-ストーリー-
ウィルは、レイドック王国の山村ライフコッドの少年。誕生日の夜に魔族ゲマによって村からさらわれてしま
い、妹のターニアの身柄と引き替えに伝説の勇者を探して来るよう命じられた。ラインハット王国のサラボナ
という街に放り出されたウィルは、親切以上の態度で助けてくれたサラボナの白薔薇フローラに愛の告白を
したり、魔女バーバラと出会ったりしたのち、彼は占い師ミネア、踊り娘マーニャの妹姉と知り合った。そして
ミネアを助けるため彼女らの父親エドガンの仇バルザックと一戦を交え、そのバルザックも彼と同じくゲマの
手下だと知った。バルザックと入れ替わりに現れた謎の女性ミレーユの案内で、ウィルはミネア、マーニャと
ともに夢占い師グランマーズの島へ飛び、ムーンブルク王国の危機、天、地、人の3人の勇者の伝説、そし
て勇者は体のどこかに特徴あるアザがあること、また地の勇者ロトの血をひくのは5つの王家の王子王女
5人のうちの誰か一人だということを聞いた。翌日彼は勇者を捜すため、ミネア、マーニャの街、サントハイム
王国のモンバーバラへとやってきた。
祭りの最中のモンバーバラにて、ウィルは大臣ゲバンの息子ラゴスといさかいを起こすものの、ミネアの
呪文に助けられる。占いの仕事についたミネアと別れ、祭り見物に行ったウィルは、「クリフト」と名乗る少女
に会い、彼女と一緒に、ラゴスと踊り娘ルナとの濡れ場を目撃。そこで「クリフト」がサントハイム王女アリーナ
であり、以前レイドック城で会ったことのある少女だと思い出す。間もなくアリーナの従者であり神官である
本物のクリフト、ステージを終えたマーニャと合流。しかしちょっとした誤解でアリーナに去られ、追っていった
ウィルは偶然、男に襲われていたミネアを助ける。ミネアを彼女の知り合いであるフレアに届けた後、ウィルは
再びバルザックと遭遇、ミネアを襲ったのは彼だと知って怒りにまかせて飛びかかるが、逆に叩きのめされる。
翌朝、恐ろしい夢に震えながら目覚めたウィルは、ミネアとマーニャにバルザックのことを話す。そこへ飛び
込んできたクリフトの頼みで、アリーナを追ってコーミズ村へ行くことに。険しい峠に向かおうとしていたアリーナ
を策を弄して捕まえたものの、彼女の語った峠越えの目的に、逆に興味をそそられて―――?
主人公:ウィル(村の少年)
経歴:レイドック王国ライフコッドの村人。妹のターニアが唯一の身内
職業:商人2+盗賊2
強さ:打撃3 防御2 敏捷3 魔力0 (各MAX15、装備による補正は含まない)
体調:良好
精神:好調
武器:破邪の剣(モンバーバラの防具屋より高値で購入。炎の魔法が封じ込められている)、
ブーメラン(モンバーバラの防具屋より購入。複数の敵や空中の敵に有効)
防具:旅人の服(ミレーユから)
旅人の服(モンバーバラの防具屋より購入)
道具:薬草x5(モンバーバラの防具屋より購入)、
キメラの翼(グランマーズから。マーズの島行き)
爆弾石(バーバラから)
マーズの手紙(サントハイム王へ太陽の石の安否を訊ねる手紙)、
グレーテの手紙(バーバラから。アリーナへの私信?)、
ターニアの風鈴(ゲマから。幽閉されている妹ターニアと会話ができるが、使用中は聴覚が閉ざされる)
呪文:インパス(アイテム鑑定の魔法)
特技:砂煙(一時的に敵の視界を遮る)、力ため(一時的に攻撃力を上げる)
行程:レイドック王国ライフコッド→???→ラインハット王国サラボナ→グランマーズの館
→サントハイム王国モンバーバラ→同国コーミズ村
状況:5日目・昼
現在地:サントハイム王国コーミズ村
所持金:40819G
現在の作戦:呪文節約(慎重)
-作戦-
G.ガンガンいこうぜ (全体攻撃重視・攻撃呪文&特技多用・速攻系)
V.バッチリがんばれ (攻撃呪文&特技&道具多用・連携系)
L.いのちだいじに (防御重視・回復&防御系呪文多用・慎重系)
<<パーティ全体で庇護する仲間を1人入力。指定しなくともよい>>
S.じゅもんせつやく (直接攻撃重視・間接攻撃系呪文&特技多用・慎重系)
M.おれたちにまかせろ (攻撃人数限定・攻撃支援系&防御系呪文多用・連携系)
<<攻撃担当者を2人まで入力。残りの仲間は支援に専念。指定のない場合は主人公だけで攻撃担当>>
T.じゅもんつかうな (直接攻撃重視・精神力絶対維持・特技&道具多用・速攻系)
*速攻系:敵の先手をとり、戦闘を早めに終わらせる。敵の攻撃を受けやすい。
*連携系:仲間どうしが協力しあい、攻撃と防御に無駄がなくなる。ただし仲が悪いときは逆効果。
*慎重系:敵の攻撃を見極めやすく、フィールドで不意打ちされることが少なくなる。敵の後手に回りやすい。
-メインヒロイン-
△ターニア(66):ウィルの妹。ゲマにさらわれて人質になっているが[風鈴]で会話できる(現在使用回数1)。
ビアンカ(65):ウィルの幼馴染みでお隣さん。宿屋の娘。
マリベル(40):ウィルの幼馴染み。ライフコッド村長の娘。初期状態のまま。
フローラ(122):サラボナの白薔薇と呼ばれるお嬢様。父はサラボナの大商人ルドマン。
いろいろあって告白済み。ウィルの所持金はすべて彼女からの借金。
バーバラ(81):マーディラスの魔法研究所の魔女で所長さん。彼女からアリーナ宛の手紙を預かっている。
マーニャ(105):モンバーバラ劇場の踊り娘。エドガンの娘。ウィルを「ビル」、アリーナを「アルト」と渾名で呼ぶ。
○ミネア(132):マーニャの妹。モンバーバラの占い師。アリーナを追ってウィルらとコーミズ村へ。
ミレーユ(49):夢占い師グランマーズの弟子。グランマーズの館にいる。
○アリーナ(59):サントハイム王国のお姫様。俗にいう「ボクっ娘」。行き違いがあって喧嘩中。
他、未知のヒロインx4
◎現在同行 ○現在パーティ仲間 △限定的に会話可能 カッコ()内は現在の好感度
-サブキャラクター-
○クリフト:サントハイムの神官でアリーナの従者。アリーナを城へ連れ戻そうと躍起で、ウィルとは険悪。
ヘンリー:未登場。ラインハット王子。ウィルの親友。
ホルス:未登場。レイドック王子。ウィルの親友。
ランド:未登場。ライフコッド村の狩人の息子。ウィルの喧嘩友達。姉グロリアがいる。
ゲマ:魔族。ターニアをさらい、ウィルに勇者を探し出してくるよう脅迫している。
ルドマン:未登場。世界的な大商人で大金持ち。フローラの父。ウィルとはまだ会っていない。
リリアン:フローラの愛犬。ペット犬らしくない行動力を見せる。
チェリ:ルドマン家のメイド。ウィルが滞在中、いろいろ気遣いをしてくれた。
ユルル・キッカ・エッコ:サラボナの3人娘。チェリの知り合い。ウィルにミネアの行き先を教えてくれた。
エドガン:故人。サントハイム王国宮廷錬金術師。マーニャ、ミネアの父。5年前、バルザックに殺害された。
バルザック:エドガンの弟子。師匠を殺し研究成果を奪う。ゲマの部下として2度ウィルの前に現れている。
グランマーズ:ミレーユの先生。元ムーンブルク王国の宮廷占い師で、今は孤島で隠居中。
ウィルをムーンブルク王国に関わりのある者と見立て、館へと呼び寄せる。
ラゴス:サントハイムの大臣の息子。ルナと関係していたところをウィルとアリーナに発見される。
オーリン:エドガンの愛弟子。ミントスという街の出身らしい。3年間行方不明。
ルナ:モンバーバラの踊り娘。元サントハイム城の小間使い。キャストミント山脈内の村出身という。
キピン:未登場。ルナの弟。行方不明らしい。
キレス:マーニャとミネアの下宿の女家主。果物屋。ジョセフとサンディについて知っていた。
シンシア:未登場。ターニアの世話係らしい。
フレア:モンバーバラで暮らす、コーミズ村出身の未亡人。元サントハイム城近衛兵で、アリーナの先生だった。
マゴット:モンバーバラ教会の僧侶見習い。ウィルに、クロービスという神父についての言づてを頼む。
シロン:サントハイム王の側近で、ウィルの知り合い。ラゴスを迎えにモンバーバラに来ている。
グレーテ:未登場。マーディラスの王女様らしい。
サンディ:コーミズ村の宿屋のウエイトレス。以前レイドックのある街のメイドをしていた。
-ゲームシステム(場つなぎ ◆Gp/A555JhQの場合)-
ドラクエキャラクターによる、ドラクエらしき世界を舞台にした、GM独自のオリジナルストーリーです。
SSの最後にある選択肢を選んでください。
<<入力>>とあるときは文字入力ができます。
1つの選択肢につき1人1回という以外、参加者の人数に制限はありません。
選ばれた複数の選択肢が同じ数だった場合は、先に書き込まれた方のものが優先されます。
(複数選択可能のときなどは、過半数等、一時ルールを決めることもあります)
GMである私へのご意見ご希望も書き込んでいただければ喜んで参考にさせていただきます。
なお、「DQのギャルゲーを本気で作る会」「さんかく」とは、今では一切関連はありません。
(一ファンとして、この場を借りまして。
完成おめでとうございます!おつかれさまでした!次回作ハッスルハッスル!!)
-参加者規約-
とても言えないことにより、参加者は以下の3つを遵守できる方のみとさせていただきます。
・18歳以上で、自己の行動に責任がもてる
・常時sage進行
・他の参加者を罵倒しない
・画面を見つめすぎて目が悪くなったといってGMに謝罪と賠償を申し立てない
-初めての方、1年ぶり以上でいらした方、ならびに住人の方々へ-
かつてのGMの御方たちは、プレイヤーを1人選んで毎日1時間リアルタイムで話を進めるという形式でしたが、
現GMである私の諸事情により、現在は申し訳ないながら、複数参加者による多数決制としていただいております。
しかも、あり得ないほど長いストーリー(リアル1年でやっと5日目経過)。イツオワンダヨ!!
遅筆なうえ、やっと更新したと思いきや10レスは軽くぶち抜く長文駄文。コンナニヨメネーヨ!!
誤字脱字訂正せず、勝手に自虐に浸ることが多い。ガキジャネーダロ!!
・・・等々、就任以来、参加者様に迷惑をかけっぱなしという歴代最悪最弱のGMであります。
そんな私ではありますが、
みなさまのご参加がある限り、ご期待に背くことのないよう今後とも更新と精進を続けていきたいと思っております。
このスレでのお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
*私から連絡が2週間なかった場合、すみやかに新しいGMさんを募集してください。
もちろん、そのような事が決してないよう努めるつもりです。
*オレも私もGMをやりたいのに!という方は、別スレを立てるか依頼なさって、存分にGMの腕をふるってください。
1年も居座り、しかもこの先どれほど続くのかわからないので、そうしていただいたほうが漏れは気が楽でつ。
(といっても、こうしたことに対して私がどうこう言える立場でもないとは思いますが・・・)
*前置きも長いでつが、本編はさらに長いでつ。
(前スレからの続き)
「ええ。ウィルさん。すぐ、戻ってきます」
俺を安心させるかのように、ミネアさんが微笑んでくれた。ミネアさん、この村に来てから、なんだか生き生き
してきたなあ。
ちょうどミネアさんが外に行くのだから、あとは、クリフトに用事でも言いつけるかして、アリーナと二人になり
たい。どうにかして誤解を解きたいし、渡すものもあるからな。
ところが。
「ミネア!それならボクも行こう」
アリーナが窓枠から滑り降り、俺の目の前を通り抜けて、ドアへ駆け寄った。
しまった!それならと俺も腰を浮かしかけたが……見送りを言ってしまった以上、すべてが遅い。
「私も、お手伝いいたします」いや、お前が行くのは全然構わんけど。
「お手伝いしてもらうほどのことでは……」
戸惑うミネアさんに、アリーナが、
「遠慮するなよ。力仕事あったら任せてくれ。それに、エドガン殿の墓参りもしたいし、ペスタにも会いたいな」
言いながら、かすかに俺へ横目をやってきたのを、俺は見逃さなかった。くそっ、俺を避けたいがためか。
「私も、後片づけでしたら、お手伝いできると思います。それ、お持ちしますよ」
クリフトが、ミネアさんの持とうとした弁当箱の包みをひょいっと奪い、手に提げた。そして、
「それでは、ウィル殿、荷物をお願いいたします」
俺を振り向き、腹が立つほど平然とした顔で言い、さらに頭まで下げてきた。
『あ、ああ……』
ばたん。ドアが閉まる。
しばらく俺は、唇の端を震わせたまま、ドア斜め上の天井の角を見上げていた。
《ミネアの評価がちょっぴり下がった》
アリーナのいなくなった窓際に、小鳥たちが降りてきていた。俺にはまるで関心なく、まだ散らばっているパン屑
をつついたり、パン生地の耳を隣と取り合いしたりしている。
その様子を何ともなしに俺は眺めていたが、ようしっ、と両膝を叩いて立ち上がり、深呼吸しながら両手を上げて
伸びをした。羽音が一斉に逃げていく。かまわず、俺はベッドの脇から[ふくろ]を引き上げ、テーブルに乗せる。
ぼんやりしているのは時間の無駄だ。どうせなら、この独りの時間を有効利用してやる!―――
1.[ターニアの風鈴]を使う 2.一階に行ってみる 3.剣の稽古をする 4.ブーメランの練習をする 5.ひとまず寝る
FFドラクエ板スレ立て初成功!
このプロバイダで立てられたんですな。感動のあと脱力・・・
あらためまして。ふつつかなGMでありますが、みなさま、今後ともどうぞおながいしますです!
>前スレ682 このくらいのキャラクターでないと、アリーナの先生という説得力は出てこないと思いまして・・・
>前スレ683 1だとミネアシナリオが一気に進んだんですが、楽しみは後へ
>前スレ685 そのこともですし、ほか3つほど話が進みますた。けど更新は来週になったと思われw
>前スレ686 重要なサブキャラを簡単に殺しちゃいけません!ただしサブキャラは主人公を殺うわなにをするやめ(ry
>前スレ687 その判断は正しいです、とだけ書いておきまつ
>前スレ688 ご期待の展開でなくて申し訳ありませんでつ
>前スレ689 ??
>前スレ690-691 ありがとうございます!!ご参加くださった皆様のおかげで1年勤めあげることができますた!
書いた文字数、前スレまで約36万字。目指せ100万字!(おい)
ここまでくると今から参加という方にはなかなかキビシイでせうね・・・過去ログを気長に読んでいただくしか・・・
それでも、新規参入の方、お待ちしておりまつ!
>場繋ぎ氏
激しく乙。
昔から作文とか苦手だったオレにはとても無理な文章量だな…。
もっと自信持っていいと思うよ。
このスレはオレの密かな楽しみなので、是非これからも続けて欲しいな。
で、選択肢は何となく気になった2で。
ここらで風鈴を使っとけという警鐘が聞こえなくもないが、ひとまず無視。
5 ま、これにはならないと思うけどね
1
風鈴が1番の選択肢にあるのは珍しいので
1
滅多に使えないからな
[風鈴]を取り出し、羽根をつまむと、ミネアさんたちが帰って来ても目でわかるようにドアを向いて座り直す。
これ使うとほかの音が聞こえなくなるからな。[風鈴]のこと、いずれ、ミネアさんたちにも説明しとかなきゃなあ。
指で弾いた羽根が、クルクル回り出す。そういえばこの[風鈴]、今日は青いままだ?
チリチリチリ……。
昨日の火傷するような熱さを思い出し、覚悟した。だが、頭の中で引き戸の開くような感覚がしただけだった。
変だな……これでちゃんと、ターニアと話せるのか?
「………すー」
大して疑う間もなく、静かな呼吸の気配を感じた。もちろん、ターニアの気配だ。
『ターニア。元気か?今日は昼飯、何食べた?』笑いながら声をかける。『昨日、急に話やめちゃって、ごめんな』
「………」
『ターニア?おーい?どうした』
気配は確かにするものの、返事がない。昨日はすぐ答えてきたってのに。何か、あったのか?
『……!』まさか!?
“おにいちゃんが、早く探してくれないから……。”
戦慄が走った。今朝の俺の夢が正夢で……本当にあの牛魔の餌食にされちまって……ショックで声も出ない
んじゃ……?
否!すぐ俺は首を振った。それならそれで、俺が呼びかければ泣き出すはず。ビアンカやマリベルと口喧嘩
したり織機を壊しちまったり、とにかく何かしでかして落ち込んだとき、いつも、俺の姿を見るなり飛びついて
きてシクシクしてんだからな。俺の声を聞いて無反応ってことはまずない……と、思いたい。
『ターニア。おい、ターニア?』呼びかけ、耳に集中する。はやく、元気な声、聞かせてくれ!
「んみゅ……おにいちゃん……」
『た、ターニア!?良かった。無事かっ?』
「おにいちゃぁん……おなかいっぱいなの……くー……」
『………』
がっくりと首から力が抜ける。なんだ、お昼寝中か。そういや、そんな時間だものな。
うーん……だったら、無理に話をするのはかわいそうかなあ。悪夢を見てるわけじゃ、なさそうだし―――
1.ターニアを起こす
2.時間をつぶしてから、やり直す
2−1.道具のチェックをする 2−2.剣の稽古をする 2−3.ブーメランの練習をする
3.[風鈴]をやめ、別のことをする
3−1.一階へ行く 3−2.寝る
再確認だけの手抜き更新。意外と重要なので
>11 ご声援ありがとうございまつ!漏れも作文は苦手ですた。杓子定規しか書けず
>12 漏れも、これは選ばれないだろうなあと思いながらもw
>13 朝の3択のうちの最後の残りなので先頭にしますた
>14 ターニアと話せるのは今のところ主人公が一人のときに限りまつので・・・
<アンケート>(新スレ&一周年記念)
サンプルとして1シーン(年齢制限有、1〜2レス分)を
A.読んでみたい(*1人だけ)
A−1.マリベル A−2.ミレーユ A−3.○ォ◇ A−4.<<ヒロイン入力>>
B.読みたくない
C.余計なこといいから本編進めろ
と思いきや前スレ埋められてるし・・・_| ̄|○
2−1 C
前になかった選択肢なので
2−3 でおね。
アンケートはD.どこかそれ系のスレに書いて後でコソーリ教えてくだちい。
3-2 A-4<<クリフト>>
3-1でGO!
業務連絡:
前スレ保管完了しましたー。
2-1で。。。アンケートはD方式に一票。
2-2
アンケートはD
とりあえずここに書くのはまずかろう
2-1
C
と言うか文書長いのに展開遅くて疲れてきた
もっと濃密か軽くしてくれると嬉しい
アンケはD派だが展開が遅くなるようなら後で
いったん[風鈴]を脇に置き、[ふくろ]を開けると、中のものを次々取り出し、ベッドのシーツの上に並べてみた。
手紙2通、[ブーメラン]に服の着替え、[薬草]5袋と[キメラの翼]、[爆弾石]、大きな干肉。なに一つなくなったり、
使い物にならなくなったりしているものはない。もちろん、余計に入っているものも……?
『!?』
薬草の袋から、見覚えのない、細い鎖の輪が飛び出していた。なんだこれ?
引き出してみると、竜の手をかたどったペンダントで、透きとおった深青の石がはめ込まれてある。今朝、薬草
を買ったとき、防具屋のおばさんが知らずに袋に入れてしまったのだろうか。それとも、俺の知らない間に誰か
が入れたのだろうか。この[ふくろ]を今日はずっと手放していないから、今朝からここまでの間に、薬草の袋に
こっそりこんなものを入れるのは、スリの達人でもない限り無理だ。バーバラが魔法を使って入れたってのも、
なきにしもあらずだが。それにこの薬草が、今日買った薬草なのか昨日買ったものなのか、わからない。昨日
のものとしたら……アリーナの手当をしたときには確かになかった。とすると、チャンスはあれから朝までの間
だ。考えられるのは、俺が眠っているとき。だとすれば……。
……あの野郎、か。
するとこれは、[風鈴]と同じく、ゲマからのアイテムってことになる。
そのペンダントを調べてみた。宝玉をのぞき込んでみると、かき混ぜたコーヒー入れたミルクのように渦を巻く
光が見え、びりびりとした強い魔法力を感じ、なぜか喉が震えた。使い道はわからないが、相当強力なマジック
アイテムだ。調べてみるか。
『…………インパス!』
……?俺は思わず両手を見た。魔法が発動しない。詠唱を間違えたか?そんなはずは……。
『……を、我に告げん!イ・ン・パ・ス!!』
慎重に唱えてみたのだが、やはり何も起きない。俺が少々疲れただけだ。
このペンダント、呪いでもかかってるのだろうか。そんなアイテムを押しつけるとしたら……ゲマだろうな。いや、
バーバラの奴の仕業だとしても、充分あり得る!
とにかく、[インパス]が効かないんじゃ、あとはミネアさんかクリフトに聞くしかない。戻ってきたら見せてみよう。
俺は、ふたたび[ふくろ]の中へ、丁寧に道具をしまった。
《[青紫色の玉]を手に入れた》
26 :
:04/09/22 22:27:02 ID:v9iTKpH4
さて。ターニアのやつ、そろそろ起きたかな。
[風鈴]を手に取り、羽根を回す。チリチリチリ……。
『ターニア?』
「あっ?おにいちゃん!」今度は、ターニアの元気のいい声が返ってきた。
『おはよう。やっと起きたな』
「え、えっ?おにいちゃん、どうして知ってるの?」
『さっきも、話しかけてみたんだ。そしたら寝てたからさ。起きるのを待ってたんだよ』
「ほんと?ごめんね、おにいちゃん。起こしてくれたら良かったのに」
『無理に起こすと怒られるからな』
「怒んないよ。わたし、お昼寝より、おにいちゃんとお話、いっぱいしたいもん」
『そ、そうか。じゃあ起こしてやれば良かった』
「うん。えんりょしないで、こんどから起こしちゃって」
『そうする。覚悟しとけよ』
「でも、あんまり大きい声出さないでね。びっくりしちゃうから……」
俺は笑った。いつもなら髪をくしゃくしゃに撫でまわしてやるところなのだが。言葉だけってのは、もどかしい。
『ところで、その……ターニア、元気だったか?』俺は少し声をひそめて聞いた。
「え?うん、元気だよ?どうしたの、急に」
『……昨日、何か、されなかったよな』
「何か、って?」
『いや、無事ならいいんだ。俺の勘違い』
「へんなおにいちゃん?」
ふう。杞憂だった。ゲマの奴、約束、きっちり守ってるらしいな。
「おにいちゃん、今日はちゃんと、お昼ご飯食べた?」
『ああ。ちゃんと食べたよ。ターニアは?』
「うん。あのね、シンシアさんが野菜とか茸とかいっぱい持ってきてくれて、わたしね、自分で料理したんだよ。
シンシアさんもね、美味しいって言ってくれたの」
『良かったな』肩の力が抜ける。実に緊張感のない人質だな。
「それでねそれでね、朝ご飯ちょっと残しちゃったから、窓の外に置いておいたらね、鳥さんがいっぱい集まって
きてくれたの。うちのところに来る鳥さんたちとぜんぜん違う鳥さんだけど、見てたらね、降りてきて、わたしの
すぐそばまで来てくれたんだよ。すっごくね、かわいい鳥さんだよ!」
27 :
:04/09/22 22:30:09 ID:v9iTKpH4
『そ、そうか』ぜんぜん違う鳥……どんな鳥か聞きたかったが、怖くなってやめた。たとえ見るからに魔鳥であっ
ても、ターニアなら平気で仲良くなりたがる。助け出したとき、頭が2つあって羽根のほかに腕が生えてるような
“かわいい鳥さん”をライフコッドに連れて行きたいとせがまれたら、どうしよう?
「それとね、おにいちゃん」明るい声が続く。「今日もね、お洗濯、わたし自分でやったんだよ。シーツはまだだけ
ど、お洋服は、お天気いいから乾いちゃった。まだ干してあるんだけど」
『えらいぞ、ターニア』
「えへへ。えらいでしょ。帰ったら、おにいちゃんのぶんも、お洗濯してあげるね」
『………』俺は頬を引きつらせた。
俺とターニアは、4年ほど前から――それまではターニアが俺のまで洗っていたのだが――自分のぶんは自分
で洗濯するようになった。俺がそう提案したとき“わたし……変なふうに洗っちゃった?”と泣きそうな顔をされた
のを覚えている。そんな理由では当然なく、俺の身体が少しばかり大人になってしまったせいだ。“今朝は俺、
自分で洗うよ”と言ったあと必ず“なんで?おにいちゃん”と聞いてくるウブなターニアにいちいち言い訳を考える
のが面倒になり、さらに、下着を洗う俺を見たときのビアンカの意味ありげな笑いとマリベルの蔑んだ視線に
耐えきれなくなったのだ。
しかし、それからもターニアは隙あらば俺の服を洗濯したがる。俺がシエーナに行って帰ってくると放っぽって
おいた服は全部洗ってあるし、俺がどこか怪我したときも事後承諾である。そのくせ、ターニアは決して自分の
服は俺に洗濯させようとしない。いつだったかターニアが風邪をひいたときも、汗だくの寝間着と下着をどうにか
脱がせて着替えさせはしたが、洗濯しようとすると音を聞きつけ寝室から飛び出してきて本気で怒ったので、
やむなくビアンカに頼むことになった(それさえも長いこと説得した後だが)。“わたしだって女の子だもん!”と
反論するターニアに“だったら俺だって男の子だぞ”と言い返せないのが、兄の辛いところだ。同じ兄妹家庭の
人たちに、洗濯はどちらがどうしているのかと、いちど聞いてみたい。
28 :
:04/09/22 22:36:22 ID:v9iTKpH4
『ところでターニア』さっさと話題を変えることにした。『今、俺がどこにいるか、わかるか?』
「え?えっと……サントハイム、じゃないの?」
『そうなんだけどな、今日はコーミズって村に来たんだ。山の中にあって、ライフコッドと似てるんだよ。海はない
んだけど、代わりに川が流れてる』
「ふうん、そうなんだ。その村に、勇者様がいるの?」
『それは……』言いよどむ。その勇者様らしき女の子と喧嘩したと教えたら、ターニア、どんな顔するだろう。
『いる……かもしれないんだ。ただ、まだ勇者かどうかは、わから……』
「わあい!じゃあ、わたし、もうすぐおにいちゃんのとこに戻れるね!」
言い終わるより早く、ターニアのはしゃぐ声が聞こえた。「帰ったら、わたし、おにいちゃんと……えへへ」こらっ、
人の話は最後まで聞け!
『えーと、ターニア。そうはいってもだな……』
途方にくれながら、何となく俺は、窓のほうを振り返った。
『うっ!?』
とたん、俺は驚きのあまり、[風鈴]を取り落としそうになった。
窓枠の左から、人の顔が突き出ていたのだ!
『誰だ!』
叫ぶ前にそれは消えていた。けど、見間違いなんかじゃない。何者かが、この部屋をのぞいていたのだ。
「……おにいちゃん?」
『ターニア、ごめん。人が来たんだ。またな』
「うん。おにいちゃん、またお話してね!」
[風鈴]の羽根を止め、俺は窓に向き直った。あの不気味な三角顔は、ここに入る前に見た、隣の部屋の人……
いや、人じゃない。いったいどうやったら、二階の窓を横からのぞけるんだ?上からや下からならともかく!
拳を握りしめ、窓に近づこうとしたとき、
「ケケケケケ……」
その顔が、ぬっと下側から現れた。俺は息を呑み、後ずさる。
29 :
:04/09/22 22:42:38 ID:v9iTKpH4
「騒ぎは起こすなとの命令……しかし見られたからには仕方ないナ……」
不敵に笑いながら、そいつは部屋にゆっくりと入ってきた。『……!』俺は目を見張った。そいつは、空中に浮か
んでいた。やはり、魔物だったか。
そいつをにらみつけながら、俺は、手の[風鈴]をテーブルに置いた。どうして魔物が、人間に化けて宿屋にいた
のか。この村を襲うためだろうか?そこまで計画する頭のある魔物なら、意味もなく街や村を襲ったりはしない
はずだ。魔物が襲うだけの価値がこの村にあるなら納得できるが……。
と、魔物はどこからか短い杖を取り出し、振り上げた。俺は飛びすさったが、攻撃呪文ではなかった。黒い煙が
魔物を包み込み、魔物はたちまち子供のような大きさになった。煙が消えると、ソーサー・ハットをかぶり、杖を
持った一つ目の魔物が、そこに浮いていた。正体をあらわしたらしい。
『何者だ!』
「ケケ。人間に名乗る名などないワ!」
見たことのない魔物だった。厚い口紅と白いドーランを塗った、道化師のような化粧をしている。大きさや、宙に
浮いているところから見れば、レイドックの辺りの森にいる[切り株小僧]と似た感じだ。けどあの連中はただの
魔樹の精霊。前のこいつの装いからしてたぶん、姿形こそ違うが[ハエ魔導]どもと同じで俺の苦手な、魔導師の
類だろう。
「死ね!」
叫んで、一つ目が杖を振り上げた。まずい、呪文を唱えてくる!
俺は―――
1.[破邪の剣]を抜き、正面から斬りかかった。
2.[破邪の剣]を抜き、上に振りかざして祈りを捧げた。
3.[ブーメラン]を取り出し、投げつけた。
4.大声で助けを呼んだ。
5.一目散に逃げ出した。
ウィル(村の少年) 職業:商人2+盗賊2 作戦:呪文節約(慎重)
打撃3 防御2 敏捷3 魔力0
体調:良好 精神:普通
装備:破邪の剣〈ブーメラン〉+旅人の服〈旅人の服〉
道具:薬草x5、爆弾石、キメラの翼、(マーズの手紙)(グレーテの手紙)(ターニアの風鈴)
呪文:(インパス) 特技:砂煙、力ため <5日目・午後1>
今回、立ち読みした文章読本の影響で文体がいつもと違う・・・かも
キャラクターさえ変わっていなければ・・・変わってまつか?w
>18 時間潰ししようとしなければ思いつかない選択肢、ということですた。何事も本編優先いたしますです
>19 それ系のスレと言われても、官スレじゃ宣伝だとみなされますし、萌えスレでは叩かれまつ(オリキャラカプなので)
初代GMさんのあのスレは・・・やはり怒られそう。だからこそ前スレの余りを使おうとしたのでつが・・・_| ̄|○
>20 3−2だと魔物に袋だたき・・・にはなりませんですた。漏れは非生産的な関係は嫌いでつ
>22 乙です!生意気を申すようでつが、リアルでもがんがってください!
>23 2−2だと魔物が出てこずターニアとしばらく話ができますた。Dが4票でつが、ヒロインは・・・?
>24 ごもっともでつ。漏れは未だに「ゲーム内の一秒」と「主人公の一挙手一投足」を捨てられないんでつね
例えば、
>>15にしても、普通の小説なら、
[風鈴]を使ってみたが、聞こえてきたのはターニアの寝息だった。
お昼寝中らしい。無理に起こすのはかわいそうだな。どうしようか―――
だけで済むのでつが、今更「風鈴の効果の確認」と「不安がる主人公」と「コケる主人公」を描こうと欲ばって1レス使い切ってしまう
「この瞬間に主人公(とヒロインたち)は何を考えて何をしているのか?」
思いついたことをほとんどすべて書いてしまって、結果、読みたくもないことを読ませてしまっている・・・
こんなことしていれば無駄に文章量が増えていく・・・当然でつ
また愚痴になってまつな。とにかくまずは、捨てる努力からしてみまつ!
展開の遅さについては・・・登場キャラクターに聞いてくださひ。奴らが余計なことしたがらなければ・・・あ、それも捨てる技術でつか
3 相手の呪文の方が早いと見た。
だが手馴れた飛び道具なら先手を取れる…か?
TRPGみたいだな〜こういう選択肢は好き。
呪文使い始めたら2は間にあわなそうな感じだし、
1でいってみる。
3.ブーメランの練習しときゃよかった。うまくいくかなあ
狭い部屋の中で長剣振り回すのもどうかと思うが
1
フレアのアドバイスどおり2
え、宿屋が燃えるって?
1
一閃!
4、勇気と蛮勇は別、苦手な相手なら力を合わせて戦うのが王道
5、勇気と蛮勇は別、苦手な相手なら逃げるのが王道
4かな…けど大声で助けを呼んだって事は…まさか次ターンで来るのか?
40 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/26 00:04:06 ID:GzHCRk1E
暇age
それ系のスレじゃなくても、廃スレ利用すれば良いかと。
ちなみに大神官希望。
早朝ホシュ
『死ぬのはそっちだ!』
十字の切っ先が、上に逃げかけた一つ目のローブの裾をとらえた。「クエッ!?」そのまま腰を使って剣を振り
抜き、手足をばたつかせる魔物を床へ叩きつけた。ビタン!「ギャッ!」うめいた魔物の青いローブを、すかさず
足で踏みつけ、のど元に剣を突きつける。
あっけない勝利に、かえって拍子抜けしてしまった。こいつ、おそらく攻撃呪文を使うんだろうが、力やスピードは
[切り株小僧]どもと大差ない。つまりは、ただの雑魚。
『おい』
魔物を剣の先でつつく。「ヒッ……!」さっきの大口はどこへやら、一つ目野郎はすっかり怯えている。
ともかく生け捕れたのは良かった。聞きたいことがある。
『死にたくなきゃ答えろ。お前、何の目的で、この村に来た?』
「………」
『誰かの命令だと言ってたな。誰なんだ?』言いながら、魔物の胸に乗せた爪先に、ぐっと体重をかける。
「ギャッ!べ、べ、ベレスさまだっ!」魔物が悲鳴を上げた。
『ベレス?何者なんだ。お前は、そのベレス様に、何をしろと言われて来たんだ?』
「………」
魔物の顔が青くなり、落ち着かないように瞳をぐるぐると回した。『黙ってないで答えろ』再び、その胸を踏みつけ
てやる。
「グッ!い、言う!」魔物が叫ぶ。「お、王女をっ、この人間の国のアリーナって王女を見張れとおっしゃったんだ!
この村に来たら、すぐに知らせるようにとナ!」
『なんだって!?』思わず俺は声をあげた。『アリーナを?目的は何だ?ベレスってのは、何者なんだ?』
こいつらが用があったのは、この村じゃない。この村に来るであろう重要人物、つまりアリーナだったのか!
「し、知らない。ただ見張れと言われ……グアッ!ほ、本当だっ、ベレス様は魔界の方面部隊長様で、オイラ
みたいな下っ端には……?」
一つ目の瞳が窓のほうに動く。はっと俺も顔を上げると、窓に2匹、同じような魔物が浮いていた。
44 :
:04/09/29 15:20:41 ID:lR/A5olH
「……!」
仲間がいたのか。身構えかけて、すでに2匹ともが呪文を唱えはじめているのに気付く。冷気系……[ヒャド]か!
気付いた瞬間、鋭い氷のつぶてが並んで飛んでくるのが見えた。『くっ!』とっさに左へ跳んだが、『いっっ!!』
右の脇腹と右腕に激痛が走り、床に倒れ込んでしまった。見ると、氷の矢のうち1本が右の二の腕に突き刺さり、
ピキピキと音をたてて肘から先を凍り付かせている。もう1本は脇腹をかすめただけだったが、破れた布地に血
が滲んでいる。
やられた。いや、ヒャド2発食らってこれだけで済んだ、と言うべきか。あとわずか避けるのが遅かったら、腹筋を
切られて立てなくなってたところだ。
「よ、よくもやってくれたナ!」最初の一つ目が、2匹に助け起こされながら、俺をにらみ、わめいた。
『ちっ……』俺も、痛みをこらえて立ち上がり、剣を構え直す。雑魚相手とはいえ、1対3。この傷だし、剣の届か
ない距離から次々に呪文を使ってこられたら、さすがに危険だ。二匹見たときに、すぐ、あいつだけでも殺しとくん
だった。
だが……俺には、[破邪の剣]がある。この炎の魔力を使えば、おそらく、勝てる!
『……!?』
ところが。俺が剣を天井に振り上げ、祈りをこめたとき、魔物たちは3匹とも、入ってきた窓から飛び出していって
しまった。ありゃっ?急いで窓枠に飛びついてみると、俺に背を向け、西の森を越えて山の上へ飛んでいく、3つ
の青い小さな姿が見えた。
いったい何なんだ?怖じ気づいて逃げた……わけじゃあるまい。
『……!』
アリーナのことを報告に行ったんだ、ベレス様とやらに!としたら……アリーナが危ない!
あんな雑魚でも十匹二十匹で襲ってきたとしたら、アリーナだって苦戦は免れない。しかも次はその親玉まで
ついてくるはずだ。早くミネアさんたちにも知らせて、迎え撃つ準備をしなきゃ。
俺は、[ふくろ]をひっつかんで部屋を飛び出し、腕と腹を押さえたまま階段を駆け下りた。
「……!!」
1階には人だかりができていて、俺が降りてくるのを見て、どよめいた。きっと、あの魔物どもが窓から出て行く
のを見かけたのだろう。邪魔だと怒鳴りたいのをこらえ『どいてください!』叫んで、手を横に振った。
45 :
:04/09/29 15:25:01 ID:lR/A5olH
「あ、あの、大丈夫ですか?何があったんですか?」
この宿の主人らしいおばさんが、進み出て聞いてきた。この傷を見て大丈夫かっていうのは愚問と思いますが。
だが、腹を立てているだけのヒマはない。
『ミネアさんの……ミネアさんとマーニャさんのお宅は、どこでしょうか?』
「ミネアちゃんの?エドガンさんのお屋敷なら、村の北のはずれの、大きい池のあるお屋敷ですよ?」
『ありがとう!』
「あ、ま、待って。何があったんだい?その怪我は……」
走り出した俺に、村人たちは怯えたように道をあけた。宿屋の外に出て北を見回す。大きな池のある屋敷……
それらしいのは見えない。とにかく俺は、北に向かって村の道を走り出した。
《ターニアの評価が上がった》
何件かの家の前を通り過ぎ、用水路にかかる橋を渡ったところで、右腕の感覚がほとんどなくなってきた。早い
とこ治療しなきゃ、まずいかもな。
途中、前の井戸にいた農夫に、エドガンさんの家はどこかと聞き直した。大声で呼びかけたので農夫は驚いて
いたが、看板のかかっている建物と、あちらも大声で、指をさして教えてくれた。
宮廷錬金術師の“お屋敷”としては、それほと大したことのない家だった。フレアさんの家のような柵も垣根もなく、
俺とターニアの家よりほんの少し大きいってだけだ。板葺き屋根で、完全な木造。玄関前の看板には“錬金術師
エドガンの家”と、はっきりした字が書いてある。
俺は、玄関の扉に飛びつくように走りよると、
『ミネアさん!』
扉を叩き、呼び鈴を鳴らした。返事はない。『ミネアさん!アリーナ!クリフト!』もういちど怒鳴る。もしかして、
この家にはいないのか?そう思いかけた俺が、分厚い木板の扉に手をかけたとき、やっと、扉が開いた。
「ウィル殿、どうかなさったのですか?」渋面をのぞかせたクリフトが「ウィル殿!そ、そのお怪我は!」さすが神官、
俺の傷にすぐ気づき、扉をはね開けるようにして俺を招き入れた。玄関を入ってすぐが広い居間、仕切りのない
その奥が台所になっている。アリーナたちは、どちらにもいなかった。
46 :
:04/09/29 15:35:26 ID:lR/A5olH
『あ、アリーナと、ミネアさんは、どこだ?』
「池に水を汲みに行っておられます。それより、傷の手当てを!」
『あとにしてくれ。アリーナが大変なんだ。池って、どこだ?』肩をつかんでくるクリフトの手を振り切ろうとして、
『くっ……!』肉が引きちぎられるような痛みが走り、歯を食いしばる。やばい。肘がまったく動かない……。
「姫様が大変?そ、それは、どういうことですか?」
『魔物だ。俺たちが借りた部屋の隣の奴が……』
奥で戸が開く音がした。顔を向けると、桶を片手に2つずつ持ったアリーナが、俺を見て顔をしかめていた。その
後ろには、洗濯桶を抱えたミネアさんもいる。
『アリーナ!良かった。大変なんだ!魔物が君を……いつっ!』そのとき、突然痛みが、脇腹から弾けるように
広がり、たまらず俺は床に膝をついた。油汗が、床に丸い染みをつくっていく。
くそっ、ほっとして緊張が緩んじまったせいで、ぶり返してきたな。大した傷じゃないのに……。
「ウィルっ?」
「ウィルさんっ!?」
アリーナと同時にミネアさんが叫び、「そ、その傷は!どうしてクリフトさん、何もしないんですかっ!」ミネアさんが
悲鳴のような声をあげながら、アリーナを押しのけるように俺に駆け寄ると「見せてください!」俺の隣にしゃがみ
こんで、半ば強引に俺の右手をとり、脇腹をのぞき込んだ。
「[ヒャド]だわ……。ウィルさん、治療しますから、目を閉じてください」
『それより、大変なんです。アリーナを魔物が……』説明しようと口を開いたとき、
「しゃべらないで!」キッとなったミネアさんに怒られた。「目を閉じて、集中してください」言われるがまま目を閉じる。
「……ホイミ!」
右腕と腹が、暖かい空気に包まれる。傷口が熱くなったかと思うと、すっと痛みが引き、みるみる感覚が戻ってきた。
『ああ……ありがとうミネアさん。助かりました』
「ええ、どういたし……」ほっとしたように俺に微笑みかけて、ミネアさんは「ま、まして……」なぜか目を丸くすると、
顔を背けるようにうつむきながら、俺の腕に置いていた手をパッと引いて膝の上に乗せた。
「あの。わ、私……」それから、ミネアさんは、赤い顔を上げ、無理矢理な――怪我してるのに強がってる子供の
顔を思い出す――笑顔で言った。「治療師でも、あるんです。それも、一流の!」
47 :
:04/09/29 15:43:26 ID:lR/A5olH
『……そ、そうなんですか』
治療師。僧侶や神官のように神に仕え、神の名のもとに人々に治癒を施すのではなく、治療することそのものを
生業とする人たちだ。あちこちにいて、レイドックにも何人かいる。ミネアさんのように僧侶ばりの回復呪文を使う
人、各種の薬草を巧みに用いる人など、治療師によって治し方はさまざま。俺も、何度かお世話になった。
しっかし……“一流の!”なんて、謙虚なミネアさんらしからぬ台詞のような……ミネアさんが言ったことだから、誇張
とかじゃないとは思うけど……というか、ミネアさん、またうつむいちゃってるし……??
俺は、床から立ち、服装を調べてみた。別におかしいとこなんて、ないよなあ?
『………』
首をひねりながら、動くようになった右手を、ミネアさんに差し出した。
「………」
ミネアさんはまだ赤い顔を俺に上げ、右手で俺の手をとりかけたが、その手を止め、膝に戻すと、ローブの裾を
押さえながら自分で立ち上がった。何かつぶやいたように聞こえたけど、ありがとうか結構ですか、どっちだった
だろうか。
「ウィル殿!姫様が大変とはどういうことですか?それに、その傷はいったい?」
しびれを切らせたらしく、クリフトが険しい表情で聞いてきた。
『アリーナ』
俺はアリーナに向き直る。アリーナは、桶をそばに置き、まだ眉をしかめていた。俺と目が合って、さっと横を向く。
まだ“無視ゲーム”が継続中のようだ。ここまでくるともう意地だけだろう。
『よく聞けよ』構わず、話しかける。『君を見張ってる魔物がいた。あの宿屋の隣の客、魔物が化けていたんだ』
「えっ」
「なんですって?」
ミネアさんとクリフトがそろって声をあげる。アリーナもぴくりと眉を上げ、驚いたように俺を見た。
「そ、それは、どんな魔物ですか、ウィル殿」
『窓から、俺たちの部屋を覗いてた。レイドックにはいない魔物だ。ちっこくて、一つ目で、青いローブと青い帽子を
かぶってて、宙に浮いてたな』
「それ、ベビーマジシャンです!」クリフトが甲高い声をあげた。「魔族の手下として偵察や伝令役をする、下級の
魔族です。そうですか、それであんな傷を……」
『ああ。覗いてた1匹は捕まえて、目的を白状させたんだが……すぐ、仲間が2匹、現れてさ。そのとき、腕をやられ
ちまったんだ』
48 :
:04/09/29 15:50:23 ID:lR/A5olH
「じゃあ、3匹も……」ミネアさんがうめくように言った。「ああ、ウィルさんが無事で良かったわ」
「だらしないな」アリーナがぼそっとつぶやく。「ボクなら、ベビーマジシャンの、3匹や4匹くらい……」
「アリーナさん!」そのアリーナを、ミネアさんがいきなり大声で咎めた。アリーナがびっくりしてミネアさんを見返す。
俺も驚いて、横のミネアさんを振り返った。ミネアさんは、口に手をあてると、「あ……そ、その、ごめんなさい」頭を
下げ、肩をすくめて小さくなった。
なんかさっきから様子がおかしいなミネアさん。ま、ミネアさんの挙動不審は今に始まったことじゃないけど。
「それで、ベビーマジシャンたちは?」クリフトが促してくる。
『戦おうとしたら、3匹とも山のほうに飛んでっちまったよ。捕まえた奴は、ベレスっていう奴に命令されて、サント
ハイムの王女を見張ってたって言ってたんだ。だから、そいつにアリーナのことを知らせに行ったんだと思って、
急いで飛んできたんだ』
「ベレス!」クリフトが大きく目を見開いた。「それですよ!先ほど話した、悪魔のような魔物というのは!キャスト
ミント山脈を飛び回ってたっていう、大きな翼のある魔物は!」
『あの一つ目が言うには、魔界の方面部隊長様だとか』
「そうです。昔の記録に、大鎌を持ち呪文を操るベレスという悪魔が、部下を引き連れてしばしば人間の村を襲った
とあるのを読んだことがあります。ああ、そんな恐ろしい魔物が姫様の命を……姫様!一刻の猶予もありません。
姫様、城へお戻りになり、防備を整えるのです!」
悪魔、魔族……ゲマみたいな奴らか。今度ばかりは俺もクリフトに賛成したくなった。いくらアリーナが強くても、
妖しげな術を操るゲマにかなうとは思えない。もし捕まって、あの夢のターニアのように、アリーナも魔物の慰みもの
にされるとしたら……。そんなことは、絶対に、防がなきゃならない!
49 :
:04/09/29 16:01:13 ID:lR/A5olH
だが、肝心のアリーナは、俺が話している間じゅう不機嫌そうに唇を突き出していた。そして、クリフトの懇願を
聞いたあと、急にニヤリとして、
「面白そうじゃないか。そんなに強い魔族なら、相手にとって不足なさそうだな」平然と言った。
「ひ、姫様!何をおっしゃいます。競技などではないのですよ。姫様が勝てばよし、負ければ容赦なく、命を奪わ
れるのです!しかも、魂までをも!」
「だから、勝てばいいんだろ」うるさそうにアリーナが手を振る。「もし、かないそうになかったら、そんとき逃げ
りゃあいいさ」
なんだよ、せっかく危険を教えに来てやったってのに、その緊張感のなさは!
『アリーナ!』『相手を甘くみるな。魔族なんだぞ。呪文も使ってくるんだぞ』
「………」またも無視。ええい、今くだらんことに意地張ってる場合か!
「アリーナさん。ウィルさん、あんな傷を負ってまで知らせに来てくれたんですよ。少しは真剣に聞いたらどうなん
ですか?」
「なんだよ、ミネア。さっきからウィルの肩もってさ。だいたい、ほんとのことって決まったわけじゃないだろ。こいつ
ってさ、平気な顔のまんま、ウソが言えんだから」
……だから、昨日のことはそっちの誤解だってのに!これじゃ、らちがあかない。
「アリーナさん!なんてことを言うの。でしたらさっきのウィルさんの傷は……あっ!?」
ミネアさんが言葉を止めた。外から何人もの男や女の悲鳴が聞こえてきたのだ。さらに、何かが炸裂する音。
助けを求める声や神に祈る声、「魔物だあ!」わめく男の声。
『……!』息を呑む音が4つ重なった。もう、来たのか。全身の肌が凍り付いたように冷たくなる。だが、そんなに
近くじゃない。俺たちが今ここにいることを、奴らは知らないはず。初めに襲うとすれば俺のいたあの宿屋だ。よし!
俺は、すぐ―――
1.『とにかく行ってみましょう!』と、三人を見渡した。
2.『アリーナをどこか安全な場所にお願いします!』と、ミネアさんを見た。
3.『逃げるぞ、アリーナ!』と、アリーナの腕をつかんだ。
4.『クリフト、様子見てきてくれ』と、あごでしゃくった。
(*作戦変更可能。
>>4参照)
今回、テンション上がらず行動描写ばかりダラダラ・・・。8の「ためる」コマンドがあったら使いたい
>31 ブーメランだと一匹は仕留められ、ヒャドは食らいませんですた。ただし情報少
>32 剣の軽さに慣れていれば1は成功。慣れていなければ空振って失敗ですた
>33 狭い部屋の中でのブーメランは単なる飛び道具に過ぎませぬ
>34 破邪の剣は、4〜6までは大剣でつが、7以降ショートソードになってまつ。この話ではショートソードを採用
>35 火事にはなりません。が・・・
>36 ということで、破邪の剣は斬り捨てるための武器ではなかったりしまつ
>37 勇気ある臆病者とただの臆病者の区別は、なかなか他人にはわからないんですよね
>38 予想してた方もいらっしゃるでせうが、逃げたら好感度が下がりまくりますた
>39 助けが来る前に魔物が逃げ出して無傷で勝利(?)。でも好感度はやっぱりダウン
>41 このところ圧縮が多いので適当な廃スレを見つけるのがなかなか。思い切って萌えスレにお伺い立ててみますか・・・
>42 お世話になりまつ!今回もご参加おながいしますです
<再アンケート>
サンプルとして1シーン(年齢制限有、数レス分)を、廃スレ等で、
D.読んでみたい(*1人だけ)
D−1.マリベル D−2.ミレーユ D−3.○ォ◇ D−4.<<ヒロイン(
>>5参照)入力>>
B.読みたくない
C.余計なこといいからとにかく本編進めろ
後付け設定かょ(苦w
1 主人公らしく。どうせ誰かが冷静な意見言うんだろう。
D-4<<クリフト>> どうしても嫌なら<<ターニア>>
まぁクリフトとの絡みは去年漏れが書いt
1.せっかくの破邪の剣使いタリねーぞい。
いきなりのエロなど要らぬ。
過程を積み重ね、気持ちを積み重ね、想いが最高潮に達した時、
至高のエロが生まれるのだ。
よって、D−1w
1 D-1
2C
作戦G
2でミネアをゲッツしたい
アンケートはD―2
1
アリーナがじっとしてるわけがないので。
D-4<<ビアンカ>>
「ええ!」青ざめた顔で、ミネアさんがうなずいた。
「その前に、姫様を城へ!」クリフトが叫んだ。「ミネアさん。[キメラの翼]を、お返しください」
言われたミネアさんが、なぜか俺を見た。俺はアリーナを見た。アリーナは目の下をぴくつかせながら勝手口の
ほうへ後ずさりしかけていた。俺の視線に気づき、今まで通り顔を背けたが、目だけは、俺を向いたままだった。
「………」
半分閉じた瞳の輝きと、山型になった唇が、“頼む”と言っているように見えた。“逃げたくない――”
『クリフト。それはやめとけ』
そんなアリーナと自分とに内心苦笑しつつ、クリフトに言ってやった。ま、できるなら俺だって帰したくはない。
王女様に用があって、来たんだからな。
「ど、どうしてですか?」クリフトが目を剥く。
『魔物たちに、[キメラの翼]を使ったとこを見られたら、奴ら、今度は、サントハイムの国中の街と村が手当たり
次第、襲いかねない。それでなくても、怒ってこの村の人たちを皆殺しにかかるかもしれない』
「そ、それはそうですが……姫様のお命は、守れます」
『何だって?』
「い、いえ、何でも」クリフトが手を振る。ったく、無実の人間を犠牲にしてでもアリーナを守りたいのか。わからん
でもないけど、お前、神官だろうが。
『とにかく、その[キメラの翼]は、最後の手段ってことにしよう』
「そう、ですね……」ミネアさんが道具袋の口を閉じた。「それでしたら……アリーナさんには、地下室に隠れていて
もらったらどうでしょう」
『地下室?』
「お父様が倉庫に使っていたんです。火事や地震でも壊れないようにしっかり作ってあるって言ってました」
「それがいい!ぜひ、お願いします」クリフトが大きくうなずいた。だが、
「ミネア、余計なことはいい!」アリーナが怒鳴った。「魔物がボクだけを狙ってんなら、ボクが何とかしてみせる」
「アリーナさん……」
困った顔になって、ミネアさんは俺をまた見た。俺は、首を振ってみせた。どーせ、今のアリーナが、俺たちの言う
ことを聞くはずがない。
『アリーナ』せめて、最低限の釘は刺しておく。『止めやしないけどこれだけは聞け。絶対に、一人で戦おうと
するな。一対一でやるにしても、俺たちのいる前にしろ』
58 :
:04/10/01 18:39:30 ID:e1KvbF32
「………」アリーナは、むっとしたように下唇を持ち上げた。反応を示したってことは、わかったってことだろう。
『じゃ、行きましょう』アリーナに背を向け、ミネアさんを促して玄関へ歩き出した。
「姫様!」
クリフトの声と、テーブルが蹴り転がる音。振り向いた俺のすぐ真上を、黒いタイツが通過していった。玄関に着地
したアリーナが、扉をはね開け、飛び出していく。
ちっ。この家の高い天井、テーブルと俺と玄関の位置、アリーナの運動能力。予想できたはずの行動なのに。ちょっ
とでもあいつを信じた俺が、莫迦だった。
「姫様!お待ちください!」
あわてるクリフトより早く、俺はアリーナを追って駆け出していた。やれやれ、今日も今日とて、追いかけっこか……。
《アリーナの評価がわずかに上がった》
《ミネアの評価がちょっぴり下がった》
《クリフトの評価が下がった》
外に出てすぐ、薄い煙の匂いに気付いた。かぼちゃを2つも抱えた女性が、長靴を片方だけしか履いていない
農夫が、怯えた表情で何度も背後を振り返りながら、家の前を通り過ぎていく。人々が逃げてくる方角に、黒煙
が立ちのぼっている。高さや幅からして火事ってほどではないから、立木でも燃えてるのだろう。だが、この村の
古い木造にいったん火がつきはじめれば、手がつけられなくなる。
『……?』
道のほんのすぐ先に、アリーナがいた。頬から赤みが消え、立ちすくむように煙を眺めている。
その哀しそうにも見える表情を見て、俺は思わず足を停めた。てっきり、走ってっちまったとばかり思ってたのに。
どうしたんだろう。気が変わって俺たちを待っている……って顔じゃないな、あれは。
「姫様!」俺の後ろから、クリフトが叫んだ。
アリーナは俺たちを振り向き、すぐに目つき鋭い精悍な顔つきになり、煙に向かって走っていった。
「姫様!」クリフトが駆け出していく。アリーナに続き、クリフトの姿が、逃げまどう人たちの先に消えていった。
「ウィルさん?どうしたんですか?」
ミネアさんに2歩ほど遅れて、俺もあわてて走り出した。あのお姫様に気を遣ってどうすんだ、あっちは何も考えちゃ
くれないってのに!
「まだどこか、怪我をしているのでは?」
『違います、大丈夫です。急ぎましょう』
59 :
:04/10/01 18:41:54 ID:e1KvbF32
魔物の姿はなかったが、村中の人たちが我先にと逃げてくるため、村の細い道は昨日のモンバーバラの通りの
ように、ごった返していた。
「ミネアちゃん、魔物だよ!魔物が、この村を襲ってきたんだよ!」
「一つ目小僧みたいなのがいっぱい峠から飛んできてさ。その後、もっと恐ろしい化け物みたいなのが……!」
「ノルザスさんとこでお茶飲んでたら、いきなりその一つ目小僧が飛び込んできたんだ。命からがら逃げてきたよ」
「うちの人見なかったかい?ミウノンさんとこの畑に手伝いに行ったはずなんだけど」
村の人たちは、ミネアさんに取りすがり、口々に恐怖を語って身を震わせる。火の粉をかぶったらしく服に焦げ目
を作っている人も中にはいたが、俺みたいな重い傷を負ってる人は、今のところ見あたらない。
村人には危害を加えてないのか、あるいは……。
「あっ、ミネアちゃん!」
おばさんがまた一人、ミネアさんを見つけて駆け寄ってきた。さっき宿で俺と話した、宿屋のおかみさんだった。
「大変だよ。サンディちゃんがまだ、うちの宿にいるんだよ!」
「サンディさんが?」
「ジョンくんにお乳をあげに行っちゃってたんだよ。サンディちゃんの部屋、いちばん奥だろ?声かけてる暇もなく
て。うまく逃げてりゃいいんだけど……ああ、あの子たちにもし何かあったら、旦那さんに申し訳が立たないよ」
お、お乳をあげに?ジョンくん?旦那さん?……サンディに子供がいるのか!?俺より年下、ターニアくらいの歳
のはずだぞ?
「おばさん、とにかく逃げてください。サンディさんは、私とウィルさんで、きっと助けます」
「頼んだよ。ああ、なんてことだろうね。この村を魔物が襲うなんて!」
おばさんが、信じられないというように首を左右に振り、走っていく。
『あの。サンディ……さんに、赤ちゃん、いるんですか?』駆けながら、ミネアさんに聞いた。
「ええ。ジョセフさんとの間に……あら、知らなかったんですか、ウィルさん?」
うわ、ジョセフの子供かよ!あいつ、女に興味を持つ以前のお子様のような面して、俺たちの1歩も2歩も、いや
10歩以上も先に行ってたのか!
『そういうことだったんですか……ジョセフと、サンディさんは』
「すみません。私、ウィルさんは知ってるとばかり。サンディさんたちは……」
60 :
:04/10/01 18:49:00 ID:e1KvbF32
『ミネアさん、この話、後にしましょう!』
前方に、先ほど痛みをこらえて渡った、小さな丸木橋が見えた。そこに、先に行っていたクリフトの後ろ姿があっ
た。すでにクリフトは、背中の剣を抜いている。
橋を渡った向こうには、魔物が4匹、浮いていた。俺にヒャドを食らわせてくれたベビーマジシャンとかいう魔物が
2匹に、それとローブだけ色違いの魔物がこれも2匹。クリフトの様子をうかがいながら、顔を寄せ合い、何やら
ペチャクチャ話し合っているようだ。
『クリフト!』[破邪の剣]を抜き放ち、援護するようにクリフトの右隣に並ぶ。『アリーナは?』
「もう少しで追いつきかけたのですが、この魔物たちが」
クリフトが残念そうに言い、魔物をにらみつける。本当に追いつきかけたんなら強行突破しろよ。俺と違って、
呪文、使えんだから。
魔物たちは、俺という新手が現れたのを見て、会話をやめ、左右に散開していた。と、
「こ、こいつダ!今度こそ殺してヤル!」
そのうちの青いローブの一匹がわめく。区別つかないが、さっきの一つ目か。
「ウィルさん。あっちの魔物は[みならいあくま]です。メラを使うので、気をつけて!」追いついてきたミネアさんが
教えてくれた。どこに持っていたのか、右手にナイフを握りしめている。
俺も、剣を握り直す。メラの使い手と、ヒャドの使い手。なんだ、どっちも雑魚じゃないか。
こんな奴ら相手にぐずぐずしてちゃいられない!―――
1.三人で戦う(主人公の戦術を選択)
1−1.剣で手近な魔物から直接攻撃
1−2.[破邪の剣]の魔力を使い、魔物全体を攻撃
1−3.[ブーメラン]を投げつけ、魔物全体を攻撃
1−4.自分や仲間の護身を重視しつつ、隙をみて攻撃
2.魔物たちを二人に任せ、アリーナを追う
3.魔物たちを引き受け、二人にアリーナを追わせる
(*作戦変更可能。
>>4参照)
一気に書いたはずなのに主人公の気分がコロコロ変わってる気が・・・
アンケートは引き続き継続してまつ
>51 後付け・・・自分で読んでもどこを後付けしたのかわからない・・・_| ̄|○
一応ギャルゲーなんで・・・それ以前にヤオ系は漏れはギャグとして使うのが手いっぱい
同性系となると、どうやってノンケの相手をそのつもりにさせるのかというのが全く思いつかないので。どっちも書ける人は偉大でつ!
>52 ギャルゲーは本来、過程を楽しむものですからね。それでもマリベルでつかw
>55 ご明察通り、2でミネア評価ついでにクリフト評価上昇。アリーナはとっとと逃げますたが
>56 これもご明察通り。まだ評価が回復してないので。ビアンカは・・・内容的にちょいとヤバめになるかも
3 (*´Д゚*)b
3
「ここは俺に任せて先に行け!」
うーん、死ぬ前に一度は言ってみたい台詞だ
3
今俺らの心が一つになった
ほんとだw
3
今こそかっこつける時!
L(念のためアリーナ)、3
展開が遅くなるようなら後で良し、影響なしと見たならぜひサンプルは載せて欲しい。
その際キャラは○ォズタンに………
保守
『クリフト』
俺はクリフトの肘をつつき、ささやいた。『俺があいつらを引きつける。その隙に、アリーナを追ってくれ』
「えっ……わ、わかりました、ウィル殿」
『ミネアさんも。ここは、俺に任せてください』
「……で、ですけど……ウィルさん、一人では」
『アリーナだって、今、一人なんですよ』俺は笑った。『早く行ってやってください』
俺は剣を握り、橋の上に飛び乗った。橋を半円に囲むようにしていた魔物たちが驚いたように後ろへ飛び退く。
その青い一つ目と緑の一つ目の4匹を見回し、青のうち1匹を見定めると、
『なんだ。どんな魔物が出たと思えば、さっきの軟弱なチビじゃないか』肩に剣を乗せ、くたびれたように視線を
外して空を見た。『また、やられにきたってのか?』
「な、ナニッ!」
『それに、その軟弱のお仲間が1匹と、それより弱っちそうな半人前のが2匹で、全部で3匹か。あーあ、つまん
ねーなあ……』一つ目たちの顔が、みるみるどす黒く変わった。よし、あと一息。『お前らみたいな間抜け面の
手下しかいないようじゃ、親分のベレスって奴もたかが知れてるな。きっと、スライムに毛が2,3本生えただけ
のような奴なんだろ。』
「こ、コイツ、ベレス様の悪口まで……」
「コロス!!」
4匹がキーキーわめきながら杖を振り上げた。瞬間、俺は2歩で橋を渡り、目の前の魔物の一匹に牽制の剣を
振って通り過ぎて、くるりと向き直った。
『殺すとか言っといて、かかって来る奴いねーじゃねえか。軟弱でチビな奴は臆病だって、ほんとだなあ』
「そ、その口……きけないようにしてヤル!」
4匹とも手に印を組み、呪文の詠唱を始める。今だ!俺はクリフトに目配せした。
行け!
「………」うなずいたクリフトとミネアさんが、橋を駆け渡り、「ご無事で!」俺の背後を通り過ぎていく。
頼みましたよミネアさん!……ついでにクリフトも。
「あっ!マテ!」
一匹のベビーマジシャンが騒ぎ立て、魔物たちは詠唱をやめた。「シマッタ!」もう一匹の青いのが空高く舞い
上がる。二人を追うつもりだ。行かせるか!
70 :
:04/10/07 10:45:09 ID:NQ871a0P
俺は、[破邪の剣]を両手で頭上に掲げた。こんな雑魚ども、さっさと消し炭にしてやる!
『破邪の剣よ。その刃に秘めたる正義の炎で悪しき魔物たちをなぎ払え!』
……いや、呪文じゃないんだから、祈りさえこめられりゃ詠唱は何だっていいんだが。
剣の柄が熱くなり、青白い刀身が赤く輝き出す。ぼうっ。十字の刃の3つの先端から、真紅の炎が3本吹き上がっ
た。「ナニッ!」あわてる魔物たちに向け『食らえっ!』振り下ろした。三本の炎は、いったん絡み合ってから、
三匹の紅の竜と化して魔物に襲いかかった。「ギエエッ!」最初に炎に包まれた緑が悲鳴を上げ、黒煙を残して
蒸発する。続いて、残りの見習い悪魔、そしてベビーマジシャンたちが……。
「ケヒヒヒッ!」
ベビーマジシャンを包む火炎の中から笑い声が響いた。まさか。これ、効いてないのか?
急いで剣を構え直そうとした俺めがけ、氷の鋭いつぶてが飛んできた。ちいっ!とっさに剣で打ち払おうとしたが
『うあっ!』一瞬遅かった。左肩が燃えるような熱さを感じ、すぐに凍り付く痛みと痺れに変わった。力の入らなく
なった指から破邪の剣がこぼれ落ちる。くっ!俺は反射的に左肩を押さえたが、右の手のひらまでが氷に張り付
きかけ、あわてて引きはがした。
「ギラなんて、おいらたちには効かないモンネ!」
青い一つ目が2匹、うずくまる俺を見下ろした。ところどころ黒くすすけてはいるが、まったくの無傷だ。きっと、
あの青いローブか帽子に、炎を無効化する力があったんだろう。ちっ、雑魚だと思ってまた油断しちまった。
しかも、今度やられたのは、利き腕。かなりまずい。
それでも俺は、右手で剣を拾い上げ、二匹をにらんだ。ここで退くわけにはいかない!
一匹が急降下し、杖で殴りかかってくる。かわして振り向きざま背に斬りつけた。空振り。だめか。右手じゃ、剣を
振るスピードがどうしても足りなく……いっ!?
『なっ!?』
左のふくらはぎが氷に焼け付き、俺は地面に崩れ落ちた。
くそっ、もう一匹か!
