1 :
参加するカモさん:
2 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 00:40:23 ID:iwAOpAtV
3 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 00:41:28 ID:iwAOpAtV
≪現参加者一覧≫
4/5【いぬかみっ!】
○川平薫/●川平啓太/○赤道斎/○たゆね/○ようこ
2/2【ウィザーズ・ブレイン】
○セレスティ・E・クライン/○デュアルNo.33
2/2【終わりのクロニクル】
○佐山・御言/○戸田・命刻
2/2【銀盤カレイドスコープ】
○桜野タズサ/○リア・ガーネット・ジュイティエフ
5/5【戯言シリーズ】
○いーちゃん/○零崎双識/○零崎人識/○闇口崩子/○紫木一姫
3/3【されど罪人は竜と踊る】
○ガユス・レヴィナ・ソレル/○ギギナ・ジャーディ・ドルク・メレイオス・アシュレイ・ブフ/○ニドヴォルク
2/3【戦闘城塞マスラヲ】
●伊織貴瀬/○Will.CO21/○川村ヒデオ
2/2【断章のグリム】
○白野蒼衣/○時槻雪乃
4/5【とある魔術の禁書目録】
○一方通行/○Index-Librorum-Prohibitorum/●上条当麻/○神裂火織/○御坂美琴
2/2【薔薇のマリア】
○サフィニア/○マリアローズ
3/3【“文学少女”シリーズ】
○天野遠子/○井上心葉/○琴吹ななせ
4/4【ムシウタ】
○薬屋大助/○獅子堂戌子/○立花利菜/○御嶽アンネリーゼ
2/2【ルナティック・ムーン】
○カロマイン=セク/○シオン=エシュ
5/5【レジンキャストミルク】
○柿原里緒/○城島晶/○城島硝子/○速見殊子/○舞鶴蜜
【残り43人】 ○=生存/●=死亡
4 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 00:44:55 ID:iwAOpAtV
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
生き残った一人だけが元の世界に帰還ができ、また何でも望みを叶えられる権利を与えられる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはエリア上にランダム配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、勝者なしでゲームオーバーとなる。
殺し合いの機会を公平にするため、異能者の身体能力、超常能力には制限を課す。
※身体能力の制限については筋力と破壊力が対象。
修練によって身に付けた体術はそのまま。
超常能力の制限は半減または無効化、変身等については無効化が望ましい。
【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備、所持品は全て没収。
※義手など、体と一体化している武器、装置はその限りではない。
衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込み可。
プレイヤーは「デイパック」に詰められた以下の物を支給されている。
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。
「地図」→大まかな地形と境界線、座標が記された地図。
「コンパス」→安っぽい普通のコンパス。
「照明器具」→懐中電灯。
「筆記用具」→普通の鉛筆と、A4用紙30枚前後の紙。
「水と食料」→通常の飲料(1L水×2)と食料(成人男性2日分)。
「名簿」→全てのプレイヤーの名前が載っている。
「時計」→普通の時計。
「"支給品"」→何らかのアイテムがランダムで1〜3個。
※「エントリー作品中のアイテム」と「現実の日常品」の中から自由に選択。
アイテム数と内容は、書き手の判断に任せます。
必ずしもデイパックに入るサイズである必要はなし。
また、ゲームのバランスを著しく崩すアイテムは企画頓挫の火種。要注意。
5 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 00:51:23 ID:iwAOpAtV
【首輪と禁止エリアについて】
ゲーム開始前からプレイヤーは全員、首輪を填められている。
首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ。
ゲームマスターは、いつでも自由に首輪を爆発させることができる。
首輪はプレイヤーの生死と現在位置を常に判断し、ゲームマスターへデータを送っている。
首輪を外すことは専門的な知識がないと難しい。
首輪には盗聴機能があり、音声はゲームマスターに筒抜けである。
※プレイヤーには説明されません。
一定時間毎に指定される禁止エリア内にいると、30秒の警告の後、首輪が自動的に爆発する。
【放送について】
放送は6時間ごとに行われる。内容は以下の通り。
「禁止エリアの場所と指定される時間」
→出来るだけ離れた地点を2(または3)指定。放送から2/4時間後(1/3/5時間後)で進入禁止に。
「前回の放送から今回の放送までに死んだキャラ名」
→死んだ順番、もしくは名簿順に読み上げ。
「残りの人数」
→現在生き残っている人数。
「管理者(黒幕の場合も?)の気まぐれなお話」
→内容は書き手の裁量で。
【作中の時間表記】
深夜:0〜2 日中:12〜14
黎明:2〜4 午後:14〜16
早朝:4〜6 夕方:16〜18
朝:6〜8 夜:18〜20
午前:8〜10 夜中:20〜22
昼:10〜12 真夜中:22〜24
6 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 00:53:24 ID:iwAOpAtV
【予約時のルール】
予約スレで、必ずトリップを付けて予約宣言すること。
有効期間は書き込んだ時点から3日後まで。本スレで宣言することで2日間の延長ができます。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/10390/1199458816/l50 【投降時のルール】
現行スレにて宣言した後、予約時に使用したトリップを付けて投降をお願いします。
※内容に不安のある方、投稿規制を喰らった方は、仮投下スレに投下して下さい。
下記フォーマットを用い、投下して下さい。
↓↓↓↓↓↓
≪本文≫
名前欄:タイトル#あなたのトリップ
投稿内容:カキコする内容(死亡者が出た場合のみ、以下の一文を記載)
【キャラ名@作品名 死亡】
≪ステータス文≫
【座標/場所/時間(何日目・何時)】例@A-1/灯台/一日目・深夜
【キャラ名@作品名】
[状態]:キャラの肉体的、精神的状態を記入。
[制限]:キャラにかけられた制限を記入。
[装備]:キャラが装備している武器/防具等、すぐに使用できる物を記入。
[道具]:キャラのデイパックに詰められた支給品等を記入。
[思考・状況]:キャラの目的と、現在具体的に行っていることを記入。
1:思考・状況その1。
2:思考・状況その2。
[備考]:キャラに関する特筆事項を記入。
1:備考その1。
2:備考その2。
↑↑↑↑↑↑
以上をキャラ数分記入。
7 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 00:54:49 ID:iwAOpAtV
【書き手の心得】
・トリップを付けること。コテハンは叩かれやすいです。
・リレー小説であることを忘れないこと。貴方は一人じゃない。
・作品を書く前に予約をすること。他の作家とのキャラ重複発生を防ぎます。
・原作の下調べを行うこと。設定忘れ等は叩かれる元なので注意。
・ご都合主義は控えること。原因→過程→結果の流れは大切かと。
・どのキャラにも愛情を持ってみること。貴方の嫌いなキャラは、他者にとって…?
・作品の投下前に、必ず読み返すこと。意外に誤字脱字がありますよ。
・作品の投下後は、キャラのステータスを明確にすること。基本!
・投下された作品には目を通すこと。話の前後での食い違いが無いように。
・可能なら雑談スレにも目を通すこと。貴方に話がある人もいるかもしれません。
・自分の生活を大事にすること。身体は壊さないように。
【読み手の心得】
・落ち着いて読むこと。斜め読みして見落としがあっても自己責任。
・安易に叩かないこと。キャラの駒扱い、ズガンがない限りは理性的に。
・作者を煽らないこと。作者のプライベートは尊重しよう。
・イラストに騙されないこと。何を言っているかわからねーと思うが(ry
・時々でいいのでスレは保全すること。DAT落ちしたら避難所に報告。
・新作が出なくても諦めないこと。最後の手段は「貴方が書く」ことだ。
【注意事項】
・この企画は二次創作のリレー小説です。
実在する出版社、並びに小説の原作者や絵師の方は、一切関係ありません。
絶対に、当企画に関するメールは、どんな内容でも送らないで下さい。
・スレッドの容量が490KBに、又はレス数が950に達した時、次スレを作成して下さい。
8 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 01:01:09 ID:4DYW33cf
スレ立て乙!!
9 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 01:04:11 ID:Hlt3Zxr5
乙です
へたくそなスレ立てですみません。
>>5で改行エラー起こして時間がかかってしまいました。
スレ建て乙!
あと前スレの螺子ト戯レル猫のssで思ったが……
柿原って実は無差別マーダーだな。
「おい君っ!」とか、「そこの人!名前は?」
と聞いたら殺しに来るんだから……
ある意味一番怖いキャラじゃないか。
前スレ
>>955 売れ残ってるキャラが好きな俺を絶望させる事言うなよ・・・。
同意ww
14 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 17:37:48 ID:Ry1NObSg
っていうか前スレの「スレ違イ」のSSでさ、
「スレ違いは止まらない。」って書いてあるけど「スレ違イ」のほうが良くない?
まあ、細かいことなんだけど。
神裂火織のSSが出来たので順次投下します。
何というか『ここ、放置したままでいいのか?』と思いとある箇所に関する設定を勝手に作ってしまいました。
問題点が表出しそうなので、突っ込みどころがあったらバシバシお願いします。
月光の下、長身の女性の姿がある。
容貌は凛々しく美しいのだが、端を結んでわざわざヘソ出しにしたTシャツと左脚の裾を根元から切除したジーパンという奇抜かつ際どい服装をしている。
「やはり、ここを通るしかないのでしょうね」
彼女の目の前にはよく分からない材質でできた門がある。塀も屋敷も無い。門だけ、である。
この門の口、すなわち人が潜り抜ける箇所には扉が存在しない。つまりそこからは向こう側の景色が見えるはずである。しかし、この門の口には何か暗闇のようなものが凝っており、その先は一寸先も見えない。
湾のほぼ中央。周囲を海に囲まれ、一本の奇岩がそそり立っている。
その上に、闇を湛えた門と神裂火織の姿があった。
『拙者もそう思うのでござる』
傍らから聞こえた声に、決意を固める。その声の主は、彼女の握っている一本の十手である。
それ、いや彼の名は岡丸という。意思を有し喋る十手である。彼は神裂のデイバッグの中に支給品として入れられていた。
彼は『聖魔杯』という大会に参加している途中で、この殺し合いの場に連れ出されたらしい。 神裂は、意思を持つ武器などという珍妙な存在に驚愕したり、勝ったら世界が手に入るなどという胡散臭い大会に疑問を抱いたりしたが、それはそれ、としてその思いを保留している。
神裂と岡丸、二人の最終目的は共通している。
弱者の保護、この殺し合いの中止、そして元いた場所への帰還である。
現時点では、二人の知人に会うことを暫定的な目的とし活動することに決めている。
「それでは行きましょう」
『承知したでござる』
闇を湛える門へと歩を進める。
ずぶずぶずぶ、と神裂と岡丸は暗黒に沈み、やがてその姿を消した。
◇
闇を湛える門の柱には、金属製のプレートが打ち付けてある。
そこには、以下のように記されていた。
・ここはダンジョン入口である。
・ダンジョンには地上に三箇所あるダンジョン入口から進入できる。
・ダンジョン内にも主催者の放送は届く。またダンジョン内は基本的に禁止エリアではないが、ゲームの進行上不都合になれば禁止エリアに指定することもあり得る。その場合は放送で知らせる。
・ダンジョンには25の層が存在する。第一層は最上層、第二十五層は最下層にあたる。
・ダンジョン入口は『ゲート』という装置であり、通過することで第一層のランダムな座標に転送するよう設定されている。一度に複数の参加者が通過するとまとめて同じ座標に転送する。
ゲートは一見すると、人が通る箇所に暗闇が凝っている門である。
・第二十五層を除きそれぞれの層にはゲートが1つあり、それは1つ下の層のランダムな座標に転送するように設定されている。一度に複数の参加者が通過するとまとめて同じ座標に転送する。
また第八層、第十六層、第二十四層、第二十五層には、各ダンジョン入口前に転送するゲート(送還ゲート)が3つ設置されている。送還ゲートが各々どのダンジョン入口の前に転送するのか分かるよう説明板が設置してある。
・ダンジョンには罠が設置されている。下層に行くほど罠は致死性を増してゆく。
・ダンジョンにはモンスターが徘徊している。
モンスターは様々な世界の生物を模造した自動装置である。模造した自動装置といっても相当リアルに作られおり、特に材質は実物と同じか、それに近いもので構成されている。モンスターには、ゲームの参加者への攻撃を行動規範として刷り込まれている。
モンスターは機能停止すると消滅する。その際、ごく稀に『中間支給品』が出現することがある。より下層にいるモンスターを倒すほど高確率で中間支給品が出現する。
しかし、下層に行くほどモンスターは戦闘能力が高くなっている。
モンスターはゲートを通過することが出来ず、何らかの理由で通過した場合は消滅する。
減少した分だけモンスターは主催者側によって補充される。
・おまけ:ダンジョンは簡単な迷路のような構造になっている。モンスターや罠が無かったとすると、一つの層を通過するのには深く考えずにゆっくり歩いて十分程度はかかるか。まあ、何かの参考にしてくれ。
◇
ダンジョン入口を通過した神裂が見たのは古代遺跡風の内装の通路だった。光源はどこにも見当たらないのに、どういう方法によるものか必要最低限の薄暗さが維持されている。
背後を振り返ると同様の通路が続いている。
「これで第八層までは後戻りできないということですか」
『神裂殿なら楽勝でござるよ』
「だといいのですが」
返答しつつ神裂は走り出す。薄闇を掻き分けるようにして進む。
と、奇妙な存在が視界に入る。その外見はバケツで作った『わらびもち』のようである。それは、ぐに、と一度たわむと、その反発を利用して跳ね飛んできた。
『スライムでござる』
「知っているのですか?」
言いつつ、神裂は岡丸をスライムに叩きつける。あっさりと弾き飛ばされたそれは、壁にぶつかるとぐずぐずと形を崩す。そして、まるで何も無かったかのように完全に消滅した。
「弱いですね」
『所詮、スライムなのでござる。一般人でも倒せるのでござる』
ちなみに、岡丸の知人である川村ヒデオは一撃でKOされていたりする。
神裂はスライムを蚊でも叩き落すように処理しながら進む。途中で何度か分かれ道や行き止まりがあったが、それを記憶しつつ走り回る。浅い落とし穴や足首の位置に張り渡した縄があったが、あれらは罠なのであろうか?
やがて、ダンジョン入口と同様の外見をした門、すなわち『ゲート』を発見した。
『ここまでで、おおよそ5分といったところでござるな』
スライムは足止めにすらなっておらず、ろくな罠が存在せず、しかも神裂は走って移動していた。それくらいで通過できてしまったとしてもおかしくはない。
もっとも、この先も順調に行くのかは分からないが。
『ところで、神裂殿は長い武器のほうが使いやすいのではござらぬか?』
「そうですが、何故それが?」
『動きを見ていれば分かるのでござる』
そう言うと、岡丸は通常の十手サイズから刀程度にまで伸長した。
『本来なら六尺以上が良いと思うのでござるが、この場所では振りにくいゆえ、この長さでどうでござる?』
神裂は何度か素振りをして調子を確かめる。
「ええ、今はこれで丁度いいです。ありがとうございます」
『何、今の拙者達は運命共同体のようなもの、礼には及ばぬでござる』
神裂はその言葉に頷くと、ゲートをくぐる。
急がねばならない。今この時にも、救いを求める誰かが叫んでいるかもしれないのだ。
◇
神裂火織はこの殺し合いに乗るつもりは全く無い。
『神様からも見捨てられた人達すら救ってみせる』
この願いを胸に抱く彼女にとって死者が出る闘争とは無意味、いやそれどころか最悪の事態である。死者が出るということは、その人物の命が切り捨てられたということだから。
しかし、それをこの殺し合いの場に即した表現へと変換するとこうなる。
彼女は人を殺さないのではなく、殺せない。
それは彼女自身も自覚している。そして、この殺し合いの場においてそれがどれだけ致命的なことかも理解している。
しかも、彼女の能力は狐面の男が言ったとおり制限されていた。聖痕を解放しようとしたら強烈な抵抗感を感じたのだ。無理をすれば解放できるだろうが、その代償として何が起こるのか分からない。迂闊に試すわけにも行かなかった。
参加者全員を一見する機会があっが、身のこなしが明らかに戦闘者であったり、何やら異質な気配を纏っている者もいた。彼らの中には殺し合いに乗るものもいるかもしれない。
何かしらの力を有する殺人者から、他の参加者を救うことが出来るのか。
しかも、人を殺せず、力も制限された身で。
◇
参加者の目の前であっさりと死んだ少年のことを思うと、強い後悔が湧き上がる。
結局、彼を救えなかった自分に何が出来るのか、とも思う。
それでも神裂火織は戦う。
「救われぬ者に救いの手を(Salvere000)」
彼女は呟く。それは主催者側への宣戦布告。
そして、彼女が命を賭けて成すべきことを成すという、誓い。
【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康。
[制限]:聖痕開放に強度の抵抗感(ただし無理やり解放可能。その代償は不明)
[装備]:岡丸@戦闘城塞マスラヲ
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]
基本思考:弱者の救済(しかし人殺しは不可)
1:上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオとの合流。
2:弱者を保護する。
3:ゲームの破壊。
4:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(15巻)終了後。
2:ウィル子、川村ヒデオに関する情報を得ています。
【岡丸@戦闘城塞マスラヲ】
[状態]:健康。
[制限]:無し。
[思考・状況]
基本思考:正義を行う。
1:上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオとの合流。
2:弱者を保護する。
3:ゲームの破壊。
4:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(3巻)終了後。
2:上条当麻、インデックスに関する情報を得ています。
【岡丸@戦闘城塞マスラヲ】
憑依武器という種類の、意思を持ち喋る十手。都合に合わせて、長剣の長さから通常の十手の長さまで自由に伸縮できる(長さの限界は不明)。高い技術が利用されていると思われる改造人間の剣と打ち合っても平気なので、それなりに丈夫っぽい。
また岡丸の意思で所有者に自身を(ある程度)振らせることも可能なようである(岡丸を持ったヒデオを操った、というか無理やり振り回したことがある)。
一人称は『拙者』で語尾に『ござる』を付ける。本来の持ち主である北大路美奈子を諭すこともあり、けっこう人格は成熟していると思われる。正義感が強い。
ちなみに酒を飲む(というか吸い取る)こともでき、しかも酔っ払う。
※改正箇所を発見したので投下
【ダンジョン/第二層/初日・深夜】
【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康。
[制限]:聖痕開放に強度の抵抗感(ただし無理やり解放可能。その代償は不明)
[装備]:岡丸@戦闘城塞マスラヲ
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]
基本思考:弱者の救済(しかし人殺しは不可)
1:上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオとの合流。
2:弱者を保護する。
3:ゲームの破壊。
4:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(15巻)終了後。
2:ウィル子、川村ヒデオに関する情報を得ています。
【岡丸@戦闘城塞マスラヲ】
[状態]:健康。
[制限]:無し。
[思考・状況]
基本思考:正義を行う。
1:上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオとの合流。
2:弱者を保護する。
3:ゲームの破壊。
4:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(3巻)終了後。
2:上条当麻、インデックスに関する情報を得ています。
25 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 19:21:20 ID:Ry1NObSg
うん、かなり神裂さんらしい。良作。GJ!!
でも、ダンジョンの設定が理解しづらい、かな?
皆さんはどう思います?
あとこれは関係ないのですが、
どなたか、まとめサイトの過去ログにpart2を加えていただきたいです。
すいません、過去ログ保管の方法知らないもので。
投下乙。
神裂は対主催だろうと思ってたが、やっぱり似合うな。
だが、ダンジョンの設定とかいらないと思う。
ただの広い地下道とか洞窟とか、そんなんでいいんじゃないかなぁ。
二十五層とか多くて把握困難だろうし、リレーしづらそう。
それにモンスターとか罠でキャラが死んだりしちゃロワとしてどうなのって気がするし。
考えてくれたのに悪いけど、個人的には反対。
投下乙!GJ!!
ダンジョンの発想は面白いです、しかし確かに色々と不味いかと
・以下感じた事を箇条書きします
強者がやすやすと自分の武器を手に入れる事が出来る
同様に、迷い込んだ場合でも一般人では生存できないので強者有利
また、きわめて致死性が高い事
加えて、それが参加者の手によらないということ
モンスターと言う擬似生物を創作しなければならない事
(もしくは擬似的なキャラクターが増える事)
少々ロワの趣旨から外れすぎなのでは?と言う疑問
25階層という膨大な広間では、参加者同士では神の手がない限りほぼあえないと言う事
つまるところ、「強者に有利」「広すぎて出会えない」「ロワの趣旨を塗りつぶすイベント」の3点が問題として挙げられるかと
また序盤でありながら超展開でもあります
「一階層のみにし、危険な会場間のワープゾーンの中間場所のような扱いにする」
「1日が経過するまで入れない」
「モンスターおよび、殺傷力の有るトラップを出さない」
のような修正案を複数採用すれば問題は少ないかと思いますが、個人的にはお勧めしません
>>26>>28 一理あります、というか、その意見を全面肯定です。
大幅に設定を縮小して
>>26さんの『ただの広い地下道とか洞窟とか、そんなんでいいんじゃないかなぁ』という意見を取り入れて書き直してみます。
人の意見は聞いてみるものですね。
修正ガンバです、作中の何所かの場所とかを取り入れても面白いと思いますよw
既にロワじゃなくて、普通に「大冒険」展開になりそうだし、モンスターは不味い。
あいまいな発現で申し訳ないですが破棄の可能性がでてきました。
ぶっちゃけ岡丸さんかぶりました。
今現在修正していますがちょっと時間かかりそうです。
>>28 投下乙、です。
修正がんばってくださいね。
今回は問題がありましたが、宙ぶらりんだったダンジョンを処理してくださったのはすごくいいことだと思いますよ。
激励の言葉、ありがとうございます。
とりあえずダンジョンの設定の修正案を作ってみたので意見をいただけたら幸いです。
・ダンジョンには地上に三箇所あるダンジョン入口から進入できる。
・ダンジョン内にも主催者の放送は届く。またダンジョン内は基本的に禁止エリアではないが、ゲームの進行上不都合になれば禁止エリアに指定することもあり得る。その場合は放送で知らせる。
・ダンジョン入口は『ゲート』となっており、通過することでダンジョンのランダムな座標に転送するよう設定されている。一度に複数の参加者が通過するとまとめて同じ座標に転送する。
ゲートは一見すると、暗闇へと繋がるただの入り口である。
・ダンジョン内にはダンジョン入口前に転送するゲート(送還ゲート)が3つ設置されている。送還ゲートは各々、どのダンジョン入口の前に転送するのか分かるよう説明板が設置してある。
・ダンジョン内は迷路のような構造をしている。深く考えずに歩いていても、平均して3時間程度で何処かの送還ゲートに辿り着ける。
>>32 それは、何というか・・・・・・。譲っていただき、ありがとうございます。
戸田・命刻&岡丸、相性良さそうですね。
何故か参加者でもない岡丸が、やたら優遇されている気が・・・・・・。
34 :
参加するカモさん:2008/02/12(火) 21:01:33 ID:Ry1NObSg
でも、洞窟の中に休憩所とかあったら面白そうですね
そこには、食料と水、医療品があるとか。
すっごい個人的なこと言わせてもらうと、地下鉄があればダンジョンいらなくね?
折角なので書き手任せの追加施設とかがよかったな……。<???の三箇所
教会とか欲しかったので。
……レス読み返してみたが、地図の人が「ダンジョン」を「???」にしたの、
知らない人がいるのかな。話し合われてないのでという理由で、だったか?
ダンジョンで話し合われてるのならそれに合わせるべきか。残念。
確かこんなレスがあった。
682 :参加するカモさん:2008/02/04(月) 09:58:56 ID:k1LIHC3A
map◆NZbQkDcOOY氏に無断で修正。すまぬ。
文字と枠線が被ってると見辛かったので。
ttp://ranobe.com/up/src/up254946.gif ダンジョン入口abcについては、ワープポイントにするのか
どうか話が出てなかったと思うので、暫定的に「???」に。
あと、廃墟の位置がわからないので保留状態。
抜け、意見等ありましたらヨロです。
連投ですいません。
>>37で示したように、何やら???はダンジョン入口で決定っぽかったので、それに従って今回のSSを書きました。
私としてはその方針でいいと思うのですが・・・。
>>33 D-6の「???」はどうするの?
モンスターも面白そうだけど、文学少女とか銀板の一般人だと完全に対処不可能だからなぁ。
>>34 そういやマスラヲだと、ダンジョン内に(なぜか)甘味所があったなw
>>34 面白いので追加してみます。
>>39 見落としてました・・・・・・。???って四箇所あるんですね。それもダンジョン入口という方針で。
>>37-38 すまん。確かに読み返してみると、何らかの移動施設であることは
否定してないのですな地図の人……というか地図編集の人?
でも、ダンジョン内を禁止エリアに指定とかってなると、ダンジョン内部の
地図を誰が書くの?って話しにもなるんだよな。それ考えると時間消費型
ワープポイントの方にした方が。
>>41 ダンジョン全体を一律で禁止エリアにする、という方針です。
ダンジョンはとりあえず『1つのエリア』としてカウントする感じで。
>>39>>42 今回神裂がいた場所がD-6です。つまり奇岩が海中から聳え立っている。
なんかこのままだと、ダンジョン用の地図が必要になりそうだな。
それは厳しいし、ただのワープポイントってのじゃ駄目だろうか?
>>37を見るとダンジョン入り口は3つだけだと思うけど?
D-6の???はまた別の施設なんじゃない?
色も違うし
自己レス。時間消費型のワープポイントだと、たった数時間で
どこにでも逃げられるってのが難点。その上、無駄に時間を
食い潰すのは神裂自身の主旨に反しそう。
ということでワープポイントよりかはダンジョンの方がいいかも。
>>43 すまん、エリア名で見てたので、「奇岩」ってのを見落としてた。
それなら移動するしか道はないのか……。
しかし流石にダンジョン全体を禁止エリアにするのはどうかと。
>>46 とりあえず6時間程度の猶予を持たせて禁止エリア指定にすれば問題無いかと。
それに、迷路になっているからダンジョン通過には時間がかかるが、全体の面積はそんなに広くないと思います。
面積自体は、他のエリアと同等かそれ以下かと。
ついでに、ダンジョンの禁止エリア指定をするのは、
・殺し合いが終盤まで行って『殺し合いの会場の面積が広すぎる』という時。
・ダンジョンの入口全てが禁止エリアに指定されそうな時。
である。
>>48 D-6って元々はダンジョンじゃなかったのか・・・・・・。知らなかった。投下乙。
とりあえず、以下の設定で書こうと思うのですが、どうでしょうか?
・D-6は現時点では謎のままにしておく(今後の展開に幅を持たせるため)。
・D-6を除く???はダンジョン入口。
・ダンジョンはエリアのショートカットという意味合いが強く、比較的小規模(事前知識が無くとも1時間程度で通過可能)にする。
>>37>>48の地図を見比べたが、D-6は当初から?だったのでダンジョン入口に使うかどうかは微妙な気が。
へたにD-6に出てダンジョン封鎖になったら、飛ぶか泳ぐかしないと移動もできんし。
>>49 二時間区切りで話が動いてるので、それに合わせた方がよくないか?
>>49 それでいいと思う。
>>51 歩けば2時間、急げば1時間程度で抜けられる。でいいんじゃない?
D-6をスタート地点にしてるらしい神裂さんがダンジョンに潜るのはしょうがないにかもしれないが、スタート地点変更となると、
何が待ち受けてるかわからん迷宮に入るって行動は神裂さんらしくないような。
草案を作ってみました。
・ダンジョンには地上に三箇所(B-7、E-2、G-6)あるダンジョン入口から進入できる。
・ダンジョン内にも主催者の放送は届く。またダンジョン内は基本的に禁止エリアではないが、ゲームの進行上不都合になれば禁止エリアに指定することもあり得る。その場合は放送で知らせる。
・ダンジョン入口は『ゲート』となっており、ダンジョンのランダムな座標に転送するよう設定されている。一度に複数の参加者が通過するとまとめて同じ座標に転送する。
ゲートは一見すると、人が通る箇所に暗闇が凝っている門である。
・ダンジョン内にはダンジョン入口前に転送するゲート(送還ゲート)が3つ設置されている。送還ゲートは各々、どのダンジョン入口の前に転送するのか分かるよう説明板が設置してある。
・ダンジョン内は迷路のような構造をしている。深く考えずに歩いていても、平均して2時間程度で何処かの送還ゲートに辿り着ける。予め道順を知っていれば歩いて平均30分程度で辿り着くことが可能。
同様の条件で歩かずに急いだ場合は、その半分の時間で到達できる。
・ダンジョン内には休憩所が一箇所存在する。休憩所には水、食糧そして医療品が置いてある。
>>53 医療品が置いてある『休憩所』目的で潜入。
>>52 むしろショートカットできるほどの不思議空間なら、どれだけ歩いても走っても二時間とかw
問題は地下での遭遇戦だが……時間経過は書く人まかせか。
>>54 水・食料・衣料品程度なら大丈夫だと思う>休憩所
>>54 草案乙。時間経過の点以外はいいと思う。時間を細かく指定しすぎると、本家みたくなるので他の作者さんが大変だろうし。
で、これ、投票するの?急いで決定するには人がいないように見えるが。
>・ダンジョン入口は『ゲート』となっており、ダンジョンのランダムな座標に転送するよう設定されている。一度に複数の参加者が通過するとまとめて同じ座標に転送する。
ゲートは一見すると、人が通る箇所に暗闇が凝っている門である。
ランダムじゃなくてもいいのでは?抜け道的な役割になりそうだし、そのほうが知略が生きるような。
いいアイテムが転がってるならランダムのが展開させやすいけど・・・
意見が色々あるので、とりあえずダンジョン登場は保留してもいいでしょうか?
神裂火織を予約してからそろそろ3日が経過しそうなので、早く書かないことには・・・。
特に、岡丸の登場を譲ってくれた書き手さんに対し、申し訳なくて仕方が無いというか。
すいません。神裂火織SS書くのにまだ時間がかりそうです。予約の延長をお願いします。
それから、wiki編集してくれる人は、『救い手は迷い路を行く』は投下しないでもらえるとありがたいです。
今見たらさ、『スレ違イノ生ム悲劇』で、グリフォンハードカスタム→グリフォン・ハードカスタムじゃないっけ?
地図者です。
大騒ぎの原因となってしまってすみませんでした。
海中の???はもとはあんまり皆さんの意見反映できなかったなーと書き手さんにもうちょっといじくってもらえる余地を残そうとして遊び心で加えたものです。
ですので好きにいじくってもらえるなら本望です。
ダンジョンにしてもせっかくマスオラと薔薇のマリアが同時参戦してるから生かしたいなー、ということでワープポイントにそういう名前をつけただけものなのです。
つーか本当に蛇足でした。ごめんなさい。
解決に向けて出来ることがあれば協力します。ほんとうにご迷惑をおかけしました。
連スレスマン
>>60 そんなに急がなくてもいいと思いますよ。
まだ未登場のキャラもいるし、トラブルだから例外で処理してもいいと思います。
地図に修正加えた戦犯です。本当にすみません…_no
上で挙がってる肯定的な意見と否定的な意見の中に、自分の言いたいことが
書かれているので、自分の意見は保留とさせて頂きます。
>>57で言われてますが、投票等行なうのであれば、したらばを自由に使って
構いませんので。
>>60 当方、了解しました。UHv氏も頑張って下さい。
…Cps氏の前スレに投下されたものと一緒に、没SS項に転載しようかなぁw
>>62 むしろ悪いのは「???」と名前弄ったこちらではないかと。マジごめんなさい。
そして言われて気付いたけど、薔薇マリもマスラヲもダンジョンあるなwww
一応確認しときたいのですが、海浜公園まで氷が張っているわけではないですよね?
とりあえず、色々意見が出たので勿体無い、ということで、できるだけ意見を取り込んだダンジョンの草案を作ってみました。
神裂火織SSも鋭意製作中ですよ?
・ダンジョンには地上に三箇所(B-7、E-2、G-6)あるダンジョン入口から進入できる。
・ダンジョン内にも主催者の放送は届く。またダンジョン内は基本的に禁止エリアではないが、ゲームの進行上不都合になれば禁止エリアに指定することもあり得る。その場合は放送で知らせる。
・ダンジョンの構造は樹形図のようになっている。すなわち、始点(ルートポイント)から伸びた一本道が枝分かれし、更にそれらが枝分かれし・・・・・・といった構造になっている。そうして分岐した道の末端をエンドポイントと呼ぶ。
・ダンジョン入口は『ゲート』となっており、ダンジョンのランダムなエンドポイントに転送するよう設定されている。一度に複数の参加者が通過するとまとめて同じエンドポイントに転送する。
ゲートは一見すると、人が通る箇所に暗闇が凝っている門である。
・ダンジョン内にはダンジョン入口前に転送するゲート(送還ゲート)が3つ設置されている。送還ゲートはルートポイントに近い位置に設置されている。また、送還ゲートには各々、どのダンジョン入口の前に転送するのか分かるよう説明板が設置してある。
・ルートポイントには休憩所が一箇所存在する。休憩所には水、食糧そして医療品が置いてあり、またダンジョンの構造図を記した掲示板もある。
・各エンドポイントからルートポイントまでの距離は均一ではない。
D-6にある???はやはり謎ということで。
遅れてすみませんでした。
短いですが、赤道斎を投下します。
指摘などがあればよろしくお願いします。
赤道斎。
魔導を極め、万物を思いのままに支配した伝説の魔導師は海浜公園……
いや、元海浜公園の中心に物憂げな顔で立っていた。
白く染められたオールバックの髪、怜悧な眼差し、彫りの深い顔立ち。
その悠然と構えられた風格は伝説の魔導師の名に違わぬものだろう。
彼の立つ周囲はほんの数十分前までデートスポットとしても人気がありそうな景色のいい公園であった。
が、今ではその景観もすっかり変わり、真っ白なベンチも色鮮やかな花壇もたい焼き屋の屋台も全て跡形もなく消え去っている。
「ふむ……やはりだいぶ力が抑えられているようだな」
赤道斎は周囲を見渡し、一つつぶやくと、ゆっくりと歩みを始める。
―私の気づかぬうちに首輪をつけ、五十人近くの参加者を一瞬でこの島中に転送し、私の力に制限をかける。
それほどの力を持った存在。未知の魔導体系だろうか。
あの西東天と名乗った狐面の男か大喰いと呼ばれた赤いコートの女の仕業か。
それとも奴らの背後にいる何者かの仕業か……いずれにしろ面白い。
さらには、すぐに命を絶たれてしまったが、安全ピンを使って何かを起こそうとしていた少年。
その他にも私の与り知れない未知の力を感じられた参加者が何人もいた。
支給品として入れられていたこの魔導書もそうだ。
つくづく魔導の世界は面白い。だからこそ、私は一生を賭けてそれを探求し続ける。
「川平薫の呪いを解くためにも必要なことかもしれん」
先ほど名簿を見ると川平啓太やようこといった名前だけでなく、川平薫自身の名前も載せられていた。
この殺し合いの舞台で川平薫が命を落とす可能性は決して小さいものではないだろう。
しかし、命を落としたとしても赤道斎は契約を履行する。
魔導師にとっては契約は神聖かつ絶対のもの。
突然こんな島に連れて来られようとも薫が命を落とそうとも赤道斎が契約を破ったり忘れたりすることはない。
「なればこそ、未知の力を調べる必要がある」
海浜公園跡から道路へ出る途中、赤道斎は立ち止まり自らの格好を確認する。
「今の霊力は全盛時の三割といったところか。ならば……」
そう一言つぶやいた直後、赤道斎の全身を覆っていた黒曜石のような色合いをしていたローブの七割が消え去った。
いまやローブは下半身だけではなく、上半身も半分近く消え、辛うじて赤道斎の乳首を隠す程度の長さほどしかない。
改めて赤道斎は自分の格好を確認し、納得したようにうなずく。
「やはり、この格好は自由でいい」
赤道斎は再び歩き出す。
目標は南。
かすかに聞こえた少女の声が何者かがいる証拠であろう。
そして、赤道斎は未知の力を持つ者に接触を試みる。
自らの探求欲を満たすためだけでなく、川平薫との契約を守るためにも……
【赤道斎@いぬかみっ!】
[状態]:健康。
[制限]:全盛時の約三割。3000漬け物石程度まで能力が抑えられている。
[装備]:胸から下半身にかけては何も身に纏っていない。
[道具]:速記原典@とある魔術の禁書目録、支給品一式。
[思考・状況]
1:声が聞こえたほうへ向かう。
2:川平薫との契約を履行するため、主催者を含めた未知の力を持つ者と接触し、その力を解明する。
2:邪魔をする者は殺す。
3:一般人は基本的に無視。
[備考]
1:参戦時期は7巻終了後。
*海浜公園はほぼ全壊しました。
【速記原典@とある魔術の禁書目録】
オリアナの書いた簡略版魔道書。
魔道書の持つ魔法陣としての側面に特化したもの。
基本的に書いた本人以外の誰にも記述内容を理解できず、また、厳密な意味で同じ魔術は二度と使用できない。
>ゲームの進行上不都合になれば禁止エリアに指定することもあり得る。その場合は放送で知らせる。
放送を書く人によっては早期に潰されてもおかしくないのだが、まだ地下迷宮全体を一つのエリアと考えているのでしょうか?
>ダンジョンの構造は樹形図のようになっている。すなわち、始点(ルートポイント)から伸びた一本道が枝分かれし、更にそれらが枝分かれし・・・・・・といった構造になっている。そうして分岐した道の末端を
>エンドポイントと呼ぶ。
>ダンジョン入口は『ゲート』となっており、ダンジョンのランダムなエンドポイントに転送するよう設定されている。
下手にエンドポイントを多く設定すると、エンド→エンドと、迷う人間が出ないかな?
それに地下での遭遇戦もなかなか発生しないような。
>ルートポイントには休憩所が一箇所存在する。休憩所には水、食糧そして医療品が置いてあり、またダンジョンの構造図を記した掲示板もある。
ダンジョン入口からエンドポイントに飛ばされて、迷いながらルートポイントに行くって認識でおk?
出口側にダンジョンの構造図置いてるのは何か違うような……。
>各エンドポイントからルートポイントまでの距離は均一ではない。
昨夜言ってたように、各キャラの足によっては30〜2時間で走破可能ってことかな?
……本家ラノロワの時間順目次のような、カオスな進行状況にならなければいいんだけど。
あまり無理して考えなくても大丈夫では?深く煮詰めてると、風味が飛ぶものもあるし。
うあ、邪魔してしまった。投下乙。
………………変態だーーー!!!
逃げてー、遠子先輩逃げてーーー!
速記原典。枚数どれくらいなのやら。持ち主が持ち主なので、相当危険なアイテムだな。拡声器の呪いか?
すみません
>>70で時間と場所が抜けていたので付け加えてください。
【C-7/道路/一日目・深夜】
>>71 まあ、確かに現時点では深く煮詰める必要は無いですよねぇ。
あくまで軽い参考の一つ、くらいに思ってくれれば。肯定でも否定でも、後々の議論に活きてくれさえすれば十分満足なので。
投下乙。速記原典……そのままで大丈夫かこれ?
運次第とはいえ実質何でもできる、というか何が出ても「速記原典だから」で片付くから持て余さないか心配だ。
オリジナル魔術許せばほぼ万能、かといって原作でオリアナが使った魔術限定だとネタがすぐに尽き……なくはないか。
乙です。
結構どの作品も参戦時期がぶれてるんだな。
なんというかすれ違いを起こしそうな微妙な時期で。
ぼちぼち神裂火織のSSを投下したいと思います。
前作よりも短くなっていますが、このゲームにおける神裂の最大の問題点はちゃんと示せているかと。
ちなみに『2メートルの刀で居合い抜きは物理的に無理だろ』とか思わないでもないのですが、原作では当然のようにやりまくっているのでスルーということで。
月光の下、長身の女性が走っている。
容貌は凛々しく美しいのだが、端を結んでわざわざヘソ出しにしたTシャツと左脚の裾を根元から切除したジーパンという奇抜かつ際どい服装をしている。ウェスタンベルトを腰に巻いているが、それに付いているガンホルダーには何もささっていなかった。
不気味なまでに沈黙する夜の街を、神裂火織は疾走している。
『斯様に急いでいては、いざという時に動けぬのではござらぬか?』
「いえ、この程度なら問題はありません」
傍らからの問いかけに答える。実際、彼女は全く呼吸を乱していなかった。
ちなみにその問いかけの主は、彼女の握っている一本の十手である。
それ、いや彼の名は岡丸という。意思を有し喋る十手である。彼は神裂のデイバッグの中に支給品として入れられていた。
彼は『聖魔杯』という大会に参加している途中で、この殺し合いの場に連れ出されたらしい。 神裂は、意思を持つ武器などという珍妙な存在に驚愕したり、勝ったら世界が手に入るなどという胡散臭い大会に疑問を抱いたりしたが、それはそれ、としてその思いを保留している。
神裂と岡丸、二人の最終目的は共通している。
弱者の保護、この殺し合いの中止、そして元いた場所への帰還である。
現時点では、二人の知人に会うことを暫定的な目的とし活動することに決めている。
そのため、参加者が集まりそうな市街地を西から東へと気配を探りながら横断するつもりであった。その途中でできるだけ弱者を保護し、また二人の知人に関する情報を手に入れるのである。
「それにしても不気味な街です」
『そうでござるな。人っ子一人おらぬのに、まるで少し前まで誰かが住んでいたかのような・・・・・・』
「彼らは、何処に行ったのでしょうか」
重い沈黙が場に落ちる。殺し合いを開催するような人間が原住民をどうしたのかなど、改めて言わなくとも明確であった。
それを振り切るようにして、岡丸は言う。
『ところで、神裂殿は長い武器のほうが扱いやすいのではござらぬか?』
「そうですが、何故それが?」
『得物の重さで癖が付いているのでござろう、重心が微妙に崩れているのでござる』
そう言うと、岡丸は通常の十手サイズから七尺近くにまで伸長した。
『常識外れな長さと思うのでござるが・・・・・・』
神裂は立ち止まると、何度か素振りをして調子を確かめる。
次に、居合いの構えを取る。鞘は無いがウェスタンベルトに突っ込むことで、その代わりとする。目を閉じ息を整え、一閃させる。
ヒュン、と鋭く空気を裂く音。そしてその一刀は、近傍の街路樹から舞い落ちる木葉を砕き散らした。
『ほう』
岡丸は感嘆の声を上げた。
「いえ、これで丁度いいです。ありがとうございます」
『何、今の拙者達は運命共同体のようなもの、礼には及ばぬでござる』
神裂はその言葉に頷くと再び走り出す。
急がねばならない。今この時にも、救いを求める誰かが叫んでいるかもしれないのだ。
◇
神裂火織はこの殺し合いに乗るつもりは全く無い。
『神様からも見捨てられた人達すら救ってみせる』
この願いを胸に抱く彼女にとって死者が出る闘争とは無意味、いやそれどころか最悪の事態である。死者が出るということは、その人物の命が切り捨てられたということだから。
しかし、それをこの殺し合いの場に即した表現へと変換するとこうなる。
彼女は人を殺さないのではなく、殺せない。
それは彼女自身も自覚している。そして、この殺し合いの場においてそれがどれだけ致命的なことかも理解している。
しかも、彼女の能力は狐面の男が言ったとおり制限されていた。聖痕を解放しようとしたら強烈な抵抗感を感じたのだ。無理をすれば解放できるだろうが、その代償として何が起こるのか分からない。迂闊に試すわけにも行かなかった。
参加者全員を一見する機会があっが、身のこなしが明らかに戦闘者であったり、何やら異質な気配を纏っている者もいた。彼らの中には殺し合いに乗るものもいるかもしれない。
何かしらの力を有する殺人者から、他の参加者を救うことが出来るのか。
しかも、人を殺せず、力も制限された身で。
◇
参加者たちの目の前であっさりと死んだ少年のことを思うと、強い後悔が湧き上がる。
殺し合いの会場となったこの島にかつて住んでいた人々のことを思うと、どうしようもない無力感がのしかかる。
結局、彼らを救えなかった自分に何が出来るのか、とも思う。
それでも神裂火織は戦う。
「救われぬ者に救いの手を(Salvere000)」
彼女は呟く。それは主催者側への宣戦布告。
そして、彼女が命を賭けて成すべきことを成すという、誓い。
【B-5/ほぼエリア中央/初日・深夜】
【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康。
[制限]:聖痕開放に強度の抵抗感(ただし無理やり解放可能。その代償は不明)
[装備]:岡丸@戦闘城塞マスラヲ
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]
基本思考:弱者の救済(しかし人殺しは不可)
1:市街地を西から東へ気配を探りながら横断しつつ、以下にある2と3を暫定目的として行動する。
2:上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオの情報を集め合流。
3:弱者を保護する。
4:ゲームの破壊。
5:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(15巻)終了後。
2:ウィル子、川村ヒデオに関する情報を得ています。
【岡丸@戦闘城塞マスラヲ】
[状態]:健康。現在は七天七刀と同程度の長さ(2メートル程度)
[制限]:無し。
[思考・状況]
基本思考:正義を行う。
1:市街地を西から東へ気配を探りながら横断しつつ、以下にある2と3を暫定目的として行動する。
2:上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオの情報を集め合流。
3:弱者を保護する。
4:ゲームの破壊。
5:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(3巻)終了後。
2:上条当麻、インデックスに関する情報を得ています。
【岡丸@戦闘城塞マスラヲ】
憑依武器という種類の、意思を持ち喋る十手。都合に合わせて、長剣の長さから通常の十手の長さまで自由に伸縮できる(長さの限界は不明)。高い技術が利用されていると思われる改造人間の剣と打ち合っても平気なので、それなりに丈夫っぽい。
また岡丸の意思で所有者に自身を(ある程度)振らせることも可能なようである(岡丸を持ったヒデオを操った、というか無理やり振り回したことがある)。
一人称は『拙者』で語尾に『ござる』を付ける。本来の持ち主である北大路美奈子を諭すこともあり、けっこう人格は成熟していると思われる。正義感が強い。
ちなみに酒を飲む(というか吸い取る)こともでき、しかも酔っ払う。
以上です。wiki編集をしてくれる方は、面倒ですが『救い手は迷い路を行く』の代わりにこちらをアップロードしてください。
指摘等あったらお願いします。
85 :
参加するカモさん:2008/02/13(水) 20:09:28 ID:27odj5it
まあ、妥当ですね。ご苦労様です。
地下通路は樹形図は言いすぎ、やりすぎ、だと思います。
数本の横道で、分かれ道には看板ありが妥当では?
説明文にすると「分かれ道には標識あり」です。
86 :
参加するカモさん:2008/02/13(水) 20:40:17 ID:yGjhSvHO
お、岡丸〜〜〜っ!出てきてくれて嬉しいよ!
あと思ったけど、岡丸って伊織社長のこと知らなかったっけ?
>>86 岡丸は伊織社長と面識は無かったかと。魔殺商会の会長が伊織であることは知っていると思うのですが、わざわざ会いに行くほどではないかと。
岡丸からすれば魔殺商会は敵だしなぁ>社長
社長に会いに行きはしないだろうが、情報ぐらいは伝えるんじゃね?>火織の備考欄
修正部分を上げます。wiki編集者の人、色々とすいません。
【B-5/ほぼエリア中央/初日・深夜】
【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康。
[制限]:聖痕開放に強度の抵抗感(ただし無理やり解放可能。その代償は不明)
[装備]:岡丸@戦闘城塞マスラヲ
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]
基本思考:弱者の救済(しかし人殺しは不可)
1:市街地を西から東へ気配を探りながら横断しつつ、以下にある2と3を目的として行動する。
2:上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオの情報を集め合流。
3:弱者を保護する。
4:ゲームの破壊。
5:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(15巻)終了後。
2:ウィル子、川村ヒデオ、伊織貴瀬に関する情報を得ています。
【岡丸@戦闘城塞マスラヲ】
[状態]:健康。現在は七天七刀と同程度の長さ(2メートル程度)
[制限]:無し。
[思考・状況]
基本思考:正義を行う。
1:市街地を西から東へ気配を探りながら横断しつつ、以下にある2と3を目的として行動する。
2:上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオの情報を集め合流。
3:弱者を保護する。
4:ゲームの破壊。
5:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(3巻)終了後。
2:上条当麻、インデックスに関する情報を得ています。
【岡丸@戦闘城塞マスラヲ】
憑依武器という種類の、意思を持ち喋る十手。都合に合わせて、長剣の長さから通常の十手の長さまで自由に伸縮できる(長さの限界は不明)。高い技術が利用されていると思われる改造人間の剣と打ち合っても平気なので、それなりに丈夫っぽい。
また岡丸の意思で所有者に自身を(ある程度)振らせることも可能なようである(岡丸を持ったヒデオを操った、というか無理やり振り回したことがある)。
一人称は『拙者』で語尾に『ござる』を付ける。本来の持ち主である北大路美奈子を諭すこともあり、けっこう人格は成熟していると思われる。正義感が強い。
ちなみに酒を飲む(というか吸い取る)こともでき、しかも酔っ払う。
投下乙〜
あとは薫・命刻・薬屋だけか?
>>93 それから城島晶、かな?
っていうか、三人中二人が主人公で、しかも残りの一人も主人公のライバルて・・・・・・。
まぁ、あれだ
いぬかみもムシウタも把握するには結構時間かかるからだ…と、思いたい
なんというか、改めて読み返して気付いたのですが、というか今更なんですが。
『スレ違イノ生ム悲劇』で利奈が『かっこうが仲間たちを殺してきた』と言っていますが、厳密には『欠落者』にしたのであって、一人も殺してはいなかったような気が。
まあ、ある意味、半死人にしているようなものですが、微妙かな、と思ったのでとりあえず。
>>96 利奈としては殺したと同じなんでしょうね。
本編でそんなことを言っていたような気が……
CpsyCAiTrk氏とUHvDGbZ2Jk氏に。
没SS保管庫に「二刀流?」の正式版と、「救い手は迷い路を行く」を
保管させて頂きました。問題あるようでしたら削除致します。
>>書き手の方々
各行の先頭に「*」「・」と入れていると、転載時に「テキスト整形の
ルール」に引っ掛かり、表示がおかしくなってしまいますので、
その都度別の記号に置き換えさせて頂きます。ご了承下さい。
99 :
参加するカモさん:2008/02/14(木) 17:48:25 ID:mPhyCNhO
今、没SS保管庫を見てきた。GJ!
・・・あれ、いーちゃんの没SSは?
100 :
参加するカモさん:2008/02/14(木) 17:50:19 ID:mPhyCNhO
ごめん、二刀流(原案)はちゃんと入ってた。
ほんとにすんませn
一度書かれたキャラでも、まだ書かれてないキャラと一緒なら予約してもいいんだっけ?
別にいいんじゃね?
103 :
参加するカモさん:2008/02/14(木) 19:40:59 ID:mPhyCNhO
最近、仮投下スレがまったく使われない件について
…
……だれか、URLを投下してみてくれないか?
>>96 確かにorz
スイマセンが、どなたか『スレ違イノ生ム悲劇』の一部分を、殺してきた→壊してきた
に修正してもらえないでしょうか
>>98 乙です!
>>101 良いと思うよ
Cps氏乙です。二箇所の「殺してきた」→「壊してきた」に修正しておきます。
それと、「スレ違いは止まらない。」の箇所ですが、「スレ違イは止まらない。」
に変更されていました…Cps氏からは特に何も仰ってなかったと思うので、
前者の原文に戻しておきましたが、こちらは如何しましょう?
>>106 感謝です
「スレ違いは止まらない」の部分ですが、流れ的に「スレ違イは止まらない」の方が良いようなので、「スレ違イは止まらない」でお願いします
>>107 今修正しました。報告遅れて申し訳ないです。
命刻の人は破棄だっけ?
直してる途中でしたが、日曜まで時間取れないので、ほかの方が予約されるなら破棄します。
ムシウタ5巻までしか読んでないんだけど書いていいのかな?
いつ死ぬのか知らんけどプロローグ見た限りだと戌子が死んだあとから参戦してるみたいだし、
戌子との関係もよく分からんので躊躇してる
確かにそうだなぁ…
俺も、それで書くのやめたしorz
ちっとばかり質問なんだが
1、かっこうが、『死んだ筈の利奈とワンコが生き返ったのは不思議。でも今度こそ二人を守る』って考えるのは違和感ある?
2、かっこうと大喰いの関係は?
