デスピサロの曲を聴きながら会話するスレ

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そろそろ終わりということなので、ホイミンをなんとかしてあげないと……。
ライアンさんとの再会も楽しみでっつ。
できれば、最後までやってほしいね。
2で
バルザック……チキンな漏れの常勝法は「まどろみの剣」だったりする。
下手したら5ターン奴は眠りっぱなしよ…ククク(w

で、2です。
267 ◆Sj469/wPAw :03/03/28 03:22 ID:kXq+pp4N
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ
>264よーやくライアンにホイミンのことを説明できるかなと(今回は
ないですが)。再会は……ふふふふふ。
>265最後まで……やってみたい気がなくもないんですが、私には無
理だと思うので。長編発表されてる方とかギャルゲマスターとか、
本当にスゴイなと感心しきりです。
>266バルザックって、キングレオよりも苦労しなかった気がします。
調べたら、HP、キングレオの方が2倍近く高いんですね……。
ルールは>>75をご覧ください。
2番3票で2番に決定いたしました!

 城の外に出ると、太陽はまだ中天にあった。
 かなり長い間城の中にいたような気がするけど、意外に短い時間だったんだな。
「とりあえず、コーミズに一度戻るか」
 キングレオとの戦いで僕たちはボロボロだった。サントハイムのことは気になるけど、一度休まない
とな。
「え、サントハイムに向かわないの?」
 僕の言葉に、アリーナが不満げな顔になる。
「姫様。お気持ちはわかりますが、今すぐというわけにもいきますまい。皆様のことをお考えなされ」
「バルザックはキングレオよりも強敵。十分に体制を整えなければ」
 ブライとクリフトに諭されて、アリーナはみんなの顔をぐるりと見回した。
「そう……ね」
268 ◆Sj469/wPAw :03/03/28 03:23 ID:kXq+pp4N
 軽く唇を噛んで俯いて。だが、すぐに顔を上げて、僕を見つめる。
「それならお願い。わたしだけでも先に行っちゃ駄目かしら。わたしはそんなに疲れてないし、魔力
を回復させる必要もないもの」
「何言ってるの。元気そうに見せかけてたってわかるわよ。お肌の色つやがくすんでるじゃないの」
 マーニャがアリーナの額をこづいた。
 あれだけ激しい戦いの後だ。彼女が疲れてないはずはなかった。回復魔法は傷を癒してくれるけど、
根本的な体力の回復は、それとはまた別の問題だ。
「姫様。無茶はいけません。いまは休息をされるべき時です」
 クリフトもブライもトルネコも……みんなが反対したけれど、アリーナは引かなかった。
「無茶はしないわ。ひとりでバルザックと戦ったりしないって約束する。サントハイムの様子を見るだ
けにするから。サランやテンペや……国のみんながどうなっているのか心配なの。――お願い」

1アリーナを行かせない
2アリーナを行かせる
>>268
1で。
一晩ここで待てるくらいじゃないと国の柱になれませんぞ、とか爺に説教されて欲しい。
爺萌え〜。
>268
同じく1で。
姫に説教する無頼タンとクリフトタンハァハァ
2
アリーナなら無茶をするような気がする。
無理とか言わずにがんばってほすい。
1だね。
1
理由は>>269さんと同じ
1。行かせてどんな惨劇が待ち受けているか、結果を見たい。(外道)
夜中にこっそり宿屋を抜け出そうとして見つかっちゃうのを想像してみる
お転婆娘のアリーナならコレもありかなと

でも行かせない方向で
276 ◆Sj469/wPAw :03/03/29 04:37 ID:luq7p9/M
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ
何か今回はいっぱいで嬉しいですー。
>269ブライ萌え同志! セリフ、使わせていただきましたー。
>270説教というか、ケンカになっちゃいました(;´Д`)
>271アリーナは行ったら無茶するでしょうねー。行かせるなら、
やはりお目付役もついていかないと。
>272ありがとうございます。何はともあれ、一度ちゃんと
終わらせて、それから考えます。
>273ブライ萌え同志2人目!! 年輪を感じさせる毒舌が好きです。
>274選択は「行かせない」になってますがOKですか?
>275アリーナですからね。でもブライもその辺はぬかりなく。
ルールは>>75をご覧ください。
1番6票、2番1票で1番に決定いたしました!

「駄目だ。向こうの状態が分からないのに、一人で行くなんて無謀すぎる」
 故郷が魔物に侵されていると知って、いてもたってもいられないアリーナの気持ちはわかるけど、
わざわざ命を捨てるような暴挙を許可するわけにはいかなかった。
「大丈夫ですよ。サントハイムのことは、商人仲間の情報網にあたってみますから」
 ガックリと肩を落としたアリーナをトルネコが慰める。それに小さく礼を言って、しかし、アリ
ーナは決然と顔を上げた。
「でも、行くわ。わたし」
 アリーナはしゃがみこんで、荷物を整理し始めた。
「ごめんね、ソロ。だけどわたし行きたい。行かなきゃならないの」
「落ち着いてください、姫様。姫様が危険を冒して戻られて、それで民が喜ぶとお思いですか?」
 クリフトがしゃがみこんで彼女の手を押さえる。しかし、その手はすぐに振り払われた。
「落ち着いてる。喜ぶとは思わないけど、それでも行くの」
 切り口上で、アリーナは返す。うーん、完全に平常心を失ってるなあ。
277 ◆Sj469/wPAw :03/03/29 04:37 ID:luq7p9/M
「我が儘もいい加減になされ、姫様! 将来、国の柱となる方が、感情に走って愚かな行動をされ
るなど、もってのほか。たった一晩がどうして待てませんのじゃ!」
「――だって、その一晩で誰かが死んでしまうかも知れないじゃない!」
 ブライが一喝すると、案の定、アリーナは激昂した。
「どうして待てなんて言えるの!? たった一日、半日の差で、間に合わないことだってあるかもし
れない。わたしはもう後悔したくないの。みんなを守りたい。誰も死なせたくない。だけど、どん
なに願っていたって、その場にいなければ何もできないのよ!」
「たった一人で行かれて、それでどうなさるおつもりじゃ! 極限まで疲れ切ったお体で、いった
い何ができると!? 逸って敵地に飛びこんでも返り討ちに遭うのが関の山、サントハイムから魔物
を追い出すこともできずに、無駄死にするだけですじゃ!」
 アリーナの剣幕に、ブライも一歩も引かずに怒鳴り返す。
 アリーナもアリーナだけど、ブライもブライだよなあ。仮にも主人によくまあ返り討ちだの無駄
死にだの言えるもんだ。
 しかし、このままここで不毛な応酬を続けていても仕方ない。
 僕が目配せすると、ミネアは軽く頷いてアリーナの横に立った。
「ラリホー」
 ミネアの唱えた眠りの呪文に包まれて、アリーナの膝がガクンと崩れる。慌ててクリフトが支えた。
 ブライが大きく息をつく。
「お説教の邪魔しちゃったかな」
「いや、助かりました。頑固な方ですから、言葉では説得は無理じゃったでしょう」
 すやすやと眠るアリーナを見つめながらブライは呟いた。
「姫様の、気持ちがわからぬわけではないのじゃが……」
「うう……ん…………」
278 ◆Sj469/wPAw :03/03/29 04:38 ID:luq7p9/M
 アリーナが身じろぎする。その様子を見て、マーニャが苦笑した。
「ラリホーじゃ不安ねえ。この分じゃ、目が覚めたら飛び出していっちゃいそうじゃない?」
「まーね。念のため、ラリホーマかけたいところだけど、いま、僕は使えないからなあ」
「あ、そっか。じゃあ、しょうがないわねえ。あたしとミネアで見張るか」
「いや、いっそ縛っておいてくだされ」
 マーニャの語尾に重ねるように、ブライが言う。そこまで言うか、このじいさん……と思ったが、
クリフトもため息をついて「そうするしかないでしょうねえ」などと呟いている。
「……そんなに凄いのか、このお姫さん」
「はい。……あ、いえ、凄いというか、その……一途な方なので」
「城出をするのに、壁を蹴破って出ていくような方だからのう」
 ブライが遠い目をして、またため息をつく。なるほど、納得。
 村に着いたらアリーナは縛ることにして、とりあえずクリフトが彼女を担ぎ、僕たちはコーミズを
目指した。

 しかし、コーミズに着いたら着いたで、僕たちを思いがけない知らせが待ち受けていた。
 ホイミンが姿を消したというのだ。

1ホイミンを探す
2探さない

これが最後の選択肢になります。
よろしくお願いいたします。
3.疲れた、寝る。
1.ホイミンを探す。
やはり、黒勇者らしく、文句いいながら探すのです。
281 ◆Sj469/wPAw :03/03/30 03:30 ID:PDbFOcLC
参加ありがとうございますーヽ(´∀`)ノ

今回はちょっと時間かけたいので、ウプは明日にさせてください。
すみません。
最後が選択肢以外の選択で燃えております。
でも、あんまり2の場合と内容変わらないかも(;´Д`)
少しは変化つけられるように頑張ります!
282 ◆Sj469/wPAw :03/03/31 10:25 ID:gZscAzhc
大変お待たせいたしました。思ったより長くなってしまいましたが、
最後までおつきあいいただけると幸いです。
>279黒勇者らしいと言えばらしい選択(w
>280探すことになったらホイミンの手紙をハケーンする予定でした。
ルールは>>75をご覧ください。
3番「疲れた、寝る。」1票、1番1票、先着順で3番に決定いたしました!

 ホイミンは僕たちがキングレオに向かった後、すぐに姿を消したらしい。
 もしかして追いかけてきてたのかもしれないな。
「ホイミンさん、あんな身でいったいどこへ……」
 ミネアが心配そうな呟く。
 うーん、気にならないでもないけど、僕はもう限界だった。
「疲れた、寝る」
 僕はマーニャたちの家の床に、ずるずるとへたり込んだ。
 何か城から出てきたら疲れがどっときた。よく考えたら僕は昨日完徹だったんだよな。
「ちょっと、ホイミン探さないの!?」
「誘拐されたのならともかく、本人が勝手にいなくなったんだろ。放っておけばいいじゃないか」
 ろれつがうまく回らない。マーニャたちも半徹だったのに元気だなあ。
「そんな……ライアンさんだって会いたいでしょうに」
「いや……」
 クリフトの言葉にライアンが首を振った。
「ホイミンは私には会うまい」
「えっ?」
 みんなが一斉にライアンの方を向く。僕も驚いたけど……駄目だ、本当に限界。
「今日はもう休んで、この話は明日にいたそう。みんな疲れている」
 ライアンの言葉を遠くに聞きながら、僕の意識は眠りの中に引きずりこまれていった。
283 ◆Sj469/wPAw :03/03/31 10:25 ID:gZscAzhc

 翌日。
 昨夜早く眠ったせいか、僕は夜明け前に目覚めた。いつの間にか体には毛布がかけられている。
 周囲を見回すと、野郎どもが雑魚寝している。首を伸ばすと女性陣が寝台で眠っているのが見えた。
 みんなを起こさないようにそっと立ち上がる。
 扉を開いて外に出ると、もう辺りは薄明るくなり始め、朝靄が一面に立ちこめていた。うーん、ちょ
っと寒いかな?
「……勇者様」
 ぶるっと震えたところで、靄の中から人が現れた。スラぼうを腕に抱いたホイミンだった。
「よう。尾行ご苦労さん」
 思いっきり僕は皮肉ってやった。
 そう、僕は気づいていたのだ。僕たちの後ろをホイミンがついてきていたのを。さすがにキングレオ
城には入ってはこなかったけど。
「申し訳ありません。勇者様を信頼してないわけではありませんでしたが、ライアン様のご無事な姿を
確認したくて」
「だったらこそこそ後をつけたりせずに、普通に会えばいいだろ? なんで姿を見せなかったんだ」
 僕たちがキングレオ城から出てきたとき、てっきり現れると思っていたのに。
「……私は、ライアン様には会えないのです」
 ホイミンが俯く。
「私とライアン様の道が分かたれたと前にお話ししましたが、その理由をライアン様からお聞きになり
ましたか?」
「いや、昨日はすぐに眠ったから。今日聞く予定だけど」
「そうですか……。でも、ライアン様はお優しいので、真実はお話にならないかもしれません。――私
がライアン様を裏切った魔物であるということを」
「ホイミン!」
284 ◆Sj469/wPAw :03/03/31 10:26 ID:gZscAzhc
 スラぼうが心配そうな声を上げる。
「いいんだよ、スラぼう。このことで勇者様に斬られるのなら本望だ」
 ホイミンは僕をまっすぐに見つめた。
「なぜ私があなたをすぐに勇者様だとわかったと思われますか? それは、私がかつてデスピサロに仕え
ていたからなのです」
 何だって!?
「私はずっと人間になりたいという夢を抱いていました。ライアン様と同行するようになってからも、そ
の願いは変わらず私の中にありました。ライアン様は故郷バトランドで子供が誘拐された事件を解決した
後、勇者を捜すための旅に出られました。その道中、魔物仲間から勇者の情報を集めていた私は、聞いて
しまったのです。進化の秘法のことを」
 ホイミンが顔を歪める。とても辛そうに。
「愚かな私にとって、それは夢を叶えるための唯一の手段のように思えました。そして、ライアン様の制
止を振り切って、私はデスピサロの元へと参じたのです」
 言葉を切ったホイミンの唇に自嘲の笑みが浮かぶ。
「私がライアン様に協力していたということは、すでに魔物中に広まっていましたが、他の一族にはスラ
イム族の見分けがつかないことをいいことに、私は何とかデスパレス――魔物の城に潜りこむことに成功
しました」
「デスパレスって、リバーサイドの近くにある城か?」
 僕の言葉に、ホイミンは驚いて目を瞠った。
「はい。ご存じだったのですか?」
「行ったことはないけどね」
「……スライム族は、魔物の中でも軽んじられる存在です。それは、私たちがあまり戦いを好まない一族
であり、時に私やこのスラぼうのように人間に対して親しみを覚えるものが現れることが原因なのですが。
ですから、首尾よくデスパレスにたどり着いても、私はデスピサロに会うことすらできませんでした。け
れども進化の秘法を研究する魔物にはかろうじて接触に成功したのです。進化の秘法で人間にもなれるの
かと聞く私に彼は言いました。『試してみるか』と……」
 ホイミンは再び目を伏せた。
285 ◆Sj469/wPAw :03/03/31 10:27 ID:gZscAzhc
「愚かにも私は大喜びでその提案を受け入れました。ですが、進化の秘法によって変化した私は人間でも
魔物でもない、ただ強い破壊衝動のみにつき動かされる異形となってしまったのです。殺したい、壊した
い、切り裂きたい……私の中にあるのは、ただその思いのみ。獲物を求める私を、誰かがルーラで人里へ
と連れていきました。そこには、魔物と戦うライアン様がいらしたのです」
 ホイミンが唇を噛み、首を垂れる。深く深く。
「彼らは知っていたのですね。私がライアン様に付き従っていたホイミスライムだと。魔物の薄笑いに送
られながら、私はライアン様へと向かっていきました。けれど、ライアン様は私をひと目見るなり、迷う
ことなく呼ばれたのです。『ホイミン』と……」
 俯いたホイミンの頬に、涙が流れる。
「見る影もなく変わり果てていた私をあの方はわかってくださった。ライアン様の声で、かろうじて私は
理性を取り戻しました。そうして……その場を逃げ出したのです」
 涙は止めどなく流れ続けてホイミンの頬を濡らす。
「私は愚かでした。自分の望みしか見えていない心狭き存在でした。その上、自分の罪に怯えて逃げ出し
た卑怯者です。そんな私がどうしてライアン様に会えましょうか。会わす顔など……!」
「でも、ホイミンはその後に何人も人間や僕たちを助けてくれたじゃないか! 最後には、自分の命を犠
牲にしてまで。だから天の神様もホイミンを人間にしてくれたんだろう?」
 ホイミンの腕の中で、スラぼうがぷるぷると震えた。その体の一部がするするとのびて、ホイミンの涙
を拭う。
 便利なものだなーなどと、呑気に僕は思う。
 ――ホイミンの話を聞いても、不思議と怒りは湧かなかった。
 以前の僕ならば、一時でもデスピサロに荷担したと言うだけで、斬り捨てていただろうに。……みんな
に毒されたかな。
286 ◆Sj469/wPAw :03/03/31 10:28 ID:+KJUf+6q
「んで、人間になった後はどうしてたんだ」
「……詩人となって、里から里を渡り歩いていました」
「人間になってもホイミンはみんなを助けてたんだよ。ライアン様のことも、陰からずっと守ってた」
 言葉少ななホイミンをスラぽうが捕捉する。
「いいえ、ライアン様は私などが手出ししなくても、1人で十分にやっていけるお方です」
「キングレオ城では捕まってたけどね」
 僕は揚げ足を取ってニヤリと笑った。もっとも、僕たちが助ける前に、ライアンは自分で虜囚状態から
脱出してたから、ホイミンの言うとおり、ある程度、1人で安心して動けるヤツではあるんだろう。
「……ライアン様がこうして勇者様に巡り会われて、私の唯一の気がかりはなくなりました。本当ならば
勇者様にライアン様のことをお願いする前に、私は私の罪を告白しなければいけませんでした。ですが、
ライアン様が勇者様と共にあるのを見たいという私の欲が打算となって、お話しするのを遅らせてしまっ
た……どこまでも私という存在は自分のためにしか動けないのです」
「ホイミン! それは違うって、いつも言ってるじゃないか」
「違わないよ、スラぼう。私は自分の欲を自覚していました。にも関わらず、それを隠してあなたがたを
危地に向かわせたのです。――勇者様、どうぞお気のすむように私をお裁きください」
 ホイミンは僕の前に跪いた。だけど、どんなに探しても僕の中には怒りも憎しみも見つからない。
 少し途方に暮れて、僕は頭をかいた。
「……あのさ、僕は神父じゃないから懺悔されても困るんだ」
 軽い口調で言ってみても、ホイミンは頭を上げない。ああもう。こういうのって苦手だよ。クリフト呼
んできてバトンタッチしたろうか。――って、もちろん本当にはやらないが。
 僕は大きく息を吸いこんだ。
「あんたがライアン救出に必要なことを黙ってたというのならともかく、全然関係なかったんだから怒り
はしないよ。さっきも言ったけど、僕は神父じゃない。神様でもない」
 ついでに言うと勇者でもない。
「だから、僕の知らないあんたの過去の罪を裁くことなんかできない。でも、天の神様があんたのことを
人間にしてくれたってんなら、あんたはもう許されているんじゃないのか?」
 ホイミンは顔を上げる。何も言わないけどわかる。納得してない顔つき。
287 ◆Sj469/wPAw :03/03/31 10:28 ID:+KJUf+6q
「神様以外であんたを許せるのは、あんたしかいない。あんたが自分を許せないというのなら仕方ないさ。
自分を許せるようになるまで頑張って生きな」
「勇者様……」
 だから、それはやめい。
 僕の言葉に、またホイミンは泣いた。でも、それはほんの少しのこと。やがて彼は立ち上がると、スラ
ぼうと一緒に立ち去っていった。
 深々とした礼を残して。
 彼らの姿が完全に見えなくなると、僕の後ろで扉が開いた。振り返ると、案の定ライアンと、マーニャ、
ミネア、トルネコが顔を覗かせている。さっきから気配は感じていたんだ。
「……やっぱり知ってたんだ、ライアン」
「ああ。決して姿を現してはくれなかったが、私を守ってくれる気配はいつも感じていました。魔物との
戦闘で負った怪我が一晩眠ると綺麗に治っていたりしたものだ」
 ホイミンの去っていった方を見つめて、ライアンは遠い目をする。
「いつか会えますよ、きっとね」
 トルネコがポンとライアンの肩を叩いた。彼の言葉に仲間たちも頷いた。
「そういやアリーナたちは?」
「むぐむぐー!」
 僕の言葉とほぼ同時に変な声が聞こえた。肩を竦めるマーニャが扉を大きく開けると、そこには縄で縛
られ、猿ぐつわをされているアリーナがいた。暴れる彼女を必死にブライとクリフトが止めている。
 どうやら僕が寝た後に、本当に縄で縛り上げたらしい。
「目を覚ました途端、大騒ぎしそうになったから、ちょっとね」
 ラリホーかければいいじゃないかとは思ったが、MP無駄使いされるのも嬉しくないので黙っておいた。
 ようやく猿ぐつわを外してもらったアリーナが大きく息をつく。
 だが、さぞかし怒りまくるだろうと思ったのに、彼女はただ不機嫌そうに黙ったままだった。
「姫様、ご無礼をして申し訳ありませんでした」
288 ◆Sj469/wPAw :03/03/31 10:29 ID:+KJUf+6q
 クリフトが謝りながら縄を解く。
「……いいわ」
 縄の跡の残る手首をさすりながら、アリーナはため息混じりに言った。
「わたしも悪かったもの。ホイミンが大切なこと話してるのに気づかなくて。目が覚めた時、ラリホーで
眠らせられたってわかって、カッとなっちゃったの」
「姫様」
 ブライの言いかける言葉を片手で止める。
「ラリホーのことも、今では仕方ないと思ってる。ブライが言ってたことも今なら納得できるわ。それに」
 そうして、瞬きをひとつ。瞳を開いたとき、アリーナの表情はガラッと変わっていた。自分の中に残る
モヤモヤをすべて振り切ったような顔。
「もう時間は過ぎてしまったんだからしょうがないもの。今は一刻も早く支度をして、サントハイムに向
かいましょう!」
 意外に冷静で助かった。ホイミンが話してる間に、アリーナもいろいろ考えたんだろう。
 出発の支度をするために家の中に入ろうとした僕に、ライアンが話しかけてきた。
「ところで……やはり、あなたは勇者殿だったのですな」
 ぴきっと空気が緊張するのがわかった。
「昨日からもしかしたらとは思っていたのですが。言われてみれば、確かに岬のお告げ所で聞かされたと
おりの外見。誠にご無礼いたした」
 マーニャたちが身振りでライアンを止めようとしているが、僕に頭を下げてるライアンは気づいてない。
 僕は一度大きく深呼吸をすると、ライアンを真正面から見据えた。
「岬のお告げ所とやらは知らないが、僕を勇者と呼ぶ人がいるのは知ってる。でも、僕は僕自身をそうは
思ってないし、そう呼ばれるのも好きじゃないんだ。だから、僕のことは普通に名前で呼んでくれ。敬語
もいらない」
 少しだけ、戸惑ったような間があった。だが、僕の口調に何かを感じたのか、ライアンは重々しく頷い
た。
「あいわかった。――私の第一の目的は今果たされた。これからはあなた方と共に旅を続けたいと思うが、
いいだろうか」
「もちろん。あんたは剣の腕も確かだし、一緒に旅をしてくれたら心強い」
 ライアンの差しだした手を僕はしっかりと握った。その途端、背後から柔らかいものに抱きつかれた。
289 ◆Sj469/wPAw :03/03/31 10:29 ID:+KJUf+6q
「んも〜〜、ソロってば成長したわねぇ」
 マーニャが僕を抱きしめて頭をグリグリと撫でる。くっそー、また子供扱いか!?
「……マーニャ」
 僕はできるだけ冷静な声を作った。
「背中になんか当たってるんだけど」
 柔らかいものが2つ。
「まっ、いきなり生意気になって!」
 マーニャは僕から離れると、つまんないわねーと膨れた。そんな彼女をミネアがたしなめる。アリーナ
は縛られて肩が凝ったのか、部屋の中で体操をしている。あまりに勢いよく手足を振り回すので、何か壊
さないかとクリフトがハラハラ見てる。ブライはため息をつきながらヒゲを撫でる。彼らをニコニコ眺め
ながら、トルネコはのんびりと荷物をまとめている。その横に座って、ライアンも支度を始める。
 僕の唇に笑みが浮かぶ。
 これから先のことなんてわからないけど、彼らと一緒なら、きっと。
 ――そうして僕は、仲間たちへの元へと一歩踏み出した。
                                           (終)
290 ◆Sj469/wPAw :03/03/31 10:47 ID:rZ4oTkQ7
これにて、勇者ソロのゲームブックはひとまず終わりです。
ホイミンの過去を勝手に捏造してしまってすみません。
「なんでゲームで会ってくれないのかなー」と考えていたら
こんな話に(;´Д`)

それにしても、長かったですね。
参加して下さっていた方は何人いらっしゃったのでしょうか。
最燃トーナメントから今までの、参加者・ROMすべての方に
感謝を。
また、私の長期不在期間にも忘れずに保守してくださっていた
方々、保管対象外なのにスレを保存してくださったラトームさん
にも、お礼を。
ポロポロと抜けがあったり漏れがあったり設定忘れしてたり
長期留守したり、いい加減な書き手ですみませんでした。
誤字脱字も多いし……特に最燃の時のログは今見ると目も
当てられない(;´Д`)

こんな自分が最後まで続けてこられたのも、レスしてくださる
方がいらしたおかげです。
本当にありがとうございました!
終わっちゃった……終わっちゃったよ。ここだけが俺の憩いの場だったのに……

また、新しいところ探さなきゃ……
えーと、じゃあ
1、ゲームブックを続ける
でおながいします。

と、できれば言いたいですが・・・(´Д⊂
無理は言うまい・・・ナナシクラゲさん、お疲れ様でした!!
漏れも激しく292の1を推奨したいな
御疲れさんでした。
やっぱ最後まで読みたいってのが本音だけど、しょーがないか。
おいらが引き継ごうかなぁ…でもしょぼくなるからやめとこう。w
295とびねずみ ◆Y2NezmymcE :03/04/01 02:47 ID:qXmXb5WP
 おつかれさまですた! 最後まで自分には思いつかないような展開が待っていて
すごく楽しかったでつ。さすがだなあと思いました。
 ゲームブックだとしばらく時間をとって書き続けなくてはいけないので大変だと
思いますが、ここで誕生した黒勇者ソロが好きな人も多いと思うので、単発SSとか
思いつかれたら、是非、書いて欲しいです!
 その日を待ってのスレ保守がてら、良かったら、女勇者リーザの続きを書かせてください。
 続きは、ミントス上陸部分からパデキア取得、ミントスに戻るまでの予定です。
 今までのあらすじは、ざっと書いて今度持って来ます……。
バルザック戦までおいらがやってみようかな……。
多分、ナナシクラゲ様ほど黒勇者をうまく書けないと思うけど。
とりあえず、ナナシクラゲさんがやる気をまた出すまでの場つなぎとして、
4章をゲームブック方式でするか、それともバルザック戦までにするか考え中。
ナナシクラゲさん、どうしましょう?
ナナシクラゲさん長い間お疲れさまでした。

とりあえず、とびねずみさんの女勇者の話も読みたいです。
ゲームブックの続きはそれからでもいいのでは?
でも294さんや296さんは今すぐやりたいのかな?

とびねずみさんは本来なら小説スレで書くべきかもしれないけど
こちらでもなぜかゲームブックが始まってるしね。
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1029930091/l50

どうすれば一番いいかな?
299 ◆Sj469/wPAw :03/04/01 22:19 ID:eAZExri9
あたたかいレスがいっぱい……。・゚・(ノД`)・゚・。
皆様、最後までおつきあい下さいまして、ありがとうございましたー!

