1 :
ゲンドウ:
「完璧なシナリオなんて無い。完璧な絶望が存在しないように。」
僕は「来い、ゲンドウ」とだけ書かれた手紙と、
グレープフルーツのような胸の女性の写真と、
スポーツバッグひとつで第三新東京市の駅に降り立った。
避難警報が出たせいか街には誰もおらず、僕はしなびた村のかかしのように佇んでいた。
ただ鬱陶しい蝉の鳴き声と、戦自ヘリの羽音だけが鳴り響いていた。
ふと遠くを見ると青い髪の少女がこちらをみているような気がしたが、
目を凝らしてみてもそこには誰もいなかった。
「やれやれ、シェルターに行くしかないか」
僕は誰に言うわけでもなくつぶやいた。
そっけない直訳文体で書けって事ですか?
「ぼぼっぼ僕は、えッエヴァに乗りたいんだ」
突撃隊はいった。彼は普段からどもっているが、
特に話がエヴァがらみになるとそれが酷くなる。
「やめておいた方がいいよ、何もいいことはないし」
僕は彼が何故あんなものに乗りたいのか、理解できなかった。
「で、でも格好いいじゃないか。あんなロボットに乗って、ちっ地球を守れるなんて」
僕は彼の勝手な思いこみとその言いように無性に腹が立ったが、何も言わなかった。
きっと、ヒーローに憧れる彼の方が、14歳の少年としては普通なのだろう。
6 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/07/08 02:09 ID:t18ti1GE
乗るんだ。乗り続けるんだよ。何故乗るかなんて考えちゃいけない。
おいらの言ってることはわかるかい?
意味なんてもともとないんだ。
どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。
きちんと乗りプラグスーツを着てエヴァに乗り続けるんだよ。
×きちんと乗りプラグスーツを着てエヴァに乗り続けるんだよ。
○きちんとプラグスーツを着てエヴァに乗り続けるんだよ。
間違いちった。
やれやれ。
9 :
三島由紀夫:02/07/08 07:14 ID:RWlv2GPY
「あ・・・あ・・アスカ・・・」
「何よ。変な真似をして。ドモリのくせに」
人に理解されないといふことが唯一の誇りになっていたから
アスカに理解させようとする表現の衝動には見舞われなかった。
またも世界が私を拒絶した、絶対的な美である具象化された
エヴァ初号機はまたも私を拒絶したのだ。
良スレに育つ可能性は高いが、荒れる可能性はもっと高そうなヨカソ
「あんたバカ?」
そう、彼女が言うとおり。僕はバカかもしれない。
しかしひとつだけ確信できることがある。彼女はもっとバカだ。
彼女もそのことに気付いているだろう。
それはミサトさんがビールを飲むのと同じぐらい、当たり前なことだった。
「エヴァンゲリオン初号気はは不思議なエヴァでした。一見何の問題も無いように見える。
でも乗ってみると何かが違うんです。同じシンクロ、同じ操作手順なんです
が、他の機種とは何かが違う。その何かが麻薬のようにパイロットをひきつけた。
・・・私が『初号機』を悲運のエヴァと呼ぶには二つばかり理由があります。
第一にその不確実性がゼーレの老人達に十全に理解されなかったこと。彼らがやっと
理解しはじめた頃はもう遅すぎた。第二にS2機関を飲み込んでしまったこと。
あまりにも暴力的にやりすぎたんですな。初号機はゼーレによって依り代にされた。
碇ゲンドウはリリスとアダムさえあれば息子は必要ないと言った。それまでです。」
僕は暗い気持のまま考え込んだ。
「ところで、あなたの初号機でのベストスコアは?」
「400%」と僕は言った。
「そりゃ凄い。」と彼は表情も変えずに言った。
「実に凄い。」そしてまた耳を掻いた。
「不味いカレーを燃料にして走る車が発明されたら、
ミサトの運転はますます酷くなるわね。」
リツコはミサトの作ったカレーをこう評した。
>>5 僕が突撃隊と彼のミリタリーマニアっぷりの話をすると、綾波はくすくすと笑った。
笑い話のつもりではなかったのだけれど、結局は僕も笑った。
彼女の笑顔を見るのは
──それはほんの一瞬のうちに消えてしまったのだけれど──
ヤシマ作戦のとき以来だった。
はじめて綾波に会ったのは中学二年生の夏だった。
もっともこの表現は的確でないのかもしれない。
なにしろこの国は一年中夏なのだから。
彼女もやはり二年生で、ネルフ所属のエヴァンゲリオン専属パイロット、
ファーストチルドレンだった。
・・なんだかノルウェイの森を地でいけそうだ。
「やあ、疲れているようだね?」と加持が言った。
「まあね…」とミサトは言った。
加持の笑顔は昔と変わらず底が深く、目は笑っていなかった。
「NERVの帰り?」と加持は訊いた。
「どうしてわかるの?」
「昨日と同じスーツを着ているからさ、泊まり込みかい?」と加持は言った。
まるでよりの戻ったかつての恋人のような言い方だった。
加持がしゃべると、周りの空気が和む。まるでなじみのパブのようにだ。
「今日はこれからどうするんだい?」と加持が言った。
「特に予定はないわ。シンジ君の作ったご飯を食べて、あとはビールを飲んで寝るだけよ」
「そう。もしよかったら、一緒に夕飯を食べない?イタ飯なんかどうかな?」
まかせるとミサトが言うと、彼は自分の車に乗り込んで、カーナビに行き先を告げた。
偶然にも、その車は、ミサトが3年前まで乗っていた車と同じだった。
ふとそのころの情景が思い浮かんだ。使徒と闘っていた頃の情景。生存をかけた争い。
文字通り毎日が戦いだった。
「懐かしいわね」。独り言のようにミサトはつぶやいた。
「俺はまだ懐かしくないけどな。」加持も独り言のように返した。
良スレの予感age
うまいFF作家の4割ほどは春樹の影響を受けているみたい。
文体が似ているFFや、科白が流用されているのをたまに見たかけるし。
「ロンギヌスの槍は完全に凍結されている。
何故だかはわからんが、恐らく補完計画に重大な影響を与えることが予想されるからだろう。
もし老人達に無許可で槍を使用したとなれば懲罰程度では済まないぞ」
ゲンドウは死海文書の入ったホルダーを冬月に差し出した。
「シナリオにないことも起こる、老人達には良い薬だ。」
たしかに老人達のシナリオが完璧なわけではない。しかし碇も無茶である。
全く老人達といい碇が何を考えているのか私には見当もつかない。
あちらではこうしろといい、あちらではこうするなと言う。
迷惑するのはいつも私のような間に挟まれたの人間なのだ。
職人期待age
春樹VS龍
なんだ、全然盛り上がってないじゃん。EVA板に職人を期待するのがいけないのか(w
(・∀・)イイ!!
24 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/07/16 23:55 ID:yooU68BL
職人期待age!
期待するだけで自分ではやろんとせんのがエヴァ板気質
ノルウェイの森しか分からん。
突撃隊(・∀・)イイ!!
トウジはどうしよう?関西風とかかな?
28 :
難しいなぁ・・・:02/08/01 13:52 ID:AcDU2Nxz
僕はあまりにも深く自分の中に沈みこんでいたのかもしれない。それとも体の芯に残って
いたしびれのようなものが僕を短かい眠りに誘い込んでいたのかもしれない。しかしふと気
がついたとき、彼女は僕を静かに見下ろしていた。真っ赤に染まった夕日の光を背中に受け
ているせいで彼女の輪郭にはぼんやりとした陰影がついていた。僕はしばらく彼女の姿を見
あげていた。彼女はいつもと同じ制服を着ていた。彼女の体からは夏の匂いがした。
「明日午前零時より発動するヤシマ作戦のスケジュールを伝えます」と彼女は言った。
作戦の説明をしているみたいだけど、僕の耳にはうまく伝わってこなかった。
彼女は生徒手帳を胸ポケットにしまうと、キャスターの上にトレイを乗せ、運んできた食
事を準備して僕の前に差し出した。
「食事」
食べたくない、と僕は言った。「食欲がないんだ」
「そう」と彼女は言って新しい僕のプラグスーツを取り出した。それは新品らしくビニール
の袋に包まれていた。またエヴァンゲリオンに乗らなければいけないのか。冗談じゃない、
僕は文字通り死ぬような思いをしたんだ。
「乗りたくない」と僕は言った。「もうあんな怖い思いはしたくない」
「そう。だったら寝てれば?」と彼女が言った。
「私が初号機に乗るわ」
そう言うと彼女は病室から出て行った。
やれやれ、またあれに乗らなきゃいけないのか。
シンジの料理描写が出るまで、村上春樹的とは認めん、といってみるt
ノルウェイの森エヴァキャラ版
ワタナベ:シンジ
直子:レイ
緑:アスカ
永沢:加持
レイコ:ミサト+リツコ
突撃隊:ケンスケ
初美:ヒカリ
緑の姉:マヤ
31 :
28:02/08/03 16:48 ID:8eOa3VGR
ミサトさんが起きるのを待つあいだに、僕は簡単な朝食を作った。
梅干しをすりばちですりつぶして。それでサラダ・ドレッシングを作り、
フライパンでベーコンを炒め、その油を使ってスクランブル・エッグを用意した。
出来は悪くなかった。時間があまったので僕は牛乳を飲みながら、
お味噌汁を作り、ほうれん草のごま和えを作った。
それからベッドに寝転んで、
デニス・シャポヴァーロフがバッハの無伴奏チェロ組曲を弾いたDATを聞いた。
バッハの音楽をデジタルで聴くとその柔らかい音が損なわれるような気がする。
でももちろんそういうのも偏見かもしれない。
時間はもう七時を過ぎ、窓の外はすっかり明るくなっていたが、
それでもミサトさんは起きてこなかった。
結局僕は、第一番と第二番のジーグまで全部聴いてしまった。
32 :
28:02/08/03 17:07 ID:8eOa3VGR
僕があきらめて先に朝食を取ろうとキッチンに向かったときに、
目覚ましのベルが鳴った。
ミサトさんの部屋を見ると、まだ眠そうな顔をしたミサトさんが立っていた。
「おはよう」とミサトさんは言って冷蔵庫の中からビールを取り出して、
ダイニングの椅子に座った。
僕はかつおぶしで簡単にだしをとったわかめとねぎのみそ汁を、
ごはんと焼きのりを添えて出した。
「あれ、シンちゃんおだしかえた?」とミサトさんが訊いた。
「ええ、かつおだし。リツコさんのお土産」と僕は言った。
28氏上手いな。
(゚д゚)ウマー
35 :
29:02/08/04 01:36 ID:???