3、薫がマーダーになる可能性はあり?(原作の描写的に)
>>117 3しか答えられないけどないと思われる。
なでしこ参戦してないし。
>>117 1は、ワンコはともかくとして利奈の方はそう考えるのかも。
2……五巻辺りを参照でおkだっけ?ごめんよく覚えてねぇ。
>>117 1.ワンコは対等な立場だから守るってのは変かも。
2.何が何でも倒したい。でも、そのために犠牲が出るのは嫌がりそう。
だから原作では全てを一人で背負ってたんだろうし。
3.妹にかかった呪いを解きたいという願いはある。
ただ、優勝すれば願いが叶う、と安直に行くかどうかは不明。
なげれをぶった切ってしまって悪いが黒幕はあれで確定?
いや、過去ログを読んだところ話し合いで決まったぽいから何の問題もないと思うんだが、
後から来た人間からすると、決まったことはwikiのどっかに書いといたほうがいいかなと。
あとは勝手に主催とか黒幕とか付け足していいのかとか。
>>117 1、利菜は守りたいだろうな。ワンコは戦士だから不干渉(信頼)だと思う。特環ないし敵対はしないはず。
2、倒す。まぁ大介は3匹以外殺意なし。わざわざ分離型の皆さん守るくらい。
3、相応の理由があれば。今回はなさそうだけれども。
薫は啓太を一番信用してるからな
啓太が死んだことを知ればどうなるか分からん
>>117 1
利奈が夢を思い出した状態で復活していると思っていれば、守ろうとすると思う。
戌子なら元相棒だし、守るというか共闘って感じになるかと。
2
宿敵
職業的な因縁や大喰いの能力的な因縁は説明できても、
五年前、かっこうが虫憑きになる前後の因縁が五巻無しでは説明が難しい。
3
マーダーになる可能性としては、なでしこの所に戻るためか妹の呪いを解くためぐらいか。
性格的に可能性は高くないと思うけど、乗らないとはいえない。
同作品キャラの状況にもよるかも。
>>121 wikiに書いておいてもいいと思う。
主催とか黒幕追加するのは、
展開や追加するキャラ、その段階でのロワの状況とかによるんじゃないかな。
できればスレで相談した方がいいかと。
>>121,124
登場するまではwikiに書き込むの、待っておいた方がいいと思うんだぜ。
とはいっても、一応ネタバレ対策として文字を隠したりできるみたいだし…。
ごめんなさい日曜もつぶれました。(涙
というわけで破棄します。
三月の頭にもしかしたら、中旬には確実に暇が出来るので、その頃まだ残ってたら投下なり没ネタに投棄します。
>> ◆UHvDGbZ2Jk さん。まじでごめんなさい、筋通せませんでした。
成る程
かっこうは大体把握したー
薫は予約済みになったし、金曜が暇だからそれくらいに予約しようかな
川平薫のSSができたのでぼちぼち投下します。今回はかなり短め。これからの活躍に期待ということで。
>>126 気にすることはありません。何せ私自身が全く気にしていないから。私生活を第一に、のんびりとやりましょう。
牧場とは、牛や馬など家畜が存在してこそ成立する。だから、家畜の寝息の一つも無いそこは、牧場の形をしたただの残骸なのかもしれない。
そんな侘しい場所の横に、車道が一本通っている。
その傍らで、川平薫は立ち尽くしていた。
「何故、こんなことに・・・・・・」
彼はそう呟かずにはいられなかった。
川平啓太が『破邪顕正』を実現し、邪悪なる意思を滅ぼしたはずだった。
仲間たちが強大なる神々と対峙し、その最中に自分は帰還したはずだった。
そして、全ての決着はついたはずだった。
なのに何故、首輪を付けられ殺し合いを強制されているのか。
『ああ、どうかお前の未来にとこしえの呪いがありますように・・・・・・』
「クッ」
激しく頭を振り、その幻聴を弾き飛ばす。
「僕は、そんな呪いに負けたりはしない」
今は過去の虚像に動揺している場合ではない。
幸か不幸か、ここには川平啓太、ようこ、たゆねといった、頼もしい仲間がいる。まずは彼らと合流したい。
赤道斎は、一人でも強く生きてくれるだろう。いや、合流はしたいと思うのだが、あの名状しがたい性癖のせいで、ろくでもないことになっていそうで怖い。
「自重してくれればいいけれど・・・・・・」
そう思わずには、いられなかった。
◇
デイバッグの中を探り、支給品を調べてみた。地図や食糧など野外活動に必要なものに交じって、それと無関係な物品も出てくる。
まずは、防弾チョッキ。
ここが殺し合いの場である以上、銃器を支給された人間もいるかもしれない。その凶弾から身を護る際に有効であろう。
命を助ける装備でありながら、陰惨な事態を予感させる。薫は殺し合うつもりなどないが、主催者の言葉に従い手を血で汚す参加者がいてもおかしくはない。
次に、おりがみ。
鉱石の表面の紋様を引き歪めたような気色の悪い模様が印刷されているが、それ以外はごく普通の折紙である。
最後に、アンテナ。
TVの電波を受信するアンテナである。パラボラアンテナではなく、棒を組み合わせたような形状をしている。ただしサイズが小さい。実物の十分の一程度のサイズである。恐らくはミニチュアだろう。
左手に折紙を、右手にアンテナを持ち、暫く呆然としていたが、とりあえずそれらをデイバッグの中に戻した。もしかしたら折紙とアンテナには何らかの意味があるのかもしれない。さっぱり想像できないが。
◇
防弾チョッキを上着の下に着込むと、デイバッグを背負う。他の参加者の襲撃を警戒し懐中電灯は使用しないが、とりあえず手にしておく。見晴らしの良過ぎる路上を避け、しかし道に沿うようにして進む。
まずは多くの参加者が集まりそうな市街地に向かうことにした。
危険ではある。しかし薫は仲間との合流を優先する。現状を打開する策が全く見つからないのだ。ならば他から知恵を借りるしかない。
「必ず帰ってみせる」
そう呟き、決意を固めた。
◇
川平薫は知らない。
ほぼ同時刻、川平啓太が無残な死を遂げたことを。
そしてその死によって、ようこの心が壊れたことを。
【A−8/牧場横の道/初日・深夜】
【川平薫@いぬかみっ!】
[状態]:健康。
[制限]:不明。
[装備]:防弾チョッキ@現実、懐中電灯
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、アンテナ(ミニ)@戦闘城塞マスラヲ、折紙@現実
[思考・状況]
1:市街地へ向かう。
2:川平啓太、ようこ、たゆね、赤道斎との合流。
3:殺し合いからの脱出。
[備考]
1:参加時期は14巻(最終巻)終了後。
アンテナ(ミニ)@戦闘城塞マスラヲ
ドクターがヒデオに取り付けようとしたアンテナ。TVアンテナ(八木・宇田アンテナ)を十分の一サイズにした感じ(サイズは挿絵より判断)。単体では明らかに無意味。
折紙@現実
鉱石の表面の紋様を引き歪めたような気色の悪い模様が印刷されているが、それ以外はごく普通の折紙である。
以上です。赤道斎とは微妙にすれ違う時期での参加です。
幸せな状況からどん底に突き落とされる感じですね。
134 :
参加するカモさん:2008/02/16(土) 12:21:04 ID:WxXlkjAS
投下乙。マスラヲからの支給品多いな。
しかもアンテナw
投下乙です
乙です
薫好きだからがんばってほしいわ
啓太に続きこの子も初期に死んだたら泣く
137 :
参加するカモさん:2008/02/16(土) 20:12:44 ID:HwUXxdcB
投下乙
薫にとって啓太は憧れと信頼と友情を持つに値する。
ある意味、親戚のにいさんポジション。まあ、実際親戚だが。
マジな時の啓太、や啓太の長所、を破邪顕正の教科書にする。
ただ、不安には弱く、悪いほうへ考えて、あからさまな王手を躊躇するタイプ。
……あくまで個人的心象。
薫は小さい頃からあんな環境におかれてよくあそこまで精神がもったもんだな
左下の小島もいい具合になってきたな
拡声器の呪いはどうなるのか
殺人鬼と変態に期待
戦えそうなの今のところ薫と殊子くらいか
左上も結構ヤバイかな?
復讐竜に最強、壊れたレベル5に変態殺人鬼……
後は気絶、一般人×2?
こう聞くと、変態と殺人鬼がいっぱいいるように感じるなw
確かにww
変態:赤道斎、佐山、いーちゃん、双識、ギギナ、
殺人鬼:双識、人識、姫ちゃん、ギギナ、未亡人、一方さん、カロマイン、舞鶴蜜
…確かに、いっぱいいるな。
というか、戯言のマーダー率がやばい。
5人参加で主人公以外全員マーダーってどうよ?
変態対殺人鬼
第1ラウンド
佐山対蜜:変態の勝利
第2ラウンド
啓太対姫:殺人鬼の勝利
さて次なる第3ラウンドはどんな組み合わせになるかw
戯言カオスwwww
カオスじゃなくて
戯言のキャラは元からキチガイと殺人鬼ばっかだから
いや、普通にそれは知ってるよwwwww
そんなの関係なくカオスだぁって思っただけだ
何というか…ロワの方向が決まったかな?
主人公格、しかも熱血系キャラが死んじまったし
テイルズロワみたいな鬱系になるのかな?
あれ?
何か日本語変だ…
>>143を見るんだ
変態ロワという方向性もありじゃないか?
な、なんだとぉぉぉ!?
それは気付かなかった……
熱血亡き後、残った変態達が活躍する。
今までの、熱血や鬱系のロワとは違う新ジャンル!
変態系!!
…………orz
というか、赤道斎みたいな直接的な変態はロワには珍しいと思うw
露出狂と組んでくれるやつっているのかwwwwwwww
赤道斎は知らなかったんだが…投下されたの見たら吹いちまったww
変態と殺人鬼両方ノミネートされてんのがいるんだが・・・
っていうか、妹萌え、っていってたような
あの変態は、ねぇ?
初対面の女に「妹にならないかい?」だもんなぁ…
あの変態は、ねぇ?
初対面の女に「妹にならないかい?」だもんなぁ
あれ?
連投スマン
双識ww
変態ロワww
思わず吹いちまったじゃねーかwww
変態ロワ……
くそ!啓太(裸王)とカミジョー(衣服・下着破壊)がいれば!
もっと変態ロワが加速するのに!!
>>163 逆に考えろ
このロワで新たな変態を生み出せばいいんだ
そうだ!
裸王の座は、ようこが(ry
おまいら。ギギナも大概に変態だと思うが。
>>166 椅子に名前を付けて娘扱いして可愛がるくらい…あれ?
>>166 なんていうか、電波的な意味で変態だよな
直接的な意味での変態も多いし、楽しみだ
よく考えたら食本の遠子先輩も変人というか変態のレベルじゃないか?
どちらも変態の扱いに定評がありそうなマリアローズ・たゆね組に期待
たゆねは啓太殺られてそれどころじゃねえw
雪乃さんとか、この手の変態に免疫なさそうだから大変だw
SHIT!青ピがいれば・・・ッ!
流れブッタ切るようだが…
晶、雪乃の人はどうなったんだろうか
一応72時間たったが
予約取り消しでいいいんじゃない?
仕方ない、が
せめて連絡くらいは欲しかったな…
うあ、すいません。延長ってまだできますかね
出来るよ
今度からは、もっと早く連絡してくれるとありがたい
予約は二日間だからな
やっと参加者全員登場(予約含み)か
連投になるが…
参加人数間違ってないか?
45人しかいない気がするんだが
ああ、wikiのほうか。
確かに間違ってるな
俺も今、過去ログ確認したんだが……45人なのに「46人」って書いてやがるwww
いや、見せしめで死んだの(名前覚えてねえやw)を含めれば、46人にはなるなw
過去ログ(part1)調べてみると、決戦投票の時に誰かが「薔薇のマリア」の項を
間違えて「三人」のキャラ名記載してたのが発端ぽい。それでずるずる46人に
なってる模様。その後薔薇マリは人数を訂正され、決戦投票に入って「二人」と
なったので、今現在の「45人」で人数的には間違ってはいない。
見せしめww
つか、現行スレ+パロロワ辞典+Wiki
全部参加者直さないとだな
修正個所は、ウィキの参加者&テンプレートと死亡者の項目、
SSの【残りxx人】ってところくらいか?
パロロワ辞典は……あれもこっちで修正が必要なのか?w
それくらいだな
パロロワ辞典の方はwww
あのトリなしの既出キャラSSはいいのか?
全員でそろうまで自粛の流れじゃなかったっけ?
したらばに投下されたやつ?
薬屋大助と戸田・命刻のSSができたので、ぼちぼち投下します。
突っ込みどころがあったら指摘をしてくれるとありがたく。
ひゅう、と身を切るような風が吹きすさぶ中で、一人の少年が歩いていた。海を跨ぎ西東へと伸びる橋の上を、彼は東に向かって進んでいる。
少年の名は薬屋大助。火種一号にして、特環の中でも最強と言われる同化型虫憑き『かっこう』である。
黒いコートと黒いゴーグルを身に付けており、まるで冷酷な殺し屋のような風采である。しかしその内心は、煮えるような激情と収拾のつかない困惑で混沌としていた。
彼の姉をも巻き込んだ『大喰い』との戦いの後、彼は虫の暴走をまともに押さえ切れなくなった。さんざん無理をして戦ってきたツケを払う時が来た、とも言える。
そしてシェルターに隔離され、夢を食い尽くそうとする虫に振り回され、彼の心身は限界を迎えていた。
しかし、疲弊し朦朧とする意識から戻ってみれば、見知らぬ場所で殺し合いを命じられていた。そしてこの狂ったゲームの主催者側に『大喰い』がいた。
どうやって移送されたのか皆目見当が付かず、主催者達が何を考えて殺し合いをさせるのかも分からない。だが、これからどうするかは決まっている。
大助は、殺し合いに乗るつもりなど無い。そもそも彼は、基本的には優しい少年なのである。虫憑きとの死闘を幾度も繰り広げながらも、その手で敵を殺めたことは一度も無い。
そして、主催者たち、特に『大喰い』を打倒すると決意していた。仇敵たる『大喰い』の掌の上で踊るつもりなどさらさらなく、むしろ返り討ちにするつもりであった。
だが、どうしようもなく彼を困惑させる要素があった。それは獅子堂戌子と立花利菜が、この殺し合いに参加しているということである。
かつて肩を並べて戦った少女、獅子堂戌子。
かつて敵として相対し戦った少女、立花利菜。
二人とも、とっくに死んだはずなのだ。
死人が生き返るはずが無い。それを元に推測するならば、この殺し合いに参加している二人は偽者である、ということになる。他者の姿に偽装できる虫も存在するのだから、あながち無理な推測というわけではない。
だが、わざわざ偽者を紛れ込ませる意味は何なのか、という疑問が残る。そして、もしかしたら二人とも本物なのではないか、という思いが捨てきれない。
知らないうちに移送され、殺し合いを強制されているという突拍子も無い状況なのだ。死人が生き返るという常識外れが起こってもいいではないか、と希望的観測を抱いてしまう。
二人に出会った時、どうすればいいのか。
橋を渡り終わる頃になっても、薬屋大助は答を出せずにいた。
◇
ちなみに、もし彼が橋上を西に向かって進んでいたなら『文学少女』の空腹の訴えが聞こえたのであろう。だが現実は、それとは違う流れ辿る。
◇
戸田・命刻は女子高生である。現に彼女は今、女子学生服を着ていた。
彼女は既に滅んだ世界『Top-G』の生き残りであり、日本UCATと敵対する組織である『軍』の一員であった。が、紆余曲折の果てに今の彼女は尊秋多学院という高校に通っていた。来期には生徒会長をすることになっている。
それがいきなり殺し合いである。
今までも波乱万丈な人生を送ってきた。そして、多くのものを喪いながらもようやく落ち着いたと思いきや、この急転直下である。
「地味に生きたい・・・・・・」
そうぼやいても仕方があるまい。
彼女は殺し合いに乗るつもりは無い。しかし主催者をどうこうする前に、そもそも生き残れるのだろうかと思う。
彼女はかつて、胸元に埋め込まれた『再生と進化の賢石』によって、斬られようと潰されようと復活する不死身の存在であった。しかし現在はその賢石が砕けてしまっているため、基本的にごく普通の肉体である。
戦闘経験や戦闘技能があり、身体能力も高い。しかしそれにしても人間の範疇から逸脱するものではない。
首から下げた赤い七宝焼きのペンダントに触れる。
「弱気になっているな」
微かに笑いながら呟いた。
彼女は椅子から立ち上がる。ふと思いついたことを実行することにした。
支援
◇
橋から伸びた車道は、やがて二本に分かれる。その二つの道に挟まれるようにして、その建物は存在していた。
道の駅『裸王』
重厚な木製の看板に、堂々と二文字の漢字が刻まれている。薬屋大助がそれを見た時連想したのは童話の『裸の王様』であった。
「参加者のことを簡単に騙される馬鹿だと皮肉っているのか?」
見当外れのことを呟くが、それも仕方の無いことである。街中を裸で疾走する男の伝説など、彼は知らない。というか想像もできない。
先程、彼はこの道の駅の内部から物音を聞いた。それは陶器類が割れたような音だった。
この道の駅には誰かがいる。
彼あるいは彼女は、殺し合いに乗ったのか否か。それが分からない以上、警戒する必要がある。素通りするのも一つの手だが、今回は接触することにした。敵ならいつか対峙することに変わりはないし、味方なら今のうちに合流しても問題は無い。
短慮かもしれない、と思う。それでも会おうと思うのは、人恋しさ故なのであろうか。
大助は懐から、手に馴染んだ拳銃――デザートイーグルを取り出す。だが主催者側によってなされたのか、その弾倉と薬室から弾丸は一本残らず引き抜かれていた。
身に付けているコートとゴーグルにしても、特殊な機能も何も無い品である。もっとも、外見だけは特環のものに似ているが。支給品も確認したが、戦闘に向いているものは一つも無かった。
装備品が心許ない。しかし、それ以上に深刻な問題があった。
虫の暴走で傷ついた体はどういう意図によるものか癒されていた。むしろ快調である。だが、それだけだ。
暴走しかけている虫は、そのままであった。
虫と同化して戦おうものなら、いつ体の制御を失い敵味方の区別無く襲い掛かってもおかしくない。その果てに夢を食い尽くされ死ぬことだって十分にありうる。
余裕は、無い。
窓を覗きこみ内部の状況を確認しようとした。しかし灯りのつけていない店内より月明かりのある外のほうが明るいため窓ガラスは鏡のように外界の光景を反射するばかりで、内部の様子は伺えない。仕方ないと諦めた。
呼吸を整え程良く緊張を保ち、目蓋を閉じ眼を暗闇に慣らす。準備を終えるとゴーグルを外しながら眼を開き、開放されている入口から侵入する。
店内は微かな月光さえ遮られ、物体の輪郭すら闇に沈んでいた。しかし予め眼を慣らしておいたため、うっすらとだが内部の様子が視認できる。箱入りの饅頭や袋詰めされた煎餅など、土産物のようなものが陳列されていた。まさしく道の駅である。
足音を殺して進む。心臓の鼓動がやたら煩く感じられた。
「失礼。驚かせてしまったかな?」
天井近くに設置されている窓から差し込む月光に照らされ、女子学生服を身に付けている長い黒髪の女性が佇んでいた。
彼女は両手でトレイを持っていた。その上には、この殺し合いの場にはあまりにそぐわないものが載っている。象の形をした人形焼の入っている木の器、湯気を細く立ち上らせる急須、そして『我が呼びかけに答えよ!闇の者たちよ!』と書いてある湯呑。
その余りに不意打ちな光景に、大助は完全に毒気を抜かれた。
先程の陶器類が割れたような音は、茶の用意の途中で手を滑らせて湯呑か何かを落とし割った音だったのだろう、と思考が勝手に推測を紡ぐ。
よろよろと立ち上がると、大助はその女性と相対した。
「私の名前は戸田・命刻という。君の名前は?」
「俺の名前は薬屋大助だ。殺し合いに乗るつもりは無い」
大助は脱力したような笑みを浮かべる。彼自身は笑んだことすら気付いていなかったが、それは彼本来の性向が滲んだような、ごく柔らかい笑みだった。
それを見て、戸田・命刻も微笑を返す。
「私もこんな狂ったゲームに乗るつもりは無いよ。ところで、お茶でも飲んで一息入れないか?」
【E−8/道の駅/初日・深夜】
【薬屋大助@ムシウタ】
[状態]:健康。
[制限]:不明。
[装備]:デザートイーグル@ムシウタ(装弾数0)
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、ランダム支給品1〜3(確認済み。ただし戦闘向きではない)
[思考・状況]
1:戸田・命刻との接触。
2:死んだはずの獅子堂戌子と立花利菜に対する困惑。
3:『大喰い』を含めた主催者側の打倒。
[備考]
1:8巻開始寸前から参戦。
2:虫と同化して戦闘を行った場合、暴走する可能性があります。戦えば戦うほどこの可能性は増加します。
3:黒いコートと黒いゴーグルを身に付けていますが、何の特殊機能も無いごく普通の品です(現在はゴーグルは外して首にかけている状態)。
4:獅子堂戌子と立花利菜が本物なのか偽者なのか判断に迷っています。
【戸田・命刻@終わりのクロニクル】
[状態]:健康。
[制限]:特に無し。
[装備]:トレイ、象さんの人形焼の入った器、急須、河原崎の魂の湯呑
[荷物]:デイバッグ、支給品一式(未確認)
[思考・状況]
1:薬屋大助との接触。
2:主催者の打倒、ないしゲームからの脱出。
[備考]
1:最終巻終了後からの参戦(再生と進化の賢石は既に無い。二年ダブリで高校生)。
2:佐山・御言の存在に気付いているかどうかは不明。
デザートイーグル@ムシウタ
薬屋大助の虫は、大助の体と大型拳銃に同化する。その大型拳銃がデザートイーグルらしい(あるいはそれに似た銃か)。しかし装弾数などスペックは不詳。
以上で投下終了です。
川平啓太は死後も人々に影響を与え続ける存在だと思う。色々な方面で。
投下乙〜
投下乙です
これからの流れにもよるがよほどのことがなければ普通に対主催として手を組みそうだな、この2人
なかなか強力な組になりそう
乙。何か反主催者が久々の気分だ。
投下乙です。
仮投下スレに晶、雪乃で投下してきました。D-6について触れてみたので。
特に問題なければ、夜に本スレに投下しようと思います。
よろしくお願いします。
抜けている部分、修正する箇所があったので、wiki編集さんに、編集の際には注意していただきたく。すいません。
※
>>196と
>>198の間に抜けている箇所がありました。
「そこにいるのは誰だい?」
横手から声を掛けられた。大助は即座に陳列棚に身を隠すと、顔を上半分だけ出し声の主へと視線を向ける。
そして、呆気に取られた。
※
>>193の冒頭の文の修正。
ちなみに、もし彼が橋上を西に向かって進んでいたなら『文学少女』の空腹の訴えが聞こえたのであろう。だが現実は、それとは違う流れを辿る。
>>204>>205 投下乙です。
雪乃さんかわいいよ雪乃さん
というか、このロワって対主催者少ない?
投下乙。地味に生きたい女キタwww
かっこうは8巻または9巻終了時辺りからの参戦かと思ったが、
これはまた危険な時期から…。
>>206 暇なんで、対主催、ないしゲームからの脱出を考えている面子を
まとめてみた。合流しか考えてないキャラは省いてる。
【D-5】時槻雪乃(PKK)
【D-3】白野蒼衣
【B-1】川村ヒデオ
【F-7】マリアローズ
【F-5】佐山・御言、舞鶴蜜
【G-5南】インデックス
【G-5北】ウィル子
【E-5】ガユス
【B-2放置】アンネリーゼ
【B-2移動】一方通行(ステルスPKK)
【C-5】いーちゃん
【B-5】神裂火織
【A-8】川平薫
【E-8】薬屋大助、戸田・命刻
マーダーズ。思考内に、明確に殺意を出している者から、行動で
既に他者を傷付けている者も含む。
【H-6】闇口崩子(奉仕)
【A-2】ニドヴォルク(無差別)
【A-7】零崎人識(襲い掛かられたら殺す?)
【H-7】カロマイン=セク(無差別)
【D-1】デュアルNo.33(奉仕)
【A-4】零崎双識(特定個人:御坂美琴(名前を知らない))
【E-3】ギギナ(無特定:対強者)
【F-3】紫木一姫(無差別)
【G-7】柿原里緒(代名詞で呼ばれたら殺す!)
【B-6】立花利奈(特定個人:かっこう)
因みに仮投下スレの雪乃と晶は省いてる。
抜けがあったら暇な方、補足をw
>道の駅『裸王』
お茶吹いたw
>街中を裸で疾走する男の伝説など、彼は知らない。というか想像もできない。
赤道斎なら「なるほど、ここは裸で歩いて良いのか」とか言いそうだから困るw
たゆねとマリアローズの人はどうすんだろ
此方に投下しないのかな?
トリップ付けずに書いている人がいるけど、付け方が分からないのですかね?(◆が◇になってるし)
#の後に適当な文字列を入れるだけなのですが。
詳しいことはwikipediaにものってるし。
2回目の予約っていつからしていいの?
いつから、何て決まりあったか?
全員登場するまでは自重しよう、みたいな空気はあったような。
もうたゆねとマリアローズしたらばに投下されてるし解禁でおkじゃね?
なるほど
それなら、一応全員登場(したらば投下の晶含む)したしもう良いんじゃないかな
マリアとたゆねは「真っ暗闇の森の中」が初登場。
全員の顔見世を無事終えたし、もう二回目の予約もOKでしょう。
なんか大丈夫そうなのでこれから投下しようかと思います
220 :
日常の在処 ◆0HnBNfcUvc :2008/02/21(木) 22:09:17 ID:iR8y+km4
日常など、すでに失われたものだった。それは分かっていたことだ。
どんなに否定しても、自分は欠けてしまっていた。でも、それは認めるわけにはいかないことだった。
だから、何度も否定し。何度でもごまかし。なんとか表面だけでも保とうとしていたのに。例えそれが欺瞞に満ちたものであろうとも。
そのために戦って、傷ついて、傷つけて、いくつもの物を失っているというのに。
これからも戦って、傷つけて、傷ついて、大切なものを失っていく覚悟をしたというのに。
その矢先に――。
「まさか、全部持っていかれるとは」
少年は苦笑した。いや、苦笑するしかなかった。
日常が根こそぎ奪われた。それも唐突に、完膚なきまでに。全く予想し得ない形で。
いつ砕け散るとも分からない脆弱なものだったとしても、いや、だからこそ必死になって、守っていたというのに。
こうも呆気ないとは。ここまで無力とは。
ここまでくるといっそ清々しい、などとは微塵も思わないが。ここまでどうしようもない事態となるとむしろ冷静になれるものだった。
――さて、どうしたものか。
少年は薄闇の中であたりを見回した。
立っているのは、なんということはない路地の一角。ぼんやりと浮かび上がるのは、どこにでもありそうな、ありふれた町並み。
ひとつとして同じ町並みなどないだろうに、それでも『ありふれた』とくくられてしまうような、そんな町並み。郊外なのか、一戸建ての住宅ばかりが並んでいる。
しかし、そんなありふれた光景も、闇によって個性を剥ぎ取られ、皆が同じ貌で並んでいると、わずかにだが不気味に見えてくる。
どの家屋も明かりが落ち、人の気配が全くない。これだけ民家があるにもかかわらず全く人の気配がしないというのもおかしなことだ。
少年は少し深めに呼吸すると、手近な家屋に目星をつけ、呼気とともに跳躍した。
「――!」
何とか塀の上に手をつき、懸垂の要領で、跳躍の勢いを殺すことなく乗り越える。
無事に塀を乗り越え、庭に降り立った。
何の問題もない、むしろ運動神経に優れているかのような動きをしたにもかかわらず、少年は目を見開いて、己の掌を見つめた。
――身体が重い。身体能力が落ちている?
あの程度の高さなら、簡単に飛び越えられたはずだった。
常人を遥かに上回る身体能力を手に入れた、虚軸〈キャスト〉の固定剤〈リターダ〉になったあの日から。
――これが狐面の言っていた「制限」……か。
支援
小さく舌打ちをする。やっかいだが仕方がない。
気を取り直し、家の中を見る。
窓にはカーテンも引かれておらず、星明りの差し込むリビングを覗き込むとテーブルやテレビなど、基本的な家具が置かれていた。
しかし、違和感を覚える。
真夜中だというのにカーテンは引かれていない。テーブルの上には何も載っていない。テレビに接続されたビデオデッキには、何も表示されていない。
生活感がまるで感じられず、ただただ無機質な闇が凝っているばかりだ。
――なんだこの嘘くささは。わざわざ民家を偽装しているような、いや……。
――そもそもこの島自体が、うそものなのか?
虚軸のように――。
少年は、ひとつ息を吐いた。
窓ガラスを背にして座り込む。
考えても仕様がない。人目のつかないところに入り込んだもうひとつの用件を済まさなければ。
デイバックを開き、手探りで中をあさる。
程なくして、懐中電灯を見つけた。中を照らしつつデイバックを確かめる。
入っていたものは、地図、コンパス、時計、鉛筆に紙、水とパン、そして名簿。
あとは、小瓶が二つ。どちらも不透明で、ラベルが貼られている。
一つ目は『睡眠薬』
二つ目は『鍵』
「睡眠薬……ね」
少年は再び苦笑した。
瓶を開けてみると白い粉末が入っている。
見知らぬ人間たちとの殺し合いで毒を盛る機会など滅多にないだろう。
あるとすれば――。
「……裏切りか」
この状況下で徒党を組むものが出ることは容易に想像できる。
長く生き残ろうと思うなら、最後の数人になるまでは休戦し、多人数で一人を殺すほうが確実だ。
殺し合いに乗らないならば、仲間を増やし、組織を作るだろう。身を守るのにも、反抗するにも個人はあまりにも無力だ。
そしてそんなことは、ゲームマスターとやらも、百も承知ということだろう。
仲間を出し抜くためか、それとも裏切り者を粛清するためか。
どちらにしろ、ろくな状況ではない。
使わなくて済むことを祈りつつ『睡眠薬』をデイバックに戻した。
二つ目の小瓶を手に取る。
『鍵』と記された小瓶。振るとカラカラと軽い音がする。
蓋を開けてみれば、ラベルの通りの棒状をした鍵のようなもの、それと一枚の紙切れ。
鍵は真鍮製で、ずいぶんと古風な装いだ。そしてどんな鍵穴に差し込むのか想像がつかないほど複雑なつくりをしている。
一緒に入っていた紙切れを取り出す。片面は白紙。何気なく裏返すとそこには文字が書いてあった。
D−6とだけ。
もしやと思い、地図を確認すると、確かにD−6という座標があった。
海しかない座標が。
海中に何かあるのか、もしくは地図上には記されてないだけで、海上に何かがあるのか、それとも本当に何もないのか。
嘆息して、元通り小瓶に詰めなおし、デイバックに放り込む。どちらにしろ、今すぐにどうこうできるものではない。
中身を確かめ終わり、名簿に手を伸ばす。
とそのとき、小瓶がもう一本入っていることに気付いた。
これまでの二本と同じように、不透明で、ラベルが貼ってある。そしてラベルには。
「繭……?」
そのほかには何も書かれていない。試しに振ってみるが、何かが揺れる気配もない。中身を確認しようと、蓋を開けようともしたが、癒着しているかのように全く動かなかった。
しばらく弄り、そして再び嘆息して、デイバックに戻す。
分からないことを無視することに慣れ始めた。いい傾向ではないが、いまだけは仕方がない。与えられている情報が少なすぎる。本当に無意味なら支給などしないだろう。よほど相手が酔狂なやつらでない限りは。
思考を切り替える。まだやらなければいけないことはある。
再び参加者名簿に手を伸ばし、そこに記された名前を確認する。
柿原里緒、速見殊子、舞鶴蜜、そして――城島硝子。
鼓動が早くなるのをを自覚する。
分かっていたことにもかかわらず。
既に何度もダイレクトリンクを使っての接触を試みている。しかし、硝子が存在しているという情報のほかに得られるものはない。
むしろ、硝子がこの島に来てしまっているということしか分からないのが、不安を助長した。
意志の力で、心拍数と発汗の増加を抑え込み、行動を開始する。
これ以上、ここに留まっている理由はない。
一刻も早く硝子と合流しなければならない。
硝子は虚軸とはいっても、体は普通の少女と変わらない。傷つけられれば、たやすく壊れてしまうほどに脆く、儚い。
護ってやらなければ。傍にいてやらなければ。
もう、傷つけさせない。哀しませない。泣かせなどしない。
何を敵に回そうとも。
少年は立ち上がる。
殺し合いに乗るつもりはなかった。
そもそも、硝子が自分を殺すなんて事はありえない。そんなこと起こりえないことだ。
そしてそれ以上に、硝子を殺すことは絶対にない。そう、絶対に。
こんなゲームに乗るなんて事は、前提からしてできないことだ。
しかし、なぜ、こんな事態に巻き込まれたのであろうか。
思い当たる節は多くない。
首の爆弾に触れる。
あいつなら、無限回廊なら好みそうな趣向だとも考えはしたが、すぐにその考えは否定した。
ここまでのことができるなら、津久見奏など最初から必要なかっただろう。
新しい虚軸が生まれたという可能性もあるが、強大な虚軸はそう簡単に用意できるものではない。
あとは、実軸〈ランナ〉に帰還したらしい父――城島樹か。
あの人の考えることが分かったためしなどない。だが、ほんの少しでも無駄のあることをするような人間ではなかったはずだ。
それは裏を返せば、これが最善の手段だとしたら、何であろうと実行するということだが。
やはり、目的が見えない。この殺し合いを仕掛けた者たち――己のことをゲームマスターと呼んだものたちは何を狙っているのだろうか。
ゲーム、この殺し合いをやつらはそう呼んだ。プレイヤーは僕たち。ゲームの賞品は元の世界に変えること、そして願いがひとつ叶うこと。
元の世界? ならばここはどこだ? 虚軸か? 実軸にある存在を虚軸へと召喚するほどの?
願いが叶う? どんなものでも? そんなこと可能なのか?
殺し合いをさせることになんの意味があるんだ? これだけの手間をかけて、それでも利益の出ることなんてあるのか?
疑問は幾らでも浮かんでくるが、何一つとして回答までたどり着かない。
先ほどから分からないことが多すぎる気がする。それともいままでも分かっていたつもりになっていただけで、何一つとしてわかっていなかったのだろうか。
決別した友人と、別れを告げた幼馴染の顔がよぎる。本当にこの結末しかなかったのだろうか。何かできることはあったのだろうか。何か気付くべきことがあったのだろうか。
かぶりを振って思考を止める。柄にもないことを考えてしまった。
気を取り直し、先ほど飛び越えた塀を見つめる。
――体の確認ついでに、もう一度、跳んでみるか。
軽く息を吸い、呼吸を整える。
今度は全身のバネを使い、全力で跳んだ。
なんとか、この程度の高さなら跳び越えられそうだ。
上昇が終わり、身体が重力に惹かれ落下を始まる。
自然と着地先の地面を見やる。
「あ――」
「……え?」
自分でも気がつかないうちに、ずいぶんと混乱していたのかもしれない。
冷静になっているつもりで、焦りを抑えきれていなかったのかもしれない。
まさか気がつかないとは。
壁一枚隔てたところに人がいることに。
だが気が付いてからでは、何もかもが遅い。
頭の上に、人が降ってきた。それも民家の塀を跳び越えて。
一瞬思考が停止する。
そして、それ以上は許されない。踏み出していた片足から即座に体重を引き戻し、後方へと跳ねる。
纏った漆黒の衣装が風をはらみ、レースを幾重にも縫いこんだスカートが大きく膨れ上がった。
着慣れたはずの戦闘服が、こんなときには煩わしい。
ブーツの踵をアスファルトで削りつつ、何とか距離をとって身構える。
自然と右手のナイフに意識が集中する。
<雪の女王>は気軽に使えない。だが、自分は断章を抱えていることを除けば、普通の少女と変わりはしない。体力で劣る相手に正面から切りかかるのは無茶すぎる。
使うならば、一撃で確実にしとめなければならない。
<雪の女王>は距離を無視して対象を焼く。先手をとればまず負けない。
発動すればいかなる相手であろうと蹂躙し、消し炭になるまで焼き尽くす。
ナイフを握る右手に力がこもる。
包帯に包まれた左腕を意識する。
今、着地を終えた敵を見据える。
躊躇すれば殺される。
それは相手が<泡禍>であれ、人間であれ同じこと。
必死に言い聞かせる。
震える体を叱咤する。
もう何人も、<泡禍>に侵された人間を焼いてきた。
何も変わりはしない。
だからできる。
――本当、に?
支援
sien
決意に奔ったほんの小さな亀裂。
その亀裂が生んだ、わずかな隙。
そのわずかな隙がもたらした、一瞬の時。
その一瞬のときに、敵は口を開いた。
「あ、いや、すまない。怪我はないか?」
思いがけない問いに、肩の力が抜ける。
この男は、この状況下で何を言っているのだろうか。
よく見れば、男というよりは少年といったほうが正しそうだ。
黒を基調としたブレザーの制服を着込み、支給品の入ったデイバックを背負っている。
黒髪、黒瞳に中肉中背。特徴がない、というよりも特徴を排除しているかように表現しがたい容姿をしている。
だからといって何かおかしいわけではない。どこにでもいる、ごく普通の学生だ。塀の上から現れなければ、の話だが。
あまりにそぐわない言葉のせいか、わずかに緊張が解けている。
そして気付いた。
殺すことを恐れるがゆえに、殺すことばかり考えていたことに。
別になにか状況が変わったわけではないが、ほんの少しだけ冷静さを取り戻す。
いつも通り動くだけだ。悪意に満ちた日常に身を浸していることになんら変わりはない。
敵であれば殺す。それだけだ。感情を無くすことはできないが、噛み殺すくらいはできる。
警戒を解かないまま、目の前の相手を見据え、右手のナイフを構えなおす。
すると少年も表情を変え、身構える。そして再び問いかけてきた。
「あんたはこのゲームとやらに乗っているのか?」
あまりにも素直な問い。
反射的に答えを返そうとして、踏みとどまった。
「あなたはそれを聞いてどうするの?」
問いに対して問いで返す。
返された、少年はこともなげに答えた。
「乗っていないなら手を組みたい。乗っているならこの場で潰させてもらう」
ならば答えは決まっている。
「乗っていないわ」
少年は答えを問いに変え、再び言った。
「なら、手を組まないか?」
交渉事は得意ではない。
せいぜい虚勢を張ってやることにする。
「いいわ」
笑みを浮かべて言い放った。
『ずいぶんと無用心ね? 雪乃』
声とともに、夜気を凍らす冷たい空気が溢れだし、周囲の闇が濃度を増した。
『そんなに簡単に信じてしまっていいのかしら? 嘘つきな狼かもしれないのに』
どこまでも透明な、どこまでも純粋な声。
混じりけのない、死にいたる毒。
その声が純真な少女のようにクスクスと嗤う。
『近づいたら食べられてしまうかもしれないわ。その前に殺してしまいましょう?』
己と同じ顔が肩の上からこちらを覗き込んでくる。自分がけしてすることのない柔和な微笑を浮かべて。狂った笑みを浮かべて。
「うるさい」
不安とともに、言葉を噛み殺した。
<雪の女王>が乱発できない以上、生き残るためにも、一人でも多くの殺人者を焼くためにも協力者が必要だ。
そういえば最近の"狩り"の時には、必ず隣に蒼衣がいた。
――何を考えているの?
思考に違和感を感じる。
今まで、ずっと一人で戦ってきた。
一人で<泡禍>を焼き払ってきた。
他人など必要ない。
今までも、これからも独りで戦い続ける。
独りで敵を焼き払い続ける。
どこであろうとも、それが日常だ。
表情には出さず、心の中で安堵の息を吐く。
――どうやら"あたり"のようだな。
出会いがしらの手の震えを見て、危険な相手ではないだろうと踏んだが、賭けには変わりなかった。
ただの少女だと思い、友好的に近づこうとした瞬間に目つきが変わったのにはさすがに肝が冷えた。
おそらくそれなりに場慣れしているのであろう。まるで獲物を狙う狩人のような目だった。
しかし、いきなり襲い掛かってくるような相手でなければ、それはそれで好都合だ。交渉の余地がある。
あの問いならば、ゲームに乗っていようが乗っていまいが手を組むことを選ぶだろう。
相手が何を持っているか分からない状態で戦うのはあまりにも無謀だ。それならば一時的にしろ手を組み、お互いに探りあいをするほうが上策だ。
あとは化かし合い。そしてそれはこちらの望むところだ。
だがそれも今回に限ってはないだろう。
最後に浮かべたあの笑み。
恐らくあれは「そんなことは分かっている」という意思表示だ。
――相当な負けず嫌いだな。
しかし、格好といい性格といい、どっかの誰かを髣髴とさせる。
――まぁ、いきなり「うるさい、殺す」とかいって襲ってきたりはしないだろう。さすがに。
沸いた不安を打ち消し、先のことを考える。
この調子で協力者を増やす。可能な限り早く硝子を探し出す。
そしてこのゲームを破壊する。
必ず取り戻す。あの欺瞞に満ちた日常を。
「城島晶だ」
「時槻雪乃」
握手はしなかった。
【D-5/西部/初日・深夜】
【時槻雪乃@断章のグリム】
[状態]:無傷・健康。他者を殺すことへの恐怖。
[制限]:風乃は彼女自身の意志で顕現可能。その他の制限は未使用のため不明。
[装備]:錬のサバイバルナイフ@ウィザーズ・ブレイン
[道具]:デイパック、支給品一式(ランダム支給品がまだ残っている可能性あり)
[思考・状況]
1:情報交換。
2:西のホテルへ向かう。
3:ゲームを終わらせるため、殺人者を殺害する。(極力<雪の女王>は使わない)。
4:白野蒼衣には会いたくない。
5:主催者を殺す。
【D-5/西部/初日・深夜】
【城島晶@レジンキャストミルク】
[状態]:無傷・健康。
[制限]:若干の身体能力制限。その他不明。
[装備]:特になし
[道具]:デイパック、支給品一式。睡眠薬(液体)。D-6の鍵(用途不明)。繭@ルナティック・ムーン。
[思考・状況]
1:情報交換。
2:硝子と合流する。
3:柿原里緒、速見殊子、舞鶴蜜と合流する。
4:ゲームを破壊する。
[備考]:参戦時期は5巻終了後。
鍵については後の書き手さんに任せます。
代理投下完了しました。
雪乃さんと晶の同位置だから、二つ書かなくてもよかったのでは?
ともあれ、雪乃さんが問答無用に襲い掛からなくてほんっとによかったwww
感想追記。
> ――まぁ、いきなり「うるさい、殺す」とかいって襲ってきたりはしないだろう。さすがに。
逃げてー。晶逃げてーーーwwwwww
改めて乙
解除された、かな?
>>237 ありがとうございました。助かりました。
>同位置
コピペして消し忘れてましたorz
他にもなんかありましたら指摘をお願いします。
乙〜!!
乙&美琴期待
つーか、『繭』なんていう恐っそろしいものをさらっと出してしまっていたり。
ルナティックムーンは未読なんだが、繭ってそんなにヤバイのか?
>>245 有機物無機物を問わずに体組織を融合、神経系を融合させ自己と同化し取り込むモノ・・・・・・だったはず。
取り込まれた人間とかはことごとく正気を失い、周囲の生命体の殺害と融合を繰り返していた、と思う。
ルナティック・ムーンにおけるグロさの極致のようなもの。
繭に関しては、大きさか強さのどちらかに制限がいるような・・・
なんかヤバ気な支給品だな
制限に関しては書き手さん任せで良くないか?
んで、問題があったら議論するって事で
通りすがりのもんだが気になったんで一言。
ぶっちゃけ繭は危なすぎるから制限or禁止にしといたほうがいいよ。
下手すりゃ他のロワで云うDG細胞だの闇の書だのと同じくらいでバランス崩すんじゃないかな。
このロワで、主催者が参加者に制限をかける方法を色々妄想していたんだが、どんな方法が思いつく?
参戦作品の読了数が少ない俺は、概念か操想術くらいしか出てこないんだが。
繭について
基本的に
>>248の方針でいいと私は思います。
ただ
>>249の意見ももっともなので、暫定的には制限の方向で。
以下、蛇足。
制限なしの状況でさまざまな存在を取り込んだ繭への対処は、現状の参加者たちでは困難だと思われます。
ただ、十分な余力と、的確な戦術があれば、対処はできなくはないかと。
調整が困難ですが、上手く行けば繭はビッグイベントの布石となりうるのではないか、と思ったり。
繭の化物VS参加者大集団みたいな構図はなかなか面白いような気が。
だから『暫定的には』制限の方向でなどと言っているのですが。
>>250 大殺界の技術の一部を流用したとか。ちなみに大殺界は何でも願いを叶える装置みたいなもんです。便利ですね、何でもありって。
大殺界使えば蘇生でも何でもできるからなあ
もしもBOX並みにチートw
繭については、某ロワの旦那みたく中ボスっぽい大暴れを期待。
>>251-252 大殺界チートすぐるwww
>>250 虚軸はどうだろ。ハラハラ時計みたいなので強制催眠をかけられ、全力を出せないようにされてる、とか。
>>251 蛇足と言われてるのにレスするのもどうかと思うが、ちょいと気になったので。
ルナムン未読なので分からないのだが、繭の化物ってのは参加者を取り込んで、参加者とは別の化物になるってこと?
だとすると、暫定的にではなく正式に制限なり禁止の方がいい気がするなぁ。
前のダンジョン論議でも思ったことだけど、参加者以外の存在による戦闘や殺害ってのは極力なくした方がいいと思うんだが、どうかな。
あ、主催陣との戦闘は別ね。
まぁ、問題ありそうなときに議論すればよいのは確かだけれど。
繭か………とりあえずルナティックムーン読んでみるかな
+
ちと聞きたいことが
ギギナ、ガユスは魔仗剣?なしで咒式使える?
魔杖剣だったorz
暇なんでダンジョンについて。
以前、何度も駄目出ししてしまったので、自分の案も出してみる。
・B-7、E-2、G-6がダンジョン入口である。
・入口の「ゲート」を潜り抜けると下記「概念条文」が響く。
『言葉は望む地への導きとなる』
・座標またはランドマークを口にすると、それが管理者への障害と
ならなければ、また、数時間後に禁止エリア化しなければ、その
場所へと至る道が「概念空間」で開かれる。
・概念空間へ足を踏み入れると、下記概念条文が発生。
『代償は一刻(二時間)である』『前に進むしかない』
・上記概念条文できっかり二時間進まされた先に、「出口」が発生。
・鍵(+α)を持った状態でゲートを通過すると、何かが起こる。
別にワープポイントでもいいんじゃないかと書きながら思った_no
以下、解説。
>・座標またはランドマークを口にすると〜〜
人名等の曖昧なものでもゲートが反応するかどうかは書き手の判断で。
某ロワでも似たようなのがあったのを思い出した。トロッコだったか?
>『代償は一刻(二時間)である』
移動時の時間消費方法について頭を悩ませたが、キャラ別の移動速度と
時間を考えた場合、概念で強制的に二時間奪うしか思いつきませんでした。
常人以上と常人以下が多過ぎるw
>『前に進むしかない』
ダンジョンを休憩所化しようと思いつく参加者がいた場合に対しての措置。
>・上記概念条文できっかり二時間進まされた先に、「出口」が発生。
一本道にするよりかは、迷宮状態にしたいのが発案者の方の意見ですよね
……強制的な一本道しか考えられなくてすみません。
>・鍵(+α)を持った状態でゲートを通過すると、何かが起こる。
鍵(日常の在処で登場)だけではと思い、+αを付け加えてみた。
うお、繭が議論になってる。
仮投下でノーコメントだったから安心してしまってたw
規模については書き手の裁量でなんとでもなるから大丈夫かなぁと思ってましたが、
確かに参加者以外の存在による戦闘や殺害ってのはあんまりないほうがいいかもしれませんね。
盛り上がり期待してる方もいらっしゃるみたいなので、とりあえず議論の流れに任せます。
あと、打撃は効きにくいけど火とか電撃とかは普通に効いたはず……。
本当は死後の能力議論を見て死体を動かしt(ry
>>250 そのまんま「力は制限される」という概念でいいんじゃない?
>>255 魔杖剣等に埋め込まれている演算装置の補助がないと無理なはず。
魔杖剣と、使いたい咒式に合った種類の咒弾が揃わない限り、咒式は使えない。
他人の魔杖剣を使わせたいなら、個人識別機能が無効化されている描写は必須。
成る程…魔杖剣無しじゃ無理か…
どうもありがとです
それで、携帯でしたらばに予約出来ないので此方に
ようこ、一姫、ギギナ、蒼衣予約します
>>262 とりあえずトリップ付けてレスしたほうがいいかと。
>>263 うぉ
気付いてなかった…orz
改めて予約させてもらいます
参加者、主催者の個人ページを作成しました。
本編での動向も含め、埋まっていない個所が多々ありますので、
支給品の情報も併せて、編集を手伝って頂けると幸いです。
一通り、キャラが出そろったようなので
仮投下スレの『白い夢の中』を投下しようかと考えています。
もし、投下する前に直したほうがよい箇所があったら書き込んでください。
明日のお昼ごろ、投下する予定です。
>>266 とりあえず名前欄のそれはトリップではないぞ。間違ってる。
>>266 >>213とかでも突っ込んでるし、予約スレでも指摘しています。
トリップを付けないと色々と不都合があるので、ちゃんと付けて下され。
周囲も良く思わないし、最悪、破棄される可能性もあります。というか、基本的にトリップ無しの予約は受け付けていません。予約スレの最初のレスにも書いてあります。
せっかく書いた話がもったいないことにならないように、トリップを付けてください。
確かに
まぁ俺が言えることじゃないので、自重しておくが…
トリップはちゃんと付けような
>>266 トリップは名前欄に「#○○○」と書き込む。(○の中身によってトリップが変化する)
ちなみに、このレスのトリップは「#2ちゃんねる」です。
◇AmeDAma019です、トリップについての指摘ありがとうございました。
このまま明日の昼前(11;00ごろ)にもう一度ようすを見てから投下します。
白い夢の中で、読んできました。
ロワの本筋とは無関係ですが、たゆねの本ロワでの性質が定義されたってところでしょうか?
こういう種類の話があるのもまたいいかと。
そろそろ投下かな?
では投下します。
このSSはあくまでたゆねの夢であり
現実逃避と彼女の負けん気の強さが混ざったものと考えてください
「…あれ?」
たゆねは薄く、おぼろげな意識を手にし、上半身を起こした。
「あれ?あれ??」
そして、ぼー、としながら首と上半身だけを動かして周りの景色を見た。
「…しろい」
彼女の周りはただ、ひたすらに白く、何もなかった。
しばらく、ぼーっとしていたたゆねはやがて思いついた。
たゆねの知る限りでこの白に一番近い白は。
「あれだ、ぎゅーにゅーの色だ」
「そこは、せめてミルクと言いなさい、たゆね」
別にどっちでも良い、あまり重要でなくむしろ、くだらないツッコミだった。
いや、そんなことよりも背後に誰かいた。
「ひっ」
心臓が氷の術で止められてしまったかのような錯覚、そしてその冷気が背筋を駆け上がった。
「お、おばけぇえええええ!」
どことなく、ダルさのあった下半身を一瞬で動かし背後の声の主から距離をとる。
その様は、まさに脱兎の如く。
いぬかみなのにウサギとはこれいかに。
もっとも、本人にはそんなことはどうでもよく、距離をとることで必死だった。
その動揺はまるで溺れた河童。
「こ、怖くなんかないぞぉおお!!」
十分な距離をとったたゆねは叫び、自分に叱咤激励を浴びせて徐々に足を止めていった。
「そ、そうさ、お化けがなんだ!戦うつもりならぎったんぎったんにしてやるぞ!!」
そんな強がりを言いながら、ばっ、と振り向いた。
体が小刻みに震えていることや振り向いてから目を開けるまでに少し時間がかかったのはご愛嬌だ。
「あ、あれ」
しかし、たゆねは声の主に見覚えがあった。
いや、見覚えどころではなかった。
「……私がおばけ、ねぇ」
「あ」
せんだん、だった。
たゆねと同じく薫を主とし、薫のいぬかみたちのリーダー格。
その顔は微妙に怒りの形相に変貌しつつあった。
「え、えっと」
そして、たゆねは一歩後ずさる。さっきの逃亡時とは別の恐怖を感じて。
「なにか、言うことは?」
「…ゆるして、くんないかな?」
出来る限り明るく尋ねてみたが結果は予想通りの一言。
「却下」
ぱちん
せんだんが扇子を閉じるとその音と共に二匹のいぬかみが現れた。
「もってきたよー」
鏡に映したように、そっくりな容姿と左右対称の髪型をしたその二匹。
いまり、さよか、である。
「いやー、重かったね」
「そうだね、二十漬物石くらいはあったね」
二匹が運んだ感想で盛り上がる中、たゆねはその運ばれてきた物を見た。
西洋風、色はベージュ、せんだんの私物、の箪笥。
「あ、あのー」
いやな予感がする、果てしなく、どこまでも。
双子はたゆねの言葉を無視しながらおしゃべりを続けた。
「実はあたし、カメラも持ってきましたー」
「あ、なんだ、そっちも?実はあたしもデジカメをね」
双子の会話に加え、にやり、うっしっしし、というべき表情。
それにより、たゆねのいやな予感が倍に膨れ上がった。
「ま、まさか」
恐怖のあまり、尻尾がぷるぷると震えるのがわかる。
そして
「さあ、お仕置きです」
「「おしおきだー」」
ばん、と勢いよく箪笥の扉が開く。
その中にあるのは、服 服 服 服 服 服 服 服 服 服 服 服 服 服 服 服 服 服。
ただの服ではなく、ドレスに近いそれらはせんだんが着るならば、問題ない。
しかし、お仕置きとして着替えるのは たゆね 。
「い、いやだだだっだあだだだあっだだーーーー」
かつて、せんだんによってたゆねが抱えた服(ドレス)とカメラに対するトラウマ
それを利用したお仕置きが始まった。
ぴんぽんぱんぽーん
さて、たゆねのお仕置きの間、あたしのお話だよ。
えーと、あたし、ともはねといいます。
まだ子供……ってなんですか、このメモ!あたしは子供なんかじゃありません!!
