落ち着いてLAS小説を投下するスレ

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16になったとき、シンジはアスカと結婚した。

「日本国籍を手に入れないと、ドイツへ強制送還させられるところだったの。ほんとは加持さんが
よかったけど、加持さんは他の支部へ行っちゃったし。仕方ないからイイ男を見つかるまでコイツが
代理ってわけ!」

 結婚式の二次会で、酔ったアスカがぐりぐりっとシンジをこづく。
 シンジは目をつぶってそれに耐え、アスカが他の席へ移ったのをみてホッとした。結婚式前、アスカ
とかわした「夫婦の契約」を思い出していた。

 第一条 やらしいことは禁止。寝室も別。(偽装結婚はあくまで偽装。愛はない)
 第二条 シンジの浮気は禁止(みっともないから)。アスカの恋愛は可(早く理想の男性を見つけて、
       偽装結婚に終止符をうつため)。
 第三条 家事はシンジがやる。
 第四条 くれぐれも調子にのらない。勘違いしない。「アンタなんか国籍以外に価値がないんだから!」

 どうして僕は結婚したんだろう。ちびちびと日本酒をすすりながら考える。
 …だって、家に帰ってきたら結婚式場が決まってて。招待状も出した後で。後に引けないから、とりあえず
ケッコンするのよってアスカが。
3偽装結婚2:04/09/19 17:35:02 ID:???
 鬼のように気の強い奥さんをもらって、シンジは今後の不安をありありと表情に浮かべる。
 結婚式でウェディングドレス姿のアスカをみたときは、がらにもなく胸が高鳴った。もしかしたら
幸せになれるかもしれない。いや、僕のできるかぎり幸せにするよ、偽装結婚でも、と気持ちを込
めてキスしたのだった。
 アスカは美しく化粧をしていて、唇は出来たての洋菓子のようだった。
 唇から気持ちが伝わった気がした。

 だが、気のせいだった。
 お色直しで奥にひっこんだとたん、アスカはコップで口をゆすいだ。
 水を吐き捨てながら、
「忘れてた、結婚式ってキスするんだったわ。ああもう! 気持ち悪い! 加持さんが中国支部でよかったぁ」
 14のときにもこんなことがあったな、と思いながら、シンジはまだ感触の残る唇に触れてみた。少し口紅が
ついていた。人生で2度目の苦いキス。
男が結婚可になるのは18歳からだったと思うが。
てゆうか未成年で酒のむなよw
法律が変わったんだと思えばヨシ。

それはそうと、このスレはどういう経緯で立ったんだ?
歓迎だが、>1に何も(意図も経緯もルールも)書かれていないので。
細かいこと気にするなよ
セカンド何とかで人口が減って国が
政策として結婚出来る年齢を引き下げたとか
労働人口の確保のために成人年齢も16歳に引き下げたとか
想像力を働かせな
総合LAS投下スレ。
9偽装結婚でつ:04/09/19 17:49:50 ID:???
(>7 おいおい、先に言われちまったYO)
あなたがLASだと思えばそれがLASなのです。これローカルルール。
意図はスレタイに書いてある
敬意はおすLAS参照しる
>>9
問題無い、シナリオ通りだ


ここはエロは読めるのかね?
住人が気にするのはそこだと思うよ?
で、ローカルルールは>10でいいのか?
つまり総合LASスレ準拠で。
落ちLAS準拠(実質、イタモノはパス)とでは違うだろう。
個人的にはどっちでもいいが、先に決めた方が良いかと。
枠を設けたくないので、総合準拠でいいんじゃない。
気に入らない話はスルーしる。エロも当然おk。板的には駄目だけどなーw
なんか文句あっか?
>15
うーむ。
でも建てたのは落ちLASからっしょ?
落ち着いて、というならイタモノ系は避けるのが賢明とも思うがな。

>16
何へのレスだ?
>>17
今時イタモノ読んでファビョる香具師はいねーだろ。
イヤなら(・∀・)カエレ!!で終わり。
起源はおすLASだ、スレタイはLRSスレから拝借。
落ち着いてLRS小説を投下するスレ
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1083495097/
>今時イタモノ読んでファビョる香具師はいねーだろ。

そうなの?
嫌がる人は多いと思うが。
それとファビョるのとではちょっと違うって事かな?
(スマン、ファビョるの意味がよく分かってないんだ)
イタモノかそうでないかの基準は誰が決めるんだね
中途半端なルールは荒れるもとだと思うが・・・


>>22
だろ?あんたもそう思うだろ?
>1が決めていいんじゃねーかな。
そんで、その規定に沿う趣味の人間が集まれば。
>22
もし基準を作るなら、おすLASスレの定義でOKかと。
判断基準に個人差はあれど、概ねイタイと呼ばれる作品の基本はあれで問題ないから。
なんでいちいち揉めるんだよー、LRS投下スレはすんなり行ってるのに・・・・・・・・
揉めてるんじゃなくて、話し合ってるんだよ。
議論とか話し合いとケンカは別。
・・・てことを理解しないで荒れてるとか言い出す人が多すぎる。
>>19
>起源はおすLASだ

スマン、素で書き間違えた。
291 ◆r4eWxFxAmM :04/09/19 18:15:44 ID:???
じゃあここはおすLAS準拠、イタモノ書きたい人は第弐ってことで。
落ち着いてLASを書くスレ
http://bbs.jssdf.org//test/read.cgi?bbs=eva&key=1008609238
おい、1、どこだ。
311 ◆r4eWxFxAmM :04/09/19 18:19:34 ID:???
LAS人がイタモノでへこむスレ 其の四
http://bbs.jssdf.org//test/read.cgi?bbs=eva&key=1073828934
こんなスレもあるよ。
>29
おすLAS準拠つっても、あそこはイタモノ禁止じゃないけどね。
注意書きが必要なだけで。
だから正確には、「おすLASでイタモノと認定される類を書かれる方は、第弐などでどうぞ」てことになるな。
一応、おすLASでのイタモノ定義を以下に。

>●イタモノを挙げる時は注意書きを付けること。
>自分が痛いと感じなくても、多くの人が痛みを感じる場合があります。
>特に以下の3つのどれかが含まれる時には気をつけましょう。
>○アスカとシンジが別の異性との絡みを持つ(惹かれる、キスやセックスなど)
>○想い合っていても、二人が離別・死別する
>○精神的な苦痛、肉体的な苦痛の描写が激しい

まー要するに、甘くなくてもいいから普通にLASでヨロシクって感じだな。
1氏がそう決めたならそれでいいや。
俺はイタも大抵は読めるが、それを読むのが目的ではないしな。
LAS楽しみたいだけで。

じゃ、後は職人さんをマターリ待つことにするわ。
まずは「偽装結婚」を楽しみに待つです。面白そうだし。
結論が出たことだしガンガン投下よろ。
>>2-3
乙です。
こーいう、滅茶苦茶な扱い受けながら流されて結婚しちゃうのって、シンジならではですな。
配役を逆にしたらイメージできないw
362,3:04/09/19 18:38:51 ID:???
(>35
あんがと。でもこれからシンジはどんどんひどい扱いを受けていく予定だが、
イタモノに分類されてしまうのか…?
自分的にはコメディだが。)
何でもかんでもシンジが悪い!みたいな話にはならない事を祈ってます
コメディならいいんじゃない?
酷い扱いつっても、ここに投下するならLASではあるんだろうし(・・・だよね?)。
気にしてるのは>>32の3つ目かな?
よほどの痛々しい内容でなければ当て嵌まらないかと。
じゃあ、なんでもかんでもアスカが悪い!で
>36 ま、せっかく新スレの一番手なのだし、まずは自分の書きたいように書かれてみては?特にAEOEのLASではアスカの暴力・罵倒・刃傷沙汰なんかも珍しくないくらいで、38の言う通り、スプラッタレベルでなければ3つ目のそれは気にしなくて大丈夫だと思う。
>39 やだw
>>32の3つ目になりそうなときは冒頭に注意書きを書いて欲しいな

ともかく>>2-3乙。これからもガン(・∀・)ガレ
「偽装結婚」、つかみはおっけー、て感じですな。
今後が気になる展開。
43偽装結婚3 ◆33aKImDcPg :04/09/19 21:46:14 ID:???
「碇くん」
 シンジはその声で、回想から宴会の席へ引き戻された。
「綾波…。二次会、来てくれたんだ」
 こういう席が苦手なはずの綾波レイが、二次会までいてくれたのは驚きだった。
シンジはこのところバタバタしていて、綾波レイとまともに話さなかったのを思い出す。
 レイはシンジの横に座った。膝を折り曲げるとき、膝の裏に手を入れてスカート
が皺にならないようにしていた。ゆっくり、まろやかな動作だった。
 綾波レイが隣に座るだけで、喧騒が遠ざかる気がする。
「久しぶりだね」
「ええ」
「…」
 沈黙。シンジは台布巾をとり、自分の前をちまちま拭き始める。
 話しはじめたのはレイだった。
「…おめでとう」
「あ、ありがとう」
「こういうとき、何て言えばいいかわからなくて。赤木博士に聞いたの」
 綾波にしてはよく話すなぁ、と思いながらシンジは、裸踊りを始めたトウジを眺めていた。
「碇くんは       」
 そのとき、どうっと笑いが巻き起こってレイの声がかききえる。
「え、なに?」
 シンジは上体をかがめてレイに耳を寄せた。
44偽装結婚4 ◆33aKImDcPg :04/09/19 22:20:14 ID:???
「シンジぃ!」
 にゅうっと首の後ろから手が伸びてきて、シンジの頭をつかんだ。アスカだ。
「飲んでる? ファーストも水ばっか飲んでんじゃないわよぉ」
 レイは黙ってしまった。
 シンジはべたべたと触れるアスカの手をのけながら、
「アスカ、飲みすぎだよ…。一応”食事会”ってことになってるんだし」
「ドイツは16歳からビール飲めるのよ!」
「日本国籍とったんじゃあ…」
「うるさい」
 アスカはシンジの耳を引っ張る。「いてて」と顔をしかめながら、シンジは嫌な
気持ちはしなかった。アスカがこんな風にじゃれてくるなんて、婚約してからもな
かったことだ。
 飲んで機嫌がいいんだろう。
「もう遅いし、あたしたちも帰ろっか」
「う、うん」
―――あたしたち、だって。
45偽装結婚5 ◆33aKImDcPg :04/09/19 22:27:09 ID:???
 シンジはくすぐったく思いながら、店を出た。店を出るとき振り返ったが、喧騒に埋もれて
綾波レイの姿は見えなかった。
「アスカ。タクシー乗り場、あっちだよ」
 何気なく肩に触れると、強い力で叩かれた。
「触んないで」
 凍るような声だ。シンジは呆然として、はたかれた手の甲を撫でた。赤くなってる。
「ごめん…」
「第四条。くれぐれも調子にのらない」
「うん…」
 早足で不機嫌にタクシー乗り場へ向かうアスカの、3歩後ろをシンジがついていく。

 今ではもうシンジはアスカより5センチほど背も高いのに、力関係は全く変わらない。
 気まぐれな彼女に振り回され、とうとう結婚までさせられた。
 サードインパクトのときもアスカだけはわからなかったんだから、今さらわかりようもない。
"女性は彼岸の存在だ"といった加持の言葉を思いながら、シンジはとぼとぼとアスカの背を追いかけた。
直接書き下ろし中なのでしょうか、割り込みだったら失礼。
途中でイタモノ展開でも問題無いのですが、
最終的にLASとしておいて途中で放りだしだけは御勘弁ってのを追加お願いしまつ
イタイ場面で半年放置とかされた日にはアンチLASとしか…w
>46
>>29>>32ヨメ
48 ◆33aKImDcPg :04/09/19 22:43:49 ID:???
>46
最終はハッピーエンド予定づら。
でも長くなるかも…。今日はこのへんで。
>最終はハッピーエンド予定づら。

まぁそうでなかったらここに投下せんわな。
がんばれー。
今のとこ、興味深く読ませてもらってます。
触んないでは酷すぎ
シンちゃんがかわいそう・・・
>50
過程があるからこそ、ハッピーになったとこでヨカッタヨカッタと思えるのさ。
52名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/09/19 22:52:40 ID:keCEsIex
ちょっとチクっとくるくらいにも耐えられないのなら
小説なんて読むべきじゃないだろ
甘すぎるベタベタなのが好きなら読むより妄想してた方がいいよ
甘すぎるベタベタしかダメ、なんて誰も言ってないんだがな。
つか、このスレが嫌なら君が来なさんな。
そもそも小説の趣味についてとやかく言われる筋合いもない。

せっかく職人さんもいて上手く始まってんだから、そっとしといてくれ。
>>48
何気に文章も上手っスね。
長くなりますか。
大変だろうけど、頑張って下さい。
どーしてもヤバくなったら、予定のあらすじを記して打ち切る手も、あるにはありますがw
5550:04/09/19 23:46:55 ID:???
ありゃま
喧嘩しちゃメッ!

痛いのは苦手だが
ハッピーとバッドの境界線の綱渡りを楽しむのも
イイかも、ともオモ
アスカ×シンジでハッピーという保証もないわけだが。

ちょっとそれだけだと何が言いたいのか分からん。
複数の意味に取れるので。
シンジきゅんスキーとしてはつらいところだな。
>>57
>  第一条 やらしいことは禁止。寝室も別。(偽装結婚はあくまで偽装。愛はない)
>  第二条 シンジの浮気は禁止(みっともないから)。アスカの恋愛は可(早く理想の男性を見つけて、
>        偽装結婚に終止符をうつため)。
>  第三条 家事はシンジがやる。
>  第四条 くれぐれも調子にのらない。勘違いしない。「アンタなんか国籍以外に価値がないんだから!」

この条件をきっちり守り、かつ

>シンジはどんどんひどい扱いを受けていく予定

となると、途中まではLAS風(ただしシンジは一切報われず、いつも勘違い止まり。この辺がコメディ要素か?)
で、最後は加持×アスカ、レイ×シンジで主にアスカ的にハッピーエンド。シンジはおこぼれに与る程度。

あるいはエロスレに少し話題があったけど、シンジが家畜人ヤプーに目覚めて純粋奴隷としてこき使われて
ハッピーエンド。

てなことを妄想したですよ。
なるほど。
でも、それだとスレの定義に合わないし、そもそもLASでもないので、心配無用でしょう。
>>59
あまり予想じみたことを書くのもあれだが、普通に考えれば
・アスカの心情に変化が出てLASへ
・実はアスカの本心は表層とは別
って予想するだろw

LAS萌えを追求したタイプも好きだが、こーいうLASへの過程を描いたのも面白いので、どうにか最後までガンガッテ欲しい。
「バカシンジ! なにちんたらやってんの!」
 シンジは慌ててダブルベッドから眼をそらした。イタリア西海岸のホテルはスイート
の一室しか借りなかった。

 結局あの夜―――初夜は、何もなかった。アスカは不機嫌だったし、寝室も別だし、
偽装結婚だから。
 だが、ケンスケからもらったコンドームを財布に忍ばせて新婚旅行にのぞんだシンジを、
誰も責めることはできない。シンジは16歳の男子だった。

「早くビーチに行くわよ。日が暮れちゃうじゃない」
「うん」
 シンジは財布とビニールシートを探す。
 そこへ、体にバスタオルを巻きつけたアスカが跳ねるような足取りでやって来た。
「んふふ」いたずらっぽく笑うと、「じゃーん。おニューの水着っ」
 前をはだけた。
 真っ赤なビキニだ。ちょっと布地が少なすぎる気もしたが、最近Dカップになったという
アスカの胸をきゅうくつそうに支えている。
63偽装結婚7 ◆33aKImDcPg :04/09/20 01:32:54 ID:???
「あ、あの」
 ここで何か言わないと怒られる、とわかるくらいは、シンジも成長した。
 泳ぐ視線のたどりついた先は、先刻のダブルベッドだ。十分な思考はできない。
「に、似合ってる」
 アスカの表情がつまらなさそうに曇る。
「アンタ、いつもそればっかり。ウェディングドレス選んだときも、お色直しのドレスも
みんなそうだったじゃない」
「そうだっけ?」
「もういいわ。あーあ。日焼け止めどこだっけ」
 シンジが少し考えなおして、「綺麗だよ」と言おうとしたとき、アスカはもういなかった。
ビーチ用のサンダルを探しに行ったようだ。
 シンジはあきらめた。たぶん、自分がどんな風に言ってもアスカを満足させることはできない
だろうから。
6457:04/09/20 01:35:21 ID:???
>>60、61 それと作者◆33aKImDcPg様。
スマソ
たしかに予想じみたこと書いて、変な予断与えるの良くないね。

このところリアルで暗黒モード全壊状態だったのでおかしな妄想たれ
流したけど、申し訳なく思う。

本当すまんかった。
6556:04/09/20 01:37:04 ID:???
↑56だった。
本当にすまん。orz
66 ◆33aKImDcPg :04/09/20 01:39:14 ID:???
いやそんな謝らんでも。おまいシンジですか?
軽い海苔で。
6761:04/09/20 01:43:47 ID:???
つーか、予想で謝るとしたら俺の方だし。56のはどうせ当たらんよw

ということで33aKImDcPgさん。
マジでスマンかったです。
ここまで、読みやすいし普通に先が気になる(面白いってこと)しで、楽しませてもらってますぜ。
不器用なシンジきゅんがかわいい。
68偽装結婚8 ◆33aKImDcPg :04/09/20 10:15:28 ID:???
 ビーチはあまり混雑していなかった。海は青く、浜は白い。日本の海とは違う。
 パラソルを建てようと奮闘するシンジの視界に、アスカが入った。数十メートル先で
現地の人間と話している。
 アスカが笑ってそいつに手を振り、バイバイの合図をした。
「やっぱ、イタリアの男は口説き方も情熱的ねー」
 アスカは上機嫌でシンジのパラソルに近寄った。
 シンジはパラソルを建ておわって、砂浜に座った。
「今の、ナンパ?」
「そうみたい」
 アスカは亜麻色の髪を肩から後ろへやる仕草をした。
「君の輝きの前では渚の太陽もかすんでしまう、だって」
「へえ」
69偽装結婚9 ◆33aKImDcPg :04/09/20 10:16:19 ID:???
 たぶん、大丈夫だ。アスカはイタリア人の彼氏は作らない。
 イタリア人と結婚しても、日本国籍は手に入らないから。
 が、シンジはあることに気付いた。
 アスカはドイツに帰りたくないだけで、日本にこだわりはないんじゃないだろうか。
日本には加持さんもいないし、もうエヴァも解体された。
 イタリア人の彼氏…。
 複雑な気分だ。本当にアスカが恋人を作ったら、嫉妬を感じるだろうか。それはない
気がする。今、ナンパされているアスカを見てもなんとも思わなかった。
 嫉妬するなら加持さんのときにもうしている。ただ、自分の前で他の男の話をされ
ると、馬鹿にされている感じがするだけだ。

 結婚てなんだろう…。

 シンジが内向きのスパイラルへ突入しそうになったとき、アスカが立ち上がって、
「泳いでくるね!」
 と駆けて行った。
 しばらくして、波間を泳ぎながら「シンジ!」と手を振った。笑ってる。
 シンジは手を振り返しそうになってから、ひっこめて、体育すわりのままぼんやり
アスカをみていた。
どうして評価板に投稿でなく、ここなんだろう?
71 ◆33aKImDcPg :04/09/20 10:20:54 ID:???
>70
ごめん、掲示板連載ってあこがれてたんだ…。
いやいや、全然OKです。
逆に言えば、評価板でないといけない理由もない。
てか、その為のスレだし。

妙な合いの手?は気にせず、続きをどぞ。
スレ投下だと読みづらい
>73
・・・そーいうスレに来て文句言っても仕方なかろ。
ここでLAS読むのがイヤなら来なければいいだけ。
今日はお休みだからか、昼から変なの来てるな。
放置でいいかと。

職人さん、こんなのはスルーでガンガッテ!
>>70
そんな事言ってたらこの手のスレは全部存在意義なくなっちゃう
評価板とこの手のスレではシステムが違うから作者の好みで使い分ければいいと思う
向こうは米氏のように連投するとバッシングも起こりかねないしね

>>◆33aKImDcPg氏
コロコロ態度の変わるアスカと戸惑うシンジが良い!
楽しみにしてます
掲示板投下連載はちょっとした長文レス程度でも投下出来るから
テンション下げずに続けられる事が(評価板に比べて)容易なんだよね
俺もとあるスレで連載してるけど、評価板に書き込む気は無いなぁ
元々評価して欲しいなんて思ってないし、自己満足で書いてるだけの物に
ちょっとした反応がくれば嬉しいって程度のもんだから。

>>◆33aKImDcPg氏
がんがってねん
楽しみにしてますぜ
78偽装結婚10 ◆33aKImDcPg :04/09/20 11:16:01 ID:???
 ホテルへ戻って夕食を終えると、もう10時になっていた。
 アスカはシャワーを浴びている。
 シンジはダブルベッドの前で立ち止まり、ふたつ並んでいる枕のひとつをとった。
ソファもあるし、温かいからどこででも寝れる。
 アスカに怒られてから移動するより自分で移動したほうがいい。シンジは初夜の
決まり悪さを覚えていた。
 片手に枕をぶらさげて寝床を探していると、ふと、バルコニーが気になった。
バルコニーへ出て見上げると、月が出ていた。日本より大きい気がしたが、気のせい
だろう。
 月が青白く光っている。綾波は日本でどうしているだろう。
 アスカの機嫌ばっかりとってるのは疲れた。
 もう、帰りたいよ。
 綾波…。

 いきなり衝撃が走って、シンジは枕を取りおとした。
 アスカが後ろから、勢いよく抱きついたのだ。
「あ、アス…」
「黙ってて」
 湯上りの湿った体がシャツ越しに感じられる。言われたとおり黙って、ぼんやり
つったっていた。アスカがどういうつもりかまったく予想がつかない。
 アスカの体温が伝わってきて、シンジの鼓動は早くなった。
 背中を伝って、アスカのくぐもった声がした。
「ねえ、今なにしてたの」
 聞いたこともない甘ったれた声に、シンジは身震いした。
つっ、続きを!
80偽装結婚11 ◆33aKImDcPg :04/09/20 12:00:03 ID:???
「ね、寝る場所探してたんだ…」
「そう…」シンジの脇から伸びてきている手が、シンジの胸板を這う。
「くすぐったいよ」
 シンジはアスカの手を押さえてとめた。
「あたしのこと好き?」
 シンジは黙った。どう答えるべきなんだろう。
 好きじゃないと答えたら、アスカは怒る。
「う、うん」
 アスカの手はすべすべと滑らかだ。手の甲なのに、しっとりとした肉付き。
「本当に?」
「うん」
 コンドームの入った財布は、どこに置いただろう?
「…もういいわ。やっぱりつまんない」
 いつもの突き放したような話し方に戻ると、アスカはシンジを解放した。
「アンタ、あっちで寝てよね。ベッドの半径3メートル以内に入ったら殺すから」
 アスカは逃げるようにベッドへ向かい、ダイブした。シンジはのろのろと枕を拾い、
胸が静まるのを待った。
 残念なような、ほっとしたような。アスカにからかわれるのは、いつまで経って
も慣れない。
 シンジは新婚旅行中、ずっとソファで眠った。
少なくともシンジはまだアスカを好きではない
(もしくは好きと気付いていない状態からのスタートなわけですね
楽しみです
先が気になるなる。
33aKImDcPg氏には、一日中これ書いてて欲しいくらいだw
女心を理解出来ない漏れには
シンジがどんな答えをしたらアスカが満足したのか分からない…
「好きか?」と聞かれて「うん」って答えで何が不満なんだ?
>>83
鈍感
つりか?
このシンジは気弱というか寛大というか、下僕根性が染み付いてんな。
哀れw
そんで逆に、どこかで堪忍袋が切れても面白いかなとも思った。

最後LASに着地した時に振り返って、でもこの話のアスカはさいてーだよね、とはならないことを祈る。
俺はLAS厨でDQスカ好きでもあるのでLAS的ハッピーエンドならALL OK!
>86
いや、足りない表現でスマンかった。
DQNスカだとイヤだなぁ、て意味じゃないんだ。めちゃ我侭とかそっちの類なら、だが。
元がそーいう欠点を持ったキャラなのだし。
ただ、書き手がそれらを欠点として正視せずに書いてるのは勘弁。

例えばだがシンジが「アスカの我侭には困るけど、でも好きなんだから仕方ないよね」とか「そーいうとこも可愛いな」と思うならOK。
そもそもアスカの欠点は問題とされずに、分かってやれない・受け入れてやらないシンジだけに問題がある、だからシンジが反省してさいってタイプが嫌。
・・・て意味だ。
後者だと、読者は読み終えてから、この感覚はおかしいとか指摘してやりたくなる。
すまん、DQスカってどういう意味?
ドラクエしながら食糞や塗糞プレイを楽しむ事だよ
「DQN」ってのは、頭がオカシイとかそーいう意味。
DQNなアスカ、略してDQNスカ。
>>89
不覚にもちとワロた。俺も小学生だな・・・

>>90
thx.
>>83
おまえほんとに女心わかんねーんだな…
NTR系はともかく、我侭・意地っ張りDQNスカってのは上手く描かれてるとカワイイのでヨイ
9483:04/09/20 14:15:38 ID:???
>>84
釣りじゃなくマジで分からないんです。
>>92
女心は難しいっす
>94
まぁ、まずは続きを待とうぜ。
ここはいいスレだな。
>>87
要は↓これとかだな?
「彼女がかわった理由 〜例えばこんな理由」
ttp://www.letlive.jp/maisoneva/commit/o_kanojo_t.html
>>94
まあ、世の中「わたしのこと好き?」「うん」で満足してくれる娘もいるから。
女心といっても千差万別なんでそんなに気にするこたぁないと思う。
ちなみに今回の話に限って言うなら、アスカはシンジの言葉で想いを伝えてほしいってことじゃないかと。


「愛してる」や「好き」を
重く思ったり気恥ずかしく思ったりする子もいるので、女心という言葉で
一つにくくることは難しいよね。って97と同じこと言ってるな・・・
オレにはあそこでなんと返事をするべきかよりも、最初に「夫婦の契約」で恋愛を
否定した上で、シンジに好感をもたれることはぜんぜんしていないのに好きか
確認しようとするアスカの考えの方がわからんのだが。
そんなことよりも面白いの?それとも面白くないの?
>>99
理屈では君が言ってる事が正しいんだけどね
アスカはわがままだから
アスカはあの場面でシンジとはまだ
心が通じ合ってないことを感じとったのでしょう。
シンジも心に壁を張っていたし、「好きだよ」の言葉は少なからず
アスカに気を使ってのものだったみたいだし・・・
中々素直になれず、自分の好きという気持ちにとまどいながらも、シンジに近づき隙を見せたは
良いが、否定されるのを恐れて、ああいう態度になったのだと解釈している。
なんだか電波少年の企画でバツイチになるためだけに結婚させられた松村を思い出したよw
アスカの心情を説明はできるけど(まだ先の描写で読み方が変わるかも知れんので書かんけど)、確かに正しく筋道立ってはないな。
でもそーいうとこがイイ!のさ。
まぁあれだよ、この有名な一言で説明出来るよ
ロジックじゃないのよ、これ。
寄越しなさい。でも与えません。 by 女王アスカ

これだろ。
>>96
理不尽すぎ
特にミサトさん
俺にもわけわかめだった
>>102
お互いのままならなさ、このもどかしさがイイね。

>>107
理不尽LASの有名作の一つだ、と思う。
109偽装結婚12 ◆33aKImDcPg :04/09/20 17:25:40 ID:???
 新婚旅行先で花嫁に浮気される、という情けない自体だけは回避した
シンジだったが、日本での結婚生活は甘いものではなかった。
 アスカより早く起きて食事や風呂、洗濯の用意をし、自身は第一高等
高校へ行く準備をする。アスカを送り出してから(アスカはネルフで研
究職についていた)、自分も学校へ行く。
 本当は管絃学部に少し興味があったのだが、家事をきちんとこなすために
入部はあきらめていた。
 さすがに理不尽さを感じないではなかったが、こう考えることにした。
 僕は、住み込みで働いてるんだ。代わりに御飯を食べさせてもらってる。
アスカとは同い年なぶん、前に預けられていた家よりは精神的に気を使わない
で済む。
 かなり無理のある論法に納得した彼は、下校時刻はスーパーのタイムセールに
間に合うよう、早足になる。
110偽装結婚13 ◆33aKImDcPg :04/09/20 17:50:14 ID:???
 鶏肉の香草焼きに決めて買い物をすませ、帰宅して掃除を終わらせた頃、
アスカが帰ってきた。
「ただいま」という、スーツ姿の妻にエプロン姿の夫が答える。
「おかえり。お風呂沸いてるよ」
「じゃあお風呂入る。…のぞくんじゃないわよ」
 シンジは黙って味噌汁をかきまぜる。と、洗面所からアスカが首だけ突き出した。
「あ。あたし、外で食べて来たから。晩御飯いらない」
 シンジはへなへなと脱力しそうになる。
「そういうときは電話いれてよ!」
「はいはい」
 全然こりてないアスカの声。
 シンジはため息をついて、料理を再開した。アスカが外で食べるとわかっていたら、
冷蔵庫の残り物で済ませたのに。今日の夕飯は弁当にまわそう。
 こんなとき、シンジは、誰か食事を一緒に食べてくれる人が欲しいと思う。せめて
美味しいと言ってくれる人がいたら。
 アスカが美味しいと褒めてくれたことはなかった。
アスカ・・・・・リアルで首絞めてやりたくなった
よくシンジは耐えれるなwアホだ。
113偽装結婚14 ◆33aKImDcPg :04/09/20 18:58:51 ID:???
 少々危険な思想ではあるが、結婚相手がカヲルくんだったら…、とシンジは思う。
 周りが知ったらのけぞるところだが、シンジはアスカと体の関係はない。シンジにとって
結婚とセックスは直結しておらず、

 結婚相手 = 一緒にいる人。会話する人。食事を作ってあげたい人。

である。
 カヲルくんに食事を作ったら、美味しいって言ってくれそう。お風呂だって一緒に
入れるし、食事の片付けをしてから、一緒に音楽の話が出来るかもしれない。
 うふふ…、と乙女チックな想像に笑みをこぼしそうになってから、ふいに沈痛な面持ち
に変わる。でも、僕が殺したんだ。好きな人を殺したんだ。
 そんな僕に、愛のある結婚なんてできるはずない。

「ちょっとぉ」
 頭を軽く小突かれて、シンジは我に返った。
「なに百面相してんの。笑ったり泣いたり忙しいわね」
 いつのまにかアスカが風呂からあがっていた。
「泣いてないよ」
 シンジは顔をそむけながら焼きあがった鶏肉をテーブルへ運ぶ。
「怒ってんの?」
「別に」
 怒ってるよ。怒ってるさ。でもいいよ、もう。
 さっさと再婚でもなんでもして出て行きやがれ、と飯をかっこむシンジだが、再婚
した場合追い出されるのはおそらくシンジだ。マンションはアスカ名義だった。
絶望的だなw
アスカはどうやってマンション手に入れたんだろう。
中学出たばっかりそんなに待遇いいのか?ネルフは。
>115
アスカは大卒。
初任でマンション買えるのか。
>>117
ローンじゃね?
なる
赤毛猿はさっさと針に刺されてヤリマンロードを走り出せ!
と、ちょっと思ってしまいました。
とりあえず別居すべきだな、シンジ。
トウジやケンスケの家に居候すればいいと思う。
ときどき見かけるけど、針ってなんですか?
>>115
アスカは大卒のエリート
しかも幼いころから働いてる
パイロットの給料はベラボーに高い
不安定でとても危険な機体、しかも乗れる人間が世界中で数えるくらいしか居ないので更に跳ね上がる
しかも実戦にでればボーナスイパーイ

エヴァパイロットは金持ちです
現時点のシンジの気持ち
カヲル>レイ>>>超えられない壁>>>アスカ
結婚相手がカヲルってアスカとするのかと思ったらシンジとかよw
やるなシンジ。
>>123
じゃあシンジも追い出された後の生活は安泰ですな。よかったよかった。
待機とかテストとかで時間超過手当もたんまり付いてるだろうな
>>126
う、展開に足かせかけるような事書いちまったかな
アスカは大卒エリートで金持ち
シンジは学生で貧乏
でもいいかも
パイロット手当ては安くこき使われた上に乗ってた期間が短いから雀の涙くらいしか貰えなかった
とかでさ・・・

ちょっと書くの控えます、スマソ
シンジは親父は相当な資産もってたみたいだし。
遺産とかあるんじゃない?
>>129
死んでねーかもしれん。加持生きてるし。
>>124
>超えられない壁

超えようともしていないよなW
普通に生きてるだろ
殺すなよ
>>122
知らないほうがいいこともある
資産いっぱいでも借金もいっぱいで精算すると何も残らなかったとかな
>>133
なんだよ?
もったいぶってないで教えてよ
気になって勉強できないよ
136偽カヲル:04/09/20 20:09:05 ID:???
>>135
シンジ君、君には真実を受け止められる強さがあるのかい?
137偽装結婚15 ◆33aKImDcPg :04/09/20 20:14:14 ID:???
「あたしもサラダだけ食べよっかな〜」
 と、アスカはフォークをとってきた。シンジはさっさと食事を終えたかった。
 チェロが弾きたい。
 シンジは14のときよりずっとチェロが好きになっていた。去年、パイロットに
支払われていた給料をくずして買ったサイレントチェロ。
 要するに電子チェロで、音が漏れず、イヤホンで演奏を聞けるのだ。
 寝る前にそれを弾くのが日課になっている。自分だけの時間。
「このサラダ、明日のお弁当にも入れてよ」
 シンジは黙っている。もう少しで食べ終わるところだ。
「ねえ、シンジ」
 目の前にポテトが突き出された。「あぁ〜ん♪」
 シンジは茶碗ごと横を向いた。
「馬鹿なことやってないで、さっさと寝なよ。明日早いだろ」
「やっぱり怒ってるんだ…」
 シンジの口元へ差し出されていたフォークが、力なくアスカのサラダボールへ
戻る。アスカがうつむき、長い髪で表情が見えなくなった。
 だまされないぞ、と身構えるシンジ。だてに2年からかわれつづけていない。
>>135
君は18歳以上で米が好きかい?
>>136
・・・・
カヲル君
傷付いても良いんだ・・・
だから僕に真実を教えてよ!
>>135
話が見えないよ・・
僕は18歳未満だし
お米は好きで毎日食べてるよ
>>135
それはエヴァ板七不思議の最後の一つ。
針の意味を知った時……いや、やめておこう。
君も忘れたほうが良い。
>>139
じゃあ駄目だな
というより>>138でピンとこないくらいLAS暦が浅いのなら余り意味の無いことだ
(;・∀・)ハラハラハラハラハラハラ
>>137
いよいよ(・∀・)
>>139
悪いな
針は18歳以上の紳士淑女のみ知ることが出来るんだ。
君にはまだその資格は無いようだ
146偽装結婚16 ◆33aKImDcPg :04/09/20 20:39:51 ID:???
 だが、間の悪さに耐え切れなくなって、つい言葉が口をついて出た。
「お、怒ってないよ」
「…」
「怒ってないから…もう」
 アスカは顔をあげるとニッコリ笑って、ふたたびフォークを突きつけた。「あーん♪」
 なんとかこの事態を回避する方法はないのか?
 シンジは戸惑い、視線を斜め上に泳がせる。なかった。
 覚悟を決めると、
「あ…あー」
 と口を開け、ためらいがちに少し顔を前に出した。頬が熱くなる。
 アスカが少しフォークを引く。シンジはテーブルに軽く手をつき、身を乗り出す形
になる。
 前歯がポテトをとらえた、と思った瞬間、シンジは空を噛んだ。
 ガチッ。
 フォークはアスカの口元へ戻り、見せつけるようにアスカが頬張る。
「あんた、馬鹿? あはは」
 アスカは席を立ち、軽い足取りで奥の部屋へ去って行った。
 シンジはのろい動作でサランラップを取り出し、アスカのサラダにかぶせた。
 僕は馬鹿かもしれない…。
(つД`)シンジクソ、早く幸せ?になってつかーさい
大丈夫。いつかシンジも報われる日が来るさ。
明日という字は明るい日と書くんだ。(つД`)
明日香の明日とも書けるな
150139:04/09/20 20:52:23 ID:???
ありがとう
大人しく諦めるよ
はやく大人になりたい・・・

>>146
ア・アスカ・・・
>>148
しかし、明日には香(カヲル)が付き物という見方もあったりw
ケロッ(・∀・)ノシ ならいいか
>>151
針はイヤー!
>>151
しつこいよ。
155偽装結婚17 ◆33aKImDcPg :04/09/20 22:51:44 ID:???
 シンジは食事を終え、風呂をあがってから自分の部屋へ入る。
 チェロを取り出し、電源を入れて椅子に座り、両足の間にチェロを支えた。
 深呼吸して、そっと弓を滑らせる。
 低い、張りのある音。音色に本物のチェロのような艶はないが、夜中に弾くには
これで十分だ。バッハの曲をいくつか弾いた。
 低音から高音へのびあがるとき、シンジは恍惚を覚える。
 最後に何を弾こう、と少し考えて、シンジは楽譜なしで弾ける曲を選んだ。第九。
喜びの歌だ。
 アスカが優しくなかった日は特に、渚カヲルのことを思い出す。第九はそのBGMだ。
 カヲルくん。ごめん。ごめん、と謝りながら、指は力強い歓喜の旋律を生む。
 カヲルくんはこの歌そのままの人だった。自信に満ち満ちていて、僕をなぐさめてくれた。
 シンジは最後の音を長くのばして、演奏を終えた。
 一息ついて、チェロをケースにしまった。そっとベッドの脇にたてかける。寝かさずに
立てかけたのは、寝そべったときチェロが見えるようにしたかったからだ。
 シンジは明日の朝食を思いながら、眠りについた。


 耳鳴りがする。顔が痛い。何が起きたのかわからなかった。
 ぐらぐら揺れる視界いっぱいに、アスカが映った。
 また、衝撃が走る。
 アスカが頬を張ったのだ。シンジは寝ぼけた意識をなんとか引き絞って、上体を起した。
「なにすんだよ!」
 舌がもつれそうになる。
「カヲルって誰」
 アスカが真顔で言った。
おお!このパターンは新鮮かも
鬼女キター
(・∀・)ノシ 既に鬼女扱いwシンジクソ頑張ってや〜
このアスカはカヲルとは面識無いんだね。
本編準拠なら面識ないだろ。

しかし「偽装結婚」おもしれーな。
ガンガッテくれ!
「勝手に部屋に入ってくるなよな」
「カヲルって誰よ!」
 アスカがシンジのTシャツの胸を掴んだ。ようやく本格的に目が覚めたシンジが、振り
ほどこうとする。
「なに言ってんのさ…」
「どこの女よ! 今、寝言でカヲルって言った!」
 夜に部屋の出入りを禁じたのは、アスカの方だったはずだ。
 夕べにからかわれたことと、睡眠不足で、シンジは不機嫌だった。
「うるさいなぁ」
 渚カヲルのことを説明しようとすると、渚カヲルの最期まで話すことになる。シンジは
目をそらしたまま、眠そうに目をしばたかせた。
「浮気は許さないって言ったわよね」
「浮気もなにも、男だよ。昔の友達…」
「嘘つき! この!」
 シンジはとっさに腕で頭を守って、アスカのビンタから逃げた。アスカは腕のガードの
上からばしばしと叩く。
 とにかく部屋から出ようとしたシンジをアスカが追う。ふたりはチェロの近くでもつれた。
不吉な音を立ててチェロケースが倒れた。文字であらわすと、がしゃんバィン。だ。
 シンジはアスカを押しのけてケースを開けた。
「ひどい…」
 シンジは震える声で言った。弦が切れている。普通のチェロ弦ではなく電子チェロの弦だから、
素人では修理できない。下手をしたら買いなおしだ。
 再びチェロケースを閉じたシンジ。半泣きである。
162ニセ加持:04/09/20 23:17:05 ID:???
>>150
シンジ君、いいか。よく聞くんだ。

米、妖魔、カヲル、同人、そして針。

これがヘブンズゲートを開く鍵だ。
その向こうにおそらく君の求めるものがある。
だが、心していくんだ。
真実を知ることは大きな苦痛を受けることでもある諸刃の剣。
素人にはお勧めできない。

ただし属性としてNTr・・・・チッおしゃべりが過ぎたか。

じゃあな、シンジ君。君の逝く道は自分で考え自分で決めろ。
気をたしかにな。

プツ・ツー・ツー・ツー・・・・・・
>>160
いや、貞本版なら思いっきり面識あるからさ。
女子トイレまで押しかけてくる香具師だしW
>163
だから、本編準拠なんだろってw
ってか、LAS小説じゃないだろ。
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1088657703/
こっちの部類じゃないの?
166 ◆33aKImDcPg :04/09/20 23:23:50 ID:???
>165 まじ?
>>161
シンジきゅん、ホントに悲惨や。
ここまではアスカムカツクけど、きっと最後にはと思いながら読んるっス(このスレだしw)。
それにまー、キツくてワガママなのは元よりのキャラだしね。

カヲルの存在がシンジの今後に影響するんだろうか?
つづき、つづきをくれぃ。
結論を出すのは最後まで見届けてからだ。

我々の合い言葉、それは「希望」だ。
>>166
いやいや、気にすんな。
このままで終わったら、当スレ的にはさいてーになっちゃうけど、先があるんだから。
俺はかなり楽しみに読んでますぜ。
カヲルをこういう風に絡める話は読んだことないね。
面白いw 是非是非がんがって下さい!
>>168
なに綺麗にまとめてんだよ!
>>165
気が早い。
最初から仲良しばかりがLASではないさ。

職人さんのやる気そぐのは止めてくれ。
>>168
マヤ「「希望」ですか、「キボン」ではだめですか。」
マヤちゃんが言うならダメじゃないさ
そういえば、レイはどうしただろう?
話の中にまた出てくるのを待とうYo!
シンちゃんのチェロが
体で払ってもらいなさい
(・∀・)ノシ まぁ何と言うか、いろいろ楽しみだ。
なにがすごいって、◆33aKImDcPg氏のバイタリティだと思う。
今日何回更新した?
感服です。
これからもがんがってください。
 蒼白な顔色で立ち上がると、シンジは玄関へ向かった。
「どこ行くのよ。まだ話は済んでな」
 アスカの声が途切れた。マンションの戸を閉めたからだ。今はとても、耳に
キンキン響くアスカの声を聞いていられない。
 ここじゃないどこかへ。
 気付くと、半パンにTシャツ姿の自分に気付いた。財布も持っていない。公園
の時計で時間を確かめると、夜の12時すぎだった。公園のベンチに座って、気を
落ちつけた。
 前にも家出したことがあった。あのときはエヴァのパイロットになるのが嫌で
3日ほど歩いた。また僕は逃げるのか。
 トウジかケンスケの家に泊めてもらおう。シンジはポケットに手をやって気付いた。
携帯を持っていない。シンジは立ち上がって、尻を払い、つっかけを引きずるように
歩き出した。近所にコンビニがある。そこで夜明かしをしよう。
 朝になって、アスカが出勤したころ家へ帰る。それから荷物をまとめて、あとは
なるようになるだろう。
 こんなにむなしい気分のときでも、案外きっちり考えることが出来るらしい。
 まっすぐな道に点々と街灯が灯っている。近くの街灯は大きく、奥のは小さく遠く、
かすれて消えるかのように配置されている。蛾が飛び交っていた。
 ガラの悪いバイクと一台すれちがった。
 店に入ろうとしたシンジといれちがいに、人が出てきた。
 観音開きのコンビニのドアを支えたまま、シンジはつぶやいた。
「綾波…」
綾波キター
長い・・・
>>182
そう? もっと長い連載知ってるぞ。
シンジスキーなんでかなりシンジキュン…
なんだけど、面白い!
頑張ってくっさい。
面白いので長いのは構わないや。
更新が待ち遠しくはあるが、これ以上のペースは無理だw

しかしこれ、コメディってのとは違うよーな。
このシンジの悲惨さ、痛々しさとアスカの言動を、明るく楽しくは読めんです。
本編アスカもここまで酷い真似するほどではなかったし、「でも実はシンジのことが好きなんです」て言うだけで済まされたら納得できないかもなー。
振っちまえシンジ、て思ってしまいたくはないぞ。

途中でついつい、エプロン姿でカヲルとの結婚生活を夢見るシンジきゅんに萌えてしまいましたw
こういうカヲルの使い方は好きだw
◆33aKImDcPg氏ガンガレ、蝶ガンガレ
実はアスカ視点だとけっこう萌える内容なのかも、と脳内妄想中です。

シンジ→アスカがどういう過程で生まれるのか期待。
普通だったらこれ、それまで好きな相手だっとしても嫌いになるに充分な目にあってるもんなw
根っからのLAS人な俺なのに、ぜんぜん痛さを感じないのは何でかなぁ?
多分、アスカの想いのベクトルがシンジの方を向いていないにしても、それ以外の誰か特定の人に向いているわけじゃないからだろうな。
そういう意味では全然痛くないけど(イタモノでないのは分かってるし)、シンジきゅんが痛々しいぞい
>>185
>「でも実はシンジのことが好きなんです」て言うだけで済まされたら納得できない
恐ろしいほど同意。
>>189
>アスカの想いのベクトルがシンジの方を向いていないにしても
シンジの想いもアスカに向いていないがw
俺シンジきゅんスキーだから今の展開は正直きついわ。

アスカもEoEをひきずっているからとは思えんし、単に理不尽にシンジを
いびっているだけにしか見えんのだよなー。
アスカに向かってないけど特定の誰かでもないのがシンジで、
アスカの方はシンジに向かってるように俺には見える。

あー続きよみてぇ。
>>191
あるいは、ひたすら理不尽な目にあって、理由も構って欲しかったとか素直になれなかったとかそんな程度で、しかし「まぁいいや」と納得しちゃうシンジ、というのもイイかもよ。
そんなシンジきゅんに萌え。
アスカ視点verを読んでみたい
すごく面白いんだが、>>36のコメントが気がかり。
イタモノでないにしろ、コメディにも見えん・・・。

ここまでを、ひたすらムカツクアスカと可哀相なシンジとして書いてるなら、よく書けてると思う。
でも、ここまでの展開や二人の描写がコメディチックに楽しめる(あるいは笑える)つもりで書いてるなら、途端にこちらの見方も変わって、「その感覚にはついていけないなぁ」となるね。

作者氏的に、どういう意味で、あるいはどの辺がコメディなんだろう?
シリアスLASに見えるんだけど。それとも、これからコメディっぽい展開が待ってる?
終わってみると(アスカの気持ちが分かってみると)コメディだった、てタイプかもね。
ともかく続きを待とう。