オレが悪かった。
「ねっ、あそこにいるやつらってみんなマスターベーションしてるわけ? シコシコって?」
とアスカは写真を売るケンスケとその客を屋上から見下ろしながら言った。
「たぶんね」
「男の子って買った写真の女の子のことを考えながらあれやるわけ?」
「まあそうだろうね」と僕は言った。
「ラミエルとか劣化ウラン弾とかネルフ司令のことを考えながらマスターベーションする男はまあいないだろうね。
まあだいたいは女の子のことを考えてやるんじゃないかな」
「グラサン髭?」
「たとえば、だよ」
37 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/04 20:09 ID:0FgWG0z4
村上龍的ネルフも誰かやれ。
俺?
めんどくせーからやらねーよ。
村上隆的ネルフも誰かやれ。
ぽっくん?
めむどくせーからやらねーよ。
39 :
こんな感じ?:02/08/04 21:45 ID:yVveudbJ
ねえ、わかりやすく言ってよ、今の僕はだめなの? アスカにとってだめなの。
そう言ってシンジはアタシを見た。指の間からだ。
アタシは首を振りながら微笑んだ。
するとシンジは顔を覆っていた手を離し、よかった、と言って涙を拭った。
〜
気が付くとアタシはいつの間にか眠りこけていて、シンジが軽く肩をゆすっていた。
「アスカ、僕、帰るよ」
わかった、とアタシは薄く眼を開けて言った。
「僕、死んだほうがいいんでしょ? やっぱりそうなの?」
そうよ、とアタシは答えた。わかった、とシンジは言って、浅間山で取ったビデオを
見てね、遺言だから、と付け足した。
アタシは青葉と一緒にビデオを見た。ナレーションも終わって席を立とうとすると、
待ってください、と青葉が引きとめた。
「最後に何か映っているんですよ、ピントがムチャクチャで何かわからないんですが」
それは水辺に打ち上げられた丸太のようなものだった。揺れてキラキラ光っているので水辺だということはわかる。
「ブラックバスね」
とアタシは言った。バス? と青葉が不思議な顔をする。
「昔、あいつと芦の湖で釣りをして、結局あいつはブラックバスが釣れなかったの、どこかの魚屋で買ってきて、湖の辺りに置いて
撮ったんだわ」
そのピントの狂ったバスは何かに似ていた。アタシの中で上手く像を結ばなかった黄金のエヴァにそっくりだった。
愛と幻想のファシズム
43 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/12 00:13 ID:0mN7Gglc
このスレはageだろ。
アスカの夢を見た。
夢の中でのアスカはいつもと違ってずっと暗かった。顕微鏡で自分の髪の毛を覗いているかのような目で、じ
っとうつむいたままだった。僕は試しにアスカの胸に触れてみた。アスカが動かないので、服を脱がし、下着
を外した。アスカの陰毛はしっとりと湿っていた。アスカは僕を求めているんだ。そして僕もやはりアスカを
求めている。僕は固くなったペニスをアスカのヴァギナに挿入し、夢精した。
目が覚めるとベッドから起きあがり、アスカとミサトさんに気付かれないようにトイレに行き、ペニスについ
た精液を拭きとってから下着を洗った。やれやれ、なんでこんな時に夢精なんかしなくちゃならないんだ?よ
りにもよって、アスカの夢で?下着を洗いながら、夢の細部を一つ一つ順番に思い出してみた。夢の中のアス
カの長い金髪、アスカの下着を外す僕の手、僕のペニスを(あるいは僕の陰毛だったかもしれない)じっと見
つめるアスカの目。思いだしてみるとそれは昔の無声映画のように思えた。アスカはどんな服を着ていたっけ?
下着を洗い終えると、下着をはかずに寝間着をはいてみた。寝間着の中が涼しかった。悪くない。このまま学
校に行ってもいいかもしれない。僕は口に出して「悪くない」と言ってみた。
「何が悪くないのよ?」
ドアの向こうからアスカの声がした。
「何してんのよ、早く出てくれる?夢精したパンツでも洗ってんの?それと、トイレで独り言言うのやめた方が
いいわよ」
「悪いけど、今スパゲティーをゆでてるんだ」
僕は嘘をついた。濡れた下着を持ってアスカの前にでていくわけにはいかない。僕は頭の中で空想のスパゲテ
ィーをゆで始めた。湯を沸かして、その中に緬を放り込んだ。それから―
「スパゲティー?何よそれ?」
「10分でいいんだ。9分じゃ短いし、11分じゃ長すぎる。10分後にまた来てくれるかな?」
「あんたバカぁ?あんまりふざけてると後が怖いわよ」
「わかった。今出るよ」
やっぱりスパゲティーは中止だ。火を消した。お湯も緬も捨てた。下着はどうしよう?僕はとっさに下着を口
の中に入れた。水を流してから、ドアを開けた。
「…なによ、それ。口の中に何いれてんの?」
「スパゲティーだよ」
僕は急いで布団の中に戻った。
46 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/16 12:48 ID:xTcZ1cTl
ねじまき鳥ってペンペン?
よくエヴァの中にいる夢を見る。
僕は目を閉じて、肺はLCLで満ちている。夢の中で、僕はエヴァの一部になっている。最初にエヴァに
乗った時から、僕はずっとエヴァの一部になっている。僕はエヴァに含まれている。その姿は僕に精巧
なからくり人形を連想させる。僕が呼吸するとエヴァはそれを敏感に感じ取り、それに呼応してエヴァ
全体が形を変える。僕は耳を澄ましてみる。そして誰かの啜り泣く声を聞き取る。光の届かないずっと
奥のほうで、誰かが僕のために泣いているのだ。
僕は目を覚ます。大抵僕は一人だ。たまに綾波が横に寝ている、なんてことは無い。そして、僕は僕が
どこにも含まれていない事を感じる。指を動かしてみる。自分の指が動いた事を確認する。これが僕の
人生なのだ。僕の生活。僕という現実存在の付属物。僕はどこにも含まれていないんだ、と言ってみる。
でも僕が言った言葉のようには聞こえない。それはまるで何万年か前にどこかの星が発した光であるか
のように響く。僕の言葉は一瞬、僕の部屋のなかで霧のようにふわりと広がり、消える。後には何も残
らない。
エヴァは実在する「汎用人型決戦兵器」である。第3新東京市に突如襲来する正体不明の敵、使徒に対
抗する唯一の手段。僕はそのエヴァに乗っている。僕の父が僕を第3新東京市に呼び出し、僕にエヴァ
に乗ることを命じた。そして僕は結局エヴァに乗った。なぜ僕はエヴァなんかに乗ったんだろう?僕は
あの時おじさんの家に帰る事だってできた。あるいは僕はエヴァになんかに乗るべきじゃなかったのか
もしれない。でも僕はエヴァに乗ることが父と再び繋がる唯一の手段なのだと思った。今まで父はひど
い人間であると決めて、本当の父を見ることを避けてきた。過去の過ちを忘れようとするように、僕は
底無しの井戸の中に知りたくない事だけ放り込んでおいた。ただ、父に会ってエヴァを見て、僕は今こ
れに乗らなきゃいけない、と感じたのだ。それは運命のようなものだった。あたかもアマゾン川が大西
洋に注ぎ込むかのように。僕は天井を見つめながらしばしその事について考えてみた。運命。
49 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/27 16:20 ID:xrTFXxdx
タイトルは「村上ネルフ堂」とかにしてほしかった・・・。
>At 09:05 PM 2015.10.3
>こんばんは、第三新東京市に住む中学二年生・男です。
>僕の姉(29歳の独身女性)は、三度の飯よりビール(エビチュ)が好きで、
>朝から晩までビールを飲んでいます。
>それで別にビールが好きなのは構わないのですが、酔うとこと有るごとに絡まれるのです。
>この間なんか「しんちゃ〜ん、お姉さんの相手しなさ〜い」といって、
>結局夜中まで恋人のことで愚痴を聞かされました。
>春樹さんの小説にはよくビールを飲んでいるシーンがでてきますけど、
>どの登場人物も吐いたりしても他人には絡んでませんよね。
>僕の姉もせめて春樹さんの小説の登場人物ぐらい、まともに(?)ビールを飲んでほしいです。
>では、失礼します。
こんにちは、なかなか大変なお姉さんをお持ちですね。
僕の小説の主人公達もビール好きですが、どちらかというと、
皆一人で大人しく飲むのが好きなようです。何ででしょうねえ。自然とそうなったようです。
あなたには特別にコードネームを差し上げます。コードネームは
<ペンギン世話係>
です、意味は特にありません。これからはこのコードネームでメール下さいね。
村上春樹拝
53 :
50:02/08/28 03:08 ID:???
>>49のリクエストで村上ネルフ堂フォーラムをやってみた(w
54 :
51:02/08/28 09:13 ID:???
>>52 フォローさんくす(・∀・)
無知でスマソ(;´Д`)
「ネルフの碇ゲンドウってなんだか悪徳金融業者の取締役りみたいな顔してるじゃない。あんな顔して科学者やってるのって変だよ」
「でも冬月ってさ、なんか過疎地の町議会議員みたいじゃない。あれもネルフ副司令て顔じゃないよな」
>>48がいいな。久しぶりに読んでみるか、舞舞舞。
>>48良いですね。シンジ役の緒方さんは、新しく渡された脚本を読んだ後
LCLに包まれて眠るイメージがよく浮かんだそうです。
いや、ちょっと思い出したので。
>舞舞舞
ダンスダンスダンスのことだって今気づいた。
エヴァの夢を見るようになってまず僕が思い浮かべたのは綾波の事だった。綾
波について、僕は殆ど何も知らない。僕が唯一彼女について知っている事と言
えば彼女がエヴァンゲリオン零号機のパイロットである事くらいだ。出生、経歴、
家族に関する事まで全て抹消済みとされている。僕は第3新東京市によびださ
れ父にエヴァに乗るように命じられた時初めて彼女に会った。彼女は全身に怪
我を負っていて、僕と同じ14才の女の子のそういう姿は残酷なものだった。それ
でも綾波はエヴァに乗ろうとしていた。なぜ綾波はエヴァに乗るんだろう?僕には
綾波がエヴァに乗ることがとても奇妙に感じられる。それは建物自体が傾いて
いる部屋の中にいるような、違和感を持っている。
でも僕はエヴァに乗っている時綾波という存在が僕の中で一種の現実性みた
いなものを帯びる気がする。綾波の中の抽象的な部分が、一つの形となって
現れてきている事を感じる。僕はこう感じるのだ。彼女、あるいは彼女の形をし
た存在がエヴァと言う媒体をとおして何かを僕に伝えようとしている。そしてエ
ヴァの中で彼女が僕のために涙を流しているんじゃないか、と。
僕は天井を見ながら誰かが僕の為に涙を流すことを考えてみた。でもそれは
まるでどこか別の世界で放映される無声映画のように少しいびつに思えた。結
局それは夢でしかないのだ。
どうして誰かが僕のために涙を流したりするんだ?
