女装SS総合スレ 第9話

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
ここは既存スレに該当しない女装関連のSSを総合的に取り扱うスレです。
無理やり女装させて、嫌がったり、恥ずかしがったりするのをニヨニヨするのもよし、
自分の意思で女装させ、女よりも女らしい子を目指すのもよし、全ては書き手の自由です。
女装っ子を愛でながらまったりと盛り上げていきましょう。

※次スレは>>980または、485KBになったら立てて下さい
(直近に投下予定のある方は、投下作品の容量に応じて前倒し願います)

※age・sageについては各々の判断でお願いします

【前スレ】
女装SS総合スレ 第8話
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1350803150/

関連スレは>>2-
2名無しさん@ピンキー:2013/03/30(土) 08:33:42.30 ID:E0cl5on2
【既存の女装関連スレ】

強制女装少年エネマ調教 ネオ×7
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1255107219/

ニューハーフ・シーメールでエロパロ6
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1336219403/

↑のシチュに該当するSSはこちらのスレでお願いします。



【隣接ジャンル】
女にお尻を犯される男の子8
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1287824025/

強制女性化小説ない?Part47
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1346641476/

男装少女萌え【11】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1296266561/

【女体化】TS系小説総合スレ【男体化】8話目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1338195162/

立場だけの交換・変化6交換目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1352137904/

男の娘でエロパロ!
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1272566973/
3 ◆fYihcWFZ.c :2013/03/30(土) 08:38:29.72 ID:E0cl5on2
容量オーバーぎりぎりだったのか。次スレ案内すら貼れないとは。
4名無しさん@ピンキー:2013/04/01(月) 00:46:22.66 ID:BzBd9qNA
>>1
それから、前スレ最後の作品に つC
5名無しさん@ピンキー:2013/04/01(月) 01:17:12.22 ID:CpPi7PkY
485だと残り15なので少なすぎでは?
確か1レス最大2なので15だと連投7〜8レスで打ち止めになりますよ
450〜470くらいで次スレにしたほうが好いのでは?
6名無しさん@ピンキー:2013/04/01(月) 07:40:22.08 ID:BzBd9qNA
投稿されないときが長かったから、遅めになってるんだよな
7名無しさん@ピンキー:2013/04/03(水) 06:26:15.76 ID:zduAoCFF
まあその辺は適宜判断するということで
作品投下中なら足りないだろうが、雑談のみ継続中なら余りすぎる
8名無しさん@ピンキー:2013/04/03(水) 12:39:49.59 ID:GHcIa+q9
お礼参りができないのは、楽しくないですよ。
それくらいの余裕は欲しいと思います。
9 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 19:59:23.74 ID:RtR5yrfq
前スレ投下時、512KBまで書き込めるものと勘違いしていたせいで、多大な迷惑をおかけして申し訳ありません。
テンプレ的には、自分のようなポカ野郎がいない限り、充分現状でよいと思います。

9話目最初の投下ですが、すいません今回は(このシリーズ初の)エッチシーンなしです。
おまけに「3連作」と言いつつ4話目という。


このスレから読み始める人のためのプロフィール(2013年4月時点)

●瀬野雅明 性別男。身長172cm。大学2年
 『俺』。この話の主人公。ごく平凡な男キャラ……だったはずなのだが、
「10歳のときに“女の子”になるよう調教された経験あり」との設定が加わって以降、頻繁
に女の子の格好をさせられるハメになった。
 女装時には、「アキちゃん」と呼ばれ、そのモードでは一人称が『あたし』に変わる。

●瀬野悠里 性別女。身長167cm。大学2年。B=83(C) W=59 H=85
 雅明の義理の姉(再婚相手の連れ子)。昨年6月に告白して以来、恋人同士でもある。
 高校時代から読者モデルとして活動。現在駆け出しタレントとして活躍の幅を広げ中。
 「アキ」からは「お姉さま」と呼ばれる。

●瀬野俊也 性別男。身長167cm。高校3年。
 瀬野悠里の実の弟。外見的には悠里とそっくりで、彼女のふりをしたら雅明にも見分けが
つかなくなる(キスやお尻の手触りなどで判別は可能)。
 モデルの仕事にも代理で参加することも多々あり。
 「アキ」からは「悠里お姉さま」と呼ばれる。

●春美(仮)・冬子(仮)
 雅明が10歳のころ、彼に女装調教を施した近所のお姉さん(♂)とそのセフレ。
 名前を憶えていなかった雅明が、説明のときに適当につけた名前。春美の本名は今回判明。

●北村 性別男。身長192cm。大学1年
 元バスケ部エースでハンサムな医学部生。「アキ」にべた惚れしている。
10 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:01:24.47 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 1/10

「うん、いい感じいい感じ。そんな感じで続けてちょうだい」
 悠里と俊也の行きつけの美容院。
 何故か本日臨時休店の、他に人気のないその店内で、眼鏡をかけた店長のおば……お姉さ
んにレクチャーを受けながら、俺は化粧の練習なんてシロモノをしている。

