ss創作スレ

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しが氏んでも代わりはいるもの
使いましょう。
2アンデルセン:04/06/19 04:08 ID:CIFFNrrq
最初はただ怖かった。
後は、感情が少しづつ摩耗して磨り減って行き、何も感じなくなった。
シンジは考える。
確かに生きていきたい。
でも、同じように生きていたくない。

隣の部屋ではアスカが大音響でありふれたPOP曲を掛けっぱなしにしているのが、
薄くもない壁を伝わり来る。
泣いている、多分暗い部屋で身をよじらせ、喉の奥から嗚咽の声を上げている。
「…だからどうしたって言うんだ、っ糞…」
理由は分かっている。
今日のシンクロテストの結果が思わしくなかったのだろう。
最近、少しづつアスカのシンクロ率が低下している事実は、知らぬものはなかった。
だけれども、他人を気遣う余裕なんて、今の自分には無いし、彼女だって自分の事
を気遣ってくれたことも無い。
それに、正直他人が不幸に陥る事は、相対的に自分の欲求を満たしてくれる。
露悪的に口元を歪め、軽く嘲笑った。
3アンデルセン:04/06/19 04:09 ID:CIFFNrrq
それよりもだ。
シンジは目の前の分厚い書類の束に、目をやった。
何故か、今日、部屋に帰ると机の上に無造作とも言える状態で、その書類はおいてあった。
表題は、人類補完計画要綱とだけある。
最初は手にとり、ぱらぱらとめくって拾い読みをしてみた。
EVAという単語やNERVなど、良く知っている単語も頻発するが、平易な日本語でかかれた
寧ろ要綱というよりも、何かの読み物に近い内容だった。
人類補完計画…父さんが、いや父が、リツコさんが何時か口の端に乗せていたその言葉。
シンジは「…人類補完計画…か」とその言葉の韻を確かめるように、言葉を舌の上で
転がした。
韻は悪くない。
だから、読んだ。

突拍子の無い、三流のSFじみた事、それがその書類にかかれている全てだった。
一度はゴミくず入れに投げ捨てようと、手を伸ばしかけた位だ。
だけれども、こんな事を考えるのはキチガイだ。
そして、僕はそのキチガイの息子で、こんな悪夢じみた世界で足掻いて、もがいて生き
ている。
「死んでもいいんだけどね」そう口では嘘ぶくが、彼も又、その父と同じように、最も
弱く、それ故醜かった。
途中、何度か疑った。
ミサトさんや、或いは精神的に追い詰められているもう一人の同居人の仕業では無いかと。
しかし、ミサトはこのように物事を行う人物では無く、アスカはあのザマだ。
現在凍結中の初号機の変わりを勤めるのは、レイになることだろう。
シンジはレイに対し、言葉では上手く言えない感情を抱いている。
それに比べアスカに対する感情は簡単至極。
性欲と、寂しさの穴埋め。
でも、レイに対しては寧ろ、彼女に抱かれながら永遠の眠りにつきたいと思う、そんな
憧憬。
死が常に、シンジの目の前をたゆたっていた。
4アンデルセン:04/06/19 04:11 ID:CIFFNrrq
等しき死をもって、全ての人間に福音を与える。
このテーゼにシンジは惹かれた。
死ぬのでは無く、他人を恐れる必要もなく、かといって寂しさを抱えていくのでも無く、
全てが充足した世界へ、この肉体を捨て、永遠に。
まるで天国だ。
そう思った。
それから、ミサトにもアスカにも誰にも誰にも秘密に、その要綱が擦り切れる位読んで読ん
で、そして又読んだ。
丁度、何度目かの読み返しの時、シンジは地獄をまた一つ経験した。

始まりは些細な事に過ぎなかった。
ミサトが留守な何時もの夕食後。
その日は何時にもまして、アスカは苛立っていた。
だから、シンジとしても出来るだけ彼女に触れないよう、会話も少なめにし、早々に切り上げ
るつもりだった。
5アンデルセン:04/06/19 04:13 ID:CIFFNrrq
或いはそれが気に食わなかったのかもしれない。
「何、アンタ、びくついてるのよ。ばっかみたい」ぽっりとアスカがそう吐き捨てた。
食後のコーヒーを、メーカーで沸かしながら、シンジは出来るだけ視線を合わさないよう、な
にげない風を装いながら「いや、その…ただ、癖だから」そして直ぐにこう続ける。
「気に障ったんなら、ごめん」
アスカは苛立たしげに足を揺すり、ふんと鼻をならす。
そして突然、真顔でシンジに問う。
「…アンタ、シンクロ率80を超えたそうね。は!1ヶ月もエヴァの中に溶けてりゃ、当たり前
よね」
「ああ、うん」
「馬鹿にすんじゃないわよッ!」
アスカは突然、いきり立ち、椅子を蹴って立ち上がり、シンジを睨み付ける。
シンジは突然の事で、ただおろおろと立ち尽くしていた。
「馬鹿になんてしてないよ。そんな事…なんで」
「あーあ、もうどーせ私達なんてお払い箱なのよ。ファーストも私もね。要らない人形はゴミ箱
行き。無敵のシンジ様一人で頑張れば。でもね……」
目まぐるしく、おどけて見せたと思うと、目に涙を滲ませ、シンジににじり寄る。
舌で上唇を一回、舐め、アスカは言葉を切り、シンジの目を見た。
シンジはぼんやりと、アスカの唇や胸の辺りに視線をさ迷わせ、性的な昂ぶりを感じていた。
6偽神 ◆v0PFBKCB8I :04/06/19 04:13 ID:???
では遠慮無く使わせて頂きます。
…つか書きかけの原稿を何とか汁、自分!
まぁ気楽に行くさ。
アンデルセン氏って引退したんじゃなかったけ?
8アンデルセン:04/06/19 04:15 ID:CIFFNrrq
と、アスカの皮肉まじりの表情は消え、全ての表情を消して言う。
「アタシの下着でオナニーをしている、アタシの体をじろじろ見る、アタシの風呂の残り湯に
浸かる、アタシと同じトイレを使う、アタシと同じ家に住む、アタシと…アタシと同じ空気を
吸う! 吸うなっ! もう嫌ッ! 何もかももう嫌ッ! 死ね、消えてしまえ!」
最初は只管ごめん、申し訳ない、ごめんなさいアスカと繰り返していたシンジだったが、次第
に馬鹿らしくなって来た。
だから何だというのだろう。
同時に、自分の存在の卑小さと醜さに対する怒りと羞恥が外部に溢れ出る。
それでもアスカのように怒鳴り、感情を吐露する勇気も無く、嫌味を連ねる。
曰く、アスカの感情のヒステリーを僕に当てられても困る。
曰く、言われた事をした覚えは無い。
嘘、嘘と甘い砂糖でコーティングした、彼女を傷つける為の棘。
シンジとて、言われて腹が立たない訳ではない。
だから、こうして感情を少しづつ吐き出す。
でも、どうしてだろう。
吐き出した筈の毒が、少しづつ体に蓄積して行くようだ。
沸騰するような怒りを、シンジは感じた。
アスカに対してもそうだが、周りを取り巻く全てに対して。
9アンデルセン:04/06/19 04:16 ID:CIFFNrrq
「寂しいのは嫌なんだよ。ねぇ、お願いだから僕を嫌わないで、好きでいてよ」
狂おしい視線をアスカに向け、シンジはテーブルに体重を乗せながら、ふらふらと立ちつつ
アスカと対峙する。
「君の事だって、分かろうとした。でもアスカは何も話してくれないから、分かるわけない
んだよっ!!」
感情が昂ぶり抑制が外れて行くのが、シンジ自身にも感じ取れた。
けれども、全ては止められない。
行き着く所へと行くまでは。
アスカから、怒りや悲しみは消え、磨り減った心は何者をも拒絶し、拒み、そして…何も無かった。
超然と、シンジを見下ろすように、彼を見ている。
「何か言ってよ。ねぇ…言ってよ!」
けたたましく、フローリングに椅子がぶっかる音。
シンジは自分でも自身を抑えきれず、溢れ出る激情のまま、椅子をなげ、テーブルをひっくり返し、
手に触れるもの、全てを壊していった。

「…哀れね」

そして、シンジはアスカの細首を絞めながら、自分自身に絶望し、同時に他者を自身の手により
壊す喜びに打ち震え、自らが望むように破滅へと突き進んで行く。
破滅こそが、無こそが、自分も他人も全てが居なくなる事を望み。
永遠に安らう、安らう。
シンジは世界に疲れた。

こうして、補完への扉は開かれる。
全ては人類の、ゼーレの御心のままに。
10名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/06/19 04:20 ID:CIFFNrrq
ショートショートでした。SS・FF創作スレが無かったので
立てました。
まさか立てられるとは思わなかったので、適当な1で申し訳
ありません。

>>7
一応引退してます。
エヴァに対する興味はまだあるんで色々オチしてましたが、
板の活性化を願い、このようにスレを立てました。
当方も、気が向いたら何か投下出来たらと考えています。
では。

私物化…
12名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/06/19 12:57 ID:+jtyvpgY
まぁ私物化といっても 糞スレ立つよりは良いんじゃない?
つーか 面白ければ認められるし つまらなければ叩かれる そんな感じ。
つーか、他に誰か書けよ
趣向が違うので書けない。
趣向なんて関係ないじゃん。
誰か、断罪スパシンとか甘LASとかを書いちゃえ。
ぬるぽ
こんなエヴァ小説が書いてみたいスレでいいんじゃね?
>>17
そこ、連載みたいなことをすると叱られちゃうじゃん
短い短編でしたね
また新しいの書いてください
個人的には断罪ものが読みたいです
20ぶっちゃけパクリ!:04/06/20 08:48 ID:???
純愛3才

幼稚園に行き始めてイロイロ報告するシンジ

シンジ「あのね  レイちゃんがね レイちゃんがすきー」

ユイの話では告白されたらしい

ゲンドウ「ほほう レイちゃん好きか?」

シンジ「すきー ちゅうするよ」

ゲンドウ「いいなぁシンジ」


21ぶっちゃけパクリ!:04/06/20 08:49 ID:???
数日後

更に別の女からも告白されたらしい

シンジ「アスカちゃんがね すきーって いってた」

ゲンドウ「ほほう」

シンジ「ちゅーしたよ」

ゲンドウ「やるなシンジ。 でさ、レイちゃんとアスカちゃんどっちがすき?」

シンジ「…エー」

ゲンドウ「どっちがすきなんだ?」

シンジ「マナちゃん すきー」

ゲンドウ「ドロドロしてきたな 何角関係?」


更に数日後

シンジ「あのねーマナちゃんよりねーカヲルくんがすきー」

ゲンドウ「おホモだち?なんでもありかよ!」

元ネタ
ttp://flash2chjp.hp.infoseek.co.jp/flash/love.html
>>21
                                   ,,,,_    ._,_                     _,,,,,,,_     
      _,,,,,,,,,,,_      _           _、    ,,,,, X.゚'┐  |,.゙'┐        |,'''=,、  l,''r, ,,r″._ .゙┐   
    ,,r・゙~`    ̄'=,  ゙l. =' ,     ,,ト~''x,   .゙l, ゙'l,|  ゙L  ,″.゙l,,,v-x,,、    } リ  } ”  .ifネ  ゙l    
   i″  ._,,,,vv,,,,,、  .゙ト  〕  ゙l   .,,r''°  リ   〕 ″ ‘'=,,.,i´  ゛   ゙゚┐   |   ゙l,, {  |レ_,,,,,, 、 |   
  i´  .,r″    ゚'L .,″ |   | ,,v''°  .,,v・''° .,i´ ,  .m,ケ  .,,,,,.でヘ┘2 ̄   .゙'t|  g,゙~^`  |    
  |   〔       .~| .゚L  |   .″   ,v'"     .l、 .,《  りケ  l" ,l゙  亅  ゙ヘv、  |゙゚',lト|,pilllll''广  .゙゚'x,  
  |   |        ,!  〕 |    ._,,  ゙!i、      ~''',,l゙   ,ri,__,,、゙゚'″ ,″    |  | .|, `  ._,,,w*!!llp,,,ト  
  〔   ヒ         ,l° .〕 |   .|゙^.゚L  ゙'ッ,    〔''″  .l″``゙'li、  .,l゙    ,,,,,|  レ゚lレ'  'ヴ゛  ,, ゙ト   
  L  ゙=,,_  ._,,r″ .,l° |   |   ゙┐  ゙''r,,、  ゙l, ,=@|   ,r°  ゙''i、  ,「.,=@ ._` .,、 ji、 ]|  .}  
   ゙'x,、   ̄~″  ,,r° |   .|    ゙'x,   .,レ  ゚'li゚"  .|  ,r″ .,it,  .゚L .} “゜ .,r'゚゚!,,ll゙’ ,l″ .『  亅  
    ゚'ヘx,,,,,,,,,,,,,,vr・°   ヽ,,,,〃     ゙''=,,,,,i″   ゙l  ,|,r″ ,,r″ ゚!i,,  .〕 ゙L .,x'"  lこ ,ill° ,r  .,l゙   
                                   ゚'''''″~゚"'゙″   ゙¬″  ~″   ~'″゙゙‐'″゚'''''°   
>>21 GJ。しかし、ゲンドウの口調がちょっとな…
24名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/06/30 12:01 ID:J8GwHhG+
保守&職人募集age
ストーリーだけ考えて自己満足な落書きさらして、よく恥ずかしくないね。
表現が稚拙すぎる。
評価板でいいじゃん…
あそこ派閥ひどいからな
暇なんで、ちょっとss書いてみた、閑古鳥が鳴いてるみたいなんで枯れ木も山の賑わいということで

日曜日、シンジとアスカは一日フリーだった。
ハーモニクステストは一昨日、定期検診も前日に受け完全な休暇を取ることが出来る予定になっている。
二人の友人、トウジ、ヒカリ、ケンスケの3人は、普段あまり休日が取れない二人がフリーだということがわかると早速、二人の休日に予定を入れた。
たまには自然の中が良いということで、よくケンスケがミリタリーごっこをする近くの山で、アウトドアの計画を立てた。
ハイキングして昼には飯盒炊爨して、という平凡な計画だった。
確かに平凡だが、友人たちとのそれは大変楽しいもので、五人はクタクタになるまで遊んだ。
夕方になり時刻は五時を回った、五人は疲れながらも山を下り、帰宅を始める。
もし、今日のハイキングが昨日であれば、五人は六時過ぎには自宅に着き、風呂にでも入りながら今日の疲れを癒したのだろう。
山のふもとまで45分、ふもとの駅から自宅の最寄り駅まで10分、六時くらいに帰宅。
五人はそのように予定を立てていた。しかし、これまでと違い、最後の予定は消化できなかった。

「はあ、疲れたな、山は下るほうが疲れるわ」
「もう、鈴原ははしゃぎすぎなのよ」
山を下る途中の会話、トウジは遊び疲れていた。
「でも、楽しかった」
アスカの言葉に、一同黙る。
「今日みたいな日が、あるのはいいわ、ありがとね」
礼を言われた3人は少しはにかんだ。
「ほら、バカシンジも楽しんだでしょ、企画してくれた鈴原たちに礼くらいいいなさいよ」
シンジは多少照れたように
「うん、楽しかった、ありがとう」
「センセにそう言ってもらえると、うれしいわ、なケンスケ」
「そうだな、普段シンジたちには世話になりっぱなしだし、俺たちにできることなんてこんなことくらいだから」
そのときである、急に強い揺れが五人を襲った。
五人は、一瞬で立っていられなくなり、山道に座り込んだ。
アスカはすぐに使途を思い浮かべ、状況の把握に努めようと立ち上がろうとした。
近くで使途が闊歩しているか、攻撃を受けて大地が揺れているか。どちらにせよ、使途を確認せねば、そう思った。
他の四人も、一瞬、頭が真っ白になり揺れから地面にしがみつこうとしたが、そのあと使途をイメージした。
一番初めに、異変に気づいたのはケンスケだった。使途が出現したとなると、アスカとシンジの二人がここに一緒にいることがひどく奇妙に思えたからである。
普段なら、使途が来る前に警報がなり二人は、第三新東京で一番速やかに本部に向かう。ネルフから連絡が来ていないということは、使途じゃない?
揺れが始まって2秒くらいでこのことに気づく
じゃあ、この揺れは
「地震?」
ひどい揺れの中で、ケンスケが自信なさそうにつぶやいた。

そのまま立っていられないほどの揺れが数秒間続いた。一番ひどいときには体が空中へ放り投げだされるような強い揺れだった。
揺れが収まり、五人は蒼白な顔をして地面にへたり込んでいた。
「いまの、何、使途じゃないわよね」
座り込んだまま、アスカがつぶやいた。
「使途が歩くにしては振動が大きすぎる、攻撃にしても同じ、使途だからわからないけど、これまでとは大きさが違うし、揺れが断続的じゃなかった。ずっとゆれが続いてたわ」
「地震かもしれない」
ケンスケが思ったことを口にした。
一同がケンスケの言葉"ジシン"を理解しようとした。
「ジシンってあの地面が揺れるっていう?」
シンジが最近理科の授業で習ったことを思い出し聞いた。

セカンドインパクトで地球は大きく地殻変動を起こした。それこそ、地面が割れるほどの。
もちろんそのとき地震は世界各地で起こり、津波や海面の推移の上昇とともに、多くの人がこの自然災害で命を落とした。
先の二つと違い、地震は内陸部の人や、高地に住む人たちの命も関係なく奪ったため、全世界で地震の被害は広まった。
ただ、セカンドインパクト後、めっきり地震は起きなくなった。まるで地球がセカンドインパクトで満足したかのように。
セカンドインパクト以降、地震は世界で数回も起きていない。しかも、どれも規模はそれほど大きくない。
もちろん、大地の活動というものはセカンドインパクト後もあるので、人間が感じられない微小な大地の揺れというものはある。
ただ、人間が地震と感じるものはほとんど皆無だった。

五人も、地震を経験したことはないといっていい。
知識として、理科の教科書に載っているのを知るだけである。
それも、昔の人が苦労した自然災害という程度の認識しかなかった。
セカンドインパクト以降の子供たちが、秋や冬、春などの四季を知らないのと同じようなものだった。
「うん」
ケンスケがシンジの言葉に自信なさげに頷いた。
「地震って、昔の自然災害のあれよね」
アスカがすぐに自分の記憶のなかから引っ張ってくる。
たしかに、昔はそういう自然災害があったらしい。地面が揺れて、建物が壊れるなどの被害が起きる。
「でも、地震ってもうずっと起きていないんでしょう?」
洞木ヒカリが先ほどの恐怖を感じながら言った。
「でも、パイロットの二人に連絡は来ないし使途じゃないとすると・・・」
ケンスケの言葉に、一同は考えた。
揺れが収まってすでに1分近く経ち、少しみんなの心は落ち着いていた。
「まあ、なんにせよ、ネルフ本部かミサトさんに連絡とってみたらどうや?」
「う、うるさいわね、いまから連絡しようと思ってたのよ!」
携帯のことを失念していたアスカは、すぐに携帯を取り出そうとする。
「ほら、シンジも、あんたはミサトの携帯にかけなさい、私は本部にかけてみるわ」
「うん、わかった」
二人は短縮を押した。

「だめ、本部にはつながらない、コールがかかっていないみたい」
「こっちもダメだ、コールはかかるけど、ミサトさんが出ない」
二人の言葉に、一同が落胆したそのとき、山道を黒服の男が二人駆け寄ってきた。
「保安諜報部のものです、お二人ともお怪我はありませんか」
「あんたたち、遅いじゃない、いままで何やってたの」
「申し訳ありません、今の地震で、今日の警備メンバー八人のうち五人が負傷いたしまして」
「え、やっぱりいまの地震なの?」
「はい、まだ確認をとっていませんが、いままでのところ、使途出現の連絡は受けておりません。最近はなくなりましたが、セカンドインパクト前はよくありました。」
30代前半の男はセカンドインパクト前の地震を何度も経験している。というか、規模の大小はあれ、セカンドインパクト前は、特に日本では、地震は年中起きていた。
「あの、負傷した方は大丈夫なのでしょうか」
シンジが心配そうに聞いた。
「動けない状態ですが、命に別状はありません、今無事なもう一人のメンバーが本部と連絡を取っている最中です。みんな隠れてお二人を警備していたのですが、地形上、怪我をしてしまいました。」
山道以外は斜面が急だったりしたためだろう。
「とにかく、みなさんが無事でよかった。この上、警備対象が負傷していたら、上司に怒られるところでした。もうすぐ迎えが来るはずです」
と、いつもは怖いイメージの黒服が笑って話したので、五人は安心し、その場にまた座り込んだ。

同時刻、日曜日の夕方
ネルフ本部では、多くの機能がマヒしていた。

戦術作戦部部長執務室
葛城ミサトと偶然そこにいた加持リョウジは気を失っていた。
二人の上には、大きな書棚とそこに収めてあった大量の書籍、机の上にあった膨大な書類は部屋中に散乱していた。
部屋の電気は切れていて暗い室内だった。


現在、最新技術の粋を集めて作られた第三新東京市およびネルフ本部は機能を著しく低下した状態になっている。
とりあえず、ここまで
>>25
の言った状態だと思うので、これ以降はちょっと反応待つです
>>36
とりあえず、ということは続きがあるの?
あっさり目の文体で個人的には好みなんだが、オチもあっさり目な所はちょっち残念。
ということで、ぶうぃしっとしたオチをキボンヌ。
「〜た」ばかりじゃなく、たまには「〜る」とした方がいいとオモタ
じゃ、ちょっと続きを
>>35の続き

本部内実験場

「実験中止!状況把握に努めて」
赤木リツコが叫んだと同時に伊吹マヤは緊急停止プログラムを送るボタンを押した。
エヴァが使用できる武器の強度実験の最中、巨大な揺れが彼女たちを襲った。
立っていたリツコは地面に尻餅をつき、そばにあったコーヒーメーカも倒れ、こぼれた熱いコーヒが湯気を出している。
確認は出来なかった、実験場はもちろん観測ルームも停電に陥っており、明かりがなかった。
「だめです、モニター類全部落ちています」
オペレータの誰かが報告
「先輩、大丈夫ですか」
マヤが暗闇で席から動けずに、リツコの無事を確認した
「誰か明かりを、足元に非常用の懐中電灯があるはずよ」
リツコの言葉で、各自は自分の足元を探り始めた。
そのとたん、観測ルームに明かりが戻った、各種モニターも回復して、オペレータが状況を報告し始める。
「電源は正、副両方とも落ちたみたいです、現在は予備電源にて本部内の電力を供給」
「発令所との連絡が取れました、パターン青は検出されてないようです」
「強度実験は、緊急停止に成功しています、実験データは電源が落ちる直前までのものを確保」
報告を聞きながら、リツコは立ち上がった。
「先ほどの揺れの原因はいまだつかめず、発令所内も混乱しているみたいですね」
マヤの言葉を聞いてかどうか
「発令所に向かいます、実験場はこのまま状態を維持して、発令要員は私と一緒に発令所へ、それ以外は本部内の機能回復に努めて、非常時のマニュアルにそって行動してください」

第一発令所 地震発生時

発令所は静かなものだった。使途襲来時と違いオペレータたちの多くは、センサーなどの監視で、2週間に一回の日曜勤務をだるそうにこなしている。
外部との交信もほとんどなく、唯一あるのが前回の戦いで倒した使途の回収作業班との交信くらいである。
「コーヒ飲むか?」
青葉シゲルが同僚の日向マコトにマグカップを差し出した。
「お、サンキュ」
「何やってんの?」
「前回の戦術の検証と、新迎撃システムを使用した作戦案の作成」
「おお、作戦部らしい仕事じゃないの、葛城三佐は?」
「葛城さんは自室で、前回の使途戦の残務処理」
「まだ終わってなかったのか、あの人も毎度仕事ためるよな」
「残務処理なんて多少遅れてもいいんだよ、あの人は作戦中の仕事が人一倍できるから」
ニヤっとシゲルの顔が笑った
「で、有能な部下のマコト君としては上司の残務処理をやってあげないのかね?」
「もう十分やった」
「ふーん」
よほど仕事に熱中してるのか、あっさりした返事にシゲルは少々面白くなかった。
「あれ、副指令は?今日出勤じゃなかったっけ?」
「副指令は本日お休みだそうです。先ほど連絡がありました、体調を崩されたご様子でした」
マヤの代わりのオペレータが答えた。
「そうか、大丈夫かな」
とりあえず、上司の健康に心配するシゲル
「お前みたいな部下を持つから心労だろ」
マコトの指摘にそうかもしれない、とつい考え込んだ。

揺れは、それから少しして起こった。
初めのうちは、発令所の人間に混乱は少なかった。
揺れの原因を使途と決め付けていたからだ、停電もつい最近経験している。
だから、一分もせずに電源が予備に変わって回復した後は、使途迎撃の手順を速やかに踏もうとしていた。

「パターン青の検出がない」
そう言うシゲルにマコトは怪訝な顔をした。そして
「検出器の誤認識じゃないのか?映像や各種観測はどうなっている?」
下の専任オペレータに聞いた。
「どの防衛ラインにも、使途の影すら映っていないようです」
オペレータたちの報告はどれも使途の存在確認できず、だった。
「とにかく、復旧していない箇所の電力の復旧を急げ、葛城さんと赤城博士に連絡はついたか?」
「赤木博士とは連絡つきました、実験を中止してこちらに向かっています。葛城三佐とは連絡がつきません、執務室にコールしていますが出ないようです。」
マコトは自分の部下を直接向かわせることにした。
「指令は二日前から出張、副指令はお休み、とにかくどちらか1人には来てもらわないと」
シゲルはモニターをチェックしながら上がってくる報告を聞いていた。
ネルフが誇る状況把握能力が、徐々に何があったのかを見せ始めた。
使途ではない相手なのだが、第三新東京市が受けた被害を目にするごとに深刻な状況が浮かび上がってきた。特に、市内の状況が映し出させれたモニターは、忙しく働く発令所スタッフの足を止めるほどだった。
「で、やはり地震なのね」
中央作戦司令室でネルフの幹部メンバーによる、今回の震災の分析と対応策が練られていた。
といっても、メンバーの集まりは悪く、赤城博士を筆頭に各部の現時点での責任者数人だった。
「はい、震源地は芦ノ湖の向こう側、白銀山のふもと、地震の強さを表すマグニチュードは8.1だそうです」
「8.1か大きいわね」
マヤの報告にリツコがつぶやいた。
「8.1とは、どれくらいの大きさなんでしょうか?」
シゲルが聞いた、他のメンバーもいまひとつ地震に対する知識は薄いようで、マグニチュードを聞いても実感がわかない。
「地震の規模としてはかなり大きいわよ、もちろんセカンドインパクト時の冗談に比べたらまともな値だけど、
セカンドインパクト以前の記録として、1923年の関東大震災時がM7.9、1995年の兵庫県南部沖地震が7.2だったかしら、
もちろん建物の耐震性や技術の向上で被害の状況をそのまま比べるのは間違いだけど」
「しかし、上の被害は尋常じゃないですよ。使途と市内戦をやってもああは被害が出ない」
「セカンドインパクト以降、地震はさほど起きなかったし、地震に対する耐震性や免震性の技術は、
セカンドインパクト直前の1999年以降ストップしていると言っていいわ、それにここは使途に対する防衛構造を第一に考えられているし、
耐震性なんてひどいものだわ、装甲ばかり厚くしていった都市だから、
どんな状況になっているのか、これからどんな二次災害が出てくるか予想しにくいわね」

地震発生から10分、ネルフはこの震災と戦い始めた。
44電脳プリオン:04/08/29 13:39 ID:???
SSが何の略か知りたい。。
サンデーサイレンス
>>44
SPECIAL
SEX-MACHINE
台本だけだが書いてみた。


アスカ「本当にあんたってバカよね」

シンジ「バ、バカとかいうやつが本当のバカさ」

アスカ「プッ、なに必死になって言い返してんの。もしかしてあんた知障?」

シンジ「そ、そんな差別発言。いくらアスカでも許さないぞ」

アスカ「てゆーかさ、あんたって人一倍トロいくせになんでいつも人一倍必死
なの? 自分で才能ないってわかったら、さっさと降りちゃえばいいのに」

シンジ「な、なんてことを……アスカ! 前言を撤回しろ。さもないと」

アスカ「キャハハ、なにマジレスしてんのよ。あんたキモすぎwww そんな
の冗談に決まって……え?」

シンジ「アスカァ! 僕をバカにするな、バカにするな〜!」

アスカ「な、なにすんのよ。やめてよ、息が苦しい。あぐっ……」





シンジ「ハァハァ……ア、アスカが悪いんだぞ。アスカがあんなひどいことを
言うから。ハ、ハハハ……ぼくは間違っちゃいないよね……ハハハハ、そうさ、
そうに決まってる……」
>>47に続き作ってみた。

「アスカ、待ってったら」

 学校からの帰り道。ひとり早足で帰宅の途につくアスカを追いかけるように
シンジが後ろからついてくる。

「近寄らないでよ人殺し」

「そ、そんな言い方って。あれからぼくも間違いに気づいてちゃんと救急車を
呼んだんだから」

「聞く耳持たないわよ。それ以上近づいたら警察に通報するからね」

「勘弁してよ、警察なら昨日嫌ってほど聴取を受けたよ!」

「はい近づいたわね、通報決定」

「待ってよ、アスカったら。話くらい聞いてよ」

「ほんと、ちょっとからかったくらいで人の首絞めるなんて、いったいどうい
ったご家庭で育てられたんでしょうね」アスカは携帯を片手に警戒の眼差しで
シンジを横目に見る。「……あ、もしもし警察ですか。いま気味の悪い男に付
きまとわれて困っているんです……はい、そうです。昨日の件で……すごく恐
いんです。お願いします……はい」

 通話を終えるとひとり歩き出すアスカ。シンジが後を追う。
「ほ、本当にするなんてひどい!」

「少年犯罪ってことで起訴すらされないだけでもありがたいと思ったら?なん
なら民事に訴えてもいいのよ。あんたのことは今回の件ですっかり愛想がつき
たわ。今後プライベートでは一切わたしに関わらないでくれる? 仕事のとき
はしようがないけど、極力わたしと顔を合わせないようしてよね」

「そ、そんな。アスカ、ぼくを見捨てないでよ」

「わたし嫌いなのよ。あんたみたいに男のくせにイジイジしてるのって。ダサ
いしキモいしウザいし。あーもう、二度と顔も見たくない」

 シンジが立ち止まる。敗残兵のように頭をうつむけたまましばらく思い悩む。

「わかったよ。アスカ、もう君につきまとったりしないよ……」

 シンジが立ち止まったことに気づくアスカ。振り返り相変わらず高圧的な眼
差しでシンジを見る。

「わかったんならさっさと消えてよ。……あんたみたいな人間はね。はじめか
ら誰も望んじゃいなかったのよ。あんたみたいにネガティブとペシミズムの塊
みたいな人間、誰がかわいがってくれる? 誰もいないでしょ」

「……わかってる。誰もぼくを愛してくれないことなんて。かといってぼくに
は死ぬ勇気すらないんだ」

「それじゃ、シンジ。もしもわたしがあんたの死を望んでいるとしたら。あん
た……死ねる?」

 アスカの意外な発言に驚くシンジ。はっと顔を上げる。

「アスカ……君は本当にそう望んでいるの?」

「ええ……マジレスでイエスよ。正確には死んでほしいというより、わたしの
記憶から消え去ってもらいたいんだけど。さすがにそれは無理でしょ。だから
せめてわたしのために死んでもらいたいの。それ、あなたにできる?」

「ぼくが死んだら……君はうれしいんだね。いままでもそう思っていたんだね」

「別にうれしいとは思わないわ。だって人が死ぬんだもの。でも胸がすっきり
するでしょうね。厄介な荷が下りて」

「ぼくは邪魔者じゃない! アスカ、お前もぼくを厄介払いしようというのか!」

 シンジがアスカに飛びかかる。だが、えり首をつかみながらもシンジの顔は
なぜかうつむいている。


「もうそんなのはたくさんだ。そんなのはたくさんだ……たくさんなんだ」

 アスカの胸に顔をうずめるようにしながら、そのえり元を強く握りしめるシ
ンジ。アスカは放心したような表情で抵抗することなくシンジを見つめている。

「シンジ……あんた泣いてるの? 泣いてるのね」

 その言葉に反応するシンジ。ゆっくりと顔を上げ、アスカと目が合ったとき
急にアスカを突き飛ばして背中を向ける。

「あっちへ行け! ぼくに近づくな」

 だがその言葉には耳を貸さず、アスカはゆっくりとシンジの方へ歩み寄る。

「あなた……わたしが嫌い?」

「……嫌いだ」

「あなた……わたしが憎い?」

「憎い」

「いっそ殺してしまいたい?」

「殺してしまいたい」

「そう」アスカは何かを見放すようにため息をひとつついて言った。「じゃあ、
好きにすれば」
52何処かの793:04/09/17 21:26:02 ID:???
「アスカの日記」で書いていたものなので、話が途中からになっています。ご了承ください。
53何処かの793:04/09/17 21:26:44 ID:???
買月物日

今日は楽しい一日だったわ。
ファーストの部屋に置く生活必需品や、その他の雑貨を買い漁ったの。

「アスカ、そんなの高くて買えないよ…」
「大丈夫よ。ファーストが何を買ってもいいって言ったんだから」
「ええ、大丈夫よ」
「ごめんね、綾波…」
「気にしないで」

費用は全部ファーストが出してくれたわ。ファーストって意外とお金持ちだったのね。
私もお金くらいは持ってるけど、ミサトがうるさくて好きに使えないのよ。

「あの…アスカ、綾波、少し腕を放してくれないかなぁ…なんて」
「何よ。アタシと腕を組むのが不満なの?」
「碇君は嫌なの?」

ショッピングの間中、シンジと腕を組んでいたわ。だって、ファーストが腕を放さないんだもの。

「嫌じゃないけど、みんながこっちを見てるんだよ…」
「見させておけばいいのよ」
「問題ないわ」
「そんなぁ」

なぜか、私たちはじろじろと見られたのよね。
やっぱり、かわいい女の子二人に囲まれていたのが、冴えないシンジだったからだわ。
ファーストは髪と目の色を除けば普通にかわいいと思うし、私だって負けてないよね?
情け無いシンジはどうでもいいとして、人の注目を集めるのって気持ちがいいわ。ファーストはどう感じていたんだろう。

続く
54何処かの793:04/09/17 21:27:32 ID:???
続き

ショッピングの荷物は、すぐに増えるのよね。

「アスカも…少しは持ってよ…」
「駄目よ。荷物を持ったら腕が組めないでしょ?」

どんどん増える荷物はシンジとファーストに持たせて、私はシンジの腕を放さなかったわ。やばい、少し癖になってるかも……

「腕よりも荷物を持ってくれた方が嬉しいかも」
「なんですって!?」
「う、うわぁ!」

それにしても、シンジのデリカシーの無さには参るわ。せっかくのいい雰囲気が台無しよ。……って、「いい雰囲気」って何よ。私がシンジと?今のは無しね。
とにかく、シンジが荷物をばら撒くもんだから、周りの注目を集めていい恥さらしだったわ。

「何やってるのよ」
「アスカが叩くからだろ?」
「……仕方がないわね。私も持ってあげるわ」

でも、こんなに楽しいショッピングは初めてだったわ。
またシンジを荷物持ちにして行こうかな。
なんでこっちくんだよ。そのままそのスレで続けりゃいいだろ。
>>55
氏ね
57何処かの793:04/09/17 21:36:39 ID:???
すみません。理由はアスカの日記が荒れると思ったからです。
あちらに謝罪の書き込みをしましたが、こんなに早く見つかるとは思いませんでした。
もう、引き返せません。
あのスレを抜けたんだから
日記形式にこだわる必要無いんじゃない?
まあ、今のままでも日記形式ではないとは思うけど
冒頭の○月○日とかいらないだろうし
もし良ければ、たまに視点をアスカ以外の誰かに変えても面白いかも

がんがってね
応援してるよ
59何処かの793:04/09/17 21:47:50 ID:???
書き上げてしまっていたので、そのまま書き込みました。
次からは日付を無しにしますね。
最初からの発言など様子を眺めた限り、793ってのはとことん空気読めないタイプな。
日記スレ自体はどうでもいいが。
793さん、がんばってね
応援してるよノシ
GJ おいらも応援ノシ 続けてくれて本当良かった。
>視点をアスカ以外 
あ、なんか綾波視点で読みたくなってきた。
でも、これはこれでアスカ視点だからこそって気も。
63何処かの793:04/09/18 20:30:38 ID:???
今夜はやっと普通に暮らせるようになったファーストの部屋でお泊り会なの。

「なんか、別の部屋みたいだね」
「いい感じでしょ?」
「うん。前とは比べ物にならないよ」
「前と比べてもらっても困るけど、このアタシがレイアウトしたんだから、気に入って当然よ」

この部屋は改装時にも見てるから、今日が初めてじゃないわ。だけど、前の部屋の状況を知ってるから、何度見ても驚かされるわ。

「綾波も気に入ってくれた?」
「ええ、碇君と買った物がたくさんあるから」
「何よそれ」
「そ、そう…それじゃ、夕飯でも作るね」

シンジが食事の用意をしている間、私はファーストと二人きりになったの。
最初は買ったばかりのテレビを無言で見てたわ。なんとなくだけど、ファーストに聞いてみたくなったの。

「ファーストはシンジが好きなんでしょ?」
「好き?……良く分からない」

ファーストにシンジが好きかと聞いたら、ファーストは困ってたわ。

「分からないって……じゃあ、シンジのことをどう思ってるのよ」

続く
64何処かの793:04/09/18 20:32:00 ID:???
続き

問い詰めたら、ファーストが素直に白状したわ。

「……とても大切な人。失いたくない人。そばに居て欲しい人。それが碇君」
「はぁ…それを「好き」って言うのよ」
「これが「好き」‥‥私は碇君が好き‥‥」

なにかファーストの様子がおかしかったけど、予想通りの答えだったわ。ここまで素直に「好き」と言えるのも珍しいわね。
私もシンジのことは、それなりに大切だし、居ないよりは居た方がいいし、そばに居ると何かと便利だから居て欲しいとは思うわ。
でも、これが「好き」とは言えないよね?

「ご飯ができたから、そっちに持っていくよ」
「う、うん」

食事の用意ができるまで、私は何かを考えていたみたい。気づいたら、シンジの声が聞こえたわ。
リビングのテーブルにお皿を並べて食事を始めたの。

「アスカ、もしかして不味かった?」
「そ、そんなことないわ。いつもどおりよ」
「ええ、おいしいわ」

食事中、シンジを変に意識しちゃって、料理の味なんて分からなかったわ。
ファーストがやけにゆっくりと味わって食べていたのは覚えているけど。

で、食後の今、リビングでくつろいでるんだけど、夜はこれからなのよねぇ。
なんだか今日は緊張してきたわ。
>>55 60
お願いだから氏んでくれ。

793さん GJ!
お前が氏ね
落ち着いてLAS小説を投下するスレ
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1095582454/
こっちでやったら?
カプ系が我慢なら無い向きもあるようだし。
ここでいいじゃん
向こうはLAS
LARSはお呼びじゃないだろ
別に移らんでいいけど、仮に移動するならLARSスレかハーレムスレになるわな。
LAS専門のスレに行ったんじゃ荒らしになっちまう。
ま、ここでやればいいだけだ。
70何処かの793:04/09/19 20:35:44 ID:???
まずいわ。非常にまずいわ。
馬鹿ファーストに合わせて、私も同じ馬鹿をやったものだから、私たちの関係が学校中の噂になってるわ。まぁ、半分は本当の事なんだけど……
今日もヒカリに聞かれたのよね……

「ねぇ、アスカ。碇君とはどうなってるの?」
「どうもなってないわよ」
「うそ。そんなはずないわ。最近のアスカは変わったもの」
「どんなふうに?」
「なんていうか……そう、きれいになったっていうか。前はかわいいって感じだったけど、今はそんな感じ」

ヒカリも意外と鋭いのよ。私自身も前より落ち着きが出てきたかな、とは思っていたけど。

「ヒカリだけに教えるけど、これは秘密よ」
「……ええ、友達の秘密は守るわ」
「ヒカリはこの前のユニゾンの訓練を知ってるわよね?」
「ええ」
「これも訓練なのよ。少し前に地中深くで使徒が確認されたのよ」
「え!?使徒が?」
「し――声が大きいわよ」
「ご、ごめん」
「それで、場所が場所だけに、使徒が動くまで、こちらは何もできないのよ」
「うんうん」
「だけど、その使徒の弱点は分かっていて、今度は三人で同時攻撃なのよ」
「そうなんだ」
「分かった?だから、このアタシが仕方なく、あの二人と仲良くしてあげてるのよ」

続く
71何処かの793:04/09/19 20:36:53 ID:???
続き

あまりにしつこいから、根も葉もない話が口から飛び出しちゃったわ。
それにしても、使徒の威力は絶大ね。ヒカリも信じきっていたようだし、たまには使徒も役に立つわね。

それと、「秘密が守られた例が無い」と言われるのは本当ね。

『今日のニュースです。まず初めに、使徒が発見されたという噂が流れていますが――』
「アスカ、また使徒がくるのかな‥‥」
「くく……むふ……」

夕方のニュース番組で、私の嘘と同じ報道がされた時には、笑いを堪えるのに必死だったわ。

「ご飯が喉に詰まったの?はい、お茶」
「ぷはっ――」
「うわぁっ!」
「――アハハ、あぁおかしい」
「おかしくないよ。顔も服もベタベタだよぉ…」
「ふふ…わ、悪かったわ…ふぅ」

結局、食べている物を思いっきり吹き出しちゃったけど。直撃を受けたシンジは本当にタイミングが悪いんだから。

でも、おかげで学校の噂も消し飛ぶってものよ。
これで大手を振ってシンジと歩けるわ。
シンジが帰ってこない。
シンジが使徒の影に沈んでから、数時間が経過した。
シンジは沈む私を庇って、使徒の影に呑み込まれたの。
エントリープラグ内のモニターに映った、シンジの最後の顔が忘れられない。
シンジは恐怖で脅えていた。最後は私やファーストやみんなに助けを求め、叫びながら沈んでいった。
思い出すだけで、顔を手で覆いたくなる。

使徒の分析を進める中、私とファーストは外で待機していたの。
ファーストの感情の少ない表情が目に付く。

「ファーストはアタシを責めないの?」
「どうして?」
「どうしてって……アタシのせいなのよ?」
「何が?」
「シンジの事よ!シンジがここに居ない事よ!」
「……あなたのせいじゃないわ」

最低ね。私はファーストに当たり散らしていた。ファーストも私と同じ筈なのに……

続く
73何処かの793:04/09/20 20:42:20 ID:???
続き

しばらくして、リツコから次の作戦内容を言い渡されたの。

「使徒の本体は影よ。この本体にN2爆雷を投下し、爆発の瞬間にエヴァのATフィールドで干渉するわ」

作戦内容にシンジの救出が無かったの。すぐに私は確認したわ。
リツコが一瞬だけ苦渋の表情を浮かべて答えたわ。

「初号機は、シンジはどうするの?」
「シンジ君は……可能性に賭けるしかないわ」

可能性って何?私はこの作戦への疑念を訴えたわ。

「この作戦に可能性があるの?」
「本当に答えを聞きたいの?」

だけど、リツコの一言で私は黙り込んでしまった。だって、答えなんて聞かなくても分かるもの。
私はシンジの死を覚悟したわ。でも、実感なんて無かった。
シンジの遺体があるわけでも、初号機の残骸が残っているわけでもなかったから。

続く
74何処かの793:04/09/20 20:42:58 ID:???
続き

弐号機に搭乗した私は、作戦前の静けさの中に身を置いていた。
今回の作戦では、この静けさが一段と身に染みる。
こんな時は、ミサトのうるさい指示でも聞きたくなる。

「リツコ、作戦まであとどれくらい?」
「予定に変更は無いわ。時計を見れば分かるでしょ。もうすぐ、N2爆雷も用意できるわ」

なぜか今回の作戦担当はリツコだったの。リツコに無駄話を求めるのは無理よ。

静寂は突然に破られたわ。
目の前の使徒から血しぶきが上がったかと思ったら、けたたましい咆哮が耳をつんざいたの。
私は使徒を凝視したわ。そうしたら、本当に初号機が咆哮してたのよ。
その時、私はシンジが帰還した事も忘れて、初号機の異様な姿に恐怖してた。

でも、シンジが助かった今では、初号機に感謝している。
今、私は病室にいるの。
目の前のベッドには、シンジが眠っているわ。
なんだか、目の前の光景が夢のような気がする。
75何処かの793:04/09/21 18:45:17 ID:???
私は朝昼晩とここに居る。
ここはシンジが入院している病室よ。
シンジは衰弱が激しいようで、入院して丸一日経っても目を覚まさないの。

「ファーストも少しは寝たら?」
「いい」

ファーストもシンジの付き添いで、朝から晩まで私と一緒に居る。
私とファーストはベッドの脇に置いた椅子に座って、シンジが目を覚ますのを待っていたわ。
付き添いを始めてから、ファーストはシンジの手を握って離そうとしないのよ。しかも、不眠不休で食事も取ってないわ。
シンジが居ない間、ファーストは冷静を装っていたのね。今のファーストを見れば分かるわ。
おかげで、私はシンジを眺めることしかできないけど。

「どこへ行くの?」
「トイレよ」

だけど、ファーストが病室を離れる時間も少しだけあるわ。
その時間を使って、私はシンジに触れるの。

続く
76何処かの793:04/09/21 18:45:54 ID:???
続き

「シンジのくせに、無理するんだから‥‥」

前にファーストが離れた時は、助けてくれたお礼としてキスしちゃった。染み付いたLCLの匂いで気持ちが沈んだけど……
だから、シンジが目を覚ましても、お礼なんてしないわ。さっきので十分よ。
シンジが目を覚ましたら、一発殴ると決めているの。次から、こんな無茶は控えて欲しいから。
そろそろ、ファーストが戻ってきそうだから、シンジから離れようかな。

「……ここは…助かったのかな…」

私がシンジから離れようとした時、シンジが意識を取り戻したの。

「……馬鹿…馬鹿シンジ!」

抑えていた感情が溢れ出すようだった。
私は感情に身を任せて、シンジに抱きついたの。
溢れる涙を止める事もできなかったわ。涙なんて、シンジが使徒に消えてから、一度も見せなかったのにね。

「ごめん。心配かけたかな…」
「馬鹿‥‥馬鹿‥‥」

私の声は何一つ会話にならなかった。私は同じ言葉を繰り返すだけなの。

続く
77何処かの793:04/09/21 18:46:37 ID:???
続き

「碇君、目が覚めたのね」
「あ、綾波も来てくれたん――だあ!?」

いつの間に戻ってきたのよ。ファーストの声で自分を取り戻した私は、思わずシンジを突き飛ばしちゃったじゃない。
もう手遅れかもしれないけど、私は急いで涙を拭ったわ。

「シンジ!アンタが勝手に死ぬのはいいけど、アタシの代わりに死ぬような真似は許さないから!いいわね?」
「う、うん…」

う〜、私って本当に素直じゃないんだから。
恥ずかしさを隠す為とはいえ、シンジに酷い事を言っちゃったわ。助けてもらっておいて、これは無いわよねぇ。
でも、当初の予定通りに殴らなかったから、今回は良しとしよう。うん、そうしよう。

それにしても、シンジが目覚めた時の私の行動には、我ながら驚きを覚えるわ。
思い出すと恥ずかしいけど、私があんなに感情的になるなんて、新しい自分を見た気がするわ。
GJ!
>「……ここは…助かったのかな…」
をアスカの台詞で、布団をめくってちんこが無事か確かめてるとこを想像したw
↑うはっ 読み返したら文章支離滅裂
アスカの台詞と勘違いして、布団をめくってちんこが無事か確かめてるとこを想像した
と書きたかったんだよぉ
寝起きだったんだよぉ
保守
寝起きの頭で何を想像してるんですかw
82何処かの793:04/09/22 20:56:17 ID:???
シンクロテストがあったのだけど、良く分からないのよね……

「最近、シンジ君とアスカの数値が落ちてるようだけど、何か心当たりでもある?」

調子はいいと思うのよ?だけど、数値は下がっているみたいなの。上り調子だったシンジも同じように下げていたわ。
私もシンジも下げ幅は小さいから、心配はしてないけど。
リツコに心当たりを聞かれたけど、そんなのは一つしかないわ。
だから、ファーストの数値を聞いてみたの。

「ファーストはどうなの?」
「……そうね。レイは特に変わり無いわ」
「うそ?データを見せてよ」
「本当よ。それより、どうして嘘だと思うの?」

リツコは変わり無いと言っていたけど、何か引っ掛かるものがあったのよね。
でも、ファーストに変化が無いとなると、私とシンジの数値低下の原因は何かしら。
もしかして、私のエヴァに対する情熱が薄らいだとか……
そんな筈は無いわ。今でもエヴァが一番に変わり無いもの。

こんな感じで一日中考えていたけど、答えなんて出そうにないわ。

続く
83何処かの793:04/09/22 20:57:06 ID:???
続き

授業中に使徒が来たわけでもないのに、ネルフに非常召集されたの。

「ミサト、使徒でも出たの?」
「違うわ。使徒じゃないけど、緊急の用件ができたから呼んだのよ」
「用件ってなんですか?」

シンジが非常召集の理由をミサトに聞いたの。それで、その理由が釈然としないものだったわ。

「用件を伝えるわ。……レイ」
「はい」
「あなたは本日付を以って、ファーストチルドレンの資格を凍結されたわ。期間は無期限。司令の許可が降りるまでは、エヴァに乗せられないわ。いい?」
「分かりました」

本当に理由が分からないのだけど、なぜかファーストがパイロットから降ろされたのよ。

「ちょっと、どういう事?」
「用件を言い終わるまで黙って。……アスカとシンジ君はエヴァ二機での作戦の確認とシミュレーションに力を入れてもらうわ。いい?」
「ミサト、どうして」
「返事は?」
「分かったわよ!」
「分かりました」

続く
84何処かの793:04/09/22 20:58:01 ID:???
続き

それで、ミサトに理由を求めたのだけど、ミサトも分からないの一点張りなのよ。

「どうしてファーストが降ろされたの?」
「知りたいのはわたしの方よ。使える戦力は全て使いたいのに、上から一方的に言い渡されたのよ…」
「ファースト、何かしたの?」
「何もしてないわ」

降ろされたファーストはファーストで、何食わぬ顔でシンジに寄り添っていたわ。全く、意味が分かっているのかしら。

この後の訓練では、シンジをいつも以上に鍛えてあげたわ。
当分はシンジの初号機と私の弐号機だけで戦わないといけないのよね。
シンジにはしっかりしてもらわないと困るわ。
85何処かの793:04/09/23 20:30:28 ID:???
今日から四日間、ミサトは松代へ出張なの。