続きに関しましては、どうぞ自由にやっちゃってください。
参加者と一緒に作ってきた黒勇者ですから。
自分ももし今後やるとしたら、たぶんワンクエストごとに区切る
やり方になると思うです。
スタンシアラだけとか、ガーデンブルグだけとか。
でも、しばらくは名無しに戻って、その辺を漂って呑気に遊んでます。
こちらで続き(もしくは4章とか)が書かれるのでしたら、そちらにも参加
させてくださいー。

リーザの続きも楽しみにしてます!
パデキアイベント大好きなので、どう書かれるのかワクワクですー。
300とびねずみ ◆Y2NezmymcE :03/04/01 22:27 ID:qXmXb5WP
あ、なんだかお邪魔さんになってしまいますたね……。
298さんの挙げられたスレは、もともと長篇小説&リレー小説(ときどきゲームブック風)が
書かれていたので、私も書くと混乱してしまうから、ナナシクラゲさんの単発SS待ち保守で
ここに書くならお邪魔にならないかなと思ったのですた。
>>199で、ナナシクラゲさんにも「ここでもよいのでは」と書いてもらってますたもので。
書こうとしている話のあらすじは次レスに書いておきます。
301あらすじ ◆Y2NezmymcE :03/04/01 22:29 ID:qXmXb5WP
 山奥の村で勇者となるべく育てられたリーザ。
 だが、その存在ゆえに村は魔物たちに襲われ、全てを失って旅に出る。
「自分がもっとちゃんとした勇者だったら、あんな事にはならなかった」という自責の念から、
仲間に自分の心を開く事もなく、マーニャ・ミネア姉妹は密かに心配していた。
 一方、彼女らの尽力で「人を信じる気持ち」を取り戻したホフマンは、そんなリーザの力に
なりたいと強く願う。とはいえ、強力な技も魔法もない自分に、リーザに信頼され、心を開いて
もらえる価値などあるのだろうかと自問してもいた。
 トルネコが聖水を提供したおかげでのんびりムードの船の上で、ホフマンはリーザの過去を
聞き出す事に成功する。リーザは今までに話した事の無かった過去を涙ながらながらに話し、
ホフマンは過去の凄惨さに驚愕、そんなにも辛い事を自分は無理矢理喋らせたのではないかと
思わず涙し、甲板から自室へ走り去った。
 そんなホフマンを見かけたマーニャは、顛末をリーザから全て聞き出す。そして
「あんたはもうちょっと私たちによっかかってもいい」といいながら抱きしめ、
リーザはその胸圧(?)で失神してしまうのだった。
 失神したまま寝入り、目ざめたリーザを見守っていたのは、マーニャ、ホフマンの2人から
話を聞いたミネアだった。ミネアはリーザを諭す。
「勇者らしく生きようと思うより、自分らしく生きようと思って欲しい」と。
 ミネアと話す中で「勇者」にふさわしくなければならないのだと気を張っていた自分の虚勢に
気付き、ゆっくりと涙するリーザ。頼れるところは仲間を頼り、自分が頑張れる部分は頑張れば
よいのだと、生き方の方針を変えるのだった。
 船旅の終わりを翌日に控えた日、ホフマンとリーザは再び甲板に立っていた。リーザはホフマ
ンのおかげで自分が自由になれたとお礼を述べ、ホフマンから「これからの夢は何か」と問われる。
「勇者らしく生きるより、自分らしく生きること」という答えを出すリーザ。
 対して、自分はリーザが旅に疲れた時にも戻ろうと思えるような、第二の故郷のような町を作り
たい、そこでいつでもリーザを待っていると告げるホフマンだったが、彼の密かな恋心には全く
気付かないリーザなのだった……。
302 ◆Sj469/wPAw :03/04/01 22:29 ID:eAZExri9
あわわわ、書いている間にレスが(;´Д`)

そうですねー、順番としてはとびねずみさんのSS→ゲームブック続き
の方がいいのかな?
小説スレは今、リレー小説と三国志DQ7と、2つ連載があるから、これ
以上は混乱するかもですねえ。
ただ、とびねずみさんのリーザはキャラ萌スレでという方法もあると思う
ですよ。ウプしにくいとおっしゃられてましたけど、特にSSを忌避するムード
ではないですし。ていうか人少ないし。・゚・(ノД`)・゚・。
一応、自分もライラの続きが書けたら、あっちにウプするつもりではあります。
もちろんとびねずみさん次第ですが……。
303 ◆Sj469/wPAw :03/04/01 22:33 ID:eAZExri9
って、また!
自分書くの遅すぎ……。
かえって場を混乱させてしまいましたね、すみません。
304 ◆Sj469/wPAw :03/04/01 22:35 ID:eAZExri9
   ||
 ∧||∧
(  ⌒ ヽ 
 ∪  ノ    
   ∪∪<>302は>298を読んでのもの、>303は300-301を読んでのものです……
自分おちけつ!
305とびねずみ ◆Y2NezmymcE :03/04/01 23:17 ID:qXmXb5WP
>>ナナシクラゲさん
 混乱させてしまってスミマセン。300を書いている間に299を書かれていた模様でっす。
同じ時間につないでいたのですね。仲間仲間仲間〜♪
 キャラ萌えスレに1キャラ萌えなSSを長く書くのって、どうなのかなという迷いがあるままに
なっとりますた。でも、こちらでゲームブックが続くというのであれば、キャラ萌えスレで書いた
方が混乱しないですみますね。あちらに書いてみます。
 皆様お騒がせしてすみませんですた…。

>>299
 パデキアイベントは…、たぶん、イメージされているのとはだいぶ違うです。
氷の洞窟にブライは同行しませんし(自分がブライ無しプレイだったせいもあって)。

>>301は、今までのあらすじですた……。あらすじ書くの下手でスミマセン。
 っていうか、あらすじ書く必要なかったんじゃ… :y=-(▼皿▼)・∵;;  ターン

306296:03/04/01 23:25 ID:37oASjQ0
4章でしてみようかと思いましたが、ナナシクラゲさんのガーデンブルグとかスタンシアラとか
は魅力的ですね。特に、ガーデンブルグ編!期待にハァハァだYO!
とりあえず、バルザックが終わるまで進めたいと思います。
そうすれば、次は天空の武具集めから始められるというようにキリが良くなるから。
私も混ざってよいですか?>とびねずみさん
307296:03/04/02 18:59 ID:C/DZ97gk
【これまでのあらすじ】
突然の魔物の襲撃で、生まれ育った村を滅ぼされてしまった4勇者・ソロ。
自分の村を滅ぼした魔物・デスピサロを倒すため、旅へと出ます。
その途中、ボンモールでマーニャ、ミネアと知り合い、コナンベリーの大灯台
ではトルネコと、ミントスでブライ、アリーナ、クリフトと合流。キングレオ
でホイミンと知り合い、ライアンを助けて欲しいと頼まれた勇者は、魔物に
対するわだかまりを残しながらも、ホイミンの友だちだというスライムの
スラぼうを仲間にして、キングレオ城へと向かいました。
そして、何とかライアンと会うことのできた一行は、そのままキングレオを
倒すために玉座へ目指し、苦戦の末、見事キングレオを倒しました。
その後、故郷を思うあまり一人で先行しようとするアリーナを押しとどめて
コーミズに戻った一行は、ホイミンの悲しい過去と、彼とライアンをつなぐ絆の
深さを知るのでした。魔物に対するわだかまりを少し無くし、一つ精神的に成長
したソロを中心とする導かれし者達の次の目的地は、進化の秘宝で力を得たバル
ザックの支配するアリーナの故郷サントハイム。キングレオを超える進化を果た
したバルザックの力はいかほどなのか……

▼勇者一行の現状
(SS内に登場した装備のみ記載。他の装備は、各章終了時にもっともいい武具を
入手していると考えてください。数値はおおよそのものです。SS内に数値計算は
出てきません。HPは全員満タンです)
勇者:武器は破邪の剣、防具は初期装備
ミネア:武器は鎖がま、タロットも所持
ブライ:安らぎのローブ装備
クリフト:ホーリーランス装備
308296:03/04/02 19:51 ID:C/DZ97gk
というわけで、ゲームブックの続きを書かせてもらおうと思います
基本的なルールについてはナナシクラゲさんの>>75を。

「人気者だなぁ」
僕の視線の先には、マーニャとミネアの二人が村人達に囲まれている姿があった。
姉妹が再び旅立つことを知った村人達が、二人を見送りに村の入り口まで殺到してきたのだ。
それを少し離れた先で見つめるのが、僕とライアンの二人だ。
他のメンバーは、既に船へと向かっている。といっても、もうとっくに船に着いているだろう。
姉妹に別れを告げに来た村人の数はいっこうに減らない。別れが惜しいのか、
いったん姉妹に別れの挨拶を告げた村人が、また列の後ろに並んで二人に別れを告げる
ということの繰り返しだからだ。
 ライアンは先程から沈黙を保ったまま静かにたたずんでいるが、今頃、アリーナは
船上で待ちきれなくてウズウズしているころだろう。アリーナには悪いが、僕は
村人達に水をさそうとは思わない……。こうして、僕が石の上に腰掛けながら
アリーナに対する謝罪と弁解の台詞を考え込んでから早二時間ほどたったろうか。
ようやく姉妹が村人の列から離れてこちらに小走りでやってきた。

「ごめんね〜。皆本当になかなか離してくれないんだから」
「ご迷惑をおかけしました。急ぎましょう」
申し訳なさそうな二人の顔に僕は笑顔で返答した。
「じゃ、行こうか、ライアン」
頷きだけでかえしたライアンが先頭に立って足早に歩き始める。慌てて姉妹がそれに続く。
最後尾に立った僕は、名残惜しげに二人の姉妹を見送る村人達の列を見た後、
前をゆく三人の方へと向かった。
309296:03/04/02 20:10 ID:C/DZ97gk
 「おっそーい!」
甲板に上がった僕らを待っていたのは、あぐらをかいて座り込んだアリーナだった。
アリーナの放つ微妙な殺気に恐れをなしたのか、船員達も近寄らない。
クリフトだけが、そんなアリーナを「姫様、お行儀が悪いです」とたしなめている。
「あはは〜、ごめんね〜。皆なかなか離してくれなくってさ」
「皆さん、申し訳ありません。」
おかんむりなお姫様に、マーニャとミネアは僕とライアンに言ったのと同じ説明をしている。

 そういえば、ブライの爺さんはどうしたんだ……と見ると、
やつは触らぬ神に祟り無しを決めこんでいたらしく、一人、船尾で風に当たっている。
老婆心ながら思うが、かえって体に悪くないだろうか……。
姿が見えないトルネコは、多分、船長と今後の航海の方針を相談しているに違いない。
 とりあえず、僕らが帰ってきたことでアリーナも機嫌を良くしたらしい。
「さ、早くサントハイムへ行きましょう。この大陸ですべきことは、もうないでしょう?」
と、早速僕に持ちかけてくる。

1.ライアンの言っていた岬のお告げ所が気になる。
2.サントハイムへ
310とびねずみ ◆Y2NezmymcE :03/04/02 20:18 ID:trjegpOg
296さん、がんがってくださ〜い!
女勇者のお話は、4キャラスレにて開始いたしますた。お騒がせしますた。

選択は1で!
始まりましたねー。のんびりマイペースで頑張ってください。
すみません、前の時に書き忘れてしまったんですが、勇者は青銅の
盾も持ってましたです。

私も意地悪く1で。
アリーナたんおあずけハァハァということで1
>310 どもです。微妙な短さだけどがんばります。
>311 ガ━━━(;゚Д゚)━━━ン!!!。なんのために何度も読み返したんだ……
>312 うう、やっぱり1ですか。皆して楽させてくれないんですね……。

というわけで、修正。▼勇者一行の現状
(SS内に登場した装備のみ記載。他の装備は、各章終了時にもっともいい武具を
入手していると考えてください。数値はおおよそのものです。SS内に数値計算は
出てきません。HP/MPは全員満タンです)
勇者:武器は破邪の剣、防具は初期装備 左腕に青銅の盾を装備。
ミネア:武器は鎖がま、タロットも所持
ブライ:安らぎのローブ装備
クリフト:ホーリーランス装備
参加ありがとうございます。
基本的なルールについてはナナシクラゲさんの>>75
1番三票。満場一致で1に可決されました。

 サントハイム。確かにこのまま直行するのは魅力的だが、今朝から僕には気になって
いるところがあった。
「ああ。それなんだけどね、アリーナ。サントハイムへ向かう前に寄り道しようと
思っているんだ」
僕を見るアリーナの顔が険しくなる。
「へー、どこへ寄りたいの。ハバリア?あそこは港町といってもお城が出した遷海令
のせいで船の出入りを制限されて以来寂れっ放し。まぁ、本を正せば私達姉妹のせいなんだけど」
ここでマーニャは一端言葉を切ると、ぺろっと舌出した。
「行ってもつまらないわよ。まさか今から南へ進路を取ってモンバーバラで物見遊山でも
しようというわけ?」
表情と違って声音はひどく否定的だ。むぅ、なぜだか知らないが激しく違和感が……
「いや、そんな時間のロスになるようなことはしないよ。僕が行きたいのは昨日ライアン
が漏らした『岬のお告げ所』という所さ」
315296 ◆kYB5EDmqco :03/04/03 18:06 ID:lb8pkksT
しまった……連続トリップ入れ忘れ! 

「ああ、あそこね。ごめん、アリーナ。寄り道先がそこだって言うのなら、私に
ソロを反対することはできないわ」
なぜか納得したマーニャは、あっさりと僕らから離れていった。
「そんなのないよ……」
「御免なさい。アリーナ。私達、以前お告げ所のシスターにとてもお世話になったの。
せっかくの機械だから大陸を離れる前に一言お礼とお別れを言いたいの」
「アリーナ王女。私もそこで受けたお告げのおかげで念願の勇者殿と出会うことができた。
そこへ行けば消えたサントハイム王やお城の者達の行方もわかるやもしれませぬ」
「……わかったわよ。そのかわり、意地でもシスターからお父様達のことを聞き出すのよ、ソロ!」
ミネアの懇願を前に、泣き出しそうな顔をしていたアリーナだが、ライアンの言葉には
耳を動かさずにはいられなかったようだ。振り返って僕を見つめる瞳には先程の弱々しい面影
などかけらもなかった。
「むやみに発破なんてかけないでほしいな、アリーナ」
「ふん。寄り道しようなんて言うソロが悪いのよ」
ごもっともです。
316296 ◆kYB5EDmqco :03/04/03 18:43 ID:lb8pkksT
誤字発見。鬱だ……。機械→機会

昼の陽光を浴びて船は進んでいく。
気分転換なのか腕をぶんぶんと振り回しながらアリーナが僕の前を歩いていく。
ひょっとすると一種の示威行為なのかもしれない。
目線を交わした僕とクリフトが苦笑したときにそれは起こった。
ガタン! 突然船が大きく揺れ、進行を停止した。海水が甲板にザンとかかる。
「きゃっ、何!」
ミネアとブライ、それに僕とクリフトがバランスを崩して反対側の手すりに背中をつけた。
「船が止まった!?それに波が荒れている。このあたりだけ……」
剣を引き抜いたライアンが後ろを覗く。彼の背後からクリフトと僕が後ろをひょいと見ると、
大蛇のような触手が手すりを這い回っている。それが突然僕の隣にいた
クリフトの腕をからめ取ってグルグルと巻き付いた。
「うわぁぁぁ」
「動くな!」
即座にライアンの剣が突き出された。木製の手すりを剣が貫くと同時に、切り落とされた
触手が生き物のように甲板をはね回る。
「きゃあーっ!姉さん、ソロ!」
「しまった!」
僕らが振り向いたときには、ミネアとブライが触手に巻かれて宙に浮き上がっていた。
317296 ◆kYB5EDmqco :03/04/03 19:01 ID:lb8pkksT
 海面を盛り上げて触手の本体が姿を現す。巨大な青のタコの魔物。
リバーサイドに入ろうとする僕らを妨害したダゴンだ。今回は一匹だが、周りにお供の突撃魚
が5,6匹控えている。
「ば、馬鹿な、突撃魚はともかく、ダゴンの生息地は……」
「あっけにとられている場合か、クリフト!」
クリフトがつぶやいている間にも、ダゴンの触手が甲板をはいのぼってきた。
こぎみよい音を立ててライアンが触手に剣を振るう。
ミネアとブライはすでに水中に引きずり込まれかけている。ブライは泡を吹いている。
「ちょうどいい鬱憤はらしになりそうじゃない!ブライ、今行くわよ」
目を細めて魔物を見たアリーナが青いマントを外し、海に飛び込む。
騒ぎを聞いて駆けつけてきたトルネコが船長とともに船乗り達にミネアとブライを助けろと
檄をとばす。
「全く……でも、まぁ、アリーナの言うとおり鬱憤を払うにはちょうどいい」
僕は剣を構えて目の前のダゴンの巨体を睨んだ。

1.負けじとアリーナの後を追って海に飛び込む。
2.呪文で船から援護。(ギラ、ベギラマ、ラリホーマのいずれかより選ぶ)
3.マーニャのメラミで一気にダゴンを焼き払う。
3でタコ焼きにしちゃえ(・∀・)
タコ焼きイイ! 3に賛成。
>313
そもそも自分が最初に書き忘れたのがいけないので気にしないでくだされ……

選択は……悩むなー。
タコ焼きもいいけど、ここは2にしてラリホーマでいってみます。
ジャーン ジャジャジャーン ジャジャジャーン ジャーン ジャーン ジャーン
パラピリポロポ パラッパ ピロッピ ピロポロパラピリピー
322296 ◆kYB5EDmqco :03/04/04 20:46 ID:YuLt+dYM
 参加ありがとうございます。
基本的なルールについてはナナシクラゲさんの>>75
3番2票、二番一票で三番に決定しました。晩餐は、ダゴン焼きで決定ですね。

「マーニャ、味方を巻き込まないように!」
「わかってるって!」
鮮やかな手さばきでマーニャがメラミの火球を発射する。
空気を震わせて火球が飛ぶ。完璧!直撃だ。
だが、ダゴンは振り上げた数本の触手を寄り合わせて対抗する。
「ちぃっ、小賢しいことしてくれるじゃない。可愛げのない!」
火球は触手の壁を突き破り、ダゴンに直撃した。しかし、本体に与えたダメージは壁に
より軽減されてしまった。しゅうしゅうと煙をあげるダゴンの体はこゆるぎもしない。
「それだけではない。海水が炎を弱めてしまったのだ」
反撃とばかり、奴は振り上げた触手をマーニャに飛ばしてくる。
二撃目の呪文に集中したマーニャはよけられない。
ライアンとクリフトは甲板を這い回る触手の牽制に必死だ。
(僕しかいない)
盾を放り捨て、左手でダゴンの触手をつかむ。抵抗するまもなく、
あっという間に僕の体は海中に引きずり込まれた。
323296 ◆kYB5EDmqco :03/04/04 21:11 ID:YuLt+dYM
 引きずり込まれる瞬間、「ソロ!」とマーニャが悲痛な声を出してたっけ。
(心配するほどのことじゃないのにな)
苦笑しながら、僕は右手の剣で手早く触手を切り離し、海面に顔を出す。
ミネアは触手から逃れられないままもがいている。ブライは、アリーナに任せておけば大丈夫だろう。
ミネアの方へ向かおうとした僕は、背中に強烈な打撃を受けてまた海水に沈んだ。
遠ざかる意識を必死で呼び戻して海面に顔を出す。
「ソロ!後ろ!」
船上からかすかにマーニャの声が。反射的に、今度は自分の意志で海中に沈む。
自分のかわりに突き上げた剣に、すさまじい重みがかかる。
なにが来たのかよくわかった。突撃魚の体当たりだ。
(くそっ、水の抵抗さえなければこいつの石頭ごと斬り捨ててやったのに)
三度目の突撃はなかった。僕を襲った突撃魚は向きを変えて船へと突っ込んでいった。
そして、僕の目の前にはダゴンの巨体が……。

1.望むところだ!ダゴンに飛びかかる
2.ミネアの救出へ
3.いったん船へ戻る
4.ラリホーマ
うーん、難しいけど1でお願いします。
325296 ◆kYB5EDmqco :03/04/05 21:32 ID:7LhmNDy1
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ
ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
324さんは1えお選ばれました。お見事。正解です。

「くらえ!」
僕はダゴンの触手に足をかけ、バネをきかせて一気に跳躍する。
素早く空中で剣を縦に構え、剣先をダゴンの頭に突き立ててる。
深々と破邪の剣が魔物の体を貫く。ダゴンが白目をむいて、波間に浮いた。
「さすがね、ソロ」
魔物を倒した僕の所にアリーナが泳いできた。
「ブライとミネアさんは無事よ。いっぱい水を飲んでるみたいだけど。魚の方は
マーニャとトルネコさんが片づけたわ。さぁ、船に戻りましょう」
「おお、姫様、ソロ殿。お怪我はないようですね」
クリフトが僕らの無事を喜ぶ。ライアンが船上から腕を伸ばした。
326296 ◆kYB5EDmqco :03/04/05 21:46 ID:7LhmNDy1
 その夜、船の上では酒と食事の晩餐が催された。
「う!こ、これは……」
差し出された料理を見てクリフトが絶句する。突撃魚の活き造りだ。
ついでに、大皿の上にこんがりと焼けたダゴンの触手の串刺しがある。
「ソロもクリフトもなにしてんのよ。すっごくおいしいわよ、これ」
「うむ。大ミミズのスープも絶品だったが、突撃魚もなかなか」
アリーナとライアンの二人だけが平気で食べている。ミネアとブライも食がすすまないようだ。
もちろん、僕も食が進まない。だって、生だし……。
「がっはっは、戦士殿とお姫様はわかってらっしゃる。生き抜くためには魔物も
食べる。それが、働く人間の心意気ってやつでさぁ。さ、一杯どうぞ」
「うむ、心意気だ」「そーよ、ココロイキよ。ココロイキよ」
「姫様、酔っておいでですね!なりませんっ」
「あにいってんのよぉ。酔ってなんかないってば……」
青い顔をしたクリフトがアリーナから酒を取り上げる。
それを横目に見つつ、僕はダゴンの触手を一本取ってかじってみた。
生は嫌だが、こちらを食うのに抵抗はない。
「あ、結構いけるかも!」
「でしょうでしょう。酒に漬けて食うともっと上手いんですぜ」
327296 ◆kYB5EDmqco :03/04/05 22:10 ID:7LhmNDy1
今、気付いた。×1えお ○1を すみませんです。

 僕の言葉で、ミネアとブライもダゴンの触手は食べることにしたようだ。
酒に浸した触手をおそるおそる口に近づける。結果は……
二人とも目を丸くして「上手い!」と反応を示した。微妙に気まずい雰囲気の食卓に
ようやく明るさが戻った。クリフトは、酔ったアリーナに絡まれて青い顔をさらに蒼くしている。
しかし、あくまで酒を死守する姿は、さすがお目付役と言ったところだろうか。
 こうして、宴もたけなわになったころ、僕の後ろからにゅにゅっと腕が二本
出てきて巻きついた。酔っぱらったマーニャだ。
「マーニャ、酒臭いよ」
「ま、この子ったら。本当に生意気になっちゃって」
振り向いて僕はマーニャの顔を見る。酒で上気した頬に赤味がさしているだけで、
金色の瞳は綺麗に透き通ったままだ。酒臭いと言ったのは失敗だった。
「ま、いいんだけどね。ソロのそういう可愛くないところは前からだったしね。
今夜は誘いに来たの。向こうの席で踊って欲しいと頼まれてるの。
でも、一人で踊るのもつまらないし酒の肴にもならないわ。あなたも来なさいよ」

1.喜んでマーニャの誘いを受ける。
2.「上手く踊れないから……」と断る。
1!!
美女の誘いを断るなんて男じゃねぇ!!
329296 ◆kYB5EDmqco :03/04/05 22:33 ID:7LhmNDy1
1.正解。2.自分も触手に捕まる。3.触手に引きずり込まれてあぽ〜ん
4.触手に引きずり込まれるたソロにかわって、アリーナがダゴンをノックアウト。
勇者の面目丸つぶれ……という予定でした。

324さん、正解してくれてありがとう(;´Д⊂ これで予定を一日延ばさずに済みました。  
では、また明日。
330296 ◆kYB5EDmqco :03/04/06 20:13 ID:3KZIEJRc
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ
ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
>328さんは1を選びました。

「もちろんいいけど、上手く踊れないよ」
「そんなの気にしないわよ。まさか、わたしに誘われたのが嬉しくないとか言うつもり?」
「そんなことはないよ。マーニャが誘ってくれて本当に嬉しい……」
踊るのは初めてじゃない。故郷の祭りでシンシアと何度も踊った……。
しかし、僕は他人に見せることを意識して
踊ったことなど一度もない。そこが少し不安と言えば不安。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ、わたしが上手くあんたに合わせてあげるから」
僕の弱気を見透かしたように根拠の無い言葉で打ち消すと、マーニャは強引に僕の腕を取った。
「じゃ、行くわよ。モンスターと戦うことに比べたら軽い軽い」
 連行された先では、すでにトルネコが腹踊りで場を盛り上げていた。
「トルネコさん、ご苦労様。本命が来たから後は任せて」
マーニャの声を皮切りに待ってましたとばかり、船乗り達の間から歓声が始まる。
「さ!上手く合わせてあげるから、ちゃんとリードしなさいよ」
マーニャが僕の手を上に持ち上げて、くるりと回る。どうしようかと悩んだが、
このまま突っ立っている訳にはいかない。覚悟を決めてステップを踏む。
まだぎこちない僕の動きを見たマーニャが少し苦笑して僕のリズムに合わせ始めた。
僕の動きを邪魔しないように、そして、離れないようにそつなく動く。
僕は上手く動けなかった。緊張して動き辛かったし、何度かパートナーの足を踏んでしまった。
そのたびに観客の船乗り達から笑い声と遠慮ないヤジがあがる。
でも、そんな事がまったく気にならないくらいに楽しかった。
押さえきれずに僕が笑うと、マーニャも軽く微笑んだ。
もう、踊り方なんてどうでも良かった。周囲の喧噪も忘れ、
離れて、近付いて、ターンして、手を取って……踊り続ける。
331296 ◆kYB5EDmqco :03/04/06 21:12 ID:3KZIEJRc
踊り終えた途端、船乗り達からアンコールの声が上がった。けれども、へとへと
になった僕にはそんな体力が残っていなく、残念ながらあきらめるしかなかった。
今は、マーニャがモンバーバラ仕込みの舞を披露して盛り上げている。
思い返せば、マーニャが踊っているところを見るのはこれが初めてだ。
さっきのは二人で踊ったわけだし、マーニャの踊りを観賞するという意味では
今夜が初めてだ。うんと背伸びをして寝そべると、ひときわ大きな歓声があがった。
マーニャの舞が終わったようだ。観客である船乗り達の輪から抜け出した彼女が
僕の所まで近づいてくる。
「さっきはご苦労様」「もういいの?」
「これ以上は一回500Gと言ったら、皆喜んで解放してくれたわよ」
「それは酷い」
「そうかしら? ただで私の踊りをずっと見ようなんていう方が酷いわよ」
そう言うと、マーニャが僕の隣に腰掛ける。
「それより、ソロ。そろそろ星を見るより面白いことが起こるわよ。ミネアの
方を見てごらん」
「ミネア?」
よっと声をあげて起きあがる。そして、僕は見た。遠く離れた席でトルネコを高々と抱えあげたミネアを見た。
ついでに、それに対抗するかのように、アリーナがブライとクリフトを両肩に抱え上げている。
うちの女性陣は強すぎる……。絶句する僕を見てマーニャが面白がるように言った。
「きゃははは、ミネアって酒に酔うと何でもかんでも持ち上げちゃうのよ。
普段だったら行き過ぎるまで飲まない娘だけど、ダゴンの触手を酒に浸して食べてたでしょう?
セーブしそこなったみたいね」
332296 ◆kYB5EDmqco :03/04/06 22:03 ID:3KZIEJRc
 意外な一面。いや、さすがはマーニャの妹と言うべきか。
ひとしきり笑った後、マーニャがヒョイと立ち上がる。
あちらはもう目を覆うような惨状だ。
「さて、しっかり者の姉としては妹の面倒をちゃんとみないとね。ソロ、今日は
色々とありがとう。楽しかったわよ」
「僕も楽しかったよ。久しぶりに思いきり笑えた気がする」
「あんたはなんでもかんでも考えすぎるのよ」
マーニャの声が風に乗った。彼女は暴れ回る妹を押さえると、船室の方へ連れて
いってしまった。アリーナはライアンが押さえ込んでいる。
こうして、マーニャが去った事が宴の幕切れの合図になったのか、船乗り達が晩餐の後片付けを
始める。さて、僕は彼らを手伝ってから寝るとしよう。明日は岬のお告げ所だ。

