構いませんか。
理由は他のことに触れてあって作品自体のことに余り触れてないからです。
1Gが事故で落ちるか故意で落ちるかはやっぱり故意で落ちた方がいいと自分の中で完結してしまったというのもあります。
何か有った方がいいなら後日書きます。
それでその代わりに
>>42のそれぞれの一言をそれぞれの作品に入れていただけると助かります。
お忙しいようですのでいつでも構いません。
引き続き前回の作品への感想を。
引き続き好意的批評つきという迷惑なレス。
>>311-313 これはクラウドがティファに中毒から助けてもらったときのお話かな?
FF7自体うろ覚えなので間違ってたらすみません。
どこかで聞いたことかある話だったのが残念です。
いい意味で電波が飛んでますね。そういえばFF7自体そういうお話だったような気がします。
>>315-316 お世辞じゃなくて笑えました。
親戚なカンダタさんで止めを刺された次第です。
>>321-323 結局セリスの故郷も潰れたんですね。
これを読むまで気づきませんでした。
いいところに目をつけられたと思います。
惜しくは会談のみで戦闘や行動がないのでその辺にも挑戦していただきたいかなと思います。
今回の自分の作品にもないので偉そうなことはいえないのですが(;´д`)
>>325-329 面白いです。それにマリアの反応が自然でいいです。
しかしシドーがあんな可哀想な奴だったとは。
>>357-364 ユフィにもえ(ry
着眼点が相変わらずよいっす。
中の人は葛藤してたんだろうなあと。
惜しくは後半の故郷関連がこじ付けっぽくてそこがない方がいい作品ぽかった気がしたことです。
正確には彼の苦悩を書き続け再び仲間に加わるところを描いて欲しかったと言うべきでしょうか。
ただ、それだとお題無視になるんですよね。難しい。
あっこれ今回の自分の作品にも言えた('A`)
>>334-353 倉庫連れ込みは父親じゃなくて村長だったと一応突っ込み。父親は某悪名高いドラゴンに雷で打たれてるはずです。
多勢に影響ないので気にしないでください。言ってみたかっただけです。
特にキャラに違和感はなかったですし、細かい描写はよい感じなのですが(最初の三人登場の描写など)、正直に言うとどこか嫌な感じがしました。
たぶん『ロングソード・ソールズベリ』や○○何世という誇大な表現、頻繁に使われる余計な褒め文句が原因ではないかと思います。
この手の表現というものは元になる作品に有るものを使うか、長期連載の際に実績としてついて来たもののみを使うべきで短編でオリジナルを使うべきではないです。
これは前の作品の
>アリアハン軍大元帥ゲナント・レヴィンスキー・フォン・レーム殿が孫にして、ティルス殿の従兄アレシア殿
辺りでも感じてました。失礼な気がしたので告げなかったのですが。
この手の表現は嫌う人は居ても好む人は少ないのできっと損してます。
もしよろしければ一度気をつけて書いて見て下さい。
481 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/23 03:30:15 ID:eZFz1tJV
今回の感想はまた締め切り後に書きたいと思いますが最近忙しいので書けないかもしれません。
そしてお題age
8買わないけど<<祭り>>に一票です。
8のサブタイor一部というのも面白そうなんですが今回はこっちが面白いのが読めそうです。
482 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/23 18:19:27 ID:YiPORKUf
《裏切り》にイピョウ
483 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/23 19:21:52 ID:r3x9ufVr
お題。ドラクエ8発売で<<8>>ってのはどうでしょ。
>◆JkKZp2OUVk様
ベルギスの死に際、それを受けたヘンリーの描写が良いですね。
特に薬・化粧・酒のエピソードはぐっときました。
文章については、ちょっと難しい文字&表現が多かったかな。(本格的な小説はこういうものかもしれませんが)
漏れはあんまり活字慣れしてないんで、何度か読み返さないと理解できない部分もありました。
あと、ちょっと長すぎて敬遠されるかも。その部分で損をしている作品だと思いました。
>◆Lv.1/MrrYw様
FF6は未クリアでよく知らないんですが・・・シャドウカコイイね!
>それは瓦礫の塔から唯一戻らなかった、シャドウの遺した品である。
そうなのか、よくわからないが、戻らなかったのか・・・('A`)
あと、もうひとつの方。こちら上手いと思いました。
戦う方法は武器だけじゃない・・・イイですね。
ただ、お題についての記述がよくわかりませんでした。
>書き手◆F/WveZadCU様
今回も面白いですね。噂から出た真実・・・ってことかな?
オルテガそっくりな女勇者・・・てことはグラフィックはカンダタ?w
あと、バラモスムスコって、あっちの方を想像しちゃった漏れは吊った方がいいですか?orz
書き手さんはほのぼの系が上手ですよね、感心しちゃいます。
で、ちょっと気になったことなんですが、
空行が多いのや、同一セリフを行ごとに「 」で区切るのは読みやすくするためでしょうか?
空行は漏れ的には有難いんですが、「 」の方は読んでてちょっと混乱した箇所も。
485 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/23 21:01:38 ID:mafHpy1p
ぬ、祭りも捨てがたいですが<<裏切り>>に一票。
<<祭り>>に一票。裏切りはいつでもできる。
ここであえて<見渡す限りの世界がある>>を提案します。
>>486 いや、別にお題はある時期限定ってことはないと思いますけどね・・・
水曜日0時を過ぎましたので、
お題募集期間ならびに前回のお題【親子】の作品募集はしゅーりょー!!
(ルールは
>>306を参照してください)
今回のお題
>>454さん456さん481さん486さん 「(お)祭り」
>>455さん482さん485さん 「裏切り」
>>460さん 「姫」
>>483さん 「8」
>>487 「見渡す限りの世界がある」
集計の結果、最多4票で
【(お)祭り】
に決定いたしました。
それでは日曜24時まで<投稿期間>となります(ルールは
>>304を参照してください)。
筆執る阿呆に読む阿呆、同じ阿呆なら書かなきゃ損そん!!!
さあ、ハッスルハッスルハッスルハッスルそーれそれそれお祭りだあーーーーーーーーーーーーー!!!