だって、この前、啓太様とデートしたんですよ!
たぬきさんもつれて映画館に行きました!
その後、はんばーがーを食べて、おもちゃ屋さんを見て回って、
いったん啓太様のおうちに戻って、よーことテレビ見て、
四人でお布団に入りました。
……そ、それだけじゃないです。
この前、啓太様と銭湯に行って別々に入りました!(よーこが一緒だったけど……)
だから、あたしはもう、大人です!!!
って、あれ?そうこうしてるうちにお仕置きが終りそうに……だ、だめぇ!
まだ何もしてないのぉー。
あ、お仕置きが続行されました。
やった!まだ時間が……ない!?
次の人に交代!?そんなー!
おかしいです、時間少なすぎです。
ぴんぽんぱんぽーん
…え?つぐは、わふぉしの、ばふでふか?
ごっくん、ずずずずっ
はい、テレビの前の皆さん……じゃないや、本の前の皆さん、でもなくて、画面の前の皆さん!!
18禁キャラのフラノです。うふふう、ともはねとは違うこの大人の魅力を見せちゃいますよ!!
では初めにヌードか……
ごちん!ぐふう!どさ!
何をする気だ、お前はあああああ!!まったく気が抜けん。
仕方ない、ここはこの、ごきょうやの本当は怖いいぬかみの医学を……
む、なんだ、お仕置きが終った?ウソをつくな、なでしこ、まだ続いて……
ちゅどーん、ぴんぽんぱんぽーん
はい!みなさん、申し訳ありません。見苦しいところをお見せしました。
では、ここからわたしの『おいしい料理の作り方』を……はっ!?
ちゅどーん、ちゅどーん、ぴんぽんぱんぽーん
さあ、出番です!!ほら、声を出してください、てんそう!
そうでないと、いないもの扱いです!!
…………ぁ
ほ、ほら、がんばってください。
…………その
あ、じ、時間が!!みなさん、わたしはいぐさですー!
こっちはてんそうですよー!
ぴんぽんぱんぽーん
たゆねはもう、限界だった。体は痙攣し、視界がぐるぐると回っているかのように感じる。
「いやー、なんていうか」
「やりすぎたかなぁ?みんなの出番を稼ぎたかっただけなんだけど」
双子はカメラをしまいながら、服を元に戻していく。
「うう、なんでだよぉ、お化けと間違えただけなのに」
たゆねは弱弱しく抗議の声を発した。
それに対し、せんだんは。
「そっちじゃありません!!」
一喝した。
「へ?」
予想外の返事に、たゆねは間の抜けた声を出して反応した。
「まったく、あなたは」
呆れたと言わんばかりに両目を閉じて、自分のおでこに扇子の先端を当てるせんだん。
「じ、じゃあ、何でこんなことを?」
他に怒られる心当たりはない、ではなんのためにこんな目にあっているのか。
「ちゃんと話を聞いてください、たゆね」
答えたのは、なでしこ。
「な、なにさ、何が言いたいのさ」
慌ててなでしこを問い詰めようとするたゆね。
すると、背後からも声。
「あわてちゃだめー、たゆねっていつも動揺して暴走するんだから」
「そうですよ、まあ、お茶でも一杯、どうです?」
見かけ、実年齢、ともにお子様サイズのいぬかみ、ともはね。
黄色の髪に星型の髪留め、改造の施された巫女服のいぬかみ、フラノ。
「ともはね、フラノ、それにみんな」
いつの間にか、たゆねの周りには九匹の仲間が輪になって立っていた。
たゆねは場の空気と言うものを感じ取った。
ほんの少し、まじめな空気。
「たゆね」せんだんが真面目に
「あなたは誰よりも感情的で」なでしこが母のように
「たぶん、多分だよ?すぐ追いつくからね!」ともはねが子供らしく
「私の知る限り」非力ないぐさが本を抱えて
「まあ、二番目ですけど」能天気なフラノが笑いながら
「ほぼ間違いなく」ごきょうやが自信溢れる眼で
「……」てんそうは何も言わないのになぜか、わかる
「とっても」「すーごく」息の合った双子がうまく繋げて
「「「「「「「「「才能がある」」」」」」」」」
全員が断言した。
十人十色、その個性の中でたゆねは感情に揺れる才能、という色を持つ。
その事実を伝えるために。
「「「「「「「「「だから、立ち止まるな!」」」」」」」」」
その言葉がたゆねの心の揺れを押さえ、固定し、ゆるぎないものへと変えていく。
だがそれにともなって、高速での移動中に急停止したときのように意識が薄くなっていく。
「あ、れ」
そしてたゆねの意識は再び手放された。
「う、うー、うん」
「なんで、この娘はこんなに安心した寝顔をするんでしょう?」
まだ、夜は明けない。眠りも覚めない。
ただ、一つだけ、いえることは。
今のたゆねは強い。
【F‐7/森/一日目・深夜】
【たゆね@いぬかみっ!】
[状態]:気絶中。頭に大きなこぶ。
[制限]:飛行能力を大幅制限。破邪走光などの戦闘力については不明。
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式。未確認ランダム支給品1〜3個
[思考・状況]:
1:…………負けるもんか。
2:啓太様と合流したい。
3:薫様やようこと合流。
4:赤道斎にはできれば会いたくない。
[備考]
1:参戦時期は本編完結後。
2:何もしなければ、少なくとも1時間は眠り続けるでしょう。
【マリアローズ@薔薇のマリア】
[状態]:健康
[制限]:不明
[装備]:錠開け専用鉄具@戯言シリーズ
[道具]:デイパック、支給品一式。確認済みランダム支給品0〜2個
[思考・状況]:首輪を解除し、サフィニアとともに脱出。
1:目の前の少女に話を聞く。
2:サフィニアと合流。
3:力があり、信頼できる仲間を探す。
[備考]
1:参戦時期は7巻終了後。
2:あくまで脱出が目的で主催者を倒すつもりは今のところない。
*ちなみに薫のいぬかみで1番若いともはねの実年齢は11歳、2番目のたゆねは17歳、
乙!
投下乙。たゆね、起きないな……w
これで深夜枠は終了という認識でおkなんだろうか?
予約状況見ると、二人か三人は死にそうな勢いで笑えるのだが。
書き手によりけりじゃないか?
たしか0〜2が深夜だから。
>>285 乙です。
とりあえず啓太死亡を知るまでは頑張れるかな?>たゆね
予約はパッと見だと凄いことになりそうだなw
ニドヴォルグと美琴が……。
美琴は普段の状態ならかなり強い部類にはいるんだけど精神状況がアレだし、相手が悪すぎる。
あっさり死にそうな気がww
だが、カミジョーさんが死に啓太が死んだ今、たった二話でるるるビリビリが死んだら…orz
方向性から鬱々ロワイアルになる可能性は決して低くない、というか結構高いと思う。
だよなー
何か、るるる化しそうなのがいっぱいwww
ビリビリの電撃能力は、当たれば生体電流を狂わせて強制的に『麻痺』にできるからな・・・・・・。
生存能力はかなり強いかと。それに『麻痺』→『トドメ』のコンボは鉄板(本人が思いつけばだが)。
しかも、威力を絞ってある分、弾数に関する制限は緩いか皆無だから、自由度も高い。
一方通行とは真逆の特質を有する、強いマーダーだと思う。
だが、あっさり殺される可能性も十分に残っているのだが。
いつまでだっけ?
ニド+美琴の投下期限
御坂美琴は逃げていた。
焼け付くように痛む肺を、過剰な乳酸の蓄積に悲鳴を上げる足を酷使し、ただひたすら走る。
理性が、そして本能が激しく叫んでいた。「走れ、一秒でも早くあそこから離れろ」と。
場面を少しさかのぼる。
デスゲーム開始早々パニックに陥った美琴であったが。走り続けるうちに疲れがたまり、やがて一棟のビルの前で立ち止まった。
荒い呼吸を整えるうちに、少しずつ思考力を取り戻す。
冷静に考えれば先ほどの行為はまずかった。何せ、出会い頭に相手を電撃で打ちのめし、逃げ去ったのである。
「絶対に、危ない奴と思われてるわね…」
考えれば考えるほど自己嫌悪に陥っていく。
しばらく落ち込んでいた美琴だったが、このまま道に立ち尽くしていれば誰かに見つかるかもと考え、手近な路地に隠れることにした。
狭い路地に入り慎重に見渡す。暗くてよく見えないが、人の気配は無い。とりあえずは安全だと判断し、ようやく彼女は人心地が付いた。
ビル壁に背中を預けて座り込み、しばらく放心していた美琴だが、すぐにデイバッグの中身をあらためる。
「…最悪だ」
名簿には知った名前が二つあった、一つは最も頼もしく、だからこそ最もいて欲しくなかった少年―レベル0・上条当麻。
もう一つは、最強最悪の超能力者―レベル5・一方通行。
自分と一方通行がいるということは、このデスゲームもまた「絶対能力進化実験」の一環なのだろうか?
それなら、妹たちが関わっているのも納得できる。45人の人物(恐らく大半は何らかの超能力者であろう)でのバトルロイヤルを通して
一方通行をレベル6へと進化させる実験なのだろう。
思考に没頭していた美琴の背筋に、―ぞくり、と悪寒が走る。
慌てて荷物をデイバッグにしまいながら、立ち上ろうとした美琴が見たものは、路地の隙間を覗き込む透徹した死神の視線。
そして闇より一層の昏い無明色の服と髪を持つ女が手に持つ、白銀に輝くチェーンソー!
そのあまりに猟奇的な光景に、そして女の放つ物理的圧力すら感じられる殺気に、美琴の生存本能は素早く反応した。
即ち、彼女の持つ最も単純かつ速い攻撃手段、雷撃の槍の発動。
音速などという次元を超え、光の速度に迫る紫電。その一撃は女の眼前に生じた不可視の壁にむなしく遮られた。
一部の高等竜が行使する〈反呪禍界絶陣〉である。呪式原理たる観測効果による作用量子定数や波動関数への干渉を、さらに桁違いに強力な
干渉で阻止する超絶防御結界は、レベル5の超能力者のパーソナルリアリティをも拒絶する!!
初撃を阻止した黒い女―ニドヴォルグはチェーンソーのエンジンを始動。狭い路地に轟音の響かせながら、目の前の獲物に迫る。
雷撃が通じなかったことに驚愕した美琴は、迫りくる怪人チェーンソー女に咄嗟に手にした“それ”を投げつけ、その隙にポケットから愛用の
コインを取り出そうとする。対するニドヴォルグも、速度を緩めずチェーンソーで投げつけられた“それ”を叩き落とそうとする…
美琴の不幸は支給品である“それ”をただの非常食だと思ったこと。
ニドヴォルグの不幸は、己の力に絶対の自負を持つがゆえに“それ”をさけようとしなかったこと。
回転するチェーンソーの刃と激突し“それ”は二人の間で炸裂した!!
“それ”の名はシュールストレミング。北欧の雄・スウェーデンが誇る最臭兵器である
美琴は脱兎のごとく逃げ出した、女への恐怖も、殺し合いへの不安も忘れ、一刻も早くこの汚臭から遠ざかろうと街道を北へ北へとひた走る。
今、彼女が考えることは唯一つ…
「お〜風〜呂〜!!」
後には、あまりの悪臭に悶絶し、のた打ち回る一頭の長命竜が残された。
【B-3/市街地/初日/深夜】
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:シュールストレミングを浴びていてすごく臭い
[制限]:雷撃の槍は当たっても、若干体が痺れる程度
[装備]:ゲーセンのコイン@とある魔術の禁書目録
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、シュールストレミング缶×1、ランダム不明支給品×1(確認済)
[思考・状況]1:臭い臭い臭い
2:街道沿いにB-2に向かい落ち着いた場所でお風呂を探す
3:当麻を探す
【ニドヴォルグ@されど罪人は竜と踊る】
[状態]:悶絶中、全身シュールストレミングまみれで殺人的に臭い
[制限]:全力の蹴りで鉄扉を吹き飛ばせる程度まで筋力を制限、呪式の発動にも多大な制限
[装備]:ミスリルのチェーンソー@戦闘城塞マスラヲ
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、ランダム不明支給品×0〜2(確認済)
[思考・状況]:悶絶中
[]
投下完了しました。
ジュ式の「ジュ」が変換できないので「呪」で代用しております。
ついでに
【シュールストレミング】
ニシンの缶詰でスウェーデンが誇る世界一臭い発酵食品。
その臭さはくさやの約6倍。「腐ったドブの臭い」「生ゴミを直射日光の下で数日間放置した臭い」などと形容される殺人的臭さであり。
食べなれない人が口にすると、最悪失神するという。
【ミスリルのチェーンソー@戦闘城塞マスラヲ】
金属部品にミスリルをふんだんに使用した常識外れのチェーンソー。
とてつもなく頑丈で、摩擦や熱にも強い。
ちなみに、お値段は数千万円する。
すみません美琴の状態欄追加です
>>298 [備考]:バトルロワイアルを絶対能力進化実験の一環ではないか?と考えています。
乙。シュールストレミング吹いたw
よく美琴逃げたな。でもそっちには一方さんが!
投下乙。
ニドヴォルグは反咒禍界絶陣(アーシ・モダイ)で、半ば上条さん化したわけか・・・・・・。
しかも、その他の性能も高い。マーダーとしての強さはトップクラスだな。
反咒禍界絶陣(アーシ・モダイ)は観測効果による作用量子定数や波動関数への干渉を、さらに桁違いに強力な干渉で阻止を行う。
つまり、超能力者にだけでなく、レジンキャストミルクからの参加者にも圧倒的強さを誇るわけだ。
何せ、虚軸(キャスト)は実軸(ランナ)からの観測行為によって波動関数を収束させ、存在を確立しているからだ。
最悪、反咒禍界絶陣(アーシ・モダイ)に接触しただけで、虚軸(キャスト)が消し飛ぶ可能性がある。
ってさすがにコレはまずいか?
シュールストレミングw
まさかこんな方法で逃げるなんてwww
何はともあれ、投下乙!
投下乙!
こいつは予想できねぇwww
>>302 >[制限]:全力の蹴りで鉄扉を吹き飛ばせる程度まで筋力を制限、呪式の発動にも多大な制限
って書いてあるから、話が面白くなるように書き手が裁量すればいいんじゃない?
連発できないとか、干渉力に限度があるとか。
後、今のところ予約があるのは
ようこ、一姫、蒼衣、ギギナ、か
滅茶苦茶、死人出そうな気がするんだがww
>>304 反咒禍界絶陣が防げたのは、ビリビリの電撃が(というよりパーソナルリアリティの影響力が)かなり弱体化していたから可能だった、といったところでしょうか?
まあ、それも含めて、書き手の判断というところですかね。
>302
それまとめ@ウィキの人物紹介に載せとくから後で確認してくれ
ニドヴォルグの補足ですが
外見:黒の上下を着込み、後ろで束ねた長い黒髪を持つ絶世の美女。(正体は全長10mを越す竜)
思考:人間を下等種・食物と見なしているが、一方でモラルは高く、原作では復讐相手以外の人間を積極的に攻撃しようとはしない。(攻撃されたら相応の報復はする)
ガユスに「なぜ自分の恋人を狙わなかったのか?」と問われた際に「関係ないものを巻き込むのは筋違いだ」という趣旨の反論をしている。
以下特殊能力
王水のブレス:金をも溶かす強酸のブレス。吐く前に大きく息を吸い込み、その際に胸が人間の限界以上に膨れる
反呪禍界絶陣:すでに書かれている通り。原作でも貫通力の高い強力な攻撃なら貫ける。
重力操作:重力呪式により自分の体重を軽減している(本当はすごく思い)。彼女の強力な打撃力は、竜族の筋力と打撃の際に重力操作を解くことによる膨大な質量がベース。
重力操作で支柱に逆さに立ったり、拳大の強力な重力場作って相手に叩き付けたりすることも可能(原作だと防御不可)。
体表面に強力な重力場を作って物理攻撃を防いでいるらしき描写もあり。
再生能力:脳幹を破壊されない限り、恒常的に施された再生呪式であっという間に全快する。四肢程度は数秒で完全再生。
あと、某アー○ードみたく、無数の使い魔っぽいものに変化したりも。
思考からしていきなり皆殺しにしようとは思わないんじゃないのか?
>>309 人殺しを悪徳だと思っていないのでは?基本的に人を下等存在として認識しているのだし。
彼女にとっての人間は、言うなれば人間とっての犬猫や牛馬のようなものなのではないか、と。
変な例えだが、彼女の現在の立場を人間に置き換えると、犬や猫と殺しあえと言われているようなものであるのでは?
無駄に殺したり人質を取ったり騙したりするのは矜持に反するが、必要に応じて人を殺すことそのものは別に気にしないかと。
もっともその一方で、人間という存在をある程度対等に近い存在として認めている節がある。
でないと、人間という種族全体ではなくガユスやギギナという個人に対して復讐しようとすることに説明が付かない。
真に下等な存在に対しては、そもそも個体を区別することすらないだろう。
命を助けられたりしたら、例えそれが人間であっても義理を果たすことくらいはしそう。
聞きたいことがあるんだが、ニドヴォルク?それともニドヴォルグ?
情報ありがとう、出来れば
竜のときの鱗の色、尻尾の数や長さ、翼もしくは羽の有無、
・・・女性に禁句の年齢・体重も頼む。
>>311 ニドヴォルクが正解。読み手も書き手も間違いに気付かないことが多いんだよな・・・・・・。
>>312 竜の時の姿形に関する描写は原作には無かったと思う。部分的に竜に戻したりはしていたが、それだけだったし。
それだけで全容を推測するのは難しいかと。
ただし、彼女の夫は全長十七・七八五メルトルであり、彼女が夫以上の実力を有している以上、単純に考えて、それよりも大きいかと。
それから、どっかのページで実重量は10トン以上とか言われていたような気がする。
スマンが、まだ書きあがらないので予約延長させてもらいます。
ニドヴォルクのページを大体書き終えた。
人称だけはwakaran。
ので誰か頼む。
編集の仕方はページの上に出てくる灰色のバーにある「ヘルプ」でわかる。
316 :
参加するカモさん:2008/02/27(水) 11:28:15 ID:wRxEafFk
死者スレのメンツがエライことになっているw
最大勢力の主役級が最初から居るってのも驚きだ。
あー、えっと
気付いてるかわからん+携帯でしたらばに書き込めないので此方に書くが
書き込むスレを間違えてる、+名前ミスしてるよ
書き直したみたいだが
名前ミスってるよぉぉ
キャラ紹介の一方さんの項、魔術について色々書かれてるが、
原作では対魔術戦ってあったっけ?
書き上がってる他のキャラ紹介見て思ったが、きれいにまとまってるのと、
レイアウトも含め、文面酷いのがあるな……勝手にいじってもOK?
>>320 確か無かった気が…
Wiki弄るのは、誰でもOK
すまんが、後一日だけ予約延長させてもらいます
いじろうとwiki見たら、既に管理人さんがいじってた。
スロウリィですまんす。
>>322 いつも乙。パケ死しないよう祈ってるぜw
ぬあぁぁぁ
恥ずかしいが、一個質問
作中の時間表記、で
深夜の次は何て読むんだ?
携帯だからコピペとか出来ないorz
れいめい
ニドヴォルク&零崎双識のSSができた。
しかし、何というか、出来が微妙・・・・・・。妙に長いし。
よって、仮投下スレに投下します。
予想外の忙しさ+未推敲故、少し遅れるかもしれませんorz
>>327 期待してます
>>327 仮投下乙
ニドヴォルグの葛藤や、双識のひょうひょうとした性格が感じられて面白かったです。
というか、ニドヴォルグは全裸?
>>327 良いんじゃないか?
容赦ないとこも双識らしかったし、ヘタレ未亡人も良かったww
とりあえず十二時まで待ってから、本スレに投下します。
>>329 オールヌードです。シャワーシーンでさらっと脱いでいる描写が。
まあ、とりあえず竜ですから。着るものには頓着しないかと。
>>330 実は双識は、初期案では頭部喪失→死亡みたいな感じだった。
だが、マーダーを消すのは早すぎる気がしたので、生存することに。
戦闘シーンに、初期案の名残が残っていたり。
あ、上にトリ付けるの忘れてた。
仮投下作品なんで内容に触れずにレス。面白かった。
今後とかも気になるが、まずは投下待ち。全裸で。
十二時になりました。
ニドヴォルク、零崎双識のSSを投下します。
sien
スウェーデン産の非致死性毒ガス兵器が炸裂した、市街地の一角。
あまりの悪臭に意識が朦朧としながらもニドヴォルクは立ち上がる。
彼女はこのような異臭の元を叩きつけてきた人間に対する怒りを押し殺しながらも、とりあえず咒式でこの臭いを除去することにした。
そして思い出す。
「・・・・・・無理かえ」
そう、彼女は咒式がまともに使用できなくなっていた。
彼女は本来なら、人間にとっての手足のように強大な咒式を行使できるのだ。今でも咒式を行使する感覚は覚えている。しかしそれは肉体とまるで噛み合わなかった。
今のニドヴォルクは、竜と呼ぶにはあまりに非力だった。だから、チェーンソーなどという使い慣れない道具に頼った。
ふと、何か引っかかるものを感じた。
背の君の仇や、この殺し合いの主催者への怒りは、今も確かにある。
しかし時間が経過し、そういった感情の熱から理性が脱するにつれて、拭いきれない粘着質な違和感が次から次へと泥のように湧き上がってくる。
ニドヴォルクは、違和感の正体を掴めぬまま、歩き出す。
右手には未だ、チェーンソーが握られている。
◇◆◇
零崎双識は痺れる体を引きずるようにして学校を出た。そしてアレの追跡を開始した。
しかし不自由な体に加え夜の闇の中では、追跡はあまりにも困難である。やがて体の痺れは消えたものの、その頃にはすっかりアレの姿を見失っていた。
だが双識は幸運にも、アレの痕跡と思しきものを発見した。ビルの傍らに激臭を放つ破損した缶詰が放置されており、そこを起点として激臭が二方向に続いていたのだ。これらのどちらかを辿った先に、アレがいると考えていいだろう。
「まあ、どちらにせよ同じ、か」
双識は進む方向を早急かつ適当に決めると走り出す。この先にいるのがアレとは違う人物であっても、念のために殺しておこう、と思いながら。
◇◆◇
例え竜であっても、人間社会に関する多少の知識はある。ニドヴォルクは家屋の中に水源が存在していることくらいは知っていた。
彼女は適当な民家に入ると浴室に入り、デイバッグとチェーンソーをタイル張りの床の上に置く。そして異臭の染み付いた服を脱ぎ捨てると、冷水のシャワーを浴び始めた。温水も出るのかもしれないが、さすがにそこまでは気が回らない。
さして気温は低くないが、それでも冷水を浴びるのは少々厳しいものがある。しかしニドヴォルクは顔色一つ変えずに黙々と異臭を落とす作業を続ける。その視線は脱いだばかりの着衣に向けられていた。
本来この服は、竜から人の姿に変じた際に人体と同時に構成されたものであり、彼女の体の一部のようなものである。しかし咒式を封じられた影響か彼女の支配下を離れ、ただの布切れと化していた。
『殺し合いの機会を公平にするため、身体能力、超常能力には制限を課す』
つまりそれは、元来強者である者ほど強い制限を受けるということである。長命竜(アルター)であるニドヴォルクにも、それは当てはまる。
基本的な身体能力が制限されていた。筋力は落ち、たかが小娘に反撃の暇を与えるほど鈍足になった。感覚器官も脆弱になり、悪臭で悶絶した。
咒式もろくに使えない。小娘の些細な咒いを防ぐことはできた。しかしあれ以上の咒いに対抗できるかは、甚だ怪しい。忌々しいこの首輪を外すこともできない。
ふと、ニドヴォルクはとある疑問に思い至った。
何という殺人鬼と呟きつつ支援。
彼女は竜の姿から人の姿に変じている。しかし、いかに咒式と言えど10トン以上もの『質量』そのものを消し去ることはできず、そのままであった。
すなわち人の姿の時、彼女の肉体の密度は人間の100倍以上になっているのである。この状態の彼女は、何もせずに路上に立てば両足が地面に沈没するほど重い。
常ならば、恒常咒式による重力制御に加え、人類とは比較にならないほどの膂力によって不都合無く身体を動かせている。しかし膂力も咒式も失った状態では、重すぎて動かせるはずがないのだ。
ならば何故、今はこのように動けているのか。答えは簡単だ。それだけ『質量』を削られたということである。
だが、質量を削るということは、肉体の血肉を削り取るということである。
これでは能力の制限というより、肉体の改変だ。
「我の体は・・・・・・」
一体、どうなっているのだ?
ニドヴォルクは浴室に放置されていたカミソリを手に取る。そして、左手の甲を切りつけた。呆気なく一文字の傷が生じ、血が流れ出す。
本来の彼女の肉体なら傷一つ付かないはずである。それが薄い金属片で傷つくほど脆い存在に変わり果てている。
人のように非力。
人のように脆弱。
「これは、我の体ではない・・・・・・!」
認め難かった。この身が、人と並び立つほどに堕ちたなど。
その事実は、どうしようもないほどニドヴォルクの心を揺るがせた。
◇◆◇
激臭は一軒の民家の玄関に繋がっていた。ごく微かに、水が打ち付けられ飛散する音がする。シャワーでも浴びているのだろうと、零崎双識は見当をつけた。
双識は平然と土足で上がり込むと水音がする方へと向かって歩く。ごく自然な足取りだが、足音は殆ど無い。やがて浴室に辿り着くと躊躇無くその戸を開き侵入した。
そこにはアレとは違う人物がいた。
美しい女だった。艶かしい白い肌、豊かに張り出した胸と尻、それと対照的に引き締まったウェスト。その裸身は、普通の男だったら性的興奮を喚起させられるものだ。
だが、妹マニアであり正真正銘の変態と言える双識のストライクゾーンからは、大幅に逸脱していた。よって、感情に揺れは無い。
双識と女の視線が交差する。
「おっと失礼。とりあえず死」
双識が言い切る前に、女は回し蹴りを叩き込んできた。彼はそれをスウェーして回避する。余程勢いが乗っていたのか、その一撃に煽られた風が双識の髪をかき乱す。
防御していれば骨と内臓を潰され、戦闘不能になっていた。だが、動きそのものは稚拙で読みやすい。力に技能が備わっていない。双識は女をそう評価した。
と、女の視線が双識から外れる。その先にあるのは一機のチェーンソーである。彼女はそれに手を伸ばす。
が、一瞬その動きが停止した。軽く目を見開き、何かに驚いたような表情をしている。
支援
それは、致命的な隙だった。ただでさえ、戦闘中に敵から視線を逸らす行為はリスクを伴うのだ。それに加え動きが停止したのでは、殺してくださいと言っているようなものである。
当然、双識がそれを見逃すはずが無い。チェーンソーを拾うためにかがみ込んだため位置の低くなった女の首に、ローキックを叩き込む。弾き飛ばされた女は浴室の壁に激突し、力無く床に倒れ込んだ。
首の骨を折るつもりで蹴ったのだが、期待した結果は得られなかった。頑丈な女である。双識はチェーンソーを拾い上げるとリコイルスタータを引き、エンジンを始動させる。ただの木材切断装置の騒音が、この場においては殺戮の咆哮として響き渡る。
その音に反応したのか、女がよろよろと上体を起こす。しかし、もう手遅れだ。
「とりあえず死んでくれ」
たったそれだけを告げると、鉄板に沿って高速で回転する刃の付いたチェーンを、双識は女に振り下ろした。
女はとっさに反応し左前腕で受け止める。しかしチェーンソーの切断力に『人の腕』が耐え切れるはずも無い。おぞましい音を立て、肉が裂け飛び骨が砕け散る。
「ガアアアアアアアアアアアアア!!」
女が獣のような絶叫を上げた。だが双識は平然と切断を続行する。すると女は自棄になったのか、右掌をチェーンソーの刃に叩き付けた。
しえん。
双識は瞠目した。
女の掌の先、直径30センチほどの球体状の領域にある物体が、その領域の中心に向かってぐしゃりと押し潰された。
チェーンソーと、それに切断されかけていた女の左前腕半ばから先が、まとめて圧壊された。
「は?」
呆気に取られた声を漏らす双識の顔面に向かって、女の右手が伸ばされる。双識は慌てて後退しそれを避けた。今度は空気だけが圧縮されたのか風が生じ、双識の服や髪を揺らす。
理解できない現象を前に、双識は驚愕し困惑する。そんな彼の前で、女はよろよろと立ち上がった。
切断された左前腕から血をだらだらと垂らしながら、双識を強烈な視線で刺し貫く。
「人の子よ」
常人なら即座に気絶しかねないほどの圧迫感が噴出する。
「生きて帰れると思うな」
女はその宣言を終えると、右掌の先にある『何か』で浴室の壁を砕きながら、双識に向かって突撃する。双識は更に後退し浴室から出ると、戸を閉めた。刹那の間を置いてその戸は破壊され、女が飛び出してくる。
だが、その時には双識は背を向け走り出していた。
家具を女の進路上に配置しながら二階へ向かい、ベランダから飛び出す。そして屋根や塀を伝って三次元的な逃走経路を辿る。
戦略的撤退。
理解不能な破壊現象をそのままにして戦闘を続けるのは、気分のいいものではない。とりあえず被害の無いうちに撤退することにした。
十分後、双識が振り向いた先には誰もいなかった。
sien
逃走とかトラップワークの方が性に合ってそうな双識支援。
しえん
◇◆◇
襲撃者を前にしてチェーンソーを拾おうとした時、ニドヴォルクは先程から抱いていた違和感の正体に気付いてしまった。
それは人間にとっては些細なことでも、ニドヴォルクにとって、特に今の彼女にとっては重大なことであった。
すなわち、何故、竜である自分が、人間の作った無粋な道具に頼っているのか、ということである。
復讐の熱に浮かれていた彼女はそれに気付かず、ただの戦力増強の手段としてチェーンソーを手にしただけだったのかもしれない。しかし、人間の道具を使うという発想は、元来彼女に備わっていないものである。
そして彼女の明晰な頭脳は、あっさりとその理由を結論付けた。
不安だったのだ。
彼女を含めた竜という種族は個体として圧倒的な力を有している。故に、不安とは縁遠い。 だが皮肉にも、その力を奪われることによって強く湧き上がるのも、不安である。
不安だったから、あっさりと人間の道具に縋った。
ニドヴォルクは、自身の思考の浅ましさに愕然とした。そしてそれが、致命的な隙を作った。
それに加えて、今の体の脆さを考慮せずに腕でチェーンソーを受け止められると勘違いし、左手を失った。
幸いだったのは、激痛で意識が歪む中、無我夢中で右手を突き出した際に使い慣れた咒式が発動したことか。かつてと比べるとささやかなものであったが、それによって死を回避した。
咒式を行使する感覚も記憶したため、今後も行使できる。これならチェーンソーなどに頼る必要は無いだろう。
だが、喜びは無い。
◇◆◇
路地裏を、ニドヴォルクはよろよろと歩く。
襲撃してきた人間のオスを追跡しようとベランダから飛び出したが、バランスを崩して落下してしまった。左前腕の半ばから先を喪失したことで重心が狂い、しかも多量の失血によって意識が朦朧としていたためであった。
あの人間のオスはとっくに見失った。それでもニドヴォルクは歩むのを止めない。まるでその行為に没頭し、何かから目を背けるように。
左腕の傷は、何の処置もしていないのにほぼ完全に血が止まっている。これは彼女が弱体化したが、それでもなお人間を凌駕する再生力を有しているからである。しかし、失った左手が再生される兆しは無い。
支援。
失血で朦朧とする意識の中、勝手に思考が紡がれる。
自分をこのような体にしたのは、この殺し合いの主催者だ。もし彼らに敵対したのなら、元の体に戻ることはできないのではないか?
その考えの下劣さに凄まじい嫌悪を覚える。しかし、不安は尽きることが無い。
まるで、人間のように。
容易く傷つくこの身は、果たして竜と言えるのか?
些細な傷もろくに癒せぬこの身は、果たして竜と言えるのか?
人間の道具に縋る浅ましい者は、果たして竜と言えるのか?
不安に溺れて低劣な思考を紡ぐ者は、果たして竜と言えるのか?
ニドヴォルクは、薄汚い路上に倒れこむ。
「我は、我は・・・・・・」
その呟きは、あまりにも弱々しい。
やがて彼女は、泥のような暗黒に意識を沈めた。
◇◆◇
そもそも双識にとって、女を殺すのはアレを殺すついでのようなものだった。
もっとも、今では『敵対者』として認識しているのだが。何せ『生きては帰さない』と宣言された上、明確な殺意を持って攻撃されたのだ。
再会した場合、こちらに敵意が無くとも向こうは殺しにかかってくるだろう。
零崎双識は適当な民家に入り込むと、寝室に侵入しベッドの上に横になる。
とりあえず睡眠をとることにした。どのような活動をするにしろ、疲労していては支障が出る。
双識は女の血に塗れた服を着たまま、あっさりと穏やかな眠りに沈んだ。
【B-3/工場区路地裏/初日/黎明】
【ニドヴォルク@されど罪人は竜と踊る】
[状態]:気絶。左前腕を半ばから喪失。多量の失血。首に打撲。血まみれで全裸。
[制限]:以下に別途記述。
[装備]:無し。
[荷物]:無し。
[思考・状況]
1:精神的不安定。アイデンティティの危機。
2:力を失ったことを原因とする強い不安。元の肉体に戻れるのかの不安。
3:ガユス、ギギナ両名を探し復讐する(まともに殺すだけでは飽き足らない)。
4:人間のオス(双識)を殺す。
5:参加者を皆殺しにする。
6:主催者に身の程と竜の恐ろしさを思い知らせ、殺害する。
[備考]
1:参戦時期は不明。ただし、エニンギルゥドの死後、ガユスに殺される前。
【B-4/市街地民家/初日/黎明】
【零崎双識@戯言シリーズ】
[状態]:睡眠。血まみれ。
[制限]:特に無し。
[装備]:無し。
[荷物]:デイパック、支給品一式(未確認)
[思考・状況]
1:一休み。
2:アレ(美琴)と女(ニドヴォルク)を殺す。彼女らと親しい者も皆殺しする。
3:人識を探す。
[備考]
1:参加時期は人間試験前です。
【ニドヴォルクの制限】
・基本的な性能
基本的に人間と同等の肉体。ただし、以下の例外がある。
筋力、頑強さ、反応速度、再生能力、咒力、演算能力などは、軒並み人類の限界より幾分か上程度。肉体の密度は高く、常人の二倍程度。
例としては、全力の蹴りで鉄扉を吹き飛ばせる。
・咒式に関しては、以下のもののみ使用できる。疲労度は低い。
・劣化型〈轟重冥黒孔濤(ベヘ・モー)〉
掌の上に球形の重力場を作り出す。大きさは直径三十センチ程度。基本的に防御は不可能。
・劣化型〈反咒禍界絶陣(アーシ・モダイ)〉
本来のものに比して大幅に干渉力が大幅に低下しているが、ある程度は有効。封殺できない場合でも幾らかの減衰は可能。
例としては、人体を一時的に麻痺させる程度の電撃を作り出すだけの能力なら完封できる。
※B-3の民家の浴室に以下の物品が放置されています。
・ニドヴォルクの服(シュールストレミングの臭い付き)
・ミスリルのチェーンソー@戦闘城塞マスラヲの残骸
・デイパック(支給品一式、ランダム不明支給品0〜2。ニドヴォルクはランダム不明支給品を確認済み)
また、浴室内には肉片が飛び散り、壁面が一部砕けています。
※B-3の市街地民家から工場区路地裏にかけてニドヴォルクの血の跡が続いています。
※B-3の市街地に破損したシュールストレミングの缶詰が放置されています。
投下乙。仮投下時にも思ったが、双識 マ ジ 外 道 だな。
殺人鬼だから当然なわけだがw
そして未亡竜ニドヴォルク、人気はあるが大変な状況だ…。
ここは是非生き延びて朝日を拝んでほしいところだが、
北にいる一方通行の行動によってはどうなることか。
以上、投下完了です。
投下乙です。
乙。
ところでその詳細な制限は必要なのか?別に曖昧でも・・・
なんかこう、展開を狭めているというかなんというかむずむずするんだがw
>>365 され竜1巻読んだ身としては、肉体強度くらいは人間と同程度じゃないと
問答無用すぎる強さだと思うんだニドヴォルクw
投下乙!
>>365 私もそれは考えたんですが・・・・・・。
ある程度戦闘が重なってくると『あの時、何故その能力を使わなかったのか?』みたいな矛盾が出てくる可能性がある。
そう思った次第で。
戦闘を開始したら、詳細な設定を固め始めるべきかと。
実際今回の話も『何故、ニドヴォルクはわざわざチェーンソーを使ったのか?』という点に焦点が絞ってあるわけで。
>>366にあるように、ニドヴォルクは基本的に最強なので、制限次第ではチェーンソーを使う必要性が皆無なんですよね・・・・・・。
重力で押し潰しちゃえば、それで終わりだし。
むしろ本文中にあるように『人間の作った道具』に良い感情は抱いていないかと。
「未知なるB-2に風呂を求めて」の補完でもあるわけか。<チェーンソー
乙です
未亡竜ww
しかも裸とは、これが変態ロワの力かwww
あ、すまん。一つツッコミ。
黒なら「Brack」じゃなくて「Black」だと思う。
作品完成しましたー
ので、本日24時から投下します
支援願います
>>363 投下乙です。
タイトルの元ネタはブラックホーク・ダウンか。
他にも元ネタがあるタイトルは投下された作品にあるのかな。
GJ!
おまいら、本気でLSロワに続く変態ロワにするつもりかw
さて、ニドヴォルクの人気が出てきたところで
先生!『零崎双識の人間(竜を含む)試験』の開始時間はいつですか、
と空気を読まない質問。
>>371 な、何たるスペルミス・・・・・・。
申し訳ありませんが、wiki編集の方に「brack」→「black」で修正していただけると助かります。
>>374 人間試験をする以前にことごとく攻撃されてますからねぇ・・・・・・。ままならないものです。
投下は?
さっきいったん人大杉になったから諦めたんでは?
残念
専ブラ使ってる人って、実は少ない?
うぁぁぁ!?
ホンのちょっぴり、ホンのちょっぴり休むつもりだったんだ……
なのに、いつの間にか熟睡しちまってたorz
今日こそ、今日こそ投下しやす!
ので、支援願います
私怨
まったりと支援。
あー…
投下する時間書いてねぇよorz
本日24時より投下します
おや?
まさかこれは壮大な釣r(ry
や、やっと短パンまんの悪夢から逃れられた……
随分遅れましたが、これより投下します
死臭。
普段なら、旅行にきた家族が炉を囲んで笑いながら団欒する。あるいは遭難した者達が助けを待ちながら暖をとる。
そんな日常の気配が色濃く残っていたこの場所には今、文字通り死臭が漂っている。
人肉が焼ける時の、形容しがたい吐き気を催すような匂い。噴き出したばかりの、濃厚な血の香り。そして――死体から撒き上がる、明確な、死の匂い。
それらが奇妙にでブレンドされたこの空間で、一人の少女が血飛沫を浴びながら笑っていた。
「ケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタ」
ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ
街に出れば間違いなく声をかけられるだろう可憐な相貌を歪め、顔中に涙や鼻水がミックスした液体を垂らし、それでも少女――ようこは、狂った笑みを浮かべながら愛しき人の名を呼び続ける。
物言わぬ、目の前の肉塊に向かって。
「ケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタ」
蛇口の壊れた水道のように、止まらぬ涙と震えた声は死臭漂わす肉塊へ降り注ぐ。
「ケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタケイタ」
悲しみの慟哭で大気を震わせながらも、ようこは、鋭敏な感覚を誇る自身の嗅覚が捉えた違和感に思考の触手を伸ばしていた。
――コレ、ダレノニオイ?
その匂いは、大好きな人の匂いではない。なら誰?
――コレガ、ケイタヲコロシタノ?
それしか、考えられない。
啓太が殺された後に誰かが訪れた、というのも考えられなくはない。
しかし、聞こえてきた音と自分がここに来た時間から考えて、それはないだろう。
――ケイタノカタキ、ウタナキャ
極々あっさりと結論付けると心中でポツリ、そう呟く。
そのまま、今にも倒れそうな、しかし一歩一歩しっかりとした足取りで地を蹴り歩みを進める。
ひび割れた心に狂った笑みを張り付け、何も映さぬ空虚な瞳で見つめるのは、果たして――
◆
山小屋を出て数分。一姫は人目につきにくい茂みに隠れて、奪い取った支給品の確認をしていた。
先程の音を聞き付けた参加者を警戒する。それを差し置いてでも支給品の確認をした理由。
それは――
「あれじゃ、火力が強すぎて奇襲以外に使えないですよ」
そう。
先程の封咒弾筒では、あまりにも火力が強すぎるのだ。
この殺し合いの舞台で、火力が強いというのは大きなアドバンテージになる。
しかし、火力が強すぎる故の弊害もある。
一つは、自身に被害が及ぶため、近距離での使用が出来ないこと。
二つは、作動までに致命的なロスがあること。
この二つが、一姫に逃避よりも支給品の確認を優先させた。
「これは中々ですけど……姫ちゃんみたいなのが使っても致命傷にはならないですし。うー……糸か、せめて銃が欲しいですよー」
吐き出す言葉に不満を込めながら取り出したのは、『偽劫火』と呼ばれる細身の剣、である。
魔道王時代の秘宝、焼きつくし刺し貫く剣“劫火”――の偽物で、業物らしく、小柄な一姫でも扱える程軽くて良い剣なのだが――
「萩原さんなら巧く扱えるんでしょうけど、姫ちゃんが持ってても猫に子分ですし」
そう。先程のような奇襲や素人相手ならともかく、一対一のような真正面からの戦い、しかも人外が相手なら、剣に関しては素人に近く、非力でリーチの短い一姫が剣を使っても然程意味はなく。むしろマイナスになるのである。
剣がある故に己の力を過信し、敗北と言う愚を犯す。
それが試合ならまだ良い。ただ、死合におけるそれは死を意味する。
それは避けたい。
だから、糸か銃が欲しかった。
糸さえあれば、と思う。一姫の最大の武器にして最強の技。曲絃糸。
それさえあれば、優勝は容易いだろう。
しかし現実はそう甘くない。
奪い取った支給品をデイパックから取り出す。
中から出てきたのは、透明な耳詮、それに閃光と轟音で相手を無力化する、手榴弾の一種、スタングレネードと呼ばれる物だった。
「またこんなのですかー?うー。銃が欲しいですよー」
ぼやくのは一瞬。強い火力や小柄な自分でも扱える剣まで手に入れておいて、これ以上望むのは流石に高望みだろう。
十分程度の時間をかけて確認した数々。ひ弱な一般人を装うため、スタングレネードを除くそれら全ての支給品をデイパックにしまい、ゆらりと立ち上がる。
そして、しっかりと耳詮を装着し、足を踏み出そうと膝から爪先まで力を込める。
とりあえず、これからの行動指針を決めるのは歩きながらで良いだろう。支給品の確認を終えた今、ここに留まるメリットはない。
そう考え、一刻も早く立ち去ろうとする。
瞬間、ゾクリと肌が粟立つのを感じた。狂戦士としての本能か、意識する前に後ろへ跳ねるように飛ぶ。
それとほぼ同時に、ほんの一秒前まで一姫がいた空間に灼熱の奔流が襲いかかった。
「っ!?」
危ないところだった。ほんの少し、あと一秒でも回避するのが遅れていたら、丸焼けになっていただろう。
背筋が凍るような事実を避けられたことを安堵する暇はなく、直ぐに第二射が来る。
「じゃえん」
大気を震わす凛とした声が響く。と同時。闇を切り裂く炎の突風が辺りを薙ぎ払った。
「くっ…あぁぁぁぁぁ!」
怒濤のような炎の流れを、一姫は辛うじて転がってかわす。ちりちりと彼女のいた所が黒く焦げ、火が燻っている。
落ち着いている暇はない。
何処にいるかはわからないが、敵は確実に殺す気で来ている。もたもたしていては、先の炎に焼かれて黒焦げだ。
「どこのどいつかフランスか知らないですけど、姫ちゃんは殺されるわけにはいかないんですよっ!」
居場所もわからぬ敵に向かってそう怒鳴るとデイパックをしっかり抱きかかえて目の前に向かって駆け出す。方向を選んでいる暇はない。
こうなると、支給品をしまったことが悔やまれる。暗闇の中、正確に自分を狙ってきた相手。炎の精度や威力を考えると、支給品を取り出す暇は与えてくれないだろう。
だから逃げる。
全力で。
地を蹴り、決して早いとは言えない足取りで駆けながら一姫は想う。こんな所で死ぬわけにはいかない、と。自分には、やり遂げなくてはならないことがある。
だから、だからこんな所では絶対に死ねない!
しかし
「だい」
その気持ちを嘲笑うように
「じゃ」
白い光の大渦が湧き起こり
「えん」
辺り一帯を爆風が包み込んだ。
◆
伊織との闘争を終え、南へ向かっていたギギナ。
しかし、現在その足取りは南ではなく西へ向かっていた。
何故?
理由は単純明快。
数分前、南へ向かっていたギギナの耳に轟音が聞こえたのである。
――誰かが闘っている
端正な美貌に笑みを浮かべ、強者との闘争に心踊らせる。
先の闘争で負った傷はまだ癒えてはおらず、咒式を使うことも出来ない。
しかし、それがなんだ?そんなもの関係ない。ギギナが望むのは強者との闘争。それが叶うのならば、少しの傷や咒式が使えないことなど、微々たる物に過ぎない。
「イオリ・タカセよりも強いのだろうか」
風に乗せて放たれる言葉。そしてギギナは伊織との闘争を思い返す。
――イオリ・タカセは強かった
そう。あの死闘は、どちらが勝ってもおかしくはなかった。
ほんの少し、選んだ選択を間違えたら、ギギナは今ここにいなかっただろう。
その生死を別つ刹那の選択が、ギギナの心を踊らせる。
そうして、まるで遠足前の子供のように心を弾ませているギギナの遥か前方。一人の小柄な少女が駆けてくる。
――女、か
落胆し、瞼を閉じて力を抜くのは一瞬。脳裏を過るのはいつだか出逢った長名竜。彼女は、少女の容姿をしていたが、強大な力を持っていた。もしかしたら、前方の少女もそうなのかもしれない。
そう思い返し、瞼を開く。
すると
――何だ、これは?
目の前に落ちてくる、缶状の物。それが何かを判別する前に。
閃光と、轟音が容赦なくギギナの意識を刈り取った。
「ぐッ!?」
意識を取り戻したのは数秒後、いつの間にか目の前に現れた少女の手には、自分が持っていた筈の、黒の長剣が握られていた。
ギギナの脳がそれを認識した時には、右肩から左側の腰にかけて、一筋の血刃が生まれていた。
瞬間、あまりのショックで痛覚が遮断される。単純に熱い、と感じる。
ふと、視線を下に向けると、傷口から噴水の如く血の雨が噴き出している。
段々掠れていく視界の中、ギギナが最後に捉えたのは、血飛沫に笑う、少女の顔だった。
◆
駆ける。駆ける。駆ける。駆ける。駆ける。駆ける。
敵から逃げるために。
「はっ、はっ、はっ……はぁっ」
筋肉が悲鳴をあげる。
心臓は普段の数倍のフル稼働。
酸素が足りなくなる。段々と脳内が真っ暗になり、地を蹴る感触がなくなる。焼けつくように感じる肺。
白い肌は真っ赤に紅潮し、着ている服は汗でぴったりと纏わりつく。
手足には火傷に加え、草むらで切り傷を負った。
それでも一姫は足を止めない。
先程接触した男。数分で片付けたとはいえ、無視できないタイムロスが起こり。
更に死角から炎を放ってきた敵。先程は運良く避け、煙と砂塵き紛れて紙一重で逃げ切れたが次はわからない。
だから止まれない。
安全に隠れられる場所を見つけるまでは。
数分後、全く止まらないまま駆ける一姫の目の前に光明が。
そこは小さな山の中。小さな神社へと続いている、冷たい土と石が剥き出しになった、細くて狭い、暗い道。
木の葉が舞う音と、軽い足音だけが闇を切り裂く。 後少し。油断しないよう警戒しながら境内へ駆けていき、人気のない木陰へ。。
辺りを見回して逃げ切った事を確認すると、先程の男から奪った剣を杖代わりにし、汗と返り血で濡れた顔を手の甲で拭う。
漸く逃げ切った。
木に凭れ、呼吸を整え全身に酸素が廻るのを感じながら思わず笑みが浮かぶ。
しかし
「誰……ですか?」
現実は
「え……?」
そう甘くはなかった
【Dー3/神社/初日・黎明】
【白野蒼衣@断章のグリム】
[状態]:健康
[制限]:不明
[装備]:暗視ゴーグル@現実
[道具]:デイパック、支給品一式、ハーレム・ゴードン×3@薔薇のマリア、ホムニアス・カーヴ@薔薇のマリア
[思考・状況]
1:目の前の少女(一姫)を警戒
2:夜が明けるまで休憩
3:朝になれば道路沿いに山を下り市街地or飛行場を目指す
4:参加者と会って接触し集める
5:雪乃を探し出し守る
6:ゲームを破壊し雪乃を連れて生還する
【Dー3/神社/初日・黎明】
【紫木一姫@戯言シリーズ】
[状態]:血まみれ、疲労(中)、手足や顔に軽い火傷と切り傷
[制限]:不明(少なくとも本人は気付いていない)
[装備]:黒の剣@戦闘城塞マスラヲ、スタングレネード×4@現実、耳詮@現実
[道具]:デイパック、支給品一式(二人分)、偽劫火@薔薇のマリア、封咒弾筒×2@されど罪人は竜と踊る(封じられている咒式は不明)
[思考・状況]
基本思考:殺し合いに乗る、殺し尽くす、手段は問わない(騙し、裏切りも可)
1:目の前の男(蒼衣)に対処
2:曲絃糸を探しながら殺し続ける
3:帰ったらとりあえず澄百合学園を消してもらう
4:そしてできれば主催者も殺す
[備考]
1:参戦時期はクビツリハイスクール直前(いーちゃんとまだ出会っていない。澄百合学園を壊滅させようとしている。人間不信で『どれだけ人を騙しても一人で生きてゆこう』と思っている。寂しいという感情はあり、また哀川潤に嫌われることを恐れている。)
2:死角から攻撃されたのでようこの姿を見ていません
3:また、耳詮をしていたのでようこの声を聞いていません
一姫が蒼衣と遭遇したと同時。ギギナは目を覚ましていた。
しかし、足に力が入らず立ち上がることすら出来ない。口からは血の泡が垂れ、傷口からは絶えず血が流れていく。
それでもギギナは生きていた。
確実に致命傷を負ったギギナが生き延びた理由は三つ。
一つは、一姫の力が足りず傷口が深くなかったこと。
そしてもう一つは、ドラッケン族の意地。ギギナは、一姫に斬られる瞬間、本能的に一歩前へ踏み出していた。
そのため勢いが完全に乗る前に斬られ、死に至らなかったというわけである。
それでも、死んでないだけという有り様であった。
体に力が入らず、傷口を止血することすら出来ない。
意識は飛んだり、覚醒したり、を繰り返している。
「ここで……死ぬ、の………か」
呟きは、空気に溶ける。
段々と体が冷たくなるのを感じた。
不意にギギナは、これまでの闘争の事を思い返す。死にかけた事もある強敵、友、そして唯一の相棒の事を。
相棒――ガユスには生きていてほしいと思う。なぜかはわからない。何時も喧嘩ばかりしていたが、今はそう思った。
ぱき。地を踏む音が辺りに響く。
ギギナを迎えに来た、死神の足音だろうか。
段々と
意識が
薄れていく
最後に見たのは
血飛沫に笑う少女だった
【Eー3/山中/初日・黎明】
【ギギナ・ジャーディ・ドルク・メレイオス・アシュレイ・ブフ@されど罪人は竜と踊る】
[状態]:両腕にダメージ、傷は強化合金骨格でかろうじて止まっていますが、治癒にはある程度時間が掛かります、右肩から左側の腰にかけて裂傷、大量出血(早く止血しないと死に至ります)、気絶
[制限]:身体能力・回復能力に若干の制限、咒式関連は不明
[装備]:なし
[道具]:デイパック×2、支給品一式×2、ランダム支給品×2(確認済み、咒式関連ではありません)
[思考・状況]
1:………………
【Eー3/山中/初日・黎明】
【ようこ@いぬかみっ!】
[状態]:疲労(小)、血まみれ、精神崩壊
[制限]:飛行能力を大幅制限(3メートルまで・疲労が大きい)。しゅくちは何らかの制限がされている(詳細は不明)。その他は後の書き手さんに任せます。
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式(未確認)
[思考・状況]
1:目の前で倒れている男(ギギナ)に対処
2:啓太の仇をうつ
[備考]
1:参戦時期は本編完結後。
2:啓太を殺人した人物の名前、容姿、声、を覚えました
これにて投下終了です
またしてもgdgdにorz
そしていくつか御願いなんですが
ウィキに転載するときに
>>404と
>>405 の間に、『ユメノオワリ』の一姫の状態表の
【封咒弾筒】の項から一番下までをコピペして付け加えておいて下さい
そして、
>>405のギギナが生き延びていた理由は三つ、のくだりを三つ→二つに変えておいて下さい
毎度毎度迷惑かけてホントスイマセンorz
他にも修正箇所ありましたら、ご報告下さい
最後に、『ユメノオワリ』の件は
【封咒弾筒】〜爆音が響きました。
までです。
投下乙。あっさりと剣を奪われるギギナに違和感が。
この面子で人死にが出なかったのは凄いが、男性陣はピンチ継続中だなw
自己レス。姫ちゃんのまともな戦闘シーンが原作でほとんど描かれてなかったのと、
澄百合の序列と「やらかした」ことを見るに「かなり強い」のだろうってことで補完。
ギギナが剣を奪われた理由には
スタングレネードで意識を失った+両腕のダメージで、しっかり剣を握れてなかった
の二点を考えてましたー
投下乙。
気持ち良い勝負をした代償といったところですかねー、ギギナは。
っていうか女性陣が怖っ、そして強っ。
姫ちゃんの口調もなかなか原作をトレースできているかと。
ただ、じゃえんの能力の制限についてはちょっと書いておくべきかもしれません。特に威力について。
思いっきりぶっ放してますし。
それからごく些細な指摘を。いや、本当にロワ自体とは殆ど関係ないんですけどね?