 翌朝、さすがにミネアとアリーナ早く起きてこなかった。
二人が起き出したのは昼近くになってからである。上陸して馬車で進む中、
二人は二日酔いで痛む頭を押さえている。
「ああ……あれだけ気をつけていたのに、またやってしまったなんて。やっぱり、
魔物なんて食べるべきではありませんでしたわ」
「気持ち悪い〜!クリフト、お願いだから説教はやめて。頭がガンガンする」
苦笑しながらマーニャがミネアの介抱を、クリフトがアリーナを説教しながら介抱している。
無言で手綱をとっていたライアンが指をさす。
「ソロ殿。お告げ所が見えて参りましたぞ」
333296 ◆kYB5EDmqco :03/04/06 22:23 ID:3KZIEJRc
 「これはこれは、見事な装飾ですな……」
奥の部屋に入ったブライが感動したように中を見回す。ブライだけではない、僕らも
一緒だ。部屋の中は、金の彫刻や宝石をちりばべた飾り物で一杯だ。
円をかくように並んだ八つの燭台の魔法でともされたらしい火が部屋をキラキラと輝かせている。
そして、その中央でひときわ大きく真っ赤な火柱をあげる祭壇の影から一人の女性が姿を現した。
「シスター!」
駆け寄ったミネアとマーニャが彼女に抱きつく。ニコリと微笑んでシスターが姉妹を抱きしめる。
「貴女がここの主ですか?」
僕の問いかけに姉妹から体を離してシスターが言った。
「ようこそ、勇者ソロ。ミネア、マーニャ、よく頑張りましたね。
導かれし者たちが出会った今、必ずや邪悪な暗闇を打ち砕くことができるでしょう。
あなたがたが倒すべき相手は、地獄から……」

1.嫌な予感がする。さっさと消えたサントハイムの人々の行方を聞こう。
2.最後まで語らせる。

さぁ、皆はどっちを選ぶ。それと、毎度毎度時間があいた投稿になって御免なさい。
 
334296 ◆kYB5EDmqco :03/04/06 22:26 ID:3KZIEJRc
あげ忘れ……。それはそうと、海辺の村はどうすっかな。
また悩む……けど、1でいってみよう。

海辺の村イベントもぜひ入れましょう!
ちょうどデスピサロの曲を聴いててこのスレ見つけた!
すごい偶然!
337296 ◆kYB5EDmqco :03/04/07 23:20 ID:Vs4BRbpt
 パソコンがBIOS設定画面から動かないという状態になって更新が遅れました。
下手したらこれからも悩まされるかもしれません。更新がなかったら、パソの調子
が悪いと思って笑ってやってください。ごめんなさい。

参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
>335 まぁ、反対意見もないようですから、はぐれメタルの剣フラグをたてときましょうか。
でも、「渇きの石」が手にはいるとは限りませんよ?
では、335さんは1を選ばれました。

 悪いと思ったが僕はシスターの口上に割り込むことにした。
「シスター、僕らにはあまり時間がありません。僕の我が侭に付き合ってくれた
アリーナのためにサントハイムの人々の行方を教えてもらえないでしょうか?」
微妙にトリップしているシスターの肩をつかんで揺さぶる。
「……地獄から甦りし……え、あ、ソロ、なんでしょう。人が話してる最中に
割り込むなんて、お行儀の悪い」
「いえ、だから、そんな意味不明なことよりアリーナのサントハイム……」
シスターが僕の目をじっと見て言った。
「できません」
「は?」
こちらもシスターを見つめる
「たとえもとは魔物といえど、救いを求める者を無下に扱うような人間に神のお告げを
与えるわけにはいきません」
こ、この尼……。はっきりといいやがって。
338296 ◆kYB5EDmqco :03/04/08 00:01 ID:rDojSUuC
 「シ、シスター。そのことについてはソロも十分反省してるから」
「私がサントハイムの人々の行方を占えるのならとうに占っています。お願いですから、
そんな冷たいことをおっしゃらずに……」
突然のシスターの冷たい言葉にマーニャとミネアが泡を食ったように反応する。
「ふふ、冗談ですよ。ミネア、マーニャ。少しお灸を据えてあげただけです。
あなた達がちょっとソロに甘いようなので……」
く、なんて底意地の悪さ。正直、意外だ……。
あっけに取られた僕を見てクスリとシスターが笑った。
そして、うって変わったように沈んだ表情をする。
「御免なさいね、ソロ。意地悪なことを言って。でも、できないというのは本当なのです」
彼女の言葉に僕らは息を飲み、先程からハラハラと不安げに僕らを見ていたアリーナの顔が
今度は本当にこわばった。
「できない……?できないとは、サントハイムの人々の行方を占うことですか」
励ますようにアリーナの肩に手をおいたクリフトが彼女に問う。
「はい。ミネアも先程言っていましたが、占い師は自分に関することは占うことができません。
しかし、私のタブーはそれだけではないのです。自分より古い者、自分より力の強い者に関係した事を、
私は占う事ができないのです。それが、私に課せられた誓約。その誓約に従うことで、
私は普通の占い師達より遙かに強い精度で対象の未来を視ることができるのです」
「しかし、シスター。僕はライアンが貴女からお告げを受けたと聞きました……それは」
僕の疑問を遮るように彼女が解答する。
「あのときは、まだあなた達がそろっていませんでしたから。勇者を中心に導かれし者達が
一つに集うことで、あなた達は運命の輪を動かす存在となりました。運命の輪から外れてし
まったとでも言うべきでしょうか。あなたがたは私より古い者ではありませんが、私より
強い者です」
「さらに、付け加えると、私達を占うことのできるものなどこの世にはいない……と」
ミネアの言葉をシスターが首肯する。
「けれども、心配しないで。ここへ来たことが無駄足になっと決まったわけではありませんから」
339296 ◆kYB5EDmqco :03/04/08 00:45 ID:rDojSUuC
「ソロ、そろそろ準備はできましたか」
ぼんやりとした暗闇の向こうからシスターの声がする。部屋を照らす魔法の火は、
僕が立つ中央の祭壇のものを除き、周囲に散らばった仲間達が全て消した。
あとは、シスターの合図で、僕が彼女から預かった銀の短剣を祭壇のくぼみにはめ込むことで儀式が始まる。
「いつでも」
部屋の中央でひときわ強く燃えさかる燭台の炎を見つめながら僕は答えた。
あのあと、シスターは言った。シスターには僕らの未来を知ることも、
啓示を受けることもできないが、僕らが未来に関する啓示を受けることは自由だ、と。
なんとなく、矛盾した感情が残ったが、僕らはシスターの言葉に従うことにした。
手ぶらでサントハイムへ行くわけにもいかないからだ。銀の短剣をくぼみに向ける。
「差し込むよ」
「では、極力何も考えないようにして、炎を見つめてください、ソロ」
僕が短剣を差し込んだとたん祭壇から真っ赤な火柱あがる。
燃え広がった炎を見て、僕は何を思う。

1.女 2.男 3.シスターの言葉に従う 4.僕が遮ったシスターの前口上
なお、1を選んだ者は、(マーニャ、ミネア、アリーナ、シンシア)のいずれかを連想してもよい。
同じく、2を選んだ者は(トルネコ、ブライ、クリフト、ライアン)のいずれかを連想してもよい。
もちろん、誰も連想しなくてもよい。

あー、今日も長くなってしまった。しかも、変な色づけをしてしまったし、説明も
不十分、鬱田……。原作ファンの方、御免なさい。シスターが死にませんでしたm(_ _)m
炎の中に、燃え落ちた故郷を見ただろうと思うのでつが。
だから、人に限らず、陰惨な風景を見た、という感じで!
341296 ◆kYB5EDmqco :03/04/08 18:52 ID:5MDOHC9r
参加ありがとうございますm(_ _)m ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
340さんの難しい要望です。

その炎が僕の悪夢を呼び起こす。あの日、魔物どもは真っ先に僕の家を襲った。家に
一人残っていた母さんが最初の犠牲者となった。父さんは僕にラリホーの呪文をかけて地下倉庫に
閉じこめた。シンシアはモシャスの呪文で僕に変身して身代わりとなった。勇者を
討ち取ったと勝ち誇る魔物の雄叫び。破壊の呪文で崩れた地下倉庫の煉瓦の壁に覆い被さられ、
僕はシンシアと家族を救えなかった悔しさのなかで気を失ったんだ。その途端、弾けるような音と
ともに閃光がひろがった。空間から現実味が失われていく。
僕らは白い部屋の中にいた。 壁も床も天井も何もかもが白い。仲間のどよめき。
シスターが軽くため息をついた。「どうやら失敗してし……え、これは……」
炎がゆらめくと空間に波紋がおこる。僕らが立っていた白い床が消えた。いや、消えたのではない。
先程まで白い床だったそこが荒れはてた町を映していた。もし神とやらが天上から地上を見下ろすなら、
こんな感じになるのだろうか。
「ここ、アッテムト鉱山だわ。以前見たときよりも酷くなってる……」
マーニャが沈痛な顔をして言った。村の奥にある山を覆うように広がる毒の沼。町を
覆うように山から吹き出す煙は一目で有毒性をもったガスだとわかるくらい毒々しい。
ツルハシや縄、ハシゴは道に散らばったままで、馬車や荷物はひっくり返ってその主人の姿はない。
逃げる気力もないというように座り込む町の人々。
342296 ◆kYB5EDmqco :03/04/08 18:56 ID:5MDOHC9r
「アッテムト?」
「ここから西へ向かった先にある鉱山町ですわ。もとは古代遺跡のある山の麓に
広がる小さな町だったそうですが、山より金が出るということがわかり、遺跡を
掘り返す鉱山町として栄えていました。けれども、ちょうど二年程前を境に、金の
代わりに毒ガスが吹き出すようになり、今では……。」
そこまで言うと、ミネアは唇をかんだ。突然、すさまじい雄叫びが部屋に響く。
「ちょっと、いったい誰よ、こんな大声を出したのは……耳がおかしくなりそう」
「姫様、我らではありません。あれをごらんくだされ」
それまで黙り込んでいたブライが町の入り口を指さす。そこには大挙して襲いくる魔物の大群の姿があった。
奴らは歓声をあげてアッテムトに突っ込んでいく。地獄絵図がひろがる。見ていられないと言うように
トルネコが目をそむける。姉妹は顔面を蒼白にしてアッテムトを襲う悲劇をただ呆然と見つめている。クリフトが
十字を切る。そして、僕の脳裏に、またあの悪夢がよみがえった。……僕は叫んだ。
「もういい、もうたくさんだ!はやく終わってくれ……こんな光景を僕に見せないでくれ」

耳をおさえながらうずくまる僕の肩に誰かが優しく触れてきた……。
「もういいわよ。ソロ。目をあけて。ちゃんと立ちなさい」
「マーニャ……アッテムトは……?」「魔物達の目標は町というより鉱山に
あったようだから。逃げようとする町の人たちには目もくれないで鉱山の入り口
に殺到していったわ。ソロがそこまで悲観する事はないわよ。それより、まだ終わりじゃないみたいよ」
うっすらと目を開けた先にひろがる巨大な大瀑布。思わず吸い込まれそうになる意識を必死で呼び戻し目を凝らす。
巨大な滝の前に立つ男が、腰の袋から無骨な形をした黒い石を取り出し、それを滝にぶつけた。
上から下へ水が流れるように滝が干上がり、立ち上る水しぶきの中から洞窟が姿を現した。
そこで、炎がゆらめき、空間に波紋を起こす。
343296 ◆kYB5EDmqco :03/04/08 19:22 ID:5MDOHC9r
 次に映ったのは、どこかの王宮の廊下。甲冑に身を包んだ二人の男が話し込んでいる。
「ガーデンブルグ……溶岩が道を。サントハイムの、マグマ、杖……」
よく聞き取れない。炎がゆらめく。うっすらとした霧の中、高い塔の窓から1人の女性が顔を出していた。
何故か懐かしい人に会った気がする。霧のせいでよくはっきりと見えない。塔のふもと
から不思議な音楽が流れてくる。笛を吹く男。その音に気づいた女性は、身を乗り出して塔の下を見る。
また、場面が切り替わる。おかげで、彼女の顔の輪郭がつかめない。部屋の中で抱き合う二人。
男が女の名を呼ぶ。「ロザリー」 女が男の名を呼ぶ。「ピサロ様……」
名前なんてどうでもいい。苛立つ思いをこらえ、僕は女性の顔に注意を払う。
やっぱり似てる……「シンシア!?」それが、最後の映像となった。

 気がつけば、部屋は元の空間に戻っていた。シスターがじっと僕を見つめている。
「ここで見たものは、あなた達がこれから旅を続ける中で明らかになっていくでしょう。
さぁ、ソロ、サントハイムへ向かいなさい。進まなければ何も始まりません」
マーニャとミネアの二人がお礼のお辞儀をする。混乱する頭をおさえ、僕は岬のお告げ所を後にした。
 
 その夜、僕は船室の窓から夜空の星を眺めていた。
あのあと、僕らは船上で告げ所で見た内容を整理しあった。しかし、最後に映った
シンシアに似た女性の事で気もそぞろになった僕は、何度も聞き返すという失態を
演じ、ブライに呆れられ、マーニャに余計な心配までかけさせてしまった。
彼女は妹のミネアと一緒に部屋まで僕を見送りについてきた。
「なんというか、ままならないなぁ、僕は……」
ため息をついて目をつむった。寝て忘れてしまえば、明日にはすっきりとした僕に
なれるだろう。

 翌朝、陽光を浴びて進む船上で船乗りの一人が、海岸沿いに村を発見
した。
1.サントハイムへ
2.立ち寄る
2。
345296 ◆kYB5EDmqco :03/04/08 22:34 ID:5MDOHC9r
とりあえず、自分の予定にあるチャート表だと、最悪あと二週間くらいで終わってしまうかもしれません。
ナナシクラゲさん、もうちょっと引き延ばした方がよろしいでしょうか?

>344
嗚呼、皆そんなに渇きの石ならぬ、はぐれメタルの剣が欲しいんですか……
また、最終回が一日延びた……と。
346 ◆9IQOPKuQvw :03/04/09 01:10 ID:owjx1VZO
私のことはまったく気にしないでいいですよー。
296さんのお好きなようになさってください。

選択は2で(w
347 ◆Sj469/wPAw :03/04/09 01:11 ID:owjx1VZO
久しぶりにトリプ入れたら間違えた……鬱
>346はナナシクラゲでございます。
348296 ◆kYB5EDmqco :03/04/09 18:37 ID:O2CA3PdW
>346 わかりました。では、誰かが後に続いてくれることを期待して、頑張っていこう
と思います。

 参加ありがとうございますm(_ _)m ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
2番2票で2に決定しました。

 「ね?あそこ寄っていかない?」
意外なことに、最初にそう言い出したのはアリーナだった。何故かブライもクリフトも
反論しない。なんとなく複雑な気分だ。だが、僕は敢えて反論する。
「いや、これ以上予定を遅らすわけには……サントハイムへ早く向かおう!」
「私はアリーナに賛成。これも何かの縁よ」 これはマーニャ。
「同じく」 これはミネア。
「拙者も異論はござらぬ」 ライアン。
「私も好奇心がうずきますなぁ〜」 ついでにトルネコ。
「いいじゃない。別に……。一度寄り道したんだから、二度目も同じよ」
そして、また、アリーナ……。
「なんだよ、それは……」
「もっちろん、四度目は困るけどね……。さ、上陸上陸」
こうして、僕らはこの辺鄙な村を訪ねることになった。
さて、吉と出るか、凶と出るか……
349296 ◆kYB5EDmqco :03/04/09 19:11 ID:O2CA3PdW
 「静かな村ですね」
ミネアがぽつりと小さな声をもらす。上陸した僕らを迎えたのは、
潮風と潮騒の鳴る小さな村だった。驚いたことに、四軒しか建造物がない。
手前に見える小屋と宿屋らしき建物、奥の道具屋と武器屋。これで全てだ。
防具屋など地面にゴザを敷いて品物を並べている。
アリーナが元気に駆け回っている子供を捕まえた。
「ねー、ここはなんていう所なのかな?」
「ここは、海辺の村だよ!」

 さして広くもない村であることから、僕らは別れて村をまわることにした。
店にはライアンとトルネコが向かい、アリーナ、ブライ、クリフトの
三人は手前に見える小屋を訪ねる。マーニャとミネアの二人は宿屋で休憩。
さて、残るは僕一人だが……

1.ライアンとトルネコに同行する
2.姉妹と宿屋で休憩する
3.アリーナ達についていく
4.一人でぶらぶら
350296 ◆kYB5EDmqco :03/04/09 19:46 ID:O2CA3PdW
とりあえず、先に聞いておきます。サランの町なんですが、このまま忘れて直行
サントハイムにしようかな……と思っていたりします。寄らせるべきだという人は
意思表明してください。

しかし、2番、図らずもエロティックな感じになってしまった……・゚・(ノД`)・゚・。 
エロティックなんて言われたら2にするしかないでしょう。
てわけで2!
352296 ◆kYB5EDmqco :03/04/10 21:20 ID:3QOmK4v+
 気がつけばゲーマーズターミナルが閉鎖してる……。
参加ありがとうございますm(_ _)m ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
351さんは2を選びました。参ったな……2ですか。
でも、さして要望がないからエロくしなくてもいいんですよね?やっぱ止めた方がいいよね?

 方々に散っていく仲間達。それを見送って僕らは宿屋に入った。
宿の主人が、入ってきた若い女二人と男一人を物珍しげな顔つきで見ながら「お一人様
一泊6Gだよ」と宿代を請求する。とりあえず、皆の分も払っておくか
僕が八人分の料金を払っている間、二人が部屋へ向かう。
料金を払い終えた僕が部屋に入ると、二人とも思いのままの格好でくつろいでいた。
しばらくすると、ミネアはベッドに腰を掛けたまま水晶を磨き始める。
マーニャは椅子に座って足をぶらぶらさせたままだ。僕はベッドに仰向けに倒れ、天井を見た。
 しばし、水晶を磨く手を止めたミネアが呟く。
「思ったよりうるさいですね……」
窓から覗く砂浜にうち寄せる波の音と、窓を叩く潮風の音……。
外では気にならなかったものが、屋内だとかえって耳につくということもあるらしい。
だが、それさえも気にならないほど僕は思索にふけっていた。
シンシアに似た塔の女性。デスピサロに似た名を持つピサロという謎の男。
アリーナは、あれがデスピサロと広言して憚らなかったが、そうなのだろうか。
ロザリーという女性を抱きしめる男の顔はとても優しいものだった……。
そんな男が果たして僕の故郷にあんな残虐な行いをできるものだろうか。
そこまで思い返して僕は一つのことを思い出した。
「そういえば……結局サントハイムの人々の行方はわからなかったんだよな。」
ピシャリと潮風が窓を打つ。
353296 ◆kYB5EDmqco :03/04/10 21:59 ID:3QOmK4v+
 他のヴィジョンについても確かなことはわからないままだ。
告げ所のシスターの説明を思い出す。あれは、「これから起こる未来の出来事そのものであり、
そのときにどう行動すべきかの指針となるものだ」と。
「ともあれ、サントハイムへ行きなさい。全てはそこからです」
別れ際、名残惜しげに姉妹を抱きしめていたシスターの言葉。
こんなところでゆっくりしてていいものか……。
と、そこで突然マーニャがぬっと顔を突きだしてきた。
「うわ!」
思わず飛び上がって後ずさる。「ぴっくりするじゃないか、マーニャ」
さらにグイ!とマーニャが顔を近づけてくる。微妙に目がつりあがっている。
「いくら呼んでも返事しないからよ!」
「御免。考え事してた。それで、何か用?」
互いの息づかいが聞こえるほど接近している。胸の動悸が止まらない。
「暇だから、相手してよ」
「姉さん、疲れてるんじゃなかったの?」
ミネアがため息をついた。
「あんまり退屈すぎるから元気になっちゃったわ。
ふふん、そうねぇ。皆しばらく戻ってこないだろうし……」
マーニャが目を細めて僕をじっと見つめている。何故か悪寒が背中を走る。
354296 ◆kYB5EDmqco :03/04/10 22:42 ID:3QOmK4v+
すみません。353は推敲途中のやつを誤って書き込んでしまったやつです。
↓こちらが完全版です。 

 他のヴィジョンについても確かなことはわからないままだ。
告げ所のシスターの説明を思い出す。「あれは、これから起こる未来の出来事そのものであり、
そのときにどう行動すべきかの指針となるものです」と、彼女は語った。
「ともあれ、サントハイムへ行きなさい。全てはそこからです」
別れ際、名残惜しげに姉妹を抱きしめていたシスターの言葉。
サントハイムで全てが始まるなら、僕はこんなところでゆっくりしてていいものか……。
そこで突然マーニャがぬっと顔を突きだしてきた。
「うわ!」
思わず後ろに飛び上がって後ずさる。「ぴっくりするじゃないか、マーニャ」
僕を追って、さらにグイ!とマーニャが顔を近づけてくる。微妙に目がつりあがっている。
「いくら呼んでも返事しないからよ!」
「御免。考え事してた。それで、何か用?」
互いの息づかいが聞こえるほど接近している。胸の動悸が止まらない。
「暇だから、相手してよ」
「姉さん、疲れてるんじゃなかったの?」
ミネアがため息をついた。
「あんまり退屈すぎるから元気になっちゃったわ。
ふふん、そうねぇ。皆しばらく戻ってこないだろうし……」
マーニャが目を細めて僕をじっと見つめている。何故か悪寒が背中を走る。
355296 ◆kYB5EDmqco :03/04/10 22:56 ID:3QOmK4v+
「ちょ、ちょっと姉さん、何を考えてるの……」
「何って……ふふ、あれに決まってるじゃない。」
不穏な雰囲気を感じ取ったミネアが慌てて立ち上がる。
「あのね、姉さん。それはいくらなんでも、まずすぎるわ。第一ソロはまだ子供よ」
「ふーん、子供ねぇ。子供だからしっかりと教育してあげなくちゃいけないんじゃない?」
「勝手な屁理屈つけないで! 大体姉さんは物事を少し……いえ、もの凄く軽く考えすぎてるわ!
火遊びが火傷で済まなくなったらどうするの!?」
こうして、あっという間に姉妹の喧嘩が始まった。目まぐるしくとびかう
口撃の応酬におされ、僕は一つも口を挟めない。しかし、今回は喧嘩が終わるのもまた
早かった。勝負を決めたのは次のマーニャの言葉だ。
「ミネアだって本当はソロとしたいんでしょう?別にいいのよ、私は。
三人でする?」
それを聞いたミネアが耳まで真っ赤にする。しばらく口をパクパクさせて、怒りのあまり、
後ずさりながら肩を震わせる。
「……もう知らない!姉さんもソロも勝手にすればいいんだわ。ただし、
私の居ないところでやってよね」
そう言い放つと、ミネアは勢いよく扉を開け放ち、部屋から出ていった。
部屋に残されたのは、僕とマーニャの二人だけ……どうする?

