2 :
1の続き:2007/06/29(金) 08:45:06 ID:6UZp8zu70
3 :
pinksaturn:2007/06/29(金) 12:48:20 ID:UQdm1DIJ0
>>1 乙。
【】さんのは素晴らしすぎて声が漏れたよ…。
たまにこういう飛びぬけて良質なのが出てくるから2chのSSはやめられん。
5 :
adjust:2007/06/29(金) 19:30:39 ID:0ylDOSKL0
1様スレ立て乙です
前スレ、ラストの【】さんの作品、読ませていただきました。
前半の女医さんが社会的に抹殺されていく経過、読んでいて鳥肌が立ちました。
別人格がひとつの体に入っている。それも基本的には同じ人格でありながら、
一方は愛、もう一方は憎しみ、すばらしいアイデアです。脳の基本的なところは同じなので
人格自体は同じ、ただし記憶がある無しで、あらわれる心は別物となる。
ものすごく緻密だと思います。すばらしい作品をありがとうございました。
7 :
【】の人:2007/06/29(金) 21:52:56 ID:+GfxX+PN0
>>1 乙です
というか前スレに引導渡した俺が、自分で次スレ立てるべきだろ…… orz
水城涼香は、あえて「ほぼ」生身に戻されたというところでしょうか、女医さん的に。
「野原霧香」に対する慈悲を見せつけるために……
話全体として義体化率が低いことは確かに(汗)
>>3 変わり果てた自分の姿を眼にした娘は、発狂寸前で気丈に踏みとどまる
だが、すでに精神的な拷問で追い詰められていた父親のほうが、娘の姿を見せられて発狂する――
なんて展開も考えないではなかったのですが、長くなって終わらなそうだったので日和ったのです(汗)
>>4 どうもです
実は、滝との会話シーンまでは一年前に書いてましたが、そこで行き詰まって放置していたのですね
なので一年がかりの完成だったりします、書いた本人の脳内的には
>>5 書き始めた時点では、悪の道に走った女医さんが女の子を海老ちゃんに改造するだけの話でしたが、
次第に『力』の正体(当初は、ただ政財界の重鎮という設定でしかなかった)や、
弁護士の娘への復讐の手段(ダブルOS搭載)やら、いろいろネタを思いついたのです
自称「執事」の美也は、最初は全く飾り物のつもりで名前も「美穂」とか何のネタもなかったのですが、
書き進むうち、いつのまにやら話のキーマンになっやので、それらしい名前に改名しましたよ
緑川とか野原とか滝とか、水城「涼」と「霧」とか、そういうのの仲間入り
8 :
【】の人:2007/06/29(金) 22:01:18 ID:+GfxX+PN0
>>7 あー、でも平成の劇場版には美穂ってのがいたのか……
いまググって知りましたよ
ダメじゃん俺
9 :
manplus:2007/06/30(土) 02:30:00 ID:WlhHai3w0
>>1 乙です。
【】の人さん
新作、面白かったです。内容の緻密さ、最高でした。
最後まで一気に読ませていただきました。
個人的には、エビになった少女の運命が気になります。
エビにされた少女の心理を読みたかったと思いました。
それに、「動物園」でどんなタイプに改造されているのかも読みたいと思いました。
女医がはまっていく裏の世界のストーリー展開が見事です。はまりました。
次回作も、そろそろ投稿をと思っていたのですが、
【】の人さんの作品のあとでは、気が引けてしまいました。(汗・・・)
10 :
【】の人:2007/06/30(土) 20:28:31 ID:sz1Ib4mP0
>>9 どうもです
1年半前から毎週1人ずつ、女の子が改造されているとすると、
365÷7×1.5=約78
およそ78種類の「動物」が飼われているわけです
だから、きっと美也はネタ切れして「動物園」と言いつつ「海老」なんかに改造しちゃったのでしょうな
……この話を書き始めた一年前にエビちゃんがブレイクしていたこととは恐らくきっと関係ない
最初の方でも「蜘蛛」とか「蝎」とか作ってたんじゃないの(笑)
12 :
【】の人:2007/07/02(月) 11:48:11 ID:pOb6kmGb0
>>11 「サソリ」は確実にいるでしょうな
なにせ義体の設計者からして……
13 :
adjust:2007/07/02(月) 22:57:19 ID:zG6T+Jur0
【】の人の作品の後でかなり気が引けるのですが
作品を投下させていただきます。
軍事系のねたを入れているので、軍版住人など詳しい人には
突っ込みどころ満載だと思います。容赦なく突っ込んでもらってかまいません
状況によっては修正します。致命的な修正のため、内容が変わるかも
しれませんので、そのときはご容赦ください
途中までしかできていませんので申し訳ありませんがよろしくお願いします。
14 :
adjust:2007/07/02(月) 22:58:06 ID:zG6T+Jur0
ぴっ、という音がして、高須恵美の視界に広がるデータが変化した。視界に広がる光点はシミュレーションされた戦
場の敵味方の情報であり、その数はおよそ50を越える。小規模戦での戦闘車両や分隊、小隊を表す光点である。彼女は
視界に広がる敵味方の状態をすばやく分析し、戦闘状態と脅威度を把握、それぞれの部隊に最も効率の良い配置を命じ
る。
「戦場状況把握、戦闘評価終了、部隊の再配置を指令」
戦闘状態にある部隊に対し、あるものは後退を、そして別の隊には支援を指示する。それぞれの部隊が持つ車両の機
動力、使用する武装の火力と性質を判断し、敵味方が入り混じる混戦状態の中で、適切に自軍の部隊を配置し、最も被
害の少ない戦闘へと誘導するのが、彼女の役割である。
防衛省技術研究部、ここでは、新しい軍事兵器、戦闘手法、運用システムなどが研究されている。その中のひとつが
彼女のかかわっている集中指揮通信システムである。通常の戦闘の場合、指揮系統は大隊から中隊、そして小隊へと縦
割りの命令系統で機能する。そして基本的にはそれぞれの部隊の部隊長が指揮権を持ち、部隊単位での戦闘を行うよう
に編成されている。この編成は歩兵を多く抱える普通科で多くの人員を統率するのには有効な構成であるが、それぞれ
の車両や部隊が高機能化し、単独での運用能力を持ち、かかわる人員が少なくなってきている現在の兵器体系では効率
的な運用が難しくなり、兵器の種類に対してそれぞれの指揮系統があるのが現実である。そこで、それぞれの部隊が持
つ機能をより大規模な部隊で共有し、早く適切に配置運用できるシステムの開発が行われているのである。そのために
は大規模な部隊群を司令部で全て把握し、戦闘の状態に応じて、配置できるような構成にすればよい。いわば全ての部
隊が司令部と直結するような構成になれば、指令部旗下の部隊は全て、司令部の思い通りにコントロールできるわけで
ある。
などと、理想論を求めても、現実にはそんなことは出来ない、またはやらない。司令部で一元化するためにはいくつ
かの問題を解決しなければならない。
15 :
adjust:2007/07/02(月) 23:00:06 ID:zG6T+Jur0
まず、指揮系統の脆弱性の問題。それぞれが司令部から直接命令を受けている場合、司令部が攻撃されればその下の
部隊は崩壊する。これは規模が大きくなればなるほど、被害が大きくなるのは明らかであろう。普通の指揮系統であれ
ば、指揮権限は限定されているから、直下又は同等の指揮官が代理をすることも可能だが、全ての指揮を中央司令部が
行えば、そう簡単に周りの部隊が代理をすることは出来ない。指揮の専門性が高まれば高まるほど他の部隊の代理は困
難となる。軍は基本的に攻撃を受けることを前提に構成されなければならない。そのために一部が攻撃を受けても、で
きるだけ影響が少なくなるような構成でなければ役に立たない。
次に規模の問題がある。軍隊は基本的に戦闘部隊や兵器が多ければ多いほど良い。少数精鋭という言葉もあるが、そ
れば仕方なく少数に甘んじているのであり、多数精鋭であればなお良いのは明らかである。ちなみに少数精鋭と多数凡
庸ではどちらが良いかは、程度と数によるので一概に言えない。話を戻すと、軍隊は多くの人員と兵器を扱う必要があ
るということである。その規模が大きくなっていくと、司令部で刻々と変化する戦闘状況を把握することが困難となっ
ていく。どの部隊のどの兵器がどのような状態かを完璧に理解しておかなくては効率化は望めない。司令部で複数の指
揮官による負荷分散も当然行われるが、その場合権限の配分を固定化することになるため、指揮官をまたがった戦力の
融通はやりにくくなる。
16 :
adjust:2007/07/02(月) 23:01:17 ID:zG6T+Jur0
さらに、専門性の問題がある。現在でも航空機や船舶の指揮は、専門の管制部が行っている。これらの部隊は陸上に
比べて機体や船体の数が限定されているのに加え、それぞれの部隊が非常に専門性が高く、特性や運用ルールを理解し
なければまともに運用することが事実上不可能である。たとえば、護衛艦を直ちに出航などできるはずも無く、必要な
装備と乗組員の準備で数日は必要とする。出航したとしても巡航ならばせいぜい20ノット程度であるから、運用のタイ
ムオーダーは日単位となる。航空機にしても、十分な整備を行った待機中の戦闘機を除けば、直ちに稼動状態にもって
いくのは不可能に近い。むしろ、航空機の場合は、運用の中では大部分が整備、待機時間であり、作戦行動は全体の中
の非常に小さい時間に過ぎない。そしてタイムオーダーは分単位での処理を必要とする。
また、作戦立案に対しても陸上、海上、航空共に考え方が全く違うため、統合幕僚本部による作戦方針のもとにそれ
ぞれが詳細を立案するという手順をとらなければ、事実上立案は不可能である。
集中指揮通信システムには以上のような問題がある。これらの問題に対して、多くの軍隊がコンピュータを使用した
効率的な指揮システムを模索してきた。研究レベル、試験運用、実践テスト、各国の軍は多くのテストを重ねており、
限定的な範囲ながら集中指揮を可能にしている例もある。いま、高須恵美が行っているシミュレーションもその開発の
一環であった。ただし、現在のところ陸上自衛隊の運用を中心としたシステムとして構築されている。海上、航空とは、
適宜連絡を取り合い、必要に応じて作戦を共有する程度でしかない。海上、航空自衛隊を統合した指揮をおこなうこと
は、目標としては考えられていても、現在のところ実用的であるとはいえない。
17 :
adjust:2007/07/02(月) 23:02:52 ID:zG6T+Jur0
直接コンピュータが視覚野に接続された高須恵美の視界には、戦場の敵味方の光点と規模、火力が映し出されている。
脳改造を施され、多くの電極を埋め込まれた脳中心部の記憶中枢と後頭部の認識中枢には、意識を向けた部隊の情報が
注ぎ込まれる。手動による操作で表示された情報を読むのとは違い、直接イメージとして送り込まれるため、認識に必
要な時間は操作も含めれば一般人のオペレータの10倍以上早い。また、それらの知識がそのまま短期記憶となるため、
扱うことの出来る戦闘群の規模はひとつの司令部の限界をはるかに超える。部隊単位で行動する運用体系に対して、戦
場全体をひとつの戦闘群として運用し、本来であればあらかじめ計画しておかなければならない作戦計画を、状況に応
じてすばやく立案し実行することを可能にするのが、集中指揮通信システムの目的であった。
高須恵美が脳内で操作する部隊運用の状況は外部のモニターにも映し出されている。歩兵であれば小隊、分隊単位、
戦車や装甲車両であれば一台単位で表示されている。高須は全ての車両の戦闘状態や地形、残弾を把握する。50もの光
点を把握し、次々に指示を出していくため、言葉ではもう表すことは出来ない。
「みつけた」
高須恵美は膠着状態の戦場に、ある違和感を見出した。十分に準備され組織された、敵味方の配置。全体の兵力が劣
る自軍は慎重に動かなければ分断されてしまう。数で勝る敵軍を切り崩すためには、その隙を狙わなければならない。
高須恵美は、隙ともいえないほんのわずかなほころびをついた。その一矢に対して、敵軍が動いた。彼女はほぼ全て
の部隊に指示する。全部隊はそのほころびを押し広げていく。
交戦中の部隊に対して他の部隊に支援を指示する。歩兵同士であれば装甲車両を向かわせる。敵のレーダー妨害を予
測して制空権の確保、主力戦車との戦闘には正面戦闘を回避し、後方からの自走砲車両による火力支援。それに対応し
て敵の自走砲が配置を完了する前に歩兵と装甲車による側面攻撃。同時に航空支援による退却路の分断、通信隊による
敵への通信妨害で敵の新たな配置を止める。装甲車両部隊を敵司令部へ前進。これにヘリ部隊が護衛につく。その隙に
後退した部隊は補給に入る。手順を踏んで指示するのではなく、先を読み、全ての部隊を同時に動かす。
18 :
adjust:2007/07/02(月) 23:04:08 ID:zG6T+Jur0
「うまくなった...な」
技術研究部の作戦担当の主任研究官、河本博之1尉がうなった。
「彼女はがんばりやさんですよ」
集中指揮通信システムの義体機器担当である女性自衛医務官、原田明子2尉はにこりと笑った。
敵役を務める作戦部の研究員がコンピュータを駆使して5人がかりで対抗するが、通信路を妨害されたところで、実
質制御不能。通信を復活させるために新たな部隊を投入するが、守りが堅く、時間がかかる。それぞれ単独部隊で戦闘
行為は続くが、新たな指示は出来ず、逆に各個撃破され、実質おしまいの状態であった。
河本はガラスで区切られている敵役の研究員の方を見る。研究員と目が合い、研究員は苦笑いをして両手を上に上げ
た。おわりか? と手で合図をし研究員がうなずいたところを確認して、原田へ終了の指示を送る。
「戦闘終了です。高須准尉」
「了解」
コントロールシートの高須恵美が静かに顔を上げた。静かな表情をしていた。感情がないというわけではない。淡々
と目の前のやるべきことをこなす、穏やかな表情であった。
彼女はギガテックス製の義体を使用した完全義体者である。現在の階級は准尉。防衛省技術研究部の集中指揮計画プ
ログラムにおいて、集中指揮官の運用テストに採用されていた。大規模集中指揮を行う指揮官は多くの情報を扱う必要
がある。通常の人間では限界がある情報の入出力では、コンピュータと脳を直結することで通常の人間の10倍以上の情
報を扱うことが可能であった。ただしこのシステムは、通常の義体化に加えて、記憶中枢と認識中枢に新たな脳改造を
必要とする。
19 :
adjust:2007/07/02(月) 23:05:39 ID:zG6T+Jur0
普通の完全義体者の視覚と体性感覚だけの改造では、通常の人間と扱える情報の量に大差はない。扱える情報の量を
増やすためには直接記憶領域に情報を送り込むこと、そして、目からの情報を認識する手間を省いて新たな情報を判断
させることが必要である。そこで、その新たな改造を受け入れる被験者が必要であった。もっとも、改造を受け入れた
からといってもそれだけでは意味がない。多くの情報を受け入れたとしても、それを計画、作戦運用するための知能、
誠実に実行していくための倫理観が無ければ信頼するに足るだけの指揮官にはなりえない。そのため、人選にはかなり
の困難があったが、完全義体者の採用を行う段階から適性のある義体者を選び出し、さらにいくつかの調査を得て決定
されている。彼女の場合は、他の適性も水準以上であることはもちろんだが、特に作戦運用に対する適性が大きく、計
画のかなり早い段階から注目されていた人材である。
「おつかれさま、もうでてきていいわよ」
原田のその言葉を聴いてこくりと頭を下げる。その後頭部から背中にかけて、通信用の補助機材がランドセルのよう
に取り付けられている。その機器をぶつけないように注意しながら、そろそろとコントロールシートを降りていく。足
を床につけたところで、原田が通信補助機材を後ろから抱えた。かちっ、かちっという止め具の音と共に、その通信補
助機材が外されていく。
「OK,ちょっとじっとしててね。」
首をちょっとかしげた姿勢のまま、高須恵美はじっと待つ。原田が髪の中に手を入れ、きゅっと大き目のプラグを外
すと、通信補助機材は完全に外れた。後頭部にはその大きな穴が見えている。
「よいしょ」
通信機材を床に置き、作業服のポケットから櫛を出す。高須の髪を梳くとプラグの穴が隠れた。高須恵美はじっと最
初の姿勢のまま待っている。
「よし、終わったよ」
再びこくりとうなずいて、部屋の隅へ行き、次の指示を待っている。
「向こうが終わったらデブリーフィングするからね。それで今日は終わりよ」
原田が声を掛けると、高須はじっと黙ったまま、初めて微笑を浮かべた。
20 :
adjust:2007/07/02(月) 23:07:15 ID:zG6T+Jur0
ガラスの向こうでは頭を抱えるスタッフが1人、怒鳴りあっているのが2人、われ関せずと作業に没頭しているのが
数名。
「まだ、向こうがもめてるみたいだから、休んでなさいね」
また、こくりとうなずくと、ベンチに腰掛け、ベンチに置いてある本を取り上げる。その本は"現代戦術理論"とい
う分厚い教本である。その大きな教本をしおりのところから広げ、ひざの上に乗せると黙々と読み出す。
彼女の技術研究部に配置される前の階級は2曹、その頃は戦術理論に準ずる教育は一部しか受けていない。現配属前
は通信隊に配属されており、通信業務とその通信機器の維持管理が彼女の業務であった。技術研究部に配置換えの際に
急遽、戦術、戦略理論を教育され、集中指揮システムの開発と共に彼女の改造も行われている。
実戦でこのシステムを運用するためには、彼女一人というわけには行かない。すでに2名の集中指揮業務の候補生が
新たに教育を受けているし、彼女らの下で補助をする操作員の教育も始まっている。まだシステム自体が実戦を経験し
ていないことと、参考にすべき事例も無いため、教育内容も研究の一環ではある。
全ての指揮を一人に集中するとはいえ、情報収集や交渉、連絡などは一人では行うことは出来ない。今の計画では、
これらの補助をするための操作員が5名程度つくことになっている。つまり集中指揮官1名に対し補助操作員5名を1
チームとし、3チームが編成される予定になっていた。
デブリーフィングに入り、指揮についての問題点などが指摘され、その修正点などが話し合われる。特に今の彼女に
期待されているのが、義体通信補助システムを含む集中指揮システムの問題点の洗い出しであった。より効率的な集中
指揮システムを運用するためには、最初の集中指揮官候補生によるシステムの改良は、もっとも重要な任務である。
21 :
adjust:2007/07/02(月) 23:09:02 ID:zG6T+Jur0
「今回、われわれの敗因は航空優勢を維持できなかったことにあります。初期状態では戦線は硬直していましたが、
代わりの制空戦闘機を上げるのが遅れたため、戦線の支援機を引かせざるを得ませんでした。そのため」
敵役指揮官の野村は、プロジェクターに指示棒を当てながら、ちらりと高須恵美を見る。
「航空防御が弱くなったことをおそらく見抜かれました。そこを制空機で突かれたため、電子戦機も後退させました。
これで地上軍の状況は丸裸となり、先手を取られます」
河本1尉がうなずくと、高須恵美に視線を向ける。こくりと高須がうなずくと静かに立ち上がり状況を報告する。
「支援戦闘機による攻撃態勢が解けてレーダー範囲外に消えたため、支援戦闘機の状況を調べました。残弾、燃料共
に十分な残量があることを推測されたため、制空戦闘機による挑発を行いました。このとき、対抗策をとろうとせず、
対応は地上軍の地対空ミサイルと対空機関砲だけだったため、高度を上げ、制空戦闘機の戦線を前進させました。また、
この航空優勢を維持する必要があったため、次の交代要員の制空機をスタートさせました。これで」
少し間を空ける。
「電子戦機の電波妨害が薄れて、地上の配置状態が明らかになりました。こちらの配置状態はまた知られていないと
予想されたため、装甲車両、歩兵部隊によって支援部隊を撃破し、地上戦闘をこちらの有利な態勢に持ち込むことが出
来たことになります。」
頭を上げた高須はかすかに微笑を浮かべた。河本の方に視線を向けると再びこくりと頭を下げ、そっと腰を下ろす。
「うん、まあいいだろう。隙を作ったことと、それを気づかせるような運用をしたのが問題ということだな」
続いて、原田のほうに視線を向ける。
「原田2尉、システム関係で何か気がついたことはあるか?」
「はい、高須准尉の指示に対して、コンピュータの反応が良すぎるようです。実戦部隊はシミュレーションと違って
すぐに反応できませんし、一定の反応をするはずがありません。戦闘状態の部隊は指示を受け付けられない場合もあり
ますし、指示を間違って解釈する場合もあります。その不確実性をシミュレーションでも取り入れたほうがいいと思い
ます。」
22 :
adjust:2007/07/02(月) 23:11:16 ID:zG6T+Jur0
「なるほど、その件は開発チームと話をしてみよう。よし、ほかに何か意見は?」
くるりと河本1尉が回りも見回す。特に返事はない。
「いいかな、それじゃデブリーフィングはこれで終わりとする。それでは解散」
一通りの意見交換が終わると、全員が通常の仕事に戻っていく。高須は戦術、戦略の勉強に戻る。しかし、今日に限
っては、彼女は自室へは戻らなかった。そのまま会談を下り、ロビーに向かっていた。
いつもならば、すぐに自室に戻り、黙々と教本を紐解く高須恵美であったが、今日は建物の入り口付近にかろうじ
て残されている一台の公衆電話がその行き先であった。携帯電話が当たり前のこのご時世に、あえて残されている公衆
電話、今では手入れもあまり行われていない。
高須は作業服のポケットから一掴みの10円玉を取り出し、受話器をとる。電話機に数枚の10円玉を押し込み、慣れ
た手つきで番号を押した。
呼び出しのわずかな時間、じっと目を閉じ、深呼吸をする。
「もしもし、母さん、わたし、恵美です。」
「うん、お仕事はそれなりに大変だけど、今のところ問題はないよ」
防衛省ということもあり、外部からは掛けづらいため、週に一度の連絡は欠かさないことに決めている。親離れして
いないといえばそれまでだが、いくらかの不安が電話という行為を後押しする。
(性格が変わってきているのではないか?)
漠然とした不安が心から離れない。義体医にそのことを話したところ、義体化は脳にとって大きな変化であり、それ
に適応するためのいくらかの変化はよくあることという答えであった。そのうちに落ち着くということであったが、以
前の記憶と照らし合わせても、変化が目立っているように感じる。
このまま性格が変化していってしまえば、自分はどこに行ってしまうのか。そしてそのときには家族とのつながりが
なくなってしまうのではないか。そんな恐怖が電話という行為に表れている。今の自分を家族に記憶として残しておき
たい。また、性格が変化しても家族の絆は続いてほしい。だから連絡は絶対に欠かさない。これは高須恵美の切実な願
いであった。
23 :
adjust:2007/07/02(月) 23:13:58 ID:zG6T+Jur0
駅前の喧騒が広がる中、高須はあらかじめ聞いていたオブジェの前で待っていた。いつもの作業服とは違い、本来の
年齢にあっているはずのカジュアルな服装は、彼女のしぐさのためか、若干低年齢に見られるようである。巫女のよう
な雰囲気を漂わせながら静かに待ち続ける彼女の姿には、気になる通行人も多く、ほほえましい視線を与えながら通り
すぎていく。いわゆる癒し系かもしれない。
何人かの若者が声を掛けようと隙を狙っているらしいが、そんな気は全く無く、視線を合わせようともしないので、
やがて離れていく、そんな繰り返しであった。何人かはチャレンジしたものも居たが、申し訳なさそうに首を振る高須
の姿に、あえなく玉砕するのであった。
その姿を少しはなれたところからじっと見ていたのが、本来の待ち人である原田明子である。まだ時間までは10分ほ
どある。年齢相応の女性としての刺激を与えようと、買い物に誘った原田であるが、穏やかに微笑を浮かべながら待ち
続ける彼女を見て、何か違和感を感じていた。
一見すると非の打ち所のない、静かで穏やかで、かわいらしい少女のように見える。しかし、何かが欠けている。普
段からそのような違和感を感じていたので買い物に誘ったのかもしれない。普通、何もしないでじっと人形のように待
ち続けることなどない。好奇心で周りをきょろきょろ見回すとか、何かをじっと見ているとか、不安で体をゆするとか、
そんなしぐさが見られない。彼女の行動は全て教科書どおりの行動のように見える。
ギガテックスの完全義体であっても、脳は彼女のものである。脳が生き物である以上、生き物のような行動を起こす
はずである。しかし、いい意味でも悪い意味でも生きいきとした姿が見えない。
「考えすぎかしら、もともとそんな性格かもしれないけど」
原田は防衛医科大学校で義体医学を学んだ医師である。彼女の専門は義体平衡学で人工血液や電気刺激の平衡維持を
研究する学問である。その中には人工血液の成分の異常により、精神的に異常を示すという症例があった。しかし、つ
ねに高須の体調を調べているため、そんな異常が無いことは誰よりも理解している。
「うーん、そのうち親分に訊いてみるか」
24 :
adjust:2007/07/02(月) 23:17:57 ID:zG6T+Jur0
彼女の恩師の先生の名前が脳裏に浮かんだ。近いうちに母校の研究会にも参加しなければならない。そのときにでも、
と原田は懸念を頭から振り払った。ちょっと表情を作って今来たかのような姿を見せる。
「おまたせー」
高須が気がついて、原田の方へ目を向けた。微笑を浮かべ、小さく頭を下げる。
「ごめんなさい。待ちくたびれたでしょう?」
ふるふると頭を振り、静かに原田のもとへ歩いてくる。
「それじゃ、いきましょうか?」
こくり、と頭を下げて、ショッピング街のほうへ顔を向ける。
「さあて、どこから行く?、なにかご希望はあるかしら」
「あ、あの、高齢者向きのブティックに行きたいのですが」
ほう、と思わぬ渋い希望に原田が高須へ振り返る。
「そりゃまたなんでって、ああ、親御さんへかな?」
「は、はい。両親にちょっと...」
原田はウインクして原田に応える。
「了解、じゃあ、それからいきますか、ほかに希望があったらそこにも付き合うわよ」
「ありがとうございます。原田2尉は予定は無いのですか?」
原田が、しーっと口に人差し指を当てる。
「ノン、ノン、基地の外では階級付けちゃダメ、原田さんでいいわよ。高須さん...いや恵美ちゃん」
「あ、はい、申し訳ありません」
しゅんとして、顔を下に向ける高須。
「いや、怒っているんじゃないんだけど...」
心の中で、やっぱり何か問題がありそうだと考えながら、そんな気配は顔に出さずに、腰をかがめ、高須の前に顔を
近づける。
25 :
adjust:2007/07/02(月) 23:19:44 ID:zG6T+Jur0
「恵美ちゃん...」
「はい」
「真面目で素直なのが、あなたのいいところだけど、もっと図太くなっていいのよ」
「...」
「自信もっていいんだからね。あなたという人間には、誰にも真似できないいいところがいっぱいあるんだから。そ
れは仕事のことだけじゃないよ。あなたはいい物をいっぱい持っているんだよ」
原田は高須恵美の目の前に顔を近づけ、じっと眼を見る。
「まだ、会ってそんなにたってないけど、私も、研究所の周りの人もあなたのことは信頼してる。おそらく前の部隊
でもみんな信頼してたと思うよ。どう?」
「え、えっと、どうでしょう? 私のほうが皆さんから良く助けていただいたとは思いますが」
「そうでしょうね、でも、それはみんながあなたのことを信頼しているからだよ。いや、想像できるね。あなたはそ
ういっているけど、それ以上に周りの人に頼りにされているんだよ。うん」
「え、えーっと」
原田はぽんぽんと高須の頭をなでた。
「まあ、性格がすぐに変わるとは思えないけどね。おいおい強くなっていこうね」
「はい、がんばります」
原田がすっと立ち上がり、ショッピング街の方向を見た。
「よし、じゃご希望の店に行こうか。高齢者向きっていくつかありそうだけどどこがいいかなあ」
「はい、...実はいくつかメモリーしてます...」
なるほど、と原田は笑顔になる。
「りょうかい、それでは恵美ちゃんの指揮で移動しましょう。それじゃ、Lets、GO」
原田は高須を前に引っ張り出した。その勢いのまま高須はショッピング街へ歩を進める。高須がちらりと原田を見る
が、原田はにこりとしたままついてくる。一瞬どうしようか躊躇したが、覚悟を決め、高須は改めてお目当ての店へ、
第一歩を踏み出した。
26 :
adjust:2007/07/02(月) 23:23:25 ID:zG6T+Jur0
今回はここまでです。ありがとうございました。
続きは近いうちに投下させていただきますので
よろしくお願いします。
軍の作戦や階級、系統などには詳しくないので
問題があればご意見お願いいたします。
義体化、脳改造
それに伴う人間性の変化
萌えの要素満載
期待しています。
>>26 ハードSF路線の舞台設定と、ギガテックス義体娘の繊細な感情表現のギャップが
いつもながらいいですね。乙です。
29 :
manplus:2007/07/04(水) 22:10:54 ID:tWPa5hSD0
【】の人さんとadjustさんの緻密な作品のあとで
本当に心苦しいのですが、新作を投下します。
私の頭の中には、まだスーパーF1ネタが、
かけめぐっています。
「スーパールーキー〜レーシングガール外伝2〜」
と言うことでお付き合い下さい。
今回は、新キャラの投入と言うことになります。
でも、まずは、瞳とマリアのおバカコンビの会話から
なのですが・・・。
30 :
manplus:2007/07/04(水) 22:26:43 ID:tWPa5hSD0
速見瞳(以降、ヒ):「やっぱり、北京は北京ダックだよね。北京に来たら北京ダックでしょう。」
マリア=リネカー(以降、リ):「まったく!ヒトミは食べてばかりじゃないの。ウエイト制限に引っかかっても知らないよ。」
ヒ:「大丈夫だよ。その分、EMSに苛められているから。」
リ:「まあ、それだけストイックだから、年間10勝以上も出来るんだよね。日本の二戦はどうせあんたかエマが勝つか、
トミタにさらわれるから、私のチャンスはメッカとイスタンブールしかないものね。札幌と東京もヒトミが勝つのかなあ?
その前祝いといわんばかりにがぶつかれたんじゃ面白くないよ。」
ヒ:「マリア、そんなことないよ。今年は、参戦3年目で、エマちゃんが着実に伸びているから、エマちゃんのものかもね。」
リ:「そうか、エマということも考えられるか。エマとジャンヌの初優勝祝いを今年のクリスマスパーティーの
メインにしなきゃいかんな。私なんか、今のところ2勝だからね。瞳は一人で勝ちすぎだよ。
でも、本当にスーパーF1の女性陣は凄いよね。そうなればエマが勝つとジャンヌとエマで2勝、ヒトミが14勝で、
私が3勝だから、女性陣で19勝以上挙げることになるんだよね。男性を尻に敷くといったところかな。」
ヒ:「マリアのお尻だと5人ぐらいしけるかな。」
リ:「うるさいっ!石にするぞ!」
ヒ:「オッ!メデューサが正体をあらわしたな。」
リ:「何を言うか、この魔女がっ!」
ヒ:「あっ!冬虫夏草のスープがきたよ。やっぱり中国料理に漢方薬はつきものだよね。」
リ:「ヒトミ、話をそらすなっ!でも、ヒトミが冬虫夏草のスープを飲んでるとなにやら怪しげな薬品を
調合している魔女に見えるから不思議だ。それに違和感がない。」
31 :
manplus:2007/07/04(水) 22:27:24 ID:tWPa5hSD0
ヒ:「本当に怪しげな薬を飲ましてくれようかっ!」
瞳とマリアのじゃれ合いはしょうもない方向で進んでいるようだが、実際にこの年のスーパーF1グランプリは、
シーズンが終了してみれば、メッカではミラーが勝ったもののイスタンブールはマリアが勝ち、
札幌ではエマが初優勝を飾り、最終戦の東京では、瞳が昨年に続いて有終の美を飾ったため、
4人の女性ドライバーで20勝を挙げたシーズンとなった。
まさにスーパーF1グランプリは、男性スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー受難の時代となっているのである。
リ:「ところで、ヒトミ、来シーズンから、トミタのシートにも、今期で引退するリカルド=ポンテの後を受けて
東南アジアF2で10勝を挙げた期待の女性ドライバーが座るんだという噂だよ。」
ヒ:「知ってるよ。シンガポール在住でお母さんが中国系華僑と日本人の混血で、お父さんがオランダ人の混血だよ。」
リ:「ヒトミ、情報早いね。」
ヒ:「違うよ。彼女は、東南アジアのF2のカテゴリーで戦っていて、チームの資金集めで容姿を買われて、
シンガポールグランプリのレースクイーンだったんだよ。たまたま私の担当で傘を差し掛けてくれていたんだけれど、
かわいいから声をかけたんだ。そしたら、引っかかっちゃったから、レース後にお茶して、メアドと電話番号交換したんだ。
一夜も共にしたし・・・。私の僕にしたし・・・。」
リ:「その場で毒牙に賭けたのか?まったく手が早いよな・・・。最近は男をあさるよりも女をあさってばかりじゃないのか?
この前は、モスクワでロシア人のレースクイーンをナンパしていなかった?」
森田つぐみ(以降、ツ):「私とエマさんと真理子というものがありながら・・・、最近のご主人様は・・・。
紫乃さんも明日美さんも泣くに決まっています・・・。」
32 :
manplus:2007/07/04(水) 22:28:05 ID:tWPa5hSD0
リ:「こら、ツグミ、そんなことでさめざめ泣くなっ!瞳、慰めないといけ・・・。」
ヒ:「このタピオカ入りココナッツミルクおいしいよ。早くしないと全部無くなるよ。」
リ:「こら、ヒトミ、おまえの恋人が泣いているのに、ボールのままでタピオカ入りミルクにストロー入れて飲むなっ!
小姐いるか?!この馬鹿女が口をつける前に小分けにしろっ!まったくっ!どいつもこいつもっ!」
ツ:「マリアさん、何でそんなに怒っているんですか?ご主人様、ココナッツミルクおいしいですね。
やっぱりボールにストロー入れて豪快にやると格別ですね。」
ヒ:「つぐみさんもそう思う。おいしいね。」
リ:「ツグミは、さっき、泣いていたんじゃないのか?こいつらは何を考えているのかわからん。二人とも石にしてやる!」
ヒ:「そんなこと言わずに一緒に啜ろうよ。アンネも先に啜ってるよ。マリアも早くしないと無くなっちゃうよ。」
マリアが気が付くと自分のサポートスタッフのアンネ=シュタイフも瞳と森田と一緒にボールに顔をつけているではないか。
マリアは呆れて二の句が継げなくなってしまった。
ある意味、瞳の天真爛漫なところがみんなを引きつけていくのだから仕方ないのだが・・・、
瞳の馬鹿までうつることはないだろうとその時マリアは思った。
しかし、この瞳の良い意味での馬鹿さ加減が、女性スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの結束を
維持している一つの要因でもあるのだ。
マリアは気を取り直して、アンネの差し出したストローでボールのタピオカ入りココナッツミルクをすすりながら、
リ:「ヒトミ、それでお茶に誘って、それから、どうしたんだ?」
マリアは、自分の中で瞳からかえってくる言葉が解りきっている質問を聞くのが怖ろしいと思いながら聞いてみた。
ヒ:「もちろん、愛が芽生えたよ。連絡を取り合っているんだ。最近は、手術とリハビリだから、会えないけれどね。」
33 :
manplus:2007/07/04(水) 22:38:11 ID:tWPa5hSD0
リ:「やっぱり、臣下に加えたのか?魔女の弟子が増えると困るんだけれどね。ハァー・・・!つぐみに開花させられてから、
本当にビアンに目覚めたから怖ろしいよ、ヒトミは・・・。」
ヒ:「マリアだって、リヨンでしっかりレースクイーンをゲットしていたんじゃなかったっけ?」
リ:「あっ!あっ!ヒトミっ!それは、アンネの前で言わない約束だったでしょっ!」
ヒ:「あっ!ごめん。つい口が・・・。」
アンネ=シュタイフ(以降、ア):「マリアさま、私というものがいながら・・・、何で浮気ばっかりするのですか?
私という存在は何なのですか?今度、ゆっくりお話しさせてください。」
リ:「ヒトミ。アンネは、ツグミのように寛大じゃないんだから、勘弁してよっ!」
ア:「私の何処が寛大じゃないのですか?マリアさま、おしえてくださいっ!」
リ:「アンネ、そうじゃないのよ。もうしないから、機嫌を直して。お願いっ!」
さすがの瞳も堪らずフォローを入れる。
ヒ:「マリアは、アンネ一筋だから大丈夫だよ。それに、浮気するって言ったって、
アンネがいないと何も出来ないんだから、落ち着いてよ。」
ア:「あっ!それもそうですね。マリアさま、ごめんなさい。私が誤解してしまいました。」
34 :
manplus:2007/07/04(水) 22:39:33 ID:tWPa5hSD0
リ:「ゴホッ!ゴホッ!」
マリアはわざとらしく咳払いをして、
リ:「アンネ。解ってくれたらいいのよ。ヒトミっ!今度アンネが誤解するようなことを言ったら石にするよっ!」
ヒ:「ふぁーい!」
瞳は気の抜けたような返事を返した。実際の話なのだが、手脚のないスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに
とって、手脚のような存在であるサポートスタッフとの関係は切っても切れない重要な関係のため、
そのサポートスタッフが同性であるか異性であるかに関係なく、愛が芽生えることが日常的に
普通に起こっているのであった。
マリアは、気を取り直して、瞳に新規参戦するドライバーの情報を聞き出そうとした。
この日、瞳を食事に誘ったのは、その新規参入の女性ドライバーについての情報交換をしようと思ったからである。
スーパーF1グランプリに参戦している女性スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、
少数なので当然のように結束することになり、そのリーダー格が瞳とマリアである。
だから、二人が新人の受け入れをどうするのかを話し合っておく必要があるとマリアは判断したから、
瞳との意見交換の場として、食事をしたかったのである。
リ:「ヒトミ、それで、その彼女のこと、もっと教えてくれるか?」
ヒ:「いいよ。」
リ:「ヒトミ、その、話題の女性はどんな子なの?詳しく教えてくれない?」
35 :
manplus:2007/07/04(水) 22:40:19 ID:tWPa5hSD0
ヒ:「さっきも言ったと思うけれど、お母さんが中国系華僑と日本人の混血で、お父さんがオランダ人だから、
東洋人とアングロサクソンの混血で、東洋的な美しさや愛らしさを持っていて、しかも彫りの深い、
きっちりとした輪郭を持つパーフェクトボディーの美人なんだよ。シンガポール生まれのシンガポール育ちだから、
5カ国語ぐらいは楽にしゃべれるし頭もいいんだよ。ミドルスクールに入った頃からカートレース初めてるから、
経歴的にはマリアや私ぐらいかな。カートレースから、東南アジアのF3、F2とカテゴリーアップしていったんだけれど、
つい最近までお父さんの貿易会社を手伝いながら、モデルやタレント活動もしていたんだ。
その収入の全てをレース活動につぎ込む生活だったんだよ。」
リ:「それで歳は?」
ヒ:「23歳。私とマリアより三歳年下、エマやジャンヌより二歳年上だから、
スーパーF1の女性陣の中間ということになるのかな?でも、私たちってもう来年は27歳でしょ。
お肌の曲がり角なんだよね。」
リ:「ヒトミっ!余計なこと思い出すんじゃないのっ!私はサイボーグになった時から、年齢は気にしなくなったのにっ!」
ヒ:「それは、そうだよね。サイボーグは年をとらないんだものね。私なんか、
18歳の時の容姿を再現してもらっていたんだっけ。だから私は、永遠に女子高生の容姿だもんっ!」
リ:「えっ!ヒトミは、六歳もサバ読んで改造手術したの?犯罪じゃないっ?!」
ヒ:「そんなことないよ。女の子は見た目が若い方が得だもの。こんな手脚を取り外されたうえに機械部品と
電子機器で作りかえられた身体にされたんだから、少しは自分に都合のいいことも要求しなくちゃ損じゃない。」
リ:「失敗した。実年齢のままで改造手術の完成型を承諾しちゃった。レース参戦して今年で四年だから、
五年前の肉体を忠実に再現されているから、22歳の身体なんだよ。あんたよりも4歳もおばさん体型じゃないの。
ショックだわ。それに、ヒトミはどう見ても私よりも若く見えると思ったら、そう言うことだったのね。」
36 :
manplus:2007/07/04(水) 22:50:41 ID:tWPa5hSD0
ヒ:「マリアも、引退の時に人工皮膚を変えてもらったらいいじゃないの?」
リ:「その手があったか。よしっ!ところでヒトミ、そんなこといいから、彼女の話の続きを教えて。」
ヒ:「そうだったね。名前はミンメイ=羹=ハイデン。優しくて素直なんだ。つぐみさんやエマちゃんや真理子さんに
無いものを持っているんだ。ミンメイはどちらかというと男のような包容力があるから、
私のノーマルの部分をくすぐるんだよね。つぐみさんも理解してくれているけれど。」
ツ:「はいっ!ご主人様の彼女のことですから、理解しています。でも、エマさんは最初のうちは拗ねてましたっけ・・・。」
リ:「ヒトミっ!話が複雑になるから、おのろけはいいっ!」
ヒ:「わかった。マリアに自慢したかったのにな・・・。」
リ:「そんな自慢は聞きたくないわっ!」
ヒ:「そうか・・・。マリアなら解ってくれると思ったの・・・。」
リ:「わからんっ!早く続きをはなせっ!」
ヒ:「分かったよ。そんなに怒らなくっても・・・。彼女は、子供の頃からカートで育ったから、
レース度胸とセンスは抜群で、東南アジアのF3、F2カテゴリーでは敵なしだったんだ。」
リ:「カテゴリー的なレベルでいうとどうなの?」
ヒ:「F2カテゴリーで日本のフォーミュラーニッポンぐらいかな。だから、イギリスのF3レベルぐらいだと思う。」
37 :
manplus:2007/07/04(水) 22:51:23 ID:tWPa5hSD0
リ:「そこで、今シーズン10勝か・・・。エマの活躍以上にはなりそうだね。」
ヒ:「マリア、今の一言、エマちゃんが聞いたら、私の二の舞になるかもよ。」
リ:「うっ!二年も嫉妬で苦労したくない。」
ア:「二人とも、そんなこと言ったらエマが可哀想・・・。」
ヒ:「アンネ。大丈夫だよ。今のエマちゃんなら、さっきのマリアの失言だって受け流すだけの心の余裕は持っているよ。」
ア:「よかった・・・。あのころは、ヒトミさんは苦労してましたもんね。チーム内でも、
エマ担当のピットクルーとまで気まずくなっちゃって。マリア様とツグミから話を聞いていたから、心配しちゃいました。」
ヒ:「もう過去のことだよ。今はそんなこともあったのかなっていえるぐらいのね・・・。」
瞳は、エマとの過去のことを思い出して遠い目になった。
リ:「ヒトミ、感傷に浸ってないで、続きを話してくれる。小姐、紹興酒持ってきて。みんな、飲み足りないんでしょ?」
ヒ:「マリア、そう来なくっちゃね。ここからの話は、正直言うと飲み話にした方がいいのかなって思うんだ。
小姐、チャーシュー饅頭と桃饅頭も追加ね!」
リ:「まだ食べるの?ウェートコントロールが・・・。」
38 :
manplus:2007/07/04(水) 22:52:05 ID:tWPa5hSD0
ヒ:「マリア、大丈夫だよ。今日はレースで、カロリーかなり消耗しているし、検査後にEMSに二人で繋がれてきたもの。
まさか、普段通りのカリキュラムじゃないでしょ。私は、普段の4倍のカリキュラムを組んだから、
充分に摂取カロリーの余裕はあるよ。」
リ:「まっ、まあね。普段通りのカリキュラムじゃないに決まっているでしょ。」
マリアは、瞳のストイックなドライバーとしてのルーティーンに改めて驚愕すると共にその生真面目な部分に呆れもし、
尊敬もていたのだった。
こんなお馬鹿な一面も持つ女のどこから、このストイックな程の真面目さが出てくるのだろうと思った。
もっとも、そうでなくては、“プリンセスヒトミ”という称号からくるモータースポーツ界での地位も名誉もないのだ。
マリアは、親友として、瞳が、王者の系譜を正当に継承する者に相応しいのだと思っていた。
ドイツ人としては、皇帝シューマッハの偉業の数々を塗り替えていく日本人の女性に嫉妬を覚えてもいいはずなのだが、
そんな気持は、瞳と接していると吹き飛んでしまうのだ。
瞳なら、シューマッハを超えて当然、セナに近かづいていける唯一の権利を持つ人間だと思えてしまうのだ。
だから、自分が楽をして、普段のルーティーンの二倍のルーティーンでEMSに繋がれていたなんて、
恥ずかしくていえなかったのだ。
これから宿舎に帰って、更にEMSでトレーニングしないと、摂取カロリーが消費出来ないと思うと自業自得ながら、
瞳と一緒に苦労しておけばいいと思ったし、瞳の足元に届く日がまた遠くなったと思ってちょっと惨めな気分になったのだった。
ヒ:「マリア、何しているの。紹興酒も来てるし、お饅頭も早く食べないと冷めちゃうよ。
中華饅頭は暖かいうちに食べなきゃ。」
マリアが瞳にそう言われて我に返ってみると、瞳は、森田から饅頭を差し出されて頬張っているし、
シュタイフや森田も、饅頭をおいしそうに頬張っていた。
そして、シュタイフが嬉しそうに、マリアの口元に饅頭を差し出していたのだ。
マリアは、意を決したように饅頭を頬張った。
39 :
manplus:2007/07/04(水) 23:01:48 ID:tWPa5hSD0
ヒ:「マリア、ここのお饅頭、おいしいでしょ。ソイソースをつけるとチャーシュー饅頭は味が際だつんだ。
ミンメイちゃんに教わったんだよ。さてと、ミンメイちゃんのことだけど、普通はマリアが言う通り、
エマよりも少し早く活躍し出すかなというところの実力で、ジャンヌか八重山ぐらいのニュアンスだと思うんだけれど、
ひょっとするとミラーやロッキネンぐらいの活躍をするかもしれないんだ。」
リ:「どういうことなの?ミラーやロッキネンはキャリアが違うじゃないの。私もそうだけれどF1経験があるのと無いのじゃ、
スーパーF1にランクアップしてからの苦労の仕方が違うんじゃないの。ヒトミは別格だから、苦労しなかったけれど。」
ヒ:「そんなことないよ。私だって苦労したよ。この身体になって、マシンと一体となることが、
ステアリングやアクセル経由でマシンをコントロールするのとまったく次元が違う感覚を要求されるんだもの。」
リ:「よくいうよ。ピットミスがなかったら1年目から何勝していたか分からないくせをしおって。」
ヒ:「私だって、苦労したんだよ。1年目に未勝利なんて許されないという世間と戦うんだもの。」
リ:「それも、嫌みだって言うのっ!」
ヒ:「そうかなぁ。」
リ:「そう言う意識が無くて、天真爛漫に言ってしまうところが、誰からも好かれる理由だよね。得な性格してやがる。
やっぱり、会う人を全て籠絡する魔法を掛けてるんだね。魔女は怖いわ。」
ヒ:「ジョークは受け流すとして、ジャンヌ程度の実力があって、私以上のサイボーグ適応化率を
ミンメイちゃんが示していたとしたら、どうなると思う?」
40 :
manplus:2007/07/04(水) 23:02:31 ID:tWPa5hSD0
リ:「ヒトミ、ちょっと待ってよ。あんた以上のサイボーグ適応化率なんてあり得ないわよ。
だって、98%がサイボーグ適応化率の事実上の100%だって、チームドクターから聞いているもの。
それ以上の適応化率は人間としての心が無いロボットしかあり得ないって。
人間としての思考や感情があってのサイボーグという存在は、その2%の部分が担保なんだって聞いているわ。
だから、ヒトミは限りなくアンドロイドに近い人間であって、人間を捨てない限り、
ヒトミ以上の適応化率は持てないって聞いたわ。」
ヒ:「私をアンドロイドにしおってからに、フェラーリのチームドクターめっ!カボチャにしてくれる!」
リ:「こらこら、やめてくれ。私がメンテナンスを受けられなくなっちゃうから。」
ヒ:「そうか、仕返しに石坂ドクターを石にされたら困るからやめておくか。」
ツ:「ご主人様も、マリアさんもしょうもないこと言ってないでください。」
ア:「そうですよ。マリア様もヒトミさんも、早く話の続きをヒトミさんにさせてあげてくださいっ!
馬鹿話はいつでも出来るんですから。」
ヒ・リ:『すいません・・・!』
リ:「ヒトミも私も、専属のサポートスタッフがしっかりし過ぎているからね。」
ヒ:「そうだね。ありがたいけれど、こういう時は、ちょっとね・・・。」
ツ・ア:『ちょっとなんですか?』
41 :
manplus:2007/07/04(水) 23:03:13 ID:tWPa5hSD0
ヒ:「また、ツープラトン攻撃に遭ってしまった。さて、気を取り直してっと、話の続きなんだけれど、
普通なら、サイボーグ適応化率は、私のレベルを人間で超えることはないらしいんだけれど、
一つだけ超えられる条件があるの。」
リ:「それはなんなの。ヒトミ、もったい付けずに教えてよ。」
ヒ:「解った。その条件が嗜好なんだよ。」
リ:「嗜好?!」
ヒ:「そう。嗜好。それも性的嗜好なんだ。ミンメイちゃんには、強度のフェチがあるんだよ。
そのフェチの嗜好によってサイボーグ適応化率が、99.7%まで跳ね上がるんだよ。
さすがにそれ以上は人間の感情を捨てる領域だからここまでが人間がサイボーグになるための
適応化率としては本当に最高のレベルなんだって。私で、10万人に一人という出現確率なんだけれど、
ミンメイちゃんのレベルになると一千万人に一人いるかいないかのサイボーグへの適応化率なんだって。」
リ:「そんなに凄い適正化率の人間がなんでいるんだ。まさにサイボーグになるために生まれてきた人間なのか。」
ヒ:「サイボーグになるためというよりも、意志を持った機械になるために生まれてきた娘という表現がピッタリなんだよ。」
リ:「だけれど、そこまで、適応化率を引き上げるフェチって、何なの?」
ヒ:「その名も、サイボーグフェチとメカフェチ。その二つをミンメイちゃんは小さい時に開花させて持っていたんだ。
更に、M性が強くてビアンの性癖があってその性癖が複雑に絡み合っていたんだからね。
ついでに拘束マニアでラバーフェチときてるんだ。」
42 :
manplus:2007/07/04(水) 23:15:29 ID:tWPa5hSD0
リ:「後半の性癖はいいけれど、ということは・・・。」
ヒ:「つまり、信じられないことなんだけれど、小さい時から、ミンメイちゃんは、自分の身体を機械や電子機器に
置き換えたサイボーグに対して憧れを持っていて、サイボーグになることを夢見て育ってきたんだよ。
サイボーグになることを想像したり、人工器官のメカを見ると性的興奮を覚えて自慰していたんだそうだよ。
そして、ミンメイちゃんの恋愛対象も強くて綺麗なサイボーグに何らかの理由で改造された女の人なんだ。
言い換えると、生身の人間には全く興味はおろか、性的に興奮もしないんだ。」
リ:「考えられん。ヒトミも、その気があったから、適応化率が高かったんだよね。」
ヒ:「私は、潜在的なものなんだけれど、ミンメイちゃんは、顕在化して持っていたし、
機械や電子機器に対してもオタクを通り越して、異常な執着心と性的興奮の対象になっていたんだからね。
将来は、サイボーグになってサイボーグのパートナーを持ちたかったんだって。だから、私に簡単になびいたんだよ。」
リ:「ひょっとしたら、声を掛けたのがヒトミじゃなくてもなびいたかもしれないの?」
ヒ:「そうかもしれないね。その辺は、本人しか解らないけれどね。
でも、その分野の最強のサイボーグとお付き合いしたかったんだって言っていた。だから、
それ以外はサイボーグ女性であっても眼中にないんだって。」
リ:「つまり、ヒトミが理想の女性だったということか?しかもビアンの気もあったってことだろ?」
ヒ:「そう。男性型サイボーグは汚くて嫌だって言ってた。女性型サイボーグしか恋愛の対象にならないんだって。」
リ:「複雑な精神構造なんだ・・・。」
ア:「そうですね。強度のフェチの思考は解りませんね。」
43 :
manplus:2007/07/04(水) 23:16:12 ID:tWPa5hSD0
ヒ:「話を元に戻すけれど、そう言う特殊な思考を持った人間が、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになったらどうなるかと言うことなんだ。」
リ:「どういうこと?」
ヒ:「マリア鈍いなぁ。」
リ:「ほっとけっ!ヒトミに言われると、なんだかとってもムカつくッ!」
ヒ:「まあまあ、つまり、ジャンヌぐらいの才能があって、マシンの機械装置の一部と化すような身体に
改造されてマシンと一体化されることに抵抗がないんだよ。マシンの一部として、
マシンからの情報を何の抵抗もなく処理出来る人間と言うことは、ある程度の才能があれば、
マシンを理想的に走らせられることが可能になると言うことなんだ。機械的に理想的なトレースを描いてマシンを
走らせることが出来れば、私よりも理想的にマシンが動くことになるのよ。」
リ:「ということは優勝の可能性だってかなりあるということなんだ。」
ヒ:「そう言うこと。理屈はね。まぁ、理屈通りでことが運んだら、
スーパーF1マシン専用サイボグドライバーがみんな苦労しないんだけれどね。」
リ:「確かにそうだ。」
ヒ:「そういうこと。」リ:「そんなに事が簡単だったら、ヒトミなんか、スーパーF1に参戦した初年度から、
全勝したっておかしくないのに、参戦シーズンは未勝利だもんね。」
44 :
manplus:2007/07/04(水) 23:17:42 ID:tWPa5hSD0
ヒ:「ほっといてっ!それを言われると傷つくんだからっ!私、一年間未勝利なんて、一昨年のシーズンだけだもの。」
リ:「ヒトミでも、傷つくことがあるんだ・・・。でも、それだけ適応化率が高ければ、
生体脳とマシンの理想的な関係により近かづけるということか。」
ヒ:「そう言うことなんだ。だけれど問題もあるんだよ。」
リ:「どんな?」
ヒ:「他のドライバーとは違った次元の走りになるから、サーキット内に混乱が起きる可能性もあるんだよ。
その時に、機械システムからの情報が正しいと信じて疑わないミンメイちゃんは、他のドライバーに責任を転嫁して、
自分は全て正しいと思う状態になると思うんだ。そうなった時の他のドライバーとの軋轢は
凄いものになるんじゃないかと・・・。」
リ:「それは大丈夫よ。ヒトミがそうじゃない。ヒトミは、他のドライバーとの軋轢なんて何もなかったもの。」
ヒ:「そうじゃないわ。私は、もともと、人間であった時から、他のドライバーとはまったくぶつかることのない走りを
していたから、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになっても、軋轢が起きないような棲み分けが
出来ているから大丈夫だったんだよ。その棲み分けが無く、私のような無茶とも受け取れる走りを集団の中でされたら、
それが、先頭付近ではなく、中位下位でされたら、大変なことにならない?」
45 :
manplus:2007/07/04(水) 23:27:04 ID:tWPa5hSD0
マリアは、瞳の説明を反芻し、ゆっくり理解してその通りだと思った。
確かに、瞳が無茶苦茶と端から見て思える走りをしても、他のドライバーが絡みようがないほど、速くて、
いつも集団のトップにいるのだから、事故の要因にはならないのだが、他のドライバーが密集して走っていて、
バックマーカーとなり、周回遅れとして抜くマシンも出てくる中位下位グループで、
自分たちが予期せぬ走りをする瞳のような存在がいたらトラブルの元になることは間違いがないのだ。
まして、瞳のように、もし万が一、トラぶったとしても、レーサーとして、自分が悪いと感じれば、
大人の対処をするのなら別だが、全てが自分は正しいという考えで対処されたら、
そして、若いドライバーにありがちな過信が重なったら、大変なことになるのは火を見るよりも明かというものだった。
瞳が譲らない時は、明らかに相手が悪いということをドライバー同士では、判断できるケースしかなかったし、
“プリンセスヒトミ”が悪いと思えるトラブルなど無いというのがドライバーの掟のようになっていたのだ。
しかも、そのような掟が存在するにもかかわらず、自分が悪いと認めた時の瞳は、
即座に謝るということをみんなは知っていた。
だからこそ、“プリンセスヒトミ”という称号を恣にすることが出来る稀代のドライバーなのである。
それが、そのような掟のないドライバーにかき混ぜられたら、ただでさえもプライドの高い
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの反発を招くことは間違いのないことなのであった。
リ:「そう言うことか・・・。大変だよね。」
マリアが呟くように答えると、瞳が更に続けた。
ヒ:「それも、悪意があってのことなら、まだいいんだけれど、サイボーグ適応化率がミンメイちゃんまで高いと
悪意を持たないと思うんだよ。つまり、純粋に機械的な理屈での判断だから、ロジックが全て正しければ、
自分の間違いに気がつかないと思うんだ。それが、混乱を招く結果にならないといいんだけれどね・・・。
私が心配しすぎかなぁ?」
46 :
manplus:2007/07/04(水) 23:28:10 ID:tWPa5hSD0
マリアは、常にレース全体のことに気を配り、全体を見つめている瞳を親友ながら、ある意味で尊敬していた。
もちろん、モータースポーツ界で、瞳の立場としては、全体を考えなくてはいけないことは当然なのであるが、自分が、
瞳の立場になったら、瞳のような立ち居振る舞いが果たして自分に
出来るのだろうかという想いから来る畏敬の念なのである。
そして、それが出来るのが、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーやスーパーF1界全体から、
信頼され尊敬されている“プリンセスヒトミ”であるのだ。
マリアは、そんな瞳の親友であることを誇りにすら感じていたのである。
リ:「ヒトミ。そんなことないよ。ヒトミが言う通りだと思うわ。何か私たちで対策はないかな?」
ヒ:「対策と言えないかもしれないけれど、私たち4人がミンメイちゃんの考え方を把握出来るように親しくなって、
仲介役になってあげるしかないと思うんだよ。マリアとジャンヌが、私とエマちゃんの間で苦労してくれたみたいにね。」
リ:「そうだね。それしかないね。」
ヒ:「今回のミンメイちゃんの件は、私が中心になっていかないといけないことを覚悟しているんだ。」
リ:「“魔女ヒトミ”の手下だからか?」
ヒ:「マリア、茶化さないでよ。サイボーグ適応化率の高いものとして、
ミンメイちゃんの心を理解しやすいのは、私だと思うからよ。」
瞳は、ちゃんと自分の立場を理解して、何をしなくてはいけないのかをちゃんと理解しているのだ。
普段は、馬鹿娘と仲間に揶揄されてじゃれ合っているが、決めるところはビシッと決めることが出来るところが、
スーパーF1界の女王様といわれるところなのだとマリアは思った。
ただ、一番親しい親友を自負するマリアとしては、普段の馬鹿っぷりを
もっと減らさないとただの馬鹿娘にしか思えなかったのだが・・・。
47 :
manplus:2007/07/04(水) 23:28:53 ID:tWPa5hSD0
リ:「ヒトミ、シーズンオフに、私や、ジャンヌやエマと一緒に、彼女に会えないかな?」
ヒ:「大丈夫だと思うよ。たぶん、恒例のクリスマスパーティーの時か、新年会の時になると思うけど。
それまでは、いくら適応化率が完璧でもサイボーグになった身体の訓練やマシンコントロールの
シミュレーション訓練を受けないといけないからね。九月後半にサイボーグ手術を受けていると思うから、
その時期には、トミタのスーパーF1のスーパーF1医療中央センターから東京に移されることが決まったらしいから、
連れ出せると思うんだけれど・・・。クリスマスパーティーにミンメイちゃんを呼ぶのなら、今回だけは、
日本でやって欲しいんだよ。そうじゃないと、彼女をトミタがまだテスト走行とかあるから、
日本から出すわけにはいかないと言うと思うの。」
リ:「それもそうね。クリスマス、ニューイヤーと日本で連続でやろう。それもいいかもしれないね。
でも、ヒトミ、レミとフランツの追悼ミサはどうするんだ?」
ヒ:「大丈夫。つぐみさんと私は、プラハ便を使って、とんぼ返りするから・・・。」
ツ:「レミのご両親やアンヌさんと前日にお会いして、ゆっくりお話ししますし、その方が好いと思うんです。
それに、今年は、チェコグランプリの前にもみんなにお会いしていますから。」
リ:「そうか・・・。ヒトミとツグミがそれでいいならいいけれど・・・。」
ヒ:「それに、札幌行きの飛行機をマリアと一緒にすれば楽しいからね。
プラハからの便で好恵の乗務する便を押さえておけばいいんだよ。」
リ:「それはいいアイデアだね。私がオーストリア航空に掛け合って、ヨシエが乗務するようにしておけばいいんだよな。」
ヒ:「その通りだよ。それじゃあ、札幌で設定するよ。食べ物もおいしいし、雪のクリスマスになると思うからね。」
48 :
manplus:2007/07/04(水) 23:41:04 ID:tWPa5hSD0
リ:「良し、決まりだ。でも、彼女を札幌まで連れて行けるの?」
ヒ:「大丈夫。北海道で寒冷地トレーニングをやらせたいとチームドクターから
トミタ本社に要望書を上げてもらうようにするから。」
リ:「大丈夫なの?」
ヒ:「大丈夫だと思うんだ。石坂ドクターから、トミタのドクターに頼むようになっているから。」
リ:「石坂ドクターとトミタのチームドクターの関係は大丈夫なの?」
ヒ:「うん。大学時代からの先輩後輩で、石坂ドクターには絶対頭が上がらないらしいよ。」
リ:「石坂ドクターって、ヒトミがマッドサイエンティストっていっていなかったっけ。」
ヒ:「そうだよ。」
リ:「トミタのチームドクターが頭が上がらないっていうと、何かの弱みでも握られているのかな?」
ヒ:「ううん。違うって言っていた。いつでも、眠らせてサイボーグに改造手術を施した上で
宇宙空間で作業に従事させることも出来るんだぞって脅したって言っていた。
うちのドクターの信者は世界各地に散らばっているから、一声掛ければ、拉致して改造手術を施して宇宙空間に
一瞬で送ることなんて簡単だって言っていたよ。石坂ドクターに逆らうなんて出来ないはずだって言っていた。」
リ:「悪魔のようなヤツだ。被験者の瞳にそっくりだ。妻川監督といい、こいつといい、石坂ドクターといい、
カンダの女性陣は恐ろしいヤツばっかりだ。」
49 :
manplus:2007/07/04(水) 23:41:45 ID:tWPa5hSD0
ヒ:「何か言った?」
リ:「なっ、何にも。」
ヒ:「良かった。石坂ドクターはどこに盗聴器仕掛けてるか判らないから気を付けた方がいいよ。」
リ:「まったくっ!医者が権力振りかざしていいのかっ!」
ヒ:「まあね。でも、石坂ドクターは普段は優しいもん。それに、石坂ドクターは、スーパーF1界にとって、
医療技術の生き字引みたいなものだからね。どこのチームのドクターも石坂ドクターには頭が上がらないんだよ。」
リ:「魔女とマッドサイエンティストは手を結ぶものさ。洋の東西を問わずに決まっているわいっ!
ところで、ヒトミ、そのミンメイ嬢の手術と訓練期間長くないかい?」
ヒ:「うん。だって、ミンメイちゃんの嗜好は特殊だから、契約条件で、トミタが苦しんだのは、契約金でも、
待遇でもないんだって。ミンメイちゃんの手術に関することなんだってさ。ミンメイちゃんの契約時の要求は、
自分のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーへの改造の時のサイボーグ体の仕様の問題だったんだって。
ミンメイちゃんの要求通りのサイボーグ改造手術が、国際自動車連盟のレギュレーションに抵触しないかを
確かめるのに時間がかかったと言っていたわ。何せ、自分が機械に近づかないと気が済まないからね。
国際自動車連盟もかなり戸惑って、協議を重ねた末に、性能上で私たちの仕様と変わらなければ、
ミンメイちゃんの要求通りの改造手術が可能だという判断を下したらしいの。
だから、手術までに時間がかかったらしいよ。かなり私たちと外観と仕様が違うと言っていたわ。
今度みんなで会ったときのお楽しみだと思うけれど。」
50 :
manplus:2007/07/04(水) 23:42:29 ID:tWPa5hSD0
リ:「そうなの。ところで、そこまでの情報をどこで仕入れたの?ヒトミは?」
ヒ:「石坂ドクターが、国際自動車連盟の医師団から相談を受けた話をミンメイちゃんを
これから私が支配していくのに必要だからと言って教えてくれたの。
それに、石坂ドクター自身もアドバイザーとして手術に立ち会ったみたいだからね。
実際に、ミンメイちゃんの手術は、石坂ドクターがアドバイスしないと施術できなかったらしいから・・・。
その情報も合わせて教えてくれたんだよ。それに、ミンメイちゃん自身からもメールで色々な情報を
教えてもらっているからね。なんと言っても、ミンメイちゃんの管理者は、私とつぐみさんなんだもの。」
リ:「まったくっ!やっぱり、魔女とマッドサイエンティストは手を組んでいたのか。
こいつらは、自分たちの欲望のためなら、きっと地球制服だってやるかもしれない。」
ツ:「マリアさんもご主人様と手を組んで地球制服をしましょう。」
リ:「ツグミっ!そんなこと誰がやるんじゃっ!」
ア:「マリア様。私、一緒にやろうと思いました。マリア様もきっとご一緒してくださると思ってました。
石坂ドクターとヒトミさんとツグミと一緒なら絶対に成功します。」
しえん
52 :
manplus:2007/07/04(水) 23:54:05 ID:tWPa5hSD0
リ:「アンネ。あんたもどういう性格しているの。気が変になりそうだわ。
今日は帰るよ、ヒトミ、私、頭がぐらぐらして来ちゃった。」
ヒ:「マリア、お大事に!クリスマスの予定は押さえておくからね。札幌で旨いタコを用意しておくよ。」
リ:「オー!マイ!ゴッド!あんな魔女の使いを誰が食べるんだっ!私の前に置いたら絶交だからねっ!」
ヒ:「あんなおいしいものを、欧米人の考えることは解らないよ。」
リ:「どっちがじゃっ!」
マリアはそう言い残して、スタスタと帰っていった。
残された瞳とつぐみは、その日、店の迷惑も顧みずに、その場で完徹で飲み明かしたのであった。
それ以後、このレストランが、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの予約を
取らなくなったのは言うに及ばないことであった。
53 :
manplus:2007/07/04(水) 23:57:00 ID:tWPa5hSD0
今日はここまでです。
次回から、新キャラが登場する予定です。
サイボーグフェチが自分の欲望を実際に満たすことができたら、
と言う想定に基づいて、新キャラを書いてみます。
ちょっと、エロな展開になるかも知れません。
54 :
manplus:2007/07/04(水) 23:58:27 ID:tWPa5hSD0
55 :
pinksaturn:2007/07/05(木) 13:31:45 ID:y6DnXvOt0
>>14 ~ 軍用ギガテックスキター! 脳改造の威力発揮はやっぱり指揮用でしょうね。
指揮専用という任務は第七艦隊のブルーリッジ(空母でも戦艦でも巡洋艦でもない世界唯一の艦種「旗艦」)を彷彿させますね。
>>30 ~ メカフェチ新キャラwktk 非人間型???デッキマン?ジェイムスン?ガンタンク?いやもっとトンデモ仕様だろうか。
スーパーF1の規制があるから、非人間型なのに食事排泄性器ありという斬新なデザインになるのでしょうか。
56 :
adjust:2007/07/05(木) 19:36:10 ID:YrMw3scI0
>>27 >>28 感想ありがとうございます。もっとシンプルな話に出来ればよかったんですが
なんだかえらく重たい話になってしまって申し訳ないです。
最初の舞台設定の能書きがくどくなってしまって、文章力のなさを痛感しています
>>29-53 スーパーF1名物のやり取りですね。文中のサイボーグ適応化率とは、脳と機械の
適合率みたいなものなのでしょうか? はっ、まさか脳の98%が機械に変わっているとか...