このFFが書けて、この時期にテストがあるってことは、高校生かな?
学校があるとあまり更新はできないんだろうな。
早く読みたいけど。テストもガンガッテくれ。
(・∀・)ワクワク
色恋に酸いも甘いも苦いも渋いもあってイイジャナイカ。
安直にひっついてハッピーエンドばかりより、こういうテイストも面白い。
個人的には一回別れてしまうのも展開としてはアリ
ごちゃごちゃ展開予想とかあれはどうしたーとか言わずに投下を待ちたいね
面白いので作者の好きなように書いてほしい
先が楽しみだあ
>>166
LASとして読んでるから安心してください
マジおもしれえ
202196:04/09/21 08:49:53 ID:???
>199
いや誤解させたらスマン、コメディってのがふと気になっただけで、内容だけ見たら文句ないんだ。
むしろ、最近読んだLASFFの中じゃこれが一番おもしれーなーと思ってるくらいで。
色々キツイ展開も、今後の布石だろうから嫌ではないしな。
狙いでこの様子であるならOK三連呼だ。

他の人も、(今のところの展開が)キツイとは言っててもヤメレとかダメだなんて言ってるのはいないんじゃない?
シンジきゅん可哀相だなぁ、と思うのと、そんな展開は許さねぇってのは別モノさ。
203更新まだー?:04/09/21 09:00:57 ID:???
てか、キツイとか可哀相とかアスカこのやろとか思うのは普通の感想かと。
そーいう事を書くと即批判や叩きだと思っちゃう人もいるみたいだけど、例えば悲惨なもの読んで悲惨だなぁと感じるのは当然だよな。
作者もそれを狙ってるんだし。

「偽装結婚」はすげぇ面白くて先が気になる、かつ、ここまではキッツイ。てのがおおむねの評判。
そんで、今後どうLASになるんだろう、アスカの言動をどう消化する? シンジ→アスカは? と皆想像を膨らませてる。

これって33aKImDcPg氏の思い通りなんじゃないのかなぁ。
196は、「思い通りだよね、これが笑いなんじゃないよね?」とだけ確認したかったのだろ。
要約すると、大変面白く、みんなが先を期待してますぜ作者さん!
てことだな。

じゃ、マターリと投下を待とう。
205名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/09/21 09:53:20 ID:76AsV/oG
きっと書いてる途中で作風替えたんだろう、
実を言うと俺はお前らがコメディっぽくないっとか言ってたときそうだったことを思い出した。
sage忘れた、スマソ
1〜2時間に一回ずつくらいは更新をチェックしてる俺w
やっぱ今日は学校なのかなぁ・・・
電子チェロって本当にあるんだね。
音楽はさっぱりなので知らなかったよ。

弦はアコースティックのがそのまま使えるみたいだから、シンジきゅんなら
すぐ直せるぞw
上手だとは思うけど、面白いかどうかはこれからの話の展開次第だと思うので
なんともいえんな。

ただ、オレにはアスカがどうしたいのかがいまいち見えたこないのと、シンジから
アプローチのかけようがないと思えるのにシンジ一人称なのが気になる(あと、オレも
これのどこがコメディかがわからん。シリアスともいえんとおもうし)。

まあ、オレとしてはどんな展開だとしても、読者が納得できるものを書いてほしい
と思う。
とりあえず、このスレにはシンジきゅんを
愛するひとが大勢いるってことだな。
211偽装結婚20 ◆33aKImDcPg :04/09/21 16:44:13 ID:???
「おじゃまします」
 シンジは綾波レイに続いて、アパートへ入った。レイはいらっしゃいとは言わない。
 シンジはつっかけを脱いでそろえた。
 綾波レイはシンジと同じ第一高校へ通っていた。クラスが変わり、エヴァが解体されてからは
あまり話さない。最後に話したのは結婚式の二次会だった。
 レイは台所に立ち、やかんを火にかけた。お茶をいれてくれる気なのか。
 2年ぶりに訪れたレイの部屋はいくらか綺麗になっていた。白い壁紙が貼ってあるのは大きな
進歩だ。
 手持ち無沙汰で、部屋にひとつだけあるパイプ椅子に、腰掛けた。
 やかんのしゅうしゅうという蒸気音だけがふたりの空気だ。
 なぜ家に帰りたくないのかとか、夜更けに女性の部屋へあがるのはどうかとか、そういう話題
を振ってこないのはありがたかった。綾波レイは、多くを話さない。
「碇くん」
 レイが初めて声を出した。「紅茶とコーヒー、どっちがいい」
「あ、おかまいなく…。じゃあ紅茶で」
 しばらくして、レイが紅茶のカップをふたつ持ってきた。椅子はひとつしかないのでレイは
ベッドへ腰掛ける。シンジは近くに座ってはじめて、レイが第一高校の紺の制服姿なのを意識
した。自分の半パンの足を少し閉じる。
 以前、紅茶の煎れ方を教えたことがあった。そっとカップに口をつける。無糖でほんのりと
した苦味は、あのときの味だ。
「あ、あの。今日はごめん、いきなり家に来たいなんて…」
>210
>このスレにはシンジきゅんを愛するひとが大勢いる

うむ、俺もその一人だ。もちろんアスカも愛しいぞ。
だからここまでは痛々しいく思うしアスカよ何様とも感じるが、この物語に必要な展開であり今後のための布石だってのも理解してるし、先の展開に興味を持たせるための、ある意味で魅力になってるとも思う。
ので、◆33aKImDcPg氏は抑えようとか思わず、書きたいように書いて欲しいな。
続きキターーーー!
33aKImDcPg氏よアリガトウ、がんばってくれ。

>綾波レイは、多くを話さない。
>無糖でほんのりとした苦味は、あのときの味だ。

こーいう表現をひょいと入れられるところ、俺などから見るとすげぇ。
性別交換したら普通にありそうな話だなー。
しかも貞本テイスト混せるなら、そりゃアスカさんも暴力的になるさ。
貞元アスカもここまで酷くないよw
貞本アスカはそんなに嫌な奴じゃないだろ
イスラフェル戦の後シンジ褒めてたし
うん、庵野アスカよりはまともなキャラしてるよね。
でも俺は庵野アスカの方が好きだけどさ。
214はなにを持って、貞本テイストなら〜と思ったのだろう。

まぁこれ、スレに関係ないな。
更新まだかなぁー?
レイの紅茶云々〜って所じゃないかな、たぶん。
>218
いやそうでなくて、貞本テイストが混ざるとアスカが暴力的でもおかしくない、とは貞本エヴァの何を持って思ったのだろう?
という意味かと。
貞本アスカの暴力的な所・・・
ゲーセンの件か?
カヲル殴ろうとして止められてたけどそれくらいか?
そういや漫画上ではシンジには暴力振らずに寝ちまったような気が
貞本アスカといえば、鼻の穴全開でスイカアイス食ってるところが(・∀・)イイ!!
223214:04/09/21 18:41:00 ID:???
もまいら、そんなにいるなら小説の感想書けってw

暴力って書いたのはゲーセン場面もそうだが、全体的に男っぽいんだ、貞本版は。
描写も加持とかゲンドウとか男性キャラを重視してるし、庵野的な、女性に対する
遠慮の無さみたいなのもない。そういう少年漫画風だと殴る蹴るのコミュニケーショ
ンでかわいさ表現しようとするのは多いよ。シティーハンターとか赤松健とか。

で、投下小説のアスカは今んとこ、嫁というより旦那っぽいかなー、というふいんき
だったんで指が滑った、という感じ。
あんまり感想書くと伏線暴きみたいになって作者も困るだろう
俺もそう思って自粛してる。
作者には好きなように書いてもらいたいし。
そんなもんかいな。微妙なとこだな。
227偽装結婚21 ◆33aKImDcPg :04/09/21 22:31:02 ID:???
 レイは、紅茶の水面を見守るように伏せていた視線を、シンジへ向ける。真っ赤な瞳。
 シンジはかくまってもらった家出人の義務、言い訳をつづけた。
「ちょっとね…、家で喧嘩して。はは…」
「そう」
 それきり黙った。シンジは決まり悪さを感じるが、レイは気にしなかった。
 次に話したのはレイだった。
「私、結婚てどういうものかわからなくて」
 いきなりすっとんだ話題に、シンジはついていけなかった。
「詳しく赤木博士にきいたの」
 ああ、二次会の話のつづきか。綾波の中ではきっちり続いてるんだなぁ。シンジは
感心した。
「碇くんは、弐号機パイロットが好きなの?」
 シンジは紅茶をとりおとすところだった。
「な、何を言うのさ…」
 そこへ、空気を切り裂くように電話が鳴った。
 レイが立っていき、受話器をとった。受話器向かって、「知らない。いないわ、ええ。ええ」
と話していた。
 アスカからの電話だろうか。
 シンジはレイの後姿を見ていた。紅茶と綾波レイの落ち着いた態度のおかげで、チェロ破壊
事件の怒りはだいぶ薄れていた。
 僕はアスカが好きか?
 結婚式のアスカはとても綺麗だった。あのときはいとおしいと思った。だが、アスカは意地
悪をする。憎むほどでないにしろ、今の結婚生活が続けばいずれ嫌いになるだろう。
 アスカはたぶん、僕を小間使いかペット程度に思っているんだ。
 僕は、日本国籍のおまけなんだ。シンジは自分が、親指ほどのキーホルダーになって
パスポートに添えられている様を思い描いた。
>キーホルダー
・・・いや・・・何でもない
憎むほどではないにしろ

どこまでもお人よしなシンジ君w
230偽装結婚22 ◆33aKImDcPg :04/09/21 23:02:38 ID:???
 レイが戻って来てベッドに座った。
「彼女からだったわ」
「そう…」
 シンジはうつむいていた。
「帰りたくないの?」
「帰りたくない」
「なら、ここにいたらいいわ」
 シンジはその言葉に救いを感じる。
「ほんとはね…、僕とアスカの結婚は偽物なんだ。別にお互い好きじゃないんだよ。アスカ
がどういうつもりで僕と住んでるのか、僕にはわからない」
「辛いの?」
「…」
「本当に辛かったら、逃げてもいいのよ」レイはつづけた。「彼女の気持ちが知りたければ、
他に好きな人が出来たと言えばいいわ。相手は私でいい」
「そんなの、綾波に悪いよ」
「構わないわ。きっと、彼女の気持ちがわかるから。それでまだ辛かったら、本当に別れて
しまえばいいのよ」
 別れてしまえばいいのよ、というレイの言葉には、突き放した響きがあった。
 また、電話が鳴った。
 電話に出たレイが、シンジを振り返った。「彼女、今からここへ来るって」
 シンジは青ざめた。アスカが押しかけてきて、3人正座して話し合うなんて、悪夢以外の
なんでもない。
「今から帰るって言って!」
「今から帰るそうよ」
 レイは口移しで受話器へ伝えた。
 受話器を置いたレイに、シンジは飲み終えたカップを渡した。
「ごめんね。もう帰るよ」
「大丈夫?」
「大丈夫。迷惑かけたね」
 シンジはつっかけに足をいれて、玄関で礼を言った。
「話したら楽になったよ。それじゃ…、ありがとう」
 シンジは実際、体が軽くなったような気さえした。レイは、シンジが見えなくなるまで見送った。
おお、いよいよ再びアスカと対決・・・じゃなかった、ご対面だな。
もうなんかLASじゃなくてもいいや。
>232
それはダメだろw
LASスレだしな。
包丁持ってこなきゃ良いが・・
シンジを殺して私は生きる!
Parl氏の「適応の罪・忘却の代償」を思い出した。
なんとなく雰囲気は似ているが、その作品のアスカはここまで酷くはなかったしな・・・。
それはそれで!
このアスカさん、なんだかんだ言っても内心はカナリしんじすきーに見える。
今までのところは。
(*・Д・)ドキドキワクワク.oO(テストの点数は全部満点にするからいいの書いて)
>>237
素直になれないにしても程があると思うんだけど。

それともシンジの反応を試しているとしたら、かなりたちが悪いと思う。
>239
いやそりゃ俺だって、めっちゃタチ悪いなとは思ってるさ。
このままだったら、例え実はシンジが好きでしたってオチついても、シンジが受け入れるとは思えないし。俺だったら、好きな相手にこの扱いかよと引くさ。
シンジはいい子だから「憎むほどでないにしろ」て言ってるけど、憎んで断罪に走ってもおかしくはない程だ。
試しに男女をひっくり返して考えてみた日には、こんなの耐える女の子いないよ!都合良すぎるよ!て思っちゃったよ。

でーも、それはそれでイイ。
この話の場合、問題が(主にアスカに)多々あるからこそ、二人の関係の克服・解決・改善に興味が湧くんじゃね?
とりあえずは色々と欠点があってもいいのさ。まだ先があるんだから。どうフォローがあるのかを期待して待つべし、だ。
よく考えたらここは投下スレなんだから込み入った感想とかは
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1030369857/
ここにしないか?
投下とその感想があっても別に問題ないのでは?
わざわざ分離させるほうが面倒だよ。
それにカプ系の話題って、カプ専門スレ以外では嫌がる人もいる。
だったら落ちスレとかでも良いけどさ。とにかく>例え実はシンジが好きでしたってオチついても、シンジが受け入れるとは思えないし とか
>なんとなく雰囲気は似ているが、その作品のアスカはここまで酷くはなかったしな・・・。 とか
書かれると作者が本当に書きたかったこととか書きづらくなっちゃうんじゃない?
そーか?
ここまで分を読めば当然出てくると予想される感想かと。
アスカの心情にしたって、これまでのところでの解釈ってのはできるし、そーいうもんでしょ。
先でまだどうなるか分からないけど、読める部分までの感想があるのは、マイナスになるとも限らないと思うけど。
一言レス以上の感想はダメってこと?
マターリ続きを待とう
いやまぁ、別に荒れてないけどナ
まあ>>62を見る限りあんまり展開予想はしない方が良いな
感想って多かれ少なかれそういう性質もってるだろ > 243
だから >223-226 みたいな流れになるんじゃないの?

俺自身、この話のアスカは、好きだけど素直になれないという以上
の何か別の感情があるとしか思えないけど、それはもう予想とか憶
測のレベルになってしまうので、現在進行中の話に対する感想とし
てはなかなか書きづらいのよ。
>>249
あなたがどうしたいのかが見えない
アスカについて、ここまでは俺なりに説明できるんだが、それはあくまでここまでから考えられる内容なので書いてもいいかなーと思いつつ、やっぱ作者氏が困る可能性があるので避けてはいる。
展開予想じゃなくてただの読解だけどね。
240に至っては、俺はこういう印象を持った、程度の感想でしょ。
そこまで頑張って規制しなくても、と思ふ。
こうやって駄弁ってる間に更新があるといいんだがなー。
もう今夜は試験勉強して就寝かな?
>>250
憶測・予想混じりの感想以外では一行レスしか書けないから完結するまでは
感想書かない。
感想と言えば、投稿作品に管理人がコメント付けてるところでも
コメントで先読みしまくったり伏線ばらししたり文章をもっとこうしたほうが良いとか
大上段から切り捨ててるのがあるよな(最近見たナデ系のとこが酷かった)
そういうのはメールで送るべきでコメントはソフトにするべきだと思うんだけど、どう?

で、こういう場での感想ってのはやっぱ難しいやね。
期待してるのを伝えたいけど予想や要望になったらやり難くなるだろうし。
>>254
芸風としてはありかもしれんな。客の食べ方にいちいち注文つけて
怒鳴り散らすラーメン屋や寿司屋のオヤジみたいに。
そういうのが好きなマゾは日本人に結構多いから、いいんじゃね?
ラーメン屋、鮨屋のオヤジが怒鳴り散らせるのは
それだけの手腕を持っているからだよ
正直、サイト餅であっても、人にどうこう言えるレベルの人間はかなり少ないと思う。
>>256
腕を持っていても、サービス業である以上怒鳴り散らすのはそれだけで失格だよ。
怒鳴り散らすのもサービスになり得るけどな。
名物頑固おやじの店、とかみたいな。
>>257
客に怒鳴ったら失格さ
SSを投稿してくる人々は客なのか?
客は読む人間達だろ
自分の店(サイト)で客に出す寿司(SS)がなってないモノであれば
店主がそれを握った職人を怒鳴るのは別におかしな事ではない。
店主にそれ相当の手腕があればね。
店とサイトは違うよ。
住み込みで修行させて弟子養ったり、小説サイトで商売してるわけでもないのに。
落ち着いて続きが読めればそれでよし。
でもそうなると結局サイトで公開してる文章への誇りや責任なんてそんなもんなんだろうね。
俺は自分のサイトなんか持ってないけど、もし自分の文章を公開するサイトを作るのなら
投稿作品の募集なんてしないな。他人の作品にまで責任もてないし、駄文の投稿が大量に寄せられて
それでもサイトの評判を落としたくなくて、苦しい褒め言葉並べて馴れ合ってる様子は見苦しいからね。
>>261
貴方の書き込みで、スレ違いの話題でやたら引っ張っちゃってる事に改めて気付きますた。
ごめんなさい>all
264ジミー大西:04/09/22 15:52:44 ID:???
はっはっはっ、かめへん かめへん
265偽装結婚23 ◆33aKImDcPg :04/09/22 17:14:51 ID:???
「ただいま…」
 シンジは、マンションの戸が閉まる音にかき消されてしまうほど、小声で言った。
 奥からは何の反応も帰ってこない。シンジは履物をそろえて、おそるおそる足を進めた。
 アスカは、リビングにいた。
 外出でもしたのか、タンクトップから黄色いブラウスに着替えている。髪はうしろでひとつに
束ねてとめ、横へ流していた。
 アスカは、シンジを見ずに言った。
「そこ、座んなさい」
 シンジはそれに従った。アスカの正面に正座すると、重苦しい空気が流れた。リビングの時計が
秒を刻む音ばかり聞こえる。
「なんでいきなり出て行くのよ」とアスカが言った。「チェロが壊れたぐらいで飛び出すことない
じゃない」
 シンジは、絨毯の起毛を人差し指に絡ませた。
「だって」
「だってもあさってもない。だいたい、どうしてファーストの家にいたの!」
「偶然、会ったから…」
「嘘」 アスカは目を細めた。「カヲルって女もそう。あんたって見かけより"たらし"なのよ」
 どうしてそんな風にばかりとるんだろう。シンジは、アスカが言うほどもてたことはない。結婚して
からはなおさらだった。
 シンジは唇をとがらせて、上目遣いにアスカをうかがった。
「なによ。言いたいことがあるなら言ってみなさいよ」
期待下げ
く、唇とがらせて上目遣いなシンジきゅん (;´Д`)ハァハァ ・・・・ウッ
この話のシンジ、カワイイなw
のノ字を書きつつ「だって」だとぉ!?
唇とがらせて上目遣いだとぉ!?
…くぅ、辛抱たまらん!
漏れを萌え殺すつもりか!






ってあれ?
漏れって何を期待してこの小説読んでたんだっけ…?
このアスカ素だ!
マジかよ・・・
(;´Д`)ハァハァ・・・もっと高圧的に!!
シンジきゅんがんばれ!
漏れはここで君を見守ることしか出来ない。
>>259
問題は客の前で職人を怒鳴り散らしてるのを客が不愉快に思わないか?ってとこかと。
引っ張んなくていいよ
276名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/09/22 20:23:29 ID:BTo5dyBL
カヲルは女って設定なの?
>276
もう一度読み直せ。
あとageないでくれ。
いいぞアスカ
もっとシンジをいじくりまわしてくれハァハァ
>>276
女だとアスカが勘違いしてるだけ
こんな読解力で大丈夫なのか?
276は大丈夫じゃないかも知れないが、俺らはそれで困るわけじゃないからいいだろう。

それより続きまだかなぁ。ワクワク
282偽装結婚24 ◆33aKImDcPg :04/09/22 23:05:17 ID:???
「じゃあ、言うけど。僕もう嫌なんだ。あの、"夫婦の契約"とか…」
「あら、もっと夫婦らしくしたい?」
 アスカはからかうように言うが、シンジは構わずつづけた。
「アスカが必要なのは僕じゃなくて、国籍だろ。もう、別々に住もうよ」
「嫌」
 アスカは即答する。
「僕が出ていくからさ…」
「やだ」
 手詰まりである。なぜこんなに束縛するのか、シンジには理解できなかった。
 理想の男をつかまえたら僕を捨てる気のくせに。裏切るくせに。
 アスカは手を変えたのか、
「バカシンジ。なにすねてんの。チェロくらい、すぐ修理に出してあげる。ね?」可愛らしく言った。
 残酷な女だ、とシンジは思った。
 シンジは言った。
「僕、好きな人が出来たんだ」
「……なによそれ!」
 みるみるアスカの表情が変わる。眉を吊り上げ、三白眼でシンジをにらみつける。
 シンジは怖気づいた。
「だから、ね、別れよう。アスカならすぐ…」
「黙れ! 誰よ! 相手は誰!」
 シンジは、もう、言わなきゃよかった、と思いはじめている。
「あやなみ…」
「ファースト…!?」
 アスカの視線がシンジをえぐる。逃げたい。
「あんな人形女のどこがいいのよ! あんたなんか大っ嫌い! 絶対別れてやらない!」
 シンジは身をよじって小さくなった。
「どうして優しくされたら誰にでもついていくの! 犬とおんなじじゃない。あたしといても、
他の人のことばっかり考えてる!」
 ああ、今の声はお隣までつつぬけだろう。
「アスカ、ちょっと落ち着いて…」
アスカらしいアスカだなあ。
シンジの思考の流れが秀逸だな
ああ、この話、俺たまらなく好きだ。
>あんたなんか大っ嫌い! 絶対別れてやらない!

なんかイイね。EOEのあのどろどろさを思い出すよ。
EOEってなに?


このアスカ、もうヤバ杉
俺だったら10分も持たないと思う
>>287
こんなの序の口。島編のナディアをさらに100倍凶悪にしたのがアスカ。
>288
言い過ぎw
エヴァにも今日のナディアみたいな島編があればなー
291名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/09/22 23:54:05 ID:nEN63FW+
素晴らしいですねぇ。速度・内容とも文句ありませんよ。
そういえばアニメ8話‐13話を内輪では島編と呼称していたとDVDの解説にありましたね。
あ〜んは?
耳掻きは?
トンカツは?
ほっぺにチューは?

293 ◆33aKImDcPg :04/09/23 00:10:26 ID:???
>292
dカツとどんな関係が?
>>293
最近、アスカの好物で、ハンバーグ派とそれに対抗したトンカツ派が
激しい内ゲバを繰り広げてるのよ。
やヴぁい。。。久々のマイヒッツエヴァSSかもしれん


ヽ(`Д´)ノ 勃起sage
296偽装結婚25 ◆33aKImDcPg :04/09/23 01:43:12 ID:???
「わかった。人形女がヤらせてくれるからでしょう!」
 アスカの言葉はだんだん毒々しくなってくる。
「落ちつ…」
「本物の女が怖くて抱けないくせに。ほら!」
 アスカはブラウスをはだけて、ひきちぎるような勢いで、フロントホックのブラを外した。
 ぽろん、とまろびでた乳房にシンジは強張る。とっさに横を向くが、強烈なピンク色の
残像がシンジをとらえた。
「ア、アスカ。もういいよ。やめようよ」
「嫌!」
「そうじゃなくて、別れるのやめるから、もう」
「絶対別れない!」
 これじゃあヒステリーだ。
「お願いだから服を着てよ」
 シンジは膝でいざりよって、アスカのブラウスの前を合わせようとした。
 アスカがシンジの手首をつかんで引き倒した。ものすごい力だ。
 よつんばいになったシンジの首に、アスカがくらいついた。束ねてあったアスカの髪
が解けて、床へ扇状にひろがる。
 股ぐらに太ももを押しつけられて、シンジは慌てた。
「ちょっ…」
 床へちゃんと手をつくと、アスカの髪を押さえてしまう。
 ためらっているうちにずんずん上体は重くなり、シンジは完全にアスカの真上になった。
 シンジの額、まぶた、頬、唇、耳まで、アスカの唇が押しつけられた。
 ちゅっちゅっちゅっちゅっ…。
 その熱く湿った感触にとまどい、シンジはアスカのわき腹に触れた。体を離そうとしたのだが。
 アスカはその手を掴んで自分の胸に押しあて、上から揉みしだいた。指の間に堅い
突起を感じる。
―――と、とにかく、とシンジは思った。とにかく電気を消そう。
 キスの嵐に喘ぎながら、シンジは右手を上へ伸ばした。
 と、アスカの手がその腕を這いあがり、からめとる。巨大なタコを抱きしめているようなものだ。
 シンジは右手でスカートの中をまさぐりながら、なんとか胴をよじって左肩を伸ばす。
電灯の紐に触れた。
 暗転。
少しずつアスカも可愛さが見えてきたね。
愛し方がわからないというか、知らないというか…
シンジ電気消すなよ、見えないだろ
暗視カメラモード!
ケンスケを呼べ!
強烈なピンク…(;・∀・)ドキドキワクワク
ショッキングピンク?
迷うため悩むための暗闇、
抱くため愛すための叫び?
>―――と、とにかく、とシンジは思った。とにかく電気を消そう。
なんでやねんw
304200.32.92.42:04/09/23 11:12:43 ID:???
地球の裏側から続きを期待してます
コメディでもあるとここ数回で納得できるようになった
シンジもアスカも可愛い
306名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/09/23 13:04:53 ID:gIbTtqMv
303
そのへんがコメディですな。
>>306
ツッコミは良いが解説はヤメレ
306は解説か?w
309名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/09/23 20:34:39 ID:gIbTtqMv
言わずもがなのことでしたな。面目ない。
>>306>>309
メル欄にsageといれよう
続きまだ〜?
多分エロシーン執筆中にお母さんに見つかって正座させられてるんだよ。
足のしびれが収まったら、続きよろしくです。
超続きよみたい
>「どうして優しくされたら誰にでもついていくの! 犬とおんなじじゃない。あたしといても、
>他の人のことばっかり考えてる!」

も、萌える。
シンジきゅんをアスカ色で染め上げろ!
シンジきゅんを犬にしたい と思ってしまうのは俺の心が病んでいるのだろうか?
>315
そりゃあれだ、鋼鉄2の4コマのレイと同じ趣味だな
ていうかさ、

>シンジは右手でスカートの中をまさぐりながら

なんだかんだ言いながらシンジもその気になってるじゃんw
そこがシンジの可愛いところ
更新があれば分かることさ。
ワクワク
>>304
アルゼンチンからっすか?スゲ。
やっとギャグっぽくなったか
>>321
えらそうですね
33aKImDcPg氏駿台・ベネッセマーク受けてたりして

と言ってみます。
324偽装結婚26 ◆33aKImDcPg :04/09/24 22:28:22 ID:???
 うっすらまぶたを開くと、知らない天井である。壁紙の色でアスカの部屋だと
わかった。シーツの皺がダイレクトに感じられる。
―――なんで裸? …あ!
 昨日の記憶が押し寄せてきて、シンジはシーツをめくった。
 夢ではなかったらしい。もっと床が柔らかいほうがいいと言うので、途中でアスカ
の部屋へ移動したんだった。
 ついまじまじとアスカの寝顔を見てしまう。
 シンジはタオルケットをアスカの肩までかけなおすと、爪先立ちでベッドから抜け
出した。アスカが触れていた部分が外気に触れてすーすーした。
 部屋の引き戸をことさらゆっくり開閉する。
 足腰が軽い筋肉痛だ。男のほうはみんなこんなに疲れるんだろうか。それとも自分の
やり方が何かまずかったのか。
 昨夜のことを思い出して、シンジは甘いため息をつく。結婚してからもこっそり自己処理
していたのが馬鹿みたいである。
 用を足し終えたシンジは、洗面所の鏡の前で呆然とした。
「…うわ…」
 一瞬、皮膚の病気かと思った。
 桜の花びらを散らしたみたいに、あごから首筋、胸元にかけて、痣が点々と浮かんでいる。
そういえば、アスカが一生懸命口をつけていた。キスマークというやつか。
 数を数えると、6ヵ所もある。
 これじゃあ、学校にいけない。
 首をなでながら部屋へ戻ると、アスカが目を覚ましていた。
 シンジに背を向け、ぼんやり壁を眺めている。
「おはよう」
 と、シンジは曖昧に、照れたような笑顔を向けたが、アスカがそれを見ることはなかった。
kita--!!
(゚∀゚)ワクワク
アスカの台詞がないとは珍しいな〜!

328偽装結婚27 ◆33aKImDcPg :04/09/24 23:07:32 ID:???
 シンジは、アスカの真っ白な背中に近づいた。
―――触ってもいいかな?
 シンジは後ろから、そっと亜麻色の髪をのけて、アスカの肩に自分のあごを乗せた。あごから
耳へまでを、アスカの肩とうなじの曲線にそわせた。
 あつらえたようにしっくり合わさった。アスカの肩は薄く、あたたかだった。
 シンジは目をつぶった。
 耳をすりよせると、海のような音が聞こえる。アスカの体の内側を血潮が流れ、すうすうと
空気が出入りしていた。
 ふいに真綿のような陶酔がシンジを包んだ。自分は何が欲しかったのか、そのときわかった。
 僕は、ずっとこうしたかった。誰かにこうして頬を寄せて、甘えたかったんだ。
 アスカが抱き返すことはなかったが、シンジは幸せだった。
 アスカはかすれた声でつぶやいた。
「痛かった…。もう二度とやらない」
 喉が震えて声を作るのが、肉を通して伝わってくる。
「ドイツに帰りたい…」
「アスカ」
 シンジは幸福がこぼれるのを恐れて、唇を寄せた。「もう喋らないほうがいいよ」
 アスカの上唇を舐めながら、シンジは思った。
 このキスが終わったら、生まれてはじめてプロポーズをしてみよう。アスカは受けてくれる
かもしれないし、ドイツへ帰国するかもしれない。
 どちらにしろ、偽装結婚の終りだ。
 シンジはアスカの下くちびるを、自分の唇でそっとはんだ。


                                          おわり
お、お、お、おわりですかーーー?!

いやでも、アリガトウ。
ご苦労様です。
できれば次作もよろしく。
えええっこの終わり方は!?
そんな殺生な。
ともかく乙。
うーむ。
野暮を承知で、あとがきというか、作者解説とか読んでみたい。
どうでしょ?

何にせよ、楽しませて頂きました。乙。
(;´Д`)!?
え?
本当におわり?
うわーーー、続きがどうなったか激しく知りテー
ドイツに帰りたいとか弱音はくアスカは可愛すぎだろ
マジ良かった。
激しくお疲れさまでした。
>>33aKImDcPg


余韻がイイ
俺も、33aKImDcPg氏自身の思惑とかコメントには興味あるス。

で、ともかく完結したことだし、俺らも解釈や感想を自由に書けるときが来たわけだな。
このアスカは、シンジが自分をどう思ってるかに自信がなくて、けどどうやったら好きになってもらえるかも分からないで悶々としてる、そんなキャラって感じがした。
ラストシーンでも。勢いでセクースしちゃっただけだし、落ちついたシンジにまた拒絶されるかもだしね。
シンジからプロポーズしたらアスカも少しは安心して、二人で色々と話せるんじゃないかな。
そう思いたい。
各自脳内補完でいいんですね?
俺はもうその後まで進んでますがいいんですね?
これはこれでエヴァらしくていい終わり方じゃない?
誰もダメとは言ってないぞ。
ただ色々と気になって眠れないだけだw
しかし、アスカの滅茶苦茶はスルーっていうか、問題ともされずに終わったのね。
このラストはいいけど、俺はもうちっとその方面で納得したかったな。
340 ◆33aKImDcPg :04/09/24 23:44:11 ID:???
じゃあ解説。
いらんやつはスルーで。

アスカ→シンジを自分の管轄下におくが、フラフラと目移りしている夫に苛立つ。
    そのうちベクトルが自分に向けばと期待しているが、シンジに女の影が現れ焦る。
    少しは優しくしてやろうかと思い直しかけるが、別れ話と浮気発覚で自棄に。
    「ドイツに帰りたい」は、
      ・本当は国籍にはこだわってない。
      ・シンジは誰だっていいんだろう。
      ・疲れた。
    という気持ちを込めて。

シンジ→基本的に成長しない。自己中。最後にプロポーズする気になっただけ吉。
    女心はまったくわからん。

耳掻きもほっぺにちゅーもなかったがlasのつもり。
エンディングは脳内補完で★

妄想おつきあいありがとう。
>>340
おお!アリガトウ。

しかしなんか、シンジにはえらく厳しくないスか?w
アスカのほうが成長も自己中も相手の気持ちが〜も問題あったよーな気が。
アスカの心が分からんつっても、あれじゃ分かりようがないっていうかシンジが思う以上に悪意を感じてもおかしくないつーか・・・

アスカに関しては思ってた通り。
いやしかし、ここ数日の間、ホント先が待ち遠しく思いながら読みました。
お疲れ様。
受験生(?)にこういうこと言うのもなんだけど
また暇になったら新作を書いてみて下さい。楽しみにしてます。
お疲れ様でした
>>339
多分そこらへんはシンジのプロポーズの後語られることなんだろう。
それが文章化されないだけで。

ここからは妄想だが、偽装結婚は結局アスカからの精一杯のサインだったと思う。
お膳立てはした、だから後はそっちから求めてくれ、という。
イタリアのビーチでも帰国してからでも、シンジの意志でアスカを求めることに意義が
あると考えたんだと思う。
ところがシンジは筋金入りのニブちん大王だから、言葉通りにしか受け取らない。
そのことにいらついたアスカがトゲ全開で接したのが途中までの展開なんだろう。

ただ、そうはいっても伝えるべきことははっきり言葉で伝えなアカンやろという気もする。
言わなくても伝わる、わかってもらえるというのは詰まるところ甘えだからね。

プロポーズした後もけんかしたり、Hしたりでその都度仲良くなっていくんだろう。
作者氏自身LASといっているし。

何はともあれお疲れ様でした。楽しませてもらいました>作者様。
でもあの四箇条を突きつけられてそれで距離を置きたがるのを成長しない、自己中は
厳し過ぎると思うよw
>343
今後はそうかも知れないが、作中で一度くらいは触れて欲しかったってことでしょ。
どう考えても、これ問題はシンジじゃなくてアスカ側じゃん。すんごい自己中。

鈍いも何も、普通ならあんな扱いを受けつづけてプロポーズしたり、実は僕のこと好きなのかなとか思ったりしないわな。
よっぽどのナルシストか勘違い野郎でもなけりゃ無理。

シンジが好きなら好かれるように努力するか、せめて自分で伝えるか。
全力で嫌われる真似を続ける、あんたなんか何とも思ってませんて態度を続けるこのアスカは論外。
シンジから動かなくて当然だし、期待するのはおこがましかろ。

本編の加持の時にはあんなに頑張ってたのになw
シンジは結局誰でもいいんだから自己中だよ。
誰でもいいって人のことを好きなら、自分がいいと思ってもらえるように自分が努力するのが普通。
その辺の如何ともし難い自己本位のぶつかり合いこそLASの醍醐味。俺的に。
>>347同意
けっきょく、>>37の予想通りだったな。

>347
自己本位のぶつかり合いはいいが、それをシンジだけのせいにされると引く。
素直になれない、だけで何してもOKかよって。
このFFでシンジが受けた仕打ちを並べたら凄いことになるぞ。
キャラが逆だったら、アスカはマゾでしたとかいうネタだな。
>>347
これはぶつかり合いってより、ぶつけられ続けただけ。
悟りを開いて受け入れたけど。
反省の“は”の字もなかったアスカに萎え萎え。

結局は誰でも良かったシンジにも萎え萎え。
強引にでもアスカを捨ててしまう度胸もないのか。

けれど、こんなにのめり込んだFFは久しぶりかも。
FFとしては完成度が高かったと思う。
キャラ単体では最低評価を付けても、FFとしては評価は高い。
…というのが俺の感覚。

なんとも不思議な気分の読後だな。
別に>>340でもアスカに責任はないとは言ってないと思うけど。
単純に本編でのアスカ側の描写がないから詳しく書いただけで、
シンジもアスカも結局同レベルってことなんじゃないの?
それとも、アスカは身勝手のツケを支払うべきとかそういう話?
そんなえげつない展開はイヤン。
アスカの心情=本音が全く表されていなくて、シンジ視点からしか描かれていないから
余計にそう感じるけどね>何でもかんでもシンジが悪い。
エヴァキャラってみんな最低じゃん?
>それとも、アスカは身勝手のツケを支払うべきとかそういう話?

誰もそんなこと言ってないから安心しろw
>>354
そのツケをシンジにだけ押し付けられてるのが萎えるんだろ。
>>351
内容だけなら>>96とどっこいかと。
でも文章の上手さと、掲示板連載で一気に読めないことでの「引き」でのめり込んだ感じ。
全編通してサイトで読んでたら、なんだこりゃ。
>>352
しかし誰でもいいとか言われるほどのこと、このシンジはしてないぞ。
つか、誰か特定の人を好きになる機会なんて与えられてもないし。
アスカの気持ちが理解できないのも、当然だろ。
気が弱くて拒絶も怒りもできなかったのは情けないが、他は責められるようなことはないかと。
一発やったらうまくいきました、ではヒクわな。
途中が良かっただけにビックリ。


このアスカに「帰りたい」っていわれたら、
「さっさと帰れ」といいたい。
>353
本音が描かれても、実はシンジスキーならそれだけで許されるって言動でもなかったがな・・・
>>357
確かに。
途中はすげぇワクワクして読んだし批判へのフォローもしてたんだけど・・・
終わるまでは評価が下せないから楽しめたのかな、と今は思っている。
ありゃま、散々な言われようだな。
俺は、普通に面白かったよ。
何でシンジが悪いみたいになっているのだ?
作者さんのコメントか?
読んだ限りではそんな感じは受けなかったけどな。
何故かイラついてきたぞ。
アスカを酷い目に合わせろなどとは思いもしないが、せめてシンジに悪かったなと思ってる描写が一度でもあって欲しかった。
納得してる人、同じようなことを「実はアスカに惚れてるシンジ」が行なって、アスカがそれに耐え続ける話があったとして、それでも納得できるのかなぁ・・・?
>351が適切な評価と言えるかも。
理不尽さ自体がアスカのキャラクターの一部ですから、イメージを崩さずに救済を描くなら、シンジからの歩み寄りが最も自然だという要因もあるでしょう。何も作者氏もシンジばかりに責任を押し付けたい訳じゃありますまい。
>>362
内容と>>340と、両方かと。
散々シンジは酷い目にあって、でもそれをうやむやに受け入れさせられてEND、結局アスカは反省も謝罪も一切描写なく、シンジへのあのコメント。

>何でシンジが悪いみたいになっているのだ?
賛成する必要はないが、なんでそう思われたかも分からないとしたら、それもどーかと。
>>364
微妙。
構成と表現は立派だったけど、それだけがFFの評価基準じゃないから。
カプFFで当事者のキャラが最低なまま、ストーリーは一方だけが損してお終い。
これでFFとしての完成度が高いとは思えん。

てか、対象読者に否定派が出現しまくってる時点で。
>>365
加持に言いよりまくってるのもアスカのイメージだけどね。
本編後半のような隔意もないはずなのに、本編よりよほど理不尽とはこれ如何に。
もしくは作中で、多少でも成長とか変化を促してもいいはず。
ちょっとだけフォロー入れればそれで済んだのにね
完成度は低いかもしれんが、ここまで注目を浴び続けた点だけでも
その作風には魅力があると思う。

さらに付け加えれば多少は尻切れ気味でも短期間で完結させた点は
大いに評価すべきだと思う。
>>370
それは否定できないとこだね。
俺は俺の感想書いたし(批判になってるけどw)、別に粘着叩きとかするつもりは無いので、この話題は自分の中ではもうお終いにする。
ここまでは凄くイイけど、今後こうなったら嫌だなぁ。とか、このままだと叩かれるだろうなぁ・・・
そんな心配レスや予想が、そのまんま的中したのがとても残念。
名作誕生かと思ってたから。

でもともかく、俺的には間違いなくLASではあった。
一週間くらいは十分に楽しめました。このスレが機能したのは33aKImDcPg氏のおかげですね。
乙かれ様。
色々突っ込みたい気持ちも分かるが、おそらく高校生?でこれだけ書けたら大したもの。

ていうか>>331が俺なんだけど、33aKImDcPg氏にスマンと伝えたいです。
コメント書かなければこんな批判されなかったかも知れないのに。
ごめんなさい。
淡い余韻良いね
おもすろかったよ、33aKImDcPgさん
またヨロシコ
>373
慰める立場でもないが、気にすんな。遅かれ早かれ同じだったよ。
このアスカはヤバイ、やり過ぎと他スレでまで言われてた。
そのフォローといえば「いやまだ終わってないんだから」。
ところがそのまま終わっちゃって、フォローのしようがなくなったんだ。
いや、普通に萌えてる人間もここにいるので断言されちゃうと悲しいんだけど。
退廃的な雰囲気がいいのさ。
378名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/09/25 01:34:29 ID:6a1ztSht
アスカも確かにやりすぎだな。
シンジ君のチェロを壊したのは頂けない
だけど、そのような理不尽な仕打ちに対してシンジ君
側に責任があるといった描写は作品の中では見当たらないな。
やはり作者コメントか・・・。
読む人もさらっと流せばイイものを、今まで溜め込んでいたものが爆発したんだろう。
シンジ→アスカの我侭ぶりに散々振り回される。気は弱いが実は包容力があり。
アスカの弱さを受け止めるだけの度量を持つ男の中の男
こう書いとけば問題なかった。

こんなんで、これから先このスレに書いてくれる人が出てきてくれるのかなぁ・・
それが心配。
ここは批評スレじゃ無いんだから、ちょっとは遠慮しろよと言いたいね。
できれば嫌みも少しは遠慮して欲しい所存ナリ
雰囲気の悪いスレに投下はない。
アスカとシンジはこれくらいの方がいいと思うけどな。
しおらしいアスカとかイヤミを言わないアスカとか素直なアスカとか違和感がある。
アスカの一人称で妙に女の子女の子してるのなんか嫌
>>33aKImDcPg

たとえ悪口でも、
反響が大きいということは、出来が良かったということ。
>383エヴァもそうだよな。
>>381
>しおらしいアスカとかイヤミを言わないアスカとか素直なアスカとか違和感がある。

この作風でそこまでして欲しいって奴はいないかと。
ただ限度ってのがあるわな。
各所で話題になったサイテーアスカで、そのまま放置でENDでは、納得できないって意見が多くても仕方ない。
>>376
言葉が足りなくてスマン。
フォローしようがなくなったのは、俺個人だ。
これまでずっとフォローに回ってたが、その時の理屈が破綻しちゃったので。
>>381
極端から極端に走って話を逸らしてないかい?
甘LASアスカでないと嫌とは言わんよ。
けど16になって、はっきりシンジに惚れてて、それで通常時から本編の壊れアスカ以上の理不尽さを発揮されてもなぁ。
そうならそうで、作中にアスカ側の変化か何かがないと・・・
>たとえ悪口でも、
>反響が大きいということは、出来が良かったということ。

言っちゃなんだがこれは誤魔化しでしかないわな。
出来がいいから反響が大きくて悪口も集まるって場合もあるけど、反響が大きい時にはいつでも当てはまるわけじゃない。色々。
今回がどうかは別問題として、とにかくこの理屈はヘンかと。
>>387
381の真意を読み取れ
わからんか?
>>388
君もだ

おわった途端に酷い有様だよ、まったく。
餓鬼じゃあるまいし
批評に名を借りたねちっこい叩きで盛り上がっても楽しくないだろ。
空気が読める大人なスレを望む。
スレタイの「落ち着いて」の部分が傾いて落ちかかってますよ
これまでに突っ込もうとする度、
「感想は終わってから」
「まだ先があるんだから」
と言ってきて、終わっても解決されずに改めて批判が挙がったら
「終わった途端になんだよ」
ってのも筋が通らんでしょ。

批判が気に入らないのは分からんじゃないが、「ねちっこい叩き」呼ばわりもどーかね。
結局、自分の都合を押し付けようとしてるだけじゃね?
>389
批判だって感想の内。
「俺は好きだったよ」というヤシもいれば「俺はつまんなかったよ」というヤシもいるもの。
それぞれが意見を書き、時に意見の違う者同士でやり取りするのは充分大人ですよ。
お互いが、自分の意見と違うからといってキレたりしなければね。

批判に対するレスを行えば、またレスが返って来ることもあるでしょう。
そのキャッチボールはいいけど、こっちの意見だけ黙って呑み込め、そちらはねちっこい、ではワガママってもん。

本気で大人なスレだとしたら、論議と荒れを区別して行なえるのでは。
・・・まーそれは無理か。2chだし。
でも今のところは「落ち着いて」が傾いてるわけではありますまい。各人の意見が書かれているだけで、概ね落ち着いてはいます。
それ自体がNGとなればまた別の話だけれど。
え・・・マジで終わりなの・・・?
信じられない
まあどうでも良いが大学生でもこの夏休み明けの時期にテストあってもおかしくはないかな
俺は面白かった
アスカ可愛かったし、シンジに厳しくてもそんなものだろと思った

男と女は平等じゃないと俺は思うんだよ
体のつくりは勿論精神構造も違うしな
仕事等の公的部分では平等であるように心がけるべきだが、私的な部分では男は女をより大事にしなくては
実際、女房とか彼女持ちの人はそうしてないか?
(仕事とかでも生理だ、妊娠だ、結婚退職だと色々ある女と男は別々に扱われても仕方ないと思うけど)

だから女の理不尽は許せるが男の理不尽はあきれてしまう
恋愛ごととかは基本的に男がリードしてやるものだと思ってるし、色々察してやらないと
しかも我侭、理不尽なアスカとそれに耐えるシンジはある意味デフォ
相乗効果でこの程度のアスカは可愛いと思えて許容範囲
シンジは男としてもっと確りしろと言いたいが流される彼もある意味デフォなのでこんなものかと
本編の中盤では普通に口げんかとかしてるけどな
そうだな、ユニゾンとかの口喧嘩は楽しそうだったな
デフォってのはそういうLASFFは沢山あるので既に耐性が出来てる、くらいによんでくれ
更新をリアルタイムで追っていたからアレだけど、
HTMLにしたのを読んでいたらボロクソに言ってそう。
漏れは楽しんだ、作者乙。因果応報が必須というわけでも梨、
むしろこの後プロポーズを受容れたアスカがちょっぴり涙目で「ごめんね、シンジ」とか孟宗汁、無理でも汁!


