FFDQバトルロワイヤル PART5

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
PART4が落ちたのでたてました。
2名前が無い@ただの名無しのようだ:03/03/29 01:02 ID:GZ/fLodH
ふーん
3中立派:03/03/29 01:03 ID:QE434U+g
どやどや
4名前が無い@ただの名無しのようだ:03/03/29 01:05 ID:dOWmoSfH
5名前が無い@ただの名無しのようだ:03/03/29 01:21 ID:hECjh6aB
+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員には、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン>が支給される。
 また、ランダムで選ばれた<武器>が1つ、渡される。
 <ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る(FFUのポシェポケみたいなものです)
・最後の生存者のみが、安全に帰宅することができる。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。

+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
 この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
 または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・日没時に発表される『禁止技』を使ってしまうと、爆発する。
・日の出時に現れる『階段』を二時間以内に降りなかった場合も、爆発する。

+魔法・技に関して+
・初期で禁止されている魔法・特技は以下の通り↓
「レイズ」「アレイズ」「リレイズ」「フェニックス(転生の炎)」
「ザオラル」「ザオリク」「ザオリーマ」「メガザル」「メガザルダンス」「精霊の歌」その他、復活系の魔法・特技
・全体攻撃の範囲は「攻撃側から見えていて、なおかつ敵と判断した相手全て」。

※現在の禁止技:
 復活系の魔法・特技。
 ルーラ、バシルーラ、テレポなどの転移呪文・魔法。および、リターン、デジョン、ラナルータ。

+ジョブチェンジについて+
・ジョブチェンジは人が近くにいないときにできる。
 そのときにになんらかのアビリティをつけることができる。
・ジョブ特性は、ダメージ回避、落とし穴回避、まほうバリア、薬の知識のみ備わっている
6名前が無い@ただの名無しのようだ:03/03/29 01:22 ID:hECjh6aB
+召喚について+
・通常召喚は不可
・特殊召喚はOK(継承、ぶちきれ、アイテム経由)

+戦場となる舞台について+
このバトルロワイヤルの舞台は日毎に変更される。
毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。

現在の舞台は、DQ2ロンダルキア。
ttp://xb_lim.tripod.co.jp/dq/2rondarukia.png


━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き込みされる方はCTRL+F(Macならコマンド+F)などで検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡確認】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細は、雑談スレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際は、雑談スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーは雑談スレでの内容により決定されていきます
7名前が無い@ただの名無しのようだ:03/03/29 01:23 ID:hECjh6aB
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。
 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであれば保管庫にうpしてください。
・自信がなかったら先に保管庫にうpしてください。
 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない保管庫の作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 できれば自分で弁解なり無効宣言して欲しいです。
8名前が無い@ただの名無しのようだ:03/03/29 01:26 ID:pcu4s68Z
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
9笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:45 ID:Ao86IBlJ
【トーマス 所持品:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい) 現在位置:南東の森付近の平原。平原を南へ 行動方針:パパスについていこうと思ってはいる】
【パパス 所持武器:アイスブランド 現在位置:南東の森付近の平原。平原を南へ 行動方針:バッツと双子を捜す。最終的にはゲームを抜ける。跡地の旅の扉にて限界まで待つ】

【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:ロンダルキアへの洞窟(出口手前・ロンダルキア側)
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】

【エビルプリースト(現在の姿はファリス) 所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:ロンタルギアの祠南に8マス・ファリスの墓
 行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】

【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの岩山
 行動方針:セシルを止める】  (セフィロスへの苦手意識あり)

【リディア/エーコ/ピピン
 所持武器:なし/なし/ロングソード
 現在位置:ロンタルギアの祠
 行動方針:セシルを探す?・祠で待つ/仲間を捜す・祠で待つ/リディアとエーコを守る。】

【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビマジの研究室 行動方針:なし 】

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・水筒1.5? 現在位置:ロンダルキアの西の橋から南へ 東部の森へと向かう 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】

【ロック(全身に浅い傷) 所持武器:吹雪の剣 現在位置:ロンタルギア東の森(狭い方)から北へ
 行動方針:エリアを守る】
(弾切れのクイックシルバーとミスリルシールドは森に放置されています)
10笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:46 ID:Ao86IBlJ
【「セリス」:記憶喪失  所持武器:ロトの剣
 現在位置:祠西の山岳地帯中腹  行動方針:人を探す】

【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
 所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
 現在位置:台地北の森と祠西の山岳地帯の境目あたりの湖畔 
 行動方針:王子を助ける、パパスに会う/ライアンと合流/クーパーを探す】

【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 
 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:ロンタルギア北の森(やや北西より、つまり北北西?(w)から風の反応へ
 第一行動方針:森を抜け、風の反応に追いつく
 第二行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)

【ザックス 武器:無し(バスタードソードは地面に落ちたままです) 
現在位置:ロンダルキアの洞窟5F 行動方針:とりあえずスコールを何とかする→エアリス・ティファの捜索】
【スコール(負傷) 所持武器:なし 現在位置:ロンダルキアの洞窟5F 
 行動方針:ザックスを殺す→人形状態ではあるがリノア以外は殺す】
【リノア 所持武器:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 現在位置:ロンダルキアの洞窟5F
 行動方針:スコールと行動する】

【マリベル/ラグナ(両足欠損)/エアリス/ティーダ/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
 所持武器:エルフィンボウ・いかづちの杖・エドガーのメモ/参加者リスト/ 癒しの杖/無し/無し/
行動方針:打倒セフィロス→このゲームから抜ける】

【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの北西の森から南へ(中央の砂漠を通る)
 第一行動方針:(戻るかそのまま南へ行くかは次の人に託します)
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
11笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:47 ID:Ao86IBlJ
【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:大陸北部山脈、西の湖側 】
第一行動方針:参加者を殺す(エドガーorハ−ゴンを優先)
第二行動方針:不明
最終行動方針:勝利する。

【ライアン 所持武器:大地のハンマー
 現在位置:祠西の山岳地帯 行動方針:仲間を探す?】

【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける
【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:不明
最終行動方針:不明

【デスピサロ/サマンサ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
勲章(重装備可能)現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:休息
第二行動方針:腕輪を探す
第三行動方針:勝利者となる(ピサロ)生き残る(サマンサ)
12笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:48 ID:Ao86IBlJ
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×3 現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:全てが終わった後、マリアの元へ逝く
【アグリアス ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法  装備武器:スリングショット  
なべのふた マンイーター  現在位置:ロンダルキアの祠西の山岳地帯】
第一行動方針:ヘンリーに見捨てられないようにする
第二行動方針:ティファを倒す
最終行動方針:元の世界に帰還する

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ 
行動方針:、メルビン達と話し合う 離れの探索、アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 
行動方針:同上】
チョコボが奥に隠れています。
【モニカ/アーロン:所持武器:エドガーのメモ(ボロ)/折れた鋼の剣 現在位置:祠の離れ
行動方針:モニカを助ける アーロンの傷を完治させる、仲間を探す】  
【メルビン/ガウ 現在位置:祠の離れ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 
行動方針 モニカを助ける、仲間を探す、ホフマンの仇をうつ】

【ゼニス 所持武器:アンブレラ 羽帽子? 現在位置:神殿南の山地 頂上
行動方針:夕方までのんびりする、神殿へ行く、物見遊山】

【マゴット(MP残り僅か、左目負傷、気絶) 武器:死神の鎌 現在位置:ハーゴンの執務室
 第1行動方針:ハーゴンから儀式について習う
 第2行動方針:不明
 最終行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
13笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:49 ID:Ao86IBlJ
【ティファ(療養中) 所持武器:無し 現在位置:神殿近くの森(砂漠との境界線上)
 行動方針:傷を癒す】(夕方の放送時までには回復)
【デッシュ 所持武器:なし 現在位置:神殿近くの森(砂漠との境界線上)
 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:見張り
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
※ハーゴンの執務室に移動

【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失、) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2 現在位置:神殿近くの砂漠
 第1行動方針:マゴットの治療
 第2行動方針:授業 、
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【導師:所持武器:天罰の杖 星振る腕輪  現在位置:神殿近くの砂漠
 行動方針:首輪の入手 エドガーに会う それ以外は不明】
※執務室へと移動開始
※キラーマシーンBとハーゴンのランタンは破壊されました。
14笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:51 ID:Ao86IBlJ
エドガー:所持武器:ボウガン&天空の鎧(装備不可)
 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地 
 行動方針:魔法使い、デッシュを探し首輪を解除する、】
【アルス/ティナ: 所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード 、チキンナイフ
 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地 
 行動方針:仲間を探す】
【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー 
現在位置;ロンダルキア中央西よりの山地

【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】

【ピエール 所持武器;珊瑚の剣 現在位置;神殿 行動方針:不明】 
(結構迷ってます)
【セーラ(気絶中) 所持武器:アサシンダガー 現在位置:神殿 行動方針:騎士様を探す&皆殺し】
(ブレイズガンは神殿内に放置)

その他
※アークマージがロンダルキアの何処かにいます
※現存するキラーマシーンは神殿内部の一体のみ
※神殿の地下部分は完全崩壊、地下から神殿への侵入は不可能(詳しくは前スレ>>336-338
15笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 01:54 ID:Ao86IBlJ
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:エンハンスソード、イリーナの会員証、スーツケース核爆弾
現在位置:現在位置:ロンダルキア中央山地の南にある平原(小島のある湖の西)
行動方針:助けを求める
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)

尚、スレ保管所はここ。
http://chiba.cool.ne.jp/arcystal/index.html
16笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:07 ID:Ao86IBlJ
「あら…」
セーラは目を開けると、きょとんと周囲を見渡す。
「ここは……?」
自分はあの忌々しい魔物どもに追われて、何時の間にか汚らしいゴミ捨て場に足を踏み入れて……。
セーラはそこからのことを頭を抱えながら思い出す。
そういえば何か夢を見たような気がする、確か黒い服を着込んだ、そうあれは…紛れも無い。

「騎士様…夢の中で私を導いて下さったのですね」
セーラは自分で自分の胸を抱き、うっとりと夢の中での出来事を回想する。
「ああ、あのまま目覚めることなく騎士様の腕の中でいつまでもまどろんでいたかった物を」
と、そこで自分の傍らに置かれている短剣に気が着く。

その短剣は普通の短剣と違い、刀身が黒く塗られている、闇夜での使用を念頭に置いた暗殺用の物だ。
だが、セーラはその黒い刃をみて、別の解釈をしたらしい。

「貴方と同じ黒…ああ、この短剣でもって、悪を成敗せよとの仰せですね…騎士様、
 セーラは貴方のために戦い、貴方のために死ぬる所存でございます、ああ、でも出来るならば二人で」
と、1人で盛り上がってるセーラだったが、そこで話声が聞こえる、2人組のようだ。
セーラは素早く短剣を胸の谷間に収めると、ふらふらとまるで疲れきったかのように2人組、
ハーゴンと導師、の前に姿を現すのであった。
「お助け……くださいまし…」


「なるほどのう……人を探しておるのか」
「ええ」
執務室へ戻る道すがら、ハーゴンと導師、それからセーラは色々と話をしている。

「その魔物の騎士が、セーラさんの仲間を殺したんですか?」
「そうですわ!しかもその罪を私に着せようと、もう少しで私は殺されるところでしたわ」
ハーゴンも導師も、セーラに対してはまるで疑いを抱こうとはしなかった。
17笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:08 ID:Ao86IBlJ
セーラはつい数日前まで一国の姫君、その完全なまでの作法・話術等は彼らを篭絡するのには充分だった。
それにハーゴンたちは、長年の経験からまずはその人物の身のこなしに注目する、2人の見立てでは、
セーラはとてもじゃないが誰かを殺せるようなスキルを持っているようには見えなかった。


ともかく3人は執務室の前に立つ。
「をや、あの若造はどこに行きおった?」
ハーゴンはそこで護衛をしているはずのジタンの姿をきょろきょろと探し求める。
若造?あの金髪の方かしら?と、セーラは少し小首をかしげる。
「まぁいい、導師とやら頼みたい事がある」
ハーゴンは扉にかけていた魔法を解除し、開け放つ、とそこにはベッドの上で眠る女性がいた。

ハーゴンたちはその女性、マゴットのそばによって色々と治療を始める。
魔法で眠っているのだろうか?マゴットはうっとりと瞳を閉じている、顔半分は包帯で覆われてはいるが、
その顔を見た途端、とくん、とセーラの胸が鳴る。
(ああ……なんて素敵な)
あの眠れる女性の首筋をこの短剣で掻き切ったらば、どれほど良い声で鳴いてくれるだろうか?
あふれる血潮に身体を浸せばどれほど気持ちが良い事だろう。
その陰惨で、残虐な妄想に暫しセーラは我を忘れた、そう、やはりアークマージは彼女の心に重大な傷を
残していた、その影響の一端として、彼女の本来持っていた淫楽殺人癖がより病的に、かつ猟奇的、狡猾に
現れるようになっていたのだ。

そんなことは露知らず、ハーゴンたちはマゴットの治療を続けていた。
「どうじゃ…お主の呪文で直るか?」
「目の傷は多分大丈夫だと思う、体力と魔力についてはやっぱり無理をさせずに、、
 このまま眠らせておくのが1番じゃないかな?、特に魔力の消耗がひどいからね」

「そうか、やはり刺激を加えずにこのまま寝かせておくか」
18笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:09 ID:Ao86IBlJ
妙に神妙なその様子を見て導師がくすりと笑う。
「その人のことがよっぽど心配なんだね、もしかしておじさんの娘?」
「ばかをいえ」
一笑に付すハーゴンだったが、マゴットが大切な手駒であり、自分のプランの要であることは事実だ。
彼女に何かあれば計画は水泡と化す。

「魔法の効力が落ちておる……起こさぬようにな」
2人はそっと部屋を出て、廊下に出ようとする、その時初めてセーラが口を開く。
「あの……病人ですか?」
「まぁ、病気ではないが……過労といったところじゃな、それがどうかしたか?」
「いいえ、私になにかお手伝いできれば……こう見えても色々としつけられておりますので
 そばについて看病くらいなら」
「そうじゃのう」
わざわざ看病を買って出てくれるのを断る理由は無い。
出来れば自分がそばに付いておきたかったが、キラーマシーンの件等、色々とある。
やはりここで大人しくしているわけにもいかなくなる。そのたびに扉をガンガンと叩かれるのは迷惑だ。

それにこの少女、わずかな時間だったが、話してみる限り怪しいそぶりは特に見えなかった、まず大丈夫だろう。
動きを見る限り、戦闘に長けているわけでも魔法が使えるわけでもなさそうだ。
「なら、その言葉に甘えるか、2時間ほどお願いできるか?」

だが、ハーゴンも導師も気がついていなかった…弱者には弱者の戦い方があるということを。
それは彼らが一流の使い手であるがゆえの重大な見落としだった。

と、そこに、とぼとぼとジタンが戻ってくる。
「どこに行っておった?」
19笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:10 ID:Ao86IBlJ
「フライヤを弔いに……花を備えて腕を組ませてやるくらいならいいだろ…でも、身体がもうぐちゃぐちゃでさ、
 腕を組ませるにも崩れてきちまって…」
そんな事だろうと思った、ハーゴンはジタンの肩に手を置く。
「持ち場を離れるな…後で略式で良ければ葬儀を行ってやる、ところでスライムの騎士を見なかったか?」
「いや、誰にも会わなかったぜ」

それからしばらく黙っていたジタンだったが、ふと呟く。
「なぁ、おっさんはこのくそゲームを壊して脱出するって言ってたな…だったら、
 これから具体的には何をしようと思っているんだ?」
「話してもお前には理解できんぞ」

「俺は今まで、人を助けるのに理由なんていらないって思ってた……だけど
 ダガー、ビビ、サラマンダー、フラットレイ、クイナ、ベアトリクス、そしてフライヤ…
 こんなにもたくさん死んじまった、だから俺はあいつらのためにも絶対に正しい道を選ばないと
 いけないような気がするんだ」

「頼む、アンタは何か理由があってまだ秘密にしておきたいんだろうけど、
 このままだと自分が本当に正しいのか不安で仕方がないんだ」
そこで導師が口を挟む。
「僕にも聞かせてください、役に立てるかも」
「そうじゃな……」
たしかにギリギリまで伏せては置きたい、だがここまで来てつまらない理由で離反されるのも問題だ、
時間が無いし、人材は喉から手が出るほど欲しい。
差し障りのない概念・概要程度なら教えてもいいだろう、それでもかなり時間がかかるが。

「よかろう、ならジタンお前は会議室から机とイス、それから黒板を持って来い、この廊下で講義を行うぞ。
 導師はワシと共に書庫へついて来い」
20笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:12 ID:Ao86IBlJ
時間にして10分程度だが、また執務室を離れる事になる、出来れば自分は残りたかったが、
片手では机の持ち運びは不便だし、自分でなければほとんど焚書されたとはいえ、
書庫の本の位置は分からない、
ジタンを残してもいいのだが、今の状態で役に立つとも思えない。
ハーゴンはここをしばらく離れることをセーラに告げ、部屋の中から資料一式を取り出すと。
施錠の魔法を幾重にもかけた上で、さらにマヌーサを唱え扉が壁に見えるように偽装する、
見事な出来映えだ、これで大丈夫だろう。
ハーゴンたちは大急ぎで準備を進めに立ち去って行く。
そしてそれと時を同じくしてセーラはゆっくりと行動を開始したのであった。

【セーラ 所持武器:アサシンダガー 現在位置:神殿
 第一行動方針:マゴットを殺す 第二行動方針:騎士様を探す】

【ハーゴン(あと二日で呪文使用不能、左手喪失) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪×2 現在位置:神殿
 第1行動方針:ジタンたちに授業
 第2行動方針:マゴットに授業 最終行動方針:ゲームの破壊】

【導師:所持武器:天罰の杖 星降る腕輪 現在位置:神殿
 第一行動方針:ハーゴンの授業を聞く      
 第二行動方針:首輪の入手 エドガーに会う それ以外は不明】

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:ハーゴンの授業を聞く
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害 最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】

【マゴット(MP残り僅か、左目負傷・睡眠中) 武器:死神の鎌 現在位置:神殿
 第1行動方針: 睡眠し、体力・魔力の回復
 第2行動方針:ハーゴンに呪法について習う 第3行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】

(授業は執務室前の廊下で行われます)
21笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:15 ID:Ao86IBlJ
それはセーラにとっては簡単すぎる作戦の筈だった。
ハーゴン達は遠くに行ってしまったし、マゴットはよく眠っている、加えてハーゴンは扉に呪文をかけて出て行ったから邪魔が入る余地など無い。
自分も脱出出来ないが、あの連中を騙すなど造作も無い事の筈であった。
「………」
マゴットが寝返りを打つ、セーラに背を向ける形で横になっているマゴットのうなじがセーラの目に飛び込んできた。
「まあ!」
セーラの心が激しく躍る、何と綺麗なうなじなのだろう、このうなじから流れる血が、マゴットが苦しみながら力尽きていく様が、見たい。
心の欲求のままにセーラがダガーを構えて近付いたその時。
「!}
「ぐぅっ!」
突然マゴットが反転してセーラの鳩尾に拳をめり込ませる、更に腹を押えて下がるセーラに近くにあった鎌を振り下ろす。
「あぐぅっ!」
「……」
武術の心得の無いセーラにその一撃を完全に交わしきる事は不可能だった、肩口を深く斬られ、その衝撃で転倒してしまう。
「お待ちください、マゴットさん、私は敵では」
ヒュンッ!
セーラの言葉を無視して死神の鎌が唸りを上げる、マゴットの目はガラスの様に感情を示してはいない。
「こ、此処にいるのもハーゴンさんに頼まれて」
更に一撃を喰らい、左足を半ばまで切り裂かれる。
「きゃぁぁぁぁっ!騎士様っ!騎士様ぁっ!」
怯え、混乱したセーラは左足を引き摺って扉へと這い進む、マゴットはその間に鎌を構え直して様子を窺う、
ようやく扉まで辿り着いたセーラは近くの壁に寄り掛りながら何とか立ち上がった。

セーラが知らなかった事が3つある、ハーゴンはセーラの事を疑わなかったが同時に頼りにならぬ人物=計画の駒としては使えないと判断していた事。
そしてマゴットは唯一ハーゴンの脱出方法を知っていながらハーゴンと共に生き残り、共に首を狩っている事。
だからこそハーゴンはマゴットに意識があった事を導師に秘密にし、更に部屋に鍵をかけた、セーラという獲物を決して逃さない為に。
扉を開けようと悪戦苦闘するセーラは背後からマゴットに切り裂かれた。
22笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:17 ID:Ao86IBlJ
セーラが自分の血溜まりで首を切られている頃、ハーゴンもまた書庫で自らの血溜まりに倒れていた。
突然吐血して倒れたハーゴンに大慌てで駆け寄り、回復呪文を唱え始める導師、癒しの光がハーゴンの身体に降り注ぐ。
「む、面倒をかけたな。」
「そう思うなら動かない事!」
身を起こそうとするハーゴンを導師が押し止める。
「ならばこの体勢で話す事にしよう、わしはもうじき死に至る、正確には3〜36時間といった所だろう」
海のような沈黙、石のような沈黙、そしてやっと導師の渇いた笑いがその沈黙を打ち破る。
「じょ、冗談でしょ?」
「こんな状況でジョークを飛ばせる程余裕のある人生を歩んできたつもりは無い。」
「じゃあこのゲームを壊すっていうのは嘘?」
「破壊はする、で、いつわしがジタン達と一緒に脱出すると言ったのだ?」
からかう様な笑みを浮かべながらハーゴンは今度こそ立ち上がりつつ首輪を放る。
「それ程知りたければわしの事も脱出計画の事も話してやろう、
それは兎も角貴様には仲間はおらんのか?いい加減心配してると思うのだがな」
(いるなら一旦追い返して逃走、いなければ引き込む事も考えて良いだろう、
船頭多くして船山に登るとも言うし、今日はもうこれ以上の揉め事は御免だ。)
23笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:18 ID:Ao86IBlJ
【セーラ 死亡】

【ハーゴン(呪文使用不能、左手喪失、衰弱) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪 現在位置:神殿の書庫
 第1行動方針:授業
 第2行動方針:不明
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【導師(MP減少):所持武器:天罰の杖 星振る腕輪、首輪 現在位置:神殿の書庫
 第一行動方針:ハーゴンの話を聞く
 第二行動方針:エドガーに会う
 最終行動方針:不明】

【マゴット(MP0、左目負傷) 武器:死神の鎌、アサシンダガー、セーラの首(処理済)、首輪 現在位置:神殿の執務室
 第1行動方針: ハーゴンに呪法について習う
 第2行動方針:不明 
 最終行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】
24笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 02:21 ID:Ao86IBlJ
―――彼女は眠り続けていた。
自我は容易にかき消されてしまうくらいに希薄ではあったが、
確かにソコに存在していた。
まったく意識が無いわけではない。
時々、短い時間ではあるが半覚醒の状態が訪れる事があった。

―――彼女は深い暗闇の海に浮かんでいた。
凶暴な、そして冷酷な暗闇。見えるものは何も無かった。
自分が何故ココにいるのか。自分が何なのかもわからなかった。
暗闇は圧倒的な冷たさと重圧を持って、彼女をかき消そうとする。
しかし、彼女は消えなかった。
何故、自分は消えてしまわないのか?
そこで初めて、彼女は自分が何かを抱えている事に気がついた。

圧倒的な暗闇に対抗する力強い光。
刃のような冷気に対する暖かい炎。
重圧に対するやわらかい力。
一枚の虹色の羽だけが、彼女を護っていた。
この羽は、自分に生きろと言っている。

彼女は悔しさと、はっきりとしたもどかしさと、絶望を感じた。
どうしたらココから抜け出せるのかわからない。
感情だけは、完全に覚醒していた。
しかし、それも次第に闇に落ちていく。
彼女は自分の抱えている炎を意識しながら、再び眠りについた。

【リュック :所持武器:なし 現在位置:エビマジの研究室 行動方針:なし 】
25笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/29 11:56 ID:Ao86IBlJ
保守
26保管庫:03/03/30 09:31 ID:S1c1U1zf
「じゃ、行こうか」
そういってバッツは、未踏の雪の中を歩き始めた。

「いいの?」
クーパーが追いかけながら尋ねると、バッツは振り返って答えた。
「もうすこしだけだ。城までは行かなくても、ここまできたんだからちょっとだけ行こうぜ。
 エーコたちには心配をかけるかもしれないけどさ」
それっきりバッツはまた黙りこくってしまい、クーパーも話し掛けることはなかった。

しばらくして二人は森を抜けた。
「なにも、ないね」
しばらく続いた沈黙を破り、クーパーが口を開いた。
森を抜けたが、誰に会うわけでも何か見つかるわけでもなく、見慣れた白い地平線が続くだけだ。
バッツはそれに「そうだな」と小さく相槌を打ち、地図を広げた。
この先にはちょっとした山脈があり、越えるには骨が折れそうだった。
そこを抜けると、凛冽たる寒気のする大地にはおおよそ不釣り合いな砂漠が広がっている。
平地よりも移動に手こずることは間違いない。
どんなに粘っても最低限砂漠のあたりで引き返さねばならぬだろう、
もっとも、できるだけ早く祠に戻らなければならない以上、ここから先に進むのは理屈に合わないし、
体力を消耗する割りにはなんの収穫もない可能性が高い。
だがそれでも、バッツは進めるだけ進みたかった。
それは未知の大地を探検したいという生まれてから衰えたことのない子供じみた好奇心からでもあったが、
どちらかといえばレナとファリスの死に対する自分の心がまだ落ち着いていなかったからだった。
―――二人の生きた痕跡が、この地の何処かにあるんじゃないか?
勿論、それを見つけても現実はなにひとつ変わらないが。

バッツは地図をしまい、少し空の方を仰いで言った。
「山地を抜けよう。なにもなかったら、祠に戻る」
何を言われてもクーパーはバッツについていくつもりだったので、
それがやや理不尽な行動であっても、特に疑念をもたず素直にバッツの跡を追った。
27保管庫:03/03/30 09:33 ID:S1c1U1zf
山道の傾斜は存外緩く、このまま続けば二人はさほど疲れずに山を抜けることができそうだった。
勾配がきつくなっていくようであれば、途中で引き返すことも十分に考えられるが。

路傍には逞しく雪を掻き分けている草がちらほらと見え、
バッツはそれらひとつひとつにいちいち目を配っていた。
見た目はちっとも綺麗ではなかったが、その姿は悠然としていて、
このゲームに参加しているものには少なからず感ずるところがあるのかもしれない。
特に、悲しみと怒りと、憎しみの最中にある者にとってはなおのことだ。
もっとも、その受け取るメッセージは個々によりけりといえる。
そうして、バッツはなにか物思いに耽っていたが、ふいに声を上げた。
先まで視界に映るどれにも関心を示さなかったクーパーも立ち止まっていた。
山の下に湖が見える。
それは別段他の湖と代わり映えのしないものだったが、
山の上からということが相俟ってか、水面に反射している光がとても煌びやかであった。
見る者の心情の変化という点でも、祠にある湖とは別物に見えるかもしれない。
二人はどちらが声をかけるともなく立ち止まり、しばらくの間その場に佇立していたが、
やがて聞こえてきた叫び声によって、須臾止まりかけた時の流れは何事もなかったかのように動き出した。

「なにがあったんだ?」
バッツは叫び声の方向に顔を向けた。その先にはこれまでと変わらぬ道が続いている。
「い、行こう!」
クーパーは硬直していた足を一気に解き放ってかけだしていこうとしたが、それをバッツはひきとめた。
「クーパー、ちょっと待てよ」
「えっ…なんで?誰か、いるかもしれないよ?」
落ち着いたバッツの声と対照的に、クーパーの声はやや興奮していた。
「誰かいるかもしれないから、待てっていってるんだ」
そういうと、クーパーは刹那バッツの顔を見つめ、すぐに「あ、そうか」と足を止めた。
そうこうしているうちに叫び声はますます激しくなり、悲鳴まで聞こえるようになった。
バッツは一息つき、言った。
28保管庫:03/03/30 09:34 ID:S1c1U1zf
「クーパー、今の状況はわかってるなよな」
「う、うん」
おずおずと頷き返すと、そのまま続けた。
「この向こうに誰かいることは間違いない。それも、どうやらただごとじゃなさそうだ。
 わかってると思うけどな、厄介事に関わったらろくなことがない」
クーパーは何も言わなかった。
バッツはそれを見ると、躊躇無くいった。
「行くか行かないかは、お前に任せる」
「…え?」
そのとき、にわかに空気が張りつめた。

「祠にエーコたちを残していること、俺たちの目的、そして今俺たちは殺し合いをしてるってこと、
 そのへんをよく考えて、決断してくれよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「なんだ?」
バッツは少し面倒くさそうに尋ね返した。そう言われると、答えることはできなかった。
クーパーからしてみれば、この事態はまったく予想していないことなのだ。
―――そもそも山に来たのはバッツ兄ちゃんの考えあってのことじゃ?
    なんで、急にこんなことをいうのだろう?
クーパーは、叫び声が聞いたときにすぐにでも駆けつけたい衝動に駆られたが、
こう改まっていわれると、なんとも行動には移しがたい。
それはつまり、自分の行動に責任が伴われるという実感に他ならなかった。

バッツのことを見つめ直した。
一点の曇りもなく明るい好青年だと思っていたが、
それが今はなんとぶっきらぼうに見えることだろう。
それはまさしく彼が今まで見せなかった一面であった。
強烈な出会いは、初対面の者に通常あるべき壁をいくらか取り除いてくれたのだ。
だがしかし、目の前にいる青年はその壁を少しなおしてしまっていた。
それも、おそらくは無意識のうちに。
29保管庫:03/03/30 09:36 ID:zmXoj9ZE
―――…いや
クーパーは思った。
バッツの中に燻っていたなにかが、今この場に吹き出たというのは少なからずあるだろう。
これが彼の一面であることは疑いようのない事実である。
しかしクーパーは、バッツは本当はいまこの瞬間にもあの場に行きたいのではないか、と感じた。
それはなんとなくそう感じたに過ぎないが。
とにかく、バッツは躊躇っている。
二人であの場に行くことに、躊躇っている。
彼の心の中では、欲求と戻るべきという理性とが葛藤しているに逕庭ない。
どちらをクーパーが選択しても、彼はほっとしてそれに従うだろう。

蓄積されたなにかは、バッツの一面を表した。
もっとも、その兆候はずっとでていたのかもしれぬ。
バッツの気持ちは、「戻る」とも「行く」とも定まっていない。

相変わらず湖は眩しいまでに光を放っている。
つい先までの騒ぎはもう聞こえなかった。
時間はない。
いまこの瞬間、すべての権限がクーパーに与えられた。



【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの中央北西の山地
 第一行動方針:(戻るかそのまま行くかは次の人に託します)
 第二行動方針:祠に戻る
 第三行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
30保管庫2:03/03/30 09:37 ID:zmXoj9ZE
既に日は傾きかけ、山の端にかかろうとしていた。この台地で散っていった幾千もの戦士たちの亡霊が
彷徨い出し、大地を蹂躙せんと蠢き出す時刻に,、小さな子供は何を考えて平原を歩いていたのか。

砂漠を越えてからは不安感が一層色濃くなった。
魔物はゾーマの力により排除されているから、その姿に怯えることはない。
何より危機は身近なもの、寒さと飢えだった。
敵を討とうという意思と、安らげる場所に早く行って楽になりたいという気持ちが天秤の上で揺れ動いていた。

エドガーと剣の稽古をする前から何も口にしていない。
大事に腰に巻きつけた袋は、確かめるまでもなく空の容器でしかなかった。
それでも手を突っ込んでみると、隅に固くなったパンのかけらがあった。
それを摘んで口に含んだ。
噛む所がほとんどないから歯軋りの音が聞こえただけだった。
その耳も、唸る風に長時間晒されて、嫌な音を遮ろうとするかのように遠くなりかけていた。


もう一人は、さながら方位を見失って大海原を彷徨う救命船のような者だった。
酷く自虐的な嫌悪感と、藁にもすがりたい魂からの叫びをごちゃ混ぜにした感情を持ちながら、
ここが何処かもわからずに平原を虚ろっていた。
光を失った目は轟き渦巻く感情とは裏腹に、穏やかで透き通っていた。

【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原(テリーより少し西)
行動方針:助けを求める
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)
31保管庫3:03/03/30 09:41 ID:zmXoj9ZE
 突然室内に引っ張り込まれたモニカ。
 あまりの事態に思わず暴れようとしたが、口を塞がれ間接を決められ、あっさりと動きを封じられた。
 動かない分にはなんら問題ないが、もがくだけでも節々がきしんで痛む。
 喚くこともできず涙目の彼女の姿に、リバストは眉をひそめた。
「いささか乱暴ではないか?」
「安全に越したことはない。それにことを聞いたらちゃんと開放するさ」
 オルテガは淡々と、モニカ言う。
「というわけで、少し話を聞かせてほしい。こんな状況なんで乱暴なのは勘弁してもらうがな」
 オルテガはそう前置きしてモニカたち一行について尋ねる。
 威圧的な男二人に、モニカは青ざめながらこれまでの経緯を話す。
 二人は黙ってモニカの話を聞いていたが、壁の化け物に襲われたときに助けてくれた少年のことを話すとオルテガが反応した。
 かなり…モニカにとって、意外な反応だったが。
「おお…そうか、そんなことがあったのか。アルスは心正しく育ってくれたのだな」
「その名前は会ったときにも聞いたな。誰だ?」
 リバストの言葉に、オルテガは誇らしげに言う。
「わが息子だ」

「エーっ!!」
 と。モニカの声が室内に響いた。

 ――――

 メルビン、ガウ、アーロンの三人は離れの様子をうかがっていた。
 戦闘経験のないモニカから目を離したのは明らかに失敗だった、しかし今はその責任所在について問うことに意味はない。
 アイコンタクトと小声でどうするかを相談しあう。
 ガウが自分が暴れて中の気を引くといえばメルビンがそれを窘め、メルビンが話し合ってみようかといえば中にいるのがどんなヤツかわからないから危険だとアーロンがいう。
 ――ならばどうすればいいのでござるか。
 ――相手が何であれ、目的があるなら次の行動に出るはずだ、そこで先手を取る。
 ――がう…。
 ――まだ、どんなヤツなのかはわからん。だが、今の状態で暴れては逆にモニカが危険だ。
 ――冷静でござるな。まったく正論でござる。
32保管庫3:03/03/30 09:42 ID:zmXoj9ZE
 そういったわけで、三人は息を殺して中の様子をうかがっていたのだった。
 ――ガウ殿、中の様子はどうでござるか?
 ――モニカが何か話してる。
 ――無事でござるか…
 とりあえず、すぐには命をとられなかったことにほっとしながら、警戒を続けてしばらく。

「エーっ!!」

 離れの中から、モニカの声が聞こえてくる。切羽詰った様子はない、が…
 中で何かがあったことは間違いないだろう。
 ――アーロン殿、ガウ殿!
 ――がう!
 アーロンは無言で半ば折れた鋼の剣を抜き、うなずこうとする…
 ――いや、待て。
 研ぎ澄ませていたアーロンの勘が、森の向こうから誰かがやってくる気配を察知していた。
 その次の瞬間にはガウも気配に気付く。
 ――誰か…来る。
 ――むう、前門の虎、後門の狼といったところでござるな。
 メルビンは油断なく虎殺しの槍を構えながら、つぶやいた。

 ――――

 エビルプリーストは前方に人の気配を感じて身を隠した。
 彼(姿は彼女)の接近は既に気付かれていたのだが、自分に自信を持っているものは自分が出し抜かれることを考えもしないものだ。
「さて、ここは思案のしどころじゃ…じゃない、しどころね」
 どうやら、向こうにいるのはそろって男らしい。ならば自分が出て行っても油断するか、受け入れてくれる可能性もある。
 だが、無力な女性を装うということはそれだけで身を危険に晒すことになる。
「なにやら取り込んでいるようだし、様子をみるのもいいか…じゃない、いいかもね」
33保管庫3:03/03/30 09:46 ID:kaZrk/4n
 祠の中にいるピピン、リディア、エーコは恐々と外の様子をうかがっていた。
 これまでも何人かが祠に気付かず通り過ぎていった。しかし、オルテガが祠に気付いてからというもの、空気が違う。
 そして今、そのオルテガが騒ぎを起こしている。もう、隠れていられなくなるかもしれない。
「いいですか二人とも。もし、外の誰かが祠の扉を開けたら、扉の合間を抜けてわき目もくれずに逃げなさい。
 そしてできるならばクーパー様たちと同流するんですよ」
「でも、ピピンは…?」
「こんな足でも、何とか二人が逃げる時間くらいは稼げるでしょう」
 この足ではとても走れない、という言葉は省いて、ピピンは微笑んだ。
 もう自分は逃げることはできない。けれど、剣を振ることならできるだろう。
「そんな…そんなの」
 今からもう泣きそうなリディアの頭を優しくなでる。
「僕だって死ぬのはいやですよ。でも、こうなることはずっと前から覚悟していましたから」
 主から譲られたロングソード。それとともに託されたまだ幼い子供たち。
 そう、私は誰かのために戦おうとしている。誰かのために死のうとしている。
「…馬鹿だよ。そんなことしたって誰も喜ばないよ」
「ええ。自己満足です。そして、そうやって生きることを誇りに思う男もいるんですよ。
 おぼえておきなさい。そうすればきっと、エーコちゃんはいい女になれる」
「エーコはもうイイ女だよっ!」
 エーコの強がりを、ピピンは心の底から好ましく感じた。
 自分はきっと最後まで後悔しないだろうと思った。それが、嬉しかった。
 とんぬら、アニー、ルーキーの二人と一体は湖を架ける橋を渡っている。
 一行の行く手を遮るものはなく、特にアニーは上機嫌だった。
 クーパーには悪いが、頼もしさではやはり父親は別格だ。
 父親と一緒にいるだけで、もう何も恐くない。側にいるだけで勇気が湧いてくる。どんな敵とも戦える。
 それは子供特有の純真さと残酷さかもしれないが、子供特有ゆえ、アニー自身は気付かない事である。
「この橋を越えた南の平原に出たら、誰かに会えるのかなぁ」
「南の平原に出たら、湖沿いに西に行ってみよう。地図だと、僕たちが雪崩に巻き込まれた山道はそこに出るみたいだから」
 とんぬらとルーキーはそんなことを話している。アニーは興味がなかった。父に任せておけばいい。父が間違える事なんてないんだから。


こうして、ルビスの加護に守られているはずの祠にいくつもの意思が集っていく。
 その先に何があるのか、誰も知らないままで。


【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ 
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 
行動方針:特になし】
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の離れ
第一行動方針:オルテガたちから逃げる…今は和解の方向?
第二行動方針:アーロンの傷を完治させる
第三行動方針:仲間を探す】
チョコボが奥に隠れています。
35保管庫3:03/03/30 09:47 ID:kaZrk/4n
【アーロン 
所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:モニカを助ける
第二行動方針:仲間を探す】  
【メルビン/ガウ 
所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:モニカを助ける
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】

【エビルプリースト(現在の姿はファリス) 
所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れの手前
第一行動方針:アーロン、メルビン、ガウの品定め】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】

【ピピン
所持武器:ロングソード 現在位置:ロンタルギアの祠
第一行動方針:外の騒ぎが静まるのを待つ
第二行動方針:リディアとエーコだけはなんとしてでも守る】
【リディア/エーコ
所持武器:なし/なし 現在位置:ロンタルギアの祠
第一行動方針:外の騒ぎが静まるのを待つ
第二行動方針:祠から逃げてバッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】

【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:北の森から祠に架けられた橋
第一行動方針:クーパー、ライアン、パパスとの合流】
36保管庫3:03/03/30 09:47 ID:kaZrk/4n
かなりたくさんの人が集まってます。
オルテガたち、メルビンたち、エビルプリーストはお互いかなり近くにいます。
そこから少し離れた場所にピピンたちがいて、
騒ぎが起こったら気付く位置にとんぬらたちです。
37保管庫4:03/03/30 09:50 ID:/zxmiQyc
嫌な予感は現実のものとなって、テリーの脳髄を刺激した。
おどろおどろしい人とおぼしき影を見たときから、テリーは体が石のように硬直して動けなかった。
見たこともなければ想像したこともない。敗残兵などという言葉は知らないが、知っていたらまさしくそれに近い
ものだと認識しただろう。

魔物ではなく人間で、自分の方に向かって歩いてくると確実にわかった時、
これは敵だと直ちにテリーは判断した。
テリーにとって魔物は良き友であり、頼れる仲間だった。知らない魔物も、テリーに襲いかかってくることはなく
連れ合いの三体の仲間(同じく魔物)にのみ牙を剥いた。、
何故なのかはわからなかった。ただそういうものなのだと、幼い心で理解した。

一方このゲームで凶暴さを見せつけた人間には、ひたすら恐ろしい感情だけを抱いた。
タイジュの国は皆穏やかで、策略性や攻撃性とは縁遠い人たちばかりだった。
それがこのゲームに巻き込まれたことで、考えを改めさせることになった。
――優しそうな人たちも本当は恐ろしい心を持っているんじゃないか
今いるこの世界だけが特別なのだと信じたかった。だがもしかしたらこれが人間の本当の姿なのかという
考えが頭の片隅をよぎったとき、テリーは子供心に酷いものだと思った。
見かけは大袈裟でとても角張っていて、陰険そうで怖い姿をしていても魔物は
餌をあげて手懐けたら、どんなペットよりも可愛かった。
一度仲間になれば、熱い友情が芽生え、苦楽を共にする人生のパートナーとなった。
力強さも、思慮深さも、勇敢さも、優しさも、全てテリーのために発揮してくれた魔物たちだった。

テリーは涙ぐんだ。今魔物たちはいない。いるのは自分を殺そうとばかり考えてる人間だけ。
ぽろぽろこぼれ出す雫を抑えようとぐっと歯を食いしばった。

「ちくしょう!」
足元に転がっていた石をおもいっきり投げつけた。
石は放物線を描いてすーっと伸びていき、テリーが拒んだ「敵」の胸に命中した。
鈍い音がして、うっという呻き声が聞こえた。
その人は胸を苦しそうに押さえながら崩れこむように倒れた。
38保管庫4:03/03/30 09:50 ID:/zxmiQyc
あまりに呆気なかった。怒りに震えて猛然と掴み寄ってくることを予想していたのに。
テリーは暫し茫然と佇み、やがて用心することも忘れ近づいていった。
その人は地にうずくまったまま顔を上げようとしない。
緑の鮮やかな髪が顔に張り付いていて、不自然な形でまとまっているのが目に付く。
「……」
テリーは血の気が引いた。顔を上げたその人は、泣いていたのだ。
近所の子供が転んで足を怪我したときに、母親を泣きながら呼んでいる光景を思い出した。
そんなに痛かったのか それとも子供に石を投げつけられたことがとても悔しいのか
テリーは直立不動のまま、驚いてそれからどうすることもできなかった。

「うう……痛い…よ」
その声を聞いた途端に、テリーの心はガラスの破片が突き刺さったかのように痛みだし、
今までに感じたことのない激しい後悔の念が込み上げてきた。

この人は僕に何かをしたわけじゃない。僕が、ただ歩いていたこの人に石をぶつけたんだ。
ひどいことを僕がしたんだ。
魔物だってこんなことをしたら、僕を嫌いになる。嫌だ……そんなの

信じられるだろうか。まだ信じていたい。人間はきっと信じられる。
微かに残っていた人間への期待が想いを強くしていった。
テリーは唇を噛み締めた。想いを遂げるには勇気をふり絞らねばならない。
半分起き上がったその人をぐっと見つめた。
「さっきのは、僕が、やった…」
39保管庫4:03/03/30 09:52 ID:/zxmiQyc
「誰!? 誰がいるんだ。もうやめてくれ!」
テリーは言葉に詰まった。想像もつかない言葉が返ってきたからだ。
何を言ったのか瞬時には理解できなかった。
その人の目は先程流した涙は消え失せ、代わりに何処を見つめているのかわからない
不可思議さで飾られていた。
テリーはずっと視線を逸らさなかった。そしてようやくわかった。
ならばと、その人の手を握り締め、優しく話しかけた。
「僕はテリー。大丈夫だよ。何もしないから。
 名前教えてよ」
その人はびくっと体を震わせて、怯えていた。その顔は目を細めて神に助けを乞う哀れな羊だった。
やがてテリーがいつまでも手を離さずにいるのを受け入れたように
深く頷いてゆっくりとつぶやいた。
「ソロ……」

そこだけ周りから隔絶されてしんみりとした空気が漂っていた。
まだ大人になりきれていない、しかしずっと年上の少年が、幼子にすがりついて泣いていた。
苦しい身の想いを涙声で訴えながら。
テリーはむっとするような臭いに顔をしかめながらも、荒ぶる心に一さじの鎮静剤を盛られたような、
奥底では充足するものを感じていた。

【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)
40保管庫5:03/03/30 09:54 ID:/zxmiQyc
えっちらおっちらとジタンはイスを持って執務室の前に立つ。
いくらなんでも数回に分けて運ばなければ、とても人数分を揃える事は出来ない。
面倒くさい作業だったが、それでも余計なことを考えずに済むだけでもマシというものだろう。
ともかくジタンはイスを設置して、また会議室にとって返そうとしたのだが……。
ズルリ。
背もたれを持つ手に妙な感触を残してイスが廊下を滑る、いぶかしげにジタンが床を見る、そこには。
「これは…血?」
いかにマヌーサで偽装していても、扉の隙間から溢れ出す赤いものまでごまかすことはできない。
くんくんと鼻を鳴らすとやはりかすかだが血の匂いが漂ってくる。
この部屋にいたのは……マゴットとそしてあのセーラとかいう女の子だ。
「何があったんだ……」

そのまま扉のある場所を押してみる……簡単に開いた、と同時にむせかえるような血臭が溢れ出す。
何回嗅いでも慣れない匂いだ、ジタンは鼻をつまんで思わず目を伏せる、と同時に彼は見てしまった。
あのセーラの首無し死体を……。

いきなりの死体とのご対面、しかもついさっきまで確かに生きていたのに……その残酷な事実に、
耐えきれず”うう”とうめき声を上げてしまったジタンだが、次の瞬間には抜け目なく状況の確認を行う。
「なんて奴だ…逃げようとした相手を後ろから…」
ぱっと見ただけでも分かるのは、セーラの傷がほとんど背中側についている事だ、さらにおぞましい事実も分かった、
血痕の状況から見て、おそらく彼女は生きたまま首を刎ねられたということだ……。
そういえばマゴットは!?
ジタンは周囲を見まわすが、ハーゴンの呪文の効果か、視界がやや悪い…部屋の中に隠れてるのかもしれないし、
もしかすると先に逃げたのかもしれない。
外に探しに行きたいが、あともう少しだけ状況を知りたい、ジタンはさらに死体を調べようと自分の背中を、
廊下側から部屋側に向けたその時、部屋の奥の机の下に息を潜めて隠れていたマゴットがジタンへと、
襲いかかったのであった。
41保管庫5:03/03/30 10:02 ID:LaCNqs9S
その回避し得ないかと思われた致命の一撃をジタンは紙一重で回避した。
視線を下に向けていたから助かった、それでもし床に映る相手の影を発見する事が出来なければ、
間違いなく彼もセーラと同じ運命を辿っていただろう。

「な!おまえはっ!」
次々と振り下ろされる鎌を床を転がりながら避けるジタン。
いきなりの攻撃に驚き慌てるジタンだったが、その正体を見てまた驚く、そうその姿はまごうことなく、
マゴットその人だったからである。

「おい!正気に戻…」
ジタンはマゴットに呼びかけるが、それは横薙ぎの鎌の一閃でさえぎられる。
今度も紙一重で避けたジタンは冷や汗を掻く、あと少し遅ければ首を斬り裂かれていた。
さらに容赦なく踏みこんでくるマゴットの斬撃を右に左に交わしながら、ジタンはあることに気がつく。
セーラの身体についた傷、あれは曲刃系の武器でつけられた傷だった、そう、例えば…
「まさか!お前がセーラを…」

その言葉にマゴットは答えない、ただクスリ…と笑っただけだ、その笑顔を見てジタンは確信した、
コイツは正気だ…素面でセーラを殺し、さらに今度は俺まで、ってまさか!

自分でこれまでわずかながらも感じていた様々な疑惑がここにきて一本の糸で繋がり始めた。
(おっさんは確かにこのゲームを壊すって言った…だけどもそれは俺たちのタメじゃない、
 あくまでおっさん個人のため、俺達は駒ってことか?)
いや、駒ならまだマシだった、今の状況ではどう考えても生贄としか思えない。
ハーゴンへの怒りがふつふつと涌いてくるが、とりあえずは今この場を切りぬけなければ、
生贄にされてからでは文句も言えない。
42保管庫5:03/03/30 10:04 ID:LaCNqs9S
ここでマゴットの状態についてわずかながら説明させていただく。
実はハーゴンは余りに消極的なマゴットの性格に不安を感じ、万が一を考えマゴットにはイザというとき
攻撃的に動けるよう、あくまでも軽い暗示を何度かに分けてかけていたのだが、
力の源であるシドーを失った事により、ハーゴンはわずかずつであるが自らの能力の制御が利かなくなりつつあった。

それは彼本人にもわからない、微妙なものであったが、その微妙な狂いが積み重なり、
暗示は彼女の精神に過度の重圧を与え、そして蓄積された負担がある一点を越えたとき、
それは恐るべき形となってマゴットの精神を押しつぶしたのであった。

そう、今の彼女は活動的を通り越し、意識こそ明晰ではあるが、人間的な感情が麻痺した、
いわゆるソシオパスとなっていたのだ、今の彼女はハーゴンやアルスですらも平然と手にかけるであろう。
そしてまた、その開花したありあまる攻撃性をいかんなく発揮して、再びマゴットはジタンへと迫る。

しかし今度はジタンも反撃に出る、抜き放った仕込み杖で鎌を受けとめるとそのまま手首を返して
鎌の刃を天井に向けさせ、マゴットの力を分散させるとそのまま肩から体当たりをかます。
たまらずマゴットは手を離してしまい、スッポ抜けた鎌は壁に突き刺さる。
そして体勢を崩したマゴットの襟元を両手で掴むと、そのままジタンは背中から床へと倒れこみ。
その反動で相手を投げ飛ばすそう、柔道で言う巴投げだ。

だが、床に倒れこんだその時、ジタンの目に目を見開いたままのセーラの生首が入る。
この予想外の物体に動揺したジタンの手元が狂い、マゴットはあさっての方向へと飛んでいき
やはり壁に叩きつけられる。
駄目だ、これじゃ入りが甘い、来る。
そう考えたジタンは慌てて起きあがろうとするが、完全に起きあがったとき彼が見たもの…それは。
43保管庫5:03/03/30 10:05 ID:LaCNqs9S
実はマゴットが叩きつけられたのは、死神の鎌が突き刺さった壁の真下だった、
鎌はその衝撃でそのまま下へと滑り落ち、そしてまさにギロチンのごとく、マゴットの首を半ば切断したのだ。
どう考えても致命傷だ、しかしそれでもマゴットはまだ立ちあがろうとする。
がたがた、がたがたとまるで壊れかけの自動人形のように、首から噴水のように血飛沫を上げながら…
その恐るべき光景に流石のジタンも動けない…だがそれも長くは続かなかった。
やがて、プツリ、という音と共にマゴットの首は完全に胴体から千切れて、手前に組んでいた
自らの腕の中に転がり落ちる、そのまるで自分の首を抱いているかのような奇妙な亡骸、
それはセーラの残した呪詛の成せる業だったのかもしれない。

ジタンは部屋の真ん中にへたり込んだまま動こうとはしない。
これからどうする、これ以上面倒に巻き込まれたくないならこのままずらかるのも手だ、
だがもし自分が逃げたとして、その後はどうなる?
またあの男は同じ事を繰り返すような気がする、それを関わりのないこと、と割りきるには、
ジタンは関わり過ぎていた、それとは別に騙されていたという怒りも、もちろんある。

「とりあえず騙してくれたお礼はしないとな…」
こうしてジタンはセーラの首を持つと、そのまま部屋の外へと飛び出していった。

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:とりあえずハーゴンに一言
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】

【マゴット 死亡】
44保管庫6:03/03/30 10:06 ID:LaCNqs9S
「おい…何のマネじゃ?」
書庫から出て、執務室に向かうハーゴンたちの前にその行く手を阻むようにジタンが立ちはだかる。
その剣呑な雰囲気はただ事ではない。

「よくも…騙してくれたな」
「何の話じゃ?」
「俺達を犠牲にして、テメェたちだけで逃げようと思っていたんじゃねぇのか?」
それを聞いてハーゴンは無心ぎくりとしたのだが、勤めて平静を装う。
(そのテメェの中にワシは入っておらんがの…だが似たようなもんじゃ)
「何を言うかと思えば、いいか?不安なのは分かる、じゃがの……」
「だったらこれは何だ!」
ジタンはハーゴンへと何かを投げつける、それはセーラの首だった。
それを見て導師がひぃと声を上げる。
「調べたら傷のほとんどが背中についていた…どう考えても逃げようとしている所を強引に襲ったとしか思えない」
「俺達もああいう風にするつもりだったのか!答えろ!」
それを見るとハーゴンも流石に平静ではいられなかった。
「バカな…わしはそこまでしろとは命じてはおらぬ!」

確かにセーラを供物にしようと思ったことは事実である、だがそれはあくまでも後々のことで、
今この場で手を下すつもりなど無かった、万が一を考えマゴットにはイザというとき攻撃的に動けるよう、
軽い暗示をかけていたが・・・。

もしや…もうすでに自分の力を思うように操る事が出来なくなっている…だからほんの軽い暗示も、
思わぬ形でマゴットへと影響を及ぼしたのか…。
「それで、マゴットは…マゴットはどうした!…まさか」
答えを聞くまでもなく、ハーゴンは執務室へと走る、そしてその扉近くで物言わぬ骸と化したマゴットを見たとき、
「なんと…なんということじゃ…」
ハーゴンはふらふらとマゴットの亡骸に歩みより、その場にへたり込む
まぶたを閉じればここまでの数々の画策が甦ってくる、あと少し…あと少しで上手く行くはずだったのに。
45保管庫6:03/03/30 10:08 ID:agLvUprh
ハーゴンは自分を呪わずにはいられなかった、確かに手を下したのはジタンだ、しかし元を正せば
策を弄した挙句の結果である、彼は人の心を操るのに長けていたが故に人の心を侮り過ぎたのである。

「このロンダルキアはワシにとっては……聖地などではなく死地でしかなかったのかぁ〜〜〜」
するとハーゴンの身体からしゅうしゅうと煙が上がり、肌にはシワが刻まれ、その髪は白くなり抜け落ちていく
力の源であったシドーを失って以来、その肉体・魔力の崩壊を必死で食い止めてきたハーゴンだったが
この衝撃は大きかった、そしてついに力を繋ぎとめていた儚き1本の糸がぷつん、と切れたのだった。

「おっさん…」
後から追いついたジタンが見たものそれはただの無力な老人、ただ眼光だけは未だに鋭いままの姿だった。
実はジタンも不安だった、1時の感情に流され、人を殺めてしまった事に対する後悔。
だから彼は願っていた、自分の思っていた通り、ハーゴンとマゴットが自分を騙していて欲しかったと、だが。
その結果は皮肉なものだった。確かにハーゴンは自分を謀っていたのだろう、しかし…マゴットの亡骸のそばで
うなだれる姿は彼の想像していたものとはかけ離れていた。

「おっさん……そこまでしなきゃいけなかったのか?」
「ああ、必要ならばワシは神でも殺した、いわんやおぬしらごとき」
「騙したワシが…憎いか?殺したいか?」
そのハーゴンの呟きにジタンは答える事が出来ない。つい数分前まではそうだったのに。
(ちくしょう…おれこれじゃバカじゃないか…ちくしょう)

そんなジタンの内面の葛藤も知ってか知らずか、ハーゴンはジタンへと頭を下げる。
「だが、ワシはまだ殺されるわけにはいかぬ!ワシの全てを奪ったあの者にせめて一糸報いるまでは!」
「改めて頼む!この通りだ……お前の力をワシに貸してくれ!その後でならこの命くれてやる」
枯れ枝のようになった身体の何処にそんな気力があったのだろう?
しかもハーゴンが…この尊大な男が恥も外聞もなく血涙を流しながら土下座をしているのである。
その鬼気迫る姿にジタンは圧倒された。
46保管庫6:03/03/30 10:09 ID:agLvUprh
重苦しい沈黙の中、ようやくジタンが口を開く。
「あんたのためじゃない…殺さなくても良かったのに、殺しちまったマゴットのためだ…」
「そうか」
ハーゴンもそれ以上の言葉は発さない、ただ。
「こっちへこい」
ハーゴンはジタンを連れてまた別の部屋へと向かう。
「導師、お前もじゃ」
その言葉で物陰から様子をうかがっていた導師も、はっ、と気がついたように後を追うのであった。 


それからしばらく経過して、ハーゴンの私室内。

「良いか、これの術式が完璧に解ける者でなければ連れてきても無駄じゃ、30分以内に解けぬ者は失格として扱え」
ジタンは数枚の紙を手渡されている、そこにはぎっしりと何やら難しい字が書きこまれていた。
どうやら魔法の公式のようだ。
「それと、これも持って行け」
ハーゴンが続いて茶ばんだ紙を渡す。それには地図が記されている。
「このロンダルキアの地下には縦横に通路が通っておる、そのマップじゃ」

「地上を歩くのとでは距離にして4倍は得が出来る、うまくやれば全土を十分回れるはずじゃ」
 ワシはもう少しは保つかもしれんが、おそらく明日の朝までの命、それまでに必要な知識を全て伝えねばならぬ。
 じゃからこの時計で0時になるまでに戻ってきてくれんかの」
 ジタンは手渡された時計を見る、現在15時、ということは後9時間しかない……。
47保管庫6:03/03/30 10:10 ID:agLvUprh
一方。
「これは単純に魔力の強さや知識のみを問う問題ではない、ぶっつけ本番で儀式を成功させるには、
 特別なセンスが必要、つまりこれはそのセンスを計るのが目的、それに魔力は人数でカバーできるしの」

そう声をかけるハーゴンの隣で導師は先ほどから例の術式にかかりっきりだ、
白魔法マスターの彼がてこずるあたりが問題の難易度を物語っている。
「おい、お前は行かないのか?」
ジタンの言葉に導師は申し訳無さ気に答える。
「僕は残るよ…病人を放ってはおけないから、そうだ、君にこれを」
導師は星降る腕輪をジタンへと差し出す。
「君は足が速いからきっと役に立つよ、それとお願いがあるんだけど、ここのすぐ東の森に、
ティファって胸のおっきな女の人と、デッシュってちょっとちゃらちゃらした男の人がいると思うから
よろしく伝えといて!」

「ああ、じゃあもう行くぜ」
「無理をしないで!危ないと思ったら逃げてよ」
ジタンは導師の言葉に背中越しに手を上げて応じると、そのまま足早に部屋を後にしていった。

それを見送るハーゴン、全てはジタンがどのような魔法使いを何人連れてくるかにかかっている。
それによって儀式の内容、方法も、果ては結果までもが変わってくるだろう、
そのための準備は整えておかねば……頭を抱えながら問題に取り組む導師の隣で、
ハーゴンは震える手で書物のページを紐解いていくのであった。
48保管庫6:03/03/30 10:11 ID:agLvUprh
【ハーゴン(呪文使用不能、左手喪失、衰弱・老化) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪 現在位置:神殿自室
 第1行動方針:儀式の下準備
 第2行動方針:不明
 最終行動方針:ゲームの破壊】
(作中には書きませんでしたが、ジタンにいくつかグレネードを渡しています)

【導師(MP減少):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:ハーゴンの自室
 第一行動方針:問題を解く
 第二行動方針:ハーゴンの看病
 最終行動方針:不明】
  
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、星振る腕輪、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:神殿から外へ
 第1行動方針:魔法使いを探す
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害 最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】
49保管庫7:03/03/30 10:14 ID:lvKEzwZY
 ハーゴンの出した課題である術式の解読を行っている導師。
 周囲には、この神殿にまだ残っていた知識の残骸である何冊かの書物が集められ、無造作に散らばっている。
 拡がってページがめくれている状態の本。
 それは、このロンダルギア地方の特性について書かれたものだった。
 曰く。
 この地方は、現実と幻覚との境界がひどく希薄な特性があり、それを利用した方術を行うのに適した一面がある。
 とある精霊神ルビスに使える神官は、この地方のどこかにある祠をロトの血を引く者にのみ見える結界を張ってそれを守る礎の一つとし、その所在を隠しているらしい。
 異界の神々を祭る西の神殿は、それら神々の加護の証を持つものでなければ己の中に抱く安らぎの地に永遠にを奪われる幻覚を見せられる。
 もちろんこういった幻術を操るには、高位の魔力やそれに相当する能力、特殊な血脈などの要素が必要不可欠とされる。
 その才覚に及ばない魔力は本来の効果を発揮することは難しいといわれ、知能の低いアンデッド程度をだますのが関の山だと思われる。
 逆を言えば、力ある要素を取り揃えることが出来れば、幻を現実そのものとして具現化させることも可能であるだろう。
 理想的な条件が――――意図的にせよ、偶発的にせよ――――重なれば、例えば…この世のすべてを破壊するとされる呪われた剣と、隼のような素早さを兼ね備えた剣を、次元的な位相を虚構によってずらすことで、一本の剣として力を兼ね備えさせることも可能なことだろう。
 そのページを一瞥した導師の脳裏に、先程のハーゴンの言葉が蘇る。
「これは単純に魔力の強さや知識のみを問う問題ではない、ぶっつけ本番で儀式を成功させるには、特別なセンスが必要」
 きっと、ここに書かれている『力ある要素』っていうのも同じことなんだろうなぁ、と思う。
 自分にそれだけの資質があるのだろうか?
 いや、迷っている時間はない。ジタンが条件に合う人物を見つけ出し、協力を取り付け、無事に戻ってこれるかどうかはわからないのだから。
 導師は、再び術式の解読に頭を悩ませ始めた…。

【導師(MP減少):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:ハーゴンの自室
 第一行動方針:問題を解く
 第二行動方針:ハーゴンの看病
 最終行動方針:不明】
50保管庫8:03/03/30 10:14 ID:lvKEzwZY
 ザックスとスコールはそのまま素手の殴り合いに移行した。
 元々剣使いである二人にとって格闘術は専門ではなかったが、それでも素人のリノアが立ち入れる領域ではなかった。
 超近接状態でザックスが拳を繰り出せば、スコールはそれをしゃがんでかわし、そのまま足を払う。
 綺麗に転倒したザックスはお手本どおりの受身を取り、そのままで蹴りを放つ。
 