「やぁ、シンジ君。葛城から聞いていると思うが、今日から少し世話になるよ」
「加持さん、いらっしゃい。こちらこそ、お世話になります」

私は子供じゃないのだから、保護者なんて要らないのに、加持さんが呼ばれたの。
以前の私なら喜んだのだろうけど、ミサトと縒りを戻したのを知ってからは、素直に喜べないのよ。私にも色々とあるし。
このところ、シンジが加持さんと親しくなったのよね。
今もシンジが玄関まで出迎えに行ったわ。

「アスカちゃん、お邪魔するよ」
「加持さんも嫌なら断ればいいのに。アタシはもう子供じゃないわ」
「別に嫌じゃないさ。それに、葛城もうるさいからな。断るほうが面倒なのさ」

最近の私はミサトの話が出ると不機嫌になるのよ。
加持さんからミサトの話が出て、私はいっそう不機嫌になったわ。

「ミサトに嫌われたくないからでしょ?」
「正直に言えば、それもある。今日のアスカちゃんはご機嫌斜めだな。やっぱり、二人の邪魔だったかな?」
「そんなわけ無いでしょ!」

加持さんが邪魔だと、私も少しは思っていた。だから、見透かされたような気がして、大きな声で否定してしまったわ。

「それじゃ、僕はお風呂に入ってきます」

続く
86何処かの793:04/09/23 20:31:38 ID:???
続き

シンジは取り繕うようにして風呂場に行ってしまったの。まずかったかも。
シンジが風呂場に消えるのを見てから、加持さんが苦笑しながら私に言ったの。

「もう少し、シンジ君に優しくできないのかい?」
「どうしてアタシが」

最近の私はシンジに優しくしてると思うのだけど、加持さんはそうは思わないみたい。
私が腑に落ちない顔をしていたら、加持さんが改まって声を潜めたの。

「実はな。シンジ君から相談されたんだ。アスカちゃんとレイちゃんの事でな」

シンジが私とファーストの事で、加持さんに相談したらしいのよ。
私は我が耳を疑ったわ。だから、もう一度確認したわ。

「アタシとファーストの何を?」
「まぁ、あれだよ。男と女の関係かな」

少しの間、私はショックで何も考えられなかったわ。
よりによって、加持さんに相談することは無いじゃない。私が憧れていたのを知ってるくせに。
シンジの奴、後でとことん問い詰めてやる。

続く
87何処かの793:04/09/23 20:32:42 ID:???
続き

「あんの馬鹿…」
「まあまあ、俺の口は堅いほうだから。それに、シンジ君はかなり悩んでいたみだいだし」
「シンジが?」
「ああ。シンジ君は俺と違って真面目だから、アスカちゃんとレイちゃんの両方を好きになりそうだと自己嫌悪してたよ」

でも、加持さんからシンジの悩みを聞いて、私は考え直した。
馬鹿は私だ。シンジの気持ちなんて、考えた事がなかった。
良く考えたら、あの小心者のシンジが、今の私たちの関係を簡単に割り切れる筈がないわ。
私だって、時々は分からなくなるもの。それでも、今の関係を終わりにする事はできなかったけど。

「好きという気持ちが大事であって、数は関係ないとシンジ君に言っておいたよ。アスカちゃんが遊びのつもりなら、すぐにやめることを勧めるよ」
「遊びじゃないわ!」

私は加持さんの前から逃げ出した。
この関係を終わりにするなんて考えられない。だって、これを終わりにしたら、シンジが手の届かない遠くに行ってしまうような気がするから。
私はシンジが好きなのか、今は分からない。でも、シンジと離れるのは絶対に嫌。これだけは言える。



今はお風呂に入って、少し頭を冷やしているところなの。
シンジが私を好きになる、か……本当だったら嬉しいかも。でも、ファーストも一緒だったわよね。男はみんな、こうなのかしら。
加持さんに知られちゃったし、私の恋が一つ終わったわ。まぁ、望み薄だったけどね。
これで、すっぱり諦められるってものよ。前向きに行こう。前向き。前向き。
……やっぱり、後でシンジに仕返ししよう。
加持がアスカをちゃん付けするのは激しく違和感・・・
確かに加持の「アスカちゃん」はちょっとひっかかるね
でも三人の関係になんらかの動きが出てきそうですね
がんがってください
90793:04/09/24 03:44:05 ID:???
すみません。
加持のアスカの呼び方は、良く調べずに書いてしまいました。
他にも人物の呼び方が間違っていたら、お手数ですが、頭の中で変換してください。
人物の呼び方は、基本的に本編準拠です。
以後、気をつけます。
加持さんのウソつき ( ̄ー ̄)ニヤソ
92何処かの793:04/09/24 21:22:30 ID:???
「これが敵…ですか?」
「そうだ」

今度の使徒はエヴァだったわ。

「どうして、エヴァが敵なんですか!?」
「あれは使徒だ。もはやエヴァではない」
「エヴァだよ!人が乗ってるんだよ!?」
「パイロットは意識不明だ。奴は使徒に乗っ取られている可能性が高い」
「そんな…それじゃ、どうすれば…」
「あれは使徒だ。殲滅以外の行動はありえん」

司令も嘘でいいから、人は乗っていないと言えばいいのよ。まぁ、エントリープラグがある時点で、人が乗っている可能性が高いけど。
シンジに人が殺せる筈がないわ。だから、私はシンジに下がるように言ったわ。

「シンジは逃げてなさい。アタシがやるわ」

私なら人を殺せる。誰かを殺せばシンジが助かるのなら、その誰かを私は喜んで殺せると思ったから。

「アスカがやるなら、僕がやる」

続く
93何処かの793:04/09/24 21:23:22 ID:???
続き

でも、私が人を殺す事は無かった。私が攻撃する前に、シンジが飛び掛かったから。
使徒と初号機の肉弾戦を前に、私は援護もできなかったわ。
壮絶な殺し合いの末、初号機が使徒の息の根を止めたの。
シンジが初号機から降りて、使徒だったエヴァのエントリープラグをこじ開けるのが見えたわ。
私も弐号機から降りて、シンジの元へ駆け寄ったの。
シンジに近づくにつれて、エントリープラグの中から声が聞こえてきたの。

「嘘だ…嘘だ…トウジだったなんて……嘘だ…」

私はエントリープラグの中を見て絶句した。
そこには、良く知った顔が見えたから。ぐったりとした鈴原の姿があったから。
シンジは怖いのか、鈴原に触れようとしなかったわ。

「ちょっと、生きてるの?」

私はシンジを押しのけて、鈴原の容態を診たわ。

「大丈夫。呼吸はしているわ」

鈴原が無事だというのに、シンジは声一つ出さずに目を見開いていた。
あの目はどこも見て無いわ。相当なショックだったみたい……
無理もないわね。鈴原はシンジの数少ない友人なのだから。
鈴原に目立った外傷が見受けられなかったのが、せめてもの救いね。
94何処かの793:04/09/25 20:27:42 ID:???
ミサトが松代への出張から帰ってきたわ。

「シンちゃーん、アスカ、ペンペーン、ただいま〜」
「ちょっとミサト、その怪我は大丈夫なの?」
「んー、ちょっち死ぬかと思ったけど、軽い打撲だから、たいしたことないわよ」

ミサトは怪我をしているのに、異様とも思える明るさだったわ。
私はミサトのこういう行動が嫌い。ミサトの好意は分かるけど、本当に笑っていられない状況でこれをやられると、返ってつらくなる事もある。
ミサトには状況に合った行動をして欲しいと思うことが多々あるわ。

「シンちゃんは?」
「自分の部屋でしょ」

ミサトが怪我をして帰ってきたのに、シンジは出迎えに出なかったの。こういう時に、真っ先に人を心配するシンジがよ?
やっぱり、シンジは重症みたい。
この前の使徒を倒してから、シンジは自分の部屋に篭りがちなの。私と会話らしい会話もしてないわ。
ミサトもシンジの事を心配しているみたい。やっぱり、鈴原の事を知っていたのね。
私が鈴原の事を問い質そうとしたら、シンジが部屋から出てきたの。

続く
95何処かの793:04/09/25 20:28:27 ID:???
続き

「シンジ君、ただいま。お土産もあるわよ」
「……」

ミサトが声を掛けたのに、シンジは黙っていたの。
これには、さすがのミサトも切り返せなかったわ。普段はおとなしい人が、こういう態度を取ると怖いわね。
しばしの気まずい沈黙の後、シンジが先に口を開いたの。

「ミサトさん、話があります」
「な、何かな?」

ミサトの奴、思いっきり場違いな笑顔を作っていたわ。引き攣ってたけど。
でも、シンジの言葉でミサトもふざけていられなくなったわ。私も黙っていられなくなったわ。

「パイロットをやめます。もう、エヴァには乗れません」
「本気なの!?」
「ちょっとシンジ君、どうしてなの?」

エヴァのパイロットを辞める?私にはシンジの言葉を想像することもできなかったわ。

「乗りたくないからです」

続く
96何処かの793:04/09/25 20:29:46 ID:???
続き

だんだん、ミサトの表情も険しくなってきたわ。

「シンジ君、それなりの理由を聞かせてもらわないと、辞めさせる訳にはいかないわ。今はレイも使えないの。私もいっぱいいっぱいなのよ」

ミサトが理由を尋ねたら、シンジは押し黙ってしまったわ。
しばらくして、シンジが重い口を開いたの。

「……分からなくなったんです。僕はみんなの役に立てると思っていた。みんなを守りたいと思っていた。でも、違っていた」

私はシンジの言っている事が分かった。シンジは鈴原を攻撃した事で、自分を見失っているようだったわ。
ミサトもシンジの言いたい事に察しがついたようだったわ。

「鈴原君の事は謝るわ。事前に伝えなかったのはわたしだから。だけど、鈴原君はシンジ君が救ったのよ?」
「違います!僕はトウジを殺そうとしたんです。あの戦いの時、僕は確かにトウジを殺そうとした」

シンジは優しすぎるのよ。あの時、生き残る為には戦うしかなかったわ。誰もシンジを責めたりはしないわ。それでも、シンジは割り切れないようなの。

「やらなきゃ、アンタが殺されていたのかもしれないわ」
「トウジを殺すくらいなら、僕が死んだ方がいい」
「良くないわよ!!」

続く
97何処かの793:04/09/25 20:30:52 ID:???
続き

私は瞬く間に激昂していた。反射的に大声で叫び、シンジを引っ叩いていたわ。
自分が死んだ方がましだなんて、私は許せなかった。
私は怒りで震えながら怒鳴り続けたの。

「シンジが良くても、アタシは良くないのよ!シンジは何をしてでも、生き残らないと駄目なのよ!」

肩で息をする私の前で、シンジは当然として、ミサトまで茫然としていたわ。

「怖かったんだ‥‥自分が怖かったんだよ。人を殺せる自分が‥‥」

突然、シンジが泣き出してしまったのよ。
私は悪い気がして何もできなかったわ。だけど、ミサトはシンジを優しく抱きしめたの。

「シンジ君。もう大丈夫だから。鈴原君も大丈夫だから。シンジ君は良くやったわ」

ミサトが優しくするものだから、シンジが泣き止まなくなってしまったわ。
包帯とギブス姿のミサトがシンジをぎこちなく抱いて慰めるのを、私は見ているだけだった。
これで、シンジが立ち直れればいいのだけど……
>>89
ジュン氏みたいに名の知れているLAS作家の作品でも
加持がアスカのことをちゃん付けで呼んでいたりする。
99何処かの793:04/09/26 21:31:32 ID:???
私とシンジはミサトに連れられて病院に来ていた。目的は鈴原のお見舞いよ。
ミサトがシンジを気遣って連れて来たの。私も暇だったから、一緒に来てあげたわ。
ミサトが病室のドアをノックしたの。

「どうぞー」
「鈴原君、お見舞いに来たわよ」
「うわ、ミサトさん、来てくれたんですか?――って、ミサトさんも入院してはるんですか?」
「わたしは通院よ。いつもの服でしょ?それより、具合はどう?」
「具合も何も、悪い所なんてどこも無いんですわ。やたらと検査ばっかやらされましたけど。ミサトさんこそ、大丈夫なんですか?」

病室の中から、ミサトと鈴原の話し声が聞こえてきたわ。
私は病室の外に居たわ。だって、シンジが入ろうとしないんだもの。

「シンジ君とアスカも来てるわよ」
「ほんまですか?」

シンジが入りづらくなる前に、私がシンジの背中を押してあげたわ。

「ほら、入るわよ」
「うん…」

続く
100何処かの793:04/09/26 21:32:17 ID:???
続き

病室に入って鈴原を見たけど、本当に元気そうだったわ。病室のベッドは椅子の代わりになっていたわ。

「おう、シンジ、会いたかったで。ワシはお前に礼を言いたかったんや。なんや、えらい事になっとったようやけど、シンジが助けてくれたそうやないか。ありがとな」

鈴原はシンジを見て、本当に嬉しそうな笑顔でお礼を言っていたわ。
反対に、シンジは俯いたままで、鈴原の顔も見れないようだったわ。

「なんや、元気ないようやな。もしかして、ワシのせいで怪我でもしたんか?それやったら、謝るきに、許してな?」

鈴原が迷惑をかけたことを謝ったら、シンジがようやく口を開いたわ。

「……謝るのは僕の方だ。知らなかったとはいえ、僕はトウジを殺すところだったんだ」

まだシンジは引きずっていたのね。私とミサトも気落ちした顔を隠せなかったわ。
鈴原は意に介さない様子でシンジに答えたわ。

続く
101何処かの793:04/09/26 21:33:05 ID:???
続き

「ワシはぴんぴんしとる。それでええやないか」
「でも、殺すところだった」
「それでええのや。もう少しでワシが人殺しになるところやったんや。ワシは嬉しかったで?こういう時に死ぬ気で止めてくれるのが、ほんまもんの友達や。ワシはええ友達を持った。ほんま」
「トウジ…ありがとう‥‥」
「おう、シンジもありがとな。――男が泣くなや」

鈴原がシンジを許したら、シンジが泣き出してしまったわ。
シンジったら、昨日から泣いてばかりね。私も少しだけ、じーんときたけど。

本当の友達か‥‥
少なくとも、今の私には居ないわね。
別に欲しいとも思っていなかったけど、そんなふうに言える友達が一人くらいは欲しいかな。あの二人を見ていたら、そう思えてきたわ。
でも、私に友達を作る自信が無いのよね。ファーストはあんなだし、やっぱり無理かも。

シンジを鈴原に会わせて良かったわ。
お見舞いの途中から、シンジが笑顔を見せるようになったの。
これでシンジは大丈夫ね。本当に世話がかかるんだから。
一応、ミサトと鈴原にも感謝しておくわ。
10298:04/09/27 13:41:25 ID:???
>>98
ジュン氏って誰?
読みたい時にてきとーに検索して読んでるだけだから、作者の名前とかあまり知らないんですよ。
そのジュン氏が有名で人気ある人でも、作中で何故加持がアスカちゃんと呼ぶようになったのかが
説明されていなければ私的には納得出来ないです。
二次創作で本編中の関係、設定を崩すのであればそれなりの説明くらい無いとね。

>>何処かの793氏
いつも乙っす。
私個人の意見でひとつ言うべきかなーと思っていた事があります。
ってのは、語尾の「わ」が多すぎてちょっと読むテンポが悪くなってる感じがするんです。
他の人はどうなのかわかりませんが、俺はなんとなく気にかかっちゃうんすよ。
まぁ、私一人だけの意見かも知れませんが。
10389:04/09/27 13:42:06 ID:???
↑うげっ 名前間違えた。 89っす。
すみません。
104QA:04/09/27 18:04:48 ID:???
>>102
http://www5d.biglobe.ne.jp/~mixed_up/
ここの管理人がジュン氏。

ジュン氏のことではないが
89氏の違和感の原因は
「本編設定を崩す」ではなく
「設定を細かくチェックしてない」だけかと。
ちなみに自分は
「EVA本編を見てないSS作家」が出てきた時点で
あきらめますた・・・。
105何処かの793:04/09/27 20:47:07 ID:???
今度の使徒は文句無しに強敵だったわ。

「シンジ君、しっかり使徒のATフィールドを打ち消してるの!?」
「やってるよ!」

弐号機と初号機の二機で出撃したのだけど、使徒に大きなダメージを与えられなかったわ。
ふざけたことに、あの使徒はATフィールドを破られても、通常兵器の攻撃が無効だったのよ。
私たちは有効な手段が見つからないまま、使徒の強力な攻撃から逃げるしかなかったわ。

「初号機、右足の膝から下を切断!身動きが取れません!」

やっぱり、いつまでも逃げ切れるわけが無いわ。
シンジがのろまだから、初号機の右足を失くしちゃったのよ。

「シンジ!!」

使徒がシンジに止めを刺そうと、腕らしきものを振りかざすのが見えたわ。
私は無我夢中で使徒に突進したの。

「このっ!!このぉっ!!」

私は使徒に馬乗りになり、渾身の力で何度も殴りつけたわ。
でも、使徒の分厚い体には傷一つ付かなかった。
次の瞬間、使徒の体内が光るのが見えたの。

「うそ?」
「アスカあああっ!!」

気づいた時には遅かったわ。
私の視界が真っ白に包まれたの。
最後に、シンジが私を呼ぶ声を聞きながら、私の意識は途絶えた。
106793:04/09/27 21:01:50 ID:???
>102
一人称で書くのは不慣れでしたので、全てを語り口調で書いていたのですが、これで良いのか私も分からないんです。
語尾の「わ」はできるだけ減らしてみようと思いますが、今から作風を変えるのも少しまずいと思いますので、すみませんが少し我慢をお願いします。
107何処かの793:04/09/28 20:32:16 ID:???
「天国かな‥‥」

私は生きているのが信じられなかった。
目に入る景色をぼんやりと眺めていた。
しばらく眺めていて、その景色は病室の天井だと分かった。
動こうとしたけど、全身が痛くて動けそうになかったわ。
私の傍に誰か居るみたいだったけど、首を回すのも面倒だったから、確認しなかったわ。

「アスカ‥‥良かった。もう駄目かと思ったよぉ‥‥」

傍に居たのはシンジだった。
横からシンジの声が聞こえたと思ったら、寝ている私に抱きついてきたのよ。
シンジは私の胸ですすり泣いていたわ。この前の私もこうだったのかな……
体の痛みも手伝って、私は冷静に今の状況を見ていたの。

「ぐ……い、痛いって。馬鹿シンジ…」
「ご、ごめん!」

あまりにシンジが強く抱きしめるから、私は痛みを我慢できなかったのよ。
私が痛みを口にしたら、シンジは慌てて飛び退いていた。シンジらしいわね。
私は痛みが治まってから、シンジに使徒の事を尋ねたの。

「使徒はシンジが倒したの?」
「倒したのは私よ」

続く
108何処かの793:04/09/28 20:32:57 ID:???
続き

だけど、返事はファーストからのものだったの。
気が付かなかったけど、最初からファーストもこの部屋に居たのね。
ファーストがあの使徒を倒したらしいけど、私には信じられなかった。
ファーストは凍結されていた筈よ。それに、あの使徒をファーストが倒せるとは思えないわ。

「ファーストが?パイロットを凍結されてたんでしょ?」
「弐号機が沈黙した時点で、凍結は解除されたわ」
「でも、どうやって倒したのよ」
「普通に倒したわ」
「普通にって…」

ファーストは普通に倒したとか言っているけど、あの使徒は普通じゃなかったのよ?

「シンジは見てたんでしょ?どうだったの?」
「なんていうか…普通に殴り倒していたよ。一撃でコアを砕いていたけど……」
「マジなの?」
「うん…」

シンジに聞いたら、コアへの強打で倒したらしい。シンジが嘘をつくとも思えないから本当らしい。
この時の私は、ファーストのラッキーパンチが当たった程度にしか考えていなかった。

続く
109何処かの793:04/09/28 20:34:00 ID:???
続き

使徒の脅威が過ぎたら、今度は自分の体が心配になってきたの。

「それより、アタシの体はどうなってるの?」
「そ、それは、すぐ良くなるから、大丈夫だよ」

私が自分の容態を尋ねたら、シンジは取り繕うように「大丈夫」を連呼したわ。余計に不安になるわよ。
容態を詳しく尋ねたら、ファーストが答えてくれたの。

「大丈夫じゃ分からないわよ。具体的にどうなのか教えてよ」
「その痛みはエヴァのフィードバックによるものよ。弐号機は全身を損傷したから、弐号機パイロットの全身の神経に影響したの」

弐号機の全体が破損したから、私の全身も痛いのね。
そうだ、弐号機はどうなったのだろう。

「弐号機はどうなったの?」
「弐号機は装甲も含めて大部分が大破したわ。時間は掛かるけど、修復はできるそうよ」

弐号機もどうにか無事みたい。かなり危なかったみたいだけど。
守ってくれた弐号機には感謝しないとね。

「アタシはどれくらいで動けるようになるの?」
「フィードバックによるものだから、傷の度合いが目に見えないわ。正確な予測は無理よ」
「そうだったわ。まぁ、この感じなら、全治二、三週間ってところかな」

参ったわね。命は助かったけど、一週間は動けそうにないわ。
これも全部、シンジを助けたせいよ。シンジに責任を取らせてやる。
110何処かの793:04/09/29 21:01:45 ID:???
一日中、私は病室の天井を見ている。
だって、痛くて寝返りも打てないんだもの。

「シンジ、お水をちょうだい」
「うん」

私の世話はシンジがしてくれている。シンジのおかげでこうなったのだから、そんなのは当然よ。
だから、私は遠慮なくシンジに頼み事をする。シンジの右足の具合なんて関係ないわ。

「シンジ、雑誌を買ってきて」
「うん」
「シンジ、雑誌を見せて」
「うん」
「シンジ、何か歌ってみて」
「え?歌?えーと…」
「冗談よ」

それでも、シンジは私の頼みを嬉しそうに聞いてくれる。シンジが嬉しそうに見えるのは、見間違いじゃないと思う。
私は気になって聞いてみたの。

続く
111何処かの793:04/09/29 21:02:21 ID:???
続き

「シンジはアタシの世話が好き?」
「どうして、そんな事を聞くのさ」
「だって、シンジが楽しそうだから」

シンジが嬉しそうにしていると私が言ったら、シンジは気まずそうな顔をしたわ。余計なところで気を遣うんだから。

「ごめん。アスカが大変な時に、いけないよね……」
「そんなんじゃないわ。私が聞きたいのは、私の世話の何が嬉しいのかよ」

何が嬉しいのか尋ねたら、シンジはごにょごにょと答えたわ。

「それは…僕がアスカの役に立てるから。アスカが僕を必要としてくれるから…」
「そ、そう。アタシも嬉しいわ」

聞くんじゃなかったわ。
私は恥ずかしくて顔を真っ赤にしてた筈よ。
おまけに、全身が痛むせいで、シーツを被って顔を隠すこともできなかったわ。

続く
112何処かの793:04/09/29 21:03:17 ID:???
続き

私は我侭を言い放題だったけど、この後にシンジの逆襲があるとは思わなかった。

「アスカ、ご飯を持ってきたよ」
「それじゃ、ファースト、お願い」

食事はファーストに食べさせてもらっていたの。ファーストも私の病室に居座っているのよ。

「アスカ、あーん」
「なんの真似よ」

なのに、今回はシンジが食べさせようとしたのよ。

「アスカも嬉しいって言ってくれたから、僕が全部やるよ」
「アンタ、馬鹿?」
「はい、あーん」
「ちょっと、んむ?」

シンジの奴、私が動けないのをいい事に、口元に食事を突きつけてきたのよ。
結局、一口目を食べた私は、最後までシンジに食べさせられたわ。う〜、恥ずかしすぎる。

「弐号機パイロット、排泄物の処理は私がするから」
「アンタは黙ってなさい!」

こいつらに世話をさせると、余計に疲れるわ。
早く体を治さないとね。
113何処かの793:04/09/30 21:03:36 ID:???
どうにか体が動くようになり、私は前回の使徒の戦闘記録を調べようとしたの。

「ミサト、この前の使徒との戦闘記録を見せて欲しいんだけど」
「わたしもアスカに聞きたい事があるの。一緒に見てくれない?」
「いいわよ」

ミサトに頼んだら、一緒に見る事で承諾してくれた。

「何これ……本当にファーストがやったの?」

私は映像記録を見て言葉を失くした。
モニターの零号機が使徒を滅多打ちにしていたのよ。
倒されているのが使徒だと分かっていても、虐殺にしか見えなかったわ。

「パイロットはレイよ。それより、こっちを見てよ」
「……ありえないわ!」

私はミサトがモニターに表示した記録を見て驚きの声を上げた。
そこには、戦闘中のファーストのシンクロ率が表示されていたわ。だけど、その数値が異常に高かったのよ。

「このデータはすでに消されているわ。わたしはレイの凍結と、このデータが関係あると見てるの。最近、レイと親しいアスカなら、何かレイから聞いてないかと思って」
「何も聞いてないわ。ファーストが自分の事を話す所なんて、見たことが無いもの」
「それじゃ、何か気づいたことは?」
「それも無理よ。ファーストは普段は表に感情を出さないもの」
「そっか……」

続く
114何処かの793:04/09/30 21:04:55 ID:???
続き

ミサトはファーストの事を調べているみたい。
良く考えたら、私もファーストの事を何も知らないのよね。
最近はファーストと居る事が多いから、あまり気にしてなかったわ。
私が人より知っている事は、ファーストの夜の顔くらいかな。夜は素直でかわいいんだから。
……こんなのじゃ駄目ね。

それで、ファーストに変化の原因を聞いてみることにしたの。

「この前の戦闘記録を見たわ。あれは以前のファーストと違うわ。何をしたの?」
「何もしてないわ。ただ、分かっただけ」
「何が分かったの?」
「私は私。死んだら碇君を感じられなくなる事よ」
「そんなの、当たり前でしょ?」
「そうね…」

ファーストは答えてくれたのだけど、意味がさっぱりだったわ。
「私は私」なんて、自分以外の自分なんてあるはずが無い。死んだら何も感じられないのも当然よ。
だけど、その後の憂いに満ちた顔は何だったのだろう。
私なら使徒を圧倒できて喜ぶのにな。
115何処かの793:04/10/01 20:28:47 ID:???
私は汚された。

「嫌ぁ!見ないで!アタシに入ってこないで!」

シンジも汚された。

「やめろ!僕から出てけ!もう忘れたいんだ!」

使徒の攻撃で汚された。
使徒は遥か上空から、私とシンジを覗いていた。
私とシンジは攻撃に耐えるだけだった。

「シンジ…」
「アスカ!」

私とシンジはエヴァに乗っているのも忘れて抱き合ったの。
少しでもシンジを感じたくて、力強く抱きしめたわ。

「レイ、槍を使え」
「はい」

攻撃が止んだ時には、恥ずかしくて初号機を蹴り飛ばしてしまったけど。
使徒はファーストが倒したみたい。

続く
116何処かの793:04/10/01 20:29:53 ID:???
続き

私とシンジは病院で念入りな検査をさせられたわ。
検査が終わって、シンジと自宅に帰ったのは夜遅くだった。
ミサトは後始末に追われて、ネルフにお泊りだったの。

「アタシ、汚されちゃった‥‥」
「僕もだ‥‥」

使徒の攻撃を思い出したら、無性にシンジが恋しく思えたの。
だから、私はシンジを強く抱きしめた。

「お願い。忘れさせて…」

傷の舐め合いなんて、以前は最低の行為だと思っていた。
でも、弱い部分を見せられる相手が居て良かった。シンジが居て良かった。今はこう思うことができる。
私も変わったのかもしれない。
ひょっとしてエロいのキターッ!



のか?
いや、エロくなんなくても全然OKなんだが、
こんなところで続きとなると、どうなるかますます気になってくるじゃねーか。
これまで以上に次回が非常に楽しみでつ。
面白い!
お気に入りスレが1つ増えたよ。
119何処かの793:04/10/02 21:22:48 ID:???
「綾波っ!」
「駄目…来ないで」

零号機が使徒に取り付かれた。
最初から、あの使徒は零号機を執拗に追い掛け回した。

「嫌だ!綾波を助けるんだ!」
「来ては駄目…碇君と一つになりたがってる」
「そんなの知るもんか!」

ファーストは助けに来るなと言ったのに、シンジは助けに向かった。

「初号機も使徒に侵食されました!」

あの馬鹿、助けに行って自分も同じ目に会っているのよ。
零号機と初号機が繋がって、ファーストとシンジは苦痛から解放されたみたい。
二人は恍惚とした表情を浮かべていたわ。

「これが…綾波の心‥‥」
「碇君が…私に入ってくる‥‥」

何か知らないけど、まずい状況に変わりはないわ。
使徒は零号機と初号機に繋がって動きを止めていた。
その隙を突いて、私は使徒を両断した。

「エヴァ二機への使徒の侵食が止まりました。使徒の活動は停止した模様です」

とりあえず、これで使徒の動きは止まったわ。

続く
120何処かの793:04/10/02 21:23:38 ID:???
続き

使徒を倒した私たちはネルフに帰還した。
そこで見た光景に、私は驚きを隠せなかった。

「綾波‥‥ごめんよ。何も気づいてあげられなくて‥‥」
「そう…知ってしまったのね‥‥」

私が弐号機から降りて最初に見たのは、シンジがファーストを抱いているところだった。
シンジは泣きながらファーストを抱きしめていたの。
あのシンジが人前で抱き合うなんて、私には信じられなかったわ。

「嫌いになんてならないから…綾波のこと、ずっと好きだから‥‥」
「変ね…どこも痛くないのに、涙が止まらないの」
「いいんだ…それで、いいんだよ‥‥」

ファーストが普通に泣いているところなんて初めて見たわ。
分かっていたけど、私は耐えられなかった。
私は逃げるようにシャワールームへ向かった。

私は落ち着くまでシャワーを浴びていたの。
シャワーのお湯で分からなかったけど、私は泣いていたのかもしれない。
でも、大丈夫。こうなる予感はしてたから。
きっと、大丈夫。
一人称の地の文が話し言葉、女の子言葉なのって好きじゃない。
なら読むな
793氏の文体、好きだな
124何処かの793:04/10/03 21:49:36 ID:???
今、私の機嫌はこれ以上無い程に悪い。

「どうして、アタシの弐号機を使うのよ!」
「仕方ないでしょ。試作機の零号機と初号機を使っても、今後の役に立たないんだから」

なぜなら、私の弐号機が他人に使われそうだから。

「惣流さん、ごめんね。僕のために我慢してよ」
「アンタのためなんて、尚更にごめんよ!」

しかも、使うのが本当に他人のフィフスチルドレンなのよ。
フィフスチルドレン渚カヲル――そう、フィフスチルドレンが、なんの前触れも無しにやってきたのよ。
実験とはいえ、見ず知らずの他人を弐号機に乗せるなんて、我慢ならないわ。

「後でお礼をするからさぁ」
「絶対に駄目!」

このフィフスチルドレン、見た目はレイに似ているのよ。赤い瞳に真っ白な髪なの。
でも、性格は正反対なのよ。いつもへらへらと笑っていて、誰にでも馴れ馴れしいの。
シンジは誰にでもいい顔をするから、こいつに付き纏われているわ。

「アスカの我侭は通用しないわ。渚君、実験を始めるわよ」

結局は弐号機を使って実験されたの。
このままでは、私の腹の虫が収まらないわ。

続く
125何処かの793:04/10/03 21:50:22 ID:???
続き

「フィフス、お礼をしてもらうわ」
「覚えていたのかい?」
「当然よ。お礼は食事をご馳走になるわ」
「お安い御用さ」

それで、私はフィフスに食事を奢らせたの。
「お安い御用」なんてぬかしたから、値の張るレストランに連れて行ったわ。

「いいお店だね」

フィフスの奴、お店を見ても顔色一つ変えなかったわ。案外、こういう場に慣れているのかも。
シンジなら、間違いなく挙動不審に陥るわね。
今の服装を考えると、お店に入るのが躊躇われたけど、ここまで来て私が引くわけには行かないわ。
私たちは注文をそつなくこなして、食事を始めたの。
私は無言で食事を進めたかったのだけど、フィフスが次から次へと話し掛けてくるのよ。

「惣流さんはシンジ君と暮らしているんだよね?」
「ええ」
「シンジ君は本当に優しくて、エヴァのパイロットに見えないね」
「ただのお人好しよ」
「そうかなぁ、みんなに好かれているみたいだけど」
「表向きの顔がいいだけよ」
「惣流さんは普段のシンジ君を知っているのかい?」
「もちろんよ。普段のシンジは馬鹿でまぬけで我侭で情けない男よ」

続く
126何処かの793:04/10/03 21:51:13 ID:???
続き

しかも、フィフスの話はシンジの事ばかりだったわ。一緒に食事までしている私の事は、一切聞いてこなかったのよ。
私の事を詮索されるよりはましだけど、少し失礼ね。

「ふふ、惣流さんはシンジ君が好きなんだね」
「な…どうして、そうなるのよ!」

フィフスがとんでもない事を言うから、大声を上げちゃったじゃない。こんな所で恥ずかしいったら。
私がシンジを好きだなんて、今は考えたくもないわ。

「隠さなくてもいいよ。僕もシンジ君が好きだから」
「もしかして、さっきの「好き」は「普通に好き」ってことなの?」
「どうだろうね。僕はどちらでも構わないけど」

フィフスはシンジが好きなんだそうよ。本気かどうかは知らないけど。
なんか、こいつと話すのもあほらしくなってきたわ。

「アタシ、もう帰るわ」
「まだ半分も食べてないよ?」
「よかったら、あげるわ」

私は食事もそこそこに、早々と帰宅したわ。

続く
127何処かの793:04/10/03 21:52:15 ID:???
続き

「ただいまー」
「おかえり、アスカ。夕飯の用意ができてるよ」

帰宅したら、シンジが食事の用意をして待っていたの。

「シャワーの後で食べるわ」
「それじゃ、その間に温め直すね」

少しだけど食べてきたから、食べなくてもよかったのだけど、なぜか食べないのが惜しく思えたのよ。

「うん。今日のご飯は傑作だ」
「どこがよ。これなんか、火の通しすぎよ」
「温め直したからだよ!」
「はいはい」

シンジの料理がレストランに到底及ばないのは当然だけど、どこか安心できる味なのよね。
もしかしたら、これが家庭の味なのかもしれないわね。
128何処かの793:04/10/04 20:48:38 ID:???
それは、私がネルフから帰宅する最中に起こった。
日が沈んで暗くなった夜道を、私は一人で歩いていた。
街灯もまばらな人通りの少ない道を歩いていると、前方の街灯の下に人影が見えた。
人影は立ち止まっていて、こちらを見ているようだった。
私は気味が悪くて、歩く足を速める。
その街灯に差し掛かった時、私は溜め息を漏らした。

「……アンタ、こんな所で何をしているのよ」
「君を待っていたんだ」

その人影はフィフスだったのよ。こんな所で待ち伏せなんて、悪趣味にも程があるわ。
私はフィフスに用件を尋ねたの。

「驚かさないでよ。それで、何か用なの?」
「用件はね……君が邪魔なんだ」
「邪魔はアンタよ!」

そうしたら、フィフスが私を邪魔者扱いしたのよ。
私は条件反射的にフィフスを張り倒したわ。

「何よ、これ!?」
「君は直情的だね」

続く
129何処かの793:04/10/04 20:49:25 ID:???
続き

張り倒そうとしたのだけど、私の手はフィフスに届く前に止まったわ。それも、何も無い空間で手が止まったの。
私はエヴァに乗っている時の感覚を思い出したわ。

「まさか、ATフィールド!!」
「君たちリリンは、そう呼んでいるね」

間違いない。これはATフィールドよ。
私は目の前の人物が使徒である事と、私に絶対的な死が訪れようとしている事を理解させられた。

「そうやっておとなしくしていれば、君もかわいいのに。最後に言い残す事はあるかい?」
「どうして、使徒が人の姿をしているのよ」

フィフスが最後の一言を許してくれたから、私はなぜ人の姿なのか尋ねた。

「簡単な事だよ。リリンも使徒も生まれが同じだからさ。君たちリリンも、心の壁たるATフィールドを持ち合わせているんだよ」

そうしたら、私たち人間も使徒と同じだと言ったわ。
分からない事だらけだけど、もう考える時間は無さそうね。
フィフスが私を殺そうと、手をかざしたの。

「もう一度、シンジに会いたかったな‥‥」

私が最後に考えていたのはシンジのことだった。
シンジの顔を思い出そうとしても、細かな所までは思い浮かばなかったのよ。
もっと良く見ておくべきだったと、今更ながら後悔した。

続く
130何処かの793:04/10/04 20:50:17 ID:???
続き

死を覚悟して目を閉じた時、私の前に人影が立ちはだかったの。

「弐号機パイロット、私から離れないで」
「ファースト?」

私は信じられなかった。こんな所にファーストが飛び出してくるなんて。

「綾波さん、少し席を外してくれないかな。僕は惣流さんに用事があるんだけど」
「席を外すのはあなたよ。今なら見なかった事にしてあげるわ」
「もう遅いよ。力を使ってしまったからね」

私はファーストに危険を知らせようとしたわ。

「ファースト、逃げて!こいつは使徒よ!」
「知ってるわ」

でも、ファーストはフィフスと睨み合ったまま、動こうとしなかったの。

「仕方が無いな。強引に行くよ」

しばらくして、私は恐ろしい光景を目にした。
フィフスとファーストの間に、ありえない光の模様が見えたの。あれはATフィールドが何かにぶつかってできる物よ。

続く
131何処かの793:04/10/04 20:51:07 ID:???
続き

「なぜ、君はリリンの味方をするんだい?」
「私は人が好きだから」
「君は面白い事を言うね。僕は君に興味が湧いたよ」

フィフスの言葉を最後に、ATフィールドは消滅した。
後には、二つに分かれたフィフスの体が転がっていたわ。

「ファーストがやったの?」
「そうよ」

あのフィフスをファーストが倒したのよ。普通の人間が使徒を倒せる筈がないわ。

「アンタも使徒なの?」

私は間違いである事を祈って、ファーストに使徒なのか確認したの。
ファーストは見るからに苦しそうな表情をしたわ。

「そうかもしれない…私は作られた人なの。人ではない人。それが私なの」
「それ…シンジは…」

続く
132何処かの793:04/10/04 20:52:05 ID:???
続き

ファーストは自分が人間ではないと言ったわ。
私はシンジも知っているのか尋ねようとして、この前の光景を思い出した。ケージで抱き合う二人の言葉を思い出したの。

「あの時……この前の戦闘で、シンジも知ったのね?」
「ええ。碇君は私を受け入れてくれたの。とても嬉しかった‥‥」

やっぱり、この前の使徒の時に、シンジはファーストの事を知ったのよ。
シンジも知っていると聞いて、私は不謹慎にも安堵したわ。あの時の言葉が完全に否定されたわけではないけど。
シンジに受け入れられて、私ができないわけがない。私もファーストを受け入れることにしたの。

「ファーストが何だっていいじゃない。大事なのは心よ。あれだけ感じ合えたんだもの。私はファーストのことが今でも好きよ」
「ありがとう‥‥私も弐号機パイロットが好きかもしれない」
「そうね……もっと人間らしく呼び合いましょ。アンタを「レイ」って呼ぶから、アンタもアタシを「アスカ」って呼ぶのよ」
「わかったわ」

ついでに、ファーストとは名前で呼び合うようにしたわ。やっぱり、人は名前で呼び合うものよね。
それにしても、シンジが話してくれなかったことには腹が立つ。後でお説教しなきゃ。
私は少し前から鳴っていた非常召集のベルに気づいた。私はベルを止めて、ネルフの誰かが来るのを待ったわ。

続く
133何処かの793:04/10/04 20:53:16 ID:???
続き

私とレイはネルフに戻って、ミサトに報告をさせられたの。当然、シンジも呼び出されていたわ。

「それじゃ、フィフスチルドレンが使徒だったのね?」
「そうよ」
「どうやって倒したの?」
「倒してないわ。あいつが勝手に自滅したのよ」

私はフィフスが自ら命を絶ったことにしたわ。似たようなものだったから、これでいいでしょ。

「カヲル君が使徒だったなんて、嘘だよね?」
「嘘じゃないわ。アタシは殺されかけたのよ?」
「そんな‥‥」

お人好しのシンジは、フィフスが使徒だと信じられないようね。
少しは私の心配をしなさいよ。
カヲル君しんじゃった・・・
135何処かの793:04/10/05 21:43:58 ID:???
私たちチルドレンは第三新東京市に閉じ込められている。
理由は敵が迫っているから。
敵といっても、今度の敵は使徒ではない。相手は日本の軍隊よ。
どうして、こんな事態に陥ったのか、私には分からないけど、敵が攻め込もうとしているのは確かよ。
エヴァで人に認めてもらおうなどと考えるのは夢物語なのだと、私は思い知らされた。
今、第三新東京市は完全に包囲されている。
加持さんが情報をくれたおかげで、相手の奇襲だけは防げたのよ。
それで、私たちネルフは威嚇の為に、エヴァを見張りに立てているの。
絶えず三機のエヴァが交代で見張りをしているから、相手も簡単には攻め込めないわ。
今はシンジと見張りに就いているの。

「シンジ、覚悟はできてるんでしょうね」
「……」
「アタシたちがしっかりしないと、みんな死ぬのよ?」
「……分かってるよ」

私はシンジが心配なの。
もし、眼前に展開されている部隊が突撃してきたら、エヴァで蟻の群れを踏み潰すようにして迎え撃たなければいけないのよ。
蟻でもできそうに無いシンジが、迷わずにできるかが心配だわ。

続く
136何処かの793:04/10/05 21:44:58 ID:???
続き

だけど、私の心配は杞憂に終わったわ。

「アスカ、何か来る!」
「あれは……エヴァ量産機!?」

なぜなら、業を煮やした相手さん方が、エヴァ量産機を投入してきたからよ。エヴァにはエヴァというわけね。
ここからは、戦闘と呼ぶにはあまりにも醜い戦いだった。まだ、使徒を相手にしたほうが、いくらかきれいな戦いができると思えたわ。

「こいつら、どうして起き上がってくるのよ!」

量産機は倒れても再生して起き上がってくるのよ。まるで、映画のゾンビみたいに。

「綾波、よけて!」
「きゃあっ!!」
「綾波っ!!」
「槍のコピーか!?」

しかも、量産機の使う武器にATフィールドが通用しないのよ。
無敵の強さを誇っていた零号機が、全ての槍を受けて動きを止めたわ。

続く
137何処かの793:04/10/05 21:45:52 ID:???
続き

量産機も醜かったけど、極めつけは初号機よ。

「初号機、活動を再開しました!」
「ありえないわ!電源は切れているのよ!?」

私が量産機に囲まれて、もう駄目かと思った時、活動停止の初号機がまたもや暴走したのよ。
助けてもらった私が言うのもあれだけど、今回の暴走はとても直視できたものではなかったわ。

「エヴァを食べているの?」

初号機は倒した量産機を食べていたのよ。初号機が口でぼりぼりとね。思い出すだけで吐き気がするわ。
その後も初号機の動きは常軌を逸していた。武器を持たない筈なのに、離れた敵を八つ裂きにしていた。

「敵部隊、撤退を開始しました」

量産機を失った敵の部隊は、早々と撤退を始めたわ。
初号機が雄叫びを上げる中、私は病院に運ばれた。
138何処かの793:04/10/06 21:42:39 ID:???
また私は病室で寝ている。

「静かだな‥‥」

この病室には私しか居ない。
以前の入院よりも体の調子はいいのだけど、気分は優れない。
多分、あいつが居ないから。シンジが居ないから。認めたくないけど……

「シンジの奴、お見舞いくらいは来なさいよ」

不意に私は独り言を始めるの。
病室が静か過ぎて耐えられないから。不安に耐えられないから。

「シンジはレイのお見舞いかな‥‥」

あの戦いでシンジがどうなったのか、私は知らない。でも、私は考えないようにしている。
もうすでに、シンジが私に会いに来ないのがおかしいから。

「アスカ、体の具合はどう?」

続く
139何処かの793:04/10/06 21:43:58 ID:???
続き

最初に私のお見舞いに来たのはミサトだったの。
私は真っ先にシンジの事を尋ねたわ。

「シンジはどうしたのよ。もしかして、シンジも入院しているの?」
「え…ええ。シンジ君も別室で入院中よ」

そうしたら、シンジも入院していると教えてくれたわ。
それで、シンジの容態を尋ねたのだけど、その答えを聞き、私は脱力して卒倒しかけた。

「シンジはどうなの?大丈夫なの?」
「……なんとも言えないわ」
「それって……やばいって事なの!?」

ミサトの答えだと、シンジは生死の境をさまよっている事になる。
私は正気で居られず、ミサトの腕に掴みかかった。そして、シンジに会わせるように頼んだの。

「シンジはどこよ!今すぐに会わせなさいよ!」
「ごめんね…できないのよ‥‥」
「できないって何よ!一目でいいから、会わせなさいよ!」
「ごめんね‥‥」

ミサトはシンジに会わせられないと言った。
だから、何度も私は声を荒げて頼んだ。
だけど、ミサトは私に腕を引っ張られながら、何度も謝るだけだった。
めちゃくちゃいいところで止まったな・・・
期待してます
141何処かの793:04/10/07 22:15:35 ID:???
ミサトのお見舞いの後、私は病室を飛び出した。ミサトが見ている間は、私を病室の外へ出させてくれなかったから。
私は体が痛むのも忘れて、発令所に向かった。そこでシンジの情報を聞き出すために。

「アスカちゃん、もう大丈夫なの?」
「アタシは平気よ。それより、シンジはどうなってるのよ」

シンジの情報はすぐに聞き出せたわ。
発令所に居る日向さんと青葉さんが教えてくれたのよ。

「聞いてないの?」
「ええ」

二人は少し見合ってから、私に教えてくれた。

「シンジ君はまだ初号機の中さ」
「出られなくなったんだ」
「どうしてよ」
「初号機に取り込まれてしまったんだよ」
「シンクロ率400%以上の代償がこれさ」

続く
142何処かの793:04/10/07 22:16:41 ID:???
続き

シンジは初号機から出られないと言っていた。初号機に取り込まれたと言っていた。
でも、私には何の事だか理解できなかった。

「それで、シンジはどうなってるのよ」
「プラグスーツだけを残して消えてしまったよ」
「これがエントリープラグの中さ」

私は初号機のエントリープラグ内の映像を見た。
そこにシンジの姿は無い。あるのは、薄っぺらなプラグスーツだけだった。
私は二人の言いたい事が分かり始めた。
でも、私は現実を認めたくなくて、ヒステリーを起こしたようにわめき散らした。

「取り込まれた?何を言ってるのよ!人を馬鹿にするのもいい加減にして!!」
「アスカちゃん、落ち着いて」
「シンジ君は救出できるから」
「今、サルベージの準備を進めているところなんだよ」

シンジが助かると聞いて、私は発令所を後にした。

続く
143何処かの793:04/10/07 22:17:58 ID:???
続き

私はシンジを捜そうと思い、初号機のケージを目指した。
シンジが消えたなんて、そんな事実を簡単には受け入れられなかった。

「レイ…」

ケージの初号機の前にはレイが居た。レイは初号機のコアの前で、膝を抱えて座っているの。
レイも病室を抜け出してきたみたい。包帯姿が痛々しさを際立たせていた。
レイは私が隣に来ても、初号機から少しも視線を動かさなかった。

「レイ、何をしてるの?」
「碇君を見ているの」

レイに何をしているのか尋ねたら、シンジを見ていると答えたの。レイは初号機を見たままで……

「本当だったんだ‥‥」

私は体中の力が抜けるのを感じた。そして、レイの隣にお尻を着いたの。
私とレイは黙って初号機を眺めている。
いつまでも、初号機を眺めていた。
144何処かの793:04/10/08 22:05:04 ID:???
「馬鹿‥‥シンジの馬鹿ぁ‥‥」

私は初号機の前で泣き続けている。
私の手にはシンジのプラグスーツが握られている。
そうよ。シンジの救出は失敗に終わったのよ。
いつから泣いているのかも忘れたわ。
そうしたら、レイが初号機のコアの前で服を脱ぎ始めたの。

「レイ、何をしているの?」
「碇君の所へ行くの」
「何をする気?」
「さよなら」

レイがお別れを言った後、私の目の前で消えた。レイはコアに触れた瞬間に消滅したの。

「嘘でしょ!?何をしたのよ!アンタまで消えてどうするのよ!アタシも連れてってよ‥‥」

私はコアに駆け寄って、何度も呼び掛けた。
どれだけコアを叩いても、当然のように返事はなかった。

続く
145何処かの793:04/10/08 22:05:36 ID:???
続き

私が泣き崩れていると、不意にコアの辺りから物音が聞こえたの。

「シンジ!」

私は幻を見ているのかと思った。
なんと、コアの前にシンジが裸で倒れていたのよ。

「レイなの?」

シンジに重なるようにして女の子も倒れていたけど、レイではなかったの。
すぐに二人は病院に運ばれた。もちろん、私も同伴したわ。
今、私はシンジの病室で付き添いをしてるの。
隣のベッドには、エヴァから一緒に出てきた女の子が寝ている。
でも、ここにレイは居ない。
レイはどこに行ったのよ。最後の言葉が気にかかるわ。
もしかして、本当にお別れなの?そんなの許さないから。

それにしても、この女の子はレイに似ているのよね。シンジにも似ているような気もするけど……
146何処かの793:04/10/08 22:06:14 ID:???
私は病室でシンジの目覚めを待っている。
隣で眠っていた女の子は、少し前に意識を取り戻したの。
その女の子は意識を取り戻すなり、眠るシンジに駆け寄って手を握っているわ。
見ず知らずの女がシンジの手を握っているのよ?当然、私は気に食わなかったわ。だけど、私が間に入れるような雰囲気ではなかったの。
でも、それもシンジが目を覚ますまでのことよ。

「ん……あ、量産機は?ここは?」
「よかった!碇君、目を覚ましたのね。会いたかった‥‥」
「なっ!?」

あの女、シンジが目を覚ますと真っ先に抱きついたのよ。

「あ、綾波!?じゃないの!?」
「忘れてしまったの?あれだけ愛し合ったのに‥‥」

性格がちょっと変だけど、私は気づいたわ。

「ちょっと、レイ!離れなさいよ!」
「え?やっぱり、綾波なの?」
「そうよ。でも、放さないわ」
「離れろっての!」

あの女は綾波レイだったのよ。髪と瞳の色が普通の日本人になってたから気づかなかったの。心配して損したわ。
私たちが病室で騒いでいたら、司令と副指令が血相を変えて飛び込んできた。

続く
147何処かの793:04/10/08 22:06:52 ID:???
続き

「何をしている!」
「ユイ君から離れなさい」

事情が飲み込めなかったけど、司令と副指令に逆らうのは得策ではないわ。私はレイから手を離したの。レイの馬鹿は、これ見よがしにシンジと抱き合っていたけどね。後で覚えてなさいよ。
だけど、この後の司令と副指令の態度には本当に驚いたわ。