いや、でも彼女は僕を必要としているのだ。そして涙を流している。僕もまた、
心のどこかでそのことを望んでいる。エヴァに乗ることを。
でもエヴァに乗ることはそんなに気軽な事ではない。起動実験をして作戦通り
に動けば作戦通りに使徒を倒せるわけではない。僕だって綾波だって、使徒と
戦っていればいつ死ぬか分からないのだ。無論僕がこれまで生きていて築い
たものなんて大したものじゃないが、それでも僕は僕なりにベストを尽くして精
一杯やってきた。死ねばそれが全て無に帰してしまう。なにより僕もやはり死
ぬのが怖いのだ。
でも結局僕はエヴァに乗るだろう。全てはそこから始まるのだ。僕にはエヴァ
に乗る以外道が無い。
僕は天井を見つめて長いため息をついた。あきらめろよ、と僕は思った。何を
考えても無駄だ。それは僕の力じゃどうしようもできないことなんだ。何を考え
たって、それは初めから決まってたんだよ、ちゃんと。
新作
63 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/09/07 02:03 ID:kHWQLsQq
「アスカは人を好きになったこと、あるかい?」と僕は言った。
「あなたに関係ないわ」
と彼女は言った。その通りだった。
しばらくの間、僕はずっと黙っていた。彼女は、僕に背を向けたまま鏡の
中で自分の顔を眺めつづけていた。
「コーヒー、飲むかい?」
「いらない」
彼女はこめかみを押さえて首を振った。
「頭痛がするの」と彼女は言った。
「薬を飲むかい?」
「いらないわ」
なぜ、とは尋ねなかった。彼女の勝手だからだ。
僕は立ち上がって、レコードをかけた。ボブ・ディランの「ナッシュブィル・
スカイライン」。
「実は僕も頭が痛かったんだ」と僕は言った。
「いつから?」
彼女はめんどくさそうに訊いた。
「アスカより前からさ」
彼女は顔を上げて僕の顔をじっと見た。
「うそつき!」
と彼女は言った。
しかし彼女は間違っている。僕はひとつしか嘘をつかなかった。
☆
誰かが言った。「完璧なパイロットなどいない。完璧な絶望が存在しないようにね」
確かにそうかもしれない。
でも、アスカが寝ている間に彼女を自慰のおかずにしている人間には、それだけの
操縦しかできない。
そして、それが僕だ。
63は48さんかな? とにかくイイ!!
やれやれ
「アタシが間違っていたと思う?」
アスカがそう訊ねた。
シンジはビールを一口飲み、ゆっくりと首を振った「はっきり言ってね、みんな間違ってるのさ。」
「何故そう思うの?」
「うーん。」シンジは唸ってから上唇を下でなめた。答えなど無かった。
「アタシは腕をちょん斬られても一生懸命戦ったのよ。とても痛くて死ぬかと思ったわ。
それでね、何度も何度もこんな風に考えたわ。アタシが間違っていたあんたが正しいのかもしれないって。
アタシがこんなに苦しんでいるのに、何故あんたは何もせずシェルターでただふるえているんだろうってね」
アスカはそういうと軽く笑って、しばらく憂鬱そうに眼の縁を押さえた。
シンジはあてもなくもじもじとポケットを探った。以前アスカに止められたタバコを吸いたかった。
「僕が死ねばいいと思った?」
「少しね。」
「本当に少し?」
「……忘れたわ。」
二人はしばらく黙った。シンジはまた何かをしゃべらなければいけないような気がした。
「ねえ、人間は生まれつき不公平に作られている。」
「誰の言葉?」
「ジョン・F・ケネディー。」
>>68 激しく(・∀・)イイ!
このままSS書いてくれ〜
70 :
4448:02/09/07 22:16 ID:???
>70
>48も好きなので、ぜひまた書いてください!
72 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/09/11 00:33 ID:7ZTqsxbk
海辺のカフカ発売前夜age
age
僕はある物事からいつも避けようとしている。それはごく自然なことでも有るし
必要であるのだから仕方がないと僕の中の君がいう。
彼は寡黙で線が細く感情を出すタイプの人間ではなかった。
ただ彼には世界で一番タフな15歳にならなければならず、そしてなる必要があった。
それが彼の好む、好まないにかかわらず。
このスレ面白いわね、と彼女が言った。
やれやれ。
上のスレ21歳未満進入禁止です。為念
加持さんからの留守電の後、ミサトさんから余裕が無くなっていた。
何も知らないアスカに加持さんが死んだことを僕が告げた。僕はアスカを傷つけた。
こうして虚像の家族は終わりを告げたのだ。
誰も帰ってこないマンションで、僕は独りで夕食を作り、独りで食べていた。
つけっぱなしのテレヴィジョンは贋物の関西弁が、鶏の早口言葉のように騒いでいた。
その関西弁は僕を苛つかせた。関西弁はかつての親友を思い出させるからだ。
アスカが心神耗弱になり、綾波が三人目になったことで僕はひどく混乱していた。
こんなときだというのに、二人に関しての記憶を掘り起こすと、耐え切れないほどに勃起するのだ。
その性欲はまるで春先の熊の飢餓感のようなものであった。
僕は病院に行くことにした。アスカに慰めてもらうために。
「おかあさんは、いないわ。どこにもいないわ。あなたのおかあさんは、いつもその病室の
ベッドにすわっていたあなたのおかあさんは、とっくに死んだのよ。死んだのよ。死んだの
よ。あなたを守ってくれる人は、もう、どこにもいないのよ。あなたの帰るところは、どこ
にもないのよ」
はらり、と、惣流のすべての飾りが意識野の天井から落ちて、一瞬世界が空白になった。
その途端、伊吹がはっと息をのんだほど、彼女の意識はみごとにからっぽになっていた。で
は、心が空白になるということは事実だったのか、と、赤城が考えた時、惣流がエヴァの操
縦席で立ちあがり、静かに笑いはじめた。
「あは、あはははは、ははは、はは」
同時に、彼女の無意識内の怪奇ながらくたが抑圧の関門を蹴破って表面へ一気に噴出して
いた。惣流は発狂した。
「は、はは、ははあ、ははあ。はあ」
「わっ。わっ」伊吹は頭をかかえ、うずくまった。狂人の精神を垣間見たのは、はじめてだ
った。
怪奇というにはあまりにも原始的で根源的な恐怖に満ちたイドのがらくたが、夢魔のよう
に野卑な笑い声をあげて、モニタの中から伊吹の心に襲いかかってきた。
目をとじ、あわてふためいて両方の耳を塞いだあとも、その恐怖は消えなかった。
>>80 筒井って難しいのによくやったね。さすが。
月の光が照つてゐた
月の光が照つてゐた
世界の果ての砂浜に
隠れてゐるのは死んだ娘だ
月の光が照つてゐた
月の光が照つてゐた
おや、たぶりすとあやなみが
水面の上にでてきてる
チエロを持つてはきてゐるが
おつぽりだしてあるばかり
月の光が照つてゐた
月の光が照つてゐた
タイトルつけるのわすれてた・・・鬱
中原中也ですな。
87 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/02 16:24 ID:Sapdkl6l
良スレあげ
「ねえ、シンジ!」
と、アスカに呼ばれたシンジは、いやな予感がした。
シンジとて、アスカとの付き合いは、数年来――というほど長くはないが、
しかし、妙な敵との戦いを数多く共にしているので、なんだか生まれる前から
付き合ってるような気さえする。
シンジを呼ぶ声の、イントネーションの微妙な差で、大体どんな用件か
見当がつくようになっているのだから、大したものだ。
その分類に従うと、今のアスカの呼び方は、
「面倒ねえ。誰か他の奴にやらせちゃおう。――シンジがいい!あいつなら
単純だから、ちょいと口車に乗せて、やらせちゃおう。――ねえ、シンジ!」
という、長い前置きを省略した上での、「ねえ、シンジ」なのである。
「なにか用?」
シンジは、従って、いささか重い気分で、アスカの前に立った。
普通なら、
「用があるから呼んだんじゃない、あったりまえじゃん!」
とやりこめられるところなのに、
「うん、まあ、ちょっと話があるの」
えらく愛想がいい。
こいつはますます怪しい、とシンジは思った。
パクって名前を変えただけです…ごめんなさい
上で紹介されている太宰風葉鍵でも言及されているが、赤川次郎はこのスレ的にOKなの?
神坂一とかあかほりみたいなライトノベルは論外だろうけど…
第三新東京市へ呼びつけられるとすぐ、僕はエヴァンゲリオンのパイロットにさせられた。
中学生の僕には独立して生活などできない相談だったので(今でもそうだけど)、きっと足下を見られたのだろう。
それに正直なとこ、どのみち嫌いなことじゃなかった。
人のいうことを聞くことは、むかしから僕にとっては当然だったからだ──とりわけ大人のいうことは。
人に従うのはむかしから得意だった。なんでもはいはいと従ったものだ。
だが問題は、どんなに気に病むまいと、また事実自分でいうのもおかしなものだが、
かなりうまくやったつもりだったのだけれど、あのジオフロントでの戦闘の後、
なんとエヴァに取り込まれてしまったことだ。
私は英雄や軍人が嫌いだ。それなのにこうして自分の戦いのことについて語ろうとしている。
だが、そう心に決めるまでにどれだけ時間がかかったことか!
私が最後に第三新東京を去ってから15年が過ぎたが、
その間中、私は何度もこの本を書いてみようと思い立った。
その度に一種の憎悪と嫌悪が私を押しとどめた。一体なんだというのだ。
チルドレンの仕事の中で、エヴァの操縦は格別な意義を持っていない。
戦いは単に人類補完計画に付随したものであり、途中で空費される時間が重荷となって、
14歳の青春の上にのしかかってくるに過ぎなかった。
無能な同僚や上司や上層部のせいで無駄になった数日間、精神的・肉体的疲労。戦闘による傷害。死の恐怖。
補完計画のために、これほどの苦労と出費を必要とすることはむしろ人類にとってマイナスと看做すべきで、
なんら取り立てて賞賛すべきことではない。
あるスパイが捜し求めた真実、ある女の復讐、ある男の偏執、
これらはすべてこういった侠雑物を取り去って、はじめて価値がついたものであった。
そして、鉱屑のように残る記憶。
「8月30日 セカンドチルドレンをロスト。諜報部・保安部が捜索するも未だ発見されず」
このような忌々しい思い出を、筆を執って書きとどめるに値するであろうか。
95 :
94続き:02/10/03 13:08 ID:???