 最初はかわしかわされの攻防も、次第にお互いの攻撃が決まり始めて動きが止まる。
 こうなると、負傷しているスコールの方が不利だ。顔面を殴られ、尻餅をついたところにザックスが馬乗りに圧し掛かる。
「これで、終わりィッ…!?」
 スコールの動きを封じようとして自分の動きも止まる、そこに付け込む隙があった。
 リノアは背後から妖精のロッドを思い切りザックスの横顔に叩き込む。
 それ自体の威力はたいしたことは無いが不意をつかれてザックスは倒れる。
「スコール!」
 その脇を抜けて、リノアはスコールの手を取る。
 はぁ、はあ、と息を切らすスコールに人間味を感じて、リノアは少し嬉しくなった。

「行こう」
 スコールの手を引いて駆け出すリノア。それに黙ってついていくスコール。
 そんな二人の足音が遠くに消えた時、ザックスはダルそうに上体を起こした。
「ちェ、そう言えばそうだったな…あの子は、あいつを」
 すぐにまた、地面に倒れる。ヒリヒリと頬が痛んだが、それ以上に胸がムカついた。

「これじゃ、道化師じゃねーか。クソッ」
51保管庫8:03/03/30 10:15 ID:lvKEzwZY
ザックスが追ってこないことを確認したリノアとスコールは走るのをやめた。
 ただ、手は繋いだままだった。繋いだ、と言ってもリノアがスコールの手を掴んでいるというのが正確だろうが。
 スコールと離れたくない、ということもある。それ以上に、離したらどこにいってしまうかわからないことが不安だった。
 人気のない洞窟の中を進む。何度も迷いながらもさしたるトラブルもなく、出口近くまで来ることができた。

 そこで彼等はその男に遭遇した。
 暗くてよく見えないが、体格のいい男性である。腰には剣が下げられていた。
 向こうはこちらのことに気付いていないようだけど、どうすればいいのだろう…とリノアは迷う。
 スコールは迷わなかった。
「あっ!」
 リノアの手を振り払い、その男めがけて疾走する。
 殺到してくるスコールに気付いた男、だが彼が反応する前にスコールは彼の脇に入り、腰の剣に手をかける。
 剣を半ばまで抜いたところで、スコールの腹に、男の筋骨隆々とした肘がめり込んだ。
 弾き飛ばされるスコール。その拍子で男の腰から剣が抜け、地面に落ちた。
「スコール!」
 男はリノアのほうをちらりと見た。そしてすぐに、スコールに視線を戻す。

 スコールはふらつきながら落ちた剣を拾い立ち上がる。男はそれを冷ややかに見つめていた。
「賢しいな、小僧。そうやって人を騙して生き抜いてきたか」
 重い、大人の声が洞窟に響く。それを断ち切ろうとスコールは一歩前に出ようとした。 
 その前に、男の足が前に出た。スコールは前に出るのをやめて、一歩退いた。
 もう一歩、男が前に踏み出す。それにあわせてスコールは後退する。
「どうやら、性根が腐っているようだな。親に代わって私が仕置きしてやろう」
52保管庫8:03/03/30 10:16 ID:lvKEzwZY
男が前に進めば、スコールは下がる。男に向けた剣の先が揺れ、スコールの頬に一筋の汗が伝う。
 緊張を断ち切るように、スコールは男から奪ったアイスブランドを振るう。
 男はかわそうともしない。アイスブランドはかわすまでもなく空を斬るのみ。
「小僧、覚えておくがいい。戦場では闘気の勝るほうが勝つ」
 スコールの目に、その男が大きくうつった。これまで出会ったことのない、強い力とそれを固める年齢を重ねた大人の存在が、果てしなく大きく見えた。
「腐抜けた魂と曇った気合、体だけで振ったそんな剣が、このパパスに通用すると思うな!」
 刹那、スコールは殴り飛ばされた。顔面の骨格が歪むかのような強烈な一撃。
 剣を取り落とし、洞窟の壁に叩きつけられる。そこに、追い討ちをかけるパパス。

 リノアは呆然と目の前で繰り広げられる惨劇を見ていた。
 一撃一撃がスコールの中の何かを削り取っていく様を、呆然と見ていた。
 そして、スコールが完全に抵抗をやめ、成すがままにされているのに気付いて、ようやくリノアは我に返る。
「やめて!」
 なおも拳を振るおうとするパパスと、ほとんど自力で立っていないスコールの間に飛び込む。
「お願いだから…止めてください。私たちが悪かったです、だから」
「だから、何かな。お嬢さん」
 だから…言葉を続けようとして、リノアは口篭もる。だから…私は何をしたいんだろう。何が出来るんだろう?何が…
 そんなリノアをパパスは射るような視線で見ていたが、すぐに見切りをつけて視線を外す。
 床に落ちたアイスブランドを再び腰に戻すと、物影のほうに何か合図を送る。
 物影から出てきたのは、一匹の犬である。近くまで来たことを確認すると、パパスは口を開いた。
53保管庫8:03/03/30 10:19 ID:b1UxEmBz
「子供と青年を探している。青みがかった髪の、10ぐらいの双子と、茶色の髪の20ぐらいの青年だ」
「…解りません。でも、奥に男性がいます。その人なら何か知っているかも」
「そうか。では会いにいくとしよう」
 パパスは犬のトーマスを伴い、洞窟の奥へ歩いていく。威風堂々としたその姿には一片の揺るぎもない。
 直後、スコールは力無く倒れた。地面に触れるところで慌ててリノアが抱きとめる。
「スコール…」
 スコールはボロボロだった。これが、自分の弱さを隠すために人を殺めてきた報いなのだろうか。
 自分より強いものに成す術もなく嬲られ、まもるべき人に逆に助けられる。
 なんて、惨め。…何時しか、スコールの瞳から涙が零れ落ちた。


【スコール(気絶) 所持:真実のオーブ
 現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階
 第一行動方針:なし】

【リノア 所持:妖精のロッド・月の扇/アルテマ×1 
 現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階
 第一行動方針:スコールに着いていく】

【ザックス 武器:バスタードソード
 現在位置:ロンダルキアの洞窟5F(移動してるかも)
 第一行動方針:エアリス・ティファの捜索】

【パパス 所持:アイスブランド 
 現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階(奥へ)
 第一行動方針:奥の人物(ザックス)と接触
 第二行動方針:バッツと双子を捜す。
 第三行動方針:ゲームを抜ける】

【トーマス 所持:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい)
 現在位置:ロンダルキアの洞窟地下一階
 第一行動方針:パパスについていこうと思っている】
54保管庫9:03/03/30 10:21 ID:b1UxEmBz
日が完全に落ちるには、まだ少し時間がありそうだった。
紅の空に浮かび上がった白い月が、太陽を追うように山の線の向こうに沈んでいく。
それをミレーユは森の中で、声を潜めながら見ていた。

占いに出てきた人物は確かにこの森近くにいるはずだった。
中に分け入りしばらく散策して、出会いの時を今か今かと待ち続けたが、結局誰も現われなかった。
それとも行き違いになったのだろうか。
もう一度占ってみようとしたが、何故か気が落ち着かず集中力が沸かなかった。
少し間を置いて何度か実行を試みても、やはりダメだった。
病み上がりの時のような気だるさが全身を襲い、気が削がれてしまうのだ。

自分のセンスを疑い出しため息をついた。
いい加減、別の場所を探そうと森を抜けようとしたそのとき。
背筋に悪寒が走り体が思わず反転した。
木の陰からそっと外を覗ってみると、南の方から歩いてくる者が見えた。
長身で銀髪をした精悍な男だった。
自分にはない強靭な精神力で雪原を踏み鳴らし、真正面のみを見据えながら北へ歩いていった。

男が一歩進むたびに、周りの空気が膨張して破裂しそうだった。
ミレーユが隠れ蓑にしている木も連動して震えていた。
残された足跡にさえも抑えきれんばかりの衝動が注ぎ込まれているようで、ミレーユは圧倒された。


ミレーユは大きな吐息をついた。今度は心からの安堵のために。
誰もいなくなったことを確認すると、森から出て男が向かっていった方を見つめた。
日はほとんど沈みかけていたが雪明りで思ったより遠くまで見えた。
あの先は間違いなく嵐だろうと予感して、ミレーユは肩をすくめた。

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・ 現在位置:ロンダルキア東部の森 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】
【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:ロンダルキア東部の森→祠の方へ向かう
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】
55保管庫10:03/03/30 10:22 ID:b1UxEmBz
祠の離れの中は騒然としていた。
「オルテガ殿、今すぐここを出よう!」
「何故だ? もう少し話を聞いても」
「わからないか、外を取り巻く『気』が変わっている」
言われてみると確かに只ならぬ気配が接近していることがわかる。
この娘の連れとはまた別の人物。他にもまだ誰か来る……?
「ここが見つからなければ良いのだが、そう都合よくいかないだろう。
もし火でも放たれたら事だ」
「む、わかった。このお嬢さんは……」
モニカが不安そうな顔をして座っていた。オルテガはどうしたものかと頭を掻いたが、
やがてすっと手を差し出した。
「仲間はすぐ近くにいるんだったね?」
「え、ええ。外にいるはずです」
モニカはオルテガの手を取って立ち上がった。
「お嬢さん、申し訳なかったな」
「いえ、私は別に。息子さんのことは驚きましたけど」
二人を待っていたリバストが声を強めて言った。
「早くした方がいい。敵は待ってくれんぞ」

そのとき祠の方で物音がした。
「そうだ、向こうにも何人かいたな……」

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ 
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 
行動方針:外へ出るか、祠の人物をどうにかするか】
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の離れ
第一行動方針:仲間と合流
第二行動方針:アーロンの傷を完治させる
第三行動方針:仲間を探す】
チョコボが奥に隠れています。
56保管庫10ー2:03/03/30 10:23 ID:b1UxEmBz
「…アーロン殿」
「ああ…見られて…いるな」
アーロンの言葉に、メルビンは無言で頷いた。
南の方から現れた何者かは、じっと息を潜めてこちらを伺っている。
気配はほとんど感じられない。
もちろんこんな芸当のできる奴など、まともな人間ではない。

「どうする? どんな人間かわからんが…」
相手に聞こえない様に、アーロンは小さい声で問いかけた。
「十中八九、味方ではないでござるな。
こんな気味の悪い視線はまともな人間が出せる代物ではないでござる」
「こちらから仕掛けるか。相手にやる気があるのかはわからないが、
先手を取られるのは面白くない」

「うむ。わしが隙をつくるでござる。飛び道具があるやもしれぬでござるから、
 正面からは避け、左右から挟みこむ形で行くでござる」
「わかった。中にいるモニカが心配だ。すぐにケリを…!!!」
その時、思ってもみない事が起きた。
三人が行動に移す前に、森の中にいる何者かが足早にこちらから遠ざかっていくのだ。
「話が聞こえていたのでござるか!?」
「たぶんな。おそらく、時間を置いたらまた来るだろう」
「うむ。追いかけたい所でござるが…」
「やめておこう。先にやらなくてはならない事がある」

建物の中にいる連中には、未だに動きが無い。
モニカが叫んでからは静寂を保ったままだ。
さっきの奴がまたいつくるのかわからない。
しかし人質をとられている以上、こっちの相手には先手を取る事が出来ないのだ。
どうしたものか…。と三人が考えを巡らせていたその時、
南の森の方からの女性の叫び声が、保たれていた静寂を切り裂いた。
57保管庫10−2:03/03/30 10:25 ID:45RTkmsQ
「アーロン殿!!」
「ああ。俺達より向こうを優先したんだな」
「うむ。見過ごすわけにはいかないでござるな。
 わしとガウ殿で行く。アーロン殿はここで待機していて欲しいでござる」
「…わかった。気をつけろよ」
この状況で半怪我人の自分がどれだけ足手纏いになるのか
アーロンもよくわかっているのだろう。
メルビンとガウを見送り剣を鞘に収めると、建物の中の様子に意識を集中させた。
今、自分が果たさなくてはならない仕事に専念しなくてはならないのだ。

「とんぬらさん、今の悲鳴は!」
「ああ。助けに行かないと…。
アニー、ここで待っていて。すぐに戻るから」
「イヤ、行かないで!」
アニーはとんぬらの服の裾をつかんで離さない。
「アニー…」
「なにがあるかわからないのよ。もしなにかあったら…私……」
「………」
アニーは目に涙を溜め、服の裾をより強く握りなおした。
「イヤ…イヤなの……」

とんぬらはすすり泣く娘を抱きしめた。
お互いに程度の違いはあれ、離れたくないのは同じだろう。
それに、おそらくこの舞台には安全地帯など存在しないのだ。
「…これじゃあ行けないね」
「………」
「えっと、僕が見てくるよ。とんぬらさんはアニーについていてあげて」
「ルーキー。…ごめん」
「気にしなくていいよ。でも、なにかあったら助けにきてよ」
「ああ。約束する」
ルーキーはスナイパーアイを装備すると、まっすぐ悲鳴のした方へ走り出した。
58保管庫10−2:03/03/30 10:26 ID:45RTkmsQ
「足跡は残っているでござるな。ガウ殿、臭いを追えるでござるか?」
「ガウ!!」
ガウは地面に残った足跡を嗅ぐと、南西の方角へと走り出した。
メルビンも後ろからついて行く。
途中足跡が増え、おそらく襲われた女性も同じ方向へ逃げているらしい事がわかった。
木々の隙間を縫う様に走る事数分、森が開け、
切り立った崖と、対岸の島へ渡る吊り橋が見えた。
「ガウ!」
「この橋を渡っていったのでござるな。行くでござるよ!!」
そう言って二人は吊り橋の上を駆け出した。

ちょうど半分まで来た所であろうか、前を走っていたガウが急に立ち止まった。
「どうしたんでござるか?」
「ガウゥ…。(臭いが…消えてる…?)」
メルビンの顔がこわばり、弾かれたように後ろを振り返った。
対岸にいたのは、紫の髪をした女性の姿。
「しまった! 罠か!!」
女性は醜く顔をゆがめると、掌に生み出した火球を吊り橋に叩きつけた。
「ガウ殿! 逃げるでござる!!」
「ガウ!!」

間一髪、二人は橋が落ちる前に対岸にたどり着くことが出来た。
後ろを振り返ると、さっきの女性の姿はどこにも見当たらない。
火に包まれた吊り橋があげている、黒い煙しか見えなかった。


(どうしよう。すごいものをみてしまった。
キレイな女の人が変な杖をふると、メルビンさんそっくりに変身したんだ。
それだけじゃない。変身する直前、一瞬だけど気配を隠すのをやめた時、
…アイツの体からものすごい瘴気が漏れたんだ。あんなの、高位の魔族じゃなきゃ…。
アイツの向ってる方向は、地図で祠が書いてあった方みたいだ。
橋の方が気になるけど、先にとんぬらさん達と合流しないと)
59保管庫10−2:03/03/30 10:27 ID:45RTkmsQ
「…どうなっているんだ」
つい数分前から立ち上った黒い煙を、アーロンは歯がゆそうに見上げていた。
煙とメルビン達が向かっていった方角は一致していた。
「…あの二人に何かあったのか?」
建物の中は未だに沈黙を保っている。
今すぐ向こうの様子を見に行きたいが、モニカを放っておく訳には行かない。
体を二つに裂いてしまいたい衝動に襲われる。
どちらも自分の命の恩人であり、大切な仲間なのだ。

その時、森から誰かが姿を現した。
「アー…ロン…殿……」
現れたのは傷だらけになったメルビンだった。脇腹から血を流している。
「どうした! なにがあったんだ!!」
アーロンは今にも倒れそうになっているメルビンを支えた。
「罠…だったんで…ござる…。ガウ殿は…」
「わかった。もう喋るな」
「モニカ殿は…どうなったで…ござるか?」
「まだ中にいる。さっきから何も動きがない」
そういってアーロンは見えない祠の方を向いた。

「なるほど。そこに祠があったんだな」
耳慣れない言葉。アーロンがその言葉の意味を理解する前に、
メルビンの右手に発生した雷撃が、アーロンの体を絡め取った。
「ぐ…がぁ…」
「ほう、確かにここに何かがあるな」
メルビンは地面に倒れこんだアーロンを一瞥すると、
アーロンの向いた方向を調べ始めた。
「貴様…何者だ……」
アーロンは剣を構え、フラフラと立ち上がった。
60保管庫10−2:03/03/30 10:28 ID:45RTkmsQ
とんぬらは帰ってきたルーキーの話を聞くと、アゴに手をやって思案し始めた。
「…行こう。祠の中にだれかいるかもしれない」
とんぬらはそう言って立ち上がった。
「………」
アニーは心配そうにとんぬらを見上げる。
「アニー。さっき話しただろう。
 ぼくは死なない。おまえやクーパーを残して死ねるわけはないだろ?」
とんぬらはアニーの肩に手を置いて、ゆっくりと話し掛ける。
「大丈夫。ぼくがどれだけ強いかわかってるだろ?」
アニーは黙って首を縦に振る。
「ここで隠れていなさい。でも危なくなったすぐににげるんだよ」
「…私も行く。もう離れたくない!」
少女の決意は固く、曲げる事はできないようだ。
「…わかった。急ごう。もう祠についているかもしれない」


「ぐうっっ」
見えない衝撃波にアーロンの体は吹き飛ばされ、近くの木に叩きつけられた。
「わしか?…そうだな。次の姿は貴様にしようか」
「一体…何を……!!!」
メルビンは袋のなかから奇妙な杖を取り出し、呪文を唱えた。
奇妙な煙がメルビンの体を覆い、次の瞬間、メルビンの姿はアーロンそっくりになった。
「こういう事だ。まあ、貴様は見事にだまされてくれたわけだな」
アーロンもどきはそう言うと、印を組み呪文を唱え始めた。
「同じ人間が二人もいるのはおかしいからな。貴様はしばらく眠っておれ」
61保管庫10−2:03/03/30 10:30 ID:BCqMWAAx
少しずつアーロンの体から自由が奪われていく。指先が痺れて動かない。
舌が全く動かない。モニカに危険を知らせる事も、もはや出来ないようだ。
(くっ…意識が……気を…失っ…て……たまるか…)
「安心しろ。殺しはしない。もっとも、誰も貴様を助けに来る者などいないのだがな。
 ヒョーッヒョッヒョッヒョッヒョッヒョぶっ!!!」
えらそうに高笑いをしているアーロンもどきの後頭部を、
彼方から飛来したブーメランが直撃した。

【アーロン(怪我・半冷凍 
所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:気を確かに持つ
第二行動方針:モニカを助ける
第三行動方針:仲間を探す】

【メルビン/ガウ 
所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠から南の島
第一行動方針:アーロンとモニカを助けに行く
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】

【エビルプリースト(現在の姿はアーロン) 
所持武器:危ない水着 変化の杖 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:この場にいる全員の始末】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】

【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:アーロンもどきを倒す
第二行動方針:クーパーをみつける】

祠から南にある橋は焼け落ちました。
62保管庫陸戦型:03/03/30 10:31 ID:BCqMWAAx
不意をつかれ、エビルプリーストは横によろけた。
 今はアーロンの姿をしている事も忘れ、血走った目を衝撃が襲ってきたほうに向ける。
 雪の中駆け抜けてくる人影一つ、剣を抜き放って振りかぶる。
「何者だぁっ!」
 言うが早く魔力を構成し、イオナズンの魔法を唱える。相手の動きは速いが、こちらのほうがもっと速い…!
 突進してくる人影の周りに光の粒が浮かび、それが連鎖自壊していく…

 寸前。
「はぁぁぁぁっ!」
 男の掲げた剣から光のベールが生まれた。それは、エビルプリーストも知っているある呪文と同じ現象である。
 大爆発。だが、その衝撃は男に届かず、エビルプリーストに跳ね返ってきた。

「ぬうううぅぅっ!」
 両腕を突き出して耐える、だがそれにも限界があった。
 腕に無数の裂傷が生まれ、宙に投げ出されて雪の上を撥ねて転がる。その衝撃か、変化も解けて凶相の老人に戻った。
 慌てて変化の杖で再び変化しようとする…それ自体には何の意味もなかったが、強襲に彼も混乱していた…が、
 杖を持っている手にブーメランが直撃し、取り落としてしまった。
 ブーメランは何かの元に戻っていく。何か。それはスライム。
 あの「スライム」に邪魔をされた。エビルプリーストの頭に血が上った。
 魔属の王ですら駒にしてきた自分が、最底辺の魔物に虚仮にされた。
 紫のターバンをしている男もそうだ。選ばれし者でもない人間の分際で、自分を出し抜こうなどと大それたことをした!
 今も、自分に害をなそうと迫ってくる。許せない。あの男と、あの屑モンスターだけは…!
63保管庫陸戦型:03/03/30 10:32 ID:BCqMWAAx
彼自身は頭に血が上っていて気付いていないが、状況はエビルプリーストにとって絶体絶命だった。
 相手は魔力反射ができる戦士、自分はろくに武器も持っていない、こんな状況で勝てるわけがない。
 だが、彼にもまだツキは残っていた。

 一つはとんぬらたちがエビルプリーストを仕留めようとした矢先に離れの扉が開いたこと。
「お父さん、危ないっ!」
 後方に控えていたアニーがヒャダルコを唱えて入り口付近に氷柱を作り出し、
 とんぬらとルーキーは一旦足を止めて離れの入り口に視線を向けた。

 そして、もう一つ。
 エビルプリーストが弾かれたあたりに、ちょうど祠の入り口があったこと。
 その扉の向こうには息を殺した人の気配に、エビルプリーストが気付いたことだった。

【エビルプリースト 
所持武器:危ない水着 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:この場にいる全員の始末】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
祠(ピピンたち)の存在に気付きました。変化の杖を落としました。

【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:エビルプリーストを倒す/オルテガたちとの対応を決める
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】
祠の離れからオルテガたちが出てこようとしたのでヒャダルコで入り口を塞ぎました。
64保管庫指揮官用:03/03/30 10:33 ID:BCqMWAAx
「ぬっ!?」
「ちっ、いきなり仕掛けてきた!」
リバストが舌打ちしながら凍りついた扉を拳で叩いた。
「呪文か、厄介だな。相手は見たのか?」
「いや、見えなかった。……蹴破れば出られそうだがどうする?」
「無論、行くまで!」
オルテガがそう息巻いた。

「待って! 今のは私の連れがした事かもしれません」
それまで黙っていたモニカが突然口を開いた。
少し息を弾ませ、振り返ったオルテガとリバストと交互に視線を交わす。
「まさか。誰が出てくるか確認もせずいきなり攻撃してきたんだ。
 もし扉を開けたのが我々でなくお嬢さんだったらどうなる。仲間なんだろう?」
「え……そうだったんですか?」
モニカが不可解な表情をした時。
「しっ! 静かに」
そう言ってリバストが部屋の奥の壁に寄り聞き耳を立てるのを見て、オルテガたちは口を噤む。
「……声がする」
祠の方からだ。

「くはははは これぞまさしく人間の盾」
「卑怯だぞ!」
「子供を離せ!」
微かにそんな声が聞こえてくる。リバストもオルテガも瞬時に事態を悟った。

「我々のことは眼中になかったわけか」
リバストは弾かれたように部屋の入口まで駆け寄り、力任せに凍りついた扉を何度も蹴りつけた。
「こいつもただの足止めだ。厄介払いされるとはな」
「それにしても忌々しい。悪の臭いがぷんぷんする」
オルテガも加わり、扉は二人の勇者の猛攻に晒された。
扉は今にも音を立てて崩れそうだった。
モニカが遠巻きに声を殺しながらじっと二人を見守っていた。
65保管庫指揮官用:03/03/30 10:37 ID:LZBXm8ch
【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:ロンダルキアの祠の離れ 
第一行動方針:アルスを探す】
【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 
行動方針:外へ出る】
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の離れ
第一行動方針:外へ出る
第二行動方針:アーロンの傷を完治させる
第三行動方針:仲間を探す】
チョコボが奥に隠れています。
66保管庫改:03/03/30 10:39 ID:LZBXm8ch
あれからジタンは彼自身のスピードと腕輪の力もあって順調に地下道の中を進んでいた、
かのように思われたが、ここに来て少々事情が変わっていた。
ジタンは息を潜め、柱の影から様子をうかがう、その先にはデスピサロとサマンサの姿があった。
「2度あることは3度あるっていうけど、厳しいな、さてどうする」
時間を考えると後戻りするのは避けたいところだ。
(あの2人…神殿に入ったのかな?)
ふと、ジタンは地下に入る前に出会った二人の男女、ティファとデッシュのことを思い出していた。

結局ティファたちとは、ただ導師からの伝言とフライヤの死、それだけを簡潔に伝えたのみで別れた。
言いたいことが無いわけでもなかったが、あの出来事はフライヤ自身が誰のせいでもなく、
誰が悪いわけでもない、と言い残しているのだ、ならばジタンが言うべき事は事実を伝えるのみだろう。
ジタン自身の心境はともかくとして…。
と、そこで。

「おい、そこで隠れている奴、これで3回目だがまだ懲りぬのか?」
気配を完璧に絶っていたはずなのに…男からかけられたその言葉に流石のジタンも背筋が寒くなるのを覚えた。
これまで2度戦い、2度とも力量の差を見せつけられている。
武器やアイテムが多少増えたところで、さしてその差が覆ることはないだろう。
逃げるか…いや逃げるにはもう遅い、どうする。

だったら、いちかばちかだ。
この話にあいつらが飛びつくかどうか…声をかけてきた以上あいつらも問答無用ってワケじゃなさそうだ。
わずかでも助かる可能性があると分かれば、もしかすると態度が変わるかもしれない。
(そういえば、2回とも仕掛けたのは俺からだっけ?)

ともかく、ジタンは覚悟を決めると、足元に武器を投げ捨て両腕を頭上で組み。
抵抗の意志の無い事を示しながら、ゆっくりと柱の影から彼らの前へと進んでいった。。
「なぁ…俺の話も少しだけ聞いちゃくれないか?」
67保管庫改:03/03/30 10:41 ID:LZBXm8ch
一方そのころ、デスピサロたちがいる通路の厚い壁を隔てた向こう側では、
部屋を飛び出そうとするアリーナをクラウドが制止していた。
「まてよアリーナ、何処へ行こうっていうんだ」
「決まってるじゃない!今やってきた人を助けるのよ!」

クラウドはアリーナの行く手を阻むように立つと、説得を続ける。
「俺は今は動くべきじゃないと思う、声を聞く限りあいつらに戦う意志は無いみたいだし
 それで今やってきた奴が戦いを仕掛けて返り討ちにあうのは、自業自得というものだ…
 俺達が動くべき問題じゃない」

「じゃあ、このままにしておけというの!」
「俺は俺自身と、そして何より君が生きてこの状況を抜け出すことが第一だと考えている、
 それに君は命の恩人だ、危険に晒すわけにはいけない」

この部屋を出て先に進むには、今デスピサロたちがいる場所を絶対に通過しなければならない。
つまりあの2人が動かない限り、彼らも動く事は出来ないのだ。

「とにかくもう少し様子を調べてからにしよう、俺たちがやらなくちゃいけない事は戦うことじゃない
 逃れる事だ」
こうして引き続き2人は通風口に耳を近づけて、向こう側の様子をうかがうのであった。


「すげぇ、2人とも正解だ」
それからしばらくして、ジタンは自分の賭けが成功した事にほっと胸を撫で下ろしていた。
脱出の儀式の話を持ちかけたところ、2人は興味津々といった感じで喰いついてきた。
しかしなによりもデスピサロが賛成の意を見せたのが意外だった、これにはサマンサも驚いていたが。

ともかくジタンはハーゴンから託された問題を2人に見せて、解いてもらうよう頼んだ。
「我々の力量を疑うとは…」
これには2人もやや機嫌を損ねたが、一発勝負である以上それも仕方が無いと割りきって
彼らは問題に取り組んでいた、そしてその結果が今、出たのであった。
68保管庫改:03/03/30 10:45 ID:LZBXm8ch
「難問でした、これは単純に強力な魔法の使い手というだけでは解答する事ができない
 魔法知識や実際の儀式の運用に長けた者、あるいは元々そういった類の分野に特別なセンスを
 発揮できる者でなければ解けないでしょうね」

余裕の表情のデスピサロとは正反対に、正解に胸を撫で下ろすサマンサ。
「とにかく、正解者が見つかって良かったよ」
ジタンもまた胸を撫で下ろす、これでまずは2人、導師が解答出来ていれば3人。
人数としてはこれでも充分かもしれないが、まだ時間がある。
それに唯一の仲間の生き残りであるエーコを探すという、新たな目的もあった。

と、そこでサマンサがやや挑発的な態度でジタンに問いかける。
「そういえば私を倒そうとは思わないのですか?」
挑発には乗らず、ジタンはしれっと答える。
「無事に脱出できたら、改めて考えるさ」

確かにビビの一件は正直、まだ遺恨が残ってはいる。
だがフライヤの件を通して、必ずしもサマンサの行動が悪いと言えるものであったのか、と考えると
ジタンにもサマンサを否定する資格は無いように思えるのだ。
それにマゴットの事での負い目もある。この事は今言うべきだろうか?
いや、この場でもめれば全てが水の泡だ、黙っておくか、放っておいてもいずれ分かるだろう。
その時はその時で考えればいい、折角丸く収まったのだから。 
色々あって幾分疑り深くなったとはいえ、基本的にお人よしの彼は2人の協力を疑ってもいなかった。

しかし、当然デスピサロたちには裏があった。
実際、ジタンが問題の答え合わせに手間どっている間に2人の間でそれらのことについて、
話はついていたのである。
それはジタンに悟られぬよう、高位の魔法使いが用いる特殊な言語で行われていた。
これで聞き取られる心配は無かったし、例え聞こえてもジタンには理解不能だっただろう。
69保管庫改:03/03/30 10:51 ID:A164Gprn
以下が会話の概要である。

「しかし、ピサロ卿がこんな眉唾な話に乗るとは意外でしたよ」
「確かに眉唾だ、だがそれでも材料をそろえて煩雑な手はずを整えてくれるというのであれば
それだけでも価値はある」
「と、いいますと?」

「そうだ、儀式を乗っ取る、乗っ取って何を行うかはまだ決めてはおらんが、今言える事は
 腕輪を手に入れていない状態で、易々と脱出などさせるわけにも、するわけにもいかん
 と、言う事だけだ」

「神殿にはお前1人で行け、私は後で合流する」
「何かお考えでも?」

「私の目的はあくまでも腕輪を探すことだ、もし腕輪が入手できればその時は脱出の儀式に賭けるのも
 悪くは無い、それに他の連中の状況を知るいい機会だ」

「私がもしも戻らぬ時は、その時はお前が、お前自身の判断で儀式を動かすが良い
 ハーゴンとやらの話に乗るもよし、その他を選ぶもよしといったところだろうかな」

「了解いたしました、それではご無事を」

その後、デスピサロがジタンに同行を求めたとき、明らかにジタンは嫌そうな顔をしたが、
「こんな大事な計画をお前のような無鉄砲な奴だけに任せてはおれん」
そう言われると、思い当たる事がありありなのだろう、バツの悪い表情に変わる。
それにサマンサが先に向かってくれるのなら、その分時間に余裕も出来る。
そういった事情も手伝って、結局渋々ながらも同行を承知したのであった。

こうして3人は、それぞれ必要事項を打ち合わせた後、デスピサロたちはそのまま東へ、
サマンサは西へと向かったのであった。
70保管庫改:03/03/30 10:52 ID:A164Gprn
だが、しばらくすると西に向かったはずのサマンサが、何故か引き返してきた。
サマンサの手にはジタンから受け取った手榴弾が握られている、その数は3つ。
神殿には魔法の効かないロボットが徘徊してる可能性があるという事で受け取ったのだ。

さらに右手には星降る腕輪がはまっている。協力を盾に強引にねだり、
神殿につき次第、本来の持ち主に返すという条件付でgetしたのだった。

サマンサは殺気の篭った視線で、通風口の向こうを睨む。
「先ほどの屈辱は倍にして返えさせて頂きますよ」
この向こうにアリーナとクラウドがいるということはデスピサロから聞いている。
風向きの関係でデスピサロの力を持ってしても向こうの様子までは聞き取れなかったようだが。

恥辱のほかにも理由がある、あのアリーナとか言う娘はピサロの宿敵の1人。
ここで倒す事が出来れば、またとない援護射撃になるはずだ。
 
視線が通らなければ正確な攻撃は行えないし、大規模魔法を下手に使えばこちらも危険に晒される上、
何より魔法を刎ね返すアイテムを所持している、だがこれならば。
サマンサは手榴弾のピンを抜き、それを通風口の中へと放りこみ、足早にその場を去ったのであった。
71保管庫改:03/03/30 10:52 ID:A164Gprn
そしてその向こう側では。
「さっきから何も聞こえない、ってことはいっちゃったのかな?」
「いや、あともう少しだけ待った方がいいだろうな」
相変わらずクラウドとアリーナが通風口のすぐそばで耳を傾けていた。
あの闖入者が現れてからしばらく経過して、急に彼らの声が聞き取りにくくなった、
どうやら場所を少し変えたらしい、それでもわずかな物音で彼らがまだあの付近にいる事だけは理解できた。
そしてつい数分前、それらの音が全く聞こえなくなったのだ。

と、その時、通風口から突如として音が聞こえだした。
それは話し声とは違い、何かが高速でこちらに向かってくるような音だ、
2人ははっと顔を見合わせるが、すでに遅い。
その時には手榴弾が2つ、彼らの間を分かつように床へと転がり落ちていた。
「!!」

ずぅぅぅぅん。
「さて、先を急ぐとしましょうか」
爆発音を遠く背後で聞きながら、振り向くことなくサマンサは事も無げにそう言い放つ。
相変わらず冷たい笑みを浮かべながら。
72保管庫改:03/03/30 10:53 ID:A164Gprn
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける

【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明


【サマンサ:所持アイテム:勲章(重装備可能)星降る腕輪 手榴弾×1 
 現在位置:地下通路(大陸中央付近から西へ)】
第一行動方針:神殿に向かう
第二行動方針:生き残る
第三行動方針:不明


【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出
73笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/31 00:38 ID:1fDTRITs
保守。
74笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/03/31 00:46 ID:1fDTRITs
保守。
75保管庫キャノン:03/03/31 01:48 ID:c+nt7XS+
とんぬらは何もない空間から突然現われた扉に視線を移した。
扉は子猫が通れるかどうか、といったところでアニーの魔法によって凍結させられている。
中の様子は窺えないが、扉の向こうに人がいることには違いはない。
「お父さん、どうしよう?」
「…そうだね、この状況で乱入されるのは困るな。アニー、頼めるかい?」
「はい」
アニーはうなずくと呪文を唱え始める。これで少しは時間を稼げるだろう、この隙にあの邪神官を討つ。
とんぬらは再びエビルプリーストに視線を向けた。
何故か、エビルプリーストのいた所のすぐ側に扉が現われていた。
視線を外していた時間は僅かなものだ、これまた突然現われたもう一つの扉に驚いたが、
扉から飛び出してきた一人の少女と、
「きさま、リディアちゃんを離せ!」
聞きなれた男の声に、とんぬらは更に驚愕した。

エビルプリーストは自分に剣を向ける兵士に嘲笑うように笑みを浮かべた。
「ふん、その剣でどうするつもりかな?」
うぐ、と…腕の中にいる少女、リディアが呻き声を上げる。
腕からはどす黒い血が流れていた。扉を開いた時にいきなり切りつけられたせいだ。
それでもう一人の少女は取り逃がしてしまったが…しかし一人でも十分事足りる。
「やめろ!」
「やめて欲しいのならそれ相応の態度というものがあるだろう?まずはその剣を捨ててもらおうか」
「…くッ」
ピピンは下唇を噛んだ。リディアは泣きそうな目で自分を見ている。
それが何を訴えているのか、結局はわからないまま………ピピンは剣を捨てた。
「結構、では早速だがお別れだ」
リディアが何を言おうとしている。だが、エビルプリーストの腕が咽喉に食い込んで、声を上げられない。
エビルプリーストはリディアを拘束したまま、外へ飛び退いた。
空いている手に光の粒が集まりはじめて。それがまるで、リディアの瞳から涙が零れ落ちているようだった。
ああ、この子はきっと凄い美人になるんだろうな――――


――――それが、最後だった。
76保管庫キャノン:03/03/31 01:49 ID:c+nt7XS+
「お父さん、今の声」
「ああ…ピピンだ!」
「とんぬらさんの知り合いなの?あの子も?」
ルーキーが森の奥へと消えていく少女を見ながら言う。
ちょうど、メルビンたちが向かったほうに駆けていく少女の姿を確認して、とんぬらは首を横に振った。
「いや…多分、ここに来て知り合った子だと思う」
「そっか。あっちの橋は落ちているから、結局戻ってこなきゃいけないんだけど…」
と、扉の中からエビルプリーストが飛び出してくる。刹那、扉の向こうから激しい轟音が鳴り響いた。
「………!」
二人と一匹は息を飲む。それが何を意味しているのか、理解できずに。
エビルプリーストはイオナズンの余波を心地よく感じながら、厭らしい笑みを浮かべて三者に相対する。

「くくく…動くなよ」
「人質…?」
「そういうことだ。武器を捨ててもらおうか」
ああ、そういうことか。とんぬらは思った。子供を人質にとられ、何も出来ないままやられた、ということ。
咽喉の奥がヒュゥ、と音を立てた気がした。遥か昔の、けして忘れられない刃の冷たさを思い出して。
「いいのか?この子供の命が惜しくないのか?」
あぅ、と捕らわれの少女がうめく。その顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。
とんぬらは無造作に剣を捨てた。ルーキーも、迷いながらもブーメランを捨てる。
「結構結構。くくく…くはははは!これぞまさしく人間の盾といったところか!」
「卑怯だぞ!」
ルーキーが怒ったような声を上げる。
怒っている。ああ、そういうことか。とんぬらは思った。
――――この状況は、あの時と同じじゃないか。
それに気付いた時、とんぬらの内から急激に怒りの感情が溢れた。
そして叫ぶ。

「子供を離せ!」
77保管庫キャノン:03/03/31 01:51 ID:c+nt7XS+
一方、一人冷静なのがアニーだった。
先程呪文で凍らせた扉を、中にいる者たちが蹴破り始めた事にもいち早く気付いていた。
父は離れにいる者たちを頼むといった。そして氷結の呪文はすでに唱え終わっている。
扉はすぐにでも蹴破られそうだが、呪文を放てば更なる氷が扉を塞ぐだろう。
だが、あえてアニーは呪文を放たなかった。
勿論、命は大切だ。助けられるのなら、そうしたいと思う。
しかし父親と天秤にかければ、どちらに傾くかは言うまでもないことだ。
父が、見ず知らずの少女のために死んでいく…そんな事は、認められない。絶対に。

有頂天のエビルプリースト、泣きじゃくるリディア、怒りのとんぬら、ルーキー。
その裏側でアニーは子供とは思えない…いや子供だからこそなのだろうか…冷静さで隙を突こうとしていた。
78保管庫キャノン:03/03/31 01:51 ID:c+nt7XS+
【エビルプリースト 
所持武器:危ない水着 ファリスのペンダント 現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:この場にいる全員の始末】
第二行動方針:天空の勇者(ソロ・クーパー)の始末】
リディアを捕らえています。

【リディア
所持武器:なし 現在位置:ロンタルギアの祠の外
第一行動方針:エビルプリーストから逃げる
第二行動方針:祠から逃げてバッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
エビルプリーストに捕まっています。

【エーコ
所持武器:なし 現在位置:ロンタルギアの祠の外
第一行動方針:バッツたちと合流
第二行動方針:仲間を捜す】
祠から逃げ出す事に成功しましたが、向かっている南の端は落ちています。

【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣(捨て)/スナイパーアイ ブーメラン(捨て)/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:エビルプリーストを倒す
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】
とんぬら、ルーキーは武器を捨てました。アニーはそのままです。
とんぬらにはマホカンタがかかっています。アニーは氷結の呪文をすぐに撃てます。

【ピピン 死亡】

オルテガたちが出てくるタイミングはお任せです。
エーコについては誰か補完してください。おながいします。
79保管庫:03/04/01 01:01 ID:s8WvrebR
地下道に響く爆発音は、当然東に向かうデスピサロたちにも聞こえていた。
その音に慌てて引き返そうとするジタンをデスピサロが制止する。

「待て!、サマンサならば大丈夫だろう、あれは引き際をよく心得ている、
 滅多な事で間違いはしまい」
「あいつから仕掛けたかも知れないぜ」
「まさか、ならもっと確実な方法が幾らでもある、魔法使いなのだからな」
そう言ってジタンをなだめるデスピサロだったが、もちろんサマンサの意図は充分理解していた。
(サマンサよ、援護射撃のつもりか、味な事を)

結局、それ以降戦いの物音は一切聞こえる事は無く、ようやく納得したジタンはまた先へ進む。
そしてまたしばらく進んだ時、ジタンはまた足を止め今度は何やら地図を見比べて考え始める。

「おかしいな」
「何がだ?」
「いや、俺としてはこの島にある祠に行きたいんだけど、地下道が通って無いんだ」
デスピサロも地図を確認する、なるほど確かに地下道は祠一帯、北東の湖を避けるように通っている。
引き続きデスピサロは、地下道マップと支給品の地図を見ながら思案をめぐらせる、その結論は。

「地形から考えるにおそらくこの島は浮き島だ…だれかが人工的に作った」

地下道マップは誰が調べたのかは知らないが単にトンネルの通路だけでなく、
その深さや地盤等の状態についても詳しく書きこまれていた。
それが無ければ彼もこの事実に辿りつけなかっただろう。

「人工島?それって何か不味いのか?」
意外な展開について行けず、首をかしげるジタン、デスピサロはできの悪い生徒に補習を行う、
教師のスタイルで続ける。
80保管庫:03/04/01 01:01 ID:s8WvrebR
「さしあっては不味いわけではない、だがもしその事を知らずに、派手な戦いでもやれば、
 もしかすると、突如として島が沈む、という事もありえないともいい切れんな」

「しかも悪い事にその湖の地下には断層がある…もし島が沈めばそれを引き金にして、
 局地的な地震が起こりうる可能性すらあるが、それでも行ってみるか?」

意地の悪いデスピサロの言葉に、ジタンは苦笑いで応じるのみだった。

【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:地下通路(大陸中央付近)から東へ】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出
81保管庫:03/04/02 01:41 ID:x4FJiq0r
一体、何時間ほど歩いただろうか。
「ようやく山岳地帯を抜けられるようでござるな」
ライアンは安堵の息をついた。同時に、見失ってしまった仲間達のことを思う。
特にホイミン……あの不吉な夢は、何を暗示していたというのか。
ライアンは空を見上げた。太陽は既に傾いているが、日没にはまだ時間がありそうだ。
(次の放送を聞けば、あの夢が正夢かどうかもわかるでござる……)

雪山で、長い間気絶していたライアンは知らなかった。
放送回数が増えたこと、正午に流れた放送で禁止魔法が追加されたこと、ホイミンの名前が呼ばれたことを。
最も、戦士のライアンにとって、禁止魔法の追加などなんの意味もないのだが。

「……歩きどおしで疲れたでござるな。少し一休みとするか」
ライアンは岩陰に身を隠した。そして昼食を食べていないことに気付き、
バックから食料を取りだして食べ始める。
「腹が減っては戦ができぬと申すからな」
ツェンの街で果物や瓶詰めを見つけていたこともあり、あと二日は食料の心配もない。
そういう事情もあって、彼は盛大に食事にありついた。
82保管庫:03/04/02 01:42 ID:x4FJiq0r
そんなライアンを見つめる視線が、二つ。
「(ごくっ)……いいなぁ〜、オレなんかちょっとしか食べてないってのに」
「何よ、食料なら私達の分を分けてあげたじゃない」
「あんなちょびっとじゃ、食べた気がしないッスよ」
「だったら、そこらへんの雪でも食べて我慢しなさいよ」
ライアンの隠れている岩とは少し離れた、木の陰で。
ティーダとマリベルは、そっと様子を伺っていた。
目的は、もちろんセフィロス打倒のメンバーを勧誘するためだ。
比較的足が早く、戦闘能力もあるティーダ達が仲間探しをする間に、
エアリスとギルガメッシュとラグナが作戦を立てる……そういう手筈になっている。
「で、どうする?」
ティーダはぱらぱらと、参加者リストのページをめくる。
選ばれし者の一人、バトランドの王宮戦士――この文と本人を見る限り、そう悪い人物とは思えない。
「あのオッサン、見た目も結構強そうだし、オレはいいと思うんだけど」
「見た目だけって可能性もあるけどね」
しかし、ライアンが決して見た目だけの戦士ではないことは、マリベルも察していた。
一見無造作に食事をしているようだが、全く隙がない。
それに脇に置かれたやたらとデカいハンマーからは、並々ならぬ魔力が放たれている。
あの武器だけでも、貴重な戦力となることには間違いない。
とりあえず、どうやって声を掛けるか――二人がそう思った、その時。
「いい加減出てきたらどうでござるか?
 人の食事をジロジロ見るなど、あまりいい趣味とは言えないでござるよ」
「!」
予想だにしなかった一言。
驚きのあまり、ティーダ達は反射的に木陰から飛び出していた。
83保管庫:03/04/02 01:42 ID:x4FJiq0r
【ライアン 所持武器:大地のハンマー
 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
 第一行動方針:食事&休憩
 第二行動方針:はぐれた仲間を探す
 第三行動方針:ホイミンの安否を確かめる
 (正午の放送を聞き逃しています。放送回数が増えたことも知りません)】
【マリベル/ティーダ 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
 所持武器:エドガーのメモ/いかづちの杖・参加者リスト
 第一行動方針:仲間を集める、
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
【ラグナ(両足欠損)/エアリス/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
 所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
 第一行動方針:作戦会議
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
保守
85笑う悪魔 ◆638FJ29rIc :03/04/05 00:02 ID:uLPuoH0F
保守
ほっしゅほっしゅ。
保守
88名前が無い@ただの名無しのようだ:03/04/06 15:11 ID:Xj2f544m
ほしゅ
保守
90ほしゅ:03/04/07 20:50 ID:ZaPWq3Rl
ほしゅ ほしゅ ほっしゅっしゅ。
91名前が無い@ただの名無しのようだ:03/04/07 21:10 ID:YDZ+snYI
用はドラクエが天野画になり、エフエフは主人公しゃべらなければ双方納得てことでよいですね?
92名前が無い@ただの名無しのようだ:03/04/07 21:36 ID:nUgNUZIM
29
>>91
意義なし男くん
94不セイン:03/04/07 23:14 ID:Bq/Af7BB
サーバーを接続できマンセー

96 :03/04/08 19:01 ID:lOU8LlgK
96
顔文字板のDQスレも保守するだけの日々が続いたが
このスレもそうだな

保守ぴたる
98逆襲の保管庫:03/04/08 23:59 ID:SL5CsYn6
「おい!おい!起きてんのか!」
耳もとの声にギルガメッシュはゆっくりと目を開けて、声の方向を見る、と、そこには、
一匹のカエルがひょこひょこと歩いている。
「作戦会議をしようって言ったのはお前だろ、寝てんじゃねーよ」
さらにカエルは大声を張り上げる、だがギルガメッシュはカエルがしゃべるという異常事態にも、
全く動じず、当たり前のように返答する。

「腹へってんだよ…お前はそんななりだからカロリー少なくって済むんだろうけど、なぁラグナさんよぉ」
「ただ寝てるだけなら別に人間のままでもいいんだけれどな」
そう、このカエルの正体は、ト−ドによって変化したラグナだったのである。
両足を失ったラグナを出来るだけスムーズに連れて歩くための手段であった。

ひょこひょこと自分の周囲をうろつくラグナカエルをギルガメッシュはぼんやり見つめる。
その下あごには超ミニサイズながらも、例の首輪が光っていた。
(カエルになればもしかしてと思ったんだが…無理だったか。)

「なぁ…お前も出来るだけカロリーを消費せずに大人しくしておいた方がいいぞ。人間に戻ったら
 ふらふらで戦えませんじゃ困るからな」

木陰で丸くなって、やはり大人しくしているエアリスの方を見、それから何故か自分のそばから離れない
ラグナカエルを不思議そうに眺める。

「なぁ、なんでエアリスじゃなくって俺なんだ?スケベそうな顔してるくせによ?」

「出来れば俺もお前さんじゃなくって、エアリスの胸の谷間がいいに決まってる…でもな
 さっき忍び込もうとしたらエアリスは俺になんて言ったと思う?」
カエルの姿のラグナはそこでぶるぶると身体を震わせる。
「今度やったら、お尻の穴にストロー刺しこんで、そのままぱぁんってやっちゃうからね…てよ」
「そ…それは怖いな」
99逆襲の保管庫:03/04/09 00:01 ID:MaTwi+s7
エアリスのその一言はラグナカエルには死にも勝る恐怖だっただろう。その恐怖はもしかすると、
自らの幼き日々を思い出してのことかもしれない。
「きっと子供の頃やってたに違いないぜ」
「人は見掛けによらんな…」

そこまで話すと、またラグナカエルは落ちつき無くひょこひょこと飛びまわる。

ギルガメッシュは今度は灰色の空を見上げると、別のことを考え始める。
自分はあの時爆死したものだとばかり思っていた、今の自分は”おまけ”のようなものだと。
だからこそ、セフィロスを倒そうなどというある意味無謀な計画を企てる事も出来た。
おまけの命を無駄にするつもりは無いのだが、せめて有意義に使いたいというわけだ。
英雄っぽくって2度目の最後を飾るには、なかなかのものだろうと自分では気に入っているつもりなのだが、
なんとなく思うのだ。

爆死した後、まだ何かがあったような気がする…大切な何かを忘れているような…、
ギルガメッシュは珍しく頭をフル回転させ、必死でおぼろげな記憶を呼び戻そうとする。

もやがかかった脳裏にある人物が浮かび上がる、白い髭をたくわえた、いかにも賢者を思わせる、
温和な容貌の老人だ、その隣には雪の結晶を纏った美女もいる。
そこまで思い出したところで、また、もやが深くなってゆく、これ以上は今は無理のようだ。

(そういや爺さん何か言ってたような…新しい仲間だとか何とか、ああ、よくわかんねぇやな)
とにかく空腹で考え事をしても無駄だ、ギルガメッシュは再び目を閉じて丸くなる。

「腹、減ったな…ティーダのやつ、俺がトイレに行っている間に俺の分まで食べやがって…」
100逆襲の保管庫:03/04/09 00:02 ID:MaTwi+s7

【ラグナ(両足欠損・現在はカエルの姿)/エアリス/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
 所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
 第一行動方針:作戦会議
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】


ギルガメッシュは死亡後、召喚獣となっています。(本人に記憶無し
記憶を全て取り戻すまでは人間として扱う)

老人はラムゥ、美女はシヴァです
保守
ほしゅ!
ホシュ
ほ し ゅ る か ?
ほ し ゅ る ろ う か !
あ ぼ ー ん
107保管庫:03/04/15 01:27 ID:EsGhIdyO
リディアは絶叫していた。エビルプリーストの腕が咽喉に食い込んで
ろくに声も出せなかったが、目から涙がこぼれ、胸の奥がひゅうひゅうと鳴っている。
悲しいこともある。ただ、それ以上に許せなかった。
剣を捨て、すまなさそうに自分を見るピピンの姿が、爆炎に飲み込まれて消えていく姿が瞼に焼き付いて消えない。
ピピンは命をかけて自分たちを救おうとしてくれた。なのに自分はそれに答えられなかった。
だから、自分が許せなかった。
そしてまた、剣を捨てた男性が目の前にいる。自分のせいで、死んでしまう。
そんなことは許せなかった。

もがき、暴れる。だが、エビルプリーストの腕はまったく揺るぐことはない。
自分が身動きするたびに締め付けはきつくなり、意識は遠くなっていくが、
それでもリディアは絶対に諦めるわけには行かなかった。

そんなリディアの精一杯の抵抗も、エビルプリーストは歯牙にとめない。
彼は武よりも文の性質であったが、腐っても魔族である。小娘が暴れたところで動じることなどない。
「さて、先ほどの例をさせてもらおうか。おっと、貴様はマホカンタが効いていたな」
エビルプリーストは邪悪な笑みを浮かべながら、とんぬらが捨てた剣の方へ歩いていく。
ルーキーは悔しげに、とんぬらは静かな怒りを秘めながら、身動きひとつせずそれを見ていた。
そんな二人にエビルプリーストは舌打ちする。剣を拾い上げ、ゆっくりととんぬらに近付いていく。
「その目、気に入らんな。貴様は危険だ」
とんぬらは冷たい目でじっとエビルプリーストを睨みつけていた。
抵抗する様子はない。手をだらりと下げ、無防備な姿で佇んでいる。
一歩、一歩近付くにつれ、リディアの焦燥は積もっていき…
エビルプリーストがとんぬらを切り殺そうと剣を構えた、その時。リディアの中の何かが切れた。
108保管庫:03/04/15 01:28 ID:EsGhIdyO
刹那。強烈な力が弾けた。
「うおおッ…!?」
リディアの全身から緑色の光が溢れて視界を塗り潰す。
突然生まれた衝撃にエビルプリーストはリディアを投げ捨てる、だが現象は止まらない。
何らかの力が集まって一つの物体として具現化していく。
「ば、馬鹿な…!?」
それはリディアを包んで巨大化していき、遂には巨大なドラゴンを形どった。

音もなく、雪原に突然現われた白いドラゴンは鎌首を下に…エビルプリーストに向ける。
エビルプリーストはパクパクと口を上下させた。何かを言おうとしたが、声にならない。
ドラゴンは口を開いた。咽喉から白い煙が零れる。
熱も冷気も電撃もない霧のブレス。次の瞬間、彼の全身を激しい痛みが襲った。

本来なら、耐え切れた攻撃かもしれない。だが、ゾーマの魔力に包まれたこのフィールドでは、
魔法に制限がかかっているように、耐性にも彼が思っている以上に制限がかかっていた。
こんな筈ではなかった。エビルプリーストは、自分がどこで誤ったかを考えた。
あの小娘を人質に取ったとき、逃げることを考えなかったことか。
いや、そもそもあの小娘を人質にしてしまったことか。
それとも…

そんなエビルプリーストの全身を氷柱が貫き、彼の存在はそこで潰えた。


とんぬらは呆然とその一連を見ていた。
とんぬら自身は、エビルプリーストが攻撃を仕掛ける瞬間を狙っていた。
幸いな事に自分にはマホカンタがかかっている、エビルプリーストは直接的に自分に手を下すだろう。
そこに付け入る隙がある。危険だったがそれしかない、と思っていた。
だが、実際はそれを行う前に、少女が少女自身の力で自分を救った。
自分は…自分が人質になったあの時、自分は見ているだけだったのに。
109保管庫:03/04/15 01:28 ID:EsGhIdyO
霧のドラゴンは攻撃を終え、存在する所以を失ったそれは静かに消えていく。
現われたとき同様、音もなく消えた後には倒れ伏すリディアの姿があった。
少女の下に駆け寄る。意識を喪失しているようだ、一見して少女の顔色が酷く悪い事が確認できる。
念の為に脈をとってみると、あるにはあるが恐ろしく弱い。
あのドラゴンを呼んだ際に力を使い果たしてしまったのだろう。
このままでは危険かもしれない。

とんぬらはリディアを抱き上げた。少女の軽さに、何ともいえない気分になる。
こんな少女も、この馬鹿げたゲームの参加者なのだ。それがやりきれなかった。
振り向くと、アニーがこちらに歩いてくる。何となく、不機嫌そうだった。
実際、アニーは不機嫌だった。
「お父さん、何で剣を捨てたの?」
「アニー?」
「お父さんは、私よりあの子が大事なの?」
とんぬらが不思議そうに自分を見ている。それがまたアニーの癇に障った。
「お父さんは死なないっていったじゃない!なのにあんな子の為に剣を捨てて!」
「アニー…」
今にも泣き出しそうな娘の前で、困惑する父親。
そんな気が重くて窒息しそうな状況で、ルーキーはかなり控えめに口を出した。
「ねぇ…そろそろ中の人たちが出てきそうなんだけど?」

次の瞬間。
離れの扉が蹴破られ、見るも無残な姿に成り果てた扉が雪原に投げ出される。
扉が地面に倒れた勢いで雪が舞い上がった。
ちらつく雪の影に、男が二人現われる。
オルテガとリバストだった。
110保管庫:03/04/15 01:31 ID:zwJ8r872
【リディア
所持品:なし 現在位置:ロンタルギアの祠の外
第一行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第二行動方針:仲間(セシル?)を捜す
力を使い果たして昏倒しています。そう簡単には回復しません】

【とんぬら(DQ5主人公)/ルーキー/王女アニー
所持品:さざなみの剣/スナイパーアイ ブーメラン/マインゴーシュ
現在位置:祠の離れのそば
第一行動方針:リディアとオルテガたちとどう接しよう?
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】

【エビルプリースト 死亡】
ホシュ?
ホシュ!
113保管庫:03/04/19 00:32 ID:bowcbfVP
「おい、なんか変な音がするんだけど」
地下道を進んでいたジタンが立ち止まろうとする、背後にいたデスピサロも気がついていたらしい、
すかさずジタンの襟元を掴むと、そのまま踵を返して引き返そうとする。

「振り向くな…走れ!全力で!」
その時岩盤を突き破り、おびただしい量の地下水が通路へと溢れ出す。
まさに濁流とも呼ぶにふさわしい暴力的なまでの水流が2人を飲みこもうと迫っていた。


その変化は地下だけではなく、そこからさほど離れていない祠島にも現れていた。
突如彼らの足元の地面が、ぴしぴしとひび割れたと同時に大量の水が地割れから噴出してくる
これだけでも容易ならざる状況だというのに、さらに空気の流れが急激にささくれだってくる。
これは…間違い無く竜巻の前兆、それに悪い事に巨大な魔力の要素を感じる。

だが、彼らがそれに気がついたときはすでに遅かった、大音響と共に島は竜巻に包まれ、
まずは離れがバラバラに吹き飛び、一匹のチョコボと共に竜巻に巻き上げられたのを皮切りに、
その場に居合わせた者達も、次々とはるか上空へと消えていく。

デスピサロが浮島と表現した、祠島だが、彼を持ってしても見ぬけなかったのは、
この島が単なる浮島ではなく、それその物が魔力を帯びて浮いていたということ。
はるかな昔、この地を築いた先人たち(おそらく地下道を掘ったのも彼らだろう)
によって作られた物であるのだろうが、管理するものも無く、打ち捨てられた状況の中、
老朽化が進み、蓄積された魔力がいつ暴走してもおかしくない状況であったのだろう。

そこに来て、先ほどの戦闘が呼び水となり、ついに風船が破裂するかのごとく、膨張したそれは、
一気に噴出したのであった。
114保管庫:03/04/19 00:33 ID:bowcbfVP
そのころようやく安全圏へと脱出したデスピサロたちは、その恐るべき様を固唾を飲んで見続けるしかなかった。
妖しく光る巨大な竜巻、それも1つだけではなく、複数の竜巻が重なり合って付近を覆っているのが分かる。

その凄まじい光景を眺めていたデスピサロだが、あることに気がついたようだ。
「あの竜巻…あれはルーラ?、まさか自然発生するとは」
おそらく暴走、噴出した魔力が様々な条件の元、あのようなルーラという形になったのだろう。
もっとも今、目の前で起こっているのはルーラとは逆の作用をもたらす魔法、バシルーラなのだが。

さらに目を凝らすと、竜巻の頂点からいくつかの光が四方へと散っていくのも見える。
すると、そのうちの1つがこちらへと向かってくる。
「気をつけろ、近くに人が降ってくるぞ」
デスピサロがジタンに声をかけるかかけないかの間に、ばしゅんっ!という音がしたかと思うと、
そこには緑の髪の少女が気を失った状態で、雪原に倒れていた。


一方、竜巻に中途半端な形で巻きこまれてしまい、ただ湖に投げ出されてしまっただけの者たちもいた。

投げ出されたショックで気絶したアニーを抱えたとんぬら、それからアーロンの3人だ。
彼らは崩壊したつり橋のロープにつかまり何とか難を逃れてはいたが、
地盤沈下の衝撃で発生した大渦が容赦無く彼らを飲みこもうとしていた。

とんぬらのすぐ後ろでアーロンが叫ぶ。
「俺に構うな、早くロープを切れ」
激流の中、彼らがつかまっているロープは3人分の体重を支えるにはあまりにも細過ぎた。
このままでは3人とも渦の中に飲み込まれてしまうだろう。

115保管庫:03/04/19 00:39 ID:bowcbfVP
「俺は身体が動かん…頼む」
無言のとんぬらをアーロンはさらに促す。
水面下を見ると彼の身体にロープが絡んでいるのが見える。
だが…それでも、とんぬらには判断がつかなかった、理屈では彼の言葉が正しいのはわかる、
しかし、それでも自分が助かるために他人を見殺しには出来そうになかった、だがしかしその時、
腕の中でアニーが小さな唸り声を上げる。それを聞いたとき、とんぬらの中から迷いが消える。
「すいません!」

とんぬらはさざなみの剣を抜き、素早くロープを切断した。
アーロンの口元が”それでいい”とわずかに微笑んだような気がしたが、
その次の瞬間には、彼の姿は渦の中に消えていった。

こうして渦の中から何とか脱出したとんぬらは、アニーを抱えて島へと戻る。
島は半分以上水没していたが、その頂に位置する祠はまだ無事のようだった。
「とりあえず濡れた身体を乾かさないと…」
自分の中の罪悪感を振り払うように呟くと、とんぬらはそそくさと祠の中へと入っていった。


だが、その一方で隣の島から彼らを睨みつける視線があった。
その視線の主はモニカ、幸か不幸か、彼女も竜巻に巻きこまれたものの、
隣の島に弾き飛ばされただけですんだのである。

だが、そこで彼女が見たものは、無常にもロープを切断されて、
波間に消えていくアーロンの姿だった。

そう、彼女にはとんぬらが救いを求めるアーロンを見捨てたとしか見えなかったのだ。
「許さない…よくもアーロンさんを」
116保管庫:03/04/19 00:42 ID:bowcbfVP
>>115はミス!修正版を見落としてました。
しかも>>114とかぶってるし
 
とんぬらのすぐ後ろで、麻痺した身体を必死に動かしてアーロンが叫ぶ。
「お、おお、、れれえ…かま、うな、ろろ、ロープ…切れ」
激流の中、彼らがつかまっているロープは3人分の体重を支えるにはあまりにも細過ぎた。
このままでは3人とも渦の中に飲み込まれてしまうだろう。

「かか、からが動か…頼む」
無言のとんぬらをアーロンはさらに促す。
水面下を見ると彼の身体にロープが絡んでいるのが見える。
だが…それでも、とんぬらには判断がつかなかった、理屈では彼の言葉が正しいのはわかる、
しかし、それでも自分が助かるために他人を見殺しには出来そうになかった、だがしかしその時、
腕の中でアニーが小さな唸り声を上げる。それを聞いたとき、とんぬらの中から迷いが消える。
「すいません!」

とんぬらはさざなみの剣を抜き、素早くロープを切断した。
アーロンの口元が”それでいい”とわずかに微笑んだような気がしたが、
その次の瞬間には、彼の姿は渦の中に消えていった。

こうして渦の中から何とか脱出したとんぬらは、アニーを抱えて島へと戻る。
島は半分以上水没していたが、その頂に位置する祠はまだ無事のようだった。
「とりあえず濡れた身体を乾かさないと…」
自分の中の罪悪感を振り払うように呟くと、とんぬらはそそくさと祠の中へと入っていった。