「ユイ、良く帰ってきてくれた」
「ユイ君なのだろう?お願いだ。そうだと言ってくれ」

あの司令と副指令が、レイみたいな小娘に涙を流して語りかけたのよ?そりゃ、驚くわよ。
それ以上に、レイの言葉に驚いたけどね。

「あなた、冬月先生、私は帰ってきてしまいました。やはり、人は他人のいない空間では幸せになれないようです。エヴァの中でシンジと一つになって分かりました。私は他人を求めていたのだと‥‥」
「それが分かっただけでも、良かったではないか」
「そうだぞ。ユイ君」

レイが別人のように話していたのよ。
なんか話が飛躍しすぎて、私は思考する事も忘れていたんだけど、次のレイの言葉で驚きを実感したわ。

「それと、私は碇ユイですけど、同時に綾波レイでもありますから。その事を肝に銘じておいてください。碇司令、それと、副指令」
「まさか…」
「全部、知っていると言うのか!?」
「もちろんですよ。綾波レイ…いえ、私が生まれた理由もね」

続く
148何処かの793:04/10/08 22:07:22 ID:???
続き

どうやら、レイは二つの人格を擁しているらしいのよ。後で聞いて驚いたんだけど、その人格がね……
それにしても、司令と副指令が青ざめているところなんて初めて見たわ。よほど、ユイって人が大事だったようね。
みんなが驚いて静まり返っていたけど、シンジが我慢できずにレイに本人か確認したの。

「あ、綾波じゃないの?」
「碇君、私は綾波レイよ?なんなら、今から碇君との思い出の全てを話しましょうか?」
「い、いや、後で聞くよ…」

レイの奴、何かにつけてシンジに抱きつくのよね。今度は前とは違う意味で苦労しそうだわ。
抱き合う二人を見て、司令と副指令は力無く病室を去ったわ。

「レイ、いつまでも抱き合ってないで、説明しなさいよ」
「もう、涙の再会なんだから、好きにさせてよ」
「涙の再会なんて、とっくにぶち壊しよ。いいから、説明して」
「しょうがないわね」

私はレイに説明を求めたわ。だって、異常な事が多すぎるんですもの。

「私がエヴァのコアに消えたのをアスカも見たわね?」
「ええ」
「それは、私も碇君と一つになろうと思ってした事なの」
「それで?その体はどうしたの?」
「今、説明するから。……それは、初号機には碇君以外にもう一人、碇ユイが閉じ込められていたからよ」
「碇ユイ?」
「それは後で説明するとして――じつは、エヴァの中での事はあまり覚えてないの。気が付いたら、ベッドの上で私が碇ユイになってたわ。あの中で、碇君に触れたいと思っていたような気がするけど……」

続く
149何処かの793:04/10/08 22:07:56 ID:???
続き

レイの説明によると、初号機の中にはシンジ以外にも「碇ユイ」という人が居て、その人と重なっちゃったらしい。相変わらず、ふざけてるわね。
あと、「碇ユイ」って人だけど、この人も凄いのよね……

「僕のお母さんも「ユイ」って名前だ…」
「シンジ、覚えていてくれたの?お母さん、嬉しいわ」
「お母さん!?」
「馬鹿な事を言ってんじゃないわよ。どこに同い年のママが居るのよ。それより、さっさとシンジから離れなさいよ!」
「嘘じゃないわ。肉体年齢は綾波レイに合わせられたみたいだけど」

後で調べて分かったけど、「碇ユイ」は本当にシンジのママだったのよ。
信じられないわ。だって、見た感じの年齢は私たちと変わらないのよ?というか、髪と瞳の色を変えたら、まんまレイと同じよ。

「お、お母さんなの?」
「そうよ」
「それじゃ、綾波は?」
「それも私よ」

シンジなんか目に見えて混乱してたわ。無理もないわね。
これからレイはどうするのだろう。私たちの関係も終わりかな……
これを機に、シンジに告白でもしようかしら。
150何処かの793:04/10/08 22:08:46 ID:???
最近のレイには、ほとほと疲れさせられる。

「碇君、あーん」
「い、いいよ。自分で食べるから」
「あーん!」
「あーん…」

以前のレイもシンジにべったりだったけど、自分から行動を起こすようなことは無かったわ。
今のレイは新婚夫婦もびっくりの甘えようね。当然、犠牲者はシンジよ。
レイはシンジの部屋に押しかけて、シンジの世話の何から何までしているわ。

「アンタたち、時と場所を選びなさいよ」

先日の日本軍とエヴァ量産機の侵攻を受けて、私たちチルドレンはネルフに待機を余儀なくされているの。
食事はネルフの共同食堂を使っているんだけど、二人の馬鹿のおかげで食事が億劫なのよね。

「あーん」
「レイ!聞いてるの!?」
「んもう、怒鳴らなくてもいいじゃない。アスカもする?」
「な…なんで、アタシもやるのよ!」
「だって、アスカも碇君が好きなんでしょ?」
「く……」

レイが所構わずシンジに甘えるものだから、おちおちと食事もしていられないわ。
ただでさえ、レイの性格と見た目の豹変で注目を集めるのに、このあつあつぶりよ?ネルフの職員で、この光景を知らない者はいないわ。
ちなみに、レイは「綾波レイ」としてネルフに扱われている。髪は染めて瞳の色はコンタクトをしていることになっているの。真実を知る者は少ないみたいね。

続く
151何処かの793:04/10/08 22:09:23 ID:???
続き

今日は違う意味でレイに疲れさせられたわ。

「アスカ、今度はいつするの?」
「するって何を?」
「意地悪しないで。あれよ。エッチな事よ」

レイから誘ってきたのよ。色々な意味で驚かされたわ。

「アンタ、自分が何を言ってるのか、分かってるの?」

私は二人の事を考えると、簡単には応じられなかったわ。
でも、レイは懸命になって懇願してきたの。

「分かってるわ。けど、どうしようもならないの。私の中の綾波レイが止まらないのよ」
「後悔するかもしれないわよ」
「後悔したっていいわ。私には碇君しかないもの」
「仕方がないわね…」

だけど、レイはレイのままなんだなって気づいたら、不安なんて小さな物に思えたのよ。
私はレイの頼みに応じる事にした。

シンジはレイとしたことで吹っ切れたみたい。最近、レイとの付き合いがぎこちなかったけど、自然に振舞えるようになったわ。
私はどこかほっとしたかな。レイに変わりないって確認できたから。
でも、これで更なる深みに落ちたような気がする。
今日は疲れたから、考えるのをよそう……
152何処かの793:04/10/08 22:10:15 ID:???
後書き

ここまでお付き合いしていただき、本当にありがとうございます。
一段落ついたのと、これ以上はだらだらと書く事になりそうなので、とりあえずは終わりにしておきます。
ユイを絡ませたのは、ネルフ側の問題を解決するのに使えそうだと考えたからです。
純粋にレイが好きな方には、不快な思いをさせたかもしれません。ここで謝罪します。
ちなみに、このレイはリナレイではありません。大人のユイと淡白なレイが単純に合わさったものです。
それと、最後まで書けたこのスレと、ここの住人の皆様には感謝の念でいっぱいです。
それでは、また機会があったらお会いしましょう。
お疲れさまでした。残念ですが。
とても素敵なお話で、いつも楽しみにしていました。
>152
おつかれさま。ぜひとも推敲清書して、どっかにまとめてください(笑)。掲示板に留めておくのもったいないし。
アスカ同意の下で、
レイ+ユイ(いずれもシンジの母親に値する存在)が、シンジとエッチしまくってるって事・・・?
Z
保守
159春琴:04/10/18 19:06:27 ID:???
1
シンジの目はいつも、あたしのことを綺麗だと言っていてくれたから。


「会いたくないの」
そう言って、アスカはプイと横を向いた。

病室という場所はどこも同じにおいがする。
葛城ミサトが僅かに顔をしかめたのは、アスカの返答によるものではなく、不意に鼻についた消毒薬の匂いの為だった。
彼女は部下であり同居人でもあるアスカの我儘には慣れており、すでに隔意を憶える様な事もない。
自分がここへ来るのは初めてだが、毎日通っているという少年からも報告は受けていた。
この病室の前まで来ながら、彼が一度としてこの部屋に入ることを許されずに、帰っているということも。

部屋の印象は全体的に白く、その清潔なリネンはアスカの赤い髪を鮮やかに浮かび上がらせてはいる。たが、大きなベットに映るそれは、どこか寂しげな赤い花を思わせた。
細い肩の上で髪を揺らし、わずらわしげに打ち振れば、その包帯の巻かれた顔が顕になる。

「でも、せっかくシンジ君が来てくれたのよ」
「いいって言ってるでしょ!」

160春琴:04/10/18 19:07:37 ID:???
2
綺麗な花束は彼女の気を紛らわせるため。
甘い菓子。
色とりどりのフルーツ。
手のひらに乗るほどの、かわいらしい人形たち。
少女向けの小説などは、あの少年がどのような顔をして買ってきてくれたのかと思うと、アスカの言うままに無碍に突き帰すこともためらわれる。

「いいじゃないの、少しぐらい会って上げても。
 シンジ君、毎日来てくれてるんでしょう?」
「しつこいわね!
 会いたくないって…」

荒げられた声がわななく唇から紡ぎだされ、隠されずに残った青い瞳には苛立ちよりも不安が色濃い。
一人にして欲しいと言いながらも心細げにため息を吐かれれば、早々に帰ることも出来なかった。
気づまりな沈黙を打開する術もなく、ただ視線を見舞いの品へやっていたミサトは、控えめなノックに急いで扉を開ける。
客が少年なら、いっそ既成事実をと思ってのことだったが、あいにくと扉の向こうから顔を出したのはアスカの唯一といってもいい友人だった。
161春琴:04/10/18 19:08:23 ID:???
3
「アスカ。
 あの、はいってもいいですか?」
おずおずと述べられた入室の許可に、部屋の主の言も待たずミサトは彼女を部屋へと招き入れる。
「入って、入って。
 アスカも退屈してるのよ。
 時間の許す限り居てやってね。
 …アスカ、私はお邪魔にならないように帰るから。
 何か必要なものがあったら、次に持ってくるけど。
 何かいるものあるかしら?」
体のよい生贄と思ったわけではないが、洞木ヒカリのタイミングはミサトが辞するのにちょうど良かった。
ミサトには仕事があり、長居は出来ないと云う理由もある。
また、「子供のことは子供同士のほうが分かりやすいかもしれない」、「アスカが望んだ物を持って来るという理由があれば、次回シンジを入れる言い訳にもなる」などと、計算にもならないようなことを考えていた。
162春琴:04/10/18 19:09:07 ID:???
4
ミサトが慌しく去っていくと、ヒカリはアスカの枕元に椅子を寄せて座った。
「アスカ、どう?」
「どう…って、別に」
「あの、これお見舞いなんだけど…」
ヒカリは見舞いに持ってきた小さな花束を手に、迷っていた。
窓際に置かれた色とりどりの品々に、気後れを感じる。
「凄いわね。
 こんなに、たくさん。
 私のお花なんて…。

 …アスカ、これ全部、碇君からなんでしょ?
 碇君、毎日お見舞いに来てるって。
  
 あのね、アスカ。
 アスカがどうして碇君に会わないのか、私わからない。
 だって、碇君あんなにアスカのこと…」

「やめて!」
163春琴:04/10/18 19:10:01 ID:???
5
「会いたくないの。
 いいえ、会えない。
 会えないわ…」

アスカが首を振れば、長い髪は揺れて、緩やかに彼女の肩を打つ。
「こんなかっこ、見られたくないの」
その包帯が巻かれた顔を隠すように俯いて、アスカはこぼした。
ヒカリが漸く聞き取れるほどの、独り言のような小さな声だった。

「そんなこと…。
 そんなこと、碇君は気にしないと思う」

ヒカリの慰めも、アスカの耳には届いていない。
シンジに会うことへの恐怖が、アスカの心を占めていた。

164春琴:04/10/18 19:11:00 ID:???
6
自分自身を誇ること。
その誇りを支えに己を鼓舞することは、アスカのアイデンティティといってもいい。

エヴァのパイロットであること。
14歳にして大学を卒業したことなどは、アスカが勝ち取ってきたものだった。
弛まぬ努力と、忍耐の結果だ。
アスカはそのことを誇っていたし、支えにもしていた。

しかし、それはシンジにとっては何の意味も持たない。
あるいは、「何の価値も持ってもらえない」と言い換えたほうが正しいのか。
165春琴:04/10/18 19:12:37 ID:???
7
アスカにとっては自慢になることも、シンジにはどうでもいいことらしかった。
エヴァのパイロットは強制された結果でしかなく…。
学業とて、赤点さえ取らなければ良いぐらいにしか思っていない。
アスカのことも表面は感心して見せるが、競おうともせず其れだけだ。

アスカは、シンジに無関心でいられることが何よりも辛かった。

アスカに残っているのは、あとは自分自身だけだった。
しかし、肢体を武器に誘おうにもシンジは子供過ぎた。
慌てるばかりで、アスカが望むような反応を引き出せたことはない。
まして同居人の葛城ミサトの熟成したそれに比べれば、アスカは己の体が魅力に足るものとは思えなかった。

シンジの気を惹きたいが、彼が関心を持ってくれそうなものを何一つ持っていない。

ライバルであるファースト・チルドレンがシンジと親しげに話す姿を見れば胸が痛んだ。
悲しみと苛立ちはアスカの言葉を自然ときついものに変える。
それがシンジを遠ざけることになると判っていながら、アスカはほかにどうすることも出来なかった。

166春琴:04/10/18 19:13:49 ID:???
8
口下手なシンジは、あまり本心を語らない。
そのかわりに、嘘を吐くこともなかった。

そんなシンジが、たった一度だけアスカを褒めてくれたことがあった。

ただ一度、「アスカの目は海みたいな色で綺麗だね」と。
167春琴:04/10/18 19:15:16 ID:???
9
美醜など皮一枚のことだと、アスカには判っていた。
美しさが優る時期を過ぎれば、それを留める術など無い。

アスカの実母は、幼心にもとても美しい女だと思えた人である。
アスカよりも淡い金の髪と、薄い色の瞳をした儚げな人だった。
狂気の淵を彷徨いながらも、その美貌には翳りはなかった。
しかし、そんな美しい女ですら、夫の心を繋ぎ止めることは出来なかったのだ。
父が二度目に選んだ女性を見たことが、美しさは価値に成り得ないのだと言う事をアスカに強く印象付けてしまったとしてもおかしくない。

その上、アスカは自分が美人だと思ってはいなかった。

移ろい易い、失うことが判っているものに縋ることほど、愚かしいことはない。
アスカの理性は、そう告げる。

168春琴:04/10/18 19:16:21 ID:???
10
それでも…。

シンジがアスカに価値を置いて、それを認めてくれたのは、「アスカの目の綺麗さ」だけだった。
「青い目が綺麗だ」と、そう言ってくれたことがアスカの全てだった。

シンジの視線を感じアスカが振り向くと、彼はいつもアスカの顔を見ていた。
アスカが目を見開き甘く潤ませれば、シンジは眩しいものでも見たかのように目を細め、赤くなって俯く。

シンジは、アスカの「目」を好きでいてくれる。
その「目」が作り出す表情を、表情を作り出すアスカのこともきっと。

アスカは、口で甘えることなど出来ない。
態度に表すことも苦手だった。
だからこそ、その「目」で甘えた。
シンジが好きだといってくれた「目」が、少しでも彼を捕らえることが出来るようにと。
169春琴:04/10/18 19:22:50 ID:???
>165
訂正
ミサトの熟成したそれ→ミサトの成熟したそれ
春琴抄にモチーフを借りてうまくまとめましたね
うまいなぁ
>170
×うまいなぁ
○切ない感じがいいなぁ
終わりでつか?
もちろん続くでしょ。
期待大
174春琴:04/10/19 19:11:40 ID:???
11
寂しさを言葉に出来なくとも、視線を向ければシンジはアスカを待っていてくれた。
「ごめんなさい」が言い出せなくても、思いを込めて見つめればシンジは許してくれた。

感謝も好意も、言葉や態度であらわせない代わりに、アスカはその「目」でシンジに伝えていた。

シンジはいつだって、アスカの「目」を見つめてくれた。
…彼は、アスカの「目」を気に入っていたから。

アスカのシンジに対する解釈には、幾許かの誤解と思い込みがあった。
しかし、それを正してくれるものはいなかった。
アスカは、己の不安を素直に口にするには天邪鬼すぎた。
それに、アスカの「目」は口よりもはるかに雄弁だったが、その眼差しが注がれる相手はシンジに限られていたからだ。
175春琴:04/10/19 19:13:30 ID:???
12
だから、今、アスカはシンジに会うことが怖い。
ヒカリのとりなしにも、俯いて首を振ることしか出来なかった。
「会えない…」
そう、小さく繰り返すばかりで。

「…うん、わかった。
 ごめんね、アスカ。
 でも、アスカが会いたくなったら言ってね。
 このままずっと、会わないわけにもいかないでしょ?

 碇君も、待ってると思うの。
 だから、ね、アスカ…」

怒ることも呆れることもなく、ヒカリはアスカを思いやる。
ヒカリの優しさも、アスカには辛かった。
ヒカリは、アスカをいたたまれない気持ちにしたまま帰っていった。

176春琴:04/10/19 19:21:26 ID:???
13
自分が、もしもヒカリのように家庭的で優しい子だったら…。
シンジはもっと違った形で、アスカを認めてくれたかもしれない。
人に素直にやさしく出来るヒカリが、羨ましい。
…そんなふうに考えてしまうことが、アスカは嫌だった。

己を卑下し、他人を羨むばかりの人間は汚い。
アスカがこんなことばかり考えていると知れば、シンジは嫌いになるかもしれない。
シンジに嫌われたくない。
一人きりになれば、アスカの思考は悪いほうへばかり進む。

シンジが心を配って揃えた品々も、落ち込むアスカの慰めにはならなかった。

177春琴:04/10/19 19:22:52 ID:???
14
病院の廊下というものは、常に人の気配があっても騒がしいということはない。
けれどその日、アスカは自分の病室に近づいてくる、大きな足音を聞いた。
この病室は緊急病棟にあるわけではない。
ただの見舞い客が立てる音だとしたら、随分不躾な客だった。

アスカはドアに鍵が掛からないことを思い出し、軽くため息を吐く。
ドアを開く前から、それが誰であるか分かっていた。

「惣流、じゃまするでー」

ノックというものを知らない客は、ずけずけと室内に入ってくる。
何か投げつけてやろうかと思ったが、アスカはそれを諦めた。

手元にあるものはどれも、シンジがアスカのために選んでくれた品だったから。

178春琴:04/10/19 19:28:27 ID:???
15
「あんなー、ええ加減にせんと、碇のこ、と」

挨拶もなしに本題に入ったのは、シンジの友人である鈴原トウジだった。
が、全てを言い終える前に、後ろから入ってきたヒカリに叩かれる。

「鈴原っ!
 病院で走るなんて!!」
「委員長、いきなりどつかんといて」
「患者さんにぶつかったら、どうするつもり!
 学校の廊下だって、何度言ったって…」

ヒカリはアスカにとって大切な友人だ。
彼女の美点を、アスカは幾つも数えることが出来る。
しかし、恋人の趣味だけは、どうしても理解することが出来なかった。
ヒカリが好きだと言う、この関西弁を喋る男は、アスカから見ると野蛮人にしか見えなかった。

179春琴:04/10/19 19:29:13 ID:???

 ・・・続く
胸が痛くなりますね
切ないね。
182春琴:04/10/21 17:33:32 ID:???
16
「仲がいいのはかまわないけど。
 ここで漫才するなら帰って。
 部屋に入って良いとは、言ってないわ」

二人の仲の良い姿を見て微笑ましいと思えるほど、今のアスカには余裕がなかった。
ベットの隅を見つめることで目を逸らし、出来るだけ冷たく言う。
ヒカリは大好きだが、今は駄目だった。
…見ていたくない。
怒らせてもいいから、早く帰って欲しかった。

「つんけんやなぁ」
「鈴原!
 …アスカ、ごめんね。
 今日は、あの、碇君のことで」

「シンジが怪我したんや!」

トウジの声に、アスカは一瞬大きく身を竦ませた。

183春琴:04/10/21 17:34:07 ID:???
17
「…ど…こを?」

尋ねる声が、自分のものではないかのように聞こえる。
振り向いたアスカの片方の「目」が、トウジを呆然と見つめる。
見えているはずの目であるのに、何も映っていないかのようだ。

「惣流のせいや。
 シンジはなぁ、いっつも」
「鈴原、いいかげんにして!
 碇君の怪我は、アスカに関係ないでしょ!
 アスカのせいだなんて、言い方しないで!」
「そやかて、あいつがぼんやりしよったのは、
 惣流のこと考えとったからやろ?」

「シンジは、どこ!!」

「下の医局や」

184春琴:04/10/21 17:35:16 ID:???
18
ベットから滑り降りると、アスカは駆け出した。

この病院はネルフ直属であり、外来などの受付もあるが、基本は職員が利用している。
シンジはパイロットなので、アスカと同じく健康管理に関しては技術部が責任を負っていた。
医局には、彼ら専用の窓口があった。
その日ごろ通いなれた場所までの通路を、走るアスカはひどく遠く感じる。

肩で息を弾ませながら、アスカはドアを開けた。

背もたれのない診察用の黒い椅子に座り、シンジは医師の説明を聞いていた。
一つ二つうなずくと、顔を上げる。
その頭部に巻かれた白に、アスカは血の気が引くような気分を味わった。

シンジは、鼻から上を包帯に包まれた姿で座っていた。

185春琴:04/10/21 17:36:16 ID:???
19
「…シ…ンジ」
かすれた声は、言葉として聞こえなかったかもしれない。
しかし、その声に少年は的確に反応した。

「アスカ?
 アスカだよね。
 どうしたの?もういいの?
 あっ、医局に来たんだから、良いわけないよな。
 どこか、痛い?」

ドアの前から動けずにいるアスカに、まるで見えているかのように話しかける。
声音も、隠されていない口元の表情も、いつもどうりのシンジとなんら変わることがない。

だが、そこに巻かれた白が、アスカの動きを止める。
「見られたくない」というアスカの願いを、それは叶えてくれるものだったのに。

186春琴:04/10/21 17:37:01 ID:???
20
「鈴原、待って」
「あ〜、はいはい。
 委員長、なんで惣流は怒らん?
 ごっつう走っとるやん」

後ろから聞こえてきた会話に押されるように、アスカの足が動く。
躊躇いがちに踏み出したその動きに、気づいたシンジが椅子を立つ。
視界を半分失えば、距離感の違いにしばし戸惑う。
まして、両目の見えない状態のシンジは、当然のように躓いた。

体勢を崩したシンジを、支えるためにアスカは腕を伸ばす。

アスカから、シンジに触れるのは、初めてのことだった。

187春琴:04/10/21 17:37:39 ID:???

 ・・・続く

うむー。
アスカかと思ったらシンジの方だったのか。

ネルフの科学力は世界一ィィィィィィー! な展開を
キボンしたいところであります。
大切な人を想う気持ちが込められているのを、ひしひしと感じます・・・
目をふさぐならシンジだと思ってはいたけど、故意じゃなくて事故なのか……続きを見たいです。
191春琴:04/10/24 10:48:09 ID:???
21
アスカの手よりも、僅かに大きな手。
汗が引いて少し冷えたその手に、シンジの温もりが滲む。
その重なった手を解くことも出来ず、アスカはただ見つめた。

関節の形が、アスカの形とは違う。
アスカが他に知る誰の手とも、シンジの手は似ていない。

シンジの手、その肩、細い首、首にかかる黒い髪。
アスカは視線を上げていく。
今見えるのは、シンジの口元だけ。
それでも、包帯の下に隠された目も鼻も全て、よく知っている。
アスカは、それをはっきりと思い浮かべることが出来た。

シンジがアスカを見ていたのと同じ時間だけ、アスカもまたシンジを見ていた。
192春琴:04/10/24 10:50:29 ID:???
22
「なんや、仲直りしたんか」

横から不意に掛かった言葉に驚き、アスカは手を引こうとした。
しかし、その手をシンジが握る。
強い力ではなかった。
アスカが払えば、簡単に振り解けるだろう。

手を離したほうがいい。
すぐ側で、ヒカリや鈴原が見ている。
シンジとしても視界を奪われた不安から、反射的にアスカの手を握ったに過ぎないだろう。

そう思いながらも、アスカは動くことが出来なかった。
手が重なった部分が、暖かい。
アスカばかりが、未練がましくこの手に縋っている。
…自分からは、離せない。
アスカに選べた方法は、一つだけだった。

193春琴:04/10/24 10:51:56 ID:???
23
「離して」
「あ、うん、そうだね。
 …でも、椅子まで」

アスカが意を決して言った言葉に、シンジはあっさり頷いた。
しばらくぶりに交わすシンジとの会話だというのに、アスカは心と裏腹の言葉を口にしている。
この、視線を合わせて本心を知ってもらうことも出来ない状態で。

「心配した」の一言さえ、言えない。

もどかしさに、アスカは泣き出したくなる。
いっそ泣いてしまえたら、楽だったろう。
だが、他人のいる前で泣くなどという醜態をさらすことは出来ない。
自分のプライドがそれを許さないことも、アスカにはよくわかっていた。
アスカの思考は乱れるばかりなのに、横に立つシンジの顔に変化はなかった。
アスカのそっけない言葉にも、特に何かを思っているようではない。
それが気持ちの温度差を表しているようで、アスカは辛かった。

194春琴:04/10/24 10:53:09 ID:???
24
椅子までの距離は僅かだったが、二人の歩みはもどかしいほどに遅い。
アスカは考えを放棄し、腕に掛かるシンジの重みに意識を寄せた。
想いが伝わらなくとも、こうしてシンジはアスカを頼っている。
シンジが甘えてくれるのは、初めてかもしれない。
そう考えると、手を離すことがますます惜しくなる。
輪郭や形、温もりや重さ。
シンジのパーツの一つ一つを、確かめるようにアスカはたどった。

アスカの思いに応えるように、その手が強く握られる。
息をつめたアスカの前で、シンジは椅子に座るために屈んだ。
体勢が崩れたために力を入れただけだと判ったが、アスカの心音はいつもよりもやや早い。

椅子に着いても、シンジの手は離れなかった。

195春琴:04/10/24 10:54:23 ID:???
25
「アスカ」
「何」
「アスカ、大丈夫?」
「別に。
 それより、手」

握られたままの手が、熱い。
 
「いちゃついとるんかと思えば、それか。
 シンジもいいかげん、ガツンと言ったらんかい。
 惣流も、惣流や。
 我儘ばかり言いよらんと、
 たまにはシンジを心配したらどうや。
 そのうちシンジにも、見捨てられるで」
「鈴原、言いすぎよ!
 アスカだって…」

庇ってくれるヒカリの声が、遠い。
…シンジに、見捨てられる?
幾度も想像したことがあったが、他人に言い切られるのとでは衝撃が違う。
アスカは無意識に、シンジの手に爪を立てていた。
 
196春琴:04/10/24 10:56:04 ID:???
26
「たいしたことないんだよ。
 僕が、ぼけっとしてたから。
 だから平気だって。
 トウジも、大げさすぎるんだよ。
 よくあることだろ。
 心配するほどのことじゃないよ。

 …アスカが知ったら「バカシンジ」って、
 言われるんじゃないかな」

握り締めた手は変わらない。
アスカの耳に届く、シンジの声も。

「甘すぎや。
 たまには灸でもすえんと、わからんのや」
「アスカはいつもやさしいよ」
「なんでそない…「鈴原!」」

「だって、わかるよ。
 アスカの手、こんなに震えてる」
197春琴:04/10/24 10:57:02 ID:???

・・・続く。

台風怖い。
もう、来るな。
二度と来るな。

乙。

ご無事で何よりでした。
なんか読んでるほうがもどかしくなるなあ。いい小説です。
200名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/11/03 09:26:01 ID:hYqGvW/D
続きよみたいです。楽しみです。
保守しておきますよ。

しかし、、テーマ別の投下スレがわんさかあるからあまり需要無いのかも
続き読みたいです。まったりお待ちしています。
待ってます
がんがれ
お待ちしています
二ヶ月たった・・・続きをー
207名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/12/28 22:17:42 ID:eusEKA65
誰か神様来て・・・
神様といってもデンデだぞ……
某スレが自分のメモ帳のようになってきて、ちょっと自粛しようかなと思っている
>>209
自粛しなくていいんじゃないか
少なくとも一ヶ月に1レスあるかないかって状況より良いだろう
211名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/12/29 13:34:56 ID:TGCfQ82+
>>209
どこのスレ?
一年ぶりに再会した今月の貞本エヴァを読んで、
来月はどう展開するのか考えて書いたもの、
投稿していい?
是非、お願いします!
投下しる!
「シンジ君、ATフィールド展開、レイの救出急いで!」
「はい!」 トウジを助けられなかった、アスカもあんなことになって……もう二度と、
あんな思いするのは御免だ、絶対助ける。
  ATフィールドを展開した初号機に気づいた使徒が、初号機に向かって細長い身体の
末端を矢のように突進してきた。
「碇くん!?」すでに使徒と接触し、零号機を侵食されていたレイには、自分の心に侵入
してきた使徒の思考が見えていた。初号機とも融合しようとしている。
 間一髪、初号機は使徒の突撃をかわし、使徒はエヴァの射出装置を粉々にした。
すぐさま向きを変え、再び突進してきた使途を初号機は両手で捕らえたが、
それは使徒の目的を妨げたことにはならなかった、使徒を掴んだ両手からじわじわと
蛭のように侵入して初号機と融合すると同時に、シンジの両手にも太い血管のような腫れが
網の目のように広がり、痛いようなくすぐったいような感覚をシンジに与えた。
「なんなだよっコレ!どうすればっ…」不気味に腫れ上がる自分の腕を引きつった目で
睨み付ける。
「シンジ君、プラグナイフで応戦して!」
 ミサトに指示され、気を取り直したシンジはプログナイフを巨大な蚯蚓のような使徒の
身体に突き刺した、赤い血が白く輝く身体から吹き出し、細長い体躯をのたうたせた。
「!!?」シンジは、はっきりと誰かの悲鳴を聞いた、しかしそれは耳で聞いたものでは
なく、頭に直接響いたようだった。「クソッ、なんなんだよ!使徒、コイツなのか!?」
感情だけではなく、微かだが痛みも伝わってくるように感じた。

“イタイ… クルシイ…”最初、音ではない声だったが、それが聞き覚えのある声のように
聞こえてきた。“イタイヨ… イカリクン…”その声が誰のものであるか察した時、シンジの
手の腫れはいくつもの小さな人の頭や体の形に変形した。「綾波っ!?」
 初号機に掴まれていた使徒の身体の端が突然とレイの上半身の形を成し、初号機に
迫った。「これは…私の心、碇くんと一緒になりたい…」自分の心を侵した使途が、
内に秘めた欲望を体現させようとしているのだと、レイは悟った。レイの姿をした使徒が
初号機の顔に抱きつく。

“苦しい… 寂しい… 悲しい… 私を独りにしないで…”自分のものでない感情が、
はっきりと怒涛のようにシンジの脳裏に流れ込んできた。

 レイの目から涙が溢れた、それはさっきのように寂しさのせいではなかった、十数年間
彼女を怯えさせていた心の空洞が満ていくような感覚を覚え、その悦楽に再び意識が
遠のいた。

“どう?碇くんとひとつになる感覚は?”もうひとりの自分、自分の姿をしたヒトがレイに話かける。
“気持ちいいでしょう。嬉しいでしょう。”
「ダメっ…こんなのは、違うわ…やめてっ…!」拒みがたい幸福な気持ちに心がすべて支配されそう
になったが、寸でのところで彼女は抵抗した。「あなたは私じゃないわ、勝手なことはしないで!」
“何が違うと言うの?これはあなたの望んでいることよ。碇くんとひとつになりたい、自分だけのもの
にしたい。私が手伝ってあげるわ。”
「ダメ、碇くんを巻き込んではダメっ…!」
“そう、なら私とひとつになるしかないわね。”

「ATフィールド反転、一気に侵食されます!」マヤが零号機の状態の急変を告げた。
「使徒を押さえ込むつもり!?」マヤの肩越しにステータスグラフを見ていたリツコが呟いた。
 初号機の顔に張り付いていた使徒が後ろから引っ張られるようにして剥がれ、
使徒の身体は零号機の身体に吸い込まれていった。

「綾波?」レイの姿をした使徒が初号機から離れる刹那、シンジは不穏なものを感じ取った。
「フィールド限界、これ以上はコアが維持できません!」マヤが告げたのは零号機の身体が
崩壊することを意味していた。
「レイ!機体は棄てて逃げて!!」ミサトは命令というより、必死の願うように叫んだ。

「だめ、私がいなくなったらATフィールドが消えてしまう、だから…だめ…」
レイはエントリープラグ内の端末から、初号機の自爆コードを打ち込み、レバーを引いた。

「レイ、死ぬ気!?」ミサトは愕然とした表情で呟いた。

「綾波!やめろぉっ!!」同じくレイの行動を悟ったシンジは、初号機でレイのもとに駆け寄ろう
とした、しかしもう一機のエヴァ、弐号機が初号機の脚にしがみついてそれを阻止した。
「なにするんだ!放せよっ!!」弐号機を引きずり、振りほどこうとしながらもシンジはレイのほう
へ向かった。
「よせ、行ってどうする気なんだい?あの使徒を倒すにはこうするしかないだろう、それに、
これは彼女自身が望んだことだ、君も感じただろう?」カヲルの言うことは確かだった、
銃器も刃物も効かない、触れるだけで身体に侵入してくる使徒を殲滅する方法は他に考え付かない。
「でも、こんなのって…!」シンジは使徒を介して流れ込んできたレイの悲痛な感情を思い返した。
「やっと、やっとあいつの気持ちが分ったのに…それなのにこんなのって…!」

「コアが潰れます!臨界突破!!」モニターが示すままに、マヤが初号機の最期を告げる。

「最後に…もう一度、あの手に触れたかった…」使徒を完全に取り込み朦朧とする意識の中、
シンジと出会ってからの短い日々を去来し幻を見た。

目が潰れるような眩い光と、N2兵器のような熱エネルギーが第三新東京市を包み、
レイを乗せたエヴァ初号機は消滅した。
あ、プラグじゃなくてプログだっけ…orz
(´・ω・`)?
シンジがレイを「あいつ」と呼ぶのはちょっと違和感。
シンジはレイのこと、三人称でも「綾波」っていってたっけ?
"初号機が"消滅?
「やっと、やっと綾波の気持ちが分ったのに
でいいじゃん。
ほんとにこんな展開だったら泣く
アニメ版を踏襲するなら二人目がいなくなるのは必然だが
できれば違う展開にならんかな。
役立たずなカヲルを犠牲にするとか。
でもカヲルがここで死ぬと最後のシ者が…。
でも連載の予想SSってのが中々面白かった。
本編放送中はこんな感じで書いてた人が居たんだろうか?
書くってなにを
次回を予想したSSを。
あのころ今ほどネットが一般化してなかったとおもうが、
どこで発表したもんだろう。
同人誌って知ってるか?
Niftyに居た気がする。
予想FF。
本編の予想FFか
きっと、ことごとく裏切られたんだろうな
次回が楽しみだ。予想あたってたら凄くない?
展開予測ショー
変態観測
     \    |       ,,...-‐‐‐--、,      l    /     /      /      /
     |、  /  |   ,.べ;;;;;::、--- 、:::;;`ヽ、   ''‐-‐'゙/   /      /      /
   、,_,.! ゙'-'゙(.    //::/´       ``ヾ、      l         /      /
    )    (.  /:,`!ヾ、.      ,      ゙>-    ヽ、_,,./  /      /
   '゙"`ヽ, /``/::;:゙;゙::!:.:| ``'''‐--‐''゙   '-‐'゙ ゙、       /         /
     ヽ ヾ /:;'/:.:!:::l  、,r''"゙`'ヾ    ,:',-‐-、,'l      /       /
   -=,'゙   ./:::/:.:.|::::l  /  (・),.    ヾ,_(・) ,'゙l      (
     `ヽ ,゙:::,'::::;':!::::l   `"´ ''"´     | ̄__,,l,,...,,_   \      ひいっ・・・!!!
     -='゙ l::::l::::;':. l:::::l               ` ゙、.,,_,,.``ヽ、
     __) l!゙,l:::;'-、 ';::::!          ,.-‐‐:、    l `ヽ、  \
      ヽ. !:l:::l/-ヽ.゙;::',    U    /:::::::::::r=‐'''"´`''‐,.-゙'‐-、ヽ.
       ) ゙!::l l"''、l ヾ゙:、   u     l:::::::::::::::`'''‐‐''''‐i'゙  ,,..、  `\
         l:::l,ヽ、_,  ヾ;\       ゙、.,,_ノ/ ̄ ̄ノ /ヽ. `   \     ____
     /    !::l:゙ヽ、. ,、 ヾ、;、         ゙'‐''"7'゙/ /゙ヽ       \ _,./´-、ヽ.`´ ̄``
   / /  l::l``;::,`´:ヽ、  `ヾ:;、.,__   ::::   / `'''゙  \   ゙、   ヾ;‐、''-、゙; ヽ\::`
    /  / l:l ";'::;'::';';! `''‐ 、.,_` ̄      / r'゙´ ̄ ̄``'''‐、 ゙、    ' l  l:::! ゙、 ヽ`
.       /  l:!  !:;'::!::::;!     ``'''‐‐---┬'゙   `'''''''''‐-、      ゙、   ./  l:::l    ヾ
237ひまひまひま:05/02/12 16:07:02 ID:???
「ねぇシンジ、1人でするのって気持ち良いの?」

晴れた日曜の昼下がり、リビングでTVを点けたまま雑誌を読み、
ポリポリとお菓子を食べている器用な少女の突然の問いに時が止まった。

「え?・・・・・・・えっ?何か言った?」

1人でする?何を?何で?気持ち良い?何が?
何か会話してたっけ、、いや、記憶に無い。
昼頃起きて、良い天気だったので布団を干して洗濯して、
遅い朝食を昼食代わりに食べた後、アスカはリビングへ、
僕は彼女より遅く食べ終わって今は食器を洗ってる。
2人とも無言だったし、特に変わった行動もしてない。

「だからぁ、1人でするのって気持ち良いの?」

アスカの雑誌を読む目がチラリとこっちを見て再び問いかける。
238ひまひまひま:05/02/12 16:07:45 ID:???
「何を、、するの?」

そう答えた瞬間に想像したのは「アレ」だった。まさか・・・そんな訳ないよな。
そう思って首だけリビングに向け、アスカの手元に目をやって青ざめた。
読んでいる雑誌は「ホット・マガジン」。
一昨日トウジとケンスケが泊まりに来た時に持ってきたやつだ。
大人、というよりはもうちょっと若い年齢層向けでH重視の内容。

もちろん興味が無い訳じゃなかったし、アスカは洞木さんの家に泊まりに行ってたから
男3人でちょっと赤くなりながら盛り上がった記憶がある。
なんで・・・ケンスケが持って返ったと思ってたのに。
どうしてアスカが見てるんだろう・・・いや、考えればすぐ分かる。
忘れていったんだ、そしてアスカが僕の部屋に勝手に入って押収したんだ。どうしよう。

「何って、アンタもしてたじゃない」

心臓が止まるかと思った。
いつ見られた?する時はいつもアスカが寝てるか居ない時間を選んでた。
場所はトイレ、終わった後の紙は流してるから証拠も無い。
材料は?ケンスケから無料で貰った10枚のアスカの写真、絶対見つからないような場所だ。
いやそれよりも、何て答えたら良いんだ?
239ひまひまひま:05/02/12 16:08:26 ID:???
「な、何を?してないよ?」

分からないのに「してない」んだ。僕は馬鹿だ。
いや、もういい。とにかくしてないんだ。

「ふーん、アタシが入院してる時のアレは錯覚だとでも言うつもり?」

心臓が止まった。一瞬。
僕に目も合わさずに雑誌を読みながらアスカが問いかけてくる。
声の抑揚は普段と全く変わらない。それがさらに怖い。
そうだ、僕はアスカに知られてるんだ。
病院の個室で病人として寝てるアスカの目の前でやったアレを。
でも何で今更!一度も口にしなかったのに!
補完の中で「私をオカズにしたくせに」って言われたけど、
戻ってきてからは一度も言われてない。
だからあの事は覚えてないんじゃないかと思い込んでた。

「ねえ、今もしてるの?」

ちょっとだけ赤くなってニヤついた目でアスカが僕を見る。
ダメだ、言葉が出ない。何と答えても罵倒される気がする。
240ひまひまひま:05/02/12 16:09:09 ID:???
「どうなのよ?」 「い、いや、その、、、」
「・・・・・・してんのね」 「し、してないよ!」
「気持ちいいわけ?」 「だ、だから!してないって!」
「あーぁ、加持さんもしてんのかなぁ?」 「!!」
「ねえ、どう思う?やっぱりしてると思う?」 「か、加持さんは1人じゃ、ないから、、」
「なーるほどねえ。ってー事はアンタはしてるわけだ」 「!!」

「ア、アスカには関係無いだろ!」
ダメだ、部屋に逃げよう。そして家を出よう。
もう顔を見る事が出来ない。恥ずかしさと屈辱感が襲ってくる。

「へぇー、オカズにされる側は“関係無い”かぁ」

部屋へ向かおうとする足が止まる。

「ご、ごめん・・・・・」
何を謝ってるんだ僕は!
でも、アスカに悪い事をしたのは確かなんだ。
その気持ちが反射的に僕の口から謝罪の言葉を紡ぎだす。
ちゃんと謝った方が良いんだろうか。でも恥ずかし過ぎる。
241ひまひまひま:05/02/12 16:09:51 ID:???
「べっつにぃー、謝って欲しいわけじゃないけど」
まるで無関心という感じの声だ。

「で、どうなの?気持ち良いの?」
まるで興味津々といった具合に声が変わる。

「分からないよ・・・そんなこと」 「じゃあ、何でするのよ?」
「分からないよ・・・そんなこと」 「アンタバカぁ?“気持ち良いから”以外に理由があるの?」

「分からないんだ!ホントに!確かに欲望を満たす為かもしれないけど、しなかったら変になっちゃいそうで・・・」

「変って、どうなんのよ?」 「分からないよ・・・そんなこと」
「アンタねぇ、、バカ?」 「そうかも、しれない」

「はぁ、、もういいわ。それより、してみせてよ」
「うん、ごめん。・・・・・って、えぇっ!!?」

思わずアスカの方を向いてしまう。
青い目は爛々と輝き、否定を決して許さないという意思が伝わってくるようだった。
242ひまひまひま:05/02/12 16:10:36 ID:???


っていうSSを誰かエロエロに仕上げてよ。
うはwここでおあずけですかw
続き書いておねがいします
244名無しが氏んでも代わりはいるもの:05/02/12 16:46:00 ID:BzoF66Il
>>242
きゃあスレへGO!
245ひまひまひま:05/02/12 18:32:05 ID:???
「な、何言ってるんだよ!」 「何?恥ずかしいわけ?」
「当たり前だろ!それに女の子がそんな事言う 「じゃ、男の子は女の子の前であんな事しても良いんだ?」
「う・・・アレは!その、、ごめん」 「だから、別に謝んなくても良いのよ。いっくら謝っても許すわけないんだから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」 「1回見られてんだから何度見られても同じでしょ。しかも今度はちゃんと見ててあげるって言ってんの」
「同じじゃないよ!それに、、見られた方が恥ずかしいよ!」 「だからやれって言ってんのよ」

やっと分かった。アスカは復讐のつもりなんだ。
そりゃ悪かったと思ってる。でも、なんで今更!
いや、ホントは最初から、僕がアスカを殺そうとしてしまった10ヶ月前から
アスカは僕に復讐したかったんだ。この家にまた3人で暮らす事を
承諾したのも復讐が目的だったんだ。

「ほら、早くしないと皆に言いふらすわよ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「アンタ、もしかしてアタシが怒ってると思ってる?」 「・・・・・・・そりゃそうでしょ・・・・」
「まぁそうよね。でも別にもうそんなに怒ってないわよ」 「・・・・・じゃあ、どうして・・・・・」
「言ったじゃない、“1人でするのって気持ち良いの?”って」 「・・・・なんでそんな事・・・」
「質問してるのはアタシ。アンタは覚悟を決めりゃ良いのよ」 「・・・出来ないよ・・・・」
「あっそ、じゃ皆に“あの事”言いふらすわよ」 「・・・・なんでそんなに、その、見たいの?」
「ここに書いてあるのよ。“週に4回以上が平均値”って。そんなに頻繁にするぐらいなら気持ち良いんでしょ?」

僕は勘違いしていた。アスカは完全に面白半分、興味半分だ。
そして僕がその対象に最も適している事は分かりきってる。
それにしても、僕って平均より多い回数なんだな、、オカズがアスカがだからかな。。
246ひまひまひま:05/02/12 18:33:56 ID:???
「それともアタシが他の男の子に頼んでも良いの?」

嫌だ。それは嫌だ。
そんな事を了解する男なんて居ないと思いたいけど、
アスカが相手なら他の事までやりそうなの男なら居ると思う。

「それは・・・・・やめてよ」 「じゃ、良いじゃない。まぁアンタ以外の男のアレなんか見たくもないけど」
「え、、それってどういう・・・」 「ふ、深い意味は無いわよ!アンタのは1度見てるってだけよ」

アスカが少し赤くなってる。なんで・・・やっぱりアスカも恥ずかしいんじゃ・・・

「とにかく!早く見せなさいよね。これは決定事項よ、何を言っても覆らないわ」
「・・・・・・・・・・どうしても・・・・・・・なの?」
「もう、往生際が悪いわね。アタシが脱がせてあげるわよ」

アスカが立ち上がろうと膝を立てる。

「ま、待ってよ!分かった!自分で脱ぐから!」 「最初からそうすりゃ良いのよ」
「・・・・・・・・・ここじゃ、恥ずかしいよ」 「じゃ、アンタの部屋ね♪」

俯きながら歩く僕の後ろから元気良くアスカが付いてくる。
はぁ・・・・消えてなくなりたい。でも・・・他の“男”なんかアスカに見せたくないから。
ひまひまひま氏うまいけどエロになりそうだから
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1107373984/に引っ越してほしい
ダメ?もっとあんたの小説読みたいぞ
漏れも、もっと読みたい
シンジ受けは良いなあw
あんたのエロ作品読みたいからきゃあに来て
 古びたベッドに腰をかける。
 指を絡ませて、指をほぐす。
 ほう、と息を吐き、目を閉じる。

――うん、さぁいこう

 目を開くと少し傾いた陽が赤く染まりかけていた。
 窓越しに見る空でさえどこか大きく見える。
 外に見える住人のいないアパート群は世界の終わりに直結しているようだった。
 そして誰もいないアパートの一室。
 年月が経った今も、その存在自体は変わらず齢を重ねていた。
 このことが寂しいとも、嬉しいとも思える。
 
 弓を引き、弦を押さえる。
 一音一音確かめるように音を刻んでいく。
 奏でた音の一つ一つに心がこもるようにゆっくりと。
 ゆったりとした時の流れの中で思うのは、赤い瞳をした一人の少女。
 今の僕を消し去って、もっと奥にある僕を呼び起こす。
 奥に根付いた自分の本質を掘り起こす。
 もう一度目を閉じて、反芻する。

 とん、とん、とん

 リズムを重ね合わして旋律を作る。
 綾波のイメージによく合う曲を思い浮かべる。
――ドビュッシー作 月の光

 ピアノ曲を自分なりにアレンジを加え、より綾波にあうように。
 後悔と懺悔と、感謝をこめて音に乗せる。
 切ない恋心が届くように歌にのせる。
 左指をやさしく弦にあてる。
 ヤシマ作戦での綾波のみせた笑顔を思い浮かべるように。
 手に添えられた綾波の手の温もりを思い返すように。
 静かな月の光に照らされた綾波を思い描く。
 透き通るような青い髪はどこまでも幻想的で。
 赤い目はやさしく微笑んだ。
 音は時の水面に漂って流されていく。
 
 

 散らばって茶色に変色したプリント。
 コンクリート剥き出しの壁。
 汚れた包帯が段ボール箱に押し込まれていた。
 台所に目をうつすと綾波が火傷したポットが見えた。
 そして、ほこりをかぶった棚の上に、ビーカーと壊れた眼鏡が置かれてあった。

――父さんもいたんだ
 
 鉄の重い扉を開く。
 ギィと鉄と鉄の擦れる音がする。

――また来年、きっと来るよ
 
乙!なんかシンジ切ねぇ〜
 父さんと母さんが離婚して4年。僕は16歳になった。
 離婚の原因は父さんの浮気。同じ職場の赤木ナオコさん・リツコさん親子と不倫し
ていた。よりにもよって親子丼なんて最低だよ。同情の余地無し。
 そんなわけで今は母さんと二人暮らしをしている。
 初めは少し寂しかったけど、もう慣れてしまった。
 また、春から第壱高等学校にも進学して、それなりに学校生活を過ごしていた。
 こんな僕にも彼女がいる。
 綾波レイ。彼女は少しエキセントリックな感じのする女の子だけど、とっても可愛い。
 いつもは無表情に近いが、ほんの時々僕に見せる笑顔がすごくきれいなんだ。
 なんだかんだ言っても、今の僕は幸せなのかもしれない。
 だけど、時たま思い出すことがある。
 3年前に外国へ引っ越してしまった幼なじみの少女のことを。

 蝉の鳴き声がうるさく聞こえる夏の日。
 夏休みもあと僅か。綾波と最後にどこか行こうかなと考えながら僕は歩いていた。
 行き先はとある喫茶店。そこには父さんが待っているはずだった。
 ろくでなしの父さんだけど、僕のことは気に掛けているみたいで、月に2回ほど会う約束を
離婚調停でしていた。もっとも、ここ2年ほど父さんはドイツに転勤していて、ほとんど会え
なかったけど。今日は約半年ぶりの再会だった。
 クラシック音楽が流れる静かな店内に僕は入った。
 落ち着いた雰囲気のするこの喫茶店はコーヒーもデザートもすごく美味しく、時々、学校
帰りに綾波とお茶するのに使ってもいた。
 店内を見回すとまだ父さんの姿はなく、僕は待っていようと窓側の席に向かったが、

「シンジー、こっち、こっち」

 と聞き覚えのある声に呼びかけられた。
 僕はその方へ顔を向け、

「あ、アスカ?」

 と思わず声を上げた。
 あまりにも意外な人がそこにいて、僕は暫し固まってしまったが、

「早くこっちに来なさいよ」

 との彼女の声に引っ張られるように脚を運んだ。
 僕はアスカの向かい側に腰を下ろし、

「どうしてアスカがここにいるの?」
「あー、日本に帰ってきたのよ。こっちの学校に通うと思ってね」
「連絡ぐらいしてくれてもいいの」
「アンタをビックリさせようと思ってね」
「あはは、ホント、驚いたよ」

