Sで2だ
4のMで。
攻撃役は主人公とクリフト。
SMで。
じゃなくて4とSで。何か楽しそう。
クリフトにけんかを売ってみるってことで
5とS
4s。
クリフトが目立ちそうなんで返送
5G アリーナをやっつけろ♪
とりあえずホシュ
ホッキンダッシュ
保守
よお、オレ保坂守。
通称保守だ。
よろしくな。
保守
「宿屋……あの宿屋からですか?」
『ああ。道側の部屋を借りられれば、見つからずに見張れる』
「しかしそれでは、姫様が村を素通りされた場合、逆に私たちが姫様を峠へ追い込むことになりますが……」
あっと。それは考えてなかったな。
「クリフトさん。アリーナさんは、お弁当とか携帯食、持ってました?」ミネアさんが聞いた。
「え?いえ、おそらくお持ちではないと思います。朝食は、召し上がっておいででしたが」
「でしたら、きっと、この村で食事をとって行かれると思いますよ」
はっきりした口調でミネアさんが言った。なるほど。昨日も事あるごとに腹空いたって言ってたからな。
それに、いくらアリーナが物事考えない奴といったって、食料も調達せず山越えしようとするほど無謀じゃない
だろ。
『ミネアさん、この村で食事をとるなら、どこになります?』
「やっぱり、あの宿屋なんです。ノルザスさんの。1階が食堂になってるんです」
それは実に好都合。よし、いいアイディアがひらめいたぞ。
『それなら早く行って部屋をとっておきましょう』
言ってから、クリフトをじろりと見た。神官は、不満そうに顔をしかめながらも「では、そうしましょう」しぶしぶ、
うなずいた。
《ミネアの評価がわずかに上がった》
「あれまあ。どこのべっぴんさんが来たかと思ったらミネアちゃん。元気なようで、なによりだね」
「ありがとう。おじさんも元気で、よかったわ」
「お帰りミネアちゃん。マーニャちゃんがいないようだけど、達者なのかい?」
「ええ、おかげさまで、姉さんも元気です。今日は、舞台があるので」
「ミネアちゃんもマーニャちゃんも、早くこっちに戻ってくればいいのに……。バルザック、まだ見つからない
のかい?」
「ええ……はい」
通りがかる村人がみな、ミネアさんに親しそうに話しかけてくる。ミネアさんも笑顔で受け答えしている。
モンバーバラではちょっと強ばった感じだったミネアさんの顔の肌が、故郷ということで安心して緩んでいる
ように見える。ミネアさんて、性格からして、騒がしいモンバーバラより静かな田舎のほうが向いてると思う。
ま、ミネアさんがくわをふるって畑仕事したり、船で網を引き上げたりしてる姿は、あまり見たくない気もする
けど。
664 :
:04/09/11 08:07:37 ID:FYcvVurx
街道から村側に道を曲がってすぐが、宿屋の玄関だった。料理中らしく、味噌のいい香りがどこからか漂っ
てくる。
遠目から見たとおり、木造で、マリベルの家とたいして変わらない高さ、広さの建物だった。大きめの家を
宿屋に仕立てたのだろう。一階が食堂で宿泊は二階だけとすれば、多くても8部屋程度。それで充分なら、
この村はそれだけ旅人が少ないってことになる。もっとも、ライフコッドのビアンカのとこにしても、4部屋しか
ないし、泊まり客が月に5人来ればその月は大忙しだったってくらいの宿屋なんだが。
玄関をくぐると、広いロビーはなく、すぐ廊下がはじまっていた。カウンターらしき場所が脇にあったが、誰も
いない。「御用の方はこれを鳴らしてください」という札のついた紐が垂れ下がっているだけだ。
紐を手にとり、ミネアさんを振り返ると、ミネアさんは少し奥のほうを見てから、俺にうなずいた。
ガラガラガラガラ!
錆び付いた鈴のような音……というかそのもの……の音が響きわたる。
「私が出ます……はーい!すみません」
女の声がして奥の戸のひとつが開き、ナフキンをかぶりエプロンを羽織った、女の子が、飛び出してきた。
「コーミズ村にようこそ。3名様ですね。お食事ですか、お泊まりですか?」
『……!?』
俺は、思わずじいっとその女の子を見つめた。俺とほぼ同じ歳、ぽっちゃりとした愛嬌のある顔立ちに、
鳶色の大きな瞳、肌は日焼けして薄く色づいているが、額や袖口を見ると元はかなりの色白らしい。
この顔、この声。この娘、どこかで会ったような……。また、俺、デジャヴかよ!
「あの……?」女の子が大きな目をぱちぱちさせ、不思議そうな目線を俺から俺の後ろへ移す。「あっ!
……ミネアさんですね!お久しぶりです。その節はどうもありがとうございました」
「こんにちは、サンディさん。私たち、わけがあって、すぐ部屋を借りたいんですけど……」
サンディさん?