117保管庫:03/04/19 00:43 ID:bowcbfVP
だが、その一方で隣の島から彼らを睨みつける視線があった。
その視線の主はモニカ、幸か不幸か、彼女も竜巻に巻きこまれたものの、
隣の島に弾き飛ばされただけですんだのである。

だが、そこで彼女が見たものは、無常にもロープを切断されて、
波間に消えていくアーロンの姿だった。

そう、彼女にはとんぬらが救いを求めるアーロンを見捨てたとしか見えなかったのだ。
「許さない…よくもアーロンさんを」

【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:祠の湖南岸の森】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:祠の湖南岸の森】
第1行動方針:魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出

【リディア(気絶中)所持品:なし 現在位置:祠の湖南岸の森
第一行動方針:?
第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
118保管庫:03/04/19 00:48 ID:bowcbfVP
【とんぬら(DQ5主人公)/王女アニー
所持品:さざなみの剣/マインゴーシュ
現在位置:湖の祠
第一行動方針:身体を乾かす
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】

【アーロン(怪我・半冷凍) 
所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:不明
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す)  

【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の南の島
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】

以下、バシルーラに巻きこまれた人々

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:不明 
第一行動方針:アルスを探す】

【リバスト 所持武器:まどろみの剣 現在位置:同上 行動方針:特になし】

【ルーキー 所持品:スナイパーアイ ブーメラン/現在位置:不明
 第一行動方針:クーパー、ライアン、パパスとの合流】

【エーコ 所持武器:なし 現在位置:不明 行動方針:?】

それとチョコボ一匹
また、離れの中にあったであろう品々はロンダルキア全土に降り注ぐでしょう。
祠のある島は現在、南北ともに橋が崩壊し孤立状態です。
119保管庫:03/04/19 00:48 ID:bowcbfVP
場合によっては巻きこまれた可能性がある人々

【メルビン/ガウ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠から南の島
(バシルーラに巻きこまれているのなら不明)
第一行動方針 アーロンとモニカの救出
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】
120保管庫:03/04/19 00:53 ID:bowcbfVP
「酷いもんだ。せっかくあんたに直してもらった体をまたこんなにしてしまった。
 バングルさえ身に付けていれば手榴弾ぐらいで、ぐっ、こうやって喋るのも辛いな」
仰向けに横たわるクラウドは体に積もった砂埃や突き刺さった鉄片を感じながら言った。
「うっぅぅぅう」
すぐ近くでアリーナの呻き声が聞こえた。
姿を確認しようと首を動かした途端に激痛が襲い出す。
「ううっ……大丈夫か」
だが返事がない。クラウドは痛みを堪えて出来うる限りの声を出した。
「生きているの、かあっ!」
がたんという音がして一瞬の静寂の後、
「聞こえてるわよ……」
アリーナの小さな抗議の声が聞こえてきた。
「そうか、すまない」
クラウドはそれで心を落ち着かせた。
「しかし、どうしようもないな。今度は二人ともダウン、か」

さっきから喋っている間に聞こえる、滴り落ちる水滴のような音は血なのだろう。
唇からも流れてくる血のおかげで、口の中は鉄分を含んだ味で満たされていた。
「やったのは間違いなくあの二人、それも女の方だ。
 表面は取り繕っていても目に殺気が篭ってた。怖かったな、あれは……」
気力を振り絞ってそんなことを言ってはみたが、何が起こるわけでもない。
だが体を動かせずアリーナの容態もわからない以上、生きていることの確認のためにも
必要なことだと思っていた。それに暗い部屋の中で無音のままでいるのは不安になる。
クラウドはもう一度呼びかけてみた。
「体はどんな具合だ、痛みは耐えられそうか?」
闇の向こうで悲痛な声が聞こえてきた。
「痛いよ、ものすごく痛い……」
121保管庫:03/04/19 01:01 ID:bowcbfVP
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける

【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明
(二人とも重症。しばらく放置されると持ちません)
122保管庫:03/04/19 01:01 ID:bowcbfVP
「こんなところにいたのか…」
エビルマージは舌を打ちながら、スライムナイト――ピエールに近づいた。
彼の手には、大量の花が抱えられている。おそらくは、フライヤに捧げるための。
雪と氷が支配するこの世界で、これだけの花を集めたことは十分賞賛に値するだろう。
が、エビルマージにとっては、過去の幻影に縋りつく軟弱者の行為としか映らない。
「さすが、人間に仕えていた恥知らずだけはあるな。とんだ役立たずだ」
「………」
「…まぁいい。貴様にラストチャンスをやろう」
黙ったままのピエールを一瞥し、エビルマージは呪文を唱えた。
霧と光が集まり、虚空にとんがり帽子を被った女の姿を描き出す。
「見ての通り、魔法使いだ……名前はサマンサ。
 この女の命を取ってこい」

本当のことを言えば、こんな下等な魔物など捨て置きたかった。
ただ、このままではサマンサはハーゴンに接触し、ゲーム脱出の方法を知るだろう。
魔法使いのサマンサは、使える呪文こそマゴットに劣れど
その魔学の知識と研究心は、仲間をはるかに凌いでいる。
まだこのゲームをぶち壊されるわけにはいかない以上、
早急に手を下さねばならないのだ。彼女がハーゴンと接触する前に。
それができる距離にいて、なおかつ付け込む隙があるのは、ピエールしかいない。
そうでなければ、誰がこんなゴミクズのような魔物を相手にするものか。……
123保管庫:03/04/19 01:06 ID:bowcbfVP
「まだ迷っているか……なら、一ついいものを見せてやる」
沈黙を続けるピエールに痺れを切らしつつも、エビルマージは再び呪文を唱えた。
今度は静止映像ではなく、動画だ。サマンサが何か喋っているが、声は聞こえない。
その足元には、黒焦げの何かがあった。ピエールはハッと息を呑む。
「わかるか? 貴様と一緒にいた、ビビとか言う魔導師だ」
ビビの手がわずかに動いた。サマンサは冷酷な視線を彼に向けて、手をかざす。
サマンサの口が呪文を紡ぐ。手の平に氷の刃が生まれる。
それが瀕死のビビに向かって降り注ぎ――そこで唐突に、幻影はかき消えた。
「貴様の仲間を殺したのはこの女だ。それなのに、何を悩む必要がある?」
これは嘘だ。サマンサはたしかにヒャドを打ち込んだが、
それはビビの苦痛を和らげるためであって止めを刺すものではなかった。
「こいつさえ殺せば、望む力をくれてやるというのだ。悪い話ではないだろう?」
これも嘘だ。なぜ、ゴミクズの願いをわざわざ叶えてやる必要がある?
まぁ、呪いで狂戦士に変えてやるというのも面白いかもしれないが。
「それとも、貴様は仲間の無念を晴らしてやりたくないのか……?」
ダメ押しの一言に、ピエールがかすかに身を振るわせる。
「……それが本当なら、確かに悪い話ではないな」
かかった! エビルマージはローブの下でほくそ笑んだ。
しかし、ピエールは静かに言葉を続けた。
「だが、断る」
エビルマージがその意味を理解するのに、
そして喉元につきつけられた抜き身の剣に気がつくのに、10秒を要した。
124保管庫:03/04/19 01:11 ID:bowcbfVP
「ゲスが……全てが貴様の思い通りになると思うな!」
ひっ、とエビルマージは青ざめた声を漏らした。
それだけの気迫が、ピエールから発せられていた。
呪文を唱えることさえ思いつかず、蛇に睨まれたカエルのように、身を震わせる。
「我が剣は守りのためだけではない、それ以上に邪悪を断つために捧げたのだ!
 例え貴様の言うことが真実であったとして、サマンサに罪を犯させたのは誰だ?
 セーラがフローラ様を殺したのは何のためだ?
 ヘンリー様が変わってしまったのは誰のせいだ?!
 ……ゾーマが、貴様らがそのように仕向けたからだろう!
 貴様のような邪悪に屈したとあっては、
 死んでいった人々に、とんぬら様に、そして仲間達に顔向けできぬわ!」
ピエールの言葉を聞きながら、エビルマージは己のミスを後悔していた。
あの時、アークマージを無視してピエールを追い詰めておけばよかったのだ。
フライヤの死に動揺していたピエールならば、容易に堕とすことができたのに。
なまじ、考える時間を与えてしまったせいで――あの因業ジジイが!
だが、エビルマージの命運も完全に尽きたわけではなかった。
「今すぐその首切り落としたいところだが、そういうわけにも行くまい。
 貴様のお陰で思い出したが、私にはまだやるべきことがある。
 消えろ。そして二度と私の前に姿を見せるな」
剣の切っ先が、わずかに離される。
エビルマージは慌ててルーラを唱え、姿を消した。

【ピエール 所持武器;珊瑚の剣 現在位置;神殿の付近 
 第一行動方針:フライヤを弔う
 第二行動方針:とんぬら・クーパー・アニーを探し、守り抜く
 最終行動方針:ゲームを脱出し、諸悪の根源を断つ】
125保管庫:03/04/20 00:03 ID:gT5QCbTA
本スレ98〜100を無効とさせていただきます。
126保管庫:03/04/20 00:03 ID:gT5QCbTA
ティーダたちを先行させておいて、ラグナたち3人は作戦会議中なのだが、どうも様子がおかしい。

「で、こうやって3人でセフィロスをどうやって倒すかを考えているのだが…」
と、ギルガメッシュ。
「これっぽっちもまともなアイデアが出ないのはどう言う事だ?」
その言葉にラグナが軽口を叩く。
「そりゃ、お前の頭が悪いからじゃないのか?」

「なんだとう、そういうこというやつが1番頭がわるいんだぞ」
自分でも気にしているのか、鼻白んだ表情でラグナに言い返すギルガメッシュ、さらに口撃しょうとする
ラグナをエアリスが止める。
「2人とも小学生みたいなこと言わないでよ、恥ずかしい」

という具合に和気あいあいとした、会議というより団欒のような雰囲気なのである。

「だいたいなぁ…お前らこの俺を舐めている、何を隠そうこの俺は…」
とここらで1つかましておく必要があるかとばかりに、自慢話を始めるギルガメッシュ、
だが話に夢中になりすぎていて、何時の間にかエアリスもラグナも自分のそばから離れているのにも、
背後に迫る気配にも、気がついていない。

そして、ようやく気がついたときにはすでに遅く、振り向いたギルガメッシュの眼前に巨大な蹄、
そして星が瞬いたかと思うと、そこで彼の意識は闇に遠のいた。


闇の中を漂うギルガメッシュの脳裏に、懐かしい光景が甦ってくる。

『バッツ!お前とは一度……1対1で勝負したかったぜ!いい友だちをもったな』
まずはネクロフォビアとの戦いで自爆した自分の姿だ。
(そういや俺ってこの時死んだんだよな…なんで生きてんだろ?)
(でもまぁ、自分が死ぬところなんか見たくても見れるもんじゃないから、ちょっと
 得したような気分だぜ)
127保管庫:03/04/20 00:04 ID:gT5QCbTA
しばらくすると闇の中から急に白くまぶしい世界へと背景が変わる。
そこにいたのは氷の結晶を纏った美女、それから蛇とも龍ともつかない巨大な長いもの、
包丁を構えたカモノハシもどき…そんな異形たちの姿。
(ここは地獄か天国か…それにしてもなんか忘れているような)

そんな不思議な光景をぼんやりと眺めていたギルガメッシュだったが、そこでまた視界が開けていく、と。
「あ、起きた」
気がつくと上から自分を覗きこむエアリスの顔がある、どうやら夢だったようだ。
(なんかリアリティ溢れる夢だったなぁ)

そう思いながらも身を起こすと、そこにはチョコボを軽々と乗りこなすラグナがいた。
「あのチョコボに正面衝突したのよ、それにしても頑丈ねぇ」
「まぁな」
(なにせ自爆して生きてるんだもんな…我ながら凄いぜ)

一方のラグナはすっかりご機嫌だ。
「こいつはラッキーだぜ、これで俺も遠慮しなくっていいってもんだ」
文字通り手足のようにチョコボを操っている。
今までのお前の態度のどこに遠慮があったよ、とエアリスとギルガメッシュは顔を見合わせたが、
まぁ何も言うまいと溜息をつく。

「あれ?この子…もしかして君は昨日助けてくれたチョコボ君?」
エアリスの問いかけに誇らしげに吠えるチョコボ。
「ご主人様は?もしかしてはぐれちゃったの?」
と、エアリスの頭の中に覆面をかぶり、奇声を上げる男の姿が甦る。
「わかった!いぢめられて逃げ出してきたのね、無理も無いわ、マスクをかぶった変態だったもの」
その言葉にチョコボは声を出して反論するが、もちろんエアリスには通じない。
128保管庫:03/04/20 00:08 ID:1/jLHEZY
「変態?もしかしてお前の友達じゃないのか?」
ラグナが笑いながらギルガメッシュをちらりと見る。
「俺の何処が変態だ!お前ら俺を何だと思っている!」
エアリスもくすくすと笑いながら追い討ちをかける。
「そりゃ友達を悪く言いたくないのはわかるわ、だけど…」
「だぁかぁらぁ〜〜、もう勘弁してくれ」

「まぁ…本当にいぢめられていて、しかも変態かはともかく、見つかるまでの間
 俺を乗せてはくれるかい?」
話の流れに困惑していたチョコボだったが、ラグナの言葉に再びくぇ〜と元気良く鳴く、
どうやら前の主人同様、ラグナも気に入られたようだ。

「よっしゃ、じゃあ探しにいこうな」



そのころ、彼(もしかすると彼女かもしれないが)の主人たる変態仮面…いやちがう。
勇者?オルテガは、湖のほとりで何やら叫びを上げていた。

「なっ、何も見えん、どうしたというのだ俺の瞳よ!精霊ルビスよ!我に光をぉぉぉぉぉ」
闇に包まれた視界の中、必死で空に手を伸ばし、叫びつづけるオルテガ。
「太陽よ、愛に勇気をあたえてくれぇぇぇぇぇ」

だが彼は知らなかった、自分の覆面が単に前後逆になっているだけだという事を、
そしてそんな彼を虎視眈々と狙う銃口があるということも。
129保管庫:03/04/20 00:08 ID:1/jLHEZY
【ラグナ(両足欠損・チョコボに騎乗)/エアリス/ギルガメッシュ 現在位置:ロンダルキア洞窟近くの雪原
 所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
 第一行動方針:チョコボの主(オルテガ)を探す
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】

【オルテガ 所持武器:水鉄砲 グレートソード 覆面 現在位置:大陸中央、西の湖のほとり 
第一行動方針:アルスを探す】

【セシル 所持武器:暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
 ギガスマッシャー  現在位置:大陸北部山脈、西の湖のほとり 】
第一行動方針:参加者を殺す(エドガーorハ−ゴンを優先)
第二行動方針:不明
最終行動方針:勝利する
130保管庫:03/04/21 01:04 ID:q56OKlyu
地下道の中をカインはランプをかざして進んでいた。
彼もまた、地面の陥没にあい、この地下道に迷い込んでいたのだ。
空中戦を得意とするカインにとって、このトンネルは戦いにくい事この上ない、早く抜け出したいが、
肝心の出口が見当たらない。

そんな状況で困惑してたところに、だしぬけに響いた爆発音、もしかすると誰かに出会えるかも。
そう思って先を急ぐカインだった。
「爆発音がしたのはこの当たりだったはず」
わずかだが血の匂いもする…その匂いを辿ってカインはさらに地下道を進む。

やがて彼は、とある部屋の前に辿りつく、血の匂いと火薬の匂いがぷんぷんする。
ここに待ちがいなさそうだ。
扉を開けると、一面瓦礫だらけの中に、1組の男女が倒れ伏していた。

「おい!大丈夫か!?」
闇の中、ランプの光をかざすとわずかに2人のまぶたが動く、意識はほとんど無いが、
まだ死んではいないようだ、早速カインは2人の傷の状態を確認する。
女の方は両手足と肋骨が折れているらしく、出来そこないの人形のような、
奇妙な姿で横たわっている、外傷についてはそれほど多くも無く、出血も少ない。
おそらく爆風を受けて壁にたたきつけられたのだろう。
男の方は女とは逆で、骨折はしていないようだが、その代わり全身にくまなく外傷があり、
おびただしい量の出血が認められる…。

そして2人に共通して言えるのは、このままだと、あと数時間も保たないという事、
傷が傷だけに運び出す事も出来なければ、助けを見つけて戻って来れるかもかなり微妙だ。

彼のバックの中には、この数日間、山野で摘んで歩いた薬草が1通り揃ってはいるのだが
とてもじゃないが今の2人に使ったところで、どうにかなるとは思えなかった。
重苦しい思いでカインは頭を抱える。
131保管庫:03/04/21 01:05 ID:q56OKlyu
だが……カインの脳裏につい数時間前の光景が甦る。
かなわぬであろうと知りながらも、あの銀髪の剣士に立ち向かっていった少年の姿を。
「そうだな…また逃げるわけにはいかないな」
カインはせっせと薬草を煎じ、すりつぶし、口に含ませ、様々な方法で彼らに処方していく
その甲斐があったか、男の方は意識が戻ったようだ。
しかしクラウドはカインに感謝の言葉を言う前に、床に転がっている槍へと手を伸ばす。

「それを…その槍を貸してくれ」
カインから槍を受け取ると、クラウドはマテリアのはまった槍を自分の身体の前にかざし、
回復呪文の語句をたどたどしくも唱えていく。
「ケアル」
温かい癒しの光が周囲を覆っていく、
だがそれは同時にクラウド自身の命の光を奪う行為でもあった。
「おい!やめておけ!ムチャだ」
だがカインの制止も聞かず、クラウドはさらに2度・3度と魔法を唱える。
しかし…何回目かで、彼はおびただしい量を吐血し、そのまま倒れてしまった。

だが、それでも確かに効果はあったようだ、それからすぐに女の方がゆっくりと目を開いて
きょろきょろと周囲を見渡しはじめている、どうやら彼女も命の危機を脱したようだった

「あなたが助けてくれたの?」
横になったままの姿勢でアリーナはカインに話しかける。
「感謝なら俺じゃなくて、この男に言うべきだな、見ろよ」
カインはランプの向きを変えて、クラウドの傷だらけの身体をアリーナに見せる
「この傷の状態や爆発の状況からみて、多分…爆発から身を呈して君を守ったんだ、それに
 お前がこうしてしゃべれるのも、こいつが回復魔法を唱えたおかげだ」
132保管庫:03/04/21 01:05 ID:q56OKlyu
「そ…そんな…私っ助けを呼び!あああっ」
立ちあがろうとしたアリーナは、その瞬間身体を走った激痛に身悶えする。
「ムチャだ!重傷であることには変わりは無いんだぞ」
「でもでもっ!私っ、ねぇ助けてよ…出来るんでしょう、お願いよ!」
そのアリーナの涙まじりの視線に絶えられず、カインは顔を逸らす。

「俺は白魔法を使えない…薬草でなんとか傷だけは塞げた、だがもうそれだけではどうしようもない…出血が多すぎる
さらに衰えた体力で魔法まで唱えている、もう俺にはどうしようもない」
ランプの光の下、クラウドの顔は青白く、まるで古ぼけたマネキンのような印象を受ける。
あとわずかの時間で、本当にクラウドは2度と物言わぬ無残な姿に成り果ててしまうのか。
そう思うとアリーナはやりきれなかった。
「私…守られてばかりだ…ごめんね…ごめんね」

どれほどの時間が経過しただろうか?
すすり泣くアリーナの声が聞こえる中、意を決したようにカインが呟く。

「1つだけ…方法がある、この男の生命力に賭けてみるか」
と言うなりカインは自分の手首を切り裂くと、そこから滴る血をクラウドの口へと運ぶ。
「俺の身体にはわすかだが龍の血が流れている、その血をもし受け入れる事が出来れば救えるかもしれん」

だが、そういうカイン自身も半信半疑だ、所詮それは伝承の中の話に過ぎなかったし、
そんなことで命を救えるというのなら、誰一人として彼の仲間は命を落とさなかっただろうし、
それに彼の得意技である超人的な跳躍力にしても、それは血の力だけではなく、凄まじいまでの修練の賜物だし、
何より彼自身の力は通常の人間となんら変わらないのだ。

133センギアの保管庫:03/04/21 01:06 ID:e5T8r8rP
地下道の中をカインはランプをかざして進んでいた。
彼もまた、地面の陥没にあい、この地下道に迷い込んでいたのだ。
空中戦を得意とするカインにとって、このトンネルは戦いにくい事この上ない、早く抜け出したいが、
肝心の出口が見当たらない。

そんな状況で困惑してたところに、だしぬけに響いた爆発音、もしかすると誰かに出会えるかも。
そう思って先を急ぐカインだった。
「爆発音がしたのはこの当たりだったはず」
わずかだが血の匂いもする…その匂いを辿ってカインはさらに地下道を進む。

やがて彼は、とある部屋の前に辿りつく、血の匂いと火薬の匂いがぷんぷんする。
ここに待ちがいなさそうだ。
扉を開けると、一面瓦礫だらけの中に、1組の男女が倒れ伏していた。

「おい!大丈夫か!?」
闇の中、ランプの光をかざすとわずかに2人のまぶたが動く、意識はほとんど無いが、
まだ死んではいないようだ、早速カインは2人の傷の状態を確認する。
女の方は両手足と肋骨が折れているらしく、出来そこないの人形のような、
奇妙な姿で横たわっている、外傷についてはそれほど多くも無く、出血も少ない。
おそらく爆風を受けて壁にたたきつけられたのだろう。
男の方は女とは逆で、骨折はしていないようだが、その代わり全身にくまなく外傷があり、
おびただしい量の出血が認められる…。

そして2人に共通して言えるのは、このままだと、あと数時間も保たないという事、
傷が傷だけに運び出す事も出来なければ、助けを見つけて戻って来れるかもかなり微妙だ。

彼のバックの中には、この数日間、山野で摘んで歩いた薬草が1通り揃ってはいるのだが
とてもじゃないが今の2人に使ったところで、どうにかなるとは思えなかった。
重苦しい思いでカインは頭を抱える。
134保管庫:03/04/21 01:09 ID:q56OKlyu
だが、それでも今はその御伽話にすがってみる以外、方法は無い。

ぽたりぽたりとカインの血が流れる音がだけが聞こえる中、時間だけが過ぎていく。
意識が遠のいていく…これ以上は危険だ、だがそれでもカインはその手をクラウドの口から離そうとしない。
その鬼気迫る表情は、ただの善意だけでは無い事は確かだ。

「どうしてそこまでするの?」
アリーナの言葉にカインは即答する。
「償いだよ」

カインは思い出す…あの時、洞窟の入り口で自分は何も出来ず、逃げ出してしまった、
もしわずかでも勇気を振り絞れていれば……。
だから、今度こそ救う、そのためならば…だが、もはや限界のようだった。
へたりこむカインの手首に、アリーナは素早く薬草をあてがい包帯を巻いてやる。
「まだ…だ、まだ」

「もういいわ!そこまでしなくってもいいわ!やるだけのことはやったじゃない!
 後は祈りましょう、出来るのはそれくらいよ」
アリーナは冷え切ったクラウドの手を握り、ひたすら祈りの言葉を口ずさむ。
さらに時間が経過する中。

「見て!」
「おお…」
死人のように青ざめたクラウドの肌に赤みがさしてくる、どうやら奇跡は起こったようだった。
「よかった、本当によかった」
クラウドの胸にすがり付き、嬉し涙を流すアリーナ、その様子をまぶしそうに見つめるカイン、
もしかすると彼は失った恋を思い出しているのかもしれない、事実カインから見た2人の姿は、
仲睦まじい恋人同士のそれに思えた。
135保管庫:03/04/21 01:10 ID:q56OKlyu
だが、果たして2人は気がついていただろうか?
クラウドの全身から、わずかだが妖しげな光が漏れ出していた事を、そしてその口からは、
聞き取れぬほどの小声で謎の言葉が口ずさまれていた事を。
そう、奇跡にはそれに見合った代償が必ず付きまとうものなのだ。


【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:地下通路(大陸中央付近)
 行動方針:セシルを止める】  
(セフィロスへの苦手意識あり)
(現在著しく体力を消耗しております、戦闘不能)


【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける

(生命の危機は脱したが重傷、無論戦闘不能)

【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明

(生命の危機は脱したが重傷、無論戦闘不能)
(魔晄中毒の症状が出てきています)

クラウドの回復は、龍の血と魔晄エネルギーとの化合ゆえの回復です、
したがって他のキャラには効果ありません
136名前が無い@ただの名無しのようだ:03/04/23 18:26 ID:CZ/2yu28
保守なみんEX タケダ
138保管庫:03/04/25 01:45 ID:62mvL8y8
「ほら、きれいになったよ」
テリーはソロの服に残っていた粉雪を払いながら言った。
二人の足元には、薄汚れた雪とボロボロになった青い布切れが落ちている。
「……ありがとう」
声が聞こえた方向に、焦点の合わない視線を向けて、ソロはわずかに微笑んだ。
相変わらず、彼の世界は暗闇に包まれたままだ。
それなのに、ソロは確かに、安らぎというものを感じていた。
ずっと、ずっと、自分が生まれる前よりもはるか昔に、どこかで会っていたような…
そんな不思議な懐かしさが、心の中にあった。

(なんでだろ)
テリーもまた、不思議な感覚に囚われていた。
ソロといると、なんとなくだがタイジュの人々を思い出すのだ。
もちろんソロとタイジュの国で出会ったことなど、一度もない。
最初はソロの色鮮やかな緑の髪に、タイジュの木の葉っぱを連想したせいかとも思ったが、
どうもそれとは違うような気がする。
(ほんとうに、なんでだろ?)
テリーはしばらく首を傾げていたが、やがて気を取りなおした。
(……ま、いいか)
139保管庫:03/04/25 01:46 ID:62mvL8y8
信じるものを失ってしまった苦しみ、信じることができずにいた悲しさ。
同じような心の傷を負った者同士、テリーとソロが惹かれ合ったのは必然なのかもしれない――が。
テリーにとってははるか未来の、そしてソロにとってははるか昔の、
遠い時代の伝説を知る者は、別の考えを抱くかもしれない。
――かつて天空人の先祖を救った英雄の記憶を、その血の中に受け継いでいたとすれば。
夢世界の管理人たちの末裔から、限りなく夢に近い異世界の人々と同じ雰囲気を感じ取っていたとすれば。
少年達の出会いは、因果の糸が手繰りよせた、ゲームマスターの思惑をも超えた偶然だったのかもしれない、と。

今、二人は腰を降ろして、自分達の仲間や故郷、冒険の思い出話に花を咲かせている。
事情を知らない者が見れば、年代を超えた数年来の親友だと思うだろう。
それほどまでに、二人のお互いに対する警戒心はすっかり失せていた。
彼等の胸中にあるのは、なんとも言えぬ懐かしさと、親愛の情と、切な願い……
「――できることならずっと、この『今』が続いてほしい」

ささやかで、どんな夢よりも儚く、そしてあまりにも不相応な願い。
だが冷徹な運命の神が、二人の願いを叶えることはなかった。

【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)】
140保管庫:03/04/25 01:47 ID:62mvL8y8
日が暮れる直前、バーバラは目を疑う光景を目撃した。
雪まじりの荒地に腰を下ろしている二人がいた。
探しものにとんでもない爆弾を結わえ付けられたような気分だった。
バーバラは人間一人分ほどはある岩の陰に隠れて恨めしい視線を送っていた。
――冗談じゃないわよ なんであいつとテリーが一緒なの!?
ソロがいてテリーがいる。悪魔と天使が手をつないでお遊戯している。
言い知れぬ嫌悪感がバーバラの身体を貫いた。
思わず鞭でテリーを絡めとって、強奪してやりたい衝動にかられた。
手にしている武器はナイフと短剣だけなので、それは無理な相談だが。

二人は今向き合って談笑している。
ひとまずテリーに危機はないとわかり安堵した。
しかし心の中の別のところでは憤りが収まらなかった。

惨劇の記憶が甦ってきて、血が滲みそうなほど強く唇を噛み締める。
手が、指が、ぴりぴりと痺れて勝手に動き出しそうになる。
このまま我慢を続ければ、バーバラの精神は限界を超えてしまうかもしれない。

何故ここまで怒りが沸いてくるのだろう。
理由を言葉にしてみればこういうことだった。
「レナお姉ちゃんを殺していながら笑ってる……」

【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:、イリーナの会員証、
現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)

【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー 
行動方針:テリーを救う
141保管庫:03/04/25 01:50 ID:qemotjKs
自分の背後の物音にセリスは思わず振り返る、とそこには何故か巨大な樽が落ちていた。
不思議そうに空を見上げるセリスだったが、さらにそれだけではなく、
引き続き幾つか鍋や、農具、さらにはチーズの塊までも空から落ちてきたのである。

「何なのかしら?」
いきなりの不可思議な現象に首をかしげながらも、セリスはチーズの塊だけを拾うと
ゆっくり先へ進む、何者かに後をつけられているような気がしたので、
そのまま西へは向かわずにとりあえず東に戻ったのだ。

おそらくはこの森を抜ければ崖の上から見えた、湖のほとりに出るはず、湖に出たらとりあえず
チーズでも食べよう、そういえば何も食べていないし。
しかし歩く事で不安は幾分まぎれたが、人恋しさは忘れられない、さらにチーズを見て空腹感まで涌いてきた。
自分の肩を抱くような仕草をすると、また再びセリスは歩き出す。

(寂しいのならあの時後をつけてきた人に声でもかければよかったのに…
 記憶は無くしても命は惜しいのかしら)
そう皮肉気に心の中で呟きながらも先を急ぐ。

やがて彼女の目の前にきらきらと光る湖面が現れ、
そして夕暮れの光がこれまで暗い森の中をさまよっていたセリスの身体を包む。
が、セリスは森の出口から1歩も動こうとはしない。
決して夕日に見とれているわけではない、そう、彼女の目の前の岩場に、
1人の巨漢がひっかかるような形で打ち上げられていたのだ。
142保管庫:03/04/25 01:51 ID:qemotjKs
セリスはこの予想外の展開にすこし慌てながらも男に駆け寄り、その首筋に手を当て、脈の有無を確認する。
どうやら意識は無いが脈はある、少なくともまだ生きているようだ。

しかしセリスはそれ以上は動こうとはせず、考え込んだままだ。
歩きながらも思い出した事が幾つかある…その中の1つに、ここが戦場だという認識も含まれていた。
生きて帰れるのは1人、という声がおぼろげながらもセリスの脳裏に響く…。
ならば彼も敵、なのだろうか?

じっと立ちすくんだままのセリスの足元でぴくりとも動かないアーロン、
その生命はまさに風前の灯であった。

【セリス:記憶喪失 所持武器:ロトの剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
 行動方針:不明】
(思い出したのはスタート時の説明の一部です)

【アーロン(怪我・半冷凍)所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】  

(巨大な樽等は祠の離れにあった物です)
143保管庫:03/04/26 01:37 ID:/qIZlahO
「おん…おん…」
「?」
アリーナがその声に気がつくか気がつかないかの間に、その唇はクラウドの唇に塞がれていた。
「!!」

そう、カインの与えた龍の血は、確かにクラウドの命を救った、だがそれはクラウドの身体に潜む
魔晄の力を急激に活性化させたゆえのこと、そして彼はその副作用として、
一時的な魔晄中毒による精神錯乱を引き起こしていたのだ。

「お、おい、やめるんだ」
クラウドの異変に気がついたカインがよろめきながらも、制止しようと近寄る。
「があああっ」
「うぷ」
だが、どこにそんな力が残っていたのだろう?錯乱状態ゆえの限界無視の力で放たれた膝蹴りを、
まともにみぞおちに受け、思わずつんのめるカイン、さらに首筋に手刀を受けて、
成す術もなくカインはその場に昏倒してしまった。

こうして邪魔者をいとも簡単に退場させると、クラウドは間髪入れずアリーナを押し倒す。
その瞳は異様に光り、血走っている。
精神錯乱により、本能がむきだしになり、抑制できなくなっているのだ。

今、クラウドは自分の中に潜む忌まわしき獣にいいように操られるままだった、そして
アリーナのレオタードに手をかけたときだった、いきなりクラウドの手が止まる。
どれくらいの間、そのままの姿勢でいただろうか、クラウドの手がぎくしゃくとレオタードから、
離れる、その手の行く先は……。

「おおっ!」
ぶしゃっという妙な音と共に血飛沫が飛ぶ。
クラウドはなんと自分の傷を自分の手でえぐり取り、そして弾けるようにアリーナから離れたのであった。
144保管庫:03/04/26 01:37 ID:/qIZlahO
呆然としたままのアリーナへと、クラウドは途切れ途切れの言葉を呟く。
「グゲゲ、アリーナ早く逃げ…俺何するか…ガァァァァッ」
さらなる痛みがわずかの時間、クラウドに正気を与えてくれているのだろう。
さらにクラウドは床に頭を打ちつけ、泣きながら己の中の獣欲に抗い続ける。
俺に構うな、逃げろと叫びながら、だがそれでもクラウドの中の獣は目の前の獲物を襲え、喰えと
非常な命令を下しつづける。

「お願いクラウド、自分の中の悪魔に負けないで!」
そうだ、出会ってわずかな間だけど何時だってクラウドは自分を救ってくれた…だから今回も
きっと大丈夫だ、必ず……

再び頭を抱え、悶えるクラウド、そして再び起きあがったとき、その目はまた爛々と輝く、
獣の目になっていた、が、それでも最後の理性を振り絞りクラウドは途切れ途切れの言葉で叫ぶ。
「俺の中の悪魔め…お前の思い通りには決して」
クラウドは震えながら口を開き…舌を伸ばす。そう、彼は舌を噛み切り自ら死を選ぼうとしているのだ

「いけない、クラウド」
アリーナは必死で起きあがり止めようとする。
立ちあがるだけでも激痛が走る身体を引きずり、アリーナはクラウドになんとか飛びつくと
口の中に手を突っ込もうとするが腕が全く動かない、なら。
とっさにアリーナは今度は自分から唇を重ね、クラウドの口を強引に開じさせまいとする。
クラウドの歯がアリーナの唇に、頬に突き立ち、みるみる間にその顔は傷だらけになっていく。
145保管庫:03/04/26 01:39 ID:/qIZlahO
「がぁぁぁぁっっ!」
その最中再び錯乱したクラウドの貫手がアリーナの片目を貫く、眼球を指先でぐりぐりと掻き回され抉られる激痛に耐え
いや、もう身体中激痛だらけで何処が本当に激痛なんだが分かりゃしない。
それでもアリーナはクラウドから離れようとはしなかった。
「クラウド…負けないで」

「あああっ…助けて助けてくれぇ!」
クラウドはアリーナの身体をさらには自分の身体をも無茶苦茶にかきむしり、その肌を朱に染めていく
「お願いだ、俺をとめてくれよぉ、やっと見つけたのに」

何時の間にか狂乱は終焉し、クラウドはアリーナの胸の中ですすり泣いていた。
「やっと…やっと出会えた…」
「?」
「好きだ…生きて出会えたら必ず伝えようと思ってた、好きなんだぁ」

(そう…出会えたんだね)
アリーナには理解できた、クラウドは今きっと幻の世界にいるのだろう、そしてそこにいるのは。
彼が求めてやまない最愛の人。
「君は…君はどうなの?俺のこと…好き」
アリーナの頬にぽたぽたとクラウドの涙が落ちる、普段なら不快なはずのその感触も何故か今のアリーナには
心地よく感じられた。

アリーナは自分の血に塗れた手を振るえながらも伸ばし、優しく微笑み、ゆっくりとクラウドを抱きしめる。
いや、そうしたかったがやはり腕が全く動かないのだ…。
(ごめんね、腕が動いたらよかったのに)
146保管庫:03/04/26 01:43 ID:Kkz7DEi0
「うん…クラウド、私もずっとクラウドのこと好きだったよ…」
(この気持ち…なんだろう?とても不思議でそれでいて暖かい)
「うれしいよ…こんなにうれしいのは産まれて始めてだ」
血まみれの笑顔でクラウドはさらに続ける。
「そういえば…君の名前、随分長い間呼んでないような気がするよ、変だね、たったの3日なのに」

(やめて!その先の言葉は聞きたくないの…自分じゃない事なんて分かっているのに、でも聞きたくないの)
クラウドの言葉に、自分でもわからない恐怖を感じ、思わず耳をふさごうとするアリーナ、だがしかし、
やはりそれでも腕はぴくりとも動かない。

そしてクラウドが今まさにその名前を口に出そうとしたとき。
「貴様、何をしている!」
その背後の声に振り向きもできないまま、その瞬間、クラウドは殴り飛ばされていた。
いつのまにかカインが起きていたのである。
「お前のような人間を救けるんじゃなかった、この恥知らずめ」
カインは容赦なくクラウドを殴りつける、彼自身もとてもじゃないが動ける状態ではないのだが
肉体的な限界を凌駕するまでの怒りが彼を動かしていた。

そう、身動きの取れない女性を力ずくでものにする…人の道を外れた外道のやることだ。
カインはなおもクラウドを殴りつづける、彼にとってクラウドの行った行為はとうてい許せるものではなかった。
「お前は人間の屑だ!この卑怯者め、死ね死ね、死んでしまえ!」
が、怒りに任せめちゃくちゃに拳を振るうカインからかばうようにアリーナがクラウドの身体の前へと移動する。

「いいの…私ならいいの…だから、もうこれ以上、クラウドを傷つけないで」
クラウドをかばいながらアリーナはようやく自分の今抱いた感情が何なのか気がついていた。
(そっかぁ、これがこの気持ちがそうなんだ、だから痛いのにこんなに頑張ることができたんだね)

クラウド、その言葉にカインの拳は止まる、こいつが…こんな男がクラウド…あのエアリスが愛している男。
クラウドのことを語っていたエアリスの顔をカインは思い出す、
その笑顔はまさしく一途に人を愛する者の笑顔、いつかローザがセシルのことを話したときに見せた笑顔。
147保管庫:03/04/26 01:44 ID:Kkz7DEi0
(こんな男に愛される資格なぞあるものか…)
目の前の事実に握った拳がふるふると震える…許せない。
「お前は騙されている…いいかその男は」
そこまで言ってカインはある可能性に気がつく、もしかしてこの女は…。

「お前は全て承知なのか…」
アリーナは、ゆっくりと首を縦に振る。微笑みすら受かべて。
やはりそうだったのかと、思いつつもカインは続ける。
「バカな…お前の進もうとしている道は茨の道だぞ、そこを抜けたところで待っているのは地獄だけだ」
愛するが故の地獄、それはまさにカインならではの、
1人の女性の愛を得るため、悪魔に魂を売り渡し、それでも叶わなかった哀れな男のみに許される表現だった。

その言葉を聞いてなお一層近くへとアリーナはクラウドへと寄りそっていく。激痛に顔をしかめ、
片方の瞳から血の涙を流して。
それでもその笑顔はあくまで美しく、それはまさに慈母と呼ぶにふさわしいものだった。
(お前もまた。俺と同じ道を選ぼうとしているのか…)

力なくへたり込むカイン、微笑みを受かべクラウドを見つめるアリーナ。
そして何も知らずアリーナの肩を枕に寝息を立てるクラウドの息遣いだけが暗闇の中に響いていた。
148保管庫:03/04/26 01:44 ID:Kkz7DEi0
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:地下通路(大陸中央付近)
 行動方針:セシルを止める】  
(セフィロスへの苦手意識あり)
(現在著しく体力を消耗しております、戦闘不能)

【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:ソロを止める(倒してでも)
第二行動方針:クラウドをティファに会わせる
最終行動方針:ゲームを抜ける
(重傷、無論戦闘不能・片目失明)

【クラウド(睡眠中):所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明
(重傷、戦闘不能、ただし錯乱状態からは回復)


(クラウドが正気を取り戻した際、自分の行動を覚えているか、また忘れている場合
 カインおよびアリーナがクラウドに何が起きたか教えるのかはお任せします)

(アリーナの目はもしかしたら直るかも・・・というレベルの傷です)
149保管庫:03/04/26 01:48 ID:m99OW0Fo
よかった、目が覚めた
という声で意識が戻った。
「う……ん。誰?」
「心配しなくていいぞ、俺たちはあんたを助けたわけさ。
いやぁ〜、なんてついてるんだ俺たちは」

助けた? どういうこと?
そういえば背中が冷たい。雪の上で倒れていたとすれば助けたというのも合点がいく。
あれからしばらく歩いたのだろうか。記憶がはっきりとしなかった。
「豪い美人が倒れててこれは夢かと慌てて駆け寄ったら、本当に吃驚するほど綺麗な人だったから
また驚いて、そらもうびっくり」
見たこともない大きな鳥の上で、長い黒髪を垂らした男が少々大袈裟にミレーユのことを評していた。
ミレーユは面食らって、まだ夢の続きなのかとまぶたを閉じようとする。

「おおっと、せっかく目が覚めたのにまたおねむだなんて勿体無い!
その美しい瞳をもっとよく見せてくれ」
「ちょっと、何わけわかんないこと言ってるの。自己紹介もまだしてないのに。
ほんと二人とも落ち着きがなくて子供みたい。
あ、私エアリスよ」
「説教しなくていい! 俺たちのした事に間違いはない!」
何やら興奮気味の妙な風貌の男は、戦士なのか盗賊なのかよくわからない。
「こちらの熱くなってる人がギルガメッシュで、チョコボの上の人がラグナっていうの」
男二人はにんまりとしながら確かに子供じみた顔向けをしていた。
150保管庫:03/04/26 01:51 ID:m99OW0Fo
ミレーユは軽く笑ってみせた。
「よく、状況がわからないんだけど、とりあえずお礼は言った方がいいみたいね。
ありがとっうっぐ」
喉のつっかえのせいで咽てしまい、最後のほうは上手く言葉にならなかった。
代わりにとんでもないものが出た。
ゴオオッ!
ついついやってしまう癖だ。
「!!!!!」

ギルガメッシュ、ラグナ、エアリスの順に笑みが消えた。
「ご、ごめん。ちょっと気を抜くとこうなのよ」
口から火を吹いて、それからどうなったか。
見ている三人とも唖然茫然としていた。
――そんなに気になるもの?
ミレーユは小首をかしげながら
「あ、これ火炎の息」
またとぼけたことを言うもので

「ま、魔物さんだったの」
エアリスがこれまた素っ頓狂な声をあげた。
「俺たちは、間違って、いたのか……?」
ピタリと動きが止まったギルガメッシュはそのまま彫刻のようになってしまった。
「いくら何でも美しすぎると思ったよ……。
 ……嘘を嘘と見抜けないと生き延びるのは難しいと言うけれど、あんまりだ」
ラグナが天を見上げて泣き真似をする。
151保管庫:03/04/26 01:52 ID:m99OW0Fo
ミレーユは頭がくらくらしてきた。
演技派揃いのグループに巻き込まれたのかと目まいを感じた。
どうにも苦手なタイプなのだ。しかも真に迫っている、皆役者の顔をしていた。
とにかく状況がよくわからない、わからないが、多分際どいところに自分はいる。妙な危機を感じる。
何でもいいから適当なことを言ってはぐらかそうと思った。
「スーパースターになってシネマの星を目指したら、どう」
適当すぎて自分でも何を言ってるのかよく理解できない。

ミレーユははっと気がついた。
観察眼をもっと養っておくべきだった。演技などではない!
三人は頷き合って武器を取り出した。
敵意剥き出しで各々違うことを口走っていた。
とりわけ恨めしそうに睨みつけるギルガメッシュの目からは潮の如く溢れ出す涙が。
「この怪物め、男心を弄びやがってー!」
エアリスもラグナも押しのけるようにして暴走を開始した。

泣きながら武器を振りかざすギルガメッシュの異様さには、さしものミレーユも度肝を抜かれた。
「ひっ」
パルプンテの魔人以上のものが迫ってくる。
そう思った。
ミレーユは全速力で逃げだした。

「待てええ!、俺のような不幸な男をこれ以上生み出させはしねえぞ!」
――何がなんだか
「ちっくしょうぉぉぉおっ、俺は、俺は、何でバカなんだあぁぁぁ!!」
――わけがわからない!
152保管庫:03/04/26 01:56 ID:/iddCCV+
ミレーユは悲鳴と思いつく限りの呪文を後方にぶつけながら走り続けた。
森の中に入ったが、ギルガメッシュはしつこくつきまとっていた。
「マヌーサ!!」
ギルガメッシュは幻影を追っているのか、声を上げながら森から離れていき見えなくなった。
やっとのことで追手を撒くと、一気に疲れが押し寄せてきて
ミレーユは木の陰でうずくまってしまった。

【ラグナ(両足欠損・チョコボに騎乗)/エアリス 現在位置:ロンダルキア南東の森近くの雪原
ギルガメッシュ 南東の森の近くを疾走→エアリスたちと合流するか、どこかへ行くか
 所持武器:エルフィンボウ/癒しの杖/無し/
 第一行動方針:チョコボの主(オルテガ)を探す
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・ 現在位置:ロンダルキア
南東の森 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】
153保管庫:03/04/27 01:35 ID:F3WkoB9w
モニカは平静を取り戻した湖面を、アーロンが落ちていったソコを、
未だに見つめ続けていた。
その瞳には深い絶望と、さらにその奥には激しい憎しみの炎が燃えていた。
彼女の目は既に湖面を見てはいなかった。
体が動かないアーロンを見捨てた男と、激しく荒れ狂う湖面の映像だけが
何度も何度も繰り返されていた。
「モニカ殿!!」
不意にかけられた、とても耳慣れた声にモニカは声の方を振り向いた。
そこには、祠の所で離ればなれになった二人と、青い服を着た青年が立っていた。

「よかった…。モニカ殿は無事だったんでござるな」
メルビンは崖の傍で座り込んでいるモニカの姿を見て安堵の溜息をついた。
「向こうの島から光が見えたんで、様子を見に来たんでござるよ」
「………」
「…? モニカ殿、どうしたんでござるか?」
明らかに様子のおかしいモニカをメルビンは心配そうに覗き込んだ。
「…どうして。…どうしてメルビンさん達はこんな所にいるんですか!!」
激しい怒りのこもったモニカの言葉に、メルビンは何が起こったのか薄々感づいた。

「どうして、ここにいるんですか? どうして祠の所にいなかったんですか?
 外で戦いが始まって、皆さんの声が聞こえなくて、とても心配で、
祠から出たらアーロンさんが倒れてて、体が冷たくなってて、
地震が起きて、メチャクチャになって、アーロンさんが湖に落ちて、
いろいろあって、それなのにどうして…。なんでこんな所にいるんですか!!!」
今、彼女の怒りの矛先は全てメルビンに向けられていた。
自分が、アーロンが祠で沢山酷い目に遭っていたのに、
彼が安全な所で油を売っていた事がとても腹が立つのだろう。
「どうして…、どうして……!!!」
モニカは涙を流しながら、メルビンの胸を叩き続けた。
ガウとロックには、二人を遠巻きに眺めている事しかできなかった
154保管庫:03/04/27 01:36 ID:F3WkoB9w
「…そうだったんですか。それでこの島に」
「うむ、うかつでござった。あんな罠に引っ掛かってしまうとは…」
泣き疲れて落ち着いたモニカに、メルビンはこの島に来た経緯を説明した。
「それで、こちらの方は?」
モニカはガウと一緒にいる青いバンダナの男を見た。
「ああ、俺はロック。まあ、こいつの保護者みたいなもんだ」
そう言って、ロックはガウの首に腕を回し、頭をワシワシと掻き回した。
ガウはその戒めから容易に抜け出し、お返しとばかりにロックの頭を掻き回した。
「そうですか、ガウ君の…」

「…モニカ殿。ワシらがあの島を離れた後、
あの島で何が起こったのか説明して欲しいでござる」
「…ごめんなさい。まだ整理がつかなくて……」
落ち着いたように見えたが、まだ少し早かったようだ。
無理もない。綺麗だった対岸の島は、とてつもなく凶悪な力で無残にも引き裂かれて
いたのだ。どんな事が起きたのかは押して知るべし、である。

「メルビンさん、先にあの銀髪の男の事を話しておかないか?
 たぶん、これからどうするにしても重要になることだろうから」
「うむ。橋は落としておいたでござるから、アヤツは追って来れないだろうでござるしな」
二人は暗い表情をして頷きあった。
モニカには彼らがどんな目に遭ってきたのかわからなかったが、
おそらく彼等がどうしようもない程の敵に遭遇したのだという事は想像できた。
このゲームの、おそらく最強の殺人鬼に。
155保管庫:03/04/27 01:37 ID:F3WkoB9w
【メルビン/ガウ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠南の島
第一行動方針:状況説明 
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】

【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の南の島
第一行動方針:心の整理
第二行動方針:仲間を探す】

【ロック 所持武器:吹雪の剣 現在位置:祠南の島
 第一行動方針:状況説明
 第二行動方針:エリアを探す】

祠南の島と台地を結ぶ橋は落とされました。
156保管庫:03/04/27 01:41 ID:Mm+8gEPH
「くそっ!見失ったか」
ヘンリーとアグリアスは森の中できょろきょろと周囲を見まわす。
尾行はうまく出来ていたと思う、おそらく相手の方が1歩上だったか、何らかのアクシデント的な
事が起きたかのどちらかだろう。

特にアグリアスは悔しそうだ、ここまでの失態の数々は彼女を確実に追い詰め始めている。
何か結果を出さねばという思いが彼女を支配していた。
(相手が…敵が欲しい、でなければ私はもう剣を握れなくなる)

と、ヘンリーがアグリアスの肩を叩いて、右方向を見るように促す。
そこには何時の間に現れたのだろう、壮年の戦士がゆっくりと歩いている。
そのたたずまいから見て、かなり名のある戦士に違いない。

「標的発見だな、俺は左から、お前は背後に回りこんで…」
だが、アグリアスはヘンリーの言葉に首を振る。
「私1人で行かせてくれ、頼む」
いぶかしげなヘンリーへとアグリアスは理由を説明する。
「私は騎士だ、剣の上の屈辱は剣でのみ晴らされる、ここでお前の力を借りてあの男を
倒したところで、それは騎士の勝利ではない」

そう、文字通り彼女は自身の騎士のプライドをかけて、失われた誇りを取り戻すべく、
果し合いを挑もうというのだ。
「お前は決して手を出すな」
苦笑するヘンリーを尻目にそう言い残すと、アグリアスはそのまま男の正面へとゆっくり歩み寄っていった。

リバストは自身の今の状況に明らかに困惑していた。
あの戦いの最中、竜巻に巻き込まれたと思うと、何時の間にかここにいた。
「ここは…何処だ?」
行けども行けども森の中をさまよい、ようやくその出口らしき所に出られたと思った矢先だった。
自分の前方から1人の女性がこちらへと向かって来る、その剣呑な雰囲気からいって、
どうやら彼女はやる気のようだった。
157保管庫:03/04/27 01:42 ID:Mm+8gEPH
「名のある剣士と見た、勝負を願いたい」
その女性はそう言うなり、自分の握った剣の切っ先を空に向け、自分の胸の前に構える。
それは騎士の礼法で言うところの決闘の儀礼。
剣を天に向け構えるのは、決して卑劣な行為を行わぬという神々への誓いの証。

それを見て、リバストの口から。ほうと感心の嘆息が漏れる。
まさか、このルール無用の戦場でこのような相手に出会えるとは、早速リバストもそれにあわせて
返礼の構えを取る。

「良かろう、ならば戦うとするか、だが決闘における結末はただ一つであることを
 もちろん承知であろうな」
「無論だ、この剣にかけて誓おう」
そして2人は同時に剣を腰で構え、アグリアスは中段から、リバストは下段から、
勢い良く手にした剣を抜き放ったのであった。

そのころ2人の戦いを横目に、ヘンリーはつまらなさそうに呟いていた。
「騎士の誇り…か、下らん」

風をきる刃の音と、それに遅れて火花が散る。
お互いの息使いさえ聞こえてくるようなつばぜり合いの中、先に動いたのはアグリアス、
自分の体重をわずかに横方向にずらし、リバストの身体のバランスを崩そうと試みる。
しかしそれを察知したリバストは、背後に飛び退く、そこを間髪いれずアグリアスは追撃の刃を振るうが、
すでにリバストは間合いの外にいる、さらに踏みこみ剣をなぎ払うアグリアス、しかしそれも紙一重で、
リバストに受けとめられていた、しかしそれでも休むことなくアグリアスは攻勢を続けていた。

一見するとアグリアスが優勢のように思える、だが表情には出さないがリバストには余裕がある。
アグリアスの剣はリバストに言わせるとあまりにも基本に忠実過ぎた。
そう、教科書の模範解答をそのまま繰り返してるかのごとき、ただ相手を効率良く倒すためのみの、
まるで面白みの無い剣術だ。
例えば、わざと小手に隙を見せると、アグリアスはそのまま小手に斬り込んで来る、
ただその太刀筋がすばらしく正確にして、強烈であるために反撃に出れないというだけのことだ。
158保管庫:03/04/27 01:45 ID:Mm+8gEPH
確かに剣を振るう技術のみなら、彼の倒したレオンハルトよりもアグリアスの方が優れている、
だが、どうしてもリバストにはアグリアスがレオンハルトより強いとは思えなかった。
レオンハルトは、太刀筋こそ荒削りであったが、体術を織り交ぜた傭兵剣術でリバストを散々苦しめた。
出会ったのが戦場でさえなければ、よき剣友となってくれていたであろう。
(あの男のためにも負けるわけにはいかぬな、強敵(とも)なのだから)


(何故だ、これほどまでに攻めているのにどうして勝負がつかない)
一方のアグリアスは自分が攻めているのではなく、攻めさせられているという事に未だ気がついていない。
その時、リバストの胸元のガードがわずかに下がった。
(今だ、ここで決めてやる!聖剣技は使えなくとも)
肘を引き、剣先を相手の心臓に定めると気合と共に突きを繰り出す、スピード、パワーともに申し分が無い。
必殺の突きがリバストの心臓を捉えるはずだった、しかしそれを待っていたかのようにリバストは姿勢はそのままで
軸をずらすように回避する。
結果、剣は虚しく空を切る、何故?と驚愕の表情のアグリアスの額を霞めるように、
リバストの剣が通過する。さらにそれを合図にして、今度はリバストが攻勢を開始した。

急激に静から動へと変化したリバストの剣をアグリアスは完全に捌き切れず、ずるずると後退を始める。
しかしそれでも崩れそうになる体勢を必死で押し止め、アグリアスは反撃を試みる。
アグリアスの剣が円を描くように旋回し、リバストの剣先を巻きこんでその軌道をずらし、カウンターを試みようとする。だが、カウンターは苦し紛れでは意味が無い、これもまた易々と払いのけられてしまう。

最も、アグリアスの技は今となっては全てリバストに予測されていた、先程までの苛烈なまでの攻勢の中で
彼女の剣技は全て丸裸にされてしまった、もはやいかなる大技を、例え聖剣技であろうとも、
もはやリバストにはカスリもしないだろう。
(バカな…)
ようやくアグリアスもそのことに気がついたのだろう…その顔が屈辱で青くなっていく。
だが、その時アグリアスは自分でも予想だにしていていない行動に出た。
159保管庫:03/04/27 01:49 ID:vS3aKWh7
「それでも私は負けるわけにはいかんのだあぁぁぁぁっ!」
彼女はリバストの両目めがけ自分の足元の土を蹴り上げたのだった。
それはいみじくも騎士を名乗り決闘を挑んだ者ならば決して行ってはいけない、卑劣極まりない行為だった。
断っておくが土を蹴り上げることが卑劣なのではなく、剣を捧げ、正々堂々を天上の神々に誓った、
騎士の行為としての話である。

「卑劣な!」
体勢を崩したリバストの言葉に一瞬アグリアスの動きが止まったかのように見えたが、次の瞬間には剣を構えなおし、
今、自分が持てる限りの力を投入し、最後の大技を試みる。
しかし、その最後の技は発動することは無かった、瞬間、彼女の懐に飛びこんだリバストの怒りの一撃、
そう、彼はアグリアスの踏みこみの癖を見抜ていた、が、
アグリアスの剣を弾き飛ばし、その手を深く傷つけていたのだ。

まさに鮮やかな逆転勝利、しかし、その行動も前半自重し、反撃の機会を待ち、
相手の癖を見抜いたがゆえのこと、まさに冷静沈着が呼びこんだ勝利といえるだろう。

さて、アグリアスだが自身の敗北が未だに認められず、地面に落ちた剣を拾おうとするが、
おそらく筋を傷つけられたのだろう、手が思うように動かない。
と、そこにリバストの剣の切っ先がアグリアスの喉元に向けられる。
「わ、私は本調子ではない…武器が…武器が短剣だったから、そ、そうだ…マトモな剣ならばっ」
「ほう…敗れた理由を得物のせいにするとは、とんだ騎士もいたものだな」
リバストの鋭い眼光に威圧され、そこから先は言葉にならなかった。
じりじりと後ろずさろうとするが、身体が動かない、蛇ににらまれたカエルのようだ。
(これが私の器なのか…)
「殺せ…」
やっとの思いでアグリアスは口を開く、その一言は彼女に出来る精一杯の虚勢だった、しかし。

リバストは表情を変えることなく無常にも言い放つ。
「騎士を騙る薄汚い野盗の類を斬るような刃は持ち合わせてはおらぬ、ましてこの剣は
 わが強敵(とも)を斬った剣、ゆえに貴様ごときの卑しい血で汚すわけにはいかぬわ!」
その言葉を聞いた、アグリアスの顔面が屈辱とさらに恥辱で蒼白になる。
しかしそれには構わずリバストは悠然とその場を立ち去る。
160保管庫:03/04/27 01:50 ID:vS3aKWh7
その無防備な背中を睨みつけるアグリアス…握った拳がふるふると震える…そして。
その時であった、瞬間的だがまばゆい閃光と爆発がリバストを包み込む。
それを鮮やかに回避したリバストではあったが、予想外の攻撃にわずかに動きが鈍ったその瞬間、
リバストの肩にヘンリーの投じた斧が喰いこんでいた。
「ぐっ…」
それは決して致命の一撃ではなかったが、リバストはもんどりうって地面に倒れ、
肩の傷を押さえてはぁはぁと喘いでいた。

一方ではアグリアスがヘンリーにくってかかる。
「貴様ぁ!どうして手をだした!」
「おいおい、命の恩人に随分失礼な言葉だな」
「私は名誉ある騎士だ、命を拾おうとは思わぬわ」

「騎士?騎士だと!?…ふふふふ、ふふっ、ははははっ」
騎士、という言葉がアグリアスの口から出た瞬間、ヘンリーは笑った、
それはまるで、茶番劇を演じる道化を見ているかのような嘲り笑いだった。
「ほう、それならこちらから聞くが、何故あのような真似をした?」
そう、ヘンリーはしっかりと先ほどのアグリアスの行った行為を目の当たりにしていたのである。
どうやら他にも覚えがあるらしい、アグリアスは力なくうつむく。
「あの男の言うとおり、もうお前は騎士ではない、俺と同じ、薄汚れた狩人だ」

ヘンリーはゆっくりとアグリアスにマンイーターを手渡す。
「選べ、誇りとやらに最後までしがみつくか、それとも堕ちて汚く生を求めるか」

アグリアスは喘ぎながら、剣を構える…。
目の前には丸腰のヘンリー、そして右手には手負いのリバスト。
「私、私っ…わたしはあっ!」
果たして彼女が刃を向けた先は…
161保管庫:03/04/27 01:50 ID:vS3aKWh7
【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×2 現在位置:大陸中央北西の湖よりの森】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:マリアの元へ逝く
(現在ミスリルアクスは手放しております)

【リバスト(負傷) 所持武器:まどろみの剣 現在位置:大陸中央北西の湖よりの森 行動方針:特になし】

【アグリアス(負傷)ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法  装備武器:スリングショット
 なべのふた マンイーター  現在位置:大陸中央北西の湖よりの森】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:ティファを倒す
最終行動方針:元の世界に帰還する
162保管庫:03/04/28 00:24 ID:+x2j9wdM
(どうしてこうなっちゃうのよ……っ)
エーコは走る。後ろを振り向かず、必死の形相で、前だけを見つめて。
ついさっきまで、ピピンとリディアと一緒にお喋りしていたはずなのに。
彼女の隣に二人はいない。誰も、いない。
変わりに、後ろの方からリディアの悲鳴と爆音が聞こえた。
眩し過ぎる光と、命の灯さえ消し飛ばしてしまいそうな熱風と共に。

「……ピピンのばかっ」
たった一言に様々な想いを乗せ、溢れる涙を拭い。
エーコは、それでも振り返らなかった。
振り返ってしまったら、ピピンを裏切ることになってしまうと思ったから。
だからエーコはリボンを握り締めて、走り続けた。
そして――
「!?」
唐突に、大地が揺れた。
木々がざわめき、風が走り、雪が、石が、岩が舞いあがる。
「た、助けて!」
エーコは必死に祈った。フェンリル、カーバンクル、フェニックス――
心を繋いだ召喚獣たちに。手のひらの中のリボンに。
けれどエーコの軽く小さな体は、呆気なく宙に浮いてしまう。
吹き上がる風……否、今や竜巻へと変化した、あまりにも強大すぎる魔力によって。
「やだ、やだ、助けて! 助けてよ、――!」
その想いが通じたのか。小さなリボンから、純白の光が放たれた。
零れ出た光は魔力と混ざり合いながら、一つの形を取る。
そう、エーコにとって、一番身近だった存在へ。
「……モ、グ?」
クポー、と耳慣れた声が響いた。そこで、エーコの意識はぷっつりと途絶えた。

【エーコ(気絶) 所持武器:なし 現在位置:不明
第一行動方針:バッツたちと合流/ジタンを捜す】
(リボンからモーグリのモグ(FF9ver)が召喚されました。
ただし真の力を開放することは、今の段階では不可能です)
163保管庫:03/04/28 02:09 ID:pE7+LW3o
スコールとリノアが逃走してから暫くの間、ザックスは床に寝そべって天井を見ていた。
よく見ると天井や壁の岩肌はぼんやりと光っている。
暗いことに変わりはないが、視界がある程度保てるのはそのおかげだろう。
「…とまぁ、そんなことを今になって気付いている、ワケ、だが」
ザックスは独り言を呟いてから、ひょいと身を起こした。
激しくやるせない気分で一杯なのだが、何時までもここで腐っているわけにもいかない。
生きるためにやるべきことを済ませておくのが一級のソルジャーというものだ。
バスタードソードを拾い上げると、背中に収めると。
「さて、と。洞窟内の探索をさくっとやっちゃいますか」
ザックスは洞窟の奥へと歩き出した。

またまた暫くして。
あまりの人の気配のなさにザックスは溜息をついた。
洞窟に女の子と二人きりならいい。女の子が可愛かったらむしろ万々歳だ。
なのに現実は女の子どころか人っ子一人いないのである。
「なんか寂しくなってきた。何やってんだ俺は」
そう言えば、ここに来てから女の子と何人か出会ったが、
一番最初のフィールドで最初に会った子は相手持ち。
その次は黒尽くめの騎士に襲われている最中に出会って、うち一人はドラゴンに変身した。
ここで出会ったあの子は彼氏持ちの上、その彼氏はゲームに乗っている。
「何つーか…幾ら頑張っても、ステキな出会いなんてありえない気がしてきたなぁ、おい!」
誰に言うともなく声を張り上げる。声は洞窟内に響いて、すぐに消えた。
164保管庫:03/04/28 02:09 ID:pE7+LW3o
激しく虚しくなり、ザックスは壁にもたれかかって座り込もうとして…

「ワン!!」
「だひゃぁ!!」

声を上げてから思った、前にもこんな事あったなぁ、と。

視線を向けると、尻尾を盛んにふる犬がいる。見たことがある。
「お前、前の旅の扉のトコにいた…」
わん、と小さく吼える。そうだと言いたいらしい、頭のよい犬だ。
「って、ことはだ」
立ち上がり、耳を澄ます。微かな足音。それが段々と近付いてくる。
そして、闇の中からその男は現れた。
「久しいな。以前は面と向かわなかったが」
「ああ。なんつーか妙なめぐり合わせがあるようだな、おっさんとは」
こうして、パパスはザックスとあっさり出会うことができた。
パパスの足元で、功労者のトーマスがくるくる回る。パパスはトーマスの頭を撫でて功を労った。

それから、パパスとザックスは簡単に情報交換を行った。
以前のステージで一瞬だけ双子とであったが、不可思議なトラブルが発生してすぐに別れてしまったこと。
「その、バッツって奴は一緒にいたな。後二人ほど女の子がいたけど」
「母親ではないだろうな。その時点ではまだ親と再会できていなかったか」
攻撃を仕掛けてきたスコールを素手で叩きのめしたこと。
「暫くは悪さできぬようにしておいた。外ならとにかく、洞窟内にいれば命に別状はあるまい」
「…どっかイカレてるとは思ってたけど、おっさんに襲い掛かるとは本気でトんでる奴だったんだな」
165保管庫:03/04/28 02:10 ID:pE7+LW3o
などなど。一通り話を終えるとパパスは一つうなずく。
「そうか、人の気配はないか…ならば、今日の探索はこれまでにしておくか」
「ああ、そうしときなよ。虚しいだけだ」
「君も少し休んでおいたほうがいい。もうじき、日が暮れる。そうなれば、ここも煩くなるやもしれん」
「?…なんで?」
「夜になれば外の気温は急激に下がる。下手に出歩くと凍死するほどにな。
だから、日が落ちるまでに雨風の防げる場所を確保しようとするだろう」
「なるほどね、洞窟内にいれば少なくとも凍死する可能性は減るもんな。
そっか、じゃあ俺も休むか」
ザックスはあらためて座りなおすと、目を閉じた。数秒数えるころには規則的な吐息が聞こえてくる。
(この青年、何かの訓練を受けているな…暗殺者、ではないと思うが)
パパスはザックスのいる位置から少し離れた程よい場所を見つけると、そこに座り込む。
すぐ側に控えるトーマスに、何かあったら知らせてくれというと、パパスも休息を取ることにした。

【ザックス 武器:バスタードソード
 現在位置:ロンダルキアの洞窟3F(休憩中)
 第一行動方針:体力回復】
 第二行動方針:エアリス・ティファの捜索】

【パパス 所持:アイスブランド 
 現在位置:ロンダルキアの洞窟3F(休憩中)
 第一行動方針:体力回復
 第二行動方針:バッツと双子を捜す。
 第三行動方針:ゲームを抜ける】

【トーマス 所持:鉄の爪 薬草×10 手紙 碁石(20個くらい)
 現在位置:ロンダルキアの洞窟3F(休憩中)
 第一行動方針:パパスについていこうと思っている】

三者とも寝ています。誰かが近寄ってくるだけで起きますが、
何もなければ、朝まで起きません。
166保管庫:03/04/28 23:56 ID:H6vQOCds
日が沈んで暗くなると、昼間とは比べ物にならないほど静かに思えてくる。
もっとも波打つ音だけは健在だ。湖はまだ荒れている。
ジタンは飛んできた少女の具合を確かめようと近寄ったところだ。
「妙だな、放送がない」
「え?」
少女の一歩手前でジタンは振り返る。
「定刻は過ぎたというのに。ゾーマ奴、気の迷いか?」
ピサロはここではない、何処か遠くを見ているようだった。

「そんなことより手を貸してくれ、魔法が使えるんだろ。
 この子目を覚まさないんだ」
ジタンは少女の小さな手を握り、ほのかに体温を感じて希望を持った。
よかったな、オレみたいな奴が丁度通りかかって。
どんな悪人がか弱い子供を餌食にしようと目を光らせてることか……
後ろから雪を踏みしめるピサロの足音が聞こえてきて、ジタンはもう大丈夫だと思った。

後ろから長い腕が、奪い取るように少女の首根っこを掴み上げた。
「おい!?」
「余分な荷物を抱えていてはそれだけ時間の無駄になる」
聞き間違いなのかと思う隙もなく、ジタンの手から少女が引き剥がされた。
ピサロはジタンに一瞥をくれたあと、無情にも少女を冷たい雪の上に放り投げた。
今そこに倒れていた正に同じ場所に。
「何するんだ!」
ジタンは激昂してピサロに詰め寄ろうとする。
「何もせん、小娘など放っておけ。
 運が良ければ死なんだろうし、悪ければ死ぬだけのことだ」
167保管庫:03/04/28 23:56 ID:H6vQOCds
【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:祠の湖南岸】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:祠の湖南岸】
第1行動方針:リディアを救う、魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出

【リディア(気絶中)所持品:なし 現在位置:祠の湖南岸
第一行動方針:?
第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
保守。
保守して1000万円獲得だ!
保守し続けるか? それともドロップアウトするか?
ファイナルアンサー!
1…保守    2…放置
3…荒らす   4…吉野家で牛丼大盛りねぎだくギョクを(ry
「1」でファイナルアンサー!