だが、コメントはムカツク
まあとにかく楽しませてもらいましたから、作者さんはやる気を無くさないでほしいですね。個人的にはラズベリー賞ものの素晴らしいアスカでしたよ。大好きですねぇ。
乙。これに懲りず気が向いたらまた書いてくだされ。
◆33aKImDcPg氏 って理系だったのかよ、小説書いてて。
>398

一部同意だなあ。

小説だけ読んだときには「えっ、そ、そうなんだ…」くらいだったけど、
コメントよんだらムカッとした。
コメントに書かれているプロットと小説本体が合っていないから、
読んでるヤシが( ゚Д゚)ポカーンなんだろうな。
まあ、話的に前後が無くて真ん中だけ抜き出されているような感じはしたね。
最終手段で結婚までしてみたのに、シンジは焼き餅をやく程の好意さえ
持ってくれてなかったたんだから、このくらい荒れるのもアスカらしい
と思うんだが。
アスカサイドの補完やって欲しかったな。
少なくとも萌え要素はない。
しかしLASに萌えなど要らんと思う俺は、この作品は良LAS作品だと思う。
反省とか謝罪とかできないところこそアスカというキャラだと思うし。
>>404
問題は、その最終手段に至るまでのアスカの心の動きが全然見えないことにあるわけで。
そりゃあシンジ視点なんだからしょうがないんじゃないかな。
>>404だって、だから最後の一行書いてんじゃないの?
つーか、充分アスカの心の動きは描かれてるよなあ、と思った。
アスカが何を求めてるのかとか丸わかりじゃん。
それともはっきり口や態度に出さないとダメってコトなんだろうか。
はっきりと言葉にしなきゃ分からんときは分からん。
ましてやあのアスカの態度で何をわかれと?
悟らないシンジが悪い
>>394
なんでもかんでもシンジに求めすぎだな。
面白かったよ。
全体的な感想としては。
ただ、ラストのシンジがちょっと…ね。
家出した時点でアスカVSシンジで徹底抗戦かとも思ったんだけど、
結局アスカでいいんか。っていうか誰でもいいんだな。
アスカに関しては…
あれじゃあ相手の好意はこっちに向かんだろうに…。
悟れなんてムリだろう。相手はシンジよ?

あのめちゃくちゃなアスカに、どういう形でしろ「決着」をつけてほしかったなあ。
シンジにわ。
>>409
シンジにはわからないけど読者にはわかるじゃん。
むしろ俺的には何もわかってないクセにひとりよがりに悟っちゃったシンジの方がなんだかなあだった。
ぶつかれよ! アスカ罵倒しろよ! 首絞めろよ!
>>413
だから、シンジは分からないってこと。
作品の不出来を読者が勝手に深読みしてくれるんだから、
まさにエヴァって感じだね
>>390
中には作者に対する尊敬の念が見られないものもあったからね。
俺は物語の途中であれ、終わってからであれ、節度は守るべきだと思う。
途中でやるのなら尚更。
あらを見つけて突っ込みたい気持ちも分かるが、
作者さんが投下しやすい雰囲気作りの方が重要だと考えている。
>>391
う〜ん・・・落ち着いていた・・・のかなぁ。
2チャン的にはそうなのかもしれないけれど、
「落ち着いて」の部分は投下するに掛かっているから
俺たちよりも作品を投下する人の気持ちの方が大切だよ、とスレタイは
主張しているんじゃ?
アスカもシンジもものすげー独り善がりなところがエヴァっぽかったってことでいいじゃん。
>>412
>相手はシンジよ?

シンジでなくても無理だろ。
これでアスカに好かれてると思える男は、それこそ渡したラブレターを目の前で破り捨てられても「こいつ照れてるな」と思うくらいでないと。
419名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/09/25 13:21:37 ID:BaDM3zRS
もしかしたらこの偽装結婚は作者さんの恋愛感そのもの
アスカは作者さんの分身ではなかろうか・・・ガクガク
内容が気にいらんかったからと言って作者の人格を否定するなんてスゴイなぁ。
ageで下らないネタレスする奴に、わざわざ煽りで返すなよ。
こーいうのはスルーが基本。
> 第一条 やらしいことは禁止。寝室も別。(偽装結婚はあくまで偽装。愛はない)
> 第二条 シンジの浮気は禁止(みっともないから)。アスカの恋愛は可(早く理想の男性を見つけて、
>       偽装結婚に終止符をうつため)。
> 第三条 家事はシンジがやる。
> 第四条 くれぐれも調子にのらない。勘違いしない。「アンタなんか国籍以外に価値がないんだから!」
>
>「忘れてた、結婚式ってキスするんだったわ。ああもう! 気持ち悪い! 加持さんが中国支部でよかったぁ」

こうやってはじまった結婚生活でどうやってアスカの好意を察せよと?
その後も特段のフォローがあるわけで無し。

仮にアスカサイドの補完話があったとしても、ストーリーの進行上アスカと読者だけが知っている
事情を理由にシンジをなじるのは無理ありすぎだろ。
暇な土曜を2ちゃんで煽り合って過ごそうとしている可愛そうな人だNE!w
>>422とりあえずおちけつ。
ケツが落ちますた。
>>413
皆が言ってるのも、最初から読者に分かるかでなくて、シンジには伝わらなくて当然ってほうかと。
むしろ〜以下も、「なんらかの形で納得させてほしかった」のうちでしょ。
俺も、このシンジの問題はアスカを受け入れなかったとかの逆、ちゃんとアスカを拒絶できなかったことだと思ふ。
>>422
特段のフォローどころか、偽装である事を補完するような言動ばっかりだったな。
でもま、ちと落ち着け。わざわざコピペせんでも分かるから。
382 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :04/09/24 13:19:02 ID:???
まだ終わってないし評価もどう転ぶか微妙なんだが、
今後いかんで、
投下スレの「偽装結婚」が最近一番の俺おすすめのLASになりそうだ

388 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :04/09/24 17:54:57 ID:???
>>382
しかしまだ予断を許さん状況かと。
確かに興をそそる内容だけど、終わった後でスレが議論の場と化すような事態にならない事を祈る。
これだけ釣れたんだから、作者としては大満足だろう
>>428
軽々しく人の文章をコピペするな
俺も、作者氏は承知の上だった気がしている。途中のレスで、スレ読者の興味が
・このアスカでどう読者に納得させるのか
・ここからどうシンジ→アスカになるのか
が大きな位置を占めてたのは、見れば分かる。それが両方スルーで終わってるからな。

特にアスカに関しては、「こうすれば叩かれる」て分かってたその「こう」を実行したんだから、批判が噴出するのは自明の理。
せめて作家氏自身の意志で、そうした読者をあえて無視してでも己の道を行ったのだ、と思いたい。
もまいら好きに書いてほしいから感想自粛しるとかいってたじゃん。
で、終わったから自粛せずに感想書いてるのでしょう。みんな。
おわってからも、自粛してる人もいる。
次くる人もいるし、これがおわりではない。
いやそりゃ、スレは終わってない罠
別にいーじゃん。
色んな意見があって俺は読んでて楽しいぞ。
一つの作品への感想は、ぜんぶ語り合ってから次行く方が好み。

批判はあっても作品への煽りレスはほとんどないし、マンセーされなきゃ気がすまないって職人さんでなければ大丈夫でしょ。
でもそろそろ、それぞれの意見は出し尽くしたろ?
また他のレスへの異論とか同意とか補完とかあるかもだけど。

議論=荒れてるとは思わないし止める気もないけど、区切りがついたらマターリしてくれな。
投下された作品は1つで(しかも大して長くもない)
もう半分近くレス埋まってるけどこの手のスレでは当たり前なのか?
        _ ,/  ̄ `ヽ、
      /´  トーチ<`ヽ、 ``'' ‐、,_
     / / / l        \_ヽ 、 i
    / /  /            `\ヾi、
   l  /  /  / i リ   i、     ヽ、l
  i  ノ /  /  l ∧   l\ ヽ  i, \
  ノ / / /// i ヽ i;  |i ' ,i  l  |i、 l、
  ヽ// / /iノ| !_|ヽ!i; i;  l!  'i |i  |li i;
  ノ レヽ! | |l|_;;:コ|ニl| i; i; l|_∠| /!;i  /!|ハl
ヽ、ヾ|〈シヽ ト|!ゞ'='゙-ツト;i; トi lャラく;l! /! / |!/ !
 ,ゞ、_ゝヽ!ヽ|   "´  \|ヽ!`"゛/ ノリ' /
´_> > `;┐         :i ',  ク゛/
´ //// ',        ィメ>'  / ,.、,_ ,..._
/イ /_/  ゝ,   一 ==r‐ァ‐''"/ _/ >-‐ 、
,/ '/ /    \  ゛ ̄ (゙\`マ -‐ト-.r '`';ーく__\
, '/  '、      ^'x ; ,, ,、ィヽ \\ ,)/ ノ / ノ
/    `' ーァ、  ;;:/  / ̄iヽ `々゛  、   /
       | ヽ  ;ノ 〈  ',ヽ `、  :i ノ    |
       l  \    ヽ /, \l    ! /   |
       ヽ ,、 -〉  , --〉/⌒i'ハ    ;      ト、
   ;     |ヽ \  /_ノi\l ',\ ヽ,    ! \
    i     l\\ ヾ' ´ // \'、 ヽ     \
     i   /   \>-‐‐く/    ヽ:、\      \
    |   /     ヽ   /  ' ,  ヽ  \
    | /        ', __/     l      /\
    ´         ! i     ノ      | 


>>438
残念だが俺にはその質問を答えることはできない
自分で考え 自分で決めろ せいぜい後悔のないようにな…
甘LAS厨と断罪厨ばっかりだな。
アスカの出した条件をシンジが受け入れた段階でその後の出来事は全てシンジの自己責任。
Noと言えないシンジが悪い。
行動するのは常にアスカで、シンジはただ流されてるだけ。
何一つ自分から動こうとはしない。
ただアスカが自分に優しくしてくれるのを待ってるだけ。
アスカは素直になれず、シンジは成長しない。実にEVAらしいLASで(・∀・)イイ!!。
◆33aKImDcPg氏乙ですた。
今後もこの路線でおながいします。
アスカ視点でシンジラブラブな心情を書いてぶち壊しにするのはできれば止めてください。
つーか暗転中の状況を最初から最後まで克明に書いてくれ。
>甘LAS厨と断罪厨ばっかりだな。

しょうもない括りで挑発するなや。
てか甘くしろとも断罪しろとも書いた奴いないのになw
妄想乙。
シンジがNoと言わなかった点はシンジの責任、てのも既出すぎだろ。
443KISSの温度:04/09/25 17:07:04 ID:???
行き交う人々の足音が一つの塊になって、青空にすい込まれていく。
照りつける日射しは、夏がもうそこ迄来ている事を教えてくれている。

いつもと同じオープンカフェで、僕は彼女を待ってた。
そして、”いつもと同じく”彼女は遅刻だ。
腕時計で時間を確かめることも、いつの頃からかしなくなった。
この時間を僕は嫌いではない。

雑踏の中に彼女の顔を見つけ、僕は読んでいた文庫本を閉じて鞄の中にしまった。
彼女の方も僕を見つけ、軽く笑みを浮かべ小さく手を振ってくれた。
彼女の表情には遅刻の罪悪感なんてものは少しも窺えなく、それは、僕の方が待ち合わせに早
く来すぎたんじゃないかと思わせるほどだ。

彼女は席に座ると、近くにいたウェイトレスを捕まえてアイスティーを2つ注文した。
「御馳走するわ」
「ありがとう。でも、物には釣られないようにしているんだ」
少し悪戯っぽい笑みを浮かべて、僕は彼女の方をみつめた。
彼女は肩に掛けていた鞄をテーブルに置き、指で髪を軽く梳いた後、笑みを浮かべて僕の方をみ
つめた。

突然、彼女が少し腰を浮かして、僕の唇に軽くキスをした。
小鳥が嘴でついばむようなキスだった。
僕は何も言えなくなる。

彼女はまるで何事もなかったように、運ばれてきたアイスティーをストローを使ってカシャカシャと
かき混ぜた。
陽光が彼女の髪を鮮やかな黄金に染めていた。

「暑いわね」
「夏はもっと暑い」
僕らの頭上を、飛行機が軽い音を立てて抜けていった。
おお、新作!
さあ、どうやってここからエロくするか!
あ、キタ
大人な雰囲気だ
2人はお幾つな設定?
19くらいかね?
447443:04/09/25 17:36:06 ID:???
す、すみません。
これは、これで終わりなんですよ。
短すぎるにも程がありますね・・・(汗

イメージがパッと浮かんで5分くらいで書いたものです。
年齢は、たぶん、19とか20くらいかな。

こういう文体のでよろしければ、もう少し長いのも書きたいんですが何しろ時間がないもので・・・。
もう9日間家にも帰ってないし、彼女には愛想つかされそうだし、小説以前に首つらなくちゃ駄目かも。
いきなり凄い鬱な作家さんだw
時間があったらまたヨロ。
いきなり凄い鬱な作家さんだw
時間があったらまたヨロ。
仕事で帰れないのか、ネットカフェに引き篭もってるかだな。うん。
申し訳ない、2重になってしまった。
なんか調子がおかしい・・・。
悪の秘密組織に追い回されてるに1表
彼女はもちろん、ミサトさん
三重スパイキター
(・∀・)いろいろな人がイイモノ書いてくさい
>>440
俺もエヴァらしい作品だと思ったよ。修羅場の場面は劇場版の雰囲気を思い出した。
シンジは誰も好きじゃないというのと、加持に対してとは違いシンジには屈折し過ぎな想いを抱くアスカ
っていうのは本編的かなと。ただそれをFFでやられると結構辛い。

もう少しシンジがアスカスキーで、アスカの想いが歪んでなければ良かったな。
>>455
くどい
乗り遅れたんだろ。
まぁまぁ。
よーやく落ち着いたし、マターリね。
初心者です。

なんだかLASっぽいのが書きたくなって、書いてみました。
プロットにはヒネリも何にもありません。
おまけにどうもタグの使い方にも失敗したみたいで読みづらいのですが・・

ttp://mai-net.ath.cx/bbs/ss_t_bbs/eva/tree.php?all=820
に投稿してみましたです。
勇気のある方だ。
いろんな意味で厨臭いな
>>459
ъ( ゚ー^)グッジョブ!!
たしかに厨くさい。
車と音楽の話は、どうしてもそうなりがち。
車とバンドでまともな話なんて読んだことないし。
LAS的には、微妙。本人もわかっててやってるんだから
別にいいんだけどね。

こんなこといってるけど、実は結構好評価。
100点満点なら75点かな。
LASとして売るんじゃなければ、いい作者になれると思うよ。
普通にイタモノ(LAS的に)書きそうだから、ファンにはならないけどね。
>>462
そうなの?
それなら読んでみるかな。
ごめん、NANAって好きじゃないんだ。
他にもバンドものつったら
Sun,Moon,And STARZとか死者の道とか?どっちもLASだっけ

>>463
は?
何様だよあんた
俺様だよ
とりあえず、おちつこうよ。
>>467特に。
バンド名とか厨杉
あくまでも俺の感覚だが、とりあえず叩くまでもないという感じ。
おそらくは明日の朝起きた頃には頭の片隅にも残っていないようなレベル。
従って、スルーして良いと思う。
でも、バンド名で厨じゃない名前を考えるのは難しいよ。
メジャーなバンドの名前も厨なのがほとんどだし。
アスカマンセーな話は嫌い
使徒の名前から取るとか・・・・・・余計駄目か。
ケンスケマンセーな話は嫌い
叩かれて無いだけましw
>>467
気にせず精進しましょね。
477459:04/09/26 01:18:00 ID:???
>>476
467は漏れではないです。
どうもありがとうございます。精進します。

バンド名・・テキトーにつけました。全部飛行機の名前です。

話の元ネタは、結構昔の、実在のバンドのメンバーチェンジをめぐる噂話なんです。
いかにもありそうな名前を付けるのはかえってよくないかな、と。

>>471
そうなんです。何もかも予定調和なんで、確かに記憶に残りにくいと思います。
やっぱり、印象的な台詞とかがないと難しいのかな・・

イタモノは書くつもりはないんですが。
まあとりあえずがんばれ。

で、次を待つ。
>>477
無理に甘くはなくてもいいけど、俺はイタモノだめな人なんで、イタモノは書かないって作家さんは安心して読めるから助かる。

あくまで俺個人の感覚だけど、FFでは作家の趣味(ここでは音楽。他にも軍事やスポーツ、車など)を全面に出したような作品はあまり受けないと思う。
「エヴァFF」とか「LASFF」を読むのが目的であって、「バンド物」に興味があって読むわけじゃないから。
どうしても作家の独り善がりな印象が強いし、実際、ファミレスで興味のない話題を聞かされてるように退屈。

さらに全く個人的に、シンジに嫉妬させるためだけの人物として、カヲルを使うやり方は好かんです。
そんなのは名も無きオリキャラで充分。俺の場合、男性キャラびいきだから。
いつからカヲル君は、FF界ではアスカと絡む当て馬の役柄に成り下ったんだろ・・・と気分が沈む。

なんか注文ばっかりでスマンですが。
俺は好きだよ、バンド物。
もっと長いのかいてほしい。
予定調和であることを気にしてるみたいだけど、それは問題じゃないかと。台詞どうこうでもないです。
そもそも予定調和なことはマイナスとは限らないです。プラスに働くことも大いにありますぜ。
というか、ムリに特別な展開を狙うと大抵失敗する気が。

記憶に残らないのは、読者が興味を引かれる内容がないから、ではないかなーと。
アスカとシンジの物語としてもだし、ましてやシンジの音楽活動における悩みとか行く末に興味持つのは難しいです。
>480
でも結局、ほんの一部を除いた読者にはスルーされるよ<バンド物とか
またFFを書きたいってなら趣味モノは避けるのが無難だと思う。
営利じゃないんだから、好きなもの書いたほうが満足感は高いと思うぞ。
ごく少数でも感性を共有する読者がいればよいんじゃない化膿
そうとも言い切れんだろう。
好きなものを書きたいって欲求だけじゃなくて、読んだ人にはなるべく楽しんで欲しいってのもある。
どちらにどれだけの比重を置くかで違ってくるわな、人それぞれで。
そうそう営利じゃないんだから、好きなの書きゃいいんだよ。
ただネットで発表するって言うことは
見てもらいたい、評価してもらいたいって欲があるからなんだけどね
だから、仲間内(音楽好き)だけで楽しくやっててくれる分には
何の問題も無いんだけど、そうはいかないのが人の性。
バンド系、スポコン系は婦女子には好かれるかもしれんが
基本的の男多いしね・・。女性からの感想も来るけどさ。
あー、突っ込みたいレスいくつかあるけど、すっかり流れ変わってんなぁ。
こーいう時って、仕方ないけど心がざわざわするよねw
つーかふざけすぎ。
技とやってるのか?
落ち着いてlrsスレで暴れてるのもお前らだろ。
もっと周りに気を使えよ。
487は誤爆?
何を言ってるのかさっぱりなんだけど。
単に思い込みが激しい人のヨカン。
何を指してふざけすぎと言ってるか、落ちLRSスレの何となぜ結び付けたのか、傍目には謎だけど彼の中では筋が通ってるのだろう。
てことで、スルー&マターリでいい。
まあLRS人には良くいるタイプだ。


何事も無かったかのように再開↓
いや、再開する前にひとつだけ言いたい。

>LRS人には良くいるタイプだ。
↑これは失礼だろう

何事も無かったかのように再開↓
492459:04/09/26 21:34:46 ID:???
>478-485
どうも皆様、ありがとうございました。
晒してよかった、と心底思ってます。

>479
筆力不足はいかんともしがたいんですが、
僕の意図ではカヲル君は当て馬ではないんです。
この話で一番書きたかったのは、実はラスト近くの、バンのシーンなんです。
おんなじ女を取り合った男の友情ってとこですか。

ご期待に添えるよう頑張ろうと思います。
でもそれでアスシンが両想いなら、やっぱし当て馬だわな
494459:04/09/26 22:31:57 ID:???
>>493
確かにそうですね。

ただ、この役回りがケンスケだと、まさに当て馬状態なんですが、
カヲルだと、なんというのか、収まりがいい感じがしちゃうんですよ。
個人的に。

僕の中の「当て馬度数」でいうと、ケンスケ>トウジ>>>カヲル
な感じになるんですが。

本編中でカヲルはアスカとほとんど絡まないから、
使いやすいってこともあるかも。
>494
より惨めかどうかはキャラによって違うかもだけど、当て馬かどうかは役回りの問題かと。
別にどう配役するかは自由なので責める意味では全然ないけど、497さんの想いに対するレスとしては不適当なんでわ。
カヲルを当て馬に使わないで欲しいなって人に、当て馬役がカヲルだと納まりがいいんですってのは、フォローになってないスw
あと、ちょっとしつこいよ…。
追記。
ちなみに俺はその辺はどーでもいいです。
ちょっと、意思疎通が上手くいってない気がしたから書いただけで。
だからあんまり気にしないで下さいね。

次回作をお待ちしてます。
>496
レスがあるからでしょ。
せっかく落ち着いてやり取りしてるんだから、そゆこと言わないでくれ。
>>459
エヴァキャラを使う理由がわからん
オリジナルの短編と考えれば、結構好きだよ。
エヴァキャラでやりたかったという以上の理由が必要とも思えんが。
>500
うん、俺もその理由でいいと思う。
FF書く理由なんて、書きたいからで充分。
502459:04/09/27 23:51:50 ID:???
みなさんに読んでいただいて、アドバイスもたくさんいただきました。
お礼じゃないんですけど、続編(蛇足ともいう)を同じ掲示板に上げておきました。
当て馬、使いまくりです。すいません。

今度はドタバタLASです。
アスカ様、滅茶苦茶です。
なるべくバンド物臭さが鼻につかないようにしてみたつもりなんですが・・
ドタバタは難しいです。

仕事も期末で忙しくなりそうなので、しばらくしてから、また何か書いてみたいと思います。
皆様、どうもありがとうございました。
>>502
GJ!正直バンド部分は流し読みしてるがw読み物になってると思う。
書きたいようにやるのが基地なのでがんがってね。
>>502
乙!
面白く読ませていただきました。こういう無駄に元気なドタバタ系は楽しいですね。

前回の話は、正直音楽関係の知識のない私にとってはいまいちイメージしにくい
感じでした。
リフって何?というレベルですから。特定の音楽に対する共通の体験がないと、
文字で音楽を表せないFF形式はきついかもしれませんね。

ところで、アスカの元マネージャーさんはヒカリ・ザ・イインチョさんとは別人で
しょうか。
「ざけんじゃないわよ!!」

バンッ

激しい音を立て、まわりの机を巻き込みながら
一人の男子生徒が弾き飛ばされた。

クラスメイトは教室を囲むように、遠巻きにその姿を眺め
冷ややかに嘲りの声を上げている。

『ケッ!ちょーしにのってんじゃねーぞ』
『ちょっと可愛いからって、ムカツク!』
『信じられない。何考えてんのアイツ』
『馬鹿じゃないの』

ヒソヒソと

しかし、本人には聞こえるように。

そんな教室の中央で、少女は只一人立ち尽くしている。
肩で激しく息をし、ととのった眉を険しくつりあげ
美しい顔は怒りに震えている。

顔をうつむかせて、頬を押さえている生徒に向けている。
けれど、少女の意識は今や教室全体に向けられていた。

口から血を流しながら倒れている男子生徒の
馬鹿にした態度にむかついていたから、思いっきり殴ったのだ。
しかし、少女の怒りは、なにも男子生徒に向けられたものではない。

ただただ、怒りがこみ上げてくるのだ。
努力をしないクラスメイトに
嫌らしい目つきの教師たちに
そしてなにより、自分自身に、だ!

すべてに対して怒りを感じ
そのすべてをむちゃくちゃに壊してやりたい。
男子生徒は言わばキッカケでしかない。

歯を食いしばり、行き場の無い怒りに身を任せ
転がっている机を思いっきり蹴飛ばした。

ガッ!

あわてて逃げるクラスメイトを横目でみつめ
ほんの少し気分が良くなる。
しかし、怒りの炎はそのことを許さず、さらに激しく少女の胸の中で
燃え上がる。

気に入らない。

この世のすべてが。

世間体を気にして、表面上優しい義母も
一流の会社に勤めていることだけが心のよりどころの父も
そんなすべてを受け入れられない、屑な自分も。

そう、アタシはこの社会に受け入れられない『不適合者』だ。
クラスの外も騒ぎを聞きつけ、騒がしくなってきた時
アタシは倒れている生徒を思いっきり蹴り飛ばし
カバンも持たずに、教室を飛び出してきた。

今は只、あても無く町をさまよっている。
間違いなく学校では騒ぎになっているだろう。
日本でも有数の名門校。
おそらくは学校内だけで問題を解決するだろう。
それはアタシのためではなく、学校のために。
義母は学校の連絡を受け、泣いて謝るのだろう。

口の端が皮肉のためにあがる。

ざまーみろ。

悲しくも無いくせに、娘の非行を悲しむのだろう。
表面上だけで。
己にふってきた突然の不幸にでもよってろ。

携帯はカバンの中だ。
アタシに連絡を取ることはできない。
そもそも、かかってくるのはどこかの馬鹿が
アタシの容姿を気に入ってかけてくる程度だ。
惜しくも無い。
町を意味もなく歩いていると
どこの学校だかもわからない制服を着た少女たちが
歩き回っている。
明らかに学校へ行っていなければならない、こんな時間に。
そして、社会はそれをいまや当然のこととして受け入れている。

流行の音楽を聴き。
顔の良い芸能人の話をし。
おいしいお菓子のお店をまわる。

それが、平日の道端でおこなわれていると言うだけだ。

立ち止まり、胡坐をかいて座っている少女たちをみつめる。
視線に気づいたのか、あからさまに此方に悪意のこもった
態度を見せる。

今更、喧嘩になってもかまうものか。
このまま、どうとでもなってしまえ。
けれど、少女たちはペッとつばを吐き大声でアタシを馬鹿にしながら
場所を移動していった。
アタシはしばらく、誰もいなくなった場所を睨み付けていたが
ひとつ息を吐くと、また当てもなく歩き出した。

道を歩き、足を進める。
通り過ぎていく人間に、意識を向けることは無い。
じゃまならば、石ころをよけるように避けていくだけだ。
ぼやけたテレビ画面のように、通り過ぎていく人間たちは
モノクロのはっきりとしない世界だ。

向こう側の人間にしても、アタシは只の障害物でしかないのだろう。
自分が特別な人間なんだと思うことは、母が死んだときに思うのをやめた。
子供にだけ許される、小さなちいさな世界。

ときおり不審な目で見てくる人間もいるが
あいつ等が見ているのは、アタシの制服だ。
こんな時間に街中を歩いていることに不振がっているのだろう。
だが、声をかけてくる奴はいない。
それが当たり前の町。
『アイツ』

そんな声を聞いた気がして、意味もなく立ちり
周りをぐるっとながめる。

さっき道で座っていた少女たちが、いかにも柄の悪そうな
男たちをつれ、此方を指差して何かわめいている。

いかにも社会のつまはじき者。
帰る家もなく、又帰る気も無い。
今がよければそれでいい。
そんな屑どもだ。

ハッ

思わず苦笑がもれた。
自分とどこが違うのというのだ。
アタシも結局はこいつらと同じ屑だ。

男達はしかし、アタシの苦笑を馬鹿にしたととったのか
大声でわめきながら、石ころを弾き飛ばし走ってくる。

その姿があまりにも滑稽で、アタシは今度こそ本当に笑い出した。

「アハハハハハハハハ!!!」

周りにいた人間が、何事かとアタシをみる。
まるで、さっきまでいた教室のようだ。
随分とバイオレンスな町ですな…
どこかキがふれたように、アタシはさらに意味の無い笑い声を
あげていく。

顔を思いっきり空にむけ、この世界そのものを笑い飛ばすように
アタシは笑った。

涙を流しながら。

声が枯れるほど大声をわめき散らし
触れるほど近づいた男達をすんででかわし
雑踏の中を走り出した。

ハァハァハァ

どれだけ走っただろう。
こんなに汗をかいたのはいつ以来だろう。
眩しいほどの夕日が道を照らしている。
見たことも無い家々を足を引きずる
ように走り回り。
男達の追っ手を振り切った。
すがすがしい。
体に溜め込まれた不純物は
すべて汗となって外に排出された。

ただただ純粋な世界への敵意が
水をほしがる体に、変わりにしみこんでいった気分だ。

夕暮れに輝く道をこえ。
虹色にはえる橋を渡る。

橋の中腹くらいまで来たとき
アタシは誰かの声を聞いたような気がして
疲れた足を止める。

それは只の幻聴だったのかもしれない。
ただ、足を止めるキッカケがほしかったのかもしれない。
橋の手すりに両手をつき、夕日に反射し
色をくるくると変え、きらきらと光る。

なんて綺麗なんだろう。
どろどろと腐った水が流れているのに
水面だけは、まるで聖女のよう。

手すりについた指を爪がはがれるほど握り締め。
白く色が変わっていく手をみつめ。
左手にしている、不釣合いな大人の時計に目をとめる。
まるでゴキブリが手に張り付いているかのように
アタシは物凄い速さで右手を腕時計にもっていき
思いっきり引っ張る。
ベルトが手首に食い込み、思わず痛みに顔をしかめる。
ブチッ
ブチブチ!!
嫌な音を立てて、とめ具が捻じ曲がり、時計が引きちぎられていく。
いよいよ手首にも金具がめり込み
皮膚を裂き血が噴出していく。

「あああああああああぁぁ!!!!」

痛みをこらえ肉が裂けるのを意識し
アタシは時計を引きちぎった。

血にまみれた時計をみ、逡巡したのち、アタシは川へと
時計を投げ捨てた。

『バイバイ…ママ…』

夕日に文字盤がキラキラとひかりながら、時計は
川へと落ちていく。
アタシの大切なたった一つの宝物。
アタシの最後の良心。
アタシのヒトカケラ。
ぼちゃん。

その音とともに、アタシを取り巻く世界が一変した。
まさに、言葉の通り。

すべての世界が一変したのだ。

すべてがモノクロの世界へと…。

アタシは眼がおかしくなったのかと、何度も目をこすり
頭を振るが、世界に色は無い。

「ハ、、、ハハハ…」

いよいよ頭も壊れたのか

アタシがそう結論を出そうとしたとき

又声が聞こえた気がした。

いや、確かに聞こえた。
「君…」

ばっ

慌てて後ろを見る。
男達が追いついたのかと思ったからだ。

しかし、まともに夕日を背にしていて
そいつの顔は、ぼんやりとしてはっきりとしない。

「アンタ誰よ!!」

敵意をむき出しに、アタシは叫ぶ。

男、といっても少年は、明らかにびっくりとした
態度をし、急におどおどと体を揺らしだした。

あたしはその姿に、少し落ち着きを取り戻し
目を細め、手をかざし、モノクロの夕日に目をなす。

そんな中、少年はどこか意を決したように
アタシに話しかけてくる。

「き、、きみ、、、手を怪我しているよ?」

その声ではじめて痛みを意識する。
ズキッ
そんな痛みを最後に、アタシの意識は遠のいていった。

どこかでママの声を聞いた気がした。
壊れアスカ(・∀・)イイ!!

出来れば名前欄にタイトルと連番を振ってくれると助かる。
>>511
随分平和なところに住んでますね。
LASになるのはいつですか orz
いや、普通にこれからっしょ。
やっと出会ったんだし。

マターリと続きを待とうぜぃ。
つか、ガキすぎてキモい。
わざとそう書いてるのならまだいいけど。
14歳は立派なガキだろ。
今のとこ、ワザとに見えるけどな
あのアスカをガキっぽく書いてキモイとか言われたら、どうすりゃいいんだよ…
気にする必要は無い。存分にやりたまえ
そうそう気にしなくていい。
ガキっぽいとかカキコしてる人が
ガキだったりするから。
てかたった一人のレスだしな。
続きはまだでしょーか?
528不適合者12:04/09/29 16:12:28 ID:???
『…ママはね…アス…』

まどろみの中、白と黒の光がぐるぐると回っている。

『あなた…だいじょ…』

靄のかかる記憶の中で、ママがあたしに何かを言っている。

『安心して…』

あぁこれは夢。

どこまでも優しくて、それでいて残酷な。

そう

これは、悪夢だ。
529不適合者13:04/09/29 16:16:30 ID:???
「知らない天井…」
ぼんやりとすっきりとしない頭で考える。
ここはどこだろうか。
薄暗く、だけど清潔感のある部屋。
すこし消毒の匂いがする。
パッ パパッ。
2.3度の点滅のあと、蛍光灯がつけられた。
おもわず眩しさに目を細める。
「あら、目が覚めた?」
優しい女性の声。
どこか、ママに似ている。
コツ…コツ…コツ…
っとこちらを安心させるような、ゆっくりとした足音。
アタシが寝かされているベットへと近づいてくる。
その人の顔を確かめようと、未だ光になれていない
目に影を作るために、左腕を顔の前に持っていく。
「眩しかった?」
どこか笑っているような、だけど不快ではない声で
可笑しそうに、アタシへと話しかけてくると
今度はタッタッタっとアタシから離れていった。
530505:04/09/29 16:21:51 ID:???
つづきです。↑
531不適合者14:04/09/29 16:32:17 ID:???
「あっ…」

小さな声を出してしまった。
つい、その行為がアタシをおいていってしまった
ママとかぶってしまったから。さっきの夢のせいかもしれない。
アタシは無意識のうちに、影にしていた腕を伸ばしていた。
そのことに気づいて、苦笑いがうかんだ。
時計の合った場所には、きれいに包帯が巻いてあった。

すっと部屋の明るさ少し落ち、眩しさが緩和された。
「これで大丈夫かな?」
この人は、何でこんなに優しい声なんだろう。
ベットの傍らにおいてある、丸イスにゆっくりと腰をかけと
アタシが伸ばしていた手を両手で優しく包んでくれた。
アタシは慌てて手を振り払おうとしたが
フフフっと笑うと、手をしっかりとつかまれてしまった。
「だめよ。これは治療行為も兼ねているんですからね」
治療行為というものの、その女性は特に何をするでもなく
アタシの手を優しく握ってくれている。
アタシが観念して、力を緩めると嬉しそうに笑った。
『だめ、どうもこの人苦手』
なんだか、何を言っても無駄なんだなって気がする。
「あっ!今笑ったわね」
チッとしたうちをする。初対面の人に油断してしまった自分
が悔しい。
「あら、女の子なのに舌打ちなんかしたらダメよ」
なんだか会話がかみ合ってないし、そもそも
自分がまだ何も言葉を口にしていないことに
今更ながらに気がつく。
ちょっとだけ更新キタ!!
この尖りまくりアスカがどうシンジとLASとなるのか、楽しみに待っております。

ガンガレー。
この女性はもしや・・・
リツコさんに50クルゼイロ。
コウゾウさんに20アウシュビッツ
ゲンドウに20ペソ
ユイじゃないかなぁ・・・
538不適合者15:04/09/29 18:37:13 ID:???
「ここは…?」
うまく言葉が出てこない、どこか頭に霞がかったように
ぼんやりとして、はっきりとしない。
「ここはね、病院」
病院と言われ、あぁそうだろうと思う。
そんなことは解ってる。
そんなことじゃなくって――。
そうアタシが喋ろうとすると
握っていた手を片方放し、静かにアタシの唇にそえた。
何をするんだ。という抗議も含め、女性の顔を見る。
その時、初めてこの女性の顔をまともに見るんだというこ
を意識した。
清潔感のある白衣。けれど、威張ったり堅苦しい雰囲気が無い。
全体的に、うそ臭い。
それはすべて年齢不詳の顔のせいだろう。
やわらかそうな黒い髪
頬に少しかかるようにシャギーがはいっている。
優しそうな黒い瞳に長いまつ毛。
どこか医者というよりも、看護士のほうが似合いそうだ。
案外、医者の白衣を勝手に着ているだけかもしれない。
539不適合者16:04/09/29 18:38:47 ID:???
そして、白い肌。
しろいはだ?おかしい。あれ?
何この違和感。唇の色は、柔らかな桜色。
そう、そんな『感じ』だ。
けれど、目にうつるのは只の灰色。
ぼんやりと霞のかかっていた頭が
無理やりに現実へと追いやられていく。
ガンガン鐘を打ち鳴らすように頭痛が激しくなる。
世界はアタシをおいてまわりだす。
激しい嘔吐感。
「ィャ…」
喉がヒリヒリと痛みだす。
口の中はからからに乾き、舌が張り付いたように動かない。
「いやああぁぁああああぁあああああああ!!」
声にならない絶叫を血を吐くようにしぼりだした。

世界はそれが当然というように

モノクロのままだった
シ、、シンジまだーw
続きはまたあとで。
え?
モノクロ?
ただの貧血じゃなかったのか・・・
まぁまずは先を待とう
543540:04/09/29 19:03:33 ID:???
これだと俺が作者みたいだよなw
すまん。
続きはまたあとで?と聞きたかったんだ orz
544不適合者17:04/09/29 21:42:20 ID:???
片手で握られていた手を強引に振りほどく。
その拍子で巻かれていた包帯が裂けるが
そんなことに、今はかまっていられない。
女性は突然のアタシの行動に驚愕の表情を張り付かせたまま
固まっている。
ベットから転げ落ちるように逃げ出すと
ベットの横にあった医療器具を乗せたキャスターつきのワゴンとぶつかり
ワゴンは滑稽なほど派手な音を立て部屋中に医療器具をぶちまけた。

恐慌状態に陥っていた頭が、派手な騒音で逆に冷静さを取り戻していく。
先ほどまで固まっていた女性も幾分冷静さを取り戻したのか
あらあらと視線を床にさまよわせている。
片付けるのかと思ったが、女性は席を立つと
近くに置いてあった水差をとり、コップに液体をそそいだ。

液体を見て、強烈に自分の喉が渇いていることを意識した。
女性からコップを奪うように受け取るが
一瞬だけ迷う。うすく灰色に光る液体が
自分では何かわからなかったからだ。
けれど、喉の渇きは、そんなことをおかまいもなく
訴え続ける。
結局は欲望に負けて、口の周りから水がこぼれるのも気にせずに
一気に飲んでいく。
コップが空になるまで一気に飲み干すと
後味の無かった液体が、おそらくは只の水であろうことがわかった。
545不適合者18:04/09/29 22:02:01 ID:???
「おちついた?」
今度は暗に優しい声を出そうと心がけているのが
わかるような、柔らかな声で話しかけてきた。

幾分は落ち着いてはいるものの、自分の目に見える世界が
白と黒でしか構成されていないことが変わったわけではない。

「私の名前は碇ユイといいます」

見ての通りお医者さん。
そう紹介できることが、なぜか嬉しいことのように
胸を張って答える。
それは、自分の仕事に誇りを持っているかのように
アタシには見えた。

「貴方がね。橋で血を流して倒れていたのを偶然私が
見つけてね」
ここまで運んできたのよ。
この女性――。
確か碇ユイといったっけ。
は、こともなげに話した。
しかし、アタシが意識を失う前には
オロオロとした態度のガキがいたはずだけど。
『怖くなって逃げたのか』と思い
自覚しながら嫌な笑みを浮かべる。
当然だろう。
逆に救急車なんて呼ばれなくて良かったわ。
それだけで面倒ごとが増える。
アタシが思考の渦にとらわれそうになっていると
「貴方、目に違和感があるの?」
と、唐突に本題をきりだしてきた。
546不適合者19:04/09/29 22:07:52 ID:???
バッとうつむき加減になっていた顔をあげ
碇と名乗る女医の顔を見る。
「当たりね」
してやったり。
まさに顔にそう書いてあった。
「なんでわかったの?って顔してるわね」
まるで子供に算数の問題の解き方を教えるかのように
得意げに話し出す。
「貴方は目が見えないわけではないでしょう?
私のことを観察していたものね」
そんなことは当たり前のことだ。
と言わんばかりに話を続けていく。
「でも意識がはっきりしないなかで、周りの景色
を見る余裕ができてから、態度が変になった」
それに…
「水を飲むときにね。確信したわ
貴方、色彩がおかしい。もしくは、そのものが無い」
そうでしょう?
と研究者然とした態度ではっきりと言い切った。



迷った。
こんな状況で、誰かに頼りたくなる気持ちが
アタシを弱くしている。
さっさとこんなところを抜け出さないと、おそらくは
警察や学校に(忌々しいことに又この制服のせいで!)
連絡がいっているだろう。
ユイさんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!
548不適合者:04/09/29 22:19:27 ID:???
うはー 間違い書き直す前に投稿してました。
>>544
>結局は欲望に負けて、口の周りから水がこぼれるのも気にせずに
>一気に飲んでいく。
>コップが空になるまで一気に飲み干すと
>後味の無かった液体が、おそらくは只の水であろうことがわかった。

口の周りから水が〜ではなく
口の周りからこぼれるのも〜です。

実にどうでもいいですが…。
ユイさ〜ん♪
落ち着いた大人の母性がエエのう・・・

550不適合者20:04/09/29 23:04:18 ID:???
「色が…わかりません」

自分の弱さより、女性の有無を言わさぬ態度
そしてなによりも、目の奥に潜む優しさに負けて
アタシは話し出した。
「色がわからないって言うのは、頭で理解できないということ?
例えば『赤』という色と言葉が一致しないとか?」
少しずつ、こちらの反応を促してくる。
「…いえ…色そのものが…というか」
うまく説明できない自分がもどかしくなってくる。
けれど、彼女はゆっくりとアタシが話すのを待っている。
「だから…全部が…白と黒だけで…」
「あぁ!」
なるほどっと納得したようにうなずくと
「つまりは貴方は今、昔の映画の中に入り込んでしまったような
状況なのね?」
もっと、医者として言いようが無いのものなのか?
という、釈然としない気持ちをよそに。
「原因は精密な検査をしてみないとなんとも言えないけれど
まぁサングラスをかけてると思えば、ね?」
相変わらず、年齢不詳なはなし方だ。
551不適合者21:04/09/29 23:05:59 ID:???
「倒れたときに頭を打ったのかしら」
アタシに聞くというよりは、独り言が
口から漏れた(変な言い方だとは思うが、そんな感じだ)
「なら、直ぐにでもリッちゃんのところに連絡したほうが…」
その発言を聞いて、アタシは慌てて説明を加える。
「いえ、あの倒れる前からです」
一人意識を飛ばしていた女医は、アタシの発言を聞き
「倒れる前から?どのくらい前?」
矢継ぎ早に質問をあびせてくる。
アタシがモノクロの世界しか見えないということが
彼女を少なからず焦らせているのか
アタシはその様子を見て逆に落ち着いてく。
「はい。倒れる前というか、正確にはその直前…手を怪我したあたりから」
なぜ手を怪我したのか。
一瞬、そう聞きたそうな顔をしたが
とりあえずは、目のほうが重要とおもったか
「そう。でも一応精密検査をしたほうがいいわね…」
「いえ。そこまでご迷惑をかけるわけには…それに早く帰らないと」
目のことは、確かに心配だが、この状況で
忌々しい義母と父がかかわってくるのは
くだらない感情だが、冗談ではない。
「私の主人はね。警察官なの」
『警察官』その単語の意味するところに気づいて
アタシは身構える。
けれど、話の流れを無視するようにつづける。
「しかも結構えらいのよ?」
自分が医者だと言ったときよりも
むしろ嬉々として言う。
笑うとね。とても可愛い人なのよ。
聞いてない。
断固として。
そんなことは、聞いてない。
作者がわかった予感!
なんてなー。

とりあえずはシンジが登場してからだ。
がんばってくれ。
すごいな・・。
これは下手にlasで終わらせるには勿体ないと思う。
文章も上手いし、話の展開も面白い。
長くなりそうだったら、新スレ立ててやっても良いのでは?
俺は読むよ。
>>552
自分もシンちゃん早く登場させたいんですけどねー
じゃないとエンディングが見えてこないんですよw
あんまりスレの迷惑にならないように
終わらせたいと思います。
他の人もどんどん投下してほしいっす。
555不適合者22:04/09/30 00:07:05 ID:???
けど、その幸せそうな姿にアタシは嫉妬した。
もうここには用がない。
警察がくるなら、こんなところにいつまでもいられない。
ベットから抜け出そうとするが
「主人には、もう電話してあります」
女子中学生が怪我をして、倒れていたのだ。
警察に連絡が行っているのが当然だろう。
理性ではそう思う。
けれど、少しだけ裏切られた気がして胸が痛んだ。
もう誰にも期待しないと決めたはずなのに。

アタシの表情が険しくなったのを見てとったのか。
少し話題をずらしてくる。
「その前に、ひとつだけ教えてくれる?」
アタシの返答を目で促してくる。
アタシの沈黙を了解ととって、話を進める。
どんな話題なのか、すこしだけ体をかたくする。
「貴方の、その手首の怪我はだれかに傷つけられたもの?」
何気ないふうを装ってはいるが、目はそうでは無いことを物語っている。
質問の真意を見極められなかったが、いつまでも
だまっていると、傷害事件ととられかねない。
警官に話がいっている以上、さらにややこしくなる可能性が高い。
556不適合者23:04/09/30 00:08:50 ID:???

「いえ…」

ワケは言わなかったが、彼女はじっとアタシの目をみつめ
ふっと表情を緩めると安心したように話した。
「本当はね。傷口をみてなんとなくわかっていたんだけど
貴方から聞いて安心したわ」
そういう姿は、本当に安心したようだった。
それは、なにか自分に迷惑が降りかかるのではないか?
という保身のためではなくて、純粋に
アタシの体を心配してしていたことがつたわってきた。
「時計か何かを、引きちぎったんでしょ?」
そう言うと、ジェスチャーで時計をちぎる様子を
おどけて見せた。
いたずらを見つけた母親のように――。

しかし、あたしが考えていたのは別のことだ。
この人は、頭が良い。
しかも、恐ろしく。

ぶるっと体が震えた。
557不適合者24:04/09/30 00:11:30 ID:???
「安心して。貴方が襲われたのではないとわかった以上
いきなり警察官がここに来て、どうこうはならないから」

主人に任せておけば、悪いようにはしないわ。

そういってくるのを聞きながら、あたしは猛烈な勢いで
考えをめぐらせていた。
おそらくこの人の旦那が警察官だというのは本当だろう。
ここで、アタシをだますメリットは無いはずだ。
もっとも、アタシの知らない理由があれば別だ。
このままアタシをここに引き止めておいて、警察が来るまでの
時間稼ぎをしているのか?