1.残る
2.ミネアを追いかける
356296 ◆kYB5EDmqco :03/04/10 22:58 ID:3QOmK4v+
ぎりぎりに挑戦してみた……さて、これからどうしよう?
とーぜん1!
マーニャたんと(;´Д`)ハァハァな展開キヴォン!!
参加ありがとうございますm(_ _)m ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
357さんは、1を選ばれました。……期待させてたら済まない。ハァハァにはなりそうにないんだ。

 「ふ、勝った」
意味もなくマーニャが得意げに拳を掲げる。
「勝ったって……あのなぁ、マーニャ。いくらなんでも冗談が……」
最後まで言葉を続けられなかった。またもマーニャが僕の目前まで顔を接近させてきたためだ。
「冗談だと思う?」
「そんなことより仲直り……」
その言葉も、彼女の金色の瞳を見た瞬間、吸い込まれるように消えてしまった。
マーニャは僕から目を離そうとしない。ただ、じっと見つめている。それが何故か
とても辛く、プレッシャーに耐えかねて僕は瞳をそらした。
「冗談だと思う?」
再度発せられたその言葉を前に後ずさろうとして……僕は体を引き戻された。
いつのまにか彼女に両肩を押さえられていた。
「冗談だとかそんな問題じゃない。大体マーニャの気持ちはどうなんだよ!」
思わず彼女に流されかけた自分を叱咤する。
このままだと本当にまずい。なんとか離れようとするが、体の動きを先読みした
マーニャは僕の抵抗をなんなく押さえ込んでしまう。
「意外とずるいね。こんなときに逃げを打つんだ、君は……でも、逃げたいならもっと
本気で抵抗しないとね」
「だ、だから、マーニャの気持ちは?」
「気持ち?さぁ、それは今後のソロ次第かも……ふふ」
「そっちのほうが卑怯じゃないかー!」
肩に置かれていた手が僕の首の後ろにまわされた。強制的に前を向かされる。
うっすらと目を細めたマーニャが唇を寄せてくる

1.ラリホーマだ!ラリホーマしかない!!
2.大声を出す。
-------------------
自分としては珍しく一レスで終わった。いや、ほんと御免ね。いつも長くて……
359296 ◆kYB5EDmqco :03/04/11 23:59 ID:1dlqj40f
スマソ、トリップ入れ忘れた……
3 マーニャ姉さんの色香に負ける
 
 これでしょう!
361296 ◆kYB5EDmqco :03/04/12 11:01 ID:lwcfh2KF
わぁお! 誰か他には選ばないのか。ROMしてるひとの数が少ないのか、それとも、
三番に異論がないのかどっちなんだろう。
3番でゴー(w
当然3でハァハァ
このスレにエロの二文字はいらん。1,
365296 ◆kYB5EDmqco :03/04/12 21:38 ID:FcfDKNwc
参加ありがとうございますm(_ _)m ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
3番3票、1番1票で「3.マーニャ姉さんの色香に負ける」に決定しました。
>364 スマン。2だったら……

彼女はそのまま唇を薄く開くと、僕の唇にかさねて吸い上げた。
「うっ……んっ……」
マーニャの舌が僕の口腔に進入し舌をからめとる。僕の舌に自分の舌をねっとり
と絡みつけ優しく引き寄せる。さらに唇で挟みこみ、ずるっとスライドさせる。
唾液を流し込み、吸い上げる。いつの間にかベッドに押し倒されていた。
 彼女の長い舌は自由自在に僕の口腔を犯していく。歯の裏をくすぐるように刺激し、
かと思うと激しく舌をねぶりあげる。巧みに舌を愛撫され、僕は完全に理性を奪われてしまった。一瞬淡桃と紅玉のイメージが脳裏を走ったが、唇を離したマーニャの喘ぎを聞いた瞬間、どこかへいってしまった。
「きもちいい? ソロ」
マーニャのキスに、思考能力を奪われた僕は思ったままに答えた。
「とても……いい」
「ふふ、キスくらいでこうなるなんて……本当に可愛いわね。もっと気持ちよくしてあげるから、私の言うことをきいてね」
マーニャの言葉にうっとりとして頷く。
「さて、もういちどキスの復習から……」
そこで、ガシャンと強くガラス窓が叩かれた。さらに、二度、三度とガラス窓が揺れる。窓の向こうから息を切らせたミネアがこちらを覗いている。マーニャが軽く舌打ちすると、僕から離れて窓際へ向かった。
「もう、ミネア、いいところだったのに。興味があるんだったらそんなに興奮しないで、
黙って見ていなさいよ」
「ハァ…あのね、姉さん……。私が、息を切らせてるのは、ここまで、走ってきたからよ。さっき、アリーナ達がトルネコさん達と合流しているのが見えたわ。もう時間切れよ」
「それは残念。ありがとね、ミネア。わざわざ知らせてくれて」
「別にお礼なんて言わなくていいわよ。私、まだ怒ってるんだから……」
「あはは、ソロ。時間切れだってさ。残念!」
ちょうど、扉を開けてアリーナ達が入ってきたので僕は返事をしなかった。「結構面白い話が聞けたわよ〜。あれ、ミネア、なんで外にいるの?」
アリーナの底抜けに明るい声を聞きながら、良かったような良くないような……複雑な気分のまま寝返りをうった。
366296 ◆kYB5EDmqco :03/04/12 22:12 ID:FcfDKNwc
とりあえず、ハァハァを期待していた人、御免。やっぱりできませんでしたm(_ _)m

 「……というわけなのよ」
今はアリーナが、宿で待機していた僕らに村で集めた情報を話しているところだ。
彼女の話によると、この海辺の村は、船を捨て陸にあがった海賊によって作られたそうだ。
しかし、陸にあがった海賊達は世界のどこかの滝の奥深くに集めた財宝を隠したまま……
それは今も見つかっていないらしい。
「で、その財宝の隠し場所までは分からなかったのか?」
「分かってたらとっくにこの村の人たちが見つけてるわよ」
「わたしは財宝よりも、長老が話してくれた“時の砂”の方が気になるわね。それが
あればエンドールのカジノでも……。ね、アリーナ、はやく教えてよ」
そう言って食いつくマーニャに部屋の隅でミネアが小さくなってる。
「姉さんったら…もう少しまともな使い道を思いつけないの? 私、恥ずかしいわ」
アリーナがペロッと舌を出す。
「んー、時の砂については道具屋のご主人が詳しく知ってるそうだけど、今は
営業中だから晩に出直すのが礼儀じゃろうとかなんとか長老に言われちゃったわ」
「それじゃ、気が向いたら晩にお伺いしようか。ところで、クリフト達は?
確か一緒じゃなかった?」
僕の問いにアリーナがポンと手を打つ。
「そうそう、本題があったわ。クリフト達はライアンさんと一緒にある物を探してるわ。
渇きの石って言うんだけど」
「渇きの石……?」
「うん、村のおばさんが教えてくれたのよ。昔この村に渇きの石ってのがあってね。
池に沈めると一瞬で池の水を干上がらせたんだってさ。ね、何かピンと来ない?」
「便利ですね。それがあれば、例え池に物を落としても服を濡らさずにすみそうです」
「もー、ミネアさん、そういうことじゃないわよ。ほら、告げ所で見たじゃない。
男が石を投げつけて滝を止めたのを……。それを聞いたクリフトが『あのお告げに
あったものに間違いない』って言って村中探し回ってるのよ。できれば、ソロ達も手伝って頂戴」

1.手伝う
2.手伝わない
 360で無理をお願いした者です。
 296さん乙彼サマですた〜〜! これ以上えっちな感じはここまでの話に似合わないっすよね。
(わかってるなら、あんな無理を書くなって?   スミマセン、ちょっと書いてみたかったんです)

 選択は1で!
369296 ◆kYB5EDmqco :03/04/13 23:09 ID:YSA1KocG
参加ありがとうございますm(_ _)m ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
一番二票で一番に決定しました。
>368  まぁ、ぱふぱふが標準の世界だから仕方ないですよね(笑

 「はー、全然みつかんないわね……」
打ち寄せる波に向かってアリーナが珊瑚の死骸を投げつけている。
水平線の向こうでは、黄金色の林檎のように輝く太陽が沈もうとしている。
快くアリーナの頼みを引き受けて渇きの石探索に乗り出したは
いいが、あるという話だけで、誰も石の所在を知らないという
ちなみに、マーニャはミネアが連れていった。ミネア曰く
「ソロと姉さんを二人にするとろくなことにならない」らしい。
沈みゆく太陽を眺めながら、「ヒントでもあれば、とっくにこの村総出で財宝探し
に乗り出しておるわ」という長老の言葉を思い出す。
なるほど、確かに腹が立つほど手がかりがない。もっとも、おかげで
「もし見つかったら遠慮なく石はおまえさんがたに進呈しよう。
報告もいらん。どうせ財宝など、この時の流れに埋もれた村には価値などありゃせん」
というありがたい言葉を頂けたと言えるのかもしれない……。
 物を投げるのを止めた……というか飽きたらしいアリーナが木の枝で砂浜に
落書きしている。そろそろ休憩も終わりにするべきだろう。そう思い声をかけようと
した僕は、視界の隅で花束を抱えて砂浜を歩く女性を捉えた。
女性の方でも僕らに気付いたらしく、こちらにニコリと笑顔を向けて挨拶をしてきた。
「あら、こんばんは。珍しい。旅の方ね」
「はい。こんばんは。村の人ですか。こんな時分に一体どちらへ」
「弔いです。ここから少し歩いた先に海賊だった祖先のお墓があるのです」
「墓……こんなところにですか?」
370296 ◆kYB5EDmqco :03/04/13 23:17 ID:YSA1KocG
「ふふ、きちんと土の中に埋まってますからご心配なく。そうだ。あなた方も
一緒にお参りしてくださいませんか? 祖先も喜ぶかと思います」
せっかくのお誘いだ。受けることにしよう。
「アリーナはどうする?」「うん、私も興味あるわ」
膝をあげて立ち上がったアリーナがパンパンと手についた砂を払う。
 そのまま女性の先導に従い、僕らは砂浜を歩き出す。
ときおり勢いよく寄せる波に僕らが付けた足跡が、所々飲まれ、消えていった。
 砂浜から少し離れた場所に墓はあった。
先程まで僕らが居た場所にはもう既に波が押し寄せていた。
「うわ〜、あんなところまで海水が来るんだ」
アリーナが目を丸くする横で、僕は、石らしきものがないかと墓の周辺に
くまなく注意を払っている。
「ふふ、まだ序の口です。夜になるとこの墓も海で死んだ祖先のように、
海の中に沈んでしまうのです。もっとも、昔からそうだったわけではありません。
墓が海に沈むようになったのはここ二、三十年の間だとか。もしかすると、
そのうちこの村も海に飲まれてしまうかもしれませんね……」
墓石を撫でながら女性が悪戯っぽく笑う。
「村が沈んでしまうかもしれないというのはぞっとするけど、海の中に沈む墓
っていうのは想像すると結構壮観ね。ねぇ、丘の上からでも見られるの? それ」
「ええ、もちろん見られますよ。ところで、どうされます?私は海の水が満ちるまで、
もう少しここに残るつもりですが……」
多少期待してここへ来たわけだが、残念なことに石はこのあたりにはなかった。

371296 ◆kYB5EDmqco :03/04/13 23:22 ID:YSA1KocG
アリーナを促して立ち去ろうとする。別れ際、何を思ったか、アリーナが女性に石の
事について問い質した。
「渇きの石……ですか。なんにせよ、村の中、家屋の周辺にはないと思います。
あるならとっくに誰かが見つけているはずです。狭い村ですから、何か変化があれば
すぐに知れ渡ります。見つけた者が財宝探しに出たという話も聞きませんので」
丁寧に答えてくれた女性に礼を言って僕らは墓を後にした。
「村の中にはない……か。結構いいこと聞けちゃったわね、ソロ。」
ぶんぶんと腕を振り回すアリーナ。多少なりとも進展があったのが嬉しいのだろう。
すでに陽は沈み、空を宵闇が支配しようとしている。

1.いったん宿屋へ戻る
2.砂浜付近一帯を散策。

くっ、2レスならず……もうちょっと369番のやつを長くすれば良かったかな
2 アリーナとお散歩して帰ってクリフトに嫉妬されるという展開は





 別にきぼんしてませんがw あってもいいと思うけどw
2 アリーナとお散歩して帰ってクリフトに嫉妬されるという展開

これ、かなりいい!是非お願いします!
374296 ◆kYB5EDmqco :03/04/15 00:45 ID:9N2PDdjf
 参加ありがとうございますー。ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
二番二票で二番に決定しました。

 女性と別れた後、潮が満ちる砂浜で、再び僕らは石の捜索を続けた。
「村の中にないって言ってたけど、まさか村の外へ出なきゃってことはないはずだから、この海岸沿いのどこかなんだろうけど」
「それでも、もう限界かしら。ソロはどうする?」
当たるを幸いに一通り怪しいところを見て回ったけれども、やはり影も形もない。
「そろそろ宿へ戻ろうか……」
「そうね。あ〜あ、多分今頃に帰ったらクリフトとブライから説教されちゃうんだ
ろうなぁ」
「別に夜遊びしてるわけじゃないだろうに」
「目的があってもあの二人には関係ないわよ。王女ともあろう御方がこんな時間まで
どこをうろついていたのですか!!って開口一番怒鳴る……。賭けてもいいわよ」
「はは……」
「笑い事じゃないわよ。ソロ。あなたもきっと同罪よ。
覚悟してなさいよ。クリフトの話が終わったと思ったら、間髪入れずにブライが
引き継ぐんだから。あれを受けるとしばらくノイローゼになるからね」
月明かりの下、海水に浸る砂浜を眺めながら二人でとりとめもない話をした。
「まぁ、これ以上遅くなっても同じだろ。アリーナ、せっかくだから海に沈む墓でも
見に行こうよ」
「あ、それがいいわ。説教をくらう間にそれを思い浮かべてやり過ごしますか」
ちょうど月が雲に隠れ、僕らの居る場所を夜の闇が覆う。
闇の向こうでアリーナが悪戯っぽく笑ったような気がした。
375296 ◆kYB5EDmqco :03/04/15 00:54 ID:9N2PDdjf
月光で透ける海面に、ゆらめく墓石が映っている。
僕はさほど感銘を受けなかったが、アリーナは違うようだ。
瞳を輝かせて熱心に見入っている。墓といえば……故郷の皆には墓すら作って
やれなかった。気が付いたらブランカ城で審問を受けさせられていたのだから
仕方がないと言えば仕方がない。この旅が終わったら、まずは皆を弔わないと
いけない……。世話になった人々の弔いすらしていない自分に思わず滅入る……
だから、こんな無責任なことを言ってしまったのかもしれない。
「……結局サントハイムの人々の行方はわからずじまいだったね、御免」
二瞬ほどの沈黙の後、ぽつりとアリーナが呟く。
「……ソロ、私はね、あなたと違ってお父様やお城の皆の死を見たわけじゃない。
だから、信じられるの。お父様は無事だって、城の皆も生きているって……」
アリーナの言葉が胸に痛かった。そう言い切れるアリーナがうらやましかった。
わけもない衝動にかられ、彼女の後ろ姿から目をそらす。
「あら?あれは何かしら……ソロ」
一瞬、気まずい雰囲気を打ち消すための言葉……と思ったが、違った。
墓石からさらに離れたところ、そこだけ、まるでくり抜かれたように海水が
届いていない。透明の壁でもあるかのように海の水が左右に別れて水のない空間を
作り上げている。不自然に乾いた場所。
「ひょっとして……」
そう言って駆け出した彼女は、しばらくしてから肩に縄を担いで戻ってきた。
「ソロ、これをそこの木に縛り付けて。さほど波は強くないみたいけど、
用心のためだから」
「待てよ、アリーナ。せめて朝まで待てないのか。今は危険かもしれないじゃないか」
「いいじゃない。今すぐ見に行きたいのよ」
「なら、僕に代われ」
「え?でも、もう、腰に巻き付けちゃったし……私が行くわ。それに、後であなたも濡れるから一緒よ」
「は?」 「いいから。早く木に縄を巻き付けてよ」
結局押し切られてしまい、僕は渋々ロープを木に巻き付けることになった。
手際よくマントを脱ぎ捨てると、彼女は水の中へ飛び込んでいった。
「じゃ、行って来るわね。マントをよろしく。おみやげは期待してていいから」
376296 ◆kYB5EDmqco :03/04/15 00:55 ID:9N2PDdjf
軽口を叩くだけあってアリーナの水練は達者なものだった。
危なげなく目的のの場所まで泳ぎ着く。
「ふわ〜、本当にここだけ水がきてないわ。ねぇ、どんな感じに見える?
孤島に取り残されたお姫様って感じかしら?」
「縄がよけいだよ」
思わず笑ってしまう。ほどなくアリーナが、足下から黒く光る石をなんなく取り出した。
「いいわよ」
合図を受けて僕は縄を握りしめる。アリーナが腰の袋の中に放り込む。
その瞬間、袋の口を閉じるように海水が迫る。そうはさせじと僕は縄を力一杯引く。
きわどいタイミングでアリーナがいた場所を元通り水が飲み込む。
バシャバシャと縄をたぐり寄せるように泳ぎながら戻ってくるアリーナを見て
ホッと一息ついた。
「寿命が縮むかと思ったよ、」
苦笑しながら僕はアリーナに腕を差し出した。差し出された僕の手をアリーナが掴む。
「えい!」
かけ声一つ。突然の事に抵抗する間もなく海へ。慌てて縄をつかんで浮上する。
「なにするんだよ、アリーナ」
「うん、私一人濡れっぽなしじゃ不公平でしょ」
僕の抗議をどこ吹く風とあしらうアリーナ。内心思うことがたくさんあったが、
憮然とした僕の面を見て気持ちよく笑うアリーナを見たらどうでもよくなった。
そのまま海水に浸かったまま僕も笑った。潮騒をかき消すほどの大声で、二人でいつまでも笑い合った。
377296 ◆kYB5EDmqco :03/04/15 01:00 ID:9N2PDdjf
 びしょ濡れで帰った僕らを待っていたのは仲間達の説教だった。アリーナは、
ミネアに頭を拭かれながら、クリフトとブライの永久機関のように遅滞なく連携の続く説教を、
うんざりした顔で聞いている。僕の頭を拭くマーニャは何も言わないが、その手に込められた力が彼女の心情を雄弁に物語っている。
「それにしても、ソロ殿もソロ殿です。何かあったらどうするつもりだったのです?」
突然、クリフトの矛先が僕に変わる。向こうでアリーナが「言ったとおりでしょう?」
という感じで僕に目配せしてくる。
「え、あ……いや、その、あの、御免……」
普段よりもはるかに真剣なクリフトに突然詰め寄られて、どう反応していいのかわからず、どもった口調になってしまった。
珍しく語気を荒くしたクリフトに、アリーナの頭をタオルで拭いていたミネアが驚き、マーニャが……ニヤニヤしている。
全くこの人は何を考えているんだか……
「まぁまぁ、皆さん、そろそろお開きにしようじゃありませんか。明日にはとうとうサントハイムですよ」
珍しくトルネコが助け船を出してくれた。クリフトはまだ何か言いたそうだったが、
今日は妥協したらしい。むっつりとしたままベッドの方へ歩いていった。

 こうして、海辺の村での短い一日は終わった。翌朝、北へと向けて船が出航する。
順調にいけば、明日こそバルザックの支配するサントハイムに着く。

1.まずはサランへ
2.サントハイムへ向かう
1 サランへ!
 吟遊詩人の歌を聞いて欲しいでつ
379296 ◆kYB5EDmqco :03/04/15 01:15 ID:9N2PDdjf
無理だった。372さん、373さん、御免。クリアリから目を背けて早十年な自分には、ご要望通り
書けませんでした。というか、自分にとってサントハイム一行というのは、アリーナ=黄門様、
クリフト=格さん、ブライ=助さん、という構図なんで……
アリーナに想いを寄せるクリフトというのが未だに想像できなかったりします。
ども、すみませんm(_ _)m

それはそうと、ただ船と書くのも味気ないので、船の名前を募集してみます。>思いつくの遅すぎ
お好きなのをどうぞ。もちろん、以下の3択に付け足しても良いです。

1.トリスタン号
2.エスクード号
3.ポポロ号
何故、この名がないのですか


   麗 し の ネ ネ 号


 トルネコの船なんだから、ネネの名前いれなくっちゃあ!
381296 ◆kYB5EDmqco :03/04/15 20:48 ID:9N2PDdjf
うーん、意見がないということは“麗しのネネ号”でオッケーということか……
普通にネネ号と言われなかったのに安心していたりする。
382296 ◆kYB5EDmqco :03/04/16 00:43 ID:D2e2irhG
よそのサイトのSSを読んでたら遅くなった。スマソ。
参加ありがとうございます。ルールはナナシクラゲさんの>>75を。378さんは1を選ばれました。

 「この船は、サントハイムの西にある入り江に隠すのが良かろう」
ブライが船長に、船の隠し場所を指示した。そこはぎりぎりまで樹木におおわれていて、
“麗しのネネ号”をすっぽりと隠すことができた。これなら僕らが上陸するのも
魔物どもに気付かれなくてすみそうだ。
「サントハイム城はあたしの城よ。さっそく乗り込んでバルザックのやつを倒してやる」
闘志をむき出しにしているアリーナの肩にミネアが手を置く。
マーニャもそびえるサントハイム城にバルザックの姿を映しているようだ。
先程から城をじっと見据えたまま目を離さない。
「姫様、まずはサランの町の様子を見に行くという予定です。サントハイム
城はすでに魔物の巣窟となっているのですから、一刻を争うというわけではありません」
クリフトの慎重な面持ちを前にして、アリーナが不承不承といった感じで頷く。
「では、案内を頼みます」
僕の言葉を聞いてアリーナ達三人が前に出る。
そして、僕らは三人の先導でサントハイムの城下町サランへ向かった。

 「!これは……惨いわね」
マーニャが顔をしかめて町を見る。先に町の中に入ったアリーナとクリフトは、
無惨に荒れ果てた町の様子に足をすくませている。花々の咲き乱れ居ていた花壇
はめちゃくちゃに荒らされ、町の中を流れる小川の水もドス黒く濁っている。
商店は閉ざされ、住人達は家の中に隠れるように閉じこもっている。
『サラン武具防具連盟』と書かれた立て看板が無惨に折れ曲がっている。
「ひどい、これがあの楽しかったサランの町なの……」
怒りも露わにアリーナが呟いた。

1.ひとまず教会へ。
2.魔物どもが許せない。サントハイムへ。

とりあえず、他の意見もないようなので船の名前は「麗しのネネ号」に決定します。
しかし、今のペースって早いのか遅いのかよくわからない……
3。魔法の鍵を使っていける武器屋へ  って、魔法の鍵は持ってなかったっけ……?

 このゲームブックは参加される人がいたりいなかったりしてましたので、あんまり気に
しないで進められてはどうですか〜。
384296 ◆kYB5EDmqco :03/04/16 21:52 ID:D2e2irhG
くっ、納期は明日だというのに……というわけで、今日は早めに更新。
参加ありがとうございます。ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
>383さんの要望の「3。魔法の鍵を使っていける武器屋へ」に決定しました。

 クリフトとブライが町中を駆け回って様子を調べた。
「姫様、教会にマローニ殿が!」
クリフトの声を聞いたアリーナが教会へ走る。僕たちもアリーナの後を追った。

「ゴホゴホ……これはアリーナ様。お久しゅう……病臥の身ゆえご無礼をお許しください」
シスターに案内された部屋にいたのは、ベッドで横たわる美しい吟遊詩人の男だった。
顔に似合わぬしゃがれた声をしている。
「マローニ……その声は、それにその有様は一体何? どうしたというの」
「ふふ……心配無用。歌に声の美醜など関係ありません。せっかくの新作を披露する機会。
この再会の喜びを歌に……ゴホッ!」
「やめて、マローニ! 無茶をしては駄目。私が話します……姫様、マローニは半年ほど前に
彼の評判を耳にしたバルザックという魔物に脅されたのです。
魔族を称える歌を歌えと。歌わなければサランの町を壊すと脅され、マローニは仕方なく歌を……」
「わからないわ、シスター。マローニは要求どおり歌ったんでしょう……なのになんで?」
「あの醜い魔物の心なんて私にわかるはずがありません。あの魔物は、歌い終えた
マローニを誉めた後、彼から声を奪いました。そして、その後サランの町を荒らすように命令を…」
「ははは……さすがに無茶をしすぎましたね。約束が違うと詰め寄ったばかりに
声どころか体までこの様です。ゴホ! 私も姫様のように武術でも習って……ゴホッゴホッ!」
せき込むマローニをシスターが労る。
「許せない。絶対に許せないわ……」
マーニャがドン!と壁を叩く。ミネアも姉をたしなめてはいるが、彼女の普段と違い
怜悧な輝きを宿した金の瞳が、姉と同じ心情であることを示している。
「行きましょう!サントハイムへ。これ以上あいつを野放しにしていられないわ!
父さんの娘として」
「マローニ、御免なさい……私達がもっと早くきていれば……」
「いえ、もったいのぅ……。これも私の巡り合わせです。もともと私の本来の
声は美声などではなかったのですから……」
385296 ◆kYB5EDmqco :03/04/16 22:01 ID:D2e2irhG
僕らの方に振り返ったアリーナが高らかに宣言する。
「こうなればサントハイムへ直接乗り込むまでです。ここまでされて、黙って
いられるものですか!」
「……姫様、お待ちを」
アリーナの言葉に頷き、城へ向かおうとする僕らをマローニが引き留めた。
「……サントハイムに魔物が住み着くようになってから、このあたりの魔物ども
の勢力も変わりました。もう以前のサントハイムではありません。ここに右の棟の
鍵があります。今は亡き村長が姫様のお帰りを信じて私に託したものです。
これを使って右の棟の武器屋で準備を……」
マローニの言葉にアリーナが微笑む。
「大丈夫よ、私達の持ってる鍵で開けられない扉なんて牢屋だけよ。それにしても、
あの爺さん、やっぱり鍵持ってたんじゃない! 無くしたとかほざいてたくせに!」
突然王女らしからぬ悪態をつくアリーナにマローニとシスターが笑った。
僕らもつられて笑う。クリフトとブライだけがしかめっ面をしている。
「……本当に全くお変わり無い。安心しました。疲れたので私は眠ります。
果報は寝て待てと言いますから」
マローニに労いの言葉をかけてから、僕らは右の棟へ向かった。

 マローニの病室から降りて右の棟へ入る。鍵の掛かった扉をなんなく開けた
僕らは階段を上ってマローニの言った武器屋へ向かった。
途中、教会と棟を繋ぐアーチでアリーナが立ち止まった。僕らをのぞいて仲間が
店内に入っても動こうともしない。
「アリーナ?」
「御免。今行くわ。あたし、ここに来るのは初めてなの……。前からここへ来たいと思って
何度もあの扉を開けてとおねだりしたんだけど、サランの村長は頼みを聞いてくれなかった……。
こんな形で願いがかなうなんてね……」
それだけ言うと、彼女も店の中へ入っていった。軽く首を振って僕も店内へ向かった。
386296 ◆kYB5EDmqco :03/04/16 22:13 ID:D2e2irhG
武器屋は確かになかなかの品揃えだったが、正直リバーサイドの方が上だ。
めぼしいものは、リバーサイドで買いそびれたバトルアックス(5500G)と、
身かわしの服(3000G)と鉄仮面(3500G)。正直、理力の杖と鋼の剣は買っても仕方がなさそうだ。
買うならば、身かわしの服かバトルアックスのどちらかだろう。
現在所持金は8000Gある。

1.リバーサイドで買い込むために節約する。
2.バトルアックスを買ってソロの破邪の剣を売ってしまう。
3.身かわしの服を買う。
---------------------
マローニの歌が聞きたいと言った378さん、スマソ……m(_ _)m

387296 ◆kYB5EDmqco :03/04/16 23:23 ID:D2e2irhG
そんなこんなで読み返してるんですが(自分の誤字とか下手な表現に目をつぶって)、
ナナシクラゲさんの頃からこのスレ的にはマーニャが大人気なのかな。マーニャフラグ向け
な選択肢を書く一方で、ミネアフラグ向けの選択肢も潜ませてるのに誰も選択しなかったし……(笑
3で。
389名前が無い@ただの名無しのようだ:03/04/18 15:44 ID:lNpyHg18
2で。
390296 ◆kYB5EDmqco :03/04/18 23:48 ID:k9l1tCTB
 良かった。今日はレスがあった。更新できるよぅ……(;´д⊂)
参加ありがとうございますーヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
388さんは3を、389さんは2を選びました。先着順で388さんの3に決定です。  あれこれと悩んだものの、結局身かわしの服を選ぶことにした。

そのあとも、誰が装備するか……というより、アリーナとマーニャのどちらが装備
するかで揉めることになったが、「アリーナは頑丈だ。マーニャが着たほうがいいよ」
という僕の発言が決め手になり、マーニャが着ることになった。
「わたしの肉体美が損なわれる」とか叫んでしぶしぶ試着室に入っていたマーニャだったが、
部屋から出る頃には、彼女なりに動きやすい身かわしの服を気に入ったようだ。今は鏡の前で
ステップを踏んで着心地の良さを満喫している。そういえば、踊り子の服はどうしたんだろう?