 〜    ∧_∧___     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      (´∀` ) / |    あなたの人生を変えるかもしれない,クイズ・ミリモネア。
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    ̄ (_)|| ̄ ̄
175保管庫:03/05/05 01:14 ID:kQDYJhQA
「ぬああっ!」
アグリアスはヘンリーに向かって剣を振り落とした、
空を切る音がして服の袖だけを斬っていた。ヘンリーは咄嗟に身をかわしたのだ。
「はあっ、はあ……やかましい」
心よりも先に体が動いたような感覚だった。自分自身をコントロールしての行動とは思えなかった。
今手にしたマンイーターを手の上で返してぐっと力強く握り直したのは戦闘者としての本能ゆえか、
と自己に問わねばならないのはどういう精神状態なのか。

状況は把握できてもどう動くべきかアグリアスは決断できない。
まだヘンリーを斬ろうと思えばできる位置にいる。
リバストは苦悶の表情を浮かべながら斧を肩から抜こうとしている。
感情を爆発させても良い結果を生むはずがないとわかっている。

――けれどもヘンリーの言ったことは私を暴走させるに足りるもの
そう考えている間にも、咎めるように剣の切っ先をヘンリーに向けるアグリアス。

「……まだしがみつく気か? 意地を張ってるとしか思えん」
ヘンリーが苦々しそうに言い放った時、

リバストが動いた。肩から溢れる血が体を濡らしていたがまるで気にかけてもいない。
「許せっ、この剣を汚すことを!」
誰に向かっての言葉なのか、わからずともアグリアスは咄嗟に身構えた。
脇を覗くとヘンリーが素早く逃げるように身を離していたのに愕然とする。
リバストはヘンリーに目をくれず自分に向かって一直線に迫ってくる。
「それほどに許せんのだっ!」
渦巻いた剣を、突くのではなく叩き落す。
「ぬっああっ!」
アグリアスはマンイーターで受け止めたが、尋常ではない力がどっと押し寄せてきた。
深手を負った者の力ではなかった。
激しい怒りがリバストに限界以上の力を発揮させたのだろう。
176保管庫:03/05/05 01:16 ID:kQDYJhQA
――何故受け止めた、何故私はまだ生きようとする、
額から流れる汗を感じながらまたも自己に問いかけるアグリアス。
騎士の誇りなどもう無い。
卑劣に走ったあの瞬間に、騎士である自分は終わりを告げていた。
それでも、誇りと呼べるものはまだ残っていた。
騎士でなくとも備わっている、卑劣な真似を決して快く思わない、自分としての……

後ろでチラチラと動く陰が見える。
ヘンリーが捨てられた斧を拾いに走っていた。
――あいつだ、あいつが私を惑わす!
ヘンリーの姿は戦場を逃げ回る小兵のように見える。小賢しい、と

「そのままやられるつもりはないんだろ!」
アグリアスがもう一度横目で見たヘンリーの姿は、斧を握った右手を大きく振りかぶっているところだった。
「俺はどっちでもいいんだぞ」
「なにいっ」

リバストの押さえこむ力が更に増し、アグリアスは観念しそうになる。
このまま力を緩めれば己に殉じることができる。
だがそれにしても! 許せないのはヘンリーだ。
アグリアスは今のヘンリーの言葉が誘導にしか聞こえなかった。
――何がどちらでも良いだ!
生きるべきか、死ぬべきか、どちらが本心かわかっているのに体だけは抵抗を続ける。
――もう止めろ! 何も言うなぁぁっ
ヘンリーの声が体の中に響き渡り、薄汚い生を掴もうとさせるのだ。
体も精神も限界を迎えていた。
ついに体は耐え切れず雪の上に膝をつき、自分の領域である肉体を守る最後の砦も崩れ落ちようとしていた。
上からのしかかる圧倒的な力で、蹂躙され、自分が侵される。
それは屈辱だが、これ以上の卑劣を重ねるのは……また声が聞こえた
潔く負けを認めるしかないと、今、、また声が聞こえた
手を貸して欲しいんだろと、声が聞こえた。
177保管庫:03/05/05 01:17 ID:kQDYJhQA
  だが許せないのはヘンリーだ!!
アグリアスは限界を超えた。
「自分の誇りまで捨てろと言うかァァァァァ!!」
想像もできない怒りが信じられない力を生み出した。

大きく目を見開かすリバスト。アグリアスが短剣で長剣を押し返した。
リバストの背中が一気に後退して、横になる。雪煙が舞って二人の剣士は上下逆に、
今度はアグリアスがリバストの領域を、しかも完全に制圧した。
「ぐはあっ!」
リバストは口から血を吐き出した。渦巻いた剣がリバストの胸を潰していた。
凄まじい血の勢いは何かを叫びたかったからなのか。
雪の上で、アグリアスの下になって、強者の名を呼ぶこともできず自らの剣で体を切り裂き、
リバストは死んだ。

「ああああぁぁぁぁっ!!」
血塗られた顔を上げ、もう動かないリバストの上で絶叫するアグリアスはヘンリーしか見ていない――

【リバスト 死亡】

【ヘンリー 所持武器:ミスリルアクス イオの書×2 現在位置:大陸中央北西の湖よりの森】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:マリアの元へ逝く

【アグリアス(負傷)ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法  装備武器:スリングショット
 なべのふた マンイーター  現在位置:大陸中央北西の湖よりの森】
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:ティファを倒す
最終行動方針:元の世界に帰還する
178保管庫:03/05/05 01:24 ID:nZjGJQrP
セシルは銃の照準を湖のほとりで蠢いている男に合わせながら、
ゆっくりと自分の位置を有利な場所へと移動していく。
あの程度の相手なら、わざわざ銃を使う必要は無いかもしれない。
セシルはふとそう思った。
それもそのはず、怪しい覆面とアホな格闘している男が、
参加者の中でもトップクラスの実力を持っているなど想像もつかないだろう。

そして、オルテガまで10メートルの位置に来た時、
やはり接近戦で殺してしまおうと決意した。
標的の傍に落ちている道具袋から大量の食料が見え隠れしていたからだ。
この数日間、食料の補給はできなかったので既に手持ちの食料は尽きようとしていたのだ。
それにぎりぎりまで食料を節約しながら食べていたので、
我慢していた飢えが大量の食料を前にして耐え難い物になってしまったのだ。
銃や弓矢を使って万が一返り血が大事な食料にかかってしまったらと考えると、
やはりより慎重にできる接近戦でやってしまえば、という考えだった。

標的に体当たりをして、倒れた所に頭へ銃を一発。
それで食料を無傷で回収できるはずだ。
そしてまだ覆面と格闘しているオルテガに十分近づいた所で、
セシルはオルテガに攻撃を仕掛けた。
――セシルは気がつかなかっただろう。覆面と格闘しているオルテガを見てしまった時から、彼の術中にはまってしまったという事を。
彼はもう、己の滅びの運命を変えることはできないのだ。
179保管庫:03/05/05 01:25 ID:nZjGJQrP
そして、セシルの作戦はあっけなく成功した。
雪原に突っ伏したオルテガはまったく動かない。
頭に被っていた覆面に、間違いなく銃弾があたったはずだ。
念のためもう二、三発銃を撃ち込む。心臓と腹部。どれも致命傷になりうるはずだ。
不意に粉雪を伴った一陣の風がオルテガの姿を掻き消す。
そして再び彼の姿が現れた時には…
「なにっ!? 丸太だと?!」
オルテガの倒れていたはずのそこには、いくつか弾痕のついた丸太が転がっていた。
もちろんオルテガの姿はどこにも見当たらない。
慌てて辺りを見回すセシルを嘲笑うかの様に、オルテガの高笑いが雪原に響き渡った。

「フハハハハハハハハハハハハハッ! フハハハハハハハハハハハハハハハハハ
 ハハハハゲホゲホフハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハアッッッ!」
「なっ!? どこだっ!? どこにいるっっっ!!??」
セシルは慌てて辺りを見回した。しかし、どこにも声の主の姿は見えない。
響き渡る声は反響しているかのように全方向から聞こえてくる。
果てしなく嫌な予感に、セシルは思わず二歩三歩後退した。
「どこを見ている! 私はここだ!!」
セシルははっきりと聞こえた声の方向を振り向いた。
そこには一本の巨木、そしてその枝に覆面を正確に装着した男が立っていた。

「クロスッ! アウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッツ(脱衣)!!!」
オルテガは空高く飛び上がり、着ていた服を撒き散らし、
回転しながら着地しようとした。
しかし、そのまま腰の所まで雪に埋まってしまった。
「ぬ、抜けない……」
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「すまん、ちょっと引っ張ってくれないか?」
「あ、はい」
セシルはオルテガの両手を掴むと、全力でオルテガを引っ張った。
そしてなんとかオルテガは雪の中から脱出できたのだ。
180保管庫:03/05/05 01:27 ID:nZjGJQrP
「ふう、助かった。礼を言う」
(…何をやっているんだ? 僕は…)
肩で息をしながらセシルは何故この男を助けてしまったのか考えていた。
「着地の事など考えておらんかったしな。だから雪国はダメなのだ」
(僕はこの男を殺すんだぞ。僕は…、僕は……!!)
そこまで考えて、セシルは剣を抜き放ちオルテガに斬りかかった。
オルテガはその一撃を軽々と避けると、セシルの腹部に蹴りを放ち、距離を取った。
着ている鎧のせいか、セシルにほとんどダメージは無いようだ。

「そういえば先程斬りかかってきたのは貴様だったな。
というと、私は貴様の敵だという事か」
セシルはその問いに答えず、続けてオルテガに切りかかる。
オルテガは剣を抜かず、体術のみでセシルの攻撃をいなす。
「しかし、わざわざ敵を助けるとは…。一体なにを考えている!?」
「うるさい! 僕だってわからないんだ!!」
セシルは怒声をあげながら、オルテガに向かってあんこくを放った。

セシルは自分の勝利を確信した。その次の瞬間、突如生まれた爆風に
セシルの体は大きく弾き飛ばされた。
「―――自分の視界を塞ぐような攻撃はあまり有効とは言えないな」
近くの木の幹に叩きつけられたセシルは、何とか顔を上げ声の方を見る。
そこには少しもダメージをくらったようには見えないオルテガが立っていた。

「な…なぜだ……」
「ふっ。あの程度の攻撃で私の正義を打ち砕く事などできないということだ」
セシルの問いに、オルテガは朗々と言い放つ。
種明かしをしたらどうということは無い。
あんこくに飲み込まれる直前にイオラを放ち、吹き飛ばしたのだ。
さすがのリフレクトリングも二次的な爆風を跳ね返す事はできない。
181保管庫:03/05/05 01:33 ID:OK3KAvsb
「くそっ! これなら!!!」
セシルは気合を奮い立たせ、取り出したギガスマッシャーを連射した。
圧倒的な破壊力を持つ銃弾がオルテガに迫り、しかしオルテガはその全てを見切り、避けた。
「そんな! 銃弾を避けるなんて!」
「始点、射線軸、速度を見切ればフェイントも無い射撃を避ける事など造作も無い事だ」
オルテガは銃を撃つ格好で呆然としているセシルにそう言い放つと、
ゆっくりとセシルに向かって歩き出した。

(僕は…この男に…勝てないのか)
剣技も、必殺技も、銃すらも効かなかったのだ。不意打ちをしても倒せなかった。
今のセシルにはオルテガを倒せるすべが無かったのだ。
(こんなところで…死ぬわけには……!!)
ローザの為にも、自分が殺したエッジの為にもこんな所で死ぬわけにはいかない。
落とした剣を拾い上げると、セシルはオルテガに背を向けて迷わず逃げ出した。
森の中に入れば逃げ切れるかもしれない。そう思ってまっすぐ森に向かって走った。
しかしセシルの願いは叶う事は無かった。
走り出して数歩、不意に足元の感触が変わり、腰まで雪の中に埋まってしまったのだ。
182保管庫:03/05/05 01:34 ID:OK3KAvsb
「なに! なんでこんなところに!!」
セシルは抜け出そうともがいた。背後から男が近づいてくる事がわかる。
もがいて、もがいて、ようやくセシルはなぜここに落とし穴があったのか気づいた。
最初にオルテガのいた位置と、次に彼の立っていた巨木。
この二点を弧を描いて結ぶ、盛り上がった雪。
まるで、もぐらの掘ったトンネルのような……。
「そうか! 地中を掘ってあそこまで行ったのか!!」
いまそんな事がわかっても事態は好転しない。
オルテガはゆっくりと、セシルの正面に回りこんだ。
「もはやこれまでのようだな」
「…僕を…殺すのか?」
セシルはあきらめた声でオルテガに話しかけた。
持っていた武器は転んだ拍子に手放してしまった。
まして、自分はこの男を殺そうとしたのだ。それにこのゲームのルール。
この男に自分を生かしておく理由は無い。
「僕を殺すんだろ!? 早く殺せよ!!」
「いや、私は貴様を殺さない」
オルテガの言葉に、セシルははっとオルテガを見上げた。

「…なぜ……?」
「貴様には借りがあるからな。それに、貴様の心にはまだ正義と、そして愛が残っている。
 私には貴様を見捨てることなどできない」
「………」
「だから、この私が貴様の荒んだ心を癒してくれよう!!!」
オルテガはそう言い放つと再び天高く飛び上がった。
「ドレェェェェェェェス! チェェェェェェェェェェェェェェェンジ!!!!」
彼方から飛来した光とオルテガが跳躍の頂点でぶつかった。
セシルは眩しさに思わず目を瞑った。
そして光が収まったのを感じて、恐る恐る目を開き……。
「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」
事態は、最悪の方向へと転がり始めてしまったのだ。
183保管庫:03/05/05 01:35 ID:OK3KAvsb

「傷つき彷徨える子羊たちよ!」
セシルはここから逃げ出そうと全身の力を振り絞って暴れた。
「ぬくもりを忘れた少年少女よ!」
何故こんな重い鎧を着ているのか。何故あの時殺しておかなかったのか。
「真の愛は全てを包み、全てを癒す!」
何故この男に出会ってしまったのか。何故、何故、何故、ナゼ、ナゼ…。
「そう、私は愛そのもの。戦場の慰安夫!」
セシルは、ただ後悔していた。
「さあ、貴様の全てを癒してくれよう!!」
危ない水着を装着したオルテガが、ゆっくりとセシルに重なっていく。
セシルは自分の兜が外される感覚と、絶叫。
そして自分の顔に迫ってくる胸の谷間の映像を最後に意識を失ってしまった

―――頬に当たる水滴によって、気を失っていたオルテガはようやく目を覚ました。
眠ってしまう前の事は全然思い出すことができなかった。
いまどこにいるのだろう? オルテガは辺りを見回した。
とても暗い。どこかの洞窟だろうか、岩肌と、床の土の感触がそう思わせる。
随分長い間眠っていたようだ。一体今何時なのだろうか。
そこで、右手に掴んだ覆面の存在にようやく気がついた。
「…また…やってしまったのか……」
オルテガは深い後悔と嫌悪感で自殺してしまいたい衝動に駆られた。
なんとか思いとどまり、ゆっくりと記憶の糸を辿った。
倉庫に閉じ込められた事、そこから脱出した事、そして竜巻に巻き込まれて……。

「……ああ、こんな事が……ルビスよ……何故……」
いままであった事全てが夢であったと思い込みたかった。
しかし、下半身を締め付ける女物の水着と、傍に倒れている青年が、
服を引き裂かれ、荒縄によって怪しくも美しく、そして艶やかに緊縛された青年の存在が
全てが現実なのだということを教えていた。
184保管庫:03/05/05 01:38 ID:i55DEfyX
【オルテガ(疲労) 所持武器:危ない水着(下)  覆面 
現在位置:大陸中央、西の湖近くの洞窟 
第一行動方針:アルスを探す
第二行動方針:不明
最終行動方針:未定】

【セシル(疲労、気絶、緊縛) 所持武器:荒縄  
現在位置:大陸北部山脈、西の湖近くの洞窟】
第一行動方針:参加者を殺す(エドガーorハ−ゴンを優先)
第二行動方針:不明
最終行動方針:勝利する

【洞窟の中  黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製) 
ギガスマッシャー  水鉄砲 グレートソード  危ない水着(上)   食料(多)
保守
このスレまだあったんだな・・・

 〜    ∧_∧___     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      (´∀` ) / |    あなたの人生を変えるかもしれない,クイズ・ミリモネア。
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   i'''(_) i'''i ̄,,,,,,/
    ̄ (_)|| ̄ ̄


それでは第1問
 このスレはどうする?
A:保守
B:ageる
C:荒らす
D:燃やす
Aで。
189保管庫:03/05/06 21:49 ID:CNOMQjrK
夕暮れの山々に奇妙な声が響く。
「生麦、生米、生卵・赤巻紙・青巻紙・黄巻紙」
どうやら早口言葉のようだが、こんな場所で何故?
早口言葉はさらに続く、マシンガンのようなスピードと正確さでもって、
と、やがて声がやみ。その声の主であるとんがり帽子の魔法使い、サマンサは唇の端をわずかに歪め
満足げに呟く。
「絶好調です」

魔法の威力を左右するのは当然のことながら使い手の魔力なのだが、人の身である以上、
いかに修行に励もうとも、マスターレベルともなれば、その限界は大差はなくなる。
と、なれば何処で差をつけるか、それは詠唱速度だ。

例えば呪文の一節を例にとっても。
「オロカナルイキモノタチヲヤミニカコマレタハイキョニミチビキタマエ」と
「オロカナルイキモノタチヲヤミニカコマレタハイキョニミチビキタマエ」
では雲泥の差があることは明白だろう。

それでも実際に短縮できるのはほんのわずかな時間に過ぎないのだが。
頑丈だが愚鈍なモンスターではなく、人間相手となればどれだけ早く一撃を与える事ができるかにかかっている。
屈強な戦士といえども、剣を抜き放つ前に、自分めがけて飛んでくるギラやイオを目にすれば、
わずかなりとも挙動は遅れ、熟練の魔法使いでも詠唱を遅らせる事も可能だ。

子供だましのような理屈だが、これが結構有効な手口だ。
マホカンタのように本来先読みが必要な呪文でも、今のサマンサなら相手の呪文を確認してからでも
何とか間に合わせる事が出来るだろう。
190保管庫:03/05/06 21:50 ID:CNOMQjrK
山々に沈む夕日を見ながら、サマンサは軽く背伸びをする。
久々の太陽がまぶしいのか、わずかに目を細めながら。

そろそろ放送の時間のはず…通路の中では恐らく放送は聞こえないだろう、そう思いわざわざ地上に
出てきたのだが…まだ少し早かったらしい、ならば少し早めの夕食でも取るか、と岩場に腰を下ろす
サマンサだが、ふと自分の視界を横切った小動物の影にいぶかしげな顔をする。
サマンサは小動物の通ったあたりの地面に目をやる、すると積もった雪にくっきりと足跡が残っている。

「なるほど、野うさぎでしたか」
と、足跡を見て納得気にうなずくサマンサのお腹がぐぅ〜と音を立てる。
食料は充分だったが、それでも動物性のたんぱく質には少し飢えている、久々にご馳走にありつきたいものだ。
サマンサはうさぎの足跡をそっと辿っていく…やがてそこから少し離れた茂みの中で、うずくまるうさぎを発見すると
うさぎはサマンサの姿を見ても、動じることはなく逆に彼女を睨みつけている、
まるで(オイラを捕まえられるなら捕まえてみやがれ)といわんばかりに。

「ふふ…人間様を甘く見てはいけないのです」
サマンサはうさぎの挑発に受けて立つべく、腕輪を装着すると、
(早く走れるのはいいのですが、付けっぱなしだと疲れるのですよ)
全速力で飛びかかる、と、一瞬の早業でうさぎの首根っこを掴んでいた。

サマンサは満面の笑みで、うさぎの顔面を見つめる…久々のご馳走に有りつけそうだ。
まずは血抜きをして、それから皮を…そこである事実に気がつく。
「私としたことが…道具が無いではないですか」
肉食獣ではないのだから、そのまま丸齧りするわけにもいかない。
191保管庫:03/05/06 21:50 ID:CNOMQjrK
さて、どうしようか、と思案をめぐらすサマンサだったが、
と、そこで自分の足元からか細い声が聞こえてくる。。
そこには一匹の子うさぎがサマンサにすがりつくようにして鳴いていた。
「ふふ、捕まったのが私で、お前は幸運ですよ、それにいい子供を持ちましたね」

と、苦笑しながらサマンサは手にしたうさぎを解放し、パンを千切って投げてやる。
うさぎは少し驚いたような感じだったが、やがてパンを口にすると親子そろって茂みの中へと消えていった。
「ふふ…私としたことが柄でもない」

それから少し遅れて、
「今の何だったんだろ?皆どこいっちゃったんだろ?」
きょろきょろと周囲を不安げに見まわしてるのは、不運にも竜巻に飲みこまれたルーキーだった。
くんくんと鼻を動かし、匂いを嗅ぎ取ろうとしていたルーキーだが、と、そこで自分の視界を横切った
あるものに気がつく。

「うさぎだ(^^)」
空腹状態のルーキーにとってはそれはまたと無いご馳走だった。
ルーキーはブーメランを構えると、狙いをつけてそのまま投擲する、装着したスナイパーアイの効果か
いとも簡単にブーメランはうさぎ達に命中した。

ルーキーはスライム特有の捕食体型を取ると、そのまま気絶したうさぎ達を丸のみしようと迫っていく。
「いただきま〜す」
そして、今まさに親子もろとも丸飲みにしようとしたその瞬間、自分のすぐ近くに摩擦音、
見ると自分の真横に鋭い氷柱が突き刺さっている。
はっ、と周囲を見渡すルーキー、するとスナイパーアイ越しに魔術師風の女性が睨んでいるのが見えた。
192保管庫:03/05/06 21:52 ID:CNOMQjrK
その女性はさらに第二撃を放つ、それを辛くも避けるルーキー、距離が遠いので命拾いしたが、
これ以上近くに来られるとひとたまりも無いだろう。

「ど…どうして、どうして!?」
状況が飲みこめないまま、脱兎のごとく逃げ出したルーキーのすぐ背後からまた爆発音が響くが、
それには構わずひたすら北へと逃げるルーキーだった。

一方のサマンサにとっては、明確にルーキーを敵と認識して襲ったわけではない。
ただ、折角助けた命が自分の目の前で奪われるのが何となくもったいなかったという程度の理由でしかない
いずれにせよ魔物ならば放っておくわけにもいかないし、まさかスライムが参戦しているとも思えない。
ともかくサマンサもまた逃げるルーキーの後を追いかけていったのだが、
と、そこでサマンサは遠目ながらも、ルーキーの身体にしっかりと装着されている首輪を見つける。

「ほう…」
サマンサはそれを見て。追撃のスピードを緩める。
首輪がある以上只のスライムとは思えない、ここは慎重にかからねば思わぬ痛手をこうむる可能性がある
「しかしどうしてあんなスライムを…」
少なからず疑問を感じながら、追跡を続けるサマンサだった。

【サマンサ:所持アイテム:勲章(重装備可能)星降る腕輪 手榴弾×1 
 現在位置:現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地、雪原との境界線付近
 行動方針:第一行動方針:ルーキーを追う
      第二行動方針:神殿に向かう
      第三行動方針:生き残る】

【ルーキー 所持品:スナイパーアイ ブーメラン/現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地、
 雪原との境界線付近から北へ
 第一行動方針:逃げる
 第二行動方針:クーパー、ライアン、パパスとの合流】
193もんた:03/05/08 20:27 ID:M2kQnDfz

 〜    ∧_∧___     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      (´∀` ) / |    あなたの人生を変えるかもしれない,クイズ・ミリモネア。
  ~ ⊂ へ  ∩)/ .|     \_____ まずは10,000モナーからです。
   i'''(_) i'''i ̄,,,,,,/
    ̄ (_)|| ̄ ̄

188、正解!

それでは第2問
 「FFDQバトルロワイヤル」とは何のスレか?
 A:リレー小説
 B:あらしスレ
 C:保守スレ
 D:みのもんたへの批判スレ
194デュランダール名無しさん:03/05/08 22:39 ID:j1mwJ40j
Dです。
>>193のHNを見た瞬間気付きました
195保管庫:03/05/09 00:59 ID:ImEu0Uk/
岩山を左手に見、何一つさえぎるものの無い砂の海の中。
その小さな身体を必死で動かし、なんとか逃れようとするルーキー、
追跡者の気配は、多少遠くなっているとはいえ、未だに距離を置いてこちらへと向かっている。
砂塵の中、姿こそ見えないが、ルーキーは自分の背後の気配を確実に捉えていた。
(姿を消してついてきている…どうしよう)
戦うか…だがそれは最後の手段だ、今は逃げられるだけ逃げよう。

砂漠を西に抜けると、また再び雪をかぶった山岳地帯に入る、雪をかき分け必死で進んでいくと、
前方に人影が見える、緑の髪の女性だ。
「助け…」
ルーキーは全速力でその人影の方へと走る、そしてあと10メートルほどの距離になったその時、
緑の髪の少女の横から、とんがりヘアの少年が彼女をかばうように飛び出し、
ルーキーへと体当たりを仕掛ける。

「話を聞いて!ぼくは…」
しかしその少年は、ルーキーの言葉には耳を貸すことなく呪文を紡ぎ出す。
「メラ!」
避ける間もなく、ルーキーの身体は炎に包まれる。
「ちょ、ちょっと話を聞いてよ」
無論メラ程度、今のルーキーなら充分が耐えることは出来るが、
無情にも少年の抜き放った刃が、弁解しようとしていたルーキーの身体を両断する、
まさに問答無用の一撃だった。

ルーキーの不運は、北に逃げてしまったことだった、南に向かいテリーやソロたちに出会えれば、
まだ助かる可能性はあっただろう。
ある程度モンスターたちとの共存が可能だったソロやテリー、クーパーたちの時代と違い、
アルスの生きていた時代は全てのモンスターが等しく脅威であった時代、
彼にとってはモンスターは全て敵という概念でしか存在しないし、それ以外の選択の余地もないのである。
196保管庫:03/05/09 01:02 ID:ImEu0Uk/
ともかくそんな事情を今のルーキーが理解できるはずもなく。
「ぼくは…ぼくは…悪いスライムなんかじゃ…ないのにぃ〜〜」
そんな嘆きを声に出す事すら出来ず、彼は真っ二つになり、息絶えたのであった。

当のアルスは当然のことをしたとばかりに、けろりとしている。
突然の事態に対処できず、目を白黒させているティナに微笑みながら説明までしている。
「魔物がティナさんを襲おうとしていたから、でも大丈夫、倒したから」

それからしばらくして座を離れていたエドガーが戻ってくるが、
彼は手にしたレミラーマの杖を見ながら、いぶかしげな表情をしている。
「どうしたんですか?」
「いや…さっき杖に反応があったような気がしてな」
「それだったら多分、これのことじゃないかなぁ?」
アルスはエドガーの足元へ、ずたずたになったルーキーの死骸を転がす。
「ほら、首輪がある、多分ゾーマが参加者として送りこんできた魔物だと思う」

「確かに…スナイパーアイまで持っているところを見ると、こいつはゲームを動かすために送りこまれた
 サクラの内の1匹かもしれないな」
エドガーもしたり顔で頷く、自分の息のかかった者をゲームを動かす駒として送りこむ…常套手段の一つだ。
「それより、何とか野営できそうな場所を見つけてきたぞ、結局こんな南まで来てしまったが
 とりあえずこれで落ち着く事ができるな」
エドガーとは正反対にティナは未だに暗い表情をしている、テリーのことが気にかかっているのだ。

そんなティナを気遣ってか、エドガーがそっとティナの肩に手をやる。
「今はテリーのことは忘れるんだ…大丈夫」
その言葉に安堵したかのようにティナはエドガーを見つめる、エドガーもそれに応じてわずかに微笑む、
197保管庫:03/05/09 01:02 ID:ImEu0Uk/
彼もまた信じていた、テリーは決して憎しみに囚われたまま終わるような少年ではないと、
ただ忘れるには、時間が充分ではないだけだ。
「バーバラに賭けてみよう、我々はすっかり嫌われてしまったからな」
こうして色々と心残りはあれど、3人はひとまずその場を離れた。


そんな彼らの後ろ姿をはるか後方の物陰からしっかり見ていた人物がいる、そう、サマンサだ。
彼女はアルスの姿を確認するやいなや、とっさに後退した。
彼らの持っている対人感知の杖にひっかからなかったのもそのためだ、いかにレムオルで姿を隠していても
レミラーマをごまかすのは不可能である。

「あれは…まさかアルスさんが持っていたなんて」
一瞬だったがそれでもサマンサはアルスが紐を通して胸にぶら下げている、
黄金の腕輪を見逃してはいなかった。

今すぐ確保したいところだが…どうする?
工場内での経緯はあれどアルス1人ならば、なんとか説得はできるかもしれない、
だがアルスの回りに何人か仲間がいるのが見える。
「今、仕掛けるのは無謀の極みですね」
腕輪が目の前にあるというのに…口惜しさに歯噛みするサマンサだったが、
そこはそれ、すぐに思考を切り換える。

そう、考え様によってはこれほど預けておいて安全な相手はいないのだ。
他に腕輪を狙う勢力があったとしても、また彼自身を狙っていたとしても、
勇者である彼を倒す事は容易な事ではないだろう。
198保管庫:03/05/09 01:03 ID:ImEu0Uk/
とりあえずピサロとの合流を待って、それから奪うか泳がせるかを決めればいい。
ここで接近するのは止めたほうがいいだろう。
と、気を取りなおしたサマンサは足跡を残さないよう慎重にその場から離れた。

【アルス/ティナ/エドガー:所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード
 チキンナイフ/ボウガン&天空の鎧(装備不可)スナイパーアイ ブーメラン 
 現在位置:ロンダルキア中央砂漠西山地 
 第一行動方針:野営
 第二行動方針:仲間を探す】
(とりあえず朝までは野営地点からは動かないでしょう)

【サマンサ:所持アイテム:勲章(重装備可能)星降る腕輪 手榴弾×1
 現在位置:現在位置:ロンダルキア中央砂漠西山地
 行動方針:第一行動方針:神殿に向かう
      第二行動方針:ピサロと合流
      第三行動方針:生き残る】


【ルーキー:死亡】 残り50人
199保管庫:03/05/09 01:05 ID:ImEu0Uk/
「何処にいくのかしら?」
バーバラは移動を開始したテリーとソロの後をこっそりと尾けている。
身を隠すものが少ない雪原である、自然と距離も離れていかざるをえない。
そんな不利な状況の中、粘り強く尾行を続けるバーバラだったが、少し集中しすぎたようだ。

だからバーバラは気がつくのが遅れた、自分の足下の違和感に、みしみしっという嫌な音に
気がついた時には手遅れだった。
「クレバス!しまった」
雪原において最も注意を払わねばならぬもの、それは何といってもクレバスだ。

表面に薄く雪や氷を張ったクレバスは、不注意な冒険者たちを奈落へ飲みこもうとその顎を開いて
雪原の至るところで待ちうけている。
幸い張った氷がそこそこ厚かったおかげで、ソロとテリーは通過できたが、
氷はバーバラの体重を支えられるほどには厚くなかったのである。

それでも落下の瞬間、とっさに短剣を壁に突きたてて、バーバラは転落を防ぐ。
下を見るとどこまでも続くのではないだろうかと思うほどの暗闇が口をあけている
バーバラは下を見ないよう心がけながらゆっくりと壁をよじ登っていく
幸いにも足場がしっかりしていたので、登るのはそれほど難しくはなかった。

こうしてようやくクレバスから命からがらぬけだすことができたバーバラだったが
一難去ってまた一難、先程の音に気がついたのか、彼女の目前にテリーとソロが戻ってきたのだった。

しばしにらみ合う3人だったが、すぐにテリーの口から恐るべき言葉が飛び出す。

「ねぇ、ソロ!さっき言ってたよね、勇者は悪い奴をやっつけるのが使命だって
 だったらコイツを殺してよ!コイツは僕の大切な人の仇の仲間なんだ!」 
200保管庫:03/05/09 01:05 ID:ImEu0Uk/
「て…テリーあんた何て事を…」
その凄まじいまでの憎悪の言葉にバーバラは返す言葉もなく絶句するしかなかった。
思わず後ずさろうとしたが、背後はクレバスが口をあけて待っている…逃げることは出来ない。

そしてソロはテリーの言葉を聞いても、未だ微動だにしない、
ただし、その表情は眼帯によって塞がれており、容易に伺い知ることは出来なかった。


【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
 行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】

【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:エンハンスソード、イリーナの会員証、スーツケース核爆弾
 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
 最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)

【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー 
 中央西よりの山地の南にある平原 行動方針:テリーを救う】
201保管庫:03/05/10 03:10 ID:HJ22FqSk
「なんだよそりゃ!アンタ助けることができるんだろ!みすみす見捨てるのかよ!」
ジタンの訴えにデスピサロは不機嫌に言い返す。
「確認しておく…お前の成すべき事はなんだ?」

「そりゃ魔法使いを集めて、ここからみんなで脱出することだろ」
「それはこの娘を守りながらでも出来るような甘い役目なのか?」
「けどよ、助けられるのなら助けるのが俺達の役目だろう!」

「私はこのばかげた企みを潰す、という目的でお前に協力している…人助けのためではない」
その発言はジタンにとっては予想外だった、絶句するジタンにデスピサロは続ける。
「我々のやろうとしている事はいわばゾーマたちに堂々と反旗を翻す事に他ならない、
 露見すれば妨害もあるだろう、まして失敗は許されないことだ、救うか、戦うか…
 二兎を追えるほど状況は甘くはないぞ」

そうだ…いかに強くとも権力があろうとも自分はロザリー1人守る事が出来なかった。
本当に大切な…守らねばならぬものが何かを分かっていながら。
だからこそ全てを救おうなどと、臆面も無く口に出せるジタンが腹立たしかった。

口篭もるジタンにデスピサロはさらに追い討ちをかける。
「命を軽々しく考えるな、お前は最後まで……」

「守れる!いや守ってみせる!もう自分の目の前で誰かが死んでいくのは見たくないんだ!
 使命も必ず果たす!だから頼む!この娘を救ってくれ!」
ジタンの脊髄反射に等しい速度の返答に、やや面食らったデスピサロだが、
しばしジタンの顔を見つめて言葉を返す。
「いいだろう…だが条件がある」

「ならば何が何でもその娘を守りぬけ、いかなる理由があれど見捨てることは許さん、
 もしお前がその娘を見捨てたその時、私はお前を討つ…」
202保管庫:03/05/10 03:11 ID:HJ22FqSk
もちろんデスピサロも単純にジタンの言葉を信じたわけではない。
結局、ジタンのような相手には言って聞かせるだけ無駄なのだ、今後も同じようにトラブルに自分から
首を突っ込みまくるだろう、だが守らねばならぬもの、という形で目に見える枷をつけてやれば、
自然、自重することになるだろう。

だが、必死で訴えるジタンの瞳の輝きに賭けてみたいと思ったことも事実だ。
ジタンが頷いたのを見て、デスピサロもしたり顔で頷く。
「いい覚悟だ、どこまで出来るのか、しかと見届けさせてもらおう…私を後悔させるな」


【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:祠の湖南の森】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:祠の湖南の森】
第1行動方針:リディアを救う、魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出

【リディア(気絶中)所持品:なし 現在位置:祠の湖南の森
第一行動方針:?
第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
203保管庫:03/05/11 02:25 ID:/Z9M7bwS
雄叫びとも悲鳴ともつかぬ咆哮を上げながら、アグリアスは走った。
返り血に濡れ、怒りに顔を歪ませ――その鬼女のごとき風貌に臆したのか、
ヘンリーは棒立ちになったまま動かない。
その胸めがけ、アグリアスの手に握られたマンイーターの刃が閃く。
もう、自分でもなぜこのようなことをするのかわかっていない。
ただ、彼女の中で1つの感情だけが駆け巡っていた。
それは、ヘンリーへの憎悪と殺意。
「誇りを踏みにじった報い、その血で贖え!」
アグリアスは狂気じみた叫びとともに、短剣を振り下ろした。

「!?」
しかし、確実に心臓を貫いたはずの剣先は、何の手応えも伝えなかった。
それどころか、目の前に立っていたはずのヘンリーは、煙のように消え失せていた。
狼狽を隠しきれずに、アグリアスはヘンリーの姿を捜し求める。
そして、その声は背後から聞こえた。
「イオ!」
「!!」
アグリアスが振り向くよりも速く、爆発が彼女の体を吹き飛ばす。
張り詰めた糸がぷつりと切れるかのように、
限界に達していた彼女の意識は、呆気なく閃光の中に沈んだ。
204保管庫:03/05/11 02:25 ID:/Z9M7bwS
「この程度の幻影に引っ掛かるなんてな……買い被りすぎてたか?」
ヘンリーは、気絶したアグリアスを見下ろしながら呟いた。
種明かしをすれば、何のことはない。
アグリアスとリバスト、二人が鍔競り合っている時に呪文を唱えておいただけだ。
魔力の霧に幻影を映し出し惑わせる、マヌーサの呪文を。
いくらなんでも、危機が迫っている時に何の手だても打たないほど、彼は愚かではない。
だが、ここまで効果があるとは思っていなかった。
半ば呆れたような口ぶりは、そのせいだ。

「なんにしろ、お前の実力はけっこう評価していたんだが……残念だ」
この言葉は本心だった。
先刻の剣さばきを見るに、相当の訓練を積んだのだろう。
ヘンリーの腕前では到底勝ち目などないし、もちろん生半な剣士では足元にも及ぶまい。
単に、今回は相手が悪すぎただけで――
それにしたって、騎士道などにこだわらず、魔法を織り交ぜて戦っていれば
勝っていたのは彼女の方だったろう。
言い換えれば、それがアグリアスの最大の欠点だということだ。
騎士としてのプライドの高さゆえ、相手の弱みをつくことができない。
プライドを貶められた時、感情を抑えきることができない。
それでも相手に打ち勝てたのなら、まだ話は別だったのだが。
205保管庫:03/05/11 02:27 ID:/Z9M7bwS
「騎士にはなれない、誇りも捨てられない、
半端な役立たずをいつまでも仲間にしとくほど、俺に余裕は無いんでね」
ヘンリーは言いながら斧を振りかぶった。
アグリアスは目を覚ます様子が無い。
このまま彼女の命を絶とうとした、まさにその時。
ふと、最初に説明されたルールがヘンリーの頭の中に浮かんだ。

『24時間以内に一人も死ななかった場合、全員の首輪が爆発する』

リバストが死んだのはたった今だ。
アグリアスを生かしておく気などさらさらないが、
見えないタイムリミットのことを考えれば、今すぐ殺してしまうのは得策ではない。
何せ開始から二日半が経過するというのに、まだ半数近くも生き残りがいるのだから。
万一のことを考えれば、猶予は長い方がいい。
「そうだな……騎士なら、最期ぐらい役に立ってもらわないとな」

数分後。ヘンリーは悠々と戦場を後にしていた。
アグリアスに止めは刺していない。マンイーターも残してきた。
九割方眠ったまま死ぬとは思うが、運良く目覚めることもあるだろう。
その時に生き残ることができるように……というわけではない。
あの短剣は、食料もランプも全て奪われたことに気付いたアグリアスに、
自ら死を選ばせるために残してきたのだから……
206保管庫:03/05/11 02:30 ID:j9qqIZOZ
【ヘンリー 食料多、支給ランプ×2(リバスト・アグリアスから回収)
所持武器:ミスリルアクス イオの書×2 スリングショット まどろみの剣 なべのふた
現在位置:大陸中央北西の湖よりの森
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:マリアの元へ逝く】
【アグリアス(負傷・気絶、朝まで放置されれば凍死確定) 食料0・ランプ使用不可
ジョブ:ホーリーナイト スキル:時魔法  所持武器:マンイーター
現在位置:大陸中央北西の湖よりの森
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:ティファを倒す
最終行動方針:元の世界に帰還する】
ざくざくとクーパーは自分の足元の雪を手にした棒でつついていく、まったく手応えが無い…。
「だめだ、バッツ兄ちゃん…ここもクレバスだよ」
「そうか…」
2人の足取りは遅々として進まない。
東に向かった二人を待ちうけていたもの…それは無数のクレバスとアイスバーン。
それを避けて進んでいる間に2人は道に迷いつつあった。

かなりの長い時間が経過しているにも関わらず、
直線距離にしてわずか数百メートルも進んでいないのがもどかしくてならない。
ちなみに彼らは知る由もなかったが、エドガーたちが結局南に向かわざるを得なかったのも、
実はそのためだったりする。

「戻ろう…これ以上はとてもじゃないけど進めないよ」
疲れ果て地面にへたり込んだクーパーが提案する。
これ以上進めば日が暮れる、日が暮れる前に何とか野営の出来る場所を見つけなければ…、
「あの時引き返していれば…」
申し訳無さ気に頭を下げるクーパーをバッツは慰める。
「気にすんなよ、仕方が無いさ」
そう言って引き返そうとしたバッツだったがその時、足元が不意に滑った。

慌ててクーパーへと手を伸ばすがわずかに遅い。
「う!うわぁぁぁぁぁ!」
ごろごろと氷壁を滑り落ちていくバッツ、転落しながらも必死で体勢を立て直そうとするが
なかなか上手く行かない、ならばブレイブブレイドを氷に突きたてて、滑り止めにしようとするが
刃は氷の上で火花を散らすのみで刺さってはくれない。
「だったら…ちくしょう、ファイア!」

バッツの声と同時に剣が赤く輝き、同時にしゅうしゅうと音を立てて氷が溶けて行く。
さらにバッツは両手で剣を握り、両足に力を込めて渾身の力で踏ん張っていく、
やがてがきんっという鈍い音と同時にようやくバッツの身体は停止する、炎が氷を溶かし、
刃が元の岩肌に突き刺さったのだ。
208保管庫:03/05/12 02:25 ID:E0GyJdRD
ようやく一息つけたバッツはそろそろと下を覗きこむ…地面は自分の遥か下だ。
さらにその時剣が滑り、またバッツの身体が谷底へ滑っていく。

結局、それからしばらくしてクーパーがロープを上から投げてくれるまでの間、バッツは身動き一つ出来なかった。
こうして命からがら救出されたバッツだったが、その時にはすでに日は沈みつつあった。
「よかった、バッツ兄ちゃん本当によかった」
救出の喜びを隠そうともせず、バッツにすがりつくクーパー、だがバッツは喜んでばかりもいられなかった。
「ああ…だけど困った事になってしまった」
「?」
「俺の荷物は全部谷底だ、したがって食料は全部パーだ」
荷物を分けていたのが裏目に出た、先頭を行くクーパーをなるだけ身軽にするために、
彼には地図等の最低限の装備のみを持たせて、残りの食料などは全部自分が抱えることにしたのだが
自分がそれを失ってしまったのでは話にならない。

さっきとは逆にうなだれるバッツをクーパーが励ます。
「とにかく戻ろう…今ならまだ安全な場所までは帰れると思うから」

【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
 所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:ロンタルギアの中央北西の山地
 第一行動方針:安全圏まで引き返す
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
(バッツは武器以外の荷物を全て、それから食料は2人共通で全て失っています)
209保管庫:03/05/12 02:26 ID:E0GyJdRD
「御主ら、どういう要件かな。こちらも食事中なので手短かにお願いしたい」
ライアンは手掴みで魚の切り身のようなものを口の中に放り込んだ。動じている気配はない。
今や目の前に姿を晒すことになったマリベル達は、その言葉に虚を突かれ、何も言い出せない。

沈黙を破りティーダがそっと囁いた。
「……もう思い切って、どうっスか?」
この戦士の落ち着き払った態度を見て、
どうもこうもなく、できるならばやってみればいいと思うマリベル。
「いいわよ、でもあんたが言ってよ」
「はい、はい。言い出しっぺっスからね」
呑気に思えるような会話ができるのも、相手がゆったりとした度量のある人間に見えるからだ。

ティーダはゆっくりとライアンの前に歩み寄る。
食事の手を止めライアンは真っ直ぐに前を見た。
「別に何もせんよ。お主達がどういう者かわかりかねるので、警戒はしているが」
そう言われて次の言葉に詰まるんじゃないかとマリベルはハラハラする。しかし
「オレたちの仲間になってほしいっス。」

ティーダが意外とあっさり言ってのけるのでマリベルは妙に感心した。
こういうときはストレートに言った方が伝わりやすいものだと自分で納得した。
マリベルは追撃を試みた。
「私たちはこのゲーム最大の難敵を倒そうと仲間を集めてるの。
 一人一人じゃとても勝ち目はないけれど、力をあわせればきっと勝てる。
 あなたのような強そうな戦士が加わってくれたらどんなに心強いかって……ねえ」
210保管庫:03/05/12 02:33 ID:LNzzC56z
「オレに振ってもしょうがないッス!!」
ティーダが口に手を当てながらマリベルに抗議するような視線を送る。
「そうか、では参ろう」
ライアンは食べ残しの食料を整理し、すっと立ち上がった。「他に仲間はいるのか?」と二人に聞いた。
「え?」
きょとんとしてじっとライアンを見つめるティーダ。
「まさか、いいの?」
マリベルが手を合わせながら心の中で小躍りした。
ライアンが頷いたのでマリバルは快哉を叫んだ

展開が速すぎてティーダはまだ喜びを顔に出せない。
「やけにあっさりしてるッス……」

【ライアン 所持武器:大地のハンマー
 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
 第一行動方針:食事&休憩
 第二行動方針:はぐれた仲間を探す
 第三行動方針:ホイミンの安否を確かめる
 (正午の放送を聞き逃しています。放送回数が増えたことも知りません)】
【マリベル/ティーダ 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
 所持武器:エドガーのメモ/いかづちの杖・参加者リスト
 第一行動方針:仲間を集める、
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
211千乃代表:03/05/14 22:18 ID:Tq5cFVVg
白装束VSマスコミの仁義なき戦いは続く…
 by ぱなうぇーぶ
212ななしッ子:03/05/15 17:48 ID:Q6Q2yXik
これでもやっておちつこうや
http://www.v-gene.com/rescue/otatataki/otatataki.cgi
「何が勇者よ!あんただってレナ姉ちゃんを殺したじゃないの!」
「人殺しの仲間なんだろ!殺されて当然じゃないか!」
バーバラとソロの舌戦が続く中、ソロの様子がおかしい。

震える手で剣を構えてはいるものの、ゆらゆらと姿勢が安定せず、心ここにあらずと、
いった感じだ。
さらにバーバラの口撃は続く。
「人殺しはそっちでしょう!レナ姉ちゃんは何にも悪い事してないのに!最低よ!」
その一言でソロは崩れた。

「ああああっ〜わあああああ」
剣こそ手放さなかったが、その場にへたりこみ泣きじゃくるソロ。
それを見てすかさず動こうとしたバーバラだが、テリーがソロをかばうように立ちはだかる。

今、攻撃すればソロを倒すことは出来るかもしれない…しかし魔法を使えばテリーにも当たってしまう。
「どうしたんだよ!早くやっつけてよ!」
なら強引にテリーをあいつから引き離すか、いやそれもこの状況では難しい。
下手に格闘戦を挑んでも、結局テリーに手傷をおわせてしまう可能性が高い。
それに背後はクレバス…劣勢の場合の逃げ場は無い。
だったら…。

「出なおすしかないわね…今は」
結局、退くことを選択したバーバラ、だが背後はクレバスだ、どうする?
と、そこで彼女は意外な行動に出た、なんと彼女はバク転の容量でそのまま背後へとジャンプしたのだ。
しかし着地すべき地面は、はるか数百メートル下だ。と彼女がジャンプの頂点に達したときだった。

「イオラ!」
バーバラは前もって準備していた呪文を、ここぞとばかりに氷壁に叩きつける。爆発が起こり空中にいるバーバラの身体は木の葉のように宙を舞う、そう、爆発のエネルギーを利用してバーバラは強引にクレバスを飛び越えたのだ、
いや飛び越えるというより、弾き飛ばされたというべきであろうか。
こうして何とか窮地を脱したバーバラは、すり傷と打ち身の痛みに悶えながらも、なんとか起きあがる、
これで追いかけてこられれば終わりだ。
だが、どうやらその気配は存在しない、あきらめてくれたようだ。
214保管庫:03/05/16 01:46 ID:rkHiCsjv
しかしだからといって安心してもいられない、そう状況は以前とほとんど変わっていないのだ。
「どうしたらいいの…どうしたら…」
よろよろと歩きながら自問自答するバーバラ、その時、夕刻の放送が始まった。

一方、頭を抱え悲しげに唸っていたソロだったが、テリーの言葉でようやく我に返り始めていた。
「しっかりしてよ、勇者があんな悪い奴らの言葉を聞いてどうするんだよ」
「だけど…僕は取り返しのつかない事をしてしまったのかも…」

「ちがうよ、ソロは騙されているんだ、なんにも悪くなんか無いよ」
その言葉でソロは涙に濡れた顔を上げる。
「本当だね…僕は間違っていないよね?悪いのはあいつらなんだよね?」
テリーは意識していなかったが、そのやりとりは無垢な若者を洗脳する誘導尋問の響きがあった。
そしてその甘言は、不安定なソロの心にいとも容易く入りこんでいった。

「僕は、絶対に裏切ったりなんかするもんか!だから、いっしょに悪いやつらをやっつけようよ」
「うん…うん」
未だに見えぬ瞳からぽろぽろと涙を流し、テリーにすがりつくソロ。
「僕は絶対に勇者でなくっちゃいけないんだ…、正しくなくっちゃいけないんだ…
 だってそれが僕の全てだから…勇者じゃない僕なんて、僕じゃないんだ」
ぶつぶつと呟き続けるソロ、そんな彼の髪を撫でてやりながらテリーも囁く。
「安心していいよ…僕がそばにいるから」

【テリー所持武器:なし 現在位置:中央西よりの山地の南にある平原
 行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】

【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:エンハンスソード、イリーナの会員証、スーツケース核爆弾
 現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地の南の平原
 第一行動方針:悪い奴を倒すor勇者になる 
 最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)】

【バーバラ(負傷):所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー 
 中央西よりの山地の南にある平原 行動方針:テリーを救う】
215名前が無い@ただの名無しのようだ:03/05/17 09:26 ID:Mz7fWgIZ
保守
216中山悟:03/05/17 09:43 ID:7d1s9kYc
  おかまに追いかけられる

あれは中学3年の頃。仲間達と遊んでたところ目の前には地元では有名なオカマバー。 当然好奇心旺盛な若人達は「オカマー!出てこーい!」の大合唱。 調子がでてきた時一人が「オカマー!悔しくないのかー!かかってこーい!」と叫びました。
その時、ガシャーン!!という大音響と共にバンと勢いよく開いたドアの向こうには、十数人の人だかりが! しかしどう見てもか弱い女の人…と思いきや!「てめえら逃がすな!!」僕らは逃げました! 自転車で全速力で。
しかしオカマは早い!早すぎた!僕は何とか助かりましたが友達はダメでした。死にました
              
やっちゃいけないこと
 「ぱなうぇーぶにスカラー電磁波」
ほ      し      ゅ
219保管庫:03/05/18 16:09 ID:ryadVrHY
夕暮れの空にキーンという耳障りなハウリングが響く。
さらにそれに続いて、バッ…バカ、ボリュームの調節がなって無いぞ、申し訳ございません、などと雑音が続く。
そしてまたしばらく沈黙、やがてごほんっと咳払いの音がし、放送は再開される。

「少々遅れてしまったが、これより放送を開始する」
その声は以前聞いたことのある…明らかにゾーマのものとは違う例の不愉快な声だった。

「今回犬死せしものは以下の8名!
「セーラ」「マゴット」「エッジ」「エビルプリースト」「リバスト」
「ピピン」「ルーキー」「フライヤ」 」

「そして禁止呪文は
 ミニマム・トード・カッパー・ブレイク、ポーキー・ゾンビー以上6つである
それからこれらの呪文と同じ効果の特技等も禁止である!」
その耳障りな声に耳を塞ぎたくなるのを必死で我慢している参加者たちを知ってか知らずか
声の主は上機嫌で放送をしめくくる。

「貴様らせいぜい励めよ、ゾーマ様はさらなる興奮をお求めだ、ガーッハッハッハッ、ごほっごほッ」


(これを持って日没とします)
220保管庫:03/05/18 21:54 ID:DWkgB8xH
ジタンはリデイアを背負い、デスピサロはまるで関係なさそうに先に進んだ。
ジタンは仕込み杖やグロックの調子を確かめて、不備がないことがわかると進みだした。
方向は北。湖沿いまで来たら西か東かどちらに行くか決める。

湖に着いたところでジタンは予め決めていたことを言う。
「まず、東……」
「東は駄目だ。西の方がいい」
ピサロがジタンの言葉を覆いかぶせるように否定した。
「何で?」

ピサロは答えず身を翻して歩いていってしまう。
ジタンも慌ててピサロを追う。
聞こうと想ったが、ピサロが一瞬見せた険しい表情に躊躇してしまった。
本当は、都合の悪いことでもあるのかと問いたかった。
まだ気の許せるような間柄ではないからだ。あの小島での戦闘はまだ記憶に新しい。
ぐっと唇を噛み締めてジタンは歩く。

雪明かりの中を西に歩き出すこと数分、目前に山脈地帯が広がっているところでピサロが立ち止まり
「話し声が聞こえる」
とジタンを振り返った。
「一人、二人…三人、いるな。準備しておけ」
「いや、何も聞こえないぞ」
ジタンも職業柄耳を鍛えているのだが、おぶっているリディアの呼吸音がするだけで
他に声など聞こえない。
第一視認できる距離に誰もいないのだから、喋り声が聞こえるはずがない。
「本当に聞こえたのかよ、気のせいじゃ」
と、
221保管庫:03/05/18 21:54 ID:DWkgB8xH
ピサロの言ったことは本当だった。
ジタンは山の斜面を下ってくる人影を発見して、ピサロの地獄耳に舌を巻いた。
(熟練の盗賊でもこんな真似できるかどうか……)
ピサロの顔をじっと眺めてみる。
ピンと尖った耳はウサギのそれに似ていた。
なんだか普通の人間とは違う仕組みでできている耳のような気がした。

山を降りてきたのは確かに三人。
マリベル、ティーダにライアンを加えた一行だった。

【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:祠の湖南の森】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:祠の湖南の森】
第1行動方針:リディアを救う、魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出

【リディア(気絶中)所持品:なし 現在位置:祠の湖南の森
第一行動方針:?
第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
222保管庫:03/05/20 01:35 ID:6Ix42TIU
「う…」
覚醒したセシルはぐらぐらと揺れる視界に、少し吐き気を覚えながらゆっくりと身体を起こそうとする。
何があったのかは思い出したくも無い、しかし少なくとも気絶したおかげで、
決定的なそれを喰らうことはなかったらしい。
ふぅ…と安堵の溜息を漏らすセシル。

ともかく脱出せねば、しかしセシルの身体は今まで見た事も無いような特殊な縛り方によって
拘束されている。まずは縄を解かねば話にならない。
と、そこで初めてセシルは自分が屋外ではなく洞窟の中にいることを知る。
洞窟の中はランプで照らされており、また自分から少し離れた場所には、
薪をくべた竈のようなものもあり、そこでまた新たな発見、
自分の枕元に手紙が置かれている。
そこには放送の内容に加えて、あの覆面男の綴ったものであるらしい文章が書き記されていた。


  気がついただろうか?
  君には大変申し訳ない事をしたと思っている…しかし一言弁明させて貰えるならば、
  私は病気なのだ、発作が起きてしまえば、自分で自分を収える事が出来なくなり、
  内なる欲望のままにふるまってしまう、結果、不快な思いをさせてしまい
  すまないと思っている。

  さて、君についての処遇だが。
  君を殺し、後顧の憂いを絶つのも一つの手ではあるが、
  あのような形での決着は私も望むところではない。
  君を説得する事も考えたが、それは私ではなく、他の誰かの役目だろうし、
  私の言葉など、いまさら君は聞く耳を持たぬだろう。
  だから、あえて今回は君を見逃す。
  しかし、タダで見逃すわけにもいかない、不本意な形とはいえ、君が私に敗れたのもまた事実。
  ゆえに、君の身体を縄で厳重に縛らせてもらった。
  君の背後の壁を見るがいい。
そこでセシルは縛られた身体をぎくしゃくと動かし、振り向くと洞窟の壁にブラッドソードが
突き刺さっているのが見える。

  それを使えば縄を切ることも出来るだろう、ただしあの場所まで行きつくのも、
  今の君にとっては容易な事ではないはずだが。
  そして不運にも君が縄から抜け出せぬまま、他の何者かの手にかかったとしても、
  それは君自身の武運が尽きたまでのこと、私の預かり知るところではない。
  
  それからよしんば早々に縄を解く事が出来ても、私を追うのは諦めた方がいい。
  私にはここよりも遥かに過酷な環境下で長年戦い抜いた、知識と経験がある。
  年齢から察するに、君程度の経験では私の足元にも及ばないだろう、寒さに凍え、
  無駄に命を散らすのが落ちというものだ。
  悪い事は言わない、ここに朝までとどまり身体を休めることだ、君の所持品も
  ここに残しておくし、食料と薪も分けておこう。
 
  そして願わくば君が真に倒さねばならぬ巨悪の存在を思いだし、
  正道に立ち戻ってくれることを切に願わん。
                              オルテガ

