1 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:
アスカの性格のレイ。レイの性格のアスカ。
( ´△`)アスカなレイたんにハァハァ
俺はレイたんみたいなアスカに萌え萌えだ
>>1 それじゃあ
オバーザレインボーのパンチラシーンで…
4 :
3:03/08/22 10:41 ID:???
表情のないアスカが想像できない
>>3 レイの性格のアスカならどんな反応をするだろうか?
あるいはパンチラをするような格好をしていないかも知れない。
8 :
3:03/08/22 10:48 ID:???
ミサト「紹介するわ、セカンドチルドレンの惣流アスカラングレーさんよ。」
ヒューバサバサ
三馬鹿「おおおー」
ミサト「ちょ、チョットアスカ!!スカートのすそ押さえなさいよ!!」
アスカ「…そう、良かったわね…」
レイがアスカの性格なら、
ダミープラグはできていないな。
そうなると、3号機の所で終了
ユニゾン訓練が楽勝
あぼーん
レイが、シンジに押し倒されたところで。
「キャ―――、何すんのよ変態野郎!」
>>12 その可能性はないな。
レイがアスカの性格なら、鍵を閉めておくか、
不法侵入者のシンジにいきなり銃を付きつけるか、
シンジを投げ飛ばすだろう。
もしレイがアスカの性格ならシンジはエヴァに乗らないでしょう。
加持大好き娘、レイ
早く乗れよこのボンクラ男!って感じなのかな・・・
いや、でもアスカの性格なら自分以外にはエヴァに乗らせたくないかも・・・
碇指令大好き娘、レイ
「司令〜、シンジなんかほっといて私とイイ事しましょうよ」
「・・・。今忙しいんだ、後にしてくれ」
む。ちと面白い設定であるな。
週末に書いてみるか。
>>18 そうなるとは限らないぞ。
司令は碇ユイとレイをダブらせて最低の
展開になる可能性もある。
そして、補完計画は、中止w
ゲンドウ「私はユイを追ってきた、しかし今はレイがいる、
もう私にユイは必要ない。シンジ済まなかったな」
シンジ「そんな・・・、父さん!レイを連れて行かないでよ!
それに、母さんを捨てるのか?!裏切り者!」
冬月「補完計画は中止か・・・。」
そしてマヤ吐く。
24 :
20:03/08/22 12:50 ID:???
それかレイの性格が明らかに碇ユイに似ていないために
アスカの性格のレイは消されてしまう可能性もある。
デモさゲンドウってアスカの性格のレイって
駄目そうな感じがする。
ユイって本編だとおしとやかな感じだろ?
アスカとは全然違うだろ
逆にゲンドウからうざがられそう。
「ガフの部屋には魂はもう無かったの…。ここにいるレイはただの記憶の容れ物なの」
>>25 それをシンジが変えていくんだよ(w
っつーか全く逆だな。
LAS人の漏れは
LASアスカ的レイとLRSレイ的アスカ
どちらとシンジがくっ付く事を望めばいいんでつか?
レイ的アスカと一緒に暮らすとなると、シンジが大変そうだ。
お風呂上りは、いつもハダカ。
「碇くんの使ったお風呂…碇くんの匂いがする…」
でもキスイベントが発生しないぞ!!
つうかユニゾンの最終日にキスしてしまうのでは?
35 :
20:03/08/22 13:10 ID:???
>>34 シンジはアスカの顔は好きみたいだから、性格がレイなら
本当にしてしまう可能性もある。
アスカの容姿にレイの性格ってのがシンジの理想じゃなかったっけ?
そういうのを見たことがあるが…
良かったね、シンちゃん!
40 :
35:03/08/22 13:28 ID:???
しかしレイの性格のアスカがシンジの所へ行かなければ成立しない話なので、
むずかしい。
>>37 シンジは、容姿はレイでもいいんじゃない?
ただ、もうちょっと明るければ最高だと思われ。
>37
FFの読みすぎで本編とごっちゃになってないか?
>42
FFは関係ないよ。
本編じゃなくて裏設定かなんかだったと思ったんだが。
レイの性格のアスカなら精神崩壊がないその上
冷静なのでシンジより使える。
>44
何かの勘違い。
勘違いだねぇ。
そんなのが公式としてどっかに載ってたら、カプスレや検証スレなんかで話題にならんはずがないな。
レイ「ねえキスしよっか。」
シンジ「うん、するする!」
レイ「やっぱやめよ」
シンジの中身も誰かと入れ替わってねーか?w
レクイエムか
>>52 ごめん、(ケンスケ+加持)÷2くらいになってたかも。
性格がアスカなレイ…自尊心の高いミサト
性格がレイなアスカ…クールな万能少女
って感じ
>性格がアスカなレイ…自尊心の高いミサト
こっちはよく分からん。
俺もわからん・・・・・。
どたまがこんがらがってきますた。
負け犬は
死ね・くたばれ・消えろ・失せろ・潰れろ・馬鹿・あほ・間抜け・ドジ。
ポンコツ・トンチキ・ガラクタ・クズ・ゴミ・カス・最低以下の下劣・下等種族。
劣等種族・下衆野郎・腐れ外道・邪道・外道・非道・ウジ虫・害虫・ガン細胞。
ウィルス・ばい菌・疫病神・病原体・汚染源・公害・ダイオキシン・有毒物質。
廃棄物・発ガン物質・猛毒・毒物・アメーバ・ダニ・ゴキブリ・シラミ・ノミ。
毛虫・蠅・蚊・ボウフラ・芋虫・掃き溜め・汚物・糞・ゲロ・糞虫野郎・ほら吹き。
素直に学園レイのキツすぎるバージョンでどうだ?
プップププーププップ♪ガンダム=エヴァのパクリ♪
63 :
19:03/09/25 04:47 ID:???
次はこのスレの宿題を片付けねばなるまいのぅ。
64 :
19:03/10/10 00:35 ID:???
時に2015年。
エヴァの世界は大変な事になっていた。
「本日12時30分、東海地方を中心に非常事態宣言が発令されました…」
無人の駅で途方にくれている少年・碇シンジ。
父親に呼び出されここまで来たものの、電車が止まってしまったのだ。
ただ事ではない気配を感じながら、駅の外に出て見る。
突然現れる戦闘機と怪獣。
「わわわわわわわ」
腰を抜かすシンジ。
無人の街で、一方的な破壊を続ける怪獣。
爆風が瓦礫を巻き上げながら建物を揺さぶり、シンジの周りにも破片が飛んでくる。
どっ!
視界が急に暗くなる。
頭部を守るために縮込めていた腕の隙間から、辺りをそっと覗くシンジ。
巨大な手のひらが、シンジを守るように地面に突き刺さっている。
巨人がシンジ救出のために出撃しているのだ。
「ナイス!レイ。後は任せたわ。さ、シンジ君、早く乗って」
真っ赤なスポーツカーのドアが開いて、ロン毛のオカマ…もとい葛城ミサトが声をかける。
『こっちは怪我人なんだから、つまらない事でムチャはさせないでよねッ!』
巨人から女の子の声がする。
巨人に襲い掛かる怪獣。
『いったーーい!こんなケガさえしてなけりゃ、アンタなんかアンタなんか』
『レイ、無理はしなくて良い。撤収だ』
無線機から司令の声が聞こえてきた。
65 :
19:03/10/10 00:35 ID:???
第3新東京市立第壱中学校・2-Aの教室。
黒板にデカデカと書かれている「自習」の二文字。
教卓には中年の男が両肘をついて座っている。
サングラスに顎鬚という、およそ教師らしからぬ風体だ。
陰気、といってもいい空気に耐え切れず、学級委員が発言する。
「あのぅ、先生、いくらなんでもずっと自習って言うのは、あんまりでは…」
「相田ケンスケ…嫌ならば、帰れ」
何か言おうとしたケンスケだったが、非常ベルに邪魔をされてしまう。
「本日12時30分、東海地方を中心に非常事態宣言が発令されました…」
教師・根府川がボソリと呟く。
「…退避」
だが根府川の口元は彼自身の手によって覆われており、さらに声が低く聞き取り辛い。
生徒達には聞こえていない。
「総員第一種避難体制。私は職員室に行ってくる…。委員長、後を頼む」
ゆらりと立ち上がり、言いたいことだけを言って教室を後にする。
「うおおおおお。訓練ちゃうでぇ。ホンマモンの非常事態や!」
クラスで唯一関西出身で、軍事マニアでもある鈴原トウジが妙に興奮している。
「バッカじゃないの?何が楽しいんだか」
最後列の席で腕組みしたまま、洞木ヒカリが悪態をつく。
「女にゃワカランかなぁ、この緊張感」
「人死にがあるかも知れないのに、お気楽なもんね」
「ま、ま、抑えて抑えて。はい皆さん、訓練通り避難所に退避しまーす」
ケンスケが二人を執り成しながらクラスメートに指示を出す。
66 :
19:03/10/10 00:37 ID:???
ネルフ本部・第一発令所。
「間違いない、使徒だ…。15年ぶりだな」
初老と言っても良い年配の男性が、横に居る老人に話しかける。
「15年前…その頃私は駆逐艦の『冬月』に乗っていましてね。いえ、基地祭での事なんで
すが、おかげでセカンドインパクトの時、津波に巻き込まれなかったんですよ。まぁあの
頃はのんびりと論文なんかを書いていたら生活できましたが、今や私の人生は予想も出来
ない状態で…」
白髪で真っ白になった頭を撫でながら、碇ゲンドウは顔をしかめる。
「冬月め、ボケた振りをしおって。雑務までワシに押し付けるつもりか?」
「ふんふんふーん♪」
車の中ではミサトがへビィメタを聴きながら鼻歌を歌っている。
「あ、これエヴァの資料。読んどいてね」
シンジにぶ厚い資料を渡す。
「?」
「ナニ?司令から何も聴いてないの?」
「は、はい」
ミサトは眉間にシワを寄せてしばらく考えていたが、やがてあっさりととんでもないこと
を話し出した。
「んーとね。今、使徒って言う怪獣が攻めて来てんの。で、それをやっつけないと人類は
全滅するわけ。だからキミ達がエヴァを操縦してやっつけてもらうことになってんの。
OK?」
「はぁ?」
「大丈夫。仲間もいるからさ。さっき君を助けた綾波レイと、もう一人ドイツ支部の惣流・
アスカ・ラングレーって娘もしばらくしたら日本に来るから」
「はぁあぁ?」
「詳しい事はそれに書いてあるから。言う事聞かないと、お姉さん火ィ吹くよ」
「はぁあああぁ?」
67 :
19:03/10/10 00:38 ID:???
訳の解らないままネルフ本部に連れてこられたシンジは父親と再会する。
「久しぶりだね、シンジ」
「父さん、話が良く解らないんだけど…」
「…赤木君、説明してやってくれんか?」
横に控えていた黒縁めがねをかけたオールバックの女性が滑らかに喋り出す。
「エヴァは基本的には難しい操縦は不要です。自分の頭で、ああしたいこうしたいと考え
れば動いてくれます。とりあえずテストがてら乗ってもらえれば問題ありません」
「無理だよ!できるわけないじゃないか!」
「やれやれ困ったな。…レイの再出撃は可能か?」
「先程の出撃で傷が開いたようです」
「シンジ、あれを見ても心が痛まんか、ん?」
ストレッチャーに乗せられた包帯だらけの少女が運ばれてくる。
気丈にも満身創痍の身体をおして出撃しようとしているのだ。
「ず、ずるいよ父さん!」
「ほれほれ。あんなに苦しそうにしているなぁ。綾波レイという、お前の仲間だぞ?」
思わず少女に駆け寄るシンジ。
「やるよ!やればいいんだろッ!」
ぱちーん!
少女がシンジの頬を平手打ちする。
「安っぽい同情するんじゃあないわよ!アンタなんか居なくたって、初号機は私でも動か
せられるんだから!」
「…ナニ言ってるんだよ。今にも死にそうなくせに!ぼくがやるって言ってるだろ!」
「訓練もしていないアンタなんかにナニが出来るってのよ!」
「ほほぅ。ライバル心に火がついたみたいだな。カシマシステムはどう言っているかね?」
68 :
19:03/10/10 00:41 ID:???
カシマシステム。
ネルフが誇る、三人の女性科学者の人格を移植した第7世代コンピュータ。
「ウタエ」には科学者としての碇ユイを。
「テルエ」には母としての惣流・キョウコ・ツェッペリンを。
「ハナエ」にはオンナとしての赤木ナオコをそれぞれ移植している。
この三者の合議制で多数決が行われ、ネルフの重要案件を処理している。
「ウチのシンちゃんがやりたがってんだから、シンちゃんに任せてみたら?」
「親バカ。ここはレイしかいないでしょ?」
「アスカが来るまで時間稼ぎできないかしら?」
「はぁ?今どこにいるかわかってんの?」
「シンガポール沖」
「アンタバカァ?」
「バカとはナニよ」
「バカをバカと呼んで何が悪い?」
「バカバカ言うのが一番バカ」
「なぁんですってぇ。少しばかり司令のお気に入りだからって」
「ちょっと待って。本妻は私なんですけれど」
思わずゲンドウは頭を抱えてしまう。
「やれやれ。女3人集まれば姦しいと言うのは本当だな…」
69 :
19:03/10/10 00:43 ID:???
発令所のモニター席では緊張感にかける会話が交わされていた。
「カシマシステム、議論を一時中断!」
「あらら、チョッチマズイんじゃないの?」
「彼女と書いて、はるか彼方の女と読む。我々には理解できない存在だな」
「ちょっとォ!私もオンナなんですけどぉ」
「や、スマン。お詫びに今晩どうかな?良い店見つけたんだ」
「二人とも、仕事して頂戴。ただでさえ上司が頼りないんだから」
豊満な肢体を制服に押し込み、ビール缶を手にした伊吹マヤ。
長髪を後ろで束ね、不精ひげをたくわえた青葉シゲル。
金髪に染め上げた髪と銀縁メガネが一際目立つ日向マコト。
この三人が、実質ネルフを取り仕切っている。
彼らが居なければ、ネルフの実務レベルでの活動はほぼ無力である…らしい。
70 :
19:03/10/10 00:43 ID:???
「まぁ良い。シンジ、出撃だ。レイは集中治療室へ」
ゲンドウが断を下す。
「むぅーーーっ」
少女・綾波レイは頬っぺたを膨らませて抗議している。
勝ち誇っているシンジ。
「初号機に傷付けたら許さないわよ!」
レイが捨て台詞と共に退出して行く。
「出撃準備だ、シンジ」
周囲があわただしく動き出した。
シンジと初号機は、レイの罵詈雑言とアドバイスのおかげで初戦を勝利で飾った。
だが戦いに慣れていないシンジは、神経系統への過負荷から意識を失ってしまう。
レイと同じ病室に運ばれたシンジは、まる二日眠り続けた。
「司令の息子だって言うから、ちょっとは期待したけど、まるで素人じゃない」
シンジの寝顔を覗き込んでレイが呟く。
「達者なのは口だけ、か。あぁ〜あ、がっかり」
シンジの鼻をつまむと、キュッとひねるレイ。
「う゛。…あやな゛び、」
シンジの口から自分の名前が出て驚き、思わず手を離すレイ。
「あぶない…逃げろ」
ただのうわごとのようだ。
もう一度シンジの顔を覗き込むレイ。
「ぶぁーか」
シンジに向かってアカンベェをすると自分のベッドに戻る。
「…それにしても、何で相部屋にされるのよッ!こっちは花も恥らう清らかな乙女なのよ」
ぶつぶつと文句を言いながらもう一度シンジの方を見る。
「ふん!」
鼻を鳴らし、レイは頭から布団をかぶった。
71 :
19:03/10/10 00:44 ID:???
シンガポール沖。
ドイツ支部からエヴァ弐号機と共に専属パイロットを運んでいる太平洋艦隊。
そのうちの1隻の左舷デッキに二人の人影があった。
パイロットの惣流・アスカ・ラングレーと監督者の加持リョウジである。
白いブラウスにタータンチェックのロングスカートという服装のアスカに対して、リョウ
ジはスーツをきちんと着込んでいる。
加持リョウジ。
その外見はまるで宝塚の男役の様である。
美しい黒髪をばっさりとショートヘアにして、ブランド物のスーツをぴしっと着こなす。
ドイツ支部に居る間、彼は「男装の麗人」と呼ばれていた。
事実、他人のいる前では決して肌を露出させることはなかった。
「アスカ。日本に現れた使徒は初号機が倒したって」
「そう…」
「しかもレイじゃなく、碇司令の息子さんが出撃したんだって!始めてエヴァに乗って
始めての実戦で使徒に勝つなんて、すごいと思うな」
「…特別、なのね」
アスカの口調に何かを感じたリョウジが、慌ててフォローをする。
「でもアスカだってシンクロ率は高いじゃない。レイよりも高かったでしょう?」
「起動実験だもの。実戦で役に立たなければ意味は無いわ」
「大丈夫。アスカはがんばってるもの」
「私の代わりはいくらでも居るわ」
「アスカはアスカよ。それより早く日本で友達が出来るといいわね」
「友達はいらない。死んだらそれでお終いだから」
表情を変える事無く、アスカが言い放つ。
72 :
19:03/10/10 00:46 ID:???
薄暗い一室で、五人の男達が会議を開いている。
「使徒が現れ、初号機によって倒された。事実は死海文書に記載されたとおりに推移して
いる。我々の計画はついに実行される刻を迎えた。そう思わないかい?君達」
「左様」
「作用」
「反作用」
「うわ〜そうボケるか!」
「ずっと狙ってました」
「口癖だもんなぁ。タイミングばっちり」
「もう終わりなのかい?まぁいいさ。僕にとっては人類補完計画もダジャレも等価値なん
だ。それで退屈が紛れるならね」
リーダーらしい少年が壁に向かって歩み寄る。
銀髪に紅い瞳という美形の少年がスイッチを操作すると、壁がせり上がり水槽が現れる。
その中にはぶよぶよとした肉の塊が浮遊している。
その肉塊に向かって少年がささやく。
「君が我々の切り札なんだよ、カヲル君」
少年の名前はキール・ローレンツ。
アルカイックスマイルを浮かべて水槽を眺めている。
まじめに書こうと思っていたら、こんなんになりました。ごめんなさい。
全員を入れ替えてみました。
書いていて、もう誰が誰だか。
頭のネジのはずし方を工夫します。
いや、結構面白いよ?
謎で引っ張るとかエロで惹くとか話の作り方は色々あるけれど、これはこれで
配役の妙ちくりんさだけでワクワクしたよ。
ガンガレ!
うお〜!オモシロ混乱するぜ!続編請う!
75 :
19:03/10/10 21:12 ID:???
>>73 ありがとうございます…って、レス速ッ!書き込んで6分後ですがな。
膨大な作品があるエヴァFF世界では、後発組はなかなか苦しゅうございます。
奇抜でかつ面白い作品を書けるようにがんばっているこの頃です。
>>74 続編依頼が来ようとは…。
がんばってみますが、他の連載もありますので間隔は開きますがよろしいですか?
どのくらいの人が読んでくれたか判りませんが、このスレの
>>1とレスして頂いた方のために
がんばってみます。
のた打ち回るサマを笑うもよし、養殖して楽しむもよし。
いつかこの板のネタになれれば本望ざんす。
…なってもあんまりいじめないでください(W
オカマの葛城ミサトが大暴走しそうな予感…。
別口の執筆のため、1ヵ月ほどお待ちください。
これどうなんのかな?
どたまがありえないほどこんがらがってきますた
78 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/10/19 11:18 ID:YpPSIrIY
もういっそさ、「立場的に逆だったら」って考える方がいいと思うだが。
「どーせ私が死んでも変わりはいるのよ」
「碇君…バカ?」
みたいな。
スマソageてしまった
結構ここ面白いね
>>76 >これどうなんのかな?
うひょひょ。嬉しい感想です。…あ、このスレの行方のことだったのかな?
>>77 さらに混乱する予定ですが…。
>>78 いやいやいやいや。
もうね、安永航一郎を見習って(他所ではやれない)馬鹿馬鹿しいヤツをやってみようかと。
と保守しつつsage
保守ついでに、キャスト案内。
( )内が現在の人物・あるいは性格。
ゲンドウ(冬月) 冬月(根府川) ミサト(シゲル) リツコ(マコト) リョウジ(マヤ)
マヤ(ミサト) シゲル(リツコ) マコト(リョウジ) トウジ(ケンスケ) ケンスケ(ヒカリ)
ヒカリ(トウジ) 根府川(ゲンドウ) キール(カヲル) カヲル(?) シロウ(??)
ペンペン(???)
その他候補者ありますが、なにしろ予定は未定であり決定ではない…むにゃむにゃ。
文章の稚拙さによって誰が誰だか解らないとマズイので、書きますた。
当初は、さらっと書いて後はそれぞれの脳内であのシーンやら
例の台詞やらを妄想してもらう予定だったのですが、なんだか
も少し書けそうなのでがんばりまっす。
85 :
19:03/11/05 20:50 ID:???
キャスト追加。
カシマシステム。
ウタエには、科学者としてのユイの人格が。
テルエには、母としてのキョウコの人格が。
ハナエには、オンナとしてのナオコの人格が組み込まれている。
あぁう、名無しで書き込んでいた…。
いいね!読んでて混乱するのがある意味快感
87 :
74:03/11/05 22:06 ID:???
>>86 左様
キャスト推測
人類補完委員会の懲りない面々(煮詰まったガイナスタッフ)
とりあえずいつのまにか話が壮大になっててなんかワロタよw
ややこしくなりすぎてわけわかんなくなったら
初期の「レイとアスカの立場を逆にする」に戻せばいいだけだし。
本題はどこいった(w
思ったより良スレですな。
91 :
19:03/11/24 20:13 ID:SJ++7DQo
シンジの意識が回復した、との連絡を受けてミサトが病院に急行すると、そこにはネルフ
人事部の職員が居た。
碇司令の意向を、シンジに伝えに来たとの事であった。
「シンジ君に一人住まいをさせるんですかぁ?」
「本人達の了解は取ってある。何も問題はないと思うが?」
「承服致しかねます。この場合、適切な大人の管理下で生活すべきだと考えますが」
「ほぅ。例えば?」
「う、えー。…私ではいかがでしょうか?」
ワンレングスにした髪をかき上げながらミサトが恥じらいながら言う。
男がミサトをじろじろと観察する。
「どう考えても、多感な少年を監督するに足る人物には思えないが?」
「なぁんですってェ!?私のどこが問題なんですか!」
長身の身体を、グイ!と突き出して男に挑みかかるミサト。
「倒錯趣味の男に、年端もしかない少年を預けられると思っているのかね?」
「その言葉、撤回を要求致します!私の身体は男ですが、精神は女です!『性同一性障害』
と言う疾患を持った人間というだけで、その様な全人格を否定される筋合いはありません」
「む」
男の表情が変わる。
「仮にも国連職員でありながら、古い価値観でしか人間性を評価し得ないとは些か問題で
はありませんか?」
「解った解った。前言は撤回しよう。しかしね、彼の意思はどうなるんだね?」
男がシンジの方を見る。
「これから説得致します。ねぇシンジ君…」
「は、はい!」
「男の子の一人暮らしなんて、大変よぉ?掃除洗濯食事にゴミ出し。そんな事をしながら
任務に専念できると思って?」
「ウチにくれば全部私がやったげる♪」
「は、はぁ…」
「おッし決定!…と言う事ですのでよろしく」
何がなんだか解らない内に事態は進展していく。
92 :
19:03/11/24 20:14 ID:SJ++7DQo
『という訳でシンジ君は私が預かる事にしたから。…大丈夫だって。子供に手ェ出したり
しないから』
『いやいや、それはそれで愉快な展開になりそうで楽しみじゃない?』
『ま、都合良く教育は出来るかもね。くっくっく』
『ナニ企んでるんだか。まぁいいわ。じゃあね』
リツコへの電話を済ませると、ミサトはシンジを第3新東京市が一望できる場所へと連れ
て行った。
「シンジ君、あなたが守った街よ。今のあなたには荷が重いと感じられるでしょうけれど、
これからもがんばってね」
サイレンが鳴り響く中、ゆっくりと幾つものビルが夕闇の空に向かってせり上がっていく。
「今夜はシンジ君の歓迎会だから、腕にヨリをかけて作ったわよ。と言っても時間が無か
ったからカレーとサラダなんだけど」
そう言いながらミサトがナベを運んでくる。
「シンジ君、悪いんだけどそこの冷蔵庫、開けて『彼』を呼んで頂戴」
「?これ、ですか?」
「ううん、そっちじゃなくて」
ミサトの視線が、業務用冷蔵庫に向く。
がちゃ。
シンジが冷蔵庫を開けると、機械音と共にソレが現れた。
「夕食かね、葛城一尉。おや…?」
重々しい声が部屋に響く。
「お客さんかね?」
「今日からウチで暮らす事になった碇シンジ君よ。エヴァのパイロットなの。シンジ君。
こちらは私の同居人のペンペン。とある計画のためにその身体を実験台にした功労者なの
全身の60%を機械に…」
「葛城一尉、気軽に極秘情報を話してはいかん。彼は信用に値する人物かね?」
「もォ〜、ペンペンったら堅苦しいわねえ。大丈夫だって」
「ならば良い。…済まなかったなシンジ君」
「い、いえ!あっあの、始めまして。碇シンジといいます。シンジ、と呼んでください」
「ふむ。なかなか礼儀正しい少年だな。私はコードネームBX293A、通称ペンペンと言う。
無論偽名だが、私の全ての情報は抹消されておる。そう呼んでくれたまえ」
93 :
19:03/11/24 20:15 ID:SJ++7DQo
ミサトのカレーは、本人が自慢する通り美味かった。
「しかしなんだな。葛城君の作る料理は確かに美味いが、温かいうちに食べるとバイザー
が曇るのが唯一の欠点だな」
「あら〜?じゃあ冷えた料理でかまわないかしら?」
ミサトがわざと意地悪な声で答える。
「それは困る。冷たいカレーなど、ベルモットをたっぷり入れたマティーニみたいなもの
だよ」
「じゃあ文句を言わないの」
「ふははははは。すまんすまん」
和やかな団欒の一時が過ぎていく。
「シンジ君、お風呂が沸いたからちゃっちゃっと入っちゃって」
「今日は君の歓迎パーティだ。一番風呂の栄誉は君に譲ろう」
ペンペンはそう言うとイスにもたれて読書を始めた。
脱衣所で服を脱いでいるシンジ。
ふと頭上を見ると、ミサトの物と思われる下着が干してある。
色とりどりのそれは、当たり前だが女性用である。
「乾燥機、無いのかな?