そうだ!“こんにちは。サンマリーノにようこそ”って笑顔で俺に声をかけてくれた、あのメイドだ。
サンマリーノの町長のとこで働いてて、飼い犬に毒を盛ったということでキャラバン隊に売っ払われたって
聞いたっけ。何度か見たことがあって、俺もランドも気になった女の子だけど、感じがだいぶ違ってて、わ
からなかった。
665 :
:04/09/11 08:09:04 ID:FYcvVurx
「休憩ということですね。ええと、空いてるお部屋は2つです。どうぞ、ご案内します」
『あ。ああ、はい、お願いします』
サンディが廊下を歩き出す。俺には、気付かないらしい。それもそうだ。数回顔を合わせたことがあるとは
いえ、サンディから見れば、俺は通行人の一人に過ぎなかったから。
そういえば昨日、ミネアさんの下宿主のキレスさんが、ジョセフ(町長の息子)とサンディがどうのって言って
たっけ。あれは、サンディが、コーミズで暮らしているっていうことだったのか。
サンマリーノのメイドが、サントハイムのこんな田舎の村で……いったい、どういう経緯があったんだろうか。
階段を上がる。狭い廊下をはさんで、右と左に3つずつ、計6つのドアが、並んでいた。
「空いているのは、こちらと、こちらになります」
サンディが示したのは、廊下のつきあたりの、左右2部屋だった。左が街道側、右が村側だ。
俺は二人を振り返る。街道を見張るだけなら左だけでいいけれど……ミネアさんが、着替えとかしたくなる
かもしれない。
『では二部屋ともお願いします』言いながら、異論のないのを確認した。
「わかりました。それでは……こちらの部屋の鍵が、これになります」
真鍮製の鍵を一つ、サンディから取り出し、俺に手渡した。
『ありがとう』
「それで、こちらの部屋が、この鍵になります」
横のミネアさんにも別の鍵をサンディが差し出す。その横顔に目が行く。こうして近くで見ると、サンディに
間違いないけれど、感じがだいぶ違う。サンマリーノで会ったときは礼儀正しいけれど表情も仕草も歳相応
に子供っぽかったのが、今は俺よりも年上のように、しっかりして見える。何があったのか、気になるところ
だ。
「恐れ入ります」
と、ミネアさんより先に、クリフトが、鍵に手を伸ばした。「……?」サンディがびっくりした様子でクリフトを見
上げ、なぜか、俺が持った鍵、そして俺、ミネアさんの順に目を走らせてから、口元に手をやった。頬も、
わずかに赤くしたようだ。
『?』なんなんだろ……?
666 :
:04/09/11 08:11:21 ID:FYcvVurx
そんなサンディの態度にまるで構わず、クリフトは鍵を受け取り、「失礼ながら、これを」と、銀貨を代わりに
サンディの手に乗せた。「いいえ、このようなお金は……」サンディは、再三遠慮してから「ありがとうござい
ます」頭を下げてその銀貨をしまい、「昼食は、下の食堂になります。ごゆっくりどうぞ」俺とミネアさんにも
一礼し、階段を下りていった。
「ウィル殿。早く、開けてください」
サンディを見送る俺を急かしながら、クリフトが、鍵をポケットにしまおうとした。
『!』
そうか、さっきのサンディの態度の意味は……。男が2人、女が1人の客。2部屋の鍵を男2人がそれぞれ
受け取ったということは、女は必ず、どちらかの男の部屋に……。
『クリフト。そっちの部屋、一人で使うつもりか?』
「え?いいえ。姫様がいらしたらお使いになっていただくためですよ」
クリフトが、当然のことだといわんばかりに、無表情で俺を見る。
『だとしても、お前が鍵を受け取る必要はないだろう。ミネアさんに渡してやれよ』
ミネアさんに、俺が首をしゃくってみせる。「は?」クリフトは驚いたように目を丸くした。
「なぜですか。ミネアさんは、休まれるならご自宅があるでしょう」
あ、そうか。こいつはそう解釈したのか……。
『……まあいい。けどたぶん、あの娘に誤解されたぞ』
「誤解?何のことです?」
『お前にゃ、説明するだけ無駄だ』
「はあ……?」クリフトが釈然としない面持ちで、ミネアさんと顔を見合わせる。首をかしげたところをみると、
ミネアさんも、わかってない。
……俺の考えすぎか。サンディも、ミネアさんに家があるのを思い出して、赤面したのかもしれない。
うーん、でも、ミネアさんと二人部屋、か。そうなれたらいいなあ……。
ただそうなると、アリーナがクリフトと同部屋……。どちらをとるか。色男の悩むところだ……。
「ウィル殿」
はいはい。うるさいな。
ガチャリ。ドアの鍵を開け、まず二人を中へ通した。クリフトはすっ飛んで行って窓を開け、街道を見渡す。
後ろからケリでも入れたくなるような無防備さだ。アリーナを見つけたとたん呼びかけるなんて真似は、しな
いとは思うが……心配だな。
ミネアさんに続いて部屋に俺も入ろうとしたとき、『……?』目線を感じて、振り返った。
667 :
:04/09/11 08:25:17 ID:FYcvVurx
『!?』
ぎょっとなった。いつの間にかすぐ隣のドアが開いていて、隙間に、男の顔があったのだ。細い黄色い目と
尖ったあごの三角顔。こういう顔の奴も普通にいないわけじゃないが、ホビットかエルフの種族の血が入っ
てるんじゃないかと聞きたくなるような顔だ。俺と目が合った瞬間に、そいつはドアを閉めた。すぐ、鍵をか
ける音が聞こえた。
「ウィルさん。どうか、しましたか」
『あ、いいえ』
全身から冷や汗が湧き出している。あんな不気味な奴が隣なのか……。相部屋とかにならなくて、ほんと
良かったよ。
《サンディの評価がわずかに上がった》
二つ並んだベッドに、中央のテーブル。南面の窓。衣装ダンス。左にある扉は、バスルームだろう。宿屋の
ツイン・ルームとしては、ひとそろいそろっていた。どれも高級品とは言えない代物ばかりだが、それは仕方
ないだろう。
部屋に入ってまず俺がしたことは、クリフトを窓から引き離すことだった。
「何するんですか!」
『本気で見張るつもりなら、せめてその帽子は脱げ』
指摘してやると、ばつが悪そうにしてクリフトが帽子を外した。