「ご丁寧な…ことだな」
皮肉気にセシルは唇を歪める、だか手紙の内容そのものには好感が持てた。
ここで長々と説教でもされていれば、彼は決してオルテガを許さなかっただろう。

ともかく縄を切らねば話にならない、ここで倒れるようなことになれば
目的を果たせないばかりか、自分の奪った命まで無駄になる。
そう、彼はすでにかけがえの無い仲間までも殺めているのだ、もう立ち止まるわけにはいかない。

セシルは瀕死の芋虫のような無様な姿で、洞窟の床を這いずっていった。 
224保管庫:03/05/20 01:37 ID:6Ix42TIU
【セシル(拘束状態) 所持武器:なし
  現在位置: 大陸北部山脈・西の湖近くの洞窟
  第一行動方針 縄を解く(休息するか・外に出るかはお任せします)
  第二行動方針 参加者を殺す(ハーゴンorエドガーを最優先ただし遭遇すれば他のキャラでも殺す 】
  第三行動方針 勝ち残る】

(暗黒騎士の鎧 ブラッドソード 源氏の兜 リフレクトリング 弓矢(手製)ギガスマッシャー
 それから分けてもらった食料と燃料は洞窟内部に放置されています)

【オルテガ 所持武器:危ない水着 グレートソード 覆面 水鉄砲 
 現在位置:大陸北部山脈・西の湖周辺 
 第一行動方針:アルスを探す
 第二行動方針:不明
 最終行動方針:未定】
225ほかんこ:03/05/20 01:42 ID:b8vXI3be
(奴め…ここが年貢の納め時だったようだな、しかし出来ることなら我が手で討ち取りたかったが)
エビルプリーストの死を知った、デスピサロは表情を変えることもなく、じっと前方の薄闇を凝視している。

そのままピサロは3人の話し声に耳を傾けつつ、ジタンの様子を確認する。
ジタンはリディアをかばうように自分の後方に位置を変えている、それは戦うためではなく、
退くための準備だ、それを見てデスピサロは目を細める。
(まずは合格だな)
やはり”守るべき物”を与えたのは正解だったようだ。

そのまま沈黙が続くが、それに耐えられなかったのかジタンが背後から声をかける。
「なぁ、あんたもしかすると人間じゃないだろ?」
「だったらどうする?」
答える口調は明らかに不快感がにじみ出ていた、が、ジタンはそれには気がつかず続ける。

「いや別に、俺の住んでる世界では鼠人間や鳥人間も普通に暮らしてたからね、珍しくも無いよ」
「そうか…」
この返答に関してのデスピサロの口調には、ややうらやましげな響きがあったのは気のせいだろうか?
「なぁ…改めて聞くけど、なんで協力する気になったんだ?」
「単純に可能性の高い方に賭けた、それだけだ、それに舟に乗るなら早いほうがいい」
「舟?どういう例えだよ」

「残酷なようだが箱舟の定員は決まっている、それも早いもの勝ちだ、全員というわけにはいくまい」
デスピサロの残酷な宣告に少したじろいだジタンだったが、
考えて見ればいくらなんでもそれほど上手く事が運ぶわけが無いし、さすがにこの辺については妥協せざるを得ない。
(自分の中の優先順位をしっかりと把握しろ、情に流されるな…でなければ本当に大切なものを
 失う事になる…さっきアンタはそう言いたかったんだな)

自分の腕の中で未だに気を失ったままのリディアをジタンは見つめる。
デスピサロの言う考えに照らし合わせるなら、自分は間違った選択をしてしまったのかもしれない。
だがそれでも、最終的に自分に折れるような形でデスピサロは彼女を救ってくれた。
彼の真意は見えないが、おそらく他に考えがあるのだろう、善意だけとは思えない、
しかし少なくともこれは男同士の誓いなのだからだから、今はこの子を精一杯守りぬくことにしよう。

「それに戦うにしても、私1人で全員を相手にはできん」
「へぇ、あんたでも勝てない相手はいるのか」
からかうような口調のジタンに苦笑しつつデスピサロは続ける。

「評価してくれるのはうれしいが、世界の広さをいまさらながら痛感した…
 それに私を殺したくって、うずうずしている奴も心当たりがあるしな」
そこで一端言葉を切って、デスピサロは薄暗くなってきた空を見上げる。

(ソロよ、お前はいま何をしている…私を討ちたいなら早く来い…むざむざ討たれるつもりはないが
 お前ならば仕方が無い、私もまた、お前の全てを奪ったのだから)

「だから助かる可能性の高い方に賭けた、しかし賭けに破れれば戦うしかあるまい…私は間違っているか?」
「それは…」

「まして私には戻らねばならぬワケがある…」
愛しい妻、そしておそらく帰りを待ちわびているだろう家臣たち、瞳を閉じるとそれらの姿が瞼の裏に、
浮かんでは消える。
「安心しろ、儀式とやらがどう転ぶか、それまでは仲間でいてやるし、もし戦うにしても、
 出来るだけ後回しにしてやる、感謝しろ」
「感謝ぁ!?期待しているような言いぐさじゃないだろ」
と、そこでデスピサロは手を広げてジタンを制する。
「静かにしろ」
前方の3人が、なにやらもめ始めているようだ。
227ほかんこ:03/05/20 01:48 ID:b8vXI3be
その3人、ライアンたちが何でもめているかといえば。
「どうしてもワシには信じられないでござる」
道中、これまでのお互いの経緯を話していた3人であったが、ソロの暴挙をティーダから聞いた、
ライアンは悲痛な表情で考え込んでいた。
ホイミンの死も彼にとっては衝撃だったが、ソロの愚挙はさらに彼を打ちのめしていた。
最初は何かの間違い、あるいは自分たちの仲を引き裂こうとする何者かの謀略だと思ったが、
ティーダの話を細部にわたって聞けば聞くほど、ソロ本人である可能性は疑い様も無くなっていた。

やがてライアンは、伏せ目がちにやや顔を傾け、小声で2人へと告げる。
「すまんが、他に用事が出来たでござる、どうしてもソロ殿に会い、真実を突きとめねばならぬ」
「そのデスピサロって奴に騙されているとか、操られているとかってことは無いの?」

マリベルの質問にライアンは即座に首を振る。
「デスピサ…いやピサロ殿は確かに我らとは敵同士ではござったが、正面から戦いを挑む事はあっても
 他人を弄るような真似は決してしないはずでござる」

その言葉を聞いて、ティーダが手に持ったリストの写真を見る。
そこには整った顔立ちの男が掲載されている、玉座の間と工場で出会った男だ。
考えて見れば仕掛けたのはやはり自分たちの方だったし、2度目は彼の方から逃げたのだ。
これでは乗ったのは、どちらなのか分からない。

ライアンはデスピサロがパーティーに加わったとき、殺されたから殺す、殺したから殺される。
そんな愚かしい魔族との間の憎悪の連鎖を、断ち切るいい機会だという思いがあった。

だからこそ、いわば呉越同舟のパーティ内で、トルネコらと共に
彼はデスピサロを擁護する立場を取ったのだ。

アリーナやマーニャ、ブライらのように敵意を露にするものの説得は困難を極めた。
特にブライの教育の賜物か、アリーナの魔族嫌いは相当なもので、その説得にはかなりの苦労を要した。
ブライの説得を担当したクリフトは破門寸前まで追い詰められたらしいが…
(いい魔族は滅んだ魔族だけ…ブライの口癖でござったな)
彼らの奔走が無ければピサロは決して受け入れられることは無かっただろう。
228ほかんこ:03/05/20 01:53 ID:3YQ1arxm
そんな動きを静観していたソロも内面は面白くはなかったに違いない、
いや潜在的な恨みは仲間たちの中では1番強いはず、立場を考えて黙って受け入れただけに過ぎない。
何かの拍子にそれら蓄積されていた憎悪が爆発し暴走した可能性も考えられる。
勇者といってもまだ十代半ばの少年なのである。

ならば何としてもソロに会わねばならない、それは自分の役目だ。
感情に流されがちなアリーナには荷が重すぎるように思えたし、
それに何より若者を導くのは、自分たち大人の役目であるはずだ。

「すまぬ…1度仲間になることを約束しておきながら、道を違えることになってしまい」
「そういう事情なら仕方ないわよ、でも銀髪の男を見かけたら絶対に戦っちゃ駄目よ、すぐに逃げて」
「そして、もし他の人に出会ったらこのことを伝えて欲しいッス」
「まだあるわ、それから…」

マリベルはリストの余白を破くとそこにメモの内容を書き写し、ライアンに手渡す。
「セフィロスのことを教えるついでに、これも見せてほしいの、脱出の手がかりになるかもしれないから」
「心得たでござる…それから」
と、そこでライアンは2人の前に跪くと、両手をついて頭を下げる。

「いかに詫びても詫び様が無い事は承知でござる…だが恥を忍んでお願いもうす
 どうかワシに免じてソロ殿を許して頂けぬものか、この通りでござる」

「許すも許さないも私は当事者じゃないし」
マリベルはライアンの行為にかなり戸惑っているようだったが、無言でティーダを促す。
ティーダはかなり複雑な表情をしていたが、やがて無言でライアンの肩にそっと手をやった。
その行為でライアンの表情が緩む、彼は立ちあがりもう1度だけ頭を下げると
そのまま振り返らずに彼らとは反対の方向へと向かっていった。
229ほかんこ:03/05/20 01:56 ID:3YQ1arxm
そして残されたティーダとマリベルだったが、ライアンの姿が見えなくなった頃
だしぬけにティーダが大声で叫ぶ。
「ああっ!大事なことを忘れていたッス」
「何よ、どうかしたの?」
「缶きりもらうの忘れた」
その瞬間ティーダがマリベルに蹴りを入れられたのは言うまでも無い。

流石に声が聞こえるだけで、何を話していたのかは分かるはずもないが、ともかく3人は
2人と1人に別れてその場を去っていく、
その様子をじっと見ていたデスピサロだが、こちらに向かってくる1人を見ながら
何かを考えているようだ。

(ライアンよ…そちらに行ってはいかん、引き返せ)
このままでは彼は東へと進路を取ってしまう。
湖畔にて、東におぼろげながら見えた姿、あれはまぎれもなくあの銀髪の剣士ではなかったか?
幽霊の正体みたり何とやら、という言葉で済ませることができればいいのだが。

ライアンといえど、あの男相手では勝ち目は無いだろう。
ここでライアンに声をかけるのは簡単だ、しかしその結果、余計な何かを知ってしまう可能性もある。
もうこれ以上厄介事を背負うつもりはない。

だが、ライアンには借りがある。
未だに人間に対しての嫌悪感は消えたわけではないが、悪意に囚われてそれ以外の物が
見えなくなるほど、デスピサロは視野が狭いわけではない。
ソロたちのパーティに身を投じて以来、ライアンが自分のために色々と便宜を裏で計ってくれて
いたことは彼も知っていた。

(どうする……)
230ほかんこ:03/05/20 01:56 ID:3YQ1arxm

【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり 】
第一行動方針:腕輪を探す
第二行動方針:偵察
第三行動方針:不明

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり 】
第1行動方針:リディアを救う、魔法使いを探す
第2行動方針:エーコを探す
最終行動方針:ゲームから脱出

【リディア(気絶中)所持品:なし 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
第一行動方針:?
第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】


【ライアン 所持武器:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)
 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
 第一行動方針:ソロを探す
 第二行動方針:不明
 第三行動方針:不明】

【マリベル/ティーダ 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたり
 所持武器:エドガーのメモ/いかづちの杖・参加者リスト
 第一行動方針:仲間を集める、
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
231T.sakura:03/05/20 17:18 ID:1hcrB6W3
                         .  ) (  、
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  └.─.─.─.─.┘
232名無しさん@LV2001:03/05/20 17:30 ID:9D2MayAS
うにうに><
233T.sakura:03/05/20 17:46 ID:1hcrB6W3
                         .  ) (  、
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234名無しさん@LV2001:03/05/20 17:55 ID:T5AVxOyp
うにうに><
235パイナップル Ver 1.1 ◆yGAhoNiShI :03/05/20 18:39 ID:vQzpPdSF
  ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧     ∧_∧
 ( ・∀・)   ( `ー´)  ( ´∀`)  ( ゚ ∀゚ )    ( ^∀^)
 (    つ┳∪━━∪━∪━━∪━∪━∪━┳⊂     つ
 | | |  ┃ この糞スレは終了しました   .┃ | | |
 (__)_) ┻━━━━━━━━━━━━━━┻ (__)_)
あれ松虫が鳴いているー
 チンチロ チンチロ ピンサロリン♪
237保管庫:03/05/21 00:59 ID:NOp5RhJb
放送直前

「う〜ん、そろそろ夜じゃのう」
ゼニスは軽く背伸びをすると、山頂から下界を見渡す。
「あの神殿で夜明かしさせてもらうとするかのう、腹も減ったことじゃし」
そうしてデニスは赤い傘を振りまわしながら、下山していった。

そしてその頃、神殿北部湖のほとりでは。

「そうですか…ファリスは最後にそんなことを」
命からからクレバス多発地帯から脱出した、バッツたちだが、ここで思わぬ人物と出会う事が出来た。
そう、水の巫女エリアである。
彼女はバッツたちを追う途中でやはり足を滑らせ、身動きが取れなくなっていたところに、
引き返してきたバッツたちが通りがかったのだ。

最初はバッツはエリアの言葉になかなか耳を貸そうとはしなかった。
相次ぐ仲間たちの死に、多少猜疑心が強くなっていたのだ、
だが、必死で訴える彼女の言葉には嘘はないように思えたし、
それに、あのファリスがシルドラを託したのだ、信じるに足りるだろう。
「土の戦士の反応もすぐ近くです、おそらくあの城の中でしょう」

「そうか、だがあの城まで行くのは骨だな」
直線距離としては目と鼻の距離だが、実際は森の中を大きく迂回していかねばならない。
先ほどのクレバスの例もある、出来れば動きたくは無いのだが…
と、ここでクーパーの声がする。

「ここから渡れそうだよ、ほら、氷が張ってる」
クーパーの言葉通り、湖には氷が張っていた、バッツは氷を叩いてその強度を確認する。
「これなら歩いて向こう側まで渡れそうだな、行くか」
バッツは自分たちの身体をロープで結びつけて命綱にすると、自分が先頭に立ち
クーパーとエリアを導くように、先へと進んでいった。
238保管庫:03/05/21 01:01 ID:NOp5RhJb
「あの城についたら、お食事にしましょう、あれだけ大きければ台所もあると思いますから」
最後尾のエリアの言葉に笑顔で応じる先頭の2人。

しかしエリアは気がついていなかった、つい先ほど崖から転落したときに、
バックの中で毒薬のフタがわずかに緩み、その結果、
自分の持っている食料が全て毒によって汚染されていると言う事を。

そしてそれからしばらく時間が経過して神殿南部の山地。

ソロが剣を構えて、周囲の気配をうかがっている。
ただしその構えだが、いつもの剣を中段に抜いて構えるのではなく、
納剣したままでの、腰溜めの構えだ。
そしてそのままピクリとも彼は動かない、吹きすさぶ風の音がただ鳴り響くのみ。
その肩に1枚の枯葉が触れたその時だった。
彼の前後左右から、次々と礫が投げられる、目が見えない、いまのソロでは避けきれないと思われた。
しかし、その瞬間、その右腕が閃いたかと思うと、礫は全てソロの剣によって斬り払われていた。

そして、ソロの背後から拍手の音が聞こえる、拍手の主はテリーだった。
先ほどの礫はテリーが投げたものだったのだ。
「凄い!凄いよ!目が見えないのにどうして?」
「見えないから、かな?何だかこの方が気配とか良く分かるんだ」

そう、見えないものを嘆いても仕方が無い、
最初から無いものと割りきって戦えば、少なくとも接近戦では遅れをとる事はないだろう。
もちろん、そうやって即座に戦闘モードを切り換えることができたのは
ソロの戦士としての素質と鍛錬の賜物なのだが。
239保管庫:03/05/21 01:02 ID:NOp5RhJb
ただし魔法攻撃に関しては気配だけで目標を確認するには無理がある上。
それに直接攻撃にしても、視覚による修正が利かないということは、残りの感覚を研ぎ澄まし、
すなわち出来るだけ一撃で相手を仕留めなくてはならない。
納剣したままの特異な構えも、それを意識したものだ。
それは俗に居合と呼ばれる、実践剣術の構えそのものだった。

2人の身体を寒風が吹きつける、このまま野外にとどまるべきではないだろう。
早く寒さを凌げる場所を見つけなければ。
「そろそろ寒くなってきたけど、どこか休める場所を探さないといけないなあ」
「大丈夫、近くにお城があるよ」
「だったらとりあえず、その城へ入ろうか」
「じゃあ、ついてきて」
テリーはソロの手を引きながら草原の中を歩いていった。
240保管庫:03/05/21 01:05 ID:1FGy7Hrp
【ゼニス 所持武器:アンブレラ 羽帽子? 現在位置:神殿南の山地を下山中
 行動方針:神殿へ行く、物見遊山】

【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:神殿北の湖
 第一行動方針:神殿へ向かう
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】

【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 
 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:神殿北の湖
 第一行動方針:神殿へ向かう
 第二行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
(食料は全て毒によって汚染されています、毒は無味無臭でおそらく摂取するまで
 気がつかないでしょう)


【テリー所持武器:なし 現在位置:神殿南の山地南端
第一行動方針:神殿に入る 
第二行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】

【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:エンハンスソード、イリーナの会員証、スーツケース核爆弾
 現在位置:神殿南東の山地南端
 第一行動方針:(悪い奴)を倒すor勇者になる 
 最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)】
241保管庫?:03/05/21 01:07 ID:1FGy7Hrp
メルビンとロックとガウは気付いた。

「そんなのありかよ」
「なんじゃと!?」
メルビンは最初、暗い湖面を魚が何度も跳ね上がってその度に飛沫が飛んでいるようだと感じた。
水面を打つ連続音と共にとてつもないものを見た。
黒い影が水の上をバウンドしながら迫ってくる。

考えるまでもなく
――それは湖に漂う小さな流氷を足場にして、次々と冷たい湖の上を渡っていく――
あの男。

この間わずか数秒
モニカはまだ何があったかわからない。

湖を渡りきった男が最後の着地をきめて、剣を高く掲げた。
島に残っている全員を潰すというサイン。

ガウが雄叫びを上げた。ロックは剣を取り出した。
「常識なんて通用しないぜ、あいつには!」
その二人が突然近くに生じた膨大なエネルギーに吹き飛ばされる形になった。
メルビンはロックもガウも見ていなかった。
見ていたのは地獄からの請求書。メルビンの魔力、生命力を差し出して、雷を得た。

伝説の英雄が最大最強クラスの技を叩き込むしかないと判断するに至った時間は、
週百分の一秒に満たない。
島全体が震え出す。
地の底から響き渡る愚者の声、肉が焼け焦げるような臭い、体を突き抜ける百万の針のような傷み、
どれもが恐怖と絶望を喚起させた。
負の力は一つに収束する。集まって完成した黒い光球は弾けて爆発した。
メルビンは地獄から雷を呼び出した!
242保管庫?:03/05/21 01:08 ID:1FGy7Hrp
【メルビン/ガウ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠南の島
第一行動方針:セフィロスと闘う 
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】

【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の南の島
第一行動方針:心の整理
第二行動方針:仲間を探す】

【ロック 所持武器:吹雪の剣 現在位置:祠南の島
 第一行動方針:戦闘
 第二行動方針:エリアを探す】

【セフィロス:所持武器:正宗 現在位置:祠南の島
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】
243無効告知:03/05/23 00:09 ID:GlqV9q5a
237の、そしてその頃〜238の〜毒によって汚染されていると言う事を までの文を無効とします。

240のバッツ、クーパー、エリアの個人情報を無効とします。
244保管庫!:03/05/23 00:10 ID:GlqV9q5a
そしてその頃、神殿北部湖のほとりでは。

「そうですか…ファリスは最後にそんなことを」
命からからクレバス多発地帯から脱出した、バッツたちだが、ここで思わぬ人物と出会う事が出来た。
そう、水の巫女エリアである。
彼女はバッツたちを追う途中でやはり足を滑らせ、身動きが取れなくなっていたところに、
引き返してきたバッツたちが通りがかったのだ。

最初はバッツはエリアの言葉になかなか耳を貸そうとはしなかった。
相次ぐ仲間たちの死に、多少猜疑心が強くなっていたのだ、
だが、必死で訴える彼女の言葉には嘘はないように思えたし、
それに、あのファリスがシルドラを託したのだ、信じるに足りるだろう。
「土の戦士の反応もすぐ近くです、おそらくあの城の中でしょう」

本来はこのまま祠まで戻るつもりだった、しかしすぐ近くに自分と同じ宿命の戦士が
いるとなれば話は別だ、それに夜中の行軍は正直避けたい。

「そうか、だがあの城まで行くのもまた骨だな」
直線距離としては目と鼻の距離だが、実際は森の中を大きく迂回していかねばならない。
先ほどのクレバスの例もある、と、ここでクーパーの声がする。

「ここから渡れそうだよ、ほら、氷が張ってる」
クーパーの言葉通り、湖には氷が張っていた、バッツは氷を叩いてその強度を確認する。
「これなら歩いて向こう側まで渡れそうだな、行くか」
バッツは自分たちの身体をロープで結びつけて命綱にすると、自分が先頭に立ち
クーパーとエリアを導くように、先へと進んでいった。
245保管庫!:03/05/23 00:11 ID:GlqV9q5a
「あの城についたら、お食事にしましょう、あれだけ大きければ台所もあると思いますから」
最後尾のエリアの言葉に笑顔で応じる先頭の2人。

しかしエリアは気がついていなかった、つい先ほど崖から転落したときに、
バックの中で毒薬のフタがわずかに緩み、そこから漏れ出した液体が、彼女の所持している
食料を全て汚染しているということを。
不運なことにこの毒薬は速乾性で、染み出したそばから次々と乾いていき、

その結果、彼女はその事実に気がつくことはなく、また仮にここで荷物を改めても
それらの証を見つける事は難しかっただろう。
それに毒薬自体、職業柄そういう事に詳しいファリスだから分かったのであって、
ラベルも何も張られていないガラス瓶の液体を見たところで、彼女らは何も思わないであろう。

クーパーが先頭でバッツ、エリアと続く一行は湖を無事渡り終えた後、わずかばかりの森林地帯
を抜け、砂漠に到達した。
そこからはバッツとクーパーは身を寄せ合いながら歩いていた。
「私も交ぜてもらいたいんだけど?」
エリアが夜の中で大きく伸びを繰り広げると、クーパーがあくびをした。
途端に風が吹きだしたのでエリアは縮こまって身震いする。
「この寒いのによく欠伸がでるわねえ」
「エリアさんこそ、まるで春が来たみたいにさ」
「はは、実は俺も」
バッツもつられてかクーパーの肩の上で大あくび、と同時にくしゃみ。
散々クレパスに悩まされ続けた三人の目には、砂漠地帯は危険度の格段に低い地形に写ったのだった。

「でも不思議ですね、こんな地方に砂漠だなんて」
「このゲーム自体あり得ないような事だしな、こういう場所があっても何とも思わなくなってきた」
バッツが辛そうにまたも口を開けると、
「もが!?」
「しっ、何か聞こえなかった?」
246保管庫!:03/05/23 00:16 ID:1bn6hFsS
「別に何も」
クーパーの言葉に、そう、とエリアがバッツの口から手を離す。
「いきなりでごめんなさい」
ようやく息を吐き出して前屈みでエリアを見つめるバッツ。
「今のはあくびだったんだぜ」
「うん、だからごめん」
エリアは何事もなかったかのように言うもので、バッツは頭を掻きむしった。
それから勝手にうなずいて、遠くを見つめているクーパーとエリアの後ろにそっと回りこむと、
二人の背中をとん、と押した。
二人は驚いて前につんのめりそうになる。共にバッツと顔を見合わせる。
「びっくりしたぁ〜」
「驚かさないでよ」
「いや、いきなりで御免」
バッツは膨れっ面をする巫女と勇者に不敵な笑みで答えてやったものだ。

【バッツ(魔法剣士 時魔法)/クーパー
所持武器:ブレイブブレイド/天空の盾 現在位置:神殿北の砂漠
 第一行動方針:神殿へ向かう
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】

【エリア 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 
 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:神殿北の砂漠
 第一行動方針:神殿へ向かう
 第二行動方針:クリスタルの戦士との合流】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
(食料は全て毒によって汚染されています、毒は無味無臭でおそらく摂取するまで
 気がつかないでしょう)
247保管庫:03/05/24 01:04 ID:IBXM91aQ
「そう落ちこんじゃだめよ」
灯火がつけられて、明々と輝いている廊下の一角で何やら落ちこんでいる導師を慰めるティファ、
そう、結局彼は問題を解くことができなかったのである。

「で、そのハーゴンって人は?」
「この扉の向こうだよ、誰にも邪魔されたくないんだって」

導師は先ほどまでのハーゴンとの会話を思い出す。

「ワシは設計図を書く、それを形にするのはワシの仕事ではない…それに」
ハーゴンは自分の首にはまった金属の輪を指で弄ぶ。
「この首輪をどうにかせんとな」
「デッシュとそのことで話してたんじゃないの?」

「首輪はワシの知識ではどうしようもない…いや正確に言えば確証を得られるだけの材料が、まだまだ不足しておる
 命に関わるだけに下手な結論はだせん・・・あの技術者には悪いことをしたが・・・ごふっごふっ!」
 再び咳き込むハーゴン、骨と皮だけの肉体、全て抜け落ちた頭髪、干物のように乾き黒ずんだ肌、
 その風貌はもはや屍同然といってもよかった、ただ瞳だけが未だに爛々と輝いていた、
 死を目前にした者とは思えぬほど…。
「だが収穫が無かったわけでもないぞ」
ハーゴンもまたデッシュとの会話を回想する。

「鍵文字とな?」
「それしか考えられない、この首輪には多分何重にもアンチマジックが仕掛けられている、1つ1つを
 強引に解除することは可能でも、その1つを解除した途端、残りのトラップが発動し、結果爆発する仕掛けだと思う」

「魔法的なものに加えて、おそらく機械そのものにも、いくつかのセキュリティが備わっているはず、
 結論を言うと首輪を外すには、多分魔法と機械両方の分野でコンマ単位のズレもなく、
 複数のセキュリティを同時解除する必要があるはすだ」

「それで鍵文字か…」
「これらの問題を一括に解決する方法はこれしかありえない」
248保管庫:03/05/24 01:06 ID:IBXM91aQ
デッシュはそれなりに自信があったのだろう、得意げに自分の推理をハーゴンに披露する。
しかしその推理を聞いたハーゴンは渋い表情でデッシュに質問する。
「で、その鍵文字はどうやればわかる?」
「それは…」
「一言言っておくが、そんな都合の良い魔法は存在せんぞ、ワシの知る限りでは」

「よいか必要なのはその先じゃ…お主の話は推理というより自分に理解できる範囲での、
 都合のいい仮想にすぎん、それが真実であってもだ」
「しかし!」
その辛らつな言葉に息巻くデッシュ、さらにハーゴンは続ける。
「まぁ、少なくともお主の場合、多分だの、おそらくだのといった単語を少しでも減らすことから
 始めた方がいいのではないのかな?どうも技術屋は先走りが過ぎていかん」

デッシュはハーゴンの言葉を最後まで聞いてはいなかった、
彼は憤懣やるかたない表情で踵を返し一言も無しに退出して行ったのである。

ハーゴンもデッシュの理論に対して、何も得るところがなかったわけではない。
それにいかに仮想とはいえ、わずかな材料でここまでの理論を導き出した優秀さは認める。
しかしその地に足がついていない軽薄な言動が気になった、それは技術者としては好ましい姿勢ではない。
だから多少釘をさしたわけだが…。

回想を終えたハーゴンは、寝台から身を起こすと再び作業に取り掛かった。
「しばらく1人にさせてくれんか…やはりこういう作業は1人が1番じゃて」
こうしてハーゴンは導師を自室から追い出すと、また寝台の上で何やらペンを走らせ始めたのだった。

そして再び廊下。
「デッシュは?」
導師は周囲を見まわしながらティファに尋ねる、一応ロボットのことは伝えてはあるとはいえ、心配だ。
「スクラップ置き場で何か作業をしているわ、さっき廊下ですれ違ったとき、ものすごい表情をしてたけど
 何かあったの?」
249保管庫:03/05/24 01:07 ID:IBXM91aQ
「いや…良くは知らないけど・・・まぁ、あそこならロボットの巡回コースから外れてるから大丈夫かな、
 僕らも移動しよう、そろそろあいつがこっちにやってくる頃だ」
導師はティファをつれて、別の部屋へと入る、それからしばらくしてキラーマシーンが、
彼らとハーゴンの部屋の前を何も気づかず素通りしていった。

そして一方、スクラップ置き場では、
「見てろ…俺は俺の正しさを必ず証明してみせる、誰にも頼らなくっても…」
そうだ、必ず自分の推理を立証し、あの死にぞこないを見返してやる…。
これから何やら装置を作るのであろうか?嘯くデッシュの周囲には数種類の機械がそろえられている。
そしてその手には、ハーゴンの部屋でガメてきた首輪が握られていた。

【ハーゴン(呪文使用不能、左手喪失、衰弱・老化) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首 現在位置:神殿自室
 第1行動方針:儀式の下準備
 第2行動方針:不明
 最終行動方針:ゲームの破壊】

【導師(MP減少、回復率50%):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:ハーゴンの神殿
 第一行動方針:ハーゴンの補佐、看病
 第二行動方針:不明
 最終行動方針:不明】

【ティファ 所持武器:無し 現在位置:ハーゴンの神殿
 行動方針:不明】

【デッシュ 所持武器:首輪 現在位置:ハーゴンの神殿
 第一行動方針:首輪を調べる
 第二行動方針:エドガーに会う】
  ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧     ∧_∧
 ( ・∀・)   ( `ー´)  ( ´∀`)  ( ゚ ∀゚ )    ( ^∀^)
 (    つ┳∪━━∪━∪━━∪━∪━∪━┳⊂     つ
 | | |  ┃ この糞スレは終了しました   .┃ | | |
 (__)_) ┻━━━━━━━━━━━━━━┻ (__)_)


このくそすれはあぼーんしますた
251245修正:03/05/26 01:42 ID:kvwa7RiF
しかしエリアは〜(後略)から(前略)彼女等らは何も思わないであろう。
までを以下の様に修正します。

しかしエリアは気がついていなかった、つい先ほど崖から転落したときに、
バックの中で毒薬のフタがわずかに緩み、そこから漏れ出した液体が、彼女の所持している
食料を全て汚染しているということを。
不運なことにこの毒薬は速乾性で、染み出したそばから次々と乾いていき、
その結果、彼女はその事実に気がつくことはなかった、
もっとも、仮にここで荷物を改め、
知識のあるものが入念に調べれば、あるいは気がついたのかもしれないが。
252無効告知:03/05/26 01:44 ID:kvwa7RiF
246の
>(食料は全て毒によって汚染されています、毒は無味無臭でおそらく摂取するまで
> 気がつかないでしょう)

は無効となりました
253保管庫:03/05/26 01:49 ID:kvwa7RiF
凍てつく冷気が辺りを包む。
マヒャドやブリザガの比ではない冷気だ。
森の中、または建物、洞窟で冷気を凌がない限り凍死は間違いないだろう…

だが、例外がいた。
例外の一人。アイラ。
無論放浪の民といえどこの寒さには耐えることはできないだろうがいま、彼女の指にはまっている死者の指輪。
それによって、身体は死者のそれとなりこの凍てつく冷気を耐えうる状況になっているのである。
…もっとも、本人の意思なんてあってないが如し。
ただ、今はとんぬらを探して彷徨い歩くだけである。
彼女は今落とされた橋の前で立ち尽くしていた。
…通れない。
そう確認するとふらふらと岩山伝いに南下して行った。
とんぬらは橋の向こうの祠にいるのは彼女の知る由ではない。

【アイラ(ゾンビ) 所持武器:ダイアソード 死者の指輪 現在位置:ロンダルキア祠南の落とされた橋→岩山伝いに南下 
 行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらを探していく。死者の指輪が外れたら???】
大いに期待あげ
まあ、はっきり言ってくだらないけど・・・


ユウナLOVE!

これだけはやめられない!
誤爆オメ保守
257保管庫:03/05/27 00:44 ID:gkamQ3tU
自分の目の前にはトンネルの入り口がある、ここを通れば山道や雪原に苦労することなく
神殿まで一直線だ。

しかし…
マゴットの死を知った今、このまま神殿に入る事をサマンサはためらっていた。
もしかすると何か変事があったのかもしれない、あるいは…
サマンサはアルブルグで出会った銀髪の剣士を思い浮かべる、
もし、あの男と鉢合わせでもすれば…
だが、それでも自分は進まねばならない、そう言い聞かせながら、サマンサは1歩を踏み出そうとする。

と、自分の足元にまた子ウサギがまとわりついているのに気がつく。
「心配しなくても、もう食べたりはしませんよ、さぁそこをどいてください」
しかし、子ウサギはサマンサに何かを訴えるように、ひたすら足元にまとわりつく。
「どうしたのです?」
サマンサの言葉に子ウサギは一声泣くと、そのまま茂みの中へと入っていく
その後を追ってサマンサも茂みに入ったその時だった。

ごごごごっ!
凄まじい大音響と共に土砂が崩れ、トンネルの入り口はおろか通路までも押しつぶしていく、
間一髪だった、もしあのままトンネルに入ってれば命は無かっただろう。
「恩返しですか…期待していたわけではないですが、助かりましたよ」
サマンサは子ウサギの抱き上げ頭を撫でてやろうとするが、そこである事に気がつく。
「おや、良く見るとあなたは何らかのモンスターの変種ですね、ウサギに見えるのは擬態ですか」
確かに耳が長いのを除けば、ウサギというよりキツネとリスに近い。
耳を立て、足をたたみ、毛皮を膨らませることでウサギに見せていたのだ。
サマンサはキツネリス(便宜上こう呼びます)を地面にそっと下ろしてやると、また先を急ごうとする。
「さぁ、お前は親の所にかえりなさい」
258保管庫:03/05/27 00:45 ID:gkamQ3tU

だが、それでもキツネリスはサマンサから離れようとしない。
「?」
サマンサは少し考えるような仕草をしていたが、思うところがあったのだろう。
サマンサは先ほどスライムと遭遇した周辺を色々と調べる。
と、そこにはやはりキツネリスの成獣が横たわっていた。
親はぴくりとも動かない、どうやらブーメランの当たり所が悪かったようだ。

「そういうことだったのですね…」
サマンサの言葉に子供がきゅ〜と悲しげに鳴く。
「ならば見過ごせませんね…恩もありますし、ついてきますか?」

キツネリスの子供は返事の変わりにサマンサの帽子の上にちょんと跳び乗った、どうやらそのつもりらしい。

「では参りましょうか…そうそうお話をしてあげましょう」
「昔あるところに、うさぎと猿ときつねが焚き火を囲んでいると、そこに飢えた旅人が……」



【サマンサ:所持アイテム:勲章(重装備可能)星降る腕輪 手榴弾×1 
 現在位置:現在位置:ロンダルキア中央西よりの山地、雪原との境界線付近
 行動方針:第一行動方針:神殿に向かう(速度は遅め)
      第二行動方針: ?
      第三行動方針:生き残る】

(キツネリス一匹を連れています)
朝から上昇
ホシュ
261山崎渉:03/05/28 08:42 ID:7vfcmGCd
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
あへ
263やまさきはるのぱんまつり:03/05/28 22:09 ID:BHDjjcR7
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕をイジメて下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉


期待あげ
265保管庫:03/05/29 01:35 ID:vxMmXS9b
地下道の中で男と女が向かい合って座っている。
男はランプをかざし、女の顔を照らしているように見える、女はランプの光を追うように
顔を動かしている。
と、そこで男はランプを消した。

「わかるわ、今、ランプが消えた」
アリーナの声にカインは満足げに頷く。
「光の明暗を感じることが出来るのなら、網膜や視神経は大丈夫だ、運がよかったな」
そういって、カインはアリーナの片目に薬草を貼りつけ、眼帯を巻きつける。
「医術か白魔法に長けた者なら、お前の目を治すことができるかもしれん」

ちなみにクラウドはそんな2人の傍らで寝息を立てている、先ほどの狂乱が嘘のようだ。

「さて、そろそろ時間だな」
カインは立ちあがると、そのまま地下道の先へと進もうとする。
「ちょっと、どこへいくのよ」
「放送を聞きに行くだけだ、すぐ戻る」
「だからって!…あなたも血がいっぱい出て大変だったのに」
「動けるのが俺しかいないのだから、仕方ないだろう、それに鍛えてある、大丈夫だ」
確かに今動けるのはカインだけだ、彼が行く以外、選択肢は存在しないのだ。

「エッジのことなら気に病む必要はない、アイツがくたばるはずがない」
確かにエッジは、疑うことを知らない、がさつでいいかげんな男だが、
しぶとさでは仲間の中で1番だとカインは思っていた。
たとえセフィロス相手でも、何とかやりぬけられるはず。
もしアイツがやられるとしたら…。
カインは脳裏に1人の男の姿を思い浮かべる、それは親友にして倒すべき敵の姿。

が、カインは頭を振って、男の幻影を追い払う、それは今考えるべきことではない、
266保管庫:03/05/29 01:36 ID:vxMmXS9b
「放送を聞いたらすぐに戻る」
エッジ手書きの地下道マップをアリーナから受け取ると、
ふらつく足取りでカインは地下道の闇へと消えていった、ちなみに彼は知らなかったが、
もうすでに放送は終了していた。

眠りつづけるクラウドと2人、地下道に残されたアリーナ、といきなり眼前の風景が
まるで月夜のように明るくなる。
「?」
アリーナはいぶかしげに天井を見上げて息を呑む、天井はまるで星空だった。
光苔の一種が自生しているのだろう。

そんな中、眠りつづけるクラウドの寝顔を眺めながら、アリーナはある風景を頭の中で思い描く。
満天の星空の下、お互いの姿を求め、さまよう恋人たち、やがて彼らはそれぞれの相手とめぐり合い、
光り輝く街の中へと消えていく。
残っているのは自分1人だけ…不安げに周囲を見まわすアリーナ、と、そこに息を弾ませて、
金髪の青年、そう、クラウドが駆けこんでくる、信じられないような、まるで夢が叶ったような表情でアリーナは
クラウドの胸の中に飛びこもうとするアリーナ、だがクラウドは彼女を無視して、

いつの間にか彼女の背後に立っていた黒髪の少女、テイファを抱きしめる。
大きな胸をより一層誇らしげに揺らしながら、その少女は自分へと勝ち誇るようなように唇を薄く歪め
アリーナの前から消えていく。

後に残されたのは、冷たい地面に接吻したままの自分だけ…そこで妄想は終わりを告げた。

膝をかかえ、呆然と天井を眺めるアリーナ、妄想の中ですら絶望的な恋…どうすればいいのか。
「泣いてばかりだな…あたし」
涙で揺れた瞳に入る天井のきらめきは、うるさいくらいにまぶしくってたまらない。

そんな満天の星空の下、クラウドの胸の中に抱かれ、
どんな顔で「キレイね」とティファは言うのだろう?
そしてどんな顔でクラウドは「そうだな」と答えるのだろうか?
267保管庫:03/05/29 01:37 ID:vxMmXS9b
行動を共にしたのはほんのわずかな時間だけど、アリーナはティファに友情を感じていたし
それを考えると、自分は本当に恥知らず以外の何者でもない。
こんな愚かなことで悩む自分が本当に悔しくてならなかった。
しかしそれよりも2人がとてもお似合いだということが、もっと悔しくてならなかった。

「先に出会ったのが私なら…絶対負けない自信はあるのに…でも」
そこでアリーナは無理に微笑みを浮かべ、クラウドの唇を指で辿る。
「唇は多分私の方が先…」

【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:地下通路(大陸中央付近)
 第一行動方針:地上に出て放送を確認
 第二行動方針セシルを止める】  
(セフィロスへの苦手意識あり)
(体力は幾分回復、かなり無理すれば戦闘可能)

【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:?
第二行動方針:ソロを止める(倒してでも)
最終行動方針:ゲームを抜ける
(重傷、戦闘不能・片目失明状態)

【クラウド(睡眠中):所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
第二行動方針:アリーナを救う
最終行動方針:不明
(重傷、戦闘不能、ただし錯乱状態からは回復)
268保管庫:03/05/29 01:46 ID:DTFe3DDU
神殿の入り口の方から大音響が響き渡ってきて、導師はよろめきながら壁にへばりついた。
「なんか、とんでもないのが来たみたいだ」
目を細めて耳を塞ぎながら「え、誰かの仕業なの?」と答えるティファ。
「あ、そうか、デッシュが何かやらかしたのかも」
「結局何もわからないのね」

導師は壁から離れて歩き出す。ティファも後をついていった。
「今のは雷だったかな」
導師の言い方が他人事みたいで疑問を持ったのか、ティファは不安げに言う。
「ねえ、あのロボットは大丈夫なの」
「大丈夫、しばらく裏手をうろついてるはずだから」

神殿の廊下の壁は、ところどころ不気味な紋章が刻まれている。
侵入者を歓迎しているように紋章は導師の目に飛び込んでくる。
導師の歩く速度を早めた。。
「もし、言うことを聞かないような敵が来てたらどうするの」
またティファが聞く。
「そのときはキラーマシーンに役立ってもらおう」
導師は駆け出した。

城門前に辿りついて息を呑んだ。
巨大な鋼鉄製の門が見るも無残に崩れ落ちている。
高温で溶かされたような跡もある。
どういう力が働けばこのような光景を現出できるのか。
導師は心底、慄いた。
「誰!?」
ティファが導師の袖を掴んで握り拳をつくる。
不安でたまらないのだろう。
導師は、自分の中にティファの恐怖心が侵入してきて、運命を供にしてくれと
叫んでいるように感じた。
だが、まだ姿さえ見えない敵に二人とも呑まれているようではいけない。
269保管庫:03/05/29 01:47 ID:DTFe3DDU
「お、おい、僕たちを甘く見ない方が、いいぞ?」
声のトーンが段々落ちていった。最後の方は優しく諭すような口調になった。
恐れているからそうなったのだ。

「おまえたちこそ甘く見るなよ、こっちは勇者がいるんだぞ」
ひょろりとした小さい子供が破れた門から中に入ってくるのを見て、導師は唖然とした。

【導師(MP減少、回復率50%):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:ハーゴンの神殿入口
 第一行動方針:ハーゴンの補佐、看病
 第二行動方針:不明
 最終行動方針:不明】
【ティファ 所持武器:無し 現在位置:ハーゴンの神殿入口
 行動方針:不明】

【テリー所持武器:なし 現在位置:神殿入口
第一行動方針:神殿に入る 
第二行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】
ホシュ
hosyu
272111:03/05/30 21:08 ID:7XwrMqAI
273保管庫:03/05/31 00:48 ID:5ZvOcKhn
爆発と強烈な閃光が島全体を走る。
その中でメルビンはロックとガウ、そしてモニカを連れて先刻から作成していた、
イカダのそばへと走っていた。
「今のでやれたのか?」
「まさか、あれはただのこけおどしでござる」
先刻からの連続する戦闘はやはりメルビンの力を確実に奪っていた。
もはや彼に残された力は全力攻撃1回分のみ…確実に仕留めることができぬのなら
無駄撃ちは押さえなければならない。

ともかく、彼らはイカダへと辿りつく。
と、そこでモニカの身体から力が抜け、ふわりと浜辺に倒れこもうとする、慌ててロックが彼女を支える。
モニカにとっても色々なことがありすぎた、彼女の精神力もまた限界に達していたのであろう、
これで助かる、という安堵感が彼女を失神へと導いていた。
だが、安心するのにはまだ早い、彼らの前にまたしても難問が持ち上がっていた。
そう、未完成のイカダにはどうやっても3人が乗るのが限界だったのである。

迷う時間は無い、ロックが剣を構える。
「俺が食いとめる!じいさんたちは早く逃げ…」
だが、セリフを最後まで言う前に、彼もメルビンの当身を受けてやはり気を失う。
メルビンは気絶したモニカとロックをイカダに載せると、ガウにオールを渡し、船出するよう促す。

「ガウ殿!我輩に構わず行くでござる」
「がうううっ、がううう(いやだ!置いてなんかいけない!)」
だだっこのように歯を剥き出しにして、拒絶の声を上げるガウにメルビンは優しく諭す。
「ガウ殿にだけ教えるでござるよ、我輩にはまだ取っておきの必殺技があるのでござる」
「ただし、これは島一つ沈める事が出来るほどの威力なので、ガウ殿たちがいると危なくて使えないのでござる」
274保管庫:03/05/31 00:49 ID:5ZvOcKhn
「がう?」
「早く行くでござる、我輩もあの男を倒せばすぐに追いつくでござるよ」
「がうがう(本当だよ!約束だよ)」
「我輩は生まれてから1度も嘘をついたことがないでござるよ、だから安心して逃げるでござる」
ガウはようやく納得したのだろう、何度も何度もメルビンに本当だね、約束だよと確認しながら、
イカダを操り湖の沖へと消えていった。

それを見送りぽつりと呟くメルビン。
「嘘をついてしまった…この我輩が、生きて会えるはずなどないというのに」
「だが、これでいいのでござる、老いたるものから先に死ぬのが世の定めでござる」

そこにようやくセフィロスが現れる、その身体は所々焼け焦げ、足元はわずかにふらついている。
こけおどしとはいえ、やはりジゴスパークの威力は強烈だ。
事実、セフィロスに傷を負わせ、今まで足止めすることが出来たのだから。

セフィロスは正宗を鞘に収めると、メルビンへと問いかける。
「何故逃がした?貴様と少年と盗賊と、3人がかりならば私を倒せたかもしれんぞ?」
「そのかわり我輩たちも全滅したでござろうな、それは勝利とはいえないでござるよ」
「それに若者たちには無限の未来があるでござる、お主のような薄汚い殺人鬼の手にかからせる
 わけにはいかないでござるよ」

「なるほど…命を賭けるのは貴様一人で充分というわけか、舐められたものだ…おいぼれ」

口調こそ余裕だったが、セフィロスは奇妙なデジャヴを覚えていた。
アリアハンの山頂で斬ったデブ、ベクタで斬った魔人、そして昼前に洞窟で斬った少年…
そのいずれもが今のメルビンと同じく、一片の迷いも恐怖も無い澄んだ瞳をしていた。

(何故だ…何故死を目前にして、いやこの私を目前にして、こいつらは恐怖しない?)
わずかに頭を振って、そのデジャヴを振り払うと、セフィロスは正宗を抜き放つ。

「ともかくその瞳、斬らずにおれんな…行くぞ!」
275保管庫:03/05/31 00:50 ID:5ZvOcKhn
セフィロスの突進をメルビンは槍を構えて受けとめ、いや受け止めようとしただけだった。
彼は槍を地面に突き刺すや否や、そのまま空中へと舞いあがる。
セフィロスもまた迎撃姿勢をとるが、わずかだけメルビンの方向が勝った。
メルビンの手から槍が放たれる、セフィロスは何の苦も無くそれを払い落とした、その時だった。
「背後、取ったでござる!」
何時も間に自分の背後に着地していたメルビンが声を上げ、それと同時にセフィロスの両腕関節を極める。
槍はフェイクか…舌打ちするセフィロスだったが、もがけばもがくほど逆に関節は極っていく。
握力が抜けていくそして…ついにセフィロスの右手から正宗が外れる。

それを見たメルビンはさらに技を緩めることなく、セフィロスの両腕を抱え込むようにして
背中側に伸ばして、羽交い締めにし、さらに右足でセフィロスの膝関節を封じ、
そして左足1本で体重を支えながら、自分の最後の力を振り絞り、自分の全魔力を解放し再び地獄の雷を召喚する。

この銀髪の剣士にはギガスラッシュもアルテマソードも通じないであろう、だからこうするしかない。
仕損じることは許されない、だから自分の最も信頼できる技を選んだ。
「我輩もろとも滅びるでござるよ…逃れる術は無いでござる」

「くくく…はっはっはっ、逃れる術が無いだと、老人よ、老いとは哀れなものよな」
セフィロスは唯一束縛を逃れた左足で、自分の足元に転がる正宗を空に向かって思いきり蹴り上げた。
空中に舞いあがる正宗、その瞬間メルビンの顔面が驚愕に歪む。

そう、ジゴスパークは彼らの身体を焼き尽くす事はなく、避雷針がわりに放たれた正宗を貫いたのみだった。
雷は正宗の刀身を辿り、また正宗も魔力を受けて複雑な軌道を描き、それが相乗効果を産んで
彼らとは離れた位置へと拡散しながら落ちる。

単純なようだが、様々な複雑な条件を全て読み切った上で、寸分の狂いもなくピンポイントで、
魔法の出現位置を特定し、なおかつそれを防ぐのは至難の技だ。
そう、セフィロスにしか、なし得ぬ神業といっても良かった。
276保管庫:03/05/31 00:54 ID:GB1GdLbo
「何度も同じ技を見せたのは失敗だったな…他の技ならば私は倒されていただろうに」
「くっ…」
メルビンは自分の完全敗北を悟っていた、もう自分には剣を握る体力も、
魔法を唱える精神力も一片たりとも残っていなかった。

「だが…それでも我輩はここで終わるわけにはいかないでござるぅっ!
未来への灯火は決して踏みにじらせるわけにはいかないでござる!」
「良く分かる話だが、貴様の命はあと3秒だ」
もはやメルビンには構わず、セフィロスはゆっくりとその場から立ち去ろうとする。

「ひとつ」
空中に蹴り放たれた正宗が軌道を変え、落下を始める。
「ふたつ」
メルビンはふらふらと拳を振り上げセフィロスに迫る。
「みっつ」
そして正宗の落下点にいたのは…。

「そのまま…死ね」
 ザシュ!
セフィロスはさらにしばらく歩いてからようやく振り向く、
果たしてそこには頭の頂上から股間までを正宗に貫かれ、地面に縫いつけられたメルビンの
哀れな骸があった。
その無念の表情は、これまでのセフィロスの溜飲を下げるに充分だった。

セフィロスはメルビンの身体から正宗を引きぬこうとするが、その時あることに気がつく。
「正宗が…」
セフィロスの分身とも言える愛刀、この世界に斬れぬもの無しとまで称された唯一無二の名刀、
それにわずかな刃こぼれが乗じているのをセフィロスは見逃さなかった。
「老いぼれもバカにはできんな…ふふふ」
メルビンの死体を湖に蹴りこみながら、セフィロスは不敵に微笑むのであった
277保管庫:03/05/31 00:55 ID:GB1GdLbo
【セフィロス(負傷):所持武器:正宗 現在位置:祠南の島
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】
(正宗損傷)

【ガウ 所持武器:なし 現在位置:祠南の島付近の湖上
第一行動方針:メルビンの帰りを待つ 
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】

【モニカ(気絶):所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠南の島付近の湖上
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】

【ロック(気絶) 所持武器:吹雪の剣 現在位置:祠南の島付近の湖上
 第一行動方針:?
 第二行動方針:エリアを探す】

【メルビン:死亡】
278山崎­渉:03/05/31 14:36 ID:ENDmeBw9
   ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (  ^^ )< これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  (    )  \________________
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  (__)_)                        山崎モナー
ホシュ
280あぼーん:03/06/01 09:48 ID:pt0YsPe8
   ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (  ^^ )< これからも僕をあぼーんして下さいね(^^)。
  (    )  \________________
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  (__)_)                        山崎モナー

   ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (  ^^ )< これからも僕をイジメ殺して下さいね(^^)。
  (    )  \________________
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  (__)_)                        山崎モナー



   ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (  ^^ )< これからも僕を犯して下さいね(^^)。
  (    )  \________________
  | | |
  (__)_)                        山崎モナー





283名前が無い@ただの名無しのようだ:03/06/02 19:23 ID:8/jiSijB

   ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (  ^^ )< これからも僕をシメて下さいね(^^)。
  (    )  \________________
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  (__)_)                        山崎モナー

保守


   ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (  ^^ )< これからも僕を保守して下さいね(^^)。
  (    )  \________________
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  (__)_)                        山崎モナー
   ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (  ^^ )< これからも僕を電波して下さいね(^^)。
  (    )  \________________
  | | |
  (__)_)                        山崎モナー
     ___
    /     \     ________
   /   ∧ ∧ \  /
  |     ・ ・   | < 氏ねよおめーら
  |     )●(  |  \________
  \     ー   ノ
    \____/

     ___
    /     \     ________
   /   ∧ ∧ \  /
  |     ・ ・   | < バカかおめーら
  |     )●(  |  \________
  \     ー   ノ
    \____/
保守。
保守
291>>326:03/06/08 21:14 ID:78Tm6WvP
最悪だなこの板、だからカエル(・∀・) アバヨ!
>>291アバヨ!保守。
293名前が無い@ただの名無しのようだ:03/06/09 08:05 ID:K+G6+8qK
バトル「ロワイアル」なんだが
>>293検索する時に困るよな
2951/9:03/06/09 23:31 ID:Ttw+Q7z+
「案外すんなりと入れたな」
バッツたち3人はぼろぼろに荒れ果てた裏門から、神殿の中へと侵入していた。
「土の戦士はこの丁度反対側の場所にいるようです」
エリアの言葉を聞き、早速移動しようとした一行だったが、ここで3人のお腹が同時にぐぅ〜となる。
3人はそれぞれ顔を見合わせて笑う。
さらに自分たちが今立ち止まった場所が何処なのかを知って、彼らはまた笑う。
そこには【食堂】と書いてあったのだ。

「まずは食事にしようよ…もうぼくお腹ぺこぺこだよ」
お腹を押さえてクーパーが言い、そのまま彼は食堂の中に入っていく。
「そうだな」
バッツも賛成する。
「よろしいのですか?」
エリアは少し首をかしげている。
「ここまで来ればもう大丈夫だろう、土の戦士とやらにも、まずは気分を落ち着けてから会いたい」

本当は一刻も早く、という気持ちだったが、それを押さえて、バッツも食堂の中へと入る。
ここまで緊張の連続だった、自分も一息つきたいし、クーパーを休ませてやりたい、
それに一行の中にはようやく辿りついたという安堵感もあったし、
ここまで来ればもう大丈夫という達成感もあった。
とりあえず空腹のままでは不測の事態の時に機敏に反応できない。腹が減っては戦は出来ないのだ。
2962/9:03/06/09 23:32 ID:Ttw+Q7z+
それからしばらく経過し、食堂の中には美味しそうな匂いが漂いはじめている。
エリアは本来ファリスの支給品であった干し飯を鍋の中に入れると、お湯で戻し、
さらに、道々で摘んだ野草や木の実も放りこんで、リゾットを作っていく。

クーパーは待ちきれないといった様子で、厨房を眺めている。
一方のバッツは目を閉じたまま、イスにもたれて何か考えごとをしているようだ。
(ファリス…レナ…)
彼は失った仲間たちのことを考えていた。
(そういえばファリスは荒っぽいくせに薬とかにもかなり詳しかったよな)
そのまま彼はファリスとの思い出を回想する。

『すごいな、これ全部薬かよ』
『俺たち海賊は生傷がつきもんだし、職業柄まっとうな医者にもかかれやしないからな、自然と詳しくなっちまった』

現実の世界では待ちきれなくなったクーパーがエリアに催促をしている。
「ねぇ、早くぅ〜」
「そう急かされても、まだ味見もしていませんよ」
「だったら、僕が味見をするよ、いいでしょ、ねぇ」
「仕方ないですね、わかりました。ちょっと待ってください」
2973/9:03/06/09 23:32 ID:Ttw+Q7z+
そんなやり取りを聞きながら、バッツはさらに思い出の中へと沈んでいく。
『でもよ、俺が持っているのは傷を治す薬だけじゃないぜ、こんな珍しい毒薬もあるぜ』
そう言ってファリスが見せた薬ビンの中身は、無色透明でバッツの目には水にしか見えなかった。
『だろ…ちょっと待ってな』
ファリスはそう言うと、ビンの中身をフラスコにとって熱を加える。
『どうだ…うまそうな香ばしい匂いがするだろ…知らなきゃそのまま食べてしまうぜ』

(そうそう、ちょうどこんな香ばしい…!!)
バッツは慌てて立ちあがり、味見をしようとしているクーパーを止めようとするが、
しかしすでに手遅れだった、クーパーは皿に盛りつけられたリゾットをもう口にしていた。

バッツの声に振り向くクーパーだったが、毒の効果は劇的だった、
彼の身体が瞬時にして灰色になったかと思うと、もう次の瞬間には彼の身体は石になってしまっていたのだ。

石像と化したクーパーの前でバッツは己の迂闊さを深く後悔する。
こんな大事な事をここまでどうして失念していた?
そうだ、この戦場にエクスデスの息がかかったものが紛れ込んでいないと誰が保証できる。
エクスデスの1派ならば、当然クリスタルのことも知っていて然りだ。
2984/9:03/06/09 23:37 ID:Ttw+Q7z+
一方のエリアは何が起こったのかも理解出来ず、金魚のように口をパクパクと開閉している。
言いたいことはあれど、言葉が出てこないのだ。
(どうして?どうして?どうして?)
だが、今、目の前で起こった事は紛れも無い現実だ、自分の料理を口にしたクーパーは物言わぬ冷たい石像と成り果ててしまっている。

バッツはエリアを睨みつけ、その手を剣へと伸ばす。
毒を盛られたのが自分ならば、まだ落ちついていられた、
だが、無関係なクーパーを巻き込んだことだけは絶対に許せない。
そう、バッツを突き動かしていたのは、エリアに対しての怒りだけではなく、
クーパーを守る事が出来なかったふがいない自分への怒りだった。

「油断した俺が馬鹿だった…だが、お前だけは許せない!」

そしてその言葉が終わるか終わらないかの間に、
エリアは脱兎のごとく厨房を飛び出し逃げ出していた。
もはや自分の言葉では彼を納得させることはできないだろう、
こうなったら土の戦士であるあの少年になんとかとりなしてもらうしかない。
そうする以外に自分の身の証を立てる方法は無いのだから…。
2995/9:03/06/09 23:38 ID:Ttw+Q7z+
ともかくエリアは必死で逃げる。
「土の戦士というのも当然でまかせか?それとも俺の次はそいつだったのか!」
風の戦士の怒りと悲しみの叫びを背後に聞きながら…

そして場面は表門へと変わる。
自慢気なテリーの声から、少し遅れて土煙の中からゆっくりとソロが姿を現す。
目をやられているのか、両目には眼帯が巻かれているのが遠めでも分かる。
「テリー…先に行っちゃだめだよ…」
ソロは足元を剣で探りながら、ふらふらと声の方に近づいていく。
導師とティファはそんな2人の様子を見ながら、小声で相談する。
「目が見えないのかな?…直してあげればもしかして仲間になってくれるかも」
一方のティファはソロの顔を見ながら首をかしげている。
「あれは…」

その時であった、廊下の曲がり角から悲鳴が聞こえたかと思うと、一人の女性が姿を現す。
さらにそれを追って戦士が剣を振りかざす。
「覚悟しろ!」
止める暇もなかった、その瞬間、戦士の剣は女の背中を見事なまでに斬り裂いていた。
女はスローモーションのように天に向かって手を伸ばし、救いを求めるようにさらに
何歩かふらふらと進むが、そのまま床へと倒れこんだ。
3006/9:03/06/09 23:39 ID:Ttw+Q7z+
言葉もなく、静まり返る一同だったが、やがてテリーの叫びが均衡を破る。
「ソロ!悪い奴がいたよ!今、女の人を殺そうとしている!」
悪い奴…その言葉を聞いた途端、今まで緩慢としていたソロの動きが見違えるように機敏になる。
「テリー!そいつはどこにいる!」
「ソロの左の方にいる、そのまままっすぐ走ったらすぐだよ」
「分かった!」
ソロに続いてテリーも男の方へと駆けていく。

導師もまた男に斬られた女性が誰なのかを悟り、男を止めようと走る。
「エリアさん!」
床に倒れたエリアは血塗れになりながらも、それでも床を転がり、救いを求め導師たちの方へと手を伸ばす。
だが、バッツは非情にも剣を両手で構え、エリアへと止めの一撃を見舞おうとしていた。
「これで…終わりだ!」

その時であった、空中から鋭く舞い降りる影、
それを察知したバッツは素早く剣を持ち変えると、ジャンプ斬りをしかけたソロの剣を受けとめる。

「許さない許さない…悪い奴は一人残らず許さない…」
ソロは素早く間合いを外すと、剣を鞘に収め、息を潜めて相手の動きを読む。
一方のバッツは完全に頭に血が登ってしまっている。
「邪魔をするなぁ!」
叫びと同時に彼はソロへと斬りかかっていった。
3017/9:03/06/09 23:43 ID:Ttw+Q7z+
ソロとバッツが斬り結ぶ中、放置状態のエリアの状態を遅れて到着したティファが確認する。
意識を失っている上、背中を深く斬られ、傷は首筋にまで達している、危険な状態だ。
「導師!はやく来て、でないと…」
しかし導師は、やる気まんまんといった感じで、バッツとソロの戦いをまるで隙をうかがうかのようにじっと眺めている。「何しているのよ!」
「だけどっ!この人は僕の知り合いなんだよ!…あいつ!許さない、ちくしょう!」
怒りに我を忘れている導師をティファが嗜める。
「だったら尚更じゃないの!まだ助かるかもしれないのに…あなた言ってたでしょ、自分の役目は戦う事じゃなく助けることだって!」
「でもっ!」
「戦うことは何時でも出来るわ、でも救う事は何度も出来ることじゃないのよ!」
ティファの言葉に、冷静さを取り戻したのだろう、
導師は気を取り直してエリアへと回復魔法を唱える、しかし。
「だめだ、傷は塞いだけど出血が多過ぎる…回復魔法に加えて輸血もしないと持たないよ」
「たしか医務室がこの先にあったと思う…急ごう」
テイファと導師はエリアの体をそっと持ち上げると、そのまま戦場を離脱し、医務室へと向かった。
3028/9:03/06/09 23:44 ID:Ttw+Q7z+
【バッツ(魔法剣士 時魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド/現在位置:神殿
 第一行動方針:エリアを倒す・ソロを倒す
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】

【導師(MP減少、回復率50%):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:神殿内部の医務室へ
 第一行動方針:エリアの治療
 第二行動方針:ハーゴンの補佐、看病
 最終行動方針:不明】

【ティファ 所持武器:無し 現在位置:神殿内部の医務室へ
 行動方針:エリアの治療】

【テリー所持武器:なし 現在位置:神殿
第一行動方針:ソロを助ける 
第二行動方針:謎の剣士の敵(ティナ)を取る、】

【ソロ(暗闇もしくは失明) 所持武器:エンハンスソード、イリーナの会員証、スーツケース核爆弾
 現在位置:神殿
 第一行動方針:バッツを倒す
 第一行動方針:(悪い奴)を倒すor勇者になる 
 最終行動方針:デスピサロ打倒(現在もその気があるかは不明)】
3039/9:03/06/09 23:44 ID:Ttw+Q7z+
【エリア(瀕死) 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 
 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:神殿
 第一行動方針:クリスタルの戦士との合流
 第二行動方針:?】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
(現在荷物は全て食堂に放置状態です)