「シルク製品もあるから、手洗いして自然乾燥させてるの」
「す、すみません。あの…」
「盗ったら許さないからねー。高かったんだから」
「そ、そんな事、しません」
「冗談よ。じゃ、ゆっくりね」
ゆっくりと湯船に入る。
いろいろあった一日の疲労が急に押し寄せてくる。
父さん、エヴァ、使徒、ミサトさん、ペンペン。
シンジにとっては、何もかもよく解らない状態であった。
94 :
19:03/11/24 20:17 ID:SJ++7DQo
ミサトの住むマンションに朝が訪れる。
タイマーがセットされたテレビが6時を告げると、かなり金額をかけたオーディオセット
が激しい音楽を流し始める。
「チチチチチチチチ・チェリーボム!」
ミサトが雄たけびを上げて枕元のギターを引っ掴み、渾身の力で引き始める。
「なっ何があったんですか、ミサトさん!」
「驚くことは無い。朝の儀式だよ、彼女のな」
ペンペンがシンジに話しかけてきた。
「彼女には夢がある。完璧な身体を手に入れて、女性ロッカーとしてデビューするのだ」
シンジは、ペンペンがミサトの事を『彼女』と認識していることに軽い驚きを感じた。
「不思議ではあるまい?ヒトは、ヒトの価値観は多様なのだ。彼女は自分の本当の姿に目
覚め、運命と戦っているのだ。形はどうあれ、夢に向かって戦う彼女には経緯を表すべき
ではないかね?」
「…」
「見てなさい!私は必ず素敵な仲間を見つけて『ランナウェイズ』を越えるバンドを作って見せる!打倒シェリー・カリー!」
白いボディ・スーツにガーター・ベルトという格好でマイクを握っている女性のポスター
に中指を突き立てる。
「終わったな。さて、もうしばらくすれば朝食だ。学校に行く支度は出来たかね?」
「すいません。あの、これって、毎日、なんですか?」
ペンペンがゆっくりと新聞から顔を上げて答える。
「彼女の神聖な儀式だからな」
がっくりうなだれたシンジは、やがてゆっくりと身支度を始めた。
シンジの転校先は第3新東京市立第壱中学校である。
転入の手続きは実にスムーズであり、ネルフの影響力の大きさが伺える。
右も左も判らないシンジは、ひっそりと空いた席についた。
空気が微妙である。
委員長らしい男子が号令をかけ、授業が始まった。
95 :
19:03/11/24 20:18 ID:SJ++7DQo
数学の時間らしいのだが、老教師はしきりにセカンド・インパクトの話を続けている。
生徒達はなれているのか、それぞれに内職をしている。
突然シンジのパソコンにメールが入る。
>キミがこの前のロボットのパイロットだって言うのは本当?<
キョロキョロと教室内を伺うシンジ。
お下げ髪のソバカス少女がにっこり微笑んでシンジに手を振っている。
ためた後、シンジは>YES<と答える。
返信が入る。
>昼休みに体育館裏に来てね♪<
昼休み、ミサトの手作り弁当を食べ終えたシンジは早速体育館裏に行く。
その後をこっそり付いて行くトウジとケンスケ。
「いやぁコレは血ィ見るかも知れへんなぁ」
「洞木さん、意外に短気だからなぁ」
「洞木のマーシャルアーツは一見の価値があるさかいな。ビデオ用意しとこ」
「やれやれ」
「シンジ君、聞きたい事があるの」
ヒカリがシンジの目を見つめながら話す。
「な、何、かな?」
「怪獣と戦っている時、足元に人がいるとは考えなかったの?」
「う、いや、それは」
「世界の平和の為には、小さな犠牲は関係無い、って思う?」
「いや、だから」
「テメェのドジのおかげで!私の可愛い妹が!顔に大怪我したんだよッ!」
「だだって」
「乙女の苦しみ、思い知れーーッ!」
右のハイキックがシンジの左側頭部を襲い、上体がぐらつく。
ヒカリの左足が高く上がり、シンジの視界に白い下着が映る。
「あ、白のパンツ」
「バカァーーーーーッ!」
ごん! どしゃっ…。
96 :
19:03/11/24 20:19 ID:SJ++7DQo
「うひゃひゃひゃ。見事なカカト落としや。オマケにオイシイシーンも撮れたでぇ」
「止めなきゃ」
走り出るケンスケ。
「洞木さん、ストップストップ」
「イインチョー…このバカにパンツ見られちゃった…」
「記憶には残らないんじゃあないかな?」
ぐったりとしたシンジを眺めながら。ケンスケが呟く。
「碇シンジ君はここだね?」
突然、黒ずくめの二人組がケンスケ達に声をかける。
「はい。コレが碇君ですが」
足元でぐったりしているシンジを指差すケンスケ。
「気絶しているのか?仕方が無い。このまま連れて行くか」
「あの、碇君、どうするんですか?」
「また使徒が現れた。これから出動してもらわねばならない」
「あの、私の蹴りで気絶していると思うんですけれど」
「関係ない。イザとなれば、クスリでも電機ショックでも使用する」
男達はそう言うとシンジを担いで歩き出した。
「私、悪い事しちゃったのかな…」
「今は、碇君の健闘を祈ろう」
ケンスケがヒカリの肩を叩く。
「パイロット、未だ覚醒せず」
「発進準備継続して。使徒の現在位置と侵攻予想ルートの解析急げ」
ネルフ本部・第一発令所では緊迫した空気の中、エヴァ初号機の発進準備と使徒迎撃準備
が進んでいた。
「この大事な時に、女の子にノックアウトされるとは、な」
ゲンドウが苦々しげに呟く。
「これで覚醒してくれれば良いのですがねぇ…」
冬月の言葉に頷きながら、ゲンドウは軽い衝撃を受けた。
「冬月先生、こちらに戻られたのですか?」
だが、コウゾウは答える代わりに、いつもの通り昔話を始めてしまった。
97 :
19:03/11/24 20:20 ID:SJ++7DQo
「シンジ君、私の歌を聴くのよ。魂のシャウト!」
ミサトがいきなり歌い出す。
「初号機パイロットの脳波、平坦波になります!歌を止めてください!」
「ちょっと、どー言う事?」
「いやぁ当然だと思いますがね」
マヤに絡もうとするミサトをマコトが制止する。
「ミサト、仕方ないわ。クスリを使うわよ。…アンモニア注入」
「よりによってアンモニア…だめだわ、こりゃ」
デスクにへたり込むマヤ。
「もっとこう、アップ系のドラッグとかを考えるべきなのに」
金髪を撫で付けながら舌打ちをするシゲル。
「シンジ君が気絶した原因の資料映像が届きました。ショック療法を試みます」
「映像をエントリープラグに流せ」
トウジが撮影した、ヒカリのパンチラ付き回し蹴りとカカト落しがスクリーンに繰り返し
映し出される。
「これはなかなか…」
「いやぁ、若返りますなぁ」
「カシマシステムで3D処理してあらゆる角度から見てみよう」
「…けっ。エロ親父共が」
「伊吹、潔癖症はつらいぞ。なんなら俺に身を委ねてみないか?」
「そこ!イチャイチャしないで仕事して頂戴!って何度言えば」
「スマン、シゲル」
「パイロットの反応、ありませんが、どうします?」
「使徒の侵攻予想コースに向けてエヴァを射出、そのまま接近戦に移行させます」
「ミサト、いくらなんでもそれはムチャな作戦じゃあ…」
「ほかに方法はありません。責任は碇司令が取ります。初号機、発進!」
「おいおい、勝手に決めんでくれんかね」
シュゴゴゴゴゴゴ!
「ゲートオープン」
すぽーーーーん ひゅるるるるる ガィン!
98 :
19:03/11/24 20:21 ID:SJ++7DQo
「エヴァ初号機、使徒との接触に成功」
「体当たり、だな」
「あぁ、マグレ当りですねぇ」
マヤの報告を聞いて、ゲンドウとコウゾウが呑気そうに話している。
「パイロット、依然として意識戻りません」
「頼むわよ、シンジ君」
「無理なんじゃない?」
「使徒、初号機に攻撃を開始します…やーれやれ、飲まなきゃやってらんないわね」
「伊吹、いい店見つけたんだ。今晩…」
「撃ち殺してやりたい…」
シゲルが眉間にシワを寄せて睨みつける。
「使徒、職種を振り回して初号機に接近しまーす。ぐびぐびぐび」
パイロットの意識がないので、ただ立ち尽くすエヴァ初号機の両腕に使徒の職種が絡みつ
き、電撃を発する。
びくんびくん、となるエヴァ。
「うわァあああぁああぁ!」
電撃と、眼前のモニターにイカに似た使徒を見つけて混乱するシンジ。
「シンジ君、意識が戻ったのね。じゃあ後はがんばってね〜」
「ミサトさん、そんなっ!てて手が動かせないのに」
その時シンジの脳裏にあの映像が浮かんだ。
先程から嫌と言う程流されていた映像である。
シンジの身体が無意識にその映像をなぞる。
上体を捻り、右足を跳ね上げて使徒の胴体を蹴る。
ぐにゃり、と言う感触と共にゆっくりと崩れる使徒の身体。
すばやく右足を引き戻し、その反動を利用して今度は左足を高く持ち上げる。
腹部を見せながら傾いで行く使徒の紅い玉めがけて、エヴァのカカトが落とされる。
げしっ! ぴしぴしっ ぱきん
紅い玉が砕け、使徒は動かなくなった。
夕闇の中、蝉時雨がいつまでも続いていた。
99 :
19:03/11/24 20:22 ID:SJ++7DQo
「うッし!作戦成功。終わり良ければ全て良し」
「ミサト、アナタのそー言う楽天的な所、助かるわ…」
言葉とは裏腹に頭を抱えるリツコ。
「エヴァ初号機の回収急いでくれ。技術局員は速やかに使徒の調査にあたれ。貴重なサン
プルだぞ」
そういい残しゲンドウと構造は発令所から出て行く。
「センパイ、手つらう事、ありまふかぁ?」
「頼むから寝てて頂戴」
「よし伊吹、俺が送ってってやろう」
「この、バカップルめぇぇぇぇぇ」
シゲルの搾り出す様な絶叫が木霊する。
使徒も倒し、今日も平和なネルフ本部であった。
またも病院に担ぎ込まれたシンジ。
その病室を見舞う、ヒカリ。
「碇君、ごめんね。私のせいで迷惑かけちゃったわね」
しおらしく謝るヒカリに、少しハイになっているシンジが答える。
「君のおかげだよ。君のパンチラが目に焼き付いてて、あの技が出せたんだ」
見る間に顔が真っ赤になるヒカリ。
「バカぁぁぁッ!大ッ嫌い!」
右正拳突きをシンジの顔面に入れて走り去るヒカリ。
それを影から見ていたレイが呟く。
「やっぱりバカだわ、アイツ」
100 :
19:03/11/24 20:23 ID:SJ++7DQo
台湾沖を航行中の国連艦隊。
「アスカ。再び現れた使徒を、また碇司令の息子さんが殲滅したって、今連絡があったわ!」
「そう」
「でもまた入院しちゃったんだって。私達も早く日本に行って少しでも役に立たなくちゃ」
「それが私の任務だもの」
「ほらまたそんな言い方!エヴァパイロットに選ばれた時には、あんなに喜んでいたのに」
「時と共に人は変わる。周りが変化すれば私も変わらずにはいられない。もし…」
「何?」
「もしも私が私でい続けられるとしたら、それは私が死んだ時」
夜の東シナ海を、国連艦隊はひたすら日本へと進んでいく。
101 :
19:03/11/24 20:24 ID:SJ++7DQo
「見事なものじゃないか」
ポケットに手を突っ込んだままモニターを見ていたカヲルが、静かに喋り出す。
「裏死海文書の存在があるとはいえ、2体の使徒をあっさりと殲滅してしまった。尊敬に値
するよ。そうだろう、諸君?」
「左様」
「左ァ様」
「小夜ちゃんは一休さんの友達」
「…君のダジャレのセンスは繊細だね。好意に値するよ」
「いやぁ、そうですか?」
「だから、次は君に働いてもらおうかと思うんだ」
「!」
「楽しみだね、実に楽しみだよ」
戦闘は続く〜よ ど〜こま〜でもぉ♪。
102 :
19:03/11/24 20:36 ID:SJ++7DQo
皆様、保守&レスありがとうございます。
>>86 いやもう、書いているほうも混乱しております。
>>87 それについては一考しよう三点って、詳しいキャラ、知らないんですが…。
>>88 ふふふ。まだまだヒネってみせましょう。
ただ、話として面白くなるか?つーのが一番問題なのですが。
>>89 本題は君と共にある。迷わずに読んでくれ。
この作品を書き終える事が出来たら、八年前にいえなかった言葉を口にするよ。
>>90 皆様のおかげでございます。
103 :
19:03/11/24 20:48 ID:SJ++7DQo
>>98 訂正。職種→触手、です。
触手フェチの方、興を削いですみません。
…誤字・誤変換、まだあるのかな?
104 :
74:03/11/24 21:38 ID:z93a1uz6
キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!
マッテテヨカッタ・・・
とはいえ
>>83が無かったらしんどかったでしょうねw
話の筋そのものはシンプルなのに、読めば読むほど混迷の度合いを深める不思議なSSというw
>
>>87 >それについては一考しよう三点って、詳しいキャラ、知らないんですが…。
問題ありません
私も知りませんから(ぉ
保守
いかん、面白すぎるW
ラジオドラマ化してもらいたいくらいだ
107 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/12/16 20:07 ID:tBEipkux
19降臨期待age
108 :
19:03/12/17 22:03 ID:uU3j2uZk
>>104 ありがとうございます。
何がなんだかよく解らない世界をしばらく書いてみます。
>>105 保守ありがとうございます。
>>106 そう言って頂けると嬉しくて涙が出てきます。
>>107 もうしばらくお待ちください。
早くてクリスマス、遅くとも初夜…いえ除夜の鐘がなるまでには第参話を書き上げます。
皆様、ありがとうございます。
109 :
74:03/12/18 02:54 ID:uHlHC0Uj
あぼーん
111 :
74:03/12/28 01:06 ID:zCo1t7Bo
そろそろ来ないかな
112 :
19:03/12/29 03:46 ID:kDqNq6sq
第3新東京市に朝が来る。
そして碇シンジの憂鬱な日常が始まるのだ。
目覚まし代わりのロックが流れ、ミサトの妙に裏返ったシャウトが突き抜けていく。
「やれやれ、今朝は一段と気合が入っているな。…おはよう、碇君」
「…おはようございます、ペンペンさん」
ダイニングにやってきたペンペンとシンジがミサトの部屋を見ながら挨拶を交わす。
「これさえ無ければ、彼女もなかなかの人物なのだがな。個人の趣味とは言え、この音楽
は私の趣味には合わん」
新聞に目をやりながらペンペンがぼやく。
「どんな音楽を聴いているんですか?」
「雅楽、だな。魂を震わせるモノがある」
シンジはため息をひとつついて、日本茶の入った湯呑みをペンペンに差し出す。
「君はどんな音楽が好きなのかね?」
「クラシックとか、よく聴きます。チェロをやっていたから」
シンジの答えを聞くとペンペンは首肯しながら呟く。
「異文化に理解を示すのは良い事だな」
ミサトの歌声が止み、やがてエプロン姿のミサトが現れる。
「快調快調♪さッて早速朝ご飯の用意、するからね」
「頼む。君の味噌汁を飲まないと頭が目覚めないのでな」
「まァた口が巧いんだからァ」
ミサトは嬉しそうに笑うと、朝食の準備を始めた。
「ところで学校には慣れたかね?」
ペンペンが不意に尋ねる。
一瞬の沈黙の後、シンジは静かに答える。
「はい」
「友達が出来たら呼ぶといい。楽しい時間をすごそうではないか」
「はい」
シンジの声から感情が消えていた。
113 :
19:03/12/29 03:48 ID:kDqNq6sq
学校という空間がシンジには憂鬱であった。
一連の騒動によって、シンジがエヴァのパイロットであると言う事実はクラスメートの知る
処となったのではあるが、それによって少しだけうっとおしい事態になったのだ。
「なぁシンジぃ、いやシンジ様。今度、エヴァの秘密基地、撮影させてくれんやろか?」
軍事オタクのトウジが連日ビデオカメラを抱えてシンジを追いかけるのだ。
それだけではない。
使徒戦により妹がケガをしたと言うヒカリなどはシンジに辛く当たるのだ。
さらにどういう訳か、そこにレイまで加わっているのだ。
「僕が一体何をしたって言うんだ…。父さんに言われて、使徒と戦っただけなのに」
ちやほやしてくれとは言わない。
ただ、そっとしておいて欲しいのに…。
学校の屋上で第3新東京市の高層ビルを眺めながらシンジは考える。
青い空を白い雲が駆けて行く。
「シンジー!まーたこんな所でサボって…アレ?」
屋上に上がって来たレイがキョロキョロと辺りを見回す。
「おっかしいわね…いつもならここでボケーッと空を眺めているのに。どうするヒカリ?」
「ん。今度でいい」
後ろで手を組んだヒカリが小さく答える。
「まったくもう!エヴァパイロットたる者、何時いかなる場合でも所在は明確にすべきな
のに。…自覚が足りないわね。今度ヤキを入れてやらなくちゃ」
「行こう、レイ」
レイを促してヒカリが階段を降りていく。
貯水タンクの上で頭を抱えていたシンジの表情が見る見る歪む。
「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。…いや、逃げよう」
シンジの中で何かがハジけた。
114 :
19:03/12/29 03:49 ID:kDqNq6sq
カバンを残したままシンジはミサトのマンションに帰った。
ミサトはネルフ本部に出勤して不在だ。
ペンペンは自分の冷蔵庫に篭っている。
シンジは自室に入ってショルダーバッグに荷物を始めた。
その時リビングの電話のベルが鳴る。
一回、二回、三回…。
留守電のメッセージが流れ出す。
『…メッセージを録音してください。ピーッ』
『…シンジ、逃げてはいかん』
「あひゃああああああァッ!」
担任の根府川先生の声が聞こえる。
シンジはその一言を聞いて心臓が握り潰される思いがした。
パニックに陥ったシンジは、手荷物さえ持たずにマンションを飛び出す。
停留所にいたバスに、行き先も確認せず飛び乗るシンジ。
最後尾のシートに座り呼吸を整えるシンジ。
ふと顔を上げると何人かの乗客がシンジを見ている。
やや被害妄想気味の精神状態になりつつあるシンジにとって、その視線は痛い。
一駅でバスを降りると今度は歩いて乙女峠を目指す。
途中、警察官が声をかけてきたが無視して振り切る。
逃げなくちゃダメだ、という脅迫観念がシンジを突き動かす。
国道138号線をひたすら歩く。
だが、乙女峠にあるトンネルにはネルフの厳重な検問があった。
仕方なくシンジは山道を北東に進み、矢倉沢峠を越えて南足柄市に抜ける事にした。
夏の日差しが照り付ける中、シンジはひたすら坂道を登る。
汗が滝の様に流れ出し、カッターシャツが肌に張り付く。
矢倉沢峠に辿り着いた時、シンジは第3新東京市を振り返った。
太陽の光を浴びて白く輝くビル群。
ミサトは、この街を守ったのはシンジでありそれは誇るべき事だ、と言った。
「僕じゃなくても出来るんだ…」
自分に言い聞かせる様にしてシンジは坂道を下って行った。
115 :
19:03/12/29 03:49 ID:kDqNq6sq
カァカァと言う郷愁に満ちたカラスの鳴く声が山間部に木霊する。
その中をシンジはただ闇雲に歩き回っている。
汗でぐっしょりと濡れたシャツが風を受けてシンジの体温を徐々に奪って行く。
体温低下を防止するために身体はエネルギーを消費して熱の産生を行うが、それはエネル
ギーのロスになるのである。
濡れた服を乾燥させ栄養を摂り、暖かくして体力低下を防がねばならない事をシンジは知
らない。
夏山と言えど油断してはならないのだ。
条件さえ整えば、気温が10℃程度であっても凍死する事がある。
よく見ればシンジの唇は紫色に変わっている。
チアノーゼ、である。
長時間泳いでいると、知らない間に体温が低下して唇や指の色が紫色に変わる。
あの現象である。
また大量の水分が失われているにも関わらず、シンジは水分捕球をしていない。
脱水症状も起こしているはずであった。
大きな樹の根元にうずくまり、膝を抱え込んで全身の振るえをこらえているシンジ。
『シンジ君が逃げた?』
ペンペンからの電話を受けたミサトの声が裏返る。
『担任の先生と思われる人物が留守電にそれらしいことを残している。聞くかね?』
根府川の伝言が再生される。
『で、どうするね?』
『警護についている者がいるから心配はしなくても良いはずだけれど…』
『では何故この様な事態が発生しているのかね、葛城一尉?』
ハッ!となるミサト。
『解ったわ。こちらでも調べて見るわ。留守番、よろしく』
電話を切るとミサトはすぐさま保安諜報部第二課に電話をかける。
116 :
19:03/12/29 03:50 ID:kDqNq6sq
「サードチルドレンは現在、明神ヶ岳西麓で休息をとっています」
同僚からの連絡をミサトに報告する保安諜報部員。
「では何故そのまま放置しているのか説明してもらえるかしら?」
腕組みを解く事無くミサトが畳み掛ける。
「我々に与えられた命令は、チルドレンの監視と保護です。オリエンテーリングの指導は
任務外です」
平然と言い返す男。
「その結果、チルドレンに何らかの問題が発生した場合、どう責任を取るおつもり?」
「命令以外の事柄で責任を問われても困ります。碇シンジに関しては貴方が責任者では?」
「では作戦部からの命令です。サードチルドレンの身柄の確保、最優先で行いなさい」
両肩をすくめて、了解しました、と答える男。
だが…。
『ちょっと目を離した隙に逃げられました!』
『慌てるな。子供の脚だ、そう遠くへは行けまい。増援を出す』
そう言いながら横目でミサトを見る。
口をひん曲げて中指を突き立てているミサト。
「Fuck you!ぶち頃すぞゴミめら…!」
そう言い捨ててからドアを蹴飛ばして出て行くミサト。
「ヘリの用意、急いで頂戴。私も行くわ」
大股で歩を進めながらミサトは電話を切る。
「ミサト、どんな様子?」
後ろからリツコがやはり大股で近付いてくる。
「リツコ、どうして?」
「保安諜報部の端末にちょっと、ね」
眼鏡を直しながらニヤリと笑う。
「アブナイ事するわね。バレたら大変なんじゃないの?」
「誰にモノを言っているの?ん〜?」
リツコはネルフのすべてを事実上管理しているMAGIの最高責任者なのだ。
ネルフ内部の情報でリツコに秘密に出来るモノなど皆無に等しい。
117 :
19:03/12/29 03:51 ID:kDqNq6sq
夕闇の中をシンジは歩き続けていた。
太陽は既に箱根の外輪山に隠れ西の空を赤く染めている。
森の中から見える空は、紫色から薄墨色へと次第に変わりつつある。
雑草の生い茂った山道を手で掻き分けて進む。
小枝や萱で作った小さな傷に血を滲ませながら、進む。
呼吸は乱れ、脚を一歩進める度に上体がぐらりと傾く。
取るに足らない雑草が、まるで泥沼の様にシンジには思えた。
時間が経つにしたがって闇は広がって来る。
視界が利かなくなり、ますます不安が募るシンジ。
その時、木々の間から光が見えた。
立ち止まって目を凝らすシンジ。
間違いない!