仕切廚さんの某スレのレス読んだ。
乙。ホントに乙。
いつもこのスレの仕切廚さんのレスのラストに和ませてもらってるYO
長いって正直に言いなよ。
ぬるい馴れ合いしてかえで悪口言ってんじゃねぇよ。
そんなんじゃいい人間関係作れないですよ。
うはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
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hosyu
前回よりは短めです。
今日は祭りの日のようだ。
一体何の祭りなのだろうか。
多くの人々が通りを歩いていく。
角の仮面を被ったゴツイ男。ヘアバンドをした赤髪の女性。おじいさん。おばあさん。子供たち。
屋台の数も様々だ。
金魚すくいならぬ大王イカすくい。型抜きならぬ呪文抜き。
アンチョビサンド売りも居れば闘技場出張サービスなどというイカツイ店まである。
一人の少年が噴水の前で待ち合わせをしていた。
広場の時計を見る。時間はとっくに過ぎていたが相手の遅刻にはもう慣れっこであった。
目の前をスライムの団体さんが通っていく。
そう今日はモンスターも人間も関係ない。無礼講の日なのだ。
一匹のスライムが団体からはぐれて迷いかけている。
少年は優しく話しかけて団体さんまで抱きかかえて行ってあげた。
普段はいがみ合っていたモンスターを助けるとはなんて変わった日なのだろう。
スライムのオドオドしたけど喜んでくれた顔が忘れられない。
「群れからはぐれないようにね。」
そういって少年は団体を見送った。
「モンスターに話しかけるなんて何やってるのよ!」
背後から鋭い言葉が突き刺さる。
待ち合わせ相手がやってきたのだ。
おてんばそうな少女が珍しく正装をしてやってきた。
その姿を見て少年はつい笑ってしまいそうになった。
もっとも少年もそれなりにいい格好をしている。
彼らは今日やらねばならないことがあるのだ。
「他の人はこないの?それに・・・あいつも?」
少女が聞き返す。
「うん。みんな忙しいみたい。でも彼からは手紙が届いたよ。代わりに頼むって。」
そう言って少年は少女に手紙を見せた。
「あいつ・・・。こんなくさいこと・・・。頼んだの。私はイヤ。絶対イヤ。任せたからね。」
そういって少女は歩き出した。
バカにしておきながらも久々の手紙にどこか嬉しそうではある。
それは少年も一緒であった。
通りを歩いていく。
時間に余裕があるので屋台を見て回ることに決めた。
少年は大王イカすくいに挑戦したが失敗してしまった。どうも力が足りなかったらしい。
周りを見渡せば本当に色々な人が居る。
変わった服装の姉妹が占いとカジノの屋台を開いているし、その近くでは太ったおじさんが色々な珍品名品を売りに出していた。
『王様生活体験屋敷』などという謎な店も有る。『勇者と魔王』という屋敷に比べればましか。
真面目そうな戦士がカチカチに緊張しつつホイミスライムの人形を売っていたのには失礼と思いつつ笑ってしまった。
もっともその五店の中では戦士の店が一番繁盛していたようである。
町を歩く人たちもマチマチだ。
オーソドックスな勇者、戦士、僧侶、魔法使いの四人組のパーティがいるかと思えば、勇者、魔法使い、魔法使い、魔法使いという賭けに出たようなパーティもおり、勇者以外は遊び人というパーティまでいた。もっともどのパーティも楽しそうに歩いていた点だけは共通している。
よく見ればお忍びできたような二人組みも居る。姫様と勇者の二人組みだ。ハメを外してはしゃいでいるお姫様に比べて勇者の方は今にも城の者に見つからないかとドキドキしているようだ。
町を歩くのは人間だけではない。
少年たちが更に先に進むと大勢のモンスターが集っていた。
数十匹という単位ではない。数百匹と居るのである。
スライムからももんじゃ。ももんじゃからキラーパンサー。キラーパンサーから鉄鋼魔人。あらゆる種類のモンスターが居る。もしかしたら全種類のモンスターが集っているのかもしれない。
どのモンスターもそわそわしている。
ドラキーが祈るような格好で震えている。涙目だ。
いつもはびくびくしているスライム族がなぜか自信たっぷりだ。
近くに居たギガンテスがとうとう叫び声を上げた。耐え切れなかったのであろう。
腐った死体がタキシード姿でマイクのテストを始めた。
その上には「出現モンスター発表会場」と書かれている。
なるほど。
少年はモンスターたちの異常な様子の理由が分かった。
ここの決定で下手したら四年間近くの待遇が決まってしまうのだ。
少年は珍しく少女を引っ張って会場を抜け出した。
この会場に居るのはまずいと思ったのだ。
入れ替わりにスライムの団体さんとすれ違った。
少年は手を振る。きっと彼らは大丈夫だろう。
更に歩くと人間とモンスターが仲良くしているワンシーンに出会った。
紫色のターバンとマントを被った男が息子と娘だと思われる子供たちと話している。
ドラゴンキッズが少年に抱きついた。頬をなめている。一緒居た者たちが笑っている。
仲の良い一家だな。少年はそう思ってその場を後にした。
とうとう目的の会場に近づいた。
!?
その瞬間ゴーグルをつけた男の子が目の前を走り抜けて言った。
危ない!轢かれる所だった!
安心したのも束の間、おてんばそうな女の子が目の前を横切った。
少年はなんだか自分たちに似ているな・・・と思った。
こっちのおてんば娘がキーキー文句を言っている。
一人の少年が近づいてきて「ほんとうにごめんねー。」と謝った。
さっきの二人に比べてどこかまったりとしている。
二人は大丈夫ですと応えて先に進み始めた。
とうとう会場に入ったのだ。ここには多くの人間が集まっている。
前回は・・・自分たちが向こう側に立ったのだ。
一組の団体が近づいてくる。
男らしいモヒカンの男やドラゴンに抱き付かれているキザな剣士。
優しそうなお姉さんに明るそうなお姉さん。メガネの少年に村の英雄。
そして剣を背中にしょった男の人。
前回は彼から受け取ったのだ。
あの時から時間が経ったものの今でも元気にやっているようだ。
「とうとう本当の意味でお疲れ様になってしまったね。今までご苦労様。」
男が優しそうにつぶやいた。
「ありがとうございます。」
少年は切ないような嬉しいような表情でお辞儀をした。
少なくとも・・・受け取ったものに恥じないよう一生懸命頑張ったはずだ。
それは少年がもっともよく分かっていた。
「もう時間よ。」
相方の少女がいつもと違ってしおらしそうに声を掛けてくる。
「うん。わかった。」
二人は舞台に向かって歩き出した。
祭りに来ていた人々が拍手で迎えてくれる。
彼らへの賞賛と労いを込めた拍手だった。
向こう側から別の団体がやってくる。
一人はトゲトゲの兜を被った山賊風の男。
一人は色っぽくて優しそうなお姉さん。
一人はこれまたキザな銀髪の男。
一人は緑色のモンスターの様な生き物。
そして先頭は赤いバンダナをした男。
団体と二人が対峙する。
会場がしんとする。
固まっている少年を少女が突っつく。
少年は先頭の男の目を見た。優しそうな目だ。
少年は深呼吸をして話し出した。
「僕はその・・・口下手なのでうまくいえないのですけど。・・・がんばってください。」
少女が右手で頭を押さえた。昨日練習したせりふとぜんぜん違う。
少年が続ける。
「それと・・・僕の友たちが今日来れなかったんですけどその言葉を伝えます。」
「大人たちに昔を思い出させるような冒険を。子供たちに大きな夢と希望を与えてください。・・・だそうです。」
先頭の男が笑顔で頷く。
少年は更に続けた。
「あの、やっぱり付け加えさせてください!」
「その他に・・・振り返って自分でよかったと思えるような頑張りを期待していいですか?」
男は再び頷きそっと手を差し伸べた。
少年はしっかりとその手を握り返した。
祭りに来ていた人々から大きな拍手が送られた。
となりでは相方の少女が向こうのお姉さんと抱き合っている。
きっと少年が必死にひねり出した言葉など聞いてなかったのだろう。
だがそれでも良いと少年は思った。
・・・。
少年は帰路に立った。
さっきの団体は今頃様々なイベントをしているに違いない。
行きと変わらず多くの人々が歩いている。
少年の目にドラキーが泣きながら叫んでいる姿が映った。
うれし泣きだ。出番があると決まったのだろう。
少年はふと思い直した。
もしかしたら自分たちの冒険もまだまだ続いていくのではないかと。
おしまい。
おお!