『で、クリフト、ミネアさん。お願いがあるんですが』
街道にまだ旅人のかげもないことを確認し、テーブルにクリフトとミネアさんを集めた。
『アリーナがここに来たとして、まず、どうすると思います?』
「え?……それはもちろん、食事を頼むんじゃないでしょうか」
ミネアさんの意見に、クリフトもうなずく。「私たちがお弁当をいただいたことなんて、知らないはずですからね」
当たり前だ。
『となると、下の食堂でアリーナを捕まえなくちゃならなくなります。けど、食堂には他の客もいて騒ぎになるで
しょうし、もし外へ逃げられたらどうしようもないんで、できれば、この部屋に誘い込みたいんです』
「……しかし、どうやって?」
クリフトが腕組みをし、聞いてくる。俺はうなずき、さっき思いついた考えを話した。
『サンディ……さっきのウエイトレスさんに、頼むんだ。アリーナが来たら、食堂は村の人用で、外のお客さん
は部屋でお願いしますだとか言ってもらって、この部屋で待つように仕向けてもらう』
668 :
:04/09/11 08:30:08 ID:FYcvVurx
「なるほど。それはいいお考えです」
「そうしましょう、ウィルさん」
二人が、感心したように俺を見る。どうだ、だてにホルスを城から無断で連れ出しまくってるわけじゃない。
『頼む理由は何でもいいけど、サントハイムの姫様だなんて言うなよ。態度がかしこまりすぎて、アリーナに
バレるかもしれない』
帽子をかぶり直すクリフトに、一応、釘をさしておく。「わかっております」と答えたが……本当かねえ?それ
が、この計画で、唯一心配だ。
『じゃ、俺はここで見張ってるんで、すぐ、頼んできてもらえますか?』
二人は、すぐ部屋を出て行き、俺が魔物の姿がないかと空や森を探っている間に、戻ってきた。
「サンディさん、言うとおりにしてくれるそうです」
『そうですか。良かった』
村の人間のミネアさんと、城の神官のクリフトが頼みに行ったんだから、うまく話はつくとは思っていた。こう
いうのは、いくらいい考えで理屈が通っていても、相手に信用してもらえるかだからな。
『それじゃ、アリーナが来たときどうするかですが……』
三人で段取りを話し合い、俺とクリフトがドアを、ミネアさんが窓をふさぐことにした。アリーナは、俺やクリフ
トにはともかく、ミネアさんに対しては、乱暴してまで押し通ろうとはしないはずだ。
そんな事前の打ち合わせを終えると、俺たちは窓べりに立ったり座ったりして、見張りについた。
陽は、だいぶ上に昇っている。マーニャさんの言ってたことが本当なら、そろそろ来るはずなのだが。
「やはり、姫様に何かあったんでしょうか?」
心配性のクリフトが、俺とミネアさんを見る。たく、俺たちに聞いたって、しょうがないだろ。
『何かありそうなこと、あるのか?アリーナでもかなわない魔物がいるとか、山賊が出るとか』
「い、いえ。サントハイム領内の治安は万全ですから、山賊などは。ただ……」
『ただ?』
「狩人が、キャストミント山脈で、今まで見たことのない、恐ろしい魔物を目撃した。という話が、つい先頃に
ありまして」
クリフトが小声で話す。「このこと他言無用に願います。噂に過ぎませんから」
『キャストミント山脈でっていうと、どのあたりなんだ?』
俺が聞くと、クリフトは「キャストミント山脈がこうありまして、この村が東のこのへんになります」指で壁に絵
を描いた。
669 :
:04/09/11 08:41:45 ID:FYcvVurx
「魔物を見たというのは、サランの街の関所から東に入った山奥だそうですから、ここから山を越えた反対
側……このへんですね。その狩人の話では、悪魔のような魔物が、森の上を飛んでいたんだそうです。
この国に棲む魔物のほとんどを見聞きしているがあんなのは初めて見たと……。で、すぐ調査隊を派遣
して探してみたのですが、そのような魔物は、発見できませんでした」
『ふーん……悪魔のような姿か』俺の知ってる、空飛ぶ悪魔のような魔物というと……犬に羽根の生えた
アロードックぐらいなものだが、あのくらいで大騒ぎしてるわけじゃないだろう。あんな奴、俺でもやっつけら
れるし。
「そういえば、私も聞いたことがあるわ」ミネアさんが言い出した。「この前、グレッグさんが山菜採りに行っ
たとき、大きな翼があって、ぎらぎら光るものを持った悪魔が、山から山へ飛んでいくのを見たという話を、
人づてに聞きました」
「やはり!」クリフトが甲高い声を上げた。「ですから、もっとよく調べるべきだと私は言ったのですよ。なの
にゲバン様が中止しろと……。ウィル殿、姫様を迎えに行くべきです。そのような恐ろしい魔物に襲われ
れば、いくら姫様でも!」
クリフトが窓から顔を出し、あたりを見回す。俺は肩をすくめた。心配性な奴だな。一人か二人しか見たこ
とないなら、見間違いかもしれないじゃないか。遠くの山を見ているとよくある。飛んでいるものの大きさの
見当がつきにくいのだ。
とはいえ、俺も心配になってきた。昼を過ぎてもアリーナが来ないようじゃ、探しに行ったほうがいいな。
「あっ!」
いきなり、クリフトが声を上げた。窓の外を見ている。すぐ俺も、窓から顔を半分だけ出した。
女の子が一人、街道を登ってくるのが見えた。青い三角帽子から赤茶色に見える髪をのぞかせ、黄色の
皮のドレスと、黒いタイツ。
きた。アリーナだ。
口に甘草をくわえ、木の枝を振りながら、鼻歌でも唄ってるのか機嫌良く頭を左右に動かして、村へやって
くる。さして警戒している様子はない。
さっと窓際から離れ、二人に口に指をあててみせる。うなずきあって、段取りどおりの位置につく。
670 :
:04/09/11 08:46:12 ID:FYcvVurx
あとは、サンディが、うまくここにアリーナを連れてきてくれるかどうかにかかっている。クリフトたちがどう話
したのか知らないけど、つい余計なことを喋ってしまったりしたら、いくらアリーナでもバレてしまう。頼むよ。
『!?』
窓のほうを見ると、タンスのかげのミネアさんが、パンくずを床に投げていた。な、何してんだ、ミネアさん?