それも違う気がする。
部屋に時計は見当たらないが、倒れたのが夕方で
今、部屋に明かりをつけている。
外の様子はカーテンによって見えないが、外が闇に包まれている
ことは、想像に難しくない。
時間的には、すでに警察なり学校の関係者が
来ていてもおかしくない。
ということは、ひとまず誰かがここに来るという
ことは無いだろう。
そこで、一つの思いが浮かんだ。
『あぁ…この人がご主人のことを信頼している以上に
この人のご主人は、この人を信頼しているのだ』っと。
いい感じで進んでいますね。

この世界のシンジは両親に対する隔意のようなものはなさそうですね。
どうアスカとからんでくるのか、この先の展開が楽しみです。
559不適合者25:04/09/30 00:39:22 ID:???
考えることを放棄したわけじゃない。
けれど、この人の前で自分が謀略を考えたとしても
それは無駄なことだと、なんとなくそう思った。

「手の怪我は…碇さんの言うとおりです
自分でやりました」

一瞬、この女性のことをなんと呼んだらいいのか
迷ったが、とりあえずは無難に呼んだ。

「あら、ユイさん。でいいわよ」

そう言うと、急に寂しそうに目を伏せた。
なぜ急にそうなったのか、理解できずにいた。
アタシが驚いたのを見て
「ごめんなさいね。貴方くらいのこと話をするのが、懐かしくて」
その話だけで、この女性の過去に何かがあっただろう
ことは予想がついた。
>>553
仮にもLAS小説投下スレで、LASで終わらせる事を「勿体ない」とか言うなよw
まるでLASじゃダメみたいじゃないかぃ。
561不適合者26:04/09/30 00:42:58 ID:???
何故かはわからない。けれど、無性にそのわけが気になった。
「あの…こんなこと聞いて失礼だと思いますけど…何かあったんですか?」
アタシの問いに、女性…ユイさんは、少し驚いたように
顔を上げ、美しく微笑みながら言った。
「ふふっ。アタシにもね、貴方くらいの年の息子がいたの」
なんともいえない、嫌な予感がした。
「14歳の誕生日にね。当時私も主人も忙しくてね…」
聞いてはいけない。
全身がそう警告を発している。
しかし、体は金縛りに合ったように動こうとしない。
止めに入るより先にユイさんは話を続けていく。
「強盗が入ってね。…私達が帰ってきたと思ったのかしら…
玄関で刺されて…ね」

帰ってきたときには、もう手遅れで…

ユイさんの瞳から流れる、ひとすじの涙をみて
アタシは場違いにも、美しいと思った。
そして、自分の目が今更ながらに
白と黒しかうつさないことがもどかしかった。
562不適合者:04/09/30 00:48:04 ID:???
>>560
一応というか、ずばりLASのつもりですw

>>553
ありがとうございます。としかいえませんw
1000までには、終わらせるつもりですl。
新スレたてるほど、よめたFFじゃないですし・・。
ただ、他の方が投下されて、どうにも私がじゃましてる
場合は、終わらせるなり隔離スレに移動するかもしれません。

今日の更新は以上です。
又後日。
>ずばりLASのつもりですw

まぁ、そうでなかったら荒らしだしねw
ともかくGJ!
先がまだ読めないし、面白いス。
新スレはともかく、もし他の投下があっても絶対邪魔とかにはならんですよ。
無理に終わらせたり移動したりなんて必要ないので、ぜひここでマターリと書いちゃって下さい。
564明け方:04/09/30 08:38:26 ID:???
1
悲しい夢を見た。


傾いた日差しが長く差し込む窓辺を、アスカはぼんやりと眺める。
いつもなら夕飯の支度に立ち上がるシンジも、彼女の隣に同じように座っていた。
取り立てて話題もない。
二人の間に横たわるのは穏やかな沈黙だった。

同居人であり、名目上の保護者とも言える葛城ミサトからは、「今日もまた遅くなる」との連絡が短く留守電に入っていた。
それはすでに幾度も繰り返されたことであり、いまさら取り立てて騒ぐほどのことでもない。
二人きりであることにさして違和感を感じぬほどの日々が、そこにあっただけだ。

「閉じ込めてしまうって」
「なに?」
「難しいことなのかな…」
「は?」

要領を得ないシンジの会話は今に始まったことではないが、あまりにも唐突なそれに、アスカは暫し途惑った。
夕食のメニューを聞かれるのなら分からないでもない。
だが、「閉じ込める」とは何のことだろう。
夕方の少し温度の下がった空気を取り込もうと開けた窓は大きく開かれており、その向こうのわずかばかりの雲を浮かべた空も、閉塞とは無縁の広がりを見せている。

「アスカ、どうしたの?」
「どうしたって…。
 アンタが、変なこと言うからでしょ」
「え?
 あ、ごめん」
565明け方:04/09/30 08:41:07 ID:???
2
条件反射のように謝るシンジに、同じく癖のようにアスカの手が伸びる。
だが手が届く距離ではなかった。
そのため、代わりに足を伸ばし、シンジのそれをつつくことになる。

「痛いなー、もう。
 アスカ、行儀悪すぎ」
「なによ、触っただけでしょ。
 おおげさねぇ、軟弱者〜」

事実、アスカの足はシンジに触れているだけであり、当たったという衝撃さえもありはしないのだ。
わざとらしく胸を押さえ、パタリと倒れこんだシンジを、アスカは胡乱気な眼差しで見やる。

「死んだ」

「バカじゃないの」

立ち上がることも面倒とばかりに、アスカは膝で這うようにして近づく。
シンジは目を瞑り、口を少しあけて仰向けに転がっている。
黒い髪は短かったが、淡い黄色のカーペットに散るそれはどこか艶めいていた。
無造作に掴めば、それはするりとアスカの指の合間から逃げた。

「アスカ、痛いよ。
 はげる」
「はげちゃえ」

するりするりと逃げるそれは柔らかく、アスカの指先を楽しませた。
566明け方:04/09/30 08:45:46 ID:???
3
「猫みたいね」
「猫?」
「あんたのこと。
 なんか、そんな感じ」
「いきなりだね」
「それは、あんたでしょ。
 トジコメル、とか。
 …なんのこと?」

薄く青白い瞼が震え、黒い瞳が現れるのをアスカはじっと見ていた。

夕日を逆光に受けたアスカの髪は赤銅の光を孕む。

シンジの濡れた目に映るそれは、まるで生きた焔のようだった。

「・・・夢。
 夢みたいなこと」

どこか彼岸を見る眼差しで、シンジは言った。
それは秘め事を告げるような、震えるかすれた声に、アスカは聞こえた。

「いいゆめ?」
「どうかな…。
 ただ、考えてたんだ。
 閉じ込めてしまえたら、怖くないのかなって」
「………………」
つ@@@@
>>564
朝から乙ー
なんだか恋人同士になった大学生
そんな雰囲気ですねー。
盛り上がってるんだか盛り上がってないんだか
微妙なスレですな。
>569
マターリしてるといってくれ。
>>570
作品が投下されててマターリでいいのかw
まぁ俺の場合は邪魔になりたくないから書き込まないだけだけ。
作品が投下されてるからこそマターリですよ。
それにどっちにしろ、まだ具体的な感想言える段階でもないしね。
落ち着いて投下するスレだからマターリでいいんだよ。
574明け方:04/09/30 16:36:49 ID:???
4
「ほかに誰も居なくなってしまえば、
 誰も見えなくしてしまえば、
 失っててしまう事を怖がらなくてもよくなるかもしれない。

 逃げ出さないように、手足をつないで。
 何も見なくていいように、目隠しをして。

 何も、考えないで。
 僕だけを、覚えていればいいから。

 そうすれば…」

「そんなの、無理よ」

「うん、そうだね。
 でも、これからも戦いは厳しくなっていくだろうし。
 そうしたら、何があるか分からないから。

 みんなエヴァに頼るよね。
 エヴァが居なければ、使徒には勝てないよ。
 
 勝って、勝って勝ち続けたら、
 ネルフは、僕の願いを叶えてくれるかもしれない」

シンジの目は再び閉ざされ、アスカから隠される。
そのままの姿勢で、謡うように紡がれる、シンジの夢。
575明け方:04/09/30 16:39:25 ID:???
5
「怖い?」

「なんで?
 あたしには、関係ないじゃない」

「どうして?」

「…だって。
 あたしは、エヴァのパイロットよ。
 ネルフに必要とされてるのは、あたしだって一緒でしょ?」



「でも、僕が       だよ」



ノイズが、シンジの声を掻き消す。
聞いてはいけないとでもいうかのように、それはアスカを内側からかき乱した。
>「でも、僕が       だよ」

空白部分を反転したら何か文字が出るんじゃないか、とあえて試したがムダでした。
577明け方:04/09/30 18:23:48 ID:???
6
「なに? 
 シンジ、なんて言ったの…?」

いつの間にか太陽は稜線を越え、滲む朱を残して姿を隠していた。
忍び寄る夕闇の足は速く、近くにあるはずの相手の顔さえ朧に紛れ判別は付かない。

「怖い?」

「怖くない!
 怖くなんてないわよ!
  
 あんたなんて…。

 …シンジ?
 シンジ、どこ?」

「僕は、怖いよ。
 いつだって、怖かった。
 手に入ったと思ったものだって、勘違いかもしれない。
 見せかけ、誤魔化し、…嘘ばかりじゃないか。
 アスカだってそうだろう?
 いつだって虚勢を張ってホントの心を隠してる」

部屋は暗く、アスカにはシンジの姿が見えない。
578明け方:04/09/30 18:25:38 ID:???
7
『加持先輩にだったらいつだってOKの三連呼よっ!』
『シンジ、キスしよっか』

『だから一人で生きるの!パパもママもいらない!誰もいらない!』

『全部あたしのものにならないなら、あたし、何もいらない』

「アスカの本心は、どれ?
 アスカは自分の心を隠してるくせに、分かってほしいと思ってる。
 それは、甘えだよ。

 閉じ込めたいと思っているのは、僕じゃない。
 手も足も奪って、声をつぶして、世界を殺して、

 自分だけ見てほしいと願っているのは、…アスカ、君だ」

「違う!そんなのわたしじゃない!」

目を閉じて耳を押さえ、聞くまいと声を振り絞るが、シンジの声は容赦なくアスカを責める。
579明け方:04/09/30 20:40:53 ID:???
8
「言わないで、そんな言葉聞きたくない。
 聞きたくないの。
 もういや。
 いやぁ」

何故こんな事になったのだろう。
混乱したアスカは、自衛本能に従って体を丸めた。
しかし、床に付く筈だった腕は空を切り、上下すら分からぬ空間に投げ出される。

「やめて。やめて。やめて。
 シンジ、たすけて」

「…アスカ。
 アスカが、閉じ込めたいのは誰?
 ママ?
 加持さん?
 それとも、…僕かな?

 僕がアスカに閉じ込められて、全部アスカのモノになったら。
 アスカは、嬉しい?
 それとも、僕が居なくなってしまったほうが安心するかな?
 
 そうしたら僕は、アスカ以外の誰のことも見ないから。
 誰も見ない。何も見ない」
580明け方:04/09/30 20:42:03 ID:???
9
アスカを包む闇は、シンジの目の色に似ていた。
濡れた黒はアスカを侵食し、離すまいと絡みつく。

シンジの言葉はアスカの心を引き裂いたが、何の標もないこの深い闇の中には、それ以外縋るものは何もなかった。
見えない目を凝らし、アスカはシンジを探した。

最も暗い場所、その深奥でシンジは半ばまで闇に飲まれながら、微かに笑みを浮かべているようだった。

「シンジっ!」

あわてて差し伸べられたアスカの指は、わずかにシンジに届かない。
くすぐるように流れた彼と同じ色の闇ばかりが、アスカの指をすり抜けていった。

「シンジ、手を伸ばして!」

叫びさえもむなしく、その場所に吸い込まれていく。
傾いた体が、共に闇に飲まれようとしたとき、アスカは思い出していた。

シンジを助けられなかった事を。
581明け方:04/09/30 20:43:26 ID:???
10
『ハ〜イ、ゆーあーなんばーわ〜んv』
『お手本、見せてやるよ。アスカ』
『………命令よ。さがりなさい』 
 
叫ぶ声は喉奥で涸れ、伸ばした腕は力を失う。
あの時、アスカは何も出来なかった。
…何も、しなかった。

力なく闇の腕に抱かれ、アスカは目を閉じる。
シンジを飲み込んだあの影が、アスカの創りだした檻ならば、永久に2人きりで閉じこもることも出来ただろう。
アスカの抱く闇はおそらく、あの影より深い。
アスカが見たものは望みの具現であり、絶望の象徴でもあった。

叶えられることのない夢

手放した意識が、その闇に解けていくことをアスカは遠く感じていた。
582明け方:04/09/30 20:45:13 ID:???
11
部屋を包む冷気が、アスカを浅い微睡みの淵から掬い上げる。
枕もとの仄かな明かりに目を凝らせば、デジタルの時計はAM4:00を告げていた。

目が覚めても独り

他者の気配のないその部屋で、アスカはいっそう強くブランケットを体に巻きつけ、温もりを探すように目を閉じる。
そうすれば、再びあの閉ざされた闇の中にかえれるから。
「…シンジ」
こぼれた声は、夢の名残。

彼女の待ち人は使徒の影に飲み込まれたまま、未だ帰らない。
聞く者の居ないその囁きは、明け方の雨の音に、溶けて消えた。

          fin
>>不適合者様
ユイさんの魅力を最大限に引き出してるよ。
素敵な女性だ。
アスカよりも もがががが
シンジ君もただでさへ儚げな感じなのに、幽霊?
うう・・グスン。かわいそうだ。
>>明け方様
これまたエヴァらしい精神世界ですな。
どんより感がイイです。
欝が欝りそう・・pp

乙かれー<「明け方」

文章も構成もお見事っス。
この時点にスポットを当てれば、シンジを殺さずに「シンジと生き別れたアスカ」を描けるんだなぁ・・・ってことに気づかされて、実はそこが一番感動、というか感心しました。
イタモノ規定に引っかからないイタモノがあったとわ。
切なくていい<明け方

586200-171-2-132.andreforastieri.com.br:04/10/02 09:33:58 ID:???
地球の裏側で感動しますた
途中までEOE補完かとおもた
きゅーにみんなストップ?
>>586
ブラジル?
微妙にイタモノを投下したいが…たしか禁止…?
>>589
微妙だね。
好評だった「偽装結婚」も甘いってわけじゃなかったし、ここは総合スレの流れも汲んでるから
大丈夫だろうとは思うけど、念のためにイタモノ苦手な人にはNG指定してもらい易いように、
投稿タイトルを統一するとか、警告するとかしておけば?
>589
甘LASである必要はないけど、イタモノは禁止となってますよ。
スレの最初の方でローカルルールとして決まった。
ただ、微妙にイタモノってのはどんな?その内容によると思う。
ちなみに参考>>32。←これが当スレでもイタモノ判定の基本。
>591
題:「碇くんの恋人」
○他の異性とからみを持つ。(キス、セックスまではいかない)
○肉体的苦痛がややある。(流血、怪我まではいかない)
それは全然OKかと。

特に「肉体的苦痛」なんてのは、相当に読んでて痛々しいものでなければイタモノとか言われないスよ。
多少の暴力や流血があっても。

というわけで、投下を楽しみに待ちます。ヨロシク!
どうでも良いが元ネタはあれで良いのか?w
投下カモン
不適合者さん
続きは・・・・?
>>596
待っててくれる人がいたとは…。
さいそくされないとカナーリあぶなかったw
598不適合者27:04/10/05 17:02:44 ID:???
「あっ…ごめんなさいね。突然」

ユイさんは自分が何を喋ったのか、理解してから
誤魔化すように笑っていった。
とても頭の良い女性。
アタシの態度、表情をよんで、こんな話をしたのかもしれない。
お子さんの死。それ自体が作り話かもしれない。
けど、ユイさんが流した涙は美しかった。
それで嘘なら、かまわない。そう思わせるほどに。
「いえ…。アタシも変なこと聞いちゃって…」
なんと答えたら良いのか、一瞬迷ったが
それだけ答えると、言葉に詰まった。
「ふふふ、かわいいのね。うちの息子が生きてたらお嫁さんに
なってほしかったわ」
息子の話をすることが、なんともない
気にすることの無いことなのよ。
だから、貴方も気にしないで。
ユイさんは、そういっているように聞こえた。
「…」
だまってうつむいたアタシに――。
「さっ!当面の問題は貴方の目ね!」
ぜんぜん簡単な問題ではないのに
ユイさんがいうと、夕食の献立を考えているかのように
聞こえるから不思議だ。
アタシが本当にパニックにならずに
いや、常識からすれば考えられないくらい
冷静でいられるのは、ユイさんのおかげだろう。
「…はい」
アタシはそんなことがなぜか嬉しくて、少し笑いながら返事をした。
599不適合者28:04/10/05 17:05:18 ID:???
「ふふふ。やっぱりかわいい!貴方は…」
そう言うと、少し考えてから
「いつまでも、貴方っていう呼び方も変ね。
名前、教えてくれる?」

今まで、自分の名前も話さずにこんな話をしていたのかと思うと
驚きを隠せなかった。
「惣流…アスカ…です」
間違いなく、知っているだろう。
だけどアタシに自分で言わせてくれたことが嬉しい。
大切なのはユイさんが知っていたかどうかではなく
アタシがきちんと言った。ということだとおもう。
「アスカちゃん」
優しく呼ばれて、アタシは不思議な気持ちになった。
うれしくて、そして悲しい。

遠い昔に、大好きだったママに言われた言葉。
言われたであろう言葉。
なのに、涙も出ない。

でるのは、引きつった笑顔だけだ。

アタシの大切なママは死んで――。
ユイさんの大切な息子さんも死んだ――。
これ以上の皮肉はない。
そんなことが、ただただ、おかしかった。
600不適合者29:04/10/05 17:16:05 ID:???
もう逃げたかった。
「アタシ、帰ります」
落ち着いて言う。
「目の検査は、明日必ずうかがいます」
何か言われる前に――。
(これ以上優しくされたら、この人を殺してしまいたくなるから)
ユイさんはアタシの眼をじっと見つめている。
その目が、何かを迷っているように少し揺れた。
(何に迷っているかなんて、考えることもないわね)
アタシが明日くるかどうか、それを信じられるかどうか
ユイさんはそれを迷っている。
なんのことはない。
アタシ自身が迷っているんだから。
さらに一瞬の迷いから、ユイさんはにっこりと笑い
明日、待ってるわね。
そういってくれた。


その後は、財布も無いアタシに診察代はいらないといってくれ
駅までの地図も書いてくれた。
別れをつげ、ドアを開けると、外はもう闇に支配されていた。
29でいまだシンジがほとんどでてこないってのも
すごいなw
!?
催促して良かった・・・
私はずっと楽しみに待ってましたよ。
投下、お疲れ様です。
これからどうなるんだろう?
ワクワクしますね。
でも、あまりペースは無理なさらないように・・・ハイ
とりあえず、黙って消えちゃうのだけは勘弁してください。
俺も待ってた!
期待してます。がんがって完結させてください。
催促するとせっつくようであれかなと思っていましたが、一応
期待して読んでいる香具師がここにもいるってことで(・∀・)ノシ
「とにかく、絶対に変よ」

 明日香はひとりで下校し、お隣の真嗣の部屋へむかった。
 昨日から真嗣の様子がおかしい。
 新手のいたずらだろうか。
 でもあいつのイタズラは計画性がなくて、上から物を落とすとか、スカートめくりとか、
単純なものが多い。中学生にもなってスカートめくりはどうかと思うが。
 真嗣は、音も鳴らさないのにイヤホンを耳に入れ、何時間も虚空を眺めたり、膝を抱いて
なにか繰り返しつぶやいている。
 不信に思って耳を寄せると…

―――…ると他人を傷つけるだけなんだ。僕は僕だ僕でいたい僕はボクのボクが―――

 明日香はのけぞった。
 しかし、数秒後には気をとりなおし、腰に手を当てたポーズで仁王立ちした。
「バカシンジ! いくらひきこもりが流行りだからって、可愛い幼なじみがきたときくらい
もてなしたらどうなの!」
「…」
 無反応である。
 べしっと掌底で頭を小突くと、真嗣は人形のように簡単に倒れた。のろのろと手をつい
て体を起こす。今度は明日香に背を向けて、壁に向かって体育座りした。元どおり膝を堅く
抱いて、額を膝にすりつけてできるだけ小さくなろうとしている。
「風邪でもひいたの?」
 明日香は額に触ろうとするが、真嗣はいっそう堅く体を丸めて触らせようとしない。
「昨日から何も食べてないんでしょ。おばさまが心配してたわよ」
 なんにも聞いていないようだ。寝ているのだろうか。揺すっても駄目だった。郷を煮やした
明日香は、真嗣の手首をつかむと、力の限りひっぱりあげた。
「立ちなさい!」
「…」
 真嗣の手首はとても重かった。本人に立つ意志が全くないので、死体のように手首の力に
頼っている。引っ張ると、下半身がよじれたまま引きずられてきた。
 このまま一階まで引っ張る力が、自分にはない。明日香は手を放した。真嗣は床に体を打ちつけ、
やがて元の体育座りに戻った。
 明日香はあきらめなかった。
 いくらスネたって、お腹は減っているに違いない。明日香は階下へ降りていき、「キッチンお借り
しまーす」とつぶやいた。キッチンの主であるユイは会社づとめで、まだ帰って来ていない。
 おかかのおにぎりを3つ握ってお盆に乗せた。お茶と、漬物も少し添える。
 真嗣の部屋へ戻ると、真嗣は元のまま背を向けていた。
 明日香は膝で歩いて真嗣に近づいた。
「お腹減ってるでしょう。ねえ、おにぎり食べない?」
 のぞきこむと数秒して、初めて真嗣に反応があった。少し顔をあげておにぎりの盆を見た。また
顔を伏せる。
 お腹は空いているはずだ。一日中何も食べないなんて、あたしだったら絶えられない。
 明日香は真嗣に手をとっておにぎりを持たせた。その手をぐいぐい口元へもっていくと、やっと
少し食べた。それからは放っておいても黙々と頬張り、みっつ全部たいらげてしまった。
 お茶を飲んでひとごこちつく真嗣を見て、ようやく明日香は得心した。
すげえ面白そう。
てか、向こうのパラレル世界がどうなってるかも興味あるな。
入れ替わって寝取り寝取られ同時進行、なんて展開ではないことを個人的には祈る
それは作者さんが決めること。
だから個人的に、なんだろうに。
シンジがここまで追いつめられている時点の話なら、向こうのアスカも
相当なもんだと思われ。
シンジ(真嗣)がこんな状態で、会社行かなきゃいけないユイ(唯?)も大変だなとか、
休んだ方がよかったんじゃとか思ってしまうわけだが。
明日香の学校はなんで休みなんだろうとか(開校記念日か?)。

どうも要らないことを考える癖がよくない。
>>明日香の学校はなんで休みなんだろうとか
>明日香はひとりで下校し、お隣の真嗣の部屋へむかった。

要らないこととやらを考える前に、読め
スマソ、おにぎりなぞ握っているからつい午前中だとばかり。
「美味しいでしょ。あたしが作ったのよ」
 ちょっと形悪いけど。
 そのとき、真嗣が初めて喋った。
「…本当にアスカが作ったの」
 疑うように明日香を見ている。
「他に誰がいるっての。感謝しなさいよね」
 明日香は胸をはったが、真嗣はじろじろと明日香を観察している。
 真嗣の目には深い疑いと焦りの色があった。視線はちらちらと定まらず、怒っているのか
悲しいのか、明日香には見分けることができない。
 根気よく真嗣の目をみていると、やっと視線が明日香の顔にとどまり始めた。
 明日香はちょっと姿勢を正すと、
「なにか悩みがあるなら言いなさいよ。あたしの出来ることだったら…。話すだけでも楽に
なるって言うし」
 ね? と出来る限り優しく言う。幼稚園の先生になったような感じだ。
「心配してるのよ、お…」
 おばさまも、学校のみんなも。
 そう言いかけて、明日香は息を飲んだ。
 真嗣がすごい勢いで懐に飛びこみ、そのまま明日香を抱きしめた。弾丸のような勢いに押され
明日香は後ろに倒れかけた。慌てて背筋でぐっとこらえる。お盆の上でコップが倒れた。
「ちょっと…」
 物には順序ってものが。明日香は文句を言いかけたが、黙った。
 真嗣は明日香の肩口に強く顔を押しつけている。声を殺しているが、嗚咽の混じった苦しそうな息を吐く。
―――泣いてるの?
 明日香の手は自然と真嗣の背をなでた。許しをもらったと思ったのか、真嗣はいっそう強くしがみ
ついてきた。明日香が苦しいくらいだ。
 真嗣の口から、ううう、とうなり声が漏れはじめた。だんだん声が大きくなる。
 明日香は、真嗣が泣き止むまでそうしていた。
うっはー!
617不適合者30:04/10/07 16:47:51 ID:???
見知らぬ町。ユイさんに書いてもらった地図を見ながら
駅へと向かっていく。
光り輝くネオンも、色鮮やかな明かりも
今のアタシには、只のモノトーン。
アタシがこの世界に適合できない人間なんだと
強く感じさせる。色を失った眼。
そのうち、色は只の文字へと、その意味を変え
アタシの感情もまた、モノクロになっていくのだろうか
と、考えてしまう。
目に眩しい新緑の森も
喜びに栄える春の花も
そんなものも、アタシにはもう見えないんだろうか
そう考えて、可笑しくなった。
今までだって、そんな景色を見たいと思ったことが無いからだ。
「さて」
これからどうしようか。
駅に着いたって電車賃なんて無いし。
(さすがにユイさんに、そこまで頼めなかった)
そもそも家に帰るつもりが無いんだから
あっても無くてもどちらでも良いんだ。
618不適合者31:04/10/07 16:49:01 ID:???
家にいるのは忌々しい義母だけだろう。
(向こうだってそう思ってるんだから、なんて呼んだってかまうもんか)
仕事を途中でやめてまで帰ってくるほど愁傷な父ではない。
学校に呼び出されたことをひどく怒るだろうけど―。
結局はそれは、自分が学校に呼ばれたことが怒りの理由であって
他人に怪我をさせたからとか、アタシに何かがあったから
そんなことには、これっぽちも気が回らないに違いない。
(言ってやったらどうなるだろう)
『アタシのことが心配じゃないの』と。
ふと、そんなことを考えてしまう。
『こいつは、いったい何を言っているんだろう』
きっと呆けた顔をして、アタシを見るんだろう。
あいつ等のそんな顔をみられるのなら
それはそれで、やってみる価値はあるかもしれない。
そんなことを考えて、少し笑った。
619不適合者32:04/10/07 17:13:26 ID:???
考えのまとまらないことを、むしろ楽しみながら
町を歩いていく。
どんな景色を見てもモノクロなら
人間の顔など見る気にもならない。
俯きながら人ごみを歩いていくと
ドン
っと道を急いでいたサラリーマンに肩で
跳ね飛ばされた。
「ちょ!!」
文句を言ってやろうと、顔を上げると
視界の隅に鮮やかな白いカッターシャツを着た
少年が目に飛び込んできた。
イライラとこちらを見ていた会社員は
こちらの態度をいぶかしんだ様子をみせながら
さっさと歩いていった。
アタシは怒りも忘れて、一瞬見た。
カッターシャツの少年の姿を追い求めていた。
会社が終わる時間帯なのか、道にはどんどんと人が増え
少年の後姿を覆い隠してしまった。
アタシは帰宅への途につく人たちの波を押し分けるように
駅とは反対の方へと一瞬見た少年を追いかけていく。
嫌な顔をするが、気にはしていられない。
とにかく邪魔だ。
半ば強引に体当たりするように突っ込ませながら
進んでいく。
チラチラと白のシャツが見え隠れする。
向こうもよろけながら、人ごみを歩いている
みたいだ。
(追いつける)
一瞬頭にそうよぎったとき、ふっと
少年の姿が消えてしまった。
620ふてきごうしゃ:04/10/07 17:36:32 ID:???
やっとこさここまで来た。
忙しすぎる orz
甘いのかきたいよー。リハビリ

10月7日

「シンジ!」
玄関をあけるなり、シンジを呼びつける。
だけど、シンジがくるより早く家の中に入っちゃうんだけどね。
シンジはソファーによっかかって雑誌を読んでたみたい。
んー?って顔をしながらアタシを出迎えた。
「ちょっと!アタシが呼んだらすぐ着なさいよね!」
むちゃくちゃなことはわかってるんだけど、どうしても言っちゃうのよね。
言わば言葉のスキンシップ?ちょっとそれも変よね。
「おかえり」
やれやれって顔をしていたけど、笑顔でアタシにいってくれる
もーーーだめ!
ぎゅっと胸を押さえて座り込んじゃったわ。
そんなアタシの姿を見たシンジは慌てて駆けつけていたの。
まっ当然よね。
でもだめ!
だって今顔が真っ赤だもの。
「アスカ大丈夫!?」
シンジが立てひざでアタシの肩に手をかけて様子を聞いてくる。
「だ、、だいじょうぶよ」
なんとかそう言うと、肩にかかっていた手をつかみ
アタシは毅然と立ち上がった!



621ふてきごうしゃ:04/10/07 17:57:55 ID:???

立ち上がったのは良かったんだけど、シンジは立てひざのまま
の姿だったの。
シンジの手を握ってたっているアタシ。
立てひざ姿のシンジ。
その姿は、まるでプリンセスに永遠の忠誠を誓う騎士みたい!
シンジがエプロンをつけたままなのは、見ないことにする。
さらに顔が赤くなる。
シンジがこのまま手にKissしてくれないかなー
なんて考えていたのは内緒だ。
「シンジ」
アタシがそう呼ぶと、慌てて立ち上がった。
あーあ。このままでも良かったのに。
「な、、なに?」
シンジも心なしか顔が赤い。
理由を考えてから、慌てて手を振り解く。
「ごめん…」
「ち、ちがうのよ…っていうか、ちがくないって言うか」
「そんなことより!今日が何の日か知ってるの!!」
「え、、今日?10月7日…だよね?」
なによ、わかってるんじゃない!
「なにかあったっけ?」
「なにゆーちょーなこと言ってるのよ!!今日はトーナンの日でしょ!」
「トーナンの日?とーなん?あぁ盗難ね…」
そう言うとシンジは可笑しそうにわらう。ひとしきり笑ってから
「アスカって面白いこというね」
「何が面白いよ!今日は日本で一番とーなんが多いんでしょ!
しかも大切なものが盗まれるって!」
「なにいってるのさ?今日は10月7日だから、盗難の日なんでしょ?」
622ふてきごうしゃ:04/10/07 18:05:11 ID:???

アタシが何も言わないでいると。
「あぁだから慌てて帰ってきたの?」
「そうよ!悪い!?」
アタシが怒っていうと、シンジが笑っていった。
「今日は10月7日でしょ?10は『とう』7を『なん』てよんだ
語呂合わせだと思うよ」
「でも意外だな。アスカにも盗まれたくないほど大切なもの
あったんだね」
そういってから、あわててあやまってくる。

アタシは逃げるように部屋に駆け込んだ。
ベットに飛び込んでから恥ずかしさに転がりまわった。
ひとしきり布団に八つ当たりした後。
なーんにもわかっていないシンジにたいして
文句を言う。
「そんな語呂合わせくらい、しってるわよ。ホントぶちんなんだから
ばーか・・・」
はぁくだらないことでシンジで遊ぶんじゃなかった。
ホントは、ちょっとだけ期待してたんだけどね!
623パラレルシンジの巻4 ◆33aKImDcPg :04/10/08 01:23:37 ID:???
 たっぷり10分は経っただろうか。
 明日香の制服の肩のところは、真嗣の涙と鼻水で色が変わっていた。
 帰ったらクリーニングね。明日香はぽんぽんと真嗣の背を叩いた。
 真嗣が泣くのを見たのは小学校以来だ。中学に入ってから、真嗣は明日香の前で妙にカッコつける
ところがある。明日香は真嗣をなぐさめながら、こういうのも新鮮だわ、と頭の隅で思った。
「大丈夫?」
 声をかけると、真嗣はゆっくり明日香から離れた。
 真嗣は座り込んで手の甲で涙を拭いた。すぐに手首までべとべとにしている。
 明日香がハンカチを渡すと、真嗣はひろげて鼻をかんだ。これも後でクリーニングである。
 明日香は真嗣が落ち着くのを待って、いくつか尋ねた。
 誰かにいじめられたの? 何かやらかしたの?
 真嗣の言葉はまだ涙で濡れていて、シャックリで切れ切れになったが、大体以下のような内容
だった。

―――とてもリアルな夢を見た。
 父さんが母さんを殺し、僕を捨てた。
 何年もよそに預けられた後、使徒という敵が攻めてきて、自分は人類を守るため、兵器のパイ
ロットにされる。
 それから辛いことが重なって、何度もパイロットをやめかけるが、そのたび説得された。
 今はもう、何もしたくない。消えてなくなりたい。
 僕は最後の使徒のときに死ぬべきだった…。
624パラレルシンジの巻5 ◆33aKImDcPg :04/10/08 01:25:00 ID:???
「アンタ、アニメの見すぎ!」
 明日香は巨大ロボットのあたりでつっこんだ。
「怖い夢みて泣くなんてまだまだお子様ね。シンちゃん?」
「夢じゃないよ。ほんとに全部あったんだ」
 と真嗣は主張する。
 明日香はよく知らないが、思春期の心の葛藤が夢になる、とテレビで聞いたことがある。
 ずぶといと思っていたけど、案外繊細なのかしら。
「きっと疲れてるのよ。食べて寝たら元気になるわ。昨日、寝てないんでしょう? クマがひどい」
 顔に触ろうとすると、真嗣は後ずさって大きく目を見開いた。明日香の動きが予想でき
なかったようだ。
「とりあえず寝なさい。おばさまが帰って来るまでいてあげる」
 真嗣は明日香の言葉に従った。
 明日香はベッドで胎児のように丸まって眠る真嗣を見届けた。うなされたら起してあげよう。
 それから、部屋の本棚の前に立った。とりあえず一棚を占めているガンダムのビデオは
没収である。
>>624
そういう展開だったのか・・・
期待大です。がんばってください。
いや、それ以外のどんな展開を考えてたんだ。

いや否定してるわけでなく。テンプレ的なストーリーだけど視点や語感やらで面白く読ませてもらってます。
がんgれ蝶がnがれ
>>626
二つの平行世界でシンジの中身が入れ替わり。
>>627
漏れもそうかと・・・
俺もそう思ったw
いや、今さら、そんな古くさいネタにはしないでしょ。
きっと、何かひねりがあるんだよ。
>>630
この手のスレでは、期待杉とかネタの先出しとかってあんまりやらないほうがイイと常々思ってるんだが
漏れだけなのかなぁ。

あとで文句ガヤガヤ言うのはかまわんとおもうけど。
漏れが加工業やってる所為かも知れないけど、
『製作途中をみて、完成品じゃ無いじゃないかと文句を言う』
人に結構うんざりさせられてるので。
>>631
>『製作途中をみて、完成品じゃ無いじゃないかと文句を言う』

このスレでそんなのいたか?
今までのトコいないわな
>>630
ネタがいくら使い古されてても、作品の出来さえよければ俺は全く構わん。
というか、多少の違いと共に何度でも味わいたいネタっつーのもあるし。

それとこの作品の場合、ここまでを読む限りでは中身は入れ替わってないと思うぞ。
学園シンジが、本編シンジの体験を夢に見たのだろ。
>>632
伝わらんかったか。
今日更新スレが活発だった頃には、続きモノの最新話だけ読んで
『訳わからん。パス』
みたいなの多かったじゃん。
そういうのにかぶせて言ってるんだけど、
まぁあれです。
>>634
>学園シンジが、本編シンジの体験を夢に見たのだろ。

といった風にしか、アスカに伝え様が無かった本編シンジかも知れんよ?
とか言ってみる
>635
他スレのことなぞ関係なし
638パラレルシンジの巻6 ◆33aKImDcPg :04/10/09 20:43:11 ID:???
 朝。
 いつもより透明度の高い日光が部屋にさしこみ、明日香の髪を金色に見せる。今日は少し
早起きしたのだ。明日香は鏡の前で最終チェックをしていた。
 髪型よし、リボンよし。にっこり微笑むと鏡の中の自分が微笑み返す。
 明日香は毎朝、真嗣を起こして一緒に登校する。おとといから真嗣が変なので、念のため
早めに隣の真嗣の家へむかった。
「おはようございまーす!」
 明日香は勝手にあがって靴をそろえる。キッチンを通って真嗣の部屋へむかう。
 キッチンを抜けるとき、何か違和感を感じた。
 少し戻って、もう一度キッチンを見た。いつも新聞を広げているおじさまがいない。少し
早く来たからまだ寝てるのかもしれない。それはいいとして。
 真嗣のお母さん、唯おばさまの様子がおかしい。
 いつもなら朝食の準備をしながら、「いらっしゃい、明日香ちゃん」と柔らかい声で
言うのに、今朝は無言だ。唯は座って、テーブルに片肘をつき、顔を覆っていた。
「おばさま」
「あ。ああ…明日香ちゃん」
 唯が顔を上げた。明日香は、唯が急に老けてしまったような印象を受けた。唯は頬を拭いた。
 おばさま、泣いてるの?
 見てはいけないものを見た気がした。
「明日香ちゃん。真嗣は2階よ。もう、起きてるけれど」
 唯はため息をついた。「男の子って難しいわ…。そういう年頃かしら」
639パラレルシンジの巻7 ◆33aKImDcPg :04/10/09 20:44:19 ID:???
 明日香は真嗣の部屋へ飛び込んだ。
 唯の言ったとおり、真嗣はすでに起きて、着替えまで済ませていた。
 乱入した明日香を、真嗣は驚いて見た。
「真嗣! おばさまに何したの!」
「いきなり入ってこないでよ…」
 毎朝起してもらっておいて何を言うのか。
「おばさま、泣いてたわよ」
「あのおばさん?」
 ああ、と真嗣は思い当たったように言う。「さっきそこの廊下で会ったんだ。名前を
きいたけど教えてくれなくて」
「あたし、そういう冗談キライ! お母さんに逆らうのがかっこいいとでも思ってるの!」
「母さん…」
 真嗣はなんだか苦いような表情になった。「僕に母さんはいないよ」
「あんたまさか、おばさまの前でそんなこと言ったんじゃないでしょうね」
「言った」
 明日香は振りかぶって張り倒した。
 真嗣はよろけたあと、叩かれた頬をおさえて、くやしそうに明日香を見た。
 数秒、ふたりはにらみあった。互いの怒りが視線となって衝突し、威嚇しあう。
野生動物だ。
そうだよな、本編シンジはユイの顔知らないんだよな・・・。・゚・(ノД`)
本編シンジとパラレル真嗣の混ざり具合がどの程度なのか気になるな。
>>615だと明日香のこともアスカと認識してるみたいだし、その割には
真嗣であることには違和感ないみたいだし、性格も真嗣だし。

まあ、今後に更に期待してるって事です。
642パラレルシンジの巻8 ◆33aKImDcPg :04/10/09 21:29:27 ID:???
 真嗣が低い声でうなった。
「ニセモノのくせに」
「は?」
「こんな都合のいいことが本当のわけないんだ。あの母さんは偽物だ。お前も」
「意味わかんない。おばさまに謝りなさいよ」
 唯ゆずりの柔和な真嗣の顔が、今は憎悪にかられて餓鬼のようになっている。眼ばかり
ギョロギョロと強調して見開かれ、瞳は収縮して三白眼だった。
 明日香は、相手がこんな風に怒ると思わなかったので、怖くなった。
「優しいふりをして僕を裏切るんだ。カヲルくんと同じだ」
 真嗣は一歩踏み出した。
 今にも飛びかかろうと、両手を明日香へ伸ばす。
 明日香は、真嗣の手が自分の首に狙いをつけているのに気付いて、あとずさった。
「と、とにかく、おばさまに謝るまで許してあげない! 知らない! 真嗣の馬鹿! アホ!」
 明日香は後ろ手で部屋のドアノブを探ると、真嗣の部屋から飛び出した。階下へかけおり
そのまま表へ出た。息をととのえ、真嗣の部屋を見上げた。
 真嗣の部屋の窓からは、青いカーテンしか見えない。
 数分待ったが何も起こらなかった。もし追いかけてきて謝罪したら、許してあげてもよか
ったのに。
 自分の赤い腕時計をみると、もう学校へ行かねばならない時刻だった。
 今朝は一緒に登校できそうにない。
 もう一度窓を見上げた。カーテンはひかれたままだった。
>>637
だからなんで字面直読みしかしないのかと以下略
>>643
ウザイ。いい加減、放置を覚えろ。ボケ
この板耐性無いから放置できねーんだよ
釣り放題だなw
勝利宣言が来たよ。ヤレヤレ。
もう負けで良いからカンベンしてくれ。
釣り糸垂れて14分か
ほんと入れ食いだわ
まぁ流れ見る限りその前から続いてるし、637は荒らしではないと思うんだが。
モチロン荒らしは完全スルーでいい。
それより>>643、俺レスが受け入れてもらえなかったからって、グダグダ言わない。
2、3度書いても賛同者が得られなかった時点で引き下がるがヨシです。今後も。

>パラレルシンジ
まだ状況が分からんです。
だから先をプリーズ!
(「不適合者」もまだかなー)
先回りをして余計な心配をすることもまた空気を
悪くする要因になることに気付けよ。
650パラレル真嗣の巻9 ◆33aKImDcPg :04/10/10 02:12:35 ID:???
 * * * * * * * * *

 締めきったカーテンから朝日が漏れ入ってくる。
 とうとう眠れなかった。最近こんな朝がつづく。アスカは枕につっぷしたまま、いまいましげに
部屋の引き戸をにらんだ。
 引き戸の向うにはシンジの部屋がある。シンジの内罰的な姿勢も、ミサトの偽善的な態度も
何もかもが気に入らなかった。シンクロ率さえ元に戻ったら。加持さんさえあたしを見てくれたら。
 そのことを考えると、寝不足になってしまうのだ。
 また、気分が重い。生理が近いのかもしれない。
 アスカは重い体を起こすと、トイレにむかった。用を足して、生理がまだなのを確認する。
キッチンには誰もいない。皆疎開して行って学校は閉鎖されているので、急いで朝食をとる必要はない。

 うわあっ、とシンジの部屋から叫び声があがった。
「明日香! なんで起こしてくんないんだよ!」
 片足を学生ズボンにつっこみ、よたついたシンジがケンケンでキッチンへ飛び出して来た。
髪にはひどい寝癖がついていて手塚治のキャラのようである。
 アスカはまだズボンにおさまっていない、シンジの白いブリーフに眼をとめた。
 パァン!
 片足跳びだったシンジはアスカの平手でふっとび、冷蔵庫で後頭部を打った。危うく下敷き
になりかけたペンペンが ぐぇっと鳴く。
「最っ低! 信じらんない! ミサト! ミサト!」
 アスカは今ネルフから帰ったばかりのミサトを呼び止めた。
651パラレル真嗣の巻10 ◆33aKImDcPg :04/10/10 02:14:22 ID:???
「この変態なんとかしてよ! レディの前に下着姿で出てくるなんて!」
「あらあら。どーしたっての」
 ミサトは眼をまわしているシンジに近寄り、背を支えた。「喧嘩は駄目よ。ほどほどにね。
シンちゃんたら、危うく火サスの死体になるとこよ」
 シンジが「うう」とうなった。
 首をぐらぐらさせていたシンジに、ようやく意識が戻ってきた。
 シンジは自分がミサトの腕の中にいるのを確認すると、「美里せんせい!」とミサトの肩を
つかんだ。「美里先生、どうしてここに。アスカがいじめるんです」
「いじめてないわよ!」とアスカは叫ぶ。
「いつまで汚いものみせてんの。さっさとしまいなさいよ!」
 シンジははじめて自分がブリーフ一丁なのに思い当たり、ミサトの腕から出てもぞもぞとズボン
を装着した。
「シンちゃん、頭、大丈夫?」
「え。ああ。こんなの」
 シンジはズボンのベルトをかちゃかちゃいわせながら、「どうってことないです。僕、石頭だから」
 アスカは腕組みしながらそれを見ていた。自分は悩みを抱えて不眠症だというのに、シンジの
ハイテンションが憎たらしい。
「シンジ、あんた食事当番じゃない。あたしの朝ごはんは?」
「え、何? ごはん? 母さんは? 美里先生、なんで僕んちに…」
 ミサトは苦笑いしてアスカと顔を見合わせた。
「ちょっち頭強く打ったみたいねえ」
 夜勤明けだけどしゃあないか。そう言って、ミサトは携帯を取り出し、ネルフの番号をコールした。
なるほど、面白い構造ですね。
続きにも期待するです。
入れ替わりキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
654 ◆33aKImDcPg :04/10/10 02:36:02 ID:???
やっべところどころ変換がおかしくなってる。
お前らてきとうに脳内変換してください。
>>654
気にスンナ。
些事に気を取られず執筆に邁進シテケロ
おー、やっぱり入れ替わりなのか。
ネタ自体はよくあるけど、書きようはいくらでもあると思うので、期待してますです。

ついでに>649はどこ宛のレスかちょっと分からんかったぞと。
>656
先回りして余計な心配、に当て嵌まりそうなのが>>631とその同一レスしかないだろ。
それでも何だけど。

まぁ現投下作品と関係ないし、よほど気になる事でもない限りこの話題はもういいよ。
ただ続きを待とう。
いいね。がんばってください!
659パラレル真嗣の巻11 ◆33aKImDcPg :04/10/10 23:52:51 ID:???
 赤木研究室に集まったアスカたちは、リツコの診断を待った。
 リツコはコーヒーに口をつけてから、白衣のポケットに片手をつっこみ、片手に
書類を持ち直してフウと息をついた。泣きボクロにため息が色っぽい。
「また面倒を起してくれたわね。精密な検査をしてみないとわからないけど」

 シンジの症状は、外的ショックまたは心的ストレスによる記憶の混乱、シンジの中の
別人格の発現の可能性があげられる。
 それよりいま一番の問題なのは、彼がエヴァの操縦をすっかり忘れていることであり、
使徒の事後処理でてんやわんやの今、ただでさえやる気のないパイロットにエヴァの操縦、
格闘技術などを教えなおすのは手間である。

