ドラクエの小説スレッドパート2.5

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1諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA
前スレ
ドラクエの小説スレッドパート2
http://game8.2ch.net/test/read.cgi/ff/1066825290/
2諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/10/11 02:13:04 ID:m4AFkLV9
これは連作短編ゲームブック方式の小説です。書き手は固定されていませんので
いつもはROMの方も書き手になってみてください。

1)主人公は旅の扉を使って新しい町へゆき、冒険し、また次の町へ 旅の扉から旅立ちます。
冒険中の行動を全て書き手さんが決めても、途中にゲームブック風選択肢が登場しても構いません。
ただし、冒険の最後の旅の扉の行き先だけは複数の選択肢を用意してください。
2)次に書く人は、どの選択肢を選んだか明記して進めてください。
書き手以外の人が希望を書き込む事も可能ですが、その希望に沿って進むかどうかはわかりません。
3)書き手は選んだ選択肢以外については、書く事ができません。以前の選択肢に出たのに選ばれなかった場所を再び選択肢に出す事は可能ですし、過去に行った場所の事を思い出す、等はOKです。
例:A、B、Cの中からAに行ったとしたら、B、Cに行った場合の話をAの中で書くことはできません。
4)基本的にはひとつの冒険をひとりで書いた方がやりやすいように思いますが、
  途中で書き手が交代してもOKです。
5)旅の扉が出た時点で、次の書き手さんに交代します。書き手希望者がいない場合は続行もOKです。
6)ドラクエ世界の中なら、どこへ行っても構いません。アリアハンの次にフィッシュベルへ飛ぶ等もアリです。
☆簡単Q&A☆
Q:短編って何レスまで使っていいの?
A:今の所、レス数制限は特にありません。
Q:エロはなし?
A:話の流れ次第ですが、エロで続けるのは禁止です。1レスでやめてください。
Q:これ、いつ終わるの?
A:皆で書きながらエンディングを考えましょうw
Q:感想とか希望とか書き込んでいいの?
A:是非書いてください。皆で楽しく進めようYO!
Q: トルファの出ないSSをこのスレに書いてもいいの?
A:ぜひぜひ!ただし、混乱するので、最初にタイトルを決めて、明記しておいてください。
 現在、『華龍光臨』のみが連載中。
3諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/10/11 02:14:44 ID:m4AFkLV9
■プロローグ

旅の扉。特殊な魔法で2箇所をつなぎ合わせた、トンネルのような移動手段だ。今では旅の扉を作れる者は
いないと言われ、既にあるものを利用するしかないが、旅をする者には1つの道として重宝されている。
旅の扉がどこにあるのかは、多くの冒険者によって世界中から報告され、数年前からその地図も売られており、
旅行感覚で旅をする者も増えてきた。今や「冒険者」と言えども命を賭した戦いの場などない。それは平和の
証だが、冒険者にとってひどく退屈な事でもあった。
 暇を持て余す冒険者の間に、最近流れ出した噂がある。赤い旅の扉。一見すると色が違うだけの旅の扉に
見えるが、入り口と出口はつながっておらず、入ったが最後引き返す事はできない。世界のどこにもつながって
おらず、どこにでも行けるがどこに行くかはわからない、そんな物があると言うのだ。噂を聞いた冒険者達は
久しぶりの未知に沸き立った。君も冒険の旅を夢見るならばわかるだろう、どこにでも行けるがどこに行くかは
わからない、その危険がどれほど心を震わせるか。多くの冒険者が旅先でその話をし、瞬く間に噂は世界を駆けた。
 多くの冒険者が旅立ったが、その幻の旅の扉を見つけたという話は全く無い。やはり噂に過ぎなかったのだと
言う者も多く、流行りが過ぎて人々の関心が薄れても、トルファはまだ探し続けていた。彼がそこまで探し続ける
理由は誰も知らず・・・いや、もとより冒険者にとっては旅に理由など必要ないのかも知れない。今夜は宿を
取れず、野宿していたトルファが夜空を見上げていると、目の前の空間が赤く裂けた。驚いて剣を構える
トルファの前に、赤い亀裂の中から一人の男が現れ言った。
「これがお前の探している旅の扉だ。一度これを通れば、時が来るに従い扉の方からお前のもとに現れるようになる」
 呆然と見ていたトルファが我に帰ると、男は既に姿を消していた。
 あの男が何者なのか、何故自分にこの扉を届けにきたか解からないが、求めていた旅の扉がここにあるのだ。
トルファは赤い旅の扉に飛び込んだ。直後視界がゆがみ一面が赤一色になる・・・
頭の中に響く声に従って扉を抜けたとき、トルファの前に見知らぬ世界が広がった。

4諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/10/11 02:17:55 ID:m4AFkLV9
■これまでのあらすじ

第一の扉 〜レヌール城の宴〜

扉を抜けたトルファの目の前に、荒野に寂しくそびえる古城の姿があった。
そこで、トルファはブーンと名乗る一人の魔法使いと出会う。『光の玉』を求める
この不気味な男に、何故か共感をもったトルファは、男に協力して城内の探索を
開始した。次々と襲いくる亡霊の妨害、鎧の騎士との死闘を経て『光の玉』を
手にしたトルファを待っていたのはブーンの裏切りであった。
 ブーンこそが真の魔物だったのだ。気が付けば、呼び笛に導かれた魔物の軍団が
レヌール城を囲むように迫り、逃げ場はない。魔物の手助けをしたことを歯噛みして
悔しがるトルファに向けてブーンの必殺の呪文が放たれる。
 虚を突かれた形となったトルファ救ったのは、王妃ソフィアと国王エリック。
二人の亡霊であった。王妃ソフィアが身を挺してトルファをかばい、国王エリック
が、『光の玉』を自分たち夫婦の墓所に隠す。全てを見届けた後、
トルファは迫り来るモンスターの集団から逃れるべく、テラスに身を躍らせた。
自嘲の笑みを浮かべて大地に叩き付けられるのを待つトルファを、赤い渦が飲み込んだ。

5諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/10/11 02:19:16 ID:m4AFkLV9
第二の扉 〜アッテムト〜

アッテムト。そこは、かつて死と荒廃に満ちた鉱山町であった。
町を覆うように鉱山から噴き出すガス。毒の沼地の毒気。
 しかし、今この町を覆うものは人々の陽気と幸せそうな笑顔。
そこで、トルファは一人の男の懺悔を聞く。
6諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/10/11 02:20:27 ID:m4AFkLV9
 第三の扉 〜ラダトーム “竜の一族”〜
赤い旅の扉を抜けた先にそびえるは、ラダトームの城。
地下世界アレフガルドを治める大国の首都だ。「竜王の島に異変有り」との報に
国中が恐怖に涌くなか、トルファは訪れた。探索隊で出会った頼もしい男達、
イシュタル島に新たな魔王となるべく天界から降臨した成竜の息子。数奇な縁に
導かれて出会った人と天界の住人の結束を前に、竜王二世は地に伏した。
探索隊の面々が勝利の喜びと興奮にかられるなか、呼び止める声を軽くいなして
トルファは一人背を向けて歩き始めた。竜王の島から虹の橋へと一歩踏みだしたとき、彼を
おなじみとなった赤一色の空間と、友誼を結んだ竜族の若者が待っていた。

 精霊の加護に守られたこの地で繰り広げられた冒険は、トルファが体験した数多い
冒険のなかで、代表的なものの一つとして数えられている。
7諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/10/11 02:25:17 ID:m4AFkLV9
 第四の扉 〜 ルプガナ “丘に咲く曼珠沙華の花” 〜

赤一色の空間をわたって、人となった竜族の若者は旅立っていった。
竜の血をひくことになる自分の子孫のために街を作ると言って……。
また一つ小さな別れを繰り返し、トルファは港町ルプガナに立った。
そこで出会ったスイと名乗る謎の美少女を通して、トルファはアレフガルドに
残る悲話の体験者となる。野望のために魔物にまで成り下がったスイの父・ムーンブルクの
国王を討ち果たした後、トルファはスイと別れ、血のような花を咲かせる曼珠沙華の丘から
新たな見知らぬ地へと旅だった。

以下、第五の扉 〜イシス 風と砂の狂想曲(仮)〜 へ
8諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/10/11 02:27:25 ID:m4AFkLV9
初代スレが読みたいという方はこちら。
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1029930091/
http://ruku.qp.tc/dat2ch/0401/25/1029930091.html (ミラーサイト)
9名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/11 09:35:03 ID:d7qfqVLy
>>1
乙でした!
10諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/10/11 15:38:08 ID:m4AFkLV9
…今度は落としたくないんだが大丈夫なのだろうか?
不安になってる…

気合入れて書かないと。
11DQVwithW:04/10/12 00:00:39 ID:f50ut/wL
とりあえずスレ繁栄を願って文章投下。
やっつけで申し訳ないですが・・・
12DQVwithW:04/10/12 00:01:51 ID:f50ut/wL
<前スレのあらすじ>
ユーシャは父親の仇である大ナメクジを退治する気はなかったが
マーニャに半ば拉致される形で冒険に出て今はいざないの洞窟。

ユーシャ(16):Vの勇者で主人公
マーニャ(29):あのマーニャ

<その後の導かれし者たち>
ライアン:幼女に悪戯をしようとして服役中
アリーナ&クリフト:離婚調停中
ブライ:心労のため入院、危篤状態
トルネコ:トルネコの冒険で一発当て大富豪化、トルネコ財団の創始者
マーニャ:OLを退職し、Vの世界にてユーシャと旅に出る
ミネア:5年前に結婚、一児の母
勇者:体重倍増、毛髪危険、無職ひきこもり、趣味はエロゲー
13DQVwithW:04/10/12 00:02:57 ID:f50ut/wL
旅の扉を抜けると、そこはロマリアだった。
城下町に入るなり、マーニャさんが言いました。
「そんじゃ、ちょっくら行ってくるわ」

ああ、そういえばここってモンスターの闘技場があったっけ。
僕はしばらく沈黙し、そしてマーニャさんに言いました。
「グッドラック!」
「わかってんじゃない。あんた」
いえ、メラゾーマ喰らいたくないですから。

全財産を持ち、颯爽と街中に消えるマーニャさん。
一方、僕はそのままロマリアのお城に行きました。

僕は兵士に止められることもなく、すいすい城の中を歩いていきます。
大丈夫なんですか? こんな簡単に王様の場所まで来ちゃって。
僕、一般人なんですが。

「ああ、ユーシャ君だね。アリアハンの王様から聞いてるよ」
「そうですか」
「大ナメクジを退治するんだって?」
いや、あの、それって勢いで書いちゃったやつだから。
あんまり引きずられても困るんですよね。

「まあ、頑張れや」
そこは同じかい。
14DQVwithW:04/10/12 00:04:28 ID:f50ut/wL
城の外に出ると、顔面蒼白になったマーニャさんがいました。
「ああ、あそこで、あそこでフロッガーが来るなんて!」
要するに、負けたんですね。

「じゃあ、今日は野宿しますか?」
「いえ、責任ぐらい取るわよ。待ってなさい、がっぽり稼いでくるから!」
そう言うと、マーニャさんはお城の中に入っていきました。
何か嫌な予感がします・・・。

夜になりました。
お城の門は閉められ、人通りもなくなってます。
僕は、木の枝でひたすら蟻を潰しながら、マーニャさんを待ちました。

あれ、何か城壁の上に人影が・・・
人影がロープを投げます。それは近くの木に引っかかりました。
そして、そのロープをすいーっと伝ってきます。マーニャさんじゃないですか。
キャッツアイも真っ青ですわ。いっそのこと転職しろよ。

「ユーシャくん、やったわ。お姉さんやったわよ!」
大きな袋を担ぎながら、マーニャさんが言いました。
何か、所持金表示がバグってます。
いくら盗ってきたんだ、あんた。
15DQVwithW:04/10/12 00:07:46 ID:f50ut/wL
ちなみにこれは>>2-7の連作短編ゲームブック方式じゃありません。
全くの別モノです。ひょっとしてスレ違いでしょうか?
16華龍光臨:04/10/12 00:10:53 ID:Y+VnQdwq
いえ、問題ありません。

Q: トルファの出ないSSをこのスレに書いてもいいの?
A:ぜひぜひ!ただし、混乱するので、最初にタイトルを決めて、明記しておいてください。

です
17華龍光臨:04/10/12 00:12:27 ID:Y+VnQdwq
ゆっくりとからくりの兵が進軍してくる。
城にはもはや僅かの兵しかいない。
そのほとんどが傭兵で本当にやばくなったら逃げ出してしまおうという者たちだ。
城門に陣取るは桃園三兄弟と趙雲。
アルスたちは城門の上で連弩を構える。
肉薄するまで劉備たちも弓を引く。
「できることをすべてやりつくすのだ。」
「おうよ、その後大暴れだ。俺が五百、雲長兄者が五百、趙雲が五百くらいでカタがつきそうだな。」
「翼徳、私の分はないのか?」
「あ、元徳兄は…」
「各三百七十五でよいな、翼徳?」
「そうですな。それなら均等ですな。」
弓を打ちつくす前にからくりの兵が肉薄する。
矢筒を城壁の上に放り投げ剣を抜く。
そして、一閃。

戦闘開始して15分とも経っていないだろう。
城内には通じてない兵舎と会議室には生存者は既にいない。
場外で戦っていた者も地に伏しているか、既に堀を渡って城内へと非難した。
必至でかき集めた矢も底を着き、孫尚香の指示の元、灯り用の松明を投げつけている。
そして、唯一の通路である橋のうえで、四人は陣取っていた。
「よっしゃ!100匹斬り一番乗りだ!」
「さすがだな、翼徳。」
渾身の一撃でからくりの兵を殴り飛ばす。
装甲を破壊されたからくりの兵は複数のからくりの兵を巻き込んで動かなくなった。
だが、沸いているというかのごとく次々と迫る。
徐々にからくりの兵で堀は埋められていき四人を囲む包囲網は狭まっていく。
城壁の上の射手も必至で油を撒いて、火をかけて援護するものの数は一向に減らない。
城前は火の海と化し、それでもなお恐れずに向かってくる。
恐ろしき、からくりの兵。
18華龍光臨:04/10/12 00:14:12 ID:Y+VnQdwq
…否、からくりは操られるだけ。
恐れも何も知らない。ただ、操られて進んでくる。
もし、善良なる民の手に渡ったとしたら。
ゼボット氏のような優秀な技師の手に渡ったとしたら。
どれほど、幸福なのだろうか…
…だが、民はどうしてからくりを憎まずにいられようか。
説明すれば納得するやもしれない。
表面上は。
だが、現に目の前で家族を、友人を、恋人を殺されて冷静でいられるものか。
ならば、ならば。
この悲しき環を、断ち切るために。
今は、からくりと戦うのみ。
からくりの一撃を素早く避け、一撃を見舞う。
「押し返すぞ!」
「おうよ!兄者!」
一歩踏み込んでさらに一撃。切り捨てた。
劉備は民を憂う。
しかし、それだけでは救えはしない。
行動を起こさない限り、決して成果はついてこない。
それを知っている。
19DQVwithW:04/10/12 19:16:28 ID:6agRvqno
その夜、マーニャさんはホテルのスウィートに泊まりました。
ええ、僕は一般客室でしたが、何か?