「ミネアさん!何しておられるのですか!」
クリフトも、あわてるような小声で聞いた。だが、ミネアさんはにこりと笑い、窓の外を向いてチュッチュッと
口を鳴らす。と、屋根から小鳥が飛び降りてきて、パンをついばみはじめた。1羽が来ると、2,3羽と続く。
すぐそばにいるミネアさんを怖がることも……いや、ミネアさんの手ずからパンをもらってる鳥までいる!
『………』
俺は、あっけにとられて、小鳥たちとミネアさんが戯れるのを見守っていた。意外と、いろんな特技がある
人だなあ……。
「ミネアさん!こんなときに何を遊んでるんですか!」
たまらず窓際に一歩踏み出したクリフトを、俺が首を振って制した。「しかし……」渋顔をつくるクリフトに、
再度、首を振る。
訳がわからないが、ミネアさんは考えなしに何かする人じゃない……お姉さんとは違って。
『……!』
足音が近づいてきた。二人だ。クリフトもぴくっとなり、さっと壁にはりつく。それを見たミネアさんも、手の
小鳥を放し、タンスのかげに退いた。
「こちらで、お待ちください。すぐにお持ちします」サンディの声。そして、
「ああ。すぐに頼むよ。お腹ぺこぺこなんだ」
間違いなくアリーナの声。そして、遠ざかる足音が一つ。サンディだろう。うまくやってくれたな。感謝。
ドアノブがまわった。扉板が前に出てくる。が、少し開いただけで止まった。
間。
もしかして気付かれたか?飲めない唾が、口の中にたまる。
そのとき、窓べりの小鳥がピッと鳴いた。俺も、そしてドアの反対側に隠れているクリフトも、息を呑んだ。
だが、一瞬ののちドアが完全に開き、アリーナの上体がぬっと現れた。
「なあんだ。おまえたちか」
思わずどきりとしたが、アリーナは、飛び跳ねている小鳥を見て瞳を輝かせて笑みを浮かべると、忍び足
で部屋に入って来、鳥たちのそばへ歩いていく。
671 :
:04/09/11 08:48:33 ID:FYcvVurx
今だ!
俺は、クリフトとうなずきあってから、パチッと指を鳴らした。
タンスの陰から、ミネアさんがゆっくりと出てきた。小鳥を踏まないようにしながら、窓の前に立ちふさがる。
「ミネア!?」
アリーナがぎょっとして立ちすくむ。すかさず俺は、クリフトと両側から飛び出し、ドアを閉めた。
「ウィルっ!?クリフト!」
アリーナが俺たちに向き直り、眉を立ててにらみつけてきた。
「ちくしょうっ!そうか、マーニャだな!」
「姫様!さあもう逃がしませんよ」すかさずクリフトが詰め寄る。「このまま私と、お城へお帰りください!」
「いやだと言ったろ。ボクには、ボクの用があるんだ。邪魔をするな!」
「またそのようなわがままを。どうか、ご病気の陛下のことをお考えになってください。陛下のご病気を治す
には、姫様がおそばにいるのがいちばんのはず。それに、陛下が政務をおとりになれない今、姫様が代理
としてこの国を統治なさらねばならないのですよ!」
「ボクがいたって、親父は治りゃしないじゃないか」アリーナが言い返す。「それに、ボクは政治のことなんて
知らない。ゲバンの奴が、ボクがわかりゃしないの知ってるくせに、税金の比率がどうだとか新しく作る水
路がどうのとかっていう説明、聞いてるだけで嫌だ」
「だからといって、このように勝手にふるまわれていいというものではございません。姫様はいずれサントハ
イムのお継ぎにならねばならぬのですよ。それをこのように逃げ回っていては……」
「クリフト!おまえ、ボクが、逃げてるというのか?」
「そ、そうは申しませんが……しかし、姫様、まずは城に戻り、お立場というものを充分にお考えください。
姫様は……」
「だから、帰りたくないって言ってるじゃないか」
駄目だこりゃ。主従どうしのくせに、ただの口げんかをやってる。けっきょく堂々巡りしてるだけだ。
『アリーナ』
クリフトが次に何か言い出すより早く、俺はアリーナの前に進み出た。とたんに、
「ウィル。お前まで何しに来たんだ」アリーナがそっぽを向いた。「ボクは、お前に用はない」
ずいぶんと嫌われたもんだが、嫌い方が、まるで子供だな。
672 :
:04/09/11 08:58:25 ID:FYcvVurx
『けど、俺は君に用がある』できるだけ淡々と、はっきりした声で語りかけた。『ミネアさんもマーニャさんも
いないのに、この村にわざわざやって来たってことは、アリーナ、この先の峠に行くつもりなんだろう?』
俺の言葉を聞いて、アリーナはさっと顔色を変え、後ずさった。マーニャさん、大正解です!