 …というような意味のことを、リツコは冷たい口調で言った。
 人が変わろうが精神病になろうが、エヴァに乗れればいいのね、とアスカは冷静に思った。
私たちは"使われて"いるけど、私だってこいつらを"使って"やる。エヴァで名声を得て、
世界中の人が私を見るの。そしたら。
「エヴァって何?」
 シンジの間抜けた質問が、皆を疲労させた。
「葛城三佐」リツコは書類を机に置き、声を引き締めた。
「保護者として監督不行き届きです。とりあえずシュミレーションルームを使って、彼に
フィードバックシステムと射撃方法のレクチャーをお願いします」
「げっ、まじ? あたし二徹明けでさぁ。もうふらふらなのよね。これから仮眠して
午後から会議だし」
660パラレル真嗣の巻12 ◆33aKImDcPg :04/10/10 23:55:31 ID:???
「寝不足なのはあなただけじゃないわ」
 ここにいるアスカも寝不足である。皆、悩みや仕事を抱えていて余裕がないのだ。
「会議の後じゃだぁめ?」
 ちょっと可愛く言っても駄目である。
「あなたが会議をしている間に使徒が来たらどうするの? 彼はプラグスーツの着方も
知らないのよ」
 シンジは、ミサトとリツコを交互に眺めていたが、ふとアスカの肘をつついて、
「明日香が教えろよ」
 と言った。
「いやよ。なんでアタシが」
 アスカはつんとあごを別の方向へそらしたが、ミサトは見逃さなかった。
「そうねえ、元はといえばアスカがシンちゃんの頭なぐったからこうなったんだし」
「殴ってない。このバカが勝手に転んだの!」
「バカってなんだよ!」とシンジ。
「午後のシンクロテストまで暇でしょう? ほんと、マジでお願い」
 ミサトはちょっと背を低くして、アスカに向かって手を合わせる。
 アスカも原因の一端が自分にないわけではないと感じたので、勢いに押されて
しぶしぶ承諾した。
「来なさいよ」
 シンジをうながし、ケージへ向かった。
シミュレーションだけどな
脳内補正しとけ。
663パラレル真嗣の巻13 ◆33aKImDcPg :04/10/11 12:07:23 ID:???
 まず、現物を見せてやるのが一番てっとりばやい。
 事務ゾーンの廊下を抜けると鉄くさい、剥き出しの壁ばかりが続く。ふたりの足音
がこだました。
「あたしもあんたも、汎用人型決戦兵器、エヴァンゲリオンのパイロットなの。人類を
守るために敵と戦うのよ」
 アスカはエレベーターに乗り込んだ。業務用のエレベーターなので扉はただの柵だ。
エレベーターが上昇していくと、柵のむこうに射出口や電気線の束に混じってエヴァ
の足が見えてきた。
 シンジは食い入るようにそれを見ている。
「エヴァは三機あって、あんたは初号機のパイロット。あたしは弐号機」
「女の子も乗るんだ?」
「男のパイロットはあんただけよ」
 今はね。とアスカは心の中で付け加えた。
 フォースチルドレンの鈴原トウジはシンジが初号機で病院送りにしたし、フィフス
チルドレンも初号機が殲滅したという。
 それを言うのが面倒だった。こいつの苦悩やしがらみなんて知ったこっちゃない。
「怖くない?」
 とシンジが尋ねた。ふん、とアスカは一瞥する。
「あたしは惣流・アスカ・ラングレーよ。エリート教育を受けた天才、選ばれた人間なの。
あんたと一緒にしないでくれる」
「だって明日香、怖がりじゃないか」
「ハァ? 何を根拠に?」
「去年、肝だめしのとき…」
 エレベーターが到着したので、アスカは無視して出た。
664パラレル真嗣の巻14 ◆33aKImDcPg :04/10/11 12:09:17 ID:???
 エヴァの前に渡されている橋にさしかかった。
 近くで見ると、初号機の目は尖っていて凶悪な印象があった。角は細く鋭く、兜をかぶって
いるように見える。
「これが初号機よ。いま修理中」
「コレ動くの? わあ!」
 とシンジが先に走って行って、紫の巨人の顔前に立つ。
 エヴァを見上げる少年の瞳は期待でキラキラと輝いている。手を伸ばして触れるような
仕草をしたり、指で角の長さをはかっている。
 アスカは、こんなに全身で嬉しそうなシンジを初めてみた。エヴァに乗るのが嫌でべそを
かいていたのに、変われば変わるものだ。
「すごい、すごい! ついに僕もニュータイプか。出世したなぁ」
「次、いくわよ」
 次は隣の弐号機のケージである。
「初号機と零号機は試作機なの。あたしの弐号機が正真正銘、世界で最初の実戦用エヴァよ」
 弐号機の機体が見えてきた。
「これが明日香の?」
 弐号機の緑色の瞳がよっつ、シンジとアスカを見下ろしている。
「弐号機って赤いんだ。いいな。僕も赤がいいなぁ」
 シンジが素直にうらやましがるので、アスカはちょっと得意になって胸を反らした。
「紫って微妙だな。ねえ、僕のと変えない?」
「嫌よ! 何言い出すかと思えば…」
 シンジはアスカの前で拝むような動作をして、きゅっと目をつぶった。
「頼むよ。お願い。赤がいいんだ」
乙です。
しかし脳天気なシンジだなあ。いきなり異世界に放り込まれて、戸惑いは
あっても困ってないし。
案外夢の中くらいに思っているんだろうな。
つーかカヲル殲滅後じゃ、アスカは廃人だろ。
そこは御都合ってことでいいんじゃね。
まだ使徒云々言ってるし、時間軸がどの辺りなのかよくわからんよな。
>>666
>631よろ
独房に入れられてるはずのリツコも居るし、よく判らん設定だな。
零号機も無事らしいから、レイの自爆もぷかレイあぼーんもないって事だろ
シンジだけあそこまで壊れてるってのがわからん。
>>669
入れ替わりの時間軸がずれてるということじゃないですかね?
てことは、学園シンジが移動した先の本編シンジは、また別の時間軸へ移動してるのかな
過不足を無くすには、最低4人が交差して入れ替わってる必要が。
それとも、また別の理屈が用意されてるのかもな先に。
学園世界、本編世界どっちでもカヲル殲滅済みっぽいこと言ってるし、
入れ替わってる時間軸もタイミングも同じじゃないのか。
確かに殲滅済みと書いてあるな。
でもリツコいるしアスカはある程度は元気だし(まだシンクロ率が戻ればとか言ってるし)、まだ使徒がどうとか・・・

てことは、本編とは違った展開を見せたFF的本編世界との入れ替わりってところかも。
それくらいにしとけ。
また作者が裸足で逃げ出さなきゃならなくなる
『鏡の向こうへ』を思い出しました。
泡沫の日とかMilk Crownを思い出してしまったわけだが・・・
677パラレル真嗣の巻15 ◆33aKImDcPg :04/10/12 00:16:27 ID:???
「だってなんか、初号機って悪っぽいだろ。そこへいくと赤は」
「デザインなんてどうでもいいでしょ!」
 早足で行きすぎるアスカを、シンジが追う。
「どうでもいいなら替えてよ。ねえ。お願い」
 あんまりシンジがしつこいので、腹が立ってきた。
「僕の持ってるソフトから好きなのあげるから。なんなら、あんみつおごっても…」
 シンジの甘えた声に、アスカは立ち止まった。
 交渉に応じたと思ったのか、シンジの表情が希望に輝く。
「なめんじゃないわよ!」
 アスカはシンジの頬をはりとばした。その勢いで、シンジは危うくアンビリカル
ブリッジから落ちかけた。
 どこの馬鹿がゲームソフトにつられて機体を交換するというのか。弐号機
を軽く見て、侮辱しているとしか思えない。
「あっぶないなあ! 叩くことないだろ!」
 シンジは転落死しかけた驚きから、息をひいひいさせている。
「馬鹿に磨きがかかったみたいね。付き合ってらんない」
 零号機の見学を省略してシミュレーションルームについたとき、ちょうど戦闘
訓練を終えた綾波レイを見かけたので、シンジを押し付けた。
「この馬鹿が頭打ってさらにパーになったから、あんた、一から全部教えてやって」
 アスカはすぐその場を去った。
 馬鹿と言ったほうが馬鹿だ。と背中でシンジが拳を振って主張したが、アスカは
振り返らなかった。
リロードしたら更新来てたー!!

しかし、、ちょっとシンジ馬鹿すぎだろ。
駄々っ子みたいに交換して交換してって。
いやーでも、TVで描かれた学園シンジってこんなイメージかも。
相手は(シンジからすれば)気心の知れた幼なじみだし、そもそも14のガキんちょだしな。
巨大ロボット見て興奮気味かもだし。
本編シンジらが深刻すぎるんだよw
680先を越された「ごめんなさい」1:04/10/12 01:17:25 ID:???
昼休みの教室で・・・

「くぉ〜の、バカシンジ・・・昨日あたしが頼んでおいた海老フライが入っていないじゃないのよ!!」
「あっ!ごめん…忘れちゃった…」
「何が、『忘れちゃった』よ!アンタは普段からこうボケボケっとしてるから、
エヴァ乗っててもドジばっかりなのよ!」

お弁当の中身に昨日リクエストしたはずの海老フライが入っておらず、
それが原因でシンジと喧嘩したアスカ。
6限目が終了するまで話もせず、目が合っても「フンッ」と目を逸らす2人。
いつも通り家に一緒に帰る二人だが、その間には会話が無い。
アスカが今日はめずらしくこっちから謝ってやろうと思っていたアスカだが、
話を切り出せないままコンフォート17に到着。

シンジは宿題のためか自分の部屋に引き篭もってしまって、謝るチャンスを逃してしまう。
ドアをノックして呼び出せば済むことだが、面と向かい合って
ちゃんと謝罪の言葉を言える自信も無く、自室のベッドの上で横になり悶々と過ごしていると・・・
681先を越された「ごめんなさい」2:04/10/12 01:18:10 ID:???
チャララ〜ン♪ You Got mail♪

アスカの携帯にシンジからのムービーメールが届く。
アスカは急いで上体を起こし、そのムービーメールを再生してみる。
シンジは少し、はにかみながら、
 『え〜っと・・・ゴメン、直接言うのは恥ずかしいからメールで言います。
 今日の昼休みはゴメンなさい・・・本当アスカの言う通り、僕はボケボケっとしていて・・・』

「・・・このバカ・・・せっかくあたしが謝ってやろうとしてたのに・・・」
しかしその顔は柔らかい表情で携帯のディスプレイの一点をを見つめたまま。

 『それで夕食はハンバーグに海老フライをつけるから機嫌直してください・・・』

「そんなに夕食に出すとあたしのスリムな身体が維持できないじゃないの
誰のためにこのスタイル維持してると思ってるのよ・・・」
そのセリフをもしシンジに言うと、十中八九「加持さんのため?」と返ってくるだろう。
やっぱり鈍感なヤツだ。少しはあたしの気持ちに気付いてくれたっていいじゃない・・・
・・・やっぱり、愛情表現がまわりくど過ぎるのが悪いのかなとちょっと自己反省するアスカ。
682先を越された「ごめんなさい」3:04/10/12 01:18:52 ID:???
そうしている間にもキッチンから包丁の小気味よい音が聞こえてきた。

「よぉ〜し!今日はこのアスカ様が夕食のお手伝いでもしてあげましょうか!」
鼻歌を歌いつつキッチンへと向かうアスカ、その足取りは軽快だ。





深夜にミサトが帰ってきたとき、2人はリビングのソファーで仲良く寝ていたそうな。

「アスカもシンちゃんも、わたしのいないところでラブラブしちゃって〜」
そう言いつつ、風邪を引かないように、一枚の毛布を2人に掛けてあげるミサトであった。


おわり☆
ベタすぎだ・・・・・・だがそれがいい。
一瞬「こんなアスカは大好きだ!」スレに迷い込んだのかとオモターよ。
685680:04/10/12 02:04:51 ID:???
>>684
鋭い(w
もともと大好きだスレ用に考えていたのが、
長くなったは、シンジが動くはでこちらのスレに変更しました。

ちなみにSS初挑戦です。
最後の方とか文体変わってるし・・・ハズカシィ
ダミーアスカ氏や33aKImDcPg氏に少しでも近づきたい・・・そんな気持ちです。
686パラレル真嗣の巻16 ◆33aKImDcPg :04/10/12 04:31:18 ID:???
 次にシンジを見かけたのは、食堂だった。
 昼時になるとネルフの職員は皆、食堂に集まってくる。
 アスカが食事をとっていると、シンジは綾波レイと一緒に入ってきた。
きょろきょろ辺りを見回して司令を見つけ、片手をあげて挨拶しながら
歩み寄っていた。
 アスカは、碇司令とシンジが親子だったのを思い出す。確か険悪な仲
だったはずだ。気になって見ていると、シンジが一方的に話している。
 司令は何も答えずに財布を取り出し、札を一枚渡した。
 やがて、パレットにカレーうどんを乗せたシンジが、アスカの席に
近寄りながら、
「聞いてよ! 父さんに、財布わすれたから一緒に勘定してくれって
頼んだら、一万円くれたんだ。ふとっぱら!」
 当然のようにアスカの隣に陣取った。
 なれなれしい。
 アスカは横目でにらんだが、シンジは全く気にしないようだった。
「ああそれから」シンジは急にキリリと眉をひきしめ、アスカに顔を
寄せた。「綾波がヘンだ」
 変なのはアンタだ。
「しゃべらないんだ。綾波が。ちょっとあり得ないよ」
 根負けしたアスカが口を開いた。
「…それで? ファーストにはちゃんと教わった?」
「うん。教えてもらった。あのスーツの着方も」
 シンジは声をひそめて、
「プラグスーツって、ちょっとエッチな感じがする」
687パラレル真嗣の巻17 ◆33aKImDcPg :04/10/12 04:32:45 ID:???
「最悪」と言い捨て、アスカは席を立った。
 午後のシンクロテストでは自分もプラグスーツを着るのだ。このエロガキ
と一緒だと思うとうんざりする。
 シンジは、ずっと離れた席に移るアスカを、ポカンと見ていた。
 一人になると、シンジはまた辺りを見回して、今度は綾波レイの隣席へ
移っていた。何かしきりに話しかけている。
 まさかあのファーストに下品な話題を振るとは思えないが……。
 シンジは朝からラリッており、その可能性は否定できない。
 あの人形女ではかわし方を知らないだろう。アスカは初めて、綾波レイに
同情した。
>シンジは朝からラリッており、その可能性は否定できない。
>あの人形女ではかわし方を知らないだろう。アスカは初めて、綾波レイに
同情した。

ワロタw  心のツボが刺激されました!

二人のシンジが+方向と−方向それぞれ極限まで針が振り切れている、みたいな感じ。
両極端ではあるけど、対比してみると面白いです。
学園シンジが本編世界っていうとWing of Fortuneがあるけどこっちのが好み。
っていうか、ツボに来たw
つーかなんで真嗣はこれだけ違った世界に何の疑問も持たないんだろう。
父親にあって金借りるだけかよ。普通何がどうなってるか説明を求めるだろ。
夢の中だと思ってるんじゃない?
夢の中だと疑問に思わないよ。
バカだから。
>>691
ゲンドウが避けたんだろ。シンジには近づかないようにしてたし。
「今、忙しいんだ」とか言って。

でも、ちょっと慣れ慣れしい真嗣にゲンドウが内心嬉しがってたとしたら萌え。
ゲンドウ的には「息子に小遣いをやる親父」気分を味わっていたかもw
>>693
確かにバカすぎだw
でもおもろい!
697パラレル真嗣の巻18 ◆33aKImDcPg :04/10/12 20:21:55 ID:???
 その日のシンクロテストのあと、小さなミーティングがあり、アスカは
そこで悪いニュースをふたつ聞いた。
 帰りはわざと、シンジと時間をずらしたリニアに乗った。
 シンジを避けたわけではない。
―――誰が! あんな奴、いようがいまいが関係ない。
 アスカは、電車内でやりたいことがあったのだ。ノートを1ページちぎって、
全ての使徒を縦に書き出した。その右隣に、各戦闘における最大功績者を
書き出していく。
 完成すると、アスカはそれを眺めた。

 第三使徒 … シンジ
 第四使徒 … シンジ
 第五使徒 … シンジ
 第六使徒 … あたしとシンジ
 第七使徒 … あたしとシンジ

 その後、あたし、パイロット全員、と続いていき、リツコ、シンジ、シンジ、シンジ…。
「くそっ!」
 アスカは何かを殴りつけたい衝動にかられて、かかとを床に打ちつけた。
 悪いニュースのひとつめは、自分のシンクロ率がついに起動指数を下回った
こと。ふたつめは、MAGIの計算結果が出て、もう使徒がこないということ。
 持っていかれた!
 あの冴えない奴に、あたしが得るはずだった栄光を全部!
 あんな奴、自分がわからなくなるまで何度でも頭を打てばいい。ディラックの
海から帰らなければあるいは…。
 アスカはハッと我に返ってリニアの窓を見た。トンネルの中は暗く、窓硝子は
己の形相を冷たく映していた。
―――あたし、今、何を考えていた?
「ちくしょう! ちくしょう!」
 紙を八つ裂きにし、台にしていた下敷きはプラスチックのかけらになるまで
砕いた。リニアの床に撒いて捨て、何度も踏みつけた。
 アスカが床を踏みならす音だけ、いつまでも響いていた。
 * * * * * * * * *

 明日香が学校から帰ると、真嗣は明日香の家の門にもたれて待っていた。
 明日香は、中に入って待ってればいいのに、と思ったが、ケンカしていたことを
思い出し、そのまま通り過ぎようとした。
 明日香が家の鍵をあけている間、真嗣は明日香が行ってしまうと思ったのか、早口で
話しかけてきた。
 朝はカッとなって、全部自分が悪かった。僕にはもう明日香しかいない、何でもするから
どうか僕を捨てないでほしい。
 真嗣は哀願した。
 笑ったら負けだと思ったが、明日香は笑ってしまった。捨てるだの捨てないだの大げさ
で、真嗣の新しい冗談にちがいなかった。
 真嗣をふりかえって、明日香はびっくりした。
 真嗣は目に涙をためて、喋るのもやっとといった様子だ。
「どうしたの?」
 と尋ねても、お願いだから僕を捨てないで、と繰り返すばかりだ。
 とまどいながらも明日香は、絶対に捨てたりしないと約束した。
 結局、真嗣は明日香と一緒に、唯に謝りに行った。
 真嗣は「すいませんでした」と頭を下げたが、その後もなかなか唯を「母さん」と呼ぼう
としなかった。
 本当に悪いと思っているのか、あやしいものだ、と明日香は思う。
キテルーーーーーーーーーーーー。
アスカと明日香がいい感じ。

ところでここまで挙げられているその他のパラレルものって
Wing of Fortune
鏡の向こうへ
泡沫の日
Milk Crown
でOK?
他にあるかな。
 ある夕方、明日香は真嗣のベッドに寝そべって雑誌を広げていた。
 真嗣はさっきから机に向かって勉強している。
 真嗣はここ数日、一度も学校に来ていない。逆に家で勉強をするよう
になった。
 とりあえず明日香に「宿題うつさせて」と頼むのが日課だった真嗣が、
自主勉である。
 賢くなったのはいいが、なんだか物足りない。真嗣が来ないとクラスも
盛り上がりにかける。
「ねえ、今日何する? あのシューティングゲーム終わらせた?」
 今夜は唯と源道が遅くなるので、真嗣の家で夕飯を食べて遊ぶことに
なっていた。
「それまだやってないんだ」
 真嗣は明日香を見ないまま答えた。
「なんで? せっかく貸してあげたのに」
「テレビのある部屋、あんまり行きたくないから」
「まだおじさまのこと避けてるの?」
「…」
 普段、父と子の会話はちぐはぐだが見ていて微笑ましいものがあった。
それが、唯をよそのおばさんよばわりした一件から、真嗣は父親とも母親
とも距離をおいているようだ。
「じゃあ今日はそれやって…」
 そのとき、明日香の携帯がピリリと鳴った。
 明日香のママからの電話だった。明日香はその電話で嬉しいニュースを
聞いた。電話を切って真嗣に話しかける。
「ねえ、今日、加持さんが夕飯食べにうちに来るんだって!」
 その名前に真嗣が反応した。
「加持さん…。そうか、そうだよな」とつぶやいた。
 加持さんは明日香のパパの同僚である。明日香のあこがれの男性だ。
「加持さんが来るの、すごくひさしぶり! どうしよう。おしゃれしなくちゃ」
 明日香はベッドから降りて真嗣の部屋を往復しはじめた。
 ちらと真嗣を見ると、真嗣は机に向き直ってプリントを整理している。
 なんだかずっと元気がないみたい。
「ねえ、どんな服がいいと思う? 加持さんは大人っぽいから、シックなほうがいいかしら」
「さあ」
 真嗣はプリントの整理をつづけている。
 いつもは加持さんの話題になると、むきになってヤキモチをやいてくるのに。
「加持さんは、あたしが大人になるまで待っててくれるかな? 加持さん
の恋人になる人は、幸せだと思うの」
 真嗣はプリントを整理する手をとめた。
 何か言い返す気ね。明日香はニヤついて構えた。
 数秒の沈黙。
 真嗣は手の動きを再開した。
「じゃあ、帰りなよ。僕ならちゃんと夕飯作れるから」
「そ、そう?」
 予想外のクールな対応だ。
 明日香は、一定の速さで紙を分類しつづける真嗣の背中を見ていた。明日香
は、真嗣が本当は料理なんてできないのを知っている。
「帰りなよ」なんて言って、本当にあたしが帰ったらどうするつもりだろう?
 コンビニで何か買って、一人で食べて。
 隣のアタシの家では、真嗣を置いて帰ったあたしが、パパとママ、それから
加持さんと楽しく食事している。
 明日香は真嗣の背中に近づいて行って、わっと脇をくすぐった。
「ひゃあ」
 真嗣は手の中のプリントを床にぶちまけた。真嗣がもがくので、明日香の腕と
真嗣の腕がごつごつと触れ合った。
 しばらくして、明日香はくすぐるのを許してやった。真嗣の頭の上に自分の
あごを乗せた。両手は真嗣の肩に。真嗣の黒髪はするするしていて、頭の
丸い感じと合わせて明日香のお気に入りの感触だった。
「帰ったりしないわ。真嗣との約束のほうが先だもん」
 真嗣がちょっと頭を動かしたのが、あごから伝わってくる。
「うん…」と真嗣がつぶやいた。
702 ◆33aKImDcPg :04/10/13 00:17:09 ID:???
>699
書き終わったら目を通してみまつ。
へい、ぶらざー。699のを読んでみたいとググル気なんだが、全部LASだよな?
どっかのスレにパラレル物の連載が投下されてたはず・・・
あとはLAの学園物でそういうエピソードがあった。
>>703
『鏡の向こうへ』はLASでしょう。
『泡沫の日』と『Milk Crown』は表裏一体だったような? 
そしてむしろLaSだった(ハズ)。倒○にオススメ。

『Wing of Fortune』は…正直完読してないデス。まあ一見LASの…
>>704
糞FF作家スレですな
書く暇が無いーーー。 orz
708不適合者33:04/10/13 18:08:58 ID:???
「たくっ!」

少年を見うなったあたりまで来て、あたりを見渡すが
人波はさらにその勢いを増し、いよいよ押し出されるように
道路とは反対側のビルの壁際まで流されてしまった。
前ばかり見ていたために気づかなかったが
ビルとビルとのあいだに、人が一人やっと通れるくらいの
隙間が合った。
騒がしいメインストリートから、少し外れただけの
それは、別世界に通じていそうなほど、不気味な雰囲気を
かもし出していた。
「なんか、やな感じ」
目を細めて、暗闇の中を探るように見渡すと
曲がりくねった細い道の奥から、少年がひょいっと
顔を出したのが、暗闇の中のはずなのに、なぜかはっきりと見えた。
「あっ!」
アタシが小さくそう叫ぶと
わっと驚いた顔を見せて奥に引っ込んでしまった。

一瞬の間も空けることなく、アタシは奥へと走っていった。
疲れ果てていた体が嘘のように軽かった。
ハッハッハっと小刻みに息を吸い、暗闇に目を凝らし
道に落ちているゴミを飛ぶように避けていく。

なんで自分がこんなことをしているのか、まったく理解はできないでいる。
『おにごっこ』
頭の隅に浮かんだ言葉に、一瞬なんともいえない思いが胸に込みあがってきた。
709不適合者34:04/10/13 18:23:01 ID:???

思わずとまりそうになる足を強引に動かして
曲がりくねった道を進んでいく。
姿は見えないけど、まだそう遠くにはいっていない気がする。
いよいよ、奥まった場所まで来たときには
ビルからもれる明かりだけが、道を照らしているくらいで
このまま進んでいっても、どこかの道に抜けていきそうな
感じがしない。
「鬼ごっこ…」
思わずつぶやいてしまって、さらに暗澹たる気分になった。
小さいころに、ママと二人で鬼ごっこをしたときの記憶が
よみがえってくる。
(かくれんぼだったかな…)
どちらだろうと、たいした差はない。
重要なのは、ママがいなくなってしまったこと。
最初はゲームだとわかっていたはずなのに
しだいに恐怖が自分の中で暴れだした。
(まるわかりの場所に隠れていたんだけどね、ママは…)
泣いてしまったアタシを見て、すごい勢いで飛んできたママを
思い出して、少しだけ心があったかくなった。
(結局、ママは『見つかっちゃったわね』といって、晩御飯に
アタシの大好きな物を作ってくれた)
「アタシ、何食べたんだっけ…」
小走りだった足は、もうすでにゆっくりとした歩調にかわっていて
アタシはゆっくりと道なりに角を曲がった。
暗闇の中、探るように足元に注意してゆっくりと進んでいく。
悲鳴を上げたとしても、誰にもその声は届かないかもしれない。
街の中にありながら、隔絶された場所。

結局、数歩進んだところで、道は途切れた。
なんのことはない、只の行き止まり。
進路を阻んでいる、正面の壁に手を当ててみると、ひんやりとした感触が
伝わってくる。
「ふむ」
なぞるように手を下に動かし、そのまま壁から手をはなした。
左右を見れば、右側はただのビル。
左側には、もうひとつのビル。
しかし、左側のビルの壁には
錆びたような鉄の扉
そこには赤色のペンキで『非常口』と、かすれた文字で
書かれている。
(道を間違えた?)
暗かったし、自信は無いが、他にいける場所があったとは思えない。
そもそも、一本道だったはずだ。
ここから出るためには、アタシが入ってきた場所しかない。
とすれば、少年はまだこのどこかにいるはず。
すれ違ったり、隠れたりする場所が無かったいじょう
少年もここまでは来たはず。
錆び付いた非常ドアのノブに手を当てようとして
少しだけ迷う。手に錆の茶色い色がついてしまいそうだったからだが
こんな状態でも、そんなことを気にしていることが
ばかばかしかった。
一気にドアノブに手をかけ、手首を内側に捻るようにまわしてから
ドアを引っ張った。
しかし、ガンッ!と言う音がするだけで、ドアは開かなかった。
今度は、手首を外側に捻るようにまわして、ドアを開けようとしたが
結局同じことの繰り返しだった。
711不適合者36:04/10/13 19:08:45 ID:???
それから、数回同じ事を繰り返したが、結果が変わることは無かった。
目線を上に移せば、ビルのどの部屋からも明かりは漏れていない。
いくら社員が帰宅する時間帯といっても、どの部屋にも明かりが
ついていないというのはおかしい。
恐らく、現在では使われていないビルなんだろう。
ひとつ息を吐いてから、今度は周りを良くみわたしてみる。
よくあるパターンを考えてみる。
つきあたりの塀をのぼって、向こう側に逃げる。
そう思って、壁を見てみるが、とても人間がのぼれる高さではない。
あとは、マンホールを開けて、下水道へと逃げる。
暗い足元を探してみるが、都合よくマンホールなどあるはずも無い。
そもそも、女の子一人から逃げるために、マンホールを開けて
下水に逃げ込むなどという少年は、存在しないだろう。
なんだか、本格的にばかばかしくなってきた。
(なんでアタシが追わなきゃいけないわけ?)
だいたい、なんで逃げるんだ。
逃げるから、追ってしまったんだ。
「ばっかみたい…」
少年に言ったのか、それとも自分に言ったか…。
結局少年は、自分が気づかなかった道から逃げたんだろう。
そう思うことにして、未だ足元を見つめていた視線を
スッと正面に戻した。
擦れた『非常口』の文字の横。
錆びた非常ドアの中から、顔だけがこちらを見ていた。
瞬間、少年にしては、まつ毛の長い瞳と目があった。

「うわっ「いやぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

アタシの意識は、ゆっくりと闇の中へと落ちていった。
ホラー?w
そういや、本格的ホラーLASって記憶に無い。
難しいかw
漫画版鋼鉄2ndシンジのパラレルものとか。
これはこれで面白そう。行き先は貞本ワールド。
それだとどうなるんだ?
>>714
みんなと顔の種類が違うことにビックリする
>715
そこかよw



「やっぱり僕、帰るよ」
 怖気づいて真嗣が言う。
「ここまで来て何言ってんの。今日は学校行くって言ったでしょ!」
「でも」
「デモもストもなぁい!」
 朝の登校時刻に、校門で押し問答しているふたりはかなり邪魔である。
 明日香は真嗣の腕をつかんで引っぱるが、真嗣はへっぴり腰でそれに逆らう。
「何がそんなにいやなのよ!」
 全力の綱引きが数十秒つづき、すっぽぬけた。
「きゃあ」
 としりもちをつく明日香。
 顔をしかめて痛む腰をさする。同じくしりもちをついた真嗣がこちらを凝視
している。ふと自分の下半身を見ると、スカートがまくれておサルもようの
パンティ全開である。
 慌ててスカートをなおす。
 真嗣も立ちながら、きまり悪そうにズボンをはらっている。
 はずかしい。どうして子供パンツの日に限って!
 気付くと平手をとばしていた。
「見物料よ!」
 頬をおさえた真嗣が、明日香にひきずられるように学校内へ…。
 と、真嗣が前のめってすっころんだ。
 振り返ると、真嗣の上に自転車が"のって"いる。
 真嗣のひざの裏に自転車の前輪がつっこんだらしかった。
 つまり轢かれたのだ。
「零! あんたなぁに自転車で来てんのよ。校則違反でしょうが!」
 自転車にまたがった綾波零がさわやかな笑みを返した。
「あたしとシンちゃんの絆だから! っていうのはウソでぇ、マジ、遅刻しそうだった
んだー。やっばー、あっぶー、超セーフ!」
718自棄酒:04/10/15 09:01:48 ID:???
1
「自棄酒」というやつをしてみた。

「中学生にアルコールなんて」って、同居人のバカは止めるだろうけど。
あたしは、知ってるんだから。
あいつだって、こっそりミサトのビールを飲んだりしてるのよ。

あたしが一度に飲む量は、だいたい夕食に付くグラス半分ほどのワイン。
それは、いいことがあったときのドイツ支部での恒例だったけど。

今日は「自棄酒」なんだから、一本ワインを買ってきた。

赤がよかったんだけど、気に入ったのが見つからなくて。
淡いピンクが綺麗な、ロゼにした。

甘い香りの、透きとったお酒。
グラスを覗けば、世界は薔薇色。
ラ・ヴィアン・ローズ。

ばかみたい。
世の中が、そんなにいいもののわけないじゃない。
719自棄酒:04/10/15 09:02:36 ID:???
2
使徒が町を壊すから、道路は穴だらけ。
昨日雨が降ったせいで、あたしの靴下には泥が跳ねた茶色いしみ。
英語の教師は、あたしが発音を注意したのをまだ根に持ってる。
漢文を英語訳しろなんて、頭沸いてんじゃないの。
ばかシンジはお弁当にお箸忘れるし。
購買で買った牛乳には、ストローがついてない。
シンクロテストも、少し悪かった。
少しだけ、だけど。
ファーストは、あいかわらず。
シンジは…。
シンジは、少し良くなってた。
まだまだあたしには敵わないけど、なんだかもやもやする。

こんな気持ちは嫌い。

720自棄酒:04/10/15 09:03:36 ID:???
3
お酒を飲んだら、気分が晴れるかと思ったのに。
ミサトの嘘つき。
なにが、「浮世の憂さを忘れるのよ〜ん」よ。

あー、もー、やだやだ。
ばかシンジ、鈍感、にぶちん、わからずや。
なんで、あたしより先にファーストに声かけるのよ。
あんたと一緒のうちに住んでるのは、あ・た・し。
せっかく待っててあげたのに!
なんでファーストと帰っちゃうわけ?

ふわふわしてきたから、居間にころがる。
自分の部屋に帰るのが、なんだかめんどくさい。
もういいや、寝ちゃえ。
目を瞑ったら、すぐに意識が沈んでいった。
721自棄酒:04/10/15 09:05:36 ID:???
4
部屋が明るくなって、目が覚めた。
あたし、昨日カーテン閉め忘れたんだっけ?

なんだか体のあちこちが痛い。
口の中もべたべたするし。
すん、と鼻を鳴らせばお酒の匂い。

ミサト?…じゃなくて、あたしだ。
昨日、酔っぱらってあのまま寝ちゃったんだ。

体が痛いのは、床で寝たから。
肩にはブランケットが掛かっていたから、寒くはない。
これ、掛けてくれたのはシンジなのかな?
あいつ、こんな床で寝てるあたしを見て、どう思ったんだろ?
というか、なんで起こしてくれないのよ?
ベットに運んで欲しいなんて、…そこまでは言わないけど。
シンジだし。
722自棄酒:04/10/15 09:07:21 ID:???
5
女の子を床に寝かせておいて、自分だけベットで寝るっていうのはどうよ?
あたしは自分を棚に上げて、シンジを怒ってみる。
自分一人しか居ないのに、それでも素直になれないなんて。
あたしも相当ひねくれものだ。
「自棄酒」も体験したし、このままグレチャウってのもいいかも。
そしたら、シンジはどう思うかしら。

くしっ。

ばかげた空想は、背中越しの小さなくしゃみで吹き飛ぶ。

そっと振り返ったら、シンジがとなりで寝てた。

………うそ。
                     マチクタビレタ
☆ チン                   マチクタビレター            
        ☆ チン  〃  ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・)< 続きまだ〜?
             \_/⊂ ⊂_)_ \____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
        l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| .|
        |  ○ みかん ○  |/
なんの続きを待ってるんだろうか・・・。
725自棄酒:04/10/15 16:50:43 ID:???
6
あたしの服は、昨日と同じ。
シンジも…、シンジも同じだ。
良かった。

急に暑くなったような気がする。
今頃、酔いが回ってきたのかしら?
もう、朝なのに。

どきどきするのはお酒のせいにして、近くにあるシンジの顔を覗き込む。
あ、まつげが長い。
産毛が金色。
髭は、ないわね。
こんなにシンジの顔を傍で見るのは、初めてだ。
寝ている顔は、結構整っていて女の子みたい。
よく見ようと、もう少しだけ近づく。

唇が、ピンク、だ。
726自棄酒:04/10/15 16:51:15 ID:???
7
あたしは、まだ酔ってる。
あの、薔薇色のワインのせいで。

ラ・ヴィアン・ローズ。
ワインは、甘かった。

目の前のピンクは、どんな味?

くぅくぅいってる、シンジの鼻息がくすぐったい。

これは、味見。

だから、いいよね?

727自棄酒:04/10/15 19:44:53 ID:???
8
目標捕捉。
角度OK。

…あと、少し。


へぷしっ。


きゃぁ。
悲鳴は根性で飲み込んで、あたしはちょっと仰け反った。

シンジのバカ。
728自棄酒:04/10/15 19:47:23 ID:???
9
ムードだいなし、ってシンジは寝てるだけなんだけど。
この鼻息が駄目なのよ。
相変わらずくぅくぅと暢気そうにいうのも、腹が立つ。
鼻、つまんでやろうかしら?
八つ当たりだとわかっていても、なんだか気が治まらない。

再度、あたしはシンジに手を伸ばした。

触れる寸前、シンジは小さく震えると手足をきゅっと引き寄せる。

起きたのかと思ったけど、また、くぅくぅといいだす。
仕方ないからブランケットを掛けなおしてあげようとして、あたしは気づいた。

…あたしの肩に掛かってるのは、このブランケットはシンジのもの。
なのに…。
あたしは全身包まれているのに、シンジの背中は毛布と床の間に隙間が開いている。

ばか、シンジ。

女心なんて、さっぱりわからない鈍感大王のくせに。
どうして、こういうところだけ。

…優しいの。
729自棄酒:04/10/15 19:51:22 ID:???
10
シンジを起こさないようにもう一度寝転んで、時計を確認する。
AM06:07
まだ、時間はある。

あたしの眠りを妨げないよう気遣って、空けてくれた二人の隙間。
シンジの背中。

だから、許してあげる。
シンジが鈍感なのは、いつものこと。
優しさが、少しだけ、まわり道なことも。

だから、目が覚めたら、あたしに一番に声を掛けて。
誰よりも、先に。
「おはよう」って言ってくれたら、全部許してあげる。

隙間が出来ないようにぴったりと寄り添って、目をつぶる。
次は、シンジの声で目覚めたい。
その時は、あたしの一番もシンジにあげるから。

カーテンの隙間から差し込む光のせいで、閉じた瞼の裏は薔薇色だった。

      fin
梓ね
梓んでしまえ
自棄酒完結、ナイスでした。
また新作おながいします。
>あぁ、○○○○

>聞いてない。
>断固として。
>そんなことは、聞いてない。
etc・・・

不適合者の作者は奈須きのこ氏ファンだな。
「あやなみ…なの…?」
 真嗣は立ち上がることも忘れて、下敷きのまま呆然としている。
 明日香は強引に自転車をのかして真嗣をひきおこし、ズボンの前をはらってやった。
「おうおう、朝からお熱いのお」
 と鈴原冬二がやってきて挨拶する。
 真嗣が「あっ」と叫んで後ろに下がった。
 そのとき、チャイムが鳴りはじめ、全員で全力疾走するはめになった。早く登校しても
毎朝こんな風にふざけているから、遅刻ギリギリになってしまうのだ。

 真嗣はまだ本調子ではないらしい。教師の名前を間違え、昼休みには明日香と自分
の分の手作り弁当を持ってくるという芸当を披露した。
 いつか真嗣に愛妻弁当を、ともくろんでいた明日香の面目丸つぶれである。
 真嗣のいないところで、
「なんとなしにセンセ、わしのこと避けとるみたいやわ」
 と鈴原冬二が言った。
 よくよく観察してみると、真嗣はナルシスホモのことも避けているようである。
 ふたりとも真嗣の親友なのに、(特に渚薫とはよくない噂がたつほどだった、)
どういう心境の変化だろう?
 きっとまだ、あたしにも話してくれていない何かがあるんだわ。
 思ったことをとにかく口にする真嗣が、心を隠しているなんて、不思議な感じがした。
 帰り、真嗣は下駄箱のところで明日香を待っていてくれた。クラスの女の子との
おしゃべりが長くなりそうになって、
「真嗣を待たせてるから」
 と断った。なんだかくすぐったい響きになった。
 明日香はそれを振り切るように下駄箱へ向かう。真嗣は昇降口の柱の辺りに立って、
運動場の向うを眺めていた。
「おまたせ」
と明日香は言って、真嗣の視線の先をたどった。
 光と鈴原が一緒に校門を出ていくところだった。
「行きましょ」
 明日香は歩き出した。
 今日の英語の小テストできた? 美里先生の話し方、もうちょっと教師らしくなん
ないのかしら。
 明日香が話しかけると真嗣はあいづちを打った。
 川の横を通ったあたりで、明日香は訊いた。
「真嗣は学校、どうだった?」
 朝、真嗣が学校に行きたくないと言っていただけに、何気なく尋ねるのが難しかった。
 真嗣は少し考えている風だったが、言った。
「みんな仲がいいんだね」
 ヘンな感想。クラスのみんなが仲良しってことかしら?
「そうかしら。普通よ」
「そうかな」
「そうよ」
 明日香は鞄を持ち直して、ちょっと空を見上げた。
「…朝、父さんと喋ったよ。それにこのカッターシャツ、"母さん"がアイロンあててくれ
たんだ。僕は何もしてないのに、なんだか悪いな」
「そんなの当たり前じゃない。あんたのパパとママだもん」
「そうだよね…」
 真嗣の表情が和らいだ。遠慮がちな微笑みだったが、真嗣が笑うのをみるのはひさしぶり
の気がした。
 明日香は片手を伸ばして真嗣の手を握った。
 真嗣は一瞬こわばったが、そのまま握らせてくれた。

―――前に真嗣と手をつないだのはバレンタインのときだった。学校の帰りに、
「チョコもらったんだけど、お返しって何あげるんだっけ?」と真嗣が話しかけてきた。
 真嗣が転校生の綾波零にチョコをもらっていたのも驚きだったが、もっとショック
だったのは真嗣がお返しを考えていたことだ。
 明日香は10年連続でチョコをあげているが、ホワイトデーのお返しなんてもらった
ことがない。
 なんでアタシにはお返しないわけ!? ときくと、
「だって明日香じゃん」と答えた。
 ひどいわ、私だって女の子なのに。そういって嘘泣きをしてやると、真嗣はあわてて
10年分まとめて払う、と言った。
 明日香が要求したのは、しばらくだまって手をつなぐこと。その間アホな発言をしたら
二度と朝起こしに行ってあげない、というものだった。
 真嗣の手は熱く、べたべた汗をかいていたが、明日香は嬉しかった。
 それは、明日香が思い描いていた"恋人の時間"だ。
 真嗣の背がもっと高くなったら、腕を組んでもキマるだろう。
 もっと景色のきれいなところで、あたしが背伸びをしてキスするの。
 明日香のときめきが最高潮に達したころ、真嗣はその空気に耐えきれなくなったのか
「もういいだろ」と手を離してしまった。―――

 今、真嗣の手は少し冷たく、さらりとしている。少し骨ばった長い指なんかは、
以前と同じようだった。
>>733
奈須きのこ氏…。
ごめんなさい。ちょっと知らないです。
作風が似ているのかな?出てくる言葉が似ているのかな?