朝です。何となく胸騒ぎがして、僕は外に出ました。
人気のない広場に、昨日までなかった立て札が立っています。
『昨夜、何者かによって金の冠が盗まれた。取り返した者には恩賞を取らす』

「おっはよ〜!」
背後からマーニャさんの声が掛かります。
「あら、何、これ?」
「あの・・・、マーニャさん」
「なぁに?」
「その、頭にかぶってる金色の冠は何ですか?」
「これ? 綺麗でしょう。昨日お城で見つけたの」
僕は黙って立て札を指差します。
「・・・・・・」そのまま笑顔で顔を見合わせました。

「ユーシャくん、確か北に村があったわよね?」
「カザーブ・・・でしたっけ?」
「そこでコレ、売りさばきましょう。ここじゃ足がつくわ!」
「・・・・・・」
早朝、僕たちは逃げるように、ロマリアを後にしました。
20DQVwithW:04/10/13 00:21:18 ID:P61pBkEH
「どうして、どうして売れないのよ!?」
叫びながらマーニャさんは、金の冠を地面に叩き付けました。
そりゃ、まあ、イベントアイテムですから。
「売れないんじゃ、こんなの持ってても危ないだけじゃん!
 拾ったとか言って、ロマリアの王様に返してこようかしら?」
「捕まると思いますが」
「・・・そうよね、普通疑われるわよね。えーい、捨てちゃえ!」
(それを捨てるなんて、とんでもない!)
どこからか、不思議な声が響いた。冠が自動的に戻ってくる。

「誰だぁ今"とんでもない"とか言った奴! 出て来い、勝負しちゃるわ!」
マーニャさんは空を指差し、なんやかんやわめき立てています。
お願いだから黙ってください。お姉さん、今、周囲の注目を独り占めですよ。

僕たちはとりあえず冠を袋にしまい、情報を集めることにしました。
『この辺はカンダタって大盗賊が幅を利かせてるぜ。
 奴は今、シャンパーニの塔を根城にしてるって話だ』
それを聞き、マーニャさんの瞳が妖しく輝きました。
しばらく歩いてからマーニャさんが言います。
「ユーシャくん」
「はい?」
「この冠、さっき聞いたカンダタって奴が盗んだことにしましょう」
「・・・はあ」
「あたしたちがカンダタをやっつけて、冠を取り返したことにするのよ!
 そうすれば、罪も消えるし、褒美も貰えて一石二鳥じゃない。あたしって頭いい〜♪」
脳みそのどの辺からそーいう悪知恵が湧くんですか?
この人は、一度死んで人生やり直したほうがいいと思います。

「それじゃ、善は急げってやつね。レッツゴー!」
マーニャさん、それは善じゃない。善じゃないですよ・・・。
そんなわけで、僕たちはシャンパーニの塔を目指すことになりました。
21DQVwithW:04/10/13 00:36:51 ID:P61pBkEH
>>16
遅ればせながら、dクスでした!
22名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/13 17:41:49 ID:sSYDYX/k
age
23DQVwithW:04/10/16 01:51:41 ID:7896zfDS
カザーブの西にシャンパーニの塔はある。
広大な草原。果てしなく広がる大自然の中、ただひとつぽつりとそびえる異物。
果たして誰が、何の目的でこれを建てたのか。それは誰にもわからない。
ちなみにロマリア王国の重要保護文化財に指定されている。
ユーシャとマーニャはその下に立ち、そびえる塔を見上げていた。

「高いわねぇ・・・」
ポカンと口を開けながら、マーニャさんが言います。
「ここにカンダタって奴がいるんですね」
「そうねぇ・・・だけどこれは、面倒よねぇ・・・」
そう言うと、マーニャさんは袋をゴソゴソし始めました。
「パカパパッパパー! 魔法の筒〜♪」
そ、それは・・・いざないの洞窟の壁を爆破した、ダイナマイトじゃありませんか。

「これでカンダタ一味も一網打尽ね」
「・・・いや、それは、何というか・・・ストーリー的にどうなんでしょう」
「あんた、ちまちま塔を登るつもり?
 ストーリー展開の遅さに、住人も離れていっちゃうわよ!」
「てか、住人云々以前にこのスレ、僕ら以外に人の気配がしないんですが」
「・・・・・・」
ダイナマイトを仕掛けて、僕たちは塔を離れます。
しばらくすると轟音が響き、塔が凄まじい勢いで崩れ始めました。
まるで積み木崩しのように、あっという間に塔は崩壊します。
跡には煙とともに瓦礫だけが残りました。
24DQVwithW:04/10/16 01:54:32 ID:7896zfDS
僕たちは瓦礫の中のカンダタを探し始めます。
でっかいイモ虫とか、ドラキュラっぽいおじさんとか、カニがいました。
ごめんなさい。真面目に戦わなくて。
でも、あなたたちのお陰で、僕のレベル一気に3上がりました。

「ユーシャくん、こいつじゃない?」
僕はマーニャさんの方へ駆け寄ります。
そこには瓦礫に半ば埋もれたオッサンがいました。かろうじて生きてます。
「あんた、カンダタ?」
「う、うぅ・・・、俺は違う。俺は、カンダタの、子分・・・だ」
「あら、そう」
マーニャさんは非情にも、すぐに別の場所を探し始めました。
オッサンはすがるような声で言います。
「い、痛い・・・、ホ、ホイミを・・・」
すみません。僕、ホイミ使えますが、オッサンのためにMP消費したくありません。
僕もマーニャさんの後を追い、違う場所の探索に入りました。
25DQVwithW:04/10/16 01:56:11 ID:7896zfDS
「いないわね」
「いませんねぇ・・・」
「しょうがないわ。倒したことにして、このままロマリアへ・・・」
その瞬間です。突如地中から伸びた手が、マーニャさんの足を掴みました。
瓦礫をかき分けて、巨大な男が姿を現します。
顔をすっぽり覆うマスク。着衣はマントとブリーフだけ。熊のような大男です。
男はおもむろにマーニャさんを地面に叩き付け、そして笑い声を上げました。
「キャアァッ!」悲鳴を上げながらマーニャさんが転がります。

「ガハハハハ、貴様らが来ることは知っていたんだがな、
 まさかこんな奇襲を仕掛けるとは。このカンダタ様でも予測がつかなかったわ!」
格好は明らかな変態ですが、体力も変態じみてます。
塔の崩壊の渦中にいたというのに、ダメージを受けた様子がありません。
「以前の俺ならやられていた。でもなぁ、俺は生まれ変わったのよ!」
カンダタは落ちている巨大な斧を拾い上げ、そしてまた豪快な笑い声を上げます。
やばいです。ピンチです。マーニャさんは気絶してます。
マーニャさん、カムバーック!!
26名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/16 15:28:43 ID:LAijA3IF
>「てか、住人云々以前にこのスレ、僕ら以外に人の気配がしないんですが

|д゚) ソンナコトナイヨーイツモタノシミニシテルヨー
|д゚) ガンバッテー
27DQVwithW:04/10/16 19:05:31 ID:wNrrk+PU
|∀`) アリガトー、ジュウニンヲ カクニンデキテ ウレシイヨー
|∀`) ガンバルヨー
28華龍光臨:04/10/16 19:53:16 ID:McNJo6Lj
http://ruku.qp.tc/dat2ch/0410/12/1066825290.html
前スレミラーサイト。

ルクダル氏には感謝
29DQVwithW:04/10/16 23:08:34 ID:yvAg8kuy
目の前に、カジノのスロットがあった。
わけがわからん。でも、とりあえずやる。それがギャンブラーの習性。
あたしがレバーを倒すと同時に、背後から声がかかった。

「姉さん、またこんな場所にいたのね!」ミネアの声だ。とっさに振り向く。
「いい加減にしてほしいわ。いくらお金を遣えば気が済むのよ!」
確かにミネアだ。ミネアなんだが・・・若い。10年くらい若返っている。
「あんた、どうしちゃったの? ひょっとしてエステ?
 どこのエステに通ったのよ。教えなさいよ、あたしも通うから!」
「何言ってるの?」
不思議そうに問い返すミネア。
その背後に、ひとりの少年がいることに、あたしは気付いた。
視線が合うと少年は気弱そうにペコリと頭を下げる。
「あ、姉さん。紹介するわね。この人は・・・」
「勇者」
「あら、もう知り合いだったの?」
驚いた顔で、ミネアはあたしと勇者を交互に見る。
勇者は「いえ、知りません」と、慌てて首を振っていた。
30DQVwithW:04/10/16 23:09:36 ID:yvAg8kuy
勇者も・・・若い。
そうだ、初めて会った時はこんな感じだった。
ほっそりと貧弱な体。いや、実際に弱っちかった。
戦闘でもお荷物で、あたしやミネアの後ろに隠れてた。
でも、すぐに強くなったよね。誰にも負けないくらい、強くなった。
最後の方になると、逆にあたしがお荷物になって、勇者の背中に隠れてた。

「姉さん、行きましょうよ!」
階段の方で、ミネアと勇者が手を振る。
あたしは歩き出そうとしたけど、立ち止まった。
「ごめん、行けないや」
「どうして、まだ遊び足りないの?」
「違うよ。これは・・・夢だから。現実じゃないから・・・」
ゆっくりと、カジノの風景がねじれ、歪んでゆく。
「どうしたのよ。気分でも悪いの?」
「違う、違うよ。できればあたしも、あんたたちと一緒にいたいけどさ・・・」
周囲は真っ黒な空間に変わっていた。遠くの方にミネアと勇者が立っている。

「でも、あんまりいると、覚めた時につらいじゃん」
そこで、すべてが弾けた。
31DQVwithW:04/10/16 23:11:11 ID:yvAg8kuy
視界に入るまぶしい光。太陽をバックに、ユーシャくんの顔が映った。
「よかった、気付いたんですね」
「・・・ええ」と、あたしは上体を起こす。
「僕、MP少ないもんで、あんまり回復できなかったんですが・・・」
立ち上がり、体を大きく動かしてみる。
多少の気だるさが残った。完全に回復はしてないようだ。
「ありがとう、充分よ」
そう答えるあたしの視線は、すでに目の前に立つ大男を捉えている。
マスクに、マントに、ブリーフ・・・こいつが、カンダタ?
これはまた痛いキャラだな。こんなのにやられたのか。
そう考えると無性に腹が立ってきた。

「ガハハハ、どうだ、回復できたか? ちゃんと回復しておけよ。
 死にぞこないに止めを刺しても、面白くないからな!!」
序盤の貧弱ボスキャラの分際で、言ってくれるじゃない。
こんなにコケにされたのは久しぶりだわ。すぐに後悔させてやる!
あたしはカンダタに向かい、走り出した。
32DQVwithW:04/10/16 23:15:08 ID:yvAg8kuy
>>28
|∀`)ノ アリガトー、カコスレヲタドッテ マトメテミタヨー

ヽ(´∀`)ノ ワーイ教発足
http://game.2ch.net/ff/kako/1024/10244/1024470060.html

ドラクエの小説スレッドパート1
http://ruku.qp.tc/dat2ch/0401/25/1029930091.html

ドラクエの小説スレッドパート2
http://ruku.qp.tc/dat2ch/0410/12/1066825290.html
33DQVwithW:04/10/18 20:37:33 ID:+NZOmeML
「メラゾーマ!」
燃え盛る灼熱の炎が、カンダタを包み込む。
カンダタを中心に、巨大な火柱が空に上がった。

「フン、あっけなかったわね」
あたしはユーシャくんを振り返る。
「さあ、行きましょうか、ユーシャ・・・くん?」
ユーシャくんは呆然とした顔で、あたしの背後を指差していた。
とっさに振り返る。そこには燃え上がる火柱。
その中心には、黒くぼんやりとしたカンダタのシルエットがあった。
(燃えて・・・いない? そんな馬鹿な!)
身を隠していたマントを、カンダタは大きく振り払った。
その瞬間、炎は弾け飛び、そして消滅する。

「ガハハハ、残念だったなぁ〜。
 このカンダタマントは攻撃呪文の破壊力を95%カット!
 お子様でも簡単に使える便利商品だ! ちなみに市販はしておらん!」
「なによそれ! そんなアイテムVにないじゃん! 反則じゃん!!」
「マーニャさん、それを言うと、ダイナマイトも反則ではないかと・・・」
「君は黙ってなさい!」
「・・・はい」
「フハハハ、今度はこっちからいかせてもらうぞ!」
カンダタが突進してくる。速い!
その巨体に似合わない俊敏さだった。
繰り出される戦斧を、あたしはすんでのところでかわした。
空中で一回転し、そのまま地上に降り立つ。
34DQVwithW:04/10/18 20:39:52 ID:+NZOmeML
「むう、なかなか素早いな」
「・・・・・・」
憎まれ口で返そうと思ったが、言葉が出なかった。
こいつ、強い。少なくとも後半の中ボスくらいの実力はある。
でも何故? こんな序盤にこんな奴が・・・!?
突進してくるカンダタに、再びメラゾーマを放つ。
「同じことだァー!」と、マントで身を隠すカンダタ。
しばらく炎は燃え上がるものの、マントを振り払うと炎は消滅した。

こりゃ、マズイわね・・・。
しかめっ面をしながら前髪をかき上げる。あたしは魔法使い。
魔法を封じられてしまうと、ただの運動神経抜群の美女でしかない。
あたしの非力な力では、こいつにマトモなダメージを与えられるかどうか・・・
こういう時に頼りになるのは、勇者やライアンだった。
だけど、あの時の勇者やライアンほど、ユーシャくんが頼りになるのか・・・
・・・あれ? ユーシャくん・・・?