「貴方、メイクの才能があるのね。もっとしっかり勉強と練習を重ねて欲しいな」
 なんだか最近、女装関係でばかり褒められてる気がする。
 そんな考えが顔に出てたのだろうか。少し楽しそうな声で、店長さんが続ける。

「男性のメイクさんは多いし、貴方のその才能を伸ばしてみるのも手かもしれないわよ? 
悠里ちゃんの傍にずっといたいなら、メイク兼マネージャーって方法もあるかもしれないし」
 ……そっか。自分の女装関係なしに、メイクを習うこと自体に損はないのか。
 俺の中にあったわだかまりが、少し溶けた気がする。

 いっそ、ということで化粧の落とし方まできちんと教えてもらい、最初からメイクを行う。
 余分な工程は避け、可能な限り薄化粧に見えるよう、でもしっかりと可愛らしくなるよう。
 家で自分だけでやった数回より、さっきの1度目より、ずっと上達してきたように思う。

「貴方って飲み込みよくって教え甲斐があるわぁ。……でも本当、羨ましい肌してるわね」
「それ、正直よくわかんないんですよね。悠里のほうが絶対肌綺麗ですし」
「あの子たちは素材もいいし、自分を磨くために凄い努力もしてる」
 ──それはこの半月の間、俺が特に痛感させられことだった。

「でも特にお肌に関して言えば、あなたの素質も悪くないとお姉さんは思ってるんだけどな。
なんだか底が知れないっていうか。……貴方のお肌、大切にしてね」
 返答に困りながら、化粧を続行。リップを自然になるように注意しながら塗り、グロスを
厚くならないように置いて艶やかさ出す。フェイスパウダーをはたいて完成。

 悠里のテクに及ばないものの、先程までと違って“可愛い女の子”レベルにできたと思う。
 それを楽しく思ってる自分、もっと上手くなりたいと思ってる自分──それも“アキ”で
はなくて“雅明”──に気がついて少し困惑するけれど。

「『魅力的な女の子』になるためにはね、普通はとっても努力と積み重ねが必要なの。
 ──でも、貴方は違う。その積み重ねをパスして、いきなり『魅力的な女の子』という結
果だけを手に入れてしまった……そんな感じがする。
 そのアンバランスさも貴方の魅力なんだけど、充分注意してね。貴方ガード甘いから」

 そんな言葉に送られつつ店を裏口から出て、電車に乗って一駅分の移動。
 この時点で“アキ”に意識を切り替えてるつもりだったのに、何故か“雅明”のままだ。
 以前はどうやって切り替えたのかも、もう思い浮かばなくなってる。
『アキに成り切れば、女装姿で外出しても恥ずかしくない……ハズ』
 という目論見が見事に外れ、羞恥心が半端ない。

 ショートカットの少女のような髪に結んだリボンも。揺れるパッドの重みも。食い込むブ
ラジャーの紐も。くびれさせたウェストも。ショーツのぴったり感も。カーディガンのピン
ク色も。花柄のブラウスの生地の柔らかさも。スカートの裾を揺らす風も。むき出しの脚を
見る視線も。全部が羞恥心を煽って、墓穴があったら入ってそのまま埋葬されたい気分だ。
11 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:03:14.89 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 2/10

「ねえ、君、大丈夫?」
 ついつい俯きがちになって歩く俺に、駅の構内を出たあたりでそんな声がかけられた。
「え? えぇっと、あの……あたしですか?」
「うん、そう。なんか具合悪そうに見えたからさ。余計なお世話だったらごめん」

「特になんともないですよ。大丈夫です。気を使わせてすいません」
「ああ、良かった。……ところで君さ、どこに行くの?」
「どこ、って、買い物ですけど……」
「へえ、そうなんだ。あ、オレ灰村って言うんだけど、君の名前は?」

「いや……ナンパするのは勝手だけど、俺、男なんですけど?」
「またまたぁ。断るために嘘つくにしても、もうちょっとマトモなのにしようよ」
 男声に戻して言ったつもりだったのに、それでも信じてもらえなかったらしい。

 どうしたものかと悩んでいるところに、「オレの愛しい恋人にちょっかいをかけるのは、
それくらいにしてもらえるかな?」と、どこかで聞き覚えのある声がした。
 助け舟かな? と、思いつつ、その声の方向を見ると……

「うげ。デンパナンパ男」
 半月ほど前、最初に女装外出したときにしつこくナンパしてきた電波男だった。
「“恋人”どころか、以前彼女をナンパしたことがあるってだけの、一方的な関係っぽいな」
 ナンパ君第一号にも、しっかり見破られて分析されてるし。

「君も疑うなんて酷いな。オレたちは運命で結ばれた前世からの恋人同士なのに。さ、こん
な奴ほっておいてデートはじめようよ」
 こいつは一体、俺を俺と分かってるのか、会う女の子全員に『運命』って言っているのか。

 この事態をどう収拾つけたものかと困っていると、見逃しようのない長身が目に入る。
「北村さーん、へるぷ・みーです」
 ぱたぱたと手を振って呼び寄せる。さすがのナンパ男×2も、身長190cm超のスポーツマ
ンの存在感には敵わないと退散してくれた。