右足、だめだ、完全にやられちまった。これじゃ斬りかかることも逃げることもできない。ますますまずい!
71 :
:04/10/07 10:48:37 ID:NQ871a0P
「ケケケ、いいザマダ!」
魔物たちの嘲笑が聞こえる。今更だが、緑より青のほうを先に片づけるんだった。ヒャドよりかメラ食らってた
ほうが良かった。火傷の痛みはすさまじいが、感覚があるぶん、筋肉ごと凍り付かされるよりましだ。
後悔しても仕方ない。どうにかして俺がこいつらを片づけないと、ミネアさんたちが背後を襲われちまう。
「さあ、どうしてやろうカ?」
わめく頭の上の魔物を剣で威嚇し、立ちあがろうとした。『あっ!』一つ目がニヤニヤしながら顔のすぐそばを
かすめていき、尻餅をつきかけた。剣を杖にして何とかこらえる。起きても無駄か。片足で立ったところで格好の
的にされるだけだな……。
だが……まだだ。歯を食いしばり、剣を地面に突き立てると、背中の[ふくろ]に手を入れて[ブーメラン]をつかみ
取る。これで、せめて二匹に、この凍傷と同じくらいの傷は負わせてやる。問題は、利き腕でない右で投げられっ
かだ。やってみたことないからな。まあ、ダメ元だな。外れたら、かなりやばいけどさ、ハハ……。
どうにも顔が笑っちまってしょうがない。痛みのせいか緊張のせいか、頭がおかしくなってきたらしい。
魔物たちは、俺の周りをからかうように飛び回っている。もっと近くに来い。攻撃してこい。
「ラリホー!」
不意に後ろで、ミネアさんの声がした。ベビーマジシャンどもは何かに抗うように両手を振り回しはじめ、すぐに
酔ったようにとろんとまぶたを落とし、一つしかない目玉を閉じる。睡眠呪文が効いたのだ。
『ミネアさん!?』
振り返ると、ミネアさんが、顔の前で印を結んだまま駆け寄ってきた。
俺が動けなくなったのに気付いて、途中で引き返してくれたってわけか……あー、情けねっ!
「ウィルさん大丈夫ですか?すぐ、治療しますから!」
その前に……!俺は剣を地面から引き抜いた。せめて、最後のケリは俺一人でつけとかないと。
俺は、ふらふらと降りてきたベビーマジシャンの一匹に、片足飛びで突進し、喉もとに狙いをつけ切っ先を繰り
出した。抹茶色の血?しぶきが上がる。そいつを地面に叩きつけるようにして剣を引き抜くと、すでに地面に
這いつくばって眠っているもう一匹の背中を串刺しにする。魔物のいびきが何かの詰まる音で途切れ、同じく
抹茶の噴水が上がった。
72 :
:04/10/07 10:52:06 ID:NQ871a0P
終わった。さすがに右足が疲れ、地面にしゃがみ込む。どっちが部屋覗いた奴だっけ。どうでもいいか。
「ウィルさん!」
飛びつくように俺の隣に座ったミネアさんが[ホイミ]をかけてくれた。皮膚を覆っていた氷がパキリと割れ、左腕
と左足に血が通い出し、びりびりと痺れた。火傷でもしそうなくらい気温が熱く感じられた。
「ほかに痛むところ、ありませんか?」ミネアさんが心配そうに俺を見つめてくる。
あーあ。俺に任せてくださいなんてカッコつけといて……決まり悪っ!
『助かりました、ミネアさん!』俺は顔を引きつらせて笑い、頭をかいた。『こんな奴ら、一人で何とかできると思っ
たんですが……自信過剰ってやつだったみたいです』照れついでに両手でミネアさんの手を握りしめる。
『ミネアさん、戻ってきていただいてほんと助かりました。ありがとう!』
「あ、え、は、はい」ミネアさんの頬が染まる。「そ、その、ウィルさんて呪文使えないから、一人でどうやってって
……あ、いえ、そういうつもりじゃなく……ウィルさんが一人でやっつけても、怪我の一つはしてしまうかもって、
あっ、違います、その、お怪我がなくても、ウィルさんこの村は初めてですから、ここがどこだかわからなく……
いえっ、そんなことはないですよね。すみません、私、勝手なことして……」
『あのう……?』
わけわからないことを早口でまくしたてられた上、最後は謝られたような……なんでミネアさんが謝るんだろ。
『そ、それじゃ、行きましょう』
ミネアさんに手を貸し、立たせる。と、周りからパチパチパチと拍手が沸いた。見回すと、逃げてきた人や、近くの
家に隠れていた人たちが、あちこちから手を叩いてくれていた。
73 :
:04/10/07 10:54:02 ID:NQ871a0P
「すごいじゃないかミネアちゃん!」歓声はミネアさんに集中した。「怪我しても魔物相手に一歩も退かないなんて、
頼りになるじゃない」
戦ったのはほとんど俺なんだけど……これ、俺への賛辞と受け取っていいのか?
「やるわねえ、ミネアちゃん」橋の対岸からも口笛を吹いてくる。「けっこう強い旦那さん、見つけてきたじゃないの」
……そういう意味か!!
俺は繋いでいたミネアさんの手を放し(起こしてあげるとき手を貸したげただけですよギャラリーの皆さん!)もったい
ぶったお辞儀をしてから、努めてクールに走り出す。
ただでさえ情けなく恥ずかしかったのに……。これだから田舎の人は嫌いだ。俺もだけど……。
《ミネアの評価が上がった》
《クリフトの評価がかなり上がった》
あの青い奴らに[破邪の剣]が効かないとはなあ。知ってたら最初からブーメラン使うんだった。そうすれば一人で
片づけられたかもしれない。大口叩いといてミネアさんの手を借りるようなことはなかったのに……。
ミネアさんに合わせて走りながら、俺はまだ心の中でぼやいていた。終わったことは仕方ないとはいっても……
あーっ、これでまた、ミネアさんに借りを作ってしまった。
74 :
:04/10/07 10:58:52 ID:NQ871a0P
何度目かで髪をかきむしったとき、
「ウィルさん、あれを!」ミネアさんが叫んだ。前方を指さしている。
『あっ!』
農夫が、緑のチビ4匹に追い回されていた。怪我しているのか右足を引きずっているので逃げ切れず、杖で殴ら
れ放題だ。とうとう道に倒れ込んでしまうと、見習い悪魔たちは嘲笑の声をあげていっせいにその農夫に杖を振
り上げる。ミネアさんがすぐ催眠の呪文を唱えはじめたが、ミネアさんの詠唱はそんなに早くない。
『おまえらっ!』
俺はブーメランを投げた。縦に回転しながら飛んでいったブーメランが、無防備な魔物の群れの側面に襲いかか
り、魔物の腕や首を斬り飛ばした。どんなもんだ。帽子を半分切られただけで済んだ1匹が、地面に落ちた仲間
を見てギャッと声をあげ、まん丸になった目で俺を振り向き、呪文を唱えようとした。俺は戻ってきたブーメランを
もう一度投げた。それで、そいつも落ちた。
「すごい……ですね、ウィルさんって」感嘆してくれたミネアさんに、
『慣れですよ、慣れ』俺は笑って謙遜し、農夫を助け起こすため、近寄った。
「……強いなあ、あんた」ミネアさんの治療でたちまち元気になった農夫も、俺を称えてくれた。「もっとも、おらも
怪我さえしてなきゃ……だがよ、あの化け物には、村中でかかったって、とてもかなわねえな」
「化け物?今、どこにいますか?」ミネアさんが聞く。
「どこ?……まだノルザスさんの前んとこにいるんでねえかな。なんか誰かを捜してるみたいな口振りだったが」
農夫に逃げるように言い、俺とミネアさんは、さらに進んだ。
大勢の悲鳴が聞こえてきた。村人たちが十数人、まとまって必死で逃げてくる。その後ろには一つ目たちが何匹
も見えた。村人たちを追い立てているのだ。遅れる老婆を杖で殴ったり、転びかけたおばさんに魔法を使ったり
している。なんて奴らだ。雑魚のくせに弱い者いじめしやがって!
「なんてことを……」ミネアさんも顔をゆがめた。
『行きましょう!』俺とミネアさんは並んで魔物の群れに突っ込んだ。弱きを挫く非道な奴らめ、この破邪の剣の
餌食にしてやる!
75 :
:04/10/07 11:00:02 ID:NQ871a0P
ところが魔物たちは、武器を持った俺たちを見て、逃げるでも攻撃するでもなく右往左往しはじめた。遊んでいた
ところへ手向う人間がいきなり現れたことに驚き、戸惑っているらしい。
『………』戦意を失いかける俺。こんな情けない奴らを攻撃すると、今度は俺のほうがこいつらをいじめてるみた
いじゃないか。これだから雑魚は嫌いだ。
とはいっても、博愛主義のためにこんな隙をみすみす逃すような俺じゃ、ない。
真っ先に緑のやつに[破邪の剣]の炎を浴びせ、まとめて葬った。青いやつはミネアさんの[ラリホー]で眠らせて
おいて、一匹ずつとどめを刺す。眠らなかった奴にはブーメランをぶつけてやる。最後のあがきで凍らされた
手のひらを、すぐにミネアさんが治してくれる。6匹いた魔物があっという間に片づいてしまった。一人が二人に
なると、こんなに楽で、心強いんだなあ。
逃げまどっていた人たちから、またも拍手が起きた。俺は、呼吸を整えながら、人々を振り返り、頭を下げる。
ただ、そのあと、重い怪我を負った人がミネアさんに治療を求めてきたので、手当に時間がとられることになっ
てしまった。
「奴ら、急に攻撃をかけてきたんだ」とヤザッカさん(道具屋の主人だそうだ)が言った。「わしたちを食堂に閉じ
こめて、最初は何もしなかったんだが、そのうち、邪魔だからとっとと失せろだとか騒いで、一斉に魔法をさ
……殺す気は、なかったみたいだがね」
「あいつらが暴れ出したのは、女の子が来てからなんだ」隣では、左肩から下を凍らされた男が話す。「あいつら
の親玉みたいな化け物に、女の子が突っかかってきてさ。探してるのはぼくだろ、って叫んだんだ。そしたら、
その化け物の親分みたいのが、女の子に鎌を振り上げて……見ちゃいられねえと思ったら、その女の子、
強いのなんの。化け物の鎌をかわしながら、おれたちに逃げろってんだよ。そのすぐあと、邪魔だから失せろ
って魔物たちがさ……その娘も心配だったけど、まあ、逃げろって言うから、あわてて逃げてきて……」
アリーナのやつ、やっぱり一人で挑んだのか。クリフトも行ったことだし、無事ならいいんだが……。
76 :
:04/10/07 11:03:12 ID:NQ871a0P
「ウィルさん。先に行ってください」突っ立っている俺に、ミネアさんが言った。「みなさんの治療が済んだら、すぐ
行きます」
迷ったが、そうさせてもらうことにした。怪我をした村人はまだ6人もいて、全員が火傷か凍傷だ。普通の切り傷
やアザならともかく、火傷や凍傷、ねんざ骨折は、ホイミと薬草では治りが違う。
『ミネアさん、気を付けてくださいね。まだ魔物がそのへんにいるかもしれません』
「はい。ウィルさんこそ、お気を付けて」
一人で、駆けた。逃げてくる人はまだいたが、魔物には出会わなかったし、その姿もなかった。安心もし、また
怖くもなった。一人になった今、この先に大挙して待ち受けられたら、どうしよう?
宿の建物が見えた。青と緑のチビたちが空中を春先の蠅のようにうろついている。やっぱり、まだいたか。
『あっ!』
俺は叫びかけ、足音を消した。宿の玄関の前、青と緑のチビたち数匹の取り囲む中心に、腰をかがめて身構え
ているアリーナの後ろ姿が見えた。その彼女と対峙しているのは、青い身体をした、でっかい魔物……。
『………』
魔物の恐ろしい容姿に、俺は息を呑む。あいつが、ベレスか。
背丈は帽子をかぶったクリフトよりもさらにもう帽子一つぶんくらい高い。山羊のようなねじれた角を4本生やし、
つり上がった目は邪悪な黄色い光が輝き、尖った耳まで裂けた口にはどんな肉食獣よりも鋭く凶悪な牙がのぞ
いている。鮫のような青い皮膚は逞しい筋肉に隆起し、背にはその身体を覆えるほど広い二枚の扇形の黒い翼
がついている。太くて長い腕には、イルカの胴でも真っ二つにできるような巨大な鎌が握られている。こびりつく
赤いものは、錆ではなく、血だろう。
確かに悪魔だ。おとぎ話に出てくる悪魔、そのままの格好。ぞっとして、走る足が停まりかかる。
その悪魔に身構えているアリーナの斜め後ろには、クリフトがいた。遠巻きに囲んでいるチビたちから、アリーナ
の背後を守っているらしい。いい判断だ。
「……!」
ベレスが何か叫び、大鎌を振り下ろした。アリーナがすっと横に飛ぶ。空になった地面に刃が深々と突き刺さる。
しめた。アリーナの素早さなら、この隙にベレスの懐に飛び込める!
……あれ?おい、アリーナ、なんで今いかないんだ?
77 :
:04/10/07 11:05:37 ID:NQ871a0P
そう思ったとき、大鎌は地面から抜かれていた。逆側についた手斧のような刃がアリーナを襲う。間合いの外に
素早く逃げたアリーナの胴を刈り取るべく、すぐ横薙ぎに大鎌が振り回される。
呆気にとられた。あんなばかでかい得物をあんな軽々扱うなんて……恐ろしい膂力リョリョクだ。隙ありとばかりに
もし飛び込んでたら、首が飛んでたな。
「………」
アリーナが額を手袋でぬぐっている。ん、なんだありゃ?その頬、目のすぐ下に、赤い帯が貼り付いているのに
気付いた。帯は顔の下で線になって、肩の赤い染みにつながっている。
血だ!顔切られて、血が流れてるんだ!
アリーナが土埃まみれなのはわかっていたが、よく見れば、ドレスやマントも、あちこちを切り裂かれて白い肌が
見え、ところどころは赤い血が光っている。クリフトがときどきアリーナを振り返っているのはその傷のせいもある
のだろう。だが、回復させようにも、魔物とアリーナとの凄まじいにらみ合いのために近寄れないらしい。つまりは
相当な苦戦中。傷は各々それほど深くはないにしても、痛みが体力を失わせていってるはず。しかも、愉快そう
に笑っているベレスのほうにはダメージの痕が見あたらない。このまま続けたら、やられるほうは明らかに……。
俺は急いで、走った。俺が行って加勢になるかどうかわからないが、クリフトと同じく、牽制くらいにはなる。
「何者ダ!……グエッ!」
立ちふさがった見習い悪魔のあごに、破邪の剣を叩き込む。とたんに、俺の目前、ベレスの北側に浮いていた
3匹のベビーマジシャンがこちらを向き、すぐに左、前、右と散って俺を迎え撃つ体勢になった。こいつらにブー
メランの一投だけで致命傷を与えるのは難しい。ヒャド食らうのを覚悟で、一匹ずつ片づけるしかない。ったく、
急いでるってのに!いらいらするのを抑え、魔物たちを見渡す。
『……!』
宿屋の扉に白いものが見えた。すぐに引っ込んだが、それは間違いなくサンディの顔だった。さっき宿主が言っ
ていた通り、逃げ遅れていたのだ。扉の前には例によってベビーマジシャン、それに、フォークを持ちコウモリ
みたいな羽根と尖った尻尾のあるこれも小柄な魔物がアリーナとベレスの対決を見守っている。逃げようにも
逃げられない状況だ。幸い、魔物たちはサンディには気付いていないようだが。
78 :
:04/10/07 11:15:11 ID:NQ871a0P
「ウィルさん」
ミネアさんが追いついてきた。俺が振り向いたのにうなずき、すぐ印を結んでくれる。「ラリホー!」たちまち落ち
てくるベビーマジシャンたちを、俺は破邪の剣で次々に屠った。浴びた緑の血を拭い、もう一度、ミネアさんと
うなずきあってから、ベレスの背後に回り込むようにして近づいた。
足音はほとんど立てなかったはずなのだが、ベレス、次いでアリーナとクリフトが、間合いのはるか手前の俺たち
に横目をやった。膠着状態は破られない。アリーナは眉をしかめたままベレスのにやついた顔をにらみつけて
いて、ベレスは俺たちを気にするふうでもなく尻尾をくるりと上げる。クリフトだけが、俺たちに何かを言いたげな
視線を送ってきた。首を振ったのは、手を出さないでください、と言っているのか。
とにかく、やっと俺とミネアさんも参戦!これで4対1!……でなく、ベレス、ベビーマジシャン4匹、見習い悪魔
1匹、それに見たことない魔物が2匹で、ざっと4対8。こちらは全員だが、敵はまだいるかもしれない。
俺とミネアさんがすべきこと、それは―――
1.[破邪の剣]の炎、[ブーメラン]、ミネアさんの呪文で、アリーナを援護する
2.ミネアさんには呪文でサポートしてもらって、ベレスに俺が剣で斬りかかる
3.周囲の魔物たちを一掃する
4.宿屋に回り込んでサンディを助け出す
5.状況を打破するため、[爆弾石]を投げる
ウィル(村の少年) 職業:商人2+盗賊2
打撃3 防御2 敏捷3 魔力0
体調:良好 精神:普通
装備:破邪の剣〈ブーメラン〉+旅人の服〈旅人の服〉
道具:薬草x5、爆弾石、キメラの翼、(マーズの手紙)(グレーテの手紙)(ターニアの風鈴)
呪文:(インパス) 特技:砂煙、力ため
ミネア(占い師) 職業:−
打撃? 防御2 敏捷1 魔力4
体調:良好 精神:?
装備:ブロンズナイフ+絹のローブ
道具:キメラの翼、星のかけら、?
呪文:ホイミ、ラリホー、?
特技:(占い) (*作戦変更可能
>>4参照)(現作戦:呪文節約) <5日目・午後2>
3戦闘も書いたせいか・・・これも長い。ベレスってモンスターはご存じですよね・・・?念のため
通常戦闘、1年も経ってやっと書きますた。ザコ敵相手だとこんな感じの書き方になりますです
ミネアのパラメータが弱すぎですが、魔物を含めない相対評価ということで・・・
>63 ご期待に添えたような添えなかったような。好感度上がりましたしよろしいでせうか?
>64 全員そろうと書きやすいんですが、GMとしては、選択はやはりみなさんで迷っていただいたほうがいいでつ
>66 気取るには実力が伴わないとダメでつ。リアル世の中はそうでもないですが・・・
>67 Dに挙げた3キャラについてはほぼ書き上がっているので更新が遅くなるようなことはないかと。あとはどこに書くかでつ
○ォズと言えば、初代GMさんがショートストーリースレにDQ二大大神官様カプの新作を書かれてますた。そちらへもぜひ!
>68 サンクスでつ!圧縮あったらしいだけに危険でしたでせうか。もうお世話にならないようがんがりまつ!
<再々アンケート(これで決定)>
サンプルとして1シーン(年齢制限有、数レス分)を、廃スレ等で、
P.読んでみたい(*お一人様2票まで。ただし2票とも同一人物は不可)
P−1.マリベル P−2.ミレーユ P−3.○ォズ P−4.<<ヒロイン(
>>5参照)入力>>
B.読みたくない
C.余計なことはせず兎にも角にも本編進めろ
3G 乙です
3
P-2
4C
面倒な事になる前に
4G このままミネアの旦那になるのもいい・・・
1c
3Gがいい。てかミネアの好感度すげー高いんだね。
アンケートはp1にしてみる。
86 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/08 00:20:25 ID:R+oLRC5f
保守
3G
とっとと雑魚を蹴散らすべし
3G
とりあえず数的有利にたとう
3 シナリオ的には雑魚戦で主人公側の見せ場を作り
ボス格が強さを見せる→主人公側ピンチってのがセオリーだな
その後は任せる
『アリーナ!クリフト!雑魚は俺たちが片づける!』
叫んでおいて、[ブーメラン]をベビーマジシャンたちに投げた。『それと作戦変更。ガンガンいこうぜ!』
「わかりました!」
ブーメランが狙い違わず、ベビーマジシャンの青いローブを、見習い悪魔の胴を切り裂く。ミネアさんがラリ
ホーをかける。アリーナが、左へ、宿側へ走るのが見えた。ベレスが釣られ、向きを変えた。俺は、地面で
のたうつ見習い悪魔にとどめを刺し、いびきをかいて舞い降りてくるベビーマジシャンたちに、剣を容赦なく
繰り出す。クリフトが、ちょうど目の前に落ちてきたベビーマジシャンを払いのけるように斬り伏せ、ベレスを
追っていった。俺は、鼻を鳴らす。ま、一匹くらいは、くれてやるさ。
「バギっ!」
振り返ると、フォークを持った、ベレスの甥っ子みたいな魔物が、小さな旋風に巻き込まれて絶叫を上げて
いた。そのそばではミネアさんが印を構えていて、驚いている俺を見て、挨拶するように小首をかしげながら
にっこりと微笑んできた。得意満面、て顔だ。
俺も、笑いを返す。真空呪文……ミネアさんて、あんな残酷な呪文も使えたんだ。
負けてられないな。ベビーマジシャンを踏みつけ、剣を引き抜く。あとは……飛んでいる魔物はもういない。
ベレスと、宿の扉のところでフォークを握りしめて震えてるチビだけ。ベレスは俺とミネアさん側に背を向け、
アリーナを宿屋の壁際に追いつめている。もっとも、アリーナが自分から壁に向かって走ったのだから、追い
つめるかたちに見えてるだけだ。有利はあっても不利はない……と思う。
俺の十数歩前には、ベレスの背後を隙あらばと狙っているらしいクリフトの背中がある。そういやあいつって
幻惑呪文の[マヌーサ]使えたよな。昨日俺には使って、なんでこの今使わないんだ?
とにかく、雑魚のほうはあとあの一匹だけだ!俺は剣を構え、扉の前のフォーク野郎に近づく。初見の魔物
とはいえ、それほど手強そうにも見えない。こいつをやっつければ、残るは親玉のみ!
91 :
:04/10/10 19:52:55 ID:r7oCaxWL
「ホイミ!」
回復呪文。誰だ?ミネアさんじゃない。クリフトでもない。……魔物か!
その通りだった。今し方ミネアさんの呪文に切り刻まれたはずのもう一匹のフォーク野郎が、すっかり傷の
癒えた身体で起きあがっていた。ミネアさんがあわてて、護身のためナイフを逆手に持って、左手に印を結び
直す。もう一度[バギ]を浴びせるつもりらしい。
だが魔物は、ミネアさんに攻撃をかけるかと思えばそうでもなく、合奏隊の指揮者のようにフォークを頭上で
振り回し、左右に揺れながら滅茶苦茶なステップを踏みはじめた。
なんなんだ。傷が治ったのがそんなに嬉しいのか?
「あ……っ」
と、呪文を唱えかけていたミネアさんが、ふらりとよろけた。地面に膝と両手をつき、うなだれて肩を揺らして
いる。『ミネアさん!?』な、何をされたんだ?呪文かけられたようには見えなかったぞ。
すぐ俺はとって返した。ミネアさんの頭をフォークで狙っていた魔物の後頭部にブーメランをぶつけ、振り向い
たところに破邪の剣の刃を食わせる。顔ほどもある舌をだらしなく出したまま、魔物が血を吐いて倒れる。
俺は剣をそいつに突き立てておいたまま、『どうしたんですかミネアさん!?』ミネアさんの顔をのぞきこんだ。
「すみません……」ミネアさんは、睫毛を伏せ、額に手をやっていた。汗の匂いがした。「魔力を……奪われて、
しまいまして……」
すると、あれは[不思議な踊り]。相手の精神力を下げる、こざかしい技。
でも、不思議な踊りは、一気にすべての精神力を奪ってしまうわけじゃない。ごくわずかだ。やられたところで
こっちがちょっぴり気分が悪くなるって程度。よほど精神力を消耗してない限りは。
『………!』
そうか。ミネアさん、俺や村の人たちには[ホイミ]しまくってくれ、魔物たちには[ラリホー]の連発、加えてさっき
の[バギ]……ずっと、魔法、使い続けてるんだ。それに、もしかしたらだが、朝の占いとか、昨夜のショックの
影響もあって、今日は本来の精神力ではなかったのかも……。、
俺は、辺りを見回した。魔法力を使い切ったのなら、ミネアさん、身体に力が入らなくなってるはずだ。どこか
安全なところで、休ませてあげなきゃ。
92 :
:04/10/10 19:56:28 ID:r7oCaxWL
「うあっ!?」
クリフトの甲高い声。はっとそちらを向く。ベレスの立っていたところに土煙が立ちこめていた。その中に
はためく黒い翼の先が見えたかと思うと、その土煙の上にベレスの青い身体が飛び上がった。アリーナと
クリフトが、両腕で顔を土埃から守りながら、ベレスを見上げている。
あの化け物、空を飛べるんだった!そりゃあ、あんな翼を飾りでつけてるわけはないよな……。
「よくも我が下僕たちを!」太陽を覆うような翼を前後に動かしながら、ベレスが上から俺たちを憎々しげに
眺め回した。「この村もろとも、まとめて焼き殺してくれるわ!」
大鎌の先から赤紫の炎が発し、巨大な鎌刃を包んで火柱となって燃えあがる。俺もミネアさんも息を呑んだ。
あれが呪文だとしたら、火炎呪文、おそらくは[ベギラマ]。この村全体までとはいかないが、この宿屋一帯は
火の海にできる呪文だ。人がまともに食らったら、生き残ったとして大火傷……。
『くっ!』
俺は、破邪の剣を両手で握ると、へたり込んだままのミネアさんを背にして、ベレスに向き直った。
「ウィル、逃げろっ!」
莫迦言うなアリーナ。ミネアさんを置いて逃げろってのか?ミネアさん動けないんだ。守ってやらないと……!
「ウィルさんっ?ま、まさか……」ミネアさんの声も、今は無視。
けれど。汗がこめかみを流れる。どうやって守る?このままじゃ守るどころか、俺とミネアさん二人して炎に
巻かれちまう。宙にいるベレスには、アリーナでさえ跳躍したって届かないだろう。呪文そのものを防ぐのは
無理。だとしたら……受け止めるしか、ない?
「死ねっ!」ベレスが、一段と炎が大きくなった大鎌を振りかざす。
俺は、ベレスを見上げたまま、奥歯を噛みしめた。こうなったら一か八か―――
1.[破邪の剣]の炎で、魔法をはね返す
2.ミネアさんを全身でかばう
3.[爆弾石]を投げる
4.ミネアさんを放って宿屋に逃げこむ
5.<<行動を入力してください>>
今回もう少し進めるつもりでしたが、展開に迷ったので選択にしますた
ミネアのMPが低すぎ?ご都合主義のギャルゲー世界ですからして、はい(ぉ
>82 サンディの存在がこの後どうなるか・・・それもあって迷ってまつ
>83 ミネアはいい奥さんになりそうでつね。ただし新婚旅行は洞窟で、夫婦生活にお義姉さんが割り込み(ry
>85 ずっとみなさまがミネアの好感度下げる選択肢を回避しまくってましたので。でも好感度イベント起こすスキがないw
>86 またもスレ立て爆撃ですたか・・・こういうときはageなきゃならないんでつね。辛ひ(何が?)
>87 子分がいじめられるのを黙って見てる親分はいない、てな展開でつ
>88 それをボスが黙って見逃すかで。でもこれ読んでギャルゲーと思う人はそうはいないでせうね・・・
>89 一応セオリー通り・・・でせうか?この後もパターン踏襲するか意外性になるかは選択次第でつ
再々アンケートはさらに引き続き継続中
このままですとCになりますです。。。
3
お空に昇ってるし、そのままお星様になってくれ。
ベギラマで村焼けるならイオラでお星様くらい軽いだろう。
アンケートって何度も答えていいの?
申し訳ありません。説明不足ですた・・・
新スレ&1周年記念企画でつが、
>>16>>50のアンケートをなかったことにして
>>79の再々アンケートで最終決定しまつ
>>50の結果通りD−1.マリベルでもいいのですが、アンケートにおいて2票だけで決定とするのも・・・なので
ということでお手数でつが、
>>16>>50をご回答くださった方も、
>>79で再々回答をおながいしまつ
それから、Pをお選びの場合、なるべく2票ご投票くださひ。でないとおそらく決まりませんです。。。
~~~~~~~~~~~
1 場繋ぎ氏的にはDQ8ってどうなの
うわ、なんか早いっすねGM殿……選択3回ほど損しちゃったよ…けど話はあんま進んでないw
5,キメラの翼使って背後にルーラ(ミネアも)
んでもってぶった切り、後は地上のアリーナに任す。
P−2
あ、ていうかミネアの使ってルーラっすよ。
まさか指定してないからと言ってマーズまで行くなんてなしっすよ
それと念のため作戦を連携系に変更、V
3C
3
空中にいる今こそ使い時かな。
アンケはP−1。
ちなみに最初にDを提案したのは自分です。
ややこしいことになってスマソ。
ストーリー的に良さそうな予感の3
アンケートに答えないと。。。
P−1,P−3で。
お、二票投票するのって初めてかな??
お待たせしてスミマセソ・・・
先週からいろいろと面倒なことが立て続き、ようやく通常生活に復帰しますた。明日には更新しまつ!
アンケートは、幸いにもと言いますか残念ながらと言いますか、Cで決定しまつ!
投票してくださったみなさま、ありがとうございますた。更新を早くすべく努力いたしまつ
ただし、このスレに告知しないだけで、どこかのスレに濡れ場シーンを投下するかもしれませんです( ̄ー ̄)
106 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/20 18:31:14 ID:dGD4Y5lo
あげぽ
ho
明日=五日間
>106が場つなぎ氏で、更新がこれだけの可能性も一応ある。
110 :
捕手:04/10/23 21:55:18 ID:+iiSyKHE
今やってるベレスとの戦い‥ 『ドラクエ無双』そのものな気がするのは俺だけだろーか。
急いで[ふくろ]に手を突っ込む。あった。[爆弾石]。念じながら投げると中の魔法が発動し、爆風が敵全体を
巻き込む、危険きわまりないマジックアイテム。魔物の群れに囲まれたとき突破口を開くのに使うのが普通
なので、魔物一匹に使うのは、本来、もったいない。
けど、今使わずしていつ使う?バーバラは“あたしだと思って大事に使ってよね”なんてことを言っていたが、
村が焼かれるっていう緊急事態だ。あいつも文句言わないだろ。
『ミネアさん、アリーナ!伏せて!』
石を握りしめて爆発のイメージを思い浮かべ、空中でまさにいま炎を放とうとしているベレスに『ていっ!』
投げつけた。すばやく俺も伏せる。ベレスが細い目を丸くして、とっさに腕で防御するのが、ちらりと見えた。
パパパパパパーーーーンッ!
『……あれ?』
聞こえたのは、爆発系呪文が炸裂する音……でなく、やけに派手で間抜けな音。
顔を上げてみる。なにやら真っ黒な塊が頭上に浮かんでいた。ベレスだった。すすを全身にかぶり、げほ
げほと咳き込んでいる。どこかで、おそらく宿屋の中で、赤ん坊が泣き出した。
……何が起きた?
爆弾石に詰め込んであるのはふつう[イオラ]の魔法だから、もっと盛大な音がするはずで、第一、すすなん
て、出るわけがない。
首をかしげて後ろのミネアさんの顔を見てみる。うっ?……ミネアさん、なんだか怖い目をしてる
「こけおどしか!おのれ!」
ベレスが完全に怒りの形相になって急降下してきた。恐ろしいことに、まっすぐ俺めざして落ちてくる。あわ
てて飛び上がるように立ち上がった俺のすぐ目前に、ベレスが、黒い灰を振り向きながら降り立った。
『……?』妙な匂いが鼻をついた。この匂い……火薬だ?って、ことは……。
俺の左の頬が思いっきり引きつり、震えた。バーバラの奴!!ただの花火玉をつかませやがったな!!!
「我をバカにした報いだ、死ねいっ!」
冗談じゃない!あんな娘のせいで死んでたまるか!
魔族のぎらぎらした黄色い目を見上げ、剣を斜めにして防御姿勢をとる。
アリーナでさえ苦戦してるこの化け物に、俺が立ち向かえるのか。すぐ後ろにはミネアさんがいる。アリーナの
ように、横に飛んでかわすわけにはいかない。
112 :
:04/10/24 03:55:41 ID:t4ZzLISE
それなら……攻撃は最大の防御っ!
『破邪の剣!』
たちまち剣から巻き起こった炎が至近距離のベレスを直撃する。だが、
「また、こけおどしか?」
ベレスが、まったくの無傷で炎の中から現れ、俺を見下ろして哄笑する。
こいつにも効かないのか。茫然とし、怒りさえ覚えた。さっきといい今といい、肝心なところで使えねー剣……。
「覚悟はいいか!」ベレスが大鎌を振り上げる。
「おい、化け物、待てっ!」ベレスの背後に駆けてきたアリーナが、叫んだ。「ウィルとミネアに手を出すな!
お前が用があるのは、ボクだけだろ!」
「ほう」大鎌を振り上げたまま、ベレスが横目でアリーナをじろりと見た。「勇敢なる王女よ。この二人の命と
引き替えに、その首を差し出すとでもいうのかな?」
「なっ………」アリーナがベレスをにらんだまま、黙り込む。
こういうとき常道なのは、応じるフリして俺たちの安全を確保するっていう駆け引きなんだが……真っ正直な
アリーナに求めるのは無理だな。アリーナが、マーニャさんみたいな狡猾さ……じゃなくて要領の良さを持っ
てたらなあ。……ま、アリーナがそうしなくて、俺としてはほっとしてんだけどさ。
「それならば!」
ベレスの凶悪な目が俺に向けられる。「ウィルさん!」ミネアさんが叫ぶ。声は下から。まだミネアさんは立ち
上がれていない。……というより、魔力を使い果たしたとき、普通は睡眠をとらなきゃ立ち上がれないのだ。
俺は破邪の剣を両手に握りしめた。やはり受け止めるしかない、あの大鎌をこの細い剣で。やれるかどうか。
やらなけりゃ!
「きゃあああっ!!」
そのとき突然、若い女の悲鳴が聞こえた。
なんだ?誰だ?女、宿のほう…………サンディだ!!
玄関の前にいたフォークがいなくなっている。サンディがあの魔物……ただ1匹の生き残りに襲われてるんだ。
もう一度、悲鳴。くっ……。助けに行ってやりたいが今はそれどころじゃない。余裕あるうちに……ベレスが動
き出す前に、魔物の始末、つけとくんだった。
『……!』
視界の左側で青い影がすっと動いた。しまった、こんなときよそ見しちまった!反射的に剣を左に出す。俺の
前を風が吹き抜け、髪が浮く。
113 :
:04/10/24 03:57:54 ID:t4ZzLISE
大鎌は、落ちてこなかった。ベレスは、俺に側面を向け、つい今アリーナが立っていた場所に大鎌を突き刺し
ていた。今、アリーナもサンディの悲鳴に気をとられた。その一瞬を狙ったんだ。すぐ前にいて同じような隙が
あったはずの俺でなく、あくまでアリーナを。
アリーナ狙いか。それなら援護を。『アリーナ!』ベレスの背後に回りかけたとき、
「手を出すなウィル!」飛びすさっていたアリーナが、俺に叫んだ。「ミネアを頼む。こいつは強い!」
俺は足を止める。強いからこそ手を出してやろうとしてるんだが……。
足手まとい?それもだろうが、ミネアさんを気遣ってのことかもしれない。とにかく俺は、ミネアさんのところに
戻った。見上げてくるミネアさんに、心配ないですよというつもりで、首を振った。
「王女よ!いい覚悟だ、死ね!」
ベレスが大鎌で連続攻撃をかけた。「……!」アリーナは、身をひねり、跳躍し、地面に両脚を広げ、両手を
バネにして後転し、ぎりぎりのところでかわしていく。そのなめらかで素晴らしい流れに、俺は、あらためて
ため息をついた。生まれついての才能か、途方もない努力の賜物か。どっちにしろ、俺なんかがやろうとして
真似できる芸当じゃない。
感心していた俺は、しかし、ベレスが攻撃をいったん止めて間合いをとったとき、はっとなった。アリーナは、
もはや明らかに肩で息をしていた。止血していない頬の血はまだ流れているし、右足のくるぶしの上で黒い
タイツが引きちぎれ、きれいな白い肌が、そして赤い傷口が見えている。髪まで考えてかわすだけの余裕は
なかったらしく、右肩の上のところで千切れたようになっていた。
これ以上はアリーナ一人じゃ無理だ。手を出させてもらう!
『食らえっ!』
ベレスがアリーナを完全に向くのを見計らい、俺は[ブーメラン]を投げた。ブーメランはうなりながら空気を
切り裂いて飛び、ベレスの首筋を襲った。狙い通り命中!と思ったが、振り向いたベレスにあっさりと鎌の
柄で叩き落とされてしまった。だめか。全力で……フルスピードで投げたのに!
114 :
:04/10/24 03:59:37 ID:t4ZzLISE
悔しがる俺に、ベレスがにやりと笑った。と。
「グアッ!?」その笑いが、急にゆがんだ。ベレスは前を向き、よろよろと後ずさりながら、左腕を振り回して
自分の前を払うようにした。「姫様!」アリーナの身体が弾きとばされて地面に転がり、血相を変えたクリフト
が駆け寄る。『!?』アリーナの右の腕が、川底に突っ込んだかのように濃緑に染まっていた。そしてベレス
の腹から、それと同じ色の、毒々しい魔族の血が流れ落ちていた。
アリーナの奴……ベレスが俺のブーメランを落とした瞬間に飛び込んで、腹に手刀を叩き込んだんだ。まっ
たく、呆れちまうほどの運動能力……。
「おのれ……」腹をおさえたベレスが、クリフトに助け起こされたアリーナをにらみつける。アリーナは、右腕を
振って地面に血を払い落とし、頬を流れる赤とつながった唇の端を持ち上げてニッと笑った。次の瞬間には、
クリフトの手を振りきってアリーナはベレスに飛びかかっていた。ベレスが横なぎに振ってくる大鎌を二歩目の
跳躍で左に避け、三歩目でベレスの両脚の間に降り立つ。そのまま高跳びをするかのように腰を落とし、脇を
締めて上体をひねるのが見えた。
あの体勢……正拳突き?俺は目を見張った。だが、
「うっ!」
ベレスが翼をはためかせて、宙へ逃れてしまう。アリーナの舌打ちが聞こえた。ベレスが「ははは、残念だっ
たな!」笑い、上から時計の振り子のように鎌を落としてくる。アリーナが、翼の風圧に耐えながら寸前で
かわす。しかしベレスの攻撃は執拗に続いた。息づかいがここまで聞こえるくらい、アリーナは口を開き肩を
揺らして呼吸していた。
あいつ……今の二度の攻撃で体力使い果たして、もういっぱいいっぱいのはず……。
115 :
:04/10/24 04:08:21 ID:t4ZzLISE
助けてやりたい。でも……俺はちらりと後ろのミネアさんを見た。多少は休めたとはいえ、ミネアさんはまだ
辛そうに額に指をあて、意識をなんとか保っているように見える。魔法も使えず、身動きのできないミネアさん
は、完全に無防備だ。アリーナが言った通り、いまの俺の役目はミネアさんを守ることじゃないのか?俺が
ここを離れたとき、ベレスの気が変わってまたこちらを狙ってきたら……そう思うと、この場を離れることも、
また破邪の剣で援護してやることも(効かなくても牽制の役には立つ)ためらわれてしまう。ブーメランが拾え
れば今度こそダメージを与えてやるが、簡単に拾いに行ける距離にはない。くそっ、もどかしい!
いま自由に動けるのはクリフトだけ。しかしそのクリフトも、何かを叫びながら低空で飛ぶベレスを剣で威嚇
したりするのが精一杯で、もちろんまったく相手にされていない。そんな“スズメ脅かし”やってないで、何か
考えろよ。というか、呪文使えよ!
宿のほうからはサンディの悲鳴があれから幾度か聞こえている。響きからして、場所を移動しているらしい。
逃げ回っているか、彼女なりに戦っているようだ。気になるけれどどうしようもない。外に逃げてきてくれれば、
何とかしてやれるんだが。
「な、なにあいつ?ベレス?なんでお姫様を襲ってるの?」
『わかりません。きっとこの国を混乱……え?』
ぎょっとして俺は隣に目をやった。そこには赤い玉葱頭があった!
『バーバラ!?お、おまえ、なんでまた……』
「ウィル、細かい話はあと!」バーバラが顔の横で人差し指を立てた。「あのお姫様、助けちゃっていいのよね?」
『もちろん!頼む!』
「わかった。じゃ、いくよ……ぶつぶつ……メラミーー!!」
上に掲げたバーバラの手に、頭よりふた回りは大きな火球が渦巻く。「えーいっ!」バーバラが腕を投げ下ろす。
火球がまっすぐベレスに飛んでいく。ベレスが振り向き、目を見開いた。避ける余裕は、ない!
直撃!
『やった!……あ?』
ベレスの前に半透明の壁が現れていた。ビチッ!糊で貼った板と板を引きはがすような音が聞こえ、火球が
はね返される。しかも……あろうことか、こちらに戻ってきた!!
116 :
:04/10/24 04:13:14 ID:t4ZzLISE
『おいっ!?』
「うそっ!?」
ミネアさんをかばうように俺が飛び退いた刹那、「きゃああっ!」火球がバーバラの小さな身体を巻き込み、
火柱となって燃え上がった。『バーバラ!』火を消してやるべく、俺はあわててマントを外す。と、
「もー!マホカンタしてんなら、そう言ってよ!」
すうっと空気に溶け込むようにして炎が消え、腰に手をあてたバーバラが俺をにらんできた。そのバーバラを
薄い紫色の霧が包み込んでいる。とっさに何か防御呪文を唱えたらしい。さすが魔女。
「いま、逃げたわね、ウィル!」
『よく生きてたな、ほめてやる』
「なに言ってんのよ!こんなか弱い女の子を見捨てるなんて、ひどいじゃない!」
『自分の魔法は自分で何とかしろって、子供の頃教わったはずだぞ』
「そんなの聞いたこともないわよ!勝手に言葉作らないで!」
「あの……」ミネアさんが俺のマントを引いた。「早く、アリーナさんを」
ベレスとアリーナは、間合いに離れていた。にらみ合いながらこちらを……いきなり湧いて出た赤髪の魔女を、
驚きの顔で見ている。
「あっ、そーだったね」バーバラは、にらむような視線をもう一度俺にくれてから、ベレスのほうに駆けて行った。
途中、腰から抜いた鞭を、空へ竜のように昇らせる。
「よくもやってくれたわね!」バーバラが、ひゅんひゅんとその鞭を振り回して叫ぶ。「お返しに、あたしのカル
ベロビュート、受けてみなさい!」
ヒュッ!しなった鞭が空気を切り裂き、小刀のような先端がベレスを襲った。ベレスが、俺のブーメランを弾い
たときのように鎌の柄で防ごうとした。ところが「うっ?」鞭先はひとりでにくねって柄の下をくぐり抜けた。
「ぐあっ!」喉の下を突き刺されて、ベレスがたじろぎ、後ずさった。「お、おのれ、魔女め!」
「あんた、あたしのお友達のお姫様に、ずいぶんひどいことしたじゃない」満身創痍のアリーナを横目で見て、
バーバラがベレスをにらみ返す。「次はどこ狙ってほしい?目?それとも、あっちのほう?」
「ぐぐっ!」再び回りはじめた鞭に怖じ気づいたか、ベレスは翼を広げ、鞭の攻撃範囲外に舞い上がった。
kita-
118 :
:04/10/24 04:18:09 ID:t4ZzLISE
「あー、こらー、ひきょーもの、逃げるんじゃなーい!」バーバラが飛び跳ねる。「いいわよ、ひきょうな奴には、
とっておきのをお見舞いしてやるから!……ベ、ギ、ラゴ…………」
『なっ……?』べ、[ベギラゴン]!?驚いて俺は目を見張った。バーバラの広げた両の手に白く輝く炎が宿る!
あれが、ベギラゴンなのか!火炎系最上級呪文にして魔導師を極めた者だけが会得できる、最強の攻撃呪文
の一つ。それをバーバラが……あいつとの本気での喧嘩は絶対避けよう……。
「あんもう、あいつ、マホカンタしてるんだった!」はっとなったバーバラが、悔しそうに手の炎を振り消した。
「まさか……」ベレスの顔色が変わっていた。ベギラゴンの詠唱に驚いたのは奴も同じらしい。「おのれ……」
憎々しげにバーバラを、隣のアリーナを見、怒りの形相になって牙をむくと、
「もう少しのところで……お、覚えておれ!」
何の威圧感もない捨て台詞を吐いて、急上昇していった。
「こらっ!逃げるなんてそれでも男なのっ?オスなのっ!?」バーバラが地団駄を踏む。アリーナも舌打ちして、
空の青に消えていくベレスをにらんでいる。
『ふう……』
ベレスの姿も気配も完全に消え、俺は、いや俺とミネアさんクリフトの良識派三人は、安堵のため息をついた。
片をつけられなかったとはいえ、あんな凶悪な悪魔相手に戦って犠牲を一人も出さずに済んだのだから、
よしとしておかねば。
しかし、それというのが、
「マホカンタさえしてなきゃ、黒コゲにしてやったのに、もう!」
……バーバラのおかげだというのは、認めたくない事実ではある。
「姫様!手当を!」剣をおさめたクリフトがアリーナに走り寄る。あとは戦後処理。俺もアリーナたちのほうに
近寄りながら剣を鞘に戻しかけた。が、
「ジョン!ジョンを返して!……ああっ!」
サンディのかすれかけた悲鳴と赤ん坊の泣き声に、はっとなって抜き直した。そうだった、まだ一匹いたんだ!
ふてくされたようにしていたアリーナとバーバラも、緊張した顔に戻る。俺たちはすぐ宿の玄関に走った。
119 :
:04/10/24 04:24:36 ID:t4ZzLISE
と、そこに、
「おほめくださいベレス様!うまそうな人間の赤ん坊を見つけ――」
泣きわめく赤ん坊を両腕に抱えたフォーク野郎が、意気揚々と飛び跳ねながら走り出てきた。「ゲッ?」
俺たちを見るなりギョッとして立ち止まり「……べ、ベレス様?」きょろきょろと辺りを見回した。『………』
俺たちは、剣をぱしぱし叩き、拳を鳴らし、鞭の素振りをしたりして、無表情で魔物の様子をうかがった。
「キ、キキッ!」フォークは
恐怖に顔をゆがめると、赤ん坊を放り出し、背中の小さな翼で必死に飛び上がろうとする。アリーナの両手
が赤ん坊を受け止め、バーバラの鞭が魔物を叩き落とし、俺の足が地面に転がるその背中を踏みつけ、
押さえこんだ。魔物はキイキイ言いながらばたついたが、頭のすぐ横に剣を突き立ててやると、首をねじって
俺を見上げ、「ヒッ!」おとなしくなった。
「殺さないんですか?」クリフトが剣を構えて、魔物をのぞきこむ。
『こいつには聞きたいことがある』俺は、魔物の後ろ首を押さえ込みながら言った。『な、アリーナ』
「ん、ああ」そのアリーナは「ほーら、悪いやつは捕まえたぞ。泣くのはやめてくれよ」赤ん坊を何とかあやそう
としているが、赤ん坊はさらに泣き叫ぶだけだ。俺は吹き出しそうになった。おいおいアリーナ。んな血まみれ
の鬼みたいな顔であやされて、黙る赤ん坊はいないって。
「ああもう!おい、クリフト。この子頼む」困り果てた顔を苛立ちに変え、アリーナはクリフトに赤ん坊を押しつ
けた。「ボクは、この子の母親を見つけてくる」
が、そうする必要はなかった。「ジョン!ジョン!」奥からよろけるようにしてサンディが出て来、「ああ。ジョン!
助けていただいたんですね。ありがとうございます!」クリフトの腕から赤ん坊を抱え取った。「ジョン、もう
大丈夫よ。泣かないで」
すると赤ん坊はあっという間に泣きやみ、キャッキャッと笑い始めた。俺たちは呆気にとられて、ほっと息を
ついた。俺は、もぞもぞ動き出した足の下の物をぐっと踏みつけ直しながら、母親と赤ん坊の姿に見入る。
昼に再会したとき、サンディがサンディでないと感じられたのは、きっと彼女が母親になったからだろう。どこ
がどう違うのかは、やっぱりわからないけれど。
120 :
:04/10/24 04:27:25 ID:t4ZzLISE
『サンディ、さん』俺は自然に微笑して、サンディに話しかけた。『すみませんが、ロープみたいなもの、持って
きてもらえないかな。この不届きな魔物、縛り上げたいんで』
「……は、はい、わかりました」俺にうなずいて、サンディが奥に駆けていった。しっかりした走り方なので、足
の下のこいつには、軽く殴られたかとかその程度のことをされただけらしい。ま、こんな雑魚がどさくさ紛れに
できることは、せいぜいそんなとこだろうからな。
「べつに縛んなくたっていいじゃん」バーバラが魔物を見下ろし、片手に印を結んだ。「ラリホーマ!」
抵抗が軽くなった。魔物は、ぎーぎーと変な寝息をたてて眠り込んでいる。俺は静かに足を放した。
『バーバラ、すごいな。いろんな魔法持ってるんだな』
「でしょでしょ?もっとほめて!」バーバラが腰に手をあてて胸を張る。「……それで、こいつ、どうすんの?」
「決まってる」アリーナが近寄ってきて、魔物を仰向けに転がした。「あの化け物の居場所を聞き出して、今度
はボクのほうから、乗り込んでやる」
俺は笑った。やっぱりな、そう言うと思った。一度戦った相手、しかも自分の命だけを狙ってきた敵と決着を
つけられずそのままってのは、もどかしくってしょうがないからな。それに、放っておけばまたいつ奇襲かけて
くるかわからない。この負けず嫌いなお姫様の性分としちゃ、じっとしてられないはず。ま、それがベストの
選択かどうかは、別の問題なんだがさ。
「姫様!」クリフトが甲高い声を上げる。「そ、それだけのお怪我をされたのに、まだそのような!」
怪我させられたくらいじゃな。アリーナなら……っておい!俺はアリーナの顔と身体に目を見張った。アリーナ
の奴、まだ血たらしてるじゃねえか!なんで放ってるんだ!?
「最もよいのは、まずすぐに城にお戻りになられることです!そしてお怪我を癒し……」
『クリフト!それより早く、アリーナに回復魔法かけてやれ!』クリフトの言葉を遮り、叫ぶ。
「それが……」クリフトが急に顔をしかめると、帽子のつばに手をやった。「私、呪文を封じられてしまっており
まして……」
『は?』こいつ、魔法使わなかったんじゃなく、使えなかったのか。呪文を封じられたって……[マホトーン]でも
かけられてんのか?
121 :
:04/10/24 04:31:50 ID:t4ZzLISE
「わかった!」バーバラが、ぱちんと指を鳴らした。「神官さん。あいつにマホトーンかけたんでしょ?それで、
カーンてやられて、自分の呪文、封じ込めちゃったんだ」
「……その、通りです」クリフトが肩をすくめ、ため息をついて小さくなった。
自爆かよ……。頭いいはずのくせに、バーバラと同じレベルの莫迦やってどうすんだ。
「ああっ!私はなんと情けないのでしょう!」呆れていると、クリフトがうつむいたまま大声を出した。「肝心な
ときにお役に立てず、今も、姫様の傷の痛みも治してさしあげられないとは!」
アリーナがやれやれという顔で、後ろ髪に手をやっている。「まあまあ、神官さん。マチガイは誰にだってある
わよ。気にしない気にしない」励ます(つもりの)バーバラも、笑ってはいるがうんざりしたように眉をぴくつか
せている。生真面目な奴ってのはホント疲れる……せめて、独り言は一人のときに言ってくれんかねえ。
『だったら』俺はバーバラを向いた。『傷の治療、君がしてやってくれないか』
「……ごめんっ!」バーバラは首を振った。「あたしね、回復呪文だけは使えないの」
『なっ?』憮然となる俺。『おまえ。ベギラゴンが使えて、ホイミは使えないのかよ』
「だって、回復魔法って好きじゃないんだもん」バーバラがすねたように口を尖らせた。「地味だし、なんだか
便利屋さんっぽくなっちゃうし。あ、でも、ちゃんとした恋人ができたら、覚えてもいいかな。大好きな人の
傷なら、治してあげたくなるかも。ウィル、どう思う?」
『………』バーバラの意味ありげな目線を、内心ため息をつきながら外す。魔法って、好きとか嫌いとかじゃ
ないだろ。褒めてやって損したよ。
『クリフト。呪文使えるようになるのはいつだ?』
「わかりません」クリフトが悔しそうに言う。「自分自身のかけた呪文というのは、あんがい効きやすいものなん
です。明日には解けるとは思いますが」
『明日!?』呆れて思わず大きな声を上げる。精神力が尽きてるミネアさんとほとんど同じ状態じゃないか。
「そうなのよね。だから、眠れないときには自分にラリホーかければいいの。そうすれば朝までぐっすり……」
『だったら、[薬草]はないのか?』バーバラを無視して聞いてみる。……って、あればとっくに使って治療してる
だろうな、こいつの場合。
122 :
:04/10/24 04:47:47 ID:t4ZzLISE
「それが……今日に限って持ち合わせていないんです」やっぱり。俺が苦笑すると「ウィル殿。もしお持ち
でしたら、譲って、いえ、お貸し願えませんでしょうか?」クリフトが、長い帽子を傾けてきた。
『………』
[薬草]だったら、今朝も買いためたから、袋に5個も入ってるはず。返してくれるというなら渡してやっても
いい。が、しかし、何もクリフトにやらなくても、薬草を持っているのは俺なんだから、俺がアリーナを治療
したっていいんじゃないか?むしろ、それが普通だ。
「……ねーねー、ウィル」バーバラが袖を引いてきた。
『何だよバーバラ?』うっとうしいぞという気持ちを隠さず聞くと、バーバラはむっと頬をふくらませてから、
「お姫様もだけどさ、ウィル。彼女、早く休ませてあげないと、気絶しちゃうわよ」
『彼女?』聞くと、バーバラが横を目で示した。『ミネアさん!』いつの間にかミネアさんが、そばの宿の壁に
もたれるようにして俺たちを眺めていた。無理してここまで歩いてきたせいで、顔も手も、さっきよりずっと
蒼白になっている。バーバラの言った通り、今にも倒れてしまいそうだ。すぐどこかに……この宿のベッド
にでも寝かせてあげないと!だが……。
ミネアさんを部屋に運ぶか、アリーナの治療か。それとも?―――
1.アリーナはクリフトに任せ(薬草1個消費)、ミネアさんをお姫様だっこ
2.ミネアさんはクリフトに任せ、お姫様とお医者さんごっこ(薬草1個消費)
3.役立つアイテム持ってるかもしれないバーバラとお店屋さんごっこ
4.元気の残っているバーバラとクリフトと女王様ごっこ
5.ふざけていないで、とりあえずキス!
お、遅れて申し訳ございませぬ・・・
1週間以上待たせておいて1レス、戦闘行動だけで更新というのはさすがに・・・と思って書き足していたらこの始末
しかもやっぱ時間ほとんど経過してないし。1月中にサントハイムシナリオ終わらすってのは何だったんだ・・・はぁ
台風が来たと思えば昨日は地震・・・日本が沈没する前にヒロインの3人くらいはシナリオ完了させたいものでつ
>94 そうはGMがおろしませぬ。これはドラクエである前にご都合主義ギャルゲーなのでつ!(ぉ
>96 買いまつよもちろん!そのためにPS2買い換えますた。いずれ8のキャラもここに登場させたいでつ(無理)
>97=98 更新早いと言われたのにまたも2週間空き、スミマセソ
キメラの翼でトベルーラでつか!?今マーズのところまで行かれると漏れが非常に困るので大丈夫でつ
>100 皆様、使いどきは間違っておりませんですた。効果のほどは・・・またも伏線ほとんどなしでつね
>101 どうストーリーをお読みになられたかはわかりませんが、書く漏れとしては確かに良い選択肢ですたw
>102 どうもでつ。P−1はともかくP−3は普通すぎるんで書き換えるかもしれませんです・・・漏れだけの問題でつね
>104>107 サンクスでつ。お世話にならず毎回更新ができるようになるのは・・・と何度書いたか1年1ヶ月
>108>109 _| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○_| ̄|○ ドゲザシマクリ
>110 いいんでつ!ファンタジーですからリアル戦闘感なんてなくても!(開き直り)
>117 支援ありでつ!今回何とも不真面目な選択でつが、参加よろしくおながいしますです。。。
たまには王道を選んでみるか。1。
ところで5って誰とw?
そろそろ関係修復したいので2。
1。ミネアさんを労ってあげたい。
何をするのかよくわからんが4
普通に 1 だわな。
しかし4ってなんだ?
4番と2番が気になって仕方がない……
選択は一
5 当然クリフトとだよな
1
1でミネアとケコーンだな。
2,お医者さんごっこ(*´Д`)ハアハア
2お医者さんごっこに決まってるだろうが
1
捕手
人物指定があれば5だった。
選択は1
保守なのか?
お医者さんごっこの響きが気に入ったので2
現在のところ @8票 A4票 B0票 C1票 D1票
ワシもお医者さんごっこにしとくかのぉ。
一週間記念あげ、と思ったけどやっぱ保守さげ
保守
爆弾石不発のシーンはご都合主義っぽくって萎えた
選択は1
寝る前の保守
146 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/04 04:25:28 ID:aGWU/CfP
晒しage
あと1日ほどお待ちくださいです。。。
場つなぎ氏降臨キター
もうすぐ来るのかな?sage
残念sage
いやいや今日はまだ終わってないから
152 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/07 01:17:21 ID:ftZD9zLi
アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ
『ほら』
取り出た薬草を1個、神官服の第二ボタン目がけて投げてやる。
「ありがとうございます!」
さっそく薬草の袋を開けるクリフトの前を横切り、俺はミネアさんに近寄った。
『まだ休んでないと駄目ですよ。ミネアさん』
「へ、平気です」額に手をやりながら、ミネアさんが、ぜんぜん平気そうでない顔色と口調で言った。
『それなら、せめて、座っていれば』
「いいえ。立ってないと……」辛そうな呼吸に言葉が途切れた。「立って、ませんと……」
立ってないと……?ミネアさんのその言葉に続く文句を考えた俺は、
立ってないと……“眠っちゃうの”。
すぐ、ビアンカの台詞を思い浮かべた。“歩いてないと眠っちゃうの”――二人してライフコッドの山の中で
迷子になったとき、“疲れたならおぶってやるよ”と背中を差し出した俺にビアンカが言った台詞だった。
“眠いなら寝ればいい”って言ってやったのだけれど、ビアンカ、“ありがと。でも平気だから”断ったんだっけ。
山で眠ってしまうと身体の抵抗力が落ち凍え死にやすい、というのを、当時俺は知らなかったが、ビアンカは
知ってたってわけだ。だから、気力を保つため、あえて身体を休ませなかった。
けどあれは、眠ったら死、という極限状態での話だ。今は俺もアリーナもその他もいるし、戦闘も終わってる。
遠慮せず気を失ったらいい。
とはいえ、さすがにこの場で気絶されたらまずいな……ここはやはり!
『ミネアさん』ミネアさんの横にしゃがみこむ。『ちょっと、失礼します』
「え?……あっ!?」
ミネアさんの両膝をすくい取り、肩骨をローブごしに左腕で抱き留める。「う、う、ウィルさっ、何を!?」丸く
なった目とわななく薄い唇が、首を少し前に出せば届く距離に、落ちてくる。
「お、下ろしてくださいっ!」ローブの下の柔らかい太股をもぞもぞさせて、ミネアさんが叫ぶ。
『けど、歩けないでしょう?』俺は笑った。『ここの二階まで。少しの辛抱ですから』
「で、ですがっ……」ミネアさんは、向こうのアリーナたちを見、それから村のほうを見て「……っ」両手で目と
眉を覆った。めちゃくちゃ恥ずかしがってるらしい。でも、マリベルみたいに“何すんのよ!”ってひっぱたい
たりしてこないってことは、拒絶はされてないってことだよな。
154 :
:04/11/07 03:58:49 ID:TyjXcinv
ミネアさんを運んで玄関に戻ると「ひゅーぅ!」バーバラが口笛を吹いてきた。「男らしいじゃん、ウィル!」
『バーバラ。サンディがロープ持ってきたら、そいつ、ふん縛っておいてくれないか』地面にのびている魔物を
あごで示す。
「ええー?それ、あたしがやるの?」
『頼んだぞー』
アリーナはと見ると、びっくりしたまま止まった表情――昨日もどこかで俺にみせた表情で俺を見つめながら、
めくった腕をクリフトに差し出し[薬草]を塗らせていた。どうかしたのかとちょっと俺が眉を動かすと、とたんに
彼女は眉をぴくっとさせ、下唇を持ち上げ、今日何度も俺に見せたすねた子供のような顔になって、やっぱり
横を向いた。俺は彼女の前を通り過ぎ、階段へ向かった。
《アリーナの意識に変化が起きた》《バーバラの意識に変化が起きた》
《ミネアの評価が上がった》
《アリーナの評価がちょっぴり下がった》
《クリフトの評価が上がった》
『ふー……』
狭い階段のため、一段飛ばしの横歩きで二人分の体重を持ち上げていかなければならない。最初の数段は
軽くいけたのだが、十段上ったところで一気に足が堅くなり、ミネアさんを抱えたまま、俺はいったん呼吸を整
えていた。
「すみません。私……重いでしょう」
顔をそらしているミネアさんが、すまなそうな声で聞いてくる。
『軽いくらいですよ』笑ってみせたものの、正直、ミネアさんはかなり重かった。いや、体重がじゃない。すぐ
左下に目をやれば、ミネアさんのむき出しになった褐色の肩があるのだ。首筋から肩への丸いラインが、
まっすぐ横にのびる肩胛骨が、その下の、ふくらみかけてオレンジのローブに潜るなめらかな褐色の肌が、
その気になればじっくり観察できてしまう。さらに、持ち上げようとするたびミネアさんに回している手がずれ、
ミネアさんの肩や太股の肉の弾力が指に伝わる。ターニアやマリベルや昨日抱いて走ったアリーナには無い、
その“くにっ”とした柔らかい手触りをもっと感じたくて、思わず指が動きかけてしまう。その視覚と触覚の欲望
を抑え込むのに、かなりの気力が必要だったってわけだ。
おっと。むろん嗅覚も付け足しておかねばなるまい。でもこれは嫌でも鼻に入ってくるから、仕方ないと。
北ー
156 :
:04/11/07 04:11:08 ID:TyjXcinv
「……ウィルさん。やっぱり……下ろしてください」
『え?』やばい。俺、にやけてたのか?
「私、その……」ミネアさんが両手で胸を隠すようにした。「姉さんみたいに、食べ物に気を遣ってませんし……」
『は……?』今度はいったい何を言い出したんだミネアさん。
「あ、もちろん、お肉とかは食べないんですけど……いつの間にか食べ過ぎてしまうこと、よくありますし……
いくらお米とか野菜でも、食べ過ぎれば、やっぱり……」
俺は吹き出しそうになるのをどうにかこらえた。ミネアさんも、あんがい気にしてんだな、こういうこと。
『重くなんてありませんよ』
「………」
『俺、ふだん村で、俺の何倍も重い牛とかワイン樽を運んだりしてたんですから。それに比べたらミネアさん
一人なんて、軽々ですよ』
「……でも」
『それに俺、昨日もこうしてミネアさんを……あ!』
あわてて口をつぐむ。ミネアさん、せっかく元気になったっていうのに、なんで俺が余計なこと口走っちまうんだ。
「……すみません。ウィルさん」
『すみません。ミネアさん』
「あ……」
『え……』
思わず、ミネアさんを見つめた。ミネアさんの紫の瞳も俺を見上げていた。息が止まる。まばたき数回。
ミネアさんも、そのくらい。
『………』俺は上を向いた『えっと。よ、余計なこと言って、すみません』
「いえ……そんなに気を遣わないでください、ウィルさん」
『ですが……え?』そのとき、俺の右手……ミネアさんの脚を支えている右手の甲に、何かが触れた。ミネア
さんの指先だった。
「運命なんです」驚いて見下ろす俺に、ミネアさんは、教会で神の道を説くときのシスターのような、敬虔な
微笑を浮かべて、言った。「私たちとウィルさんが出会ったのも、昨日バルザックに襲われてウィルさんに
助けられたのも……。すべて星と人の運命のなせる業です。人は、神が導くその運命を受け入れるしか
ありません。ですから……」ミネアさんは両手を俺の右手に重ねた。「私に気づかう必要は、ありません」
『ミネアさん……』俺はどぎまぎしながら、ミネアさんの微笑を見つめ直した。
157 :
:04/11/07 04:21:29 ID:TyjXcinv
「それに……ウィルさんのおかげで、私はこの身をけが……」
言いかけたミネアさんの身体が、ぴくりと震えて、縮んだように堅くなった。ミネアさんの顔がみるみる真っ赤
になり(それでも多少青いけど)、パッと横を向いた。手を俺の手から離し、喉の下のところに両手とも押し
つける。急にシスターから……いや占い師から、内気なミネアさんに戻ってしまったって感じだ。そんなに恥ず
かしがるようなことって、いま、別に……。
あ、そうか。俺いま、ミネアさんを抱っこしてるんだっけ。
俺は上を向き、ミネアさんを腕に乗せなおして、また階段を上り始めた。
《ミネアの意識に変化が起きた》
《ミネアの評価が上がった》
気まずかった。
これ以上ないくらい近くにいて、しかも俺に体重を預けてるミネアさんは、あれから横を向いたきり。両腕も
膝もかたく引き締めたままだ。俺のほうも、ときどきはそんなミネアさんを確認したりしたが、何となく目線を
前や上にそらしていた。
運命、かあ……。コーミズに来たこと、ベレスのこと、それに、俺がこうしてミネアさんを腕に抱えているのも、
あらかじめ神様が決めていたことなのだろうか。そうだとしたら、その先は……。
このまま部屋に運んで、ミネアさんを優しくベッドに寝かせる。そして……。
『………!』
頭の中に、ベッドに横たわって俺を見つめるミネアさんが現れた。……裸、だった。
あわてて頭を振り、その妄想を消す。ああ、何考えてんだ俺は!そんな、都合いいだけの運命があるか!