1.「そういえば、マーニャ、踊り子の服は?」と聞いてみる。
2.「マーニャ、いらないなら踊り子の服をくれ!」と言う。
3.そんなことどうでもいいか。

色々悩んだけど、選択肢をいれることにした。先に進みたい病をぐっとぐっとこらえる。
悩んだよ、ちくしょー!
この選択肢だったら、やっぱ2かなあ…w
>どちらが装備 するかで揉めることになったが
揉・・・

というのはいいとして3で。
参加ありがとうございますーヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
2番1票、3番1票。先着順で2番に決定しました。
>392 何を想像してるんですかー。

 いや、考えるまでもない。身かわしの服を装備したということは、踊り子の服は
もういらないはず。もらってとっておけば、モンバーバラで高く売ることができる。
一体どれだけ高く売れるのだろうか……期待と緊張のあまり心臓が早鐘のように鼓動を打つ。
「マーニャ、話があるんだ……」
「え? な、なな何かしら……」
かつてない期待感の高まりから、つい力がこもってしまった。変に思われたらどうするんだ。
少し、深呼吸をして呼吸を落ち着ける。姉の隣にいるミネアが驚いたように僕を凝視しているのも不思議だが、
マーニャも何故声を裏返しているんだろう。
「頼む、僕のために……」
「え、え、ええ……」
「いらなくなった君の踊り子の服をくれ!」
「…………え?」
あらゆる可能性を探っていたらしい彼女だが、どうもこれは予想外だったらしい。
思わず聞き返してきた。
「いや、だから、いらなくなった踊り子の服をください」

 僕と仲間達の間をピョーッと北風が走り抜けていった。バタバタと彼女のスカートが揺れる。
「ソロ、色々辛いことがあるんだろーけど、それだけは駄目よ。女装してストレス解消だなんて……」
目を閉じたマーニャがフラっと後ろに倒れる。隣にいたミネアが慌てて彼女を抱きしめる。
「ちょ、ちょっと待て。何変な誤解をしているんだ。こら、起きてくれ、起きるんだ」
慌てて駆け寄るも、マーニャは「うーむ……」とうなるだけで目を開けない。
「勇者様、私、見損ないました」
姉を抱えたミネアが氷のまなざしで僕を見る。
「いや、だからだね、ミネア……」
「私達姉妹に近寄らないでください。それ以上近寄ると容赦しませんよ」
「あーあ、ちょっと期待して損しちゃった……。ブライ、クリフト、先にお城へ向かいましょう」
「そうですね、姫様」「勇者殿の趣味が女装だったとはのぉ」
「ソロくん。こんど、いい服を仕入れてきますよ。女性の服をね」
好き放題言って仲間達が次々と店の外へ出ていった。
「待て、誤解するなと言ってるだろう」
慌てて皆を追う僕に、ミネアの肩越しからマーニャが悪戯っぽく笑顔を向けてきた。
くそ、やっぱり確信犯か……
店のオヤジの大爆笑を背に、僕はサランの武器屋を出ていった。
 「さ、こっちよ。こっち……あ、そこは駄目。足音がたつから」
アリーナが先頭に立って僕らをサントハイムへ導いた。
間近にみるサントハイム城は不気味に静まり返っていて、人の気配は全くない。
「静かね、あの詩人さんから聞かなかったらバルザックはいないんじゃないかと
思ってしまうわ」
「姉さん、人だったらこうはいかないわ。ここには間違いなく大勢の魔物がいる」
忍び込んだ城の中は重い空気に満ちていた。
アリーナ、ブライ、クリフトが眉をひそめる。城の中は蜘蛛の巣がかかり、壁は
崩れ、見るも無惨な有様だ。
「くっ、せめてもう少し人並みに掃除しようとは思わないのかしら」
忍び足で戦闘を走るアリーナが愚痴をもらす。
「しっ、アリーナ、前から魔物が来るわ」
ミネアの声に僕らは足を止めた。柱の陰からそっと除くと鎧をまとったサイの姿の
魔物が歩いて来る。サイ男だ。

1.問答無用で押しとおる
2.捕らえて情報を聞く
3.隠れてやりすごす
396 ◆kYB5EDmqco :03/04/19 22:27 ID:usduGz/9
スマソ。トリップ入れ忘れました……御免。
2!
無難に3かな
2で
400 キリ番getter ark:03/04/20 20:40 ID:lvyaLKD2
40000000000000000000000000000000000000000000000000000


ttp://www1.kcn.ne.jp/~geosword/ss/s-room/fmongen.html
401296 ◆kYB5EDmqco :03/04/20 23:11 ID:U960rYkT
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
2番2票、3番1票で2番に決定しました。

 「やつを捕らえて城の中のことを吐かせるとするか」
僕の言葉を聞いたライアンとアリーナとミネアの三人が前へ出た。
「私がラリホーで!」
「いや、拙者にお任せあれ」
「あたしがやるわ。あんなとろいやつ一撃よ!」
さて、どうしよう。

1.ここ一番で頼りになるライアン。
2.不安だがアリーナに任せてみる。
3.ミネアのラリホーより僕のラリホーマだ。
4.ミネアを信頼する。
アリーナだと殴り殺しそうなので1のライアンで
2。
殴り殺しちゃっても結果オーライということで
1かな。ライアン好きだ。
405296 ◆kYB5EDmqco :03/04/22 00:10 ID:ROsggRaT
DQ5のゲームブックを読んでいたら、こんな時間に……やばいやばい。
参加ありがとうございます。ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
1番2票、2番1票で1番に決定しました。

 音もなく魔物の背後にまわったライアンが、急所に剣の柄を叩き込んだ。
うめき声すら発せず魔物がゆっくりと倒れる。手早くアリーナが魔物を縛り上げ、喝をいれた。
「ほう、これはなかなかの逸品ですな」
後ろで、トルネコがサイ男の落としたバトルアックスを値踏みしている。
僕は、意識を取り戻した魔物の胸を締め上げて聞いた。
「答えてもらう。この城にはどれだけの魔物がいる?そして、おまえらの親玉バルザックはどこだ!!」
「……へへへへへ、馬鹿め。この城にどれだけ魔物がいようが人間どもに関係なんてあるものか。
おまえら全員バルザック様に一捻りでおしまいさ。あーっはははははは!」
アリーナが高笑いする魔物の腹に強烈な一撃をお見舞いした。『ボスッ!』 
鈍い音が走り、魔物がぐったりと目を閉じる。声すら立てずに魔物は絶命した。
406296 ◆kYB5EDmqco :03/04/22 00:11 ID:ROsggRaT

「とりあえず、これでこの城に奴がいることだけは、はっきりしたわね」
マーニャがミネアと目線を交わして頷く。
「ふん、とっとと玉座から引きずりおろしてやるわ」
アリーナが鉄の爪の革ひもを縛り直しながら高らかに宣言する。
「ああ、ソロくん。せっかくだから、このバトルアックスを持っていこうじゃないか」
差し出されたバトルアックスを手に取り軽く素振りをする。空気を割る音がした。
「へぇ、気に入ったよ」
僕は使っていた破邪の剣をライアンに渡し、バトルアックスを装備することにした。
これで、ライアンが今装備している破邪の剣に限界が来ても問題はない。
僕らはあたりの気配を探りながら、さらに城の奥へと進んでいった。

 アリーナを先頭に僕らは風のように突き進んでいく。
「アリーナ、あの階段は?」
廊下の突き当たりに僕は階段を見つけた。
「あの階段は、お父様の謁見の間へ続くものよ。そうね、バルザックが
城の主になった気でいるなら、あそこにいるんじゃないかしら」
「奴ならありえるわ」「私もそう思います」
アリーナの言葉に姉妹が頷く。

1.謁見の間へ
2.他の場所へ
407296 ◆kYB5EDmqco :03/04/22 00:18 ID:ROsggRaT
もうバルザック戦か……。おお、たかが一戦なのに結構チャート表が長い……。

▼勇者一行の現状
(SS内に登場した装備のみ記載。他の装備は、各章終了時にもっともいい武具を
入手していると考えてください。数値はおおよそのものです。SS内に数値計算は
出てきません。HP/MPともに全員満タンです)
勇者:武器はバトルアックス、防具は初期装備 左腕に青銅の盾を装備。
ミネア:武器は鎖がま、タロットも所持
ブライ:安らぎのローブ装備
クリフト:ホーリーランス装備
ライアン:破邪の剣を装備。さらに、もう一本破邪の剣を所持。
マーニャ:防具は身かわしの服。「踊り子の服」の上に着込んでいる。
1で行きましょう!
寄り道はDQの基本てことで2
もうちょっと長く遊んでいたいので寄り道の2で〜
411世界にひとつだけの花:03/04/22 22:02 ID:UAHP5M5D
<血液型A型の一般的な特徴>(見せかけのもっともらしさ(偽善)に騙されるな!!)
●とにかく神経質で気が小さい、了見が狭い(臆病、二言目には「世間」(「世間」と言っても、一部のA型を中心とした一部の人間の動向に過ぎない))
●他人に異常に干渉して自分たちの古いシキタリを押し付け、それから少しでも外れる奴に対しては好戦的でファイト満々な態度をとり、かなりキモイ(自己中心、硬直的でデリカシーがない)
●妙に気位が高く、自分が馬鹿にされるとカッと怒るくせに平気で他人を馬鹿にしようとする(ただし、相手を表面的・形式的にしか判断できず(早合点・誤解の名人)、実際にはたいてい、内面的・実質的に負けていることが多い)
●権力・強者には平身低頭だが、弱者に対しては八つ当たり等していじめる(強い者にはへつらい、弱い者に対してはいじめる(特に人が見ていない場合))
●あら探しだけは名人級でウザく、とにかく否定的(例え10の長所があっても褒めることをせず、たった1つの短所を見つけては貶す)
●基本的に悲観主義でマイナス思考に支配されているため性格が鬱陶しい(根暗)
●何でも「右へ習え」で、単独では何もできない(群れでしか行動できないヘタレ)
●少数派の異質・異文化を理解しようとせず、あるいは理解を示さず、排斥する(差別主義者、狭量、視野が狭い、多数派=正しい と信じて疑わない)
●集団によるいじめのリーダーとなり皆を先導する(陰湿かつ陰険で狡猾)
●他人の悪口・陰口を好むと同時に、自分は他人からどう見られているか、人の目を異常に気にする(自分がそうだから容易に他人を信用できない、ポーズだけで中身を伴っていない、世間体命)
●たとえ友達が多くても、いずれも浅い付き合いでしかなく、心の友達はおらず孤独(心の感度が低く、包容力がなく、冷酷だから)
●頭が硬く融通が利かないためストレスを溜め込みやすく、また短気で、地雷持ちが多い(不合理な馬鹿)
●たとえ後で自分の誤りに気づいても、素直に謝れず強引に筋を通し、こじつけの言い訳ばかりする(もう腹を切るしかない!)
●男は、女々しいあるいは女の腐ったみたいな考えのやつが多い(例:「俺のほうが男前やのに、なんでや!(あの野郎の足を引っ張ってやる!!)」)
412296 ◆kYB5EDmqco :03/04/22 23:19 ID:ROsggRaT
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
1番1票、2番2票で、しばしバルザック放置プレイと決定しました。

 「もう少し城内の様子を探りたい」
多少無謀な僕の意見だが、姉妹もアリーナ達も異論はないようだ。
僕達は謁見の間を後回しにしてさらに先へ進む。
「この先に宝物殿があるわ。役に立つ物が残ってるといいんだけど……」
アリーナが僕らを城の奥の宝物殿へ案内した。さすがに無人というわけにはいかず、
門の前に二匹のサイ男が戦斧を構えて警護についている。
「警護についてるってことは、まだ何か残っているのかもしれないね」
小声で呟いた僕の言葉にアリーナ達が頷いて賛同する。
今度は前と違って気付かれずに倒すのは難しい。

1.押しとおる
2.様子をみる
3.あきらめて謁見の間へ
1で。
インパスで赤く光っても宝箱を開ける俺ですので。
こないだミミックってわかってる箱わざわざあけて酷いめにあった漏れなので1で
415296 ◆kYB5EDmqco :03/04/23 22:45 ID:FBN6oN7A
今日はちょっとはやめに更新。
参加ありがとうございますm(_ _)m ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
1番2票で1番に決定しました。しかし、思えばインパスなんて全然使わなかったなぁ。

 ピオリムでスピードをあげたアリーナとライアンの二人が疾風のようにサイ男に迫る。
アリーナの閃光のような一撃に抵抗することもできず、魔物は崩れ落ちる。その巨体をライアンが
しっかりと受け止める。間髪入れず、残ったサイ男をミネアのラリホーと僕のラリホーマが襲う。
二つの眠りの呪文で意識を朦朧とさせられたサイ男は、ブライのヒャダルコの冷気を
かわすこともできず一瞬で氷づけにされた。
「ふふん、魔物なんてちょろいちょろい」
「姫様、あまり大きな声を出すと気付かれます」
僕は、宝物殿の扉を魔法の鍵で難無く開けて、奥へと向かった。
内部はすでに荒らされていたが、二つだけ閉じたままの宝箱があった。
ブライがそっと近づき宝箱をあける。
「これは、間違いなく王家に伝わる秘宝。このみすぼらしい杖が
マグマの杖で、この面妖な形をしたものが『あやかしの笛』ですじゃ」
「ほぅ、吹くと目に見えない物が見えるというあの……」
「その通りぢゃ、クリフト。二つとも無事だったとは……魔物どもに目の確かな
ものがおらんかったこともないじゃろうが、まぁ、無事で良かったわい」
手に入れたばかりの笛をじっと眺めていたトルネコがポツリと呟く。
「そういえば、この笛、告げ所で見たピサロという男が吹いていたものにそっくり
ですねぇ」
「言われてみれば……」
ピサロという名前に食いつくように反応したアリーナとマーニャの二人が
トルネコと同じ感想をもらす。
416296 ◆kYB5EDmqco :03/04/23 23:01 ID:FBN6oN7A
しかし、僕らにそのことでじっくりと相談する時間はなかった。
「おい、誰か倒れてるぞ!」「何!侵入者か」
「宝物殿の方でも二人ほどやられてるぞ!」
どうやら、最初に倒したサイ男の死体が見つかってしまったらしい。
「こっちよ!こっちからなら逃げられるわ」
先頭に立ってアリーナが走る。先程までの静寂を打って破るように魔物どもが大挙
して宝物殿に押し寄せてくるのが見えた。どこにこれほどまで潜んでいたのか……
とても相手できる数ではない。戦闘をひた走るアリーナの姿を頼りに僕らは宝物殿
から一足先に抜け出した。

 「魔物達は?」
しばらく城内を彷徨わされた末に、結局僕らは謁見の間へ続く階段へと逃げ込む羽目になった。
「どうも、我々が謁見の間へ駆け込んだとみるや追跡を断念したようですな。
バルザックとか申す者は相当強いのでしょう」
殿を務めていたライアンが冷静に分析する。
「ふ〜ん、奴らのボスは、弱者をいたぶるのが楽しみで仕方ないという印象を禁じ得ないよ」
「ずいぶん、察しがいいじゃない、ソロ。その通りよ。でも、わたし達は別に弱者じゃないわよ」
「ところで、ソロ殿。このマグマの杖は誰がお持ちになるのですかな?
武器としてもかなり使えますぞ」
軽口を叩きながら薄暗い階段を注意深く上っていくと、ブライが声をかけてきた。
「いいのかい?」
「もちろんですじゃ。なにせ今はこのような時代でしてな。使わなければ、まさに
宝の持ち腐れ」

誰に装備させる?

1.マーニャ
2.ミネア
3.ブライ
4.クリフト 
417296 ◆kYB5EDmqco :03/04/23 23:05 ID:FBN6oN7A
というわけで、次からバルザック戦本番です。
うーん、予定だと一昨日にはもう戦ってるはずだったんだけど……まぁ、いいか。
戦闘の選択肢次第では6日で終わるかもしれないしな……
ミントス以降スタメンにミネアとマーニャいれてなかった俺なので4番で。
クリフトの大根に愛を感じる漏れなので、3で
420296 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 21:02 ID:LVMUYkkd
参加ありがとうございます。 ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
4番1票、3番1票、先着順で4番に決定しました。

 クリフトがマグマの杖を持ち、彼のホーリーランスをミネアが持つことになった。
二人ともかちゃかちゃと手にしたばかりの武器の手入れをしている。
階段をあがりきると、謁見の間の大きな扉が開けっ放しになっていて、中の様子を見ることができた。
「……誰もいないのか?」
「いいえ、ソロ。近くに邪悪な気配を感じます」
僕を先頭に仲間達が謁見の間に踏み込む。妖気を含んだようななま暖かい風が吹き抜けていく。八人が一様に立ちすくむ
「これは、相手は途方もなさそうじゃ……」
ブライが僕に話しかけようとしたとき、
「バルザック!お前がここにいるということはもうわかってるのよっ! 早く出てきなさい。
あたしはこのサントハイム王国の王女、アリーナ。この城の本当の主人です。この国の平和を返してもらいに来たわ。」
アリーナの凛とした声が謁見の間に響き渡った。
「クックックッ……その城を放っぽりだして出ていかれたのはどちら様でしたかな。このままうち捨てられるのもあまりに不憫ゆえ、
我々が使ってやっているのです。感謝されこそすれ、非難される道理などないですな……クックックッ」
その声は謁見の間の天井そのものから響いてくるように聞こえた。聞いているだけで寒気が走るようなおぞましい声だ。
しかし、姿は見えない。
421296 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 21:08 ID:LVMUYkkd
「黙りな、バルザック!エドガンの娘、マーニャとミネアが決着を付けに来たわよ!!」
マーニャの担架が魔物の薄ら笑いをかき消した。
「この城は我々の物。お前のような魔物に勝手なマネは許しません」
「その通りじゃ。魔物ごときに伝統あるサントハイムの城をわたしてなるものか!」
クリフトとブライがアリーナを守るようにスッと前に出る。
「ハハハハッ!嬉しいぞ、マーニャ、お前まで来てくれるとはな。しかも、こんな生きの良い仲間まで
連れてきてくれるとはな……」
バルザックの声が部屋の中にこだまする。部屋に奴の声が響き渡る。
「くっ、まるで部屋中全て奴の口のようだ。頭が痛くなってきた」
「ソロ、惑わされては駄目。精神を集中するのよ」
ミネアはそう言うが、気が散って仕方がない。
「元気なおもちゃ達よ。楽しませてもらうぞ…」
空気にとけ込むかのように笑い声がやんだ。声のする方向、
天井を見上げた僕の目に、笑い声に合わせて揺れている豪奢なシャンデリアが映る。
巨大な腕が空中に現れ、前線に立つ仲間に向けて振り下ろされたのはその時だった。どこから
出てきたものか……ただ空中に巨大な腕だけが現れたように見えた。腕の直撃を受けた謁見の間の床に穴が開いた。
見る見る崩れていく石の床。腕から身をかわしたものの、足場を無くしたクリフトとブライが、そして、
それを助けようとしたライアンまでがその穴に巻き込まれて落ちようとしている。
「ブライーッ!クリフトォー!!」
助けようとアリーナが後を追う。

1.アリーナを止める
2.まだ間に合う、ライアンを助けるんだ
3.思い切って穴に飛び込む。
422296 ◆kYB5EDmqco :03/04/24 21:13 ID:LVMUYkkd
そういや、PS版だと『あやかしの笛』はどう説明されてるんだろう。
目に見えないものが見えるようになるって感じじゃなかったよな。
吹くと作動するエレベーターだと……

▼勇者一行の現状
(SS内に登場した装備のみ記載。他の装備は、各章終了時にもっともいい武具を
入手していると考えてください。数値はおおよそのものです。SS内に数値計算は
出てきません。HP/MPともに全員満タンです)
勇者:武器はバトルアックス、防具は初期装備 左腕に青銅の盾を装備。
ミネア:武器はホーリーランスを装備、タロットも所持。鎖鎌を所持。
ブライ:安らぎのローブ装備
クリフト:マグマの杖を装備。
ライアン:破邪の剣を装備。さらに、もう一本破邪の剣を所持。
マーニャ:防具は身かわしの服。「踊り子の服」の上に着込んでいる。

■重要アイテム
ホイミンからもらった『魔法の鍵』。海辺の村で手に入れた『渇きの石』
サントハイムで手に入れた『あやかしの笛』
これは選択じゃないけど。
穴に乾きの石を落としたら、石が発動してさらに謎の穴が広がるっていうわけのわからない
展開を考えてしまいますた。石が発動するのは水のある場合でつね。

ここで勇気を出して3!
424296 ◆kYB5EDmqco :03/04/25 23:51 ID:Rhkyr3pW
参加ありがとうございますー。 ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
3番、大穴に飛び込むで決定しました。

 とっさに床を蹴って僕は穴へ飛び込む。
「えっ! ちょっと、ソローッ!!」「ソロッ!」
アリーナとマーニャがあげる驚愕の声を背に僕は落ちていく。
仲間達の目には暗黒の暗闇に落ちていくソロの姿が映った。
「ククク、一人助からんと見て自ら死を選んだようだな。小賢しい虫にしては
いい判断だ」
バルザックの声が間近になった。振り向いたマーニャは、部屋からあふれ出さんばかり
のバルザックの巨体を見た。
「なに言ってんのよ! あの子は小賢しいなんてもんじゃないんだから。
お前並に生意気でずる賢くてスケベで口八丁で自信家で……とにかくゴキブリ並にしぶといんだから。
穴に落ちたのだって何か考えがあってのことよ!!」
「いいところがないようにしか聞こえぬし、どんな考えがあって底の見えぬ穴に飛び込むというのだ……?」
「姉さん、やっぱり、それって誉めてないと思うわ……」
「え、そ……そう? でもまぁ、お前より素直ないい子よ」
やれやれと言ったようにバルザックが首を左右に振る。
425296 ◆kYB5EDmqco :03/04/25 23:51 ID:Rhkyr3pW

「……まぁ、いい。年寄りや男どもには早々に退散していただいて、
これから先は美しいお嬢さんがたとゆっくり楽しむとしよう……フハハハハッ!」
腐臭の漂う醜い肌の色、ぬめりとした真っ赤な口を開けて笑うバルザック。
体のあちこちは異様に盛り上がり、人間だったころの面影など欠片もない。
「フンッ、魔物なんかに美しいと言われても全然嬉しくないわ。そのみっともない
姿をこれ以上さらさなくて済むように、あたしが引導をわたしてあげるわ」
アリーナがバルザックの前に立ちふさがる。気合いとともに、謁見の間の床を蹴って
バルザックの腰に鉄の爪を食い込ませる。
「これが、攻撃かぁ……? くすぐったいだけだぞ、ほらぁっ!」
腕を一振り。アリーナが簡単に壁へと向けてはじき飛ばされる。
「くっ」
空中で一回転をして着地するアリーナ。その顔に屈辱の色が浮かぶ。
「ミネア、いくわよ」
凛とした姉の声に、おびえていたミネアの表情が変わった。

1.マーニャが呪文でアリーナの援護をする
2.ミネアのバギマで攻撃する
3.トルネコの意外性に期待

トルネコラブ
リセット可能なら間違いなく3だけど、
この状況でパルプンテは怖いので、堅実に1
トルネコタンハァハァなので3(*´д`)
429296 ◆kYB5EDmqco :03/04/26 23:23 ID:NHetI4rx
参加ありがとうございます。 ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
3番2票、1番1票で3番に決定します。

「皆さん、この私が魔物を引きつけます。その隙に……」
部屋の隅で小さくなっていたトルネコが前に進み出てきた。
手をひらひらとさぜ、腰をなまめかしく回し始める。
ひらひらとして手つき、悩ましげな腰の動き……これぞトルネコの不思議な踊り。
見ている女性達は恥ずかしそうだ……目の前をちらつく腹の出た中年親爺の奇怪な
動きを見たバルザックの目が怒りに染まる。
全身を震わせたバルザックがその巨大な腕を袈裟懸けに振り下ろす。
「ぬひょおぉぉぉっ」
大げさなかけ声とともに身を竦めてそれをかわす。
トルネコの間近を熱風が通り過ぎていく。
返す腕で振るわれるバルザックの爪が真一文字に軌跡を描く。
「ほえーっ」
今度は怪しげな屈伸運動でそれをかわすトルネコ。
バルザックが左右連続で交互に突きを放ってくる。
「ぬひょぉっ、ぬひょっ、ほえっ、ほえっ、ほえっ……!」
奇声をあげながら、踊り子のようにくるくる回りながら突きをかわす。
一瞬の遅滞も許されない神業だ。女性達も思わず固唾を飲んで見守ってしまう。
「こ、この狸親父がっ!!これでも食らえ!」
バルザックがその裂けた口から炎を吐いた。灼熱の炎がトルネコの身をこがす。
炎の直撃を受けたトルネコが、女のような甲高い声で絶叫をあげて部屋中を転げ回る。
さらにバルザックが炎を吐きまくる。そのたびに身を翻して直撃を避けねばならず、アリーナも
マーニャも、ミネアも、まるで手が出せない。
「誰か、あいつの動きを止めて」
アリーナが悲痛な声で叫ぶ。

1.銀のタロットを使う
2.マーニャが呪文でバルザックを牽制。ミネアとアリーナがトルネコの援護に向かう。
1 銀のタロットでがんがれ〜。
431296 ◆kYB5EDmqco :03/04/26 23:32 ID:NHetI4rx
うあ、誤字が……。 ×ひらひらとして ○ひらひらとした
それと、すみませんが、選択肢追加させてください。

1.銀のタロットを使う
2.マーニャが呪文でバルザックを牽制。ミネアとアリーナがトルネコの援護に向かう。
3.ガンガンいこうぜ(いま持つ最強の手段でバルザックを攻撃)


●現在戦闘中のメンバー。
トルネコ、アリーナ、マーニャ、ミネア。
炎の直撃を受けたトルネコの現在のHPは60%ほど。
それにしても、素面ではできない編成……。

●今のところ戦闘参加不能なメンバー
ソロ、ライアン、ブライ、クリフトの四人。
大穴に落ちて生死不明。  

432430:03/04/26 23:45 ID:ocHy9z/w
おぉ、ガンガンいこうぜが追加された!

じゃあ、選択変更しまつ。

「みんな頑張れ」でw
433296 ◆kYB5EDmqco :03/04/27 23:52 ID:p8bvZMqM
うわ、なんか凄く辛い選択肢。
参加ありがとうございますm(_ _)m ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
432さんの作戦名「みんな頑張れ」に決定しました。どう書こう……
 
 「なんで私が前線に出て苦労しなくちゃいけないんだか。ソロのやつぅ……」
愚痴をこぼしながら、マーニャが謁見の間を前へと詰める。
身につけた「身かわしの服」の作用か、彼女にはバルザックの吐き出す炎が描く軌跡が
手に取るように感じられる。そのまま、左右にステップして炎をかわしながら突進する。
パシッ! 鮮やかな音ともに開かれる鉄の扇。接近したマーニャが、扇の鋭い刃先をバルザックの体に食い込ませる。
「馬鹿めが。貴様の非力な腕で私をどうにかできるとでも思っているのか」
炎を吐くのを止めたバルザックが、その手に光る爪でマーニャに斬りかかる。
「くうっ!」
どの攻撃も予想以上にタイミングが早かった。飛び散った鮮血が謁見の間を赤く染める。
マーニャの右肩、左腕、頬、腿をバルザックの爪が捉えた。
肩を押さえ、たまらず地面に膝をついたマーニャが、呆れたようにバルザックの巨体を見上げる。
(くっ、以前戦ったときとは比べ物にならないくらい早い。反応するので精一杯だった)
「どうしたマーニャ、よけないのか? もっと血を見ることになるぞ」
えぐり取った肩口の肉を食みながら、バルザックがうっすらと笑う。
以前とは比べ物にならないバルザックの力、邪悪な性に、思わず戦慄を感じて彼女は後ずさる。
獲物の表情に満足げに笑ったバルザックが右腕を振りかぶる。
「上手いな、お前の肉は。もっと……もっと食らわせろ!」
足をやられた彼女には到底かわせない攻撃。迫り来る死神の魔の手。
「血を見るのはあんたの方よ!」
マーニャが笑った。その瞬間、猛烈な空気の流れが部屋の中を駆け抜けた。
434296 ◆kYB5EDmqco :03/04/28 00:09 ID:+4eXd+Mm
 トルネコの回復を終えたミネアがバギマの呪文を放ったのだ。 
バルザックの無防備だった顔面を空気の渦が覆いつくし、真空の刃が切り刻む。
「ウッ!クッ!グググオォォォォーッ!」
両手で目をおおってバルザックがもがく
「残念ね、バルザック。妹があたしの相手にあんたはふわしくないってさ!」
ミネアがつくった間隙をさらに広げるべく、マーニャが猛然とメラミの呪文を唱える。
吹き出す巨大な炎弾がバルザックの全身を包み、巨大な火柱をつくりあげる。
怒号とともに視界を失ったバルザックがマーニャを捕らえようと腕を伸ばすも、ミネアが新たに放った真空波に阻まれ虚しく空を振る。
「いまよ、(   )!」
マーニャが仲間に呼びかける。空欄に入る名前は?