こう来ましたか。GJ!
通販で頼んだら、期待してなかったのに当日届くらしく(出荷メールが来た)
そわそわして眠れない自分には、たまらん話でした。
dq全然やってない(特に7)人にはわからないだろうし、
説明も難しい作品でしょうが、自分は大好きです。
眠れないついでに小ネタできましたので投下。たぶん3レスで収まります。
ーーーーーーーー
マリベル、ガボ、アルスの3人は、古い石畳の上に足を投げ出して座っていた。
そろって疲れ切った顔をし、会話もはずまない。もっとも、会話がはずんでいないのは
彼らだけではなく、周囲の村人たちも心配顔をしているばかりだった。
何しろ、この塔を除いて、彼らの町は海に沈んでしまったのだ。旅人として町を訪れて
巻き込まれた彼らよりも、村人たちの方がより一層途方に暮れているのである。
しかし、「この状況をなんとかする」ためにこの時代へやってきたのだろうと、頭では
わかっているアルスたちにしても、大海原へと戦いに赴く気にはなかなかなれなかった。
もちろん、この塔に辿り着くまでの旅で疲れていたせいもある。アボンの村に泊まった
翌朝に村人が全員失踪し、次に泊まったフズでも同じ事が起こって、心配しながら進んで
きたというのに、彼らは全員この塔にいたのだ。心配して損をしたように感じるのは
「筋違い」というものだが、しかし、この脱力感からはなかなか抜け出せそうになかった
のだ。
「いつまでもこうしていても、フィッシュベルに帰れないよね」
アルスがぼんやりとつぶやいた。故郷の村では、今日も母親が小魚のつくだ煮を用意して
待っていてくれるような気がする。
「フィッシュベルかあー…… そろそろアミット祭りの季節だったはずよねえ」
マリベルも、普段の威勢の良さはどこへやら。表情も言い方も全て投げやりだ。
「アミット祭りってなんだ?」
「ガボは知らなかったっけ。アミット家の一人娘の美しさを讃える祭りよ」
「え?」
マリベルの言い種にアルスが反論しかけたことに、ガボは気付かなかった。
「アミット家の一人娘ってなんだ?」
「………。ホントにわかってないの?」
「おう」
ポカリ。ガボはマリベルに殴られた頭を両足でおおった。
「何するんだよー」
「へえ、ガボって身体が柔らかいんだな」
アルスのどこかずれた感想に、ガボは笑顔を見せ、さまざまなポーズを取り始めた。
マリベルの事はもうどうでも良くなってしまったらしい。あきれ顔のマリベルは、再び
だんまりモードに入ろうとしていた。
「おにいちゃん、すごーい」
子供たちが、そんなガボの回りに集まって来る。尚更嬉しそうにポーズを披露し始めた
ガボに、マリベルとアルスは顔を見合わせた。
「ああいう曲芸を見せてくれる人、エンゴウのお祭りで見たわね」
「そうだったね。アミット祭りにも来てくれるかな」
「そうねー、もう世界にはエスタード島だけじゃないんだもの。きっと今までよりも
賑やかなお祭りになるわよ。出店でいろいろ食べられるようにもなるかもね。エンゴウの
お祭りの料理、美味しかったじゃない? 魚は、当然フィッシュベルが一番だけどさ」
食べられるという単語に、ガボが反応した。
「お祭りって、美味いもん食えるのか?」
「そりゃーねー、なんたってアミット祭りだもの」
「なあアルス。早くフィッシュベルに帰ろう。腹減ったぞ」
「ガボはいつもそれだなー」
苦笑しながらも、アルスは立ち上がった。
「理由はなんであれ、フィッシュベルに帰る事には賛成だよ。マリベル、行こう?」
いつもながら気持ちの切り替えの早い幼馴染みに、マリベルはため息をついてみせた。
「はー……。きっとこの海で苦労した挙句、なんだか強い化け物と戦う羽目になるんでしょうけどねー。
えーい、仕方ないかー。もしかしたら、砂漠の城の時みたいに歓待してもらえるかもしれないもんね」
立ち上がってパンパンッと衣服の埃を払うマリベルに、ガボがにやにやと笑いかけた。
「なんだよ、マリベルだってごちそうが好きなんじゃないか。砂漠のごちそう、すごかったよなー」
「余計なことは言わなくていいの。行くわよ、ふたりとも」
いつもの調子に戻った姿に、アルスとガボはこっそり笑いあい、スタスタと歩き始めた
マリベルの後を追った。
Fine
以上、「戦い続ける理由〜山奥の塔にて〜」FromDQ7 でした。改行規制で4レスに。
DQ7は、世界中に散らばった石版を集めて過去へ行き、魔王が結界を張って隔離した町を
救出するという事の連続です。ゲームスタート時にはひとつの島しかない世界に、救出された
町がどんどん出現してゆくのですが。その旅はえらく長く険しいものになります……。
(ファーストプレイ100時間って、どーですか、お客さん?)
そんな長い旅の間中、彼らがいつでも元気に戦い続けられたとは思えないのです。使命と
わかっていても石版の導く先で途方にくれる事はあっただろうし、疲れた彼らに次の行動を
起こさせた原動力には「祭り」への期待感もあったんではないかな、というのがテーマでした。
特にこの山奥の塔の攻略は大変だったので舞台に選んでみました。アミット祭りの時期では
無かった気もしますが、それは過去と現在を行き来している間にマリベルが勘違いした、と
いうことにさせてください。
アミット祭りというのは、マリベルとアルスの故郷フィッシュベルで行なわれるもので、
豊漁を祝う祭りのようなものです。網元であるアミット家の一人娘マリベルには関係あり
ませんw。
途中で出て来る「エンゴウ」も「砂漠の城」も、旅の途中で彼らが解放した町の名です。
多くの町を解放した彼らですが、ごちそうを堪能したのはこの2か所だけのような気が。
違ったらすみません。
これで大体背景説明になっているでしょうか? 小ネタなのに説明長(゚Д゚)ウボァー
とりあえず保守。
月曜日0時を過ぎましたので、
前回のお題【(お)祭り】の作品募集はいったんしゅーりょー!!!!!!!