ユーシャくんは木の陰に隠れて、ひたすら戦況を見守っていた。
「ギルバートか、あんたはッ! 隠れてないで戦いなさいよ!
 か弱い女の子が戦ってるっていうのに! 恥ずかしくないの!?」
「・・・か弱い?」
あんた、後で殺すわ。
「いい子だから戦いなさい」優しく言う。
「僕、レベル10ですから」素っ気ない返事。
「メラゾーマが欲しいのかなぁ?」
「・・・わかりました」
そう言うとユーシャくんは、木陰からカンダタに向かい、小石を投げ始めた。
わぁー、すごいねー。遊び人も真っ青な攻撃だねー。
「メラゾーマ!!」
あたしは付近の木々を焼き払った。
35名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/20 13:31:58 ID:SAoUdJrh
保守
36DQVwithW:04/10/20 21:49:54 ID:HAb33lt2
草原の中央部に積もった、膨大な瓦礫の山。
ぽつぽつと生える木々が、めらめらと燃えている。
そんな殺伐とした光景の中、両者は静かに対峙していた。

「ガハハハ、ほれ、次は貴様らのターンだ。好きに攻撃してこい。
 まあ、どう攻撃したところで、俺にダメージを与えられるとは思えんがな」
余裕しゃきしゃきで笑うカンダタ。むかついたあたしがユーシャくんに叫ぶ。
「ユーシャくん、GO!」
「え〜、でも・・・」
「さっさと行けッ!」
「はいっ!」
ユーシャくんは走り出し、カンダタに攻撃を始めた。
ポカッ! ポカッ! ポカッ!
何・・・、この音は?
見るとユーシャくんはひのきの棒で、必死にカンダタを叩いている。
しまった、もうちょっといい武器を買ってあげれば良かった・・・。
カンダタは上海ハニーを口ずさみながら、小刻みに踊っている。
ヤロー、なめやがって・・・
37DQVwithW:04/10/20 21:51:48 ID:HAb33lt2
おもむろにカンダタがユーシャくんを蹴飛ばす。
ユーシャくんは転がりながら、草むらの中へ消えていった。
「雑魚すぎて相手をする気にもならんわ。おい、そっちのお前。
 もう魔法は使わんのか? まあ、使ったところで結果は同じだがな」
「あんまり減らず口を叩いてると、後悔することになるわよ」
「ガハハハ、させてみろ! できるものならな!」
あたしは横走りをしながら、カンダタに向かいメラを連射する。
「フハハハ、下手な鉄砲も・・・ってやつか?
 しかしなぁ、メラごときでこの俺にダメージを与えられると思うか?
 こんなもの、我がパーフェクトボディの前では涼風に等しいわい!」
カンダタはマントを使うことなく、その肉体でメラを受け止めた。
命中したメラは一瞬燃え上がるが、その痕にはわずかなアザが残るのみ。
ダメージらしいダメージは、ほとんど与えていないといってよい。

「それそれ、どうした? もう終わりか?
 もっと俺を楽しませてくれよ。これで終わりじゃつまらんぞ!」
「じゃあ、そうするわ!」
あたしは連射するメラに混ぜて、一本のナイフを投げつけた。
それはカンダタの右ももへ、深々と突き刺さる。
「ぬっ!?」驚きの声を上げるカンダタ。その片膝が大地についた。
「これは・・・毒牙のナイフ!」
「ピンポ〜ン♪ どう? 楽しんでいただけたかしら?」
「きッ、貴様ぁ〜!」
うんうん、いいね〜。その怒りに満ちた声。それが聞きたかったのよ。
しかし毒牙のナイフで麻痺させられたのは、カンダタの右足のみ。
どうやら全身を麻痺させることはできなかったらしい。
だが、それで十分!
あたしは懐から、カザーブの町で拾った(盗んだ)毒針を取り出す。
これを急所に当てれば、さすがのカンダタも一撃で御陀仏よ!
メラゾーマを放つ。それをマントで防ぐカンダタ。
奴の視界が遮られた瞬間、あたしはすかさず宙に舞った。
38名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/21 01:33:12 ID:XUdGDHMw
読者ってどのくらいいる?
39名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/21 20:44:50 ID:mMfkTH3b
>38
ノシ
40名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/22 00:06:47 ID:gZYOkn79
ノシ
41名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/22 00:24:07 ID:fcmR2CkD
書き込む奴の3倍ぐらい
42DQVwithW:04/10/22 01:26:35 ID:zfdW5wYd
すまん、もしかしてスレ衰退してる?
不評ならキリのいいとこで自主打ち切りいたすorz
43名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/22 06:34:53 ID:zFaYq4HB
安心しる読者はいるレスがないだけ
感想っていうのも書くのがなかなかタイヘンものなのですよ
44鏡の中の群像 ◆kcqsUR3J8k :04/10/22 09:15:04 ID:f5iAPWm8
SS無くなったら、それこそ衰退してしまうしなぁ…
俺も楽しみに読んでいる人間の一人なんでぜひ頑張ってください!

45名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/22 09:16:52 ID:f5iAPWm8
ぎやー! 名前消すの忘れてたーー!! org
46名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/22 21:21:09 ID:bkE6qhWj
鏡の作者さんもここ見てたんだね
ここも双子スレも楽しく見させてもらってます
がんばってくださいね、応援してます
47 ◆kYB5EDmqco :04/10/23 13:42:36 ID:pcobuTHI
突然リアルが忙しくなったので、まだ時間がかかりそうだ。
48DQVwithW:04/10/23 16:51:10 ID:Au2tKOj7
りょーかい!がんばります〜!
49DQVwithW:04/10/23 19:16:28 ID:zZwyFXRC
カンダタがマントを振り払うと、炎は消滅する。
その瞬間、狙い通りその懐はガラ空きとなった。
心臓に向けて一直線に毒針を繰り出す。
すでにあたしは奴の懐に入りつつあった。
あたしは勝利を確信する。これから防御したんじゃ間に合わない。
しかし、カンダタは逆に懐を開き、その戦斧を天に掲げて叫んだ。
「雷よ!」
天を二つに引き裂くように、一筋の稲妻が走った。
それがあたしに直撃する。凄まじい轟音と衝撃。
あたしは悲鳴を上げる間もなく、気付けば大地に倒れていた。

「ガハハハ、狙いはなかなか良かったぞ。しかぁ〜し!
 このカンダタの斧は、道具として使うと雷を呼ぶことができるのだ!
 非常に危険なアイテムだから、お子様の目の届かない場所に保管してね!」
「そ、そんなアイ、テム・・・」
意識が朦朧としていた。しゃべろうにも、口がうまく回らない。
そんなあたしを満足げに見下げ、カンダタは言う。
「ほれ、俺のブーツを舐めろ。舐めたら命だけは助けてやらんでもないぞ」
「く、くせー足を、出すんじゃ・・・ねー、ウゥッ!」
カンダタはあたしの髪を掴み、その場に持ち上げる。
「生意気な口は慎めよ。俺がその気になりゃ〜、
 この場でお前を好きなようにすることもできるんだぜ」
げ、それだけはヤだ。
「しかしだな、俺のタイプは神取忍のような美女なのだ。
 お前のような貧弱な女には、全く興味はなァ〜い!」そのまま放り投げられる。
瓦礫に落下したあたしは、ごぷっと血を吐いた。
まずい、このままじゃ本当に死ぬ。
50DQVwithW:04/10/23 19:19:52 ID:zZwyFXRC
ぐらぐらと歪む視界の中に、瓦礫を踏みしめながらやって来るカンダタの姿があった。
その向こうに、草むらから這い出てきたユーシャくんが見える。
逃げなさい・・・と叫ぼうとしたが、声のかわりに吐血してしまう。
そのまま咳込んだあたしは、死を覚悟した。
「マーニャさん、奴にメラゾーマを!」突如ユーシャくんが叫んだ。
は? 何を言ってるのよ。散々打ち込んだじゃない。効かないのよ、こいつには。
「黙れ、雑魚が。貴様は後できちんと葬ってやる。静かに待っていろ!」
「マーニャさん、あきらめないで!」その声が、一瞬勇者の声と重なった。
あたしはカンダタに指を向ける。そして渾身の声で叫んだ。

「メラゾーマ!」灼熱の炎が放たれた。
「無駄なことを!」案の定、カンダタはそのマントで身を守る。
やっぱり無駄か・・・。そう思うと同時に、体の力が抜けていった。
視界もぼんやりとぼやけてくる。
カンダタを中心に燃え上がる赤。空の青・・・その青の中を、一本の何かが飛んでいる。
あれは、ダイナマ・・・いや、魔法の筒!
袋から魔法の筒を取り出したユーシャくんが、それを燃え上がるカンダタに向けて投げつけていた。
なるほど、カンダタマントは攻撃魔法の破壊力を95%カット。
ならば、物理的な爆発はどうなのか!?
魔法の筒は弓なりに空を舞い、やがて燃え上がる炎に吸い込まれるようにして消えた。
そして、凄まじい轟音とともに、周囲に爆風が吹き荒れた。
51DQVwithW:04/10/23 19:23:14 ID:FGrK45nP
地震すごかったね。新潟大丈夫かな?
生まれ故郷なのでちょっと心配・・・
52華龍光臨:04/10/24 12:33:30 ID:Nv06f7/I
橋を挟んでの膠着状態。
からくりの兵で埋まった堀を挟んで一瞬動きが止まる。
劉備たちも一瞬動きを止める。
「もう一度来るぞ!」
その声が合図となって再びからくりの兵が動き出す。
得物を構えて…一撃を受ける。
異変に気づいたのは二、三撃の攻撃を受けたときだった。
「…おかしい。」
動きに精細が無く、隙が大きくなった。
からくりには心理戦も撹乱も効かない。
しかし、周りを見渡すと訓練しつくされたような兵の動きは何処へやら。
あちらこちらへ移動してはたまた壁にぶつかっているもの、同士討ちまでし始めた始末。
「どうしたというのだ?」
「…!」
「趙雲将軍!待たせてすまなかった!」
背後から声が聞こえる。
「皆!遅くなった!しかし、これで勝てるぞ!」
ゼボットとトラッド。戻ってきたのだ。
そして、その横には金色に塗られたからくりの兵。
きっとあれが秘密兵器なのだろう。
待ちわびた援軍。ゼボットは劉備の要請に応じたのだ。
53華龍光臨:04/10/24 12:34:18 ID:Nv06f7/I
兵舎丸々一つを使って、簡易な研究所を作られた。
怪我している兵士も已む無く移動を迫られた。
ゼボットへの期待の表れだろう。
「このからくり兵は人間を殺すというプログラムを与えられている。」
所々からくりの専門用語が出るがわかるわけもなく。
「それを取り消して新たな命令…というのは適切ではない。」
兵舎にいるのは劉備たちとゼボットのみ。特別に許可された。
「人という感情に近しいものを取り付けた。」
「それがあの、「エリー」というものですね。」
識別のため、金色に塗られたからくりが中庭を闊歩している。
名をエリーというらしい。
「彼女の機能は敵のからくり兵に妨害電波を出して、からくり兵の行動の自由を奪う。それだけだ。」
電波というものはどういうものか知らないが、要するに計略を仕掛けて混乱させるということだろう。
「ゆめゆめ、無駄にからくり兵を壊すな。…手を加えれば人を助けることだってできるのだからな。」
「わかりました。ゼボット殿。」
「てぇ、なると…エリーで敵の足を止めて一気に元凶を断つってことだな。」
ぽりぽりと顔を引っかいて張飛が発言する。混乱しているなりに現状を認識したようだ。
「そうだ。それさえすればからくりを救うことにも、人間を守ることにも繋がる。」
「それでは、作戦会議にご出席願いたい。ゼボット殿。」
「フン。行くか。」
54名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/24 18:39:33 ID:uL9WgaIy
更新お疲れさまです!

>>DQVwithW
今までのギャグ中心もいいけど、最近のほどよくシリアスも混じった展開もいいですね!