【クーパー(石化) 所持武器:天空の盾 現在位置:神殿食堂
 第一行動方針:?
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
(数時間後自動的に回復)
3041/4:03/06/10 20:46 ID:mMpt4hWk
「頼む、出てこないでくれ」
キラーマシーンがしばらくランダムコースに入ることを導師は思い出していた。
ティファは黙ってエリアの足を抱え込んで走る。
医務室は暗い廊下の突き当たりにある。
決して遠くはないが、人一人を抱えて走るのは思った以上に難儀だった。
無事に到着できる保障はない。
ただ、ここで会ったが百年目というという事になれば、導師は命をかけてもエリアを守るだろう。

祈りが通じたのか医務室にたどり着くまでの間、キラーマシーンが姿を現すことはなかった。
最後まで気を緩めないよう、エリアを運ぶ二人は努めてドアに近づき、導師が片手で乱暴に開け放した。
思わぬ光景に導師は叫ぶ。

「これじゃ、どうやって助けるっていうんだ」
後手でトドアを閉めたティファも異様な様子に気がついた。
二人とも愕然とするしかなかった。
医務室は無残に荒らされていた。ところかしこに割れた薬品のビンやら、薬箱の破片、飛び散った液体が
作り出した床の染み、穴が開いて使い物にならないベッドなどが散乱していた。
棚は倒され中の試験管や包帯やらがばら撒かれ、足の踏み場もないほどだった。
整然としていればかなり設備の整った大きな医療場であっただろう。
だが輸血用の血液パックや血液型検査の器材など、この有り様では求める方がどうかしていた。
「あのマシンがやったの?」
もうエリアを床に下ろして茫然としている導師にティファが聞いた。
「わからない、でも他に考えられない。あいつは神殿を守る機械のはずだ、
 なのに、どうして……くそっ」
導師が見た床に横たわるエリアの顔は、青ざめてもう生気がなかった。
3052/4:03/06/10 20:47 ID:mMpt4hWk
「どうしよう、どうしよう」
導師はおろおろして、壁と壁の間を往来した。
自分も似たようなことが過去にあったのを思い出した。
ティファは見ていられなくなった。
「私、ハーゴンさんに聞いてくる、何か助ける方法があるかもしれない」
導師は聞いていないのか反応を見せない。
「待ってて、全速力で行ってくるから」
ティファは背を向け走り出した。

ニブルヘイムの魔鉱炉でクラウドが傷を負った私を助けてくれた
あのときクラウドもきっと、最初どうしたらいいかわからなくてうろたえたんじゃないかな
でも、すぐ決断して私を救うために走ってくれたんじゃないかな
きっとそうじゃないかな……


ティファは医務室のドアを勢いよく開け、外に飛び出した。
一瞬前、心音が警報ランプのようにけたたましく鳴り響くのを、ティファは感じた。
それに構わなかったのが終わりを意味していた。

廊下は塞がっていた。
すぐ目の前に紫色が艶やかな、つるりとした金属の機械がいた。
意地悪をするように両腕を広げて、ティファを通してくれなかった。
「なんで」
3063/4:03/06/10 20:48 ID:mMpt4hWk
キラーマシーンだから人を殺すことが使命であった。
無邪気な笑いとも取れるターゲットロックの機械音声が鳴り響く。
右腕の電流を帯びたブレードは、正確にティファの胸を狙った。
咄嗟にかざしたティファの左手は何の意味ももたらさない。
ブレードは左手の甲をいとも容易く貫き、その先の心臓に到達する前の、衣服も、薄皮も、肉も、骨も焼き、
溶かしていった。

全てを貫いたあとには、医務室のドアに少量の血がへばりついていた。
吹き出るはすの血は大半が蒸発したため凄まじい惨劇という光景にはならなかった。
その下でドアにもたれかかり、人形のように白い顔をしているティファは、まだ流れ出る生暖かい血とは裏腹に
急速に冷たくなっていった。
3074/4:03/06/10 20:48 ID:mMpt4hWk
【導師(MP減少、回復率50%):所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:ハーゴンの神殿医務室
 第一行動方針:ハーゴンの補佐、看病
 第二行動方針:不明
 最終行動方針:不明】
【ティファ  死亡】

【エリア(瀕死) 所持武器:小型のミスリルシールド・ミスリルナイフ・加速装置・食料2ヶ月20日強分&毒薬 
 水1,5リットル×2 フィアーの書×7 小型のミスリルシールド 現在位置:神殿医務室
 第一行動方針:クリスタルの戦士との合流
 第二行動方針:?】
(エリアは一度だけ召喚魔法『シルドラ』を行使可能)
(現在荷物は全て食堂に放置状態です)
今日のところは保守
3091/3:03/06/12 21:43 ID:lmU7TQ95
「悪い奴は許さないぞ。僕は勇者なんだから」
「こいつ…!?」
ソロは嬉々と剣を振るう。自分の正しさを証明していることに他ならないからだ。
明後日の方向を見ているにも関らず繰り出される確かな剣筋に、バッツは幾分戸惑う。
「やめろ、俺はあの女だけは許せないんだ!」
「女の人を殺そうだなんて、やっぱり悪い奴じゃないか」
「そうだよ!そんな奴やっつけちゃえ!」
自分たちがこれまで何をしてきたのか、全てを棚に上げていうソロとテリー。

「あの女は子供を殺そうとしたんだぞ!懐いている子供に毒を盛ったんだ!」
「悪い奴のいうことなんて信じられないよ」
切り結ぶソロとバッツ。ソロは笑っていた。心の底から嬉しそうに笑っていた。
それがたまらなく醜悪だと、バッツは思った。
「俺は悪党であの女は正義の味方だってか!?何でそんなことがわかる、お前は何をもって悪い奴と正しい奴を見分けているってんだ!?」
「僕は勇者だから、わかるんだよ」
「ならお前の正義は誰が証明するんだ!俺は認めない!笑って人を斬ろうとする奴が正義であってたまるか!」

そんなバッツの言葉に、ソロの顔色が変わった。
笑顔が消え、怒り、脅え、焦り、そんな感情が取って変わる。
「黙れ…」
「何が勇者だ、何が悪い奴はゆるさない、だ!それなら真っ先にゾーマを倒せよ!」
「黙れ、黙れ!」
「本当に勇者なら、みんなを救ってみせろよ!レナとファリスを救ってみせろよ!あいつらはこんな所で死ぬ奴じゃなかった!」
「――――!!」
3102/3:03/06/12 21:45 ID:lmU7TQ95
『人殺しはそっちでしょう!レナ姉ちゃんは何にも悪い事してないのに!最低よ!』

バッツの言葉を引き金に、バーバラの言葉がリフレインする。
それがソロの剣を鈍らせ、そしてバッツは見逃さなかった。
すかさず刃を返し、ソロの首に剣を通す。
「あああっ!」
テリーの悲鳴。ソロは口をパクパクと動かし――――咽喉が切られて声が出ないのだ――――そのまま倒れる。
それが、自分を見失い、視野狭窄に陥り、次から次へと「正義の名の元に」人を殺めた勇者の、末路だった。

「よくも、よくもソロを!」
バッツはいきりたつ子供から視線を外すと、エリアがいたところを見る。
すでにエリアの姿はない。ただ、転々と伝う血が廊下の向こうへと続いている。
「この悪党めぇー!!」
テリーはソロの手からエンハンスソードを奪うと、バッツに切りかかる。
子供の手には扱いに余る大きな剣。それはバッツの元に届く前に、あっさりと弾き返された。
バッツの平手がテリーを張り倒し、テリーは比喩抜きで吹っ飛ぶ。

「安っぽい正義ごっこに付き合っていられるか!」
「う、ううう…!」
「お前をこのまま見逃すわけにはいかない。非力な子供でも剣は握れるし人は殺せる」
逃げよう。テリーは立ち上がろうとした。だが、出来なかった。
バッツの気合に押されて、縮み上がってしまった。
「子供は殺したくないが、更生するチャンスを与えてやる余裕は、もう、ない!」
抵抗する心の強さも、もう、なかった。

一閃。
小さな命が消えて、バッツの迷いも消えた。
3113/3:03/06/12 21:46 ID:lmU7TQ95
「…やっとわかったよ。俺に出来ることは、自分の勝手な都合を通そうとする奴を止めることだ。
 自分の都合に皆を巻き込む奴を倒すことだ。
 そうだろう、レナ、ファリス…」
バッツは剣を収めると、静かに歩き始めた。
エリアを追うこともできる、だがアビリティを白魔法に換えればクーパーを戻す事ができるかもしれない。
ならば、今優先させることは決まっていた。

【バッツ(魔法剣士 時魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド/現在位置:神殿
 第一行動方針:クーパーの治療、エリアを倒す
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】

【ソロ死亡】
【テリー死亡】

二人の荷物は神殿内に放置されました。
いまのところ、バッツは回収していません。
というわけでソロとテリーには退場してもらいました。
テリーを見逃す、という展開も考えましたが、
プチ疑心暗鬼に入ってるバッツは見逃さないだろうと判断しました。
私は完全に辺りが暗くなるのを待ってから、動き出した。
森の中でかまくらを作り一夜を過ごす手はあった。木は豊富にあるし、火炎の呪文を使えば
湿気を含んだ木材であろうが関係なく、体を温めることができたはずだ。
だが、そうはしなかった。体温を確実に奪う吹雪の中を昼間と同じように歩き出した。
強く、動きたい衝動に駆られていた。

自分は今まで恵まれ過ぎたのかもしれない。苛烈な戦闘が行われてきたこのゲームのなかで、のんびりと
一人だけ観光するような気分でいたかもしれない。
その気持ちが呪文のように頭の中で反芻され、足を動かす強制力となる。

両手はすっかり冷えていた。ところどころあかぎれが出来て痛みが刺す。
息を吹きかけると、また傷んだ。
改めて自分の手を細々と見つめると、おぼろげに、後悔の念が浮かんでくる。
私の進んだ道は誤りではなかったか、と。


練度は最大に上がっている。魔法戦士としての修行を続け、自分というものを練り上げてきた。
魔法剣を、敵を消し去る呪文を、力を倍増する呪文を使うことができる。
火球の最強呪文、メラゾーマを難なく放つことができる。
連続で唱えても魔法力が尽きることは、ない
―――

魔法使い、僧侶、賢者、何にしても自分はバーバラ程の魔術の素質はないと理解していた。
ならばオールマイティーに……。自分の選択は間違っていないと信じたかった。
だが結局魔法戦士という職は、無難な選択の一つでしかなかった。
極めたのはいいがそこから先への見通しが立たなかった。
自分は何を目指すのか、肝心なことを考えずに成り行きまかせだった。
はっきりとしていることがある。魔法戦士を極めて勇者への道はむしろ遠ざかった。
実は器用貧乏でしかないのではという予感が、ミレーユの脳裏に突き刺さった。
自分は逃げていた。才能の限界を見るのが怖くてスペシャリストの道を避けてしまった。

私は幼い頃から勇者になることを夢見ていたはずだ……

どれだけの時間を費やしただろう。これだけの事を思い出すのにどれ程の努力を払ってきただろう。
最後に習得したこのメラゾーマ、魔法戦士を極めた証である呪文。
長い月日をかけて手に入れたこの呪文が、今は何とも頼りなく思えてならない……


いつの間にか握りこぶしを作って立ち尽くしていた。
生きる道、自分の選択、これまでの軌跡、全てに不満があった。
このゲームにおいても同じく。

そう、今の今まで戦闘に巻き込まれず生き延びてきたことに疚しさを感じていた。
皆が殺し合いをしている時に呑気にチェスをしていた。雨上がりの晴れ空を見上げて陽気でいた。
雪景色が綺麗だと、一人色めき立っていた。   
何処までも本気になれずにいた……。


もう有耶無耶しさなど放り出して全力で行きたい。
今から私は変わるんだ。

【ミレーユ 所持武器:ドラゴンテイル・妖剣かまいたち・小型のミスリルシールド・ 現在位置:ロンダルキア東部の森 行動方針:占いで見た人に会う(ロック、エリア)】
3151/4:03/06/14 00:51 ID:fGYsu6r5
ドン、と。ティファが出て行った直後に何かが叩きつけられるような音が鳴った。
導師の顔が青ざめる。誰かがいる。ティファ以外の誰か。
デッシュだろうか。ハーゴンは動ける身じゃない。ジタンかもしれない。
でも一番可能性が高いのはエリアを害したあの男で、その次は、

ドン!!

ドアが弾けた。のっぺりとした機械の塊がこちらをのぞいている。
「あ、あ…」
そんな、導師はうめいた。こんな最悪の状況で来なくてもいいのに。利用するどころか、エリアのことで動転して逆に追い込まれてしまった。
どうする、ちらりと背後のエリアを見る。答えは、決まっていた。
「くそ、くるならこいっ!」
天罰の杖を構える。お世辞にも戦闘力があるとは言えない自分だが、エリアを見捨てるわけにはいかなかった。
あの時、あの洞窟で。自分たちをかばってこうして冷たくなっていく彼女を、ただ見ていることしかできなかった。
それをまた繰り返すのは、ごめんだった。

天罰の杖を翳し、エアロを唱える。杖から生まれた旋風がキラーマシンに吹き付ける。
やはり、キラーマシンに効いた様子はない。ボウガンが内蔵された腕を上げると、導師に照準をあわせようとする。
「この、このぉっ!」
導師は杖を魔力を送り込んだ。正直、度重なる魔法の連発で魔力は底をつきかけている。杖を握った手が果てしなく重い。
だが、諦めるわけにはいかなかった。
3162/4:03/06/14 00:52 ID:fGYsu6r5
風を巻き起こす一方で、導師は自分の切り札の準備をする。

ゴォォォォ!!

風が更に威力を増す。
生まれた余波が、ただでさえ荒れていた室内を更に滅茶苦茶にしていく。
キラーマシンもさすがにその勢いに飲まれ、身動きが取れなくなっていた。
そして――――魔法は完成した。
「ホーリーーーッ!!!」
天罰の杖が一際強く輝き、光の奔流がキラーマシンを飲み込んだ。

「はあ、はあ…」
導師は天罰の杖から手を離すと、膝を付いた。
完璧に魔力を使い果たしてしまったようだ、思考が遠くなり、まぶたが重くなる。
だが、まだ気を失うわけにはいかなかった。キラーマシンを倒した事を確認するまでは――――
〔各部損傷チェック。70%超過。任務の続行は可能〕
そんな。どうしようもない絶望の中で、導師は意識を手放した。

キラーマシンはボロボロになった腕を振るい、床に倒れた導師に振り下ろそうとする。
…だが、導師の命運はまだ尽きていなかった。
3173/4:03/06/14 00:53 ID:fGYsu6r5
ガキン!と甲高い音が鳴り、劣化した金属の腕が落ちる。
振り向いたところに、顔面に剣が突き刺さった。
「邪悪に操られた機械人形。悪いが、壊れてもらおう」
各部から火花が飛び散る。
スライムナイトのピエールが珊瑚の剣を引き抜くと、キラーマシンは崩れて壊れたのだった。

ピエールは珊瑚の剣を収めると床に横たわる導師を見た。
エビルマージを一蹴した後。
ピエールはフライヤの遺体を丁重に葬り(ちなみにフライヤのエストックは形見代わりに回収した)、神殿の中に入っていた。
すぐにでもとんぬら、クーパー、アニーを探しに行きたかったが、日を暮れてから、外の気温はみるみるうちに下がっている。
ただ出歩くだけでも命の危険があった。
それで、一晩休める場所を探していたのである。

「命に別状はないようだが。あちらのお嬢さんは…」
傍目からでも良くわかる。すでに生気がまったくなかった。
ただでさえ魔法の効きは悪くなっている。もう、手の施しようはないだろう。
「聞こえるか。最後に言いたいことがあるのなら、私が聞こう」
ピエールはエリアに近寄ると、口元に顔を寄せる。
3184/4:03/06/14 00:58 ID:fGYsu6r5
エリアはゆっくりと瞼を開けた。
その瞳は、もう焦点があっていない。

「私は…違う…」
「違う?何が」
「そんなつもり…なかった…そう…伝えなくちゃ…でも…逃げちゃ…って」
つぅ、と涙が伝う。
「死ぬこと…怖れていない…はずなのに…恐くなって…生き、たい…と…願って」
はぁ、エリアはと息を漏らす。最後の時はもう近い。
「それを、誰に伝えればいい?」
「風の戦士に……あの子に、クーパーに、ごめんな、さい…と――――」
「!!…クーパー様だと!?どこにおられる、ごめんなさいとはどういう意味だ!?」
ピエールはエリアの肩を揺さぶる。
だが答えが返ることはなく、彼女の表情は悲しみに満たされたまま、変わることはなくなった。
永久に……

【ピエール 所持武器:珊瑚の剣 エストック 現在位置:神殿一階医務室
 第一行動方針:とんぬら・クーパー・アニーを探し、守り抜く
 最終行動方針:ゲームを脱出し、諸悪の根源を断つ】

【導師(MP0) 所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:神殿一階医務室
 第一行動方針:ハーゴンの補佐、看病
 第二行動方針:不明
 最終行動方針:不明】

【エリア 死亡】
【キラーマシンは全て破壊されました】
聖域の巻物だが、アークに回収させて良いかな?
>319
アーク?アークマージのことか?
聖域の巻物が厄介なのはわかるが、
主催者側を動かして何とかするというのは如何なものか。

どのみちロンダルキアから出るときが来るんだし、
主催者側を動かすぐらいならゼニスは放置で構わんと思う。
エリアが事切れたことで、何か知っていたはずのことを聞き出すことはできなくなった。
ピエールはため息をつき、とても安らかとはいえないエリアの顔を手で覆うと、目蓋をそっと伏せた。
それからあらためて嵐の過ぎ去った後のような部屋内を見渡した。
「それにしてもこの神殿……どうしたことだ」
ピエールは横で倒れているローブを着た少年の容態を確かめ、命に別状は無いとわかると、彼に癒しの
呪文を軽くかけたのち医務室を出た。

――この人を見つけなければ、医務室へは入らなかったかもしれない。
胸から血を流して死んでいるこの女性。
医務室で破壊した機械人形に襲われたのだろうが、この人はあのフライヤと闘っているのである。
ピエールはあの時キラーマシンとの競り合いですぐに場を離れてしまい、二人がどう闘ったのか
ほとんど見ることはできなかったのだが、実力は確かなものだったのは間違いない。

フライヤと闘った、すなわちフライヤを殺したのがこの女性だという理論はもちろんあり得る。
だが、もうそれを言っても始まらない。
それに、この女性が相手を死ぬまで痛めつけたとは思えなかった。
セーラを討とうと剣を振り上げたとき、止めたのが彼女だ。
あれは、理由はどうあれ目の前で人が殺されるのを黙って見過ごせないという意思でなされた
行為ではなかったか。
そして、ここで無残な殺され方をした彼女を見て、
自分は彼女への不信を超えた、人が死んだという事実に怒りを感じたのではなかったのか。

キラーマシンを倒したことで、この女性の仇を討ったことになる。
もう咎めることなどないのだとピエールは自分を納得させた。
ピエールは頭を垂れて深く祈った。
「どうか、心安らかに」
ピエールは顔を上げ、廊下を歩き出そうとしてふと立ち止まり、思った。
死んだ二人の女性は、あのローブの少年と親しい関係なのだろうか。
ならば、少年は目覚めた時、果たして事実の重さに耐えられるだろうか、と。

廊下はところどころに台座があり、ろうそくが灯されていたため暗闇ではない。
不規則に揺れる小さな炎を頼りにピエールは歩を進める。
(蝋燭の火……管理者でもいるのか?)
だとすれば、それは薄ら寒い企みを持った暗い闇の教徒だろうと、そんな風に思いもした。

場が開けた。
いくつもの柱で支えられる広がりをもった大部屋。
正面入口ということらしい。前方に、強力な力で砕かれたような門が見えた。
ピエールは視線をずらすと、門から左手の、来た方からちょうど反対の廊下と大部屋のつながり付近に
倒れている人間を発見した。

「あれは!」
急に無理な力を加えて走るのに、スライムが何も不満を漏らさないのがありがたかった。
急いで駆けつけて顔を覗いた人物は、確かに見た顔だった。

名前は知らないが、フライヤと戦い寒空の下に放逐された人物であることははっきりわかった。
ピエールが、無礼をしたと謝ったのを、まるで認めず逆上した少年。
それが今は穏やかに眠っているように見えてしまうほどであった。
死を望み、受け入れた、そんな顔だった。

ピエールは複雑な思いで、少年の死を認めるしかなかったが、その刹那、
心臓をわしづかみにされたように戦慄を覚えた。
今まで気付かなかった廊下の隅で、子供が倒れていた。
子供の見開かれたままの目は、怒りなのか恐怖なのか、よくわからない理不尽な色どりで満たされていた。
一刀のもとに切り伏せられた、そんな印象があった。

ピエールはまたも、思った。
皆、狂ってきているのか。

【ピエール 所持武器;珊瑚の剣 現在位置;神殿 行動方針:神殿内探索】 
3241/5:03/06/14 22:50 ID:bD0CxNj1
デスピサロの迷いはそれほど長くは続かなかった。というより、はっきりいって短い。
呼吸を一つ入れる程度のこと。それ以上の迷いは致命的になる、そんな世界にデスピサロは住んでいた。

ジタンに向き直ると口を開く。
「すまんが、用事ができた」
「はぁ?」
「向こうにいる連中の中に知った顔がいる。この私の知己にしては珍しく出来た男でな、元の世界で色々世話になった」
ジタンはデスピサロをまじまじと見ていたが、にやりと微笑を浮かべた。
「つまり、アンタにとって優先順位が高いわけだ。いいぜ、わかったよ」
「お前は一旦神殿に戻れ。単独でその娘を守る余裕はないだろう?」
「ああ、そうだな。ま、神殿に連れて行ったとしても安全とも限らないけどな」

ジタンの軽口に、デスピサロはあえて反応しなかった。
神殿にいるハーゴンとやらがどんな奴なのか、実際にあっていないデスピサロには推測しかできない。
ただ、聞いた限りだと、目的のためならば過程も手段を選ばないタイプなのだろう。
何にしろ、危険な奴だという印象がある。
手段を選ばないのは自分も同じだ…と思っている…が、大切な人がいるという「縛り」を持っている分、デスピサロは行動が制限される。
だから、そういうタイプには最後に出し抜かれてしまう危険があるのだ。
エビルプリーストのときのように。
3252/5:03/06/14 22:53 ID:bD0CxNj1
「っと、行く前に聞いとかなきゃな」
踵を返したジタンは、走り出す前に顔だけデスピサロに向けた。
にやけたそのツラがほんの少し不快だったので、デスピサロは顔を背ける。
「その知り合いってさぁ、オンナ?」
「男だ」
「なーんだ。まぁ、それなら大丈夫…いや、別の意味で荒れるか?」
「行くぞ」
あえてジタンに答えず、デスピサロは走り出した。

雪原を駆け抜ける。
雪の上はそれなりに動きづらいがそれは向こうも同じことだ。
程なくして目的の人影を捕らえた。
彼は接近する存在に気付いてすかさず身構えたが、
自分の姿を確認して武器を下ろす。

「ピサロ殿!」
「久しいな、ライアン。壮健そうで何よりだ」
「ピサロ殿も無事でよかったでござるよ」
その言葉に偽りの色はなかった。
このような状況で、元の世界では命を取り合いをもしていた相手に、
こうした態度がごく普通に取れるのがライアンという男だ。
出てきたのは間違いではなかったな、デスピサロは思った。

「早速だが、本題に入らせてもらう」
デスピサロはジタンから聞いた話とそれからの経緯について話した。
3263/5:03/06/14 22:55 ID:bD0CxNj1
どこかの誰かは知らないが、
このゲームをひっくり返すために活動している、
そんな存在がいることにライアンは驚き、そして敬服した様子だったが、
「すまぬが、ワシにはやることがあるので助力は出来ないでござるよ」
きっぱりとそう答えた。

「ソロのことか。先程の連中との話は大体聞かせてもらったが」
「知っているのなら話は早い…そのとおりでござる。
一刻も早くソロ殿を探し当て、己を取り戻してもらわねば」
「それならば、なおのこと私に同行した方がよいと思うが。
奴は私を狙っているのだろう?」
ライアンはム、とうなる。
確かに、ソロがピサロを追っているのだから、
ピサロの側にいれば向こうから会いに来てくれる。
しかし、ピサロと同行していれば歯車の狂っているソロがどう思うだろう。
「私は手を差し伸べた。どうするかはお前次第だ」

………ライアンはしばし頭をたれた。
と言ってもそれは瞬きを二度ほどする間のことだったが。
基本的にライアンは肉体派で即決即断即行動の男だった。
「決めたでござるよ。ピサロ殿に協力するでござる」
「賢明な判断だ」
「ただ、その前に、このことを彼等に伝えておきたいのでござるよ」
3274/5:03/06/14 22:57 ID:bD0CxNj1
「あの二人か。ふむ…」
デスピサロは少し考えた。
東のほうから、複数人がやってくる気配がある。
そしてその向こうに――――はっきりしていてわかりやすい殺気があった。
このまま黙っていても彼等はあの銀髪の男に遭遇する可能性が高い。
そして彼等は無謀にも銀髪の男に挑もうとしている。

「ピサロ殿?」
「……いいだろう、だが急ぐぞ。時間がない」
「???」
?マークを頭に浮かべるライアンを尻目に、デスピサロは再び駆け出した。
よくわからないが、ライアンも後に続く。

(奴は危険だ)
目に写る生きとし生ける者を殺めようとしている男だ、
神殿に入り込まれたら儀式どころではなくなる。
ここから神殿までは距離があるが
地下通路などというものがある以上、楽観はできない。

だが、ここで彼等を上手く誘導できれば、銀髪の男を始末できるかもしれない。
更にいえば、始末までは無理だとしても、ダメージを与え、
儀式が発動するまでの時間さえ稼げればよいのだ。

(利用できる者たちがいるうちに手を打つべきだろう…)
それがデスピサロの結論だった。
3285/5:03/06/14 22:58 ID:bD0CxNj1
【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたりから数マス東
 第一行動方針:マリベル・ティーダとの合流/セフィロスとの戦いを誘導する
 第二行動方針:腕輪を探す・偵察
 最終行動方針:ロザリーの元に帰る】

【ライアン 所持武器:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)
 現在位置:祠の南西・・山岳地帯と雪原の境目あたりから数マス東
 第一行動方針: マリベル・ティーダとの合流/ハーゴンたちの事を教える
 第二行動方針:ソロを探す
 第三行動方針:不明】

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたりの地下通路
 第1行動方針:神殿に一旦戻る
 第2行動方針:魔法使いを探す、エーコを探す
 最終行動方針:ゲームから脱出 】

【リディア(気絶中)所持品:なし
 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたりの地下通路
 第一行動方針:?
 第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
 第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
「マリベル! どうしたんすか!」
懸命に来た道を後戻りし始めたマリベルをティーダは後ろから追いかける。
「さっきも言ったでしょ! あっちの島にあたしの仲間がいるのよ!」
振り返りもせず、マリベルは怒鳴るように返答する。
「さっきの嫌な感じの雷の事っすか? でもあっちの方にはセフィロスがいるって…」
「ええ、それならなおさら早く助けに行かなくちゃいけないじゃない!」

「落ちつくっすよ! マリベル!」
ようやく追いついたティーダはマリベルの肩をつかんだ。
「もう手遅れっすよ。もしもあれがセフィロスと戦った時のモノだとしたら…多分…。」
ティーダは皆まで言えなかった。マリベルの肩が小刻みに震えているのがわかる。
「わかってる。でも、もしかしたら違うかもしれないし、それに…」
マリベルはティーダの方を振り向いた。
「それに、もし死んじゃってたとしても
 あたしはそれをこの目で見なくちゃいけない!」

「マリベル…」
ティーダはもう行くなとは言えなかった。
自分も仲間がどれほど大切か知っているし、
いつもは勝気な少女が泣きながら訴えているのを見ると何も言えなくなってしまった。
「…大丈夫。たぶんアイツはあの島から北の祠へむかっているはずだから。 
 鉢合わせする事はないわ」
マリベルは再び下山し始める。

「マリベルを一人にしておけないっすからね。オレもついていくっすよ」
ティーダはマリベルの後について行く。
「…ありがとう」
マリベルは振り返らず、そっとそう呟いた。
【マリベル/ティーダ 現在位置:祠の南西・山岳地帯
 所持武器:エドガーのメモ/いかづちの杖・参加者リスト
 第一行動方針:来た道を戻り、祠南の島へ
 第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】
(キラーマシーンがいるからそう遠くには行かぬと思っていたが、何があった?)
導師達のいた部屋の扉を開け、再び自室で横になったハーゴンは少し焦っていた、
本来なら導師やエアリスを呼びに行くべきなのだろうが、既に自分の身体がそれに耐えられるとは思えない。
既に設計図、及び儀式魔法の詳細を纏めた文は完成している、完成しているが……
(最後の2点、これを失敗すると何にもならん。)
一つを成功させる為には人間が最低でも二人いる。
(ワシの首に魂を封じる者、そしてそれを見届ける者、本来はこれが最後の策であった筈なのだがな。)
そしてもう一つ。
(敵にわしの使う手段がばれていると仮定した場合、この手は有効な筈…子供騙しではあるが、今のワシの状態なら策には見えまい。)
儀式魔法の詳細にはワザと一箇所だけ間違えた記述を残してある、無論あの試験を通った者が見れば一目瞭然の代物ではあるが。
(前後を読み推理すれば簡単に正解に辿り着くが、最後の瞬間までその者には惚けて貰わねばならん、
主催者に儀式の準備中に介入される訳にはいかぬ。)
既に呼吸すら苦しくなってきている体を必死で奮い立たせながらハーゴンはその時を待っていた。

【ハーゴン(呪文使用不能、左手喪失、衰弱・老化) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首 現在位置:神殿自室
 第1行動方針:待機
 第2行動方針:不明
 最終行動方針:ゲームの破壊】
332331訂正:03/06/15 17:50 ID:0CgBYLzp
>本来なら導師やエアリスを呼びに行くべきなのだろうが

本来なら導師やティファを探しに行くべきなのだろうが

欝だ…
3331/4:03/06/16 22:15 ID:2UNIVwX6
小島を包んだ強烈な光に、ガウは叫んだ。
「がぅ〜〜〜〜っ!!!」
いつもニコニコと自分の事を理解してくれた老人。
彼の最後の光だということがわかったからだ。それがとても悲しかったからだ。

ガウの声に、ロックが我に返る。
そして自分たちが今までいた小島を包む光の余波を呆然とみやった。
ああ…また自分は助けられてしまったのだと。

ガウはオールを手に取ると、急いで漕ぎ出す。
向かう先は…メルビンと別れたあの小島。
「ガウ、よせ!」
慌ててオールを奪い取る。ガウは力無く座り込むと、声もなく泣きはじめた。
人の情を知らなかった少年。ガウの涙を、ロックは始めてみた。

「悔しいのはわかるさ…でも、耐えるんだ。生きていればきっと…」
「ホフマン、死んだ」
言い訳のようなロックの言葉を遮っていう。
「メルビンも、死んだ」
「まだ、決まったわけじゃ」
「いつまで耐えればいい?ガウ、もう、耐えたくない」
拙い言葉で必死に訴える。純粋な悲しみと強い決意が、痛いように伝わってくる。
「ガウ…」
何かをいおうとしたその時。
ぞくりと凄まじい悪寒がロックを襲う。それはガウも同じだった。

小島の浜。暗くてよく見えないが、星明りに長身が照らされていた。
3342/4:03/06/16 22:16 ID:2UNIVwX6
「――――!!」
ロックは必死にオールを動かした。そして瞬時に判断する。
流氷の上を渡れる奴に比べてイカダの動きはあまりにも遅い。
北に向かっていてはあっという間に追い詰められる。祠のある島など問題外だ。
行き先は南しかなかった。
いまだ気絶しているモニカはさぞかし文句を言うだろうが、それ以外になかった。

マリベル、ティーダたちは山を降りてすぐにデスピサロ、ライアンたちに合流していた。
もしかしたら助かるかもしれない、
という淡い希望に思わず手を取り合って踊りたくなる二人だったが、すぐにデスピサロが冷水をかける。

「間も無く、このあたりにあの男…セフィロスがやってくる」
「…そんな!」
それはつまり、あの小島にいた者が敗北し、おそらくは命を落としたということだった。
「マリベル、まだ決まったわけじゃないッスよ」
「わかってる。わかってるわ。メルビンが、そんな簡単にやられるもんか…」

必死に悪い予想を否定しようとするマリベルを、デスピサロは冷たい目で見る。
「それで、お前たちはどうするのだ?」
「どうするって…」
「奴は誰かを追っているようだ。その連中はこちらに向かっているようだから、ここに留まっていれば直に接触できるだろう。
どうするのだ、戦うか。それとも逃げるか」

「そりゃ勿論――――」
マリベルとティーダは顔を見合わせる。
そしてほぼ同時に、首を傾げた。
「――――どうしよう?」
335/4:03/06/16 22:17 ID:2UNIVwX6
「考えようによっては好機だ。奴の意識が追う方向に向いている、上手くいけば不意をつけるかも知れぬ。だが簡単に不意をつけるほど奴は甘くはないだろう、失敗する可能性もある」
なにやら考えている二人にますます迷わせる事を言うデスピサロ。
これは一つの駆け引きだった。

「私に一つ策がある」
デスピサロは持っていた地図を開いた。
それを覗き込むティーダ、マリベル、ついでにライアン。

「いいか、我等がいるのは大体このあたり」
山脈の東、雪原の中央にある森のやや北あたりをさす。
「奴はこの小島にいて、おそらくこちらにやって来るが…」
す、っと指を森の東側になぞらせる。
「誰かが囮になって、時間を稼ぎつつ南下させる。その間に待機している貴様等の仲間を呼んできて」
更に指を南側へとなぞっていき、洞窟の北側にある森、東側に突き出したあたりで止める。
「ここに伏せろ。奴が通るの待って、側面をつく」

「なるほど、森の中なら隠れられるし、上手く挟撃できるッスね!」
「単純ね。こんな作戦が上手くいくかしら」
「単純だからこそ、効果も確実だ。何にしろ囮次第だが、それは私が引き受けてもよい」
「ピサロ殿?」
さすがに不信を感じたのか、問い掛けるライアンを軽く一瞥すると、
「奴を放って置けないのは私も同じということだ。
どうする、ここを奴の墓場にするか、放置して死人を増やすか」
3364/4:03/06/16 22:18 ID:2UNIVwX6
【ガウ 所持武器:なし 現在位置:湖南の岸辺
第一行動方針:南下
第二行動方針:メルビン、ホフマンの仇をうつ】

【ロック(気絶) 所持武器:吹雪の剣 現在位置:湖南の岸辺
第一行動方針:南下、セフィロスから逃れる
第二行動方針:エリアを探す】

【モニカ(気絶):所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:湖南の岸辺
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】

【マリベル/ティーダ 現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたりから数マス東
所持武器:エドガーのメモ/いかづちの杖・参加者リスト
第一行動方針:デスピサロの提案をどうするか決める
第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】

【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたりから数マス東
第一行動方針:セフィロスとの戦いを誘導する
第二行動方針:腕輪を探す・偵察
最終行動方針:ロザリーの元に帰る】

【ライアン 所持武器:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)
現在位置:祠の南西・・山岳地帯と雪原の境目あたりから数マス東
第一行動方針: デスピサロに同行する
第二行動方針:ソロを探す
第三行動方針:不明】
     ___
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  |     ・ ・   | < 氏ねよおめーら
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誰も続きを書かないようならセフィロス戦を進めちゃいます。
今日のところは保守。
保守
保守がてら

>338
進めちゃって下さい。
自分も書きたいのですが多忙のため無理そうです
こちらはこちらで続いていたんですね
感想ですが、とてもいい感じです、キャラの最後も必要以上に誇張されていないのが特別に
実はフライヤとメルビンの死を書かせていただいたりもしたのですが
やはりああいう大往生よりも、ソロやエリアの死様の方が
バトロワらしくていいと改めて思いました
 
とりあえずリメイク版が軌道に乗りしだい、こちらの方にも書いていきたいと
思っています。
+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員には、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン>が支給される。
 また、ランダムで選ばれた<武器>が1つ、渡される。
 <ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る(FFUのポシェポケみたいなものです)
・最後の生存者のみが、安全に帰宅することができる。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。

+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
 この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
 または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・日没時に発表される『禁止技』を使ってしまうと、爆発する。

+魔法・技に関して+
・初期で禁止されている魔法・特技は以下の通り↓
「レイズ」「アレイズ」「リレイズ」「フェニックス(転生の炎)」
「ザオラル」「ザオリク」「ザオリーマ」「メガザル」「メガザルダンス」「精霊の歌」その他、復活系の魔法・特技
・全体攻撃の範囲は「攻撃側から見えていて、なおかつ敵と判断した相手全て」。

※現在の禁止技:
復活系の魔法・特技。
 ルーラ、バシルーラ、テレポなどの転移呪文・魔法。および、リターン、デジョン、ラナルータ。

+ジョブチェンジについて+
・ジョブチェンジは人が近くにいないときにできる。
 そのときにになんらかのアビリティをつけることができる。
・ジョブ特性は、ダメージ回避、落とし穴回避、まほうバリア、薬の知識のみ備わっている
3431/4:03/06/22 05:55 ID:bgh27v4L
「いいわ」
うつむいていたマリベルは、顔を上げるなり一言、そういった。
同じく考え込んでいたティーダはハッと顔を上げる。
「あいつのせいでたくさんの人が泣いた。もうたくさんよ」
誰にいうともなく言うマリベルに、ティーダはうなずく。

「決まったな。お前たちは一足先に戻って作戦のことを仲間に伝えろ。
 私は奴をひきつける。そのうちに手はずどおりに事を進めろ」
うなずくマリベルとティーダ。デスピサロは脇にいるライアンに視線を向ける。
「ライアンも彼らに同行してやってくれ」
「承知」
胸を張って答えるライアンに、デスピサロはこれでいい、と思った。
ライアンは実直な男だ、彼自身は自覚しないだろうが、しっかり目付け役を果たしてくれるはずだ。


話し合いが終わると早速、マリベル、ティーダ、ライアンの三者は暗がりの雪原を駆け出した。
デスピサロは意識を集中させながら、ゆっくりと移動を始める。
これから来る戦いに向けて、臨戦態勢をとっていた。
相手はあの銀髪の男、セフィロスだ。自分と同等、剣の腕前ならそれ以上か。
だが、自分には魔法があるし、幾度となく修羅場を抜けてきたという自負もある。
勝てない相手ではない。強敵であり、恐ろしく危険ではあるが、それがデスピサロの評価である。


しばらくして。デスピサロのいる場所に人影がやってきた。
「――――!?」
必死だったからか、すぐ近くにくるまでデスピサロの存在に気づかなかったらしい。
女性を担いだ中背の男はあわてて飛び離れ、少年は歯をむいて威嚇する。
3442/4:03/06/22 05:56 ID:bgh27v4L
「私は敵ではない」
デスピサロは端的にいった。このような状況では、それが一番伝わりやすい。
「なら、何者だ?」
「お前たちを追っている相手を、倒そうとする者だ」
あっけにとられるロックとガウにデスピサロは状況を伝える。

二人は最初こそ唖然としていたが、次第に瞳に熱がこもってくる。
「そういうことなら、俺たちも協力するぜ」
「がう!」
問うまでもなく協力を申し出るロックとガウ。
デスピサロは予想以上に簡単に勧誘できたことに一つうなずいてから、
「ならば、お前たちは一旦南に向かってみなと合流しろ。
私はオトリになって時間を稼ぎつつ、奴を戦場まで誘導する」
ガウはうなずく。

「待ってくれ」
ロックはうなずかなかった。
「なんだ」
「そのオトリの役目、俺にやらせてくれないか」
「………」

デスピサロは即答を避けた。
ガウはロックに不安げな視線を向ける。
「俺は自慢じゃないが、オトリやら引っかきまわすのが得意でね。この身一つで大軍を止めたこともあるんだぜ」
「だが、相手はあの男だぞ。ただの人ならば油断もあるだろうが」
「わかってるさ…十分にわかってる。だが、これが俺が奴を倒すためにもっとも役立てることだと思う」
「失敗すれば己の命どころか、南にいる連中や見知らぬ誰かの命も失われるぞ」
脅すようなデスピサロの言葉にも、ロックは動じない。
一言一言をかみ締めるように、言葉を綴る。
「それもわかってる。そういった危険な役割だからこそ俺が引き受けるんだ。
 絶対に誘導してみせる。だから任せてくれないか」
3453/4:03/06/22 05:59 ID:bgh27v4L
デスピサロは厳しい眼差しでロックを睨みつける。
ロックはそれを受け止め、しっかりとデスピサロを見据えた。

折れたのはデスピサロだった。
「いいだろう、やってみせろ」
「すまない」
「礼を言う必要はない。ただ、もう一度だけいっておく。失敗は許されんぞ」
「約束は守る。絶対に!」

デスピサロはロックからモニカを受け取ると、肩に担ぐ。
「じきに奴が来るぞ。覚悟はいいか」
「俺ならもうできてるさ」
ロックは不敵な笑みを浮かべると、吹雪の剣を袋から取り出し食料などが入った袋をガウに渡す。
怪訝そうな表情のガウに、ロックはウィンクしてみせた。
「持っててくれ。邪魔になるからな。…さ、行くんだ!」

こうして、雪原にロックただ一人が残った。
剣を持つ手を見る。震えていた。恐怖と武者震いが入り混じっていた。

セフィロスに立ち向かって、ただで済むとは思っていない。
ガウに武器以外の荷物を渡したことに、意味は多分に含ませている。
こんなふざけた状況で、自ら危険に飛び込むのは愚かしいことだろう。
だが、ロックは思う。
こんな状況だからこそ、自分以外の誰かのために戦うことが大切なのだと。
みなが、自分の役割を見つけて動けば、きっとゲーム自体を覆すことができるはずだと。

それを、今証明してみせる。
自分がうまくやって、みなを助ける。あいつを…セリスを助ける。

「やってみせる。今度こそ、必ずやってみせる…!」
3464/4:03/06/22 05:59 ID:bgh27v4L
【ロック 所持武器:吹雪の剣 現在位置:湖南の平原
備考:食料、燃料などは全てガウに渡してあります。
第一行動方針:セフィロスを誘導する
第二行動方針:エリアを探す】

【ガウ 所持武器:なし 現在位置:湖南の岸辺
第一行動方針:セフィロス討伐パーティに参加、合流
第二行動方針:メルビン、ホフマンの仇をうつ】

【モニカ(気絶):所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:湖南の岸辺
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】

【デスピサロ:所持アイテム:正義のそろばん・『光の玉』について書かれた本・
現在位置:祠の南西・山岳地帯と雪原の境目あたりから数マス東
備考:気絶したモニカを担いでいます
第一行動方針:セフィロスにダメージを与えて時間を稼ぐ
第二行動方針:腕輪を探す・偵察
最終行動方針:ロザリーの元に帰る】

【マリベル/ティーダ 現在位置:東の平原、南下
所持武器:エドガーのメモ/いかづちの杖・参加者リスト
第一行動方針:仲間たちと合流
第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】

【ライアン 所持武器:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)
現在位置:祠の南西・・山岳地帯と雪原の境目あたりから数マス東
第一行動方針:セフィロス討伐パーティに参加、合流(デスピサロに同行する)
第二行動方針:ソロを探す
第三行動方針:不明】
いいねー。わくわくするねぇ。あげ
3481/5:03/06/23 22:06 ID:F4LOwsM1
いったか。遠ざかっていく気配にとんぬらは安堵の息を漏らすと、剣の柄に伸ばしていた手をゆっくり降ろした。
すぐ南側の島で何者かが抗争していたことは早い段階に気付いていた。
娘のアニーがいまだ目を覚まさない以上、やってきたら戦うしかない。
しかし、何故かはわからないが彼等は南へと移動していった。
戻ってくるにしても、すぐではないだろう。

長い緊張状態がようやく解け、一つ伸びをすると、隣で眠っている娘を看た。
いまだ目覚める様子はないが、体温脈拍は正常だし、特に外傷も見当たらない。
大事はないだろう、そう判断して、とんぬらは祠から出た。
勿論、それには理由がある。竜巻に落雷という大異変が立て続いたこのあたりの安全を確かめるためだ。
深夜になればいよいよ動けなくなる、その前に出来る限りの情報収集はしておきたかった。

外は太陽が落ち、暗がりが支配していた。
以前のフィールドで頂戴したマントをしっかりと着込みながらとんぬらは思う。
寒いとはいえ太陽が出ているうちはよかったのだが、これでは防寒対策のない者達はひとたまりもないだろう。野垂れ死ぬ者も出てくるかもしれない。

雪の中を歩き回る。
とりあえずグルリと島を周回して、この島に繋がる南と西の橋、両方が落ちていたことを知った。
実質閉じ込められてしまったのと同意義である。
「参った、朝になったらイカダを作るなりしないと…」
このままでは、このフィールドを出るどころか島を出ることすら不可能である。
とんぬらは白い溜息を吐き出して…ふと、視界のすみの動くものに気付いた。
3492/5:03/06/23 22:08 ID:F4LOwsM1
「………?」
こちらを窺っているらしい、モノ。
大きさは…子供、よりはっきりと小さい。小動物だろうか?
とんぬらはその小動物の顔と自分の顔の位置が同じくらいの高さになるように屈む。
動物を慣らすテクニックの一つだ。もっとも、とんぬらは意識などしていないけれど。

「出ておいで」
優しく問いかける。
そのまましばらく待っていると、白い小動物が、木陰からちらちらと姿を覗かせるようになった。
「大丈夫だよ。恐くないから」
「クポー…」

そして、その小動物は姿を現した。
ずんぐりとした白い体に、似つかわしくないピンクの羽根。頭の上には先に玉のついた触覚のようなもの。
「見たことがない動物だな…まぁ、いいけどね。何か用事があるんじゃないかい?」
まるで人に話し掛けるように優しく言うと、その小動物は言葉がわかるのか、何度もうなずいた。

「クポークポクポー、クポポクッポッポー」
「………うーん」
何を言っているのかは勿論わからなかった。
魔物使いといっても、魔物の使う言葉全てがわかるわけではないのだ。

「クポポ、クポー、クポポ、クポッポポー!」
なにやらエキサイトして身振り手振りしている小動物。
一見暴れているだけのような気がしないでもないが、
「つまり、困っていて助けて欲しいわけだね」
「クポッ!」
それでもなんとなく意志の疎通ができるあたりが魔物使いの所以である。
3503/5:03/06/23 22:09 ID:F4LOwsM1
小動物はクルリと身を返すと、森の奥へと走っていく。
その後をとんぬらも追っていく。
程なくして小動物はある木の前で止まり、じたばたと暴れだした。
「クポ、クポー!クポクポ、クポポ…クポ、クッポー!!」
やっぱり何を言っているのかはわからなかったが、
とんぬらは小動物がしきりに指をさす木を見上げる。

なにもない………いや?
「ああ、そういうことか。待ってて、今助けてあげるから」
とんぬらは小動物にそう言うと、木を登り始めた。
心配そうに見上げる小動物をよそにスイスイと登っていくと、それを回収する。

少女だった。どうやら枝に服を引っ掛けた状態で気絶してしまったらしい。
何でこんな事になったかは当人に聴いてみないとわからないが、とりあえず小動物は大喜びだ。
「よかったね。とはいえ、このままじゃ、この子は辛い事になるな。一緒に来るかい?」
「クポッ!」

こうして、とんぬらは少女と小動物を連れて、祠に戻ったのだった。
のちほど、意識を取り戻した娘が何を思ったかは、また別の話…
3514/5:03/06/23 22:10 ID:F4LOwsM1
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣 現在位置:湖の祠
第一行動方針:夜明けを待って、島から出る方法を探す
第二行動方針:クーパー・パパス・ライアン・アイラをみつける】

【王女アニー 所持品:マインゴーシュ 現在位置:湖の祠
備考:意識を失っています
第一行動方針:とんぬらについていく】

【エーコ&モーグリ 所持武器:なし 現在位置:湖の祠
備考:エーコは意識を失っています
第一行動方針:バッツたちと合流/ジタンを捜す】
3525/5:03/06/23 22:16 ID:F4LOwsM1
ナンバリングミスったー(゚∀゚)アヒャ

なんかセフィロス周辺は長くなりそうなんで
先に他の連中を書きますです。

勿論自分如きに任せれんと書いてくれるのは大歓迎だし、
セフィロス戦を勝手に進めてくれるのも全然OKでつ。
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3541/4:03/06/25 00:12 ID:o9gM4LiI
セシルは這うようにして、剣へと向かっていく。
手足が縛られた状態ではちっとも動けない、
おまけにちょっとでも動くと荒縄が体に食い込む。

どうすればこんな入念な縛り方が出来るんだ…
額に脂汗を滲ませながらセシルは思う。
暗黒騎士なんてやっている割りには、セシルはそのテの知識をまったく持ち合わせていなかった。
それでも長い時間をかけて、何とか剣の近くまで寄ることが出来た。
さあ、縄を切ろう――――

「何をやっているんだ?」

ヘンリーはアグリアスと別れた後、急激に下がってきた気温を考慮して、寒さを凌げる場所を探していた。
そして日が暮れて、ようやく見つけた洞窟に先客がいた。
怪訝そうにセシルを見る。と、地面に無造作に投げ出されている手紙を見つけた。
手紙を拾い上げ、中を確認する。そして、

「くっ、くっくっく、はははははっ!何だこれ、面白すぎるぞ。傑作じゃないか!」

ヘンリーは笑い出した。洞窟内に甲高い笑い声が木霊する。
セシルは、それを何の感情もなくただ、雑音として効いていた。
3552/4:03/06/25 00:13 ID:o9gM4LiI
「すごいよな、死んでも知ったこっちゃないとか言いながら、体を休めろとか無駄に命を散らすなとか。挙句には正道に立ち返れだとさ。格好いいなぁ、正義の味方ってのは」
ヘンリーは悠々と歩き、セシルを追い越してブラッドソードを引き抜く。

「単に結論を先延ばしにしてるだけじゃないか。殺したって事実を背負いたくないだけだ。
 自分で殺めなきゃオテテは綺麗なままだと思ってるのかねぇ?」
ガキッ!
振り向きざま、セシルの首元にブラッドソードを突き立てる。

「俺が思うに、巨悪ってのは、まさにこういう奴だと思うんだよ。
 テメーがどんだけ酷いことしているのか気付きもせず、正義漢を気取ってるやつこそが、正義の名の元に他人をコキ使って最後には死に至らしめるのさ。
 この手紙を書いた奴は、自分は正しいことをしたと悠々としていることだろうよ」

セシルは呆然と、ヘンリーを見上げた。
認めざるを得なかった。自分は負けたのだと。
現われたこの男は自分を助けてくれるようなお人よしではないということを。
自分はここで終わるということを。

ギリ、食いしばった歯から音が漏れる。
自分はいい。どの道助かるつもりなどない。
だが、こんな所で終わったのなら、これまで殺めてきたことは何になる?
仲間の少女を傷つけ、遂には殺め、たくさんのものを裏切り、愛しい人も救えない。

それだけは、認められなかった。
3563/4:03/06/25 00:15 ID:o9gM4LiI
「まだ、僕は…死ねない!」
「ふん?」
セシルの全身に力がこもった。
手首を縛る荒縄が食い込み、血が滲み出す。顔を真っ赤に紅潮させ、もがきくねる。

「僕には…やらなきゃいけないことがある!こんな所で…!」
「信じれば願いは叶う、か?ハッ!それなら誰も死にやしないさ。
 こんな腐ったゲームなんて続きやしないさ!
 人が死に、二度と返らない、助けもお約束もない、それが現実だ!」

わかっていた。そんなことはわかっていた。
だが、認めたくなかった。認めたら、自分は自分でなくなってしまう。
セシルはびくともしない荒縄に、それでも力を込めつづける。
いつしか瞳に涙が浮かび、視界を滲ませていった。

「くっ…くっそぉぉぉぉ!」

絶叫。そして、現実は訪れた。

3574/4:03/06/25 00:17 ID:o9gM4LiI
…ことを終えた後、ヘンリーは物に成り下がったそれを極寒に外に放り捨てた。
洞窟の奥にそれの持ち物が残っているのを発見し、必要なものは回収する事にする。
まず、暗黒騎士の鎧と源氏の兜は重いし装備できそうもないので捨てる事にした。
食料は全て回収し、ブラッドソードと簡素な弓矢、リフレクトリングは何かの役に立つかもしれないと、袋の中に放り込んでおく。

「こいつは…なんだ?」
ヘンリーはギガスマッシャーを取り上げた。何かの武器のようだが、使い方がわからない。
持っていても意味がないから捨ててもよかったが、もしかしたら強力な道具かもしれない。
もしこれが使える者に拾われたら…

「そうだな、壊しておくか。幸い朝まですることもない」
ヘンリーは一つうなずくと、適当な石を拾い上げ、ギガスマッシャーを壊し始めたのだった。

【ヘンリー 食料多、支給ランプ×2(リバスト・アグリアスから回収)
所持武器:ミスリルアクス イオの書×2 スリングショット まどろみの剣 なべのふた
ブラッドソード リフレクトリング 弓矢(手製)
現在位置:大陸北部山脈・西の湖近くの洞窟
第一行動方針:とんぬら達を追う(遭遇すれば他のキャラも倒す)
第二行動方針:皆殺し
最終行動方針:マリアの元へ逝く】

【セシル 死亡】
3581/4:03/06/25 22:25 ID:/6EZ8xof
まず暗闇があることを認識する。
そうする事で自分という存在を認識する。
肝心なことは落ちないこと。落ちたが最後、バラバラになってしまう。
バラバラになったら、空気に解けて消える。人の魂とはそういうものだ。
それを固めて留めようとするから、死人は摂理から外れるのである。

とにかく、アーロンは静かに覚醒した。
凍える湖に落ちて…みるみるうちに体温が奪われていき、そして今。

「……熱い」

もうもうと立ち昇るのが湯気だと気付いたのは、それからちょっと後だった。

「気付いたようね」
声をかけたのは金髪の女性である。
その手には、刀身から蒸気を上げる剣が握られていた。
「熱いから。下手に動いて触らないように」
剣を自分が使っている湯にそっと差し込む。
じゅぅぅぅ…初めだけ威勢良く音が鳴り、じわりじわりとお湯の温度が上がっていくのをアーロンは感じた。
その女性、セリスはアーロンに刀身が触れないように、そっと剣を湯に沈める。
3592/4:03/06/25 22:26 ID:/6EZ8xof
「あなたは湖の辺で拾ったわ。見捨ててもよかったけど…樽があったのはあなたにとって幸運だったわね。後はキャンプまであなたを運んで樽に雪を入れて炎の魔法で加熱した剣で溶かし、お湯を作って、あなたを解凍した」
「そう…か。俺の、ふ、く…は?」
「悪いけど、脱がしたわ。一応乾かしたけど、快適さは保証できないわね」
「無事、なら…いい」
「どうかしら。キャンプと言っても木陰が重なっているだけだから、吹雪がきたらひとたまりもないわ。そこまで保証はできない」
「構わん。どうせ、終わ…た、物語だ」
「………」
「それ、よりも…俺の他に、誰か…」
「いえ、私が見つけたのはあなただけ。…仲間がいたの?」
「………ああ」
それだけ言うと、アーロンは吐息を漏らす。
いまだ呂律が回らない口調には、どこか疲労の色が見えた。

仲間…か。セリスは思う。何故、こんなに胸が疼くのだろう。
仲間、大切な人。自分にも、そんな人がいたのではないか…?
そんな事、あるわけがない。常勝将軍、造られた魔導戦士、そんな自分にいるはずがない。


なのに………
3603/4:03/06/25 22:27 ID:/6EZ8xof
「くしゅん」
「風邪、引いた?」
心配そうに訊ねてくる少年に、少女は笑顔で返す。
「ううん、大丈夫。アルスこそ大丈夫?マント、借りっぱなしだけど」
少年、アルスは裏のない笑顔を浮かべた。
「僕は平気さ。鍛え方が違うからね」

と、まあここまでなら清く美しい少年少女の触れ合いである。
しかし、この場にはそれで良しとしない男が約一名いた。
「ダメだね、それでは」
怪訝そうなアルスに、その男はチッチッ、と指をふって見せる。
「そういう時はこうだよ。『少し冷えてきたな。ティナ、よかったら入れてくれない?』
 ポイントは下心を隠してあくまで暖をとる事を全面に。入ったらもうあとは――――」

「あとは?」
ティナの問いと同時に、アルスは足元の小石を拾って投げる。
それを首だけ動かしてかわすと、男はニヤリと不適な笑みを浮かべて見せた。
「あとは、本人次第ということさ。まあ、そうなったら勿論、私は邪魔をするわけだが」
「だったら最初から黙っててくださいよ。エドガーさん」
アルスは半眼でエドガーを見る。

野営に落ち着いてからというもの、
何かとつけてティナにどぎまぎしている自分にちょっかいをかけてくる。
あまり楽しくない。が、エドガーはアルスがどんなに威嚇しても平然と受け流してしまう。
年長者の余裕というやつかな。この人には敵わないんだろうな…
とアルスは半ば諦めモードだった。
3614/4:03/06/25 22:29 ID:/6EZ8xof
一方、エドガーもただ遊んでいるわけではなかった。
スナイパーアイをはめ、ボウガンの弓を工具代わりにして首輪の解析をしていた。
身を寄せている二人から少し離れているのは、万が一の事を考えてである。
アルスをからかっているのは、端的に言えばストレス解消だった。

ティナはエドガーが機械に強いことを知っている。
だから何か弄り始めたときには機械の事だろうな、と予想はしていたし、
自分にできることはないだろうから黙ってみていたが、
様子から察するにあまり按配はよくないらしい。

「エドガー、大丈夫?」
「ん?…うーん。よくないね。想像がつくところもあるが、魔導の事となるとなぁ」
「魔導?」
と、ティナ。
「魔法?」
と、アルス。

「そうだ、ちょうどいい。二人にも少し悩んでもらおうか」
エドガーはにやりと不吉な笑みを浮かべたのだった。

【セリス(記憶喪失) 所持武器:ロトの剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
 行動方針:不明】

【アーロン 所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
第一行動方針:体を癒す
第二行動方針:仲間を探す】  

【アルス/ティナ/エドガー:所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード
 チキンナイフ/ボウガン&天空の鎧(装備不可)スナイパーアイ ブーメラン 
 現在位置:ロンダルキア中央砂漠西山地 
 第一行動方針:野営中、首輪の解析
 第二行動方針:仲間を探す】
って、冷静に考えたらエドガー工具もってたね。

>スナイパーアイをはめ、ボウガンの弓を工具代わりにして首輪の解析をしていた。

>スナイパーアイをはめ、以前のフィールドで手に入れた工具を使い、あらためて首輪の解析をしていた。
保守
ほす
3681/3:03/07/01 23:13 ID:tGvhdE0K
「いいかい、形は大体これこれこう…」
エドガーは洋紙にさらさらと首輪の形状を書いていく。
その隣りに首輪の内側に通った管や機械の塊の配線を示した図も添えた。
「エドガーって絵も上手いのね」
ティナの言葉にエドガーはウィンクしたが、ティナはまったく顔色を変えなかった。
まあ、ティナはそういう少女だから、極めて残念な反応だったが、仕方ないと思う。
「これは首輪の回路図だよ。
 直接除いたわけじゃなくて触診やら打診から想定したものだから間違っているところもあると思う。
 ただ、大体のことは想像がつくな」

エドガーは回路図のある塊に矢印を入れる。
「各配線は巡り巡って最後にここに来る。つまりこれがコア、それに準ずるものだと言える。これを潰してしまえば、あるいは…」
「この首輪は壊れる?」
期待を秘めたアルスの言葉に、エドガーは肩を竦めて見せる。

「あるいは、その逆。こいつが止まるとドカン…と言う可能性もある」
がっかりするアルス。そんなアルスを横目に、
「でも、どちらかがわかれば」
「そう言う事さ、ティナ。
 こいつが止まると爆発するのなら、回線を切ってもこいつが動き続けていればいい。
 逆にこいつが動くと爆発するのなら、動かないうちに機能を殺してしまえばいい」
「確かめる方法は?」
「実際に試すのが一番だな。試してみたい事は幾らでもある」
3692/3:03/07/01 23:14 ID:tGvhdE0K
「なるほど…でも、ゾーマの呪いはどうするんですか?」
「そこだ。そこを君たちに聞きたい。私の専門は機械で、あまり詳しくないのでね」
エドガーの言葉にティナとアルスはなんとも言えない表情になる。
「私…魔導使うときに、あまりそういうこと考えた事ないから」
ティナにとっての魔導はごく自然に備わっているもので、理論ではなく感覚で唱えるものだ。
幻獣とのハーフであるティナは強大な魔力を持っているが、ハーゴンの問題を見ても答えられないだろう。
それはティナが劣っているというわけではなく、
魔法というものに対して、ハーゴン達のような術者とは在り方が違うだけである。
「僕は、どちらかと言うと…」
アルスは攻撃魔法も回復魔法も一通り使えるが、やはり本職に比べると劣る。
サマンサかマゴットがいれば…そう思ってアルスは頭を振った。
サマンサは妙な輩に同行しているし、マゴットはもうない。頼る事はできないのだ。
アルスは腕組みをして少し考える。

「呪い…呪いか。そう言えば、呪いを解く呪文があったな」
『本当に!?』
ハモった二人にアルスは言う。
「確か、【シャナク】って魔法だと思う。サマンサが使えたはずだけど…」
「その子がまだ生きているなら、試してみる価値はあるな。
 後はこの首輪にかかってるアンチ・マジックを説く方法だが」
「ディスペルは?」
ティナの答えに、もう試したとばかりにエドガーは首を横に振る。
ティナは肩を落として隣のアルスを見る。

…何かが、アルスの脳裏にひっかかった。
魔法の効果を一切合財剥ぎ取る技。それを、自分は知っている…?
3703/3:03/07/01 23:14 ID:tGvhdE0K
「…ごめん、わからない」
アルスは結局そう答えた。ただ、脳裏には何故か、ゾーマの姿が残った。
「そうか。結局はそこだな」
エドガーはやや気落ちした呟きをもらすと、すぐににやりと笑みを浮かべる。

「何にしても解呪の魔法の情報がわかったから、今は良しとしよう。
 というわけで、二人はもう寝ておくんだ。体力はちゃんと回復させないとな」
「エドガーは?」
「休むさ。機械部分の解除方法について、少しまとめてからね」

【アルス/ティナ/エドガー:所持武器:対人レミラーマの杖・天空の剣・黄金の腕輪/プラチナソード
 チキンナイフ/ボウガン&天空の鎧(装備不可)スナイパーアイ ブーメラン 
 現在位置:ロンダルキア中央砂漠西山地 
 第一行動方針:野営中、朝まで動かず。
 第二行動方針:仲間を探す】
3711/3:03/07/03 22:43 ID:13IuxOiz
バッツは食堂まで戻った後、すぐさまアビリティを白魔法に変更した。
一口で変更したといっても、これがなかなかカンタンな事ではない。
眠っている『心』を引き出すという常人には計り知れないプロセスが必要なのだ。
バッツも、クリスタルの力を得て初めて身につけた能力である。