(ルールは
>>304を参照してください)
今回の投稿作品:
◆F/WveZadCUさん DQ「バトンタッチ」
>>495-501 ◆Y2NezmymcEさん DQ「戦い続ける理由〜山奥の塔にて〜」
>>503-505 …以上、DQより2作でした!
次のお題を提案・投票される方は、上記の投稿された2作品への感想なども、できれば同時に添えてください。
では、今週も「お題」の募集のお時間です。
(ルールは
>>306を参照してください)
DQ8祭りは継続中ですが今年も今週で12月。そこ疾走してく先生!助け合いと思って「お題」投票お願いしまーす!
------------------------------------------------------------------------------------------
某スレで夢想を語ってしまったため、こちらのスレにまで迷惑かけたようで、すみませんでした。
野心は持ってはおりますが、このスレでは、おとなしく仕切らせてもらいます。
では、DQ8に戻ります。来月には8ネタで一本書いてみたいですね。
お題<<はち>>
8でも鉢でも蜂でも「は? 血?」でも。解釈自由で。
_____
|___†_| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ・∀・) < 自分が乾燥いうとまた嫌われるだろうけど、正直にいうよ。
( ) \_______
( (~
~) )
( (~~
V
このスレを読むかぎり、主旨は「読むためのもの」ではなく「書くためのもの」に
なってしまっている木がするんだよね。
人に読ませることではなく、期日までに仕上げることが大事なのかな。
そんで仕上げたあとはお世辞を言い合う社交場みたいだ。なんかみんなやたら
敬語言い合って逆に怖い。
まるで近所の奥さん同士でほめあってるみたいだよ。いやごめん、それはいいか。自由だし。
でもはっきしいうと全部つまらないってのが本音なんだすな。
というか読めない。こんだけ一作一作短いのに、全部印象に残らんのです。
だいたいテーマを出すほうも出すほうじゃないかなあ。
「インフレ」だとか「祭り」だとか、FFDQには関係のない題材が多い。
どんなテーマでも書くことに意義があるんだろうけど、もうちょっと気を利かしてやんないのかな。
なんだハチって??どっからそういうテーマがでてくるんだ。いみわからん。
物語のストーリーも、ゲーム中のワンシーンを再現したものが多くて
どれも「次の展開はどうなるんだ」的なわくわく感が味わえないのっだ。
与えられたテーマに対して、うまく適応して速攻で書く能力は十分わかりまひた。
だから今度は一つでも何か「読ませるもの」が読みたいです。
いろいろ言ってごめんよ。だからなんとでも言っていいよ。がんばってください
おまえもがんばれよ
>>510 間違いでは無いと思う。特にラスト五行。
実際にある一場面を使うのなら、尚更に臨場感というか
その場に立ち込めてる何かを書くべきだと思う。
「あー、あのシーンか」と判るようにして安心させちゃっても
話がダレるだけ、しかもその後のフォローが無い。
それじゃある意味ドリーム小説みたいだからさ。
…あと「お題」の死票はどうしてるんだろう、このスレ。
とか言っといて次のお題は<<矛盾、抱えたまま>>に一票
じゃこういうのでもいいの!?
10月のある日、お祭り会場をみつけたリッチがいい気分で浮遊していると、前方からやってきた
地元のヤンキー四人組みと目が合って睨まれた。
「おい、テメーのサイフずいぶん入ってそうだな。全部置いてけや」
「ま、まて。このサイフは確かにリッチなサイフだが、私とは一切無関係で、
そもそも私は単なる土のカオス…」
「ごちゃごちゃうるせーよ! ボコるぞ!」
「わぁ、待ってくれ、中身はない……ぐふっ、ぎょえー、ウボァー!」
リッチはヤンキーたちにヘイスト+ストライ+セーバーがけの拳で殴られあっさり地に伏した。
「ちっ、しけてやがるぜ」
仲間内で『ナイト』と呼ばれるリーダー格は取り上げたサイフに金が入ってないと知るやいなや、
リッチを足蹴にした。
続いてグループのナンバー2である『モンク』がとどめを刺した。64ヒット。
「つまんねえ奴相手しちまった。おい、行くぞ」
残る二人『シロマ』と『黒魔』も、うすら笑いをうかべてリッチを一言二言腐しながらその場を立ち去った。
リッチは泣きじゃくって、自分の誇りを土の埃で汚された気分をひたすら味わっていた。
「うう……ギル二倍のアビリティがほしいだけなのになんでこんな……。お祭りなんて嫌いだー」
完
>>513 自分的にはこういう外れた感じの物がもっと読みたいな。
>>485 せっかく意見いただけたのにレスが遅れてすみません。
気にしてませんでしたが確かに読みづらいですね。
「ふふんっ。あんたらのミスを取り返す魔法の呪文よ。」
「よし。女勇者、それに僧侶ちゃん。おじいさん。武道家ちゃん。」
「あんたら一日何処でもいいから人目につかない洞窟を冒険してきなさい。」
「今日の夜中にここに戻ってくること。」
↓
「ふふんっ。あんたらのミスを取り返す魔法の呪文よ。
よし。女勇者、それに僧侶ちゃん。おじいさん。武道家ちゃん。
あんたら一日何処でもいいから人目につかない洞窟を冒険してきなさい。
今日の夜中にここに戻ってくること。」
辺りに直した方がいいですかね。バトンタッチで試しに訂正しようと書く前は思っていたのですが集中しすぎてコロッと忘れてました。
というか良く見たらあの作品は長い台詞ないですね。
次の機会に試してみて前の方と比べてみます。
ただ、ドラクエのセリフは一行ずつ進んで行くからあんな感じになってしまったという理由も。
取り入れるかは分かりませんが意見ありがとうございます。
>>506 ほのぼのとしてていいかも。DQ7のガボやFF6のガウはどうしてもあんな感じに見えますよね。
こういう適切な説明は大歓迎です。長いと言うほどではないかと。というか自分もつけれたらいいなあと思います。
>>510 基本的な点は同意ですが敬語とお題の点について少し。
敬語は物を発表してると自然となってしまう物なんじゃないですかね。
全員喧嘩口調よりはずっといいかと。
遠慮しているという意味でではいい傾向ではありませんが。
インフレや祭りというお題はそれほど悪いお題ではないです。
特にインフレは自由度が高くゲームとも密接していて良い方のお題だったかと思います。
実際に色々なインフレが出てきましたし(FF2の話とか)。
私が書きづらかったのは故郷や親子です(あくまで個人的にです)。書くものがどうしても限定されてしまうからですね。
そういう意味ではFFDQに関係ないものの方がKさんのいう「読めるもの」につながるかもしれません。
お題スレではどんなお題に対しても多くの人が書くから意外な解釈や王道な解釈が出てきていいのではないかと思うのです。
極論なことで誰かが言いそうなことを言えば、悪いお題はないんじゃないですかね(妊娠中絶とか明らかに嫌がらせ的な物を除いて)。
もちろん嫌がらせっぽい物でも確定してネタが浮かべば書きますが。
以上です。
他の点については特に異論ありません。
>>512 死票は再度投票可だけど0から数えなおしかと。
むしろ一回決まったお題がどうなるのか気になる。
>>513 駄目な例を書いたのかもしれませんがシュールでワラタ
こういうのも全然いいと思います。
感動系だけがSSではありませんし。
<<矛盾、抱えたまま>>
に入れるよ
>>495-501 なんだかとっても良い感じです。DQは3とか4ぐらいしかプレイしていないので細かな部分
まで気が付くことはできませんが、シリーズ化されている作品ならではの話の繋げ方が良
かったです。FFも12が発売されたらこんな話も(ry。
モンスターの発表会場の描写に笑わせて貰いました(w。倒されるだけでも出ることに意義
がある、という。
>>503-506 全ての動機が空腹というガボが、ほしにくでつられて仲間になるガウ(FF6)に被りました。(w
でも、この転換の仕方が良かったです。SS自体でも概要はつかめましたが、説明のお陰か
やっぱりガボの役どころがおいしいと思います。故郷へ帰る動機というのが自然に語られる
のが、派手さはないもののじんわりと心に訴えかけてきます。
仕切り厨さんがいらっしゃらないようなので、勝手にお題集計〜。
ルールは
>>304を参照してください
はち
>>509 矛盾、抱えたまま
>>512、517
ってことで、今週のお題は「矛盾、抱えたまま」に決定!