 その僕の言葉にアスカは口もとをにんまりさせた。

「でも、偶然だね。この喫茶店で会うなんて」
「そう?」

 と、彼女はとぼけたように言った。

「アスカ。久しぶりに会ったのに悪いんだけど、これから父さんと会うんだ。だから、
ちょっと今は都合が悪くて。ケータイの番号かなんかを教えてよ。あとで連絡するから」
「んー、そんな必要は無いわよ」
「どうして?」
「だって、アタシもシンジのお父さんに会うんだから」
「えっ??」

 僕は何がなんだかわからなく、ただ彼女を見つめるしかなかった。
非常に読みやすい
 その後、アスカにいくつか質問をしたが、のらりくらりと逃げられること十数分。テーブルに置い
てあるアイスコーヒーの氷もだいぶ小さくなってきた頃、僕の後ろから大きな影が射し掛かった。

「久しぶりだな。シンジ」
「あっ、父さん」

 この暑い中、黒い長袖のジャケットを着た父さんだった。
 父さんはさも自然なようにアスカの隣に腰を下ろす。

「元気だったか?」
「うん。母さんも相変わらず研究で忙しいけど、元気だよ」
「うむ。」

 と、父さんは言葉短く相づちを打った。
 その時、ウェイトレスの人が注文を取りにやって来たが、アスカが一瞬父さんの顔を見てから、

「フルーツパフェを一つ。あっ、スプーンは2つね」

 と言った。このことに僕は違和感を感じ、先ほどからの疑問を父さんに訊ねることにした。

「あのさ、父さん。どうして、アスカがここにいるの?」

 父さんはテーブルに両肘をつき、口もとで両手を組むと、

「うむ、私は今度、日本で司令職に就くことになった」
「そうなんだ。出世したんだよね。おめでとう。……それで?」
「それでだ。この度、ここにいるアスカ君と再婚したんだ」
「えっ、」
「シンジ。これからよろしくね。アタシがあなたのママよ」
「えええーーー!!!」

 僕はうれしそうに微笑むアスカと恥ずかしそうに顔を赤くしている父さんを呆然と見つめていた。
うほっw予想しない展開wwww
ところでLRSでいいのかな、これは
LAGキターwww
それは読んでからのお楽しみという事で!…といいつつLASになりそうな予感も…。
予想しない展開で面白そうなので続きをまったりとお待ちしてます。
同じネタあったな・・・ただし汁にw
やばいなーコレ、オラわくわくしてきたぞw
>>256
 夏休み最後の金曜日。僕は綾波とプールへ泳ぎに来ていた。
 と言っても、泳げない僕は浅いところで水に浸かっているだけなんだけど。
 プールサイドで足先を水の中に入れながらボンヤリとしていた僕へ

「碇君、どうかした?」

 と顔をのぞき込むように寄せた綾波が声を掛けてきた。僕は力無い笑顔を作って、

「何でもないよ」

 と答えたが、何でもなくはなかった。
 父さんとアスカと会った先日の光景がまだ瞼の奥に残っている。
 あの後、一つのフルーツパフェを二人は食べ合っていたのである。それもお互いに
スプーンを相手の口に運んで。
 どう見ても、馬鹿ップル。しかも、ロリコン中年オヤジと女子高生のカップルだ。
 淫行で警察に捕まってもおかしくないと思う。
 でも、二人はマジなようで、アスカなんて父さんを『ゲンちゃん』と呼んでいた。
 悪夢のような光景で、あれが自分の父親と2年前まで隣に住んでいた幼なじみとは
思いたくもなかったが、やはり現実で、僕はとても落ち込んでいた。
 そんな僕の様子が綾波を不安させたのだろう。

「ひとりで悩まないで」

 と彼女は言うと、僕の左手をそっと握った。
 その柔らかい感触に刺激されて僕は彼女の身体を改めて視界に入れた。
 髪の色と同じ淡いブルーのビキニを着た彼女は普通の人より線は細かったが、それでいて
出るところはじゅうぶんに出ている女らしい身体だった。
 僕はさっと頬を赤くしてしまう。まだ、キスもしていないのに、アレなことを想像してしまった。
 でも、仕方ないよねと思った次の瞬間、父さんとアスカがアレなことをしている絵を考えてし
まった。すごい鬱。
 でも、顔色を更に悪化させた僕の左手を、更に強く握った彼女に愛おしさを感じてもいた。
GJ!LRSイイネー続きヨロピコ
油断させておいてLRGになると見た。
LAG&LRGの外道一人勝ち…

いっそのことマヤとミサトとヒカリとオペレーター三人娘もいれてハーレムにしちおうぜ。
>>262
 僕は一呼吸してから喉の奥につまったものを吐き出すように声を出した。

「アスカ、知っているよね? 彼女が日本に帰ってきたんだ」

 彼女の名前を出した瞬間、綾波は微かに眉をひそめた。
 綾波がここ第3新東京市に引っ越してきたのが中学2年の春。アスカがドイツに
行った夏までの間、綾波と彼女は同じクラスだった。その時のことはあまり思い出し
たくない。とにかく二人の仲は最悪と言えるものであったのだ。

「そう。彼女が帰ってきたの」

 と、綾波は呟くように言った。その声は夏なのに氷の冷たさを伴っていた。
 僕は背中に嫌な汗が流れるのを感じながら、

「それでさ、これから話すことは内緒にして欲しいんだけど」
「……内緒?」
「うん。二人だけの秘密」
「……秘密。わかったわ」

 なぜだか彼女は僅かに頬を赤く染めながら答えた。

「離婚した僕の父さんも日本に帰ってきたんだけど、そのさ……」
「……」
「……」
「……?」
「もう言っちゃうけど、アスカと再婚するんだって」
「……えっ、うそ?」

 と、綾波が小さく訊き返してきた。その赤い眼を大きくさせて驚いた顔をしている。
 僕はそんな彼女の表情を初めて見たので、ちょっと新鮮な印象を持った。

 夏休みも終わり、今日から二学期が始まる。軽く学校をサボりたい病気に
かかっていたが、母さんに家から追い出されるようにして登校した。
 このところはだいぶ落ち着いてきたが、母さんの機嫌はかなり悪かった。
その原因が父さんにあることは明らかで、ホント何とかして欲しかった。母さんと
してはもう父さんに未練は全く無いようだったけど、自分より早く再婚して、しかも
その相手が16歳のアスカなら話はまた違ってくるのだろう。
 しかし、僕の親の職場はいったい何なんだろう。離婚した夫婦に、その原因と
なった赤木さん親子が一緒に働いている。そういうことがあっても職場の中では
平然と保つのが大人の態度なんだろうけど、なんか想像したらすごく鬱になった。

 教室に入ると、久しぶりにみんなが揃ったせいか雑然とした空気に場が包まれ
ていた。
 あちこちでお喋りをしているクラスメイトたちの様子が見える。
 そんな中、僕は自分の席へまっすぐに行き、腰を下ろした。
 窓側の方へ視線を向けると、同じように席に座っていた綾波と目が合った。
 彼女は軽く微笑むと小さく口を動かす。
 声は聞こえなくても『おはよう』と言っていることがわかり、僕も小さく口を開き、
挨拶を返した。
 綾波にもそれがわかったのだろう。彼女はまた僕に微笑みを送った。
 そんな僕たちのやり取りを見ていたのか。ケンスケとトウジが僕のところにやっ
て来て、

「おー、先生。朝から熱々やなあ」
「な、なんだよ。トウジ」
「まあ、まあ、碇。もてない男のひがみなんだから大目に見ろよ」
「そうやで、先生。ワイらみたいな彼女がいないもんにはもう羨ましゅうてドツキた
くなるわ」

 と言って、トウジは僕の頭を拳でグリグリ押す。
「トウジ、痛いって」
「まあ、トウジもその辺にしとけよ。ところでだ、俺はある情報を入手した」
「なんや? 戦自のことなら、ワイは興味ないで」
「それもあるけど、今回は別のことさ。なんと、我がクラスに転校生が来るらしい」
「ホンマか!? 女なんやろな?」

 トウジは半ば興奮気味に大声で言うが、僕は嫌な予感を持った。
 こういう予感はよく当たる。
 僕はこれから起こることを考え、ため息を一つ吐いた。

「ああ、間違いない。女だ。これは非公式情報なんだが、めちゃくちゃ可愛いらしいぞ」
「うっ、なんやごっつう燃えてきた」

 と、その時、なにやらドスのきいた声で、

「す〜ず〜は〜ら」

 との言葉と共に、小さな手がトウジの耳を引っ張る。
 いつの間にか委員長こと洞木さんがトウジの後ろに来ていた。

「いててて! いきなり何するんや? イインチョ!」
「鈴原こそ朝っぱらから何バカなこと言ってんのよ」
 その後、委員長とトウジはいつもの夫婦漫才を続けた。
 こうして見ていると、二人は良いカップルだと思うけど、付き合っているというわけ
でもないらしい。うーん、不思議だ。
 そんなこんなで、ショートホームルームの時間になった。
 教室の前のドアが勢いよく開き、

「みんな、おっはよー。元気だったー」

 と、ミサト先生がもう元気はつらつといった感じで現れた。
 ミサト先生は出席簿を教卓の上に置き、

「夏休みはどうだった? 一夏の恋なんてしたかなー?」

 と相変わらずおちゃらけながら話をする。

「では、出席を取る前に、重大発表がありまーす。よろこべ男子。今日は噂の転校生を
紹介する。さあ、入っていいわよ」

 その声の後、ドアが開き、ひとりの少女が教室に入ってきた。

「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく」

 とびっきりの笑顔で挨拶をするアスカにクラス中の男は魂を抜かれたようになって
いたが、僕はかなり憂鬱だった。あー、やっぱりね、という感じで。
 そんな僕をアスカは見つけ、一瞬、口もとをニヤリとさせた。
 父さんと同じニヤリ笑い。
 僕はますます鬱になっていった。

 あっという間に放課後となった。
 今日一日、アスカはクラスの中心にいた。同じ中学の同級生が何人かいたため
クラスに溶け込むのも早く、以前からの親友である委員長たちとは年月を感じさせ
ないほど仲が良かった。
 僕はそんなアスカを遠くから眺めていた。
 頼むから余計なことは言わないでくれと祈りながら。
 アスカが僕の願いを聞いてくれたのかはわからないが、何事もなく今日という日が
終わったことに、僕は心から感謝していた。

 僕は鞄を持ち、オーケストラ部の練習へ行こうと席を立った。
 同じ部の綾波が一緒に行こうと僕のところにやって来たが、

「シンジ!」

 と、アスカが僕の前に立って、そう言い放った。
 これまで一言も話さなかったのにどうしてと僕は思ったが、

「惣流さん。邪魔しないで」

 と、綾波が静かに声を出した。
 彼女は鋭い目でアスカへ視線を向けている。
 だが、アスカはそれに全く動じることなく、
「シンジ、今日これからアタシに付き合いなさい」
「僕、これからオケの練習があるんだけど」
「そう。碇君はあなたにかまう時間なんて一秒もないわ」

 だが、アスカはぼそっと呟くように声を出した。

「ゲンちゃん」
「あー、行く。僕、アスカに付き合うよ」

 僕は大慌てでアスカの声を遮り、綾波へ顔を向けると、

「綾波、その、家庭の事情で、わかるよね? 今日は休むと部長に言っておいて」
「……わかったわ」

 と、渋々ながら綾波は了解の返事をした。
 目の前でお腹を抱えながら笑っているアスカを見て、僕は溜め息を吐くことしか
できなかった。
 僕の家とは反対の方角を歩いていた。
 閑静な住宅街。
 道路を通る車も少なく、街路樹には緑が溢れていた。

「ねえ、アスカ。そろそろ、どこに向かっているのか教えてくれないかな」
「ん、アタシの家よ。一度、アンタを招きたいと思っていたのよ」
「えっ、父さんの家?」
「そうよ。アタシとゲンちゃんの家」
「……アスカ。僕は父さんと約束の日以外に会っては駄目なんだ」
「そのことなら聞いているわよ。でも、大丈夫。いつも帰りは遅いから」
「そうなんだ」

 僕は少しホッとすると同時に、心の中にモヤモヤするものを感じていた。
 4年の歳月が僕から父さんを遠ざけていた。諦めとも言える。
 でも、それとは別に、やっぱりアスカは父さんと暮らしているんだよなあと。
 アスカと父さんはまだ正式に結婚していない。なぜなら、アスカはまだ15歳だか
らだ。12月の誕生日に籍を入れるらしい。よく結婚をアスカのお母さんが許したと
思ったけど、そうなるまでいろいろとあったらしい。
 と、そんなこと今はどうでもいい。問題は僕自身だ。
 こうしてアスカと二人で歩いていると昔の甘酸っぱい想いが甦ってくるようだった。
 たぶん僕の初恋はアスカだったと思う。それとはっきり自覚したことは無かったけど
今になって思い返せば、そうだと言える。自惚れじゃないけど、アスカも僕を好きだった
はずなんだ。そうでなければ、毎朝、僕を起こしに来たり、綾波と仲が悪かったりしない。
 だから、どうして父さんなんだとの思いが僕の頭の中をグルグルと駆け巡っていた。

「アスカ?」
「ん、なに?」
「……父さんのどこがいいの?」
「そうね。かわいいところかな」
「えっ、」

 そう言って頬を赤く染めるアスカを見て、僕は質問したことをひどく後悔した。

「適当に座ってよ」

 とのアスカの声に、僕はリビングの中で腰を下ろした。
 招かれたのは普通の一軒家。
 てっきり高級マンションとかを想像していただけに、ちょっと意表をつかれた。
 部屋の中はけっこう清潔感に満ちてきて、散らかっているということはなかった。
 しばらくして、アスカがコーヒーカップを2つ持って現れた。

「はい、」

 と言って、彼女はカップを僕の前に置く。
 それからもう一度キッチンへ戻ると、アスカはクッキーが盛られた皿を持ってきた。
 彼女は僕の向かい側に座り、

「シンジと二人でお茶するのも久しぶりね」

 と言った。

「そうかな」
「そうよ。アタシがママとドイツに行ったのも突然だったしね」
「アスカのお母さんはまだドイツにいるの?」
「向こうで研究に没頭してるわ。まあ、アタシより研究の方が大事なのよね」

 と、アスカは寂しそうに笑う。
 僕は胸が締め付けられるのを感じていた。
 それからどうってことのない会話を僕たちは続けた。
 僕は父さんのことを避けていたけど、アスカの口からはどうしても出てしまう。
 それを聞くたびに、父さんとアスカは一緒に暮らしているんだと思い知らされて、
僕は曖昧な笑みを浮かべるしかなかった。
 だいたい、幼なじみとしてずっと一緒にいた女の子が自分の父親の再婚相手な
んて、悪夢としか言いようがない。幼い頃は一緒にアスカとお風呂にも入ったし、
学校でも家でも二人でいることが多かった。それなのに、……恨むよ、父さん。

「もう一杯、コーヒー飲む?」

 と、アスカが訊いていた。
 妙に喉が渇いていた僕は肯き、

「うん。じゃあ、いただこうかな」
「待ってて。お湯、沸かしてくるから」

 と言い、アスカは腰を上げた。
 そして、僕の横を通り、キッチンへ行こうとしたが、

「あっ、」

 と、テーブルの脚につま先をぶつけ、彼女は倒れ込んだ。
 僕は咄嗟にアスカを受けるように下へ身体を置いた。

「……」
「……」

 僕は自分の上にいるアスカをいつしか抱き締めていた。
 見つめ合う僕たち。
 だけど、
「身体、離して」

 と、アスカは静かに言った。
 その言葉で自分がしていることを思い知らされて、僕は顔を横に背けた。
 しかし、目に入ったのはコンドームの箱だった。
 倒れた衝撃でどこかから落ちてきたのだろう。
 刹那、僕の頭の中が真っ白になり、気がついたら、身体の上下を逆にさせ、
アスカを押し倒していた。
 彼女は大声を上げることもなく、僕をまっすぐに見つめていた。その青い目は
僕の心を射抜くようで、なぜか負けたくなかった僕は彼女の胸に手を伸ばした。
 そして、その胸に触れようとする直前、

「シンジ、止めるなら今よ」

 と、凍えるような声でアスカは言った。

「もし、これ以上するなら、もうアタシはシンジのママじゃなくなるわ。赤の他人よ」
「なっ、初めからアスカは僕の母さんじゃないよ」
「あー、それもそうね。戸籍上ではシンジのママじゃないし。六分儀になるのよね。
あっ、でも、アンタのお父さんと結婚するんだから、ママと言えなくもないような」
「……もう、いいよ」

 なんだか気を殺がれてしまった僕はアスカから離れ、やるせない息をひとつ吐いた。
 そう言えば、アスカに子供が生まれたら、僕の弟か妹になるんだよなあと思いながら。



つづく、かも
俺個人としての意見ね。


是非続けていただきたい。
先生!LASもLAGも受け入れますからLRSだけは必ずいれてください!
僕はもう早く続きが読みたくてたまりません!
LAS以外なら何でもいいよ。
むしろLASでいいよ。
こういった作品を投下するにはぴったりなスレだな
うげ〜またLAS〜?
LASスレなどのカプスレでなく、ここへ投下したことを考えれば(ry
LASがいいんだが。
俺が昔、「アスカが義母でシンジが子どもな状態での健全なラブコメLASが見たい」
って汁スレに書き込んだのを採用してくれたものだと信じたい。
近親相姦LAS→清純LRSへ移行 と予想。
カプスレじゃないからどうなるか判らない所が面白い。
普通の漫画の連載読んでこの2人くっつけばいいな〜と思いながら読んでる感じです。
個人的な希望はあるけど完結するまで楽しみにしてます。
と、いうわけで続き希望!!
カプスレじゃないから怖くて見れない。
完結してLASになるのであれば読もっと。
>>284
むしろ
シンジ、LRSに逃げる+鬼畜ゲンドウLAG→何だかんだで結局LASに
と予想。
それじゃあれとおなじじゃん。俺はLRS希望。
じゃあオレはLARS ゲンドウ断罪で
作者さん
トリと、出来たらHNを入れて欲しいです。
ゲンドウの浮気相手候補>>ナオコ(再)、リツコ(再)、レイ(新規)
ゲンレイはやめてくれー
いやだー死んでしまうー
最後LAS、LRSどちらになるにしろ、ここが投下先としては妥当だろうね
続きまってるよ
LASではありません。
続きません。
最近はこーいうシンちゃんが流行り?
ある意味貞シン寄りだよね。

>>293
同意。正しいスレの選び方って感じだw
どういう結末にせよ、是非最後までガンガッテ欲しいです<作者さん
学園物のシンジだからねえ。
26話のシンジは負の部分が無い場合を表しているんでしょ。
ググったけど親の再婚相手って法的には完全にアカの他人なんだな、初めて知った。
再婚相手の連れ子も同じ。
是非続けてください先生
>>298
は?
301第2話目よん:05/02/21 12:24:00 ID:???
>>274
 先日の一件、いくら我を忘れていたとしてもアスカを押し倒してしまったことで、
僕は暫く鬱状態が続いていた。幼なじみで初恋の人とはいえ今は父さんの婚約
者なわけで、アスカは全く気にしていないみたいに接してくれるけど、僕は気まず
さでいっぱいだった。
 それは綾波に対しても同じで、後ろめたさがある僕は知らずに彼女を遠ざけていた。

 日曜日、僕と綾波はいつものようにデートをしていた。
 芦ノ湖で彼女が作ってくれたサンドイッチを食べながら釣り糸を垂らす。のんびりと
した一日を一緒にすごすことがとても楽しかったはずなんだけど、今日は違った。
 口べたな僕たちはいつも会話は少ない方だったが、ほとんどゼロと言えるほど何も
話さなかった。と言うより、僕が話し掛けることは全く無く、無口な彼女は時折なにか
もの言いたげに視線を向けていたが、それを無視してしまっていた。
 アスカとのことが心苦しく、彼女の眼を正視できない。
 綾波を好きだとはっきり言える。
 言えるけど、今は頭の中がごちゃごちゃして何がなんだかわからなくなっていた。

 陽は傾き、向こうに見える富士の山に重なろうとしていた頃、僕たちは帰路についていた。
 バスを降り、綾波の住むアパートのエレベーターに乗った。
 ここまで会話はほとんど無く、今も口は閉ざしたまま。
 籠が上昇する機械音だけが僕の耳へと入り込む。
 その後、やはり無言のまま僕たちは彼女の部屋の前まで足を運んだ。
 綾波はドアを開けて入ることもなく俯きながら立ち続けた。
 彼女の様子に違和感を持ったが、僕はこの場から逃げるように、

「じゃあ、また明日」

 と言って、歩き出した。
 しかし、刹那、僕は動きを止めた。
 綾波が僕のTシャツの裾を右手で掴んでいたのである。
 思いの外、強く握られていたそれは決して彼女の手から離れないように見えた。
「綾波、どうしたの?」
「……部屋に上がって」

 小さく呟くような彼女の声だった。

「でも、家で母さんが夕食を作って待っているから」
「……少しでいいの」
「だけど……」

 ひとり暮らしをしている綾波の部屋に今は入りたくなかった。
 アスカとのことが尾を引いていたからだ。

「今日は帰るよ」

 そう短く告げた。
 でも、綾波の手がシャツから離れることはなく、僕は途方に暮れてしまった。

「綾波、」

 と言って、僕はシャツを握っている彼女の右手に触れた。
 その瞬間、小さく息を呑んだ。
 彼女の手が細かく震えていたのである。

「碇君、」

 綾波は俯かせていた顔を上げた。
 彼女の瞳は更に赤みを増し、今にもこぼれ落ちそうなほど涙を溜めていた。

「私を嫌いになったら、そう言って。……私、もう碇君に近づかないから」
「えっ、な、なに言ってんの?」
「惣流さんのこと、今も好きなんでしょ?」
 彼女の頬を一粒の涙が流れ落ちた。
 自分が綾波をこんなにも不安にさせたことを思い知らされて、頭を金槌で打た
れるような衝撃を受けた。
 僕は叫ぶように大声を上げた。

「違うよ!」
「……うそ」
「本当だよ。僕は、僕は綾波だけが好きなんだ」

 彼女は僕から眼を逸らし、

「信じられない。……碇君、惣流さんといる時、楽しそうだもの」
「綾波、信じてよ。本当に、もうアスカとは終わったんだ」

 しかし、綾波は何も答えてくれない。
 どうすればいいかわからない僕は衝動的に彼女を抱き締めていた。
 綾波はその小さな身体を固くさせたままだったが、僕は諦めずに声を出した。

「今、僕にとって一番大切な人は綾波なんだ。信じてほしい」
「……碇君、」

 綾波は身体の強張りを解き、僕の眼を見つめた。

「信じていいの?」
「うん。綾波を悲しませて、本当にごめん。でも、これが僕の気持ちだから」
「碇君、」

 綾波は僕の背に両腕を回して、きつく抱き返してきた。
 そして、見つめ合う僕たち。
 重ね合うくちびる。
 これが僕たちのファーストキスだった。

 オレンジ色の空の下、僕は商店街を歩いていた。
 家に帰る途中、ちょっと買い物をしようと考えたからだ。
 綾波を泣かせてしまったので、おわびに何かプレゼントしようと思った。
 今、僕の頬はかなりだらしなく緩んでいるだろう。
 いろいろあったけど、僕と綾波の絆は更に強いものへとなった。
 結果オーライと言えよう。
 初めてキスもできたし。
 今もまだ胸がドキドキしている。
 綾波の柔らかいくちびるを思いだし、また僕はふにゃぁと笑みを浮かべた。
 しかし、良いことばかりが続くはずもない。
 夕暮れの繁華街。その人混みの中に、異彩を放つ一組のカップルを見つけてしまった。

「うわっ、」

 と思わず声を上げた後、僕は物陰に身体を隠した。
 僕の視線の先にいるのは父さん。そして、アスカ。彼女は父さんの腕にべったりと抱き
つきながら、楽しそうに話し掛けていた。
 綾波とのことがあったばかりで、今ふたりには出来ることなら会いたくない。
 僕は父さんたちが通り過ぎるのをじっと待った。
 しかし、ウィンドーショッピングをしている二人の歩みはカタツムリのように遅い。

── 頼むから早く行ってよ。

 と心の中で呟かざるを得なかった。
 それにしてもあの二人、よく警官に職務質問されないよなと僕は思った。
 もしかして周りからは仲のいい親子に見えているのだろうか。
 いや、でも、なあ。
 そんなことを考えながら、じれったく見ていたが、二人に近づこうとしている人影に気付いた。
「リツコさん?」

 紺色のタイトスーツを着ている女性は明らかにリツコさんだった。
 幼い頃、家族ぐるみの付き合いをしていたリツコさんに僕はよく遊んでもらっていた。
そんな彼女だけでなく、母親のナオコさんとも浮気していた父さんはやっぱり最低だ。

── リツコさん、もしかして……

 と、僕は嫌な予感を持った。
 遠目からも彼女が思い詰めた表情をしていることがわかる。
 そして、父さんたちまで後10メートルほどにせまった時、彼女はハンドバックから
銃のようなものを取り出した。
 モデルガン?と一瞬、僕は思ったが、

「わー!!」

 と声を出しながら、リツコさんへ急いで駆け寄った。
 そして、後ろから彼女を羽交い締めにする。

「リツコさん、落ち着いて」
「あなた、誰? 離して。離しなさい」

 彼女は女性とは思えないほどの力で僕を振り払おうとした。

「僕です。シンジです。落ち着いてください。リツコさん」
「シンジ君なの?」
「はい、」

 リツコさんは顔を後ろに回し、僕を確かめた。
「シンジ君、お願いだから見逃して」
「何をしようとしているんです!?」
「死ぬの」
「えっ?」

 小さな声で告白した彼女は急に全身から力を消した。

「シンジ君、わかるでしょ?」
「な、なにをです?」
「私の司令に対する思いをよ」
「はあ。でも、死ぬなんて……」
「もう私にはこれしか道は残されていないの。あんな小娘に取られるくらいなら、
司令を殺して私も死ぬわ」
「わー、わー、な、なんてこと言うんです」
「私、もう耐えられないの」

 リツコさんは膝を落とし、道路に座り込むと手で顔を覆った。
 その指の間から涙が流れ落ちている。
 僕はどうしたいいかわからず、ただリツコさんを見ているしかなかった。
 と、その時、

「シンジ、何をしているんだ」

 と後ろから、声を掛けられた。
 振り向くと父さんたちで、二人は驚いたように僕とリツコさんを見ていた。
 父さんの声が聞こえたのだろう。リツコさんは立ち上がると、銃を向けた。
「司令、私と死んでください」
「な、赤木君!」
「リツコさん!」

 僕と父さんは同時に声を上げた。
 しかし、リツコさんの前を白い脚が跳ね上がるのが見え、靴のつま先に当たった銃が
宙を飛んだ。それは、アスカが咄嗟に蹴り上げた結果だった。
 僕は地面に落ちた銃を素早く取り上げ、バックの中に隠す。
 それを見てアスカは僕に眼で肯くと、リツコさんの前に立った。

「リツコ、アタシのゲンちゃんに何すんのよ!?」
「げ、ゲンちゃんですって」

 声をわななかせながらリツコさんは言った。

「そうよ。アンタなんかお呼びじゃないの。バアさんは用済みなのよ」
「バ、バアさん。あなた、言ってはならないことを言ったわね」

 そう言って、リツコさんはハンドバックに手を伸ばした。
 瞬間、僕は危険なものを感じ、リツコさんからバックを奪う。

「シンジ君、返して」
「駄目です」
「今、この小娘を殺らなきゃならないのよ」
「駄目、絶対に駄目」
「シンジ、返してあげなさいよ。アタシがこんなオバさんに負けるはずがないでしょ」
「なんですってー!」
「アスカ、お願いだから黙っていてよ」

 僕は助けを求めようと父さんを見る。
 だが、父さんは素知らぬふりで腕を組んでいるだけだった。サングラスに眼は隠れて
いて、表情はよくわからないが、きっと平然としているのだろう。
 ……いや、訂正。視線を下にすると、父さんの脚が微かに震えているのがわかった。
 この駄目オヤジ、と心の中で呟く。
 とにかく未だ危険な状態のリツコさんをまずは取り押さえようと、後ろから抱き締めた。

「シンジ君、離して」
「落ち着いて、リツコさん」

 もう周りには僕たちを見る人で溢れていた。
 お願いだから警察沙汰にはならないでと祈らずにはいられない。
 と、その時、

「あなたたち、何しているの?」

 と知っている声が掛かった。
 僕たち4人は同時にその方向へ視線を向ける。

「母さん、」

 と、僕は安心した声を出した。
 そこには母さんが怒った眼で僕たちを睨んでいたが、なんとか事態を収拾してくれる
だろうと僕はホッとした。
 しかし、ここに何もわかっていないオヤジがひとり。

「ユ、ユイ〜」

 もう喜色溢れんばかりの声を父さんは出した。
 その刹那、アスカとリツコさんからはそれだけで威圧できるような殺気が飛ぶ。
 もう勘弁してよ〜。
 僕はすぐにも走ってこの場から逃げたい気分に駆られた。


つづく、のかな?
このゲンドウ超萌えるんだけどw
ダメ親父マンセーw
DQNがDQNのまま平然と周囲に許容されてる話は嫌いだから、
この先ゲンドウには納得のいく扱いかフォローをしてほしい、と言ってみる。
今の所コメディ?っぽいから、そこまで気になるものでもないけど。
コメディでそれ気にする人ってホント珍しいよーな・・・
コメディーだから気になるって場合もあるな、俺は。
シリアスより実は作者の思想がでてしまうからな。
俺はゲンドウよりもLRSに萌えた。
急展開でいきなりコメディになっててワロスw
チン☆⌒ 凵\(\・∀・) まだぁ?
新鮮でいい感じ!!
続きを期待!!
なんだかんだで未だユイが一番好きなゲンドウ…

やっぱこいつにはアスカなんかよりユイだね!
んで結局シンジは綾波だけが好きなのに、仲裁してるうちに
ゲンドウのオフル女性軍にいつのまにか付きまとわれるようになって…
シンジとゲンドウの立場が逆転しそう
シンジよ、ゲンドウの魔の手からアスカを取り戻せ。
というかこの際シンジとレイもゲンドウの愛人にすr(ry
シンジ×ユイを希望
シンジ×レイだろやっぱ
ユイ×ゲンドウ
シンジ×アスカ×レイ
アスカはいらない。
そういやこの手のコメディ系でガチでゲンドウを嫌いになったユイってどれくらいいるんだろう。
なんだかんだでゲンドウ→ユイなとこがいいw
ゲンドウは一人断罪。
ユイ、リツコ、アスカはゲンドウを見限り、
最後はLASになるってのが一番有り得そうな雰囲気。
あーーーーーそれ、あ り え な い か ら
最終的にシンジ×レイになるのが一番
やっぱりカプ的展開を期待する人が多いのね
チン☆⌒ 凵\(\・∀・) まだぁ?
>>329
カプ的な話だろ最初から
シンジに押し倒された時のアスカの反応を見ると、もうゲンドウとやっちゃってますね
ロリから熟女まで幅広くこなすオールマイティな男ゲンドウ
>>331
うむ、その通りだ
>>332
限りなくどーでもいい。
つか、その手のはN3の小説で十分。
ねちねち執着するより、ばっさりきりすてろや。
ってことで、

アスカ→ふーん、あっそ。父さんと仲良くね。わかったからどっかいって。
    視界に入んないで。→山もなくEND
レイ→これからよろしく。
ユイその他→好きにすれば?

な感じがいいなー。

↑の人たちが語ってる展開ばっかでいい加減あきました。新味がないっす。

…一応当方LAS人だけど、ぐだぐだすんならこれでいい。
まぁ決めるのは作者さんだ
>>335
うん…そうなんだけどね。
もうウン年ネットの海に潜ってFF漁ってるけど、
そういう展開のお話には巡り合わんのよ
適当に自己完結してるみたいな話とか中途半端にごまかしてる話ばっかでさ。
EVAFFも、もう10年ぐらいたってるんだぜ?断罪系とかそういうのには反応するのに、
この流れがちっとも変わらんのについ、ね…
ごめんなさい>作者&ALL

できれば、どっかでめぐり合いたいなぁ、そんな小説。長文スマソ、チラシの裏に書くわ。
337332:05/02/22 02:49:36 ID:???
>>334
スマソ
なんというか、「アスカたんはロリじゃないよ!!」的なレスを期待してた
アスカがどうこうとか他意は無い
まぁLRSの俺としてはまたLAS盛り上がらせる為に綾波利用するなんてことだけは勘弁して欲しい。
でも激しくそうなりそうで怖い
n3レイは二作共シンジに弄ばれてアスカに見下されてるからな
あんなの見た後ではレイの幸せを願ってしまうよ
アスカに見下されてた描写は無いと思うが
というか今作も、弄ばれたのはどっちか謎
今作のアスカは本人の気持ちはどうであれ、
シンジにしてみれば、嫌がらせ以外のなにものでもなかろー。
せっかく、うまくいってたのに、
忘れかけてた人間二人がスクラムくんで、視界に入り込んでくるんだから
うざったくて仕方あるまい。
シンジの平穏を破壊するのはいつもゲンドウとアスカ
だがそれがいい
341>
だったら思わせぶりな行動するなって話しなんだよ。
どっちみちいいように利用したのは確かだろうが。
それくらい常識でわかれよ。
つまり好きでもないなら恋の駆け引きに
自分を想ってる子を出すなって話だ。
まぁ、ここであの話するのはやめようぜ。
大人しく続き待ってます。
オッテュ
347第3話目よん♪:05/02/22 14:32:37 ID:???
>>308
「おはよう、シンちゃん」

 と言って、眼を擦りながら母さんがダイニングキッチンに入ってきた。
 それを見て、僕はご飯茶碗を取り出しながら、

「母さん、おはよう」

 と挨拶を返した。
 母子家庭で母さんは仕事に忙しいので、平日の食事は僕が作ることになっている。
 初めの頃は面倒で嫌だったけど、今は手を抜くところも覚えたし、自分でも料理の
腕はけっこう上がっているんじゃないかなと自負していた。

「今日は、ハムエッグね。美味しそう」

 そう言うと、母さんは洗面所へ行った。
 声も柔らかで母さんの機嫌は上々のように見え、僕はホッとした。昨夜、母さんは
ちょっと荒れ気味だったのである。
 それにしても昨日の出来事は最悪だった。あれから警察の人が来て、僕たち5人
は交番に連れて行かれた。でも、なぜかすぐに帰っていいと言われたけど。所持品
検査をされていたら、完全にアウトだったはずだ。それはともかく、あの後、僕たちは
すぐに別れたけど、雰囲気は一触即発な感じだった。よく刀傷沙汰にならなかったと
今でも身震いする。
 ただ、今でも父さんは母さんに未練たらたらなのがわかった。同時にいくつもの好
きを持てる父さんには呆れるしかない。僕には考えられないことだ。第一、母さんに
その気は全く無いのに。
 あんな駄目なオヤジでも、女の人にモテモテなのは不思議だ。謎。
 いつの日か父さんが刺されても僕はそんなに驚かないと思う。

 残暑の厳しさを予感させる朝陽の下、僕は学校への道を歩いていた。
 ゆっくり歩いて約30分ほどのところに校舎がある。自転車通学が許可される距離に
100メートルほど足りないのが恨めしいところだ。
 学校に近づくにつれ生徒の数が増え、道路に様々な音が雑然と交差する。そんな中、
後方からガタガタという音が聞こえてきた。少し気になった僕は後ろを振り返る。
 すると、そこには車輪のついた大きな旅行用のスーツケースを引きずりながら歩くアス
カの姿が見えた。その表情は不機嫌さで満ち溢れている。
 僕はあまり関わりたくないと思ったが、無視するわけにもいかず、足を止めて待った。

「おはよう」
「ぐっと・もーにんぐ」

 と、アスカは低い声で言う。
 日本語でも慣れ親しんだドイツ語でもなく、ひらなが英語での挨拶だった。
 うわー、めちゃくちゃ機嫌が悪そうだよと思った僕は無難な話題として、

「今日は天気がよくなりそうだね」
「そう? アタシが暑いのダイッ嫌いなんだけど」
「ははは、そうだね」

 僕は乾いた笑いを返すしかなかった。
 そして、彼女の旅行カバンが目に入らないように真っ直ぐ前を向いて歩く。
 でも、やっかいごとは自分へ全て来るようになっているんだよなと確信していた。
 案の定、アスカから話を振ってきた。

「別居よ。別居」
「へっ、?」
「家を出てきたと言ってんの」
「そ、そう」
 僕はもはや走って逃げたくなったけど、そういうわけにもいかず、

「あの馬鹿ゲンドウ、今もまだユイさんに未練を残してんのよ。あったまに来る」
「……」
「だいたい、何? アタシを愛しているんじゃないの?」
「……」
「シンジ、黙ってないで何か言いなさいよ」
「い、いや、僕からは何とも。あまり恋愛経験も豊富じゃないし」

 一度、アスカは僕の顔を見てから、

「まあ、それもそうね。でも、アンタの父親でしょ。少しは責任を感じなさいよ」
「……ごめん」
「男って、そんなに昔の女を忘れられないわけ?」
「どうなんだろう? 僕は父さんじゃないからちょっと」
「アタシはアタシだけを愛してほしいの」
「……本当に、ごめん」

 と僕が謝った後、アスカは小さな溜め息を吐いた。

「結婚なんて、しない方がいいのかな。もし、アタシがドイツに……」

 その小さな呟きは途中で雑踏の中に消えていった。
 瞬間、彼女の言葉が僕の胸へトゲのように刺さる。
 僕はアスカが何を言おうとしたのか訊こうかどうか迷ったが、
「碇君、おはよう」

 と言った綾波の声が、そのことを霧消させた。
 僕は横の方へ振り向き、

「あ、おはよう。綾波」

 と、彼女へ微笑みを送った。
 僕の隣にアスカがいることで不機嫌な顔をしていた綾波だったが、少し表情を崩した。
 そして、綾波は再び顔を厳しくするとアスカへ向かって、

「そのバック、なに?」
「ん、家出してきたのよ。馬鹿ゲンドウとケンカしたから」
「……ケンカ?」
「そうよ。しばらく家になんて帰ってやらないんだから」
「そう。……今夜はどうするの?」

 綾波がこんなにもアスカに関心を寄せていることが意外で、僕は二人の会話を黙って
聞いていた。

「ヒカリの家にでも泊めてもらうわよ。ちょっと迷惑かけちゃうけど」
「……そう、」

 綾波は眉間を微かに寄せて暫し考えるように口をつぐんでいたが、

「なら、私のところにくればいい。ひとり暮らしだから、誰にも迷惑はかからないわ」
「「えっ!!」」
 僕とアスカは同時に驚きの声を上げた。
 中学時代の二人は犬猿の仲だったので、綾波がそんなことを言うとは
考えもしなかった。
 それはアスカも同じだったようで、

「アンタ、いいの? アタシのことが嫌いだったんじゃ」
「いい。碇君が私を好きでいてくれるから、あなたを嫌う理由は何も無いわ」
「ふふ〜ん。そういうこと」
「あ、綾波〜」

 人前でそういうことを言われることに慣れていないので、僕は頬を真っ赤に
してしまった。
 更に、綾波はもう一つ爆弾を落とした。

「それに、あなたは私の姑になるから。嫁姑の関係は良好な方がいい」
「ほほ〜。シ〜ン〜ジ、アンタ、愛されちゃってるわね」
「……」

 僕はもう黙って俯いているしかなかった。
 おそらく完熟トマトより僕の顔は赤くなっているだろうと感じながら。


 昼休み、僕は耳にヘッドフォンを付けて音楽を聴いていた。
 S&Gやニール・ヤングなど前世紀70年代の洋楽がここ最近のお気に入りだった。
 少し眠気を感じながらまどろんでいたが、僕の机をトントンと叩く小さな指が目に入った。
 僕はヘッドフォンを取り、顔を上げる。

「あ、碇君。邪魔しちゃった?」
「ううん。そんなことないよ。それで、何か用? 委員長」

 洞木さんはちょっと口籠もるようにした後、おずおずと声を出した。

「アスカから聞いたんだけど、今夜、綾波さんの部屋にアスカが泊まるって本当なの?」
「うん、本当」
「……あの二人、大丈夫なのかな」

 アスカの親友である洞木さん。と同時に、綾波にとって数少ない女性の友達でもあった。
 極端に人付き合いの悪い綾波が何とか学校生活を送れているのも彼女のおかげだ。
 でも、中学の頃、アスカと綾波に挟まれる洞木さんは相当な苦労をしていた。
 本当に彼女には感謝している。

「う〜ん、たぶん、大丈夫、かもしれない」
「碇君も自信ないのね?」
「うん、ちょっとね。でも、このことは綾波から言い出したんだ。だから、たぶん」
「そうよね。それには、わたしもちょっとびっくりしちゃった」
「あはは、僕も」
「もしあれだったら、わたしの家に泊めてもいいと思っていたけど、綾波さんに任せちゃっても
いいのかな。アスカ、家族の人と派手にケンカしたみたいで、心配だけど」
 洞木さんはアスカと父さんが一緒に住んでいることを知らない。
 アスカだったら気にせずにみんなへ言うと思っていたが、まだ秘密にしていた。
アスカが僕に気を遣ってくれているということなのだろうか。

「とにかく様子を見ようよ。案外、上手くいくかもしれないし」
「そうね。そうするしかないよね」

 と言ってから、洞木さんは小さく笑った。

「ふふっ、碇君も大変ね。ヤキモチ焼きの彼女がいると」
「えっ、あ、うん」

 僕は頬を染めてしまう。
 やっぱり他人からそういうことを言われるのには慣れていない。特に、女の子には。

「あ〜あ、わたしも早くカレシがほしいな」
「委員長なら大丈夫だよ。すぐにいい人ができるんじゃないかな」
「ホント〜?」

 そう言って、洞木さんは僕の顔をのぞき込んだ。
 不意の彼女の動きに僕はびっくりして、椅子をガタンとさせて身体を後ろにさせた。
 一瞬、床へ倒れ落ちそうになり、必死に両手で踏ん張る。
 洞木さんはそれを見て、おかしそうに笑い声を上げた。

「ふふっ、碇君って、おもしろいね」
「そ、そうかな。僕よりトウジの方がおもしろいと思うけど」
 体勢を立て直しながら僕はそう返した。
 洞木さんは窓際でケンスケとじゃれ合っているトウジを横目で見ると、少し寂し
そうな笑みを口もとに浮かべた。

「わたしもそう思う。だけど、鈴原は……、ううん、何でもない」
「……?」

 洞木さんが何を言おうとしたのか少し気になったが、自分が触れていいことでは
無いように思えて、僕は話題を変えようと口を開いた。
 朝、僕の胸に刺さった小さなトゲはまだ取れていなかったのだ。

「委員長、少し相談があるんだけど」
「なに? わたしにできることなら何でも言って」

 相談できるような女の子は、自分には綾波とアスカと洞木さんしかいない。
 より一般的な答えを得たいのなら誰に訊くかは一目瞭然であろう。
 僕はかなり恥ずかしかったが、どうしても知りたい思いに駆られた。

「あ、あのさ、女の人って、昔、好きだった人をいつまでも想っているものなのかな?」
「……アスカ?」

 洞木さんは僕を睨むように見つめた。
「いや、違うよ。一般論として、どうなのかなって。ほら、僕んち、親が離婚しているでしょ。
それで、最近、ドイツに行っていた父さんが日本に戻ってきたから、どうなのかなって」
「あ、そういうことね」

 と言って、洞木さんは表情から険しいものを消した。
 まるっきり嘘ではない言い訳だったけど、ちょっと心苦しい。本当はアスカのことだから。

「そうね。嫌いで別れたのなら、もう駄目よね。当たり前だけど」
「やっぱり。じゃあ、そうでない場合は?」
「……わたしの場合でいい?」
「うん、」
「今、好きな人がいるなら、前の人は普通の友達として見れると思う」
「……」
「好きな人がいない時、そして、昔の人と別れたくないのに別れてしまった場合や告白も
できずに終わった場合は、またその人に恋してしまうこともあるかもしれない」
「……そうなんだ?」
「わたしは、だけどね。と言っても、そんな恋をしたこと無いからよくわからないけど」

 洞木さんは恥ずかしそうに頬を染めていた。
 僕も女の子へ恋の話をしてしまったことに気づき急に照れてしまい、小さな声で、

「あ、ありがと」
「うん、」

 と返事をすると、洞木さんは小走りで自分の席に戻っていった。
 僕は熱く感じる頬に右手を当てて頬杖する。
 そして、何やらトウジとケンカを始めたアスカをぼんやりと眺め続けた。

 翌朝、教室に入ると、アスカが僕を待ちかまえていた。彼女の机の横には昨日と
同じ旅行バックが置いてある。
 アスカは僕へ腕を伸ばし、ビシッと人差し指を向けると、

「シンジ! アンタ、レイにどういう教育をしているのよ」
「ええっ、どういうこと?」
「どういうことじゃないわよ! あの女、食事に肉を食べさせてくれないわ、テレビを
見るのも駄目、音楽も駄目。ベッドには裸で一緒に寝ようとするし、なんなのよ?」
「えっ、僕にそんなことを言われても」
「カレシであるアンタの責任でしょ」
「そうなの?」
「そうよ! もっと一般常識というものをレイに教えなさい。あんなところ、居られたもん
じゃないわ。もう、今日からはヒカリの家に泊めてもらうからいいわよ」

 アスカに常識云々など言われたくもないと思ったけど、確かに綾波にはそういうと
ころがあって、時々僕も困っていたことは事実であった。

「う、うん、」

 僕は小さく肯いて返事をした。
 と、その時、綾波がそばにやって来て、

「惣流さん。あなた、ワガママ。それに、寝言もうるさい」
「なんですってー!」

 そのまま二人のケンカが終わることはなく、SHRでミサト先生が来るまで続いていた。
 しかし、以前のように険悪な感じは二人に少しも無く、子供がじゃれ合うようなものであった。
 頬を緩めながら僕はそんな二人を見ていた。


つづきは未定
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
作者さん、乙ですた。
>>344
>>345
いや、俺が言ってるのはそっちじゃなくて
こっちのアスカとゲンの字のこと。
今更、うまくいってるとこに割り込んで…とおもったからそう書いたんだが。
…なんか変につたわってるなぁ。
>「まあ、それもそうね。でも、アンタの父親でしょ。少しは責任を感じなさいよ」
>「……ごめん」

自分勝手に浮気して出てった父親失格の赤の他人に、責任って…
そして謝るなよ、怒れよシンジ。。どう考えても理不尽じゃん。。
…OTL

ひょっとしてトウジはアスカに惚れているのか?それともいいんちょの勘違いなのか。。
ここのシンジは不憫なシンジですね・゚・(ノω;`)・゚・
不憫じゃないシンジはスーパーシンジ!
>359
まぁそれは俺も思ったが。
シンジを捨てたも同然の男と婚約してたら、普通シンジには引け目を感じるよなぁ。
それが、その男の落ち度でシンジを責めるって・・・

なーんてシリアスなら言うところだが、これって今のとこコメディだと思ってるので、気にしなーい。
理不尽に謝るのも、ある種のシンジらしさだしさ。
>>363
コメディかね?
俺からは真面目な作品っぽく見えるんだが。
それだけにちょっと痛いわ。
本編ですぐに謝るのは、本気じゃなくて、とりあえずそう言えばいいみたいな逃げなんだよな
アスカのセリフがあるから勘違いしやすいけど
そもそも本編ですぐ謝るようなシーンってほとんどないんだよな
基本的にシンジって一言言われたら一言言い返すキャラ
弁当事件の時だって謝らずに弱々しいながらも反論してるし
そう?
第4使徒戦後のミサトに叱られていたじゃん。適当に人に合わせているんじゃないって
ありゃ「なんでもいーや知らねーよもう」状態だったからまた別の話かと
まあ、相手の怒り具合で対応変えてるってところだろうな。
反論しても大丈夫そうなら反論する、反論すると厄介なことになりそうだったらとりあえず謝る。
誰でも普通にやってる処世術だな。むしろできないヤツは社会生活営めないだろ。
シンジがすぐ謝るようなヤツじゃないってのは俺も同意だけど。意外と勝ち気だよね、シンちゃん。
貞のシンジは以外とよく謝る。
でも勝ち気シンちゃんより、オドオドシンちゃんの方がいいなあ
勝気すぎんのもオドオドしすぎてんのもやだな
ちょっと弱気だけどナマイキな中学生ってのがシンちゃんらしいと思う
まあ、本編の印象的な部分を使ってデフォルメし、キャラを特徴的にさせるのが
二次創作の常套手段だしね。
アニメと違って、文章のみでキャラを区別させないとならないし。
FFのアスカなんて、アスカなんて、アスカなんて
美化しすぎ
375名無しが氏んでも代わりはいるもの:05/02/23 14:54:23 ID:X6U/CLif
美化ってどのレスに言ってんだ?
たぶん、こう続いているんじゃないかな。

FFのアスカなんて、アスカなんて、アスカなんて

美化しすぎ
ああ、なるほど。
しかしありゃー美化なのか?w
>>366
アスカの台詞は四六時中一緒に暮らしてての感想だし、他の人に比べてシンジにそーいう傾向があるってのは合ってそうだけど。
直に謝ってるシーンが少なくても、あの台詞に違和感を感じないような印象は持たせてあるし。

それだけのキャラじゃないのはハゲドゥー。が、すぐ謝るって認識自体が間違いってこともないと思う。
あれと言うか、アスカが美化されてるFFも多いって話だろ。絶世の美少女だとか。
アスカに限った話でも無いが。
アニメの美少女キャラ(エヴァ内じゃ一番明確)なんだから、その程度の描写でガタガタ言うのも名ー。
と思ってしまいますが。
スレ違いか・・・
一応、本編でも凶悪なほどの美少女という設定なのかな
シンジと顔が同じという設定です
周りが騒ぎ立てるレベルの美少女ではあるな
写真が売れる、
同級生の姉という無理目なつてを頼ってでもデートに持ち込もうとする男がいる
猫も杓子もアスカ、アスカか・・・
>>378
「簡単に謝んないでよ、前みたいにもっと突っかかってきてよ、あたしの相手をしてよ!」って
意味だと初見のときから信じて疑ってなかった俺は紛う方なきLAS厨
>>386
だったら、浮気して出てっただめ親父に引っ付いて日本に来るなんて
面倒事以外のなにもんでもないこと持ち込んでくるなよ。
もまえは、『渡る世間は鬼ばかり』娘連中か!