街の灯りだ。
街の灯りがとても綺麗ねヨコハマ♪
シンジは夢中でそちらに進んで言った。
あれほど逃げ出そうとしていた街に、今はただ帰りたかった。
たった半日間の彷徨は、シンジにとっては街で味わう苦痛を超えていた。
ヒッ、ヒッと言う、悲鳴とも呼吸音とも取れる音がシンジのノドから漏れる。
あそこには水も食べ物もお風呂もある!
知り合いだって、いる!
一人じゃない一人じゃない一人じゃない!
シンジは真っ直ぐに光を目指した。
そのシンジの脚が急に軽くなり、そして浮遊感がシンジを襲う。
「うわあぁぁああぁぁぁああぁッ!」
崖があった。
118 :
19:03/12/29 03:53 ID:kDqNq6sq
シンジにとって幸いだったのは、崖が3m程度の低い物でかつ緩やかな斜面があったことだ。
落下はしたものの、後は斜面を転がり落ちただけである。
しかし全身を強く打ったのは間違いないし、息をすると右のわき腹も痛む。
肋骨の一本くらいは折れているかも知れない。
しばらく地面に横たわっていたが、やがてよろよろと立ち上がり、また歩き始めた。
この辺りにはネルフが設置した対使徒戦用のロケットランチャー施設があるはずだ。
長居しないに越した事は無い。
『サードチルドレンらしき人物が俵石で目撃されたようです。そちらに回します』
ヘリのパイロットがミサトにそう伝えた。
『ご苦労様です。それで、シンジ君の様子は?』
『目撃者の話では、どろどろに薄汚れた少年が元湯場方面に歩いていくのを見たそうです』
『ありがとう。引き続き捜索をお願いするわ』
通話が切れるとミサトは安堵のため息をついた。
「とりあえず生きているし、動いてもいる訳ね…上出来だわ」
そして指をボキボキと鳴らす。
「帰って来たら、へヴィメタ3時間演奏の刑ね」
「そり上げろ そり上げろ そり上げろマンダムぅ〜 君もぉ 剃毛ぉ〜♪」
バスタブで、あまり褒められない歌を歌っているヒカリ。
窓の外に何かの気配を感じて歌をやめる。ざり…ざり、という足音を抑えた独特の音。
「不届き者めぇ…」
ヒカリはゆっくりと蛇口を開けて熱湯を洗面器に溜める。
そしてそろりと窓を開けると、気配がした方向に向かってブチまけた。
「あっあっ!あ痛ぅ!」
洗面器と洗体ブラシを投げつけておいて脱衣所に行く。
バスロープを羽織ると勝手口から飛び出して覗き魔に向かって突進する。
「私の裸を覗こうなんざ十年早いわよ!これでも喰らえッ!」
ヒカリの左足が高々と上がる。
覗き魔がヒカリを見ている。
そしてヒカリのカカト落としが炸裂する前に、鼻血を流しながら地面に倒れた。
「お姉ちゃん、パンツ忘れてるよ…」
119 :
19:03/12/29 03:55 ID:kDqNq6sq
妹の声にハッとなり、そろそろと腰からお尻までをゆっくりと撫でてみるヒカリ。
手触りに何の反応もない
見る間に顔が赤らんでくる。
裾を直し、股間を押さえてしゃがみ込む。
「私の、バカ…」
覗き魔は、いや、覗き魔と間違えられたのはシンジであった。
土で汚れた服とあちこちの傷口を洗うために、裏口の水道を借りようとしただけなのだ。
そのシンジはお風呂をごちそうになり、湯上りにヒカリの手で傷薬を縫ってもらっている。
父親がドアの前でこの複雑な事態の説明を受けようとしているが、無視されている。
「いいわね?アンタは何も見なかった。OK?」
「う、うん。ぼぼ僕は何も、見なかった」
消毒液がしみるのを我慢しながら、シンジが返事をする。
「…鈴原にも、余計な事、言わないでよね」
「う、うん…。いいけど、どうして?」
ぐりぐりぐり
ヒカリの手がピンセットを持ったまま「の」の字を描く。
「いっ痛い!痛いよ、洞木さん!」
その時、玄関で軽やかなチャイムの音がする。
「夜分に恐れ入ります。こちらは洞木様のお宅でしょうか?私、先程お電話いたしました
葛城と申します」
恐ろしくも懐かしい「お迎え」が来たのだ。
ヒカリは絶句していた。
シンジの保護者を見て凍り付いてしまったのだ。
さらさらのワンレングスに、うっすらと施された控えめな化粧。
手入れの行き届いた制服に身を包んだ長身の身体。
腰を低くした礼儀正しい女装の男性…。
葛城ミサトと名乗った人物に連れられて帰路に着くシンジの背中が小さく見える。
振り返るシンジ。
「あの、これ、内緒に、しておいてほしいんだけれど…」
黙って頷くヒカリであった。
120 :
19:03/12/29 03:56 ID:kDqNq6sq
ミサトはお説教らしいことは何も言わなかった。
ミサトのマンションに入る時、シンジが「ただいま」と言うとシンジの頭を撫でてくれた。
そして特製のカレーライスを食べさせてくれた。
「遠足は楽しかったかね?」
ペンペンが声をかけてきた。
曖昧な笑顔で通り過ぎようとするシンジを鋭い爪が遮る。
「待ちたまえ。君は、今回の自分の行動についてきちんと分析する必要があるのではない
かね?」
口調にやや非難めいたモノを感じたシンジは視線を剃らせるとぶっきらぼうに応える。
「もう終わった事ですよ」
「今回は、な」
「?」
「一度逃げ出した者は、また逃げ出す。その方が簡単だからな。さて、君はどちらだろうね?」
「それは…」
「良く聞くがいい。君は素直な所があるが、反面かたくなな一面もある。それは時として
長所にもなるが簡単に短所にもなり得る」
湯のみの渋茶をすするペンペン。
「君の使命は過酷だ。それは普通の少年には重過ぎる荷物なのは間違いない。だが、誰か
が背負わなければならない荷物なのだ」
「…どうして僕なんですか?どうして僕じゃなければならないんですか!」
シンジの手が震える。
「君一人ではない」
「え」
「レイがいる。まだ日本に着いていないが、惣流・アスカ・ラングレーという娘もいる。
何より、葛城君をはじめとして、たくさんの大人達が君を支えようと待機しているのだ」
「…」
「君は決して一人ではない」
「…それを、その言葉を、父さんから聞きたかったんです…」
シンジの頬を涙が伝う。
121 :
19:03/12/29 03:56 ID:kDqNq6sq
四国沖・国連艦隊。
「ねぇアスカ。このカツオ美味しいわよ!」
「ナマ臭いのは嫌い」
「大丈夫よ。こうやって薬味を乗せてニンニクをつければもぉサイコー!」
「ニンニク…これを食べればバンパイアロードのエナジードレインを防げるかしら」
「何?何の話?」
「何でもないわ…」
「もうすぐ日本に上陸できるわ。噂の碇司令の息子さんとも会えるわよ。楽しみね」
「私が興味があるのは私だけ」
「エヴァが3機も揃ったらチームプレイも必要なんだから」
「命令があればそうするわ」
アスカは夜空を見上げた。
「月も一人、私も独り」
「…寂しいの?」
「胸がちくちくするだけ」
だがしかし、アスカの呟きは海風にかき消されたのであった。
122 :
19:03/12/29 04:00 ID:kDqNq6sq
>>109 >>110 お二人とも、保守ありがとうございます。
>>111 お待たせいたしました。
どうやらすっかりスケジュールを把握されてしまったようです。
まるで自作自演みたい(w
次回は一月終盤を予定しております。
それではまた…。
キキタタ┏┓キタキタキタキタキタキタキタキタキタ┏┓┏┓
キタ┏┛┗┓┏━━┓キタキタキタキタキタ┃┃┃┃
キタ┗┓┏┛┃┏┓┃キタキタキタキタキタ┃┃┃┃
キタ┏┛┗┓┃┗┛┃┏━━━┓┗┛┗┛
キタ┗┓┏┛┃┏┓┃┗━━━┛┏┓┏┓
キタキタ┃┃キタ┗┛┃┃キタキタキタキタキタ┗┛┗┛
キタ━┛┗━━━┛┗━━(゚∀゚)━━━!!!
124 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/12/29 11:29 ID:UdrXRkYB
キタキタキタ━━(゚∀゚)━━━!!!
19 キタ━━(゚∀゚)━━━!!!
125 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/12/31 12:52 ID:gmDVjIbI
左様ペンペン最高!
ペンペンカコイイ!
根府川先生コワー
ペンペンの中の人は若本ロイエンタールでケテイ!!
一月末まで保守せねば。
>>1はああ言ってるが、19氏のレイなアスカは萌えるねえ。
絶対保守。紙後輪期待下げ。
130 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/02/01 13:46 ID:P0AHF3BF
絶対揚げ
保守
132 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/02/13 17:23 ID:KlfDOUXx
髪→水色・目→赤なアスカと
髪→赤(茶)色・目→青なレイ
どっちが萌える?
133 :
七月十星:04/02/13 20:48 ID:gsGjDkV5
同人でアスカとレイが頭ゴッチンして入れ替わる話とかありませんか?
あったら読んでみたいでつ。
なんか
>>19の独演場になっているみたいだな〜
ときたま、19氏の趣味が見え隠れしていておもろい
とりあえず、俺も思いついた一発ネタを
「殴られっぱなしだなんて、あんたそれでも男?
よくそんなんでエヴァのパイロットをやってられるものね
あんたがサードチルドレンなんて、なんかの間違いじゃないの?
だいたいあんた本当に碇指令の息子?信じらんないわ
そんなことよりも非常召集よ!もたもたしていないで
さっさと立ちなさいよ!わたしは先に行っているわよ
ま、あんたがついた頃には、もう終わってるかもね」
すんげーむかつく(w
135 :
19:04/02/22 01:55 ID:???
念の為、キャスト案内再掲。
くれぐれも素のキャラをイメージしてはなりません。
今回は特に危険が高ぅございます。
( )内が現在の人物・あるいは性格。
ゲンドウ(冬月) 冬月(根府川) ミサト(シゲル) リツコ(マコト) リョウジ(マヤ)
マヤ(ミサト) シゲル(リツコ) マコト(リョウジ) トウジ(ケンスケ) ケンスケ(ヒカリ)
ヒカリ(トウジ) 根府川(ゲンドウ) キール(カヲル) カヲル(?) シロウ(??)
ペンペン(キール)
136 :
19:04/02/22 01:56 ID:???
家出とも冒険とも判別できない小さな出来事がシンジをほんの少し変えた。
「他人」という存在がシンジの思考と行動に遠慮なく干渉し、修正していく。
それに抵抗し、あるいは吸収しながらシンジの内部で何かが変わりつつあった。
キールの叱咤やミサトの心遣い、洞木ヒカリのカカト落としまでもがシンジの古く干から
びたカラを打ち砕いていく。
ヒカリとの間には秘密めいた関係まで築いている。
「雨降って地固まる、と言うのはこの国の諺だったかな?」
昆布茶をすすりながらシンジの登校姿を見送るキールがミサトに尋ねる。
「ん〜、国語は苦手なのよねェ」
朝食の後片付けをしながらミサトが答える。
「…そんな事では今度の授業参観で恥をかくのではないかね?」
「今、何と?」
洗い物の手を止めて、ついでに水も止める。
「明日、第3新東京市立第壱中学校で授業参観が行われる」
誤解が生じる隙もない明快な答えにミサトの顔色が変わる。
「ちょっと!そんな話、私聞いて無いわよ!」
「昨夜シンジ君が私に見せたプリントにはそう書いてあったが?」
バイザーが湯気で曇るのを気にしながら昆布茶をすするキール。
「あンのガキぃ…ッ!」
キッチンスポンジを握り潰すミサト。
「保護者の署名欄には私がサインして置いたが、それでいいかね?」
「出席、するの?」
「当然ではないか。シンジ君は我々の家族なのだろう?」
「…ごめんなさい、今からクリーニングに出してスーツ間に合うかしら?」
「急ぎたまえ。君のツーピースは手間がかかるだろうからな」
「私、の?」
「私と君、二人で出席するとコメントしておいた」
「…出席…しても言いのかしら…」
「シンジ君が我々の家族ならば、我々もシンジ君の家族だ。胸を張って出席するがいい」
「んもぅ、ペンペンたら」
137 :
19:04/02/22 01:57 ID:???
第3新東京市立第壱中学校 2-Aの教室。
窓際で数人の男子生徒が雑談している。
「お前ン家、明日は誰が来るの?」
「親父。仕事休んで来るってさ」
「ウチもそうさ。何かえらくビビってたなぁ」
「担任が強面だからなぁ…」
「…立て、ユースケ」
右手の人差し指と中指で眼鏡をすり上げる真似をしながら担任のモノマネをする生徒。
「おぉ!似とる似とる。もっかいやってくれんか、録画しとくワ」
トウジがカメラを持って立ち上がる。
「平和なヤツ…」
トウジの姿を目で追いながらヒカリが呟く。
「洞木…さん家は誰がくるの?」
いつの間にか机の横に立っているシンジ。
ちろりとシンジを見てため息をひとつ。
「どうでもいいけど、ヘンになつかないでよね」
「ご、ごめん」
視線をトウジに戻してから小さく答える。
「お姉ちゃんが来ると思う」
「僕は、ペンペンさんって言う人が来るんだ」
ヒカリの目が少し見開かれ、ゆっくりと振り返る。
「なんで外人さんが来るのよ」
「いや、ほら、ミサトさんじゃあ、皆が」
「あんた、よくもそんな酷い事が言えるわね」
ヒカリの表情が見る間に般若のそれに変わっていく。
「この前だってあんなに心配してくれていたじゃない」
どん!と机をたたいて立ち上がる。
「だ、だってあれはその、仕事柄」
後ずさりするシンジ。
138 :
19:04/02/22 01:59 ID:???
「そんな事を言うのはこの口かこの口かこの口か!」
「ひっひはひひはひほほはひはは」
シンジの頬を鷲掴みにすると、親指を口に突っ込んで唇を思いっきり横に引っ張る。
「おはよー、ヒカリ。何やってんの?」
教室に入ってきたレイが声をかける。
「おはよ、レイ。このバカがバチ当たりな事を言うのよ!」
親指をぐにぐに動かしながらヒカリが説明する。
「あぁ、ミサトのコト、か」
レイの声がトーンダウンする。
「悪い人じゃあないし、多芸な指揮官だとも思うんだけどね…」
「何よ、冷たいわね。アンタもこのバカの味方なの?」
「違う違う。ちょっと苦手なだけ。想像してみ?あの顔・あの声でオネェ言葉で喋って、
こっそりヒゲを剃ったりスネ毛の処理をしたり」
「う゛」
「あまつさえ華やかな下着をつけてお化粧をする」
「んが」
「悪い人じゃあないんだけれどねぇ。…早く手術させてあげたいなぁ…と」
「わ、解ったわレイ。あんた達の苦労も理解した。でもね、コイツはコイツはコイツは」
「静かにしろ…始業のチャイムは鳴っている」
三人の後ろに根府川が立つ。
「はーい」
「シンジ」
席に着こうとするシンジを根府川が呼び止める。
「明日の進路相談は誰が来る?」
「は、はい…ペンペンさんって言う、ミサトさんの友達が来てくれます」
「そうか…席につけ。授業を始める」
139 :
19:04/02/22 02:00 ID:???
「シンジ、おい、シンジ」
後ろからトウジが背中を突っつく。
「な何?」
「お前、ネルフの作戦部長のミサトさんっちゅーべっぴんさんと暮らしとんのやろ?」
「美人の基準は色々だから」
「勿体ぶらんで教えてぇな。女の身ながらネルフの作戦部長!そらァもうシビレる様な
おなごはんなんやろなぁ」
デレデレなトウジとあからさまに冷たい態度のシンジ。
「ミサトさんはこないから」
「なんでや?お前の保護者代理なんやろ?」
「教えてないから」
「ははァん…ワシ等に秘密にして、自分だけエェ思いをしようとしとんのやろ?」
「そんなんじゃないったら」
「舐めたらアカンでェ。このトウジ様に撮れん被写体はないんや」
ニヤリと笑ってカメラを構えるトウジ。
「鈴原トウジ…授業が嫌ならば、出て行け」
教壇に仁王立ちした根府川が左手で廊下を指している。
「うヒィ」
「どうした…私の言うことが解らんか?」
ゆっくりと ゆっくりとトウジの席に近付いていく。
「すんませんでした!真面目に授業受けますよって堪忍してください」
「立て」
有無を言わせない迫力でトウジの前に立ちはだかる根府川。
「かっかっ堪忍してくださいいぃぃいぃ」
半泣きで立ち上がるトウジ。
根府川はゆっくりとその両腕を広げるとトウジを抱きしめて、そしてびっしりと生えた
アゴヒゲをトウジの頬にこすりつける。
「ぎょぇえぇぇぇおおぉぉぉぉあぁぁぁ」
生徒達がもっとも恐れる根府川の体罰「愛の抱擁」にトウジは絶叫した。
「うわぁ…これもキツイわね」
レイが小さく身震いする。
140 :
19:04/02/22 02:01 ID:???
帰宅したシンジは巨大な冷蔵庫のドアをノックしてみる。
「何かね?」
読みかけの本を手にペンペンが出てくる。
「あの、明日の準備、出来ていますか?」
「無論だ。今頃は葛城君も美容室に行っているはずだ」
シンジは動揺した。
「ミッミサトさんも来るんですか?」
「当然じゃないか。彼女は君の保護者代理なのだ」
「でも…でも誰が…まさか、ペンペン、さん!?」
「もちろん私が教えた。いけないのかね」
「内緒にしておいてほしかったのに…」
「何故?」
「だって、友達の前で、あんな…ミサトさんを見たら皆きっと笑うんだ…恥ずかしい」
「愚かなものだ」
手に持っていた本をテーブルに置くとペンペンはため息をつく。
「え?」
「何故恥ずかしい?誰が恥ずかしい?誰が何を言おうと、彼女の君を思う気持ちに偽りが
あるのかね?君のために美しく装う彼女の努力を、君は笑うのか?君を家族として受け入
れた、彼女の愛情を君は拒絶するのか?君の考える家族とは、君にとって都合の良い事だ
けを具現化する存在かね!?」
ペンペンの迫力にたじろぐシンジ。
「君の考える家族とはそんなものなのか?」
「でっでも」
「何かの縁で共に暮らす我々だ。彼女の良いところにも目を向けるべきだ。つまらぬ価値
観などに振り回されず、君自身の心で彼女を理解するがいい…ふふ、また要らぬ説教をし
たな、すまぬ」
「…いえ、そんな事…」
そしてシンジは考える。
自分自身の価値観などと言うものが、今の自分にあるのだろうか?と。
141 :
19:04/02/22 02:02 ID:???
いつにもましてざわつく教室。
いよいよその日がやってきたが、シンジは気が気ではなかった。
ネルフ本部に呼び出されたミサトは結局帰ってこなかった。
朝になっても連絡は無く、授業参観に間に合うのかさえも判らない。
突然、校庭に真っ赤なスポーツカーが滑り込んで来る。
派手なタイヤ痕を駐車スペースに描きながら枠線の中に納まると喝采が起こる。
「派っ手ぇ〜。誰の親だぁ?」
「うぉ!トヨタ2000GT!高けぇぞ、あれ」
校舎の窓に生徒達が張り付く。
運転席のドアが開き、ショッキングピンクのストッキングに包まれた脚が伸びる。
そして真っ赤なツーピースに身を包んだ、ロングヘアの人影が現れる。
「おおおおお!ヤンママかぁ?」
「こっち向いてくださーい」
その声が聞こえたのか、その人影はゆっくりと振り向くと両手を口元に当てる。
「あ・り・が・と」
そう言って投げキッスを振りまいた。
葛城ミサト、授業参観デビューである。
「葛城君、始業時間に遅れてはいかん。急ごう」
ダブルのスーツに身を包んだペンペンがミサトを急かす。
「ひひひ。ごっめーん、チョッチ浮かれちった」
「君の美貌は子供達には毒じゃないかね?」
「これっくらい、サービスサービス」
ハンドバッグを振り回しながらミサトが舌を出す。
「ツカミはOK、というやつかね」
「そ。これでぇ、カゲの薄いシンちゃんもバッチリね」
「流石はネルフの作戦部長だ。策士だな」
「今日のアタシは一味違うわよォ」
校舎に予鈴が鳴り響く。
142 :
19:04/02/22 02:03 ID:???
2-Aの教室に妙な緊張感が満ちている。
着席した生徒達がちらちらと参列した父兄を盗み見ている。
授業参観などというものは、父兄によるファッションショーと相場が決まっているのだが、この日はその質が異なっていた。
「誰の父兄だ、ありゃ?」
「見た事無ぇよ…と言う事は…」
「まーた転校生絡みか…オイシイ所もって行くなぁ」
「夢に見るかも…」
「エヴゥのパイロットって、タフな精神力しているんだな」
「美しい…」
ざわめく生徒達を静まらせたのはひとつの足音だった。
かつん、かつん、と言うゆっくりとした音が廊下に響く。
がらりとドアが開き、根府川が入ってくる。
「世は全てこともなし。…授業を始める」
父兄達に挨拶することも無く、根府川が教科書を開く。
感情を抑えた声が無味乾燥な数式を読み上げ、右手のチョークが正確なリズムを刻みなが
ら磨り減っていく。
片時も休む事無く問題が出され、そして解かれていく。
「圧巻だな」
ペンペンが呟く。
「なーんか、詰め込み主義なんじゃないの?」
「子供達に時間がないのを知っている証拠だ。この時代、何が起こるか解らんからな」
その時根府川のポケットが震え出した。
チョークを持つ手を止めるとポケットから携帯電話を取り出す根府川。
「授業中だ。ここには電話するなと…そうか、判った。…葛城一尉」
「ハイ!」
根府川の突然の声に思わず直立するミサト。
「エヴァ弐号機を搬送中の国連艦隊近くに使徒が出現した。出撃しろ」
143 :
19:04/02/22 02:06 ID:???