>>華龍光臨
ついにフォロッド編も最終局面に入りつつありますな。続きに期待します!
55DQVwithW:04/10/25 11:06:49 ID:G0rGBmOy
>>54
|∀`)ノ トンキュー♪
56華龍光臨:04/10/28 16:46:51 ID:U/yRqGi4
作戦会議が始まった。
兵の疲弊具合からいって全軍で動くのは到底無理。
さすがにからくりの兵のアジトの最深部までは電波は届かないなど…
ならば、少数精鋭で一気に敵の技師を拘束。抵抗あるならば討ち取るなど。
そしてしばらくするとゼボットの姿が見えなくなっているということに気付く。
「すまない、少し席をはずすぞ。」

「…劉備。」
「そこにおられましたかゼボットどの。」
フンと悪態をつく。
「…共同墓地を作ったそうだな。それは何処だ?」
「ああ。案内しましょうかな?」
「いや、いい。それよりエリーの様子を見ていてくれ。誰かが何かするかもわからんしな。」
エリーを快く思っていないものも多く、破壊しようとするものも多い。
その都度トラッドの仲裁があって戻っていく。
心ではわかっていても、自分の未来のためであってもなかなか許せるものではないだろう。
今、トラッドは作戦会議中である。
「わかりました。」
孤独に慣れていたゼボットだ。
一人になりたいこともあるだろう。
劉備は快く引き受けた。
「…ふむ。このようにも変わることが出来るのか。」
目の前のエリーの姿形はからくりのそれと同じ。
心は勿論ないのだろうが…
今、エリーは間違いなく我々に尽くしている。
それだけは確信している。
57華龍光臨:04/10/28 16:48:28 ID:U/yRqGi4
「劉備殿。作戦が決まりましたぞ。」
「おお、趙雲。すまなかったな。」
作戦会議が終わったことだろう。
会議室からぞろぞろと兵が出て行く。
「やはり、少人数での潜入、そして敵技師を討ち取る。とのことです。」
勿論、ある程度からくりに明るいアルスも参加していた。
「エリーの妨害電波の範囲からしてかなりの数のからくり兵を黙らせることはできましょう。」
ゼボットとアルスの話し合いにより、常にからくりの兵に何らかの指示を出している装置があるという結論に達した。
勿論、この装置の破壊も行う。
「ところでアルス、我々が敵技師を倒し、からくりを操っている装置を破壊したとすると、残ったからくりはどうなる?」
「それは…わかりかねます。操り人形の糸が切れたようになるか。凧の糸が切れたようになるか…」
「そうか。いや、すまなかった。」
「いいって事よ。これでやっと攻め込めるんだ。腕が鳴るってもんだぜ!よし!景気付けに一杯酒でも飲んでくるか!」
「翼徳!飲みすぎてすっ転んだら赤っ恥だぞ!程々にな!」
それだけ言って足が厨房に向く。
「わかってるって、兄者!」

翌日、怪我人や一般民に見送られてフォーリッシュを発った。
作戦通り、エリーの撹乱によって混乱を引き起こした後、少数精鋭で敵技師を討ち取る。
これしかない。
これが最後の戦いになることを願って。
劉備たち精鋭部隊はからくり兵のアジトへと向かった。
58DQVwithW:04/10/30 08:20:25 ID:0ZnUkseW
吹き抜ける一陣の風が、舞い立つ粉塵を払い去った。
後に残ったのはこんがりミディアムレアなカンダタ。
彼はボフッと煙を吐き、その場に倒れこんだ。
しかし、さすがはファンタジーの世界。
あれだけの爆発を受けたというのに、カンダタのマスクとブリーフは何ともないぜ!
ただ、カンダタマントだけはボロボロになっていた。恐らく物語の都合なのだろう。

僕たちは袋に残った薬草で、HPを回復させました。
さっそくマーニャさんがカンダタに歩み寄ります。
「ホホホホホ、いいザマね。ほれほれ、
 あたしの靴を舐めなさい。舐めたら助けてあげるかもよ」
「フン、そんなことはできん。好きにしろ」なかなか潔い奴です。
命乞いをしないあたり、さすがは盗賊の頭といったところでしょうか。
その態度を見て、マーニャさんの顔に不満の色が浮かびました。
「生意気な口をきくと、ユーシャくんがあんたを犯すわよ」
ヘイ、ユー! 何言ってんの?
「フン、やれるものならやってみろ」
マーニャさんが僕に視線を送ります。
「・・・見たいんですか?」
「・・・・・・」マーニャさんは青い顔で首を横に振りました。
59DQVwithW:04/10/30 08:22:03 ID:0ZnUkseW
「ならば!」マーニャさんがカンダタに組み付きます。
「何をするッ!?」そのままカンダタのマスクに手をかけました。
「あんたのマスクを剥がす。そして素顔をネットで晒しちゃる!」
「う、うぉ! やめろ、それだけはやめてくれ〜ッ!」
マスクを引っ張るマーニャさんに、それに必死で抵抗するカンダタ。
あのマスクの下には何があるのでしょう。非常に興味が湧きました。
気付けば僕もカンダタのマスクを引っ張っています。
「やめッ、やめんか! 後悔するぞ!」
「ええ〜い、よいではないか! 減るものではなしッ!」
そこですぽんと、マスクが抜けました。

      ______   
     r' ,v^v^v^v^v^il 
     l / jニニコ iニニ!. 
    i~^'  fエ:エi  fエエ)Fi
    ヽr      >   V 
     l   !ー―‐r  l
 __,.r-‐人   `ー―'  ノ_
ノ   ! !  ゙ー‐-- ̄--‐'"ハ ~^i
 ヽ ! ヽ、_     _.ノ  i  \
ヾV /              ! /.入
From ドラえもん のび太のFFDQスレ より

その顔は、きれいなジャイアンでした。
ひときわ冷たい風が、木の葉を空に舞い上げます。
しばらくの沈黙の後、うつむき加減のマーニャさんがつぶやきました。
「・・・ごめん。何となくごめん。こんなオチでごめん」
「だ、だから取るなって言ったのにィィ〜〜〜!!」
カンダタは、号泣しながら走り去りました。
60名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/30 08:55:38 ID:8eynyaDz
Σ(´Д`; )ジャイアンか!!
61DQVwithW:04/10/30 19:50:25 ID:ABV0FL04
そんなこんなで、僕たちはロマリアのお城にいます。
結局カンダタは捕まえられませんでした。
代わりに捕まえたのはカンダタの子分。
僕たちは王様の前で、今回の出来事を報告しています。

「まあ、そーいうワケで、こいつらが金の冠を奪ったのよ」
「すんません、マジすんません」
子分にはとりあえず謝っとけという、マーニャさんのきつい指示が下されてます。
「なるほど、犯人は巷で噂のカンダタ一味であったか」
「まあ、要約するとそーいうことね」
「すんません、生まれてきてすんません。生き長らえてすんません」
何か子分さんの人格、半ば崩壊しちゃってますね。
「よし、こやつを牢に放り込め!」
ブツブツつぶやく子分を、兵士が引っ立てていきます。
「よくぞ金の冠を取り返してまいった。約束どおり恩賞を与える。
 しかしな、先日金の冠とともに莫大な資財までもが奪われ、
 我が国にはそちらに報いるだけの資金が不足しておるのじゃ・・・」
王様、王様、犯人は目の前にいますよー。
「そこで提案なのじゃが、どうじゃな?
 褒美として、わしに代わってこの国の王様をやってみるというのは?」
「え、いいの? マジで?」
「うむ、マジで」
「そんじゃ、遠慮なく」
そういういきさつで、マーニャさんはロマリアの女王様になりました。
ええ、僕、勇者なんですが、完全に存在無視されちゃってます。
向こうでは、立ち去る王様を大臣がつかまえ、何やら耳打ちをしてました。
「王様、よいのですか? あんな約束をしてしまって・・・」
「よいよい、王様とは案外退屈な職業なのじゃ。
 冒険者風情に務まるものではない。どうせすぐ音を上げるであろうよ・・・」
62DQVwithW:04/10/30 19:51:31 ID:ABV0FL04
「ほーっほっほっほほ!」
玉座にマーニャさんの高笑いが響きわたりました。
「さあ、あたしの靴をお拭き」
「はいはい・・・」
僕はマーニャさんのハイヒールを布で拭きます。
僕の職業は女王様の専属奴隷。
これはご褒美イベントの筈なんですが、
何か僕のランク、一般市民よりも下がってます。
そんな僕の思いをよそに、マーニャさんは大臣を呼び寄せて言いました。
「ねえ、思ってたんだけどさ。この国のギャンブル場って、ショボいよね」
「ですが、あの闘技場は世界でも最先端の・・・」
「スロットがないとギャンブル場とはいえないのよっ!」
「は、はあ・・・」
「スロット50台追加! あとカードゲーム。
 それにスライムのレース場も欲しいわね。手配しなさい」
「ですが、予算が・・・」
「税率上げればいいじゃん。兵士の賃金もカットしなさいよ」
「そ、それはさすがに・・・」
「逆らったら死刑にするわよ」
「は、はいっ! しばしお待ちを・・・」大臣は退出します。
すげえよ、あんた。暴君の素質たっぷりですね。
「あとはどうしようかしら? そうだわ、石原軍団を買収しましょう。
 それで王宮内にホストクラブを作るのよ。いい考えだと思わない?」
「せめてジャニーズ事務所にしましょうよ・・・」
「あんな若僧集団のどこがいいのよ?
 まあいいわ。ついでにそっちも買収しときましょう」
欲望まっしぐらですね。おぼっちゃまくんを彷彿とさせる浪費っぷりです。
それにこのまま放っておくと、この人、新たな魔王になりかねないと思います。
63DQVwithW:04/10/30 19:54:01 ID:ABV0FL04
翌日、玉座のマーニャさんの前では、ロマリアの(元)王様以下家臣一同が土下座してました。
「どうか、どうか先日の約束はなかったことに・・・」
「えー、約束じゃん。あたしを王様にするって言ったじゃん」
「そこを、そこを何とぞ・・・」
「やだ」と、マーニャさんは玉座で足を組み替えました。しばらく沈黙が続きます。
やがて王様が立ち上がり、額に青筋を立てながら叫びました。
「ええい、もはやこれまで! 者ども、力ずくで王位を奪い返すのじゃ!」
王様はもはや、水戸黄門の逆ギレ悪役モードです。
その叫びを合図に、百人を越える兵士さんたちが、一斉に襲い掛かってきました。
「ふふん、いい度胸じゃない。あんたたちなんかベギラマで・・・」
その瞬間、僕は背後からマーニャさんに組み付きました。
マーニャさんは驚いた顔で言います。
「ブルータス、お前もかッ!!」
ブルータスって誰だよ!?
「マーニャさん、いい加減にしましょうよ。
 僕たちの冒険の目的は、こんなことじゃないでしょう?」
「やだやだ、あたしは館ひろしの"泣かないで"を生声で聞きたいのよー!」
「ディナーショーに行け。ディナーショーに!
 そんな野望のために一国を乗っ取らないでください!」
そんなこんなの間に、僕たちは兵士に捕らえられてしまいました。
そのまま城外に放り出されます。

しばらく僕たちは呆然とお城を眺めていました。
やがてマーニャさんが城壁を蹴り付けながら言います。
「ちくしょー、いつかこの国にテポドン打ち込んでやる」
「物騒なこと言わないでください。できもしないくせに・・・」
「できるわよ。北の将軍様にお願いすればいいじゃん」
「そんな人物、この世界に存在しませんから」
「ああー、くやしーッ!」
マーニャさんはそう叫び、ひときわ大きく城壁を蹴り上げました。
日は西に傾き、風が冷たくなってます。
今夜は野宿を覚悟したほうが良さそうですね・・・。
64DQVwithW:04/10/30 19:55:26 ID:ABV0FL04
>>60力技ですまん!
65名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/31 10:23:37 ID:s4w1TnFS
北の将軍様ワラタ
あいかわらずおもしろいね
66名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/31 18:12:41 ID:dCx/iZrP
あげ
67DQVwithW:04/10/31 23:21:31 ID:zeYlNx2I
>>65
|∀`) アリガトー♪
68名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/03 21:18:43 ID:SSQiFOeT
ほっしゅ
69名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/04 14:10:02 ID:N+9Uoi7Z
70名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/05 08:27:25 ID:FMa7W4xl
クソスレ晒しあげ
71DQVwithW:04/11/06 20:27:43 ID:CnctSTW5
びゅうびゅうと容赦ない北風が吹き付けます。
「さ、寒ッ!」マーニャさんは叫びながらミンクのコートの袖を掴み、身を覆いました。
僕たちはカザーブの村からさらに北上し、ノアニールという町を探しています。
「本当にこんな場所に町なんかあるの?」
「カザーブでの情報ですから、間違いないと思うんですが・・・」
僕も言いながら不安になってきます。
通っている場所は、もはや道とは呼べない獣道。
この先に本当に人の住んでいる町があるのでしょうか。
聞けばカザーブとの連絡もこの数年ないらしく、モンスターに滅ぼされている可能性も大です。
やがて、前方を指差しながらマーニャさんが言いました。
「あ、あれじゃない?」
その先にある木々の合間、そこにはツタにびっしり覆われた壁らしきものが見えていました。

「・・・・・・」
ノアニールに到着した僕たちは、ただただ絶句しました。
草木は伸び放題。外壁や民家はびっしりツタに覆われ、人の気配は全くしません。
「どういうこと・・・ですかね?
 モンスターに滅ぼされちゃったんでしょうか?」
「まあ、そんなとこじゃない?
 とりあえずどこかに泊まりましょう。寒くて仕方ないわ」
膝丈ほどまで生い茂った草をかき分け、町中へと入っていきます。
程なくして、突然マーニャさんが悲鳴を上げて飛び上がりました。
72DQVwithW:04/11/06 20:29:04 ID:CnctSTW5
「ひゃあ!」
「・・・?」
「な、何か踏んだ!」
「わっ、これは!?」
それは道端に倒れこんだ人でした。
「し、死体!?」
「・・・いえ、この人・・・」
鼻ちょうちんを浮かべながら寝ています。気持ち良さそうな寝顔ですね。
時折『Oh,yes...Oh,yes』とか寝言をのたまってます。
「驚かすんじゃないわよ!」
マーニャさんがそのおじさんを蹴り上げました。
おじさんは数メートル転がります。だけどおじさんは眠り続けました。
すごいです。のび太くんを彷彿とさせる爆睡っぷりです。
「・・・いい度胸してるじゃない」
マーニャさんが懐から毒針を取り出しました。すかさず僕はマーニャさんを制止します。
「駄目ですよ、そんなの使っちゃ!」
「大丈夫よ、ちょっとちくちくさせるだけだから」
「いや、下手すりゃ即死ですから。やめてください!」
「ええーい、離せい! 天誅でござる!」
しばらく揉み合います。やがて、マーニャさんの力がふっと抜けるのを感じました。
ほっと胸を撫で下ろしている僕を尻目に、マーニャさんが呆然とつぶやきます。
「ユーシャくん・・・あれ」
「はい?」
その指差す先、そこにはおじさんとは別の倒れ込む人の姿がありました。
「あそこにも・・・」
そっちには同じく倒れ込む女性の姿。
「どうなってるのよ、これ!?」
73DQVwithW:04/11/06 22:41:35 ID:v/Y6Iic0
「メラ!」宿屋の暖炉に火が灯りました。
ちなみにここはノアニールの宿屋なんですが、宿の店主も宿泊客もみーんな眠ってます。
先程、外で見つけたおじさんやお姉さんもみんな寝てました。
要するに、この町の住人みんなが眠っているようです。
「でも、いったいどうして、みんな眠ってるんでしょうかね?」
「魔法みたいね。多分ラリホーの超強力版みたいなやつだと思う」
「そんな呪文、あるんですか?」
「あるんじゃない? 実際こうして住人がみんな寝てるんだし」
「適当ですね」
「・・・とにかく、明日はカザーブに戻るわよ」
「え、ここの住人は・・・」
「別にいいじゃない。苦しんでるわけでもなし、みんな幸せそうに寝てるんだから」
「でも、このまま放っておくのは・・・」
「あたしはねぇ、こういう陰気っぽい場所が大っ嫌いなのよ。
 そんじゃ、あたしはシャワー浴びて寝るから。ユーシャくんは隣りの部屋を使ってね」
僕は半ば強制的に、部屋から追い出されました。そのまま隣りの部屋のドアを開けます。
その部屋には、マッチョなお兄さんが全裸で寝てました。
無言のままドアを閉めます。そのまま僕は宿屋を出ました。