それはないよ...ね(多分)
サイボーグフェチ新キャラ期待しています。ヤギーワールドコラボも考えていらっしゃるようですが
それも期待して待ってます。
>>55 揚陸指揮艦ブルーリッジ、良くご存知ですね。情報処理と通信が重要な要素なので、浮かぶ
コンピュータでもあります。電気電子屋の自分にとって、イージス艦と並んで興味のある艦です
考えてみれば、海軍でも良かったかも。イージス艦のコンピュータを手玉に取るサイボーグ娘とか
57 :
manplus:2007/07/06(金) 00:50:41 ID:e09T6XQW0
>>55 スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー自体が、
人間ダルマ状態ですから、これ以上の変更で、人間的
で無くなるのもなあと思っています。
>>56 適合率。仰るとおり、人間の脳がいかに機械との共生に
適応しているのかという目安の率です。
いかに生体が機械を拒絶せずに共生を受け入れるかの
適合率と思ってください。
ヤギーワールドとのコラボですが、ヤギーが瞳と出会ったら、
何を思ってどんな行動をとるかなという視点と、瞳は、
ヤギーに対して、どんな態度をとるのかなという視点で
展開を考えています。
58 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 08:30:13 ID:jLFB04U90
(地味〜〜〜にケンタウリの続きです。)
−−−(3)核実験−−−
火星大工場から試験用核融合パルス推進装置製作完了報告があった。
試運転のためフォボスに設置するまでにあと1ヶ月かかるという。
制憲会議の発議がまだ済んでいないというのに、東宮は高速連絡艦で飛んでいってしまった。
もう審議は終わっていて、あとは細部の作文と本会議の儀式だけだから宜しくだと。
確かに今さら答弁すべき重要事項なんて残っていないわけで、ダメとは言えない。
重箱の隅をつつく話の答弁なら官僚に、儀式なら皇帝に任せたというわけだ。
エンジニア属性の娘を東宮に据えた以上、これくらいは我慢するしかないか。
上級皇族SNS・皇帝朝子10世のブログより
(高速連絡艦”うらが”艦橋)
主任操舵員・亜未中尉:「推進剤残量1500dです。そろそろ蒸気噴射止めましょう。」
艦長・洋子中佐:「最適軌道にも近いし良いわね。」
華子4世:「せっかく有脊髄型の乗員を降ろしてきたんだから、もう一声、加速して頂戴。」
洋子:「仰るとおり加速が辛くはありませんが、欲張っても高々3日しか詰まりませんよ。」
華子4世:「その3日が大事なの。設置工事の大詰めに立ち会えるかどうかなのよ。」
洋子:「知子3世殿下がミスなどなさるとは思えませんが。」
59 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 08:31:21 ID:jLFB04U90
華子4世:「もちろん機関そのものや船体への設置なら全幅の信頼を置いています。
でも、大叔母上は低出力の隕石移動装置以外は艦載機関しか扱ったことがない筈よ。
元々地学に強い方ではないし、フォボスは地質の脆さが特別な星なのよ。
成分が完全な岩石質でなく氷隕石にも似ているし、過去に大きな衝撃を受けているわ。
有名な大クレーターが出来たとき星全体に亀裂が入った痕跡があるのよ。
エンジン設置場所周辺の地盤調査を十分やって土台を補強をしないと危険だわ。
指示は送っておいたけど、やり直しがきかないから自分の目で確かめたいのよ。」
洋子:「なるほど。承知しました。主任操舵員、加速続行だ。」
亜未:「了解です。残量1250dまで使って良いですね。」
華子4世:「消費で軽くなる分があるから半分残せば安全性に問題はないわ。」
亜未:「こんなときは、核パルス使用が火星以遠に規制されているのが痛いですね。」
華子4世:「全くよ。昔、原爆を戦争に使っちゃったバカどもを恨むしかないわ。」
(火星静止軌道大工場・ベイ岸壁)
管制官:「”うらが”係留完了。乗降を許可する。」
亜未:「口開けますよ。」
洋子:「任務完了。総員退艦せよ。」
華子4世:「ご苦労さん。亜未が良い腕前だったお陰で工事に間に合ったわ。」
亜未:「お役に立ち何よりです。私も恒星間飛行船に志願したいのでよしなに。」
華子4世:「技量は十分認めさせて貰ったわ。だけど選考に私情は無しだからね。」
60 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 08:32:05 ID:jLFB04U90
(火星静止軌道大工場・ベイ火星降下艇係留場)
華子4世:「大叔母上、設置を見せてもらいに来たわよ。」
知子3世:「あらびっくり。随分飛ばしてきたのね。調子悪くなる娘は居なかった?。」
華子4世:「有脊髄型の娘を全員降ろして、補助推進器を目一杯吹かしてきたからね。」
知子3世:「乗員人事は宙軍大臣権限だったね。やるわね。」
華子4世:「大クレーターが出来たときの亀裂が気になったの。土台気を付けないと。」
知子3世:「正直そのあたりはいまいち自信がなかったから助かるわ。ところで質問。
衛星のフォボスに行くのにどうして有翼の火星降下艇を使えって指示したの?。」
華子4世:「フォボスの高度は人工衛星並みでしょ。ちょっと下がれば大気圏よ。
昔、大気抵抗を受けて軌道が変化しているいるという誤った説が出たことだってあったわ。
初めての実験だし、何か事故があれば地上に降りる可能性もありますよ。」
知子3世:「一応、高度6000`といったら地球ならICBMの弾道頂点だわね。
火星だと直径が半分だから実は低軌道と呼ぶほど低くもないわけなんだけどねぇ。
いくらなんでも、間違ってフォボスを地上に落とすような失敗はしないと思うけど。
まあ、未知の要素には慎重にってのは技術屋の基本だ罠。でわ、行ってみましょうか。」
管制員:「降下艇最優先発進指令受領しました。曳き出しを開始します。」
61 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 09:09:53 ID:jLFB04U90
(フォボス)
知子3世:「計画中の恒星間航行艦後部船体とほぼ同じものを設置しました。
白い巨塔のように見えるのが船体中央シャフトにあたります。爆風受けは判りますよね。」
華子4世:「あー、やっぱり。あっち側の地形は古い亀裂の跡が凍結したものだわ。
シャフトの真下は地盤補強剤が十分だけど振動が伝わると周囲で不等沈下が起きるわ。
このままだと最悪実験施設が傾斜か転倒してフォボスの自転に影響を与えるかも。」
知子3世:「地中レーダーで亀裂の少ない地点を選んだんだけどダメか。
だけど、あんな遠くまで広げて地盤補強なんてやりようが無いし、困ったわぁ。
そもそもフォボスは自転が公転に同期してるから設置可能場所が限られるしぃ。
倒れにくくするなら支柱を追加して補強するくらいしか方法がないわね。
美佳、まさみ、手っ取り早く使えそうな補強資材の在庫を確認してちょうだい。」
造機本部兵・美佳:「火星大工場にある余り物ですと旧式艦の胴体ぐらいです。
2本継ぎ足せば、ちょうどフォボスの表面から爆風受けの縁に届きます。」
造機本部兵・まさみ:「中空だからショックアブソーバーは組み込みやすいですよ。
数は、8本ならすぐに手に入りますね。ベイ隣接の倉庫にあるので出すのも楽です。」
知子3世:「それで、周りに補助シャフトを立てて直接爆風受けを支えるしかないわね。」
華子4世:「補助シャフトに入れるショックアブソーバのストロークを長くするのよ。
不等沈下が起きたら沈んだ側を加圧して傾斜を抑えれば実験中くらい保つわよ。」
知子3世:「ショックアブソーバーの内筒に使えそうな資材があるかしら?。」
美佳:「満漢の隕石鉱夫船向けに製造している船体部材なら大量に在庫があります。
満漢の達磨娘は操縦の荒い香具師が多いから修理用に外板部材がよく売れるんです。
これの完成時外径がちょうど旧式資源収集艦外殻の内径に合うんですよ。」
62 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 09:10:45 ID:jLFB04U90
知子3世:「そお。2人で工場に行って資材を押さえ、作業員を集めて加工しなさい。
ショックアブソーバーの機構はストロークに融通が利く電磁ブレーキでやっておいて。」
まさみ:「液体インシュレーターを入れなくても良いでしょうか?。」
知子3世:「入れた方が良いけど満漢向け部材の精度じゃすぐに液漏れしそうね。
振動の遮断はイマイチになるけど、時間も無いことだし省略しなさい。
それから、補助シャフトの立つ場所の地盤を補強しなくちゃいけないわ。
工場で地盤凝固剤の取扱経験者をなるべく大勢集めてこっちへ派遣させなさい。」
美佳:「作業員が足りなかったら外国人労働者を使っても宜しいですか?。」
知子3世:「ベイ周辺でたむろして居る外国人労働者の殆どは満漢人でしょう。
あいつらは監督要員が不十分な現場だとすぐに手抜きをするから危険だわ。
地盤補強の手が足りなければ実験を遅らせてもいいから、使うのは止めなさい。」
美佳、まさみ:「承知しました。行ってきます。」
知子3世:「実際に不等沈下が起きたら以後の実験がやりにくくなるわね。」
華子4世:「補助シャフトはその都度地盤に合わせて設置し直すことにすればいいわ。」
知子3世:「解ったわ。資材は間に合ったから5日ほどで設置出来ると思うわよ。」
63 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 09:12:02 ID:jLFB04U90
(5日後、フォボス付近の火星降下艇)
作業本部から通信:「核融合推進実験施設電源起動完了。リニアカタパルト各機正常。
作業員は全て宇宙空間に撤収しました。1分で安全距離に達します。」
知子3世:「再度全部隊に通達。これより核パルス実験施設周囲6`以内に接近を禁ず。
5分後に推進実験を開始する。」
作業本部:「了解。6`以内への進入を禁止します。」
知子3世:「さてと。もう一度フォボスの自転をチェックしようか。ぶれは出ていないな。
次、カタパルトのプログラムチェック。種原爆点火後、0.1秒間隔で9500発。
最後は0.11秒間隔で500発で間違いなしね。始めて良いわね?。」
華子4世:「どうぞ。始めて下さい。」
知子3世:「でわ起動。ぽちっと...種火点火!おー、明るい明るい!誘爆成功よ。」
(
http://pinksaturn.fc2web.com/cen/fobosukakujikken.htm )
華子4世:「メインシャフトのジャイロスタビライザーにかかる負荷はどう?。」
知子3世:「いまのところねじれ方向の力は小さいわ。最後まで続けられそうね。」
華子4世:「予想より爆炎の位置が近い気がするけど温度上昇は?」
知子3世:「どうにか水銀で吸収できているわ。爆風受け裏面で最高200度。」
華子4世:「それくらいなら何日でも保ちそうね。」
64 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 09:30:30 ID:jLFB04U90
知子3世:「この温度分布なら計算上は恒星間往復でも持ちこたえられるはずだわ。
そろそろ間隔が開く頃よ、不発出ないと良いけど。お、爆炎少し遠くなったかな。
何とか点火できているか。あ、終わったわ。」
華子4世:「最後の500発もちゃんと全部誘爆したのかしら?。」
知子3世:「ざっと見た限り爆発したと思うわ。パルス毎に見える訳じゃないけどね。
あとで施設内の振動計に残った記録を解析すれば何個パルスが来たか検証できます。」
華子4世:「フォボスの公転速度変化はどうなの?。」
知子3世:「秒速にして0.01bくらいですね。」
華子4世;「加速18分で0.01m/sか。爆炎が近めだったから、結構出たな。
これは、あんまりやりすぎるとフォボスが静止軌道に移ってしまいそうね。」
知子3世:「西から昇らなくなったら観光関係から文句が出るかしら。」
華子4世:「はは冗談ですよ。この程度なら数年で火星がブレーキかけてくれるわよ。
天然衛星の軌道を変えるにはまだ力不足ね。でも、宇宙船推進用なら恐るべき推力だわ。
フォボスの質量が約10の13乗dだから、100万dの艦なら同じ推力で10Gは出るわね。
こんなペースで加速できるなら20.5光年だってじきに手が届かないものかしら。」
65 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 09:31:54 ID:jLFB04U90
知子3世:「ショックアブソーバーの効きが十分か振動解析結果を調べないと判りません。
それに乗員や船体が耐えられると仮定しても弾切れがあるから連続運転は出来ないんです。
融合弾を全て完成品で積むと嵩張りすぎて船体容積が膨らみ強度不足になります。
したがって融合弾の大部分は素材を積んで行って艦内で組み立てる必要があるのです。
艦内で融合弾を組み立てられるペースは現状でさっきの消費ペースの10分の1なんですよ。
単純に生産設備を増やせば反比例で船体重量が大きくなるしコストもかかりすぎます。
工程を最適化して生産性を上げる手を尽くしても半年の断続運転で光速の13%が限界ですね。
あとは余程軽くて強度がある素材か少量で爆発力が大きい燃料が新たに見つからないと無理。
とりあえず今日の実験は成功だから話の続きは帰りがてらにしましょ。じゃあ、出すわね。
全部隊に通達。核融合パルス推進実験終了。施設周囲への進入禁止解除。施設点検にかかれ。」
作業本部:「了解。施設点検班は作業にかかれ。」
華子4世:「とりあえず打ち込み誘爆式の核融合実験成功ご苦労様でした。
でも欲を言ったらきりがないけど宙軍行政の責任者としてはあと少し推進力が欲しいわ。
水素やヘリウムじゃなくて船体強度に貢献する物質が核融合してくれればいいのに。」
知子3世:「確かに炭素でも使えればカーボンファイバーの壁を崩して燃料に出来ますね。
でも重い元素が融合する恒星内部のような状態はまだ人工的に作れないですからね。
それに、今の計画速度だって障害物回避が難しいのにもっと早くなったら操縦がきついわ。」
華子4世:「恒星並みのエネルギーが自在に扱えれば漫画みたいなバリアも出来るかもね。」
知子3世:「バリアは無理だけど、今だって重エキシマ砲の強化は頑張っているのよ。
ただ、撃つか避けるかは人が判断するしかないでしょ。その応答速度が問題だわ。
優秀な操舵員の反応は機械より早いくらいなんだけど、リモートリンクの遅延があるでしょう。」
華子4世:「それならアナログで直結すれば改善できることになる訳ね?。」
知子3世:「アナログといっても大昔の飛行機みたいなワイヤーじゃ耐Gが無理だわ。
運動だけ直結にしたところで視覚の遅延だってあるし。」
66 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 09:33:39 ID:jLFB04U90
華子4世:「ワイヤーじゃボディの動作で機械的遅延が出るから結局今と一緒だわ。
そうじゃなくて、人工小脳内のアナログ信号を首のソケットから直取りできないかって事よ。」
知子3世:「それって、首だけ外して操縦装置に繋げってことよね。獄門台式で?。」
華子4世:「その通り。それに薄型の特製獄門台を使えばヘッドフィギュア内で操縦できるわ。
ヘッドフィギュア眼球のすぐ後ろに操縦席を置けば視覚の遅延も最小化できるでしょう。
こんな配置
http://pinksaturn.fc2web.com/cen/sinsoujuukei.htm にしたらどうかしら?。」
知子3世:「たしかにこれなら緊急時の射撃や回避運動の応答時間は早くなるわね。
だけど、ヘッドフィギュア内は防護壁も薄いし小物体が貫入して当たったらお陀仏ね。
これでは、大昔のウィドウメーカーと似たようなものだな。」
華子4世:「ウィドウメーカーって何ですか?。」
知子3世:「操縦席配置の歴史に興味があって調べた古い資料で知ったことなのよ。
プロペラ機が主流の時代に大変不評だった爆撃機の席配置についたあだ名よ。別名後家作り。
当時は爆撃を目視でやるので見晴らしの良い機首に爆撃手席が配置されることがあったの。
ところが戦争中に無理して高性能化したら離着陸速度が速くなって着陸事故が増えたのね。
折角機体が生還したのに事故で爆撃手だけがよく死ぬというのが非常に嫌われたのよ。
搭乗員の心理なんてプロペラ機でも核パルス推進艦でも大して変わらないでしょう。
こんな危険な操縦席に乗りたい操舵員が居るかしら?。今居る志願者も逃げ出すわよ。」
華子4世:「首だけなら前面投影面積が小さいから貫入事故での生存率は悪くないわ。
より大きな物体が避けきれずに艦ごと難破する確率とどっちを重く見るかだけの差よ。」
知子3世:「理屈は解るけど非常時に脱出できないために生じる恐怖心はどうかしら?。」
67 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 09:47:29 ID:jLFB04U90
華子4世:「操舵員が脱出するような事故って後部船体の爆発ぐらいでしょ。
そう言うケースでなら前部船体だけ切り離せばそのまま操縦して逃げられるわ。」
知子3世:「なるほど。今どきの若い娘にはそう言う考え方もあるのかなあ。
帰ったら船体各部の設計責任者を集めて検討してみるわ。でもなんか引っかかるなぁ。
何となく貴女の首外し趣味に乗せられているような希ガス。」
華子4世:「気のせいですよ大叔母上。まあ私はどう思われようと構いません。
とにかく可住惑星の獲得に繋がるアイデアなら何でもありですから。」
(火星大工場 岸壁併設歓楽街のバー”矮惑星の天然氷”)
3代目店主・かぐや:「いらっしゃいませ。」
満漢人隕石鉱夫・停停:「ラオチューハイちょうだい。」
かぐや:「お客さん、よく来ますね。隕石の仕事って最近は儲かるんですか?。」
停停:「満漢当局の言うとおりになんかやっていたら一生浮かばれないわよ。
私らが行ける小惑星なんて帝國が取り残したカスみたいなところばかりなんだし。
ここだけの話、水銀の横流しやっているから。帝國の買い入れ価格が引き上げられてね。」
かぐや:「水銀は我々の核パルス艦に必須の消耗品ですから、持ちつ持たれつですよ。
人手の少ない帝國が取りきれないところを人海戦術で取り尽くしてくれるんですからね。
残りかすといってもちりも積もればってことで総量は相当なものになっているはずだわ。」
停停:「だけど核パルス艦の運航が増えたからってだけでは説明が付かない買いっぷりよ。
ここ数日港の警備兵が増員されているわね。それに、フォボスですごい核実験やったでしょ。
いったい何なのよ?。私らの間じゃ帝國が近隣恒星系を侵略するって噂になっているわ。」
68 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 09:48:33 ID:jLFB04U90
かぐや:「今回の核実験は発表通りフォボスの軌道維持が目的ですよ。
警備強化は実験に立ち会うため皇太子殿下が見えているせいですね。
もちろんこの実験のついでに新式の機関をテストしているのでしょう。
他恒星の探査は帝國の長期目標として私らの素体教育でも公然と教えられています。
だけど、侵略はオーバーですね。そもそも異文明どころか可住惑星も見つかっていないのに。」
停停:「本当なの?。どこか近くの系外惑星で豚型宇宙人が見つかったという噂もあるわよ。
食用にするためにそいつらを狩りに行くんじゃないの?。」
かぐや:「そんなバカな。あんまり噂に尾ひれを付けすぎないで下さいよ。」
停停:「違うの?。でも恒星間飛行の計画は本当なんだ。貴女もいずれ行くの?。」
かぐや:「行くかと言われたら悩みますね。うちは代々水商売を副業にしています。
もしも、そんな長期飛行に参加したら水商売は出来なくなるでしょう。
水商売無しで生きていける自信はないですね。でも、私だって宙軍兵です。
宇宙艦乗りなら、下っ端だって新天体の一番乗りを夢見るのは当然ですからね。」
停停:「ふーん。いいなあ。私みたいな棄民には夢も希望もないわ。」
かぐや:「まあそう言わずに根気よく水銀を集めて下さいよ。いつか良いこともあります。」
(核実験は無事成功したようです。今回はそれで十分だったはずですが、何故かまた首外しが話題に。
これは多分東宮様の趣味なんでしょうね。さすがに鳥かごボディはお持ちでないと思いますが...。
ここまで皇太子や貴族の動きを中心にしてきましたが、次はシビリアンの動向を見てみましょう。
新天地を目指す計画についていくか、人大杉もめ事大杉の地球に踏みとどまるか。
庶民は庶民なりに重い決断を迫られることになるのです。次回予告(4)娘達の決断)
69 :
adjust:2007/07/07(土) 14:49:09 ID:9Hf1Zw5N0
>>58-68 pinksaturn様
恒星間飛行の計画が着々と進んでいるようですね。火星やその衛星の数値はよくわかりませんが、
細かい数値が入って、技術ネタとして、かなり厚みが増しているように感じました。
人工小脳はアナログ回路ですか。神経はパルスを時間当たりの発生密度で処理しているので、
アナログとデジタルの間のような挙動をしているようですが、実際に回路を作る際にはアナログのほうが
実用的かもしれませんね。人工小脳高密度アナログ回路群、かなり高度な技術が隠されていそうです。
70 :
pinksaturn:2007/07/07(土) 19:12:30 ID:jLFB04U90
>>69 ”再改造”
http://www.geocities.jp/hokuman_hailaer/hokanko/pink/035.htm での漣大佐と酉山所長の話からすると、
イージス艦のレーダーアンテナを超小型にしたようなもので大脳が発する微小電磁界を立体視し、
パタン認識で大脳が何をしようとしているかを意味抽出するらしいです。
通常動作時はパタン認識での細かい意味判別と精密な運動の実現を考えるとディジタイズした方が調整などで融通が利くでしょう。
一方、衝突を避けるため飛び退くといった反射運動なら、興奮した神経が激しくパルスを出すので精密な処理を省いても、
大まかに「右に行こうとしているか左に行こうとしているか」くらいは明らかだろうから、
緊急回避に備えているときならアンテナからアナログ直結の方が速くて有利かな、
と華子4世は考えていました。
帝國人のやることは難しすぎて私自身はよく解りませんorz(おいおい!...)
71 :
manplus:2007/07/07(土) 22:45:53 ID:avEgrlMN0
東南アジアF2選手権は、東南アジア特有の雨期の関係があるため、1月から7月にかけて行われる。
ここで育ったドライバーは、突然のスコールに対応しなくてはならないため、
雨天の走行技術が卓越していると評判であった。
の中でも群を抜いた走りをすると評判だったのがミンメイ=羹=ハイデンだった。
彼女は、タレント活動やモデルとしての活動をこなすほどの美貌からも東南アジアのファンを魅了していた。
華僑系ドライバーとして初のスーパーF1レーサーになるのは、彼女であるともっぱらの評判なのだ。
この年のシーズンも十勝をあげ、トップドライバーとして、このカテゴリーでの名声を恣にしていた。
ミンメイは、“シンガポールの瞳”と瞳の名前と身体の部位の瞳になぞらえて呼ばれていた。
ミンメイ自身も、憧れの速水瞳になぞらえたこの呼称を気に入っていたし、いつかは、本物の速水瞳と同じカテゴリー、
つまりスーパーF1で一緒にレースをしたいと思っていた。
ミンメイのドライビングを一口で言うなら、『マシンの気持を持つ』ドライビングをするといわれていた。
機械の気持ちが解るドライバーであり、マシンの性能を存分に引き出す才能は
本物の“プリンセスヒトミ”をも超えると言われていた。
その才能にいち早く注目し、F3のカテゴリーから引き上げたのは、カンダのライバルチームのトミタだった。
トミタのスーパーF1監督の美濃田誠一郎は、ハイデンの才能に惚れ込み、東南アジアのF2でじっくり育てることを選択し、
彼女をベテランのリカルド=ポンテの後釜としてスーパーF1にランクアップさせようと育ててきたのであった。
ハイデンは、F2で5年間の経験を積むことで、その才能を開花させた。
そのマシンの丁寧で独創的な扱いは、この5年間でさら磨きがかかり、年間10勝の成績を残すまでになった。
その結果を受けて美濃田は、ポンテが引退するのに合わせ、来期から、スーパーF1に参戦させることを決めたのだった。
72 :
manplus:2007/07/07(土) 22:46:35 ID:avEgrlMN0
瞳がミンメイを知ったのは、前年のシンガポールグランプリでのことであった。
トミタの美濃田は、ミンメイにモデルやタレント活動をシーズンオフに行うことを容認していたため、ミンメイは、ずっと、
シンガポールグランプリのレースクイーンの仕事を行っていたのであった。
ミンメイには、レースクイーンを行わなければならない目的があったのだ。
それは、瞳とマリアに会うため、レースクイーンとしてスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーを
サポートしながらマシンの傍らで話せる機会を待っていたのであった。
しかし、望みとは裏腹に、担当するのが、男性ドライバーばかりでなかなかチャンスが来なかった。
そして、来期のオフには、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーへの改造手術を受けることが
内定していたラストチャンスの年に、念願が叶って、瞳に傘を差し掛けられるチャンスを得たのであった。
ミンメイにとって、ある意味では最高に願いが叶った瞬間なのであった。
最強の女性サイボーグに接触する機会を得て、サイボーグフェチのミンメイにとっては、
この上ない最高の栄誉だったのである。
瞳の手脚はないが最高のルックスを見て、ミンメイにとっての理想のサイボーグが目の前にいることに
胸が高鳴る想いであった。さらにあろう事か、瞳から声を掛けてきてくれる幸運にも恵まれたのだ。
瞳は、この時、ミンメイが声を掛けてきて欲しいという雰囲気と自分と
同じ目をしている女性が傍らにいることを敏感に感じていたのだ。
73 :
manplus:2007/07/07(土) 22:47:17 ID:avEgrlMN0
速見瞳(以降、ヒ):「あの〜〜。何というお名前ですか?」
ハイデン=羹=ミンメイ(以降、ミ):「私ですか?ミンメイ=羹=ハイデンといいます。
シンガポール生まれのシンガポール育ちの22歳です。東南アジアF2のマシンに乗っています。」
ヒ:「あなたがハイデンさんね。知っているわ。良かったら、レースが終わったら、お茶でもしょっか?」
ミ:「えっ!?」
ヒ:「お茶でもしようよ。」
ミ:「いいんですか?」
ヒ:「いいなんてものじゃないよ。“東南アジアの瞳”にこんな形で会えるなんて思っても見なかったもの。
ハイデンさんが良ければ、私はお話ししたいんだ。」
ミ:「喜んで。」
ミンメイは予想外の展開に戸惑った。でも、物怖じしない性格と、理想の女性であり、
しかも理想のサイボーグの瞳と話が出来る千載一遇のチャンスを逃したくないという欲望が、ミンメイを後押ししたのだ。
ヒ:「よしっ!決まり!レース終了後に人体実験のような検査があるから、夕方になっちゃうけれど、いいかな?そうだ。
レースが終わってからの時間、カンダのモーターホームで待っていて、もし、カンダに出入りするのがまずかったら、
トミタのモーターホームで待っていて。迎えに行くから。」
74 :
manplus:2007/07/07(土) 22:57:05 ID:avEgrlMN0
ミ:「分かりました。今はシーズンオフですし、トミタの仕事でここにいるわけではないので、
私がカンダのモーターホームで待っていても問題はないと思いますから、
カンダのモーターホームで待たせていただきます。」
カンダのスタッフ:「瞳さん、時間です。マシンに取り付けます。」
ヒ:「お願いします。」
カンダスーパーガールズのスタッフが瞳をスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用のスタンドから
丁寧に抱きかかえるようにしてスーパーF1マシンのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用シートに
移しかえて、シートから動かないように拘束ベルトでがんじがらめに縛られたうえ、
手脚の切断面に作られたマシンとのインターフェイス面にマシンと一体化させるためのコードが繋がれていくのを
ミンメイは見たとき、マシンと一体化させられた瞳に対して欲情する感覚を
押さえられない自分がそこにいるのをミンメイは感じたのだ。
自分が探し求める理想の女性に出会えたという感情がミンメイに芽生えた。
瞳に対して尽くしていきたいという愛情が燃え上がった瞬間であった。
自分が来年から、瞳と同じ身体になることに対する性的興奮も重なり、瞳に対する性的興奮が
一度にわき上がってしまったのだ。
ミンメイは、その時からしばらくの記憶がないほどに我を忘れてしまったのだ。
そして、気がついたときは、カンダのガレージにいて、瞳がフォーメーションラップから戻ってきて、
レースのスタートを切る瞬間だった。
テレビで見る瞳そのままの異次元のテクニックでマシンがフロントローから飛び出していく、
瞳は貫禄のレース運びで表彰台の中央をゲットしたのだ。
ミンメイは、瞳の走りやピットでのピットクルーへの指示を生で見て、ますます、
瞳に対する特別な感情を強くしていったのであった。
75 :
manplus:2007/07/07(土) 22:57:53 ID:avEgrlMN0
さて、ヒトミとミンメイが出会う少し前のこと、実は、瞳とミンメイの出会いを周到に画策した人間がいたことを
瞳もミンメイもこの時は知らなかったのだ。
その人間とは、もちろん一人は、美濃田だった。そして、もう一人が、妻川であった。
妻川と美濃田は、ライバルチームの監督同士であるが、日本を背負ったチームの監督同士と言うことで、
気の合う仲間同士だったのだ。
と言うよりも、仲間という域を超えた大学からの同期で、お互いを支え合う、恋人以上の存在であったのだ。
美濃田は、ミンメイをトミタのドライバーに据える事を決断したとき、ミンメイのサイボーグ適応化率の高さを知り、
その適応化率の高さに期待を持つと共に、危機感を持っていた。スーパーF1の他のドライバーとの軋轢が
必ず起こる可能性があることを危惧していたのだ。
そして、そのことを妻川に相談したのだ。
この時点で来々期のチーム体制を他チームにばらしてしまうのは監督として失格と言うだけではなく、
規律違反でもあるのだが、ミンメイを何の軋轢もなく、スーパーF1で走らせるには、瞳が近くにいる状態にして、
瞳に常に頼れる位置にミンメイを置いておく方が有利だと信じて疑わなかったからである。
その為には、瞳がミンメイに興味を引くような出会いを作る必要があったのだ。
美濃田誠一郎(以降、セ):「恵美さん。お願いがあるんですが・・・。」
妻川恵美(以降、メ):「誠ちゃんのお願いは怖いからなー。」
セ:「恵美さん、そんなこと言わないで聞いてよ。スーパーF1全体の問題になるかもしれないことなんだよ。」
メ:「いくらくれるんだ?それとも、トミタが順位を譲ってくれるのか?」
76 :
manplus:2007/07/07(土) 22:58:34 ID:avEgrlMN0
セ:「相変わらず滅茶苦茶言うよな・・・。賄賂と疑われるような行為も出来ないし、順位を譲るって言っても、
瞳ちゃんもエマちゃんもこっちが順位を譲って欲しいぐらいのドライバーを抱えていてよく言うよ。」
メ:「そうか。そうだったわね。」
セ:「相変わらずだよな、監督がこれでいいのか?」
メ:「うちには、もっと無茶なヤツがいるからね。」
セ:「貴美香と瞳ちゃんか・・・。それに美由もだったな。あいつらも無茶苦茶だからな。
恵美さんのチームは、何でこんなに女王様が揃うかね。」
メ:「人のチームのことは放っておいてよ。ところで相談って何なのよ?」
セ:「実は、瞳ちゃんに面倒を見てもらいたい人間がいるんだ。」
メ:「あんたのところのドライバー?だいたい、瞳のことを“さん”じゃなくて“ちゃん”で呼べるのは、
誠ちゃんしかいないよね。」
セ:「それだけ信頼があるんだよ。」
メ:「瞳は、きっとそうは思っていないよ。根が性悪だから、“パパ”としか思っていないんじゃない。
何でも貢いでくれる“パパ”としかね。金の切れ目がにならないといいよね。」
77 :
manplus:2007/07/07(土) 23:08:42 ID:avEgrlMN0
セ:「何を言うか、信頼関係は、恵美さんと同じぐらいあると思うぞ。」
メ:「そう言いきれるのかな?トミタは、瞳のオファーに失敗したくせに。」
セ:「恵美さん。それを言うなって。でも、全ての条件は、トミタが一番整っていたのも確かなんだ。
でも、最後は、瞳ちゃんの忠誠心に負けちゃったけどな。」
メ:「まあ、そのことに関しては、誠ちゃんの言う通りかもね。
後で瞳に聞いたら、条件は、トミタが群を抜いていたと言ってたものね。
瞳は、日本的な忠誠心は凄いものね。それにしても、誠ちゃんのトミタ社内での影響力は凄いよね。
そんな破格の条件を社内で引き出せるんだから・・・。」
セ:「ああ、でも、それも無駄だったよ。“カンダに育ててもらったのに、カンダを裏切れない。
カンダあっての私なんです。”が、瞳ちゃんの断りの言葉だったよ。」
メ:「まあ、その代わりと言っては変だけれど、協力するところは、誠ちゃんに協力しますよ。瞳の代償にね。」
セ:「恵美さん。そう来なくちゃな。それで、今日の頼みなんだけれど。」
「瞳の獲得の時の話を持ち出されると弱いわね。承りましょう。何なりと。」
セ:「恵美さん。トミタが将来のトミタのエースとして、リザーブしている秘蔵っ子がいるのは知っているね。」
メ:「ええ、知っているわ。確か、東南アジアF2でに参戦している女の子で、うちのエマよりもセンスがあると聞いている。
確か、ミンメイ=羹=ハイデンとか言ったわね。ルックスも抜群でモデル活動もしている東洋と西洋の混血の美人だったわね。
瞳に会わせたら、食っちゃいそうなタイプの子だったんじゃなかった?」
78 :
manplus:2007/07/07(土) 23:09:24 ID:avEgrlMN0
セ:「そう。いかにも瞳ちゃん好みの娘なんだ。瞳ちゃんが、まさかレズに目覚めるとは思わなかったけれどね。
ノーマル一辺倒だったけれど、どこでどうして足を踏み外したのか・・・。ノーマルのパートナーが不憫で・・・。
しかも、SMの倒錯の世界にまで目覚めちゃって・・・、サーキット上にとどまらずに、女王様してるんだからね。
彼氏がむち打たれたり、縛られたりで大変らしいよな。そうして隷属していないとセックスしてくれないから、彼氏まで、
Mに目覚めたらしいじゃないか。」
メ:「さすがに私よりも、“パパ”の方が瞳の私生活をよく知っていること。でも、放っておいてちょうだい。
うちの瞳のことなんだから。それで、瞳の話はいいから、お願いの続きを話しなさいよ。
そのハイデン嬢に関することなの?瞳に会わせたら、ナンパして食っちゃうと思うから、瞳に会わせられないわよ。」
セ:「いいや、逆なんだ。瞳ちゃんと会わせたいんだ。瞳ちゃんに食っちまってもらいたいんだ。」
メ:「ええ〜〜〜〜っ!!?誠ちゃん本気なのっ!?瞳の毒牙にかかったら大変だよ。」
セ:「いいんだよ。瞳ちゃんの愛人の一人になるようなお膳立てをしたいんだ。恵美さん、協力してよ。」
メ:「誠ちゃんがそこまで言うんだから、よっぽどのことなのね。」
セ:「そうなんだ。実は来期限りで、ポンテが現役を引退することになった。その後任に、ミンメイを据えたいと思っている。」
メ:「ポンテもとうとうか・・・。それじゃぁ、誠ちゃん、なおさら、彼女を瞳の毒牙に掛けるわけにはいかないよ。
将来有望なドライバーを瞳の臣下に置いて、もしも、ぼろぼろにしてしまったら、申し訳ないもの。」
セ:「恵美さん、だから、逆なんだ。どうしても、瞳ちゃんの臣下として置いておかないと、
彼女の将来が危ないかもしれないんだ。」
79 :
manplus:2007/07/07(土) 23:10:06 ID:avEgrlMN0
メ:「どういうことなの。よっぽどの訳がありそうね。」
セ:「ああ、実は、ミンメイをトミタがスーパーF1のドライバーに抜擢するのは、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになるために生まれてきたような女性だからなんだ。」
メ:「瞳と似ているね。それじゃあ、適応化率も瞳並みなんだ。」
セ:「それが違うんだ。瞳ちゃん以上なんだ。」
メ:「瞳以上なんてあり得ないわ。だって瞳のサイボーグ適応化率は、98%よ。実質の100%という数値なのよ。
それ以上は人間の素体では医学的に実現し得ない値なのよ。」
セ:「例外を除いてはね。」
メ:「誠ちゃん。例外って?」
セ:「ある嗜好を顕在的に持っている素体では、サイボーグ適応化率が、99.7%まで跳ね上がるんだ。」
メ:「そんなことあるわけ無いじゃない。第一、その条件って何なの?」
セ:「“サイボーグフェチ”と“メカフェチ”の二つの精神的嗜好、それも強度のフェチを
顕在的に持つ素体にだけに現れるサイボーグ適応化率なんだ。
だから、ミンメイは、サイボーグになるために生まれてきた人間であり、
サイボーグになることを当然の願望として持っている人間なんだ。」
80 :
manplus:2007/07/07(土) 23:21:48 ID:avEgrlMN0
メ:「信じられない!?自分の身体が機械になることを当たり前のように受け止められる人間なんて!
人間の生身の身体を捨てて機械と電子部品になった身体になることを進んで望む人間がいるなんて。」
セ:「ある意味、瞳ちゃんもそのタイプじゃないか。潜在的にサイボーグになりたい願望があるから適応化率が高いんだろ。
でも、瞳ちゃんのように潜在的にはすんなりと受け入れられる人間は10万人に一人だけれど、ミンメイのように、
顕在的な願望まで兼ね備えているのは、一千万人に一人いるかいないかだそうだ。」
メ:「でも、それと、瞳に食って欲しいというのは繋がらないように思うんだけれど。」
セ:「まず、それだけの強度のフェチだと、パートナーの嗜好が特殊なんだ。」
メ:「どういう風に?」
セ:「最強で美しいサイボーグに憧れて、恋愛対象も、最強で美しいサイボーグじゃないとダメなんだ。
しかも、最強で美しいサイボーグに尽くしたいというミンメイの性癖であるM性の強さも絡んでくるんだ。」
メ:「そんなサイボーグなんて、どこにでもいるじゃない。宇宙開発用サイボーグとかサイボーグエージェントとか。」
セ:「美しいサイボーグなんて、なかなかいやしないよ。ミンメイの美しいの基準は女性サイボーグなんだ。
男性サイボーグは眼中に無いのさ。更には、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーへのあこがれからくる
愛着もあるから、恋愛の対象候補は4人しかいないんだよ。」
メ:「つまり、ジャンヌとエマと、マリアと瞳ということね。」
セ:「その中で、最強といったら瞳ちゃんしかいないじゃないか。」
81 :
manplus:2007/07/07(土) 23:22:30 ID:avEgrlMN0
メ:「つまり、彼女のお眼鏡にかなうサイボーグは、瞳しかいないと言うことなのね。」
セ:「そういうこと。瞳ちゃんの美貌と聡明さ、そして何より、レーシングドライバーとしての実績、
それらの何をとっても、ミンメイの“愛しの君”なんだよ。ミンメイは瞳ちゃんのためなら、何でもするし、
瞳ちゃんに対して尽くしていきたいと思っているようなんだ。ミンメイにとって瞳ちゃんが理想の女性、
つまり恋人なんだ。ミンメイは、エマちゃんと違って、男性的なところもあるから、瞳ちゃんの違った一面を
引き出せると思うんだ。お薦めの女性だよ。」
メ:「誠ちゃん、どうでもいいけれど、今よりももっと瞳を変態にしないでよ。」
セ:「カンダスーパーガールズにいる限り、変態の深みにはまっていくような気が・・・。監督からして・・・。」
メ:「誠ちゃんほっといてよっ!ところで、瞳に彼女が惹かれる理由は理解できるけれど、何で瞳の毒牙に、
わざとかけさせなきゃいけないのよ。」
セ:「そこなんだけれど、サイボーグ適応化率が99.7%ということは、サイボーグに
改造してしまったらどうなるかということなんだよ。」
メ:「どうなるかって?」
セ:「精神的に、自分が機械人間になりたい、機械人間を愛したいという複雑な精神構造を持つ人間を
サイボーグという存在にしてしまい。更に彼女の機械フェチという、機械偏愛嗜好が満たされてしまったとき、
彼女の思考は、機械偏重になる可能性が高いんだ。つまり、機械の判断が正しくて、
人間の判断はミスが多くて正しくない。機械の身体を持つ自分の判断が一番正しいのだという偏った
考え方になってしまう可能性があるんだよ。」
82 :
manplus:2007/07/07(土) 23:23:15 ID:avEgrlMN0
メ:「あっ!ということは、サーキット上で他のドライバーとの根本的な思考の違いからくる
トラブルが起こる可能性があるということなのね。」
セ:「恵美さん、そのとおりなんだ。だから、その時にサイボーグ適応化率が、通常の人間として最高値の瞳ちゃんしか、
ミンメイの考えを理解できないと思うんだ。ミンメイと他のドライバーの考え方の違いを翻訳できる存在は、
瞳ちゃんしかいないんだ。瞳ちゃんがミンメイのそばにいる存在になってくれて、ミンメイをフォローして欲しいんだ。
それが、ミンメイのためではなく、スーパーF1全体の秩序を守ることなんだ。瞳ちゃんが仲裁に入れば、
他のドライバーも納得するし、ミンメイも、瞳ちゃんが後見役なら、精神的にも、落ち着くと思うし、
瞳ちゃんにサイボーグとして、人間的な考え方をしていないと、ロボットになってしまうということを教えてもらいたいんだ。
ミンメイはサイボーグになってしまえば、自分が崇拝するに等しいぐらい尊敬して愛している瞳ちゃんの言葉以外を
拒絶することも場合によってはあると思うんだ。だから、スーパーF1の秩序を壊さないためにも、是非とも、
瞳ちゃんにミンメイを食ってしまって欲しいんだ。」
メ:「なんか、複雑になってきたけど、何となく理解した。それで具体的にはどうしたらいいの。」
セ:「今度のシンガポールで、ミンメイはレースクイーンのアルバイトをするから、プロモーターに頼んで、
瞳ちゃん担当のレースクイーンとしてミンメイをカンダで指名して欲しいんだ。そうして、
サーキットで身近なところに二人を置けば、瞳ちゃんが勝手に声をかけてくれると思うんだ。」
メ:「確かに、彼女の美貌なら、瞳が、間違いなくその場でナンパするだろうね。
その為に瞳のスケジュールをその夜と翌日、空けておいて、翌日移動にして、シンガポール泊まりにすればいいんだね。」
セ:「そう言うこと。」
メ:「そうすれば、一夜にして、瞳が毒牙にかけるという寸法か。判った。」
83 :
manplus:2007/07/07(土) 23:32:51 ID:avEgrlMN0
セ:「瞳ちゃんのスティディーにしておけば、来年の年末の女性スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー恒例の
どんちゃん騒ぎにも参加させてもらえるから、絶対に安心なんだ。たぶん、
マリアもミンメイのことを心配するだろうからね。女性スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが
全員で守ってくれるようになったら、もっと心強いからね。」
メ:「確かにそうだね。判ったわ。協力する。そのかわり、誠ちゃん、瞳にトミタの車一台プレゼントするんだよ。」
セ:「えっ!」
メ:「瞳、トミタのスーパーSP7の赤を欲しがっていたから。カンダの契約ドライバーが何の理由もなく、
トミタの車に乗るのはおかしいから我慢してるみたいよ。」
セ:「あれ、うちのスーパーF1マシンの水素イオンエンジンを公道用にチューンし直して市販にかけた車で、
オールハンドメイドで高いんだぞっ!スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー仕様にしたら、
6000万はくだらないぞ!それに瞳ちゃんが乗るんだから、フルオプションを用意しなくちゃいけないし・・・。
日本だけで乗せるというわけじゃなく、スーパーF1サーカスが開催される大陸全てに置いておかなくちゃいけないし・・・。
稟議書何百枚書いたらいいのかわかんないんだぞっ!」
メ:「だって、瞳をタダで使いたいんでしょ。それに、つぐみは、トミタのメロディアのパステルサーモンピンクを
欲しがっていたよ。“将を射んと欲すればまず馬を射よ”だからね。」
メ:「これじゃ、タダじゃないじゃないか!つぐみちゃんが欲しがっているメロディアも、
水素イオンエンジン搭載の大衆車じゃないかっ!あれだって特別限定生産なんだぞっ!
それにつぐみちゃんが使うんじゃ、助手席は、瞳ちゃんを乗せるための兼用シートにしなくちゃいけないし・・・。」
84 :
manplus:2007/07/07(土) 23:33:39 ID:avEgrlMN0
メ:「誠ちゃんにとってはタダでしょ。稟議書300枚も書けばすむんだから。それに、誠ちゃんは、
つぐみにもいい顔しておきたいんでしょ。瞳は、つぐみにもいい思いをしてもらわないと遠慮するからね。」
セ:「悪魔めっ!解ったよ。何とかするよ。」
メ:「そうよ。誠ちゃんの株がまた急上昇するわよ。“パ・パ”・・・!瞳をもっとなつかせるチャンスよ。
あいつ、即物的なところもあるんだから。そして、つぐみを味方につけておけば、
瞳がへそ曲げたときも取りなしてくれるしね。つぐみの仲裁は、瞳にとっては誰の仲裁よりも効果があるからね。」
セ:「解りました。恵美さんの言うとおりにします。でも、カンダの内部はいいのか?
瞳ちゃんが、うちのスーパーカーに乗っていても?それに、つぐみちゃんまで、うちの車に乗るんだぞ。」
メ:「溝口も、誠ちゃんからのプレゼントだったら、文句は言わないと思うわよ。」
セ:「それなら何とかするよ。まったくっ!」
その後、瞳と森田は、美濃田からの法外なプレゼントをもらい、欣喜雀躍する姿があった。
美濃田の“パパ”としての株が上がったのは言うまでもないが、その時、美濃田の両手の指に、
パソコンのキーボードのたたきすぎで、タコができていていたのと指の腱鞘炎が悪化したのが
何を意味するのかの理由を知るのは妻川だけであった。
85 :
manplus:2007/07/07(土) 23:38:32 ID:avEgrlMN0
今日はここまでです。
ミンメイを瞳に引き合わせるように画策する二人の会話を
中心にお送りしました。
pinksaturn様
首はずしまでは、お付き合いできないかも・・・(笑)。
ミンメイはどの様なサイボーグになるかは、まだ物語の後半まで
ありますので、じっくり考えます。
86 :
pinksaturn:2007/07/08(日) 09:17:49 ID:LYYdsyXg0
>>71〜 狭〜〜い達磨娘たちの業界秩序を維持するため百合つながりで固めてしまうとは。
これで外伝がさらに増殖し続ける下地が出来てしまいましたね。
>>85 初回を読み返して改造工程を確かめましたが、この構造だと首外したら死にますよ。
87 :
manplus:2007/07/08(日) 21:18:23 ID:9Wbwipqw0
>>86 外伝のバージョンを増やす狙いバレてしまいましたね。
pinksaturnさんのご指摘の通りです(汗・・・)。
88 :
adjust:2007/07/09(月) 20:30:29 ID:onrFSPmX0
>>70 ああ、学生のときに超音波式のフェイズドアレイレーダーやってました。
移動ロボット用です。電波式は近距離用としては早すぎて、当時の自分では作れませんでした。
これ以上書くと、素性がばれそうなので抑えておきますが、脳全体の反応をレーダーで見て
パターンイメージを認識して検出する方式ですね。これで脳->機械の情報の流れが出来ますね。
電極をつけるのは否定的なようですから、機械->脳の流れは磁気刺激でしょうか。
8の字コイルやロータスコイルで、磁気をターゲットとなる脳神経に集中させて強力な磁場を
発生させ、刺激を与える。いや、多数のコイル群アレイを大脳の表面に並べて、タイミングや作動コイルの
調整を行って、ターゲットとなる脳細胞を刺激するやり方のほうがいいでしょうか。
同じ学科で神経の磁気刺激をやっている研究室もありました。時々、そこの学生が被験者をやらされる
のですが、場所がうまく会うと、手先や腕がぴくっと動く現象を見ることが出来ました。その研究室では
その実験を行う際には、万一のことを考えて承諾書を書かされます。もっとも、実際のところ何も問題
はないようですが...
89 :
pinksaturn:2007/07/10(火) 00:26:30 ID:57dBEb/h0
>>88 耐高加速仕様なので脳の固定に遊びを持たせる必要があります。
そのため電極がずれて神経を傷つける心配があるのでなるべく非接触としたいのです。
そのほうが脳容器の開口部が減って気密性も良くなります。
フェイズドアレイなら位置ズレは座標計算で補正できるのではということです。
位相差が小さい至近距離で高分解能のフェイズドアレイを実現するには無重力下で製造した立体デバイスにより配線を等長化する必要があるでしょう。
感覚の伝達はご推察の方法になると思います。アンテナを受信と時分割で磁気印加に使いアレイで合成した磁界で狙い撃ちするのかなと思っています。
但し、情報量の多い視神経などは電極式かも知れません。
この場合、小さな電極ユニットが脳側に固定され、脳ケース越しで非接触ICカードのように給電と信号伝送を行います。
(酉山所長、こんな回答で良いですか?...)
>>88 >>89 あんたち二人のやり取りを聞いてると完全機械化サイボーグって
マジでできるような気がしてくるよw
「フィクションだから」と逃げないで、マジで実現できそうな可能性がある方向で
考えてるところが偉いと言うかなんと言うか
でも、文字通り「電波を飛ばして無理矢理他人の脳みその回路を乗っ取る」行為
そのものだから際限なく悪用出来て恐いな…。
どっかの自称世界一の民主主義国が本当に他人の思考回路を乗っ取る兵器とか
開発してそうだし…。
93 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 02:22:32 ID:Gw7mxwybO
15人目終わってないのに何故16人目なの??
>>93 スレのファイルサイズが500KBに達すると、そのスレには書けなくなる
あとはわかるな?
わからんなら強制機械化の方向で
僕の脳細胞も500kBでスレストされそうです。
96 :
adjust:2007/07/10(火) 21:45:11 ID:Tq0mEBU50
>90,91
ありがとうございます。理系SFマニアとしては最高のほめ言葉です。
>92
脳の周りにかぶせてあるセンサがズラのようにするっと取れてしまうことを想像してしまいました。
頭に木の枝が当たって、脳ケースの上にかぶせてあるセンサがはがれてしまい、動作停止
助けを呼ぶアンテナも外れてしまって、助けを呼ぶことも出来ない。無常に響く蝉の声
SFの技術論議はいろいろありますが、個人的には出来る範囲のものは現代技術で行かないと
そもそも、理系SFが成立しないという問題があります。すべてうそで固めてしまうと技術の出番が
なくなってしまいます。また、うそを書くときも、うそだとわかっているけど、こういう設定にしておこう
というように、コントロールできる範囲でうそを入れないと、理系SFでは設定を積み重ねて話を
進めていくので、その積み重ねが出来なくなってしまいます。
激しく同意。
SFは「サイエンスフィクション」ですよ!
「少し不思議」じゃないし、「サイエンスファンタジー」でもありませんっ。
えと、私事ですが・・・。
アタシの書いた駄文まで保管庫の保管されているのを発見しました。
ありがたいやら恥ずかしいやら・・・。管理人さんお疲れ様です。^^;;
99 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 15:59:34 ID:sNwi328y0
つ「スペースファンタジー」
Super Fuck
おいおいおまいら、ここはフェチ板だぜ?
SFと言ったら「スーパーフェチ」に決まってるだろうが(ぇ
>>101 なぜそこまで迫っておいて「サイボーグフェチ」に至らないのかと小一時間
Syborg の検索結果 約 7,940,000 件中 1 - 50 件目 (0.12 秒)
Cyborg の検索結果 約 24,500 件中 1 - 50 件目 (0.18 秒)
>>104 そうだったのかーっ!
ごめん俺が間違ってた。
待て、ちゃんと検索してみろw
サイボーグってpsyborgじゃなかったっけ?
いや、俺は細胞具だと聞いたが?
多分Thyebbolgueだと思う。
>>110 お前よくそんな難しい綴り覚えたな。
さては補助脳を装備してるな。
今更ながらgoogleった。
>>108 (オレ)
>psyborg の検索結果 約 52,400 件中 1 - 10 件目 (0.20 秒)
これでも"Cyborg"(正しいスペル)倍あるんだな。ネットってアテにならん。
>>109 >細胞具 の検索結果 約 874 件中 1 - 10 件目 (0.20 秒)
微妙に固有名詞の気配を感じる・・・。
>>110 >Thyebbolgue に一致するページは見つかりませんでした。
オリジナル溢れる単語だと思われ。
スペルの由来を一工夫できれば小説のネタになるかも知れないね。
113 :
pinksaturn:2007/07/14(土) 22:11:52 ID:1e37MYnb0
>>108 メタルヴァルキリー、ホワイトエンジェル、ソネットなら適切かも。
素体確保が非常に困難で量産が出来ないのが欠点。
>>109 ナノマシン系でメカミトコンドリアとか使っていそう。
中国語だと固有名詞なら音で当て字する事もあるけど、普通名詞なら機換人、機化娘々、載脳機などと意訳されそう。
大犬座一番星→天狼星、自動車→汽車、機関車→火車などと微妙にスライドするので言い当てるのは意外に難しい。
日本より短くする傾向があるので、もしかしたら機娘ぐらいになるかも。
冥王星は日本人が言い出した訳語だが中国でもそのまま使われているそうです。
114 :
一〇八:2007/07/14(土) 22:43:47 ID:pkOeFrhv0
ブルーソネット...懐かしいね。
115 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 23:40:59 ID:kwVBjLRU0
>細胞具
諸星大二郎のギャグマンガじゃないの。
ロボット国vs人間国対立の緩衝地帯。
116 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 16:09:02 ID:wXo/VmPz0
夢を見た。ヤギーがアニメ化された夢だった。
今日一日脳内に映像が回っている。
いま、第3話が始まったところだ。
117 :
一〇八:2007/07/15(日) 22:27:04 ID:O0Wv7FpX0
>>116 絵コンテUPしてくれ。話はそれからだ。
118 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 23:08:04 ID:c3IalLxV0
何本かアニメシリーズのテーマみたいに題名決めて、腕に覚えのある人に
勝手に書いてもらったらどうでしょうか
ここは文章書ける人は結構いらっしゃるようですし
全26話とか...無理か 13本くらいでは?
とりあえず題字から
つ[シリーズ構成]
全26話x13本? 銀英伝かTNGを期待?
OVAなら3話構成というのもありだな
3話のつもりが勢いで6話になるとか?
6話しかないのに「全26話の一部」って裏設定信じたりとか?
更に話のつながらない第2部が付いたりとか?
>>111 もっとややこしくしようと思ったのは秘密…orz
126 :
3の444:2007/07/22(日) 13:23:41 ID:Vdjwh0OC0
―――まずはじめに感じたのは畳の表面が頬っぺた触れるすべすべした感触。次に感じたのは閉じた眼の向こう
側の明るい日差し。
ゆっくりまぶたを開けた私の目に入ってきたのは、胎児みたいに横向きに丸まって寝ている私の身体から延び
た義体用充電用の黒いコード。コードの行き着く先は黄ばんだ壁の、下のほうにある電源コンセント。
えと、ここは、はるにれ荘の205号室。いつもの見飽きた私の部屋・・・だよね。
いつもの癖で枕元に置いてるはずの眼鏡を?もうと、ひとしきり頭の回りを手探りしたあとで、眼鏡をかけっぱ
なしだってことに気づいて一人苦笑する私。服は昨日着ていた薄汚れたチュニックのままだった。どうやら、部屋に
戻ってきたところで、力尽きるように畳の上に崩れ落ちちゃったみたいで、布団すらかけていない。もっとも、今の
私、布団をかけようがかけまいが、大した違いはないんだけどさ。はは。
(えーっと私、どうやってはるにれ荘に戻ったんだっけ?)
義眼ディスプレイに表示された現在時刻は朝の8時45分。一体何がどうなっているのやら、起き抜けのぼんやり
した頭で、現状認識する間もなく―――
ずきん。
頭の芯を針でえぐられたようなひどい頭痛に、私は、たまらず頭を抱えて情けない呻き声を上げながら畳の上
をのたうち回る。
なんで頭が痛いのか・・・原因はわかってる。っていうか思い出しました。アルコールカプセルの飲みすぎでしょ。
アルコールカプセルを、一度に四つ?五つ?正確な数は覚えていないけど、とにかく昨日の晩、駅のトイレで私
にとっては途方も無い量のカプセルを一気飲みした。生身のカラダで言うなら、日本酒の一升ビンを丸ごと飲み干
しちゃったようなものかもしれない。サイボーグの癖して二日酔いなんて、全く情けないったらありゃしない。
なんでそんなバカな真似をしちゃったのか・・・それも分かってます。昨日の私の身に起こった事をアルコールの
力を借りて頭の中から一刻も早く消し去りたかったからだ。
でもね・・・あれだけ頭の中をアルコール漬けにしたのに、ちっとも忘れられてない。
127 :
3の444:2007/07/22(日) 13:24:53 ID:Vdjwh0OC0
自称「サトシの女」の口車に乗せられて夜の工場地帯に連れて行かれた私は、そこで男四人に犯された。でき
ればぜーんぶ夢であってほしいと思うけど、今も着たままの砂で薄汚れたチュニックが昨日の出来事は夢でもなん
でもないってコト、嫌でも私に教えてくれる。金属バットで義体を思い切り殴られた痛みも、この身体を犯された屈
辱も、まるでお風呂場の隅っこにこびりついた頑固な汚れみたいに、私の脳みそのひだひだの隅々にまで染み付
いてしまって、アルコールなんかじゃ洗い流せそうにない。そして、忘れたいことはちっとも忘れられないくせに、肝
心の、カプセルを飲んだあとの記憶は私の頭には全く残っていない。あのあと、どうやって家に帰ったのか、すっぽ
り、頭の中から消えちゃってる。
正直いって、カプセルを飲んだときは、もう、どうにでもなれって思ってた。朝起きたら、粗大ゴミ置き場にでも転
がってのかなあ、なんて思ってたんだ。だから、今、こうして自分がちゃんと家に戻れていることが不思議でしょうが
ない。
ずきんずきんずきん。
「うぐー」
再び激しい頭痛に襲われた私は、床に転がっている座布団がわりのクッションに頭をうずめて身悶える。忘れ
られないばかりか、唯一私に残されたホントの私と自身を持って言えるモノを・・・私の脳みそをこんな痛めつけちゃ
うなんて、私はホントに馬鹿だ。大馬鹿だよ。
義眼ディスプレイの端っこで充電完了を示すサインがぺかぺか光ってる。
まだしばらくは何も考えずにぼーっとしていたかったけど、コンセントを抜かない限り、このサインは視界から消
えてくれなくてウザったいこと限りない。仕方が無いから私はズキズキ痛む頭を抑えながら、ずるずる四つんばい
のカッコで畳を這いずって電源コンセントまで辿りつくと勢いよくプラグを引き抜いた。そして、右脇腹のハッチの中
にある小さなボタンを手探りで探り当ててぽちっと押す。黒いコードがまるで掃除機のコードみたいに、しゅるしゅる
と体内に巻き込まれていった。
(コンセントプラグ?)
機械仕掛けの身体の中に吸い込まれていく黒いコードを見つめながら、ふと、あることに気づいて愕然とする。
128 :
3の444:2007/07/22(日) 13:25:41 ID:Vdjwh0OC0
このコンセントプラグ、確か、あの女に引き抜かれちゃったはずなんだ。なのに、なんで、元どおりに直っている
わけ?いったい、いつ?誰が?元に戻してくれたんだろう。
須永さん?ううん、そんなはずない。須永さんは例によってしばらく会社にこもったっきり帰って来ないってアニ
ーが言っていたもの。
他にも、まだ、おかしなことがある。
うまく言えないけど、私の部屋、昨日と何かが変わってる。
漫画が蔵書のほとんどを占める本棚、異常なし。大事な骨董コレクションを収めた大正時代のものだっていう
食器棚、異常なし。違和感の原因を探ろうと、私の視線が部屋の中を彷徨う。そして、部屋の真ん中にある足の短
いテーブルの上に置かれた、ある物の上で止まった。
(これは、いったい何?)
違和感の原因は、そこに置いてあったどこかの本屋さんのものとオボシキ薄黄色の紙包み。中に入っているの
は、包みのサイズと厚さから判断するに何かの雑誌なんだろうとは思う。でも、私こんな本屋行ったこともないし、
そもそも、昨日本を買った覚えもない。
(でも、覚えてないだけで、実は私が買ったのかも・・・)
深夜の記憶が全く無いだけに、ゼッタイ自分のものじゃないって言い切れないのがツライところ。万が一、自分
のものじゃなかった時に備えて、元の状態に戻せるよう、紙を傷つけないよう注意しながら、慎重に紙包みのテー
プを剥していく。
そして、本を取り出そうと包みの中に手を入れたところで、ちょっと躊躇する私。
もし、これがアカの他人の本だとしたら、それって、勝手に他人のプライバシーを覗き見するようなものかもしれ
ない。それは、例えるなら他人の日記を見るようなもので、人としてしちゃいけないことのような気がする。もし、こ
れが自分で買ったものだとしたら、記憶のない私が自分の本能だけで選んだ本ってことになって、それはそれで、
知りたくないような気がする。
(でも・・・今更ここで引き下がれるわけないよ)
私は大きく息を吸い込むと、思い切って中の雑誌を袋から取り出した。
129 :
3の444:2007/07/22(日) 13:41:48 ID:Vdjwh0OC0
そして・・・その本を一目見るなり、床に放り出して脱力。
この雑誌を買ったの、私じゃない。神に誓って私のはずがない。
だってさ、この私が何を悲しくて『わくわくコスプレランド』なんて雑誌、買わなきゃいけないのさ。
気を取り直してもう一度、雑誌を手にとってパラパラめくってみる。雑誌のタイトルに偽り無くグラビアページは、
なんとかっていう名前も覚える気にならないファミレスの制服だの、バニーガールだの、セーラー服だの、ナースだ
の、スクール水着だの、アニメのヒロインの服らしい、この世のものとは思えないほど奇抜な服だのを身にまとった
女の子タチで埋め尽くされていた。
ひととおり雑誌に目を通したあとで、ぱたん、と雑誌を閉じたあとの私の感想。
―――頭、痛い。
いや、アルコールカプセルの飲みすぎで本当に頭が痛いせいもあるけど、それだけじゃなくて・・・自分には理解
不能な世界を突きつけられて、頭が追いつかなくって、くらくら眩暈がするんだ。こういう服を着たがる女の子の心
理も、見たがる男の子の心理も、私にはゼンゼン理解できないよ。ひょっとして、こういうのが好きな男女が付き合
ったりするとさ、えっちなんかそっちのけでいろんな服をとっかえひっかえして楽しむんだろうか。それで、キャラクタ
ーになり切ったつもりで決めゼリフなんか言ってみたりして。大の大人がそういう学芸会みたいなことをしている光
景を想像するだけで、つい噴出しそうになる。私は、そんな恥ずかしいこと死んでもやりたくないね。
この本を買ったのは、どう逆立ちしたって私じゃない。その事実に安心するとともに湧き上がる新たな不安。こ
の本を買ったのが私じゃないなら、一体誰が買ったの?私、こんな本を買うようなキモい人間を自分の部屋に入れ
たってわけ?全くジョーダンじゃない。勘弁してほしいよ。
(寝てる間に変なことされてないだろうね)
あわててスカートの間に手を突っ込んで股間をさぐる私。
でも、その心配は杞憂だった。どうやら、昨日ここを綺麗に洗った後は何もされていないみたい。っていうか、そ
んなことより・・・私、下着つけてない。ノーパンじゃないかっ。そういえば、昨日あのあと、使い物にならなくなったシ
ョーツをぐるぐる巻きにしてバックの中に放り込んだんだった。
130 :
3の444:2007/07/22(日) 13:42:35 ID:Vdjwh0OC0
(私ってば、なんて恥ずかしいことを・・・)
顔のあたりが、かあっと火照ってくるような気がした。もちろん、それはただの幻覚で、機械の身体の顔色が変
わるなんてさりえないんだけどさ。
「全くもう」
私は、ぶつぶつ自分に対する不平を漏らしながら部屋の片隅にある備え付けの流しに向かった。そして、蛇口
をひねり、勢いよく流れ出す水をすくっては、ばしゃばしゃと顔を洗う。この身体は寝汗をかくわけでも、目に目ヤニ
がつくわけでもないから、顔を洗う必要なんてホントはゼンゼンないんだ。そんなこと分かっているけどさ、でも朝起
きたら顔を洗うのはやっぱりヒトとして当たり前のことだよね。
タオルで念入りに顔を拭いたあと、眼鏡をかけ直して鏡を見る。そして、
「うわぁ」
鏡に映った自分の姿にドン引き。
いや、顔自体はなんてことない、つまらない、いつもの自分の顔なんだけど、眼が真っ赤に光ってるんだよね。
人間の顔なんて不思議なもので、眼が光るか光らないか、たったそれだけの違いで、普段見慣れているはずの自
分の顔ですら、異形の化け物みたいに見えてしまう。
(ってことはつまり・・・)
私は半泣き状態(いや、実際に涙は流せないんだけどさ)でサポートコンピューターにアクセスしてみた。
(やっぱり私の義眼、撮影モードになっちゃってる・・・)
サポートコンピューターの中に、今まさに録画中の動画ファイルを見つけた私は、あわてて義眼の撮影モードを
オフにした。動画ファイルのサイズは5ギガバイト。眩暈がするほどの大きさだ。この大きさから判断するに、私の
義眼は昨日の夜からずーっと撮影モードのままになっていたに違いない。でなければこんなサイズに膨れ上がるは
ずがない。
つまり、アレだ。このファイルの中に、私がアルコールで気を失ってからの一部始終が記録されちゃっているわ
けだ。で、その間中、ずーっと眼を光らせっぱなしで、悲惨な全身義体障害者ですって周りにアピールしまくってた
ってわけだ。
131 :
3の444:2007/07/22(日) 13:43:08 ID:Vdjwh0OC0
ジョーダンじゃない。そんなの二日酔いとか、ノーパンどころの騒ぎじゃないよ。
全身義体の義眼は、超高画質、高感度のデジタルカメラと構造的にはほぼ同じ。だから、大抵の義体の義眼
は自分が見たものをそのまま記録できる。カメラみたいな機能がついている。デジタルカメラと同じ要領で、自分が
見た画像をそのまま記録できて、サポートコンピューターのハードディスクに保存できるってわけ。これは、一般生
活設定の義体でも使える数少ない特殊機能で、うまく使えればそれなりに便利なんだけど、一つ欠点があって、こ
れを使うときには義眼がどうしてもあかーく光ってしまう。だから、気をつけて使わないと自分の身体が義体だって
ことがバレバレになってしまうってわけ。
話を聞くと、昔の義体は撮影モードでも眼なんか光らなかったけど、そのせいで撮影モードを使って隠し撮りを
する人がでてきて社会的に問題アリとされてしまい、こうなってちゃったんだって。どこの誰だか知らないけど、えら
い迷惑なことをしてくれたもんだよね。
それにしても、この画像・・・どうしよう。
見なかったことにしてファイルを削除する。それも一つの選択肢だろう。まっとうな生身のニンゲンなら自分が記
憶を失っている間の出来事を知る手段なんかないんだ。これを見ちゃうってことはヒトとして反則のような気がす
る。それに、どうせ見たところで、「なんだこの酔っ払いの機械女は」とでも言いたげなイタイ視線を一身に浴びてい
るのを確認するだけで面白さのカケラもないような気がする。
でも・・・やっぱり気になる。どうしても気になる。
自分で言うのもなんだけど、アルコールでふらふらになって、おまけにバッテリーも切れかけていた私が、自分
ひとりではるにれ荘に戻れたなんて信じられない。電源コードを直してくれたのは誰なのか?この部屋に置きっぱ
なしの例の雑誌は置いていったのは誰なのか。そういう謎の全てが、この画像を見れば多分解けるハズなんだ。
・・・と、いうことで私、好奇心に負けてしまいました。
机の中から接続ケーブルを取り出して、自分のサポートコンピューターと、パソコンを繋いでいます。そして、マ
ウスを無意味にカチカチいじりながら、パソコンが立ち上がるのを待っています。
132 :
3の444:2007/07/22(日) 13:54:15 ID:Vdjwh0OC0
本日はここまで
久しぶりです。
お話、先がとても楽しみです。
撮影で眼が光るようになったってのは現代の携帯電話のカメラで
シャッター音が鳴るようになった話と同じってことかな。
面白い。いつもながら乙です。
お疲れ様です!