…といってみるテスト。
普通にくりゃいいのに。変なオプションつきでくんな。
つか、親父とくっついた時点でドイツからでてくんな。
物語にかかわるな。
そんな漏れはシンジ擁護派。
レイも最初は下駄箱にラブレターとか貰ってたんだろうか、
それとも顔は普通という設定なんだろうか
包帯まみれで、顔立ちが分からなかったのだ。
欠席も多いし危ない奴では?と引かれてしまい、美少女だと分かった頃には近づき難くなっていたのだ。
>>356
 父さんとケンカして家を出たアスカは5日間ほど洞木さんのところに泊まり、
その後、自宅へ帰っていった。その間、アスカや父さんと関わるようなことは
無かったけど、彼女を心配する気持ちが僕にはあった。

 土曜の夜、クラスの担任であるミサト先生と加持さんが僕の家に来て、夕食
を共にした。
 加持さんは母さんの同僚で、リツコさんのように僕は小さい頃によく遊んで
もらっていた。また、加持さんとミサトさんは恋人同士で、同様に彼女とも十分
すぎるほど顔見知りだった。壱高に入った時、やっぱりというか仕組まれたと
いうか、ミサトさんが担任となってしまった。案の定、僕はミサトさんに学校で
からかわれ続けている。
 ちなみにアスカのママと僕の母さんも同僚で、僕の知り合いはみんな狭い
フィールドの中にいる。だから、父さんのしていることはもうメチャクチャ。上は
40代後半のナオコさんから下は15歳のアスカまで老若男女、見境無し。まだ
男の浮気相手がいないだけマシかもしれないが、この人と自分の血が繋がっ
ているかと思うと絶望したくなってくる。
 まあ、それは置いといて、ミサトさんたちとの夕食は宴会と化していた。ミサト
さんは大のお酒好きで、ビールならいくらでも飲んでしまう。母さんも意外に酒が
飲める方で、僕は甘めの白ワインをグラスでちびちびと口にしながら、ご飯を食
べていた。
 母さんの作ってくれた料理を無くなっても酒盛りは続く。ミサトさんはどんどん
ハイテンションになっていき、母さんと何やら妖しい話に華を咲かせていた。
 僕は身の危険を感じ、ダイニングから避難してリビングに行き、テレビを見始めた。
 それから暫くして、加持さんが缶ビールとブルーチーズを持って僕のところに来た。

「女の人同士の会話はどうもきつくて困る。……シンジ君もどうだい?」

 と言って、加持さんは缶ビールを見せる。
 僕は苦笑いをしながら、
「未成年ですよ。僕は」
「俺が君くらい頃は、隠れて飲んでいたもんだがな」
「でも、僕はあまりお酒が好きじゃないですから。ワインやシャンパンなら
少しは飲めるんですけど。ビールなんて苦いだけじゃないですか」
「まあ、シンジ君の歳ならそうかもしれないな。だがな、そのうちにビールが
美味しく思うようになる。その時が、大人になったということさ」
「ホントですか〜?」
「はは、まあ、他にもいろいろと大人になる方法もあるけどな」

 加持さんは缶のプルタブを開け、ゴクゴクとビールを飲んだ。
 そして、ブルーチーズを少しかじる。
 チーズ独特の強烈な匂いが漂い、僕はちょっと顔をしかめた。

「加持さん、よくブルーチーズなんて食べれますね?」
「まあ、大人だからな」
「大人ですか」
「ところで、シンジ君は大人になったかい?」
「はい?」

 加持さんは顔をにやけさせ、

「レイちゃんとのことさ。もうアレはしているんだろ?」
「ぶっ!! な、な、何を言うんですか」

 ちょうど食べていたスイカを僕は口から吐き出してしまった。
「どうなんだい? シンジ君」
「そ、そんなこと言えません」
「どうやら、その様子ではまだのようだ。奥手のシンジ君らしいな」

 加持さんはまた笑ってから、ビールを口に含んだ。

「いいじゃないですか。別に、」
「でも、キスくらいはしているんだろ? ここは男同士だ。秘密は守る」

 しばし、僕は言うかどうか迷ったが、小さな声で

「最近、初めてしました」
「そうか。そりゃあ、めでたい。シンジ君、おめでとう」
「……は、はあ」
「けど、レイちゃんと出会って2年以上だろ。ずいぶんノンビリしていたんだな」
「綾波と付き合うようになったのは中3の時ですから」

 進路を決めなくてはならない中3の冬。綾波と別々の高校になるかもしれないと
思った僕は、思い切って告白した。結果、今の関係に至るようになったのだ。

「それでもずいぶんと遅いと思うぞ」
「そうなんですか?」
「ああ、俺と葛城なんて大学で知り合って数日後、もうやることやっていたからな」
「えっ!」
「あの時は、一週間ぐらいずっと二人きりで部屋の中にいたなあ」
「そんなに……」
「まあ、運命的な出会いというやつかもしれんな。それから、アイツとの腐れ縁が
こうして続いているわけだ」
「加持さんたちはもう10年くらいになりますよね。どうして結婚しないんですか?」
 僅かに愁いを含むような目で加持さんは、

「まあ、いろいろとあるのさ。俺とアイツには」

 と呟き、缶に残ったビールを飲み干した。
 僕は黙っていたが、加持さんは再び口もとに笑みを戻し、

「ところで、シンジ君も大変だな」
「……?」
「司令とアスカのこと、頭が痛いだろ?」
「あっ、」
「仕事柄、俺のところにいろいろと話が伝わってきてな。まあ、なんだ、頑張れ」
「はあ、」

 僕は疲れたような返事をするのが精一杯だった。

「しかし、シンジ君も複雑だろ。父親と幼なじみが再婚するなんて」
「まあ、」
「俺がシンジ君だったら、やっぱり戸惑うしかないだろうな。例えば、俺の弟と葛城が
結婚するようになったら、どう対応していいか…」
「……」
「いやはや、まいったな。シンジ君、とにかく頑張れ」
「はあ〜」

 加持さんに励まされても僕の気が晴れることはやっぱりなかった。

 翌日の日曜、オーケストラ部の練習で僕は学校に向かっていた。
 午後2時に集合だったが、CDショップに寄って行きたかったので早めに家を出た。
 目的のCDを買い終わり、僕は学校へと急ぐ。
 だが、途中、スーツケースを引きずりながら歩く向日葵色のワンピースを着た少女の
後ろ背が視界に入った。見たことのあるカバンに亜麻色の髪。
 僕は無視することが出来ず、彼女へ駆け寄った。
 彼女まで後3メートルほどのところで声を掛ける。

「アスカ、」

 彼女は足を止め、僕の方へ振り向いた。

「あ、シンジ」

 すぐ目の前まで来たとき、僕は弾んだ息を整えることも忘れ、彼女の顔を見入ってしまった。
 アスカの眼は泣き腫らしたように赤くなっていたのである。

「アタシ、もう駄目みたい」

 と涙に濡れた声でアスカは小さく言った。

「家、出てきたんだ」
「……また父さんとケンカしたの?」

 アスカは僅かに頭を縦に振り、

「ドイツにいた頃は上手くいっていたのよ。ユイさんやリツコのことは忘れて、アタシだけを
愛してくれていると思った」
「……」
「でも、違った。あのヒト、まだユイさんを愛しているのよ」
「……アスカ、」
 僕はただ立ち尽くし、彼女の名前を小さく呟くしかなかった。

「アタシさ、小さい頃に両親が離婚してずっとパパがいなかったでしょ」
「うん、」
「ママも研究だけを見ていて、アタシをかまってくれることなんてなかった。
ヒトに愛された記憶がほとんど無いのよ。だから、アタシだけを愛してくれ
る人がずっとほしかった」
「……」
「でも、駄目ね。結局、誰もアタシを見てくれない」
「……」

 僕には彼女を慰める言葉は無く、代わりに、

「また委員長のところに行くの?」
「ううん。ヒカリには迷惑かけたばっかりだからちょっとね」
「じゃあ、どうするの?」
「他にも泊めてくれる友達はいるわよ」
「そう、」

 アスカは哀しそうな笑みを口もとに浮かべて、

「じゃあ、シンジ。またね」

 と言って、立ち去ろうと足を踏み出した。
 だが、僕は咄嗟に彼女の手首を掴み、強く抱き締めた。
 アスカは抵抗もせず、ただ身体を真っ直ぐにさせるだけ。
 2年前は同じくらいだった身長はいつしか僕の方が頭一つほど高くなり、強く
逞しく感じていた彼女の身体は折れそうなほど細かった。
 僕は彼女の耳元に口を寄せ、
「父さんとは別れた方がいい。そして、僕の家にくればいいよ。母さんは
僕が説得するから」
「……」
「アスカは父さんなんかと一緒にいちゃ駄目なんだ」
「シンジ、」

 と、アスカは小さな声を出した。
 そして、彼女の右手からスーツケースが離れ、大きな音を立てて地面に落ちた。

「アタシのことはほっといてよ。シンジには関係無いんだから」
「ほっとけないよ!」

 そう大声で言い返し、僕はアスカの顔を真正面に見た。

「アスカが心配なんだ。アスカはもっと幸せにならなくちゃならないんだ」
「……」
「だから、僕がアスカを守るよ」
「……レイはどうするの?」
「あ、綾波は……」
 僕は暫し口を閉ざした後、

「よくわからない。でも、今はアスカが一番心配なんだ」
「レイが好きなんでしょ?」
「……」

 綾波は好きだけど、今それをアスカに告げることは出来なかった。

「シンジはアタシが好きなの?」
「……そうかもしれない」
「でも、レイも好きなんだ?」
「……」

 再び僕は沈黙する。
 と、突然、アスカは僕を両手で突き飛ばし、

「シンジ! アンタ、ゲンドウと同じじゃない。アタシはそんなの絶対にイヤ!」

 と叫びんだ。
 そして、スーツケースを拾うと、アスカは駆け出していった。
 僕は彼女の言葉を頭の中でリフレインさせながら、そこに立ち続けた。

 その後、オケの練習は全く身に入らず、僕は何度も先輩に注意された。
 また、同じく練習に出ていた綾波の顔を見ることも、会話をすることも出来なかった。
 僕はあの父さんと同じことをアスカにしようとしていたのだろうか。
 それだけをずっと考えていた。
 練習が終わった後、みんなと繁華街まで出て、ご飯を食べた。
 それから、いつもは綾波を部屋まで送っていくのだが、体調が悪いからと言って別れ
た。別れ際に、彼女が僕をとても心配していたことが心苦しくて、泣きそうになった。

 雲一つ無い夜空の下、ひとり繁華街の中を僕は歩く。
 鮮やかなネオンに照らされる幸せそうなカップルがいくつも目に入った。

「ふーっ」

 と、僕は重い息を吐く。
 僕はアスカを傷つけてしまった。そして、綾波を裏切ろうとした。
 結局、僕は父さんの子供なのだろう。
 自分のバカさ加減がつくづく嫌になる。

「ホント、どうしようもないな。僕は」

 と独り言を吐いた。
 そして、僕は俯き、地面を見るようにして歩いた。
 すぐにでも一人になりたくて、できるだけ視界には何も入れたくない。
 しかし、そんなふうに歩くと、人とぶつかるのも当然で、

「あ、すみません」
「……シンジ」
「えっ!」

 顔を上げると、そこにはアスカと彼女の肩を抱いている加持さんがいた。
 二人とも僕を驚いた眼で見ている。

「どうして、加持さんとアスカが?」
「あ、ああ、アスカをホテルにな……」

 その言葉で、僕はそばにある建物を見上げた。
 シティーホテルの入り口前だった。
 これから二人はホテルに入って……、それとも出てきた後なのだろうか。

「あはははは、はは、は、」

 もはや僕は笑い続けるしかなかった。



つづく?
キタワァ
複雑やねぇ(;´Д`)
燃える展開ですな
LRS人な俺としてはちと心苦しいが、おもしろいっす
こんな加持はいやだなあ・・・
加持とアスカはお約束的展開で、シンジが勘違いしているだけじゃないかな
LAS人にもLRS人にも心苦しい展開ですが、SS創作スレなのでたぶん大丈夫
続きキボンヌ
そうであって欲しいと切に願う。
いやむしろドロドロ展開を希望
それにしても最近アスカの肉体的価値が薄まるSSが目に留まるな
>>389
乙!!続きが楽しみな展開になってましたね?
>>406
逆に言うと処女至上主義な作品は過去に書かれまくってるからね。
その場面の模写さえなければ俺は一向に構わん。もちろん最後にLASになることが前提だが。
LAS厨は巣に(・∀・)カエレ!
あほか、シンジ。
ほっときゃいいのに、自分からどつぼにはまるな。
つか、どういう展開…
アンチLASも帰れ
みんな、そうカリカリしないで。
どうせ昼ドラ風味のラブコメなんだし。
マターリ
>>411
アンチLASでわなく、LAS人だが。
最近のFFの地雷女と化したアスカと無理にくっつかんでいいよ派です。
作者さんもまためんど臭いオプションをシンジにつけるなぁ…
どうしても、こういう展開が最近のはやりなんだろか。orz

何はともあれ、執筆乙ですた。
おもしろければよし!
この話はおもろい、それでよか
>>414
俺は別に地雷女だろうがなんだろうが別に気にしないよ。
むしろ、この展開でごく普通にLRSで終わらせちゃう方がシチュを生かしきれてなくて勿体ない。
この展開でLASになる方がありふれててつまんないよ。
LRSならフラフラしちゃったけどやっぱり一番はレイだよ見たいな感じで、
ゲンドウもユイを一番愛してる…もう浮気はしないで一件落着か?
フラフラしていいのは女だけっていう展開でなければ気にしない
男だってフラフラするのさ
LRSじゃ真っ当過ぎてつまんね
もっとドロドロした展開をキボンヌ
>>421
そこでミサト×加持の全面戦争勃発ですよw
>>421
お、同志がいた。
ドロドロ最高!!
極限までドロドロした後にLASキボンヌ
極限までドロドロしたら最後はミサシンだろ
LAS厨は巣に(・∀・)カエレ!
いや、別にLASがいいわけじゃないんだけどね
LRSだとスッキリ収まっちゃうからやだってだけで
あっちもこっちも手を出し出されでハァハァハァ…
>>426>>423
加持も頑張れって言ってくれてるんだからかまわず周りの女とヤリまくればいいのに。
加持がアスカに手ぇ出したんならシンジはミサトに行けば良いのよ。
そしてLMSでマジ恋になる展開を期待。
ナンかレイばっか割食うよなー
正直アスカだとこんな感じの一途な女を当て嵌められないからだろうけど
それにしてもこの頃のレイはかわいそうだ
シンジがものすごく誠実になる展開を希望したいね
カップリングに拘らないはずだけど、最近のLASへの反動が今私の中にある
個人的にはレイの方が男受け容れるのに抵抗なさそうなイメージなんだよな。
「みんなで幸せになろうよ」を標榜する漏れはLARS派(笑)
レイにシンジの件が伝わる→ゲンの字がレイに『ユイ…』→セクース
→シンジ妖精化&お預けくらった犬状態

…もっと変わった展開キボンヌ!
↑最近のFF展開こればっかっす(TT)
>>433
ゲンレイはやめてくれぇ
ゲンドウはもっといい男だと思うんだけどね
なんだかんだで一途だし。
まぁ、赤木親子はかわいそうだったけど。リツコには同情できても
ナオコは同情できないんで…
まあ、煩悩即菩提って言葉もあるしな
ゲンドウはゲンドウで彼にしか辿り着けない境地に至ってはいたのだと思う
カヲル君登場キボン
>>436
本編だよね?
ナオコもすごくかわいそうだと思うけどなあ。
嫉妬した幼児に男が悪口言っていたと言われたくらいで
その子供を殺す人間に対して
憐憫の情は殆ど沸いてはこないのです。せめて男に怒ろうよって思うだけで。
しかし、こういうことは個人差ですから仕様がないですね。
リツコだって似たようなもんだと思うが。
自分の妻を取り返すためには全人類巻き添えに滅ぼしてもイイ!! なんてーのを境地などと呼ばんよ
そーゆーのは狂気というのだ
>436
一途ってなあ……そのために自分の息子を捨て駒にするようなのを一途の一言で済ますなよ?
悪人には甘く善人には辛いのが世の常。。
つーか、ゲンドウってそこまで突き抜けてるわけでもないんだよな。
結局シンジにも未練を残してるし、リツコのこともあの男なりに愛してたわけだし。
>>445
そうなの?
シンジに未練がってのは結局ユイとの子供であったからで、
リツコを愛したってのは方便だと思っていたが。
とりあえず浮気モンは戸板にくくりつけて川に流すってことでFA。
…男女の別なく。
浮気くらい普通にしてるよ
>>446
ユイとの子供ってだけならシンジと向き合うことに怖がることも最後に謝ることもないでしょ。
シンジと一緒だよ。好きだから傷つけたくない、傷つけられたくない、だったら何もしないほうがいいという。
リツコにも「君には失望した」と言っているが、あれもストレートに言葉の通りの意味でしょ。
リツコだけは自分の味方だと信じてたのに裏切られたから失望した、と。
当然ながらリツコにはまったく通じてなかったがw
>>445
シンジに未練つっても、勝手に自己完結して終わってるし駄目じゃん。
十分突き抜けてるよ。
そっかあ?
結局この世にユイ以外の心残りを作ってる時点で突き抜けてないと思うぞ。
駄目なヤツなのは否定しないけど。
>>448
一緒にすんねい!
まっとうに生きてるヤツは生きてます。
最近は寝取られがブームなんですか?
妖精シンジがブームですw
二枚舌外道シンジも名
大体は外道未遂だがなw
>>398
 夜、ホテルの前でアスカと加持さんに会ってしまった僕は軽い錯乱状態に陥ってしまった。
 でも、加持さんの話をちゃんと聞いた後、僕は恥ずかしくて穴に入りたくなった。
 全ては僕の豊かな妄想力が生んだ誤解だったのだ。
 真相は、行くところがなく途方に暮れていたアスカを見つけた加持さんが、自分の部屋に
泊めるわけにもいかず、それでホテルへ送ったというだけであった。
 ホテルの部屋を取った後、一階のロビーで僕と加持さんはアスカと別れることになったが、
彼女を傷つけたことに対して何か言わなければならないと思い、

「昼に会った時のことなんだけど、僕は……」
「アタシは昼にシンジと会ってなんていないわ。今が初めてよ。だから、アンタとアタシの間には
何も無かったし、アンタとレイもこれまで通り何も変わらない」
「……」
「わかった?」

 と言って、アスカは僕に微笑んだ。

「でも、……」
「デモもカシコもないわよ。とにかくそういうこと。あんだーすたん?」

 僕は暫し黙って彼女を見ていたが、深く頭を下げて、

「ごめん。……ありがとう」

 と言った。
 アスカはそれを見て笑みを深めた後、加持さんにペコリと頭を小さく下げ、

「加持さん、今日はありがとうございました」
「これくらい何でもないさ。また何かあったら俺に遠慮無く言ってくれ」
「はい、そうさせてもらいます。……じゃあ、シンジ。また明日、学校でね」

 彼女は手をひらひらと振りながら、エレベーターの中へと消えていった。

 それから数日後、アスカは引っ越しをした。
 綾波の住むアパートに。
 以前、綾波のところに泊まった時、一階に空き部屋があったのをアスカは覚えて
いたらしい。ちなみに、綾波の部屋は5階の一番奥である。
 高校生が一人暮らしできる物件なんて少ないからというのもあるのだろうけど、
よりにもよって綾波と同じアパートに引っ越さなくてもと、僕は思った。
 アスカが何を考えているのか正直わからない。
 でも、僕が彼女にしてやれることは何も無いし、そもそも自分は不器用な人間だ。
 ならば、今、僕が一番好きな人を大切にしよう。
 そう僕は思った。

 9月も半ばになり、陽が落ちるのも早くなった夕暮れ時、僕は綾波と一緒に歩いていた。
 クラブ活動が終わった後、いつものように彼女と帰路を共にする。
 僕たちの間に会話は少ないけど、そばにいれば心が通い合うような感覚に包まれる。
 やっぱり僕は綾波が好きなんだと改めて実感していた。
 しばらくして、いつもの分かれ道にさしかかった。
 普段なら僕と綾波はここで立ち止まることなく別れるのだけど、

「綾波。今日、時間ある?」
「大丈夫よ。でも、なぜ?」
「あのさ、今夜、ウチでご飯を食べていかない? 綾波の好きなものをごちそうするからさ」
「……いいの?」
「うん。……僕たちがちゃんと付き合うようになってから、綾波はまだ僕の家に来たこと
無いでしょ。そのさ、綾波のこと、母さんにきちんと紹介したいんだ」
「碇君、」

 綾波は夕陽に照らされた頬を更に赤く染めると、指を絡めるように僕の手を握った。
 そして、僕たちはまた歩き出した。
 夕食の献立を綾波と相談しながらスーパーへと向かっていた。

 日曜日、父さんと会う約束の日。
 はっきり言って父さんの顔は見たくなく、すっぽかそうとも考えたけど、これは決まり事
だったし、文句の一つも言いたかったので、僕は時間通りに例の喫茶店へ行った。
 昼下がりの店内は客も少なく、ゆったりと流れるピアノ曲が空間を埋めている。
 僕と父さんが奥の席に向かい合って座ること十数分。一言も会話は無かった。
 父さんはお決まりの口もとで両手を組むポーズをとり続け、僕はアイスコーヒーを
飲むか、窓の外に見える人の流れを眺めていた。
 不意に、父さんが声を出した。

「シンジ、」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「なんだよ」

 沈黙を守り続ける我慢比べは僕の負けだった。

「アスカ君は元気か?」
「なっ、アスカを迎えにも行ってないの?」
「会ってくれんのでな」
「……当然だよ」

 僕はふっと溜め息をついてから、静かに口を開いた。
「父さんはこれからアスカとどうしたいの? よりを戻したいの?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「黙ってないで、答えてよ」
「……」
「……」
「……」
「……」
「全ては心の中だ。今は、それでいい」
「いいわけないじゃないか! なんだよ、それ。わけわかんないよ」

 と大声を上げ、思わず僕は椅子から立ち上がった。
 周囲の目が僕に集まったが、頭に血が上った僕は恥ずかしさを忘れていた。
 乱暴に腰を下ろし、

「アスカの友達として言うけど」
「……」
「父さん、アスカとは別れてほしい。父さんにアスカは幸せにできないよ」
「……」
「聞いているの?」
「シンジ、オマエごときに指図される覚えはない」

 表情一つ変えずに父さんは答えた。
「僕だって、こんなこと言いたくないんだ。でも、あんなアスカは見てられない」
「……」
「……」
「オマエがアスカ君を幸せにすると言うのか?」

 暫し、僕は口を閉ざした後、

「僕には出来ない。綾波がいるから」
「なら、口出しは無用だ。これは私とアスカ君の問題なのだ」
「だけど、アスカは父さんと一緒にならない方がいい」
「……」
「……」
「シンジ、言いたいことはそれだけか?」

 僕はサングラスに隠れた父さんの目を睨みながら、

「他にもたくさんあったけど、もういいよ。頭の中から吹き飛んじゃったし」
「そうか。ならば、帰れ。オマエと会うことも、もうあるまい」
「僕だって、父さんなんかに会いたくないよ」

 僕の中で何かが終わったような音が聞こえた。
 一つの絆が今、明らかに切れた。
 だが、

「シンジ、次は3週間後の土曜だ。時間に遅れることは許さんぞ」
「なっ、たった今、父さんから会わないって言い出したんじゃないか」
「全ては心の中だ。今は、それでいい」
「また、それだ。もう、いい加減してよ」

 疲れがどっと僕の全身に押し寄せた。

「もう、いいよ。疲れた。じゃあ、僕は帰るから」
「うむ」

 僕は立ち上がり2歩ほど脚を進めたが、このまま帰るのも悔しく、
父さんへ振り返った。

「あ、父さん。わかっていると思うけど、母さんに父さんとヨリを戻す気は
これっぽちも無いよ。期待しても無駄だから」

 その瞬間、テーブルについていた父さんの肘が滑り、髭もじゃの顎を
ぶつけたのが見えた。
 僕は少しだけ胸がスッキリするのを感じた。


 瞬く間に一週間が過ぎ、今日は土曜日。
 僕は市立音楽堂に来ていた。オーケストラ部の合同演奏会のためである。まあ、
もっとも僕が演奏することはなく、先輩たちのお手伝いで雑用係をしているんだけど。
 ちなみに、ここ第3新東京市にはトップを争う進学校が2つある。僕の通う公立の
壱高と私立の新東京学園だ。この街は研究都市として発展し、次期遷都が決まって
いるので急激に人口が増えており、またアカデミックに溢れた空気が流れている。
そのため壱高と学園は第2東京大学への入学者数がトップにあった。
 それで、今回の合同演奏会の相手は学園のオーケストラ部であった。
 この演奏会にはプロの人も多く聴きに来ていて、聴衆が会場の全ての席を埋めていた。
 数時間が過ぎ、演奏は大成功のうちに終わった。そして、後片づけをした後、大きな
ミーティングルームの中で打ち上げが行われた。
 数人の教官の他はほとんどが高校生なのでアルコールの類は無いが、大いに
盛り上がった。
 少し時間が経った後、ちょっと疲れを感じた僕は壁に背中を寄り掛けながらコーラを
飲んでいたが、

「やあ、シンジ君。元気だったかい?」

 と声を掛けられた。
 渚カヲル君。中学校の頃、同じクラスだった僕の友達だった。
 親友と呼べるほど仲がよかったけど、カヲル君は学園の方に進学してしまい、今は
疎遠になってしまった。でも、カヲル君も同じオーケストラ部で今回のように会うことが
何回かはある。また、カヲル君はバイオリン奏者で、その腕前はもの凄く、しばしば海外
からも演奏に招かれていた。

「う〜ん、どうかな。元気と言えば元気だったかな」
「ふふっ、シンジ君は相変わらず表情に気持ちが表れるね」
「そうかな?」
「そうさ。ボクはキミのそういうところが好きだよ」
「あ、ありがとう。でも、ちょっと照れるなあ」
 カヲル君はとてもきれいな笑みを浮かべると、

「ボクはシンジ君が一番好きさ。それは昔も今も、未来永劫に変わらないよ」
「ちょ、ちょっと冗談が過ぎるよ」
「ふふっ、ボクは大いに本気さ」
「そんなこと言わない方が……。ほら、カヲル君のファンの人がたくさんいるんだから」
「気にすることはないさ。ボクにはシンジ君だけがいればいいんだよ」
「は、は、は、」

 僕は乾いた笑いを返すしかなかった。

「ところで、シンジ君。今日はどうして演奏メンバーに入っていなかったんだい?」
「僕のレベルではまだまだ。もっと上手くならないと」
「ふーむ、ボクにはシンジ君のチェロが一番美しく思えるんだけどね」
「ありがとう。カヲル君にそう言ってもらえてうれしいよ」
「そうだ。今度、ボクと欧州に行かないかい。そこでなら、キミの実力を発揮できるよ」
「えっ、い、いいよ。僕はまだ実力不足だから。こんなんで行ったら、笑われちゃうし」
「そうかな。シンジ君はもっと自信を持った方がいい」
「……」
「とにかく、ボクは諦めないよ」
「はは、は、は、」

 やっぱり僕は小さく笑うしかなかった。

「まあ、それはそれとして、シンジ君はまだ綾波さんと付き合っているのかい?」
「まだって……、」

 僕はふっと息を吐く。
 カヲル君のこういうところは変わらない。
 そして、カヲル君と綾波の仲はとても悪く、僕はいつも気を減らしてしまっていた。
「どうだい? そろそろ綾波さんとは別れて、ボクと一時的接触を
する間柄になろう」

 と言って、カヲル君は僕の腕を取り、それを自身の胸に押しつけた。
 アスカに負けずとも劣らない豊かな胸の弾力が腕から伝わってくる。
 そして、カヲル君は更に僕へ密着してきた。
 ほとんど抱きついているのと変わらない。
 僕は逃げようとしたけど、どうしても頬の緩みは押さえられなかった。
 と、突然、カヲル君の身体が僕から離れた。
 それは、綾波がカヲル君を背後から強引に引き離したからだった。

「渚さん。あなたが碇君に触れるのは許さない。碇君に触れていいのは私だけ。
私に触れていいのも碇君だけ。それを何度言えば理解してくれるの?」
「ボクは誰にも縛られない。気持ちの赴くまま、自由にシンジ君と触れ合うのさ」
「そんなこと絶対にさせない。それに、あなた、ボクと言うのは止めなさい。
気持ち悪いわ」
「それこそ、ボクの自由さ」
 そう、カヲル君は女性なのに自分を『ボク』と言う、ボクッ娘だった。また、
僕が渚さんと呼ぶのを強引に止めさせ、『カヲル君』と言わせていた。
 さらに、いつも僕にベタベタとくっついてくるし。……ちょっとはうれしいけど。
なんたって、並のアイドルでは太刀打ちできないような超美人な女の子な
のだ。かなり言動が変なのは目をつぶるとして。

「碇君も迷惑しているわ。あなた、邪魔」

 綾波は常人だったらそれだけで気絶するような鋭い目線をカヲル君に向けた。

「そうなのかい? シンジ君」
「えっ、あ、いや、その…」
「碇君、本当のことを言っていいのよ」
「シンジ君、素直な気持ちを綾波さんに伝えた方がいい。迷惑じゃないってね」

 と言い、カヲル君は流し目を僕に送る。

「えーと、綾波もカヲル君も仲良くしようよ。いつもケンカばかりしないでさ」
「碇君、」

 カヲル君は妖艶な笑みを浮かべると、

「ふふっ、そうだね。もっとボクたちは親密になるべきだよ」

 と言って、一瞬にして僕との距離を詰めた。
 そして、僕のくちびるにカヲル君は自身のそれを重ねた。
 時間にすれば数秒間だが、僕のくちびるをカヲル君が舌で舐めるのがわかった。

「ふふっ、ボクたちのファーストキスだね」

 カヲル君の笑みは妖艶さをいっそう深めた。
 一瞬、僕はキスされたことでボーっとしていたが、すぐに綾波へ顔を向け、

「あ、綾波。これは違うんだ。これは事故というか、されちゃったというか、
とにかく、とにかく違うから」

 と必死に言い訳をしたけど、綾波は顔を俯かせ、肩をぷるぷると震わせる
だけだった。

「あ、あやなみ」

 もう一度、僕は彼女に声を掛ける
 そして、綾波の肩に手を触れようとした時、さっと彼女の右手が高く上がった。
 刹那、パチーンといい音を鳴らして、綾波の手が僕の頬が打った。

「碇君なんて、ダイキライ」

 と大きな声で綾波は言うと、走って僕から遠ざかっていった。
 怒りに燃えている彼女の顔を初めて見た僕は、追い掛けることも出来ずに
呆然としていた。



つづく、??
さぁ、盛り上がってまいりました
真のヒロインキターw
外道2世コースへ前進だねー
ホテルのくだりは多分いらんかったやろ
ゲンドウに萌えますたw
作者さん、乙ですた。

ゲンドウとの対決はシンジGJ!
あそこまで言ってくれるとは思わんかったんで溜飲がだいぶ下がった。
が、浮気はいかんよ?

普段はLASが好きだけど今回は綾波を応援したいなぁ。。このままなら。
カヲルが女である必要はあるのか?もしやセクースの伏線なのか?((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
面白い!これからどうなるのか予想できない所が。
是非つづいて欲しい!
>>474
単純に、801が嫌だからでは
これだけ綾波に愛されながらアスカだのカヲル子だのにうつつを抜かし気味の
シンジが本気でむかついてくる。
レイ一筋のシンジなんてこのスレでやる意味ないし、つまらんから今の路線でいいよ。
女カヲルこそ最強。作者さんGood Job !!!
>>477
そういうのは、作者さんにいってくれろ。
シンジにゃー罪はにゃい…とおもふ。

ぶっちゃけアスカやらゲンの字が最低ぎりぎりライン突っ走ってるから
つりあい取らしてるだけのような希ガス<シンジふらふら
シンジと仲の良いカヲルが出てきた瞬間に、LRK or LAKの予感がした
カヲル女かYOヒャァハ
これ収拾つくんかw
女カヲル嫌い
レイ大嫌い
青葉ゼルエルの話、ぶっちゃけ綾波育成系だよな
しまった。誤爆した。
487名無しが氏んでも代わりはいるもの:05/02/24 21:25:51 ID:LQlev787
LRSLAK大嫌い
LASLRK大嫌いな人間もいるよ
やはりLK(女カヲル)Sがイイ。
この話は基本的にシンジ・アスカ・レイの三角関係ラブコメだと思うよ
八角関係ぐらいいってますが
少なくともこの作品のゲンドウは
今まで俺が読んできた小説の中でも(汁系統やイタモノは除く)かなり外道な方だな。
子供、しかも息子の幼馴染みに手を出すってのは・・・
アスカ氏ねよ
>>492
でもなんかカワイイから不快には感じないよ、このゲンドウ
「しょーがねーなあこのダメ親父」って苦笑いする感じ
これがギャグで終わればね…
「親父がライバル」の息子視点版とでも考えれば良いから。あっちのシンジ方
が鬼畜かもしれないし
これがもしシリアス方面になったら、とてもじゃないが許せないだろうな
アスカは処女だと信じている
ありえない
ちゃんとゴム使ってるからいいじゃん♪

初膣出しは俺が頂く
アスカのおまんこイラネ
>>498
残念、あのゴムには俺が穴を開けておいた
っていうか、もうコンドーム要らないわよ。ゲンちゃんのかわいい子供
が居るのよ!
おめでとうアスカ。ゲンちゃんと幸せになれよーw
そうか、じゃー親父連れて独逸にカエレ!
おまいと親父が消えれば、へいわになるY。
家庭崩壊を助長スンナ!
すごい良スレに進化してるな
職人乙
>>467
 綾波と初めてのケンカをした翌日、僕は激しく憂鬱な気分で学校に行った。
 ケンカと言っても僕が一方的に嫌われただけなのがなおさら痛い。
 トボトボと学校の廊下を歩き、教室の後ろにあるドアを開けた。SHRが始まるまで
時間はまだまだあり、クラスメイトは半分くらいしか来てなかった。今の僕にとって
少しうるさく感じる教室の雰囲気の中、窓際の席に座る綾波の姿が視界に入る。
 逃げちゃ駄目だ、と心の中で何回も唱えてから、僕は彼女のところへ行った。

「綾波、おはよう」

 と、僕は朝の挨拶をする。
 しかし、彼女は読みかけの文庫本をパタッと閉じて、机の中に入れると、席を立ち
上がり、僕を一瞥することもなく廊下へ出てしまった。
 ガクッと肩を落として右手を机の上についた僕へトウジが声を掛けてきた。

「なんや、シンジ。綾波とケンカでもしたんか?」
「おはよう。トウジ」
「ああ、おはようさん」

 僕はカバンを置くために自分の席へトウジと共に行く。
 同時に綾波とのことから話題を変えるべく、

「あれ、ケンスケはまだ来ていないの?」
「新横須賀。今日も戦艦の追っかけや。明光とか言うんが入港しとるんやと。まあ、
ワイにはさっぱり理解できん趣味やな。あんなん見て何がおもろいんやろ」
「ホント、そうだね。僕も全然わからないよ」
「で、シンジ。綾波とのケンカは何が原因や?」
「うっ、」
 会話を逸らすことは無理だったようで、

「……ちょっと、ね」
「ちょっとやない。綾波のやつがシンジにあんな冷たい態度を取るんは初めてやろ。
はよー、謝った方がいいと思うで」
「う、うん。そうなんだけど。綾波が聞いてくれないんだ」
「つーことは、シンジが悪いんやな?」
「うっ、」

 今日のトウジは鋭い。今ならツッコミ5段を取得できるくらいだ。
 いつもはアスカたちからニブイと言われているのに、どうして?

「そうなんだけど、昨日から綾波に電話しても切られちゃうし、メールも返信して
くれないんだ。トウジ、どうしたらいいと思う?」
「ワイに訊かれてもなあ。まずはケンカの原因がわからんと、何も言えんわ」
「う〜ん、」

 昨日の出来事は恥ずかしいし情けないし、出来ることなら誰にも言いたくない。

「シンジ、ワイに言うてみ。相談に乗ってやるから」
「でも……」
「シンジみたいに恋愛経験豊富やないけど、一緒に考えてやることくらい出来るで」

 本気で心配してくれているようなトウジの表情に、僕は胸が暖かくなるのを感じた。

「あのさ、昨日、オケの合同演奏会があったんだ。その時に、カヲル君に会ってさ」
「カヲルって、渚かいな? 中学ん時、同じクラスやった?」
「うん、」
「そりゃあ、あかん。あかんで、シンジ。綾波と渚はごっつう仲が悪かったやろ。
それに、渚のヤツ、えろうシンジにご執心やったからなあ」
「あ、ははは、は、」
 僕は乾いた笑いをするしかなかった。
 トウジは昔を思い出すような目で、

「綾波と渚はあれやな。大阪のお好み焼きと広島風お好み焼きや」
「へっ?」
「似ているようで全く違うっちゅーことや」
「トウジ、僕には君の言っていることがよくわからないよ」
「なに!? わからへんのか? ワイが詳しゅう説明したる。いいか、耳かっぽじいて
聞けよ、シンジ。大阪のお好み焼きっちゅーのはな」
「トウジ、お好み焼きは後でいいから」

 なにやらトウジの話がとてつもなく長くなりそうで、僕は口を挟んだ。

「あー、そやな。今はシンジが綾波とどうやって仲直りするかが重要や。それで、あれ
やろ。また、渚のヤツが綾波の目の前でシンジにちょっかいかけたんやろ?」
「まあ、そんなところかな。カヲル君は冗談でしたんだろうと思うけど」
「シンジ。まだ、そないなこと言うんか? いい加減、気付け。ボケ」
「な、なんだよ、それ。ボケはないだろ」
「ボケはボケや。いいか、よく聞け。渚はシンジに惚れているんや」
「だから、それは違うって。僕をからかっているだけなんだよ」
「いいや、違わん」
「違う」

 いつしか激高していた僕たちは、おでこがくっつきそうなほど顔を近づけていた。
 その様子を見ていたクラスメイトの一人が、

『おまえら、男同士でキスするのは止めろよ』

 と笑うように言い、僕たちはようやく今の状況を理解した。
 僕たちはプッと軽く笑い合い、落ち着きを取り戻す。
「まあ、なんや。そのことは今は取り敢えず横に置いとこかあ」
「う、うん」
「で、何が原因なんや?」
「そのさ、綾波の前でカヲル君が──」

 頬を真っ赤にして僕は小声で言ったが、

「シンジ、もうちょい声出さなあ聞こえんわ」
「う、うん。だから、綾波の前でカヲル君にキスされたんだ」
「なにーーー!!!」

 もう教室中に響き渡るような声をトウジはあげた。
 一瞬にして、クラスメイト全員の目が僕たちに集まる。
 僕は声を潜めて、

「トウジ、大声を出さないでよ」
「そやけど、これが驚かんでいられるかいな」
「そうだけど……」
「なあ、シンジ。渚にキスされたいうんはホンマか?」
「う、うん。ほんとう」

 降伏のバンザイをするように、トウジは両手を上げて、

「あかん。もう、終わりや、シンジ。諦めるしかない」
「そんなあ〜」
「せやけど、自分のカレシが目の前でキスされて怒らん女なんかいないで」
「そうだけどさ……、何か良い方法を考えてよ。相談に乗るって言ったじゃないか」
「無理なもんは無理や。まあ、綾波が許してくれるのを待つしかないやろ」
「……許してくれなかったら?」
「そん時はアレや。破局っちゅーやつや」
「……」
 声もなく僕はうなだれた。

「けど、シンジが悪いんやで。渚がアレやいうても、シンジに隙があったんやろ?」
「そうかもしれない」
「う〜ん、そうやなあ。ここは男らしゅう綾波の前で土下座するしかないやろ」
「土下座?」
「それで許してもらえたら万々歳やな」
「……土下座かぁ」

 と僕が呟くように言った後、トウジは一転して瞳をピンク色に変えた。

「ところで、シンジ。渚のヤツ、さらに成長しとったか?」
「卒業式の時より、ちょっと背が伸びていたかなあ」

 高校が別れてしまった渚君とトウジは約半年前から会っていない。
 トウジは自分の胸へ両手を持っていき、

「そっちやのうて、乳や、乳」
「へっ?」
「あの乳がさらに大きゅうなっていたんか?」
「あっ、ああ、」

 カヲル君に押しつけられた胸の感触を思い出し、僕は顔を赤くした。

「よくわからないけど、それなりに大きくなったんじゃないかな」
「ホンマかあ? どれくらいや? 惣流より大きいんか?」

 ドイツ人の血を持つアスカはクラスの女子の中でも抜群のプロポーションを
誇っている。
 また、カオル君も同じくクオーターなので、日本人離れした容姿なのだ。
「たぶん、見た目ではアスカと同じくらいだと思う」
「さよか。くー、うらやましゅうて、シンジを殴りたくなってくるわ」
「な、なんだよ」
「そやかて、渚は性格がごっつう変やけど、美人やないかあ。その渚にキス
されたんやで。普通なら、みんなに自慢するところや」
「……」

 僕は黙る。何か言うと、さらに悪化しそうに思ったからだ。

「シンジ、おまえ、かなりモテすぎや。1人ぐらいワイにまわせや」
「何を言うんだよ。トウジ」
「ホンマのことやないか。綾波やろ、渚やろ、惣流やろ、みんな、ごっつう
美人ばかりや」
「だから、カヲル君は違うって。アスカも違うし」
「じゃあ、そうやな。惣流をワイに紹介せえや」
「紹介って、そこにいるじゃない」

 と少し離れたところで洞木さんとお喋りしているアスカを、僕は眼で指した。

「でもさ、トウジはアスカが好きなの?」
「いんや、好きやない」

 トウジは腕組みをしながら首を大きく横に振った。
「じゃあ、なんで?」
「アレな性格に目を瞑ればや、惣流はナイスバディやで。ぼん、きゅっ、ばん、や」

 と両手を胸・横腹・腰と順に下げながらトウジは言った。
 そして、スケベそうに目じりを垂れさせて、

「あのデッカイ胸を揉んだら、どんなんやろなあ」

 と、その時、ぶ厚い現国の教科書の角がトウジの頭に勢いよく下ろされていった。
 ゴンと鈍い音が聞こえ、トウジは咄嗟に両手で頭を押さた。

「痛いやないか! ドアホー!」

 と言って立ち上がり、後ろを振り返った。
 そこには両手を腰上に当てて仁王立ちしているアスカがいた。
 彼女の青い眼は欄と輝き、怒りを露わにしている。

「鈴原! アンタの淫ら妄想によくもアタシを使ってくれたわねぇ。汚らわしいのよ」
「うっさい。ボケっ。何を想像しようがワイのかってや」
「肖像権の侵害なのよ! アンタの汚い眼でアタシのきれいな身体を見るんじゃないの」
「なんやとー。もう我慢ならん。この腐れアマの性根を叩き直してくれるわ」

 その後はもう見慣れてしまったケンカが繰り広げられていった。
 まあ、最後はいつもアスカの腕力にトウジは負けてしまうんだけど。なんだかんだ
言っても、女の子のアスカにトウジは本気で暴力を振るうわけではない。
 と、ここで僕はふっと思った。
 そう言えば、この頃はトウジと洞木さんの夫婦げんかをほとんど見ていないなあと。


 昼休みになり、僕はお弁当箱を持って綾波のところに行った。
 いつもはトウジやケンスケたちと、綾波は洞木さんたちとお昼を共にしているけど、
仲直りの切っ掛けを作りたかったので、

「ねえ、綾波。今日は一緒にお弁当を食べない?」

 と、僕は声を掛けた。
 でも、やっぱり綾波は僕を見ることも口をきいてくれることもなかった。そして、机の
横にあるバックから小さなお弁当箱を取り出すと、小走りで洞木さんの方に行った。
 僕はまたしても肩を落とし、うなだれてしまう。
 そんな僕の肩に後ろから手が乗せられた。

「ホンマに土下座した方がいいんやないか」
「トウジ、」

 本当に土下座しようかなと考えながら僕はトウジの方へ振り返った。

「まあ、しゃあないな。センセ、飯にしようや」
「うん、」

 そして、僕とトウジはお昼を取り始めた。
 普段はここにケンスケもいるのだが、今はいないので二人だけだ。
 自分で作った弁当のおかずを口に頬張りながら、僕は考えていた。
 綾波のことは当然として、もう一つ。トウジと洞木さんのことである。
 アスカにニブイと言われている僕だが、さすがに中学校から同じだったので
洞木さんの気持ちには気付いていた。洞木さんはトウジが好きなのだ。
 そもそも洞木さんのトウジに対する態度はわかりやすく、クラス全員が彼女の
気持ちに気付いている。わかっていないのは当の本人であるトウジくらいだ。
 今まで僕は他人の恋愛ごとに口を出さないでいたけど、ここ最近、父さんたちの
ことなどでそういう関わり合いが多くなり、ちょっと言ってみようかなという気持ちに
なっていた。
「トウジ、」
「ん、なんや?」

 口いっぱいにしてクリームパンを食べながらトウジは返事をした。

「最近、トウジと委員長、あまりケンカしてないよね。というより、話しとかしてる?」
「そうやな〜。言われてみれば、この頃イインチョと話しとらんな」
「そうなんだ。やっぱり」
「シンジ。なんで、そないなことを訊くんや?」
「別に……、ただちょっと気になっただけ」
「さよかぁ」

 僕は手に持っていたハシを弁当箱の上に置いてから、

「ねえ、トウジ。今、好きな人はいるの?」
「ぶっ!」

 口の中にクリームパンを詰め込んでいたトウジは喉を詰まらせてしまい、慌てて
紙パックの牛乳を飲み始めた。
 そして、少し落ち着いてからトウジは、

「シンジ、いきなり何を言うんや?」
「朝、ちょっとそういう話になったよね。だから、本当のところはどうなのかなって」
「あー、そういうことかいな」
「それで、どうなの?」
「……秘密や」
「秘密って、教えてくれてもいいじゃないか。僕のことは知っているんだからさ」
「そないなこと男がぺらぺら言うもんやない」

 と言って、トウジは胸の前で腕組みしながら肯く。
 案外照れ屋なトウジらしいなと思いながら、僕はもうちょっと粘ることにした。

「じゃあさ、このクラスに好きな人いる?」
「……」
「それくらい教えてくれても」
「いんや、言わん」
「じゃあ、佐藤さんは?」

 とワンクッションを入れる。
 ちなみに佐藤さんはクラスの中でも人気が高い女の子だ。
 けど、トウジはノーリアクション。
 ならば、次が本命の

「じゃあさ、委員長は?」
「へっ、なんでインチョが出てくるんや?」

 と、トウジは不思議そうな顔で訊いてきた。

「委員長って、けっこう人気あるよ。優しいし、可愛いし」
「イインチョのどこが優しいんや? ワイはいつも叱られてばかりやぞ」
「……」

 それは単に照れ隠しというか、素直になれないというか。
 でも、実際にそうなので、僕は言い返すことが出来なかった。
 まさか、洞木さんの気持ちを僕が言うわけにもいかないし。
「でも、女の子の中では委員長と仲が一番いいよね?」
「せやな〜、そうかもしれんなあ。けど、それだけや」
「そうなんだ?」
「そうや」

 ごめん、洞木さん。と、僕は心の中で謝る。
 今のトウジの顔を見ると、洞木さんには全くその気がないように見えた。
 このことは誰にも言えないと胸の中で誓った。
 しかし、それとは別に、朝のことで気になっていることがあった。

「トウジ。それなら、アスカのことはどう思っているの? 朝は、あー言っていたけど」
「惣流か? また、きっついところを持ってきたなあ」

 僕は嫌な予感を胸にしながら更に訊いた。

「けど、本当のところはどうなの?」
「まあ、嫌いっちゅーわけやないな。惣流のきつい性格も、けっこうおもろいし」
「……」
「あの女、ホンマ、おもろいで」

 と言って、ガハハハとトウジは笑った。
 はっきりとはわからないけど、これはもしかすると、もしかしそうな雰囲気だ。
 惣流さんちの家庭の事情をトウジが知ったらどうなるのだろう。
 僕は急に胃が痛くなるのを感じた。


 結局、綾波には一言も口をきいてもらえずに一日が終わった。
 クラブ活動後も彼女は僕を置いて、ひとりで帰ってしまった。
 僕がトボトボと校門を出て家路につこうとした時、

「シ〜ンジ、」

 と声を掛けられた。
 僕はその方向へを身体を向けると、アスカが走ってくるのが見えた。
 ここ最近は父さんとのことでアスカと関わることもなくなっていたが、トウジの
ことがあり、僕は少し気まずさを感じながら口を開いた。

「アスカも今、終わったの?」
「そうよ」

 と、彼女は僕の横を歩きながら答えた。
 最近、アスカはソフトボール部に入ったのである。身体能力が抜群の彼女は
入部したてにもかかわらずレギュラーの座を得ていた。
 こういうところはさすがと言わざるを得ない。

「シ〜ンジ、知っているわよ」

 アスカは顔をニヤニヤさせながら言った。

「レイとケンカしているんだってね」
「綾波から何か聞いてる?」

 そう僕がおそるおそる訊くと、アスカはいっそうニヤニヤしながら、
「もっち。アンタ、渚のヤツとキスしたそうじゃん」
「違うって。したんじゃなくて、されたんだよ」
「でも、したのは事実なんでしょ?」
「うっ、うん」

 僕は力無く首を縦に振った。

「じゃあ、言い訳できないわね」
「……」
「レイ、かなり怒っているわよ」
「本当?」
「もうカンカン。しばらく口きいてやらないって言ってた」
「……」

 右手に持ったカバンがやけに重く感じた。
 僕はもう駄目かもしれない。

「レイって、本気で怒ると怖いわね。アタシ、初めて見たわ」
「僕も……」
「ふふ〜ん、自業自得ね」
「……」
「だいたいさ、シンジは隙が多すぎるのよ」
「……?」
「それに、妙にからかいたくなるのよね」
「……それはアスカだけだろ」
 とぼけたような口調でアスカは、

「そうかしら」
「……」
「レイも不安なのよ」

 一転して真面目な口調に変えてアスカは言った。

「シンジ、自分からレイに触れようとしないでしょ?」
「……触れるって、」
「別にキスやセックスをしろって言っているわけじゃないのよ」
「アスカ、あまり道の真ん中でそういう言葉は……」

 そう言いながら、僕は周りへ視線を巡らす。
 幸いにも、住宅地の中の道路に人はいなかった。
 アスカはそんな僕の注意を気にすることもなく話を続けた。

「そりゃあね。セックスは一番深い愛の形だけど、愛が無くてもできちゃうでしょ?」
「……」
「特に、男なんかはさ」
「……」
「だから、女は相手に好きって言ってもらいたいのよ。愛しているって」
「でも、それだって本当かどうかわからないじゃないか」
「そうよ。でも、それでも言ってほしいの。いつもいつも言ってほしいの。そうすれば
自分が相手に愛されているんだなあと思えるのよ」
「……」
「シンジ、あんだーすたん?」
「何となくわかった」

 と、僕は小さく答えた。
「なら、よし。次に、アンタ、自分からレイに触れたりしていないんだって?」
「……」
「自分から手を握ったりしないそうじゃん」
「……」
「身体だけ求められるのは嫌だけど、ぜんぜん求められないっていうのは、かなり
寂しいことのよ。それ、わかってる? アンタにも性欲っていうもんがあるんでしょ?」
「う、うるさいなあ。アスカにそんなことを言われたくないよ」

 少し前にあったアスカとのことを思い出し、僕はなぜだか無性に反発したくなった。
 だが、アスカは僕の傷を更にえぐるように、

「まあ、あるわよね。なんたって、アタシを押し倒すぐらいだもん」

 と言った。
 瞬間、僕は足を止め、アスカへ体全体を向けた。

「そのことは謝るけど、アスカだって悪いんだ」
「アタシのどこが悪いっていうのよ!?」

 と、アスカも大声で言い返す。
 頭に血が上った僕はもはや自分を制御できなくなっていた。

「だって、そうだろ。勝手にドイツに行っちゃってさ。あの時、僕がどれだけ寂し
かったかアスカは知らないじゃないか」
「……」
「それにさ、なんだよ。今度は日本に帰ってきたかと思えば、父さんと結婚す
るって。それを聞かされた時の僕の気持ち、アスカは考えたことある?」
「……シンジ、」
「僕はさ、アスカがいなくなってから忘れよう忘れようと努力したんだ。そして、
やっとの思いで忘れることが出来て、綾波を好きになったのに……」
「……」
「どうして日本に帰ってきたんだよ。どうして父さんなんだよ。わけわかんないよ」
 目を大きくさせて黙って聞いていたアスカは顔を僅かに俯かせた。

「アタシだって、日本を離れたくなかったわよ。でも、シンジ、アンタはレイに心が移り
かけていたじゃない。シンジをずっと見ていたアタシには、それがわかったわ」
「えっ、」
「だから、アタシはママについてドイツへ行ったのよ。自分の居場所が無くなる前に、
自分から出て行こうと思って」
「アスカ、」

 彼女は微かに涙を声に含ませながら言葉を続けた。

「でも、ドイツでシンジのお父さんと出会って、優しくされて、愛されていると感じて、
自分の居場所をようやく見つけたと思ったわ」
「……」
「だけど、それも錯覚だったのよね」
「……」
「アタシ、馬鹿みたい。ホント、馬鹿よね」

 アスカは僕に背中を向けて、

「シンジ、ごめんね。いっぱい迷惑かけちゃって。レイと幸せになりなさいよ」

 と言い、走り去った。
 その瞬間、彼女が立っていた場所では、夕陽の色をした光の粒がキラキラと輝きな
がら地面へ流れ落ちていった。
 僕の心は再び迷宮の中を彷徨い始めていた



つづく、???
作者さん乙ー。
アスカVSシンジ終了。
あとは、レイとの仲直り…かな。
うまくいくと良いけど。。
いやLASでいい
キャー
ドロドロダワー
トウジ×アスカも告白までいって欲しいと思ってしまうドロドロ願望の俺
正直最初は読む価値あるのだろうかと思ってたけど、
加速度的に面白くなっていく。
続き楽しみにしてますね。
LARSはやめてね。
正直LAT希望
LAGマンセー。
LASがいい
アスカもレイもどうでもいい。カヲル子の今後の活躍に期待。
再登場があるのかどうかもわからんけど。
LKSで頼みます
LARKSでヨロシク
どろどろ…イラネ
そんなん、汁やら某スレやらで使い古してらぁ
他をみてくりゃ腐るほどある罠。
LAS以外やだ
LAS以外ならいい。
カプリングは何でも良いけど、悪いのは全部シンジの所為っていう理不尽系は勘弁な。
最後は年表エンドで
LASは巣にカエレ
NTR厨はカエレ
LASがいいいとか言ってる奴超うざいんですけど。
そっち系は他スレにいっぱいあるよ。そっち逝けよバーカ。
ここまで漏れのジエン。
LTSとかその他のやつ氏ね
↑は?
LAS厨マジキモイ
うーん。。。
トウジ×シンジのことか、それとも[R]と[T]を押し間違えたのか。。。
ばーーーーーーーーーーか。あせって押し間違えてやんのw
アホLAS厨氏ね。
みんな、仲良く
これは釣りなんだろうか。幾らなんでも
こんなあからさまな釣りに引っかかるほど
エヴァ板住人はクオリティ低くないはず、
なんたって裸ネクタイの紳士が集まる社交場だからな。

…とりあえず、荒らし氏ね
作者はマトモだが住人がカスだな
ツラも見れなくらい醜いよ、お前ら運命に笑える
今からアルファベット使うの禁止!
はーーいわかりました先生。
552550:05/02/25 22:56:28 ID:???
Å$キボン
ゲンドウ×アスカきぼん。
レイ×シンジでヨロシク
気持ち悪いよお前ら!息すんな
チン☆⌒ 凵\(\・∀・) まだぁ?
>>549
×ツラも見れなくらい→○ツラも見れな【い】くらい(脱字)
×お前ら【運命に】笑える→○お前ら笑える(意味不明。こう言いたいのだろうか )

荒らしやるにしても推敲くらいしろ、
>>549自身が自分を馬鹿におもっちゃうだろ?
そうなったら、年食ってから恥ずかしさ倍増。

人を釣りたいのなら、文章はわかりやすく、きれいに、簡潔に。
そして人の心を鷲掴みにしてスルーできんようにせにゃいかんよ。

2chは投稿したら修正できないんだから、見直しは10回はやれ。

半年ROMり、修行を積め。
厨になるのにも、最低限の常識が必要だぜ。

…ピッチャーデニー
実はトウジも女でシンジに惚れているという超展開キボン


するわけがない
アスカ×シンジキボン
559きもいっつってんだろ!マジキモイ氏ね!
561山部:05/02/25 23:55:27 ID:???
ピッチャーデニーって何?
はっきりいって作者が決める事だろ。
自分の好きなカプだからっていちいち注文つけてんじゃねーよ。
LASスレなら他にもうじゃうじゃあるだろーが。見たけりゃ
そっち移れ。ちっとは人の迷惑考えろ
つーか、単に祭り好きが騒いでるだけでガチで言ってんのはほぼ皆無だと思われ
は〜?祭りがなんだって〜?
チン☆⌒ 凵\(\・∀・) はやくぅ〜
特定のキャラに不都合全部押しつけてあとはみんなハッピーみたいな展開にならなければ
どんなカプでも(もちろんくっつかなくても)かまわない。
ラストは男シンジ×女シンジになる超展開で
>>566
禿同。キャラ扱い不平等は勘弁。
カプは正直今回どうでもいい。
まぁ、一言で言うと
面白ければカップリングはどうでも良い
ってこと。
LASの人の多くがこの辺りを分かってないように思える。
まぁ、何だかんだ実際のところ、マジになって言ってる奴なんていないって。
俺は一応LAS人で、まぁ、確かにこの話がLASになって欲しいとは思ってはいるが、
話自体が良作で有ればどうでもいい。
むしろ、LASにすることでつまらなくなるのであれば別カプでいいよ。
同意。
>>569
そりゃ非カプ厨にとってはだろ。
カプ厨にとってカプが至上なのは当然。
クマー
>>569
多くじゃないよ。一部だよ。他属性でも分かってない奴はいるよ。
LASは最大勢力だから厨の絶対数が多くなっちゃうだけで、割合は他属性と変わらないよ。
あ、この台詞を言うべきときかな?