『やっぱりな。だからミネアさんと俺は、友達として、それを止めさせるために追ってきたんだ』
「そうよ。アリーナさん」ミネアさんも口添えしてくれる。「キャストミント峠は、険しすぎて、この村の私たちも
ほとんど通ったことがないんですよ。道も知らないアリーナさんが一人で行くなんて……。いくらなんでも
無茶すぎます!」
「ちぇっ」アリーナは、苦々しそうにミネアさんを振り返り、舌打ちした。
『アリーナ。俺は』そんなアリーナに、俺は一歩踏み込む。『クリフトみたいに、城に帰れとは言わない。君が
さっき言った通り、君には君の考えがあるんだろうし、それに俺はサントハイムとは関係ない、レイドックの
人間だからな。けど、危険に踏み込もうとしてるのは、黙ってるわけにはいかない』
「………」唇を震わせながら、アリーナがキッと俺をにらむ。「ウィル!よくそんなこと平気で言えるもんだな。
どうせお前は、ボクの身体だけが、目当てなんだろ!?」
お前こそ、誤解されるようなことを平気で叫ぶな。ここの二人とも事情知ってるからいいとして。
『違う……とも言えるが、そうとも言える。だけどなアリーナ。お前のことを心配なのは本当だ』
「ウソだ!」
アリーナが体を斜めにしながら、両手の拳を前に出す。やれやれ。ここまで嫌われたのか、俺は。
『ウソだと思うならそれでいいさ。だったら、俺でなくミネアさんの心配を考えろ』俺は、手をミネアさんのほう
へ大きく振った。『アリーナ、お前の友達が、一人で危険な山の中へ行こうとしてたら、お前ならどうする』
逆に、アリーナをぐっとにらみつけた。アリーナは唇を結び、俺から目をそらして黙り込む。
『追いかけて、止めて、止めらんなきゃ、せめて理由を聞こうって思うだろ?』自然に、俺は大声になった。
『だから、俺たちが今聞きたいのは、なんでアリーナお前、峠に行きたがってるのかってことだ。ちゃんとした
理由、あるんだったら、言ってくれ』
673 :
:04/09/11 09:03:23 ID:FYcvVurx
「………」アリーナは、唇を開きかけた。だがすぐ、すねるように天井を向き、またもだんまりを決め込んで
しまう。ああ、いらいらするなほんとうに!
『ないのか?ただ腕試しをしたいだけだってのかよ?』頭の中が熱くなってくる。こうなりゃヤケだ。『もしそう
なら、お前をサントハイムの城へ送り返すぞ。3人で、押さえつけて、呪文で眠らせてな』
さらに一歩踏み込むと同時に、腰の[破邪の剣]に手をかける。「!?」驚いて目を大きく開いたアリーナが、
さっと飛び退いた。
「やれるなら、やってみろ!」俺そしてクリフト、ミネアさんに目を配りながら、アリーナが身構える。「ボクは
……お前たちなんかに、簡単に捕まったりしない!」
『……アリーナ。頼む』俺は、大きく息をはくと、剣から手を放した。『わけがあるなら、話してくれないか。
俺だって、君を城に無理に帰すようなこと、したくない。場合によっちゃ、力になってもいい』
「………」だが、やはり、アリーナは黙ったきりだった。
だめか。俺は、ため息をつき、ミネアさんを見た。あと、お願いできます?
「アリーナさん」気持ちが通じたらしく、ミネアさんが話しかけはじめる。「ウィルさんの言った通り、何か
わけがあるんですか?」
「………」
アリーナはミネアさんを振り返ると、息をつき、黙って一つうなずいた。やっぱ、あるのか。
「姫様!わけとは何なんですか?」たまりかねてクリフトが出てきた。やめろ、お前が出てくると話が振り出し
に戻っちまう。
「でしたら、アリーナさん」ミネアさんが、ベッドの後ろに隠した荷物を引っ張り出した。「私たち、フレアさん
からお弁当をもらったんですよ。アリーナさんのぶんもあります。食べながらでも、話してください」
微笑みながら、テーブルに弁当箱を並べる。そういや、お昼はもう過ぎてるんだな。
「ウィルさんたちは?」
言われて、俺とクリフトは、牽制するような視線を交わしてから、弁当を置いて、テーブルにつく。
最後に、ようやくアリーナも、ふてくされたように唇を突き出しながら、ミネアさんの差し出す弁当箱を受け
取った。
《アリーナの意識に変化が起きた》《アリーナの評価がわずかに上がった》
《ミネアの評価が上がった》《クリフトの評価がわずかに上がった》
674 :
:04/09/11 09:04:58 ID:FYcvVurx
『ライフコッドじゃ、平らな畑がほとんどないんですよ。だからとれる作物の量なんて、村の人全員が食べて
いくのがやっとなんです。けど、代わりに、織物とか木彫り細工を作ってて、これが評判良くて、高く売れる
んですよ』
「そうなんですか。ここの名産は、野菜と果物です。それをモンバーバラの市で売って、暮らしてるんです」
『昨日のお祭りで果物を売ってる人をたくさん見ましたけど、コーミズ村の人たちだったんですか?』
「中には……でも、ほとんどは、ハバリアの港から運んで来るものです。コーミズ村のがいちばん新鮮なの
で、すぐ売り切れてしまうんですわ。あ、キレスさんの店の果物は、全部コーミズ村のものですけど」
『じゃあ、あの林檎、コーミズ村の林檎なんですね。どうりで、美味しかったですよ』
「うふふ。ありがとう、ウィルさん」
弁当を食べながらの俺とミネアさんの互いの村自慢を、アリーナはまだ不機嫌そうにしながらも聞いてはい
るようで、ときどき何か言いたげに顔を上げたり、もったいぶった顔をしたりしている。だいぶ腹が減っていた
らしく、食べるのはいちばん早い。一方クリフトは、時折俺たちの話に口をはさみながら、アリーナの様子を
何度となく見やっている。
驚いたのは、俺やアリーナはハンバーグや鶏肉に緑野菜など重いもの中心、ミネアさんがパンと野菜、クリ
フトが米と卵の料理と、めいめいの弁当の中身がそれぞれ違っていたことだった。しかも、冷たいのに味は
申し分ない。フレアさんって、何でもできるんだなあ。
『そういえば……フレアさんて、どういう人なんですか?』
「どういう人って?」
『この村の出身で、旦那さんを亡くされたっていうのは昨日聞いたんですけど……アリーナやクリフトのことも
知ってましたし、何かと、頼りになりそうでしたから』
「ええ。フレアさん、結婚する前、サントハイムの兵士をしてたんです」