1.トルネコさん
2.アリーナ
「ソロ!」
いつのまにか穴から皆をルーラで助け出してるってのは?
毎度乙です。
あまり無理はなさらないように(´ー`)

アリーナは黙ってても攻撃しそうなので、1
>435にイピョーウ!!
438296 ◆kYB5EDmqco :03/04/28 21:38 ID:+4eXd+Mm
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
1番1票、3番二票で3番ソロを呼ぶに決定しました。さて、どうしましょう。

「いまよ、ソロ!」
マーニャは仲間を呼んだ。しかし、誰も現れなかった……。
「ウソーォ!!」
マーニャの合図に何を期待していたのか、トルネコが落胆のあまりずっこける。
ズッテ〜ン! ズサササーッ……
そのとき、なんと転んだ拍子に身につけていた鉄のまえかけが外れ、バルザックの
急所を直撃! 会心の一撃。衝撃のあまりバルザックがうずくまる。
「ヤーーーーーーーーッ!」
間髪入れず、長い助走をつけてアリーナがバルザックに突っ込む。
バルザックが息を大きく吸う。アリーナが甲高いかけ声とともに跳躍した。
シュッ………バキャァ!
「決まった……」
一瞬の隙をついたアリーナの跳躍の方が速かった。スラリとのびた長い足がバルザックの胸部に突き刺さる。
「ウッ、ガッ……」
炎のかわりにうめき声をあげてバルザックが胸を押さえて後退する。
自分で開けた穴に片足を落とすと、そのまま、もろくなった床もろとも階下へ落ちていった。

439296 ◆kYB5EDmqco :03/04/28 22:49 ID:+4eXd+Mm
「姉さん……」
回復呪文をかけながら、ミネアが困ったような目で姉をにらむ。
「あはははは、いやぁ、トルネコさん、凄い! さすが武器屋! さすが年の功!」
照れたように頭をかくマーニャ。一方、当のトルネコはすっ飛んでいった鉄のまえかけ
を拾いに行っている。こちらもさすがに恥ずかしそうだ。
「とってつけたように誉めないでもらいたいですね」
改めて鉄のまえかけを装着したトルネコがボソッと呟く。
「それにしても、勢い余ってあいつを突き落としちゃったけど、どうしよう?
ソロ達、大丈夫なのかしら?」
床の大穴に落ちていったバルザック……その生死は先に階下に落とされたソロ達
同様不明だ。謁見の間を静けさが包んでいった。

 「メラ!」
かけ声とともに掌に生まれた炎が暗闇を照らす。上を見上げて僕はため息をついた。
「参ったな……ずいぶん深くまで落とされてしまったみたいだ」
「どうもそのようですな」
突然横合いから声をかけられ、おもわず僕は飛び退いた。いつのまに近づいてきた
ものか……僕の隣には松明を掲げたライアンが静かに佇んでいた。ひとしきり再会を喜び合う。
「ライアン!無事だったか」
「おかげさまで。しかし、呪文が解けるまでずいぶん時間がかかってしまったようですな」
重々しくライアンが頷く。そう、あのとき穴に飛び込んだ僕は、アストロンの呪文を唱えたのだ。
アストロンの力で僕とライアンは無傷ですんだが、この呪文は解けるまでの間全く身動きが効かないという欠点を持っている。
今、上はどうなっているのだろう。女性陣だけならともかく、トルネコが残っている
いという事実に一抹の不安を感じずにはいられない。そして、僕らと同じ下に落ちたクリフト達の行方も気になる。
ドグォォォォォン………ズズズズズズン。
轟音とともに飛来した何かが暗闇を激しく揺さぶったのは、そのときだった。
「今のは何だ?」

1.地響きの方へ
2.様子を見る。
440296 ◆kYB5EDmqco :03/04/29 23:02 ID:BNRCCLB3
んー、今日は更新無理かなぁ。とりあえず、もう少しねばりますか。
435さん、今ルーラを唱えても天井にぶつかるだけなので無理と判定しました。すみません。
1。
442296 ◆kYB5EDmqco :03/04/30 01:08 ID:/TZzrKPg
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
1番1票で1番に決定しました。

 歩き出していくらかもしないうちに、僕達は落下物に見当がついてしまった。
地響きの先から伝わってくるなま暖かい妖気を乗せた風は、謁見の間から吹き出していた
ものと同質のものだった。やがて、松明の明かりが床に開いた巨大な窪みを照らし出す。
風はここから吹き出している。
「これは……さすがに、死んだか?」
僕の希望的観測にライアンが首を振って剣の柄を握り直す。
「わかってるよ、言ってみた……」
言いかけた言葉を飲み込み、窪みの側から飛んで離れる。
ズズッ……ズズッ……ズズッ……ズズッ……
穴の中から何か這いずるような音が聞こえてくる。
身構えた僕らの目の前で、床が地響きを立てて盛り上がった。
ドグォォォグォォォーン!!
轟音とともに床を突き破って現れたのはバルザック。全身の至る所に無数の切り傷が残り、
そこから血が噴き出している。
「グォォォ、グォォォォォォォォーッ!!おのれ、ミネア。おのれ、マーニャ。
今度は容赦などせん。千々に引き裂いてからひと思いに食らってくれるわッ!!」
怒号とともにバルザックの背中が盛り上がり、こぶを破って翼が飛び出してきた。
バルザックがそのコウモリ状の翼を羽音を立ててはためかせる。飛び上がるつもりだ。
前に立つ僕とライアンのことなど目に入っていないらしい。

1.無視するんじゃない!
2.飛び上がる前に翼をねらって呪文で迎撃。
3.様子を見る。
2
444296 ◆kYB5EDmqco :03/04/30 22:03 ID:/TZzrKPg
時間的に押してきているので、そろそろ更新します。
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
2番に決定しました。

 「つれいなじゃないか。バルザック!しばらくここにいろよ」
あっというまに部屋の中に闇よりも色濃い暗雲が立ち込め、バルザックの頭上で
稲妻が炸裂する。
「うっ、ググググ……死に損ないが…小癪な真似を……」
飛び上がろうとしたバルザックがズズンと床を揺らして足を踏みならした。
「いいだろう。まずは貴様らから血祭りだ!」
すっと闇に溶けるようにバルザックの姿が消えていく。
「いかん!」
慌ててライアンが斬りかかるも、その刃は空気を斬るだけだった。
状況は圧倒的に不利……どうする?

1.松明の火を消して散らばる。
2.様子を見る。
3.またアストロンの出番だな。
445296 ◆kYB5EDmqco :03/04/30 22:05 ID:/TZzrKPg
御免。選択肢一個入れ忘れた。

1.松明の火を消して散らばる
2.様子を見る
3.またアストロンの出番だ。
4.ところかまわずギラを連発する。
4
447296 ◆kYB5EDmqco :03/05/02 00:20 ID:5icLB60s
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。
4番に決定しました。

 消えたバルザックの姿をあぶり出すためにギラを連発する。
空間を舐めるように炎がひろがり、あたりの闇を払う。だが、バルザックの姿は見えない。
「馬鹿め!いつまでも地べたをはいずり回っていると思ったか?」
炎が生み出した光を消すように大きな影が僕とライアンを覆った。
あざけりとともにバルザックの巨体が上空から落ちてくる。ライアンが左、僕が右に跳ぶ。
 紙一重で横っ飛びにかわしたものの、
着地とともに轟音をあげて揺れる床に足を取られて、それ以上動くことができない。
裂けた口の中から牙をのぞかせた奴が、僕に豪腕を振るってきた。

1.武器を捨てて盾で受け止める。
2.斧で迎え撃つ
2
450名前が無い@ただの名無しのようだ:03/05/02 23:05 ID://rfBGUs
受け止められそうにないので2。
451296 ◆kYB5EDmqco :03/05/02 23:40 ID:5icLB60s
お待たせしました。今東京から帰ってきました。嗚呼、間に合って良かったぜ。
では、満場一致で2に可決しました。
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75を。

 バルザックの丸太のような太い腕が、受け止めた斧ごと僕を跳ね飛ばした。
「ぐあっ!」
壁に叩き付けられた僕はその反動で、奴の方へとヨロヨロとよろめいてしまう。
完全に無防備になった僕に止めを刺すべくバルザックが左腕を振るう。
ブーン! ……バキャッ!
「ウヌ!小癪な……」
「見たか!」
バルザックのパンチが僕を打ち砕く前に、身を挺したライアンが両手で盾を構え
受け止めたのだ。
一歩も引かず、バルザックを押し返すライアン。バルザックは全身に力瘤を
作って盾ごとライアンを粉砕しようとしている。
「グォォォォォ!」
バルザックの表情が変わってきた。大きく開いた目と口。血管という血管が浮き上がり、
全身に刻まれた無数の切り傷から絶えず血が噴き出している。
腕の筋肉を盛り上げて対抗するライアンの息づかいも次第に荒くなってきている。
ピシリと音を立ててライアンの盾がきしむ。

1.バトルアックスを取りに走る
2.呪文で援護
3.ライデインでバルザックを攻撃。ライアンには耐えてもらう。

おお、一ヶ月で終わるつもりだったのに、予定オーバーしちゃったよ。
とりあえず、これがバルザック戦最終フラグの予定です。
3!
勇者といえばライデイン! というイメージがあるので。
453296 ◆kYB5EDmqco :03/05/03 22:58 ID:IOfYEGCt
はやいもので、もう一ヶ月ですか……。いままでレスしてくださった方、どうもありがとう。
もうじき終わりです。参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。先着の3番に決定しました。

ライアンがバルザックの動きを押さえ込んでいる今が勝機!
「バルザック、これがとどめだ。受けてみろっ!」 
ライデインが発動する。またも闇の中に暗雲が生じ、闇を裂いて稲妻が立ちこめる。
立ちこめた稲妻を、何度も何度もバルザックの頭上に叩き付ける。
決死の形相でバルザックが左腕の筋肉を盛り上げる。そのまま振り抜いてライアンごと
僕を壁に叩きつぶそうという魂胆だ。しかし、ライアンも負けていない。ライデインの
余波を浴びながら、その体は微塵も動かない。
「まだまだぁっ!」
頼もしい仲間に後押しされるように、ひときわ巨大な電光が落下。バルザックに炸裂した。
「ぐぎゃぁぁぁぁぁっ!」
耳をつんざくような絶叫をあげてバルザックが悶える。
間髪入れず、ライアンが横に盾を払った。
「ぐぉぉぉっ!」
左腕をはねのけられたバルザックの体が宙に泳ぎ、無防備なまま全身をさらけだす。
僕の真横を、閃光の塊が走り抜けていったのはそのときだった。
バルザックの胸に吸い寄せられるように閃光が突き刺さる。
「伏せるんじゃっ!」
横合いからしわがれたブライの声。
次の瞬間、バルザックの胸に食い込んだ閃光が大爆発を起こした。
バルザックの断末魔の叫びすら飲み込んで、轟音が空間を支配する……
454296 ◆kYB5EDmqco :03/05/03 23:19 ID:IOfYEGCt

 最後にバルザックを襲った閃光。それはクリフトの持つマグマの杖から放たれた物だった。
さすが一国に伝わるだけのことはる。あれだけ堅牢を誇ったバルザックの肉体をボロボロに裂いてしまった。
「ぐふふ、人間ごときにわしがやられるとは……」
バルザックは虫の息だ。そんな状態でありながら、僕達を見る奴の目は憎しみの光に満ちている。
「し、進化の秘法は、未完成だったのかも………しれん。あれが、完成して……いれば……
「……未完成で良かったと僕は思うけどね。完成した秘法を使っていれば、あんたは
あんたでなくなっていたと思うよ」
「わ、若造が……減らず口を……」
「あんたほどじゃないよ。でも、あんたの言うとおりだ。僕らが勝てたのはお前が
人間だったからだ。同じ人のよしみで苦しまないようにしてあげるよ。進化の秘法の
副作用……キングレオで見たけど、あれはすごく苦しそうだったからね」
僕がベギラマの呪文を唱え、ライアンが破邪の剣を掲げてくるりとまわした。
二重の帯状の炎がバルザックの頭を消し炭にした。
455296 ◆kYB5EDmqco :03/05/03 23:33 ID:IOfYEGCt

「揺れがやんだわ。それに、チラチラと点滅していた光も納まったみたい」
「それだと、どっちが勝ったかわからないじゃない」
穴を覗き込んでいたアリーナに、後ろでやきもきしていたマーニャがそう言う。
「そんなの、ソロ達に決まってるじゃない。マーニャって、本当、ソロのことになると
ずいぶんと心配性ね」
「しょうがないでしょ。あいつ、本当に無茶ばかりするんだから」
「同感だわ、姉さん」
クスリとミネアが笑う。トルネコがぷっと吹き出し、アリーナも鈴を転がすよう
に笑った。渋面を作っていたマーニャも仕方ないといった感じで苦笑する。
しばし、謁見の間を笑い声が占拠する。玉座の裏の床を引き抜いて、
僕が謁見の間に顔を出したのは、そんな風に仲間達が僕を引き合いにしている最中の
ことだったらしい。煤で真っ黒になった僕の顔を見たマーニャ達四人が、今度は遠慮なし
に思いっきり笑う。後から顔を出したクリフトとブライ、そしてライアンが怪訝
そうな面持ちで彼女たちを見まわした。
456296 ◆kYB5EDmqco :03/05/04 00:35 ID:iRkULU2f
「へー、こんなところに階段がねぇ」
僕が顔を出した玉座の裏の床板を、アリーナが興味津々に眺めている。
「もしもの時にしか使われぬ隠し部屋でしてな。これを知っておるのは、
この城では、わしとゴン爺くらいですじゃ」
ブライが誇らしげに解説している。
「いや、ブライ殿がご存じで助かりましたぞ。どうやってここに戻ればいいのか
途方にくれてましたからな」
「まさか、ルーラをするわけにもいけませんしね」
天井を眺めてクリフトが述懐する。きっと天井に頭をぶつけたことでもあるのだろう。
「それにしても残念。私がバルザックにとどめを刺したかったんだけどなぁ」
マーニャが意地の悪い顔をして僕をじろじろ見てくる。
「悪かったよ。でも、あんな所に向こうが落ちてきたんだから仕方ないだろう」
「わかってるってば。言ってみただけよ」
そう言ってマーニャが思い切り僕の頭をくしゃくしゃにする。
「フッフッフ、バルザックは敗れたか……哀れな奴よ」
不意に背後から聞き慣れない声がした。そこには全身を見事な甲冑で包んだ
男が立っていた。
「あ、あなたはピサロナイト!」
ミネアが驚愕したように目を大きく見開いた。
457296 ◆kYB5EDmqco :03/05/04 00:48 ID:iRkULU2f
「我々魔族の十倦怠になっているとも知らず、かなえられぬ野望に命を落とすか……
やはり、人間とは愚かだな。だが、おかげで進化の秘法の完成には黄金の腕輪が不可欠
だということがはっきりとわかった」
「なにをブツブツ言ってるのよ」
マーニャがつかつかと歩み寄る
「くくく、久しぶりだな、エドガンの娘達よ。率爾ながら、お前達の敵討ちが
見事成就したことを祈らせてはくれまいか」
あざけるような口調で男が拍手をうつ。
「やめな!あんたになんか祝ってもらいたくないよ」
「ふふ、そうか。それはすまなかったな。ところで、お前達の持っていた静寂の玉
だが、いまはこの私が預かっているぞ。ほしければ、取り返しに来るがよい。」
そう言い捨てると、ピサロナイトと呼ばれた男がマントをなびかせ、謁見の間を
出ていこうとした。
その後ろ姿にアリーナがくってかかる。
「待て!」

1.アリーナを止める。
2.アリーナを止めない。
458296 ◆kYB5EDmqco :03/05/04 00:51 ID:iRkULU2f
うわぁお、十倦怠ってなんでしょね? 御免なさい。実験体です。
なんでまたこんなごつい誤変換を……。それと、更新に時間がかかってすみません。
とりあえず、この選択肢か、この次の選択肢で最終回の予定です。
459296 ◆kYB5EDmqco :03/05/04 09:23 ID:iRkULU2f
うは、今読み返すと、ミスがいっぱい。「祈らせて」じゃなくて「祝らせて」なのに……
スマソ。
人間はなぜ送信してから読み返すんだろうね。

>>457
2で。
461296 ◆kYB5EDmqco :03/05/04 22:25 ID:iRkULU2f
>460 いや全く。リカバリーしたら辞書が馬鹿になってしまって……
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。2番に決定しました。

「待ちなさいって言ったのよ。ピサロナイトといったわね。あなた、デスピサロと名乗っている
 ピサロという男とはどういう関係? まさか、無関係とは言わせないわよ」
こちらに見向きもせず謁見の間から去ろうとするピサロナイト。だが、アリーナが口にした“ピサロ”
という名前を聞いた途端、奴がぴたりと足を止めた。
「ほう。そんなことも知っているのか!?どこで聞いたか知らぬが……
 小娘、いらぬ詮索は身を滅ぼすだけだぞ」
兜の奥の瞳を怪しく輝かせたピサロナイトがこちらに向き直った。
「何を!私の国を滅茶苦茶にしておいて、言うことがそれだけ? 教えなさい、あの男のことをっ!」
ザッと殺気が謁見の間を貫く。前傾姿勢を取ったアリーナがピサロナイトに突進する。
「やれやれ、小娘の出る幕などないというに」
滑るように身を躍らせたアリーナの高速の一撃を、ピサロナイトは手にした盾で彼女の
体ごと壁まで吹き飛ばした。
「ギャッ!」 「姫様!」
クリフトがあわてて駆けつける。
槍を音高くしごいたバルザックが、その切っ先をアリーナに定める。
「このまま見逃してやろうと思ったが、気が変わった。ピサロ様の名前を知っている
 以上、看過するわけにはいかん」

1.アリーナをかばうようにピサロナイトの前に立つ
2.ライデインでやつを攻撃

というわけで、いままでありがとうございました。次回こそ最終回です。
男らしく1で。
お疲れさまでした。楽しく遊ばせてもらいました。

最後の選択も迷うけど……2で。
2で〜
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番1票、2番1票で先着の1番に決定です。それにしても、皆、上手い具合に
ゲームオーバーを避けてくれたなぁ。感謝してます。

 僕がアリーナとピサロナイトの間に割って入る。
「邪魔をするな。小僧、死にたいのか」
「あいにくと、デスピサロという男には僕の方も用があるんだ」
「ちっ、貴様もか。つくづく命がいらんと見える。人間ごときにあの御方の名を
呼び捨てにされる謂われなど無いッ!」
ガッキィィーン!
火花が飛び散り、戦斧と騎槍のぶつかり合う音が謁見の間に響き渡った。
「ピサロナイト。ピサロとは一体何なんだ。本当に彼がデスピサロなのか?」
「貴様がそれを知って何になる……」 「お前に関係はなくても僕には関係があるんだ!」
僕の渾身の一撃を一歩も引かずに受け止めたピサロナイト。先に攻撃をしかけた僕の方が
じわじわと後退させられていた。負けじと押し返そうとしたとき、不意にピサロナイト
が身を沈ませたかと思うと、僕に体当たりを食らわせた。
「うあっ!」
部屋の中程まで吹っ飛ばされた。うめき声をあげて立ち上がろうとする僕の前に、
あっという間に間合いを詰めて立ちふさがるピサロナイトがいた。
「最後に一つ聞いておこう。何故そんなことが気になる? 小僧」
「デスピサロは、僕の父さんの……村の人々の仇だっ!それをかばうというなら、
お前に容赦なんてしない」
怒りに燃えた目で僕はピサロナイトをにらみ返す。右手を掲げ、呪文を唱える。
「くらえ、ライデイン!」
しかし、魔物に下るはずの聖なる雷はいっこうに現れない。
ガ━━━(;゚Д゚)━━━ン!!!
2番に投票されてる。そ、そんな、1番で最後まで投稿できない。
スマソ……リロードしてませんでした。
というわけで、やり直しです。御免m(_ _)m 参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。1番1票、2番2票で2番に決定しました。

「ライデイン!」
魔物の突進を止めるべく僕はライデインの呪文を放った……しかし、魔物を降す聖なる
雷がいっこうに姿を現さない。
「そ、そんな馬鹿な……」
「フハハハハッ! 何をしている。何のお呪いだ」
「ちっ、ならばこれはどうだ!」
クリフトの手の中で不気味に鳴動したマグマの杖が先端部より閃光を放つ。
炸裂するエネルギーの塊を軽々と避けたピサロナイトが、高笑いをあげて接近する。
手にした騎槍がうなりをあげてクリフトとアリーナの体にかかろうとした瞬間、
音もなく間合いを詰めたライアンの破邪の剣が魔物の攻撃を遮った。
激しい鍔迫り合いの後、先に身を退いたのはピサロナイトの方だった。
後ろに飛びのき、危なげなく着地する。ライアンも盾を投げ捨てると、静かに両手で
剣を構え直す。
「ほう、少しは使える奴がいたようだな。私はデスピサロ親衛隊長ピサロナイト」
名乗りをあげてピサロナイトが前に進み出る。
「拙者、バトランドの王宮戦士ライアン。一対一の勝負を所望する」
「その勝負、受けた!」

 騎槍を投げ捨てたピサロナイトがスラリと腰の剣を引き抜き、ライアンに飛びかかる。
謁見の間に剣と剣が激しくぶつかり合う音が響き渡る。技は互角。しかし、力で相手に
勝るライアンよりも、わずかに速さで相手をしのぐピサロナイトの方が有利に勝負を進めていく。
「しまった!」
ピサロナイトの疾風のような連続攻撃をかわし損ねたライアン。大きく後ろに
跳んで相手の間合いから逃れたものの、がっくりと膝をついてしまった。
ピサロナイトがとどめの剣を振り下ろそうと疾駆する。
薄く笑ったライアンが手にした破邪の剣をピサロナイトに向けて投げつけた。
「なっ」
ピサロナイトが驚愕する。とっさのことに方向転換もままならず、手にした剣で破邪の剣をたたき落とす。
その一瞬の隙をついてライアンが相手の懐にもぐりこんだ。
鈍い音をたてて左拳がピサロナイトの脇腹にえぐり込む。たまらずピサロナイトが膝をついた。
「終わりだ」
冷たく言い捨て、ライアンが新たに抜きはなった破邪の剣を振り下ろした。

ガッ!ギィィィィィ
「なっ」
今度はライアンが驚愕する番だった。上段から振り下ろされたライアンの剛剣を、
ピサロナイトは、素手で受け止めて見せたのだ。異音をたてて剣がきしむ。
「戦士よ、お前の腕は素晴らしい。だが、その武器では……届かぬ!」
パキンと音を立てて破邪の剣が折れた。ピサロナイトが手元に残った折れた刃先を
ライアンの足の甲に突き立てる。ライアンの顔が激痛でゆがんだ。
「次は……私の番だ」
ゆっくりとピサロナイトが立ち上がる。そのとき、部屋の中央から黒煙が吹き出し、
ローブ姿の魔物が突如姿を現した。
「ピサロナイト様、一大事です。丘の塔に人間どもが大挙して押し掛けて
 参りました。どうかお戻りください」
「何!」
ピサロナイトが名残惜しげにライアンを見る。
「ちっ、欲深い人間どもめ。戦士よ。すまぬがこの勝負、預からせてもらうぞ。
 久しぶりに楽しめたというに……私は運が悪い」
一陣のつむじ風が、謁見の間を駆け抜けた。ピサロナイトはその風とともに消えた。
469296 ◆kYB5EDmqco :03/05/06 01:17 ID:hs5AeYJB

 足に突き刺さった折れた剣を引き抜いて、ライアンが戻ってきた。
「恐ろしく腕の立つ魔族でしたな、しかしなんでまた退いたんじゃろうか」
ブライが労いの言葉をライアンにかけるが、ライアンは黙り込んだまま目を閉じて壁にもたれかかる。
「静寂の玉に進化の秘法……これ以上お父様の遺産を悪用させるわけにはいきません」
「そうね、ミネア……わたしたちの戦いはまだ終わらない」
姉妹が僕をじっと見つめる。バルザックは利用されただけだった。魔族の王を
倒さなければ、全てが終わったとは到底言えない。
「お父様やお城の皆も消えたまま……ブライ、クリフト、あたしたちの旅もまだまだ続くようね」
「ソロ殿、わしもご一緒しますぞ。ソロ殿や姫様だけに任せておっては危なくて
 見ておられんからのぉ」
「よく言うわね、ブライ。以前、ヒャダルコとルーラを間違えたのは誰かしら?」
「そんな前のことは忘れてしもうた」
肩をすくめてアリーナが僕を見る。その目は、僕に対する友情と信頼で一杯だ。
「我々の敵は魔族、これは決して負けられない戦いです」
「ふふ、私も商人の誇りにかけて、こうなれば世界の果てまでお供しますよ」
クリフトとトルネコも僕をじっと見つめてくる。目を開けたライアンが、僕を見て力強く頷く。
仲間達の心が一つに結びついていくの感じる。例え、この先何が待ち受けていようと
八人一緒なら……
渦巻く謎と未知の戦いへ向けて、僕達は歩き出した。
                            (終)
>>465-469
おつかれさま〜
471296 ◆kYB5EDmqco :03/05/06 01:35 ID:hs5AeYJB
 >465-468までトリップ入れ忘れてますが、私です。
というわけで、これで勇者ソロのゲームブック『バルザック戦』は終わりです。
最後にピサロナイトを出したり、いろいろ無茶やってすみません。
でも、こいつが静寂の玉を持ってる以上、こういう使い方をやりたくて仕方なかったのです。
456で、「不気味な声がした」「四体の魔物が現れた」と二つ選択肢をいれて出現フラグを
立てておくべきだったかもしれませんが、気付いたのが投稿した後だったので後の祭りでした(;´Д`)

 私が犯したポカにもめげず、レスをくれた住人の皆様。
どうもありがとうございました。とても感謝してます。
とりあえず、あとに続いてくれる人がいることを願って、私は名無しさんに戻ろうと思います。
一ヶ月間お世話になりました。それでは。

(懺悔)
もうちょっと、黒勇者っぽい選択肢を出したかったなぁ……
一ヶ月間お疲れさまでした!
とても楽しかったですよー。ライアンカコ(・∀・)イイ!
ライアンがカコヨカッタでつ! 乙!!
戦いの描写がうまいなあと思って読んでました。
楽しかったー。ほんとにおつかれさま!
474296 ◆kYB5EDmqco :03/05/08 21:41 ID:5ZR7xjpT
 スタンシアラに旅立つところで終わろうかとも思いましたが、
基本的にスタンシアラ行く前にガーデンブルグへ行けたりするので、ここで
止めました。元々引き継いだ当初の予定は、延びても一ヶ月ぐらいで終わらせるだったので……
というわけで、引き継いでマスターをされる方はどうぞご自由になさってください。

>470
ありがトン。次は、自分の代わりにマスターをしてくれる人がくるか、ナナシクラゲさん
が復活してくれることを祈っててくださいませ。てーか、誰か続きやって〜!!