日が傾く中、近隣の民家を探索します。
ぶっちゃけ泥棒なんですが、
マーニャさんいわく『窃盗は勇者の特権』らしいのでノープロブレム。
とある民家のタンスから、皮の腰巻を発見。
今の鎖かたびらよりも守備力高そうでしたがスルーです。
だって寒そうなんだもん。風邪ひきますよ、絶対。
外に出ると周囲の暗闇がかなり深くなっていました。
住人があの状態なので、家に明かりを灯す人もいません。
僕は太陽が姿を消さないうちにと、宿屋への道を急ぎます。
その途中、不自然なものを発見しました。
「あれは・・・」
町の外れの方にある一軒の民家から、明かりがこぼれていました。
(起きている人が・・・いる?)僕は宿に帰るのも忘れ、そちらに歩みを進めました。
74DQVwithW:04/11/06 22:44:39 ID:v/Y6Iic0
「ごめんくださ〜い」ドアを叩きます。
ドタドタ、ゴッ・・・「あうちッ!」ガラガラガッシャン! ダダダダダ!
中で大きな音がし、ほどなく一人の老人が姿を現しました。
「あ、あんたは・・・!?」
「えーと、旅の者なんですが・・・その、この村って・・・」
「おお、あんたみたいなのを待っておった。
 とりあえず上がりなされ。カモン、カモナマイハウス!」
「え・・・」
強引に老人は僕を中へと引き入れます。
そして、聞きもしないのに町のことを語り始めました。
「この町はな、エルフ様の怒りを買ってしまったんじゃ。
 もう十年以上この町の住人は眠ったまま。どうか助けてくだされ!」
「え、十何年も・・・ですか?」
「うむ、ちなみにワシは出かけていたんで助かった」
「そーじゃなくて、あなたは十何年もここに・・・?」
「そうじゃよ。食べ物は自給自足。
 食べるかね? これは家庭菜園で取れた巨大シイタケじゃ」

そんなマタンゴみたいなキノコはいりません。
そーじゃなくて・・・それだけ時間があったんなら、自力で助けを呼ぶなり努力しろよ。

「エルフ様は西の森に住んでおる。頼んだぞ!」
「え・・・?」僕、承諾してませんが。
「頼んだぞ!」
「いや、だから・・・」
「頼んだぞ!」
何かエンドレスっぽいので、つい「はい」と答えてしまいました。
75諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/11/08 21:22:50 ID:6JkTnage
携帯からです。
公開Proxy規制にひっかかりました。
申し訳ありません。
76名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/10 05:12:15 ID:+7q/RZRn
あちゃー。
めげずに華龍光臨がんばってくださいー!
77名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/13 13:50:42 ID:ZuJA55nT
人いないな。
78名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/13 18:35:38 ID:FmymDUeT
test
79華龍光臨:04/11/15 21:39:09 ID:aiIoNXNH
空は晴れ渡っていた。
雨の一滴も降る様子もない。
まずは壊滅したフォーリッシュに赴く。
これからの進軍ルートに敵がいないか確かめ、敵の襲撃に備えるよう伝える。
即席の土塁が作成されていて多少の時間なら稼げそうだ。
また、使い物にならなさそうなからくりの残骸も重ねる。
そして。
「物見の報告によると現在、アジト入り口に大量のからくり兵が集結しているとのことです。」
急がねばならないがこれは逆に好機。
混乱の規模は大きければいい。
「よし、行くぞ!皆のもの!」

進軍途中。魔物による襲撃が二度あった。
からくり以外にはエリーは無力のため、全力で防衛した。
直に戦闘は終わったがかなり肝を冷やされた。
何せ、戦闘の都度にアルスとゼボットによって点検を行われるのだから。
元が戦闘用だからといって、新たに追加された機能はそうだとも限らないわけだし。
それでもし作戦が中止になったら未来はなくなってしまう。
だが、なんの問題もなく、進軍することが出来た。
そして、ついに、アジトへとたどり着いた。
80華龍光臨:04/11/15 21:41:24 ID:aiIoNXNH
「先の敗戦で大分痛手を受けていると見たが…」
そうとは感じさせない入り口付近の敵数。
「痛手を負っているからこそ、あれほどのからくりの兵を置いてあるとも取れますが。」
次の補給を待つ、ということか。
どちらにしろ相手はここにはやってこないとタカをくくっているに違いない。
「まず、我ら兵士とエリーが突撃し、エリーの妨害電波を発生させる。その後、趙雲将軍と劉備殿たちは突撃を開始してくれ。」
「くれぐれも無駄にからくりの兵は壊すな。いいな。」
「うむ。しかと承知した。」
トラッドは指示を出す。まずは注意をエリーに向けさせないようにする。
無論、絶対奥まで行かないよう、擂鉢状の台地には足を踏み入れさせずに大声を張り上げさせるのだ。
からくりの兵が動き出した。
擂鉢状の大地の一方にからくりの兵たちが偏る。
そこにトラッドとゼボットが反対側に現れ、エリーの妨害電波を発生させる時間を稼ぐ。
劉備たちも援護するが、援護の必要はなかったようだ。
ほぼ待つことなくエリーがその力を発揮したからだ。
効果の程は覿面。
一瞬でからくりたちは右往左往。壁にぶつかりながらも先に進もうとするもの、同士討ちを始めたもの。
先の戦いと同じだった。
「よし!後は頼むぞ!」
「これで、最後の戦いになるといいですね。」
「うむ。」
自分たちの戦いはこれからも続く。
だけど、少なくともここの民は戦乱から確実に解放される。
「突撃を開始するぞ!狙うは技師だけだ!」
龍が今、熱い咆哮を上げる。
81名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/18 10:20:04 ID:dkrzY3Z8
ストーリーなかなか進みませんね。スラリソさんがんがってー!
82華龍光臨:04/11/21 22:20:08 ID:zbGIB8zH
まず張飛が飛び降りる。
言われたとおり、向かってくるもののみ張り倒す。
そして次々と飛び降りる。
妨害はほとんどなく、潜入に成功した。
中は…
「むう、想像以上だ…」
見たこともないのは当然だが、想像をはるかに超えたものだった。
総鉄板張りの通路。
水らしき液体を入れてある巨大な容器。
未知の空間だった。
「エリーの妨害電波もここまで届いているとは限りません。気をつけていきましょう。」
「うむ。困ったときは頼むぞ。アルス。」
まだ入り口に近いからか動きのおかしいからくりの兵も多い。
しかし、やはり、動きが正常のからくり兵も見られる。
奥に行けば電波も弱まるに違いない。
まずは、奥へ行く階段を目指す。…が。
「階段がないとは一体どういうことか…」
階段がない。
行けど戻れど階段がない。
しばらく歩き回ってみると水路らしきものの先に階段が見える。
「なんだぁ。それじゃあ、渡っていけばいいじゃねぇか?」
張飛が今にも飛び込もうとした瞬間。アルスが制する。
「ちょっと待ってください。危険かもしれません。」
「どういうことだ?」
アルスが壊れたからくりのパーツを放り込む。
すると見る見るうちに溶けてなくなった。
「毒泉?」
成都のはるか南、南蛮の地に毒泉のあるということを聞いたことがあるが…
足を踏み入れたらひとたまりもない。
「なんじゃこりゃ?!これじゃあ、さすがに無理だぜ…」
「こっちです、らしき装置を発見しました。」
83華龍光臨:04/11/21 22:22:12 ID:zbGIB8zH
「これか?」
見たところなんかの台に見えなくはない。
「これなら全員乗れそうですかね?」
アルスが側の機械をチェックし始める。乗るということなのでとりあえず乗ってみる。
キーファに指示を出してとあるレバーを下げさせる。
レバーを倒した刹那。ガタンと大きな音がして台が下がり始めた。
「ぬおっ!」
突如起こった変化に思わず声を上げる。徐々に見える階下の景色。
「すげぇなあ、兄者。」
「うむ。敵ながらこれは感嘆せずにはいられないな…」
エレベーターが折りきる前に飛び降りて構える。
直に迫ってくるからくりの兵。
妨害電波にはかかっていないようだ。
敵が振りかぶる隙を与えずに張飛が強烈な拳を見舞う。
「兄者。急ぎましょうぞ。」
関羽が他のからくりの兵の攻撃を流して足を狙った一撃を見舞う。
周りを眺めて明らかに電波の影響を受けていないからくりが多い。
襲い掛かってくるからくりだけを蹴散らし、道を塞ぐからくりも倒す。
最初の施設はからくりの兵の待機所だった。
油断なく構えているとアルスが口を開く。
「大丈夫です。動力系統が動いてないようです。」
「?」
「要するに動くための力がないといえばいいんでしょうか。とにかく安全ですよ。」
眺めると二百だろうか。とにかく数が多い。
これを次に投入する予定だろう。
「ここには技師はいない模様です。他のところにいるものかと…」
「そうか。」
動かないのならば倒す必要もない。
すぐに離れることにした。
84名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/24 19:25:04 ID:895kInSZ
hosyu
85名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/26 16:56:10 ID:z1sw4OBf
保守
86華龍光臨:04/11/27 00:31:59 ID:ibbrZl66
同じような整備の部屋ばかりが目立つ。
ここでは生産が行われていないという情報に狂いはなかった。
他にはからくりの部品の予備か何かだろうかが山積みされている部屋。
技師が使っているだろう私室などがあった。
そして。
「残るはそこだけだ!一気に突破するぞ!」
道を塞ぐ妨害電波にかかっているからくりの兵が襲い掛かってきた。
精彩を欠く動きでもたつく合間に張飛の鉄拳粉砕。
蛇矛を振るう必要もない。
「うおおおおおお!!!!」
むんずとからくりの兵を掴んで奥へと放り投げる。
「な!何事だ!」
奥から声が聞こえた。間違いない。敵技師に違いないだろう。
「民を脅かす悪党め!覚悟せよ!」
劉備が一番に部屋に踏み込む。
祭壇の上に敵技師がいた。他にいるのは護衛のからくりの兵のみ。多少動きが怪しい。
恐らく妨害電波にかかっていることだろう。
「兄者が出るまでもありませぬな。関雲長がお相手いたす!」
「あんまり強くなさそうね。私でもやれたかも。」
一歩出遅れた孫尚香が舌打ちをした。横でマリベルが同意している。
「どうやってここまでやってきた…!?大量のからくり兵を配置していたはずなのに。」
相手がぐっと得物の鉄球を構える。それを合図にからくりの兵が関羽に飛び掛かる。
「遅い!」
素人目では普通の動きとさほど変わらず見えることだろう。
しかし、数多の戦場を潜ってきた猛者にとってはまるで止まって見える。
紙一重の間合いで一撃をかわし横一文字に一閃。
目にも止まらぬ早業に瞬きするまもなくからくりの兵は吹き飛ばされた。
「な、どうしたということだ!何故、私の指示通りに動かぬ!」
何か指示を出したのだろうが思うどおり動かなかったのだろう。
だが、にやりと笑って豪傑振りを示すように獲物の鉄球を振り回す。
一般の技師とは違い手練の戦士でありそうだ。
87華龍光臨:04/11/27 00:33:55 ID:ibbrZl66
だが、相手が悪すぎた。
繰り出される鉄球。
迎え撃つ青龍偃月刀。
鉄球が真っ二つになる。
刃が伸びたかのごとく衝撃波が技師を直撃する。
まさに一瞬の出来事。
技量の違いを痛感させられたことだろう。
「…まだ、息があるな。」
衝撃波で吹っ飛んだ技師は強かに壁に打ち付けられて息も絶え絶えだ。
もはや助からないだろう。
「貴様ら…このマシンマスターをここまで追い詰めるとはな…」
「覚悟するのだな。民を苦しませた報い。その身で受けるがいい。」
剣先をマシンマスターに突きつける。
「くっくっくっ…はっはっはっ!」
「何がおかしい?」
「気でも触れたか?」
「もはや、こうなってはどうとでもなるがいい!この地が破壊されようが知ったことか!」
マシンマスターが叫ぶ。それと同時にアジト内を激しい揺れが襲う。
「!」
「地震か!」
それにしては突発過ぎる。
「何かまだ策を隠していやがったのか!」
そういうことだろう。
「劉備さん!脱出を!何かからくりを繰り出すつもりのようです!」
「そのようだな。ここで生き埋めになるわけにはいかん。」
彼の地へ帰るまでやられるわけにはいかない。
守るべき民を残したまま斃れるわけにはいかない。
「なんとしてでも脱出するぞ!」
「おうよ!大地を抉じ開けても脱出するぜ!」
88名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/28 16:41:18 ID:2mXAkWvr
89名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/28 20:26:31 ID:2drBkD3G
age
90名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/01 19:27:56 ID:B+RpO/Ql
ほしゅ
91名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/03 22:45:23 ID:1bo5dCM8
三国志コラボがんがってくださーい。
92華龍光臨:04/12/08 00:42:59 ID:tFsXJ5zA
山が、
大地が、
声を上げる。
「無事か!」
「トラッド殿!急ぎここから退避するよう全兵に命令を!」
それは悲鳴。
悲しみ。
「うむ。よし!一旦ここから離れるぞ!」
地が裂け、山は崩れ。
逃げ遅れたものはからくり、人間問わず死へと誘う。
それは現れる。
それは破壊の使者か。
それとも、破壊することを運命付けられた哀れな被害者か。
巨大な、あまりにも巨大なそれは。
デスマシーンと呼ばれることになった…
93華龍光臨:04/12/08 00:44:09 ID:tFsXJ5zA
間一髪の所で脱出し、一気に下山。部隊にも大きな損害はないようだ。
「なんという…!」
山丸々一つの大きさのそれは動く様子はない。
「もしかしたらこのまま動かないんじゃねぇか?」
思わず張飛が声を上げる。
「もしかしたら何か障害があるのかも知れぬな。」
「いえ、見た限り、何か障害があるとは思えません。」
遠眼鏡でアルスがデスマシーンを観察する。
そういえば、ゼボットの姿が見えない。
恐らく出来うる限り近くでデスマシーンを観察していることだろう。
もしかしたらエリーの妨害電波が効くかも知れない。
動く様子がないデスマシーンを油断なく見つめる。
「戻ってきたようですね。」
トラッドに連れられてゼボットとエリーがやってきた。どうやら調査にいっていたようだ。
「どうですかな?」
「…ダメだ。エリーの妨害電波は通じる奴じゃない。」
軍内に落胆の色が広がる。
「今は動いていないが遅かれ早かれ動き出すぞ。…あれをやるんだろう?劉備。」
「ああ。」
その声は力強い。
「あいつはかわいそうな奴だ。生まれながらに破壊だけを運命付けられている。」
劉備たちは黙って言葉を待つ。
「なんとか破壊活動をやめさせようと試みたが、何か魔法の力で無理だ。エリーの妨害電波もそれで届かない。」
「となると。もはや…」
「ああ。どのような手段を用いてもいい。止めさせてやってくれ。」
「わかりました。ゼボット殿。」
決意、そして。
「トラッド殿、馬を貸していただきたい。」
「うむ。」
程なくデスマシーンは動き出した。
決戦が、近い。
94名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/14 12:30:01 ID:7LYEPxBc
なんだかやたら空白が多いよな
95名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/16 11:39:36 ID:8080iweo
保守
96華龍光臨:04/12/16 20:53:05 ID:D46Tr32c
誰もが絶望の淵に立たされていた。
皆立ち尽くしていた。
「雲長!翼徳!いくぞ!」
「参りますぞ!」
「おう!」
その空気を切り裂く掛け声。
三兄弟が駆け出していた。
劉備が馬上で弓を引く。
関羽も張飛も弓を引く。
狙いは山のようにそびえるからくり、デスマシーン。
決してあきらめない。
家一件分の厚さがあろう大剣が振り下ろされ、間髪なく繰り出される火炎が襲う。
頬を焦がす火炎、降り注ぐ飛礫。
一撃でも喰らえばそれまで。
圧倒的すぎる戦いだった。
射っては弾かれ、射っては弾かれ。
焼け石に水、だった。
「私もいくわよ!」
「トラッド殿!指揮をお頼みします!」
すぐに孫尚香、趙雲も出る。背には持てる限りの矢筒。
「いくわよ!アルス!ありったけの連弩で少しでもダメージを与えるわよ!」
「わかった!キーファとマリベルは構えてて!」
アルスが修復した乗用のからくりを駆る。
ありったけの連弩と矢を積んで全速力で向かう。
「…なにをしているんだ?」
ゼボットの声が残されたものたちの間に響く。
「つったっている暇があったら援護するぞ。」
エリーをつれて戦場へと足を向ける。
「皆!意気を挙げろ!戦う前からもう諦めているのか!?」
トラッドの檄にも応じず、他の皆はただ、立ち尽くしていた。
もはや勝ち目はないと逃げ出す兵も出始めていた。
97華龍光臨:04/12/16 20:57:06 ID:D46Tr32c
趙雲の放った矢がデスマシーンの装甲に突き刺さる。
しかし、損害を与えている様子はない。
お返しとばかりに炎が草原を焼く。
「さて、どうするか。」
周囲を駆け回る。見たところ背後に対する攻撃手段はなさそうである。
やはり装甲はなく、からくりがむき出しになっている。
「劉備!背後から攻撃しろ!」
声が聞こえた。
「ゼボット殿!」
「胸部、中心の巨大な装置を攻撃しろ!」
胸部、中心。…"視え"た。はっきりとそこだけ。
「ありがとうございます!ゼボット殿!」
「まずは相手の動きを制限するぞ。そこに攻撃を加えればエリーの妨害電波が届くはずだ。」
「そうですな。」
デスマシーンの背後に回りこみそれを"視る"。はっきりと"視え"る。
「皆!聞こえたか!」
「わかったぜ!陽動は任せてくれ!」
炎と斬撃に隙を見出せなく、背後に回りこむことができない趙雲と孫尚香。
それをみた張飛がすうと、息を吸う。
「このデカブツ!!お前の攻撃をこの張飛様にあてようなんざ百万年早ぇんだよ!!」
思わず耳を塞ぎたくなる怒声が島中に響き渡る。
びりびりと空気が震える。
一瞬だがデスマシーンの動きが止まった。
この隙を見逃すはずもなく二人は迂回した。
「兄者!ここはお任せあれ!」
「頼むぞ!雲長!翼徳!」
98必殺!アリアハン流。:04/12/19 18:29:23 ID:3326mWbr
 俺の名はトルファ。伝説の旅人にちなんで付けられた名だ。
 今日も武者修行の旅に明け暮れている。
「キャー助けてー!誰かー!」
「げへへへ、おとなしくしな」
「もう逃げられねぇぜ」
 むっ、か弱き女性の悲鳴。これは助けに行かねば!
 俺のアリアハン流剣法が火を噴くぜ。いや、火は噴かんけど。
「まてまてーぃ。正義のヒーロー、トルファ参上!」
 現場に駆けつけた俺が目にしたものは、山賊らしき男が二人。
 そして・・・
「・・・お前らスライム相手に何やってんの?」