『兵士!?』
女兵士ってやつか。フレアさんが兵士……ぴったりのような、違和感ありありのような。でも、納得。
「それも、姫様を護衛する兵士だったんです」クリフトが顔をしかめる。「姫様にせがまれるまま、武術の稽古
をつけておられましてね。私も、ついでとばかりに、さんざしごかれまして……」
675 :
:04/09/11 09:10:28 ID:FYcvVurx
じゃ、アリーナの先生!?うわ、やっぱりフレアさんて、すごい人だったんだ……。
『て、ことは。フレアさんて、アリーナよりも強いのか?』
「……ああ。ボクなんか、まだとても」
アリーナがうなずき、つぶやいた。それから、はっとしたように顔を上げて俺を見、すぐにそっぽを向いた。
こうやって無理して無視してるのは、すねたときのターニアそっくりだ。ターニアの場合は、後ろから抱きしめ
てやって、ごめんなってささやけば、向こうから泣いて謝ってくるんだけど……。アリーナにそれをやったら、
交尾した後のカマキリになっちまうだろうな。
「……アリーナさん、そろそろ、どうですか」
ミネアさんがおもむろにアリーナを見た。「話して、もらえますか?」
「……ああ」アリーナがうなずき、フォークを置いた。弁当箱はもう空だった。
「実は、その……ルナのことなんだ」
「ルナさん?踊り娘の、ルナさんですね」
「ああ。あの娘、素直でいい娘だと思ってたんだけどさ……その」アリーナが俺をちらりと見た。「昨日会った
とき、あの娘、ラゴスの莫迦にひどい目に遭わされてたのに、ラゴスの奴を変にかばうんだ。逆に、ボクに、
文句まで言って」
「姫様に?なんという無礼な!」クリフトが、ハムをからめたフォークを手に持ったまま、叫ぶ。「そういえば、
ラゴス殿を宿で見かけましたが、私からこそこそ隠れるようにしていたのは、そのせいだったのですね」
「それでさ、腹が立ってさ、何でかって考えてみたんだ。あの娘、ミネアも知ってると思うけど、キャストミント
の山の中の村で暮らしてて……何年前だかに、親もお兄さんも、村の人がみんな魔物に殺されて、弟と
いっしょにサランに逃げてきたって言ってたんだ」
すると……ルナさんて、みなし子だったのか。俺とターニアと同じだな。
『じゃ、その弟さんも、モンバーバラにいるのか?』
「………」アリーナが黙ってしまう。まだ俺は空気扱いなのかよ、お姫様。
「ルナさんは、ラゴス殿の紹介で、小間使い見習いに雇われたんです」クリフトがしゃしゃり出て説明しはじ
めた。「しかし、宮廷に慣れない方でしたし、弟さんがいなくなってからは、ぼんやりするようになってしまい
ましてね。ある日、ゲバン殿の足に紅茶をこぼして火傷させてしまい、解雇されてしまったんですよ」
676 :
:04/09/11 09:21:09 ID:FYcvVurx
それでルナさんは、アリーナが誰なのか知ってたのか。
けど、ラゴスの紹介っていうのはどういうことだ?あのラゴスが、孤児を拾い上げて城で雇ってやるなんて
慈善事業してるとは思えない。それに、弟さんがいなくなったっていうのは……何かありそうな気がする。
例えばラゴスの奴が、いろいろ、いじめたとか。
「そのあと、たまたま城に遊びに来ておられたマーニャさんが、踊り娘にするとおっしゃってモンバーバラに
連れてゆかれたんです。ちゃんとした踊りができなくても、こういう可愛らしい娘は、舞台で踊ってるだけで
絵になると言われて」
『ふーん……え、マーニャさんが?』俺は、昨日のルナさんが言ってたことを思い出した。ラゴスがマーニャ
さんを呼び出そうとしたのは、マーニャさんに相談するためだという理屈つけてたけど……それに説得力が
出てきたことになる。ま、ラゴスのことだから、ただそれを言い訳に使ったって可能性のが高いが。
「姉さん、ルナさんを気に入ってるみたいなんです」ミネアさんがサンドイッチを持って、楽しそうに言った。
「姉さんだけじゃなくて、踊り娘の人たちみなさんに可愛がられてて、男の人が酒場でルナさんを変にから
かったりすると、みなさんが怒り出して、その人を追い払ったりしてますよ」
言われてみると、ルナさんて、かばいたくなるような、素直でおとなしそうな顔立ちと体つきをしてた。しかも、
アリーナを前にして一歩も退かなかったから、誰かに媚びたりしない、芯の強い娘らしい。ああいう娘は、
もちろん男にもだが、お姉さまがたにも可愛がられるのかもな。
そうすると……俺はアリーナを見やる。もしかして、アリーナもそのお姉さまがたと同じような気持ちなのか。
守ってやりたい、っていうような。
『で、ルナさんと、キャストミント峠と、どう関係があるんだ?』
「それは……」言いかけて、またも俺を見て口をつぐむ。
俺は苦笑し、ミネアさんに目で頼む。うなずいたミネアさんが「アリーナさん、話してくれませんか」と、促して
くれた。
「……ルナの故郷の、滅ぼされた村っていうのに行ってみたくなったんだ。もしかしたらキピンがそこに戻っ
てるのかもしれないし……ルナが、ラゴスの言いなりになってる理由が、わかるかもしれないと思って」
677 :
:04/09/11 09:23:44 ID:FYcvVurx
『キピン?』
「ルナさんの弟さんです。突然、城からいなくなってしまったんです」クリフトが俺に耳打ちするように言い、
「そうですか……滅ぼされた村に、ですか」腕を組み、考え込んだ。
「実は、ルナさんの村がどこであったのか、どなたも知らないのですよ。山に入る狩人たちも、峠を行き来し
たことのある旅人に聞いても、ルナさんのような子供が暮らせるような村が、あの険しいキャストミント山脈
にあるはずがないと言っておられましたし……。けれど、キャストミント山脈には隠者の村があるという話を、
私は昔、城の図書室で読んだことがあるのです。深き森の中、人も魔物も寄せ付けず、一族のみでひっそり
と暮らし、古より何者かを守護している村だとか。ルナさんたちがその村の人で、その村が魔物に滅ぼさ
れたというのは、あまり考えにくいのですが……もしそうだとしたら、私も興味が湧くところですね」
クリフト……お前の興味はともかく、アリーナを止めたいのか峠に行かせたいのか、どっちなんだ?