>>399で『脳裏を過るのはいつだか出逢った長名竜。彼女は、少女の容姿をしていたが、強大な力を持っていた』というのがあります。
この『長命竜』『彼女』『少女』がアナピヤを指すのなら、微妙に違うかと。アナピヤは竜の因子を埋め込まれた一族であって、長名竜ではない。
この『長命竜』『彼女』『少女』がニドヴォルクを指すのなら、『少女』って言うのは違和感ありまくりかと。
>410
投下おつー。
>最後に、『ユメノオワリ』の件は
>【封咒弾筒】〜爆音が響きました。
>までです。
これ、全部載せる必要ってそんなにないような気が。必要のない所は削ってもいいんじゃね?
>>414 ですねー
少女の容姿をしていたが→脆弱な女の姿をしていたが。に変更します。
じゃえんの制限については、修正したものを投下しときます
>>415 そう思いましたが、他ロワを見てみたところ全てコピペしてましたので
一応、です
【Eー3/山中/初日・黎明】
【ようこ@いぬかみっ!】
[状態]:疲労(小)、血まみれ、精神崩壊
[制限]:飛行能力を大幅制限(3メートルまで・疲労が大きい)。しゅくちは何らかの制限がされている(詳細は不明)。じゃえんは威力・制度共に普段の半分程度です。その他は後の書き手さんに任せます。
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式(未確認)
[思考・状況]
1:目の前で倒れている男(ギギナ)に対処
2:啓太の仇をうつ
[備考]
1:参戦時期は本編完結後。
2:啓太を殺人した人物の名前、容姿、声を覚えました
一応、修正したもの投下です
>>416 全コピペする必要があるのならそれでもいいのだけど、話の中盤に長い説明文を載せると、
ウィキに転載されたものを読む人も大変じゃないかと思っただけなんだ。
それと、ホムニアス・カーヴの数が減ってるのが気になった。
支給品情報はwikiに項目が作られてるが、既出の内容を再度掲載するかは書き手の判断に任せればいーんじゃね?
あとは転載の方が巧く編集してくれる………他人様に任せすぎるのもよくはないがw
あぁ!?ミスったぁ!?ホムニアス・カーヴ×3です
>>419 見にくいっちゃ見にくいですよねー
さて…どうしよう
>>420 確かに、転載の方に任せれば良いかもww
投下乙。
さて、蒼衣はどうやってピンチを切り抜けるのか?
>>411 確かに違和感はあるが、バトロワだからしかたない。
それに、姫ちゃんも出夢くん(銃弾をナイフで弾く人識を上回る実力者)とやりあえる実力はあるわけだし。
>>420,422
あんまり期待されても困るわけでw
>>422 「血飛沫に笑う少女」、追記を依頼された箇所を一部編集して、転載しました。
封咒弾筒の使用タイミング、及び爆発音が響いた時間を「一日目/深夜」と
記述しております。
予約した赤道斎のSSをしたらばに投下します。
実は参戦時期の原作七巻の内容が思い出せず、
それによって矛盾が生じてしまうかもしれなかったのです。
ですから、原作七巻を完璧に覚えていらっしゃる方、手元にある方、に
チェックしていただけると幸いです。
矛盾の有無がわかった後で、ここに投下します。
>>425 成程。原作がよく分からないときはこういったやりかたもアリだな。
自由だなー、赤道斎。
原作との矛盾点についてですが、際立ったものは無いかと。
赤道斎の能力の幅は原作で厳密に定義されていません。
なのでスケートシューズを作ったりしても問題は無い、かもしれません。
ただ、以下の箇所に問題があるかと。
【C-7/道路/一日目・深夜】
ここ、道路じゃなくてスケートリンクですよね?
いぬかみは把握しきれてないが、作品の内容はGJ!!
思わず吹いちまったww
投下GJ!
赤道斎フリーダムw
赤道斎ワロタwwww
しかし、3000漬物石ってことは制限されても並みのようこぐらいはあるのか。
変態の癖に化物だな
結構このロワは制限結果に差があるな。それでも戦いの展開次第ではころっと逝くこともあるが。
赤道斎はバランス的にも最強クラスか。海浜公園を破壊しつくしても全く疲労していないし、スタミナ面でも強いな。
制限など関係なしに変態っぷりをアピールしてる赤道斎
俺たちに出来ないことを平然とやってのける
そこに痺れる、憧れるぅ
肉襦袢のプルシェンコを思い浮かべたのは自分だけではないはずだwww
>426
ありがとうございます。このスレに正式投下する際に修正しておきます。
実はわからなかったのは7巻で赤道斎が復活していたかどうかなんです。
その辺り教えてくださる方はいませんか?
>>433 七巻終了時では完全復活していたかと。確か八巻では大妖狐と元気に戦っていた。
>434さん、ありがとうございます。それでは正式投下を始めます。
氷上の冒涜者
しゃー、しゃー、しゅばっ
広大と評して問題ないほどのスケートリンクがあった。
殺し合いの場に似つかわしくないその場所を、さらに殺し合いに似つかわしくない者が滑っていた。
正確には殺し合いに似つかわしくない格好の者が滑っていた。
服の三割しか着ていない裸の魔導師。 その名は赤道斎。
もっとも、彼に言わせればローマの剣闘士の中には裸のものもいたし、
昔のオリンピックは裸があ・た・り・ま・え、だからスポーツ中に裸でも何もおかしくないのだ。
加えて、芸術的要素も高いこのスポーツに裸という芸術を持ち込んで何が悪い!と言うだろう。
だから、赤道斎は己の理論を実行し、その喜びをスケートで表現していく。
「わたしたちは、自由だーぁああ!!」
繊維ではなくプライドで出来た服を着ること、それは彼にとって自由そのもの。
卑猥の魔道具シリーズを遺し、異界の魔術すら手にせんと企む者。それが赤道斎。
「ぶわあはははっははははははっはははは!!」
彼はスケートリンクの氷の上を魔力で作り出した自作のスケートシューズで走っていた。
その靴には立体感のある裸の天使の飾りがついていた。
ある意味で芸術的だが、この男が履くとなぜか、いかがわしい。
「自由、自由、自由、自由、自由、自由、自由、自由、自由、自由、自由だああああああ!!」
ノリノリである。
彼は知らない、このスポーツがもっと静かに行われるものだということを。
「ひゃっほう!ビバ、裸体ぃいいいい!!」
仮にスケートリンクの精霊や女神がいたとしたら確実に冒涜者と決定されるだろう。
「ふう、やはり運動をすると気分がよいな」
赤道斎はスマイルを決めてつぶやく……七割裸で。
初め赤道斎は空を飛んで移動しようと思った。
しかし、なぜかうまくいかない。
飛んでも十メートル程でバランスを崩してしまうのだ。
すぐに聡明な赤道斎は制限とか言うふざけた制度のせいだとわかった。
そして、悲しくなった。
自由 それは赤道斎が望み、最近になって取り戻したもの。
それがまたしても、奪われている。
しかも、奪った相手は宿命のライバル『大妖狐』ではなくただの狐仮面の中年である。
劣化バージョンにも程がある。
だが、いつまでもくよくよ、としてはいられない。
契約の義を通さぬものは魔術師にあらず。そのポリシーもまた赤道斎のアイディンティティなのだ。
だから、気分を切り替えるためスポーツでもしながら目的の方向を目指すかと思いながら歩いていた。
そして、ソレをみたのだ。
看板、そこに描かれたイラスト。
そのとおりの靴を作り出し、滑りだした。それが数分前のことである。
「異界の魔術の理を吸収し、かならず契約は果たす……待っていろ、川平薫よ!」
まだ、赤道斎は絶望しない。この程度の苦難はすでに乗り越えた経験があるのだから。
「そして、まがい物の狐よ!我を甘く見るなぁああああ!!」
疾走、滑走、大ジャンプ。動きで表現されるのは執念の脈動。欲望が生み出す推進力。
力だ、力が欲しい!未だ見ぬ異界の力が欲しい!!!
「その目に刻め!わが姿を、わが裸体を!!わが生き様を!!!」
困難に立ち向う氷上の冒涜者、ここにあり。その名は赤道斎。
【C-7/道路/一日目・深夜】
【赤道斎@いぬかみっ!】
[状態]:健康。 ハッスル。
[制限]:全盛時の約三割。3000漬け物石程度まで能力が抑えられている。
また、飛行に関しては距離の制限がある?
[装備]:胸から下半身にかけては何も身に纏っていない。裸の天使の飾りが付いたスケートシューズをはいている。
[道具]:速記原典@とある魔術の禁書目録、支給品一式。
[思考・状況]
1:声が聞こえたほうへ向かう。
2:川平薫との契約を履行するため、主催者を含めた未知の力を持つ者と接触し、その力を解明する。
3:狐の仮面をつけた男(主催者)に対抗心を燃やしています。
4:邪魔をする者は殺す。
5:一般人は基本的に無視。
[備考]
1:参戦時期は7巻終了後。
【速記原典@とある魔術の禁書目録】
オリアナの書いた簡略版魔道書。
魔道書の持つ魔法陣としての側面に特化したもの。
基本的に書いた本人以外の誰にも記述内容を理解できず、また、厳密な意味で同じ魔術は二度と使用できない。
申し訳ありません、状態表で指摘されていた【C-7/道路/一日目・深夜】を修正するのを忘れていました。
@ウィキのまとめに入れる際にどなたか修正していただけるとありがたいです。
乙。
そーいや、速記原典って枚数制限とかどーなったんだっけ?
速記原典につっこんでも反応がなくて泣いた俺
>>442 ドンマイww
速記原典に関しては、原作に出た枚数だけ…威力制限は、いるかな?
>>443 威力制限は必要無いかと。
というか、そもそも速記原典は難解過ぎて、禁書世界でもオリアナしか使えなかった。
異世界出身で魔術体系が明らかに違うだろう赤道斎がまともに使用するのは無理かと思う。
加えて言えば、原作で赤道斎は川平薫から西洋魔術の知識を入手したという描写があるので、異なる体系の理解には相応の労力が必要だと思われる。
異なる体系を短期かつ独学で理解するのは無理だろう。
速記原典は単語カードのような外見で、しかも一枚につき一度の使い捨てだった。
そこから察するに、枚数については、四十枚から六十枚程度ではなかろうか?
まぁ速記原典使用可能なのはロワ制限って事で…
枚数に関しては、数十枚あっても原作で使用されてない分はどうしようもないし
オリアナの特性状、同じ魔術はない。オリジナル魔法を入れるのもどうかと思うし…
速記原典が使用可能なのはロワの制限って事で…
枚数に関しては、数十枚あっても原作で使用されてない分はどうしようもないし、オリアナの特性状同じ魔術はない。オリジナル魔法を入れるのもどうかと思うし…
>>446 ロワ制限で使用可能にするってことは、誰でも速記原典を使用できるということだろうか?
雰囲気的には、昔話の『三枚のお札』に出てくる『お札』みたいな感じで。
うぉ!?
連投しちまってたorz
>>447 んー…魔術関連の人限定or一般人もおK…どっちが良いかな
>>448 まあ、周囲の反応をとりあえず待つべきかと。
前述したように速記原典は理屈で考えれば『本来参加者は誰もまともに使用できない支給品』なわけで。
結構、微妙な扱いにならざるを得ないわけですよ。というか、モロに鬼門。
おやー、予約すらない状態って久しぶりだな
すまん、3月4月は忙しいんだ
書きたいけどなー
一応聞くけど、このロワは自己リレーは無し?
他ロワでは、おKなとこもあるんだが
書く人が少ないのであれば自己リレーもしかたがないんじゃ?
とまれ、他の人の意見も聞いてみたい。
>>453 同感。
全作品を確実に把握している書き手はもっと少ないだろうから、ある程度自己リレーの要素が加わっても仕方ないと思う。
ただし、自己リレーに関してはロワの気風によるので、他の人の意見も聞きたい。
人が多いロワならともかく、過疎り気味のロワなら自己リレーも必要だとオモワレ
自己リレーは過疎ってるなら仕方ない。
それと、思ったんだけど、他のスレでキャラ別にSSがリンクで繋がってたりするだろ
(LS、アニキャラ、アニキャラ2nd、とか)
ここのまとめも同じようにしたほうがいいのかな?
意見聞かせてくれ
ちなみに俺、リンクの貼り方知らん
流れ的に、自己リレーは有りかな?
リンクに関してはWiki編集の方々に余裕があればして貰いたい
自己リレーはアリみたいな感じだな。
でも、過ぎた自己リレーにはストップをかけることを書き手も読み手も意識したほうが良いかも。
言うまでも無いことなのかもしれないが。
すいません
『血飛沫に笑う少女』にて修正点を発見したのでWiKi氏に修正願います
修正は箇所は
ようこ視点での
その匂いは、大好きな人の匂いではない。なら誰?
と
――コレガ、ケイタヲコロシタノ?
の間。
最初の一姫視点での
小柄な一姫でも扱える程軽くて良い剣なのだが――
と
「萩原さんなら巧く扱えるんでしょうけど、姫ちゃんが持ってても猫に子分ですし」
の間に、一行空白を。
ギギナの視点での
彼女は、少女の容姿をしていたがを
彼女は、脆弱な女の容姿をしていたが
に変更。
更に、二つ目の一姫視点で
先程は砂塵き紛れて〜。
となっているので
先程は砂塵に紛れて、へ変更。
以上の箇所を修正願います。
>>459 修正行いました。最後の箇所については、下記のように変更しました。
「先程は運良く避け、煙と砂塵き紛れて」
↓
「先程は運良く避け、煙と砂塵に紛れて」
言われていた文面が見つからなかったのでこうしましたが、何か
問題あるようでしたら再度ご連絡下さい。
>>456-457 現在、参加者のページで、どのSSに登場したかを記載する予定。
記載作業を楽にできるよう、SS全てに書き手名(トリップ)と、SSに
登場した参加者名をタグとして登録しております。
SSからSSにリンクを張るのと、参加者ページから登場SSにリンク
張るの、どちらがいいでしょうか?
っていうか、速記原典自体、放っておけば一日で崩壊するだろ
あれがずっと存在するのは、毎日オリアナが原典を書き綴ってるからなわけで
まあ、その辺もロワの制限で〜でいいんじゃないかとは思うが
速記原典がすぐに崩壊する代物だと忘れてた香具師は挙手。ノシ
すまない、本当にすまない……。
>>461 そういやそうだな・・・・・・。
ロワ制限しなければ最早ただの単語帳か・・・・・・。
>>460 感謝です
いつもありがとうございます(^∧^)
速記原典は、1日で崩壊する代わりに原作そのままの威力。
あと、一般人でも使用可(禁書の世界じゃ手順さえ踏めば誰でも魔法を使える。ロワ制限でその手順を省いてたって事で)
というのはどうだろう
単純に誰も使えない、けれど魔法が使えるアイテムが存在すると言うことがわかるという情報源的アイテムとしての価値はないのか?
>465
良く考えたら説明書がないと成り立たないな
だったらオリアナを出してオリアナが使えばいいんじゃない?
外部からの介入で、「あんたらを主催者のところへ運ぶように頼まれた」
とか言わせて。
何か流れがグダグダなんだが。
使用可能不可能とか説明書とかどうとか新キャラ出すとかどうとか言うくらいなら、
登場作品の設定でどうにか刷り合わせできないかを考えてみた方がいいんじゃ?
例えば概念条文を使って、用途不明の支給品に対し使い方がわかるようにするとか。
概念条文って説明書のことじゃないのか?
>>470 「名は力を与える」十拳のように、触れることで一般人が
使い方を理解できるような概念が、銃器や魔道書に
篭められていればってことか。
争いには無縁の学生とかもいるから、説明書かわりに
使えはすると思う。
以下、適当に考えてみた概念条文。
「理解されるために存在する」「武器は身体の一部である」
したらばの仮投下スレに薫のSSが来てるんだけど、代理投下すべき?
二日前の日付だな。
代理投下してほしいのなら、仮投下スレで作者さんが何か言うだろ。
とりあえず様子見でいいんじゃないか?
ウィキ更新はこまめにされてはいるが、最近予約も話題もあんまりないな
…年度末だから忙しいのか?
どうもお久しぶりです、したらばに投下したことを報告しなかったのはスイマセンでした。
実は、投下した後、ラストのオチに不満を抱いてしまい。推敲することにしました。
あと2、3日考えてから本投下するつもりです。
そろそろ来るかな。
仮投下スレくらい見ろよw
風の無い夜、年季の入ったこの古い建物は、押しつぶすような、密度の濃い静寂に包まれる。
じゃばじゃば、
と、僕はトイレを出てすぐの場所にある洗面台で手を洗っていた。
薄汚れた洗面台と、錆の浮いた蛇口。そしてその上にある長い年月を経て劣化し、曇った鏡。
汚れ、曇り、濁った鏡にはひどく青ざめた表情の見慣れた顔が映っている。
その濁った色の鏡と洗面台を、常夜灯の暗い光が、ぼんやりと照らしている。
きゅ、
と、蛇口を閉めハンカチで手を拭く。
うがいをして口の中の酸味を洗い流し、そのついでに顔も洗い、手を石鹸でこする。
そんな日常的な動作によって、僕―井上心葉は驚くほど落ち着きを取り戻していた。
無論、未だ恐怖も混乱も無くなってはいない。けど、持病ともいうべきストレス性の過呼吸は収まり、
今なら冷静に思考することもできる。
「冷静に、冷静になれ。推理小説だとパニックを起こした人間から死んでいくんだ。」
まずは、状況の把握だ。
・僕らは狐面の男の一味に拉致され、見知らぬ土地で殺し合いを強要されている。
・この殺し合いは、僕たちが最後の一人になるまで続く。
・狐面の男の一味に逆らうと、首輪を爆破され殺される。
・ここ居る僕の知人は遠子先輩と琴吹さんだけ。
・僕には武器として拳銃(と十分な量の弾丸)が支給されている。
この条件下で、僕はいったい何ができる?
@狐面の男たちを倒す。
…無理だ、僕は漫画やハリウッド映画に出てくるヒーローじゃない。
A殺し合いに乗り、最後の一人を目指す。
…遠子先輩や琴吹さんも殺して。
そんなことが僕にできるのか?
Bこの殺し合いから逃げる。
首輪がある以上は不可能。そして、ただの高校生である僕にこの首輪をどうにかする技術は無い。
万一、首輪を外せても、ここが何処なのかもわからない僕が、無事逃げ切れるとは思えない。
C諦める。
…嫌だ!死ぬのは嫌だ!!殺されるのは嫌だ!!僕はまだ死にたくない!!!
「…落ち着け、落ち着んだ」
大きく息を吸って呼吸を整える。パニックを起こしちゃだめだ。
情報が足りない。僕はあの狐面の男たちのことも、この場所のことも、僕以外に連れて来られた
人たちのことも何も知らない。知っているのはせいぜい先輩と琴吹さんのことだけだ。
知らないから分からない。分からないから答えも出ない。答えの出ないなら、どうすればいい?
「…先輩に相談しよう。」
そうだ、僕は一人じゃない。相談できる人が、頼るべき人がいる。
あの、お節介でお人良しな自称“文学少女”なら、きっと答えを教えてくれる。
どんな断片的な情報からだって、物語を“想像”し最も正しい答えを教えてくれるはずだ。
行動指針は決まった。
肝心の決断を先送りにしているだけだが、それでも目標ができたことで少しずつやる気も沸いてくる。
デイバッグから地図を取り出し、移動ルートを考える。先輩がどこにいるかわからないが、どこを目指すかは
見当がつく。本の妖怪が目指す場所は、本のあるところに決まっている。まずはA-4にある学校に行き、そこから
順繰りに南の市街地(特に本屋や図書館)を捜索しよう。うまくいけば、途中で琴吹さんにも会えるかもしれない。
先輩たち以外の人に出会ったらどうしようか?危なく無さそうな人なら、場合によっては同行すべきかも知れない。
でも、人が見かけによらない、というのは竹田さんで経験済みだし…
気がつけば、ずい分と長く考えていたらしく、窓から見える空も少しずつ白み始めていた。
カーテンの隙間から差し込む光が、まるで僕の心に芽生えた希望の光に思えてくる。
「そうだ、明けない夜なんてないのさ。」
ぐぅぅぅ
そんなことを考えていると、お腹が急に鳴り出した。
そういえば、数時間前に胃の中身を戻した後は何も口にしていない。
「調度いいから朝ごはんにしよう。」
デイバッグから食料品を取り出す。
いくつか種類があったが、日持ちしそうな物は取っておくことにし、カレーシチュー(なぜかこれだけは普通の皿に入れて
ラップで蓋をしてあった)を給湯室へと持っていく。予想通り、給湯室には旧型の電子レンジが備え付けてあった。
シチュー皿をレンジに突っ込み、ボタンを押す。シチューを温めている間に、棚や備え付けの小型冷蔵庫を漁ってみるが
幾らかの食器と塩や砂糖など調味料が見つかっただけで、食料品や武器になりそうな物などは見つからなかった。
温まったシチュー皿をデスクに置き、事務用の硬い椅子に腰を下ろす。
流石に、嘔吐物を片付けていないエントランス側で食事をする気にはなれず。(そもそも適当な机が無い)
奥の事務側で食事を取ることにした。
「いただきます」
カレーシチューとミネラルウォーターだけのささやかな食事だが、空きっ腹に暖かいシチューはたまらない。
いささか味がおかしい気がしないでもないが、空腹という最高のスパイスのおかげであっという間に半分以上
平らげる。
「…なんだ、これ?」
シチュー皿の底が見えてくるころ、ようやく僕は皿の中に何か異物があることに気づいた。
それは折りたたまれビニール袋に収められた封筒だった。なぜ、こんなものがシチューの中に隠してあるの
かいぶかしみ。取り出したビニール袋を破り、中身を汚さないように封筒を開く。
それは遺書であった。
夫であろう人物へと当てられたこの遺書は、読む者の心に迫るような、歓喜と懺悔に満ちている。
だが、何かおかしい。これほど強い情感の篭った文章なのに、何処かピースが合わない。
「なんで、この人は自殺したんだ?」
理由は書かれているが、それはひどく曖昧で納得が出来ない。
こんな遺書を残されても、残された者は困惑するしかない。
そう思いながら、「追伸」と書かれた最後の一枚に目を通す。
―追伸。
この手紙を読んでいるということは、シチューを食べてくれたのだと思います。
私は病院という水槽を出ると、死んでしまう人魚です。あなたに吊り上げられましたが、
八尾比丘尼にはなれそうもないので、せめて人魚になることにしました。
私と一緒に、ずっと生きて下さい。
シチューのお肉は、私です。
「………………」
思考が、刹那、停止した。
何が書かれているのか、その数瞬、理解できなかった。
目の前には空のシチュー皿。
ただ、黙って見下ろした。
「………………」
数秒の、間。
そして
僕は胃の中身を全てぶちまけた。
【C-3/農協内部/早朝】
【井上心葉@“文学少女”シリーズ】
[状態]:極度のストレスによる過呼吸、錯乱
[制限]:無し
[装備]:グロッグ17(装弾数17)@現実
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、9mmパラベラム弾(100発)
[思考・状況]
1:錯乱中
2:遠子先輩に会いたい(合流後は以後の方針を相談)
3:琴吹ななせに会いたい(出来るだけ傷つけたくない)
4:死にたくない
【志弦のカレーシチュー】
海部野志弦が自殺直前に作ったシチュー。
味はちょっと微妙だが、夫への愛情と彼女のお肉(舌)が入った一品。
代理投下終わり
投下&代理投下乙。
心葉くん、泣きっ面に蜂だなぁ。
なんというか、嘔吐キャラが定着しないことを祈るw
投下おつ。先輩は拡声器の呪い、後輩はカレーの悲劇か。
俺のななせといい、文学キャラはピンチが続くな。
……読み返して気付いたが、時間帯が早朝だ。
左右のエリアでは惨劇が繰り広げられていたというのにw
愛情たっぷりのタンシチューktkr!
そして俺のトラウマスイッチにもktkr・・・
書き手の采配で今後化けそうなキャラになるかもしれんから楽しみだ。
ただの主催者からの嫌がらせにしても楽しめるがな!
投下乙
まさかあれを使うとはww
投下乙〜。
まさかの愛情シチュー支給とは予想できなかったぜ。
はてさて、八百比丘尼の肉を食べた心葉はどうなることやら。
これより投下しようと思いますよ。
そこはまるで、街の死骸のようだった。
風化した道路に沿って並ぶのは、壁には亀裂が入り、窓ガラスの割れた建物がほとんどだ。
中には、完全に壁に穴が開いているものや、鉄骨がむき出しになっているものもある。
青白い月光に照らされた廃墟を、柿原里緒が歩いていく。
「ねぇ、小町。晶たちはどこにいるのかな?」
細長い得物を携える里緒は、共に歩く白猫に声を掛けた。
世間話をするかのような口調の里緒に、小町は鳴き声一つで応じる。
早く会いたいなと、里緒は思う。
普段通りの力があれば、小町を分裂させ続け、晶たちを捜すことが可能だ。
しかし今は、分裂させるたびに強い疲労を感じるようになっており、あまり数は増やせそうにない。
「困ったなぁ」
首を傾げ、一人ごちる。
誰にも会えないのはどうにも寂しい。
向かう先で誰かに会えればいいが、そう都合よく事が運ぶとは思えない。
そもそも名簿にあった人物のうち、里緒が識別できる人物がどれだけいるかという問題もある。
里緒は“欠落”を抱える存在しか識別できない。
そうなったのは、小町と――虚軸『有識分体(分裂病)』と出会ってからだ。
里緒は、人が持つべき物のうちの何かを、失っている人物のみを認識できる。
例えるならば、里緒にとっての人の群れは、森を形作る木のようなものだ。
森を形作る同じ木の一本一本の区別はつかない。
だが同じ種類の木でも、枝が折れているものや、葉が全くないものならば区別は付く。
しかし当然、そんな人物が多数いるはずもない。
この島にいる人間のほとんどが、識別不可能と思うべきだろう。
情報を集めづらいという意味で、これは大きなディスアドバンテージとなる。
欠落を抱えない人物と出会ったとしても、それが誰であり、どういった人物であるのかが判別できないのだ。
その相手が一人ならば、他の誰かと埋没することがないだけマシだ。
だが、複数となると問題は肥大化してしまう。
同じ存在としか感じられない者たちと行動を共にするのは困難だ。
何せ、名前や顔を覚えられない、といった次元ではないのだから。
それに、認識できない人たちと共にいるのは嫌だと、里緒は思う。
全ての生命体が無個性となって滅んだ虚軸を抱える里緒にとって、没個性は恐怖に他ならない。
「やっぱり、早く会いたいな」
もう一度、呟く。
しかし、廃墟に響く返事は、小町のものだけではなかった。
「奇遇ですね。わたしも会いたい人がいるんですよ」
声音は、真後ろ、それも近くから聞こえてきた。
足を、止める。里緒に従うように、小町も立ち止まる。
声に興味を示したわけではない。
声の主の、性別も年齢も、識別することなどできはしない。
それでも、里緒は振り返る。
相手の正体が不明でも、分かることはある。
小町の固定剤(リターダ)となってから、里緒の身体能力は上がり、感覚は鋭敏になっている。
だというのに、“誰か”は、里緒に気配を悟られることなく接近していたのだ。
場慣れしている、程度の言葉で片付けられない。
この“誰か”が、晶たちに危害を加えそうにないなら構わない。放っておいて問題はないだろう。
だが、しかし。
もしこの“誰か”が、晶たちの敵に回ろうとするのなら、“誰か”は里緒の敵だ。
「戯言遣いと言われる人が何処にいるか、ご存知ですか?」
里緒の正面で、“誰か”が尋ねてくる。里緒は首を横に振り、答えた。
「知らないよ。ここに飛ばされてから、誰かに会うのは初めてだもん」
“誰か”の手には、一振りの剣がある。
長い刀身が月光を照り返し、鈍く輝くそれを警戒しながら、里緒は問い返す。
「里緒の質問にも答えて。城島晶、城島硝子、速見殊子、舞鶴蜜。知ってる人は、いる?」
◆◆
廃墟に出た崩子が、初めて見かけた人物に抱いた第一印象は、不思議な人、というものだった。
何処かの学校指定と思しき地味なジャージを着たボブカットの少女は、恐らく崩子より年上だろう。
だというのに、酷く幼く思える。
それは、無邪気さを感じさせる口調のためか、あるいは、足元の白猫のためだろうか。
「いえ。わたしもあなた以外に会ってはいないので」
そんなことを考えながら、答える。
他意も虚偽も誤魔化しも、駆け引きの意図も存在しない、ただの返答だ。
だというのに。
「……そう。分かったよ」
少女の声が、微かに低くなったのを、崩子は聞き逃さなかった。
大きなその目が、薄く細められたのを、崩子は見逃さなかった。
少女の足元にいた白猫が牙を剥き、崩子へと跳躍する。
反射的に後ずさった崩子の眼前を、猫の爪が斬り裂いた。
「それと、ね。言わなかった里緒も悪いけど、里緒の名前は柿原里緒だよ。代名詞で呼ばないで」
少女――里緒の表情が、声色が。
再び飛びかかろうと、身を縮める白猫が。
物語っている。
警告などといった手ぬるいものではない、と。
拒否権など存在せず、従わねば命を奪う、と。
明確な殺気と不愉快さでコーティングされたメッセージを、崩子に突きつけてくる。
その声ではない言葉を、崩子は咀嚼し、嚥下する。
そうして得られた推察は、里緒への印象を塗り替えていく。
末端の差異はあるだろうが、根源は似たようなものなのだ、と。
闇口の――殺し名序列第二位<<暗殺者>>の一党である、崩子自身と。
そう、つまるところ。
柿原里緒は、人外と言っても差し支えない存在なのだと、推測する。
そして、そうであるが故に。
彼――戯言遣いのお兄ちゃんに、危害を加える可能性がある存在と、崩子は結論付けた。
だから。
崩子は、手を動かす。夜闇の中、揺らめくように鈍色が動いていく。
鋭い切っ先を、正面へと向ける。
十拳を突きつけられても、里緒は眉一つ動かさない。
ただ、崩子に応じるようにして、里緒の手だけが動く。
細長い得物が、崩子に向けられる。
会話などなく、視線が交錯する。空気が一気に張り詰めていく。
引き絞られた弦のような大気があたりを包む。
「……小町」
その呟き声を、きっかけにして。
番えられた矢が解き放たれるように。
白猫が、地を蹴った。
先刻よりも、速く鋭い跳躍だ。その爪は、真っ直ぐに崩子の喉元を狙っている。
構わず、前に出る。勢いを乗せて、十拳を薙ぎ払う。
扱い慣れない武器だが、向かってくる猫の迎撃くらいは問題なく行える。
刃が白猫を両断する軌道を描き、直撃する。その、直前に。
前触れもなく、瞬時に、白猫が二匹に増殖した。
崩子は、無意識に眉を持ち上げる。
止まらない勢いのまま、剣が一匹を切り裂き、吹き飛ばす。
その確かな手応えが、あれは幻ではないと物語っている。
剣閃に巻き込まれなかった白猫は、更に数を増していく。その数は、瞬時に十に到達する。
猫の群れは、狩人としての本能をむき出しにし、一斉に飛び掛ってくる。
腕へと、脚へと、腹へと、喉へと、目へと。崩子を食い殺そうと襲来する。
左に跳びながら、崩子は十拳を振り下ろす。
縦の剣閃が、猫を三匹まとめて両断する。
裂かれ、潰され、断たれた猫は、死骸を晒すことなく消失した。
だがその間にまたも猫は増え、隊列を立て直して向かってくる。
爪や牙よりも厄介なのは、その整った動きと、分裂による数の暴力だ。
猫たちは数を増し、隊列を成す。
統率された動きに無駄はなく、確実に崩子の命を狩りにくる。
ならば、と。
殺気や音を頼りに、最小限の動きで猫の攻撃を回避し、迎撃しながら、群れの向こうを見据える。
崩子の敵は、猫の群れなどではない。
そこにいるのは本来の敵、殺すべき対象だ。
十拳を、握り締める。硬質な触感を掌に感じながら、崩子は駆ける。
進路を塞ごうとする猫を斬り伏せ、叩き潰し、へし折りながら前へ出て、包囲網を抜ける。
その、瞬間に。
里緒の足が、動いた。
一足で距離を詰めてきた里緒は、細長い剣を力任せに叩きつけてくる。
斬るというより砕こうとするように、剣が大気を割りながら崩子へと迫る。
速い。
だが、動きは単純だ。上から下へ振り下ろされるだけの一撃を見切ることなど、容易い。
大振りの一撃が、地に衝突する。
それによって隙が生まれた里緒に、崩子は肉薄する。
十拳を、突き上げる。
焦ったように得物を引き寄せようとする里緒の肺臓を貫こうと、刃が空を駆ける。
背後から襲い来る猫の気配を、崩子は察知する。
首を傾け、腰を捻り、ステップを踏むようにして、動く。
顔の真横を、脚の真下を白猫が通過して、そして。
左上腕を、硬質な爪が掠めていった。
釣り針を刺し、無遠慮に引っ張ったかのように、皮膚が引き裂かれる。
熱くぬめった液体と痛みが、上腕から肘にかけて噴出してくる。
その感覚に、崩子は小さく唇を噛む。
それだけ、だった。
呻き声を漏らしてなどいない。
表情を歪めてなどいない。
十拳を握る手から、力は抜け落ちてなど、いない。
正確に、確実に。寸分の誤差もなく、崩子は十拳を突き出す。
一撃で命を奪える箇所を、刺し貫くために。
視線の先、刃の向こうで、里緒が身を捩ろうとする。
身を守ろうと、死の先端から逃れようとするように。
その周囲、白猫の群れが一斉に襲ってくる。
主の命を守ろうと、死をもたらす者を裁こうとするように。
――悪くない反応です。ですがッ!
里緒の動きも、速度も、決して遅いわけではない。
むしろそれどころか、常人とは思えないほどに速い。
だが、緻密さと精密さと、戯言遣いのお兄ちゃんへの想いを以って、崩子は痛覚を呑み込む。
里緒を穿とうと全力で、容赦の欠片もなく踏み込んだ。
それと、同時に。
剣先が、柔らかな感触に触れた。
更に一歩を踏み、刀身を沈ませる。
崩子と里緒の距離が縮まり、十拳越しの抵抗が薄れていく。
里緒の身を包むジャージに、どす黒さが滲んでいく。
白猫の気配が減っていくのを、肌で感じる。
確実に命を奪う、正確無比な一撃の手応えだった。
力を失した里緒が、崩子にしなだれかかってくる。
倒れこんだせいで、十拳が更に深く突き刺さる。
里緒の体は、小柄であるということを考慮しても、思いのほか軽い。
血液を失したためでしょうかと、崩子は考えかけて。
甲高い鳴き声が、真横から聞こえた。
強烈で明確な殺意の篭った猫の鳴き声だと、反射的に感付いた崩子は、後ろに跳んだ。
頬に痛みが走り、顔の輪郭をなぞるように血が垂れ落ちる。
まだ残っていたらしい猫を駆逐しようとして。
崩子は、気が付く。
つい数秒前まで、あったはずのものがなくなっているということに。
この手で、十拳で貫いたはずのものが、消え失せているということに。
そう、まるで。
斬り捨てても死体を残さずに消失する、白猫のように。
もしも、彼女が――里緒自身が、白猫と同様に分裂することができるのなら。
咄嗟に、振り返る。
ひび割れ、荒れ果て、薄汚れた道路の上に。
青白い月光に、ぼんやりと照らされて。
いつの間にか再度顕現していた無数の猫に守られるようにして、幽鬼のように。
彼女は、立っていた。
致命傷だったはずの傷跡も、ジャージに滲んだ血の痕跡もなく、柿原里緒は佇んでいた。
俯き加減であり、里緒の表情は窺えない。
ただ少なくとも、白猫は戦意を失ってなどはいない。
紅玉のような赤い瞳を崩子に向け、姿勢を低くしている。
――このままだとジリ貧、でしょうね。
際限なく増える猫と、殺しても分裂する柿原里緒。
増え続け、蘇生し続けるのなら、それが出来なくなるまで殺し尽くせばいい。
とはいえ、そうするのは口で言うほど容易ではない。
まだ殺し合いが始まって数時間しか経過していないのだ。
消耗は抑えるべきだろう。
むざむざ殺されるつもりも、死ぬつもりもない。
そうなってしまえば、きっと、悲しむ人がいるのだから。
それ故に撤退するべきだと、崩子は判断する。決めたのなら、迅速に行動する必要がある。
十拳を握り締め、崩子は駆け出した。
里緒と猫に気を配りながら、月明かりすらも届かない、物陰を目指す。
急いでお兄ちゃんと合流しなければ、と。
そう考えながら、崩子は闇の中へと飛び込んでいった。
◆◆
“誰か”が去り、姿が見えなくなった瞬間、里緒を取り囲んでいた小町が一匹を残し、姿を消した。
一人残った里緒は、両手で鳩尾のあたりを押さえ、蹲る。
手放された剣が、重い音を立てて転がった。
「はぁ、はぁ……ッ」
里緒は、息苦しそうに呼吸を繰り返す。
彼女に視線を送る者は、小町を除き、存在しない。
それは、幸運だった。
仮に、“誰か”がまだいたのなら、戦い抜いた末に里緒が勝利するのは、かなり厳しかっただろうから。
どうやら小町は十数匹しか分裂させることはできない上に、分裂させるだけでいつもよりずっと疲れてしまう。
『乖離へ至る病(クリアランスゼロ)』という切り札は残っている。
しかし現状は、自身を分裂させる際の疲労が尋常ではない。
これほど消耗した状態では、虚界渦の開放は困難かもしれないのだ。
幸運でありながら、しかしそれでも、里緒の体は小さく震えていた。
里緒自身の分裂は、小町の分裂と違って不安定だ。
そのため、分裂して死を逃れても、死の感覚は里緒へと返ってくる。
まるで、死んだ街並に呑み込まれるように。
へし折れた鉄骨や、穴だらけのビルと、同様の存在になってしまうかのように。
里緒を、死が蝕んでいく。
何もかもが遠くなる感覚。自分が自分でなくなるような感覚。何もかもが失われるような感覚。
喪失感が、寂寥感が、孤独感が、空虚感が、不安感が、絶望感が里緒を襲う。
そして、あらゆる負の感情が織り交ざり、捏ね回され、形作られるのは。
圧倒的で絶対的で耐え難い、恐怖感だ。
「ああ、あああぁぁぁ……っ」
小さな口から、恐怖に押し出されたような声が漏れる。
抱えきれないほどに巨大で膨大で果てのない感情に、押しつぶされてしまいそうだった。
辛くて、寂しくて、怖い。
だから里緒は、抗うように、立ち向かうように、思い出す。
打算と欺瞞に満ちた親友のことを。
目的のためならば敵も味方も関係なく、容赦も遠慮も躊躇もせず、利用し、出し抜く親友のことを。
かつて死を体感した里緒を、抱きしめ慰めてくれて。
そして、里緒を一度たりとも代名詞で呼んだことのない、親友のことを。
思い出す。
温かい湯が冷えた指先に沁みこむようにして、親友の――城島晶の記憶が、里緒の心を解きほぐしてゆく。
しかし、それでも。大丈夫と、言い聞かせても。
里緒は、その顔から苦悶を消せなかった。
息遣いは変わらずに荒く、両手は鳩尾のあたりに添えられている。
さるさん規制食らったので携帯から。続きは仮投下スレに落としました。どなたか代理投下してくださると助かります。
そこはついさっき、“誰か”によって刺し穿たれた場所だ。
そこから、手が離せない。
触れていることに意味があるとは思えなくても、離せなかった。
「痛い、痛いよ……」
思わず、呻き声が漏れてしまう。そのときの呼気に合わせて胸が動き、走る激痛に顔を歪める。
もう一人の里緒から流れ込んできた死の感覚は、晶を想ったことで、少しずつ薄れ始めている。
それに伴い、もう一人の里緒が死ぬ際に感じた痛みも、消えていくはずだ。
だというのに。
里緒の皮膚には、筋肉には、肺腑には、色濃く残っている。
皮膚を破り、無理矢理に侵入してくる、底冷えのするほど冷たい感触が。
筋肉を潰し、血管を引き裂いていく、暴虐さすら感じる硬質な感触が。
肺腑を貫き、体内を陵辱し尽くした、死を顕現したかのような鋭い刃の感触が。
そう、残っている。
皮膚から血が抜ける感覚が残っている。
体が冷える感覚が残っている。
血液の代わりというように体内へ滑り込んできた鋭利さが残っている。
臓器に剣が触れた感覚が残っている。
肺を打ち抜かれた感覚が残っている。
鳩尾から肺の間に、長い刀身が突き刺さった感覚が。
引き裂かれた血管から血液が漏れ続ける感覚が。
明確な異物の感覚が。
激痛と共に、残っている。
今の里緒には傷も、その痕跡すらないにもかかわらず、体は貫かれたときの痛みの全てを伝えていた。
意識を失してしまいそうな激痛の中で、里緒は脳に血を巡らせ、考える。
これがおそらく、自身を分裂させた際の反動の増加なのだろう、と。
身体的には無傷となっても、しかし、もう一人の里緒が負っていた痛みが、幻痛として残るのだろう、と。
仮にこの痛みが消えず、分裂させた里緒が死ぬたびに蓄積されていくとしたら――。
考えて、身震いする。
致死級の痛みをいくつも抱えながら生き続けるなど、考えるだけで正気を保てそうにない。
そうなるくらいなら、死んだ方が遥かにマシだろう。
しかし、それでも。
どんなに辛く、苦しく、痛くても。
「硝子、殊子、蜜……」
里緒は、デイパックを漁り、残った支給品――水晶様材(クリスタリン)の杖を取り出す。
それを支えにして、里緒はゆっくりと立ち上がった。
「会いたいよ、晶……」
あの重い剣は、今の体力では持っていけそうにないと思い、捨て置くことにする。
首には、未だに金属の感触が残っている。
冷たい嫌な感覚は、分裂しても首元にある。
嫌な感覚だと思うが、それを気にするだけの余裕はなかった。
足がふらつく。疲労と痛みで倒れそうになる体に鞭打ち、ゆっくりと歩き出す。
付き従うように、あるいは気遣うように、小町が、里緒の少し前を行く。
遠ざかる気配のない痛みが、体内で暴れまわっている。
消えてくれそうにない激痛に耐え、消えてしまいそうな意識にしがみ付いて。
里緒は、思う。
――どうせ死ぬなら、晶に利用されて、死にたいな。
【H-6/路上/初日・黎明】
【闇口崩子@戯言シリーズ】
[状態]:左上腕から肘にかけて裂傷。やや疲労。
[制限]:身体能力的には問題なし。その他は不明。
[装備]:十拳剣@終わりのクロニクル
[道具]:デイパック、基本支給品。
[思考・状況]
1:戯言遣いのお兄ちゃんと可及的速やかに合流。
2:戯言遣いのお兄ちゃんを傷つけそうな人物は殺す。
[備考]
1:十拳剣@終わりのクロニクルを所有している限り闇口(暗殺者)としての力を使えます。
また崩子の方の名前の方からも力を得ています。
2:ネコソギラジカル下で真心が骨董アパートを壊した後からの参戦です。
3:十拳剣に気を取られていたので名簿未確認です。
4:柿原里緒を危険人物として認識しています。
【H-7/北部/初日・黎明】
【柿原里緒@レジンキャストミルク】
[状態]:自身を分裂させたことによる激しい疲労。
鳩尾から肺に、分裂した里緒が死亡した瞬間と同等の激しい幻痛。
疲労と痛みにより失神寸前。
身体的には無傷。
[制限]:“分裂”した半身の死の反動増加。里緒自身を分裂させた際の疲労増加。
分裂した里緒の痛みが、幻痛として蓄積される。
小町の分裂数の上限は十数匹。そのほか不明。
[装備]:水晶様材の杖@薔薇のマリア、小町@レジンキャストミルク
[道具]:食料と水(里緒にとって1日分)、基本支給品。
『うたかたの日々』@日常
[思考・状況]
1:晶たちと合流したい。
2:代名詞で呼ばれたら殺す。
3:自身を分裂させて生きるのは苦痛だが、晶の力になって死にたい。
[備考]:
1:参加時期は四巻終了後付近。
2:虚軸以外でも“欠落”した者は見分けられる可能性あります。
3:闇口崩子のことを認識できてはいないため、再会しても相手が誰だか分かりません。
4:里緒を分裂させても首輪が外れなかったことに気が付いています。
※H-7にイキガネの剣が放置されています。
代理投下終わりっと。
>>503 投下乙。
里緒一途すぐる…
>>508 代理投下感謝です。
ツッコミ所や意見など、何でも言ってくださいませ。
投下乙。
さて、カロマインはどう動くか・・・・・・。
投下乙。
>――どうせ死ぬなら〜〜
レジキャスの主人公は何というギャルゲ補正なんだ…w
投下乙
暇が出来たので
インデックス予約します
すいませんが、予約を破棄させてもらいます
予想以上に忙しくなってしまった…
報告乙。がんばれー。
長い間、音沙汰なしにしていて申し訳ありませんでした。
法事や人大杉で来られなかったんですorz
一応、薫SS(b案)は書き終えていたので、早速壺を手に入れて参上しました。
これから投下します
……実は連投になるのを控えるという意味もあったんですがね。
風の指揮者に迫る羊(b)
「……はぁ」
薫はため息をついていた。理由は単純明快、疲れているから。
「どうしてだろうね」
呪われ、裏切り、信じて、死に、そして手に掴んだ幸せから一転して殺し合い。
それだけでも十分精神が疲れるにふさわしい。
だが、三十分ほど前に協力者を探すことを目標として行動すると決めた。
とにかく、目的のある行動で精神の疲労を防ごうとしていた。
だが、それすら今はどうでもよい。
めぇ〜、めぇ〜
ただ、望むことは一つ。
めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜
運悪く遭遇したこの羊。
めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜
その大群から開放されたい、ということ。
めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜
自分の運命に悲観的になりながらも、歩き出して遭遇したこの羊。
無害だろうと、気を緩めたのが間違いだった。
気がつけば、群れの中。出来れば今すぐ、知り合い、特に啓太とは合流したかったのだが。
しかし、無情にも大群に囲まれてしまい、自分の意思で動くことが出来ず、その望みは消えた。
脱出しようとして、押しても白いそれの弾力で力が吸収されるだけ。
そのまま、大群の移動に巻き込まれ、自分の意思とは別に運ばれていく。
「……啓太さん、僕はあなたに会いたいです。」
彼ならこの羊をあっという間に従えてしまう気がする。
『そんなに俺はすごくねえって』
彼の謙遜の声が聞こえる、もちろん幻聴だろう。
「けーたさーん!!」
薫は信頼するいとこの名前を夜空に向かって叫ぶが返事など返ってくるはずがない。
「はぁ」
自分もいぬかみ使いとしては彼と互角といえるだろうが、この羊には無力。
なぜなら、彼らはお腹がすいているから。
食欲につき動かされる彼らの動きは一貫していた。牧場に戻り、エサを手に入れること。
「ともはね、ようこさん、彼女たち以上の食欲か」
少し失礼かとも思うが、薫が思い出した食欲旺盛な人物はその二人くらいだ。
もちろん、二人とも常識の範囲内だし、宴会でなら啓太も食欲は大きいといえるのだが、啓太の場合は普段の食事が質素だからだろう。
【A-8/牧場前/初日・深夜】
【川平薫@いぬかみっ!】
[状態]:健康。ただし、シリアスな気分をぶち壊され、精神的に疲れました。
[制限]:不明。
[装備]:防弾チョッキ@現実、懐中電灯
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、アンテナ(ミニ)@戦闘城塞マスラヲ、折紙@現実
[思考・状況]
1:牧場によって休憩し、その後で、市街地へ向かう。
2:川平啓太、ようこ、たゆね、赤道斎との合流。
3:殺し合いからの脱出。
散々待たせてこの程度なのは実力の低さによるものなので諦めいただけると幸いです。
まだまだ、書き手としては未熟なので。
ミス >518と519の間が抜けていました
めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜
知人の回想している間に、だんだん動きが速くなってきた。
うかうかしていると、この白い大群に踏まれてしまう。
動物の大群に踏みつけられてただで済むとは思えない。
「はぁ」
また、ため息をついて薫は足を速めた。どうせ、地図によれば牧場はもう、すぐそこだ。
っというか、もう視界に見えている。っと、そのとき、薫の脳裏でとある記憶が蘇った。
「そういえば、啓太さんも野良の河童にエサをあげてたような……」
なら、この羊たちに少し付き合うのも……納得、できる……かもしれない。
ちらり、と羊に視線を向けて考えていく、この白いのに付き合ってあげようか、と。
『まあ、それが妥当だろ。』
ああ、啓太さん。そんな無情な。
めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜
めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜、めぇ〜
「……うん、わかったよ」
しかたない、この羊たちに付き合ってあげよう。
薫は抵抗を諦めて羊に囲まれ連行されていくのであった。
>>521 乙
最近過疎なのか?コメントより作品のは多いぞw
乙。ドナドナwww
最近過疎り気味なんで、連投とかはそんなに気にしなくてもいいんじゃね?