>>574必死だな(藁
正直LASは既に最大勢力とかいえるほど多くは無いんだよ
ごめん、>>574LASスレとLRSスレ見比べたら
君の言うような割合の問題だとは全く思えないんだ…
君を信じられない私を許して…
LASこそ真理!絶対真理!
>>577
「わかっていない」とかじゃなくて単に尺度の違いだろ。
押し付けるなよ。
579は何が言いたいのかサッパリ
>>580
それが理解できてない人は、もう一度読み直すことを進めます。
まあ、LASスレは純粋なLAS厨・人以外の人もたくさんいるから。
尺度が叩かれてんだろ?
マジで579は何が言いたいんだ?
あー、わかった。
579の>>577は間違いで、本当は>>574なんだ。
これだと話が繋がってくる。
何でもいいが、職人さんにプレッシャーをかけるような言い争いはやめろ。
この雰囲気だと仮にLASにしようと考えていたとしても投下しづらいだろ。
荒らしに反応する人も荒らしです。
LASこそ真理!絶対真理!
言論統制反対!
貴様、政府の犬だな!?
LASにしたけりゃ最初からLASスレの方に投下してんだろ
でも、LASスレに投下したら荒らし扱いされるような話かもしれない
N3に続いてまたLAS的にイタモノっぽいのを投下されたらねぇ。
本当にあのスレはイタモノに占領されちまうから。
それにこのスレにLASを投下してはいけないって決まりもないし。
問題はLASだと言っておいても話の途中で
文句を言う人達だと思うのですが
自分がLASだと思わないものは作者がLASだと思ってても叩く
それがLAS厨クオリティ
       -‐''''"´ ̄``ヽ、              ____
       /     _     ヽ        //´   __,,>、
     /        ̄ ̄   {        /::/ / ̄:::::::::::::::\
      l _ィニニア二二二ニヽ、j._      /::::l/::::::::::::::::::::::::::::::::l
     | 0Lj/-‐-レノ ノ_ヽ:::`ヽ     l:::::::::::/l/lノノ/_イ:::::l
     レ:r、/ イ゚テ   ピト`|::|      l:::::::::/ rtテ、  .ィtq l::::::|
      l:lヘ  '"   ,j  '"/ノ      |::lヘ!j  ´  ,j   !;:::/
     ヽヽ、   r‐-,   /'         レリー 、    ,....,  lノ/
        lヽ、  ̄ /         `ヽ、lヽ 、  ̄ /´
     _,r┴‐-`v´-‐j-、__   , -‐-、_r┴─'ー‐チト       ならばよし!!
  / ̄/:.:.:.:| ̄ ̄`T ̄´|:.:.:.:l´ `ヽ /    ヽ ̄`ー-‐'´`''''⌒ヽ
/   ,':.:.:.:.:.l    l   l:.:.:.l    \  _r‐、-、-、r,    、   ',
     |:.:.:.:.:.:.!     !   !:.:.l   ,. -‐ゝ/// 〉 〉 〉 〉 〉    !   ',
    l:.:.:.:.:.:.l     |   l:.:.:l  /  人〈〈〈〈 ' ' ' /っ   l    l
    l:.:.:.:.:.:.!     !   l:.:.:.ト/   /  ```´-ァ‐'''"     /   l
、__/:.:.:.:.:.:l     |    |:.:.:ヽヘ  l    //         / _ ィノ
    /:.:.:.:.:.:.:!    l   |:.:.:.:.:l `ーヽ、_ノ´l、______/lニ二」
>>593
LAS厨に限ったことではないが。
>>595
詳しく
なにがLASだよ。只の荒らしだろ?巣に帰れ。
>>597
LAS人のみんながみんなあんなだと誤解しないで欲しい。
荒れる原因になる奴は大体LAS厨じゃなくてただスレが荒れるのを楽しんでる奴らだから。
なんかここまで来ると、荒らしも荒らしの相手をするのも、みんな自演のような気がしてきた
必死こいてカプ押しつけてるんじゃね―よ。うざってぇ。ここはお前等だけのスレじゃね―んだよ。
疑わしい奴が疑われるのは当然の事だお
>>598は根拠が無い上に、最近それを言い訳に使う奴がぞろぞろ出てきてとても見苦しい。
荒らしてる奴の中には荒らしてるつもりじゃない奴もいるんじゃないか?
というか、意見としては真っ当なものでもアンチや別カプ厨が過剰反応し杉で荒れてるだけって場合だってあるし。
仮にそうだとしても荒れる原因作ってるのはLAS厨だろ―が。何言っても説得力ねぇんだよ。
LAS厨はアスカとシンジにスポットが当たると
何でもLASだと勘違いしLAS展開を要求しちゃうんだな、
もうちょっと頭使って生きたほうが良いと思うよ。いやマジで。
LASこそ真理、絶対真理。異端者、不信心者に天誅を!
↑ほら見ろよ。荒らしじゃん。
>>605
あんたがLAS人じゃないことだけは確かだなw
もうそろそろみんなカプの話は止めよーや。
職人さんも気まずくなるだろうしさ
そもそもここはLASスレじゃないがナー
LRSスレでもハーレムスレでもないからカプの話はもうやめようぜってことだ。
だけど、話自体が恋愛物なんだからカプについて話題になるのは自然なことだと思うよ
どれが良いかを押し付けるなと言うことでしょう
今気付いたが、>>595はやっぱりLAS以外の
例を見つけられなかったんだろうな…
あるにはあるだろうけどすぐにパッと見つけられないよなー、やっぱり
>>612
単純に落ちただけだと思うが。時間的にも。
LAS厨よりLRS厨が必死に見えるな
LRSは書く人少ないから希望の持てそうなのを取り込もうとするのはわかるが
見苦しいから騒ぐのやめれ
どっちに転ぶかは作者に任せて見守っていれば良いんだよ
うるせーこちとら飢えてんだよ!
LRS!LRS!LRS!
うるせーこちとら飢えてんだよ!
LAS!LAS!LAS!

LASは沢山あるんだからこれぐらい譲ってくれてもいいじゃないか
と思う俺はLRS厨
LRSが無いならLASを読めば良いじゃない byマリー
そうか、LASをイタLRSとして読めばいいんだね!?
これは目から鱗だよ!ヽ(`Д´)ノ
頼むからLRSのフリしないでよ。また荒れるからさ
もし本当にLRSの人であったとしてももうカップル
についてどうこう言うのはやめようよ
LRSキターと思ってたら微妙な展開でちと(´・ω・`)だったのでな
荒れるのは望まないので大人しくしてるよ
ここSS投下スレでしょ? ちょっとした感想や雑談ならともかく
なにを糞くだらないことで100レスも使ってんだ?
>>622
同意。どっちでもいいし、無理に○○にせーなんていう権利ない。
ここは、カプスレじゃなくて、SS創作スレ…
エヴァFFならジャンルは問わないってことだから。
とりあえず、またーりしる。
チン☆⌒ 凵\(\・∀・) はやくぅ〜
要するに、ラストはアスカとレイとでシンジを取り合う・・・という
学園物での王道ラストが一番ベスト、というわけですな。
それが一番かどうかはしらないけど、俺としては早く続きが読みたい。
>>622
雑談じゃ無かったのか
は〜・・また来たよ・・・
投下まだかにゃー(´・ω・`)ウズウズ
>59 名前:ヽゝ*゚ー゚νさん 投稿日:05/02/27 18:05:12 ID:???
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1087585663/253-

>自分は上のスレにゲンアスで始まる話を書き込んでいた人なんですが、2cnの書き
>込み規制に巻き込まれてしまいました。解除される見込みは全く無いのが現状です。
>元々、一発ネタを勢いで続けていたので、なんか気が抜けちゃいました。
>どうしましょう?
>長く続ける話でもないので、9話ぐらい終わらせようかなとは思っていたのですが、
>このまま止めてもいいかなあ、なんて思っていたりしてます。

第二創作スレより
投稿スレだった
なんだってー!
ふざけんニャ―!ヽ(`Д´)ノ
続き書いてくれる気は有るみたいだよ。
よかった。
本当に?正直荒れたから気まずくなってもう来なくなったのかと…
よかったー!!続き待ってるぜ作者さん
早くしないと奴が来るぞ
奴って誰??
チン☆⌒ 凵\(\・∀・) 続きまだぁ?
事情が事情なんだからおとなしく待とうよ
きっと待った分だけ良い作品が読めるさ
ところで、まだ、こういうFFが読んでみたい、見たいなスレ残ってる?
ここの住人やってたら、行きたくなったんだが。
いや、ないんならいいんだ。スマソ
>>640
こんなエヴァ小説がどうしても読んでみたい!!11
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1105677532/
dクス。まだあったのか。
マジでありがとう。
643520:05/02/28 22:12:02 ID:???
p2というのを使えば、書き込めるんですね。そういうわけで、
>>520
 次の日、学校へ行くとアスカの姿は無かった。ミサト先生の話では風邪で
休んでいるとのことであった。その日ずっと僕は主がいない彼女の席へ
ボンヤリと視線を向けていた。

 その翌日、学校の教室に入ると、アスカはまだ学校に来ていなかった。
いつもなら彼女は既に登校していて洞木さんとおしゃべりしているはずである。
 僕は自分の席に座り、ぼうっとアスカの机の辺りを眺めていた。
 そんなに風邪が酷いのだろうかと思いながら。
 と、その時である。
 僕の視界が制服の布地の色で埋まった。
 机の前に立っている人へ僕は顔を見上げた。

「綾波、」

 と、僕は思わず声を出していた。
 彼女が黙って僕を見下ろしていたのである。
 その表情には険しさと微かな哀しさが含まれているように感じた。
 僕はかたい笑顔を作って、

「おはよう」

 と挨拶をした。
 だが、綾波は口を閉ざしたまま僕を見つめているだけだった。
 僕は無言でいることに耐えられず、また仲直りの切っ掛けを求めて、

「綾波。この前のカヲル君とのことなんだけど、あれは……あっ、」

 瞬間、スカートの裾を翻して、綾波は僕からスタスタと離れていった。
 僕は溜め息を吐いたが、ハッと思い当たった。
 一昨日にアスカと別れて家へ帰ってから綾波に電話もメールしていないし、
昨日なんて学校で彼女へ話し掛けようともしなかった。
 僕は急いで綾波を追い掛け、彼女の手首を取った。

「待って、綾波。僕は、その、いろいろあって。でも、綾波と……」

 だが、僕が言い終わる前に、綾波は強引に手を振り解いた。
 そして、彼女は小走りで廊下へと行ってしまった。
 僕は綾波が出て行った教室の後ろにあるドアを呆然と見ながら、

「いったい、僕は何をしているんだ」

 と呟いていた。

 午前の退屈な授業が進む中、僕は二つの席を交互に見ていた。
 一つは綾波を。
 けれど、彼女は決して僕へ視線を向けることはなく、先生と黒板をずっと見ていた。
 そして、もう一つはアスカの席だった。
 綾波とは仲直りしたい。
 それは本心だけど、どうしても別れ際に見たアスカの涙が僕の心から離れなかった。
 アスカが心配で放っておけない気持ちはある。
 でも、それは好きということなのだろうか。
 もう自分でもよくわからなくなっていた。

 昼休み。僕はお弁当を食べる前に手を洗おうと教室を出た。
 だが、途中、階段の踊り場へ足の向きを変えた。
 そして、ズボンのポケットから携帯電話を取り出し、メモリーから番号を呼び出す。
 通話ボタンを押し、呼び出し音が長く続いた後、

『現在、電源が入っていない……』

 とのメッセージが流れた。
 アスカのケータイに繋がらなかったのである。
 彼女は今どうしているんだろう。一人暮らしをしていて苦労していないだろうか。
 そんなことを僕は考えていたが、心の隅にあった不安が膨らむのを感じていた。
 一昨日のアスカの言葉が胸に刺さっている。
 それは2年前と同じ感じがした。
 はっと僕は息を呑んだ。

「まさか、」

 と僕は声を出し、教室に急いで戻る。
 そして、カバンを手に取って、きびすを返した。
 途中の廊下で洞木さんに出会い、

「碇君、どこ行くの?」
「先生に聞かれたら早退したって言ってくれないかな。お願い」

 と答え、彼女の返事も聞かずに廊下を後にした。
 僕が感じた不安。
 それはまたアスカがひとりでどこか遠くに行ってしまうというもの。
 2年前に彼女がドイツへ行く前と同じ気配を僕は感じていた。
 あの時も彼女は黙って行ってしまったのだ。
 靴を履き替えるのにも僕はもどかしさを感じながら、昇降口を出ようとしたが、

「シンジ君、どこに行くの?」

 と声を掛けられた。
 僕が振り返ると、そこにはミサト先生が手に教科書などを持って立っていた。
 下唇を僅かに噛んだ後、

「早退します」

 とだけ告げて、僕はきびすを返そうとした。
 しかし、ミサト先生にそれで通じるわけはなく、

「理由は何なの? 場合によっては許可してあげてもいいわよ」
「……」
「ねえ、言ってみなさい。私とシンちゃんの仲じゃない」

 と柔らかい声で彼女は言った。
 学校の外での呼び名を使うミサトさんに僕は心が落ち着くのを感じ、

「アスカのところへ行ってみようかと」
「ん、アスカは風邪で休んでいるのよね?」
「はい、」
「シンジ君が行ってどうするの?」
「……」
「教えて、シンちゃん」
「……不安なんです。アスカがいなくなりそうで。……ケータイにも繋がらないし」

 と、僕は呟くように答えた。
 ミサトさんは僕をジッと見つめた後、小さく息を吐いて、

「駄目って言っても、シンちゃんは行くんでしょ?」

 僕は黙って肯いた。
 すると、ミサトさんはからかうような眼で、

「わかったわ。じゃあ、私もアスカのところ行くから」
「えっ!」
「家庭訪問も教師の仕事よん。あー、でも、シンちゃんは早退扱いだからね」

 そう言って、ミサトさんは僕へ笑いかけた。


 ミサトさんのアルピーヌ・ルノーA310に乗せてもらい、アスカの住むアパート
へ行った。
 徒歩なら30分くらいのところを10分と掛からずに到着する。
 まだ昼の1時前。
 部屋のドアの前でアスカのケータイに電話したが、やはり繋がらなかった。

「いないのかしら?」

 と、ミサトさんは言う。
 僕はケータイを鞄の中に仕舞いながら、

「でも、もしかすると、ここは電波が弱いところかもしれないし」
「レイの携帯には繋がるんでしょ?」
「あっ、はい」

 同じアパートの5階に住む綾波の部屋では問題無くケータイが繋がる。
 だとしたら、アスカはいないのだろうか。
 僕は不安を大きくさせて、

「とにかく、チャイムを押してみましょう」

 とミサトさんへ言った。
 彼女はその言葉に軽く肯くと、インターホンを人差し指で押した。
 ピンポーンと部屋の中から小さな音が漏れてくる。
 しかし、何も変化はなかった。
 もう一度、ミサトさんはボタンを押した。
 やはり、誰かが出てくる気配はない。
 ミサトさんは首を小さく捻り、

「アスカ、いないのかしら」

 と言って、またインターホンのボタンを押した。
 1秒、2秒と時間は過ぎ、1分以上が経っても変化は無い。
 僕は不安げにミサトさんへ顔を向け、

「アスカはいないんでしょうか?」
「うーん、おかしいわねえ。とにかく、ここにいても仕方ないわ。学校に戻りましょう」
「でも、……」

 この場を去りがたく、僕は二の足を踏む。
 と、その時、部屋のドアがスーッと開いた。
 パジャマ姿のアスカが目を擦りながら顔を出したのである。

「アンタたち、こんなとこで何してんの?」

 と、アスカは眠そうな顔で言った。


 アスカの大丈夫そうな顔を見た僕たちはそのまま帰ろうとしたが、半ば強引に
部屋の中へ招き入れられた。彼女のケータイに繋がらなかったのは、単に眠り
を邪魔されたくなく電源を切っていただけであった。
 がらーんとした何も無い部屋。テレビと小さな丸テーブルに衣装ケースが一つ。
それとベッドだけ。後は、物が乱雑に散らかっていた。
 アスカは少し恥ずかしそうに、

「引っ越したばかりで、風邪を引いたから」

 と言い訳をした。
 ミサトさんはキッチンで勝手に冷蔵庫のドアを開けると、

「何も食べ物が入ってないじゃない。アスカ、ちゃんと食べてるの?」

 と訊いた。
 アスカはぶっきらぼうに、

「食べてるわよ」

 と言い返したが、ゴミ箱はカップラーメンの空き容器で溢れかえっていた。
 ミサトさんは呆れたように息を吐いてから、

「まあ、いいわ。私が何とかしてあげる。アスカ、シンジ君。ちょっと、近くの
スーパーまで買い出しに行ってくるから。何か欲しい物ある?」
「いいんですか?」
「もっちOKよ。私に任せない。それにアンタたち、私の前では話せないような
こともあるでしょ?」
「えっ!」

 僕は驚いて目を大きくさせた。
 ミサトさんはニッと笑い、手をひらひらさせながら玄関へ向かったが、アスカが
その背中へ声を掛け、

「ミサト、グレープフルーツを頼むわ」
「あん、わかった」

 と返事をしてミサトさんは部屋を出て行った。
 その後、僕は軽く部屋を片づけて、キッチン周りをきれいに掃除した。
 暫くして、アスカが身体を横にしているベッドの脇で、僕は椅子に腰掛けていた。
 風邪の方は良くなったのか彼女の顔色はいつもの輝きを放っている。
 だが、アスカは恥ずかしがるように顔を反対側に背け、

「そんなにジッと見つめないでよ。化粧もしてないんだから」
「アスカって、いつも化粧しているの?」
「してないけど、そういう心構えってもんがあるでしょ。髪も梳かしていないし」
「あっ、そんなことか。僕は全然気にしてないから」

 と僕は言ったが、アスカは、

「バカ、」

 と呟いて、毛布の中に頭まで入り込むんだ。
 暫し、僕はそんな彼女をぼうっと見守っていたが、不意に毛布の中からグーッ
というお腹の鳴る音が聞こえた。

「アスカ、お腹が空いているの?」

 と僕は訊く。
 すると、毛布の中から少し怒ったようなアスカの声が聞こえた。

「バカっ、女の子にそんなことを訊くんじゃないの」

 その様子がおかしくて、僕はクスッと笑いながら、

「ごめん、」
「シンジ、笑うな」

 とアスカは言ったけど、僕は笑い声を止めることができなかった。
 少しの後、僕は自分のバックを膝の上に乗せて、

「アスカ。僕のお弁当があるんだけど食べる?」

 と訊いた。
 アスカは被っていた毛布から顔を出し、

「いいの?」
「うん、いいよ。あまりお腹が空いてなかったら、食べなかったんだ」
「仕方がないわねえ。アンタの残飯処理を手伝ってあげるわよ」

 そう言って、アスカは嬉々とベッドから起き上がった。
 僕は鞄の中から弁当箱を取りだし、彼女に渡す。
 その時に触れた彼女の手が温かかった。

 テーブルに向かい合いながら座った僕たちに会話は無かった。
 なぜなら、アスカはお弁当を食べるのに夢中だったからだ。
 まだ残暑が厳しい9月下旬とはいえ、身体を冷やさないように彼女はパジャマ姿
にサマーセーターを羽織っている。
 本当に美味しそうな顔で僕が作ったお弁当を食べるアスカに、僕は頬を緩めた。
 なんだか昔に戻ったような、あの幼い頃の日々がまた自分たちに訪れたような、
そんな感覚に僕は包まれていた。
 やがて、アスカはお弁当を食べ終えると、スポーツドリンクのペットボトルを口へ
運んだ。
 一口、二口とドリンクを喉の奥に流し込んでから、

「う〜ん、お腹いっぱい。シンジ、ありがと」
「いや、いいよ。本当に、残り物だから」
「そうよねえ。食べてやったんだから、シンジから感謝されるべきよね」

 と言って、アスカはお弁当のふたを閉めた。

「でも、ホント、美味しかったわよ」
「ありがとう」
「……シンジの料理を食べたのも久しぶりねえ」

 どこか懐かしいものを見るような目でアスカは言った。
 僕は忘れたようなふりをして、

「そうかな?」
「そうよ。ほら、昔はアタシのママもシンジの親も仕事で帰ってくるのが遅かったじゃない。
そんな時、いつも二人で夕ご飯を食べていたわね」
「そう言えば、そうだったかな。でも、いつも料理は僕が作っていたけどね」
「ふふーん、本当はアタシも料理ができるんだけど、アンタに譲ってやったのよ」
「ほんとう?」
「ホントよ。シンジの数少ない取り柄を発揮させようとね」
 アスカは顔を横に向け、とぼけたような表情をした。
 僕はそんな彼女がおかしくもあり、またホッとしたものを胸に持ちながら、

「だけど、よかった」
「ん? 何がよ?」

 アスカは顔を戻し、僕に視線を向けた。
 僕は彼女の眼から逃げるようにテーブルの上へ置いた自身の両手を見つめながら、

「また、アスカが黙って行ってしまったのかと思った」
「……?」
「2年前のことを思い出したんだ。アスカ、あの時と似ていたから」
「バ、バカねえ。なに考えてんのよ? シンジは」

 と、アスカは驚いたような声を出した。

「でも、不安だったんだ。もし、アスカがまたいなくなったら僕は……」
「バカ。ホント、シンジはバカよ」
「そんなに馬鹿って、言わなくてもいいだろ」
「バカよ、アンタは。アタシがそんな簡単にドイツへ戻るわけないでしょ」
「そうなの?」

 アスカは少しつらそうに口を開いた。

「ママの反対を押し切って日本に来たから、アタシにも意地ってもんがあるのよ」
「そうなんだ?」
「そうよ」

 僕は呼吸の乱れを感じながらアスカに訊いた。
「じゃあ、アスカはこれから父さんとどうするの?」
「……別れたわよ」

 ポツンと呟くようにアスカは答えた。
 僕は驚きで目を大きく見開いた。

「うそ?」
「本当よ。この前、シンジと別れてから、そのままゲンドウさんのところへ行ったわ。
そして、別れたい、結婚は止めたいと言ったの」
「父さんは、いいって言ったの?」
「ええ、言ったわ。アタシの自由でいいってね。所詮、あのヒトにとって、アタシはそ
れくらいの価値しかなかったのよね」

 アスカは自嘲するように薄く口許を緩めた。
 父さんに対する怒りが湧き上がるの押さえきれなく、僕は血が滲むほどきつく拳を
握りしめていた。しかし、心のどこかでホッとするものがあった。
 僕は声を微かに震わせながら、

「どうするの? これから」
「ん、どうもしないわよ。これからも日本にいるわ。ママも仕送りは送ってくれるって
言っていたし、ひとりでもやっていけるわよ」
「ドイツのお母さんに連絡したんだ?」
「まあね。結婚が駄目になったって言ったら、ママは喜んでいたのが悔しいけどね」
「……」

 僕は何も言えず、ただ黙っているしかなかった。
 その後、暫くしてからミサトさんが両手にたくさんの食料品が入ったビニール袋を
持って帰ってきた。アスカひとりでは一週間ぐらい保ちそうなほどの量である。
 アスカは苦笑しながら、

「余りそうになったらレイに上げるわよ」

 と言った。
 それから、僕とミサトさんはアスカと一緒にオレンジジュースを飲みながら少しの
時間を過ごした。ミサトさんは担任の先生らしくアスカの相談に乗ったり、学校の
ことを言ったりと、ちゃんと家庭訪問をしていた。
 そして、長居してアスカの風邪を悪化させないよう僕たちは彼女の部屋を出た。
 午後の授業はもう終わっている時間であったが、クラブ活動へ出るためにミサト
さんと一緒に僕は学校へ戻った。
 途中、ミサトさんの車の中で、

「シンジ君。よかったわね」
「何がです?」
「心配事が一つ減ったことよ」

 とハンドルを握りながらミサトさんは言った。
 僕はフロントガラスの向こうにある風景を見ながら、

「アスカのことですか?」
「そっ、いろいろとね」
「はあ、」
「シンジ君、」

 ミサトさんは声色を真剣なものに染めて、

「あなたはまだ若いから、わからないかもしれないけど、」
「……?」
「ヒトの縁というのは意外と簡単に切れてしまうものなのよ」
「どういうことですか?」
「シンジ君。今、レイとケンカしているでしょ?」
「あっ、」
「アスカのことを気にするのはいいわよ。でも、ちゃんとレイにもフォローしてあげ
ないと駄目。後で気付いてからでは遅いのよ」
「……」
「これはシンジ君の担任としてではなく、大人の女性としての忠告よ」

 僕はレイやアスカのことを言われたのに反発を感じてしまい、

「ミサト先生も昔、そんなことがあったんですか?」
「私も、もうすぐ30だからいろいろあったわよ」
「加持さんともですか?」
「……まあ、いろいろとね」

 そう呟いたミサトさんの横顔が酷く哀しげで、僕は訊ねたことを後悔していた。



つづく、   7/9
>>658
一言言いたい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あんた神じゃね?GJ!
面白かったです。
しかし、やっぱりシンジはゲンドウの子供だねー
外道二世か…
GJ!

>サービス、なんてしたくないから

山岸さん。。。懐かしいナ
作者さん乙!!それにしてもミサトさん…あんたエエ女やなぁ
あと2話っすか。
カヲル子はやっぱりチョイ役だったか…
私は平気よ。

たとえ唇すら許してない惣流さんに碇君を奪われても。
碇君がそう望んだのなら仕方がないわ。
私は平気……




……何故?何故涙が溢れてくるの?
私……悲しいの?
これからどうなるんだー!!!GJ!!
GJ!!

独特の文章だね。
台詞の後に 「と言った。」系の言い回しが多いのがちょっと気になったかな。
667第8話よん♪:05/03/01 14:55:54 ID:???
>>658
 アスカの風邪が治ってから数日、僕はまだ綾波と仲直り出来ないでいた。
 綾波へ話し掛けても口をきいてもらえないし、すぐに僕から離れていってしまう。
 しかし、それでも少しずつ変化はあった。
 時々、綾波が何かもの言いたげに僕を見つめているのである。そんな時、僕は
彼女のところへ行って話し掛けてみるけど、やはり相手にしてもらえなかった。
 でも、なんとなく近いうちに仲直りできそうな雰囲気を感じていた。

 放課後になり、僕はオーケストラ部の練習に行こうと教室を出た。
 いつもなら同じ部に入っている綾波と一緒に行くのだが、ここ最近はずっと
ひとりだった。
 けれど、廊下へ出ると、そこに綾波がカバンを両手に持って立っていた。
 僕は彼女の前へ進み、

「僕を待っていてくれたんだ?」

 と訊いた。
 その問いに対して、綾波は肯くことも声を出すこともない。
 彼女は僕の眼をジッと見つめた後、歩き出した。
 僕は彼女の隣を一緒に進む。
 しかし、綾波は僕を置いて駆け出すこともなく、歩調を合わせてくれていた。
 廊下の曲がり角に差し掛かった時、

「ついて来て」

 と、綾波は小さく言った。
 そして、部室とは逆の方へ足を向ける。
 僕はどこへ行くのだろうと思いながら彼女の後を追った。

 学校の外へ出ること数十分。
 その間、僕たちに会話は一つも無かった。いや、僕は話し掛けてみるのだが、
綾波から言葉が返ってくることはなかったのだ。
 正直、綾波の考えていることはわからない。
 僕に対して怒っていることは間違いないけど、それだけでは無いような気もした。
 でも、今まで僕を無視していたのだから事態は好転しているのかもしれない。
 やがて、高台の公園に着いた。
 眼下に広がる第3新東京市の街並み。そのビルの窓ガラスが陽光で輝いていた。
周りにある砂場やブランコなどで遊ぶ子供たちと、その子たちを見守るお母さんたち
の楽しそうな声が耳に届く。
 僕は知らずに頬を緩めていた。
 この公園は僕と綾波にとって思い出の場所であったからだ。
 去年の12月の暖かな午後、僕はここで綾波に好きと告白した。その言葉に驚い
たような表情をした後、とてもきれいな笑顔で綾波は返事をしてくれた。あの時の
彼女の笑みは今も僕の心にはっきりと残っている。
 だから、ベンチに座って街並みを見つめている綾波の隣に僕は腰掛けて、

「僕は綾波と仲直りしたい」

 と言った。
 彼女は視線を動かすことなく、真っ直ぐに街の風景を見続けている。
 僕も彼女の横顔から街並みへと目を移し、

「カヲル君とは本当に何でもないんだ」
「……」
「その、キ、キスはされちゃったけど、女の子としてカヲル君が好きとか、そういう
ことはないから。本当に、カヲル君とは仲のいい友達でしかないから」
「……」
「そのことだけは信じてほしい」
「……」
 なおも綾波は口を閉ざしたままだった。
 何も答えてくれない彼女に僕は不安を大きくさせたが、なけなしの勇気を振り
絞ってベンチの上に置かれている綾波の左手を握った。
 彼女はその手を振り払うこともなく、ただそのままにしている。
 暫く、僕たちは体温を共有していたが、不意に彼女が口を開いた。

「碇君、」
「なに?」
「私、本当はずっとわかっていた。碇君が渚さんに恋愛感情は抱いていないことを」
「……」
「ただのヤキモチなの。渚さんが碇君に口づけしたことが悔しかっただけ」
「ごめん」
「でも、それはもういい」
「……?」

 僕はヤキモチを焼かれていたことがちょっとうれしく、でも彼女の顔色がいっこうに
厳しいことへ不安を募らせていた。

「碇君、」

 綾波は顔を横に向け、僕の瞳に視線を合わせる。
 そして、彼女の薄い桜色のくちびるが小さく動いた。

「惣流さんのことは、どう思っているの?」
「えっ、……どうしてアスカが、」

 僕は思ってもいなかったことを訊かれて、激しく動揺していた。

「碇君は惣流さんを見ている」
「そんなこと……」
「無いと言える? 私、ずっと碇君を見ていたから、それくらいわかる」
 今まで無視されていたと思っていたのに、綾波は僕を絶えず気に掛けていた
なんて。自分のうかつさと無神経さを思い知らされ、僕は何も言えなかった。

「私は我がまま」
「……?」
「碇君に嫌われたら黙って消えようと、これまで思っていた。でも、今は違う。
碇君に私を好きでいてもらいたい。ずっとずっと好きでいて欲しい」
「……」
「私は碇君に抱かれたい。……でも、駄目」
「……どうして?」

 と、僕は呟くように訊いた。
 綾波は僕が握っていた手を解き、立ち上がると、

「私だけを好きになってもらいたい。他の誰よりも私が碇君の一番になりたいの」
「……」
「でも、碇君は惣流さんに心を残している。だから、駄目」

 綾波は僕に背中を向け、

「明日から話し掛けてこないで」

 と言って、そのまま公園の外へ歩き出した。
 僕は彼女の言葉に胸を刺されたような痛みを感じ、綾波を追い掛けることが
できなかった。
 綾波が言ったように僕はまだアスカが好きだ。
 だけど、綾波も僕は好きで、

「ははっ、これじゃ父さんと同じだ」

 と自嘲するように呟いていた。

 それから数日、僕と綾波はあのままであった。
 もう彼女とは駄目かもしれないと諦めを感じつつある。
 それにアスカへ心が動くのを自覚してもいて、

「僕は馬鹿だ」

 と屋上の鉄柵に上半身をもたれさせながら呟いた。
 放課後、人のいない学校の屋上。僕は誰にも聞かれていないと思っていたが、

「アンタ。今頃、気付いたの?」

 と声を掛けられて、慌てて後ろへ振り返った。
 そこには僕を笑いながら見ているアスカが立っていた。

「どうして、アスカがここに?」
「シンジの後ろ姿がしょぼくれてたから、ちょっと追い掛けてみたのよ」
「……」
「案の定、こんなところで黄昏れているし」
「……心配してくれたんだ?」

 僕は少し胸が温かくなるのを感じていた。
 一方、アスカは照れるように頬を赤らめて、

「そんなんじゃないわよ。シンジを笑ってやろうと思っただけ」
「……ありがとう」
「ば、ばか」

 さらにアスカは顔を赤くしたが、僕の隣に来て鉄柵に背中を寄り掛けた。
「ねえ、シンジ。何を悩んでいるの? アタシが相談に乗ってやるわよ」
「アスカが?」
「そっ。アンタにはいろいろと世話になったでしょ。少しくらいアタシにも何かさせてよ」

 僕はアスカと同じように鉄柵へ寄り掛かりながら空を見上げた。
 暫し、雲がゆっくりと流れていく様を眺めていたが、

「綾波とは、もう駄目かもしれない」
「……うそ?」
「ううん、本当」
「どうして?」

 と訊いて、アスカは僕へ身体を向けた。

「もしかして、アタシが原因?」
「……」
「そういえば、最近レイ、アタシに冷たいのよね。そっけないし」
「アスカが悪いわけじゃ……」

 無いと、僕は最後まで言えなかった。
 でも、もっと悪いのは優柔不断な僕自身で、

「僕はさ、結局、父さんと同じだったんだ」
「……?」
「心がふらふらしていて……。あんなに嫌いだった父さんと同じなんて笑っちゃうだろ」
「シンジは同じなんかじゃない」
「同じだよ」
「違うわよ! シンジは本気でアタシを心配してくれていた。アタシは本当にうれしかった」
「アスカ、僕は父さんと同じなんだ」
 僕は静かに淡々と告げた。

「だって、今もまだアスカが好きなんだから」
「……えっ、」

 遅れて返ってきた彼女の声は驚きに満ちたものだった。

「そのことを綾波に言われてさ、僕は何も言い返せなかった」
「……シンジ、」
「軽蔑してくれていいよ。僕はこういう人間なんだ」

 しかし、アスカは優しげな笑みを浮かべると、僕に顔をそっと寄せてキスをした。
 それは一瞬の出来事で、僕はただ為すがままになっていた。
 アスカが離れた後、人差し指をくちびるに触れさせると、そこにはまだ彼女の
体温が残っているのを感じられる。
 暫し、僕らは無言で見つめ合い、

「アタシはうれしかった。シンジに好きって言ってもらえて」
「……アスカ、」
「キスしちゃったね」
「うん、」
「ねえ、シンジ」

 アスカは僕の心の奥を見通すような眼を向けながら、

「レイを忘れられる? アタシだけを愛してくれる?」
「……」
「もしシンジにそれができるなら、アタシはその分、いっぱい、いっぱい愛してあげ
るわよ。シンジのしたいことは何でもしてあげる」
「……」
「その代わり、アタシだけを愛して」
 僕は急激にアスカへの愛おしさを感じ、無意識に口を開いていた。

「僕は、アスカだけを好きでいるよ」
「本当?」
「嘘じゃない。本当の気持ちだ」
「なら、証拠を見せて」

 暫し、僕は目を瞑り考え込んだが、結論はあっけなく出た。

「わかった。僕は綾波と別れる」
「……信じてあげる」

 アスカはそう言って微笑むと、再び僕へ触れるだけのキスをした。
 その後、僕らはきつく抱き締め合う。
 彼女は僕の胸に顔を埋めながら小さく声を出した。

「ねえ、シンジ」
「……なに?」
「今度の3連休、ひま?」
「暇だと思う」
「じゃあ、旅行に行かない?」
「……旅行に?」
「そっ、」

 と言って、アスカは顔を上げた。

「二人だけで遠いところへ行くのよ。そして、思い出をたくさん作るの」
「それって、その、つまり、そういうこと?」

 顔を真っ赤にして訊く僕の心に気付いたのか、アスカも頬を染め、
「ば、ばか。なに考えてんのよ?」
「ごめん」
「いいわよ。謝らなくて、……もうホントにバカなんだから」

 そして、アスカは僕からそっと離れると、照れるように俯いた。

「じゃあ、アタシが計画を立てておくから」
「アスカが?」
「そうよ。まさか、嫌って言うんじゃないでしょうね?」
「ううん、そんなじゃないよ」
「なら、よし。じゃあ、詳しいことは後で連絡するから」
「わかった」
「じゃあ、アタシ、ソフトの練習に行くわ」

 そう言って、アスカは走り去っていった。
 僕は暫し屋上に残って遠くの山々を眺めながら、今の出来事を思い返していた。

「アスカと旅行かあ」

 自然と顔がにやけてくる。
 どんな旅になるんだろう。きっと楽しくて一生の思い出になると思う。
 だが、唐突に、胸の奥が痛んだ。

「あれ、」

 と呟き、僕は右手で胸を押さえた。
 身体的なものというより、心の痛みのように感じる。
 その痛みは更に大きくなり、僕は立っていられなくなった。
 しゃがみ込み、眼を閉じる。そして、瞼の奥に見えたのは、綾波の哀しげな顔であった。


次回、最終話。  サービス、なんてしたくないから
真中シンジと西野アスカキタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!!
痛い痛い心が痛いぃぃぃぃぃ寂しい切ないぃぃぃ
結末が気になるがしばらく立ち直れない…
いちご100%のSSがあると聞いてdできました
このシンジぬっ頃したい。レイ…
LAS人だけどレイに同情しますた。
でも、どんな意見が出ても考えている結末は変えないで欲しい。
でも、ってなんだよ。でも、って。
個人的にLRSにして欲しいが、って事なんじゃね?
俺もいちご100%連想した
アスカ好きのさつき好きだから複雑な気分・・・
お疲れ様です。

こういう流れとは…
……
………

アヒャ
やっぱり外道コース…
最近レイちゃんはかわいそうな子一直線だねー
愛されてるってことさ
あーあ。またこんな展開だよ。
所詮赤毛猿が存命する限りは人形さんには幸せは来ないんだね(´-`)




外道シンジもろとも九話で車にひかれて氏ね。
旅行先で殺人事件に巻き込まれろ。
>>687
暴言を吐くなよ
LRS人だが、この作品はおもしろい
確かに展開的にキツイ部分あるけど、それ自体は個人の好き嫌い
作品自体のおもしろさに関係はない
>>675
 学校の屋上でアスカと会ってから幾日か過ぎた。
 僕は未だに綾波へ別れを告げることができずにいる。
 そもそも彼女に何と言っていいのかもわからない。
 あの時、ほとんど勢いで別れると口走っていたが、冷静になった今、それで
よかったのかという思いが僕の胸を占めていた。
 また、アスカへも申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
 自分だけを愛して欲しいと言ったアスカに、僕は応えられるのだろうか。
 いつしか僕はアスカへも距離を置いていたが、彼女はそのことに気付いてい
ないのか普段通りに接してくれていた。
 僕はそんな彼女の青い瞳をまっすぐに見ることはできなかった。


 木曜日の夜、僕は母さんと食卓を囲んでいた。
 8時過ぎの遅い夕ご飯。しかし、これはいつものことだった。
 仕事が忙しい母さんは定時で帰ってこれることがほとんど無く、深夜になること
もしばしばである。でも、その分、週末はきっちりと休みを入れているので、母さん
とは一緒に遊びへ出かけることができた。
 僕はご飯茶碗を持ちながらボンヤリとしていた。
 平日はいつも自分が料理当番で、今日も僕の作った品々が食卓を埋めている。
 しかし、右手に持ったハシはカタツムリのように動くのが遅かった。
 母さんはニコニコとしながらご飯を食べていて、

「シンちゃん。このサンマ、美味しいわね」

 と声を掛けてきた。
 僕はハッとしたように母さんへ目を向けて、

「あ、うん。特売で安かったんだ」
「サンマは今が旬だものね」
 母さんはサンマの塩焼きをきれいにほぐし、大根おろしをちょこっと乗せた。
 そして、パクッと口の中に入れる。

「ホント、美味しい」

 次に母さんは白いご飯を口へ運び、モグモグさせた。
 僕は暫しそんな母さんの様子を見ていたが、

「母さん、今週の3連休に友達と旅行へ行く約束をしているんだ」
「10月の9・10・11日?」
「うん、」
「どこに行く予定なの?」
「長野の方。第2新東京や上高地に行こうって話なんだ」

 母さんは頬をにんまりとさせて、

「ねえ、シンちゃん。誰と行くの?」
「トウジたちと」

 咄嗟に、僕は嘘をついていた。
 とはいえ、トウジとケンスケに口裏を合わせてもらうように頼んではあるのだが。
 しかし、母さんは疑うような眼で、

「ふ〜ん、鈴原君たちとかぁ」
「な、なんだよ。反対するの?」
「違うわよ。母さん、シンジはレイちゃんと一緒に行くのかなと思ったの」
「えっ、綾波と!?」

 僕は驚いて、右手に持っていたハシを落としてしまっていた。
 母さんはそんな僕を笑うと、
「ふふっ、だって、レイちゃんはシンジの恋人でしょ?」
「えっ、あっ、うっ、」
「でも、本当に鈴原君たちとなの?」
「本当だよ。僕が母さんに嘘を言うはず無いだろ」
「ふふっ、そういうことにしといてあげる」
「なっ、母さん」

 と僕は大声を上げたが、母さんは素知らぬ顔できんぴらゴボウを口に
入れていた。そして、また一口、ご飯を食べてから、

「シンジも男の子だもんね。そういうことは親に隠したい年頃なのか。母さん、
ちょっと寂しいなあ」

 と拗ねた様子を見せた。
 母さんはもうすぐ40歳になるというのに、そういう仕草をするとまだ20代に
見えるから不思議だ。それに、どことなく顔が綾波に似ている。

「でもね、シンジ。私もシンジの気持ちはわかるわよ」
「……?」
「母さんもシンジくらいの頃は、親に隠れて男の子とデーとしたもの」
「……そうなの?」
「そっ。一緒にライブへ行ったり、映画を見たりね。でも、シンジみたいにお泊ま
りはしなかったけどね」
「母さん! だから、それは違うって」
「はい、はい」

 僕の必死の言葉も母さんはさらりと流す。

「だけどね、シンジ。母さんは高校生の頃、とってもモテたのよ。もうラブレター
なんて毎日もらったわ。デートのお誘いもひっきりなしだったし」
「そうだったんだ」
 自分の母親ながら美人で可愛いと常日頃おもっていたので、僕は納得していた。
 そして、もう少し詳しく訊いてみようと思い立ち、

「じゃあさ、父さんともそうだったの?」
「あのヒト?」

 一転して母さんは不機嫌さを表情に出して、ぶっきらぼうに声を出した。

「あの人と会ったのは、大学の頃よ」
「そ、そう、」

 触れてはいけないことを訊いてしまったのかと、僕は微かに冷や汗を流した。
 しかし、母さんはすぐに笑顔を取り戻し、

「ねえ、シンちゃん。綾波さんを大切にしなさいよ」
「……」
「アスカちゃんがドイツに行った時、落ち込んでいたシンジを綾波さんは支えて
いてくれたわ」
「……」
「ううん、それだけじゃない。いつもいつも綾波さんはシンジに寄り添ってくれていた。
あんないい子は世界中を探してもいないわ。そのことをちゃんとわかってる?」
「……うん、」

 その一言だけしか僕は口に出せなかった。

 食事も終わり、後片づけをしてから、僕は宿題をすると言って自分の
部屋に戻った。
 しかし、僕は机に向かうこともなく、ベッドに寝ころんだ。
 両目を瞑り、さっき母さんに言われたことを思い返す。
 2年前、アスカがいなくなって僕は失意に暮れていた。そんな僕を支えてくれ
たのは綾波だった。他にも、たくさんある。僕が挫けそうになった時は励まして
くれたり、気弱な僕の尻を叩いて送り出してくれたりもした。それは強く激しいも
のではなかったけど、静かに心を温めてくれるようなものであった。
 気付けば、綾波はいつも僕のそばにいた。
 彼女は僕の心の一部になっていた。
 僕はベッドから起き上がり、押し入れの中にある化粧ケースを開く。
 そして、彼女の髪と同じ色をしたブルーのマフラーを見つけた。
 去年のクリスマスにもらった綾波からのプレゼント。市販品のように上手に作り
込んではいないけど、彼女の想いがそこに編み込んであるようだった。
 僕はベッドの上に腰掛けて、マフラーを両手に乗せた。
 長い間、それをジッと見つめ、