どんな矛盾が登場するのか想像もつきません。
しかもそれを抱えたまま‥‥?
書き手の皆さんがんがってください。
>>495 無駄に長い説明が多いと思います。
SSなんだから、最初のレスで書きたい本題に入るのが普通なのではないでしょうか。
最初にダラけてしまうので読みにくいです。読めません。
>503
3レスの中に3人の思わぬ気持ちがかかれていて意外と良かったです。
勇者達もこんな風にダラけながらも頑張っていたんだろうなと思うと、
キャラに親しみがもっと湧きますね・笑
インパクトがない代わりにほのぼの感があって、サイドストーリーらしくていいと思いました。
ちょっと捕捉ですが、
書きたい物に関係のない描写を長々していると、これから結局何が始まるのかに
興味をもつ前にもういいよ、って気持ちになるんですよね。
ネタとしてはいいものを持ってるのかもしれないので、書き方に注意してくれるとうれしいです。
>>520 >
>>495 > SSなんだから、最初のレスで書きたい本題に入るのが普通なのではないでしょうか。
自分は逆にあの書き出しにわくわくしたよ。何が始まるんだ?と。
そして、想像していなかった方向へと進んだので、おもろかった。
普通とかわからんけど、あの話にはあっていたと思うけどな。
あ、520の批判とかじゃなくて、同じ作品でも感じることって違うもんだなと思っただけ。
>>523 そんな当たり前の事を今更言う為に2レスを無駄にするなよ。
>>520-523 説明描写は最低限の物以外は避けてるつもりなのですが、指摘されるということはあるのかもしれませんね。
自分で気づかないことも多いので次は注意してみようかと思います。
具体的に指定していただけると今後の糧になるのでもし良かったらしていただけないでしょうか。
最初の方で「何が書きたいのか分かり辛い」というのはその通りかもしれません。
しかし奇を狙っているつもりはないのですが、展開が読めて予想の範囲内で終わってしまうと私が読み手だったら詰まらないかなと思っています。
今回は単純な親子物は避けたかったのでバラモスムスコの話が出るまでは話の筋が分かり辛かったと思います。
しかも今回の話は自分でも「親子」という主題よりも「噂話」が主題と言えるような内容になっており、あっちこっちに話が跳んで複雑になっていると思います。
単純な作品としては親子関係は無理に出した感さえ有るかもしれません(それがダレの原因かも?)。
私個人としては展開は読めないようにして、「何が書きたいか」はインフレ話の様に明確にした方がいい場合と今回のように「偶然から始まった話を纏める」場合は分かり辛くした方がいいと考えてます。
偶然から話を始めない様にする為には、最初から遊び人が「〜の噂は知ってる?」と勇者に聞いたりする方法もあるのですがそれだと都合良過ぎて詰まらない気もします。
よって「何が始まるか分からない」ということが詰まらなさに直接繋ぐということは余りないかなと思ってます。
私の技量が足りないだけで偶然噂話にもっていくのではなく、面白く最初から噂話にする方法もあったかもしれません。
むしろ主題に入るまでにダレたと言う事の方が私としては致命的に聞こえました。
その理由は色々あると思いますが、私としてはほのぼの感を出したり、無駄なメッセージ性をなくし気楽に読んで頂くよう心がけたつもりだったからです。
どんなに良い話を書けたとしても読んでもらえないとするならば大問題です。
意見に対する返答としては、今回の話にはこの書き方でも良かったと思いましたが、興味を持って読み続けて頂くにはまだ努力が足りないようです。
意見と感想ありがとうございました。また何か有りましたらお願いします。
>>524 私としては当たり前のことでも書いていただけると助かりますので無駄にはなってないっす。
527 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/06 22:30:12 ID:W3Unpuln
このスレどうなってるの?
みんなDQ8にかかりっきりで余裕がないのか、
妙にギスギスしてきた空気のせいで書き込みを躊躇してるのか
お題は今週どうなるんでしょうか?
まだ募集すらされていないので、何か適当にテーマ決めて書くのはどうでしょう
そういえば、作品投稿の無かった時はどうするかって決めてなかったね。
テーマ募集時間も過ぎてるんだなあ。
前回のテーマを延長するか、新たにテーマ作るかどっちかだろうけど。
今までの中で投票数で負けて選ばれなかったお題から好きなものを選択して
書いてもいいかもね
532 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/09 22:58:50 ID:AHRo3lRY
ククールとゼシカの恋愛小説がいいな!
今さら…な感があるかも知れませんが、一応。
>>510 個々の「面白い」までは保証できないし、書く以上は自分が面白いと思うテーマや切り口で
臨むんじゃないかなと。その上で生産的なレスをするか否か、って事に自分は重点を置いてます。
あくまで書く側の意図、というだけであって読む側の受け取り方としての参考にはさせて頂きます。
後は既出なので割愛。意味が伝わらない・分からなければスルーで結構です。
>>512 臨場感というのは確かに。自分がここへ書いてきた作品には明らかに足りない要素だと
思いました。ただ、個人的に重点を置いた点は(好みは別問題で)伝わっている様なので
良かったと思う面も。
>>462-477 実はプロパガンダっていうオチなのか!(微妙に違いますが)。
アリアハンのかーちゃんの台詞は、実際に大穴からアレフガルドの地を踏んで
ラストバトルを終えた後に感じた切なさがひしひしと。
ところでバラモスムスコってモンスターが実際にいたっていう事でしょうか?(ごめんなさいDQネタ弱い…)
>>513 ラスト1行を自棄気味に読んでワラタ。(w
こういう作風でFFTの同士討ちを実況して欲しい勢いです。フィナス河の赤チョコボ襲来の悪夢!