SS投下順の目次ページ見たら、同じ作者さんが連続で名前並んでるしw
もうwikiにも転載されているようだけど、タイトルの「(b)」はいらないんじゃないかと思った。
>>522 人大杉だからだと思いたい。ネタに対するレスも少ないのは残念。
真の主催者とかダンジョン?とかの話もまだまだできると信じてはいるのだけど。
>>人大杉
ああ、なるほど。専ブラ使ってるから気付かんかった。
それでwikiにリンクがあったのね。
人が増えてくれるといいが。
追記。あと、首輪と制限についても。
したらばにも感想・議論スレはあるけど、人のいないこちらで話をした方が活性化に繋がるか?
>>524 最近どこのロワも過疎ってたので、真昼間でも出てた人大杉が原因だったのかもね。
言われて気付いたが、トップページが地味に変わっててびびった。
新たに予約が来てるが、早速あの二人か。
どちらがとは言わないが、色々もう駄目かもしれんw
レベル5www 御坂終了のお知らせwww
ビリビリドンマイww
つか、自作品で一個修正点がorz
『血飛沫に笑う少女』にて、ギキナは南に向かっていたが今は西へと〜
とあるんですが
西→東に変えてください
あ〜んど
今度こそ、今度こそきっちり予約します
いーちゃんとねーちんを
いーちゃん、セクハラフラグ ねーちん、死亡フラグ
ねーちんの本名なんだっけ?まとめウィキ見てくるノシ
いーちゃんと神裂火織ねーちんか……いーちゃんが女侍に属性があるので、
ある意味見たかった組み合わせだったのだが、はてさて?
某ロワのスタートダッシュにコーヒー吹いた。
スレが立って一週間経たない内に800使い潰すって、どんだけだよ。
ところで皆、現在進行形で、幾つのパロロワ読んでる?
8作読んでると、たまに内容が混ざって困るんだが。
>530
あれ、アパートの管理人の女侍の名前が思いだせん。
だれだっけ?
>>532 みいこさんだろ
>>531 ここと漫画ロワ、アニロワ2、ギャルゲ2くらいかな
ニコとLSも序盤は見てた
>533 サンクス
>531 LS アニメキャラ2 ロボ・サイボーグ かな
知ってるキャラが出てないと読む気にならんからなぁ。
特定のキャラだけ追っかけてというのならギャルゲ、スパロワ、ラノロワ、アニロワ、漫画ロワ。
この5つ。そしてこの全てでお気に入りキャラ発狂とか不幸とかw
本家にアニロワ1,2、ロリロワ、漫ロワかな
知ってる奴だけ追っかけって感じだけど
>>530 既に終了したのなら葉鍵、アニメ、ギャルゲの1st、現在進行形ならラノベ、ここ、漫画、
ニコニコ、ロリショタ、ロボ・サイボーグ、なのはクロス、アニメとギャルゲの2ndだな。
たまに枠をまたいで登場するキャラもいるのだが、活躍の差異が激しくておもろいw
>>532 みいこさんは骨董アパートの管理人じゃねえぞwww
仮投下、来てるな。
なんという焦らしプレイ……
思考で使うのは丸括弧()であって、隅付き括弧【】ではないと思うんだぜ。
あと、前後編併せて50KB以内なら、一つにした方が転載する人も楽かと。
じゃあ、後編を仮投稿してから二つまとめて本投稿するわ
よく見たら、80KBだった。やっぱ、前項編だな。
>>542 一つ指摘としては文中でアクセラレータってなってたとこは一方通行と書いたほうがいいかも
>544
ご意見ありがとう。
参考にして修正するが、本気の彼はアクセラレータと書かないと違和感を感じるので、
申し訳ないが一部どうしても変えられない箇所もあるといっておく。
本投稿は明日。
>>542 ワードパットかオフィスのワードを使用しているのかな。
ウインドウズのメモ帳なら20KBに収まった。
本格的な感想は本投下時に回すが、時間は黎明じゃなくて早朝でFA?
しかし思った以上にBエリアがカオス過ぎるというか、動きがないというか。
3行目のエリアも同様にカオスだから、他の位置に動いてほしいが。
>546
どちらにしようか、悩んでいる。
早朝。というのは御坂が気絶から目を覚ました時間のつもり。
場面転換や視点変更は、改行とか記号を使った方が読み易いかと。
すみませんが
2-3日予約延長させてもらいますorz
>549 がんば。
題名「神に約束された討ち手はもういない、悪魔と超人は…」を投稿開始
◆◆
あるところに一人の少年がいました。
少年には聖人と悪魔と超人のお友達がいました。
聖人は言います。「彼は神に約束された討ち手なのかもしれません」
超人は言います。「そんなセリフをあっさり言えるやつなのよ」
悪魔は言います。「目障りなんだよ、殺したいくらいになァ!」
……でも、まだ三人は知りません。少年はもうこの世にはいないのです。
これから始まるのは悪魔の物語です。
まだ、宿命の相手、幻想殺しの少年が死んだことを知りません。
もともと、悪魔にとって少年はあまり親しい相手ではありません。
名前も知らないし、生きていて欲しいと願う仲でもありません。
でも、関係はあるのです。そんな悪魔の物語、始まり始まり
◆◆
「……オイ、こりゃいったい何の冗談だァ?」
空気と闇に向かって、子供を相手に語るように彼はつぶやいた。
さて、このオモチャがわかるかな?というようにも聞こえる。
「ンー、ンー、ン?」
自分で考えた演技をバカバカしく行って、答えを口に出す。
ボソリ、と。
結論;どう見てもバッテリー充電器と予備バッテリーです。ありがとうございまし……
「ふざけんなァアアアアアアアア!!」
アクセラレータこと、一方通行は絶叫した。
時をさかのぼって説明しよう、ここはB-2とB-3の境界線である。正確にはB-2の南端だ。
一方通行はアンネリーゼを吹っ飛ばしたあと、苦しみに悲鳴を上げる体を動かしてここまでやってきた。
しかし、悪魔呼ばわりされるほどの超能力者といえど、流石に疲れた。
本来なら『疲れた』では生易しいほどの体調なのだから仕方ない。むしろ恐れろ。
さすがに本人もこのままB‐3へ入るのは無謀と判断し、孤立して建っていた一軒屋に潜入した。
彼に余裕があれば、その工場区に似つかわしくない違和感に気がついただろう。
しかし、彼は違和感を読めず、ただ工場区の偉いブタが住んでいるのだろうと考え潜入。
音を立てぬように 姿を見られぬように 侵入がわからぬように
その理由は明確、休憩中に不意打ちされては意味が無いからだ。
かつての万全な自分ならともかく、今では『反射』は無制限の能力ではない。
ほんの数分しか、持たないバッテリー。戦闘モードなら……いや、通常モードでもかなり短い。
さらに戦闘モードを解除した後のあの激痛と変調。
あきらかな異変、細工された命綱。危機感を持つ余裕すらない。
(……いま、は、とに、かく、きゅ、けい、ウォ)
眠りたいという欲求に逆らいながらただ休み続けた。
今の彼はマーダーを演じなくてはならないのだ。しかし…
(ヌルイ、ヌルイ、ヌルイ!!)
マーダー(殺人者)などではヌルイ。元の世界で彼は何度か見たことがある。
光に導かれて焼け死んでしまう半端な悪党、すなわちマーダーが。
だから、そう、だからこそ。
(足りねェ、こンな闇じゃ俺は満足しちゃならねェ!)
超能力者、人造人間、凶戦士、策士、殺し屋、暗殺者、殺人鬼、始末番、虐殺師、掃除人、
それらと一緒ではダメなのだ。なら、それらを超える恐怖の対象とはなんだ?
決まっている、死神か悪魔しかない
人間の限界、常識、可能性、臨界点、それらをあざ笑うように一蹴する空想の上位固体。
生物を星に例えれば、太陽すら越える獄炎の恒星。
管理者が超能力者、人造人間でも。
ゲームの敵が凶戦士や殺し屋、暗殺者、殺人鬼、始末番、虐殺師、掃除人でも。
ソイツラをまとめて格下として扱って見せる
(管理者ねェ、ン?オイ、オイ、何時から俺はそんなわかりやすい三下に怯えるようになったんだァ?)
結論;そんな経験ねーよ、バーロー
「クハァ♪サイコーの結論だぜ、覚悟しとけ、三下ァ」
結論は出た。次はその結論に一歩でも近づかなくてはならない。
「支給品とか言うオモチャを笑って楽しい娯楽タイムだ、クソが」
◆◆
こうして冒頭に戻るのです。
ただ、一つ注意して欲しいのは充電器のコンセントは家庭用の見慣れたものではなく。
(外国式のコンセントとか言うオチではなく)
特殊な専用の差込口が必要だと一目でわかるほどに異様なカタチの仕様でした。
それは仕方ない、だってヘブンキャンセラーの特注・特製なんだし。
まあ、これはその気になれば電流を操作できるアクセラレータには問題ですらないんです。
ある意味、制限を緩めてもらったにふさわしい。
もしかすると、ミサカ妹軍団(シスターズ)が気を利かせたのかもしれない。
だが、それでも、ハラワタニックリカエルのだ。
(ンgァbィsfhfンf御萩ンビいおばydぎばくmkrkう開示デモンすとbst!!)
舐められた、見くびられた、狗のようにエサを放り込まれた。
悪魔にも手助けは必要だろうと哀れに思われ、同情された。
『ほれ、ほれ、狗っころ、やさしい狐さんがお肉を上げよう、ん?自分は悪魔だって?ウソ付け小僧w』
幻聴が聞こえ、それが幻聴とわかっていても感情は反応する。
「ッてンじゃねーぞ、カスがあああああああああ!!」
心の奥底にねじ込まれていた悪意がマグマのように沸騰する。
魂に付着した殺意が奴らを食い殺せと泣き叫ぶ!
超能力者、人造人間、凶戦士、策士、
殺し屋、暗殺者、殺人鬼、始末番、虐殺師、掃除人、
加えて死神、怪物、妖怪、幽霊、聖人、天才、
イレギュラー、読み手、語り手、妖精、カミサマ。
すべての生き物に恐怖を。
寝ても取れぬトラウマを、
洗っても落ちぬ血の臭いのキモチワルサを、
闇という名の悪魔の本質を、
一方通行の信念と恐ろしさを、教えてやる。
だが、殺しはしない。
死を凌駕する程のナニカを体験させて。
死神との戦闘が幼稚園のお遊戯になるほどのナニカを記憶させて。
絶望させてやる。
それは狗さえ尻尾を巻くであろう闇。
「ウォオオオオオオァアアアアグッガガガッガガァアアアアアアアア」
憤怒、憎悪、狂気、かろうじて冷静な思考、それらが声を阻害し、悪魔のうめき声となる。
マーダー?管理者?オイオイ、そんな弱いものをこの俺にぶつけるのか。
ただの地獄じゃセンスがねェんだ。
無意識にカミサマを信じてる恥知らずな連中に本当の白い恐怖を見せてやろう。
一方通行の能力、アクセラレータという真性かつ特異な悪魔の力で。
◆◆
これが悪魔のお話です。
怖いですか?ああ、こっちには来れませんよ?
だってここは境界線なんです。死線と言う名の境界なんです。
死神にはしっかりと目視できる境界なんです。やだなぁ、恨みなんてありませんよ?
妹を殺し合いに入れられたからなんて理由で恨むわけないじゃないですか♪
あ、忘れてた。実は超人さんのお話もあるんですけど……見ます?
そうですか……。やっぱり、そうしますか。僕としてはあまり見たくないです。
でも、仕方ありませんね。僕は語り部です。皆さん克目していただきます。
◆◆
超人こと超能力者の御坂美琴はB-4ではなく、B-2方面に向かっていた。
なぜなら、あのチェーンソー女(便宜名・ジェイソン)も同様の行動を取る可能性があるからだ。
ゆえに、B-2工場区の施設にシャワーを求めた。のだが、意外と見当たらない。
「はぁはぁ、じ、冗談じゃないわよ」
彼女、御坂美琴は中学生である。
某国のお嬢様でさえも、『実力不足』の四文字で入学を拒否できる一流の実力重視な校風を持つ有名校の生徒で、さらに学園都市のレベル5&第三位でも。
「……あの娘たちも、こんな気持ちだったのかしら」
偶然とはいえ竜と殺人鬼を退けても。11次元空間移動能力をもつ後輩がいても。
グラビトン能力者を圧倒できるとしても。一方通行の毒牙にかかる覚悟が出来ても。
イマジンブレイカーのオルタナティブとして『とある科学の超電磁砲』が本屋に並んでも。
「何で無理してるのよ、苦しいって言いなさいよ」
中学生の少女なのだ。戦うべきではない少女兵。
手榴弾を持たされることも、洗脳して戦わされることも、爆弾をまきつけられて優しさに漬け込まされることもない。
けれど、爆発に飛び込んだし、自分の命を道具にできるほど思いつめたし、上条当麻の優しさを利用して決闘をしたこともある。
「バカ!」
自分は馬鹿だ。大馬鹿でわがままな超能力者だ。
いまさら、人を救うことの難しさを考えてるような馬鹿だ。
今、自分と並ぶことができるほどの大バカは上条当麻しかいないに違いないと考えている。
それが彼女の現在の思考だった。そんな彼女の心の中は?
(……うん、ごめん。かなりシリアスなこと言ったけど、現実逃避だわ)
臭さから現実逃避をしていた。
だが、こうも言える。御坂美琴は人を助けたいと考える人間だ。
デスゲームに投げ込まれ、誤殺未遂と猟奇殺人者との遭遇し、最臭兵器で心が動転しても、
変わらずに無意識&根源的に。
たとえ、相手が
超能力者、人造人間、凶戦士、策士、
殺し屋、暗殺者、殺人鬼、始末番、虐殺師、掃除人、
死神、怪物、妖怪、幽霊、聖人、天才、イレギュラー、
読み手、語り手、妖精、カミサマだとしても。
自分に繋がる人である限り、助けたい
それが、あの聖人ほど無差別ではないし、あの悪魔ほど圧倒的でもない少女の根源。
第三位、通称・レールガンと幻想殺しの少年との近似ポイント……いや、比べるのは間違いだ。
自分だけの現実は比べてどうこう語るものではない。
第一位の最凶に対し、第三位は最も誇り高く自分の日常を守るのだ。
それは彼女が彼女である証。
(認めてやろーじゃない、これは戦いよ)
どれだけ絶望に立ち向えるかという、彼女自身の誇りをかけた戦いだ。
「!!あった」
御坂はついに目的の施設を発見する。それはただの一軒屋。だが、シャワーはあるに違いない。
あのジェイソンも追ってこない。
加えて他の施設から離れて、建っていたここはまさに求めていたオアシスだ。
「カミサマ、ありがとー」
臭いと汗を落すためのシャワーを求めて彼女はそこへ突撃する。
そしてついに悪魔と超人は交差する。
2つの異能が交差するとき、物語は始まる。
後編開始
◆◆
結論から言えば、二人は出会った。
「HEI、レールガン、主催者をブッと場そーゼ」
「まあ、光栄な誘いありがとう。ゴキブリソテーをあげるわ」
なんてことは言わずに、バッタリと無言で遭遇した。
「……え!?あ!!」「……ッ!ッ!!」
お互いが誰かを認識した瞬間、二人は同じ行動をとる。
すなわち、――攻撃!
(よりによってコイツ!?)御坂はポケットからコインを取り出す
(ハッ!まずはオマエからだ、レールガン!!)一方通行は利き手を後ろに引いて拳を握る。
“超電磁砲”が放たれ、拳と衝突し、アクセラレータのベクトル操作により天井へと進路変更、貫通。
レールガンの砲弾と余波の電撃をものともしない悪魔の手。
すでに拳は開かれ、次の行動を始めている。その手が狙うのは美琴の頭部!だが、そのまま圧勝としては終らない。
どこか懐かしい奇妙な匂いがアクセラレータに届いた。最臭兵器の臭いにまぎれて取り損ねかけたその匂い。
(この匂いは!?)
悪魔の手が超電磁砲を流すより早く、行われた反撃。それはカウンターと称してかまわない。
すなわち、美琴は結果を予測して二重の策を構えたのだ。
続く、攻撃 『空気分解!』酸素から猛毒のオゾンを作り出す現象。
(チッ、そいやァ、アイツらもこの手を!)
美琴は知る由もないが、実は彼女のクローンもこの手を用いていた。
だが、それは機械に言われただけの敗北のための手順。
当然、美琴の作戦は機械の計算の上を行く!
そう、ここは室内。一瞬での空気の喚起など不可能!
「これで、どう!?」
「ハッ!甘ェンだよ、レールガン!」
だが、すでに喚起口は開いている――レールガンとアクセラレータによって造られた穴が
「マヌケェ!」
ボッンッ
オゾンを大量に含んだ空気が風となり、開かれたままの扉から放出され、
同時に、その風は牙と化して美琴を野外へと吹き飛ばす。
そして、当然、天井から新鮮な空気が流れ込む。
「はァ〜、イイ空気だなオイ!サイコーの気分だ!!」
だが、アクセラレータはまだ戦闘モードを解除しない。まだここまでは美琴の策だから――。
アクセラレータの空気の入れ替えに便乗して室外へと逃亡するプラン。
さすがに、空気を操ることは予想していないだろうが、結果だけなら成功だ。
だが逃しはしない、ここでポイントを稼がなければ。
「……来いよォ?まだ立てンだろーが、レールガン!」
返事は――“電撃の槍”。
だが、アクセラレータはそれを避けない。むしろ、槍に向かって突撃する。
空気に衝突して事故になるトラックがないように、電撃ごときに敗北するアクセラレータはいない!
◆◆
かくして、アクセラレータと御坂美琴の戦いの舞台は野外へと変更。
そして……アクセラレータは史上初めての目撃者となる。
「…………勿体ェな」
「う、るさ、い!」
二人は対峙していた、――間に巨大な漆黒の渦を挟んで。
黒――それは砂鉄。
“砂鉄の剣”、それは御坂美琴が所有する手の内の一つ。
雷撃の槍、超電磁砲、砂鉄の剣、これらは御坂美琴にとっての三種の神器と言っても過言ではない。
逆に言えば、美琴に残された最後の手の内でもある。ゆえに美琴は賭けに出た。
それは砂鉄の剣の特性、形状の変幻自在という特性を利用した賭け。
「オイ、オイ、まさか螺旋状に変えただけでどうにかできるとか思ってんのか」
剣の形を捨て、災害へと変貌してアクセラレータを討つ。
だが、相手は災害すら無表情で乗り切る悪魔だ。足りない、力も、策も。
「……わかってる」
かつて落雷という災害を生み出した美琴だが、それは“あのバカ”に破られた。
人の限界を超えても討てない敵、――まさに悪魔。
「それでも、――」
美琴は目を閉じる。目蓋の裏の闇の中に浮かんでくる顔。
母、人造の妹、友達、テレポーターの後輩、花飾りをつけた少女、そして“あのバカ”。
奪われたくない日常がある。
(こんな、能力の進化実験に、誰かの命が食いつぶされるなんて、――認めない)
民間人は戦わない。例外は日常を守りたいときだけだ。
「――あんたを倒す」
それが、これが、超電磁砲・レールガンこと、御坂美琴の根源。
神に約束されし討ち手、白き科学の悪魔、神の手から零れた者を救う聖人、に勝るとも劣らぬ覚悟。
「……ほざいてんじゃねェ、タコがッ」
「あたしのことを誰だと思ってんの?」
これが終焉、幕引きだ。
「覚えときなさい、わたしの名前は」
電流の量を追加、跳ね上がるアンペア(A)の数値。膨れ上がる砂鉄の量。
「“超電磁砲(レールガン)”の御坂美琴よ!」
御坂美琴の災害が“悪魔”に炸裂した。
◆◆
「…………あれ?」御坂美琴は生きていた。意識を失っていたようである。
「あー、あー、あれ?」思い出せない。
「えーと、アクセラレータがいて、そんで戦って……」それで、追い詰められて。
「たしか、砂鉄の剣で」それで?その後は??
「あっ、そうか。力使いすぎてぶっ倒れたのね」でも、何で止めを刺されていないのだろう?
「って、いうか何で埋まってんの!?」解答;気絶して自分の砂鉄の山に埋まったから&それで相手に見つからなかったから。
御坂美琴、生存確認。
【B-2/工場区の一軒屋/初日・早朝)】
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:シュールストレミングを浴びていて多少臭い、砂鉄の山に埋もれています
[制限]:雷撃の槍は当たっても、若干体が痺れる程度にまで威力が落ちているので少し多めに体力を消耗をして威力を上げる必要があります。
[装備]:ゲーセンのコイン@とある魔術の禁書目録
[荷物]:変化なし
[思考・状況]1: 状況報告してー。っていうか、這い出なきゃ。
2:汗と埃と砂鉄と臭いまみれのあたしはお嬢様でしょうか?
3:当麻を探す
[備考]:バトルロワイアルを絶対能力進化実験の一環ではないか?と考えています。
◆◆
「…………」一方で、一方通行も生きていた。
種明かしをすれば御坂美琴が生きている理由はずばり、バッテリー切れである。
しかも、美琴の気絶後これ以上ないほどのナイスなタイミングで。
“砂鉄の剣”改め“砂鉄の災害”の利点は、風に乗った砂鉄すらも巻き込んで増幅し続けること。
はっきり言おう。
“一億の砂鉄の弾丸”を絶え間なく、さらに弾かれた砂鉄もすぐにまた巻き込まれて再装填される。
さらに上まで上りきった砂鉄は下の電流に引かれ落下してくる。
若干、威力は小さいが、これも無傷でいるにはベクトル操作しなくてはならない。
おまけに電撃の余波、砂鉄の抵抗による風力・熱エネルギー、空気の確保、など。
そんなに多種のエネルギーを“別々の対応設定”でベクトル操作していたらどうなるか。
解答;バッテリー切れ
(ン、計算どおりだなァ)
大体、本気で殺すつもりなら最初のレールガンや落下してきた天井の破片の反射で事足りる。
一度、外に出したときにバッテリーを交換することも出来た。
なにより、全エネルギーをまとめて御坂美琴に向けるなどの効率的な設定にすれば、バッテリーも節約できた。だが、しなかった。
「カンタンだ、ハイスコアは目の前ってかァ、レールガンもアノ世でビビッてんだろよォ」
演技をしながら一方通行は思う。
不幸な事故を装って御坂美琴の命を保つことに成功し、主催者に対するポイントも稼いだ。
(あの体力の消耗の速さは、気になンが、いうまでもねェ、もともとの疲労と制限だな)
それに他の参加者の制限に関してもある程度、情報を得た。
それらは一人では出来なかった。レールガンがあきらめずにあの大技を作り出したからこその結果だ。
(まあ、俺に勝ったと思わせときゃあ、あの小娘も少しはハイになって調子出ンだろ)
問題はこれから自分が南の街と北の駅、どちらに向かうかだ。
そんなことを思いながら、あの家の車庫にあった障害者用のミニカーを運転する一方通行であった。
一方通行VS超電磁砲 これにて終幕
【B-2/工場区の道路/初日・早朝】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]:肉体内部の損傷(何とか杖を突いて歩ける程度)、疲労(中)、精神的疲労(小)
[制限]:能力使用時の肉体内部の損傷
[装備]:ト字型の杖@とある魔術の禁書目録、通信用チョーカー(残りフル稼働時間20分)@とある魔術の禁書目録
障害者用の電気自動車@とある魔術の禁書目録で小萌センセーが使っていたものの新型(詳しいことは書き手にお任せ)、実はトランクの中に…が入っています。(書き手にお任せ)
[道具]:デイバッグの中に、支給品一式とバッテリー×2(1つは使用済み、現在使用中のと併せて3つ)、バッテリー充電器
[思考・状況]
基本方針:基本的に殺人。しかし対主催者側の活動を消極的支援
1:地下鉄駅or市街地に向かう
2;地下鉄で待ち伏せて基本思考の実行or市街地で御坂美琴と戦った敵の確認
3;バッテリーの充電できる施設を探す。
[備考]
1:ラストオーダーが主催者側に捕らえられていると判断しています。
2:主催者側が首輪等で監視していると判断しています。
3:参戦時期は8巻終了の直後。
前後編に分けるかどうかは、お任せで。
大量の指摘サンクス。
投下乙!!
超GJ
投下乙。
仮投下の時には言えなかったのだけど、充電器と予備バッテリーって本編で出たっけ?
戌子の飴玉のように延命措置とかは必要なキャラではあるから、仕方ないのかもしれないけど。
それから、チョーカーのフル稼働時間上限15分が20分に伸びてるのは何でなんだぜ?
御坂については、後続の書き手さんのために荷物の記述はした方がいいと思われ。
おそらく前回登場作と変わらないから「変化なし」と書いているのかもしれないが、念のため。
あと、どっから砂鉄を出してきたのかが。工場区にあったにしろ支給品の一つだったにしろ、
唐突に出てきたのでそれが気になった。
以下、「仮投下してたんだからそのときに言えよ」っていうならスルー推奨。
誤字脱字がひどくて推考不足が目立つ。
特殊な文体と相まって文から情景が流れ込んでこない。
諸所で過程が抜け落ちているから余計に拍車ががかかっている。
内容はすでに指摘されているように予備バッテリーが気になる。
あと砂鉄はともかく障害者用電気自動車も。
こんな序盤からあまりにも都合がよすぎる。
現地調達しまくりのロワなんて他にもあるし、このロワもそういう方向に進めるならいいけど、
それならそれでバッテリーと自動車が置いてある説得力のある理由が欲しい。
両方とも本来なら支給品扱いが妥当だろ。
俺も追記。
序文の聖人・超人・悪魔の台詞についてですが、俺の記憶が貧弱なせいか、
何巻からの引用なのかがわかんね。よければ詳細教えて頂けると。
>551と552の間がネ毛手いることが判明。 投稿
◆◆
一方通行がなにかを考えることが出来たのはかなりの時間をかけた休憩の後だった。
すでに最初の戦闘から数時間が経過して、途中何度か不振な音や気配に反応して戦闘モードにしたバッテリーも大幅に減っていた。
「……眠気は鬼門か」
ラストオーダー曰くである。眠りに落ちなかっただけでも誇るべきことだ。
「さてとォ、地図でも確認するか」
ある程度余裕がでたのだから、今できることはやらなければならない。
「チッ、反対方向に地下鉄の駅があるじゃねーか」
反主催派、脱出派、マーダー、無策派、などほとんどすべての人間が重要視する場所。
とっさに敵と反対方向に移動してしまったのはまずかったか。
(これから全速で向かってみても損はねェ、だが……)
今から向かっても第一回の放送までに辿り付けるかどうか。
(放送までに点数を稼いどかねェと主催者をダマせねェな)
それは人の命を奪うことを意味するが、そのことに罪悪感を感じるつもりなどない。
いまさら、この手が血に汚れたらなんだというのだ。もう、後戻りは出来ない。
マーダー以外なら殺す必要はないのだが、そこまでポジティブに考えてどうする。
しかし、そこで出てくる問題が一つ。
(クソが!殺し合いをさせたいならもう少しハンデを小さくしやがれ!)
それは休憩終了後に飛び出た一方通行の正直な感想でもあった。
移動にはまた、バッテリーを消費してしまう。さらに戦闘モードに食いつぶされる通常モードでないと休憩にならない。
休憩と戦闘の配分、それはいくら演算してもイレギュラーによって無に帰す。
「ハッ、ラクショウだ」
しかし、余裕の演技は崩さない、崩せなかった。
*ここから552
今の彼はマーダーを演じなくてはならないのだ。しかし…
>570
悪魔のセリフ以外は、とある魔術の禁書目録から。ただし、短くまとめるために多少書き変えた。
1巻のねーちん→聖人→元「上条当麻…いい名前ですね(以下略)」
5巻の美琴→超人
悪魔のセリフはいいのがなかったので自作。
バッテリーについて
実を言うと、予備バッテリーはないと原作で断言されている。
しかし、原作8巻での描写だと
完全にネットワークからきったときの描写がひどいので、さすがに必要だと思った。
どうしてもまずいなら書き直す覚悟はある。
>>572 1巻と5巻探したけどなかったし全然ちがったー。<台詞
………自分のSSに合わせるために、原作の方改変しちゃ意味ねーと思うのですが。
書き直すと言う前に、台詞と予備バッテリーの件だけでなく他の件にもレスした方がいいかと。
でないと同じことを繰り返すことになるかもしれません。
電気自動車を持ち出したわけは
一方通行をB-2の周辺以外でも登場させることが出来るように、
車の音で接触数を増やして発展性をだすため、トランクに入っているナニカで発展性を出すため。
普通の車でないのは扱いにくく、走行できる距離を適度にするため。
車があった理由(設定?)は…
実は初め、あの家は子萌先生の家のつもりだった。
「救い手は暗路を行く」の会話から想像して住民(子萌先生)の死体を出そうかなと。
でも、流石にやめ、没。 そんで、今のカタチに。
砂鉄はマンガ(とある科学の超電磁砲)で自然に地面から集めていたから特に気にしていなかった。
>諸所で過程が抜け落ちている
一部、抜けていたので投稿しました。
あー、どうしよう
作品は完成したんだが、流石に自重した方が良いよな?
連投スマソ
>>575 投下乙〜。
仮投下してたのに悪いんだが、俺からもひとつ細かい指摘をば。
赫怒の爪/悲愴の牙の状態表で一方通行は東に向かってるんだが、
すこしは触れないとまずくないか?南に来ちまってるぞw
山になって人が隠れるほどの砂鉄って流石にありえなくないか
ここまで駄目出しされるのも珍しい…書き直す気があるにしろないにしろ、ボツにした方がよくない?
とりあえず、限られた支給品で話を展開させようという気概がないのは分かった
バッテリーの使用時間については、フル稼働させなければ「48時間」という
記述をぐぐって見つけた…原作読み直してみる。
ともかく、引用した台詞や原作情報の改変、砂鉄や車等のご都合主義、
誤字脱字、シーンにおける過程抜け、前回登場時のステータス無視に、
今回のステータス記述の曖昧さ。これらをどうにかする気概があるなら、
予約そのままで書き直しするのもいいんじゃないだろうか?
それはそれとして。今回投稿してくれたSSは没でいいと思う香具師挙手。
ノシ
>>576 時間のある時で構いませんので、ゆっくり投下していってね!(AA略
あー、空気読めてなくてスマンが
12時より投下します
相変わらずの携帯故、途中で止まったら規制食らったと思ってください
ではでは、これより投下します
「………………」
「………………」
なんだろう。この息も詰まるような沈黙は。
目の前にいる肌を大胆に露出したお姉さん(ストライクゾーンど真ん中)は、先程から一言も喋らず、不気味な沈黙を纏っている。
微かに白み始めたとは言え、辺りはまだ暗い。
そのせいか表情を窺うことは出来ない。が、きっと不機嫌そうに眉を吊り上げているのだろう。
「…………はぁ」
悟られないようそっと溜め息を吐く。
まったく、どうしたものだろう。このまま沈黙を蔓延させていると、取り返しがつかなくなるような気がする。
しかし、何が悪かったのだろうか。
ぼくは、目の前の女性――神裂火織と遭遇した時の事を思い返す。
◆
ホテルを出発して暫く後、ぼくは真っ暗な街を歩いていた。
辺りには街灯の光すらなく、一面を闇が支配している。
正直、街灯くらい用意しろよ。と言いたいところだが、居もしない相手に文句を言っても仕方がない。
そう自己簡潔しながら歩みを進めていると、遥か後方から地を蹴る足音が響いてくる。それもかなり速い。
このまま歩いていれば、十分もしないうちに追い付かれるだろう。
さて、どうしよう。
接触すべきか、回避すべきか。
こちらに向かって駆けてくる相手。辺りに響く足音の速さ、まだまだ本気で走っているとは思えないその軽やかな音。そこから考えると、非常に高い身体能力をもっている、筈。
今のぼくには、戦力と言えるものが何一つない。もしその人物がゲームに乗っていなければ、情報交換もできるし、仲間になってもらう事もできる。人柄次第では大きな頼りになるだろう。
だが、ゲームに乗っていた場合。
多少の死線を潜り抜けてきたとは言え、身体能力は人並み。特殊な技能を持つわけではないぼくが、果たしてやりすごせるのだろうか。
十中八九無理。に決まってる。
ならどうする?
考えろ。メリットとデメリットを天秤に掛けて、どちらが大きい?
ここでの判断が、後々大きく利いてくる。言うなれば将棋の第一手。一手目に悪手を打てば、その時点で敗けが決まる。
さぁ考えろ。
どうする?どうする?
どうする?
「あの」
接触する?避ける?戦う?逃げる?
どうする?
「……あの!」
なんだもう。
今は忙しいんだ。後にして欲しいんだけど。
って……え?
「少し聞きたい事があるのですが」
『よろしいでござるか?』
「え、あ、はい」
思わず返事を返してしまう。が。
これは不味い。
どうやら予想以上に相手の足が速かったらしい。まさかこんなに速く遭遇するとは。
悪手。これは紛う事なく悪手だった。
何が、どうする?だ。何て滑稽なんだろう。とっても無様だ、この上なく。
結局何もできなかった。何の策もないまま、想定外の状況の中で、この殺し合いと言う舞台で、こんな愚を犯した。
くそっ。
何が、戯言遣いだ。いくらなんでも、致命的すぎるぞ。
決めたんじゃないのか?今度こそ、大切な人を守るんだと。
そう。ぼくには、やらなくちゃいけない事がある。
だから、死ねない。
死ねないなら、死ななければいい。
死に繋がるものを切り取り、排除し、潰し、砕き、殺し、解し、並べ、揃え、晒してやろうじゃないか。
今度こそ、誰も失わない。
皆で家に帰るんだ。
ならまずすべき事は、目の前の相手への対処。
さて――この出会い。吉と出るか凶と出るか。
◆
お互いに名前を名乗り合い、探し人や配布された支給品の情報交換を終えると、目の前のお姉さん(神裂さんと言うらしい)をじっと観察してみる。
女性にしては長身。長い黒髪はポニーテルでとても似合っている。
白い半袖のTシャツを、ヘソが見えるように着ていて、着古したジーンズは片足だけが太股の付け根が見えるほど大胆にぶった斬られている。
足には西部劇に出てくるようなブーツ、腰のベルトも、ウエストを締めるのとは別にもう一本、西部劇の拳銃でも収まっていそうな太いベルトが斜めに走っている。
男の欲情を刺激していながらも清廉された凛々しさを併せ持つ。
美しいその立ち振舞いは正に侍、だった。
あぁ……どこかみいこさんに似ている気がする。
みいこさん、会いたいな。
『いーちゃん殿も、我々が初めて会う人物だったのでござるか』
ふわふわと、現実逃避仕掛けたぼくの心を無理矢理現実に引き戻す声が。
その声は、有り得ないところから発せられていた。
全くもって有り得ない、こんな状況でも信じ難い。 その声は、神裂さんが腰に差してある十手から発せられていたのだ。
神裂さんから聞くところによると、岡丸と言うらしいのだが……。
『ふむ、神裂殿はどうするつもりでござるか?見たところ、いーちゃん殿に闘う力は無いようでござるが』
名前なんか関係ない。
寧ろ重要なのはそこじゃないだろっ。思わず突っ込みそうになるが、神裂さん自身も自分の事を魔術師、と言っていたのでこと突っ込みは意味がないだろう。
とりあえず、ぼくの知らない世界には魔術師や喋る十手が普通にあるらしい。
あはは。凄いなぁ。
………………………………………………………………………………………………………………………………………………もう嫌だ。
泣きそうなぼくを置いて話は進んでいく。
「そうですね……いーちゃんさんを放っておくわけにはいきませんし」
寧ろ、放っておいて下さい。
想像の斜め上の更に上を行く現実に、先程二度も決意を決めたばかりなのにもう逃げ出したくなる。
だが――
「いーちゃんさん、私達と共に行動しませんか?」
逃げるのは、無理らしい。
ぼくとしても戦力が増えるのは嫌じゃない。寧ろ嬉しいくらいだ。
戦力が増えれば、それだけ殺し合いを破壊する可能性が増える。
頭ではわかっている。のだが。だが。
『どうでござるか?』
……割り切ろう。
これは、そういう物なんだ。
この殺し合いの舞台では、普通なんだ。
返事の代わりに握手をしようと手を差し出す。
そのまま一歩歩み寄ろうとする、が。
「うわっ!?」
足が縺れたっ。
不味い。このままじゃ。
必死に足を踏ん張り地面に留まろうとする。
だが、無情にも足と地面が別れを告げ、重力に従い目の前にいる神裂さんに向かって体重を預けるようにして体が傾いていく。握手を求めた手を差し出したまま。
むにゅう。
という音が聞こえたのは気のせいだろうか。
何だか、掌がとても柔らかいものに触れている。
マシュマロのように柔らか、それでいてしっかりとした弾力をもっている。
まさか、これは、これはーっ――
◆
そして話は冒頭へと戻る。
すぐに(?)起き上がって謝ったのだが、どうやら神裂さんの中では五分はすぐじゃないらしい。
顔を真っ赤にしながら、それだけで人を殺せそうな目付きで睨まれた。
不味い。これは不味い。
何か、何か言わないと。このままじゃずっと気まずいままだ。
さぁ、今こそ戯言遣いの真骨頂。
神裂さんの機嫌を良くさせ、会話を復活させる魔法のような言葉をっ。
「神裂さん」
ジロリ、と睨まれる。
う……うぅ、敗けるな、ぼく。
「あの、神裂さんって」
髪の毛が綺麗ですよね、と言おうとして、すんでのところで思い留まる。神裂さんのことだ、その程度の賛辞、今までに散々、うんざりするほど受けていることだろう。
そうだったとしたら聞き流される可能性が大だし、ぼくのことを凡百の下らない男だと判断されてしまう危険もある。となると別の視点からの意見が必要だ。
「何なんです?」
「神裂さんって、胸が大きいですよね」
神裂さんはずっこけた。
……人間がずっこけるところ、久しぶりに見た。
起き上がった神裂さんは顔を耳まで真っ赤に染めて、ぼくを思いっきり睨んだが、口をぱくぱくさせるだけで結局何もいわず、綺麗な髪を翻して早足で道を進んでいった。うむ、どうやら何かを失敗してしまったらしい(狙ったけど)。
まぁいい。
人間関係というのは諦めが肝心だ。
ま、戯言だけどね。
【D-5/市街地/初日・黎明】
【いーちゃん@戯言シリーズ】
[状態]:健康。精神的疲労(小)
[制限]:不明
[装備]:無し
[荷物]:プラスチック製スプーン@現実、プラスチック製フォーク@現実、支給品一式
[思考・状況]
1:神裂と共に、崩子、一姫、上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオ(ついでに人識も)を探す
2:崩子と一姫を守る
3:狐さんの企みを壊し尽くす
[備考]
1:参戦時期はネコソギラジカル(下)途中です
2:ウィル子、川村ヒデオ、伊織高瀬に関する情報を得ています
【D-5/市街地/初日・】
【神裂火織@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康。羞恥。
[制限]:聖痕解放に強度の抵抗感(ただし無理やり解放可能。その代償は不明)
[装備]:岡丸@戦闘城塞マスラヲ
[荷物]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]
基本思考:弱者の救済(しかし人殺しは不可)
1:いーちゃんと共に、市街地を西から東へ気配を探りながら横断しつつ、以下の2と3を目的として行動する。
2:上条当麻、インデックス、ウィル子、川村ヒデオ、闇口崩子、紫木一姫、(ついでに零崎人識も)の情報を集め合流。
3:弱者を保護する。
4:ゲームの破壊。
5:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(15巻)終了後。
2:ウィル子、川村ヒデオ、伊織高瀬、闇口崩子、紫木一姫、零崎人識に関する情報を得ています。
【岡丸@戦闘城塞マスラヲ】
[状態]:健康。現在は七天七刀と同程度の長さ(2メートル程度)
[制限]:無し。
[思考・状況]
基本思考:正義を行う。
1:市街地を西から東へ気配を探りながら横断しつつ、以下の2と3を目的として行動する。
2、ウィル子、川村ヒデオ、闇口崩子、紫木一姫(ついでに零崎人識)の情報を集め合流。
3:弱者の保護。
4:ゲームの破壊。
5:元の世界への帰還。
[備考]
1:参戦時期は最新巻(3巻)終了後。
2:上条当麻、インデックス、闇口崩子、紫木一姫、零崎人識についての情報を得ています。
以上で投下終了です。
誤字脱字、こりゃおかしいだろ?って所があったらビシビシ突っ込んで下さい。
あーんど
毎度すみませんが、Wikiに転載するさいに
岡丸の状態欄の下に、岡丸の説明?のようなものを張り付けてくださいです
……あれ?日本語おかしいな
投下乙。まるで当麻の不幸セクハラが移動したかのような「いの字」の行動にワロス。
投下乙 …これ死亡フラグ?
予想をはるかに超える指摘、没にすることを決定。
書き直そうかとも思ったが、今週は旅行に行くことになったので不可能。
書き手から読み手に戻ってこれからもこのロワを応援する。
以上。
質問。支給品と銘打てばデイパックより大きなもの出しても構わないのかな?
上でちょっと出てるが…例えば車とか。
良いと思われー
投下乙
D-5がカオスになってきたw
D-5。何という人口密集地(ゴクリ
セラは東に行くとはいえ、そろそろ4人以上の団体が作られるかね?
メンバー見てるだけでも果てしなく不安だが。
いの字もねーちんも周りを不幸?にする体質なんだよな…
かっこうと命刻の行動も気にはなるが、ヒデオは一方さんが相手か。
つくづく主役の死にやすいロワだな(まだ死んでねえ
予約してる人の期限いつまで?
宣言から三日、申請することで二日延長?
出先なんでよく覚えてない。
すみません、延長の申請です。
残り25%のはずが、40%くらいとなってしまいました。
シーンを丸々削れば出せないことはありませんが……
納得いくまで足掻いてみます。
>>613 期待して待ってるノシ
◆zBrUlZy1Do氏はどうしたのかな…
書き込みも話題もネタもない……のでネタ提示。
今でこそ幾人かは出会ったりバトったりしてるが、この組み合わせが見てみたい、ってのはある?
俺は前向きな当麻と後ろ向きなサフィニアの不幸コンビ。
いーちゃん、佐山、赤道斎の3人(組み合わせは何でもいいの)で語り合って欲しい
話がどう転ぶか全く読めないw
おまえら615に無反応かよww
615はネタと話題になるだろww
俺が見たい組は井上心葉とたゆね
どっちも単独だと方針を決められないコンビw
人がいてよかったなw
佐山と啓太の変態頂上決戦は如何なものかと。
投下します。規制くらったら続きは明日か、仮投下スレに
投下するので、代理お願いします。
1
驚きは続くものだ、と胸中で感嘆する。
それもその筈。どういう原理なのかは不明だが、デイパックから高級車が
出てきたのだ。観客席から見たのなら手品と一笑に付すだろうが、背負える
程度の収納から車を引っ張り出した本人としては、これは異常ではあるが、
現実でもあると受け入れざるを得ない。
高校卒業後、社会の厳しさに心折られ成人するまでの二年を無為に過ごし、
三年目にして特異な環境に身を置くこととなった川村ヒデオ。電子の精霊、
喋る十手、魔族に埴輪に宇宙人といった常識外れの存在に触れ、この世には
不思議なことなど何も無いと実感し“色々”と慣れた彼ではあるが、眼前に
現れたアーマードベンツとそれが醸し出す重圧感に、つい支給品を確認する
手を止めてしまっていた。
(それにしても)
狐面の男達と、無惨に殺されてしまった少年の姿を思い出し、柄にもなく
憤るヒデオ。
「そんなに……そんなに殺し合いをさせたいのかっ」
聖魔杯という、殺人以外はノールールの生存競争に参加していたヒデオ。
この殺戮遊戯と聖魔杯を比べると、大きな違いが一つある。
双方で戦い方を決める、誰も死なない「遊び」。
命を懸ける、ルールに拘束された「ゲーム」。
前者には自由意志があった。けど後者には選択肢さえ無い。
(首輪を嵌めて、戦えと命ずる。僕達は犬じゃない。人間だ)
犬ならば主人の為に外敵と戦い、主人はそれに報い首輪と餌を与えるだろう。
だが爆発物を仕込んだ首輪により生殺与奪を握ることで選択肢を奪い、「願いを
叶える」という餌でプレイヤーの飢えを満たそうとするゲームマスターは主人
ではない。
(彼等は、噛み付いてでも逆らうべき暴虐なる支配者)
だからこそ、彼等の言いなりに誰かを殺しても、殺されても。それは勝利では
ない。決して。どんな形で生き残ろうと、死のうと。敗北でしかありえない。
(ならば僕は)
――誰も殺さない。誰も殺させない。いつも通りに戦い、いつも通りに勝つ。
例えそれが、いつも通りのギリギリの戦いになろうと、だ。
しかしそれを成すには、足りないものがある。
「数の、力」
口にし、歯噛みするヒデオ。他者とのコミュニケーション能力が圧倒的に低い
彼にとって、仲間の勧誘は戦うことと同じ位、難易度が高い。先程拒絶された
少女も、もう少し巧い遣り方があったのではと今も悩んでいる。
(あの子とは道を違えてしまった。けれど)
もし目的が同じなら、いつか何処かで必ず出会う……それまでお互いが生存
しているかは神のみぞ知るが。
(ウィル子、社長。僕は行きます。どうか、死なないで下さい)
聖魔杯優勝候補の一角であり、その実ヒキコモリに冒された希代のニート、
川村ヒデオ。
決意を胸に秘め、彼は静かにアクセルを踏み込んだ。
2
「ハッ」
歩く。
「ハハッ、ヒャハ」
歩く。杖を突き、一歩一歩地面を踏みしめる。
「ハッ、ヒャヒッ、ハハハッ」
工業区から離れ、暫くの時間を東に進みながら。
「ハッ、ハ、フャッ、ふッざけンじゃ、ねェ、ゾ!」
全身に疲労を纏い、線路の上で一方通行(アクセラレータ)は叫んでいた。
黒コートの少女を下し、東に向かうことを決めた一方通行。地下鉄の使用も
念頭にあったが、大っぴらに殺し合いに乗っている馬鹿共は目的地など考えない
だろうから交通機関を使わないと推測。ならば積極的に歩いて回り、殺し合って
いる者達を等しく縊り殺し、自分と打ち止め(ラストオーダー)の益になるで
あろう対主催プレイヤーを「自分は敵だ」と認知させ、結束を強くさせる。
やるべきこと、やらなければならないことは沢山で、少なくとも今は、ただ前に
進むことだけが彼の仕事である。けれども。
「歩ィても歩ィても何もねェじゃねーか畜生!」
舗装された道路ではなく、線路沿いに枕木の上を進んでいるのだが、余りにも
“何もない”ことに苛立つだけでなく、先程の戦闘の肉体的疲労と精神的疲労が
蓄積されっ放しの状態が続き、思わず愚痴さえ漏らしてしまう。
「東よか、南の方が面白かったンじゃねェか、もしかして?」
確かに、南に進んでいれば一方通行が退屈することは無かっただろう。黒衣の
復讐竜、針金細工の殺人鬼、とある科学の超電磁砲(レールガン)という有象
無象の人外が犇めく戦闘領域が展開されていたのだから。
彼の敗因はただ一つ。未だに、地図を含めた支給品一式に目を通していなかった
ことに尽きる。
「はン。自業自得だ糞ッタレ」
とはいえ、短い時間の戦闘と、それ以上の時間を使った行軍のおかげで疲労
困憊。このままでは主催者を打倒するよりも早く、自分が倒れてしまう。ペット
ボトルの水で喉を潤しながら、このまま線路の上で待ち続けていれば前か後ろ
から来る電車に無理矢理にでも乗り込めるのでは、と思っていると――
「鴨が葱背負って歩ィて来たぜ、おィ」
チョーカーのスイッチをONにする。足元から手近な石を拾い上げ、それを左手
で玩びながら、“誰か”に聞こえるように、呟く。
「当たれば二匹目、当たンなきゃ足代わりだ」
一方通行の前方100m先。この巫戯化た殺し合いの場であえて目立つように。
白塗りのメルセデス・ベンツW221がハイビームを点灯させて走っていた。
3
………………………………………………。
………………………………。
………………。
……。
「はっ」
鳴り続けるクラクションの音で目が覚めたのか、ビクリと身体を震わせて飛び
起きる。と同時に、甲高い警報も唐突に止まった。どうやらヒデオの頭か手の
どちらかが重石となり、警笛のスイッチが入っていたようだ。
(一体、何が)
目の前には、動作済みのエアバック。胡乱な頭で思考を働かせるが、断片的な
記憶と情報が飛び交い、全く頭が纏まらない。
(落ち着け……心を平静にして考えるんだ。こんな時こそ素数を数えるんだ)
素数とは1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字。たった一人という
この状況下、ヒデオは自らの孤独と素数のそれを重ね合わせ……徐々に思い出す。
T字路を右に折れ曲がってから十数分。地盤でも緩んでいたのだろうか、車体が
縦にガクンと揺れた。慌てて急停車し、車から降りタイヤの下を確認しようとしたら
……そこに“何か”が、いた。
(第一印象は、白。今にも壊れそうな体躯。あれは、真っ白な……)
ヒデオが車から降りようとすると、右手側ドアの前に、そう。上から下まで
白一色の幽鬼がそそり立っていた。時刻は丑三つ時頃ではあったが、あんなもの
に祟られるような理由は無い。
(そう、白髪の幽鬼はその後)
降りようとしても降りられなかった。問答無用で降車し、ドアでそいつを押し
退けてしまうことも選択肢にはあったが、何故だかそのような行動を起こす気に
はならず。次善の行動としてヒデオが行ったことは、左手でモーゼルC96を掴み、
いつでも使えるよう安全装置を外すことだけだった。
それをする前に、驚くべき事態が発生する。
「空中三回転だ」
漸く記憶が回復した。ヒデオがモーゼルの安全装置を外すよりも、ドアを
開けるよりも早く、そいつは車体を、あろうことか――どういう方法を使ったか
は彼には見当さえ付かなかったが――真上に投げたのだ。それもわざわざ回転
まで加えて。
シートベルトをしていたのが幸いしたか、車ごと浮かされた瞬間、身体は
後部座席へ投げ出されずにすんだ。だが真っ直ぐ着地したとはいえ、衝撃は
かなりのものだったのだろう。運転席だけでなく助手席のエアバックも作動
していた。後方確認はしていないが、多分後部座席も同様かもしれない。
本来ならば事故にでも遭わないと車が横転するという経験は味わえない。
かといって普通の人間なら味わいたくもない経験ではある。
「……どういうことだ?」
車一台。それも装甲車に近い重量を持つアーマードベンツを、車体が壊れぬ
程度――衝撃でどこかの機構が壊れている可能性もあるが――に、回転を加えて
投げる。そんなことを行えるのは一体どんな能力か。
いや、それよりも、どんな理由でわざわざ回転まで加えて車を投げるのか?