「え゛?」
「出撃、だ」
「りっ了解しました。シンジ君、いくわよ!」
ミサトの目がネルフ作戦部長のそれに変わる。
駆け出すミサトと、状況が飲み込めないシンジ。
「どうしたシンジ、出撃しないのか」
「あっあのっ…」
「レイ、お前も行け」
「機体は修理中だもん」
「予備が使えなんかも知れん。初号機で代わりに出ろ」
「オッケェー。私の力、見せてあげるわ」
レイが自信たっぷりの表情でシンジを見やる。
「他の者は授業を続ける…席に付け」
そして根府川はまた黙々と数式を解いていく。
階段を駆け下りミサトの車に飛び乗るレイとシンジ。
「ちょっとアンタ、後ろに行きなさいよ」
「だって後ろは…」
「エヴァに乗らないパイロットなんて、荷物と一緒よ」
渋々と従うシンジ。
「レイ…初号機を起動させる自信は?」
「あるに決まっているじゃない」
「そう…頼んだわよ」
ミサトがアクセルを踏み込む。
144 :
19:04/02/22 02:07 ID:???
駿河湾海上・国連艦隊旗艦・オーバー・ザ・レインボゥ
「来ました、な」
「ネルフからの連絡は?」
「救出班を送ってくれるそうです」
「ありがたくて涙が出るな。…ではその前に片付けてしまおうじゃあないか」
「了解しました。全艦戦闘準備!」
警報ブザーが鳴り響き、兵士達が慌しく走り回る。
密集隊形を取っていた艦艇がゆっくりと展開していく。
輸送タンカーのデッキでその様子を窺っていたリョウジが自室に戻って電話をかける。
『始まりました。どうしますか?』
『そうだね…とりあえずも君だけでも一足先に帰ってきたまえ』
『弐号機とアスカは?』
『心配は要らん。彼女なら一人でもなんとかなる』
『解りました。すぐに帰還します』
電話を切り、ベッドの下にあるスーツケースを引っ張り出すとリョウジは部屋を出る。
…ドアの前に、無表情のアスカが立っていた。
「どこに行くの」
どこか詰問するような声だ。
「ごめんなさいアスカ。単独で帰還せよ、っていう命令なの」
「私への命令は?」
「単独にて使徒を殲滅せよ」
「解ったわ」
じゃあ、といってアスカの横をすり抜けるリョウジ。
独りで船倉に行くアスカ。
無造作にワンピースを脱ぎ捨て、足元にあるショルダーバッグからプラグスーツを取り出し
黙々と装着する。
手動ハッチを開けてプラグをオープンさせるとゆっくりと乗り込む。
「命令・使徒殲滅。エヴァ弐号機、発進」
静かな声が冷たく響く。
145 :
19:04/02/22 02:08 ID:???
持てる全ての武器で使徒を迎撃する国連艦隊。
だが使徒はその圧倒的な体躯で次々と艦艇を屠っていく。
「くっ…核使用の許可はまだ出んのか!?」
「対使徒戦の指揮権はネルフにある、と聞き入れられません」
「バカ共めがぁッ!」
「エヴァ弐号機、起動しています!」
「何ッ?」
「こっちに向かってきます!うあぁぁあ!」
飛行甲板に弐号機が降り立つ。
揺れるオーバー・ザ・レインボゥ。
「使徒、右舷より接近!」
水柱が上がり、巨大なエイが弐号機に襲いかかる。
肩からプログナイフを取り出すと真っ直ぐに突き上げるアスカ。
だが、使徒はその巨大な口を開くと弐号機を飲み込んでしまう…。
その上空3000m。
エヴァ専用輸送機の中ではレイとシンジがケンカをしていた。
「僕が乗るってば!」
「命令を受けたのはア・タ・シ。根性無しは引っ込んでなさいよ」
「二人共ぉ、ケンカはダメよ。何なら二人で操縦してみる?」
『え゛?』
「んとね、リツコがそう言うデータを欲しがってんのよねー。理論上は可能なんだって」
「イヤ、ゼーッタイ、イヤ。こんなのと一緒にLCLに浸かりたくないわ」
「こっちだってお断りだよ!」
「弐号機、使徒に食べられちゃったわよぉ」
マヤがのんびりとした声でミサトに報告する。
「報告書には『使徒の体内に潜入』と書くように」
「お役所仕事だな。ま、それが社会ってもんか…宮仕えは辛いな」
「いいから早く出撃準備しなさいまったく!」
オペレーター三人組も同乗しているのだ。
「二人共準備にかかって。作戦名『二人羽織』行くわよ」
146 :
19:04/02/22 02:10 ID:???
ウヤムヤの内に二人はエントリープラグの中に押し込まれ、出撃準備を待つ。
「どうやって降りるんですか?」
「飛び降りるのよ、パラシュートは無いけれど」
「何それ!そんな無茶苦茶アリ?」
「エヴァの耐久性テストも兼ねてるの、ごめんなさいね。…ポチッとな」
エヴァが切り離され、自由落下を始める。
『うひぃぃぃぃぃぃぃ』
弐号機を飲み込んだ後、使徒は水面を飛び跳ねていた。
「どうしたというんだ?」
オーバー・ザ・レインボゥの艦長が訝しげに呟く。
「ヘンな物喰ったから腹痛を起こしたのでは?」
副官の冗談を無視して通信員に怒鳴る。
「ネルフからまだ連絡は無いのか?」
「たった今、援軍を派遣したそうです」
「いつ着く?」
「…3秒後だそうです…うわッ!使徒、本艦に接近!」
水面を飛び跳ねていた使徒がものすごい勢いで近付いてくる。
そこに急降下爆撃機が発する、あの独特の音が聞こえてきた。
「落下物、接近!きっ来ます!」
視界に閃光が広がる。
ばん!という音がして艦橋の床が一瞬沈み込み、そして持ち上げられる。
水飛沫と波と轟音と爆風が、生き残った国連艦隊を木の葉の様に揺さぶり弄ぶ。
使徒の体内に侵入したアスカが倒したのか、シンジ達の初号機がその落下エネルギーでもって
倒したのかそれは定かではないが、とにかく使徒は殲滅された。
「うッし!終わり良ければ全て良し、人生万事塞翁が馬」
作戦は成功した。
147 :
19:04/02/22 02:12 ID:???
バスタオルに包まれたレイ・シンジ・アスカがパイプ椅子に座ってコーヒーを飲んでいる。
「アンタがセカンド・チルドレンね?…言っとくけど、さっきの使徒はアタシが倒したんだから
そこんとこ勘違いしないでね」
「アタシ達、じゃあないの、かな」
レイの言葉に、自分を指差しながらシンジが穏やかにクレームをつける。
「そう思いたければそうすればいいわ」
シンジには目もくれずアスカが答える。
「何よその余裕は?アンタ、心の中じゃあ自分が倒したと思ってるんでしょう!」
「私に与えられた命令は使徒の殲滅」
「…だから、何よ」
「それ以外の事はしていないわ」
数秒してレイの顔色が変わる。
アスカは遠回しに、使徒を殲滅したのは自分だと言っているのだ。
「可愛いカオして舐めた口利くじゃない…。いいわ、今度使徒が来たらはっきりさせてあ
げる。どっちがbPなのかを、ね」
立ち上がり腰に手を当ててアスカを見下ろすレイ。
意にも介さず両手にもった紙コップから立ち上る湯気を見つめるアスカ。
自分を指差したまま、二人を見比べるシンジ。
三人の複雑な人間関係はこうして始まった。
148 :
19:04/02/22 02:13 ID:???
ネルフ本部・司令公務室。
「ご苦労だったね、加持君」
「もう大変だったんですよ!…やっぱり、この荷物が原因なんですか?」
「そうだろうね、いや、そうとしか考えられんだろう。見せてくれたまえ」
ゲンドウがリョウジを促す。
やや躊躇してからリョウジはスーツのボタンをはずす。
ネクタイをはずし、袖口のボタンをはずし、カッターシャツを脱ぐ。
その胸には真っ白いサラシが巻かれており、ふくよかな膨らみを押さえ込み隠している。
「男装の麗人とは良く言ったものだね」
「あまり…あまり、見つめないでください…」
羞恥心がリョウジの頬を紅潮させている。
その手がゆっくりとサラシを解いて行くにしたがい、押さえつけられていた乳房が肉の弾
力を取り戻していく。
サラシを取り去ると、そこにはやや幼さが残る顔立ちには不釣合いな居乳が表れた。
ゲンドウは口元に笑みを浮かべたままそれを眺めている。
「それも早く取りたまえ」
リョウジの手が震えながら胸元に伸びて、そして…。
左の乳房を鷲掴みにすると、べりべりと言う音と共に一気に引き千切る。
「あぅっ」
柔肌に貼り付けられていた人工乳房が痛覚と羞恥を伴って引き剥がされ、その小振りで
初々しい乳房が露になった。
だがリョウジの手は止まらない。
右の乳房も同様にしてむき出しにされていく。
テーブルの上に置かれた二つの人工乳房を眺めてゲンドウが呟く。
「最初の人間・アダム…そのオリジナル、か」
「そしてその微調整サンプル、です」
両手で胸を隠しながらリョウジが答える。
「ゼーレは我々に何を隠しているのだろうね?隠されると無性に見たくなるものだ…
そうだろう、加持君?」
恥辱に耐えながら、リョウジはそろそろと両手を胸から放す…。
149 :
19:04/02/22 02:14 ID:???
どこかの薄暗い一室。
「ふぅぅぅーん、すばらしいね。これでネルフには三人の適格者が揃ったという訳だ」
だが集まった男達は一言も発しない。
「どうしたんだい?いつもダジャレを飛ばす君達が静かだと、寂しいじゃないか」
「いっいえ、今日は体調が思わしくありませんで…」
「決して生贄にされることを恐れているのではありませんです、はい」
「生贄?いつボクが生贄を命じたりしたのか教えてくれないか」
男が「しまった」と言う表情になる。
「いえいえいえ、決してそんな意味ではありません」
「もちろんそうだとも。アレは転生だよ、我々の願いを成就するためのね」
「まったくもって仰る通り」
「では次回は君にお願いしよう」
「いやいやいやいや私如き若輩者は」
「嫌なのかい?」
「滅相もありません…」
「では『その時』まで心安らかに祈っていたまえ。僕は、君のために歌おう」
そして少年は第九を口ずさむ。
150 :
19:04/02/22 02:17 ID:???
没ネタ・その壱(インフルエンザで熱にうなされながらこんなものを書いていました)
輸送タンカーから跳躍した弐号機が駆逐艦・シャイロックに舞い降りる。
狭い足場につま先立ちした弐号機の姿は、いささかもバランスを崩す事無く優雅だ。
そこに使徒が迫る。
タンカーにかけられていた真っ赤なシートをマントの様に羽織っていた弐号機は使徒を
見据えて動かない。
が、次の瞬間、またも宙高く飛び上がると空母オーバー・ザ・レインボゥに降り立つ。
向きを変え突進してくる使徒。
飛行甲板でマントを翻し使徒を待ち構える弐号機。
水面から飛び出し、その巨体を弐号機にぶつけようとする使徒。
その瞬間、一閃。
弐号機が身にまとっていたマントが真っ青な空に翻り、その下に隠されていた弐号機の姿
が白日の下に晒される。
すっぽんぽんである。
いや、そればかりかその股間には絵にも描けない立派な肉棒が屹立している。
弐号機が腰に手を当てて構え、腰を前後左右に振る。
闘牛士がその剣をしごくように。
使徒と弐号機が接触するまさにその時!
ぐいっと腰を捻った弐号機の肉棒が使徒の横っ面(?)をしたたかに打つ。
スローモーションのように水面に崩れ落ちる、使徒。
湧き上がる歓声。
鳴り響く手拍子。
オ・レ!オ・レ!オ・レ!オ・レ!
気分はもうエスカミリオ。
あんぐりと口をあけた艦長が副長に尋ねる。
「…なんだありゃあ?」
「ヌード・フェンシング、とか言う地下スポーツです」
「マイガッ!」
負けるなアスカ!行け行けアスカ!
君のテクニックと弐号機の肉棒があれば、この世は一気にソドムとゴモラだ。
151 :
19:04/02/22 02:19 ID:???
皆様、保守ありがとうございます。
予定を大幅に遅れてしまいました、ごめんなさい。
お詫びに没ネタなどおひとついかが?
>>123 おぉ!初めて見るキタ━━(゚∀゚)━━!!!です。感動しますた。
>>124 チコクシタケド、クジケズキタ━━(゚∀゚)━━━!!!今後ともよろすく。
>>125-126 ありゃ…ペンペン人気だなぁ。根府川先生は狙い通りなんですが、むむむ、ペンペン強いなぁ。
>>127 おまけにあんな二枚目とイメージさけてるし…嬉しい誤算です。
>>128 遅れて申し訳ありません。いやもう土下座して…。
>>129 復活しますた。しかし今月もキツイですな。
>>130-131 多謝。
>>132 どちらもそれはなかなかに萌え。
>>133 すみません、いきおいでレスしますが、詳しくないので解りません(ならレスするなヨと)
>>134 お恥ずかしいです。
んが、一度書き始めたものはいつか必ず完結させてみせましょう。
そして>89にあの言葉を伝えねば…。
152 :
134:04/02/22 05:47 ID:???
>>19氏、没ネタワロタ、思っていたとおりあなたは私と趣味が似ていますね
作者も混乱しているなw
>>136の>キールの叱咤やミサト>昆布茶をすするキール
はペンペンだろ?w
154 :
19:04/02/22 22:46 ID:???
>>152 あ〜バレましたね。多分バレるだろうとは思いながらも晒したのですが。
作者名を晒したのは一度だけなんですが…読み込まれていますね。
「ヌード・フェンシング」なんかは現在のストーリー展開に無関係なので
没ネタにしか使えませんが、強烈なギャグ物が書いてみたいです。
この話も密かにシリアス設定を作っていますし…。
悪いクセです。
…ハッ、まさか「趣味」とは衆道のことでは?
>>153 まったくもってその通り。
本当は全部キールになってたんです。
投下寸前に気付いて修正したんですが、漏れがありましたねぇ。
保守
保守
保守しときますね。
158 :
19:04/05/05 06:57 ID:???
ドイツからやって来たセカンド・チルドレン=惣流・アスカ・ラングレーは変わっていた。
無口で、無表情で、あらゆることに無関心だった。
すらりと伸びた四肢と、流れるような金髪に蒼い瞳、整った顔立ち…。
同年代の少女達がため息とともに羨望のまなざしを向け、少年達が波状攻撃の様に手紙を
書いてもアスカはさしたる反応を示さなかった。
限られた情報は人を不安にさせる。
故に少年少女達は、彼女の同居人たるシンジにその提供を求めた。
「本当に何も知らないッてば!」
「まァたまたぁ。センセェがアスカちゃんと同居しとんのは皆知っとるんやデェ?生活の
ヒトコマくらい教えてもバチは当たらんやろ」
「ねねね、碇君。惣流さんの献立教えて!どうやったらあの体系が維持できるのか、それ
だけでも知りたいの」
「なぁ碇…あの子の洗濯物も、一緒に干されてるのか?」
「碇ィ〜。彼女の誕生日を聞き出してくれよ」
「シンジ君!アスカさん、どんな乳液とか使っているの?」
「頼む、碇!ぜひこの手紙をアスカちゃんに渡してくれ!」
毎日この調子である。
その光景を少し離れた場所でレイが見ている。
「何よ、ちょっと目新しい子が入ったくらいでこんなバカ騒ぎをしてさ!」
「気になる?」
キャンディを差し出しながらヒカリが声をかける。
「…アンタはどうなのよ」
「ん〜、正直あのスタイルのモトは気になるわね。あれで格闘戦が出来るのかどうか」
「アンタの興味はそれかい…」
ゲンナリとした表情でキャンディを噛み砕く。
「私に、それ以外の何に興味を持てと?」
「いやだからさぁ…可愛いナァとか、性格悪そう〜、とかもっとこう…普通の反応を、ね」
「レイはどう思っているの?」
「解らない…でも、気になって仕方がないのは確かよ…」
159 :
19:04/05/05 06:57 ID:???
シンジが帰宅した時、アスカは既に自室に引きこもっていた。。
「あの、惣流、ちょっと入るよ」
ドアをノックして声をかけるが返事はない。
もう一度声をかけてからそっとドアを開ける。
西日の差し込む三畳間でアスカは制服姿のままで本を読んでいた。
「何…?」
視線を本からはずすことなくアスカが応える。
「あの、友達からその…手紙を預かってきたんだ…惣流に、っと」
カバンからピンクの封筒を取り出すとアスカに差し出すシンジ。
視線を動かしてその封筒を一瞥したアスカはまた本を読み始める。
「受け取ってよ…」
「漢字、読めないから」
「そんな…」
本を読んでいるじゃないか、と言おうとしてシンジが本を覗き込むとそこにはアルファベ
ットの羅列があった。どうやらドイツ語らしい。
「形だけでも受け取ってもらいたいんだけど…」
「それでどうなるの?その手紙はコミュニケーションの目的を果たせるの?」
「……」
シンジは引き下がった。
「ペンペンさん、僕、どうしたらいいんですか?」
リビングでコーヒーを飲んでいた同居人の一人にシンジは相談してみた。
「どうもしなくて良いだろう。ありのままを伝えればいい」
「でも…」
「日本の風習における懸想文について詳しくはないが、彼女の言うことももっともだ。次
は直接告白させてはどうかね?会話なら彼女も不自由はしていないようだしな」
「それが出来るようなら苦労はしないんじゃあ…」
「日本人の繊細さだな。だがな、彼女はドイツで育っている事も理解せねばなるまい。
『郷に入れば郷に従え』という言葉もあるが、相手の事を気遣う精神も日本にはあるだろう…」
「はぁ…」
160 :
19:04/05/05 06:58 ID:???
「シンジ君。君は、君がどうしても伝えねばならない事を自分で伝える勇気はあるかね?」
「…解りません」
「一生に何度もある事ではない。だが必ずそうしなければならない刻がある。こういった
イベントはその為の儀式みたいなものなのだ…」
ペンペンは黙ってコーヒーを飲んだ。
「たッだいまーーー!急いでご飯の仕度するから待っててねぇ」
ここしばらく葛城家の食事はドイツ料理が続いていた。
アスカに配慮したミサトの気遣いである。
「日本食にはゆっくり慣れて貰うわ。急に食生活を変えると大変でしょ?」
海外赴任の経験があるミサトらしい言葉であったがペンペンが異議を唱える。
「初日に納豆を出された記憶があるが、あれはどうしたことかね?」
「日本文化に興味を持つ人に対するサービスよん♪」
「そんなことがあったんですか…」
「次の日にはイカの刺身だったかな…?いいオモチャだったろうな」
「大人がひがまないの。」
ミサトのセリフに3人が笑う。
だが、アスカはただ黙々と食事を続けている。
「…そうだ。アタシ、明日は旧東京まで出張だから朝ご飯は自分達でお願いね」
「ほぅ、何かあるのかね?」
「あのね。民間会社が開発したロボットのお披露目があるんだけれど、ソイツが曲者でね
ぇ。ひょっとしたらエヴァに対抗する兵器として開発されたらしいのよ」
「敵情視察かね?」
「リツコが、ね。対抗意識バリパリなのよ」
「赤木女史か…。しかし、いいのかな?現場責任者が連れ立って不在にして」
「何とかなるっしょ」
ミサトがビールを一気飲みする。
「それで例の件は本当に大丈夫なんだな?」
「はい。明日の実演会でプログラムが暴走します。計画は頓挫間違いなしです」
「また君に借りが出来たな…」
161 :
19:04/05/05 06:59 ID:???
旧東京都心・第28放置区域。
セカンド・インパクトによって壊滅的な被害を受けたこの場所は復興計画も建たないまま
放置されて久しい。この様な場所で開かれる実演会が「無事」で済む訳が無い。
ミサトの推測通り、このプロジェクトは対ネルフが目的のひとつなのだ。招待状を出して
おきながらあからさまな敵意が会場から滲み出ている。
質疑応答における肥満した老人の挑発は度を越しており、元々好戦的だったリツコを逆上させた。
「この!この!この!えぇいハラが立つゥ〜ッ!」
ロッカーを蹴飛ばしながらミサトがシャウトしている。
後ろではリツコがタバコをくゆらせながらJAの資料に火をつけている。
「…およしなさい。ムキになるのは大人気ないわよ」
「あんな気の抜けたビールを飲まされて、これが怒らずにいられると思うのッ!」
眉間にシワを寄せたリツコがため息混じりに呟く。
「あぁ、ごめんなさいねぇ…アンタって人間を理解しきれていなかったわ」
「この恨み晴らさでおくべきか!」
独りで気を吐くミサトを尻目にリツコは考える。
民間会社があの様なロボットを開発したのには正直驚かされた。もしかしたら外国企業や日本政府の何らかの援助もあったと仮定すると…。その狙いは?
もうひとつ。ネルフの情報が漏れているジジツだ。しかも現時点ではトップシークレット
とも言える、エヴァの暴走やATフィールドまで漏れているのだ…。
「スパイ、かしらね」
「酸っぱいのはダメになったワインよ!あのビールは、ナマ温くてキレも無くて!」
リツコがまたため息をつく。
実演会開始のアナウンスを受けてミサト達がドーム状の観測所に入る。
ちょっとした作戦司令部のような装備が並ぶその部屋のモニターに、今正に歩き始めよう
としているロボットの姿があった。
歓声と共に歩き始めるロボット=JA。
驚くミサト達を冷ややかに眺めている肥満した老人。
162 :
19:04/05/05 07:00 ID:???
司令は元より作戦課と技術局の責任者が不在のネルフ本部は決して仕事をサボってはいな
かった。
これは別に責任者が無能であるとかそんなものではなく当たり前の事なのだ。
各自がその職務をまっとうしている…ただそれだけである。
そのネルフ本部にミサトからエヴァ出撃要請がもたらされた。
旧東京にて民間会社の開発したロボットが暴走。原子炉を搭載したソレは一路箱根を目指
して西進中。エヴァによる抑止を請う、と言うものであった。
コウゾウはためらう事なくその要請に対応し、初号機及びシンジの出撃命令を下した。
緊急招集されたシンジが慌しくエントリー準備をしている。
その様子を眺めながらつまらなさそうに呟くレイ。
「出撃予定の無い私達まで呼ばれるなんて、ヘンなの」
「エヴァ初号機が出撃した場合の即応戦力の確保」
アスカが呟く様に答える。
「へぇーー。流石アタマのいい子は良〜く解っているのね」
可能な限り皮肉を込めてみたがアスカは何の反応も示さない。
舌打ちをひとつしてエヴァに視線を向けるレイ。
次々に光速具がはずされて行き、やがてゲートが開いていく。
「ルート57を使用してエヴァ射出します」
火花を散らして地上に駆け上る昇降機。
「エヴァ初号機、地上に出ます。リフトビル18、シャッター開け」
その時、第一発令所に警報が鳴り響く。
「上空に未確認飛行物体出現!パターン…青!使徒です!」
「ほぉ!?」
シゲルの絶叫にコウゾウが呑気な声で応える。
「マズイですねぇ…今の初号機は武器がありませんからねぇ。格納、急いでください…」
「はい」
だが、マヤの声が終わらぬ内に使徒が攻撃を開始していた。
正八面体の頂角から一本の光がほとばしり、リフトビルもろとも初号機を襲う。
「かっ加粒子砲!?」
「エヴァ初号機装甲版破損!パイロット…生命反応に異常はありません。失神しただけのようです」
163 :
19:04/05/05 07:01 ID:???
「装甲板、換装急げ!1時間以内で終わらせろ!」
ケージ内が殺気立っている。
ムリもない。エヴァが何も出来なかったのだ。
被害こそ軽微だったものの、上空に静止した使徒から逃れる術が見当たらない。
コウゾウはダミーを用いて使徒の攻撃パターンや射程距離の把握に努めていた。
ミサトからは逐次報告が入ってきており申告な状況になりつつあった。
「もしそのJAとか言うロボットが使徒の射程内に侵入した場合、どうなるのでしょうねぇ」
「まァ…送られてきた資料を信じるなら、チェルノブイリ原発事故以上の被害が出ます。
我々はここに居て安全ですが、地上は…」
マコトの言葉を聞きながらコウゾウは黙り込む。
「現在、使徒は掘削機でここネルフ本部に侵入を試みています。ここも安全とはいえません」
シゲルがモニターを見ながら補足する。
「…エヴァ初号機の再出撃準備を急がせましょう。零号機と弐号機は地下に展開」
「しかし」
「ポジトロンライフルを使います。戦自研に連絡してください。政府には私が直接話をします」
つくば山麓にある戦略自衛隊つくば技術研究本部の工廠に怒声が響く。
「急げ急げ急げ!輸送機はもうスタンバってるぞ!」
「オレ達の血と汗と涙の結晶があっさり他人様に使われるとはなぁ…」
「ボヤくな。…いい実戦テストだと思え。こんな機会は滅多にないぞ」
研究員達の様々な思いを乗せて分解されたライフルが搬出されていく。
「…そうです。作戦にあわせて日本の全電力をこちらに回して頂きたいのです。…ムリは
承知しております。ですが他に方法がないのでして…頼みましたよ」
「副司令。ポジトロンライフルはつくばから第3新東京国際空港に向けて空輸中です。
到着後は地下トンネルを使用して本部まで搬送されます」
「到着予定時刻は?」
「ヒトヨンサンマルです」
「ギリギリ、ですねぇ…」
164 :
19:04/05/05 07:19 ID:???