「お役に立てて良かった……のかな? えーっと……」
「すいません、本当に助かりました。ありがとうございます。あぁ、あたしです。アキです」
「ああ! すぐに分からなくて、本当にごめん。私服も素敵で、すっかり見違えたよ……制
服のときとは、随分感じが違うんだね」

 それはもう、前回とは『中の人が違う』状態だから。誤魔化す言葉を、少し捜す。
「そうかな? ……どっちのあたしが好きですか?」
「うーん、どっちも魅力的だけど、今の私服のほうが、一緒にいて気が楽ってのはあるかな」
 『女としての魅力』で“アキ”に勝てたと、優越感を覚える俺が既にやばかった。

「さっきは何だったの?」
「ナンパがしつこくて困ってたの。……あたし、そんなにナンパのカモって感じなのかなぁ」
 店長さんが言ってた、『ガードが甘い』って、こういうことなんだろうか。
「それは、アキちゃんが魅力的すぎるからしょうがないよ」
 そういえば、こいつもまたナンパ男の一人だったか。
12 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:04:23.11 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 3/10

「今日も彼氏さんはお仕事?」
「うん、7時に待ち合わせ。それまであたしは、お姉ちゃんのお遣いとか……北村さんは?」
「僕のほうは、特に用事はないかな」

「もしよければ、お買い物付き合ってくれないかなぁ」
「彼氏さんに悪くない?」
「それはぜんぜん大丈夫」
「なら、喜んで」

 2人で恋人同士のように、並んで街を歩く。思ったとおり、ナンパよけとして最適の相手
だった。背の高さの関係で、『のっぽ女?』という視線が減るのも気が楽でいい。
 彼は基本無口なので、喋ってボロが出る機会が減るのもありがたかった。
 少し歩いて、最初の目的地のランジェリーショップに到着。

 悠里の依頼で買い物に来るのもこれで何回目かになるけど、その度に居心地の悪い思いを
してきたお店のひとつ。
 いっそ女装して、『アキモード』で来れば恥ずかしくないんじゃ? と思ったのが、今日
の女装外出の理由である。『雅明モード』のままなのが、ひどく計算外なわけだが。

 北村氏はすごく恥ずかしそうな感じで俺について来ている。
 前回までの俺の居心地の悪さを押し付けているようで、意地の悪い楽しみを覚えてしまう。
 リストに従い、補正下着とか色々購入。思い出せば、俺が付けさせられた下着はこうして
自分で購入したものだった。
 買った時点では、自分でつけるとは夢にも思ってなかったわけだけど。

「……荷物、持ってあげるよ」
 店を出て少し歩いたところで、そんなことを言われる。
「いや、そこまでは流石に悪いですよ」

「家に帰っても筋トレくらいしかすることないから、ウェイト代わりってことで。……それ
になんだか、女の子に荷物持たせてると視線が痛いんだ」
 そっか。周りから見れば今は俺が『彼女』で、こいつが『彼氏』な状態なのだった。
「……そういうことなら……うん、ごめんなさい。お願いします」


 そんな感じで、寄り道を交えつつ店を回っている街中。ふと足を止める。
 店頭に並ぶ、特大サイズのポスター。その中で悠里が微笑んでいる。
 複雑な気持ちが心に渦巻く。
 誇らしさと、手が届かないところに彼女が行ってしまうような寂しさを同時に覚える。

「……どうしたの?」
「いえ……えーっと、瀬野悠里ってモデルの人、知ってます?」
「僕、テレビとかあんまり見ないし……そういうの疎くて。ごめん」

「一般的な知名度としては、そんなものかな。あたし、彼女のこと前からずっと憧れで」
「それがこのポスターの人? 確かに美人だね……でも僕には、アキちゃんのほうがもっと
もっと魅力的に見えるよ」
13 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:05:47.29 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 4/10

 なぜだか不意に、彼の唇の感触を思い出す。
 肩に回された腕の力強さを思い出す。
 ……自分が“アキ”でいるときならともかく、“雅明”でいるにも関わらず。
 たまらないほど恥ずかしい気分がしてきて、彼にくるりと背中を向ける。

 流れる沈黙に耐えられなくなったのは、自分のほうが先だった。
「……北村さん、あたしのことなんか忘れて、早く彼女作ったほうがいいですよ。大学に入
れば、きっと素敵な彼女が出来ると思います」

「それは無理だと思う。……アキちゃんが、彼氏さんのことを本当に大切に思ってるのは分
かるから、奪おうとは思わないけど……
 でも、僕がアキちゃんのことを忘れることはできないし、世界中のどこを探しても、アキ
ちゃんよりも素敵な女の子を見つけることもできないと思う」

 なんでこいつはこんな低く響く声で、真剣な声で、こんな女殺しの台詞を言えるんだろう。
 そしてなんで俺は、こんな『女殺し』の台詞に、胸がぎゅっと苦しくなっているんだろう。
 荷物さえ彼に渡してなければ、今からこの場をダッシュで逃げ出してしまえるのに。
 ポスターの中から、営業用の笑顔で見つめる悠里の視線が痛かった。