関係ないですが、他の人たちの作品を見ると
書くんじゃなかったと後悔ばかり。いい加減終わらせたい。

>>737
> 書くんじゃなかったと後悔ばかり。いい加減終わらせたい。

完結するまで感想書かないほうなのですが、更新楽しみにしています。
読むほうとしては別に誰と比べてとか思っていないので、気になさらずに
書いていただけるとうれしいです。

シンジ?の正体が気になるナリ。
>>734-736
パラレル真嗣と違ってシンジの方は戸惑いつつもとけこみかけているんでしょうか。

真嗣:楽しんでるけどなじんでいない
シンジ:戸惑っているけどなじみつつある

この辺の差が面白いです。
>>739
互いにアスカand明日香との間限定と言うことで。
パラレルシンジ(゚∀゚)イイヨイイヨー。オモシローイ
パラレル、かなりいいね。

ただ更新のたび、どっちのせかいの話なのかちょっと混乱することがある。
タイトルに真嗣とあったらエヴァ世界。シンジなら学園世界が舞台。
 明日香は少し歩調を遅くして、真嗣と並んで歩いた。恥ずかしくて相手の
顔が見れない。
 ただ、最近ギャグをとばさなくなった真嗣が、このときばかりはありがたかった。
 この道は裏道で、人通りが極端に少ない。
 誰かに見られてしまえばいいのに…。
 勢いで手をとってしまったが、こんなにいい雰囲気なのは後にも先にもない
ように思えた。
 そうよ。今しかない。明日香、いくわよ!
 明日香は立ち止まった。真嗣も一緒にとまった。
「真嗣、キスしよっか」
「えっ?」
 真嗣ははじめて慌てたそぶりを見せた。視線が右往左往しはじめる。
 やっぱり真嗣にはまだ早かったかしら。でも、もう後にはひけない。
「僕、歯、みがいてないよ…」
「そんなの別にいいわよ」
 明日香は真嗣の正面に立って、真嗣の両手をにぎった。
 目をつぶってあごを少し突き出す。
 数秒がとても長く感じられた。
 もう目をあけてしまおうかと思ったとき、ふと風を感じて、真嗣の唇が
明日香の唇に触れた。
 真嗣は顔をななめにして、鼻がぶつからないようにしていた。
 火種をのみこんだみたいに体が熱く燃え上がった。この瞬間を永遠に覚えて
おこうと思った。
―――男の子の唇って柔らかいんだわ。
 明日香はしばらく息をとめていたが、キスがあんまり長いので、あきらめて
小さく鼻で呼吸した。
 真嗣の匂いがした。真嗣の家の匂いと、男の子の匂い、それからかすかな、
真嗣自身の肌の……秘密の匂いがした。
 それらが混ざり合い、数センチの膜となって真嗣の体を覆っている。
 今、自分の膜と真嗣の膜がまざりあい、とけあっているのだと思った。
 たっぷり30秒もしてから真嗣は唇をはなし、ぶはっと息をした。
「あんた、息をとめてたの?」
 明日香はあきれて言った。
「うん。アスカが嫌がるかと思って…」
 真嗣はずいぶん落ち着いて見えた。
 異様に長いキスも、顔を斜めにしてキスすることも、どこで覚えたの?
 明日香はそれをきくことができない。
 ずっと一緒にいて、真嗣のことならなんでも知っていると思っていたのに、
真嗣の秘密はどんどん増えていくようだった。
「あの」
 と真嗣は明日香の手をにぎりなおした。
 それからはっきり区切って言った。
「まだアスカに言ってないことがあるんだ。僕のしたことを知ったら、僕のこと、
嫌いになるかもしれないけど」
 明日香は即答できなかった。少し怖い。けど、もっと真嗣のことを知りたい
気もする。
 迷っている明日香を、真嗣は強く引き寄せた。
「もう一回キスしてもいい?」
 明日香はそっと目をとじた。
746パラレル真嗣の巻28 ◆33aKImDcPg :04/10/17 22:30:58 ID:???
 * * * * * * * * *

 4日間ヒカリの家に泊まってきたアスカが、5日目にマンションへ帰ったとき、
第一声は「くさい」だった。
「なに、この匂い。生ゴミ?」
 玄関を通ってキッチンへ入ると、匂いの正体がわかった。流し台だ。
 使用済みの皿が山のように積まれていて、キッチンの隅にはゴミ袋が2つも
ならんでいる。どうしてゴミの日に出さなかったのだろう。
 テーブルのむこうでギャアギャアとペンペンの鳴き声が聞こえた。
 シンジがしゃがんで何かしている。ペンペンに餌をやっているようだ。鯖の
しっぽをつまんで高く持ち上げ、それに届かないペンペンは羽ばたいて飛ぼうと
している。
 アスカに気付いたシンジは鯖をつまんだまま立ち上がった。
「明日香! おかえり。なんかひさしぶりだね」
「あたしはアンタの顔みなくてせいせいしてたけどね」
 真嗣はちょっと妙な表情になった。アスカが再会を喜ぶとでも思っていたようである。
 近頃のシンジは高いシンクロ率を保ち、アスカに余裕をみせつけてくる。顔を
あわせると腹が立って仕方ないので、アスカは軽い家出状態だった。
 要件は早く済ませたほうがいい。
「ちょうどよかったわ。あんたにききたいことがあって来たの」
「ぁイテッ」
 シンジは鯖をとりおとした。ペンペンがすねを引っ掻いたのだ。
 シンジは痛い痛いとおどけたが、アスカは無視してつづけた。
「ネルフでミサトに会ったら、何か様子が変なの。加持さんに何かあったらしいの。
あんた、何か知らない?」
「加持さん? ああ」
 とシンジは斜め上を見上げた。「知らないこともないかな」
「知ってるのね!? 教えなさい!」
 アスカはシンジに詰め寄った。
「まあ、ちょっと落ち着いて」
 シンジは芝居がかった動作でアスカをなだめた。もったいぶるシンジに腹が
立ったが、ここは加持さんのためだ。我慢した。
747パラレル真嗣の巻29 ◆33aKImDcPg :04/10/17 22:33:40 ID:???
 アスカはもう、自分のシンクロ率が元に戻らないかもしれないと思い始めていた。
本能的に加持にすがりたかったのだ。
「教えるからちょっと後ろをむいて」
「何よそれ。さっさと…」
「まあまあ」
 シンジはアスカの肩を持って後ろをむかせようとした。
 気安く触るんじゃないわよ、と言いたいところだが無言でその手をふりはらい、
とにかく後ろをむく。シンジに背中を見せているのはなんだか不安だ。
 服がひっぱられている。
 …ふと後ろを見ると、シンジがスカートをめくっていた。
「白?」
「殺す!」
 アスカはシンジにつかみかかった。
 シンジはアスカの手を受けたり流したりして身をよじり、きゃっきゃと笑った。
 追いかけっこはキッチンからリビングへなだれこんだ。馬鹿らしい。
 アスカは疲労を感じてやめた。
 こいつ、あたしと遊びたいのかしら。
「もう一回きくわ。あんた本当に加持さんのこと知ってるの?」
「どうかな?」
 シンジは息を切らせて笑っていた。
「真面目にこたえなさい! あたし、加持さんに会いたいの。あんたのお遊びに
付き合ってる暇はないのよ」
「あんなオッサンのどこがいいんだよ」
 急にシンジの声が不機嫌になった。
「おっさんじゃないわ。大人よ。加持さんならあたしのことわかってくれるわ」
「オッサンはオッサンだ」
「ふざけてないでちゃんと教えて! あたし、加持さんに言わなきゃいけないことが」
 シンジはその先を聞こうとせず、乱暴にアスカを押しのけた。
 自分の部屋へ入って行った。
「なんだよ。もういい! 明日香なんか知るもんか。フラれて泣け!」
 捨て台詞を残して、ドアを閉めた。
シンジによるシンジのNTR…orz
いや、すまんかった。
749不適合者37:04/10/18 00:10:18 ID:???
ポツ…ポツ…。
『アスカちゃん』
だれ?
『…できる?』
ママ?
『約束…』
ママなの?
まって。

「置いていかないで!!」

ポツ…。
どうも、意識を失っていたみたい。
ポツ…。
なにか夢を見ていた気がする。
漠然としていて、よく思い出せない。
意識を失うのは、今日で二度目。
最悪だ。
グワングワンと頭の中がまわっている。
ハァっとひとつ息をつけば、うっすらと白くなる。
ポツっと頬とに雨があたる。
上を見上げれば、真っ黒な雲が夜空を覆い隠している。
今にも本格的に降り出しそうだ。
「だ、、だいじょうぶ?」
「!?」
突然の声に体に緊張が走る。
体勢は倒れたままだ。襲われたら、抵抗するのも難しい。
血液の回りが悪い。二回の失神のせいだろう。
口の中を噛むほどに歯を食いしばる。
うっすらと血の味が広がってくるが気にはしていられない。
倒れた原因を思い出せば、阿呆のように空を見上げていた
自分が恨めしい。
750不適合者37:04/10/18 00:12:16 ID:???
体に力を込める。痛む箇所は無い。
頭が猛烈に痛いが、意識の外に強引に押し出す。
戦える。瞬時にそう結論を下し、声のしたほうを見る。
そこにいたのは――。
真っ白な少年だった。
いや、正確には、真っ白なカッターシャツを着た少年が
アタシの横に屈むようにして様子を伺っている。
とりたてて目立つ少年ではない。
さらさらの黒髪。
頬は健康そうにうっすらとピンク色をしている。
目はどこかで見たことのある雰囲気をもっているが
おどおどと左右にゆれている。
女の子みたいに長いまつ毛。
そう、それは、間違いない。
気を失う瞬間に見た顔だ。

ためていた力を爆発させるように、両手に力をこめ
屈んでいた少年の足をなぎ倒すように、蹴りを放つ。
体勢は悪かったが、まともに食らえばしばらくは立てないはずだ。
手加減をするつもりはない。
ビュ!!
改心の一撃だった。
体調がすぐれないことを考えてみれば、ベストの選択。
そう思った瞬間。それはおこった。
無理な体勢からはなった蹴りは、見事に
目標の少年の足に一撃を加えたかに見えた。
しかし、蹴りはそのまま少年の足をすり抜けていった。
『かわされた!?』
なぜ。
考えがまとまる暇も無く、アタシはもんどりうって倒れた。
仕方がないのかもしれんけど、学園シンジ、どうにもならんガキだな。
というか、ゲンドウやエヴァはともかくユイがいないことは不思議に思わんのだろうか。
752不適合者39 番号間違えました:04/10/18 00:14:01 ID:???
「わっわっ!!」
横で声が聞こえたが、どうしようもない。
息が止まる。地面をこするように体が動き
数回回転してから壁にぶつかって、ようやくとまる。
全身に痛みが走り、身動きが取れない。
むちゃな体勢からの蹴り。
しかし、痛みのおかげで、思考は逆にはっきりとしてきた。
体を丸めるように抱えて、痛みをやり過ごす。
壁から顔を出すような奴だから、躊躇無く攻撃を加えたのだ。
蹴りがすり抜けたところで、不思議ではない。
物質をすり抜けるという現象自体が不可思議なのだが
それは、事実として受け止める。
それを否定したところで、事態が良い方向に向かうわけではないからだ。
オカルトを信じる信じないは関係ない。
今ある事実に対して、どう対処をするか――。
「ね、、ねぇ大丈夫?」
反射的に、体をさらに丸める。
「何にもしないよ?」
その言葉をきいたとき、なぜか体の力が抜けた。
やさしかったから?
確かにそれもある。
しかし、決定的だったのは、その声が震えていたから。
丸めていた体から、頭だけ少年のほうに向ける。
たったそれだけで、ズキリと痛んだ。
↑スマソ
パラレルシンジへのレスね。
754不適合者40:04/10/18 00:15:17 ID:???
少年はびっくりしたように、数歩後ろに下がった。
「アンタ、なに?」
だれ?ではない。
何者か?でもない。
その質問の意味を理解してか、少年はその目に涙をためるようにして
俯いてしまった。
(これじゃ、まるでアタシが悪者みたいじゃない)
泣きたいのはこっちだ。
頭の中で愚痴をいいつつ質問を変える。
「こんなところで、何してたのよ」
ビクッと体をこわばらせてから、きょろきょろと
左右を見渡し、やっと聞き取れるような声で
「き、、君が追いかけてきたから…」
その答えに、アタシは本日三度目の失神ができないものかと
本気で考えてしまった。
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
不適合者LASになるのはいつだろうかw
面白いけど、終わるまで長くなりそうだね。
パラレル、>>608の祈りは通じそうにないなw
いやむしろ、本編シンジが両ほ(ry
「アスカ、学園真嗣とはもうキスはしたのか?
 まだだよなぁぁぁ!
 初めての相手は真嗣ではない!
 この本編シンジだ!」   
 

         な予感
どうせぶっ飛ぶならそれくらい飛んで欲しい
使徒はもう来ないってことはウナギはどうなるんだろう。
本編世界。
みんなパラレル楽しみにしてるんだな
ガンガレ不適合w漏れは楽しみにしてるぞ。
あくまで本編系の別世界だし、来ないかもな。
まぁどちらでも。

ところで学園世界は元々上手くいってたところに入れ替わって気づかれてないだけだが、本編世界は上手く行ってなかった。
つーことは、シンジが入れ替わったことでアスカと上手くいったりしたら、両アスカを落とした学園シンジの逆転勝利。
加持の事で必死なのに、本編アスカが可哀相だぜぇ。
学園シンジはホントど〜しよ〜もないなw
どうしようもないっていうか、ちょっとは状況の違いってものを読者のほうが考えろ。
766パラレル真嗣の巻30 ◆33aKImDcPg :04/10/18 22:10:16 ID:???
 アスカは部屋に押し入ってやろうかと思ったが、やめた。
 多分、本当はシンジは何も知らない。ミサトやリツコが絶対に話そう
としない情報を、誰があんな子供に教えるというのだろう。
 アスカは自室で着替えた。着替えながら加持のことを想った。
 加持さん、どこにいるの?
 今、私も、私の周りもどうしようもない。深まるばかりの疑惑と、失われて
いく私の価値。 加持なら全てに決着をつけ、アスカの考える"最悪の状況"
になったとき、どう生きていけばいいのか教えてくれると思った。
 午後のシンクロテストのために家を出るとき、シンジはテレビの前で
ペンペンと遊んでいた。一方的に。
 あぐらをかいてその中にむりやりペンペンを抱き込み、トサカやクチバシ
をいじっていた。シンジの腕の中でペンペンが暴れたが、シンジはやめない。
 シンジは無心で、ペンペンに口づけするような近さでなでていた。
 腕と足にタオルを巻いているのはペンペンにひっかかれるのを防ぐためだろう。
 放してやれよとアスカは思ったが、口に出すことはなかった。

 薄い血の匂いと、水の匂い、それからかすかな…、なつかしい香り。
 アスカはL.C.Lに沈んでいた。
 この懐かしい匂いはなんだったろう? わからない。わからない。
「アスカ、集中して」
「やってるわよ!」
 自分でもヒステリックになっているのがわかる。数分してコンソールの
むこうで、リツコが「もうあがっていいわ」と言った。
 いつもより10分以上も短いシンクロテストだった。
 あがるとき振り返ると、シンジとファーストのプラグはまだテストを行って
いた。プラグ深度が絶頂期のアスカよりさらに一層深いのは、"03"のプラグ。
 アスカは舌打ちした。
767パラレル真嗣の巻31 ◆33aKImDcPg :04/10/18 22:27:03 ID:???
 それからテストの結果を聞かされ、女子更衣室へ帰った。
 アスカはロッカーをめった打ちにし、鍵なしで中の着替えを取り出すことに
成功した。
 もう、いいわ。もうどうでもいい。帰ったら荷物をまとめて家を出よう。
 私がいなくなっても誰も探したりしない。エヴァを起動できないパイロットなんて
―――起動指数を下回った?
 鏡をのぞくと、自分の顔はひきつってゆがんでいた。シンジのように頭がおかしく
なったのかもしれない。
 アスカは鏡を叩き割った。ガラスが飛び散った。これをふんずけてファーストが
怪我でもすりゃいいと思った。
 みんな死ねばいいのに。

 アスカが帰る時刻には、夕暮れ時になっていた。アスカは本部の庭を抜けてリニア
へ向かう。本部の庭は手入れがゆきとどいていて、定期的に水が流れ出す噴水が
紅く染まっていた。 L.C.Lみたいだ。
 噴水の向うにベンチがある。誰かが向うをむいて座っていた。シンジだ。
 大方ファーストでも待っているのだろう。アスカは早足で通り過ぎようとした。
 シンジはいつもの学生服に身をつつんでいた。猫背気味に、ぼんやり辺りを眺める
横顔なんかは、躁病になる以前と同じように見えた。
 ふと、シンジが振り返って立ちあがった。
「明日香。待ってたんだ」
 嫌な奴に見つかった。
「ちょっと座らない?」
 とシンジはベンチの隣をすすめた。
 このまま帰りたかったが、シンジが再度すすめるので、しぶしぶ応じた。どうせ
家を出ればこいつと話すのも最後だ。
 アスカが腰掛ける一瞬、シンジは嬉しそうに身じろぎした。
 アスカはうさんくさい物を見る目でシンジを見た。シンジは膝の上で手を組んで、
もじもじと親指をすりあわせている。
 シンジは言葉を探しながら、
「あの。やっぱり僕、朝、起きれないんだ。母さんもいないし。だからまた、明日香が
起してくんないと……」
768パラレル真嗣の巻32 ◆33aKImDcPg :04/10/18 22:34:23 ID:???
「何の話? もう行くわ」
 アスカは立ち上がろうとし、シンジはあわててアスカの肩を押さえて座らせた。
「待ってよ。なに怒ってんだよ」
「怒ってないわ。アンタといるのが嫌なだけ」
 離してくれる? と言うと、シンジははじかれたように手をのけた。のろのろと、
少しアスカと距離をとって座りなおした。
 シンジは数秒呆然としていたが、すぐ気をとりなおしたようである。また元の
ひとなつこい口調で、それでも注意深く、話しかけてきた。
「ここのみんなは忙しそうだね。美里先生もほとんど帰って来ないし」
 のん気なのはあんただけだ。
 アスカはふつふつと残酷な気持ちがわいてくるのを感じた。
「父さんに電話したら怒られたよ。つまらない用事でかけてくるなって。冬二も
剣介もよその街に"そかい"してるんだってね? 薫くんのことは、誰も教えて
くれないんだ…」
 いい気になって、あたしに情けをかけているつもりかもしれない。
「みんな元気でいるといいな」
「あんたが殺したのよ」
 言ってしまった。「フィフスチルドレンの渚カヲルは、実は使徒だった。だから
アンタがやっつけたのよ。お手柄ね?」
 鈴原だって、と言いそうになって、アスカはだまった。
 あたしは嫌な女だ。
769パラレル真嗣の巻33 ◆33aKImDcPg :04/10/18 22:38:31 ID:???
 シンジは はっと息を飲んでアスカを見つめた。
「僕、そんなことしないよ…」
 アスカは何も答えなかった。口を開くとまた酷い言葉が出てきそうだ。
 ふいにアスカは、シンジは自分の弱い精神を守るために強い人格を作り出し、
表に出しているのかもしれない、と思った。
 以前のシンジに今の言葉をぶつけていたら、もっといたたまれないことになっただろう。
 シンジは何か考えているようだった。
 もうアスカの顔に直接話しかけることはせず、本部の庭をながめていた。
「…最初は学校がなくて、あんなロボットを動かせて、夢みたいだって思ったけど。
いいことばかりじゃないんだね。明日香も変わったみたい」
「甘ったれんじゃないわよ」
 アスカはつぶやいた。「あたしはアタシのことで、手いっぱいよ」
 もう日は沈みかけて、空は濃紺と薄紅色の濃淡で染まっていた。
「でも、寝て起きても元のところに帰れないみたいだ。だから、ここで何とかして
いくしかないんだ」
 シンジの横顔にはもう、ふざけた色はなかった。
「生きて行こうと思えば、どこでだって幸せになるチャンスがある。だって生きてるから。
明日香も父さんもいるしね」
 アスカは驚いてシンジを見た。これがシンジの言葉だろうか。
「帰ろうか」
 シンジは先に立ち上がって、手をさし出した。


 おわり
>おわり

(;゚Д゚)!!!!! 
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)
  ∧_∧
煤illl´∀`)
  人 Y /
 ( ヽ し
 (_)_)
やっつけで終わらせた話を久々に見たよ
774 ◆33aKImDcPg :04/10/18 22:44:58 ID:???
自分的にはガッチリ計算して終わらせたんだが、やっつけに見えるんだな。

修行してくる。
正直打ち切りみたいな終わり方だた
盛り上げ方は実に巧みでしたなw
>>774
まずは、完結おめでとう。お疲れさまでした。

以下は感想。気に入らなければ、無視してくださいな。

よく考えた終わり方だ、というのはわかる。
「落としどころ」としては良いところを見出したな、と感心した。
「アスカ(明日香)からみた、真嗣(シンジ)の物語」としては、
十分完成している、といえるんじゃないかな。

けど、まぁ、LAS人としては、「そこから」が読みたいところじゃないのかなぁ。
みんな肩すかしを食った気分になるとは思う。
なるほど、短編小説としてまとめれば綺麗な終わり方かもね。
うん、確かに作品としてはここで完結してるってのはわかる。
わかるんだけど……
やっぱ物語としてもきちんと完結させてほしいと思うのはワガママなんでしょうか。
いやでも、面白かったからそう思うのであって、してやられたって感じです。
毎回毎回引き込まれるように読んでました。お疲れさまでした。
780不適合:04/10/18 23:12:33 ID:???
お疲れ様でしたー。
密かに自分のように長く伸びてくれないかと願っていました orz
どきどきする作品でした。また何か書いてくださいねー。
781 ◆33aKImDcPg :04/10/18 23:24:13 ID:???
感想ありがとう。
ふたつほど書いてみましたが、俺のはニーズに合ってないみたいなので
ここらでさよならします。スレが荒れる元だ。

他に書いてみようかと思ってた話は

 碇くんの恋人    ……アスカが小さくなる話
 スパシンのつくりかた……シンジがすごくなる話
 犬人間シンジ    ……犬人間シンジが奮闘する話

とかです。甘LASでも思いついたらまたお邪魔します。

>不適合さん
 あとはお願いします。
 めいっぱい長引いて好きなように書いてください。
瘤つきだったのかどうかが気になるところだ…
まあ第弐だったらもっと落ち着いてるからそこでやったら?
http://bbs.jssdf.org/test/read.cgi?bbs=eva&key=1008609238
>782
瘤?
>>778
2ch上でのある種の実況みたいな状態だと
唐突におわって肩透かしをされたような印象が強くなるよね
>パラレル
まぁ、ああいう終わり方もある意味「エヴァっぽい」といえばそうかも。
シンジ(真嗣)の心理描写がほとんどないのが
不満といえば不満。
でも乙。

新作も期待して松。
788:04/10/19 01:12:37 ID:???
アスカがダイニングに置いてあるテーブルに着きうなだれている。
僕は彼女に近づき声をかける。
「何か役に立ちたいんだ。ずっと一緒にいたいんだ」
「じゃあ、何もしないで、もう側に来ないで…アンタ、あたしを傷つけるだけだもの」
アスカから返ってきたのは拒絶な答えだった。
「ア、アスカ。助けてよ、アスカじゃなきゃ駄目なんだ」
僕は何故かアスカに助けを求める。
「嘘ね…」
アスカはポツリと呟く。僕はハッとアスカの顔を見た。
紅く長い髪で隠れていたアスカの目は僕を蔑むような目をしていた。
「アンタ、誰でもいいんでしょ。ミサトもファーストも怖いから」
アスカは立ち上がりながら言う。
「お父さんもお母さんも怖いから!」
僕に近づきながら言う。僕は後ずさりをして、助けてよ、助けてよ、と言うだけだった。
「あたしに逃げているだけじゃないの! それが一番楽で傷つかないもの!」
アスカは僕を睨みつける。
「ねぇ、助けてよ!」
でも、僕は念仏のように助けてと同じ事を繰り返すだけだった。
「本当に他人を好きになったことないのよ!!」
アスカは僕を強く押し倒す。僕はその衝撃でテーブルの上に置いてあった、
コーヒーメーカーを巻き込み床に倒れこむ。床上に黒い液体が広がってゆく。
「自分しかここにいないのよ! その自分も好きになったことないのよ!」
僕は床に倒れながらまだ、助けて、と繰り返しているだけだった。
そんな僕にアスカは冷たく、哀れね、と呟く。
「お願いだから、助けてよ」
僕はゆっくりと立ち上がり、アスカの正面に立つ。
アスカは何も言わず、僕を見ている。僕はテーブルを掴み、倒す。
上に乗っていたコーヒーカップが割れる音がした。
「僕を助けてよ! 一人にしないで! 僕を見捨てないで! 僕を殺さないで!!」
僕は近くに置いてあった椅子を持ち上げて床に叩きつけながら、自分の声とは思えない程の声で叫ぶ。
789:04/10/19 01:15:02 ID:???
「お願いだから、助けてよ」
僕はゆっくりと立ち上がり、アスカの正面に立つ。
アスカは何も言わず、僕を見ている。僕はテーブルを掴み、倒す。
上に乗っていたコーヒーカップが割れる音がした。
「僕を助けてよ! 一人にしないで! 僕を見捨てないで! 僕を殺さないで!!」
僕は近くに置いてあった椅子を持ち上げて床に叩きつけながら、自分の声とは思えない程の声で叫ぶ。
掴むものが無くなると、肩で息をして俯く。アスカの視線が痛いほどわかる。
しばらく沈黙が続く。

・・
・・・
「いや・・・」
アスカは先程よりも冷たく言い放つ。その言葉で僕の頭の回線は切れるのがわかった。
僕はアスカの首に摑みかかり、渾身の力で絞め上げる。強く。強く。

気付くと辺り一面が赤い海に囲まれていた。アスカの着ている物も
さっきとは違う。でも僕は構わずに仰向けで倒れているアスカの上に乗り、
首を絞めた。アスカは焦点が合っていない目で確かに僕を見ている。
アスカは意識があるはずなのに何故か抵抗はしなかった。
代わりにアスカは僕の頬に手を触れる。僕はその手の温もりを感じて
自分の手に込めていた力が抜けていくのがわかった。
目の奥が熱い。僕は泣く。ただ泣く。涙がアスカの顔に零れ落ちる。
「キモチワルイ…」
そんな僕を見て、アスカはそう言うだけだった。
790:04/10/19 01:21:11 ID:???
「はっ!」
僕はベットから飛び起きた。体中に汗をびっしょりと掻き、喉がからからになっている。
二週間ほど前から、毎日のように見るようになったこの夢のせいで寝覚めは最悪だった。
妙にリアルな夢、僕がアスカに助けを求め、首を絞める夢。
耳にはまだアスカの『キモチワルイ』という声が纏わり付き、両手には首を絞めた
感触が残っていた。
「うっ」
急に吐き気が込み上げる。僕は洗面所の向かった。
「おぇ〜、げほっ! ごほっ!」
洗面台に昨晩食べたまだ消化されていなかった胃の内容物を全て吐き出した。
「大丈夫、シンジ?」
背後から声がした。振り向くとそこには心配そうな顔で立っている母さんがいた。
「平気だよ、ちょっと気分悪くなっただけだから」
僕はまだ辛かったが、無理をして微笑んだ。
「そう、でも一度お医者さんに見て貰った方がいいんじゃない?」
「大丈夫だってば、母さんは心配性なんだから」
僕がそう言うと、母さんはあまり無理しちゃ駄目よ、と言って朝食を作るために
洗面所から出て行く。僕は汗を掻いているので、シャワーを浴びに脱衣をして浴室に入っていった。
僕は温水を頭から浴びながら考えていた。なんであんな夢を見るようになったのか。
そういえば以前、夢の本質は願望充足にあると何かの本で読んだことある。
その本によると、夢の中の罪悪感は意識の側からの抑圧とねじ曲げられ生まれる物だと、
罪悪感の元が女性で恋愛感情を持っているならば、恋愛感情と破壊衝動は
並存している、と書いていた。僕は頭を振る。
アスカとは子供のときからの長い付き合いで、両親共々仲が良く、
家族ぐるみで付き合っており、いわゆる幼なじみというものだが、
それが恋愛感情と言ってしまっていいものかと言えば考えてしまう。
友達として好き。
家族として好き。
女性として好き。
どれかに当てはめるとすれば、家族として好きというのが一番近いのかもしれない。
じゃあ、なんであんな夢を見るのか? それも毎日。僕は再び頭を振った。
791:04/10/19 01:25:03 ID:???
浴室から出てダイニングに行くと、すでに朝食は出来上がっていた。
僕はテーブルに着き、食事を摂ろうとした。
「いただきます」
「ハイ」
母さんが僕の正面に座る。父さんの姿が見当たらなかったので、
訊こうとしたが、そういえば一昨日から出張に行っていること
を思い出し、そのまま食事を続けた。
「アスカちゃん、最近迎えに来ないわね」
母さんはポツリと呟く。僕はそうだね、と返した。
「ケンカしたの?」
僕は首を横に振る。確かにアスカは最近、僕を起こしに来なくなっていた。
それだけじゃない。アスカはなぜか学校でも僕を避けるようになっている
気がした。母さんの『ケンカしたの』という言葉に僕はアスカを怒らせること
したっけ、と考えてみるが何も思い浮かばなかった。いつから、そうなったか、
僕は記憶を遡ると、あの夢を見始めたころだと思い出す。
ピンポーン! チャイムが鳴る。
「アスカちゃんかな?」
母さんの声の中には嬉しさが混じっていた。母さんはインタ-ホンに出る。
僕もなんだか自分の胸が高鳴っていくのがわかった。
お、新作キタ。
今日はこれで終わり?
パラレル補完期待してます。
パラレル終了乙です。
一つだけ、シンジのテストプラグは01ですんで、もしどっかにサルベージされる時は訂正よろ。
ただ今パラレル読み終えました。

日本全国から「ズルッ!」っとずっこける音が聞こえてきたのは気のせいか。
本当に終わりなのでしょうか・・・?
非常にハンパな終わり方に衝撃を覚えました。
ぜひ続きをお願いします。
夢、期待。
こういう重いシリアスLAS大好きです
>>795
真嗣だけみればそう思えるけど、シンジ編の終わりと並べてみてみると
味わい深いぞ。
これは掲示板連載の欠点かな、流れが掴みにくい。
ええぇ?Σ(゜Д゜;≡;゜д゜)

       ヽ(・ω・)/   ズコー
      \(.\ ノ
パラレルあれで終わったのか。

終わったというか、「プロローグが終わった」って感じだな。
ここ、LASスレだし。
FFってのは作者の自己満だけど、それで対象の読者を満足させられるなら、それは共有できるいい自己満。
読者が置いてけぼりになって作者だけおっしゃ!と思ってるのがダメな真・自己満。
俺が期待するのは当然上。エヴァ本編だって、庵野のそれに他人を惹き付ける力があったから成り立ったんだよな。

で、パラレルの終りはどっちだったかなと。
おれはああいう終り方好きだけどな
つーか納得できんかった連中(俺含む)が気にしてるのは、表現的な意味での終わり方云々じゃないかと。
LASって気がしないのがどうにもこうにも。
両世界にアスシンがいるなら、やっぱ本シン×本アス、学シン×学アスじゃないとなー。
あくまで別人として存在してるんだから、入れ替わったんじゃあ只のNTRじゃん。

例えばだが、本物のアスカをスルーしたまま、余所で作り育てたクローンアスカを持ってきて、それとシンジをくっつけて「LASです」とか言われても俺は納得いかないぞぅ。
要するにLAS投下スレでNTRLASを読まされたってのが感想だ。
つまり、逆行LASのほとんどはLASではないと?
逆行のそれについてもよく問題になるよな
所詮は別人だからな。だから二人共を逆行させるのもあるし。
まぁ逆行LAS自体、それほど多々あるものでもないが。

それでも逆行などで「全く同じ世界で(シンジが以外の)時間だけが戻ってる」とか「世界は変わってしまったけど魂は同一」などと工夫してる場合はまだしも。
露骨に別世界があって、どちらにもアスシンがいて進行して・・・ではより意識させられる。
開始すぐから>>608みたいなレスがあったのもそれを示してるかと。

アスシンも明日真も別れ離れになって、それぞれが名前などだけが同じ別の人物と一緒に過ごしてるってオチは、俺もちょっと・・・。
この話なら入れ替わりなしで本編系世界だけのが良かったな。キチンとくっつかなくていいからさ。
二つほど書いたってのは、今作と「偽装結婚」?
>>805
トリップ見ればわかるだろう…
807夢 ◆N3KfCzebuQ :04/10/19 17:01:11 ID:???
「ハイ、ハイ、ちょっと待っててね」
母さんが受話器を置き、僕を見る。
「残念、アスカちゃんじゃなかったわ。男の子よ」
母さんはがっくりと肩を落とした。それは外にいる相手に失礼だと思ったが、
期待していた分、落胆も大きかったのだろう。僕も態度にこそ出さなかったが、
少し落ち込んだ。
「誰? トウジ?」
母さんに訊くと首を横に振り、渚ですって言ってたわよ、と言った。
「え!? カヲル君?」
僕は思わず声のトーンを上げ、立ち上がってインターホンの受話器を取った。
「カヲル君どうしたの?」
『うん、シンジ君、最近一人で登校しているって聞いてね。一緒に学校へ行かないかな?
って思ってね。迷惑だったかい?』
「迷惑だなんて、そんな…、ちょっと待ってて、すぐ用意するから」
『急がなくていいよ。まだ時間はあるから』
僕はリビングにある時計を見た。確かにいつも登校するよりもかなり余裕がある。
でも、僕は待たせては悪いと思い、急いで用意をして、玄関に向かった。
「お待たせ」
僕はドアを開けながら言う。
「早いね、シンジ君。別に急がなくて良かったのに」
カヲル君は悪いことしたなぁ、というように頬を軽く掻いた。
808夢 ◆N3KfCzebuQ :04/10/19 17:04:11 ID:???
「あ、いや、今日はちょっと早く起きたんだ」
僕はそう言うとカヲル君は、そうなんだ良かった、とニコリと笑った。
ちょうどその時だった。僕の家の隣のドア、つまり、アスカの家のドアが開いた。
「行ってきまーす」
アスカの声がした後、中から腰まである長く紅い髪をなびかせて、アスカが出てきた。
「ア、アスカ」
僕はアスカの名を呼んだ。アスカは僕に気付きこちらを振り向いたが、あからさまに
目を逸らした。
「シンジ、今日はやけに早いわね」
アスカは僕の顔を見ずに横を向いて言った。
「うん、今日はカヲル君が迎えに来てくれてね」
カヲル君がアスカに手をひらひらとして、やぁおはよう、とアスカに挨拶をした。
僕はアスカも一緒に行かない?、と言おうとしたが、
「そうなんだ、それじゃあ、あたし、ヒカリと約束してて急いでいるから」
アスカはそう言うと、小走りで、その場を去っていった。
僕は肩を落とした。なんだかさっきの母さんみたいだと心の中で自嘲した。
「シンジ君が近頃、元気ないのはこれが原因だったんだね。僕、シンジ君を迎えに来て
 悪いことしたね」
カヲル君は僕の肩に手を置いた。
「カヲル君のせいじゃないよ。アスカ、最近いつもああなんだ」
「へぇ〜、前はあんなに仲が良かったのにおかしいね」
僕の肩に置いてた手をポケットに入れ、カヲル君は肩をすくめた。
809不適合者41:04/10/19 20:41:37 ID:???

痛む体をひきづって、壁に体をよりかける。
肺から大きく息をだし、全身の力を抜いていく。
なかば、少年を無視するように、再び空を見上げれば
小降りだった雨が次第にその勢いを増してきた。
「なんで、アタシが追いかけたら逃げるわけ?」
見ようともせずに、問いかける。
「だ、、だって僕を追いかけてきたから」
おどおどした言い方に、頭痛が激しくなる。
「何でアタシが追いかけたら逃げんのよ!!」
ストレスに毛が逆立つ錯覚さえ覚え、顔を少年に向ける。
怒鳴り声に驚いた顔をした少年が、そこにはいた。

『さらさらの黒髪』

『頬は健康そうにうっすらとピンク色をしている』

さっき自分に与えた印象が、再びやってくる。
寒空のしたでも、青くなることなく、つややかな
桜色の唇。
モノクロの世界で、少年だけは衰えることの無い
スポットライトをうけているかのように
はっきりと色がついている。
「ア、、アンタ、、なんで色が…」
声がかすれて、うまく喋れない。
そもそも、ここは薄暗い路地裏だ。
厚い雲に覆われ、月明かりなど期待できない。
なのに、はっきりと浮かび上がるように少年は存在している。
触れることのできない体。
ドアをすり抜ける体。
810不適合者42:04/10/19 20:56:58 ID:???
「お、、ばけ?」
あまりに陳腐な結論に、現実感がない。
少年は、悲しそうに自分の両手をみぎり締める。
「わかんないんだ…」
でも!でもさ!
勢いをつけて、言葉をつむいでいく。
「だれにも僕のこと見えないみたいなんだ!でも、君だけは僕が見えたみたいで
それで、突然おってきたから
なんだか、怖くて、それに君怖い顔してたし!すごく!」

相手も考えがまとまらないのか、支離滅裂なことばかり
を繰り返している。
雨はいよいよ本格的に降り出し、アタシだけを濡らしていく。
打撲で熱を持っていた体に、心地よい。
モノクロに沈む世界、その中で唯一輝き、色鮮やかに存在する
ものは、幽霊。
さらに現実感は喪失していく。
自分の存在が、すでに現実より『あちら』側に近づいている
のか。そんなふうに思ってしまう。
「じゃアンタ自分がお化けかどうかもわからないってわけ?」
「うん!」
なんなのよ!その期待に満ちた目は!
そういう目で見られるのは、ウンザリなのよ!
「はっ」
意図的に、侮蔑の意味を込めて意味をなさない言葉を吐き捨てる。
だが、めげることも無く、アタシに聞いてくる。
「君には、僕が見えるんだろ?だから追ってきたんじゃないの?」
「見えるわよ。だから?」
811不適合者43:04/10/19 21:13:28 ID:???
なにか、アンタに意味があるのか?そういう意味を込めて
言い放つ。
「なにか、僕のことわからないかなって、そう思って」
「そう思って?アンタ逃げたじゃない!」
「あれは…君がすごく怖い顔をしてたから…つい」
でも、気になったから、顔だけ出してみたんだけど…。

まだ、馬鹿が馬鹿なことをのたまっている。
アタシはといえば、がくっと力が抜け膝の間に顔をうずめてしまう。
「僕のこと…わからない?」
「わかるわけ、ないでしょ…」
もう、体力と精神力は限界に近づいているのか
妙に素直に答えてしまう。
怒や憤りを持続させるには、今日はいろいろなことがありすぎた。
雨は勢いを増すばかり。今夜は、嵐になる。
このまま濡れていると、肺炎にでもなるかもしれない。
良くても、風邪はひくだろう。
でも、僕のこと、追いかけてきたじゃ…」
「それは…」
(アタシ、なんでコイツのこと追いかけてたんだっけ)
特に理由があったわけではないことに、今更気づく。
しいて言えば、光る白いシャツをみて無意識のうちに
モノクロとの違いを見つけ、追わなければいけない。
と行動に出たのかもしれない。
(でも、コイツにそんな事いったってねぇ…)
そう思う。
812不適合者44:04/10/19 21:14:42 ID:???
「どうだっていいでしょ」
それきり、無視を決め、体を縮めるようにして
両手で膝を抱える。
体育座りみたいだけど、体温をにがさないように
するには、一番いいような気がした。
膝の上にあごを乗せ、これからどうしようかと考える。
馬鹿はとぼとぼとこちらに歩いてきたかと思うと
少し間をとるようにして、アタシの隣に同じようにして
座った。
ほんのりと、暖かさを感じたが、錯覚だろう。
もう、お互い何も言葉を交わすことなく
雨の降る路地裏で、膝を抱え座っている。
幽霊少年と家出少女。
世界からはじき出された。不適合者たち。
笑えるくらいに、シュール。
それも、まぁいいかな。そう思ってしまった。
可愛いシンちゃんだな
かーいい♪
しんちゃん♪
かーわい!
しんty
らーぶり(ry

ってこれは被修飾語が違うか
816不適合者45:04/10/20 17:42:25 ID:???
もう、どれだけこうしていただろう。
感覚が麻痺していく中。沈黙を破るように喋りかけられた。
「ねぇこのままじゃ、風邪引くよ?」
「…」
「僕さ、今日君に会うの実は二回目なんだ」
その言葉に、わずかに首だけ動かして、反応する。
「橋の上にいたでしょ?」
どこか、ぼんやり、あのときのことを思い出し
手首に巻かれた、包帯をみる。
雨にぬれ、うっすらと血が滲んでいた。
「あっそ…」
少年の背格好からすると、受ける印象よりどこか幼い喋り方が
少し気になる。
「あのあとさ、実は…」
言いにくそうにしているのを感じ取り、頭の中に
嫌な想像がよぎったが、どうでもよかった。
「母さんにも合ったんだ」
君を連れてった人…。
さすがに、その発言には多少ショックを受けた。
「アンタ、ユイさんの子供なの!?」
「う、、うん」
「確かアタシと同じくらいの年の時に…」
(殺されたんじゃ)
最後の言葉だけは、何とか飲みこむことができた。
そして、別の質問をする。
817不適合者46:04/10/20 17:43:02 ID:???
「名前は?」
「…碇シンジ…」
聞いてから、しまったと思った。
名前など聞いてしまうと、あとあと面倒なことになりそうだと思ったからだ。
すでに、かなり面倒な事態になっているというのに。
話題を変えるように、質問を浴びせる。
「なんで、こんな所にいんのよ」
(幽霊でだって、ママの傍に入れるなら、アタシは絶対に離れないのに)
「何度も母さんを呼んだんだけど、ぜんぜん答えてくれないし
何か怒らせちゃったかなって、思ったけど思い出せないし。
知らない町だし」
そこまで一息に言うと、少し恥ずかしそうにしてから、あたしをチラッと見て
「だから、とりあえず一緒についていったんだ」と付け加えた。

「病院の中にもいたの?」
なんだか、アタシとユイさんの会話を聞かれたかもしれないと思うと
少し嫌な感じがした。
「最初はね…でも君が寝てる間に、何度も母さんを呼んだんだけど
ずっと見えてもないみたいだったし…それで、なんか変だなって思ったんだけど
傍にいるのが悲しくて、ずっと外で待ってたんだ」
「で、アタシをつけてたってわけ?」
コクッとうなずく。
「橋の上で声をかけたとき、君は聞こえてたみたいだったから」
「アンタ、いつから幽霊やってんの?」
言ってから、なんて馬鹿な質問だろう。と自分にあきれてしまう。
「今日君に会うちょっと前。気づいたら知らない町の中にいたんだ…」
道歩いてる人に聞いても、だれも答えてくれないしさ―
そう言うとハァっとため息をひとつついて、ちっとも深刻そう
な雰囲気をださないで「どうしよう」なんていっている。
818不適合者47:04/10/20 17:44:07 ID:???
アタシは、幽霊云々よりも、さっきから気になっていることがある
この横にいる少年、どうしても見た目より幼い印象が拭えない。
とてもじゃないが、中学生の喋り方には聞こえない。
「アンタ、何歳?」
「え?10歳だけど?」
何の疑問も無く、答える。
「アンタ自分の格好みていってんの?」
そういうと、コイツは初めて自分の格好を見るとでもいうように
着ているものに目を向けた。
「なに、この服?」
「アタシに聞くんじゃないわよ。どうみたって学生服でしょ」
すでに、学校でのテンションを保つのは不可能。
不思議なほどに落ち着いている。
「だって、僕小学生だよ?」
「アタシに聞くんじゃないっていってんでしょ!!」
つい、大きい声を出してしまう。
怒りからとかムカついたから、とかではない。
ゴホッゴホッと咳がでた。
なんとなく――。
なんとなくだけど、こう思ってしまったから。
こいつが殺されたのはアタシと同じくらいの年齢のとき
そうユイさんは言った。
幽霊はこの世に未練がある。そんな話をどこかで聞いた気がする。
殺されたときのショックで、記憶が飛んでしまった。
きっと、それが正解なんだと、どこかで確信していたから
なぜか悲しくて、声を荒げてしまった。
コイツの未練。それはいったいなんだろう。
どうしようもなく、悲しかった。
ラブ・アルトリア・シロウは駄目ですか
いってらっしゃーいノシ

http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1088853041/
シンちゃんハァハァ・・・
あげ
さびれたね
不適合者の作者の文は、見れば見るほど奈須きのこワールドそのものに見えてくる・・・

最後まで応援してます。
不適合者を一番期待してます。作者さんガンガレ
826不適合者:04/10/27 11:58:51 ID:???
自信が・・。
いや、地震が、まぢで orz ガクガク。
休み無しで、こき使われてます。
最後までお話は決まってるので、なんとか・・・。
827あたしの傍に 1:04/10/27 13:42:53 ID:???


「もうっ!何度言ったら解るのよ!この馬鹿シンジ!!」
腹立たしげにそう口にしながら、また言い過ぎてしまった、と後悔する。
惣流・アスカ・ラングレー。
それがアタシの名前。
あの馬鹿は、何度言っても何を勘違いしてるのか、アタシの横に立とうとしない。
碇シンジ。
それがあの馬鹿の名前。
どこの誰もが『何で碇君なの?』とか、『あんなナヨッとした奴がなんで…』などと噂している。
良いじゃない。
アタシがアタシで決めたこと。
他の誰にも譲れない。
どんなに顔が良くても、お金持ちでも…加持さんでも。
アタシがアタシであるために、アイツの傍に立ちたかったのだ。
ヒカリに頼まれて、知らない人とお見合いデート?って言うのかな?
してみたこともあるけど、駄目。
見た目だけにしか興味ない奴なんて願い下げ。
こう…なんていったら良いのかしら?
気楽に罵り合える奴って、アイツしかいなかったのよ。
あの馬鹿くらいよ…このアタシに向かって「何やってんだよ!」なんて頭ごなしに言ってくれたの…。


短いながらもアレだけ生活を共にした異性はアイツだけだし。
それに何より、チルドレンとしてのアタシが他の誰と付き合い出来るって言うのよ。
多分どこのどいつと付き合っても、相手の男はアタシと共に居ることに疲れ果てちゃうわ。
四六時中何らかのカメラが向けられてるんだから気の休まる間が無いってね。
その点あの馬鹿はそんなのには無頓着なのか、一向に気にした様子は無い。
「誰が見てるかわからないならそれでいいんだ。見てるのが誰だかわかってた方が…辛いんだ」
って言って。
828あたしの傍に 2:04/10/27 14:19:29 ID:???

何だかんだあって、シンジがサードインパクトの核になったって聞いた。
アタシの弐号機が量産機にぐちゃぐちゃにされたのを見て、壊れちゃったんだって。
それでも、リリスとアダムの融合体に頼んで、ゼーレの爺どもだけをLCLに還元してもらったって。
アタシを…アタシにもう一度会いたい、って。
いつも喧嘩してたけど、他に喧嘩できるくらいの奴なんかいなかったって…。
そうしてアタシは戻ってきた。
赤い世界に。
目覚める前の最後の記憶は、伸ばした腕が真っ二つに裂かれた時点で終わってる。
目覚めた最初の記憶は…


あの馬鹿に首を絞められてた。


「気持ち悪い」
って言ったら泣き出した。
そりゃあ?夢か現実かはっきりしない時に首絞められてたら、そんな言葉の一つも出るってモンじゃない。
それ以来、アイツはあたしの横に立とうとしない。
真正面から顔を見ることもしない。
ただ…傍には居てくれる。
アタシが何を言っても、怒っても、笑っても。

…泣いていても。


「アスカ〜」
ヒカリが後ろから声をかけてくる。
登校途中、いつも一歩送れてシンジが付いてきている。
そのシンジにも声をかけ、アタシの横に並ぶヒカリ。
ジュン氏乙
ジュン氏なのか?
もしそうなら…

















先に碇シンジの修行時代(ry
831不適合者48:04/10/27 23:13:49 ID:???
「ねぇ君は?」
だれ?なに?その質問の続きはなんだったんだろうか。
咳が出そうになるのを無理やりに押し込める。
のどが引きつって、ひりつくような痛みに顔をわずかにしかめる。
軽く反動をつけるようにして、立ち上がる。
予想していたよりも体が揺れたのは、疲れのせいか、熱のせいか。
(どこかで雨宿りをしなきゃ)
瞬間うかんだのは、ユイさんのいた病院。
軽く頭を振って、いつの間にか横にいるた碇シンジという少年
をみる。
どこにいったって、きっとこいつは着いてくる。
幽霊から――。まぁまだ幽霊と決まったわけではないけれど。
幽霊から逃げるなんていうのは、言葉遊びにもならない。
(状況が把握できてもいないのに、ユイさんにあわせるわけにはいかない)
今度こそ、はっきりと熱のせいで体が揺れたことを自覚した。
このまま雨に当たっていれば、最悪自分は死ぬ。
『死』
そういうことに対して、現実感があったことは一度も無い。
ママが死んだとき。そう、ママが死んだときでさえ
アタシは自分もいつかは死ぬんだなんて考えもしなかった。
だから今も死というものにたいして、恐怖感はない。
このまま、雨にうたれて結果として死んだとしても
別にかまわない。
恐怖の無いものに対して、無理やり虚勢を張る必要も無いのだから。
ただ、このまま死ぬつもりも、また当然無い。
判然としない、父と義母の顔が浮かんでくる。
あいつらを喜ばせるだけだからだ。
体の一番奥が燃えるようにあつい。
ブルッと体が震えた。
一度震えだした体は止めることもできず、小刻みに震え続けていく。
ばれない様にした、小さなため息は、真っ白な軌跡を残し消えていった。
832不適合者49:04/10/27 23:55:34 ID:???
子供だったんだと思う。
そして、今もまだアタシは十分に子供だと思う。
どこからどこまでが子供で、どこからが大人なのか。
そんな、どうしようもない事ばかりが、さっきから
頭の中を駆け巡る。
(結局は、他人、第三者から大人に見られるか、子供に見られるのかって
ことで、きまる)
自分がいくら虚勢を張ろうとも――。
ずぶ濡れになった中学生がいたら、偽善という善を持った
人間に通報されるだろう。
それが、当人にとっては、どれほど迷惑なのかを考える前に。
24時間やっているコンビニだろうとレストランだろうと
体を温められればどこでも良いのだけれど、入ることはできない。
居場所が無い。それはすでに嫌というほど考えたことだったはず。
頭から追い出そうとしても、いつだってそれは無駄だった。
「ねぇ風邪引くよ?」
そんなことは、わかってる。そう言いそうになって、やめる。
幽霊らしき少年。いい加減、中学生の自分が少年というのも
どうかとは思うが、自分が十歳だというのなら、
外見はともかく、少年といっても間違いではないのかもしれない。
「…そうね」
どこまでも呑気にみえる少年。
(本人は精一杯心配している顔をしているつもりなんだろうけど)
自分だけがシリアスになっているのが、馬鹿馬鹿しくなってくる。
「でも、行く場所も無いのよ。お金も無いしね」
833不適合者50:04/10/27 23:56:38 ID:???
おどけたように、両手を広げる。
そんな態度が、似合わないかなっと、少し顔があつくなるのがわかったが
少年は気づいた様子も見せない。すこしだけ、そのことに感謝した。
アタシからまともな答えが返ってきたのが嬉しいのだろう。
満面の笑みで、非常口と書かれたドアを指差した。
笑い顔を見て、心臓が跳ね上がった。
怒りのせいではない。ただそれだけはわかった。
わかったのは、たったそれだけだったのだけれど。
初めての感情。表情に、戸惑いが出るの止めることはできなかった。
隠すように、顔だけ非常口のほうに向けた。
「さっきアンタを探してたときに、開けようとしたけど
開かなかったわ」
つとめて冷静に言ったつもりだった。うまくいった自信は
まったくなかったが。
「え?中から見たとき鍵なんかかかって無かったよ?」
そう言うと、さっさと自分だけ吸い込まれるように
ビルの中に入っていってしまう。
「ちょっ!!」
慌てて声をかけるが、すでに遅かった。
少年の言ったことを信じるわけではないが
もう一度取っ手を握り、手前に引いてみる。
結果は変わるはずもなく、ドアは開かない。
2.3回繰り返すが、結局開かない。
視線をノブにむけたとき、なんとなく嫌な予感がして
顔を上げた。
「!?」
少年の顔が目の前にあった。
悲鳴を上げなかったことは、賞賛に値すると思う。
たとえ、しりもちをついていたとしても。
834不適合者51:04/10/28 00:24:50 ID:???
思う存分、罵詈雑言を浴びせたあと、アタシは立ち上がる。
けれど、不思議と悪い感情はわかなかった。
子供のけんか、そう、子供同士の―。
不思議そうな顔をして、それでもまだ妖怪のように
ドアから顔を出したままの少年。
不思議と暖かいものが、胸にあふれてくる。
少しだけ、体に活力が戻ってきた気がする。
それが、たとえ錯覚だったとしても、気にはならなかった。
「アンタ!ちょっと顔引っ込めてなさい!」
笑顔になることを、今度は隠そうともせずに、正面にいる
少年に言い放つ。
顔に『?』マークをつけたまま、迷っている少年に
アタシはわざとらしく、眉間にしわを寄せる。
それでも、引っ込もうとしない少年。
少年少年少年少年少年少年!!
もう呼びにくい!アタシがなんと呼ぼうと
それは、自分の勝手なのだと、理由をつけ叫ぶ。
「顔を引っ込めろって言ってんのよ!ヴァカシンジ!!」
あまりのことに、一瞬顔を引きつらせ。
そのあと慌てて引っ込んでいくシンジを見届けると、アタシは
自分でも不思議なほど笑顔になっていく。
体ひとつ分ドアから離れ、すっと腰をおとす。
そしてアタシは確信を持って、ドアノブに蹴りをはなった。
ガツッ!!
鈍い音とともに、わずかにドアに隙間が開くのが見えた。
何のことは無い、さび付いていただけなのだ。
蹴ったせいで開いたのか、何度も引っ張っていたときに
すでに緩んでいたのか、そんなことはわからないけど
アタシは、ドアノブつかむと勢いよく開いた。
その中にいる少年。
ついさっき、言い訳よろしく、シンジと呼ぶことに決めた少年が
どんな顔をしているのかを、想像しながら――。
>>824
>>825
すみません。本当にすみません。
反応もとくになかったので、放置してもいいかな。
なんて考えてました。忙しいなんていうのは言い訳です。
がんばります。一人でも読んでくれる方がいる限り
必ず最後まで書こうと思います。もうしばらく続きますが
読んでもらえて嬉しいです。
>>835俺も楽しみにしてるよー
がんばれ〜
>>835
まじっすか。
あんまり騒いで、荒れると嫌なんで特に書き込んでないですが。
楽しみにしてます。最後までよろしく。
放置プレイハァハァ
839あたしの傍に 3:04/10/28 13:47:06 ID:???