連続投稿規制に引っかかってしまいました。
あと7レス分は夜に投下しますです。
情けないぃ〜。
165 :
19:04/05/06 01:02 ID:???
「今回の2正面作戦について説明します。まず一方の目標である民間ロボットJA。以後
これを目標甲と呼称します。この作戦には…」
ミサトの代理としてマコトが作戦プランを読み上げている。既にコウゾウの許可は得てい
るので、後は現場で作戦を実行する者と微調整をするだけだ。
簡単に言えばJAに対してはシンジとエヴァがこれを補足し、少なくとも使徒を排除する
までの間目標の動きを抑える。使徒に対しては戦自研から徴発したポジトロンライフルを
使用してこれを迎撃する。エヴァの展開場所は地下・ジオフロント。
問題は初号機をどうやって射出するかであるが、至近距離であっても攻撃意志の無いモノ
を今回の使徒は攻撃していない。
そこに活路を見出す。
シンジは未だ失神から目覚めていない…と言うより薬物によって意図的に眠らされている。
意識の無いパイロットであるならば、エヴァもまた活動を停止する。あの時の様に暴走さ
えしなければ、だが。地上に射出した後に物理的刺激を加えてパイロットを覚醒させ作戦
に移行させる…と言うのだ。
…ヒデェ。
使徒迎撃班では小さな問題が発生していた。
どちらが狙撃手になるか?と言う問題である。
使徒の加粒子砲を防ぐためにSSTOの底部を改造した盾で狙撃手を守る防御係をレイが
嫌がったのだ。
「前回のカタをつけるのよ!私こそが1だと証明するんだから」
機体・パイロットの資質・その他を考慮してもそれを否定する要素はなかった。
かくしてポジションも決まり作戦開始を待つだけとなった。
166 :
19:04/05/06 01:03 ID:???
「さ。いい加減あのロボットを停止させるパスワードを教えなさい」
低速で移動するJAを追尾している自動車の中でミサトが詰問している。
肥満した体を縮めて老人は汗を拭く。
「何度も言います通り、私の一存では…」
「ではそれが可能な人に連絡を取りなさい」
「それはその…部外秘と言うヤツでして…」
「ではその部外秘を守って犯罪者として余生を過ごしますか?」
「は、犯罪者!?」
「当然です。国内法は言うに及ばす『核技術における21世紀条約』をどうお考えですか?」
肥満した老人はがっくりと肩を落とす。
そしてポケットから携帯電話を取り出すと震える指でボタンを押す。
『困るねェ君。この話は秘密なんじゃあなかったのかね?ボクは知らないからね』
『そう言う話しはこんな形じゃあダメだろう。きちんとした書類をくれなくちゃあ』
「タライ回し、か…」
「こっこっこれが最後の頼みのツナだ…どうか、どうか…」
『…だーかーらー、あの時に言ったでしょう?アナタ、人の言うことを聞かないから。
忠告を無視したアナタが悪い。…自分で巻いたタネです、ご自分で刈りなさい』
痩身の男が一方的に電話を切る。
やや頬骨の張った顔にゆっくりと笑みが浮かぶ。
「ふ、ふふふ、ふははははは。言ってやった言ってやったぞ!この日をずっと待っていた
んだ私は!あぁ〜気持ちいい!ざまァみやがれ…」
「総理、いかがなさいましたか?」
「ん?あぁ、なんでもない何でもない。ははは…」
167 :
19:04/05/06 01:05 ID:???
呆然とする肥満体の老人にミサトが駄目押しの一言を浴びせる。
「それで、パスワードは?」
「……夢も希望もない……」
「…お気持ちはご理解致しますが私は急いでいるのです」
「だからそれがパスワードなんだ…。そう指示されている…」
老人の言葉に引っかかるものを感じたが、時間の無いミサトはすぐに思考を切り替えた。
『葛城です。目標甲の停止に必要なパスワードを入手しました。作戦はいつでも始められ
ます。そちらの準備は?』
『作戦準備完了しています。いつでもどうぞ』
『了解。早速初号機の射出をお願いします』
「エヴァ初号機、射出準備開始せよ。ルート71を使用する」
「使徒、第20層を突破!」
「忙しくなってきましたねぇ…あの衣調度こんな具合でした…。セカンド・インパクトの
情報が報道されて避難勧告が出されたときのことです…」
副司令として行うべき事を終えたコウゾウはただの老人に戻っていた…。
射出された初号機は確かに使徒の攻撃を受けなかった。
だがプラグスーツからの電気ショックでシンジが覚醒した瞬間、加粒子砲が襲ってきた。
間一髪で回避したものの、右足にダメージをうけてしまった。
『シンジ君、大丈夫?』
『は、はい。何とか走れます』
『じゃあ、すまないけれど、合流して頂戴』
初号機は脚を引きずりながら合流地点に向かう。
「射撃の腕、見てなさいよセカンド」
だがアスカは何も答えない。
盾を構えたまま、じっと天井ビル群を見上げている弐号機。
「来た!」
アスカが小さく叫ぶ。
168 :
19:04/05/06 01:08 ID:???
「え?」
思わずレイが聞き返す。
アスカが盾を構えて零号機に覆いかぶさる様に立つ。
「ちょっとなに…」
次の瞬間、モニターが真っ白になる。
使徒の掘削機の先端にも加粒子砲があったのだ。
「迎撃班、先手を取られました!」
作戦計画では、使徒の掘削機が地下に出現したその瞬間にポジトロンライフルで狙撃する
予定だったのだ。
盾の耐久性には限界があり使徒の加粒子砲を何度も長時間防ぐことは出来ない。
おまけにポジトロンライフルは再発射までにやたらと時間が必要だった。
第一発令所の空気が重くなる。
「ミ、ミサトさんが直接あの中に入るんですか?」
「そぉよぉ〜。ロッカーの血が騒ぐわねぇ」
防護服に身を包んだミサトがにっこり笑う。
「シンジ君は私をあのロボットに取り付かせた後は出来るだけロボットを固定して。…格
闘は無しにしてね」
「でっでも、危険なんじゃあ…」
「ここまで来たらこの辺り一体は全て危険よ。それにね、危険な事から皆を守るのが私の
仕事だから」
にひひ、とテレ笑いのミサト。
「…解りました…」
「じゃ、いくわよ!」
初号機がそっとミサトを手で包みJAに近付いていく。
ズン!ズン!と大股で進むJA。
脚を引きずりながらミサトに衝撃を与えない様に追尾する初号機。
やがて初号機がJAを補足しその機体に手をかける。
下肢を踏ん張りJAの動きを一瞬停止させる初号機。
シンジの右足に激痛が走る。
169 :
19:04/05/06 01:09 ID:???
「ミッミサト、さん、早くッ!」
シンジの悲鳴を聞きながら必死で作業ラダーに手を伸ばすミサト。
「OK、シンジくん。後はムリしない程度にコイツを押さえ込んでて」
一段一段を必死で登るミサト。
JAの前に出たシンジは四肢を突っ張って必死で押さえ込む。
だがその度に激痛が走り押し捲られる。
幸いだったのはJAに格闘戦プログラムが無かった事だ。
もしこの状況で近接戦闘や格闘戦を強いられたならばミサトもシンジもただではすまなかった。
やがてミサトが非常用ハッチから内部に侵入した。
小刻みに揺れる上、動きの制限される防護服がバランス能力を著しく奪っている。
壁に寄りかかる様にしながらなんとか手動制御室まで辿り着いたミサトは思わす安堵の
ため息をつく。
「ここまで…着けば、後もう一踏ん張りッ!」
気合の掛け声と共にコンソールに取り付くミサト。
キーボードを叩いてパスワードを入力する。
『夢も希望も無い』
モニターが点滅して文字が消える。そして表示が切り替わる。
『絶望は愚か者の結論』
途端に鳴り出す警報音とアナウンス。
『非常事態発生。非常事態発生。臨界点を突破しました。作業員は大至急避難してください』
「…何、これ?」
一瞬呆けていたミサトだったが、正気を取り戻すと室内に突き出している制御棒を思いっ
きり押し続ける。
『うワアァァアッ!ミ、ミサトさん、すみません、止められませんでしたッ!』
レシーバーからシンジの悲鳴が聞こえて来る。
規則正しい振動が復活している。
JAがシンジの制止を振り切って第3新東京市へと歩き始めたのだ。
使徒の加粒子砲が待ち構えるその場所へ。
「最後の悪あがき…ッ」
170 :
19:04/05/06 01:10 ID:???
ジオ・フロントではアスカが加粒子砲の攻撃に晒されていた。
急造の盾は既に溶解し、エヴァの装甲版だけが頼りの状態である。
「くゥ…ッ」
食いしばった唇から無意識のうちに苦悶の声が漏れる。
だが決して零号機の上から動かない。
狙撃手たる零号機を守ること。
それが今回アスカに下された命令だったから。
突然、使徒の加粒子砲が途絶えた。
その瞬間、ふっと倒れる弐号機。
「いッただきィ!」
レイが叫び零号機がポジトロンライフルを撃つ。
その時、地上で何があったのか?
JAがシンジの制止を振り切って外輪山を越えようとした時、シンジの中で何かが弾けた。
悲鳴とも雄たけびとも着かない声を出しながらJAの前に躍り出る初号機。
次の瞬間使徒から禍々しい光が発射され初号機に突き刺さった。
…この一瞬こそがレイに射撃のチャンスを与え、アスカの危機を救ったのである。
使徒は零号機のポジトロンライフルで殲滅された。
そしてJAは…必死で制御棒を押し込もうと奮闘しているミサトを尻目に5分後に停止した。
何事も無かったかの様に。
171 :
19:04/05/06 01:11 ID:???
「いやぁ、なかなか面白かったねぇ。急造のチームにしては良い連携プレーだった。次は
もう少し難しい条件でやってみようと思うんだけれど、どうする?」
「ど、どうする、とは?」
「決まっているじゃあないか。誰がやるのか?って事さ」
薄暗い室内にどす黒い沈黙が広がる。
あれぇ…。誰もやらないつもりなのかい?」
「いえ決してその様なことでは…。あの、今日欠席している香具師に決めてはいかがかと」
少年は少し考えてからくすくすと笑った。
「酷いなぁ、みんな。そんな大切な事を本人が居ないのに決めるなんて」
「お言葉ですが、そんな大切な会議を休むのもどうかと考えますが…」
「そうだね。今回はそう言う事にしておこうか…。だけど決まっている事から逸脱するの
は簡単じゃあないんだよ?」
少年の瞳が怪しく光り一同を眺める。
「僕達の願い、僕達の祈り、僕達の存在理由、忘れた訳ではないだろう?」
やがて室内に闇と静寂が訪れた。
172 :
19:04/05/06 01:17 ID:???
( )内が現在の人物・あるいは性格。
ゲンドウ(冬月) 冬月(根府川) ミサト(シゲル) リツコ(マコト) リョウジ(マヤ)
マヤ(ミサト) シゲル(リツコ) マコト(リョウジ) トウジ(ケンスケ) ケンスケ(ヒカリ)
ヒカリ(トウジ) 根府川(ゲンドウ) キール(カヲル) カヲル(?) シロウ(某政治家)
ペンペン(キール) 総理(シロウ)
自分で書いておきながら2分くらい間違いが無いか見直してしまいますた。
>>155-
>>157 二ヶ月以上も保守ありがとうございました。
今は感謝の言葉しかありません。
読んでくれている方、お待たせしますた。
ネタとして使徒の掘削機が職種の様にうにうにして暴れながら加粒子砲を
ぶっ放すとか考えていましたがなにやらエロ方面に生きそうだったのでボツ。
先日NえちKで「KISS」のコンサ゜ト録画が放映されたとか。
ミサトの資料用に診たかったなぁ、と。
「お姉さん、火ィ吹くよ」
173 :
19:04/05/06 01:18 ID:???
あぁもうキーボードがボロボロでタイプミスが山ほどあります。
申し訳ありません。
お疲れ様です!
次も首を長くして待ってますw
おれ わかったよ
これはアスカのカツラをかぶったレイとレイのカツラかぶったアスカとペンペンのお面つけたキールとミサトの女装したシゲルが演じてると思えばいいんだな?!
hosyu
保守
久しぶりにエヴァ板にきてこのスレを見つけたんですが
面白かったです!!
とゆーことで、保守
182 :
19:04/08/16 05:03 ID:???
蒼い空、白い雲、木霊する蝉時雨。
第3新東京市はまさに夏本番である。
そして市立第壱中学校にも微妙な変化が訪れていた。
気候の変化が少なくなったとはいえ、暦の上だけでも季節感を出さねばならないのだ。
学校で夏といえば体育で水泳に決まっている。
ここに悪企みをする者達がいた。
「ひひひひひ。やって来ました日本の夏が〜♪この日のために用意した秘密兵器!」
教室の後ろでトウジがデジカメを撫で回している。
「…トウジ、頼むから警察沙汰は起こさないでくれよ」
委員長のケンスケが心配そうな表情でそっと声をかける。
「そないなヘマをワシがすると思うてか?準備万端、ぬかりなしや」
5〜6人の男子がトウジを取り巻き、声をひそめて話しかける。
「…トウジ、期待しているからな」
「あの、リクエストは聞いてもらえるのかな」
「アスカちゃんをキボンヌ」
「おおおおれはさくらたんを」
「ワキの下のドアップを…」
夏は若い煩悩が意味も無く爆発する時期なのだ。
「ふふふふふ夏よプールよ水泳よ!泳ぐのよォ!潜るのよォ!」
誰かと思えば妙にテンションの高いレイである。
「何よレイ、いよいよ暑さで脳に来た?」
下敷きをウチワ代わりにしているヒカリが左手をレイの額に当てる。
「…ヒカリ、あんたとは短い付き合いだったけれどそろそろお別れねぇ」
うぷぷぷ、と笑いを堪えるレイ。
「何?いよいよ入院?可哀想に、エヴァのパイロットって大変ねー」
「ふーんだ。後で悔しがるがいいわ」
ヒカリが何かに気付いた。
「アンタ、まさか!」
レイがにやりと笑う。
183 :
19:04/08/16 05:05 ID:???
その胸をワシ掴みにするヒカリ。
むにむにむにむに
「あン」
愕然とするヒカリの口から力ない罵声が漏れる。
「…こッこの裏切り者」
「ほほほ♪気が付いたら5pばかりバストが大きくなっていましたの。おーっほっほっほ」
口元を手で隠しつつイヤシ笑いをしてみせる。
「胸囲だけなら私だって…」
レイをにらみながら抵抗をする。
「あーら大胸筋やら前裾筋やらが増えても『バスト』には関係なくってよ?」
制服の上から胸を寄せて上げてぷるぷるさせるレイ。
「くーやーしーいー」
「おい、見たか?」
「見た!」
「これは期待が持てますなぁ」
「実に意外な伏兵が」
「目の保養、ですな」
「眼福眼福」
「うくくくく、頼むぞトウジ」
「こら元手の回収は早いかも知れんな。ひひひひひ」
「頼むから、トウジ。警察沙汰だけは…」
何度も言うが、夏は心の鍵を甘くするのご用心♪である。
授業中も教室の一角には悶々とした空気が漂い続けた。
男子生徒の鼻の穴が通常の30%増しに開いている。
心なしか呼吸が荒い。
ハァハァ スンスン
…ケ、ケダモノめえッw
184 :
19:04/08/16 05:06 ID:???
シンジがレイの行動に気付いたのは、授業が終わる数分前だった。
何を思ったのかシャツのボタンをそろそろとはずしているのだ。
いや!それだけではない。
ジャンパースカートのホックをはずし、ファスナーを下ろし、上履きを脱いで靴下に手を
かけている。
そんなにプールが楽しみなのだろうか?
…いや、でもまさかここで着替えるのはいくらなんでも…
そんなことを考えながらその様子を窺うシンジ。
授業の終わりを告げるチャイムが鳴るや否やレイは行動を開始した。
やにわに立ち上がるとジャンパースカートがするりと床に落ちる。
どよめく教室。
更にレイはシャツを脱ぎ捨てる。
うおおおおお!
男子たちのどよめきが起こり一堂の視線がレイに集中する。
だがそこには皆が一瞬期待したモノはなく、スクール水着姿のレイがいた。
…いや、それはそれで十分に嬉しいものなのだが。
「一番乗りはもらったわ!」
そう言い捨ててレイが廊下に駆け出していく。
「…ってナニ考えてんだか…」
脱ぎ散らかした服を集めながらヒカリがボヤく。
「バッグくらい持ってけって…」
机の横にぶら下がっているスポーツバッグを手に更衣室へと急ぐ。
「行っくぞーーーー!」
その頃レイは屋上に居た。
足元にはプールが小さく見える。
ここから飛び込もうというのだ。
一旦後ずさり、勢いをつけて勢い良く跳ぶレイ。
「うっひょーーーーーッ!」
綺麗なフォームでゆっくりと、陽光にきらめく水面へと落ちていく。
185 :
19:04/08/16 05:07 ID:???
空中でくるくると3回転して真っ直ぐに着水する。
水飛沫もあまり立たない。
これが高飛込みなら高得点なのだが。
「…いかん!」
流石の根府川先生もレイの行動に唖然としていたらしく、まだ教室にいた。
その根府川がレイの飛び込みを見て叫んだ。
いや、叫ぶと共に窓から身を乗り出して排水パイプに飛びつきするすると降りていく。
そしてダッシュ!!
向かうはプールである。
「どしたのかな?」
「おい…浮かんで来ねェぞ」
「あ!頭を底にぶつけたとか?」
「ああぁぁ〜、あるある。飛び込み用プールじゃないしなぁ」
「あ!浮かんで来た!」
水面には気絶したレイが仰向けに浮かんでいる。
そのレイに駆け寄る(泳ぎ寄る?)根府川。
「レイ、大丈夫か、レイ」
後方からアゴに手をかけ、プールサイドに運びながら何度も呼びかける。
「…う、ん…」
「そうか……」
生きていることを確認して、ほっとした表情になる根府川。
すぐに体育教師が現れ、2人でレイを引き上げる。
「先生…眼鏡…」
飛び込んだ時に外れたのであろう、根府川のトレードマークの眼鏡が無くなっている。
「…問題ない、それより保健室に急げ」
そう言い残しプールサイドから立ち去ろうとする根府川だが、階段を踏み外してしまう。
ぼんやりとその光景を見ていたレイが重大なことに気付く。
「…下着、持ってくるの忘れた…」
朝から水着を着込んでいたレイであった。
186 :
19:04/08/16 05:08 ID:???
「紀伊半島沖に使徒出現!」
「来た来た。今度はどんなヤツかしら〜?」
「さてな。なんにしろ楽に殲滅できる相手であって欲しいな」
「ムダ口叩いていないで仕事して頂戴!」
「へいへい…で、我等が司令官殿は?」
「所用にて外出中です。代わりにまた私が指揮を執ります」
コウゾウが眼鏡を拭きながら答える。
「箱根峠にポジトロン・ライフルを装備した弐号機を配置。零号機・初号機は輸送機にて
緊急展開の準備をさせてください」
「3体全てを投入、ですか?」
コウゾウのあまりの断定的な作戦内容にミサトが異議を唱える。
「衆寡敵せず、です。ついでに3人のコンビネーション訓練も兼ねてやりましょうかねぇ…」
「ですが万が一のことがあっては…」
「短時間なら迎撃システムが持ちこたえるでしょうし、空輸ならすぐに呼び戻せます」
「了解しました。チルドレン達に非常召集を!エヴァ発進準備急げ」
「ヒカリぃ、余分なパンツない〜?」
「あーらワタクシの様な貧弱なボデーの下着がレイ様のおヒップに合いますかしら」
「ごめんよおぉぉぉ、悪かったよぉぉぉぉ、気持ち悪いんだよぉぉぉぉぉ」
情けない表情のレイがヒカリの袖にしがみついている。
下着を持ってきていないレイは制服の下に濡れたままの水着を着ているのだ。
「…解ってるわよ、購買部で買ってきてあげるわよ」
「あぁりがとおぉぉ」
「エントリープラグの中は水浸しなんでしょ?」
「LCLは水とは違うもん。飛び込みに失敗したんだってそのせいだもん」
「ハイハイ…電話、鳴ってるわよ」
慌てて通話ボタンを押すレイ。
『使徒接近中。チルドレンは速やかに本部に出頭して待機せよ』
「着替えそこなったわ…」
レイがわざとらしく顔をしかめて見せる。
187 :
19:04/08/16 05:09 ID:???
「…と言う訳でぇ3人掛かりで使徒をコテンパンにやっつけちゃってね」
「また、飛行機から落ちるんですか?」
シンジの脳裏にあの時の恐怖が蘇る。
「ヤぁねぇ。落ちるんじゃなくて、降下よ、こ・う・か」
「狙撃手としての私の任務は?」
当然の質問をするアスカ。
「ん〜隙あらばいつでもオーケーよ。とりあえず上陸直後に一発お見舞いして」
「あの、僕達は…」
「レイとシンジ君は近接戦闘で使徒を殲滅して頂戴」
「…まさか近接戦闘中にも援護射撃をさせたりしないでしょうね?」
嫌な予感がしたのか、レイが尋ねる。
「…連携を保って、適時必要なら、やっちゃおうかなー、なんて」
視線をそらせながらミサトがしれっと言い放つ。
「誤射されたら?」
「そうならないために連携を図るのよ。これは実戦訓練でもあるの♪」
「でッたらめぇー!」
「さーー元気に行ってみようかぁ!」
こうして作戦は始まった。
「使徒は相模湾を北東に移動中、上陸予想地点に向かってるわよン」
「3人共、聞いた通りだ。俺はここで喋っている事しか出来ない。だが君達は君達にしか
できない事がある」
「不安だわ…なぜかたまらなく不安だわ」
オペレーターの3人がそれぞれの重いに浸っている時、戦いは始まった。
水面から姿を現した使徒は、ヒトデが柔らかくなった様な外見をしていた(どんなんや?)
その使徒に対してポジトロンライフルが発射される。
だがそれを使徒は難なくかわした…分裂して!
「ほぉ!」
梅昆布茶をすすっていたコウゾウが感嘆の声を上げる。
「これはこれは…いやぁ、驚きましたねぇ…」
188 :
19:04/08/16 05:10 ID:???
「アスカ!以後は命令があるまで待機!シンジ君、レイ!相手はタダモノじゃないわよ」
「使徒がタダモノである訳ないじゃない!」
「あーうるさい!とにかく降下開始!」
「いーーーヤッホウ♪」
「ひゃああぁぁぁぁぁあぁ!」
零号機が、次いで初号機が相次いで切り離され、眼下の海に吸い込まれていく。
しなやかな動きでくるくると回転しながらバランスを保ち、真っ直ぐに頭から突っ込む
零号機と、大の字に手足を広げて落下する初号機。
ざん! ばっちーーーーーん!
『痛タタタ…腹打ちしちゃった…』
『シンジ君、レイが、レイがぁッ!』
『ど、どうしたんですかマヤさん!?』
傷む腹部をさすりながらもモニターを見たシンジは思わず噴き出した。
水面に零号機の下半身がニョッキリ突き出しているのだ。
どうやら水没していたビルにでも突っ込んだらしい。
「はて?どこかで見た光景ですねぇ」
コウゾウが眼鏡を持ち上げながら呟く。
「すっ助清!」
シンジは以前見た映画を思い出していた。猟奇事件モノで確か題名は…。
『シンジ君、それより早く零号機を引き上げてくれ!』
「は、ハイ。うッ!」
先日の戦闘のおりに荷粒子砲で受けた損傷が修理されていないのか右足に激痛が走る。
『ミ、ミサトさん、塩水が、塩水がシミるんですッ!』
思わず脱力する第一発令所の面々。
「彼もだんだん染まってきたじゃないか」
「そっかなぁ、天然だと思うけどなぁ」
「あああもうどいつもこいつも」
189 :
19:04/08/16 05:11 ID:???