>472-473
どもです。楽しんでいただけたようでこちらとしても嬉しいです。ライアンとピサロナイトですが、
自分がロザリーヒルを受け持ったらどう書くかと考えて絞り出したやつなので、
誉めて頂けて何よりです。
475296 ◆kYB5EDmqco :03/05/10 01:05 ID:VW5j2zMO
なんか、このままだと寂れて沈んでいってしまいそうだなぁ。
保守がてら4章でやってみる? ソロはもういいや。別の人が書いたソロが読みたいし。
476296 ◆kYB5EDmqco :03/05/10 10:55 ID:VW5j2zMO
ロムしてる人はいないかもしれないけど、決を取ってみよう。

1.スタンシアラへ
2.4章『モンバーバラの姉妹』
まあ、来週まで待ってみましょう。
>476
2でお願いしまつ
2に一票。
480もうちょっと様子見 ◆kYB5EDmqco :03/05/12 22:48 ID:F8nIh45k
なんか悲しいけど、誰もスタンシアラをあげないんだね。
私が続投してもいいんですか?
1に一票でございます。
>480 続きを書ける状況の人がいれば1もあがるだろうけど、そうでないから2なのかなと
思っていたけど。
俺も1がいいかな
でも職人さんが4章やりたいのならそれはそれで
484296 ◆kYB5EDmqco :03/05/14 20:06 ID:RhI1KV+k
>483
木曜の晩までに1が多かったら、責任とって自分が続行します。
ガーデンブルグ編は、他の方に是非とも任せたい。

>482
まぁ、自分も夏場あたりきな臭くなりそうなんですが。
4章くらいなら、なんとかなるかぁと楽観してます。
1だと短く済みそうなのが、私のメリットかな。とりあえず、住人の方は好きな
方を選んでくださいませ。
485あぼーん:あぼーん
あぼーん
486296 ◆kYB5EDmqco :03/05/15 22:32 ID:FWh7WxD/
とりあえず、24時まで待ちます。
487296 ◆kYB5EDmqco :03/05/16 23:35 ID:87BWiBz8
もう一声ないかなと思ってたのだが……。
とりあえず、明日の晩からはじめようと思います。今の段階だと先着で4章決定
ですね……。明日の晩8時まで受け付けてますよ!
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
2番2票、1番2票。同数ですが、先着順で2番『モンバーバラの姉妹』に決定します。
なお、祖父の入院の準備などで終われ、土曜に更新できなかったことをお詫びしますm(_ _)m

■第4章 モンバーバラの姉妹■
「マーニャだ!マーニャがもうすぐ来るぞ、急げ!」
威勢のいい若者の声が街角の路地裏に響き渡った。ほろ酔い気分の旅人や戦士たちに、
未来を語って聞かせていた占い師や預言者が、何事かと目を丸くする。その横を、
いかさま商人の怪しげな売り物を踏み散らかして、大勢の若い男達が駆け抜けていった。

 キングレオ城からはるか南にあるモンバーバラの町に夜が来た。
ここは旅人達にとって娯楽のオアシスだ。かん高い歌声と踊り、人々のにぎわい、酒と音楽、
今宵も旅人達が強い酒を飲み、幻惑感に酔いしれている。若者達の向かう先は、この町のにぎわいの中心、
美しい踊り娘が続々登場する大劇場。客席を埋め尽くす観客達の歓声と、激しいリズム
のなか、舞台の中央で一人の踊り娘がしなやかに踊っている。
小麦色の肌をした長い髪の少女。
「さあさあ!歌と踊りの楽しい夜を。今夜はマーニャだよ。マーニャが踊るよ」
けたたましい呼び込みの切符売りが少女の名を連呼する。「おいおい、これじゃよく見れないぜ」
先刻劇場に入った若者が嘆いている。
「なんせ一番人気の踊り娘だからな。この数を見ろよ、皆彼女が目当てなのさ」
「ああ、あの金色の瞳、あの紫の髪、あの小麦色の肌、あの長い足……マーニャ〜!
こっちを向いて!」

489296 ◆kYB5EDmqco :03/05/19 00:29 ID:79LthGK+
マーニャ! マーニャ! 歓声にこたえてマーニャが投げキッスを観客にプレゼントする。
陽気な彼女にとって踊り娘は天職。何もかも忘れて踊っている時が一番嬉しいのだ。
この歓声も、この汗も、陽気な一座の仲間たちも、皆彼女のお気に入り。
けれども、ここで踊るのは今日でおしまい。最後の出番を終えて、大歓声の中、彼女は名残惜しそうに楽屋へと消えていった。

「お疲れさま、姉さん。相変わらず凄い人気ね」
汗びっしょりになってかえってきたマーニャを待っていたのは、隅の椅子に腰をかけていた妹のミネアだった。マーニャとおなじ色の肌、同じ色の瞳。
ただ、太陽のようにきらめくマーニャのそれではなく、月のように神秘的な輝きを秘めている。ミネアは占い師だ。
「ミネアがこうやって待っているのも今日が最後……明日からいよいよお父さんの敵討ちの旅立ちか」
懐かしむように話しかけてくる姉を見て、手許の水晶を磨いていたミネアは困ったように笑った。
「また姉さんったら……。まだ敵討ちの旅と決まった訳じゃないのよ。お父さんの弟子だったバルザックとオーリンの二人を捜し出して、
お父さんが死んだそのときのことを聞くのが目的なんだから」
「死んだ? 殺されたのよ。お父さんが死んで、そこにいたはずのオーリンとバルザックが消えた。殺したのはバルザックで、
オーリンは怖くなって逃げ出した。他に何があるというの? それとも二人して共犯だったとでも!?」
パシッとマーニャがテーブルを叩く。姉妹の間で何度となくかわされてきた議論。
ふたりだけでなく、誰も姉妹の父エドガンの死に際を見ていない。
何故殺されたのか……誰が殺したのか……。姉妹が互いを見つめ合う。
そのとき、楽屋のドアがあいた。
490296 ◆kYB5EDmqco :03/05/19 00:32 ID:79LthGK+
「よう、邪魔したかい?」
ドアの先から姿を現したのは派手な服を着た小柄の髭面の男だった。この一座の座長だ。
「いいえ、またくだらない舌戦を繰り広げる所だったから……感謝してるわ」
「またかい……よく飽きないねぇ。ま、それはそうと今日はお疲れさん、これギャラね」
座長は、マーニャに今日の給金を投げた。
「ありがと!」
「はぁ、それにしても一年前を思い出すねぇ。あのときの鼻垂れ娘がよくもここまで立派に……
 おいちゃん、嬉しいよ」
「やめてよ、もう」
ハンカチを取り出して座長が涙ぐむ真似をする。でもしない鼻まで咬んでみせるのだから嫌がらせにも手がこんでいる。
顔を見られまいとマーニャはそっぽをむいている。ほとんど泣き顔でこの町に二人でやってきたときのことを思い出すと、
さすがの彼女も恥ずかしさと情けなさのあまり赤面してしまうのだった。無言でにらみ付けてくる
ミネアにヒラヒラと手を振って、座長が椅子に座った。
「それにしても、モンバーバラの美人姉妹が町から消えるってんで、皆凄い大騒ぎだったぜ。
 ミネアがここでマーニャを待つ姿も今日で見納めかと思うと、寂しいねぇ」
「まぁ、わたし達のような美人姉妹なんてそうはいるもんじゃないでしょうけど、父さんの敵討ちが
 すんだらここに帰ってくるわよ。ほら、泣かない! 泣かない!」
「泣いてなんかいねーよ。それで、方針はちゃんと決まってるのかい?」
「まずは父の墓参りにコーミズ村に帰ります。ちょうど父が死んで一年になりますから」
ミネアの言葉に、座長がそれがいい、それがいいと頷いた。
491296 ◆kYB5EDmqco :03/05/19 00:34 ID:79LthGK+
「しかし、エドガンさん、偉大な錬金術師だったんだろう? なんでまた弟子に殺されるなんて酷いことに……
 弟子はバルザックとかいうやつだけだったのかい?」
「もう一人、オーリンという男がいたわ。仕事はいまいちだったけど、素直でいい奴だった。バルザックは……最低な奴よ」
思い出したくもないとばかり、マーニャが一言でバルザックを切り捨てる。
「……わたしは、確信してる。父さんを殺したのはバルザックだって」
「でも、あの事件以来、オーリンさんも姿を消したんです。私達、オーリンさんも探してみようと思ってます。
 彼ならなにか知っているはずだし……とにかく心配で」
そこへ一座の副座長が割って入ってきた。
「申し訳ありません。座長、すこし来てもらえませんか?」
「なんだ、せっかく別れを惜しんでるっていうのに……すまねぇな、二人とも」
座長は彼に連れられて楽屋の隅へと去っていった。
さて、これからどうしよう?

1.座長のところへいく
2.すみっこにいるマーニャのファンの男に会いに行く
3.仲の良い踊り娘仲間のところへ別れの挨拶を
4.このまま楽屋を出る。
492296 ◆kYB5EDmqco :03/05/19 00:46 ID:79LthGK+
というわけで、今日はここまで。遅れに遅れて申し訳ない。

ところで、スタンシアラ編をやるという人がきたら、
私は途中でストップしてもいいですか?

▼姉妹の現状
初期装備。HP/MPともに満タン。
493296 ◆kYB5EDmqco :03/05/19 08:47 ID:79LthGK+
 とりあえず、あげておこう。
494空回り俺無視していいよ:03/05/19 11:12 ID:C6VvXlhP
とりあえず曲には不覚にも感動してしまっている、とカキコしておこう。
3!
496T.sakura:03/05/20 17:49 ID:vQzpPdSF
                         .  ) (  、
                       ; (    )  '
               o___, . (、. ' ⌒   `  )
               /      ~ヽ (. : ) ,  ( '  
              /    / ̄ ̄; ) ( . ⌒ )
              /    / FFDQ`‘| ' ` ”, ) 
             /    |   板  /    /  
             /     \__/    /   
    ____   /              /   
  /        \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    
  |           | /  
  |  ()  ()   |/     
  |    ∀    つ     
  |           |     
  |           |    
  └.─.─.─.─.┘
497パイナップル Ver 1.1 ◆yGAhoNiShI :03/05/20 18:42 ID:TftPLHED
  ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧   ∧_∧     ∧_∧
 ( ・∀・)   ( `ー´)  ( ´∀`)  ( ゚ ∀゚ )    ( ^∀^)
 (    つ┳∪━━∪━∪━━∪━∪━∪━┳⊂     つ
 | | |  ┃ この糞スレは終了しました   .┃ | | |
 (__)_) ┻━━━━━━━━━━━━━━┻ (__)_)
498:名前が無い@ただの名無しのようだ :03:03/05/20 21:44 ID:ipTUhFIH
デスピサロの元ネタはデルピエロだったのか?
499名前が無い@ただの名無しのようだ:03/05/20 22:00 ID:9qWSgTfZ
すでに何名かの2CHネラーにより2CH化しています。http://www.i-friends.st/?in=masamune皆さんもぜひ一度お越し下さい。最低一回カキコよろ
500名無しさん@LV2001:03/05/20 22:43 ID:T5AVxOyp

お前つまんね
YAHOOに帰んな
501296 ◆kYB5EDmqco :03/05/20 23:51 ID:4SkdYs0X
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
495さんは1を選ばれました。

 「マーニャ!」
既に出番を終えて楽屋に戻ってきた一人の踊り娘が、マーニャを見るなり駆け寄ってきた。
マーニャのよき先輩だったサラだ。
「……本当に行っちゃうんだね。寂しくなるわ……。あなた達の仇討ちの旅が成功
するように祈ってるわ。それと……一座のことは心配しないで。貴女の分まで
あたしがふんばるから!」
「ありがとう、サラ。わたし、きっと帰ってくるからね……」
ひとしきり、別れを惜しんでいると、横から一人の同僚が間に入ってきた。
「ところで、座長は? てっきり別れを惜しんでると思ったのだけれども」
「ええ、さっき副座長が来てから、隅の方で二人して難しい顔で何か話し込んでるわ」
「そう……あの話かしら」 サラの顔が深刻そうに曇った。
「あの話?」 怪訝そうなマーニャを見て、サラが何度か目をしばたかせる。
「知らないの? そうか、マーニャには目的があったものね。座長も心配かけないように黙ってたのよ。
 実はね、最近お城から女をよこせって五月蠅いのよ」
「そうよ。しかも直々にね。勅令よ」
「お城から直に? なにそれ、胡散臭くない!?」
「胡散臭いけど、お城の生活にあこがれる若い子も多くてね。座長も頭が痛いところなの。
最近のキングレオのお城は何を考えているのかしら? 薄気味悪くて、怖いわ」
「もう、サラ! 湿っぽい話をしちゃ駄目じゃない。さ、マーニャ。はやく行っちゃいな。
 他の娘達が来ると大変よ。無理矢理引き留められても知らないわよ」
そうして、マーニャは別れの挨拶にサラと短い抱擁をかわした。
502296 ◆kYB5EDmqco :03/05/20 23:54 ID:4SkdYs0X
「さて、それでは、最後に派手に挨拶をするとしますか」
サラから体を離したかと思うと、マーニャが楽屋の入り口に向かって走り出す。
そのまま宙を三回転して着地、クルリと振り返って舞台で最後に見せる踊りのポーズをしてみせた。
これを見た楽屋の人々が話をやめて彼女に注目する。
「皆様、いままでかわいがってくださって本当にありがとうございました。
 わたしたち姉妹は、これから父を殺した男を探す長い旅に出ます。
 もうお目にかかれないかもしれません。だから、わたしたち姉妹のことを、時々思い出して
 くだされば、とても嬉しく思います。では、皆さん、ごきげんよう!」
マーニャがしなやかにお辞儀をした。楽屋にいた人々の間から拍手が起こる。
あわてて近寄ってきたミネアが姉の後を追ってお辞儀をする。
「モンバーバラの名物姉妹に祝福を!」
「きっと帰ってくるのよ!」
「旅の無事を祈ってるよ」
二人は再び入り口に向き直り、拍手に送られて慣れ親しんだ楽屋を出た。

ふたりは劇場の外に出た。まるで今にも落ちそうな大きな月が、モンバーバラの熱帯夜を照らしている。
「旅立ちを祝うには上々ね。満月なんて気が利いてるじゃない」
この時間はモンバーバラも静かだ。酒場の方が少々にぎわっているだけで、
路地裏から誰かが奏でる笛の音色や、女の歌声が聞こえてくる。
ミネアが眩しげに手をかざして月を見た。
「さて、旅の準備をしなくちゃ。まずはどこに行く? 姉さんが決めていいわ」

1.武器屋へ行く
2.教会へ行く
3.防具屋へ行く
4.宿屋に帰って休む
2
504296 ◆kYB5EDmqco :03/05/21 21:27 ID:HBhaMwcF
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
503さんは2を選ばれました。

「意外ね。姉さんが教会に来たがるなんて」
ミネアが心底驚いたといった顔で姉を見る。
「なによ、わたしが神様にお祈りを捧げるべきだと思ったらいけないわけ」
マーニャの強い要望で二人は教会にやってきた。
「おや、こんな時間に誰かと思えば美人姉妹でないの? そうか、旅に出る前の
 お祈りだね、よっしゃ、任せたまえ。あー、天にまします我らが神よ…」
(いいところなんだけど。どうも、モンバーバラでは神父様まで軽くていけないわ……)
(このおっさん、どこかで見たような……はて、一体どこで? 初めて会った気がしないわ)
などと、祈りの聖句をに本音を隠しつつ姉妹は厳粛な面持ちで祈りを捧げた。
「全ては神の導きの許、必ずや父君の仇はうてましょう。あー、ところで、マーニャちゃん。
 一つ、祈りのお礼に私にサインをおくれでないかい?」
おごそかに色紙を取り出しサインをねだってくる神父。それを見たマーニャの頭
の中でようやくパズルのピースが完成した。
「あー、あんた、この前楽屋の前でわたしにサインをねだってきた人でしょう!
 しかも、ご丁寧に変装までして」
隣にいたミネアがピシリと音を立てて硬直した。しまったと言った顔で神父が口に手をあてる。
「はっはっは、ばれてしまっては仕方ない。でも、サインはあきらめないよ。さぁ、
 さぁ、是非とも書いてもらうよ、マーニャちゃん」
悪びれず色紙を差し出してくる神父に呆れたマーニャだが、不承不承といった顔
で色紙に殴り書きでサインをしてやった。
ニコニコと微笑む神父の笑顔に見送られて姉妹が教会を後にする。
「神は……この教会に神はいないわ。いないのよ……」
ぶつぶつとミネアがうわごとのように同じ事を呟いていた。

1.気分が悪くなったので宿屋に帰って休む。
2.防具屋にでも顔を出す。
3.武器屋へ顔を出す。
2
506296 ◆kYB5EDmqco :03/05/22 23:07 ID:cU9zryV2
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
505さんは2を選ばれました。

ふたりは何か必要な物はないかと防具屋へやってきた。
「いらっしゃ〜い……なんだ、マーニャちゃんとミネアちゃんじゃないの。えへへ、
ふたりとも相変わらずかわいいなぁ〜、ひっく」
「やだ、店長一杯やってんの」
マーニャが呆れていった。ミネアはすでに気配を察してか、扉の影に身を隠している。
「そうそう。マーニャちゃん。その今着ている踊り娘の服、売ってくんない?
 踊りを止めたマーニャちゃんが、いらなくなったその服を売りに来るだろうと
 予想したファンの男達から予約が殺到しててね。プレミアついて大価格。
 ね、今なら相場の十倍で買いとるからさ」
赤ら顔で店のおやじが迫ってくる。
「何考えてんのよ。このスケベ! 寝言は寝てから言いなさい!!」
「あら、いい話じゃない。姉さん」
扉の影からひょっこり顔を出したミネアがそう言った。マーニャがにらみ付けると
慌てて顔をひっこめる。

1.服ぐらい減るもんじゃない。売ってやる。
2.売ってやるもんか! 気分が悪いので宿屋へ帰る。
1 売る代わりに店で一番いい装備を一式耳を揃えて持ってこいと凄む、って感じで……。
凄む姉さんハアハア
1
509296 ◆kYB5EDmqco :03/05/24 00:03 ID:DY2sxPVc
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番2票で1番に決定です。

「ま、どうせ減るもんじゃないし。売って上げてもいいわよ」
「ほ、本当かい!? マーニャちゃん」
鼻息も荒く店長が詰め寄ってくる。
酒気のまじった空気を嫌そうに手で払いながらマーニャが答えた。
「ただし、これじゃなくてわたしのお古の方よ。ちょうど、着替えの代わりにでもと袋にいれてあったからね」
「そ、そりゃないよ。今着ている服だからこそ、価値があるわけで」
「なによ。どうせわかりっこないわよ。わたしと店長が黙っていればね」
火花を散らしてふたりが睨み合った。
「マーニャちゃん、今だからこそ価値があるんだよ。そんなお古なんて、売れると
思ってるのかい? そんなに、その服を売りたくないのかい?」
「ええ、とっても売りたくないと思ってるわ。そもそも、なんでそこまでこだわるのかなぁ?」
マーニャが苦虫を半ダースまとめてかみつぶした。
「そりゃもう、汗と体臭のしみこんだ……(以下略)」
店長の唐突に始まったフェチ談義は一時間の長きにわたって続いた。
「もういいわ、店長、よくわかったから。でもね、あたしは舞台をちょっと休むだけで。
心はまだ踊り娘なんだから。今着ているこの服は売りません。わかった?」
いい加減、この話題から離れたいとばかりマーニャが苛立たしげに言い放った。
今度は店長が苦虫を1ダースまとめてかみつぶした。

1.わかった。それで手を打とう
2.交渉は決裂し、マーニャ達は宿屋に帰った。
1
511296 ◆kYB5EDmqco :03/05/25 00:14 ID:9gZzI6m1
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
510さんは1を選ばれました。

「わかったよ。それで手を打とう。ただし、引き取るのは相場の五倍でだからね」
「ええ、それで結構よ」
「毎度あり〜」
渋面をつくって店長は金を払い、渋々マーニャの古くなった踊り娘の服をひきとった。
防具屋から勝ち誇ったマーニャが出てきた。戸口の影で待っていたミネアが呆れたようにため息をついた。
「姉さんもなかなかの悪よね」
「あら? ミネアも言うようになったじゃない。でも、あれを新品として売りつけようとする
 店長の方が悪だと思うわ。さ、宿屋に帰りましょう」
そうして、ふたりは宿屋へ向けて足早に去っていった。

 慌ただしい一日が終わり、ここはは宿屋の一室。
普段ならここで夜のお喋りとなるのだが、今夜ばかりはさすがに無口だ。
ふたりは明日に備えぐっすりと眠ることにし、ベッドに早々と入っていった。
夜がふけていく。それからしばらく、突然

1.部屋の戸が叩かれた。(妹を起こす)
2.部屋の戸が叩かれた。(妹を起こさない)
3.部屋の戸が叩かれた。そのまま無視して寝入る。
2
装備を確認してから。
514 ◆kYB5EDmqco :03/05/25 23:51 ID:9gZzI6m1
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
2番2票で2番に決定しました。

 無視しようとも思ったが、緊張が邪魔となって再度寝ることは無理そうだ。
仕方なくマーニャはベッドから抜け出す。せっかく寝付いた妹を起こさないように
抜き足でドアの真側へと忍び寄る。
「こんな夜分に誰……一体なんの用?」
精神を集中させていつでもメラを発動できるようにしてからマーニャが応えた。
呪文の集中をしたことに根拠はない。単なる勘だ。
「……お願いします。訳あって押し問答をしている暇はないのです。あけてください」
声の主は若い男のようだ。くぐもった声から逼迫したような響きが感じられる。
(信用して上げてもよさそうだけど、のぞき窓でもあればねぇ……)
残念ながら、そんな上等なものはここの宿のドアにはない。どうする?

1.怪しいからあけてやらない。
2.信頼はできそうだ。ただ、妹を起こすわけにはいかない。扉をあけて外に対面する。
3.開けてやる。
1
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番2票で1番に決定しました。

「……悪いけど、わけも話してくれないような人間を部屋にあげられないわ」
ドアの向こうで男は静かに押し黙っているようだ。

1.訳を話せば開けてあげると言う。
2.ねばっても無駄と切り捨てる
518296 ◆kYB5EDmqco :03/05/26 23:56 ID:kiK1iiq3
517は私です。
519名前が無い@ただの名無しのようだ:03/05/27 16:19 ID:l43rvJkF
2
520519:03/05/27 16:20 ID:l43rvJkF
ゴメンあげちゃった。
本当にスミマセンでした。
2−
522296 ◆kYB5EDmqco :03/05/28 00:40 ID:pMW6mZNs
実はキングレオ城に飛ばそうと思っていた。
>520 しばらくあげる手間がはぶけたからいいよ。

 参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
2番2票で2番に決定しました。

コツコツと靴音が廊下に響き、ドアの前から遠ざかっていく。
どうやらあきらめたようだ。
「あー、もう一体なんだったのかしらね」
ため息をついてマーニャはベッドに倒れ込んだ。

 翌朝、いよいよ旅立ちの日である。
宿屋のおばさんが姉妹の支度を手伝ってくれた。
隣でふたりと同じくらい若い娘がガサゴソと旅の支度をしている。
「あれ、ジジ? こんなところでどうしたの」
娘はマーニャの知り合いで、酒場で給仕を務めるジジだった。
「マーニャちゃん! こんなところで会えるなんて嬉しいなぁ」
「すごくおしゃれしてるのね。一体どうしたの?」
「うん、こんどからお城で働くことになったんだ。本当はリンダが行くはずだったんだけど、
彼女、突然いなくなっちゃったの。宴会に出るだけで給料を貰えるのに、もったいないよね。
うふふ。じゃ、あたい馬車が待ってるから。元気でね、マーニャちゃん」
ジジは両手に荷物を抱えて、忙しそうに駆けだしていった。
「それじゃ、わたしたちも行きますか、ミネア」
「ふたりとも、気をつけるんだよ」
おばさんに見送られて、ふたりは宿屋を出て町の出口へ向かった。
523296 ◆kYB5EDmqco :03/05/28 00:41 ID:pMW6mZNs

「姉さん……本当は私怖いの。だって、この町を出たら、誰も助けてくれる人は
いなくなるんだもの。魔物に食べられるちゃうかもしれない。お父さんを殺したやつに私達
が殺されるかもしれない……」
出口へと近づくにつれてミネアの表情が沈んでいく。
うつむいた妹の顔を起こしてマーニャが笑いかけた。
「わたしだって怖いわよ。でも、そういうことを考えていたらきりがないわよ。
でも、わたしたち、この町で零から始めたじゃない。それで、今はどうかしら? 
嫌なことはあったけど、楽しいことだっていっぱいあったでしょう。
町の外でも同じこと。零から始めて、また素敵な思い出を作りましょう」
「さ、行こう!」と一声かけて、マーニャが先頭に立って歩き出す。
ミネアは一度だけ振り返って町を見ると、姉のあとを追って出口へと小走りで駆け出す。
ふたりの少女の長い旅が始まろうとしていた。
 モンバーバラの町をでた二人はコーミズへ帰っていく。
のどかな陽気のもと、日差しをうけてマーニャの足につけた飾り物がキラキラと輝く。
咲き乱れる南国の紅い花を眺めながら、ふたりは北へと歩いている。
突然、先頭を歩くマーニャが足を止めた。
「姉さん、どうしたの?」 「しっ!」
前方の地面で何かがうごめいている。突如、地面がふたつのこぶのように盛り上がり、
何かが土をはねのけて飛び出してきた。裂けた口から長く伸びた舌。二匹の土わらしだ。
「姉さん、どうしよう?」
マーニャの後ろに隠れたミネアがおそるおそる姉に呼びかける。
「まぁ、みてなさい。こういうやつらはね……」
二匹の土わらしは、をきゅるきゅると舌を鳴らして、様子をうかがっている。
まずは……

1.メラで焼き払う。
2.ラリホーで眠らせる。
3.水晶で占う。
4.逃げる。

1
面白そうなので3
526296 ◆kYB5EDmqco :03/05/28 22:06 ID:pMW6mZNs
ちょっとはやめに更新 
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番1票、3番1票で先着の1番に決定いたしました。

土わらしが長い舌を伸ばして鞭のように攻撃してくる。
「気持ち……悪いのよ!」
スラリと伸ばした長い足をマーニャが振り下ろす。
あわれ土わらしの舌は地面に力一杯押しつけられた。
「きゃきゃきゃきゃきゃ!」
痛みに悶える魔物にマーニャがメラの炎をむける。
燃え上がった土わらしの体が一瞬にして崩れ落ちた。
その死骸はすでに原形をとどめていない。もう一匹の土わらしは呆然としている。
「さて、お次はあんたよ!」
ギラギラ光るマーニャの瞳が残った方の土わらしを睨め上げた。
しばし土わらしとマーニャの視線が交錯する。
「うきゃきゃきゃきゃ〜」
プレッシャーに負けたのは魔物の方だった。土わらしが泣きながら一目散に駆け出した。
遙か彼方へと……
「何よ。失礼な魔物ね」
腰に手をあて憤慨する姉の様子をみて、ミネアがクスリと笑った。
「じゃぁ、コーミズに行きますか!」
「はい、姉さん!」
パンパンと服についた埃をはらって、ふたりはまた歩き出した。
527296 ◆kYB5EDmqco :03/05/28 22:31 ID:pMW6mZNs
 一年しか離れてなかったとはいえ、ふたりにとってコーミズ村は懐かしい場所である。
入り口から全体がほとんど見通せてしまう小さな村だが、ここには大切な思い出が
いっぱいつまっている。もちろん、まだ父親が生きていた頃の幸せな……
暮れなずむ夕日がコーミズ村を赤く染め上げるなか、
ぼーっと村の入り口で、二人はしばらく思い出に浸っていた……
「姉さん、はやく家に帰りましょうよ」
郷愁にかられたのか珍しくミネアがマーニャとせっついてきた。
「待ちなさいよ、まだ時間はあるんだし、みんなにあいさつにいこうよ。
さて、誰から会いにいこうかな」
「いいけど、姉さんが会いにいく人ってろくな思い出がないのよね」