「……ごめん、こんな困らせるようなこと言うべきじゃなかったね。忘れてくれると嬉しい」
「こちらこそ、ごめんなさい。ちゃんと応えることができなくて」
 深呼吸をして、無理に笑顔を作って再度彼に向き直る。

 たぶんそれは、泣き笑いみたいな顔に見えたはず。
 彼も、どこか辛さを押し隠したような笑顔で応えてくれる。
 ──もし自分が本当に女の子だったなら、いや、男のままでも悠里と先に恋人になってな
かったら。今この時、恋に落ちてどうしようもなくなっていただろう。そんな瞬間。

 ふたりどちらからともなく手を……恋人つなぎではないけれど……繋いで、再び道を歩き
始める。それだけで、なんだか胸のドキドキが止まらない。
 “アキ”じゃないのに、“雅明”のままなのに、自分のことを自然に女の子のように考え
てしまっている。そして、そんな自分をたまらないほど愛おしく感じてしまっている。

 あんなに恥ずかしかったスカートが、少女めいた外見が、何故だか今は誇らしく思える。
 ……“俺”は本当に、大丈夫なんだろうか?

「今日は、本当にどうもありがとう。北村さん力持ちで、ほんと助かりました」
 すっかり暮れた街並み。買い物リストを最後まで終えて、駅へと到着。荷物をロッカーへ。
「いや、僕もすごく楽しかったよ。……彼氏さんに謝らないといけないけど」
「大丈夫。許してくれると思う……これは、今日つきあってもらったご褒美」
 精一杯背伸びをして、彼のほっぺにキスをしてみる。

 すごく驚いたした顔で俺──あたし──の顔を見つめたあと、崩れそうな笑みを浮かべて、
「うん、……ありがとう。……じゃあ、彼氏さんと最高の夜を過ごしてね」
「ありがと。じゃあ、おやすみなさい」
 そう言って手を振って別れ、姿が見えなくなるまで見守る。もしここで強引に迫られてい
たら、きっと落ちていただろう。そうでなかったことを、寂しく思う自分がいた。
14 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:06:56.54 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 5/10

 寄ってきたナンパ男たちを半分上の空でスルーしつつ、待ち合わせの場所に到着。
「あれ、アキちゃん?」
 意外そうな声に迎えられる。

 デニムのスカートにGジャンをあわせた、珍しくカジュアルなスタイル。
 頭にはウェーブのかかった茶髪のカツラ。すらりと伸びた黒ストの脚が目に眩しい。
 不意の衝動に襲われ、その姿に思いっきり抱きついてキスをする。これがもし俊也の女装
姿だったらという不安が背筋を走るけど、それでも止まらない。

 でも良かった、これは悠里だった。
 やっぱり俺、男なんだ。女の子が好きなんだ。さっきの一幕はただの気の迷い。
 落ち着いて、冷静になって、自分を取り戻して。

 落ち着いた。冷静になった。自分を取り戻した。
「ぎにゃー」
 思わず大声で叫びをあげそうになって、飛び離れて自分の口を押さえる。
「なんというか……その……ごめんなさい」

「うわっレズかよ」「だいたーん」「すっげえ美人同士なのにもったいねェ」「眼福眼福」
 周囲の呟きが一気に耳に入ってきて、頭をかかえてしゃがみたくなる。
「……さすがに移動したほうがいいかな、これ」
 冷静な悠里がありがたかった。

「けど、あなたがアキで来るのは流石に意外すぎたなぁ」
 少し移動してガードパイプに腰を預け、2人並んで化粧直し。馴染んでしまってる自分が
少し嫌になる。手早くそれを終わらせたくらいに、悠里の携帯が着信音を奏でる。

「……うん、ごめんね。ちょっと事情があって移動しなきゃならなくなって。そこからその
まま、高島屋のほうに来て……うん、……うん、……あ、見えた。こっちこっち」
 手を振る方向を見ると……ずんずんずんと、お袋登場。
「悠里ちゃん、お待たせしてしまってごめんなさい。……そちらの方は?」

 俺を見て、首をかしげながら尋ねてくる。……俺が俺だと気付いてないんだろうか。
「モデルの後輩のコでね、アキちゃんって言うの」
「なるほどモデルさんかあ。道理ですっごい美人だと思った」
「ありがとうございます。えぇと、はじめまして、アキです。……悠里さん、こちらの方は?」
「ああ、ごめんなさい。悠里の母親で、純子と申します」

 本気で気付いてないのか、気付かないフリをしてるだけなのか。
 判断つかないけど、とりあえずこっちとしては、お袋の前で『駆け出しモデルのアキ』に
成り切って対応するしかない。
 心臓を裏側から、ごりごりと削られていくような感覚だった。