137 :
adjust:2007/07/23(月) 21:19:08 ID:eJwlQ/i20
> 話を聞くと、昔の義体は撮影モードでも眼なんか光らなかったけど、そのせいで撮影モードを使って隠し撮りを
>する人がでてきて社会的に問題アリとされてしまい、こうなってちゃったんだって。どこの誰だか知らないけど、えら
>い迷惑なことをしてくれたもんだよね。
気のせいかこころあたりがあるような...しかもいたずらじゃなくてイソジマの企業秘密を盗んだのがいたような...
あー聞こえない聞こえない orz...
修理が出来る人間で、なおかつコスプレマニア...先が予測できなくなってしまいました。
心理描写と独創的な展開がすばらしいです。
3の444様 お疲れ様です。
当方の自衛隊ネタ、現実世界で自衛隊が必要な事態が起きてしまったので、少し間を空けるか
話を変更するか考えていますので、もう少しかかると思います。よろしくお願いします。
>ヤギー
犯人検挙につながる情報が録画されてたらいいですね。
ところで、録画したものはちゃんと自分で編集できるようになってるんでしょうか?
有用な証拠とかがあっても、恥ずかしい部分をさらせないので提出ができないとかだと嫌ですね。
よく考えたら目が光って録画ってのは全身義体の証拠にはなってないですね。
目だけ義眼の人とかも、録画機能がついてるパターンは有り得ますね。
ただし、録画開始・終了の操作は外から(ワイヤレスリモコン?)する必要がありそうですが。
録画媒体は…二十一世紀アタマの今でさえマイクロSDが2GBとかだったりするので、義眼の眼球の中でも問題はないですか。
その気になれば無線LANで外部に記録できますし。(いずれにしろ録画したものを取り出すときは無線LANか)
パソコンにつながないと見れないってのが笑えるw
>ヤギー
動画ファイルのサイズが5GBって無茶苦茶小さいような…。
NTSC(ハイビジョンでない普通の地上波アナログ放送の解像度)でも、一般的な
DVDレコーダのデフォルト設定なら二時間。(DVD市販ソフトだともっとデータの
レートが高い物が多いので、もっと録画時間が短いですね)
立体視のために両目の映像を記録するなら、それだけで倍の容量になるし、
視野角などを考えると(テレビを観るとき視界の全部がテレビ画面に占領される訳では無いが
義眼の映像は視界全部ぶんの広さなので、同じくらいの細かさに見える画質にしても、
もっと何倍も情報量が増えるはず)
ちなみに、記録メディアの容量は年々倍々とかになっている訳で、
あと6年くらいもすればマイクロSDが100GB以上で3000円なんて時代になりそうだったり…
142 :
pinksaturn:2007/07/25(水) 07:09:37 ID:fRCSJyJ70
>>140 サポコンに余計な重いファイルを置くと体が動かなくなる仕様だった筈なので転送が必要。
有線式なのはお約束だろうけど、セキュリティとか大きなファイルを短時間で送るためといった理屈は後付け可能。
サポコンとPC両方を操作するのに手を使わないと脳内で複数のマウスを動かすよう訓練か脳改造が要りそうですな。
>>141 ハードディスクは原理的に信頼性が低いからサポコンには使わないでしょう。
現実でも、カーナビには使ってもエンジンコントロールには使わない。
信頼性が最優先のストレージだとハードディスク並みには大容量化できない。
そのため高度なデータ圧縮が行われ、再生に大きなCPUパワーが喰われるのでサポコンでやってはいけない、
ということでは。
>>142 いや、だから現在でさえHDDに頼らなくてもフラッシュメモリで
なんとかなるという話をしてたんですが…。
マイクロSDでさえ2GBクラスが完全に普及帯に入ってるし(秋葉原なら3000円台)
フルサイズSDならもう8GBとかの容量が登場しているし。
あと6年もすればマイクロSDが100GB以上で3000円なんて時代が来そうですから
その頃には今のDVDみたいな位置づけのメディアとしてはもうHDDも光ディスク
もほぼ駆逐されてるでしょう。
でも、ハードディスクの方が信頼性が高い側面は案外あったりもしますが。
たとえば、書き換え回数とか。
>>141 128Kbpsで12時間録画したとするとファイル容量が約5.2GBとなるはず
あとはそこまで動画圧縮技術が向上するかどうかですな
>>143 書き換え回数の問題については、ヤギーの世界の義体は3年に1度の定期検査が
義務付けられているので、定期検査の際に予防保全として必ず交換を実施すると
いうことにすれば、考える必要がなくなるかと
実は今、フラッシュメモリについては、昨今の大容量化に伴って大幅に
書き換え回数やデータ保持期間が短くなっている問題が発生してるそうです。
下手すりゃ一年切る勢いなんだとか…(汗
さすがに最近は、こりゃマズいぞということで、寿命向上に向けて動き出しては
いるので、ヤギー時代くらいには何とかなっていると思いますが。
最近はフラッシュメモリ以外にも「書いたら消えない」メモリが他にも
いくつかの方式が出てきていて、その中には書き換え回数が事実上無制限の
ものなどもあるので、近未来的にもその辺りの問題については楽観視できるのかも。
しかし、「RAMのように書けROMの様に保持」って、なんだかいにしえの
コアメモリを彷彿とさせますねw
最近出てきた方式の中には「消さずに上書き可能」とか「破壊読み出しww」
なんて性質のものまでありますし。
147 :
adjust:2007/07/26(木) 19:25:39 ID:TkcQeSeW0
新作投下させていただきます。
以前の自衛隊ネタの続きは、もう少しかかりますのでご容赦ください
内容は、以前に書いた九条明日香の裏話という位置づけになろうかと思いますが、
はっきり言って、変なはなしです。本来のサイボーグ娘萌えの路線からは離れす
ぎているので、お怒りのかたもでてきそうな感じがします
この話は、えりゅ様、580様の影響をたっぷりと受けています。すばらしいお話に感謝します
また、方向性からして、ご不満の点、多々あるとおもいます。申し訳ありませんが、よろしくお願いします
ご批判やご意見については真摯に受け止めさせていただきますので、よろしくお願いします。
148 :
adjust:2007/07/26(木) 19:27:04 ID:TkcQeSeW0
イソジマ電工府南営業所、そこではひとつの仕事を終えたケアサポーターが報告に立ち寄る場所でもある。本社がわ
りと近いこともあり、それほど大きくない営業所では、女子社員がお茶をしているところに割り込んで、八木橋ケアサ
ポーターが担当患者のことについて話に花を咲かせている。
そのほのぼのとした雰囲気をぶち壊すかのように現れた黒い影。
「こんにちはー、府南警察署です」
「あ、はーい、おつかれさまです」
営業所の職員がいつものことということで、営業所エリアの全身義体者のリストを用意する。
「警察ですか?」
八木橋は目の前の女子社員にひそひそ声で訊いた。
「ああ、大丈夫、全身義体者の移動をチェックしているだけだから」
全身義体者は国から多くの補助を受けている。日本の義体技術はかなり高度であり、それ自体が重要機密の部分も多
い。そのため、常に技術を持たない国からのスパイ行為にさらされているといっても良い。突然居なくなるようなこと
があれば、そんな国のひとつに拉致されている可能性も考えなければならない。また、全身義体者は特殊公務員向けの
装備を保有していることから、有事の際の動員を期待されている面もある。ギガテックス義体の場合は契約に動員の義
務が書かれているし、イソジマ電工義体でも、協力することが推奨されている。そのため、常に地方自治体で全身義体
者の動向が記録されているのである。
「大きい人ですね」
「いつも来る人ね。大河原さんといったかしら、捜査一課だそうよ」
「捜査一課って、義体担当なんですか?」
「さあ、しらない。体格見ればヤクザと大立ち回りしそうな感じよね」
女子社員はお茶を片付けながら、大河原警部補を一瞥する。
大河原は警察のリストと営業所のリストを照合していく。そのリストに何か問題があるのか特定のところを何度もチ
ェックしては頭をひねっている。
「そうだよ、捜査一課はヤクザ屋さんとか公安担当の刑事さんだよ」
別の女子社員が横から口を出す。
「じゃ、悪いことした人を捕まえるひとですか?」
149 :
adjust:2007/07/26(木) 19:27:46 ID:TkcQeSeW0
「そうだね、テロとかの潜入先に突っ込んだりするね」
たしかに、そんなことには向いていそうな体格である。というか、ヤクザと立ち回った場合、どちらがヤクザかわか
らないような風貌である。その大河原が、不意にこちらを向いて女子社員を手招きする。
「すみません、ちょっと確認させてください?」
「はいなんでしょう。」
捜査一課の説明をした女子社員が大河原に向かう。
「えー、この九条さん、九条明日香さんですか、この方はどういう職業に就かれている方なんでしょうか?」
「げっ!!」
八木橋は思わぬ名前にびくんと反応する。いや、びくんと反応しそうになって、寸前のところで平静を装う。あわて
て、目の前の女子社員の袖を引く。
「え、えっとすみません、お仕事のことでちょっと」
女子社員を連れて、大河原の目の届かないところに隠れた八木橋はひそひそ声で説明する。
「た、大変です。九条さんが警察に見つかると困るんですが、ど、どうしよう」
「困るってどういうことよ?」
「あ、あの、九条さんって違法改造で、夜に体を売るお仕事で...」
「ふむふむ」
涙目になりながら(比喩)九条明日香のことを説明する八木橋、そのパニックを見て、女子社員は考え込む。
「うーん、絶対とはいえないけど、ま、大丈夫でしょ。他に犯罪しているわけじゃないのよね」
「あ、はい、本人はとてもやさしくて、悪いことをするような人じゃありません」
「じゃ、大丈夫よ、堂々としていなさい」
「で、でも、つかまったらどうしよう」
ひざががくがくと震え力が入らない。そこへ、大河原と女子社員の会話が聞こえてくる。
「九条明日香さんの担当は八木橋さんですね、ちょうどいますよ。呼びましょうか」
「ぜひ、お願いします」
「八木橋さーん、おーい、ヤギー来てー」
能天気な呼び声が八木橋のもとにまで伝わる。
150 :
adjust:2007/07/26(木) 19:33:34 ID:TkcQeSeW0
「いや、呼ばなくていいってば、居ないって言ってよお」
小声で反論してももちろん届くはずもない。
「大丈夫だから行ってきなって、正直にね」
ぽんと背中を押されて、大河原の見えるところまで押し出される。
大河原の目の前で、いまさら隠れることも出来ず、愛想笑いを浮かべて平静を装う。
「ど、どーも」
大河原はその巨体に似合わない笑顔を見せる。
「どーも、八木橋さんですか、府南警察署の大河原です。よろしく」
「あ、や、八木橋裕子といいます。よろしくお願いします」
引きつったままぴょこんとお辞儀をする八木橋、肘がスチール棚にあたり、派手にへこんだのはお約束であった。
「コアシティ3階のレイランドオフィスというのが九条さんの仕事場で間違いないですね。」
「は、はい」
ほとんど、取り調べを受ける犯人役となっている八木橋は、結局のところ全てを白状させられてしまうことになる。
「わかりました、ありがとうございました。ご協力感謝します」
礼を言って席を立とうとする大河原に、八木橋がおずおずと聞いてみる。
「あ、あの、九条さん逮捕するんですか?」
うーん、と少し考え込む大河原
「犯罪性があれば逮捕することもあります」
警察特有の意味を濁した発言である。死んだ目をする八木橋に大河原はぽんぽんと肩をなでた。
「なにかあったときのために、少し説明しておきましょう」
手帳をぱらぱらとめくりながら、大河原が説明する。
「えー、九条さんはおそらく谷川組傘下の娼婦紹介所に所属しています。紹介所はBlueGeneというスナックですね。
なにかトラブルがあれば、そこで消息がつかめると思います。まあ、その手の店は結構ありますが、わりと穏やかなほ
うなんで危険は少ないと思います。」
もう一度ページをめくる。
151 :
adjust:2007/07/26(木) 19:35:17 ID:TkcQeSeW0
「えーっと、それから...」
「闇改造業者ですが、谷川組関係としてはおそらく、大府産業だと思います。表向きは機械加工、設計ですが、裏で
義体改造をやっていることは調べがついています。違法といえば違法なんですが、凶悪ではないので今のところは泳が
せている段階です。」
「あー、それから、九条さんに限りませんが、もし何かあったら府南署へ連絡してください。捜査一課の大河原で連
絡がつくと思います。それでは」
軽く敬礼をすると頭を下げ、部屋を出る。それをただうなずくだけの八木橋は、大河原が出て行った直後にぺたんと
座り込む。
「ふえーん、こわかったよう」
めそめそとしゃくりあげる八木橋に、女子社員の一人はよしよしと頭をなでるのでありました。
大河原は、住宅地に停まっている違法駐車の車の一つをコンコンとノックした。中で寝ている若者が面倒くさそうに
窓を開ける。
「なんだよ」
「あー、こういうもんだが、親分さんご在宅ですかな」
胸ポケットからお決まりの警察手帳を取り出し、これまたお決まりのようにいきり立つ若者を手で制する。
「いるんだな、じゃあ、すまんがちょっと伝えてくれや、大河原が来たってな」
「ちょっとまってくれよ」
一戦交えようかという空気を一発で制されたため、意欲を削がれた若者が、10メートルほどしか離れていない組長宅
へ、携帯で電話する。
「おい、おっさん、来ていいってさ、庭のほうに回ってくれ、だそうだ」
「わかった、ありがとう」
若者へ軽く頭を下げて飄々と組長宅へ向かう大河原、その足取りはいつもと変わらない。何度か通ったことのある庭
先の、何気に鋼鉄製の扉を押し開いて中に入る。
「よお、親分さん、お久しぶりです」
谷川組組長は庭で草取りなんかをやっている。一人のように見えるが、もちろん見えにくいところに何人かの気配が
ある。
152 :
adjust:2007/07/26(木) 19:36:19 ID:TkcQeSeW0
「大河原か、久しぶりだな。最近はあまりみなかったが、なんかあったか?」
「いやあ、青洲会の方に外国マフィアが入ってごたごたしてたんで、こっちに来る機会がなかったんですよ」
「ああ、それは災難だったな、あいつらはうちの縄張りにもちょっかい出してきやがる。それで今日は何だ?」
「お宅の傘下のBlueGeneてご存知ですか」
「女か」
「ええ、なかなかいい娘がそろっているそうじゃありませんか」
「いきたいのか?」
「まさか、女房だけでももてあましている状況じゃあ、女房に殺されますよ」
「はっはっは、違いない、で、その女がらみで何があった?」
「いえね、ちょっとした裏取りなんですが、そこの女で九条という娘がいるんです。その娘が全身義体者でしてね」
「ほう」
「いやあ、うまいこと考えたもんですね。義体女ならいくらやっても出来ませんからね」
それを聞いて組長は草取りの道具を地面に放り出し、タバコに火をつける。
「くだらねえ、そんな機械人形のどこがいいんだか」
そのせりふを聞いて、大河原がにやりとする。
「組長がそうおっしゃる以上、これは組長の差し金ではないということですな」
「あたりまえだ、わざわざそんな厄介なものを置く奴がどこにいる。変なうわさが立てば客が寄り付かなくなるだろ
うが」
「けっこう指名があるそうです。どうやら、始めから全身義体者として売っているみたいで、それ目当てで変な趣味
の奴らが集まってきているようで」
「とんでもねえ、それじゃこの世も終わっちまったようなもんだな」
「そうかもしれませんなあ」
大河原は自分もタバコを一本出して、火をつけて吸い込んだ。
「ふーっ」
組長と大河原が静かにタバコを燻らせている。
「おい」
「はい」
153 :
adjust:2007/07/26(木) 19:42:36 ID:TkcQeSeW0
「娼婦関係の面倒は、うちの若頭が見ている。何を調べているんだ。場合によっては若頭を呼び出してもいい」
「いえ、単なる裏取りですよ。全身義体者は普通の人間と違って、生きていく道が極端に少ないんです。道を踏み外
すと首をくくることになる場合が多いんです。」
「道か...」
「はい」
「世の中いろんな人間がいるからな。まともな人間ならば、どん底まで落ちぶれても生きるだけは生きていけるんだ
ろうがな」
「義体者も同じ人間ですよ。でも自由に生きていくためには、金がかかります。彼らには落ちぶれるということが許
されていないんですよ」
「なるほどな」
「いちおう、警察やら自衛隊やらの義体を生かした特殊用途なら、選ばなければ簡単に就職できるんですがね」
「そんなとこに行きたい奴ばかりでもなかろうて」
「そのとおりです。しかも、大体が体を張った職場ばかりときている」
「命を張るということか、酷だな」
「ええ」
大河原はタバコの煙を思いっきり吸い込んだ。
「それで踏み外していないか、ちょっとばかり周りの様子をかぎまわっているというわけです」
「なにかしらべたいことがあるのか?」
「はい、でも親分さんの様子を見て、義体者をわざと集めているわけではないことがわかりました。強制でなければ
心配の一つが解消したことになります。」
「ああ、だがわからんぞ、お前の前ではそういっているだけかもな」
「勘弁してくださいよ、署の連中引き連れてお宅と戦争なんかしたくないですよ。」
「それはこっちも願い下げだ」
大河原はタバコの吸殻を揉み消した。
「それだけか?」
「はい、大体の状況は見えてきました。後は若頭に直接聞いてみます」
154 :
adjust:2007/07/26(木) 19:45:44 ID:TkcQeSeW0
「ほどほどにしといてくれよ。やつも最近はだいぶ頭に血が上ることもなくなったがな」
「肝に銘じます」
大河原は組長に頭を下げる。
「それでは、また」
「ああ」
どこから来たのか庭の出口には二人の男が立っている。大河原が近づくと、静かに鋼鉄のゲートを開く。
大河原は小さくお辞儀をするといつもの足取りで立ち去った。
パタン、とドアが閉まったのは、ワンボックスの軽自動車。でてきたのは大河原と同じく、捜査一課の企業捜査担当
の西村警部補である。中小の工場が立ち並ぶ一角には他にも軽トラやワンボックスが路駐されているためあまり目立た
ない。西村は大府産業の看板がある工場の事務所に顔を出す。
「こんちわー、誰か居ますかー」
「はいー、なんでしょうか」
まだ若い見習い職人が顔を出す。西村は軽く警察手帳を出して、頭を下げる。
「すみません、お宅の大将お願いします。お話を聞かせていただくだけですから、いえ、逮捕とかそーいうのではない
ですよ。あ、府南署の西村といえばわかります」
「は、はい」
ばたばたと駆け込んでいく、若い職人を見送りながら、そのあたりの段ボール箱などを軽く見回す。奥の工場らしき
建物には、ダンボールが積み上げられている。そのいくつかには大手金属会社のチタン合金厚板の製品名が記されてい
る。
「ふふん」
待っている間、手持ち無沙汰の時間をつぶすため、なんとなく足がその方向に向いていく。近づくにつれ、この程度
の工場ではあまり使わない高品質材料の空き箱が積みあがっていることに気づく。
「ふんふん」
積み上げられた透明のゴミ袋を足先でゆする。小さな空き箱はそれを加工するための超高硬度工具、その数が多いこ
とから、よっぽど精密なものを加工していることが推測される。
155 :
adjust:2007/07/26(木) 19:47:06 ID:TkcQeSeW0
「おい、西村さん、その程度でやめてくれんかな」
不意に後ろから声がする。いや、後ろの気配には気づいていたが、知らない振りをして調べ続けていただけである。
「ああ、お忙しいところすみません、いやー、だいぶよさそうな仕事が入ってらっしゃるようで」
声の主は、職人としては今一番脂が乗っていそうな中年男、その男が西村の言葉を受けて不機嫌そうになる。
「面倒なだけで金にはならねえよ。最近は難しい仕事も買い叩かれるばっかりでな」
「それは大変ですねえ、大府さんの技術力もすごいと聞いていたんですが」
「ほんの一部だけさ、だがそれだけじゃ、なかなか」
「せちがらい世の中になってしまいましたからね。ところで、今はどんな製品がでてます?」
「うちのいまの主力は高応力継ぎ手ってやつだよ。最近の機械は何でもコンピュータでどうにかしちまうからなあ
機械がめっぽう小さい上に高精度だから、小さくて頑丈な継ぎ手が良く出るな、これはよそにはまねできねえ部品だ」
「ロボットとか精密ですからねえ」
「そうだな、今ではちょっとした仕事はロボットでも出来る時代になっちまっているからな。複雑な機構でついていけ
なくなりそうだが、とりあえず商売にはなってる」
「ロボットといえば、高性能義体なんていうものもありますなあ」
わざと視線を外し、あさっての方向へつぶやく。中小企業の社長は一瞬息を呑んだ。
「なんのことだ。義体のことか?」
「ええ、義体の修理や改造です」
「ああ、そんなものもあるなあ、うちの部品は義体メーカーにも納入されているからなあ」
とぼけようとする社長に、西村は静かに退路を絶つ。
「義体改造は儲かりますか?」
「ぐっ」
核心を突っ込まれて、社長の息が止まる。しばらくして、社長は低い声でつぶやく。
「どこまで知っている?」
「それは企業秘密ですよ」
「なにを知りたい?、うちも企業秘密ってもんがあるんだが」
「そうですね」
156 :
adjust:2007/07/26(木) 19:48:11 ID:TkcQeSeW0
西村は周りを見渡した。しばらく考えながら、社長の目を見る。
「できれば、改造の種類と客の情報ですか。あ、そうそう、消耗品関係の入手ルートも出してくれるとありがたいんで
すが」
「全部じゃねえか」
「そうかもしれません、お宅の改造の種類によっては警察も協力できると思いますが」
「どんな協力だよ、客のことについては出せねえよ、そういう契約なんだ」
「そうでしょうね、ただ警察としては、客の個人情報を直接捜査に使うつもりはありません。出したことを知るのは私
とあなただけです。それに、危険な改造をしない限りにおいては、お宅の違法改造は見なかったことにしますが」
「危険な改造というのが、どんなものかはわからないが、そんなに変な改造はしてねえよ。」
「基本的には、暴力行為、刑法犯罪行為を助長する改造の場合は、見なかったことには出来ません。おそらく多いのが
売春目的、特殊な性行為に関する改造でしょうか?」
「そうだな、あとは特殊公務員装備の取り外しが多い」
はあ、とため息をついて社長が一歩、二歩とそこらを回る。
「わかったよ、情報を出せばいいんだろ。これでつかまることは無いんだな?」
「はい、刑法犯罪につながらない改造であれば、しばらくは手を出さないことにします」
「わかった、じゃ、こっちへ来てくれ」
社長はある建物に連れて行く
「ちょっとまってな、若いのと話をしてくる」
西村はうなずいて、静かにスーツの下に隠し持つ拳銃に手を添えた。突然、人数を集められて、葬り去られる可能性
も無いではない。だが、そんな構えは杞憂に終わる。
「きてくれ」
程なく社長が再び顔を出し、西村を呼んだ。
「失礼します」
そこには若い男2名、若い女1名が、西村をにらんでいた。
「どーもすみませんね、お邪魔でしょうが、少し調べさせてください」
「ほら、これが改造リストだ」
157 :
adjust:2007/07/26(木) 19:49:42 ID:TkcQeSeW0
「あ、どーも」
社長が差し出したリストには20名程度の名前が並んでいる。
「後ろにあるのが、改造の詳細ですか」
「ああ、そうだ」
「ちょっと失礼しますよ」
西村はデジカメを見せて、撮っていいかどうか示す。特に返事はない。軽く頭を下げ、リストと改造内容をカメラに
収めていく。
「ありがとうございました、ところで、消耗品関係はどうやって入手してますか」
社長も含めた4人がひそひそと話しだす。男の一人が口を開いた。
「義体の機械関係ですか、それとも医療関係ですか?」
「ああ、両方です、わかる限りのことを教えていただけると助かります」
「わかりました、義体の機械関係はほとんどが、普通の機械部品や材料として発注できますので、それぞれのメーカー
に注文しています。特殊公務員向け機器は、ほとんどの客が必要としないので、専用機器についてはそのままもとの義
体のものを流用するか、使用しないことで、消耗品の問題を解決しています。そして汎用の特殊公務員向け機器の場合
は、生活に必要なものもありますが、これも、ほとんど入手可能なのでそれを利用していますし、どうしても手に入ら
ないものは、我々が製作しています。」
「わかりました。医療関係はどうなっていますか?」
「医療関係は、私たちがあまり医療関係のルートを持っていないので、補給が難しくなっています。とくに重要なのが
ブドウ糖カプセル、補充用人工血液、電合成リサイクルフィルタ、補充用各種アミノ酸、脂質、ミネラル溶液等ですが、
最低でも薬剤師免許を持っていなければ入手できないものが多いです。これらについては、つてを頼って知り合いの薬
剤師から入手してもらっています。ブドウ糖カプセルについては、最近は、規格が近い外国のカプセルを入手して、こ
れに手を加えています。最後に電合成リサイクルフィルタは、イソジマ電工の営業所から横流しされているものを入手
しています」
「なるほど、大変ですね」
西村は、電子手帳に書き込みながら、入手ルートを細かく聞いていく。一通り聞き終わったところで手帳を閉じる。
「これは重要な話だと思うのですが...」
158 :
adjust:2007/07/26(木) 19:50:59 ID:TkcQeSeW0
「なんでしょうか」
「これらの消耗品をずっと供給し続けていけますか」
社長を除く3人の社員は動揺を隠せない。代表格の男は小さくつぶやく。
「ある程度は供給を続けていけますが、ずっと供給できるかはわかりません」
西村はうなずいた。
「そうでしょうね、5年、10年程度ならお宅で何とかすることも出来るでしょう。でも、それ以上となると会社が続く
かどうかわからない。また、担当者である皆さんがどうなっているかもわからない。しかし、それでもお客はいるはず
ですよね。」
西村は静かに立ち上がった。
「忠告しておきます。できれば、これ以上義体改造には深入りしないほうがいいです。だんだん、アフターサービスの
負担が重くなって、お宅のような企業では支えられなくなっていきます。」
「はい」
「アフターサービスに関しては、ギガテックスやイソジマとコンタクトを取ってみてください。人道的な問題ですから、
嫌がるでしょうが最終的には対応してくれると思います。法的な問題もありますが、もし改造をやめる覚悟があれば、
私まで連絡してください。関係する部署を紹介します」
「わかりました」
「いろいろありますが、情報の提供ありがとうございました。」
西村が軽く敬礼してにやりとする。
「ご協力感謝します」
そのまま、頭を下げて、部屋を出る。外から見た大府産業は心なしか、沈んだような面持ちであった。
ぽーん、という音がして明日香は、入り口のモニターを除いた。まだ、今日のお客の予約の時間には間がある。
「ずいぶん、早いわね」
インターホンのスイッチを押す。
「はい、どちら様でしょうか?」
159 :
adjust:2007/07/26(木) 19:54:24 ID:TkcQeSeW0
「ビル管理会社のものですが、室内点検をお願いしています」
モニターから見えたのが、作業服姿の男2名。明日香は寝起きだったせいもあり、あまりよく考えずに男2人を部屋
に入れた。
「失礼します」
「どうぞ」
男は部屋の配電盤を覗き込み、いくつかのブレーカーを操作する。
「ガスと水道の確認もしておきますね」
もう一人の男は明日香の後ろへ回り、台所へ向かった。
「ガス?」
このビルは基本的にオフィスビルのため、そもそもガスの配管は来ていない。
「あ、あの、ここはガスはありませんけど」
男が明日香の目の前に不意に現れ、すっと近づく。
「それは失礼しまし...たっ!!」
ざくっ!!、という感触が豊かな胸の間に差し込まれた。特殊公務員装備の一部が取り外された明日香の義体では、
簡易装甲となるパネルの一部がついていない。普通の義体の生命維持装置が存在する場所である。
激しい痛みと共に、明日香の視界内が大量の警告文字で埋め尽くされる。
根元まで埋め込まれたナイフはさらに周りのものを切り裂こうと、力が入れられていた。
「あ...あ...」
やっと何をされているかを理解し、明日香は男の腕をつかみ、義体のリミッター範囲で最大の力を込める。
「や、やだ、やめてください」
男二人ともみ合いになり、やっとのことで男たちから離れた。ひきぬかれたナイフの後からは、パイプのいくつかが
切り裂かれたのか、人工血液が染み出している。
「あなたたちは、なにもの?」
商売道具のベッドの枕元まであとずさる。男たちは黙って明日香に近づいていく。明日香は義体のリミッターを解除
した。
「ぼろぼろの義体者を相手に、何が欲しいのかしら?」
160 :
adjust:2007/07/26(木) 19:55:26 ID:TkcQeSeW0
「......」
「欲しいのは、お金なの?、それともこの体?」
じりじりとベッドと壁の間へ追い詰められていく。男は、自分の腰に手を伸ばした。
「銃?、はっ!!」
明日香がもう逃げられないと悟って、目の前の男に体当たりした。リミッターを外された義体は、いつもの動きに似
合わないうなり声を上げて、加速する。
「がつん」
およそ人のものではない、衝突音が響く。男が体勢を崩してふらつくが、明日香の義体の全力はこんなものではない
はずだ。改造により出力も減少しているとはいえ、リミッターを外せば、100馬力近い出力はある。普通の人間ならそ
れだけでばらばらになってしまうだろう。
「あなたたちも...義体なの?...」
「ぱすっ、ぱすっ」
立て続けに消音装置のついた銃から銃弾が打ち込まれる。そのひとつが、明日香の肩を貫いた。甲高い金属音と共に
肩の構造材と人工皮膚が吹っ飛ぶ。
「問答無用ってことね」
明日香は不適ににやりと笑う。
「それじゃ、せいぜい抵抗するわよ」
ドアに手を回し、銃弾の雨の中、脱出しようと試みる。事務所の木刀をつかんで、投げつけた。一瞬それをよけよう
とする隙に、外へのドアを開けようとするが、銃弾で足止めされてしまう。
「やあっ」
手元のガラスの灰皿を投げつける。男はもうよけようとしない。鈍い音がして、灰皿が欠けて落ちる。
「万事休す...ね」
もう対抗手段が無い。相手が全身義体であれば力の優位は無い。明日香は壁に張り付いたまま男二人をにらみつける。
「......」
「......」
じりじりと迫ってくる銃口を前にして、無言のにらみ合いが続く。その時間は激しくドアをたたく音で破られた。
161 :
adjust:2007/07/26(木) 19:56:49 ID:TkcQeSeW0
「明日香、なにかあったか、返事しろ」
「若頭、マネージャーも...私、います、助けて!!」
商売をするベッドの枕元には、助けを呼ぶためのスイッチがある。ベッドの端へ追い詰められたときにそのスイッチ
を入れている。
「てめえら、破るぞ」
間もなく、激しい音と共に、ドアが破られる。若頭が部屋に入ると男二人が銃を構えている。
「こんな街中で弾きかよ。野郎どもは下がれ、明日香無事か?」
「なんとか」
「よかろう、おい、落とし前はつけてもらうぜ」
若頭が懐から銃を出す。44口径か、かなり大型の銃である。
「マネージャー、明日香を連れて行け」
「はい」
「撃つなよ、撃ったら、こちらも撃つからな」
ともに、銃を構えたまま、無音の時間が流れる。
「投降しろ、周りはうちの組で固めた。お前らは逃げられねえぞ」
だんだん不利になることに気づいたのか、男たちが動揺し始める。銃口を若頭に向け引き金に力を込めた。
「いい度胸じゃねえか」
若頭も銃の引き金に指をかける。そこへ、邪魔が入った。
「ちょっとまて、若頭、撃つな」
通報を受けた大河原が、警官隊と共になだれ込んでくる。
「配置につけ、銃構えっ」
数人の警官が展開して銃を構える。少し間をおいて犯人に向かって話しかける。
「あー、犯人に告げる。おとなしく投降しろ。周りは確保されている。逃げられはせんぞ」
「......」
「九条さーん、義体緊急信号受信しました、大丈夫ですか」
八木橋が、助けられ座り込んだ明日香のもとに駆け寄る。とりあえず、いつもの補修用品一式の入った大きなかばん
を下ろして、明日香の体を調べ始める。
162 :
adjust:2007/07/26(木) 20:02:08 ID:TkcQeSeW0
「うわ、生命維持装置がやられてる。このままじゃ明日香さん死んでしまいます。」
それを訊いてマネージャーが電話をかける。
「あー、大府産業ですか、私です。九条明日香さんが撃たれました。至急修理できる人をよこしてください」
「八木橋です、至急ケアサポーター部を、はい、緊急治療が必要です、故障箇所は胸部生命維持装置、チューブとポ
ンプが破損しています。人工血液漏れで、溢れています」
ぱん、ぱん、犯人が発砲する。大河原は決断を下した。
「構えっ、目標腹部、撃てっ」
一斉射、少し間を空けてまた一斉射、それで犯人は動かなくなる。
「犯人逮捕」
警官が動かなくなる犯人をいっせいに確保した。その横では明日香への処置が始まっている。
「えっ、古堅部長?、私ですか、はい...わかりました。私がやるしかないんですね」
八木橋は、真剣な顔で明日香の顔を覗き込む。
「緊急補修を行います。へたくそなんでうまく出来なかったらごめんなさい」
明日香は微笑を浮かべながら、静かにうなずく。
八木橋は、明日香の透明の保護カバーを外した。本来この部分は特別のパスワードがないと扱えない部分である。ナ
イフによって無残に開けられた穴が、保護カバーに残っている。携帯電話を耳に当てながら、処置を指示してもらう。
「生命維持装置マスター側からでている6本のチューブのうち、2本が破れています。一本は切断されています。補
助側の生命維持装置は断線により機能停止です。はい、まず破れたチューブにパッチを当てます」
かばんから補修用品を出して、チューブに巻いてみる。人工血液漏れにより、ぬるぬるの状態のチューブにはパッチ
がうまく貼れない。指で漏れを止め、良く拭きあげて、パッチを丁寧に貼っていく。
「パッチを貼りました。はい、今のところはがれてはいません。そうですね、次はチューブの交換ですね」
「はあ」
ある程度の練習はやったものの、実際の作業は始めてである。2本の穴をふさいだだけで、手足が重くなるほどに疲
労したが、まだ休める段階ではない。気力を奮い起こして、次の作業に取り掛かる。
「S3型のチューブですか、はい、ありました、これを20cmほどに切るんですね。」
163 :
adjust:2007/07/26(木) 20:04:31 ID:TkcQeSeW0
切り取ったチューブを持って、古いチューブを外す。液漏れ対策のため特殊な樹脂で接着してあるが、緊急補修のた
め、新しいチューブは樹脂で固めない。古いチューブを外すと、人工血液がどっと流れ出る。空気をを吸い込む前に、
指で押さえた。吐出側に先に差し込んで、チューブ内に人工血液が満たされたことを確認して、吸い込み側に差し込む。
わずかに空気が入ったが、ある程度は空気を分離する仕組みがある。しかし、無制限に空気が入れば、分離しきれなく
なり、脳にいく可能性があった。
「チューブの交換終わりました。はあ」
たいした作業ではないのだが、神経を使うため、疲労感は大きい。その八木橋に次の指示が送られる。
「あとは、救急車が来るまで、漏れた人工血液の洗浄と電気系統のチェックですね、わかりました」
機械がぎっしり詰め込まれ、入り組んだ義体の中に漏れ出した人工血液がしみこんでいる。背中の方にたまった人工
血液は、布で拭き上げ、スポイトで吸いだす。その作業を行いながら、八木橋は明日香に話しかける。
「人工血液の漏れは止めました。多分、これで大丈夫だと思います」
「ありがとう、八木橋さん」
撃たれていないほうの腕で、八木橋の背中をなでる。そのしぐさはとてもやさしいものであった。
大河原は犯人を確保して、九条のもとへやってきた。
「あなたが九条さんですか、府南署の大河原です。よろしく」
「お名前はかねがね聞いております。こちらの八木橋さんからもね」
「修理が完了して落ち着かれましたら、いずれ事情聴取にお伺いしますので、その節はよろしくお願いします」
「わかりました」
「残念ながら...」
「若頭は拳銃不法所持ということでこちらにおいで願わなければなりません」
「これぞというところにでてきやがるがらな、もう少し遅ければ何ということも無かったんだが」
「不法所持で済んでよかったと思ってくださいよ、発砲したらよくて殺人未遂ですよ」
「まあな」
164 :
adjust:2007/07/26(木) 20:05:49 ID:TkcQeSeW0
「それにしても...」
大河原は明日香の周りに集まった若頭とその部下、マネージャー、大府産業の職員、そして八木橋を見回した。
「なかなか頼りがいのあるお仲間に恵まれていらっしゃるようで、うらやましい限りですな」
「あら、うらやましいですか」
「ええ」
「わたしは、」
明日香は大河原を見つめた。
「新しく頼りになる人とお知り合いになれたことを感謝していますよ」
165 :
adjust:2007/07/26(木) 20:10:43 ID:TkcQeSeW0
この話はこれでおしまいです。ありがとうございました。
この話の参考にさせていただきました、3の444様、えりゅ様、580様に感謝します。
異色の話なので、問題があると思いますが、ご意見などございましたら
よろしくお願いします。
なにを心配してるか判んない。
普通に面白かったし、良いと思うよ。
>>165 今度はヤクザものですか?
多方面にわたる豊富な知識にいつも驚かされます。
まるで見てきたかのようなリアルなやり取りがすごいです。面白い。
でも、なんで九条さんが狙われたのか結局よくわからなかったな。
義体技術を狙うどこかの国の差し金ってことですか?
あと、
> 2本の穴をふさいだだけで、手足が重くなるほどに疲労したが、
これも比喩ですよねw
重箱の隅をつつくようで申し訳ないですけど。
身体表現が限定されちゃうから、八木橋ワールドの義体モノを書くのは難しそうです。
一気に読んでしまいました。
何を持って異色というのか解りません・・・。
この様な話もありだと思いました。
でも、八木橋ワールドの描写は難しいですね。
私は、はっきり言って書こうと思ってもなかなか筆が進みません。
構想すら、なかなかうまくいかなくて・・・。
169 :
adjust:2007/07/27(金) 19:36:13 ID:q5YpWhZ30
>166
ありがとうございます。SF萌え系路線とは違う方向なので、お断りさせていただきました。
投下するときはいつもびくびくものです。どんなとんでもない失敗やらかしているのかわからないので
実際やってしまいましたね
>167
>でも、なんで九条さんが狙われたのか結局よくわからなかったな。
>義体技術を狙うどこかの国の差し金ってことですか?
申し訳ない。脳内設定では、青州会が外国マフィアにのっとられて、その外国マフィア経由で義体技術が
外国に漏れるということになっています。だから、犯人の義体は日本製です。この設定をひとつブロックを
とって書いておくべきでした。ご指摘ありがとうございます。
>> 2本の穴をふさいだだけで、手足が重くなるほどに疲労したが、
>これも比喩ですよねw
御意、神経が疲れて、手足を動かす気力もなくなったと解釈いただければ...
)168
166様の所に書きましたが、路線が違いそうなので、お断りさせていただきました。
ありがとうございます。
なぜ襲われたかは今後の展開で明らかになるんだとばかり思ってた…
まだ山羊ー隠し撮りビデオの中身も明かされてないから、それと関係があるのかと。
171 :
adjust:2007/07/27(金) 23:18:05 ID:CNfQMrv10
なんだか文章が変で、誤解されそうなので補足です
>169で ”お断りさせていただきました” と書いたのは
”あらかじめ説明させていただきました”の意味で書きました。
申し訳ありません。
少し謝りすぎだと思われ。正直ウザイよ。
作品として世に出しちゃったんだから前後で何を言っても遅い。
保管庫に入るときは前後のコメントなんて残らない。
作品自体には悪いところはない。つかオレは好きだよ。
作中の状況説明不足は、次回への伏線ってことでOK。
イイワケするより次回作に期待ってことでヨロ。
173 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 21:49:47 ID:nhQTYQbS0
(ケンタウリの続きです。)
−−−−(4)娘達の決断−−−−
フォボスから撃ち込み核融合パルス推進実験成功の報告があった。
宇宙からは少しずつ明るいニュースも聞こえてくるが、私の身辺は憂鬱なことばかりだ。
明日は特区の迎賓館で六芒星の首相に会わなくてはならない。決裂すると判っている交渉だ。
かの国の領土は狭く、にもかかわらず無計画に世界から六芒星教徒の移民を受け入れている。
乏しい農地と過剰人口による食糧難。そして隣接各国との数千年来の対立。
まずいことに、かの国の科学力と財力は世界でも上位にあり核武装が可能であった。
さらなる不幸は、我々の氷隕石移動技術を悪用する余計な知恵まであったことだ。
隣国との境界にある湖に氷隕石を落とし、沿岸を壊滅させようなどと誰が言い出したのか。
我々が金さえ出せばどこにでも隕石を落とすわけではないことなど百も承知の筈だ。
それでもあえて直談判ということは、拒めば核ミサイルを撃ち込むと脅す気だろう。
本当に核など使ったら、ますます世界から孤立するだろうから脅しだけだと思いたい。
貴金属市場への影響力を行使して水銀の調達を妨害されるくらいは我慢する。
だが、かつての北米連の例もある。政権中枢に冷酷さと説得力を兼ね備えた者がいれば危険だ。
軌道警備部隊には既に非常警戒態勢を取らせている。
数の上では六芒星が保有する少数のICBMに突破されるほど手薄ではない筈だ。
だが、最近はサイボーグ化から5年以上で優秀な娘は殆どが核パルス艦要員を志望してしまう。
下士官クラスの名手が大勢居た北米連迎撃戦当時と比べれば質は落ちているだろう。
迎撃艇の機能強化が経験不足を補ってくれることを願うしかない。
上級皇族SNS・皇帝朝子10世のブログより
174 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 21:51:09 ID:nhQTYQbS0
(静止軌道第七工場衛星 軌道警備本部)
あや:「対ICBM厳戒態勢なんて何十年ぶりなんだっけ。今どきそんなもの使うバカ居るのぉ?。」
ふみ:「痛いニュース見てないの?。六芒星が死海に氷隕石落とせって要請してきた件よ。」
あや:「ちらっと見たけど、粗悪なネタでしょう。それより、いよいよ恒星間航行艦の乗員募集ね。」
ふみ:「恒星間航行艦かぁ。でも、私らはあと1年経たないと再改造受けられないからきっと対象外よ。
それに、40年も艦内で同じメンバーと顔を突き合わせて暮らすのって、耐えられるかしら。」
あや:「170式迎撃艇は極軌道への急速軌道変換時に大Gがかかるから乗員選抜が厳しいじゃん。
だから、私らなら核パルス艦要員の選抜検査も簡単に通るはずだわ。可能性はあるわよ。
ICBM厳戒態勢が発令されるようじゃ、太陽系から逃げ出した方が長生きできそうだわ。」
ふみ:「うーん、確かに地球も危ない状況よね。でも、40年間休み無しはきついわねぇ。
ここの勤務もきついけど、オフには本国の繁華街で派手に暮らせるから保っているような希ガス。」
あや:「恒星間航行艦って100万d級の巨艦になるそうよ。艦内に繁華街くらい作るかもね。」
ふみ:「重量の大半が燃料だから実力は10万d程度なんじゃないかな。男は居ない筈だし。」
あや:「そうかぁ。男が居ないと施設があっても出来る遊びが限られちゃうわね。」
警備本部長・リエ特務大佐:「いよいよトップ会談だわ。警戒レベルを引き上げるべきね。
ローテーションを短縮するから、あやとふみはすぐに出なさい。」
あや、ふみ:「はい、直ちに迎撃艇格納庫に向かいます。」
175 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 21:52:35 ID:nhQTYQbS0
(皇紀170年式迎撃艇
http://pinksaturn.fc2web.com/cen/170siki-geigekitei.htm 専用格納庫)
あや:「170式11号迎撃艇、あや1等兵搭乗しました。発進準備良し。」
ふみ:「12号迎撃艇、ふみ1等兵搭乗しました。」
管制官:「11号は3番リニアカタパルト、12号は4番リニアカタパルトより射出する。
射出間隔は30秒。発進後は独自判断にて合流し、2時間後に六芒星上空を通過せよ。
進入方向は六芒星−本国を結ぶ線に平行とする。」
あや、ふみ:「了解。」
管制官:「3番リニアカタパルト射出。ハッチ通過確認、閉鎖。4番射出。」
あや:「ひゅーっ、相対速度秒速150b、出たわよ。」
ふみ:「こっちも加速良好。このまま30秒間隔で降下軌道に入りましょう。」
あや:「2時間で裏側からだとまともに行ったら化学燃料がぎりぎりね。」
ふみ:「エアターン行く?。極軌道でもないのに普通やらないわよね?。」
あや:「半周地点で高度60`を掠めれば燃料が10から13%浮きそうなんだな。
90度回す訳じゃないから艇体の負荷も大したことにならないわよ。
それに上昇で六芒星上空だからホントにミサイルが上がってきたら追いやすいわ。
何ごとも無ければそのまんま裏に回ってもう一度の再突入で軌道戻せばいいし。」
176 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 22:14:41 ID:nhQTYQbS0
(経済特区・帝國迎賓館)
六芒星共和国首相・モエラ:「解ってちょうだいよ!。私ら六芒星人は他に行くところが無いの。
アリババの奴らはね、4000年も前から暴力で私らを奴隷化したり追放したり苛めてきたのよ。
それで仕方なく散り散りになって逃げていたの。それでやっと帰ってきたら土地を盗られていたの。
死海沿岸の住人と称するアリババ人は不法占拠者なんだから死海に水を足すために退くべきなのよ。」
朝子10世:「それで、その人たちには具体的に行くあてがあるのですか?。」
モエラ:「そんなの自己解決よ。退去勧告を無視して死ぬのは自己責任。」
朝子10世:「そう言うやり方を我が国では戦争行為と見なします。憲法上関与できませんわ。」
モエラ:「皇帝の貴女なら鶴の一声で憲法解釈ぐらいどうにでもなるのでしょ。」
朝子10世:「サイボーグ帝國の皇帝がみんな専制君主だなんていう偏見は棄てて下さい。」
モエラ:「いつもそうやってのらりくらりと。私も今日は手ぶらで帰るわけにいかないのよ。
我々にはどうしても農地が必要なの。貴女が氷隕石を売ってくれないと餓死者が出るわけ。
ちゃんと代金も払うって言うのよ。餓死者が出そうなのを見捨てるのは構わないって言うの?。
見殺しだって戦争と大して変わらないんじゃないの?。」
朝子10世:「貴国の人口過剰は、なんの出生管理政策も採らず逆に移民を入れたせいでしょう。
それこそ自己責任ですよ。」
モエラ:「出生管理なんてそんな不道徳なことが出来るわけがないわ。神が許しません。」
朝子10世:「そんな無理を押しつける神に従ったのが自己責任でしょ。」
モエラ:「我々の神をそんな...。貴女、うちに核ミサイルがないと舐めてるんじゃないの。
証拠を見せてあげるわ。我々は文明人だから、直接攻撃なんて野蛮なことはしないわよ。
よく見えるように、ここから東に60`の海上で核爆発を起こして見せてあげるわ。」
177 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 22:16:19 ID:nhQTYQbS0
朝子10世:「海を汚すようなことは許しませんよ。」
モエラ:「だったら無理矢理停めてみたら?。さもなくば氷隕石を売ってちょうだい。」
朝子10世:「そお。なら、停められたら諦めるわね。」
モエラ:「今に見てなさい。核ミサイル以外にも意地悪の仕返しをする方法はあるわ。
今日はこれで会談を止めましょうか。でもすぐに貴女から会談を申し込むことになるわ。
でわまたそのうちに。」
朝子10世:「やれやれ。サイボーグに脅迫なんか通じないのにw。」
(静止軌道第七工場衛星 軌道警備本部)
当番兵:「六芒星が特区東60`の海上を狙って核のデモンストレーションを宣言しました。
リエ司令、指揮スタンドにお戻り下さい。」
リエ:「やれやれ、ボディの手入れ中だっちゅうのに。忙しくてダイヤの輝きが鈍っちゃうわ。
宣戦布告ではなくてデモンストレーションの宣言かよ。で、陛下からはなんと?。」
当番兵:「海洋汚染も絶対に許すな。必ず墜とせと。」
リエ:「よっしゃ。ローテーション崩れていないわね?。」
当番兵:「向こう6時間に渡り30分間隔で2艇ずつが六芒星上空に達するよう維持しています。」
リエ:「ふむ、今までの六芒星の手口なら抜き打ちで来るからおそらく1時間以内だろうね。
一番当たりそうな組は...、あやとふみだな。素質はまあまあだが経験がなぁ。
歳のせいで私が行けないのが痛いわ。弾頭の自爆に巻き込まれないと良いけど。
で、コースは...ありゃ、これはエアターン狙いか。急がないと通信切れるな。
あや、ふみ、至急応答しなさい...。」
178 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 22:18:16 ID:nhQTYQbS0
(長楕円軌道降下中の170式11,12号艇)
あや:「艇体予備冷却よし。外殻温度マイナス39度。姿勢最少摩擦角度へ。」
ふみ:「艇内マイナス25度。うーやっぱ寒いよぉ。腕が凍ってきたわ。早く突入したいぃ。
あら?今さら通信。司令からだわ。」
リエから:「六芒星のデモンストレーション宣言は聞いたわね?。」
あや:「ええ、でも1時間で来ないのでは?」
リエ:「まだまだ読みが甘いわね。たぶん、貴女達に当たるわよ。」
ふみ:「えっ、マジですかぁ。」
リエ:「もうじき大気圏でしょ。時間無いからとにかく聞きなさい。
追いつけるのは敵地進入10分前以内の発射だから、それ以前だったら前の組に上から撃たせるわ。
追い打ちだと相対速度が小さいから狙いやすいけど弾頭の自爆に気を付けること。
逆に上空通過後20分までの期間は尻を上に向けておいて上から撃つ体制を取ること。
攻撃に気を取られて無理に減速しないように。20分以上は自分が地上に落ちる危険があるわよ。
過ぎたら次の組に任せるのよ。訓練通り基本に忠実...ザー、ガリガリ、プツン...」
あや:「大気摩擦始まったわ。レーザーならまだ通じるかな。ふみ、聞こえる?。」
ふみ:「なんとか。そっちのケツも見えてるわ。自爆注意ったってどうするのかな。」
あや:「さあね。司令みたいに全身を水銀で覆っていればちょっとぐらい大丈夫だろうけど。」
ふみ:「今どき貴重な水銀をファッションに使うなんて司令みたいな資産家じゃなきゃ無理よ。」
あや:「まったく。ご老体の忠告もいまさらだわね。結局運任せで突っ込むしかないわ。」
179 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 22:38:05 ID:nhQTYQbS0
ふみ:「運悪く放射線障害になったら、直しついでに早期再改造申請でもしますかね。」
あや:「大脳の耐Gが悪くなるような怪我だけは勘弁して欲しいわね。あ、衝撃波キター...」
ふみ:「お、あや艇の三角波見えた。こっちもキター。よーし軸ぶれ無しだわ。」
あや:「衝撃波突破。前縁追加冷却、液体窒素残量65%よし追加。前縁温度マイナス30度。」
ふみ:「楕円軌道ボトムまで30`。可動翼端方向舵モードに変形。舵応答よし。」
あや:「転舵開始。ぐうぅ...底面温度40度、前縁60度、窒素追加。」
ふみ:「ひねり120度、背面飛行開始。地上監視地点設定、拡大。前縁90度、上昇停まった。
六芒星上空まで1000`。地上はどうかな?。あ、あれは、ICBM打ち上げ炎確認。
もろに出くわすわ。外殻温度は、...下がってる。これならレーザー通じるか。あや、見た?。」
あや:「打ち上げの瞬間は翼の影だったけど今は見えてる。こっちは速いからすぐ追いつくわよ。」
ふみ:「会合まで残り3分かな。2分30秒で重エキシマ射撃をかけましょう。」
あや:「そろそろこっちも化学エンジン点火かな。エタノールコックオープン、GO。」
ふみ:「あ、ICBMのカウルが外れたわ。え?、チャフばらまいてる。嫌らしいミサイルね。」
あや:「弾頭分離前に仕留めましょ。いまエンジンを撃てば落ちて燃え尽きるでしょう。」
ふみ:「遠いけど行ってみようか。重エキシマビーム安全ロック解除。視覚連動照準。」
あや:「お先に。デビルレイビーム!。おお、しぶといな。まだ加速してるわ。」
ふみ:「まだ大気減衰があるのよ。よしもっと近くで。バーニア点火。ここ、マンタビーム!。」
180 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 22:39:25 ID:nhQTYQbS0
あや:「エンジンから部品が飛んだわ。これで落ちるでしょう。離れないと危ないかも。」
ふみ:「そうしま、あっ、弾頭、きゃぁぁぁ。」
あや:「ひいい、これは爆風、とにかく姿勢立て直し...」
ふみ:「ジャイロ調整、くっ動かない。軸受けが壊れたんだわ。しゃあない、バーニアで...」
あや:「ふう、重力を感じないからどうにか衛星軌道に出たようだわ。ふみ、生きてる?。」
ふみ:「なんとか。ジャイロが壊れちゃって自転停めるのにバーニア使いすぎたわ。
これではエンジンが無事だったとしても軌道上げるには燃料が厳しいかも。」
あや:「イオンエンジンは使えそうかしら?。上昇中だったからもう大気圏外の筈だけど。」
ふみ:「チョイ上から爆風に煽られたから下手をすると下がっているかも。」
あや:「とにかく位置を確認ね。あちゃー、GPS壊れてるわ。放射線で高周波ICがorz。」
ふみ:「げげっ。それじゃ私らも被曝って...今はまず落ちないことか。目視で位置見ないと。
地球は翼の影か。向き変えるのに燃料使いたくないな。あやから見えない?。」
あや:「何とか視界の隅に見えるわ。で、太陽があっちか。うん、殆ど水平飛行よ。
ふみの艇は見えないけどレーザー通信が聞こえるってことは近くにいるはずね。」
ふみ:「水平ってことは長楕円軌道の昇りから見たら随分吹き下ろされたことになるわ。
時間からしてまだかなり低軌道にいるわけだから、このままだと大気抵抗で落ちちゃうよ。」
あや:「見えてる地球の大きさからしてもそうなるわね。とにかく加速して高度取らないと。
大気が濃いとイオンエンジンがショートして正常に機能しないから化学燃料使うしかないわ。」
ふみ:「元々足りないのに厳しいなぁ。」
181 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 22:41:38 ID:nhQTYQbS0
あや:「私の艇はまだましだから、いざとなれば艇を棄ててこっちに移ればいいわ。
その場合でも航宙足のイオンエンジンが機能する高度に出ないと難しいわよ。」
ふみ:「しかたない。とにかく軌道接線方向に出来るだけ加速しようか。行くわよ、方位修正。
バーニア始動。よし、この向きなら良いわね。化学エンジン点火。おお何とか2基とも出たわ。」
あや:「あ、ふみの艇が見えた。すぐ腹の下に居たのね。こっちも動くわ。」
ふみ:「何とか高度が上がってきたようだけど、もう化学燃料がないわ。あと3分で切れちゃう。
残りは姿勢制御にとっておいてダメ元でイオンエンジン使ってみるわ。グリッド通電、どうだ。
うう、電流計が振れてる割に少ししか加速しない。これは放電でショートしてるのね。」
あや:「貴女の艇の噴射口見えてるけど、もろ放電中。推力は殆ど蒸気圧の分だけね。」
ふみ:「グリッドの温度警報は出てないからとにかく推進剤があるだけ続けてみるわ。」
あや:「了解。断続的に化学エンジン使ってゆっくり憑いていくわ。」
ふみ:「殆ど生ガス推進だからすごいペースで推進剤が減っているわ。何とか上がって。」
あや:「いくらか放電光が暗くなってきたようよ。大気が無くなってきたんじゃない。」
ふみ:「ええ、電流が減ってるから多少イオン推進になってきたのかも。
でも、これじゃ電極がぼろぼろになっただろうから、もう推力は上がらないかな。」
あや:「行けるところまで行って移乗すればいいわ。もう航宙足も使えるでしょう。」
ふみ:「こんな推進効率ではあと30分が限度かな。あとは頼らせて貰うわ。」
あや:「こっちのイオンエンジンをテストしてみるわね。どれ、よかった、推力出るわ。
適当なところで移乗してきて良いわよ。この大気濃度なら航宙足も使えるわ。」
支援
183 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 23:01:23 ID:nhQTYQbS0
ふみ:「ありがと。もうこの艇はダメだわ。腹のハッチから出てそっちに行くわね。
生命維持装置2次に切り替え、循環確認、航宙足電圧確認、艇内減圧開始...。
よし、ハッチ開放。あ、見えた、よかった近くて。」
あや:「こちらもハッチ開けるわね。はいどうぞ。」
ふみ:「航宙足始動。よかった、足は普通に機能するわ。よしラインに乗った。
270度開脚、逆噴射、はーいお邪魔しまーす。」
あや:「よく頑張ったわね。でもこの艇もGPSは死んでるし、この先も大変よ。」
ふみ:「とりあえず機関が生きてれば航法は天測で何とかなるわよ。」
あや:「そうね。気長に行きましょうか。」
184 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 23:02:09 ID:nhQTYQbS0
(静止軌道第七工場衛星 軌道警備本部)
リエ:「2人とも良くやったわ。生還できたのが何よりよ。」
ふみ:「12号艇を放棄する羽目になり大変申し訳ありません。」
リエ:「爆風が効く高度で弾頭を自爆させるなんて陰険な事されたら私が乗っていても同じよ。
おそらく2人とも放射線障害が出るだろうから、すぐ本国に降りて全面解体検査を受けなさい。」
あや:「あの、そのまま早期再改造申請をしても良いでしょうか?。」
リエ:「地球軌道任務はもうこりごりって訳ね。無理もないわ。今までご苦労さまでした。
でも再改造申請が通るかどうかは検査結果次第だからね。ふみも希望するの?。」
ふみ:「申し訳ありませんがそうさせていただきます。」
リエ:「いいのよ。今日みたいな任務を一生に2度もやれなんて、誰にも言えないわ。
この体のおかげで放射線障害は負わなかったけど、私も昔の恐怖が忘れられないもの。
まして私みたいな特殊な趣味の外装を真似できる娘なんて、そうそう居るわけもないし。
でも、今の若い娘は良いわね。太陽系脱出のチャンスだってあるのだから。」
あや、ふみ:「今までご指導ありがとうございました。失礼します。」
185 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 23:03:25 ID:nhQTYQbS0
(旧離宮跡 世界文化研修センター)
文部省世界文化調査官・小宅:「はじめまして。世界文化調査官の小宅でございます。
恒星間航行艦搭乗員候補の皆様の研修をお手伝いする機会を得、光栄の至りでございます。
ご承知と思いますが、皆様の飛行目的は単なる探検でなく、地球の避難所建設にあります。
そのため、当センターにおいて世界各地の文化風俗習慣につき一通り研修されるわけです。
ここは、私ども文部省の調査官が長年に渡り実地に収集した世界文化の生きた保管庫です。
大東亜の2チャン祭りから南米未来検索国のサンバカーニバルまで全て取りそろえました。
但し、帝國社会にとって有害な宗教行事等については慎重に選別編集を加えてございます。
したがって、皆様は安心して研修に励み箱船任務の糧としていただきますよう切望します。
どうか、異星系に渡る機会のない私どもに成り代わって地球の未来を繋いで下さいませ。
なお、甚だ僭越ではございますが、皆様の研修成果を記録するよう命じられております。
乗組員の最終選考においてデータが参照される可能性があるとのこと、ご承知願います。」
さくら:「今さら地上研修なんてと思っていたけど以外と楽しそうなところね。
ただ、採点されていて選考に関わるというのが、嫌らしいけど。
せっかく募集時期に間に合うよう再改造受けたのに、こんな遊びで落ちたら悲惨だわ。」
みさき:「えと、今日の研修メニューは”大東亜のお立ち台ギャル”だったわね。
踊りなんて素体訓練のクラシックバレエしか知らないから動きはよくわからなそうだわ。
だけど、使う衣装や小道具は結構趣味だなぁ。チューブトップに羽根扇子なんて良いわ。
まあ、採点基準なんてよく解らないし、ここは素直に楽しんでおいた方が得な希ガス。」
さくら:「初期のはまあ良いけど、末期のLバックとかUバックとかはワケワカランね。」
みさき:「でも、ここは熱帯だし末期のの方が涼しげよ。私らに暑さ寒さは無いけどね。」
さくら:「とにかく順に着替えてみるか。どお、似合っているかな?。」
みさき:「いけてるわよ。まあ、私らはみんな、体型が基本的に優良だしね。」
186 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 23:22:45 ID:nhQTYQbS0
(地底アイスワールド
http://pinksaturn.fc2web.com/cen/marina.htm )
まりな:「どうです、私のスピンは?。」
マオ:「私の若い頃のような勢いは無いわね。でも、今は敵わないわ。」
ミキ:「これならフィギュアスケート文化を宇宙に広められるわね。」
まりな:「そう言っていただけると。けど私が抜けたらここのショウも寂しくなる希ガス。」
マオ:「ちょっと褒めるとこれだ。貴女は体が固いのよね。そこはまだまだ。」
まりな:「え、それは技量じゃなくてボディ形式の差ですよ。」
ミキ:「ホントにそうかな。股関節の自由度はそっちが上だからやり方次第よ。
こういう風にしっかり膝を伸ばして足を真後ろに...あっ、いたたた、神経痛が。」
マオ:「大丈夫?。ミキの神経痛このごろ酷いわね。」
まりな:「あーあ、やっぱり有脊髄型は歳を取ると神経痛が出るのが欠点ですね。」
ミキ:「今さらしょうがないがや。昔は、発展途上技術で再改造適用が厳しかったがね。
特別に優れた操舵員か、脊髄障害者が優先されて、私らは後回しにされたんよ。
で、普及した頃には高齢で耐G性能が出ないから無駄だと、申請却下だがや。」
まりな:「資産家のマオさんやミキさんなら、お金の力でどうにか出来たのでは?。」
マオ:「当時は人工小脳の生産が少なくて、再改造できる数が限られていたのよ。
それで、完全な任務対応配給制で私費改造なんか一切認められていなかったのよ。
今の若い娘は恵まれているんだから私らの分まで頑張ってね。」
まりな:「ホントに私が居なくなっても大丈夫ですか?。」
187 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 23:23:50 ID:nhQTYQbS0
ミキ:「ここのショウの娘の補充なら何とかなるわよ。まあ地球が滅びなければだが。
先日も六芒星がバカな真似してくれたし、次は何が起こるかなんて誰も判らないわ。
貴女は早々に候補入りして文化伝達要員としての特殊性も認められてるでしょ。
この機会を逃せば、たとえ次の恒星間航行があっても年齢的にダメだと思うわよ。」
マオ:「そうよ。チャンスは1度きりなのよ。」
まりな:「ありがとうございます。では心おきなく行かせて貰います。」
(宙軍地上基地 メンテナンスセンター)
整備兵:「部品センタの報告によるとお二人とも造血ユニットの被曝がかなり酷いです。
外したユニットは骨髄細胞の3割ほどに異常があるというので再生に10年かかります。
今後の任務に制限を来たしそうなので遺伝子組み替え豚の公費生産が決定されました。
2年後には豚から予備骨髄が採れますので恒星間飛行への志願に支障は出ないでしょう。
むしろ、ついでに予備消化管が採れますから交換パーツの面では有利になりますね。
次に、脳脊髄ユニットの分解検査結果ですが、重大な損傷は見つかりませんでした。
ただ、画像の分解能以下の微細損傷はすぐに判らないので経過観察が指示されています。
差し当たり、身体制御CPUの動作ログを診るとのことで連続送信が義務づけられます。
宛先は、宙軍研究所脳脊髄研究部の桃子侯
[email protected]です。
すぐに、身体制御CPUにログ自動送信の設定を行って下さい。」
あや:「これって、何時までやらなくちゃいけないの?。まさか一生?。」
整備兵:「期限の明示はないですが、問題が出なければたいてい3ヶ月ほどですよ。
機械的衝撃もですが、トラウマによる異常行動が出ないか気にしているのでしょう。」
ふみ:「トラウマねえ。まあ、あんな怖い目に遭うのはもうご免だけど。
でも、リエ老なんか昔の戦争で似たような目にあったけど問題出ていないのでしょう。
同世代がみんな退役したのにまだ司令が務まっているくらいだし杞憂では?。」
188 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 23:26:24 ID:nhQTYQbS0
整備兵:「あの方は特別ですよ。記録によれば当時の部下は放射線障害になっています。
ダイヤ膜張りの外皮で皮下の空所を水銀で埋めるなんて特殊な体は他にいないでしょ。
おそらく、耐放射性能だけなら厚手の金属外骨格と大差ないと思いますよ。
それにその時の核被害は真空下でしたから爆風による衝撃は受けていないはずですよ。
外惑星任務に就かなかったため日常はGに晒されていないし恵まれた条件なんです。」
あや:「爆風1回くらいでそんなに違うものなのかしらねえ。」
ふみ:「核パルス推進艦なんかその爆風そのものに乗って進むわけだし。」
整備兵:「爆風受けに乗るわけではないでしょ。ショックアブソーバがありますよ。
それに推進用原爆は臨界量ぎりぎりの小型原爆だからICBMとは桁違いです。
乗員だって再改造で脆弱な脳を縮小していると耐G性能もかなり違うんですよ。
それでも冥王星航路の乗員を長くやった人は、平均寿命が短いと言われているんです。
恒星間航行艦の場合は長期間加速を続けるし、寿命をなるべく延ばす必要もあります。
そこで、核融合式にして1発の威力を小さくしてパルス数で稼ぐようになるそうです。
攻撃用核弾頭の爆風を不用意に受けたダメージはその何億パルスにも匹敵しますよ。」
あや:「そお。もし脳が傷物になっていたら、どうにもならないんだ。」
ふみ:「再改造がダメかどうかは運次第か。」
整備兵:「切れた脳神経は殆ど回復しませんが、血管や硬膜の小損傷は別です。
せめて休暇中は頭をぶつけないように気を付けて暮らした方がいいですよ。でわ。お大事に。」
あや:「安静だなんて早い人は候補に選ばれて研修とかやっているのに焦るなあ。」
ふみ:「経過観察とかで出遅れて機会を逃したらまた軌道警備に戻されるかも。
恒星間航行って初回の成否を見極めるから次のチャンスはもう無いだろうね。」
あや:「ダメだったら火星大工場か金星のプラットフォーム建設でも志望するかな。」
189 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 23:46:43 ID:nhQTYQbS0
ふみ:「でも、火星は核パルス艦からローテーションの再改造者が多いわよねぇ。
金星は一部職種が一般シビリアン労働者に開放されてきたからポストが減っているわ。
アルバイトならともかく、再改造がダメだと正規任務で行くのは厳しいわね。」
(世界文化研修センター)
さくら:「来週の科目は選択だけど、みさきはどうするの?。」
みさき:「そおねえ、恒星間に出たら氷を見る機会も無いだろうしスケートは良いわね。」
さくら:「良い思い出にはなりそうだけど、国の重点科目だからレベルは高そうよ。
建国200年祭イベント出演者選考を兼ねてアイスワールド出張でプロの指導受ける、か。
下手すると、レベルに憑いていけず大きな失点に繋がるかも知れないわ。」
みさき:「なるほど、競争相手が多い選択はリスクも大きいわね。迷うなあ。
メジャーな科目で優位に立てれば理想的なんだけど。うーん。
でも、やっぱりやってみるわ。どうせ選考基準なんてよく判らないんだから。
迷ったときは、損得考えるより興味優先よ。」
さくら:「そうねえ。わざわざ全参加者にスケート用の足を用意してくれるのも魅力ね。
専用足なんてプロかよほどのマニアでなければ、なかなか持てるものではないものね。」
みさき:「そうそう、専用足はノウハウがないと発注すら難しいもの。」
さくら:「なら、選択は決まりね。」
190 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 23:47:49 ID:nhQTYQbS0
(地底アイスワールド)
まりな:「アイスワールドへようこそ。私が200年祭デモンストレーターのまりなです。
皆様ご承知の通り、フィギュアスケートは帝國文化の要とされる優先伝承科目です。
そこで、恒星間航行発進の前夜祭たる建国200年祭で大がかりなイベントが催されます。
私どもプロだけでは数が足りないため文化研修参加者に協力を仰ぐことになりました。
また異星系探査の結果、寒冷な可住惑星に行き当たった場合は日常生活技術にもなります。
念のため申し上げますが、私も恒星間航行要員候補の1人ですが評価は文部省が行います。
したがって、選考に関してお手盛り評価で優位に立つことはありません。
また、200年祭配役への参加依頼決定と恒星間航行要員選考は独立に行われます。
恒星間航行に漏れた方に200年祭では協力願う、あるいはその逆もあると御承知下さい。」
さくら:「公正と言いつつ、あの娘もう耐環境ボディを使っているわね。」
みさき:「試作機を供与されている時点で特別な立場よね。でも負けられないわ。」
まりな:「それでは、10分ほどウォームアップを行って下さい。」
さくら:「フィギュアでの競争と言えばウォームアップでの駆け引きも重要だわ。
目の上のたんこぶになりそうな娘に目を付けて転ばせるくらいの気で行かなくちゃ。」
みさき:「それは、ソロ競技前のウォームアップの話でしょ。祭りのデモは違うんじゃ?。
もちつけ、もちつけ。あんまりかっかすると怪我するわよ。」
さくら:「そうだったわ。新品の足だからまず具合を掴まなくちゃ。そーれ。」
みさき:「ふんふん、最初はあんな感じか。どれ私も。ん?。足首微妙に引っかかるな。
急な大量注文でジョイントパーツにバリでも残っているのを掴まされたかな。ちっ。
文句言って手直しも時間取られるな。10分で当たりがついてくれればいいけど。」
191 :
pinksaturn:2007/07/28(土) 23:50:00 ID:nhQTYQbS0
マオ:「ふーん、さすがにやる気満々のが集まったわね。良いじゃない。」
ミキ:「ただ、競争を意識しすぎで危なげな娘が多いかも。まりなが睨まれてるわ。」
マオ:「芸術監督としてはそれじゃまずいわね。一息入れさせる?。」
ミキ:「とりあえずウォームアップ後に全員足を点検させた方が良いわ。」
マオ:「わかったわ。体内通信でまりなに指示しましょう。まりな...」
ミキ:「次からは、足だけでなくボディを全員分用意できた方がやり易いかも。
変なやっかみが生じないし、足の交換より首のすげ替えの方が早くできるでしょ。
不具合があったときは休憩中に胴体ごと整備室へ持って行かせた方が安全だわ。」
マオ:「なるほど。そろそろ量産品も出て来る頃だし、理美に頼んでみるか。」
192 :
pinksaturn:2007/07/29(日) 00:09:49 ID:WqPaAs7h0
(宙軍研究所 脳脊髄医学研究部脳修復研究課)
桃子:「お休みのところよく来てくれました。ここで脳修復技術を担当している桃子です。
用件は言うまでもなく核の爆風で受けた急峻なG負荷によるあなた方の脳の問題です。
まずは、とんだ災難でしたね。二人とも再改造と恒星間飛行要員を志望しているのですよね。
送信していただいている経過観察データは今も分析を続けていまして、まずは中間報告です。
今のところトラウマによる一時的行動の麻痺といった異常反応は見つかっていません。
ただ、一部の動作において神経パルスに極短時間ですが息つき波形が見られます。
これは、当該神経系統の細胞体が部分的に損傷し周囲の神経細胞が補完の負荷を負うためです。
直ちに障害が出るわけではないが、長期的耐G性能の観点からは好ましくありません。」
あや:「それはつまり、再改造適用除外になるということですか?。」
ふみ:「そんなぁ。殺生な。」
桃子:「従来の原則からはそうなるのですが、一つ提案があります。」
あや:「何とかなるのなら何とかして下さい。」
桃子:「リスクを伴う提案ですから、良く聞いてから決断して下さい。
私が担当している研究というのは、脳修復によるサイボーグの長寿命化なのです。
恒星間航行の到達圏が乗員の寿命で制限されることから利点は明らかでしょう。
これに用いる脳修復の方法とは、ES細胞注入による神経細胞再生になります。
ただ、注入されたES細胞がどんな神経回路を産むかはコントロールできません。
有用な神経回路が生成されなければ寿命延長効果はなく弊害が出るかも知れません。
それで、これまでは、法的に死体とされる公家廟の亡霊を対象に実験してきました。
その結果、生理的欲求の回復といった一定の効果はあったのですがなにぶん亡霊です。
計画的に保存したわけでもないES細胞は超高齢者のものですから活性が低いのです。
そのため、強い自己組織化傾向があった基礎的欲求を司る神経回路しか回復しません。
真に脳修復の効果を確認するためには脳損傷がある若い娘で実験する必要があります。
あなた方の状態は損傷箇所を周囲で補完する神経群に良い誘導作用を期待できます。」
193 :
pinksaturn:2007/07/29(日) 00:12:51 ID:WqPaAs7h0
ふみ:「それで、人体実験に志願してみないかと言うわけですか。」
桃子:「ぶっちゃけそう言うことになります。ただ、リスクが大きいんですよ。
修復効率を高めるには、生体部分が少ない人工小脳型の方が有利なはずです。
それで、もし実験を受けるならまず人工小脳型に再改造してからとなります。
適用認可は、実験に必要と言うことで特別に取得できると思います。
問題は、修復作用が小脳除去跡の断面にも働く恐れがあることです。
断面に不要な神経回路が形成されて、人工小脳にノイズを与えるかも知れません。
ソフトウェアによる調整が追いつかなければ、身体制御障害に陥る可能性があります。
修復が成功すれば恒星間飛行も可能でしょう。その代わり、失敗したら障害者です。」
あや:「私は治る可能性に賭けてみるわ。」
ふみ:「そうよ。核ミサイルが飛んでこないところに逃げたいわ。」
桃子:「実験が成功すれば、艦内で寿命延長実験を続けるという私の案も通ります。
つまり、私が恒星間航行艦に乗れるかどうかもあなた方と一蓮托生というわけです。
とゆうことで、宜しくお願いします。」
あや、ふみ:「桃子侯、こちらこそ宜しく。」
桃子:「でわ、再改造手術の予約がとれたら連絡を差し上げます。」
(最も時間のかかる乗員の予備研修や選考に取りかかりました。
艦の建造はブロック工法なので後日開始し、お祭りの間に出来てしまう予定です。
まあ、サイボーグ娘スレなので艦より人が主役ですから。次回予告−−(5)皇紀200年祭−−)
194 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 18:41:09 ID:UE6LD73U0
水銀による放射線の遮蔽というのは、重い元素だからということなのでしょうか?