しかしこの種の物語は、私が納得しないような人気を博することがある。
人類の運命をかけた戦い、正義、ヒーロー、悪を倒すロボット、
こういった物語はサードインパクトを過ぎた今現在でも、少年少女の間では希望の物語として語られ、
映像化されれば映画ならば立ち見が出るほど映画館が混雑し、
テレヴィジョンならばシリーズがその年一番の高視聴率をとるほどである。
これらのドキュメントフィルムは、視聴者にいかに強い印象を与えるかという心遣いが全てに先立っているの、
醜い真実よりも、甘美な欺瞞こそ好まれる。
視聴者は口当たりの良い食物のお代わりを続け、その膨大な量を飲み下してしまうのである。
いまや過去を語る人間、過去を知る人間はそれ自体がれっきとした職業である。
96 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/18 15:49 ID:3pX7jVRY
ATフィールドは
誰もが持っている
心の壁なんだなあ
みつを
97 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/18 16:12 ID:CRqHX8Q2
諸君 私は新世紀エヴァンゲリオン(以下エヴァ)が好きだ
諸君 私はエヴァが好きだ
諸君 私はエヴァが大好きだ
シンジが好きだ 初号機が好きだ 綾波が好きだ アスカが好きだ
ミサトが好きだ GAINAXが好きだ エヴァ量産型が好きだ 使徒が好きだ 庵野が好きだ
家で テレビで 世界で 2chで 劇場で 学校で 会社で 雑誌で 謎本で 近所で
このアニメを巡って 論争が起きるのが大好きだ
使徒と戦うエヴァが好きだ
エヴァが特集されるのは 心がおどる
劇場に並んで見るのが好きだ
戦略自衛隊がネルフに侵略した時は 胸がすくような気持ちだった
アニメが大ヒットするのが好きだ
シンジが綾波のオパーイを揉むのは 感動すら覚える
結局はおたくだけが夢中になってたのはもうたまらない
PTAから苦情が来るのは最高だ
弐拾五話、弐拾六話は 絶頂すら覚える
経済効果が200億円もしたのが好きだ
GAINAXに落書きされるのは とてもとても悲しいものだ
シンジがアスカの首をしめるのが好きだ
庵野に現実に帰れと言われるのは 屈辱の極みだ
98 :
啄木:02/10/18 16:17 ID:???
第三の跡地の湖(うみ)の白砂に
我泣き濡れて
使途とたはむる
>96めちゃワラタ。漫画喫茶だというのに・・
100 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/18 17:22 ID:CRqHX8Q2
諸君 私は2015年を エヴァの様な未来を望んでいる
諸君 私に付き従うおたく諸君 君達は一体 何を望んでいる?
更なるアニメを望むか? 情け容赦のない 糞の様な自己啓発を望むか?
技術の限りを尽くし 三千世界のおたくを喜ばす エヴァの様なアニメを望むか?
エヴァ!! エヴァ!! エヴァ!!
よろしい ならばエヴァだ
我々は満身の力をこめて 今まさに振り下ろさんとする握り拳だ
だが この駄作乱造の世界で 5年もの間 堪え続けて来た我々に ただのエヴァではもはや足りない!!
エヴァ続編を!! 一心不乱のエヴァ続編を!!
我らはわずかに数百人 千人に満たぬおたくに過ぎない
だが諸君は 一騎当千のおたくだと 私は信仰している
ならば我らは諸君と私で 総兵力100万と1人のおたく集団となる
我々を嫌な現実へと追いやり 眠りこけている庵野を叩き起こそう
口髭をつかんで 引きずり下ろし 眼を開けさせ 思い出させよう
庵野におたくの味を 思い出させてやる
GAINAXに我々の 経済力を思い出させてやる
クリエイターと消費者とのはざまには 奴らの哲学では思いもよらぬ事がある事を思い出させてやる
数百人のデブメガネ童貞のおたく集団で 日本を綾波で覆い尽くしてやる
97と100は何の恨みがあってここを荒らしているんだ?
歌はいいねえ
リリンのうみだした
文化のきわみだよ
かをる
104 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/28 03:33 ID:uUWgn79/
age
105 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/06 23:36 ID:t+U3ZzTh
このスレ終わっちゃうの?
106 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/07 01:15 ID:QZ6R5UJO
エヴァオタのハルキストなんて結構いると思ったんだけどな…
107 :
28:02/11/07 14:26 ID:???
まだだ、まだ終らんよ、
と言いたい所だけど、
俺が出来る事なんて在り物の文章をアレンジする事ぐらいだからなぁ。
>>107 でも28さんのって、好きなんですけど。
109 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/08 03:47 ID:JDdWVDZK
kitaiage
110 :
28:02/11/09 13:02 ID:???
「ずっと何年も前から、いろんなことがうまくいかなかったの。」
「何年くらい前?」
「7、8……セカンドインパクトでお父さんが死んだ年。それより昔のことは何ひとつ覚えてないわ。
ずっと嫌なことばかり。頭の上をね、いつも悪い風が吹いてるのよ。」
「風向きも変わるさ。」
「本当にそう思う?」
「いつかね。」
葛城はしばらく黙った。砂漠のような沈黙の乾きの中に僕の言葉はあっと言う間もなく飲み込まれ、
苦々しさだけが口に残った。
「何度もそう思おうとしたわ。でもね、いつも駄目だった。人も好きになろうとしたし、
辛棒強くなろうともしてみたの。でもね……。」
俺たちはそれ以上何もしゃべらずに抱き合った。葛城は俺の胸に頭を乗せ、
唇を俺の乳首に軽くつけたまま眠ったように長い間動かなかった。
長い間、本当に長い間、彼女は黙っていた。俺は半分まどろみながら暗い天井を眺めていた。
「お父さん……。」
彼女は夢を見るように、そっと呟いた。彼女は眠っていた。
>>110 そのまんまでもすごいですよ。
マジ上手い。場面の選び方とか。
112 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/10 15:20 ID:tNZnqZux
期待AGE
やれやれageか。
>>112-113 ただageげるな。せめてこれぐらいやれ。
ageるんだ。age続けるんだよ。何故ageるかなんて考えちゃいけない。
おいらの言ってることはわかるかい?
意味なんてもともとないんだ。
どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。
きちんとメール欄にageと書き名無しさんでage続けるんだよ。
>>114 ウマイ!
…俺はネタ書く自信がないのでsage。
116 :
28:02/11/18 16:51 ID:???
「やれやれ」と僕は言った。それから僕はふと思いついたことを口に出してみた。
「ねえ、その掲示板ひょっとして書き込むたびに順番が変わって、一定期間誰も
書き込まないと機能しなくなるから、気に入ったスレッドを保守しなくちゃいけ
ない、ちがう?」
「そうよ。何だ、ちゃんと知ってるんじゃない」
「やれやれ」と僕は言った。
117 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/18 19:00 ID:Jk+tDm9x
やれやれ、てゆうかアニオタは小説とかよまんのかな?いやおれもアニオタだが。
エヴァにはまれるんなら春樹にもはまれるともうんだがな。
アニメばっかじゃなく本も読んでみようよ。
ねたかけなくてすまそ。28さんがんがって
>>116 ちゃんと春樹さんになっている…
読んだのかなり前だからなぁ。明日図書館行ってみるか。
これまでとは違う映画を作ろう、と秀明は思う。
アニメ荒廃の夜が明けて業界が明るくなり、
その光の中で愛する作品をしっかりと抱きしめることを、
誰もが夢見て待ちわびていることを前提とした、そんな映画を。
でも今はとりあえずここにいて、
かつてのファンを護らなくてはならない。
相手がガイナであろうと、勝手に続編を作らせたりはしない。
たとえ空が落ちてきても、大地が音を立てて裂けても。
120 :
119:02/11/22 02:35 ID:???
ごめん、やっぱり村上春樹は大切すぎて、うまくネタにできないや。
職人さんたちはすごいと思うよ。
『人類補完機構』も、大森望が挙げていた原典群も、
そしてもちろん解釈本の類も、
あの時の虚しさと焦燥感を癒してはくれなかった。
ただ、『神の子どもたちはみな踊る』だけが、
エヴァに打ちのめされていた自分を力づけてくれた。
はじめて本当に卒業できたような気がした。
「生きることと死ぬることとは、ある意味では等価なのです、ドクター」。
>>119 おお、「はちみつパイ」ですか。
「神の子」は文体も内容もそれまでの春樹小説と違って、ある意味転換点的作品ですなあ。
ただ庵野は村上春樹と違って本当にエヴァで終わった感じがするからなあ(w
122 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/29 02:37 ID:/2r2KlP8
ここはどこだろう。
記憶が混乱していて思い出せない。僕は細い記憶の糸を、切れないように慎重にたどって行った。
ここはエントリープラグだ。
僕はエントリープラグに乗っていた。
それはまるで、巨大なあしかの胃袋の中みたいだった。
この間の戦闘以来、彼女は僕に何かよそよそしくなったようだ。
僕は彼女が怒っている理由が分からなかったし、──僕は生まれつき、人の心を読む能力が欠如している──彼女もそれを理解しているようだった。
彼女のことを考えると、なぜかとても腹が減った。なぜだかわからないけれど、とても・腹が・減るのだ。おそらく彼女には、人を空腹にさせる力が備わっているのだ。彼女が望むか望まないかに関わらず。
「そうなんだ。それは彼女が望むか望まないかに関わらないんだ。」と誰かが言った。
僕は彼女のことを考えないようにした。
>>121 そうかい?書く事は今までと全く一緒。文体にも変化は無し。
おれはあれを書いてしまった春樹に同情するがな。
ずっといつか書く完成品を前提に、春樹的に言うと「どこにもいけない」
未完成なもの書き続けてたんだろ。繰り返し。
50が見えてきたあの年で、未だに完結編を書けない事を再認識させられた春樹。
あれ書いた後ものすごく疲れたと思うよ。でもダンスダンスなんだろ?
同情するよ。
ところで何が春樹の中で何が転換したの?むう?