とか。ストーリー本筋とは関係なく、かなり殺伐としたFFTの世界観を表現できるんじゃないかと。
枯草に覆われた大地に乾いた音を立てて、彼女の手から剣が滑り落ちた。
「いや……、ろ、ロッ……ク……?」
大地に落とされた血染めの剣。立ち尽くした彼女の口から落とされた声は、
散発的に言葉を紡ぐ。
正気を取り戻したセリスが目にしたのは、愛する男が自らの血にまみれた姿。
その中で彼は微笑んでいた。「よかった」と小さく呟いた声がセリスの耳に届く。
なにがどうなっているのか理解できず、セリスの肩は小刻みに震えている。
「……ロック、……どうして? ロック!?」
「ご……めん、な」
吐き出される息は荒く、時折走る激痛に顔を歪ませながら、それでもロックは
セリスに笑顔を向ける。口を開けばごめん、と何度も繰り返す。まるで壊れた
おもちゃみたいに。
なぜ謝っているのか、セリスには理解できなかった。
「何を謝ってるの、どうして……?」
そう言って、今さっきまで剣を握っていた右手を見つめた。
――どうして、私の手には血が……? まさか、まさか私が……私の手で――
その先は考えたくなかった。両手で耳を塞ぎ、きつく目を閉じた。思考の中から
“それ”を追い出そうと頭を振る。何度も振った。壊れたおもちゃみたいに何度も
何度も、ただその動作だけをひたすら繰り返す。
「セ、リ……ス」
途切れ途切れに声を吐き出す。ロックは最後の力を振り絞り上半身を起こすと、
セリスの腕を掴み自分の方へ顔を向けさせた。
「俺、……」
突然だがこのような時のためにリレー小説を提案してみる。
このSSの場合のルール(ルールは最初に書いた者が用意)
・最低一行最大三レス
・何を登場させてもいい
・場つなぎなので面白さはこだわらなくて良い
・↑なので普段読んでるだけの方でも気軽に参加を
・前回までの展開をぶっ壊してくれてもオッケー
・↑リレー小説なので展開は自由だが過去を全く無視することは禁止
・シリアス、ギャグ、ブラック、エロなんでも(ただしエロはここに書ける範囲で)
・複数回書いてもオッケー。ただし間に一人挟むこと。
・ハイパーリンクを使って最初に前回のレスを指定。
もちろんこのSSを無視して他のSSを書かれてもオッケー。
SSが意外な方向に飛んでそこから自由にお題を取ってもらったらよいかもと考えた。
失礼被ってしまった模様。
ぜひ続きをどうぞ。
悪いのはセリスじゃないんだ、俺なんだ。そう言った。込み上げてくる血が喉に
絡んでいるのか、それとも息が続かないせいなのか、声がうまく出せなかった。
それでも抱きしめれば伝わるのだと、そう思ってセリスの肩を乱暴にたぐり寄せて
強く抱きしめた。腕から、体から、ふれあう全ての部分から愛おしい女の体温と
鼓動が伝わってくる。
抱き寄せられたセリスは、ただ黙ってロックに身を預けた。伝わってくるのは
熱いほどの体温と、血のにおい。
「ごめん」
この時、セリスはロックが手に持っている盾の事にようやく思い至った。ナルシェを
出た直後、その盾を持っていたのはセリスだったはずだ。
――記憶がない。
後から考えれば、彼は恐らく盾の作用で錯乱したセリスからそれを奪い取ろうとして
傷を負ったのだろう。しかし当のセリス自身には仲間に鉾を向けた記憶も自覚もない。
もちろん、そんなつもりもない。
それでも、現に盾が血に染まっている。文字通りの『血塗られた盾』――それは装備者に
禍をもたらす呪いの盾だった。
体の震えは全身にまで及び、唇がうまく動かない。
「あ……い、いや……ロ、ッ」
回復魔法の詠唱の句も、回復薬の在処も分かっているのに、体が動かない。ただ目の
前で血を流す男を見つめる事しか、その腕の中で震えていることしかできなかった。
彼に矛先を向けたのは、他でもない自分であるにもかかわらず。
「……なに、も……言えないけど……でも」
息を吸い込むことが出来ない。肺に残された吐き出す為の息も底を尽きかけている。
それでも、彼は必死に声を絞り出した。
伝えるべき言葉がある。
伝えなければならない。
今、すぐに。
「俺は――」
頭の中にかかっていた霧が徐々に濃くなっていく。目の前の景色は眩しい光りに
包まれた様で、すぐ近くにあるはずのセリスの顔も判別できなくなっていた。彼の手に
触れるセリスの温もりを辿るように、血に濡れた指が彼女の顔をなぞっていく。
この体が動かなくなる前に。
「ロ……ッ!」
セリスが自分の名を告げる前に、彼はその唇を塞いだ。
血の、味がする。
口内に広がるあたたかい感触、愛おしさよりも恐怖をもたらすその口づけの深さに、
身が震えた。
鉄錆びたにおい。それは戦場で何度も出会って慣れているはずだったのに、なぜだか
震えが止まらなかった。
自らの手で傷付けた男に抱かれながら。セリスの頬を伝う透明な雫と混じり合う鮮血。
やがてそれは大地に転がった盾の上へと落とされる。
「俺、もう……」
戦がもたらす物は、永遠の喪失。
この男が失ったものは、私が奪った命。
命につけられた名を「レイチェル」という。
「大、丈夫。だから」
男は大丈夫だと微笑む。
かつて愛した女との永遠の別れを受け入れ、乗り越えた。
たとえ彼が「大丈夫だ」と言ってくれたところで、私の罪が消えることはない。
この手で奪ってきた、たくさんの命。その上に私が居る。
――私に、人を愛する資格はない。それでも……。
それでも、止めることの出来ない感情がある。
「ロック……!」
セリスの悲痛なまでの叫び声が草原に響き渡った。
***
ロックの手を離れ、大地に投げ出された盾は彼らの様子を見つめて笑っていた。
永い時をかけて築いてきた人の歴史は、あたかも沢山の糸によって織り上げられた
一反の布の様に、多くの人々の意図が交錯して作り上げられた複雑な模様であった。
戦争によって流された血と涙が乾かぬうちに、人々はまた新たな戦を始める。
複雑に見える物の正体は、その積み重ねに過ぎなかった。
そうして主が命を落としても盾は存在し続ける。手にする者が変わるだけで、懲りずに
同じ事を繰り返す。多くの悲鳴を、断末魔を、心の叫びを聞き続けた。
中には笑って剣を振るい、その手を血に染める者もいた。
涙を流しながら、人の命を奪う者もいた。
多くの者は必死だった。ただ自分が生き残るためだけに、敵対する者の命を奪う。
その度に、盾は返り血を浴び続けた。同時に命を奪われる者、奪う者の思念を
引き継いで来た。
かつて英雄が愛用したという盾も、数え切れぬ人々の血と涙に塗り固められ、