だが使徒の攻撃は苛烈を極めた。
零号機を引き上げようとする初号機に2体の使徒が近付きその背中をシバキまくる。
「お、モミジ責め」
「太鼓の乱れ打ちじゃないの?」
「…アンタ達、年はいくつなの?」
「それが解るキミと同じさ」
「ねー♪」
「コイツ等ぁ…」
『綾波ッ!起きてよ、ねぇ綾波ッ!』
プラグ内にシンジの声がうるさい程に響きわたる。
だんだんと意識が戻ってくるに従い、無性にハラが立ってくるレイ。
『うるさーーーーい!バカシンジ!』
『綾波?…良かった、気が付いたんだね』
モニターを見ると2体の使徒から零号機を庇う様にして初号機が覆いかぶさっている。
サブモニターには心配そうなシンジの顔。
着水以降の記憶をたどって状況を悟ったレイが少し、ほんの少しだけ困った様な顔をする。
だが、すぐにいつもの口調に戻る。
『アタシがいないと使徒も倒せないようね。ま、いいわ。反撃開始よッ!バカシンジ』
『でもどうやって?相手は2体に分裂したんだよ?』
『…分裂したなら合体させりゃあいいのよ』
『…どうやって?』
『決まってるじゃない。アタシたちが合体して見せるのよ』
『が、合体?』
画面、暗転。白文字で大きく「合体」の二文字(釣りバカ日誌かYO!!)
『戦隊モノに合体はツキモノなの!さっさと電源車まで後退するわよ』
ざばざばと海水をかき分けて国道沿いに停められた電源車に辿り着く。
使徒は海中に留まり動かない。
『セカンド、聴こえる?使徒が合体したら迷わず撃ちなさいよッ!』
『了解』
190 :
19:04/08/16 05:13 ID:???
『合体、ってどうするのさ?』
『肩車』
『はい?』
『いいから早くしなさいよ、まったくもぅ』
『でっでも、それじゃあスピードで負けると思うけれど』
『ハッタリなんだからいいの!動物はね、自分より大きいものには恐怖を憶えるもの
なの。鮫に襲われたらフンドシを長く伸ばしたら襲ってこないって言うじゃない』
『あれって迷信なんじゃあ…』
『いいから早く!来たわよ!』
2体の使徒がゆっくりと波打ち際まで近付いている、迷っているヒマはなさそうだ。
初号機が零号機を肩車し、両手にプログナイフを握り使徒と対峙した。
身長が倍近くになったエヴァを見て確かに使徒は躊躇したかに見えた。
だがそれでも攻撃を仕掛けてくる。
2体の使徒の波状攻撃を上下からの攻撃で撃破すると次は左右からの挟撃に変えてくる。
シンジが右の使徒を相手にすれば、レイは身体を思い切りのけぞらせて逆さになりながら
左の使徒を迎え撃つ。
使徒が跳び上がればレイも跳ぶ。
転がってくれば踏み潰す。
単純な接近戦しか出来ない使徒は打つ手が無くなり、遂に合体を始めた。
じわじわとお互いの身体を重ね合わせていく使徒。
触れ合った部位がもこもこと蠢き、ゆっくりと同化していく。
やがて使徒は単体となりその腹部に鮮やかに光る珠、ひとつ。
『本当に合体した…』
『ぼさっとしてないで使徒を抑えるのよ、シンジ!』
『え…でもアスカに撃たれたら…』
『それは心配ないわ。セカンドは、絶対にコアを狙うから』
電源ソケットを引き抜いた零号機が使徒の脚に絡みつき、初号機が頭部に飛びつく。
『発射』
アスカのポジトロンライフルが使徒のコアを正確に貫いた。
191 :
19:04/08/16 05:14 ID:???
「ブラヴぉー!どんどん息が合ってきたね。トリオ完成かな?」
薄暗い室内にキールの軽やかな声が響く。
「…さて、それは如何でしょうか?何しろ急拵えでしたから」
珍しくお小言を言われたキールが声の主を見る。
「あぁ、まぁそうだね。彼には時間が無かったからねぇ…ではもう少し時間をかけようか」
「それが良いでしょう。次はもっと入念に準備をして更なる試練を…」
「そこまで言うからには自分が行きたいのかい?」
「何時かは来る御役目、自分が納得できるものに仕上げたいものですから」
「ふぅん、では次はキミに任せようか」
「…いえ、もうしばらく時間を戴きたく思います」
「下準備が必要って訳かぁ…ではその準備も任せるよ。人選も、ね」
「ありがたき幸せ」
恭しく礼をすると男は部屋を出て行く。
男の後姿を見ながら独言するキール。
「珍しいねぇ…この役目に恐怖を抱かないなんて。余程の信念か、あるいは…」
キールの口に冷ややかな笑みが広がる。
「まぁいいさ。選ぶのは彼等だ。僕の未来じゃあない…」
192 :
19:04/08/16 05:19 ID:???
>>174 申し訳ありません、三ヶ月もお待たせしてしまいました。
さぞやクビが伸びた事でしょう…。激しく反省。
>>175 まだまだ!シゲルのフリしたリツコとかマヤちょむの役のミサトとかw
>>176-177 保守ありがとうございます。皆様の御蔭でこうしてのらりくらりと投下できますです。
>>178 新しい読者様げと&保守ありがとうございます。
>>179 実はその辺りについては読む人の脳内補完に任せております。
皆様はどっちが好みでしょうか?個人的には外見そのままで性格が入れ替わっているのが…。
>>180 まぁまぁ。
>>181 まぁまぁまぁ。でもやっぱり恥ずかしいからsageかなぁ?
では次回は出来るだけ速やかにお届けする予定ですが
「予定は未定であり決定ではない」のであしからずw
実は、あちこちで書き散らしているのでどこかで使ったネタを何度も使っているかも知れないという
強迫観念に囚われています(原稿を見直す勇気もない)
ひょっとしてこの話、どこかで書いたのでは?とか思っています。
あああ疲れているのだろーか? ではまた。
続きキター!!(;゚∀゚)=3 ムハァ!
えーと人物表人物表・・・
>>172が最新だな
あと、使徒(ゼーレメンバー)か?
しかし本編ちゃんと見てFFとかも読んでる人間じゃないとどうなってるのがわからんか?
それとも本編見たこともないような厨共の方が混乱なく見られるのか?どうだろう?
しまった、hを消すのを忘れていた…
アスカに萌え〜
萌えたらageる。これ常識。
198 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:04/09/22 22:57:35 ID:8NMvdQpF
もしも、レイとアスカの性器が逆だったら
>>198 本人らからしたら別だが、どうでもいい話だ。
>>199 "ある日、突然"てわけでもなけりゃ、本人達だって気にしないと思う。
アスカがエッチなことをすると、レイは感じてしまうけど、アスカは何も感じないみたいな?
それは、"逆になる"というのとは違うでしょ。
↑ここまで読んだ。
もうペンペンとミサトがあり得ないキャラになってるが、これがまた・・・w
これだけアレなキャラだったら、シンちゃん鬱になってる暇も無かったろうに。
良スレ発見っ
ウホッシュ
つーか、面白すぎ。
まさかランナウェイズが出てくるとはねー。
俺はジョーン姐さんのほうが好きなんだけどw
↑直上に最低スレ停止!
このスレの活動を監視している模様ッ!…ってのは考えすぎでしょうかw
ん?
んなこたあない
保守
210 :
19:04/11/01 05:52:55 ID:???
薄暗い部屋の中で3人の男が密談をしている。
「彼奴め調子に乗りおって」
「左様。我々の計画に手を加えるなどもってのほか」
「それをお許しになる議長も議長だ」
「…同志諸君。ここは我々の力を合わせて独自の計画を進めてみてはどうだろう?」
「それは…あまりに危険が大きいのでは?」
「だがこのままでは我々の思惑とは異なる結果になるやも知れん」
「左様。我々は人の形を捨ててまで生き延びようとは思わん」
「ではどう修正するのかね?」
「幸いにも参号機と四号機が完成間近だ。アレを我々の支配下において儀式を行うのだ」
「槍はどうする?」
「既に冬月が南極に出向き作業に入っている。データ収集はいつでも可能だよ」
「ならば急いで複製の準備を整えよう。量産機とダミープラグはどうする?」
「『鈴』に働いてもらおう」
「だがヤツは…」
「案ずるな。我々の権力はまだ生きておる。ヤツも無視は出来まいて」
「ではそちらは君に一任しよう。…誰だ!?」
男が懐から拳銃を引き抜いて振り返る。
にゃあ
薄暗がりの中から真っ白い一匹の猫が走り出てくる。
「何だ、猫か…」
安堵のため息と共に全身の力を抜くと再び拳銃をホルスターに収める。
「では話を再開しよう」
男達が熱心に議論を始めると、取り残された猫は大きく伸びをして自動ドアをくぐる。
ツルツルした廊下に手こずりながら角を曲がると真っ白い手が迎えてくれた。
にゃあ、と一声嬉しそうに鳴くと猫は咽喉をゴロゴロと鳴らし始める。
キール議長の白魚の様な指がその咽喉をくすぐり、猫を優しく抱き上げるとその場を離れた。
「こんな場所に猫がいる事の不自然さに気付かない程熱中するとはねぇ…」
211 :
19:04/11/01 05:53:59 ID:???
「ねぇねぇアスカ、この水着なんかどうかしら♪」
日曜日の昼下がり、デパートの「女性水着コーナー」にミサトの声が響き渡る。
選んでいる水着はもちろん自分のものだ。
「チョッチ試着してもいいかしらぁ〜?」
「あっあっあの、お客様、無闇に試着される前にサイズなどのご確認を…」
「あーそっかぁ。ゴメンねー♪」
最近の水着は新素材を使用しているとは言え、復元性には問題がある。
早い話が「伸びると元に戻らない」のだ。
ましてやミサトは体型がまだ男。
大勢居た女性客もミサトのテンションに1人去り二人逃げて今は貸切状態である。
ここで商品まで台無しにされては…という従業員の考えも致し方有るまい。
大きな姿見の前で水着を身体にあてがって見栄えを確かめるミサト。
ため息をつくシンジと無表情のアスカ。
「…ねぇ、アスカ。アスカはどんな水着が着てみたいの?」
シンジが沈黙に耐えられず口を開く。
アスカは水着を持っていなかった。
体育の授業には指定のスクール水着で参加していたが、修学旅行用に一着買いに来たのである。
「別に…」
「ほら、あれなんかどうかな?似合うと思うよ」
シンジが指差す先に純白のワンピース水着があった。
「そう…?」
「うん…着てみたら?」
アスカが試着室に向かう。
その時、試着室のカーテンが開きレイが飛び出して来た。
「じゃーん♪どう、シンジ?セクシー?美しい?」
白と赤の太いストライプのセパレート水着を着たレイが誇らしげに立っている。
「…中学生にはハデなんじゃない?」
「あんたバカァ?修学旅行よ修学旅行!中学時代の一大イベントなんだからッ!」
「そんなハデな水着、誰に見せるんだよ…」
「誰、ってアンタそりゃあ…シンジのバカ!」
212 :
19:04/11/01 05:55:05 ID:???
「なぁんですってェ〜?修学旅行にいけないぃい?」
「当然。いつ使徒が来るか判らないのにパイロットを遠出させられないでしょ」
リツコの正論に反論できないミサト。
「じゃあナニ?昨日3時間もかけて選んだ水着がムダになるってワケ?」
「その通り。…いい加減、学習しましょうね」
ぶちぶちと文句を言っているミサトに止めの一言を突きつけるとリツコは自室に戻る。
「…あら?」
ドア・ホンに偽装したセキュリティ・システムに反応がある。
不在時に誰かが侵入したのだ。
リツコはヒップホルスターから拳銃を抜き取ると素早くドアを開けた。
「出てらっしゃいネズミさん!」
「…にゃあ」
「加持君…驚かさないで頂戴。…で、何してたの?」
ゆっくりと拳銃を降ろすリツコ、だがセーフティ・ロックは掛けない。
「本部の情報処理システムについて解らない事があったので、ちょっと質問に」
デスクの向こうから軽やかに飛び出してくるリョウジ。
「言っておくけれど、ガードは固いわよ?此処も、私も」
「何の事か判りませ〜ん」
「まぁ良いか…ミサトにはもう挨拶した?」
リョウジに背中を向けるとコーヒーを入れ始める。
「…なんか一層ハデになってない?アレ」
隅っこにあった折りたたみ椅子を持ってきて腰掛けるリョウジ。
「そうね、貴方と同じ位にね」
「…どこが?」
心外だ、とでも言いたげにムクれるリョウジ。
「…はい、砂糖は1個だった?」
「二つ、それからミルクを少し」
「で、今回の本当の任務は何?」
「セカンド・チルドレンの保護及び監督…それから」
「何?」
「ネルフ本部の特別監査」
213 :
19:04/11/01 05:56:29 ID:???
第3新東京市立第壱中学校・2-A教室。
修学旅行を目前にして楽しげなざわめきは阿鼻叫喚へと変わっていた。
修学旅行を目前に控えて根府川先生が実力テストを行うと宣言したのだ。
しかもその成績如何では修学旅行への参加を取りやめて自宅学習にすると言う。
文句のひとつも言ってやりたい。
しかし相手はあの根府川先生なのである。
内申書に何を書かれるか判らないし、何より「愛の抱擁」が怖かった。
えぇい!こうなったらイチかばちか、勉強するかカンニングだ!
覚悟を決めたら善は急げ。
この自習時間を活用して皆がそれぞれの対応にいそしんでいる。
「馬ッ鹿らしい。どーせアタシ達は待機命令が出てるんだから、どっちみち不参加よ」
後ろの席で頬杖をついたままレイが愚痴る。
「おーご苦労様!あんた達が守ってくれる御蔭で私達はパラダイスでヴァカンスよ♪」
ヒカリがにやにやと笑っている。
「余裕じゃん。成績悪けりゃ自宅学習よ?」
「へへへへぇ♪秘密兵器があるのよ」
ちょいちょい。とトウジを指差す。
「アイツって意外に成績が良いんだ。こっそりカンニングさせてもらうの♪」
「…で、見返りは?」
「この前撮影したパンチラを許してやるの…優しいでしょ?」
「…キョーハクしたのね」
「シツレイね〜。…私、どうしても沖縄唐手を見てみたいの、うふ」
「はいはいはいはい判りました…アンタはずーっとソレかい」
「首里手と那覇手の違い、じっくり見てくるわ」
「お土産はヌンチャク、なんてのは無しにしてね…」
「当然じゃない!もう決めてあるんだ…ナンだっけ…チンコ吸う?あれ?チンカスゥだっけ」
レイが机ごとひっくり返る。
いや、近くに居た生徒達もお約束の様に様々なリアクションをとっている。
「オイシイ役だな、洞木…」
どこか寂しげな根府川先生の声は、誰にも気付かれる事がなかった…。
214 :
19:04/11/01 05:57:35 ID:???
「ヒカリがあそこまで計画的だとはね…」
ネルフ本部で実験を終えたレイが独りごちる。
「行きたい行きたい行きたーい。修学旅行に、行きたーーい」
幼児の様に地団駄を踏むレイ。
「仕方ないよ、これが僕達の仕事なんだから」
「ッたく!どーしてアンタはそう従順なの!まるで牙を抜かれた狼だわ」
「だってそうしないと世界が…」
「世界が滅びるのは一度っきり。アタシの修学旅行も一度っきり。さて問題です。アタシ
にとって大切なのはどっちでしょう?」
眼を血走らせたレイがシンジの胸倉を掴んでぐぐっと迫る。
「こっ怖いよ綾波…」
「行けば?」
椅子に腰掛け、視線を降ろしたままでアスカが言う。
「む」
「私と碇君が待機するから、使徒が来ても対応出来るはずだわ」
太腿の上の組み合わせた指を見つめているアスカ。
「あーそうですか。それじゃあそうさせて戴きましょうかねぇ」
嫌味たっぷりな声色でレイが応える。
「でっでもテストは…」
「まっかっせっなっさいっ!」
翌日の学校・職員室に通じる廊下にレイがなにやら人待ち顔で立っている。
その待ち人とは無論、根府川先生である。
「センセー♪この前は危ないところを助けて戴きありがとうございました。あの時先生、
眼鏡を落とされたでしょう?壊れていたから直しておきました♪」
キレイにラッピングし、おまけにリボンまで掛けられたそれを根府川に差し出す。
そしてにっこりと微笑んで見せる。
「あ、あぁ、すまんな…」
まんざらでもなさそうな根府川。
その様子をこっそりと見ているシンジが呟く。
「ひ、卑怯だよ、綾波…」
る〜る〜るるる〜
215 :
19:04/11/01 05:58:41 ID:???
「早速だが前回のテストを返す。約束通り成績の悪い者は修学旅行を許可しない…」
生徒達の顔に緊張が走る。
「結果から言う……全員、合格」
うぉぉぉぉぉぉぉ!
やった!やりました!我々は勝利したのです。全面勝利です!
きっちり一分間騒ぎを放置してから根府川は答案を返し始めた。
にこやかな表情で教卓まで答案を貰いに行く生徒達。
シンジの名が呼ばれ教卓の前に行くと根府川がニヤリと笑う。
一瞬、ギクリとしたがその後に続く言葉で更に驚かされた。
「82点…良くやったな、シンジ…」
呆然とするシンジ。
だが根府川は何事も無かったかの様に平然と答案を返している。
自分の席に戻りながら根府川の言葉を反すうする。
『良くやったな、シンジ…良くやったな、シンジ…良くやったな、シンジ…』
たったそれだけの言葉だが、シンジには何かとても大切なものに思えた。
一方ここはネルフ本部第一発令所。
『浅間山にて火山活動が活発化!至急調査せよ!』
「何?この揺れ?地震なの?」
「同時多発地震ですかね」
だがモニターに映し出された風景はごくごく見慣れたものであった。
「なんだぁ?ありゃあ強羅絶対防衛線じゃあないか!」
「あそこには二子山が!」
「なんてこった!こっちの浅間山かよッ!」
日本には浅間山と呼ばれる山がいくつもある。
もちろん有名なのは火山として知られる「あの」浅間山だが、ここ箱根町にも存在する。
もともと「asama」という音韻が火山と縁の深い(以下省略)
「浅間山、噴火します!上空のヘリ、緊急離脱!あっ…!」
「どうした、何があった?」
「…パターン青…使徒です…ッ!」
216 :
19:04/11/01 05:59:48 ID:???
『総員第一種戦闘配置!繰り返す、総員第一種戦闘配置!』
けたたましいサイレンと共にアナウンスが全館及び全市内に響き渡る。
騒然とする教室からシンジ達が飛び出してくる。
「頼んだぞぉ!」
「現場は空港の近くだ!お前たちがやっつけてくれないと修学旅行に行けないんだぁぁ!」
「死ぬ気でやれぇ!いや、死ねぇぇぇ!」
物騒な声援を受けながらシンジ達は走る。
第334地下避難所の秘密通路を通ってムービング・ロードを使う。
20分後にはプラグスーツ姿でブリーフィングルームに出頭していた。
「幸運なことに今回の使徒はまだ成体になっていません」
ミサトの説明はこう始まった。
「よって使徒の捕獲を第一目標として行動します」
「捕獲して…どうするんですか?」
「アレよほらアレ。マングースと戦わせるのよ」
すっかりガイドブックに毒されたレイである。
「ちちちちち。リツコがねぇ〜解剖したい、って言うのよぉ」
「誰がそんな事を言ったか!ゼ…上からの指令です」
ミサトのへらず口に怒鳴り返すリツコ。
「解った!その上の人が解剖…」
「ミーサートー、そんな事を言うのは、この口かッこの口かッ!」
「でも、その人達がペットにする訳でもないでしょう?」
「…加持君、何が言いたいの?」
パイプ椅子にちょこんと座ったままリョウジが一同を見回して説明する。
「いやぁ、第4使徒のサンプル解析が未だ不明瞭ですからね…」
「それで?」
「アメリカ支部辺りがジレている頃かなぁ…なんて、ね」
それだけ言うと肩をすくめて見せる。
その言葉は、事実だった。
人類補完委員会の名の下に使徒捕獲命令が届いていたのである…。
217 :
19:04/11/01 06:02:21 ID:???
「ではどのようにしてこの難問を達成するか?第一案、『もぐレイ』に出撃を要請する」
予想図
). _..,,,,
(. ●'''" * ""'';;,
) \.从 从 ;;;ミ 使徒の所まで掘ればいいのね…
(∴ ゝ゚- ゚ν ;;;ミ. 命令ならば、そうするわ
=====⇒∞∞━(,,,ノ(,,,ノ━━━ でも少し熱いの…
( ヽ ;;ミ (´´ほじほじせっせ。ほじせっせ
\. > > ,/〜 (´⌒(´
218 :
19:04/11/01 06:03:26 ID:???
「わぁ、なんか可愛いですねぇ」
「で、『もぐレイ』とやらにどうやって連絡するのかね?」
「やッだぁ♪もちろん冗談に決まってるじゃないですかぁ」
「…葛城一尉、あまり時間がないのでな。本題に入ってくれんかね?」
ゲンドウに睨まれてミサトが真顔になる。
「は!まず浅間山南東の山腹に巨大クレーンを設置、火口の溶岩に向けてレーザー照射に
て侵入口を確保した後、耐熱・耐圧スーツを装着したエヴァにて溶岩内に沈降し使徒を確
保します。」
「素手でかね?」
「技術局の開発した電磁幕発生装置を使用します」
「ふむ。で、誰が潜るのかね?」
「耐熱・耐圧スーツは弐号機しか装備できません」
「…では準備を急いでくれたまえ」
「あらほらさっさー」
「という訳でぇ、『懐かしのクレーンゲームだヨ全員集合!作戦』開始ッ!」
「…ミサトさん、いい加減そういうネーミングやめませんか?」
「じゃあ何?『あ号作戦』とかのが良いワケぇ?」
「そういう訳じゃあ…」
『弐号機、スタンバイ完了』
通信機からアスカの声が聞こえてきた。
『理論的には完璧なはずだから安心して頂戴。ネルフの技術はぁぁぁぁッ!世界一ィィ…』
「行くわよッ!」
リツコの雄叫びを無視してミサトがスイッチを入れる。
ぎちぎちという金属音を立てながらレーザー砲がレールを移動する。
火口上で停止しレーザーを発射するとまた耳障りな音を立てて戻ってくる。
『弐号機、スリング開始』
『ポイント確認、誤差修正』
『降下開始』
移動指揮車のモニターに赤いマグマが映り、それがだんだんと近付いてくる。
219 :
19:04/11/01 06:04:47 ID:???
沈降開始から10分、弐号機からの連絡はない。
いらだったミサトがマイクに怒鳴る。
『弐号機、応答せよ!アスカ、どうしたの?』
『…現在深度400、異常ありません』
安堵と共にお説教をひとつ。
『あのねぇ、いくら無口にも程ってモンがあるのよ?定時連絡代わりに何か話しなさいよ』
『命令ならそうします』
そしてアスカは唐突に喋り始めた。
『え〜こんち良いお日柄で。毎度ようこそおいでくださいました。今日の御機嫌伺いには
ひとつ親馬鹿の話なんぞをお聞かせ致しましょう。始めての子供ってなぁ可愛いものでご
ざいます。その名前を考えるのなんざぁもう親冥利に尽きる、てな事を申しまして…』
「…おいおい『寿限無』だよ」
「意外な組み合わせねぇ」
「大学で何をしとったんだあの娘は」
『…海砂利水魚の現在深度1750使徒発見』
「え゛」
『ほっ捕獲開始!』
『電磁幕展開…捕獲しました。引き上げ準備願います』
使徒はあっさりと捕獲され、何事も無く地上に引き上げられた。
「ふぅ〜ん、あれが『使徒』のサナギかぁ…」
作業風景を眺めながらリョウジが感心した風に呟く。
「命名『シンドバット』!」
「…そのココロは?」
「サナギのシンドバット、なんちてなんちてなんちて」
「…年齢がバレるネタはやめた方がいいと思うんだけど…」
「とりあえず委員会からの命令はクリアしたわよ?これで冬のボーナスは…うひひひひ」
「アレはこの後どうするの?」
「LCLで固めてぇNN爆弾くくりつけてぇ太平洋艦隊に護衛されてアメリカ支部に搬送」
「予定通り?」
「多分、ね」
硫黄臭と噴煙の立ち込める中、リョウジとミサトはただ作業を見守っていた…。
220 :
19:04/11/01 06:05:55 ID:???