部屋のドアは、飛び出したとき開け放したままだった。ベッドまで、もうあと十歩。あり得ないと思っても胸が
わくわくと……うう、何自惚れてんだ俺。
けど、運命……。もしすべてが運命なら、何が起こっても……。
「あの……」そのとき、黙っていたミネアさんが言葉を発した。「ここで、下ろしてください」
『い、いや、ここまで来たんですから、ちゃんと……』背中に冷や汗が噴きだす。まさか、見透かされた?
「いえ、ここで……。その、着替えたいですし……」
ミネアさんがまた、身体を縮めるようにした。あ、そうだよな。眠るつもりなら、着替えないと。
158 :
:04/11/07 04:32:48 ID:TyjXcinv
ミネアさんを床に立たせるようにして下ろし『荷物、あれですよね』すぐ俺はテーブルに飛んでいった。
「えっ。ええ……?」
テーブルの下から、ミネアさんの道具袋を取り上げる。えーと、着替え、着替えと……。
「あ、あの、ウィルさんっ!わ、私、自分でできますからっ!」
言われて、俺ははっと手を止めた。開きかけた道具袋を、顔を赤くしたミネアさんが、奪うように取る。
な、何やってんだ俺。親切にもほどがあるだろうが!
『す、すみません……ゆっくり、休んでください』
頭を下げ、逃げるようにドアに向かう。運命だとかいって調子に乗ったあげくが……こんな情けない運命かよ!
「あ、ま、待ってください」
俺は立ち止まり、頭に手をやりながら振り向いた。今、お礼を言われるのも情けないんですが……。
「そ、その……お、お聞きしたいことがあるので……目が覚めたあとで、少し、お話、よろしいでしょうか?」
『えっ』礼ではなかった。お聞きしたいことって……今じゃ、駄目なのかな。
『もちろん、構いません』俺はうなずく。『それじゃ目が覚めたら呼んでください。ちょっとこれから下行きますけど、
そのあとは、そのへんにいますんで』
「はい……。あ、それと、ウィルさん。ありがとうございました」
ミネアさんが深々と頭を下げる。とたんに少しふらついたが、ベッドの枠に手をかけて持ちこたえた。
『ど、どういたしまして。ごゆっくり』頭を下げ返し、ミネアさんがもうふらついてないのを確認して、ドアを閉める。
廊下を歩き出しつつ、考えた。ミネアさん、いったい、何を俺に聞きたいんだろ。
『……?』
両腕が、やたらと涼しいのに気付いた。肘の内側がじっとりと濡れ、染みができている。俺と……ミネアさんの
汗だ。俺はこんなに濡れるほど汗かかないから、ほとんどはミネアさんの……。
『………』
自然と腕を鼻の前に持っていき……かけ、やめた。俺がこんな行為するのも神様が決めてたとしたら、そんな
神様、いてほしくない。
159 :
:04/11/07 04:42:14 ID:TyjXcinv
宿の玄関に戻ってくると、アリーナとクリフトの姿はなく、バーバラだけが暇そうにカウンターに座って、手に
持った長い紐を指に巻き付けて、もてあそんでいた。
『アリーナは?』
「そこの部屋」バーバラがカウンターの後ろのドアを指さした。
『そこの部屋って……これ、従業員の部屋だろ』
「そうだけど、貸してもらったの。あの神官さん、ここで、お姫様の服、脱がそうとするんだもん」
バーバラがくすくす笑い、聞いた俺も苦笑。ま、あの莫迦は、お姫様のこととなると周り見えなくなるからな。
『……!?』
おい待て。ふ、服を脱がそうとっ!?ということは……今、アリーナはっ!
「あー、ウィル。エッチなこと考えてるでしょ。駄目だよ、のぞいちゃ」
すかさずバーバラがからかってきたが、俺は、ぎょっとなったまま、そのドアを見つめた。
この板一枚の向こうに、ドレスを脱ぎ捨てたアリーナがいて……しかもクリフトの奴が、それを……?
1.放っておき、バーバラと話をする
2.ドアをノックし、呼びかける
3.いきなり中へ踏み込む
4.『魔物だ!』と大声で叫ぶ
5.対抗してバーバラの服を脱がす
ウィル(村の少年) 職業:商人2+盗賊2 作戦:ガンガンいこうぜ(速攻)
打撃3 防御2 敏捷3 魔力0
体調:軽傷 精神:普通
装備:破邪の剣〈ブーメラン〉+旅人の服〈旅人の服〉
道具:薬草x4、キメラの翼、青紫色の玉、(マーズの手紙)(グレーテの手紙)(ターニアの風鈴)
呪文:(インパス) 特技:砂煙、力ため
バーバラ(魔女) 職業:?
打撃2 防御? 敏捷5 魔力10
体調:良好 精神:?
装備:カルベロビュート+皮のドレス 道具:?
呪文:ルーラ、メラ、メラミ、ベギラゴン、ドラゴラム、ラリホーマ、マホステ、? <5日目・午後2>
1日どころか2週間までオーバーする結果に・・・今回も今回とてすみませんです。。。
このままドラクエ8が発売されたら、プレイしていてさらに更新が遅れ、dat落ちなんてことに・・・は決してさせませんでつ!
でもいつも言うだけで意志が弱い漏れなので、そのときになったら保守おながいしますです(弱
>124 ミネアの選択だとみなさん王道が多いようで。5は近場にいた人にランダムですた!
>125 余計にこじれたような気もしないでもない・・・2でアリーナが漏れの脳内でどう反応するか見たかったでつが
>126 えーと・・・労った展開になったんでせうか?漏れにもよくわかりません
>127 女王様ごっこというより拷問ごっこですた・・・と書けばお分かりになられまつか?
>128 こういう選択肢のほうがみなさんには好評なんでせうか・・・?
>129 気になってるのに敢えて1でつか・・・まあ無難ですたが
>130 ですから801はガールズサイドのほうでやってくださひ・・・え、違う?
>132 ここまできて何ですが、そんなに簡単には参りませんでつ
>133 実は「身体検査ごっこ」にしようか迷ってますた。どっちが良かったですかって、どっちもどうかとでつね・・・
>134 でも前回はギャルゲーというよりエロゲーの選択肢・・・あ、エロゲーですたねこれ(年齢制限)
>136>138>142>143>145 今回もお世話になりっぱなしですた。震源より深く反省・・・
>137 <<誰に>>とつけたら、ガチでやることになってしまうではないでつかw
>139 もちろんお医者さんごっこの内容は傷の治療するだけですた・・・ただし剥い(ry
>140 集計さんくすでつ。参加者すごく多かったので助かりますた。これほど参加していただいたのに・・・
>141 ぐふふ、お主も好き者よのう・・・ところで今時の子供はお医者さんごっこをリアルでやってるんでせうか?
>144 実は、爆発か不発かはサイコロの偶数か奇数かですた。どっちにしてもバーバラは来ますたが
>148-151 またも期待を裏切って申し訳ないでつ・・・思わせのつもりではなかったのでつが・・・_| ̄|○ ケッカガ スベテ
>155 お待たせして申し訳ありませんですた。参加もおながいしまつ!
腹は立つが現在の評価で踏み込んでも殺されるだけだろうし2
3にしたらたたきにされそうだし、5にしたら焼き鳥にされそう…。
のんびりと1で。
アリーナは今何しても逆切れされそう。
時を待つのだ。よって1
1
アリーナどうでもいい
5 わかった、アリーナは諦めるよ…
1だ1
じゃあ2で。
こっそり覗くっていう選択肢はないんだな。
じゃ2で
1で
1が多いが、その理由はバーバラじゃない人が多いね。
俺は好きだよバーバラがというわけで1
171 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/10 13:16:56 ID:3EW9pPD/
1で
俺もバーバラ好きだよ
172 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/10 13:31:49 ID:Ugvc3/nG
>>>>>>>>>>>>1
「 し る 」 は 「 し ろ 」
と 同 じ 命 令 形 だ と
何 度 言 わ れ た ら 気 が 済 む ん だ !!!!!!
例・・うp汁
173 :
171:04/11/10 13:37:33 ID:3EW9pPD/
あげてしまった…。
GMさん、すみません…。
>>172 バカだな君は。
このスレは「DQのギャルゲーを本気でプレイしろ!」というスレであって
DQのギャルゲーを本気でプレイするスレではないのだよ。
4だとミネア以外感情が下がるし
3は選んでもアリーナが着替え終わってそうな悪寒
バーバラの服は脱がしたいが(葛藤)・・・今は無難に1で(脱がしたかった…orz)
176 :
175:04/11/10 21:21:45 ID:1ISyqFLh
感情が下がるし×
感情が下がるだろうし○
場つなぎ氏スマン妄想と思い込みで未来発言しちまったorz…吊ってくる
レスが進んでいるから場つなぎ氏がやってきてるのかと思っちゃったよ。。。
そう思わせるよう俺も保守しておくぜ('ー`)
おいろけ全開て
それでギャルゲーならドラクエはすでに3からギャルゲーだ。
保守しとく(^ω^;)
勘違いされるよう保守
勘違い記念に保守
勘違いしちまったついでに保守
*おおっと*保守
釣られて保守
はかったな たいさー保守
(・∀・)ノホシュ
場つなぎ師マダー?(・∀・ )っ/Ц⌒☆チンチン
場を繋いでるのはむしろ俺ら保守
場つなぎ氏も、これだけのホシュを見たら驚くだろうな…。
dat落ち防止保守
保守ですか?
すでに30レス。。。
なんか悔しい気分だが、考えてみりゃ王女様とその従者だ。お互いの裸なんぞ見慣れてるかもしれん。かくいう
俺も、ホルスやヘンリーの裸なんぞ、見飽きてるほど見てるわけだしな。
……いや。それとこれとは話が違う!
アリーナは女だ。しかも顔もスタイルもとびきりの美少女(性格除く)ときてる。もしもクリフトが、従者にあるまじき男
としての欲望を、主人であるアリーナに爆発させてしまったら……。
その結果を、想像してみる。すべてが終わり、床に投げ出される肉体。手足を大きく広げ、虚ろな目からは涙を、
締まりの効かなくなった口からは透明な涎を流し、腫れ上がった顔とあざだらけの身体。傷口から流れ続ける血。
ま、このくらいのことはされるだろう。そして[薬草]はもうないし、俺はそんな不届きな奴にタダでやりゃしない。呪文
使えるようになるのは明日の朝だと言ってたから、そのまま放置。哀れな気もしないでもない……。
『………』
肩をすくめ、息を鳴らす。ばかばかしい。俺が気になるのはアリーナの安全のほうだ。欲情起こしてボコボコにされる
ような莫迦神官の身の安全まで案じてやる義理はない。
俺は、愉快そうなニンマリした笑みを浮かべているバーバラと、その手に握られている紐とに視線を移した。
『バーバラ。縛っといてくれたか?』
「あ、うん。このとーり!」
バーバラが胸を張り、紐を引く。玄関扉のかげで何かがずり動く音がしたと思うと、そこから紐が鞭のように跳ね
上がった。「きゃ!?」バーバラがとっさに頭を下げた。その赤い髪の上を通過して飛びかかってきた紐を、俺は、
身を引きながら、左手に巻き付けるようにつかみ取った。
『……バーバラ』そのポーズのまま目を細める俺。『おまえ、俺に恨みでもあるのか?』
「えーと……あるよ、いっぱい!」バーバラが斜め上をわざとらしく向く。「おとといの夜、せっかく一緒に寝たのに
何にもしてくんなかったでしょ。あと、朝、見送ってくれなかったし。それに昨日なんてウィル、あたしのこと気付か
ずにお姫様とデートしてて……」
指折って数え始めたバーバラを放って、扉に歩み寄った。扉板の後ろで、魔物が仰向けに眠っていた。
197 :
:04/11/19 05:33:26 ID:vkg+zuGk
『バーバラ。どういう縛り方したんだよ。このまま起きたら逃げられてたところだぞ』
「ちゃんと縛ったのに」むすっとなったバーバラが、カウンターから飛び降りてくる。
『そっち貸せ』俺は両手で紐の両端を持ち、魔物に回す。起きないかと心配になったものの、いびきの調子に
変化なし。安心して魔物をひっくり返した。指をひっかいてくるざらついた皮に注意しつつ、手首と翼をきつく固定
して縛り付ける。翼のある魔物ってのは縛るのは面倒だが逃げられにくい。翼の付け根を締め付ける縛り方を
しておけば、痛みで逃げる気を起こさないからだ。この魔物は初めて見る魔物だが、そういう奴であることを願う。
『これでよしと』最後の結び目をぐっと引き絞り、紐の先を柱にくくりつけた。
「へー、ウィルってけっこう器用なんだね」のぞきこんでいたバーバラが、感心の面持ちで俺を見上げる。「もしか
してウィルって、魔物を縛ったりするシュミがあるとか?」
『趣味なんかで覚えたんじゃない』俺は両手をはたきながら言った。『必要があってだ』
ライフコッドでは、切り株や岩をしっかり綱で引っ張れるようになって、やっと男として一人前……いや半人前と
認められる。これができなければ、ほとんどの力仕事が一人ではできないことになるからだ。
「ふーん。じゃそういうお仕事してるんだ、ウィルって」
『まあな』お仕事というより生活の一環だけどな。
「コワイなー、ウィルって。これから気を付けなきゃ」
バーバラが両手で胸を抱くように身震いしてから、再びカウンターに飛び乗る。あのな。俺には女の子を縛って
楽しむような性癖はないぞ……たぶん。
『さてと』
俺は、カウンターの後ろから椅子を引き上げ、背もたれに両肘を乗せて座り、にやりとバーバラに笑いかけた。
『魔法研の所長さん。ニセモノを俺に渡したワケ、説明してもらおうじゃないか』
198 :
:04/11/19 05:38:14 ID:vkg+zuGk
とたんにバーバラは、息を呑み、目線を宙に泳がせ、ぶらぶらさせていた両脚を止めて引き締めた。
「えーと、そのぅ……そういうつもりじゃなくて……間違えちゃったの!」
『ふうん。あれ、自分の魔法が入ってるって言ってたよな』俺は意地悪く言った。『そういうものを間違えるもの
なのか?所長さんが』
「だ、だって、あれにだってね、あたしの[メラ]が入ってたのよ!」バーバラが、不自然に笑いながら、手で石の
かたちを作ってみせる。「あれってね、そんなに強くない魔物をおどかすときとか、あと、自分の居場所を知ら
せるための石なの。世界中でね、あたしの魔法研究所でだけ売ってんの。魔法使ってるから安全だし、それ
に……」
『そんなことはどうだっていい』俺は笑いを消し、じろりとバーバラを見上げた。笑って誤魔化すつもりだろうが、
そうはいかない。『渡すとき、これは[爆弾石]だって、ちゃんとおまえ言っただろうが。俺はそのつもりで使って
えらい目に遭ったんだぞ』
「だ、だから来てあげたんじゃない!」バーバラが身を乗り出し、叫んだ。「あ、あたしだって、違うほうの石渡し
ちゃったってすぐ気付いて、大丈夫かなーって気になってたんだから。あの石って普通、よっぽどの危ないとき
しか使わないでしょ。今がそのよっぽどってときで、そのせいでホントに危ないことになっちゃってんのなら、
あたしにも、ちょっとはセキニンあったりするかなー……って思って、それで……」
『大ありだ』
「う……」バーバラが斜め横を向く。「で、でもっ、ウィルだってちょっとは責任あるじゃん!違う石だってわかん
なかったんだから!」
『あのなバーバラ』とうとう責任転嫁しはじめたか。『作ったっていう本人に見分けつかないモンが、なんで俺に
見分けつくんだよ?』
「け、けど……あの石使ったのは、ウィルじゃん。あたしは、渡しただけなんだから」
バーバラがなおも言い張る。俺は、出かかった舌打ちを止めた。こういう無責任な娘には、少しキツいこと言って
わからせてやらねーと。
『俺に、責任があるとすれば』両手の下に口を隠し、目だけをまっすぐに向け、言いはなった。『バーバラを、信じ
ちまったことだな』
199 :
:04/11/19 05:54:56 ID:vkg+zuGk
バーバラの表情が止まった。その彼女にさらに『……バーバラを信じた俺が、バカだったってことだ』吐き捨て、
大きくため息をつき、天井を仰いでみせた。
「何よそれ……」かすれた声。バーバラの目もとが震え、唇がわななき出す。
ちょっと責めすぎか。けど、この程度の罰なら軽いもんだ。
「……そっ、そんなの、う、ウィルが勝手に信じたんじゃん!」バーバラがキッと見据えてくる。「あ、あたしだって、
別に間違えようって思って間違えたわけじゃないのに。あそ、ごめんねっ、信じられるよーなオンナじゃなくって。
せっかくさ、心配で来てあげて、助けてあげたっていうのに、そういう酷いこと言うんだウィルって!」
泣き出しそうな目で俺をにらみつけ、まくしたてながら、バーバラはカウンターから飛び降りた。そのまま玄関の
ほうへ後ずさりしていく。
思ったよりもかなりのショックを与えたらしい。許してやるか。喧嘩別れはしたくないし、この様子じゃ、本当に間違
えて俺に渡したらしいしな。
『だからかえって腹が立つんだよ』俺は顔をしかめて、できるだけゆっくりと言った。『バーバラは、やることちゃんと
やってくれたんだからな』
「……何よ。どーゆーこと?」バーバラが足を止め、トゲトゲしい声で聞いてくる。
『たしかに、お前が俺にニセモノをくれたおかげで、えらいことになった。けど、あの石がなきゃ、どっちみち直撃
食らってたわけだしな。それに何よりさ、あのままバーバラが来なかったら、アリーナも、俺とミネアさんも、どう
なってたかわからない。それを見事に助けてもらっちまったんだ。だから、あの石のことで俺は……俺たちは、
バーバラに文句言うわけにはいかないわけだ。むしろ、お釣りをやんなきゃならないってくらいさ』
200 :
:04/11/19 06:02:59 ID:vkg+zuGk
「はあ?」
眉を寄せてまばたきするバーバラ。「だ、だったら、はじめから言わなくちゃいいじゃん」
『確かめたかったんだよ。俺にニセモノと知ってて渡したのか、それとも、知らなかったのか』
「知ってて渡すなんてわけないでしょ!」バーバラがまた眉をつり上げた。「信じてくれないんなら……」
『なら、いいんだ。バーバラっていつもふざけ半分て感じだから、ひょっとしたらと思って』
「あたし、そこまでひどいイタズラって、たまにしかしないもん」
バーバラがまたむすっとする。たまにはやるのか。この魔女はやはり、完全には信用しないほうがいいかもしれん。
『それなら』
椅子から立ち、バーバラを見つめた。「何よ?」バーバラが身構える。この反応、誰かに似てる気がする……。
『バーバラ。来てくれたおかげで、ほんっとに助かった。感謝するよ、ありがとう』
「………」バーバラは、目をぱちぱちさせてから、俺を探るように眉をひそめた(このへんもマリベルとそっくりだ)。
そして、
「お礼言うのおそーい!」叫んで腰に手をあてた。「最初っからそー言ってくれたら、あたしだって、違うのあげちゃっ
てごめんなさいでした!って素直に謝れたのに。なのにどーしてウィルって、ああいうヒドいこと言うのよ」
『酷いこと言ったか?そりゃすまなかったな』素知らぬふうに頭をかいてみせる。『ま、俺とバーバラとの仲だ。水に
流してやってくれ』
「……ウィルとあたしとの仲って、どういう仲よ」
じろりと見上げてくるバーバラ。そこ突っ込むのか。どんな仲かって、そりゃあ―――
1.『難しい質問だな……』と、腕を組んで考え込んだ。
2.『俺は友達どうしだと思ってたんだが……バーバラは違うのか?』と、決まり悪げに聞き返した。
3.『んー……お互い、相手に面倒かけたりかけられたりしてるってとこだな』と、笑いながら言った。
4.『説明しなくたってわかってるだろ』と、バーバラの肩に手を置いた。
5.『………』とりあえず、何も言わずにバーバラを抱き寄せ、倒れ込んだ。
レスがずいぶん伸びているので、GM追放の議論でもなさってるのではとガクガクブルブルですたが・・・安心いたしますたw
今回変な場所で急に選択肢になってまつが、ここの部分の主人公のセリフをずっと考えて、結局決まらなかったからなんでつ
じゃあ上のセリフを書き直せとなるところでつが、どうにもこの流れが頭から離れず・・・
寒くなってきたせいで、キャラクターどもが頭の中で自由に泳がなくなったんでせうか。ううぬ
>161 殺されることはありませんでつ。明後日まで蹴り飛ばされるだけw
>162 タタキと焼き鳥・・・どちらも酒の肴には良さそうでつね
>163 多少は過激なことをしたほうがストーリーが進むかもしれんです。まあ今回はどうかと
>164 ここ数回の更新でアリーナをほとんど描いてない気がする・・・戦闘シーンが続いたせいでつか
>165 それで5って、どっちも諦めることになりそうでつが
>168 バーバラがいるのに平気で覗くのは不自然かなと思ったんでつが、けどバーバラならむしろ面白がりそうでつな
>170-171 漏れも、書いてていちばん楽しいのがバーバラでつね。おかげで適当なツッコミストがいない場合止まらなくなりまつが
>175 4についてはその通りでつが、3は・・・。穏健派の方にとっては結局は迷う選択肢ではなかったような・・・
>177-178,183-195 ひとえに漏れの遅筆のせいでつね。ひたすらスミマセンでつ。次回更新は月曜までに行いまつ!
>179-181 あと8日でつね。ゼシカのキャラクターとアクションが楽しみでつ。でもヒロインて彼女だけなんでせうか?
最後ヒロインとのエンディングが選択できるならDQは1からギャルゲーで、萌えキャラが登場するなら2〜3からでつし、
好感度があってキャラごとのマルチエンディングならスタシャンがギャルゲー、ヒロインがいてサウンドノベルならかまいたちの夜がギャルゲー・・・
ギャルゲーと普通のゲームの境目、漏れにもよくわかりませんです。。。
場つなぎ氏乙( ・∀・)つ旦
オレは4にします
バーバラの反応が見てみたい
5はベギラゴンでとどめ刺されそうな悪寒がするし(…展開は気になるけどね)
俺も4 これならどうとでも展開できるからな
前々から気になっていたんですけど書き出しの部分、結局どの選択肢に
決定したのか分かりにくいです。
今回のように明らかに違う選択肢の場合だと問題無いのですが
微妙に違う選択肢だと何番か理解するのに一苦労です。
1.放っておき、バーバラと話をする
という決定項目の後本文に移るスタイルでは駄目なのでしょうか?
今回の選択肢は2で
206 :
204:04/11/19 13:58:08 ID:h7SDgJb/
ああ、なる。
スマソ…
4で茶化してみよう
3と4は格好良すぎる
1
場つなぎ氏おつかれ!
ここは4で。
今までのバーバラとのノリでいたいので 3
4も正直捨てがたいが・・・
向こうから迫ってくれるのを期待して 1
たまにはふざけて5。
展開がまた糞遅くなりそうなんで2
「………」
バーバラがぴくりと震えた。ちらと右肩の俺の手を見、眉を寄せたまま見つめてくる。
『なっ』俺は真顔で念を押し、笑い出したいのに耐えつつ、その牡丹色の瞳を見つめ返す。
さて、何て言ってからかってやるか。“シエーナにいる[オニオーン]に会いたくなった”とでも言えば、さぞかしきっと
……あんまり怒らせすぎると怖いな。こいつ呪文、それも最上級のが使えるからな。
「へーえ」
不意に、バーバラが、つんとすますように横を向いた。
「あたしのことそういうふうに見てくれたんだ、ウィル」
『!?』俺は反射的に手を引いた。な、なんで頬赤くしてんだこいつ?俺が本気だなんて思ってるわけじゃない
だろうな?おい、冗談なんだぞ?
『あのな、バーバラ。俺が言いたいのは……』あわてて話しかけると、
「それじゃさ」バーバラは俺に顔を戻し、いきなりニッと笑った。「これからちょっと質問するから、答えてくれる?」
『は?』口を開けたまま止まる。『なに?質問?』
「数は、んー、4問くらい。だいじょぶカンタンだから。男らしく、ハッキリ正直に答えてよね」
『ちょっと待て。何なんだトートツに。俺はさ、ただ別に……』
「ごちゃごちゃ言わないの。じゃ、ダイ1問目!」
バーバラが、問答無用とばかりに俺の前に人差し指を立てる。『………』仕方ない、こうなりゃ乗ってやるか。
「ウィルって、守ったげたいって思っちゃうよーなカワイイ娘と、一目で美人ってわかるオトナーって感じの人、
どっちがタイプ?」
……なんだこの質問?いったい何の脈絡があって……。
「制限時間。9、8、7……」
急かすなよ。えーっと、可愛い系が好きか、美人系かってことだろ。ヘンリーとランドと、レイドックの女の品定め
やってるとき、こういう話ばかりしたっけ。奴ら両人とも可愛い系派だと言ってたな。俺は何て言ったんだっけか。
でも、あれから俺の好み変わってっかもな。いま思いつく美人系っていうと、マーニャさんは確定。それにミネア
さんとフローラさん……けどこの二人、第一印象は美人系でも、話してると表情とかが思いっきり可愛い系だよな。
「4,3、2……んもう、早く!」
やべ、さっさと答えないと―――
<選択肢I>
1.『ま、可愛い系か』 2.『当然、美人系だな』 3.『どっちもオーケーだぞ』
215 :
:04/11/20 16:16:57 ID:hYwrYGgN
「次の質問。ウィルって、けなげーって感じの年下の娘がいい?それとも頼りんなる年上のお姉さん?それか、
同じ歳?」
今度はこれか。可愛い系か美人系かってのと多少かぶるような……。
「7、6、5……」
早くなってるぞおい。頼れる年上っていうとビアンカがすぐ思い浮かぶ。同い年ならマリベルか。でも、健気な
年下って言われてもな……。今の俺の歳で年下の娘となると、ターニアと同じか1つ下かが限度で、それ以下は
お子様になっちまう……いや、そういうお子様っ娘が全く不可ってわけじゃないが―――
<選択肢II>
A.『年下かな』 B.『年上がいいな』 C.『同い年が、いちばん分かり合えるんじゃないか?』
「3つめ。ウィルは、女の子を好きになったとき、すぐ告白しちゃう?相手の気持ち確認してからにする?」
……?前のもだが、こういうのって、女が男にこういうところでする質問なのか?
俺が告白したことのある娘は……て、フローラさん!あれは、ついこの前、出会って2日でほとんど流れのまんま
だったから“すぐ”ってことになる。けど、フローラさんも俺のこと想ってくれてる……ってミネアさんが占ってくれた、
その後の流れだからな。どっちになるんだ?―――
<選択肢III>
ア.『もちろん、玉砕あるのみ!』 イ.『そりゃあ……雰囲気、だろうな』 ウ.『というか、現に、今したんだが』
「はい、これで最後。ウィルって、えーっと、恋人とはさ、心が通じあうことのが大事っていうか、一緒にいられるだけで
幸せーって思える人?それともやっぱり、カラダで愛を確かめ合っちゃうほう?」
……。ずいぶんと答えにくい質問をしてくれるねえ―――
<選択肢IV>
X.『見た目通りのプララブ派だが?』 Y.『そりゃやっぱ……メイクラブしまくってこそ恋人だろ』
Z.『と言われても……時と場合と相手による』 W.『なんでこんなこと答えなきゃならないんだよ?』
とうとう禁じ手使用・・・展開がここまで遅くなればもう手段選んではいられんでつ
賢明な方ならばおわかりと思いまつが・・・ギャルゲーの作中でアンケートのようなものが現れた場合、
プレイヤーの趣向を聞いてるわけではありませんです。主人公の趣向であって、しかも正解のある選択肢でつ!
そんなわけで今回選択肢は4つ。がんがって選んでくださいでつ!
>202 こういう反応ですた。原因は主人公の演技過剰と漏れの時間稼ぎ(何)
>203 どうとでも展開できる選択は、書く漏れとしたら困りものでつ
>204=206 同じ文章を重複して読ませるのが嫌いな性分のせいでつ。わかりにくくてスミマセソ
>207 茶化すつもりが茶化され・・・げふげふ
>208 選択肢によってこの主人公かなり性格変わりまつね。自然のまま書くというのは難しいでつ
>210 おっしゃるとおり、3が漏れとするとそのままの気分で書けて・・・すぐ先で詰まってますたw
>211 漏れがいちばん望ましい展開が1ですた。早いとここの話題切りたかった(ぉ
>212 実は5でも普通の展開になりますた。好感度は少々下がりますたが
>213 はい、2がいちばん展開は早かったでつ。毎回タラタラした話でスミマセソでつ
-補足-
プララブ:プラトニック・ラブの略・・・のつもり。でもGoogle検索でたった76件ですた。一般語ではなかったようでスミマセソ
メイクラブ:"make love"そのまま。本来は動詞。意味は・・・子供のいないとこで辞書引いてくださいです。。。
更新乙!
つまり今回は4ヒットコンボ決めなきゃいけないのか、難しいぞ。
1-A-イ-W
もー適当
1-A-イ-X
で、FA。
2-B-イ-Y
バーバラは自分の事こんなふうに勘違いしてそう。
3cイz
珍しいな……
よーし、ここは一石を投じる意味でへんなものばっか選ぼう。
と、言う訳で3、C、ウ、X
二問目に面白いのが無いや…
場つなぎ氏乙
1-A-イ-Z
でいきます
3AイX
今回は難しい
2-B-イ-Y この選択肢による主人公の趣向…
自分の本心は見せず相手に上手く合わせて
頂いてしまおうという考え。股は広く持つべき。
なんだか難しいなあ。
1BイYで。集計も大変そう。おつです。
まだいいのか?
1cイz
みんなの意見で主人公の性格を固めようということなのか?
そろそろ保守だな
まあ、寒くてネタが浮かびづらいとか言ってたしな
(ホントは4つも選択出したの後悔してるんじゃ…)
とりあえず保守
おお!しばらく見てない間に話が結構進んどる。
次回からまた参加させてもらいますー。
と言いつつ保守とか。
いつも楽しく読んでます がんばってくれ
保守
スレ立ちすぎ保守
いつもながら遅れててスミマセソ・・・
本日中に更新しまつ!無理だったらドラクエ8売りますです!
売らなくていいよ
マターリ行きましょマターリ
売らなくていいよ 俺にくれ
売らなくていいよ、本体付きで私に下さい
売らなくていいよ テレビ・本体・DQ8の3点セットを譲渡してくれ
売らなくていいよ、ゼシカたん参戦を前向きに検討してくれれば。
売らなくていいよ、空から危ない水着降らせてくれたら。
「………」
バーバラが、両のまぶたを平らにして俺を見てきた。呆れたように……どこか悲しそうに、唇を持ち上げて。
『……!?』どきりとなった。な、何だ?相手がバーバラなのはともかく、なんでこいつの今のこの顔で とき
めかなきゃならないんだ?
俺が戸惑う間もなく、「んー、残念!」すぐにバーバラは、にこりと笑顔になり、首を少し横に傾けた。
「あたしって、ウィルのお好みの女の子と、ぜんぜんハズレてるみたいね」
『へ?』
バーバラの髪と顔、全身を、顔を突き出すようにして見渡す。ぜんぜんハズレ……そんなはずはない。マー
ニャさんのように通りすぎる男の誰もが振り返る美貌、ビアンカのような頼りになるお節介焼き、フローラさん
みたいに決して自分からは告れないほど貞淑……プララブ派かメイクラブ派かは置いとくとしても……そう
いう女には、とても見えない。
『んなことは……ないと思うんだけどな』
腕組みしてバーバラを見下ろす。『最低、可愛い系と、年下ってのは合ってるだろ』
「ってことは、ウィル」とたんに、バーバラがさも得意げにニンマリとした。「本気の意味、だったんだ」
本気の意味?どういう……。
『……!』
しまった!好みだってハッキリ言ってやったようなものじゃないか!
『そういう意味じゃない』っと、むきになってると思われると逆効果だ。『ただ、ぜんぜん外れなんてことはない
って言おうとしただけだ』
「おんなじじゃん」バーバラは後ろに手を回し、胸を張っている。「あたしって、ウィルにはそー見えるってことね。
あたしって可愛い?けなげ?あら、ぜんぜんハズレじゃないじゃん。大正解じゃん」
242 :
:04/11/29 22:33:07 ID:MzOqEWsG
『だからな、それは……』なおも言いかけたものの、バーバラの楽しそうな笑顔に天井を見上げて息をつき、
カウンターに寄りかかった。それほど真剣に否定することでもない。思わせたなら思わせとけばいいが、
バーバラだって、笑ってるとこ見れば単にまた俺をからかってるだけだろう。もしかしたら俺、うまく引っか
けられたのかもしれない。さっきキツいことを言った俺へのバーバラなりの復讐……そこまで考えるのは
ちょっと行き過ぎだとしても。
「でもなー……嬉しいけど、ウィルじゃあたし、ちょっと物足りないのよねー。いろいろ」
バーバラが、立てた右肘に左手を添えたわざとらしい仕草で、俺を眺め回してくる。悪かったな。
「それに、さっきばっちり見ちゃったけど、ウィルって意外と女たらしなんだよね。お姫様だけじゃ飽きたらず、
さっきの占い師さんにまで、手、出しちゃって」
『手を出した、じゃない。手を貸した、だろ』何を言い出すかと思えばだ。『当然のことしたまでなのに、なんで
女たらしって言われなきゃならないんだ』
「当然のことー?」すぐ隣で、バーバラもカウンターに寄りかかった。「でもさ、ウィル。占い師さんのムネ、じろ
じろ見てたじゃん」
『それは……』見てたのか。油断できん。『すぐ前にあったんだから、一度や二度くらいは、しょうがないだろ』
「ううん。何回も、じーっと見てたよ。えっちな目で」
『それはない』俺はにやりと笑う。そんな愚は犯さないし、犯しようがない。何しろ、バーバラよりずっと近くで、
ミネアさんが俺を見てたんだからな。
『じっと見てたのはバーバラだろ。うらやましそうにさ。気にしてんのか?それ』バーバラの胸をのぞき込み、
からかってやる。
243 :
:04/11/29 22:35:09 ID:MzOqEWsG
「え、えっち!」バーバラがぱっと両手で隠した。「ウィルってやっぱり信じらんない!……それにさ、あたし、
これ、大きいほうなんだからね!」
『悪かった、冗談だ』早めに謝っておく。今までこういうことをからかって、ビアンカに何度も引っぱたかれ、
ターニアにすねられ、マリベルには倍にしてののしられてきたからな……。
でも、言われてみればバーバラのって、ちびっちゃい身体つきのわりに目立つ大きさだよな。身長と比をとったら、
ビアンカよりいい数字出すかもしれん。
「まだ見てる!えっちっ!」
おっと。すぐに上を向く。それだけ魅力的だってことだバーバラ。喜んだっていいはずだぞ。
『ところで』話題を探し、すぐに思いついた。『バーバラって、ミネアさんとも知り合いだったのか?』
「ミネアさんて、誰?」
『占い師さんだよ。今、自分で言ったろ』
「ミネアさんって言うんだ。ウィルとどういうご関係?」
『知らなかったのか?だったら、どうして占い師ってわかった?』
「わかるよ。独特の雰囲気っていうの、あるじゃん。それに、ジプシーの女の人であんなカッコしてるんだから。
魔法けっこう使えるみたいね。あたしには使えない回復系とか」
こいつ、いい目してるな……。俺がミネアさんと初めて会ったときの第一印象は“地味な感じのジプシーのお姉
さん”だったのに。
『けど、ミネアさんと会ったことなかったのか。フレアさんの知り合いで、アリーナとも昔からの友達なんだぞ』
「ないよ。サントハイムに来ることってあんまりないし、あっても、お城にお手紙届けたりするだけだから」
……朝は“しょっちゅう来てる”って言ってたような気がするんだがな。俺の聞き違いか?
「そういやさ、あのお手紙、ちゃんと渡してくれた?」
『手紙……あ』そういや渡せって言われて受け取ったっけ。忘れてた。『まだだ。いろいろあって……』
「ちゃんと渡しといてよね」バーバラが後ろのドアを見た。「あたしが怒られちゃうんだから」
244 :
:04/11/29 22:36:52 ID:MzOqEWsG
『だったら、自分で渡せば……』ふと、あることを思い出す。『そういやおまえ、ここの村のこと知らないって言って
なかったか?』
「うん。知らなかったよ」バーバラが笑顔で言う。
『それなら、どうやって来た?空でも飛べるのか?』
「あの石に入ってたの、あたしの[メラ]だって言ったでしょ。あの石を使ったとき、あたしには、あっ今、自分の魔法
使われたなーっていうのがわかっちゃうのよ、なんたって魔女だから。そのあと、ちょっと集中してみれば、世界
のどのへんで使われたのかも、わかるの」
『そうだったのか』うかうか悪いことに使えんな。『それって、魔女じゃなきゃ駄目なのか?』
「んー……魔女じゃなくても、魔力にすっごくビンカンな人ならわかるはずなんだけど……あたしの研究所には
一人もいないのよ、そーゆー人。だから、あたしくらいじゃないかなあ……」
『敏感な人……』マーニャさんとミネアさん、それにミレーユは敏感そうな気がする。あとは……そう、フローラさん!
まあ、フローラさんは、敏感というより、繊細か。
「えーと、それで、ウィル……はい!」
バーバラがデイパックを下ろす。取り出したのは……やはり、[爆弾石]だった。
「今度はね、ぜったい本物だから!」
『………』
俺は眉間を思いっきり寄せてその石を受け取り、そのままじいっと見つめた。前のより重い気もするし軽い気も
する。色がちょっと青っぽい……が、これも気のせいのような。
「ウィル。うたぐってるでしょ」
『そりゃあ、さっきの今だからな。こうやって見ても、さっきのと区別つかないし』
「だいじょうぶ!ちゃんと確認済みだから」バーバラが指先で石をつつく。
『違ってたらどうする?』
「本物だってば!」
『もしニセモノだったら、何でも言うこと聞くか?』
「……ちょっと返して」
バーバラは[爆弾石]に手をあてたり、顔の前にかざしたりしてから、「うん。本モノ」にっこり笑って再び俺に渡した。
「まだうたぐるんなら、今すぐ使ってみたら?」
『それは遠慮しとく』石を[ふくろ]にしまう。ここまで念を押すなら本物だろう。『高いモン、ありがとな』ま、当然の
埋め合わせだがな。
245 :
:04/11/29 22:42:09 ID:MzOqEWsG
「ところでウィル」バーバラがニーッと笑う。「なんでも言うこと聞くかって、あたしに何させようと思ったのかなあ?」
『別に何も』俺は前を向いて言った。『マーディラス行ったとき、ちょっと協力してもらいたかっただけだ』
「え。協力って何?」
『企業秘密』
「くすん。やっぱりあたし、信じてもらってないんだ」
『危険だからな。そのときになったら話す』
「キケン?危険って……ウィル、なんか危ないことしてるの?スパイとかだったら、あたし悪いけど手伝えない
からね」
スパイ……たいした発想力だな。『んなわけないだろうが。とにかく、マーディラスに行ったとき、話す』
「もしかしてさ。ここにも、それで来たの?」
『ああ』
「ふーん……」バーバラが脚をぶらつかせた。「危険なことかあ。何なんだろ」
そういやこの話、まだアリーナにもしてないんだな。しようと思っても、できない状況が続いてて。
「マーディラスに来るの、いつ頃?明日とか明後日じゃ、ないんでしょ?」
『さあ。正確にはわからん』前の食堂を見たまま言う。『早くても、サントハイムですることが終わったら、だな』
もともと、この国には祭り見物……じゃなく、王女様つまりアリーナにアザがあるかどうかを確かめるためだけ
だった。それが、手紙を預かり、ルナさんの村の話、さらに恐ろしい魔族が絡んできて、どんどんややこしい
方向にきてしまっている。
ま、ターニアをさらわれてからこっち、ずっとこんな状態なんだが。
「わかんないのかあ。それじゃあ……うーん」バーバラはちょっと黙り、またデイパックを下ろしかけ、途中で止め
た。「あたし、いつも研究所にいるわけじゃないのよね。どうしよっかな」
『その研究所ってとこ行って、自己紹介して、所長さんと会えますかって聞けばいいんだろ?』俺が言うと、
「そうだけど、最近あたし、ずーっとお城にいることになってるのよ」と考え込んだ。「んー……だけど、門番さんに
呼んでもらえばいっか。たぶん呼んでもらえるよね。王女様じゃなくてあたしなら。それで牢屋行きー!なんて
ことにはならないと思うし……」一人で何やら物騒なことをおっしゃり、デイパックを背負い直す。
何だよ牢屋行きって。そんなに出入りが厳重なのか、マーディラスの城は?
246 :
:04/11/29 22:43:47 ID:MzOqEWsG
「じゃ」バーバラが背をカウンターから離した。「あたし、もう帰るね」
『そうか』俺はうなずきかけて『……せっかくだし、夕食くらい一緒に食べてかないか?』引きとめてみた。
「え……」バーバラは、一瞬迷うように目線を下に向けたが、すぐ俺を見上げ、笑った「……やめとく。お姫様に
悪いから」
『どうして。知り合いなんだろ?』
「そうだけど、ウィルほど仲良しってわけじゃないし」また何を言い出すんだ、と眉を寄せる俺に「あ。もちろん、
ウィルとお姫様が仲良しってことね」急いで付け足した。そういう意味かよ……。
『あのな』昨日、あのときまでは、確かにそこそこ仲良しだったんだけどな。『アリーナと俺は……』
「喧嘩してるみたいだね」バーバラがおかしそうに笑った。
『知ってたのか?』
驚く俺に「わかるよー。あのお姫様ってわっかりやすいもん!」さらにバーバラが笑いをこらえるようにする。
「早く仲直り、してあげてよね」
『余計なお世話だ』なんだ、してあげてってのは。元はと言えば最初アリーナが……やめよう。
『で、おまえ。どうしても帰る?』
「んー……引き留めてもらってすっごく嬉しいけど」バーバラは、眉の両端を下げ、頬に指をやり、残念そうに
言った。「あたし実は、面接、ほっぱりだして来ちゃったのよね」
『面接?』
「うん。来月から新しく来るってコのね。ミクワちゃん。11歳。魔法使い希望。覚えてる呪文はメラだけ。趣味は
魔法書を読むこと。特技、メラの乱れうち。お父さんは道具屋でお母さんも普通のおばさん。しんじょー書は、
こんなとこだったかな。読んだだけじゃ普通のコ。才能にもよるけど、これからの努力次第ってとこね」
身上書……てことは、バーバラは、面接されるわけじゃなく、試験官をやるってのか?
どんな面接だ。きっとあんな唐突でわけのわからない質問ばかりを11歳の女の子に……。
247 :
:04/11/29 22:47:42 ID:MzOqEWsG
『そりゃあ……そのコ、かわいそうだな』
「うん。ずっと待たせちゃってるね」
バーバラが肩をすくめる。いや……そういう意味の可哀想じゃないんだがな。
外に出ると、辺りの家、道、畑、山、景色全体がすっかり橙色に染まっていた。明日も晴れるらしい。
東に長く伸びる影のうちで、動くものは俺とバーバラだけだった。村の方々はよほど遠くまで逃げたらしい。
それにしたって、様子を見に来る人もいないのか。臆病な連中ばかりの村だな。ライフコッドとは大違いだ。
「ウィル。マーディラスのね」バーバラが振り向いた。「街に入って左側のおっきな建物が、魔法研究所。誰でも
わかるよ。来たら、いちおー、所長いますかって受付で聞いてみて。あたしがいるときは呼び出してくれるから。
もしお城に行ってますって言われたら、しょうがないからお城に来て。そっちも、道すぐわかるから」
『わかった。そうする』さっきの物言いからして、そのときバーバラが研究所のほうにいることを願う。
「約束ねウィル。あたしに何頼みたいのか知らないけど……デートとかなら、したげるから!」
『デートか。どこまでのだ?』
バーバラの小さく赤い唇を見つめてやると「あれ、ウィル、プラトニック派だって言ってなかった?」その唇が動き、
鋭い指摘が飛んでくる。確かにそうだ。しかし!俺だって若いんだ!
『本気で好きになった女にはな』しゃらっと俺は言った。『お友達どうしなら、何でもこいだ』
「えっちー。それのどこがプラトニックなのよ」バーバラが呆れたように目を細める。「やっぱウィルって、女たらし
なんじゃん」
『お互い遊びどうしってのは女たらしと言わない』にやにやしながら反論すると、
「あたしやっぱり、ウィルとは合わないなあ」バーバラは、ゆっくり横を向いた。「あたし、キス以上はぜったい、
ホントの恋人とだけって決めてるのよねー」
『そりゃあ残念だな』
大げさに肩を落としてみせる。普通に堅いんだな、こいつって。
248 :
:04/11/29 22:51:59 ID:MzOqEWsG
『ま、冗談はこのくらいにしてだ』俺は薄い空を見上げた。『行くならさっさと行ってやれよ。11歳の娘じゃ、泣いて
るかもしれないぞ』
「そ、そうだね。それじゃウィル」朝と同じように手を握られる。「またあのベレスが出てきたら呼んで。今度こそ
あたし、ぱっぱってやっつけちゃうから」
『ああ。覚えとく』呼んだ覚えはないが。『……今日は、ありがとな』手を軽く握り返してやった。
「どーいたしましてっ!」
さらに強く握り返される手。二度も礼言ってやったんだから、そっちも少しは偽物の反省……してそうにないな、
このいかにも無邪気って笑顔は。
ま、でも、しつこくこだわるのは男らしくないか。どっちかというと、借りがあるのはこっちだし。
ほぼ同時に手を放す。バーバラはニコッと笑うと、結んだ髪とマントをふわり翻し、くるっと俺に背を向けた。
なんでわざわざ。ふつうに使えばいいだろ。マーニャさんといい、[ルーラ]使いって演出好きなのか?カッコつ
けたくなる気もわからんでもないけどさ……。
俺が文句を並べ立てて苦笑した、そのとき。
「……ウィル。もしかしてさ、ホントの本気だった?」
『あ?』
「違うよね。じゃねっ!」
言い返す言葉を思いつくより前に、早口の詠唱が聞こえ、バーバラはあっという間に空へ飛び上がっていった。
《バーバラの意識に変化が起きた》
《バーバラの評価が上がった》
さっきのようにカウンターに寄りかかり、天井を眺めていた。
“ホントの本気”“違うよね”違うよね……。どういうつもりで言ったんだ、あいつは?しかも俺に、何も言わせずに
逃げちまうなんて。からかっといて勝ち逃げ……は、俺もよくやるが、それにしては言い方が引っかかる。からかっ
たなら、振り向いて俺がどんな間抜けな顔をしてるのか確認したはずだ。そうできゃ、人をからかったって楽しさは
半減する。
しかし、からかいでないとしたら。
あいつにとっちゃ真面目な質問で、俺に“返事”を期待したってことになる……。
俺は横髪をかき上げた。ま、バーバラのことだから、そんな深い意味があって言ったわけはない、か。
249 :
:04/11/29 22:55:19 ID:MzOqEWsG
玄関の外は赤が消えて青に染まり、内は黒の半透明になっていた。もう日が沈んだらしい。
灯り、誰もつけないのか?このままじゃ真っ暗になっちまうぞ。
あ、そういやこの宿って今、サンディしかいないんだな。俺たち客三人と、サンディ一人だけか。
サンディが一人……!?ごく自然な欲求と疑問が湧いてきた。夕食、どうなってんだ?
心配になって奥のほうをのぞく。サンディも元メイドだから3人ぶんの食事くらいは簡単に作れるだろうけど……。
宿の人もだが、村の人たちも未だに姿が見えない。村の避難所とかでがたがた震えてるんだろうか。もう魔物は
いなくなったって呼びに行ってやったほうがいいかもな。このままじゃこの村、灯りなしで夜になっちまう。
『ん?』近くで人の気配がした。カウンターの横、ドアの向こうからだった。
「帰らないって言ってるだろ!」
ガチャリ。ドア板が開き、アリーナが出てきた。「またこの村が襲われてもいいのか?」
クリフトが続いて現れる。「ですから、この村は兵士たちを呼んで守らせます。姫様はまず……」
「間に合うと思ってるのか?明日またあいつが来たら、どうするんだ」
しかめっ面のアリーナの右の頬には、呪術師のような横一直線の縞模様が塗られていた。腕にはそれぞれ1本
と3本の包帯が巻かれ、右膝のタイツも膨らんでいるのが見てとれる。全身の傷をくまなく治療されたらしい。
『………』
そして、着ている皮のドレスとマント、短めのスカート、黒のタイツにブーツ、出で立ちは先ほどと同じだが、すべ
てが新品だった。すなわち、着替えたわけだ。着替えたということは、いったん全部(順序はあるにせよ)脱いだっ
てことだ。さらに……[薬草]で治療をしたということは、怪我してた箇所、たとえば膝や腹部にクリフトが触れたって
わけで、目をふさいで手を伸ばして治療をするはずがないから、クリフトは、アリーナの太股なんかを間近で……。
250 :
:04/11/29 23:00:48 ID:MzOqEWsG
「とにかく姫様、どうするににせよ、いったんお城にお戻りください」
「だから、ボクが帰ったってしょうがないじゃないか。帰るなら一人で帰れ」
しかも今、とりたてて恥ずかしがりもせずクリフトと喋ってるってことは、アリーナのほうも見せ慣れてる、ってことか?
ビアンカだって、膝に包帯巻いてやろうものなら“ありがとう”って言ってそれなりの赤い顔してるし、マリベルに至って
は、俺が手当してやってる間とその後しばらく、罵詈雑言は相変わらずでも、顔は合わせようとしないんだが。
「………」
アリーナがすぐそばにいる俺に気付き、立ち止まった。しかめた顔のままで俺の周りを探るように見てくる。
『バーバラなら帰ったぞ。君によろしくってさ』
教えてやると「………」ふいと前を向いてしまった。この強情なお姫様と仲直り、か。どうやったらできるもんかな。
「そ、そうですか。もうお帰りですか」代わりにクリフトが、なぜかあわてたように俺に言った。「ご使者殿にお礼を
申し上げたかったのですが……。それにしても、すっかり暗くなってしまいましたね」変に不自然な仕草で宿内を
見回す。「この宿、灯りはつけないのでしょうか……まさかまだ、どなたかもいないのですか?」
はじめて、俺たちのほかに誰もいないことがわかったらしい。のんきと言うか何と言うか。
「すみませんお客様……」そのクリフトの後ろから、灯りが近づいてきた。ろうそくを持ったサンディだった。
「先ほどはありがとうございました。それで、そのお客様にこのようなことを申し上げるのは、本当に申し訳ない
のですが……」
サンディは二度頭を下げ「その、しばらく、留守番をお願いしてよろしいでしょうか?」言いにくそうに俺たちを
眺めた。
『構わないけど、どうして?』俺が聞くと、
「はい。その、ここの方々をお呼びして来ないことには……私一人では、片づけどころかお食事の用意もでき
ないので」
サンディが答える。弱り切ったという顔をしていた。今まで、一人で何とかしようとしてたんだろう。
251 :
:04/11/29 23:05:56 ID:MzOqEWsG
「だったら、ボクが行ってくる」すると、アリーナが即座に言った。「どこにいるんだ?」
「いいえ、お客様にそのようなご面倒は……」サンディが驚いて首を振る。
「気にしないでくれ。いない間にあの赤ちゃんが泣き出しちまったら、ボクらじゃ手に負えないからな」
髪に手をやりながら、アリーナが笑った。それが理由か。魔物は平気でも赤ん坊は苦手なんだな。
「ジョンなら、寝かせましたから、大丈夫とは思うのですが……」言うサンディだが、不安そうに奥を振り返った。
赤ん坊ってのは、いつ目を覚ますかわからないからなあ……。
「いいえ。私たちが参ります。その間に食事の準備をどうぞ」クリフトが行く気満々に口を出してくる。姫様が行く
なら当然私も、という短絡思考。そんなにアリーナを独占していたいのか?
「そうですか。そうしていただけると助かります。すみません」サンディが三度目のお辞儀をした。「森の道を抜け
たところに、小さい洞窟が掘ってあるんです。避難用に。皆さんは、そこだと思います」
「森って、あっちの森か」アリーナは、北東を指さし、サンディのうなずくのを見て「よし。すぐ呼んでくる!」走り
出しかける。その彼女を、俺は、
『待て!』呼び止めて、歩み寄った。
「………」なんだ、と言いたげに俺に顔をしかめてくるアリーナ。俺は―――
1.『怪我人だろ。俺が行ってくる。そいつの面倒頼むよ』扉の下の魔物をあごで示した。
2.『魔物が出るかもしれない。俺も一緒に行く』腰の剣を叩いてみせた。
2.『君は騒ぎになるからやめといたほうがいい。クリフト、一人で行け』そう言ってクリフトを見やった。
4.『道暗いんだから気をつけろよ』軽く笑って言った。
5.『ところで君、クリフトにどこまで見せたんだ?』真面目な顔で聞いた。
2
誤字、3がない
売らずに済みますた。といいましてもやはり臨時の選択肢で誤魔化しただけでつが
これで課題すべて終了。やっと8の封が開けられまつ・・・うるうる(キモイ)
けど今から攻略情報を見ようにも、スレ立ちまくっててどのスレを頼りにすればいいのやら
8キャラも出したい・・・などと無茶言う前にさっさとサントハイム終わらせないと。うう
>217 コンボ決まったらバーバラのシナリオが一気に進んだのでつが・・・残念ながらハズレですた
>219 それなんでつ!見た目で判断しては駄目なんでつ!・・・思いっきりネタバレ?
>220 4選択同時しかもアンケート形式は初でつね。おそらく二度とやりませんでつw
>221 爆弾ばかり選びまつと容赦なく漏れは攻略不可にしまつ・・・なんて、嘘ではないでつ(え?)
>223 どうもみなさん主人公をプラトニック型にしたいようでつね。構いませんですよ別に・・・
>224 それがギャルゲーを攻略する上での基本姿勢でつ。同時攻略するには、さらにいい加減な主人公にならないとw
>227 普通のギャルゲーは主人公と話したり冒険(この場合)してみて主人公の趣向をヒロインが知るわけになるんでつが、
それをすっ飛ばしてアンケートとらせたってわけでつ。則ちバーバラシナリオの四歩前進が目的ですた
>228-233 スレ乱立祭状態に保守ありでつ!申し訳ないでつが次の更新もお世話になる可能性大・・・理由は明白でつねw
>235-240 そうはいきませんでつ。でもまだ封開けてないんでつが、幾らぐらいになるでせうか、これ?
ゼシカは・・・出すにしてもまた1年くらい待ってもらうことになるかもしれませんです。正直、ミーティアのが出しやすいかも
>252 マタ ヤッテシマッタ・・・_| ̄|○
指摘サンクスでつ!いつものことでつが、2でもそのまま一緒に行ってくれるかどうかは不明でつ
>>251選択肢修正
1.『怪我人だろ。俺が行ってくる。そいつの面倒頼むよ』扉の下の魔物をあごで示した。
2.『魔物が出るかもしれない。俺も一緒に行く』腰の剣を叩いてみせた。
3.『君は騒ぎになるからやめといたほうがいい。クリフト、一人で行け』そう言ってクリフトを見やった。
4.『道暗いんだから気をつけろよ』軽く笑って言った。
5.『ところで君、クリフトにどこまで見せたんだ?』真面目な顔で聞いた。
今回は1かな…アリーナからバーバラに乗り換え
その第一歩w
乙〜 とりあえずここでセーブしてから4で
1だな。
魔法も薬草もないクリフト=ごみだし。
1が無難か。
役立たず扱いされたらアリーナが怒るような気もするが
口は達者だからうまく丸め込めるだろ。
いいかげんアリーナとの仲を修復しておかないと
サントハイム城にも行けやしない…
1か
軽く挑発してついてこさせる…
3。こっちに戦力を残した方がいい気がする
久しぶりにギャルゲーらしい展開に
今回は1で
261 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/01 23:09:32 ID:d71RSN13
1.で
自己保守いたしますです。。。
更新は月曜日までに必ずいたしまつ!
8プレイ中のせいで、脳内のアリーナやバーバラが気を抜くと巨乳になってて困ってまつ・・・
>>262 ヒップアタックするアリーナや、セクシービームを放つバーバラ…
(・∀・)イイ!!
アリーナも巨乳で(・∀・)イイ!
バーバラは元々巨乳だよな
ミネアさんのセクシービームも(・∀・)イイかも
念の為保守
267 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/05 23:59:26 ID:oHuoPw//
ヤシも保守
更新来たーの準備。
き、きっと来週の月曜の事だったんだよ…
セクシービームな場つなぎ氏マダー?(・∀・ )っ/Ц⌒☆チンチン
来週の月曜か…。残念さげ
「……ボクに命令するのか!」
アリーナがじろりとにらんでくる。唇が震えていた。「ボクは、おまえに命令されたり、気安く言葉をかけられる
ようないわれはない!」
『いわれがなくても言わなきゃならないんだよ』ひるまず言い返す。『その怪我じゃ走るにも障るだろうが。
まだ魔物が残ってたら、どう戦うつもりだ』
「莫迦にするな!こんな怪我なんて、ボクは何ともない!」
アリーナが走り出そうとする。しゃーない、荒療治だ。俺はアリーナの左腕に飛びつくように手を伸ばし、
包帯をわざとつかんだ。「っつ……!!」アリーナが顔をゆがませて飛び退き、右手で包帯を押さえる。
『ほらみろ』息を鳴らし、アリーナと玄関の間に立ちふさがる。『クリフトが使ったその[薬草]は、俺のなんだぞ。
これ以上無茶やって、ムダにしないでくれ』
「………」アリーナが唇を結んで憎々しげに俺を見るが、言い返してはこない。納得したとみていいかな。
「そうですね。ここはウィル殿に行っていただきましょう」クリフトが口を出す。「魔物は私が見張りますので、
姫様はいったん寝室でお休みを」
「………」
アリーナはそれにも答えなかった。眉を引きつらせたまま目を閉じ、壁に寄りかかる。口うるさいのが二人に
増えたとでも思ってるのだろう。ま、言うことを聞いてくれれば、それでいい。
『あー、それからクリフト』
「はい?」
『サンディさんを手伝ってあげてくれ。片づけくらいならできるだろ』
「え。なぜ私が……」
クリフトが怪訝そうにする。サンディも「あの、お気持ちは嬉しいのですが、お客様にこれ以上お手伝いを
させるわけにはいきませんから」両の手の平を前に出す。
『いいんですよサンディさん。今はとにかく早く夕食にできるよう協力しましょう。俺たち、魔物と戦って、すっかり
腹ペコなんですから』
「……何にもしてないくせに」ぼそりと壁際から。失礼な。俺が片づけたんだろうが、雑魚たちは。
273 :
:04/12/08 07:18:12 ID:1d8tEMaU
『アリーナ』無礼なお姫様に呼びかける。『もしこっちでまた何かあったら、上のミネアさんを頼むよ』
「………」
アリーナが、さもうるさげに薄目で俺を見、すぐにそらした。
わかってるならいいさ。『じゃ、ひとっ走り行ってきます』サンディに言い、夕闇の包む外へ駆けだした。
《アリーナの評価がわずかに下がった》
《クリフトの評価が上がった》《サンディの評価が上がった》
「たいしたもんだよ。やるねえ、あの坊や」
「あの若さでねえ。名のある戦士さんかねえ」
俺は、洞窟に避難していた村人たちを引き連れて、森の中の道を村へと急いでいた。
「どこの誰なんだい?知ってるんだろ、教えとくれよ」
「それがねえ、ミネアちゃんのいい人なんだって」
「ええっミネアちゃんの?本当かい?」
「本当さ。手を握り合ってるところ、あたしゃ見ちまったよ」
「おれも見たよ。二人して息合わせて魔物を片づけちまっただ。あれは昨日今日の仲じゃねえな」
「あたしも、あの子とミネアちゃんに助けてもらってね。傷を治してもらってるときミネアちゃんに、いい人見つかって
良かったねえって言ったんだよ。そしたら、顔真っ赤にしてたよ。ありゃ間違いなく本物だねえ」
『………』
助けてあげたんだから、勝手な憶測発言は慎んでいただきたい。
宿を出たあと、サンディに言われた通りに北の森を抜けて洞窟に行ってみると、村人たちは中で固まって震えて
いた。当初は俺を物と疑っていたが(失礼な!)、宿屋のおかみさんたちが俺を覚えていてくれたおかげで、どう
にか信用してもらえた。皆さん曰く、外で魔物を見かけたため怖くて出られないとのこと。まだ残ってたのかと思い
ながら洞窟の外を探し、間もなく木の陰に隠れていたその魔物たち……緑の[みならいあくま]二匹を見つけた。
奴らはただの見張りだったらしく、俺に気付かれたとわかるや捨て台詞を吐いて逃走。もちろん逃がさず、二匹とも
火葬にしてやった。
で、その後、当然のように村人から拍手されて、称えられつつ帰路についたのはいいんだが……。
村の人たちに格好の誤解を提供することになってしまった。
274 :
:04/12/08 07:22:28 ID:1d8tEMaU
「そうかい。ミネアちゃんのねえ……。あたしさ、ミネアちゃんてほら、あのとおりの奥手じゃないか。だからいい人
見つかるかどうか心配してたんだけどねえ。そんなの、取り越し苦労だったってことだねえ」
「あんなに強い旦那さんが来てくれるんならミネアちゃんもこの村も安心だよ。良かった良かった」
……こういう噂、マーニャさんなら気にもしない……むしろ悪ノリしそう……だろうけど、ミネアさんにとっては……
やっぱ、迷惑この上ないだろうな。ミネアさん潔癖だし、あんがいすぐ熱くなっちゃう人だし……。それに、男がいる
なんて噂がモンバーバラまで伝わったら、ミネアさんの占いの人気にも響く。
といって、こういう人たちには、当人たちがいくら否定したところで無駄、かえって逆効果だ。第三者、やはりマーニャ
さんあたりが説明してくれれば、まあ納得してもらえるはずだけど。
……。
ミネアさんの旦那さん、か……。
朝、ミネアさんの笑顔で起こされて、ミネアさんの手料理食べて、仕事の前に今日の運勢はとか教えてくれて、
で帰ってくるとやっぱり笑顔で出迎えてくれて、怪我してたら癒してくれて、そして夜は一つベッドへ……。
うーん……そういう型にはまった幸せって、いいとは思うけど、まだまだ俺には早い。俺としては、旦那さんとか
奥さんていう束縛された愛の生活に入るには、束縛されない恋愛をたっぷりしっとり堪能してからにしたい。
もっともミネアさんがどう考えてるかはわからない。ミネアさんみたいな堅実な人は、型にはまった幸せに憧れてる
かもしれない。それならそれで……。
『………』
って。俺も勝手に何を考えてるんだ。こういうことを悩むためには、ミネアさんの俺への気持ちっていう、もっと
以前の問題が……。それに俺だって、ミネアさんを本気で……。
『………』
ああ、自分で自分がワケがわからなくなってきた。これも後ろの方々が勝手に噂してるせいだ!
「でも前の子、まだちょっと子供じゃねえだか?いくらミネアちゃんがしっかり者だとはいってもさ……」
「あっはっは。亭主ってのはね、若いうちから首根っこ押さえ込んで、ちゃんとしつけとくが一番だだよ」
……そんな背後からのお喋り以外、特に気になる事はなく、森を抜け、村に着いた。
275 :
:04/12/08 07:27:27 ID:1d8tEMaU
「そうかい。ミネアちゃんのねえ……。あたしさ、ミネアちゃんてほら、あのとおりの奥手じゃないか。だからいい人
見つかるかどうか心配してたんだけどねえ。そんなの、取り越し苦労だったってことだねえ」
「あんなに強い旦那さんが来てくれるんならミネアちゃんもこの村も安心だよ。良かった良かった」
……こういう噂、マーニャさんなら気にもしない……むしろ悪ノリしそう……だろうけど、ミネアさんにとっては……
やっぱ、迷惑この上ないだろうな。ミネアさん潔癖だし、あんがいすぐ熱くなっちゃう人だし……。それに、男がいる
なんて噂がモンバーバラまで伝わったら、ミネアさんの占いの人気にも響く。
といって、こういう人たちには、当人たちがいくら否定したところで無駄、かえって逆効果だ。第三者、やはりマーニャ
さんあたりが説明してくれれば、まあ納得してもらえるはずだけど。
……。
でも、ミネアさんの旦那さん、か……。
朝、ミネアさんの笑顔で起こされて、ミネアさんの手料理食べて、仕事の前に今日の運勢はとか教えてくれて、
で帰ってくる俺をやっぱり笑顔で出迎えてくれ、怪我してたら癒してくれて、そして夜は一つベッドへ……。
うーん……そういう型にはまった幸せって、いいとは思うけど、やっぱまだまだ俺には早い。俺としては、旦那さん
とか奥さんていう束縛された愛の生活に入るには、束縛されない恋愛をたっぷりしっとり堪能してからにしたい。
もっとも、ミネアさんがどう考えてるかにもよるな。ミネアさんみたいな堅実な人は、お互いを束縛するような幸せの
カタチに憧れてるかも。それならそれで……。
『………』
って!俺も勝手に何を考えてるんだ。こういうことを悩むためには、ミネアさんの俺への気持ちっていう、もっと
以前の問題があるだろ。だいたい俺にしたって、本気でミネアさんの旦那になりたいなんて考えちゃ……。
『………』
ああ、自分で自分がワケがわからなくなってきた。これも後ろの方々が勝手に噂してるせいだ!