真の姿を失った。
「呪い」という名の封印。
それを解くなど不可能だ。
ましてや「愛」などというちっぽけな感情がその封印を破る事などあり得ない。
あるのだとすれば、それは思い上がりか単なる幻想だ。
――悪いことは言わない。さっさと捨ててしまえ。
これは忠告ではない、警告だ。
さもなければ次は本当に殺すことになるぞ? 仲間を、愛する人間を。
それでもいいのなら、共に行こうではないか。
絶望に染まる地の果てまで。
血塗られた盾と、新たな主となった英雄達の戦いはここから始まった。
盾の意志、かつての持ち主達の遺志と言う名の呪縛から解き放たれるまでの道のりは、
はるかに遠く。厳重に施された封印の意味を知るには、あと354回の戦闘を経なければ
ならなかった。
The Executor-ある盾の物語-<終>
----------
※ 出典:FF6
舞台:ナルシェ近郊。(魔石フェニックス入手後)
お題:矛盾、抱えたまま
釈明:実は『血塗られた盾』の攻略情報(盾装備255回戦闘で『英雄の盾』に変化)を、
本編中の人物から見た動機付けをしつつ、魔大戦とか八竜とかを
考察してみたいなと言うムダに長すぎる話の冒頭というか序章というか。な話。
英雄の盾のネタバレを踏まえてのテーマ投稿になります。直接的には“矛(鉾)と盾”って
安直な発想ですスンマセン。しかも遅刻orz。
>>527 純粋に年末だから、に一票(w。
>>529-531 書いておいてなんですが、個人的には投稿・投票期間は固定したままで万が一
今回のようになってしまったら、あとは死票を活かす措置を取るのでもいい気が
します。投稿がなくてもそれはそれで良いような…。
あと、書く側としては死票の扱いもですが、期間に間に合わなかったSS(今回み
たいな。w)を投稿させていただける救済措置もホスィーな、なんて。
(テーマ重視の場合、このスレ以外へ投稿するには気が引ける事が自分はある
ので)
>>532 ルールーと言いゼシカと言い、魔法使い乳強調し過ぎの感は否めず…とか言いつつ
いいよなぁ。
>>535-536 お気遣い頂きすみません。
リレー小説は自分やったことがないのでどう展開するのかが未知数です。でも、
気軽に参加という点では試してみる価値あるかも。投票期間(お題決定)〜投稿まで
どんなお題に限らず数日は期間が空くと思うので、その数日間を利用していくのも有効
かも知れませんね。
とりあえず楽しめればそれで良いというノリで。
orz
間に割り込んでしまって申し訳ございません。
投稿前に更新するべきでした。
The Executor-ある盾の物語- ◆Lv.1/MrrYw
>>534>>537-540 ラストの
>厳重に施された封印の意味を知るには、あと354回の戦闘を経なければ
ならなかった。
はミスですかね?
で内容はセリスの悲痛さが良く出ていて良かったなあと。
盾に心があるなら嘲っていそうですね。
英雄の盾になった後は一気に心のキレイな盾になるのでしょうか。
話的には徐々に改心していきそうですね。
ではお許しを頂いた所で、気を取り直しもう一度。
このような時のためにリレー小説を提案してみる。
このSSの場合のルール(ルールは最初に書いた者が用意)
・最低一行最大三レス
・何を登場させてもいい
・場つなぎなので面白さはこだわらなくて良い
・↑なので普段読んでるだけの方でも気軽に参加を
・前回までの展開をぶっ壊してくれてもオッケー
・↑リレー小説なので展開は自由だが過去を全く無視することは禁止
・シリアス、ギャグ、ブラック、エロなんでも(ただしエロはここに書ける範囲で)
・複数回書いてもオッケー。ただし間に一人挟むこと。
・ハイパーリンクを使って最初に前回のレスを指定。
もちろんこのSSを無視して他のSSを書かれてもオッケー。
SSが意外な方向に飛んでそこから自由にお題を取ってもらったらよいかもと考えた。
前回のレス
>>543 「参考となる資料は今配られた物で終わりです。
大きな意見から些細な意見までどのようなことでも構いません。
挙手して意見を述べてください。」
知的な女性の声が静かな会場に響く。
次の瞬間には会場がざわめきに包まれてしまった。
始まったのだ。FFDQ会議が。
会場の中には様々な人間がいる。
人間だけではなくモンスターにも発言権が与えられている。
水がなければ生きていけない者のために水槽までもが置かれ、様々な料理も並んでいる。
名も無き村人もいれば有名な英雄まで揃っており、全生物が集められたといっても過言ではないだろう。
いや、生物だけではなく家やアイテム、飛行艇までもが『今は』喋ることが許されているのだ。
しかし、皆意見を持っているはずなのだが隣同士で話しているだけで手が挙がらない。
恥ずかしがっている者もいれば自信の無い者もいる。
タイミングを計っている者もいるのかもしれない。
「意見はありませんか?
質問でも構いませんよ?」
女性の声が再び響き渡る。
一つの手が上がった。
「最近発売されたドラクエ8だが売り上げの方はどうなのかね?」
「申し訳ございません。次からは指名されてから発言してください。
質問の方については参考資料の3ページ目をご覧下さい。
発売2日間で216万7072本販売・・・となって居ります。」
女性の声が返ってくる。
DQ側の一部から聞こえた歓喜の声とFF側の一部から聞こえた苦渋の声。
これだけ多くの者がいれば対抗意識を燃やしている者たちも居るのだろう。
「FF12が出ればそれも簡単に上回るさ。」
どこかでそんな言葉が聞こえた。
その言葉に対して批判の声と賛同の声が上がる。
場の空気が熱くなる。
「まてまて。
そんな話をしに来たのではないだろう。
どちらが売れようと我々は潤うのだ。
もっと・・・今直面している問題について考えよう。
例えば・・・両方の陣営で昔から騒がれているリストラ問題などな。」
重くどっしりした声が会場を突き抜けた。
次々と手が上がる。
「大魔王が悪い!」
「いや神様もだ!」
「帝国もよ。」
「武器防具も忘れるな。」
大魔王の代表が手を上げる。
「お前たちはただ黙って働けばいい。
わしに人の苦しみと痛みという料理を運んでくれば良いのだよ。」
「ふざけるな!」
この言葉にはモンスターに限らずFFDQの多くの生き物が反対した。
「別にお前達が料理になってくれても構わんのだぞ。」
大魔王のセリフでモンスターの多くが声に力を失ってしまった。
その時一つの手が挙がる!