磁気のシールド効果もあると思われますが、リエ司令はとんでもない体重だったりして
水銀って想像を超える重さだよなぁ。
落っことしそうになったことがある。
196 :
pinksaturn:2007/08/01(水) 06:58:34 ID:pDR83slk0
>>194 前作(13)でトロヤに行ったとき、純金ファッションを狙っていたマオとミキが金資源が少なく水銀が多いことをぼやきました。
リエはそれをたしなめながら、スケルトンボディなら皮下に水銀を詰めればファッションに使えるぞと言い出し、その後実行します。
その時点でリエが耐放射性能向上まで真剣に考えたかは不明ですが、むしろ全身ミラー状態にして直射日光による傷みを防ごうとしたのかも。
常温で唯一の液体金属なので隙間に薄く詰められるというのがミソでした。
その結果、偶然(29)で被曝しても被害が無かったので現在も使い続けているようです。
当然重量がかさむため、地上から上がるときの体重制限を超過し階級によって割り当てられた私物重量を加えても足りない分は私費で輸送コストを払っているはずです。
特異ファッションのためなら全財産をつぎ込む主義のリエならではということですね。
なお、トロヤで長年放射線に晒されて金が水銀に転換され水銀が多くなっただろうという想定を考えたのは、
JCO事件のとき水戸の銀行金庫にあった10万円金貨を原研が緊急入手して、浴びた中性子量を測定した故事を思い出したためです。
太陽の放射は中性子ばかりでもないので実際そうなるという根拠はいい加減です。
一般論として重い元素が遮蔽に効くのは正しいと思いますが、効果は鉛が一番優れている筈です。
しかしファッション性も大事だし、原爆の効果はすぐ効くのが熱線で放射線は戦後に被害が出るものだから光の反射率も重要です。
瞳が、レース後の検査から終えて、カンダスーパーガールズのモーターホームに戻されてきた。
森田と山口にスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用の移動用スタンドにセットされた姿は、
まるで物が台車で運ばれるようであった。
その瞳の姿を見て、熱いオーガスムスがこみ上げてくる自分がいるのにミンメイは気がついていた。
早く瞳の身体に触れたい。その作り物の身体、そして機械と電子機器が一杯詰め込まれたサイボーグという身体に
触れてみたかったのだ。
運ばれてきた瞳という物体は、ミンメイが憧れている物体であり、
自分自身がそのような姿になることを熱望している姿なのである。
ミンメイは、瞳に駆け寄って、瞳に抱きついた。
ハイデン=羹=ミンメイ(以降、ミ):「速水選手、優勝おめでとうございます。」
速見瞳(以降、ヒ):「ハイデンさん。いきなりでビックリしちゃった。何があったの?」
ミ:「ついつい、速水選手の走りに興奮しちゃいました。ごめんなさい・・・。」
ヒ:「ううん、いいのよ。嬉しかったわ。ハイデンさんが抱きついてきてくれて。私も興奮しちゃった。」
瞳は、ミンメイがここまで自分に興味を持っていてくれたことが嬉しかった。
しかし、ストーカーのような熱狂的な感情の裏にミンメイの異常なほど強度のサイボーグに
対するフェチズムがあることには、まだ気がついていなかった。
だから、瞳は、自分が声をかけたことがジャストミートだったことに単純に喜んでいたのだ。
ヒ:「ハイデンさん。待っていてね。これから、レース後の作業で、レースデーターをホストコンピューターに
吸い上げてもらわなくちゃいけないから。30分ぐらいかかるんだけれど、これも、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとしての仕事のうちなんだ。待っててね。
自分がサイボーグという機械部品と電子機器と人工器官でほとんど置き換えられた機械になったような身体を
持つ存在になったのを痛感するから嫌なんだけれど・・・。それに、それハイデンさんに見られるのも恥ずかしいし・・・。」
ミ:「速水選手、大丈夫です。私も、レースをやっている人間ですし、
スーパーF1マシンに乗ってみたいと思うレーサーの一人です。
順調に良い成績を上げ続ければ、近い将来に同じような姿になるかもしれない人間なんです。
勉強にもなりますから、是非見学させてください。」
ヒ:「判ったわ。香織さん。作業を開始してください。」
「はい。」
山口が、瞳のへその部分にホストコンピューターからのばしたケーブルを接続し、
瞳の四肢の切断面のコネクターに、瞳自身のサイボーグ体の検査調整用のケーブルユニットを接続していった。
瞳が人間ではなく、製造途中のアンドロイドのようになる瞬間であった。
瞳のそのあまりにも機械チックな姿をミンメイは目のあたりにして、
ミンメイは感情を抑えきれずに激しく欲情するのであった。
自分が性的興奮を感じる対象のサイボーグで、しかも、ミンメイの理想である、
その分野の最強のサイボーグ体がそこにいる。
しかも、その個体が女性をベースにして作られたサイボーグなのである。
ミンメイの目の前に、自分の理想的な彼女がいるのだ。
ミンメイが性的な興奮を感じずにはいられないのは当たり前のことなのである。
ミンメイは、その物体と化している瞳に抱きついて、自分の股間に自らの手を押しつけ、自慰行為をしたい衝動を
必死に押さえていたが、その股間は、お漏らしをしたように濡れているのであった。
妻川は、そのミンメイの恍惚の表情に気が付いて、美濃田の言うミンメイの性癖を充分に理解したのであった。
瞳の周りに変わった人種が吸い寄せられるようにやってくるのを今日も目の当たりにして、思わずため息が出るのであった。
瞳はリラックスして、体内の補助コンピューターのデーターがホストコンピューターに
吸い上げられるのが完了するのを待っていた。
ミンメイはその姿をじっと身動きもせずに恍惚の表情を浮かべて見つめ続けていたのだった。
ヒ:「ハイデンさん。どうしたの?何か表情が虚ろだったよ。何を考えていたの?本当にお待たせしちゃったね。
これで、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとしての仕事は終わったわ。お食事にでもご案内するわ。」
ミ:「あっ、すみません。速水選手の美しさに見とれてしまって、立ちつくしていました。いいんですか?
お食事にご一緒しても。」
「美しいなんて言ってくれて嬉しいな。サイボーグだから、人工皮膚に皮膚が改造された時の状態のままで、
しかも、生涯このままの状態のままでいることになるし、所詮作り物だから、この世界の関係者は、
作り物の人形のような私たちに美しいなんて言ってくれないから改めて言われると照れちゃうな。
絶対、ハイデンさんにお礼しなきゃいけないよね。」
ミ:「ありがとうございます。でも、お世辞じゃないですよ。本心です。」
ミンメイは、“作り物”という瞳の言葉に更に反応していた。
作り物の人形のような瞳の身体でしかも、美しくて最強という人間と機械の中間的存在のサイボーグへの
強烈な憧憬がミンメイのフェチ度の高さをあらわしているのだ。
瞳という人間性に興味もあるのだが、それ以上にミンメイにとってサイボーグとしての瞳に、しかも、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの手脚のないスーパーF1マシンの走行システムとして
意外に自分たちの存在意義が無く、日常生活では人に頼らなくては生きていけないようなギャップが、
ミンメイにとっての瞳の魅力を更に際だたせているのだった。
瞳のダルマ状態の機械人形という姿に強烈な性的興奮をミンメイは感じていたのだった。
ミンメイは、この日、瞳に対する勝負をかける気でいたのである。つまり、瞳を自分に振り向かせると言うことなのである。
このチャンスに瞳を自分のご主人様にしたい、自分を恋愛対象として認めさせたい、
自分が瞳の側で瞳の身体に直接触れることが出来る立場になりたい、
瞳を自分の最愛の存在にしてしまいたいという願望を叶える千載一遇のチャンスだったのだ。
このチャンスを逃せば、来年の東アジアグランプリまでチャンスがない、いや、もうチャンスは訪れないかもしれないのだ。
そして、このチャンスを逃したら、自分の最高であり、理想の恋愛対象を手に入れることは出来ないのだという
強迫観念がミンメイの心の中に芽生えていたのであった。
ヒ:「よし、決まりっ!つぐみさんっ!私の車に連れて行って。ハイデンさん。おいしいレストランにご案内するからね。」
ミ:「嬉しいです。瞳さんとお食事できるだけで光栄なのに・・・。あっ。それから、ファーストネームで呼んでください。」
ヒ:「いいの?それじゃあ・・・。ミンメイさん・・・で好い。」
ミ:「私も瞳さんと呼ばせてもらって好いですか。それに、“さん”じゃ、なんか親しくなれた気がしないんです。」
瞳の目が一瞬光ったように思えた。
ヒ:「それじゃあ。ミンメイちゃん・・・でどう?」
ミ:「最高です。瞳さん。私のことを愛してくれているみたいで感激です。」
森田は、そのやりとりを聴きながら、瞳が毒牙にかけているつもりが、
ミンメイのペースになっているような気がしてならなかった。
瞳が逆にミンメイの毒牙にかけられたような気がしてならなかった。
しかし、そのやりとりをニヤリと冷たい笑みを浮かべて見つめる人間がいた。その人間こそ、もちろん、妻川であった。
妻川は、これでミンメイと瞳の関係は、今夜、愛情で繋がる関係になると確信したいた。
瞳が毒牙にかける時は、常に一瞬にして相手を落とすのが通例なのである。そのパターンに嵌ったと思えたのだ。
相思相愛の状態ならなおさらだとも思っていた。
妻川は、ミンメイの性癖から来る瞳へのあこがれが、絶対に今日、
勝負をミンメイにかけさせることになるとも確信していたのだ。
妻川恵美(以降、メ):『誠ちゃん、うまく嵌ったよ。間違いなく、ミンメイは、瞳のものになるよ。』
美濃田誠一郎(以降、セ):“恵美さん、ありがとう。そうか・・・。よかった・・・。”
メ:『しかし、今回は、瞳が毒牙に掛かった感じかな・・・。』
セ:“多分そうだろうね。ミンメイのペースにさすがの瞳ちゃんも嵌ってしまって、
ミンメイのペースで一夜を過ごすんだろうなあ・・・。カップルを一組新たに縁結びしたと言うことで、
俺たちも食事にでも行かないか?”
メ:『誠ちゃんからの誘いはとっても嬉しいけれど、今日はやめとくわ。
カンダの常務とトミタの役員であり正規ワークスチーム監督の一夜をパパラッチに狙われたら困るからね。
今度、東京で食事に誘ってよ。』
セ:“いいよ。それまで借りだもんね。”
メ:『そうしといて。私は、瞳とミンメイがパパラッチに見つからないような手配があるからね。
トミタの秘蔵っ子がカンダのエースドライバーと一夜を共にしたなんて言う絶好のネタにミンメイをさらしたくないでしょ。』
セ:“恵美さん。感謝します。”
メ:『借りは高いからね。誠ちゃん。じゃあね。』
妻川は、携帯電話を切った。電話の向こう側の美濃田の安堵する顔が想像できた。
メ:「誠ちゃんとの食事は、東京に帰るまでお預けか・・・。何も気にせずに乱交を重ねる瞳の若さが羨ましいな・・・。」
妻川はそうつぶやくと、瞳の車をシンガポールサーキットの地下通路から出すように森田に口頭で指示を出した。
関係者専用の秘密の通路から瞳たちを出すことで待ち伏せする記者をかわすのである。
シンガポールの中心部に出ることの出来る通路がこのサーキットには存在しているのだ。
一部の関係者以外は絶対知らない通路であった。
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのプライベートを完全に守るための通路と言うことになっていたのである。
その通路を使用して、瞳に街に出るようにアドバイスしてくれと森田に指示を出したのであった。
森田は、瞳をスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用に作りかえられた瞳の自家用車である
カンダS−1500の運転席に瞳を据え付け、瞳と車を瞳がスーパーF1マシンに接続されるのと同じように、
ケーブルを次々に接続していくと、自分は、後部座席に乗り、ミンメイを助手席に座るように仕向けた。
カンダS−1500は、カンダの水素イオンエンジンの量産エンジンを積んだクーペであり、
カンダのレース技術の全てをつぎ込んだ車なのである。瞳のお気に入りの車のうちの一台であった。
カンダは、瞳のシンガポールでの移動のために、シンガポールカンダに瞳専用のメタリックブルーのS−1500を
置いているのであった。
瞳は、メインシステムをオンにして、水素イオンエンジンを始動した。スーパーF1マシンのような大音量ではなく、
街で運転するために静粛性にも気を配られたチューニングになってはいるが、
水素イオンエンジン独特の甲高い笛のようなエンジン音が駐車場に響いた。
ヒ:「ミンメイちゃん。まず私のシンガポールの家に行こうか?」
ミ:「瞳さん。自宅に招待してくれるんですか?感激です。」
ツ:「ご主人様、自宅で料理を用意しますから、自宅でミンメイさんと食事をされたら如何ですか?」
ヒ:「つぐみさん。ナイスアイデア!でも、つぐみさん、大変じゃないの。」
ツ:「大丈夫です。近くのイタリアンレストランから出前料理を取りますから。」
ミ:「自宅でイタリアンですか?それも出前・・・。最高です。ところで、森田さんは、
瞳さんをご主人様と呼んでいるんですね。やっぱり女王様なんだ。瞳さんは凄いな。」
ヒ:「つぐみさんには、その呼び方止めてって言っていたんだけれど、とうとう、この呼び方で落ち着いてしまった。
あんまり好きじゃないんだけれど、つぐみさんは、性的な物も含めて完全な主従関係なんだから、
この呼び方じゃないと入れないって譲らないから仕方無しだったんだけれどね。それじゃ、自宅でパーティーだよ。
今夜は帰さないぞ〜〜!」
ミ:「えっ!どうしよう。」
ミンメイはそう言いながらも、内心、自分の筋書き以上に順調進む話に喜びを感じて、満足していた。
ミンメイは、今夜勝負をかけるんだと心に決めていたので、この話の進展にも決して、慌てることはなかったのである
ヒ:「それでは、出発!」
瞳たちを乗せた車が、瞳たちのそれぞれの思いを乗せて、シンガポールの街に消えていった。
シンガポールの中心部にあるカンダが用意した瞳の部屋のあるマンションに着くまでの間、ミンメイは、
瞳が車のシートに取り付けられ、車から伸び出すたくさんのケーブルと瞳の手脚の付け根の部分を繋がれた瞳の姿を
じっと見つめていた。
その表情は、うっとりと恍惚の表情を現していた。
後部座席でミンメイの表情をじっと観察していた森田が、サイボーグ体内に内蔵された通信システムを使用して、
瞳の体内内蔵通信システムに暗号信号回線を使用して話しかけてきた。
森田たち、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの日常生活をサポートするためのサポートスタッフも、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのように身体の変更を施されていて、しかも、
殆ど全ての身体組織に手を加えられたスーパーサイボーグほどではないが、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーをサポートするために身体の一部に電子機器を
埋め込まれているサイボーグなのである。
森田たち、サポートスタッフは、生涯、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに仕えるために、
サポートする対象のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの神経組織にサポートスタッフが触れたものや、
足を使い歩いたときの感覚、性感などのサポートスタッフが、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに
代わって感じたことをサポートスタッフは、自分の体内に埋め込まれたサポートコンピューターにデーター蓄積をして、
そのデーターをスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの体内のサブコンピューターにへそのコネクターに
ケーブルを接続してそのケーブルを介することによって送り、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが
サポートスタッフの感覚を同時に共有することが出来るように感覚器官を機械化したシステムを内蔵されていて、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの日常のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが
手脚を切除されたことにより感じ得なくなった感覚を共有し、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに
手脚がないことにより、感じることの出来ない体験を自分が手脚同様の状態となり、感じさせることが出来るシステムや、
今、森田が使っているように、ごくプライベートなことをスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーと話すときに
使われる体内内蔵型の専用回線システムやチームからのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの
管理のための指示を直接受けるためなどに使われる体内内臓無線会話システムも体内に内蔵されているのだ。
サポートスタッフは、文字通り、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの手脚や代替感覚器官として、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーと一体化できるような改造処置を施されたサイボーグなのである。
しかも、通常では、サポートスタッフは、国際自動車連盟の指導により、生涯一人の
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに仕えるようになっているため、
神経や感覚器官もその担当するスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーと完全に
同調するように体内コンピューターや感覚システムを調整されているのだ。
そういった意味でも、サポートスタッフは、担当するスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの感覚器官であり、
手脚である存在としての生涯を送ることになる。
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが現役を引退して、手脚を取り付けられてからも、
担当したサポートスタッフが、生涯を通じて、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの側で、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの世話をすることが普通なのである。
つまり、生涯のパートナーとしての存在であり、もうひとつのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの身体なのである。
だから、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、異性のサポートスタッフが担当した場合には、
そのまま結婚してしまうケースもかなりの確率であるのだ。
瞳たち女性ドライバーは、4人とも何故か、同性のサポートスタッフを契約上で指名しているのだ。
特に、瞳の場合、カンダが瞳の精神データーを解析した結果、女性を生涯のパートナーとすることが望ましいし、
潜在的にバイの要素を心理上持っていること判明したので、瞳が異性のパートナーとの交際をしていることをカンダは
把握し、あえて同性のパートナーを付けたのである。
同性との愛をはぐくむことが、瞳のレーサーとしての感性をさらに大きくすると、溝口と妻川、そして、
石坂が判断した結果であった。
その意味では、瞳に森田をあてがった効果がこれほどまで絶大に出てしまうとは、
妻川たち首脳陣にとっては計算外だったのかもしれなかった。
瞳が、男たらしならぬ、女たらしになってしまうなどとは予想していなかったのである。
森田に関して言うなら、生涯一人のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに仕えるのが
普通のサポートスタッフであるという意味では特別な存在なのである。
なぜなら、瞳が、森田が担当する3人目のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーなのである。
瞳の前に仕えたスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、女性と男性だったのだ。
森田が使えたスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、国際自動車連盟のレギュレーションに
違反したヨーロッパのワークスチームが、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに現役中に日常生活で
人工四肢の手脚を取り付けて生活させた事が原因で、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーを
廃人に追いやった悲劇を演出したチームの所属ドライバーに担当していて、森田が担当していた2人の
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは2人とも廃人になり、その所属するワークスチームは、
その事実を隠すためにスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーを秘密裏に安楽死させていたのであった。
練習中の事故での死亡を理由にしてである。国際自動車連盟は、森田たちが、度々、
担当のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが変更になることを不審に思い、
調査に乗り出して、ヨーロッパのワークスの数チームでのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの
不正使用が発覚したのである。
ヨーロッパチームの不正を暴くことが出来たある意味での功労者が森田なのである。
しかし、サポートスタッフも担当するスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーを変更するたびに、
担当するスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの感性や感覚にシンクロするように体内コンピューターや
感覚システムや、神経システムを変更やスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの詳細データーの
交換をしなくてはいけないし、担当が替わるたびに、若干ではあるが、生体脳の記憶領域を含む過去の記憶領域を
初期化する処置をサポートスタッフは受けなくてはいけない。
その為、新しいスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに担当が替わるたびに、記憶も新しくされるので、
何回もの担当変更は、サポートスタッフの精神世界を破壊する行為なのである。だから、普通のサポートスタッフは、
生涯一人に仕えることも、国際自動車連盟のレギュレーションの一つになっているのである。
例外が、事故死等で、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが亡くなった場合なのだが、森田は、
それを二回も体験してしまったため、担当の変更の申請を受け付ける国際自動車連盟が、事態の異常さを感じて、
調査した結果、不正なスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの使用法が、明るみに出たのである。
国際自動車連盟の会長であるステファン=ロイドは、一番使用法の酷いサポートスタッフの一人であった森田が、
今度の担当ドライバー変更で、森田の精神的許容量の限界を超える可能性があるとスーパーF1運営医師団が
判断したデーターを受けて、森田の一計を案じて、カンダに引き取ってもらうようにカンダの社長の溝口に依頼したのである。
カンダとしては、瞳というカンダにとって重要なドライバーを獲得することが決まっていたため、
瞳に絶対的に相性が良くて、しかも飛び切りに有能なサポートスタッフを捜していたことから、
森田と瞳の相性を調査した結果を基に、ロイドの申し出を受けたのである。
森田のサポートスタッフとしての能力の高さは、もともと評判になるほどであったのだ。
そして現在まで、瞳の身体の一部として、瞳につくしているのである。
森田は、瞳のデーターを体内補助コンピューターに蓄積されているため、
瞳の周りの過去の人間関係を全て把握しているデーターと、自分の経験から、
ミンメイの表情に何か違う物を感じていたのだ。
ツ:“ご主人様。ミンメイさんの表情を見ましたか?”
ヒ:“つぐみさん、ミンメイちゃんの表情が何か?当然見ているわよ。私への憧れの表情を浮かべているわ。
勝利ね。今日、ミンメイちゃんを私の物に出来るわ。”
ツ:“ご主人様、ミンメイさんの表情は、普通の憧れではなく、もっと深い何か別のことへの憧憬を持った表情なんです。”
ヒ:“別のことって、どんなこと?私には、つぐみさんや真理子さんや、
エマちゃんが私に迫ったときの私を恋愛対象として、しかも、女王様としてみているときの表情にしか思えないよ。”
ツ:“そうなんですけれど・・・。それだけではない何か別のことを含んでいる表情なんです。旨く言えないけれど・・・。”
ヒ:“私には、普通の愛情表現に見えるんだけどなあ。”
“私も、上手く言えないんですけれど、ご主人様の人間そのものに対する興味の表情もあるんですが、
ご主人様の別の物に憧れているように感じるんです。ご主人様、
彼女に関してはちょっと気を付けてかかった方が好いと思います。”
ヒ:“わかったわ。つぐみさんのアドバイスを頭に入れて、彼女をモノにするわ。”
ツ:“だから〜〜っ!ご主人様っ!ご主人様が喰われてしまうような気もしているんです。
向こうの方が積極的なんですよ。その積極性の理由がわからないんです。
【ミイラ取りがミイラになる】ようなことがないようにしてくださいね。
それから、マリアさんのアンネほどご主人様を束縛する気はありませんが、私を忘れないでくださいね。
私・・・、ご主人様に見捨てられたら・・・。どうやって・・・。”
ヒ:“つぐみさんっ!さめざめ泣くなってっ!私にとって、つぐみさんは特別な存在だよ。
どんなことがあっても忘れることはない存在なんだから安心してね。
それに、私は、自分のパートナーになってもらったら、誰を厚く扱うことも無いってわかっているでしょ。
その上で、さらになお、つぐみさんは特別な存在の配下の人間だって思っているの。つぐみさんもわかっていることでしょ。
つぐみさんがいなくなったら、私は、日常生活を送れなくなるんだからね。
私の愛する僕であると同時に私の身体の一部なんですからね。”
ツ:“ご主人様、本当ですねっ!信じて好いんですね?つぐみ、嬉しいですっ!”
ヒ:“そんなの今更、いわれても・・・。”
ツ:“でも、ご主人様、最近、御乱交がすぎるように思います。可愛い子を見ると誰彼と無く声をかけるんですから。
最近のご主人様は、“プリンセスヒトミ”という呼称と合わせて、“無差別ラブテロリスト”という呼称が付いているんですよ。
少し謹んでくださいね。”
ヒ:“わかっているって。どんなに他の女の子と付き合っても、つぐみさんに対する愛情は変わらないから安心してよ。”
ツ:“解りました。でも、ミンメイさんにだけは、注意してくださいね。何か、陰謀のようなものも感じるし・・・。”
ヒ:“誰が、私をはめるのよ。”
ツ:“トミタの美濃田監督とか。”
ヒ:“パパが、私を嵌めるわけ無いじゃない。私を嵌めたら、私がどういう態度に出るかパパは解っているし、
それに、恵美さんからどんな仕打ちを受けるかも、充分に知っているもの。”
ツ:“でも、妻川監督もこの謀略に一枚噛んでいたとしたらどうですか?”
ヒ:“恵美さんがトミタの手先になるわけ無いじゃない。つぐみさんの取り越し苦労だよ。つぐみさんは心配性なんだから。”
ツ:“それならいいんですけれど・・・、それならそれで、逆にトミタの
次期スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー候補と噂されているミンメイさんを籠絡するのは、
犯罪じゃないんですか?”」
ヒ:“プライベートは別だよ。そんなことは、つぐみさんも解っているじゃない。
つぐみさんは、特別な存在なんだから、やきもち焼かずにどっしり構えて見ていてよ。
それに、つぐみさんもミンメイちゃんとなら、3Pする相手としては二重丸でしょ。”
ツ:“それはそうなんですが・・・。エマさんや真理子との4Pには無いようなセックスの魅力を感じます。
その意味では、私もお相伴させていただくということでいうなら、ミンメイさんは、最高のパートナーなんですがね。
彼女には、単純なMやビアンの面だけではなく、ミストレスに従う下僕として、その命令によって、
他の下僕を攻めることが出来るSとしての感性も持っているように思います。
紫乃さんや木村ちゃんとの関係とも違う世界が具現化できそうな気がするんです。
そう言う面では楽しみですが・・・、反面、彼女たちとは違うミンメイさんが持つ独特の世界に対して、
何とも言えない少し不安を感じるんです。サポートスタッフとしての直感というよりも、
ビアンの猫としての直感とMとしての感性の部分なんです。”
ヒ:“つぐみさん、判ったわ。ミンメイちゃんの心に何があるのか気を付けて接していくわ。”
ツ:“ご主人様、そうしてくださいね。エマさんや真理子、紫乃さん、木村ちゃんの時みたいに、
手放しで、ご主人様が獲物を喰らうのを見ていることは出来ないんです。”
ヒ:“了解。もう、マンションにつくわ。食事の用意をして。”
ツ:“判りました。任せてください。”
森田は、体内に内蔵されている通信システムの瞳との専用秘密回線を閉じた。
しかし、ミンメイの表情を見ていると、このまま瞳主導でミンメイを落とすような世界が存在しているとは思えなかった。
しかし、当の瞳はと言えば、もうすでに、ミンメイを完全に自分のものにしたというような余裕の表情をしていた。
さらに、ミンメイは、もう、かなり股間を熱く濡らしているような状態にいるように森田には感じられたのだ。
しかし、森田ですら、この時もまだ、ミンメイが、瞳の何に特別な性衝動を感じているのかが理解できずにいたのだ。
瞳が操作するダークレッドメタリックのカンダS−1500が瞳のシンガポールの住まいである高層マンションの
地下の瞳専用の駐車場に滑り込んでいった。
駐車エリアに車が止まるとミンメイが、興味深そうに瞳と車の接続されている姿を見つめていた。
ミ:「瞳さんのドライビングテクニック、最高でした。公道上でも並みのドライバーとは違う感性で車を操作しているんですね。
マシンと瞳さんが本当に一体化していて・・・。“プリンセスヒトミ”はさすがです。」
ミンメイの目はさらにウットリしている。その瞳を見つめる表情は、普通に受け止めれば、
瞳にメロメロな表情として片付けられるのだが、ミンメイの特別な性癖を知っていれば、
その表情が、瞳の人間の部分のすばらしさだけではなく、
機械部品や電子機器として働く瞳というメカに対してウットリしている表情なのである。
ミンメイは、瞳という、モータースポーツ界のスーパーヒロインであるサイボーグの存在を近く感じていたい一心なのである。
ミンメイにとって、もしも、瞳がサイボーグでなければ、どんなに瞳が素晴らしい女性であって、
ミンメイのビアンとしての感性をくすぐったとしても、Mとしての性癖をくすぐったとしても、
ただのドライバーの先輩でしかない存在になってしまうのだ。
瞳がこの世界で史上最強のサイボーグ女性で、女王様の性癖とバイの性癖を持つからこそ、最高の恋愛対象として、
自分の心が認識できるのであった。
ミ:「瞳さんと車を繋ぐコードを抜くのを手伝わせてください。」
ミンメイは森田に懇願した。ミンメイのフェチ性から来る衝動が、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーと
車を繋ぐケーブルを外す作業をただ見ているだけではなく、実際に自分が行ってみたい。そして、将来は、
瞳の世話を自分が手伝えたら最高だという妄想的な想いとコードが抜かれるときの
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの表情を間近で見てみたいという想いがミンメイの心を
強く突き動かしたからなのである。
ツ:「ミンメイさん。そんなにご主人様の側にいて、何かを手伝いたいと思っているんですね。」
ミ:「はい。私はヒトミさんの全てが知りたいんです。」
ツ:「でも、この作業は、ご主人様が人間ではなくなった証明のようなものですから、かえって、
ミンメイさんが失望するんじゃないですか?」
ミ:「そんなことないです。逆に私がご一緒すると邪魔ですか?」
ツ:「そんなことないですよ。ミンメイさんが手伝っていただければ、その分、私も助かりますし、
ご主人様も早く自動車の制御システムという立場から、ただの速水瞳に戻ることが出来るから喜ぶと思います。
助手席側の半身のコードを抜いて、自動車の接続コードケースに収めてください。丁寧にゆっくり抜いていってくださいね。
そうしないとスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、コードを身体から抜かれるとき、
本体だけの自立した感覚に戻される感覚変化のためのシステム調整を生体システムと機械システムの
両方が行うために感覚的、精神的に無防備になっているため、とても、危険な状態におかれているんです。
ですから、急にコードを引き抜くようなことをすると、生体脳が感覚環境の変化に即応できずにダメージを
受けることもあるんです。ただ、ご主人様の場合は、サイボーグドライバー適応化率がずば抜けて高いですから、
マシンと繋がれていない状態でも、サイボーグとしての自分の立場を認識している確率も高いために、
感覚の違和感を感じることが低いですから、ちょっとぐらい乱暴に扱っても、壊れることはないですから、
その点は安心してください。でも、そうは言っても人間ですし、急に引き抜いたりすると後で扱いが悪いと
言ってお仕置きされますから、別の意味で注意が必要なんです。」
ヒ:「こらっ!つぐみさんもミンメイちゃんも余計な話をしていないで、早くマシンの操作ユニットという立場から
開放してよっ!機械人形という感覚が残る立場から早く開放しろっ!私は、物じゃないんだっ!
ミンメイちゃんの前で私がロボットみたいに思えるようなこというと、ミンメイちゃんが引いちゃうじゃないの。」
ツ:「ご主人様、ごねないでください・・・。」
ミ:「瞳さん、そうですよ。あんまり、つぐみさんを困らせない方が・・・。」
ヒ:「だって〜〜〜ッ!ミンメイちゃんを待たせたら悪いもんっ!ミンメイちゃんだってお腹が空いてるだろうし、
早く部屋に上がろうよっ!」
ミ:「私なら、大丈夫です。私は、瞳さんのお役に立ちたいんです。」
ヒ:「でも、いいの?」
ツ:「ご主人様。ミンメイさんが作業を手伝ってくれるんですから、注意事項を伝えておかないと、
ご主人様の場合は、官能感受速度で引き抜かれると何度も何度も逝ってしまって、後の夜のお楽しみが・・・。」
ヒ:「つぐみさんっ!そこまで言わないでっ・・・!恥ずかしいよう。」
ミ:「官能感受速度って何ですか?」
ミンメイにとって、森田と瞳の会話の中にちりばめられている数々のサイボーグフェチの心をくすぐるような専門用語は、
ミンメイを官能の世界に引きずり込むのに充分なものであった。
ミンメイの好奇心が、森田が、瞳に施す作業を自分も手伝いたいという願望を突き動かすのであった。
ミ:「つぐみさん、それでどうやればいいんですか?」
ツ:「うん、これから説明するね。」
ヒ:「つぐみさん、暑いよ〜〜〜っ!」
ツ:「ご主人様、もう少しの辛抱です。」
森田は、愚図る瞳の額にとっさに、鞄の中からとりだした冷却剤を貼り付け、頬にキスをした。
ヒ:「冷たくて気持ちいい。それに、つぐみさんの唇が柔らかくて気持ちいい・・。」
瞳の子供のような姿が、ミンメイには、とても刺激的に映った。
ツ:「ご主人様、我慢していてくださいね。」
ヒ:「うん。」
瞳の機嫌が直ったところで、森田は作業を再開した。ミンメイは、目を皿のようにして、作業を見つめるのだった。
瞳がマシンの一部から、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー単体として人間に近い存在に戻る瞬間に
立ち会えることの幸福を感じずにはいられなかったのだった。
その中でも、森田の言った“官能感受速度”という言葉は、ミンメイの琴線に特に触れる響きがあったのだ。
ヒ:「ほら、つぐみさんが余計なこと言うから、ミンメイちゃんが勘ぐっちゃった。」
ツ:「ご主人様、ごめんなさい。」
ミ:「そんなことないです。私は、それがいけないことなんだとしたら、官能受容速度にならないように瞳さんの
コードを引き抜いていかないといけないから・・・。知っておきたいだけなんです。」
もちろん、それはミンメイの詭弁であった。
“官能感受速度”その言葉の放つ甘い蜜のような香りにミンメイは引き寄せられただけなのである。
ヒ:「ミンメイちゃん。私はアンドロイドじゃないからね。」
ミ:「瞳さん。もちろんそんなこと分かっています。瞳さんは、アンドロイドじゃなく人間だから丁寧に
扱わなくちゃいけないことも十分に理解しているつもりです。だからなおさら、瞳さんの身体に触れるときの
注意を詳細に聞いておきたいのです。」
ツ:「ありがとう、ミンメイさん。ご主人様のこと、気を使ってもらって。」
ミ:「つぐみさん。そんなこと当たり前です。私は、瞳さんのものになる覚悟でここに来ているんですから。」
意外に早いカミングアウトに森田は戸惑った。というよりも、やはり、胸騒ぎがしたとおり、
瞳をものにするために近づいてきたことを無防備にも証したことが意外だったのだ。
ツ:「ミンメイさん、ご主人様の愛人になる覚悟が出来てるんだ。今日は一夜を共にしたいと思っているんだ。」
ミ:「もちろんです。私は、“プリンセスヒトミ”の愛玩動物になりたいんです。もちろん、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのセックスの特性として、
サポートスタッフも介助で入ることがあるって聴いています。つぐみさんも交えた3Pにも興味あるんです。」
ヒ:「大胆なカミングアウトだ・・・。」
さすがの瞳も絶句した。
「だから、瞳さんの補助をつぐみさんが忙しいときにお手伝いしたいし、その時に、
瞳さんに不都合がないようにしておきたいんです。だから、瞳さんの身体の特性についても聴いておきたいんです。
瞳さんが普通の人間じゃなく、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーという、
スーパーF1マシンをコントロールするために最適な身体に作り変えられていると言うことも理解しているつもりです。
だから、私たち普通の人間と違う特性を理解しておく必要があると思ったんです。ご迷惑でしたか?」
ミンメイは、瞳が標準人体ではないのだという言葉に対する反応を探ろうとあえて、言葉を選んで使った。
自分が人間ではなく機械と人間の中間体のサイボーグであるというSF小説に出てくる心理的な悲哀を実際の
サイボーグがどのように感じて、表情に表すのか知りたかったのだ。
ヒ:「ミンメイちゃん、いいんだよ。私の身体をそこまで理解して、その上で、お付き合いしたいという熱意が嬉しかった。
確かに、私の身体は、ミンメイちゃんとは、かなり違う構造になってしまっているから、
そのこともお付き合いするときに理解していてもらった方が、お付き合いのバリエーションも広がるかもしれないわ。
それに、ここには、標準人体は、ミンメイちゃんだけしかいないしね。」
ミ:「どういうことなんですか?」
瞳の表情には悲哀は感じられないようにミンメイには思えた。
むしろ、サイボーグ手術を受けたことに悦びを感じているように思えた。
ミンメイにとって、瞳は自分と同じ匂いのする人間に映り、ミンメイの心はさらに瞳のもとに引き寄せられたのだ。
『このひとなら、私のサイボーグフェチの性癖を受け止めてくれるかもしれない。』と感じたのだ。
もちろん、実際には、瞳はサイボーグフェチではないのだが、スーパーF1マシンに乗りたいと思ったときから、
自分の身体が改造されることは覚悟していたし、スーパーF1マシンに乗るために自ら望んで、
サイボーグ手術を受け入れていたし、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになってから三年も経つと、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーという自分の身体になれ、逆にその便利さを覚えるようになったので、
サイボーグになったことへの悲哀を瞳は少しも感じることはなかったのであった。
ただし、瞳のそのような感情は、サイボーグ適応化率の高さがなせる業であることを瞳は感じてはいなかったのである。
ヒ:「つぐみさんもサイボーグなんだよ。」
ミ:「えっ!」
ミンメイの情報としては森田もサイボーグであることは知り得る事実であった。
しかし、どの様な改造を、どの程度受けているのかを性格に聞きたいと思っていたので、少しとぼけることにしたのだ。
ツ:「ご主人様の言う通りなの。私たちスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用のサポートスタッフは、
通常の身体障害者のサポートスタッフとは違い、完全にスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの身体の
一部となるように、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが、日常生活で必要なときに、私たちの感覚を
共有できるように神経システムや感覚システムなどの一部をスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーと
インターフェイスが出来るような機械システムを内蔵されているの。だから、ミンメイさんが言ったみたいに
サポートスタッフを交えての3Pが一般的なのは、私が感じた性感をご主人様も共有できるシステムも
内蔵されているから、普通の人間とは次元の違うセックスを味わうことが出来るのよ。
私がセックスで感じたオーガスムスをご主人様が自分が直接受けた刺激として感じることが出来るの。
だから、ご主人様の前で、私が犯されて感じている官能をご主人様は見て感じて、さらに、
自分が犯されている官能として感じることが出来るんです。」
ヒ:「だから、一粒で二度美味しいんだよ。」
ミンメイにとって森田がサイボーグであり、その感覚をスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが
共有できるという事実は新鮮な驚きであった。
まさか、サイボーグ2体と同時に肉体関係を持てるチャンスに恵まれるとは思ってもいなかったことであった。
この上ない悦びにミンメイの下半身は過激に反応していた。
「つぐみさんッ!余計なことを言ってないで、官能感受速度をミンメイちゃんに説明してあげて、そして、早く、
私をシートから外してよ。お腹もすいて来ちゃったし、オシッコもしたくなっちゃった。」
ツ:「ご主人様、ごめんなさい。放置プレイになっちゃいましたね。」
ツ:「ぶ〜〜〜っ!結果的にそうだよ。女王様に放置プレイしてどうするんだよ。女王様は機嫌が悪くなるばかりだよ。
つぐみさんみたいに放置プレイで下半身を濡れ濡れにすることはないんだからね。」
ミ:「つぐみさん、放置されると下半身濡れ濡れなんですか?」
ツ:「そんな恥ずかしいこと言わないでください・・・!」
ミ:「私も一緒に放置されたいですっ!瞳さんに放置されて視姦されたら私も濡れ濡れかも、羨ましいなっ!」
ヒ:「この変態娘どもがっ!2人とも、後でお仕置きだからねっ!」
森田とミンメイが顔を真っ赤に染めていた。
『はい、よろしくお願いします・・・』
二人は声を揃えた。そして、ミンメイが恥ずかしさを誤魔化すように、
ミ:「つぐみさん、早く瞳さんを解放してあげないと・・・。」
ツ:「そうだね。それじゃ、説明するね。官能感受速度って言うのはね・・・。」
「こら、そこの二人っ!羞恥プレイに移っているんだから、話をそらすなっ!」
森田は、瞳の非難に耳を貸さずにミンメイへの説明を開始した。それでも、ミンメイには、瞳の表情が優しく感じられた。
森田と瞳の関係。その関係の中に自分も入れることになりそうな状況にミンメイは更なる悦びを感じているのだった。
自分の選択に間違いはない。自分がご主人として、自分の貞操を捧げようとした女性に間違いはないのだ。
自分の選択は正しかったのだとミンメイは、ある種の満足感を感じていたのだった。
瞳のうめき声に耳も貸さずに森田が官能感受速度の説明を始めた。
ツ:「ミンメイさん、官能感受速度というのは、通常のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーには
現れない現象のことなんだけれど、ご主人様のようにサイボーグ適応化率が95%を超える
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー、つまり、機械の身体になるために生まれてきたような
素体にだけ現れる特異現象です。現在、サイボーグ適応化率がこの値を超えているのはご主人様だけだから、
現時点ではご主人様特有の現象になっているの。」
ミ:「具体的にはどういう現象なんですか?」
ツ:「うん。ご主人様のプラグを引き抜きながら実際にみてもらうね。プラグの引き抜く速さの感覚も
掴んでもらえると思うから。」
ヒ:「嫌だ〜〜〜っ!勘弁してくれ〜〜〜!ミンメイちゃんの前で醜態は、最初から見せたくないよ〜〜〜!
何でも言うことを聴くから勘弁してくれ〜〜〜!つぐみさんは悪魔だぁ〜〜〜ッ!」
ツ:「きっと、ご主人様のよがる姿を見たら、ミンメイさんだって惚れ直しちゃいますよ。」
ヒ:「嫌だよ〜〜〜!こんな駐車場の真ん中で喘ぎ声なんか出したくないよ〜〜〜〜!やめてくれ〜〜〜ッ!」
ツ:「ご主人様は、女王様なんですから、みっともない抵抗をするんじゃありませんっ!
威厳を持って事実を受け止めてください。第一、手伝ってもらうミンメイさんにどの位の速さでプラグを
引き抜くのがいいのかを実際に見ていてもらうのがいいんです。その方が、ご主人様も苦しくないでしょ。
我慢するんですっ!」
ヒ:「真のSはつぐみさんかもしれないね・・・・。私のような可愛い子羊を・・・・。」
ツ:「お黙りなさいっ!いつもは魔女のくせにッ!今回だって、子羊のミンメイさんを毒牙にかけたくせにっ!
可愛い僕をもう一人作るためなんですから、この位我慢しなさいっ!」
ヒ:「はい・・・。」
森田の説得力のあるようでない言葉でも、瞳自身は、抵抗する術を持たない立場にあることを理解せざるを得なくて、
瞳は抵抗することを諦めたのだ。
ヒ:「現役を引退したら覚悟して・・・・、アハァ〜〜ン。」
瞳が捨てぜりふを口からはき出す前に、森田は官能感受速度の速さピッタリに瞳の脚のプラグの一本を引き抜いた。
森田は、瞳が下手に抵抗する前に実力行使に出たのだ。
瞳がぐずり出す前にこの場を納めるには、瞳を官能の世界の魔力に引き入れてしまうことが
一番いいと判断してのことだった。
瞳は、プラグを引き抜いたことによる官能感受速度の余韻で別の世界にいってしまっていた。
ヒ:「アウ〜〜〜ン、アハァ〜〜〜ン。好いよう〜〜〜。もっと〜〜〜。アハァ〜〜〜ン。」
ミ:「瞳さんどうしちゃったんですか?」
ツ:「今、私がプラグを引き抜いた速度が、官能感受速度なの。」
ミ:「少しゆっくりのように見えましたけれど・・・。どうなっているんですか?瞳さんは大丈夫なんですか?」
ツ:「ご主人様は大丈夫だよ。数分は別の世界で遊んでいるけれど、説明が終わったくらいの時間にはこっちの世界に
戻ってくるから大丈夫だよ。」
ミ:「そうなんですか・・・。」
ツ:「ミンメイさん。解ったと思うけれど、これが官能感受速度なの。サイボーグ改造手術を受けてサイボーグになった
人間でも、サイボーグになるべくしてなった特別な人間だけに起こる現象なの。この位の速度で、
外部システムとの接続を切ったり入れたりするために接続ケーブルなどをサイボーグ体に差したり入れたりすると、
外部とのインターフェイスからの刺激が脳に伝わるときに、性感に代わる感覚をサイボーグ体に与える特殊な速度が
存在するの。それを官能感受速度というの。機械の身体に対してのサイボーグ適応化率が高い素体は、
機械からの信号刺激で強い性的官能を受けやすいの。だから、プラグを引き抜いたり、差したりするときに、
外部からの電気信号を性的官能刺激と大脳などの生体ネットワークと体内の補助コンピューターや
信号伝達ケーブルが錯覚して、ただ、ケーブルを抜いて、体内システムだけのネットワークに戻すだけの
作業をしているだけなのに、その作業時のサイボーグ体に与えるダメージ信号が、性快楽に変わる周波数帯が
存在するのよ。普通のサイボーグの被験者は、機械への精神同化率が低いから、外部機械からのパルスは、
外部機械からのパルスとして、サイボーグ体内部の感覚とは別のものとして受け取るだけなんだけれど、
サイボーグ適応化率の高いご主人様のような特別な身体を持つ人間は、外部機械からの性刺激も
受け取ることが出来る反面、このような怪現象が起こってしまうの。普通の被験者なら、外部からの性的刺激は、
特殊な機械に接続しない限り感じることがないんだけれど、ご主人様ぐらいのサイボーグ適応化率がある被験者は、
簡単に外部コンピューターと通常接続して、性刺激パルスを送り込むだけで官能の絶頂にいってしまえるような
身体になっているのよ。その副産物というか副作用ということらしいんだけれど、詳しい原因やシステムが
解明されていないのよ。サイボーグ医学で解明が出来ていない未知の現象なのよ。
でも、プラグを抜いたり刺したりするだけで感じちゃうなんて、初めて見ると、ただの変態にしか感じないでしょ。
しかも、官能度合が強いと来てるから・・・。」
ミ:「そんなことないです。機械からの性的刺激も受け入れられる身体なんて羨ましいです。憧れちゃいます。
私も、こんなに感じることの出来る身体になってみたいです。機械に犯されるなんて最高っ!」
森田は、この時にミンメイの性癖がどの様なものかのヒントを掴んだような気がした。
そして、そのことが理由で、瞳に近づいてきたのではないかという推論に達しかけていた。
しかし、そのようにフェチが本当に存在するものなのか確信が持てないでいたのだ。
ツ:「普通のサイボーグなら、この位の速度で抜くのはなんでもないことだし、何事も起こらないんだけれど、
ご主人様の身体は特別だからね。」
ヒ:「アハァ〜〜〜ン、ウフゥ〜〜〜ン。」
もう一度、瞳に接続されているプラグを官能感受速度で引き抜いて見せながら森田が続けた。
ツ:「この位の速度以下で抜いてあげれば、今まで外部装置と繋げられていたのを突然、
元のサイボーグ体だけで完結する感覚世界に戻してあげる時のサイボーグ体へのダメージは
全然無いのだけれどね。これよりも早く抜くと普通のサイボーグ体で無くても、ご主人様のように
サイボーグ適応化率の高い素体でも、生体脳がダメージを受けることがあるから気を付けてください。
そして、ご主人様のようなサイボーグ素体が官能の世界にも行かない、サイボーグ体へのダメージもないギリギリの
速度は、この位・・・。」
そう言って、森田はもの凄くゆっくりと思われる速さで、丁寧に瞳に差し込まれたプラグを抜いた。
ヒ:「・・・・・。」
今度は、瞳がなんの反応も示さず、官能の世界に浸っていた。
ツ:「これ以上ゆっくりなんだよ。ミンメイさん。気を付けて抜いてあげてね。ゆっくりすぎることはないからね。
でも、ここまで強く感じてしまうサイボーグ素体は、少ないのよ。軍事用サイボーグ、宇宙開発用サイボーグ、
海底作業用サイボーグ、それに、私たちのような民間需要型のサイボーグも含めて、サイボーグとして、
人体の組織を機械と電子部品で置き換えている人間は沢山いる時代なんだけれど、ご主人様ほどの適応化率を
持つ人間がサイボーグになった例は極めて希なんだって。こんな状態になるのは、数例しかないらしいよ。
サイボーグの中の変態と言うことかもね。」
ミ:「そうかもしれませんね。瞳さんは、スーパーF1のために生まれてきた、選ばれた人間なんですよ。
その意味でも、伝説のドライバーなんです。私たちドライバーの永遠の憧れなんです。
特別な身体であって当然なんです。」
ツ:「でも、喘ぎながら逝っちゃうなんて、幻滅でしょ。」
ミ:「そんな姿からして、特別な存在なんです。私にとっての女王様であり、永遠のアイドルで、永遠のヒロインなんです。」
ミンメイの表情が再び忽然としていくのが森田には解った。
ヒ:「アハァ〜〜〜ン!ウフゥ〜〜〜ン!ヒッヒッ!」
もの凄い喘ぎ声が再び響いた。
森田は、もう一つミンメイに確かめたいことがあったので、瞳をもう一度だけ、別の世界に引き留めたのだ。
森田は、今まで推測していたミンメイが瞳に近づいてきた理由を思い至ったのである。
ツ:「ミンメイさん。あなた、サイボーグフェチなの?それも、サイボーグ女性フェチ。
サイボーグ女性しか愛せない性癖なんじゃないの?」
ミ:「やっぱり、つぐみさんのような経験のあるサポートスタッフには、私の心の奥底が解るのですね。」
ツ:「やっぱり・・・。」
ミ:「カミングアウトしていいですか?」
ツ:「もちろんよ。ご主人様と関係を持ちたいと思っている女性のことを知っておきたいからね。
そうすれば、ご主人様もお付き合いするパートナーも満足させられることが出来るもの。」
ミ:「さすがですね、つぐみさんは。普通のM系のビアンのパートナーじゃないですよね。
サポートスタッフとしての職業意識が入っているんですもの。つぐみさんには、独占欲はないんですか?」
ツ:「無いと言ったら嘘になるけれど、ご主人様をたくさんの人に愛してもらいたいし、
ご主人様を私だけのものにしておくのがもったいないの。ご主人様がたくさんの人とお付き合いしてもらって、
たくさんのパートナーに囲まれていて欲しいのよ。ご主人様は、こう見えても寂しがり屋でいつも人に
囲まれていないと元気が出ない性格なの。」
ミ:「つぐみさんほど心が広くなれないです。」
ツ:「私も、ご主人様に告白したときはそうだった。でも、愛人関係にしていただいて、
ご主人様のサポートスタッフであり、ビアンのパートナーであり、Mの僕として接してきていると、
一人のものだけにご主人様をしておくのは好くないし、そんな枠にご主人様をはめておくことは出来ないし、
はめておくのはもったいないなと感じるようになったの。きっと、ミンメイさんも、
自分だけのものにご主人様をしておくべきじゃないってすぐに思うはずよ。」
ミ:「今の私には理解できない感情なのかもしれません。私だったら瞳さんを独占したいし、
瞳さんの愛を全て一身に受けていたいと思っちゃいます。」
ツ:「そこのところなんだけれど、ご主人様は、誰に対しても全てを与えてくださるのよ。
それはすぐに理解できると思うわ。」
ミ:「そんなものですかね・・・。時間がかかるかも・・・。」
ツ:「時間がかかるのは、たいした問題じゃないわ。絶対に理解できると思うの。
ご主人様を愛するものとして。だって、エマさんだって、あんな状態から、
解決の糸をご主人様がほどいたら、今は、ご主人様のスティディーの一人になっちゃったわ。
それもスティディーの一人としての立場で納得しているんだから・・・。」
ミ:「彼女との軋轢があったということは知っていました。去年のシーズンオフに鈴木エマバッシングの記事が
たくさん雑誌に書かれていましたもの。それが急速に回復したんですね・・・。」
ツ:「うん。ご主人様が誰も同じように想うことが出来るからなんだけれど、それが過剰反応になって、
虜になっちゃったんだもの。それに、彼女ほどの寂しがり屋の性格なら、
独占欲に繋がるものなのにおとなしくスティディーの一人に収まっているわ。」
ミ:「彼女がそうなんですから、つぐみさんの言っていることが解るような気がします。
私も、つぐみさんと良好な関係を持ちながら、きっと、瞳さんに愛していただけるようになるんでしょうね。」
ツ:「もちろんよ。ところで、ミンメイさんのカミングアウトのことなんだけれど・・・。」
ミ:「そうでしたね。私、子供の頃から、機械の身体に脳を移植されて生きるサイボーグに憧れていて、
いずれは、自分もそんな身体になって、人間が活動できない世界で自由に活動できる存在になりたかったんです。
だから、火星探査や木星探査隊に志願できるような立場になりたくて、勉強してきたんです・・・。」
ツ:「ミンメイさん、ごめん。お姫様の意識がもうすぐ戻るわ。詳しい話は、ご主人様にも聞いてもらいたいから、
お食事しながらでもカミングアウトして。だから、今は簡単で好いわ。」
ミ:「いいんですか?」
ツ:「好いも何も、カミングアウトしてからじゃないと、安心して愛を受け取れないでしょ。」
ミ:「それもそうですね。」
ツ:「だから、今は簡単に聴かせてくれればいいわ。その位の時間しかないと思うから。
私が、まず簡単な理解をしておきたいの。」
ミ:「解りました。私は、サイボーグに憧れた心が、いつの間にか、自分がサイボーグになりたい。
機械装置の一部として扱われてみたいと想うようになって、さらに一番サイボーグに相応しい身体を持っていて、
サイボーグになるための改造手術を受けた女性で、一番標準人体離れしていて、その上、
その使用分野で一番強いサイボーグに憧れるようになったんです。そして、それが高じて、
そのサイボーグとサイボーグ同士でお付き合いできるようになりたいって想うようになったんです。
だから、その憧れの人の使用分野は、自分にも手が届いて、しかもその人の女性らしい身体が、
女性の姿の人工物に近い状態で残されていることが条件だったんです。
異形のロボット型とかでもいいんですけれど・・・。自分が、サイボーグになったときに、
性的交際が出来る分野と考えたら、スーパーF1の世界が理想かなって・・・。
自分は、自動車レースも大好きだったですから。そして、そこに、瞳さんという憧れ以上の存在が現れたんです。
私にとって最高のサイボーグなんです。容貌といい、形体といい、最高なんです。
だから、この世界に入れば、いつかは、瞳さんに近づけると想ったんです。
そして、チャンスを探していて、やっと巡ってきたチャンスなんです。」
ツ:「でも、ミンメイさん、男のサイボーグに憧れなかったの?」
ミ:「はい。男性から作り出されたサイボーグは、その姿形が・・・。それに異形のタイプにされやすいから嫌いなんです。
私は、もともと、女性の体型にしか性的欲望を感じなかったものですから・・・。
男性の全裸に嫌悪感を抱いてしまうんです。だから、女性のラインを残しながら、
機械との共生体となっている瞳さんのようなタイプのサイボーグが理想でした。
それに、瞳さんの実力も理想でした。男なんて足元にも及ばないほどの孤高の女王陛下の姿は、
過去のどんな分野のサイボーグよりも私をそそる存在なんです。」
ツ:「火星探査サイボーグとか、戦闘機操縦用サイボーグとかもいるじゃない。そんなサイボーグよりも、
ご主人様が良かったの?」
ミ:「はい。サイボーグであることに対する心の抵抗感を瞳さんは持っていないと直感しました。
他のサイボーグには、心のどこかに、機械人形になってしまった悲しみや、拒否反応があるんです。
そんな陰を持つ女性にも憧れますが、お付き合いをする理想型は、外連味がないことなんだと想っていたんです。
サイボーグになったことへの抵抗感を心のどこかに引きずっていると才能が止まってしまうんですが、
瞳さんたちスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのように、サイボーグという身体を受け入れているからこそ、
才能がどんどん伸びていくんです。その中でも、瞳さんはずば抜けているんです。まさに憧れの対象ナンバーワンです。」
ツ:「これで、ミンメイさんが、なぜ、ご主人様の誘いにのったのかの理由がわかったわ。これですっきりしたわ。
ミンメイさんの下心の部分も理解できたもの。」
ミ:「ありがとうございます。」
ツ:「ところで、ミンメイさん。もう一つ聴いて言い?」
ミ:「はい?なんでしょうか?」
ツ:「さっき、自分もサイボーグになって、サイボーグ同士としてのお付き合いが理想といっていたけれど、
ミンメイさんも、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになりたいと想っているのね。」
ミ:「はい、実は、私、来期のシーズン終了後にスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーへの改造手術を
受けることになるかもしれないんです。」
ツ:「えっ!?」
ミ:「トミタの美濃田監督が、私と来々期契約すると言っているです。引退する選手の後任として、
シートに取り付けることを考えていると言ってました。契約条件が整えば、私もサイボーグになれるんです。
最高だろうな・・・。その為に、私も、トミタ本社のあるの名古屋に明日行かなきゃいけないんです。」
ツ:「そうだったの。それで一緒に名古屋に入ってくれということか・・・。
でも、そんなに、サイボーグって憧れるものかしらね・・・。」
ミ:「はい、だから、つぐみさんがサイボーグなんだと知って、より近い存在になっちゃいました。
瞳さんに対してとは別の憧れを持ってしまったんです。私の瞳さんに次ぐ理想の女性かもしれません。
その理由は旨く言えないけれど・・・。陰があるのは恋愛対象にならないって言いましたけれど、
つぐみさんのような陰の部分は、初めて感じる陰の部分なんです。ミステリアスな雰囲気があって、
サイボーグだったら、憧れの対象かなって想っていたんですが、サイボーグだという告白を聴いて、
好きになっちゃいました。たぶん、サイボーグとしての活動履歴で、ご苦労された部分への憧憬なんだと想います。」
ツ:「そうか・・・。でも、私は、ご主人様に拾われなかったら、今頃、生体脳が焼き切れて、
廃棄処分だったかもしれないわ。」
ミ:「そこが、つぐみさんの魅力かもしれないですね。」
ツ:「サイボーグフェチの考えることは解らないわね。こんな機械に支配されていないと生きれないような身体の
どこがいいのかしらね。」
ミ:「そこが憧れるところなんです。瞳さんのようにポジティブに目標を突き詰めるサイボーグとつぐみさんのように、
過去を隠して傍目に解らないように振る舞うポジティブなサイボーグって最高の恋愛対象です。」
ツ:「私にも告白してどうするのよ。」
ミ:「そうかもしれませんね。でも、瞳さんだけじゃなく、つぐみさんの愛も独り占めしたいという衝動があるんです。
つぐみさんの愛に包まれたいという気持があるのも事実です。」
ツ:「私は、ご主人様のものよ。この身体の全てが・・・。」
ミ:「それでも、感情は、私を愛してくだされば最高かな・・・。」
ツ:「・・・。少し、強引じゃないのかな?」
ミ:「解っています。でも、上手く言えないけれど、つぐみさんと瞳さんを
一体のものとしてみていけるような気がしてきたんです。」
ツ:「それなら、理解できるし、受け入れられると想うわ。それに、ご主人様も、それを聴いたら、喜ぶと想うわ。」
ミ:「本当に、瞳さんの体と心の分身みたいなんですね。」
ツ:「それが私に与えられたサイボーグとしての生き方だし、サイボーグとしての使用用途なの。」
ミ:「サイボーグをサポートするサイボーグが使用用途なんて、ますます、魅力的です・・・。」
ツ:「あっ!ご主人様の意識が戻りそうよ。話の続きは、3人でしましょう。」
ミ:「はいっ!」
ツ:「早くプラグを抜いてあげないと。ミンメイさんも要領は飲み込めたわね。
少しぐらい、ご主人様が感じちゃうように抜いてもいいから、早く、ご主人様を自由にしてあげましょう。」
ミ:「はいっ!この位のスピードで抜けばいいですか?」
ツ:「ちょっと早すぎかも、それだと、ご主人様が・・・。」
ヒ:「アハ〜〜〜〜ン。逝く〜〜〜〜〜〜〜っ!」
再び駐車場内に瞳の官能に達するときの絶叫が響き、瞳が再び意識を失った。
森田も、ミンメイの作業に気をとられて、官能感受速度で引き抜いてしまったのだ。
官能感受速度を同時に2箇所から感じてしまった瞳はたまったものではなかった。
いつにも増した甘くて強い性的刺激を受けて完全に昇天してしまったことはいうまでもなかった。
瞳は、公道上の自動車のマシン制御装置となっているときは、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが
レースの時に着用する専用のおむつではなく、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのために
開発された脚の穴のない袋のようなパンティーを履いているのだが、そのパンティーがぐしょぐしょになり、
車のシートも濡れてしまうほどの愛液を漏らし、その上、失禁してしまいシートを濡らしてしまっていた。
ツ:「あ〜あ・・・。ミンメイさん、ちょっとやりすぎちゃったね。私の大きなバックの中から、
大型のウェットティシューを出してシートを拭いておいてくれない?カンダは、こんなことも予想して、
防水性を高めた特殊本革シートをご主人様に用意してくれたのかもね。さすがに妻川監督のやることは鋭いのよね。」
ミ:「ここまで、感応できるサイボーグを目の当たりにしたら、私も感じて来ちゃいました。
パンティーなんかびしょびしょです。やっぱり瞳様は凄いです。」
ツ:「本当にサイボーグフェチって、私には理解が・・・。ところで今、“さん”じゃなくて“様”と言わなかった?」
ミ:「はい。やっぱり、ご主人様になる方には、“さん”ではなく、“様”でお呼びするのが当然の流れですから。」
ツ:「・・・・・・・。」
ミンメイが、もう既に、瞳臣下の一員に加わってしまったかのような雰囲気になっていることに、
森田は呆れてしまったのだ。
ミ:「どうかしたんですか?つぐみさん?」
ツ:「だって・・・。もう、ご主人様が交際してくれる気になっているものだから。」
ミ:「いけなかったですか?」
ツ:「まっ、いいか。どうせ、ご主人様は、自分の僕というか愛人にする気でミンメイさんを誘ったんですものね。
もう、ご主人様の愛人になることは確実ですもんね・・・。」
ミ:「そうなれたら、とっても嬉しいです。最強のサイボーグが私の“いいひと”なんですもの。最高です。」
ツ:「ミンメイさん。分かったから・・・。」
一人で喜んでいるミンメイに瞳に対するケア作業をサボらないように森田は気を取り直して声をかけた。
ツ:「シートは完全に拭けたかしら?拭き終わったティッシュは、私の大きなバックの燃やせるゴミ用の袋に入れておいて。」
ミ:「つぐみさんの大きなバックって四次元ポケットみたい。」
ミンメイは、そう言ってケタケタと笑った。
ツ:「そんなに笑わないでよ。私は、ご主人様の身体の一部であるサポートスタッフなのよ。
ご主人様の身体をケアするものは、全てバックに入っているわ。芸能人のマネージャーと
介護のケアスタッフを合わせたたような仕事に加えて障害者の義足と義手を合わせたような存在なのが、
サポートスタッフという、私の本業なのよ。私は、ただのご主人様の愛を受けてお仕えする僕とは違うんだからね。」
ミ:「そうでした。すっかり舞い上がっちゃって、つぐみさんの仕事の本質を忘れてしまいました。ごめんなさい。」
ツ:「いいのよ。大好きな人で憧れの人が、目の前で付き合ってくれるところまできたんですもの。女の子同士として、
その気持ち分かるわ。でも、ミンメイさんが、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用サポートスタッフとしては
羨ましいわ。自由に好きな人を愛せるんですもの・・・・。」
ミ:「どういうことですか?」
ツ:「だって、私たち、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用サポートスタッフは、
サポートするスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの情報全てを蓄積するサブコンピューターで
生体脳がコントロールされた上、担当するスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのために生体脳の
記憶領域を全て初期化されて、そのサポートするスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの情報だけを
植え付けられ、生涯一人のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーをサポートしていくための感情以外は
持つことが出来ないようなセッティングをされているし、担当のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー以外の
人に特別な感情を持つことが出来ないようにサブコンピューターに感情の制御をされてしまっているんだもの。」
ミ:「・・・・・・・。サポートスタッフって、そんなセッティングをされてしまっているサイボーグだったなんて・・・。」
ツ:「でも、私は、初期化を三回も受けたんだから、特殊だけれどね。」
ミ:「サポートスタッフって・・・。」
ツ:「でも、ご主人様が愛している人を愛することは出来るようなシステムになっているから大丈夫よ。
ミンメイさんにご主人様が特別な感情を持っているから、私は、ミンメイさんをご主人様の手脚の代わりとして、
感覚器官の代用品として愛することは出来るし・・・。」
ミ:「そんなことまで電子機器に干渉されて生きなくちゃいけないなんて・・・。サポートスタッフって辛すぎます。」
「それが、私の使用目的だもの。サイボーグは、その使用目的のために作り変えられた人間なのだから仕方ないわ。
標準人体のように自由に生きていけなくても仕方ないでしょ。それに、私は、ご主人様に巡り会えて、
とってもラッキーだったのよ。私も、ミンメイさんと同じに、ご主人様を大好きになったから・・・。
サポートスタッフとしての使用目的を越えて愛しているのも事実よ。
それに、私のようなセコハンを我慢して愛用してくれているご主人様に感謝しているわ。
生体脳の許容量の関係で、私の生体脳の初期化は完全ではないものになってしまっているから、
前に担当したスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの記憶も残っているし・・・、でも、ご主人様ほどに、
私のことを大切にしてくださるスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーはいなかったわ。」
ミ:「うぇ〜〜〜〜ん!つぐみさ〜〜〜ん。」
ミンメイは、そう言うといきなり森田に抱きついてきた。
ツ:「どっ、どうしちゃったの。いきなり。」
ミ:「だって。薄幸の匂いがするサイボーグ女性を地で行くような人生をつぐみさんは送っているのを感じるんですもの。
ひとみ様も最高だけれど、つぐみさんも最高です。大好きです。サイボーグフェチの私にとってつぐみさんも恋愛対象です。
二人の最高のサイボーグ女性に愛されるチャンスが巡ってきて、私、どうしよう・・・。」
ツ:「・・・・・・・。」
ミ:「これから、つぐみ様と呼ばせてください。」
ツ:「おいおい。私は、ビアンのネコで、どMだぞ。“様”づけで呼ばれることは・・・。」
ミ:「私にとっては、Mとして、ビアンとして尊敬するサイボーグ女性にかわりありません。ひとみ様とつぐみ様ですっ!