別に告白したわけでも、されたわけでもないアタシ達。
付き合ってると思ってる人もいる…らしい。けど、アタシ達の関係は、ずっと前に、き、キスした事くらい。
「ねぇ、アスカってば。聞いてる?」
ヒカリがアタシの顔を覗き込んでくる。
「あ、ちょっと考え事してて。何?」
何でも、ジャージ…鈴原の事ね、相変わらずジャージ着てんのかしら。
アイツがこっちに戻ることになったらしい。
使徒戦の最中、片足を失いそのまま疎開。
しばらく音信不通になっていたらしいけど、ヒカリはどうにかこうにか連絡を取り合っていたらしい。
ちらりとシンジの方を見たら、何の感情も見せていないように見えた。
アタシにはわかるけど。

…相変わらず自虐的なんだから。

アタシ達の通っているのは、第三新東京市立 第一高等学校。
今のアタシ達は1年生。
クラスは変わらずのA組。
アタシは高校進学する気は無かったのだが、今のネルフに居ても特にすることも無いし、いまさら他の仕事につくってのもね。
幸いエヴァに乗ってた間の契約金やら何やらが相当額口座に入っていたおかげで、(成人するまでは好きに使えないらしい)利子分だけでも普通に生活出来てしまう。
シンジの馬鹿は、「アスカは進学するんだ…」と言って進路指導の用紙にアタシと同じ学校を書いていた。
どうやらネルフに入ると思っていたらしい。
もうエヴァも無いのに何する気なんだか。
そう、もうエヴァは地球上に一機も無い。
遥か宇宙のどこかに初号機は漂ってるらしいが。
そうこうしているうちに校門が見えてくる。
そこにはいつもと同じく人の壁。
赤い海から人が戻ってき始めた頃。
爆心地、と言って良いのかしら?
サードインパクトの影響が最も早く顕現していたここ、第三新東京市の人々が真っ先に戻ってきたそうだ。
840不適合者52:04/10/28 21:51:57 ID:???

はたして、そこにいたシンジの顔は自分にとって
どんな意味を持っていたんだろうか。
もしかしたら、意味があったのかもしれない。
「中もたいして暖かくないわね」
薄暗い廊下を進んでいくと、程なく小さな部屋に着いた。
部屋の中には書類の束などが、無造作に捨てられていて
隅には凹んだ小さな金属製の丸いゴミ箱が倒れていたりする。
他には、足のひしゃげた机とそれに、はまるようなイスが
ワンセット放置されているくらいか。
何かに怯えるようにしながら、シンジはアタシの後ろについてくる。
僅かに町の街灯でも差し込んでいるのか、不思議とうっすらとした
明るさを保っている。
だいぶ前に放置されていたらしいビルの中は、人が入った気配
が感じられず、取りあえずは朝までいるくらいなら
安全なのかもしれない。
小走りに、捨てられた机にいくと、いくつかある引き出しをあさる。
耳をふさぎたくなる、嫌な音を上げながら、上から順番に
開けていくが、目当てのものが見つからない。
雑然と要らなかった小物が詰め込まれていて、探しづらい。
アタシは、引き出しを全部机から引き抜いてしまって、床の上に
ぶちまける。
「何してんの?」
相変わらず、幽霊の癖にあたりをビクビクと見回しながら
聞いてくる。けれど、取りあえず今はかまわず
アタシは他の引き出しも同じように床に中身を出していく。
使えそうに無いものは、適当に端によせていき、数回
そんな作業を繰り返すと、目的のものを見つけることができた。
841不適合者53:04/10/28 21:53:39 ID:???
「あった!」
自分の予想が当たったことに多少嬉しさを感じつつ
シンジに対して、解答を見せる。
「…ライター?」
「そ、使い捨てライター」
タバコを吸っていた人が、捨てていったんだろう。
そういって、ふってみせると、幸いなことに
多少は中身が入っているのか、液体がゆれている
様子が見えた。
「なんに使うの?」
コイツさっきから、質問しかしてこないわね。
そんなことを考えながらも
「忘れてるかもしれないけど、アタシは寒いのよ」
それだけ言うと、すぐに歩き出す。
部屋に散らばっていた紙くずを集め、隅に転がっていた
ゴミ箱の中に、無造作にいれていく。
適当な一枚を手に取り、使い捨てライターで火をつけようとするが
かじかんだ手でうまくできない。
手を丸め、息を吹きかけてから、再度挑戦する。
心配していたような、火がつかないということも無く
数回繰り返したときに、うっすらとした火がともった。
紙に火が燃え移るのを確認してから、火種をゴミ箱の中に入れる。
一瞬の間があってから、火は他の紙にも燃え移っていく。


842不適合者54:04/10/28 21:57:33 ID:???

わーっというシンジの歓声を横に、アタシはモノクロの炎を
不思議な気持ちでみつめていた。
紙はまだいくらか手元に残っている。
いくらかも持たないだろうが、体を温めることくらいは
できるかもしれない。
今は何時だろうか。昼まではしていた時計は
すでに、手元には無い。
学校でのことは、もう遠い昔の出来事のようだ。
シンジのこと、アタシのこと。
考えなければいけないことは、山ほどある。
雨降る夜は、まだ長い。
ひとまず、体を休めよう――。
汚れた床に腰を下ろし。
色の無い炎の暖かさと、横にシンジが座るのを
感じながら、アタシはゆっくりと眼を閉じた。

843あたしの傍に 4:04/10/30 15:17:57 ID:???
使徒戦の顛末を、そのまま世界中に知らしめては、ネルフは自らの首を絞めるようなものである。
ネルフにとって致命的なその真実を知っている者は比較的少ないが、使徒戦直後の日本政府の対応を考えれば、じっとしていて事態が好転するはずも無く。
上層部で唯一あの海から帰ってきていた副司令は、同じく同時期に戻ってきていたオペレーター三人組と共に、MAGIに残っていた各種データーを全世界に配信。
使徒戦の初期から日本政府主導による戦自侵攻の映像、最後の量産機との戦闘まで、無修正で垂れ流した。
筋書きとしては、全ての使徒を撃退し終え、その役目を終えようとしていたネルフ。
そこに人類補完委員会の裏側、ゼーレって奴らが日本政府を動かして侵攻、ネルフを潰し、エヴァ建造技
術を独占して、そのエヴァの力をもって世界を牛耳るつもりであった、という実に陳腐な物。
何とかゼーレのエヴァを倒したが、彼らの量産機に積まれていたS2機関が暴走、擬似サードインパクトが起こった、と言うことになった。
ゼーレの連中によって作り上げられていたエヴァ量産機は、このアタシの弐号機がぶち倒していた画像がきっちり残ってたが、それ以降はMAGIのファイルのどこを探しても何も見つからなかった。
弐号機が、あと僅かで全ての量産機を倒しきれると言うところで槍のコピーに貫かれたところで配信は途切れる。
それ以降は冬月副司令の語りで。
弐号機はその後、修復不能なほどに蹂躙され、初号機は量産機の暴走を押さえ込むためにATフィールドを逆向きに展開し、押さえ込もうとした際に諸共に消失。
結果、半端なインパクトが起きてしまったのだ、と。

おかげで弐号機パイロットのアタシはヒロインに祭り上げられてしまった。
眼前に広がる人の壁は、どこから漏れたか、秘匿のはずのアタシの通学先を知った報道関係や野次馬連中。
最近ではファンクラブまであるらしい…。
かなり期待できるAEoEですね。
めちゃくちゃ楽しみ。
いずれ完結したあかつきにはどこかのサイトにまとめてくださることを期待します。
845あたしの傍に 5:04/10/30 20:22:07 ID:???
シンジは、といえば。
あの時、階段の下でうずくまっていたシンジ。
戦自の兵に銃を向けられ、危ういところをミサトが救い出したところも配信されていた。
その後、ミサトが撃たれ殉職したため、シンジはケイジに辿り着けず、初号機はファーストが乗って戦闘に出た、ということになった。
実の父である司令は戦自の最重要目的であったため、侵攻により命を落とした、ということなっていた。
実際下半身だけの死体が見つかってたし。
対使徒戦においてのエース。
それに加え、保護者の女性が目の前で撃たれ、死亡。
おまけに父まで、と来ればもうマスコミが放っておくわけもなく。
一躍悲劇の少年となってしまった。
勢い、戦自への風当たりは極端に強くなり、日本政府の対応もこちらの思うがまま。
検挙されたゼーレ関係者は粛清というのもおこがましいほどの目にあい、人権を無視され、拷問や、過剰な薬物などで関係者の繋がりの自白を強いられた。
ま、自業自得よね。

そうしてアタシ達は、やっとそれなりに平和な日々を送ることが出来るようになったのだ。

「せーの、あ゛っずがぢゃーん」
うわサブッ。
自称このアタシ、惣流・アスカ・ラングレーファンクラブ親衛隊の連中が、朝っぱらから気持ち悪いダミ声を張り上げる。
この日本流のアイドル追っかけってのが、未だによくわからない。
『一、親衛隊たるもの、アスカ様に近寄る有象無象を排除し、彼女をあらゆる害悪から守るべし』
というのがあるらしい。
じゃあまずあんたらが消えてくれって感じだけど、そういう言葉は耳に入らないみたい。

…シンジと同居してるのなんか知ったらどうなるのかしら。

そう、アタシとシンジは今もあのマンションで同居している。
保護者のミサトは死んじゃったけど、アソコ、ネルフの官舎だったらしく、監視するにも保護するにも都合が良いらしくって。
一応若い男女が同居なんてばれたら、しかも、救世のアタシとシンジだ。
世界に轟く大スキャンダルになっちゃう。
846あたしの傍に 6:04/10/30 21:01:58 ID:???

一階上の部屋をシンジの住まいってことにして、床ぶち抜いて続きにしてもらった。
お隣じゃあ勘繰る奴も出てくるだろうから、って事で。
もちろん、ナイショで。
知ってるのはオペレーターのメガネの人と、ロン毛の人だけ。
なんて名前だったっけ。
まあいいわ。そんな訳で、帰宅だけは別々の玄関で。
寝るのも食べるのも前のと同じ場所なのよ。
あ、ペンペンはヒカリのとこに行きっぱなし。
妹のノゾミちゃんにやけに懐いちゃったらしくって、さ。
アタシ達が引き取って可愛がってあげたほうが、ミサトも…喜んでくれるんじゃないかな、ってヒカリは言うけど…。
アタシ達にそんな余裕は無かったのよ、ホント。
まあ、死んじゃった人のことを基準にして生きたら駄目よ。
今生きてるアタシ達の為にも。

親衛隊とは別に、報道のカメラもアタシ達を捉える。
『今日のチルドレン』とか言う枠を作って流してるらしい。
馬鹿じゃない?とも思うけど、結構な視聴率があるんだってさ。
副司令…ああ、今は司令になってるんだったわね。
司令が言うには、『ネルフのイメージアップにも繋がるのだから、我慢してやってくれんかね?』だそうだ。
まあ、校門前で撮ってるだけだから、ね。
…でもあの馬鹿メガネが、校内で隠し撮りした奴を売りさばこうとしてるのを見つけたときは。
怒りに任せて二階から飛び降りざまの踵を脳天にぶちかましちゃったけど。
全治二ヶ月。頭蓋骨骨折、脳挫傷、脳内出血、とまあ…じ、自業自得よ、ね?ね?

「おっはよー」
クラスのみんなに挨拶して着席。
アタシの席は窓際の一番後ろ。
横はシンジで前はヒカリ。
…なんでもアタシ周辺の席を得るために、乱闘沙汰になりかけた末の結果らしい。
なんか米っぽいな
>>847
作者捜し(・A・) イクナイ
誰だって良いじゃん。
気軽にかけるのが掲示板投稿の良さだぞ。
脳挫傷まで行くと後遺症が出そうだな。
850あたしの傍に 7:04/10/31 03:51:04 ID:???
同じクラスになるのだって裏工作とかあったそうで。
ちなみに前年度までのこの学校の入試倍率は1.1倍程度。
アタシ達のときは、13.6倍まで膨れ上がってたとか。
その頃って、アタシ達の情報なんてろくに流れてなかったでしょうに、よくもまあ調べたもんだわ。
日本じゃ政府機関より、週刊誌のレポーターのほうが情報収集能力が高いって言う話、ホントみたい。

シンジが受からなかったらどうしよう、と心配したのはその倍率を聞いてから。
あの馬鹿ってば、全然勉強しようとしないんだから…。
尻ひっぱたいて勉強させたわ。
教えるアタシの方が復習になっちゃって、つい入試全科目満点取っちゃったけど。
おかげで入学生総代とかやらされちゃって、目立つったら。
シンジはまあ人並みの成績だったらしい。
ほんと、平凡を絵に描いたような奴だって笑ったら、頬をポリポリと掻いて…久しぶりに一寸だけはにかむ様に微笑んだ。
…うん、アンタ笑ったほうがいいわ、といってあげれば良かったかな…。

お昼休み、アタシ達はいつもの様に屋上に出陣。
アタシとヒカリとシンジの三人でお昼をとる。
教室だと、シンジの作ったお弁当をアタシが食べるところを、ジロジロ見る奴が多すぎてご飯がのど通んないのよね。
ヒカリが今日も、自作のお弁当のおかずと交換しよって言ってきた。
う、いいけどさ…。
…ヒカリのチョイスしたのはシンジ特製タマゴ焼き。
オムレツ風に、中が半熟のトロトロになってるアタシのお気に入り。
あ、そんなに持ってく気?
…じゃあヒカリのそのエビフライ貰うわよ。
だめ、もう遅いわよ。
四の五の言わないの!その玉子焼きはそれっくらい美味しいんだから。
ほら、ね?
ヒカリの驚く顔を横目に、ちょっと得意げにご飯を掻き込む。
シンジが横で、「もうちょっとゆっくり噛んで食べたほうがいいよ」って。
はいはいわかったわよ。
MoE
852あたしの傍に 8:04/11/02 13:28:27 ID:???
しかし毎度の事ながら…この報道の連中は…。
屋上で食べる欠点は、報道のヘリが覗いてくるおかげでローターの音が気に触るってトコね。
でもまあ、間近でじろじろ見られるよりは、と無視してる。
…おかげで今みたいにガツガツと頬膨らませて食べるシーンまで撮られちゃうのが…ね。
でも、どこがいいのか、そう言う映像の方が受けるのだそうで。
アタシの人気はかえって上がっちゃったりしてるのだとか。
で、だ。
いつもそばに居るシンジには、その逆で…。
生来の線の細さで、女性達にはそれなりの人気を獲得しているらしいが、こと男性に関しては…ごく一部の趣味人を除いて、憎悪に近い不人気を獲得してしまっているそうで。
最近のアイツの靴箱には、その手の手紙が山盛り。
初めはアタシも「モテモテねェ、よりどりみどりじゃない」なんて言っちゃったけど…。
大丈夫かしらアイツ。
昔みたいに他人の顔色窺うことは無くなったけど、対人関係が苦手なトコは変わってないと思うし。

放課後
校門を出る際に、毎度の事ながら、報道のカメラが向けられる。
で、あの親衛隊達のダミ声。
ああ…鳥肌が立っちゃった。
アタシの半歩後ろをついてくるシンジに突き刺さる視線がわかる。
…アタシと一緒に歩く限りは変な動きは見えないけど、シンジ一人にしたら嫉妬にかられた連中に襲われたりして…。
食事の買い物とか、アイツ一人で行くこと多いけど…大丈夫なのかしら。
かといって付きっ切りだと、かえって周囲の嫉妬心を煽るし。
うーん二律背反。
このアタシの美貌が罪なのね、なんて思ったりなんかしちゃって。
…それはそれとして。
今日はネルフで定期健診の日。
ここんとこ、本部に行く機会ってこれくらい。
あそこに向かうリニアは職員以外乗れないから、ちょっとだけ気が休まる。
エヴァに乗ってたアタシ達には何らかの後遺症があるんじゃないかって事で。
すみからすみまで、それこそ髪の毛の先まで調べるのだ。
853あたしの傍に 9:04/11/02 16:31:40 ID:???
でも、いつもの事ながら、アタシは健康そのもの。
使徒戦が終わって、無茶な訓練が無くなったとたん、生理不順も無くなって。
生理痛もごく軽くなった。
身長は160ちょっとこえた位で止まったちゃったけど。
ちぇっ。170くらい欲しかったな。
でもあの馬鹿は、意外に背が伸びた。
いつも猫背だから、普段はそう背が高いって気がしない。
ちゃんと背を伸ばせば…ねぇ。

不思議なことに、アイツの検査はいつもアタシより時間がかかって。
今日もアタシは待ちぼうけ。
先に帰ってもどうせボーっとアイツが帰ってくるの待ってるだけだし。
それなら一緒に帰る方が建設的でしょ?
だからネルフからの帰りはいつも、家ではシンジのご飯だからって事で外食するのが通例になってる。
で、待ってるんだけど…。
なんでこんなに時間かかるんだろ。
別に身体の具合がどうのってワケじゃなさそうだし。
前に検査中に担当の職員に聞いたら。
「さあ…。私は惣流さんのデータしか触れないので」
って感じで誰に聞いても教えてくれない…。
言葉を濁されたほうが気になるって言うのにさ。

「で?アンタの検査ってホントのところどうなのよ?」
直接シンジに聞いたって…。
「…僕にわかるわけないじゃないか。アスカと違ってカルテのドイツ語なんか読めないんだし」
ま、そりゃそうか。
不思議と日本の病院じゃカルテに書き込むのってドイツ語なのよねぇ…。
854あたしの傍に 10:04/11/02 17:26:35 ID:???
「ねぇシンジ。今日は何にする?」
やっと出てきたシンジを伴って、帰り道はちょっと遠回りして繁華街へ。
じろじろ見られるのはいつもの事だから、気にはなるけど反応はしない。
たまーーにトチ狂った奴がいるみたいだけど、黒服の人が何処からか出て来ては引きずっていく。
…ご苦労様。
シンジってば最初の頃は、「人込みだとガードの人達が大変じゃないかな…」なんて気ぃ使ってたけど。
それはあの人たちに対する侮辱。
信頼して無いって事なのよ?って言ったら、それからは余計な気遣いはしなくなった。
アタシ達があの人たちに対してするべき事は、守られてるって意識を忘れないこと。
急に電車に飛び乗ったりして、追跡が困難になるようなことをしないように。

「アスカは何が食べたいの?」
…質問に質問で返すんじゃないわよ。
じっと睨んだら、気が付いたのか
「あ、えーと。今日はあっさりしたのがいいな…」
って。
アタシの事優先するのは…まあ嬉しいんだけど。
アンタの食べたい物聞いてる時にまでそれ持ち出すのはちょっとね。
「じゃあ、あそこ行きましょ」
そう言ってスタスタと歩き始める。
前から目ぇつけといたのよね。

「…ここって…」
んっふっふっふ。
驚いてる驚いてる。
今アタシ達は繁華街のビルのど真ん中にスコンと開けた場所に来ている。
使徒戦が終わって、一般企業が入って来るようになって。
ぶっ壊れたビルの再建なんて無駄な費用は使わないで、更地にして出店を募ったとか。
純和風の…料亭っての?。
いかにもお高そうな店構えで普通の客を締め出してるって感じの。
855あたしの傍に 11:04/11/02 17:55:41 ID:???
「ま、拙いよアスカ。こういう店って凄く高いし、それに…」
…うるさいわね、アタシがここって言ったらここなのよ。
ジロリと睨んだらそれ以上は言わなかった。

大仰な門を開いたら、これまた大層な和風の庭園。
更に進んで行くと、これまたご立派な玄関が有って、中に入ると和服の女の人が迎えてくれた。
「いらっしゃいま…せ」
頭を上げて、アタシ達を見た瞬間、ちょっとだけ言葉を詰まらせた。
まあ、普段偉そうな親父連中しか来そうに無いこんなトコにアタシ達みたいなのが顔出したら驚くでしょうね。
それでも教育が行き届いているのか、それ以上は慌てた素振りも見せなくて。
「しばらくお待ちくださいませ」
って言って奥に引っ込んじゃった。

「ねぇアスカ。やっぱ拙いんじゃない?こういうところって一見さんお断りって…」
一見さん?なにそれ?
何でも、こういう仰々しいお店は通りすがりの人はお断りするんだってさ。
…客商売が客を選り好みするってこと?

後になって冬月司令に聞いたんだけど、「ああいう店はだね、客の素性に敏感でね。まあ、昔から続く老舗の本店などは特にね。店で酔って暴れるなんて事があったらとんでもないことになるからね」って。
どういう事かしら、と思ってたら、更に補足された。
「…ごく普通に、だね。『そこの柱の傷は、応仁の乱の折についたんです』なんて言われてごらん。下手に弁償なんて言葉も言い出せない」
要するに、店のあちこちが、これでもかというくらい諸々のお金に換算できない物がひしめき合っているのだと。
そんなことなんか知らないアタシは平気で入ってったワケで。
まあ…この店は幾らなんでもそんな歴史は無いけれど…。
今思えば、飾ってるお皿とか部屋の壁にかかってる白黒の絵とか(水墨画って言うらしい)は、それなりの品だったのだろう…。
アタシにはわかんないけど。

ちょっとの間、玄関で待たされてたら、奥からさっきの女性よりも少し年配の、いかにも女将って感じの人が出てきた。
アタシとシンジを一瞥して、表情も変えずに床に腰を下ろした。
「いらっしゃいませ、ただいまお部屋をご用意しておりますのでしばらくお待ちください」
そう言って、床に手をつけて出迎えてくれた。
856あたしの傍に 作者:04/11/02 17:58:16 ID:???
…つまんないっすか?
俺はつまらんが楽しみにしている人もいるのだろう
俺俺!俺が楽しみにしてるよ!
859不適合者:04/11/02 19:26:01 ID:???
非常に楽しみにしています!
私はかけないけど、読んでますから!!
俺も楽しみにしてるよ
俺だよ!俺、おれ!
何気に続きが気になるからどんどん書いてくれ
自分で書いていて、つまらないならそれでいいけど。
でもそれでも、これから楽しくなりそうな展開を書けばいいと思うぞ。
まぁ読んだことがない俺が言うのもなんだがな。
欠かさず読んでます。何も起きない淡々とした日常ってのも言いモンですな。
シンジ君の検査に時間がかかってるのが今後の展開の鍵ですか。
俺は特定の人のしか読まない。
他のはスルー。
>>856
かなり楽しく読ませていただいてますよ。
本気で面白い。打ち切られたらマジで悲しい。
日常系AEOE最高
867あたしの傍に 12:04/11/03 01:50:02 ID:???
「こちらでございます」
女将さん風の人に連れられて、部屋に入ったアタシ達。
やけに奥の方の…渡り廊下も通ったから離れって奴ね。
「へぇ、広いのねぇ」
部屋は、ウチのマンションのリビングよりも広かった。
「すぐにお料理をお持ちいたしますので、お待ちください」
そう言って音も立てずに襖を閉めて立ち去った。

シン、と静まり返った空間。
さっきまでの繁華街の雑踏が嘘のよう。
「…な、何だか落ち着かないね」
…情けないわね。
この程度がなんだってのよ。
「あ、こ、こっちにも部屋があるんだ」
まったく、ウロウロしないで落ち着いて座ってなさいよ…。
でも部屋と部屋を、鍵も何も無い襖って奴で区切ってるだけなんて、ホント日本の家って変よね。
…隣の部屋を覗いてたシンジが、何かぎこちない動きでテーブルの向こう側に座り込んだ。
へたり込んだ、って言ったほうが合ってるかもしれないけど…。
「なによ。どうしたっての?」
立ち上がって襖に手をかけたら、シンジが慌ててなにやらごちゃごちゃと言って来た。
「あ、ああ、アスカ?も、もう食事が来ると思うから、座って待ってようよ」
変なの。
隣の部屋に人の気配もないし、何か変なものでも居たのかしら。
何気なく開けて覗いて…。
…。
拙い。
これは拙いわ。
シ、シンジがあんな風になっちゃったのも、わかる。
ここって、ご飯食べるところ…よねぇ。
…なんで続きの部屋に、お布団しいて、ご丁寧にマクラが二つ、一つの布団に並べてあんのよ!
868あたしの傍に 13:04/11/03 03:37:57 ID:???
運ばれて来た料理は、美味しかった…。
と思う。
多分。
終始無言で、ぼそぼそと口に運んでは、飲み下す。
アタシもシンジも、料理が運ばれてくるたびに極端に反応しちゃって、料理を運んで来てくれた人…仲居さんっていうの?
その人に変な顔されちゃったりした。
…だって、ねぇ。
…まあいいわ。
食べたら帰ればいいんだから。
そうよ、隣の部屋にお布団しいてあるからって、その…使わなきゃダメってわけじゃないんだし。
さ、そうと決まったらチャンと食べて帰りましょ。
って、ちょっとシンジ?
何真っ赤になってんのよ。
この馬鹿!もしかしてお酒飲んだの?
って…お酒なんて出てないわね。
…ん、と。
あ、このお漬物かしら…アルコールのにおいがするし。
アタシみたいに思考の再構築が出来なかったシンジは、多分なにを食べてるかもワカンないまま口に運んだのだろう。
しかし…これっくらいのアルコールで真っ赤になるなんて、先が思いやられるわ。
「まあ、大丈夫ですか?」
さっきの女将さんが、様子を覗きに来てそういった。
「あ、ハイ。ちょっと顔が熱いくらいで、別に…」
…あんまり大丈夫そうには見えないわよ?
目が泳いでるし…。
「申し訳ありません。奈良漬けをお召し上がりになってご気分をお悪くされる方、大人の方でも割といらっしゃるのに…」
さすがに未成年者の酔っ払いは拙いでしょうねぇ。
…し、しょうがないわね。
酔いが醒めるまで寝てなさい。
ちょうど布団もあることだし。

まったく情けないったら。
>>868GJ!!
ほんとマジありがとう!
眠れねぇから2CH回ってたら、
香田さんの動画見ちゃってかなりキてたんだよ

かなり和らいだ。これで眠れるよ
870あたしの傍に 14:04/11/03 13:02:03 ID:???
「ほんッと、馬鹿シンジよね!まあ、しょうがないわ。こればっかりは体質ってもんがあるし」
「ごめんねぇ、アスカァ」
ちょっと呂律までおかしくなってきてた…。
布団に放り込むと、あっという間に寝息を立てちゃった。
…ほんっとに弱いのね。
日本人って、アルコール分解酵素、持ってない人が多いんだ…、って…ミサトが言ってた…。
アレだけ飲むミサトが、そんな事言っても説得力ってもんに欠けてたけどさ。
…シンジ見てると、ホントだったんだなって…。
ごめんね、アタシがここに入るって強引に誘ったせいね…。
…なんで面と向かっては言えないのかしらね、アタシって。

まあ、それでも空きっ腹には勝てないアタシ。
襖は開けっ放しでチラチラ様子を見ながら箸を進めた。
…味は、良いのよね。うん。
でも、美味しくない…ってなんか変ね。
おもむろに立ち上がって、テーブルをシンジの寝てる布団の傍まで引きずる。
ウン…なんか落ち着く。

「…ア、スカ?」
あら、お目覚め?
デザートに出された西瓜を食べながら、目を覚ましたシンジに目をやる…。
っていうか…。
ずっと見てたんだけど、これは内緒。
いかにもたった今、目が覚めたのに気が付いた感じで。
「え、と…」
ゆっくりと起き上がって、周囲を見渡すシンジ。
「…ここどこ?」
…まさかあの程度のアルコールで記憶がとんだっての?
「…検査帰りにご飯食べに寄ったお店よ、アンタそれッくらいも覚えて無いの?」
首を傾げて、しばらく思案に耽ってた。
どうやら記憶を遡って一から反芻してるみたい。
急に、また顔が赤くなって…思い出せたみたいね。
871あたしの傍に 15:04/11/03 13:49:45 ID:???
「ほら、眼ぇ覚めたんならアンタも食べなさいよ」
テーブルに所狭しと並べられた料理。
…チョット冷めちゃてたりするけど。
「あ、うん…」
モゾモゾと這い出てきて食べ始める。
そんなシンジを、テーブルの上で組んだ腕に顎を乗っけてぼぉっと眺める。
チラチラとアタシの視線を気にしてるのがなんか可笑しい。
不思議と笑みがこぼれて、さ。
ちょっと悪戯してやった。
まだ手をつけてない茶碗蒸しに手を伸ばして、さじでプルプルのその中身をひとすくい。
シンジの目の前に突き出してやった。
「な、なに?」
…相変わらず察しの悪い奴ね。
「あーん」
くっくっく。
おろおろしてる。
お箸落としちゃって、あたふたと拾ってたり。
「あーん」
もう一回言ってやったら…周りをきょろきょろと見回して首を突き出してきた。
誰が覗くって言うのよ。
もうちょっとで口に入る、って距離で、ついっとさじを引っ込めてやったら面白いくらいにテーブルに突っ伏しちゃって…。
大失敗。
アタシの方に色んなものがぶちまけられちゃった。
チッ、慣れない事はするもんじゃないわね。
「んもう!何やってんのよ馬鹿シンジ!」
「な、なんだよ!アスカが悪いんじゃないか!」
こんな風に言い争ったの、いつ以来だろ…。
って懐かしんでる場合じゃないわ。
ああもう、シミになっちゃう。
「どうかなさいましたか?」
872あたしの傍に 16:04/11/03 14:18:00 ID:???
さっきの女将さんが慌てて入ってきた。
ま、あんだけおっきな音立てたらそりゃ飛んで来るわよね。
「まあまあ、お召し物が」
って言って大慌てでおしぼりを持って来てトントンたたいて汚れを落としてくれたけど…。
「…落ちないわね」
「そのようですわね…」
そんなアタシ達を見て、またシンジが「ごめん」って…。

で、ね?
怪我の功名、って言うのかしら。
「…すぐシミ抜きに掛けますので…」
って女将さんがアタシを引っ張って別室に。
それはそれは手際よく、あたしを素っ裸にしてくれちゃって。
「クリーニングにお出ししますので、それまでの間こちらを」
ってさ。
ふふん?
なかなかいい感じじゃない。

「あ、あす、か?」
部屋に戻ったアタシを見て、シンジは言葉を詰まらせて。
女将さんに和服、貸してもらっちゃった。
ほんと、こんなの着る機会なんてまあ無いわよね。
「従業員用のモノで恐縮なのですが…」
って。
足が長くって、腰の位置が高いからって着付けに苦労してたけど。
長い髪をくるくるッと纏めて、アップにして、なんか串みたいなので留めてくれた。
シンジってば、ぼけーッとアタシを見てるわ。
ホント馬鹿シンジよね。
こういう時はなんか言うことがあるでしょうに。
873あたしの傍に 17:04/11/03 14:36:53 ID:???
ふらふらと立ち上がってアタシの目の前に立った…。
いつも、ここんとこずっと、アタシの前に立って、アタシの目を見てくれたことなかったのに…。
そう思ってたら、いきなり抱きついてきた!
「ちょ!ちょっと、この馬鹿!まだ酔ってんの!?」
「ごめん…ちょっとだけこのまま居させて…」
…何気にコイツのツボを突いちゃったのかしら。

しばらくして、やっとアタシから離れた馬鹿シンジが…。
「…あれから、さ」
ぽつぽつと、話し始めた。

『何を願うの?』
ファーストに聞かれて…。
『…もう一度会いたかったんだ』
溶けちゃった人達に会いたいっていったんだって。
でも…。

「でも、アスカは…」
アタシは…
「その時には、もう、弐号機の中で…」
…なに?
「補完した時に、死んじゃってた人は戻らないって、綾波が」
…どういうこと?
「…アスカは、僕が望んだから戻ってきたんだって、綾波はそう言ってたんだ…」

ゼーレの幹部連中は、ファーストの力で戻る意思があっても戻ってこれないようにしたって。
その時、すでに、…死んじゃってたアタシは…。
自分で戻るなんて意思が無いわけで…。
874あたしの傍に 18:04/11/03 14:56:00 ID:???
「ふ、ふざけんじゃないわよ!」
アタシは!
…アタシは…。
なんで戻ってきたんだろう…。

「…僕が、僕の勝手で、アスカに帰ってきてもらったから…」
だからアタシを見なかったの?
「僕のせいで、人と人の、心の壁を、せっかく繋がった心を、またばらばらにしたから…。そんな世界に無理やり引き戻したのは僕だから…」
だから、だから、だからアタシの傍にいたって言うの!?
アタシの傍に居たのは!
居てくれたのは!!
ただの償罪だったの!?
「それに、僕の身体は、もう人間じゃないらしいんだ」

…なによそれ。
どこをどう見ても…人間じゃない。
シンジの最後に発した言葉で、頂点に達していたあたしの憤りや怒りや…哀しさは。
全てが疑問に変わる。
「あの時、僕はアダムとリリス、二つの使徒が混ざり合った綾波達と、繋がったんだ…」
達?…まあいいわ。
それで?
「もう一度、人として生きて行きたい、って。心が痛い世界でも、傷つけあいながらでも、アスカと居たい、って…。そう思ったんだ」
それはさっき聞いたわよ!アンタが人間じゃないって、それどういうことよ!
「…僕は、赤い海から最初に戻った…新しいアダム…らしいんだ」
…はぁ?
「で…、ね?」
なによ。
「アスカが…イブなんだって…」
はぁあああああ????
875あたしの傍に 19:04/11/03 15:20:35 ID:???
アダムとイブ…創世記に出てくる最初の男と女…よね。
「最初に戻った僕の…ね?その時の僕は、本当に使徒そのものだったと思うんだ。カヲル君…ああ、アスカは会ったことないんだったっけ…最後の、見た目は人そっくりの使徒だったんだけど…」
ああ、フィフスね。ライブラリでざっと見たけどさ。
「そんな存在だったんだ…。だけど、アスカが居ない。アスカが居ないならもう…って思ってたんだ」
…ふんっ。それで?
「アダムとリリス、融合した綾波とカヲル君が…消えようとした僕に、人として生きたいなら、全ての人の、心の壁を戻そうって。僕を苦しめた、ゼーレの人たちは戻さずにって」
じっとアタシを見つめるその目は…。
嘘を言ってる目じゃなくって…。
「でもアスカを戻すには、普通じゃだめだって。もう死んじゃってる人は…戻しても抜け殻だって。」
…。
「それで、僕から何かを抜いて、アスカに…アスカがアスカであるための、何かを、新しく創った、って」
あ、たしを、創った?

神が塵から創ったアダム。
自分にふさわしいモノが、神の作った生き物の中から見つけられなかったアダム。
神は、アダムから、あばら骨の一部を抜き取って、女を創った…。
…ホント、聖書の模倣ね。
オリジナリティの無いことこの上ないわ。
意外に、って言うか。
アタシはあんまり動じなかった。
ふん、それで?って感じ。
アタシはアタシで、ちゃんと考えて、ちゃんと生きてるわよ。
Cogito ergo sum
我思う、故に我ありっ、てね。

「アンタの言いたいことはまあ解ったわ。でもね!」
人間じゃないから、ねぇ。
「だからって、アンタがアンタなのは変わんないでしょうが」
それとも・・・もしかして…。
…アタシが、アタシじゃないかもしれないから…怖かった、とか?
「本当のアタシじゃないかもしれないアタシは…キライ?」
876あたしの傍に 20:04/11/03 15:35:49 ID:???
「っ!そんなこと!…そんなこと、あるもんか…」
言葉の最後のほうは、聞こえるか聞こえないか、ギリギリの声で。
まあ、アンタにしちゃ上出来ね。
じゃあ問題ないじゃない。
「あ、アスカはどうなんだよ…」
う…。
き、嫌いなわけないじゃない、って思っても聞こえないわよね。
…察して欲しいもんだけど。
天国だか地獄だかわかんないけど、ミサト?
察しと思いやりの心、シンジに育ってないわよ?

相変わらず面と向かうと、そう言う言葉が口から出ないアタシ。
この大事な時にさえ!
言う気は満々なんだけど、息がつまっちゃう感じで口から出ない。
…なんかのトラウマかしら。
こ、こうなったら行動あるのみよ。

シンジの前からスタスタと移動し、隣の部屋に。
掛け布団の上にしゃがんで、さっきの女将さんみたいにチョコンと指をついて。
「…アスカ?」
シンジの声が、頭の上から聞こえてくる。
「…や、やさしく、して、ね?」
やっとのことで喉から搾り出した言葉で。
顔を上げたら、目の前に、膝をついたシンジの顔が、同じ高さにあって。
優しく、キスしてくれた。
…歯が当って痛かったのは、経験不足だから許してあげるわ。
他の女としてない証拠だし、ね。
877あたしの傍に 21:04/11/03 15:50:41 ID:???
…眠い。
もう朝?
障子越しに差し込む朝の光で、目が覚めた…。
って、障子?
普段はありえない環境に、アタシは一気に覚醒した。
…ああ、そうだ。
昨日、ネルフからの帰りに、夕飯食べる気で寄ったお店で…。
身体を起こすと、横で惰眠を貪る馬鹿の寝顔。
…男ってずるいわよね。
最初っから気持ち良いんだから。
…っつ…。
身体をよじると、下腹部の奥が鈍く痛みが走る。
…でも、ね。
嫌じゃないわ。
ほら、馬鹿シンジ。
早く起きなさい。
目が覚めてアタシが居なかったら、夢だったんだ、とか言い出しそうで、さ。
…こうまじまじとコイツの寝顔見るのって…実際初めて、ね。
何気なく頬に触れてみる。
…柔らかいわね、おまけにすべすべ。
チッ、なんか腹立つわね。
気がついたら、アイツの鼻を摘んでた。
「ぶはっ!」
起きた起きた♪
「な、何すんだよ!あ、す、か・・・」
飛び起きたその視線が、アタシの顔から、胸、お腹、その下、と下がるに従って、声もトーンダウン。
一気に顔が真っ赤になる。
昨晩はおっとこの子だったのにねぇ…。

878あたしの傍に 22:04/11/03 16:30:14 ID:???
部屋の奥に、更にもう一つ扉があって、そこは浴室になっていた。
さすがに一緒に入るのは、まだちょっと、ね。
「馬鹿シンジぃ〜?いっしょにはいるぅ?」
でも一応お約束ってことで。
「ば、ア、アスカ!何言ってんだよ!」
未だ顔を赤くしていたシンジが更に真っ赤になる。
くくくっ、と笑って湯船に沈む。
はぁ、風呂は命の洗濯、か。
ミサトが、よくそう言ってたってシンジに聞いた。
確かにシャワーだけ、ってのよりは、遥かにいい感じよね。

お風呂から上がったら、朝の食事の用意が済ませてあった。
…丁寧に折りたたまれた、アタシの服と一緒に。

なんだか女将さんの顔を見るのが恥ずかしくて。
お会計をするときは、それでもちゃんと、ね。
「…なにこれ」
差し出された用紙に書かれてあったのは、クリーニング代だけ。
思わず顔を上げたアタシを見つめる女将さんの瞳は、やけに優しげで。
「あ、あの…」
「今度いらした時には、キチンと頂きますわ。これは私達店の者一同の感謝の気持ち」
想定外の洗濯代だけ頂きます、って。
…アタシ達の事知ってて、それでもなお、知らない風に対応してくれてたんだ…。
アタシ達二人は、深々と頭を下げてお店を後にした。
仲居さんたち総出でお見送りしてくれたのは、だいぶ恥ずかしかったけど。

「ねぇシンジ?なんであの時アタシに抱きついたの?」
ちょっとした疑問。
いきなりだったものねぇ。
879あたしの傍に 23:04/11/03 16:43:38 ID:???
「え?あ、うん」
そんな風に言葉を詰まらせる。
「…あの、ね。僕の考えてるアスカじゃなかったから…」
は?なにそれ?

…なんでも、シンジから生まれたアタシの中の何か。
それのせいで、アタシはアイツの考えって言うか。
予想の範疇から出ることが無いと思ってたんだそうで。
だけどあの時、あの格好でコイツの前に立ったときは。
アイツの想像を超えてたんだって。

シンジの想像以上にアタシが綺麗だったって事よねぇ?
んふふふ。
人間じゃないとか言っても、アソコも何もかもきっちり人間だったし。
ホント、馬鹿シンジよねぇ。

教科書を取りに一旦マンションに帰ってから、登校する。
何気に横を見ると、いつもは半歩後ろを歩いてるアイツが…。
横に。
アタシの横に。
胸を張って歩いてた。
…なんか、いいな。
…ちょっとだけ、いいよね。
ホントはずっと前から、したかった事があって…。
今のこの位置なら、ね。

チョットずつ、シンジとの間隔を詰めて。
擦れるように触れた指先を、そのまま絡める。
上目遣いにシンジを見たら…真っ赤になって、それでもちゃんと握り返してくれた。
880あたしの傍に 24:04/11/03 16:44:30 ID:???
…いいな、やっぱり。
さ、シンジ?
これからアンタはずっとアタシの横に居るのよ?
色々何だかんだと障害はあるかも知んないけどさ。

…まず、最初の難関は…。

あの、校門の前の人だかりを。
どうやってパスするか、ってことね。
頑張ってね、馬鹿シンジ。


ぬぁぁぁぁぁ
LASはいいですねー魂の洗濯・・。
幸せな気持ちになりました!
ハッピーエンド、乙ですた。
悶え死ぬ。
「あたしの傍に」作者様、最高。
いい作品でした。

どこかにまとめて公開お願いします。
DAT落ちして消えてしまうのはもったいない。
GJ!
885あたしの傍に 作者:04/11/03 18:15:53 ID:???
好評のようで、何よりです。

一応エヴァFFのホームページ持ってるんで…転載することにします。

なんだ、アイツかよ!って言わないでくださいね?(汗
もう検討は付いてるから安心汁
見当ね
当然ここではかけなかった部分を加筆して完全版にするんですよね?
889あたしの傍に 作者:04/11/03 19:35:06 ID:???
うpしますた

さて、見当は合ってたでしょうか…
にあ氏のところが更新してるぞ!
まさか、あなただったとは!!
大変美味しく読ませて頂きました。
また機会があったら何か書いて下さい!
>>891
誰だったの?
発見。
スパシンってだけでスルーしてたが、これからはちょくちょく行くよ。
894891:04/11/03 20:39:22 ID:???
EF5の和名ホームページの今日の更新チェックに入ってましたよ!
『あたしの傍に』が。「当方に使徒迎撃の用意あり!!」さんの所です。
895886:04/11/03 20:41:57 ID:???
全く見当はずれだったテヘッ
>895
こーいつぅ!
てゆうかこういう系のサイトは完全スルーだったしな
更新頻度が高いんで注目はしていたけど、こういう手のもいけるんすね。
899名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/11/03 20:57:41 ID:TQWfm7d5
スパシンで厨くさい設定(クロスもの)なのに、そこのはおもしろい
900あたしの傍に 作者:04/11/03 21:29:27 ID:???
またそのうち、お邪魔するかと思います。

ありがとうございました。
>>900
乙でした。

一言だけ言うと、カルテをドイツ語で書いたのはかなり前の世代までですね。
だいぶ前からアメリカ医学中心になって、カルテは英語が中心です。
と言っても、所詮は備忘録ですんで、何語で書いてもいいんですけどね。
日本語で書く人もいますし。
ただ医学用語は漢字が難しいんで英語で書いた方が楽なんですよね。
俺もスパシン系サイトってことで完全スルーしてた。スマン。
「あたしの傍に」はカナリGJ!でした。
ありがとう。
漏れ、投下しようと思ってたけど「あたしの傍」にの後だと駄目さ加減が目立ちそうで嫌だな…
気にスンナ。
駄作カモン!!w
906903:04/11/05 20:55:11 ID:???
わかった。ガンガルよ漏れ
907不適合者52:04/11/05 21:24:32 ID:???
トクン…トクン…。
一定のリズムで聞こえてくる心地の良い音。
不思議な暖かさに包まれている。
火のはぜる音が心地よいリズムを乱した。
「ん…」
うっすらと目を開けると、水中から空を見るような
滲んだ景色のなか、鮮やかな炎がゆらゆらと揺れているのが見えた。
ぼんやりと、はっきりとしない意識の中、数秒ほど炎の美しさに
目を奪われてしまう。
気付けば、寝ている間に横に倒れていたのか、赤子のように丸まって寝ていた。
両手で体を抱きしめるようにして、さらに体を小さくしていく。
先ほどまで感じていた、不思議な暖かさは、この炎のせい?
などと、とりとめも無く考える。
けれど、今も感じる包み込まれるような
暖かさは、この炎とは違う気がしてならない。
それに、今もはっきりと聞こえるトクン…トクン…という音。
初夏の頃、ベランダで日に当たっているような――。
そこにあって初めて愛しさに気付く。
いつまでも、このぬくもりに包まれていたい。
そんな気分の中、視線は美しい赤い炎へと惹きつけられていた。
その色は、とても気高いアカ。
暖かさに、再び眠りにつこうと瞼を閉じようとしたとき
アタシの意識は一気に覚醒した。
目の前に広がる、赤い色。
「色が見える!」
自分でも気付かないうちに叫びながら、アタシは勢い良く体を起こした。
しかし、不意に炎はその色を失った。
何度目を閉じても、失われた色は戻ることは無い。
夢だったのだろうか。
自分では、大して気にしていなかったが。
色が見えないという精神的なストレスが見せた幻覚だったのだろうか。
908不適合者53:04/11/05 21:29:04 ID:???
失望と落胆。
さっきまで感じていた暖かさは、もう無い。
チラリと横を見れば、膝を丸め顔をうずめるようにしてシンジが寝ている。
「呑気なもんね」
幽霊でも寝るのか――。
と考えてしまい。少しだけ気分がよくなった。
けれど、さっきまで自分が横になっていた位置とシンジが座っている位置
との関係に気付いたとき、アタシは自覚して顔を赤くした。
(シンジと重なるような位置で、アタシは寝ていた!)
壁をすり抜けることができるのだから、人だって通り抜ける。
実際、蹴ろうとして失敗したじゃないか。
なら、アタシが聞いていた、心地よいトクン…トクン…という音。
あれはシンジの…心臓のおと?
感じていた暖かさは?