アスカを探す途中、ずっと口笛を吹いていた。
それはどこかで聞いたことのあるメロディーだったが、
題名はなかなか浮かんでこなかった。
さいきん聴いたメロディだ。
僕は綾波の中に溶けて空っぽになってしまった世界の、
暗い夜の海を眺めながらなんとかどこで聴いた曲かを
思い出そうと努力してみた。
それは僕が殺したカヲル君が歌っていた歌だった。
彼はこんなことを言っていたと思う。
「歌はいいよね。心を潤してくれる。
リリンが生み出した文化の極みだよ。そう思うだろ?」
たしかに良い時代だったのかもしれない。
>>124 そうでもないよ、と言ってみる。
「…少なくともとてもおさまりのいい文章だと思う。
丁寧に組み立てられた時計みたいに、あるべきものがあるべき場所に
きちんとはまっている、という感じがするんだ」
「最後の一文とかね」
「そう、最後の一文とかね。あの文があそこにあることで、全体がとても
かっちりと引き締まっていると思うんだ」
まああくまで俺の感想。
126 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/19 07:13 ID:JrijEeV9
age
127 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/22 23:44 ID:1CZd2ODh
トゥートゥートゥマシェリーマーシェーリー
トゥートゥートゥマシェリーマーシェーリー
捕手
使徒はどうしたものかと少しのあいだ迷っていた。
それからあきらめたように言った、「ふん、あんたは……しゃべれるんだ」
「はい」と老人は恥ずかしそうに言った。そして敬意を示すように、
プラッチックでできたアイマスクをとった。
「いつでも、どのような使徒さんとでもしゃべれるというのではありませんが、
いろんなことがうまくいけば、なんとかこのようにお話することができます」
「ふん」と使徒は簡潔に感想を述べた。
「あの、ここにちょっとモノリスをおろしてかまいませんか?
キールはいささか歩き疲れましたので」
130 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/10 19:32 ID:/AYkWYEj
人類全体を吹き飛ばす、吹き飛ばす、吹き飛ばす、吹き飛ばす、とフトンに入って唱え
ているうちにカヲルは興奮してきて眠れなくなり目が湿気を帯びて輝き始めもうどうし
たらいいのかわからなくなってきて「こういうことはちょっとヤバイかもしれないよリ
リン」と自分でも思いながらシンジの手を強く握りもう一方の手で胸と腹を触り、あ、あ
あ、あん、と声を出した。シンジはさすがにびっくりして、カヲル君、と呼びかけカヲ
ルの覚醒を促した。カヲル君、止めてよ、シャレになってないよ、手をつないで寝るの
だって考えてみたら、いやそんなに考えなくても本当は変だよ、でも僕は、綾波がクロ
ーンだったり、アスカが精神汚染受けたり、父さんは相変わらずわけわかんなかったり
で、寂しくてこのままだったら自分が変になるのがわかったから、そういうことは異常
だってわかってたけど、手をつないで寝たりしたんだよ、でもさ、頼むから、手をつな
ぎながらこうやって自分の体をまさぐって、変な声を出すのはやめてくんないかな。
132 :
山崎渉:03/01/11 05:33 ID:???
(^^)
>>131 (・∀・)イイ!
昭和歌謡読み直しまつ
135 :
初期の村上龍だゴルァ:03/01/11 23:13 ID:BVdC2uOw
青い髪をした女が立っている。
顔をこちらに向けて僕を見ている。逆光のためよくわからないが女は何の表情も浮かべ
ていないように見える。もし笑っているのだったら死者のような笑い声だ。まるで初めて
死というものを感じた冬の子供。電線の上から飛び立つ鳥の羽ばたき。
遠くから何か巨大なものが近づいてくる音。いくつかの並んで立っているビルの向こう
側からわけのわからないものがやってきて、それは街を破壊しに来たように見える。
化け物だ、と僕は思っている。
飛行機の音ではなかった。化け物に向けて放たれた細くて鋭い軌道を描くミサイルの音
だった。しかし化け物はそれを片手で受け止め、破壊する。上空を舞っているいくつもの
戦闘機では歯が立たないようだ。
僕は化け物に怯えている。わけがわからないまま、耳を抑えて立ちすくんでいる。スポ
ーツカーが僕の目の前で急ブレーキをかけて止まり、運転していた女が僕に向かって言った。
ねえ、あなたシンジ君よねえ。私、シンジ君を迎えに来たんだけど早く乗ってくれない?
僕は言われるままに助手席に乗り込む。ねえ、いったい何が起きてるんですか、僕よく
わかんないなあ、この街に来たばかりだからよくわからないよ。女は僕の質問を無視して
運転を続けた。
限りなく透明に近いブルー(゚д゚)ウマー
よくエヴァとマッチできたね
スゲー
137 :
筒井的ゲンドウ:03/01/13 11:20 ID:miRWigqk
ああ、何といいかげんであり準備不足であることか。
初号機のパイロットである我が息子、シンジが到着せぬままに使徒が攻めてきやがったの
である。
「おお、これが使徒」「面妖な、面妖な」「ほそろしい」
国連の3馬鹿トリオどもがそろってのたまっている。こいつらにはまったく期待できん。
普通の兵器では使徒には太刀打ちできんのだ。ATフィールドを持つ使徒を倒せるのはお
れが司令官であるネルフが持つエヴァンゲリオンでなければならんのだ。そして予定では
我が息子であるシンジを呼びエヴァに乗せようという魂胆であったはずなのにまったくど
うして使徒のほうが早く到着してしまうのか。
もうこのままでは埒があかないのでこうなったら息子が到着する時刻まで時間を先送りし
てしまうのである。
「父さん」
おれはすぐさまエヴァの格納庫に行って息子との対面を果たしたのだった。久しぶりに見
た息子は我が亡き妻の面影を残していたのでおれは(*´Д`*)ハァハァしながらも今はそれどこ
ろではないのでさっさとエヴァに乗れと言ったのである。
「出撃」と、おれは言った。
しかしシンジのやつ、できるわけないよなどのぬかしながら出撃を嫌がったのでおれは頭
に血が登った。おれは何でも自分の思い通りにいかないと気が済まないタイプの男なので
ある。
「ははあ。お前おれの言うことが聞けないというのか。だったら帰れ。お前などいらん。二
度と顔を見せるな」と、おれは言った。
シンジはそれを聞いてとうとう泣き出してしまい、おいおいおいおいとその場に崩れ落ち
るのであった。
138 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/13 13:06 ID:UE1dlwEv
139 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/13 14:19 ID:W9N2hgkZ
この板でこのスレで筒井を知らないやつがいたとは…
141 :
28:03/01/17 19:48 ID:3bFmandp
すっかりと装甲が熔けてしまった初号機から降りると、僕は緊急射出された零号機の
エントリープラグに向かって走っていた。
やれやれ、別れ際に「さようなら」なんて言うからだ。
世の中には言霊というものが――もっとも僕はそういう非現実的なものを信じてはいな
かったが――ある。そう、口に出してしまったことは時として現実になりうるのだ。
「綾波」と僕は叫びながらハッチの開閉弁を力一杯回しはじめた。
熱を含んだ金属は夏の砂浜のように熱かったが、僕は我慢して作業を続けた。
何が僕にそこまでさせるのかはわからないままだったが、何もしないで後悔するよりは
幾分ましな気がする。もっとも、それは自己満足でしかないのかもしれない。
巨大な恐竜の鼻息のようなまぬけな音がして、エントリープラグのハッチが開いた。
「綾波」と僕はもう一度叫んだ。返事はなかったが、彼女がゆっくりと目を開けたので
生きていることだけは確認できた。
こんな時にはどんな音楽が似合うのだろう、と僕は考えてみることにした。クラシッ
クではいささか荘厳すぎる気がしたし、ロックでは軽すぎるような気がした。ジャズな
ら合うような気がする。僕の頭の中で「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」が勝手に
流れはじめた。うん、悪くない。歌い手はブレンダ・リーだった。
「自分には何も無いなんて、そんなこと言うなよ」と僕は正直に思ったことを言った。
相変わらず綾波は何も言わなかったが、僕はひとりで話し続けた。
「別れ際にさよならだなんて、そんな悲しいこと言うなよ」口に出して言ってみると、
本当に悲しい気持ちになってくる。僕の目から涙が零れだした。
「ごめんなさい」と彼女が言った。やさしい声だ。
「こういう時、どんな顔をすればいいのかわからないの」
「笑えばいいと思うよ」
僕がそういうと、彼女は僕の顔を見つめた。僕はうまく笑えているのだろうか。自信は
なかったが、彼女の笑顔が教えてくれた。
春の朧月みたいな、素敵な笑顔だった。
142 :
28:03/01/17 19:51 ID:???
手元にある本からネタに出来そうな部分を見つけられなかったので、
文体模写に挑戦してみたんですが、難しいですね……。
143 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/17 20:03 ID:jQUoEa2M
>>142 うまいとおもうよ
今クロニクル2冊目読んでるからよけい感動した
激しくキモイシンジだな
145 :
司馬っち:03/01/18 02:09 ID:2Qv/QgrB
>>145 なかなか興味深く読めた。
ネタは陳腐でもアレンジによって面白くなる良い例だと思う。
『アスカ様登場』
アスカ様って呼びなさいよね!今回はバカシンジに替わって途中出場のスーパーサブといったところ。
さあアスカ様、前線でボールを受けDF2人をかわしシュート、しかしクロスバーに当たって跳ね返った
ところをヘディングで押し込みゴルゴルゴルゴルゴルゴルゴルゴル!そうあたしの評判と言えばまず
キープ力のあるFW(前述)、感動的なオペラ歌手、空想力に富んだSF作家、結構な大食漢、驚異的な
背筋力、渇水時の台風(比喩的に)、孤高の詩人(あたしを珠玉のスプマンテと評したシェイクスピア
を除く)、好色家、完全主義者、協力的な反逆者(最もタチが悪い)、しかもこれらは頭韻がKではじ
まる一連の評判に過ぎないし、それが例えば二重のK になったとしても、気さくな狂人、気ままな
キチ◯イ、懇意な殺し屋、完投型革命家、画期的格言家、とあたしの饒舌には何の妨げにもならないわ!
格言と言えばこの間「バカシンジはベッドの中で裸にすると見分けがつかなくなる」って言ったら
ひどく怒られたけど、あんなに怒られたのは実際カノッサ以来のことよ(再びK)!そうよ、言い忘れた
けどあたしは教皇でもあったわ(三たびKであることに注目しつつ本題に戻るわよ)。けど、あたしは
問うの。「アンタ、キリンの見分けがつくわけ?!」(四たびK)。そう、見慣れないものを見分ける
のは非常に困難なことなのよ!そう考えると、裸のバカシンジごときを見分けられないとは何たる
ウブな魂、グラシャーノ!(U でいくわ)噂にたがわぬ、浮き世離れした(再び我が友人シェイクス
ピアを除く)、嘘も裏表も無い、うるわしきグラシャーノ!そう、グラシャーノとはGRACIOUSすなわち、
「うるわしい」って意味なんだから!
”満腹は平和の礎、
空腹は戦争の火種、
やんなっちゃうわ お腹がすいているなんて!”
名うての「ドゥーワチャ」派詩人グラシャーノ。難解な修辞家、似合いの結婚相手、もしアンタが
「グラシャーノ!」と声をかければあたしは間髪入れず答えるわ。「なーにいってんのよ、バカシンジ!!」
そして前掲の歌を口づさみつつレストランへ向い、給仕頭に完璧な微笑みを送り席につくと、溢れる
ような詩的フレーズの天啓に身をまかせこう歌うのよ!