つぐみ様の僕でいいのですっ!」
ツ:「・・・・・・・。」
森田は、ミンメイの瞳にハートマークが現れたような気がして、頭を抱えたのだった。
ツ:「さっ、さぁ。気を取り直して・・・、ご主人様をスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用移動台車に移しかえて、
部屋に運びましょう。これだけグチャグチャだとシャワーを浴びさせなくちゃいけないし、ミンメイさんもシャワーを
浴びないといけないぐらいの股間の状況でしょ。」
森田は溜息混じりに言葉を絞り出した。
ミ:「はぁ〜〜〜い。」
完全にミンメイの目は恋する乙女の目に変わってしまっていた。
森田は、瞳の周りに集まる女性の天真爛漫さや特異性に気分が悪くなるような思いだった。
しかし、みんな、本当に可愛い女性であることにかわりはないのだ。
それに、自分も性癖のことでは、他人のことを言えないのだから仕方のないことである。
森田は、溜息を一つ吐くと、瞳の身体を軽々と持ち上げ、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用移動台車に
移しかえて、瞳の部屋につながる専用エレベーターに瞳を乗せ、自分とミンメイも乗り込んで、瞳の部屋に向かっていった。
今日は、ここまでです。
次回から、少しの間、百合ネタになるのかも・・・。
239 :
pinksaturn:2007/08/04(土) 15:56:51 ID:fLPvFUIi0
>>238 その先に待っている達磨娘どうしの絡み(絡まる手足が無い???)wktk。
240 :
3の444:2007/08/05(日) 12:25:00 ID:uAf1cl7/0
・・・と、いうことで私、やっぱり好奇心に負けてしまいました。
机の引き出しから接続ケーブルを取り出して、そのかたっぽを首筋にあるサポートコンピューター用の接続端
子に、もうかたっぽを机の上のパソコンを繋いじゃいました。そして、マウスを無意味にカチカチいじりながら、パソ
コンが立ち上がるのを待っています。
もちろんパソコンなんか使わなくても、サポートコンピューターに記憶させた画像を呼び出して直接義眼ディスプ
レイ上に表示することくらいできるし、そっちのほうがお手軽ってこともよく分かってるけど、でも「お手軽」ってこと
と、私の「ニンゲンとしてのソンゲン」を秤にかけた場合、大事なのはどちらか、なんて言うまでもないよね。酔っ払
って記憶が無いときの出来事を録画して、その画像を自分のめんたまの中にある自分にしか見えないスクリーン
上で再生しちゃうなんて、なんかヒトとして終わってる気がする。それ以前に、この身体が全て機械仕掛けってだけ
で、とっくにヒトとして終わっちゃってるような気がしなくもないけど、それは脇においといて、ね。ま、イチバンの理由
は、私が義体を使うのがへたくそで、サポートコンピューターを操作するのに外付けのマウスを使ったほうがラクだ
からっていうのもあるんだけどさ。
パソコンが立ち上がったところで、自分のサポートコンピューターからパソコン上に画像ファイルを落とす。サイ
ズが大きいせいもあって、ダウンロードには結構時間がかかっちゃうから、その間中、ずーっと私は不安と好奇心
でドキドキ(比喩です)しっぱなし。こんなふうにドキドキしながら画像ファイルをダウンロードするのは、「中里忠弘
の10歳のときの写真」を見ようとしたとき以来かなあ。ま、そのときはグロ画像だったんだけどね・・・。とほほ。
さて、ようやくダウンロード完了。
いったいどんな画像が飛び出すのやら。これからまさに見せ場の残虐シーンがはじまらんとするスプラッター映
画でも見ているような不安と期待が入り混じったフクザツな気分で、心持ちパソコンディスプレイのほうに身を傾け
ながら、ダウンロードが終わった画像フォルダをクリック。
241 :
3の444:2007/08/05(日) 12:25:47 ID:uAf1cl7/0
でも・・・そんな私のドキドキを嘲笑うかのように、パソコンのディスプレイに表示された画像は、まるで定期検査
でサポートコンピューターと脳みその接続を切られて全ての感覚を失ったときみたいに真っ黒け。
(ひょっとして、眼の故障?)
一瞬そんなことを考えたけど、すぐそんなはずないって思い直す。義眼ディスプレイには、特に故障を表すサイ
ンは出ていないし、そもそも、私の目は、今、ちゃーんと画像を捉えて脳に送り届けてくれているんだ。だから故障
のはずはない。
義眼は故障していない。でも画像は真っ暗。
(じゃあ、どうして)
――タタン、タタン、タタン
どこか遠くのほうで電車の走っている音が聞こえる。でも、はるにれ荘から最寄の宮の橋駅までは歩けばたっ
ぷり15分はかかる距離。いくら私が全身義体で1km離れた蟻の足音だって聞けわけられるっていっても、それは聴
覚のリミッターを外せばの話。今の私の聴覚はごくフツーの人間並みに調整されているから、そんな遠いところを
走る電車の音が聞こえるはずはない。
電車の音の出所は、間違いなく私の目の前のパソコンのスピーカーからだ。
――タタン、タタン、タタン
はじめはかすかに聞こえる程度だった電車の音は次第に大きく確かなものに、でも電車が刻むスタッカートのリ
ズムは、まるで楽譜のリットの譜面を忠実になぞっていくみたいに次第にゆっくりとしたものになっていく。
“宮の橋ィ、宮の橋ィ。この電車は、入舸浦行きィ、最終ゥ電車でぇございます”
電車のドアが開く音。足早に家路へ急ぐ乗客の足音。さっきまでの静寂が嘘のように雑然とした音の洪水の中
でひときわ目立つ、独特の節回しの電車が駅に到着したことを知らせるアナウンス。相変わらず画面には何も映っ
ていないけど、眼を閉じれば、まるで自分が駅にいるんじゃないかって錯覚してしまうくらい臨場感たっぷり。
えと・・・眼を閉じれば、だってさ。そうか、分かったよ。撮影モードはちゃーんと働いていても、画像は真っ暗なわ
けは、この時の私、撮影モードにしながら、眼をつぶっていたからなんだ。
242 :
3の444:2007/08/05(日) 12:26:29 ID:uAf1cl7/0
(だけどなあ)
私は何も映し出さない黒いディスプレイに反射する自分自身の顔をみつめながら、ふう、とため息。
いくら自分がやったこととはいえ、このヘンな行動には首を傾げざるをえない。あれだけ酔っ払っているのにち
ゃーんと宮の橋の駅で降りている。それは我ながら立派。でも、電車を降りたあと、家にまっすぐ帰らず、こうして駅
のホームに居座り続けて、撮影モードにしながら眼をつぶってるって、いったいどういうコト?いったいゼンタイ私は
何をやりたいワケ?
そんな私の疑問をよそに、画像のない動画は再生され続け、最終電車が出発し下車した乗客のざわめきが駅
の外に消えて、再び感覚遮断に似た、音も色もない世界に逆戻りしてしまう。いくら画像再生中といっても、こう何
の変化もなく真っ暗な画面が続くばかりでは飽きがきちゃうよね。
だから、私は退屈を紛らわせるために本棚に手を伸ばして漫画本を手に取った・・・ちょうどその時。
“ちょっと、お客さん、お客さん。起きてください”
静寂を破ってパソコンから流れたのは、まるで、終電近い電車で降りたときに良く見る、駅員さんがベンチやホ
ームに寝たまま動かなくなった、みっともない酔っ払いを介抱しているときに出すような、困ったような、あきれたよ
うな、男の人の声。
私は、疲れた中間管理職って風情のサラリーマンがぐでんぐでんに酔っ払って駅員に介抱されて」いる光景を
思い浮かべて苦笑しながら椅子に座りなおして、もう一回画面と向き合う。
“お客さん・・・お客さーん”
この駅員さんの声、聞き覚えがある。これ、昨日私と会う約束をしたくせに急に仕事が入ったとかいって、ドタキ
ャンした藤原っていう駅員さんの声だ。それでもって
“うーっ、うーっ、うるさklsfだg32”
酔っ払い特有の意味不明な素っ頓狂なうめき声を上げているのは・・・私だよう。これ、間違いなく私の声だよ
う。
え?
えと、つまり、駅員さんは、例えでもなんでもない、ホントに酔っ払いを介抱中。で、そのお相手の酔っ払いって
いうのは・・・この私ですか?
243 :
3の444:2007/08/05(日) 12:36:06 ID:uAf1cl7/0
「うー」
こっちの世界の私は、頭を抱えて机にぺたんと突っ伏した。ハタから見れば微笑ましくもある夜の風物詩も、自
分が当事者であればこれほど恥ずかしい話はない。酔っ払ってるならまだしも「しらふ」のまま酔っ払った自分の醜
態を見せつけられるとなれば、なおさらだよ。
でもでも、イチバン問題なのはそんなことじゃない。そんなことより・・・そんなことより・・・
“もう電車、終わっちゃいましたよ”
“うーっ。うるさいよう”
「ちょっと待てーい」
私は思わず、ディスプレイを掴んで揺さぶる。そんなことしたって向こうの私に聞こえるはずないってわかっちゃ
いるけど、そうせずにはいられない。
だって、だって。
起きるなっ!起きるな私。いっそのこと、そのまま酔いつぶれて寝てしまえ。どうせ、そこで寝たって風邪をひく
ような身体じゃないんだ。今、眼を開けたら、眼が光ってるところ、藤原さんに見られちゃうじゃないかっ!
でも、そんな儚い私の願いなんか通じるはずもなく、酔いつぶれていた私の眼が開かれる。もちろん撮影モード
になってることなんておかまいなし。
ディスプレイに映し出されたのは、灰色のコンクリートと黒い靴。コンクリートは駅のホームだね。そして、靴は駅
員さんのもの。たぶん私はベンチの上にうつ伏せに倒れているんだろう。
“うーっ。なんだよう”
気だるそうな私の声とともに、目の前の画像がぐるんと動く。その真ん中にいるのは、心配そうに私のことを覗
き込む藤原さん。
“あっ”
藤原さんと眼が合った瞬間、彼が、ごくり、と息を飲み込むのが分かった。その眼に浮かぶ怯えの色。
(あーっ、やっちゃった…)
恐れていた不安が的中して私は思わず天を、いや古ぼけた部屋の天井を仰ぐ。
そっちの私はようやく目を開いてくれたけどね、お蔭様で、こっちの私は目をつぶりたい気分だよ。
244 :
3の444:2007/08/05(日) 12:38:05 ID:uAf1cl7/0
ここまでしか書けていません。
たいして進んでいなくて申し訳ないです。
>>140 わざわざパソコンにつなぐのはpinksaturnさんが書いてくれた理由に
加えて、こういうこともあります。
ワラタ
今は知らないけど、旧国鉄時代の人材育成で、
最初の数年は、あちこちの部門をまわして、適性のあるところに配置するという
話を読んだことがあります。
旅客部門とか運行部門、整備部門などをまわして、その人材に合ったところに配置したとか
藤原君は旅客部門が適性だったのでしょうか。どんな部門を回ってきた人なのでしょうか
若いようだから、いま回っているところなのでしょうか
>>244 はーい気長に待ちます
じっくり頑張ってー!
248 :
ぬこぬく:2007/08/08(水) 11:03:08 ID:s2PjStAy0
249 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 20:11:33 ID:6cEadNkz0
足元の線とかきれいですね。
当方が広報のお手伝いをする羽目になったとき、デザイナー屋さんが
いとも簡単に広報資料を作り上げるのを見て、orz状態になったことがあります。
それがまたきれいなもので、どんな修行をするとできるようになるのか皆目見当がつきません。
絵が描ける人って、どんな構造になっているんでしょうか。
絵もかいてみたいけど、完全玉砕中です。たぶん一生できなさそうです
>>248 久々の絵師光臨乙。
ちなみにソフトは何使ったの?
>>249 まずは光源を意識しつつ立方体や円柱、球を鉛筆で練習。
身の回りのモノを、敢えてモノクロ写真として印刷して鉛筆で描き写す。これは漏れの我流かな。
濃淡の付け方の基本ぐらいならこれぐらいですぐできるようになるよ。
カタチは・・・、みんなどうやって研究してるのかは知らん。
でもたまーにしか描かないなら、気に入った絵や写真を毎度参考にするだけでも十分。
よっぽど変わったポーズを描きたいなら人形買ってクネクネするしかないだろうけど。
>>248 久々の絵師ありがたや
小説挿絵のぞいたら本当に久しぶりかも
>>250 >よっぽど変わったポーズを描きたいなら人形買ってクネクネするしかないだろうけど。
もうひとつ方法があるじゃないか
鏡に向かって自分でクネクネだ!w
↑おなかの肉襦袢が邪魔して、理想のポーズが取れないんですが・・・。
254 :
pinksaturn:2007/08/10(金) 18:46:24 ID:7bVFrQqt0
>>253 素体調査官:「うーん、あなたはいくら鍛えても無理でしょう。」
255 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 16:15:49 ID:TMQ82UWY0
(”ケンタウリ”の続きです。)
−−(5)皇紀200年祭−−
恒星間航行艦の艦体製造に使う6基の工場衛星が完成し試験操業が始まった。
前部船体、後部船体、爆風受けの専用工場と3基の中間コンテナ工場だ。
工場衛星のベイ部分を延長しぶち抜きで1個のドックにした巨大構造物である。
一端を開いてミラーで収束した太陽光を入れれば巨大な部品の鋳造も簡単に出来てしまう。
艦体素材の主成分は鉄だから、資材は既存工場の元々過剰な生産能力でそのまま賄われる。
後部船体に4個取り付けられる補助推進器や艤装品はすべて既存の工場衛星で製造される。
造艦本部は、全力でかかれば1隻作るのにかかる時間は40日ほどだという。
だが、当面は小手調べに乗員訓練用の練習艦を建造することになっている。
なにしろ、新年早々に催す皇紀200年祭のため地上に降りる者が多い時期である。
フル操業するのは、祭りが終わってからと言うのが国中のお約束だ。
いにしえの百年祭では、皇居一周バレエパレードが行われた。
200年祭がまるっきりそのパクリでは、歴史上で私の治世の印象が薄くなってしまう。
やるならフィギュアスケートだ。幸い、100年前よりも氷事情は抜群に良くなっていた。
熱帯の本国で氷を作れば膨大な電力が必要だが、余所から極低温の氷を搬入すれば不要だ。
そして、我々の頭上には極低温の氷とそれを降ろす容器が有り余っている。
256 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 16:16:25 ID:TMQ82UWY0
帝國が消費する資源の過半が隕石から収集されている。メインベルト隕石は目方の半分が鉄だ。
他の物質を必要なだけ採れば必ず鉄が余ってしまう。地上で鉄を作ればエネルギーを消費する。
製鉄は地球温暖化の最大要因である。空気が無い宇宙で得る鉄資源は還元せずそのまま使える。
これを地上に降ろして安く輸出すれば、地球温暖化の主原因となっている産業が破壊される。
近年、わが帝國は大国やその財界の反発に臆することなく鉄製品の大量輸出を行っている。
製品を地上に降ろす降下カプセルも鉄製品で、リサイクルを容易にすべく規格化されている。
かたちの決まったものに、色々な製品を積めばかなり隙間が生じる。
カイパーベルトからの輸送体制が整った現在、かつて貴重だった水も極低温の氷なら余っている。
隙間に余った氷を積んで計画的に降ろし、10年間で100万dの氷を帝都地下の氷室に蓄えた。
普段は温度差発電に使っている。一部使えば熱帯でも巨大スケートリンクをたやすく作れるのだ。
後は切り出して地下鉄で運び、宮殿を巡る環状道路に敷き詰めるだけで祭りの舞台が出来上がる。
上級皇族SNS・皇帝朝子10世のブログより
257 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 16:17:33 ID:TMQ82UWY0
(地下鉄 皇居専用線)
わかば:「ひいい、何なのよこの異常な寒さはぁ!。太股に霜が憑いてきちゃった。」
サザエ軍曹:「出力低下に気を付けなさい。両足の燃料電池が停まったら命に関わるわ。」
わかば:「こんなに寒いなら、航宙足と極低温用外装くらい支給してくれればいいのに。」
サザエ軍曹:「一般市民が参加する会場へ氷を運ぶのにプルトニウム電池なんかダメよ。」
わかば:「だからって、地上装備のままこんな作業やれなんて酷すぎます。」
サザエ軍曹:「きついのは積み卸しだけでしょ。素早くやれば大丈夫よ。さ、急いで。」
わかば:「やってますよ。インクライン始動します。全速で上に出て休みましょう。」
(皇居前 周回道路 インクライン出口)
わかば:「まだ随分冷たいから絶対じかに触れないでね。」
土建屋:「へい、承知してやす。クレーンの関節にも凍結防止処置をしてきました。
ワイヤーの着脱をする者には耐火防具を付けさせ、氷の上に長居せぬよう気を付けます。
さすがに、この炎天下だっちゅうのに近寄っただけでも寒いすね。」
わかば:「一度スコールで濡れれば程良くさめるはずよ。但し濡らすとくっつくからね。
仮置き中にスコールを浴びたら動かせなくなるから素早く定位置に並べてしまうように。」
土建屋:「1時間で受け持ちが片づくように機材と日雇い人夫をかき集めてあります。」
わかば:「でわ怪我人を出さないように、よろしく。」
258 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 16:46:06 ID:TMQ82UWY0
(静止衛星軌道 爆風受け専用工場)
知子3世:「この爆風受けは専用工場が出来たおかげで全く継ぎ目がありません。
ここのスペースなら素材工場から持ってきた耐熱合金を太陽熱で全部丸ごと融解できます。
一体鋳造なら長期間核パルスの衝撃を受け続けても半分以下に摩耗しなければ割れません。」
華子4世:「とういことは、フォボスで実験に使ったやつは割れたかも知れないのですね。」
知子3世:「あれは、冥王星航路用の核パルス艦建造施設で17個に分割して鋳造しました。
火星軌道だと最大のミラーで太陽光を集めても熱量は半分なのでそれが限界でした。
それで、分割して鋳造したものをフォボスで組み立てながら溶接したんですよ。
なにしろ水銀で冷やしながらとはいえ、核爆発の出す熱線に耐え続ける素材ですからね。
エキシマ溶接では、艦載アイビームを使ってもスポット溶接をするのが精一杯です。
最悪で2時間、運良く長持ちしても5時間ほどでバラバラに割れたと思いますよ。
あの実験は、あくまでも打ち込み誘爆で核融合を繰り返せる運転条件の確認が目的でした。
したがって、耐久性は度外視しました。再実験が必要なら補修すれば済みますからね。」
華子4世:「継ぎ目ってそこまで耐久性が悪化するんですか。」
知子3世:「衝撃に対してだけなら、裏面からボルト入れたり補強のしようもあるのよ。
爆風受けの難しさは衝撃よりも熱対策なの。滑らかな表面で熱線を反射するから保つわけ。
継ぎ目のところはどう仕上げても反射率が劣るから局所的に温度が上がりやすくなるわ。
温度にむらが出ると膨張で歪みが加わって裏から当てた補強材がもげちゃうの。」
華子4世:「同じ問題が核爆弾の射出口で発生する恐れはないのですか。」
知子3世:「当然起きているけど、巨大な爆風受け全体から見たら小さな穴でしょ。
重点的に冷却できるし、近くに継ぎ目さえなければ割れる原因にはならないわ。」
259 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 16:47:04 ID:TMQ82UWY0
華子4世:「安心しました。さて、降下予定1時間前ですね。そろそろ行きましょう。」
知子3世:「200年祭か。どうしても出なくちゃいけないかな?。ここは良いけどね。
中間コンテナ工場の方は数も多いし、まだ監督が行き届いていないのよ。」
華子4世:「ここの仕事が気になるのは解りますが、皇族としての務めも果たさないと。
お祭り騒ぎにいまいち意欲が湧かないのは私もです。大伯母上だけさぼるのはずるいわ。」
知子3世:「正直言うとね、ここ20年ほどは本国に降りると息苦しさを感じるのよ。
私は長年機関屋として原子力一筋でやってきたでしょう。本国で原子力は厳禁だわ。
航宙足を外して体の電源が原子力でなくなると、とても心細く感じるのよ。」
華子4世:「確かに燃料切れを考えなくて良い生活は気楽で良いですね。
でも、地上と宇宙空間では原子力利用のリスクがどれだけ違うかよくご存知でしょう。
シビリアンはみな飢餓の不安とたたかいながら素体供出に励んでくれているのです。
貴女は100年祭当時の皇帝の直系皇孫として皇族の中でも著名な方です。
また核パルス推進艦実用化のパイオニア、技術開発の責任者としても知られています。
もし200年祭を欠席すれば、恒星間航行計画に問題かと臣民が不安を抱くでしょう。
我々の仕事を成功させるには、臣民が不安無く協力してくれる風潮が必要なんです。」
知子3世:「ご免なさい。歳のせいか、つい愚痴っぽくなってしまったわ。」
260 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 17:07:56 ID:TMQ82UWY0
(宙軍研究所 脳脊髄医学研究部脳修復研究課)
桃子:「二人とも運動データの解析からは異常が出ていないようだけど違和感は無い?。」
あや:「あるような、無いような。一般に言われている再改造随伴現象かも。」
ふみ:「動きはともかく、首が外せるようになっただけで随分感覚が違いますよね。」
桃子:「人工小脳が抽出した脳内信号強度には特に変化がないようよ。
今のところ大脳との境界面で不都合な再生が起きてはいないは思うの。
最終的には要修復箇所が治ったかが問題だから頭を分解して確認するしかないわ。」
あや:「そのことですが、私らまだ世界文化研修を受けていないんですよ。」
ふみ:「そうそう、脳の傷が治っても恒星間飛行艦の乗員選定には間に合わないんじゃ?。」
桃子:「文化研修なら免除される方法があるのよ。この研究成果を重要文化と認めさせること。
それから、貴女達が脳修復技術の実施に必要な技術伝承者となることね。」
あや:「そんな簡単に行くのでしょうか?。」
桃子:「今、貴女達で試している実験が成功すれば重要文化認定はほぼ自動的に通るわ。
何しろ、アルファケンタウリで43年かかるから乗員の寿命延長は優先課題なのよ。
アルファケンタウリは惑星の存在が未確認だから最悪の場合は全員が往復飛行になるわ。
飛行中は素体生産が出来ないから、全員100歳以上で無事たどり着くのは大変困難よ。
それに、アルファケンタウリがはずれなら、いずれもっと遠くを目指すことになるわね。
そうなったら、寿命延長はますます必要になるでしょう。」
ふみ:「技術の重要さが認められても、私らの必要性まで認められますか?。」
261 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 17:08:38 ID:TMQ82UWY0
桃子:「もちろん、ただの実験体という立場では根拠が十分でないわね。
そこで、今後は私の実験に助手としても参加し、脳修復技術を身につけて貰います。
どのみち恒星間航行では何が起こるかわからないから、私の代替要員を養成すべきです。
どうせ養成するなら、脳修復の意義や問題点を経験から直にわかった者が良いでしょう。」
あや:「これから具体的に何をすれば良いのですか?。」
桃子:「脳修復の作業はES細胞培養・脳ケースの連続注入器管理・経過観察の3段階よ。
ES細胞培養は、ここの施設内にある現場で他の職員に教わりながら一通りやって貰います。
脳ケースの連続注入管理は、まず私が青の公家廟に出向いて実験するときに教えます。
亡霊で安全に出来るようになったら、2人でお互いに相手の脳修復を管理するのよ。
経過観察もデータ収集については同様に亡霊で練習して慣れたら自分のもやるのよ。
脳ケースに特設されている連続注入器の仕組みと働きについては、まず空の脳ケースで実習。
早速マニュアル付きで貸与するから、3日以内に取り扱いかたを身につけること。
明日から一通り出来るようになるまでは、毎日ここに来て貰います。」
ふみ:「難しそうだけど他にチャンスはないので頑張ってみます。」
桃子:「先々しくじったら自分らの脳がデムパになると思って、しっかりやるのよ。」
262 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 17:09:27 ID:TMQ82UWY0
(あやとふみの帰り道 皇居周辺の路上)
あや:「大変な宿題抱えちゃったわね。」
ふみ:「まったく。私らどうなるのかな。」
あや:「この先200年祭メイン会場設置工事のため通行止め。忙しいのに迂回かぁ。」
ふみ:「私ら祭りどころじゃなくなっただけに、むかつくわね。」
あや:「この辺りも寒気に包まれているわね。こんなに寒くて見物人は大丈夫かしら。」
ふみ:「氷室から出したての極低温氷だからね。祭りまでにはさめるのでしょ。」
あや:「あっ、見て!。あそこでもう練習してる娘が居るわ。」
ふみ:「いくらなんでも寒そうねえ。燃料電池の排気が凍らないのかしら。」
あや:「全力で動いているときは平気なのかも。」
ふみ:「文化研修に行ってる人からかなり動員されてるって噂だったわね。」
あや:「こんな寒い目に遭うくらいなら、文化研修免除ってお得なのかも。」
ふみ:「桃子侯の思惑通りに事が運んでくれればね。」
263 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 17:25:59 ID:TMQ82UWY0
(極低温氷の上)
まりな:「みなさん、超音波ブレードの調整は良いですか?。私は出力10%にしています。
この超音波ブレードは、出力を最大にすれば絶対零度に近いカロンでも滑走できるものです。
低温と言っても表面は外気に晒されていますので出力を上げすぎるとめり込んで滑れません。
適量は個人の癖にも依るので、氷に引っかかるようならまめに微調整する必要があります。
今日はコースの幅とカーブに慣れるのが目的ですから大技の練習は控え目にして下さい。
この温度ですと停まっていたら太股の燃料電池が凍結し換気できなくなる危険性があります。
休息するときは必ず氷から離れて下さい。太股が濡れたときは乾かしてから戻って下さい。」
さくら:「なにもこんな危険な状態で練習しなくてもよさそうなのに。」
みさき:「でも練習がアイスワールドだけでコースは当日初めてっちゅうのも怖いわね。
皇居周回道路はかなり広いけど、歩道は観客席になるからリンク部分は狭いわ。
サイボーグが思い切りジャンプして失敗で観客席に突っ込んだら死人が出るわよ。」
さくら:「本番で氷が適温になるようにすると練習が寒いのはしょうがないか。
だけど、こんなに寒かったら練習で荒れた氷の表面はどうやって整備するのかしら。」
みさき:「特区海軍が南極観測用に輸入した雪上車を借りてブレード付けたんだって。
作業に当たるのは公募した土建屋らしいわ。」
さくら:「生身でここを整備なんて土建屋も大変ねえ。よく入札業者が集まったもんだ。」
みさき:「なんてったって200年祭だから、シビリアンもみんなやる気満々なんだわ。」
264 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 17:27:54 ID:TMQ82UWY0
(200年祭1日目・アスリートの日
http://pinksaturn.fc2web.com/cen/200nensai-1.htm 貴賓席)
朝子10世:「見事な舞台ですこと。文部大臣、企画ご苦労様でした。」
文部大臣:「御意。」
華子4世:「観客席をすべて屋内式にしたのは、やはり窮屈ですね。」
文部大臣:「どうにかならないかと、アイスワールドの施設で色々調べました。
道路を利用した仮設アイスアリーナですとリンクとの高低差がどうしても少なくなります。
元々同じ地盤面のところにリンクは氷を積み上げてありますので5mの高さがあります。
しかも、リンクの幅が40mほどしか無く、アイスワールドの直径の1/5です。
ここでサイボーグスケーターが時速100`からジャンプに失敗したらコースアウトです。
観客席の高さが20mは無いと頭上からブレードを見舞われることになるのです。
歩道にそんな高い仮設物を設けるのは無理なのでフェンスと屋根で仕切るしかありません。」
華子4世:「ふーん。でもスピード競技でもないのにコースアウトなんてそう無いでしょ。
大伯母上ならもっとスマートな方法を考えてくれたかも知れませんね。ねえ?。」
知子3世:「...。」
華子4世:「ん?。ひょっとして。えい、統帥権者特権でリモート...。あ、やっぱり。
大伯母上!!。体だけ繰り返しプログラムで民衆に手を振りながら居眠りしないで下さい。
プロジェクトが大変なときにお祭りなんて面倒くさいのは私もですが、それは無しですよ。
22ch’erどもにばれたら、宙軍公式サイトが炎上祭りになってしまいます。
【痛いニュース】問題山積・恒星間飛行計画、建造責任者居眠り【祭どころじゃない】
なんてスレ立てられたら、一般シビリアンにまで国策に疑いを持つ者が出てきます。」
知子3世:「ふあぁ。ばれたか。昨日徹夜だったからショウ開始まで寝たかったのに。」
朝子10世:「私だってボケ損ないの脳にむち打って働いてるのよ。」
265 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 17:28:48 ID:TMQ82UWY0
文部大臣:「始まります。」
知子3世:「うわぁ、あんなスピードから1Gなのにあんなに高く。」
華子4世:「でもみんな巧いわね。コースアウトしそうな娘は居ないようね。」
文部大臣:「今日はアイスワールドの現役を中心に大技を見せる趣向ですから。
脇役に動員される文化研修生も反射神経の優れた者に絞り込んでいるそうです。」
朝子10世:「技はすごいけど、今日の衣装はわりと普通っぽいのね。」
文部大臣:「皇紀紀元前24年頃の国際競技で使われた物が原型ですね。
それ以前は欧州諸国や北米以外でフィギュアスケートの人気は今ひとつでした。
人気に世界的な広がりが出た頃のスタイルが何処でも最も普及しているのです。
アイスワールドの流儀もそれに習っているので、見慣れておいでなのでしょう。」
華子4世:「高いところから見た方が良く見えるわ。」
文部大臣:「あ、東宮様、外で見るのは規制破りですよ。」
華子4世:「ジャンプ失敗しそうな娘なんて居ないじゃないの。
それに門の上なら十分な高さがあるから、上から飛び込まれる心配なんか無いわ。
そもそも、この耐Gボディが時速100`での衝突くらいで故障するわけないしね。」
文部大臣:「ごもっともですが、民衆が真似したらまずいんですよ。」
華子4世:「誰も真似なんかしないわよ。」
文部大臣:「陛下、よろしいので?」
朝子10世:「良くもないけど、少々はしゃぐのは仕方ないわね。
200年祭に今ひとつ熱心でなかった東宮が関心持つのはいいことだわ。」
266 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 17:50:01 ID:TMQ82UWY0
(200年祭2日目・クラシックの日
http://pinksaturn.fc2web.com/cen/200nensai-2.htm 観客席)
百右衛門:「おお懐かしい!。百年祭の光景が目に浮かぶわい。」
百五十六:「おじいちゃん。百年祭は生まれたばかりで見てないんじゃね?。」
百右衛門:「なに!。儂が呆けたとでも言うのか!。帝國名物の6人スモールスワンは忘れんぞ。」
百五十六:「百歳なら普通に呆けてんじゃね。百年祭のスモールスワンは素体だったという話だ。
しかも動く歩道上で踊ったんだぜ。サイボーグじゃなきゃ、6人も居たらぜってーコケているぞ。」
百右衛門:「素体は禿しくしごかれているんだ。氷の上でなければコケたりなんかするものか。
藻舞は、北米連のコミックバレエと帝國の本格クラシックバレエを混同しておる。嘆かわしい。
まあ、最近は大プロジェクト続きで素体採用基準も甘くなっているからコケるかも知れぬな。
昔はそりゃあ厳しかったのさ。なにしろ、この儂が採用されなかったほどだからな。」
九二子:「パパぁ、ひいおじいちゃん呆けちゃったの?。歳とるの怖いよぉ。」
百五十六:「九二子はきっと素体に採用されるからこんなになる心配はないよ。安心おし。」
百右衛門:「こら百五十六、素体不採用はお前もだろ。儂を引き合いに出すな。
九二子、お前はパパみたいに運動神経鈍くならんよう、バレエの先生の言うことを聞くんだぞ。」
九二子:「九二子だってスモールスワンくらいできるもん。もうじき黒鳥だってやれるわ。」
百右衛門:「おお、本当に空から黒鳥が舞い降りてきたみたいだな。いいなあ。」
九二子:「九二子だって、いつかあんな風に跳べるようになるわ。」
267 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 17:51:22 ID:TMQ82UWY0
(その夜 アイスワールド内整備工場)
ミキ:「初期タイプ風外装にする娘は、第一外装室に行って顔と頭皮の交換よ。
出来た娘から第二ボディ整備室に行ってデモ用ボディの試着にかかってね。
恒星間航行用ボディのデモに割り当てられた娘は先にボディの試着よ。
出来たら入れ替わりに顔と頭皮の交換にかかってちょうだい。
それから、今夜は初代陛下の顔になるのだから無用の外出は控えるのよ。
おかしな事をしたら不敬罪になるから、外出時はベールを被った方が良いわ。」
マオ:「芸術監督張り切っているわね。神経痛は大丈夫なの?。」
ミキ:「こんな大きな仕事はもう来ないわ。痛くても最後のご奉公よ。」
マオ:「明日は私らまで出ることになっているけど、何をするの?。」
ミキ:「貴女は純金外装を憑けてちょうだい。」
マオ:「なるほど。だけど貴女は純金にしないの?。」
ミキ:「私はスケルトンにするわ。もう一度やってみたかったのよ。」
マオ:「あら、何でまた?。」
ミキ:「私が宙軍で通用するって本当に思えたのは、鬼教官と呼ばれたときだったわ。
だからもう一度素体養成所時代の外装にしてみたくて、機会を窺っていたのよ。
アイスショウなんかやっていると滅多にチャンスがないでしょう。」
マオ:「昔出番が多かったときは、よくリエさんがバイトに来たからね。」
268 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 17:52:13 ID:TMQ82UWY0
ミキ:「もちろんリエさんが参加するって言うなら役を横取りなんて出来ないわね。」
マオ:「なるほど。リエ特務大佐殿はまだ現役で軌道警備司令だものね。
祭だからって降りてきた隙にICBM飛ばすやつがいたら洒落にならないわ。」
ミキ:「そう。このチャンスは六芒星が作ってくれたようなものだわ。」
さくら:「あーなんたる慌ただしさ。中休み無しで夜に換装じゃきついわ。」
みさき:「さくら、首を外して手に持ったまま走ったら危ないわ。」
さくら:「頭皮交換が空いたからすぐ来いって言われたのよ。」
みさき:「でも、ブレードの脚で廊下走ったら不安定だし。」
さくら:「耐環境ボディならジャイロも入っているから滅多に転ばないわよ。
どうせ外装合わせが済んで帰るときは、外歩き用にまたすげ替えるんだからね。
いちいち接続切り離し手順なんかやっていたらますます寝る時間が削られちゃうわ。」
まりな:「みなさん、ぶつからないように廊下は右側通行でお願いします。
ここで損傷したら明日のショウに差し支えますので気を付けて下さい。」
269 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 19:26:08 ID:TMQ82UWY0
(200年祭3日目・帝国史の日
http://pinksaturn.fc2web.com/cen/200nensai-3.htm 観客席)
九二子:「あー、あのお姉さん金ぴかだぁ。」
百右衛門:「おお、懐かしい。アイスワールド往年のスターゴールデンシスターズではないか。
確か二人組だったはずだが、今日は一人か。片方退役してしまったのかのぉ。」
百五十六:「ゴールデンシスターズが純金外装憑けてたのはおじいちゃんが生まれる前だぜ。」
百右衛門:「ばかもん、儂が呆けたとでも言うのか。」
九二子:「あー、あのお姉さん体が透けてるよ。中のメカが見えてる。」
百右衛門:「あれはスケルトン外装じゃよ。小学生の時臨時講師に見えた宙軍兵さんが憑けてたよ。
マニアックな先生だったなぁ。今でも素体教官はスケルトンなのかな。
儂もあの先生みたいになりたいと思ったが、素体適性不足で容赦なく落とされてしもうた。」
九二子:「ねえねえ、あの真ん中の娘は何をしているの?。」
百五十六:「うむ、あ、あれはだな...子供は知らなくて良いんだ。」
百右衛門:「風俗専用ボディか。昔は萌えたなぁ。あれはあれで懐かしいのぉ。」
百五十六:「おじいちゃん、子供の前でそんな話するなよ。」
百右衛門:「ああ、しかしよくここまで揃えたもんじゃ。まさにサイボーグボディの技術史だな。」
百五十六:「戦闘用っぽいのが無いのが、いまいち軍事パレードらしくないなぁ。」
百右衛門:「そんなことはない。ダイヤ膜張りスケルトンは核ミサイル迎撃戦に耐えたらしいぞ。」
270 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 19:26:58 ID:TMQ82UWY0
九二子:「あ、何あれ?。あのお姉さんたち、胴体が金属製だわ。カコイイ!。」
百五十六:「初めて見るタイプのボディだな。噂の恒星間航行艦乗員用ボディかも知れないな。」
九二子:「こうせいかんこうこうってなぁに?。格好いいから九二子も欲しい。」
百五十六:「九二子は恒星って知っているのか?。」
九二子:「空に光ってる星の殆どは太陽と同じようなのが遠く見えてるって学校で習ったわ。
違うのは月や帝國の工場衛星、太陽を回る惑星などで、光りかたと移動の違いで判るって。」
百五十六:「その遠く見えてる、と言っても、うんと遠くやちょっと遠くがあるだろ。
それで、太陽系から一番遠くない恒星はサイボーグなら辛うじて行けそうな遠さなんだ。
それで、宙軍の兵隊さんたちが地球みたいな惑星がないか調べに行こうとしているんだよ。
ただ、行けると言っても、ものすごい加速の宇宙艦を使って片道40年以上かかるそうだ。
だから、すごい加速に耐えてなるべく長く生きられる特別なボディが作られたと言う噂だ。
あれが欲しかったら、ただ素体に採用されるだけではダメなんだ。」
九二子:「どうすればいいの?。」
百五十六:「まず優秀な娘じゃないとね。うんと勉強してお稽古もしっかりやるんだ。
それから、脳みそにどんな小さな傷があっても激しい加速には弱くなってしまうんだ。
だから、子供の時に絶対頭を強くぶつけないように気を付けて暮らさないといけないよ。
怪我をしそうになったときは、手足が無くなっても良いからとにかく頭を守るんだ。」
九二子:「九二子、いい子にして、気を付けて暮らすよ。」
271 :
pinksaturn:2007/08/12(日) 19:27:54 ID:TMQ82UWY0
(貴賓席)
朝子10世:「どうやら民衆の受けも宜しいようで、やっと肩の荷が降りたわ。」
華子4世:「陛下、まだ恒星間航行艦隊の発進までは宙軍の実務が大変なんですよ。
私は政務まで手が回りません。気がゆるんでIQ低下したなんて言わないで下さい。」
知子3世:「どの娘がアイスワールドのプロか研修生かなんて、判りにくかったわね。
これだけ反射神経の良い候補者が揃っていれば、苦労した艦を安心して預けられるわ。
建造の方は年内の発進に必ず間に合わせるから、東宮様は人事をしっかりやってね。」
華子4世:「優秀な娘が多いのは有り難いことです。でも全員は行けないんですよ。
600人以上の候補者から400人に絞るのは頭の痛い作業になります。」
知子3世:「練習艦はすぐ出来るから、全員公平にやらせてみる時間は取れるわよ。
その実績を直接見て決めるならそんなに不平は出ないんじゃないの?。
みんな一度は本番と同じ恒星間航行艦に乗れるのだからね。」
華子4世:「だと良いのですが、練習艦は発進後早期の事故に備えた救援艦を兼ねます。
救援艦の任務は恒星間航行より難しいですから最優秀の乗員を残す必要があります。
つまり、実績が最も良い娘が本番に乗れなくなるのが人事権者として辛いんですよ。」
朝子10世:「皇帝になったらもっと辛いことが増えるわ。損な役目ばっかり。
何で私らの先祖が人類存続なんて大任を勝手に買って出たのかって、思うわよ。」
(200年祭も盛況に終わり、いよいよ最終段階の訓練が行われます。
次回予告(6)練習艦)
毎度乙
273 :
250:2007/08/12(日) 23:17:08 ID:f6uDfR760
>>273 サイボーグさんだと期待したいが
アンドロイドかもしれぬなあ
275 :
pinksaturn:2007/08/13(月) 18:30:48 ID:/db5ezs90
>>275 ageてまで言うことか?と、小一時間問い詰めたいところ。
判定の基準が脳内妄想レベルなあたりが夏休み厨っぽいよな。
277 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 15:01:10 ID:V4+rwHp00
このスレはsage推奨だったっけ?
必ずsageなきゃいけないハズなのに最近おろそかだね
>>276 ヤギーが聞いたら怒るかもしれないけど、サイボーグもアンドロイドも画像にしたら区別できん。
脳内妄想以外の何を基準にしろと?このスレから脳内妄想を除いたら何も残らんよ。
言葉が足りなかったかな?
第三者と共有できるレベルの妄想は創作活動・論評になりうる。
個人の妄想で終わってしまったら、妄想以外の何者でもない。
>>275は後者だと思うんだがどうよ?
>>280 脳内妄想というより、下の理由が全く理由になっていないのが間抜けすぎだろ
1つめは、アンドロイドは感性が合っちゃいけないのか?とか、製作者のセンスでは?とかあるし…
2つめは、涎をたらす機構が出来ていれば、脳みそが入っていようが、機械しか入っていなかろうが構わないだろうとか…
俺はサイボーグもアンドロイドも両方好きなんだけどさ、
アンドロイドを貶めるサイボーグ好きは、「アンドロイドには感情や感性はない、あっても見た目だけ」だと思ってる傾向があると思う。
だから、
>>275のような感想になる。
余談だけど、サイボーグを毛嫌いするアンドロイド好きは、根幹に「人間嫌い」があって、人間的な感情や感性自体を嫌がってるように思う。
アンドロイドの「制御された感情(従順、盲目的な好意、いざとなったら強制制御……)」があって、はじめて安心できるというか。
人間とまったく同じ感情があって、それを尊重できるんであれば、サイボーグもアンドロイドもなんら変わらないはずなんだけどな。
思考の入れ物が違うだけ。
森田つぐみ(以降、ツ):「ここが、カンダが、ご主人様にシンガポールで与えてくれている部屋よ。スーパーF1開催地には、
ご主人様の拠点になる部屋をカンダが確保してくれているの。ヨーロッパや日本、北米やここ、シンガポールなどには、
専用のマンションがあって、スーパーF1開催地には、最低でも、カンダの現地支社に併設する形で、
この大きさの部屋が必ず用意されているんだよ。そして、その部屋が、ご主人様の転戦の基地になっているの。」
ハイデン=羹=ミンメイ(以降、ミ):「スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーって凄いんですね。」
ツ:「うん。そうだね。スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの待遇は特別かな。
何と言ってもモータースポーツ界で最高峰のレースのドライバーだからね。
でも、その中でもご主人様やほんの数名のドライバーの待遇は特別中の特別なの。
こんなに広いメゾネットタイプの部屋や特別待遇の移動を認められていたり、
特別の自家用車を与えられているのはトップドライバーである証明みたいなものなの。
うちのチームでも、ご主人様とエマさんの待遇はまるで違うよ。滞在する部屋の広さもエマさんとは3倍以上違うし、
移動の自由もエマさんにはないし、何もかもが特別待遇なの。こんな待遇を受けているのは、ご主人様の他では、
マリアさんやディクソンさんやミラーさんなど数人だし、その中でも、ご主人様の待遇はずば抜けて特別なんだ。
“プリンセスヒトミ”という称号はダテではないということなのよ。」
ミ:「やっぱり、超トップドライバーは違うんですね。私もモータースポーツ界で、ドライバーの端くれみたいな物ですが、
あまりの違いにビックリしちゃいます。」
ツ:「でも、ミンメイさんは、これから、ここまでの待遇を勝ち取ることが出来るチャンスがあるんだから、頑張ってね。」
ミ:「はい。でも、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになっても、
つぐみ様のようなサポートスタッフにめぐりあえるかどうか不安です。それに、ここまで上り詰められるかどうかも・・・。」
ツ:「大丈夫。ミンメイさんなら出来るよ。」
ミ:「つぐみ様は優しいな。やっぱり私の理想の女性の一人だ。」
ツ:「おいおいっ!さてと、ご主人様をシャワールームに連れて行って、身体を洗ってあげるから手伝ってくれる。
その前に、今日は、ミンメイさんは、ここのゲストルームを使ってね。下着の着替えも、ドライバーとしての登録サイズで
データーを取り寄せてあるから、そのサイズに合わせた物を用意してもらったから大丈夫だと思うんだ。」
ミ:「いつ、そんな事していたんですか?気がつきませんでした。」
ツ:「私だってサイボーグだよ。体内の通信システムを使用して、ゲストのおもてなしの手配や
ご主人様の今日の滞在の手配をしていたんだ。ご主人様の身の回りのお世話から、
手足や感覚器として動くために改造手術を施されたサイボーグだもの当然よ。」
ミ:「すごい!そうは言ってもつぐみ様の仕事の手際良さは群を抜いています。脱帽です。
もし、私がスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになったら、どうしてもつぐみ様のようなサポートスタッフを
パートナーとしてつけてもらいたいです。瞳様から奪ってしまおうかな。」
ツ:「ダメだよ。私はご主人様の物なんだから。それに、もうこれ以上多くのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに
つくと言うことは、ご主人様に何かあったということでしょ。もうこれ以上、担当した
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの不幸を見たくないよ・・・。」
ミンメイは、森田の目に涙が浮かぶのが判って、とっさにその場を繕った。
ミ:「冗談です。冗談。つぐみ様、ごめんなさい。私、調子に乗りすぎちゃった。ごめんなさい。」
ツ:「そんなにあやまらないで。ミンメイさんに嫌な思いさせちゃったね。私の方こそごめん。」
ミ:「そんなことないです。つぐみ様が辛い思いされてきたんだなって思うと・・・。」
ツ:「そんなことないよ。今が最高に幸せだから、今まで起こったことは、その為のプレリュードだったんだって思えるの。
こんな素晴らしいご主人様がいて、その最愛のご主人様を愛して集まってくれる人たちがいて。
そんなご主人様の手脚になっている自分がいて、私、最高なんだ。だから、この幸せをもう手放したくないんだ。
ご主人様を失うなんてことは考えたくないんだよ〜ぅ。うわ〜〜〜〜ん。」
森田が突然号泣してしまった。ミンメイには、森田の気持ちが心に突き刺さった。
ミ:「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんな・・・。」
ミンメイはただごめんなさいとしか言えなかった。
しかし、ミンメイは同時に、こんな素晴らしいパートナーを自分にも、
トミタが自分をスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーにしたときに与えてくれたら最高なのにと思っていた。
ツ:「私の方こそ・・・。ごめんなさい・・・。ミンメイさん・・・。だから、ずっと、ご主人様のそばにいてあげて。
私は、みんなの幸せな顔を見ているだけで嬉しいんだから。絶対に、ご主人様の愛人になったら、
離れて欲しくないんだよ〜〜ぅ。うぇ〜〜ん。ヒックッ。」
ミ:「つぐみ様。判っています。私も、こんな素晴らしい人たちに巡り会えるチャンスなんてそう簡単にはないと思っています。
それもいっぺんに二人ですよ。私、瞳様もはなしたくないけれど、つぐみ様も離したくないんです。
この出会いを絶対に離しませんよ。」
ツ:「ミンメイさん。ありがとう。」
ヒ:「ミンメイちゃん。つぐみさんを泣かしちゃダメだよ。何したの。」
ツ:「ご主人様、気がついたんですね。」
ヒ:「つぐみさん、ひどいよ。私感じすぎちゃったよ。感じすぎて、逝きまくって、
感情制御回路のリミッターが働いて気絶しちゃったじゃないの。でも・・・。
こんなに逝きまくったの久しぶり・・・。身体が今日は完全に敏感モードのままになってるかも。今夜はもえるよ。」
ツ:「はい。ミンメイさんも、絶対ご主人様の愛人になりたいって言っています。」
ヒ:「ミンメイちゃん、本当なの?私のこんなふしだらな姿を見たら嫌いになったんじゃないの?」
ミ:「いいえ、その逆です。瞳様をもっと好きになりました。」
ヒ:「瞳“様”?」
ミ:「はい、これから、瞳様とお呼びすることにしたんです。つぐみさんもつぐみ様とお呼びすることにしています。」
ヒ:「私が気絶している間に一体何があったの?ミンメイちゃんといい、つぐみさんといい・・・、
何がどうなったのか不思議だよ。」
ツ:「ご主人様のことを話していたんです。ミンメイさんは、ご主人様を最高の女性だと思っていて、
この出会いにかけていると言うことを聞いていたんです。」
「それだけなの?だって、つぐみさんの涙の訳は何なの?どうしてつぐみ“様”と呼ぶの?訳がわかんないよ〜〜ぅ。」
ミ:「そっ、それは・・・。」
ヒ:「ミンメイちゃんは、言葉に詰まっているし。つぐみさん、ミンメイちゃんにいじめられたのかな?
それにしては、ミンメイちゃんの目も心なしかまっ赤だし・・・。何があったの?私、タイムマシンに乗っていたみたい。」
ツ:「ご主人様。決して、ミンメイさんにいじめられていたわけではありませんからご安心を。」
ヒ:「うん。わかったよ。ミンメイちゃん。つぐみさんは、私にとって、大切以上の人なんだからね。いじめないでね。
つぐみさんがいじめられると、私がいじめられているみたいに思えちゃうからね。」
ツ:「うわ〜〜〜ん。」
森田がこらえきれないと逝ったように大声を出して泣いてしまった。
ミ:「瞳様も、今、つぐみ様を泣かした・・・・。うわ〜〜ん。」
今度は、ミンメイが耐えきれなくなって大声で泣き出したしまった。瞳だけがその中でおろおろするばかりであった。
ヒ:「二人とも泣いちゃったけれど、この二人に何があったのかわからないくて、
自分が状況を飲み込めないだけに寂しいんだけれど。」
ツ:「後で・・・食事しながら・・・お話ししましょう・・・。ご主人様・・・、その前にシャワーを浴びましょう。」
瞳が思い出したように、
ヒ:「そうだよ〜〜う。つぐみさんのお陰で、股間がビショビショで気持ち悪いよ〜〜う!失禁までしてるみたいだもの。」
ツ:「でも、最後のとどめは、ミンメイさんですよ。」
ヒ:「えっ!?ミンメイちゃんが本当にプラグ抜いたんだ。」
ミ:「はい・・・。瞳様のお世話をつぐみ様と一緒にしたくて・・・。それに、瞳様が気持ちよさそうだったから、
プラグを抜く速度を快感感受速度にしてしまいました。」
ヒ:「うっ!この子ったら。後でゆっくり可愛がってあげるからね。」
ツ:「ご主人様、テレビのすぐ殺されるような悪役の口調はやめてください。ただのエロオバアみたいですもの。」
ヒ:「ふんっ!どうせ私は悪代官ですよ。のう、越後屋?」
ツ:「すぐその気になる。もう一度、気絶させちゃいますよ。」
ヒ:「時間をおいてくれないと、サイボーグシステムがオーバーヒートして、
この前みたいに石坂ドクターに怒られちゃうから勘弁してくだせぇ。お慈悲です、お代官様っ!」
ツ:「良かろう。今回だけは見逃してやるわ。そのかわり、何をくれるのじゃ?」
ヒ:「つぐみお代官様の今宵のお供をさせていただきまする。」
ツ:「よかろう。この生娘も一緒じゃぞ。」
ヒ:「もちろんでごぜえますだ。」
ミ:「つぐみ様私シャワーを浴びて・・・。」
ツ:「あっ、ごめんごめん。さっ、ご主人様、じゃれてないで行きますよ。」
ヒ:「じゃれてなんかいないもんっ!二人が何か秘密の関係を作っているから・・・。」
ツ:「その話はあとっ!ミンメイさんも、ご主人様のシャワーのお手伝いをお願いします。
一緒にシャワーを浴びても構いませんよ。」
ミ:「本当ですか?嬉しい〜〜〜っ!着替え持ってきます。」
ミンメイは、一目散に森田が指示したゲストルームに駆け込んでいった。
ヒ:「つぐみさん。一体何があったの?」
ツ:「はい。ミンメイさんが、どういう気持で、ご主人様に近づいてきたのかをお聞きしていました。」
ヒ:「それで、つぐみさんが泣いちゃうわけ?」
ツ:「いろいろな行き掛かり上、私のことを少しお話ししたものですから・・・。」
ヒ:「過去のこと?」
ツ:「過去のことも、今の気持もです。」
ヒ:「過去のことは、私が話す。つぐみさんが自分で話すとつぐみさんが辛くなるばかりだもの・・・。
悲しい顔のつぐみさんも、つぐみさんそのものだから好きだけれど、
過去の辛い思いを思い起こしているときのつぐみさんの顔を見たくないよ。」
ツ:「ご主人様、心配しないでください。」
ヒ:「でも・・・。つぐみさんの過去を消せるほどの愛をあげられないかもしれないけれど、その努力はするつもりだよ。」
ツ:「うわ〜〜〜ん。」
ミ:「今度は瞳様が泣かしてるんですか?つぐみ様を。」
ヒ:「そっ、そんなんじゃないよ。」
ミンメイが、ゲストルームで超ミニのワンピースを脱いで、バスローブを身にまとい、
片手に着替えの下着を無造作に掴んだ姿で戻ってきていた。
ツ:「お二人とも、心配しないでください。ちょっと涙もろくなっちゃいました。私も着替え持ってきます。
3人で、一緒にシャワー浴びちゃいましょう。待っていてください。」
今度は、森田が自分の部屋に一目散にかけだしていった。
ヒ:「つぐみさん、転ばないでね。」
ツ:「わかってま〜〜〜すっ!」
その直後に“ドターン”という大きな音が、部屋中に響いた。
ヒ:「つぐみさんて、意外とドジなんだよ。よく転ぶんだからね。でも、不思議と人前ではしっかり者に見えるんだ・・・・。
あっ!つぐみさんが転んだということは、もうミンメイちゃんが身内になっているということか・・・。」
ミ:「はい。私は、瞳様に愛してもらうために瞳様に近づいたんです。目的を達成するつもりです。
それに、今日、もう一人の恋愛対象を見つけてしまいました。」
ヒ:「それが、つぐみさんなのね。何か複雑なことが私が気絶している間に起こったという訳ね。」
ツ:「正確には、ご主人様が快感に悶絶しているときから起こっていました。」
いつの間にか、森田もバスローブ姿で、両手に瞳の下着と自分の下着、それに、瞳の着替えを抱えて戻ってきていた。
ヒ:「おっ。つぐみさん、戻ってきたな。速っ!でも、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの
バスルームでの処置を見せたら、ミンメイちゃんが幻滅しないかなぁ?」
ツ:「いいえ、ご主人様。ミンメイさんは、その逆で、どうしても、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの
その機械人形的な姿が見たいんです。その姿も含めて、ご主人様の全てを愛したいんです。ねっ、ミンメイさん。」
ミ:「はいっ。つぐみ様のおっしゃるとおりです。」
ヒ:「ブ〜〜〜〜っ!何か、二人の間に私の入り込めない世界が展開しているぞっ!不満じゃ〜〜〜〜〜っ!」
ツ:「まあ、いいじゃないですか。シャワー行きますよ。」
森田はそう言うと、瞳が乗せられているスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用移動用台車を押して、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用に作られたバスルームに向かっていった。
瞳と森田の後を嬉しそうな表情を浮かべたミンメイがついていく姿があった。
ミ:「それにしても、瞳様のスタイルは、抜群です。羨ましいです。」
ヒ:「手脚があればね・・・。でも、そう言うけれど、ミンメイちゃんのスタイルだって抜群だよ。
私、一目見て好きになっちゃったもの。」
ミ:「そんなことないです。瞳様は、手脚が無くても魅力的です。手脚のある瞳様を拝見するのは、
瞳様のレース引退を待たなくちゃいけないんですね。私、それでも好いんです。
私、瞳様に長〜〜〜〜く、愛してもらうんですから。」
ツ:「ご主人様は、面食いですからね。ミンメイさんのようにスタイル抜群の美人を
見るとすぐに釣り上げられちゃうんですから。」
ヒ:「つぐみさん、そんなことないよ。だって、つぐみさんからの誘いを断り続けていたんだよ。」
ミ:「それは、ビアンの世界に入るのを躊躇していたからですよね。だって、
つぐみ様のスタイルに惹かれない女性なんていないですもの。瞳様のスタイルも素敵だけれど、
つぐみ様のスタイルも抜群で素敵です。」
ヒ:「ミンメイちゃん、わかるでしょ。私が毒牙にかかるのを必死で抵抗していた姿が・・・。」
ツ:「何が毒牙にかかるですか。ご主人様は、今では毒を振りまき続けているじゃないですか。
ビアンの道とSMの道を教えなければよかった。」
ヒ:「それに関しては、つぐみさんに感謝しています。こんなに素晴らしい人が私を愛してくれるなんて最高のことだよ。」
ツ:「ご主人様にそう言っていただけると嬉しいです。ところで、ご主人様は、まずトイレからですね。」
ミ:「つぐみ様、このバスルームには便器がないんですね。」
ツ:「はい。ここは、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの専用のバスルームですから
便器なんて必要ないんです。ここの壁のところに排尿用に股間カップと性器洗浄用の股間カップ、
それに排便用の肛門接続ホースがあるじゃないですか。スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、
この三つのホースが便器とビデなんです。これから、ご主人様の排泄処理をしますから見ていてくださいね。」
ヒ:「つぐみさん、私の排泄をミンメイちゃんに見られたら、ミンメイちゃんに嫌われちゃうんじゃないの?