つづく。
こんな感じです。
自由に繋げて下さい。
一つ書き忘れたのですが締めは自由に落としていただいて結構です。
締めの際には『お終い』や『FIN』・『END』などをつけて下さい。
9レス〜30レスといったところですかね。
続くものなら永遠に続いてもいいですが。
手を上げたのはベホイミスライムだった。
「下克上してやる!」
↓
日曜日を過ぎましたので、投稿期限はいったん終了です。
2週にわたってのお題「矛盾、抱えたまま」の作品は
>>534>>537-540 「The Executor-ある盾の物語-」 ◆Lv.1/MrrYw さん
FF6より1本でした!
(ルールは
>>304を参照してください)
次のお題を提案・投票される方は、投稿された作品への感想なども、できれば添えてください。
では、今週も「お題」募集のお時間です。
(ルールは
>>306を参照してください)
新たにリレーSS企画も進行中。こちらはいつでもお気軽にどうぞ(ってことでいいんかな)。
詳細&ルールは
>>543 リレーSSの進行具合は
>>544-548 です。
*誰かがこういうまとめを貼らないと進めにくいスレなのかと思って勝手にまとめてみました。
お題<風>
DQ8で風切って走るのが爽快だったので、なんとなくこんな感じの作品が読みたいと思い。
551 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/13 13:21:38 ID:fi1fWmzf
>>549 乙!
お題投票
<<迷い>>
ドラクエ8でパルミドに辿り着けず道に迷ってて思いついた(w
お題あげ <<騎士・剣士>>
お題投票
≪嘘≫
お題募集時間終了〜!
先着順で今回のお題は 風 になりました。
風にまつわる想い出でも、風属性のアレを召喚!でも、はたまた風属性魔法の話でも。
ところでスレって最大500kbまでだったように思いますが、そろそろやばくないですか?
このお題から新スレっていうのが良いんでは。
その場合、
>>1には
>>304を入れて、2に
>>306を入れて、3にリレー小説の話をいれて、
4以降に
>>220-222を(
>>223>>229あたりの訂正を加えた上で)入れればいいのかな。
保管サイトのURLも1に必要か。
<SS投稿期間>
水曜日0時〜翌週の月曜日0時(日曜24時)
投票期間で決定した「お題」をテーマにしたSSを投稿する期間です。自由参加で人数等は一切問いません。
短編中編長編、ギャグほのぼのシリアスらぶらぶダーク、「お題」に沿っていればなんでもこいです。
一人一作といわず、二作三作、十作二十作、どんどん投稿してください!
日曜日中に間に合わなかった場合でも、次のお題の決定すなわち水曜日0時(火曜24時)までならOKです。
初心者歓迎。遠慮せず投稿を! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
-SS投稿の注意事項-
・投稿する際にはトリップ推奨。(荒らし対策や投稿がかぶったときのため)
(トリップって何?という人は2ちゃんねるガイドなどを参照してください)
・投稿中はsageてください。
・SSの題名(「お題」とは別のものが望ましいです)を、名前欄もしくは前書きあるいは後書きで明記してください。
・元ネタのゲームタイトルを、前書きあるいは後書きのかたちでできれば明記してください。
・21禁以上(自己判断)のエロ・グロ作品は、エロパロ板等のFF・DQSSスレに投稿し、ここには報告だけをするようにしてください。
・ラトームさんによりSSを保管していただけるようになりました。保管してほしくない場合はその旨を明記してください。
・SSの表記ルールは、保管サイト管理人ラトームさんによる千一夜サイト記述ガイドラインを参考にしてください。
<お題投票期間>
毎週月曜日0時〜水曜日0時(火曜24時)
SSのテーマを提案・投票により決定する時間です。この期間で投票数の最も多かったものを「お題」とします。
上位が同数の場合は、早く提案されたものを優先します。
-お題投票時の注意事項-
・「お題」を提案ならびに投票するときはage推奨です。
(sageでも構いませんが、投票の意志がはっきりわかるようにしてください。
カギカッコで「お題」でも構いませんが、ギュメの二重<<お題>>にしていただけると、集計側が助かります)
・あまりにもエログロ・下品・誹謗中傷の程度が大きいお題は無効とします。
・なお、このスレは、特定のシリーズやキャラクターのSSをリクエストするスレではありません。
お疲れ様です。
>>555の文体を統一した方がいいかなと思う。
でもこれって
>>1の流用なんだよね。
なんか「書くスレ→書くスレです じゃない」「。が一つ抜けてる」のが気になる(w
600取った方が新スレでいいと思います。
残り15KBだから600いかない可能性もあるよ。
知らずに作品投下されたら途中で終了なんてことも考えられる。
立てられる人はすぐに立てたほうがいい。俺は無理だ。
じゃあ立てるの挑戦してくる
>>559 1の文末は「です」が続くのが嫌かなと思ったので、「スレ」はそのまま。
。だけ加えました。
>>562 乙。
関係ないけど過去題も加えてみたかったので勝手に貼りました。今週のお題について
触れられてなくてゴメソ。あとリレーの件もどうしようかと悩み中だったもんで…。この辺は
他の方の意見も伺っておきたいところ。
>>559 。が抜けてたの気付かなかったありがd。
敬体と常体が混じった文章って作法的にはマズイのかとも思ったけど、
>>1で自分が立
てたスレに対しては常体でも良いかなと思ったり。
この辺は未だに使い方が分からないせいか、自分は違和感がないんですよね。
う〜ん。こういう話題はお題スレではスレ違いかも知れませんが、とりあえず埋め立て。
リレーのことを失念してました!
しかし、それをまとめて貼る時間がないので
どなたかにお願いします。
すみません
新スレと迷ったのですが、ちょっとごちゃごちゃした話なのでこちらに。
(新スレの頭からトラブルっぽいことを書きたくないので)
このスレの保管は、基本的には文章をそのままコピペ、表記チェックなし、
お題ごとにまとめて保管、ということでやっています。作者さんが後日
漢字の変換ミスなどを訂正された場合には直すことにしています。
(コピペの際に改行位置が狂ってしまった作品があったようですが、それは
特に直さなくてもよいというお話でしたので、直していません)。
ただ、他のサイトですでに発表されている作品は省かせてください。
このスレを離れてあちらのサイトだけを読む方も皆無とは言えませんので、
「他のサイトで見ました。パクリだから下げるべきです!」等の指摘を戴く
可能性があるためです(その場合、指摘してこられた方の性格によっては、
もともとの掲載サイトまで巻き込んで荒れます……)。
実際、千一夜サイトの方で無断転載ではないかというご指摘があって、作者の方に
ご連絡したことも何度もあります。
今までは無断転載だったので、作者の方に謝ってサイトから作品を削除し、指摘して
来られた方に削除したことをメールすれば良かったのですが「作者本人がこちらに
書いたのだから大丈夫です」と説明して、納得していただける自信はありません。
もともとの掲載サイトで「この作品は2ちゃんにも書いてみて〜」等と解説を
入れていただくのもどうかと思いますし、安全策で外させてください。
過去ログはサイトに格納しますので、読みたい方には読んでいただけるという
ことでは駄目でしょうか。