■川越の水田で捕獲 旅立ち供え水族館で訓練
今年9月に川越市の水田で捕獲されたキタオットセイ1匹が4日、保護されていた東京・上野動物園から、
千葉県鴨川市の水族館「鴨川シーワールド」に移された。3、4カ月かけてリハビリしながら、ふるさとの
太平洋への旅立ちに備える。
東京湾から川を遡上したとみられるこのキタオットセイはオスで、推定年齢2、3歳。
捕獲された当時、体長約1メートル、体重約23.5キロで胸に幅約2センチ、深さ約1センチの傷が
あるなど衰弱していたが、上野動物園で保護されていた約3カ月の間に体重は42キロと倍近くに増えた。
捕獲前、姿が目撃された川越市の新河岸川にちなんで「しんちゃん」とも呼ばれ、同動物園の人気者に。
だが、オットセイ類はラッコ・オットセイ猟獲取締法で捕獲が禁止され、保護した場合でも健康を
回復させた後の「放流」が義務づけられている。そのため、太平洋に面している鴨川シーワールドで来春、
海に返すためのリハビリに励むことになった。
4日は、上野まで迎えに来た水族館の職員らに付き添われ、車で2時間近くかけて鴨川へ。
プール付きの新居でオリから出されると、最初は不安そうだったが、すぐに慣れ、職員が差し出した
好物のイカを近寄って食べた。
志木市の会社員青木さん(45)の長女(4)は
「目がくりくりして可愛い」と額をガラスにこすりつけて見ていた。
同水族館では、今後、生き餌を与えるなどして野生復帰への訓練をし、キタオットセイの群れが
銚子沖に回遊してくる来年2月から4月にかけて海に戻すという。
荒井一利副館長は「浜に漂着したキタオットセイなどを保護して海に帰すことは何度も経験しているが、
川を自力で遡上したケースは初めてだ」などと語った。
asahi.comマイタウン埼玉
http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000000612050001 画像:「しんちゃ〜ん」と呼びかける子どもたち
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