ミンメイちゃんに見られたくないんだけれど・・・。それに恥ずかしいし・・・。」
ツ:「ミンメイさん、そんなことないよね。」
ミ:「はい、つぐみ様、瞳様のそのような姿も見ることが出来るのが、私にとっては、すごく興奮することなんです。
萌ってやつなんです。」
ヒ:「ミンメイちゃん、どういうことなの?」
ツ:「ご主人様、詳しいことは、食事をしながらでもゆっくりとミンメイさんに話してもらうとして、
早く排泄処理を済ませてしまいましょうよ。」
ヒ:「う、うん、そうだね。ミンメイちゃんが見ていたいというのなら構わないけれど、
サイボーグという機械人形に改造手術を受けてしまった身体の特殊性を見て萌えるって・・・。何か・・・。」
ツ:「まあ、いいじゃないですか。そのことに関しては、ミンメイさんにゆっくり話をお聞きしましょうよ。」
ヒ:「うん。」
瞳は、まだミンメイがサイボーグフェチであることを知らないので、腑に落ちないという表情を浮かべながらも、
森田に身体をあずけ、排尿カップと排便ホースを身体に取り付けられて排泄処理作業をおこなわれ、続いて、
性器洗浄カップを取り付けられて性器の洗浄をおこなわれたのである。
その間、瞳のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーにならないとおこなわれることのない特別な排泄や
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとなったことにより、自分自身では排泄行為のような恥ずかしいことも
一切行うことが出来ずに、サポートスタッフという介助者により、行ってもらわないといけない姿や、
この恥ずかしい行為も誰かに見られていないといけないスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの
屈辱的な姿を見て、その屈辱感に耐えなくてはいけないという気持を自分自身に置きかえて、
興奮して股間を濡らしているミンメイの姿がそばにあった。ミンメイの股間は濡れすぎて、
太ももまで性器の分泌物が垂れだしていたのである。
ミンメイはそんなことにも構わずに瞳の姿を見つめて、陶酔の世界に入っていた。
ツ:「ご主人様、性器は洗浄しても、また濡れちゃうから無駄なことかもしれませんが、
気持ちが悪いでしょうから、洗っておきますね。」
ヒ:“つぐみさん、そんなにストレートに言ったら、ミンメイちゃんに嫌われちゃうよ。ミンメイちゃんがここにいるんだから。”
ツ:「ご主人様、ミンメイさんは、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーという立場でしか味わえない屈辱感を
想像して陶酔の世界にはいっているんですよ。ほら、ご主人様を見る目がトロンとしちゃって。」
ヒ:“うっ!本当だ。恍惚の表情をしているね。でも、ミンメイちゃんは、少し変わっているんじゃない?”
瞳は、ミンメイに聞かれないように体内の通信システムを通じて森田に話しかけた。
森田は、ミンメイが見ているのにも気にする風はなく、外部音声回路で瞳に話しかけた。
ツ:「ええ、変わっていると言えばそかもしれませんが、ご主人様だって、私だって、
世間的にはビアンでSM愛好者という、世間的には、まだまだ、異常性欲者の部類に入る性愛者ですからね。
私とご主人様もセックスマイノリティーなんです。セックスマイノリティーのフェチなんて、
本当に狭い特殊なツボがあって当然です。ミンメイさんも私たちと同じビアンなんですが、
その対照がかなり特殊で狭いだけなんです。あ〜あ・・・、あんなに股間から愛液を垂らしちゃって・・・。
まあ、いいや、ミンメイさんもシャワーを浴びるんだから。」
ヒ:“つぐみさん、音声回路を無線の専用回線に切り替えないと、ミンメイちゃんに聞こえちゃうよ。”
森田の大胆な行動に瞳は驚いて、森田を制したのだが、森田は意に介さないように、
ツ:「ご主人様、大丈夫ですよ。ミンメイさんは、完全に自分の世界に入っていますもの。私たちの声なんか、
まったく耳に入っていませんよ。それに、ミンメイさんは、ご主人様の排泄行為という標準人体では考えられない方法を
見たかったのだし、ミンメイさんにとっては、私とご主人様の会話の言葉自体が言葉責めのようなもので、
官能の世界への道しるべになっているから、聞かせてあげていた方が好かったのです。さてと・・・。
ミンメイさ〜〜〜んっ、ご主人様の排泄処理と性器洗浄処理が終わりましたよ〜〜〜〜っ。
みんなで一緒にバスシャワーブースに入りますよ〜〜〜〜っ。こっちの世界に戻ってきてくださ〜〜〜〜いっ。」
森田が遠くにいる人間に呼びかけるような口調でミンメイに話しかけたのに、ミンメイが反応し、
ミ:「あっ!瞳様、つぐみ様、すみません。瞳様の姿に陶酔しちゃって・・・。自分の世界に入っちゃいました。
瞳様のお世話でお手伝いすることありませんか?」
ヒ:「つぐみさんの言うとおりだった・・・。」
ツ:「ねっ!言ったとおりでしょ、ご主人様。」
ミ:「お二人とも、何かあったんですか?」
ヒ:「ミンメイちゃん、関係ないの。こっちの話だから。」
ミ:「いいですよね。サイボーグ同士だと、電波でこそこそ話が出来るなんて、憧れちゃいます。
それに、瞳様とつぐみ様の関係が凄くまぶしく見えちゃいます。」
ツ:「ミンメイさんも、今日から、私たちの仲間になるんだからね。でも、体内の電子機器の暗号デジタル通信システムを
使った内緒話は、ミンメイさんがサイボーグになったときまでお預けと言うことかな。
ご主人様をシャワーバスブースに入れるのを手伝ってくれる?」
ミ:「はいっ!喜んでっ!」
森田とミンメイは、二人掛かりで瞳を移動台車ごとシャワーバスブースに運び込んで、シャワーを瞳に浴びさせた。
瞳の身体をミンメイは森田と一緒になでるように洗浄した。ミンメイが、瞳の身体を愛おしそうに洗っているのを
森田は目の当たりに見て、ミンメイの瞳への愛情の深さを感じたのである。
ミ:「洗い場があるブースなんですね。」
ツ:「そうなの。ご主人様は、バスタイムだけは、完全な日本人に戻るから、
ジャパニーズスタイルに限りなく近くしてあるの。」
ミ:「そう言うことなんですね。」
ヒ:「私の我が儘なんだけれど、やっぱり、バスタブにお湯を張ってゆっくりつからないと気がすまないし、
バスタブの中で身体を洗うスタイルに馴染めないんだ。それに、スーパーF1マシンに長時間納められていると
生体部分の神経の消耗が激しいから、その消耗を癒すためにも、バスタブにゆっくり身体を沈めるのが、
精神的な癒し効果になるの。」
ミ:「でも、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーって凄いんですね。
家の中は全て特注の作りの部屋になっている住まいを世界中に何カ所も持たせてもらっているなんて。」
ツ:「ご主人様ほど広い部屋を自分の要望通りに持てるのは、ほんの数名のトップドライバーだけ。
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーでも、一般的なスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、
自分の要望の入れられている部屋でも、こんなに広くないし、ほとんど全てのスーパーF1グランプリ開催地の近くに
住まいを持てる事なんて無いの。普通のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、
何カ所かの拠点だけは部屋を持たせてもらっていて、拠点以外のスーパーF1グランプリ開催地は、
ホテルの部屋を少し改造させてもらって使用したり、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用の
モーターホームでスーパーF1グランプリの開催中の生活させるんだけれどね。
それに、ご主人様のようなトップドライバーは、完全に持ち家になっているから、引退後も、この部屋を使えるんだよ。
一般的な普通のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、ワークスが契約中に貸与しているだけなの。
それでも、凄い待遇に変わりはないんだけれどね。」
ミ:「私も、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになりたいな。
それも、トップドライバーになれるように頑張らないと・・・。」
この時のミンメイにとって、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー、特に瞳のようなトップドライバーの生活は、
夢のようなものであった。
自分には到底、実感できない待遇なのである。
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの待遇が破格なものであることは、レーサーをしているミンメイは、
話の上では聴いていたのであるが、実際に目の当たりにするのは初めてであった。
F1レーサーの待遇も瞳がF1時代にそうだったように、トップドライバーの待遇は破格のものがあるのも知っていたし、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーがそれ以上のものだということも想像できたが、
このように実際にそのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーでも、
超がつくトップのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの生活を見せつけられると、
ミンメイにとってはただただ驚くばかりなのであった。
しかし、このスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの待遇が破格なのは、
手脚のない生活を何年にもわたって送らなくてはならないための代償という意味合いが強い事は、
ミンメイは、この時でも充分理解が出来ていた。
手脚がないままの状態で誰かに助けてもらわなくは日常の生活が出来ないけれど、
いざ、その使用目的での使用においては、卓越した性能を発揮できる特殊用途サイボーグという存在を目の当たりにして、
その不自由さと用途上で使用されている時のパフォーマンスの凄さのギャップに萌えるものをミンメイは感じ、
瞳の姿を自分に重ね合わせて、股間を再び激しく濡らしているのだった。
そして、自分は、絶対にこのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになって、
サイボーグとしての与えられた使用目的でのパフォーマンスを発揮する瞳というサイボーグの側に
いつまでも居たいという強い欲求と自分もこのような姿になりたいという強い欲求がダブルで襲ってきて、
ミンメイは、再度、激しく股間を濡らしてしまうのだった。
ツ:「ミンメイさん、あんまり想像して、いい気持ちに今からなっていたら、身体が持たないですよ。夜は長いんだし・・・。」
森田が、ミンメイに小声でたしなめた。
ミ:「ええ、解っているんですけれど、私の性癖が許してくれないんです。瞳様のことを見るとどうしても濡れちゃうんです。」
ツ:「しょうがないか・・・。ミンメイさんの性癖は特殊だものね。そして、そのお眼鏡に叶う相手が見つかったんだものね。」
ミ:「はい・・・。」
浴槽の中から瞳が声をかけた。
「二人もシャワーを浴びちゃいなよ。シンガポールの噎せ返るほどの熱気を洗い流しましょうよ。」
森田とミンメイは声をそろえて返事をした。
ツ・ミ:『は〜〜い。今行きます。』
森田は、自分も手早くシャワーを浴びて、瞳をバスタブから出してやらないといけないとも思っていた。
ツ:「さあ、ミンメイさん、私たちも手早くシャワーを浴びて、ご主人様と一緒にシャワー室を出ましょう。」
ミ:「つぐみ様、どういう事ですか?」
ツ:「私と一緒に抱き合って入ればいいじゃないですか。」
ミ:「えっ!?」
ミンメイの困惑した表情にも森田は動じずに、自分の着ていたバスローブをハラリと脱いだ。
森田のその肢体は、瞳に負けず劣らずのすばらしいプロポーションであった。
どちらかといえば、現時点では森田の方が、手脚がついている分、瞳以上かもしれなかった。
森田のプロポーションは、幼い美少女顔を持つ森田の顔立ちにはアンバランスなほど、妖艶さを漂わせていて、
完璧なプロポーションであった。その完璧さに、ミンメイは思わず、森田の肢体に視線が釘付けになってしまったのである。
ミンメイは、森田の身体を下から舐め回すように見ていた。
ミンメイ自身もモデルをしていることと、オランダ人の血が入っていることもあり、
プロポーションには、かなり自信があったのだが、瞳と森田の裸体を見た時に、その自信は、
音を立てて崩れて行くのだった。
ミ:「つぐみ様、完璧すぎます。私の自信が・・・。」
ツ:「そんなこと無いよ。私、下半身デブみたいなところがあるから自信がないのよ。」
ミ:「つぐみ様がそんなことを言うとイヤミになります。ところで、その身体・・・。」
ミンメイが森田の身体を舐め回すように見ていた視線が止まった。そして、その目がトロンとした目に変わった。
ツ:「ミンメイさん、どうしたの?」
ミンメイの視線は、森田のへその部分に釘付けになっていた。
ツ:「ミンメイさん、解っちゃった?でも、さすがサイボーグフェチね。
ご主人様のおへそ同様にカモフラージュしてあるのによく気がついたわね。
私の身体は、おへその代わりに私の体内の電子機器と外部機器との接続用のコネクターがついているのよ。
それに、私の皮膚は全てが生体皮膚融合型の人工皮膚よ。それに、骨格も分子置換処置によって強化されているし、
関節には、動作補助用サーボモーターが取り付けられているの。それから、ほら、首筋に、
私の感覚器官とご主人様の感覚器官を共有するためのケーブルコネクターボックスがついているの。」
森田は、ロングの黒髪を両手でかき上げてミンメイにうなじを見せた。
ミンメイが見た森田のうなじには、人工皮膚に四角く切れ目が入っているのが解った。
ミ:「つぐみ様もサイボーグですものね。当然なんですけれど、生体とまったく変わらないから、解らなかった・・・。
けれど、細部を見せてもらえるとサイボーグであることを認識せざるを得ません。
普段の姿が人間とまったく変わらないから、そのギャップが大きすぎて、萌えちゃいます。」
ツ:「私は、サポートスタッフとしては、改造比率が高いのよ。だから、サイボーグ体を見た目には解らないように、
生体と同じようにしておくカモフラージュの工夫がなされているの。改造比率が高い理由は、さっきも言ったとおり、
サポートスタッフとして、世話をしたスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの数が多いので、その都度、
継ぎ足しで再改造手術を受けているために、そのたびに機械部品や電子機器を取り替えたり、
付け加えられたりしているからなの。でも、余計なところまで改造されちゃったから、サイボーグとしての機械化率は、
95%を超えているの。ご主人様とほとんど変わらない機械化率なのよ。だから、私の身体はほとんどが作り物なの。」
ミ:「うわ〜〜っ!やっぱり、私の心が動いただけのことはありました。
つぐみ様も、私の理想のサイボーグ女性の一人でした。お二人に出会えて、私最高に幸せな気分です。
一人は、スーパーヒロインのサイボーグ、もう一人は、幸薄い美人で、しかも、
それを感じさせないほどの完璧な正確と仕事の出来るスーパーヒロインで、その上、
改造手術を受けたスーパーサイボーグという、私の思い描いていた理想の女性が同時に現れて、
私を愛してくださることになるなんて、最高以外の表現は見あたりません。あっ!また、濡れてきちゃった。」
森田が気づくと、ミンメイのバスローブの裾に、股間からたれている愛液が糸を引いているのが見えた。
ツ:「ミンメイさん。さっきから濡れっぱなしじゃないの。心を落ち着かせた方がいいわ。こっちにいらっしゃい。」
森田の指示にミンメイは躊躇していると、森田の方がよってきて、ミンメイのバスローブのひもをほどき、
ミンメイのバスローブを脱がせてしまった。
ツ:「あ〜あっ。こんなに股間をぬらしちゃって。」
森田はミンメイの股間を見るなり、ミンメイの股間に口を近づけて、
ぐちょぐちょになったミンメイの股間を見事な舌さばきで舐めあげていった。
その舌の動きにミンメイは、官能のよがり声を押さえながら、苦しい息づかいで呟く。
ミ:「つぐみ様、感じちゃいます・・・。突然・・・、何をなさるのですか・・・?」
ツ:「だって、ミンメイさんは、タオルで拭いたら、なお感じちゃうだろうし、口で拭いてあげるしか、
ここのお掃除は方法がないでしょ。さあ、お股も綺麗になったことだし、一緒にシャワーを浴びましょ。」
森田はミンメイの手を引いてシャワーブースの中に入った。
ミンメイは、瞳の向き合うような優しさとは違う、大胆でいて、しかも、大きく包み込むような優しさを森田に感じるのだった。
森田はそんなミンメイの心の動きをいっこうに気にかけずに、ミンメイのスレンダーで洗練された肢体を
隈無くバススポンジで洗い上げていた。
ミンメイが気がつくと、森田はミンメイの髪の毛も丁寧に洗ってくれていたのだ。
ビアンのネコで、どMの森田にとっては、当たり前のことなのだが、ミンメイにとっては、自分の性癖はそうであっても、
実際に年季の入った、このようなM女性と接したことの少ないミンメイにとっては、森田の行為は、
自分の母親の愛情にも似た行為として感じてしまうのだった。
ミンメイは、森田を瞳と同格の恋愛対象として捕らえてしまう様になるのは当然の流れなのである。
森田は、ミンメイの身体を洗い上げた後、ミンメイの身体に泡を付けたままで、自分の身体も手早く洗っていった。
そして、ミンメイに森田は自ら抱きついて、二人で一緒にシャワーを浴びてシャンプーの泡を洗い落としたのだった。
さすがにサポートスタッフとしての能力もスーパーF1界でも抜きんでた実力の森田の作業は
手早く手際がよいものであった。
シャワーで二人の身体が完全に綺麗になったことを確認し、素早く、森田はミンメイの身体をバスタオルで拭き、
水滴を全て落としてくれた。
その手際の良さに、ミンメイは、ただ目を丸くするだけだった。森田は、自身の身体の水滴を落としながら、
ツ:「ミンメイさん、ちょっと待っていてね。ご主人様をバスタブから出してあげなくちゃいけないからね。
ご主人様と一緒に髪を乾かしてあげるからね。そのままでいてね。」
ミ:「おねえさんみたいですね。つぐみ様は・・・。お母様なのかもしれません。」
ツ:「ミンメイさん、よしてよ。私はサポートスタッフとして当然のことをしているだけだし、ミンメイさんに接するのも、
私を愛してくれる女性を大事にしたいからなのよ。」
ヒ:「それが、つぐみさんのように包容力がないと出来ないことなんだよね。」
ツ:「ご主人様まで、よしてください。」
バスタブから取り出されてスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー移動用スタンドに移されて身体を
拭かれている瞳も会話に参加してきたのだ。
森田は、照れながら、瞳に専用のパンティーとブラジャーを着けて、その上から、
袋にも似た身体にピッタリ密着するサイボーグボディー保護用ボディースーツを着せていった。
その上で、着替えの終わったミンメイと瞳の髪の毛を丁寧に乾かしセットしていった。
ヒ:「ミンメイちゃん、つぐみさんは、プロの美容師みたいに手際がいいでしょ。」
ミ:「すっごいです。瞳様が、つぐみ様を信頼している理由がわかりました。つぐみ様は何をしても最高です。」
ツ:「そんなの褒め殺しみたいで嫌です。私は、サポートスタッフとして、
体内コンピューターにスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの日常生活をサポートするための
色々なスキルがインプットされているだけだもの。それを、データー通りにこなしているだけなんですから・・・。」
ヒ:「でも、そんなレベルじゃないのがつぐみさんの凄いところなんだよ。」
瞳とミンメイのおだての言葉にはにかみながら、食事の支度をするために森田が小走りにバスルームを
出て行ってしまった。
ツ:「ミンメイさん、ご主人様をリビングに運んでいってください。私は、食事の支度をしてくるから・・・、
ご主人様と飲み物でも飲みながら待っていて。リビングのホームバーにソフトドリンクから、
各種リカーまであるから、一緒に飲んで話していて。今回はほとんどが出前だから、すぐに用意できると思うけれど・・・。
出前といっても、少し加工しないといけないから、ちょっと時間が掛かると思うからね。」
ミ:「つぐみ様、可愛いです〜〜〜っ。」
「そうでしょ。つぐみさんは、可愛いんだよ。でも、しっかりしていて、頼りになるんだ。」
ミ:「瞳様。私がもし、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになれたとしたら、
つぐみ様みたいなサポートスタッフに巡り会えるんでしょうか?」
ヒ:「大丈夫だよ。私たちに付けられるサポートスタッフは、相性を様々な角度で分析して、
検討されたうえで選抜されるから、相性は抜群なスタッフがつくはずだから、
それに、つぐみさんは別格かも知れないけれど、サポートスタッフは、誰もが負けず劣らずのスキルを
持ったようになっているから安心してね。」
ミ:「良かったです。私も、つぐみ様のような素晴らしい、サポートスタッフが付くといいな。」
ヒ:「大丈夫だよ。絶対。」
ミ:「なんか、瞳さまに太鼓判押してもらえると安心しちゃいます。」
ツ:「何を話しているんですか?何か心なしか、ご主人様もミンメイさんも楽しそうだけれど、
何を真剣に話していたんですが・・・。」
ミ:「つぐみ様。内緒です。ねっ!瞳様。」
ヒ:「うんっ。ミンメイちゃんと私の秘密だよ。いくら、つぐみさんでも、言えないよ。」
ツ:「ご主人様とミンメイさんのいじわる〜〜〜っ!そんなこと言うと、ごはんたべさせませんよっ!」
ヒ:「そっ、それは・・・。つぐみさん、仲良くしようね。」
ツ:「そんなすがるような目をしないでください。ご主人様にそんな目をされるのが一番弱いです。
判りました。ミンメイさん、ご主人様を連れて、ダイニングに来てください。」
ミ:「わ〜〜い。ちょっとつぐみ様の機嫌が直った。瞳様、行きますよ。」
ヒ:「は〜〜い。ミンメイちゃん、つぐみさんの手料理も、すっごく、美味しいんだよ。つぐみさんの料理は、
一流レストランのシェフ並みなんだから。」
ツ:「おだててもダメですよ。ご主人様。今回は、レストランからの出前に手を加えただけです。
デザートは用意しておきましたが・・・。」
ヒ:「お世辞じゃないよ〜〜〜だっ。さあ、冷めないうちに食べよう。」
ツ:「まったくっ!ご主人様は現金なんだから。」
休み中に汗を拭いながら書きためたものを集中的に投稿しようと思います。
まずは、ここまでと言うことにします。
それにしても暑い・・・。
家の中にいても、汗が止まらないのですから、外に出たらどうなるのだろう・・・。
それにしても、画像は、やっぱりいいですね。
萌えです・・・。
308 :
250:2007/08/18(土) 00:05:59 ID:5sNUE2FF0
>>308 これって服がそれっぽいデザインなだけで、サイボーグじゃないんじゃない?
見るからにクールな義体なのに、中身は可憐な少女ってどうよ?
312 :
800:2007/08/20(月) 02:22:35 ID:DCQnoh1b0
つまりコスプレ少女ってことですか?
自主制作映画を撮ってるサークルでは良くある風景らしい。
AU倶楽部とか・・・探してみろ〜www
>>313 モデルはいない。なんとなく思いついた。
「顧客が本当に必要だったもの」や「得られたサポート」の表を見てると
絶対にないとは言い切れない
3人の食事は和やかにすすんでいった。
森田の渾身の力作であるメインディッシュが終わり、3人は至福の表情を浮かべながら、
森田のお手製のアイスクリームとコーヒーで団らんを楽しむことになった。。
ハイデン=羹=ミンメイ(以降、ミ):「何か、瞳様の口に食事を運んでいるつぐみ様を見ていると、
究極の奉仕をしているみたいで羨ましいです。つぐみ様に安心して身を委ねている瞳さまの表情って最高ですっ!」
速水瞳(以降、ヒ):「オイオイ・・・、ミンメイちゃん、こんな姿のダルマ女になっちゃうとつぐみさんに
全ての身の回りのことを委ねることが当たり前になっちゃっているし、そうしなかったら、
生きるための最低限のことだってなんにも出来ないから、そんな実感ないし・・・、スーパーF1の世界では、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとサポートスタッフの関係として、当たり前のことなんだよね。
ねっ、つぐみさん。」
森田つぐみ(以降、ツ):「はい。この関係は、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの日常生活として
当たり前のことなんです。だから、紋切り型に言ってしまうと、サポートスタッフの私にとっては、
業務の一環みたいなものなんです。」
ヒ:「でも、つぐみさんだって、もしも、担当するスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが、
好きでもない人だったら、こんなに全身全霊を傾けられないよね。」
ツ:「まあ、世間一般にはそうなんですけれど、サイボーグ体に改造されたサポートスタッフである私たちは、
ご主人様たちスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの専属として、例えば、私だったら、
ご主人様のような担当のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに対して、
嫌いという感覚を持てないように補助コンピューターで感情コントロールを受けていますから、
好きになることや、恋人になることはあっても、嫌いとかいう感覚を持つ関係には絶対なることはないんです。
それが、サイボーグサポートスタッフになった時からの運命なんです。」
ミ:「そういうものなんですか・・・。でも、つぐみ様のようなサポートスタッフが、もし、私が、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになった時にも、ついてくれないかなぁ。瞳さまが羨ましいです。」
ヒ:「ミンメイちゃんだって、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになれば、
きっとミンメイちゃんに合っている最高のサポートスタッフがついてくれるよ。
でも、惚気るわけじゃないけれど、つぐみさんほどのサポートスタッフは、
スーパーF1界を見渡しても、誰もいないことは、私が保証しちゃうんだ。」
ツ:「ご主人様っ・・・・。恥ずかしいからやめてください・・・。私は、ポンコツなんですよ。
カンダが拾ってくれて、しかも、ご主人様が拾ってくれなかったら、私、
今頃どこかの精神病院の病室の中だったかも・・・。」
ヒ:「つぐみさん、その話は・・・。」
ミ:「瞳様、つぐみ様のその辺の事情は、ほんのさわりですが伺っています。」
ヒ:「えっ!」
ツ:「ご主人様が別の世界で楽しんでいられる間に、ミンメイさんにはお話ししてあります。」
ミ:「はい、つぐみ様が、瞳様に仕える前に、二人のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに仕えていたことも、
スーパーF1界の不幸な事件の犠牲になったことも聞いています。だから、瞳様であって、つぐみ様であるんです。
スーパーヒロインで明るくて強い瞳様も大好きだし、影があるけれど明るくて何でも仕事をこなしてしまう、
それでいて女らしいつぐみ様も大好き。」
ヒ:「そんなに私は、長い間、別の世界に逝っちゃったんだ・・・。なんか複雑だな・・・。」
ツ:「いいじゃないですかご主人様。ねっ、ミンメイさん。」
ミ:「はいっ!」
ヒ:「いつの間に、二人は仲良くなっちゃんですかね〜〜〜っだっ!」
ツ:「ご主人様、拗ねないでくださいね。」
ミ:「そうですよ。瞳様。」
ヒ:「はいはい・・・。ところで、さっき、つぐみさんのおへその外部機器接続コネクターやうなじに隠れていたコネクターを
見て濡れていたみたいなんだけれど・・・。ミンメイちゃん、どういうことなの?」
ツ:「ミンメイさん、思い切って、今、コクッちゃいましょう。」
ミ:「いっ、今ですか?つぐみ様・・・。」
ツ:「そうです。今です。」
ミ:「そっ、それじゃ、思いきって、告っちやいます。瞳様、聴いても気持ち悪いって思わないって約束してくださいますか?」
ヒ:「うん。いいよ。ミンメイちゃんが勇気を出して告白することだから、私も真剣に受け止める。約束する。」
ミ:「よかった。瞳さまにそのように約束していただいて、告白する勇気が湧きました。」
ツ:「ミンメイさん、大丈夫ですよ。ご主人様は、絶対にミンメイさんの告白を聞いて引いたりすることはないです。
逆に、ミンメイさんのことをもっと好きになりますよ。」
ミ:「本当ですか・・・?でも、つぐみ様にも、補償されたんだから、もっと安心です。」
ヒ:「ミンメイちゃん。だから気楽に話して。」
ミ:「はい。私、実は、ある目的があって瞳さまに愛してもらおうと近づいたんです。」
ヒ:「ある目的?スパイ映画の暗殺者みたいっ!」
ツ:「ご主人様っ!話を茶化さないでくださいね。」
ヒ:「はい・・・。」
ミ:「目的といっても、大したことじゃないんですが、私、小さいときから、人間を愛することが出来なかったんです。」
ヒ:「ちょ、ちょっと待ってよミンメイちゃん。あなたの性癖は、ビアンで普通の彼氏を愛せないんじゃないの?」
ミ:「はい。瞳さまのおっしゃるとおり、ビアンの性癖もありますし、極度のMの性癖もありますから、
ノーマルで普通の彼氏は眼中にないのですが・・・。」
ツ:「ご主人様、ミンメイさんの性癖は、更に複雑なんです。」
ミ:「はい、つぐみ様には見破られちゃったんですが、私の性癖はかなり特殊で、
その関係もあって普通の男性には興味が全くないんです。
さらに、人間という範疇に入る人にはまったく興味がないんです。」
ヒ:「それじゃ、どういう人が好きなの?」
ミ:「はい。私、小さいときから男勝りの性格があって・・・。」
ヒ:「それは、ミンメイちゃん、私も同じだけれど、少しお転婆なところが小さいときからないと男の子勝りで、
小さいときにレースなんてでられないし、レーサーを目指そうなんて思わないよ。」
ミ:「そうですね。だから、小さいときから、男の子の見る変身ヒーローものばかり見てきたんです。
しかも、ファンになるのが番組の中の主人公の格好いいヒーローじゃなくて、
その番組の中で活躍する女性のヒロインなんです。しかも、その憧れのヒロインは、
生身の人間ではなくて、サイボーグという機械と人間の共生体になった女性なんです。
機械で動く身体に戸惑いを覚えたり、普通の人間に戻れないことや生まれながらの身体を
捨ててしまったことに対する悲しみを乗り越えて、健気に生きていき、正義の味方として活躍し、
悪に対して勇敢に立ち向かい、端からは機械人間と言われようとアンドロイドと言われようと、
人間のために、自分の悲しみや、普通の人とは違ってしまったことに対する違和感を乗り越えて、
力強く闘う女性に対して、もの凄い憧れを持ってしまうようになったんです。そして、その憧れが、
いつの間にか愛を注ぐ対象になってしまったんです。さらに、テレビでそのヒロインを見ると欲情して、
あそこが濡れてしまうようになったんです。」
ヒ:「複雑な性癖だ・・・。」
ミ:「そのうちに私は、強いサイボーグのヒロインにだけしか恋愛感情を持つことが出来なくなってしまったんです。
強さと影の部分を持っている最強のヒロイン、しかも、身体を機械部品や電子機器で置き換えられることにより、
その無限の強さを持つことができたサイボーグという名の新人類のヒロインにしか感じないんです。
そして、そんな女性と愛し合いたいと思っているうちに、普通の人間に対する恋愛感情が全くなくなってしまったんです。
そして、理想のサイボーグ女性に愛してもらうことにだけ執着するようになってしまったんです。
さらに、自分も将来サイボーグになって、サイボーグ女性同士で愛し合えたら最高だなって思うようになっちゃったんです。
だから、最強のサイボーグ女性にお仕えしたいのです。」
ヒ:「サイボーグになりたい願望もあるんだ・・・。そして、サイボーグの女性に愛してもらいたいわけなんだね。」
ミ:「はい、瞳さま。それも、最強の女性サイボーグに愛してもらいたいんです。
そして、僕として可愛がってもらいたいんです。」
ヒ:「でも、何で私とつぐみさんなの?私たちよりも強いサイボーグ女性はいるじゃない。
軍事用サイボーグの人とか、宇宙開発用のサイボーグの人とか。」
ミ:「正直に言います。軍事サイボーグに改造された女性士官の人とも関係を持ったことがあるんです。
特殊部隊のサイボーグ兵士とか、サイボーグ手術を受けた諜報部員の女性とか、瞳さまたち、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのように四肢を切断され、戦闘機の制御システムとなった
特殊戦闘機制御システム専用サイボーグパイロットの女性空軍士官とか・・・、でも、ダメなんです。
彼女たちは、身体は強化された兵器や制御ユニットかもしれないのですが、
上からの命令によって動かなくてはいけない軍の兵士なのです。だから、サイボーグとはいえ、
私の頭の中ではアンドロイドのように命令通りに動く存在に近いものでしかないんです。」
ヒ:「そうなんだ。それじゃ、宇宙作業用サイボーグも・・・。」
ミ:「はい、瞳さまのご想像の通りで、宇宙空間で作業するための特殊用途に作りかえられているので、
サイボーグとしての能力を発揮するのには、宇宙センターからの指示で動くので、
サイボーグヒロインのように自らの責任と判断で生きていくサイボーグではない部分が多いので、
私の守備範囲外なんです。もちろん、サイボーグ女性で、意に反して改造されたり、
命令で人間が生きていくことの出来ない場所や人間が活動できない場所で活動することを
条件付けるため改造手術を受けたり、事故や病気で人工器官に置き換えられたりした身体を
持つと言うようなスーパーサイボーグの人たちは萌えの対象なんですけれど・・・。
だから、そんなサイボーグの人たちの話を聞いてあそこを濡らしたり、自慰の対象にすることはあるのですが、
恋愛対象ではないんです。」
C
ヒ:「ますます複雑なんだね。瞳おねえさんには解らないな。」
ツ:「ご主人様、何がおねえさまですか。ブリッコしちゃダメです。」
ヒ:「エヘッ、ヘッ・・・。」
ツ:「ご主人様、笑って誤魔化してませんか?」
ヒ:「ちょっと・・・。」
ツ:「ご主人様は、自分の理解の範囲を超えたり、都合が悪くなっちゃうと笑って誤魔化すんだから・・・。」
ミ:「やっぱり、瞳様でも、理解の範囲を超えちゃいますよね。」
ヒ:「ミンメイちゃん。そんなこと無いんだけれど、少し戸惑っちゃって・・・。
世の中には色んなフェチを持つ人がいると聞いていたけれど、まさか、
ミンメイちゃんみたいなフェチを持つ娘がいたとは・・・。」
ミ:「瞳様が驚かれるのは理解できます。だって、私のフェチの対象って、かなり濃いんだと思うんです。
でも、7ちゃんねるのフェチスレには、私のような人が集まるスレがあるんですよ。
その中では、瞳様は人気のスーパーサイボーグ美女なんです。このスレの人たちは、瞳さまが、
手脚のない今のタイプのサイボーグになったことで、最高の人気を誇っているんです。
瞳さまに手脚がついたら、きっと、ここの住人の人気は暴落するでしょうね。」
ヒ:「複雑だよ〜〜〜ッ!ファンの心理が解らなくなってきた・・・。」
ツ:「そうですね・・・。」
ミ:「ちなみに、つぐみ様の人気は、評価が分かれるところなんです。悲劇を引きずっていて女々しいという評価と
悲劇の中心にいながら、それを健気に耐えている理想のヒロインだと言うものなんです。
それに、瞳様の陰に隠れてコソコソしながら生きているのが陰気とか、
瞳さまの庇護がないと生きていけない弱いところが好きとか・・・。」
ツ:「・・・、ご主人様、私も解らなくなってきました。」
ミ:「でも、今日、実際につぐみ様にお会いして、心が強くて、あれほどの事件の渦中で
心を壊しそうになりながらも懸命に生き抜いて、今は、瞳さまの無くてはならない重要なパートナーとして、
自分の持つ過去と向き合った上で、その運命に懸命にあがないながら、
強い意志で生きているスーパーヒロインのサイボーグだと言うことが解って、
瞳さま同様に、私の恋愛対象になりました。瞳さま同様に、私が恋愛対象にしたいサイボーグのお一人です。
私の中では最高評価なんです。」
ツ:「・・・、ご主人様、私・・・、ミンメイさんのこと理解したように思っていたんですが、やっぱり解りません・・・。
こんな機械に乗っ取られたような身体になってしまった人間のどこがいいのか・・・。」
ヒ:「つぐみさん、私もだよ・・・。何で、こんなダルマの機械人形がいいのか・・・?」
ミ:「スーパーヒロインなのに、手脚が無くて、自分では普通に生活することはままならないのに、
スーパーF1マシンに取り付けられて、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとして機能しているときは、
まさに自分の意志で凄いことをやってのけるところのギャップが堪らないんです。瞳様、最高ッ!!」
ヒ:「なんか、特殊なフェチの娘の考えることは・・・。ミンメイちゃんなんか、そのアンニュイな要望から来る美しさは、
まさに東洋美と言われて、欧米のタチの娘に引っ張りだこのはずなんだけれどね。」
ツ:「そうですよね。本人が生身の人間に興味がないんじゃ・・・。ところで、ミンメイさん、
そう言ったサイトで人気の娘って、最近はご主人様の他にどんな人が話題に上るんでしょうか?」
ミ:「そうですね。今、お話ししたとおり、つぐみ様の話題でしょ。それから、スーパーF1界だと、
リネカー選手や鈴木選手、マルロー選手、それから・・・、サポートスタッフだと、シュタイフさんとか・・・、
それから、軍関係のパイロットとか、宇宙飛行士が話題になっています。
事故などで義体化処置を受け入れた女の子も話題に上っています。
最近はそんな女の子のブログもあるくらいなんですよ。今日、身体のどこの部品を取り替えたとか、
加齢処置を受けたなんて言う記事に萌えちゃうんです。それから、ウルトラフットボールの選手だとダントツの人気は、
横浜レッドシューズの美剣勇気選手かな。」
ヒ:「みんな凄い人ばっかじゃない。」
ミ:「でも、私は、終始一貫して瞳様とつぐみ様ねらいだったんです。」
ヒ:「マリアなんかに興味ないの?」
ミ:「リネカー選手のタイプはちょっと・・・。それに、スーパーF1界では、瞳さまが最強の選手だし、
サポートスタッフでは、つぐみさまが伝説と言われるくらいの凄い人だから、
他のスーパーF1界の人には興味が湧かないんです。」
ツ:「レッドシューズの美剣勇気選手も最強じゃないですか?」
ミ:「そうなんですが、私は、メカフェチでもあるので、マシンと一体になって活躍できるという
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの方が、ポイントとしては断然高いんです。」
C 乙です
ツ:「でも、私は違うわよ。」
ミ:「つぐみ様は、その機械の一部として生きるサイボーグをお世話するユニットという点で、
私の中のポイントが瞳様に並んで高いんです。」
ツ:「ミンメイさん、複雑すぎて、私の頭の中が混乱しちゃっているんですが・・・。」
ミ:「そんな、つぐみ様の人間くささを感じるところなんか、サイボーグフェチの間で人気が高いところなんです。」
ヒ:「ミンメイちゃん、その他で話題になっているサイボーグは?」
ミ:「スレの中で最近、話題に上がる機会が増え出したのは、何と言っても、タレントの百合野希望ちゃんですね。」
ツ:「えっ、どうして・・・?ミンメイさん、彼女はサイボーグじゃないじゃないですか?」
ヒ:「つぐみさん、違うんだよ。彼女はサイボーグなんだよ。それも、身体でいじられていないところがないほどの
完全なサイボーグなんだけれど、それは、【Cタレントプロジェクト】の関係者の中でもごく一部しか知らない話なんだ・・・。
だから、彼女がサイボーグであると言うことは、ファンはもちろん、マスコミにも、
業界にも極秘にされているはずなんだけれど・・・。ミンメイちゃんはどうして・・・??」
ミ:「百合野希望ちゃんが、サイボーグであると言うことは、サイボーグスレのコアな住人が
作っている秘密サイトの中では、周知の事実なんです。公然の秘密って言うヤツなんです。
ことがことなので、表スレでは、彼女の話題はたまに、サイボーグじゃないかって疑惑の投稿が載るくらいで、
スレのコアな住人によって、否定されて下火になるんですが、コアな住人のオフ会のような秘密サイトでは、
彼女がサイボーグであると言うことは既定の事実として語られているんです。彼女がサイボーグであることで、
秘密サイト上では人気が高いアイドルなんですよ。」
ヒ:「でも、どうして解っちゃうんだろう?」
ミ:「それは、瞳様、私たちサイボーグフェチが見れば、彼女が普通の人間ではないと言うことぐらい、
簡単に解っちゃうんですよ。」
ヒ:「サイボーグフェチ、恐るべし・・・。」
ミ:「希望ちゃんは、サイボーグエージェントなんですよね。防衛省もスポンサーになったプロジェクトのために選ばれて、
改造されたサイボーグなんですよね。エージェントタイプのサイボーグとしては、最高傑作で、
最高の性能を誇るサイボーグなんですよね。」
ヒ:「その通りなんだけれど・・・。どうして・・・。」
ミ:「瞳様、私たちフェチの情報網を舐めてはいけないですよ。瞳様の詳しいプロフィールだって、
入手しようと思えば簡単なんです。つぐみ様が二人もスーパーF1マシン専用サイボーグドライバを
殺したことだって誰を殺したのかも・・・。」
ヒ:「あっ、あっ、あのね〜〜、それは・・・。」
ツ:「ご主人様、いいんですよ。事実なんですから・・・。私は、その十字架を背負って生きていく運命なんですから・・・。
ミンメイさんには、私からお話ししていますし・・・。でも、その情報網は凄いんですね、ミンメイさん。」
ミ:「はい。サイボーグフェチたちの情報網は凄いです。本来は、国家機密に属する存在のスーパーサイボーグを
愛してやまない人たちなので、国家機密や、国際自動車連盟、軍の機密データーにアクセスして情報を
仕入れることぐらいお手の物なんです。だけれど、表の掲示板のスレでは、そんなことをカキコできないですから、
裏の仲間だけの掲示板まで持っているんです。そこのカキコは、国家機密の漏洩で、国家が簡単にふたつみっつは、
吹っ飛ぶようなことが平気で流されています。だから、コアメンバーだけが厳選されて入場を
許されている秘密サイトとして存在しているんです。投稿者は、国家騒乱罪で逮捕されたって仕方ないような情報を
流しているんですからね。」
ヒ:「確かに・・・。でも、希望ちゃんのことは、どこまで知っているの?」
ミ:「かなりの部分だと思いますが・・・。」
ツ:「そう言えば、ご主人様が芸能活動をされていたときの事務所と百合野希望さんは、同じ事務所でしたよね。」
ヒ:「つぐみさん、そうなんだよ。アキ・プロモーションの後輩にあたる娘なんだ。」
ツ:「それでは、ご主人様は、希望さんの秘密を全てご存じなんですね。」
ヒ:「うん、亜稀社長と本人から聞いている限りのことだけれどね。」
ツ:「亜稀社長って、あのお綺麗な方ですよね。」
ヒ:「うん。」
ミ:「綺麗だけれど、野心家だって評判ですよね。世界的にも、モデル界のなかでは、やり手の社長で通っていますよね。
特に、トップモデルとしての瞳様を育てた手腕で有名ですよね。」
ヒ:「ミンメイちゃん、私は、そんな大物じゃないよ。でも、私がレーサーになるきっかけは、
亜稀社長と恵美さんが大学からの親友だったことで、私のカンダのレースクイーンの仕事を亜稀社長が
取ってきたのがきっかけなんだよね。亜稀社長の秘蔵っ子と言うことで、恵美さんが、
私がマシンに興味があると言ったら、ふざけ半分で乗せてくれて、サーキットを走ってみろっていわれて、
実際に走ったら、恵美さんが本気になっちゃったんだ。本当に人の運命なんて分からないよね。その時、
こんな小娘が、8年後には、スーパーF1マシンのレーサーだもんね。」
ミ:「それは、瞳様の才能が素晴らしかったからですよ。そうじゃなかったら、
“プリンセスヒトミ”伝説なんて作られていません。」
ヒ:「ミンメイちゃん、大袈裟だよ。私は、そんな伝説なんて・・・。アイルトンやミヒャエルに笑われちゃうよ。」
ミ:「いいえ、セナもシューマッハもアロンソもハミルトンも笑いなんかしませんよ。
瞳様は、彼らの伝説を越えています。だって、F1シーズン完全制覇は瞳様だけですよ。
それに、今シーズンは、スーパーF1でもうすでに8勝ですもの。今までのスーパーF1史上ブッチギリの
最多勝ですものね。だから、私は、サイボーグになった瞳様のお近くにいたいのです。
強くて優しいサイボーグの女性から愛されたいんです。」
ヒ:「・・・。最強のサイボーグ女性か・・・。ミンメイちゃん徹底しているね。」
ミ:「はい。」
ヒ:「でも、亜稀社長には悪いことしちゃったんだよ。私の我が儘で、芸能界をほっぽり出しちゃったんだからね。
でも、亜稀社長は、行ってらっしゃいと言って、笑顔で送り出してくれたんだ。」
ミ:「その、社長が防衛省や企業を巻き込んで仕掛けたのが、【Cタレントプロジェクト】ですよね。」
ヒ:「防衛省が絡んでいることまでサイボーグフェチは知っているんだ。」
ミ:「瞳様、当然です。」
ヒ:「それじゃ、希望ちゃんの身体の構造までも知っているんだ。」
ミ:「もちろんです。」
ツ:「ご主人様、身体の構造って?」
ミ:「うん、彼女、諜報活動をするために開発されたサイボーグなんです。」
ツ:「えっ!?!」
ヒ:「そうなんだよ。永遠に美しさを保つ理想の女性として、世界的な知名度のタレントを作る計画が、
【Cタレントプロジェクト】なの。しかも、ミンメイちゃんがいうとおり、そのスポンサーに防衛省が入っているというのは、
希望ちゃんの身体は、特殊諜報員タイプのサイボーグなんだ。だから、タレント活動と共に、
いろんな諜報活動も展開するケースもあることを条件に、防衛省特殊兵士研究所が
全面的にバックアップしているというわけ。だから、彼女はあの可愛い顔で、政府要人を性的に籠絡したり、
身体に隠された武器で暗殺をすることができたり、サイボーグとしての卓越した運動性能で
どんなところへも忍び込んで重要機密を盗み出したり、体内のハードウエアに重要データーを
転送するなんてこともできるんだよ。」
ツ:「実際に、諜報活動もしているんですか?」
ヒ:「それは、していないみたいだよ。かなりハードな訓練は日常的に受けているみたいだけれどね。
もしも、有名タレントの地位を利用した諜報活動が必要な時には、【Cタレントプロジェクト】の被験者は
協力するという条件で、彼女にサイボーグ改造手術を施したらしいからね。」
ツ:「そうだったんですか・・・。」
ヒ:「うん。亜稀社長の彼氏で、『リンデンバーム』のマスターは、実は、防衛省特殊兵士研究所の特別主任研究員で、
希望ちゃんに使用されているサイボーグボディーの研究をしていた人なんだよ。
人を実験動物としか見られなくなってしまった自分に嫌気がさして、喫茶店のマスターになった変わり者なんだよ。」
ツ:「あのマスターが、そんなすごい人だとは気がつきませんでした。」
ヒ:「その話を聞いた亜稀社長が、野心に目覚めて、防衛省や防衛省に関係しているメーカーに声をかけて、
理想の女の子をさらに理想的な姿にして、売り出そうとしたのがきっかけなんだ。
防衛省が亜稀社長の野望にまんまと乗っちゃって、もしもの時に使用することを条件に、
希望ちゃんをサイボーグにしちゃったわけ。」
ミ:「私たちの情報だと、百合野希望さんは、ほんの数回ですが、諜報活動の任務に就いているようです。
その内容までは解らないのですが・・・。」
ツ:「さすがにミンメイさんたちの情報は速い。」
ヒ:「本当だよね。でも、彼女、悩んでいた時期があって、マスターと亜稀社長に頼まれて励ましていた時期があったんだ。」
ツ:「ご主人様、そうだったんですか。」
ヒ:「うん。お世話になった事務所の可愛い後輩だからね。」
ミ:「実は、希望さんのサイボーグとしての特殊性と影の部分に惹かれて近づいたことがあるんです。」
ヒ:「ミンメイちゃんは、恋人にしたくてと言うことだよね。」
ミ:「はい。でも、ダメだったんです。」
ヒ:「どうして?希望ちゃんも最強のサイボーグ女性だし、好い娘だし、バイの気があるから、
ミンメイちゃんの気持ちを受け入れてくれると思うし、ミンメイちゃんもストライクなんじゃないの?」
ミ:「瞳様、私も絶対にストライクだと信じて、今日のように彼女に近づいて、アウティングしたんですが、
彼女じゃダメなことが解ったんです。彼女自身も、彼女のサイボーグとなった肉体も併せて、
全てを愛してくれる女性が出現したことを悦んでくれたんですが、関係が成立しなかったんです。」
ヒ:「どうして?」
ツ:「ミンメイさん、私、その理由、わかりました。」
ミ:「つぐみ様はさすがです。ビアンの年季が違いますものね。」
ヒ:「つぐみさん、ずるいよ〜〜っ!一人だけわかるなんて〜〜っ!」
ツ:「ご主人様、好〜〜く考えてみてください。すぐにわかるはずですが。」
ヒ:「・・・。わかんない、降参するから教えてよ。」
ミ:「瞳様、諦めるの早っ!」
ツ:「ミンメイさん、ご主人様は、レースでのあの信じられないほどしつこい執着心からは考えられないほど
あっさり諦めることがあるんです。しつこい時は、蛇の妖怪のようにしつこいんですけれどね。」
ヒ:「つっ、つぐみさん、余計なことを言わないように・・・。私のどこが妖怪なの?」
ツ:「全部です。」
ヒ:「最近、マリアと、底意地の悪さはいい勝負になってきていない?」
ツ:「ご主人様、ひどいです。わっ、私のどこがマリアさん並みなんですか?具体例を挙げて説明してください。」
ミ:「お二人とも、喧嘩しないでください。」
ヒ・ツ:『ごめん。』
ミ:「まったくっ!瞳様とつぐみ様の仲の良さは聞いていましたが、仲が好すぎて喧嘩するのはよくないです。
でも、お二人の喧嘩は、本当に可愛いんですね。ますます、お二人が好きになっちゃいました。
喧嘩しながら目が二人とも笑っているんですもの。喧嘩じゃないですよねこれじゃ、
じゃれているとしか言いようがないです。こんな可愛いサイボーグで、しかもお二人とも、
スーパーヒロインなんだから、サイボーグフェチに人気があるはずですよね。でも、実はお二人とも、
敷居が高い人たちなんですよね。あまりにも、高嶺の花過ぎて、サイボーグフェチ達は、
なかなか近づけないって嘆いているんですよ。」
ヒ:「そんなことないよ。」
ツ:「そうですよ。私とご主人様は、近づけない存在じゃないんですから。」
ミ:「だって、サイボーグフェチにとって、普通のファンが取り巻く中にはいるなんて・・・。至難のことなんですから・・・。」
ツ:「そうか、ご主人様みたいに人垣が沢山できるとコアな趣味を持つ人は逆に近づけないのか・・・。」
ミ:「そうなんです。」
ヒ:「それはつぐみさんも一緒じゃないの。私よりもファンが囲んでいる時があるじゃない。」
ツ:「サポートスタッフとしての仕事ができないから、迷惑だと思っている時もあるんですが・・・。
本来、サポートスタッフは、裏方なので、人気があっちゃいけないのに・・・。恥ずかしいです・・・。
どうして、私のようなものが人様に存在が知れてしまっているのかが不思議です。」
ミ:「つぐみ様の美貌ですもの。ファンはたくさんいます。それを嫌がっていてはいけませんよ。」
ツ:「でも、私は、ご主人様のお世話役で裏方ですよ。そんな人間のファンになる人なんて・・・、
どこか世間が間違っている・・・。」
ミ:「つぐみ様、そんなこと無いんですよ。それに、その謙虚さが堪らないというファンが多いんです。
特に、日本女性の鏡と言って、ヨーロッパ人のファンが多いんです。」
ツ:「はあ・・・。ファンというか、ミンメイさんの言っているのは、フェチの世界ですよね。」
ミ:「そんなこと無いですよ。つぐみ様とシュタイフさんには、瞳様やリネカー選手並みにアイドル的な人気があるんです。
特に、つぐみ様の容姿だと、自分の妹にしたいという声があるんです。」
ツ:「だって、私は、ご主人様よりも、こう見えても年が上なんですよ。」
ミ:「私も含めて、ファンなら誰でも知っています。でも、アイドルというのは、偶像ですから、年は関係ないんです。
つぐみ様は、永遠の妹なんですよ。ファンにとっては。」
ツ:「私は、アイドルじゃないっ!」
ヒ:「そう思っているのは、つぐみさんだけかもよ。だって、各グランプリのパドックは、
どう考えても私狙いじゃなくて、つぐみさん狙いのファンも多いもの。」
ツ:「・・・。そんな・・・。男性からもそういう目で見られているなんて思うと・・・、素直に喜べるものじゃありません・・・。」
ヒ:「つぐみさんの性癖からするとそうだよね。ところで、つぐみさん、希望ちゃんでは、
ミンメイちゃんがダメだった理由を教えてよ。」
ツ:「せっ、精神的ショックが・・・。何で私のようなものを好きになる人がいるんでしょう・・・。
だから、男なんて訳の分からない生き物は嫌いだっ!脂ぎっているし、ニヤニヤ笑っているし、
不気味な生物がこの世から消えてしまえばいいんだっ!」
ミ:「瞳様、つぐみ様が壊れちゃいましたよ。」
ヒ:「ビアンの、それもセパレーティングの彼女にとって、男の子に追いかけられると言うのも苦痛なことだからね。
自分がアイドルのように扱われたとき、男が握手を求めてくることや身体を触られることが、
つぐみさんにとっては精神的に苦痛なことなんだよ。今でも、我慢して、私のためにファンと対応してくれていたのに、
その約半分は、つぐみさん自身を狙っていたなんて知ってしまったから、ちょっと精神的に整理がつかないだけだよ。
すぐに心の整理がつくから・・・、そうすれば、元に戻るはずだよ。」
ミ:「瞳様は、冷静なんですね。」
ヒ:「うん。つぐみさんのこの位のパニックは意外と多くあるからね。」
ミ:「つぐみ様がですか?」
ヒ:「うん。しっかりしているように見えて、自分の持っている世界の常識の範囲を超える事態には、
軽くパニックを起こして、心を空にしてしまってから、受け入れるタイプなんだよ。」
ミ:「なるほど。でも、意外です。つぐみ様とシュタイフさんは、沈着冷静で、どんなことも瞬時に
判断してしまうタイプだと思っていましたし、今日の瞳様への対応を見ていても最高の
サポートスタッフだと思っていたのですが・・・。」
ヒ:「つぐみさんは、最高のサポートスタッフだよ。でも、時と場合によっては、こうなることもあるんだよ。
アンネだって、結構、マリアの前では、ヒステリックだったり、マリアの浮気を嫉妬して拗ねたり・・・。
ウルトラAランクのサポートスタッフと言っても、普通の女の子なんだよね。」
ミ:「でも、つぐみ様も、シュタイフさんもそんな女の子らしい一面があるから、いつも可愛い女性でいられるんでしょうね。」
ヒ:「ミンメイちゃん、そうだと思うよ。だから、私は、つぐみさんにサポートスタッフ以上の
感情を持つことができるんだよ。だから、バイになってしまった・・・。」
ミ:「そうかもしれませんね。つぐみさまが瞳様を開花させたと言うことは、
ビアンの速水瞳ファンの間では有名なことで、ノンケだったら、ノーチャンスだったけれど、
バイに瞳様がなったことで、チャンスが広がったって言って、つぐみ様に感謝しているビアンは多いんです。」
ヒ:「・・・。それも頭が痛い・・・。最近、女の子のファンがパドックで多くなったのはそう言うことだったのか・・・。それに、レースクィーンの女の子から言い寄られる機会が多くなったのもそう言うことだったんだね。」
ミ:「たぶん、そうだと思います。だって、その恩恵に瞳様はしっかりあずかっているじゃありませんか?」
ヒ:「どっ、どういうこと?」
ミ:「だって、河田紫乃さんと木村明日美ちゃんを自分のものにしたじゃないですか。」
ヒ:「どっ、どうしてそれを・・・。それも、サイボーグスレで話題になっているの?」
ミ:「私の場合は、スレで話題になる前に、本人たちから直接聞いています。紫乃さんには、
私、可愛がってもらっていますし、明日美ちゃんとも仲が良いんです。」
ヒ:「そうだよね・・・。そういえば、ミンメイちゃんも業界人だもんね・・・。当然、紫乃ちゃんや明日美ちゃんとも
関係を持っているもんね・・・。」
瞳の言葉に、ミンメイは静かに大きく頷いた。
モデル業界は、女性が多い社会なので、ビアンが多く、完全な恋愛関係にいかなくても、
一夜を軽く共にすることは、気に入った娘同士の関係では当たり前のことであった。
男女の一夜のお遊びの相手が、♀♀になっただけのことなのである。
瞳も、業界にいたから、そのようなことが当たり前に行われていることは知っていたし、
瞳もその当時はノーマルだったとはいえ、普通の女友達よりも濃い関係を持つ女性がいたことも確かであった。
食事をしたり、軽く抱き合ったり、手を繋いで歩くぐらいのことは当然のように行われていたし、瞳も、
そのような行為をしていたことも事実である。
百合野希望にしても、姉のように慕われているといっても、
普通の姉妹以上の関係であると言われても仕方ない行為をしていることも事実なのであった。
ヒ:「・・・。モデル業界の人間関係恐るべし・・・。」
ミ:「まあ、そう言うことです。でも、つぐみ様、大丈夫なんですか?」
ヒ:「もう復活すると思うよ。」
ミ:「でも、つぐみ様の意外な一面を見た気がします。」
ヒ:「つぐみさん、さっきの話なんだけれど、教えてくれないの?」
瞳が、森田に優しく、耳許で囁いた。森田はちょっと驚いたように身体を震わせ、我に返った。
ツ:「わっ、私、どうしたんでしょう。」
ミ:「本当だ。つぐみさまが治った。さすがに、瞳様です。つぐみ様を治すコツを掴んでいるんですね。」
ツ:「何か、ちょっと記憶に空白が・・・。また止まってしまったんでしょうか?」
ヒ:「つぐみさん、そうみたいだよ。男の子の追っ掛けの話のところで。」
ツ:「うっ、汚らわしいっ!私は男の子を心から汚らわしいと思っているのに向こうがついてきてしまうのです。
本当に困ったことです。それを考えていたら機能が停止してしまったようです。でも、サイボーグって不便ですよね。」
ミ:「つぐみ様、何がですか?」
ツ:「心から忘れてしまいたいことでも、体内のサポートコンピューターが記憶領域を勝手に整理して、
データーベースに残してしまうのですから。おのこに手を触られた記憶など忘れてしまいたいのに・・・。
それに、やっと機能停止できて、楽になれたのですから、そのまま放っておいてくれればいいのに、
すぐに精神状態を調整して、意識を戻してしまうんだから嫌になります。」
ヒ:「つぐみさんに長時間の機能停止をされたら、私が困りますッ!」
ツ:「ゴホッ!ゴホッ!私は何もご主人様に迷惑をかけようなどと・・・。そっ、そうだ。さっきの答えでしたね・・・。」
ミ:「必死に話題を変えようとするつぐみ様、想像以上に可愛いです。」
ヒ:「ミンメイちゃん、目が潤んでいるよ。ところで、何で、希望ちゃんはダメだったのか教えてよ。」
ツ:「ご主人様、本当に解らないんですか?」
ヒ:「うん。」
ツ:「解りました。ご主人様のために解説します。つまり、希望さんは、バイなのですが、ビアンとしては、完璧なネコ。
ミンメイさんもピュアなネコだからなんですよね。希望さんは、ひょっとしてバリネコなんじゃ・・・。」
ミ:「つぐみ様、その通りです。つまり、二人とも、同嗜好だからダメなんです。でも、希望ちゃん、
バリネコと言われるのは可哀想です。彼女怒りますよ。」
ツ:「そうか・・・。彼女の名誉のために、バリネコは撤回しましょう。」
ヒ:「何をいっているのか解らないよ〜〜〜〜ッ!それに、ネコでMなのに、つぐみさんは大丈夫なの?」
ミ:「つぐみ様は、基本的にはピュアなネコなんですが、サポートスタッフという職業柄とビアンの経験が長いので、
リバにもなることが出来るんです。つまり、限りなくネコに近いリバネコと言うことでしょうか?
それに、Sの感情も持っていらっしゃるというか、理解できて実行できるから、私の愛を瞳様同様に
受け入れて下されるのです。」
ツ:「それに、ご主人様の感覚器官の代替器官としての機能にもなっているものですから、
Sの感情やタチの感情も把握できますし、汚らわしいですが、男の子に対しての愛情表現も出来るのです。」
ヒ:「つぐみさんとミンメイちゃんの言っている用語が解らん。それに、フランツを愛していた頃は、
つぐみさんだってノーマルの感情があったんじゃないの?」
ツ:「フランツをそこら辺に彷徨いているギトギトした男と一緒にしないでくださいっ!