変更し終えると、早速石化したクーパーにエスナをかける。
石化だろうが、あらゆる状態不良を癒す魔法。のはずなのだが、
「治らない…?」
クーパーの体は石のままだ。
諦められずに二度三度、エスナを重ねがけしてみたが、状況は変わらない。

「くそ、どうすれば」
もしかしたら、もう手遅れかもしれない――――
そんな不吉な想像を頭を振って追い出し、バッツは次の手段を考えた。

視界の隅に、シチューの鍋が映る。
アレに毒が含まれていた――――アレを使って、解毒剤は作れないか?
薬師にクラスチェンジすれば可能かもしれない。
だが、クラスチェンジは自分のあり方そのものを換えてしまう。
剣が振れなくなり、無力になってしまう。それは、あまりにも危険だった。

「だが、そんな事に迷ってる暇はない」
だが今は、クーパーを助ける事が第一だ。
意を決すると、意識を集中してクラスチェンジを行おうとする……

その時だった。
3722/3:03/07/03 22:43 ID:13IuxOiz
「クーパー様っ!キサマーッ!」
食堂の中に飛び入ってきた、奇妙な生物の上に乗った小人のナイト、ピエール。
バッツは集中を止めて剣を抜く。と同時に、ナイトの斬撃が降り注いだ。
バッツは慌てて剣を返して受け止める。

「キサマ、クーパー様に何をしたッ!」
「俺じゃない!クーパーは俺の仲間だ、そんなことしない!」
「問答無用!」
ピエールはバッツの剣をはじく。バッツは素早く飛び離れる。
と、飛び離れたちょうどすぐ隣に、クーパーの石像があった。

「やめろ!俺たちの巻き添えで石像が壊れたら、取り返しがつかなくなるぞ!?」
「く、ぬぅ…!」
忌々しげにバッツを見るピエール。
バッツは緊張を解かないまま、自分とクーパーの事を話し始めた。

ゲーム開始時から一緒にいること、アクシデントで双子のアニーと離れ離れになったこと。
母親を失ったクーパーの様子、湖の祠での一幕、そしてエリアのこと…

話が進むにつれて、ピエールもバッツがクーパーに危害を与えたわけではない事を認めた。
そして、あの女性の言葉の意味もわかった。
知らずのうちにクーパーに毒を持ってしまい、この青年に討たれた。
ちゃんと説明しなくてはいけないのに、命を惜しんで逃げ出した報いを受けた…
そういうことだろう。
3733/3:03/07/03 22:44 ID:13IuxOiz
ピエールは剣を収めた。バッツは心なしかほっとした表情を浮かべる。
「どうやら私の誤解だったようだ。謝罪する」
「いいさ、わかってくれたのなら」
「だが、あなたも誤解しているようだ」
「??」
疑問符を頭に浮かべるバッツに、ピエールは先程死を看取った女性の言葉を伝える。

最初、バッツは混乱したようだが、不意に肩を落とす。
「それが本当なら…俺は勘違いで人を殺したのか…?」
「さあ…真実はわからない。だが、最後の時までつき続けるほどの嘘ではないと思う」
「………」

「ともあれ、クーパー様が石になられた事は紛れもない事実。一刻も早く解呪して差し上げなければ」
「…ああ。だが、白魔法では直せなかった。普通の石化じゃない」
「うむむ…何かの呪いか。アニー様とストロスの杖があれば」
以前それで、ピエールの主人であるとんぬらの石化を解いている。
だが、アニーは何処にいるとも知れず、ストロスの杖は存在するのかスレ知れない。
物言わぬ少年を前に、二人の剣士は頭を抱えたのだった。

【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド/現在位置:神殿食堂
 第一行動方針:クーパーの治療
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】

【ピエール 所持武器:珊瑚の剣 エストック 現在位置:神殿食堂
 第一行動方針:クーパーの治療 第二行動方針:神殿内探索】 

【クーパー(石化) 所持武器:天空の盾 現在位置:神殿食堂
 第一行動方針:?
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
(数時間後自動的に回復)
3741/4:03/07/05 22:07 ID:45T8Vy/Z
放送を聞いたあと、カインは脱力してしばらく立ち上がれなかった。
エッジが死んだ。そして、セシルはまだ生きている。
「お前なのか……セシル、お前が殺したのか…!?」
もちろん、違う可能性もある。
だが、ゲームに乗ってしまったセシルと、
忍者の能力がありながら逃げる間も無くやられてしまったエッジ、
二つの事実が絡み合ってカインの心に染みを作っていく。

早く、セシルを探し出さなくては。そんな焦りがカインの心を満たす。
だが、身も守れない負傷者を放っておけない。それもわかっている。
どちらを選択することも出来ず、カインはただ、座り込んでいた。

日が暮れていき、肌寒くなってきたので、カインは地下通路へと戻った。
結局、セシルを探しにはいけなかった。
正確には迷っているうちにタイムリミットを迎えてしまった。
ここに来てからというもの、行く道を失っている自分が、情けなかった。

そんなカインにも転機が訪れる。
それは、とぼとぼと地下通路を歩き、クラウド、アリーナの元へ戻る、その途中だった。

3752/4:03/07/05 22:07 ID:45T8Vy/Z
「誰だ!?」
暗闇に向けて怒鳴る。
相手は自分の存在に気付いて足音を殺したようだが、ほんの少し、遅かったのだ。
もう一度、カインは問い掛ける。

「こちらは敵対する意志はない…そちらは姿を現すか、このまま消えるか、どちらだ!?」
「こちらも戦うつもりはない、先を急ぐんだ、見逃して欲しい」
壁の向こうから声が返ってくる。若い男のようだ。
「わかった。俺は西に行く、30数えて俺の足音が消えたら、どこなりとも行ってくれ」
「西かあ、そっちは通り道かもしれない」
カインは溜息をついた。危険もあるから姿を晒したくはなかったが、仕方ない。
「ならば出てきてくれ。その先には俺の連れがいる、
 見ず知らずに近寄ってほしくないんだ。悪いが見張らせて欲しい」
「…わかったよ」
現われたのは、金髪の男だった。やや小柄だが顔立ちに愛嬌がある。
その男は少女を背負っていた。ぐったりとしていて身動き一つしないが、
エメラルドの髪に愛らしい顔立ちをしている…

「…!?リディアか!?」
「え?まさかあんた、この子のこと知ってんの!?」

こうして出会ったカインとジタンはこれまでの経緯を話し合った。
と言っても、ジタンは突然降ってきたリディアを保護しただけで、それ以上の事は知らない。
当然、カインが一番知りたいことも、わからない。
「何で、子供の姿なんだ…?俺が最後に見たのは最初のゾーマの城だが、大人だったぞ」
「別人ってことか?」
「いや、この子は間違いなくリディアだ」
「姉妹とか」
カインはやや表情を落とすと、
「身よりは、ない」
「…そっか」
3763/4:03/07/05 22:08 ID:45T8Vy/Z
ジタンは追及しなかった。つまり、少女は自分と似たような境遇であるということだ。
もっとも自分には、兄妹ができたのだけれど…

「それじゃ、この子はあんたに預けた方が安心するかな?」
「いや…この頃のリディアにとって俺は安心できる存在じゃない…むしろ逆効果だ」
彼女にどこまで記憶を持っているのかは知らないが、自分が共に戦ったのは成長して分別ある大人になったリディアである。
もしも記憶まであの頃に戻っていたら…自分は仇以外の何者でもないのだ。
「そうか…ならやっぱり一度、神殿に戻るしかないか」
ジタンはややオーバーアクションに肩を竦める。
カインはジタンの話を聞いているうちに、ある一つの決意をしていた。

「実は俺は人を探している。セシルという男で、俺と同世代の奴だ」
「その人なら、この子を預けられるかな?」
「いや、そいつはゲームに乗っている。おまけにリディアはセシルを信頼しているから」
ジタンは溜息をついた。
「つまり、あわせるなってことか」
「ああ。俺は奴を止めなくてはならん。そこでだ、お前に同行させてくれないか。
 この地下通路はこの地方に満遍なく敷かれているのだろう?」
「それは……」
「頼む。その子の為にも、セシルを一刻も早く止めたい」
ジタンはあまり気乗りしなかったようだが、その一言でカインの同行を認めた。
止めるというのがどういう意味かは考えないようにしている、
ただ、この子が信頼していたという青年が、ゲームを止めてくれることを祈るのみである。

その後、カインの先導でクラウド、アリーナの元へ向かった。
クラウドはいまだ気付かず、アリーナは捨てられる子猫のような瞳をカインに向けたが、
カインはエッジが何者かに殺られたこと、その相手が自分の親友かもしれない事を告げ、
「俺は親友として、奴を止めなくてはいけない。その方法がある以上、留まってはいられない。許して欲しいとは言わない、見送ってくれとも言わん。それだけだ」
そう言って、踵を返す。
ジタンは気遣う視線をアリーナに向けたが、アリーナは何も言わずに俯いていた。
3774/4:03/07/05 22:29 ID:tM7cwb9C
結局、アリーナはリディアに気付かないままだった。
無理もない、リディアは幼児化しているし、アリーナの精神状態もそれどころではない。
カインがリディアの名を出せば話は別だっただろうが、そうはならなかった。

このゲームで最初に知り合った少女たちはアクシデントで別れ、
そしてお互いが思いもよらぬ姿と状況で再会し、
お互い気付く事もなく、また別れたのである。

カインとジタンが立ち去った後、アリーナはぽつりと呟いた。
「ちょっと、前まで…私もあんなこと言ってたんだよね」
隣を見る。クラウドは何も答えない。身動きすらしない。
「何で、こうなっているのかなぁ。私、もう…言えなくなっちゃった」
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:地下通路(大陸中央付近)
 第1行動方針:神殿に一旦戻る
 第2行動方針:魔法使いを探す、エーコを探す
 最終行動方針:ゲームから脱出 】

【リディア(気絶中)所持品:なし
 現在位置:地下通路(大陸中央付近)
 第一行動方針:?
 第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
 第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】

【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:地下通路(大陸中央付近)
 第一行動方針:ジタンに同行、セシルを止める 】  

【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
第一行動方針:?
最終行動方針:ゲームを抜ける
(重傷、戦闘不能・片目失明状態)

【クラウド(睡眠中):所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
第一行動方針:エアリスorティファを探す。
最終行動方針:不明
(重傷、戦闘不能、ただし錯乱状態からは回復)
とりあえずこれで一通り書き終えたかな?
矛盾があったら指摘してください、よろしく。
もう自分しかいない可能性が非常に高いけど…

以降はセフィロス戦です。
物凄い勢いで死ぬ予定。
いやいや、自分はちゃんと見てますよ。
矛盾はないと思う。結構いい展開だと思うし。
ぶっちゃけ、パート2よりこっちの方が(・∀・)イイ!!
>381
んだ。

>379
盛り上がってまいりますた!
ROMのみでスマンが、物凄い勢いで頭数が減るのを楽しみにしています。


ぶっちゃけ、書き手さんが少ない方が安心して読めて(・∀・)イイ!!
>380-382
ありがd

しかし、過去ログ見直してみたんだが、149-152って相当ワケわからん話だなぁ。
何でこんなのが通ったんだか…ギルガメッシュ達、すっげー書きずらいんですけど。
あと、バーバラが放置してることも気付いた。

バーバラは神殿近くにいるんで、何とか絡めてみます。
ミレーユはシラネ
>>383
書いた者がここにいるよ・・・
>384
いや、あなただけが悪いわけじゃないんだ。
まあ、何でいきなりミレーユが気絶してるのかは謎だけど。
火を吐いて、適当なことを言って、魔物に間違えられるってのも何かなぁ、と思うけど。

自分の中でミレーユはでてくるたびにキャラが変わってワケわかんないだよ。
逃げ切ってうずくまったミレーユが、
>313-314で何事もなかったかのようにシリアスなこと言ってるし。
シリアスだけど具体的にナニをしたいのかがわかんないし。

だからミレーユどうやって書けばいいのか困ってる。
で、ミレーユに関ったギルガメッシュ達のことも困ってる。
何事もなかったかのように、ってワケにも行かないしね…
実は……>>314を書いたのも私だったりする


これはもう自分の書いたことを忘れてたとしか言いようがない
ごめん
本当にまずいことをやってしまった。ごめんなさい、私はアホです

何事もなかったかのように、が出来ると一番いいんですが、
そんな都合のいいことはできないですし、


あーッと…すまん、フォローが思いつかない。
とりあえず、がんがれ。イ`。
>>149でおちゃらけてたのはギルガメッシュたちの方で、ミレーユは冷ややかな態度だった。
で、>>314で(時間経過していたこともあり)もう完全に気力が戻って、何かを決意(強敵と戦うこと)した、
という……

確かこんなつもりで書いた、記憶も
>>388
はい、ずみません
>389-390
その方向で、何とか他のキャラと絡めてみます。
ともあれ、すんだ事ですし、お気になさらず。


一書き手として思うことなんですが、
絡みなしのキャラは行動指針が見えなくて辛いです。
他のキャラと絡んでない奴は自滅ってのはロワのお約束ですが、
ある意味当然かもしれません。動かせないから、動けないまま死んでいくという。

そういった意味でゼニスも書きづらいですね。
何時の間にか聖域の巻物から出て神殿に向かってるし…どうするよ。
ああ…、何とかなりますか。
本当にご迷惑おかけしました。
ダイアルアップなのですぐ返事できなくて、またひとつすみません

では頑張ってくださいませ…
今日は保守。
今日も保守
今日こそ…?
3961/4:03/07/09 22:01 ID:/v1INyvO
「何か、寒くなってきたッスねー」
「あったりまえじゃない、日が暮れてきたんだから」

マリベルとティーダ、ライアンは雪原を駆け抜けていた。
ティーダとライアンの後ろをマリベルがついていく形である。
さすがのマリベルも必死に後についていくで精一杯のようだ。
それでもブリッツボールの選手であるティーダと本職の戦士であるライアンにちゃんとついていく当たりは、負けず嫌いの彼女らしい。

一方、ティーダには別のことを考える余裕があった。
「…このまま外にいたら、セフィロスやっつける前に寒さにやられちまうんじゃねーの?」
マリベルに聞こえない小さな呟き。
口から白い息を吐き出しながら、初めてスピラに降りた遺跡の事を思い出した。
寒冷の中、水に漬かって凍え死にそうになり、リュックに助けてもらったのだが…
そのリュックは、今どうしているのだろう。

「リュック…本当に、殺すしかないのかよ」
そこで、ティーダは頭を振った。考えるのは後だ。
セフィロスを倒す、今はそれに集中しなくてはいけない。

「待って!」
途中、マリベルがティーダたちを呼び止めた。
3972/4:03/07/09 22:02 ID:/v1INyvO
立ち止まってみると、マリベルはある方向を凝視して動かない。
「む、アレは…」
ライアンが口髭を撫でながら呟く。
「何スか?何か………あ!」
マリベルの見ている先を見て、ティーダは声をあげた。
誰かがいる。極寒の雪原で、フラフラゆっくりと歩いている人影がある。

全然気付かなかった。ティーダは運動神経こそ抜群だが戦いのプロではない。
それで見落としてしまった可能性もある。それにしても…何か変だ、とティーダは思う。
マリベルはその人影に向けて駆け出した。
その後をライアンとティーダは追う。

「アイラ!アイラでしょッ!」
マリベルは叫ぶ。アイラと呼ばれた女性は…答えなかった。
歩調を速めず落とさず、ただ前を見て歩いている。
「アイラ…?ねえ、どうしたの?何で返事してくれないのよ!?」
マリベルはアイラの前に回りこむ。
それでもアイラはマリベルを見ようともせず、止まろうともしない。
するりとマリベルの脇を抜けて、アイラは歩いていく。

呆然としているマリベルに、ティーダは言う。
「あの人、マリベルの知り合いっスか?」
「うん…アイラ。私の世界での仲間よ」
ライアンはふむ、とうなずいた。
「なるほど、マリベル殿の知己であったか。アイラ殿、ライアンでござる」
そこでようやく、アイラの動きが止まった。
3983/4:03/07/09 22:04 ID:/v1INyvO
びっくりしたマリベルはライアンの顔をまじまじと見る。
「アイラ殿とは以前のフィールドから同行していてな。
 最初に会ったときは襲われたのだが、とんぬら殿のおかげで大人しくなったのでござるよ。
 ときにアイラ殿は、とんぬら殿を探しているのでござるか?」
ライアンはアイラに向けて言う。アイラは微かにうなずいた。

「とんぬら?」
「魔物使いの青年でござる。彼曰く、彼女はどうやら記憶を失っているらしく、アイラ、という名前しかわからぬと」
「魔物使い…そんな。モンスターになっちゃったの、アイラ…!」
アイラはライアンを見るだけで答えない。
今のアイラはとんぬらに関るものにしか関心を示さない状態になっている。
旧知である自分を無視し、赤の他人だったライアンに反応するアイラに、マリベルは苛立ちと悔しさを感じた。

マリベルはじっと地面を見つめた。その口元はきつく結ばれている。
そんなマリベルにライアンは気遣う視線を向ける。
「とんぬら殿の話では、治す方法はあるという話でござれば、気を召されるな」
「わかってるわ…わかってる」
そういい返すマリベルの語尾は弱い。
3994/4:03/07/09 22:07 ID:/v1INyvO
しばらくして、厳しい表情のままで顔を上げた。
「先を急ぐわよ」
「え、いいんスか?」
「こんな状態じゃ、保護もできないし。チャチャッとセフィロス倒して、直す方法を探すわ」
そういってマリベルは駆け出す。慌ててその後にティーダが続く。

駆け出す直前、マリベルはアイラをちらりと見て、
「すぐになんとかするから、待っててね…」
呟くようにいったが、聞こえていないのか、聞こえていても意味がないと思っているのか。
アイラはまったく反応を示さなかった。

駆けていく二人を見ながら、ライアンはアイラに言う。
「雪崩に巻き込まれた後、ワシはあの山地の南側をうろついて追ったが、とんぬら殿の姿、気配はなかったでござる。
 おそらく、とんぬら殿は北側に流されたのではないかと思う次第でござるよ」
アイラは聞くとすぐに北に向かって歩き出す。
「アイラ殿!そちらは…!」
そちらにはセフィロスがいる…だが、アイラの動きは止まらない。
マリベル達も遠ざかっていく。余計な事を言ってしまった、とライアンは後悔した。

「アイラ殿!ルーキー殿は何処かで倒れた、努々油断召されるな!」
闇の向こうに消えていくアイラに怒鳴ると、ライアンはマリベル達を追って走り出した。




【マリベル/ティーダ 現在位置:東の平原、南下
所持武器:エドガーのメモ/いかづちの杖・参加者リスト
第一行動方針:仲間たちと合流
第二行動方針:打倒セフィロス→ゲームから抜ける】

【ライアン 所持武器:大地のハンマー エドガーのメモ(写し) 現在位置:東の平原、南下
第一行動方針:セフィロス討伐パーティに参加、合流(デスピサロに同行する)
第二行動方針:ソロを探す】

【アイラ 所持武器:ダイアソード 死者の指輪
現在位置:東の平原、北上
行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらを探していく。死者の指輪が外れたら???】


と、いうわけでセフィロス戦開始です。
一応結末までの案は練ってありますが、割り込み歓迎です。
一日おきぐらいで、大体この時間に落としますので、よろ。
キタ━━(゚∀゚)━━ !!

楽しみにしてるっす。
雑談割り込みスマンっす。
4021/3:03/07/10 22:38 ID:FLL9W9R7
ギルガメッシュ、ラグナ、エアリスの三人は野営の準備をしていた。
雪を積み上げ壁を作って風を防ぎ、石を積んで木をくべられる場所を確保する。
それだけのものだったが、それでも野ざらしよりはマシだろう。

「マリベル達、今、何やってんだろうな?」
チョコボの上で寝そべっているラグナが、剥いできた木の皮に火をつけているエアリスに言う。
「さぁ。そういえば、いつ二人は戻ってくるの?」
二人は顔を見合わせて、そしてギルガメッシュのほうを見る。
アレから程無くギルガメッシュ戻ってきたが、激しく落ち込んでいる。
気持ち悪いのでやめて欲しいと二人は思っているが、口に出すと煩いので黙っていた。

「もしかして、迷って合流できなくなったとか」
「うーん、さすがにそれはないと思うな」
あはははは………
二人の笑い声は力がない。
「…なんか、心配になってきたぞ」
「大丈夫ですよ。…多分」
「多分って何だ、多分って」
日が暮れ、本格的に不安になってきた二人だったが、それは杞憂に終わった。
もっとも、戻ってきた二人は、三人にとんでもない事を告げるのだが…

ギルガメッシュ、ラグナ、エアリスと合流したマリベル、ティーダ、ライアン。
デスピサロの申し出を受けたことに三人は困惑するが、
この機会を逃すと次はないというマリベルの強硬な説得で、三人も腹を括った。
「確かに、時間が立てば立つほど人数は減っていく。俺たち5人に、ライアンとデスピサロって奴、7人いる今が絶好の機会ってワケだ」
ギルガメッシュに、ラグナ、エアリスも肯く。
「おお。どんなに強かろうが、一斉にかかれば怖れる事はないぜ」
「そうだね。私たちがなんとかしないと…」
4032/3:03/07/10 22:39 ID:FLL9W9R7
程なくして、デスピサロたちがやってきた。
デスピサロたちはギルガメッシュ達のいる場所を知らなかったが、そこはデスピサロの並外れた聴力とガウの獣じみた嗅覚で、それほど労せず見つけ出せたらしい。

囮役の彼が来たことに一同は驚いたが、ロックという助けを得たことに奮い立つ。
あんな化け物に立ち向かうというのに、強気な連中だ。デスピサロは思った。
――――もっとも、そうでなければ立ち向かう事すら出来ないだろうがな。


連れてきたモニカを野営地に残して奇襲ポイントまで移動した一堂は、雪を積み上げて簡単な陣を作った。
吹き付ける風を防ぐ役目と、セフィロスから身を隠すためである。

「戦闘前に、武器の配分をするぞ。この中で術が得意な者は」
一同に問い掛けるデスピサロ。各々顔を見合わせた後、エアリスとマリベルが手を上げる。
「武器を持っているなら、他の奴に渡してやってくれ。私は武器も術も使えるゆえ、足りないようならこの武器を譲ってもよい」
「なら、こいつは俺が使わせてもらうぜ。弓はラグナが使いな」
「よし、任せとけ」
セフィロスが持っていた正義のそろばんをギルガメッシュが受け取り、エルフィンボウをラグナに渡す。
ティーダはいかづちの杖のまま、エアリスの癒しの杖はそのまま彼女が持つことになった。
ガウは武器が使えないというのでそのままである。

「武器が心許ないッスね」
「仕方ねーんじゃねぇの?相当数が前の世界に残されただろうからな」
せめて剣が欲しいと思うティーダに、弓の張り具合を確かめながら、ラグナはいう。
ギルガメッシュは正義のそろばんがやや軽いことに不満のようだ、
物欲しげにライアンの大地のハンマーを見ているが、ライアンは平然を無視…と言うか、ギルガメッシュの視線に気付かなかった。
4043/3:03/07/10 22:39 ID:FLL9W9R7
「後は、ロック殿次第でござるな」
「ガウ…」
ライアンの口調や仕種にメルビンのことを思い出すガウ。
信じられない思いと、どうしようもない寂しさが溢れそうになる。
だが、ガウは泣かなかった。泣くのは、後にでもできる。

やることを終え、後はセフィロスが来るのを待つのみ。
戦いの時までいま少し。戦士たちは最後の休息を取り、英気を養っていた。

【ギルガメッシュ 所持品:正義のそろばん】
【ラグナ(両足欠損・チョコボに騎乗) 所持品:エルフィンボウ】
【エアリス 所持品:癒しの杖】
【マリベル 所持品:なし】
【ティーダ 所持品:いかづちの杖】
【デスピサロ 所持品:『光の玉』について書かれた本】
【ライアン 所持品:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)】
【ガウ 所持品:なし】
以上、 現在位置:ロンダルキア南東の森、奇襲ポイント
     第一行動方針:セフィロスを倒す

【モニカ(気絶):所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:ロンダルキア南東の森、野営地
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】
>401
べつにいいですよ。
というか、黙々と作品を落とすのもそれなりに辛いので、
雑談とか、感想とかしてもらえると嬉しいです。
感想とかはココに書いたほうがイイのかなやっぱ。
なんかもうあっちのスレには書き込めん…。
2ndの方は正直面白くないっす。なんか淡々としすぎ。

>>405
1stをずっと見て来た者としても応援してます。頑張れ!
漏れもここのバトロワ面白くて好きでつ。
キャラの死に方もなんかバトロワっぽくてイイ(・∀・)!

いつもロムってますが、常時見てます。続き楽しみにしてます。
正直、雰囲気が違ってどちらもイイ!と思う。
こっちもがんばれ!あっちもがんばれ!
4091/4:03/07/12 01:34 ID:YaYoHbGp
一人、雪原に残ってからどれくらい時間が経っただろう。
一時間?30分?それとも3分か?
ただ一つ確かなのは、すでにロックの全身には無数の痣と刀傷があることだ。
致命傷こそまだないにしても、逃げながら戦っていた自分の動きがこうも捕らえられる、
この男の技量が半端ではない事を認めざるをえなかった。

握力がなくなり始めたことに気付いて、吹雪の剣を握りなおす。
どんなに傷ついても血で滑る事がない。片っ端から凍ってしまうからだ。
傷口にしても、外気によって塞がれてしまう。血は出ないが、体の底から冷えていく。
汗一つかいていないのに、ロックは息を荒げていた。

「どうした、口だけか」
セフィロスが嘲笑する。
一人雪原に残って自分を挑発してきた男が、自分の何かのワナにかけようとしていることはわかっている。
それが何か。他の者が逃げるまでの時間を稼いでいるのか、あるいは自分を葬り去る秘策があるのか。そんな事には、セフィロスは興味がなかった。
目の前にあるモノを破壊する、ただそれだけの原初のルール、それに従うまでだ。

「へ、俺一人さっさと殺せない奴のセリフじゃないだろ」
瞬間、ロックは飛び離れると、すぐさまロックのいた場所を白刃が通る。
二転、三転、転がって間合いを離すと、セフィロスに向けて切りかかる。
この男相手では鍔迫り合いになるのもマズい、ヒットアンドアウェイ、初手を打つと同時に逃げる、それを繰り返すしかない。
もちろん、そんな攻め方で倒せる敵などいないが、自分の役目は囮なのだから、これでよかった。

切り替えしたセフィロスの刃がロックの肩を掠める。
少し肉を持っていかれたが、ロックは意に介さず二度三度切り込んだ。
一撃目は半身を動かしただけでかわされ、二撃目はあっさり斬り弾かれる。
三撃目は、放つ前にセフィロスが蹴りを放ってきたので届く前に不発で終わった。
すぐさま間合いを離す。そしてまた同じことを繰り返すのだ。
4102/4:03/07/12 01:34 ID:YaYoHbGp
最初の頃は余裕の表情だったセフィロスも、
次第に打ち合おうとしないロックに苛立ち始めたようだ。
剣筋は粗く鋭くなっていき、ロックはかわすだけで精一杯になる。
それでも攻撃の手を止めるわけには行かない。防戦一方になったら、後は逃げるしかなくなる。
自分の役目は彼を誘導しつつ、後続が体勢を整える時間を稼ぐことだ。
それが困難であることなど、最初から承知の上ではないか――――

そんなときだった。
二人の間に割って入る人影があった。

「な――――」
呆然とするロックを追い越して、彼女、アイラはセフィロスのほうへ歩いていく。
セフィロスを目指しているわけではない。彼などまるで無視して北に向かって歩いていく。
それがセフィロスの癇に障ったようだ。

ブゥン!

長大な刀が空を斬る。アイラはひらりと宙返りしてそれをかわした。
「ほう、道化か。やるな」
着地すると、アイラはダイアソードを抜いた。
何もしなければ無害だが、攻撃すれば反撃する。自分の邪魔をするものを排除する。
極めて原始的なロジックだった。

迫る正宗を気にせず、アイラはセフィロスに切りかかる。
今のアイラに恐怖と痛みという感覚はなかった。だからこそ、セフィロスという男だろうと躊躇いなく立ち向かう事ができる。
アイラの攻撃はかわされたが、殴りつけてきた…さすがに正宗で超近接戦は出来ない…セフィロスの拳を掴む。
「む…」
ぎし、とセフィロスの腕が軋んだ。ゾンビ化することで限界も外れているアイラの力はほっそりとした女性のものではない。
すぐさま、正宗の柄でアイラを殴り飛ばす。それは確かめるまでもなく浅い。
4113/4:03/07/12 01:36 ID:YaYoHbGp
「ふん…いいだろう、殺してやる」
立ち上がるアイラに、初めてセフィロスは構えを取った。
両足を揃え、一方だけやや前に出す。胸のあたりで刀身が水平になるように正宗を持つ。
アイラはやや身を屈めるような格好で、剣を下段に構えた。

攻撃の応酬。
ロックはそれを呆然と見ていた。
だが、すぐに自分を取り戻す。この機会を逃す手はない。
二人の戦いを見守りながらセフィロスの隙を突いて切りかかる。
いまだセフィロスに一太刀も入れられないが、これならいけるかもしれない、ロックがそう思ったとき。

「調子に乗るな…見切ったぞ、キサマのその力」
セフィロスが大きく正宗を振りかぶる。ヤバい、とロックは飛び離れ、アイラはここぞとばかりに攻撃を仕掛ける。
刹那、セフィロスの攻撃!アイラはそれをダイアソードを翳して受け流そうとする…
が、セフィロスの攻撃はアイラの首や胴を狙ったものではなかった。

「………」
半ばで軌道を変えた刃はアイラの左腕、肘から手首の間を綺麗に両断した。
ぼふ、と鈍い音を立てて、アイラの左腕が雪の上に落ちる。
途端にアイラの腕から地が噴出し、アイラは絶叫した。
「あ、あああ、ああああああああ!!!!」
跪き、落ちた腕を思わず掴む。

「妙だ思っていたが、それがキサマの力の源泉か。下らん」
アイラをゾンビかさせていた死者の指輪が腕ごとアイラの体から離れたことによって、呪いの効果が解除されたのだ。
死者として動いていたことによる負荷と、唐突に回復した自意識と痛覚がアイラの頭を混乱させる。
気が狂ったような絶叫にセフィロスは不敵な笑みを浮かべると、
ヒュン、軽く刃を振るう。それだけでアイラの命は終わる。
4124/4:03/07/12 01:43 ID:YaYoHbGp
はずだったが、
「俺の前で人殺しなどさせないぜ!」
ロックの絶妙ともいえる横槍が入り、アイラは命拾いをした。
左腕を抱き、剣を握り、アイラは立ち上がって駆け出す。
どこからそんな瞬発力が生まれたのか、と問いたくなる勢いで。

「どこまでも邪魔をするか…!」
「当り前だ!何もかも思い通りにいくと思うなよ!」
セフィロスと切り結ぶロック。正直、体力は限界に近い。
だが、彼女のおかげで時間は稼げたし、恩を酬いるために彼女を逃がしてやりたい。
それに、奇襲ポイントまで後少しだ。後、もう少しなのだ。


一方、戦線を離脱したアイラは、森の中に駆け込んだ。
飛びそうになる意識をかき集めて、血を噴出す左腕を布で縛りつつ、必死に状況を整理する。
とはいえ、指輪を身につけた後の事は、あまり覚えていない。
ただ、自分に手を差し伸べてくれた人がいて、その手がとても暖かかった事ははっきりおぼえている。

「もう一度、逢いたいな。あの人に…」
持ってきた左腕で、紫色に鈍く光る指輪。
自分をわけのわからない状態に陥れた呪いの品。
だが、これを身につけている内は少なくとも痛みを感じることはなかったし、
体が動かなくなる事もなかった。

アイラはもう自分のものではなくなった左腕の指から、指輪を抜いた。
意識がもう、擦れ始めている。左腕から流れる血とゾンビ状態から戻ったことが重なって、
彼女の生命力はほぼ尽いていた。
何もしなければ、自分はすぐに死んでしまうだろう。
それがわかったから、アイラは残った右腕の指に、死者の指輪を嵌めた。
【セフィロス(負傷):所持武器:正宗 現在位置:東の平原、山脈の側
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】
(正宗損傷)

【ロック 所持武器:吹雪の剣 現在位置:東の平原、山脈の側
備考:食料、燃料などは全てガウに渡してあります。
第一行動方針:交戦中、セフィロスを誘導する
第二行動方針:エリアを探す】

【アイラ(ゾンビ・左腕欠損) 所持武器:ダイアソード 死者の指輪
 現在位置:東の平原、中央の森
 行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらを探していく。死者の指輪が外れたら???】
414山崎 渉:03/07/12 10:10 ID:MPK3FDFG

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
4151/5:03/07/12 20:21 ID:V+j4oJ5n
「なんか暗いし…やっぱり来るんじゃなかったかなぁ…?」
地下通路を、おどおどしながらバーバラが歩いていた。
バーバラは当初神殿を目指して歩いていたが、あまりにも目立つ建物である。
『敵』が居ないとも限らないと思い、どこか寒さをしのげるを求める場所を求めていた所
奇妙な地下の通路を発見して現在に至る。
外に比べれば寒さは緩かったが、未知の暗闇はバーバラを不安にさせていた。
「でも、ずっとここにいれば今夜凍死する事は無いよね!」
不安のため自然と独り言が増えてしまうが、あわててバーバラは口を塞いだ。
同じ事を考えている『敵』がここに居るかもしれないのだ。
口を押さえながら、地下通路を進む。
しばらく歩くと通路が2手に分かれていた。
(どっちに行こうかな…)
耳を済ませ、双方をそっと覗きこんでみる。右手の方から、何か聞こえてきた。
どうやら少女の泣き声のようだ。


(泣き声…?どうしよう…)
バーバラは少し迷ったが、意を決して右手の通路へ進んでいった。
以前、泣きじゃくっていた自分を助けてくれたレナを思い出す。
あの時、レナが声をかけてくれなかったらバーバラはここまで生きてこれなかっただろう。
今度は自分が助ける番だとバーバラは思った。
4162/5:03/07/12 20:21 ID:V+j4oJ5n
「うぅ…グスッ…」
取り残されたアリーナは我慢ができずにぽろぽろと涙を流している。
負傷して思うように動けない自分。
まだ意識さえ戻らないクラウド。
今後の事を考え、頭の中がぐちゃくちゃになっていた。
(自分は強い人間だと思ってたのに…全然駄目じゃない…)
ひっくひっくと声をあげ、俯いているアリーナの目の前に、突然影ができた。
目の前に足が見える。
「誰っ!?」
ビクリとしてアリーナが顔を上げた。目の前には同じ年くらいの少女が立っている。
「…どうしたの?怪我をしてるの?」
バーバラはレナを意識しながらアリーナに話しかけてみた。
アリーナは少し緊張した表情になりながらも、逃げる気力も体力も無かったので何も言わずに頷く。
そんなアリーナを見て、バーバラは彼女が『敵』ではないという判断をした。
「うん、大丈夫。元気をわけてあげるからね!」
不安な自分を隠すように、バーバラはアリーナに笑顔を向けた。
そして、突然踊りを始める。
「そーれ!ハッスルハッスル!!」
唖然とするアリーナをよそ目に、バーバラは奇妙な踊りを続けた。
そんな滑稽な姿を見ていたアリーナは、思わず吹き出してしまった。
「アハハッ、ごめんなさい…あれ、でも何だか…」
疲れた体がなんだか楽になってくる。
片目も見えないままではあるが痛みがやわらいできた。
「元気がでるダンスだよ、ハイ、おわり」
クルリ、とターンをしてバーバラはお辞儀をする。
4173/5:03/07/12 20:22 ID:V+j4oJ5n
「回復してくれたの…ありがとう」
嬉しさと安心で再び涙を滲ませるアリーナ。
「ほら、泣いちゃ駄目!ね?…こっちの人は大丈夫かな?」
バーバラはクラウドの肩を軽く揺らしてみる。
う…と声を漏らしたクラウドがゆっくりと目を開けた。
「ここは…俺は…」
クラウドはゆっくりと起きあがる。隣にいるアリーナと目が合った。
「!!」
お互い、びくりとする。
「俺は…」
クラウドの顔が蒼白になってゆく。
「俺は…お前に…酷い事を…」
脳裏にさきほどの光景が蘇える。無理矢理押し倒し、目の中に手を…。
「俺は…」
そのまま固まってしまった彼の手にアリーナは自分の手を重ねた。
「いいのよ?クラウド。いいの。もういいから、大丈夫だから」
微笑みを浮かべてクラウドを見つめる。
「すまない、と言って済む問題じゃない事はわかってるが…」
「いいの、本当にもういいの」
「すまない…だが目や傷の責任は今後俺がとるから…」
眉間に深い皺をつくり、クラウドはアリーナの手を強く握り返した。
4184/5:03/07/12 20:23 ID:V+j4oJ5n
「ん…んん?えっと…」
状況がわからないバーバラがおろおろしているのに、やっとクラウドが気付く。
「あ、この人が…私達を助けてくれたんだよ」
アリーナはカインがここを離れた事、バーバラに助けられた事を説明する。
「そうか、すまない。俺はクラウドだ」
「私はアリーナ」
「私はバーバラだよ」
簡単に自分たちが置かれている状況を説明し合う。
バーバラからソロの話を聞いたアリーナはぎり…と歯をくいしばった。
「ソロを止めなきゃ…早く…」
しかし、既にソロが亡き者になっているという事を彼女は知らない。
アリーナが立ちあがりかけるのをバーバラが慌てて止めた。
「まだ少し休んだ方がいいよ!それに今はここで夜を過ごす方が安全だと思うよ。もう夜だし下手に外に出ない方がいいと思う」
「そうだな。旅の扉も1つくらいは地下通路に現れるだろう。勝負は次のフィールドだな」

バーバラとクラウドの意見もあり、3人は一晩この場所で身体を休める事にした。
4195/5:03/07/12 20:29 ID:V+j4oJ5n
【アリーナ 所持武器:イオの書×4 リフレクトリング ピンクのレオタード
 現在位置:地下通路(大陸中央付近) 】
 第一行動方針:次のフィールドまで身体を休める
 最終行動方針:ソロを止める
 (軽傷、一晩休めば体力は回復・片目失明状態)

【クラウド:所持武器:ガンブレード 現在位置:地下通路(大陸中央付近)】
 第一行動方針:次のフィールドまで身体を休める
 最終行動方針:責任を感じアリーナを最後まで守る
 (軽傷、一晩休めば体力は回復・錯乱状態から回復・記憶はあり)

【バーバラ(負傷):所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー】
 第一行動方針:次のフィールドまで身体を休める
 最終行動方針:テリーを救う
420419:03/07/12 20:32 ID:V+j4oJ5n
すみません、訂正します。

【バーバラ:所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・ペンダント・メイジマッシャー】
 第一行動方針:次のフィールドまで身体を休める
 最終行動方針:テリーを救う

(負傷)を消し忘れていました。
また地下通路か。
今更言うのもなんだけど、地下通路の存在を知らないキャラが
いきなり入り口見つけて入るってのはどーよ。

散々叩かれてたんだからさ、学習しようよ。
存在を知らないキャラは入れない、ってぐらいの配慮は、
暗黙の内にして欲しかったなぁ。もう遅いけど。


で、話は変わるけど。次のフィールドって…FFから選ぶんだよね?
初期段階から最後はアレフガルドって話はあったけど、
どう考えても次の世界で終わりそう何だけど…
新作キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

>>421
まぁ人数に対して街とか建物の数が圧倒的に少ないから
仕方ないって事もあるんだろうけどね
まぁカリカリせずにいこうや(´∀`)ノ

次フィールドはFFでもいいと思うよ
セフィロス戦がどう決着するかにもよるだろうけどな
まだ脱出に関するノウハウもあやふやだし

次フィールドでクライマックスに向けて動いて
最後の最後にちょびっとアレフガルドに飛ばせばいいんじゃないか?
4231/2:03/07/12 23:38 ID:uTNs7xI5
しまった、と思ったときはもう遅かった。
右肩から左腹部まで刃が通ったと知覚できた時には、鮮血が舞っていた。
ロックは二度三度飛んでセフィロスから離れ、傷を押える。

止まらなかった。撫でて止められるほど、その傷は浅くなかった。
全身の力が見る見るうちに抜けていき、ロックの意識は白く濁っていく。

「か、は…!」
「ほう、まだ動くか」
ロックは傷を押えて前屈みになりながら南に向かう。
まだ、まだ奇襲ポイントまで届いていない、セフィロスに追いつかれないよう必死に走る。

ぼたぼたと、雫ではなく塊として血が落ちていく。
顔を上げることは出来なかった。上げたが最後、中身までイッてしまいそうだから。
「い…ってぇなあ…」
歯を食いしばり呟く。
ロックは、これまでにも何人もの人に死を看取ってきた。
戦いの中に、危険の中に身を投じるという事はそういうことだ。
ここでもファリスの最後を看取ったが、さて、何と言っていただろう?

「そうだな、後を託す人がいるなら何も心配することなんてないんだ。
 わかるよ、ファリス。君が死んだことに意味があるように、俺がやったことにも意味がある。
 それがわかるから…」

もう、足に感覚はない。食いしばっていた筈の口はどうなったのだろう?
腕は、ちゃんと傷口を押えているだろうか。そもそも、まだ血は出ているのか?

「俺は一人の女にすら、何もしてやることが出来なかった。でも、今は違うと思う…。
 この手で、アイツを抱くことはもう出来ないけれど、あいつを守ることは出来たと思う。
 こんな、生き方しか出来なかったけど…いや、こんな場所だからこそ。
 こんな生き方が出来たことに、胸を張りたい」
4242/2:03/07/12 23:41 ID:uTNs7xI5
あれ、と。ロックは何時の間にか地面が目の前にあることに気付いた。
背後に閃光と爆発が起こっている。それはつまり、自分は役目を果たしたということだ。
誰かが走ってくる。自分を助けようとしているのだろうか?無駄なのに?

「いや、無駄だからこそ、意味があるのさ。表面的なモノだけが結果じゃない。
 隠されたものにこそ、真実の宝がある。それを探すのが――――」


エアリスは癒しの杖を手に、ロックに駆け寄っていた。
作戦は成功した…のだろうか。ロックは手筈どおりにセフィロスを連れてきた。
満身創痍のロックに飛び出そうと従うを押し留め、もっとも近付いたところでデスピサロとマリベルの魔法で先制攻撃。
ラグナは矢を射かけ、ギルガメッシュ、ライアン、ティーダ、ガウが一斉に飛び出した。
そしてエアリスは、奇襲ポイントを過ぎて少しした場所で倒れたロックの元に向かったのだが。

癒しの杖を翳しても、傷は癒えない。
ロックはすでに生命力を使い果たしていたのだ。
それでもエアリスは必死にロックに呼びかける。
「しっかりして!まだ死んじゃダメよ!」
「………」
ロックは虚ろになった視線をエアリスに向けた。

「え…何?」
「…………」
何かを繰り返し呟いているようだった。何と言っているのだろう?
しゃがみこんでロックの口元に耳を寄せる。

「何!?ねぇ、何が言いたいの!?」

だが、エアリスの問いかけにロックが答えることは、永遠になかった。
【セフィロス(負傷):所持武器:正宗 現在位置:東の平原、森の突き出したあたり
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】
(正宗損傷)

【ギルガメッシュ 所持品:正義のそろばん】
【ラグナ(両足欠損・チョコボに騎乗) 所持品:エルフィンボウ】
【エアリス 所持品:癒しの杖】
【マリベル 所持品:なし】
【ティーダ 所持品:いかづちの杖】
【デスピサロ 所持品:『光の玉』について書かれた本】
【ライアン 所持品:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)】
【ガウ 所持品:なし】
以上、 現在位置:ロンダルキア南東の森、奇襲ポイント
     第一行動方針:セフィロスを倒す

【ロック 死亡】
>422
すぐ近くにいるゼニスはスルーですか。まぁ書きづらいのはわかるけど…

個人的な感想だと、
まずバーバラがクラウドたちに合流するという結果ありきで書いたのかなぁと思いました。
で、そのためにバーバラに『偶然』地下通路を発見させた、と。
もしかして今、書いてる人が二人以上いる?
2ndは完全に動きが止まってるな
バーバラの話を書いた者です。すみません。
以前からロムっていて、初めて今作を書いてみましたが
かなり無茶&拙い文章になってしまいましたね。
バーバラを2人に合わせたい、という気持ちから書いてしまいました。
426さんのおっしゃる通りです。ゼニスの存在を考慮しなかったのも
熟読していなかった私のミスです。
取り消しにして下さっても構いません、と安易に言うのも何なので
みなさんの判断におまかせします。
どうもお騒がせしてすみませんでした。
もう少し把握能力を勉強してから戻ってきます。
>>429
おれはこのままでOKだよ
セリスが記憶喪失のままロック死んじゃったわけだけど、いいのか?
委細問題無し、伏線は潰れるものだ。
>427
ええと、
2nd議論が始まったのが307のあとで、
その後五話ほど別の人が書かれてます。後は自分が。
最近ずっと連投だったので少し嬉しいかも。

>429
以前、バッツたちが湖の凍ったところを渡ったってのが問題になったんだけど。
あの時も一刻も早く神殿に到達させたくて、『偶然』を使ったんだよ。
多分、根っ子は同じ所にあると思う…
自分も駄文を書き散らしてる身なんで、お前が言うなって感じですが(w
434バーバラの話書いた者ですが:03/07/13 01:08 ID:6+z9BMsX
415−420、429の者です。
ふと読み返してみたら422さんとIDが同じになってますが別人です。
自作自演じゃない事を弁明させてください。
また戻ってきてすみませんでした。

>>433
いつも楽しく読ませてもらっています。
そう言っていただけると多少気が楽になります。
セフィロス戦はもう結末まで話は書き終わってるんですか?
>435
大筋は大体決まりましたが、まだ書いてません。

ただ、あくまで自分が勝手に考えてるだけですから、
割り込んでも全然OKです。
一日置いて落としているのにはそういう意味もあります。一応。
4371/4:03/07/13 21:52 ID:K5UhkGZY
ぶぅん、とライアンの大地のハンマーがうなりを上げる。
さすがのセフィロスも超重量攻撃を正宗で受け止めるわけにはいかない。
ライアンの攻撃の回避を最優先に、他の者の攻撃は適当にいなす形になった。

ロックを追っていた矢先に受けた襲撃、セフィロスは冷静に受け止めていた。
ロックが何か企んでいる事は明白だったからだ。
それがまさか、こんな大多数で襲い掛かってくるものとは思わなかったが、
それでもこの場を切り抜ける自信がセフィロスにはある。

正宗を横に薙ぎ払う。詰め寄ろうとしていたティーダは近寄れずに飛び退いた。
「おわ、あぶねーっ!」
恐ろしく長大な正宗は体を逸らす程度では刃から逃れられない。
完全に刃の軌道から外れるか、間合いを離さなくてはいけない。
それがバトルのテンポを悪くして、セフィロスの望むスタイルにされてしまう、とテイーダは思った。

「まずはあの刀をなんとかしないと!」
「刀…刀か、よーしまかせろ!」
チョコボに乗って走り回っていたラグナはそう言ってどこかにいってしまう。
「あ、おい!」
声をかける間も無く、ラグナの姿は闇に消えた。
何を任せるんだってーの。つーか、やっぱ剣が欲しいぜ、と愚痴っていると。
「ティーダくん、これ使って!」
戻ってきたエアリスが、ティーダに剣を投げてよこした。
ロックの使っていた吹雪の剣だ。
「やったぁ!こいつでやってやるっての!」
ティーダは受け取るとくるりと剣を一度回し、再びセフィロスめがけて突進した。
4382/4:03/07/13 21:52 ID:K5UhkGZY
「灼熱呪文、あわせろ」
「わかったわ!」
デスピサロとマリベルの手から、炎の塊が飛び出す。
それは一直線にセフィロスに向かい、そして正宗によって切り払われる。
だが、その僅かな隙をギルガメッシュとライアン、ガウは見逃さない。

「小賢しい…!」
「そりゃ光栄の至りだな!」
ギルガメッシュの正義のそろばんを半身でかわし、正宗の柄を腹部に叩き込む。
「うぐッ…!」
続くライアンの攻撃を飛び退いてかわし、正宗をふるう。
「ぬっ!」
そこにガウが殴りかかるが、左腕で受け止め、逆にガウを殴り飛ばす。
「がうーっ!」

セフィロスは剣を構えると、こちらを睨む者に言う。
「お遊びはこれまでだ、貴様等はここで死ね」
そんなセフィロスの最後通告と、
「いやっほーぅ!!!」
底抜けて明るい声が同時に響いた。

夜の闇から何かが飛んできた。
次の瞬間、それはセフィロスの持つ正宗に張り付く。

「「ラグナぁ!?」」

4393/4:03/07/13 21:53 ID:K5UhkGZY
そう、ラグナは一旦戦場から離脱したラグナは機会を窺っていた。
セフィロスは攻守共に隙がない、だが絶対ではない。
あまりにも刃が長い正宗は近接戦に向かないというのが欠点のひとつだ。
格闘にも長けるセフィロス自身にはそれほど致命的なものではないが、
格闘している間、どうしても正宗が遊んでしまう。
ガウが正宗の範囲内から抜けた、その隙をラグナは見逃さなかった。
チョコボを加速させ、正宗目掛けて飛び込んでいったのである。

ラグナという重りを突然つけられ、正宗は不自然な形で地面に落ちた。
瞬間、正宗の刃は半ばから真っ二つに折れる。
折れた場所はちょうど、メルビンによって欠けられた場所だった。

呆然とする一同を尻目にラグナは高笑いをする。
正宗にしがみ付く際、刃に触れて切れた傷から血が流れているが、痛みは感じない。
気持ちがハイになっていて、痛覚を凌駕した。ひたすら、愉快だった。
半身が失われ、戦力という意味ではカス同然である自分がセフィロスを出し抜いたことが。

どんなに強くてスカしていようが、一人でいればどこかで付け込まれるんだ。
一人で平気なことは、強さじゃない。他人を拒絶することは、弱さだ。
ラグナはそう思う。それを、勘違いしがちな息子に教えてやりたかった。
「わっはっは、ざまァみやがれってんだ。はっはっはっはガッ!」

そんな、ラグナの高笑いも強制的に終了させられる。
セフィロスは顔にはっきりとした苛立ちを浮かべて、頭蓋半ばで止まった正宗の柄から、放り捨てるように手を離す。
そして、ギラギラと禍々しく光る瞳で一同を見据える。
それを見た誰もが戦慄し、身構えた。

「本気で怒らせたな…許さん」

4404/4:03/07/13 21:53 ID:K5UhkGZY
【セフィロス(負傷) 所持武器:なし 現在位置:ロンダルキア南東の森、奇襲ポイント
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】

【ギルガメッシュ 所持品:正義のそろばん】
【エアリス 所持品:癒しの杖】
【マリベル 所持品:なし】
【ティーダ 所持品:吹雪の剣 いかづちの杖】
【デスピサロ 所持品:『光の玉』について書かれた本】
【ライアン 所持品:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)】
【ガウ 所持品:なし】
以上、 現在位置:ロンダルキア南東の森、奇襲ポイント
     第一行動方針:セフィロスを倒す

【ラグナ 死亡】
(正宗は折れました。)
4411/4:03/07/14 22:41 ID:k2NsQKmt
セフィロスが丸腰になったとて、油断した者はいなかった。
ただ、先生の波状攻撃が上手くいっていてセフィロスが防戦一方だったこと、
ラグナのアクションによって波状攻撃が途切れてしまったこと、
素手になったことでセフィロスの攻撃パターンが変わったことに対応できなかった。

雪を蹴り、突っ込んでくる。
前衛のライアン、ギルガメッシュ、ガウ、ティーダは武器を構えたが、
セフィロスの狙いは彼等ではなかった。

「こちらを狙ってきた!?二人とも、下がれ!」
彼等の合間をぬって一直線に向かってくるセフィロスに、デスピサロはマリベルとエアリスに叫ぶ。
はっと我に返った前衛が武器を手にセフィロスを追う。

だが、遅い。

セフィロスの右指は、呪文で迎撃しようとしたマリベルの咽喉を貫いていた。
咄嗟の事に反応できないエアリス、そんな彼女をセフィロスはギロリと睨む。
「ッ、てッめぇー!何やってんだ!!」
ティーダが吼えてセフィロスに斬りかかる。
セフィロスはマリベルの咽喉から指を引き抜き、
ティーダの剣をかわすと、顔面に強烈なまわしげりを放つ。
その時すぐ側にいたエアリスはブチブチと引き千切られるような音が聞いた気がした…

マリベルは咽喉から血の飛沫を上げつつ、倒れた。
吹き飛ばされ、倒れたティーダは泡を吹いて痙攣している…
4422/4:03/07/14 22:42 ID:k2NsQKmt
「きっさまぁ!」
遅れてギルガメッシュとライアンがセフィロスに攻撃をかける。
さすがに二つ同時にはかわせず、セフィロスはライアンの攻撃をかわすとギルガメッシュの正義のそろばんを腕で受け止める。
守る物のない腕はギシリ、と軋んだ。
続けて、デスピサロが放った火炎球がセフィロスを飲み込む。

「マリベル、マリベルーッ!!」
エアリスはマリベルを抱き起こすと、癒しの杖を掲げた。
柔らかい光がマリベルを包み、咽喉の傷を塞ごうとする…が、マリベルが咳き込むたびに傷口はどんどん開いてしまう。
「ダメよ、あなたまだ子供じゃない!私より年下なんだから…だから!」
エアリスは自分の力を解放する。癒しの風がマリベルを包み、傷口を塞いでいく。
だが、効きは弱い。急激にマリベルの生命力が落ちているのだ。

ロックに続いてマリベルにも何も出来ない、打ちひしがれるエアリスの元にガウが駆け寄る。
「マリベル、無事か!?」
「無事、じゃないみたい…傷が塞がらないの」
ガウは肯くと、目を閉じて両手を前に出し、何か呪文を唱え始めた。

「ホフマンも、メルビンも、ロックも、みんな助けられなかった。
 みんな、ガウのなかま。ティーダもマリベルも、みんなみんな、ガウのなかま」
ガウを中心に、白い風が雪原をめぐる。

「む…この風は?」
「痛みが抜けて…力が漲ってくるでござるよ!」
「こいつはホワイトウィンドか!」
その風に触れたデスピサロ、ライアン、ギルガメッシュの体から疲労が抜け、変わりに力が漲っていく。
泡を吹いていたティーダの口元も和らぎ、ハッと我に返る。
4433/4:03/07/14 22:43 ID:k2NsQKmt
「傷が…癒えていく」
エアリスは信じられないと思いながらふと顔を上げると、
全身を震わせ、風をまとって宙に浮いているガウの姿があった。
まるで、自分の全てを風に換えているかのような…そんな姿。
「ガウ君、もういいわ!みんな治ったから!」
ああ、自分はどうしてこう――――無力なんだろう。
嘆いて、叫ぶことしか、出来ないのか。それが、現実だというのか。
命を削って皆に分け与えるガウを、ただ見ているしかない。

風が、やんだ。
地面に降り立ったガウは、エアリスに満面の笑みを浮かべると、


――――静かに倒れ伏して、二度と立ち上がらなかった。
4444/4:03/07/14 22:44 ID:k2NsQKmt
【セフィロス(負傷) 所持武器:なし 現在位置:ロンダルキア南東の森、奇襲ポイント
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】

【ギルガメッシュ 所持品:正義のそろばん】
【エアリス 所持品:癒しの杖】
【マリベル 所持品:なし】
【ティーダ 所持品:いかづちの杖】
【デスピサロ 所持品:『光の玉』について書かれた本】
【ライアン 所持品:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)】
以上、 現在位置:ロンダルキア南東の森、奇襲ポイント
     第一行動方針:セフィロスを倒す

【ガウ 死亡】
新作乙!