”冗談じゃない
スプーンを使ってスパゲッティを食べるなんて!
壷にでも入ってない限り
そんな食べ方してたまるもんですか!”
それを聴いたミシガン州から来た老夫婦があたしに尋ねるの。「あなたはもしやグラシャーノ?」
そこであたしはニッコリと笑って(この微笑のせいで永遠の14才に見えるんだけど)もう百万遍も繰り
返した例の答えを再び返すことになるのよ。即ち「それ以外のいったいなんに見えるわけ?!」とね。
150 :
山崎渉:03/01/23 04:47 ID:???
(^^)
151 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/26 14:46 ID:Y/AfbhXF
aGe
152 :
なぜか東野:03/01/29 04:40 ID:RAAhK0Qi
着替えるからといってアスカを待たせ、シンジは自分の部屋に戻った。そしてすぐにケンスケ
に電話をかけた。
「僕だけど、例の件、大丈夫かな」
「ああ。九時頃に行くつもりだよ。それより、綾波に連絡はついたのか」
「いや、やっぱり連絡先を掴めそうにないよ。おまけに、これからアスカと買い物なんだ」
電話の向こうでケンスケがため息をついた。
「聞いてるだけで、こっちまで辛くなる」
「ごめん、いやなことに付き合わせて」
「まあ仕方ないさ。じゃ、九時に」
「よろしく」
電話を切り、着替えを済ませると、シンジはドアを開けた。すると、廊下にアスカが立って
いたので、彼はぎくりとした。彼女は背中に手を回し、壁にもたれるような格好で彼のことを
見つめていた。口元にうっすらと笑みを浮かべている。それはいつもの微笑とは、少し質の
違ったものに見えた。
「遅いから、様子を見に来たのよ」と彼女はいった。
「ごめん。服を選んでたんだ」
さらに彼が階段を下りようとした時、アスカは後ろから訊いてきた。「例の件って何?」
シンジは思わず足を踏み外しそうになった。
「聞いてたの?」
「聞こえてきたのよ」
「そう……仕事の話だよ」彼は階段を下り始めた。次に彼女が何を訊いてくるのか怖かったが、
それ以後質問はなかった。
アスカがこわいよー。
154 :
152@なんとなく江國:03/01/30 03:07 ID:IwIZ8rZ5
空気の澄んだ、ぱりっとした朝。そのドーナツ屋は駅の反対側なのだけれど、私はバスに乗らず
に歩いた。線路をくぐるかたちの地下通路をぬけると、風景がきゅうにひらけて動きだす。木とか
風とか、歩いている人とか。停めてある自転車に、日ざしが反射してまぶしい。
私は浮き浮きしていた。久しぶりに目覚めのよい朝だったが、それだけじゃなく、こんなふうに
近所でシンジと待ち合わせをしていることが楽しかったし、お天気がいいことも、ドーナツを食べる
ことも嬉しかった。
「おはよう」
店のなかはあかるくて居心地がよく、ドーナツとソーセージロールとコーヒーの匂いがする。
ガラス窓にはピンク色のロゴマーク。
「おはよう」
シンジはカウンター席でにっこり笑った。乳白色のトレイには、少しだけ油のしみたパラフィン
紙と、(おそらく二杯目の)コーヒーの、なみなみと注がれたカップがのっている。
「いい天気だね」
穏やかに言い、私がマフラーをはずし、オーバーをぬいでまるめて隣の椅子に置くあいだ、シ
ンジはたのしそうにそれをみていた。私の好きな、冷蔵庫色のトレーナーを着ている。
私はオーバーのポケットからだした財布だけを持ち、自分のドーナツを選びにいったん入口の
方へいきかけたが、思いついてひきかえし、
「もう一度食べたら?」
と誘ってみた。シンジはほんの一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐにあっさり微笑んで、うん、
と言って立ちあがった。私はとても嬉しかった。自分でも思いがけないほど嬉しくて、ドーナ
ツのガラスケースに向かって駆けだしそうになっておどろいた。シンジはやさしい。
時間は、こういう場所ではきまってとろとろと眠たげに、お湯がわくようにしずかに流れる。
私たちは、それぞれ買ってきたドーナツ(私は三つ、シンジは二つ)をたくさんのコーヒーと
一緒に食べながら、思いつくままに脈略もなく話をし、微笑んだりみつめあったり、ときどき
窓の外を眺めたり黙ったりしながらすごした。シンジといるときの、遠いような近いような
感じが好きだった。
加持「これもシナリオのうちですか?」
ゲンドウ「わからないな」
156 :
152@どういうわけか北村:03/01/30 04:06 ID:9jTEKggV
教室から出て、階段を下りた。アスカは、両手をオーバーオールのポケットに突っ込み、
足早に降りて行く。一階の廊下に片足がかかった時、その動きが止まった。
「どうしたの」
並んでみると、廊下から微かだが張り詰めたピアノの音が聞こえてくる。アスカはタイ
ルの床を、そのままふらりと激情のほとばしりのような響きの聞こえる方に向かった。少
し先のドアの向こうから、そのピアノの音は聞こえてくる。CDをかけているのだ。
アスカはしばらく気を失ったように黙っていた。それから、ふっと顔を上げていった。
「……アルゲリッチだ。すごいなあ」
廊下も蛍光灯でかなり明るい。上を向いたアスカの顔は照明を浴びたようになる。その
白い頬に突然、涙がほろほろ、ほろほろと伝った。水晶にも似た溢れる滴を拭いもせずに、
アスカはこっちをキッと睨んだ。
「ねえ、シンジ。才能のあるなしっていうのは、残酷なものね」
「…………」
一瞬返事が出来ない。するとアスカの体が目の前からすっと沈んだ。
「負けてらんないのよ、ちくしょーめ!」
声と同時に、世にも理不尽な右ストレートが繰り出された。あっと思った時には見事過
ぎるほどに決まっていた。胃が飛び出るかと思った。息が止まり目の前が暗くなり、世界
中の苦痛が腹の一点に集まった。膝を着き倒れる前の視界の隅に、玄関に向かって肩を震
わせながら駆けて行くアスカの、妖精のような後ろ姿が目に入った。
《帰りはどこかでお茶を飲み》などという皮算用が、がらがらと崩れていった。床に指を
立てながら、かすれ声でうめいた。
「……ひ、人殺し」
157 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/30 05:17 ID:PeRvaNLj
|∀・){152さん、コソーリ応援してるよ!
葛城のイカレタ張り形が気に入らなかったんだ
161 :
152@いきるひんと五木:03/02/01 21:05 ID:J4Zjdy8k
「あたし、この飛行機には乗らない」
「なんだって?」
シンジは困惑したような目でアスカをみつめた。
「どうしたの、一体」
「どうもしないわ。ただ――ごめん。あたし変なのよ」
アスカは頭をふった。シンジの声がけわしくなった。
「一緒に日本へ帰って結婚するんじゃなかったの。そう約束したじゃないか」
「でも、意見がちがうんだもん。仕方がないわ」
「僕のこと、好きじゃないんだね」
「好きよ」
「じゃあ、一緒に帰ろう。議論は帰国してからでもゆっくりやろうよ」
「いや」
アスカどうかしてるよ、と、シンジは言った。
「そんなに強情を張るんなら勝手にしろよ。もういい。僕はこの便で帰るよ」
「――うん」
「ほんとに帰らないの」
アスカは黙ってうなずいた。搭乗手続きを告げるアナウンスがきこえた。シンジは赤い
顔をしていた。彼はアタッシェケースをかかえ、大股にカウンターの方へ歩いていった。
途中で、彼は一度ふり返った。引きつったような、泣いているような、歪んだ顔だった。
アスカはその場に立ったまま、搭乗手続きをしているシンジの背中をみつめた。その
背中にはかすかな疲労の翳があった。
<行くなら今しかない>
アスカは自分に言いきかせた。意見の違いが一体どうしたというのか。恋人同士の単
なる口喧嘩ぐらいで、自分の一生を放り出してしまうなんて。
だが、アスカは搭乗カードを受けとってゲイトのほうへ歩いてゆくシンジに声をかけ
なかった。自分の身体が固い木の棒のようになってしまっているのを彼女は感じた。シン
ジはゲイトを通り抜ける前に、一度ふり返った。その顔はどうしても理解できない出来事
にぶつかって困惑している子供の顔に似ていた。
雰囲気が(・∀・)イイ!