「でも前の子、まだちょっと子供じゃねえだか?いくらミネアちゃんがしっかり者だとはいってもさ……」
「あっはっは。亭主ってのはね、若いうちから首根っこ押さえ込んで、ちゃんとしつけとくが一番だだよ」
……そんな背後からのお喋り以外、特に気になる事はなく、森を抜け、村に着いた。
276 :
:04/12/08 07:35:23 ID:1d8tEMaU
「あんれ!洗濯物干しっぱなしだったよ!」
「おれとこの牛、畑にほってきちまっただ。まだおればいいが……」
家に急いで駆け込む人、松明を片手に畑へ走る人たち。魔物が来る前にしていたことを思い出して、そこに戻っ
ていく。人が帰った家には次々に灯がともっていった。森と山に囲まれた村のぽつぽつした小さな灯りだが、何も
ない真っ暗闇よりは、よほど頼もしいし、ほっとする。
俺はできるだけ急いで宿へ向かった。今日のところはベレスは襲って来ることはない……とは思うが、今の今
万が一でも襲われれば、傷の癒えていないアリーナと役立たずの神官だけだ。ひとたまりもないだろう。
宿の建物が見えてくる。玄関扉をはさむように2つの松明、二階の窓に1つ灯り、下の一階に3つの灯り。何事も
起きていないようだ。一安心。
開け放したままの玄関をくぐり、宿内へ。アリーナたちはおらず、代わりに燭台の灯りが俺を出迎えた。
『……?』
縛りつけておいた魔物も、いなくなっている。逃げられたのか?と見回してみたが、特に何も……紐の切れ端なん
かは、落ちていない。たぶんアリーナたちがどこか別の場所に移したんだろ。こんなところに魔物を寝かせといたら
客が寄りつかないしな。
277 :
:04/12/08 07:42:56 ID:1d8tEMaU
廊下を階段のほうへ歩いていくと「あ、ウィル殿でしたか」食堂から出てきたクリフトと、ちょうど鉢合わせした。
「お疲れ様でした。宿の皆さんは?」
『え?いない……』
後ろを振り返ってみて『………』顔を引きつらす。俺のほかに誰も宿に入って来る人はいなかった。早足で来た
せいか。そういや……あのおかみさんもご主人もお喋り好きっぽかったから、どこかで捕まって俺とミネアさんの
噂でもしてるのか……。これじゃ俺は何のために行ったんだ。夕食、いつになることやら……。
『呼んではきた。そのうち来るだろ。それより……』魔物のことを聞こうとして、俺は眉をひそめた。クリフトは、
長い帽子を脱ぎ、神官服の上にエプロンを巻いた姿だったのだ。
『……何してんだ、それ?』
「ウィル殿と姫様がおっしゃった通り、サンディさんのお手伝いとして、食堂の片づけと、夕食の準備をしているの
ですが」
だからってエプロンまですることないだろうが。カッコから入るタイプか、お前は。
『魔物はどうした?』
「あの[つかいま]なら、姫様が二階へ連れて行きましたよ。ここでは邪魔だろうとおっしゃって」
[つかいま]って言うんのか、あの魔物。名は人……物を表すと言うが、そのままじゃないか。
『んじゃ、目を覚ましたのか?』
「いえ。まだだと思います。ご使者殿の魔法がことのほか強力だったらしく、姫様が担ぎ上げても眠ってました。
無理に起こすこともできたのですが、それはウィル殿が戻ってからにしようということで」
『……それはアリーナが言ったのか?』
「はい」
あの王女様……怒ってるわりにちゃんと待っててくれてんだな。それとも、俺が同席しなきゃならない理由あってか。
『アリーナは二階だな?』
「ええ。ですがその前にウィル殿。お客様が訪ねていらっしゃってますよ」
278 :
:04/12/08 07:45:22 ID:1d8tEMaU
『……俺に?』思わず自分の胸を指さす。俺に客。誰だ?俺がコーミズにいるのを知っている人……。
「食堂でお待ちしていただいています」
言われて食堂に入ってみると、まだ散らかっている中、テーブルメイキングのしてある窓際の3つのテーブルの
1つに、女性が一人座っていた。黄金色の髪を真ん中で分けて側頭から背に流し、両肩から紗帯をひらつかす
衣装の、背が高くほっそりした女性。すぐ俺に気付き、細い涼やかな緑の瞳を向けてくる。
『ミレーユ!?』
驚いた俺と目が合って、ミレーユが微笑んできた。
納得。ミレーユなら、俺たちがこの村にいるのを知ってたところで不思議はない。でも一昨日会ったばかりで、
わざわざ何の用だろう。俺たちを追って来たんだろうか?
「おかえりなさい」
近寄っていった俺に、ミレーユがにっこりしたまま言う。「村の人たち、ちゃんと呼んできた?」
『あ、ああ』クリフトが話したんだろう。『ミレーユ。どうしてここに?』聞きながら隣の席に座る。
「もちろん、おばあちゃんのお使いよ。モンバーバラの街から歩いてきて、今着いたの。モンバーバラまでは、
おばあちゃんに翼もらってね」
『マーズさんの……』
俺へのお使いというと……あの手紙のことか。[太陽の石]に異変がないかについての、ここの王様(アリーナの
親父さん)への。マーズさん、その石のこと、だいぶ心配してたみたいだからな。昨日か今日のうちに俺が報告
に来るものと思ってたのだろうか……そんなせっかちな人にはとても見えなかったが。
「ウィル殿、お茶をどうぞ」
クリフトがボーイよろしく、ティーカップを俺の前に置き「ごゆっくり、おくつろぎください」一礼する。だから、そこ
までなりきるなっての。ミレーユはともかく、俺は身内なんだから。
「あの人、神官の前は給仕をしてたの?」厨房に戻るクリフトの後ろ姿を見、ミレーユが薄く笑みを浮かべる。
『そんな話は聞いてません。ただの趣味です、きっと』
「そうなの?すてきな趣味ね」
ミレーユはくすりとしたが、気を取り直すように両手を組んでテーブルに置き、俺を見据えてきた。
279 :
:04/12/08 07:48:57 ID:1d8tEMaU
「ウィル。あなたに聞きたいことがあって来たの」
『えーと。太陽の石のことなら、しばらく待ってもらえませんか』俺は頭に手をやった。『今ちょっと、お城には行き
にくいんで……』
「そのことじゃないわ」ミレーユが軽く首を振った。
違うのか?拍子抜けする俺を、透明な緑の瞳がじっと見つめてきた。
「ウィル。今日、変わった夢を見たでしょう」
『!?』
ぎょっとなり、身体が震える。「やっぱり」ミレーユがうなずき、再び微笑む。「おばあちゃんが言った通りだわ」
か、変わった夢……マーズさんの言った通りって……。そんな。俺の今朝のあの悪夢を覗いてたのかマーズさん?
……うわあああっ!!今まで品行方正に努めてきた俺の面目が、信用があ!
いや!まだ事態は最小限の被害。マーズさんとミレーユしか知らないハズ。この二人をどうにかすれば……。
「ウィル」と。がくせんと頭をかきむしりかけた俺に、ミレーユがささやくように言った。「どんな夢だったのか覚えてる?
覚えてるなら、教えてもらえない?」
『……え?』前髪を掴んだ手の下からミレーユを見た。静かな微笑に皮肉っぽい様子はない。『マーズさんは、俺の
夢の中を見たんじゃ……?』
「……最初から話すわ」ミレーユが紅茶を飲む。「おばあちゃんね、昨日の夜、あなたに何かが起きた気がして、
占ってみたの。でも……あなたは眠っていて、夢を見ているはずなのに、夢の中には立ち入れなかったのよ。
あなたから感じる生命の波動で、元気だってことはわかったけれど……。夢の中を見ようとすると何か不思議な
力に邪魔されるって、おばあちゃん言ってたわ。こんなのは初めてだそうよ。それで、いったいどんな夢だったのか
聞いてくるようにって」
280 :
:04/12/08 07:54:01 ID:1d8tEMaU
『………』
なんだ。ってことはマーズさんにもミレーユにも夢の内容までは知られてないのか。ほっ。
「ウィル。どういう夢だったのか教えてもらえない?」しかしミレーユが聞いてくる。「おばあちゃんが言うにはね。
夢占い師が夢の中を見られないっていうのは、誰かがその人に呪いなんかをかけようとしてる、その前の段階って
いう可能性が高いそうよ」
『呪いって……』誰が、と聞こうとしてやめた。いろいろと思い当たる。ゲマとかバルザックとかマリベルとか。
「もし呪いだとしたら、今のうちに防ぐ方法を考えないとならないわ。それには、どんな夢だったのか知る必要があるの。
どんな呪いをかけようとしてるかを調べるために、ね」
『………』
「だから……話してもらえないかしら?今覚えてる内容でいいわ」
呪い……それも一大事だ。これ以上厄介事を増やしたくないし、できるなら事前に防いでもらいたい。
けど、だからって正直に話すのは……あんな夢の内容、知られるってだけでも嫌なのに、まして俺の口から、女の
ミレーユに詳しく話したくない(無論、男に話すのだって断る)。
それにだ。あの内容をうまく説明するには、バルザックやオーリンさんについて、昨日ミネアさんに起きたことまで、
すべて明かす必要が出てくる。それはちょっと……。ミネアさんは起きたことすべて運命だとは言ってたけど、だから
って人に軽々しく喋っていいことじゃない。ミレーユとミネアさんて、出会って以来同業ってことで仲良さげだったとは
いっても、だからこそ聞かせたくないことかも……。女の友情はよくわからないけど。
「話したくないのね。だったらいいの。無理には聞かないわ」
考え込んでいる俺に、ミレーユは穏やかな笑みを浮かべて言ってくれた。どうしよう―――
1.『……いや。話しますよちゃんと。どうせ夢の話だから』
2.『うん……すみません。今は誰にも話したくないんで』
3.『起きたときに忘れちゃってて……嫌な夢だったっていう感じだけは覚えてるけど』
4.『食事のあとじゃ駄目ですか。腹減っちゃってるんで』
5.『ちょっとぼんやりしてるんだけど……ただ、ミレーユが出てきたような気がする……』
またもまたも期日遅れ・・・申し訳ないでつ
書いては消し、書いては消して、でも結局はこんな出来。ああスラスラ文章の出てくる方がうらやますい・・・
などといつもの愚痴。8やってて遅くなったわけではありませんです。むしろ活力になってまつw
やっとラーミアゲット。もちろん彼女は魔法のビキニなまま(*´Д`)
>254 バーバラ攻略は、よほどうまいこと選ばない限りサントハイムが終わってからになりますです
>255 ウィーンウィーンガチャウィーンウィーンガチャ。冒険の書に記録しますた
リアルタイムで書けたらなあと思いまつが今更言っても始まらぬ!もう漏れは漏れのGM道を行きまつ!
>256 クリフトは博識キャラとして、漏れにはかなり便利だったりしまつ
>257 仲直りするのはいつになるのか。いえ、プレイヤーさんでなく、漏れの遅筆の問題でつ・・・
>258 代わりに行く第一の理由が怪我を心配してのことなので・・・それに必ずオマケもついてくるかと
>259 ランダムで宿を襲わす展開も考えたんでつが、漏れもキャラクターたちもたまにはくつろぎたいので(そんな理由か)
というわけで3だと、アリーナと話してるところにミレーユがやってきますた。どうなりますたやら
>260 漏れとしてもこういうシチュエーションばかり書いていたいんでつが・・・実際はほとんど戦闘と移動のシーンばかり
ドラクエ+ギャルゲーを文章で書くというのはやはり壮大で難しいでつ。と上で大きなこと書いといてもう弱気
>263-265 ミネアは安産型っぽくヒップアタックを決められそうでつが、アリーナじゃ無理でわw
そういえばDQには、今まであからさまな巨乳ヒロインはいなかったでつね。SFC3くらいでつか
>266-271 イイカゲンナコト カイテ モウシワケナイ・・・_| ̄|○
次の更新は・・・すみませんが今週は予定が立ちませんです。早くて月曜(またか)
1でいってみようか。
じゃあ5
それじゃ1?
内容ぼかしつつ1とか無理かな・・・
286 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/09 01:29:43 ID:xqmmZo6r
3.で修羅場を期待したいとこでつが、これ以上こじれるとアリーナとの関係の
修復が更に難しくなるので、2.でお願いします。
>>286 そんな書き方は、集計する場つなぎ氏が混乱するので止めた方がいいよ。
正直に1で。
場つなぎ氏乙
1にします(どうせ夢だし 笑)
正直に言うのも馬鹿だし2
1.で行きたいところでつが、集計する場つなぎ氏を混乱させたいので4で願いします。
ねっとり且つ煽情的に1
1でお願いします。
現在 @7票 A2票 B0票 C1票 D1票
まとめ乙 これは1で決定か
295 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/14 02:20:30 ID:MirC1vqv
内容を正直に言うのでないなら1.
そろそろ更新期待
ひょっとして、まだ巨乳漬けなのかも?
ということは今後巨乳キャラの登場頻度が増えるわけだな保守
299 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/16 20:02:05 ID:RZaeRanG
場つなぎ殿
サマル兄妹、3勇者(女)、3商人(女)、5双子、ターニア、フォズ
もみんな巨乳になってしまいまつか。
乳の大きさ(主観100%)
ぺったんこ サマル兄妹、3商人(女)、フォズ、5双子
小振り ターニア、3勇者(女)
いや、フォズはょぅι゙ょだし…
5双子ってお子様だし片方男だし。
ロリで巨乳になるのか
>>299 サマル『兄』妹となってる事に、ツッコミを入れるべきなのか?
それはそうと、
>>299のように主観100%で良いのなら
ターニアは顔は童顔だが、身体はスゴイ!エロイ!派かな?
>269の予言が当たった!
勇者もういいよ!保守するのだ!
ボーッとしてたらもう20日・・・やばひ
木曜の天皇誕生日までに必ず更新しまつ!
・・・などと締切破りを平気で言ってみたりする師走
今日明日でどうにかならなかったら、そういうことで泣き入れさせてくださいです。。。
DQ8感想
ミーティアが本当にぽんきゅっぽんでなくて良かったでつ。巨乳ヒロインにお兄様なんて呼ばれたくないでつ!!
けどサーベルトお兄さんて例が・・・それとフォーグ・・・
・・・巨乳妹もいいかも(ぉ
ちなみに漏れは弟も弟分も嫌いでつw
期日到来保守
次は今年中にはなんとか保守
今日もまた日は昇り、
日は沈んだ…
The Sun Also Rises. By Hemingway
時は無情にも時を刻み続ける…
おお、IDがDQだ!
IDにDQが出たので締め切りが1週間伸びました
だっしゃ〜!
||
∧||∧
( / ⌒ヽ 締切破りと約束違え・・・首吊ってお詫びしまつ
| | |
∪ 亅|
| | |
∪∪
ここまできておいて誠に申し訳ありませんが年内いっぱいだけお待ちくださひ
来年までに更新できなくば、どうかGM追放してくださいです。。。
|;´Д`) …
まぁ年末だから忙しい人は忙しいだろう
>>315 GM追放なんて、そんな手ぬるい罰を与える訳無いじゃないか…
物語完結まで責任持ってGM続けるのが妥当な罰だな。
と、いう冗談はさておき、場つなぎ氏、 ガンバ!
319 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/27 23:05:23 ID:/73cJ0Kj
ホシュ
運命の一日がもうすぐ始まるわけだが
|∀・)
(゚∇゚)ドキドキ ワクワク
半ば自分に言い聞かせるようにした俺に、ミレーユが「無理してない?ウィル」なおも言ってきた。「私に……
人に話したくないような夢なら、話さなくていいのよ」
『してませんよ』せっかくの決意を鈍らせないでほしい。
どこから話せばいいか。まずはミネアさんとマーニャさんの親父さんと、バルザックについてから、だな。そのこと、
ミネアさんたちがミレーユに話した時間はないし、ミネアさんたちの親父さんがエドガンさんだってことも、知らない
はずだ。
ところが、
「………!」
俺がミネアさんたちの父親として錬金術師エドガンの名前を出したとき、ミレーユが明らかに反応した。ミレーユの
顔から……もともと真っ白だった肌や頬から、さらに血の気が引いていくのがわかった。
『どうしました?』驚いて聞くと、
「ごめんなさい。何でもないわ。錬金術師エドガンさんの噂、少し知ってたの」ミレーユは軽く首を振った。「そう。
ミネアさんたち、あのエドガン先生のお嬢さんだったの。偉大なお父さんね。素晴らしいじゃない?」
変だな。ミレーユにしてはどっか含みのある言い方のような……?
内心不思議に思ったが「ウィル。続けて」促され、話を続けた。弟子のバルザックとオーリンさん、そして昨夜バル
ザックがオーリンさんに化けてミネアさんを襲い、俺が運良く助けたこと、しかしその後でバルザックに叩き伏せら
れたことについて簡単に話した。ミレーユはうなずきながら黙って聞いていて、ミネアさんが襲われるところで一瞬
息を呑んだが、表情は変えなかった。
『それで、ここから先が、俺が見た夢なんですが……』
しばし迷い、言いよどむ。ええい、どうせ夢だ。それにミレーユの話じゃ、あの夢は誰かの呪いのせいなんだから、
俺の人格が疑われるってことは、ないはずだ。
324 :
:04/12/31 21:33:44 ID:Y3La3gfK
森の中。身動きできない俺。ぼんやりと立っているミネアさん。忍び寄るバルザック。そして……目を覆いたくても
覆えなかった、惨事。たどたどしい説明と俺の表情で、察しのいいミレーユはすぐ情景が浮かんだらしい。「いいわ。
あまり細かく言わなくても」と、俺を止めてくれた。おかげで俺は、犯されていたミネアさんが急にマーニャさんに
変わり、さらにターニアに変わり、何度か割り込んで聞こえた声について、ほとんど名前を挙げるだけで話すことが
でき、必死に声を出そうとしたところで目が覚めたと結んだ。
「そう……そういう夢だったの」
ミレーユがつぶやくように言って、考え込むように目を閉じ、右手を額のサークレットに触れさせた。
『………』彼女を見守りながら、紅茶でカラカラの喉を潤す。
俺の話を、ミレーユは時折眉を動かすことはあったにせよ、終始、無表情ながらまったく冷たくはない顔を変える
ことなく聞き入っていた。詳細は避けたとはいえ、とても女性が平然と聞けるような話ではなかったのに。ターニア
にでも話そうものなら、顔から火を出したあげくに、その日一日“変態おにいちゃん”なんて呼ばれそうだ。呪いの
せいだって言っても、聞いちゃくれないだろう。
『………!』
そうか。ミレーユもマーズさんの弟子で、夢占い師なんだっけ。ということは、欲望そのものが現れた夢を覗いたり、
客から聞いたりしてきたに違いない。それなら、この平常さも納得がいく。
でも。ふと思った。ミレーユでなく、ミネアさんだったら。同じ占い師でも、これがミネアさんだったら、どんな顔をしな
がら聞いてくれるのだろうか。ミレーユのように冷静に営業フェイスを保つか、それとも……顔真っ赤にして、俺を
蔑むような目で俺を見てくるだろうか。俺がただの客としてなら、どうだろうか。
もっとも、相手がミネアさんなら、俺は打ち明ける気にはならなかったような……。
「それじゃ、私は帰るわ。おばあちゃんに伝えないと」
ミレーユが席を立った。へ?これで帰っちゃうのかよ?
325 :
:04/12/31 21:36:05 ID:Y3La3gfK
『ち、ちょっと待ってください』すたすたと歩いていくミレーユを、呼び止める。『その……これで、俺にどういう呪いが
かけられるのかとかは、わからないんですか?』
「………」ミレーユは眉を寄せ、いかにも困った顔で俺を見た。「ごめんなさい。私、まだ夢占い師としては未熟
だから」
『けど、これじゃ心配ですよ。いつ呪いがかけられて……例えば魔物にでも変えられたとかになったらと思うと。
それなりの用意と覚悟、しておかないと……』
ミレーユはますます困り顔になり、急に横を向いた。
「……呪いなんてなかったとすれば、答えは簡単なのよ」
『え!?』
一瞬の、ミレーユの横目。『………!』うっ……ランドと色気話しているときのビアンカの、シエーナの街でヘンリーと
道行く女を採点しているときのマリベルの……汚らわしいものを見るような女の目だった。
ミレーユ……やっぱり俺の話、軽蔑しながら聞いてたんだな……。
『ど、どういう意味です。俺、呪いのせいで、あんなキツい夢を見たんじゃないんですか?』
「……夢の内容と呪いの関係って、いろいろなの」ミレーユが言いにくそうに顔をしかめている。「いろいろな呪いが
あるもの。たとえば人の欲望を刺激する類の呪いなら、たぶん……ウィルくらいの歳の男の子なら、そういう夢を
見たって不思議じゃないし」
それって……つまり、あの夢は単に、俺の欲望が具現化しただけだろうって言いたいんかい!!
『で、でも、マーズさんが夢覗こうとして、できなかったんでしょう?それって、呪いのせいなんじゃないですか?』
冗談じゃない。それがあったから他人に話したのに。
必死に食い下がる俺へ、ミレーユが哀れむようにため息をついてきた。
326 :
:04/12/31 21:39:07 ID:Y3La3gfK
「いい?これはもしもの話。今見ている夢を誰にも見せまい――夢占い師に覗かれたくないっていうあなた自身の
意志がとても強かった場合、おばあちゃんや私があなたの夢の中を無理に見ようとすると、魔力と意志の力が
反発して、あなたが夢から覚めてしまうことがあるのよ。生まれつきそういう能力が強い人も、世の中にいるの。
だからもし、おばあちゃんがあなたを起こしてしまうことをおそれて途中でやめたのだとしたら、呪いとかは全然
関係なくて、あなたの能力のせいだったっていうことになるわ」
『………』
ボーゼン。それさえも俺のせいだっていうなら……俺はただ普通に卑猥な夢を見て、それを女性に平気で話し
ちまったっていう……女に最も嫌われる種類の男ってことじゃないか!
「ウィル。あのね……」ミレーユが声をかけてきた。「さっきも言ったけど、私はまだ見習い夢占い師だから、あてに
しないで。おばあちゃんに話してみないと何もわからないわ」
『そ、そうですよね』努めて気を取り直す。すべてはマーズさんの意見を聞いてからだ。
「もう帰るわ」ミレーユがスッと笑顔になった。「何かあったら、おばあちゃんにもらった翼を使って。私もまた来る
つもりだけど」
そう言って外へと歩き出す。え、えーと、こういうときって―――
1.『……わかりました。マーズさんによろしく』
2.ともかくお見送りする。
3.『せっかくですし、夕食、一緒にどうですか?』
4.『けど、もう夜ですよ。泊まっていったら?』
5.とりあえず襲う。
どうでつか!どうにか2時間で書き上げましたですよ!
推敲も何もしてない痛々しい更新を更新と呼びたくないでつが、とにかく投下はしますた。ハハ・・・_| ̄|○
急ぐのでレスはできませんでつ。でわ失礼しまつ!
しかしこれだけは書いておかねばなりませぬ
今年一年、筆も展開も遅すぎな拙文にお付き合いいただき、GMとして本当に、感謝の言葉も見つかりませんです(つД`)
来年は絶対にこのようなグダグダはないようにいたしまつ
みなさん、どうぞ良いお年を!
場つなぎ◆Gp/A555JhQ
328 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/31 23:30:01 ID:kpL/g9N0
2、
やっと更新されましたね。
329 :
FOX:04/12/31 23:32:07 ID:kpL/g9N0
↑追加どんなに遅れてもいいのでがんばってください
330 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/01 00:26:31 ID:SrcTKlTf
更新、ぎりぎりデス棚。
場つなぎ殿も良いお年を
来年は穏やかに順調に過ぎてホシイです。
選択は3→4で
1
主人公(ノ∀`)
3で。
一緒に居るのが辛いので1
今年もよろしく>場つなぎ氏
あけましておめでとー
昨年に引き続き、今年もがんがってください>場つなぎ氏
選択は2.
場つなぎ氏お疲れ様です。今年もお願いします。
いい加減な事言っていやなこと言わせたミレーユへは…。
5に一票。。
アケオメで1
まあ、あんま切羽つまらんように。
で、コトヨロ。
欲求不満だから5・・・と言いたい所だが
我慢して2
338 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/02 18:58:36 ID:4F42bUBS
現在の集計
1.3票
2.3票
3.2票
4.1票
5.1票
339 :
sage:05/01/02 23:46:36 ID:dE1AXfQQ
ミレーユはあきらめて、2。
正直細菌欲求不満だから5
5でGO!
2かな
5ですな
急展開な5でイきたい
348 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/07 01:01:30 ID:r9Kqz79l
集計(二回目)
1.3票
2.5票
3.2票
4.1票
5.4票
>>344は票でなくて希望だろ。
漏れは
3(食事)→4(泊める)→5(夜這い)のコンボで
やはり5がいい。
5
351 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/07 17:38:16 ID:Fne3uCPB
5は今までの苦労が水の泡な予感・・・
2
2で
迷うけど2で
そろそろ投票打ち切らなくていいのか?
また前みたいに多重投票疑われるようになるぞ。
>>351 「の、呪いで体が勝手に!」とか
…無理か
5で願います。
だってギャルゲーなのに濡れ場が少なすぎ
ギャルゲーとエロゲーを取り違えてる輩が一人
そういうわけだから2で。
5あるのみ
既にこんだけ票入ってんのに俺の投票の五分後に5かw
確かにもう打ち切ったほうがいいかもな。
な、なんでつかこの状況・・・
GMとして喜んだほうがいいやら落ち込んだほうがいいやら
おっしゃるとおり、ここで投票打ち切りまつ。未参加だった方、申し訳ないでつ!
新年のご挨拶は更新のときに改めていたしますです。。。
>361
新年早々こんなんですんません。
今年も期待して待ってますんでよろしく!
最終集計
1.3票
2.9票
3.2票
4.1票
5.7票
>>343-344は重複投票が疑われるので無効とした
>>343有効としても結果は変わらないけど。
締め切った途端、誰も訪れず…
だが、それがいい。
まあ保守はしておかねばなるまい。
366 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/11 01:13:45 ID:4lvXNGf8
そうだな
ミレーユの後について、食堂を出た。
「いいわよ、ウィル。見送りなんてしてくれなくても」
かすかに微笑んではいるが、どこか突き放しているように聞こえる。
『そ、そういうわけにはいきませんよ。俺の身を心配して、わざわざ来てもらったんですから』
俺は胸を張り、できるだけ真面目に言った。もっとも、今のミレーユは俺の身を心配してくれてるかどうか……。
「おや?お客さん。どちらへ?」
カウンターに、さっき洞窟で会った、この宿の主人がいた。ノルザスさんていったっけ。俺たちが話している間に
帰ってきたのか。するとたぶん、女将さんも帰ってきてるな。夕食までもうすぐだ。
「これから急いで夕食にいたしますので、お出かけになるのでしたら……」俺の考えた通りのことを言いかけ、
主人の言葉が止まった。ミレーユを見て目と口を大きく開けている。見とれているらしい。ミレーユが軽く会釈を
すると、主人はあわてて頭に手をやって礼を返した。
「あ、あの、こちらの女性の方は?」俺に聞いてきた。「お客さんのお友達でしょうか?」
『はい。その……』と。頭の中に、村に戻ってくるときの村の人たちの声が聞こえた。“ミネアさんの旦那さん”
……。まずい!ミネアさん不在の今、ミレーユみたいな美女を“俺の友達です”なんて紹介してしまったら、次に
はどんな噂を立てられるか、わかったものじゃない。
『えっと、ミネアさんのお友達の占い師で、ミレーユさんです。モンバーバラから訪ねて来られて』
そう答え、手で示して紹介する。ミレーユが少し眉を寄せて不思議そうに俺を見てくる。いや、間違っちゃいない
でしょう?
「ああ。ミネアちゃんのですか。いやあ道理で、ミネアちゃんに負けないくらいのぺっぴんさんで……」
主人は言って照れている。何が“道理で”なんだ。美女の友達も必ず美女だとは限らないよな。
「今晩はここにお泊まりですか?部屋はあいにく満室ですが、もし多少ほこりくさいのを我慢していただけるので
あれば……」
『いいえ。これから帰るところです。用事はお済みですから』俺はすぐに言った。
「そうなのですか。それは残念です」主人は肩を落とした。「次はぜひ、お泊まりください」
368 :
:05/01/11 12:10:06 ID:vgjsQdhL
「……ウィル」
宿屋の前の道まできて、ミレーユは俺を振り返った。
『何です?』
俺が足を止めると、ミレーユは、眉を下げ、口元を引き締めて、俺をいたわるように微笑んできた。
「怒ってるのね。ごめんなさい」
『え……』焦った。『別に俺は……』
「私、ちょっと冷たかったわね。話してって頼んだのは私なのに」
『お、俺は』目線を伏せるミレーユに、俺はあわてて言った。『あんなことを話してしまって恥ずかしいだけですよ。
ミレーユに怒ってるわけじゃ、ありません』
実のところ、俺は怒りかけていたのかもしれなかった。態度に出ていたのだろう。そこをすかさず謝られて、
かえってさらに決まりが悪くなってしまう。
『それにあの夢、朝からずっと悩みの種でしたから。誰かに話せて、すっきりしました』
半分以上嘘だった。恥を明かした上に呪いかもしれないなんて言われてスッキリしてるはずがない。ミレーユを
安心させてあげたいだけだ。
「そう?それならいいんだけど」ミレーユが穏やかな笑顔に戻る。それから、思い出したように周りを見回して
言った。「ここ、静かで、いい村ね」
『ええ』ほっとして、俺も暗い闇にぽつぽつと灯る明かりに視線を巡らせた。『この村、ミネアさんとマーニャさんの
故郷なんですよ。あっちのほうに家があって、エドガンさんの家っていう看板が出てますよ』
ミネアさんたちの家の方角を指さしながら言う。そういえばミネアさんて、今夜はどっちで泊まるのかな。
「………」
横を見ると、ミレーユが顔をこわばらせていた。恐怖にすくむようにして俺の指の先を見ている。
どうしたんだ。もしかして魔物!?と思ってすぐに目を凝らしてみたが、何の気配もない。
『ミレーユ?』
「いいえ、何でもないわ」ミレーユがあわてて言う。「そう。こんなに静かなところだったのね」
『……?』なんだか意外って感じの言い方だな。俺としては、派手好きなマーニャさんはともかく、ミネアさんの
故郷としては、むしろ納得な村なんだけど。
369 :
:05/01/11 12:14:25 ID:vgjsQdhL
「そろそろ私、行くわね」
『あ、はい。マーズさんにくれぐれもよろしく』言ってから、『あ、それで、太陽の石のことですが……ちょっと後に
なるかもしれません、って伝えておいてもらえますか?』付け足す。今は、アリーナに魔族に謎の村と、とても
お城に行くどころじゃない。
「わかったわ。でも、わざわざ言わなくてもお見通しじゃないかしら。おばあちゃんだもの」
そう言うとミレーユは、腰のポーチからキメラの翼を取り出し、腕を上下に大きく振る一昨日と同じ投げ方で、
夜空に放り投げた。
《マーズの評価が上がった》
《ミレーユの意識に変化が起きた》
《ミレーユの評価がわずかに下がった》
夕食は食堂ですかそれともお部屋でですかと聞いてきた宿の主人に、部屋へお願いしますと頼んでおき、俺は
クリフトを探して食堂をのぞき込んだ。いない。厨房から魚を焼く匂いがしてくる。川魚の塩焼き……暗い中で
わざわざ釣って来たのかもしかして?
階段を下りてくる足音がしてそちらを見ると「ウィル殿!」クリフトだった。もうエプロンはつけていない。宿の人が
戻って来たため、お役御免になったのだろう。
「食事はまだ時間がかかるそうです。姫様がお待ちですよ」
俺はちらりとカウンターの方を見た。聞こえてはいないはず。ま、ベレスと戦うときアリーナは名乗りを上げたって
から、もう噂にはなってるはず。大騒ぎにならないうちにこの村から出たいものだけど……。
二階に上がり、ミネアさんの眠っている部屋の対面のドアをクリフトがノックし、開ける。3台の燭台がまぶしいその
部屋も、前の部屋と内装はとくに変わりはない。ベッドの上で壁にもたれてアリーナが座っていて、その目の前の
床では、テーブルに紐をくくりつけられた緑の[つかいま]が、未だギィギィといびきをかいている。
「何やってたんだ。遅いぞ」アリーナが、俺をちらりと見てからクリフトに怒鳴った。この文句は、俺へのものか。
「申し訳ありません」そうと知ってか知らずか、クリフトが律儀に頭を下げた。
370 :
:05/01/11 12:25:13 ID:vgjsQdhL
「はじめるぞ」ベッドから降りたアリーナが、魔物を乱暴に掴み上げて椅子に乗せた。俺はテーブルの燭台で
魔物を照らし出す。声も皮膚の色も気味が悪いが、どことなく愛嬌がある顔だ。
『こいつ、[つかいま]っていったっけ?どんな魔物だ。レイドックじゃ、見たことないが』
「ええ。その名の通り、地位が上の魔族たちの使いをする、下級の魔族です」
まさに辞書にある通りのパシリだな。いじめ甲斐がありそうだ。
「クリフト、あれ」
「はい」言われたクリフトがうなずいて、道具袋(隣から持ってきておいたらしい)から、鈍い黒に光る平べったい
ものを取り出した。鉄製の手甲……いや!三本の鈎爪を持ち、甲にトゲを生やした凶悪な手甲、[鉄の爪]だ。
素手による接近戦の得意な武闘家が殺傷力と防御力を高めるための武器で、並の人間にはまず扱えない。
あんな物騒な代物、まさか神官戦士が使うわけないよな……て、ことは!?
「どうぞ、姫様」
その武器をクリフトから軽々と受け取り、右手にはめたのは、もちろん、アリーナだった。
ひえー……やることなすこと革命的すぎるぞこのお姫様。こんなお姫様だったなんてことヘンリーに話しても
信じちゃくれないだろうな。あの可愛い顔とこの[鉄の爪]、どうしたって結びつくまい。
「それじゃ、起こすからな」
ぽかんとしている俺を、それにクリフトを見、アリーナが魔物へ鉄の爪を振り上げる。『ち……ちょっと待て!』
俺ははっとなって叫んだ。『アリーナ。君がやるのか?』
「………」アリーナは手を止め、俺をにらんだ。“文句でもあるのか?”
何故だか俺は笑い出しそうになった。驚きと呆れが度を越したら、笑うしかない。
『やめとけ』俺は魔物の首の紐をつかみ、椅子ごと引き寄せた。『女の子がやる仕事じゃない』
「なっ!?」アリーナが目をむいた。「ふざけるなウィル!もう一度言ってみろ」
『女がやる仕事じゃない』アリーナの右手のほうに手を上げながら、言った。『拷問てのは、男の仕事だ』
「関係ないだろ!」アリーナが俺から椅子を奪い返す。「これはボクの問題だ。それに、女扱いするなと言った
はずだぞ!」
言われたっけ?そういや可愛い女の子がどうのこうのと言った覚えが……なんだお姫様、ちゃんと覚えてるん
じゃないか、昨日の仲良し時代のこと。
371 :
:05/01/11 12:47:46 ID:vgjsQdhL
『……男か女かってのはともかく』俺は少し語気を強めて、言った。『勝手に一人の問題にするな。こいつらが
狙ってきたのが君だけだったとしても、俺やミネアさんやクリフト、ここの村の人たちだって巻き込まれてるんだ。
みんなの問題なんだぞ。黙っていられると思うか?』
「そんなりくつ……」
「ウィル殿のおっしゃる通りです」クリフトが珍しく俺に加勢する。「一国の姫君が、拷問などという汚い仕事を
なさるものではありません。もし世間に知れたら……」
「クリフトは黙ってろ!」
叫んで、アリーナが魔物のいる椅子を後ろへやり、俺に左手の拳を突きつけた。「ウィル、表に出ろ!こうなっ
たら勝負だ!勝ったほうが、こいつをやる!」
恐ろしいことを言い出しやがった。ど、どうする?―――
1.説得する
2.受けて立つ
3.謝る
4.仮病を使う
5.とりあえずキス
ウィル(村の少年) 職業:商人2+盗賊2 作戦:ガンガンいこうぜ(速攻)
打撃3 防御2 敏捷3 魔力0
体調:軽傷 精神:普通
装備:破邪の剣〈ブーメラン〉+旅人の服〈旅人の服〉
道具:薬草x4、キメラの翼、爆弾石、青紫色の玉、(マーズの手紙)(グレーテの手紙)(ターニアの風鈴)
呪文:(インパス) 特技:砂煙、力ため
アリーナ(王女) 職業:− クリフト(神官戦士) 職業:−
打撃6 防御1 敏捷6 魔力? 打撃? 防御2 敏捷2 魔力3
体調:重傷 精神:不調 体調:良好 精神:普通(マホトン)
装備:鉄の爪+皮のドレス 装備:鋼鉄の剣+旅人の服+皮の帽子
道具:? 道具:?
呪文:? 特技:疾風突き、正拳突き、? 呪文:ホイミ、マヌーサ、マホトーン、? 特技:?
現在地:サントハイム王国コーミズ村 所持金:40819G <5日目・夜1>
あらためまして。
新年 明けましておめでとうございます m(_ _)m
参加なさる皆様のため去年以上の粉骨砕身の努力をいたす所存でありますので、
どうぞ皆様、本年もよろしくお願いいたしますです。。。
でももう111、仕事始めも成人式もとっくに終わってたりしまつ
まさかサントハイムシナリオだけで去年1年終わるとは思わなかった_| ̄|○
GMって難しいでつね・・・というか漏れが遅筆な上に書き杉なせいでつか・・・
過去は後悔するより反省!皆様のご期待に応えられるよう精進していきまつ!
などと書いておいて実は今回も「詰まったから選択」だったりしまつ・・・
携帯電話でお読みいただいている方、今回スミマセソ。最後1レスにまとめたかったので
>328-329 ヘタレGMにありがたいお言葉、どうもありでつ!!
>330 正直本気でGM降りようかと思いますた。これ以上期待を裏切り続けるよりはと
しかし!憧れだったGMを自分から辞めてなるものかと奮い立った結果・・・今後ともよろしくおねでつ!
>333 そう感じていただけたならGMの思うつぼですた。こちらこそよろしくでつ!
>334 ご迷惑をかけ通しで申し訳ないでつ。これからがんがっていきまつ!
>335 ありでつ!5だと実はうまくいったかも・・・3人ほどの攻略不可と引き替えに(おい)
>336 あけおめことよろ〜と繋げてはなりませんでつ。今年は締切にも精神的にも余裕持って更新したいものでつ
>337 ギャルゲーなのに欲求不満の解消にはなってないでつね・・・ううう進行遅杉
>338>348>363 集計していただいた方々、感謝感謝でつ!今回ものすごく助かりますた!
>343-347 重複はもちろん無効でつ!でも今回の参加人数・・・新年のせいでせうかそれとも・・・
何にしても漏れが早く更新すればいいだけでつね!
ご投票いただいた方の今年一年のご幸運をお祈りいたしますです!・・・もちろん、漏れの幸運もw
>355 ミレーユにはまず通じないでせう・・・
>356-357 え、でも、このスレは昔から実質エロgyふじこlp;@:
>360>362 いえそんな参加者の方に謝っていただくなどされたら、漏れは恐縮で文章書けなくなりまつ。ご期待に感謝でつ!
>364-366 保守どうもでつ。今年こそは保守にお世話にならずに・・・ッ!
またも書き忘れるところですた
>>274と
>>275の重複投稿、申し訳ありませんですた
こういうミスもないようにきちんと確認していきまつ
更新乙です。
2で。
もはや言葉ではどうにもならない雰囲気が漂ってる。
ならば拳で語るしかあるまい。
…5っていう選択もありかもしれんけど。
俺重複に気付いてなかった
読まずに選択していたのがばれてしまったなぁ'`,、('∀`) '`,、
5で
376 :
FOX:05/01/11 16:24:58 ID:53EA9ciV
これ以外のやつやったらどうなるかわからないから2で。
でも負けたらなー・・・なんとなくかなしいからなー・・・、
まあ、なんにせよとりあえず2で。
377 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/11 16:50:15 ID:4lvXNGf8
2で
これでウィルは何度目かの瀕死状態に
穏便に1
2
いってしまえ
2!
ウィルVSアリーナタソ (゚∇゚)ワクワク
アリーナ狙いで 2
漢は拳で語り合うのです!
とにかく2で。
g・ごごごっごおおごおおお
2で・・・
・・・一番評価が高いのはクリフトな気がするのは漏れだけ?
2で。
1
ここはクリフトにやってもらう、ということで…なにとぞ
根性だ!
2
『……わかった』俺は燭台を置いた。口で言ってもらちが明かない。乱暴だが、きっちり勝敗のつくやり方で
決着つけたほうがいい。
それに、アリーナとは、落ち着いたら決闘するって約束が1つあった気がするからな。
『ただし、武器はなしだ。素手どうし、膝をつかせたほうが負け。それでいいな?』
あんな鉄の爪つけて戦われたんじゃ、さすがにこっちも剣を持ち出すしかない。そうなったら二人とも無傷って
わけにはいかない。怪我しても、治してくれる人、いないわけだし。
「………」アリーナがうなずき、鉄の爪を外す。手首の包帯が白く浮かび上がる。俺も[ふくろ]と[破邪の剣]を
テーブルに置く。正直、素手だと、我流と見よう見まねが半々の俺より、先人の経験(フレアさん)を師範されて
きたというアリーナのほうが有利だ。何より俺は、殴り合いも多少はするものの、剣のほうが好きでそっちの
ほうの筋肉ばかり鍛えてきたから、どうしたって素手専門のアリーナには劣るはず。けれども、この場合、仕方
ない。木刀でも持てばいい勝負になるかもしれないが、女相手に決闘するのさえ気が引けるのに、さらに素手
相手に武器じゃ、本気で戦えやしない。勝てたところで自慢にはならないからな。
そっと腰帯を締め直す。外は、ミレーユを送ったときすでに月が高く上がっていた。夜の決闘にはふさわしい
明るさだ。
「クリフト。そいつ見張ってろ」
アリーナが先に歩き出す。
と。「姫様、そのお怪我で臨まれるおつもりですか!」クリフトがさっとアリーナの前に回った。「それでしたら、
私が姫様に加勢いたします!」
「!?」
こっちはこっちで何を言い出すかと思えば。決闘の助太刀かよ。過保護もいいところだ。
「こ……この莫迦!」アリーナが怒りに震えてクリフトをにらむ。「これはボクとウィルの真剣勝負なんだぞ。加勢
なんているか!」
「しかしそのお怪我では」
「こんな傷なんてどうってことない!黙って待ってろ」
388 :
:05/01/12 07:44:28 ID:IdK4Dyyu
アリーナが吐き捨てるように言ったが、「いいえ!」クリフトは引き下がらなかった。
「私は、お怪我に障ると心配しているのです。またいつ、ベレスどもが姫様を襲ってくるかわからないじゃない
ですか。こちらはそれに備え、体力を残しておくべきです。それなのに勝負だのと……。どうしてもとおっしゃる
のでしたら、少しでも姫様の……いえ、お二人とものご負担を減らすため私も加わらせていただきます。それが
お嫌ならば、そのお怪我が治り、魔物に襲われる危険がなくなったしかるべきときに存分になさってください!」
「………」
アリーナも俺も黙り込んだ。悔しいが正論だ。命を狙われているアリーナが怪我を負い、ミネアさんとクリフトが
魔法を使えず、ただでさえ戦力が落ちている状態なのだ。味方どうしで戦って俺まで怪我をしちまったら、もう、
どうしようもなくなる。
『………』
俺はため息をつき、そばの椅子に腰を落とす。『アリーナ。今日はやめとこう』
「………」アリーナは、下唇を突き出してクリフトをもう一度にらみ「ちぇっ」手でテーブルを叩いた。
「じゃあウィル、こいつは、ボクに任せてくれるんだな?」
アリーナが、腹立ち紛れといった態度で魔物の紐をつかむ。おい、それとこれとは……。
でも今は、クリフトに言われたからじゃないが、なるべく早く敵の内情を知ることが先決だな。それにいざとなったら、
アリーナより先に俺が手を下せばいいし。
『……ああ』俺はもう一度ため息をつき、『静かにやれよ。隣でミネアさんが休んでるんだ』それだけ言って、再び
剣を腰につけた。
《アリーナの評価がわずかに下がった》
《クリフトの評価がわずかに下がった》
目を覚ました(覚まさせた)魔物は、実にこざかしい奴だった。
「はやくオレを解き放て!部下のオレに手を出せば、ベレス様が必ずお前らをコロスゾ!」
ベレスの目的について迫るアリーナを、逆に脅しにかかったのだ。
「そのベレスの奴は、ボクの友達におそれをなして逃げ帰ったんだぞ」
「ケッ、信じるカ!ベレス様に人間がかなうはずがナイ!」
「どうしても話さないというんだな」アリーナがさっそく鉄の爪を見せつける。「それなら、痛い目に遭ってもらうぞ」
「人間メ、ヤれるならやってミロ!ベレス様が怒ってキサマらなどひねり潰すワ!」
389 :
:05/01/12 07:47:05 ID:IdK4Dyyu
「言わせとけば……」鉄の爪の下からギリリと音がした。「泣いて謝って後悔するな!」アリーナが右肘を曲げる。
横薙ぎに皮一枚引き裂くつもりだ。魔物はアリーナの形相にギョッとした顔になったが、薄笑いを浮かべて
虚勢を張っている。
『待て、アリーナ』
アリーナの肩をつつき、止めさせた。こういう、サメの威を借るコバンザメは、ちょっとでも傷でもつければすぐ
喋り出すだろうが……俺としては少しでもアリーナの手を汚したくはない。それに、血を見すぎたら、夕食が
まずくなるからな。
『もう真夜中だろ。魔物がギャーギャーわめいたら迷惑じゃないか。ひと思いにやっちまったほうがいい』
「………?」
怪訝そうに見てくるアリーナに、『真夜中だから、な』繰り返した。むろん、まだ夕食前だ。
「そうですね、下や隣で眠っておられる方にも迷惑ですし、殺してしまいましょう」横のクリフトが言った。「喋って
もらえないのでは仕方ありませんよ。死体になったらもう話は聞けなくなってしまいますけどね」お、ナイスだ、
クリフト。
魔物の顔色が変わる。「おっ、オイ!キサマら……!」
『じゃあ俺が』剣の柄に手をかける。『見てろ。悲鳴一つ上げさせずに、一撃で首を刎ねてやるよ』
「冗談じゃない、ボクがやる」アリーナが鉄の爪をはめ直す。
「三人で一斉に刺すというのはいかがでしょうか?」クリフト……聖職者のお前がなにげに一番過激だな。
「や、ヤメロ!オレ様をコロせばベレス様が黙っていないゾ!」
『そのほうがいいな』シレッと言ってやる。『村の前に死体ぶら下げて、ベレスが引き取りに来たところを、今度
こそ、決着つけよう』
「そうしましょう」クリフトもうなずいた。
「しょうがない」アリーナが鉄の爪を魔物の額に突きつける。「こら、お前。最後の一言くらいは聞いてやる。
何かあるか?」
魔物は、ベッドシーツのように白くなった。
「ま、ま、待ってクレ!」大きな舌をもつれさせながらわめく。「は、話せば、殺さないのか?」
「ああ。約束する」アリーナがうなずいた。「話すのか?」
「………」
しかし、魔物は目を落ちつきなくキョロキョロさせながら、黙り続けたままだった。
390 :
:05/01/12 07:51:15 ID:IdK4Dyyu
『時間切れ』
しびれ切らした俺が言うと、アリーナがうなずき、魔物の胸に鉄の爪を押し当てた。
「ひ、ヒッ!」魔物がさらに白くなる。「ヤメロ!コロさないでクレ!」
よし、あと一押し。
『おい、あっさり殺すな。外連れてってさ、まずは指一本一本からはじめて、翼をちぎり取って、舌を抜いて……』
「残酷すぎますよ。身体の皮はがしておいて聖水を一滴一滴垂らし、何滴で死ぬか実験するというのは?」
魔物は震え上がった。
「は、話す!だからヤメロ!やめてクレ!」
「だったら早く言え」アリーナが不気味に落ち着いた声で言った。「嘘ついた気配があったら、片目潰すからな」
「わ、わかった!何でもキケ!」覚悟を決めた魔物に、アリーナは満足げにうなずき、爪を引く。
俺が助け船出してやったとはいえ、魔物の口を割らせちまうとはすごいもんだなこのお姫様。お姫様というより
むしろ女王さ……って、こんなときまで何考えてる俺……。
「まず、ベレスがどうしてボクの命を狙ったんだ?」
「け、契約ダ!」魔物が、悲鳴の調子のまま、叫んだ。「ベレス様は、人間と契約を結んだノダ。王女の命を奪う
見返りに、この人間の国に伝わる魔法書をもらう条件でナ」
「契約……魔法書とですって?」横のクリフトが青ざめた。
「相手は誰なんだ。おまえ、知ってるんだろ?」アリーナがさらに問いつめる。
「し、知らヌ!」アリーナが黙って爪を構えるのを見て「キッ!」魔物は悲鳴を上げた。「ほ、本当ダ!オレはそこ
にいなかった。ベレス様を手助けするため、呼び寄せられただけダ」
「どんな奴かも聞いてないのか?」その質問にも、魔物はすぐ首を振った。アリーナが舌打ちする。
人間と魔族の契約……魔族の助けを借りてまでアリーナを葬りたい奴とは、いったい?
「魔法書というのはどのようなものか、聞いていただけますか?」
クリフトが横から言った。アリーナがそれを復唱する前に「き、禁断魔法だ」魔物は答えた。
『禁断魔法?』文字通り、人が扱える範囲をはるかに超えるために伝承を禁じられた呪文。
『サントハイムの国に、そんな魔法、伝わってきてるのか?』
俺はアリーナに聞き、アリーナはクリフトを見た。「ええ」クリフトは俺とアリーナにうなずいた。
「おそらくは……[ザラキーマ]の呪文ことだと思います」
391 :
:05/01/12 07:56:31 ID:IdK4Dyyu
『ザラキーマ?』聞いたことのない呪文だ。けど、[ザキ]や[ザラキ]と同音。それなら。『致死系呪文?』
「はい。半分は。しかし、致死系呪文であるばかりでなく、氷雪系でもあるのです」
『氷雪系……』つまり、[ヒャド]や[ヒャダルコ]。それプラス致死系……想像がつかない。『どんな呪文なんだ?』
「氷の粒1つ1つに死の詞をこめた、死の吹雪を巻き起こすのです。その氷を浴びた者全員を死に至らしめる、
恐るべき呪文です。ですから……ザラキは目の前の敵のみに効果を発揮しますが、この呪文は……吹雪の
起こる範囲全体に及ぶのです」
てことは?『その呪文一つで、村とか街……城1つ、全滅させられるってわけか?』
「……はい」クリフトがうなずいた。「術者の魔力によりますが、可能です。しかも致死系ですから、何の痕跡も
残さず、人間だけを葬ることができるのです」
身震いした。まさに無差別虐殺のための呪文。そんな恐ろしい呪文が魔族の手に渡ってしまったら……。
ライフコッドやレイドックに、魔族が音もなく舞い降り、呪文を唱える。それまで元気に笑っていた村のみんなが、
魂を抜かれ、動きが止まって、静かに倒れていく。道ばた、井戸の脇、屋敷の窓縁に転がる、みんなの死体。
ビアンカの死体。マリベルの死体。魔族はにやりと笑って次の場所に飛ぶ。やばすぎる……。
「そんな魔法、ボクは知らないぞ」アリーナが首を傾げる。
「姫様はまだご存じないはずです。成人されたときに伝えられる習わしですから。この魔法書のことを知っている
のは、サントハイムでも少数の方々です。王様はもちろんですが、神父様、私たち神官戦士の一部、それに
魔導師の方々。貴族でもご存じの方もいるかもしれませんが……」
『そうすると』考えながら言った。『魔族に頼んだのは、その魔法書のことを知ってる奴ってことだな』
「それも、それなりの地位についている人物でしょう」クリフトも考え込んだ。「魔法書のことを知っていたとしても、
宝物庫の封印を解けるのは、王様と神父様だけなのです。魔族にその魔法書を取り出せるだけの力があると
思わせられるだけの身分でなければ、魔族は契約に応じないでしょう」
392 :
:05/01/12 07:58:41 ID:IdK4Dyyu
『そうすると、王様はまずないとして、神父が有力ってわけか』
「と、とんでもないっ!」クリフトが例によって甲高い声を上げた。「神父様のような立派な方が、あろうことか魔族
と契約し、姫様に危害を加えようとするなど……!私はそのような意味で申し上げたのではありません。封印
を解けずとも、この人物なら解くことができるかもしれないという印象を与えられるような……」
『わかったわかった』俺は手を振って、むきになる神官を黙らせた。『でもそうなると、今アリーナが城に帰る
のは危険だな』
相応の地位の奴なら、ある程度の人数を動かせる。そいつらを使って城内でアリーナの命を狙うかもしれない
し、魔族を城内に引き込むこともできる。
「いえ、事が判明した以上、私がお守りいたします!」クリフトが胸に手をあてる。
『お前、あのベレスからアリーナを守れるのか?』俺は苦笑して息を鳴らす。さっきは呪文封じられてうろうろしてた
だけじゃないか。『それに、相手は少なくともお前よりも上役だろ。その気になれば、お前をアリーナの従者から
外すことなんて、簡単じゃないか?』
「はっ?まさか、そのようなことには決して。王様と姫様からの篤いご信頼が、私にはございますので!」
『たとえば、お前とアリーナが不適切な関係だっていう噂を流されても、か?』
とたんにクリフトの顔が赤くなった。「な、何をおっしゃるんですか!わ、私と姫様はそのような……」
「まずいかもな」一方アリーナは、舌打ちして髪に手をやっただけだった。「最近、クリフトのことでも親父がうる
さいんだ。そういう噂が立ったらすぐ、クリフトをどっか遠くの教会にやっちまうと思う」
だろうな。年頃の姫君に若い男の従者をつけておいて全く心配しない親はいないだろう。親父なら特に。
「そ、そうなのですか……」クリフトが肩を落とした。「いえっ、姫様それに王様がおっしゃるのでしたら、私はいつ
でもお側付きの任を辞め、布教活動と巡礼の旅に出る覚悟でございます。本日も、戦士として姫様を守ることも
できず、神官として姫様の傷を癒すこともできず……」
393 :
:05/01/12 08:00:26 ID:IdK4Dyyu
『今、俺たちが真っ先にしなきゃならないことはだな』うんざりしながらクリフトの愚痴を遮る。『ベレスを探し出して
契約の相手が誰なのか聞き出すことだな。城に帰って調べるには時間がかかる。その間、ベレスや契約した
奴がおとなしくしているとは思えない』
「し、しかし、それよりもまずはこのこと、城の方々に報告しなければ」
『それが危険なんだ』俺はクリフトをにらんだ。『魔族に頼んだのは自分の手を汚さないためだろう。それが失敗
したと知ったら、今度は直接、アリーナを殺そうとするかもしれない。そうなったら厄介だぞ。あちこちの宿で、
ベッドに毒針が仕込んでないかとか、食事に毒が入っていないかとか、いつもチェックしなきゃならない。そんな
ときベレスに襲われたら大変だろうが。背中を気にして戦うなんてことになったら、勝てるものも勝てない』
「………」アリーナが悔しそうに唇を結む。「そうだな……ウィルの言うとおりだ」
そして、再び魔物をにらみつけた。
「おい。ベレスはいったいどこに逃げた?言え!」
「む、人間の村の跡ダ」爪を眼前に突きつけられ、魔物はあえぐように言った。「何年か前、ベレス様は他の魔族
の方々と、その人間の村を滅ぼしたそうダ。その村を囲む森は、村の気配を消す力がある。そのため、賢い
ベレス様はその村を拠点とされ、王女を捜しておられたのダ」
「滅ぼした村……」アリーナが息を詰めた。「ルナの村だ。じゃ、そこに、ベレスもいるんだな?」
「キッ!お、おられるはずダ!」額に触れてきた鉄の爪に、魔物が必死でわめく。「嘘じゃナイ!」
『そうか』魔族がどうして人間の領域にいるのか不思議だったが、そういうことか。村を滅ぼした後でそのまま
居座ったか、あるいはちょくちょくその村に来ていたのか。
『案内できるか?』俺も魔物に詰め寄り、見据えた。『できるよな?』
「キッ、キッ!」ところが、魔物はこれだけは拒絶した。アリーナと俺がいくら脅しても、全身を真っ白にして必死に
首を横に動かし、最後には「できナイ!」とはっきり言葉にした。
394 :
:05/01/12 08:02:14 ID:IdK4Dyyu
「無理でしょう」やがてクリフトが口を挟んだ。「魔族というのは自分より上級の魔族の命令には絶対です。裏切り
者には例外なく死。ベレスの居場所と目的を白状したことで、この[つかいま]はベレスから裏切り者とみなされる
はずです。道案内をするということは、自分の裏切りの行為を仲間に見せつけに行くことになりますから、いくら
脅したところで承知はしないでしょう」
こいつ、やたら詳しいな。お前も魔族じゃないのかって疑いたくなる。
『……それなら』
もう用済みだな。俺は剣の柄に手をかけた。
逃がしたら、サンディの赤ん坊を食おうとしたように、誰かに悪さをしないとも限らない。それにこの魔物の同族
には、ミネアさんが魔力を奪われて昏倒させられたって恨みがある。成敗するしかない。
「………」クリフトが俺の手元を見て、小さく息をついた。こいつも特に反対はないらしい。ところが、
「待て、ウィル」アリーナが、俺の腕をつかんだ。「正直に話したんだ。逃がしてやろう」
『……だけどな』俺は咎める目でアリーナを見る。あれだけこいつを虐めといてよく言うな。『逃がせば誰かを襲う
かもしれない。それに、ベレスに報告に戻るって可能性もあるぞ。そうなったら、待ち伏せされちまう』
「でも、正直に話せば殺さないって約束をした。約束は約束だ」
『………』俺はもう一度魔物を見る。約束はもちろん守るものだけど、時として――特にこういう魔物たち相手に
は――話を聞き出すための方便だけににしといたほうがいい場合もある。
でも、気持ち真っ直ぐなアリーナにとっちゃ、そういう理がわかってても、約束したという事実が優先すんだろうな。
いまさらだが、やっぱり俺がやったほうが良かった。そうすりゃ、約束したのは俺ってことになってた。
やれやれ。たぶん今俺は、前で肩をすくめてるクリフトと似たような表情してんだろう。さあて―――
1.黙って逃がしてやる
2.悪さをしないよう、説教して逃がす
2−1.自分で 2−2.クリフトが 2−3.アリーナが 2−4.三人で
3.ひと思いに殺す
4.朝まで縛りつけておく
5.村の見せ物にする
お察しの通り、後半部は既に書き上がってますた。アリーナをどうやって止めるかで悩んでたわけで・・・結局は止めてないでつが
決闘さす気ないなら選択肢に出すなと怒られそうでつが、クリフトならこういうとき体張って止めると確信してたもので・・・スミマセソ
そういうことで、何ヶ月ぶりかの翌日更新でつ!
といっても明日明後日は無理・・・センター試験の頃でおながいしますです。。。(弱)
>374 言葉を出すのは主人公だけとは限らないでつ
>375 _| ̄|○ ツタナクテナガクテスミマセソ・・・
>376 勝ちも負けもとりあえず回避。でもこれ後でちゃんと響きまつ。それからどうかsage進行でお願いしまつ・・・
>377 瀕死になったらもう助けてくれる人いませんでつよ・・・
>378 1ですとクリフトの評価が上昇。でも更新は週末になったかもです
>379 いきませんですた・・・ご期待裏切ってスミマセソ
>380 この二人の決闘はしかるべきときに・・・が攻略ポイントでつ。いえいえ決して戦闘書くのが面倒だとかそういうことでなくw
>381 アリーナ狙いなら確かに1か2がベストですた。主人公かクリフトのどちらが止めるかの違いですて
>382 河川敷か地雷原ででつか(古!)
>383 5ですと更新がまた2週間後になった可能性が・・・漏れ的にはやばかったでつ。2で安心しますた。
でもキスシーン書きたかったかもです。GMも欲求不満なんでつ・・・
>384 前半クリフト評価を下げまくったいただいたのでそれはありませんでつw
>385 クリフトが拷問・・・きっと普段真面目なだけに人格変わるんでせうね
>386 今、根性という言葉を使うと売り上げや視聴率なんかが下がるんでせうか?数年前から全く聞きませんでつが
翌日更新お疲れサマです。
今日も1番乗りかw
3で。
不安の種は出来る時に潰しておくべき。
4。 体力回復後に放して、ベレスのアジトまで追跡する。
398 :
FOX:05/01/12 12:15:51 ID:aOqGStzn
くそ・・・
2番乗りか・・・くそ・・・
それはさておき2−4で、 まあ、おそらくほとんど他の二人にまかせる事になるだろうが。
しかしこんな早く更新するとはGMさんも気合入ってるなー。
とりあえずお疲れ様です。
399 :
FOX:05/01/12 12:16:46 ID:aOqGStzn
あ・・・3番になっちまった、くそ・・・・・
3かなー
フツーにゲームをする分には
>>396の意見が正しいけど
このゲームはの目的は「DQのギャルゲーをプレイする」のだから
間違い無く好感度の下がる3は論外。
不利にになろうが、いきなりゲームオーバーって事はないだろう…
…と言うわけで4でよろしく。約束を破って無いからな…
4ということで
これは破っても良い約束だよ・・・きっと
3
404 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/12 18:06:35 ID:81zK5j6s
2−2で
秘密をゲロった今更、帰る当てもないだろうしクリフトに説得させて
人間への恐怖心を植え付けておけばそう人を襲うこともないだろう。
以前の活気が戻ってきましたね。
ということで場つなぎ氏わっしょい3.
4のヨン様
更新おつです!
4希望
4にしよう
アリーナの見ていない場所で
サクッといきたいところだが
1
4
殺さないだけで逃がすとは言ってない
3
同じく体力回復後に追跡:4
413 :
FOX:05/01/13 15:18:21 ID:2qpF1zAj
そろそろ締め切りかな?
414 :
集計:05/01/14 00:31:19 ID:JnCSWAJW
1.1票(一番、漢(アリーナ)らしい選択でつな)
2−.2票(ウィルとアリーナ引きまくりのクリフトの説得読みたかった)
3.5票(ギャルゲーとしては不味い選択なのに意外と多いな)
4.8票(これで決まりか)
5.0票(無理もないか)
たまには毒々しい展開もいいと思うんだけどなぁ
3
>ギャルゲーとしては不味い選択なのに意外と多いな
つーか、オレはアリーナはどうでもいいし…。
ミレーユを犯せなかったからどうでもよくなった。
この際、マーニャやミネアでもいいから姦りたい。
アリーナは勃起しない。
4.後つけるに1票。
むしろ全キャラ制覇を目指すのは邪道かな?
バーバラ狙いですが何か
420 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/16 15:44:08 ID:PHOc/qON
保守・・・
センター試験終了さげ
結構とれてて良かったさげ。
423 :
FOX:05/01/19 16:38:40 ID:0qnAPtf9
たまにはage
保守するのだ
425 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/20 17:27:27 ID:ZLgkPmL9
hoshu
もうこのGMだめだな。
明日一日待ってこなかったら一度リセットして
俺がGMやり直していいか?
昔、大学でしょっちゅうTRPGのGMやってたから得意だぞ。
時間は無限にあるから、毎日更新できるし。
そう、無限にな…orz
>>426 FFのギャルゲスレやってくれ。マジで頼む!
スレ立てなら俺がやるからさ。
428 :
426:05/01/21 00:27:33 ID:CHbZAsIJ
日付変わってID変わったけど426です。
>>427 悪いがFFはキャラが立ちすぎてるからようできんわ。
できればDQがよかですよ。
多分場つなぎ氏の文章を楽しみにしてるヤシが多いので
住人の反対が予想されるんじゃかろうか。
それにしても「キャラが立ち過ぎてるからできない」
ってのはTRPG者のセリフじゃねぇなぁ。
『それなら……ひとまず、朝までこのままにしておこう』
肩をすくめ、しぶしぶ剣から手を放す。アリーナの約束ってやつを立てるわけじゃないが、道案内をさせられ
ないにしても、何かに使えるかもしれない。その何かを思いつかなければ、そのとき、殺せばいい。
「どうして?もういいじゃないか」
アリーナが突っかかってくる。「まだこいつに聞きたいことでもあるのか?」
『今すぐは駄目だってことだ。言ったろ、ベレスのところに戻られたら面倒なことになる。それに、ミネアさん
の意見も聞きたい』
「ミネアの意見なんかいいだろ。ベレスに知られたってどうってことない。そのときはボクが……」
包帯だらけのくせに強がるアリーナを「姫様、ウィル殿のおっしゃる通りですよ」クリフトがたしなめる。「明日
にそなえて安心して休むためにも、この魔物には今晩ここで、おとなしくしていてもらいましょう」
「………」
アリーナは、クリフトを、次いで俺をにらんだ。不満そうだが、言い返しては来ない。常識と現実問題じゃ、
明らかに良識派のこっちに分がある。直情派のアリーナに反論は思いつくまい。
「キッ!キッ!約束が違うゾ!」魔物が紐をきしませながらわめき立てる。「人間メ!騙しやがったナ!」
「………」アリーナが苦々しそうに顔をしかめる。まずい。思い詰まったら理詰めの意見なんぞ無視して行動
しちまうのが、アリーナみたいな直情派の怖いところだ。
急いで俺は、アリーナと魔物の間に割って入った。
『殺さないという約束はしたが、すぐ逃がしてやるなんて約束は、した覚えがない』言いながら[破邪の剣]を
四分の一ほど抜いて青白い刀身を見せつけてやると、魔物はうめいて口を閉ざした。
『命が助かっただけでもありがたいと思え。夜中騒ぐようなら、朝まで逆さにして吊す。それが嫌だったら、
黙ってるか、眠るかしてろ』
「ギ……」
魔物は、牙をむき出し、悔しげに威嚇してくる。ま、せいぜい一晩、祈りでも捧げてるんだな。どんな神様に
かは、勝手にしろだが。
431 :
:05/01/21 17:50:01 ID:2U0pc8yv
コンコン。ノックの音がして俺たちは顔を上げた。「はい?」クリフトがドアに走っていく。夕食か。ちょうどいい
タイミングだ。
『……?』
が、ドアから姿をのぞかせたサンディの手には何もなく、応対に出たクリフトに何か話をしはじめた。夕食が
まだ遅れる……とかいう話じゃなさそうだが?