「お母様ですか。随分とお若いんですね。お姉さんかと思いました」
「生みの親じゃなくて、うちのパパの再婚相手だけどね」
「といっても、悠里ちゃんと同じ齢の実の息子もいるから、年齢としては変わらないけど」
「へぇ、意外です」
15 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:07:56.38 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 6/10

「って、あんまりお邪魔してもいけないですね。悠里さん、今日はお疲れ様でした」
 白々しい会話をこれ以上続けるのもアレだし、顔を合わせるのも辛いので逃亡に挑戦。
「アキさん、待って。これからお時間ある?」

「えぇと、あたし門限があるので」
「嘘おっしゃいな。さっきまで『夕食どこにするかな』とか言ってたくせに」
 我ながらナイス言い訳だと思ったのに、即座に悠里に逃げ道を塞がれてしまう。
「ああ、そうなんだ。じゃあいい機会だし、ご一緒に食事でもなさらない?」


「そういえば、雅明はどうしたの?」
 前にも来た、悠里お奨めの定食屋の席に腰掛けながら、そんな会話。
 結局、逃げ出すのに失敗したのがひどく辛かった。母親相手に女のフリ。悪夢に見そうだ。
「急に用事が出来て、今日は来れなくなったって」

「そうなんだ。楽しみにしてたのにな」
「雅明さん、ってどなたですか?」
「ああ、さっき言った、わたしの息子」
「そ。で、ついでに私の彼氏」

「んー……え? ってことは、姉弟同士で恋人なんですか?」
「まあ、連れ子だから血が繋がってないし、戸籍上は一応姉弟でも、普通に結婚できるしね」
 他人事として改めて聞くと、やっぱり少し不思議な感じのする自分達の関係だった。

 雅明の話題がそれから暫く続き、モデルのお仕事上での体験談、美容や化粧、ファッショ
ンの話に会話が転がっていく。
 俺の話題からそれたときは心底ほっとしたけど、でも美容や化粧の話に気楽に普通に参加
できたのはどうなんだろうなあ。


 そんなこんなで、まあ和やかに食事も終わりかけたころ。
「ところで、雅明」
「うん?」
 お袋にいきなり名前で呼ばれて、つい返事してしまって、気付いて硬直。

「あの……お母様。いつから気付いていらっしゃいました?」
「背のすっごく高い、ハンサムな男の子と一緒に歩いているときからかな」
 ムセタ。
 最初っからですらなく、合流するはるかに前からだったとか。

「え? 何それ?」
「えーっとね。なんでか知らないけど俺、やたらにナンパにあってね。しょうがないから通
りすがりの北村っていう、前言ったバスケの人にナンパ避け目的で同行してもらったんだ」

「そんな雰囲気じゃなかったけどなあ。手なんて繋いで、本当に初々しいカップルのデート、
って感じで。キスなんてしてたし」
「わーわーわーわーわー」
16 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:09:30.42 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 7/10

「へぇ。……私の仕事中に男と浮気? これはお仕置きが必要かな」
 『それはぜんぜん大丈夫』、どころじゃありませんでした。
 目以外は笑顔なのが、逆にとっても怖いです。

「キスって言っても、ほっぺただよ? 荷物持ってもらったし、何かご褒美あげないとまず
いかなあ、って思ってごめんなさい申し訳ありません俺が悪かったですもうしません」
「ま、詳しいことはまたあとで」

「でも、ナンパにあうのは分かるかな。なんというかスキだらけで、『あたしと一緒に居て
ください』って感じで、目を離せない、ほっとけない感じがすごくするもの。
 援助交際とかで変な病気でもらわないようにしてね?」
「息子が女装で歩いてて、まず気にするところはそこなんだ」

「キモい女装趣味なら嫌だけど……すごく似合ってて違和感ないし、美人だし、声も女声だ
し。……あなた、あれなの? 性なんとか障碍、だっけ?」
「別に俺、そういうのじゃないよ。心は男だし、女が好きだし、女の体になりたいわけでも
ないし。女装だって強制されなければするつもりはないし」

「でも、今日は別に誰からも女装を強制されてないよね?」
「女物の下着とか女性誌とか買い物するのに、こっちのほうが気楽かなあ、って。前、男の
格好で買ったらすごく恥ずかしくて、ならいっそ、って。……大失敗だったわけだけど」

「ま、趣味のレベルで続けるならわたしも気にしないし、化粧やお洒落のアドバイスくらい
なら出来ると思う。
 悠里ちゃんのベッドの下の奥にある、あなたの女装道具、もう別に隠す必要もないわよ」
 こんなとき、どんな顔すればいいかわからないの。笑えばいいと思うよ。そうなのか。

「あとは恋人に愛想を尽かされないようにしないとね。……こんな息子でごめんなさいね」
「いえ、むしろ息子さんを女装趣味にしてしまって、こちらこそごめんなさい」
「あら。そういう経緯。……でもそれは関係なかったと思うな。この子って昔も一時期女装
に嵌っていたころがあってね。ほっておいても、いずれまたやってたと思う」