「これを編んでいる時、綾波は何を考えていたのかな」

 と呟いた。
 少し冷え込んできた秋の空気が部屋の中を埋めていたが、マフラーに触れてい
る僕の両手はとても暖かかった。

 土曜日の朝、訝しむような眼をした母さんに見送られて、僕は駅へ行った。
 アスカとの待ち合わせ時間まで余裕はある。
 しかし、僕は駆け足で向かっていた。
 桃源台駅も土曜は通勤客が少なく、わりと人の波も穏やかである。
 僕は駅のコンコースを見渡し、アスカが来ているかどうか確認した。
 すると、フードのついたベージュのシャツにジーンズ姿のアスカが隅の方で壁に
背中を寄り掛けながら立っているのが見えた。彼女の足下には大きなスポーツ
バックが置いてある。
 僕は急いで彼女の前に行った。
 アスカは小首を傾げながら、

「シンジ、おはよう」
「うん、」
「で、アンタ、荷物は?」

 そう、僕はここへ手ぶらで来たのだった。
 バックパック一つ持ってきていない。
 僕はアスカから視線を外すと、両手両膝を床につき、土下座した。
 おそらく周りの注目を浴びているだろう。
 アスカも驚いているのか声を出すこともなかった。
 しかし、僕はずっと額を床にくっつけ続けた。

「アスカ、ごめん。一緒に行けない」

 僕は土下座しながら声を出した。
 しばらくアスカからは何の反応も無かったが、

「どういうことよ? シンジ」

 と微かに声を震わせた。
 たぶん、彼女は怒りを抑えられなくなっているのだろう。
 既に覚悟を決めていた僕は思いの全てを彼女へ伝えることにした。

「僕は綾波が好きなんだ。一番、好きなんだ。だから、一緒に行けない」
「アンタ、あの時の言葉は嘘だったの?」
「……嘘じゃないけど、僕はアスカに嘘をついていた」
「どういうこと。ちゃんと説明しなさいよ」
「僕にもよくわからない。でも、あの時の気持ちは本当だった。それしか僕
には言えない」

 暫し、アスカは黙っていたが、

「シンジ、立ちなさい。アタシの目を見て、話しなさないよ」
「……」

 ゆっくりと僕は床から立ち上がった。
 僕たちを囲むような人の輪は無かったけど、遠巻きに多くの目が注がれ
ている。
 しかし、僕にはそんな視線を気にする余裕など無く、ただ言われた通りに
アスカの瞳へ目を合わせた。
 そして、僕は静かに口を開いた。

「アスカの気持ちを踏みにじるようなことをして、どう謝ればいいのかわからない。
でも、今は綾波が僕にとって一番大切な人なんだ」
「……シンジにとってアタシはどうでもいいっていうの?」
「そんなことは無いけど、そうかもしれない。今はただ綾波だけなんだ」
「……そう、」

 アスカは両手を腰横に置いて、疲れたように小さく息を吐いた。
「わかったわ」
「……ごめん」
「シンジ、アタシの願いを一つ聞いてくれる? それくらい、いいでしょ?」
「わかった。何でも言って」
「じゃあ、目を瞑って」

 僕はアスカに言われた通り両目を閉じた。
 すると、続いて彼女の言葉が現れ、

「シンジ。しっかり歯を食いしばりなさい」

 直後、僕の左頬を途轍もない衝撃が襲った。
 僕は後方2メートルほど飛ばされて、床に頭を打つ。
 その強い打撃で軽い脳震とうになり、暫く立ち上がることができなかった。
 やがて、ふらふらと立ち上がり、僕はよろめく足取りでアスカの前に戻った。
 彼女は僕にポケットティッシュを渡し、

「鼻から血が出ているわよ」
「あっ、うん」

 ポタポタと鼻から血が流れ出し、床に赤い模様をいくつも作っていた。
 僕は両方の鼻の穴にティッシュを詰め、それから床の血を拭いた。
 そして、ゴミを捨ててから再び戻ってきた僕へアスカは、

「まだ頭にきているけど、これで許してあげる」
「……ごめん」

 僕はそう小さく謝って、頭を深く下げた。
「だけど、アンタ、これからどうするの?」
「……」
「レイは鋭いわよ。たぶん、アタシたちのことにも気付いている」
「それは知ってる」
「じゃあ、どうするつもりよ?」
「……綾波に謝って、謝って、謝るしかないと思う」

 鼻からティッシュを出している情けない顔で僕は答えた。
 しかし、そんな僕を笑うこともなくアスカは更に訊いていた。

「謝っても許してもらえない時は?」
「許してもらえるまで謝る」
「それでも駄目な時はどうするのよ?」
「……諦めるしかないかな」

 アスカは睨むような鋭い視線を向けながら、

「アタシが残っているなんて思わないでよ」
「それはわかっている。ケジメなんだ。綾波やアスカを傷つけてきたことに対しての」
「……」
「僕がふられても、綾波が幸せになるならそれでいいと思っている」
「……そう。まあ、無駄な努力になるかもしれないけど、頑張りなさいよ」
「ありがと、アスカ」

 彼女はニッと笑った後、照れるように頬を軽く小指で掻いた。
「シンジにアリガトなんて言われたくないわよ。これでもまだ怒っているんだから」
「ごめん、」
「まあ、結局、アタシたちの時間は巻き戻せなかったのよね」
「……?」
「2年間、アタシたちが別々に歩んだ時間はそれほど大きかったのよ。」
「……」
「そして、新しく始めることも無理だった。まあ、なんとなくわかっていたけど」
「……アスカ、ごめん」
「シンジ、もう謝るのは無し。アタシ、ウジウジしているのがダイッ嫌いなのよ」
「わかった」

 一瞬、アスカは寂しげな笑みを浮かべた。
 それは僕たちの間にあった男女の関係がはっきりと終わったことを伝えるものであった。
 アスカは床に置いてあったスポーツバックを手に取り、

「じゃあ、アタシ、行くね」

 と言った。
 僕は慌てて声を出し、

「行くって。ひとりで旅行に?」
「ふふっ、バカねえ。いくら何でもアタシはひとりで旅行なんてしないわよ」

 悪巧みが成功したような笑みをアスカは浮かべて、

「本当はね、これからソフトボール部の遠征があるの」
「えっ、うそ?」
「ホントよ。ほらっ」

 と言って、アスカは遠くにいる女子高生の一団に手を振った。
 すると、彼女たちも手を振り返してきて、僕はガクッと肩を落とした。
 今さらだけど、この一部始終を見られていたわけで、アスカに騙されていたことに
対する怒りよりも週明けの学校を考え激しく鬱になった。
 僕は力無く呟くように、

「アスカ、酷いよ。僕を騙すなんて」
「酷いのはシンジの方でしょうが。アタシを好きだと言っていたのに」
「うっ、」
「でもね、アタシにはわかっていたの。シンジはレイを一番好きなことが」
「……」
「だから、ほら、レイ。もう出てきてもいいわよ」

 アスカは数メートルほど離れたところにある大きな柱の影に向かって声を出した。
 と、そこから白いワンピースを身に纏った少女が現れた。
 その水色の髪を僕は忘れるはずもなく、

「綾波、いつからそこにいたの?」
「……初めからずっと。惣流さんにここへ来るように言われて」

 僕は綾波からアスカへ視線を移し、

「ええっ!?」
「ま、そういうこと」

 と言って、アスカは笑みを大きくさせる。
 そして、くるっと身体を回して僕たちに背中を向けた。
 だが、その瞬間にアスカの青い瞳から流れた一しずくの涙が、僕の網膜に
はっきりと焼き付いていた。

「じゃあ、シンジ、レイ、バイバイ」

 アスカは手をヒラヒラとさせながらソフト部の仲間の方へ歩いていった。
 僕と綾波は彼女がグループの中に溶け込むまで黙って見送り、その後、

「惣流さん。泣いていたわ」
「……うん、」

 とだけ会話を交わした。
 それから僕らは大勢の視線から逃れるためにそこから離れ、外の駅前広場に出た。
 秋の陽射しが地上に降り注ぎ、その眩しさに僕は目を細める。
 自分の頬と鼻がズキズキと痛んだが、僕はそこへ手を当てることはしなかった。
 その痛み以上にアスカの心は傷ついていることを知っていたから。
 また、綾波にも。
 僕と綾波は噴水の縁に腰を下ろし、人の流れを黙って見続けていた。
 どれくらい過ぎただろう。ふと、僕は彼女に話し掛けた。

「綾波、僕を殴ってくれないか?」
「……?」
「ケジメをつけたいんだ」

 綾波は小さく首を横に振った。
 それを見て、僕は彼女に愛想を尽かされたと思ったが、

「今、殴ったら、碇君は入院するわ。……だから、あとで」
「あっ、うん」
 僕がホッとしながら返事をすると、綾波は僕の顔へ手を伸ばしてきた。

「ジッとしていて」

 そして、彼女は僕の鼻から血で真っ赤になったティッシュを取り、新しく詰め直した。
 僕は綾波に激しい愛おしさを感じて抱き締めたくなったが、それをグッとこらえた。
 腰を回転させ彼女へ身体を向けて、僕は頭を深く下げた。

「綾波、今さら都合のいいことを言っているのはわかっているけど、許して欲しいんだ」
「……」
「綾波を傷つけてしまって、本当にごめん」
「……もう私に嘘はつかない? 何でも言ってくれる?」

 と、彼女は小さく言った。
 僕は顔を上げてから大きく肯き、

「約束する。もう絶対に嘘をついたり隠し事はしない」
「……」

 しかし、綾波は口を閉ざしたまま何も答えてくれなかった。
 僕はただ彼女の言葉を待ち続け、長い長い時が過ぎた後、

「いや、許さない」

 と、綾波は冷たい声で答えた。
 僕は絶句して、ただ彼女の顔を見つめるしかなかったが、不意に綾波は口を開き、

「私は一生、碇君を許してあげない」

 と微笑みを浮かべた。
 その声にさっきまでの冷たさはなく、むしろ僕をからかうようなものであった。
「これから碇君には私のそばにいてもらうわ」
「……」
「いつまでもずっとよ。そうしてくれるなら、いつか許してあげる」
「綾波、」

 僕はあまりのうれしさに涙を流さずにはいられなかった。
 止めどなく涙が溢れ出し、僕は右腕で目を覆う。ティッシュで詰まった鼻からは
鼻水が喉に逆流して苦しかったけど、それでも僕は泣き続けた。
 綾波は暫しそんな僕を黙って見ていたが、やがて僕の頭を自身の胸に抱えた。
 僕は彼女の胸の温かさと柔らかさを感じながら、いつまでも泣いていた。



 3連休が終わり、僕は学校へ行った。
 案の定、土曜日の駅でのことが話題になっていて、みんなにからかわれ続けた。
 とても恥ずかしかったけど、不思議と逃げたい気持ちはない。
 昼休み、どこか他人事のように、

「アンタも大変ね」

 と言うアスカに、僕は苦笑を送りながら、

「まあね。自分の蒔いた種だから仕方ないよ」

 と答えた。
 僕は胸の中で彼女へ何回も感謝の言葉を送っていた。
 そして、放課後になり僕はクラブ活動へ行こうと席を立った。
 目の前では綾波が待ってくれている。

「綾波、行こう」

 そう声を掛け、僕は綾波の手をそっと握った。
 クラスメイトたちの目が気になってはいたけど、それでも手を離すことはなかった。
 綾波は軽く頭を上げて僕の眼を見つめると、

「こっちの方がいいわ」

 と言って、僕の腕に彼女自身のそれを絡めた。
 腕から伝わる胸の膨らみ。
 頬を真っ赤にさせた僕へ綾波は不安げな瞳で、

「碇君、いや?」

 と訊いてきたが、僕に嫌と言えるわけもなく、ただ首を大きく横に振った。
 僕たちはそのまま廊下へ出て、部室へ向かって歩く。
 目的の場所はすぐ近くだった。時間にすれば数分もないだろう。
 でも、僕たちの絡んだ腕はいつまでも触れ合ったままだった。




おしまい
来たっ……!
705703:05/03/01 21:18:34 ID:???
初めは一発ネタで書き込んだ話に長々と付き合っていただき、ありがとうございます。
テーマとして、毎回ゲストを1人出そうと決めてました。
そのため、回収されない伏線は数知れず。本当に、ごめんなさい。
そして、楽しかったです。さようなら。
むう、綺麗に纏めちまったのか
もっとドロドロを期待していたのだが
ゲンアスの設定が意味無かった気がする

しかしなにはともあれ乙
結局最初の方とは比べ物にならないぐらい構成がストレートになっちゃいましたな。
リツコやゲンドウの複線が消化しきれなかったのはテンションが乗らなかったんだろうから
しょうがないけど、ちょっと物足りない感じが残ってしまった。

とにかく乙彼。
乙!
いやぁ…よかったわ、ココノたんのとこあたりに投稿して保存してもらったら?
それぐらいいい、最高ですた
>>705
あんたGJ!よかったぞ!今回はLRSだったか
また書いてくれ。次は総合スレ来てシリアスLAS書いてほしい
あそこ荒れてないし、新人大歓迎だから。
>>706
俺が気になってたセリフ後の言い回しが確かに似てるな。
あれ?ラブラブ・ゲンちゃん・アスカは?
出だしは良かったんだけどね。
最後が平凡な落ちになってしまいましたな・・・
最高というほどではないでしょ
作者自身も惰性になった事を悔やんでるんだから
でも面白いと感じた部分があったのは事実、次回があれば是非頑張ってくれ
せっかく冒頭がああだったんだから、ゲンドウをもうちょっと使ってあげてほしかったかな
ともあれ乙でした
乙でした。
色々楽しめる設定だったのに勿体無いなぁというのが正直なところの感想です。
でも毎回楽しみにしてましたよ。
また投下してくださいね。
作者さんの許可いるけど、この設定でアナザーストーリーとか
物語の裏で起こってたことを書くのもありだな
おつ〜。
ゲンアス見たかったなー。
こーんな優柔不断男はノシつけてファーストにくれてやるわよっ!
ま、どーせ長続きしないに決まってるけど。

ってうちのアスカがゆってた。
ゲンドウやり逃げかーいいなー
>>720
間違い無く一番得してる。
ユイ、リツコ、アスカと色んな年齢味わいまくり。
アスカと付き合うことになったトウジが、アスカとゲンドウとの関係を知って鬱になる話マダー?
はっきり言って支離滅裂だよこれ
>>723
否定はしない。
作者も分かってると思われ。
ただ、想像力はあると思うので最初から長編にする気で
ちゃんと書けば面白いモノは書けると思う。
>>722
イタイ…
このトウジは結構、豪放磊落なキャラ作りながらも
しっかりアスカに惚れてそうだからなー
シンジとレイが付き合いだして、フリーになったアスカ
喧嘩友達として慰めてるうちに、やがて恋仲へと…というお決まりの展開。
そこで明かされる、ドイツでシンジのオヤジとやりまくってました。という事実
こりゃあ、たまりませんよ。
やっぱLASにならないと否定意見多くなるな。

ところで今更だけど、>>256でゲンドウの
「それでだ。この度、ここにいるアスカ君と再婚したんだ」
の台詞は無かったことにされてるの?
これは『もう結婚した』というニュアンスにしか取れないんだけど。
16歳という年齢にしてるのも、最初はそのつもりだったからと推測。
LASスレはただでさえ乱立してるので、思い切って次スレからLAS禁止にしない?
>>726
>やっぱLASにならないと否定意見多くなるな。
本気で言ってるのか?
どう考えてもカプ云々じゃなく、ストーリー自体が破綻しかけてるだろ。
それでも次回作を望む声がちゃんと出てるじゃないか。
ちなみに俺はLRS人だが。

>>727
そういう荒れる事は言わない方が良いかと。
安心して読みたいのなら、LRSレスにいけばいい
ここは読まないとLASかLRSか判らないほうがいい

限定しないレスが1つくらいあってもいいじゃない
また、極端な意見だなw
なんでもありだから良いんじゃねーか。
俺は凄くよかったよ思うよ!!作者さん乙!!
LAS人のオレは、噂になったんで読みに来てそれなりに楽しめた。
ちょっと切なかったけどな。
ま、LAS禁止にしたら俺はチェックしなくなるだけだけど、間口狭くすることもないんでない?
レイが幸せになってくれてホッとした。
作者さんありがとな。
しかしまぁ、個人的に最低なシンジキュンだったな。
個人的には途中最低最後最高なシンジキュンだったよ
うーん、LAS禁止というかLASスレが多いので「できればLASネタは専用スレにどうぞ」という誘導が
テンプレにあったほうがバランスとれていいかなと。
GJ!!俺からもありがとうと言いたい!!
綾波を幸せにしてくれてありがとう作者さん!!つД`)・゚・。・゚゚・*:.。。・゚
>>737
そういうのは嫌だな
某スレの「イタモノはイタモノスレの方が無難です」みたいな感じで荒れる原因になりそう
まぁ一切縛りが無いスレがあっても良いんじゃないかと思うので、このままを推す
LASの人達来てもいいけどさ、LAS押しつけんのだけは
勘弁して欲しい。投下したくてもLASにならないと叩かれそう。
したらまた荒れるし。
でもはっきりいって来て欲しくないよ俺は。
LAS投下スレみたけどさ、ここの住人の事考えもなしに
N3に次の投下場所はここにしろって勝手に決めつけてた奴らだぞ?
結局来なかったから良かったけど。
う〜ん、レイにもアスカにも同情したくなるわ、この展開だと。
だからまぁ、個人的にはLARS、もしくは二人で取り合いのラストが一番だったな。
結局、シンジが最低な男だったって事しか頭に残らなかった。
>>740
それはさすがにないと思いたい。
今回色々言われてんのは、ゲンドウやユイ、カヲルといった
消化し切れなかったキャラがたくさん出てるからでしょう。
特にゲンドウは何のために最初アスカと婚約という設定だったのか、よくわからん。
>>742
むしろ、二人ともに振られるのが一番。
>>743
それはLAS人に対する地雷じゃないの?
俺も初めはLASのつもりで読んでたし。
作者氏乙!!!俺は楽しんで読めた!!!
最後も凄く良かったと思うよ。GJ!!!
>741
それ本当?だとしたら許せないんだけど・・・なんでここに?
>747
ここは何でもOKだからじゃない。
彼らの望むLASとちがうから、って意見も有ったな。
>>741
スマン、それを言い出したのは俺。
あのスレでN3の馬鹿が出て行くことに決まったときイタモノじゃ嫌とか言い出したのよ。
で他にはss創作スレしか思いつかなかったもんで。
たぶん、それに反発した人が専用スレをたてて誘導したんだと思う(実質は隔離)

でも、このスレの人がLAS占領に反感を持ってるのを知ってたら
もちろん基地を誘導なんかしなかったよ。すまん。
こんどはss創作スレが空爆されるのか。まあ住人じゃないからいい気味だけどな(藁
あそこの連中は臭くて前から気に入らなかった。ヒヒヒ

N3閣下にぜひ暴れてもらいたい。


219 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :05/02/28 06:52:40 ID:???
確かにss創作はスレタイも無難だしなんでもありだし、OKじゃない?
いくら長くなっても良いから続けて欲しいよ?


220 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :05/02/28 06:57:29 ID:???
つかー、ss創作は、こういう連中の巣だからな。かなりむかつかない?

618 名無しが氏んでも代わりはいるもの05/02/26 04:38:17 ID:???
LRSが無いならLASを読めば良いじゃない byマリー



N3に核攻撃されて全滅するのを期待。



何がOKなんだよ?
ここは何でもありが売りのスレ
個別スレにはローカルルールが色々あるから
何処に行けばいいのか微妙だなと思えば迷わずここを選べばいい
>>750
お前も隔離スレの住人なんだから出てこないでいいよ
はあ?自分らがいらなくなったから追い出しといてなんなんだよ。
言っとくがなんでもありだから何してもいいってわけじゃねぇんだ。
そこんとこきちんとわかれよ。
>754
つーか最初からいらなかったんだが。
>>745
作者が一発ネタで伏線未消化って言ってんだからそれでいいんだよ
無理に整合性を合わせる必要なんて無い
>>755
そんな事情どうでもいいからLAS厨は来ないでくれるかな
落ちLASはイタ禁止だったし(今は投下場所できたが)
ハーレムでも処女縛りがあるし
ここはそういったスレルールに触れて行き場所を失った作品の投下場所だから
作品毎にスレを立てるわけにもいくまいて
次のテンプレで「作者にLASを強要するのはやめましょう」というのはどうかな。
>>754
いらなくなったじゃなくてスレ違いだったんだよ
お前は一々専用スレ立てろというのかw
>>>>アスカと付き合うことになったトウジが、アスカとゲンドウとの関係を知って鬱になる話

マジで上のやつで誰か外伝頼む!!
何でもいいけど、このスレは縛り無し。
それだけは確定してんだから無理に括るな。
この場所はさ、LASの人達のモノだけじゃないんだよ。
色んな人達がいるんだ。もちろんLAS人だっていてもいい。
他人に迷惑さえかけなけりゃな。只こちらの住人の事も
少しは考えてくれよ。
エヴァじゃなくてもいいのか?
>>755
悪いけど、こっちから見ればどっちも同じ穴の狢なんですよ
クズはクズ同士隔離スレで憎しみあっててくださいよ
てめえらのいざこざこっちのスレにまで持ち込むなクソが
結局LAS嫌いなやつがヒスおこしてるだけじゃないか
ここは自由なスレなんだから縛ろうとするな
自分の居心地の良いスレが欲しければそれこそ一人でやってろ
規制が一切無い投下スレがあっても良いと思うよ
ここが規制作っても、どうせ誰かが規制無しのスレ立てちゃうと思うし
このままで良いんじゃない
荒れ気味の雑談を呼んだ一番余計な一言。>>727
LRS好きだが、正直迷惑。
誰も求めてないのに>>750が「俺はまともなLAS人なんだよ」みたいなツラして
しゃあしゃあと詳細説明しはじめたから荒れてんだよ
別にLAS投下自体は好きにすればいいよ
ただし繰り返すがLASスレのいざこざを持ち込むな
そろそろ止めとけよ、くだらねぇ
どっかのクソスレみたいじゃねぇか
というか、カプ小説は専用の投下場所がいくらでもあるんだから
ここは投下場所のないカプモノやカプ小説ではない小説の投下場所にしたら?
荒れる原因がLASだっていうのわかる気がする。
754の言ってる事わかってる?
>>769
それ、発端は別の奴じゃん
N3の話題(LASスレの話題)を出した
>>741の責任だわ
こいつが余計な事いうから荒れるんだよ
だからルール作ろうとすんな!空気嫁よ!
荒らしたいだけか?
>>774
ルールがないのにLASはウザイから来るなとか言い出す奴らがいるから荒れるんだよ。
全てを受け入れるスレじゃねーのここは
議論おわろー
LAS人さんら、765の言ってる事も理解しろよ
他スレの話題は禁止だ
何がどこから持ち込まれようがこのスレはその総てを受け入れる
それがLASだろうがLRSだろうがLARSだろうがハーレムだろうがエロだろうが総べてだ
一々文句を言うな
そういう事だ
分かった!もう分かったから皆で止めよ!
いっせーのーせ!で、皆で雑談止めよ!

いっせーのーせっ!
>>776で議論終了。
LAS人はLASLAS騒がないように。
アンチLASも嫌ならスルーするように。
えらそうに言うなよ。火種はおめーらだろうが。
>>773
そのレスの発端はさらに突き詰めれば別スレでの>>750なんだろ?
火種>>727
>>782
別スレの話題を持ち込むな
持ち込んだのが>>741
火種も悪けりゃそれに過剰反応してるアンチも悪い。
アンチはこの状況がN3がどうのこうので荒れていたLAS投下スレの状況と酷似していることを理解しろ。
ホントおめーら舐めてんの?
「なんでもあり」を楽しみに見てんだよ!
他スレの話も制限の話も流してくれ!これは命令じゃない、お願いだ!
アンチだからLAS投下スレの状況なんて推し量る術もない
火種LAS人
なんでもありのはずのスレにLASでないと許容できない、もしくは
LASが許せないという奴らが来ていること自体がそもそも間違ってる。
>>761
 次 回 予 告

落ち込むトウジを慰めようと自らの身体を捧げるヒカリ。
それでもトウジはヒカリをフィルターにしてアスカしか見ていなかった。
幼さ故の残酷さ。
どうにもならない現実を知らされたヒカリの心の内に一つの闇が生まれる。

次回新世紀エヴァンゲリオン another episode
【絶望という名のナイフ】

この次もォ……君は時の涙を見る。(池田)
LASスレヲチみたいな流れだったところにヲチ対象の本人が
「いや違うんだ、俺たちは悪くないんだ」みたいなレスしたんだから
荒れるのは当然なんだよな。

まあ、以下何事もなかったかのようにマターリと(´∀`)
は〜い(´∀`) ノ
LASスレヲチ自体このスレでやる事じゃないけどな
他のスレの動向に構うなって事だ

まあ、以下何事もなかったかのようにマターリと(´∀`)
は〜い(´∀`) ノ
んじゃあ、ssについて書いてみるか。
レイと付き合ってる→アスカ押し倒す→カヲルとキッス→レイと不仲に→アスカに告白→やっぱりレイがいいや
シンジキュン、外道二世の名を冠するにふさわしい最低ぶりだな。
羅列すると凄いな
未だかつて学園系の話でここまで外道なシンジは見たことがない。
外道というよりただ主体性がないだけのような。
この話の中で一番被害被ってるのはアスカだろうな。
ゲンドウに振られて、傷心の所にシンジが「アスカだけを好きでいる」って告白したから受け入れたのに、
「やっぱり綾波が一番好きだ」でまた振られて・・・。
男性不信になっていないことを祈ります。
そもそもゲンドウに走った理由だって、
ずっと見つめてたシンジがレイに惚れはじめたからだろ?
どれだけシンジに人生振り回されてんのこの子……。
アスカと付き合っていたわけじゃないし、誰に惚れようがシンジの勝手じゃないの。


そこで戦わなかったアスカが悪い
>>801
誰に惚れようが勝手だけど、告白して即振るのは勝手じゃないわな
それは外道と呼ばれる者でしょう
とりあえずいちご100%風味が出てるのはあると思う
心に留めておく分には勝手だったんだけどね。
巻き込んでしまったから勝手じゃすまなくなった。
806801:05/03/02 02:32:57 ID:???
>803
中学2年の時の事について言ってるんだけどね。
現在と過去を混同しないで。
告白して即振ったのはシンジが悪いと思うよ。


押し倒して告白して振って・・・
ここまでくるといくら恋愛は自由と言えど、さすがに非道いだろ。
>>806
ああ、直前のレスだけに返してたのか
全体的な流れで見て誤解してたよ
すまんかった
まぁ、子供が居るのに浮気しまくってたあなたの父親と結婚しました。
幸せです。
なんて事をわざわざシンジに教えるアスカもかなりのもんだと思うよ。
悩んでたの知ってたろうに、せめて申し訳なさそうに言うもんだと思うけど
だから整合性は無いんだYO
辻褄に話を持っていっても仕方ないんだYO
多くを衝動的な行動でジャンプさせているから
漏れはゲンドウかアスカどっちか(もしくはどっちも)死ぬんじゃないかと思ってた
シンジかユイが殺しちゃうかも、と
そしたらリツコが登場しますたがw
ライブ感覚だYO!
シンジとゲンドウ、似たもの親子だなぁw
最低なのはアスカじゃん。いくら好きだったて言われたからって
ゲンドウに振られた直後、友達の彼氏奪おうとするなんてさ。
シンジは最低だったけど最後いい選択したって思ってるよ俺は。
逆にシンジがレイを振ってアスカと付き合うようになったら
俺は本当どうしようもない最低男だって思うけどな。
ともあれ作者さん乙!!良かったよ!!
まぁ最後のアスカはいいやつだったと思うよ。
潔く身を引いてたしね。
シンジも悩みに悩んだ上自分の気持ちがわかったわけだし。
綾波も最後まで健気だったし。良かった!GJ!!
シンジと周りが派手に動いて、あまりレイは動かん話だったな。
レイは拗ねてただけみたいな…
レイだって怒る時ぐらいあるさ。あのシンジじゃ…
『嫌わないで私を捨てないで…悪いのは私…』みたいなのよりは
全然現実味があっていい。他のssじゃそーゆーのが多い中
このレイは俺好みだった。ただもうちょっとレイの心理描写が
欲しかったかも…
もっとヤキモチやくレイタンが見たかったよ・・・(´・ω・`)
 僕は今、上司のお姉さん?であるミサトさんの家でお世話になっている。
いろいろと事情があってそうなったんだけど、もうひとり同級生の女の子も
同居していた。
 彼女、アスカと一緒に生活を共にするようになった初めの頃はいつもドキ
ドキだった。お風呂上がりの彼女は妙に恥じらいがあって、なんというか色気
があった。他にも一緒に暮らしているといろいろあるわけで、タンクトップの
脇の隙間から胸の膨らみがちょこっと見えただけでも僕の心臓がバクバク
鳴っていた。
 まあ、それも最初の頃だけだったんだけどね。
 その後、アスカの生活態度はどんどんミサトさん化していった。
 初めは分担してくれた食事や掃除も僕任せになり、今では下着の洗濯
さえもやらされている。アスカのパンツにドキドキしていたのも最初だけで、
今では単に汚い下着にしか見えない。
 さらにアスカのミサトさん化はそれだけに留まらず、部屋の中にいる時は
平気で下着姿になっていた。ノーブラにTシャツやタンクトップのことも多い。
昔は、一分の隙もなく部屋着をちゃんと身に纏っていたのに。
 更に更に、ブラもしなないで上半身裸のままのことも多い。初めてアスカの
乳首を見た時なんてすごい興奮で眠れなかったけど、やはり慣れというもの
があって、今ではピクリともアレが反応しなくなった。まあ、触れれば別なん
だろうけど。

 今夜もやっぱりアスカは同じだった。
 お風呂上がりの彼女はパンツ一枚だけを身に着けて、冷蔵庫の前で牛乳を
パックごとラッパ飲みしていた。ご丁寧に、首にハンドタオルをかけて、左手を
腰横に置いたあのポーズをとっている。もちろん彼女の胸は丸出しだ。
 今さらアスカの乳を見て興奮することもないけど、僕もやっぱり中学生で女の
子に幻想みたいなものを持っていたわけで、それを壊してくれた彼女に文句の
一つも言いたくなった。
「アスカ。いつも裸でいるけど、止めてくれないかな」
「なんでよ?」
 ドスッと牛乳の1リットルパックをテーブルに置き、アスカは小首をかしげた。
 本当に彼女はわからないのだろうかと僕は溜め息をつき、
「あのさ、僕だって男だよ。アスカは恥ずかしくないの?」
「へー、シンジもそんなこと言うんだ?」
「そりゃそうだろ。だいたい、男の前でそんな恰好をしていたら、襲われても
文句は言えないよ」
 アスカは僕を小馬鹿にするように鼻で笑った後、
「ふ〜ん、アンタにそんな度胸なんて無いくせに」
「な、なんだって!」
「悔しかったらアタシを襲ってみなさいよ。まあ、シンジがアタシに腕力でかな
うわけ無いけどね」
「……」
 その言葉は真実で、僕は一度たりとも格闘技訓練でアスカに勝ったことはない。
 でも、彼女の僕をバカにした態度が頭にキていて、
「わかった。アスカが家の中でそういう恰好をするなら、僕もそうするから」
 と言って、僕はTシャツを脱いだ。
 そして、ズボンとパンツへ一緒に手を掛けて、勢いよく下ろした。
 当然、フルチン。
 僕は堂々とアスカにそれを見せつけた。
 でも、アスカは余裕の笑みを浮かべると、
「ふふ〜ん、ジャージのよりも粗末じゃん」
 と言い残し、自分の部屋に戻っていった。
 僕は急に恥ずかしくなって下げていたパンツとズボンを元に戻した。
── だけど、アスカはどうしてトウジのを知っているんだろう。
 ふと、そう思った。
 けれど、そう言えばオーバーザレインボーでアスカは見ているんだよなと
合点した。
「うん、うん。そうだよなあ」
 と独り言をして何度も肯いていた僕へ部屋から戻ってきたアスカが、
「アンタ、裸でいるの止めたんだ?」
 と訊いてきた。
 僕は顔を赤くしながら、
「い、いいだろ、別に。僕はアスカとは違うんだ。デリケートなんだよ」
「はい、はい、わかりました」
 アスカは馬鹿にするような返事をしてから、今度はアイスバーを食べ始めた。
 僕はその様子を呆れたように見ていたが、ふと彼女がブラをつけてTシャツを
着ていることに気付いた。

 その後、アスカの生活態度がちょこっと変わった。
 少なくとも僕の前で裸になることはなかったのである。最低限、ブラとパンツは
ちゃんと身に着けている。ほとんどはTシャツなどを上に着ていた。まあ、下はパ
ンツだけのことが多いけど。
「〜ということがあったんだ」
 ネルフ本部の休憩ルームで、僕は綾波にこれまでのあらましを語った。
 長椅子に座って缶ジュースを飲んでいた僕たちは訓練までの空き時間を潰して
いたのだ。
 綾波は黙って僕の話を聞いていたが、
「それで、碇君は私に何を訊きたいの?」
 と静かに問い掛けてきた。
 僕は顔を赤らめて僅かに俯いた後、
「えーと、前に綾波の裸を僕が見ちゃったことがあったよね?」
「ええ、あったわ」
「あの時さ、綾波は恥ずかしくなかったの?」
「……」
 綾波は何も答えずに俯いてしまった。
 僕はどうしたんだろうと思いながら彼女を見ていた。
 あの時、彼女は恥ずかしがることもなく、僕が押し倒した時も無表情だったのに。
「綾波?」
「……」
「どうしたの?」
「……いじわる言わないで」
「へっ?」
 明らかに恥ずかしがるよう声で綾波が答えたことに、僕は激しく当惑した。
「ええっ、」
「……碇君のバカ」
「えっ、でも、あの時、綾波の胸を触ったのに何も言わなかったじゃないか」
「どいて、と言ったわ」
「あ、そうだけど、ええっ、!」
 僕は知らないうちに大声を出していた。
 そして、周りのことなんて目に入らないくらい意識を綾波に向けていたのが悪かった。
「ほほー、無敵のシンジ様はファーストの裸を見たわけですか? 触っちゃったと?」
 背後からアスカの低い声が聞こえた。
 僕はギギギっとぎこちなく首を後ろに回すと、そこには両腕を君で睨んでいるアスカが
立っていた。僕は震える声で、
「ア、アスカ。いつから聞いていたの?」
「んー、ファーストの裸を見たってところからよ」
 と言って、アスカはニコッと笑った。
 でも、彼女の青い目は据わっていて、僕は原初の恐怖を感じていた。
「お、落ち着いて、アスカ。僕はアスカの裸も見ているし、も、問題無いよ〜な、あるような」
「アタシは落ち着いているわよ。で、言いたいことはそれだけ?」
「え、えーと、綾波〜」
 僕は助けを求めようと綾波へ目を向けたが、彼女は頬に両手を当てて恥ずかしがっていた。
 綾波に何とかしてもらうことは諦めるしかなく、
「アスカ、落ち着こうよ。ほら、僕はアスカを押し倒していないし、何もしていないでしょ」
「ふ〜ん、言い訳するの? アタシを押し倒してないから関係無いって?」
「う、うん、」
「それがムカつくっていうのよ!」
 と叫んだ直後、アスカは僕に脳天踵落としを食らわせた。
 薄れゆく意識の中で、僕は女の子って不思議だなあとノンキなことを考えていた。


オチが無いけど、おわりです
やっぱ、恥じらいはあった方がいいよな・・・乙
うは、
「碇君・・・ポッ」がキター!!
アスカの裸を見慣れすぎて何も感じない…って羨ましいを通り越して哀れだ。
なんだこのバカ話w
禿藁たよ
いいよいいよ、こーゆうの大好きw
もっと書いてくれ
なんかおもろかったw
いいね、こういうの。続きキボンヌ(;´Д`)ハァハァ
シンジのフルチンが意外とアスカに衝撃を与えたのですかねw
誘惑を気付かれずエスカレートしていったアスカが哀れ…
結局シンジはレイの新たな魅力に気付いただけだしなぁ。
頑張れアスカ!
フッ、アスカは分かってないな。
男というものは本格的に見えちまうより
見えるか見えないか微妙なチラリズムの方が興奮するってもんだ。
そこでチラリズムに目覚めるも、
パンチラ→裸エプロン→結局裸
なアスカ
>>831
狂おしいほど同意
トウジのチンチンが気になる
835名無しが氏んでも代わりはいるもの:05/03/03 01:16:13 ID:9ZijYjs8
>>790
ナレーションは小杉十郎太ですから、残念!
君は、刻の涙を見る・・・斬り!
トウジによる寝取りかと期待してしまったのは
俺だけじゃないはずだ
これはイカリクンポじゃないけどイカリクンポですね
乙!
今日はひな祭りですよ!時事行事読み切りщ(゚д゚щ)カモーン
やっべ、ひな祭り忘れてた
俺も。。
1週間前まで覚えてたのにちょっと長めのSS書いてたらすっかり忘れた。
トリックを見て、文字には不思議な力がある思い込んだアスカさん
というわけで、ノートにシンジは恋人と書こうと思いたったが、漢字がよくわからないアスカさん
案の定、「シンジは変人」とずっと書き続けてしまいました

1年後、シンジ君は立派な変態さんになりましたとさ
スレ間違えすぎ
清々しい誤爆でワロタw
もうすぐホワイトデーですよ、皆さん。
845名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/21(月) 10:28:37 ID:???
終わりましたよ、みなさん
846名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/26(土) 01:29:08 ID:???
もうすぐエイプリルフールですよ、皆さん
847名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/26(土) 02:04:12 ID:???
終わりましたよ、みなさん
848名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/26(土) 03:12:12 ID:???
>>846
嘘つけ
849名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/26(土) 16:46:54 ID:???
卒業とか入学とか、出会いとか別れネタの季節ですよ、皆さん
850名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/26(土) 17:50:11 ID:???
ネタだけかよ
851名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/26(土) 21:36:09 ID:???
>>848
素朴な疑問。
>>847に対してのレスじゃないのか?
852名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/26(土) 23:47:14 ID:???
>>851
>>848>>846に向かって
エイプリルフールネタのSSでも投下せんかーい!!
と強要しておるのですよ
853名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/27(日) 00:03:13 ID:???
なるほど!そういう事だったのかw
854名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/30(水) 22:13:34 ID:???
あと2時間で綾波の誕生日が終わっちゃいますよ、皆さん。
855名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/31(木) 00:04:07 ID:???
終りましたよ、みなさん
856名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/31(木) 02:18:14 ID:???
ついさっき、稲妻の様にLASネタが脳裏に閃いたのだが。
…LASワールドではエイプリル・フールにシンジとアスカが一緒に生活しているのはOKなんですか?
本編でアスカが登場したのは夏以降なんですが…。
そんなのは関係なし?
いやここに投下するネタではないんですが、四月バカの話題があったものですからw
857名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/31(木) 02:23:04 ID:???
本編エヴァ世界はたしか夏から翌年の春頃までの話だった気がする。
そのへんのタイムスケジュールを追っかけたHPがどっかにあったと思うけど
思い出せん。

まあでもLAS世界だから、でいい気もするけどね。同居。
858名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/31(木) 02:36:41 ID:???
>>857
素早い回答ありがとうございました。
やはりそうなんでしょうね。
LASワールド…あるいは学園ワールドはある程度の遊びが許されている、つー事で自己完結しますw
859名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/31(木) 03:09:41 ID:???
ぶっちゃけSSはある意味異世界だから、作者さん次第でなんでもありでいい気もする
860名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/31(木) 03:13:15 ID:???
エイプリルフールネタ書いて

「本編でアスカとシンジが4/1を迎えていたという根拠はドコだよ」

とか言われたらイヤだよなw
861名無しが氏んでも代わりはいるもの:皇紀2665/04/01(金) 01:27:02 ID:???
>>860でエイプリルフールを思い出したので書いてみたよ。
862ショートストーリー@アスカの場合:皇紀2665/04/01(金) 01:27:45 ID:???
「シンジ、アタシ結婚する事にしたの」

「……………………え?……なに?」

「日本の法律だと女の子は16歳で結婚できるでしょ、だから」

「………え?…………………なに?」

「………Ich verbinde.」

「だ、誰と?」

「(なんでドイツ語だと通じるのよ、どんな動揺の仕方だっつーの……)
  前から『好きだ』って言ってくれてた人が居てね、アタシを中心に考えてくれるの。
  歳は多少離れてるけど、大した問題じゃないわ。アタシは大学卒業レベルの学力もあるし」

ガシャ

部屋の入り口から話しかけてくるアスカの方に顔だけ向けて応対していたシンジは、
洗い途中の食器を落とす。派手な音がしたのだが、気付く様子も無い。

「ベタなリアクションね」
「ア、アスカ?」
「なによ?」

「エイプリルフールは明日だよ?」
「だから今日言ったんじゃない、明日話したら嘘だと思われるでしょ」
「じゃ、じゃあホントに?」
「まぁね。それより“家族”の幸せを祝福してくれないわけ?薄情な男…」
863ショートストーリー@アスカの場合:皇紀2665/04/01(金) 01:28:37 ID:???
「ほ、ホントにホントなの?」
「しつこいわね、アンタも早く良い人探しなさいよ。ミサトとでも結婚するつもり?」
「僕の事はいいよ!相手は誰なのさ!僕の知ってる人?」
「知るわけないじゃない。まぁでもそのうち紹介するわ」

「なんでさ!いつの間にそんな事になってるのさ!」
「なに泣いてんのよ、娘を嫁に出す父親の気分にでもなったの?」
「そうじゃない!………そうじゃないんだ……………」
「もしかしてアンタ、アタシの事好きだったの?」

「……………………………分からない」
「はぁ?仮にも“家族”なんだから『分からない』ってのはないでしょ」
「す、好きだよ。……でもそれは“家族”としての気持ちなのかどうか………」
「シンジはアタシの事を“女”として見てないわ。見てたとしても、それは身体だけ。
 今の彼氏がアタシを想う気持ちとは違うもの、仲良しを取られたくないだけなのよ」

「…………………………」
「ほら、何も言えないじゃない。まぁ結婚式の準備は手伝ってもらうわよ」
「…………………イヤだ」
「なにワガママ言ってんのよ、手伝えるのはアンタとミサトぐらいでしょ」
「………イヤだ…………渡したくない……アスカを他の男なんかに渡したくない!」

取り乱すシンジにアスカは一瞬驚いた表情を浮かべるが、スグに冷静な表情に戻して
子供を諭すように優しく話しかける。

「馬鹿ね、別に縁が切れるわけじゃないのよ。アタシ達はいつまでも“家族”でしょ」
「……………………」
「アンタはここ2年で随分と良い男になったわよ、きっと素敵な女の子が見つかる。
 今はただ数少ない異性が離れていく事に戸惑っているだけよ」
「……………………」
「アタシは恋愛対象としての異性じゃないわ、アンタにも本当に好きな子が出来たら分かるわよ」
864ショートストーリー@アスカの場合:皇紀2665/04/01(金) 01:29:18 ID:???
「……………………」
「聞いてんの?」
「………………………愛してる…………」
「は?」
「愛してるんだ、アスカを……………一生大切にする!だからドコにも行かないで!」

「…………あのね、アンタがアタシに一生付き合えるわけないじゃない。
 家事も炊事もアンタより出来なくて、生意気で自分勝手なアタシに疲れてるでしょ?」
「関係無い!そんな事よりも一緒に居たいだけなんだ!僕よりアスカを好きな男なんて居るはずないんだ!」
「…………シンジ、エイプリルフールは明日よ」
「嘘じゃないんだよ!アスカが結婚するって言うなら僕は………………アスカを…………」
「怖いわね」
「………………………本気さ…………」




「殺されたくないからやめとくわ」
「…………………………え?………」

「撮れた?」
「んー、バッチリね」
「………………ミサト………さん?……アスカ?」
865ショートストーリー@アスカの場合:ときに2015/04/01(金) 01:29:54 ID:???
アスカの作戦は単純だった、だからこそ確実性が高かったのだ。
4/1に嘘をつけば、俄かには信じてもらえない。しかし、その“前日”であれば信憑性は普段より高くなる。
『だから今日言ったんじゃない、明日話したら嘘だと思われるでしょ』これこそが最高のスパイスである。

普段からシンジをからかっているアスカにしてみれば、4/1以外に嘘を付くなんて造作も無い事。
『自分はシンジに愛されている』と微塵も疑っていなかったアスカは、ミサトの提案にアッサリ乗ったのだ。

「え?やめるって…………結婚を?」
「結婚っていうか、誰なのよ、その『歳の多少離れた彼氏』って」
「アスカが自分で……………」
「オレオレ詐欺に気を付けるのよ」
「………はあ」

「んじゃ、一生よろしく!」
「だ、だってエイプリルフールは明日でしょ!?」
「だからでしょ、明日言ったら信じてもらえないじゃん。それともさっきのセリフは嘘なの?」
「う、嘘じゃないよ!………けど………………………ヒドイ…………」

「そうね、でも『そんな事よりも一緒に居たい』んでしょ?」
「………………も、もうアスカがイヤだって言っても別れてなんかあげないからね!」
「なに開き直ってんのよ、最初からアンタにアタシから離れる権利なんて無いのよ」


「シンちゃん、おめでと。言ったとおりだったでしょ」
「えぇ、いつも最後は上手くはぐらかされてましたからね。ありがとうございますミサトさん」



「………………へ?……………」
866ショートショート:皇紀2665/04/01(金) 01:30:38 ID:???
ここからは超短編集

867ショートショート@ミサトの場合:ときに2015/04/01(金) 01:31:10 ID:???