「こんなナリじゃマトモな運転だってできねーからなァ。ちょっとビビらせた
程度で、死に物狂いで働ェてくれるアッシー君が欲しかったってワケだ」
「!?」
後部座席を振り返ろうとし、思い留まる。
ヒデオの頭には、意識を失った時に取り落としたのだろうモーゼル――その
銃口が突き付けられていた。
「振り向くなよ? “魔眼持ち”の川村ヒデオ、でいいんだよなァ?」
4
ベクトル変換で投擲した石で、進行上の道路を破壊。「大外れかよ、糞が」と
自嘲し、“目論見通り”車の停止を確認。一気に100mの距離を詰め、横合いから
直上に車体を蹴り飛ばしてやることで、中の運転手を無力化。五秒間滞空した挙句、
派手に回転したのはご愛嬌。
(ハッ。完璧だ)
少しくらいは抵抗も予想はしたが、運転手が意識を失ったのは僥倖だった。悠々
と車に乗り込み、ほくそ笑む一方通行。ドカッと腰を下ろし漸く一息吐いた。
「これくれェで気絶するような雑魚は、殺す価値すらねェ」
続けて、運転手のデイパックと拳銃を回収しつつ“言い訳”を呟く。誰が聞いて
いるか、または誰かが実際に聞き耳を立てているかは判らないが、監視の目が光って
いるであろうこの状況、自身の目的を悟られる訳にはいかない、と彼は思う。
「ま、外しちまったワケだし。自分から「殺して下さィー」って泣き叫ぶまで、
荷馬車の如く扱き使ってやるかァ」
運転席の男の身体の、何処かが当たっているのか。クラクションがビービーと
五月蝿いが、無視。車内灯を点け、自分のデイパックの確認作業を開始する。
(この音を聞き付ける奴等がいるンなら、もしそれが俺の敵になるンなら、撒き餌
にはなるだろォよ)
落ち着く為のBGMには程遠い騒音の中で、デイパックをゴソゴソと漁る。と、
センスの悪い時計が出てきた。一方通行の趣味に反するデザインだが、自らの
戦闘制限時間や禁止エリアのことを考え……徐に嵌める。
(禁止エリア予定地で意識トばして、時間切れで首輪がボンってことになったら、
笑えねェかンな)
そのまま、デイパックの中身を改めようと手を突っ込む。すると、
・――片付けられないものはない
「ッ!」
モーゼルを引っ掴み、周囲を警戒する。が、車外には誰もいない。
(何だァ今のは?)
一方通行の頭に響き渡ったのは、声。耳ではなく、心に届いたその声に、幻聴
ではないか、いや念話能力者からのアプローチではないかと考えるのだが、微かに
振動する腕時計に目をやり、その答えが間違っていることを知る。
時計の表面に、先程聞こえた“声”が文字となり、表示されているのだ。
「どォいうことだ?」
だが、それを推測する暇はなかった。運転席の男が、身動ぎをしている。すぐに
でも意識を取り戻すかもしれない。
(とりあえず“声”の件は後だな。銃以外で何かアドバンテージを取れるものが
ありゃいーンだが)
デイパック内の荷物を座席にぶち撒け、使えそうなもの、そうでないものを分別
し……数分。彼の手の中には、“目的”を叶える為に役に立ちそうな代物があった。
「振り向くなよ? “魔眼持ち”の川村ヒデオ、でいいんだよなァ?」
そして今。詳細名簿に書かれた運転者の、断片的な情報を頭に浮かべながら、
一方通行は運転手――川村ヒデオの後頭部に銃口を突き付けている。
(起きるの早ェーンだよ、糞が。マトモに読むことすらできなかったじゃねーか)
エアバックに凭れていたヒデオの、髪を掴み上げて顔を検め……配慮の欠片すら
見せず手を離す。その行為が覚醒を早めた原因の一つに数えられるのだが、思い
遣るという言葉から程遠い一方通行には埒外の話である。
(何だろォな、“魔眼”ってのは。視覚による催眠ってことかァ?)
聖魔杯。電子の精霊。魔眼。時間が無かった為、ヒデオに関する単語をその
程度しか拾うことができなかった。が、それはヒデオを付き従えた後、悠々と
名簿に目を通せばいいと、一方通行は思考する。
この時、彼は気付かなかった。
膨大な量でテキスト化された、ひと一人の人格データを三分弱で読破できる筈の
一方通行。そんな彼が、たった50ページ弱の名簿を読み切れなかったことに。
5
「走行用前照灯(ハイビーム)なんか付けやがって。馬鹿かオマエ? あんな
目立つような真似すりゃ、殺してくれって言ってるよォなもんじゃねェか。寧ろ
俺に殺されてェのか?」
「……そのつもりでしたが、何か問題が?」
目立つ真似をしたという点については同意。ただ、殺されるつもりは全くない。
逆に、返り討ちにしようという気概さえ今のヒデオは持っていた。
(しかし、夜間の運転は危険。安全第一を考えれば、ライトを点けるのは必然)
ただ、こういう思考を持つ辺り、やはり一般人から脱却できてはいないのだが。
(この状況は拙い)
後ろからは殺気が篭められた声と銃口。対しこちらは、シートベルトさえ締めて
しまっている。すぐに動ける状況ですらないし、会話を続けても逆転する方法さえ
思い付かないだろう。
だが、すぐに殺すつもりはないらしい。後ろにいる人物の姿は未だ確認できて
いないが、恐らくは意識を失う前に目にした、白髪の幽鬼なのだと当たりを付ける。
「こんなナリ」「マトモな運転だってできねー」という発言からヒデオが想像した
のは、後部座席の人間は怪我をしているということ。
「とりあえずだ。H-8の研究所跡まで運転しろ」
「……判り、ました」
エアバックを毟り取り、ゆっくりと、鍵を回しエンジンを始動。後方確認をする
つもりでバックミラーに目をやると、何故か手が伸びてミラーをもぎ取られた。
「………………聖魔杯の参加者ですか?」
「さァな」
後ろの人物は「魔眼持ち」と口にした。聖魔杯の参加者ならば自分のことを知り、
且つ“魔眼”のことさえ信じているかもしれない。それを警戒しての行動だと、
ヒデオは考える。
(こんな所でも、ブラフが役に立つとは)
車をバックさせ、緩んでいた地盤から抜け出す。派手に砕かれた道路を見やり、
慄く。
(今は、従おう。この道路も後ろの人物の仕業なら、まだ勝てそうにない)
ギアを入れ替え、ハンドルを切り、アクセルを踏み――込もうとし、ヒデオは
ふと、思い付いた疑問を口にした。
「名前を、聞かせて貰えますか?」
「……とある無道の一方通行(アクセラレータ)ってか?」
【C-2/踏み切り北側/一日目・黎明】
【川村ヒデオ@戦闘城塞マスラヲ】
[状態]:クラクラしている
[制限]:なし
[装備]:アーマードベンツ(対衝撃は普通車並にランクダウン)@現実
[荷物]:なし
[思考・状況]:
1:後部座席の一方通行を警戒。可能ならば交渉。
2:ウィル子・伊織と合流。
3:信用できる仲間を集める。
4:誰も殺さないし、殺させない。その上で戦って勝つ。
5:首輪を解除し、脱出する。
[備考]:
1:参戦は原作3巻終了後。
2:自分の殺人的目つきの悪さを自覚しています。
3:最初に出会った少女(リア)とは、再会したいと思っています。
4:“聖魔杯の関係者かもしれない”一方通行が有する自分の情報が、どの程度かを
測りかねています。詳細名簿の存在には思い当たっていません。
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]:肉体内部の損傷(何とか杖を突いて歩ける程度)、疲労(大)、精神的疲労(中)
[制限]:能力使用時の肉体内部の損傷(詳細は後述)、速読能力の低下(気付いていません)
[装備]
ト字型の杖@とある魔術の禁書目録
通信用チョーカー(残りフル稼働時間13分)@とある魔術の禁書目録
モーゼルC96(フルオート射撃可、ストックも付属)@現実
自弦時計@終わりのクロニクル
[道具]
デイパック(×2)、支給品一式(×2)
詳細名簿@オリジナル
[思考・状況]
1:無差別マーダーを“装い”、対主催者勢力を、暗に援助。
※ 詳しくは後述。
2:H-8の研究所跡を探索。
3:謎の“声(概念条文)”について考察。
4:ヒデオのスタンスを確認し、邪魔になるようなら殺害。
[備考]
1:参戦時期は8巻終了の直後。
2:ラストオーダーが主催者側に捕らえられていると判断しています。
3:主催者側が首輪等で監視していると判断しています。
4:御嶽アンネリーゼは死亡したと思っています。
5:詳細名簿に書かれた川村ヒデオに関する情報は、流し読みした程度です。
速読能力の低下に気付いていません。
○一方通行の能力制限について
通信用チョーカーを利用したミサカ・ネットワークの演算補助を受けたフル戦闘時に、
脳に異常な負荷がかかる。その影響は全身の神経に波及し、さらにはそれによって
管理されている肉体にまで達する(内蔵機能などにも影響)。
万全の状態であっても、まともな戦闘は一分程度しか不可能。それ以上は集中力が途切れ、
それでも無理をして二分以上続けるとほぼ確実に死亡する。
ただし、能力の威力そのものは原作準拠。
○一方通行の基本方針
とりあえず殺し合いに乗り、さぞ人殺しが楽しいような態度で無差別殺人を行うが、
それは殺し合いを成立させ、ラストオーダーの一時的な安全を確保するためである。
ラストオーダー救出の糸口を作るかもしれない対主催者勢力を、暗に援助するつもり。
その援助とは以下の通り。
・対主催者勢力と戦闘になった場合、彼らに十分な余力を残した状態で撤退する(ある程度の殺傷は可)。
・殺し合いに乗った人間を殺す。
また、ラストオーダーの安全が確保されたら主催者を殺すつもり。
○概念条文「・――片付けられないものはない」
支給品と認識されたもの、または道具であるのなら、
質量を無視してデイパックに収納することができる。
○C-2の周囲一帯に、クラクションによる騒音が15〜30分間、鳴り響きました。
○詳細名簿に記述されたヒデオに関する情報は、後続の書き手に任せます。
●アーマードベンツ@現実
白塗りのVIP用装甲車両。外見上はメルセデス・ベンツW221だが、
防弾ガラスと耐爆装甲、パンクに耐える特殊タイヤを装備。
※ 但し一方通行の襲撃により、衝撃は普通車並となる。
●自弦時計@終わりのクロニクル
概念空間の壁を察知すると、装着者の母体自弦振動を変調させる
小型の門となる。文字面に概念条文が表示され、微かに震えて
知らせてくれたりもする。
●詳細名簿@オリジナル
参加者全員のプロフィールが書かれている名簿。一人1ページ。
情報が正確であるかどうかは、後続の書き手に任せます。
投下終了です。本来ならシーンを追加し、クラクションの音に誘われた
ディーを登場させたかったのですが、力量不足でした。
予約期間以内には仮投下しておりましたが、結局期日を越えてしまい、
申し訳ありません。
すみません、初っ端から修正です。
文章の内容的に、この時間はありえないだろうと気付きました。
○C-2の周囲一帯に、クラクションによる騒音が15〜30分間、鳴り響きました。
↓
○C-2の周囲一帯に、クラクションによる騒音が5〜10分間、鳴り響きました。
どうでもいいけどさ、こいつにだけは生き残っていて欲しいってキャラが死ぬと少し空しいよな。
序盤で主役キャラが死んだのは痛いが、そこからどう料理するかはおれらの妄想次第だろ。
…確かに、当麻や啓太が脱落したSSを読んだ時は、展開を面白く感じたが、空しくもなったが。
けど話の筋さえ通っていれば優勝エンドでも構いはしない俺。
なんというかあっという間に方向性が固まったように感じた。>序盤啓太・当麻脱落。
>>639と同じで空しく感じたのも事実だが面白かった、上手に展開を運んでいければ優勝エンドでも構わないな。
ただこのロワはマーダーとマーダー化しそうな人率が少し高い気がしなくもない。
>>620 前の話といい、ヒデオ不幸だな。原作知らないが。
そして詳細名簿が一方通行の手にあるってのは、スタンスを考えるとなかなか面白いかも。
投下乙でした。
逆に考えるんだ。主役キャラが一人二人減ろうが問題ない展開に持って行けば(略
どのロワも、首輪=制限という意味合いが強いような気がする。
そうでないロワもあるにはあるし、首輪解除に難しいこと考える必要は…
でもそれを望むくらいなら、書き手になるべきかもしれんな_no
最新話の鳥見て今更気づいた。ウィキ&したらばの人も書き手として本格参戦?
そして言ってなかった。投下乙。ヒデオ、詳細名簿の内容と今後の展開によっては(ガクブル
パロロワって主役すぐ死んでライバル、二番手が活躍する方が多くね?
ファンブックで名前明かされるような脇役とかが大活躍。
今更ですけど乙なのです。
ところで一個質問何ですが
鉄道って地下鉄なんじゃないの?
踏み切りってあるのかな?
チェックだけのつもりが、幾つかレスがあったので返答。
>>642 詳細名簿が一方通行の行動を完全に固定してしまうのではないかと
戦々恐々しておりましたが、面白いと思ってもらい少し安心しました。
感謝。
>>644 すみません、本格参戦は無理そうです。予約なしなら時間に追われず
ゆっくり書けそうですが…その前に書きかけのボツSSどうにかしないとw
オープニングだけしか書いてないので、書き逃げと思われぬよう何作か
書き上げるつもりではいますが…時間が取れれば、また挑戦します。
>>647 現実には地上部分を走っている「地下鉄」もあるし、自分のイメージと
してB-2〜3、B-5〜6、E-2の中間、F-2、G-2〜6以外の線路は地上に
あると考えていました。説明不足で申し訳ないです。
ところでされ竜がガガガ文庫に移籍するようなんだが。
ロワの参考用として、来月発売の一巻だけでも買い直してみるか。
予約が無い。
かっこうと地味な人を予約してた書き手はどうなったのやら。
過疎ってきたなー。4月はみんな忙しいんかな?
俺以外にも人がいて涙目。
月初めはみんな忙しいんだと信じたい。
人いたw
このスレって何人ぐらいいるんだろうな?
このスレ雑談も感想も少ないし
シャイな住人が多いんだよきっと。
雑談や感想が少ないのは寂しいし、もっと活気があればいいんだがなー。
他のロワのスピードとか活気が羨ましかったりする。
され竜、戯言、共に一巻から再販されるので、それを機に書き手も増えればいいけど。
雑談のネタを振ってみる。
まだ全キャラ出揃って少しといったところだが、どのキャラの今後が気になる?
個人的には心葉には頑張って欲しい。
一般人ながら、精神的な成長の可能性を秘めている…気がする。
心葉を含めた文学少女勢だな。
今月末発売のラストエピソードで謎が判明するっぽい遠子先輩。
肉体的にも精神的にもズタズタにされたであろうななせ。
今後の展開によっては断章持ちになるかもしれない心葉。
どういうことになるか、本当に楽しみでしかたないw
658 :
657:2008/04/14(月) 11:09:31 ID:3AHJcOnZ
hosyu
やっぱり人がいなさすぎる…。
って、予約きたわああああ!!!
位置的にひどい目に遭いそうな子と、現在進行形でひどい目にあってる子か。楽しみだ。
夜が白み始めた、夜が明ける。
お気に入りの腕時計を見ると、針は午前5時丁度をさしていた。
長い夜がようやく明ける。だが、この悪夢はいつ終わるのだろうか?
そんなことをつらつらと考えながら、御坂美琴は人気のない工場区を歩いていた。
数時間前、辛くも怪人チェーンソー女の襲撃を切り抜けた彼女は、その代償として全身に浴びた
非殺傷性化学兵器“シュールストレミング”の言語を絶する悪臭を落とすために適当な事務所の
シャワー室へと入り込み、たっぷり3時間もかけて、全身を丹念に丹念に洗い匂いを落とした。
それまで着ていた常盤台中学の制服も、シュールストレミングの汁がべったり染込んでいるため
やむを得ず破棄。代わりに、デイバッグに入っていた古式ゆかしいセーラー服を着ている。
いつも着ている制服と違い、スカートが長いためやや歩きにくいが、背に腹は代えられない。
さらにデイバッグそのものも破棄し、水・食料・筆記用具など最低限必要の持ち物をセーラー服
と一種に入っていた学生かばんへと移して美琴は事務所を後にした。
シャワーを浴びたとはいえ、すでに建物は強烈な悪臭に汚染されていたし。何より、あの匂いが
先ほどのチェーンソー女や危険人物を引き寄せる危険性も大きい。
事務所を後にし、夜の工場区を彷徨うこと1時間ほど。東の空が白み始める時間にようやく美琴
は目的地―地下鉄駅へとたどり着いた。
地下鉄駅は無骨な工場区にふさわしく、飾り気のない機能一辺倒なデザインだった。
蛍光灯に照らされたコンクリートがむき出しの駅の奥には、まるでそこだけが切り取られたかの様に
地下への階段が続いている。
エスカレーターなどという洒落た物の付いていない階段は、明るく開放感のある地上階とは一転して
深く暗い。軽く地下3階分はある階段は、まるで奈落の底のに続いてるかの様にも見える。
ごくり、
と唾を飲み込み、美琴はゆっくりと階段を下っていく。
崩落の危険のある地下ではレールガンは使えず、彼女の攻撃力は封じられる。
逃げ場のない地下で、雷撃の槍を弾いたあのチェーンソー女や一方通行のような強敵と出くわせば、
絶体絶命である。ゆえに、美琴は息を潜め視覚・聴覚・電磁波感覚を駆使して慎重に進んでいく。
(ちなみに、嗅覚はまだ回復していない)
階段を降り切った所には、ホールと改札口があった。美琴は一瞬切符を買うべきか悩んだが、そもそも
自動改札口が稼動していない様なので無視して突き進むことにする。
改札口を越え、壁に身を隠しながら乗車場を伺おうとし―
「誰?」
「………………ひっ!」
突然、向こうから声をかけられ、美琴は腰を抜かしかけた。
そして言葉もなく緊張に目を見開きながら、恐る恐る顔を出した美琴の目に映ったのは
暗く静寂に満ちた地下鉄駅と、薄ぼんやりとした蛍光灯に照らされたモノクロ色の少女
―リア・ガーネット・ジェイティエフが、夜のように冷ややかに立っている、この世の
ものとは思えないほど茫漠とした美しい光景だった。
…彼女の腰に吊るされた、赤黒い“何か”がこびり付いた鉈や鋸が無ければ。
【B-2/地下鉄駅・地下乗車口/初日・黎明(午前5時ごろ)】
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:鼻が効かない、まだ少しシュールストレミングの匂いが残ってる
[制限]:雷撃の槍は当たっても体が痺れる程度
[装備]:ゲーセンのコイン@とある魔術の禁書目録、遠子先輩の制服&学生かばん@文学少女シリーズ
[荷物]:支給品一式、シュールストレミング×1
[思考・状況]1:リアの雰囲気・姿にちょっとびびってる
2:地下鉄に乗り工場区から離れる
3:当麻を探す
【リア・ガーネット・ジェイティエフ@銀板カレイドスコープ】
[状態]:健康
[制限]:不明
[装備]:可南子さんの死体解体装備一式@断章のグリム
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、蓋付きバケツ多数、ランダム不明支給品(確認済み)
[思考・状況]1:目の前の少女(美琴)に桜野タズサを見てないか尋ねる
2:地下鉄に乗り適当に移動し桜野タズサを探す(会ってどうするかは不明)
補足
【可南子さんの死体解体装備一式】
“葬儀屋”の助手である戸塚可南子が使う死体処理用の装備。
太いベルトと、ベルトに吊るした鉈・斧・鋸・山刀・スコップなどの各種刃物、
及び解体した死体を入れて運ぶための蓋付きのバケツ多数がセットになってる。
刃物はどれも、使い込まれ風格のある一品。
バケツは重ね収容し、ベルトに吊るしきれない刃物はバケツに突っ込んでおく。
以上で投下終了です。
シュールストレミングは万が一の“切り札”としてとってあります。
また、リアが美琴よりも先に相手の存在に気づいたのは、美琴の体にまだ
シュールストレミングの匂いが残っているからです。
遠子先輩の制服は予備の一着と言うことで。
投下乙でした。踏んだり蹴ったりな遭遇が続くな御坂w
リアも装備が装備だし、今後の対応次第では誤解が広がりそうだ。
>>663 投下乙。
この装備は不気味だよなー。それを目の当たりにしてても、まともに話し合えればいいのだが。
投下おつ。ところでツッコミなのですが。
テンプレでは「黎明」は2〜4時となっているけど、yWK氏が
今回投下したSSだと「黎明(午前5時ごろ)」という記述に
なってますよね。作中内での時間経過を見るに、「早朝」が
正しいという認識でおk?
>>666 指摘感謝。
まとめに載せる際には、「早朝(午前5時ごろ)」でお願いします。
今更なんだが、「風の指揮者に迫る羊(b)」の「(b)」って何なんだろう?
「…パラレルワールド?」
「そう、パラレルワールドなの!!」
鼻血の手当てをした後、危うく撲殺しかけた女子高生と現状を話し合ったら、彼女は突拍子もないことを言い出した。
「あなたは世界的フィギュアスケーターで、トリノオリンピックでの出来事は日本中でニュースになっていたと言うわ。、
でも、わたしの知る限りトリノオリンピックの時に桜野タズサや至藤響子という選手がニュースになったことはないわ。
これはつまり、わたしとあなたが違う世界の住人だと言うことよ!!」
「私が嘘をついているとか考えないの?」
鼻息荒く主張する彼女に、私は投げやりに聞いてみる。
「嘘つくなら、もっとまともな嘘をつくはずよ。初対面のわたしに『私は世界トップレベルのアスリートです、日本人なら
私の事を知らないはずがありません』なんて胡散臭い嘘をついてどうするの?逆もまたしかりよ。嘘をつくならもっとばれ
にくい嘘をつくわ。」
「まあ、そうかもしれないけど。パラレルワールドってのはとっぴ過ぎない?」
漫画やアニメじゃないのだし。
「確かに、パラレルワールドなんて非現実的よ。でも、わたしたちはすでに非現実的な出来事に巻き込まれてるの。
わたしは今朝、いつものように登校していた。でも、いつの間にかあの体育館にいて、首輪をはめられていたわ。
まるで、コマ落としのように、その“過程”がないの。誰かに無理やり拉致された記憶も、首輪を付けられた覚えも。
超スピードとか超能力なんてちゃちな物じゃないわ。もっと恐ろしい“何か”の片鱗をあじわっているの!!」
まあ、そう力説されれば、そう思えなくもない。
「じゃあ、本当にパラレルワールドってこと?」
「証拠はないからまだ決まったわけじゃないけど、その可能性が一番大きいと思う。」
「なるほどねぇ。ここには色々な嘘軸の住人たち、いや…ひょっとしたら嘘軸そのものが集められてるのかな?」
「……っ!!」
突然、横から声が聞こえ。私たちは驚いて振り向いた。
慌てて釘バットを構えた私と、おろおろする遠子の前にいるのは
「そんなに警戒しないでよ。私は可愛い子の味方だから。」
シャギーの入った猫っ毛と、ノンフレームのメガネが特徴的な女子高生。
「はじめまして、私は速見殊子。あなたたちのお話に興味があるなぁ。」
そう言って、少女はチェシャ猫の様に笑った。
【C-8/自然公園見晴らし台/初日・深夜】
【桜野タズサ@銀板カレイドスコープ】
[状態]:健康、鼻血は止まってます
[制限]:不明
[装備]:釘バット@現実
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、ランダム不明支給品×1〜2(未確認)
[思考・状況]1:突然現れた少女(殊子)に対処
2:パラレルワールド論にはやや懐疑的
【天野遠子@文学少女シリーズ】
[状態]:健康、空腹
[制限]:不明
[装備]:拡声器@現実
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、ランダム不明支給品×1〜2(未確認)
[思考・状況]1:突然現れた少女(殊子)に対処、危ない人ならタズサと一緒に逃げる
2:食事になるような本を探す、もしくは誰かに書かせる
3:井上心葉、琴吹ななせとの合流
4:殺し合いをする気はない
【速水殊子@レジンキャストミルク】
[状態]:健康、拡声器の声の主が美少女たちだったので上機嫌
[制限]:不明
[装備]:七天七刀@とある魔術の禁書目録
[荷物]:デイバッグ、支給品一式、ノートパソコン@現実
[思考・状況]1:目の前の二人(タズサ・遠子)と情報交換
2:城島晶、城島硝子、柿原理緒、舞鶴蜜と合流
3:ノートパソコンの中身が気になる
【備考】:遠子の平行世界を聞き、彼女たちが何らかの形で嘘軸に関わる人物ではないかと考えています。
短いけど投下しました
タズサと遠子が打ち解けてるのは、まあ人徳ということで。
出だしが、いきなりで驚いた。
だが、GJ
遠子先輩ポルナレフ自重しるwww
投下乙ー。時間的にそう経過していないだろうなと思っていたら深夜枠でしたか。
とっとと移動しないと北から変態が来るぞ。
GJ!!!!!!!
と…いうか、人いないな
ここにいるぞ!
いたwww
皆に質問なんだが、一方通行&ヒデオは今どの方向に進んでんのかな?
南の方にある小道?と自分は思ってたんだが
>>677 現在地がC-2で、一方通行が「H-8の研究所跡」に行くよう指示してるから、
ルートはどうあれ道路を使って移動するんだと思う。
襲撃されたら、舗装された道なんか使わずどこかを突っ切りそうな気はするが。
んー、まぁ書き手次第か…
最近過疎りぎみだし、誰か書かないかな
YOUが書けばいい
書きたいんだけどなー
把握できてるキャラが少なくて、どうしても
自己リレーばっかになっちまうorz
>>681 書き手が少ないし、過疎リ気味だから自己リレーでもいいような。
ところでガガガ版され竜、スニーカー版に加筆修正加えての発売になるようだが。
このロワにも反映させていいんだろうか?
>>682なら予約するかなー
&
別に良いと思われ
つーか、組み合わせ次第では、キャラ把握してる書き手が一人しかいない場合とかあるんじゃね?
自己リレーしないと話進まない可能性もあるような気が。
だよなー
まぁ自重しつつ、自己リレーも必要悪ってことで
ハゲド
どこで宣伝すりゃぁ良いんだorz
投票告知と同じく、バロロワの誤爆スレが妥当と思うが……どうだろう?
SSについては作者さん達にに負担がかかっているので、協力できる所は協力したいが…差し当たって外部への宣伝、感想投下しかできないのが辛い。
>>688 少なくとも俺は、感想投下さえしてもらえれば書いていける。
贅沢を言うなら、俺が書いた続きを誰かがリレーしてくれると嬉しい。
感想を書いてくれるだけでモチベーションは大きく上がるんだぜ。
だから十分だ。そう辛いと思わないでくれー。
>>689 俺もだー!
少なくても、やっぱ自分の書いた作品に感想がつくと嬉しい
だから書いていける
とはいえ、もっと人が増えてほしいな
>>689-690 気のきいたレスも返せないほど文才なくてすまぬっっっ!!!
感想含め、できるところからやってみる。まずはメッセで雑談中に宣伝とかw
地道な宣伝津続けるしかないな
一つ言いたいこと
布教活動も大切だけどリピーターを掴むのが一番だと姫ちゃんはおもうのですよ?
これより投下しますね。
今回はそれほど長くないんですが、もし規制されたら仮投下スレの方に投下するので、どなたか代理投下して頂けると幸いです。
695 :
参加するカモさん:2008/04/24(木) 22:34:59 ID:SytApqVB
支援
小さな集落と言っても差し支えないような、こぢんまりとした村が広がっている。
立派な建物や施設など見当たらない、ただ身を寄せ合うために作られた場所。
脆弱な人間が生きるために作り上げた、小さな世界。
その中心に、粘ついた液体が広がっていた。その液体は質量を増し、村を汚していく。
生者の世界であるはずのそこは、むせ返りそうな鉄の臭いに満ちていた。
その様を、ぼんやりと眺める少女がいた。
ぞんざいに切った灰色の髪をした少女――シオン=エシュもまた、血液によって汚されている。
彼女自身には傷一つないというのに、その身は血まみれだった。
生温い血溜りの上、返り血に汚れたシオンは、無造作に散らばった無数のモノを見つめている。
それは、血液を吐き出し滲み出す源。
かつて、ヒトであったもの。ヒトを構成していた、部品だ。
たとえば、赤黒い血管と、青白い神経が剥き出しになった腕。
たとえば、皮が剥がれ、肉が裂かれ、骨が削がれた脚。
たとえば、眼球が割れ、鼻が潰れ、血液と脳漿の交じった液体に濡れた頭。辛うじて判断できる表情は、畏怖に塗りつぶされている。
生々しい赤を大気に晒しながら蠕動する傷口も、僅かながら存在する。疼きながら血を滲ませ、緩慢に死へと向かう傷口を持つヒトは、恐怖に満ちた眼差しをシオンに向けていた。
「……忌み子、め……」
絶え絶えの息の隙間から漏れた音は弱々しくか細い。しかし、生者の気配が希薄で、静謐な世界では、よく響く。
声に応じるように、シオンはそちらへと足を向ける。肉片を蹴り飛ばし、死体を踏みつけ、瀕死のヒトの前に近づいていく。
ヒトは目を見開き口を戦慄かせ、シオンに目を向ける。後ずさろうとするが、膝から下を引きちぎられたそいつは、上手く体を動かせないようだった。
無様に転がるそいつを灰色の瞳に映し、シオンは左腕を掲げる。
鈍色に輝く、金属のような左腕を。
無数の針が林立する、忌み子と呼ばれる由縁となった、変異した左腕を。
無造作に、振り下ろす。
柔らかい野菜が叩き割れるように、頭部が砕けた。金属の針が脳に食い込み、ずたずたに裂き荒らしていく。
ずぷりとした粘質の感触に不愉快さを感じたシオンは、強引に腕を引き抜こうと力を込めた。
針に何かが引っ掛かるが、構わない。強引に、引っ張り抜く。
ぶちり、という音が耳についた。
かつてヒトだったモノの眼窩から、ぬらぬらとした液体に汚れた視神経の束がだらりと垂れ落ちる。
頭頂部がひしゃげ、断裂した傷跡から、血液が抜けて灰色となった脳がちらついている。もはやその顔が、どんな表情を浮かべていたのかも分かりはしない。
シオンは、汚れを落とすようにして左腕を振るう。針に引っ掛かった肉片が、髪が、神経線維が、脳細胞が。
そして、半ばまで裂け、串刺しになっていた眼球が。
びちゃりと、血溜まりの上に散らばった。
それを最後に、音は消失する。立っているのは、シオンたった独り。
村に住む命を奪いつくし、狩りつくした、醜い変異を持つシオンが、たった独り。
生臭い臭気の中に佇んでいる灰色の少女は、忌み子だと、化物だと、村人に忌避され疎まれ迫害され続けてきた。
だから、殺した。止められなかった。
もう忌避されることも疎まれることも迫害されることもない。
そう、そのはずだ。
言い聞かせるように、あたりに立ち込める死臭を嗅ぎ、ぼろきれのようにずたずたになった死体の群れを眺める。
濃密で濃厚で濃縮された死の空気が、村を支配していた。
そう、それはまるで。
醜く理性のないケモノによって蹂躙され食い尽くされ滅ぼされたような、凄惨で無残な光景だ。
気付いた瞬間、シオンの皮膚が粟立った。
屍と化した村人たちの嘲笑が、シオンの鼓膜を震わせたからだ。
そら見たことか、と。
醜い変異によって村人を皆殺しにした事実こそ、お前がケモノである証だ、と。
やはりお前は化物なのだ、と。穢れた存在なのだ、と。
聞こえるはずのない声が聞こえてくる。罵声と嘲笑が重なり、混じり、静寂を掻き乱していく。
耳を塞いでも、無数の声はシオンの聴覚を通じ、心に傷を負わせていく。
「うるさい、黙れ、黙れ……ッ!」
頭を振って叫ぶ。必死で抵抗するように、声を荒げる。
しかし。
どんなに口を開いても、どんなに声を張り上げても。
シオンは、独りだった。
無数の声は、そんなシオンを嘲笑うかのように大きくなっていく。
眼前に広がる大量の血液や無数の肉片の全てが、声を放っているような気がしてくる。
逃れるようにして、シオンは空を見上げる。
漆黒に染まった、果てのない空の中心を見つめ、シオンは息を飲んだ。
圧倒的な広大さで全てを呑み込もうとする闇の中で。
満月が、輝いていた。
たおやかな光を投げかける月は、シオンの心を優しく照らし上げているように感じられる。
それがどうしようもなく心地よくて、心強くて、そして何より愛おしくて。
触れたいと、思う。
だから、めいっぱい手を伸ばす。左腕の変異を解き、傷だらけの腕を晒し、真っ直ぐに。少しでも近づけるように背伸びをして。
必死で、ひたすらに、求めるように。
遥か彼方にあるような月に、手を伸ばす。届かないなど、思うことなく。
◆◆
体に残る痺れが、まどろみを遠ざけていく。
温かく心地よい湯から、無理矢理引き上げられるような感覚に苛立ちを感じながら、シオンは瞼を持ち上げた。
いつの間にか眠ってしまっていたことに気付き、ゾッとする。
カロマイン=セクを含め、信頼できる存在など、この島にはいないのだ。たった独りで無防備な姿を晒すなど、自殺行為でしかない。
そう、たった、独りだ。それを実感した瞬間、シオンは先ほど見ていた夢を思い出す。
その夢は、同じ村に住んでいた人々を皆殺しにした記憶そのものだ。
乗り越えた、はずだった。
レイン=リィンと出会い、ルナ=イルと邂逅し、ティー=ティカと再会して、罪や穢れと向き合い、受け止められたはずなのに。
こんな夢を見てしまうのは、呪詛のように、鎖のように、穢れがこびりついてしまっているせいだろうか。
あるいは、たった独りで殺し合いの場に放り込まれたせいだろうか。
後者だとしたら。
ルナと同じ戦場に立つようになってから、独りでは戦えなくなってしまったということと同義だ。
弱くなってしまったなと、思う。
だが、それが嫌だとは思わない。
それはきっと、レインが言ってくれた幸せへの第一歩だと、シオンは確信しているからだ。
だからこそ、改めて思う。
こんなところでたった独りで、死ねない、と。
まとわりついた泥のような疲労感が重さを訴えてくる。痛みと痺れが消えてなどいない。
だが、その程度だ。動けないなどと甘えるには程遠い。
故に、シオンは惑わずに立ち上がる。どれくらい意識を失していたのだろうかと考えながら、倉庫の扉に手を掛けた。
開け放つ。
瞬間、潮の香りを孕んだ夜風がシオンをそっと撫でていく。
海に飛び込んだせいで湿った体には、冷たすぎる風だ。
しかしそれを優しいと感じられたのはきっと、黒い夜空に、一際大きな星が浮かんでいたからだろう。
夢ではなく、天に輝く確かなその星――月の明かりは、シオンを勇気付けるようだった。
月の元へ。ルナ=イルの隣へ。たとえ遠くても必ず、帰る。
そのために、シオンはデイパックの中を探る。獅子堂戌子のような強者との交戦は、今後も避けられないだろう。万全を期さねばならない。
少しだけ水を口に含んでから、ランダム支給品に目を向ける。
見えたのは、一冊の本だった。
真っ青で綺麗な、純粋さを感じられるような表紙には、『青空に似ている』というタイトルと、井上ミウという名前が書かれている。
ぱらぱらとページを捲ってみるが、どうやらただの恋愛小説なだけで、何か情報が記載されてはいないらしい。
小さく肩を落としながらも、本をデイパックに戻して確認を続ける。手早くその作業を終えると、何かを取り出した。
それは一枚の紙が貼り付けられた、つるのない眼鏡だった。
紙には知覚眼鏡(クルーク・ブリレ)と記されており、機能が列挙されていた。その説明を読み終えると、丁寧に紙を剥がす。
それを取り出したのは、眼鏡という道具が、レイン=リィンのことを思い起こさせたからだ。
だから、そっと、握り締める。
シオンのことを気にかけてくれる、レインのことを考えながら。
厳しく怜悧な雰囲気の奥にある、優しさと茶目っ気を思い出しながら。
手の中にある眼鏡が、レインのものではないことくらい分かっている。しかしそれでも、レインが力をくれるように思えた。
幻想や妄想だと思いながらも、シオンの心が温かくなっていく。
それを噛み締めるように、目を伏せる。味わうように、深く息を吸う。
冷たい夜気で肺を満たして、ルナとレインの姿を思い浮かべて。
「必ず、帰るから。待っていて」
改めて誓いを、立てる。
そして知覚眼鏡をかけ、目を開けた。
変わらずに夜空に浮かぶ月が、少しだけ近くなったような気がした。
【F-2/倉庫周辺/初日・黎明】
【シオン=エシュ@ルナティックムーン】
[状態]:疲労(小)
[制限]:左手の変異に若干の制限
[装備]:知覚眼鏡@されど罪人は竜と踊る
[荷物]:デイパック、支給品一式、青空に似ている@“文学少女”シリーズ、ランダムアイテム0〜1(確認済み)
[思考・状況]
1:絶対に生き延びる
2:戌子、カロマインには出来るだけ会いたくない
[備考]
1:参戦時期は5巻、エデン突入前です。
以上、投下終了です。
支援してくれた方、ありがとうございました。
早速ですが、
>>698で改行ミスってることに気付くorz
◆◆の前に一行改行アリです。
では、何かありましたら遠慮なく何でも言ってくださいませ。
投下乙!!
知覚眼鏡来たかー。これからが楽しみだ
乙〜
シオンは原作終盤からの参戦か。
投下乙でした。
シオンの立ち位置が未だ不鮮明ですが、これはこれで!
いやマジでどうなるんだこの子…そして近所のサフィニアと硝子逃げてーw
ほんと乙ー
原作読んでみたくなった…
遅れましたが、これより投下します。
仮に規制食らったら、仮投下スレのほうに落としておくので
どなたか、代理投下してくださると幸いです
しんとした静寂。降り注ぐ青白い月光。
それらを身に纏いながら、風化し、微かにひび割れている道路を音も無く駆ける『影』が一つ。
闇と同化し、気配を微塵も洩らさず、寸分たりとも息を乱さない。
一流のアスリート並みの速度、それでいて忍びの如き慎重さ。
その身体能力を如何なく発揮しながら、『影』は段々と北上していく。
『影』は焦っていた。
地を駆ける疲れではなく、胸の奥から霞のように競り上がってくる漠然とした不安に心臓は早鐘を叩き、もっと、もっともっと早く走れ!!と訴える
本能と、これ以上速度を上げると疲労が溜まる!!と必死に本能を抑える理性とが脳内で熱く戦い、焦燥が脳内を嵐の如く駆け巡る。
理性と本能。
相反する二つの気持ちに心を焼かれながらも足は止めず、『影』はひたすら駆ける。
具体的な目的地があるわけではなかった。
それでも止まるわけにはいかなかった。
『影』には大切な人がいる。 己の命を捨てても、他者に命を葬り去っても、守りたい人。
その人を思うたびに胸に浮かぶのは、友愛であり親愛。そして純愛だった。
その人は、大切な隣人であり頼りになるお兄ちゃん。そしてこの身を捧ぐべき、主人だった。
そんな大切な人がこの殺し合いに参加させられている。
そんな事はあってはいけない。
その人は頑張り過ぎた。いつも己を責め、他者との間に壁を作り、それでも心の奥では他者を求め、無数の
傷を作り、弱り、傷つき、それでも立ち上がり、誰かを傷つけ、誰かを守り、他者を傷つけ、己を傷つける。
そして、自分はぼろぼろの癖に他者の助けとなる。
あの人はもう限界だと『影』は思う。
もう十分頑張った。あの人はもう休まなくてはいけない。
こんなくだらない舞台で、ただでさえ疲弊しきったその命を終わらせるわけにはいかない。
誰を殺そうと、どんな手段を用いようと、たとえ己の命を失おうと、あの人だけは元の生活に帰してみせる。
己に誓った想い。
魂に刻まれたそれがある限り『影』は止まらない。
居場所はわからずとも、すべてのエリアを巡ればいつかは出会える。そんな不確かな確立に縋り、いつか出会える事を信じて、『影』はひたすらに駆ける。
その身に纏う闇は、全てを排する刃物のように鋭い。だが、夜空に浮かぶ月光は、優しく包み込むように『影』を見守っていた。
◆
「うーん…。ちょっと情報が少なすぎるかも。」
薄闇と月光の下、一人の少女がとぼとぼと歩みを進めている。
「さっきの子が言ってた聖魔杯とは相違点が多すぎる。だけど私の中の魔道書とは類似点が多すぎて判別しにくいし…。」
少女の名はインデックス。純白の修道服――何故か今は無数の安全ピンで留められていて非常に危うい。
を身に纏っていて、一見すれば、迷えるものを救いに導く慈愛に満ちた修道女に見える。
だが、彼女はただの修道女ではない。
瞬間記憶能力と呼ばれる非常に稀有な能力を持ち、頭の中に10万3000冊もの魔道書を保管している。
文字通りの禁書目録なのである。
インデックスは、大切な人たちを探すため南の廃墟へと向かい、歩きにくいひび割れた道を進みながらも、先ほど会話を交わしたウィル子
と名乗る少女から得た情報を脳内で整理・保管する。
更に、自らが持つ10万3000冊の魔道書の知識と合わせて、この殺人ゲームについて思考を巡らせていた。
インデックスの脳内で綺麗に整頓された魔道書。
膨大な数のそれらの中から、有用と思われる情報を次々とリストアップし、不必要な情報をデリートしていく。
意識を脳内に集中させているが故に前方確認が疎かになり、頻繁に躓いて転びそうになっているが、それを咎めるものも注意するものも、今はいない。
安全ピンまみれの修道服。更には誰もいない暗闇の中を独り言を呟きながらフラフラ歩いている様子は、ある意味で相当な危険人物。
いや、もうただの酔っ払いの親父にしか見えない。
自らがそんな風に見えているなどとは露知らず、インデックスは、ある程度思考を纏めていた。
確かに、彼女の持つ10万3000冊の魔道書の中にも、この舞台に類似した魔術はいくつかあった。
その中でも最もポピュラーで、この舞台に類似しているのが『蠱毒』と呼ばれる中国の呪法だ。
『蠱毒』とは、中国の呪法に使われる、呪術のために人為的に作られる特別な生物の総称である。
毒をもつ生物(たくさんの種類でもいいし、一種類でもいいらしい)を
一つの箱(瓶でも壺でも、密閉できるものなら箱でなくてもいい)にぶち込んで、土に埋める。その箱の中で空腹になった生き物が一緒にぶ
ち込まれている連中とバトルロワイヤルで喰い合って、 生き残った奴には喰われた者たちの怨念が宿り、蠱毒になるという。
蟲毒は毒にもなれるし、人に憑かせる事も出来るという。
昆虫・蜥蜴・蛙・犬・猫などの毒を持たない生物を使うこともある。
犬や猫でも可能ならば、人でも可能だと推測できる。
もしこれが蠱毒ならば、この状況にも納得がいく。
様々な人間を集め、殺し合わせる。その単純な言葉の中に仕掛けられた、殺し合いを円滑に進めるためのいくつかのギミック。
まずは、不可思議な力を使い己の目の前に参加者を集める。
暗闇に加え、突然のワープに驚く参加者に、一方的に押し付けられる暴論。
当然反攻するものも出てくる。が、それも彼らの仕掛けたギミックの一つ。
反抗するものを傷一つ負わず殺し、更には物理的な数量で圧倒する。
そんな姿を見せ付けられれば、どんな強者だろうと思考に一瞬の空白が生まれる。
そこを見逃さずこの場に送り込む。
参加者に残されるのは、己を縛り、命を握る無機質な首輪と脱出不可能に思える広大な箱庭。
そして、主催者への怒りだ。
だが、いくら主催者への怒りが深くとも…いや、怒りが深いほど主催者の仕掛けたギミックが作動していく。
力が強い強者であればあるほど、怒りに支配される。
しかし、それをぶつける相手がいない。
ならどうする?怒りを納める?我慢する?
違う。彼らは、ゲームに乗るだろう。
力があり、そして自らよりも弱いものがいると思っているが故に、それを他者ぶつけてしまう。
無論、そうでない人もいるだろうが、大切なのはゲームに乗った人物がいるという事実。
その噂が流れれば、弱者は怯え、強者は怒る筈だ。
そして、強者同士が戦いあう。
結局残されるのは弱者。
力がないが故に直接的な戦闘ではなく、吐き気のするような搦め手を使う弱者。
彼らの生む怨嗟や憎しみはさぞかし極上だろう。
更に、仕掛けられたギミック。
最初の舞台で殺された少年。彼にも仲間や、大切な人がいただろう。
もし、彼の仲間がいれば、間近で彼の死を見せられることになる。
胸中を支配するのは、絶望や悲しみ。そして、怒りだ。
だが、それをぶつける相手はどこにもいない現実。
どうすれば良いのかわからない心の隙間を縫って忍び寄るのは、主催者の甘言。
彼は言った。『何でも願いを叶えてやる』と。
復讐や、大切な人を蘇らせるという甘い蜜に惑わされ殺し合いに乗ってしまう。
そうなれば、主催者の思う壺だ。
何としても、主催者を倒さなくてはいけない。
何か手掛りはないかグルリと周りを一見してみるが、魔術的なものの気配は感じられない。ように思える。
しかし、天草式のように、建物や自然などに魔術的な意味を込め、そこから大規模な魔術の儀式を行っている可能性もある。あらゆる
可能性があり絶大な危険度を誇るため、早急な判断は些か不味い。
結局、具体的な対策案はでないままの暫定的な意見を脳内の片隅にしまうと、ゆっくりだった歩みを僅かに速める。
(やっぱり今は情報を集めるのが先決かも。とうまと短髪の事も心配だけど…どこにいるかわからないし…。)
本音を言えば、今すぐ探しに行きたかった。どこにいるかはわからない。それでも諦めず、大声で名前を呼びながら探し回りたかった。
この殺し合いについて考える事で無理矢理思考から外していたが、道中ずっと嫌な予感が彼女の頭を過ぎっていた。
とうまが死ぬ筈が無い。あの右手に宿る幻想殺しはとても強力だ。自分の中の10万3000冊の魔道書にもあんなものは載ってなかった。
だから、大丈夫。とうまは絶対生きてる。
とうまと再開した時、一緒にこんなくだらない舞台から脱出するために、今は情報を集めなくちゃ。
と、自己暗示の如く言い訳を繰り返す事で平静を保ち、彼女は歩みを進めていく。
「待っててね、とうま。絶対すっごい情報を見つけるんだから。」
相手のいない、確証もない口約束を交わし、また出会えることを信じて高らかに宣言する。
夜闇に輝く純白を纏うシスターは進む。最も信頼の置ける相手が既にこの世にいないことを知らず、叶うことのない理想をその胸に宿して。
◆
『影』――いや、闇口崩子は迷っていた。
ほんの数分前のことだ。
溢れ出しそうな不安を、走ることに没頭して無理矢理頭から締め出し、闇に紛れただひたすらに道路を駆けていた。のだが、こちらに向かって歩いてくる
一人の少女を発見したことで足を止め、物陰に隠れざるを得なかった。
その少女はまだ崩子に気付いてはないらしく、独り言を呟きながら少しずつこちらに向かってきている。
接触すべきか、否か。
普通に考えれば接触するべきだ。
もしかしたら戯言遣いのお兄ちゃんのことを知っているかもしれないし、それでなくても様々な情報を集められるメリットがある。
ただでさえ得体の知れないこの舞台では、情報は大きな武器になる。
もしかしたら何か脱出の手掛かりを得られるかもしれない。
しかし。
崩子の頭には、先ほど出会った少女のことが思い浮かぶ。
一見何の害もなさそうな少女の姿をしていた。
だからこそ崩子も声をかけたのだが、ただの一度、代名詞で呼んだだけで襲い掛かってきた。冗談やおふざけではなく、明確な殺意を持って。
(全く…。代名詞で呼ぶなだなんてルール、初対面でわかるわけないでしょうに。)
初めて会った人物の危険さに微かに嘆息しつつ思考に没頭する。
(分裂する猫に刺しても死なない少女。次は一体何々でしょうか。)
一見しただけではただの少女。
修道服を着ているところからシスターかと推測する。シスターなら安心…の筈だが、どうしても最初に出会った少女の存在が、崩子の後ろ髪を引いている。
もしかしたら、あの少女も危険な――人外の存在かもしれない。
なら、接触するのは危険だ。先ほどの少女は、『倒せない』だけで、『倒される』とは思わなかった。
だが、あの少女は先ほどの少女よりも危険かもしれない。
戦闘に加えて走った疲労もあるし、ここで無理して接触する必要ないんじゃないか?ここは危険な舞台。
慎重すぎて損はないだろう。
もっと体制を整えてからでも――
――いや、ちょっと待て。
おかしい。今の思考はおかしい。
危険だから、接触は避ける?
(ッ!!?救いようのない馬鹿ですね、私は。危険だから?その危険人物を排するのが私の役目じゃなかったんですかっ。)
臆病なまでに慎重になり、物陰に隠れ、あまつさえ接触を避けるという名目で逃げようとしていた。
危険人物なら自分が排すると決めていた。どんな相手だろうと命に代えても仕留める。
この命は戯言遣いのお兄ちゃんのために。
そう誓っていた筈だったのに。
ギリ、と音が鳴るほど強く歯を噛み締め、崩子は深く己を恥じる。
後悔と激情が胸中を支配するのは一瞬。
今は他にすべきことがある。
あの少女が危険人物と決まったわけではないが、もし危険なら排すればいい。
(この命は、戯言遣いのお兄ちゃんのために。)
決意を胸に刻み込むと、音もなく崩子の姿が消えてしまう。鈍色の軌跡を描き、後には闇だけが残る。
◆
「戯言遣いと言われる人が何処にいるか、ご存知ですか?」
油断。そう、確かに油断だった。
決意を新たにし、歩み始めると同時。背後から腕を回し、ささやかな胸を押し付けるような形で密着してきた相手は、インデックスの首筋に
剣を添え、言外に脅しながら不意に現れた。
抵抗の暇もなく、正しく必殺と呼ばれる速さでインデックスの自由を奪った相手は、機械的な口調で問い掛けてくる。
声の高さや抱きついてくる体の小柄からして、相手は少女だろう。
だが、体を動かすことが出来ない為、顔は見ることが出来ない。
(迂闊だったかも。完全に相手に主導権を持っていかれちゃった。)
インデックスが、あまりにも遅すぎる後悔をしていると、後ろの少女が返答を急かすように、首筋に当てた剣に力を込める。
何とか対処しようと脳内で思考をフル回転させるインデックスだが、いい打開案が浮かぶわけはなく、沈黙だけが場を支配する。
(どうしよう…っ!!?戯言遣いって何?魔法名?新手の宗教団体?もし知らないって答えて、利用価値がないと思われたら…っ。)
返答をしないことで時間を稼ぎ、思考を纏めようとするが、めまぐるしく加速する思考は、無為なもので埋め尽くされていき、淡々と死へのカウントダウンが進んでいく。
じんわりと汗が滲み出し、修道服がピタリと体に張り付く。喉はカラカラに干上がり、痛いくらいだ。
状況は圧倒的に不利。
答えなくては死ぬ、だが、答えても死ぬかもしれない。
そのことが、鎖のようにインデックスの言葉を縛り、封じ込める。
「どうして黙っているのかは知りません。ですが…答えないというなら、このままあなたの命を絶ちます。」
それは最終宣告。
言葉に嘘偽りなどない。
このまま答えなければ確実に命は絶たれるだろう。
(答えないで死ぬくらいなら…こっちに賭けた方がマシかもっ。)
「知らないっ。戯言遣いなんて聞いたことないもん。」
キュッと瞼を閉じ、相手の反応を待つ。
「それは本当ですか?」
本当に決まってる。知っていたらここまで悩む必要もなかった。
「本当。私はシスターだから、嘘はつかないよ。」
そこで、覚悟を決める。
利用価値がないと判断されれば殺される。
だが、インデックスもむざむざ死ぬつもりはない。
信頼できるあの少年のように拳を握り、戦闘準備を整える。
が。
「そう…ですか。なら、仕方ないですね。」
言葉とともに、拍子抜けするほどあっさりと剣が離される。
すっかり安堵しきったインデックスは、その場にぺたんと座り込む。
しばらく疲れたように項垂れる。そして、溜息をつきながら、今までの緊張が嘘のように雰囲気で少女の方を振り向く。
が。
「あれ?何で?いなくなるの速すぎかもーーっ!」
少女は既にいなくなっており、残されたインデックスは一人、情けない叫びを上げる。
【H-6/路上/初日・黎明】
【Index-Librorum-Prohibitorum@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康 、首筋に微かな切り傷、精神的疲労(小)
[制限]:不明
[装備]:蛙の消しゴム多数@いぬかみっ!、ヒルルカ@されど罪人は竜と踊る、獏@終わりのクロニクル
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]
1:現状に混乱。
2:H-7の廃墟に向かう?
3:少女(崩子)が気になる。
4:少女(崩子)の言ってた戯言遣いって誰?
