113 :
保管庫:
「おい、なんか変な音がするんだけど」
地下道を進んでいたジタンが立ち止まろうとする、背後にいたデスピサロも気がついていたらしい、
すかさずジタンの襟元を掴むと、そのまま踵を返して引き返そうとする。
「振り向くな…走れ!全力で!」
その時岩盤を突き破り、おびただしい量の地下水が通路へと溢れ出す。
まさに濁流とも呼ぶにふさわしい暴力的なまでの水流が2人を飲みこもうと迫っていた。
その変化は地下だけではなく、そこからさほど離れていない祠島にも現れていた。
突如彼らの足元の地面が、ぴしぴしとひび割れたと同時に大量の水が地割れから噴出してくる
これだけでも容易ならざる状況だというのに、さらに空気の流れが急激にささくれだってくる。
これは…間違い無く竜巻の前兆、それに悪い事に巨大な魔力の要素を感じる。
だが、彼らがそれに気がついたときはすでに遅かった、大音響と共に島は竜巻に包まれ、
まずは離れがバラバラに吹き飛び、一匹のチョコボと共に竜巻に巻き上げられたのを皮切りに、
その場に居合わせた者達も、次々とはるか上空へと消えていく。
デスピサロが浮島と表現した、祠島だが、彼を持ってしても見ぬけなかったのは、
この島が単なる浮島ではなく、それその物が魔力を帯びて浮いていたということ。
はるかな昔、この地を築いた先人たち(おそらく地下道を掘ったのも彼らだろう)
によって作られた物であるのだろうが、管理するものも無く、打ち捨てられた状況の中、
老朽化が進み、蓄積された魔力がいつ暴走してもおかしくない状況であったのだろう。
そこに来て、先ほどの戦闘が呼び水となり、ついに風船が破裂するかのごとく、膨張したそれは、
一気に噴出したのであった。
114 :
保管庫:03/04/19 00:33 ID:bowcbfVP
そのころようやく安全圏へと脱出したデスピサロたちは、その恐るべき様を固唾を飲んで見続けるしかなかった。
妖しく光る巨大な竜巻、それも1つだけではなく、複数の竜巻が重なり合って付近を覆っているのが分かる。
その凄まじい光景を眺めていたデスピサロだが、あることに気がついたようだ。
「あの竜巻…あれはルーラ?、まさか自然発生するとは」
おそらく暴走、噴出した魔力が様々な条件の元、あのようなルーラという形になったのだろう。
もっとも今、目の前で起こっているのはルーラとは逆の作用をもたらす魔法、バシルーラなのだが。
さらに目を凝らすと、竜巻の頂点からいくつかの光が四方へと散っていくのも見える。
すると、そのうちの1つがこちらへと向かってくる。
「気をつけろ、近くに人が降ってくるぞ」
デスピサロがジタンに声をかけるかかけないかの間に、ばしゅんっ!という音がしたかと思うと、
そこには緑の髪の少女が気を失った状態で、雪原に倒れていた。
一方、竜巻に中途半端な形で巻きこまれてしまい、ただ湖に投げ出されてしまっただけの者たちもいた。
投げ出されたショックで気絶したアニーを抱えたとんぬら、それからアーロンの3人だ。
彼らは崩壊したつり橋のロープにつかまり何とか難を逃れてはいたが、
地盤沈下の衝撃で発生した大渦が容赦無く彼らを飲みこもうとしていた。
とんぬらのすぐ後ろでアーロンが叫ぶ。
「俺に構うな、早くロープを切れ」
激流の中、彼らがつかまっているロープは3人分の体重を支えるにはあまりにも細過ぎた。
このままでは3人とも渦の中に飲み込まれてしまうだろう。
115 :
保管庫:03/04/19 00:39 ID:bowcbfVP
「俺は身体が動かん…頼む」
無言のとんぬらをアーロンはさらに促す。
水面下を見ると彼の身体にロープが絡んでいるのが見える。
だが…それでも、とんぬらには判断がつかなかった、理屈では彼の言葉が正しいのはわかる、
しかし、それでも自分が助かるために他人を見殺しには出来そうになかった、だがしかしその時、
腕の中でアニーが小さな唸り声を上げる。それを聞いたとき、とんぬらの中から迷いが消える。
「すいません!」
とんぬらはさざなみの剣を抜き、素早くロープを切断した。
アーロンの口元が”それでいい”とわずかに微笑んだような気がしたが、
その次の瞬間には、彼の姿は渦の中に消えていった。
こうして渦の中から何とか脱出したとんぬらは、アニーを抱えて島へと戻る。
島は半分以上水没していたが、その頂に位置する祠はまだ無事のようだった。
「とりあえず濡れた身体を乾かさないと…」
自分の中の罪悪感を振り払うように呟くと、とんぬらはそそくさと祠の中へと入っていった。
だが、その一方で隣の島から彼らを睨みつける視線があった。
その視線の主はモニカ、幸か不幸か、彼女も竜巻に巻きこまれたものの、
隣の島に弾き飛ばされただけですんだのである。
だが、そこで彼女が見たものは、無常にもロープを切断されて、
波間に消えていくアーロンの姿だった。
そう、彼女にはとんぬらが救いを求めるアーロンを見捨てたとしか見えなかったのだ。