よく話を聞こうと耳をそちらに向けたとき、視界の逆側で、アリーナが手をのばすのが見えた。俺の前の
椅子に乗せられていた魔物の胴をつかんで、ひょいっと引き寄せる。ぎょっとなる魔物に「動くなよ」警告し、
紐の結び目に手をかける。
『おい、何するんだ』あわてて腰を浮かす。『逃がすつもりじゃないだろうな』
「少し緩めてやるだけだ。こんなキツく縛られたまま一晩過ごしたら、関節が固まっちまうだろ」
言って、アリーナが結び目の両側を引く。とたんに「ギェーッ!」首を絞られて魔物がうめいた。アリーナは
ハッとして手を放し、今度はゆっくり引こうとする。また、悲鳴。
おいおい、そいつを殺す気か?俺としてはまったく構いやしないけどな。
「……どういう縛り方したんだ、ウィル。全然解けないじゃないか」
『無理に ほどこうとして力を入れると締まるように縛ってある。おとなしく普通の姿勢してりゃ痛みはないんだ。
下手に緩めればそこから全体が緩んで逃げられる。そのままにしとけ』
言って、アリーナの腕をぽんと叩いた。その手から魔物を取り、床に転がす。魔物は、すっかり恐れをなして
いて、俺に触れられている間じゅう、がたがた震えていた。
『アリーナ。いくら白状してくれたにしても、こいつは魔族なんだ。あまり甘やかすなよ』
言いながら、紐の結び目を確認する。よし。だが、しっかり縛ってあるとはいっても、朝までこうしておくとなると
誰かが見張ってなきゃならないな。3人交代でやるか、それとも誰かが……。
ドウン!
「……ウィル!」
いきなりアリーナが拳をテーブルに叩きつけた。衝撃に床板いや宿全体が震える。俺の身体中の筋肉が
ビクッと痙攣し思わず身じろぎした。な、何だ、いったい?
「ウィル。お前」アリーナが眉間をぴくつかせ、唇を震わせながら俺をにらみつけてきた。「誰にそんな口を
きいてると思ってる!」
『あ……?』今になって何を言い出すんだ、このお姫様は。
432 :
:05/01/21 17:52:44 ID:2U0pc8yv
「いちいちボクに逆らいやがって。ちえっ、何様なんだよ。レイドックとラインハットの王子の友達だか知らない
けどな、ボクは、お前なんかに命令されるような……そういうんじゃないんだぞ!」
早口で怒鳴り、そのまま俺に詰め寄……るかと思ったのだが、アリーナはぷいと部屋の奥を向いてしまった。
『………』後ろからサンディとクリフトの視線を感じながら、俺は呆然とアリーナの後ろ髪を見つめる。俺って
そんなに命令口調してたか?そりゃあ逆らってばかりだった気はするが、それは……いや、それよりもどうして
今頃言い出したんだ?しかも急に身分のこと持ち出して。堅苦しいのは苦手だって言ってたくせに……。
「あ、あのー、ウィルさん」クリフトが、おずおずとドアのところから俺を呼んだ。「来ていただけます?」
『なンだよ?』目を向けた俺に、クリフトとサンディの顔に怯えが走る。『……何の話してたんだ?』すぐ表情と
声を和らげ、もう一度聞き返す。
「その、お部屋を、貸していただけるそうなのですが」
『部屋?』俺は、そっぽを向いたきりのアリーナを一瞥してから、席を立った。
サンディの話は簡単だった。この宿の5部屋のうち3部屋に泊まっていた客が実は魔物で、今は、俺たちの
活躍により、いなくなった。だから今借りてる2部屋に加えて提供できるがいかがでしょうか、とのこと。
「今、そこの部屋ではミネアさんが休まれていますから、ウィル殿のためにもう1部屋お借りしようと思うのです
が。料金は同じでいいとおっしゃっておられますし」
クリフトが何気なく言う。『ああ……』同意しかけて、考えなおす。こいつ、この部屋にアリーナと一緒に泊まる
のが当然と思ってるのか。そうはさせるか。
『……じゃ、2部屋お願いします』と、俺はサンディに言った。
「え?もう一部屋は……どなたの?」
眉をひそめるクリフトを『ここには3人と一匹しかいないだろうが』じろりと見る。『クリフト。お前が、あの魔物を
見張る部屋だ』
433 :
:05/01/21 17:54:06 ID:2U0pc8yv
「えっ?わ、私は、姫様をお守りするという役目が……」
『大丈夫だ。この部屋は村の内側なんだから、襲われるとしたら早くて2番目だろ。今いちばん困るのは、あの
魔物に逃げられることだ。そうならないように見張ってるのが、今のお前の最も大事な役目だと思うが?』
「で、ですが……それはできればウィル殿にお願いして、私はやはり姫様を……」
『俺が預かってもいいが、あいにくあのお姫』サンディを見てあわてて言葉を止める。もはや無駄な努力だとは
思うけど。『……“お嬢さん”は、俺を信用してくれてないからな。俺に預けるくらいなら自分でやるとか言い出し
そうだ。それもお前は困るだろ?だから、見張り役は、お前しかいない』
「しかし……」
『お嬢さんは今はあの怪我だ。ミネアさんやお前に呪文かけて完全に治療してもらうまでは、どこかへ行ったり
は、しないだろ』
「………」
まだクリフトは渋面だったが、構わず俺は『ということで、2部屋』サンディにもう一度言った。サンディがうなずき、
鍵を2つ取り出す。俺が1つ受け取り、クリフトも迷ってから、もう1つを受け取った。
「お夕食は、みなさんご一緒ですか?それとも、お部屋でそれぞれとられますか」
アリーナをちらりと振り返る。腕組みをして天井を見上げたままだ。『それぞれ、で』サンディに答える。三人で
和気藹々のディナー、って雰囲気じゃない。
「かしこまりました。それでは」
サンディが小走りで階段を下りていく。『さてと』俺はテーブルにとって返し、置きっぱなしだった[ふくろ]を手に
持った。俺に横目を向けたアリーナが、忌々しげに頬をゆがませる。『おとなしく……』言いかけて、さすがに
やめた。
今は、俺の姿と俺の口から出るすべての言葉が気に入らないんだろうからな、このお嬢さんは。
《アリーナの評価が下がった》
《クリフトの評価がわずかに上がった》
434 :
:05/01/21 17:55:58 ID:2U0pc8yv
夕食を終え、食器を片づけてもらった後、しばらく俺は窓から、満天の星と真上の月が照らしている高山の
黒い影を眺めていた。
ベレスが隠れ村ってところに向かってまっすぐ飛び去ったと考えると、その村は、北西側の山頂とその隣の
間の尾根、あのあたりになる。が、方向はあっちでも、標高のほどや、山をいくつ越えた先か、わからない。
あの尾根を一つ越えるとすれば、人間の足ならそれだけで丸一日かかりそうだ。村に夜に着いてしまったら、
奇襲をかけるにしてもこちらが不利。人間相手ならともかく、魔族なら夜目がきくだろうからな。
村が峠のどのへんなのか、ミネアさんにあらかじめ聞いとかないとな。それで、アリーナたちと打ち合わせして。
あと装備を整えないと。引き返してくるとき道具屋の看板を見た気がする。明日、時間があれば行ってみても
いい。武器、防具、道具……ベレスに勝つためにできるだけのことは、しておきたい。
ベレスに……俺たちは、勝てるんだろうか?
不意に頭を不安がよぎった。俺たちのうちでまともにあいつの相手をできるのはアリーナだけで、しかもその
アリーナがベレスを追い払ったわけじゃない。たまたま駆けつけてくれた、バーバラなのだ。
再戦して、俺たちだけであいつを倒せるだろうか?隠れ家なのだから、ベレスだけでなく手下も大勢いるだろう。
今の俺たちじゃ、わざわざ殺されに行くようなものじゃ……。
俺は今死ぬわけにはいかない。ターニアを助け出さなければならない。
だいたいそもそも、俺がベレスを倒しに行かなきゃならない理由はなんだ。ただアリーナ一人の命を守るため
じゃないか。あんなわがままで頑固なお姫様を、俺が、命かけて守ってやる必要は……。
『………』
俺は首を振った。ここまで関わっちまった以上、アリーナを見捨てるなんて無理だよな、俺には。アリーナが
男なら迷ったかもしれないが、女の子、しかも妹と同じくらいの歳、なおかつとびきりの美少女ときてる。その
アリーナを魔族にみすみす殺させちまうことになったら、俺はたぶん、一生後悔し続けるだろう。
それに……一度は友達だと認め合った仲だし、転落しそうになったところを助けてもらったって借りがあったっ
け。向こうがどう思ってるか知らないが、借りは、返さなきゃな。
435 :
:05/01/21 17:59:16 ID:2U0pc8yv
『………』
ずいぶん無駄なことを長々考えちまった。俺は、窓を閉め、ベッドに横になった。
でも、正直なとこ、もう一人くらい仲間がほしいな。バーバラなら申し分ないが、あいつでなくたって……ああ、
マーニャさん。世界最高の炎術士を自負するマーニャさんなら、ベレスにも魔法負けしないだろ。あるいは……
そうだ、もう遅いが、ミレーユに事情話せば協力してもらえたって可能性も。一見すると魔法使いっぽいが、
ミレーユの戦う姿、いつかは見てみたいかな。それから、最強の助っ人になりそうなのがフレアさん。何しろ
アリーナの武術の先生だ。ベレスなんか軽くのしちまうかも。まあ、でも、やっぱバーバラだな。魔女のあいつ
さえいれば、どんなに数がいようと太刀打ちできる。それに、何かと楽しい女だし、よく見りゃ可愛いし、意外と
ムネあったし……あれでもう少し背丈が……。
あ……バーバラっていやあ……あいつ、別れ際、何を言いたかったんだ……。
『!?』
ベッドから飛び起きた。やべ。いつの間にか眠っちまってたか……。
燭台のろうそくが2つ、かろうじて受け皿で燃えている。そんなに長いろうそくじゃなかったから、まだ真夜中って
時間じゃ、ないな。
ろうそくを替え、背筋と腕を伸ばす。うん?何かしなきゃならないことがあったような、なかったような―――
1.誰かの部屋に行く
1−1.ミネアさんの部屋へ 1−2.アリーナの部屋へ 1−3.クリフトの部屋へ
2.このまま部屋にいる
2−1.[ターニアの風鈴]を使う 2−2.剣を振る 2−3.考え事をする 2−4.休む
3.下の階に行ってみる
4.[爆弾石]を投げる
436 :
FOX:05/01/21 18:05:29 ID:HzI0p6iC
3で、
よっしゃ1番ゲットか?
4
更新しないほうが良いかな・・・と思ってしまいますた
何せ次回は来週の土日まではまず無理なので、いっそここで・・・
が、やはりGM辞めたくないでつ!漏れはもう迷わないと決めたんでつ!
ということで
>>426=428さん、
>>8で書いた通り、新しいスレでどうかおながいしますです
立てられないのであれば漏れもご協力いたしますので
・・・けれど、漏れは、住人のみなさんに従いまつ
漏れはここ2週間ほど忙しくなりまつので、上に書いた通り、次回更新は1月末日頃までできない可能性大でつ
もうこれ以上、漏れの遅筆と延滞に我慢ならないと参加者さんがおっしゃるのであれば、
漏れは笑顔で、この大好きなスレを
>>426さんに引き継いで、また住人側に戻るつもりでつ・・・
参加なさる方は、ご意見を遠慮なくお寄せくださひ!
>396 でつね。余計なキャラを潰してもらったほうが書く漏れもありがたかったりw
>397>412 一応書いておきまつが・・・この魔物、飛べるって設定でつよ?
>398-399 おながいですからageないでくださいです。。。安心してアッチのネタが書けませんです。。。
>401 目の前の好感度をとるか、自分の信念を貫くか・・・あとあと影響しまつ
>403 3だとやっぱりアリーナと大喧嘩になって好感度下がりますた。が・・・!
>404 クリフトが説得した場合・・・大変なことになったかも
>405 戻ってきたとたんにまたも遅筆・・・住人の方々、すみませんでつ
>409 あいにくでつが、そういうわけには・・・。1だとほぼ主人公の予想通りに・・・?
>410 今回の更新でも同じ理屈でつw
>414 集計ありでつ!2−2はじっさい無茶苦茶な説得になったりしますた
>415 けっこう毒々しい展開ばかり書いてきたような気もしまつが・・・
>416-417 アリーナに興味のない方にはどうでもいい展開続きですたね。スミマセソ
>418 えっ?今までのこのスレって全キャラ制覇が目標だったのでは・・・違いますたか?w
>419 バーバラは狙うと苦戦するヒロインかも・・・今となってはだいぶ先の話になってしまいまつ
>421-422 _| ̄|○ 一週間も遅れて申し訳ありません・・・
>423-425 保守、ありでつ!またスレ乱立が起きてたようで。この板はいつ何が起きるか怖いでつね
1−1で
アリーナの相手で疲れたのでミネアさんの寝顔でもみて癒されるか。
ちなみに進退問題?ですがもちろん場つなぎ氏続投キボンです。
別に自分は更新遅くても気にならないし。
むしろ早期更新で2,3レスの時など物足りなく感じてしまう身体になってしまったw
2-3
どうせろくな事考えない&考えてるうちに寝るってパターンだろうがw
いやしかしひょっとしたら誰か(女子限定)が襲撃しに来(ry
俺も場つなぎ氏続投でお願いします。
話の続きが気になってるんで
2−2
まあ弱いんだから手の空いてるときぐらいは鍛錬せにゃ。
GMについては、そもそもここで一つだけしか投稿が認められないという前提が間違ってないか?
前例が代々一個ごとだからそういう定見ができてしまうんだろうけど、
別に二つ投稿があったとして何も支障は無いように思うのだが。
1-2
スレッド12を立てて、そっちでやれば何ら問題ない。
つーことで、12スレ目でやってくれるのキボンヌ。
>>428氏
1−1
ミネアさんと親密になりたい。
ここのGM退けようなんて言い出す428氏は個人的には論外なんだが
俺は別にこのスレに二つ作品があるような状態は構わないと思うけど。
個々のGMさんに前の分にレスアンカー付けて貰えば混乱もしないだろうし。
つか442の見事に日本人な妥協案は絶対止めれ。
それだと現在のGMがこのスレを使い切ったり他のGMが
そのスレを使い切ったときにごちゃごちゃになるし、新規ROMが混乱するだけ。
444 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/21 21:59:04 ID:igNrt2ER
薪か砂袋を剣に巻いて重量を上げてから2−2でいきまつ。
場つなぎ氏続投希望で1−1。
とりあえず、ここで両方ってのは勘弁。わけわからないよ。
1−1
その程度で混乱するって微妙に可哀想だな、色々と困るだろ。
いやまぁどーせ他にやろうって人間いないだろうからどうでもいい話だがナー。
>>443 このスレ内で、長編を二つもやると非常にややこしい。
片方が盛り上がってる雰囲気の時には、もう片方が書きにくい。という恐れもある。
スレを使い切ってしまったら、新しいスレを立てれば良い。2スレ同時進行でいいじゃないか。
スレのつながりの醜い云々は、冒頭で説明を加えるなり、保管所の方で上手くまとめるなりすれば良し。よろしく、管理人さん。
何にしろ、同じスレ内で二つも長編やるのはいただけない。
>447
このスレ内で、長編を二つもやると非常にややこしい。 ←肝心の理由説明が成されていない。
片方が盛り上がってる雰囲気の時には、もう片方が書きにくい。という恐れもある。 ←単なる仮定。しかも他スレの傾向から鑑みても空論。
スレを使い切ってしまったら、新しいスレを立てれば良い。2スレ同時進行でいいじゃないか。 ←結論もなあなあ。
スレのつながりの醜い云々は、冒頭で説明を加えるなり、保管所の方で上手くまとめるなりすれば良し。よろしく、管理人さん。 ←負担が掛かる部分は全て他人任せ。
何にしろ、同じスレ内で二つも長編やるのはいただけない。 ←この板内だけで長編同時掲載の板がどれだけあると?
何にしろ、同じスレ内で二つも長編やるのはいただけない。 ←この板内だけで長編同時掲載の板がどれだけあると?
板じゃなくてレスの間違い。
なんにせよさあ、今はいいけど本気で他にやりたい人間が出てきた時にそんな子供のような駄々こねないでね。
そろいもそろって
>>426に釣られたというオチだったり・・・
単に見にくい。理由それだけ。
前回の内容みんのにいちいちアンカーたどっていくのもめんどい。
DQ5の王子王女スレとかが例。
まぁGMも新スレでお願いとか言ってるんで、駄々こねてるのは同じスレでやれとか言ってる貴様なわけだが。
>>450 これから今後、こういう気まずい状況が現れないとも限らないので、
今のうちにちゃんと取り決めといた方が良いと思う。
>451
真面目な話、他スレはみにくいからで一々スレを変えたりはしてません。
同じような傾向の長編なら同じスレでやるのは常識ですよ?
追記。
他人を貴様とか恥ずかしげもない人称代名詞で呼ぶ童と議論する気などありませぬので。
とりあえず、常識論だけは挙げて置きますが後は有事にGM判断でも選択でもで万人の納得する形で決めればいいかと。
変えない理由は、変えても人がついてこないから。
短かったりつまんなかったりしたら、すぐ廃スレ化。
毎日更新するんなら、別にもう一つスレ作った方がええよ。
糞スレ乱立する中で、スレ一つぐらい増えても問題ない。
>>454 万人納得なんてない、ムリポ。意見述べるだけ述べて通らなかったら、仕方なく受理するが。
後、議論する気ないなら初めから揚げ足とるな。
個人的にメールでもしてマジで議論したいくらいだ。
m9 三 9m
ノノ ミ
m9 (^Д^) 9mプギャプギャプギャプギャーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ヾヽ 彡
m9 三 9m
1−1
終わったようなので投票
>>454 そりゃあんたとは誰も議論したくないよ・・・
そうだ、ミネアさんが、俺に聞きたいことがあるって言ってたっけ。
ざっと身なりを整え直し、廊下に出る。下から何人かの声が聞こえてくる。下の食堂にまだ客がいるらしい。
すぐ隣のミネアさんの部屋(ミネアさんの部屋と俺の部屋の、廊下をはさんだ対面が、それぞれアリーナの部屋
とクリフトの部屋になる)の前に立ち、『ミネアさん』小さくノックした。返事は……ない。
『ミネアさん』
何度か呼びかけてみたが、中で動く者の気配は感じとれない。もうミネアさんは起きてて、ここにはいないとか。
あるいはまだ眠ってるのかな。魔力消耗してるから、ちょっとやそっとじゃ起きないのかも。
うーむ。どうしよう―――
1.部屋に入ってみる
2.別の部屋に行く
2−1.アリーナの部屋へ 2−2.クリフトの部屋へ 2−3.自分の部屋で考え事をする
3.一階に降りる
4.魔物だ!と大声で叫ぶ
翌日更新。といっても確認事項みたいなものでつ
改めて、次の更新は1月末日頃になりまつ・・・と頭下げて申し上げておきますです。。。
同一スレ2ゲーム同時進行ってどうなんでせう?
>>448さんは長編同時掲載がいくらもあるとおっしゃってまつが、ここはゲームブック形式でつから・・・
投票を区別する方法、更新がかぶったりしないよう曜日時間を決めるかなども、GMどうし話し合っておく必要がありまつ
>>426さん、もしいらしたら、
>>1のドーミさんのサイトに来てくださいませんでせうか?
>439 ありでつ(つД`) そのお言葉だけで続けていけまつ!
>440 これホントいつ終わるかわかりませんでつがそれでも・・・
>441 上でも書きますたが、参加者のみなさんに毎回アンカーつけていただくことになってしまい、ややこしいことになりまつ
ただ、
>>426さんが今までのGMさんと同じようにリアルタイム形式でなさるおつもりなら、まったく問題ないと思いまつ
>442 スレタイが12だと、
>>443さんのおっしゃる通り混乱するでせう
>443 すべて現GMの漏れがふがいないせいでつ
GM側としましてはそれでいいんでつが、参加者が混乱するのではないかと心配でして・・・
>444 それなら最初から鉄の棒のようなものでも振ったほうがいいのではw
>445 ありがたきお言葉どうもでつ。難しい問題でつな・・・
>446-458 ここで議論なさるのはまったく構わないと思いまつが、論戦はやめてくださいです。。。
新スレにしても同時進行にしても、まずは
>>426さんが降臨なさるまでは何も決められないので・・・
やった、更新きたー!
1で。
3。
こういうところで意外なイベントが発生したりするかも?
1番何も起こらなそうな選択肢でもあるけど。
オレは現状維持希望っすね。
現GMさんも十分やる気はあるみたいなので、
新規GMを希望する人は新しいスレを立ててくださいってことで。
というか、それがここでのルールでしょ?(
>>8にも明記されているし)
463 :
426:05/01/22 11:19:51 ID:ib/Z1vSG
>>450 正解!!
ってのは半分冗談で、場つなぎ氏にもっとやる気というか自信をもってほしかった。
最近少し後向きな面もあったし、ハッパをかける意味と
最悪は自分が代役をするような気持ちからの発言でした。
何にせよ、荒れる原因を作ってしまったので心からスマソします。
464 :
FOX:05/01/22 12:04:05 ID:trFs5oWn
3で、
場つなぎ氏、かなり早い更新お疲れです。
>>464 君はホントにsageる気があるのか…?
466 :
FOX:05/01/22 14:31:53 ID:trFs5oWn
あまりない、というよりsage方がわからない、
今回のでいいのか?
1
>>463 正直、GMやってくれる方に期待していた。
気向いたらお願いします。兄弟スレみたいなの作れってそこでやればいいだろうし。
昨夜は論戦してスマンかった。
1
ここは心の広いインターネッツですね。
3
現状に不満無し。
場つなぎ氏ガンバ!で、3
場つなぎ氏に期待で1。
1
場つなぎ氏、応援してます。頑張って下さい
3かな
474 :
444:05/01/23 12:27:51 ID:ymPNBW9G
嫌な気がするので2−2へ
>444 それなら最初から鉄の棒のようなものでも振ったほうがいいのではw
それなりの重さと間合いが破邪の剣位の物となるととっさに用意できないと思ったので。
それに破邪の剣の間合いを十分に知っておく事は損で無いと思いまつ。
3
どうでもいいが1
4
鬼畜ルートはまだディスカ?
478 :
集計:05/01/25 01:04:51 ID:71UlPNQb
1/25現在
1.6票
2−.1票
3.6票
4.1票
このまま、1と3で票が割れたらどうなるのだろう(ドキドキ)
どっきりめかさげ。
480 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/27 02:34:46 ID:Ig0K8chq
ここのムーンって、金髪か紫髪どっちなんだろ。
俺は今DQ3の18禁ゲームをやってるんだが攻略ページが載っているサイトはないかな?フォズのみエンドに行けないのだよorz
482 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/28 23:00:15 ID:v1T7xEnm
hoshu
>>481がやってるゲームが非常に気になる
・・・さんかく工房製?
484 :
FOX:05/01/30 20:25:37 ID:geszH9Ig
場つなぎさんまだかなー?
まだだ。まだ終わらんよ。
そう。伝説のかけらとかいうヤツ。わかるか?
なんか微妙にID変わってるな。
488 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/01 01:04:35 ID:sDVnmEo+
二月一日か・・・聞いただけで勃起するわい。
普通しないよ。
493 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/04 00:37:37 ID:IDigoEAm
488なら口から尻まで貫かれ、五臓六腑ことごとく撒き散らして
死んだよ。淫乱ならさぞ本望だあろうな・・・
結局2月1日って何の日だったの??
お兄ちゃんの日
場つなぎ氏どうしたんだろう?
風邪とかひいちゃったのかな?
もう一度ノックし、返事がないのを確かめてから、ノブを回し、静かにドアを押した。鍵は……かかってない。
ミネアさん、まだ中にいるのかな。少し躊躇したが、ドアの隙間からのぞく部屋の中は、灯りひとつない暗闇。
大きくドアを開いてみる。廊下の灯りが照らせる範囲には、いない。ベッドは……あのへんだけど、ここから
じゃ見えないな。
部屋にとって返し、手持ちの燭台を持ってくる。でも変だ。休むにしても出かけるにしても、ミネアさんなら鍵
かけるはずなのに。
鍵?あ。そういやこの部屋の鍵ってまだ俺が……上着のポケットをまさぐってみる。あった。なんだ、鍵を
かけようとしても、かけられなかっただけか。
『ミネアさん……?』
部屋の真ん中へ向かって進んでみる。テーブル。その上にはミネアさんの大きな道具袋。て、ことは?
ベッドの方向を照らす。人の太さに盛り上がった毛布。右下に流れ落ちている紫の髪。その上から、褐色の
人の顔が、こちらを向いている。ぎょっとなった。が、明かりに反応した様子はなかった。
まだ、寝てたんだ。
燭台をテーブルに置き、そっと近寄る。毛布を肩までかけ、顔のすぐ前に重ねた両手を置き、横向きに腰と
膝を丸めて、ミネアさんは眠っていた。少しほつれた紫の髪の一房を、ひろい額の左から、頬、唇の下へと
垂らし、閉じた下がり目に合わせて眉を両側に下げ、なにか呟きだしそうに唇を小さく開けている。
困ったようにも見えるその顔は、なんだか、寂しそうで、物欲しげそうで……。
498 :
:05/02/05 03:32:25 ID:OLXy4bwy
『……!?』
うっ…………??
ぞくり。身震いがした。いきなり大勢の前に出たときのように身体がこわばり、肌が波打ち、頭の中が熱くなる。
今まで何度も見てきたミネアさんの寝姿、ついさっきもこの腕に抱えたばかりのミネアさん。なのになぜか……
なぜだか……なんでだ……今すぐ、ミネアさんに、ふれたい。触りたい。思いっきり抱きしめたい!
震える足が自然に前に出る。一歩。ギイ。うおっ?おいボロ床、静かにしろ。冷や汗だらけになりながら、もう一歩。
ミネアさんは、すぐ目の前。起きた気配もない。さらさらした長い髪、ふくよかな頬、耳からほんの少し出っ張った
だけの穴の空いた耳たぶ、淡い紅染色の小さく膨らんだ唇。どこにだって触ろうと思えば触れるし、何かしよう
と思えば何だってできる。以前にもこんなこと、いや、あるわけない、あれは夢だ。夢?そんなことは。あ。つい
こないだの夜。眠ってるターニアに。あのすぐ後さらわれて。違う。今そんなこと思い出してどうする!
『………』
そんな間も、変わらぬ、悩ましげなミネアさんの寝顔。
俺は唾を飲みこんだ―――
ササヤ
1.とりあえず囁く
2.とりあえず騒ぐ
3.とりあえず去る
4.とりあえず触る
5.とりあえず探る
予告1週間どころか期限もオーバー、あまつさえこんなに短くてスミマセソ・・・
お読みになればおわかりの通り、主人公が脳内に降臨してくれず。結局指だけで書いてしまいますた
選択によってはしばらくミネアシナリオに入りまつ。他ヒロインファンの方々、申し訳ないでつがしばらくお待ちくださひ
それと、諸事情により、何があってもsage進行でおながいしますです。。。
>462 3だと一番楽でした、いえ漏れがw
やる気あっても文章が浮かんで来るとは限らないというのが目下の悩み・・・
>463 そうだったんでつか。アツい激励サンクスでつ!漏れからも、最悪の場合代役おながいしますです(ぉ
>467 このスレのファンだった漏れも、他のGMさんのギャルゲーDQをやってみたいでつね
自分で書いてると展開が読めてしまうので・・・当たり前か
>468 漏れにとっても本当にありがたいインターネットでつ・・・
>469 ども。少しは今よりましな現状になるよう努力しまつ!
>470 がんがりまつ!3だとミネアシナリオへ突入し・・・漏れの負担が軽くなりますた
>471 生まれてこの方プレッシャーに弱い漏れでつが、ご期待を無視するような酷薄な人間ではないつもりでつ!
>472 うう、ありがたきお言葉・・・もう後には退きませんでつ
>474 2−2だとクリフトにあのことを聞けますた。なるほど長さの問題でつたか
>477 鬼畜に走る自由はありまつが攻略不可になる自由もありまつよん
>478 集計ありでつ!結局割れたままできてしまいますたね。書くタイミングが難しひ・・・
>480 漏れの中ではもう決まってまつのでご安心を・・・ってまだ未登場だった。えーと、ムーンって誰でつか?
>481,483,486 現さんかく工房さんの「伝説のかけら」なら、攻略掲示板がサイトさんに行けばありまつ
伝説のかけら絵も音楽も、何より伏線に展開に綺麗な文章・・・ああうらやますい(こればっかり)
>496 いえ元気でつ。風邪ひいてる暇もありませんですた
受験、就活、卒論修論博士論文の皆様、努力と健康維持の両立はなかなか難しいでつが、ベストを尽くしてくださいです!
場つなぎ氏だーーー!!!
4で。
静かに髪に触れてみよう…まずは。
夜ばいなんてヤダから3で
あくまでラブラブにしてからだ。ギャルゲーなんだから。
502 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/05 13:38:57 ID:7cpWXIoa
一階に降りるため3で。
ps.ちょっと思い付いた設定
ローレシア剣法
立ち木稽古(一人稽古)が基本、敵が攻撃を仕掛ける前に自分の射程に入れ一撃で
相手を仕留める事が極意。
サマルトリア槍術
呪文で敵にフェイントをかけて怯ませ、相手の鎧の隙間間接などの急所に攻撃を掛
ける。敵の鎧ごと断ち切るローレシア剣法と違い、見極めと攻撃呪文の重量を増し
た武術。この武術で必須となる呪文は詠唱の短い中級以下の攻撃系。
3様
504 :
FOX:05/02/05 16:36:14 ID:/mujzq01
場つなぎ氏乙です、どんなに遅れてもいいのでがんばってください。
後、どれがいいかといえば、3で。
去ってどうする!
1で
ここで去るのもまた一興。よって3.
507 :
集計:05/02/06 23:25:08 ID:CnEzLFCp
2月6日現在
1.1票
2.0票
3.5票
4.1票
5.0票
去った後、宿の外に出て素振りでもするか。
508 :
FOX:05/02/09 16:43:19 ID:6jBHbg6b
場つなぎ氏が来ることを願いながら保守
保守
保守。
さらにさげ
現在リアルが修羅場につき火曜日までお待ちくださいです。。。
場つなぎ氏来訪記念さげ
514 :
FOX:05/02/13 12:19:10 ID:5A+yk1b0
場つなぎ氏のコテはもう「場つなぎ」じゃなくてもよさそうだ、と思ったのは俺だけですか。
今までの活躍を考えると場つなぎどころの活躍じゃないような気がするんですけど。
515 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/15 00:39:42 ID:NMOLEH8n
保守
514、そうだな、漏れもそう思うよ。
516 :
FOX:05/02/15 20:06:30 ID:ctgYUbly
ところで、もう火曜日も後、4時間なんだがGMさん(敢えて場つなぎ氏とは言わないことにする)。
どうしたんだ〜〜〜!!!
いったい
>>512で言ったことはどうなったのか・・・
まあ頑張ってください。
火曜日まではお待ちください、
なんだから水曜日になった途端に更新って事だろう。
なので待ち続けるぞ俺は。
水曜日になったぞい
俺らは場繋ぎ名無しだな
520 :
FOX:05/02/17 00:01:27 ID:DbP7PWCV
たしかにな。
つまり「場つなぎ」はわれわれだな。
毎日保守してなんとか場をつなごう。
そんじゃあ毎日がんばるとするか。
523 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/17 18:27:14 ID:qu8MSPzi
漏れも場を繋ぐか
つなぎないとパラパラになっちゃうぜ
1日1場つなぎ
一昼夜ぶりに帰宅!これでやっと集中して書けまつ!
といきたいところでつが・・・
スミマセン、ちっとばっかし寝かせてくださいです。。。_| ̄|○ マブタ オモスギ
日曜24時までに更新できなかったらGMから降格!(またこれか)
ただ、山場なんとか乗り切れますたので、今後年度末にかけては時間ができまつ
ここにきて余計な仕事引いてきたり、どなたかが有給とって北国へ雪遊びに行ったりしなければの話でつが・・・と、ただの愚痴
・・・て、もしやまさかこのスレに漏れのところの奴とか上役の方々、いないでせうな?
527 :
FOX:05/02/18 23:30:39 ID:mHoZR8ak
おっ、GMさんが来たな、おーい、場つなぎ名無し達よ、GMさんが来たぞー。
・・・ところでGMさん。GM降格なんて許しませんよ!そんなこと絶対に!!
どんなに遅れても待ちますからね、俺は。
がんばってくださいよ!
あっ、そうそう、もう場つなぎじゃなくていいと思うんですけどね、おれは。(
>>514参照)
どうしますかね?て言ったってGMさんは変えようとしないと思いますが。(変えないと駄目ですよ、もうあなたはそれ相応の働きをしてしまったんですから)
では、もう一度、頑張ってください!今度こそ、それでは。
528 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/19 01:20:51 ID:EUVFYHJD
マスター復帰記念に繋ぐか
529 :
課長:05/02/19 01:22:35 ID:56m+w1Z6
530 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/19 01:33:54 ID:t1KiVtfp
DQ3の18禁買いましたが・・・。楽しめなかった。
個人的にはボディコンクエストやドラゴンナイト2みたいなエロRPG
にして欲しかった。
ミネアさん……っ!
頭が軽いようで重い。肌が寒いようで熱い。ベッドに飛び込んでミネアさんを全身で思いきり抱きしめたい。
ミネアさんに包まれたくて、どうしようもない。だめだ。そんなことしてもし起きちまったら、というより、絶対
起きちまうって……!
だが……俺の目、鼻、口、手の指に足の指、身体じゅうの毛、それに……俺の肉体のあらゆるものが、
わななきながらミネアさんを向き、ひたすらに求めるあまり、勝手に俺から離れてミネアさんに襲いかかり
たがっている。ああ、そうしたい。それが駄目でも、せめてミネアさんに触れたい。今は毛布に隠れて見え
ない、何度も目の前で見たのにじっくり観ることも触ることも自制していたそこへ――昨日の今頃バルザック
がむさぼりついたはずの、ミネアさんの最も女の箇所へ――。
バルザックの野郎が思う存分にできたのに、その毒牙からミネアさんを救い出した俺が、どうしてミネアさんに
何もしちゃいけないんだ?せめて寝てる間にほんのちょっとだけ触れたって、ミネアさんが怒る道理はない。
なぜなら俺は……。
『………』
もしもミネアさんが起きたらどうなる。驚愕。悲鳴。飛び込んでくるアリーナたち。そして……何の言い訳も
できず立ちつくすだけの俺。やばい。心と身体が凍りついた。潔癖なミネアさんが許してくれるはずがない。
アリーナもだろう。二人とも二度と口きいてくれなくなることは確実、しかも、俺がミネアさんにしてきたこと
すべてが、このことのためだと思われちまう。そんな事態、断固、拒絶する!
それに!俺はバルザックとは違う。あんな卑劣な奴と比べてどうするんだ!
俺は、苦労して近づいた2歩を同じように慎重に戻り、右手に燭台を持つと、まだ浮ついている下半身をなん
とか動かし、部屋から飛び出た。
すぐ、ドアを閉め、もたれかかる。『はー……』天井を見上げ、息をつく。冷たい汗が全身に湧き出してくる。
あぶねー……まさか俺が、ミネアさんを襲おうなんて思っちまうとは。無防備な寝顔のせいか、暗がりのせいか、
あの夢のせいか。とにかく、何もせず思いとどまって偉いぞ、俺!
まだ頭がぼんやりしている。身体の血も下半身もたぎったままだ。外歩いて、冷ましてくるか。
俺は階段を降りていった。
533 :
:05/02/20 18:52:48 ID:SjYc+xiv
一階に降りたとたん、夜のひんやりとした空気が、熱すぎる頭と乾いた喉を潤してくれた。
玄関扉の片方が開いていた。食堂からまだ人の声が聞こえ、酒の匂いがしてくる。なんとなくマーニャさんを
思いだす。今頃、ステージで踊ってる最中かな。終わったらこの村に来てくれ……るわけないか。
「おお!色男さんじゃないか!噂をすれば何とやらだ」
食堂をのぞきこみつつ通り過ぎようとすると、手前のテーブルにいた男に、目が合うなり声をかけられた。
「今ちょうど、お前さんのこと話してたところなんだ。ミネアちゃんはどうしたね?」
『まだ、お休みです』
答えてから少し焦った。“なんで知ってる?”などと聞かれたら説明に困る。って、そんなこと聞かれるワケが
ない。万一聞かれたところで、そう思うだけと言っときゃいい。
「俺たち、さっきまで大騒ぎしちまったんだが、お楽しみの邪魔はしなかったかい?」
顔が引きつるのがわかる。……そうだった。俺、今この村じゃ、ミネアさんの婚約者扱いなんだった。
『……いえ、気付きませんでした。ミネアさんも俺も、魔物と戦った疲れで、早く休みましたから』
「なんだ、そうだったのかい。俺たちはてっきり……まあいいや。どうだい、いっしょに一杯。ほら、お客さんに
一杯やってくれ。俺のおごりでいいから」
「だめですよガマクさん。このお客さんにはまだ、お酒は早いですよ」
テーブルには宿屋の主人と女将さんもいた。店の最後の客に仕方なくつきあっている、にしては楽しそうに
酔った顔をしているから、商売抜きの客だろう。こんな小さな村じゃ、たいていの客がそうだろうけど。
「何言って。これからこのお客さんは、俺たちとずーっと付き合っていかなきゃならないんだ。なのに酒ぐらい
飲めなくてどうする」
客のほうは、恰幅のよさと、色合いのいい服装から見て、商人だろう。そういえば昼間、それに村の人を呼びに
行ったとき、見たような気がする。「ほら、お前さん。突っ立ってないで、こっちに座ったらどうだい」言って、隣の
椅子を引いてくれる。言ってる内容はずいぶん乱暴だが、口調は親しげだった。
534 :
:05/02/20 18:55:39 ID:SjYc+xiv
『すみません。ちょっと俺、用事があるので』
丁重に断る。どうせ生まれとかミネアさんとのこととかを根ほり葉ほり聞かれるだろうし、それに酒じゃ、サラボナで
マーニャさんとミネアさんに迷惑かけちゃったからな。
「そうかい、引き留めて悪かったな」商人が不機嫌そうにあごを上げる。申し訳なさげに俺は肩を小さくしてから、
宿の主人に玄関を開けておいてもらうよう頼み、三人に一礼して、そこを後にした。
「ふむ。若いのに礼儀正しい子だな」
「かしこまってて、あまり気に入らないな」
「でも、そういう人が、ミネアちゃんにはいいんじゃないかね」
またも勝手な噂が聞こえてくる。ま、かしこまってるって思われるくらいでちょうどいいだろ。誤解はいずれ解くとして、
婚約者の俺のこの村での粗相は、そのままミネアさんの男の見る目のなさに直結しちまう。ま、仰々しくするのは、
ホルスの友達やって慣れてるからな。
ミネアさんの婚約者、か……ミネアさんが起きてそれ聞いたら、どう思うんだろうな……。
月は、真上の西の夜空にあった。家々の灯りはもう3つか4つしか見えない。かなりの、真夜中だ。
俺はマントを押さえた。風が強く、冷たい。西の山脈からの吹き下ろしだ。この村、あまり夜遊びには向きそうにない。
だからマーニャさんたちはこの村を出ていったのかも。ま、昼間の遊びにだって向いてないだろうけど。
その風に押されるようにして、俺はひとまず東へ歩き出した。こっちなら2度も往復して道はわかるし、どうせすぐ
戻ってくるつもりだしな。
535 :
:05/02/20 18:57:37 ID:SjYc+xiv
もし魔物が出たら……。剣の柄をそっと触る。この辺りには俺たちにかなう魔物はいないとフレアさんが言って
いた。俺にはこの[破邪の剣]があるし、月明かりもある。ベレスたちが夜討ちをかけてきたらどうしようもないが、
雑魚たちはほとんど片づけたし、いるとしても見張りの一つ目が一匹か二匹ってところだろう。そのぐらいなら、
俺一人で何とかなる。
『……うっ?』
小川と丸木橋が見えてきたとき、俺はぞっとして立ち止まった。橋の真ん中で、白いものが月光に浮かび上がって
いる。ま、まさか……幽霊?
そいつは、白いナフキンに白いエプロンを身につけ、後ろを向き夜空を見上げて……。
あ。なんだ……サンディか。
ほっとしてから、もう一度見る。歩いてきた俺には気付いていない。東のほうを向き、手を前に回している。こんな
夜中に、こんな時間あんなところで何してるんだ?向いてる方角からして、身投げとかするつもりじゃなさそうだが?
このまま東へ散歩するには、あの橋を渡らなきゃならない―――
1.サンディに話しかける
2.散歩道を変更する
2−1.北(小川の上流)へ 2−2.南(小川の下流)へ
3.サンディに挨拶だけし、通り過ぎる
4.さっさと宿に戻る
536 :
FOX:05/02/20 19:01:35 ID:bVqXqoQM
初リアルタイム読みだー
GMさんお疲れです、GJ!!
選択肢は3で次回更新はいつですかね?
いくらでも待ちますが。それでは。
風邪ひいちまったい・・・○| ̄|_
ということで今回もこれだけ。推敲もしてないのに投稿してしまう失礼をどうか次の投下で償わせてくださひ
なるべく早めに寝たいのでコメントできません。申し訳ありませんです。。。
>>529 冗談でもヤメテクレ・・・_| ̄|○ カチョウ ジャ ナイケド
538 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/20 19:03:13 ID:ERC5P9AM
一番乗りぃぃ
1.で
何か裏がありそうなサンディに探りをいれてみる
539 :
538:05/02/20 19:08:08 ID:ERC5P9AM
負けたぜ・・・
無難に1で。
まぁ1だな。気になるし
マエフリにのって1で。
>>537 あまり無理しない様に。約束の期限過ぎたところで、誰も場つなぎ氏の降板は望んで無いからね。
GMの意向を汲んで1
1 いや俺はこれぐらいの長さがいい
長文読むの面倒 以前のGMは行動→
反応→次どれ?って感じだったよな
でも場繋ぎ氏のstyleも好きなので
好き勝手やってください
1で
547 :
集計:05/02/23 18:07:14 ID:muWpzxVo
2月23日、現在の票数
1.7票
2−.0票
3.2票
4.0票
2−.で散歩道変えた場合、バルザックが登場しそう。
548 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/24 18:14:27 ID:UndbONhW
hosyu!!
549 :
FOX:05/02/24 19:19:26 ID:kybBmSPW
ageるなー
地道なホシュが道をつくる・・・
ホシュ道
552 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/26 01:27:48 ID:Exlp0749
わても保守
トリップをつけてみる(トリップをつけることに意味は大してない。
その上で保守
>>548 >>552 下げとけ、一応最近その傾向はないがもしかしたらあるかもしれないからね、
後、一応ここ「18禁」だから知らない奴や忘れた奴は覚えとけよ、
知ってる人はわざわざすんません
18カラットか・・・忘れてたな・・・まあsage保守。
sageを知らなかったFOXが注意する側になってることに人の成長を見た気がする
場つなぎ氏ガンガレ
ついでにhosyu
>>555 すいません、あなたから見て元々の私は何だったんでしょうか?ちょっと気になります。
まあ、なんだったとしても今はいいんですけどね、大切なのは今ですから。
>大切なのは今ですから。
全米が泣いた
マジでちょっとグッときた (゜Å)ホロリ
>>557 いや、それはありえないでしょう。
>>558 いや、それで感動されてもちょっと・・・というかむしろ本当だったほうが困っちゃうんですけどね
マジレスかよ!
すいません、このスレでは基本的にマジレスでやることにしてるんで。
FOXはこのスレではいいやつだな
このスレではですか・・・orz
しかもこのスレ以外では一回だけ間違えて使っちゃった事しかないし
あの方はいまだに風邪を召してらっしゃるの?
565 :
ジェシカ:05/03/03 00:36:04 ID:NNRC9HMK
ふッ…今日もバカがたくさんいやがるぜ
すいませんでしたね
またーりsage
保守する。
571 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/06 00:59:02 ID:efKziLwK
場つなぎ氏、再来希望。
今年の風邪は早いとこ医者行かないと辛いでつよ〜♪
スミマセン今日いっぱい待ってくだせえ・・・_| ̄|○
き、き、き、き、き、き、、、、キターーーーー!!!!
574 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/08 01:25:45 ID:fplJ3BNd
場つなぎ氏ーーー再来!!!
早いとこ医者行かないと・・・
確かに早く行かないと花粉症の患者で溢れそうでつ(それだけでないでつが)。
お身体はお大事に。
ここは保守るしか!
!・w・!ホッチュ
俺はまっすぐ橋へ歩いていった。
無視しなきゃならないなんて理由はないし、それにサンディとは、少し話もしてみたい。
「………」
丸太に足がかかるところまで近づいても、俺にサンディが気付く様子がない。空を見上げたまま身じろぎ一つ
しない。
まさか、寝てるわけじゃないだろうな。あの姿勢で眠れる人間なんて……。
おっと、いちばん身内にいた。たぶんターニアなら可能。花火を並んで見てるとき、こっちによりかかって来
たなと思うと、立ったまま目を閉じて寝息たてはじめてる。もちろん病気とかでもなんでもなく、ちょっと揺らして
やるとすぐ目を覚ます。それだと面白くないので、俺はすっと横へ退いてやる。支えを失って倒れそうになった
瞬間、ターニアは目を覚まして“えっ?えっ?”手足をばたばたさせる。そこを両手で支えてやると、驚きのあまり
しばらくポカーンとしていたあとで、“もう、おにいちゃんひどい!”かんかんになって怒りだすターニアの顔が実に
楽しいのだ。もっとも、ターニアが怒って俺が笑っていると、たいてい横からビアンカが“怪我したらどうするの!
ちゃんと家に連れてって寝かせてあげなさい!”と兄妹間の話に介入してくるので、最近は放って寝かしとくことに
している……が、そうしてると今度はマリベルがやってきて、立ったまま寝てるターニアをじーっと眺めたあげく
“妹ってすごいわねー、トウモロコシの木くらい頼りないお兄さんだろうと、寄りかかってぐっすり眠れんだから”。
……内輪話はともかく。サンディがいるのは丸木橋の上、うたた寝でもしようものならあっという間に濡れ猫だろ。
ここはまず、話しかけてみるとしよう。
『こんばんわー』
とたんにサンディは、びっくりしたように背筋を伸ばすと、身体ごとこちらを向き、逃げるように後ろへ退いた。
「あっ……」俺だとわかり、表情をゆるめる。「お客様でしたか」
『すみません。おどかすつもりはなかったんです』
謝る。魔物だとでも思ったんだろうか。ま、あんなことあった日の夜だ、警戒するのも無理はない。
『散歩しにきたんです。きれいな空ですね、明日も晴れそうですね』
578 :
:05/03/11 05:50:41 ID:LlPsEoRV
「ええ……」サンディが西風に身体を震わせる。「お客様は、明日、発たれるのですか?」
『そのつもりです』
峠を越すとは、さすがに今は言えない。ミネアさんの言うとおりなら、村中の人に止められるに決まってる。
「それなら、お早めに休まれたほうがいいと思います。風が強いですし、お風邪でも召したら」
『サンディさんは、ここで何をしてるんですか?』
受け流すと、急にサンディは顔を背け、うつむいた。「そのう……あまりお客様に申し上げるようなことでは……」
『?』
人に言えないようなことをしていたようには……見えない。別に変な道具も持ってそうにないし。
誰かと待ち合わせしていてそわそわしてる感じ……でもないな。何してるんだろう。サンディが向いてたのは東、
モンバーバラの街の方角。魔物に襲われた日の夜に、外でしなきゃならないことって何だ?
『でも、こんな真夜中に、気になりますよ。良ければ、話してもらえませんか?』
「いいえ、本当に、お客様に申し上げるようなことではございません」
『ひょっとして……ジョセフのことですか?』
サンディがぎょっとしたように俺を見上げ、胸に両手の拳を押し当てる。やっぱり。
……あ、そうか!東はレイドックの方角だ。ジョセフの無事なら、東を向いて祈るはず。今夜は冴えてるぞ!
『驚くことないですよ。キレスさんやミネアさんから伺ってます。それに……何度かお会いしたこと、あるはずですよ』
もっとも、サンディと、挨拶とかさっきみたいな簡単な会話はした覚えはあるが、長く話をしたことはない。
「さ、サンマリーノで……?」サンディが俺の顔を見つめ「あ……!」口に手をあてる。「それではお客様は……
間違いでしたらすみません。ラインハットの、ヘンリー王子様のお友達ですか?たしか、ライフコッドの村の……」
『そう!ライフコッドのウィル。覚えててくれたんだ』
ほっ、これで思い出してくれなきゃ、ただのキザな口説き文句で終わるところだ。
けどなんで俺の肩書きにヘンリーのほうが入ってくるんだ?レイドックじゃ、ホルス王子お付きの従者っていう
ほうが、通りがいいんだがな。
579 :
:05/03/11 06:06:05 ID:Poor47S4
『昼間、宿で会ったときは、驚いたよ。こんなところで知ってる人に会えるなんて』
「すみません……お会いしたときに、思い出せなくて」
『覚えててくれただけでいいよ。じゃ、今は、ジョセフにお祈りでもしてたの?』
「は、はい……それで、その……ジョセフ様は?どうなさってますか?お元気でしょうか」
黒い瞳を見開いた真剣な眼差しで、サンディが見つめてくる。
『それが、ジョセフね……』俺は、前髪に手をやり、顔をしかめてみせた。『ハバリアって港から町長さんとこに
連れ戻されたって話聞いてから、あいつを一度も見てないんだ。あれから何度もサンマリーノに行ったけどさ。
町長の家の……町長さんのとこの地下に、昔泥棒とか閉じこめるのに使ったっていう牢屋、あったろ?あそこ
に閉じこめられてるんじゃないかって、ルイーダさんが言ってたよ』
俺もそれ以上のことは知らなかった。だいたい、ジョセフとはそんなに親しかったわけじゃない。話をした回数も、
どこで何をといちいち思い出せるくらいだ。いかにもいいとこのおぼっちゃんて感じで、父親に逆らうようなことと、
悪事だと思ったことは、どんな小さなことでお絶対にしない、潔癖で融通の利かない奴だった。
ま、それも昔の話。町長と派手に親子げんかして家を飛び出して、それがどうやらサンディのことが原因らしいって
話を聞いたときは、“男らしくてステキじゃない”とビアンカやマリベルを感動させたし、俺も多少は見直したように
思う。
でもそれがまさか、サンディと子供まで作ってたとはな……。
つまり……当然ながら、あいつと、ここでうつむいてる娘は、最低一度は、アレをやっちゃったってわけで……。
「そ、それでは、噂は本当だったんですね……」
サンディが両手を口にあてた。「ジョセフさま……」うつむき、肩を震わせはじめている。目の前のキャップが揺れ
てるのは、吹きすさぶ強くて冷たい風のせいだけじゃないだろう。やべ、泣かせちまった?
580 :
:05/03/11 06:07:03 ID:Poor47S4
『あ。その、このことは俺も聞いた話だから。確かめたわけじゃなくて……』
だめだ。はぐらかし以外の、慰めの言葉が思い当たらない。大事な恋人というか夫が、地下牢につながれてる
なんて聞けば泣きもするだろ。俺だって、ターニアが暗い牢に閉じこめられているのを想像して、気が狂いそうに
なったんだから。……ターニアのほうは、こっちが心配してやるようなことは、今のところなさそうだが。
「す、すみません、お客様」泣きやもうとしているのに涙が止まらないらしい。参ったな。
『心配はいらないと思う。町長にとっちゃジョセフは実の息子なんだろ?牢に入れたとはいっても、そんなに酷い
扱いはしてないはずさ。ただジョセフが……』
俺は口を止めた。町長がジョセフを捕まえているのは、自由にするとジョセフはすぐこの恋人のもとへ戻ってしま
うと思ってるからに違いない。となれば、ジョセフが連れ戻されてから数ヶ月、町長はふたりの仲を未だに認めて
ないってことになる。なんでだろう?いくらあの町長が権威主義のヤな奴だといっても、どうも理解しがたい。
子供まで産まれてるってことくらい、ジョセフから聞かされたはずなのに。どうして認めてやらないんだろう。息子
が自分とこのメイドと結婚なんて、そんなに珍しくないと思うんだが……現に、海軍都督ネルソンさんの奥さん、
メイドさんだしな。サンディみたいな可愛いメイドに毎朝毎晩世話されてたら、どうにかならないほうが、男として
おかしいかもしれん。
もっとも、メイドとっていうのは、手近で間に合わせるって感じで、あんまり褒められたことじゃないような気もする
……。
「誰だね、そこで話してんのは?」
うわっと!背後からの声に驚いて振り向いた。あ、なんだ、人だ……。ほっとして、剣の柄から手を放す。
「おー!誰だと思ったらお前さんか」さっき宿屋で俺に声をかけた商人だった。「俺の誘い断って、こんなとこで
何やってんだい……ん?そっちの人は……サンディちゃんか?どうし……」
サンディに……泣いているサンディに気付いて、商人が眉をひそめて俺を見た。「ん?ん?……ん?」丸い顔が
みるみる呆れたような表情に変わっていく。「まさかあんた……」
まずい。俺が泣かせたんだと思われちまってる!?
581 :
:05/03/11 06:08:44 ID:Poor47S4
『えっとですね、これは……』
「なんだいなんだい!あんた、そういう男か!」商人は、酒酔い声を荒げ、苦々しげに俺をにらんできた。「せっ
かくミネアちゃんに男できたって聞いて、それも腕がいい人だって喜んでたっつーに……こんなスケコマシとは
ねえ!だから俺は、マーニャちゃんはともかく、ミネアちゃんは変な虫がついて酷い目に遭う前に、さっさとこの
村に戻って来たほうがいいって、今さっきも話してたんだ。まったくこれだから街の男ってのは……」
『ちょっと待ってください!』まくしたてる商人を、両手を突きつけ、黙らせる。どういう思いこみだ。俺は変な虫で
もなければ街の男でもない!
『俺は、ジョセフの……サンディのご亭主の友達なんです。今は、ジョセフのことを話してただけですよ』
「なんだと、ジョセフ……あのお坊ちゃんの友達?本当か?」
再び探るような目で見てくる商人に、俺はうなずいてみせる。友達ってほどじゃないが、ま、些細なことだ。
「するとお前さんは……サンマリーノって言ったかな、そこの街の出なのかい?」
『近くの村です』
「そうか。それなら……」急に商人の顔が崩れ、泣き出しそうになって詰め寄ってきた。思わず俺は身じろぐ。
なんなんだ?「あの坊ちゃんに、サンディちゃんたちを早いところ迎えに来て、街で一緒に暮らすようにって、言っ
てやってくれないか」
『え?ですが』言ってやって、と言われても、ジョセフは捕まってる。知らないんだろうか。
「親父さんが反対してるにしたって、子供の顔見せてやれば改めるだろうよ。だいたい、サンディちゃんの苦労を
考えてみなよ。この歳で普通の人間の何倍も苦労してきてんだよ。働いてたところ追い出されて……しかも
濡れ衣着せられてって言うだろ……しかもキャラバン隊だとかに売っ払われて、そいつらにおもちゃみたいに
されちまってさ……」
『………』
ハッとなって、うつむいたきり黙っているサンディを横目で見た。おもちゃみたいに、って……木馬遊びとか、コマ
回しされたわけじゃなく、やっぱ……酷いことをされてた、って意味だろう……。
582 :
:05/03/11 06:30:45 ID:Poor47S4
サンディが……こんな娘が……そんな、好きでもない男たち(たち!)の、慰み者にされてたってのか?
俺の頭の中に、今朝の忌まわしい夢のミネアさんマーニャさんにターニア、それに昨日の夜のあのウェイトレス
の娘やルナさんの姿が浮かんでは、それが次々にサンディの顔にすり替わる。サンディの場合は、夢でも、好き
このんでやってたわけじゃなくて、現実に、きっと無理矢理……。
「……しかも、そいつらにモンバーバラの街で酒場に売りとばされそうになって、たまたま聞いていたキレスたち
が間に入って、それでやっと自由になれて、あのお坊ちゃんとこの村で所帯持てたってわけだろうが。それが、
ジョンちゃんが産まれてすぐ坊ちゃんは手紙出すとかいって家に帰っちまって、それからサンディちゃんは、
女手ひとつでジョンちゃん育ててきたんだぞ。うっうっ、苦労してきたのに、サンディちゃんは素直でよくできた
娘だよ本当に。お前さんも、そう思うだろ?」
『え、ええまあ……』この商人、泣き上戸か。そんな、さも俺もよく知ってるかのように語られてもな……。
「だろ。そう思うなら何とかしてやんなよ。友達なんだろ?」
涙を拭きながら、商人が俺をじろりと見る。何とかって言われても、だから俺は別にジョセフと友達ってわけじゃ
なくて……。
「ようし!じゃあその相談のためだ。俺のうちへ来い。そこの道具屋だ。こないだいい酒が手に入ったんだ、それ
開けてやる」
『い、いいえ!』けっきょく飲みたいだけか!?『せっかくですが、今日はもう遅いですし、次の機会に』
それでもしつこく誘ってくるその道具屋を、なんとかなだめて家路につかせた。ったく、これだから酔っぱらいは。
だいたい、今の話だって、泣いてる娘の前でべらべら話すようなことじゃないだろうが。
でも、サンディとジョセフの関係についての、キレスさんの役割も何となくわかった。そのキャラバン隊と掛け合っ
たか、酒場と話し合ったのかのどっちかってところか。あの果物屋のおばさん、ただの話し好きなわけでなくて、
事件当事者の一人なんだな。どうりでよく知ってる口振りだったわけだ。
583 :
:05/03/11 06:40:29 ID:Poor47S4
再び、橋の上に、サンディと二人になった。冷えた風が後ろから吹き抜ける。少々、いやかなり寒い。
「……すみません」
サンディが俺を見上げてくる。何かをぐっと耐えてるような顔だ。泣きはらして、目の回りが赤く染まっている。
『あの……さっきの話だけど』本当なの、と言いかけた口をあわててつぐむ。そんなことを本人に聞いてどうする。
どうでもいい、過ぎたことだろ、それは。
「いいえ、わかっております……ジョセフ様は、あまり親しいお友達がいらっしゃらなかった方ですから」
『え?』
ああ……ジョセフの友達だって言い訳したことについてだ。俺とジョセフが、友達どころかたいして話もしたことが
ないのくらい、メイドの……それだけでなく恋人のサンディが、知っていてもおかしくない。
今思うとジョセフと、友達になってやれば良かったかな……。
俺もランドも、ジョセフを嫌ってたわけじゃない。まあ性格の不一致ってやつがあったが、あいつのおぼっちゃんな
性格なんて、ホルスの奴に比べればずっとマシだ。よく目が合ってそのたび軽く頭下げてきたし、向こうは俺たち
に関心はあったはずだ。意外に水泳がうまいって話もあったし、泳ぎに誘って競泳でもすれば、そこそこ仲良く
なれたかもしれない。
なのにそうしなかったのは……いちどカジノに誘ったとき徹底拒否されて俺たちがちょっとキレたこともあるんだ
が……あの町長の息子だって意識が、俺たちにあったってのが、原因だろうな。
584 :
:05/03/11 06:51:11 ID:Poor47S4
子供の頃、つまりだいたい7、8年前、俺とランドで初めてサンマリーノの街へ買い出しに行ったときのこと。道具
屋であの町長と出くわしたので、並んでこんにちはと挨拶した。すると、どこの村の者だって聞かれて、いくらこの
街の物が珍しいからって決して盗みをするな、子供だろうとすぐ牢屋に入れてやるから、と、泥棒か物乞いを見る
みたいな目をして言いやがった。さらには街を出るときも、次からはもう少しましな服を着て来いとかぬかした。
ところが、俺とランドがホルスの遊び相手って身分になったことを耳に入れたらしく、しゃあしゃあと手みやげ持参で
ジョセフを挨拶させに俺たちの泊まってた宿屋に来たという(ま、それが、ジョセフと話をした最初になるんだが)、
権威主義まるだしの、俺がいちばん軽蔑する類の人間なのだ。で、それから、街で会うと町長のほうから挨拶して
くるようになった。それだけなら別に構やしないが、街歩いてると今日はどちらにご用でしょうかなんて聞いてきたり
(カジノのタダ見なんて言えるか!)、マリベル連れてたりするとこれはお邪魔ですねなんて変な気を遣ってきたり
(帰り道マリベルの嫌味を聞く身になれ!)……正直、あの町長は、作法作法とうるさいキャントル司祭とか、何か
と突っかかってくる城下町のオルカとかと並んで、俺が顔も見たくない人間の一人になっている。
……そんな町長の息子がジョセフで、町長にこき使われていたのがサンディ。今考えれば、ひかれ合ったのも無理
ないかもな。同情から愛が芽生えるってやつだ。
「あの……お願いがございます」
サンディが、胸の前で両手を握り、俺を見上げてきた。「もし……もし、お客様が、ジョセフ様を救い出したいと、
少しでもお考えになってくださっているのでしたら……」まぶたと唇を何度も結ぶようにし、途切れ途切れに
言葉を出す。「私、ご主人様に手紙を書きますので……ご都合がよければ、届けていただきたいのです」
支援?ってこれでいいの?
586 :
:05/03/11 07:09:00 ID:Poor47S4
また手紙、か。一昨日マーズさんに頼まれて、昨日はバーバラに……ああ、アリーナにまだ手紙渡してねえや。
しかし……アリーナは今一緒だし、サントハイム城は行く予定あるからいいが、サンマリーノになんて、いつ行け
るかどうか、まったくわからない。アリーナが勇者かどうか確かめ、サントハイムに手紙届け……その前にまず、
ベレスを倒し、アリーナを暗殺しようとした奴ってのを突き止めなきゃならない。それ全部解決しても、レイドック
にいったん帰るかどうかを、一切決めていないのだ。
それに、あまりあの町長と関わり合いになりたくない……。
『悪いけど……サンマリーノに次にいつ行けるか、わからないんだ』
俺が後ろ髪をつかんで言うと、サンディは首を振った。
「いえ、ご主人様に直にお届けしていただかなくても、ハバリアの郵便屋さんに頼んでいただければ……お金は
もちろん、私がお出しいたします……」
ああ、そうか、郵便屋か。所定のゴールドさえ払えば、港と宿場のネットワークを使って世界じゅうのどこにでも
手紙を届けてくれる商売だ。レイドックでもシエーナの街にある。俺は、利用したことがない。わざわざ手紙出す
相手といったらヘンリーくらいだし、ヘンリーに出すときはホルスに頼んでるからな。
「その手紙を届けていただければ、ご主人様はきっと、ジョセフ様をお解き放ちになってくださると思います」
ハバリアはモンバーバラの北の港町だ。マーニャさんが[ルーラ]で行けるって言ってた街でもある。わけを話して
頼めば、連れていってくれるはず。きっとまた悪ふざけに付き合わされるかな……それはそれで喜ばしい。
「あの、駄目でしょうか……?」
サンディが懇願の瞳で俺を見上げる。うう、こんな目されて頼まれると、断れないよな……。
っと、待てよ?あの町長が、サンディの手紙くらいでジョセフを解放してくれるか?手紙の内容によっちゃ、余計に
こじらせるような気もするんだが……。
『それって、どんな手紙なの?』
聞くと、「………」サンディは目と唇をぎゅっと閉じた。「……内容は……お聞きにならないでください……」
うーん……サンディの思い詰めたような顔と態度が、どうも気になる。
587 :
:05/03/11 07:11:05 ID:KnzDltjv
『そうもいかないよ。届けて、もし町長の奴がますます意地になってジョセフを閉じこめるなんてことになったら、
俺も責任感じるからね』
「………」
『良ければ、教えてもらえないかな』
まあ当然の要求だろう。余計なお節介かもしれんけど。
しばらく、サンディは胸に握った両手を引き寄せ、黙って下を向いていた。
「……私は……」やっと絞り出すような声。「べ、別のかたと、結婚いたしましたと……ですから、私のことは、
どうか忘れてください、と……」
『え?』
呆気にとられる。た、確かに、それならジョセフは放免になるかもしれない。町長は、ジョセフに、サンディを諦め
させればいいんだろうから。
しかしそれじゃ……サンディと子供は、このままずっと、ジョセフがいない暮らしを続けてくんじゃないか!