フランツは高潔で気高い方なんです。いくらご主人様でも、その発言は許しませんからね。
それに、フランツは男の子の匂いがしないお方でした。ニュートラルな美しさをお持ちでした。
セリバシーなんです。ご主人様が考えているような獣のような存在ではないのです。
私との愛もプラトニックなもので、もちろん、ノーマルな許嫁の方もおいでになったんですよ。
それは、ご主人様もご存じではないですか。」
ヒ:「アンヌさんのことは、私も知っているよ。そうだよね。彼はつぐみさんに対しては、
自分の身体の一部として考えていたよね。それに、アンヌさんを愛するときは、
つぐみさんの性癖が遺憾なく利用されていたのかもね。」
ツ:「そうです。フランツも、アンヌさんも、私を仲介することで、非常に充実した性生活を享受していたのです。」
ミ:「ビアンのサポートスタッフをノーマルの男性スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの
担当につけるメリットが発揮されるというわけですね。ビアンにしか開発できない女性の性感をクリアノフ選手は
享受できたという訳なんですよね。」
ヒ:「う〜〜〜ん。そう言うことなら、私もホモの性癖のサポートスタッフをつけてもらえれば、
ノーマルな性感が遺憾なく満喫できたかも・・・。残念っ!」
ミ:「瞳様、何という罰当たりな。それに、バイじゃない瞳様なんて・・・。全世界の瞳ファンが何万人自殺することか・・・。」
ヒ:「ミンメイちゃん、そんな・・・、大袈裟な・・・。」
ミ:「そんなこと無いですよ。それくらい、瞳様は、ビアンの中でもダントツの人気なんですから・・・。
とにかく、ビアンが選ぶ、抱かれたい女性ナンバーワンなのですよ。」
ヒ:「嬉しいような、嬉しくないような・・・。でも、さっき二人の話に出てきたバリとか、リバとかってどういうこと?」
ミ:「瞳様、バイなのにそんなことも知らないのですか?」
ツ:「ミンメイさん、無理よ。まだ開花して間もないんだもの。」
ミ:「開花して間もない人が、ポリガミーなんだもの・・・。いかに瞳様が人気があるかですよね。
それに、瞳様の器が広いかですよね。」
ツ:「そうなの。ご主人様の器の広さだと思うわ。でも、まだ経験が浅いし、ビアンの子との接触も少ないから、
ビアンが使う用語は知らないのよ。」
ミ:「そうか・・・。つぐみ様に開花させられてから、1年半位ですものね。」
ツ:「そう。それに、一年間は同性に関しては、モノだったからね。」
ミ:「それじゃ、つぐみ様のご教育が悪かったと・・・。」
ツ:「それは反省しているわ。でも、私にとってご主人様はミストレスでもあるのです。
だから、ご主人様が必要としないのに、私がご主人様を勝手に教育するなんて出来なかったの。」
ミ:「確かにそれはありますよね。つぐみ様にとっては、ビアンのパートナーであると同時に絶対的なご主人様ですものね。
よく解ります。でも、セパレィティングのつぐみ様にとって、瞳様のバイの性癖は信じられないんじゃ・・・?」
ツ:「それはね・・・。確かに男等という生き物も好きなんて信じられないところがあるけれど、
でも、ご主人様の異性に対しての感情は、モノガミーだから安心しているの。
マルコとそのサポートスタッフ以外に愛する人を作らないからね。」
ミ:「そうか・・・、異性に対しては、一途なんて素敵です。」
ツ:「でも、この女癖の悪さは信じられないんだけれどね。」
ヒ:「フンだっ!」
ミ:「瞳様、拗ね方も可愛い・・・。この可愛さに女の子が引き寄せられるのですよね。」
ツ:「ミンメイさん、あんまり煽てると木に登っちゃうからダメです。」
ミ:「そうか・・・。」
ヒ:「私は、豚じゃないわいっ!」
ツ:「ご主人様、機嫌を直して・・・。でも、ご主人様の女癖に関しては、もともと、その傾向はあったのですが、
開花したのは、エマさんにアウティングされてからだと思うんですよね。それ以来、のべつ幕無しに声をかけるし・・・。」
ミ:「でも、それで、女の子がダボハゼのように釣り上がるのは、瞳様の魅力が素晴らしいからなんでしょうね。」
ツ:「それも困りものなんですがね・・・。でも、マリアさんのように浮気をして、アンネをほったらかしにするようなことを、
ご主人様は私には決してしないから気が楽だし、嬉しいんですけれどね。」
ミ:「瞳様とつぐみ様の仲の良さは、スレでも有名ですもの。誰を臣下に加えても、
つぐみさまが最愛の人であることは変わらないって言うことは、ビアンの間では有名なんです。」
ツ:「ご主人様のその姿勢は嬉しいんですが、私がそれにどこまで応えてあげられているかを思うと、申し訳なくて・・・。」
ミ:「過去のドライバーの面影を引きずっているということですか?」
ツ:「そう。私の心には、まだご主人様の他に二人の愛する人がいるんですもの・・・。
それって、ご主人様に対して卑怯ですよね。」
ミ:「つぐみ様、そんなこと無いです。」
ツ:「でも・・・、私に心の隙間があるから、ご主人様を寂しがらせているんじゃないかと思うのよ。
だから、その満たされない部分を他の女の子で紛らわせているんじゃないかと思ってしまって・・・。」
ヒ:「つぐみさん、そんなこと無いって言っているじゃない。私は、レミも、フランツもその家族も含めて、
それがつぐみさんの全てで、そのつぐみさんの全てを愛していくことを心に決めているって言っているでしょ。
つぐみさんの過去は二人で背負っていくんだって。決して、ツグミさん一人を苦しませたりはしないって約束しているでしょ。」
ミ:「瞳様の心の大きさや包み込む愛の大きさって、本当に感心してしまいます。こうして、瞳様に出会えて好かった・・・。
そして、その愛に包まれていて、しかも、瞳様の心を包み込んでいるつぐみ様の心にも入れて嬉しいです。」
ツ:「ミンメイさん、ありがとう。私、エマさんとも、マリコとも、そして、紫乃さんや明日美さんとも上手くやって来られたし、
ミンメイさんとも上手くやっていけるような気がしているの。」
ミ:「私もです。つぐみ様、今後とも、この不束者をよろしくお願いします。」
ツ:「もちろんです。ご主人様共々、よろしくお願いしますね。」
ミ:「はい。」
ヒ:「そんなこと良いから、私にも、わかりやすく説明してよ。」
ミ:「あっ、瞳様の存在をすっかり・・・。」
ヒ:「ブ〜〜〜〜〜ッ!今日は、忘れられることが多くて不満じゃ〜〜〜ッ!」
ミ:「ごめんなさい、瞳様。瞳様にわかりやすく説明するとですね。希望ちゃんも私も、ビアンの性癖がネコなんですが、
つぐみ様は、その経験上から、タチとしても振る舞えると言うことなんです。」
ヒ:「そう言うことか・・・、だから、ミンメイちゃんの愛をつぐみさんは受け入れられるけれど、
希望ちゃんはダメだったんだね。」
ミ:「はい。もちろん、フェムタチの瞳様が理想なんですが・・・。でも、希望ちゃんと肌を触れあうまで解らなかったんです。
ある時、機会があって、今日のように一夜を共にしたとき、この子ノンケなんじゃないかって思うほど何もなかったんです。
それで、翌朝からデートして、二人でアウティングし合ったら、完璧に性癖がかぶっていて、
これじゃなんにも起こらないの当たり前だねって言うことになったんです。そしたら、彼女が、瞳様だったら、
絶対に私の願望を満たしてくれるって言うんです。それで、一生に一人、寄り添えることの出来る人がいないといけない。
愛する人もいないままで生涯を閉じちゃいけないって、本気になって心配してくれたんです。
それで、亜稀社長に相談してくれたんです。そうしたら、亜稀社長、美濃田監督に電話をしてくれて、
私をレースクイーンとしての仕事でさりげなく瞳様に近づけるような手配をしてくださったんです。」
ヒ:「・・・。パパと亜稀社長が絡んでいたのか・・・。ちょっと待って、と言うことは、
恵美さんも一枚かんでいたと言うことか・・・。」
ミ:「そうだと思います。美濃田監督も、私のフェチズムのことを理解してくださっていて、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになったときに、好き相談相手となるドライバーで、
心と体を許せるドライバーがいないかと探してくださっていたんです。
そうしないと、特殊なフェチ故に孤立してしまうと・・・。」
ヒ:「そうか・・・。サイボーグフェチであるミンメイちゃんを理解していないと、誤解をまねくものね。
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになれば、どうしても、
他のドライバーとは違ったドライブをすることも多いし、軋轢を招く可能性があるものね。」
ミ:「はい、美濃田監督にそう言われました。」
ツ:「ミンメイさんのサイボーグ適応化率って、ひょっとして、かなり高い値ではないの・・・?」
ミ:「はい、99.7%って言われました。」
ツ:「やっぱり、ご主人様の適応化率にサイボーグフェチやメカフェチのメンタルな部分での
サイボーグ化への願望が強いと100%に限りなく近くなるんだね。」
ミ:「はい。適応化率を検査したときに、異常値だって言われました。」
ヒ:「それは私も同じだよ。98%を超える人間はいないって言われたんだけれど、ミンメイちゃんも一緒だったんだ。」
ツ:「だから、美濃田監督がご主人様に近づけるのきっかけを探していたところに絶好の機会だったという訳なんですね。」
ヒ:「そうかもね。」
ツ:「でも、美濃田監督と亜稀プロモーションの社長の関係って?」
ヒ:「恵美さんと亜稀社長が親友だって言うことは話したよね。」
ツ:「はい。」
ヒ:「パパと恵美さんが恋人同士なの。しかも、うちの溝口社長も含めて4人とも
同じ東京大学工学部卒の同級生で親友なの。」
ミ:「だから、私を瞳様に合わせる段取りが進んだという訳なんですね。」
ツ:「たぶん、そうだと思います。ミンメイさんにご主人様のマシンを担当させれば、
絶対にご主人様が声をかけると読んだんですよ。あの3人は・・・。」
ヒ:「その策略にまんまと私がはまってしまったのか・・・。なんか不満じゃ・・・。」
ツ:「ご主人様が、ダボハゼだったと言うことの証明ですよね・・・。」
ヒ:「つっ、つぐみさんに、はっきりと言われると傷つく・・・。」
ミ:「瞳様、やっぱり迷惑でしたか?私、瞳様のマシンの担当で瞳様と言葉が交わせれば、
絶対にお近づきになれるって確信していたんです。」
ツ:「ご主人様、ミンメイさんにまで、心理状態を読まれていますよ。」
ヒ:「つっ、つぐみさんっ・・・!でも、ミンメイちゃん。迷惑なんかじゃないよ。だから、今こうして3人でいるんだもの。」
ミ:「そうですよね。瞳様にそのように言われると嬉しいです。でも、瞳様が、
美濃田監督のことをなんでパパと呼ぶのですか?」
ツ:「それはね、ミンメイさん。美濃田監督が、妻川監督との関係を良好に保っていたいから、
妻川監督の分身みたいなものであるご主人様に飴をしゃぶらせて、妻川監督と喧嘩したときの仲裁や、
妻川監督の情報収集に使っているのよ。」
ミ:「なるほど・・・。でも、瞳様にしゃぶらせる飴って高いんでしょうね。」
ツ:「ええ、もちろんよ。今回のことでも、妻川監督から、“瞳をタダで使えない”なんて脅されているでしょうから、
きっと、トミタのスーパーSP7の赤をご主人様は欲しがっているという情報も美濃田監督には、入っているでしょうから、
その日本仕様と北米仕様とヨーロッパ仕様がザルツブルグと東京とニューヨークのご主人様の家のガレージに一台ずつ、
いつの間にか並ぶんでしょうね。」
ミ:「うわッ!高い飴玉・・・。うちの専属のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーですら、
なかなか与えてくれないという、幻の名車ですよ。トミタが作る唯一のハンドメードカーですよ。
驚きを通り越して、瞳様に対する美濃田監督の溺愛ぶりが・・・。」
ツ:「ミンメイさんも、そう思うでしょ。でも、仕方ないのよ。フェラーリだって、敵チームのエースドライバーに
フェラーリF−X9800のグリーンとイエローとレッドとミッドナイトブルーをプレゼントしているのよ。
フィアットの御曹司がご主人様にご執心なものでね。マリアさんなんか、ヤキモチの大きいの焼いちゃって、
アンネと二人でなだめるの大変だったんだよ。」
ミ:「さすがに、ヨーロッパ社交界のマドンナは違いますね。」
ツ:「それだけじゃ無くて、カンダから、各チームが、ご主人様を引き抜こうと思ってあの手この手なのよね。
BMWもメルセデスも自分のチームのドライバーにしないような車をプレゼントするんだもの。ご主人様は、
それを良いことに、美濃田監督にプレッシャーをかけておねだりするものだから、
法外なプレゼントをもらえるのも当然なの。」
ミ:「さすがに、スーパーF1界のウルトラトップドライバーは違いますよね。」
ツ:「ミンメイさん、忘れてはいけないけれど、ご主人様は、WRCの優勝経験もあるから、
ラリー参戦ワークスからの誘いも凄いのよ。」
ミ:「そう言えば、モンテで完全優勝でしたよね。その時は確か・・・、うちのワークスのドライバーとしてでしたよね。」
ヒ:「そうだよ。リエナ=ミッコラが急病でパパに頼み込まれてアルバイトしたんだ。」
ミ:「アルバイト感覚で勝つんだから・・・、呆れます。それも、完全優勝・・・。」
ツ:「その時は、サードドライバーも急病だったもので、美濃田監督はご主人様に懇願して乗ってもらったそうなの。
だから、当然のこととして、美濃田監督は、ご主人様にたくさん弱みがあるのも事実なんだけれどね。」
ミ:「そう言うことだったのですか・・・。よく解りました。私も、瞳様のような超一流の
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに早くなりたいです。」
ヒ:「大丈夫だよ。ミンメイちゃんのセンスなら、すぐに私やマリアを追い越せるよ。」
ミ:「瞳様に褒められた。嬉しいです。」
ヒ:「でも、ミンメイちゃんが、そこまでにサイボーグに対する憧れがあるのなら、
今日の夜も趣向を凝らしてあげないとね。せっかく私とつぐみさんの恋人になってくれたんだからね。
つぐみさん、用意を頼んで好い?」
ツ:「はい。もちろんです。」
瞳の突然の提案にもう全てが解っているかのように森田が動き出した。
ミ:「つぐみ様は、瞳様の言わんとしていることが解っているのですか?」
ヒ:「うん。つぐみさんは、私の思っていることを全て理解してくれるんだ。
もちろん、サイボーグ同士の体内の通信機器を使ったインチキじゃなくて、以心伝心というヤツなんだよ。」
ミ:「やっぱり、お二人の絆はすごいな。私にも、つぐみ様のようなサポートスタッフが付いてくれるんでしょうか?」
ヒ:「大丈夫。きっと、ミンメイちゃんにあった最高のスタッフが側にいてくれるようになるよ。
それに、自分に合う最高のスタッフじゃないと、私たちスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、
自分では何にもできないのだから、手脚が言うことを聞いてくれないのと同じで、
日常生活で不都合が起こっちゃうんだよ。私生活では、常に、サポートスタッフと一緒なのだから、
私たちの私生活は、サポートスタッフに常に監視され、管理されているのと一緒なのだから、
相性が完全に一致したサポートスタッフというパートナーであり、
手脚の代わりになる人がいてくれることが条件なんだよ。だから、
当たり前のように一緒にいてくれるように感じる人が必ず選ばれるから大丈夫だよ。」
ミ:「でも、瞳様とつぐみ様の関係ほどの息の合う人はいないんじゃないでしょうか?」
ヒ:「そんなことないよ。マリアだって、ルカだって、エマちゃんだって、ジャンヌだって、
本人にとって最高のスタッフが付いてくれているんだよ。でも、本当のことを言うと最初は、
恥ずかしかったよ。だって、自分の全裸を見られるし、下の世話をしてもらわなくちゃいけないし、
それに、セックスの時は、自分の手脚になるんだから、私の彼氏のペニスをしごくのはツグミさんの手で、
その感触だけが私に伝わるなんて言う特殊なセックスをしなくちゃいけないし、身体が痒ければ、
ツグミさんにいちいち言わなくちゃいけないなんていう、今までの手脚のあった頃の生活では
考えられないような状況で生きなくちゃいけないんだもんね。戸惑いと恥ずかしさの連続だったんだ。
でも、お互いの相性の良さで克服できていくものなんだよ。そのパートナーだけの解決方法によってだけれどね。
私とつぐみさんの場合は、とことん話し合うことにしたんだ。でも、つぐみさんは優秀だし、
不幸な結果になったけれど、私の前にレミとフランツの世話をしていた経験があったから、
私が何を欲しているのかが、何にも言わなくても解ってくれたから、楽だったけれどね。
本当につぐみさんがいてくれたから、今、自分がこうしていられるんだって思えるんだ。」
ミ:「羨ましいです。」
ヒ:「でも、怖いんだよ。私がトレーニングをさぼりたいと思っても、さぼらせてくれないし、
怒られるし、どっちがSか解らない時もあるんだよ。」
ツ:「ご主人様、誰が怖いんですか?」
森田は、後片づけを終え、これからの瞳とミンメイ、そして、森田の世界を構築する準備を整えて、
いつの間にかリビングに戻ってきていたのだ。
ミ:「つぐみ様、速〜〜〜っ!さすがスーパーS級のサポートスタッフですね。また、憧れてしまいました。」
ツ:「ミンメイさんも、お世辞は好いから・・・。ご主人様と一緒に寝室に行きますよ。
今日は、サイボーグフェチのミンメイさんのために、特別な部屋でエッチをしましょうね。私に付いてきてください。」
森田はそう言って、瞳を立たせているスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用移動用スタンドを
押してリビングに取り付けられているエレベーターに乗り込んでいった。
このエレベーターで上の階に移動すると、瞳のサイボーグ体のメンテナンスやトレーニング、
そして、瞳の性癖に併せて作られたセックスプレイルームがある階に移動できるのである。
ミンメイは、森田の後からエレベーターに乗るのであった。
今日はここまでです。
>>manplus様
乙でした〜
3人の絆が深まり、夜の懇親会へ突入ですね。
続き待ってま〜す!
355 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 00:27:18 ID:L/3PPi3t0
356 :
355:2007/08/26(日) 00:31:44 ID:L/3PPi3t0
しまったsage忘れたorz
今見てみたけど、なんか、誰々に似てるという例えの人が、古いww
それで最初の数行で断念orz
358 :
ぬこぬく:2007/08/29(水) 04:45:04 ID:XV1Akbe/0
バックが黒いのはイマイチ。
顔に影が少なすぎるんじゃねぇ?
(好みの問題?)
>>361 下はここ見てる人なら誰が書いた物か一目瞭然ですな
スマソ、分からん
364 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 02:45:58 ID:qGtnY/7o0
サイボーグ娘の話じゃないのでスレ違いな上に
俺様の勝手な自慢話を聞いてください。
今SF大会にいるんだがー。
バーチャルガールの原作者・エイミーハミルトンと遭遇した。
ちょっと感激した。
>>364 すげー
それすげー!!
次は歌う船のアン・マキャフリーをキボンヌ(無理か…
ところで、バーチャルガールで思い出したが。
近頃は自動的な人間が増えてるから
もしかするとリアル人間の方がチューリングテスト
突破できなくなってるのかもしれない気がする
今日この頃。
あ〜〜!横浜かぁぁ!
くそぉいけねぇorz
トランスフォームできる義体なんてどうよ?
生身を忠実に再現するのが難しいし、そもそも多機能(汎用的)な義体は無理なので
思い切って外観も機能も生身とかけ離れたような個々の作業に特化した機能の義体を多品種作り
それらが換装できるように義体を徹底的にユニット化し、義体の基本部は四肢のない
頭部(残った生身など)と胴体(生命維持装置)だけの形にする
という世界なら考えた事がある。
非人間的な形状・機能になるのが、サイボーグ本人を非人間的に扱うためでは無くて
あくまでもサイボーグ化技術の制約で生身の再現が難しい中でもサイボーグ本人が
機械の体でもできることを最大限に増やすため、QOL(Quolity of life)向上のため
というのがミソ。
当然社会全体もサイボーグが生きやすいように最大限努力したような構造になっているのが前提で。
370 :
364:2007/09/03(月) 01:30:34 ID:4sLG5TE70
その後、エイミー女史に「ヴァーチャルガール」にサインしてもらった。
しっかり記念撮影させてもらったよ。
日本の作家さんx3、翻訳家さんx1ともツーショットで撮影。
俺、全然SF者じゃないのにな・・・。
あんまり書くと正体がバレるのでここまで。
>アン・マキャフリー
歌う船が未読なのでちょっと無理です。ごめん。
371 :
364:2007/09/03(月) 01:34:06 ID:4sLG5TE70
余談だが・・・。
トランスフォーマーのコンボイの「箱着ぐるみ」がいた。
変形して自動車スタイルになっていた。でも、少し変だった。
ハイデン=羹=ミンメイ(以降、ミ):「つぐみ様。ここは・・・?」
森田つぐみ(以降、ツ):「ご主人様のサイボーグシステムチェックのための予備のサイボーグシステム管理室です。」
ミンメイが連れてこられた部屋は、それまでの瞳の家の豪華でシックな作りとは違い、
部屋の壁も天井も床も無機質な特殊樹脂で出来ていて、その壁や天井、床の中にまで照明が内蔵されていて、
その部屋の中央にスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーが横たえられるように設えられたベッドが置かれていて、
壁にはたくさんの機械類の操作盤やモニターが取り付けられていた。
ミンメイは、その近未来的な部屋の風景に圧倒された。
ミ:「ここで、瞳様のサイボーグの身体が管理されるのですね。私、なんか、感じてきちゃいました。」
ツ:「ミンメイさんがそう言うだろうと思っていました。でも、ここは、あくまでも予備室。
普段は、ご主人様が日常のサイボーグボディーの点検のためと簡易補修のために使用するのは、
この隣の部屋なんだけれど、作りは全て一緒なんです。この部屋は、何らかの理由で、
メインルームが使用できない状態になったときに、ご主人様をこちらの部屋に入れて、
メンテナンスを行えるようにしているの。だから、普段は、使っていないの。」
ミ:「凄いです。こんなところのベッドに置かれて瞳様は、毎日コードに繋がれてメンテナンスを
受けないといけない身体を持たれているんですね。」
ツ:「そうなの。ちなみに、この隣のふたつの部屋が私のメンテナンスを行う部屋になっているの。
作りは、ほとんど変わらないけれど、メンテナンスベットがリクライニングシートになっていて、
私が座ると自動的に私の身体を拘束して、仰向けの状態にするようなシステムがベッドに付いていることと、
メンテナンスシステムや身体外部コントロールシステムの制御スイッチ類が、シートの肘掛けの部分に併設されていて、
私自身がシステムをコントロールできるところかな。」
ミ:「そうですよね。瞳様は、つぐみ様がお世話すればよいのだけれど、
つぐみ様は自分で何でもしないといけないのですものね。
それに、つぐみ様だってサイボーグですものね。メンテナンスを必要とされるのは当然ですものね。」
ツ:「そうなの。だから、私とご主人様の二人きりというか、このようなプライベートの状態の時は、
私の身体とメンテナンスルームのシステムが常に連絡を自動的に取り合うようになっていて、
私の意識レベルがなくなったり、低下したりしたときや、サイボーグ体の身体機能が停止したときは、
メンテナンスルームの機械から、カンダのサイボーグテクニカルセンターに緊急信号が送られて、
ドクターとエンジニアが3分以内に到着するようになっているの。」
ミ:「つぐみ様の生体反応は常に管理されているんですね。素敵です。」
ツ:「素敵と言われたのは、ミンメイさんが初めてだわ。さすがサイボーグフェチね。それだけで感じてるのね。」
ミ:「はい。だって、人間としての意識を持ちながらも全てを機械経由で管理者に管理されていて、
しかも、メンテナンスを定期的に受けないと生命維持に問題が出てくるなんて、
凄い感じるシチュエーションじゃないですか。つぐみ様、最高ですっ!」
速水瞳(以降、ヒ):「つぐみさん、ミンメイちゃんの精神構造が判らなくなってきたよ〜〜〜っ。」
ツ:「ご主人様、ミンメイちゃんは、純粋に私たちのような機械化率の高いサイボーグが性的興奮の対象なんですよ。
それ以外何ものでもないのです。」
ヒ:「そうなんだ・・・。でも、サイボーグになっちゃうと不便なこともあるんだけれどね・・・。
毎日、機械や電子機器の部分は機能チェックをしておかないといけないし、
私たちスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーなんて、普段は自分の意志を実現するのに、
つぐみさんたちサポートスタッフの力を借りなくちゃいけないし・・・。
スーパーF1マシンの機械システムの制御装置でしかないんだもの。
機械部品の身体って、スーパーウーマンにされたようにみんなは思うけれど、意外と不便なんだよ。」
ミ:「そのスーパーウーマという存在は制約があるところや、その機械の身体としてのコンプレックスが、
サイボーグ体自身にあったりするところが堪らないんですよ。」
ツ:「ご主人様、それがサイボーグフェチの人たちなんだろうと思います。」
ヒ:「そうか・・・。」
ツ:「私とご主人様のサイボーグ体のメンテナンスしそうに関する違いは、私の機能が停止してしまったりしたら、
ご主人様が一人取り残されちゃうから、私は、24時間、常に、カンダのサイボーグテクニカルセンターの
ホストコンピューターで監視されているの。逆に、ご主人様は、メンテナンスの時だけの管理なの。」
ミ:「お二人の管理のされ方の違いも興味深いですね。」
ツ:「だから、ご主人様が管理されるのは、スタンバイモードの時だけなんだ。その代わり、自分では動けないし、
移動モードの時は、半覚醒状態でカプセル内に固定されて荷物同様だし、
マシンのコントロールシステムとしての存在というのが本来の姿だし、自分自身の管理をするときに、
制御機器を自分で制御できないの。逆に、私は、自由に動き回れるし、自分のモード管理を自分で
コントロールできるんだ。でも、所詮は、ご主人様たちスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの
外部感覚システムと代替器官でしかないし、24時間、常時、サイボーグテクニカルセンターのホストに
監視されているようなものなんだ。」
ミ:「お二人の関係や設計コンセプトの違いがよく解ります。2種類のサイボーグを
一緒に見ることが出来る機会なんて今日まで無かったですから感激しちゃってます。
それに、つぐみ様が説明してくださったように、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーと
サポートスタッフのサイボーグ体の構造や用途の違いを簡潔にお聞きできる機会なんて初めてです。
感激のあまり、股間が濡れちゃって・・・。」
ミンメイの股間から、一筋の光るものが太腿へ垂れていくのが見える。
ミ:「あっ、すみません、粗相をしてしまって・・・。」
ツ:「いいんですよ。ミンメイさん。」
ミ:「私、今まで、たくさんのサイボーグの方とお会いしてきたつもりなんですが、ここまで性的な興奮を覚えたのは、
お二人にお会いした今日が初めてなんです。瞳様とつぐみ様にお会いして好かった・・・。」
ミンメイの目が潤み、自分の世界にトリップしているのが明らかに解った。
ヒ:「つぐみさん、ミンメイちゃんが普通の人間の女性を愛することが出来ないという意味が解ったような気がする。
これじゃあ、どんな美女でも、どんな可愛くても、生身の女の子に感じるわけがないことが見え見えだよね。」
ツ:「そうですね。ご主人様。だから、折角ですから、私たちスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーと
サポートスタッフの複数のサイボーグ体とのエッチでしか体験できないことをミンメイさんに
経験してもらおうと思ったんです。」
ヒ:「つぐみさん、どういうこと。」
ツ:「だから、この部屋を使うんです。」
ヒ:「どういうこと・・・?だって、ここは、サイボーグメンテナンスルームだよ。
私たちがケーブルと繋がれてただひたすら、スタンバイモードの状態で、
機械部分や生体部分に異常がないかを検査されて、生体部分や機械部分に必要なエネルギーを補充したり、
生体部分の老廃物や機械システムから排出された廃棄物を処理される処置だけに使用される部屋じゃないの?
そして、万一の時の緊急補修処置を簡易的に受けるためだけの目的で作られている部屋でもあり、
私たちにとっては、人間というカテゴリーから自分がはみ出してしまったことを
再認識させられるためにあるような部屋なんだよ。」
ツ:「ご主人様。だから好いんですよ。」
ヒ:「それに、ここは、予備室だから、今まで一度だって使ったことがないじゃない。」
ツ:「だから、なおさら、ここなんです。幸いにも、正規のサイボーグメンテナンスルームは、正常に機能していますから、
本当にご主人様がスタンバイモードになっていただくのは、お隣の部屋で大丈夫なもので・・・。」
ヒ:「だから、どういうことなの、つぐみさん。」
ツ:「だから、ここで、ご主人様には、メンテナンスベットに寝ていただいて、メンテナンスシステムと
ケーブルで繋がった状態で、ライブモードになったままでメンテナンスをうけていてもらいます。
そして、私は、ご主人様と首筋とおへそのコネクターで繋がれた状態になって、
ご主人様の外部感覚機器となるのです。もちろん、意識レベルは維持したままのライブモードに
私のモードも維持します。そして、私とご主人様の背中の予備ケーブル接続コネクターに
メンテナンスシステムの性感増感システムのケーブルを接続した上、私も手脚とボディーの
メンテナンスケーブル接続コネクターに隣の部屋の私自身のメンテナンスシステムを
この部屋に配線されているケーブルコネクターのボックスからケーブルを接続するんです。
もちろん、意識レベルも正常でライブモードのままのメンテナンスの状態に私もしておきます。
そのうえで、ミンメイさんと3Pのエッチをするんです。」
ヒ:「えっ!!!??つぐみさん・・・、正気?」
ツ:「はい。」
ヒ:「だって・・・。そんな事して、メンテナンスルームが使用不能になったらどうするの?
つぐみさん、石坂ドクターに怒られちゃうよ。だいいち、ここでケーブルと繋がれてのセックスなんてしたら、
すぐにシンガポールのカンダモータースポーツメディセンターから、係員が飛んで来ちゃうよ。大丈夫です。
今日だけはどんな事をしても、メンテナンスシステムに繋がれてメンテナンスを受ければ、
大目に見るように石坂ドクターに連絡して了解をもらっています。生体維持用の接続ホースも取り付けて、
エッチの間に全てのメンテナンスプログラムを同時に行うのなら好いという許可をもらっています。
排泄物と廃棄物質の廃棄ホースが少し邪魔になるかもしれませんが、ミンメイさんにとっては、
その邪魔なホースがあった方がかえって性欲をより満たす事になると思いますから、気にはなさらないと思います。」
ヒ:「つぐみさん、一度思いつくと、やる事が大胆だよね。」
ツ:「そうですか?私は、それほど大胆だとは思っていません。
ウィーンの街中でミサイルを撃つような大胆な事(※1)は、とても私には・・・。」
ヒ:「なんか、嫌みだよね・・・。」
※1:以前、瞳は今の異性のパートナーであるマルコ=ワーグナーと付き合い始めたとき、
瞳が異性の男性と付き合う事に嫉妬心を抱いたマリア=リネカーが、
マルコ=ワーグナーに対して制裁を加えようとする事を瞳は事前に察知し、
対戦車ヘリコプターにより、ウィーンのリネカーの部屋をミサイル攻撃している。
(詳細、クリスマスパーティー〜レーシングガール外伝1〜参照。)
ツ:「だって、事実ですもの。ご主人様とマリアさんのような人間治外法権じゃ、私はありませんから・・・。」
ヒ:「つぐみさんのご機嫌が・・・。」
ヒ:「ご主人様、言っておきますが、私は機嫌が悪いわけじゃないんですよ。
ただ、事実を言っているまでなんですからね。」
ヒ:「・・・。つぐみさん、つぐみさんは普通です・・・。」
ツ:「解って下さればいいのです。」
ヒ:「ホッ!やっとご機嫌が直った・・・。」
ミ:「瞳様とつぐみ様のケンカは、本当に可愛いです。見ていて、とってもほほえましくって・・・。」
ツ:「あら、ミンメイさん、見ているなら見ていると言ってください。」
ミ:「だって、そんなこと言ったら、お二人が恥ずかしがって、本当の姿を私に見せてくれないですもの。」
ヒ:「ミンメイちゃん、人が悪いよ。」
ツ:「そうですよ、ミンメイさんは人が悪すぎます。」
ヒ:「あっ、ミンメイちゃんっ!逃げてっ!」
ミンメイはとっさの反射神経でその場から体をかわした。
その直後、ミンメイのもたれかかっていた椅子が森田の腕の一撃でバラバラに壊れてしまったのだ。
ミ:「えっ!どういうことなの?」
ミンメイが叫んだ。
ツ:「どっ、どうしましょう。ミンメイさん、お怪我はなかったですか?」
ミ:「大丈夫でしたが・・・。今の一撃、本当につぐみ様なの?」
ヒ:「うん。つぐみさん、たまに興奮するとつぐみさんのサイボーグ体本来のパワーのセーブができなくなってしまうんだよ。」
ツ:「私としたことが・・・。ご主人様のように乱暴なことをして、粗相をしてしまいました・・・。反省致します。」
ヒ:「私のようにと言うのが余計だけれど、ミンメイちゃんが、レーサーだったから反射神経が好いんで助かったけれど、
つぐみさん、気を付けないと、これがもしも、紫乃ちゃんや明日美ちゃんだったらと思うと・・・。」
ツ:「だって・・・、ご主人様が、あまり興奮させるものですから・・・。」
ヒ:「気を付けようね。」
ツ:「はい・・・。」
ミ:「つぐみ様、どういうことなんですか?宇宙開発用とか、機動歩兵型のサイボーグなら、
そのパワーと出力の説明に納得がいくのですが・・・、つぐみ様は、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用の
サポートスタッフ型のサイボーグですよね。それが何で、こんなパワーを持っているのですか?」
ツ:「それは・・・。」
ヒ:「私から説明するね。さっきも話したように、つぐみさんは、過去の不幸な事件の結果、
私のサポートスタッフになってもらう時に、生体部分を極端に少なくしてまでも再改造しなくちゃいけない状態に
なったんだよ。その時のつぐみさん、薬物とか、物理的な処置とかで、生体部分がボロボロで、
人工器官の部品に生体部分の器官のほとんどを代替させる必要があったんだよ。
それも、普通の代替人工器官のように生体融合型のものではなく、腕とか骨格とか、
脚なんかは、完全な電子機器の人工器官に取り替えなくちゃならなかったんだって。
その時に、つぐみさんに適合する人工四肢や体内部品が、ギガテックス社の研究開発中の
惑星探査開発用サイボーグ用に開発されたシステムだったんだって。
それを石坂ドクターがサポートスタッフ用にパワーリミッターなどの付帯システムを取り付けて、
納品させて、つぐみさんに、つぐみさんの骨格強化処置を施した上で取り付けたんだって。
でも、やっぱり、システム上の問題で、つぐみさんが極度に興奮したりするとリミッターが
効かなくなる現象が起こることがあるの。今日、ミンメイちゃんが遭遇した事件は、
そういう特殊な状態におかれた時のつぐみさんが引き起こした事件なんだよ。」
ツ:「事件というのは・・・。何か、ご主人様のいい方は、気になるのですが・・・。」
ミ:「それじゃあ、つぐみ様が興奮するとこういうことが起こると言うことは、エッチの時にも起こると言うこと・・・?」
ヒ:「それはないよ。つぐみさんのパワーセーブリミッターが外れたりするのは、ごく希にだし、怒りや悲しみ、
失望と言った負の興奮状態がいくつも重ならないと起こらないから大丈夫。」
ミ:「と、言うことは、瞳様は、つぐみ様をかなり怒らせたと言うことなんですね。
私が一人の世界をさまよっている間に何をしたのですか?
それに、瞳様はどうして、あの時に“危ない”と言ってくださることが出来たのですか?」
ヒ:「・・・。へっ、へっ、へっ、ちょっと、つぐみさんをイジメ過ぎちゃったか・・・。
私が、つぐみさんの行動に気がつくのは当たり前のことだよ。
だって、私はサイボーグだよ。ただのダルマ人形じゃないもんっ!
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのサポートスタッフのサイボーグ体の状態は、
さっき、つぐみさんが言っているように、サイボーグテクニカルセンターのホストに一度吸い上げられるのだけれど、
その情報の中のもので、サポートスタッフのサイボーグ体に異常値が現れる状態が起こったという
イエローシグナル以上の情報がスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの体内サポートコンピューターに
電送され、その情報が、人工視覚内にアラームとして表示されるシステムになっているの。」
ミ:「人工視覚にですか?」
ヒ:「そうだよ。生体脳にデーターを直接送ることも可能なんだけれど、あんまり色々なデーターが瞬時に
生体脳に入ってしまうと、生体脳がパンクするから、視覚や聴覚と言った感覚機能に間接的にデーターを
送るようにしているの。重要なデーターは生体脳に強制的に直接送られるものもあるけれど、
ほとんどのデーターはデーターファイル区分ごとに、ホストから送られてきたデーターを直接生体脳に送るのか、
感覚器官に表示する方法を選ぶのか、感覚器官に表示すると同時に生体脳にもデーターを送るのかを
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー自身が選んでおくようなシステムになっているんだ。
ほとんどのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、レース関係のデーターや自分の身体に関する
緊急データーは生体脳に直接送るか同時に感覚器官に表示されるようにセッティングしているよ。
それ以外のデーターは、生体脳の混乱を避けるために、感覚器官に表示しておくようにセッティングしているのが
普通なんだよ。こうしておかないと、ホストからのデーターで生体脳がパンクしちゃうからね。
表示するデーターは表示する感覚器も選べるようになっているんだ。もちろんデーターファイル区分ごとだけれどね。
レース中は、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーには、ピットや後方支援室からのデーターも送られてくるから、
視覚や聴覚、それに生体脳、体内補助コンピューターもデーターで埋め尽くされちゃうんだ。
だから、ミンメイちゃんもスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになったら、しばらくは、
そのデーターの多さと処理の仕方に四苦八苦すると思うよ。」
ミ:「そうなんですか。でも、お二人とも、やっぱりサイボーグなんですね。
生体では感じ得ないサイボーグ独特の感覚の中で生きているんですもの。
データーや機械と一緒に生きているって言う感じですものね。
私も、早くサイボーグになりたいし、サイボーグの方に愛していただきたいです。」
ツ:「でも、こんな、ポンコツの私なんかは・・・、ミンメイさんは嫌いになりましたよね。仕方ないですよね・・・。
暴走してしまうサイボーグシステムを持つサイボーグなんて・・・。」
ミ:「つぐみ様、その逆です。つぐみ様のサイボーグの身体は最高です。
サポートスタッフなのに、惑星開発用サイボーグ仕様やなんて、
スーパーヒロインそのものじゃないですか。素敵すぎです。
ますます、つぐみ様のことを好きになりました。スリスリして好いですか?」
ツ:「あっ!あっ!そんなスリスリしないで下さい、ミンメイさん。」
ネコのように無心に森田にじゃれつくミンメイを見て、瞳も森田もため息をつきたい気分でいっぱいになっていた。
ヒ:「つぐみさん、この娘、世間一般では、変態の部類に入るんじゃないの?」
ツ:「私もそう思います・・・。でも、特殊なフェティシズムを持っているのですから・・・。
これでまた、ご主人様のハーレムに強烈な個性が・・・。」
ミ:「つぐみ様、大好きですっ!!」
ツ:「ミンメイさん、ちょっと離れてください。そんなサイボーグ大好きなミンメイさんのために
特別の夜の準備をしますので、悪いのですが、私の壊した椅子を片づけて下さいませんか?
破片を下のキッチンの粗大ゴミの容器に運んでください。それから、粗大ゴミの袋を地下の
ホールの粗大ゴミ置き場に運んでおいてください。部屋の鍵は、キッチンのパントリーの壁面に
掛かっていますから、忘れずに持っていってくださいね。オートロックですから、
忘れると部屋に入れなくなっちゃいますよ。その間に、ご主人様と私の用意ができますから。」
ミ:「ハァ〜〜〜い。」
ミンメイが気の抜けた返事をして、壊れた椅子を片づけにいってしまった。
その間に、つぐみは、瞳をメンテナンスベッドに運んでいった。
ヒ:「つぐみさん、自分のパワーリミッターをワザと外したな。ミンメイさんをこの部屋から出すために・・・。」
ツ:「バレました。」
ヒ:「だって、あんなに簡単にリミッターが外れるようじゃ、再点検間違い無しだもん。」
ツ:「用意を整えて、ミンメイさんをビックリさせようと思ったものですから・・・。」
ヒ:「つぐみさんも役者だよね。」
ツ:「へっ、へっ、へっ。そんなことないですよ。でも、ミンメイさんに思い出にのこる夜を作ってあげたいですもの。」
ヒ:「そうだね。折角の出会いだものね。」
瞳は、安心しきったように、森田に自分の身体の全てをあずけるのだった。
信頼しきったサポートスタッフとの関係に瞳は満足しているのだ。
まさに、森田は、瞳にとっての身体の一部以外の表現が見つからないほどの存在になっているのである。
森田は瞳をメンテナンスベッドの上に置き、瞳の着衣を全て脱がせた上、メンテナンスベッドに横たえ、
身体固定ベルトで瞳の身体をサイボーグメンテナンスベッドに固定した。
そして、瞳の手脚のケーブル接続コネクターのカバーを外し、メンテナンスベッドから出ているケーブルを
次々と瞳の手と足の付け根のコネクターに接続した。
さらに、瞳の腰の部分に作られている緊急時用排尿及び排泄物・老廃物除去弁を人工皮膚のカバーを開けて露出させ、
そこにホースを接続し、背中の予備ケーブル接続コネクターにメンテナンスシステムの性感増感システムの
ケーブルを接続した。そして、忽ちのうちに瞳の身体はコードやケーブルとホースだらけの状態になってしまう。
ヒ:「つぐみさん、私、機械人形になっちゃったよね。いつもは、スタンバイモードで気がつかなくなるから好いけれど、
こうしてライブモードで意識があって、自分の身体を見るとつくづく作り物になった気がして嫌になっちゃうよ。」
ツ:「ご主人様、我慢してください。その代わり、今日は、3Pで楽しいことするのですから・・・、ガマンガマンです。
そんなことより、時間がありませんから私も支度をします。」
森田はそう言うと、自分の着ているガウンを脱ぎ、自分の身体にも手早くケーブルやホースを所定の位置に繋いでいく。
さらに、瞳と森田自身の首筋とおへそのコネクターをケーブルで繋ぐことにより、森田は、自分を瞳の
外部感覚機器となるような作業を行った。
ヒ:「つぐみさん、つぐみさんとひとつになる感覚は堪らないよね。この特殊な感覚は、
人間の時には味わえない感覚だよね。」
ツ:「はい。私も至福の時です。」
森田はそう言いながら、自分の胸の乳首を弄った。
ヒ:「いや〜〜〜ん。感じちゃうよ〜〜〜〜っ!つぐみさんの意地悪っ!」
瞳が、突然よがり声を上げた。
ツ:「ご主人様。ちょっと、予行演習です。でも、私だって感じているんですよ。」
ヒ:「つぐみさん、今日は、性感増感装置を付けているから余計感じるんだよね。」
そんな瞳の声に動じず。森田は、今度は瞳の形のよい胸の乳房の先にある乳首を弄んだ。
ツ:「あっ、あ〜〜〜〜んっ!感じてしまいます。なんで、ご主人様の乳首はこんなに感度が好いんですか?
私の乳首の倍は感度が好いんですもの。いつものことですが感動します。」
今度は、森田がよがり声を出した。
ヒ:「つぐみさんの乳首だって感度好いもん。」
ツ:「お互いが相互感覚共有システムで以上なく繋がっていますね。システムは正常に機能しています。
でも、自分の乳首を触って、ご主人様が感じるなんて普通はおかしいですよね。
でも、私は、いま、ご主人様の外部感覚器となっていますから、お互いの身体への刺激が、共有できているんですよね。
こうしている時が、私、サイボーグになってよかったって思う時なんです。
もちろん、サポートスタッフの仕事をしているときのサイボーグの使用目的としての使命感を持った行動も、
自分が望んだ仕事をしているから好きなのですが、ご主人様と一体になった感覚なんて、人間だった頃には、
絶対に味わえませんし、普通のサポートスタッフよりもより機械に近くなったことで得られるメリットの一つなんですよね。」
ヒ:「つぐみさん、私も同じ。サイボーグになって、つぐみさんがサポートスタッフでいてくれて幸せだと感じる時なんだ。
私だって、スーパーF1マシンに乗りたくて、サイボーグになったのだから、
スーパーF1マシンに取り付けられて走っているときだって、最高の気分だけれど、
つぐみさんと一つになった感触は別物だよ。」
ツ:「ご主人様、大好きです・・・。さてと、後は、ミンメイさんを待つだけですね。」
ヒ:「そうだね・・・。でも、つぐみさんの立ち直り、速っ!」
ツ:「そうですか?後はお楽しみを待つだけと言うことですから・・・。」
ヒ:「そうか・・・。」
森田は、瞳のメンテナンスルームの壁際に運び込んでいるもう一つの簡易寝台に腰掛けて、
ミンメイが戻ってくるのを待った。
その森田の姿は、瞳と同様、ケーブルやコード、それにホースが身体の至る所に接続されていて、それらが、
床にある接続コネクターと繋がっていて、まるで操り人形のように見えるのであった。
森田の身体から延びているケーブルなどが繋がっているコネクターは、サポートスタッフが、
担当するスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーと一緒の部屋でメンテナンスを受けなくてはいけない時を想定して、
設備されているものであるが、普段は、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーをメンテナンスベッドに寝かせて、
スタンバイモードにしてから、別室のサポートスタッフ専用のメンテナンスルームに移動するために必要はないものなのだ。
しかし、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに障害が起こって付き添いが必要な場合は、
今の森田のようにライブモードのままで、自分自身のメンテナンスをおこなうための緊急目的のコネクター設備なのである。
その場合は、メンテナンス用のセパレートの水着のような専用の着衣を着るのが普通なのであるが、
この日は、遊びが目的なので、全裸の状態でケーブルを接続しているのである。
ミ:「つぐみ様、ゴミを出しておきました・・・。」
ゴミ出しから戻ってきたミンメイの目が瞳と森田の姿に釘付けになり、
さらに、その表情が恍惚の表情に変わっていくのである。
「すごいです・・・。お二人が私の求める理想のお姿になっています。どうしましょう・・・。」
瞳の身体組織の人工声帯を使用して喋っている森田つぐみ(以降、つ+):『ミンメイちゃん、驚いた?
さて、ミンメイちゃんもガウンを脱ごうか?私が脱がしてあげる。』
ミ:「えっ!瞳様の声がつぐみ様の口から聞こえる・・・?!」
森田の身体組織の人工声帯を使用して喋っている速水瞳(以降、ヒ+):【驚いた?今のつぐみさんは、
私の外部感覚ユニットになっているの。つまり、有線コントロールの知覚・動作代替ユニット型のアンドロイドに
近い存在になっているんだよ。】
ツ:「そうなんです。今の私は、ご主人様の本当の手脚であり、感覚器なんです。
言うなれば、ご主人様の第2の身体なんです。」
ミ:「今度は、つぐみさんの声がつぐみさんの身体から聞こえました。」
ヒ+:【つぐみさんは、私の感覚器と言っても、アンドロイドじゃないから、
完全に私がつぐみさんの身体を支配できないんだ。
だから、つぐみさんが自分自身の体を使おうとすれば、それの意志を優先することも出来るんだよ。】
ツ+:『そうなんです。』
ミ:「うわぁっ!今度は、また、つぐみ様の声が、瞳様の口から・・・・!??」
ヒ:「逆のことも出来るんだよ、私たち。」
ツ+:『はい、今は、私がご主人様の発声ユニットをお借りしています。
でも、この場合は、ご主人様の身体に関しては、ご主人様の意志が完全に優先されますから、
私は、ご主人様の生体脳から、私を受け入れないという選択信号が出されれれば、
ご主人様の身体の器官をお借りすることが出来ないんです。』
ヒ+:【どう?これが、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのサポートスタッフが、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの身体の一部という本当の意味なんだよ。】
ミ:「さすがに、サイボーグフェチ達でも、ここまでは情報を持っていても、体験した人はいなかったです。
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとサポートスタッフの関係がこんなに魅力的だったなんて・・・。
なんてことなのでしょうか・・・・?」
ヒ+:【だから、こういう事も出来るんだよ。】
瞳の声で喋る森田の身体が、突然、自分の手で、乳首を弄ったり、性器を弄り始め、自慰行為を始めた。
すると、森田の身体からではなく、瞳の身体から喘ぎ声が聞こえた。
ヒ:「あ〜〜〜〜〜ぁっ!!いっ、いい〜〜〜〜〜〜っ!つぐみさんの身体感じやすすぎっ!!」
ツ+:『放っておいてくださいっ!ご主人様の手が嫌らしいんです。』
今度は、瞳の口で森田と瞳が会話をしている。
ヒ+:【つぐみさん、今度は、私の身体を虐めちゃうよ。】
ツ+:『いっ、嫌ですっ!ご主人様は、私の身体に自分の感覚を全て逃がして、
私の感覚だけを逝かせてしまうに決まっていますっ!』
森田の手が瞳の性器をもてあそび、乳房をむさぼるように掴むと、瞳の身体を責めているはずの森田の身体が硬直し、
のけぞり、瞳の口から、森田のよがり声が聞こえるのであった。
ツ+:『あっ、あっ、いっ、逝っちゃいます〜〜〜〜ッ!!』
そして、瞳の口から漏れた森田の声と共に、森田の身体が反り返り、痙攣して、膝から床に崩れ落ちた。
その光景をミンメイは呆気にとられて見つめていた。崩れ落ちた森田の身体が、むっくり起き上がり、
ヒ:「つぐみさんっ!起きてっ!」
今度は瞳の身体から瞳の声が聞こえ、森田の手が自分の頬を叩いている。
ツ:「うっ、う〜〜〜〜〜ん・・・。ご主人様・・・、非道すぎます・・・。」
今度は、森田の身体から森田の声が聞こえた。
ヒ:「どう?ミンメイちゃん、気に入ってくれた?」
ミ:「はい・・・、私、あそこが大洪水です・・・。なんて素晴らしいのでしょうか?
サイボーグ体での感覚共有システムがここまで進化していたなんて・・・。
それも、宇宙開発の政府機関でも、軍の研究機関でもなく、民間の団体が、
この技術研究の最先端の技術を実用化していたなんて・・・。スーパーF1、恐るべしです・・・。」
ツ:「石坂ドクターが恐ろしいと言った方が好いかもしれません。」
ヒ:「つぐみさんの言うとおりだと思うよ。石坂ドクターは、人類が作り出した最強のマッドサイエンティストだと思う。」
ミ:「確かに・・・。ここまで、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとサポートスタッフの関係を
電子的にも生体感覚的にも緊密化できるなんて・・・。どんな研究機関のどんな優秀な研究者でも実用化が
無理だとされていることをいとも簡単に実用化してしまうなんて・・・。」
ツ:「もっとも、ご主人様のサイボーグ適応化率と、改造比率、そして、私のサイボーグ体への改造化率が高かったことも、
このシステムを120%活用できる要因なんですがね。他のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーと
サポートスタッフでは、こんな複雑なことは出来ないかもしれません。サイボーグ体同士の意識交換は、
サイボーグ化率の高いもの同士のシンクロでしか実現できないって、石坂ドクターも言っていましたし、アンネも、
ここまでの性生活は送れないって言っていました。意識交換の意識レベルだと、お互いを結ぶケーブルが
過情報状態となり、データー交換が飽和状態を起こすため、感覚の相互の受容が弱くなって、感覚が弱くしか伝わらず。
性感が弱いらしいです。ちょうど、音楽データーを録音するときに、録音のボリュームレベルを絞りすぎてしまったために、
再生するときに、いくらボリュームを上げても、満足するほどのボリュームまで上げられないようなものだって
言っていました。」
ミ:「なるほど・・・。私、今のつぐみ様の説明を聞いただけでも、濡れ濡れの洪水状態なんですけれど・・・。」
ヒ:「それでは、ミンメイちゃんに私たちと一緒に楽しんでもらうことにしよう。まず、
私とつぐみさんを気持ちよくさせて欲しいな。」
森田の身体が、ミンメイの前に歩いてきて、ミンメイの身体から着衣をはぎ取った。
そして、ミンメイの文句のつけようもない抜群の裸体が現れた。
ツ:「ミンメイさんの胸、意外と大きいのよね。それに形も良いし、憧れちゃいます。」
ヒ:「後は、テクニックがどこまで確かかだよね。」
ツ:「そうですよね。今日は、ご主人様と私が試験官みたいなものですよ。私たちを思う存分楽しませてくださいね。
そして、私たちの僕としての適性試験に合格するようにしてくださいね。」
ヒ:「もちろん、合格するには、ミンメイちゃんも楽しんでもらわないとね。まずお口だけで、
私とつぐみさんを逝かせて欲しいんだけれど・・・。」
ツ:「そうですよね。お手々が使えないようにしなくっちゃ。」
森田の身体が用意してあったソフトロープでミンメイの白くて皺のない、若さあふれる肉体から自由を奪う様に縛り上げた。
ミ:「つぐみ様の身体がどちらの意志で動いているのかがわからない・・・。
そんなところが、ミステリアスで濡れちゃいます。」
ヒ+:【さっ、そんなこと好いから、こっちにおいでよ。】
つぐみの身体を使って瞳がミンメイを瞳の身体の横たわるサイボーグメンテナンスベッドの前に手を引いてエスコートした。
ミ:「瞳様の身体も、つぐみ様の身体もすっごく綺麗でみずみずしいです。
それに、お二人とも、身体に毛がなくてスベスベなんですね。」
ツ+:『そうですね。私もご主人様も、加齢処置を無視して、ご主人様が、18歳の時、
私が20歳の時の肉体を再現させていますし、私の人工皮膚は、宇宙開発用サイボーグや
軍の特殊部隊のサイボーグに採用されている人工皮膚を石坂ドクターがサポートスタッフ用に
アレンジした特殊なものですから、人工体毛を生やす必要なんてないですし、ご主人様の人工皮膚だって、
事故の時のことを考えて耐熱・耐衝撃・絶縁性に優れた機能本位の人工皮膚ですから、
体毛を生やすなどと言う余計な発想はないですからね。』
ヒ+:【でも、体毛まで忠実に再現できたとしても、私は断ったかもしれないけれどね。
だって、パイパンの身体って、最高だよ。愛されたとき、無駄なものが無くなっているから感度も好いしね。】
ミ:「うわっ!瞳様も、つぐみ様も、だ〜〜〜〜〜〜〜い好きッ!」
ミンメイは瞳の身体にかぶりつき、舌を使い丁寧に瞳の紡錘形の整いすぎるほどに整った乳房を丁寧に舐めていった。
この時、瞳も森田も感覚を共有しているため、二人とも、それぞれベッドの上で軽く痙攣しながら、身体を硬直させた。
ミ:「瞳様、次は、あそこいかせていただきます。瞳様のあそこって、クリトリスが包皮が切除されているって本当ですか?」
ヒ:「そうだよ。スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに改造手術を受けるとき、
改造成形手術を施してもらっているもの。感度抜群だよ。」
ミンメイの舌が徐々に下半身におりていき、瞳のへその部分を舐めまわした。
もちろん、へその部分は専用のデーター交換コネクターと電力供給ケーブルコネクターが接続されるための
コネクターユニットになってしまって、しかも、森田の身体との感覚を繋ぐためのコネクティングケーブルが
接続された人工物となってしまっていて、瞳のへそは性感帯ではないが、その周囲の部分に性感帯があることを
サイボーグフェチのミンメイは心得てコネクティングユニットの周囲を丁寧に舌を使い刺激して、そのまま、
下半身に舌を移動していったのである。
その舌使いは女性特有の優しさと、ツボを心得た動きであり、ヒトミとツグミの感応度は最高潮に達していた。
ミンメイは、瞳の洪水状態のヴァギナと洗練され、むき出しになったクリトリスを舌で交互に奉仕しながら、
ミ:「あの〜〜〜。聞いても好いですか?瞳様のアナルは特殊金属の弁が付いているって聞いているのですが・・・?」
ヒ+:【うっ、う〜〜〜んっ!きっもち好いよ〜〜〜う。ミンメイちゃん最高ッ!
さすがに女の子を喜ばすのに慣れているから、意識がなくなっちゃうよ。
その質問、かろうじて意識レベルが私の身体よりも高いつぐみさんの身体を借りてお答えてます。
答えは、その通りです。私たちスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、レース中のことを考えて、
肛門にはバルブを取り付けられていて、朝必ず消化器官に残ったものを全て洗浄されて、
便意を催すことが1日ないようにされるんだよ。レース中にウンチを垂れ流すことは出来ないからね。
オシッコは、おむつに排泄すればいいけれどね。だから、人工弁で肛門を塞がれているんだよ。】
ミ:「オシッコは、おむつにするんですか?」
ヒ+:【そうだよ。他のカテゴリーのレースと違って長時間マシンの中で過ごすことになるからね。
だから、尿意だけはおむつを使って解決するんだけれど、便意はなくしてしまうことを考えないといけなかったものだから、
こんな弁が付いているんだ。でも、開けることも出来るから、アナルでセックスも出来るんだよ。
今日の私の状態だと、消化器官に残された排泄物は、腰のところの排泄物緊急用自動処理弁で全て体外に
排出されているから、すぐに使えるよ。こっちも奉仕したい?】
ミ:「凄いです。もちろんご奉仕したいです。」
ミンメイが瞳の股間を全て舐めまわして奉仕すると瞳がアナルの弁を開放した。
瞳のアナルの内側が綺麗に見える状態になった。興奮するミンメイに森田の身体から森田が声をミンメイにかけた。
ツ:「私の方の奉仕もお願いね。ミンメイさん。」
ミ:「はっ、はいっ!」
ミンメイは、今度は、森田の身体を乳房から、下に向かって舐めまわした。
その舌使いの繊細さに、瞳の身体も森田の身体も再び小刻みに震えて興奮しているのがわかった。
ツ+:『私の身体のアナルは、性的な奉仕だけのために残されているのよ。
排泄物は腰につけられた人工肛門弁で行われるから、いつでも、オッケイよ。』
瞳の身体から森田の声がミンメイの耳に届いた。
ミ:「凄いです。つぐみ様のアナルは性的使用目的に限定されていると噂されていたのですが、
本当のことだったんですね。今晩は、たっぷりご奉仕させていただきます。」
ヒ:「ミンメイちゃん、私の唇を奪わないの?」
ミ:「えっ!好いんですか?」
ヒ:「もちろんじゃないの。何を遠慮しているの?私のパートナーになるんだから当たり前だよ。」
ミ:「だって・・・。瞳様の唇はつぐみ様だけのものじゃないのかと・・・。」
ツ:「ミンメイさん、遠慮しないでください。ご主人様は、誰のために特別などと言うことはないから大丈夫ですよ。
ご主人様の唇を奪ってあげて・・・。ご主人様の唇を奪ったら、今度は私の唇も奪ってね。」
ミ:「はっ、はいっ!ありがとうございますッ!」
ヒ:「ミンメイちゃん、運動部の先輩後輩じゃないのだから、そんなに緊張しなくったって。」
ミ:「だって、私にとっては、最高の人に二人も巡り会えたんですよ。
そして、その二人一緒に唇も肌も重ね合わせることができるなんて夢みたいなんです。」
ツ:「それじゃ、ミンメイさん、これを着けてもらうからね。」
森田の身体が持ってきたものは、下半身に取り付けるの貞操帯で、ミンメイ自身のアヌスとヴァギナに入れるプラグと、
クリトリスを刺激するカップが付いたもので、ベルトの外側には、男性器型のディルドーが付いているものであり、
ショーツのように下半身を完全に覆い隠すようなものであった。
ミ:「何ですかこれ?」
ヒ:「ミンメイちゃんのためにつぐみさんが用意してくれたものだよ。それをショーツのように履いてごらん。
これは、私からの命令だよ。」
瞳をミストレスとして認め、その僕である森田のさらに僕という地位に身を置くことになったミンメイにとっては、
瞳からの命令は絶対であり、その命令には絶対に従わなくてはならないし、
森田が命ずることにも従わなくてはいけないのだ。
ツ:「さあ、ミンメイさん、お尻を出してください。」
ミ:「なっ、何をなさるんですか?つぐみ様。」
ツ:「はい、ミンメイさんのお腹をきれいにします。」
森田はそう言うとミンメイの肛門にホースを突き刺した。
ミ:「うっ!」
ミンメイのうめき声がまるで聞こえなかったかのように、森田はホースが繋がっている機械のスイッチを入れた。
間もなく、ミンメイのお腹の中に渋るような痛みが走って、その痛みと苦しみがどんどん増していき、
ガマンの限界に達するまでにそんなに時間がかかることはなかった。
ミ:「つぐみ様、お許し下さいっ!ガマンができませんっ!」
ツ:「ミンメイさん、大丈夫です。腸内の排泄物が液体状になるまでどんなにもがいても、
排便をすることができないのですから。これは、ミンメイさんが安全に、
衛生的に遊べるために必要なことなんですよ。ガマンしてくださいね。」
森田の言葉が冷たく響く。
ヒ:「ミンメイちゃん。つぐみさん、厳しいでしょ。時には、私なんかよりもSじゃないかと思う時があるんだよ。」
ツ:「黙っていてくださいっ!ご主人様っ!」
ヒ:「・・・。」
森田の言葉に瞳もひるむ時もあるのだ。ミンメイが泣きわめいても不思議ではない。
ミンメイは、大腸と直腸に老廃物が無くなるまで、腸洗浄機の攻撃を何度も受けたのであった。
ツ:「よし、これで好いと思います。」
森田はミンメイの肛門に突き刺したホースを抜きながら言った。
ミ:「ううっ!」
ミンメイは、森田が自分の肛門からホースを抜く時の感触によがり声を出すのだった。
ヒ:「さあ、そのショーツをはいて。ミンメイちゃん。」
ミ:「はっ、はい。」
ミンメイは、肛門に残る感触に酔っていたのを瞳に急に現実に引き戻された。
ツ+:『ミンメイさん、そのショーツは特殊形状記憶樹脂でできています。
ミンメイさんが、そのショーツをはくと、完全にミンメイさんの腰から下に密着してしまうようになっているのです。
そして、完全にミンメイさんの下半身に同化して、新しい下半身になってしまうのです。』
今度は瞳の口から森田の声が聞こえてきた。
その傍らでミンメイが持つ貞操ショーツをはかせようとしている森田の身体がいるのだ。
ミンメイは、この倒錯した機械の身体を持った二人が織りなす魔術のような世界に酔いしれていた。
どっちの身体にどっちの意識が宿るのかがめまぐるしく入れ替わり、混乱を来すような世界での出来事は
ミンメイにとっての理想のサイボーグとのセックスの世界であったのだ。
そんなことを思っているミンメイが現実に戻されたのは、つぐみの身体のサポートによって、
ミンメイの下半身のふたつの穴に無遠慮に入ってくる異物の感覚であった。
しかし、その感触は、決して心地の悪いものではなく、ミンメイをさらに深い官能の世界に誘う刺激になっているのである。
大きなディルドーでふたつの穴を塞がれ、その上、クリトリスにはすっぽりとカップが嵌められた状態で
ミンメイの下半身にこの貞操ショーツが、ピッタリと密着してきた。
ミンメイが自分の下半身を確かめると、樹脂製のショーツから、男の一物が大きくそそり立っているような下半身に
変身しているのだ。
ミンメイの下半身の異様な姿にミンメイはさらに陶酔の世界に引き込まれていくのであった。
ツ:「今、ミンメイさんの下半身を覆った貞操ショーツは、ミンメイさんのふたつの穴を貫くディルドーと
クリトリスを覆うカップが、ミンメイさんの股間にそそり立っている人工男性器と電子神経で繋がっています。
ミンメイさんが私とご主人様の身体のアヌスとヴァギナを貫いていただくとミンメイさんのアヌスと
ヴァギナの人工男性器とクリトリスのカップが、ミンメイさんを性的絶頂へと誘うような刺激をミンメイさんに
与えるようになっています。ミンメイさんが絶頂を迎えるには、私たちが絶頂の快感を迎えるように
頑張ってもらわないといけないようになっています。そのために、私たちの性的興奮度を監視する
外部モニターコンピューターとミンメイさんの貞操ショーツは接続されています。ミンメイさんの性的興奮度も、
このモニターコンピューターが監視し、ミンメイさんが私たちよりも先に性的絶頂を迎えないようにミンメイさんに
与える性的刺激をコントロールしているのです。だから、ミンメイさんは、私とご主人様の絶頂を迎えさせるように
頑張っていただくことが、ミンメイさん自身が絶頂を迎えられる唯一の手段なのです。そして、
ミンメイさんが絶頂を迎える時、ミンメイさんの人工男性器が男性としての性的絶頂を迎えるような
疑似感覚をモニターコンピューターに送り出すようになっています。、その信号は、ご主人様のクリトリスに
性的興奮を伝えて、ミンメイさんの股間の人工男性器の男性的な絶頂感で、ご主人様はタチとしての絶頂を
迎えられるようになっているのです。もちろん、私とご主人様は、人工神経ケーブルで繋げられていますから、
ミンメイさんが、私の身体を貫いている時でも、ご主人様は、ご自分の性感として、私の性器に起こったことを
感じることができますし、ご主人様の性器で行われていることは、私も性感として感じることができるのです。
ただし、私は、ネコですので、男性的絶頂感は、必要ないので、そちらの刺激テーターは、
ご主人様だけの快感になっていますが・・・。」
ミンメイは、自分の下半身にはかされた貞操ショーツの後ろ側から、
太いケーブルが壁の機械と接続されていることを確認した。
そして、自分もある意味でサイボーグになったような感覚に陥り、
その甘美な性的誘惑に股間が熱くなるのを感じるのであった。
ヒ:「ミンメイちゃん。その貞操ショーツは、つぐみさんがパスワードを入力しないと脱げないからそのつもりでいてね。」
ミ:「えっ!」
ミンメイは、性の囚人のような自分の置かれた立場に対する屈辱感で再び感じてしまうのであった。
ツ:「だから、ミンメイさん、私たちが満足するまで私たちに奉仕してくださいね。その代わり、縄をほどいてあげます。
だから、目一杯のご奉仕お願いします。それから、これを着けてもらいますよ。」
森田はそう言うと、ケーブルが繋がっているイヤホンのヘッドセットを耳に被せ、
視界を極端に狭くする特殊なゴーグルでミンメイの目を覆った。
ヒ:「これで、ミンメイちゃんは、私とつぐみさんの声以外の余計な音も聞かなくてすむし、視界も、
私の身体かつぐみさんの身体だけしか見られないように極端に視界を狭めたからご奉仕に専念するんだよ。」
ミ:「はい。」
ミンメイはそう言って、瞳の言葉に頷くとまず瞳の身体に乗り、瞳の身体をなめ回して、瞳の股間までなめ回し、
唇を会わせるような前技を行い、瞳の興奮する姿を見ながら、瞳の身体のヴァギナを貫いた。
瞳と森田の精神が絶頂に達するとミンメイの股間の刺激が一気に強くなり、ミンメイが絶頂に達する。
程なくして、瞳のクリトリスにミンメイの股間の人工男性器が女性の股間を貫く快感刺激を瞳に供給していたのが、
ミンメイの絶頂に併せて、絶頂を迎える男性器の快感を瞳に伝え、瞳が絶頂感にひたることで確認できるのであった。
さらに、ミンメイは、気絶してしまうような快感がさめやらぬうちに電気刺激により意識を戻され、
瞳のアナルへの奉仕に取りかからせられるのだ。
さらに、瞳のアナルでの絶頂の快感に瞳と森田が酔いしれると、今度は、森田の身体の奉仕をミンメイは
行わなくてはならないのである。
瞳とつぐみに対する奉仕を何度となく行い、何度も何度も絶頂を迎える3人が、最後に、
合計12度目絶頂を迎えたところで、3人とも体力の限界に達して、そのまま、崩れるように果ててしまったのである。
3人は満足感の中で深い眠りに落ちたのであった。
今日はここまでです。
いよいよ、夜の懇親会編なのですが・・・。
いかがでしたでしょうか?
>>403の下側
こるりちゃんですかぁ。書き慣れた感じが好印象。良いところ狙ってるよ。
まだ一話だからコメントは時期尚早だけど...。要チェックだと思うよ。
Vocaloid2〜初音ミク〜だろ?