1.色仕掛けでよく値引きさせていた道具屋のおやじのところへ。
2.よき相談相手だった宿屋の店主のおじさんのところへ。
3.よく一緒に畑で野菜を盗んで遊んだ幼なじみのところへ。
2
3にもうイピョーウ
531296 ◆kYB5EDmqco :03/05/29 23:02 ID:y9jENVsg
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
2番1票、3番1票で先着の2番に決定いたしました。

宿屋にやってきた二人。お互いに顔を見合わせて頷くと、息をあわせて宿屋に飛び込んだ。
「せーのっ、おっじさ〜ん!」
突然駆け込んできた姉妹に、カウンターで本を読んでいた宿屋の店主が仰天して振り向いた。
「マーニャちゃん? ミネアちゃん? 本当にふたりなのかい?」
おそるおそる店主が問いかけてくる。 
「やだ、おじさんったら」
「わたしたち、本当に帰ってきたんですよ」
宿屋の主人は大喜びで二人を迎え、自慢のお茶をいれてもてなしてくれた。
「……そうかいそうかい。エドガンさんの敵討ちにねぇ。マーニャちゃんもそうだけど、
ミネアちゃんも……ふたりとも、しばらく見ない間にすっかり大人になっちゃって」
涙ぐんでハンカチで目をぬぐう店主に対し、二人は沈んだ表情をみせる。
「でも、まったくと言っていいほど手がかりが集まらなくて。人の多く集まるモンバーバラ
でならと思ったのですけど」
「……手がかりねぇ。お、そうだ。実はいまここに高名な占い師のお婆さんが
泊まってるのよ。ミネアちゃんと違って……」
「しわしわで悪かったね!」
「そう、しわしわで……え?」
三人が振り返った先に、黒いローブをまとった老婆が階段をあがっていくのが見えた。
顔に浮かぶしわの奥からくっきりと強い光を放つ目をのぞかせた後、老婆は
二階へと消えていった。
532296 ◆kYB5EDmqco :03/05/29 23:03 ID:y9jENVsg
「あっちゃ〜、あの人凄く気むずかしいんだよな。まずいことになった」
白髪の混じった頭部を抱えて店主がうなる。一方、ミネアは真剣な表情で老婆
の向かった二階を食い入るように見つめていた。
(あの人なら、誰にも占えなかったお父さんのことを占ってもらえるかもしれない)
もちろん、ミネアも何度もその占いに挑戦していた。
しかし、占いというのは冷静に、客観的でなければならない。悲しみと憎しみの
邪念が曇りを呼び、父の手がかりを得ようとするミネアの占いを失敗に終わらせていた。
そして、おかしなことにモンバーバラに住まう占い師たちにも、姉妹の父のことを
占える者はいなかったのである。
「姉さん、私、あの人に私達のことを占ってもらえるよう頼んでみる」
「え? ち、ちょっと、ミネア!」
姉の返事も聞かず、ミネアはすでに老婆の後を追って階段を駆けだしていた。

1.妹を追いかける。
2.ここで待つ。
533名前が無い@ただの名無しのようだ:03/05/29 23:22 ID:Vu9OOB2k
534296 ◆kYB5EDmqco :03/05/29 23:26 ID:y9jENVsg
ありゃ、しまったね、これは。リロードを怠った……
どのみち3番の幼なじみルートを選んだ後でも「宿屋」と「道具屋」
を選択肢に出すつもりだったから……。ここで3番ルートを書いておきます

 幼なじみのベスはマーニャと同い年。同世代の子供が少ないこともあってよく三人一緒
で遊んだ仲だ。扉からベスが出てくるなり、思いきりミネアが彼女を抱きしめた。
マーニャは、ミネアごとベスを抱きしめるように腕をまわす。
「マーニャちゃん、ミネアちゃん、すっかり綺麗になっちゃって……エドガンのおじさん
もきっと鼻を高くしてると思うよ」
二人に抱きしめられた後、ベスが嬉しそうに呟く。
しばらくたつと、女三人よれば姦しいの言葉通りおしゃべりに花が咲く。
お茶を飲みながらたわいないことを話すのは、やはりとても楽しい。
服のこと、町のこと、男の子のこと……話題は尽きない。あっというまに時間が過ぎていった。
「あ、もうこんな時間。そろそろおいとましないとね」
「え、今日はここに泊まっていけばいいのに……」
「御免ね、他の人にも挨拶しなきゃいけないから」
残念そうなベスの手をミネアが握りしめた。 (>>531へ続く)

というわけで、続きは>>532の二つから選択してください。
530さん、ほんと御免なさいm(_ _)m。
2
1
538296 ◆kYB5EDmqco :03/05/31 01:15 ID:qIyUsS5z
ビッグオー!みてたらこんな時間になってしまったよ。待たせてスマソ。
1番3票、2番1票で1番に決定しました。

「はあはあ、ま、待ってください、おばあさん」
部屋に入ろうとした老婆をミネアが呼び止めた。
「すみません、占って欲しいことがあるんです」
「……おまえさんは?」
「ミネアといいます。占って欲しいのは、自分のことなんです」
老婆は明らかに迷惑そうな素振りで振り向いた。
「……みたところ、あんたもわしと同業だね。占い師でありながら、自分のことも
占えないのかい?」
詰問するような強い口調で老婆が言った。本当のことだけに、ミネアは何も言えずにうつむいた。
「どんな事情があるのか知らないけど、未熟だね」
短く言い捨てると、老婆はノブに手をかけたようとする。
「ちょっと、好き放題言ってくれるじゃない!」
肩を小刻みに揺らしてマーニャが割り込んできたのは、ちょうどそのときだった。
「ね、姉さん」
いまにも老婆にとびかからんとする勢いを見せる姉を、ミネアが必死で止める。
獣のように暴れるマーニャをうるさげに見やった老婆だが、そのとき何かに驚いたように
はっきりと表情をかえた。ついで、ミネアの顔を食い入るように見つめた後、老婆は戸を開き、
だまって二人を部屋に招き入れた。
539296 ◆kYB5EDmqco :03/05/31 01:20 ID:qIyUsS5z
 「さて、お前さんがたの何を占えばいいんだい?」
しわだらけの顔の中、ギョロリとした目をふたりに向けて老婆が問いかける。

1.わたしたち姉妹のこと
2.父を殺した男の手がかり
2
541296 ◆kYB5EDmqco :03/06/01 00:28 ID:bIKbOLcR
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
2番1票で2番に決定しました。

 姉妹の前で老婆は長い時間黙って水晶玉を覗き込んでいた。
ふたりはドギマギしながら老婆から視線を離さない。
「……オーリン」
やがて、ポツリと老婆が呟いた。
「オーリン、いま、オーリンって言ったんですか?」
老婆がミネアにおかまいなしに、口から流れ出す言葉を紡ぐ。
「ハバリアの港町のはずれに一人の男が立っているのが見えるね。筋骨隆々の、
立派な体格をした黒髪の若い男」
「やったぁ、あいつ、生きてたんだ! 明日はハバリアに直行だね」
飛び上がってマーニャがミネアに抱きつく。水晶玉から顔を離すと、老婆は静かに目を閉じた。
「ここから、北西……ハバリアの西に『岬のお告げ所』と呼ばれとるほこらがある。
 行き場に迷ったらそこへ行くんだね、お嬢ちゃんたち」
「岬のお告げ所……そこは一体?」
しかし、それきり老婆は何もしゃべらなくなった。仕方なく、ミネアとマーニャは
お礼を行って部屋をでた。
542296 ◆kYB5EDmqco :03/06/01 00:42 ID:bIKbOLcR
 宿屋の店主と別れて外に出た二人は、肩を並べてオレンジ色の道の上を歩いていた。
「懐かしいね、この道……」
「うん、ここから見えるわたしたちの家も昔のまま……」
まわりの家にぽつぽつと灯りがともる中、ひとつだけ黒いシルエットを浮かびあがらせた家。
そこがマーニャたちの我が家。エドガン家だ。

1.そのとき、前方から犬が走ってきた。
2.そのとき、前方から籠をさげたおばさんが歩いてきた。
番外の3 スライム現る
3かな。
546296 ◆kYB5EDmqco :03/06/01 22:24 ID:bIKbOLcR
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番1票、3番3票で3番の「スライム現る」に決定しました。うわ、想定外。

 「姉さん……」
玄関の前まで来たというのに、ミネアはドアを開くのをためらっている。
「もう、バカね。なにしてるのよ。さあ、開けるよ」
バタン!と音をたててドアが勢いよく開いた。懐かしい木のにおいがした。
「たっだいま〜」 「おかえり〜」
「へ?」
誰もいないはずの我が家から返事が聞こえた。
目を丸くした二人が慌ててきょろきょろとあたりを見回すが、誰も見あたらない。
「誰なの? 村の人……オルガおばさんとか?」
親しい村人の中からあたりをつけて呼びかけるが、誰も出てこない。
「違う、違う。そこじゃないよ。二人とも、下を見てごらん」
声のした方向に目を向けた二人は、足下に一匹のスライムをみた。
「こんにちは、僕、悪いスライムじゃないよ」

1.問答無用でメラ。
2.無視して父親の墓参り。 
2
1
550296 ◆kYB5EDmqco :03/06/03 01:41 ID:9KbSYBAK
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番2票、2番1票で1番に決定しました。

「メラ!」
指先から飛び出した火の玉がスライムの体を焼き尽くす。炎に巻かれてスライムは絶命した。
「……姉さん、少しくらい話を聞いてあげればよかったのに」
「う、つい反射的に手が……」
さすがのマーニャも反省しているようだ。ひどく罰の悪い思いをしながら、
姉妹は父の眠る家の裏手に向かった。両手一杯の花束をそなえて、しばらく黙祷する。
目の前には石碑しかないが、二人ははっきりとエドガンの姿を見ることができる。
「お父さん、かならず、仇はうつから……」
「だから、安心して私達を見守っていてね」
ゆっくりと立ち上がると、ふたりは墓をあとにして家の中へ戻った。

 ふたりの育ったエドガン家には、今は誰も住んでいない。しかし、心優しい
コーミズ村の人々の手によって、しっかりと手入れがされている。
久しぶりに帰ったというのに家の中は全く変わっていなかった。
「うわー、これ、ミネアの誕生日にお父さんが買ってくれた人形だ。覚えてる?」
「うん、覚えてる。忘れたりなんかしないわ……」
全く変わっていない我が家。それだけに、父エドガンの姿だけぽっかりと抜け落ちている。
ふたりとも、そのことを強く感じていたが、どちらも口には出さなかった。
楽しい思い出の中に混ざったひとつかみの苦みから疲れを感じてしまったのだろうか。
二人はベッドに入ると、あっというまに眠りの園へと落ちていった。

1.明日はハバリアに直行
2.岬のお告げ所へ向かう
2
2
1で
557296 ◆kYB5EDmqco :03/06/03 22:45 ID:9KbSYBAK
同じIDが重なるということは、よくあるのだろうか? とりあえず、同一IDで
まぎらわしいので、555さんのレスは、はねます。申し訳ありませんm(_ _)m 

参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番2票、2番3票で2番に決定しました。

 夜が明けて、朝日が村を照らし始めた。マーニャたちもベッドから起き出している。
「やっぱり実家で迎える朝はいいわね。さ、ミネア、行きましょう」
「うん……姉さん。その、やっぱり先にハバリアに行くの?」
上目遣いでミネアがマーニャを見つめてくる。
「ミネア、どこか他に行きたいところでもあるの?」
「ええと、その『岬のお告げ所』が気になるの? ハバリアに行く前に寄っておきたくて」
困ったようにマーニャが腕を組む。
「う〜ん、『お告げ所』ねえ……別にこれといって迷いがあるわけじゃないしねぇ」
「御免なさい。姉さん、私、どうしても気になるの! もちろん、オーリンさん
 に早く会いたいと思うけど……」
「よっし、わかった。そうと決まったら早速出発よ!」

 ふたりはお告げ所へ向けて歩いていった。
「岬のお告げ所ねぇ。一体どんなところなんだか」
「ごめん、ねえさん。あのお婆さんの言葉が気になっちゃって」
「ふふ、どこまでもお供しますよ。ミネアお嬢さん」
マーニャのおどけた口調にミネアがつられて笑う。二人は笑いながら、お告げ所へ
向けて旅を続けた。
558296 ◆kYB5EDmqco :03/06/03 23:38 ID:9KbSYBAK
 「凄い!」
ため息をついてミネアが室内を見回した。変哲のない石の建造物にしか
見えない外観と違って、告げ所の内部は見事な金の彫刻や宝石をちりばめた飾り物
で一杯だ。中央に陣取った八つの燭台が、部屋を更にきらびやかに輝かせている。
「ここって、よく泥棒がはいらないわね……」
苦笑しながらマーニャが部屋のなかへと足を踏み入れた。
「これ、一体どういう原理で火をともしているのかしら?」
ミネアが興味津々といったふうに八つの燭台を眺める。
中心部で一際高く燃え上がる炎をともした燭台に寄り添うように、七つの燭台が配置されている。
「不思議ね。真ん中の燭台の炎だけ、大きさがまるで違うわ」
二人は魅入られたように燭台を見つめ続ける。
「すっかり気に入ったようね」
突然、後ろからふたりに声をかけてきた者がいた。

1.振り向いた先には、若いシスターがいた。
2.振り向いた先には年老いたシスターがいた。
3.振り向いた先には、後ろに老婆を連れたシスターがいた。
1!
561296 ◆kYB5EDmqco :03/06/04 23:54 ID:ht3Df1in
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番2票で1番に決定しました。

 どこから現れたものか、ふたりの後ろにいつのまにか若いシスターが一人立っていた。
「初めまして、神のお告げが下る聖なる祠へようこそ」
振り向いた二人にむけてシスターがスカートを少し広げてお辞儀をした。
「え、えと、初めまして」
ふたりがぎこちなくお辞儀をして返す。それを見てニコリと微笑むと、彼女は
小気味よい靴音を立てて二人の側に立ち、軽く右手をあげて炎を指さした。
「……勇者」
ポツリともらしたシスターの言葉はあまりにか細く、聞き取るのがやっとのものだ。
「勇者? いま勇者とおっしゃったのですか!」
「その者のまわりに集まる、運命に導かれし星たち。いつの日か出会い、その使命
をはたさんとする導かれし者たち……。その炎はそれらをかたどったもの。そして、
そのうちの2つは、あなたがた姉妹です」
「ど、どういうこと?」
「そう遠くない日、あなたがたが仇と狙う男と出会った時にわかるでしょう」
「仇? シスターは私達の父を殺した男をご存じなのですか!」
何も応えずにシスターは静かに首をふった。
「ここから西の山脈をこえたところにアッテムトという古代の遺跡があります。
今はただの鉱山町となっていますが。気が向いたら行ってみることです」
「そこに何が……」
「ふふ、それを見つけるのはあなたがたです。さぁ、行きなさい」
ふたりは礼を述べると、祠を後にした。

1.ハバリアへ行く
2.アッテムトへ行く
1で。
1
1
1
566296 ◆kYB5EDmqco :03/06/05 22:21 ID:MxJm4AEq
参加ありがとうございます。ハバリア大人気だね。 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番4票で1番に決定しました。何がそこまでハバリアにひきつけるのか……オーリンか?

 長い髪をなびかせて、はるかな草原を姉妹が歩いていく。ハバリアは、この大陸の
先端にある港町だ。もちろん、ふたりとも、そこへいくのは初めてである。
「それにしても、不思議な場所だったわねぇ」
「うん、勇者と共に旅する使命を持った仲間だなんて……突拍子もないわね」
話題に上るのは先程訪れたお告げ所についてである。
「ね、ひょっとしてオーリンのやつもそうだったりするのかな?」
珍しい花を摘んだ……いや、もぎとって上機嫌なマーニャがニコニコして言った。
「くす、どうなんだろう。あの人、見かけによらず気の小さいところがあったし…
勇者の仲間って感じじゃないと思うわ」
「わ! ほんと、あんたって変なところで毒舌よね」
「それはもう。よき師が側におりますれば……」
草原の小道にかろよかな笑い声を残して、姉妹はハバリアへ向けて歩いていった。
567296 ◆kYB5EDmqco :03/06/05 23:07 ID:MxJm4AEq
 大陸の北、ハバリアの港町に着くなり、二人は後ろから疾走してきた若い商人
に激突しそうになった。「ごめんよ!」
一声かけると、商人はそのまま町の中へと消えていった。
「あぶないったらありゃしない。でも、今の人、珍しい髪の色ね。このあたりじゃ
みかけないわね」
「ここはエンドールとの貿易で栄えているらしいから、今の人はエンドール出身
なんじゃないかしら。 ほら、あの建物なんてエンドール風じゃない? 他にも……
まるで世界がこの町に集まってきたみたい」
「エキゾチックな魅力の殿方と……国際結婚かぁ。ミネア、燃えてこない?」
「また、姉さんは……。でも、それにしてはあまり賑わってないわね。人も少ないし
さっきの人は何故あんなに急いでいたのかしら?」
町には色とりどりの豪華な店が並んでいるが、人の行き交いも少なく実に静かだ。
店先に飾られた鳥の看板が風に巻かれてカラカラと回る様は、まさに閑古鳥が鳴く風情。
「……とりあえず、宿の予約を取ってから町をまわりましょう。この人気のなさから
みれば大丈夫かもしれないけど」
「おっけ〜。ミネア! 頑張ってオーリンを探しましょう」
568296 ◆kYB5EDmqco :03/06/05 23:17 ID:MxJm4AEq
 宿屋に入るなり、姉妹は揃って眼を丸くした。
さすが港町。豪華な飾り物、高い天井、きらびやかなシャンデリア、磨き抜かれた床、
モンバーバラやコーミズの宿屋とは大違いだ。
 しかし、宿屋のおばさんの表情は何故か暗い。他に宿泊客も存在せず、今日の
客はマーニャとミネアの二人だけである。
「なんか、違うわねぇ。求めていたものと……」
「一体何を求めて、ああ、いい。言わなくていいからね、姉さん」
ミネアは宿屋のおばさんに大まかな町の構図を聞くと、簡単な地図を書いてもらった。
さぁ、まずはどこにいく

1.マーニャ「わたし、カッコイイ武器が欲しいなぁ」
2.ミネア「道具屋の店主ならオーリンさんの事を知っているんじゃないかしら?」
3.教会へ行ってみる
3
3
同じく3。とりあえずセーブ
3
都合が悪くなったらリセット。
573296 ◆kYB5EDmqco :03/06/06 23:10 ID:kMTfef9n
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
3番4票につき3番に決定しました。うーん、予想外。

 ふたりは教会にやってきた。なかには親切そうな神父がいた。
お祈りをすませた後、ふたりは神父にオーリンのことを聞いてみた。
「……オーリンですか。どんな人なのですか?」
「どんなと言われましても……黒い髪で体格が立派な普通の青年です」
「体格がよくて黒い髪の若者などこの町には一杯いますからねぇ……何か他に特徴は?
額に傷とか、胸に痣があるとか……」
「いえ、その、本当に普通なのが特徴というか……」
神父がため息をついた。
「申し訳ありません。それではお役に立てそうにありません」
ふたりは神父に礼を言うと、教会を出た。

1.かっこいい武器が欲しいわ
2.道具屋へ行く
3.疲れたので宿屋へ帰る


2
575296 ◆kYB5EDmqco :03/06/07 21:29 ID:/EImkJT6
今日はちっとばかし早めに更新する。参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ 
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
574さんは2番を選ばれました。

 道具屋の店主は聖水や満月草、薬草などに囲まれて暇を持て余していた。
マーニャとミネアがドアを開けて店内に入るなり、転げ落ちるように椅子から
飛び起きカウンターについた。
「へい、らっしゃい。なんでもあるよ〜!」
「すみません。私達人を探しにきたんです。オーリンさんという方をご存じですか?」
「なんだ〜、お客さんじゃなかったのか。知らないよ。オーリンなんて人は……」
意気消沈してカウンターの上に突っ伏す店主にマーニャが申し訳なさそうに笑う。
「ええと、とにかくゴツイ体をした黒髪の男なんだけど……」
「……ゴツイ体ねぇ。そういえば、つい最近まで常連だった男が黒髪だったような?」
「ほ、本当ですか? その人は今どこに……」
「知らないねぇ。こちらが何を話しかけても必要以上のことはなにもしゃべらなかったし……
それに、ここ一ヶ月程どうしたのか全然顔を出さなくなってしまったからね」
「そういえば、おじさん。ハバリアっていつもこんなに寂しい町なの?」
「いや、ちょっと前……半年前までは凄いにぎわいだったさ。この店だって、連日
超満員であたしも休み暇もないくらいだったよ。でも、王様が変わってエンドール
との定期船が厳しく制限されちゃってからもう大変。船がでなきゃ、この町は終わりだよ」
店主が力無くため息をこぼした。
「そうそう、船は今度出るのが最後の定期船になるそうよ」

1.武器屋へ行く
2.宿屋へ帰る
1で
1
買い物しようよ。
1
580296 ◆kYB5EDmqco :03/06/08 23:07 ID:VLTY9Uc5
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番3票、2番1票で1番に決定しました。

 「おや、いらっしゃい。綺麗なお嬢さんがた」
髭面のおやじが歯をニッとむき出した笑顔でふたりを出迎えた。
右目に黒い眼帯をつけているせいで、どこかの海賊のように見える男だ。
店内には、マーニャたちが見たこともないような奇妙な形をした武器が所狭しと並んでいる。
しばらく、ふたりは物珍しそうに店内を見て回った。
「さすがに、珍しい武器でいっぱいね、姉さん」
ミネアが振り向いた先では、マーニャが鉄でできた扇を手にしていた。
「素敵でしょ。踊り娘専用の武器なんですって」
そう言って扇をパシッと広げて優雅に扇いでみせる。
「ははは、お嬢さんがた、これからは普通の人間が武器や防具を買うのは禁止になるらしいよ。
買うなら今のうちだよ」
「本当なんですか?」
「ああ、残念なことにね。交易の締め付けといい広場の看板といい、今回のおふれだ。
新しい王様も何を考えているのかね」
ふたりは顔を見合わせて頷きあった。手持ちの現金はちょうど1600Gだ。

1.鉄の扇と毒蛾のナイフを購入する
2.鉄の扇と鎖鎌を購入する
1
1
はげしい値引き交渉キボンヌ。
583296 ◆kYB5EDmqco :03/06/10 00:03 ID:fU8WfeWk
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番2票で1番に決定しました。

 「ねぇ〜、おじさん」
突然、マーニャが猫なで声を出し始めた。
「駄目だよ。1Gもまからないよ」
相対する店の親爺の声はけんもほろほろだ。
「そんなこと言わずにさ〜。サービスするから……ねぇ〜」
ゆっくりと顔を近づけて店の親爺の顔を覗き込む。だが、店主の顔色はいっこうに変わらなかった。
「他に客足が望めれば是非とも乗ってあげたんだけどねぇ」
「ちぇ〜、つまんないの〜」 「姉さんったら……私、恥ずかしい」
結局、マーニャは『鉄の扇』を、ミネアが『毒蛾のナイフ』という見かけは小さいが
刃に猛毒が塗ってある武器を買った。
「ところで、オーリンって人知らない?」
「オーリン……? う〜ん、すまんな。役には立てん」
584296 ◆kYB5EDmqco :03/06/10 01:05 ID:fU8WfeWk
スマソ……寝ぼけて書き上げた文章消してしまった。

ハバリアはすでに夕日に包まれていた。町の向こうに見える海が、黄金色に輝いている。
「まったく、大した手がかりはなかったわね」
「これが姉さんだったら一発で思い出すんだろうけど」
「ミネア、最近口悪くない?」
二人は並んで夕日の沈む港を眺めていた。夕日に照らされて大きな船が浮かんでいる。
惚れ惚れするくらい見事な船体だ。
「大きな船……あれに乗れば海を越えてエンドールかサントハイムに行けるのね」
「……いつか、姉さんと船に乗って大勢の仲間と世界をまわるの……私、そういう気がする」
「ふーん、いい男にいっぱい出会えるかしら」
姉妹は桟橋に腰掛けて、飽きることなく船を眺め続けた。
585296 ◆kYB5EDmqco :03/06/10 01:18 ID:fU8WfeWk
(……あ〜あ、だから嫌だったんだけどなぁ。姉さんと酒場に来るの)
ため息をついて、ミネアが注文した魚料理を口に運ぶ。
ここは、宿屋の地下にある酒場だ。宿屋に帰るなり、マーニャは
階段を降りて地下の酒場に向かいテーブルに着いた。その後、一時間もしないうちに注文した
酒を飲み干し、上機嫌に中央のステージで酔っぱらいの喝采を浴びつつ踊りはじめたのだ。
ミネアは極力他人のふりをして積極的に姉と関わり合いにならないようにつとめた。
「ふはははっ! そりゃまた傑作だな。そんなバカがこの町にいたとは……」
隣のテーブルでは、船乗りとおぼしき集団が巨体を揺らして大声で笑っている。
「そうさ、あの大臣を火薬で驚かせようなんてな。しかし、傑作なことにそれが大成功。
大臣のやつも『王様〜、バルザック様ぁ!』と叫びながらすっとんでいったらしいぜ」
(バルザック! 王様!?)
聞くともなしに笑い話を聞いていたミネアは一瞬耳を疑った。
「で、そいつは今どこにいると思う。この町の地下牢だぜ! ぶわっはっは!」
ミネアはその男にすぐにでも会ってみたくなった。
バルザックが王様……この信じがたい事実を確認するためにも

1.マーニャをひっぱって地下牢へ
2.宿屋へ帰って寝る
2
マーニャを正気に戻さないと。
1 牢屋に行くためにマーニャを説得するミネア萌え
2
589296 ◆kYB5EDmqco :03/06/10 23:39 ID:fU8WfeWk
参加ありがとうございますヽ(´∀`)ノ
ルールはナナシクラゲさんの>>75をご覧ください。
1番2票、2番1票で1番に決定しました。 今回は皆えらく慎重派が多いね。

 「ほら、姉さん、ベッドよ」
ドサッとベッドの上にマーニャが置かれた。
「うふふ、ミネア、今夜は楽しかったね。またやろうね……」
「もう、酔ってのメラの呪文はこれっきりにしてよね」
マーニャはすでに眠りについている。あきれたミネアは、その場でベッドに潜り込むと
疲れを癒すために目を閉じて眠りについた。
 
 翌朝、二日酔いの頭を抱えてマーニャはベッドから起きあがった。
「アタタタ。頭が痛い……」
「久しぶりだからって飲み過ぎたのよ、姉さん」
それ以上は何も言わずミネアはマーニャにグラス一杯の水をさしだした。

1.牢へ行く
2.オーリンを探しに行く
3.アッテムトへ行く

1
2