苦労して結ばれたっていうのに、どうして、離ればなれで生きていかなきゃならないんだ。
『……そんな手紙、届けるわけにいかないよ』俺は、咎めるような口調で言った。『どうして君が身を引かなきゃ
ならないんだ。悪いのはみんなあの町長じゃないか。実の息子を閉じこめるなんて……』
「おやめください!」サンディが首を振った。「私が、私が悪いんです……使用人の身でありながらジョセフ様と
……。本当ならば、ジョセフ様が私をお想いになってくださっていると知ったとき、私はお暇を願い出なければ
ならなかったのです。それなのに……。けっきょく、私のせいでジョセフ様に道を誤らせてしまい、ご主人様との
間を裂いてしまった上、今は暗い牢の中なんて……。私が、私さえいなければ、ジョセフ様は……」
『……だ、だけどさ、君とジョセフは夫婦で、子供もいるんじゃないか』
「ええ。ですから私は……それだけで、もう、充分です」サンディはまた涙声になっていた。「二度とお会いできな
いと思っていたジョセフ様が、なんと私を追うため家を出られて……ジョセフ様に触れることもかなわないほど
汚れた私を、妻としてくださって……私、この村でジョセフ様と夫婦として暮らせて、ジョンを産ませていただい
て……ジョセフ様から、身に過ぎるほどの幸せを、私はいただきました。ですから、もう私は……いいんです」
588 :
:05/03/11 07:12:31 ID:KnzDltjv
『………』
口が引きつる。ジョセフが、サンディみたいな娘にここまで惚れられるほどの男だとは、とても俺には思えん。
でもそういやあいつ、女にはもてる奴だったな!女の子連れてるところを何度か見たし、若い奴らが“いったい
ジョセフのどこがいいんだ?”という情けない会話をしているのを、酒場、宿屋の2度、聞いたことがある。
あいつで誉められるところっていうと、身なりがさっぱりしてて、あとは……誉めてやったりなんかすると素直に
照れるのは、誉められる点に入るのか?次にジョセフに会ったら、なぜ女にもてるのか、じっくり観察してみよう。
「あの……では、お願いできないのでしょうか…………?」
サンディが悲しそうに半分伏せた瞳で頼み込んでくる。『……うーん』俺は前髪を掴んだ。手紙くらい頼まれてやっ
てもいいんだが……なんと言うか俺、どっちかっていうと、ジョセフよりもサンディを助けてやりたい気がするん
だよな……。といって、俺が今断ったところで、サンディは別の人に手紙を頼むかもしれない……そんなことまで
考えて俺が悩む必要はないわけだが、こうやって関わりになっちまったし……。
あー、こうなりゃしょうがねー!本当は、こっちからなんてあの町長と絶対会いたくないんだぞ。
『じゃ、こうしよう』俺は笑って言った。『今度レイドックに帰ったとき、ジョセフを牢屋から出すようにって、町長に
掛け合ってみるよ』
だいぶ先の話になると思うが、そんな手紙届けて、サンディと子供がジョセフと別れ別れになるより、マシだろ。
「えっ?」サンディの黒い瞳が大きくなる。「で、ですけど……ご主人様は頑固な方ですし……」
『これでも俺はホルス王子の従者だよ。町長だって逆らえないはずさ』
俺は胸を張るようにした。権力に弱いあの町長だ、俺がちょっと脅せば言うこと聞くだろ。
「ほ……本当、ですか?」
『ああ。ジョセフは友達ってわけじゃないけど、ま、いい奴だからね』
「でしたら、どうかお願いします!」サンディが深々と頭を下げる。「どうか……どうか、ジョセフ様を、お願いいた
します」
589 :
:05/03/11 07:21:10 ID:Poor47S4
『わかった』健気な娘だなあ。ジョセフなんかにはもったいない。『それで、もしジョセフに会えたとして、何か言づて
ある?』俺は笑って聞いた。『ジョセフのことだから、牢屋から出たら真っ先に君たちを迎えに来るはずだけど』
「……でしたら」サンディはまた下を向いた。胸の前の両手を白くなるまで握りしめたのがわかった。「私とジョンの
ことは、もう、忘れてくださいと……ジョセフ様に、お伝えください」
おいおい!それじゃ、俺の厚意はぜんぜん意味ないじゃないか!
『どうしてそこまで……あっ!』
タッタッタ。サンディは、俺の前を横切って、宿のほうへ走っていってしまった。
追いかけようとして、俺は足を止め、黙って見送る。心配は心配だが、これ以上俺がどうこう言うのはお節介が
過ぎる。あとは、ジョセフとサンディの問題……。
俺がしてやれるのは、レイドックに帰れたらサンマリーノに行き、ジョセフの奴を助け出すことだ。
しかしまあ……なんでたいして親しくもなかったジョセフを助けてやらなきゃならないんだ、という気もしないでもない。
いくらサンディに頼まれたからって……そのサンディとだって、今まで挨拶程度しかしたことなかったんだよな……。
なんというか、俺って意外と……お人好し、かもしれん。
さすがに散歩を続ける気が失せ、俺も、来た道を宿へと引き返していった。
《サンディの評価が上がった》
『……くしゃっ!』
宿の玄関をくぐったところで小さなくしゃみが出、肩を丸める。吹き下ろしの向かい風を浴び続けたせいで、全身が
冷え切っている。やっぱこの村、夜の散歩や夜遊びには向いてない。
しかもその散歩のせいで、サンディ、ジョセフと関わり合いを持っちまって、町長と掛け合う約束なんかしちまった。
少しばっか、不愉快な気分だ。
だいたい、俺はなんで、こんな寒いとこを散歩しようと思ったんだっけ?
「――もちろんあたしたちは無理にとは言わないよ。ふたりとももう、ちゃんとした大人なんだからね」
食堂から女将さんの声が聞こえてきた。宿の人でない誰かが、まだいるみたいだ。さっきの道具屋が最後の客だっ
ただろうから……今、話しているのは……。
590 :
:05/03/11 07:23:27 ID:Poor47S4
「でも……どうなんだい、ミネアちゃん」
ミネアさん!?食堂の入口にそっと近づいてみる。手前の椅子に座っているのは……紫の髪と、橙色のローブ、
やはりミネアさんだ!起きてきてたんだ。
俺は足を止め、入口のすぐ横の壁に張り付く。ああそうだった。なんだかその、寝てるミネアさんに欲情しかけて
……それで、身体冷やそうとして、散歩に出たんだっけ。
結果、冷えすぎるほど身体冷やしちまった上、サンディと話して、心まで冷え切っちまったような……。
「あたしらもミネアちゃんたちの評判は聞いてるさ。モンバーバラで占いを頼むならまず東3番横町のミネアさんだって、
モンバーバラに行った人みんなが言ってるよ。ミネアちゃんは……もちろんマーニャちゃんも、この村の誇りだって
思ってる。エドガンさんと同じくらいね。けどねえ……ガマクさんが言ってたのと同じこと言っちまうようだけど……
いくらジプシーの血が流れてるからって、宮廷錬金術師エドガンさんのお嬢さんて人が辻占なんて商売してるなん
て、村の者みんな、心苦しいんだよ」
淡々とした女将さんの語り。どうやらミネアさん、お説教されてるみたいだ。
「………」
女将さんに答えるミネアさんの細い声が聞こえたが、ごくかすかで、言葉までは拾い取れなかった。
「うんうん、バルザックだよね。気持ちはわかるよ。ミネアちゃん、ちっちゃい頃からエドガンさんにものすごくなついてた
ものねえ、だからバルザックの奴を憎むのは仕方ないよ。あたしらだって、もし見かけたらとっちめてやりたいって
思ってるさ。でもねミネアちゃん、エドガンさんはね、きっと、ミネアちゃんたちに仇討ちなんて危ないことさせるよりも、
普通の女らしく、幸せになってほしいって思ってるんじゃないかねえ」
仇討ちをやめて、この村で静かに暮らすように、っていうお説教か。深刻な話だな。
俺としては……ミネアさんたちに仇討ちを諦めて欲しくない。俺もバルザックに個人的な怨みがあるってのもあるが、
諦めてしまったら、ミネアさんにとっての俺の存在価値がなくなるような……って、なんだそりゃ?ミネアさんの声聞い
たせいで、俺の頭、また暴走しはじめたか。
591 :
:05/03/11 07:32:47 ID:Poor47S4
ん?でも女将さん、変な言い方をしたな。小さい頃からものすごくなついてる……?
父親に子供がなついてた。事実としては比較的当たり前なのかもしれないが、親しいのが普通な父子の場合に、なつくっ
て言葉使うのは、ちょっと違和感がある。
……でも、ま、ターニアが俺になついてる、ってよく言われるしな。ただほかに言葉がなかっただけのことか。
「今日連れてきたあの子、力あって畑仕事もできそうだし、いい子じゃないか」女将さんの話が続いている。この連れて
きたあの子って、俺だろうな間違いなく。「だから、ミネアちゃんに気持ちがあるならさ、あの子と所帯持って、この村に
帰ってきたらどうだい。ね、そうしなよ」
『………!』
なっ?……な、何てことをミネアさんに言うんだ!ここの村の人、勘違いにもほどがある!
無性に、怒りが……それとなぜか焦りが湧いてきた。
ミネアさんも、女将さんたちが誤解しているだけだとわかってるはず。けれど……ミネアさんて思い込みが強いほうだか
ら……だから?
「う、ウィルさんはっ!」ミネアさんの叫びが聞こえた。同時にガタリと椅子の動く音。
今の声の悲痛な感じ……ミネアさん、きっと今、必死な顔だ。
「う、ウィルさん、は……そ、その…………っ……」
次に聞こえたのは、うって変わって、だんだんとか細くなる、弱々しい声だった。
『………』
いつの間にか全身が強ばっていた。呑んだ息がそのまま止まっている。そ、その続きは、ミネアさん……!――――
1.そのまま、俺は、息を殺し、ミネアさんの言葉の続きを待った。
2.いたたまれなくなり、俺は、食堂に飛び込み、『違います!』と叫んだ。
3.聞いちゃいけない……俺は、そっと玄関へ戻ると、扉を閉める音を廊下にわざと響かせた。
ウィル(村の少年) 職業:商人2+盗賊2 作戦:ガンガンいこうぜ(速攻)
打撃3 防御2 敏捷3 魔力0
体調:軽傷 精神:好調
装備:破邪の剣〈ブーメラン〉+旅人の服〈旅人の服〉
道具:薬草x4、キメラの翼、爆弾石、青紫色の玉、(マーズの手紙)(グレーテの手紙)(ターニアの風鈴)
呪文:(インパス) 特技:砂煙、力ため
現在地:サントハイム王国コーミズ村 所持金:40819G <5日目・深夜>
2週間を4日もオーバー・・・保守してくださった皆さま、ありがとうございますた
インフルエンザはいい、有給使い切ったのもまあいい。祖母、看病に来ないで_| ̄|○
日曜、やっとお帰りになったのを見計らってメール書きまくりお気に入りサイト巡りに2ちゃんブラウザ閲覧・・・
そして参考図書をベッド下から引っ張り出してテキストエディタ起動。清潔な孫も楽じゃない
・・・何の言い訳にもなりませんでつね。大口叩いといて毎回お待たせしてしまい、申し訳ありませんです。。。m(_ _)m
でもって今回も激しく長いだけで時間軸がまったく進んでない。主人公、考え事大杉、おまけにエロ杉w
ジョセフ&サンディは、ストーリーと○○ン○シナリオとサービスシーンに絡むだけなんで、こんなに文字数使う必要なかった気が(なら削れよ!)
>536 お待たせしすぎてしまい申し訳ありませんです。。。
>538-539 裏というより、ゲーム本編そのまんまな話だったりしまつ
>540 3だと何事もなく散歩して宿に戻ってきますた。漏れも読む方々も楽ですたねw
>543 でつがここまで延滞が重なると申し訳が立たず・・・なんていうマイナス思考はとっぱらえですね。GMはも少し図太くならねば(なんか違う)
>544 ありでつ!無理するつもりはないのでつが、いろいろありすぎて無理をしないとならない状況が続いてますて・・・
>545 では今回は長杉でつね・・・どうかめげずにご参加おながいします
>547 集計ども。2だと、2−1でミネアシナリオ、2−2で雑魚と戦闘ですた
>585 支援ありでつ!朝の更新は辛ひ・・・FF12あたり発売でまた常時祭りになってほすい・・・
スレ違いになりまつが、ゲームブックスレの新GMさんが絶好調!筆が速くかつ的確になる秘訣を教わりたいでつ・・・
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
乙乙乙乙。
3でいくよ、3で。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
乙、リアルタイム読み失敗したよ、俺が寝た直後かよ・・・寝れないからネットやってて結果寝たのは5時半頃だってのに・・・
まあ、しょうがない、終わったことだ・・・
そんで選択肢は2で
3だな・・・。聞くのがコワーイ
う〜ん。判断に苦しむな…
ここはみんなの投票の様子を見てから決めるか…
3
「僕は何にも聞いてませ〜ん」ってな顔して。
話を進めるためにも1
1かな
緊急回避ばかりではじれったいし、そろそろ踏み込んだ展開が見たい
お疲れ様です。
俺も1でお願いします。
601 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/12 19:04:26 ID:sDp9WXjK
1.で
当事者以前に男として
GMの意向をくんで1
ふ〜む、ミネアの言葉の続きを聞きたいという意見が多いな…
それじゃあ、支援して1
age
605 :
集計:05/03/15 22:15:42 ID:SMnUsXYX
1.6票
2.1票
3.3票
場つなぎ殿、ふと気になったことが、
ジョセフは、これまでの話からして奥手で、子作りは結婚してからと言って婚前交
渉する可能性が低ような感じがします。
それより、ジョセフの親父が息子の想い人に手を出し子供まで出来てしまい。醜聞
を揉み消すためサンディに濡れ衣を着せて追い出した。売られた先のキャラバンの
誰か(日数が決め手ですが)に孕まされた方の可能性が高い様な気が・・・
きっと、思春期なジョセフがついやってしまった。これだと濡れ衣を着せてまでサ
ンディを追い出す必要性が・・・(汗)、きっとジョセフには許嫁がいて町長がお
父さんこんな事許さんゾ的なノリで追い出した。これでも濡れ衣を着せるより気付
かないフリしてジョセフをどっかに修行に出してその間に別の誰か(真面目で一旦
結婚したら別れ辛い奴)とサンディを結婚させた方が・・・(大汗)
保守、と…
まだたったの1週間
余裕余裕
「……ウィルさん、には…………」聞こえた。小さいながらいくぶん落ち着いた、ミネアさんの声。
全感覚、耳へ集中!
「ウィルさんには……もう、定まった方が、いるんです」
……へ???????
「ですから……そんな、しょっ、所帯だなんて……そんな話は、ウィルさんとその方にご迷惑ですから、
やめてください!」
な、な、何言ってんだろ?ミネアさん。
俺に定まった方、つまり、恋人、婚約者……そんな人、俺にいるわけないじゃないか!
はっ!もしかしてこれって“私よりふさわしい人が……”とかなんとかの、お断り常套句?
ガタ。椅子が動く音。靴底が床を擦る響き。まずい!俺は反射的に、張り付いていた壁際から数歩玄関
側へ爪先で飛び退き、半回転して前を見た。
食堂から出てきたのは、伏し目で眉を下げたミネアさんだった。「………!」すぐ俺に気付き、驚いたように
目を大きく開け、こちらに向いた足を止めて、立ちすくむように呆然と俺を見てくる。
俺は―――
1.『よかった。起きてきてたんですね』素知らぬふうで笑ってみせた。
2.『俺の定まった方って、いったい、誰のことですか?』ミネアさんを見据え返した。
3.『………』黙って、ミネアさんから目をそらした。
えー・・・残業中にこんばんわw
ゲームブックスレ(とメタキン鎧スレ)のGMさんの爪の垢を樋口一葉で買いたい今日この頃でつ
>595 こんな結果でしたが・・・怖かったでせうか?
>596 あまり先延ばしにされると漏れが悩みまつ・・・
>>597までは3で決まると思ったんでつが
>597 3だとそのままミネアシナリオ突入。主人公のその後の対応が消極的になりますた
>598>599 進むはずの1でも話が進んでなくてすみませんでつ
>601 男としてならむしろ・・・でもかえって1が真に男らしい行動になるんでせうか?
>602 実を言いまつと、ここはこのまま1の流れで進むはずだったんでつが・・・
その後の対応に詰まって選択肢になったという、漏れのいつもの手抜きですたw
>603
>>596さんでせうか?雰囲気には流されるのがギャルゲーの基本・・・でつかね?
>605 いつも集計ありでつ。申し訳ないでつがsageていただけないでせうか
ジョセフとサンディについてはそれほど深く考えていなかったりしまつ。こうなればこうなるだろ、みたいな
>606-608 保守していただいててたったこれだけの更新・・・スミマセソ
1は無理
2は地雷の予感
3にします
3
新しい選択肢作っちゃっていいすかね?
いいのなら4(と言うか2・5だが),「俺には定まった方なんていないはずですが」の後2に続く。
駄目なら2で、
メタキン鎧スレ知ってましたか、ついでに宣伝しときましょうかね。
↓「メタルキングの鎧は連金しない方がいい 」(今はDQ2ゲームブックスレになってます。18カラットではありません、当然ながら)
ttp://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1110560626/ と言うかここですよね?GMさんが言ってるのは。ついでに「れんきん」の「れん」が誤字ってます(スレのタイトル自体が)。
FOXがうざいので2
FOXがうざいので1
思ったとおりの反応しますね、あなたたち。まあ勝手に言っててくださいよ
>>616 実際、過去のGMがすぐに辞めてった理由は、
粘着コテハンがあれこれと文句を言ったことだった気がする。
かく言う俺もGM経験ありなんだけど、粘着房はうざかった。
このスレは基本GMが主役なんだから、一享受者として目立とうとか自治気取りにならないほうがいい。
貴方は何者でもないんだから。
みかるみたいにはならないように。
分かりました、すいませんでした。
文句すら言われることなくその役を終えた自分は一体・・・otz
粘着房の経験も多数あるし、自分のこと言われてるようで耳が痛いなぁ。
FOXさんもこれにめげずに精進してくださいネ!色々経験して成長すれば良し!
選択は2
620 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/24(木) 18:19:58 ID:csGg+VHp
3.で今後の展開を考えると有耶無耶にしておく方が妥当かも。
2.を選ぶとミネアで決定しそう(後日、ルドマン・フローラと対決だな)。後で別の誰かを
選ぶならその時はマーニャにウェルダンで焼かれましょう。
選択肢追加して良いのなら
4.ターニアを助けるまでその答え待ってくれませんか(これで逝くと断るときにマーニャに
刺されるかミディアム位で焼かれる覚悟が必要か)
「えっ……」ミネアさんは戸惑った顔になり、一瞬、何かを疑うような目で俺を見た。
しかしすぐ、目線を下に向ける。「……聞いて、いたんですね……」
『帰ってきたらちょうど話が聞こえたんで』早口で言い訳。『それより、今の、どういうことですか。まるで、
俺に今、恋人がいるみたいじゃないですか』
「……………」ミネアさんは、両手を腰の前で握り、目を伏せている。
占い師なんて仕事してるミネアさんだけど、商売のときはともかく親しい人の前で、嘘八百を平気で言える
ような人じゃない。思い込みの強いほうだから、俺と誰かの仲を誤解してるか……。
あっ!ひょっとして、変な噂で俺に迷惑かからないように、敢えてありもしない恋人をでっち上げたんじゃ?
『その……変な誤解されて、嫌な気持ちなのはわかりますけど』俺は、髪に手をやり、声を和らげて言った。
『ほかにも言い方はあったと思いますよ。俺に、別な恋人いるなんて嘘、つかなくても』
「いるじゃないですか!」
ぎょっとなった。ミネアさんの、感情的に裏返った声と、伏せた顔からの俺を呪うかのような赤紫の眼光。
一瞬、昨日の夜見たマーニャさんの真紅の炎が、なぜかいま目の前で燃えあがった気がした。
じゃあ……ミネアさんは、その場しのぎの嘘を言ったわけじゃなく、本当に俺に恋人がいるって思ってる?
『だ、だったら、誰なんですか、その人って?』
「ウィルさん、まだわかってないんですか!?」
眉間をせばめて俺を見つめて叫ぶミネアさん。両手が膝のローブを握りしめ、しわにしている。
『あの……』言いかけてふと、背後の食堂口から女将さんの顔が半分のぞいているのが見えた。痴話喧嘩
だって思われるかなこれ。早いとこ収拾つけないと、ともかくもせっかく解けた誤解が、復活しちまう。
622 :
:2005/03/25(金) 01:03:39 ID:kkCnEK5/
『あの……その人って、俺とも、ミネアさんとも、会ったことあるんですよね?』
「当たり前です!」うっ、そんな本気でにらまないでくださいミネアさん、いま必死で考えてるんですから。
誰だ?俺と今まで一度は会ってて、ミネアさんとも会ってる女の人なんて、そういないはず―――
1.『……だめだ。思いつきませんよ、ぜんぜん』
2.『その……その人は、ミネアさん、では、ないってことですか……?』
3.『もしかして……【XXXX】のことですか?』(【XXXX】に入る名を下より選択)
3−1.ビアンカ 3−2.マリベル 3−3.ターニア 3−4.キラちゃん 3−5.フローラさん
3−6.バーバラ 3−7.ユルルちゃん 3−8.マーニャさん 3−9.ミレーユ 3−10.マーズさん
3−11.フレアさん 3−12.アリーナ 3−13.クリフト 3−14.サンディ 3−15.<<入力してください>>
今回、規則通りなら先着順で3でつが、
>>613を0.5票とカウントして、2が2.5票としますた
どれを選択したかは、できるだけはっきりおながいしますです。。。
>611 ご明察の通り、1だとカンのいいミネアにバレますた。2は・・・これからが地雷?
>613 あちらのGMさん2つのスレ掛け持ちしてしかも15分で1レス分書けるなんて・・・
18カラットのDQ2といえば、偉大なるさんかく工房様の次回作はDQ2が舞台のようでつね
>619 誤字脱字に矛盾そして何より稚拙な表現の羅列なのにほとんど文句の言われない漏れは一体・・・
しかもそれを1年以上続けてるわけで・・・寛容なる住人さんの愛情を思うたび恐縮してしまいまつ(ノД`)
>620 ・・・??聞いてるのは主人公なんでつが。あとマーニャは焼却だけでなく発破もできまつよw
623 :
620:2005/03/25(金) 18:38:49 ID:I6POumTc
失聞いてるのは主人公の方でしたか、礼しまつた。
今回の選択肢は
3−13.クリフト
ミネアが暴走してくれるのを期待して、ボケてみまつ。
焼却だけでなく爆破もでつか。するとミネアを悲しませると
「あんたよくもミネアを玩具にしてくれたわね。花火になるかウェルダンで焼かれる
か好きな方を選ばせて上げるわ」
1.・・・香ばしく焼いて下さい
2.ミディアムにまけてくれませんか
3.・・・綺麗に打ち上げて下さい
4.48計逃げるが勝ち、キメラの翼を使い天井に頭をぶつけ気絶して殺る気を削ぐ
5.助けて神様、天に祈ってみる
1で
>>623はボケるようなのでこっちはマジでいくか…
3−5.フローラだな。
ミネアとのファーストコンタクトが、主人公とフローラとの相性占いだもんな…
ここら辺がキャラクターとプレイヤーの差かな。
キャラクターにとってわずか数日前の出来事でも、
プレイヤーにとっては1年以上前の事なんで、あんまり覚えてないしな…
……いや、別に進行遅い事を責めてるンジャナイヨ?
3−5
何ヶ月か前のことなんて
覚えにありませんよ
普通に1だな。わからんもん。
せっかくだから3-13
3−5!!!!!!!!
>>625 そういえばそうだったな。
俺も3-5で
3-5なんだろうけど個人的に3-13の反応をみたいので3-13で
展開がわからないので3-5
3−5で選択打ち切りますです。。。
ほ
hosyu
「そうです。あのお嬢さんです」ミネアさんがほっとしたように眉間を緩める。「わかっては、いるようですね」
『………』俺は壁を向いた。フローラさん、か……。
たしかに、俺の“定まった人”に一番近いのが、フローラさんだ。
ビアンカとターニア以外に全裸を見られたのも、出会った瞬間からのぼせ上がって口説きにかかったのも
(そうだったっけ俺?)、俺とターニアに降りかかった災難を正直に話したのも……何よりも、俺が女性に
愛の告白ってのをしたのも、フローラさんが初めてだった。
……でも、その程度のことで“定まった”と言えるんだろうか?
俺は告白はしたが、フローラさんから返事をもらってはいない。次に会ったときという約束だ。フローラさんが
いい返事くれるなんて決まったわけじゃない。俺にとってフローラさんは特別な女性に見えても、フローラさん
にとっちゃ、他国の一村民の俺は、そこらにいる男と大差はないはず。しかも突然転がり込んで二日間世話
してもらい、服と金を用立ててまでもらった、ほんと情けない男だ。優しいフローラさんだから、そんな男に
いきなり厚かましくも告白なんてされて、戸惑ってどうしたらいいかわからなくて、その場は言いつくろって
先延ばししたってだけで、たぶんきっと、俺のことなんか……。
“私、ウィルさんに打ち明けてもらって、とても嬉しいのに……”
“……はい、ウィルさん、かならず!”
あのときのフローラさんの薄紅色の頬と、重ねてきた白い手の緊張した冷たさが、頭に蘇ってくる。いや、
だからあれはきっと、フローラさんの、ただの優しさというか、気遣いというかで……。
「……迷うことはありません、ウィルさん。あのときの占いには、フローラさんのウィルさんへの気持ちが、
はっきりと出ていましたから」
『……!』
俺がぎくりとすると「………」ミネアさんは小さくため息をつき、顔を背けた。そして「やっぱり、ウィルさんは
私の占いを信じていないみたいですね」言うと、非難のこもった横目でじろりと俺を見た。
638 :
:2005/04/05(火) 19:38:04 ID:N1zWieUi
『………』まだ、怒ってるのかな。せっかく相性占ってもらったのに、フローラさんが俺を想ってくれてるって
結果を、フローラさんも俺も認めようとしなかったこと。
俺でなくても、信じがたいはずだ。フローラさんに世話になりこそすれ、何かしてあげたわけじゃない俺が、
フローラさんに好かれてるなんて。出会ったときとかにちょっと誉めたりもしたけど、あんな軽い美辞麗句なら、
白薔薇のフローラさんなら人と会うたび言われてるはず。一目惚れってセンもあるんだろうけど、裸で転がっ
てた男に、フローラさんみたいないいとこのお嬢様が一目惚れなんてするか?そういうのは、王子様の専売
特許じゃないか。
「ウィルさん」黙っている俺に、ミネアさんが呆れるように目を閉じて息をつくと、急に唇を結ぶようにし「来て
ください」すっと、歩き出した。
『え……?』
俺はあわてて、玄関へ歩いていくミネアさんの後を追った。
《ミネアの意識に変化が起きた》
《ミネアの評価がちょっぴり下がった》
寒風を背中に受けながら、ミネアさんは村の道を東へ早足で歩いていく。
その三歩後ろを、マントを二の腕まで覆って、同じく早足で……できればもう少しスピード上げたいんだが……
ついていく。
たぶん、ミネアさんの家、エドガンさんの屋敷に行くんだろう。でも、帰って休むためにしては、俺を連れて行く
理由はなんだ?まさか、ターニアやバーバラみたいに、俺に添い寝してくれってわけじゃないよな。万が一
そんなことになったら……さっきは何とか封じ込められた欲情を、制御できるかどうか。今だって、ミネアさんの
長い髪が風で大きく舞って、後ろ髪の生えぎわがチラチラ見えたり、風にぴったり押さえられたローブがミネア
さんの腰の二つのまるみと二本の太股を浮き立たせていて、またなんか妙な気分になりそうなんだから。
……俺、なんで急にこんな欲求不満になってきたんだ?やっぱ、あの夢のせいか?
639 :
:2005/04/05(火) 19:39:59 ID:N1zWieUi
先ほどサンディと話をした丸木橋を渡ると、ミネアさんはやはり、屋敷のある北に足を向けた。玄関の外で
一度俺を振り返ってから、ずっと前を向いたままなので、まだ怒っているのかは、わからない。
フローラさんについて話していて“来てください”だったから、屋敷に、フローラさんと俺との間に影響するもの
でもあるのだろうか。それとも、眠る前にミネアさんが俺に言った“お聞きしたいこと”なのか。
俺がフローラさんに告白までしていることは、ミネアさんにも誰にも、話していない。ミネアさんが、フローラさん
と俺の関係で知っているのは、あの1度きりの占いだけのはずだ。ミネアさんて案外お節介なほうだから、
フローラさんとの仲を応援したいとかいう気持ちなのかも。
それは、俺とフローラさんの問題だ。もし仲を取り持ちましょうとミネアさんが言ってくれたとしても、きっぱり、
断るべきだ。
屋敷の玄関に着く。ミネアさんは、暗いせいか二度ほど失敗してから扉に鍵を差し込み(というか、あのどさ
くさでもちゃんと施錠してたのか)ちらと俺を振り向いて一瞬俺を見つめ、さっと顔を前に戻し、中に入った。
ミネアさん、どっか緊張してるような……気のせいか?
燭台に灯がともされる。暗闇をじんわり照らす黄色い光に、何となく身体が暖まる。その燭台を、ミネアさんは
手に持つと、居間を横切り台所に進んでいった。ここで話をするんじゃないのかな。首をひねったとき、木が
こすれる音がして、冷たい風が吹き込んできた。ミネアさんが勝手口を開けたのだ。「こっちへ」ミネアさんが
妙に正した姿勢で言う。燭台はすでに消えていた。
『………』
屋敷の裏で俺に用か。ますますわからなくなってきた。俺はマントを直すと、ミネアさんが開いている戸の
外を見た。『あ!』目の前に、白く輝くものが広がっていた。池だ。真夏の朝の海のように青ざめて澄み
切った水面に、風でさざめく波が月の光を受け星のように瞬いている。さらに池の中心に浮かぶように、
漆黒の屋根、灰色の壁の家が、立っていた。
640 :
:2005/04/05(火) 19:44:15 ID:N1zWieUi
「出てください」言われて、俺は青い池と黒い家を眺めたまま踏み出し、池のほとりまで行ってみた。風が
吹きつけてきたが、もう大して気にはならなかった。その家は、家と言うには小さいが小屋というには大きく、
煙突が3本もあった。家が建っている島は赤い地面がむき出しになっていて、取り囲む池の不思議なほど
青さとコントラストを作っている。そういえば水草が見あたらない。モンバーバラ劇場の池みたいに手入れを
する人がいる……はずもないな。
「あれは、父の研究所です」振り向くと、ミネアさんはすぐ後ろにいた。
『へえ、エドガンさんの……こんな綺麗な池の中で、錬金術をなさってたんですね』言いながら、もう一度
見渡す。あれ、橋らしいものが全然ない。歩いて渡れる……わけじゃなさそうだ、けっこう深そうだから。
『あの島、どうやって渡るんですか?』
聞いてみると「………」ミネアさんはなぜか少しうつむいた。「……今は、ちょっと待ってください。明日の朝、
案内します」
『え?』俺が行ってみたがってるのだと勘違いしたみたいだ。『いえ、別に……』否定しようとして『……じゃ、
そうします』うなずく。ま、どうせ、世界最高の宮廷錬金術師エドガンさんの研究所、この機会に見学して
みたいしな。
でも、あの研究所に用がないんなら、どうしてここまで俺を連れてきたんだ?
『それで……』聞いてみようとしたそのとき、
「……ウィルさん」ミネアさんが、見つめてきた。何かの決意をこめ、何かを訴えるような瞳で。
「あなたとあのお嬢さんの運命を、ここで、私に、占わせてください!」
『えっ……』ミネアさんの熱く真面目な眼差しに、頬が緊張する。俺とフローラさんの運命……なんでまた。
そしてなぜ、この今?
『……どうして、ですか』俺は直截に言った。『俺とフローラさんのことは、ミネアさんに、関係ないでしょう』
641 :
:2005/04/05(火) 19:46:38 ID:N1zWieUi
「か、関係あります!」ミネアさんは顔を赤くして、怒鳴るような声で叫んだ。「人を占うということは、占う者と
占われる方の運命が交錯すること。ウィルさんとフローラさんの相性を占うことで、占った私もおふたりの
運命に巻き込まれたのです。ですから、おふたりの相性……ほんとうはお気持ちを占った私が、次も運命を
占うのは、当然なんです!」
『………』あの。俺が言いたいのはそこじゃなくて……。『ミネアさ……』
「それに」俺を遮り、ミネアさんは続ける。「運命を占う場所として、私、この池よりもいい場所を知らないんです。
それに、月が半分以上欠けてしまっては、運命を占うことは難しくなるんです。私、すみませんけど未熟なんで
……ですから、占うには今夜しか、ないんです!」
額に汗を浮かべて力説し、せがむような表情で俺を見つめてくる。
『………』俺はたじろいだ。俺の聞きたいのは、頼みもしていないのに、フローラさんと俺の運命をなぜ占いたい
のかだが……その答えは、ミネアさんにとって、そうとう重くて真剣なものみたいだ。
どうしよう―――
1.占ってもらう
2.理由を聞く
3.とりあえず襲う
新年度、おめでとうございまつ!
いろいろとお忙しいでせうが、引き続きお付き合いのほど、お願いいたしますです。。。
>623 一番乗り、ありでつ!クリフト引く方、やはりいますたか・・・
その選択肢だと漏れならどれもゲームオーバーにしてしまいまつよw
>625 シナリオ的考察も含めてその通りでつ・・・_| ̄|○ スミマセソ
>626 1年前はグイグイ強引に書けてたんでつが・・・考えすぎるようになってしまい。壁でつかね
>627 1だと、評価が下がる代わりに少し有利になったかもです
>631 3−13ですと容赦なく評価激減でイベント終了ですた。アリーナ好きの人には良かったかもです
>632 そうでつよね・・・もう少し筆も展開も早くしたいと思いながらもの2005年度・・・
>634 全板トナメでつか。前回は漏れが2ちゃんねるに来て間もなくの頃だったような
無事二次予選通過したみたいでつね。板住人の一人として、おめでたうございまつ
歴代GMさんたちならすすんで支援に行かれたでせうに・・・ううっ、今の漏れはここで手一杯でつ。スミマセソ
>635-636 保守、ありでつ!スクエニ暦03・・・もうそんなに経つんでつね
643 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/05(火) 20:32:47 ID:0qb2PSYn
やった一番
1で
ageちゃったorz
すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいまs(ry
1
それで気が済むんなら勝手にしてくれ
646 :
集計:2005/04/06(水) 02:01:59 ID:lkQmMHU2
お久しぶりでつ、場つなぎ殿
605では失礼しまつた。605はsageておいて下さい。
ジョセフとサンディの関係の提案
ジョセフと親父がゲマに進化の秘法の実験台にされる。
化け物のような姿になったジョセフは自殺を図るが親父に阻止され、地下牢に監禁される。
進化の秘法で化け物のような姿にはならなかったが、急に大きな力を得た親父は、心のバラ
ンスを崩す。ジョセフが自殺し掛けたのはサンディの性だと勝手に思いこみサンディを苦し
めるため、濡れ衣を着せキャラバンに売り払う。地下牢のジョセフにはその事は知らせてい
ない。
というのはどうでつか。
おまけ
ゲマ 進化の秘法により人から異形の者となったエドガンの成れの果て。
使っても異形の姿にも精神の安定を崩すことも無く、使用者の力を望む形・大きさに増大さ
せる完璧な進化の秘法の完成を目指している。勇者を付け狙っているのは研究を邪魔されな
いため。ゲマが目指しているものは、世界の破滅でも魔族による世界の統治でもなく。どれ
だけの犠牲が出ようと己の手で進化の秘法を完成させること。最初に主人公をすっぴんから
商人・盗賊にジョブチェンジさせたのも進化の秘法による技。
まぁ1だよね〜
なんだかわからないが、ミネアさんが俺にこんなに頼んでるんだ。やりたいように、やらせてあげたい。
『……じゃ、お願いします』
俺がうなずいてみせると、ミネアさんはわずかに微笑むように表情を崩し、すぐまた緊張の面持ちになって
うつむいた。
「そ、それでは……後ろ、向いててください」
『え……あ、はい』池に身体を向ける。後ろをって……占い用の装束に着替えるのか、それともおまじないでも
かけるのか。こうなったら好きにしてくださいだ。
『目は、開けていていいですか?』
「……かまいませんけど……でも、できれば、いいと言うまで、閉じていてください」
『わかりました』目を閉じる。まさか池に突き落としたりなんてしないよな、ミネアさん。
背後でミネアさんが何をしてるのか気配で探ろうとしたものの、風が強くて感じ取れない。運命を占うのは
ものすごく難しいと、ミネアさんは一昨日言っていた。きっとそれなりの段取りが……長い精神統一、“斎戒
沐浴”、細かい儀式なんかが必要なのかも。準備に時間がかかりすぎてずっとこのまま、目を開けたら朝だっ
た、なんてことは……ないとは思うが。
649 :
:2005/04/06(水) 19:06:29 ID:hrRQ4Yin
ん?……遠ざかる、ミネアさんの足音。続いてお屋敷のほうで戸が開く音がした。まさかミネアさん……本当に
このまま朝まで放置?イタズラなら怒りますよ!
ま、でも、これがミネアさんの悪戯なら、かかってみるのも楽しいかな。
楽しい悪戯と、そうでない悪戯がある。俺が魔法書なんかを読んでるとき“後ろの正面だーあれ?”と俺に
目隠ししてくるターニアは可愛いほうだし、目隠ししたのがターニアの手で“だーれだ?”がビアンカの声なん
てのも、機嫌悪いときでなければまあ許せる。しかし、朝起こしにきて俺が眠ったフリをしているのに気付き
[メラ]か[ギラ]の詠唱をおっぱじめるビアンカの脅迫や(暴発したらどうすんだ!)、木に羽根がひっかかった
から取ってくれと言い、木の幹を蹴飛ばした俺の頭にお化けなめくじを降らせるマリベルの悪ふざけは、
返礼するに値する。寝ぼけてるビアンカの背中によく冷やしたトマトを投げ入れたり、ちょうど下を通りがかった
マリベルの頭の上にヤモリを落としたり……俺がそんなだから、ビアンカもマリベルも、油断してる俺を見たら
何かしてやろうと企むのかもしれない。ま、そんな子供っぽい報復合戦なんて、もうだいぶ昔の話だけどな。
ん、もしかしてこれも、さっき部屋に忍び込んで何かしようとした俺への、ミネアさんなりの報復なんじゃ?
まさかな……俺、じっさい、何もしてないんだから。
『……!』
不意に、そばを何かが静かに通り過ぎた。驚いて開けかけた目に紫の髪が見え、あわててふさぐ。ほっ、どう
やら、イタズラじゃなかったみたいだな。
「……いいですよ、ウィルさん」まもなく、すぐ前からミネアさんの声が聞こえた。震えてる声だ。目を開ける。
風にさらさらなびく、ミネアさんの長い髪が眼前に見えて……。
650 :
:2005/04/06(水) 19:07:32 ID:hrRQ4Yin
『……!?』
ぎょっとなった。髪の隙間から見える背中、ふたつまろやかに張り出す柔らかそうな臀部、さらに肉づきのいい
太腿からほっそりしたくるぶし……上から下まで艶やかな褐色の肌……ミネアさんは裸だったのだ!
『み、ミネアさんっ……!?』
思わず身を引き、横を向いた。心も身体も一気に緊張する。な、何考えてんだ、ミネアさんは!
「……それ、お願いします、ウィルさん」声と肩の震えは、寒さのためか、恥じらいのせいか。
『それ?』
ミネアさんの右手が俺の足下のあたりを示した。ミネアさんのローブと大きな白い綿布、サークレットと首飾り
が、丁寧に草の上に置かれていた。『これ、ですね』今にも風に飛んでいきそうなそれをすばやく拾い上げる。
下着もあるはずだが、うまくローブの中に折り込ませてあるらしい。
「それでは、はじめます」
言って、ミネアさんは頭の上に水晶玉を乗せるように掲げ、池のほとりにしゃがむ。ちゃぷ、水音がし、青い
冷たい池の中にミネアさんの身体が沈んでいく。『………』俺は、息をのんで、ただ呆然と眺めていた。
「ウィルさん」華奢な肩胛骨の下まで水中に潜ったところで、ミネアさんはこちらを見た。「フローラさんを心で
想いながら、この水晶玉に集中をしていてください。うまくいけば、あなたがたの未来が、月の光と水晶玉を
通して、ウィルさんにも、見えるはずです」
水の上のミネアさんの顔は、すでに血の気が引き、真っ青だった。
『ま、待ってください、ミネアさん!』我に返ったような心地で俺は叫んだ。『い、いいですよ、そんな!俺と
フローラさんの運命でしょう。ここまでしてわざわざ占ってもらわなくたって、自然に、なるようになりますよ!
はやく、上がってください!』
「……たいしたことじゃありません」ミネアさんは目をそらした。「ほんの少し、寿命を縮めるかもしれません
けど……ほんの少しです。水も、そんなには冷たくありませんから」
じ、寿命を縮める?『それ……俺の寿命ですか?』
「いいえ、まさか。もちろん私の寿命です」
なっ……?ミネアさん、自分の寿命を削ってまで!?
「……はじめますわ」
あぜんとなる俺の前で、ミネアさんが池の奥を向き、岸から離れはじめる―――
1.見送る 2.とめる 3.逃げる 4.入る 5.投げる
夕食の合間に翌日更新
>643=644 一番乗りどもでつ!焦って書き込んでいただけるようなシロモノと思われたなら嬉しいでつ!
>645 投げやりでつな・・・このスレでミネアって人気ないんでせうか?
>646 なるほど進化の秘法がらみでつか。参考にさせていただきまつ!
あと・・・sageてください・・・_| ̄|○
>647 1が三連続。大逆転しないうちに更新しておきますですw
ところでこんなスレを見つけますた。ドラクエキャラによる学園物語といえば・・・懐かすいでつ!
DQ学園〜おお勇者、パクりスレとは情けない〜
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1105713028/
翌日更新乙です!
占いの結果も気のなりますがハーレムを目指したいので2ということで
5の投げるは何を投げるんでしょう?ミネアの服でしょうか?
4.水遊びしたいわぁ
654 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/07(木) 01:14:38 ID:FBmku1AY
4.一緒に水浴び(服は着たまま)
652,ハーレム狙うなら行水した方が良くない
4で
4 その通り、ミネアとは当り障りなくいい関係でいたいという感じ
1年以上続いて、初めてエロゲーみたいな展開になったな…
この展開に敬意を表して4で。
…でも入ってどーすんだろ?
658 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/10(日) 00:17:13 ID:jisSHa4M
5.
我が身を投げる
ほし
ほ
し
ゅ
もはや覆ることはないと思いまつが、4で打ち切っておきますです。。。
土曜の朝までに更新!
神予告キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
来週の土曜まで保守
664 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/16(土) 18:50:08 ID:cQDo7AV8
保守
6日も延滞・・・ほんとスミマセソ(ノД`)
明日中には更新しまつ!ぜったい必ズ間違いなく
えーと、曜日ってのは来週も再来週もそれ以後も有る。
でも、明日ってのは翌日にしか無い。
て、事は……ヤター!今日中にクルー!!!
わくわく。
場つなぎ氏ガンガレ!
期待してます
そんなこと書かれたらフォローできないじゃないか…
池に手を差し入れてみた。『……っ!』なんだこの水温。昼間晴れてたから少しは温かいはずなのに、まるで
冬の井戸水だ。とても“そんなには冷たくない”どころじゃない!
そうか。この池、湧き水なんだ。きっと、山脈の万年雪が少しずつ融けて染み込んだのがここに湧き出てるん
だろう。どうりで青く澄み切ってるはずだ。冷たすぎて、魚も水草も、川虫だって棲めないんだ。
こんな氷水に入っての占い……それだけでも寿命縮まりそうなのに……。
水尾をひきながら遠ざかっていくミネアさんの後ろ髪、するんとしたなで肩を見つめて、俺はぞっと身震いした。
どうしてここまで……あらためてミネアさんの決意のほどを思い知らされる。フローラさんと俺は10ゴールド
払っただけだ。それなのに……どういう理由なのかはわからないけど、ミネアさんにここまでしてもらうのはどう
なのだろうか。フローラさんがこの場にいたら必ずとめるに違いない。でも、今のミネアさんは、やめさせようと
したって、やめてくれそうにない……。
それなら、せめて。
俺はミネアさんの服を草の上に置き、風に飛ばないよう[破邪の剣]を重しにした。靴を脱ぎ、マントを外し、その
上に[ふくろ]を置いた。池のほとり、ミネアさんが入っていったところに立つ。水はモンバーバラ劇場の池よりも
澄んでいて、月明かりが底の丸い小石まで届いている。右足を入れた。『う……』歯を食いしばる。足の皮膚が
破けて中に冷水が流れ込んできたみたいだ。けど、ミネアさんはこんなもんじゃないはず。
右をいったん上げ、左足。ようしいくぞ、1、2、3……どっぼーん!
………。
…………ぎ。
ぎええええええええええええええっ!!
叫びだしそうになるのをこらえ、身を強ばらせる。腰から下は凍りつきそうな水、その上は山からの寒風。歯と唇が
がたがたと震え、目に涙が浮く。ええいくそっ、このくらい何だ。ぐっとこぶしを握り、背を伸ばす。
「……!?」
ミネアさんが、さっきの位置より半歩向こうで、ぎょっとしたように目を大きく開けて俺を見つめている。背を丸め、
水晶玉を顔の横、左肩に乗せるようにして持ち、両腕で胸を隠していた。そりゃあ、驚くよな。
672 :
:2005/04/22(金) 23:44:35 ID:r41Dz9oe
『きれいな水ですね』そんなミネアさんに、俺は無理に笑いかけ、手で水を跳ね上げるようにしてみせる。あまり
動きたくない。水中で膨らんだ服が身体にまとわりつく上、せっかく体温でわずかでもあたたまった身体の周りの
水が新鮮な水に流されてしまう。けれど俺は服を着て入ってるだけ、ましなんだ。ミネアさんは、裸なんだから。
「う、ウィルさん?……ど……どうしたんですかっ!?」ミネアさんが震える声で叫ぶ。「は、早く上がってください!
風邪ひきますよ!」
ミネアさん、それは俺の台詞です……。
『不公平、ですからね』こぶしで震えを止めながら、俺はさらに笑ってみせた。『占ってもらうのは俺なのに、ミネア
さんのほうが、こんな冷たい水の中に入るなんて。ですから、せめて俺もと』
「………」ミネアさんはさらに目を大きく丸くしてから「な、な、何考えてるんですか!」眉を上げて怒りだした。
「ウィルさんまで入る必要はありません!私がこうしているのは、自分の体重を少しでも感じないようにするため
なんです。ですから、早く、早く上がってください!」
ミネアさん、理屈がわかってないなあ。『でも、俺が池の中入ってても、特に差し支えはないんでしょう?』
「占いに差し支えるとかの問題じゃありません!この池はキャストミントから流れてくる地下の水脈からひいてる
んですよ。凍る寸前の水なんです!なのに、そんな水に、なんでわざわざ!」
地下水脈。やっぱそうだったか。
『……でも、それほど冷たくはありませんよ』
「そ、そんなはずありません!ほら、唇が真っ青じゃないですか!」と真っ青な唇を震わせて叫ぶミネアさん。皮肉が
通じなかったみたいだな。まったく自分のこと棚に上げて。「ウィルさんは、なさらなければならないことがたくさんある
じゃないですか!こんなことでもし身体でも壊したら、あのお嬢さん……それに魔族に囚われてる妹さんのこと、
どうするつもりなんです!」
ミネアさんだって、と言いたくなったがやめた。こんな冷たい池の中での押し問答、いつまでもやってられない。
『そのときはミネアさんに治してもらいますよ。でも大丈夫。俺、病気なんてしたことないですから』嘘だけど。
『占いが終わったらすぐ出ますから、早いとこ、お願いします』
673 :
:2005/04/22(金) 23:47:09 ID:r41Dz9oe
「…………」
それでもミネアさんは俺をにらんでいたが、やがて、息をつき肩を落とす。あきらめてくれたみたいだ。って、え?
ミネアさんが、両手で胸を隠したまま、こちらへ戻ってくる。もしかして、占い、中止?それならそれでもいいです
けど……と近づいてくるミネアさんを見つめている俺に「目!つむっててください!」焦った声が飛ぶ。惜しいが
言われた通りにした。全身の筋肉に力を入れ直して寒さに耐えながら、待つ。
足の裏の小石と水音、それに水の流れで、ミネアさんがすぐそば、手を伸ばせば髪にも触れられる距離まで来た
のがわかった。
「光よ……その暖かく優しき……」ゆっくりとした詠唱。初めて聞く種類の詠唱だ。なんだろこの呪文。「……護る
衣となれ……フバーハ!」
身体が柔らかい何かにふわりと包み込まれた気がした。それは空気のように重さがなく、海から出て身体を拭う
ときの綿布のように温かい。『あ……!』なんだこれ。音や質感はあるのに、池の水や足下の石の冷たさや、吹き
つける風の強さはぜんぜん感じない。すごい。[フバーハ]……きっと[スクルト]みたいな防御呪文……寒さから身を
守る呪文なんだ。そんな呪文を会得してたのかミネアさんて!
「これでしばらくは体温が保てるはずです。でも効果の続く時間には個人差があって……できるだけ早く済ませる
つもりですが、また冷たさを感じるようになったら、急いで水から出てください」
『ありがとう、ミネアさん』
目を閉じたまま、軽く頭を下げた。ばちゃ。「きゃ、ウィルさんまだっ……あ!……」ばちゃ、ばちゃん。騒々しい水音。
なんだ?目を開けかけると、滴を流す水晶玉を、曲芸師のように手をいっぱいに伸ばした不自然な姿勢で持つ、
ミネアさんのちょっと間抜けな姿(ああ胸んとこの髪ジャマ!)が見えた。
『……ミネアさん、何かありました?』目を閉じなおし、聞く。
「い、いえっ、なんでもありません。いいと言うまで目は閉じててください!」早口でわめく声。ちゃぱん。ミネアさんの
気配が遠ざかりかけて「それと、あのっ、ウィルさん。それ以上は決して私に近づかないでくださいね!」またもわめく
ような声が聞こえる。ひどいな。ミネアさん俺を信用してないな……ま、占いの邪魔はするなってことか。
674 :
:2005/04/22(金) 23:53:41 ID:r41Dz9oe
「……目を、開けてください」
お許しの声が、風の音に紛れてやっと耳に入ってきた。ミネアさんは、池の真ん中、指人形ほどの大きさにしか見え
ない距離で、残念なことに背中を向けていた。「……いいですね。フローラさんを心に思い描きながら、水晶玉に
集中していてください」さっき言ったことをミネアさんが繰り返す。「そ、それから、寒くなってきたら、すぐに水から
上がってくださいね」はいはい。
呪文を唱える声が聞こえてきた。あのミネアさん、ここから水晶玉見えないんですけど。それともその間はフローラさん
のこと考えてろってわけかな。
フローラさん……サラボナの白薔薇フローラさん。ターニアに似た青い髪。美しく清楚な雰囲気。優しい笑顔。俺が
初めて好意を告白した女性。なのに、あれから、たった数日の間にいろいろ……刺激的な出来事がありすぎて、
フローラさんの記憶もその中の一部に過ぎなくなってしまっている。俺ってこんな軽薄な男だったか?そりゃあ、
ミネアさん、マーニャさん、ミレーユにアリーナって、タイプは違うがフローラさんと比するくらいの女性と知り合って、
今から思えばあの告白ちょっとばかり先走っちゃったかなと……いや、後悔してるってわけじゃない。フローラさんと
相思相愛なんてことになれたらこんな嬉しいこと……でもなあ。
……こんなこと考えてて、運命なんて大きなもの、ちゃんと占ってもらえるんだろうか?
「―――!!」ミネアさんが何かを叫び、水晶玉を高く掲げた。やっとか。すかさずその水晶玉を見つめた。げ?
ミネアさんの髪、浮き上がってる!?あっと息を呑んだが、さらにその息が止まる。水晶玉が白く淡く輝き、黄色い糸
のような細く折れ曲がった光を何本も発したのだ。光は火花のように消えては現れ、水面からも飛び出してきては、
水晶玉とミネアさんにまとわりつく。すげえ……。見とれているとミネアさんがまた呪文を叫んだ。ビリッと布を思いきり
引き裂いたような音がし、光の糸が水晶玉に吸い込まれ、辺りが闇に戻……ったかと思った瞬間――!
『うわっ!』真っ白い、強烈な光。いてっ!思わず腕で目を覆う。太陽を見てしまったときのような突き刺さる痛みが
瞳の奥に走る。水晶玉を見てろって言われたのに、これじゃしばらく前が見えない……?
675 :
:2005/04/22(金) 23:57:59 ID:r41Dz9oe
『なっ!?』
思わず、声を上げた(はずだが、聞こえなかった)。真っ青だった池の水が濃緑一色に染まっている。水じゃない、一面の
草だ。草原だ。目を凝らすと、白、赤、黄、青、紫の野花がぽつぽつと散らばって咲いている。夢?違う、鮮明すぎる。
花の一輪一輪までわかるような夢なんて。でも現実のはずもない。
どこだろう、空との境界までただ平らな草原。吹き抜ける風が草を撫で、白い葉裏をめくり上げながら横一線に流れていく。
ぼんやりとその風を追う。空広く葉をつけた大きな樫の木。幹の下にひらひらするものが見える。青い布と白い布。濃紺の
マントと、白いドレス。マントと麻布の旅人の服と、片肩を開けた純白の絹のドレス。木陰に並んで腰を下ろしている、日に
焼けた旅の男と、青髪の上品な令嬢……って、あれはまさか!?よく見ようとしたとたん、その二人の姿が大きく目の前に
現れた。やっぱり!フローラさん……それに、俺だ!
それは、顔も形も、紛れもなく俺だった。むろん鏡じゃない。じゃあここにいる俺は……“あなたがたの未来が水晶玉を
通して見えるはず”……そうか、あれ、未来の俺か。なんだか今の俺の姿とほとんど変わってないんだが……。
その“俺”は、ヘラヘラ得意げに笑って何かを語っていた。フローラさんは、そんな“俺”を横から覗くように見つめ、ときおり
口に手をあてて笑顔を隠している。フローラさん……ああ、何日かぶりで見るけど、やはり綺麗だ。前髪を少し垂らした
白い額、長く左右に開いた睫毛、小さく鮮やかにあかい唇、貴族の身につける内着の絹のようにきめ細かな白い肌、草の
上の右手の位置、長いスカートの下で座る足の組み方、すべてが上品に整い、それでいて笑顔は子供っぽくて愛くるしい。
風に舞う赤いリボンもふわふわ揺れる青い髪も、眺めているとため息をつきたくなる。
転じて隣の“俺”……情けなくて直視できない。貧相な面で何楽しそーに喋ってんだテメーは!
ああ……俺、こんな住む世界の違うお嬢様に告白なんてしちまったんだな……なんつー身の程知らずだ……。
676 :
:2005/04/23(土) 00:08:35 ID:i8D/ANtP
そのうち、“俺”は口を動かすのをやめ、空を見上げた。髪を風に吹かれるままに任せ、一言二言フローラさんと言葉を
交わしながら、澄み切った青空を流れていく糸のような細い雲をなんだか感慨深げそーに眺めている。おい、気取ってる
つもりか。明るい顔してろよ。フローラさんが不安がるだろうが!
焦れながら見ていると、“俺”はフローラさんに何か言い、立ち上がりかけた。と、フローラさんが“俺”の袖を引き、切なげな
瞳(俺が一番苦手な表情)で“俺”を見上げ、小さく首を振った。“俺”が、頭をかき、腰を戻す。立つタイミングを計り誤っ
たな、“俺”。ったく、何を緊張してんだよ……。
座り直した“俺”も、引きとめたフローラさんも、話をするわけでもなく、ふたりともお互いの逆方向、斜め下を向いている。
せっかくフローラさんと二人っきりなんだからもう少し近づくかなんか……お。ちらと相手を見た目線がちょうど合ってしまい、
また顔をそらしあっている。何やってんだか……。って、え?フローラさんの手が、草の上の“俺”の手にゆっくりと伸びて
いっている。触れる。振り向いた“俺”を、フローラさんが柔らかい笑顔で見上げ、すぐに頬を染めて顔をそらす。フローラ
さんのほうからか……。“俺”が唇を緊張させ、そのフローラさんの手を握りしめる。身体を横にし、指輪のはまった左手を
フローラさんの右肩に置く。フローラさんがハッと顔を上げる。俺は息を呑んだ。“俺”の左手の指が、フローラさんの頬に
触れる。フローラさんが睫毛を閉じる。見ていて笑い出したくなるほどに真面目な表情の“俺”が、フローラさんに顔を近づけ
て……おい……!?
………。
うわ……やっちゃってるよ……“俺”……フローラさんに……。
夜のサンマリーノの桟橋近くとかシエーナの街外れで何度か見た、甘いベタベタな光景。けれど今それを演じているのは
俺ではないが俺な“俺”であり、しかも相手はフローラさん……他国のレイドックででさえ噂になるほどに数多の男が憧れ、
その唇、いや靴でもいいから口づけたいと願う、フローラさんなのだ。運命。これが運命なら、俺はいつか必ずこの“俺”の
ように、こんな、誰にも邪魔されない広い草原のただ中で、フローラさんと甘いときを過ごすわけか。
すげえ、すばらしい!俺の未来はバラ色……フローラさん色じゃないか!うははは!
しえん
678 :
:2005/04/23(土) 00:15:44 ID:i8D/ANtP
フローラさんの頬にあった“俺”の手が、ゆっくりと動き出した。フローラさんの左肩に戻り、装飾を指先でいじると、
ドレスの絹地にそって下へと滑り出し……こ、こら、どさくさ紛れに何やってんだ!……フローラさんの胸のふくらみを
上から押さえるようにした。白いドレスにしわが走り、俺の指先でくぼむ。何てことしてんだ!びくりと震えたフローラさんが
身を引き、肘で胸を隠す。いくら唇まで許されたからって、いきなり次それかよおい!そんなことして純粋無垢なフローラ
さんに嫌われちまったら……。
ところが、フローラさんはすねたように肩をすくめただけで、何かをささやきながら“俺”の手を取った。そしてその甲を、
そろえた指で軽く叩き、それから顔に引き寄せ……口づけ、“俺”に、にこりと笑いかけた。
うわ……。そのフローラさんのいたずらっぽい微笑みに、俺はぞくりと身の毛が逆立った。ああ、可愛いとか美しいとか
なんかじゃない。フローラさんが愛しい。抱きしめたい!そう思ったとき“俺”がフローラさんを抱き寄せていた。フローラ
さんも肩に手をまわしてくれる。うう、何てうらやましい……。ま、俺なんだけど。
ふと、フローラさんの左手で何かが青く光ったのに気付いた。指輪だ。フローラさんによく似合う、爽やかな群青色の石
……って、なに、指輪!?左手ってことは結婚指輪じゃないか!そういや“俺”も、どっちの手かに指輪……赤っぽい
指輪してなかったか?そうすると……俺とフローラさんは………!?
バチッ!
耳を打たれたような音。な、何だ?見回してみる。誰もいな……うっ?“俺”の背中がこぶのように盛り上がっている!
な、何だよあれ。しかもそのこぶがみるみる大きくなっていく。何が起きた?だが“俺”もフローラさんも抱き合ったままだ。
見ると、フローラさんの膝にも同じようなこぶが……いや、樫の幹、下草、空までもがゆがみ、水泡のように膨らんでいる。
な、な、何なんだよ、これは?
679 :
:2005/04/23(土) 00:25:11 ID:i8D/ANtP
“俺”の背中のこぶ……泡がはじけた。あっと声を上げそうになったが、飛び散ったのもはじけた跡に見えたのも、
真っ赤な血などではなかった。そこにあったのは茶色い板……木の板だった。呆然としているうち、次々と泡がはじけて
いき、焦茶の木の柱が、燭台が、誰かが腰かけている椅子が、さらには浅黒く細い腕が現れる。台板に別の絵が描か
れた積み木パズルの木片を一つ一つ抜いていっているようだ。不気味で不思議な光景。これも、俺とフローラさんの
運命に、関係あるのか?何かの暗示とか……それだとしたらこれ、どう見たって不吉な暗示じゃないか。
やがて泡が消えたとき、俺はまったく違う場所にいた。しきりがなく、広くとられた家の中。中央のテーブルに、くすんだ
暖色に染めた麻を巻いた、一見してそれとわかるジプシーの姉妹が座っている。姉は十二、三歳、妹はそれより一つ
ほど年下だろうか。姉妹とも、それぞれ明らかに誰かに似ている。その奥には台所、かまどにかかる三つの鍋から
湯気が立ち上っている。テーブルからその鍋を眺めている姉は、ふてくされたようにテーブルに肘をつき脚でリズムを
刻んでいたが、ローブのほころびを繕っていた妹が手を止め咎めるようににらむと、不平そうに唇をとがらせ、そっぽを
向く。
……この家、この女の子たち。今度はこの場所に見覚えがある。そう、ココだ!このコーミズ村のミネアさんたちの
お屋敷の居間……すると、あの二人の女の子は、やっぱり……?
680 :
:2005/04/23(土) 00:28:21 ID:i8D/ANtP
不意に、妹のほうが驚いたように玄関を見た。その妹の反応を見て、姉がパッと椅子を蹴るようにして玄関に駆けて
いく。出足の遅れた妹もあわてて姉にならう。姉が扉に飛びつくようにして開ける。そこには、それほど背は高くないが、
肩幅のあるがっしりした中年の男が、驚いた顔で立っていた。高価ではないが趣味のいい帽子と旅装束を身につけ、
髪は整い、髭もきちんと剃ってある。体格も、大きめの瞳や高い鼻や平らな頬といった顔のつくりも、戦士のように
たのもしく骨っぽく、僧侶のように厳かで落ち着いた雰囲気の男だった。姉の女の子が無邪気な笑顔で飛びつくと、
男は優しげに微笑み、しゃがんで頭を撫でて何か話しかけた。そして胸を張るようにした女の子に楽しそうにうなずいて
もう一度撫でた。何となく懐かしい感じのする、不思議な暖かい笑顔だった。男は、遠慮がちに離れていた妹にも声を
かけ、同じ動作をした。その間に姉は台所に飛んでいき、こちらを向いて鍋の蓋を開けて何かを叫ぶと、飛び跳ねる
ように男のもとに駆け戻り、再び頭を撫でてもらっている。
父子かな……それにしちゃあ似てないし、仲が良すぎる。完全に自分の趣味で服を選ぶようになった娘が、まだ父親に
懐いてるっていうのは、けっこう珍しい。世界にはいろんな親子がいるものだけれど。
もう一人、男が入ってきた。体躯は前の男より一回り大きく筋肉質なものの、そのぶん頭は(手入れは一応してるんだ
ろうが伸ばし放題に映る髪を含めても)小さく見える。眉が太く、むっつりと生真面目そうな男だ。
男は妹のほうに声をかけた。父親と姉が喋っている様子をうらやましげに見ていた妹は、驚いたように男を振り向いて、
かすかに唇を動かし、台所へと歩き出す。子供に似つかわしくない、取りすました無表情。やっぱ、間違いない。額に
サークレットをつけていないし髪も短いけど、この娘は、ミネアさんだ。そしてむろん、姉のほうは、マーニャさん。
でもどうして?俺とフローラさんの運命なのに、どうしてミネアさんとマーニャさんが出てくるんだ?しかも子供の頃の
ミネアさんたちみたいだけど……?
681 :
:2005/04/23(土) 00:35:53 ID:i8D/ANtP
バチン。またもその音がした。ぼこり、とミネアさんたちのいる目の前の絵が、泡立っていく。
これでまた全然別の何かを見せられるのか?いったい、今のに何の意味があったんだ。ひょっとして、俺とフローラさん
もこのどこかに?だが確認する間もなく、ミネアさんたちの姿もお屋敷も、弾けて消えていった。
代わって見えてきたのは、青空、海、野原、それに誰か小さい女の子……げげっ!?その娘は、いやそいつは、
見慣れた娘……カールした赤い髪に、小生意気な瑠璃色の目つき、長いワンピーススカートにケープを羽織った女
……すなわち、俺の天敵、マリベルだった!ただし、今のではなく、たぶん8歳くらいの、まだ可愛かっ……えーと、
今よりははるかにましだった頃のマリベルだ。そしてこの場所は、ライフコッドから少し下った、海を一望できる崖。
あの崖。
あいつと、ライフコッドの村が、俺とフローラさんに関係……あるとは、まったく思えないぞ。
その6歳のマリベルは、何かを探していた。そのほっそりした身体……人形みたいに細くて短い手足……をあらためて
見て、俺は吹き出しそうになった。ほらみろ。今とほとんど顔立ちも体格も違わないじゃないか。ふた回りほど大きくして
髪を伸ばしてフードをかぶせれば、まんま今の、平べったいマリベルができあがる。ま、指摘してやったところで、今度は
気品だの漂う雰囲気だのと、わけのわかんないことを言い出すんだろうけどな。
マリベルが急に走り出した。目当てのものが見つかったらしい。
その先には……うっ!寝っ転がってる一人のガキ……“俺”。やはり8歳くらい。マリベルの足音にぎょっとしたように
跳ね起き、目をごしごしこする。泣いてやがったんだ。くっ、こんなとこで一人でめそめそしてるなんて、しかもよりに
よってマリベルに見られたなんて……何言われるかわかったもんじゃない……。
でも、変だな。俺がこんな、泣くぐらい落ち込んだことなんて、今まであったっけか?
こんくらいのガキの頃、起きたことっていうと……。
……!?
………!!!
何故?どうしてこれが……これは俺とマリベルの出来事だ。フローラさんとなんて、ぜんぜん関係ないじゃないか!!
やめてくれ!やめてください、ミネアさん!
ん?
683 :
:2005/04/23(土) 07:58:38 ID:i8D/ANtP
だが目の前の光景は消えることなく……マリベルも止まることなく“俺”に駆け寄っていく。
マリベルが呆れた顔で“俺”に話しかけ、“俺”はそっぽを向いた。マリベルが……あいつ、こんときこんな顔
してたんだな……なおも話しかける。しかし……まったく聞く耳持たず、うるさいとばかりマリベルをにらみ、
何かを怒鳴る“俺”。マリベルの表情が変わる。まなじりと細い眉がつり上がる。“あたしがせっかく――”
マリベル、いいから“俺”なんか放って早く帰れ!叫びたいが声が出ない。まるで昨日の夢。いや、あれは夢で、
これは現実だ。声が出せたところで、マリベルを殴っちまったって事実は、変わりようがない……。
“俺”が立ち上がって怒鳴り返す。“俺”とマリベルの顔が怒りの赤に染まり、形相がどんどん変わってくる。
声は聞こえないが何を怒鳴ったか覚えている。“ざまあみろって思ってんだろ!これで俺はずーっとお前の
召使いなんだからな!”マリベルの返事は“そんなわけないでしょ!――”そう確かにあいつは否定したんだ。
だが“俺”はすでに拳を振り上げていた。“嘘つけ!”………。
横に払うように振り下ろした“俺”の拳は、マリベルの右の前髪、こめかみの上にあたった。一瞬遅く目を
つぶったマリベルが、バランスを崩してよろけ、草の上にひっくり返る。
……どんなふうに殴ったかまでは、覚えていなかった。そして、当然だが、このときの俺が、マリベルに対し、
これほどまで酷薄な表情を浮かべていたのかも知らなかった。
この場にヘンリーかビアンカが……“俺”はまだヘンリーと出会ってないが……いてくれたら、俺がマリベルを
殴るより早く、俺を殴って止めてくれたか、マリベルを促して帰らせてくれてたろう……。
マリベルは、口を開け、ぼんやりと“俺”を眺めた。その顔が怒りの顔に戻り……うわ……涙が、青い目から
どっとあふれ出す。“っにすんのよ!!”……だが“俺”は悪びれた様子もなく、当然のことをしたと言わん
ばかりの冷ややかな目つきでマリベルを見下ろしている。“あんたなんかさっさと出ていけばいいのよ!”