「……はぁっ……ぅんっ…………んっ………あぁっ………ダメ…もう………あんっ……」

「うっ………ミサト………さん………もう……イキそう……………です……」

「……はぁっ……中で…………いい………わよ…………んっ……」

「……………大丈夫……なん………ですか……?……はぁっ……う……」

「安全日…………だから……………ぁんっ……」

「………………………………」

「…きて…………ナカに……………………シンちゃん……」




ドクッ  びゅっ  びゅびゅっ

「あーーーーー!なんで外に出しちゃうのよぅ!」

「日付………変わってましたから……………4/1に」

「チッ、鋭くなったわね」




「………愛してますよ、ミサトさん」

「(4/1に言うか…………ちょっと開発し過ぎたわね……)」
868ショートショート@ヒカリの場合:ときに2015/04/01(金) 01:31:56 ID:???
「鈴原……今日ってエイプリルフールよね」

「あぁ、そういえばそやな。なんや、嘘でも付くんか?こんなトコ呼び出して」

「あのね……………私……鈴原の事、、好きなの」

「こりゃまた分かり易い嘘やなぁ」

「…………ホントなの……好き………………」

「なに言ってんねんー(棒読み)」 ズビシッ  「こんなんでええか?」

「………………………好きなの……………」

「い、イインチョ?……」

「好き……………」

「…………………………」

「……付き合って………………」

「…………………………本気なんか?」

「本気よ…………ずっと好きだった……………」

「……イインチョ……………」   ぎゅっ



「アレってなんかズルくない?ねぇシンジ」
「覗きはよくないよアスカ、それより全校放送で僕の子供を身篭ったとか、やめてくれないかな」
869ショートショート@ケンスケの場合:ときに2015/04/01(金) 01:32:31 ID:???
「シンジー、面白い写真が撮れたから見てくれよ」
「いいけど………ってコレ!僕が初めて初号機に乗った時の写真!?」

「こんなのもあるぜ、綾波の『涙』だ」
「す、凄い……………しかもこっちはリリス化した綾波!?(どこから撮ってるんだ!?)」

「惣流が夜の甲板で加持さんに迫った写真もあるぜ」
「これってアスカが来る前じゃないの!?」

「極めつけはコレだ!『碇シンジ、惣流アスカを殺人未遂!』、ベストショットだな」
「な!なんでこんなのが!?ケンスケってあの時溶けてなかったの!?」

「あー、こっちも良いな。『碇シンジ、病室でアスカを目の前に自慰!』」
「うわー!!やめて!返してよ!なんでこんなの持ってるのさ!?」

「あぁ、実は写真じゃなくてDVDからキャプったんだよ」
「でぃ、DVD!?」

「………はははっ、今日はエイプリルフールだぜシンジ。嘘だよ、う ・ そ」
「え!?………なんだぁ、ビックリした。。驚かせ過ぎだよケンスケ」






「って事があってさー、全くケンスケは嘘にも気合が入ってるよね」
「………………嘘?だったら何で真実を相田が知ってるのよ」


「……………………………あ……………………」
870ショートショート@レイの場合:ときに2015/04/01(金) 01:33:04 ID:???
「綾波はエイプリルフールって知ってる?」
「知らないわ」

「今日がその日でさ、『嘘を付いても許される日』なんだよ」
「そう……嫌な日ね」

「人を喜ばせる嘘なら良いんだよ、綾波も誰かに嘘を付いてみたら?」
「喜んでくれるか分からないもの……」

「そんなに考えなくても大丈夫だよ、気軽に言っちゃっても良いんだ」

「そう……………碇君…」

「なに?何か思いついた?」
「碇君と私の子供が出来ないの」

「…………………え?」
「病院に行ってないの、検査でも出来てないって、2人の子供が出来てないのよ」

「あ、綾波?」
「嘘なの、ホントは妊娠してるわ」

「え!?だ、だって僕たち………
「やっぱり喜んではくれない………」

「ちょ、ちょっと待ってよ綾……」
「碇君、エイプリルフールって知ってる?」



「………………『知らないわ』から嘘か…………」
871ショートショート@リツコの場合:ときに2015/04/01(金) 01:33:58 ID:???
「マヤ、今から2つ話があるわ。1つは嘘、1つは真実よ」
「え?…………せ、先輩?」

「碇司令を殺したの。もう都合の良い女はやってられない。
 ちなみに捕まりたくないからダミーを作成したわ」
「!!……………………も、もう1つは…?」

「私はレズよ」
「……………そ、それで私はどっちかを見破るんですか?」

「MAGIを使って良いわよ、ダミーかどうか見破ってみなさい」



「………確かめる必要はありません、碇司令は死んでいない」


「………どうして?」
「2番目が真実だからです。そうすると1番目は必然的に嘘となります」

「……………………残念ね、1番目が真実よ。と、いうよりも私を変態扱いしないで欲しいわ」
「なるほど、『1つは嘘、1つは真実』これがそもそも嘘だったんですね」

「…………マヤ?」
「人を喜ばせる嘘なら大歓迎ですよ先輩」
「何故脱いでるの?」

「真実を確かめるだけですから」
「……う、嘘よねマヤ」

「それはこれから確かめてください」
「い、、いやぁぁぁー!!やめて!やめなさいマゃ……あんっ!…………いやっ………………ぁぁぁぁ…」
872ショートショート@ゲンドウの場合:ときに2015/04/01(金) 01:35:14 ID:???
「冬月、ユイのサルベージに成功した」
「………碇、それは随分と自虐的な嘘だな」

「本当だ。たまたま今日成功しただけで、日付は関係無い」
「では、見せてもらおうか」

「ユイ、入っていいぞ」



「冬月先生、お久し振りです」
「……………何のマネだ碇、レイの髪を染めただけではないか」

「魂はユイだ、髪も染めてなどいない。『4人目』の身体だけ使用したらしい」
「ば、バカな……本当なのか?本当にユイ君なのか?」

「冬月先生、お歳を召されましたね」
「ゆ、ユイ君……………あれから15年だからな、私も老いるさ」

「今日は家でユイが手作り料理を振舞ってくれる。招待させて頂きたい、冬月先生」
「い、碇…………私は……私は…………………ありがとう、是非招待させてもらう」


「ユイ、何故全て野菜なのだ」
「いいではないか碇、この老体を気遣ってくれているんだろう」

「肉………嫌いだもの」



「ユイ?」
「ユイ君?」
873ショートショート:ときに2015/04/01(金) 01:36:51 ID:???
終わり。


エヴァ板の日付が変わっタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!!
874名無しが氏んでも代わりはいるもの:ときに2015/04/01(金) 01:50:03 ID:???
>>873
レベル高いSSをありがとう、この気持ちは嘘じゃないぞ?w
875名無しが氏んでも代わりはいるもの:ときに2015/04/01(金) 02:06:19 ID:???
GJ!
ミサトをシンジと絡ませる辺り、あの人じゃないかと予想してみるw
876名無しが氏んでも代わりはいるもの:ときに2015/04/01(金) 02:13:29 ID:???
よくやった、イベントネタはやっぱり面白い。
877名無しが氏んでも代わりはいるもの:ときに2015/04/01(金) 03:20:09 ID:???
あー、これ(ショートショート)4コマ漫画で読みてぇー

作者乙
878名無しが氏んでも代わりはいるもの:時に、西暦2015-10/04/01(金) 12:10:18 ID:???
オッテュ
879名無しが氏んでも代わりはいるもの:時に、西暦2015-10/04/01(金) 23:43:41 ID:???
>>877
書いてみたw
下手でスマソ
880879:時に、西暦2015-10/04/01(金) 23:44:36 ID:???
881名無しが氏んでも代わりはいるもの:時に、西暦2015-10/04/02(土) 02:17:21 ID:hqnppzMA
気付かなかったー
ひま氏GJ!
882名無しが氏んでも代わりはいるもの:時に、西暦2015-10/04/02(土) 02:17:55 ID:???
sageチェック外れてたごめん…
883名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/04/07(木) 12:53:18 ID:???
問題ない
884全板人気トナメ@エヴァ板支援SS:2005/04/13(水) 13:34:51 ID:???
「第2回全板人気トーナメント?」


「そうだよ、まさか知らないの?アスカ」
「(知ってるに決まってんじゃない……誰が散々サービスして盛り上げてきたと思ってんのよ…)
 ……よくは知らないわね。で、それがどうかしたの?」

「エヴァ板も残ってるんだよ、今日がその投票日だから……」
「だから?」

「ア、アスカにも投票して欲しくって、、それで……」
「(アタシはラシに合わせて投票したいのよねー)
 ア、アタシはいいわよ。そんな低俗そうな事には興味ないもの」

「お願いだよ、そんなに難しくないからさ。僕でも出来たんだし」
「ま、まさかアンタうちのPCから投票したの!?」

「え?そ、そうだけど」
「ふざけないでよ!ちゃんとシステムを理解しなさいよね!
 IPからコード取ってきてるんだからアンタと被って無効票になっちゃうじゃない!」

「ご、ごめん!……でもアスカ詳しい…」
「うるっさーい!もうこのバカ!バカシンジ!
 これでエヴァ板が通過しなかったら別れるからね!」



「………嘘だよアスカ、ラシの時間に頑張ってね」


「…………………………コロス……」(真っ赤)
885全板人気トナメ@エヴァ板支援SS02:2005/04/13(水) 13:35:23 ID:???
「司令、いよいよエヴァ板の投票日ですが本当に実行なさるつもりですか?」

「あぁ、問題無い」
「(このオヤジこればっかなのよね…)
 では、MAGIを使っての多重IP獲得と分速500投稿を指示してきます」

「赤木リツコ博士、勝算はどれぐらいかね」
「(…分速500なのよ、勝つに決まってるじゃない…)
 おそらく勝ち抜けるかと思いますわ」

「そうか、くれぐれも慎重にな」
「(…まぁ確かに無効票扱いされる危険性は高いわね)
 はい、分かっております」


「レイ、聞いていたか?今回こそエヴァ板が優勝できる」
「……………………」

「どうした、嬉しくないのか?」
「……………ルール違反………」

「我々がルールだ、邪魔者は排除すればいい」
「………私は排除される………」

「何を言っている………邪魔をするつもりなのか?」
「ルールを破って勝っても、碇君は喜ばない……」


「…………………では、後に居るたくさんのお前は何なのだ?」


「………1人1票だから………………」
886全板人気トナメ@エヴァ板支援SS03:2005/04/13(水) 13:35:56 ID:???
「マヤちゃん、キミも投票するのかい?」
「あ、加持さん。 はい、お祭ですからね。やっぱりエヴァ板に勝ち残って欲しいですし」

「そうか、実は俺が調べたところではカナリの強敵揃いだ。なかなか難しいだろうな」
「そうなんですか………でも……例え勝ち残れなくても投票する事に意味があると思うんです」

「いいね、キミは純粋だ。俺がキミの為にエヴァ板を勝ち残らせてやる」
「え!? どうするんですか?」

「なに、簡単な事さ。部下をちょっとトーナメント運営本部へ走らせていてね、
 凶暴な奴だから今頃は話をつけていると思うよ。
 それより、無事に通過した暁には俺とのデート、考えてくれるかい?」
「え……あ、あの………………もしかしてその『部下』って………後にいる……」

「かぁ〜じぃ〜!!」
「げっ!葛城!」

「なぁにが『敵対勢力』よ!私を騙して職員をナンパしてるなんて良い度胸じゃない!」
「お、落ち着け葛城、お前だってエヴァ板に勝ち残って欲しいだろ?」

「こんなやり方で勝ち残っても嬉しくないわよ!真剣にやって、それで負けたら諦めるわよ」
「そりゃあそうなんだが………」
「………あ、あの……加持さん、葛城さん……アレは…?」

「うわ!」
「な!なによあの大量のレイは!?
  ちょっと!レイ!?」



「………1人1票だから………………」
887全板人気トナメ@エヴァ板支援SS04:2005/04/13(水) 13:36:28 ID:???
「だからアタシは言ったのよ、ファーストは独裁者タイプだって」
「い、いやこれはきっと父さんに騙されてるんだよ、綾波がこんな事するはずないよ」
「なによアンタ、まさかアタシよりファーストを信じるの?」
「そういう問題じゃなくてさ、これは余りにも常軌を逸してるから……」

「2人とも、さっきから何を話しているの?」
「う、ううん!何でもないよ綾波」
「……で、アンタは何を考えてそんなに増えてるわけ?」

「………1人1票だから………………」
「あんたバカぁ!?いくら何でもやりすぎなのよ!」
「綾波……そういうのは良くないと思うよ?」

「どうして?何も悪い事はしてないわ」
「…はぁ……いい?普通は増殖する事なんて出来ないのよ、
 アンタだけ増殖が可能なら、それは不公平ってもんなのよ!」

「……わからない…………悔しいの?」
「な、なぁんでアタシが悔しがらないといけないのよ!アタシはアタシ1人で十分よ!」

「綾波…………なんでそこまで人気トーナメントにこだわるのさ」





「……私には、これしかないもの」


「「んなこたない」」
888全板人気トナメ@エヴァ板支援SS05:2005/04/13(水) 13:37:02 ID:???
「鈴原、今日の全板人気トーナメントの事だけど……」
「わかっとる、エヴァ板に投票すればええんやろ?」

「うん………お願いね」
「心配性だなぁ委員長は、大丈夫さ、トウジも俺も投票するし、惣流や碇も入れるって言ってたじゃないか」

「そうなんだけど、不安なのよ………相田は本当に良いの?『めがね』や『軍事』に入れなくて………」
「あ、あのな……俺だってエヴァが好きなんだぜ?(…くぅ〜、投票日が被ってなければ(泣)」

「ご、ごめん………鈴原は『葉書』や『さくら』が好きだって言ってたし……」
「言っとらんわ!誤解や誤解!(……コイツ、何で知っとんのや…)」

「碇君だって本当は『葉書』に入れたいと思うの……エヴァ板への投票は私が勝手にお願いしたから……」
「あ、アホな事言うなや!確かに魅力的な板が揃っとる、だけどワシらは『エヴァ』に入れるしかないやろ!」
「そうさ、好きな板が幾つかある事はしょうがないぜ、でもやっぱり『エヴァ』に入れないとな」

「ありがとう2人とも!2次予選を通過したら私の手料理をご馳走するから!」
「ほんまか!委員長の手料理はなかなか上手かったし、こりゃ楽しみやで」
「ん?なんで知ってるんだよトウジ」

「あ、あの、、ほ、ほら!帰りのHR始まっちゃうよ!」
「ん〜?怪しいなぁ、どうなんだよトウジ」
「ま、まぁ良いやないか、それより根府川センセも来たし、静かにせんと」

「え〜、皆さん、本日は全板人気トーナメントですね」
「(へー、やっぱり先生も入れるんだ……普段はどんな板を見てるんだろ)」


「『既婚女性』板を宜しくお願いしますよ」


「「「帰れネカマ」」」
889全板人気トナメ@エヴァ板支援SS06:2005/04/13(水) 13:37:36 ID:???
「お疲れ様リツコ、エヴァ板はどんな感じ?」
「キツイわね、MAGIも大量のレイも禁止されたわ。まぁ当然だけど」

「楽しめば良いのよ、負けてもエヴァ板が無くなる訳じゃないわ」
「分かってるわ……アナタは好きな板に入れても良いのよ、技術部以外には強制してないし」

「……ううん……………エヴァに入れるわ。作戦部長だもんね、好きなのよ、、エヴァが…」
「ま、アナタも私も『既婚女性』にはまだ入れられない」

「ま、まぁね〜……でも、もしかしたら結婚するかも………」
「あら、相手は加持くん?」

「あ、あはははー……アイツさ、『エヴァ板が本戦まで行ったら結婚しよう』って……ほんとキザな奴よねー」
「そう、おめでとう」

「まだ勝ち抜けるか分からないわよ、キツイんでしょ?」
「えぇ、でも障害は大きい方が燃えるんじゃないの?」

「……そうね!よーし、ちょっと宣伝してくるわね!」
「ミサト、本当に加持くんで良いの?」

「え?……………………うん……私みたいなの貰ってくれる男なんて、アイツぐらいだもんね」
「そう、ごちそうさま」

「リツコも早く相手を見つけなさいよ、勿体無いわよ美人なんだから」
「そうね、、嘘をつかない男が良いわね。加持くんと違って」

「……へ?………」



「加持くんさっき『CCさくら』に入れてたわよ」
890全板人気トナメ@エヴァ板支援SS:2005/04/13(水) 13:39:55 ID:???
繋がってそうで、別々の話っぽくて、みたいな感じです。
負けたら終わり、記念でも構わないので投票しましょー。

↓ここで別の人がまた違うショートショートを投下(期待
891名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/04/13(水) 13:58:31 ID:???
>>890
おってゅ、レイと先生にワロスw

>よく分からない人
全板人気トナメについては↓を参考に。

【4/13】第2回全板人気トナメ選対11【本日決戦】
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/eva/1113323624/
2ちゃんねる全板人気トーナメントッッ!!
http://plum.s56.xrea.com/2ch.html

エヴァ板対策支部
http://nnstf.s81.xrea.com/tournament.html
892名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/04/17(日) 14:57:02 ID:???
893全板人気トナメ本戦一回戦突破SS:2005/04/19(火) 23:14:42 ID:???
「……涙………?わたし、、泣いてるの…?」

「バカねぇファースト、こういう時は笑えば良いのよ!」

「そう………じゃあ、なんでアナタも泣いてるの…?」

「な、な、泣いてなんかないわよっ!」

「アスカ……嬉しかったんだ?」

「うるさいわねバカシンジっ!アンタは嬉しくなかったっていうの!?
 ぼけーっとしちゃってさ、感情が無いんじゃないの?」

「そんな事ないわ、碇君は途中で画面を見てられなくなってトイレで泣いてたもの」

「あ、綾波やめてよ!…………………………………でも、、嬉しかったんだ。
 僕たちの心が一つになっただけじゃない、他の板の人たちも投票してくれた……
 その結果がラシにも結びついた、そう考えたら嬉しくて…………」

「ば、バッカじゃないの!そんな事分かってるわよ!
 アタシだって……………他の板が応援してくれて嬉しかったんだから……………」

「アスカ………」
「バカシンジ…………」

「……………ここでキスはしないで」

「「!!!」」

「そ、そんなんじゃないわよ!なに言ってんのよファースト!
 シンジも赤くなってないでなんか言いなさいよね!」
894全板人気トナメ本戦一回戦突破SS:2005/04/19(火) 23:15:22 ID:???
「ご、ごめん………
 …………あのさ、アスカも綾波も、お疲れ様」

「はぁ?なに言い出すのよ」
「碇君、それ………どういう意味?」

「2人ともすごく楽しみにして頑張ってたから、勝っても負けても言ってあげたかったんだ……」

「そう………ありがとう。 碇君も、お疲れ様。
 セカンドは………………もっと頑張って」

「な!アタシは頑張ったわよ!無表情で票を集めるアンタに言われたくないわ!」

「アナタは碇君に『お疲れ様』を言わないの?」

「言うわよっ!…………………………………
 ……ま、まぁシンジにしては頑張ったわね…………おつかれ……」

「ありがと、アスカ。………おめでとう、良かったね」









「セカンドは簡単に泣くのね」
895名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/04/22(金) 20:43:00 ID:???
いいですなぁ
次回もよろ
896名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/04/25(月) 22:52:08 ID:???
オッテュ
897名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/04/30(土) 00:21:13 ID:???
898名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/03(火) 08:19:41 ID:???
オツ
899全板人気トナメお疲れ様SS:2005/05/06(金) 23:09:36 ID:???

「……………………………………………」

「……………………………………………」

「………アスカ…」
「…………………」

「楽しかったよね」
「……………………あったりまえじゃない!」

「僕さ、ホントは怖かったんだ。トーナメントなんて、見ないようにしようって。
 ……今さら僕たちの事を覚えてる人なんか居ないって思ってた。
 その現実を見せつけられるのが怖くて……」
「……………アンタらしいわ……」

「でも今は、、やってみて良かったと思ってる………」

「アンタ馬鹿ぁ!?
 誰が忘れようと関係無いのよ!
 アタシ達が覚えてるって事、投票してくれた人数に関係無く、『その人』が覚えてくれてたって事。
 それが大事なのよ!それだけで良いの!」

「……………そうだね、その通りだよ」

「ま、そりゃあさ、アタシだってこんな多くの票が入るとは思ってなかったわよ。
 ……ここまで勝ち上がってこれたのも、信じられなかったし……」

「でもそれは現実」

「綾波は……楽しかった?」
900全板人気トナメお疲れ様SS:2005/05/06(金) 23:10:24 ID:???
「楽しい……………よく分からないわ」
「じゃ、なんで参加してたのよ」

「絆………だったから」
「悔しいとか思わなかったわけ?」

「悔しい?何故?さっきセカンドは自分で言ってた……『人数は関係無い』って」
「そうだけど!そうだけどさ………」

「セカンドは悔しそう………………でもそれで良いと思う。
 私には……そういうの無いもの」

「………アンタだって頑張ってたじゃない」

「碇君が…………」

「僕が、なに?」

「……『一番嫌いなアニメキャラクター』で1位……」

「………………………………………………………ゴメン…………」

「なに言ってんのよファースト!アンタやっぱり悔しいんじゃない!
 シンジ!そこで謝ってるから1位になんのよ!」

「ご、ごめん……」

「あー もう!」

「……………楽しい………楽しい?これが?」

「知らないわよ!自分の感情を他人に聞いてどうすんのよ」
901全板人気トナメお疲れ様SS:2005/05/06(金) 23:11:02 ID:???
「よく分からない………碇君、気にしないで」
「う、うん………(絶対気にしてるんだろうな、綾波)」

「さーて、投票してくれた板に挨拶したらご飯でも食べに行こ!」
「そうだね、ミサトさん達は?」

「三佐は、赤木博士と飲みに行くって………」
「きっとミサトも悔しかったのよ、あんなにハシャいでたんだから」
「うん………奇跡は起こらなかったけど、今回は遺書なんて必要無い作戦だったからミサトさんも楽しんでた」

「………なみ…だ………?」
「ちょっとファースト!泣いてんの!?」

「分からない…………何故泣いてるの?私」
「…………人形じゃない証拠でしょ」

「アスカ…………」
「なによ!シンジまで泣きそうになってんじゃないわよ!
 とにかく、泣いてばっかりじゃしょうがないから、こういう時は笑えば良いのよ!分かった?」

「そうだね………」
「………そうなの?」

「そうなの!!
 ほら、なに食べに行こうか決めましょ!」

「綾波は、何か食べたいものある?」

「…………………肉はイヤ……」

「「知ってる」」
902全板人気トナメお疲れ様SS:2005/05/06(金) 23:12:24 ID:???
トナメに関わった皆さん、お疲れ様でした。
903名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/06(金) 23:15:32 ID:???
お疲れ様でした!お疲れSSも乙です。
904名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/06(金) 23:20:38 ID:???
オチュ
905名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/06(金) 23:31:43 ID:???
おつ。
色々思い出したよ。
906名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/07(土) 01:29:16 ID:???
なんかほろりときた。
みんなお疲れ。
907School Evanble:2005/05/07(土) 09:54:07 ID:???
# 1 Interpersonal encounter   ,ASUKA

「ふわぁ〜ぁ」


空は青い。
雲は白い。

つまり良い天気ってわけ、欠伸も出るわよ。

アタシは窓際最後尾の席から外を眺める。
入学初日は晴天で、校庭には多分上級生であろう男子達が所狭しと身体を動かしていた。
バカみたいに広い校庭、そりゃ土地は余ってるからねぇ。

入学式後の簡単なHRも終わり、クラスでは各々が帰り支度をし、
何人かは友達作りを行っているようだった。

第三新東京市立泉桜(いずみさくら)高校(略すと「ミサクラ」らしい)の1年C組がアタシのクラス。
去年設立されたこの高校には、遷都されてから大量の生徒が入学してきている。
生徒人数が多いのも、ここを志望校にした理由の1つだ。

マンモス高であればアタシの存在なんてちっぽけになり、目立つ事から逃げられるだろう、と。
(ちなみにアタシの学年はK組まで、400人以上になる)

サードインパクトの後は世界各地で様々な小規模事件が頻発し、
ネルフやチルドレンなんて表舞台から見えなくなった。
まぁネルフは裏舞台で随分活躍したみたいだけど。
908School Evanble:2005/05/07(土) 09:54:39 ID:???
少しずつ忘れられていく『チルドレン』という存在。
それで良かったし、それが良かった。
もう、大勢からの注目はいらない。

中学校の同級生達もアタシ達のそんな空気を察してくれたのか、
『チルドレン』という言葉を口に出す人は減った。

それでも少しは身構えてた。
きっとアタシは目立ってしまう、赤い髪に青い目で、盗撮されるぐらいには可愛いみたいだから、と。

でも拍子抜け、なんだか知らないけどこのクラスには目立つ子が多い。
入学式から数時間経った今も、視線が集まってるのはアタシだけじゃない。
特に金髪でブラウンの瞳をした女の子は、アタシから見ても相当美人。
昔なら嫉妬してるトコね。…………今もちょっとはしてるけど…

でも、それも好都合。
『チルドレン』なんていらないし、『目立つ惣流=アスカ=ラングレー』とか必要無い。
高校進学はシンジとヒカリ、この2人と一緒に普通の学生をやりたかったから。

別々のクラスになっちゃったけど、シンジは『それも普通の高校生活だよ』とアッサリ言った。
まぁいい、それも一理あるし、シンジがこのクラスだったらアタシは心配したかもしれない。
浮気はダメ。
909School Evanble:2005/05/07(土) 09:55:10 ID:???
「ねぇ、惣流さん…でいいのかな?」

気が付くと男女合わせて6人ぐらいがアタシの机を取り囲んでる。
噂には聞いてた、これがイジメ?財布には余り入っていない。出すつもりも無いけど。

「これからさ、何人かでカラオケ行こうって話してたんだ、みんな初対面だし、“親睦会”って感じ?」

……どうやらイジメではないみたい。
誘われてる……ちょっと嬉しい、、けど、今日はシンジ達と帰る約束なのよね。

「ゴメンね、約束があるの」
「そうなんだ、残念。 私『城戸(きど)マドカ』、これからよろしくね」
「うん、よろしく。『アスカ』でいいわよ」
「分かった。私は『マドカ』ね。じゃあまた明日ね、アスカ」

これまた可愛い子だった。
他の子たちも名前を言ってたけど、まぁこの辺は覚えてない。
シンジに会ったら誘われた事を自慢してやろう。

「アスカ!」

マドカ達が教室から出て行こうというまさにその時、聞き覚えのある声がする。
教室内のほぼ全員がアタシとシンジを交互に見やり、マドカに至っては驚いた表情の後に
ちょっと茶化した感じで片目を瞑ってきた。声が大きいのよバカシンジ。

「アスカ、一番後ろの窓際?ムリヤリ奪い取ったわけじゃないよね?」

近づいてきて第一声がそれか、アタシの印象を悪くして何がしたいんだアンタは。
シンジは物怖じしなくなった。エヴァでの経験もあったし、アタシやミサトと行動してれば
周りの目なんか気にならなくなる、らしい。
910School Evanble:2005/05/07(土) 09:55:43 ID:???
何よりアタシの彼氏になったのが大きいとヒカリは言う。
自信が付いたんだとか、アタシを守る為に強くなってるとか。。
そうは感じないんだけどなぁ、ただ単に『麻痺』してきたんじゃないだろうか。

「ようシンジ、このC組に何の用だい?なーんてな」

そうそう、何故か3馬鹿の1人とは同じクラスになった。
さっきからずーっと(怪しく)話し込んでた新しい友達らしき男子を連れている。
まぁ、同じメガネだし良いんじゃないの。

「コイツ、『冬木タケイチ』。写真の話で盛り上がってさー、映像部を作ろうかって言ってたんだよ」
「よろしく、惣流さんに、、えーっと……」
「あ、碇シンジ。僕はD組で、ケンスケとアスカとは中学が一緒なんだ。『シンジ』でいいよ」
「じゃあ俺は『タケ』で。よろしく、シンジ」

驚いた。
『シンジでいいよ』なんてドコで覚えたんだろう。
ホント、変わったかもね。

「俺たちさ、これから各クラスを見てから帰るからトウジと委員長にはそう言っておいてくれよ」
「分かった、また明日ねケンスケ」

2人でカメラを抱えてクラス廻り?怪しさ満載だけど気にしないでおく。
とりあえずアタシはもう撮られてるだろうし、あの金髪の可愛い子も済んでるだろう。
911School Evanble:2005/05/07(土) 09:56:15 ID:???
「ねぇ、あの金髪の子、ハーフかな?」

早速そうきたか。

「知らないわよ、聞いてみれば?」
「え?なんかイキナリ怒ってる?アスカ」
「そりゃ迎えに来て最初の会話が違う女の話じゃねぇ」
「ゴメン、、でもアスカの方が可愛いから大丈夫だよ」

………色んな場所から視線が刺さった気がする。
そういう意味じゃないでしょ、いや、そういう意味なのか。
でも『大丈夫』って何よ、アタシより可愛い子だったら大丈夫じゃないのかアンタは。

「バカな事言ってないで帰るわよ、ヒカリは?」
「あ、さっき会ったけどトウジと帰るって言ってたよ」

気を利かせてるのか、単に彼氏と帰りたかっただけなのか、
その辺は詮索しないであげるわよ、ヒカリ。

「そ、んじゃ帰りましょ」
「うん。晩御飯どうする?僕が作るなら材料買うから付き合ってよ。それとも外食にする?」

間違いなく視線が刺さってる。
コイツは強くなったんじゃない、『鈍く』なったんだ。
入学初日から同棲してるなんて噂が飛んだらどうしてくれるのよ。
まぁ真実だから別に構わないけど、、、でも言い寄ってくる男が減って楽かな?
912School Evanble:2005/05/07(土) 09:56:47 ID:???
「………外食で」
「そう、分かった」

流石にこの後スーパーで一緒に買い物してる姿を見られるのもどうかと思ったので、
小声で応えながら教室を出る。 何やら出て行った後の教室内が騒がしいが、キニシナイ。



「だからー、どの子が可愛かったか聞いてんじゃない」
「ホントに全然見てないって、あの金髪の子は目立ってただけで。。
 それに僕がしっかり見てたらアスカが怒るじゃないか」

「なぁんでアタシが怒らないといけないのよ!
 …そんな事で怒ったりしないわよ、丸くなったんでしょ?アタシ」
「自分で言う事じゃないと思うけど……
 それにアスカが『丸くなった』のは女の子が絡まないときでしょ。
 僕が誰かを可愛いだなんて言おうものなら口を聞いてくれなくなるじゃないか」

「う……今回は許すから!
 だって見たでしょ?ホントに可愛い子が多いのよ。
 アタシをカラオケに誘ってくれたマドカだって相当可愛いのに、一番じゃないわ。
 女のアタシでも自慢したくなるようなクラスね」
「………ケンスケは喜びそうだね」

「まぁ変な事したらアイツの趣味をクラスにブチ撒けて晒し者にしてやるわよ」
「はは……大丈夫だと思うよ。ああ見えてケンスケは人の心を本気で傷つける事はしないよ」
「盗撮は心を傷つけないっての?」
「あれはアスカだからでしょ、『本気で』は傷つかないだろうし、内心嬉しかったんじゃないの?」
913School Evanble:2005/05/07(土) 09:57:18 ID:???
「へぇー、随分と生意気な口を聞くようになったわね、シンジ。
 流石はアタシの盗撮された写真をオカズに使用してただけはあるわ」
「や、やめてよアスカ!人が居るんだから!」

ふむ、一応羞恥心は残っているらしい。
そうか、こういう事の繰り返しがコイツを鈍くさせるのかもしれない。

「ところで…どうする?そろそろ9時だけど、出る?」
「ミサトは……居ないんだっけ?」
「うん、今日は加持さんのトコだって」

「2人っきりってわけね………」
「そんな意味深に言わなくても、、いつもの事でしょ」
「する?今日」
「アスカ……そんな事ここで」
「しない?」
「…………………したい」
「うわ、変態がいる」
「(はぁ……)はいはい」

「そんじゃ、帰ろっか」
「うん、美味しかったね」

ちょっと前に出来たという品の良い中華料理店を出るとき、
店内に見覚えのあるサングラスにヒゲの制服姿が酔っ払ってるのを見た。
連れの女の人がムチャクチャ綺麗。その女の人と目が合って、意味ありげに微笑まれた。
………あのグラサン、誰だっけな。
914School Evanble:2005/05/07(土) 09:57:51 ID:???


「……はぁっ……はぁっ……アスカ…………アスカ………………」
「んっ  んっ  んっ  シンジ…………もぅ………」



────── シンジが2回目の絶頂を迎えて、本日は終了。
やっぱりシンジとのエッチは最高にキモチイイ。といっても他の男を知らないけど。
時間は……そろそろ0時、か。明日は6時半に起床、お風呂入らなきゃ……

「シンジ、明日の朝絶対に起こしてよ?」
「………うん、アスカは今からお風呂?」
「そうだけど、『アスカは』って、アンタまた入らないの?」
「僕は朝シャワーするから」
「ダメよ!汗かいたままのアンタの横で寝るアタシの身になってみなさいよ!」

「……疲れてるんだよ」
「なぁ〜に倦怠期の夫婦みたいな事言ってんのよ!洗ったげるから来なさい!」
「……どこで覚えるのさ、そんな言葉………」

結局シンジは洗ってあげてる最中に盛り上がってバスルームで3回目。
時間は2時過ぎてたかも、入学2日目で遅刻はしたくないなぁ。

でも、ちょっと楽しみな高校生活になりそう。
誘ってくれたマドカ、金髪の……確か沢近さん?背の高いグラマーな……周防さん、だっけな?
ヒカリ以外にも新しい友達が出来るだろうか。
アタシ達の複雑な過去を知っても、素のままで接してくれるような友達が……


あ、そういえばあのグラサン、隣の席でずーっと寝てたヤツだったような。
915School Evanble:2005/05/07(土) 09:59:01 ID:???
----------------------------------------------------------------

と、第一回はこれで終わりです。

このFFは、とあるLASFFの続きといえば続きです(物語の時間は1年ほど進んでますが)。
なのでアスカとシンジは既にエッチ経験済みですし、付き合ってます。
でもこのFFだけでも読める感じにしようかな、と(正式な続き物ではないし)。

ゴールがあるわけではなく、今のところただ淡々と不定期に続いていく予定です。
彼ら(彼女ら)とエヴァキャラを絡ませたいという、それだけの作品です。

アスカもシンジもちょっとだけ大人になっていますが、
1年も付き合ってれば色々あったみたいです。

どのスレに落としていこうか迷ったので、この場を拝借。
スクランを知らない人はゴメンナサイ。

スクランとエヴァのクロスオーバーFFを知っている人がいれば教えて欲しいです。
(まだ一度も出会った事が無いので読んでみたい)
916名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/07(土) 14:09:06 ID:???
iiyo-
917名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/07(土) 22:06:12 ID:???
沢近だったのか。
で、前作はどこにあるんスか?
918名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/08(日) 05:26:41 ID:???
スクラン好きの俺は
>「そうなんだ、残念。 私『城戸(きど)マドカ』、これからよろしくね」
ここで「もしかして」と思い

>「コイツ、『冬木タケイチ』。写真の話で盛り上がってさー
これでキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!になった

GJ
919名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/11(水) 04:05:17 ID:???
オッテュ

某転載板の意味がわかりましたww
920名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/13(金) 16:50:19 ID:???
スレ違いでスマンが、全板人気トナメって、各キャラ投票もやったん?
>>900読んでちょい疑問だったので。
単に、米でのことを持ち出しただけ?
921名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/13(金) 18:15:04 ID:???
>>920
今回の2ch全板人気トナメではやってないよ
例の海外でのやつでしょ
922名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/20(金) 07:05:57 ID:???
乙です

続きまってます。
923名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/23(月) 23:01:57 ID:???
オッチュ
924名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/05/28(土) 21:39:45 ID:???
続きまだかなぁ
925名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/09(木) 17:12:50 ID:???
    |┃三    ,ィ, (fー--─‐- 、、
    |┃.    ,イ/〃        ヾ= 、
    |┃   N {                \
    |┃  ト.l ヽ               l
 ガラッ.|┃ 、ゝ丶         ,..ィ从    |
    |┃  \`.、_    _,. _彡'ノリ__,.ゝ、  |     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    |┃三 `ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ    <  話は聞かせてもらったぞ!
    |┃.    |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ     |   エヴァFF界は滅亡する!
    |┃三  ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐'  ,ン       \____________
    |┃      l     r─‐-、   /:|
    |┃三     ト、  `二¨´  ,.イ |
    |┃     _亅::ヽ、    ./ i :ト、
    |┃  -‐''「 F′::  `:ー '´  ,.'  フ >ー、
    |┃    ト、ヾ;、..__     , '_,./ /l

926名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/11(土) 00:10:23 ID:???
    |┃三    ,ィ, (fー--─‐- 、、
    |┃.    ,イ/〃        ヾ= 、
    |┃   N {                \
    |┃  ト.l ヽ               l
 ガラッ.|┃ 、ゝ丶         ,..ィ从    |
    |┃  \`.、_    _,. _彡'ノリ__,.ゝ、  |     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    |┃三 `ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ    <  話は聞かせてもらったぞ!
    |┃.    |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ     |   ageたらどうだろう!
    |┃三  ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐'  ,ン       \____________
    |┃      l     r─‐-、   /:|
    |┃三     ト、  `二¨´  ,.イ |
    |┃     _亅::ヽ、    ./ i :ト、
    |┃  -‐''「 F′::  `:ー '´  ,.'  フ >ー、
    |┃    ト、ヾ;、..__     , '_,./ /l
927名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/20(月) 23:50:07 ID:???
作品こないね。
928名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/22(水) 21:42:08 ID:???
 高校生3年生になったアスカさん。
 その可愛らしさは更に磨きがかかり、もう世界一と言ってもいいくらい。
 でも、そんな彼女にも悩みがありました。

 体育の授業のため、更衣室で着替えるアスカはじっとみんなを見つめていた。
 相変わらず、ヒカリやレイとは同じクラス。二人はいそいそと着替えているが、
アスカは依然として制服に手を掛けたまま。
 そんなに彼女の様子に気付いたヒカリが、体操着を着てやって来た。

「ねえ、アスカ。早くしないと遅れちゃうよ」

 しかし、アスカは黙ったまま動かない。
 いや、目線だけが下の方に移っていた。
 そして、溜め息が一つ。

「ふーっ、」
「どうしたの? 溜め息なんかついて?」
「……ヒカリはいいわよね」
「??? 何が?」

 ヒカリは顔に疑問符を浮かべたまま訊くが、アスカはもう一つ溜息をつくだけだった。

「ねえ、アスカ。本当にどうしたのよ?」
「……昨日、シンジがテレビを見ていたのよ」
「それで?」
「……」
「キャッ」

 突然、ヒカリが悲鳴を上げた。
 あまりの声に更衣室の中の視線が二人に集まる。
929名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/22(水) 21:53:42 ID:???
「な、何するのよ!? アスカ」

 と、ヒカリは叫ぶように言う。
 だが、アスカはヒカリの胸を体操着の上から鷲掴みにしたまま手を離さなかった。
 そして、モミモミ。

「や、やめてぇ。イヤぁん」

 ヒカリの声に甘いものが混ざり始める。
 しかし、アスカは更に揉み続ける。

「ふーっ、」

 再びアスカは溜め息を吐くと、ヒカリの胸からようやく手を離した。
 顔を真っ赤にしたヒカリは、

「アスカ! ふざけるのもいい加減にして!」
「ヒカリはいいわよ」

 アスカは憂鬱な表情で小さく呟いた。

「胸が大きくてさ」
「えっ。って、また、その話?」
「そうよ。アタシはどうせ胸が小さいわよ」

 と、アスカは叫んだ。
 そう彼女の胸は小さかった。Bカップだったのだ。
 中学時代は妙に胸だけ発育がよかったアスカだったが、それもそこでストップ。
 その後は身長が伸び続け今や170後半の長身となったが、胸の成長は皆無。
 一見、スパーモデルのようにだが、胸が小さくては女子の陸上選手のようでしかなかった。
930名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/22(水) 22:06:52 ID:???
 それに対して、ヒカリは女性らしい体型で胸もそれなりにある。
 レイに至ってはもう何か淫靡なものを感じさせるほどになっていた。

「アタシもいろいろ試したのよ。でも、どれも無駄に終わったわ」
「はいはい。その話は後でね。今は早く着替えなさい」
「だけど、さあ。シンジが〜」

 泣きつくようにアスカはヒカリへ抱きついた。
 これはいつもの漫才なのか、二人を無視するようにクラスメイト達は次々と
グランドへ出て行った。
 ヒカリは顔をアスカから逸らして小さく溜め息を吐くと、

「碇くんがどうしたの?」

 と諦め声で言った。
 もう遅刻は覚悟したのだろう。
 一方、アスカはそんなことに気付くはずもなく、

「シンジが牛のようにでかい乳の女を鼻の下のばしながら見ていたのよー」
「いいじゃない。それくらい」
「だって、だって、それって、アタシへの当てつけじゃない」
「碇くんはそんなこと思ってないよ」
「だけどー」
「あー、うるさい」

 遂に堪忍袋の緒が切れたのか、ヒカリはアスカヲ身体から突き放して、

「じゃあ、どうしたいのよ!?」
「だから、どうすれば胸が大きくなるのかなって」
「それは今までたくさん試したでしょ。私も無理矢理付き合わされたおかげで
ほら、こんなになっちゃったし」
931名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/22(水) 22:17:14 ID:???
 と言って、ヒカリは胸を突き出す。
 それを見て、アスカは指をくわえながらウーっと唸った。

「あと、試してないのは碇くんに胸を揉んでもらうことくらいじゃないの」
「えーっ! そんなこと出来るわけ無いじゃない」

 アスカは頬を真っ赤にして勢いよく左右に首を振った。

「アスカは碇くんと付き合っているんでしょ? そのくらいしてもらえばいいじゃない」
「……」

 その途端、アスカは俯いて黙り込んでしまった。
 ヒカリは少し心配そうに、

「まだ、なの?」
「……うん」
「もう、あれから3年よね。そろそろはっきりさせた方がいいよ」
「だけど、」

 不安そうな女の子の顔をしているアスカを見て、ヒカリは、

── 碇くんの前でも今の顔を見せればいいのに。素直じゃないんだから

 と胸の中で呟いた。
 ヒカリはアスカを元気づけるように肩を抱くと、

「ねえ、アスカ。他に何か試してみようか?」
「えっ! 何かいい方法があるの?」
932名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/22(水) 22:30:25 ID:???
 目を嬉々と輝かせながらアスカはそう訊いた。
 ヒカリは少し考え込むように目を瞑ってから、

「うーん、ここは方向を変えて、パッドを入れるとか、寄せて上げるブラを使うとか」
「いや、絶対にイヤ。アタシは作り物じゃなく本物を目指すのよ」
「でも、いい方法なんて無いよ」
「そんなこと言わないで、何か教えてよ。ヒカリー」
「じゃあ、そうね」

 と言ってから、ヒカリはアスカに見えないようにニヤリと笑った。そして、

「一つだけ胸を大きくする方法があるわよ」
「なに!? 教えて、今すぐ教えて」

 アスカは顔をくっつけるかのように寄せる。

「んーとね。碇くんとの子供を作ればいいのよ」
「えっ!?」
「そうすれば、自然と胸が大きくなるわよ。それに、アスカの嫌いな生理痛も無くなるし、
全て解決じゃない」

 ヒカリはちょっと身構える。
 アスカの照れによる攻撃を見通してのことだ。
 しかし、アスカは口を閉ざしたまま考え込んでいた。

「えーと、アスカ? 聞いてる? 今のは冗談だから」
「……」
「ア、アスカ?」
「シンジとアタシの子供かぁ……。ふふっ。今すぐ作らないと」

 と呟くと、アスカは走って更衣室を出て行った。
 残されたヒカリは顔を真っ青にして、これから起こる出来事を思い描いていた。
933名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/22(水) 23:19:00 ID:???
LAS!
934名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/22(水) 23:29:09 ID:???
solanさん?
935名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/22(水) 23:33:28 ID:???
936名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/24(金) 00:03:59 ID:???
>>935
天狗のつづら ASUKA TRIAL
937名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/24(金) 08:50:35 ID:???
あえてこのスレを選んだってことは、普通にLASってわけじゃーないのではと予想。
いや別にLASでもOKだが。
938名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/24(金) 20:27:08 ID:???
このスレはLASやLRSとかのカプ物は駄目なの?
939名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/24(金) 20:32:02 ID:???
非推奨
940名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/24(金) 22:57:06 ID:???
天狗のつづらはLASの同人のサークルです
ttp://age.tubo.maido3.com/age01/img-box/img20050624235633.jpg
これと同じ人。
(ちなみにこっちはYAMMY?って同人誌)
941名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/24(金) 23:58:16 ID:???
>>940
ぐはぁ・・・ヤラレタ
942名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/24(金) 23:59:37 ID:???
☆☆好きなエヴァ同人誌・作家 Part3☆☆
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1112546082/
すれちがいいどうしる
943名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/25(土) 01:21:41 ID:???
ここはえろあり? ありならどのあたりまで?
944名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/25(土) 01:23:54 ID:???
禁止というLRがないからいいんじゃね
945名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/25(土) 01:38:20 ID:???
どのあなあたりまで?
946名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/25(土) 07:59:14 ID:???
そろそろ埋めるか
947名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/25(土) 10:12:36 ID:???
>>944
>禁止というLRがないからいいんじゃね

ちょwwwwwwwwおまwwwwwwwwwww
>六.エロネタは基本的に禁止。原則として「えっちねた」「エロパロ」でやるコト!
948名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/26(日) 10:29:21 ID:???
 既に授業が始まり静まりかえった校内の廊下を、アスカは全速力で駆け抜けていった。
 目指すはシンジのいる3-Bの教室。
 アスカとは理系と文系で分かれ、別々のクラスになったのだが、その時の騒動は
もう大変なものであった。今でもアスカはこのことでシンジを責めるくらいに。
 3階への階段を上がりきり、アスカはコーナーをノンブレーキで曲がる。
 そして、少し行ったところで急停止した。
 中で授業をしていようがお構いなし。アスカはバタンッ!と大きな音を立ててドアを開けた。
 一斉に彼女を見る視線。
 しかし、アスカは全く気にすることもなく、スタスタとシンジの前へ歩いていった。
 あれだけ走ったというのにアスカの息は上がっていない。

「アスカ、どうしたの? 今、授業中なんだけど」

 と、机に座ったままのシンジは驚きで目を丸くさせながら言った。
 アスカの奇行は今に始まったことではないが、やはり今回のことはかなりのものであった。
 対して、アスカは黙ったまま。
 さっきまでの勢いは全く感じられない。

「アスカ?」

 今度は、少し心配そうな声色でシンジは言った。
 だが、やはりアスカは口を閉ざしたままである。
 と、その時、彼女の背後から、

「君、今は授業中なんだがね」

 白髪で初老を感じさせる男性教師がゆっくりと訊ねた。
 彼女は授業妨害の行為をしていると言ってもいいのだが、全くおっとりとしたものだった。
 しかし、アスカはキッとなって振り向くと、
949名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/26(日) 10:41:09 ID:???
「授業なんてどうでもいいでしょ! 今はそれどころじゃないのよっ!!」
「……だがね、私も教師なんだよ」
「アタシは女よ。今は、アタシにとって重大な局面なのよ。全てに優先するくらいなの」
「……ふむ、そういうことなら仕方がない。ならべく早く終わらせなさい」
「わかってるわよ。で、シンジ!」
「はい」

 思わずシンジはそう返事をした。
 おまけに背筋も真っ直ぐに伸びている。

「アンタ、今すぐアタシについて来なさい」
「ええっ、今は授業中だよ」
「そんなこと、どうでもいいって言ってるでしょ」
「だけどさぁ、……じゃあ、どこに行くのか教えてよ」
「どこって…」

 その瞬間、アスカの顔全体がトマトのように赤く茹で上がった。

「あ、そ、それは……、その、あの、……」
「どこ?」
「って、そんなこと、どうでもいいでしょ!」

 そう叫ぶと、アスカは彼の机をバシッと右手で叩いた。
 シンジはビクンと肩をすくめ、クラス中の生徒はもう囁き合うことも止めて見入っている。

「シンジは黙ってついてくればいいの。わかった? あんだーすたん?」
「でもさ、……ホント、どういう用件なの?」
「だから、そ、それは……」

 アスカは口籠もってしまう。
 そして、もう爆発するのではないかというくらい顔を真っ赤に染めて俯いてしまった。
950名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/26(日) 10:52:07 ID:???
 彼女の肩がプルプルと震えている。

「アタシ、その、シンジと……」
「えっ!? 僕となに?」
「……あーっ、もうダメッ!」

 そう叫ぶや否や、アスカはくるっと背中を翻して、再び駆け出す。
 数秒とかからずに来た道をそのまま通り、教室を出て行ってしまった。
 後に残ったシンジとクラスメイト達は呆然とそれを見送っていたが、

「えー、それでは授業を再開しましょうか」

 と落ち着いた老教師の声が教室中に響き渡ったのだった。



「で、アスカ。そのバックは何?

 と、ヒカリは少し睨みをきかせながら聞いた。
 自分の部屋のベッドに腰掛けている彼女は腕組みして、カーペットに正座しているアスカを見る。
 アスカは恥ずかしそうに頬を指先で掻きながら、

「今夜、泊めてくれない?」
「どうしてよ? 碇くんとア、アレをするんじゃなかったの?」

 訊く方も恥ずかしいのか、ヒカリは頬を僅かに染めた。
 しかし、アスカはもっと顔を赤くして、

「アレは無し」
「無し?」
「……うん」
951名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/26(日) 19:56:19 ID:???
ここって露骨なカップリングものいいのか?LAS小説なら別の場所の方が作者にとっても
いいと思うんだけど。あっちの方が感想多いだろうしさ。
952名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/26(日) 20:18:24 ID:???
埋めるか
953名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/26(日) 20:36:09 ID:???
>>951
さくしゃのかってだうせろじちちゅう
954名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/26(日) 22:08:33 ID:???
>>980
次スレよろしく。
>>953
>>951の言う通り、LASのスレの方が受けはいいと思う。そんなにカッカせず
のんびーりいこうぜ
955名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/30(木) 18:34:30 ID:ngP5ORK5
埋め
956名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/06/30(木) 22:05:33 ID:wt7wUamc
aeg
957名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/07/01(金) 22:45:26 ID:???
>954
でも、953の言うとおり、スレ違いでないのだから作者の勝手。
規定がないのが特徴のスレなんだから。
>>939>>951は、何か勘違いしてるのでは。

ただのカプFFでも「終わるまではどうなるか分からない」状態で読めるので、ここならではの利点もあるしね。
958名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/07/02(土) 06:46:03 ID:???
次スレは?
959名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/07/02(土) 06:52:49 ID:???
960名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/07/05(火) 05:45:12 ID:???
sss
961名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/07/06(水) 01:28:51 ID:???
まだできてないんだけど、LASでもLRSでもないのは>959じゃなきゃ駄目?
別にそこでも良いけど。
962名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/07/11(月) 00:04:20 ID:???
続きマダカナー
963銀色スプーン:2005/07/18(月) 02:17:47 ID:???
渚カヲルは暗闇の中にいた。しかし、それは与えられる闇ではなく、
自ら望んで、浸る闇だった。
カヲルは暗闇の中で誰かに自分の頭を優しく撫でられているのを感じていた。
彼は目を閉じながら、自分の銀色の髪を指で梳くような指遣いに身を委ねる。
頬には柔らかな感触。きっと誰かの膝枕だ。
一体、誰が自分の頭を撫でているのか?
カヲルは想像をめぐらせた。
匂いがする。包むような甘い匂いが。
その匂いが彼の鼻腔を通り、肺を満たした。
それは懐かしい香りだった。
ずっと前に、彼が子供の頃に嗅いだことのある。
自分の心臓がドキドキと大きく鼓動し始めるのがわかった。
その手の平の動きには母性を感じた。
匂いには懐かしさを感じた。
母さん?
カヲルは幼少時に他界した母親の姿を想像した。
今、自分の頭を撫でてくれているのは母さんなのだろうか?
でも、既に母さんはこの世にはいない。
だとしたら、これは。
カヲルはゆっくりと瞳を開けようとした。
うっすらと開かれた後、カヲルはやはり止めるべきだと思い、
目を閉じ直す。きっと目を開けてしまったならば、
この感触は消えてしまう。彼にはその予感があった。
964銀色スプーン:2005/07/18(月) 02:18:27 ID:???
自分が存在を確認し、触ってしまうと、
溶けてしまいそうな儚さが彼女にはあった。
いないはずの母親の存在が側にある。
だとしたら、これは夢なのだ。
夢ならば、もう少し、この感触を味わっていたい、とカヲルは思った。
普段は中学校でクラスメイトと一線をかすように大人ぶっていても、
やはりというべきか、彼はまだ子供なのだ。
母親がいない現実を夢の中であっても埋め合わせたいという気持ちが彼にはあった。
カヲルの頭を撫でる手は変わらずに優しい。
彼は気持ち良さそうに口端を緩め、身体をくの字に折り曲げ、
もっと撫でて欲しそうに体を僅かにくねらせる。

「ふふ、甘えん坊さんね?」

頭を撫でていた誰かがカヲルに向かって言う。
カヲルの想像通り、声は女性の物だった。
しかし、カヲルはその声に身を強張らせた。
その女性の声にカヲルは聞き覚えがあったのだ。
それも、幼少時にではなく、ごく最近に。
カヲルの心臓は早鐘する。
喉が渇いていくのを感じる。
まさかと思いつつも、その人物の名を口にしてみる。

「ユイさん・・・?」

カヲルは渇き始めた自分の唇を舐める。
女性は何も言わずにカヲルの頭を優しく撫で続けた。
カヲルは彼女の姿を確認するため、瞳を開けようとした。



965銀色スプーン:2005/07/18(月) 02:19:33 ID:???
カヲルの夢はそこで終わってしまった。
ガヤガヤという周りの喧騒の中、彼は目を覚ました。
周りの人間は全員、制服を着ていた。
彼はここが自分の教室であることと、
クラスのうるささから昼休みである事をすぐに理解した。
カヲルは落ち着いて様子で、頬に与えられた太ももの感触を確かめるように撫でてみた。
しかし、そこには何も残ってはいなかった。
ただ、自分の肌があるだけだった。
カヲルは溜息を付く。
彼の心の中には、夢の中で登場したユイを憂う気持ちが存在していた。
それは認めたくはない、いや、認めてはならない感情であった。
彼は眉間に指を置き、もう一度溜息をついた。

「大丈夫? カヲル君」

そんな様子のカヲルに心配そうに声をかける一人の少年がいた。

「大丈夫だよ、シンジ君。今、変な夢を観てたんだ。
 だから、ちょっとだけ気分が優れなかっただけさ」
「あ、やっぱり、寝てたんだ。カヲル君、こう腕を交差させて
 少しだけ俯いてたから、寝てるように見えなかったよ」

シンジはカヲルが寝ていた体勢を真似し、少し笑う。
966銀色スプーン
「はは、そうなんだ。いつの間にか寝てたから、判らないな・・・」

カヲルもシンジに合わせるように笑う。
しかし、彼の心中は笑っていなかった。
今、目の前にいる碇シンジは渚カヲルの友人である。
中学に入学時、弦楽器を弾くという共通した話題からたちまち仲良くなり、
今では碇シンジはカヲルの一番の親友となっていた。
でも最近ではカヲルには彼に対して後ろめたさが募ってきていた。
理由は先ほどの夢に出てきた、女性にある。
カヲルが『ユイさん』と呼んだ、その人物。
彼はやれやれとシンジに気付かれないぐらいの大きさで首を左右に振った。
なんだって初めて恋した女性が親友の母親なのだろう、
屈託もなく笑う親友の前でカヲルは自分自身に毒づいた。