「ですが、姫様。それならサランの側からお登りになられればよいのでは……そちらからのほうが近いはず
ですし」
「ボクに関所破りをしろってのか?」アリーナが息を鳴らした。「やってもいいけど、あの関所、どうも最近厳重
になっちまって、隙がないと思ってさ。だから、こっち側から登ろうと」
「あ、それは……」クリフトが顔を引きつらせる。アリーナを峠に行かせまいと関所を厳重にしたのは、こいつ
だからな。
『ふーん、ルナさんのことでか……』
俺も、興味が出てきた。ラゴスがルナさんの弱味を握っているとすれば、手がかりがその村にあるってことも
考えられる。ルナさんみたいないい娘をあんな奴の魔手から救うことができれば男としての面目躍如ってやつ
だろう。それに、今まで誰も知らなかった伝説の村というのも、面白そうだ。この場にヘンリーがいたら、すぐ
飛びついてきて、探しに行こうと言い出すだろうな。
『ミネアさんは、そういう村があるかどうかってことを、聞いたことないですか?』
「……それは、ありません。ただ……」ミネアさんが顔を上げて、窓に広がる山を見た。「峠を通るたび、大い
なる力を秘めた誰かがこの山にいる……そういう感じはしました」
678 :
:04/09/11 09:27:21 ID:cMx3rrx/
『そうですか……えっ?』俺はミネアさんを見つめた。『ミネアさん。あの峠を越したこと、あるんですか?』
「え、ええ……昔、父さんたちとサントハイムのお城へ行くときに何度か……でも、何年も前です」
じゃあ、ミネアさん、峠の道案内ができるんだ。それは好都合!
……。俺、止めに来たのに、行く気マンマンになってるな……。ミイラ採りがミイラってやつか。
「ほんとうか、ミネア!」アリーナが目を輝かせた。同じことを考えたな。「だったら、案内してもらえないか?」
「姫様!」クリフトが顔色を変え、テーブルに手をついてアリーナに身を乗り出した。
「お話は伺いましたが、そのこと何も姫様がみずから確かめられなくてもよいこと。ルナさんの村については、
城より調査隊を派遣して調べさせますので、姫様は峠に行くなどという無茶はなさらず、城にお帰りください
ますよう!」
「それじゃ、何にも面白くないじゃないか。ボクは、自分の目で、ルナの村を見てみたいんだ」
「お気持ちはわかりますが、そのようなことでは君主というものが務まりません。部下に任せるという度量あっ
てこそ……」
「またそれか。誰かに任せられないことだってあるだろ。それにボクは……」
「まあまあ、アリーナさん」
ミネアさんが手を振って、二人の喧嘩を止めた。「それなら、今日一日、この村で、落ち着いてじっくり考えて
みたらどうですか。その間に、クリフトさんの気持ちも、変わるかもしれません」
俺は驚いてミネアさんを見つめた。ミネアさん、目も口元も笑ってる……しかも、瞳をきらきらさせて。
……いける!ミネアさんもミイラだ!
「気持ちが変わるなどということはありませんが……そうですね、では今日は、この村で一泊しましょう」
クリフトが言ったとたん、ミネアさんがかすかに口元を緩ますのが見えた。たぶん、俺もだっただろう。
「ただし、姫様。今度逃げ出すようなことがあればもう言い訳など聞きませんからね。無理やりにでも、城へ
戻っていただきます」
アリーナは、チッと舌打ちをし「わかったよ」うなずく。
「アリーナさん。私にも約束してください。決して一人で、峠に行ったりしないって」
「ああ」アリーナがうるさそうに横を向きながら答えた。1人で、ですか。じゃあ2人や3人ならいいわけですね?
679 :
:04/09/11 09:28:21 ID:cMx3rrx/
『クリフト』俺は、渋面をつくっているクリフトを見た。『キメラの翼、ミネアさんに預けといてくれないか』
「は?な、なぜです?」
『お前が別のほうに気を変えて、アリーナをいきなり城へ連れ帰ろうとするかもしれないだろ。その可能性が
あると、アリーナだって落ち着いて考えられないじゃないか』
「しかし……」
『それとも、ミネアさんも信用ならないってわけか?』
「いえ、そんなことは……。わかりましたよ。ミネアさん、これを。決して、姫様に渡さないようにしてください」
クリフトが顔をますます苦々しくしながら[キメラの翼]を道具袋から取り出し、ミネアさんの前に置いた。
「そういうことでしたら、お預かりしておきます」
ミネアさんが、にっこり笑って翼をしまった。
うまくいった。さてこれであとは、どうやってクリフトを出し抜くかだ。
……なんだか、俺たちがここに来た理由と、今の俺の心中、方向性が思いっきり変わってきたような。
ま、どっちにしろ、友達として、アリーナ姫様を危険な峠に行かせるわけにはいかないからな……1人では!