ガウって他の参加者と会話できたっけ?
久しぶりに来たら凄い事になってるな。期待。
ハーゴンはどんな方法考えてるのかよくわからん
>445
獣語?がわかるメルビンがいたので、
これまでは使い慣れてるそっちを使ってた。
メルビンがいなくなってからは拙い人語を喋ってる。

というか、ゲームは出来るのにこれでは出来ないという事はないだろ。
4491/2:03/07/15 22:08 ID:qGB/IZkR
「――――!!」
倒れて身動き一つしないガウに、言葉にならない悲鳴を上げるエアリス。
と、抱いていたマリベルが身動きする。
「マリベル!大丈夫!?」
マリベルは答えない。
ギルガメッシュたちと肉弾戦を繰り広げるセフィロスに、手のひらをかざす。
続いて聞こえてきたマリベルの声に、エアリスはぞっとした。

少し甲高くて、可愛らしかったマリベルの口から紡がれるその声は、
瀕死の老人のように擦れて、濁っていた。

「マリベル…!」
マリベルはじっとセフィロスを凝視する。
かざした手は微かに震えている、口元からは血の筋がこぼれ始めた。
それでも、止めない。魔力が集まり、マリベルが紡いだ呪文の形に収束していく。
「マリベル、マリベル、マリベル…」
エアリスには、そんなマリベルを後ろから抱きしめる事しか出来なかった。
今にも折れそうな、消えてしまいそうな少女を支えることしか。

全員の不意をつき、一瞬で二人を戦闘不能にしたセフィロスも次第に押され始めていた。
さすがのセフィロスといえど、肉弾戦で無傷というわけにはいかなかった。
相手は武器を持っていたし、戦闘も素人ではない。
先ほどのような一撃必殺は狙えないし、かわしつづける事も難しい。

ライアンを殴り飛ばし、フェイント交えながら斬りつけてくるティーダの剣を捌く。
いうのはカンタンだが、刃に触れないように捌くのは相当な集中力の要る技だ。
そんなタイミングだった。セフィロスの全身を炎が包んだのは。
4502/2:03/07/15 22:10 ID:qGB/IZkR
「ベギラゴン…!!」

呪文が完成し、生まれた灼熱の炎がセフィロスを襲う。
マリベルの存在を既に死んだものをしていたセフィロスは不意を付かれた。
こちらを見るセフィロスに、マリベルはにやりと口元を歪める。
「ざまぁ、な…いわ、ね………!」
ぐふっ、血を吐き出し、マリベルの全身から力が抜けた。

セフィロスに咽喉を掻き毟られた時に、決定的な何かを切られてしまったのだろう。
エアリスとガウの癒しがあったとはいえ、そんな状態で呪文を完成させたマリベル。
見栄っ張りで意地っ張りな彼女は、そんな自分のままで最後を迎えた。

完全に不意を付かれて僅かに戸惑うセフィロス。
見ると咽喉を引き千切って息の根を止めた筈の少女が、こちらに腕を向けている。
バカな、セフィロスは火炎を飲み込まないように口を塞ぎ、飛び離れる…
それが、決定的な隙だった。

「もらったぁ!!」
背後に回り込んでいたギルガメッシュがついにセフィロスを捕らえた。

【セフィロス(負傷) 所持武器:なし 現在位置:ロンダルキア南東の森、奇襲ポイント
 行動方針:全員殺す・勝ち残る】

【ギルガメッシュ 所持品:正義のそろばん】
【エアリス 所持品:癒しの杖】
【ティーダ(気絶) 所持品:吹雪の剣 いかづちの杖】
【デスピサロ 所持品:『光の玉』について書かれた本】
【ライアン 所持品:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)】
以上、 現在位置:ロンダルキア南東の森、奇襲ポイント
     第一行動方針:セフィロスを倒す

【マリベル 死亡】
>447
そんなの誰も知りません。
なので、勝手に捏造します。
前後の話と矛盾しない限り、リレー小説ではそれが許されます。

もっとも、今現状リレー小説してるのか、といわれると甚だ疑問ではありますが。
>>451
そうだよね、書いた人が見ているならともかく
>>452
見てるけどね、俺自身変えていいと思ってるよ。
ってか1から10まで完璧に解説すると逆に萎える香具師もいるしナー。
個人的には1から10まで知りたいんだけど
DQ7勢全滅か。マジャスティスはどうなったんだ・・・
>>455
ゾンビだがアイラは一応生存してるよ。つぎ元に戻ったら死にそうな勢いだけど……

あとマジャスティス…マリベルとグレーテの話書いたの自分だけど、
マリベルがエドガーのメモの裏にコソーリ不完全版マジャスティスの呪文を書き写していて、
マリベルの死後、それを偶然手に入れたデスピサロ組が
「光の玉について書かれた本」とメモの内容を組み合わせて完全版マジャスティスを作成、
ゲーム脱出時+ゾーマの闇の衣を剥ぎ取るのに使う、という話を考えてはいた。

でもマジャスティス自体は無理して出す必要はないと思う。
漏れの意図としては、呪文自体より「マリベルが自分なりの希望を見つけた」ことの方が肝心だったから
そしてセフィロス戦までの経緯(ラグナ救出時、セフィロス戦への参戦決意)で、それは十分に昇華されたと思うから。
質問なんだけど、何故ジタンは一旦神殿に帰ろうとしてんの?
問題解いた人間を確保したわけでもないのに
>>457
>324参照。幼児リディアを連れて歩くにはジタン一人では危険過ぎるので、
一旦神殿に戻って誰かに預けるなりなんなりする予定らしい。
あと一応、問題解いた人間としてサマンサを確保済み。
あ、そうだったんだ。
ありがと
4601/4:03/07/16 22:10 ID:qQTQBVoR
「しまった、く、離せェッ!」
ギルガメッシュを引き剥がそうと暴れるセフィロス。
だが、ギルガメッシュは人を超えた腕力で暴れるセフィロスを押さえ込む。

「キサマ、ニンゲンではないな…!」
「おお、そうらしいな!もっともテメェにだけは言われたくなかったけどよ!」
ニヤリと笑うギルガメッシュ。
セフィロスの腕が、自分の腕を引き千切って自由になろうとしている。
普通の人間なら、成す術もないだろう、だが自分は……

「死んだはずが、何の因果か幻獣紛いの存在になってな!
 曖昧な世界で、ただあいつだけを探していた!
 この世界に来て、見つけて、だから浮かれて忘れてたかぁ!?」
「訳のわからぬことを抜かすな…離せ!」
「いいや、ダメだね!…そうだ、ティーダ!」
「へ?」
突然声をかけられ戸惑うティーダに、ギルガメッシュは心底楽しそうに言う。

「そいつで、こいつを串刺しにしてやれ!」

「はぁ!?」
「だから俺ごとこいつをぶち抜いて穴だらけにしてやれ!その剣でな!」
「…!何いってんすか、アンタ!そんな事したら…!」
「いいからやれってんだ!これが最後なんだぞ!これを逃したら後は…ないんだぞ!」
ようやく、ティーダは気付いた。
ギルガメッシュが歯を食いしばり、脂汗を浮かべていることを。

仲間が、たくさんの犠牲の末にようやく作ったチャンス。
いつも、最後のパスを受けて…それをゴールに叩き込むのが自分の役目だった。

ブリッツでもスピラでも、そして今でも!
4612/4:03/07/16 22:12 ID:qQTQBVoR
「わぁぁぁぁぁぁぁーーーッ!」
「バカなことはやめろ!」
「よっしゃ、こいっ!手加減抜きだ、思いっきりやりな!」
突進したティーダの剣がセフィロスに迫る。
表情を歪め、逃れようともがくセフィロス、縛るギルガメッシュ。

ティーダの体がセフィロスにぶつかる。
刃がセフィロスの胸に吸い込まれ、次の瞬間ギルガメッシュの背中から姿を現す。
「ば、バカな、こ、こんな事が…」
「まだだ、まだまだ!中身を掻き回せ、ぐちゃぐちゃに捻れ!」
「もういいって!うだうだ言ってないでさぁ!」
剣を上下させる。捻り、左右に揺さぶる。
そのたびに血飛沫が散り、ティーダの視界を真っ赤に染めた。

「そうだ、それでいい」
はっと、ティーダは顔を上げる。
ギルガメッシュは、相変わらず笑っていた。ただ、その笑みは先程までのとは違う。
戦闘の極限状況から来る繰状態が抜け、どこかすっきりとしていた…

「…前に死んだときもさ、こんな感じだった。身を呈してってのはいい加減流行らんと思うんだが、オレはそういう結末を迎える運命なのかもな」
「あんたが…ただ、目立ちたがりなだけだろ」
「…かもな。バッツともう一度やりあえる、折角の機会だったのにな」
「………」
「でもな、オレは諦めてねーぜ。また何時か、バッツに会える」
「死んだら…それまでだろ」
「ところがそれまでじゃなかったんだな、このオレは。おまえ等と違って次がある。
 だから、恐くないって言うか、まあ痛いのはイヤだけどな」
「どっちだよ!」
「つまり、お前は生きていろってことだ…そして、もしバッツに会えたのなら…
 伝えてくれ。必ず会いに行くと。それまでは…死ぬな、とな。

 ――――離れろ!」
4623/4:03/07/16 22:13 ID:qQTQBVoR
ティーダは無意識の内に剣から手を離し、二人から飛びなれた。
刹那、ギルガメッシュを中心に強烈な爆発が巻き起こり、爆風でティーダは吹き飛ばされる。
雪の上に転がる。痛みはないが、息が少し詰まった。
慌てて顔を上げると、ギルガメッシュがいたところは木っ端微塵で何もない…

「最後までかっこつけてさ」
派手好きで、豪快で、目立ちたがりで、抜けたところがあるのにどこか憎めなくて…
そんなところが…似ていると思って、ティーダは呟いた。
「そういうの……だいっきらいだ」


爆発に巻き込まれたセフィロスの四肢は四散した。
両手両足を失い、胸から下もない。そんな状態でセフィロスは生き残っていた。
そんな状態でも生存できるのがジェノバ細胞だ。もっとも、意識はほとんどないが。

――――不意に、セフィロスは「削られている」と感じた。
視線だけ上に向けると、半ばで折れた正宗を振り下ろす誰かの姿。
何度も何度も…それを繰り返して、砕き、すり潰している。
何を?――――自分を。

どこかで見たような顔だった。自分はコレを知っている。
ああ、そうだ。コレはオレが殺した奴じゃないか。何故生きている?
まぁ。どうでもいい。こと。だが。

抵抗も出来ないまま、セフィロスは思う。
闇夜の中、全身を血で染め、半ばで折れた刀を振るう、女性。
ただ、血走った瞳だけが、赤くて…とても赤くて…

ああ…なんて…

綺麗…なん…だ……と――――
4634/4:03/07/16 22:15 ID:qQTQBVoR
【エアリス 所持品:癒しの杖 折れた正宗】
【ティーダ 所持品:吹雪の剣 いかづちの杖】
【デスピサロ 所持品:『光の玉』について書かれた本】
【ライアン 所持品:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)】
以上、 現在位置:ロンダルキア南東の森、奇襲ポイント

【ギルガメッシュ 死亡】



【セフィロス 死亡】
以上、セフィロス戦は終了です。
セフィロス含めて10人参加して6人死亡。
未だにこれでよかったのかといまだ自問自答してます。

>456
なるほど…
では、できたら何らかのフォローしてみます。
できたら、ですけど。
465剣士 ◆QWzUF/wj3. :03/07/16 22:27 ID:7cah2w/i
自分は、セフィロス戦で生き残るのはデスピサロとエアリス
だけだと思ってました
よかった!
良い作品だと心から思います。
>>454
首輪も外れてないのに出してどうするよw
それに書き手として見た場合、自分であれこれ変えられた方が書き易いと思うが。
勝手に生存者リスト

FF3 導師 デッシュ
FF4 カイン リディア
FF5 バッツ
FF6 ティナ セリス エドガー
FF7 エアリス ザックス クラウド
FF8 リノア スコール
FF9 エーコ ジタン
FF10 ティーダ アーロン リュック

DQ2 ハーゴン
DQ3 アルス ゼニス オルテガ サマンサ
DQ4 デスピサロ アリーナ ライアン トーマス モニカ
DQ5 ヘンリー とんぬら アニー クーパー ピエール パパス
DQ6 バーバラ ミレーユ
DQ7 アイラ 
470名前が無い@ただの名無しのようだ:03/07/17 21:10 ID:Vy2qhHTI
>>469
アグリアスがぬけれつ。
修正

FF3 導師 デッシュ
FF4 カイン リディア
FF5 バッツ
FF6 ティナ セリス エドガー
FF7 エアリス ザックス クラウド
FF8 リノア スコール
FF9 エーコ ジタン
FF10 ティーダ アーロン リュック
FFT アグリアス

DQ2 ハーゴン
DQ3 アルス ゼニス オルテガ サマンサ
DQ4 デスピサロ アリーナ ライアン トーマス モニカ
DQ5 ヘンリー とんぬら アニー クーパー ピエール パパス
DQ6 バーバラ ミレーユ
DQ7 アイラ 
38か…。結構減ってきたな。
4731/5:03/07/18 01:43 ID:g/eZn9wa
「…終わったな」
「だが、犠牲は大きかったでござるよ…」
ライアンは静かに目を閉じる。散っていった勇者たちに対する黙祷か。
デスピサロは横目でしばらく、それを見ていたが、
「そろそろ移動した方がいい。体温が下がりすぎて立ってもいられなくなるぞ」
「うむ…そうでござるな」

ティーダは、エアリスの元に歩いていった。
エアリスはただ一心不乱に肉の塊を潰している。それが何かがわかって、ティーダはエアリスの手を取った。
「もうやめといたほうがいいッス。それはもう…」
「コレは…どんなにバラバラになっても、リュニオンして元に戻ってしまうわ。
 だから、ちゃんと始末しておくの」
「だとしても、もっと他にやりようがあるだろ。辛いのもわかるけどさ、モノに憎しみぶつけて、それが何になるってんだ」
「………」
エアリスは、手を止めた。頬を流れていた涙は、何時の間にか氷に変わっている。
自分を濡らしたマリベルたちの血も、凍って渇いている。
熱い感情も、死の感触も、じょじょに冷めていく。
エアリスは、はぁと息を吐き出すと、呟くように言った。
「そう――――だね。これだけ、潰しておけば…再生する前に凍って何も出来ないし。
 みんなも、ちゃんと葬ってあげないとね…」

四人は、ロック、ラグナ、ガウ、マリベルの遺体をそれぞれ背負って、野営地に向かった。
野営地には目覚めたモニカがいた。
死人を運んできたデスピサロたちにモニカは唖然として、続いて激しく脅えたが、
以前のフィールドで会ったエアリスの説明で、事情を理解した。
エアリスは四人を並べて横たえると血糊を拭って彼らの体を綺麗にしている。
こんな状況で何の意味がある、と思わないでもなかったが、共に戦ってきた仲間たちの手向けにこれぐらいのことはするべきかもしれない、とティーダは思う。
4742/5:03/07/18 01:45 ID:g/eZn9wa
マリベルの口元を洗っていたとき。
エアリスはマリベルの服の下に紙があることに気付いた。
エドガーのメモだ。このゲームから抜ける方法があるという、希望がかかれた紙。
だが、それはもうマリベルには何の意味も為さない。それは…悲しいことだ。
涙を堪えながら、エドガーのメモを自分の服にしまうエアリス。
これは、生者にこそ必要なものだから、きっとマリベルも自分が持っていくことを許してくれるだろう――――

「…?あれ、もう一枚…」
エドガーのメモのほかに、別の紙があった。
開いてみる。何か、書き込まれているが読めない……首を捻っていると、
「見せてみろ」
デスピサロがひょいと紙を取った。
なにやら、魔術じみたものがかかれているようで、気になったらしい。

「………ふむ。なるほど」
「わかるの?」
「未完成だが、魔法の唱え方…というよりも術式の概略だな。
 わからないだの、憶えていないだの、そう言った端書も書かれている」
デスピサロは紙をエアリスに渡した。
「術式…?」
「マジャスティス、というらしい。しかし、お前も術師だろう?わからないのか?」
「私の世界はそういうこと、やらないから。マテリアってモノがあって
 …あなたふうに言うなら、術式などの知識が凝縮した結晶を媒体にして発動させるものなの」
ならば、彼女は役に立たんな。デスピサロは思った。
ジタンの説明を信じるなら、儀式は力よりむしろ魔術的なセンスが重要である。
彼女の魔術的なモノは血の力だ、術式もわからない彼女を勧誘しても意味はない。

マリベルは…惜しい事をした、と思う。
空でこれだけのものが書けるなら、才能はあったかもしれない。
しかし、今更悔やんでも仕方ない事である。
「あ、これはわかる人が持っていたほうがいいかな?」
「私は覚えたので必要ない。お前が持っていても問題ないだろう」
4753/5:03/07/18 01:46 ID:g/eZn9wa
そしてエアリスが事を終え、一息ついた後。
話は自然とこれからどうするか、ということになった。
「我等は為すべきことがあるゆえ、早々にここを発つが、お前たちはどうする」
「日が明けたら、みんなを埋葬してあげようと思う…」
デスピサロの問いにエアリスはそう答え、ティーダは肯く。
「その後は」
「そッスねー。会わなきゃいけない奴がいる、かな」
エアリスはティーダを見た。それはおそらくリュックだろう。
そして自分も…会いたい人がいる。
「私も人探しかな。セフィロスはもういないって事、教えてあげたい」

「そうか。ではここでお別れだな。そこの女は」
この人、私を憶えていないんだ…とモニカは思った。
自分はこの男を知っている、何しろもう少しで結婚相手になるところだったからだ。
エンドールで開催されたあの武道大会、もっとも目立ち、残虐非道といわれた男。
聞いた話とはだいぶ印象が違うけれど…
「私は、アーロンさんを探しにいきます」

「アーロン!?そうだ、あれからアンタ、なにしてたんだ?」
ティーダが声を上げる。ほんの僅かだが、ティーダたちは以前モニカたちと合流している。
リュックの暴走で離れ離れになってしまったが…
「私は…アーロンさんと一緒にいて、メルビンさんと、この子に助けられたんですが」
モニカはちらりとガウを見る。もう動かない少年の姿に、涙が滲んだ。
「北の湖にある島でトラブルに巻き込まれて…アーロンさんは湖に落ちて」
あの自然発生のバシルーラか、とデスピサロは思った。
「湖に…本当ッスか?」
ティーダの顔が青くなる。アーロンって、泳げたっけ?
そりゃ、人並みには泳げるだろうけど、零下の湖にいきなり落とされて無事でいられるか?
そんな悪い想像をモニカもしたのだろう、俯くと血をはくような声で口調で言う。
「ええ、私は確かに見ました。嵐に巻き込まれて縄に掴まったアーロンさんをターバンの男が見捨てて…!アーロンさんは湖に落ちたんです!」
4764/5:03/07/18 01:51 ID:g/eZn9wa
「待つでござる、ターバンの男といわれたが、もしかしてとんぬら殿でござるか?」
「とんぬらって…ええと、魔物使いの?」
ティーダの言葉にライアンは肯く。
「うむ。魔物からも慕われる好青年でござる、ワシにはどうにも信じられんでござるよ」
「ですが、事実です!私はこの眼でちゃんと見ましたから!」
モニカの剣幕に、ムゥと気圧されるライアン。
さすがの王宮の戦士も御婦人のヒステリーには成す術もないらしい。

「とにかく、次の目標は決まった。北の湖にいって、アーロンを探す!」
「私もいきます!」
ティーダの宣言に唱和するモニカ。続いてエアリスも。
「私も行っていいかな。彼の居場所もわからないから」
「もちろん歓迎ッスよ」

「今後の事は決まったな。それでは我等は行くが、道を見失ったら神殿に向かうといい」
「了解ッス!」
「とんぬら殿は非道な人となりではないでござる、きっと何かの事情があるでござるよ」
「でもアーロンさんにした仕打ちは変わりません」
「とにかく、会ったら話を聞いてみます、ライアンさん」

こうして、デスピサロとライアン、ティーダとエアリスとモニカは別れた。
セフィロスを倒すという目的を果たして、その先の目的を果たすために。
4775/5:03/07/18 01:56 ID:g/eZn9wa
【ティーダ/エアリス/モニカ 現在位置:ロンダルキア南東の森・野営地
所持武器:吹雪の剣・いかづちの杖・参加者リスト/
エドガーのメモ・マジャスティスのメモ/ エドガーのメモ(ボロ)
第一行動方針:アーロンを探す
第二行動方針:ゲームから抜ける】

【デスピサロ 所持アイテム:『光の玉』について書かれた本・
現在位置:ロンダルキア南東の森・野営地
第一行動方針:魔法使いを探す
第二行動方針:腕輪を探す・偵察
最終行動方針:ロザリーの元に帰る】

【ライアン 所持武器:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)
現在位置:ロンダルキア南東の森・野営地
第一行動方針: デスピサロに同行する
第二行動方針:ソロを探す
第三行動方針:不明】

というわけでセフィロス戦の後片付けも終わり。
あ、そう言えばチョコボ…は別にいいか。ほっとこ。
次からは神殿編かな…?
プロットが固まってないんで少し間があくかもしれません。
乙、ええ感じだよ。
>465
何でエアリス?まあ、自分のも生き残りましたが。

>466-467,>478
ありがd

>469-471
乙。

>472
自分には、まだ38もいる、って感じですね…
活動してるマーダーはヘンリーしかいないし。
ま、彼には殺し合いが戦闘能力だけで決まるものではないってことを証明いてもらいましょうか。

ちなみにエビルマージやアークマージに殺らせる展開は拒否します。
100%自分は書きませんです。これはバラモスが出てきても同じ。
480参加しまつ 2/1:03/07/18 16:30 ID:0lna9bAn
「チッ、ココも違うか」
バッツは小さく吐き捨てて、古い書物を乱暴に本棚に戻した。
と、その衝撃で本棚の中身のバランスが崩れ、中身が全部床にぶちまけられる。
「〜ッ!」
怒りの表現なのか、無言で腕を振り回すバッツを見て、ピエールは苦笑した…ように見えた。

結局、クーパーの血清を作ることは出来た…が、役に立たなかった。
何しろ注射器が無く、そもそもクーパーは石化していて注射針が刺さるはずもない。
毒を癒すための他の手段を探そう、と言うのが二人の当面の方針だった。

「くっそ、どれもコレも役に立たない本ばっかしだな…」
バッツはうめき、床に散らばった本を蹴っ飛ばす。
古本屋に売り飛ばせば一財産が作れるほどの価値を持った書物の山が、びりっとイヤな音と立ててバラバラになった。
「しかしココは神殿、このような書物を保管する場所はまだいくつもあるでしょう」
「…だな。よし、ピエールはココでクーパーと待っててくれ。さすがに背負いっぱなしで疲れたろ?」
バッツは横に立っている…スライムに乗っている彼にこの表現が当てはまるかは微妙だが…ピエールにそう言って、書斎らしき部屋のドアに歩み寄った。
途中、部屋の隅に鎮座しているクーパーの石像を見て…歯を食いしばる。
思い出してしまう。エリアの姿を。“勘違い”で殺した少女の姿を。
(…迷うな)
迷ってるヒマなんて無い。後悔は後からすればいい。今は、ただ…。
バッツは迷いを振り切るように扉を開けた。
481参加しまつ 2/2:03/07/18 16:31 ID:0lna9bAn
体が重い。ずっしりと、何かがのしかかってきているように重い。
恐らく立て続けにジョブチェンジをしたせいだろう。(魔法剣士から薬師へ、そしてまた魔法剣士に)
幾つかの扉を蹴破って手がかりを探し、そして扉を蹴破った回数だけ落胆する。
そんなことを何度か繰り返して…そして。
「でぃっ…!」
あまり力のこもらぬ蹴りで崩れ落ちた扉の向こうに、もはや骸と区別も付かぬハーゴンが居た。

【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド/現在位置:神殿ハーゴンの部屋
 第一行動方針:クーパーの治療
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】

【ピエール 所持武器:珊瑚の剣 エストック 現在位置:神殿書物庫
 第一行動方針:クーパーの治療 第二行動方針:バッツを待ちクーパーを守る】 

【クーパー(石化) 所持武器:天空の盾 現在位置:神殿食堂
 第一行動方針:?
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
(数時間後自動的に回復)

【ハーゴン(呪文使用不能、死亡寸前) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首 現在位置:神殿ハーゴンの部屋
 第1行動方針:待機
 第2行動方針:不明
 最終行動方針:ゲームの破壊】
482480:03/07/18 16:33 ID:0lna9bAn
書いてみました。
昔も書いてたけどしばらく離れてたんで、とりあえずリハビリ。
483↑の続き 1/3:03/07/19 09:58 ID:eZQsxBv4
骸はゆっくりと目を開いた。
もうすでに、喉と脳髄と瞳以外は完全に死んでいたが…それだけ生きていればむしろ十分だ。
目の前の茶色い髪の男…バッツは、驚いたように後ずさりする。
無理もない。普通は驚く。
骸は…ハーゴンは、顔面の筋肉を無理矢理動かして、笑った。

「おい、若造」
低く、重い声がバッツの耳にしばらくかかってようやく届く。
その声があまりにも弱々しく…そして、バッツは呆然としていて“聞く”と言う動作と感覚を一瞬忘れてしまっていたので。
「…生きてるのか。大丈夫……でもなさそうだな」
「もう死ぬ。その前に聞いておいて欲しい」
ハーゴンは穏やかな声でバッツに言った。彼の生涯の中でもっとも穏やかな声で。
淡々と語る。呪式の方法、扱えるであろう導師の存在。二人は残らねばならぬ事。もう一つ首が必要な事。
唯一、設計図と儀式魔法の詳細に“罠”があることだけは伏せておく。

「……分かったか?」
「悪いけど、俺はそっちの方面には詳しくない。半分も分かんなかった」
バッツはあまりと言えばあまりな返事を返す。嘘を付いてもしょうがないが。
ハーゴンはその返事を予想していたようで――バッツにしてみればかなり失礼な話だが――用意していたセリフを、吐き出す。
「ならば導師か、コレを理解出来る者に渡せ」
そう言って、傍らにまとめてある呪法の道具達を指さす。
「コレを使えば、何人かは生き残る。だがまあ使うも使わぬも自由だ。好きにしろ」
484↑の続き 2/3:03/07/19 09:59 ID:eZQsxBv4
ハーゴンは平然とそう言いきった。己と多数の命を賭けた呪法をあっさり切り捨てることを許した。
どのみちゲームを破壊出来ればそれでいいのだし、いくら言い募ってもダメならばダメだろう。

「貴様に渡す。後は好きにしろ」

ハーゴンはもう一度言って、目を伏せた。
瞳が死んでゆく。喉も死んでいく。脳髄も死んでいく。
死にゆく中、ハーゴンは何人かの顔を思い浮かべ、そして。
(すまなかった)と詫びた。邪教の使徒たる自分が詫びた事が溜まらなく可笑しく、ハーゴンは笑った。笑ったつもりだった。

身体を痙攣させながら、文字通り“崩れ落ちていく”ハーゴンを見つめながら、バッツは静かに十字を切った。
邪教の徒に十字を切ると言う行為は…何というか、意図しない滑稽さを含んでいた。
ハーゴンだった存在は崩れ、埃のようになり、それすら散り散りになって消えていく。
ハーゴンが完全に“消えて”から、バッツは邪教の道具一式をふと見た。
脱出の手段…それをしばし見つめてからふいとそれから目をそらした。
それは確かに手段ではあるが、あまりにも…リスクが大きい。
二人が残らねばならない…つまり、最低一人、最悪二人は死なねばならない。
それはこの上ない争いの種であり、それを分からなかったハーゴンはの考え方にバッツは少し疑問を持った。
(彼はハーゴン自身が犠牲になる、と言う選択肢を選んでいたことまでには、さすがに頭が回らなかった)
そして、もう一つ…呪法に必要な、首。
こんな物を持ち歩いていたら、間違いなく誤解の種になる。誤解で人を殺すのはもうゴメンだった。
「悪いな」
バッツは小さく詫びた。

必要な物を拾い集め、導師の存在を頭の隅に引っかけてから、バッツは廊下に出た。
一度戻って、ピエールと相談しよう。
485↑の続き 3/3:03/07/19 10:00 ID:eZQsxBv4
【ハーゴン 死亡】 
※ムーンの首、グレーテの首、呪法の設計図、儀式マニュアルがハーゴンの自室に放置

【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド、グレネード残り5コ、裁きの杖/現在位置:神殿ハーゴンの部屋からピエールの元へ移動中
 第一行動方針:クーパーの治療
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
※導師(または魔法使い系の人間)に会った場合、呪法のことを伝えるかどうかは不明(書く人にお任せします)
まだやっていたのですね。パート1のころ書いていたものです。
セフィロスの最後などとても面白いです。みなさん頑張ってください

487331:03/07/19 10:49 ID:uudUKPuW
単に呪法を使うものとそれを見届ける者が必要だっただけなんだが……そーしないと口封じ扱いされるし。

まぁこれもリレー小説か、乙。
331を読んでみた。
・・・なんでエアリス?まあティファの間違いなんだろうけど。

確かに331には術士が死ぬとは書いていないが、
死なないとも書いてない。新作で死ぬって設定が追加されても問題ないか。

そろそろ儀式についてまとめた方がいいな。
これまでのハーゴンの言動をまとめて、矛盾のない代物を考えないと。
489:03/07/19 17:36 ID:Gy8dAsnj
地下道はあちこちに水溜りが出来ていて、水の跳ねる音が何度もする。
そしてジタンとカインの走る速度は並ではない。
暗い地下道の中を二つの影が進行中だった。
「どうでもいいけど、オレは何回この地下通路を出たり入ったりすりゃいいんだろうな」
「俺に言われても知らんぞ。きっと縁があるんだ、何度でも行き来するんだろうさ」
「地下道なんかと友達になりたくねー。雪なんて滅多に見れないんだから、本当は外を走っていたいんだ。
 オレは」
「雪はもう見飽きたよ、だいたい雪の上を歩くのは疲れがたまるだけ、というのが正直な感想だ、
 俺はな」
速度にあわせて口調も早まる二人。
この闇を越えた先にはまた闇がある。夜明けにはまだ程遠いとジタンは思っていた。
「本当はこんなこと話してる余裕はなかったりするんだけどな……」
まだ気絶から目覚めなかったリディアは、ジタンの背中でいつの間にか寝息を立てていた。

ジタンは申し訳程度に岩の出っ張りに結ばれて上から垂らされているロープを発見した。
「見えたっ、出口! ここを出て少し外を歩くぞ」
カインは足を止めた。
「おい、神殿直通じゃないのか。これだけ網の目のように地下道を張り巡らせておいて、
 いかにも本拠地らしい神殿には、直接つながる出入り口が一本もありません、
 っていうのはお粗末すぎないか」
「いや、あったんだけど、そこは塞がっちまったんだ。
 外を歩くのは本当に少しさ、すぐ着く」
「そうか、まあいい。ところでここからは俺がリディアをおぶろう。
 お前も疲れただろうし」

「ああ、頼むよ」
カインはジタンの背中から優しくリディアを抱きかかえると、「先に行く」
と言い残し高くジャンプして外に飛び出てしまった。
子供を抱えたまま、身長の何倍もある高さをいとも容易く軽々と。
「すげえジャンプ力……」
しばらく見とれていたジタンも急いでロープを登り始めた。
490:03/07/19 17:37 ID:Gy8dAsnj
「もう夜明けだな、東の方が明るくなってきた」
カインは森の中で足元が滑らないかを気にした。寒さは夜明け前だけにかなり厳しいものだった。
ようやく登りつめたジタンは、外で待っていたカインの言葉に素っ頓狂な声を上げた。
「嘘だろ、もう朝!?」
ジタンは辺りを見渡した。明々と太陽が昇り始めるに相違ない薄橙色の空だった。
「うっかりしてた……時間感覚が狂ってたんだ……ちくしょう、オレの腹時計…」
カインはどうかしたかと聞いたが、ジタンはそれを聞く間も持たなかった。
「おっさんがもうヤバイ、時間がねえ!」
森を越えた砂漠の向こうで異様な存在感を示している神殿目がけてジタンは疾走していった。

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:神殿周りの砂漠
 第1行動方針:神殿に一旦戻る
 第2行動方針:魔法使いを探す、エーコを探す
 最終行動方針:ゲームから脱出 】

【リディア(気絶中)所持品:なし
 現在位置:神殿周りの砂漠付近の森
 第一行動方針:?
 第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
 第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】

【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:神殿周りの砂漠付近の森
 第一行動方針:ジタンに同行、セシルを止める 】  
新作キター
って何で夜が明けてんの???

ジタンが夜を迎えたのは湖の近くだぞ。
外周回るならとにかく、地下通路使ってんのに夜明けって…
ロンダルキアの夜って2、3時間しかねーの?
せいぜい現在の時間は深夜だろ、おかしーよ。
492485:03/07/19 18:28 ID:Md56DJMc
>>487
>>488
以前、(パート1の頃、ハーゴンがマゴットとあって少しした頃)「呪法を維持するものが残らなきゃいけない」
という話があったはずです。(で、ハーゴンが残るとか言ってたはず)
“二人”になっているのは331と混同してしまったミスです。スマソ

二人は残らねばならぬ事→一人は〜

二人が残らねばならない…つまり、最低一人〜

一人が残らねばならない。それは残った人間に死ねと言っているようなものだ。

に変更…ですかね。
493485:03/07/19 18:28 ID:Md56DJMc
sage忘れスマソ、逝ってくる…
>>491
ハーゴン死ぬのは夜明けごろだから
やっぱり修正する。よ
ジタンの話
496490修正:03/07/19 22:13 ID:V7mTfcGe
「神殿というのはあれか」
今まで風の無い地下道を通ってきただけに寒さはかなり厳しいものだった。
カインは森の中で足元が滑らないかを気にした。
冷たいロープを登りつめたジタンは、外で待っていたカインにようやく応じることができた。
「見えるかい、でかいだろ。それで周りが砂漠というのがまた何とも……。とにかく変なところさ」
木の上から夜露が降りかかってきて、ジタンはうひゃっと声をあげた。

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:神殿周りの砂漠の森
 第1行動方針:神殿に一旦戻る
 第2行動方針:魔法使いを探す、エーコを探す
 最終行動方針:ゲームから脱出 】
>494
ハーゴンが死ぬこと見越してトロトロ歩いて神殿に戻ったってのはもっとありえねーよ。
つーか、夜明けってどこに書いてあるの?

>495
乙。それでいいと思う。

にしても、ほぼ同距離を外通ったバッツたちが9時に出発して、
神殿に到着したのが日が暮れて、大体19時だとすると、かかったのは10時間。
地下通路はその4倍得できるって>46に書いてあるから、
端から端まで歩いて2〜3時間でいけるのか。
やっぱとんでもないのぅ、地下通路って…
今更なかったことにはできないけどね。
>>46に書いてある
>>492
ああ、ハーゴンあの時脱出方法二つ出してるんだ。

一つが召喚術を利用した方法でそっちだと誰か一人残らなきゃいけなかったんでその場で却下、
今やってるのはもう一つの方法。

あれはハーゴンの方が潰れた場合の保険だったんだがエッジの方が先に潰れたんでおじゃん、
まぁリレー小説だからな。
>498
だから、ちゃんと読めってば…
>ワシはもう少しは保つかもしれんが、おそらく明日の朝までの命
「〜しれんが、おそらく〜」って言ってるってことは、朝ってのは仮定だろ。
明言されていない限り、朝と断言することはできないんだよ。

もちろんジタンが戻ってきて、
>それまでに必要な知識を全て伝えねばならぬ。
>時計で0時になるまでに戻ってきてくれんかの
これが終わった後のエピソードだとフォローする事もできるが、
実際にハーゴンが必要な知識を伝えた相手はバッツだ。
ここから、0時に戻ってこいと言っておきながら0時まで持たずに死んでしまった…
ってことがいえるんじゃないか?
501485:03/07/20 10:05 ID:Lhs3qqgc
>>499
読み直したら確かにそうだった。情報ありがと。
これ以上修正するのもアレだけど…
>>483の 二人は残らねば〜 をざっくり削除

>>484の 二人が残らねば〜 を 首がもう一つ居る…つまり、生贄がもう一人必要になる。
に変更しようと思います。


>>500
ハーゴン周りに関してはその通りでつ。

描写不足な俺のせいだな…やっぱブランク大きいわ。今後気を付ける。
>>501 頑張って!
バッツはピエールのいる書物庫に戻った。ピエールは机の上に何冊もの本を拡げていた。
ピエールはバッツを見ると、机から体を乗り出して何か情報は掴んだか問いだした。
バッツは首を振った。
「クーパーの毒については何も得るものはなかった」
「そうですか……」
ピエールは肩を落とした。拍子に拡げていた本がばさっと音を立てた。
「ただ一つ、託されたものはある」
バッツは向こうの部屋で力尽きた老人のことを話した。託されたもの、呪法のこと、人間の首、色々。
「わからないことは多いが、どう思う」

ピエールはしばらく考える素振りを見せていた、それから唐突に腰の剣に手を添えて
戦闘でも始めるかのような構えをみせた。
「なんですかね。生け贄をささげるというような真似は生理的に受け付けないんです。
 ゲームを抜けられようがどうであろうが、私はそんなまともでない手段を思いつく輩は
 この手で切り捨てたくなる」
「待て、俺もはっきり言って信用していない。あの老人はひょっとしたらゾーマが仕掛けた
 罠の一つじゃないかと疑っているくらいだ」
「その線はあり得ますね……」
バッツはピエールが穏やかな気配に戻ったのを確認して、吐息をついた。

【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド/現在位置:神殿書物庫
 第一行動方針:クーパーの治療
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】

【ピエール 所持武器:珊瑚の剣 エストック 現在位置:神殿書物庫
 第一行動方針:クーパーの治療 第二行動方針:バッツを待ちクーパーを守る】 
血と薬品の混じった臭いのする部屋で導師は目覚めた。
明かりが消えていて天井が暗い空のように思えた。
全然思い出せない、思い出したくない記憶が無意識に表に出始めてくる。
最強の魔法をぶつけてまだ動きのとまらない機械を前に、
自分の死を予感して思考の一切を閉じたこと。
それが今こうして生きている。

がたんと何かが崩れる音がした。部屋のなかは何も変わっていない。汚くて、がらくたでひしめき合っていて。
いや、隣で人形が寝ていた、体をバラバラにして。この点は違っている。
導師はゆっくりと体を起こした。
命を狙っていた敵は死んだ、脅威は去った。誰かがやったんだ、それ以外にない。
意識がはっきりしてきた。大事な用があってこの医務室に来たことをおもいだした。

恐ろしい現実があると予感して、首が回らなくなった。
後をふり向けばそれが見える。厳然としてそこにあることがわかっている、
だから脳が振り向くのをやめろといっている。
見たくも無い、見たくなどなかったが、、やはり、見たくはなかった。
「え、り、あ、だ、よ、ね」
女の死体を抱き寄せた。もう冷たい。固くなりだしている。
唇に色はない。昔見た気味の悪い、色素がないカエルを思い出した。

導師は死体を突き放した。頭を打ち付けて死体がごつんと音を立てた。
「いやだ、こんなの」
慌てて、しどろもどろの足取りで医務室の出入り口に走った。
ドアを押すときしめきながら開いた。
思わず横目になってしまった。赤いシャーベットの上で、壁を背にしてうなだれていたのはティファだ。
二人目の死体を見た。
【導師(MP0) 所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:神殿一階医務室
 第一行動方針:不明
 第二行動方針:不明
 最終行動方針:不明】
5061/2:03/07/21 11:47 ID:LkxUL9oC
鈍い輝き。『人食い』の輝き。手の中で輝くナイフの怪しい煌めきに、アグリアスは僅かに怯えのような物を感じた。

これだけは感謝するべきだろう。(これだけは許せることではない。)
(自分に死ねと言うのか。)騎士としての死に方を選択することが出来る。
まだ自分の中に捨てたはずの誇りが残っていたようだ。(余計な物が、まだ胸の中に残っている。)
騎士として、人としての誇り。それを捨ててしまった自分に生きている意味はない。
(生きたい。生きていたい。たとえ騎士でも人でもなくても、汚名を晴らすべく、それ以上に本能的に生きたいと願う。)

アグリアスは落ちていたマンイーターを拾い上げた。
起きたときにはすでに身体は冷たくなり、満足に動くことすらかなわない。
死にかけた彼女は、冷たい刃を見つめながら生と死を同時に渇望していた。
騎士アグリアスは死を、アグリアスは生を。
雪の大地に膝を突き、人食いの短剣を両手で逆手に握りしめる。
震える。寒さでなく、生と死の要求の狭間の力で。
両手を振り上げ、その手が震え、止まる。
決心が付かない。生きるにも死ぬにも。死にたい、生きたい、死にたい生きたい死にたい生きたい
死にたい生きたい死にたい生きたい死にたい生きたい死にたい生きたい死にたい生きたい死にたい…。
震える脳裏を、血なまぐさい言葉が往復する。言葉のキャッチボールのさなかに、幾つかの顔が現れ消える。
ラムザ、ラファ、そして…主君の顔。
その顔を思い出した瞬間。生きねばと思った。そして

           ざくっ。

それ以上に死なねばと思った。
5072/2:03/07/21 11:49 ID:LkxUL9oC
アグリアスの胸の真ん中に、冗談みたいにあっさりとマンイーターが突き刺さる。
あまり、血は流れない。痛くも、無い。
(……?)
疑問に思う。痛く…無い?
痛くないだけではなかった。体が軽い。力が漲る…!
「は、ははは…!」
自然と口から笑い声が漏れる。
そうだ、死んだ。騎士アグリアスは死んだ。死にたがったから殺してやった。
私は生きている。アグリアスは生きている。今、生きている…!
アグリアスは顔を上げた。目の前に、ヘンリーが立っている。
「滅びろ…!」
アグリアスは胸のマンイーターを引き抜き、ヘンリーに向かって投げつけた。
ヘンリーの喉に人食いの刃が突き刺さり、あっさり死んで地面に転がる。
「ははは…!はははははははははははははははははははははははははははははっ!」
アグリアスは、笑った。


「はぁ……はははぁ、はぁ……」
胸にマンイーターを突き立てながら、アグリアスは笑った。
呼気が胸に空いた穴から漏れだし、その内その笑いも続かなくなる。
雪原にうつぶせに倒れ、それでも笑いが止まらない。
そして、
アグリアスが騎士アグリアスを殺してから数秒後
騎士アグリアスが、アグリアスを殺した。

【アグリアス 死亡】

>>502
ありがと。
>>500
わかった
509名前が無い@ただの名無しのようだ:03/07/21 21:15 ID:pTLTpjso
ヘンリーは!?
幻でしょ
なんか続き書こうっと
書き手が戻ってきたのは良し、
でも中身もまた以前と同じ質に戻ってきた気がするのは俺だけ?
>>512
どういうこと?
こういうこと言う奴がいるから書き手さん達が居なくなるんだろうな。
リセット話が出る前と出た後の話をうpする間隔は
大して変わってないから、戻ってきたという気はしないなあ。自分としては。
書かないときは一ヶ月くらい書かなかったし。
とにかく書き手さんガンバ。
セフィロス戦でやりたいようにやったことだし、
神殿編は関らず任せてみようかな、と思ったり。
任せるだけなのも何なので、現状をまとめてみた。

[パパス、ザックス、トーマス]
現在地:ロンダルキアの下層
パパスは人探し、トーマスはパパスに同行、
ザックスは特に目的を持っていない。
現在休息中。

敵らしい敵やイベントが発生しそうにない、ある意味安全な場所にいる。
全員怪我や疲労などリスクをまったく背負っていない上、
パパス、ザックスは高い戦闘力、トーマスは優れた嗅覚をもち、
パパスとザックスは得意武器(剣)を持っている。
総合的に見て一番欠点のないパーティと思われる。


[スコール、リノア]
現在地:ロンダルキアの上層、出入口側
スコールは意識喪失、リノアはそんな彼についていく。
現在休息中。

セフィロスが倒れたことでやや安全になったが、
出入口の側なので洞窟に来た者とすぐに遭遇してしまう。
といった地形の問題もあるが、最大の懸念はスコールの状態。
彼がどういった選択をするかで方向性は180度変わる。

[ティーダ、エアリス、モニカ]
現在地:ロンダルキアの洞窟の北にある森
ティーダ、モニカはアーロンを探す。エアリスは二人に同行する。
現在休息中。

一応整えてあるものの所詮は野宿、体力回復は容易くない。
しかもこのパーティでまともに戦えるのはティーダだけ。
エアリスはまだ回復技が使えるが、モニカは完全に足手まといなのが辛い所。
北の湖周辺には最後のマーダー、ヘンリーがいるのも注意点。


[デスピサロ、ライアン]
現在地:地下通路・東
一旦神殿に戻り、ジタンと合流。
魔法使いとソロを探すが、ソロは既に死んでいる。

セフィロス討伐に成功し、改めて魔法使い探しに向かう二人。
デスピサロ、ライアンともに高い戦闘力を持ち、
回復魔法持ち、怪我をしていないのもアドバンテージである。
デスピサロはアリーナと敵対している。


[ミレーユ]
現在地:ロンダルキアの洞窟の北にある森
探し人は二人とも死んでしまった。さて…?
現在休息中。

戦闘らしい戦闘も人の死がかかったトラブルにも見舞われていない、
ある意味幸運な女性。武器も持っている。
問題は他作品のキャラとほとんど接触していないこと。
仲間といえる人はバーバラしかいない上、
すぐ近くにいるエアリスは彼女を魔物だと思っている。
[アイラ]
現在地:湖南の森
とんぬらを探す。ゾンビ状態、左手欠損。

指輪を外さない限り殺しても死なない無敵状態のアイラ。
基本的にとんぬら以外は語らず関らず。
手を出すと痛い目にあう。返り討ちにできたのはセフィロスだからこそ。
片腕を失ってろくに止血をしていないので何らかの治療をしておかないと、
次に指輪が外れた時には死んでしまう可能性大。


[とんぬら、アニー、エーコ]
現在地:湖の祠
とんぬらはクーパーとパパスを探す。アニーはとんぬらについていく。
エーコは今のところわからない。バッツ、クーパーに合流?
現在休息中。

祠の中で風雪を凌げる上、かの地下通路が通っておらず、
渡る橋が全て落とされ、流氷を渡るセフィロスも消えた現在、パパスたち以上に安全な場所にいる。
前線、魔法、回復と戦力のバランスはいいが、子供なのがネック。
北に戻るか南に向かうかが最大のポイントになる。


[セリス、アーロン]
現在地:北の森林湖側
セリスは目的なし。アーロンはモニカやティーダとの合流。
休息中。

とりあえず野営地を見つけたが、それほど上等ではない。
また、近くにいるのがヘンリーなので安全ともいえない。
体力回復は難しい。が、とりあえずアーロンは危機を脱した模様。
記憶を失ったセリスがロックの死を知ったときどうなるかが今後を左右する。
[ヘンリー]
現在地:祠の湖西の山脈、北側
皆殺し。
現在休息中。

雑魚掃除用の噛ませキャラと思いきや、アグリアスに続いてセシルまで始末してしまったジョーカー。
殺し合いは戦闘力の高さで決まるものではないという典型。
非常に多くの武器と物資を抱えている。


[クラウド、アリーナ、バーバラ]
現在地:地下通路中央
クラウドは目的らしい目的がない。アリーナはソロを止めようとしているようだが、彼はもう死んでいる。
バーバラはテリーを救おうとしているようだが、彼はもう死んでいる。
現在休息中?

ボロボロになった状態から偶然に偶然が重なりまくって
生き残ったクラウドとアリーナだが、取り囲む状況は厳しい。
夜でも往来のある地下通路の中央部にいる、デスピサロ・サマンサと対立している、
傷もまだ全快していない、何より、この二人はあまり精神的に強くない。
ここまでそろってまだ生き残っている彼らだが、もういい加減、偶然が尽きてもいいころ。
ポイントはバーバラか?


[オルテガ]
現在地:???
消息不明。

何をやっているのか何が目的なのかさっぱりな人。
ともあれ、凍死する事はないだろう。
あらくれだし。
[アルス、ティナ、エドガー]
現在地:大陸中央部の山地
アルスは打倒ゾーマ、ティナはテリーにあう、エドガーは首輪の解析。
休息中。

それなりの野営地を見つけ、周囲に敵がいない地帯にいる。
おそらく地下通路が通っている場所なので完全ではないが。
エドガーがエビルマージに狙われているのも不安要素である。
天空の剣、天空の鎧、黄金の腕輪とレアアイテムを持っているパーティ。


[ゼニス]
現在地:大陸中央部の山地は降りたらしい…
目的は物見遊山。
消息不明

いまだ誰とも行動していない単独キャラ。
考えていることも何をしているのかもさっぱりわからないゆえに、放置されまくっている。


[ジタン、カイン、リディア]
現在地:神殿前
一旦リディアを信用できるものに預けた後、
ジタンは魔法使い探し、カインはセシル探し。
リディアは気絶してるので不明。
神殿に移動中

リディアを預けに神殿に戻るが、
神殿内はとても安心できる状態ではない。
ハーゴンは死に、唯一戦闘力を持っていたティファも死亡。
導師は不安定な状態。残るデッシュに戦闘は期待できない。
バッツ、ピエールとの交渉が暗雲をわける。
[サマンサ]
現在地:神殿?
デスピサロに同行、儀式に参加

儀式参加者。やはり神殿内の状態が気がかり。
魔法使いなので攻撃呪文が使えるが、近接戦になると危険。
神殿で最初に誰に会うかがポイントになる。


[バッツ、ピエール、クーパー]
現在地:神殿
クーパーの治療、仲間との合流
行動中

ハーゴンとまったく関わっていないながらも儀式の鍵を握ってしまったバッツ一向。
二人とも戦闘ができ、武器を持っているので戦闘に不安はない。
石になったクーパーを抱えているのが最大の弱点。
エリア、ソロ、テリーの殺害、ティファの死が導師、デッシュたちとの間に暗雲をもたらす?


[デッシュ]
現在地:神殿
首輪の解除方法を研究中

資材置き場(?)で色々やっている内に周囲から取り残された感じである。
一応テスト用の首輪を持ち出して試行錯誤しているようだが、
今のところ「鍵文字」がどういうもので、どう生成するかは未判明。
そもそも原作のデッシュは古代人の技術を知っていても、
魔術に詳しいという描写はなかった(…と思う)ので、
彼一人ではなんともならないと思うのだが…
[導師]
現在地:神殿
???

知己のエリアは目の前でバッツによって殺され、
頼りにしていたティファはキラーマシンの手にかかり、
看病していたハーゴンは甲斐なく横死という悲惨な状況。
彼の魔力は尽きていて、できることは少ない。
今後の命運はどれだけ心を強くもてるかによるだろう…


以上。かなり私見がはいっているけど、
今後の指針を決める助け程度にはなるんじゃないかな、と。
ナイスまとめ!
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528名前が無い@ただの名無しのようだ:03/07/23 23:25 ID:N9jQDKPV
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                                      ¨'ーvu,,____''工レ-'″
529名前が無い@ただの名無しのようだ:03/07/24 04:23 ID:411jDMnD
できればはぐれてしまったチョコボももう一度出てきてほしいっすー。

あと個人的にゼニスを一度くらい目立たせてあげて・・・.
part2あたりの、旅の扉の前で待ち人を待つパパス、トーマスと、
それに軽く挨拶して旅の扉に入っていくゼニスの話とかすげえ好きだったなあ。
俺としては、ゼニスはあのままのほほんとしてて欲しかったり。こういう人は少ないのかな。
目立つのは構わんし、最後までなんとなく生き残ってるだけとかいうのはちょっと萎えるけど。
なんか言ってることが矛盾してるような気がしてきたからもういいや。

チョコボは・・・まあ、参加者じゃないしヽ(゚∀゚)ノ

ところで、いま471KBだけど次スレはどうする?
タイトルは「FFDQバトルロワイアル1st edition part6」になるのか?
ゼニスは戦闘力もないし、守ってくれる人もいないしで、
抵抗手段もってないから何時死んでもおかしくないんだよね。
そもそも大体残り三分の一切ろうとしてんのに、
何も考えてない、何の準備もしてない、何の覚悟もないキャラに、果たして何が出来ることやら。

このまま行っても、今のままじゃ誰かに殺されて終わりだろうね。
もちろん軌道を修正することもできるだろうけど…
自分で書かない限り、修正されないと思ったほうがいいよ。
流れに任せた時点で既に死んでる。バトルロワイアルでは。

>530
これまで通り、
「FFDQバトルロワイアル PART6」
でいいと思われ。1st Editionなんてのはイラネ。
>1st Editionなんてのはイラネ。

  同意。
533:03/07/25 00:37 ID:28KX141c
ぞくぞくする体を無理やりせかして、一歩足を踏み入れる。
うしろでカインが槍を振って慣らす音が聞こえる。敵が出てきてもおかしくない雰囲気だから、と言って。
たしかに雰囲気は変わっていた。

正面の門は砕け散っている。今まで裏口を使って出入りしていたから、初めて門を見るのだが、おかしい。
これはどうみてもまともな人間の力じゃない。
「なんかヤバそうだぞ……」
恐る恐る中へ、暗闇を手でかき分けるようにして、入っていく。
神殿内に明かりがないのは、夜はいつもそうなのだろうか。客人を連れてきたのだから、出迎えに
ろうそくの一本もつけて欲しいところだ。

―――――
カインがいつのまにか先行していて、発見したというから近づいてみれば
「二人とも同じ斬られ方をしている。かなりの使い手」
カインはジタンの方を振り返った。
「そして子供にも容赦しない、危険な相手だ」
カインは闇に向かって指差した。目線を向けると、何か凹凸としたものが転がっていた。
目を凝らすと人間が二人倒れているのがわかった。片方はまだ子供のようだ。
カインが背負っているリディアと同じくらいの歳だろうか。
「とても安全な場所とは言えないな。リディアを置いてなどいけん」
「でも一体誰がやったんだ……。ここには導師たちがいるのに。あいつらが黙って見過ごしたはずは
 ないし……いや、まさかあいつらも」
534:03/07/25 00:39 ID:28KX141c
「やられたと言うのか?」
カインが口をはさんだ。ジタンはごくりと唾を飲み込んだ。
「そんなはずはない、と思いたいけど」
「俺も勿論そうだ。ハーゴンという人物が死んでしまったら、ゲームを破壊する道は閉ざされるんだろう?」
「ああ、それに言わなかったけど、ハーゴンのおっさんはタイムリミットもあるんだ。
 誰にも襲われなくたってヤバイ状態だったし……」
カインは廊下の先に向かって槍を伸ばした。
「ならば急ごう」
「わかった、ついて来てくれ」

―――――

明かりを消した書庫で息を潜めていたのはバッツとピエールだ。
廊下から物音が聞こえてきて思わず顔を見合わせた二人だったが、すぐさまバッツは明かりを消して
足音が過ぎ去っていくのを待った。

「行きましたね……」
「ああ、二人いたな。ひょっとしてあの老人がいた部屋にむかっているのかも」
ピエールは隣で頷いた。
「追いましょう」
「よし。気取られないよう慎重にな」
535:03/07/25 00:39 ID:28KX141c
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:神殿周りの砂漠の森
 第1行動方針:ハーゴンの部屋にいく
 第2行動方針:魔法使いを探す、エーコを探す
 最終行動方針:ゲームから脱出 】
【リディア(気絶中)所持品:なし
 現在位置:神殿周りの砂漠付近の森
 第一行動方針:?
 第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
 第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:神殿周りの砂漠付近の森
 第一行動方針:ジタンに同行、セシルを止める 】  

【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド/現在位置:神殿書物庫
 第一行動方針:クーパーの治療、今はとにかく尾行
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【ピエール 所持武器:珊瑚の剣 エストック 現在位置:神殿書物庫
 第一行動方針:クーパーの治療 第二行動方針:バッツを待ちクーパーを守る】 
本家バトロワのミズホみたいなもんか?>ゼニス
5371/4:03/07/25 16:56 ID:J0+ewVj3
何故か壊れている邪魔なドアを完全に破壊して、ジタンはハーゴンの自室に足を踏み入れた。
「居ない、な…」
ジタンが小さくうめいた。ハーゴンの部屋には、誰もいない。
リディアを背負い直し、部屋の中を見回す。ココを出たときとそう様子が変わっていると言うことはない。
ただ、部屋の真ん中にうず高い塵の山が1つ、在るだけだ。
「まさか動けるわけないだろうしな…」
首を捻るジタン。カインはその横で冷静に呟いた。
「アレじゃないのか?」
そう言いながらカインが指さしたのは、目の前の塵の山。
「…まさか。人が塵になるもんか」
「人を塵にする魔法かもしれんし、そう言う人間だったのかもしれん」
馬鹿馬鹿しいと言いたげなジタンに対して、カインは物静かに答える。
「朝までは持つって…」
「予想にすぎん」
「どっかに出かけたんじゃ…」
「お前の話を聞く限り、そんな迂闊な人物とは思えんな。書き置きくらい残すだろう」
段々表情の崩れていくジタン。その顔を見ることもなく、カインは冷徹に言を重ねる。
「予想は付いているはずだ…恐らく、ハーゴンという老人は死んでいる」
「おい、ちょっと待てよ…」
背負ったリディアをとりあえず近くの壁にもたれかけさせてから、ジタンはカインにツカツカと近寄る。
目に涙が浮かんでいる。尻尾がフルフル震えている。歯を強く食いしばっている。
「そんなにおっさんを殺したいのかよ…!」
がっ、とカインの胸ぐらをジタンの腕が掴む。その腕すら、震えている。
「落ち着け。可能性の、問題だ」
あくまで冷静に、冷徹に、カイン。
カインはジタンの手を振り払うと、息を一つ付いた。
ジタンがへたり込む。どうして、みんな死ぬ?どうして、守れない?どうして、どうしてだ?
フライヤベアトリクスビビサラマンダーフラットレイダガー…ガーネット。
黒のワルツが笑っている。人を殺してでも守る?守れたのか?守って見せろ、ほらどうした?
声も出ない、動けない、何も出来ない…。
5382/4:03/07/25 16:57 ID:J0+ewVj3
「リディア…!」
呼ぶ声が聞こえる。まだ守る事の出来る人間の一人の、名前を。
リディア…そうだ、リディアを。そして、エーコも…!
ジタンはゆっくり立ち上がり、顔を振った。まだ、泣く時間なんて無い。
「悪かった、カイン…」
そう言って、ジタンはカインを見る。だが、カインはジタンを見ていなかった。
こちらに背を向けて、槍を構えて…
ジタンははっとする。そうだ、今、リディアの名を呼んだのは…誰だ?
カインの視点の先には、バッツとピエールが、立っていた。


ぶんぶんと頭を振りながら、クーパーはのっそりと立ち上がった。
「っ…あれ?」
頭がジンジンする。そう、確かエリアのシチューを食べて、それから…。
バッツは?エリアは?
まるで石になったみたいに堅い関節を曲げ伸ばししながら、クーパーは辺りを見回した。
カビくさい本の海の真ん中に、クーパーは立っている。誰も、居ない。
「バッツ兄ちゃん…?」
不安げに声を上げながら、クーパーは近くのドアに近寄る。
転がっていた天空の盾を拾い上げ、ドアを開ける。迂闊に動くのは危険だが…。
ドアを開けたとたん、目の前を何かが駆け抜けた!
「っとわわっ!」
クーパーは慌てて盾を構えるが、予想した攻撃は、来ない。
不思議に思って廊下の方を覗くと、白いローブを着た少年…クーパーより少し年上くらいだろう…が走っていた。
一心不乱に、真っ直ぐに、一直線に。手に杖を持って。
「ちょ…待ってよ!」
思わず、追いかけて走り出す。不安だった、から。
5393/4:03/07/25 16:58 ID:J0+ewVj3
バッツの手でブレイブブレイドが輝いている。ピエールの珊瑚の剣が煌めいている。
カインが手にした持ったビーナスゴズベルを構える。ジタンがグロックに手をかける。
にらみ合ったままの緊張状態。空気が張りつめ、頬を着るかと思うほど鋭くなる。
「あんた…尻尾の方、ジタンって言わないか?」
バッツが沈黙を破った。エーコの仲間の名前。確か、尻尾の生えたと言っていたはず…。
「エーコから聞いた」
「エーコだと!」
ジタンが叫ぶ。驚きの表情を浮かべながら。
「遠くの祠に隠れてるはずだ」
バッツの言葉に、ジタンの身体から力が抜ける。安堵で。
カインが構えていた槍を下ろした。さしあたって、敵ではないと思ってもらえたらしい。
「で、何の用だ?」
カインが聞く。その瞳から緊張は消えていない。
「そこにいた爺さんを看取ったのは、俺だ」
バッツが言った直後、その耳の脇を銃弾が通り過ぎた。ちぃんと言う風切り音で耳がかゆくなる。
「てめぇ…!」
「落ち着いてもらおうか。ここで争ったところで益はないと思うが」
激高するジタンをピエールが制する。その瞳は、カインと同じくらい油断がない。
「……なんか、呪法の使い方を教えて、好きにしろとか言って、それで力つきた。あの爺さん。」
バッツが一語一語区切るように言う。それを聞いて、ジタンがぎっと歯を食いしばった。
「好きにしろだって?!おっさん何考えてるんだよ!アレ使ってみんなで逃げ出すんだろうが!」
「使うのか?」
喉も割れよとばかりに叫ぶジタンに、ピエールが問う。叫んだジタンは訝しげに眉をひそめた。
「生贄なんて、そんなまともじゃない手段を使うのか?」
問いつめる。鋭い視線で。ジタンはしばしピエールを睨み返してから、言い切った。
「使うさ。助けたい奴を助けるためなら、何だってする」
ピエールの瞳が揺れた。そして納得する。こういう考え方もある。そして、それは一方に置いて正しい。自分とて、クーパーやとんぬらを助けるためならば…
「…分かりました。余り納得は出来ないが、少なくとも邪魔はしません」
「右に同じだ。ゾーマの罠でないと分かっただけでもありがたいよ」
ピエールとバッツが口々に言い、全員の緊張が一段階緩んだ。
5404/4:03/07/25 17:02 ID:8huT9Zsf
【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 グレネード複数
 試験問題・解答用紙複数(模範解答も含む)、時計 
 現在位置:神殿ハーゴンの自室
 第1行動方針:バッツ達と情報交換
 第2行動方針:魔法使いを探す、エーコを探す
 最終行動方針:ゲームから脱出 】
【リディア(気絶中)所持品:なし
 現在位置:神殿ハーゴンの自室
 第一行動方針:?
 第二行動方針:エーコ、バッツたちと合流
 第三行動方針:仲間(セシル?)を捜す】
【カイン:所持武器:ビーナスゴスペル&マテリア(回復) 現在位置:神殿ハーゴンの自室
 第一行動方針:ジタンに同行、セシルを止める 】  
【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド、グレネード五個、裁きの杖/現在位置:神殿ハーゴンの自室
 第一行動方針:クーパーの治療、ジタンと情報交換
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパスを捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【ピエール 所持武器:珊瑚の剣 エストック 現在位置:神殿ハーゴンの自室
 第一行動方針:クーパーの治療
 第二行動方針:とんぬらたちを探す】

【クーパー 所持武器:天空の盾 現在位置:神殿一階廊下
 第一行動方針:導師を追いかける
 第二行動方針:アリーナ(アニー)、とんぬら、パパス、エーコの仲間(名前しか知らない)を捜す
 最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【導師(MP0) 所持武器:天罰の杖 首輪 現在位置:神殿一階廊下
 第一行動方針:不明
 第二行動方針:不明
 最終行動方針:不明】
 
放送入れてもいい?そろそろ0時回る頃だと思うんだけど
ジタンとピエールは知り合いだよ。
だから3/4だけ直した方がいいと思う
いいですねー。続き書きたいな。
>541の修正が終わるまでダメ?
あ、放送入れるなら回復魔法全て禁止にしてね。
前決めたとおり
>543
ふざけろ。何時誰が決めたんだ?
回復魔法禁止の話もあるにはあったが、
ベホマ、ケアルガなど全快魔法のみってことで終わったはず。

つーか、2nd話で立ち消えたような事を今更持ち上げられてもな。
書き手がやりたいってんならとにかく、
ややこしくなるだけの追加制限なんてイラネと思うのは俺だけか?
つーか、瞬間湯沸かし器みたいにすぐ頭に血を昇らすの
やめろや
546539:03/07/26 09:25 ID:CuICwZtn
>>539三行目から
>「あんた…尻尾の方、ジタンって言わないか?」
>バッツが沈黙を破った。エーコの仲間の名前。確か、尻尾の生えたと言っていたはず…。
>「エーコから聞いた」
を、

「む…ジタン殿?」
ピエールが沈黙を破った。その名前に、バッツがピクリと反応する。
「ジタン…あぁ、ひょっとしてエーコの仲間か?」
に修正。>>541に感謝。
>>542
とりあえずの修正終わったんで、どぞ。

>>543->>544
  _、_    
( ,_ノ` )  大抵の問題はラードたっぷりのお茶を
  [ ̄]'E    一杯飲む間に解決する物だ。
と、言うわけでパルマーのラード茶飲みつつマターリしませう
…いや、元ネタ知ってる人がいるのか知らないけどさ。コレ
っていうか、放送するよりも前に
新スレに移行する準備をした方がいいのではないかと。
雑談用の掲示板作ったほうが良くない?
549剣士 ◆QWzUF/wj3. :03/07/26 17:57 ID:r/YFpwAK
じゃ、雑談用スレ立てるよ。
550542:03/07/26 18:01 ID:d3k33lHC
そんじゃ次スレに書きます。
その前にテンプレ用意しないといけないか。
ちと待たれよ。

>549
やめれ。維持できなくて落ちるだけだから。
2ndで使ってる雑談スレを間借りさせてもらうとか、
立てるとしてもしたらばとかの外部板にするとか、
とにかく保守カキコしないといけないのは本スレだけで十分。
551テンプレ:03/07/26 18:18 ID:rdENw3tD
━━━━━説明━━━━━
こちらはDQ・FF世界でバトルロワイアルが開催されたら?
というテーマの参加型リレー小説スレッドです。

参加資格は全員、
全てのレスは、スレ冒頭にあるルールとここまでのストーリー上
破綻の無い展開である限りは、原則として受け入れられます。

作品に対する物言い、感想はこのスレで行ってください。
原則sage進行でお願いします。

前スレ DQFFバトルロワイアル PART5
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1048867312/

詳しい説明は>>2-20…ぐらい。

過去スレ
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1030688114/ PART1
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1035241545/ PART2
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1037879784/ PART3
PART4 は欠番。
552テンプレ:03/07/26 18:18 ID:rdENw3tD
+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員には、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン>が支給される。
 また、ランダムで選ばれた<武器>が1つ、渡される。
 <ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る(FFUのポシェポケみたいなものです)
・最後の生存者のみが、安全に帰宅することができる。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。

+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
 この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
 または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・日没時に発表される『禁止技』を使ってしまうと、爆発する。
・日の出時に現れる『階段』を二時間以内に降りなかった場合も、爆発する。

+魔法・技に関して+
・初期で禁止されている魔法・特技は以下の通り↓
「レイズ」「アレイズ」「リレイズ」「フェニックス(転生の炎)」
「ザオラル」「ザオリク」「ザオリーマ」「メガザル」「メガザルダンス」「精霊の歌」その他、復活系の魔法・特技
・全体攻撃の範囲は「攻撃側から見えていて、なおかつ敵と判断した相手全て」。

※現在の禁止技:
 復活系の魔法・特技。
 ルーラ、バシルーラ、テレポなどの転移呪文・魔法。および、リターン、デジョン、ラナルータ
 アストロン、メテオ、コメテオ、コメゥト、クエイク
 ミニマム・トード・カッパー・ブレイク、ポーキー・ゾンビー
553テンプレ:03/07/26 18:19 ID:rdENw3tD
+戦場となる舞台について+
このバトルロワイヤルの舞台は日毎に変更される。
毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。

現在の舞台はロンダルキア(DQ2)
ttp://xb_lim.tripod.co.jp/dq/2rondarukia.png

━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き込みされる方はCTRL+F(Macならコマンド+F)などで検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡確認】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
554テンプレ:03/07/26 18:22 ID:rdENw3tD
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。
 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・DQ板は連投規制が厳しいです。話の途中で止まっていても書き込み最後の現状報告が終わるまでマターリお待ちください。
・UPされた作品は、原則的に修正は禁止です。
 うpする前に本当に前レスと矛盾がないか、誤字脱字がないか推敲してください。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 できれば自分で弁解なり無効宣言して欲しいです。

書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
いじょ。なんか抜けがあったら指摘よろ。
テンプレ準備ありがd!
これでもオッケーだと思うけど、
「主催者側がゲームに直接手を出すような話は極力避けるようにしましょう」
みたいな文があってもいいような気もする。

あ…でもまだリュックが居たね Σ(´Д` )

あと、生存者リストは517-523が非常に見やすいので
それを使うのもいいかも知れない。

あ…でも持ち物リストが面倒か… Σ(´Д` )
>「主催者側がゲームに直接手を出すような話は極力避けるようにしましょう」
いいね。書き手の心得その2に追加しますか。

とりあえず22時まで待って、それから立ててみます。
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。
 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・DQ板は連投規制が厳しいです。話の途中で止まっていても書き込み最後の現状報告が終わるまでマターリお待ちください。
・UPされた作品は、原則的に修正は禁止です。
 うpする前に本当に前レスと矛盾がないか、誤字脱字がないか推敲してください。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 できれば自分で弁解なり無効宣言して欲しいです。

書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
・主催者側がゲームに直接手を出すような話は極力避けるようにしましょう。
DQFFバトルロワイアル PART6
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1059224923/

立てました…立てた後でDQFFになってることに気付きました。
スマソ、新作落として首吊ります。
>>559 乙!
>>559
モツカレー!
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