「…成る程、こういう計画か…。なかなかに良く考えられているなぁ」
読み終えたレポートを丸めるとテーブルに置かれたライターで火をつける。
メラメラと燃え始めたそれを眺めていたキールがふと足元に視線を落とす。
猫が四肢を踏ん張り総毛立てていた。
「あぁ、ごめんよ…火が怖いのかい?」
燃え続けるレポートを洗面台に放り込むと猫を抱き上げ、話しかける。
「リリンは神様から火を分け与えられて文明を知ったらしい。もし君達が火を恐れないな
ら、君達も新しい文明の担い手になれるかも知れないね…」
にぃ
猫はその言葉に可愛らしく答えると、キールの腕の中でおとなしくなる。
「さて、もう一方の計画はどこまで進むのかなぁ?」
だが猫はもう応えない。
そこがまるでいつもの寝ぐらだと言わんばかりに穏やかな表情で眠っている。
「同じ目的を持つ者達でさえつまらない事で仲たがいをする…リリンの文明って何だろうねぇ…」
そっと猫の背中を撫でてみる。
エサにも苦労しているのだろう。
ひどく痩せていてアバラ骨がはっきりと判る。
「君は僕からご飯を貰いたいのかい?それとも自分でご飯を手に入れたいのかい?」
相変わらず猫からの返事はない。
少年はそっと歌い始める。
歓喜の歌を…。
221 :
19:04/11/01 06:25:09 ID:???
>>193 どうなんでしょうねぇ?書いてる人間も混乱してますからねぇw
つか、どれくらいの人が読んでくれてるんだろう、これ?
>>194-195 おぅ、そんなスレがありましたか…。
>>196 むぅ、アスカ人気だなぁ。レイ萌えいねがぁ?
>>197 こんなのがageられて大丈夫ですかね?
>>198-202 それはまたいつか別のところでやってみましょうかw
>>203 でしょ?まぁお笑い系のお話ですから鬱になられても…ねぇ?
>>204 あのがとうございますぅ。
>>205 ショウビジネス的にはシェリーが前面に出た方が良かったのでしょう。
アーティストとしてはジョーン姐さんのが上だったと。
解散後にもう一花差から増したからね。
>>206-208 いつの間にかいなくなっちゃいましたね。残念。
>>209 保守ありがとうございます。
後1年くらいで終わらせることが出来るかなぁ?と不安になる今日この頃です。
それでは12月くらいにまたお会いいたしましょうw
キタキタキター(゚∀゚)
久しぶり過ぎて読み返しちゃったじゃないかもう
とにかく乙です
保守
いいす!
でも、どっかのサイトに投稿してもらえませんかね?
予想としては根暗な眼鏡娘の戦自スパイとか出て来るんでしょうか?
225 :
19:04/12/12 21:08:09 ID:???
再掲
( )内が現在の人物・あるいは性格。
ゲンドウ(冬月) 冬月(根府川) ミサト(シゲル) リツコ(マコト) リョウジ(マヤ)
マヤ(ミサト) シゲル(リツコ) マコト(リョウジ) トウジ(ケンスケ) ケンスケ(ヒカリ)
ヒカリ(トウジ) 根府川(ゲンドウ) キール(カヲル) カヲル(?) シロウ(某政治家)
ペンペン(キール) 総理(シロウ) 高橋覗(ウグイス穣、名前変更) 運転手(某悟○)
出来立てホヤホヤ投下。よってキャラの間違いはあるかもです。
226 :
19:04/12/12 21:09:18 ID:???
第3新東京市立第壱中学校・2-Aの教室。
あちこちで修学旅行の思い出話がなされている。
待機命令を忠実に守り参加しなかったシンジとアスカがぽつんと座っている。
そのシンジにトウジが擦り寄ってくる。
「セ・ン・セ♪なぁに黄昏とんねん。…エェモン見せたるよって放課後付き合わんか?」
「うん、でも今日はリツコさんの実験があるから」
「固い事言ぃないな。…よしゃ!ほんならネルフまで出張したるワ」
「ダメだと思うよ。本部にはIDカードが無い人は入れないから」
「任せときィ!なんとかするよって」
「でも…」
「これを見てもそんな事が言えるんかのォ?」
渋るシンジにビデオカメラのモニターを見せるトウジ。
早送りされた画像は水着姿のレイ達である。
「こっちには更にお楽しみが…綾波の胸、綾波の太腿・綾波のフ・ク・ラ・ハ・ギ!」
「…ちょっとだけなら、良い、かな…」
「アスカ、ほらお土産」
とん、と机の上に置かれた小さな包みとそれを置いた人物を交互に見比べるアスカ。
照れくさいのかアスカと視線を合わそうともせずにふんぞり返っているレイ。
「アンタ、幸薄そうだから幸せのおすそ分けしたげる」
「星の砂よ。恋愛成就から安産祈願まで女性の悩みに関してはオールマイティよ」
可愛げのないレイをフォローするヒカリの言葉はかなり怪しげなものだ。
「…あ、ありがとう」
「うーん、もっとこう、感情を込めて」
「ごめんなさい…こんな時、どうすればいいのか解らないの」
「アンタ馬鹿ぁ?にっこり笑えばいいのよ」
「…ありがとう…」
ほんの少し、アスカの口元が形を変える。
だがそれは少し困った様な笑顔であった。
今はこれが精一杯…
227 :
19:04/12/12 21:10:31 ID:???
実験終了後のロッカールーム。
「…で、コレがお楽しみの枕投げ大会の様子、ちうワケや」
モニターは浴衣の襟元や裾の乱れも気にせずに大騒ぎをしている女子生徒を写している。
「うんうん」
小さなモニターを食い入る様に見入るシンジ。
「ワシ、ちょっとションベンして来るワ。じっくり楽しんどってや」
「うぅ」
生返事のシンジ。
いやそれにしても賑やかである。
そして笑顔があふれている。
枕が飛び交い布団か防御壁となり、果ては浴衣脱がしへとエスカレートしていく。
「トウジの奴、どうやって撮影したんだろう…?」
もっともな疑問を口にしながらモニターから眼が離せないシンジだった。
「すまんすまん、ネルフの人に見つかりそうになって隠れとったら遅ぅなってもーたわ」
「心配したよ…見つかったら僕だって叱られるんだから」
やっと戻ってきたトウジに思わず本音が漏れる。
「そないなヘマ、ワシがすると思ぅてか?」
自信たっぷりのトウジを訝しみながら言葉を続けるシンジ。
「じゃあ早く出よう。ひょっとしたらここもモニターされてるかも知れないから」
「…何やて?こんな所もかいな…エヴァパイロットにはプライバシーは無いんかいな」
カメラをバッグに放り込むと2人はそっと廊下に出る。
コンフォート17マンション、11-A-2号室。
西日の差し込む三畳間で小瓶を眺めているアスカ。
「ありがとう…感謝の言葉、やわらかい言葉」
小瓶を光にかざしてみる。
白い砂が赤く染まる。
「白い砂も夕日に照らされればその色を変える…私も変われるの?」
不意に自分の口から漏れた言葉にとまどいながら、アスカは小瓶を眺め続けた。
228 :
19:04/12/12 21:11:37 ID:???
早朝の第3新東京市・環状線のとある地下駅。
人気のないホームに二人の女性が大きな紙袋を抱えて立っている。
「コインランドリーは便利だけど、たまにはお日様の光で干したいぃ」
「こう実験が続くと難しいわよねぇ」
「伊吹、何ならオレが洗ってやろうか?」
「おーこーとーわーり!」
「へー、2人共そういう関係?」
「ちッがうわよォ、博士ったらモウ」
セリフこそ可愛いものの、凄まじい形相でリツコを睨むマヤ。
「今更照れる歳でもないだろ」
「死ね」
軽口の止まらないマコトを線路に蹴落とそうとするマヤ。
「待った!電車が来た電車が来た!」
バランスを崩したマコトが手足をジタバタさせる。危ないw
ゴゥ!という音と共に電車が滑り込み、甲高い金属音の後ゆっくりとドアが開く。
ギリギリまで踏ん張ったマコトがそこに倒れ込む。
「伊吹を口説くのも命がけだな」
「一人相撲で死んだ奴ァいないわよ」
助け起こしもせずに車内に入るマヤとリツコ。
「…朝から元気でなによりだ」
そんな三人組に新聞を手にした男が声をかける。
「司令!おはようございます!」
「どうしてこんな場所に?」
「今日は朝から上の街だよ…くだらん仕事だ。冬月め、こんな雑務まで押し付けおって…」
「あー、そういえば選挙も近いんですよね?」
「ここの市制はカシマシステムが取り仕切っておる…市議会なぞ形骸に過ぎんよ」
「さすが科学の街。科学万能の時代ですね」
「ネルフの科学技術はァ世界一ィィィィィッ!」
リツコの遠吼えに一抹の不安を感じるゲンドウであった。
229 :
19:04/12/12 21:12:45 ID:???
響き渡る警報。
「実験中止!回線切断!」
リツコの悲鳴にも似た絶叫が室内に響く。
「回線切断します…うわツ!」
束ねられたコードから火花が散り、轟音と共に停止する機材類。
「やっぱりここがネックか」
「変換効率が理論値より0.008も低いものねぇ〜」
ため息混じりに呟くリツコとどこか投げやりなマヤ。
「…相互分子変換を0.01下げて再起動」
「まだやるのォ?」
「これでダメならSS機関に頼るしかないから…」
「SS機関?」
「スーパー・ソレノイド・エンジン…葛城博士が提唱したエネルギーシステム。驚いた事
に、使徒のコアがコレらしい」
口に咥えたボールペンを揺らしながらミサトが尋ねる。
「ふぅん…修復は済んでるの?」
「ドイツ支部のはね…アメリカ支部のサンプルはまだ解体も始まっていない…かな?」
「基礎理論さえ仮説のままの未知のエネルギーよねぇ、確か…」
「いや実験段階では実証されているらしくて」
「へー…何処で?」
マヤの何気ない質問に言葉が詰るリツコ。
怪訝な表情でしばらく考え込んでいるがどうも思い出せないらしい。
「…あれ、何処でだっけ?まぁいいか、実験再開!」
ネルフ本部・地下3階のエレベーター前。
エレベーターに乗り込もうとするミサトを制止する声が聞こえる。
「待ってくださーーーい」
ありゃ?と言う表情のミサトが扉を開けて待つ。
「久しぶり」
息を弾ませ、微笑みながらリョウジに告げる。
230 :
19:04/12/12 21:13:59 ID:???
無言の空間。
だがそれは気まずい沈黙ではなかった。
どちらかと言えば、躊躇による沈黙である。
その沈黙をミサトが破る。
「男装もサマになって来たわねぇ…」
エレベーターの表示板を見上げながら、そう切り出す。
「…」
「髪も短くしちゃって…帰ってきた時はびっくりしちゃったわよ」
だがリョウジは無言のまま俯いている。
「何か喋ってよ…」
「えっと…」
その時、がくん!と言う衝撃が襲いエレベーター内の灯りが消えた。
ネルフ本部・地下実験場。
「主電源ストップ、電圧0になっちゃったわよォ!?」
マヤの間延びした声が仄暗い室内に響く。
そこに居合わせた一堂が一斉にリツコを見る。
「え?何?皆、私のせいだと思ってんの?」
再びエレベーター内。
「まぁたリツコの実験かぁ?」
「でも、そう言う場合はすぐに非常電源に切り替わるはずですぅ…」
「そりゃそうだ…とすると」
ネルフ本部・第一発令所。
コンソールに向かい復旧作業をしているシゲル。
「ダメね、予備電源に切り替えられないわ…」
「あのぉ、こういう場合どうすればいいんですかぁー?」
下ではオペレーターが指示を待っている。
「生き残っている電源は全てカシマシステムとセントラル・ドグマに回して頂戴!それか
ら、手の開いている人は何でもいいから灯りを探して!」
孤軍奮闘ですシゲル君。
231 :
19:04/12/12 21:16:03 ID:???
国連軍・総合警戒管制室。
「使徒らしき未確認物体が旧熱海方面に上陸した模様!」
オペレーターが刻々と変化する状況を伝えている。
「ネルフの連中は何と言っている?」
「は。…それが、連絡が取れません」
「連絡が取れん、では困る。伝令でも出しとけ。後で何かとうるさいからな」
ゲンドウを送ったついでに第3新東京市をブラついているマコト。
「停電とは珍しいな…事故か?」
その頭上を国連軍のヘリが通過する。
「こちらは国連軍所属、第3管区航空自衛隊です。現在正体不明の物体が本地点に対し移
動中です。住民の皆様は速やかに指定のシェルターへ避難してください。繰り返します…」
「街中の停電、使徒の襲来…これもシナリオの内ですか?碇司令」
ネルフ本部・正面ゲート。
「ど・う・し・て!IDカードが使えないのよッ!」
「仕方ないじゃないか、停電なんだから」
レイの雄叫びに冷静に対応するシンジ。
「へーー!そこまで解っているんなら解決方法もご存知よねぇ〜?」
シンジに絡むレイを尻目にエマージェンシー・マニュアルを取り出すアスカ。
「はい、連絡方法と行動指針」
レイの前に差し出すアスカ。
「おおぅ!忘れていた…ではこれに従い行動開始ッ!まずは非常口を…」
ぞろぞろと移動する3人の後を追う怪しい影、ひとつw
ネルフ本部・どこかの通路を歩いているリツコとマヤ。
「とりあえず中央作戦司令室まで行かなくちゃ」
「しっかし熱いわねぇ…エアコンのありがたさを再認識させられるわ」
232 :
19:04/12/12 21:17:18 ID:???
エレベーターに閉じ込められたリョウジとミサト。
「熱けりゃ脱いだら?あっち向いてるから」
「うん…」
「この間の使徒騒ぎで火山活動が活発になったからなぁ…地熱も上昇してんだろうなぁ」
「ねぇ…聞いてもいい?」
「何?」
「どうして脱がないの?…下着、女性モノだから?」
「…ノーコメント」
「こんなに汗かいてるのに…」
ミサトの背中にリョウジの柔らかな肌が触れる。
「ひひひひッつくのは反則!」
再び、第3新東京市。
「この様な非常時にも動じない『高橋ノゾム』を宜しくおながい致します…」
静まり返った街を占拠カーが走り回っている。
その車を制止する男が一人。
「や、初めまして。非常事態につきこの車はネルフが徴発させて戴きます」
「でも!あたし選挙活動があるんです!第3新東京市唯一の女性議員なんです!」
「ご心配無く。今度のご協力によってネルフ職員全員が応援しますよ」
爽やかにマコトが笑う。
ネルフ本部の通路・三人組の場合。
「ぜッんぜんダメ!有線も無線も携帯も、ゼーンブつながらない!」
受話器を叩きつけながらレイが叫ぶ。
「じゃあ、発令所まで行ってみようよ」
「どうやって?道、解るの?」
「え…綾波は知らないの?」
「必要な場所しか知らないモン」
「じゃあ、こう、壁に手を当ててずーっと歩けば…」
「それは迷路の歩き方」
「ナイスツッコミ!やるわね、セカンド」
233 :
19:04/12/12 21:18:32 ID:???
『非常事態宣言!使徒接近中!皆様の為に命をかける高橋ノゾムを宜しくお願いキャーッ!』
ネルフ本部・第72ゲートに設置されたバリケードを突っ切る選挙カー。
「…オラ、なんだかワクワクして来たぞ(AAry」
「お楽しみはこれからだッw」
三度、エレベーター。
遠くから聞こえる選挙カーの警報を聞いたミサト。
「こうしちゃあ居られないわッ!発令所に行かなくちゃ」
「どうやって?」
「天井から出てタラップを使えばなんとかなるはず…どうする?」
「一人はイヤ…」
「じゃあ行こう」
ミサトがリョウジの手を取って立ち上がる。
「ここは、どうだーーッ?」
勢い良くドアを蹴り開けるレイ。
だが見えるのは第三新東京市の街並である。
「また違ったね…何の音かな?」
「見て!」
アスカが指差したビル群から唐突に姿を現す。
234 :
19:04/12/12 21:19:40 ID:???
/\
,ヘ、 .| \
/\ __ / | .| ヽ /\
/ / ̄\ \ / | | ヽ´ \
/ / \ \ | | /ヽ \
/ / \/ .| | カサカサ .| / ヽ ___\__
/ / /\ .| | _ | / ヽ/ \ ヽ
/ / | ヽ| | /._.. ヽ .| / / \ ヽ
/ | | | | /.._.. ヽ... ヽ .| / / | \ ヽ
/ | | | \ /... ...ヽ |.. )| / ./ | \|
/ | | | ヽ● ● 丿ノ |/ / | |\
/ / ノ \ /V""V"\ヽ、// | | |
./ _/ \/ )/ /||\_/ ゝ | |
| Λ( Λ〃/ < |
| ( "" / |
""""
235 :
19:04/12/12 21:20:43 ID:???
丸い胴体から細長い脚が何本も伸びている。
レイの顔色が見る間に蒼くなっていく。見れば腕には鳥肌がたっている。
「ク、クモ…イヤ、キライ」
そしてぶっ倒れる。
「あっ綾波ッ!…あああどどどどうしよう」
うろたえるシンジ。
「困った時にはホレを呼びなはー」
パソコンを携えたトウジが現れ、誇らしげにモニターを示す。
「こんな事も有ろうかとお父ンのパソコンから持ち出した本部の地図や」
「スパイ容疑でタイーホ」
無表情のアスカが指差す。
つられたシンジが身体をクネクネさせて奇妙なポーズを取る。
「ええっと、『死刑』?」
「また古いネタやなぁ…急ぐんやろ?行くデ」
トウジがすたすたと歩き出し、レイを背負ったシンジが続く。
236 :
19:04/12/12 21:21:48 ID:???
ネルフ中央作戦司令室。
エアコンの効かなくなった劣悪な環境下にあってもオペレーター達の士気は保たれていた。
それというのも第一発令所を見上げればいつものスタッフが顔面紅潮・汗まみれで指揮を
執っているからだ。
碇司令・冬月副司令という中枢を欠きながら戦っているのだ!うおお燃えるぜ!と言う
雰囲気なのだ。
だが現実は…。
「…ッたく呑まなきゃやってらンないッつーの」
「伊吹、もう一本どうだ?」
「アンタ達、本当に頼むから仕事して頂戴…」
「やってますよーだ」
不意にマコトが真顔になる。
「で、実際どうなんだ?やはりこの停電は人為的なものなのか?」
「多分、ね。電線の物理的切断が27ヵ所、プログラムによる巧妙な隠蔽工作が16ヶ所」
「復旧の見通しは?」
「カシマシステムが無傷だから数時間で。でも…」
「ヘタをすればその復旧ルートからここの構造を推測される危険がある、と」
マヤが空き缶を咥えて会話に参加してくる。
「ダミーのプログラムを走らせて全体像の把握を邪魔するけれど…」
「ネルフの初めての危機が同じ人間にやられたものだとはねぇ…はぁ」
しみじみとなるマヤ・シゲル。
「所詮、人間の敵は人間か…業が深いな」
シゲルが眼下で必死に作業を進める職員たちを見つめる。
「そんな事よりもエヴァの発進準備を急いで頂戴」
「…了解」
その時。
「みっ水っ水っ!」
リョウジを背負った汗だくのミサトがゼェゼェと荒い呼吸をしながら飛び込んでくる。
「はいよッ♪」
返事もろくにせず一気飲みしたそれは当然ビールであった。
激しい運動の後の飲酒・一気飲みには注意しましょう。
237 :
19:04/12/12 21:23:02 ID:???
「司令のためなら」
『エーンヤコーラ♪』
もうシラフではやってられないので一杯ひっかけた職員達。
歌を歌いながらエントリープラグを引っ張り上げている。
「良いか皆の者ッ!例え使徒が来ようともこのエヴァさえあれば無敵じゃッ!うははは」
『おおおおお!』
1人の酔っ払いは集団にとって非常に迷惑だが、皆が酔っ払えばノープロブレム。
「木の葉を隠すなら森の中って本当ねぇ」
マヤちょむ、それちょっと違うと思う。
「で?肝心のチルドレンは…」
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ〜ん」
トウジに先導された三人組が到着する。
またも慌しくエントリー準備が進められていく。
なおトウジのパソコンとカメラが没収されたのは言うまでもない。
斧でぶった切られたパイプからオイルが噴出す。
油圧がヌケてはずれるロックボルト。
「各自拘束具を強制除去して発進!後、自力にて充電池板を装着し地下通路より出撃!」
『了解』
狭い横穴をのそのそと進んでいくエヴァ。
『ここだ。これを登れば地上に出られるよ』
四肢を踏ん張り初号機が登り始める。
『…ねぇ、シンジ…クモ、いない?』
『うん…多分』
『じゃあ、行く』
零号機が横穴から身を乗り出した時、縦穴の開口部にソレが現れた。
巨大な唇である。
ご丁寧に舌を出してべろんべろんさせている。
『いいい嫌ぁぁぁぁぁっ!』
238 :
19:04/12/12 21:24:51 ID:???
よろめく零号機、それを引き戻す弐号機。
だが零号機が持っていたパレットライフルは縦穴の奥深くに落ちてしまった。
『綾波ッ!どうしたの?ねぇ、綾波ッ!うわあああああッ!』
使徒の視界にいた初号機は早速攻撃対象とされた。
使徒の口が大きく開き、どろどろとした液体があふれ出る。
早い話が「ゲロ」ですな。
『うッうわああああああッ!気持ち悪いぃッ!臭いッ!痛ッ痛い痛い溶けてる溶けてる』
胃酸が混じっているのだから当然といえば当然か。
「どうするの?」
「…シンジががんばれる間にケリ付けなくちゃ…アタシが下まで降りてライフルを拾う
から、アンタ仕留めてね」
言うが早いか縦穴に飛び出す。
ふわり 一瞬の浮遊感、そして自由落下運動。
穴の底が迫った時、レイは零号機の四肢を伸ばして壁に押し当てる。
あちこちの関節が軋む。
着地の衝撃を少なくする為だが、ライフルを破損させない配慮でもある。
もし零号機が踏ん付けたなら反撃は不可能なのだ。
拾い上げたライフルを放り上げ、一声叫ぶ。
『頼んだわよ、アスカ!』
インカムから聴こえる声にアスカが反応する。
ぎりぎりまで身を乗り出して探す…までもなくそれは眼前で静止した。
絶妙のトスである。
ライフルを手に空中へ飛び出す弐号機。
『碇君、避けて』
『なっ何?うわわわわわ!』
慌てて身をよじる初号機の横を掠めて行く無数の劣化ウラン弾。
弾丸はたやすく使徒の身体を貫通し…あっけなく倒した。
数時間後、ネルフの機能はほぼ回復し碇司令とも連絡がついた。
碇司令は全職員を慰労しながらも、最後にシンジに向かってこう言った。
良くやったな、シンジ、と…。
239 :
19:04/12/12 21:25:55 ID:???
「順調だね、まったく順調だ」
シナリオを反すうしながらキールは呟く。
にぃ
腕に抱かれた猫が可愛い声を出す。
「…あぁ、ごめんよ。もうお腹が減ったのかい?」
新しく備え付けられた冷蔵庫から鯖缶を取り出すと指先でなぞる。
それだけでパカン、という小気味良い音と共にフタが開く。
もしこの部屋に人間がいれば、その現象に興味か恐怖を感じたであろう。
だが。
猫は驚く素振りさえ見せず、ただ鯖缶だけを見つめている。
「そうだねぇ…キミにとっては僕の力なんて興味もないんだねぇ」
猫の背中を撫でてみる。
だが食事に夢中な猫は相手にもしない。
やがて食事を終えた猫がやっと視線をキールに戻す。
再び、キール。
「キミは人間についてどう思う?」
その問いに、猫は少しだけ耳を動かして「にぃっ」と笑った。
240 :
19:04/12/12 21:27:23 ID:???