5:上条当麻、御坂美琴と合流
6:伊織貴瀬・川村ヒデオと遭遇した場合、ウィル子がG-2の空港方面に向かったことを伝える
7:情報を収集し、脱出を目指す
[備考]
1:ウィル子を完全には信用していません。聖魔杯の概要を知りました。
2:崩子の名前はわかりませんが、声と体格を覚えました。
3:崩子はゲームに乗ってないと思っています(インデックスを殺さなかったことから)
4:インデックスが崩子を追いかけるか、廃墟に向かうかは次の書き手さんにお任せします。
◆
インデックスが座り込んだ後、崩子は速やかに駆け出していた。
理由は単純。顔を見られたくないからだ。
選択肢としては、仲間になり、共に戯言遣いのお兄ちゃんを探すという手もあった。
しかし。
(いきなり刃を突きつけてきた相手信用しろというのは、さすがに酷でしょうね。)
そう。崩子は、相手を警戒していた為にあんな手段をとった。
実際に殺しはしなかったが、相手からすれば、殺そうとする=ゲームに乗っている、だ。
だから、あの場から速やかに離脱する必要があった。
もし顔を覚えられれば、危険人物と思われ、これからの行動に支障が出るかもしれない。
それを避ける為にも、一瞬の隙をついて崩子は去った。
だが、崩子は知らない。
先ほどの少女は完全記憶能力を持ち、彼女の声や体格を覚えている事を。
「待っていて下さい。戯言使いのお兄ちゃん。」
風に乗せ。ポツリ呟くと崩子は進む。
一分、一秒を惜しみ、愛しき人を探し、守る為に。
【H-5/路上/初日・黎明】
【闇口崩子@戯言シリーズ】
[状態]:左上腕から肘にかけて裂傷。やや疲労。
[制限]:身体能力的には問題なし。その他は不明。
[装備]:十拳剣@終わりのクロニクル
[道具]:デイパック、基本支給品。
[思考・状況]
1:戯言遣いのお兄ちゃんと可及的速やかに合流。
2:戯言遣いのお兄ちゃんを傷つけそうな人物は殺す。
[備考]
1:十拳剣@終わりのクロニクルを所有している限り闇口(暗殺者)としての力を使えます。
また崩子の方の名前の方からも力を得ています。
2:ネコソギラジカル下で真心が骨董アパートを壊した後からの参戦です。
3:十拳剣に気を取られていたので名簿未確認です。
4:柿原里緒を危険人物として認識しています。
5:シスター(インデックス、名前は知らない)はゲームに乗ってないと判断しました。
代理投下完了&投下乙。
インデックスは何とか命拾いしたけれど、崩子ちゃんを憶えちゃったか。
積極的に言いふらしそうな感じではないとはいえ、今回は対応がまずかったかも。
……さすがに、代名詞呼ばわりで殺されたけたから、しかたないかw
投下&代理投下乙!!
ロリっ子コンビ結成には至らなかったかw
それにしても、哀れなのはハセオ。彼の死に絶望してくれる仲間すらいない…
(蒼衣も雪乃もその辺はかなりドライだし)
乙
ハセオwww
人がいない…
そして
>>675まで戻るw
ひまつぶしにウィキの編集もしてみたいが、まとまった時間が取れないorz
予約来てるー…って、今度こそ終わったかもしれん彼女w
予約来たぁ!!
なんつーか、カワイソスww
どうして、こんなことになったのだろう?
やっと、素直になれた。
ようやく、井上に振り向いてもらえた。
井上を束縛し、苦しめ続けたあの女とも決着をつけた。
辛いことも、悲しいことも、悔しいことも、全て乗り越えた。
琴吹ななせの黄金時代は、ここから始まるはずだった。
なのに、何でこんなことになったのだろう?
肺が焼ける、足が鉛のように重い。
体が冷たい、濡れた服がうっとおしい。
右目は霞んで見えない、左目はもう痛みすら感じない。
何で、あたしたちはこんなに苦しまなければならないのだろう?
井上は泣いていた。
みんな僕に小説を書けって言うんだ、と泣いていた。
井上ミウに戻れって…、僕は書きたくないのに、と。
なんで、遠子先輩は彼にそんなことを言うのだろう?
井上が苦しんでいることを、誰よりも知っているはずなのに。
なんで、あたしたちを苦しめるのだろう…
あたしと井上が付き合い始めたことを知っているのに、わざわざ井上の家に押しかける。
あたしと井上は相性が良く無いだとか、ノリがずれてるとか、そんないい加減なことを言いに来る。
あたしより遠子先輩のほうが似合ってるとか、そんな勝手なことを言って邪魔をする。
あの男もそうだ、あたしの左目を潰した。これでは、左目で井上を見ることが出来ない。
右手の指もほとんど無くなった。指が無いと、井上と手をつなげない。
あの狐のお面の男もそうだ。
あたたちを誘拐して、挙句殺しあえと。あたしたちは殺しあいなんて出来るわけない。
そんなことしたら、井上を殺したらと一緒にいられなくなる。
みんながあたしたちを苦しめる。みんながあたしたちのじゃまをする。
みんなそうだ。
遠子先輩も、あの気障男も、刺青も、狐面も、赤コートも、同じ顔の娘たちも、みんなあたしたちの邪魔をする。
井上を苦しめるやつはみんな消えてしまえ。あたしを苦しめるやつはみんな死んでしまえ。
あたしたちを邪魔するやつは、みんなみんな殺してしまえ!!
「…あッ」
足がもつれて倒れた。
アスファルトに頭を打ち付けたが、痛みは無い。
金縛りにあったみたいに、腕も足も動かない。右目を開いても何も見えない。
冷たいアスファルトに体の熱が奪われていく。熱と一緒に、先ほどまでの激情も失われていく。
薄れていく意識の中で、自分が死ぬのだと理解した。
最期に脳裏に浮かんだのは、井上の泣いてる顔だった。
「ごめんね、守ってあげられなくて…」
「まったく。誠心誠意、傑作だな。」
もはや心臓すら止まりかけていた少女の体が、見る見るうちに回復していく。
流石に切り落された指までは回復できないようだが、左目のほうは傷跡一つ残っていない。
ぶらぶらとあても無く歩いていた殺人鬼・零崎人識が、偶然にも自分が殺し損ねた少女を見つけたのは
朝日が昇り始めるころであった。
倒れ伏し今にも事切れそうな少女を見ても特に感慨もなかったが、物はついでとばかりに支給品である
“血”の効果を試すために、意識の無い少女に飲ませてみた。結果、死体同然だった少女は劇的なまでに
回復した。
右手の指こそ無くしたままだが、血色もよくそれ以外は怪我一つ無い少女がつい先ほどまで大量出血で
死につつあったことを想像することは不可能だろう。
「仙豆じゃあるまいし、ここまで凄いとかえって胡散臭いな。」
何か副作用があるのかも、と考えつつ殺人鬼は血まみれの少女を放置したち去っていった。
【B-6/ビル街/初日・早朝】
【零崎人識@戯言シリーズ・人間シリーズ】
[状態]:健康
[制限]:不明
[装備]:雄のグレアデ・雌のリレッザ@薔薇のマリア、神狩屋の血(1/3ほど消費)@断章のグリム
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]1:適当にぶらぶらする
2:いーちゃんと零崎双識を探す
3:いーちゃんと零崎双識を見つけたら一応は協力する
【琴吹ななせ@文学少女シリーズ】
[状態]:全身血まみれ。右手の親指以外の指を喪失、それ以外の傷・体力はほぼ回復しています。
ただし左目の視力まで回復したかは不明です。また、神狩屋の血による副作用も不明です。
[制限]:不明
[装備]:リリーのメイド服@戦闘城塞マスラヲ
[思考・状況]:気絶中
【神狩屋の血】
神狩屋の断章の効果(不老不死)により回復効果があります。(体が半分に千切れても再生可能)
ただし、一度に大量に飲ませると〈異形〉化するので用量用法を守って正しくご使用下さい。
なお、断章騎士(蒼衣・雪乃)はある程度耐性があります。
タイトル忘れた…
こんな時間、しかも短いですが投下しました。
自分で言うのもなんですが、零崎が鬼畜過ぎる。
すみませんこれも追加で
【備考】:A-7〜B-6の道のどこかに琴吹ななせのデイバッグが落ちています。
残るランダム支給品×1の処遇は次の書き手さんにお任せします。
(すでにななせが身に着けている、というのもアリだと思います)
GJ!!
鬼畜だぁwww
投下乙。ななせは最新刊終了時からの参戦か…読んでてよかったー!
一方は原因、一方は結果を口にしたとはいえ、後続の書き手の展開によっては不死カップルの成立っぽいようなw
しかしこれでななせはマーダーに変貌するのかなぁ。
>>732のくだりですが、櫻井流人の名前がないので初見の人は遠子先輩がストーカーのように見えるwww
家庭訪問と称して押しかけたのは事実だがw
>>739 確かに、遠子先輩がすごく陰湿で腹黒になってるw
GJ!!!!
文学勢ヤバイな〜ww
てか、予約来てた!!
最近予約状況を見ていると、キャラがいつ死ぬかいつ死ぬかと戦々恐々なんだが。
ネガティブすぎる読者も困りものかw
でも数字的には、死亡率10%未満なんだよなあ。
蒼衣…ドンマイww
wktk
>>744 それがパロロワの楽しさ&恐ろしさだからな。
キャラが元からマーダーとか変態とか狂気に走ってるのが結構いるから一層強く感じるが。
人がいないので話題というか質問投下。
予約の有効期間についてですが、延長も含めて五日間というのは
書き手さん達的に実際どうなのだろうか?
延長期間も含めればしっかり〆切に間に合わせてる人もいるが、
書くのが苦手な身としては「本当はこの日数じゃ辛いのでは?」と
思ってしまう。
>>748 俺は三日で大丈夫。今のところはだけど。
序盤であまり話が長くならないし、
寂しいが過疎気味で、あまり予約が入らないため、書き溜めておいて予約できるからね。
だから今後、話が進んだり書き手さんが増えたら厳しいかもとは思う。
俺の場合、正直3日でも5日でも一週間でも書きあがるのは最終日だと思う
751 :
748:2008/05/08(木) 18:21:26 ID:1LSe3S7Q
書き溜めてから予約したり、〆切ギリギリまで推古してから投下したり
…延長含めて〆切以内に書き上げれない方がいるのなら、執筆期間
を伸ばした方がいいのではとも思ってたけど、杞憂でしたな。
でも
>>748氏の言ってるように、書き手さんが少ないのと、いまだ序盤
であるからこそ、今の期間で何とか書き上げられているのもあるのかも。
…何作品か投下できている書き手さんは、予約期間を伸ばせても
いいんじゃないかな?
予約の方、どうなってるのかな?延長の期限も過ぎてるみたいだけれど。
人もいないし、もう少し待とうぜ。全裸で。
数書いてる人は予約日数伸ばすって意見はいいかも。
具体的に何日伸ばすかはしらんが。
作品こないなー
氏の作品は好きだから楽しみなんだが
自己リレーになるがプロットだけできたので、ある程度書き溜めたら
予約してみる。と宣言。書ける時間がしっかり作れればなあ…。
遅れてスンマセンorz
パソがぶっ壊れちまってて…
漸く直りそうなので、もうすぐ投下出来そうです
おぉ!!
楽しみに待ってるよ
人、いないなぁ
いないねぇ…
投下もだが、雑談すらほぼないのが寂しいな。
ラノベでロワって、実は向いてないのかなぁ。
文章だから情報量は他作品を凌駕するけど、冊数が多いのと、情報をまとめる筆力が必要なのかもと最近思ってきた。
板が板だからじゃないかなー
ラ板だったら、もっと盛り上がってたと思う
しかしそのラ板の方は…いや、泣けるので何も言うまい。
>>761 ラノベって好み分かれるしな
全作品を網羅するのはしんどい
ラ板の方は参加人数が多かったからなー
正直、この人数でラ板だったらもう終盤までいってる気がww
新しい予約きたわあああ!
ラノオルタにー
予約がー
キターーーーーーーー!!!
私―この世界の名簿の上でも城島硝子という名称で認識される『私』は、不規則に林立する木の一つの根元に座り根元に座り、
一心不乱に本を読みふける少女―サフィニアを、ぼんやりと眺めていました。
彼女の横顔は木々の間から差し込む月明かりに照らされ、その肌の白さと肌理細かさを際立たせており、まさに一つの絵画の
ような神秘的な美をかもし出しています。…妙にきゃるきゃるした服装と左手に持った懐中電灯がいささかミスマッチですが。
サフィニアの着ている露出の多いひらひらでドピンクの衣装は、いわゆる魔法少女とよばれる類のキャラクターが身に着けて
いそうな代物ですが、病的なまでに肌の白い彼女が着ると、どうにもこう…のび太くんが長ズボンを履いているような違和感が
ぬぐえません。やはり、魔法少女は明るい太陽の下で元気いっぱいであるべきです。
…いえ、逆にこの微妙な違和感こそが、彼女本来の儚げな雰囲気を強調しているとも考えられます。
これが噂に聞く「ギャップ萌え」なのでしょうか?
なんだか肉体言語魔法少女・魔砲少女に続く、新たな方向性が切り開けてしまいそうです。
病弱魔法少女とか、不幸魔法少女とか、根暗魔法少女とか。
と、そんな益体もないことを考えてながら、サフィニアに声をかけてみます。
「どうです、使えそうですか?」
「はい…なんとか」
蚊の鳴くような声で、彼女は手にした本―《666》を指し示しました。
話を少しさかのぼります
仕事中に携帯から支援。
私が手渡した《666》とその取扱説明書(ご丁寧にも日本語・露語を含む複数の言語で記述してある)に目を通して
サフィニアはこう告げてきました。
「この魔導書は…本質的には『本』ではありません。」
うつむき加減に、ぼそぼそと彼女は続けます。
「魔力―マナを吸収し…事象へと変換する。これ自体が一個の魔術式…、いえ、無数の魔術式の集合体です。」
「知識を伝えるための『本』ではなく、マジックアイテムであるということですね?」
まあ、ファンタジーなゲームや小説では珍しくもない設定です。というか、説明書にも書いてありました。
「魔導書には…こういう物も珍しくはないのですが…。少し、試してみます」
言うと、彼女は《666》を捲り海に向けて掲げました。
「…四二九ページ!!」
今までの彼女の様子からは想像できない、凛とした叫び声。
それを言い終えるよりも早く、《666》が一瞬淡く輝き…
轟
と凄まじい突風が砂浜を駆け抜け、海面を割る。
いえ、これはもう風というよりも衝撃波と呼ぶべきでしょう。というか、確実に音速を超えてしますね。
砂浜には、まるで砲弾が抉ったかのような凄まじい痕跡が残っています。
「これは…、なんとも凄いですね。」
「その分マナの消費も…大きいです。」
そう言う割りに、サフィニアは特に消耗しているようには見えませんが。
「…でも、この《666》は…とても実戦向きです。詠唱も、精神集中も無しに強力な魔術を扱える…
マナの消費にさえ耐えられれば、恐ろしく強力な武器となるでしょう…」
「…そんなに、消耗するのですか?」
「…はい…並みの魔術師なら、2・3回使えばマナが枯渇すると思います…」
そんな代物をぶっぱなして、涼しい顔をしている彼女はなんなのでしょうか?
「でも、これだけ強力な魔法が使えるのはなんとも心強いです。」
「…あの…まだ自在に使えるわけでは…」
「…どういうことです?」
サフィニアのしどろもどろの弁解を要約すると
・強力な魔術はその効果をきちんと把握しておかなければ危険である
・しかし、《666》は未知の言語で記されているため格ページの魔術にどういう効果があるか分からない
・先ほど使用した四二九ページは説明書の方に例として効果が記述してあった
・さらに、《666》の大半のページには所々を塗りつぶしている箇所がある。
恐らく、そのページの効果を伏せるためかもしくは魔術の発動そのものを阻害するため。
ということです。
「では、先ほどの魔法以外は使えないということですか?」
「…いえ、説明書には…この魔道書を記しているものと同じ言語も使われています。これと私たちの世界の言葉の部分を
比較すれば…判読も可能になる…はずです。」
なるほど。かのヒエログリフの解読も、ギリシャ語で書かれた同じ内容の文章との比較がきっかけでしたね。
「しかし、手元に手ごろな資料があるとはいえ、短時間で未知の言語の解読が可能でしょうか?」
「それは…何とか。魔術師は…日常的に複数の言語を使い分けますし、古い書物の解読も仕事のうち…ですから。
それに…、完璧な翻訳が必要なわけではないです…から。」
確かに、ただ使うだけならページ数を言えばよいわけですし。
「理解しました。現状においてはサフィニアと《666》こそが私たちの最大戦力です。その戦力を有効に使うためにも、
《666》の解読は不可欠でしょう。幸い、というわけではないですが、今は真夜中。女の子二人で出歩くには不適切な
時間帯です。」
夜明けまでは情報交換と《666》の解読に費やし、日が昇ってから行動を開始する。ということで私たちは合意しました。
支援。
「ですが、その前にちょっと場所を変えましょう。先ほどの轟音で他の人間がやってくるかもしれません。」
危険人物であってもそうでなくても、先にこちらを発見され主導権を握られるのは避けたいところです。
「そう…ですね。迂闊でした…」
サフィニアは“ずーん”と擬音が聞こえてきそうなほど、自虐モードに入っています。
「大丈夫です、今の今までこのことを思いつかなかった私も同じ穴の狢ですから。」
「…そ、そんな…そんなこと…ないですよ。」
私の慰めに、ちょっと赤くなりながらおたおたと返事をするサフィニアは実にキュートです。
やはり、素材がいいだけにハニカム姿がとても可愛らしい。儚げな雰囲気との落差も素晴らしい。
正に、ギャップ萌えです。
と、そのような会話をしたのが深夜の零時ごろ。
あれから森の東側―森と空港の境目を視認できる場所へと移動し、腰を落ち着けました。
この位置なら、空港側からは容易に私たちを発見できず、逆に私たちのほうからは空港側のエリアを監視できます。
さらにいざとなれば、空港内のすぐ近くにある地下鉄駅を利用して逃亡できるというメリットもあります。
我ながら、中々冴えた場所を選んだものです。と、自画自賛しているうちに私は自分が空腹であることを思い出します。
「サフィニア、お腹が空いてきませんか?」
「…そういえば…少し」
《666》の解読に集中していた彼女は、言われて初めて気づいた、という顔です。
「では私は夜食の用意をします。ああ、サフィニアは解読を続けていてください。手持ち無沙汰ですからやることができて丁度よいのです。」
「…では…お願いします」
そう言ってぺこりと頭を下げるサフィニアに頷きながら、私はデイバッグを漁ります。
栄養補給は大切ですし、食事の有無は士気にも直結します。故人曰く「腹が減っては戦は出来ぬ」
SIEN.
感情を持たない私に士気は関係ないですが、サフィニアにとっては重要な事項のはずです。
さらに言えば、他人と一緒にとる食事は気分をリラックスさせ、円滑なコミュニケーションを促進します。
サフィニアが現状での最強戦力である以上、彼女とより親密になることは私の生存確率に直結し、ひいてはマスターの安否に関わります。
だから私が、彼女との信頼関係構築のために、よりおいしく食事を出来るよう努力するのは極めて合理的な行動なのです。
さて、プリンはどこにしまったのでしょうか?
【F-2/森と空港の境界/初日・深夜(ゲーム開始より数時間経過)】
【サフィニア@薔薇のマリア】
[状態]:健康、少し空腹
[制限]:不明
[装備]:魔法少女変身セット(ステッキ・コスチューム)、666-獣の書@戦闘城塞マスラヲ
[装具]:支給品一式、ランダム不明支給品×1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:何とかして生き残り、エルデンへ帰る
1:666-獣の書の判読
2:マリア、晶、里緒、殊子、蜜を探す
【城島硝子@レジンキャストミルク】
[状態]:健康、少し空腹
[制限]:ダイレクトリンクの距離制限
[装備]:雪乃カッターナイフ@断章のグリム、S&Wシグマ(0/16)、マガジン(9mmパラベラム弾)×3@現実(666と交換で入手)ランダム不明支給品×1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:知り合いと合流し、脱出のための策を練る
1:夜が明け次第行動開始
2:晶と合流
3:里緒、殊子、蜜、マリアと合流
投下乙でした。
さすがに魔術士がそれに関するアイテムを持つと強いな。
場所移動がないのは残念だけど、時間経過については深夜ではなく黎明でよかった気がしました。
投下しました。期限を過ぎて申し訳ないです…
あと追記、というか
F-3で姫ちゃんが起こした爆発については、丸々1エリア離れているので聞こえなかったことにしました。
1エリアって確か8km×8kmでしたよね?
666−獣の書についてですが、魔力の消費量及びどのページが使えるかについては後の書き手さんにお任せします。
一応、2巻までに使った各ページの効果を並べておくと
不明:引きこもりがかろうじて気絶しないぐらいのダメージ
二七三ページ:高級ホテル最上階の一角が消し飛ぶ爆発を起こす
四二九ページ:秒速400m(超音速)の圧搾空気による衝撃波を撃ち出す
五〇〇ページ:強力な熱波を撃ちだす
五〇七ページ:大気を歪めるほどの轟風を纏った隼を召喚
五二一ページ:眩い電光を纏った狼を召喚
五三三ページ:灼熱の炎を纏った馬を召喚
ざっとこんな感じ。
3巻だともっとやばいのが出てきます。
>>776 支援感謝です
現役のマキシマムドレッドスターですからねぇ>サフィニア
原作でもトマトクン・ピンパーネルと並ぶチートキャラですし。
…よく考えたら、ZOOの面子の大半はチートキャラなような
時間経過については悩みましたが、タイトルを「月下美人」に
してしまったのでまだ月が昇っている時間帯にしました。
マリアローズとカタリ以外は全員チートにしか見えねえのですがw
黎明枠だったなら、時間順に並べた場合、頭に「月」と付くSSが3つ並んでいたのに。残念(待て
乙&GJです!!!!!!!!!!!
確かに、チートすぐるWWWWW
投下乙。
666って魔力をフィルタリングして放出してるというイメージがあるのだけど、
使用時の消費魔力も元々の持ち主に併せてるのだろーか。教えて詳しい人!
もしそうならサフィニアだけでなく、他の人間が使用した場合でも結構コストが
かかりそうなアイテムかも。
>>776も触れてるが、時間場所共に動きがないのがショボーン。
放送到達までいつまでかかるかが気にはなるけど、同エリアにいるシオンとの
接触の目処がまだありそうなので、そこは期待。
投下乙
サフィニア強いなww
wikiのレイアウトを修正してみました。見辛い点がありましたら、ご報告下さい。
また、「書き手紹介」ページを修正、及び書き手さんの個人ページを作成しました。
書き手さん個人にコメントを残したい方はどしどし書き込んで下さいw
>>783 乙ー。
wikiでコメントを貰えると嬉しいって書き込みを交流所でも見るし、暇ができたら書きたいところだ。
毒吐き別館でたまに名前が挙がっててワロタ。
そーいやCps氏はどーしたのだろう。テキストデータも全部飛んだのかな?
>>777の補足データを[月下美人]のページに入れたほうが良いのだろうか?
それとも、アイテム欄のほう…だと、入れにくい構造してるなぁ。
オープニングのページに登場キャラ紹介ページへのリンクをつけてみた。
けど、今考えるとSS一覧の登場キャラのところにリンクをつけても良いかもしれない。
どちらがいいのか、意見を求めたい。
>>786 アイテム欄より「月下美人」に入れた方が無難だけど、それは作者さんに編集してもらった方が。
俺らが勝手に変えるのは角が立ちそうだし。
>>787 タイトルの「(b)」が気になる人乙。
SS内にキャラの紹介ページリンク貼るのは、見栄え的に微妙と感じました。
他のロワwikiにも言えることだけど、目次に登場人物の名前が記載されてるので、
わざわざ「このキャラが次に登場するSS」のリンク貼るのは、編集的にも大変な気が。
無難にキャラ紹介ページから登場するSSに飛んで貰った方が楽かもしれん。
自分の書き込み以降、誰も書き込んでないことに泣いた。
何というか、切ないよな。
ところで、皆は何作品くらいは内容を把握してたりするんだろう?
俺は友達から借りたりして10作品。いぬかみ、銀盤、ルナムン、レジンキャストは
完全に未読で、読んだことある作品も、手元にないので書くのには不向きな状態。
完全未読はいぬかみ、戯言、マスラヲ、ムシウタの4作品だな。
それ以外は読んだことあるけど、途中までしか読んでないのもいくつかあったり。
戯言・グリム・禁書・銀板・文学少女・薔薇マリ・マスラヲは全館読破
レジンキャスト・終わクロ・いぬかみ・され竜は途中まで
ルナティック・ムシウタ・ウィザブレは未読
>>786>>788 別にどこに載せてもいいですよ。
参考になればいいな、程度に書いたものですし。
完全把握は戯言、禁書
プチ把握はされ竜、ムシウタ、マスラヲ、グリム、薔薇マリ、いぬかみ
かなー…
予約キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
おお、予約きてるな。
…このロワって、女性の身の危険よりも、男性のそれの方が危うく感じるんだが気のせいか?w
よーーーーーーーーーーーーーやーーーーーーーーーーーーーーくーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!
wktk
「誰……ですか?」
「え……?」
声が聞こえた次の瞬間には、体が反応していた。
すばやく体勢を立て直し、太い幹の後ろに回って盾として懐からスタン・グレネードを取り出す。
腰を落とし、いつでも動き出せる姿勢を維持したまま相手を凝視する。
「すみません、驚かせてしまいましたか?」
声の主はすぐ近く、この社の本殿の縁側にいた。建物が月明かりを遮り、影となっているため輪郭しか
見えないが体格と声からすると、彼女とそう年の変わらない少年のようだ。
「危害を加えるつもりはありません。ですから、落ち着いて少し話し合いをしませんか?」
耳栓をしたままだったので細かい内容は聞き取れなかったが、確実に先手を取れる状況だったのに攻撃を
してこなかったということは、今のところは戦う気は無いらしい。迂闊に近寄ってこないとこからすると、
状況を理解していない馬鹿でもないようだ。目的は情報交換か、懐柔か。
どの道、姫ちゃんのやることに変わりは無いですよ
殺人機械のやるべきことは唯一つ。KillThemAll
「えーと、聞こえていすますか?僕はあなたに危害を加えるつもりは…」
そう言って、少年が縁側から降りてこようとする。
「近寄らないでくださいッ!!」
意図的にヒステリックな声を上げる。
「最初の人はいきなり爆弾を投げてきたです…、大きな男の人も剣を持って追いかけてきたです…
みんなみんな姫ちゃんを殺そうとしてくるです、誰も、誰も信じられないですよ…」
ゲームに乗ったマーダーたちに追い回され、心身ともに疲れきり、不安に張り裂けそうなか弱い
少女。それが、今の彼女だ。相手からは自身の姿は見えていただろうが、それも月明かり・星明り
の下である。血まみれの服だって返り血かどうかは判別できないだろう。
「…」
案の定、少年は不安と猜疑に囚われた少女に対し、アクションを起こせないでいる。
その途惑いの間に黒の剣を握り直し、スタングレネードの投擲体勢に入る。
スタングレネードで無力化した少年を始末し、所持品を奪って山を降りる。
先ほどの襲撃者やそれ以外に参加者に自分の位置を知らせることにはなるが、短時間ではあるが
休憩は取れているし、急いで移動すれば問題ない。
「〜〜〜〜〜」
相手が何か言っているようだが、彼女には関係ない。
馬鹿なやつです。最初から殺しにかかっていれば、死なずにすんだのに。
内心で嘲笑しながら、彼女はスタングレネードを投擲し木の幹に隠れ、目を塞ぎ口を空けた
対ショック体勢に入る。
激しい閃光と爆音が夜の静寂をかき乱す。
木陰に隠れてスタングレネードの炸裂をやり過ごした一姫は、黒の剣を構えて木の陰から動き出す。
今の爆発にほかの参加者が群がって来る前に、動けない相手に止めを刺し、持ち物とデイバッグを
確保しなければならない。
「今度は、あたりがあるといいんですけど…なッ!?」
彼女が最後に見たものは、
「なんなんですかー!!」
そうれはもう、ありえない勢いで膨張する巨大な“マシュマロの壁”であった。
「危ないところだった…」
夜の道を走りながら、白野蒼衣は冷や汗をかく。
鋏だの包丁だの鳩だのと言った物騒な物で攻撃された体験はあったが、爆弾(?)を投げつけられたのは初めてだった。
少々認識があまかったこもしれない、などと考えつつ蒼衣は東へ東へと整備された山道を走る。
彼が東へと進む理由は幾つかある。
もともと夜が明ければ、道路沿いに東に山を下るつもりだったのが一つ目の理由。
次の理由は、先程の爆発で不運にも頼みの綱である暗視装置が壊れてしまい、迂闊に夜の森を歩けなくなったため。
最も暗視装置を装着していたお陰で、スタングレネードの閃光から目を守れたのだから一概に不幸とも言い切れないが。
(許容量以上の光量で暗視装置の受光部が焼きついたのだ)
最後の理由は、先ほどの少女は東から来たためである。
彼女は襲撃にあったと言っていた。あの未だ乾ききらぬ血痕からして誰かと戦闘になったのは事実だろう。
彼女が襲った側か、襲われた側かは不明だが、戦闘があってからそれほど時間は経っていないはずだから上手くすれば
その相手と接触できるかもしれない。
その人物が先ほどの少女に襲われた被害者なら、同じ被害者ということで話を聞いて貰えるかもしれない。
少女と同じ殺人者なら…
「まあ、その時はその時か。」
虎穴に入らずんば、虎児を得ずと言うしね。
と一人つぶやき、少年は朝焼けへと向かって走っていく。
【E-3/道路/初日・早朝】
【白野蒼衣@断章のグリム】
[状態]:健康、聴覚はまだ麻痺している
[制限]:不明
[装備]:暗視ゴーグル(壊れている)@現実、ハーレム・ゴードン×3、ホムニアス・カーブ×2@薔薇のマリア
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]1:先ほどの少女(姫ちゃん)を警戒
2:道路沿いに山を下り市街地or空港を目指す
3:参加者と接触し、情報を集める
4:雪乃を探し出し守る
5:ゲームを破壊し、雪乃を連れて生還
【D-3/神社/初日・早朝】
【姫木一姫@戯言シリーズ】
[状態]:マシュマロの海で溺れている、血まみれ、手足や顔に軽い火傷と切り傷
[制限]:不明(少なくとも本人は気づいていない)
[装備]:黒の剣@戦闘城塞マスラヲ、スタングレネード×3、耳栓@現実
[道具]:デイバッグ、支給品一式(二人分)、偽劫火@薔薇のマリア、封呪弾筒×2@されど罪人は竜と踊る(封じられている呪式は不明)
[思考・状況]:ヘルプミー!!
短いけど、投下しました。
ジュシキがのジュが変換できなかったので、そのへんは平にご容赦を。
【備考】
蒼衣は姫ちゃんの声と容姿(暗視ゴーグル越しだが)をばっちり覚えてますが、姫ちゃんの方は蒼衣の声も姿も曖昧にしか把握できてません。
忘れるとこだった
【備考】
初日/黎明/D-3の神社でスタングレネードによる爆発が響き渡りました。
ついでに、D-3の神社境内に直径数十mの巨大マシュマロ(苦い)が出現しています。
投下乙。白野君逃げ切れたー!
啓太を倒し、ギギナに手傷を負わせた姫ちゃん相手に、一時はどうなるかと思ったが…
死者スレに男が増えなかったのは行幸www
ところでタイトルがががw
投下乙!
とりあえず難を逃れたな蒼衣。
しかし、このまま道なりに進むと危険な香りがプンプンするぜw
超!!!乙!!!!!!
タイトルがww
投下乙!!
姫ちゃんドンマイwww
正確に記するならアタック・「オブ・」ザ・〜〜だな。
それはともかく投下おつー。
蒼衣の持ってるホムニアス・カーブは昔話にある「三枚のおふだ」を
連想させるのだが、今回はなんとか逃げ切れたか。
姫ちゃん…とっとと脱出しないと怖いのが迫ってくるぞw
あ、予約また来た。
また予約きてるーー!
wktk
なかなか怖い面子が予約されてるな。
そろそろ誰か死ぬだろうか…
予約ktkr
正座して待ってる
「詳しく知らない」からって、wikipediaをコピペはアリなのか…?
?
>>811 おそらくは最近更新されたウイル子のページについてだと思うが。
全文を丸写しした場合は転載となり、問題になる。
一部分ならば引用で、出典元を明らかにしておけばいいらしい。
一番無難な方法は、出典元を参考にしつつ、自分の言葉で加工し直すことか。
この辺り詳しい人、あと宜しく。
うーん
なるほどね
>>一部分ならば引用で、出典元を明らかにしておけばいいらしい。
一番無難な方法は、出典元を参考にしつつ、自分の言葉で加工し直すことか
わかった、少し書き直して来る。
暇なんでキャラ紹介を色々見てるんだけど…ウィル子の「物質の分解と構築」って具体的にどういう能力?
文字通り、物質を素粒子レベルで分解したり再構築したりできる能力。
分解・再構築の規模・速度はエネルギー量と演算能力と気合で上下する。
作中中盤までは、分解・再構築はヒデオに負担がかかるうえに微々たる量(ツルハシにコーティングするぐらい)
だったが、最新話ではヒデオへの負担抜きに一瞬で戦車砲をレールカノン(即興で設計した)に改造してのけた。
申し訳ないですが予約の延長お願いします。
これから投下しますね。
もし投下が途絶えたら規制だと思ってください。
その場合、仮投下スレに落としてきますので、どなたか代理投下して頂けると助かります。
枯葉に埋め尽くされた地面が、どこまでも続いているように見えるのは、夜闇のせいで先が見通せないからだろうか。
ふとそんなことを思いながら、マリアローズは佇んでいた。背を預けている樹木が巨大なため、その体がよりいっそう小柄に見える。
ときおり吹くささやかな風が、マリアローズの赤い髪を揺らしていた。
どうでもいいかと思い直し、マリアローズは頭の中で、数を数え始める。
その行為は、一人で侵入者(クラッカー)稼業を行っていた頃に染み付いた癖だった。
先の見えない真っ暗闇の中で、自分を見失わないように。不安や恐怖や心細さで、冷静さを手放さないように。
他にするべきことがあるのではないかと、思わなくもない。
サフィニアと合流し、生きてエルデンに帰らなければならないのだ。それも、できるだけ早い方が望ましい。こんな訳の分からない状況下では、いつ死んでもおかしくはないし、万が一死んだ場合に蘇生術が施されるとは限らないのだから。
サフィニアや頼れる仲間を探すとか、情報を集めるとか、やらなければならないことは山積みだ。
ただぼんやりとしているだけで、脱出への道が開かれるなどといった甘い考えを持っているわけでは、決してない。
だというのに、今こうしてのんびりしている理由は単純だ。
「くー……すー……」
聞こえてくる寝息の方に、視線だけを向ける。そこには、幸せそうに眠る、無防備な少女の姿がある。どんな夢を見ているのだろうと考えかけたところで、マリアローズは溜息を吐いた。
ここまで穏やかに眠られると腹が立ってくる。たたき起こしてやりたいが、彼女が気を失った原因はマリアローズ自身にある。その負い目や罪悪感が、苛立ちを押し留めていた。
再度、溜息が落ちる。数分前の、迂闊な自分を殴ってやりたい気分だった。
「仕方ない、か」
呟き、緊張を解すようにして首を回す。こきりと、小さな音がした。
――とりあえず、休もう。休めるときは休んでおかないと、体が持たないしね。
まだ何もしていない気もするが、そのあたりはとりあえず無視してマリアローズは腰を下ろす。柔らかい地面の感触は、思いのほか悪くはない。
「ふぁ……」
思わず、欠伸が漏れた。どうせ休むのなら眠ってしまいたいが、流石にそこまで危なっかしい真似はできない。この子が信頼できそうなら、見張りでもやってもらって睡眠を摂ろうかと思う。それくらい要求しても罰は当たらないだろう。
再び、数を数え始める。百を超えたら一から数えなおし、繰り返す。
そうしながらも感覚は研ぎ澄ませたままで、意識には鋭敏さを満たしておく。緊張感を決して切らさないように留意する。気を抜いたために、こんなところで死ぬのは御免だった。
そうしていたからこそ、マリアローズは確かに捉えていた。
そよ風に乗って近づいてくる、枯葉を踏みしめる音を、だ。
極力気配を殺し、音に意識を傾ける。掌の中にある錠開け専用鉄具を、頼るようにして握り締める。空いた片手でベルトのホルダーにぶら提げた支給品――発煙手榴弾の存在を確かめる。
続いて、周囲に目を凝らす。無数の木々が乱立し、背の高い植物の群生地が見える。その合間を縫うようにして、走りやすいとは言えない獣道が伸びていた。
マリアローズは、木の麓を一瞥する。そこでは、未だ少女が寝息を立てていた。
もしここから動かなければならなくなったとき、このままでは厳しいものがある。気を失った彼女を背負って走れるほど、マリアローズは筋力に優れてはいない。
今のうちに起こしておこうかと思うが、懸念もあった。
起こしたときに、騒がれると困るのだ。
幸い、マリアローズは悪人面でも強面でもない。先ほどは後ろから突然声を掛けたせいで驚かせてしまっただけで、顔を合わせて話せば大丈夫だとは思う。
しかし、状況が状況だ。
見ず知らずの他人を易々と信頼するのは危険な現状、目を覚ましたその瞬間に知らない顔が眼前にあったら悲鳴を上げられてもおかしくはない。
こちらの位置を相手に悟られるような真似は避けたかった。
――僕がもっと強ければ。あるいは、ハーレム・ゴードンや愛用の篭手があれば。
脳裏を掠めた無意味な仮定を、マリアローズは頭を振って打ち消す。今できることの中から、最善を選び取らなければならないのだ。
迷う間に、時間は減っていく。着実に、物音は大きくなっていた。
その音に焦りを覚え、マリアローズは決心する。
やはり起こそう、と。
近づいてきているのが殺意に溢れたクソ野郎だとして、そいつに発見されてしまった場合、咄嗟で迅速な行動が必要となる。逃げ切れずに共倒れなんて、想像したくもない。
もしも大声を出されたら、急いでこの場から離れるしかないが、人一人背負って逃げるよりは遥かにマシだろう。
「ねえ、起きて」
肩を揺さぶり、耳元で囁いてみる。それでも少女は僅かに眉を顰めただけで、瞼を持ち上げない。思わず大声を出したくなる衝動を堪えながら、続ける。
「起きてったら。早く」
語気と揺さぶりを、少しだけ強くしてみる。すると、可愛らしい寝顔に迷惑そうな皺が刻まれ、少女の手が動く。その手は、起きてくれそうな気配を感じ取ったマリアローズの手へと向かってくる。
ぱしり、という小気味よい音とともに、少女の肩に乗せていたマリアローズの手が叩き落とされた。しかも、やけに勢いが乗っていて、結構痛い。
マリアローズのこめかみに、青筋が走った。叩かれた挙句、少女が夢の中から戻ってきそうになかったからだ。
このまま放置しておいてやろうかと、黒い提案が脳裏を掠める。その考えを、溜息とともに外へ逃がした。
彼女が意識を失ってしまったのはマリアローズのせいでもあるし、自分だけ逃げてこの子が死んだりしたら寝覚めが悪すぎる。
「あー、もう……」
焦燥と苛立ちがマリアローズを毒づかせる。言いたいことは山ほどあるが、愚痴っても文句を言っても、状況は変わらず時間を浪費するだけだ。
しょうがない。
とりあえずこの子を茂みに隠そう。
その後、単身で様子を見に行こうとマリアローズは考える。もし危険人物と遭遇すれば、自ら囮になって引き付ける必要があるかもしれない。使い慣れない武器しかないし、戦闘は極力避けたいところだが、背に腹は変えられない。
そう考えながら、マリアローズは手を伸ばす。マリアローズよりも背が高いとはいえ、あくまで女の子だ。いくら非力とはいえ、運べなくはないだろう。
素早く、かつ音を立てないように慎重に。
両手を少女の脇に差し込む。引きずる形になってしまうが仕方ない。跡を隠蔽する余裕があるかを心配しながら、羽交い絞めにするようにして少女を掴まえて、両腕に力を込める。そのまま連れて行こうとした、その瞬間。
目が、合った。
ほんの僅か前まで閉ざされていた瞳が、マリアローズを至近距離で捉えていた。
マリアローズの瞳に、意識を失していたはずの少女の目が映し出されていた。
不意に汗が、背筋を伝い落ちていく。やけにじっとりとした、嫌な感触だった。
「や、は……」
マリアローズが口を開くよりも、手を離すよりも早く、少女の口が動く。不審の色を宿すその表情を直視し、マリアローズは思う。
マズい、と。
咄嗟に口を塞いでやろうとするが、上手く手が動かせない。
――何、この子。力強すぎ……っ!
そんなぼやきが頭を過ぎってしまうくらいの力で少女が暴れまわり、マリアローズを振り払おうとしていた。とても寝起きとは思えないパワフルさだった。
「は、離せ! 離せよっ!!」
絶叫が闇を引き裂いていく。木々すら揺れてしまいそうな叫び声に、マリアローズの心臓が跳ねた。
「分かった、分かったから、静かに!」
目が覚めたのなら少女を掴まえている理由はない。急いで腕を剥がしたとき、少女の拳がマリアローズを直撃した。
無茶苦茶な動きのくせに、拳はやけに重い。反射的に足腰に力を入れたおかげで倒れずにはすんだが、後ずさりしてしまうほどの威力はあった。
想定外の馬鹿力に驚くマリアローズ。しかし、驚きに思考を阻害されるわけにはいかない。何せ状況は、最悪の方向に転がり始めている。
敵意に満ちた双眸が、マリアローズを射抜くように向けられる。気絶していたところを後ろから拘束されて引きずられていたのだ。警戒されても無理はない。
「落ち着いて聞いて。僕はきみと戦うつもりなんて――」
説得を試みようと開いた口はしかし、すぐに閉ざされた。
一人で侵入者として活動していた頃に刷り込まれた直感が、あるいは、もっと純粋な生存本能が、マリアローズに警鐘を鳴らしたからだ。
甲高い風鳴りが、鼓膜を震わせる。
突き動かされるように、マリアローズは横に跳んだ。
突如飛来した何かによって、地面が抉られ、木々が貫かれ、小枝が吹き飛ばされたのは、その直後だった。
マリアローズは思わず、何かが飛んできた方向に顔を向ける。
後悔が、生まれた。後悔は瞬く間にマリアローズを侵食する。抗う暇も隙も時間も与えずに。
「まさか避けられるとはな」
起伏が感じられない割に、よく通る声が響く。しかしその内容など、少しも頭の中に入ってはこなかった。
「……っ」
少女が息を呑む様子が伝わってくる。
無理もない。
そこに立っていた男は余りに異常だった。
男は、闇よりも尚濃い黒に染められた外套で、頭から下をすっぽりと覆っている。その衣装とは対照的に、肌は血色を感じられない程に色が薄く、肩まで伸びた髪は更に白い。
色素が抜け落ちてしまったような頭部だけが、暗闇の上に浮かんでいるようだった。紅玉のような瞳は、人ならざる存在を連想させる。
そう、男はまるで人間とは別の存在のようだった。異界生物(フリークス)に近い威圧感と、蟲惑的で、怖気を孕んだ魅力を醸し出している。
「最悪……ッ!」
散々思っていた単語が、ついに口から落ちる。
どう考えても眼前の男は危険人物だし、話が通じるとは思えない。見逃してくださいと懇願した瞬間に、先ほどの“何か”で貫かれてあの世行きが確定するだろう。
男の放つ圧倒的なプレッシャーと異様な存在感を真正面から受けながら、最も生存可能性の高い選択肢を考える。
否、考えるまでもない。もともと選択肢など多くはないのだ。
ベルトのホルダーに片手をやりながら、マリアローズは少女へと駆け寄る。彼女の意識は男に注がれていたようで、避けも暴れもしなかった。
827 :
参加するカモさん:2008/06/17(火) 19:51:31 ID:onqf+9N5
しえん
「逃げるよ。僕が爆弾を投げたら後ろへ走って」
囁くように、早口で告げる。小声だったにもかかわらず、少女の肩がびくりと跳ねた。
返答はない。ただ、反応があった以上聞こえてはいたのだろう。
よく見ると、少女の足は小さく震えていた。
先刻、怯えた様子で森の中を歩いていたような子なのだ。こんな、如何にもヤバそうな奴を前にしたら恐怖に捉われるに決まっている。
とはいえ、答えがなかったことに一抹の不安を感じる。マリアローズの脳裏に敵意に彩られた少女の視線が蘇り、内心で嘆息した。
「信用できないんだったら好きにしていいよ。でも、それでどうなっても僕は知らないから」
想定したよりずっと危険な奴が襲撃してきたのだ。他人に構っている余裕なんてない。少女の返事を待たず、マリアローズはホルダーから発煙手榴弾を一つ引き抜く。
「作戦は、決まったか?」
男が緩慢な動作で外套から手を差し向けてくる。顔と同様の白い指は、闇の中にありながらよく目立つ。
そして前触れもなく、男の爪が剥がれるようにして浮き上がった。皮膚と爪の隙間から鮮血が零れ落ちる。
見ているだけで指先が疼きそうな光景に顔を顰め、マリアローズは発煙手榴弾を全力で投擲した。
◆◆
真っ白な煙が物凄い速度で拡散していく。あっという間に視界を埋め尽くしていく白煙を、たゆねは呆然と眺めていた。
動けなかった。
亡霊のような男が放つ威圧感が枷となり、たゆねをその場に縫い付けていた。
その姿が煙によって隠され見えなくなっても、圧倒的な気配は消えも衰えもしない。それどころか、広がっていく煙を支配し憑り付き呑み込んで、目に見える形となったようだった。
純然たる恐怖がたゆねの精神を埋め尽くす。
震える以外の動きを忘れてしまったかのように、体が動かない。思考能力を奪われたかのように、頭が働かない。
たゆねが考えていた幽霊像よりも遥かに不気味な存在が、たゆねを捕まえて離さない。
煙はその量を増し、たゆねへと迫ってくる。それはまるで、男がたゆねに魔手を伸ばしてくるようだった。
死という単語が、頭に浮かぶ。その言葉を意識した瞬間、小さく息が漏れた。
そのとき、だった。
「走って! 早く!!」
煙よりも近くで、足音と叫び声、そして風を切る音がした。それが、たゆねの意識を急速に引き戻す。
反射的に足が動いた。男から視線を外し、反転して駆ける。思った通りに動いてくれる体に、たゆねは心身が一気に弛緩していくようだった。
予期せず、視界が濡れる。安堵が生まれたことで居場所をなくした恐怖が滲み出るように。
疾走するたゆねの目じりから、涙が零れた。それが頬を伝い落ちたとき、たゆねは唇を噛んだ。
――カッコ悪いなぁ……。
走りながら、自己嫌悪が浮かび上がってくる。
恐怖に捉われて動けなくなって、見ず知らずの誰かに助けてもらって。
そして今、泣きながら走っている。
情けなさが込み上げてきて、胸の奥が苦しくなる。涙の量が増し、前が見づらくなる。
夢の中とはいえ、皆に励ましてもらったのに。力をもらったのに。勇気付けてもらったのに。
それなのに、こんな情けない様では駄目だ。皆にも、啓太様にも薫様にも合わせる顔がない。
――もっと、もっと強くなりたい……!