「冬子さん……でしたっけ?」
「いや、確か篠原……うん、篠原睦さん。あれ? わたしが知ってるのと別口がまだあるの?」
「ああ、そっか睦さんだ。言われてやっと思い出した。春美(仮)さんって言ってた人、確
か本当はそんな名前だった。……前説明したとき、名前思い出せなくて、適当につけたんだ」

「そんなことまで話してたんだ。少し意外」
「でも、あんまり詳しいとこまで聞けなかったから、教えてもらえると嬉しいかな」
「あ、うちに帰ったらその時の写真あるわよ? 見てみる?」
 ……神様。俺は前世で、どんな重い犯罪をやらかしていたのでしょうか。

 そろそろ店を出ようかと、お袋がお手洗いに行くのを見送って。
「……悠里さ、今日のお袋のことは仕組んでたの?」
「いや全然。ママから一緒に食事したいって話が来て、あなたに電話かけても繋がらなくて、
それでアキちゃんの格好で来たからびっくりしたもん。その分だとメールも見てないよね?」
「あー。つまり全部俺の自業自得なわけか」
17 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:11:18.50 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 8/10

 ……でも、今日は悪いことばかりじゃなかった、ような気もする。
 悪戯や演技や冗談でいつも誤魔化されてばかりいる悠里の本心。
 本当は俺の片想いで、空回りしてるような気もしてきただけに、ふと見せてくれた嫉妬が
なんだかとても心地よかった。もう2度と見ないよう、俺がしっかりしないといけないけど。

「……雅明、なんか変なこと考えてない?」
「いや、悠里とエッチしたいなあ、って。……こんなことばっかり考えててごめんね」
「むぅ。どうしよっかな。……そっか、『お仕置き』の内容決めてなかったね。じゃあ今日
いっぱい、私に『駄目』とか『嫌』とか言うの禁止で。全部OKで答えてね」

「それ、どんな酷いことされるか怖いんだけど……」
「あら? そんなこと言える身分と思ってるのかな?」
「……そうでしたごめんなさい」

「で、今日はエッチはお預けで」
「分かりました従います。……こんな感じ?」
「ん。OK。……こんなことなければ、今日はするつもりだったんだけどね。残念でした」

 半分魂が抜けてるところにお袋が戻ってきて、店を出る。
「あ、そだ。これからアキちゃんの服買ってあげたいんだけど、ママはどうする?」
「わたしも一緒に行っていいの? なら喜んで」
 『そんなの嫌だって』……と喉元まで出かけた言葉を、どうにか飲み込む。

 それからの時間は、拷問に近かった。
 お袋と店員さんの前で女の子のフリをして、露出度が高かったり、露出度が低くても可愛
すぎる系の衣装を、店を回っては次々に試着させられて。しかも嫌とは言えなくて。
 結局4組くらい購入して、今はそのうち1着に着替えて、夜でもなお明るい街を歩く。

 以前、悠里と女子制服擬似レズしたときに比べると多少はマシな、でもそれがちっとも慰
めにならない白地に赤の花柄で超ミニのフリルスカート。
 少しオフショルダー気味で襟ぐりの大きく開いた、同じ柄のトップス。
 羽織ったカーディガンの長い裾がお尻方面を隠しているのが、まだしも救いだけど。

 本当の女の子でも、こんなの着たら恥ずかしいに違いない。ほとんど露出狂だ。
 カーディガンの前はあけてるから、いつ膨らんだ股間が見られてばれるか不安すぎる。
 風が吹くたびに、金玉にほぼダイレクトに外気が当たって恐怖が走る。今日はタックとや
らをしてないから尚更だ。森ガールごときで恥ずかしがってた昼間の俺を殴りたい。

「この身長で9号が入るとか羨ましい。脚もすっごく綺麗だし、隠しちゃ勿体無いわね」
「まあ、どうしてもヒップのラインとか男だし、昼間にこの格好はきついかなあ……」
 いや悠里様。夜でも充分きついです。
「でも似合ってて可愛いよ。もっと自信を持って、背筋をしゃんと伸ばしなさい」

 こんな時と場合だというのに、勃起しかける自分の身体が恨めしい。
 人の気も知らないで、何人も何人も鬱陶しいくらいナンパの声をかけられるし。駅でロッ
カーから荷物を取り出し、家に到着した時点で、撃沈しそうな思いだった。
 ……しかし息をつく暇もなく、まだまだ試練の夜は続くのでありました。
18 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:13:18.24 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 9/10

        <<俊也視点>>

「ただいまー」
 久々に友人たちと夜遅くまで遊び倒し、やっと帰宅。
 奥からパタパタとスリッパを鳴らして、メイドさんが登場した。
「おかえりなさいませ、ご主人様」

 日常が、一気に非日常に変化したような違和感に硬直する。
 見覚えのある可愛らしいメイド衣装に身を包んだ少女が、微かに媚びを含んだ仕草で綺麗
におじぎをしてお出迎えしてくれている。
 背が高いのが難だけど、そこらのメイド喫茶なら一気にトップに登りつめそうな美少女だ。