LASとはいいものだね。
164 :
152@いちばんはじめにあった加納:03/02/04 04:57 ID:5oV3kYCf
「本当に見て欲しいのは、シンジ自身なんじゃないの?」
わたしは意地悪くそう言い放った。ひどく自棄っぱちな気分だった。何もかも分かった
ような顔をするシンジが、憎らしくなったのだ。
何が分かるって言うのよ、あんたはあたしじゃないくせに……。
だからわたしはシンジの弱点を突いたのだ。わたしにはよく分かっていた。シンジはわ
たしに憧憬の念を抱いている。わずかな時間でも一緒にいられることを喜んでいる。離れ
ていても、いつもわたしのことを気にしている、じっと眺めている。
その事実を、本人に突きつけてやったのだ。
自ら進んでシンジに近づいておきながら。まわりの人間たちと、うわっペらの付き合い
をするのに疲れるたびに、シンジの元を訪れていながら。
もちろん、そんなことは口が裂けても言うべきじゃなかったのだ。
わたしは卑怯で傲慢で無慈悲な人間だ。
もともと色白のシンジの顔が、すうっと青ざめるのが分かった。そして唇を強く噛みし
めたまま、部屋から出ていってしまった。
わたしはいつも、間違えてばかりいる。言ってはならないことばかり、言っている。
一人になってから、わたしは声を出さずに泣いた。頭が押しつぶされそうに痛んだ。頭
痛薬を飲み、そのまま倒れるようにベッドに横になった。玄関の鍵をかけた覚えがなかっ
たが、立ち上がる気力もなかった。もう何がどうなってもいいとさえ、思った。そのくせ、
何がそんなに哀しいのか自分でも良く分からないでいるのだ。
――今すぐ、眠ってしまいたい。
わたしはそれが自分を救う呪文であるかのように、強くそう願った。
眠ってしまおう……そうすれば、こんな訳の分からない感情から逃れられる。いびつな
かたちをした時間は、そっと崩れるように溶けていく。眠ってしまおう。早く、早く……。
165 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/04 05:45 ID:r0XiVKMY
やれやれ
(゚д゚)ウマー
しかし、一部だけ読むと全部読みたくなる罠・・・(*´Д`)ハァハァ
春樹大嫌い
168 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/05 01:10 ID:3YFeDuHI
152のファンになってしまいそうだ。
とくに
>>162なんてKomm,susser Todに見事にストライク。
アゲチャエ。
169 :
168:03/02/05 01:11 ID:3YFeDuHI
レベル高いなこのスレ。
152さんよ、がんがれい。応援しとるぜよ。
我輩は人鳥ではあるがたいていのものは食う。主人のようにヱビスビールばかり飲んだり、
碇少年のように手前でこさえるような芸当は出来ないので、ぜいたくを言える身分ではない。
したがって存外きらいは少ないほうだ。主人の食い残したつまみも食うし、和菓子の餡もな
める。生の肴が最高ではあるが、食ってみると妙なもので、たいていのものは食える。あれ
はいやだ、これはいやだと言うのはぜいたくなわがままでとうていずぼらな女の家にいる人
鳥などの口にすべきところでない。しかしこの今我輩の眼前にある即席のライスカレーに嘴
をつける度胸が生まれてこないのである。見るとうまそうにもあるし、また少しは気味が悪
くもある。鼻先を近付けてかいでみると世に出回っているライスカレーのにおいがする。食
おうかな、やめようかなと逡巡しておるこの刹那に、我輩は人鳥ながら一つの真理を感得し
た。「得難き機会はすべての動物をして、好まざることをあえてせしむ」我輩はじつをいう
とそんなに腹が減っているというわけではないのである。否皿に盛られたライスカレーを熟
視すればするほど気味が悪くなって、食うのが嫌になったのである。この時もし碇少年でも
様子を見に来てくれたなら、主人が呼んだなら、我輩は惜しげもなく皿を見捨てたろう。
ところがだれも来ない、いくら躊躇していてもだれも来ない。早く食わぬか食わぬかと催促
されるような心持ちがする。我輩は皿の上のライスカレーを見ながら、早くだれか来てくれ
ればいいと念じた。やはり誰も来てくれない。我輩はとうとうこのカレーを食わなければな
らぬ。最後にからだ全体の重量を皿へと落とすようにして、あぐりとカレーのルーを一すく
いばかり飲み込んだ。このくらい覚悟をして飲み込んだのだから、どんなに不味い料理であ
ろうと驚きはしないと思っていたが、驚いた! そのカレーの味は我輩の想像をはるかにこ
えていたのである。主人の料理は魔物だなと感づいた時は既におそかった。加持君がかつて
我輩の主人を評して君は食えない女だと言ったことがあるが、なるほどうまいことを言った
ものだ。このカレーも主人と同じようにどうしても食えたものではない。この煩悶の際我輩
は覚えず第二の真理に逢着した。「すべての動物は直覚的に事物の適不適を予知す」ほとん
どの食事当番を碇少年が担当するというきまりはまさに天啓であったのである。真理を発明
したことはたいそう愉快であったが、とうとう我輩は気絶してしまった。
ミサトカレーに怯えるペンペンかよ!w
激藁w
>>171-172 (・∀・)イイ!!
村上春樹は読まないのにこのスレをチェックし続けてよかったw
>加持君がかつて〜
ウマイ!
久々にこの板で吹いた。文章自体すげー上手いね
>>171-172
(゚д゚)ウマー
「世界を支配するというより、もっと本質的なことを
やりたいんだと思うな」
赤ん坊が泣き出した。ユイがベビーベッドから抱き上げてあやす。
抱き上げられると赤ん坊は泣き止んだ。
本質的なことって?
「ヒトの形の、実質的な放棄だけど」
放棄?
「ゼーレは人類を補完するっていってるでしょう?人類補完計画。
どんなに完璧なシナリオでも、よりしろの機能を持った機関は
必要なんだよね。補完計画をコントロールする死海文書ができて、
ネルフが管理するわけだからそれはたぶんエヴァを持つと思うの。
彼らは補完計画発動権を持つわけで、単純に言えばそれはヒトの形を
棄てることになるわけ。」
でもそんなことをゼーレが許すだろうか?
「許すとか許さないとかじゃなくて、ネルフがやろうとしているのは
そういうことだってことよ。ゲンドウさんたちはまだアダムもリリスも
ないから、まずよりしろのエヴァを握ろうとしたんだね。
問題はパイロットだと思うな。パイロットを確保しないと。」
龍でも(・∀・)イイ!
>>177(・∀・)イイ!
関係ないけど、最近の龍の文章にはキレが感じられん(;´Д`)
180 :
クマ:03/02/15 04:31 ID:???
そうか?エクソダスはよかったけどな。
>>182-184 「もしもし」
柔らかな男の声が聞こえた。
「ええと、キールちゃん? もしもし」
「あ、もしもし」
「キールちゃん?」
「いいえ、あの、友達です」
「キールちゃんは?」
携帯電話の持ち主だ。三時間ということで男から携帯を借りたと
キール・ローレンツは言っていた。四時間と少し経っている。
「いません」
「あなたは?」
「あ、ゲンドウです」
「ゲンドウちゃんね、キールちゃんの友達なの?」
「そうです、あの」
「んーと、キールちゃんからいろいろ聞いてるかな?」
「あ、すいません、三時間だって」
「うん、そいでね、どこからか、他に電話かかってきた?」
「いいえ」
「うん、それ、ぼくの、完璧プライベートフォンだから
他からは普通かかってこないはずなんだけどね」
「はい」
「でもね、シンジって男の子からかかってくるかもしれないの、
まだかかってきてない?」
「誰からも」
「そう、うん、じゃあ、わかった、それで、アダムから
メッセージ入るように伝言のボックスたくさんつくってくれたのかなあ、
それはキールちゃんでも、ええと、名前なんだったっけ」
「ゲンドウです」
「ゲンドウちゃんでもどちらでもいいんだけど、やってくれた?」
「ええ」
これから副指令の男とキール議長の二人のボックスに伝言を入れて、
その後オープンにすればメッセージはたくさん入ってくる。
アダム、ではなくて、リリスのほうが多いだろうが。
「なら、いいんだ」
「あの、ケイタイ」
「まだ使う?」
「いいですか?」
「いいよ、そいでね、ぼくね、ジオフロントかね、
ジオフロントにいなかったら、セントラルドグマって穴の下にね、
扉があるのよ」
「ヘブンズドアですか?」
「知ってる?」
「はい」
「そこに持ってきて、ぼく、鼻歌にベートーベンの第九の第四楽章して、
半袖のワイシャツ着てます、目は赤いです、日焼けしてなくてね、
十四歳、十四歳だけど悟って見える、三十二、三歳かな、
そいでね、どのくらいかかる?」
「やっぱり一時間とか、あ、もうちょっとかな」
「いいよ」
「いいんですか?」
「うん、いいよ、そいでね、シンジって子から電話あるかもしれないの」
「はい」
「ヘブンズドアにおいでって伝えてくれます?待ってるからって」
「わかりました」
「ずっと待ってるのに来ないんだ」
「そうですか」
「キールちゃんは何してるの?」
「あ、ゲンドウです」
「ごめんなさい、何してるの?」
「あ、ちょっと」
「そう、じゃあ、たのむね」
L&Pか、いいね。
186 :
名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/20 00:08 ID:G1joVgcq
エヴァ板だしね。
「そうですね。まず君がどうしてエヴァに乗らなくなったのかということについて、話してもらえますか?」
カツラギという20代の女性士官は赤いジャケットを着てぴったりとした丈の短いスカートをはいていた。左手に質問をメモした書類を持ち、右手で髪の毛を掻き上げながら話した。
「このぼくがなぜエヴァに乗らなくなったか、ということでしょうか?」
シンちゃんは逆にそう聞いた。そうです、とカツラギが言う。
「それでは、どうしてエヴァというものがこの第三新東京市に存在しているのか、ちょっとそこのところを教えていただけませんか?」
シンちゃんはまたそう聞いた。
「それはですね。どこからか襲来する使徒という謎の存在がありまして、適格者だったら、だれでもエヴァに乗らねばならんのです」
カツラギという士官は、自分の質問にシンちゃんが答えないことに少し苛立っている。シンちゃんはその答えを聞いて、しばらく黙ったあと、質問者を替えて下さい、と言った。
「コミュニケーションできません」
彼女を傷つけることは避けたかった。
それも彼女にはわかっててそうしてかれの気遣いの先まわりをするのだった。
とうとうかれは彼女の優しさに負けて、いたる所から逃げ出したくなるというかれの悩みの癖を打明けた。
彼女はなん日もなん日も聞いてくれた、
その間かれは自分をぶちまけ、胸が悪くなるまで自分のことをしゃべり、幻覚と思い上がりの間でもがきまわる始末だったのに、
彼女は苛立ちの色も見せなかった、いやそれどころじゃない。
ただひたすらかれがその無益なつまらない苦しみに打ち克つための力になろうとした。
かれがたわごとを並べたてて、いったい何を言おうとしてるのか、彼女は良くわかっちゃいなかったけど、
それでも彼女は、かれの気紛れのままにときには幻影に立ち向かい、ときには幻影とともにかれの肩を持ってくれた。
その説得にはうなずかずにはいられない優しさがこもっていて、
彼女の善良さはかれにとってはあたりまえのほとんど無くてはならないものになった。
ところがそうするとかれは因果な自分の運命を、かれの存在理由と考えてるものを自分がごまかしはじめたような気がして、
それからは彼女に考えてることを全部話すのは止めることにした。
まえよりいっそう不幸になったことにすっかり満足して、と言うのも自分の孤独に新しい悲しみとなにか本物の感情に似たものが付け加えられたからで、
そうしてかれはひとりきりでまた自分の殻の中へと引揚げた。
≪……もう行くの?