「許さない…よくもアーロンさんを」
116 :
保管庫:03/04/19 00:42 ID:bowcbfVP
>>115はミス!修正版を見落としてました。
しかも
>>114とかぶってるし
とんぬらのすぐ後ろで、麻痺した身体を必死に動かしてアーロンが叫ぶ。
「お、おお、、れれえ…かま、うな、ろろ、ロープ…切れ」
激流の中、彼らがつかまっているロープは3人分の体重を支えるにはあまりにも細過ぎた。
このままでは3人とも渦の中に飲み込まれてしまうだろう。
「かか、からが動か…頼む」
無言のとんぬらをアーロンはさらに促す。
水面下を見ると彼の身体にロープが絡んでいるのが見える。
だが…それでも、とんぬらには判断がつかなかった、理屈では彼の言葉が正しいのはわかる、
しかし、それでも自分が助かるために他人を見殺しには出来そうになかった、だがしかしその時、
腕の中でアニーが小さな唸り声を上げる。それを聞いたとき、とんぬらの中から迷いが消える。
「すいません!」
とんぬらはさざなみの剣を抜き、素早くロープを切断した。
アーロンの口元が”それでいい”とわずかに微笑んだような気がしたが、
その次の瞬間には、彼の姿は渦の中に消えていった。
こうして渦の中から何とか脱出したとんぬらは、アニーを抱えて島へと戻る。
島は半分以上水没していたが、その頂に位置する祠はまだ無事のようだった。
「とりあえず濡れた身体を乾かさないと…」
自分の中の罪悪感を振り払うように呟くと、とんぬらはそそくさと祠の中へと入っていった。
117 :
保管庫:03/04/19 00:43 ID:bowcbfVP
だが、その一方で隣の島から彼らを睨みつける視線があった。
その視線の主はモニカ、幸か不幸か、彼女も竜巻に巻きこまれたものの、
隣の島に弾き飛ばされただけですんだのである。
だが、そこで彼女が見たものは、無常にもロープを切断されて、
波間に消えていくアーロンの姿だった。
そう、彼女にはとんぬらが救いを求めるアーロンを見捨てたとしか見えなかったのだ。
「許さない…よくもアーロンさんを」
【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
現在位置:祠の湖南岸の森】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計
現在位置:祠の湖南岸の森】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出
【リディア(気絶中)所持品:なし 現在位置:祠の湖南岸の森
第一行動方針:?
第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
118 :
保管庫:03/04/19 00:48 ID:bowcbfVP
【とんぬら(DQ5主人公)/王女アニー
所持品:さざなみの剣/マインゴーシュ
現在位置:湖の祠
第一行動方針:身体を乾かす
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】
【アーロン(怪我・半冷凍)
所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:不明
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す)
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の南の島
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】
以下、バシルーラに巻きこまれた人々
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:不明
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 行動方針:特になし】
【ルーキー 所持品:スナイパーアイ ブーメラン/現在位置:不明
第一行動方針:クーパー、ライアン、パパスとの合流】
【エーコ 所持武器:なし 現在位置:不明 行動方針:?】
それとチョコボ一匹
また、離れの中にあったであろう品々はロンダルキア全土に降り注ぐでしょう。
祠のある島は現在、南北ともに橋が崩壊し孤立状態です。
119 :
保管庫:03/04/19 00:48 ID:bowcbfVP
場合によっては巻きこまれた可能性がある人々
【メルビン/ガウ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠から南の島
(バシルーラに巻きこまれているのなら不明)
第一行動方針 アーロンとモニカの救出
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】