「……どうしたの、お義兄ちゃん」
「うん、バツゲーム」
 凄くげんなりした顔だった。一体何があったのだろう。
「おかえり、俊也。早くこっち来てー。すっごく面白いよー」

 うがい手洗いを済ませて、声のした居間に移動。
 お義母さんとお姉ちゃんが、興味津々といった体でPC画面を覗いている。
「俊也、お帰りなさい」
「……なんか今日、色々とすごいことがあったみたいだね」

「そりゃもう。ま、それはあとで話すけど、まずはこれを見て」
 シックな色合いの豪奢なドレスに身を包んだ、精巧なアンティークドール?の写真だった。
 金色の巻き毛、水色の瞳、長い睫毛、愛くるしくもどこかにコケティッシュさを含んだ顔
のつくり、滑らかすぎるほどに滑らかな肌。やや幼い、美しい少女を模した人形だ。

「まるで生きてるみたいな綺麗な人形だね。……これ、何?」
「いいコメント。じゃあ、もっとめくっていくよ」
 ピンクやブルーの色鮮やかな、あるいはゴスロリ風の衣装に包んだお人形の画像が現れる。
 髪や瞳の色が違うけど、これ全部同じ人形なのか。

 不思議なくらいに魅惑的で目が離せない。息をするのも忘れて現れる画像に見入る。
 しばらくしてようやく、どこかで見たことがある面差しだな、と思う。……ってこれ、人
形じゃなくて、映っているのは人間の女の子なんだ。
 いや、“女の子”ですらない。

「……これ、“アキちゃん”なのか」
「ピンポーン。雅明の10歳の写真集。……というか、分かるまで意外に時間かかったわね」
「前聞いたとき、これほどまでとは思ってなかった。……随分と控えめな表現だったんだね」
「この時の面白い話はまだまだあるわよ? さっきの話の続きだけど……」


 玄関のチャイムが鳴り、しばらくして鍵を開ける音がした。お父さんの癖だ。
「あ、パパ帰ってきたわね……アキちゃん、ゴー」
 天井を仰いで、玄関に向かう偽メイド少女。散々自分でも弄んでおいてあれだけど、今日
ばかりは流石に同情する。
19 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/04(木) 20:14:56.10 ID:RtR5yrfq
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みD 10/10

「えーっと、どちらさまでしょうか?」
 玄関からうろたえる声がした。そりゃそうだろう。普通うちに美少女メイドさんはいない。

「そうか、雅明くんなんだ……」
「こんな格好で、本当すいません」
 色々説明が入って、ようやく落ち着く。
「あっ、もうこんな時間か。じゃあ私寝るけど、雅明は12時まではその格好でいてね」
「はいはい」

 散々かき回しておいて、嵐のように自室に向かうお姉ちゃん。今日はいつもよりなんだか
更に度を越してた感じがしなくもない。
「雅明くん、娘が迷惑かけてすまないね。その服脱いでもいいよ? 口裏合わせとくから」
「いや、これでも悠里との約束なんで、12時まできっちり守りますよ」

「あなた、いつもの通り熱燗でいい?」
「うん、お願い。……そっか。じゃあ君の意思を尊重する。あと、そんなに恐縮する必要も
ないよ。……もう全部説明してしまったほうがいいか。あれ、ある意味血筋なんだ」
「……血筋???」

「悠里の母親も、何故か男に女装させるのが大好きでね。僕も昔は随分被害にあったもんだ。
だから雅明くんがそうしてると、なんだか戦友めいた気分になるね」
 笑うしかない、という感じの引きつった笑いをひとしきり。
「今でもスリムでハンサムだし、さぞ似合ったんだろうなあ」

「僕なんて全然だよ。雅明くんみたいに、女性に見間違えるようなことは絶対なかった。あ
と、俊也も小学校入るまではほとんどずっと悠里のお下がり着せられてたっけ」
「はい、どうぞ……雅明、どうせだからお父さんにお酒注いであげなさいな」
「美人メイドの酌で呑む熱燗か……なんだか少しシュールかも」

「ワインかブランデーあたりが良かったかしら? ごめんなさい、わたし気が利かなくて」
「いや、別にいいよ。雅明くん、注ぐのうまいね。君も一緒に呑むかい?」
「いやまだ俺、19歳ですし」
「そんな固くならないでいいと思うけど、まあもうすぐだし楽しみに待つことにするよ」

 そんなこんなで、いつになく会話も弾んで。12時をすぎて、「よっしゃ、やっと男に戻れ
るー」と、大きく背伸びをしながら洗面所に向かう背中に、お父さんが声をかける。
「雅明くん、その、女装が嫌なら、僕のほうから悠里に言っておこうか?」
「いや、大丈夫です。悠里って、俺が本当に嫌がることは絶対にやらないですから」

「じゃああなた、今日のミニスカとかも嫌じゃなかったの?」
「うーん、あれ自体はとても嫌なんだけど……でも悠里が俺に妬いてくれた証ってことで、
あの罰に見合うだけの悪いことをしたと思ってくれてる、ってことなら、悪くないかなって」