当然もう買ってるよな? オレは一昨日から遊んでるよ。w
森田つぐみ(以降、ツ):「ご主人様、起きられましたか?」
速水瞳(以降、ヒ):「うん。起きているよ。と言うか、自動的にライブモードに入ったみたいだけれどね。」
ツ:「そうですね。それが私たちの宿命ですよね。機械の身体。
それも、完璧に制御されているんだから仕方ないですよね。」
ヒ:「そうだよね。でも、たまに、自分の体内時計が30分くらい遅れてくれればいいのになんて思うときがあるよ。」
ツ:「私もです。なにも、こんなに正確じゃなくてもって思うときがあります。
でも、この正確な管理の中で生きていくことを選択したんだなって思い知らされるんです。」
ヒ:「そうだね。でも、機械は正確すぎて遊びがないから、人間のような耐久性がないんだなって思うよね。」
ツ:「はい。でも、こんな簡単なことでも、普通の生身の人間の時には解らなかったですよね。」
ヒ:「そうだよね。機械の身体になることを志願して、その身体をもらって初めて解ったことだよね。」
ツ:「きっと、ミンメイさんも、今はサイボーグという機械と人間の中間のにわかスーパーマンになることに憧れ以上の
思いを抱いているのだと思いますが、彼女でさえも、サイボーグになってから、生身の人間の身体が優秀だったんだって、
思うときが来るんでしょうね。やっぱり、神様が下さった身体の優秀さを思い知らされるんでしょうね。」
ヒ:「そうだね。きっと、そう思うときが来るはずだね。」
ツ:「はい。」
ヒ:「その時に、サイボーグ改造手術を受けた先輩として、そして、ミンメイちゃんに愛を注がれている人間として、
アドバイスやエールが送れる関係になれたら最高だね。」
ツ:「きっと、そうなります。」
ヒ:「そうかな?」
ツ:「なるに決まっていますよ。だって、ご主人様と私は、ミンメイさんにとってのスーパーヒロインなんですから。」
ヒ:「そうだね。ところで、ミンメイちゃんを起こさないと・・・。」
ツ:「そうですね。生身の人間は、本能で睡眠がとれるところがいいですね。疲れたときは心おきなく眠れるんですから・・・。」
ヒ:「サイボーグに改造された当初は、短時間で生体部分の体調や機械部分の調整も
次のライブモードにモード変更されるまでに終わってしまうこのサイボーグシステムが
凄く便利なものだと思っていたけれど、今は、生体の曖昧さがうらやましいよね。」
ツ:「本当ですね。」
ヒ:「ところで、つぐみさん、今日の予定はどうなっていたっけ?」
ツ:「はい。カンダスーパーガールズの本隊とは離れて午後の名古屋行きの飛行機で鈴鹿に向かいます。」
ヒ:「名古屋?関空じゃないの?」
ツ:「はい。マネージャーからオンライン出来ているスケジュールでは、そうなっています。」
ヒ:「珍しい便を取ったんだね。」
ツ:「はい。美濃田監督から、ミンメイさんを名古屋のトミタ本社まで送り届けてから、
鈴鹿に向かって欲しいからと妻川監督に要請があったようです。
その為、美濃田監督の手配の航空券を受け取っています。名古屋からトミタ本社までは、
トミタの差し回した専用車が迎えに着ているそうです。」
ヒ:「パパが?」
ツ:「はい。」
ヒ:「恵美さんとパパに仕組まれちゃったね。」
ツ:「この出会いのことですね。」
ヒ:「うん。ミンメイちゃんを私の愛人にしておいた方が都合がいいと言うことなんだよ。きっと・・・。」
ツ:「ミンメイさんの保護者にご主人様をしておいた方が都合がいいと言うことですね。」
ヒ:「そういうことだと思うんだ。たぶん、スーパーF1の世界に馴染みやすいようにだと思うよ。」
ツ:「そうですか・・・。ミンメイさんも必ず、サイボーグにされてしまうんですね。」
ヒ:「そうだね。ミンメイちゃん、サイボーグフェチだから、最初はサイボーグになったことに喜ぶんだろうけれど、
この機械の身体の不便なところに戸惑うこともあるんだろうね。所詮は作り物の身体だものね。
それに、事故や病気でもないのに、自分から進んで機械の身体になることを望んだ事による社会的な
偏見の目や差別に戸惑うこともあるんだろうね。」
ツ:「そうですね。それが私たちのような望んでサイボーグ手術を受けた人間の宿命ですからね。」
ヒ:「私たちだって、なにも好きこのんでサイボーグになった訳じゃないのにね・・・。
このスーパーF1のモンスターマシンに乗るのには、生身の身体じゃどうしようもないから、
人間の生身の身体を捨てて、サイボーグにならなきゃいけないと言うだけなんだものね。」
ツ:「はい。私も、スーパーF1の世界で、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのお世話をして、
この世界とかかわりたいと願ったからサイボーグになることを承諾しましたからね。
サイボーグになるしか選択肢がない世界で働くことの宿命なんですよ。それにミンメイさんも、
突き当たるときが必ず来ます。その時、全てを理解しているご主人様が、守ってあげることがベストなんだと思います。
それに、ミンメイさんのサイボーグ適応化率からくる考えを理解してあげられるのは、
ご主人様と私のような改造化率が高くて、適応化率も高いサイボーグだけなんだと思います。」
ヒ:「そうだね。希望ちゃんのこともあったし、そんなパパの心配を亜稀社長も恵美さんも理解して私に近づけたんだね。」
ツ:「きっと、将来的に他のドライバーの人たちとのトラブルも出てくるとしたら、
ご主人様が仲裁にはいるのが適役だと思ったんでしょうね。」
ヒ:「たぶん、そうだと思う。でも、私にレースクイーンとして、近づければ、私が手を出すと思われているのが悔しい・・・。」
ツ:「やっぱり、皆さん、ご主人様の全てを理解していると言うことなんですね。」
ヒ:「・・・。」
ツ:「仕方ないじゃないですか。ご主人様がミンメイさんほどの美貌の女性を放っておくわけないのは事実なんですから。」
ヒ:「・・・。でも、予想外があったとすれば、ミンメイちゃんが、つぐみさんを気に入ってなついてしまった事じゃないかな。」
ツ:「そうかもしれませんね。まさか私にまでなつくなんては思いもよらなかったでしょうね。
でも、その方が好かったのかもしれません。サポートスタッフからのサポートが良いケースもありますし、
サポートスタッフ同士での処理が良いケースも出てくるはずですから。」
ヒ:「そうだよね。でも、ミンメイちゃんの寝顔も寝姿も可愛いね。最高だよ。」
ツ:「本当ですね。このまま寝かせておいてあげたいですね。」
ヒ:「このまま、刻が止まっていればいいのにね。」
ツ:「でも、私たちには、そんな感傷の世界にいることは出来ないんですよ。ご主人様には、
次の東アジアグランプリで、ご主人様の笑顔を見たいというファンがたくさんいるんですから。
さあ、ミンメイさんを起こして、仕度をしましょう。」
ヒ:「つぐみさん、私たち、このままの格好で・・・?」
瞳は、自分と森田がメンテナンスのためのケーブルや老廃物除去システムのホース、
生体部分維持システムのホースなど、たくさんのケーブルやホースと繋げられている事に気がついたのだ。
ツ:「ご主人様、もちろんです。このような機械人形の姿から人間の形状をしたサイボーグに戻るスーパーヒロインの姿を
ミンメイさんはきっと見ていたいんだと思います。ミンメイさんとの最初のエッチの締めくくりですよ。決めないと・・・。」
ヒ:「そうか・・・、ミンメイちゃんの複雑な性癖では、ミンメイちゃんと一緒にケーブルを外すのが良いんだね。
それにしても、ミンメイちゃんの股間にも、性管理ショーツが付いているよ。」
ツ:「はい。ミンメイさんの性管理用貞操ショーツは、このまま、ずっと、着けていてもらいます。」
ヒ:「えっ!?!」
ツ:「ミンメイさんの性器は、私とご主人様の管理下に置きます。ショーツのケーブルを外して、
屋外調教用リモコンユニットに付け替えるだけにします。私とご主人様のどちらかの許可を得て、
立ち会いのもとでしか性管理用貞操ショーツは外せないようにすることにします。」
ヒ:「いいの?だって、私たちとミンメイちゃんは離れている時間が多いんだよ。
その間は、シャワーを浴びるときも性器を洗浄できないんだよ。ミンメイちゃんが不便じゃないの?」
ツ:「映像通信システムで管理できるじゃありませんか?」
ヒ:「あっ、そうか。映像通信システムを使えば、その日に起こったことを全て報告を
会っているときと同じように受けられるものね。」
ツ:「そうです。」
ヒ:「でも、貞操ショーツを外すことがミンメイさんには出来ないんだから同じだよ。」
ツ:「ご主人様、お忘れですか?」
ヒ:「何を?」
ツ:「この性管理用貞操ショーツのコントロールユニットは、衛星デジタル回線で世界中のどこにいてもミンメイさんを
管理することが可能なんですよ。着脱時のパスワードも私とご主人様の体内サポートコンピューターからの指示で
送信可能なんですよ。」
ヒ:「そうか・・・。でも、つぐみさんしか解錠のパスワードを知らないよ。」
ツ:「大丈夫です。ご主人様のサポートコンピューターのミンメイさんのデーターファイル内にパスワード類の
保護ファイルを納めてあります。パスワードはご主人様の通常使用パスワードと共通のものに設定しておきました。」
ヒ:「さすがつぐみさん。これで、ミンメイちゃんを世界のどこにいても管理できるし、喜ばせることも出来るんだよね。」
ツ:「はい。アヌスも、ヴァギナも、クリトリスも、ミンメイさんの性器は世界中どこにいても、
感じさせてあげることが出来ます。言うことを聞かないときは、快感刺激ではなく、
電気ショック等のお仕置き系の刺激も送ることも出来るんですよ。」
ヒ:「この性管理用貞操ショーツは凄いんだね。さすがに石坂ドクターが個人の趣味で開発しただけのことはあるよね。」
ツ:「はい。スーパーF1界のマッドサイエンティストと言われるだけのことはあります。」
ヒ:「でも、排泄はどうするの?」
ツ:「オシッコの方は、小用の専用スリットからの排泄ですから問題ないです。大の方の処理は、
お尻のところのプラグに持ち運び可能な大きさの腸洗浄ユニットのホースを性管理用貞操ショーツに
作られている排泄管理用カプラーに接続して行ってもらいます。もちろん、私かご主人様の許可信号がないと、
腸洗浄ユニットも作動しないようになっています。」
ヒ:「そこまで管理できるんだ。」
ツ:「本当は、オシッコの方もスリットにある専用バルブを閉じれば、排尿管理ユニットを使用して管理できるのですが、
これを使用すると、ミンメイさんが尿意を催すたびに、こちらで管理信号を発進してあげなくてはいけないので、
こちらの管理が大変ですので、ミンメイさんと長期間一緒にいるとき以外は使用しないようにしました。」
ヒ:「ミンメイちゃんを自分のものに出来るなんて素敵だよ。私も濡れて来ちゃった。」
ツ:「ご主人様がそのように思うだろうと思っていました。シャワーをミンメイさんに浴びさせたら、
セットになっている性管理用貞操ブラも装着してもらいます。ミンメイさんがご主人様と私以外で
性的快感を得られるのは口だけと言うことになります。つまり、私とご主人様以外には、性器での奉仕はもちろん、
口以外の敏感に感じることの出来る性感帯での性的快楽を味わうことは出来ないようになるのです。
ミンメイさんが性快感を感じたいのなら、ご主人様か私に許しを請わなくては、自慰的な行為さえ不可能なのです。」
ヒ:「ミンメイちゃんを完全に管理できると思うと萌えちゃうよ。」
ツ:「ご主人様にミストレスの自覚が出てきて嬉しいです。」
ヒ:「つぐみさんは、ミストレスを育てるMだものね。私は、つぐみさんに完全に開花させられたもの。
感謝しています。女の子を愛する喜びと人を支配する愛し方に触れられて、自分の恋愛の形が広がった思いだよ。」
ツ:「そういっていただけると嬉しいです。でも、ご主人様は、バランスの取れた愛し方をしていますよね。
エマさんや真理子は、完成されたビアンのMだから、手が掛からないし、その二人に慣れた頃、
紫乃さんや明日美さんのように手塩にかけて育て上げるMのビアンに出会われて、
今度は完全に特殊なケースの女の子を育てる喜びを知ることが出来るんだから、
ビアンのミストレスとしてはこの上ない経験をされているんじゃないかと思います。
ミンメイさんの性癖なんて、どんなに探したって出会えるものじゃないですから、
ご主人様は、ビアンとして最高の幸せ者ですよ。でも、もう、これ以上にハーレムが膨らんだら、
私が管理しきれないと思います。もう、女の子に声をかけるのも程々にされてはどうかと思います。」
ヒ:「うん。つぐみさんのアドバイスに従うことにしようと思う。」
ツ:「そうですか。でも、ご自分がそう思っても無理かもしれませんね・・・。
ご主人様は、磁石のように女の子が吸い付いてくるから・・・。
ご主人様が気をつけていても相手から寄ってくるんだから無理かもしれません・・・。頭が痛いです・・・。」
ヒ:「そんなことないよ。気をつけていれば大丈夫だよ。それに、今は、つぐみさんとエマちゃん、真理子さん、紫乃ちゃん、
明日美ちゃんにミンメイちゃんと愛する女性が、いっぱいいるから精一杯だよ。
それに、マルコも愛してあげないといけないしね。バイは大変だよ。」
ツ:「・・・。ご主人様が、単純に気が多いだけなんでは・・・。」
ヒ:「お黙りっ!つぐみさんっ!」
ツ:「ひっ!ご主人様〜〜〜〜っ!」
ヒ:「ところで、つぐみさん・・・。疑問が二つあるのですが・・・?」
ツ:「ご主人様、そんなに改まってなんですか?」
ヒ:「ミンメイちゃんのあそこの装置のことなんだけれど、ミンメイちゃんの性管理用貞操ショーツと
性管理用貞操ブラを外してあげたとして、もう装着が嫌だと言って拒否しちゃったらどうするの?」
ツ:「やっぱり、ミンメイさんの管理のことで頭がいっぱいなのですね。それは、大丈夫だと思います。
マッドサイエンティスト貴美香が作ったものです。ちゃんと対策があります。最初に装着させるとき、
ディルドーの先端とブラのカップの先端にマイクロチップがあって、そのマイクロチップを体内に自動的に
注入するようになっているのです。昨日、ミンメイさんの膣内と直腸内には、すでにマイクロチップが入れられたのです。
ミンメイさんは興奮していて気がつかなかったのですが、ちょっとした痛みがあったはずです。
このチップが身体に埋め込まれるとこちらであらかじめ設定した時間以上性管理用貞操ショーツと
性管理用貞操ブラを外していると、痛覚神経が刺激されて激痛が走るようになっているのです。
だから、あらかじめ決められた時間以上は、ご主人様と私の許可がなければ、外していられないのです。
現状で、私が設定している時間は1時間です。ただし、私たちから20メートル以内にいれば、
ご主人様と私の体内コンピューターからの許可信号をマイクロチップが受信して、ミンメイさんは、
何時間でも性管理貞操ショーツと性管理貞操ブラを外していることが出来るのです。」
ヒ:「なるほど・・・。でも、もうひとつの疑問として、ミンメイちゃんはモデルだから、
こんなものを装着されたままでお仕事はできないんじゃないかと思うんだよね。
レースの時は、レーシングスーツの一番下は、おむつだし、レーシングスーツ自体が
分厚いから目立たなくて、装着状態でも大丈夫だと思うんだけれど。」
ツ:「はい。あのごつい性管理用貞操ショーツは、プレイ用です。このブラもそうです。
プレイの時に着用していることを意識させるために作られたタイプなのです。
ミンメイさんに常時着用していただくのは、こちらのタイプです。」
森田は、そう言うと、森田の部屋に駆けていき、両手にプラスティックの箱を持って、戻ってきた。
その箱を森田が開けて、中のものを取り出した。
その中身である性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラを見て瞳は驚きを隠せなかった。
ヒ:「この薄いもので効果があるの?」
ツ:「はい、効果は絶大です。薄いと言っても、性器からアナルにかけての部分やブラのカップの部分は着用すると
硬化して強度が出るのです。外側からの刺激を完全にシャットアウトするのには充分な硬さをえられるようになっていますし、
ミンメイさんの膚に近い色に変色しますので、着用していることに周囲は気がつきません。この上から、
レオタード用のアンダースーツを着けて仕事をすれば、水着やレオタードのお仕事でも、周囲は気がつかないと思います。
ひょっとしたら、ヌードになっても気がつかないかもしれないくらい、ミンメイさんの膚の色と身体の形状に
フィットしてしまうはずだと、マッドサイエンティスト貴美香は仰っていました。」
ヒ:「確かに・・・。さすがにマッドサイエンティスト・・・。」
ツ:「それに、性管理用貞操ショーツは、股関節までカバーしていますが、ご主人様の人工皮膚と
同じ素材を加工してあるそうですから、股関節部分が動きにいとか、股関節部分の動きが不自然で
着用していることが分かってしまうことがないようになっているのです。」
ヒ:「さすがだ・・・。それにしても、つぐみさんもSの資質があるんじゃないの?
ミンメイちゃんに装着するということを話していると目が輝いているように思えるんだけれど・・・。」
ツ:「ご主人様、勘違いしないでください。私の目が輝いているのは、ご主人様が現役を引退したら、
ミンメイさんにこれからお着けするものと同じものを私にも着けていただいて、
ご主人様に貞操管理をしていただこうと思っているからです・・・。それを考えると目が輝いてしまうのです。」
ヒ:「そういうことか・・・。」
ツ:「私は、なにも、ミンメイさんの貞操管理を自分がしたいとは思いませんが、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのサポートスタッフとしては、ご主人様の手脚として、
このようなことでも、ご主人様が望むであろうことをしなくてはいけないのです。
ご主人様だけで管理できるのであればいいのですが、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの特性上、
私が代理で管理する以外に方法はないし、このような管理をするためには、スーパーF1マシン専用
サイボーグドライバーのミストレスには補助管理者がいないといけないので、泣く泣くと言うことです。」
ヒ:「そうですか・・・。私には、つぐみさんもミンメイちゃんを管理する喜びを感じているように思えるんだけれどな・・・。」
ツ:「そつ、そんなことあるわけ無いじゃないですかっ!?そっ、そんなことよりも、ミンメイさんを起こしますからねっ!
ミンメイさんが起きてきたら、性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラで、ミンメイさんの貞操管理を行うことは、
ご主人様が言い渡すのですよ。それがミストレスとしての務めなんですからねっ!いいですねっ!」
ヒ:「は〜〜〜い。もちろん判っているよ。言い渡したときの絶望感と陶酔感を楽しまなくちゃね。
でも、つぐみさんの態度も怪しいよね。つぐみさんは、深層心理上はSなんじゃないのか疑っちゃうよ。」
ツ:「そんなことは、絶対にありませんっ!!でも、本当にミストレスらしい底意地の悪さが増してきて・・・。
頼もしいやら・・・。」
ヒ:「開花させたのは、つぐみさんなんだからね。」
ツ:「・・・。」
ヒ:「つぐみさん、ミンメイちゃんを起こすのは、性管理用貞操ショーツで、クリトリスに痛覚刺激を
与えて起こしてあげようよ。その次に快感刺激をヴァギナに与えて起きたことのご褒美にするんだ。」
ツ:「ご主人様に、早く引退していただいて、私の管理をお願いしたいです。そんな、鬼畜な起こし方を考えつくなんて・・・。
ミストレスとして立派になられた証拠です・・・。」
ヒ:「つぐみさん、お願い、朝から、ネコのようにスリスリされるとまた、愛し合いたくなっちゃうから止めてくれない?」
ツ:「あっ、つい・・・。ご主人様のしっかりとした考え方に感動してしまったものですから・・・。」
ヒ:「・・・。さあ、始めるよ。」
ツ:「どうぞ。」
瞳は自分の体内のサポートコンピューターに指示を出して、ミンメイの性管理用貞操ショーツの中の
クリトリス管理キャップに対し、痛みを感じる信号を出すように命令を出した。
ミンメイ=羹=ハイデン(以降、ミ):「いっ、いたっ!」
ミンメイが悲鳴を上げて飛び起きた。
ミ:「何が起きたんですか〜〜ッ!私のクリちゃんがいたいんです〜〜〜〜〜ッ!瞳様ぁ〜〜〜っ!助けてくださいッ!
あっ、アヌスが気持ちいいよ〜〜〜ッ!わっ、私の身体どうなっちゃったんですか〜〜〜〜〜ッ?!」
ヒ:「ミンメイちゃん、おはよう。」
ミ:「あっ、瞳様、つぐみ様、おはようございます。あれっ、痛いのが消えた・・・。
あっ、あっ、どうしよう、気持ちいいよ〜〜〜ッ!」
ミンメイは、よがり声を出して、自分の股間に手を持っていこうとして、性管理用貞操ショーツに阻止された。
ミ:「気持ちいいのに弄れないです〜〜〜〜ッ!瞳様、性管理用貞操ショーツをはずしてくださいっ!
お願いです〜〜〜ッ!気持ちよすぎて、気が狂いそうで〜〜〜すっ!」
ヒ:「ミンメイちゃん、それは出来ないよ。ミンメイちゃんの股間と乳房の所有者は、今日から私になったの。
そして、もう一人の所有者がつぐみさんだよ。だから、ミンメイちゃんの感じやすいところは、
今日からミンメイちゃんのものじゃなくなったんだよ。」
ミ:「えっ!そっ、そんな・・・。オナニーも出来ないんですか・・・?」
ヒ:「そうだよ。私かつぐみさんに許可を得ないと出来ないんだよ。私とつぐみさんへの愛の忠誠の証として、
ミンメイちゃんの股間と乳房の所有権を私たちに譲渡してもらうの。いいよね。」
ミ:「うわっ。つらいけれど・・・。でも、瞳様とつぐみ様に管理していただくなんて素敵です。
瞳様とつぐみ様への愛の証として管理を受け入れてもいいんですか?
それは、今日から瞳様の僕で瞳様とつぐみ様の愛人となってもいいと言うことなんですね。」
ツ:「ミンメイさん、そういうことですよ。愛の証の管理を受け入れてくださいますね。」
ミ:「はいっ!喜んで。私・・・、嬉しすぎます。」
ヒ:「ミンメイちゃんは、これからずっと、遠隔操作で排便まで管理されるんだよ。それでもいいんだよね。」
ミ:「はいっ!喜んで・・・。」
ツ:「ご主人様に新たなタイプの僕であり、愛人が加わってしまった・・・。もっと抵抗するかと思っていたのに・・・。」
ミ:「つぐみ様も、私の愛を受け入れて愛してくださるんですよね。」
ツ:「えっ、ええ。もちろんよ。」
森田はミンメイがもっと抵抗するのかと思っていたにあっさりと、貞操管理を受け入れたのが意外なのであった。
ツ:「ミンメイさん。これを手に着けて。」
森田が差し出したのは、ゴムボールのような部分に手を入れて手の指が使えないようになっているグローブだった。
ミ:「なんです?この手袋?」
ヒ:「ミンメイちゃん。それが貞操保持手袋なんだよ。それを着けていれば、ミンメイちゃんは自分の手で、
性器を悪戯できないでしょ。それでも、なおミンメイちゃんがその手で性器を触れようとするとグローブの中に
電流が流れて、ミンメイちゃんのいけないお手々をお仕置きするようになっているんだよ。」
ミ:「でも、これじゃ、身体を洗えないじゃないですか?」
ヒ:「その時は、そのお手々に特別な洗浄用具を着けて洗うかタオルを巻き付けて洗ってもらうことになるよ。
もちろん、貞操管理されている部分は、専用の洗浄器具をそのお手々に取り付けて洗ってもらうからね。
それに、そのグローブのお仕置き用の電流に使用する電池は、一年間のメンテナンスフリーだから、
何度お仕置きされても、電池切れになることはないからそのつもりでいてね。私とつぐみさんのミンメイちゃんが、
自分自身でおいたをしないようにするためなんだからね。」
ミ:「はい・・・。」
ミンメイは言われるままに性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラをはずし、
その手が使えないようになるグローブを森田に手伝われてはめた。
ミンメイの手は完全に使えないものになった。
ヒ:「ミンメイちゃん。そのグローブを着けないうちに性器や乳首に触ろうとすれば、
もっと強い激痛がミンメイちゃんを襲うようになっているからそのつもりでいてね。」
ツ:「さあ、ミンメイさん、ご主人様と私も仕度をしますから、朝のシャワーに行きましょう。」
ミ:「はい。でも、つぐみ様、私、本当に囚われの囚人のような状態になったんですね。
こんな管理をしていただいて瞳様とつぐみ様に感謝いたします。サイボーグの方達がサイバーチックに
管理していただくなんて、私、また萌えてしまいました。」
ミンメイの股間は、その状態を示すかのように濡れてしまっていて、ミンメイの愛液が太腿を伝って、
膝まで流れ出していたのだ。
ツ:「あらあら、ミンメイさん、こんなに感じちゃって、
これじゃ貞操管理している間の性器の洗浄が大変になってしまいますよ。」
ミ:「だって、こんなに感じるのは、瞳様とつぐみさまが一緒だからです。お二人がいないときは、
こんなに感じることはなかったんですよ。一人エッチの時もこんなに濡れたこと無かったですもの。」
ヒ:「・・・。そんなに私たちみたいな機械人形になった人間がいいの?」
ミ:「瞳様とつぐみ様は特別でした。私の思い描いていた最高のサイボーグのヒロインで、しかも、
最高の愛を示していただける方達だったんですもの。巡り会えたこと自体が萌えの対象なんです。」
ヒ:「そうだよね。」
ツ:「ミンメイさん、その気持ち解ったわ。それでは、一緒に、
早くシャワーを浴びられるように私たちも仕度をしますね。待っていてください。」
ミ:「はい、つぐみ様。」
ミンメイが、見ている前で森田は、瞳に取り付けられているコードやホース類の全てをはずし、所定の位置に納めると、
本当に大事そうに、瞳を抱き上げ、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用移動用スタンドに瞳を移した。
次に、自分に取り付けられていたコードやホースを丹念にはずし、
自分の身体のコネクターが見えなくなるようにコネクターカバーを元通りに戻した。
最後に瞳のコネクター類のカバーを取り付けて、瞳の膚が元通りに見えるような処理を丁寧に行っていった。
ミンメイは、つぐみの作業を興味深く見つめて、目を輝かせるのであった。ミンメイにとって、
サイボーグのヒロインが人間の姿に偽装されることも性的興奮の対象であり、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとそのサポートスタッフのサイボーグの人工的な身体の偽装作業を間近で
観察できることは念願が叶うことなのである。
ましてや、瞳と森田の作業を目の前で見られることは夢のようなことなのであった。
呆然とミンメイが作業に見とれていると、暖かく柔らかい手がミンメイの手を握った。
ツ:「さっ、みんなでシャワーを浴びて、ブランチを食べましょうね。」
森田の手だった。
ミ:「つぐみ様の手って、小さくて柔らかくて暖かいです。」
ツ:「私の手もサイボーグ体なのですから作り物なのですよ。生体皮膚融合型の人工皮膚ですが、
宇宙空間でも作業が支障なくできるような特殊環境対応型人工皮膚ですもの。暖かさは作り物ですよ。
もちろん、柔らかさもね。スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーのサポートスタッフが、
優しい手を持っていなかったら失格ですもの。」
ミ:「つぐみ様の人工皮膚が、人間本来の皮膚を忠実に再現されているところなんか、
国際自動車連盟の医療チームというか、石坂ドクターの高度な技術と才能が産んだ芸術品です。
こんな細かな処理なんて、他のサイボーグ専門医師には真似できないです。
そんな高度な技術環境下で作り上げられた瞳様とつぐみ様のサイボーグボディーは、私の理想であり、
私の最高の恋愛対象の証なんです。素晴らしいです。どんなに精密な改造手術を施されたサイボーグエージェントでも、
改造率が90%を超えたサイボーグの方達は、どこか作り物って言う感じが出てくるんですが、
お二人にはそんな不自然さが全く感じられないんです。最高の芸術作品です。私の憧れです。」
ヒ:「ミンメイちゃん。そんなこと言われても、なんか困っちゃうな。私とつぐみさんにとっては、
自分の身体が精巧で忠実に生体だった時の状態を再現されていればいるほど、
自分たちが作り物の機械仕掛けの化け物なんだっていうコンプレックスの中で生きてきたんだよ。
周囲は、私たちがサイボーグであることを理解して付き合ってくれているけれど、自分たちにとっては、
それが同情や哀れみの目に見えていやだったんだ。でも、ミンメイちゃんみたいな感覚で
見られることはあんまり無かったから新鮮だよ。ありがとう。」
ミ:「私だけじゃありません。サイボーグフェチ達は、瞳さんとつぐみさんの身体は、芸術品だって話題になっているんです。
サイボーグフェチ達にとっては、お二人は理想の崇拝対象でさえあるんです。」
ツ:「そういうものなんですね。不思議な世界です。」
ヒ:「私にとっては、ビアンの世界だって不思議な世界だよ・・・。」
ツ:「ご主人様、何を言っているんですか。その世界にどっぷひたっているくせに。」
ヒ:「そっ、それは・・・。」
ミ:「瞳様も立派なバイですものね。」
ヒ:「・・・。」
ツ:「ミンメイさん、ご主人様は、都合が悪くなると黙ってただ笑って、
都合の悪いことが頭の上を通り過ぎるのを待つ癖がありますからね。」
ミ:「なるほど。参考になります。」
ヒ:「ふっ、二人とも、そんなことはいいから、シャ、シャワーを浴びに行こうよ。」
ツ:「こうやって、強引に別の話題にすり替えることもします。」
ヒ:「・・・。」
ミ:「つぐみ様は、瞳様のことを何でもご存知なんですね。その上で、寛大に瞳様を泳がせているところもあるし、
そんなつぐみ様を頼り切っている瞳様の姿も解ります。本当にお二人の仲の良さには感動しました。
こんな素晴らしいお二人に愛していただけるなんて感激です。」
ツ:「あらあら、また、お股が洪水ですね。シャワーを早く浴びないと・・・。
それで、こっちの性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラを早くつけて、
性的興奮の抑制システムで管理しないといけないですね。私とご主人様の前だけではなく、
いつも、わたしとご主人様のことを思うときはいつも濡らしっぱなしと言うことでは、困りますものね。」
ミ:「何か、性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラというのは、凄い機械なんですね。」
ツ:「そんなことありません。これを着けていれば、性を管理されるから新鮮な気持ちになれますよ。
自分が濡れたいのに濡れられない、自慰をしたいのに、自慰できない。自分の管理されている場所が
自分ではなくなるのがつらいけれど、今度、私たちと会って、性を開放されたときの快感は、
今日以上のものになるはずですよ。」
ミ:「判っています。怖いけれど楽しみですらあります。」
ツ:「そうですね。さっ、二人でご主人様を連れて、シャワー室に移動しますよ。」
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用移動用スタンドに乗った瞳を森田とミンメイが仲良く押して、
サイボーグメンテナンスルームを出てシャワー室にむかうのであった。
シャワー室では、森田は、まず瞳を瞳専用の浴槽にいれ、
ミンメイを森田が使うために購入していた自動全身洗浄処理機に入れた。
この機械は、人が一人は入れるカプセル状のものになっていて、この中にはいると、
全身をくまなく丁寧に素早く洗浄し、乾燥してくれる機械なのである。瞳の世話を最優先にしたい森田が、
自分の入浴の時間を最小限にしたいと思い、瞳と森田の世界中の自宅の全てに置かせているものなのである。
森田は瞳の身体を丁寧に洗うと、自分も慣れた手つきで素早く自分の身体を洗い、
瞳と自分自身のサイボーグ体を乾かし、サイボーグメンテナンス専用ワックスを丁寧に塗布していった。
瞳と森田はサイボーグであり、人工皮膚で全身を覆われている以上、ボディーローションではなく、
専用のワックスでボディーメンテナンスの仕上げをしなくてはならないのであった。
ヒ:「つぐみさん、やっぱり、私たちの身体が人工物だと言うことを感じる作業だよね。」
瞳は、自分の身体が機械になったことを痛感する作業に関しては、常に感傷的になるのである。
瞳自身、望んでこの身体になることを受け入れたわけであるから、今更後悔すると言うことではないのだが、
瞳の繊細な心が感傷的なものとして、サイボーグ体特有のメンテナンスを捉えてしまうのである。
ツ:「仕方ないですよ。私たちの身体はマシンである一面があるんですからね。」
森田も、後悔の念からでている瞳の言葉ではないことを充分理解した上で、受け答えをしているのであり、
二人にとっては、こういった会話が日常の会話の一部でしかないのである。
ヒ:「ミンメイちゃんの洗濯も終わりかな?」
ツ:「そうですね。」
カプセルのタイマーが0になっているのを確認したとき、全身洗浄カプセルが自動的に開いた。
呼吸用マスクと眼球保護用ゴーグルだけを着けた状態で横たわるミンメイの美しい肢体が、
瞳と森田の目の前に再び現れた。
ミ:「気持ちよかったです。こんなカプセルに入れられると、自分もサイボーグになっているようで興奮しちゃいます。
サイボーグフェチってダメですよね。自分が機械の一部になったような感覚を味わったり、
こうした近未来的なものの中に入れられると興奮しちゃうんだから・・・。」
ミンメイは、森田にマスクとゴーグルをはずしてもらいながら興奮冷めやらずという表情で呟いた。
ツ:「ミンメイさん、最後の仕上げよ。ご主人様の見ている前で身体の毛を全て綺麗に剃ってしまいます。」
ヒ:「ミンメイちゃん、身体の毛は私とつぐみさんがいなくても、ちゃんと綺麗にしておくこと。」
ミ:「えっ、全て剃ってしまうんですか?」
ヒ:「そうだよ。私の僕の証としてね。それに、股間の毛を剃っておかないと、性管理用貞操ショーツをミンメイちゃんは、
常時着用しなくちゃいけないのだから、衛生上も好くないからね。」
ツ:「さあ、ミンメイさん、こちらに来てください。」
森田はシャワーブースにミンメイにはいるように指示を出し、シェービングジェルを
素早くミンメイの身体の首から下に隈無く塗布すると、カミソリを使い、ミンメイの全身を剃毛し始めた。
ツ:「ミンメイさんが、サイボーグになってしまえば、ご主人様と私のように体毛のない身体に
なってしまうから問題ないのですがね。永久脱毛プログラムも考えたのですが、
ミンメイさんは、いずれは、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとなる手術を受けることになるのですし、
今回は時間もないですから、剃毛という選択をしてもらうことにしました。」
ミ:「でも、こうして、つぐみ様に身体にカミソリを当てていただいているのが恥ずかしいです。」
ツ:「ミンメイさん、ご主人様は、その恥ずかしがっているミンメイさんを見るのが楽しいのですよ。
それが、SMの世界の主従関係なのですよ。」
ミ:「そっ、そうですよね。」
ツ:「そうです。だから、我慢して屈辱に耐えるのですよ。それに、逆にあそこはいやらしい液体で
濡れちゃっているんじゃないですか?」
ミ:「・・・・。その通りです。やっぱり、私っていやらしいMネコなんですね。」
ツ:「たぶん、そうだと思います。」
ミ:「瞳様とつぐみ様に見られているというのが、さらに自分のいやらしい気持を大きくしているんです。
自分で嫌になるほど、瞳様とつぐみ様の前ではいやらしい自分をさらけ出したい気持になっちゃうんです。」
ツ:「大丈夫ですよ、ミンメイさん。それがM女性の宿命なのですから、
むしろ、アブノーマルの世界では、それが正常な感情なのです。」
ヒ:「つぐみさん、言っていること矛盾しているよ。」
ツ:「だって、ご主人様、それが、私たちM女性の感情の正常な現れなんですもの。」
ヒ:「そうかもしれないけれど・・・。」
ツ:「さあ、出来上がりましたよ。生まれたままの姿のミンメイさんです。ご主人様によく見ていただくのよ。」
森田は、ミンメイの身体に残ったシェービングジェルをシャワーできれいに洗い流した後、
ミンメイの身体を乾いたバスタオルで丁寧に拭き、ミンメイに瞳の前に立つように指示した。
ヒ:「ミンメイちゃん、綺麗になったよ。生まれたままのミンメイちゃん、最高だよ。」
瞳は、ミンメイの体毛のない全身をウットリした表情で見つめていた。
ツ:「さて、準備が出来ましたから、リビングに行きましょう。ブランチの用意をするまで、
ご主人様とミンメイさんはお話ししていてくださいね。」
ヒ:「つぐみさん、ミンメイちゃんの準備がまだだよ。」
ツ:「あっ、そうでしたね。性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラを着けさせないと・・・、
それに、このままではミンメイさんの手が不自由なままでしたね。」
森田は、常時装着用の性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラをミンメイの身体に取り付けるため、
ミンメイの股間のアヌスとヴァギナに潤滑剤をたっぷりと塗布し、ディルドーを挿入のための用意をし、
さらにクリトリスに管理キャップを嵌めるための潤滑ジェルを塗った。
ミ:「キャッ!冷たくて気持ちが悪いです。」
そんなミンメイの非難などは、聞いていないというように森田は、性管理用貞操ショーツと
身体を密着させる特殊ジェルをミンメイのへその下から大腿部上部まで隈無く塗り込んだ上で、
性管理用貞操ショーツをミンメイにはかせた。
ミンメイの秘部を二本の棒状の物体がズブズフと音を立てるように吸い込まれていく。
ミ:「ウワッ!痛いけれど気持いいですぅ〜〜〜〜〜〜ッ!絶頂に達しちゃいますゥ〜〜〜〜〜〜ッ!」
ヒ:「ミンメイちゃん。悦びすぎだよ。これから、二度と、自分のあそこに手を触れることが出来なくなるのにさ。」
ミ:「でも、でも・・・、気持ちいいことに変わりないんです。」
ヒ:「着けているときでも、私とつぐみさんなら、もっと気持ちよくもしてあげられるんだからね。」
ミ:「ひっ、瞳様の意地悪〜〜〜〜〜ッ!これ以上感じることになったら、どうしたらいいんですか〜〜〜ッ!」
ヒ:「ミンメイちゃん、かなり興奮しているけれど・・・。」
ツ:「こんなに貞操管理に従順な娘もいませんけれどね・・・。
ひょっとして、ミンメイさんは、正真正銘の変態かもしれません。」
ミ:「つぐみ様、その変態という言葉に感じちゃいます。さいこうのほめことばにきこえます〜〜〜っ!
お股が気持ちいいよぅ〜〜〜〜ッ!」
森田は、性管理用貞操ショーツで、ミンメイの下腹部を全て覆うと、ミンメイの身体に完全に性管理用貞操ショーツが、
フィットしていることを確認し、性管理用貞操ショーツの腰の部分に薄いプレート状の遠隔操作システムのユニットを
据え付け、性管理用貞操ブラの装着に掛かった。ミンメイの胸部を完全に覆うようなスポーツブラのような大きめの
性管理用貞操ブラが当たるミンメイの身体の部分の全体に性管理用貞操ショーツの時と同じように
密着させるためのジェルを丁寧に塗り込むのだった。
その上で、そのスポーツブラのような大きく胸全体を包み込むような形の性管理用貞操ブラをミンメイに着せ、
ブラの背中の部分に、薄いプレート状の遠隔操作ユニットを取り付けたのだ。
ツ:「ご主人様、オッケイです。」
ヒ:「つぐみさん、了解。それじゃ、ミンメイちゃん、性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラの施錠をするよ。
これで、ミンメイちゃん自身がどんなに求めても、自分の性器に触れることもできないし、
私とつぐみさん以外の人に性器を見せることすらできなくなるんだよ。覚悟は好い?」
ミ:「もちろんです。私の性を管理していただくのは、瞳様とつぐみ様だけで好いのです。
私にとっては、それが望んでいたことであり、喜びなのです。」
ヒ:「判った。」
瞳の短い言葉と共に、性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラの遠隔操作システムが、
瞳の体内のサポートコンピューターからの施錠信号により作動した。
ミンメイに取り付けられた性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラは、遠隔操作システムからの指令により、
瞬時にミンメイの股間の形状に合わせて収縮をして、ミンメイにとってちょっときついと感じる程度の締め付けで形状を
安定させ、システムが“ピッ”という電子音を発するのであった。
ツ:「施錠成功しました。これでミンメイさんの胸と股間は完全に閉じこめられてしまいました。」
森田が、自分の体内のサポートコンピューターに送られてきたミンメイの性管理用貞操ショーツと
ブラの作動状況の情報を確認した。
ミ:「つぐみ様の言葉の中の、私が生涯、自分自身の体でも触ることさえできないところができたという屈辱的な拘束感を
与えるようで萌えてしまいます。あっ、また濡れてしまいそうです。」
ツ:「心ゆくまで濡れてください。ミンメイさんの股間を覆う性管理用貞操ショーツの内側には、
吸湿素材が貼り付けてあります。いくらあそこが濡れてもその愛液を吸収してくれますよ。吸湿素材は、
性管理用貞操ショーツを外した時にご自身で交換してください。今日のような手を完全に使えないようにする
グローブではなく、ショーツやブラを手入れできるけれど、性器を弄ると激痛が走る特別なグローブを
メンテナンスキットに入れておきました。メンテナンスキットには、管理性器用洗浄機も入っていますし、
大便の排泄補助システムも入っています。使い方はマニュアルがありますから充分に勉強してくださいね。」
ミ:「はい、つぐみ様、解りました。でも、本当にピッタリしていて、全裸のように見えるんですね。」
ヒ:「そうだね。ミンメイちゃんは、今でも何も着けていないように見える。」
ツ:「ミンメイさんの肌に合うのか心配でしたが、石坂ドクターの調色は、正確でしたね。瞬時にミンメイさんの肌の色を
判断してくださって、最適の色彩の素材を選んでくれたのです。水着のお仕事でも平気ですね。」
ミ:「はい。これなら大丈夫です。」
ツ:「私も、ご主人様にこの様なもので管理していただきたいのです。ミンメイさんが羨ましいです。
それから、グローブを外しましょうね。」
森田は、ミンメイの手に取り付けたグローブを外してやり、バスローブをミンメイに渡した。
さらに、瞳の身体に専用のバスローブを着せて、自分もバスローブを纏うと、
ツ:「ミンメイさん、ご主人様とリビングに行っていてください。私は食事の支度をして参ります。」
そう言い残して、そそくさと森田がキッチンに消えていったので、ミンメイは、
瞳のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー専用移動用台車を押してリビングに移り、
瞳と共にブランチを森田が準備するのを待つのであった。
ミ:「瞳様、私の股間が自分のものじゃないみたいです。」
ヒ:「ミンメイちゃん、すぐに慣れると思うよ。着用感は実際にはないはずだもん。」
ミ:「そうですね。でも、自分のあそこを弄れないなんて・・・。こんな事されちゃうなんて思ってもいなかった。
人工物で性器を拘束されて管理されるなんて最高です。それに、これを着けていれば、
瞳様とつぐみ様にお会いできなくても、毎日、近くに感じられるし、かまっていただけるんですもの。私、嬉しいです。」
ツ:「ミンメイさん、そのかまわれ方も最高なんじゃないの?機械による遠隔管理なんて、自分も機械になったみたいだし、
何しろ、管理者がサイボーグなんですものね。普通は、何かのコントローラーを使って管理されるんだけれど、私たちは、
体内のサポートコンピューターから直接ミンメイさんの性管理用貞操ショーツと性管理用貞操ブラに働きかけての
管理ですものね。サイボーグに管理された性を想像して萌えちゃっているのよね。」
ヒ:「あっ、つぐみさん。」
ツ:「ご主人様、ミンメイさん。ブランチが出来ましたよ。」
ミ:「つぐみ様には、全て解ってしまうんですね。私、サイボーグのお二人に
管理された女性として生きることに快感を覚えちゃうんです。」
ヒ:「ミンメイちゃんは、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになっても、性器部分は、
私とつぐみさんの管理が徹底できるような性器改造手術をしてもらうんじゃないの?」
ミ:「はい・・・。そのつもりでいます。」
ヒ:「そこまでのマニアックな手術が出来るのは、石坂ドクターしかいないけれど、パパは、どうするのかな?
また、恵美さんに貸しを作るのかな?」
ツ:「そうですね。美濃田監督は、これで完全に妻川監督に頭の上がらない関係になってしまいますよね。」
ミ:「美濃田監督には、ご迷惑にならないようにしたいとは思っているのですが、
どうせ、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに改造されて、
機械と電子機器の詰まった身体になるのだったら、私のフェチ性を
とことん満足させてもらえるような身体にしてもらいたいと思っているのです。」
ツ:「ミンメイさんの気持ちは解ります。」
ヒ:「大丈夫だよ。パパと恵美さんの関係なら、今も、恵美さんに頭が上がらない関係にあるんだから、
ミンメイさんのことで貸しが増えても、“焼け石に水”状態だもの。」
ツ:「ご主人様、たとえが違うような・・・。“大海の一滴”の方が適当なように思うのですが・・・。」
ヒ:「まあ、どっちでもいいよね。ミンメイちゃんが悔いの無いようにすることが一番だよ。
何せ、生身の身体からサイボーグになるための改造手術は、一生に一度しか受けられないんだから。
ミンメイちゃんの場合、サイボーグになることが夢という娘は、そこで妥協しちゃダメだよ。
もしも、パパに説き伏せられるようなことがあれば、私が意見してあげるからね。」
ミ:「あっ、ありがとうございます。瞳様。」
ツ:「ミンメイさん、感謝する必要なんて無いですよ。ご主人様は、ミンメイさんをダシに、美濃田監督から、
新しいおねだりを引き出す気だと思いますもの。」
ヒ:「つぐみさん・・・、私の心は純粋だよ・・・。」
ツ:「どうでしょうか?聖母マリアさまの御前で同じ言葉が言えますか?主イエスキリストの御前で言えるでしょうか?
きっと真実の口に手を入れたら腕からもがれてしまうに決まっています。もっとも、もう、腕もないですから、
現役引退したときのために保管してある人工四肢を真実の口に投げ入れてみましょうか?
見事に粉々にされると思いますよ。」
ミ:「つぐみ様、瞳様が、震えていますよ。」
ツ:「ミンメイさん、構いませんよ。嘘をついているんですから、この位怖がってもいいんですよ。」
ヒ:「聖母マリアさまでも、イエス様でも、真実の口でも、何でも束になって掛かってこいッ!!」
ミ:「つぐみ様、瞳様が開き直っています。」
ツ:「ミンメイさん、放っておきましょう。いつも、自分の都合が悪くなるとあのような現象を起こすことがあるんですから・・・。
それよりも、ブランチが冷めてしまいますから、食べてしまいましょう。」
ミ:「はい。このパンに挟んであるのはなんですか?」
ツ:「焼きそばです。醤油味で日本風の焼きそばパンにしてみました。ブランチですから、ちょっとおしゃれに、
ロールパンをランチのイメージにしてみました。」
ミ:「本当に、つぐみ様の手際の良さには感心してしまいます。こんなに短時間に、オニオンスープに、ベーコンエッグに、
このパンに、シーザーサラダに、フルーツババロアと、コーヒーを作っちゃうんだもの。伝説のスーパーAプラスランクの
サポートスタッフとしての面目躍如していますよね。」
ツ:「ミンメイさん、そんなこと無いです。私は、普通です。ただ、サポートスタッフを長くやっているからだけなんです。」
ミ:「それだけじゃ、瞳様のサポートスタッフにはなれないです。やっぱり、つぐみ様でなくちゃいけないのですよね。」
ツ:「まだまだなんですよ。ご主人様には、結構気を使っていただいている部分だってあるんですから・・・。
レミとフランツのことを私が心の中にある限り、ご主人様が入れない領域を作ってしまっているんだと思うんです。
早く、ご主人様だけのものになりたいのですが、心の整理がなかなかつかなくって・・・。」
ミ:「つぐみ様、そんなこと無いです。瞳様とつぐみ様の関係の強さをこの一夜で感じることが出来ました。
なんて素晴らしいスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとサポートスタッフの関係なのかと思って接することが
出来たんです。私も、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに改造されたら、つぐみ様のような
何でも語り合えるサポートスタッフが側にいて欲しいです。そして、そのサポートスタッフに瞳様とつぐみ様からの
ご命令を忠実に実行してもらうのです。そんなことが出来るサポートスタッフに付いてもらいたいです。」
ヒ:「ミンメイちゃん、大丈夫だよ。スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーには、最適なサポートスタッフが、
必ず付くんだから。だって、サポートスタッフは、私たちスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーにとっては、
身体の一部なんだもん。相性が合わないサポートスタッフは絶対につけられることはないから大丈夫。
つぐみさん、オニオンスープが飲みたいよ。」
ツ:「解っています。お口開けてくださいね。ちょっと熱いですから気をつけてください。」
ヒ:「あっ、熱いッ!」
ツ:「あっ、ゴメンなさいっ!ご主人様。冷まし方がたりなかったですね。」
ヒ:「なんてね。ちょうど良かったよ。」
ツ:「うんっ、もうっ!ご主人様ったらッ!」
ミンメイは、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとサポートスタッフの間の独特の距離を見る思いだった。
特に、瞳と森田の関係の親密さは、自分が、これから改造されるであろうスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーに
なったときのサポートスタッフとの関係の理想としたいと思うのであった。
あのレースの時の厳しい表情の瞳が、スタッフとレースを勝つために話し合うときの妥協を許さない厳しい表情の瞳が、
森田の前に出ると、とたんに崩れて、優しい菩薩様や聖母を思わせる表情に変わり、無邪気な子どもの、しかも、
いたずらっ子の瞳に変身してしまうのだ。瞳にとっての森田は、癒しそのものであり、瞳にとっては、森田の存在も含めて、
その全てがプライベートなのだという事を感じるのであった。
サイボーグフェチのサイトなどで言われているように、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーは、
常に管理されていて、プライベートが無く、他人に排泄などの処理や自慰行為などの恥ずかしいことも
処理してもらわなくてはいけない身体としてのストレスが凄いという書き込みが、
瞳とつぐみをの関係を見ていると嘘だということが理解できるのであった。
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとサポートスタッフの関係は二人で一人の関係なのである。
だから、異性のパートナーのスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとサポートスタッフのカップルが、
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーの引退を待って、結婚する例が多いということも理解できるし、
同性同士でも、生涯のパートナーとして寄り添っていく関係、そして、許されれば、同性同士での婚姻を
行ってしまう理由が、本当に理解できたのである。
スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーとサポートスタッフの関係ほど、
一つになりやすい関係はないのだと言うことをミンメイは理解し、そして、
自分がスーパーF1マシン専用サイボーグドライバーになったときのサポートスタッフとの関係に思いをはせるのであった。
今日はここまでです。
書きためていた分を送ります。
保守あげ
保守(お体のメンテナンス)
「バッテリの耐用年数がキてますね〜。」
442 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 08:34:21 ID:k6NBdWmi0
441さん。
UPSのバッテリ耐用年数切れてた事を思い出せてくれてありがとう!
保守
今はそんな余裕あるのかなあ?
即戦力だの何だのいわれる時代に
長編をうpしようとしてる方
次スレの準備お忘れ無く
スレ埋めのつもりで、書き上がっている分を投稿します。
中部国際空港「セントレア」に到着した瞳と森田、ミンメイを待っていたのは、美濃田が差し回した迎えの車であった。
10月の名古屋は、あの絡みつくような独特の暑い夏がやっと一休みした、
そんなちょっとホッとした雰囲気が街中に溢れていた。
瞳は、東アジアグランプリで鈴鹿に入る時は、関西国際空港を使うのが恒例であったので、
中部国際空港から名古屋の街に入る道筋は、瞳にとって新鮮に映るのであった。
しかも、トミタの本拠地である名古屋になど、カンダ専属のドライバーの瞳が訪れることなど、あまり無いことなのだ。
カンダ発祥の地と言われる岸和田にほど近い関西国際空港に降りることが、瞳にとって、
カンダへの忠誠の印だと瞳は感じていたから、関西国際空港に差し回しの車を回してもらい、
カンダのホームサーキットである鈴鹿に入ることを瞳は好んでいたのだ。
それに比べて名古屋の街を走るのは、瞳にとっては、自分がどこかの部屋に
間借りをしているような居心地の悪さに感じているのである。
そんな瞳の思いなどまるで無視するかのように、名古屋の整備された広い道路を巧みに走る車は、1時間ほどで、
トミタ本社に到着したのだ。
トミタ本社の車寄せに瞳たちを乗せた車が到着すると、待ちかねたように美濃田が玄関からで迎えに出てきた。
美濃田誠一郎(以降、セ):「瞳ちゃん、お疲れ様っ!つぐみちゃんも、ミンメイも疲れたんじゃないの?」
ミンメイ=羹=ハイデン(以降、ミ):「はい・・・。瞳様とつぐみ様に飛行機の中でも責め続けられて、
性管理用貞操ショーツの中はグチョグチョだし、気が変になりそうになるほど気持ちよさが続くし・・・、
瞳様とつぐみ様は意地悪なんです。でも、最高・・・っ!」
セ:「オイオイ、瞳ちゃん、うちのミンメイに何をしたんだ?」
速水瞳(以降、ヒ):「パパ、何にもしていないよ。ちょっと、性管理用貞操ショーツの中の器具を動かしてあげていただけ。
それから、いやらしくて感じる言葉をかけ続けてあげただけだよ。それ以外はしていないよね、つぐみさん。」
森田つぐみ(以降、ツ):「はい、美濃田監督。ミンメイさんが一人で感じ続けていただけです。」
セ:「・・・。ミンメイだけ疲れているのが、そのことを物語っているようだ・・・。
でも、ミンメイがこんなに性的に興奮して疲れているのを見たことがなかったから、
ミンメイのこんな姿を見るのが新鮮に映るから不思議だよ・・・。何か、俺もイヤらしい気持ちになって来ちゃったよ。」
ミ:「だって、監督、瞳様もつぐみ様も最高の方でした。私、これ程人を愛する気持ちになったことなんて
今まで無かったんです。」
セ:「そうか、ミンメイ、よかったね。」
ミ:「はい。瞳様とつぐみ様の臣下に加えて頂けて最高のシンガポールグランプリになりました。」
セ:「よかった。」
ヒ:「パパ、あんまり、ミンメイちゃんにイヤらしい目を向けているところを恵美さんが知ったら、
またボコボコにされちゃうよ。」
セ:「ひっ、瞳ちゃん。今の部分だけ、人工視覚の視覚保存データーから消去してくれないかな?」
ヒ:「そんなの無理だよ。だって、つぐみさんの人工視覚内のデーターも残っているからね。」
セ:「そうか・・・、つぐみちゃんの存在を忘れていた。つぐみちゃんの視覚も人工視覚だもんな。」
ツ:「美濃田監督、そうですよ。私だって、視覚も聴覚も人工器官なんですからね。
ご主人様と一緒に消去しておくか、加工しておかないと、石坂ドクター経由で、
妻川監督の許にデーターが送られる可能性もあるんですよ。」
セ:「そうだったよな。ミンメイがつぐみちゃんにも惚れちゃう理由になっているんだもんな。」
ミ:「監督、そうですよ。瞳様と同じくらい、私にとってはつぐみ様は、理想のサイボーグヒロインなんですから。」
セ:「つぐみちゃんとも、完全にできちゃったんだな。」
ヒ:「パパ、その通りだよ。二人でミンメイちゃんをいただきました。」
その傍らで森田がミンメイの唇を奪っているのが、美濃田の視界に飛び込んできた。
セ:「つぐみちゃん、何やっているんだっ!??!」
ツ:「あっ、はいっ。何かムラムラしちゃって・・・。ミンメイさんの唇を奪いたくなっちゃって・・・。
本当は、ご主人様の唇も奪いたかったのですが、美濃田監督とお話中だったものですから・・・。」
セ:「あの・・・。つぐみちゃん、ここは一応会社なんですが・・・。」
ツ:「あっ、失礼しました。まだ飛行機の中の興奮が・・・。」
ヒ:「つぐみさんだけ狡いよ〜〜〜っ!私もミンメイちゃんの唇が欲しいもんっ!
それに、つぐみさんにも愛して欲しいんだもんっ!」
ミ:「はいっ!瞳様、私の愛を受け取ってください。」
ミンメイはすかさず瞳の唇を奪った。
セ:「おいっ!ミンメイ、いい加減にしてくれっ!ここは、トミタ本社なんだぞっ!」
ミンメイに美濃田が注意している間に、今度は、森田が、瞳の唇に自分の唇を重ね合わせた。
その口づけは、濃厚で、誰がみても、森田の舌が瞳の口の中に入っているのが解るほどだった。
セ:「オイ、オイッ!つぐみちゃん、そこまで濃厚なのは、本当に勘弁してくれ〜〜〜ッ!!」
この、美濃田にとっての、トミタの玄関で起こった惨劇により、トミタ社員の人垣ができたことは言うまでもなかった。
社員A:『おいっ!速見瞳が何でここにいるんだ?』
社員B:『でも、テレビで見るよりも、可愛いし、美人だっ!』
社員C:『その隣が森田つぐみか・・・。噂に違わぬ可愛さだぞっ!』
社員D:『はっ、初めて見た。可愛いなぁ〜〜〜っ!』
社員E:『瞳ちゃ〜〜〜〜〜んっ!つぐみちゃ〜〜〜〜〜んっ!こっち向いて〜〜〜〜〜っ!』
社員F:『つぐみちゃんが笑った〜〜〜〜っ!女の私たちが見ても可愛いんだから・・・っ!』
社員G:『速水瞳って、なんであんなに美人なの?』
社員H:『でも、嫌みがなくて可愛いよね。ねぇ、どっちがいいかなあ?』
社員I:『どっちもに決まっているでしょ。美人は得よねぇ・・・。』
ミ:「瞳様、やっぱり、つぐみ様は、女子社員にだけ微笑んでいますよ。」
ヒ:「うん、ほら、男性社員を見る時に口元が微妙につり上がっているよ。男に声かけられて、機嫌が悪くなった証拠だよ。
かなり苛ついているみたいだよ。」
ミ:「ええ・・・、まさにセパレィティングの面目躍如と言ったところですね。女子社員に送る笑顔と男子社員に送る笑顔が、
つぐみ様を理解している人間が見ると明らかに違うのが怖いです・・・。」
ヒ:「うん。でも、ミンメイちゃんも、男はノーサンキューなんでしょ?」
ミ:「私の場合は、生身の人間自体がノーサンキューですからね。」
ヒ:「そうでした・・・。完璧なサイボーグ偏愛主義者だもんね・・・。」
ヒ:「はい。」
ヒ:「でも、ミンメイちゃんは、よく、つぐみさんの細かい仕草が解ったね。
私は、一日中つぐみさんと一緒だからつぐみさんの仕草で、ご機嫌の状態だって解るんだけれど、
ミンメイちゃんが、あの微妙な感情の表現が解るなんて不思議だよ。」
ミ:「私は、もともと基本はビアンですから、セパレーティングの女性の男性を排しての女性純血主義の
考え方を理解しているので、男性とつぐみ様が接するとどこかに嫌悪の表現が出ることが想像できますし、
サイボーグフェチの専門掲示板の中で、“森田つぐみ攻略法”という女の子の専用スレが立っていて、その中で、
つぐみ様の機嫌が悪い時の仕草が照会されていたものですから・・・。ビアンの女の子のビアンの女の子を
見るときの観察力は、もの凄く研ぎ澄まされていますから。」
ヒ:「サイボーグフェチ、恐るべし!」
そんなミンメイと瞳のやり取りをよそに、美濃田が社内のホールで社員に怒鳴っている姿があるのだった。
セ:「おっ、おいっ!ここは、会社だぞっ!仕事に戻るんだっ!」
社員A:『ちぇっ!美濃田取締役がガードしているんじや仕方ない。』
社員I:『何よ、あのおっさんはっ!』
社員J:『ばっ、ばかっ!うちの取締役だぞっ!』
社員I:『えっ!そうなんだ〜〜〜っ!それじゃ仕方ないわね。行きましょ!』
トミタ本社にあっという間にできた人垣は、美濃田の一喝であっという間に蜘蛛の子を散らすように無くなるのであった。
セ:「さあ、瞳ちゃんもつぐみちゃんもミンメイも行くよ。ついてきて。」
ヒ・ツ・ミ:『はい。』
ヒ:「ここまで上がると名古屋の街が一望できるんだね。パパの部屋からだと、三河湾が見えるんだ。
それに鈴鹿の山並みも・・・。」
セ:「ああ、そうだよ。でも、ここにいることの方が俺は少ないけれどね。ここは、67階だから、この上は、
社長室と役員専用会議室しかないからね。でも、鈴鹿が見える方の部屋を無理を言って使わせてもらっているんだ。
鈴鹿は、カンダやホンダにとっての聖地だけじゃなく、日本のモータースポーツ全体の聖地だからね。
あそこで、幾つの日本のモーターシーンが演出されてきたか解らないもの。セナもプロストもミハエル、ラルフ、
ヤルノも愛したサーキットがあるし、中嶋や亜久里、琢磨を育てた場所だからね。それに、日本が生んだ最高の
ドライバー速水瞳が育った場所だからね。やっぱり、モータースポーツ界に身を置くものとして、
いつも見つめていられる場所にいたいもんね。」
ヒ:「嫌だなあ、パパ。私は、そんなに大物じゃないもん。でも、そうだよね。私にとっては、
鈴鹿が第2の故郷みたいなものだし、鈴鹿には思い出がたっくさん詰まっているんだ。」
セ:「瞳ちゃん、そろそろ、自分が伝説のドライバーだという自覚を持った方が好いぞ。
今日だって、ロビーでのことは、八重山信次だったら、あんなに人だかりが出来なかったはずだよ。」
ヒ:「そんなことないよ。ちょっと、つぐみさんが悪ふざけしていたから、目立って見つかっちゃっただけだよ。
自動車関係者で、会社のホールで、堂々と女の子の唇奪うなんてことするのは、つぐみさんくらいのものだもの。」
ツ:「ご主人さまッ!ちょっと非道いんじゃないですか?私は、ちょっと、ミンメイさんが・・・、
何と言いますか、とっても愛おしくなっちゃっただけです。」
ミ:「つぐみ様らしいです。結構、こうと思うと抑えが効かなくなるのは、瞳様と同じですよね。
でも、瞳様とつぐみ様の唇の味って格別です。」
セ:「・・・。オイオイ、ミンメイまで・・・。でも、つぐみちゃんの方が、抑えが効かなくなったときの行動がまだ大人しいもんね。
それに比べたら、瞳ちゃんのはテロ行為という方が相応しいこともあるもんね。」
ツ:「美濃田監督のおっしゃるとおりですよね。私は、復讐なんて言って、戦闘機に乗って、
ミサイルを撃つなんて事はしませんもの。」
ヒ:「ぶ〜〜〜〜っ!!!」
セ:「瞳ちゃんも、最近は自嘲気味のようだけれどね。」
ヒ:「・・・。でも、さっきのパパの話だけれど、自分が大物だなんて自覚、全然、湧かないよ。
だつて、セナやプロストなんて偉大過ぎちゃって・・・。」
セ:「今は、もう瞳ちゃんの方が偉大なんだよね。本当に、カンダが羨ましいよ。こんな掘り出し物を見つけるなんてね。
恵美さんも、直子さんも運が強いんだよね。瞳ちゃんが、うちのシートに座っていてくれたらなんて、いつも思うよ。」
ヒ:「でも、今日の騒ぎをマスコミがかぎつけたら、大騒ぎになるんじゃないの?」
ミ:「そうですよ。瞳様がトミタ本社にいたなんて言うのが知られたら、
“速水瞳、トミタに電撃移籍か??!”なんて言う見出しがデカデカと躍るんでしょうね。」
セ:「ミンメイ、止めてくれよ。そんなことになったら、また、恵美さんと直子さんにボコボコにされちまう。
でも、瞳ちゃんの獲得合戦では、うちの条件が最高だったんだけれどなあ・・・。最先端のモータースポーツの世界で、
義理と人情に負けるなんて、今でも信じられん。」
ヒ:「まあね。でも、パパにももちろんお世話になったけれど、今、こうして私があるのも、
カンダが私を見つけ出してくれたからだし、恵美さんと溝口社長が可愛がってくれたからなんだよ。
それを裏切るわけにはいかないじゃない。私、人の道をはずしたくないもん。」
ツ:「魔女のくせにですか・・・。」
セ:「つぐみちゃんの言うとおりだな。」
ヒ:「私は、魔女じゃないもんっ!」
セ:「そうだよな。でも、ミンメイ、瞳ちゃんのこうした古風なところが、誰からも好かれる原因なんだ。
こんな派手な今風の顔立ちしてるくせにね。」
ミ:「瞳様の、外見と心のそのアンバランスなところがいいんですよ。」
セ:「そうかもしれないね。ミンメイも見習って欲しいよね。」
ミ:「はい。瞳様の全てを私のものにしたいと思っているんです。」
セ:「そうだね。瞳ちゃんというお手本は、とっても分厚い教科書だから、覚悟して勉強しないといけないよ。」
ヒ:「よしてよ、パパ。照れちゃうよ。」
セ:「だって、ここまで偉大なドライバーがフレンドリーに付き合ってくれるなんて瞳ちゃん以外にはいないぞ。」
ミ:「はい。解っています。」
ヒ:「パパ、褒め殺しはいいから、教えてくれないかなあ、今日、私たちをわざわざ名古屋に呼んだのはどういう魂胆なの?」
セ:「実は、ミンメイのことなんだ。ミンメイについては、来期以降の契約をしてもらいに名古屋に呼んだのだけれど、
瞳ちゃんに、来期以降のミンメイに関して頼みたいことがあって・・・。」
ヒ:「パパ、いくらくれるの?高いよ。」
セ:「恵美さんと同じことを言うんだから・・・。」
ヒ:「へっへっ、冗談。冗談。」
セ:「でも、恵美さんから脅されているから、それなりのものは用意してあるからね。」
ヒ:「やった〜〜〜っ!パパ、最高ッ!」
セ:「よく言うよ。でも、最近は、ヨーロッパ社交界で瞳ちゃんに取り入ろうとする人間が多いから、こっちも、
うかうかしていられないしね。」
ヒ:「パパは、別格だもの。何と言っても、恵美さんのスティディーだよ。」
セ:「ありがとう、瞳ちゃん。そこで頼みなんだが・・・。」
ヒ:「ミンメイちゃんを恋人にしろと言うのなら、もう、恋人にしちゃったよ。」
セ:「それでいいんだ。その上でのお願いなんだ。」
ヒ:「何か、仕組まれていたみたいだよね。」
ツ:「だって、ご主人様。ミンメイさんは、ご主人様に籠絡されるのが、夢だったのですよ。
それを美濃田監督にお願いして実現させたのですし、どちらにしても、ミンメイさんほどの
美貌が近づけば、“スーパーF1界のダボハゼ”と異名をとるご主人様の事ですから、
ミンメイさんに手をかけるに決まっていたんだから、美濃田監督は、そのきっかけを
作ってくださっただけだから好都合だったんじゃないのですか。」
ヒ:「ダッ、ダボハゼ・・・。つぐみさん、非道いよ〜〜〜ッ!」
ツ:「私が言ったんじゃありません。みんなが言っているんです。特にイギリスのタブロイド紙なんかは、
本当に笑えないくらい核心を突いた記事を掲載しているんですからね。少しは、自重してくださいっ!」
ヒ:「でも、開花させたのは、つぐみさんだよ。」
ツ:「嘘おっしゃいッ!ノンケだったときは、マリアさんと好恵さんとつるんで、夜な夜な街角で、
マリアさんは女あさりで、ご主人様と好恵さんは男あさりに励んでいらしたんじゃないですか。それも有名な話で・・・。」
ヒ:「つっ、つぐみさん、何もこんなところで・・・。」
ツ:「マルコさんだって嘆かれていましたよ。“一体、ヒトミは、何人のハーレムを作ったら気が済むんだ。”と言われて、
“これじゃ、僕はいいけれど、ツグミが可哀想だ。”とも言われて、私に同情してくださっているくらいなんですよ。
私だって、そのうち精神が持たなくなっちゃいますからね・・・・。」
突然、ミンメイが森田の唇にむさぼり付いた。
ツ:「・・・・・・・。なっ、何をなさるんですミンメイさん。」
ミ:「突然、つぐみ様が可哀想に思えて・・・。つぐみ様を慰めてあげたいという感情が芽生えてしまったんです・・・。」
セ:「・・・・・・。ミンメイは、瞳ちゃんだけじゃなく、つぐみちゃんも本当に釣り上げていたのか・・・。
改めて、その姿を見ると、こっちも微妙な想いになるよ。」
ミ:「だって、つぐみ様も最高なんですよ。お二人に仕えることがプライベートで出来て、私は最高の気分なんです。」
セ:「ミンメイ、本当に好かったね。」
ミ:「はい、美濃田監督。」
セ:「3人の関係が、うまくいっているのはいいんだが、瞳ちゃんにお願いしたいのは、
ミンメイの保護者になって欲しいんだ。つぐみちゃんともいい関係にミンメイがなってくれたから、
好都合なんだ。つぐみちゃんにもお願いできるからね。」
ヒ:「パパ、どういうこと?プライベートでは、ミンメイちゃんは、私とつぐみさんのパートナーになったけれど、
それ以上のことは、ミンメイちゃんは、トミタの契約下の選手で、タレント業では契約しているプロダクションのものだもの。
手を出すことは出来ないよ。」
セ:「ああ、原則は、そうなんだけれど・・・。レースでも面倒を見てやって欲しいんだ。」
ヒ:「パパ、どういうことなの?」
ヒ:「ミンメイから何か聞いているか?」
ヒ:「何を?」
セ:「そうか、聞いていないか・・・。瞳ちゃんもつぐみちゃんも、
ミンメイから聞いている部分もあるかもしれないけれど聞いてくれるか?」
ヒ・ツ:『はい。』
セ:「実は、ミンメイには、来期は東南アジアF2でシーズンを送ってもらい、その後、リカルドの後釜で、
スーパーF1のシートに収まってもらおうと思っているんだ。」
ヒ:「そうか、リカルドの後任がミンメイちゃんか・・・。いい人選だよね。」
セ:「瞳ちゃんにそういわれると嬉しいな。でも、問題がない訳じゃないんだよ。」
ヒ:「それはそうだよ。スーパーF1は別次元のレースだし、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーという存在に
なって苦しまない人間はいないもの。私だって、覚悟はしていたけれど、手脚のないダルマさん状態が
こんなに辛いものだとは、なってみてからじゃないと解らなかったよ。幸い、つぐみさんという最高のサポートスタッフが
付いていてくれたから好かったけれどね。それに、スーパーF1マシン専用サイボーグドライバーという、
スーパーF1マシンの専用コントロールユニットとして、スーパーF1マシンに取り付けられて、スーパーF1マシンを
コントロールするときの、今までの手脚があって、ステアリングやスロットル経由でマシンをコントロールするのとは
別次元の感覚に慣れるのは大変だもの。いくら、ミンメイちゃんのサイボーグ適応化率の高さがあっても大変だと思うよ。
その苦しみを乗り越えるのには、サポートスタッフとの二人三脚じゃなきゃ、どうしようもないし・・・。」
セ:「それだけじゃないんだ、瞳ちゃん。」
ヒ:「どういうこと?」
セ:「ミンメイのサイボーグ適応化率からくる周囲との軋轢を心配しているんだ。」
ヒ:「パパ、解った。サイボーグになることで、より機械に近い理想的なライン取りをミンメイちゃんがすることでの
レース中のスーパーF1マシン専用サイボーグドライバー同士のいざこざの可能性を心配しているんだよね。」
スレ埋め完了しましたので、続きは、新スレに投稿します。
据付型サイボーグ少女の壁固定用螺子(φ10cmとかの極太)
その言葉に萌え
上に同じ。
外部生命維持装置接続管(直径20cm)
外部生命維持装置に常につなぎっぱなしとか
外すと短時間(一時間とか一日とか)しか活動できない娘に萌える
何かの特殊作業に特化した体に改造されてて、出動時以外は生命維持装置につながれるとか。
出動時以外はつながれっぱなしなので基本的に一日中自室内
狭い範囲しか動けないので普段(出動時以外)は脚が省略されてて太腿までしか無いとか