《ミネアの評価がわずかに上がった》《クリフトの評価がわずかに上がった》
お弁当の箱や包みを片づけ終わると、四人ともがそれぞれの位置と用を見つけ、なんとなく黙り込んだ。
アリーナは窓のふちに座り、にこにこしながら屋根を眺め、手を出したりしている。小鳥がいるのだろう。その
アリーナをはらはらするように見守りながら、クリフトはテーブルで荷物の確認をしている。ミネアさんも、テー
ブルに座ったまま、鏡を見ている。
俺は、ベッドに座り、特にすることもなく[破邪の剣]に触ってみたり、道具袋をのぞいたりしていた。本当は、
アリーナと話をしたかったのだが、できればクリフトがいないところで話したい。
話すったって、何を話す?峠越えを一緒に行こうなんて言ったら、また変に勘ぐられるな。まずは誤解を解か
なきゃ。でもどうやって?俺がアリーナを最初は知らなかったということを証明するには……ヘンリーを連れ
て来れたとしても無理だろうな。反対に、アリーナをあのとき蹴っ飛ばしてきた女の子だと一発で見抜いて、
ますます誤解を深めてしまいかねない。女を見る目に関しちゃ、ヘンリーは俺のはるか上をいくからな……。
680 :
:04/09/11 09:29:30 ID:cMx3rrx/
ガタン。
考えていると、ミネアさんが椅子を立った。しぜん、俺や残りの二人の目が、ミネアさんにいく。
「私、ちょっと家に行ってきます。荷物、置いて行きますので、お願いしますね」
『家に、ですか』
「ええ。せっかく帰ってきたことですし、掃除をしてきたいので……」
俺は―――
1.『でしたら、俺も手伝いますよ』
2.『そうですか。終わったら、すぐ戻ってきてくださいね』
現在地:サントハイム王国コーミズ村 所持金:40819G <5日目・昼>
ウィル(村の少年) 職業:商人2+盗賊2 現在の作戦:呪文節約(慎重)
打撃3 防御2 敏捷3 魔力0 (各MAX15、装備による補正は含まない)
体調:良好 精神:好調
装備:破邪の剣〈ブーメラン〉+旅人の服〈旅人の服〉
道具:薬草x5、爆弾石、キメラの翼、(マーズの手紙)(グレーテの手紙)(ターニアの風鈴)
呪文:(インパス) 特技:砂煙、力ため
今回も厭になるほど長い32kb。しかも無駄に伸ばした話ばかり。これでも2イベント削っ・・・言い訳か
ギャルゲーだから会話がダラダラ続いてもいいなどと、緊張感が足りなくなってるかもしれませぬ
次の更新は水曜日・・・としたいのでつが、このところ不意の予定が入ってばかりなので努力目標ということで・・・
一気に次スレが必要な容量にまでなってしまいますた。立てられる方、どなたかお願いしますです。。。
>649 1ですとサンディと会わないままアリーナ捕獲。クリフトでなくミネア評価がなぜか上昇
>650 ほぼ1年ぶりかでしょうか。個人的には事あるごとに出したいキャラでつ
>653 主人公とクリフトに今の段階で連携組むと・・・書く漏れが非常に楽でつ
>654 4だと三人そろって農作業するハメになって楽しいことになったかも
>655 5だと、クリフトと喧嘩したついでに再度選択肢となりますた
>656 けど背の高さは隠せなかったり・・・それでも気付かないアリーナだったりw
>657 ガンガンいくクリフトとミネア、見てみたいような気も・・・書きにくいけど
>658-662 次は皆様にお世話にならないようがんがりまつ!
フレアはそう言う設定かいw、2
1。
ミネアさんゲッツ!
2
1
ミイラ同士で話をしてみる
ここは1がいいな。ミネアについてく。
破邪の剣でクリフトを一刀両断にもしてみたいけれど…。
2
迷うが、二人きりで残すのはイヤン
2
また逃げるかもしれんし、峠越えするにしても
アリーナとの関係を修復しておかないと。
1 百鬼ブラァイ
現在のプレイ時間:一年
GM氏に拍手を!
なんと、もうそんなになっていたとは。
完結したら文庫本が作れるよね。これだけ書けるのはすごい。
agew
んで、こっちは何に使おうか。
場繋ぎ氏を応援しよう
これまでの歴史とかキボンヌ
もうじき書けなくなる。
あとどれくらいかけるの?
4〜5レスがせいぜいかと
∨
/ ̄ ̄ ̄ ̄\
( 人____)
|ミ/ ー◎-◎-)
(6 (_ _) )
_| ∴ ノ 3 ノ
(__/\_____ノ
/ ( || ||
[]__| |WALT ヽ
|[] |__|______)
\_(__)三三三[□]三)
/(_)\:::::::::::::::::::::::|
|Sofmap|::::::::/:::::::/
(_____):::::/::::::/
(___[]_[]
∨
/ ̄ ̄ ̄ ̄\
( 人____)
|ミ/ ー◎-◎-)
(6 (_ _) )
_| ∴ ノ 3 ノ
(__/\_____ノ
/ ( || ||
[]__| |WALT ヽ
|[] |__|______)
\_(__)三三三[□]三)
/(_)\:::::::::::::::::::::::|
|Sofmap|::::::::/:::::::/
(_____):::::/::::::/
(___[]_[]