額を押さえ、唇を震わせてマリベルが叫ぶ。逃げるように走り出しかけ、転び、立ち上がってまた転んで……。
684 :
:2005/04/23(土) 08:00:44 ID:i8D/ANtP
ガキの頃の話だ。この頃はこの程度の誤解や失敗は何度もやった。マリベルとはこの前も後もさんざ喧嘩は
した。しかし……!マリベルは喧嘩しに来たんじゃない。毎日落ち込んでた俺を、あいつはあいつなりに元気
づけようとして……それはそれで余計なお世話なんだが……“あんたの畑、すっかり草ボーボーじゃないの”
とか“ずっとあたしんちにいればいいじゃない”声かけてくれたんだ。
そのマリベルを、俺は……。それに、村長にも奥様にも、恩を仇で返すような真似をしちまって……。
バチン。誰かが引っぱたいてくれたような音。
マリベルの後ろ姿とそれを見送るバカガキが、泡の中に、やっと、消えていく。
マリベルの厚意を踏みにじった記憶も、事実そのものも、この泡みたいに消えてくれたらな……。
でも、何だったんだ。それにさっきのミネアさんとマーニャさんもだ。今、俺とフローラさんの運命を占ってもらって
る最中なんだよな。なのに……?
考えているうちに、俺はまた、別の場所に来ていた。
そこは豪華絢爛たる王侯貴族の寝室だった。天鵞絨ビロードが壁一帯に張り巡らされ、三方にある窓は赤く裾の
長いドレープカーテンで閉じられている。唯一開いた天窓から日の光が射し込み、絹の天傘のついたベッドを
四角く包みこみ、白く輝かせている。
その光を受けてベッドできらきら何かが光っていた。黄金色の髪。誰だ?思うと、景色がこちらに近寄ってきた。
滑らかな羽毛布団を抱きしめるように眠っていたのは、13、4歳くらいの少女……ふんわりとした前髪が額を
覆い、長く整った睫毛と赤い柔らかそうな唇、子供っぽい薄桃色のふくらんだ頬、結んでいたのをほどいたような
波のかかった美しい金髪が背から肩に流れ、薄絹のネグリの隙間からさらに白い積もりたての雪のような肌が
浮き上がって見える……。
685 :
:2005/04/23(土) 08:04:10 ID:i8D/ANtP
どきりとした。かわいい……すげえかわいい……世の中にこんな可愛いくて綺麗な娘がいるなんて……フローラ
さんも綺麗だけど、この娘は……何というか、最初から美女に生まれつく運命だったって感じの……精霊様だって
認めるくらいの美しさだ。雰囲気からして……ベッドや着ているものからみても……王女様みたいだけど、どこの
国のお姫様だろう?もし精霊様の国のお姫様だなんて言われても、即座に納得できるぞ俺は。
ん……?そのお姫様の向こう、ベッドの端にも、背を向けて誰かが眠っている。なっ、男だ!それも少年……耳の
下で短くそろえた髪、日焼けした首筋……こっちはどう見ても王子様じゃあない。
てことは……マズいとこに俺はやって来ちゃったのか?さっきのフローラさんと俺がいちゃついてるのを覗いたのも、
マズかったと言えばそうなんだが、あれは俺本人の話だし……。
それにしてもあいつ誰だ。こんな可愛いお姫様と床をともにしてるような羨ましく不届きな男は?
おっ……何だよ?目の前に眠っている俺が、突然現れる。これも今の俺でなく、数年ちょい前の俺。するとまた
どっか別の場所に飛ん……でない!?壁の装飾も窓からの光もそのまま。羽毛布団の端っこを引っかけた
肌着一枚の俺が寝てるのは天蓋ベッド。そのベッドの真ん中には金髪の少女……あの可愛いお姫様が……。
な、な……なにいいいいいいいいっ?
俺とこのお姫様が?こんな薄着で同じベッドに?嘘だろ。仲の良し男の子と女の子が一緒にお昼寝してるほほえ
ましい姿、で済むような歳じゃないんだぞ。見つかれば間違いなく首落とされるぞ俺。おいっこら、とっとと起きて、
さっさとズラかれ!
……あれ?でもこれ昔の俺だよな。今、俺はこうして生きてるわけで。ということはこの後無事……。
ってその前に!俺はこんな王女様と同じベッドで寝た覚え、ないぞ、おい!
686 :
:2005/04/23(土) 08:34:12 ID:i8D/ANtP
目の前の“俺”を見直す。こいつは明らかに俺だ。だが……このくらいの歳には、もう俺はすっかり城勤めに慣れて、
ヘンリーやランドと一緒に臆することなくあちこち潜り込んだり覗いたりしてたが、レイドックでもラインハットでも、
よその国のお姫様の隣で熟睡するなんて度胸試しじみた真似なんて絶対しなかったはずだ。だいたい、あんな
可愛いお姫様と一緒に寝たなんて強烈な思い出、俺が忘れるはずがない。あとちょっとだけ成長していれば俺は
確実に一目惚れしてる、そういうステキなお姫様なんだから……。
ん?部屋の内装を見る。赤い天鵞絨とカーテン、こんなでかいベッドが1つ……この部屋には入ったことがある!
レイドック城の塔……東の塔、最上階の来賓用寝所!西の塔も同じような部屋だが、ベッドは2つだった。部屋の
隅に本棚が2つか3つ並んでて、奥に書き物机があって、反対側に衣装タンスが……間違いない。
じゃあどういうことだ?レイドックを訪れたお姫様というと……ん?そういえば……。
あらためてお姫様を見ようとしたとき。
バツン。5度目の音。
うっ!?今回は泡がない。真っ暗だ。待て!もう一度見せてくれ。思い出しかけてるような気がするんだ、あの
お姫様を……。
「おにいちゃんっ!私どこも行きたくない。おにいちゃんも行かないで!」
……ターニア!?
前がいきなり明るくなる。ここは……俺の家、ライフコッドの俺とターニアの家の居間だ。それもだいぶ以前の。
10歳くらいの俺が泣いているターニアをしきりになだめている。それを困り顔で眺めている、椅子に腰かけた
貴族ふうの老人……うっ!ふ、ファーズ様!!
ずきりと胸が痛む。今は亡くなられたファーズ侯爵様、ファーズ様が俺の家にわざわざ出向かれたことは一度きり。
俺とターニアを養子に迎えたいという相談をしにいらしたときだ。
村長は願ってもない話だと賛成してくれた。俺のほうも、ファーズ様のお人柄は慕っていたし、ターニアとふたり
一緒で、ライフコッドにもいつでも里帰りに来ていいとのことなので、ファーズ様の息子になってみようかな、と心が
傾いていた。
だから残りはターニアの気持ちで、あとはほとんど形式的な話(かなりややこしいらしかったが)だけだったのだが……。
687 :
:2005/04/23(土) 08:37:09 ID:i8D/ANtP
「イヤ!イヤ!イヤあぁ!おにいちゃんは私とふたりで、この家で暮らすの!」
ターニアは、“俺”の腕にすがりつき、泣きじゃくっている。
ターニアにはそれまで俺から何度も話し、この前日の夜にはすっかり納得してくれたのだと思っていた。今日、
顔合わせしてどうか、ってとこだった。それも途中までは順調だった。
ところが、何かがきっかけで……雑談の途中だったと思うが、急にターニアは泣き出し、首を振って徹底拒否し
はじめたのだ。
なだめる“俺”が、だんだんと諦め顔になってきている。ターニアは案外頑固なところもあるし、怒らせると怖いの
だが、これほどまではっきり我を示すのは珍しかった。
“ごめんなさい。その……ファーズ様”
ターニアの背を撫でてやりながら“俺”も泣きそうに顔をしかめている。“その、ターニアは……それに俺も、この
村の人じゃなくなるなんてこと、その、考えらんないと言い……申しますか、あの……”
「仕方ない。出直すとしよう」心底がっかりしたという顔で、ファーズ様が席を立つ。“俺”はあわててターニアから
離れ深くお辞儀をする。ターニアの頭も下げさせようとしたが「ウィル、いい、いい。ターニア、こんな偏屈爺だが、
もし気が変わったら、いつでも来ておくれ」ファーズ様が取り直したように笑ってくださる。
ああ……ファーズ様。わざわざライフコッドまで来ていただいたというのに、すみませんでした!
“俺”はファーズ様を追って家を出ていく。ターニアを振り切ってでも、という思いと、いやこれでいいんだ、という
思いが、“俺”にも、今の俺にもある。この一ヶ月後、ファーズ様は急な病で倒れられ、俺が見舞いに行く前に
亡くなられてしまったのだから……。
「おにいちゃん……ごめんね……」
一人残ったターニアが、目の下に指の甲を押しつけて、泣いている。いいんだターニア、お前は何も悪くない。
そうだよな、村から出たことがないターニアに、いきなり賑やかなレイドックに行って、しかも貴族の娘になれ
なんて、無茶だったよな。
それに、父さん母さんと過ごしたこの家で暮らしたいって言ったのは、ターニアだったもんな……。
688 :
:2005/04/23(土) 08:45:45 ID:i8D/ANtP
『……!?』
突然、視界がオレンジ色に染まった。炎だ。床や壁から紅蓮の炎が吹き上がっている!ターニアは泣いている
だけで気付いていない。ターニア!逃げろ、火事だ!
……火事?そんなはずは。この後火事なんて、この後どころか俺の家が火事になったことなんて、ただの一度も
ないはずだぞ。
「おにいちゃん……私、おにいちゃんとふたりだけで、ずうっと暮らしていきたかったの……」
気がつくと、炎の壁、炎の床の上にターニアは立ち、しかし火に髪を焦がされることも肌を照らされることもなく
泣いている!現実にあるはずない光景……。
「おにいちゃん、お願い、早く助けに来て……また、おにいちゃんと暮らしたいよう……」
俺はぎょっとした。このターニアの言葉は、明らかに今ここにいる俺に言ったものだ。
「ほほほほほ」
炎の中から不気味な笑い声がした。この声は……見ると、ターニアの後ろに、青ざめた細長い顔が浮かんでいる。
あいつだ!ゲマだ!ちくしょう、ターニアを返せっ!
叫んだが、ゲマはニヤニヤと笑ったままだ。もがこうとしても、近くに寄りたいと思っても、今度はターニアのそばに
行けない。これ、さっきの続きじゃないのか。ミネアさんが見せてくれてる、俺の運命とかじゃないのか?
「おにいちゃん……私、ひとりぼっちはもう嫌なの……おにいちゃんといたい……!」
そうだ。夢でも運命なんかでもない。これが本当の現在、現実だ。今、ターニアはゲマに囚われ、牢の中に
ひとりぼっちで俺を待ってるんだ。ひとりぼっちで……こうやって泣いて……心配かけまいと、俺と話すときは
元気に振る舞ってみせてるんだろうけど……あの大の寂しがりで甘えんぼなターニアが、俺がいなくて、元気で
いられるはずがない!
『ターニア!……』
叫んだそのとき、ターニアの横で炎が帯のように吹き上がり、マントのようにターニアを包み込んだ。待て!次の
瞬間、炎が回転し渦を巻き、カッと爆発した。うわっ!目が焼き付いたように虹色の光に照らされ、ターニアも、
ゲマも、炎も、その虹色の光にかき消えていった。
《ミネアの意識に変化が起きた》
《ミネアの評価がちょっぴり下がった》
《フローラの評価が上がった》
《マリベルの評価が上がった》
《????の評価が上がった》
《ターニアの評価がわずかに上がった》
689 :
:2005/04/23(土) 08:58:36 ID:i8D/ANtP
ひどく、寒かった。
横になっているのだが、まるで雪に包まれているかのように冷え切っている。布団、布団は……かかってるじゃ
ないか。なのになんでこう寒い?身震いしながら布団の裾を探り当て、肩まで引っ張り上げる。これで温かくなった、
と思ったのもつかの間、すぐにぶり返した寒気に全身が震える。なんだよ、どこなんだよここ。寒すぎるぞ!
「………!」
すぐ耳元で誰かの声がした。誰だようるさいな。何か言うより、毛布をもう一枚、いや二枚持ってきてかけて
くれないかな。寒くて寒くて、仕方ないんだ。
「………!」なおも声が聞こえる。うるさい。人が水ん中入って、凍えてるってのに!
水の中……?あ、そうだ。俺、ミネアさんの占いで、池の水に飛び込んで……フバーハ、フローラさん、キス、
マリベル、悪かった、ターニア、助けてやる。それに……ううっ、寒い、頭が痛い。
「………!」
ああ、この声は……俺はやっと目を開けた。すぐ前に、心配そうに俺をのぞき込んでる顔が―――
1−1.ミネアさんだった。1−2.ミネアさんとマーニャさんだった。
2.ミネアさんとアリーナだった。
3−1.アリーナだった。 3−2.アリーナとクリフトだった。3−3.アリーナとバーバラだった。
4.ミレーユだった。
5.ビアンカとマリベルだった。
途中で寝てしまた・・・_| ̄|○ ワタシハ ネテナインダ
待っててくださったみなさんスミマセソ・・・
それと、大幅オーバーした上に2週間もオーバーを謝罪m(_ _)m
ここをこれほど手間取って、こんなに文字数(30kb!)使うとは・・・はぁ
今回、本文中と選択肢の2つほどで反則してまつ
どの選択が選ばれるのか漏れとしては楽しみ、しかし実は戦々恐々。どうなりますやら
>652 2でミネアシナリオ突入ですた。まだまだ余地ありでつが難しいかも?
漏れは複雑な相関関係等がニガテなので、ハーレム目指すなら各個撃破が基本でつ
>653 寒がりな漏れは寒中水泳できる人の気が知れませんでつ
>654 水浴びにはなってませんですが服は着たまま。脱がそうかと思いますたがさすがにミネアでつしw
>656 ミネアは、友達として仲良くなると、占いしてもらえたり他ヒロイン攻略が楽になったりする設定・・・だったのになんでこうなったw
>657 _| ̄|○ 入ってこうなりますた。1に比べてミネアシナリオで有利になる代わり、この後響くかもでつ
>658 はい、投げますたw
>659-660,666 ありでつ!保守の方々にお世話にならずようになるのはいつの日か・・・
>668-670,682 さらに1日もお待たせしてスミマセソ。ばか長いでつので時間あるときお読みくださひ
漏れもしえんしておきながら場つなぎ氏より先に寝てしまったw
しかし・・・選択肢の裏が読めん。
夢の続きなのか、一気に場面転換するのか?
今までの流れを壊したくないので、2
アリーナ萌えなんで2 悠久3より長く感じるよこのギャルゲ
693 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/24(日) 01:39:27 ID:8m80vTB/
2
範馬勇次郎の様にアリーナの背に浮かぶ鬼の顔
2つの反則ってのが良く分からないが…
むう… 2が無難かなぁ。ムリにヘンなの選択する事も無いか…
695 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/27(水) 23:13:57 ID:uXPkw9KF
5.
村から突然蒸発した主人公とターニアを探しに出た二人と再会(ランドのおまけ付きで)
5
ビアンカが登場してくれたらいいなぁ
697 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/29(金) 00:51:10 ID:uMw7TZsj
5
このスレは常時sage進行ですよみなさん。
最初は2で決まりっぽいので見送ってたが、マリベルとビアンカ見てえ。
5
700 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/29(金) 17:59:58 ID:YJSLode5
ダリルの墓
これ、いつまで集計とるんだ?
同数だとまずいだろうので2に入れときますね
スムーズな2
>701
もしかしてすんげー最近読み出したとか?
同数なら先に票が入ってる方優先だ。
つーかレスが怪しいんだが、多重とかと違うよな?
>>703 ちゃんと決まってたのね
今読み返したら確かに多重っぽいけど違います
証明しようがないので信じてもらえなければカウントしないでくださいm(_ _)m
ちなみにアリーナと出会った後くらいから読ませていただいてます
何が言いたいかというと場つなぎ氏頑張ってってことだけです
705 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/30(土) 01:49:11 ID:+/82vqJk
5 ビアンカ・マリベル達からしてみれば、二人が急に消えたわけは
ウィルとターニアが駆け落ちしたとしか思えないだろうな。
きりがないので今日土曜日24時で投票は打ち切りますです。。。
ただし更新は最速でも月曜日・・・
遅れても俺らがどうにか正当化しつつ保守するからいいもの書いておくれ
まあ場つなぎ氏としては直前で票が切り替わったりしたらたまったもんじゃないだろうしな。
気長に待ってますんで頑張って下され。
2で決まりか
5も見てみたかったが
ここで古田。
捕手
城島
谷繁
714 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/07(土) 11:35:18 ID:di/3I+5Q
穂種
715 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/07(土) 11:38:19 ID:vCRQV0xH
プレステ版の川のぬし釣りやってます。
つり太郎でやってますが、最初のステージでじいさんのなくした釣竿をさがしてます。
どこにあるの?
今夜中に更新しまつ。。。
ひらきなおるしかなひ
今夜には更新される…そう思っていた時期が俺にもありました。
718 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/10(火) 00:17:34 ID:5oymxU9A
月曜日の今夜、火曜日の朝が来る前に更新される事を期待します。
明日中には
(;^ω^)
落ち着け!
まだ、あと2時間ある!!
いいから落ち着け!!!
722 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/11(水) 22:21:28 ID:zXZ82TvE
いつの明日になるんだーーーー。
こんにちは。
期待し過ぎて疲れたわい・・・orz
725 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/12(木) 00:51:49 ID:v3wkhkHT
木曜日の明日になりそう。
金曜日の明日までなら何とか待てます。
そんな風に思っていた時期が…
むしろ予告なんてしないで欲しい。
毎回期待して裏切られるのにはもう疲れたよ…
予告一切ナシに更新された方がまだマシだ…
728 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/12(木) 22:03:13 ID:v3wkhkHT
進み具合(パーセント)で予告した方が良くない。
730 :
728:2005/05/13(金) 18:11:51 ID:eBkcRcuN
進み具合(パーセント)で予告した方が良いと思う。
判り辛い書き方でスマソ。
( ドウモ、スミマセン....。 ( スミマセンスミマセン...。 ( コノトオリデス!
 ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄
(´Д`;)ヾ (;´Д`) ヾ
∨) ( 八) (´Д`;)、
(( 〉 〉 ノノZ乙
西暦2005年5月14日土曜日中に更新しまつ!できなければ・・・いいえできないなんてことはない!
>730 どんなときも80%でつ・・・
732 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/14(土) 21:02:15 ID:2ceLpxmS
あと3時間・・・
みんな!場繋ぎ氏に応援のメッセージを!
期待
735 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/14(土) 22:01:34 ID:n58NORac
736 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/14(土) 23:06:36 ID:2ceLpxmS
あと一時間切った・・・
『ミネアさん……?』跳ね起き、ミネアさんを、その後ろのアリーナを見、周りを見回す。
ここは……ミネアさんのお屋敷、その居間だ。すぐ前に火をつけて間もない暖炉がある。暖炉の敷布の上に、
俺は寝ていた。
変だな。夢の続き……でもなさそうだ。けど俺、ミネアさんにつきあって、池の中に入ってたはずじゃ……?
『ミネアさん、これは……?』
「ああよかった……!」わわ?ミネアさん……目に涙浮かせてる。「このままウィルさんの目が覚めなかったら、
私どうしようかと……」俺にかざしていた手を引き、その涙をこする。
『……すみません』よくわからんけど、ミネアさんにこんなに心配かけちまうなんて……。
今ミネアさんが印を結んでたところを見ると、回復魔法をかけてくれてたらしい。俺、どっか怪我でもしてたのか?
身体を探ろうとして『うっ……』冷たい、べたりとした感触に身震いした。着ている[旅人の服]とその下の肌着が
ぐっしょり濡れ、全身にへばりついている。池に浸かってたんだから、当然だ、だがそこから俺は、どうやって
出てきて、ここにいるんだ?
「今、お茶を持ってきますわ」ミネアさんが急いで立ち上がった。もうすでに、いつものローブ姿だった。
『あの、俺、どうして……何があったんですか?』もしかして、占いの最中に、凍えて倒れちまったのか?
「後でちゃんとお話します。身体を暖めていてください」
今すぐに聞きたかったが、ミネアさんは台所に行ってしまう。
仕方なしにテーブルに腰かけたアリーナを見やった。さっき一瞬、アリーナもほっとした顔をしたのを確かに見た、
が今は、視線を部屋中に巡らせて、俺には関心持たずといった御様子。なんでここにいるんだってことを含め、
起きたことを聞いてみたかったが、何せ俺と口をきくのも嫌がってるアリーナだ。話してくれるはずも……。
ん?俺は目を細めた。あれってアリーナ……だよな。頬の傷と腕の包帯からいって間違いないが、何でアイツ、
ミネアさんのローブなんて着てんだ?しかも、裸足で。
738 :
:2005/05/14(土) 23:26:46 ID:a/kSeEa0
皮のドレスの上に羽織ってるのではなく、肌の上に直にそのローブを身につけている。寝るときにはあんなの
着るのか、それともイメチェン……てのはないか。着心地悪そうに身体を動かしたりあちこち掻いたりしてる
とこ見ると、寝間着でもない。無理に着てるのか、あるいは着せられてるか……ここにマーニャさんでもいたら、
その着せられてるって可能性を真っ先に疑うんだが、あいにく、マーニャさんまではいない。
もう一度、居間を見回す。あ。暖炉からテーブルの椅子へ二重の紐がわたされ、俺のマントが干してある。
そしてその隣には、アリーナの芥子色の皮のドレスと藍色のマントが、同じようにかけてあった。どちらも
ぐっしょり濡れているのが布地の色からわかる。ドレスの向こうには三角帽子と黒タイツが、さらにその向こう
には白絹のブ……うわっと!
あわてて目をそらす。テーブルのアリーナは俺に背を向けたまま。ほっ。
そうか。濡らしちまって、ミネアさんの借りて着替えたってわけか。しっかし……男の俺の目に付くようなところに
堂々と干しとくなよ!ターニアだって最近は、わざわざ陰になるようなとこにこっそり干してんだぞ。
……ま、でも、なんだ。ちゃんと、女の子らしいのをつけたり穿いたりしてんだなアイツ。王女様なんだから当然、
て理屈はアリーナには当てはまらないと思っていたんだが、そうでもなかったらしい。
でもなんで、帽子から靴までびしょ濡れになったんだ?風の音はしてるが、雨の降ってる音はない。アイツが
着てたのは丈夫な皮のドレスなんだ、水飲みに行ってうっかり水瓶をひっくり返したって程度じゃ、下着までは
濡れないはず。
そうすると……?
「ウィルさん、これを。あたたまります」
振り向いた俺に、もうもう湯気が上がるカップ……匂いからして薬草茶を、ミネアさんが差し出してきた。
『どうも』礼を言い、ありがたく受け取る。ちちっ!?いくら寒さに震えてるからって、むやみ熱い、熱すぎ。息を
吹きかけて冷まそうとすると「駄目です。熱いまま飲んでください!」あの、俺、熱いのは平気なんですけど、
煮えたぎったお茶ってのは、あまり……ああ、ミネアさん、そんな監視するみたいにじっと見守らないでください。
飲みますから。
アチチチ……うえっ、しかも苦いんだか辛いんだかの激マズ……。
739 :
:2005/05/14(土) 23:29:28 ID:a/kSeEa0
「すみません。[ヌーク草]を入れたので。少し辛いですけど……」ミネアさんがすまなそうに言う。「身体は、すぐに
温まりますわ」
本当だ。全身の肌の下がふつふつしてきた。指の強ばりも背中の悪寒も、もう気にならない。さすが自分で一流
の治療師って言うだけのことはあるなあ、ミネアさん。あとはこの味……最悪の後味を、何とかしてもらえたら。
そのミネアさんは、左手に別のカップ2つを持ったまま、今度は俺の濡れた服を、なんだか真面目な顔でじっと
見ている。何かついてるか?ミネアさんの目線を追ったが、濡れている以外特に目立って汚れているわけでも
ない。
と。ミネアさんの右手が、俺へと伸びてきた。
『何か、変ですか?』
聞いたとたん、ミネアさんの手は俺の袖をつまみかけて止まった。ハッとしたように俺を見「あ……」その頬が
みるみる染まる。
「う、ウィルさん……そ、その。さ、寒くないですか?」
『え?』今これ飲んだばかりなんですけど。このお茶そんな早く効き目切れるの?『いや……このお茶のおかげ
で、まだ暑いくらいですが……』
「あっ、そ、そうですよね、それならいいんです」
なぜかあたふたと笑うミネアさん。『ミネアさん!』その左手のカップが傾き、紅茶がこぼれる。「ああっ!?」
ミネアさんはあわててカップをテーブルに置くと、すっ飛んで雑巾を持ってきて床のお茶をさっと拭き取り、その
雑巾を暖炉に放り込んだ。テキパキした動作だが、紅い頬と結んだ唇は相当に焦ってる。呆気にとられて見守っ
ていた俺(とアリーナ)に、手を洗って戻ってきたミネアさんが、まだ余っている俺のカップを覗いて「別のお茶に
します?」取りすました顔で聞いてきた。
『………』その何事もなかったかのようなミネアさんの態度に思わず吹き出しかける。ミネアさんて、ワケわから
ないけど、面白い人だよな。
《アリーナの意識に変化が起きた》
740 :
:2005/05/14(土) 23:32:28 ID:a/kSeEa0
“別のお茶”とは、紅茶だった。レイドックの王宮でいただくいかにも高級美茶というような濃厚さも切れもない、
ごく普通の紅茶。ただしほんの少し酒(たぶん林檎の蒸留酒)とハーブが入れてあり、ふだんターニアが入れて
くれる紅茶よりビアンカが入れてくれる紅茶に近い。ミネアさんが最初に持ってきたカップのうち俺以外の2つの
中身がこれで、俺はさっきの薬草茶の後味を洗い流そうと半分近く一気に飲んで初めて酒が入ってるのに気付き
クラッときちまったのだが、テーブルで隣に座ったミネアさんもそのまた隣のアリーナも、それこそ夕食会の席で
ワインでも飲むような、上品な手つきでカップを持ってすすっている。
配色と巻き方こそ違うが同じローブを羽織って並んでる、ミネアさんとアリーナ。うーん、こうして眺めると、ほぼ
同じ服装でもハッキリ違うな。髪と顔立ちと肌の違いはもちろんだけど、何より、圧倒的にボリュームが違う!
カップを持ち上げるたび腕を引っかけそうなミネアさんに比べ、アリーナは危なっかしさ全くなしで紅茶を口に
運んでいる。さっきちらっとしか見てないが、アレのカップからいって、アリーナのサイズはターニアより上ビアンカ
よりはるか下マリベルと同じくらいかな。きっとそっちに行くべき栄養が別のほういっちゃってるんだな、もったい
ない。あの顔であのスタイルで、出るとこ出てたら完璧なのに……。
「……?」
俺の目線に、"何だその目は”と言いたげにアリーナが眉をしかめ、自分の胸元を見る。やばい。
『ええと……』俺はできるだけ平然を装って紅茶を置き、ミネアさんへ身体を向けた。さっさと本題行こう。でも
その前に。『その……まず、なんかまた、ミネアさんとアリーナに迷惑かけちゃったみたいで、すみません』
頭を下げてみせる。ミネアさんが息を呑み「い、いいえ!ウィルさん、迷惑かけてしまったのは、私なんです」
紅茶を置き、両手を膝に下げ、緊張した面持ちになる。アリーナのほうは、息を鳴らしただけで、紅茶を飲み
直している。
「私が、きちんと、自分の魔力を考えて占いをしていれば、ウィルさんを危ないめに遭わせずに済んだんです」
741 :
:2005/05/14(土) 23:33:28 ID:a/kSeEa0
『危ないめ……?』唇を引き締めて思い詰めたような表情のミネアさんに、俺は首をひねった。なんか危険な
こと起きたんだろうか?『どういうことですか。占いは成功したんでしょう?』おかげでフローラさんの姿を何日か
ぶりに拝めたんだから。余計なのも、混じったけれど。
「それが……わからないんです」
ミネアさんは首を振った。『へ?』わからない、って、俺がワケわからない。
「……すみません!」ミネアさんが申し訳なさそうに眉を落とし肩をすくめた。「あの占いなんですが……私の
魔力が尽きてしまって……途中で終わってしまったんです」
『途中で、ですか』見た光景が、どれも変なとこで途切れたのは、そのせいだったのか。
「私、眠ったんですけど、魔力がまだ完全には戻っていなくて……それに……」ミネアさんが口ごもる。「たぶん
……魔法を、使ったせいで」
『魔法?あ……』あの[フバーハ]って魔法。ってことは……俺が池に飛び込んじまったせいか。『じゃ……俺、
やっぱ、余計なことしちまったんですね』
思わず頭をかいた俺に「あ、い、いえっ、ウィルさんのせいじゃありません!」ミネアさんがあわてて叫んだ。
「私が未熟なせいです。優れた占い師なら、少ない魔力で多くのことを占えますから!」あの、ミネアさん、
無理に自虐せず。俺のせいにしてくれていいですから。
『でも、あの呪文のぶんの魔力が残っていれば、ちゃんと最後までできたんでしょう?だったら、ミネアさんの
せいじゃありませんよ』
742 :
:2005/05/14(土) 23:35:01 ID:a/kSeEa0
「それが、そうでもないんです」ミネアさんが首を振る。「現実や未来を占う術において重要なのは」あ、また蘊蓄
始まるんすね……。「自分と占う人の精神を守ることです。そうしないと、心を読みとるのにも、占いの結果を
顕わすのにも、別の意識が混ざってしまい、お互い正確に伝わらなくなってしまいますから。ですから占い師は、
占いを行ってる最中、魔力を使って邪魔が入らないようにしているんです。それができて初めて占い師として
一人前、というよりそれほど重要な占いを行えるようになるための条件なんです……私ができるようになった
のは12歳のときで、ただ、昔から、持っていた魔力が少なくて、わずかな時間しかできませんでした。今でも
私、姉さんの半分くらいしか魔力がないんです。それで……ああ」ミネアさんは辛そうに顔をしかめてため息を
つき、大きく頭を振った。濡れた髪が振り乱れる。「私、自分の残りの魔力をちゃんと頭に入れて占いをしなけ
ればいけなかったのに。なのに……ああ、私、少し思い上がっていたんだわ。この国一番の占い師なんて
言われて、何でも占えると思いこんで……それで、それで中途半端な占いなんてして、ウィルさんを、運命の
泡から戻ってこられないようにしてしまうなんて。ウィルさん、ごめんなさい。やっぱり私、占い師失格ですね。
占い師の定めとして、恋や愛に関する占いを一度でもした方には、決して……」
『あの、ミネアさん』俺はミネアさんの肩にそっと触れる。自虐ってるミネアさんを見てるとつらい。可愛いけど。
『なんだかよくわかりませんが、そんなに思い詰めなくてもいいと思いますよ。俺は、こうして元気なわけです
から』
「す、すみませんっ……」俺を見たミネアさんが、また頭を下げ、小さくなる。「でも……本当に良かった、ウィル
さんが無事で……」
『は、はあ。それで……無事って、どういうことです?』さっきから聞いてると、かなり厳しい占いだったのか。
寿命が減るとか言ってたしな。でも、どうやら、水の冷たさに気を失ったとかの情けない真似を俺がしたわけ
じゃ、なさそうだ。それについては安心。『どんな占いだったんですか?運命を占うのって、そんなに危険だった
んですか?』
743 :
:2005/05/14(土) 23:39:54 ID:a/kSeEa0
「ええ……運命の占いというのは、ご存じかもしれませんけど、その人の過去から未来に永遠に繋がる運命
の糸を心にたぐり寄せ、節々の結び目を……運命の泡とも言います、それを心の中で映し出すというもの
です」知りませんってそんなの。「今夜の占いでは、ウィルさんの運命の糸と、あのお嬢さんの運命の糸が
絡まるところを引き寄せたんですが……この占いは、何か不手際が起こると、引き寄せた運命の糸が元に
戻らず、心にとどまってしまうことがあって……そうなるとその人は、ずっとその未来の映像だけを心で見続け
てしまう……周りから見ると眠り病にかかったようになってしまうことがあるんです」素知らぬ顔をしていた
アリーナが残り少ない紅茶をすすり出す。ったく、黙って聞いてろ。「ふつうは、自らの意志でその糸を放して
正気に戻れるそうなんです……ただ、運命がきわめて強い印象のものだったときとか、精神的に消耗して
いたときには……運命の糸が切れて心に絡まってしまって、ずっと眠ったままになってしまうと……」あのー、
ミネアさん、そういうリスクは、占いやる前にあらかじめ説明しといてくださいね……。「私、この占いを今まで
三回やったんですけど、途中で魔力がなくなるなんてそんなのは初めてで……。ですから、ウィルさんが目を
開けたままで意識をなくしているのを見たとき、私、どうしたらいいのかわからなくて……ウィルさん、どうか
許してください、私のせいで……」
ミネアさんが顔を覆う。『あの、ミネアさん……』相当ショック受けてるみたいだ。許すも許さないもないんだけど。
『それについてはどうだっていいですよ。俺は無事だったんですから。それより、俺が聞きたいのは、なんで俺、
お屋敷の中で寝かせてもらってたのかなんです。俺が気を失ってたんなら、ミネアさんが、俺を運んでくれた
んですか?』
「……ボクだ」横からアリーナが、ぼそっと言った。「運んだのは」
『アリーナが?』
驚き、ミネアさんを見る。ミネアさんがうなずく。「アリーナさんです。私一人じゃ、ウィルさんを池から引き上げる
こともできなかったんです……そうしたら、アリーナさんが来てくれて」
744 :
:2005/05/14(土) 23:43:51 ID:a/kSeEa0
「ミネアが泣きそうな顔して頼んできたんで、手伝っただけだ」アリーナがつぶやく。
アリーナが来て、手伝った……?この屋敷から宿屋まではけっこう距離がある。それに逆風。ミネアさんが
どんな大声あげたって、宿屋に届きゃしないはずなんだが。
『お前……なんでこんなとこにいたんだ?』
眉をひそめ、聞いてみる。するとアリーナは一瞬動きを止め「そ、そんなのは、どうだっていいだろ!」ぎょっと
したように表情を変えた。「べつにボクは……た、たまたま、散歩しに来ただけだ!」叫んで、すでに飲み干し
てるはずのカップを持ち、飲むふりをした。
『……』この狼狽ぶり、明らかに怪しい。ひょっとして。『まさか……俺とミネアさんを尾けてきたわけじゃ、ない
よな?』
「ん、ん、んなわけ、ないだろっ!」げ、マジだ。尾けてきてやがったのか。「なんでボクが、ウィルたちについて
来なきゃ、なんないんだよ!」
それは俺が聞きたい、が、しかし……頑固なアリーナのことだ、聞いたって白状しないだろうな。あくまで全否定
して、しまいには怒り出すだけなのは、目に見えてる。
『ま、いいや。そうすると……』追求を諦め、ミネアさんに向き直る。『俺は、その運命の糸……泡でしたっけ?
そこから抜けずに夢を見てて、アリーナとミネアさんのおかげで、ここに運んでもらったんですか?』
「ええ……」ミネアさんがまた縮こまる。「残った魔力ですぐにウィルさんを気付かせるって手もあったんです、
でも、それで代わりに私がまた気を失ってしまったら……あの……」そこでなぜかミネアさんは頬を染め「そ、
その……またウィルさんにご迷惑かけますし……」肩を強ばらせた。「そ、それでどうしたらいいか困ってたら、
今言った通り、アリーナさんが駆けつけてくれたんです。それですぐ池に飛び込んで、放心してるウィルさんを
すぐ引き上げてくれて」
へ?あの冷たい池に飛び込んで、俺を?
そうか、それでアリーナの奴、下着までびしょびしょに……。
「それでここに運び込んで、占星術の本から、昔読んだ教科書とかを持ってきて、調べながらいろいろ試して
みたんですが、どれも駄目で……」
なるほど。床の上に、古いノートから新しい表紙の本まで、いろんな書物が散らばってる。
745 :
:2005/05/14(土) 23:47:14 ID:a/kSeEa0
「さっさとお湯でもぶっかけてやりゃあ良かったんだよ」アリーナが素っ気なく言う。「それで火傷したってさ、
呪文で治しゃよかっただけだろ」
「あ、アリーナさん!」ミネアさんが怒鳴る。「何まだ、ひねくれてるんですか。アリーナさんだって、ウィルさんを
あんなに心配してたじゃない。水飲んでるんじゃないかとか言って胸を押したり、脚で背骨を押したりして。
最後なんて泣きそうになって、ウィルさんを思いっきりひっぱたいて」
「ば、莫迦言うな!誰が心配なんてするか。こいつが全然起きようとしなかったんで、むかついただけだ!」
『………』運命だか夢だかを見てる間にそんなことされてたのか俺は……。気絶してる奴を起こす手段としては
間違っちゃいないが……アリーナがやったんなら、明らかに個人的怨み込みだな。
「むかついてって、そんなことだったんですか?アリーナさん、じゃあどうして……」
顔色変えて言い返しかけたミネアさんを、まあまあ、と手を振ってなだめる。
うーん、俺がフローラさんとラブシーンしてた間に(正確には未来の"俺”だが)、とびっきりの美女二人が俺を
心配してくれてたなんて。男冥利に尽きるって、こういうことか。
でも、アリーナが俺を助けてくれたってのがな……。ミネアさんを見るに見かねてだったにしても、ついさっき
俺と喧嘩別れした後なのに、あの池に飛び込んでまで、か。ステキな王女様だな本当に。あーあ、これでミネア
さんの半分……せめてバーバラくらいあったら、ぞっこん参ってるとこなんだがな。残念。
『サンキューな、アリーナ』
斜めに手を挙げてやる。「……?」アリーナは不思議そうに両眉を下げた。ま、知らないか。
『レイドックことばだ』俺はにやりと笑った。『ありがとうって意味』
「……フン」アリーナが顔をそらす。「誤解するな。礼ならミネアに言え。ボクはただ……」
『じゃ、ミネアさん』同じように手を挙げ、片目をつぶってみせる。『どうも』
「………」ミネアさんの顔が強ばる。引かせちまったかな、と思ったが「いえっ、私、ご迷惑かけただけで……
占いを失敗してしまったというのにお礼なんて……あ!」
746 :
:2005/05/14(土) 23:52:40 ID:a/kSeEa0
ミネアさんが急に目を大きく見開いて、俺を見つめてきた。
「そ、それで、どうだったんですか?あのお嬢さんと結ばれる運命だってこと、ちゃんとわかりました?」
テーブルに手を置き真剣な瞳で聞いてくるミネアさんに『え?』たじろぐ。『その……あれって、ミネアさんには
見えなかったんですか?』
「もちろんです。運命の糸はその人の心にだけ繋がっているもので、運命に関わる占いでは占い師はたぐり
寄せるお手伝いをするだけなんです。もちろん見ようと思えば見られるんですが、そうすると運命の糸が
占い師当人の糸と絡んでしまって、お互いの運命が変わってしまう恐れが……」
『あ、そうなんですか』これ以上の長話はちょっと勘弁。『俺だけ、だったんですね』
ミネアさんには見えてなかったのか。良かったような……かなり良かった。
「ええ。ですから……」ミネアさんが身を乗り出してくる。まぶたと眉を少し落とし、唇を少し震わせ、思い詰めた
ような不安そうな表情で。「見られたんですか?駄目だったんですか?」
ミネアさん……だからどうしてそんな、俺とフローラさんのことに真剣になれるんですか?
「……?」ミネアさんの隣で、アリーナも“何の話だ?”と言いたげに、ミネアさんと俺とを交互に見ている。
『えーと、それが……』なんて答えとこう―――
1.『もうバッチリ!相思相愛でしたよ!やっぱりフローラさんと俺、出会いから運命だったんですね』
2.『ええまあ見えました……。あれが運命なら嬉しいんですが……でもあれ、本当はただの幻なんでしょう?』
3.『フローラさんも見えたんですけど、他にもいろいろ……ミネアさんとマーニャさんも出てきましたし』
4.『今は、内緒にしときます』
5.『フローラさんなんて、ぜんぜん出てきませんでしたよ?』
ウィル(村の少年) 職業:商人2+盗賊2 作戦:ガンガンいこうぜ(速攻)
打撃3 防御2 敏捷3 魔力0
体調:良好 精神:普通
装備:破邪の剣〈ブーメラン〉+旅人の服〈旅人の服〉
道具:薬草x4、キメラの翼、爆弾石、青紫色の玉、(マーズの手紙)(グレーテの手紙)(ターニアの風鈴)
呪文:(インパス) 特技:砂煙、力ため
現在地:サントハイム王国コーミズ村 所持金:40819G <6日目・未明>
747 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/15(日) 00:17:40 ID:Ex8Es8nT
3.
正直に話すべきか・・・
あらためて。すいませんっしたーm(_ _)m
毎年GW前後は予定が立たない漏れ
お仲間ならともかく泊まりに来た親たちの前で2ちゃんやったりSS書いたりする勇気はさすがに無ひ・・・
てゆーか今回、2が最も楽で、長くて2レス程度で済むと思ってたのに・・・17kbはなんでだろ
以上、お聞き苦しい言い訳ですた
結局3週間・・・ほんっと申し訳ないでつ
>691 5なら本気で場面転換する気ですた。そうなるとさぞかし大変だったでせうが(おい)
>692 期間は1年と8ヶ月、文章の容量はそろそろ1Mb行くかもです・・・
>693 なんだかお兄さんがいそうなアリーナでつね
>694 2つの反則は、堂々とした伏線貼りと、無茶苦茶な場面転換のことでつ
>695 マリベルとランドは探しに来るかもですがビアンカは・・・げふげふ
>696 幼馴染みーズ再登場はいつになるやら。二人とも大好きなキャラなんでつが
>699 また逆転くるかと思っていたら案の定・・・やばかったでつ
>704 どうもありでつ!アリーナ登場というとちょうど前スレあたりからでつね。あれから1年以上・・・
>705 マリベルはそう思うかもですが(そうか?)ビアンカは大丈夫でつ
>707-708 性懲りもなくご信頼を裏切ってしまったようで・・・すみませんでつ
>710-714 捕手ありでつ!この板関係の捕手というと・・・鬼棍棒実松でつかねw
>717,718,720-730,732-734,736 期待にそむいてしまい詫びのしようもないでつ。もう次こそないと心に決めてますです!
>747 長文だったのに一番乗りどうもでつ!
FFドラクエ板42票差敗退・・・よくがんばった感動した!
活動なさっていた皆さま、乙彼様ですた!
嘘は変だし、ミネアにも脈ありと思わせるため 3
色々見えちゃったわけですし 3
素直に3
3かな
次はいつだろう・・・
3で
754 :
747:2005/05/15(日) 18:38:24 ID:Ex8Es8nT
票が入ったのは3だけか・・・これで決まりかな。
3 アリーナってあれか?今流行りのツンデレか?そうだろ!
テラモエスwwwwwwww
756 :
舗趣:2005/05/17(火) 01:51:30 ID:itFjHDTh
保守を兼ねて中間報告
1.0票
2.0票
3.7票
4.0票
5.0票
...以上
/⌒ヽ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二⊃
| /
( ヽノ
ノ>ノ
三レレ
2005年5月21日遅くても同月22日に更新しますです。。。
期待sage
場つなぎ氏がんがれ!
>>758 それは無理だから、今週中って言っときなさい!
世界が生まれ変わってからの2005年5月21日か・・・
764 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/22(日) 22:36:23 ID:+nQNicOk
驚き、桃の木、山椒の木、ブリキにタヌキに扇風機、出る出る出来るぞ、今夜更新。
信じてますから・・・
「私と、姉さんが?」びっくりしたようにミネアさんは目を大きくしたが、すぐ「ウィルさん、何もおっしゃらない
でください!」ぴしゃりと言った。「映し出した運命の糸の結び目は、それを見た本人には簡単にはほどけ
ません。よってこの占いが占いとして意味があるんです。しかし、他の人が……占いを行った私も含めて
です、未来に起きる出来事を知ってしまうと、意志の力によって運命の糸はたやすく緩んだり引っ張られ
たりされ、なかったはずの別の結び目を作ってしまうんです。そうすると……」
『せっかく運命を見させてもらったのに、その運命が変わっちまうってわけですね』急いで言う。
「その通りですわ」ミネアさんはうなずき、「ですから、見た内容は、どなたにも話さないようにしてください。
私にも、あのお嬢さんにもです」念を押してくる。フローラさんにも、か。それはちょっと難しいかも。どうも俺、
フローラさんといると隠し事はできないって雰囲気、感じちゃうからなあ……だからいきなり、告白までしち
まったわけだし。
「では、“見る”ことは、できたのですね?」ミネアさんが眉を緩め、ほっとした顔で俺を見た。
『そういうことに……なりますね』曖昧にうなずく。フローラさんとのことはあれで申し分ない、けれど、その後
のことで疑問がある。『ただちょっと……』
「ミネア。もう一杯くれないか」
アリーナがカップをミネアさんの前に差し出してきた。いかにも退屈にこらえきれなくなったって顔だ。すること
ないなら帰って寝ればいい……あ、そうか、着る物がないんだっけ。悪いな、アリーナ。
766 :
:2005/05/22(日) 22:56:30 ID:i2CmKl9e
「ウィルさんも、もう一杯いかがですか?」
『じゃ、いただきます』
俺とアリーナのぶんのカップを受け取り、ミネアさんが台所に行く。見送っているうち、あの“運命”で見た、
小さなミネアさんの姿と重なった。といっても目の前のミネアさんとはだいぶ違う。あのミネアさんはサークレット
もしていなかったし、まだ肩も腰も子供っぽく細かった。ほんの少しうねった紫の髪も、肩が隠れるくらいで
切り揃え、先を紐で束ねていた。それが今は腰まで隠すほど伸ばしている。あのあと伸ばし始めたのか、
伸ばしている途中だったのか。そういえばビアンカが伸ばし始めたのもあのくらいだったかな。引っ越して
来たときはまだおさげしてて、おばさんが亡くなったとき一度バッサリやっちまって、それからだから……
でもビアンカはもう少し背が高かったか。
『………』そうだよな。あれは、昔の、ミネアさんだったよな……。
「ああ、良かったわ」戻ってきたミネアさんが、湯気のたつカップをテーブルに置いていく。「占いだけでも
成功していて。これでおわかりになったでしょ?ウィルさんは、あのお嬢さんと……あぁ!」俺の前に置こう
としたカップが跳ね、紅茶が数滴こぼれた。「す、すみません、また……」ミネアさんが布を取り出し、拭く。
『えーっと……』疑問を聞こうかどうか迷う。ほとんどありそうもない……だが、聞かねば。『フローラさんて、
以前、ミネアさんたちと何か関係ありました?』室内を見回しながら聞く。『例えば、このお屋敷に来たことが
あるとか?』
「え……?」ミネアさんがぽかんと無表情になる。「ありません、けど……ウィルさん、どうしてそんなことを?」
やっぱ、ないのか。俺ももちろんない。じゃあ、あの小さいミネアさんとマーニャさん、それにこのお屋敷が、
俺とフローラさんの“運命”として現れたのは、どういう意味だったんだ?それに、マリベルやファーズ様。
あのマリベルとの出来事だって、俺とフローラさんの運命に関わってくるとはまず思えない。確かに俺に
とっては後悔として心に刻み込まれている記憶ではあるけど……あれが影響するとしても、直接影響する
場面が見えるはずじゃないのか?ファーズ様の養子になる話を断った、あの過去の事実も……うう、頭痛が
してきた。やはり、占ってくれた人に聞いてみるより仕方ない。
767 :
:2005/05/22(日) 23:01:01 ID:i2CmKl9e
「ウィルさん……」そのミネアさんは、少し怒ったように目を細めていた。「何か、疑ってるんですか?まさか、
私がフローラさんの気持ちを汲んでありもしないことを見せたと……?」
『え?』何を言い出すミネアさん?『いえ、そんなことじゃなく……』俺はすぐ首を振ったが、「ウィルさん!」
ミネアさんは赤くなり、高い声で叫んだ。「占い師は確かに、恋人どうしを励まして結びつけるお手伝いをして
いるように思われることもあります。ですがそれは、今現在を占うときだけで、今でない時、未来すなわち
その人の運命について関わることについては決して嘘偽りは言いませんし、言ってはならないんです。
ですから……!」
『あの、違います、ミネアさん』目と手振りで精一杯誤解だと訴える。『疑ってなんていませんよ、全然』
「……そうですか」ミネアさんが息をつく。「それなら、いいのですけど」はー。ミネアさん、思いこみ強い……。
『見さしてもらったののうちで、不思議なのがあるんです』ミネアさんが落ち着く呼吸まで待ってから、切り出した。
「ウィルさん、ですから」ミネアさんがあわてる。「いくら気になったとしてもです、見たことについては私にも
誰にもおっしゃらないでと、先ほど……」
『未来の出来事でなければ、どうなんですか?』
「えっ?」
『さっき見さしてもらったことのうち、過去のことなら、ミネアさんに話してもいいんでしょうか』
ミネアさんはまた、きょとんとなった。
「ウィルさん、おっしゃっている意味がわかりません。ウィルさんが“見た”のは、すべて未来の出来事なん
ですよ?」両眉をわずかに下へ動かす。「あっ……見たとおりの出来事が実際に起きて、その後でなら、
ということですか?それもあまり……」
『違います。その……』俺は首を振り、こめかみの上に手をやった。『俺が見たフローラさんは確かに未来の
フローラさんだったと思うんです、が……ミネアさんたちは、過去のミネアさんたちだったんです』
「過去の私……?」ミネアさんがまたもきょとんとする。「ど、どういうことですか、それは」
『その、俺、子供の頃のミネアさんとマーニャさんが、このテーブルに座っているのを見たんです。フローラ
さんと俺の……未来を、見た後で』
768 :
:2005/05/22(日) 23:09:29 ID:i2CmKl9e
俺が言うと、戸惑ったようにミネアさんは真顔のまま顔を伏せ、頬に手をあてていたが「それは……その、
普通の、夢、じゃないかしら」つぶやくように言った。「私がフローラさんとお会いしたのは、ウィルさんに
声をかけた ときが初めてでしたから……ですので、そうとしか」
『ユメ……?』でも、あんな鮮明な夢があるか?フローラさんと“俺”がいちゃついていたときのまま、完全に
別の映像に移り替わるなんて、あんな夢の見方、あるはずがない。
『でも、あれはミネアさんでしたよ。背もこのくらいで、同じようにそうやってローブを巻いていて』
「で、ですから、きっと……」ミネアさんの頬が紅くなっている。「ウィルさんの、想像です。私たちって、子供の
頃はみな、ほとんど変わらない格好をするじゃないですか、ですから、その、私の子供の頃なんて、想像
してみようと思えば簡単で……ですから……」
想像……それじゃ本当にただの夢?俺の夢にあなたが出てきました状態?夕方ミレーユに話しちまったの
に続く、恥ずい夢の無駄な告白?
いいや、あれは夢じゃない!いくら想像たくましい(らしい。ビアンカとヘンリーに昔からよく言われる)俺でも、
想像するなら今のミネアさんをそのまま縮めたような姿を考える。けどあのミネアさんは、今のミネアさんとは
似てもいたし、ハッキリ違ってもいた。マーニャさんもだ。すなわちあれは、間違いなく子供の頃のミネアさん
たちだった!
だけど……それをどう説明したらいい?頭のサークレットを除けば真面目そうでどっか神秘的な顔かたちも
そのまま、体つきも普通の女の子って感じで(年の割にはでっぱってたような気もするけど)、ミネアさんの
言ったとおり髪型や服装は、ジプシーの子供ならだいたいあんなだろう。だから身なりがこうだったというの
は“見た”証明にならない。マーニャさんもほぼ同じ……マーニャさんの場合、ぱっと見たときの印象が少々
違ってたような感じもするが、どう違うのかなんて言葉にはしにくい。ただ単に、大人の色気ってやつが、
今のマーニャさんに比べて足りなかったからかもしれない。
うーん、マリベルとの出来事は過去と断言できるんだけど、それも夢で、昔のことを思い出していたんでしょう
と言われれば、それまでか……。
769 :
:2005/05/22(日) 23:15:18 ID:i2CmKl9e
「ふあ……」ひとあくびしたアリーナが、後ろを向き、暖炉の前の自分の干し物(男物のシャツ……自覚が
ないというか合理的というか)を指でつまみ、顔をしかめる。まだ乾かないのか。あの過去の“映像”には
アリーナの干し物はなかったから……ってのは、さすがに無茶か、何の証拠にもならないな。
あ、そうか。俺は立ち上がり、お屋敷の中を見渡す。あれが10年くらい前のここなら、この今とはどこか
違ってたはずだ。家具、カーテンや絨毯、暖炉の上の飾り物、本棚の本の数に花瓶の花の種類……ま、
そんな細かいことは覚えてないにしてもだ、とにかく違いがあるはず。
何かないか。ミネアさんがテーブルのこっちに座って、マーニャさんはこっち……ちょうどアリーナのところで
同じように暇そうに足ぶらぶらさせていて……。
ん?なんか違うような。あのときはなかったものが見えるような……アリーナの足が白すぎるってわけじゃなく。
『あ……!』思わず俺はテーブルを叩いた。驚いたアリーナが何かわめいた気がするけど無視。そうだ、
テーブル!今のこのテーブルは四本足の質素なやつで、足と足の間に補強板がわたしてあるだけ。けれど
あのとき“見た”テーブルは、厚い二枚の板を足に使うタイプで、マーニャさんはそれを爪先の横でコツコツ
やってた。それをミネアさんに怒られてたんだ。天板も、分厚くて黒く丈夫なやつ。今のよりずっと高級な
テーブルだった!
『ミネアさん!』
俺はミネアさんに向き直り、そのことを話した。みるみるミネアさんの表情が驚きと戸惑いに変わり、唇が
震え出す。「う、ウィルさん……どうして、それを……」
『ですからミネアさん、俺が見たのは、昔の、このお屋敷なんですよ』手を天井へ斜めに掲げ、宣言する。
『夢なんかじゃ、ないんです』
「そんなはず……」ミネアさんが小さく首を振る。「ウィルさん……じゃ、じゃあいったい、私たちの何を見たん
ですか?」
ミネアさんの声には怯えが混じっていた。着替えてるとこを見られたとでも思ってるのかな。俺としても
そっちを見たかった……。
『ええと、最初は』身振りを交えて俺は説明を始める。『ミネアさんとマーニャさんがこっちとこっちにこう座っ
てて……』
この場面が、いつ、どういう状況だったのか。ミネアさんが思い出せば謎が一つ解けるかもしれない。
770 :
:2005/05/22(日) 23:20:28 ID:i2CmKl9e
『たぶん歳は、マーニャさんが12歳、ミネアさんが10歳くらい。ピアスはもうしてたはずです。ミネアさんは
針仕事をしていて、マーニャさんはただ座っていて。そのうち急に、二人とも玄関に走っていって……』
……話し始めといて不安になってきた。はっきり年月日までミネアさんが思い出せるかどうか。これってよく
ある、仕事から帰ってきた親を子供が迎えるあったかい風景、ってだけだよな。
『ちょっと早くマーニャさんが扉を開けて、そこにいた男の人に、いきなり飛びついていったんですよ』
あ、そうか。すると最初に入ってきたこの男の人が、エドガンさん?
『その男の人なんですが……』帽子から風体、印象まで、思い出せるだけ詳しく話す。するとミネアさんは
「ええ……それは父さん……私の父エドガン、です」驚き、ためらいながらうなずいた。
やっぱそうか、あの人がお父様か。『そうでしたか。俺が見ても立派そうな人でしたね』言い添えておく。
なぜか照れ笑いが沸いた。
「……早く次に」うつむいたミネアさんから、トゲのある、怒ったような声。うえ、まずった?さっと俺は緊張する。
見え見えのお世辞だって思われたか。それとも“立派そう”でなくて“立派な”人って言わなきゃなんなかった?
『ええと、マーニャさんがエドガンさんと何か話を始めて……』気勢をそがれて、淡々と俺は話していった。
マーニャさんが台所とを往復し、二度ヨシヨシしてもらい……と、そこまで説明したとき「……!」ミネアさんは
はっとしたように息をのみ、目を見開き唇をすぼめた。何か思い当たったらしい。良かった……でもなんか
ミネアさん、震え出したみたいなんだけど?
『説明が足りなかったら聞いてください、思い出しますから』間をおいてみたが、ミネアさんは何も言ってくれ
ない。気になるけど続けよう。
『そしたら、そこに別の男が入ってきたんです』俺はその男の説明をした。んー……今思うとどこかで見た人
のような?あとで聞いてみよう。『その男の人は玄関からこう入ってきて、ここにいたミネアさんに声をかけて
……あ、ミネアさんはここで、エドガンさんとマーニャさんはここでした。それでミネアさんはその人に何か
言って、台所に……』
771 :
:2005/05/22(日) 23:23:04 ID:i2CmKl9e
「そ、そんな……!」
ガタリ。ミネアさんが椅子から立ち上がった。口を両手でふさぎ、瞳は震えながら俺を真っ直ぐ見ている。
「そんな……どうして……?」
『ミネアさん?』俺も、退屈そうにしながらもしっかり俺の演技を見ていたアリーナも、驚いてミネアさんを見る。
ミネアさんは今や、はっきり怯えていた。「ど……どこまで……」わななくような声で俺に聞いてくる。「どこまで
見たんですか?」
俺はアリーナと顔を見合わせた。“どういうことだ?”いや、俺が知りたい。
『ええと……』とにかく説明を終わらせてしまおう。俺は台所を向き『ミネアさんが、こう、台所へ歩いてった
んです。でもその途中で……』手振りを止める。ここから場所がいきなり変わって、あの忌まわしいマリ
ベルとの思い出になった。ま、ここまででいいだろ。マリベルのことまで説明するのは……。
「い、嫌……」
震える小さな声が後ろから聞こえた。『……ミネアさん?』振り返ると、ミネアさんは大きくまぶたを見開き、
唇をわななかせ、真っ青な顔を覆うように両手を震わせていた。がくぜんとなって丸い瞳は、俺に向いては
いるが俺を捉えてはいない。
『ど、どうしたんですか?』
あわてて近づこうとすると、ミネアさんは「いや……いやぁ、父さん……」首を横に振りながら、牙をむく魔物
に襲いかかられる寸前の子供の、絶望で泣き出したいのに迫ってくる恐怖を見ていなくてはならないという瞳、
それを俺に向け、後ずさる。え、ミネアさん、俺を怖がってるの?なんで?今の今まで仲良くしてたじゃない
ですか。なのに、どうして?
アリーナも呆然とミネアさんを見上げ“何なんだよ?”不安そうに俺を見てきた。だから知らないっての。
『あの、どうし……?』
もう一度聞きながら近づいたそのとき、ミネアさんの膝が崩れた。あやつり玩具の糸が切れたように、腰が
すとんと曲がり、両腕が泳ぎながら落ち、上体が後ろへのめる。危ない!
『ミネアさん!』
「ミネア!」
俺とアリーナは声を重ねて叫び、次の瞬間ミネアさんの背中で腕を重ね、ミネアさんを支え合っていた。
わずかに飛び出しが早かった俺の右腕へ、ミネアさんの髪と体重が乗ってきた。
772 :
:2005/05/22(日) 23:30:13 ID:i2CmKl9e
『ミネアさん!』叫んでみたがミネアさんは目を開けない。長い睫毛にごく小さな涙の粒が引っかかっている。
唇はかすか開いて白い歯が見える。血の気の失せた顔だが極端に青いってほどでもない。胸はわずかに
揺れていて、背筋が動いているのも背中を支える俺の腕に感じられる。ほっ、息はしてる。
「ウィルお前!」アリーナが、ミネアさんの身体ごしに怒鳴ってくる。「ミネアに何を言ったんだ!」
『何をって、聞いてたろ』アリーナをにらみ返す。『なんでこうなっちまったか、俺にもわからん』
アリーナが手を引っ込めたので、両腕と肩を使ってミネアさんの身体を支え直しながら、ひざをつき、ミネア
さんの下半身を床へ置く。自由になった左手でミネアさんの首筋に触れた。ちょっと冷たいが、脈にも異常
なし。
『ミネアさんて、昔から、気を失いやすい人か?』
「はあ?んーなこと聞いたことない」ふざけたこと言うなというような顔で、アリーナが首を振る。「初めて見た」
俺は出会って3日で気を失ったミネアさんを3度も見てんだが……とにかくはミネアさん、持病とかじゃないらしい。
『そうするとたぶん……占いをして、魔力がなくなってたとこに、その……何かが、あったんだ』
「何かって、なんだ」まったく曖昧な俺の問診に、アリーナがいらだつ。「お前たち、ただ話してただけだろ。
だいたいさっきから何の話してたんだ」
『何の話かって……』面倒だな。『長くなる。後にしてくれ』
「………」アリーナが不満げに舌打ちした。ん?アリーナ、今は俺と普通に喋ってるな。緊急事態だ当たり前か。
とにかく、ミネアさんを何とかしないと―――
1.ベッドへ運んで寝かす
2.今すぐ気つかせる(手段を以下から選択)
2−1.熱いお茶 2−2.熱い酒 2−3.熱い鉄拳 2−4.熱いキス
3.アリーナに任せる
4.思う存分もてあそぶ
たまには有言実行・・・のうちに入ったかどうかでつな
でもこれで前回更新の1週間延滞をチャラに・・・(おい)
次回は、選択にもよりまつが6月までには必ズ!
>749 3の選択の意味はそんなとこでつ
>750 言わなくていいこともあったりするんでつがここではそれほど影響ないかも
>752 一週間オーバーしてやはりまったく時間の針は進んでないでつ・・・
>754 楽は楽とはいえ他の選択に魅力がなかったわけで・・・反省材料
>755 ツンツンはしてますがデレデレかどうか。でもツンデレキャラって流行してるんでせうか?
>756 まとめありでつ!sageていただけるとなおありがたいでつ・・・
>759-764 信頼のおけるGMと思っていただけるようがんがりますです。。。
超乙。
熱い鉄拳にワラタ。
選択肢は1かなぁ。
場つなぎ、俺は信じてた。
1
776 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/23(月) 11:52:29 ID:u/wLnnhZ
2-4
地雷ぽっいので、あえて踏んでみる。
4 もの書きは読者の予想を裏切ってこそだから(・∀・)イイよ
1で
1にすれば更新が早くなるかも
しれない
が、3を選ぶ
780 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/24(火) 01:46:01 ID:9nw+xzo3
>>777 藻前は勇者オルテガだ。漏れも藻前に倣って煮え滾る火口に飛び込むか。
よって4。
場つなぎさん、応援してますよー
1
おっと!ここで4
たまにはこういう展開があってもいいかなぁ〜
で、4
784 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/25(水) 07:49:44 ID:Y8eYw6OH
1
がんがれ
2-3
1にしとけよおまえら
787 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/26(木) 00:29:02 ID:+5usq3fl
4
不味いな、1と逆転しそうだ。
4
結局は1になるのかな〜
10回に一回位は早いもの勝ちの回があってもいい気がする
じゃあ、1。
だよな、1
4で
792 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/26(木) 15:58:40 ID:+5usq3fl
4だな
4
ギャルゲーってことを思い出させてくれ
ようわからんけど1
795 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/27(金) 01:25:31 ID:PFkGC9rD
エロゲーになってしまうけど
4
無難に1
1で打ち切りますです。。。
なんか、今回はやたらと人数多いな…
同じ香具師が何票も入れてたりしたのか?