お化けみたいな奴にも負けないように。怖がらないで立ち向かえるように。
そうなるために。
まずは、涙を拭こう。滲んだ視界では、前がよく見えないから。強くなるための道が、翳ってしまうから。
それに、泣いているところをあの赤い髪の奴に見られたくないと思い――。
たゆねは、疾走する足から力を緩めた。飛ぶようにして後ろへ流れていた景色が、速度を落としていく。
気が付けば森は途切れている。打って変わったような開けた場所でたゆねは足を止め、周囲を眺めてから後ろを振り返った。
黒々とした森が、巨大な化物のように広がっている。夜空へと白煙が昇っていく様は、何処となく不安感を煽られる光景だった。
「……あれ?」
今まで気付かなかったのが不思議に思えるほどの大きな違和感に、たゆねは首を傾げた。
周囲に、誰の姿もなかったのだ。
あの気味の悪い男だけではなく、赤い髪の奴も見当たらない。
たゆねが駆け出す直前に地を蹴る音が聞こえたから、逃げてはいるだろう。
途中ではぐれたのか、走った方向が別だったのか。
あるいは。
空を、仰ぎ見る。
白煙は未だ、天へと向かっている。不吉な予感が、その煙のように存在感を増していく。
耳の奥には、つい先ほどの声が残っていた。
逃げるようにたゆねを促した声。恐怖によって生み出された呪縛に拘束されたたゆねを、解き放ってくれた声。
そいつが信用できるわけではない。なにせ、気絶していたたゆねを羽交い絞めにしていたのだ。何をしようとしていたのか、分かったものではない。
だが、そいつに助けられたのは事実だ。認めたくはないが、事実は覆らない。
もしも。もしも、だ。
たゆねを助けることで逃げ遅れてしまったのなら。
「……逃げ遅れたあいつが悪いんだ。大体、寝込みに何かしてくるような奴なんだし、別に……」
言い聞かせるように呟いてみる。しかし声は尻すぼみになるだけで、続きは紡がれない。
そのまま走り去ればいい。
そう考えているのに、たゆねは煙から目を離せない。
目を背け踵を返すことが許せなかった。強くありたいという望みと、少しだけの、本当に少しだけの心配が、あらゆる選択を認めない。
煙が徐々に薄まっていく。迷っていると、手がかりを見失う。急がなければならない。
だから、たゆねは森に向けて一歩を踏み出した。
その場に向かえば、再度あの男と相対する可能性もある。
あの恐怖や威圧感が、沁みるように這い上がってくる。それに抗うように、頬を思い切り叩いた。
痺れるような痛みで自身を奮い立たせ、たゆねは歩いていく。
「怖くなんか、ないぞ。怖くなんか」
声音には震えが交じる。それでも、たゆねは迷いも躊躇いもせず、確かな足取りで森へと踏み入れた。
しえん
◆◆
投擲物が見えても、カロマイン=セクは構わなかった。
稀存種にとって、頭部さえ無事ならばそれでいい。あれが爆発物である可能性もあるが、瞬時に脳を吹き飛ばすほどのものでない限り問題にはならない。
故に、カロマインは防御も迎撃もするつもりはなかった。
血管が浮き上がるほどに白い指先から、赤く生々しい血肉が覗く。滑る血液が、引力に従い地に落ちていく。
すぐにでも『血晶』を撃ち込めるにも関わらず、カロマインは投擲物の到来を待っていた。
理由などない。ただの気まぐれだ。
眼前の人間がどのような抵抗を見せるのか。自身への脅威になり得るのか。
そんなことを思う間に、飛来物はカロマインの眼前に落下する。
直後、かなりの勢いで煙が噴出した。白の煙は瞬く間に周囲に広がっていく。目くらましが目的だとすぐに気が付いた。
血の色をした瞳に煙を映し、カロマインは思う。
下らない、と。
元より期待などしていないから、失望したわけではない。それどころかむしろ、納得をしてしまうくらいだった。
第一変異種なのか純潔なのかは知らないが、所詮人間などその程度でしかないのだろう、と。
気まぐれも、終わりだ。
既に煙は充分に広がっているため、『血晶』の狙いは絞りづらい。音を頼りに標的を探ろうとした瞬間だった。
「走って! 早く!!」
煙の奥から声が響く。愚かとしか思えないその声に嘲笑を投げかけ、カロマインは『血晶』を放った。
指向性を与えられた血液が、煙の中へ飛び込んでいく。
『血晶』が消えた方へと、カロマインは視線を向けている。濃厚な白煙は視界を覆いこそすれ、稀存種の目に痛みを与えるには至らない。
煙幕の中心にいながら、彼は瞳を閉ざしてはいない。
だから、気が付いた。
空気を突っ切るようにして飛来する、鋭く尖った刃に、だ。
白煙を隠れ蓑にして、ナイフは、避けるには近すぎる距離に迫っていた。
鋭く冷たい感触を胸部に感じるまで、時間はかからない。
皮膚と筋肉が貫かれ、硬い異物がカロマインの痛覚を刺激する。
しかし、その程度だ。問題にも脅威にも昂揚にも、程遠い。
しえん
835 :
代理投下:2008/06/17(火) 20:20:00 ID:4oEjyNqk
カロマインは、血に塗れた胸部から生えるナイフの柄を眺め、思う。
――どうせなら、使ってやろう。
このような遊戯をさっさと終わらせ、エデンに戻るために。ロイドと再会するために。
カロマインは、呼び寄せることにした。
小さな足音が近づいてくる。少しずつ薄まり始めている白煙の向こうに赤い髪を見つけ、カロマインは口角を吊り上げる。
作り物めいた笑みを浮かべ、赤髪――マリアローズを、出迎えた。
◆◆
こんな無茶苦茶、勘弁して欲しい。マリアローズは、心の底からそう願う。
走っていたはずの足が、意思とは逆方向に歩き始めただけでも願い下げなのに、白髪の男が、胸に錠開け専用鉄具を生やしたまま笑っていたのだ。
仮面のような笑顔も相まって、その様子は背筋が背筋が凍りつくような異様さだった。
しくじった。最悪のルートを辿った結果だけが残ったような気さえする。
マリアローズの心は、後悔だけで満ちていた。もっといい手段があったんじゃないのか。ずっと適切な判断ができたんじゃないのか。ああしたらよかった、こうするべきだった。
特に、あの子を促すためとはいえ、発煙手榴弾を投げた後に大声を出したのは、大いなる失敗だった。
今更としか言いようのない感情が荒れ狂う。少なくとも今は、何一つすることができない。
体が、自由に動かないのだ。
左腕から肩にかけて、“何か”を撃ち込まれてから、マリアローズは体を制御できなくなっていた。逃げる足が止まり、男へと歩き始める体を押し留めようとしても、言うことを聞いてはくれなかった。
薄ら寒さがマリアローズを蝕む。だが、震えることすら許されない。
意識だけが切り離され、置いてけぼりにされたような感覚。思い出したくない記憶が、脳裏に蘇る。
動きを封じる呪術を受けたときの記憶だ。あのときよりも、ずっと性質が悪い。
体自体は、動くのだ。ただ、マリアローズの自由には動かせないだけで。
どうせなら意識も消して欲しい。何も知らないままなら、他人に体を動かされるといった感覚を味わなくてすむのだから。
自分の意志に従わず、暴走する体を見ているしかできない。拷問にも等しい行為だ。
836 :
代理投下:2008/06/17(火) 20:21:33 ID:4oEjyNqk
クソ食らえな操り人形体験なんて、即刻中止させたい。しかし完全に自由を奪われた今、手段が分かったとしても手の打ちようがない。
本当に最悪だった。
「気分はどうだ?」
男が問う。残酷で酷薄で冷酷さで形作った笑みのままで。
「……最高、とでも言うと思う?」
必死で強がって、言い返してみる。普通に声が出せたことに驚き、マリアローズは目を丸くしてしまう。どうやら、声帯と表情筋は動かせるようだった。
――わざと、動かせるようにしているのかもしれないけど。
世には、人間を怯えさせ喚かせ戦慄かせ恐れさせ、愉悦や快楽に溺れる倒錯者が存在する。
男がそんな屑かどうかは分からない。だが少なくとも、あんな不気味な表情を見る限り、どれだけ贔屓目に見てもまともだとは思えない。
男の瞳が、マリアローズを真正面から捉える。血液によって構成されているような瞳は、マリアローズの深奥をざわつかせる。
言い知れぬ不安と畏怖が這い上がってくる。脊椎を直接金属で擦られたような、痛みすら伴う悪寒が止まらない。
肌が粟立ち、口内が乾き、冷や汗が垂れる。温度が急激に下がったような錯覚に、マリアローズは現実を見失いそうになる。
それでも、男に魅入られたように視線を外せない。目を閉ざせない。顔を背けられない。
「さて、これから君には働いてもらう」
平たくも、威圧感の篭った声が耳に入ってくる。その声音だけで、生命力を奪い取られそうな気さえする。空気すら歪みそうな気配に晒されながら、マリアローズは思う。
――なんとか、しないと。
自我の崖っぷちにしがみ付いていられるうちに、制御権を取り戻したい。取り返しのつかなくなる前に。
おそらく魔術や呪いの類だろうから、サフィニアとの合流が先決だ。サフィニアでなくとも、魔術に明るくて信用できそうな誰かから解決策を――。
837 :
代理投下:2008/06/17(火) 20:23:31 ID:4oEjyNqk
そう考えかけて、嫌になる。
それは、余りにも不確定要素と不安要素に満ちた、策とも呼べない思考だったからだ。
仮にサフィニアと合流できたとしても、今のマリアローズは男の操り人形だ。話はできても、サフィニアに何をするか分かったものではない。
それはサフィニア以外の者にも言える。それどころか、初対面の相手から、今のマリアローズが信頼を得るなど容易ではない。
「操られているんですごめんなさい」なんて言いながら襲いかかる奴を誰が信用するものか。
魔術に明るくないマリアローズが考え付く解除方法は、術の効果切れか術者の死くらいだ。
ある程度時間が経過すれば効果が切れるかもしれないが、これも仮定に過ぎない。
しかも正しかったところで、効果が切れるまで隠れていられないため、意味がない。
とすれば、残った解除方は術者の死だ。しかしそれが現実的だとは、とても思えない。
絶望的だった。結局、何もできそうにない。
弱いくせに、あの女の子を助けようとしたのが間違いだったのか。
無力なくせに、誰かのために力を出そうとしたのが、おこがましかったのか。
他人を見捨てて生きる人間なんて、星の数ほどいる。マリアローズも、そう生きようとした頃もあった。
それが正しいと必死で思おうとした。他人に縋らず頼らず、他人を求めず欲せず、生きようとした。
だけど、それは辛くて、寂しくて、耐えられなくて、二度とそんな考えに戻りたくなかったから。
だから、助けようとしたのに。精一杯、守ろうとしたのに。
あの子は守れたかもしれない。だけどこれから、自分の意志とは無関係に、多くを傷つけて奪って殺してしまうかもしれない。
悔しかった。歯痒かった。苦しかった。だから。
――強く、なりたい。
心から、そう願う。
そんなマリアローズを、嘲笑するように。
男は、胸に刺さりっぱなしだった錠開け専用鉄具に手を掛ける。
そして、マリアローズの抵抗の証を、何事もなかったかのように、引き抜いた。
838 :
代理投下:2008/06/17(火) 20:25:47 ID:4oEjyNqk
◆◆
白い指先に、どす黒い鮮血が絡みつく。生温い粘液の感触を楽しむように、傷の存在を確かめるように、カロマインは歩きながら胸部を撫でていた。
傷が塞がっていないわけではない。ただ、再生速度は劇的に低下している。この程度の負傷など、瞬時に治るのが常だ。
カロマインに掛けられた制限という鎖は、それだけには至らない。
『血晶』により注入される特異粒体の力が、弱まっていた。
血液と混ざった特異粒体を撃ち込んでも、体内の物質を完全に置換させるには至らず、内側から破壊してやれなかった。
あの弱々しい粒体では、第二次感染は見込めないだろう。
更には、時間や何かのきっかけで支配が解ける可能性もある。
全滅器官を用い、感染力、支配力の高まった『血晶』を多量に注入してやればよいのかもしれない。
だがもし、活動飽和までの時間に制限がかけられているとすれば、多人数の制御すら困難かもしれない。
ただでさえ、イヴの動きが阻害されて再生力が落ちているのだ。『血晶』を注入し続ければ、特異粒体の補充が追いつかなくなる可能性があった。
小賢しいと、カロマインは思う。苛立ちを抱きながら、夜闇の中を滑るように進む。
カロマインの端末となった人間には、既に指示を与えてある。
この島にいる者を殺して回れという、至極単純な指示だ。武器を返してやったし、それなりに働いてはくれるだろう。
使い物にならずに死んだとしても、それでも構わない。カロマインにとっては、たかが端末だ。感傷や興味などあるはずもない。
そもそもカロマインがそのような感情を抱く相手は、たった一人しか存在しないのだ。
第六稀存種ロイド=オド。カロマインを惑わせ愉しませ昂揚させる、唯一の存在。
奴がこの場にいればと考えてしまう。もしもこの島にロイドがいるのなら、真っ先に殺しに行ってやるというのに。
詮無い思考だと理解している。それでも、そう思わずにはいられなかった。
カロマインにとってロイドは嫌忌の対象でありながら、至高の存在でもある。ロイドに及ぶ人物など、カロマインの前には存在し得ない。
急がなければならない。早く奴に会いたい。早くこの手で殺してやりたい。その瞬間をイメージしただけで、堪らなく感情が昂ぶってくる。
839 :
代理投下:2008/06/17(火) 20:26:54 ID:4oEjyNqk
――待っていろロイド。私の渇きは、貴様を殺すことでのみ癒される。
『悪魔』の外套が翻る。歪んだ笑みと欲望を、包み隠さず晒したままで、カロマインは獲物を探し続ける。
たった一つの願いだけを、渇望しながら。
【F-7/南西、森と草原の境界/一日目・黎明】
【たゆね@いぬかみっ!】
[状態]:頭に大きなこぶ。
[制限]:飛行能力を大幅制限。破邪走光などの戦闘力については不明。
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式。未確認ランダム支給品1〜3個
[思考・状況]:
1:赤い髪(マリアローズ)を探す。べ、別に気になるわけじゃないからな!
2:啓太様と合流したい。
3:薫様やようこと合流。
4:お化けみたいな奴(カロマイン)をやっつける。
5:赤道斎にはできれば会いたくない。
[備考]
1:参戦時期は本編完結後。
840 :
代理投下:2008/06/17(火) 20:28:05 ID:4oEjyNqk
【F-7/森/一日目・黎明】
【マリアローズ@薔薇のマリア】
[状態]:左腕から左肩に銃創のような傷。『血晶』を埋め込まれたため、カロマインに操られている。
マリアローズの意思はあり、口は利けるが、体の自由は全く効かない。
カロマインの指示通り、誰かを発見したら即殺害するように体が勝手に動く。
[制限]:不明
[装備]:錠開け専用鉄具@戯言シリーズ、発煙手榴弾×2
[道具]:デイパック、支給品一式。確認済みランダム支給品0〜1個
[思考・状況]:首輪を解除し、サフィニアとともに脱出。
1:体の自由を取り戻す方法を探し、支配を脱したい。無駄に人殺しはしたくないが……
2:サフィニアと合流。
3:力があり、信頼できる仲間を探す。
[備考]
1:参戦時期は7巻終了後。
2:あくまで脱出が目的で主催者を倒すつもりは今のところない。
【F-6/南部/一日目・黎明】
【カロマイン=セク@ルナティック・ムーン】
[状態]:胸部に裂傷(再生中)
[制限]:再生力低下・『血晶』については後述。
[装備]:ランダム不明支給品×2(確認済み)
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]
1:もとの世界に帰る
2:参加者を皆殺しにする
3:主催者を殺す
841 :
代理投下:2008/06/17(火) 20:29:16 ID:4oEjyNqk
『血晶』の制限について。
・撃ち込んだ相手を内部から破裂させる、自害させるなどの防御・回避不能な一撃必殺は不可能。
・二次感染は不可能。端末を増やす際には、カロマインが直接『血晶』を注入する必要がある。
・ある程度時間が経過すれば端末は支配を脱する。
・通常の『血晶』では、数時間が経過しない限り、端末を増やすことはできない。
・問題なく端末にできるのは3人まで。端末を増やすたび、再生能力が低下する。
・4人以上を端末にした場合、粒体の生成が追いつかなくなり、再生ができなくなる。
また、端末が自力で支配から脱する可能性が生まれる。端末の数が3人以下になれば、再び再生するようになる。
・相互連鎖中は、最後に端末を増やしてからの経過時間に関係なく端末を増やせる。
・相互連鎖中は、5人まで問題なく支配できる。4人以上を端末にしている状態で活動飽和になった瞬間、粒体の生成が追いつかなくなる。
・活動飽和までの時間が短くなっている。また、総端末数が6人以上になった瞬間、活動飽和となる。
・相互連鎖終了後は激しく消耗・疲労する。
・カロマインの意志で、制御を解除できる。同じ人物を制御するには、再度『血晶』を注入する必要がある。
・カロマインが死ねば、『血晶』の効果が全て消滅する。
・カロマインが消耗していれば、自力で支配から脱する可能性が生まれる。
※F-7の森から、発煙手榴弾による白煙が上がりました。周囲から発見される可能性があります。
842 :
代理投下:2008/06/17(火) 20:35:39 ID:4oEjyNqk
代理投下完了。投下乙でしたー。
カロマイン、原作未読だがなんという超最低(SUCK)な能力を……。
血晶の制限については、他の方にコメント任せます。
しかしこれでマリアローズは鬱要員か。楽しみだwww
彼(彼女?)を探しているたゆねは涙目になりそうな悪寒。
843 :
816:2008/06/17(火) 20:42:55 ID:4oEjyNqk
____ )
>>816 /⌒ ⌒\ )
/( ●) (●) \ )/⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y丶
/ ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
ノ \
/´ ヽ カ
| l l||l 从人 l||l l||l 从人 l||l カ タ
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、. タ
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
┌┬┬┐┌┬┬┬┐┌┬┬┬┐┌┬┬┬┐
____
/::::::─三三─\
/:::::::: ( ○)三(○)\
|::::::::::::::::::::(__人__):::: | _____
>>817 \::::::::: |r┬-| ,/ .| |
ノ:::::::: `ー'´ \ | |
>>817 レスさんくす。上のやる夫AAが思い浮かんだのはきっと俺だけではないと思うw
投下&代理投下乙です
予想外の展開にびっくりだぁ
超GJ!!
>>833>>842 投下&代理投下乙
マリアは欝モードに入るかと思っていたが、予想外に頑張ってるなぁ。
あと、たゆねツンデレかよw
>>843 作中でも言われているが、パワーと情報量さえ十分なら全能に近いからな>ウィル子
すごい今更なのですが…川村ヒデオの支給品数を数え間違えており、
自作「ヒッチャー」に反映させてなかったことに、今日のwiki編集中に
気付きました。詳細名簿と自弦時計は一方通行の支給品として書いて
いたので、
>>633を下記のように修正します。申し訳ありません。
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]:肉体内部の損傷(何とか杖を突いて歩ける程度)、疲労(大)、精神的疲労(中)
[制限]:能力使用時の肉体内部の損傷(詳細は後述)、速読能力の低下(気付いていません)
[装備]
ト字型の杖@とある魔術の禁書目録
通信用チョーカー(残りフル稼働時間13分)@とある魔術の禁書目録
モーゼルC96(フルオート射撃可、ストックも付属)@現実
自弦時計@終わりのクロニクル
[道具]
デイパック(×2)、支給品一式(×2)
詳細名簿@オリジナル
確認済み支給品(×1:非戦闘系アイテムにつき、ヒデオ、一方通行は現在重要視していません)
[思考・状況]
1:無差別マーダーを“装い”、対主催者勢力を、暗に援助。
※ 詳しくは後述。
2:H-8の研究所跡を探索。
3:謎の“声(概念条文)”について考察。
4:ヒデオのスタンスを確認し、邪魔になるようなら殺害。
[備考]
1:参戦時期は8巻終了の直後。
2:ラストオーダーが主催者側に捕らえられていると判断しています。
3:主催者側が首輪等で監視していると判断しています。
4:御嶽アンネリーゼは死亡したと思っています。
5:詳細名簿に書かれた川村ヒデオに関する情報は、流し読みした程度です。
投下&代理投下乙!!!
たゆねツンデレww
>>846 ドンマイですよー
今更だが…cps氏はどうしたのかなー
>>848 忙しいのかもなぁ。願わくば戻ってきて欲しいけれど。
>>849 だな。
忙しいのなら仕方ないが、氏の作品はまた見たい
時折思い出したかのようにウィキが更新されているが、
内容があんまりいじられていないのが寂しい。
誰か参加者の紹介をここにでも投下してくれれば、編集しに行けるんだが。
………そんなに難しくはないんだけどなあ、編集作業。
久しぶりにスレが更新されてるー! と思ったら夢だった……
夢の中でまでこのスレが気になるとか、病気かよ……
正夢だったらよかったのになー…
申し訳ないです
予約、及び延長をした挙句に結局無言で破棄してしまいました。
言い訳がましい…いや、立派な言い訳ですが、リアルで色々ごたごたがありまして
PC所ではなく、時間が立つと過疎と共に書く気もなくなって
今まで隠れていました
しかし、最近また投下があり、卑怯なようですが戻ってきました
作品自体は出来上がっているので、本日七時(19時)位に投下したいと思います
自分勝手だというのはわかっていますので、駄目だと思われたなら破棄にしてください
では、また
本当に申し訳ないです
Cps氏、お帰りなさいー。
一日一回以上はここの更新状況を見ている身としては、最近の過疎化が
泣けてくるのですが…書き手さん達には無理を言えない読み手の俺w
予約の面子は……おそらく場所はB-6辺りなのかもしれませんが、彼女が
早朝まで何してたかが気になるwww
投下待ってますー。
お帰りなさいー!
気にせずー…というわけにはいかないでしょうが、皆帰りを待ってましたよー!!
予約も楽しみ過ぎるww
支援準備。
それはある平凡な日常の一欠片。
一人の少女がたたずんでいた。
肩にかかった艶やかな黒髪、よく通る声、嫌でも人の目を惹きつける容姿。
体格や声からして、まだ十代半ばだろう少女。
その少女の眼前にたたずむ人影。
それらは皆、同じ目をしていた。
一緒に揃えられたガラス玉のような無機質な目は人形のようで、まったく光を映さない。
それらはかつては人間だった。
家族と安らぎ、友と笑い、恋人に愛を囁く。
そんな当たり前の日常を過ごしていた。
小さな女の子、働き盛りの男性、希望に満ちた男の子。
それらには性別や年齢など関係なく、唯一つの共通点だけがある。
それらはかつて『虫憑き』呼ばれていた存在である。
突如として現れ、人間に寄生し始めた『虫』と呼ばれる存在。
彼らは人の夢を喰い、その代価として寄生主に超常の力を与えた。
理由もわからず、拒否権もなく、やめる術など在る筈もなく、強制的に与えられる力と奪われる夢。
得体の知れないものに怯える人々によって奪われていく居場所。
かけがえのない夢を奪われる恐怖。
居場所を作ろうともがき、足掻き、いつしか夢を失う。
それらはそんな『虫憑き』達の朽ちていった姿だった。
死ぬことすら許されず、ただ人形の如く存在する。
少女はそんな存在を守りたかった。
皆がいつまでも安心して生きていける、そんな居場所を創りたい。
その思いだけで少女は進む。
己が間違ったレールの上を進んでいる事にすら、気付かないまま。
◆
「……ふう」
少しずつ太陽が昇り、段々と明るさを取り戻し始めている空。
窓ガラス越しにその光景を眺めながら、利菜は小さく息を吐いた。
ふと視線を下へと落とせば、そこにはいくつかの工具や薬がある。
運が良かった、と利菜は心中で呟く。
橋を渡ってすぐに見つけたのはでかでかと聳え立つ消防署。
少しでも役に立ちそうな物があればと思い、迷わず建物に侵入。
とは言え利菜自身大した期待はしていなかったのだが、数時間かけてくまなく探してみれば、いくらかの
道具を手に入れることが出来た。
工具はともかく、薬が手に入ったのは本当に幸運だった。
医者なんかいる筈もないこの舞台で、怪我…それも致命傷となる怪我をしてしまったら
生死に大きくかかわる。
利菜はそう思いながら、またぼんやりと外を眺め始めた。
先程まで両の手に握っていた無骨なナイフは、この部屋に入ると同時、既にデイバッグに仕舞ってある。
“かっこう”に対する殺意で我を忘れていたが、あんな物を構えたまま歩いていれば、このゲームに乗ったと
思われても文句は言えない。
「にしても……どこなのよ、ここ」.
そう口にする利菜の心は、疑問で埋め尽くされていた。
窓から見える街並みに全く人影がない。
しえん
本来なら明かりが付いているべき住宅の窓や、大きなビル。
閑静な住宅街にも全く人はおろか、犬や猫の気配すら感じられない。
空虚、といった言葉がぴったりのこの空間に、利菜はどうしようもなく違和感を感じていた。
グルリと窓から一瞥しただけ、それでも普通なら誰かを発見できる。
人がいないなら、犬や猫、大空を舞う鳥達。
そんな、生物達の気配が全く感じられないなんて、ありえないことだった。
まるで、生物だけをぽっかりと抜き取ってしまった絵画のように、この空間には
生活感と呼べるものが存在していなかった。
明らかに一つの町くらいの大きさはありそうなこの空間から、生物だけを消し去る。
そんなことが果たして可能なのだろうか。
殺戮でも、虐殺でも、誘拐でもなく、言葉通り消し去る。
もしもそんなことが、そんなことが可能ならば――
「誰も勝てっこないじゃない」
つい、口から言葉が漏れた。
最初に集められた場所で、ざっと見渡しただけでも50人近い人がいた。
それ程の人数を拉致し、これだけの空間からおそらく、すべての生物を消し去る。
それだけでは、ない。
利菜は火種一号の『虫』“七星”を有している。
数居る虫憑きの中でも5人しかいない一号指定の虫憑き。
それは、絶対的な最強を誇る。
さらに、だ。
あの場所には利菜と同じ一号指定の虫憑きである、“かっこう”がいた。
悔しいが、彼の実力は一号指定に見合うもので、非常に厄介な相手だ。
その二人に、全く気取られることなく拉致する。
そのことが、端的に相手の絶対的な強さを示していた。
だが。
「絶対に許さない。」
言葉と共に、利菜の表情が険しくなる。
あの場所には、年端もいかない少女がいた
なんの力ないであろう弱者が。
主催者どもは、特環の奴らと同じだ。
弱い人達を踏みにじって生き続ける寄生虫。
そして、あの父親とも一緒だ。
毎日、理由もなくお母さんを殴り。
家の外じゃ優しい父親を装って、金と権力を支配して、私達を逃がさなかった。
そして、お母さんは病気で死んだ。
そんな奴らから、居場所を取り戻すために利菜は力を手に入れた。
誰にも負けない、誰にも踏みにじられない力。
しえんしえんしえんんん
sien
居場所を奪われた人達が多すぎるから、それを取り戻す。
他人任せじゃなく、自分が助け出す。
利菜の中で、何より大切だったこと。
かっこうへの復讐心で忘れていたそれを、冷静になって思い返す。
「そーよ……。“かっこう”も、あいつらも、私が殺す。」
利菜の夢はもう残り少ないが、どうしてもやらなければならないことができた。
それさえ果たすことができれば、利菜は本望だった。
あとは生き残った者たちが、自分たちの居場所を見つけてくれること願うだけだ。
そうすれば、利菜は、自分が確かにこの世界で生きていたのだと高らかに叫ぶことができる―― 。
「そのためには、どうしても“かっこう”を……」
誰よりも、倒さなければならない相手。
そう考えたとき、土師とかいう眼鏡男が言っていた台詞が脳裏をよぎった。
ああ、同じ夢を持つものどうしが戦い傷つけあう哀しき運命よ―― 。
―― 冗談じゃない!
利菜の表情が自然と険しくなる。
あの“かっこう”が、利菜と同じ夢を持っている?自分の居場所を見つけようとしている
だって?そんなわけがない。
しっえっんっ
支援
あの男は、敵だ。
それも限りなく厄介で、容赦のない非情な存在なのだ。
あの眼鏡男や“かっこう”を倒すことで、はじめて利菜たちの勝利になるのだ。
あの頭が切れる男と最強の虫憑きの代わりになる者は、おそらくいない。
そのはずだ、利菜は奴らほど厄介な特別環境保全事務局の局員をいまだかつて見たことがない。
「次こそは絶対に勝って……」
言いかけて、利菜は急に目眩に襲われた。
「……あ……」
視界にあった景色が歪み、浮遊感にも似た感覚が利菜の精神を虚ろにしていく。
―― 声を殺して肩を震わせる母親の背中が、瞼の裏に浮かんだ。
続けて、鬼のような形相で歩み寄ってくる父親。
さらにクラスメートである薬屋大助の顔、先日出会ったばかりの詩歌、拳銃を構える
“かっこう”、そして、無数にある眼を真紅に輝かせた巨大な天道虫―― 。
ガラガラガシャーン!!!!!!!
ふいに鳴り響いたけたたましい音に、我を取り戻す。
まだ朦朧としている頭を軽く振り、利菜は立ち上がった。
工具や薬を素早くデイバッグにしまい、万一に備え二本のナイフを取り出して、両の手に構える。
一分、二分とその体勢のまま警戒を続けるが、誰かがやってくる気配はない。
油断なく警戒を続けながらも、少し敏感だったかも……利菜は内心で呟く。
四分、五分と時間が過ぎていくも、全く気配を感じない。
「何か物が落ちただけ、デスか」
ポツリ、呟くと無骨な二本のナイフをデイバッグにしまい、肩にかける。
支給された時計を見ると、長針短針共に5を指していた。
モタモタしている暇はない。
こうしている間にも少女が、他の、力を持たない人達が、危険にさらされているかもしれない。
奪われた居場所を取り戻すため、打倒主催&“かっこう”の決意を胸に刻んで利菜は歩き始めた。
ゆっくりと金属製のドアノブを掴み、軽く捻る。
支援しえんしっえっんっ
しえん。
そのまま、内側へドアを引く。
開かれた目の前の空間。
そこには一人の少年がいた。
身長は一メートルの半ばよりやや低い。
華奢なくらい細身で、手足の長い小柄な体格。
タイガーストライプのハーフパンツ、無骨なブーツは一目で安全靴だと知れる。
上半身には赤い長袖のフード付きパーカ、両手には手袋。
指紋云々の女々しい理由ゆえのものではない、ハーフフィンガーグローブ。
そこからはただ、《汗でナイフが滑らないように》という、原始的で明快な目的しか感じ取れない。
そいつは、ダンサーか何かのように、サイドを刈った長髪を頭の後ろで結んでいた。
右耳に三連ピアス、左耳には携帯電話のものと思われるストラップを二つつけている。
そして、スタイリッシュなサングラスをかけているゆえに表情は読めなかったが
右顔面にのみ禍々しくほどこされた、決してペイントでない刺青が、彼の異様を際立たせていた。
しっかりしえんするわよ
先に動いたのは少年。
右手をベストのポケットに入れたかと思うと、次の瞬間には既に振りかぶっていた。
それは全く無駄のない動作で、人間生物の限界を極めたといっていいだろう。
音がひずみ、光がゆがむ。
その速さは、威力は、制限を受けていて尚芸術だとして評価を下しただろうくらいに
少年の殺人行動は完璧だった。
利菜は、その煌きが眼前、眼球までほんの数センチというところにくるまで全く反応できなかった。
しかし、経験が反射的に利菜の体を動かす。
真っ直ぐに振り下ろされるナイフに対して、一歩バックステップ。
あくまで冷静に。
多少の驚きはあれど、利菜に動揺はなかった。
これは、そういうゲームなのだ。
くそ野郎どもが、弱者の居場所を、命を奪い去る。
そんな、最悪のゲーム。
だから、利菜は誓ったのだ。
絶対に、居場所を見つけ出すと。
「“七星”っ!」
利菜が叫ぶと、彼女の背後に巨大な甲殻の塊が姿を現した。
半球状の体の表面には瘤のような突起が無数に生え、七つの赤い斑点が浮かんでいる。
ゆっくり(投下)していってね!
支援できるこの喜びっ
代理投下行います。途中で止まったら続きヨロです。
利菜を火種一号たらしめている“虫”“七星”である。
半球体の体躯がそびえ立った様は、目の前に小さな山が現れたかのようだ。
利菜の身長の倍はある岩のような翅を震わせ、“七星”が咆哮する。
同時に、部屋の床がすさまじい勢いで剥がれていき、ありとあらゆるものを飲み込む
衝撃の豪風が少年を襲う。
咄嗟に少年は真横に跳んで衝撃を避けようとするが、ただでさえ狭い場所に加えて
広範囲に撒き散らされる一撃を避けきれず、廊下に投げ出された。
たった一度の攻撃で、ドアは吹き飛び床は剥がれ、部屋の入り口は完全に破壊され
その余波は廊下の壁にまで及んでいた。
身体的ダメージもそうだが、心まで刈り取ろうとした一撃。
それを受けて尚、少年は平気で立ち上がっている。
「かははっ!傑作、いや戯言か?ここはどこの怪獣大戦争だっての」
軽口を叩きながら笑う少年に、“七星”は躊躇いなく衝撃波を放つ。
「うおっ!おいおいネーチャン、いきなりそんなもんだしたら危ないだろーがよ」
そんなことを言いながらも、少年はいつの間に取り出したのかもう一本のナイフ
を手に持ち、最初に取り出したものと合わせて両手に構え、衝撃波を避けながら利菜に肉薄する。
眼で追えないほどの速さで迫ってきた少年が、右手で神速の突きを放つ。
咄嗟に天道虫を盾にして利菜への攻撃を避けるが、天道虫の腹部にナイフが刺さった瞬間
利菜の精神に強烈な激痛が襲う。
天道虫が翅を広げて迎撃の為の衝撃波を放つが、少年は野球のスライディングの要領で天道虫の下を
潜り抜け、あっさりとそれを避けると、すれ違いざまに天道虫を刻んでいく。
こいつ、強い……!
さらなる激痛に襲われ、利菜は顔を歪める。
だが、諦めるつもりは毛頭ない。
その意思に答えるように利菜の前に移動した天道虫が大きく翅を広げ、先程よりも大きな衝撃波を放つ。
さすがに避けきれないのか少年が吹き飛ぶ。
立ち上がった少年は多少の怪我はしているものの、大してダメージを受けた様子はない。
利菜は舌打ちして、デイバッグから二本のナイフを取り出す。
「かはっ、誠心誠意傑作だな。見たところ、そのでかぶつに与えたダメージがフィードバックしてるみたいだが
…ってどこのスタンドだよ」
わけのわからないことを言っている少年に対して、遠心力を使って体全体の勢いを使いながら
ナイフの一本を投擲。
同時に、天道虫が衝撃波を放ち、後を追うようにして、ナイフを構えた利菜が少年の方へ駆ける。
一つ一つが致命傷たる、微妙なタイムラグを加えた三段攻撃。
対する少年は、あっさりと、極々あっさりとこの攻撃を突破する。
一本めのナイフを悠々避けると、続く衝撃波に対して、勢いに逆らわず自ら後ろへ飛ぶことで
最小限のダメージで切り抜ける。
クルリと後ろ回りをしながら立ち上がった少年は、目の前に迫る利菜のナイフを自らのナイフで受け
ると同時に、足を振り上げナイフの柄を蹴り上げる。
視線を上に向けると、どれほどの勢いでだったのか、天井に刺さっていた。
決着だった。
利菜の下僕たる天道虫は、離れており、衝撃波を放とうとすれば利菜が盾になる。
利菜自身の武器は無力化され、対する少年はナイフが二本。
どう考えても利菜の敗北だった。
本気で戦うことさえできれば、こんなヤツすぐにやっつけてみせるのに……!
目の前の少年を睨みながら、利菜は心中で毒付いた。
利菜に残された力は、もう残り少ない。
“かっこう”や主催者達を殺すために、今はできるだけ力を温存する必要があった。
だが、その意思は、夢は、もう叶うことはなくなった。
悔しさの激情が利菜の心で膨れ上がる。
唇を噛み締めながら、眼を伏せる。
ゆっくりと利菜の脳裏をよぎるのは、クラスメートの男の子。
これといって特徴があるわけではなく、害がないかわりに良いところがあるわけではない。
でも、何ヶ月か前に見たみた、そいつのちょっと真剣そうな顔。
いつもの平和そうな顔とは違って、印象が代わったその姿に、利菜は惹かれていた。
口を開けばつい悪態が出てしまうけど、確かに、心惹かれていた相手。
そしてもう一人。
可愛らしい、虫憑きの少女。
今まで誰にも話したことのない、すべてをうち明けた。
利菜と同じ夢を持ち、不条理な理由で居場所をうばわれ、いつか安心して生きていける
楽園を探し出しうとしている似た者どうし。
二人のことを思い出すだけで、利菜の口元に幸せそうな笑顔が浮かぶ。
薬屋…最後に会いたかったよ
詩歌…彼氏と仲良くしなよ
心の中でそっと告げる。
届く筈がないとわかっていても、告げたかった。
しえーん
仕方ないな支援しとくよ
そして、ゆっくりと眼を閉じる。
相手はいきなり襲ってきた殺人者。
きっと自分は殺される。
そう思い…相手の行動を待つ、のだが……。
いつまでたっても何も起こらない。
不審に思った利菜が目を開くと、少年が真っ直ぐに顔を覗き込んでいた。
「かははっ!よく見りゃ、俺好みのネーちゃんじゃねーか。」
「え?」
「んー、どうすっかなー。俺は好みのタイプは殺さないって決めてるんだが……」
突然の相手の言葉に、利菜は全く反応できなかった。
好みのタイプ?
「よっし。決めた。かははっ、殺さないでおいてやんよ」
「え、えええええ!?」
あんまりといえばあんまリな言葉に、利菜は盛大に首を傾げた。
しえん
支援しとくよ
【B-5/消防署/初日・早朝】
【立花利菜@ムシウタ】
[状態]:疲労、精神的ダメージ(中)、動揺
[制限]:不明
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 、工具、薬(包帯、消毒液、絆創膏etc)
[思考・状況]
1:え、えええええ!?
2:目の前の少年に困惑
3:かっこうだけは、刺し違えてでも殺す
4:主催者を倒し、集められた弱い人達の居場所を取り戻す
[備考]
1:かっこうが薬屋だと知る前に連れてこられました
2:名簿の確認をしていないので、薬屋の参加を知りません
3:上記の理由よりかっこう=薬屋の事実がわからない状況です
892 :
携帯:2008/06/24(火) 19:42:46 ID:/FFb0RUi
さるさんくらいました。
代理投下よろです。
【B-5/消防署/初日・早朝】
【零崎人識@戯言シリーズ・人間シリーズ】
[状態]:疲労(小)、全身に傷
[制限]:不明
[装備]:雄のグレアデ・雌のリレッザ@薔薇のマリア
[道具]:デイバッグ、支給品一式 、神狩屋の血(1/3ほど消費)@断章のグリム
[思考・状況]1:適当にぶらぶらする
2:いーちゃんと零崎双識を探す
3:いーちゃんと零崎双識を見つけたら一応は協力する
【神狩屋の血】
神狩屋の断章の効果(不老不死)により回復効果があります。(体が半分に千切れても再生可能)
ただし、一度に大量に飲ませると〈異形〉化するので用量用法を守って正しくご使用下さい。
なお、断章騎士(蒼衣・雪乃)はある程度耐性があります。
※B-5の消防署の一室のドア、及び出入り口付近、近くの廊下一帯の床が破壊されました。
何かまた書き込むことができました
代理投下及び支援感謝です
投下&代理投下乙!!!
利奈かっこええ
そして零崎ww
ほんと自由だなwww
投下乙です。そしてレイディバードは殺人鬼と出会う、と。
しかし
>>895が言うように零崎人識は自由すぐるw
ただ、前回登場した時は、ななせに襲い掛かられたから反撃した姿があるので、
今回利菜に対して攻撃をしかけてきたのは少し違和感が…この辺り、彼の心情が
あればと思った。
>「うおっ!おいおいネーチャン、いきなりそんなもんだしたら危ないだろーがよ」
いきなり襲いかかってきたおまえが言うなw
あと、下記行の「見たみた」というのは脱字かな?
> でも、何ヶ月か前に見たみた、そいつのちょっと真剣そうな顔。
>>896 原作(クビキリサイクル)を見たところ、零崎が突然いーちゃんに
対して攻撃した描写があり、作中で人を殺さないと息苦しい等の描写が
あったのでこうしまして…何より零崎の自由さと殺人鬼らしさを出そうとしてみました
見たみたは誤字ですorz
正しくは
何ヶ月か前に見た
です
>>897 零崎一賊特有の殺人衝動でしたか?
それなら確かに、ななせで解消できなかった分、利菜で発散してもおかしくはwww
投下乙〜
人識君フリーダム杉w
こいつもいーちゃんと同じくトリックスターだよな。
>>896 それこそ「気まぐれ」でいいんじゃないかな?>先制攻撃
普通に話しをしていた相手をいきなりばらすのが零崎なんだし。
投下乙
零崎一族はほんと自由だなww
投下おつ。人識くんは利菜と合流か。
ナイフのコレクションついでに■されると思ってたwww
このスレもやっと、part3の900越えか…
ペースも少ないこの状況下、第一回放送までにあと何人脱落するか。
>>901 脱落と投稿のペース、両方をかけているのかとおもた。
それ以前に、次スレ建てる前にスレが落ちそうな勢いが気になる。
予約したいんだが…来週の金曜日まで時間がとれないんだ…
予約被りはないだろうが、もしあったら困るし…
プロットは出来てるから、日曜日には時間出来るので、予約しても良いだろうか
>>903 日本語で頼む。
ってのは冗談として、『誰を』『いつまで』予約したいの?
それが書いてなきゃ、どうして悩んでるのか、わかんないよ?
……そういえば、予約は何日間有効だっけ?
予約期限が3日で、延長宣言したら+2日だったはず。
おおおおちつけ。
正直、最近は延長期間含めて一週間くらい期限とってもいい気がするぜ。
…予約に関する意見を以前出した気がするのでログ読み返してみたら、
自作自演にしか見えない、安価ミスしてる自分の書き込みを見つけ、
夕餉吹くと同時に鬱。誰か突っ込んでくれよ…。
は、恥ずかしすぎるっ 汗
日本語になってねーよorz
>>all
とりあえず本題だが
『蒼衣、ギギナ、一姫、ようこ、一方通行、ヒデヲ』を『日曜日』まで予約したいんだ
>>908 ならば、今日から予約すればOK
日曜日までに投下できなければ延長宣言or予約破棄して再挑戦だ。
>>908 何という修羅場www
過密地帯のD-5よりも先に、片手で数える人数を捌く方が現れるとは。
これには期待するしか。
一方通行とヒデヲのコンビは、ディーも含めて色々考えていたけど、
結局俺には無理だったから頑張ってほしい。
>> ◆CpsyCAiTrk 殿
予約板に書かれてないが、書いておいたほうがよろしいか?
というか、このスレ日曜日までもつのだろうかw
ところで、今、古本屋でムシウタのコミックス1巻とマスラヲ2巻(ダンジョン突入直前まで)を立ち読みしてきた。
ムシウタ勢は人を見る目が皆無だなww
っていうか、 Will.CO21かわいいよ。もっと黒いのかと思ってた。
>>910 川平薫は書きやすいと思うよ。
正しいことをしようとするイケメンを書けばいい。
>>911 ウィル子はなんだかんだであの作者の女性キャラではかなり純情なほう。
というか、他の女がヤサグレ過ぎ。鈴蘭なんて完全にやくざだし。
>>911 スマナイ
今はPCが出来ない状況で…
携帯じゃしたらばに書き込めないから困ってたんだ
代わりに予約しといてくれると助かる
>>914 >>908の内容に基き、下記面子で代理予約しておきました。
白野蒼衣、ギギナ、一姫、ようこ、一方通行、川村ヒデオ
ゆっくり書いていってね!(AA略
………………したらばの管理者、俺じゃないかorz
「端末固有番号を送信しない携帯からの書込禁止」のチェックを外しました。
「携帯からの書込禁止」は以前からできるようにはしているので、これで携帯
から書き込みができるはずなのですが…。
本家、ついに終了か。残念だ。
とうとう終了か
俺も、何か残念だ
向こうが未完のまましたらばに移行ということは……オルタの次スレはラノベ板に立てていいものなんかな?
読者、作者を増やすという意味では、是非ともそうしたいが、便乗で板移転するのも厚かましいな……。
せめてスレ容量があと100か200はあれば、落ち着いて考えられるのだけど。
>>921 厚かましいと思われてもおかしくはないよな。
反感買いそうだし、移転せずここの方がいい気がする。
イベント板のままで一票。
ただ、次スレ建てた時くらいは向こうのスレ保守も兼ねて宣伝に行ってもいいと思う。
いらぬ顰蹙を買うだろうから、イベント板のままでいいよ。
イベント板のままでいいけど、せめて宣伝くらいはやろうぜ。
今の過疎状況じゃ、いつかは向こうの二の舞になるだろーし。
俺もイベント板のままに一票。
確かに、宣伝しといた方が良いかもなー
更新きたー!と思ったら、修正でしたか。作者さんかな?
お疲れ様です。
>>927で言及されておりますSSの修正についてですが…
可能ならば更新スレで一言お願いできますでしょうか。
書き手様の修正かどうかが判別つかないのが理由です。
修正箇所を見る限り、文章を改行で区切る修正のみで
あるようですが…SSの修正に関しては書き手の本人証明
(トリップ)を出して頂いた方が余計な誤解を防げますので。
ついでに、カロマインとディーのページを修正された方も
更新スレで一言お願いします。
何人ROMってたかは不明ですが、過疎ロワチャット参加者、乙であります。
>>928 携帯からでも可能になったことを宣伝してみるのは?
携帯から無理だから無理!って思ってる人いるかもよ。
まあ、ほんの数レス前のことだから自分で見ろって話なんだけどw
投下が来なくても、落ち着いて素数を数える俺。
なら俺は素数にしとくわ。
>>931 アンカー間違えてね?
ちなみに、携帯からの書き込みは前からもできてた。
CpsyCAiTrk氏が何故書き込めなかったのか、 iMRAgK0yqs氏が設定したっていう
【端末固有番号を送信しない携帯】ってのがどういう種類の携帯なのかがわからんが、
携帯電話からしたらば見る限り・・・どこに宣伝書き込む余地があるんだこれw
いかん。円周率って書くつもりだったのに・・・疲れてるな。
疲れているなら羊を数えると良いよ!!
生贄の羊の数ですね、わかります。
相変わらずでスマナイ…
土日は暇が出来る予定だったんだが…
中々時間が取れず、長々とキャラを拘束するのも悪いんで、破棄させてもらいます
破棄かぁ……楽しみにしてたのにorz
まぁ、時間が取れたらまた書いてくだされっ!!
いつまでも待っているぜ……。
俺、オープニング含めて50話いったら、全話感想書くんだ…と思ったから過疎フラグが立ったのかなあ。
夏に期待しようぜ。これから時間のある書き手も出てくるでしょ。と、学生の立場から言ってみる
夏までに50話行くかなー
まずは夏が終わる前に次スレが立つのか心配になってきた。
次スレ立つ前に落ちたら、避難所で次スレ立つまで待機?
ウィル子期待。
避難所見てる人少ない?
俺も電子の精霊期待。
PC新調したので支援のつもりではじめてMAD作ろうと思いはしたものの…
初っぱなの画像入手の時点で挫折。
文字だけの映像作品もみたことあるが、それはそれで難易度高いし。
やはり、文章、映像、静止画、どれもこれもセンスが必要だな。
>>946 是非見てみたいな。気が向いたら頑張ってほしい。
そして俺も当然ウィル子期待だ。
>>946 協力できるものなら協力したいところだが・・・
ウィル子期待ー
>>946 俺も見たいな
頑張ってくれ!
手元にない作品もあるからなあ。地道に集めよう。
…んで、神の悪戯か悪魔の業かは知らんが、新調したPCのBIOSが起動しねえorz
インストール時に馬鹿なことやった覚えが全くないのに。欝だ氏脳。
>>950 強くイ`
イラストとかは版権絡むしスキャナとか使わなきゃならんけど、
代わりにAAを使うのは? いや、よほどの作品でないと無いか。
禁書、いぬかみ、銀盤、戯言、ムシウタのは手元にあるが
幾つかは登場してるキャラが抜けてるし……AA職人きぼんぬ。
参加作品群に魅力が薄いんだよな、ここ
コア人気ある奴ばかりでメジャー人気の作品が少ない
勢いが少ないとも思う。
ばんばんリタイアさせろとは言わないけど、序盤にしてはペースが遅いし。
人数少ないのが原因かな。
人数少なくても参加者が減らないとあんまり意味ない気がする。
確かに参加者減らないな
序盤で退場させると文句言う人がでるからじゃないか?
上条とか
>>956 だから書き手諸氏が遠慮してるのかね。
なんつーか、キャラが死んで文句言う人ってこういう企画に向いてなさそうだな。
>>957 はげど
書き手さん方には自由に書いて欲しい
言い方悪いが、過疎なんだから余程の超展開とかでない限り破棄にはならないんだし
ちゃんと理路整然とした内容のSSなら、どんなものだって文句は言わんぞ……多分w
次の話が投下されるまでは次スレ立てない方がいいな
もし埋まったらしたらばで次の話が来るまで進行でどうだ
支援してたら埋まってしまいそうな勢いだが、異議無し。
「ああああああああああもう!!何の嫌がらせですかー!?」
ガラス張りの管制塔に朝日が差し込むなか、ウィル子は一人、地団駄を踏んでいた。
「回線はぶつ切り!OSは石器時代の遺物!!電波状態は最悪!!!とどめに電力も足りない!これでウィル子にどうしろと!?」
インデックスと分かれた後に北上し、首尾よく夜が明ける前にG-3の管制塔に到着したものの、その後がうまくいかない。
電子の精霊たる己の力を持ってすれば、管制塔のコンピューターを介して労せず広大な空港エリアを掌握できると思っていたが、
敵もさる者。
肝心の電子設備は施設の規模に反比例して貧弱極まりない。OSはどのみちカスタマイズするつもりだったからよいとしても、
CPUパワーの貧弱さはいかんともしがたい。さらに、嫌がらせのように通信回線が方々で寸断されており、無線も軍用クラスの
電波妨害がされている有様。
コンピューターネットワーク上では天下無敵の彼女も、ネットワークそのものを物理的に破壊されてはお手上げである。
「…まあ考えてみれば、ウィル子が居るとわかっていて、この手のインフラを残しておいてくれるはずないですが。」
それでも通信回線さえ復旧できれば、空港全体のコンピューターを並列にハッキングして足りない分のパワーを補うことが
出来るのだが。
「直せそうな回線を修理して、妨害電波の発信装置を探し出して止める…、無理です。多すぎですよー」
電波の出力からして、小型の発信機を多数ばら撒いているはず。探し回るのは現実的でない。
回線にしても、ここまで徹底して破壊工作をしている連中が、ちょっとやそっとで直せるような状態で放置しているとは思えない。
「しかたありません。マスターとの合流を目指すのですよー」
貴重な電子設備を後にするのは後ろ髪を引かれる思いだが、留まったところで管制塔だけの設備ではできることも高が知れている。
電子ウィルスとして力を発揮できないのなら、精霊として力を発揮すべくヒデオとの合流を優先すべきだ。
現在、ウィル子はヒデオとのつながりを微かにしか感じられないが、ヒデオのそばに居れば十分に彼からパワーを得られる。
それに、
「いつも通りにマスターと一緒になれば、この異常の正体も解るかもしれないのです…」
不安そうに、あるいは不快そうにウィル子はつぶやく。
この島に連れて来られて以来、彼女は今までに体験したことのない異常な状態にあった。
電子ウィルスであるウィル子はコンピューター内に存在する自我を持ったプログラムであり、精霊としての拠り代であるヒデオを
得てようやく現実空間に実体を作り出している。彼女にとって電子空間こそが本来の住処であり、実体とは3次元空間で動くための
仮初の体に過ぎない。
なのに今現在、彼女は実体を解除することが出来ない。
いつものようにふわふわと中を浮いているし、コンピューターに直接意識を潜り込ませる事も出来るが、今まで当たり前のように
行っていたコンピューターに体ごと潜り込むという動作が出来ないのだ。
まるで自分のプログラムを改ざんされて、それがバグとなってプロテクトに引っかかっているような、そんな不快感がウィル子を
不安にさせていた。空港エリアのコンピューターを掌握できれば、マシンスペックをフル活用して自己の異常を診断できるかとも
考えていたのだが、それが出来なかった以上この不安を解消する方法は一つしかない。
精霊であるウィル子と、拠り代であるヒデオは精神的に深くつながっている。“本来のウィル子”を知る彼の精神と接触できれば
バグの修正も可能なはずだ。
「探すにしても、闇雲に動いては意味がないですよー。」
管制塔で得られた数少ない有益な情報である地形データを呼び起こしながら、ウィル子は思案する。
「マスターは必ず他の参加者と接触しようとするはず。目指すとすれば人の集まる工場区・市街地・空港エリアのどこかですね。
ウィル子との合流を考えてるなら、空港エリアに向かってくる可能性が高いです。でも所詮マスターは引きこもり。無理に歩いて
移動しようとは思わないでしょう。」
何せ、ヒデオは筋金入りのモヤシっ子。ご飯一杯で二日は大丈夫という脅威の低燃費人間。
当然、体力も相応に低い。
「足を手に入れていなければ、長距離移動は地下鉄でしょう。人も集まるでしょうし。目指すはF-2の地下鉄駅!!」
絶対的にデータが足らないため、あてずっぽうとしか言いようがない行動方針だが、何もしないよりはずっと良い。
「そうと決まれば腹ごしらえなのですよー。まあ、味は期待できませんが、今は非常時。贅沢は言いません。ではいただきます!!」
Will.CO21はお仕事中です。しばらくお待ちください。
Will.CO21はお食事中です。しばらくお待ちください。
【G-3/管制塔/初日/早朝】
【Will.CO21@戦闘城塞マスラヲ】
[状態]:自分の状態に違和感を抱いている
[制限]:実体化解除不可能(ハッキングは可能)
[装備]:ランダム不明支給品×3(確認済み)
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考・状況]
1:Will.CO21はお食事中です
2:食事を終えたらF-2の地下鉄駅へ向かう
3:F-2地下鉄駅で川村ヒデオを待つ
4:上条当麻・御坂美琴に遭遇した場合、役に立ちそうならインデックスがH-7の廃墟に向かったことを伝える。
使えなさそうなら無視or殺害
5:ゲームに乗った参加者及び足手まといになる参加者を殺害
6:川村ヒデオを生還させる(とりあえずは優勝狙いではなく脱出狙い)
【備考】:空港エリアのコンピューター回線は物理的に切断されています。
また小型の妨害電波発信機が多数ばら撒かれています。
G-3管制塔のコンピューターが現在進行形でウィル子に食い荒らされています。
こんな時間にあれですが、投下しました。期限を過ぎて申し訳ないです。
投下乙。
コンピュータ絡みの妨害については狐さんなのだろうかと妄想。
OSは……MS-DOSとかwin3.1の辺りなのだろうか?w
地下鉄使うのはいいが、見事に入れ違っているウィル子の明日はどっちだ?
そろそろ次スレの季節だが、テンプレ通り
>>980が立てるのか?
GJです。
ウィル子随分と割り切って行動するな。
行動方針はマーダーとまではいかないけど奉仕型か。
GJだー
多分狐さんが行っただろう地味な妨害にクスリと来たww
次スレは
>>980で良いと思われ
>>980か。長いような短いような
とりあえず、参加者の半分は朝(黎明)に進んだな。
971 :
946:2008/07/19(土) 14:01:20 ID:ZWpLGjy7
>>Will.CO21はお仕事中です。しばらくお待ちください
なぜ、二回繰り返したのwwww
あれか、重要なことだから二回言いました、ってやつか!
かわいいよ、Will.CO21!
>脅威の低燃費人間
www
>>971 一日目・深夜のSSを紙芝居風味に編集
なるほど、いいアイディアですね。
知らない人から見ると「え?何でこんなことになってんの!?」てきな画像にすれば注目されるかも?
>>972 ちょっwww
改めて見直したら、不覚にも萌えてしまったじゃないかww
>>971 乙ー
もっと画像多くなったら良いかもですよー
保守
参加キャラで一番強いのって誰だろうなー
977 :
946:2008/07/21(月) 13:45:18 ID:5CkL2TpB
とりあえず紙芝居のシーンはおおむね作成終了。
あとは12〜13分で収まるBGMと、ヒデオとカロマインの画像と、
動画出力できる環境さえ整えば…気長に待っててくれ。
高瀬伊織の画像もだった…古本屋でお・り・が・みと
マスラヲ探すかorz
>>976 SSを読んだ中でなら、今の所はカロマインが圧倒的
に見えてしかたない。一方通行やニドヴォルクもいるが
弱体化がなあ。
>>977>>978 紙芝居楽しみにしてるー
そうか…カロマインか
作品未読だし、バイト代入ったら買おうかな
一方さんは…一分間限定なら最強orz
もうそろそろスレも沈下か。
>>980に到達したので、ちょっと建ててくる。
ラノロワ本家、ラノロワ議論スレに一筆。あとはラノベ板の雑談スレ、は余計か。
ただ単純にスレタイとURL張りつけても心証悪くするだけだから、まともな文言考えないと…誰かよろ。
宣伝の文句は、ちょっと思いつかない…。
次スレに燃料投下してみました。あれ以上の画像は、
動画として出力できてからのお楽しみということで。
埋め。
埋め。
もう24時間誰も書きこまないで落そうぜ