>>222 今回は締め切りも守れました。
でももう少し煮詰めてみた方が良かったかも?
>>223 保守ありがとうございます。
>>224 実はサイト持ちなんですw
ただ不細工なHTMLに加え、カウンタつけたらヘンになっちゃいまして。
手直しする時間もないので放置状態。よって公開は再び停止しています。
正月休みになんとかしたいのですが、物語を書く方が忙しいのでムニャムニャ。
おおまかなストーリーは出来ていますから残念ながらそのキャラは出せません。
マナ(戦自三人組含む)に関しては150KB程度の作品を書いていますからそれも…。
という訳で来年も宜しくおながい致します。
神様乙であります。
乙神
また読み返しちゃったよ でも大量投下でうれしい
"おながいします"かよって思ってたら2chネタ出すぎw
乙ワラタ
.
ホス
ううん、この場、LAS人な俺は
どちらとシンジがくっつけばいいと願うべきなんだろうか?
このスレのレイはアスカとはなんか違う気がする
それはそれでいいんだけど
というわけでアスカを希望しなさい
アスカはレイの性格でもいいが、
レイがアスカの性格だとただのリナレイが頭に浮かんでしまう。
というわけで俺もアスカがいいと思う。
ごめんなさい、今回のお話はイマイチです。
思うところがあってトリップつけてみましたw
復旧作業の進むネルフ本部では職員達が点検作業に奔走している。
「セキュリティ・システム、回復しました。異常ありません」
「では全施設のチェックを頼む。不審な点があればすぐに対応してくれたまえ」
「了解」
「…やれやれ、だな。心当たりが多すぎて怒る気にもならん」
ゲンドウは直立したまま軽く肩をすくめてみせる。
使徒殲滅後、第3新東京市から戻ったゲンドウは腰を降ろして休む間も無かった。
「非公開組織・ネルフの宿命ですかね?」
やや自嘲めいた口ぶりのマコト。
「我々の存在を快く思わん者達が居る、それは事実だ。しかし…」
そこで言葉を切り、目を閉じるゲンドウ。
「…しかし、なんです?」
「この役回りは誰かがやらねばならんのだ…『あの日』からな」
ゲンドウの呟きを聞いたマコトは不精ひげの伸びたあごをひと撫でして再びモニターに視線を戻す。
『エヴァ各機、生命維持モードで待機中。電源ユニット、搬送急げ』
『二時間はかかる』
『可及的・速やかに行動されたし。生命維持モードの運用実験データは理論値なり』
『了解。善処する』
使徒殲滅後のエヴァは縦穴の底でその活動を停止していた。
地上からの救出は使徒の残骸が邪魔になり不可能だった。
シンジと初号機は何とか横穴に潜り込んだものの、アスカやレイを救出する余裕はなかった。
使徒の溶解ゲロによって全身の装甲板と表皮を損傷させられ、激しい痛みが襲っていたからだ。
ブラグスーツを介して鎮痛剤の投与を試みたものの、エヴァ本体の受信ユニットが不調で信号を受け付けなかった。
結果、シンジは同情されつつも放置される事となった。
「碇司令、ちょっといいですか?」
やや改まった口調のマヤ。
「ん…何かね?」
「第87タンバク壁におかしなモノがあります」
「…どれ?」
「拡大します。モニターをご覧ください」
マヤの背後からモニターを覗き込むゲンドウ。
「シミのようだな」
「3日前に搬入されたパーツです」
第87タンバク壁に関する情報にアクセスするマヤ。
次々に表示されていくデータ。
「侵食じゃないですかね?温度と伝導率が変化してますから。無菌施設の劣化は良くありますよ」
データを眺めていたマコトが話に入って来る。
「気泡でも混ざっていたかな…?ズサンだな、B棟の工事は」
「そこは使徒が現れてからの工事ですからね。工期が60日近く圧縮されてアセったんでしょう」
しかめっ面のゲンドウとなげやりな表情のマコト。
「みんな疲れてるのねぇ」
はぁ
ため息の合唱が聞こえてきそうな雰囲気だ。
「…それじゃあ済まされない事もあるのよ」
シゲルの正論が緩んだ空気を凍らせる。
「…明日までに処置しておけ。警報はいい…何かとうるさい奴等がいるからな」
「赤木博士への報告は?」
「…そうだな…シグマユニットの点検を急がせてくれ」
「了解」
「それから、保安諜報部には随時報告を入れさせろ」
「今回の破壊工作は我々保安諜報部に対する挑戦である。なんとしてでも犯人を見つけろ」
ネルフ本部の活動に必要な情報収集や要人警護は下より、施設警備も担当する保安諜報部
にとって今回の『事件』は屈辱以外のなにものでもなかった。
監視システムが万能ではないとは言え、こうもあっさりと施設内部に侵入・破壊工作を許
してはその能力に疑問を持たれて当然なのだ。
せめて実行犯を特定しなければ失地回復は望めない。
保安諜報部は可能な限りの人員を投入して不審人物の特定作業に入った。
監視カメラの記録映像からネルフ本部に出入りした全ての人間をチェックし、身元の確認をするという気の遠くなる作業。
そしてその対象をネルフ職員にまで広げていく。
「エヴァ、再起動に成功。各機、自力にてケージに移動中」
回収班からの報告が第7ケージで待機中のミサトに届く。
多忙なリツコに代わってミサトが補修作業の指揮を執るのだ。
「うッし!作業員はエヴァの点検・改修作業準備。忙しくなるわよォ」
初号機は装甲版の換装と素体の点検が必要だし、零号機も関節への負荷が気になる。
作戦部長としては早急に戦力回復を望みたい。
腕組みをして作業を眺めていたミサトがある事に気付く。
「…そう言や加持君ドコ行ったのかな?」
プリブノーボックスにやってきたリツコ達が点検作業を始める。
「システムチェック、急いで」
「模擬体、起動させます」
男性職員の一人が手馴れた様子でパネルを操作する。
「模擬体起動しました。各センサーも正常に稼働しています」
「一安心ね。じゃあ、次に行きま…」
その時、リツコの声を遮る様に警報が鳴り響く。
「なに!?」
『シグマユニットAフロアに汚染警報発令!シグマユニットAフロアに汚染警報発令!』
アナウンスを聞いた職員が再びモニターをチェックする。
「大変です、第87タンバク壁が劣化発熱しています!」
「第6パイプにも異常発生…侵食部が増殖しています!信じられない速度です」
モニターを覗き込んだリツコの顔色が変わる。
「何て事…ここに来るわ!第6パイプ、緊急閉鎖!」
「駄目です!侵食は壁沿いに進行しています!」
「ポリソーム、用意。レーザー出力最大、侵入と同時に発射!」
壁面から水中作業用ロボットが現れ侵食が予想される壁面に向かう。
「侵食部、6の58に到達…来ます!」
だが壁面には何の変化もない。
突然、模擬体が痙攣した様に手足をガクガクさせている。
「侵食部、ケーブルから模擬体に之いや侵入…更に拡大!模擬体の下垂システムを侵食中!」
「レーザー発射、急いで!」
「発射します!」
5機のポリソームから発射されたレーザーが模擬体の侵食部を消滅させていく。
「あぁ、効いてる!」
「ケーブルまで行ったら模擬体は切り離して」
「了解しま…あぁっ!?」
さくさくと破壊されていた侵食部が突然レーザーを跳ね返したのだ。
呆然とする一同。
その沈黙をリツコが破る。
「ATフィールド…」
「そんな…まさか」
リツコの言葉が信じられない男性職員。
男性職員に怒鳴るリツコ。
「モニター、急いで!」
「は、はい……出ます」
結果はパターン青…使徒だった。
警報が鳴り響いている第一発令所。
リツコと電話中のゲンドウ。
『使徒…間違いないんだな?』
『はい、プリブノーボックスに侵入して来たのは間違いなく使徒です』
『解った、急いで撤収したまえ』
電話を切るとシゲルに指示を出す。
「セントラル・ドグマを物理閉鎖。シグマユニットを隔離する」
「了解しました。シグマユニットを隔離。繰り返す、シグマユニットを隔離」
「それからな、警報は切れ。探知機の誤作動による誤報、日本政府と委員会にはそう伝えろ」
「!?り、了解しました」
ため息をひとつついて後頭部をぽんぽんと叩くゲンドウ、ある事に気付く。
「そうか、マズイな…アレに近すぎる…。汚染はシグマユニットまでに抑えろ。ジオフロ
ントは犠牲にしてもいい。エヴァはどうなっている?」
「現在3機とも第7ケージに係留中です」
「緊急射出だ。地底湖にでも放り込んでおけ」
「ですが、対使徒戦は…」
「エヴァが使徒に汚染されたらお終いだ、急げ」
「ぬぁんですってぇ?闘わずに、逃げろぉ?」
ゲンドウからの指示を伝えた職員がミサトに絡まれている。
「は、はい。エヴァの安全優先だとか…至急、との事です」
「じゃあどうやって使徒を殲滅するって言うの?」
胸倉を掴んでぶんぶんと揺するミサト。
「そそそそれは聞いておりません〜」
「…ちッ、仕方ない。エヴァ射出準備」
「パイロットはどうするんですか?」
「パイロットの処遇に指示は無いわねぇ…いいわ、そのままで射出して」
「解りましたぁ…射出準備、急げ!」
こうしてエヴァは地底湖にパイロット諸共放り込まれた。
…なんか、このパターン多いなw
セントラル・ドグマの中央溝に1台の移動コンテナが停まっている。
開いたハッチから身を乗り出して宙空を見つめているのは…リョウジだ。
その視線の先には暗闇の中で瞬く赤い光があった。
「あれが使徒…仕事どころじゃなくなったわね…」
『シグマユニット以下のセントラル・ドグマは60秒後に閉鎖されます。真空ポンプ作動ま
で、後30秒です』
警告アナウンスを聞き、コンテナからぴょこんと飛び出すリョウジ。
「危ない危ない、逃げなくちゃ」
言うが早いか軽やかに搬出用横穴に飛び込み、あっという間に姿を消した。
アナから放り出されて湖に飛び込んだエヴァ達。
『しみるよぅ、痛いよぅ、ヒリヒリするょぅじょ』
未だエヴァとのシンクロが続いているシンジが情けない声を出している。
使徒戦で素体の皮膚が損傷され、その修復もされない内に水に浸けられたのだ。
…お湯じゃなくて良かったね、シンジ君w
『うじうじと泣き言言わないの!…男でしょ!?』
『綾波だって同じ目に逢えば痛いはずさぁぁぁ〜』
2人のやり取りを聞いていたアスカが弐号機を岸部に進ませる。
『…どうしたの…冷えちゃった?』
『蒲の穂、集めてくるわ』
『…何すんのよ?』
『因幡の白兎…』
しばらくアスカの言った意味を考えているレイ。
『アンタ、ドイツで何の勉強してたのよッ』
そう言いながらも後を追うレイと零号機、そしてシンジと初号機。
使徒襲来だと言うのにのどかに蒲の穂を集めているアスカ達と、それを眺めているシンジ。
やがて戻って来たエヴァ達の指先には、ちんまりとした蒲の束があった。
『本当は寝転がってゴロゴロするらしいんだけれど』
『マダー?ゴロゴロゴロゴロゴーロゴーロ(AAry』
身体の前面はシンジ自身で、背中をアスカとレイが蒲の束で軽く叩く。
ぽむぽむぽむぽむ
ぱふぱふぱふぱふ
ちく
『痛ッ…今、何かチクっとしたよ?』
『ごっめーーん、ネコジャラシが混じってたw』
『ワザとやってるんだ…そうに決まってる…』
『小さいコトに拘らないの!』
ぽむぽむぽむぽむ…
のどか、だった。
向こうに見えるネルフ本部では(おそらく)使徒との戦いの真っ最中だろう。
『使徒が来てるのに、僕達、戦わなくてもいいのかな…?』
『仕方ないじゃない、呼ばれてないんだから』
『…使徒はどうして攻めて来るのかな…?』
『アンタバカぁ?そんなの、わッかる訳ないじゃない』
『理由も解らずに、どうして戦うのかな…?』
『山下キヨシかお前はッ!』
中央作戦室のモニターに映し出されているプリブノーボックス制御室。
水没した空間の壁面に居座る使徒。
それを見ながら簡単な状況説明をするミサトとリツコ。
「ここが重水の境目。酸素の量が多いところよ」
「で、こっちの画面が無菌維持のためにオゾンを注入している場所、ね」
「そ。これらの場所では増殖速度が異様に遅いわ…つまり」
「酸素に弱い」
「ぴったしカンカン♪」
「では行きますか『気分スッキリオゾン浴』作戦!」
あ、ゲンドウが頭を抱えた。
「オゾン注入、増加」
マコトの号令と共に無数の気泡がモニターに現れ、徐々にではあるが侵食部位が減少していく。
「効いてる?」
「続けて頂戴…効果ありです!」
「まだ肝心の中心部が残っとるよ」
浮かれる部下達を叱咤するゲンドウ。
「…あれ?効かなくなったのか?」
マコトがモニターの変化に気付き、ついでマヤが。
「ちょっと…何あれ?」
モニターの一角に深緑のもやもやしたモノが映し出されている。
「うぇ!どんどん増えてやがる!形態を変化させたのか!?」
「分析、急いで!」
マヤの指が凄まじい速さでキーボードを叩く。
「…出ました。…な、なんですってぇーー!?(AAry」
「どうしたの?」
「…増えるワカメです…誰かが持ち込んだ物の様です…」
一同、一斉にリツコを見る。
「あ、あたしじゃないわよ」
しかし、誰も信じてはくれなかった。
その時、新たな警報が鳴り出した。
「…今度はなんだね?」
げんなりしたゲンドウが尋ねる。
「…サブ・コンピュータがハックされています!侵入者、不明!」
「こんな時にか!Cモードで対応します」
「防壁解凍、擬似エントリー展開」
「擬似エントリー、回避されました!」
「チィ!逆探知まであと18秒」
次々に展開される防壁と擬似エントリーを苦も無くかわしてくる侵入者。
「…これは人間じゃあないわね…」
「メッセージ、来ました!」
モニターに映し出されるメッセージ。
『漏れがこんなに凄いのも、あたり前田のクラッカー』
………しばらくお待ちください………
orz
…クラッカーの意味が違うがな…
「前言撤回…やっぱり人間かも…」
「逆探知成功!…この施設内です!…B棟、地下施設…プリブノーボックス…!」
「やはり、コイツか」
ゲンドウがモニターを睨む。
「そうか!さっきの増えるワカメはこの為のオトリだったのね!なんて狡猾な使徒!」
「…いや、アレはアンタだから」
ここぞとばかりに先程の疑惑を否定するリツコとツッこむミサト。
「…どうでもいいけどさ、保安部のメインバイクにアクセスされてるわよ」
「え゛!?」
「パスワード走査中…12桁…16桁…Dワード、クリア…って、すごいわねコレ」
顔面蒼白のリツコが恐る恐る振り向きゲンドウに報告する。
「…保安部の、メインバンクに…侵入、されました…」
「餅つけ!それでヤツの狙いはなんだ!?」
「メインパスを探っています…このコードは…まずい!カシマシステムに侵入する気です!」
「I/Oシステムをダウンさせろ!」
ゲンドウの言葉にハッとなるシゲルとマコト。
デスクの引き出しからキーを取り出すとコンソールに差し込む。
「カウント!」
「5・4・3・2・1…」
『アクション!』
奇妙なポーズを決めてから同時にキーを回す。
だが何も起きない。
「で、電源が切れません!」
「使徒、更に侵入…ウタエに接触…あちゃ!あっさり乗っ取られました」
あんぐりと口を広げているゲンドウ。
「ウタエ、テルエに対して侵入開始…信じられない計算速度です!」
「ウタエ、通信回線を遮断!あ…各ゲート閉鎖されています!ジオフロントが孤立しました」
「…カシマシステムが敵に回るとはな」
「で、どうするんですか?碇司令」
「カシマシステムの放棄はネルフ本部の放棄と同義だからな…ふむ、どうしたものか」
「私に切り札があります!」
リツコが固い決意に満ちた表情で右手を上げている。
それを一瞥してから、一同は再び合議を始める。
「聞・き・な・さ・い!」
ゲンドウの鼻先に顔をくっつけて睨むリツコ。
「…いや済まん。最近耳が遠くなってな、ははは…」
「ここに一つの言語コンバータがあります。これをハナエに搭載し、使徒に対して逆ハッ
キングを仕掛けます」
「…だがそれはハナエの防壁を取り除き、ハッキングの危険性も高まるな」
「ハナエが早いか、使徒が早いか…勝負です」
「良かろう、ほかに方法もない事だしな」
「してみるとシンジ君達を外に出しといたのは正解よねぇ」
「まだ負けると決まった訳じゃないわよ!」じうに
ミサトの毒にマジ切れのリツコが鼻息も荒く総合分析所のカシマシステムの前に立つ。
「あンの野郎、へらず口叩きやがってぇ」
ハナエの下部にあるスイッチを押しハナエ本体を競り上げる。
「失語症で喋られなかった三年分のうっぷんをあの毒舌で取り戻しやがった」
お多福型ハッチを開いて暗証番号を打ち込む。
「大学でもずっとあの調子」
ハンドルを回して思い切り引く。
『ミサトのバカヤロー!』
「あら懐かしい落書き」
開口部から差し込む光に映し出される無数のメモ。
「…つまらないコトがあるとここに隠れて本を読んでいた…」
懐中電灯をつけ辺りを照らす。
「おっと、仕事仕事」
工具箱を開いて電動ドライバーを取り出す。
「…でもコレを使うと趣味がバレるんだよなぁ」
再びけたたましい警報音。
「テルエ、乗っ取られましたぁ!テルエ、ハナエにハッキング開始!」
「ひー!自律自爆が決議されました!」
『自爆装置稼動は三者の一致後、02秒で行われます。自爆範囲はジオイド深度マイナス
280、マイナス180、0フロアです…』
「ハナエは後どの位持つ!?」
「30秒ほどです!」
「リツコぉ!」
その時、作戦室に奇妙な音声が響き渡る。
『あへええっ、いいいいいいっ! テルエいいよおおおっ!!』
「な、なんだコレは!?」
『ハっ、ハナエのおしりあなぁ!! いじってぇにいさまぁ! にいさまちんぽでほじほ
じしてぇっ!!』
「誰だこの非常時にエロビデオを見ているヤツは」
『きもぢい゙ーっ、みゆくぴゅーってっきも゙ぢい゙ぃーっ!!!』
「使徒の活動も停止しましたァッ!!」
『おにゃがいひまひゅう〜っ!!しあわせみるくがでちゃううっ!!』
「おい…まさか…」
『んぉほぉぉォォ らめぇ、らめぇぇえぇ らめにゃのぉぉお』
「これが赤木博士の切り札…」
『ぽ、ぽうっ!!気持ちいすぎて私…お国がわからなくなっちゃうッ!!』
「使徒、活動低下していきます!」
『バンザイっ、ばんじゃいっばんじゃい゙っぱゃんに゙ゃんじゃんじゃいぃぃっ!!』
「テルエ、機能回復しました!続いてウタエに向けてハッキング開始!」
『死んれしまえ、死んに゛ゃえ、いぃにゃくにゃっひゃえぇえぇぇぇ!』
「…ウタエ、機能回復…やった、やりました!」
「た、助かった…」
「使徒、殲滅しました…あっ!」
「どうした?」
「…模擬体が、破損しています…余程のストレスがあった模様…」
使徒襲来による損害は主にネルフのデータベースにおいて深刻なものであった。
特に保安諜報部のメインバンクは壊滅的なダメージを受けた。
復旧までにはおよそ一週間かかる、との報告があった。
データは分散して保管されていたが、その何%かは永遠に失われた。
そしてその中にはスパイを特定する上でかかせない情報も含まれていた…。
「これで停電事件の犯人を短期間で特定する事は不可能になったな…」
「ま、気長にやるとしましょう…地道な捜査ってヤツです」
苦虫を噛み潰した様な表情のゲンドウを慰めるマコト。
「そうだな、まだ時間はある…ところで」
咳払いをひとつしてゲンドウ。
「…なんです?」
「さっきのアレは、何かね?」
「…どうやらエロマンガに出てくるキャラクターが使っていた特殊な言語のようで…」
ミサトから仕入れた情報では、大学生の頃から同人誌などを買い漁っていたらしい。
「赤木君はそんなモノを読むのかね!?」
「相変わらずのヲタクっぷりねぇー」
ミサトがリツコをからかっている。
「そのおかげで助かった…違う?」
こうなっては開き直るしかない、リツコは大きく胸を張った。
「碇司令、顔を引きつらせていたわよ」
「老人にはいいクスリよ、ふふふ」
黒縁眼鏡をすりあげながら唇を歪めて笑って見せるが、やや演技過剰だ。
ミサトも大げさに応える。
「過っ激ィ」
「で…シンジ君達は?」
「…忘れてた。ごッめーーーん、じゃあね!」
「アンタこそ相変わらずじゃない…」
通信回線が復旧したネルフ本部に二つの報せが舞い込んだ。
一つは良い報せで、ロンギヌスの槍を回収した冬月副司令が日本近海まで戻っている事。
もう一つは悪い報せで、東太平洋上空に使徒が現れたという事…。
「2分前に突然現れたそうです」
『第6サーチ衛星、軌道に乗りました。接触まであと2分』
「目標を映像で補足」
第一発令所のメインモニターに映し出されるサイケデリックな使徒。
「うわ…常識を疑うわね…」
「エロマンガ収集家からそんな言葉が出ようとは」
「エロマンガだけではないッ!」
「衛星、目標と接触します」
『サーチ開始。データ送信開始』
使徒の前を横切っていく衛星がぐしゃりと潰される。
「?…まさかATフィールド?」
「こういう使い方もある訳ね…あっ」
使徒の一部が切り離されていく。
「何をするつもりかしら?」
「落下しているわ……まずい!大至急、副司令に連絡を!」
「あ」
まずミサト、次いでリツコが気付いた。
衛星軌道上から落下してくる物体に直撃されれば、大型空母とて木の葉同然。
いや、たとえ直撃されなくても落下地点から発生する津波の影響が心配される。
太平洋には現在コウゾウがいるのだ。
しかもロンギヌスの槍を携えて。
「だが槍を運べる程の航空機は搭載されていないぞ?」
「ではお迎えが必要ですね」
「どうするのかね?」
「専用輸送機を使用してエヴァによる直接回収を行います」
「冬月はどうする?」
「使徒の採集目的地がネルフ本部であるならば、ここにお連れするのは危険かと思われ」
「解った。準備を急いでくれたまえ」
非常識な相手に対する、非常識な戦いが始まった。
>>241 ありがとうございます。
でも今回は自分でも不本意な出来です…。
>>242 2ちゃんですからそれらしいネタを多用しておりますw
>>243 ありがとうございます
>>244-245 保守ありがとうございます。
>>246-248 まさかこんな作品でLASセンサーが作動するとは…。
確かにアスカなレイは「リナレイ」を想像させます。
んだからちょっと変えています。それが一層アスカらしくない原因かと…。
へっぽこミステリーの為に用意していたアスカが少しだけ混じっています。
…用意しているラスト…大丈夫かなぁ。
2ヶ月ぶりに乙
なんか登場人物の性格が変わってきてるような
シンジなんか特に
もぐレイスレどころじゃないので一旦浮上します
ふーん
レイっぽいミサトが見たいな
271 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/03/24(木) 22:15:23 ID:l/6Sqv7r
1年ぶりにスレに来てみたら凄い展開になってるなw
かつての没ネタも今や違和感無しなことに
こういうの好きです、男氏刮目してage
272 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:2005/04/07(木) 19:57:01 ID:H4Ny+Jv1
age
お絵かき掲示板でおもしろい性転換ものがあったねー
>>274 しかも顔がいい感じに似てるように思える。