                                        つづ<
99296 ◆kYB5EDmqco :04/12/20 00:32:08 ID:QoBtnsPH
・ドラクエの小説スレッドパート288からの続き

 息を付く暇もない。砕けた空間の隙間から新たな敵影が飛び出してきた。
紫の装束に顔をすっぽりとフードで覆い隠した者達が、反り返った刃を手にしてトルファ達に襲いかかる。
迎え撃とうとしたトルファが、手にした氷の刃を構えたそのとき、無数の赤い光弾が空間を飛び交い敵を撃ち落とした。
「な、なんだ!!」
驚くトルファの前方に、瞬き一つの間を残して赤いローブを身にまとった男が姿を現した。右手には簡素な木製の杖を持っている。
言うまでもないが、トルファをこの空間に招いた男である。
「なんとか生きていてくれたみたいだな、トルファ」
「……一体何が起きているんだ?」
問いに答えは帰ってこなかった。彼の登場と時を同じくして、空間に走る亀裂が軋むような音をあげて更に広がる。
亀裂の奥から姿を見せたのは、紫紺の法衣に身を包んだ六名の魔法僧だった。誰もが深く笠を被って顔を隠している。
錫杖を脇に抱えるやいなや、彼らは指で印を結んだ。彼らの頭上に生まれた巨大な火弾が、ゆっくりとトルファ達に向かって降りてくる。
「ふん!」
無造作に赤いローブの男が杖を突き出した。杖の先端から生じた光が壁となって広がり、炎の塊を爆発ごと呑み込んだ。

100296 ◆kYB5EDmqco :04/12/20 00:59:41 ID:sSQgeZ20
「トルファ、悪いが多くを話している暇はない。今から扉を開く。君はそれをくぐってここを出ろ」
 障壁を間に挟んでの睨み合いが続く中、振り返りもせずに男がトルファに命令する。
「まだ何も聞いちゃいないんだが……」
「こうなった以上、まだ君に事情を話すわけにはいかない。僕は連中を倒した後、この空間を急いで閉じなければならない。
彼らに悪用される前にね」
「待てよ。少しはワケを話してくれたっていいだろう」
 肩に置かれたトルファの手を払いのけた後、男は少し考え込むように肩をすくめるとぽつぽつと小声で語り始めた。
「……君と僕が出会ったのは偶然じゃない。僕はずっと君を捜していたし、君も僕をずっと捜していた。赤い旅の扉を君がくぐることができるのは、
君が僕と同じ存在だからさ。これ以上は、今この空間では話せない。女王、僕に替わってトルファの案内を頼む。」
「仕方がありません。トルファさん、こちらへ」
 風の女王がトルファの手を掴んで先導する。滑るような速さに、空間そのものが動いているような錯覚を覚える。
 振り返ったトルファの視界に映る男の背中が次第に遠くなっていって消えた。
「フ……。久しぶりに本気を出すことにするか……」
男の薄笑いとともに、目の前に展開されていた障壁が深紅の奔流となって荒れ狂う。
法衣の男達の抵抗すら呑み込んで、赤い旅の扉が中から閉ざされていく。
101296 ◆kYB5EDmqco :04/12/20 01:13:52 ID:sSQgeZ20
男が空間を閉ざす気配は、空間を揺るがす音となってトルファ達に知らされた。
「始まったようですね。彼から聞いた話では、右の扉はダーマ神殿に。中央の扉は、サラボナ。
左の扉はブランカに繋がっているそうです。」
「わかった。……いろいろと世話になったな。」
「いいえ。助けて戴いたのは私どもの方。トルファ様。これから先、貴方がどのような場所に
立つことになっても、その地の風の精は貴方の味方となって協力してくれるでしょう。
……くれぐれも、お気をつけて」
トルファは振り返らずに右手を軽く挙げることで、別れの挨拶にした。
目の前には三つの扉がある。ゆっくりとトルファは歩を進めた。
102諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :04/12/23 00:12:34 ID:DfvYW/p2
>>101
最後まで書き上げ、お疲れ様でした。
面白く読ませていただきました。
核心に一歩近づいたかな。

ダーマ、サラボナ、ブランカ。
三択のようで三択以上ありますねこれは。

…自分も続きかかへんとな。
103名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/24 20:00:41 ID:l6IRUTSd
トルファの続きキター!!
精霊がどうとか、世界観が新たに付け加えられてて面白いです。
なかなか味がありますね。
次の書き手さん、がんばってください。
104名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/26 09:54:21 ID:39CtEZZu
この間、初めて中古でドラクエ7をやりました。
今までこのスレでは「華龍光臨」は読み飛ばしていたのだけど(スラリソさんすみません!)
やっとのことで「華龍光臨」の面白さに気づきました。
こんな大作を有難うございます。
是非ラスボスまで続けてください!!!。
105華龍光臨:04/12/29 12:30:06 ID:eRvoJYFe
背後に回りこんだ二人を待つ劉備。
もちろんただ待つのではない。弓を引く…
目標は見えている。
シュッと音を立て矢が飛ぶ。
狙いは誤ってはない。…が、いくら射れども力なく弾かれる。
胸部、中心にそれは"視え"る。
装甲もない。しかし、その目標が高すぎるのだ。
山一つ分の大きさのデスマシーンの胸部ははるか高い。
地上から射ると到達するまでに力を失ってしまうのだ。
この高さが最大の障害。如何にすべきか。
「劉備殿!」
「なかなか難儀ね。久しぶりに"壁"にぶつかった感じだわ。」
「おお、きたか。…あれを形容するなら"壁"ではないと思うぞ?尚香?」
「そうね。…あそこね?」
弓を構えて"それ"を"視る"。二人にも見えているようだ。
むき出しになっているそれを少しでも破ることができれば…
幾度もなく打ち出される矢。
「劉備さん!」
「おお!アルスか!」
マリベルから矢筒を受け取る。
「あの、中心の装置を攻撃するのだ。あそこを破ればエリーの妨害電波も届くと言う!」
「わかりました。…皆!構えてて!」
いつまでも相手が前方の関羽、張飛に注意を向けているとは限らない。
どうにかして装置を攻撃の有効射程内に収める必要がある。
もしくはこの状況下でも装甲を打ち破るだけの攻撃を加えないといけない。
「劉備殿。これを使います。」
趙雲が取り出したものは見覚えのあるものだった。
106華龍光臨:04/12/29 12:30:56 ID:eRvoJYFe
「へへっ!面白い戦いだな!」
「翼徳。油断だけはするなよ。」
振り下ろされる大剣を紙一重でかわす。
そして降り注ぐ飛礫の嵐。
「おうよ、くたばるわけにはいかねぇからな。」
大剣に一撃を加える。剣が折れて真っ二つになる。
颯爽に駆ける二人の姿はまるで荒野を行くが如し。
飛礫の嵐もまるで二人を避けているのではと見紛うほどであった。
二人の視界の隅に劉備たちの姿が見える。
劉備が何かを投げる。
それを確認した二人は身を翻し、一気に間合いを取った。
長年苦楽を共にした、漢たちに言葉は、不要。

なすべきことはわかっている。
マリベルのメラで火をつけた矢を構える。
火矢で狙うはただ一つ。
まずは一手。

関羽たちがそれを見たのはほんの僅かの時間だった。
それが戦場でどういう効果を持つのか。
一瞬で見極めないといけない。
そして、行動を起こす。
"逃げ"である。

火矢が一筋の閃光となる。
射手は孫尚香。趙雲、劉備は次の行動をいつでも起こせるように体勢を整える。
アルスたちも身構える。
火矢が狙い違わず、先に劉備が投げたそれに当たる。
そして。
大爆発が起こる。
107 ◆jKU3Ls1IlM :05/01/04 20:46:45 ID:cJse6+PP
要望出してくれたらトルファの続き書くでよ
108名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/04 21:02:21 ID:Wl45adBb
ノシ
109 ◆jKU3Ls1IlM :05/01/05 14:50:55 ID:xEpKHiJS
それで、どこがいいんでしょうか?