――うん、でも、またもどって来るよ、とずうずうしくも請合った。
――いいえ、碇くん、あなたはもうもどってこない……それにわたしだってもうここにはいないわ
きっと……≫
ちゃんとわかってた。
出発のときがきた。その晩二人は現実界へと続く道へ行った。カヲルくんには
昼のうちに別れを告げといた。僕は誰でも彼でもあとへ残して行ってしまうんだ。
現実界への道が開くのを綾波と待ってると、綾波を知らないふりして通りすぎた
使徒たちがなにやら囁きかわしてた。
≪行っちゃうのね、碇くん、ねえ、碇くん、あなたはほんとうにそうしたいの? 大事なのはそ
のことよ……それだけよ……≫
道が開いた。地球を見たときはもうこの旅立ちへの自信がぐらつきはじめてた。身体中に残ってる
勇気のありったけを集めて綾波を抱きしめた。辛かった、心底辛かった、こんなに辛いのははじめてだった。
みんなのことが、自分のことが、綾波のことが、あらゆる人びとのことが。
生涯を通じてヒトが追い求めるものはたぶんこれなんだ、ただただこれだけなんだ、この世におさらば
するまえにほんとうの自分になるための、もうぎりぎりの悲しみ。
この出発から何年も過ぎ、それからまた何年もが過ぎた。僕は何回となく足を運んだ、
あのアパートへはもちろん、よそでも、思い出す限りの、綾波がいた、そうして綾波がいそうな所に 。
どこにもいなかった。
あの道はいまはもう閉じている。それが知り得たことのすべてだ。綾波、綾波、
もしまだ綾波がどこか僕の知らないとこでこの活字を読むことができるなら、ぜひともわかってもらいたい、
僕の気持が変わってないことを、いまでもそうしてこれからもいつまでも綾波を愛してることを、僕なりに愛
してることを、その気になったら来てくれればいつでも僕のパンとはかない運命を分かち合ってけることを。
もし綾波がきれいじゃなかったら、それはそれで仕方ないさ!なんとかやってくさ!綾波の美しさなら
たくさん胸にしまってある、まだなまなましくて温かくって、二人であと何十年、おさらばするまでの分は
これで充分だ。
綾波を置いてくるなんてよっぽど頭が狂ってたに違いない、それもなんて下劣で残酷な狂いかただ。
その代わりぼくはいままでこの魂を守ってきたし、もしあしたあの世のお迎えがきたとしても、僕は確信できる、
僕はそのとき決してほかのみんなほど冷たくも、浅ましくも、重たくもないだろう、それはみんなあのネルフで
の何か月のあいだに綾波が贈り物としてくれた優しさと夢のおかげだ。まごころを、君に。
彼女は聞いた。
「ねぇ、エヴァって何を食べて生きているの?」
「使徒」
余は始めて病牀に侍するアスカを見て、其變りたる姿に驚きぬ。
彼はこの數週の内にゐたく痩せて、血走りし目は窪み、灰色の頬は落ちたり。
ネルフの助にて入院せざりしが、此組織は彼を精神的に殺しゝなり。
後に聞けば彼はヱヴアに乗りしとき、余が綾波を助けし顛末を聞き、
また父が伝え上げし命令を知り、ヱヴアの座より躍り上がり、面色さながら土の如く、
「我の時には扶けを出さず。かくまでに我を辱め玉ひしか」と叫び、其場に僵れぬ。
葛城は救護班を呼びて共に扶けて床に臥させしに、暫くして醒めしときは、
目は直視したるまゝにて傍らの人をも見知らず、我名を呼びてゐたく罵り、髮をむしり、
蒲團を噛みなどし、また遽に心づきたる樣にて物を探り討めたり。
これよりは騷ぐことはなけれど、精神の作用は殆全く廢して、
其痴なること赤兒の如くなり。
醫に見せしに、過劇なる心勞にて急に起りし「パラノイア」といふ病なれば、
治癒の見込なしといふ。
余が病牀をば訪れど、これさへ心ありてにはあらずと見ゆ。
たゞをりをり思ひ出したるやうに「セカンドチルドレンたる資格無し」といふのみ。
アスカが生ける屍を抱きて千行の涙を濺ぎしは幾度ぞ。
28さん、も一回春樹おながいします。
>>192 まいひめだ〜
ハマりすぎ。アスカが哀れ・・・
良スレにつきほぜむ
197 :
山崎渉:03/03/13 16:44 ID:???
(^^)
更にほぜーん
そんなわけで、アスカの胸があらわになった時、僕は6922回めのオナニーをしていた。
14歳の春に碇シンジは生まれて初めて恋に落ちた。
ジオフロントを暴走する初号機のような激しい恋だった。
それは、行く手の形あるものを残らずなぎ倒し、
S2機関を巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚無きまでに叩きつぶした。
そして勢いをひとつまみもゆるめることなく、
セントラルドグマまで降りて行き、渚カヲルを無慈悲に握りつぶし、
ネルフを気の毒なスタッフごと熱で焼き尽くした。
惣流アスカ・ラングレーも綾波レイも
どこかの城塞都市の記憶の砂の中へと埋もれてしまった。
みごとに記念碑的な恋であった。
恋に落ちた相手はシンジよりも20歳以上も年上で、結婚していた。
さらに付け加えるなら、近親者だった。
それは、すべてのはじまりの場所であり、すべてが終わった場所だった。
hozen
保
毛
205 :
山崎渉:03/04/17 12:19 ID:???
(^^)
206 :
山崎渉:03/04/20 00:17 ID:???
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
保全
208 :
村上龍:03/04/25 03:18 ID:E2h8ojk7
おれかおでかい
,..-'''´ ̄`'ー‐-.、_
/ \
,.へハヘノ\ ノへハヘ.
/⌒V^v⌒^ r-‐、 、'⌒V^lハ
| , | | r!、 :l
/ ,. , ,∧、| _,.レ-_;ト、_ ::|
| :トi: . i├__lハ! '´{゚i,lヽ V^i::|
ヽ! |: .: .:|,ペi,}` `´ 「ソ::!
ヽ!、::ヽ. ´ 〈! /´::/
`!::ヘ、 <ア イr'V′ 先輩、ここのスレ荒れすぎです
Vvヘ>;、._/__ト、
_,r‐‐「`'r-r'´l |_
,r┬‐'´:| ,ノ /_::l l_, `ー、_
./ l ::i:::(__/ | :::〉´ l /:\_
/ | ::::/ ! :/ \ |: :i :/`┐
.| _i:V´ ヽY V :/:/ |
.|.r',ニ \ー、 ,ノ``' === \/ ,. |
|/,.ニ、 l l / ,..-‐// /
/ ̄ : :} | l. ー| ,/ |/ /
| ̄:|: :.| {:┼-‐'^>´ ̄:7:‐-:、_/' /
l| ::|: :i\ .`rr‐、:ノ´ ̄l`ー-、/ , /
保全
211 :
28:03/05/01 09:24 ID:???
「やれやれ」と私は言った。「本当に打つ手はないのですか? あなたの計算では今の
状況はどのあたりまで進行しているのですか?」
「リニューアル版エヴァンゲリオンの状況のことですかな?」と博士は言った。
「もちろんです」と私は言った。他にいったいどんな状況があるというのだ。「エヴァ
ンゲリオンの世界はどのあたりまで壊滅しているんですか?」
「私の計算によれば、声優の演技は既に、だいたい六年ほど前に、溶解しておるでしょ
う。この溶解というのはもちろん便宜上の用語であって、実際に声優の声が溶けておる
ということではなく、つまり――」
「緒方恵美が復活して、長沢美樹が消えたわけですね?」
「そういうことです。だからさっきも申し上げたように、エヴァの中で既に補整ブリッ
ジングが始まっておるのです。要するに記憶が捏造されはじめておるのですな。比喩を
使わせていただけるならば、エヴァの水面下の声優さんたちの演技の変化にあわせて、
そこと視聴者のあいだをつなぐパイプが補整されておるのです」
「ということは」と私は言った。「GAINAXのもくろみは成功するということなの
ですか? つまりサンライズからガンダムSEEDは失敗だと情報が洩れているという
ことでしょう?」
「正確にはそうではないです」と博士は言った。「ガンダムSEEDはもともと成功し
ておったのです。いくら富野由悠季が作ってないといっても、サンライズをなめてはい
かん。というのは無限のリヴァイアス――つまりガンダム以外の作品でもサンライズは
成立しておるからです。そのリヴァイアスはSEEDの根であり、まさに種でもあるわ
けです。それがないことにはガンダムSEEDは機能せんです。だからGAINAXも
ナディアを残してあるです。必要最低限、正常な状態ならば不必要な裸や性描写がない
程度にですな。ところがガンダムSEEDの伸び悩みによって加えられた性描写がPT
Aのおばはんに正常ならざるショックを与えたですな。それで製作側がびっくりして補
整作業を開始したというわけです」
212 :
28:03/05/01 09:24 ID:???
「そうすると、この物語の改変はこれからもどんどんと続くわけですね?」
「そうなりますな。簡単に言えばデジャ・ヴュのようなものです。原理的にはエヴァの
弐拾話とあまり変わらんです。TVでは音声をカットされるでしょう。そしてそれはや
がてその新しいDVDによる世界の再編へと向う」
「世界の再編?」
「そうです。エヴァは今、別の世界に移行する準備をしておるのです。スポンサーや視
聴者からの苦情がこない世界にあわせて少しずつ変化しておる。リニューアルというも
のはそういうものです。スポンサーひとつで物語は変化するものなのです。エヴァはた
しかにここにこうして実在しておる。しかし製作側のレベルで見れば、TV版とは無限
の制約との戦いにすぎんです。細かく言えばミサトの飲むビールをヱビスにするかエビ
チュにするかで世界は変わってしまう。スポンサーが関わってこないことによって物語
が変ってしまっても不思議はない」
「それは詭弁のように聞こえますね」と私は言った。「あまりにも観念的すぎる。あな
たは買い手の意見というものを無視している。そういうことが実際に問題となるのはコ
ミックマーケットにおいてのみです」
「これはある意味ではまさに同人アニメなのですよ」と博士は言った。「GAINAX
はDVDで出すことによって、エヴァのパラレル・ワールドを作りだしておるんです」
「とすると、リニューアル・エヴァは本来のTV放送版の世界からは少しずつずれてい
るというわけですね?」
「それは正確にはわからんし、誰に証明することもできんです。ただそういう可能性も
ないではないということを私は言っておるですよ。もちろん私は逮捕しちゃうぞのドラ
マのような極端なパラレル・ワールドのことを意味しておるわけではないです。あくま
でそれは認識上の問題です。認識によって捉えられる世界の姿です。それは様々な面で
変化しておるだろうと私は思いますな」
「そしてその変化ごとに劇場版が発表されて、まるで別の作品のようになり、僕はそれ
を見ることになるのですね? そしてそのDVDを僕は買わないわけにはいかない、座
してそれを待つだけだと?」
「そういうことです」
「そのシステムはいつまでつづくんですか?」
「いつまでも」と博士は言った。
>>211-212 神。
この場合のやみくろは何になるだろうと全然関係ないことを言ってみるテスト
ほっしゅ
ネタ嵯峨氏にノル森を引っ張り出してきた
保守
保
毛
219 :
山崎渉:03/05/28 13:46 ID:???
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
ほしゅ。
「ここまでのスレの流れはつかんでいるかね?」
と中村老人は言った。
「うん。つかめているいると思う」
そう。僕はスレの流れを乱したりはしていない。
、 、、、 、 、 、、、 、 、 、、 、 、 、 、、
僕はここまでのスレの流れをつかんでいる。
222get!
保守
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 ̄ ̄∨ ̄ ̄∧_∧ 。.. ┃... .uヘ人iイ . (. .」_ ノ ....:┃
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|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
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\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
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