>>798 久しぶりのエロ展開への期待に、ROMが張り切っただけだと思われ。
だれも800ゲトしない・・・
きずかなかった・・・
城島
803 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/01(水) 01:30:33 ID:hBo3fQtZ
6月1日・・・
アメリカはまだmayですね
予告してないからなんともいえないな・・・
806 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/01(水) 18:55:15 ID:hBo3fQtZ
選択にもよりまつが6月までには必ズ
選択によってしまった訳でつな・・・
良い解釈だ
まだかな・・・
たま〜にだがコメントしようが無くなる時があるな・・・、
まあ、その時は続きが投下されてその状態が終わった時に
いつもよりなんか知んないけどその続きが良く感じるが・・・
ミネアさんは気を失っただけじゃなくて魔力も尽きてる。おいそれと起きてくれないだろうし、こういう状態じゃ
無理に起こしても辛いだけだ。ゆっくり眠らせてあげよう。
寝室は……と?見回してみても玄関と勝手口以外にドアがない。まさかここで布団ひいて寝てる……わけ
ないよな。
『ミネアさんたちって、どこで寝てるんだ?』
アリーナを見上げる。「………」アリーナは、むすっとしたままの顔を西の壁へ向けた。が、そこにあるのは
下が引き出し上はグラス戸棚つまりよくあるサイドボードと、簾衝立だけ。どこだよ?俺がもう一度見上げると
アリーナは焦れったそうに顔をゆがめ、テーブルの燭台を取って大股で歩いていき、衝立の後ろに灯りを
かざした。あ、そういうことか。俺はミネアさんの肩と膝に手を回して抱えあげ(俺の服で濡らさないよう、なる
べく離して)、アリーナの灯す衝立の裏へ運んだ。ドアがあった。
ミネアさんの膝下から手を伸ばし、ドアレバーをつかむ。鍵かかってないといいんだが……お、開いた。
良かった。身体を横にしてミネアさんを運び込むと、ふんわり、化粧水と香水の混ざった甘い匂いが香って
きた。続いてきたアリーナの持つ燭台が、部屋を照らし出す。西側に鎧戸の窓が3つ、天井には天窓、上にも
横にもなかなか広い部屋だ。ベッドは、と……北側と南側に1台ずつ、それぞれ北向きと西向き。姉妹二人
部屋らしい。えーっとミネアさんのはどっちだ……って簡単だ、壁際に書棚が並んでる北側のベッドに決まって
……決まってるってのは失礼か。でもマーニャさんが読書家ってことは考えにくい……人は見かけによらない
とはいうけれど、ただ、北側には3本の書棚のほかはタンス2竿と鏡台1台それに小さい陳列棚があるだけ
(だけ、ってのは比較の問題)だってのに、南側には衣装タンスが4竿いや6竿並んでて、鮮やかな色の
サンダルや長いブーツが隙間なく詰め込まれた靴箱、鏡台も3台、そのどれにも小瓶小箱櫛それに付け髪
までズラズラそろってる。マーニャさんが意外な読書家だとするとミネアさんは相当なおしゃれ好きってこと
になる。どっちかだけならあり得るかもだが両方ともとなると……ミネアさんてこのとおり、睫毛も口紅も地味
で、爪も長いけど透明だもんな。もしかしたら外では地味だけど家の中じゃ派手でイケイケ……まさか。
811 :
:2005/06/05(日) 14:27:21 ID:aMDL8C2P
首を振り、おとなしく北側のベッドを選ぶ。ほこりっぽそうなマットレスの上に、シーツとブランケット、ピロケース
が、たたんで置いてある。俺は自分のシーツなんかたたまず放り投げといてターニアに怒られるけど、さすが
ミネアさん、几帳面だな。それともこれが普通か。
俺はアリーナを振り返った。だがアリーナは部屋の真ん中で憮然と突っ立ったまま。俺の視線の訴えに
“なんだよ?”あのな……この状況で、俺は両手ふさがってる。わかるだろ?ベッドの上を目線で示して
みせると、アリーナはやっと近づいて来、ベッドに燭台をかざした。
「別に、何もいないじゃないか」
あのな……。天井を見る俺。そういうことでなくて。
『シーツを、さ、ひいてあげてくれないか』
言うと、アリーナはびっくりした顔をし、眉を寄せ俺を探るように見た。「ボクがやるのか?」
……ほかに誰がやってくれるっていうんだ。いらついたものの、俺は小さく息をつく。まあ、王女様だからな。
ベッドメイキングなんて仕事はいつも誰かが前もってやってくれてたろうから、気がきかなくても無理がない。
ホルスと初めて野宿したときも大変だった……同類扱いしたら怒るだろうが。
『頼む』言って、ミネアさんを持ち上げてみせる。『できないなら、俺がやるけどな』
「………」アリーナは、すねたように唇を上げ、俺とベッドを見比べてから、左手に燭台を持ち直すと、かが
んでシーツを取り、いきなり大きく振った。シーツは開いたが「……クッ!」巻き起こったほこりに咳き込む。
そのまま、片手だけでぎこちなくシーツを広げていく。なんで燭台置いてからやらない?どう考えたってやり
づらいだろ。片手じゃしわをうまく伸ばせないし、髪や壁に火が触れそうで危なっかしい。
何か言ってやりたいが……俺は別にシーツ敷きの専門家ってわけじゃない。好きにやらせとこう。
812 :
:2005/06/05(日) 14:32:57 ID:aMDL8C2P
ミネアさんを見る。特に変わらず、俺の右肩で眠ってる。気を失ってるミネアさんをこんな至近距離で見るのも
3度目になるが、恐怖が凍り付いたって顔で、緊張した険しい感じがする。そのせいか、見てると痛々しくて
何とか助けてあげたいとは思うにしても、その……幸いというか、変な気分には、なってこない。
その点、さっきの宿での寝顔は……控えめに甘えたがってるみたいな、可愛くて色っぽい表情で……もし今
あの顔してたら、今度こそ俺、抑えきれなくなりそう……ただでさえミネアさんのさらさらな髪とすべすべな肩が
右腕に、温かくて柔らかい膝が左腕に乗っかって……げ、やばい、意識したら本当にうずいてきた!
あわてて顔を上げる。不思議そうな顔をしたアリーナと目が合う。わ……っと、敷き終わったのか。なんだか
このシーツ斜めになってるような。でも初めてのシーツ敷きにしては上出来なほう……かな?
腰を曲げ、ミネアさんを静かに横たえる。なんか名残惜しい……ええい邪念よ消えろ!
燭台を持ったアリーナが居間へと戻る。ついていきながら俺はミネアさんを振り返った。何がどうしてミネア
さんは気絶しちゃったのか心配だし、あの夢について聞いてた途中だったけど……今晩はこのまま眠ってて
もらったほうがいい。明日のこともあるし。
明日……。
明日は俺たち、ベレスを追って峠越えすんだよな。そのことでもミネアさんに聞いときたいことあったんだっけ
……ま、仕方ない。朝にでも聞くとしよう。
《ミネアの状態が変わった》
《ミネアの評価が上がった》
《アリーナの評価がちょっぴり下がった》
居間へ戻る。アリーナがテーブルに燭台を置き、あくびを一つ。俺もつられて口を開ける。いいかげん俺たちも
宿帰って寝とかないと、まずい。
でもな……俺は寝室のドアを見る。ミネアさんを一人にするのはちょっと……。昨日の今日だ。あの野郎が
俺たちがこの村に来てること知ってるはずもない、が……今朝の夢のこともあるんだよな。ミレーユが言った
とおり、ただの夢、ならいいんだが。
……やっぱ、心配だ。俺はここで寝かしてもらおう。毛布はあるし暖炉もあるし、固い床だろうと俺は平気で
熟睡できる。勝手に泊らしてもらうことになるけど、事後承諾で許していただくってことで。
更新キター
814 :
:2005/06/05(日) 14:47:51 ID:aMDL8C2P
で、アリーナは……。干した服に触れ、舌打ちしている。まだ乾いてないらしい。乾くまで寝ないつもりじゃない
だろうな?俺の着てるこの服だって全然乾いてなくて気持ち悪いんだ、まだ、しばらくかかるはず。
俺は、テーブルに座ったアリーナの対面に回り『アリーナ』声をかける。『お前、どうする?』
アリーナは、暖炉の火を見ていた目を俺に向けたが、口を動かす様子はなかった。
『それ、どうせ朝まで乾かないだろ。マーニャさんのベッドで休ませてもらったらどうだ?』俺は東の壁に目を
やってみせた。『寝とかないと、明日きついぞ』
「………」アリーナが目を暖炉に戻した。頬と眉がぴくぴく動いている。“余計なお世話だ”……命令口調で
言ったのが、気に障ったらしい、性懲りもなくまた無視モードに入っちまった。これ以上何か言ってやっても
怒らすだけだな、はぁ。
寝不足の状態でベレスと戦ってほしくないが……ま、明日、起こさずぐっすり寝かせてやればいいだけか……。
またあくびが出た。いよいよ眠くなってきた。俺だけでも、さっさと寝とこう。
玄関とテーブルと寝室の中間に敷かれた絨毯を寝床と決め、ミネアさんが俺にかけてくれてた毛布をまとめて
持っていった。
……っと!?何かにつまずいた。本だ。“心理占術”……?見ると、ミネアさんが調べものをしたって書物が、
床に散らかったままになっている。
貴重な本もあるだろうし、戻しとくか。毛布を絨毯に放り、ノート、本を両手に拾い抱えた。元の本棚は……
暖炉の反対側にある本棚のガラス戸が開いていて、段に隙間がある。あそこか。
集めた本を運び、空いた場所に並べる。ありゃ?入りきらない。この全部がここに置いてあったんじゃなく
別の……たぶん寝室の本棚からの分もあるらしい。
やむなく、入りきらなかった本を本棚の上に置く。いったん待避ってことで今は勘弁してください、ミネアさん。
815 :
:2005/06/05(日) 14:56:58 ID:aMDL8C2P
?……おっ!この本は。
天板の下の段の一冊に目がとまる。[インパス]の魔法書、か……この本を見るのも嫌ってくらい読んで、
やっと覚えたんだっけ。初歩中の初歩の呪文でこんな苦労するのか……と、俺に呪文習得の気力を
失わせた、憎むべき魔法書。もっとも、いま俺は[ルカニ]を勉強中で、あと少しで覚えられそうな予感。
実はその前、[ホイミ]を覚えようとしたんだが挫折……前の本棚に、その2冊ともそろってる。この3つと
[スカラ]は、従者なら必ず覚えとけって言われてたんだけど、[インパス]覚えたての頃に乱発しまくった
せいかどうも光の精霊の機嫌を損ねちまったらしく……魔法力つける訓練を怠ってたってのが一番の
原因だろうけど。
棚の奥には[ベギラマ]や[ラリホーマ]、[イオラ]なんていう高等魔法の書まである。[イオラ]か……バーバラは
ごく当たり前に使えるみたいだが、俺じゃとても無理。使えるようになれれば[爆弾石]なんていう小道具に
頼らなくても済むんだけどなあ……。
下の段にも目をやる。“兵器錬金”“完訳エルメス碑文”“第三ホムンクルス製法”。錬金術関連の本か。
“八面体賢者の石の正体”“エリクサー抽出の効率化についての考察”“なぜ私は王斧を作ったのか”
……うう、題名だけで頭が痛くなりそうな本がズラリ。さすがは宮廷錬金術師の家の本棚……などと感心
してると、そんな難しそうな本に交じって、“盗賊チャックのノート”“お金をためる100のコツ第一巻”
“沈黙の羊(疾風怒濤編)”……はるかに内容軽そうで面白そうだ。エドガンさんが錬金の息抜きにでも
読んでたのかな?
寝るついでに読みたい本もある。明日はたぶん読書する暇なんてないだろうし。だが、少しでも睡眠時間
長くとったほうが、明日を考えるとベストな選択。うーん、迷うほどの問題じゃないんだが……。
816 :
:2005/06/05(日) 15:10:17 ID:aMDL8C2P
『……?』アリーナの顔が本棚のガラスに映ってるのに気付いた。俺の背中を見ている。何か言いたいこと
あるのか、と思って振り返ったが、すでに暖炉に顔を戻している。なんだかな。いつまで続くんだろ、お姫様の
この微妙な態度。
さて、と。何をするか―――
1.休息
2.コミュニケーション
2−1.説得 2−2.配達 2−3.抱擁 2−4.襲撃
3.読書
3−1.盗賊チャックのノート 3−2.お金をためる100のコツ第一巻 3−3.ルカニの魔法書
3−4.ホイミの魔法書 3−5.ベギラマの魔法書 3−6.沈黙の羊(疾風怒濤編)
4.巡回
5.脱衣
今回もまた謝罪せねばならないのが心苦しひ
6月を5日オーバー、2週間ギリギリ、申し訳ありません
ダラダラとした文章しか浮かんでこないスランプ状態に陥ってまつ・・・今に始まったことじゃないような
次の更新でようやく朝。サントハイムシナリオがどうのと書いてた頃はなんだったんでせうねえ・・・
>774 さすがにミネアをグーでパンチする勇気のある方はいなかったでつね
>775 信じてもらったすぐ後で裏切ってしまうパターン・・・情けないでつ
>776 2−4だともちろんえらいことになりますた・・・がみなさんが思ったほとでもなかったかも
>777 それが醍醐味でもありまつね。でも内容で裏切るより人格的に裏切ってばかりで_| ̄|○
>779 おっしゃるとおり3選ばれたらかなりまずかったでつ。夜更かしがますます続いてしまい
>780 4を選ばれるんですたらsageてくださいです。。。
>781 サンクスでつ!応援に応えられるよう精進しまつ!
>783 たまにはでせうか?漏れはよく入れてる気がしまつがw
>784 がんがりまつハイ!
>788 早い者勝ちでつと、漏れの更新時間帯からいって深夜や朝方から2ちゃんねるやってらっしゃる方が有利でつねw
>793 漏れの頭の中ではこれでもギャルゲー画面が出てたりしまつ。地の文多すぎてそんな気しませんでせうが・・・
>795 エロゲーにしたいのでしたらsageてくださひ・・・でないと小心者の漏れは書けませんです。。。
>803-808 m(_ _)m 平謝り!
>809 漏れは躁鬱が激しくてそれが筆にもキャラクターにも影響してまつ。連載モノ書きとして致命的欠陥でつ
818 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/05(日) 18:09:14 ID:QjpDlKHn
赤面するアリーナが見たいので、2-3
(でも3−6.沈黙の羊(疾風怒濤編) 、2−2.配達が猛烈に気になる)
1
前々から思ってましたが
早く寝ろ、と…
820 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/05(日) 19:31:58 ID:HsGok+k8
“なぜ私は王斧を作ったのか”ワロスwwwwww
2-3 で
ツンデレアリーナがみたい
2−3
2-3
ツンデレを見たいという欲望は有史以来の男の本能
おいおい、ヌッ殺されるぞ・・・
俺は3-4で・・・
キングアックスワラスwww
5.
素っ裸じゃないと眠れないからとか言って。
アリーナにもオススメしてみる
3-4
面白そうなんで2-3
そろそろ仲良くならないかなあ
2-1
でも説得じゃむりぽ・・・普通に話する選択肢はないのか
1
2-3だと現状ではさらに(全員から)評価落とすだけな恐れも。
3-4でいい気する。
ホイミなんて覚えても面白くないおw
2−3でwww
2-3
sageろと書かれてるのが癇に障ったので2-3
833 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/09(木) 23:00:12 ID:AU5ZBxnc
捕手、選択は
2−3で決まりか。
保守
1
835 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/11(土) 22:46:58 ID:XHVHCy+5
投手
沈黙の羊(疾風怒濤編)
前回(沈黙の羊「覚醒編」)のあらすじ
ついに宿敵謎の旅人ウィルを倒すべく、修行の旅を続けるェイ(沈黙の羊A)は、
ある廃墟(ダーマ神殿跡地)で眠りを取った。夢の中でェイは神官から洗礼を受
ける。夢から覚めたェイの身体には新たな力が宿っていた。
集計
2-3 9票
1 3票
3-4 3票
2-1 1票
5 1票
837 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/13(月) 22:51:44 ID:ro21ZoSB
保守
場つなぎ氏ガンバ
保守sage
保守でもしておこうか
840 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/17(金) 22:42:20 ID:Df3FGQdv
漏れも保守
じっちゅうはっく保守
次回は私的にかなり好きな展開になりそうだ
( ・∀・)ワクワク
場つなぎ氏の手が止まってそうなヨカーン
845 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/19(日) 18:04:55 ID:wd2Kbmwv
5.
脱衣してコーヒー(塩と砂糖を間違えて入れたやつ)でも飲んで寝るか。
投票は打ち切っておきますです。。。
保守
848 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/23(木) 00:13:41 ID:3BF4Jica
2ほしゅ
3保守でも。
850 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/24(金) 06:48:12 ID:HiB+Bm5W
4保守get
5保守…。
852 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/06/24(金) 23:37:03 ID:HiB+Bm5W
6捕手?
7ホシュ
8歩主
あとsageれ
9hoshu
10保守
作るスレだと思って期待したのにプレイしるスレか。
>>1氏よ、俺と本気で作ってみないか?
>>857 既に本気で作るスレのギャルゲーは去年夏に完成済みだが、
新しいのでも作んの?
場つなぎ氏、どうかがんばってくれ
ガンガレ、超ガンガレ
漏前らの選択が最悪だったから呆れたじゃねえの?
抱きつくってナニ?
どう空気読めばそんな選択できるのかと
>>861 そう人に当たるな、
第一、そういう選択をしないでほしいと思ったらそういう選択肢を出さないだろ、落ち着いて待っていろよ。
7月です。
学校に行きましょう。
この前ちっと短編書いたら、ちいっと文体壊してしまいますた
そのうち指が思い出すと楽観してたら4週間・・・
一人称現在進行体。あやふやな文体だったことを改めて思い知った次第
今日中に書き上がらなくば明日でお願いしますです。。。
そして皆さんのあたたかさに感謝。゚(゚´Д`゚)゜。 ガンガリマス!!
俺はいつまでも待ってる。ガンガ
今月中って書いとくといいよ^^
すぐできるって期待を裏切られるより
予定より早くできてた方が嬉しいものだ人間は
だからメンテ遅らせるより元から遅い時間書いとけ糞ハンゲ
>>865 マッタリやっていいよ
推敲して作ってるみたいだし
頑張れ。期待してます
869 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/03(日) 00:04:44 ID:9zv7jsuA
穂種
最近結構小説系スレが落ちやすいね。保守
いつまでも待ってるぜ!
本日も保守の時間がやって参りました
アルス起きなさい。保守の時間ですよ。
874 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 11:09:59 ID:xzQVCJYn
3の女賢者何かエロい
そういい残してアルスは保守の旅へと出立しました
876 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/06(水) 16:37:00 ID:q1h4P/DL
マダンテつかわれてどうしてもゼシカがたおせません・・・。
恥も外聞もなく自己保守しまつ
ぬぬぬ・・・古今稀に見る情熱がたぎってるというに、気を抜くとすぐ“俺は思った”と書いてしまふ
浮気なんてするんじゃなかった・・・
878 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/07(木) 17:54:16 ID:YIT4jVtq
七夕保守
八夕捕手
保守しようと俺は思った。
保守…。それは場つなぎ氏を呼ぶ儀式。
882 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/09(土) 18:30:03 ID:q9pax11m
hosyu
アルスは保守の呪文を唱えた。スレの寿命が1日延びた。
「今夜あたり更新かな」と俺は思った。
885 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/10(日) 22:02:46 ID:N7MgP71V
今夜、来週か再来週あたりが更新だと思った。
試験なんてなくなればいいのにと俺は思った。
クレスポ保守
888 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/12(火) 22:54:16 ID:s4rcfBjH
>>886 現代人として生きていく以上、試験は一生憑いてくる。野性に還れば
試練が憑いて回る。
大分早いけど保守しときますね。
890 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/07/14(木) 19:03:44 ID:uOorkq84
保守1
900までに更新されるかなあ。
>>891 ねーよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
>>891 あるあるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
やっと過去ログ読み終わた(´д`;)
このスレは場つなぎ氏の長編用のようだな
…サロン辺りで短編用立てたらプレイヤーやりたい人っている?
GMヤテミタイ(´・ω・)
ギャルゲでなくエロゲになりそだが
そろそろGMやりたい人が出そうな時期だと思ってたら、現実に。
もうすぐ長期休暇の季節に入るし、人もそれなりに増えるだろうから、
この際新スレ立ててもいいんじゃね?GM練習用スレに使ってもいいし。
>>894 はいはーい!漏れプレイヤーやりたいでつ!(ぉ
正直申し上げて、このスレは実際ピンクサロン向けかもしれませんでつ
この板の二大DQギャルゲースレの鬼畜王スレさんですら、ハーレムシーンは別サイトで書かれるようになってしまいますたし
GMさんの描かれる物語にHシーンが頻出するのであれば、堂々とHの描けるピンク鯖に移るのがベストかもでつ
かくいう漏れも最初ソレ目的でこのスレにやってきたクチでつから
けれどそれはそれ、漏れは漏れ
漏れはこのスレを続けていきますです!更新いきまーつ!
と予め書いておくのは容量がヤバめなせいでつ・・・
容量オーバーになってしかも新スレ立てられなかったら、どなたか新スレよろしくです。。。
このまんま眠っちまうのは惜しいよな。せっかく二人っきりなんだから。
俺は、ガラスに映る紅茶色の巻き髪と実物とを交互に眺めた。このお姫様とサシできちんと話して誤解を解くにも、
俺がサントハイムに来た理由を俺の口から聞いてもらうのにも、ちょうどいい状況だ。しかし……。
それには、アリーナが俺の言うことにちゃんと聞く耳をもってくれる、という条件がつく。昼間の調子からいって、
話したところで無視、否定、拒絶。それでも続ければ怒って飛び出してっちまうだろう。この場から逃げ出せない、
嫌でも俺の話を聞かなきゃならないような状況に持ち込まなきゃならない。だがこのお姫様、ドアに鍵かけた
くらいじゃ蹴破って逃げるだろう。ハンパな手じゃ無理だ。椅子に縛り付けるとか(バーバラに変態呼ばわり
されそうだが)麻痺でもさせて動きを奪うとか……。難しいな。アリーナに弱点でもあればな。カタツムリ見ると
固まったり、くすぐり攻撃かけると機嫌直ったり……それほどのガキじゃないよなあ、あの王女様。
弱点か……。
そうなんだよな。アリーナの……“アルト”の弱点。教えてもらってあるんだよマーニャさんに。実技指導付きで。
すなわち、背後からの不意の抱きつき攻撃。相手に甘えたり誘ったりからかうために用いられるワザ。背の高い
人間に行うと首締めの追加効果もあり、ターニアとビアンカの得意技である。成否は、いかに相手に気付かれずに
後ろへ忍び寄れるか、反撃を受けないよう動きを封じられるかにかかっていて、そのためには敏捷さと大胆さが
必要となり……。
俺は前髪をつかみ、顔をしかめる。あれをアリーナにやるのはリスクでかすぎる。女が男にいきなり抱きつい
たって男が喜ぶだけだが、男が女しかも王女様さらにアリーナにやったら、交友的社会的身体的に何されるか
わかったもんじゃない。だいたい実際にアリーナの弱点なのかもわからない。マーニャさんは、本当にアリーナに
俺が実行するとまで考えて教えてくれたのか怪しい。あれもマーニャさんのいつもの悪ふざけかもしれないわけで。
なんでそれしきのことでアリーナが“なんにもできなくなる”のだろうか……マーニャさんを信じたいとは思うけど。
898 :
:2005/07/16(土) 04:42:05 ID:wrtU2VqN
振り返ってみる。俺の少々危険な考えなど知るはずもないアリーナが、背と右腕を上に大きく伸ばしていた。
手首から肘までの小麦色が二の腕の包帯の下に消え、包帯の絹よりも白い肌となって肩口にあらわれ、ローブの
中に隠れる。その白は左の肩から出て、徐々に茶色く色づき、肘からは完全な小麦色に戻る。真ん中のあの白が、
アリーナ本来の身体の色だろう。背中も腰も胸も腹も、きっとあんな真っ白だ。無性に抱きついてみたくなるほど
涼しげな白い背中……。
『……!?』
今俺に見えているのは、アリーナの……王女様の、ローブも何もまとっていない白い背中。それは――肌は
吸い寄せられそうなほど白く、光沢があり、その肌を左右に分けるまっすぐ美しく下るラインが引き締まった腰で
さらりとすべって消え、そのラインにもう少しで繋がりそうなへこみが、曖昧なすじになって、ぷくっと丸くふくれた
二つの肌肉の間に挟まれている――確かに、無性に抱きついてみたくなるような、涼しげで、寂しそうで、可愛い
背中だったのだ。俺は驚いてまばたきした。と、裸の背中は、焦茶色の椅子の背もたれと橙の地味なローブに
遮られた。そして、何事もなかったかのように、アリーナが腕を下ろした。
899 :
:2005/07/16(土) 05:06:39 ID:wrtU2VqN
『………』胸がぎゅっと高鳴り、膨らんだ血が肌を圧迫している。な、なんだ、今の……夢?運命?まさか。眠気は
あるが、ちゃんと目を開けてたはず。じゃあ何なんだ……もしや?周りを見回す。天井や壁が透けて外が見える
なんてことはない。やっぱただの妄想か……?
……いや。妄想だったにしてもだ。いつものドレスなら袖があるべき部分からのぞいている丸い肩のその白さは、
アリーナが今見たような背中をしてることを示している。違っていたとしても大差はないはず。抱きしめたてみたくなる
背中のはず。俺は唾を飲んだ。あんな吸い込まれるような背中だとしたら……実際に抱きしめてみたい。健康的に
日に焼けた腕や顔でなく、その背中を……白い身体を、この腕の中に抱きしめてみたい、抱きしめてやりたい、
やってみたい!
いいじゃないか、やったって。抱きつかれるってのがアリーナの弱点ならそれでいいし、弱点でなくたって、せいぜい
一発みぞおちに食らわされるだけだろ。そうして嫌われたとこで、今が最悪なんだからこれ以上悪くなりゃしない。
アリーナは親父さんに報告して法的な復讐をしてくるような軟弱な女じゃあない。言いふらされたって、マーニャさんが
教えてくれたことをやってみたんだという動機がしっかりとある。何の言い訳にもならない?どうでもいい。
そうっと一歩、前へ踏み出す。深呼吸を気付かれないよう2つ。相手はすばしっこい。ターニアやビアンカにやるの
とはわけがちがう。勝負は一瞬!
できる限り普通に歩み、アリーナの椅子の背後へ近づく。焦るな、焦るなよ。やられるにしてもやってからだ。今の
アリーナなら俺が間合いに入ってもひたすら無視してくる。なので殺気を悟られなければ先制攻撃は必ず成功する。
ちっ、俺を信用してないくせに、俺が何もしないと思ってるのか。世間知らずなお姫様め。
目標物に接近、距離、半歩前。振り向く様子なし。
いけるっ!
俺は、踏み込みながら身体を前に倒し両腕を差し出して、アリーナの上半身をすばやく巻き込んだ。
900 :
:2005/07/16(土) 05:07:52 ID:wrtU2VqN
肘を堅い肩が支え、手首に丸い鎖骨を感じ、胸に柔らかい髪と頭があたり、手のひらを温かいローブが受け止める。
「……!!」びくり、アリーナの肩が強ばり、震える。やばい!一瞬で俺は後悔した。肘打ちか殴り?あるいは頭突き、
背負い投げ?やばい、防御しようが、ない!
俺は腰を引きかけた、が。『……?』ありゃ?おい……反応、これだけか?
震えてるだけだ。ビアンカやマリベルなら、けたたましく抵抗するとこなのに。
もしかして……マーニャさんのこのワザ、本当にアリーナの弱点なのか!?こうされると、この男勝りのお姫様は
“なんにもできなくなっちゃう”のか?
どちらだっていい。ここまでしたら遠慮は無用!
ぎゅ。
俺は、おぶさるように、震えるアリーナを上から強めに抱きすくめた。うわ、細え……なのにやたら凹凸があって、
男の身体並みに堅い。無駄な肉がついてない。外見は普通の女の子と変わらないのに。そうとうこれ、引き締めて
あるんだな。普段は髪とマントに隠れてる首筋も、やはり肩と同じ、薄く黄色がかった白。やっぱ、さっき“見えた”
通りの身体……顔に似合う可愛い身体してんだ、アリーナは。
なんだか変な気分だった。別にヤラシー気分ってわけじゃなく……いやまあもちろんそういう気分にもなってるん
だが。そりゃあ性格はともかく可愛い王女様それもローブを巻いただけの身体を抱きしめてるんだからそんな
気分にならないほうがおかしい。俺の今感じてる気分はそれだけじゃなくて、なんつーか、違和感というか、
嫌悪感というか……。
901 :
:2005/07/16(土) 05:08:46 ID:wrtU2VqN
「………」お。アリーナの首がゆっくり動き出した。俺の腕を撫でていく巻き髪。少し濡れている。俺は特に身構えず、
待つ。「………」俺の右腕に沿うようにして、アリーナが見あげてくる。不可思議のあまり誰かと見合わせるような顔。
頬を白くし、わずか開いた小さな唇を小刻みに震わせている。男に抱きしめられてるのになんだろうなあ、強いはずの
お姫様の、この何にも知らないような表情は。
『アリーナ。お前、可愛いな』俺は笑った。
「……なっ」アリーナの顔がゆがみ、強ばりがわずかに緩んだ。今度こそ、くる。俺は腰を引いて足を開き、アリーナの
両肩、両の上腕を背もたれごと手と肘で抑えつけ、額をアリーナの右肩胛骨に押しつけた。薄い汗の匂いがした。
「な、なっ……なにするんだっ!」
ようやく暴れ出すアリーナ。だがもう遅い!「は、放せっ、ウィルっ!無礼者っ!」身体をひねり、前に横にもがく
アリーナに、脇を締め足を踏み出してしがみつく。ふっ。ガッチリ固める時間を与えちまったお前の敗北だ!
「放せ、このっ……てっ!」強引に下から出ようとし、俺の手首にあごをぶつけてうめくアリーナ。だから無理だっての。
『おとなしくしろよ』っと危ない!髪をつかみにきた手をすんででかわす。『おかしいな。こうするとアリーナはおとなしく
なるって、マーニャさんに聞いたのに』
「マーニャにっ?」暴れ続けながらアリーナがわめく。「ちくしょうっ!何のつもりだ、そんな余計なことっ!」
『マーニャさんは、俺と君が仲直りす……あぶねーな!仲直りするための手を教えてくれたんだよ』
「な、何が仲直りだっ!こんな無礼をしといてっ!ボクを誰だと……」
『今は誰だか知ってる。けどな、お前と会ったときは知らなかった。クリフトっていう、かなり変わった、可愛い女の子だと
思ってただけだ』
「う、嘘つけっ!知らなかったんならなんで……ちくしょっ、放せ、放さないと……っ!」
知らなかったから今こんなことできてんだけどな。もし知ってたら……いづっ!右の肘かわしそこねた。なんとか
押さえ込み直す。ほんと細いなアリーナって。あと少し横幅広かったら抱え直せなかったとこだ。
「うう、くそっ!」アリーナが悔しそうにわめき、暴れに暴れる。ったく、上品な王女様だ!
更新中?
903 :
:2005/07/16(土) 05:21:16 ID:wrtU2VqN
この後ろから抱え込み攻撃は、反撃を遅らせるのには効果があったが、アリーナの力を減じるには役に立っていな
い。ま、座ってる相手には首と背中を押さえる時間があればどうにかなるので、それで充分。ひとつ言えるのは、
ベレスとの戦いで敏捷さと技のキレを見せたアリーナだが、こういう最終的なとこでの身を守り方はうまくないらしい。
フェイントしたりバランス崩そうとしたりせず、ただ力任せに暴れ、単純な攻撃を繰り出してくるのみ。本気の取っ組み
合いをしてくれる相手がいなかったせいかな。じゃあ俺が貴重な相手をしてやってるってわけだ。
『俺だってホルスの従者やってんだぞ。君が王女だってわかれば、さっさとアイサツしてるって』
「うるさい!とにかく放せ、このやろっ!」
とにかく目的は達した。そしてしっかり(大ざっぱな意味での“しっかり”だが)会話はできてる。でもやっぱ聞く耳
持ってくれない。アリーナが今さっき言った通り、この無礼千万な状態でいきなり本音を語り合うのは無理な話か。
いったん話を変えよう。俺が攻めていけるような、アリーナにとって引け目のある話題がいい。
『ところでアリーナ』にやりと頬をゆがめる。『どうして俺たちを尾けてきたのか、聞いてなかったな?』
「……!」アリーナの抵抗が一瞬止まり、「つ、つけてなんかない!」再開。ローブがあちこちでずれはじめたが、
気を遣っちゃいられない。
『お前、俺を嘘つき呼ばわりしたよな』声を低くし、言ってやる。『君のが嘘つきじゃないか』
「………」また、アリーナが止まる。やりやすいな。このお姫様、素直すぎ。
『もう一度聞くぞ。どうして……』
「ど、どうだっていいだろっ!ウィルたちだってボクを追いかけてきたじゃないかっ!」
何だよそりゃ。理由にも反論にもなってない。
『俺たちは、友達として、君の無茶を止めるために追ってきたんだが』俺はアリーナの小さな耳に口を近づけて、
ゆっくり言った。『アリーナも、か?』
「ち、ちがうっ!」アリーナが怒鳴り、頭を横に引いた。攻撃でなく回避だった。「そんなんじゃないっ!」
『じゃあ何なんだ。俺に用があったんじゃないだろ。ミネアさんと話でもしたかったのか?』
しまった。“そうだ”なんて肯定されたら先がない。「ちがう!」良かった、短慮短絡素直なお嬢様で。
904 :
:2005/07/16(土) 05:28:18 ID:wrtU2VqN
『それなら……』
あ。アリーナの首筋の生え際を見て思いつい……思い出し、アリーナの耳の後ろへ右手を動かす。この状態で
髪撫でれば、アリーナはもっとおとなしくなるんですよね、マーニャさん?
『どうして、だよ』
ささやきながら髪に触れ、指先ですっと掃く。「ひっ……」案の定、いやそれ以上に大きく、アリーナは弾けるように
震えた。怒りに赤くなった頬から血の気がひき、身体と腕を縮こまらせて硬直する。右腕が俺の肘から外れて自由に
なったはずなのに、何もしてこない。マジかこれ?
俺は、驚きながら、今度はそろえた指の腹で、子猫の毛並みを整えるようにそこを撫でつけてみた。
「や、やめろ!やめ……ぇ」アリーナが嫌がるように首を振り、ますます縮こまり、震えた。
俺にも震えがきた。うっひゃー面白れー!これ本当にアリーナか?これだけのことでほんとに何にもできなくなってる。
ようし、今までナマ言った、おしおき分だ!
『どーしたアリーナ?身体の具合でも悪くなったか?』
紅茶色の髪に軽く指を入れ、うなじごと静かに撫でつけてやる。まだ濡れているし汗ばんでるので、引っかからない
よう優しくしなければならず、感触そのものはそれほど良くないが、しかし、アリーナの髪だ。
「やめっ……やめぬか……っ」アリーナが、まったく力がこもっていない声でうめき、何かをこらえるように唇を噛んで
下を向く。俺が撫でている間は歯を食いしばって息を止め、放すと急いで呼吸する。「やめて、やめてくれっ」くーっ!
なんだよ、可愛いじゃんかよ。こんなアリーナを見て、もちろんやめられるわけがない。構わず髪と首筋を丁寧に
撫で続ける。マーニャさん、ありがとう!素晴らしい情報でした!
巻髪をかきわけて少し持ち上げ、下をのぞいてみる。前の首筋は黄味がかっているが、髪の下はやはり白い。
うー、生え際がなまめかしー。ここまでやっちまってんだし、いっそ頬ずりしてみたい、が……さすがにただの変態か。
そういうことは、本格的に仲良くなってから、正式な了解とってやらせてもらうことだ。柔らかそうな前髪も触って
みたいが、それも、そのときの楽しみってことで。
905 :
:2005/07/16(土) 05:29:41 ID:wrtU2VqN
『気持ちいいか?』背中のほうから髪の下に手を入れると、うぶ毛がふんわり触れてくる。『かゆいとこあったら言えよ』
「………」む。返事がない。やりすぎた……かな。
よりによって俺に、されるがまま髪をまさぐられるなんてのは、気の強いアリーナにとっちゃずいぶんな屈辱だろう。
もう少しいじってみたいとこだが、そもそも本来の目的はまともに話をするってことなんだし……このへんで勘弁して
やるか。
『アリーナ』髪から引いた右手をふたたび前にまわす。『俺たちを追ってきた本当の理由、聞いてないぞ』
「………」
あれ。まだ震えてる。こりゃ相当怒らせちまったな。こいつが本気になって怒り出したら俺には手をつけられなく……。
『……?』
へ?「……っ。……っ」この呼吸音、この肩と胸の震わし方……もしかして?
頭の血の流れが一瞬止まった。ばっ、莫迦な。アリーナなんだぞ、こいつは!
「ひっ……く……。か、かあ…さまぁ………っ」
『なっ!?』あわててアリーナをのぞき込み、『うわっ!?』その身体から手を放す。なななななななっ!?そんな、
嘘だ。こいつが?これだけで……?信じられん。
アリーナは泣いていた。その蒼白な顔は、追いつめられた子供のように――倒れる寸前のミネアさんのように――
恐怖に凍りついていた。ベレスと生死をかけて戦っていたときもまったく見せなかった絶望的な怯え。ミネアさんに
あってもアリーナにはありえない表情。涙。弱々しい姿。
『………』
呆然と後ずさりする。あのアリーナの泣き顔(可愛い!)……あのアリーナを泣かせられた(すげー俺!)………
……な、泣かせちまった!!!
まさか。泣くほどのことか?ばか。当然だろ。アリーナだって女の子だ。けど。アリーナだぞ?可愛い顔して俺より
ずっと強い。男勝りで生意気。思い込みが強くてわがまま。そのアリーナが、髪をいじられた程度で、泣きべそを
かいている……。
『あ、アリーナ』とにかくは謝っとかねーと。『……は、は、ははっ。調子に乗りすぎた。悪かったな』
な、なに笑ってんだ俺。だが冷静になろうとするほどおかしさがこみあげてきて、頬と腹がいうことをきかない。あの
アリーナがなあ。おかしくて仕方ない。アリーナを泣かせておいて、その姿を見ながら、俺は笑っている。ひでーな。
ははは……。
容量大丈夫かな
907 :
:2005/07/16(土) 05:39:27 ID:wrtU2VqN
「うおあああああああぁあっ!」
バァーーーーン!!
ぎっ!?かかとから背、頭頂までの肉と骨に振動が突き抜けた。
アリーナが、立ち上がっていた。拳を叩きつけられたテーブルが、ぴしり、と変な音を響かせる。座っていたはずの
椅子は、消えていた。
『………』汗が止まる。唾を飲む。キレちまったあいつ……やばい……。
アリーナがこちらを向く。眉を逆立て、ぎりぎりと白い歯を噛みしめた怒りの形相。拳は握りしめたまま腰から少し
放して震わせ、脚を開けて仁王立ちしていた。周囲の空気が揺らぎそうなほどの怒り、完全な敵意……。
いつの間にか俺は、後ろへ足を引いていた。やばい。マジでやばい。何されるかわからない。逃げたほうがいい。
逃げたい。けれど……。
あいつを泣かせちまった。笑っちまった。それで逃げたりなんてしたら……俺は一生あいつに負い目を感じちまう。
友達だなんて言えなくなっちまう。そのくらいなら……。
逃げたがる足と腰、笑いたがる頬を引き絞って、俺は覚悟を決め、アリーナを見返した。くるならこいよ。ただし
殺さないでくれよ。やることあるんだから。
『……?』こない、な。どうしたんだ。
見つめ直してみて『……!』はっとなった。濡れた頬にまた一粒、光るものが落ちていっている……。
アリーナは、まだ、泣いていた。俺をにらんでいるのに焦点の合ってないような瞳。睫毛に涙をたっぷりためた、
泣き出しそうな瞳。哀しみを怒りで抑え、そのせいでいっそう哀しさが増した痛々しい瞳。
あれは……。俺は息が詰まった。あの瞳は……。
「………」その瞳が、前髪に隠れた。俺に気付かれたのに気付いたのだ。アリーナの膝が曲がり、腰が落ちる。
俺は待った。ほんのわずか。
「……くっそおおおおおおっ!」
アリーナが、吠え、突進してくる。その絶叫と形相に、思わず腰が逃げかかる。ひええ、怖ええ!!
なんとか踏ん張り、待ちかまえる。あいつ、どっか動き鈍いな。ミネアさんの裾の長いローブのせいか。蹴りはない。
打撃?投げ技?右肘が下がった!そ――。
左のあごに、衝撃。
《アリーナの意識に変化が起きた》
《アリーナの状態が変わった》
《アリーナの評価が大きく下がった》
908 :
:2005/07/16(土) 05:43:18 ID:wrtU2VqN
起きあがったとき、アリーナはいなかった。
倒れてる間にドアの閉まる音が聞こえた気がしたが、俺が床に落ちた音だったかもしれない。どちらにしろアリーナが
出ていってすぐってことは空気の冷たさでわかったし、どうでもいい。追いかけるつもりは、ないんだから。
まさか、アリーナを泣かせちまうとはな……しかも、あんな簡単に。
喧嘩で負かしたわけじゃない。傷つくことを言ったわけでもない。髪をほんのちょっといじっただけ。それで、“かあさま”
……かあさまだってよ、アリーナが!乳離れできない子供みたいに。
っと、待てよ。アリーナの母親だから、王妃様。王妃様はもう亡くなってるようなこと、誰か言ってなかったか?
そうすると……?
それに、あの瞳。泣き顔を見られたっていう屈辱の怒りだけじゃなかった。哀しい瞳だった。
あのときのマリベルの瞳を思い出す。そして、たぶん、俺の瞳。
もしかしたら……アリーナも、何か、持ってんのかもな……。
『………』
それにしても……………いっつーーっっ!!!
あいつ……多少は手加減したんだろうが、この激痛と俺を一撃で気絶させた威力、ランドのストレートの比じゃない。
台所の水瓶の水を借り、あごを冷やす。骨折してはいないが、ひびくらいは入ってるかも。腫れてきそうだな。舌には
血の味がし、口をすすぐと下唇の左に浸みた。背中全体と両手がしびれているのは、無意識に受け身をとってたん
だろう。それ以外は特に痛みはない。アリーナは、くたばった俺に追い打ちをかけるような真似はしなかったらしい。
お優しいことで。
居間に戻る。アリーナの怒りの最初の犠牲になったテーブルが、わずかだが真ん中でひしゃげている。あーあ、
ひび入っちまってる。安全のため燭台をマントルピースに置く。
暖炉の前には、アリーナの服や靴がまだ干してあった。どうすんだこれ?明日とりに来る気か?考えてるうち、自然に
目が白いもののほうにいってしまう。男の情けない性……いや、いいんだよ、見てくれと言わんばかりに干してある
ほうが悪い。今なら誰もいない。触ったって何したって俺の自由……。
おい、恥を知れよ。アリーナのものにそんな卑怯で卑猥なことできるような男か、俺は。
909 :
:2005/07/16(土) 05:46:30 ID:wrtU2VqN
息をつき、名残惜しくもテーブルに戻り、カップを片づける。つまりアリーナは、ローブ一枚で外飛び出してったわけか。
まっすぐ宿へ帰ればいいが。風の吹く音がしてるから、薄着だと身体を悪くする。
さて、どうするか。すっかり目が覚めちまってるんだが、寝ないと、まずいよな。
かねての用意通りに毛布を敷き、横たわ……ろうとして止める。こんな冷たくて気持ち悪い濡れた服着て床に寝たら、
俺のほうが具合悪くなっちまう。着替えでも借りたいが……男物なんてないだろうな、この家には。
あ、なんだ。俺、[旅人の服]もう一枚持ってるじゃないか。今朝、破邪の剣といっしょに割引で買ったやつ。
[ふくろ]から取り出し、肌着ごとさっさと着替える。よーし、壮快壮快!これで気持ちよく眠れる!
横になる。眠りたがっている脚や背中から眠気が広がってきた。このまま任せりゃ眠れるな……。
……………。
“かあさまっ”“うおああああっ!”……。
だめだ。目閉じると、あいつの泣き面と怒り顔を思い出しちまって、息苦しくなってくる。だよなあ。出会って一晩と
経たないうちに友達だって認めてくれた女の子を泣かせちまったんだ。最低だ。ほんと調子乗って遊びすぎた。
もう本格的に嫌われただろうな。明日からどうすっか。まさかアリーナが泣くなんて思ってなかったし、そういう系の
弱点だとは思わなかった。マーニャさん、知ってて教えたんだろうか?だとしたら恨みますよマジで。
どんどん心は重く、あごも痛くなってくる。俺に泣かせられたのも、俺に泣き顔を見られたのも、アリーナにとっては
相当なショックだったはずだ。この上もしミネアさんたちにまでそのこと知られたら、あいつは……。何とか隠し通さ
ないと。何しろ明日は命かけた戦いに出かけなきゃならない。俺たちに恥を感じてたら、冷静に戦えやしないだろう。
あー……明日の重大性考えたら、やっぱあんなことやるべきじゃなかったな………。
910 :
:2005/07/16(土) 05:53:57 ID:wrtU2VqN
後悔したってしょうがない。明日いのいちであいつに謝ろう。今日はそう決めるだけで充分。ハイこれでアリーナに
ついては終わり。何か楽しいことでも考えて、さっさと寝る!
楽しいこと。何がいい。あ……フローラさん。フローラさんか。
優しく微笑んでくれるフローラさん。あの“運命”が本当なら、フローラさんはいずれ俺を……いずれ俺のものか。
すごいな。俺のするがまま、湧水みたいな青い髪をさらさら撫でても(うっとり俺を見つめて)、小さくって肉薄な唇に
キスするのも(頬ぽっと赤くして)、ドレスの上から胸を手のひらで包み込んでむにむにさすのも(我慢して目と口を
きゅっと結んで)、すべらかそうな丸い肩にくちづけるのも(俺がそうしやすいように腕を引いてくれて)、なんでも許し
てくれる!ああ、なんていう幸せな未来!もうあのとき、“俺”とフローラさん、恋人として最後まで経験済みだった
のかな。“俺”けっこう手慣れてるって感じしたし、やっぱ、すでに、ああ、フローラさんと……あのフローラさんとか。
信じられないなこのやろ。いつどこでだ。清楚なフローラさんだからサンマリーノなんかの安っぽな宿屋は不可。
そのくらいなら外。いっそ教会でとか。教会!?なんだよそりゃ。教会はお祈りするとこだ。ここで遊んじゃダメって、
ビアンカにしょっちゅう怒鳴られただろ。そんな場所でそんな。でも教会、いいかも。フローラさんを説教台に乗っけ、
あの長いスカートの中に下から潜り込む。フローラさんシスターやってたから相当に恥ずかしがるだろうなあ。でも
そういうフローラさんを見たくてやるんだから……ああ、これ、ミネアさんにでもいいな。ミネアさんのがもっと恥ず
かしがりそう、でもそこをちょっと強引に……嫌われちゃうかな。でもそんなことないか。ミネアさんて、好きになった
人にはとことん尽くしちゃいそうな……きっとフローラさんも……でもあまり尽くされすぎるのも困るなあ…………。
《装備:[旅人の服]→[旅人の服]》
911 :
:2005/07/16(土) 06:13:35 ID:wrtU2VqN
『………!』
すぐそばで人の声が聞こえ、夢から覚めた。
……あれ?どんな夢みてたっけ。思い出せない。すっかり頭の中から消えちまってて、いいとこですげーもったい
ないことしたって気分だけが残ってる。こういう気分もいっしょに忘れればいいのにな。つっかえてしょうがない。
ん……?誰かがすぐ近くにいる気配。ターニアか?ビアンカか?いい夢を邪魔するのはビアンカで、悪い夢から
起こしてくれるのはターニアだ。じゃあビアンカか。ところで俺、昨日どこで寝たっけ?下、やたら固いけど。
『!?』いててててっ!
鼻をつままれ、『なにすんだビアンカ!』俺は飛び起き、ビアンカをにらみつけた。
『……あ?』
目の前にしゃがんで眉をひそめているのは、金髪で日焼け顔の見慣れた女性ではなく……髪は紫、顔は色黒、
フード付き外套の下はアクセサリーだけを身につけた褐色の半裸体、そのすべてが美しくそそるお姉さん!
『ま、マーニャさん!?』
眠気を飛ばして叫ぶ。マーニャさんの後ろには同じ色の髪と顔のミネアさんの姿。あっちゃー。ビアンカがいるわけ
ないじゃないか。ここはコーミズ村で、ミネアさんたちの家なんだから!
「おはよう、ビルくん」気を取り直すようにマーニャさんが笑う。「髪、大変なことになってるわよ」
『え?』反射的に髪に手がいく。あ、これひでえや。濡らしたまま寝ちまったからな。
「外行って、髪と顔、洗ってきたら?」
『は、はい』
あれ。なんでマーニャさんがいるんだろう?聞こうとしたが、ひとあくびしたマーニャさんは、寝室に入ってしまった。
眠るために……じゃないだろ、わざわざ。
912 :
:2005/07/16(土) 06:15:21 ID:wrtU2VqN
目をこすりながら立ちあがり、ひと伸び。う。だるー……床で寝たせいかな。慣れてるはずなのに。
「………」テーブルに座ったミネアさんが、俺を見据えていた。頭がふらつく様子もないし血色も普通。良かった、
元気そうだ。けど……な、なんでそんな、睨むような細い冷たい目してんです?
『おはようございます。ミネアさん』
「……!」細い眉がぴくっと動き、ミネアさんは驚いたように俺を見つめると、恥ずかしそうに顔を背けた。
『……?』気まずいな。今回は何だろ。あ、昨日倒れたの気にしてるんだ。別にしょげ込むことないのに。まあ日に
二度もとなるとちょっとあれだが。
「ビルくん、はい」
寝室のドアから、マーニャさんが綿布のタオルを放って寄越した。「顔洗ったら、すぐ戻ってきてよね」
『は、はい……』ということは、俺に何か用があって来たのかな。
勝手口から外に出る。うーん、朝の空気が涼しくて爽快なのは、どこも同じだな。前には昨日の夜見た通りの青い池、
そこに浮かぶ、少々不気味な、赤い島と黒い家、向こうには森、さらに向こうには霞のかかる山。そして、青空。まだ
日は昇っていないものの、すっかり明るい。今日も晴れることは間違いなし。
今日は、あの山に登り、ベレスと再戦。険しい峠だっていうし、ミネアさんの先導と、アリーナの腕にかかってる。
ひょっとしなくてもかなり危険な日になりそうだ。気合い入れないとな。
『………』アリーナ、か。顔洗って、マーニャさんの話が済んだら、さっさと謝りに行こう。たぶん、俺の顔見るのも
嫌だ状態なんだろうけど。ま、もう一発くらいなら殴られてやってもいいかな。
《ミネアの評価がちょっぴり下がった》
手を切りそうだが顔と頭には気持ちいい冷水と、微かに香水の匂うタオルで、まぶたと頭の奥に残っていた眠気を
すっきり消して戻ってくると、ミネアさんは台所でジャガイモを切っていたが(青菜も置いてあって鍋にお湯湧かしてる
から、スープでも作るらしい)、マーニャさんはテーブルに座って、俺を待ちうけていた。
「ビルくん。あの池の水、冷たくて気持ちよかったでしょ」
うなずいた俺の手からマーニャさんはタオルを取り、洗濯桶へ投げ込む。その音にミネアさんが振り返り、何のせいか気付いて
マーニャさんをにらんだ。マーニャさんは平然と椅子に座り直す。
913 :
:2005/07/16(土) 06:18:43 ID:wrtU2VqN
「じゃ、ビルくん、こっち座って」
テーブルの角を挟んで向かい合う椅子を俺に示してくる。少し上のほうから喋ってるような口調なうえに、少し早口。
急いでるらしい。よくわからないけど、お手柔らかにお願いします……。
「ビルくんて」腰をかける前に話しかけられた。「女の子のお友達、ずいぶん多いのね」
うえ。やっぱりビアンカのこと、素通りしちゃくれなかったか。
『えーと……ビアンカっていうのは、俺の家の隣の宿屋の娘で、俺が寝坊したりなんかすると起こしに来るんですよ。
それでちょっと寝ぼけちゃって……』
「へーえ?その娘、歳はいくつ?」
『俺より2歳上です』
「あっそう……ふーん。仲良いんだ」
『そ……そりゃまあ、お隣でお世話になってますから。嫌でも仲良くしないと』
「婚約とかはしてる?」
『え?』ぎょっとなった。なんでマーニャさんが知っ……知ってるはずない!『えっと、ビアンカが、ですか?』
「してるわけね」うっ。とぼけようとしたけどマーニャさんには通じなかった。台所のミネアさんも、包丁持ったまま、
驚いた顔でしっかりこっち見てる……まずい。
『村の人が勝手に……』大きな声になってしまい、あわててひそめる。『勝手に、そういうウワサをしてるだけです。
まだ正式にはしてません』あ、この言い方はまずい。『するつもりもないですよ。仲は良くても、そういう仲ってわけじゃ
全然ありませんから』すぐに付け加える。
「そんなムキになんなくてもいいわよ、ビルくん」マーニャさんがくすりと笑った。「よくあることよ。あたしやミネアも、
小さいときからよく言われたわよ。マーニャちゃんは誰々くんと仲良いから将来はどうとかね。ちょっと仲良くした
だけで、すーぐそんな話になっちゃうから、こういう小さいとこは嫌なのよ」
『え。ええ。同じです』胸をなで下ろす。確かに。一緒に来ただけなのにミネアさんの婚約者にされた俺。この村も
見事にライフコッドと変わらない。
「まあ、あたしは、朝起こしになんて行ってやるほど、仲良い子はいなかったけどね」
『弟扱いされてるんですよ。昔から』肩をすくめる。『それで、何かとお節介やいてきて……』
914 :
:2005/07/16(土) 06:40:39 ID:wrtU2VqN
「ふーん。いいお姉さんじゃない」マーニャさんがそっけなく言う。興味を失ったらしくテーブルを指で撫ではじめている。
ミネアさんもすでに背中を向けている。ほっ。でもなんで俺はビアンカの説明するのにこんなに焦るんだ?やましい
ことなんてないだろうが。勝手に許嫁にされそうなこと以外……それだって別にやましくなんてない。
「それじゃあ、昨日の娘は?」
『はい?』聞かれて俺は頭を巡らす。昨日の娘……バーバラ?いやマーニャさんが知ってるはずない。ミレーユでも
ないはずだ。そうすると、サンディ?
『誰のことですか?』
聞くと、マーニャさんは、指についたほこりをフッと息で吹き飛ばしてから俺を見、またテーブルをこすり始めた。
「魔族に襲われてるとこ、変な魔女さんに助けてもらったんじゃないの?」
『え?』変な魔女、とくればバーバラだが。『どうして知ってんですか?』
「さっきミネアから聞いたのよ」事も無げにマーニャさんが言う。あ。ミネアさんが台所から、すまなそうに俺を見てる。
そういうことか。だけど、バーバラを“変な魔女さん”なんて、ミネアさんが言ったのかな?
『あの魔女は、バーバラっていう娘です。マーディラスの国の魔法研究所ってとこの所長で……サラボナで、マーニャ
さんたちと会う前のよ……』っと。夜とは言えない。『日に、初めて会ったんですよ』
「すぐに仲良くなったわけね」
『ええまあ……』皮肉だと気付いたが言い返せない。あっちから勝手に仲良くしてきたんですよと主張したところで、
俺の株がさらに下がるだけだ。
『マーニャさんと同じようにルーラが使えるんです。昨日はそのおかげで助かりました』俺はできるだけすまして言った。
「その娘、まだノルザスさんとこにいるわけ?」
『ノルザスさん?』何度か聞いた名前……宿屋の主人だっけか。『いえ。昨日、さっさと帰りましたよ』
「そう。残念ね。会ってみたかったのに」台詞ほどには気のない調子でマーニャさんが言う。バーバラとマーニャさん
……どっちも火炎系の得意な女魔導師。案外気が合うかも知れない。一度会わせてみたい……けど、ライバル心
燃やして、どっちが世界一かって対決始めちゃったりして。まあ、マーニャさんが、バーバラみたいな小娘をまともに
相手するとも思えないけど。
915 :
:2005/07/16(土) 07:01:24 ID:wrtU2VqN
「ビルくん」ん……なんか急にマーニャさんの言葉に力がこもった気が。「なんか、隠し事してない?」
『え?』俺はマーニャさんを見つめた。マーニャさんは、指でテーブルをいじりながら、目を俺に向ける。意味ありげな
鋭い瞳、そして楽しそうに笑いを含んでいる口元。何か知ってるみたいだ……でも、何を?
『ビアンカと、バーバラのことでですか?』
「ん?そんな娘はどーだっていいのよ」マーニャさんがあっさり笑い捨てる。人に聞いといて……。「昨日、何か、
イイコトあったでしょ?ビルくん」
どきりとし、背筋が伸びる。イイコトっていうと……アリーナを抱きしめたこと。泣かせちまったけど。だけどマーニャ
さんがそれ知ってるわけないよな。だとすれば、ミネアさんに占ってもらったことか?ミネアさんを2度も寝室に運んだ
ことか?もしかしてミネアさんに何かしたとでも思ってるんですか?
『……別に、何もないですけど』
やましいことは何もなかった。マーニャさんの知ってるようなことは。
「じゃあ、ビルくん」マーニャさんは、俺に向き直ると、テーブルに肘を置き、俺に顔を近づけてくる。真剣だが、どこか
笑っている顔。俺は少し首を引いた。不気味な予感……。
「昨日の夜、アルトに何したの?」マーニャさんが言った。「何しようとしたの、って聞いたほうがいい?」
な、な……ななななっ?
血の気がひく。顔が引きつる。腰が椅子から浮いている。『な、なんでマーニャさん、知ってんですか?』
あっ!今やっと気付いた。マーニャさんがさっきまで指で撫でていたのはテーブルに入ったヒビ……アリーナが拳を
叩きつけた跡……!知ってたんだ。何故っ!?
「ふふふっ」俺の顔を見て、マーニャさんがくすくす笑い出す。「アルト、ずいぶん暴れたみたいね。アルトを襲うん
ならね、ビルくん、この家はよしてもらいたかったわ。それに、ちゃんとムードのあるところだったら、アルトもその
気になったんじゃないの?」
『ち、違いますよ。そんなつもりじゃ……』最初はそんなつもりだった気もするが。『マーニャさん。なんで知ってん
ですか?』
916 :
:2005/07/16(土) 07:30:57 ID:wrtU2VqN
思わずマーニャさんに身を乗り出し、迫る。頭が大混乱中。アリーナに謝ればそれで済むはず……アリーナと
俺だけの問題なはずだったのに。マーニャさんが知ってる。もしかしたらミネアさんも?まずい……まずすぎ。
「簡単よ」マーニャさんはおかしそうに笑っている。笑い事じゃないんですけど。「ついさっきね、あたしの部屋に
飛び込んできたのよ、アルトが」
『え……』じゃ、あいつ、あれからマーニャさんの家行っ……『え??』マーニャさんの家って!?
『あい……アリーナ、モンバーバラまで行ったんですか!?』
思わず俺は声を上げた。真夜中、しかも半日かかるって道のりだぞ?
「そういうこと」マーニャさんもさすがに呆れたような顔をする。「驚いたわよ。誰かがドア壊そうとしてるからあわてて
飛び起きて、誰だって叫んだら、アルトなんだもの。それも、あちこち、顔にまで怪我してるし、ローブ巻いたっきりで
下なんにも着てないし。おまけに、顔は涙でもうぐしゃぐしゃ。何があったのかと思ったわよ」
『………』
前髪をつかむ。すさまじい行動力だ。モンバーバラへの街道は下りだから多少は楽だったろうし、月も明るかった。
それでも深夜、あの格好で、しかもあの怪我で魔物が出るかもしれない道を突っ走って……。
「で、部屋に入るなりあの子、なんでビルくんにあのこと教えたーって、つかみかかってきたのよ。すごい顔で泣きながら
ね。何があったかすぐわかって、思わず笑っちゃったわ。ビルくん、あれ、アルトにやってみたんだなって」
やたらにニコニコして言うマーニャさん。あのう、マーニャさんはあの修羅場を知らないから笑っていられ……いや
違う!想像つくから笑ってんだ、このお姉さんは!
『ちょっと待ってください』マーニャさんに腹立ててもしょうがないがどうしても荒い声になる。『ああするとアリーナが
泣き出すってこと、マーニャさん知ってたんですね。それで、俺に教えたんですね?』
917 :
:2005/07/16(土) 07:35:47 ID:wrtU2VqN
「そうよ」あっさりとマーニャさんはうなずいた。笑いながら。「ビルくんがアルトをおとなしくできる方法って、あれくらい
しかないもの。機嫌悪いときのアルトって、ちゃんと話をしようとすると、すぐ逃げるでしょ。だから。ビルくんなら、
ほんとーに焦ったとき、最後の手段でやっちゃうかもってね。さすがに、教えたその日にアルトにやってみちゃう
とは思わなかったけど」
『………』ほとんどマーニャさんに読まれてたわけだ。『だ、だったら、おとなしくなるってだけじゃなくて、泣いちまう
ってことも、教えといてほしかったですよ。ほんと、焦ったんですから』
あごをさすりさすり、恨み言。知ってたらやらなかった……はず。たぶん。
「まあ、ね」マーニャさんはそれでもくすくす笑っている。「アルトって普段があれだから、びっくりするわよね。あれ
やられると泣き出しちゃうっていうの知ってんのは、たぶん、あたしとクリフトだけじゃないかしら。……ミネア、
あんたも知らなかったでしょ?アルトの泣かせ方」
ミネアさんは、ちょっと前からずっとこっちを(というより俺を)見ていた。むきかけの芋と包丁を持ち、ものすごーく
誤解してそーな細目で。「………」急に話を振られてその目が開き、マーニャさん、俺、マーニャさんと探ってくる。
「なに?姉さん」ほんの少しトゲのある、咎めるような声音。
「なにって、聞いてたでしょ」マーニャさんが背もたれに手をかけてミネアさんを向き、言う。「アルトの泣かせ方よ」
「聞いてないわよ。あたし、忙しいんだから」むきになったような声で洗い場を向くミネアさん。
「あら、そう?地獄耳のミネアだから、しっかり聞いてると思ったわ」
「だ、誰が地獄耳よ!」ミネアさんがまた振り返って叫ぶ。「人聞きの悪いこと言わないでちょうだい!」
「ビルくんしかいないんだし、何言ったっていいじゃない。ビルくんてもう、あんたのことだいたい知ってんでしょ?」
マーニャさんが笑い、俺を見て内緒話するように手の甲を口の横に立てる。「ビルくん。ミネアの悪口は絶対に
言っちゃだめよ。悪口なら、こことラインハットくらい離れてたってばっちり聞こえちゃうんだから。ミネアには」
「姉さん!」ミネアさんが目つきを鋭くし、怒鳴る。あの、マーニャさん、あまり怒らせない方が。ミネアさん包丁
持ってんですから。
918 :
:2005/07/16(土) 07:41:10 ID:wrtU2VqN
『それで、マーニャさん』話を戻さないと。『今、アリーナは、どうしてんですか?』
「泣きながら寝ちゃったわ。まだ寝てるはずよ。ついさっきだもの」
『マーニャさんの部屋で?』
「うん。いちおう言って頼んではきたんだけど……会いたい?」
『………』
アリーナと会うつもりだったけれど……事情が変わってきた。はるかモンバーバラまで突っ走って、第三者の
マーニャさんに泣きつくほどのショックだったんだから、俺の顔見れば一撃でコーミズまで吹っ飛ばすかもしれ
ない。落ち着くまでしばらく放って……でも今日は、悠長にはしてられないんだよな。
「とにかく、ビルくん」マーニャさんの手が俺の腕に触れた。「アルトに謝っといたほうがいいんじゃない?泣かせちゃっ
たんだから。それから、ちゃんと、アルトを探しに来たわけ話してさ、アザあるかどうか見せてもらいなさいよ。
これから連れてったげるから」
『え?………』探しに来たわけ。アザ……。それはそうなんですけど……。マーニャさんは、俺とアリーナが今どれ
ほど険悪か、知らないからな。謝った後にそんな話まで持ち出したら、またブチ切られそう。
「はい。そうと決まったら早く準備して、ビルくん」マーニャさんが勝手に俺を促し、椅子から立つ。「ビルくん?」
急かしてくるマーニャさんに、俺は言った―――
1.『わかりました。俺がきっちり話つけます』
1−1.『でもその前に聞いときたいことが……』
1−1−1.アリーナの弱点 1−1−2.ミネアさんが倒れた理由 1−1−3.マーニャさんの今日の予定
1−2.『すぐ、連れてってください!』
2.『お気持ちはありがたいんですけど、俺が何言っても、どうせアリーナは……』
3.『朝食食べてからにしませんか?』
4.『……ミネアさんに占ってもらっていいですか?』
5.『アリーナが悪いんです。俺は悪くありません!』
なんとか完了。残り4kb。危なかったでつ
一ヶ月と10日以上、6週間もお待たせして、本当に申し訳ありませんですた
見放さずに保守してくださった皆さまには感謝をどれほどすれば足りるのか・・・
ありがとうございますた!!
各コメントは次スレでいたしますです。。。
アンカーが読みにくそうでつのでやはりここでコメントしまつ
>818 3−6は低確率でマホトーンか怒濤の羊を習得、2−2はアリーナに手紙を渡しますた
>819 寝かすのに1週間かかったなんて書けませんでつね・・・けっきょく上の通り妄想さして寝かしますたが
>820 練金といえば王斧でつからw ツンデレキャラはとにかくアメムチさせときゃいいんでつかね?
>822 そうなんでせうか・・・日本の男は大正デモクラシーの頃まで清楚で素直な女性ばかり製造してた気がしまつが
>823 さすがに殺しやしません。漏れとしても、怒ってアリーナが主人公をブン殴る、というだけだったのにナゼこんな展開に・・・
>824 5は単に着替えるだけですたが、アリーナの態度が若干変化しますた
>826 漏れも2−3選ばれたら面白いと思っていますた。なのになんでこうなりまつかね・・・
>827 普通に話せないからあれこれ策を弄したわけですて。そういう主人公でつから
>829 3−4は1/3くらいの確率でホイミを習得。ただ、主人公の魔力の関係で現時点では・・・
>830 今パーティに回復係2人いまつからね・・・けれどゲーム本編では序盤最も使う呪文でつ
>832 sageてくださらないとこの板ではあんなことやそんなことが描けませんでつ・・・
>835 主人公が敵役でつかw ・・・シマッタ!本読むとき内容も考えなきゃ・・・楽しそうw
>836 集計ありでつ!だいたい予想通りですた・・・のにこの体たらく_| ̄|○
>837-841,847-856,859-860,863-864,869-875,878-893,保守のため書き込んでくださった皆様
ゲームブックスレまで落ちてしまう厳しい板でひと月半も維持してくださったことに対し、漏れは下げた頭をいつ上げて良いやら
次スレでもご迷惑かけると思いまつ。しかし、しかし必ず・・・ッ!
>845 アリーナが入れてくれるんでつか?w なお、この主人公はカップ焼きそばくらいは作れまつ
>857-858 作るスレはこの板から飛躍して大活躍中でつ!とととりのも凄そうでワクワクしてまつ
>866-868 (つД`) スミマセソ・・・ソシテ アリガトウゴザイマツ!!
漏れは書いてみないことには躓く箇所がわからないので、あと1時間で書き上がると思ったのがすぐ1日、1週間・・・
せめて文章スラスラ書ければ・・・新GMさんがうらやますいでつ
ちょいとお聞きするが、次スレもsage進行でいくのかい?
sage進行推奨するなら、テンプレに
#本スレは基本的にsage進行となっております
ぐらい入れるべきかもなぁ
GMの意見を聞かせて欲しい件
スミマセソ次からテンプレもう少し短くしますです。。。_| ̄|○
>>7 サンショウ
漏れ恥ずかしいでつorz
新GMさんのスレ今夜も楽しみにしてたらアク禁・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
このスレどうするん?
出来る限り保守か?
保守で
>>927 楽しみにしてて下さりありがたくっ!
中華、漏れは文章をスラスラかけるわけでなく、単に推敲をほぼせんから
早いだけでつよorz
漏れとしては場つなぎ氏の文章力を盗みたいでつ