1.ブランカ
2.ダーマ神殿
3.サラボナ
110名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/05 19:03:37 ID:1ck5eT+7
2でおねがいします。
111華龍光臨:05/01/06 12:21:14 ID:XD0k52eB
出遅れ。
頑張ってくださいな。
2でお願いします。
112華龍光臨:05/01/06 12:58:17 ID:XD0k52eB
「やったか?」
劉備が叫ぶ。
あの威力が。少なからず打撃を与えただろう。
埃が舞い上がり、視界が悪い。
その刹那、すさまじい斬撃が頭上を掠める。
咄嗟に身を屈める。どうやらこっちに向き直ったようだ。
斬撃と共に埃も切り払われ、視界が開ける。
そこには、一部装甲を吹き飛ばされたデスマシーンが立ちふさがっていた。
「駄目か?!」
そう思った瞬間。
デスマシーンの体勢が崩れる。
爆風によってできた穴に足をとられたようだ。
標的が少し高度を下げる。
やれる!
劉備は弓を引き絞り矢を放つ!

113華龍光臨:05/01/06 12:59:38 ID:XD0k52eB
辺りに金属音を響かせて一瞬時が止まった。
全てが動きを止め、静寂が辺りを包む。
矢は刺さった。視認できる。
次の動きに対応できるよう、矢を構える。
「やったか?」
敵の装置に火花が走る。
「やったようですね。これでエリーの妨害電波も届くと思います。…ただ、問題があります。」
「まだ、動きを制しただけでは終わらないということだな?」
「ええ、それに、完全に制せれるとも思えません。」
ぐぐ、とデスマシーンが動き始める。
そして、何かが切れたように大暴れをはじめる。
大地が揺れる勢いで太刀を地面に叩きつけた。
突如のことに馬が逃げ出そうとするが、制する。
「駄目か!」
「…精々エリーの能力では十秒位が限度だ。その十秒のうちになんとかするほかない。」
大きく迂回して関羽たちもやってくる。
「十秒ですかな。」
「派手に暴れてやがるぜ。そろそろ黙らせないとフォーリッシュに近づいてきてるぜ。」
背後を見遣る。フォーリッシュの城壁が近づいてきている。
誰もいないに等しいが民が帰るべき町を破壊されてはいけない。
妨害電波の力で相手に隙ができている。
後は何処に一撃を叩き込むか。
時間はもう僅かしかない。牽制しつつ時を待つ。
木々を踏み潰しフォーリッシュに迫る。
…。
劉備はフォーリッシュに駆けた。
114名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/09 09:52:44 ID:sH7PCfQp
保守
115名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/09 13:12:09 ID:yYwCyueP

116名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/13 18:25:08 ID:iZwofbBp
ふ〜む。
ゲームブックとTRPGが混ざったようなのってどう?
毎回選択肢があって、もちろん気に入らなければ変更あり。
んでもってキャラクターの台詞も書き込み可って感じで。
トルファ 「云々かんぬん」
って具合。難しいかな?
117名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/14 00:16:11 ID:XfZbF5F4
ドラクエ3with4は終了なのか。
118 ◆jKU3Ls1IlM :05/01/14 00:53:33 ID:FyRzvpSe
第五の扉 〜 イシス 風と砂の狂想曲 〜

 赤い旅の扉を通りトルファは砂漠の王国イシスに辿り着く。
そこで彼を待っていたものは、宝石を探し求める砂の精霊の眷属と、彼らによりこの地より排斥されつつあった
風の精霊の一族だった。赤い屋根のついた寺院の門がマークとして彫られた宝石。それは、トルファを誘う
赤い旅の扉に深く関係したものらしい。この地を治める風の精霊よりピラミッドに巣食う砂の精霊達を追い払うこと
を依頼されたトルファは、ガイド(案内人)を任じる少女イーシャとともにピラミッドへ。

 ピラミッドの中は砂の精霊の巣窟と化していた。墓を徘徊する砂の精霊の妨害を退けたトルファは、
最下部で敵の首魁と出会った。宝石を求める彼の交渉を蹴ったトルファに本性を露わにして襲いかかる
砂の精霊の王。熱砂と吹雪の錯綜する激闘を制し、トルファは砂の王を倒した。

 風の精霊達から感謝の礼を受けるトルファの前に、また赤色の渦を巻く旅の扉が現れる。
だが、今回は少しばかり勝手が違っていた。赤一色の空間を割って突如侵入してきた謎の襲撃者。
男と風の女王の助けを借りて襲撃者の手より逃れたトルファだが、赤い旅の扉が何故自分を選んだのか……
その疑問の答えを得ることはできなかった。

 今後の旅の助力を約束してくれた風の女王に見送られ、トルファは次の旅の扉へと足を運んだ。

第六の扉 ダーマ神殿
119華龍光臨:05/01/15 12:01:24 ID:XWckvwVi
程なくデスマシーンはフォーリッシュで足を止めた。
そして、城壁に向かって一太刀。
「やらせはしない!」
「兄者!」
城壁の上にて立ち向かう劉備。一太刀で城壁は破壊されてしまう。
咄嗟に横に飛び、反撃の矢を放つ。
デスマシーンの足が完全に止まった。
「ここなら胸部まで攻撃は届く。なんとかせねばな。」
もはや相手を一発で黙らせないといけない。
エリーの妨害電波を利用してどのように致命傷を与えるか。
再び太刀が城壁を叩き割る。
「…!ゼボット殿!」
「どうした!」
「相手が身を屈めた瞬間にお願いします!」
「…任せろ。相手の行動をつかさどる装置を攻撃しろ。そこを破壊しろ。」
「わかりましたぞ!」
ぐっと剣を振り下ろした後、相手が少し身を屈める。
そのときならば普通では攻撃が届かない箇所も攻撃できることだろう。
「兄者!」
「何処を狙うか。兄者はもう決めになっているのですかな。」
「うむ。頭部だ。あそこなら、普通の攻撃は届かない。」
自分がからくり技師ならば普通に攻撃が届く胸部や脚部に装置はつけることはないだろう。
ならば、最も高い位置──すなわち頭部に装置があると考えてよいだろう。
もちろん、根拠はないが…自分には"視え"る。
自分に"視え"ているのならきっと皆にも"視え"ているだろう。
相手が太刀を振り上げる。来る!
太刀と城壁がぶつかり合うとき、城壁が砂山のようにはじけ飛ぶ。
120華龍光臨:05/01/15 12:02:49 ID:XWckvwVi
城壁の破片が宙に舞う。
その破片に足をしっかり据えて弓を構える。
普段の自分ならできないことだ。
だが、今ならできる。落ち着いている。
関羽たちも構えている。矢筒から矢を取り出し構える。
弓を引き絞り、矢を放つ!
狙いは過たない!当たった!
「どうだ?!」
「ちくしょう!兄者!装甲が分厚くて矢じゃ届かない!」
「怯むな翼徳!射続けるのだ!」
いつもの倍以上の速度で矢を放っているはずだ。
なのに、相手に致命傷を与えることができない。
まずい。
十秒しかない時間がまさに刻一刻と過ぎていく。
瓦礫が重力に引かれて地に落ちる。
もはや限界。瓦礫を蹴り、相手の出方を伺う。
それしかない。
もうエリーが限界だ。
そう思った瞬間。城壁を書ける馬に乗った影があった。趙雲に他ならない。
馬の勢いとその腕力で放たれる鉄の槍。それは流星となる。
121クソコテ撲滅委員会:05/01/18 13:20:02 ID:9ts9j2LL
クソコテ死ね
122クソコテ撲滅委員会:05/01/18 15:05:33 ID:9ts9j2LL
クソコテ死ね
123名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/18 20:27:14 ID:D2yffScO
NGワード推奨
クソコテ撲滅委員会
124名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/19 17:58:02 ID:3KwRGrx+
前から気になってるんだがクソコテって誰のこと?
125諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :05/01/21 12:09:01 ID:+1J5dkfF
かつて、人は流れ星をどのように見たのだろうか。
吉兆か、凶兆か。
人の生死を見たか。
空を舞う龍の姿だろうか。
それは、人それぞれであろう。
そして、流星を槍に見立てた者がいた。
飽くなき空への憧れ、尊敬の念。
趙雲自身がそうだったとは限らない。
だが、今、彼の槍に宿っているのは流星。
流星は龍となって敵を喰らう。
今、龍が光臨する。

空を舞い、そして。
大気が震える咆哮をあげる。
人も、魔物も、からくりも動きを止める。
具現化した龍がデスマシーンへと向かっていく。
嵐が巻き起こり、雲を裂き。
デスマシーンの頭部を一噛み!
そこで、龍は消えた。

完全な沈黙。
全ては幻?
一体何が起こったのか。民も兵士も呆気に取られていた。
しかし、彼らにはわかっていた。
太刀を再び振りかざしたままの姿で硬直しているデスマシーン。
その頭部には深々と鉄の槍が突き刺さっていた。
ぐらりとデスマシーンが傾き、そして。
轟音を立てて倒れる。
「やった…!」
こうして、フォーリッシュまで進軍してきたデスマシーンはついに倒れた。
勝利を信じて疑わなかった漢たちの勝利であった。
126華龍光臨:05/01/21 13:05:45 ID:+1J5dkfF
デスマシーン撃破の知らせはすぐさまフォロッドに届けられた。
すぐさま宴の準備がなされて大騒ぎになった。
ついに、平和が来る。
民に平穏が訪れたのだ。

注がれたワインを口にして辺りを見回す。
張飛はワイン樽かついで一気に飲み干している。
関羽は端のほうでトラッドと共に何か談笑している。
孫尚香は舞を舞っている。
趙雲は──さすがというべきか。こんなときでも周囲の警護を怠っていない。
…視界の隅でゼボットの姿が見えた。
いまだ、エリーに理解を示さないものもいる。仕方のないことだが…
どうやら共同墓地の近くにいるようだ。もう一つ人影がある。
…王女?フォロッド王女か…
声は聞こえないが表情は読み取れる。
悲しそうな表情で王女が何か呟く。
それを流すかのように、応答するゼボット。
しばしばエリーに目配せする王女。
そして、共同墓地の隣の個別の墓を見遣る二人。
…そして、はっきりと聞こえた。
「今でも姉様のことを?」
「ああ。許さない。絶対にだ。」
「事故だから…」
「ああ…」
その夜。一人ゼボットは庵へと戻った。
いくら救いの手を差し伸べても、当人に救われたい意思がなければ無駄である。
ゼボットは敢えて、その道を歩んだ。未来永劫閉ざされた道を。
しかし。当人はそれで幸せというならば…
見守ってやるべきであろう。
…後は有耶無耶になった。
127クソコテ撲滅委員会:05/01/21 13:55:28 ID:WUZGW7nD
クソコテ死ね
128クソコテ撲滅委員会:05/01/22 13:45:36 ID:KrC5SkAa
クソコテ死ね
129クソコテ撲滅委員会:05/01/22 13:51:07 ID:d5BREUe3
クソコテ死ね
130名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/22 21:00:59 ID:2l6kU24v
>>127-129
そんなに自分を責めないで…
131クソコテ撲滅委員会:05/01/23 17:54:28 ID:d+//Mp5E
クソコテ死ね
132クソコテ撲滅委員会:05/01/26 12:31:21 ID:gFXx9YGq
クソコテ死ね
133クソコテ撲滅委員会:05/01/28 14:16:56 ID:vEsxBvkS
クソコテ死ね
134クソコテ撲滅委員会:05/02/01 14:10:44 ID:Lv4z0rSv
クソコテ死ね
135華龍光臨:05/02/02 02:42:45 ID:RiITHDc3
翌日、王の間にて宝物庫を開放し、各傭兵に報酬が配られた。
一国の宝物庫を解放したのだ。どれもこれも精密で高価な細工物であった。
とはいえ、張飛は。
「俺は酒が飲めればいいや。」
で、関羽は。
「某には必要ありませぬぞ。」
であるし、そういう自分もそうほしいものはない。
アルスはどちらかといえばこの戦いで手に入れた様々なからくりに興味があるようであるし、キーファは一国の王子である。
ガボは既に食堂に行って食事をしていることだろう。
ということで、孫尚香とマリベルで適当に見繕うことに。
「とりあえずは終わった…な。」
復興に手を貸せないのは残念だが苦労を分かち合ったこの国王と民がいればなんら問題はないだろう。
そして。
「行ってしまうのだな。趙雲殿。」
「ええ。いろいろ世話になりました。」
「よい。おぬしがいたからこそこの戦には勝てた。聞けば、目的がある劉備殿たちと旅をするのだな。」
「はい。」
「うむ。おぬしの無事を祈っているぞ。」
趙雲もまた、フォロッド国王に別れを告げていた。
ここで貸してもらった装備一式を返して、手にはこの世界にやってきたときに持っていた粗末な槍だけを持って。
136華龍光臨:05/02/02 02:43:58 ID:RiITHDc3
「そうだ。劉備殿。」
「何か御用ですか?フォロッド王。」
「うむ。ゼボット殿からこれをあげるようにと。」
荷車付きで運ばれたそれはとても重い。
「ありがとうございます。」
アルスが作ったからくりにそれを乗せる。
「そろそろ皆を呼んで行こう。…国王様。お世話になりました。」
「うむ。気をつけていくのだぞ。」
ちらほらと皆が集まっていく。
そして、皆が集まったことを確認してフォロッドを発った。