いてもたってもいられなくなったアタシは座ってみたり、立ってみたりを繰り返す。
けれど、視線だけはシンジからそらすことができないでいる。
「もう!なんなのよ!」
わざとらしく、声に出してみるが、シンジが起きるそぶりは無い。
相手は、自分が10歳だと名乗る記憶そーしつだ。
ちょっと笑顔がかわいいかな、とは思ったが。
ほとんど会話らしい会話もしていない。
ユイさんの息子だっていうし無下にはできないが―。
感じたことの無い感情に、頭がうまく回転しない。
意味の成さないことばかり浮かんでは消えていく。
何度目かの上下運動ののち、アタシは意を決して、シンジの横に座り
そっと手を体の中に入れた。
「暖かい…」
909不適合者54:04/11/05 21:30:56 ID:???
不思議な感覚だった。自分の手が人の体の中に入っている。
ホラーの世界だが、不思議と怖さは無かった。
シンジが寝ているのを確認してから、アタシは服が汚れるのもかまわず
先ほどまで、自分が寝ていたようにシンジと重なっていく。
中は、思わず、うっとりとしてしまいそうなほど、心地よかった。
トクン…トクン…。
確かに聞こえる、心臓の音。
シンジの中から見える世界は、夢ではなく。赤い炎が揺れていた。
景色はぼんやりと、水中から見ているかのよう。
自分が見えている世界を他人も見ているとは限らない。
自分が感じる色彩を他人が感じているとは限らない。
どこかの本で読んだ一説が思い出された。
アタシの目に色が見えていたとき、アタシにはこんなに美しく
赤い色は見たことが無かった。
シンジはこんな色の世界に生きていたのだろうか。
色の無い世界に取り残され、幽霊が見えるようになってしまった。
その幽霊の中からだけは、アタシは色を見ることができる。
シンジと同じ世界を感じることができる。
けれど、シンジは死んでいるのだ。
湧き上がる気持ちを、だからアタシはけして認めることはできない。
シンジのためにも、ユイさんのためにも。
アタシは生まれて始めて
他人のために、何かをなさなければならないと感じていた。
それはきっと、アタシにしかできないこと。
これは偶然ではなくて必然。夜が明けたら、会いに行こう。
シンジをつれて――。
ガンガレ!
俺は読んでるぞー。
つかROMはそれなりにいるはず。
俺は読んでないが、がんばれ。
漏れも読んでる。期待してるぜ
913不適合者:04/11/06 20:32:13 ID:???
すみません、番号間違えてました。
以下、番号飛びます。
914不適合者58:04/11/06 20:33:49 ID:???

心地よい、羊水の中。揺らめいている炎を見て目を閉じる。
軽く息を吸い込んで、アタシは行動に出た。
体に溜まっていた疲れは、数時間の眠りで嘘のように消えていた。
窓からは見える景色は、もうすぐ夜明けが近いことをうかがわせる。
軽く伸びをすると、頭がすっきりした。
余っていた紙を火の中に入れ、当面の暖を確保する。
炎に色は無い。白と黒の濃淡で構成された『それ』さえ
今のアタシには愛しい。
アタシは一生、あの美しい色彩を忘れることは無いだろうと思う。
「シンジ」
初めて名前を呼ぶような、気恥ずかしさを感じながら、アタシは
少年の名を呼ぶ。
揺すって起こすことも、叩いて起こすこともできないが
声をかけることはできる。
声を聞くことができる。
「シンジ!」
今度は、少し力を込めて、名前を呼ぶ。初めて呼ぶ名前なのに、どこか親しみを持って。
「シン…」
さらに大きな声を出そうとしたとき、シンジはゆっくりと頭を上げた。
まだ眠いのか、しきりに目をこすりながら、大きなあくびをして
アタシに目を向ける。
ぼんやりとした表情、どこか抜けているようで、でも愛嬌のある、そんな顔。
軽くあくびをしようとして、何が恥ずかしかったのか、慌ててかみ殺していた。
アタシと目が合ってから、部屋の中を見わたして、再びアタシに顔を向ける。
その表情は、困惑にいろどられていた。
「君は…」
そうつぶやいてから、慌てて立ち上がり、自分の体を見回した。
そこには、寝ぼけていただけのせいではない、困惑がある。
そのことを多少疑問に思ったが、取り合えづは、シンジが次に何を言うか
を待った。
915不適合者59:04/11/06 20:34:49 ID:???

「君は…」
再び、同じ質問を繰り返し――。
「君は…だれ?」
一瞬、何を言われたのか、理解ができなかった。
確かに、知り合ってから数時間しかたっていないし、ろくに会話もしていないが
これでは、まるで――。
そういえば、自分の名前さえ、まだアタシは言っていないことに気付いて
恥ずかしさに、顔が赤くなった。
「アタシは、アスカ」
一拍の間をおいて、胸をはり、腰に手を当て
「惣流アスカ!」
その名前を誇るように、はっきりと言った。
「そうりゅう・・・あすか?」
オウム返しのように、アタシの名前を数度つぶやく。
その姿は、自分がなぜここにいるのか、アタシが誰なのかもわかっていない
そんな態度だった。
視線をさまよわせ、何かを思い出そうとする姿に、アタシは自分でもわからない
焦りを感じた。
「アンタは、アタシから逃げて、それに雨に濡れるからってここに入って」
焦りからか、うまく説明できないでいる。
そもそも、アタシ達の関係は何なのだ?と聞かれても、説明もできない。
会ってから、数時間一緒にいたに過ぎないのだし――。
「ちょっと、大丈夫?」
苦しそうにしているシンジにアタシは駆け寄る。
だが、手を差し伸べることも、介抱することもアタシにはできない。
「うぁ…」
突然、シンジは頭を押さえうずくまる。
膝をつき、頭を抱えるようにして、うめき声だけを上げる。
手で、髪の毛をかきむしり、引きちぎるように乱暴に動かす。
肩で激しく息をし、喘ぐように、何かをつぶやいている。
916不適合者60:04/11/06 20:38:35 ID:???

「僕は…!」「ぼくは…!!」「ボクハ…!!!」
その後に続く言葉は、叫び声との区別もつかづ、聞き取ることもできない。
動揺するアタシを横に、一際大きな声をあげたあと、嘘のようにシンジは黙り込んだ。
大きく肩で息をしているが、発作のような症状はみられない。
どれくらいの時間、そうしていたのかはわからない。
気付いたときには、窓からは、うっすらと光が差し込み、朝の到来を告げていた。
なすすべも無く、アタシは膝をつき俯いているシンジの横で
落ち着くのを待つしかなかった。
「大…丈夫…?」
途切れ途切れに聞こえてくる、息遣いを気にしながら、アタシは恐る恐る
シンジに声をかけた。
一瞬、ビクッと体を硬くした様子をみせたシンジだが
ゆっくりと、顔だけアタシに向けてくる。
その顔は、真っ青になり、唇が小刻みに震えていた。
「君は…」
再び繰り返される質問に、不安を覚えながらも
「アタシはアスカ、昨日会ったでしょ?」
意識して、やさしく声をかける。
シンジは、考えるように瞼をぎゅっとつぶり、大きく言いをはいた。
「昨日…。そう、昨日、会ったね」
そう言うシンジの態度は、昨日までの子供らしさがどこか抜け落ちていた。
いや、十分子供っぽいのだけれど、昨日までの無邪気さ、年齢につりあっていない
子供っぽさが抜け、急に年齢どおりの雰囲気をもった――。
そのギャップのせいで、逆に年齢以上の雰囲気もどこか持っていさえする。
ゆっくりとした動きで、シンジはアタシと向き合うように腰を下ろした。
気付かぬうちに、アタシは自分の唇をなめていた。
優しげな雰囲気はかわらず、シンジは優しい目でアタシをみつめてくる。
「僕は、シンジ。碇シンジ」
昨日聞いたわよ。アタシは、そう言おうとした。しかしそれをさえぎるようにして――。
「13歳、だと思う」
どこか自虐めいた苦笑いをしながら、そう付け足した。
917不適合者61:04/11/06 22:31:19 ID:???
「あ、、え?」
突然のことに、言葉が出ない。
昨日は確かに自分のことを10歳だと言っていた。
たしかに、子供っぽい雰囲気だったし、ユイさんが言っていた
ことと関連して、記憶が飛んでいるんだろうと、推測していた。
おそらく、それは正しかったのだろう。
アタシが眉を顰めるのを見て、シンジはさらに付け加えるように言った。
「自分でも、自信が無いんだけど」
そういうと、照れたように頭をかいた。
「取りあえず13歳までの記憶はあるんだ」
ぜんぜん緊張感が感じられない雰囲気だけは変わらず。
「昨日、君は…惣流さんだっけ。惣流さんは僕と会ったのは
昨日なんだろうけど、僕にとっては十歳の頃」
シンジのいっている言葉がうまく理解できずにいる。
アタシの表情を読んだのか、自分でもうまくいえていないことを自覚しているのか
さらにシンジは説明をくわえていく。
「僕には十歳くらいの頃の、惣流さんと会ったっていう記憶があるんだ
前後のことは、何にも覚えてないし、きっと、記憶がごちゃ混ぜになってるんだとおもう」
シンジの説明を、アタシはどこか釈然としない気持ちのまま聞いていた。
「でも、不思議と良く覚えてるんだ。実際には昨日会ったんだから
当たり前なのかもしれないけど」
記憶の混乱や、自分の境遇で、何でコイツはこんなに落ち着いていられるんだろうかと
アタシは頭の隅で考えた。
(13歳。ユイさんが言っていた。アタシと同じくらいの年齢)
しかし、シンジの様子から、何があったかまでは思い出していない
だろうということは、察しがつく。
思わず、心の中で嘆息する。
「惣流さんの髪の色が、すごく綺麗だったから」
思考の渦にはまっていたとき、不意をつかれた言葉に
アタシは体がカッと熱くなった。
918不適合者62:04/11/06 22:32:17 ID:???
無意識のうちに、自分の髪に指をはわせ、色を確かめるように
毛先を目の前にかざす。
ママに褒められた髪の色は、今は白黒にしかみえない。
シンジの中から見た炎の美しさを思い出し、シンジには自分の赤みがかった
髪の色は、どんなふうに見えるのだろうか。と思う。
昨日からの汚れを思い出して、急に恥ずかしくなった。
「アスカでいいわよ…」
「え?」
「だから、アタシはアンタのこと、シンジって呼んでるわけだから
アンタも特別に、アタシのことをアスカって呼んで良いって言ってるのよ!」
誤魔化すように、少し口調を強めて、早口に言う。
「で、、でも」
それでも戸惑うシンジに。
「アタシが良いって言ってるんだから、良いのよ!」
「わ、、わかったよ」
顔を引きつらせていたのは、テレのせいだろう。
「……」
「……」
なんとも気まずい沈黙。
「……」
「……」
アタシの眉毛は、おそらく限界まで上がっていただろう。
凍りつくように引きつった顔のシンジをみれば、想像できる。
「あ、、あすか」
いまのところは、これで許すことにした。
919不適合者63:04/11/06 22:33:20 ID:???

「で、シンジは何で自分が13歳だと思うの?」
アタシが話を変えたことに、あからさまにほっとして
シンジは話をあわせてくる。
「中学に入ったときの記憶はあるし、13歳の誕生日が
あったことも覚えてるんだ。でも、昨日、えっとア、アスカと会った昨日じゃなくて
僕にとっての『昨日』なんだけど――」
自分の名前を呼ばれた気恥ずかしさよりも『13歳の誕生日』という
キーワードにアタシは体を硬くした。
幸い、シンジはアタシの名前を呼んだことが恥ずかしかったのか
目線をそらしていたので、そのことに気づいた様子は無い。
「自分が昨日なにをしていたのか、思い出せないんだ。
その、アスカと会ったのが昨日なら、辻褄はあうんだけど…」
そういうと、今度は覗き込むようにアタシを見る。
その姿は、昨日のシンジのようで、可笑しかった。
結局は、シンジも自分の現状はまったく理解できてはいない。
13歳の誕生日の記憶があるということは、事件があったのは
それ以降、アタシと同い年の14歳、もしくはひとつ上の
15歳の誕生日のときだろう。
胸が痛くなるのを、意識的に無視して、考えをまとめていく。
何がキッカケで、シンジの記憶が10歳から13歳まで進んだのか
それは、わからない。
昨日と今日。
アタシの目に色が見えなくなったこと、ユイさんとであったこと
そして、シンジと出合ったこと。
すべてが昨日あった。日常と非日常。その境が、どこかにあったはず。
教室で暴れたとき?たしかに、あんな事をしたのは初めてだが
あれに、特別な意味があったとは思えない。
知らぬ間に乾いていた、唇をなめる。
何かが動き出した…。そのキッカケがわかれば…。
頭の悪い馬鹿に追いかけられ、つかまらぬことだけを考え
町の中を逃げた。気付けば、そこは見知らぬ町。
不適合者、ナンバー500までいくな。
921不適合者64:04/11/06 22:34:31 ID:???
汗に張り付いた腕時計は、それ以外のせいで、アタシに不快感だけを
あたえた。すべてが馬鹿らしくなって、アタシは橋の上で…。

アタシはママの時計を、捨てた。

その考えにいたったとき、ふいに手首の傷を思い出した。
見れば、未だに包帯が巻かれている。しかし、昨日の夜の雨で
滲んでいた血は、見当たらない。
どろの汚れも無く、清潔そうな白い色。それが一層、違和感を与える。
昨日は感じた、痛みも嘘のようにない。
包帯が巻かれた、むず痒くなるような圧迫感だけがある。
アタシは震える手で、包帯をとっていく。

はたして、現れた手首には、傷ひとつ無かった――。
目が回るような錯覚に陥る。
動悸が早くなり、喘ぐように体は空気を要求している。
視界が狭くなっていく。声にならぬ叫び声をあげる。
「―――――――!!」
涙いている。視界がぼやけていることで、それだけはわかった。
「アスカ!!」
再び、声にならない叫びをあげそうになったとき
シンジの声だけは、はっきりと聞こえた。
嘘のように動悸が治まっていく、何度も深く深呼吸をし
体に必要な酸素をとっていく。
カラカラになった口に、僅かな湿り気をもたそうと
つばを飲み込む。
「…大丈夫」
不安げに見るシンジに、それだけ言うと、アタシは立ち上がった。
(シンジの記憶が戻ったとき、何かがおこる)
それは、すぐそこまで来ている。
窓からは、光が差し込んでいる。夜はもう明けた。
>>920
それはそれで。
後で、なんらかの形にまとめて欲しいね。
>>920
できれば、このスレ中で終わらせようと思ってるんですが
長く続けるほど、面白くないですし…。
>>923
多分、謙遜なんだろうけど面白くないと思うなら書くなと…
今まで読んできた俺は何なんだと…
マンセーがないと直ぐ止めようとするし、あんまし卑屈なのもなぁ
自分で書いていて嫌になるくらいなら止めてもいいと思うよ。
FFなんて遊びなんだし無理して続けなくても。
書きたきゃ書け。やならやめろということで。
928不適合:04/11/07 00:25:43 ID:???
申し訳ありませんでした。
929不適合者65:04/11/07 00:33:45 ID:???
「シンジ」
未だ、たち膝のような格好で固まっていたシンジに
声をかける。
朝日を背にしているアタシを見ると、眩しそうに目を細めた。
「アタシとアンタ」
一拍の間をおいて、話し出す。
「なんで出会ったのか、それに意味があったのか、アタシにはわからない。
ただの偶然だったのかもしれない」
シンジは只黙って、アタシの話を聞いている。
「アタシ達があって、まだほとんど時間がたってない。話だって、ほとんどしてない」
視線をそらすことも無く、アタシは只シンジを見る。
どこで生まれ、どんな友達がいて、何を考えて生きていたのか。アタシはまったく知らない。
アタシにとっての昨日が、シンジにとっての三年前だということの意味も
アタシにはわからない。
全部がモノクロの世界で、シンジだけが色鮮やかに見える。その現象も説明できない。
だけど…。
「アタシ達が出会ったこと。それは只の偶然で、何の意味も無いのかもしれない。
でも、それに意味を持たせることができるとしたら、それは、アタシ達にしか出来ない」
シンジに感じる親近感。
その正体は、お互いが世界から捨てられた。不適合者同士だからかもしれない。
「アスカ…」
不思議と、まるでずっとそう呼び合っていたかのように、自然と声が出る。
「シンジ…」
「僕は、何で自分がココにいるのか。ぜんぜんわからない。
アスカのいったみたいに、僕達、話もほとんどしてない」
「すごく不安だし、アスカと出会った意味もわからない。
でも、なんとなく思うんだ。最初に会ったのが10歳の僕じゃなければ
こんなふうに、女の子と話は出来なかったかなって」
そう言うと、恥ずかしそうに視線をそらした。
930不適合者66:04/11/07 00:34:19 ID:???

こんなときに、そんなことを言うシンジが可笑しかった。
確かに、シンジはおくてっぽい。女の子に積極的に話しかけれないタイプ
だと思う。それに今のシンジに話しかけれたとしても、昨日までのアタシが
ここまで相手にしていたかと聞かれれば、それは怪しいだろう。
無邪気さで、アタシの中に入り込んできたって言うことか。
「なに?アタシを口説いてるわけ?」
おもしろくて、からかうように言う。シンジの反応は、手に取るようにわかった。
「そ、、そんなんじゃないってば!」
「そんなんじゃない!?」
わざと、怒ってみせる。
「いや、そうじゃなくて、アスカはすごく可愛いと思うけど…いや、だから、そうじゃなくて」
手を握ったり閉じたりしながら、真っ赤になって説明するシンジが
可笑しくて、アタシは大きな声で笑った。
こんなに笑ったのは、いつ以来だろう。
可笑しくて、悲しくて、涙が出た。
「あー、お腹痛い」
アタシは、お腹を抱えるようにして座り込んで、涙を拭いた。
「もう、そんなに笑わなくたって良いじゃないか!」
からかわれていた事に気付いて、シンジが文句を言ってくる。
「アンタが、馬鹿だからいけないのよ。馬鹿シンジ!」
「ま、また、、ばかしんじ…」
それだけ言うと、観念したようにガックリと肩を落とした。

気を取り直して、アタシは再び立ち上がる。
「さて、当面できることは…」
ひとつは、原因になった可能性のある、ママの時計を探すこと
もうひつとつは、シンジをつれて、もう一度ユイさんに会いに行くこと。
「外に出ましょ」
そう言って、シンジがついてくるのも見ずに、アタシは部屋を出て行く。
931不適合者67:04/11/07 00:35:04 ID:???

非常口を開け、昨日シンジと鬼ごっこをした細い路地を抜けていく。
外は、昨日の雨が嘘のように、さわやかな風に包まれている。
大通りに出る。
「だれも、いないわね…」
通りには、人が誰もいなかった。朝早いからだろうか。と
一瞬思ったが、それにしても、この静けさは異様だ。
だけど、どこかで、誰もいなくて当たり前だ。とも思う。
拗ねた様についてきていたシンジも誰もいない様子に気付いて
しきりに辺りを見回している。
「変だね」
真剣な表情。
本人は真面目なつもりなんだろうが、その顔を見ると
アタシはどこか安心した。
「とりあえず、駅のほうに行ってみるわよ」
「アスカ、道知ってるの?」
その質問に、アタシの方がびっくりした。
「あんた、知らないの?」
つい、責めるように聞いてしまった。
「知らないけど…」
どこかすまなそうに、そういう。
さらに、質問を続ける。
「この町で生活してたんじゃないの?」
「…知らない町だよ」
何かをあきらめたように、素直に返事をしてくる。
何をあきらめたのか、時間があればじっくりと聞いてみたいところではある。
「アスカは知ってるの?」
この町のことだろうか。
それとも、駅への行き方だろうか。
アタシは勝手に前者ととる。
932不適合者68:04/11/07 00:37:17 ID:???

「知らないわよ、こんな町」
「…へー」
なにが、へーなんだろうかと、一瞬本気で考えてしまった。
おそらく、何にも言うことが無かったからなんだろうと思って、ガックリときた。
そんなアタシを見て、慌てて付け加える。
「じゃ駅までどうやって行くの?」
ちらりと横を見れば、不安な瞳が目に入る。
こういう場合、男と女の立場は逆なんじゃないか。そんなことも思う。
「昨日、ユイさんに地図かいてもらったのよ」
そう言うと、あーそうなんだ。とだけ言って、またあたりを見渡した。
「とりあえず、駅まで行くわよ」
この町がどこかを確認して、ママの時計を捨てた場所を探す。
橋があった場所は、知らないところだったが、学校帰りだったことを考えて
川の位置を地図で確認すれば、場所はわりと簡単にわかるだろう。
問題は、川の中に落とした時計が見つかるかどうか――。
難しいかもしれないが、取りあえずは、ついてから考えることにする。
そうきめて、ユイさんにもらった紙を探すが、ポケットのどこにも見当たらなかった。
シンジと馬鹿なことをしていたときに、落としてしまったのだろうか?
とりあえず、昨日見た地図を思い出して、町を歩いていく。
「ねぇアスカ…」
いまだ、キョロキョロと周りを見渡しながら歩くシンジ。
「なによ」横目だけで、その姿を確認する。
「変だよ」
「何がよ」
あまりにも早いアタシの返事に、少し驚いたように、こちらを見て。
「人がいないし、何より動物もいない」
鳥とか…。
つぶやくようにそう言うと、再びあたりを見渡している。
「寝てんじゃない?」適当に、そう言うと、アタシは歩くスピードを速めた。
読んでる人がいるのか居ないのか気になる気持ちは
わからなくも無いけど、とりあえず読んでるって言ってくれる
人がいるんだから、最後までがんがれ。>不適合者
924からの流れは惚れ惚れするね。
良い親になるよあんたら
>>928
こっちこそ大人気なく叩いてごめんね。
俺は楽しんで読んでるから、とにかく頑張ってください。
俺漏れも。最近はエヴァ板の各所で面白い連載がたくさんあるから嬉しいな。もちろんここもその一つだ
937不適合者69:04/11/07 13:37:26 ID:???

「ちょ、ちょっとまってよ」
慌ててついてくるシンジの気配を感じながら
後ろを見ることもせずに言う。
「ほら、さっさと行くわよ」
これ以降は、お互い無言で駅へと歩いていった。


「駅…だよね?」
シンジの声もどこか遠くで聞こえる。
「見りゃわかるでしょ」
そういうアタシにも不安が襲ってくる。
「でも、誰もいないね」
今度の質問には答えず、視線だけをシンジに向ける。
「ご、、ごめん」
ふんっと鼻息だけ荒くして、アタシは辺りを見回した。
(シンジの言うとおり、誰もいないわね)
「駅まで来れば、誰かいるかと思ったんだけど」
誰にも向けづ一人、口の中でつぶやく。
(それでも、汚れた服やボサボサの髪を不躾な視線を浴びなくても良いことが
唯一の救いか。シンジは、まぁ今更しょうがない)

ただ、さっきも感じた感覚。
誰もいなくて『当然』なんだ――。という思い。
アタシは軽く頭を振り、恐ろしい妄想を振り払う。
改札はしまっている。電気がきているのかどうかは、外側からでは判断がつかない。
938不適合者70:04/11/07 13:39:47 ID:???

来る途中にあった信号は、確かについていた気がするが…。
思わず後ろを振り返るが、見える範囲に信号は無い。
(いまさら、信号を探しにいくっていうのも…ね)
昨日の夜には、嫌というほどついていた町のネオンも
朝もやの中では、静かに哀れな姿を晒しているに過ぎない。
取りあえずは、ある考えを持って切符売り場へと
歩いていくことにした。
横で、自分なりに何か思うところがあったのか
考え込んでいたシンジは、アタシが歩いていくのに気付いて
慌てて駆け寄ってくる。
横に追いついてくるのを確認しながら、しっかりと前を向いて
歩みを進めていく。残り数歩の距離が、嫌に長く感じられた。
「路線図を見てみましょ」
自分達が今どこにいるのか、まずはそれをはっきりとさせたい。
路線図の中にいくつもある、四角いプレート達。
複雑な線と線の間に、当駅と言う文字だけが
異様に浮かび上がっていた。
嬉しくも、悲しくも無く、静かな気持ちでアタシはそれを見た。
939不適合者71:04/11/07 13:40:28 ID:???



「えーっと…」
数瞬の間。
今度は学習したのか、アタシに質問してくることは無く
唸る様に考え込んだシンジ。
そのシンジの態度について、くだらないことを考えながら
アタシはさっさと駅から背を向けた。
何も言うことなく、シンジもついてくる。
無言で歩くアタシに、何か話題を探そうとしているのは気をつかってるのかもしれない。
「…ホント、馬鹿なんだから」
デートもしたことも無ければ、女の子と二人で歩いたことも無かったのだろう。
こんなときにさえ、自分のことよりアタシのことを気にかけているシンジに
むず痒くなるような思いがわいてくる。
自分にさえ聞こえないように、アタシはそっと呟いた。
「やるわよ。アスカ」
駅の路線図には、すべてに名前がついていなかった。
それは、見る前から想像がついていたことだった。

残る場所は、後一つ。
ユイさんのいた、病院だけ――。
940不適合者72:04/11/07 17:54:42 ID:???

「シンジ」
気持ち、歩く速度を緩めながら隣にいるシンジに声をかける。
「なに?」
「アンタ…」
ほんのすこしだけ、言いよどんでから。
「アンタ、生きてて楽しかった?」
あんまりといえば、あんまりの質問に、それでもシンジは笑いながら答えてくる。
「楽しかったかどうかわかんないや」
「わかんないって、アンタ…」
その答えに、幾分肩を落として。
「アタシは生きてても楽しくないわ。ママが生きていた頃は楽しかったけど」
シンジはなんと答えて良いのか迷っている様子だった。
「シンジと最初にあったときのこと覚えてる?」
突然、話題が変わったことにほっとしながら、はっきりと答えてくる。
「覚えてるよ。橋の上でしょ?赤い夕日の中で、髪のキラキラ光って凄くきれいだったから…」
そこまで言うと、恥ずかしそうに笑った。
「あの時、アタシ時計を捨てたの…」
「うん」
「あの時計、ママの遺品だった。アタシ小さな頃ママがしてる時計が欲しくてたまらなかった
パパから貰ったのよって、嬉しそうにいってた、あの時計が」
「そんな大切なもの…なんで?」
シンジの疑問は当たり前のことだと思う。
確かに、最近までは大切にしていたんだから――。
「パパがね…」
あの男。それをパパと呼ばねばシンジには伝わらないとはいえ
嫌な気分しか沸いてこなかった。
「この間、再婚したのよ」
アタシの答えを真剣な、今までのようなどこかぼけぼけっとした雰囲気ではなく
シンジが聞いている。
「…再婚」シンジの態度が今までと違うことに、気付きながら
アタシは話を続ける。
941不適合者73:04/11/07 17:55:51 ID:???

「そっ再婚。今までは、パパがママにあげた時計は家族の証だと思ってた
だけど、アイツ――」
忘れかけていた怒りが、ほんの少し身体の中を満たした。
「アイツ、再婚したとたん、あの時計を処分しろっていうのよ!!最初は許せなかった。
ママへの思いも、すべてが嘘だったように思えて、アタシは気持ち悪くなって」
それで
「アタシは時計を捨てた――」
アイツの思惑とは違うやり方で。
誰もいない通りに、アタシの声だけが響いた。


どれくらい、歩いたときだろう。
あれきり、言葉も無く二人で歩いていたとき
ふいに、シンジは立ち止まった。
数歩あるいてから、アタシも立ち止まり、シンジと向き直る。
ユイさんがいた病院までは、あとひとつ角を曲がればつく。
「アスカが捨てちゃった時計さ」
シンジの言葉に、アタシは只黙って先を促す。
「あとで、探しに行こうよ」
透き通るような笑顔で。
942不適合者74:04/11/07 17:56:22 ID:???

「なんで…?」
アタシの話を聞いていなかったの?
「アスカのパパが、どんな気持ちでアスカに時計のことを言ったのか
僕には想像しかできない。だけど、アスカのママが――」
シンジは自分の声が、大きくなっていたことに気付いて
少し恥ずかしそうにしてから、声のボリュームを幾分落として
先を続ける。
「アスカのママが、パパから貰って大切にしていた思いは、消えたりしないでしょ?」
だからさ――。
「だから、後で探しに行こうよ」
シンジの声は、確かに聞こえていた。シンジの笑顔も想像はできた。
でも、シンジを見ることはできなかった。
「僕、ほら、幽霊だからさ。川の中に入っても濡れないし」
アタシはただ、口に手を当てて、自分の泣き声がもれないように
うずくまることしかできなかった。
『こんど』なんて、ない。
あの角を曲がれば、もうそこは病院だ。
シンジも、うすうす何かに感ずいている様子だった。
なにかを思い出しているのかもしれない。
呻くような声の中
「アンタ、やっぱ馬鹿よ…」
それだけ言うのが精一杯だった。
涙は、当分とまりそうも無かった。
GJ!!続きが気になります。
944不適合者75:04/11/07 18:26:55 ID:???

うずくまって、こらえているアタシの傍に
シンジが膝をつくように寄ってきたことは
足元を見れば、わかった。
シンジの手が、フラフラと揺れていることは
なぜかある、その影からわかった。
アタシがシンジに触れることも、シンジがあたしに触れることもできない。
ただ下を向いて、揺れる影を追いかける。
その影が、引っ込もうとした瞬間。
アタシは泣いている顔を見られることもかまわず、顔を上げた。
「まって!」
手を引っ込めようとしていシンジの手に。
アタシはそっと、ほお擦りするように顔を寄せた。
暖かい。朝日の暖かさよりも、その手は暖かかった。
このまま、シンジと一緒に引き返してしまおうかという、甘い誘惑。
ママの葬儀のときでさえ、アタシは泣かなかった。
その涙を、止めることもできずに、ただシンジのぬくもりを感じている。
「そうね。馬鹿シンジが一緒に捜しに行こうって言うんだったら
それも良いかもね」
かすれる声で、それだけ言う。
シンジに聞こえているかどうか、それは怪しいほど小さな声だったけれど
確かに伝わったという確信だけはあった。

制服の袖で、涙をぐっと拭う。
立ち上がると、できる限りの笑顔でシンジに言う。
「さぁ行くわよ!馬鹿シンジ!」
アタシの声に、シンジも続いていう。
「うん。行こう。アスカ」
シンジも笑顔だ。
一緒に歩き出し、角を曲がる。
もう引き返そうという。誘惑は無い。
怒涛の更新やね
946不適合者76:04/11/07 18:40:56 ID:???

キィ―。
不思議なほど静かに、病院の入り口のドアは開いた。
中は、電機もついておらず、朝日が差し込むだけで
うっすらとした暗闇に覆われていた。
受付の窓にもカーテンが引かれ、中に人がいる様子は無い。
待合室にある長椅子は、いつから人を待っているのだろうか。
ゴクッと、つばを飲み込む。
軽く息を吐くと、隣のシンジの顔が見えた。
シンジが頷くのを確認してから、アタシ達はゆっくりと病院の中へと
入っていく。
ゴミひとつ無い、清潔に保たれた病院。
独特のアルコールの匂いが鼻をついた。
「僕、この匂い嫌いなんだなぁ」
一人ごちるようにつぶやくシンジに、アタシは
匂いはわかるのか、不思議な気分だった。
しかし、昨日から動き回って汗だくのままの自分を思い出し、顔が赤くる。
微妙に、シンジから距離をとろうとするが、不思議そうに寄り添ってくる。
「ちょっと、離れなさい!」
小声のつもりだったが、人のいない病院では、その声は驚くほどよく響いた。
慌てて口に手をあてる。恥ずかしさで、顔から火がでそうだった。
今だに、不思議そうな顔をしているシンジが憎たらしかったが。
「別に、泥棒に入るわけじゃないんだから、堂々と入ればいいのよ」
というと、アタシは幾分足音をたてながら、進んでいった。
読んでるうちに引き込まれちゃうよね
GJ
948不適合者:04/11/07 19:38:40 ID:???
すみません、今更ですがひどい間違いがありました。
>>919での

13歳の誕生日の記憶があるということは、事件があったのは
それ以降、アタシと同い年の14歳、もしくはひとつ上の
15歳の誕生日のときだろう

という文章は、間違いでした。。

>>561でユイがいっている通り、事件があったのは
シンジが14歳の誕生日です。

949不適合者77:04/11/07 20:49:12 ID:???

前に、といっても昨日だが――。
来た時にも思ったことだが、住宅地にある病院ということもあって
こじんまりとしていて、それほど広さは無い。
待合室を抜ければ、細い廊下があり、両端と突き当たりに
ひとつずつ、ドアがある。
どのドアか迷う必要は無かった。
ひとつだけ、昨日アタシが寝かされていた部屋のドアの小窓から
だけ、光が漏れていたから。
心臓の音が、不思議なほど耳についた。
ドクッ。ドクッ。という鼓動。
おさまれ。と思う反面、アタシは生きているんだ。という実感も
もてた。
(そういえば、シンジの心臓の音も聞こえたわよね)
その事を、多少疑問に思ったが、シンジの顔を見ると
吹き飛んでしまった。
ドアまで歩いていくと、シンジの顔を見てから
ゆっくりと、ドアを開けた。
光の帯が伸びていくように、廊下にも光が漏れていく。
最初にアタシが入っていく。続いてシンジがためらいがちに
ついてきた。
「母さん…」
シンジの口から、決して本人には聞こえることの無い呟きがもれる。
明るい光に包まれた中に、椅子に背を預けたまま
ゆっくりとこちらを向いた、ユイさんがいた。
「あら、アスカちゃんいらっしゃい」
その様子は、まるで親戚の子が遊びに来たように、自然としていた。
チラッとシンジを見てから、慎重に言葉を選ぶ。
「…おはようございます。ユイさん」
アタシのとぼけた答えに、それでもユイさんは可笑しそうに
笑っていった。
950不適合者78:04/11/07 20:50:11 ID:???

「うふふ、そうね。おはよう、アスカちゃん。目の調子はどう?」
手の傷について、聞いてこないことを不思議だとは思わなかった。
「まだ、白黒にしか見えません…」
アタシの答えに、ユイさんは少しだけ寂しそうな表情をみせたように思えた。
「ほら、そんな所にたってないで、こっちにいらっしゃい」
今だ、入り口から一歩ほど入った場所にいたアタシに
ユイさんはそういって椅子をすすめた。
少しも躊躇わなかったかといえば、嘘になる。
けれど、それに気付かれる前に、アタシは歩き出した。
ユイさんと向かい合うように、アタシは椅子に座る。
「お茶を入れるわね」
アタシが断る隙を与えず、ユイさんは立ち上がって
近くにあるポットへと歩いていった。
シンジは、その様子をただ黙ってみている。
何か言いたそうで、でも、何もいえない。
部屋に、ほんのりと甘い紅茶の香りが広がっていく。
危なっかしく、ティーカップを二つ持って、ユイさんは
歩いてきた。
「はい。どうぞ」
「…ありがとうございます」
視線を、紅茶の中へとむける。
口元にもってくると、さらに良い香りがした。
そっと口をつける。
「…おいしい」
ほんのりとした甘さをもった紅茶は、とてもおいしかった。
「よろこんでもらえて、よかったわ」
本当に嬉しそうに、微笑むとユイさんもゆっくりと口をつけていく。
(シンジの笑った顔にそっくり…)
そう思いながら、隣に立つシンジへと、そっと視線を投げかける。
シンジは、アタシの視線に気付くと、何も言わず寂しそうに笑った。
951不適合者79:04/11/07 20:51:27 ID:???

だれも話しをすることも無く、時間が過ぎていく。
減っていく紅茶。やわらかな時間。
きっと、アタシ達三人にとって、最後の時間。
最後の一口を飲み干すと、アタシはティーカップを机においた。
「ご馳走様でした」
「おそまつさま。おいしかった?」
「はい。とても」
お互いに、先に進めなければいけないことを知っている会話。
けれど、進めたくない会話。
「あの…外に誰もいないんです」
その質問だけで、ユイさんにはわかった様子だった。
「そう…」
と、一言だけ言うと、朝日の入ってくる窓を眩しそうに見た。
「シンジも、いるんでしょ?」
ユイさんの言葉に、一瞬アタシ達は固まった。
「シンジが見えるんですか?」
母さん!というシンジの声とともに、アタシは聞いた。
しかし、ユイさんは寂しそうに首を振る。
「いいえ。残念だけれど。見ることも話すこともできないの」
その言葉の意味が、アタシには直ぐにはわからなかった。
慌てて、シンジをみると、ガックリと肩を落としうなだれていた。
「シンジはいます。アタシの横に!」
そう言うと、ユイさんはアタシの横に視線をもっていく。
けれど、それだけで何も言わなかった。
「何か言うことは無いんですか!?」
952不適合者80:04/11/07 20:53:26 ID:???

会いたかったはずだ。話したかったはずだ。
アタシの問いに、ユイさんはゆっくりと言った。
「アスカちゃん。本当に貴方にあえてよかったわ
シンジも私も、ね」
それだけ言うと、ユイさんはまた、シンジのいるであろう
場所を見た。
それはまるで、本当に見えているかのように。
「シンジ、ごめんなさいね。ちゃんと伝えてあげることができなくて
あなたの事を、本当に愛していたのよ。私もゲンドウさんも」
その言葉に、シンジは顔を上げ、叫んだ。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」と何度も何度も。
シンジの態度と、ユイさんの言葉。アタシは意味がわからなかった。
「どういうことですか?シンジは死んだんですよね?襲われて!」
アタシの叫びに、しかし答えたのはユイさんではなかった。

「違うんだ!死んだのは僕じゃない!!」

すべてが、スローモーションのようにアタシには感じられた。
「シンジは、死んでない?」
再び、アタシの鼓動は痛いほど早くなっていく。
「…どういうこと?」
誰に聞くわけではなく、つぶやく。
シンジの姿は、まるで幽霊のようだった。
そのシンジが、死んでいない?
ユイさんは、ただ寂しそうに微笑んでいる。
「あの日、母さんは帰ってきてくれたんだ!
でも、父さんが帰ってこないことで僕は母さんを責めた!
今まで、家族が揃って誕生日を祝ってもらったことが無かったから
たったそれだけのことで、僕は母さんと喧嘩をした!」

血を吐くような、シンジの告白。
953不適合者81:04/11/07 20:55:32 ID:???

「母さんが、ご飯を作ってくれても、僕は部屋に閉じこもっていて
出て行こうとしなかった!チャイムがなったことに気付いて
僕は父さんが帰ってきたのかと思った。でも、恥ずかしくてでられなかった。
そしたら、母さんの叫び声が聞こえて!」

シンジの叫びを何とか聞いていく。
ユイさんを見れば、胸に黒いシミが広がっていくのが見えた。

「慌てて飛び出していったら、母さんは倒れていて、包丁をもった
男が血だらけになって僕を見てたんだ!僕は怖くて、部屋に逃げて
鍵をかけた。そのままずっと部屋にいたんだ!!すぐに母さんを助けていれば
母さんは死なずにすんだかもしれなかったのに!!」

涙をながして、叫ぶほど大きな声で、シンジは土下座をするように
頭を下げながら独白していた。

「うぅ…ごめんなさい!ごめんなさい!」
もう、言葉にもできず、シンジはただ誤り続けている。
アタシは、シンジの横に膝をついた。
ユイさんを見ると、美しい顔は涙に濡れている。
「シンジ…貴方は悪くないわ」
それだけ言うと、ゆっくりとアタシとシンジの隣に膝をつく。
「ゲンドウさんは、貴方のパパは不器用な人だから。
シンジとどう話したらいいのか、わからなかったのよ。許してあげてね」
泣きじゃくるシンジに、ユイさんは優しく言った。
シンジとシンジのパパとの間に、何があったかは知らない。
けれど、アタシとパパのように、シンジ達にも溝があったんだと思う。
954不適合者82:04/11/07 20:56:29 ID:???

ユイさんは、今度はアタシを見つめて言う。
「アスカちゃん。貴方は時計を捨てた後、倒れたときに頭を
ぶつけたの。ここは貴方がいるべき世界じゃない。
だから、この世界の色が見えてしまう前に、お帰りなさい」

急激にうすまる意識の中で、ユイさんはアタシの頬に手を添えて
最後に言った。

「私に、シンジが見えないように。貴方の大切な人も傍で貴方を見守っているわ」

すべてが真っ白になるなかで、あたしはママとの約束を思い出していた。


『アスカちゃん貴方を幸せにしてくれる誰かが見つかったときに、この時計をあげるわね』


ママ…。

そう、確かにアタシは愛されていた。
アタシ達は、愛されていた。
ねぇシンジ――。
955不適合者:04/11/07 20:57:35 ID:???
終わりです。ありがとうございました。
すげぇ
乙でした。
なるほど、そういう仕掛けになっていたのね。
気付いていた人は気付いていたんだろうな。


ってぇことは、この後アスカが戻った先でLASが始まるわけだ。
ぶっちゃけ最高だと思った
乙。
いい終り。

ところで、次スレは970とか980を越えてからでいいよな?
960不適合者:04/11/07 21:41:31 ID:???
読んでいただいて本当にありがとうございました。
なんだか、FF以外のところでご迷惑をおかけしてしまいました。
こういうお話は初めてだったので、不安だったということで
許してください。
あと>>903は私ではないので、903氏も
投稿してくださいね。なんだか、903の直ぐに私が書いてしまって
邪魔をしていなかったか気になっていましたので。
おつです。
SFもええよね。
不適合者(・∀・)イイ!!
次も期待してます。
今って他に誰が連載してたっけ?
イタLASで良ければ書いてみようと思うが。
ここってイタモノはおkなの?
漏れは全然オッケーだけど、、、
その場合、イタモノLASスレか第弐のLAS投下スレを利用するのがローカルルールになってるよ。
ヨロシク。
不適合者さん。完結お疲れ様でした!こんな展開だとは予想もつかなかったです。
機会があればまた書いてください!
>>966
了解。
イタモノの定義は落ちスレと同一だよね?
落ちつーかおすスレだけど(まぁ結果は同じだ)。
>>32に転載してある。
つーことで、余所でお待ちしてます・・・つか、イタスレと第弐のどっちで書く?
970903:04/11/08 00:59:54 ID:???
…不適合者完結おめでとうございます。
ああ、更に敷居が高くなった気が…。
練り直しまふ
酷評覚悟で書いて、意見を参考にして成長、て手もあるかと
>>969
たぶんイタスレかな。
まぁまだ製作途中だから廃棄処分もありうるのだが。
未完で終了は絶対にしたくないので。
未完で終了しても…ええやん
よかないだろ
やはり作品のクオリティをあげるには、
2chで批評もらいながら鍛えるべきか?
2chでの批評が必ずしも妥当であるとも限らない。
参考にするなとは言わないが左右されすぎるのもどうかな。
あと、文章力とか構成力というのは作品の鑑賞量に比例するので、
既存のマンガや小説、映画なんかをとにかく見まくるという手もある。
サイトで公開してもメールなんて来ないんだし、手っ取り早く感想をもらいたいなら
エヴァ板に投下するのがお手軽でいいんじゃないの。
手っ取り早く感想くるだろうけど、
良いところを見つけるよりも悪いところを見つける方が簡単なので
誉めてる批評は喜びまくって厳しい批評は少し割り引いて考えるくらいの気持ちの余裕が欲しいかも。

え〜、要するに、少しくらい叩かれてもへこたれないでね、という事です
質問...ものすごく叩かれた場合どうすればよいのでしょうか?


答え...泣く
その程度でびびる奴はくるなといいたい。
もうすぐ次スレなんだが、このスレはhtml化した上でどこかにうpして
次スレに貼った方がいいと思われ。
保管するのは作品だけでヨクね?
偽装とパラレルの人は自分で改変してまとめてるな。
まぁあれはイラネーし
そんな悲しいこと言うなよ
>>984
個人的にはかなり面白かった
……そんな俺は新世紀に入ってLASに復帰した初心者モドキ
みんな目が肥えてるな〜、どんなのが今はお薦めなの?
>>986
体験とか体験とか体験とか
いやいやいやw

ところで990の人あたりで次スレ宜しくね。
こんなに残り少なかったら誰も投下しないと思うので新スレ立てました

落ち着いてLAS小説を投下するスレ2
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1100021323/l50