「…行ってしまいましたね。」
トラッドが王の傍らに立つ。
「うむ。…もしかしたら、あの方も国王だったのやもしれんな。」
「?」
「温厚で穏やかな表情の裏に覇王たる資格を見たような気がするのだよ。」
「…かもしれませぬな。…趙雲といい、あの者たちといい。不思議な者たちでしたな…」
137華龍光臨:05/02/02 02:45:36 ID:RiITHDc3
ところで、ゼボット殿が我々にくれたものは何だったのですかな?」
石版の台座に戻る途中。
「確かに気にはなるな。だが…我らには腰を休める家はない。」
宿にいまだ泊まっている身。いろいろ貰ったとしても置く場所に困ることだろう。
「そういうことなら私に任せておいて。物を置く場所なら困らないしね。」
やはりここは裕福なマリベルの出番であろう。
グランエスタード城に置くということも考えたが様々な物を置いて来訪者に不快な思いをさせてはいけない。
「では、マリベル、頼んだぞ。」
「任せておいて。」
そうこうしているうちに石板の台座へとたどり着いた。
「では、帰ろうか。」
こうして、龍は龍の元へと集いた。
138名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/08 13:58:43 ID:jlN576bq
スラリソさんがんがれ〜。
トルファマダーチンチン!?
139クソコテ撲滅委員会:05/02/11 19:36:27 ID:xoOjCVAC
クソコテ死ね
140クソコテ撲滅委員会:05/02/15 14:04:20 ID:PGxXqi9t
クソコテ死ね
141名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/15 14:16:14 ID:MgwEEMaY
引きこもり共め氏ね
142華龍光臨:05/02/19 18:12:42 ID:5v8ekWWC
目を開ける。そしてそこには見慣れたグランエスタードの宿屋の天井が。
あれからグランエスタードに戻り、事の顛末をバーンズ王に報告。
趙雲をバーンズ王に紹介し、王が疲れただろうということで宿屋に向かった。
そしてしばらくは何事もなく劉備たちは住宅地拡張計画に参加しつつ毎日を過ごしていた。
ゼボットから貰った物というものはからくり掃除機であった。
今ではマリベルの家で稼動中でもちろんいくつかはグランエスタード城に寄付した。
マリベル家のメイドが私の仕事が少なくなったと泣きながら駆け込んできたのは記憶に新しい。
いつもの部屋を出て階段を下りる。
一国家の復活は大量の旅人を呼び込んだ。
嬉しい限りではあるが、人が多くになるにつれいろいろと問題が出てくるものだ。
とはいえ、バーンズ王の手腕もなかなかなもの。新たに直面した事態に柔軟に対応している。
「準備はいいな。」
「おう、兄者。」
そして今日は復活したフォロッド、フォーリッシュに出かけるということに。
「趙雲もよいな。」
「はい。いつでも準備できています。」
アルスが直した小舟で行くというのもあったが、丁度城下町からフォーリッシュ行きの船が出ているとのことのため、乗せて行ってもらうことにした。
143名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/26 09:29:38 ID:1jdQYnpv
保守
144名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/28 16:06:52 ID:RKQpaku7
145諸葛亮スラリソ ◆5VrxCs/8kA :05/03/05 22:39:33 ID:lbwfut0o
すまん。
肺炎にかかって入院する可能性が…
146名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/08 11:25:51 ID:wdSHNfrO
>145

病気を治すほうを優先しる
147名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/17 23:10:52 ID:oLYm5hE6
保守
148 ◆jKU3Ls1IlM :2005/03/21(月) 22:03:59 ID:XT96LrYX
なんというか、フォズの設定調べていたんだけど、よくわからんかった。
まぁ、7のダーマ神殿は他の7をプレイしたことのある人に任せて俺は3のダーマ神殿で行くか。
149名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/23(水) 23:17:18 ID:UYaSTvIf
>>148

フォズはアイドル扱いされてますよ。
ブロマイドがあるから
150華龍光臨:2005/03/27(日) 22:17:54 ID:n+Vnv7vH
三日ほどの船旅を経てフォロッドのある大陸に上陸した。
港は整備されていない。しかし、一度いけば後はルーラという便利な呪文で行き来できるのだ。
「このような呪文があれば死道との戦いを優位にはこべたのやも知れぬ。」
劉備たちは知らない。
孔明が様々な呪文を駆使して抵抗を試みたものの敗れ去ったということを。
「戦いだけではない。太平の世になったとしても便利なものだったことだろう。」
平原を歩く。大勢の旅人が町へと向かっていく。
「城壁が見えましたぞ。」
「そうだな。時が越えてもなお趙雲が築いた城壁は健在だったか。」
その城壁は破壊されたところは修復され、脆くなった場所は修繕されていたがそれ以外はそのままの姿を残していた。
151華龍光臨:2005/03/27(日) 22:19:35 ID:n+Vnv7vH
「9名様ですね。」
「うむ。」
宿帳に書き込み、ゴールドを支払う。
いろいろとやりたいことが多いがまずは。
「自由行動だな。」
こういうことも悪くはあるまい。
とりあえず、散開することにした。

宿を出て大きく息を吸う。
かつてのような油臭さは感じられない。
だが、心に引っかかるものはある。
自然と足が砦のほうに向いた。
なぜだかはわからない。ただ、呼ばれているような気がしたからだ。
あのときのように教会を経由して砦内部へと入る。
どうやら、かつての砦内部は資料館になっているようだ。
違和感を感じた。
フォロッド王国の成立から今に至るまでの資料がずらりと並ぶ。
だが、あの時の資料だけが一切存在しない。
戦時下にて様々な資料が紛失するというのは珍しくはない。
だが、一切の資料がなくなるなんてありえない。
…誰かが故意にそういった資料を処分したのだろうか。
何のために?
それとも、自分たちが関与しなくなった後に何かが変わったのか。
「いかがなさいましたか。劉備殿。」
「趙雲か。」
資料を同じく眺めていた趙雲が声をかける。
こちらの世界に流れ着いて最初の土地であるため愛着もあるのだろう。
「うむ。一度フォロッド城に行き、でき得る限りの情報を集めようと思って、な。」
その後は一人の冒険者としてさまざまな文献を頭に入れていた。
いつ帰れるかわからぬ、かの地を救うために。
152名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/02(土) 03:07:31 ID:luqir2eF
初代スレが見れないぞ。
153名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/02(土) 17:46:21 ID:yR6ErgXr
初代スレのミラーが死んどる
154華龍光臨:2005/04/03(日) 20:09:37 ID:jE0No1jW
翌日、フォロッド城に足を運んでみた。
旅人たちに解放されているその城は昔と変わらず要塞としての姿をとどめていた。
城に近づくにつれて妙なことに気がつく。
「何か油くさいな。」
そう。かつてフォーリッシュでかいだからくり兵の油の臭い。
あまりいい臭いではない。
「まさか、からくりの兵がまだ?」
「いや、それはないであろう。それであったならフォーリッシュが厳戒態勢であるはずだ。」
いったい何か。近づくにつれて謎は深まったが様子がわかる距離まで来ると謎は氷解した。
からくりだ。
ただし、襲われているのではない。からくりを作っているのだ。
城中に研究者が走り回り、清掃用からくりが動き回る。
…白煙が見えたり、爆発音が時々聞こえてくるがまあ、平和なのだろう。
喧騒が聞こえる。門の手前で王と思しき者とそうでない者の言い争いのようなものが聞こえる。
王はまだ若い。そして相手は白髪がやや混じっているが体つきからこの国に仕えている兵士…もしくは剣術指南かそのあたりだろう。
「なぜに禁断の地に行くことを止めようとする?アルマンよ。」
王の名前はわからないがその相手はアルマンというらしい。
王に真っ向から反抗している。普通の立場の人間ならば牢に放りこまれても仕方がない。
「そこには歩行できるからくりがあるというではないか。わが国の研究も捗ることに違いがないぞ。」
歩行できるからくりがある。研究が捗る。ということは、少なくともこの国には今、歩行できるからくりは保有していない。ということ。
…嫌な予感がする。
過去にこの国にかかわっているからくりの技師なんて一人しかいない。
「アルマンよ。私は知っているのだぞ。おぬしがこの国の歴史書をすべて抹消させたということを。…悪いが、このことを知った今、おぬしを無罪放免ということには…」
横でアルスがキーファと頷く。
まずはアルスが一手を出すようだ。
155華龍光臨:2005/04/03(日) 20:11:08 ID:jE0No1jW
「お取り込み中すみませんがあなたがフォロッド王でしょうか?」
アルスが歩み出た、横にはキーファも一緒だ。
「なんだ、お前たち。…!」
アルスには視線がいっていない。アルスは計算済みだ。
「これはキーファ王子。そのような場所で待たせて申し訳ない。お知らせあらば何時でも迎えの者をおくったというのに。」
「そういうのはあまり好きではないのでね。」
事前にバーンズ王が書簡で手紙を送っていたのだ。
フォロッド王とキーファ王子とは面識がある。ここはさすが王族といったところか。
「ところで、そちらの話に割り込ませてもらうが、少し事情を知っているかもしれない者としてそちらの話に加わらせてほしいのだが。」
王もアルマンも驚きを隠しきれない。
それもそうだ。抹消したはずの歴史を知っているなんて。
それも自国ではなく他国の王族が。
「…それは真か?」
「…ここから西の地のことではないじゃないか?そこにいるだろうからくりの技師の…」
「よい、嘘ではなさそうだな。」
アルマンがキーファを制する。アルマンは過去の資料を抹消したらしいということ、ということは内容を知っている。
過去を実際に見てきた自分たちならば話の内容から容易にゼボットのことが想像がつく。
だが、過去を見るなんて想像もつかないアルマンには不思議でならないようだ。
「この者たちを禁断の地へ。よろしいですかな。」
「うむ。」
156名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/12(火) 22:48:55 ID:6q/QVcaI
スラリソさんガンガレー!
157名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/14(木) 00:02:02 ID:1Cywqp0C
158華龍光臨:2005/04/15(金) 02:43:06 ID:u9s3V7aB
そこは時間が動くことを拒んでいるかのように思えた。
どれほどの時間が経ったかわからないが手入れされることのない道は荒れ果て、雑草が周囲を覆い、木々は日の光さえも通さないほど成長して何かを守るかのように立ち入りを拒絶している。
ランプに明かりをともす。いまだ昼というのにあまりの暗さに足元もおぼつかない。
フォロッド付近は開けた平野だというのに、この界隈はまるで樹海。
まさに秘境に着てしまったのではないかという感覚に襲われる。
しかし、不快さは一切感じない。
安らげる場所のように感じる。
ゆっくりと時の流れを感じながら奥へと進んでいった。

幻想的な世界が広がっていた。
日の光が当たらないそこは数多くの蛍が宙を舞いかすかな光が広がっていた。
それでも、時間の流れがそうさせたのか荒れ果てていても変わらぬそれ…
庵はまだそこにあった。
かつてあたりを掃除して回っていたからくり掃除機はもはや動くことなく打ち捨てられていて目の前に放置されていた。
「ここが禁断の地というのか。」
「はい。あれを見てください。」
庵には明かりが灯り、動く影が見えた。
「住人がいるというのか?」
「はい。およそ二百年前から一人。ずっとここで働いています…」
庵の扉を開ける。相当ガタが来ていて力を込めると壊れてしまいそうだ。
部屋は散らかったまま。
そして──
159華龍光臨:2005/04/15(金) 02:45:16 ID:u9s3V7aB
「ゼボットサマ、キョウモウゴカナイ、スープサメタ…ツクリナオシ…」
「おおっ!これが歩行するからくりか!」
兵に命じて捕獲の準備をさせる。
「お待ちください。あのからくりがこちらに気づいた模様ですぞ。」
こちらに向き直り何かを確認するようにこちらを眺める。
「カクニン、カクニン…」
辺りを見回し、劉備に向き直った。
「リュウビゲントクサマ。オマチシテオリマシタ。ゼボットサマガオワタシスルヨウニト、アズカッテイタモノガアリマス。」
フォロッド王たちは耳を疑った。
「ワタシハマチマシタ。ゼボットサマノメイレイドオリ、アナタガクルノヲマチマシタ。」
エリーはベッドの横のぼろぼろの宝箱から石版を取り出す。
そして、それを劉備に渡してかすかな声で言葉を続ける。
「ゴゾンジデショウトハオモイマスガ、「死道」ノウエニハサラニキョウダイナチカラガアリマス。アナタニデキルワタシガデキルコトハココマデデス。」
「ありがとう。長い間。待つのは辛かったことだろうに…」
「スベテハコノトキノタメ…アリガトウ、アリガトウ…ア…リガ…ト…」
そして、ゆっくりとその動きを止める。
何かを支えを失ったのか、いや、成すべき事を終えて後は逝くだけだったのか。
まるでゆっくりと時が流れるように膝を突き、倒れた。
「限界はとうに過ぎていたというのか。すまない…長かっただろう…」
沈黙が辺りを包む。
「ゼボット殿とエリーの墓を作るぞ。」
「わかったぜ。兄者。」
「われらも協力しよう。」
そして、ゼボットの亡骸と共にエリーの墓を作った。
彼のことだ。過度の装飾はいらない。
ただ、エリーがそばにいればよいと思う。
160華龍光臨:2005/04/15(金) 02:47:14 ID:u9s3V7aB
「今回は残念だったが是非とも我が手で二足歩行のからくりの作成を実現させようと思う。」
ぐっと、拳を点に突き上げ誓うフォロッド王。
あれから、フォロッド城に戻り、謁見の間で過去について話した。
アルマンの説明を加え王とアルマンは和解することもできた。
「王よ。我らも助力しますぞ。」
「そういえば、マリベルの家に置いてあるからくりの中に研究の役に立つものがあるかもしれないな。アルス。」
「ですね。今度来るときにはいくつか、からくりを持ってきましょう。」
「そうか。王子。ご助力に感謝する。」
「よかったですな、兄者。」
「ああ。エリーは意思のあるからくりだ。…きっと人以上に人らしいからくりであっただろうな。」
目を閉じる。
戦火の中にありながら自分を貫いた者。人々を救済しようとした者。あえて孤独の道を歩いた者。
その誰もが幸せでいられるように戦う。
ぐっと握り拳を作る。
「よし!それじゃあ、一杯酒でも飲みに行こうか!兄者。」
「そうだな。だが、くれぐれも飲みすぎるなよ。」
空へ上ったエリー。それを迎えるゼボット。
これからもあの二人は幸せであるに違いない。
あえて救いの手を差し伸べないことが救いになることだってある。
自分の行いが正しいかはわからないが、間違っていない。
それが確認できただけでも自分は幸せだ。
この世界にいるだろう「龍」は彼らを快く迎えてくれただろう。
真に心を通じ合った間柄ならば人間とかからくりとか、
           ──たいした問題ではないのだろうから。
161クソコテ撲滅委員会:2005/04/21(木) 14:10:24 ID:VYNikvCR
クソコテ氏ね
162名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/24(日) 10:38:04 ID:V+n0Wjyl
>>161
実は楽しみにしてるでしょ?
163名前が無い@ただの名無しのようだ
ほしゅる