「まあ、その心理なら僕にも分かる気がする……あんな娘で悪いけど、よろしく頼むよ」
「悠里は、俺には本当に勿体無い、最高に素敵な女の子ですよ。俺が今、恋人を名乗れるこ
と自体が奇跡に思えるくらい」
 振り向いて笑顔で答えた顔は、服や化粧にも拘らず、ひどく男らしく見えた。
20名無しさん@ピンキー:2013/04/04(木) 21:33:40.15 ID:PINK2bdX
つC
21名無しさん@ピンキー:2013/04/05(金) 20:05:20.79 ID:IU1OeRLp
おかあさん、おとうさん、公認になったのですね。
おかあさん、良く保存していましたね。写真。
22名無しさん@ピンキー:2013/04/05(金) 22:40:47.29 ID:UM9ScpmY
両親公認とくれば次はモデルデビューしかないな(笑
いっそのこと三姉妹モデルで売り込んでみたらどうか
23名無しさん@ピンキー:2013/04/05(金) 22:41:40.37 ID:UM9ScpmY
>>20、IDがPINK2だw
24名無しさん@ピンキー:2013/04/06(土) 22:48:42.63 ID:8AX0S9ZB
まとめほしいな
25名無しさん@ピンキー:2013/04/09(火) 17:45:58.95 ID:bbo8FiDp
欲しいなら作りなさいよ。
皆さんの意見を聞きながら。

しかし、なかなか、御家族の了解や公認は難しいですよ。
特に、再婚とかだと。
こうなったら
26名無しさん@ピンキー:2013/04/09(火) 17:51:09.89 ID:bbo8FiDp
間違いの書き込み。ごめんなさい

欲しいなら作りなさいよ。
皆さんの意見を聞きながら。


しかし、なかなか、御家族の了解や公認は難しいですよ。
特に、再婚とかだと。
こうなったら女よりも女な男の娘になって男だけどかわいいママ、そして、かわいいおばあちゃんを目指すのが良いのかも。
27名無しさん@ピンキー:2013/04/09(火) 23:51:50.28 ID:jTZ5t61z
他所の某スレではある住人の「まとめ作る」の発言でその頃投下していた
作者達が一斉に反発して消えたからなあ
どうか悪い影響の無いようにしてくれよ
28 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/11(木) 22:43:30.10 ID:RCFNqfQK
私としては、是非まとめサイトが欲しいところです。

というか、他に誰も作らなかったら自分で立ち上げるかと、第一話から過去ログあさって纏めていた
ところだったり。
29名無しさん@ピンキー:2013/04/12(金) 06:28:45.28 ID:BLYOQdAn
wiki、アーカイブからも消えて見られなくなってたわクソ
30名無しさん@ピンキー:2013/04/12(金) 06:33:10.91 ID:rVsq5de7
>>28
自己流でまとめたテキストファイル必要なら
ttp://www1.axfc.net/uploader/so/2865888
パスはjosou
31 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/13(土) 18:55:12.27 ID:H6NNJg9l
>>30
おお、素晴らしい!
相原⇒相川とか、自分のやらかしてたポカミスも色々修正済みで素敵です。

これ利用して、まとめwiki作成する方向に動いてしまってもよろしいでしょうか?
@wikiで大丈夫なんかな……
32名無しさん@ピンキー:2013/04/13(土) 22:09:17.07 ID:/eClcaA1
任せた
3330:2013/04/14(日) 01:02:14.02 ID:DJlteBGs
作者じゃない自分がおk出していいのか知らないけど、自分としては使ってもらって結構ですよ。
これまで投下された作者さん全員の中で、「自分のは使ってくれるな」という方がおられたら
(今でもここを見ておられたら)そういう方は拒否の意思表示をお願いいたします。
3430:2013/04/14(日) 01:04:29.00 ID:DJlteBGs
ちなみに自分はこれらのファイルのうちいくつかをMyKindleに送信して、iPadの
Kindleアプリで読んでたりします。
35 忍法帖【Lv=10,xxxPT】(1+0:8) :2013/04/14(日) 01:39:28.22 ID:hcZ/Isca
今回は ◆fYihcWFZ.c 様の作品だけまとめに載せれば良いのでは?
他の作者様のは、作者様が希望したら転記すれば良いでそ?
36 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/14(日) 13:00:23.75 ID:U0Lr775D
自分の作品だけなら、それこそブログ作ってそこに貼り付ければいいだけなんで、「まとめ」としては
正直いらないよな、って感覚です。

それこそ『偽装彼女』とか、それ以外の作品を読めるようにしたい、っていうのが思いですので。

今更過去作の作者が出てくる展開はないでしょうし。
(いらっしゃれば歓喜しますが)
37名無しさん@ピンキー:2013/04/16(火) 22:02:25.62 ID:twe/57RL
前の保管庫みたいに男×女とか書いてくれると嬉しい
http://megalodon.jp/2010-0517-1806-12/mywiki.jp/josouthread/%E5%A5%B3%E8%A3%85SS%20%E4%BF%9D%E7%AE%A1%E5%BA%AB/
38名無しさん@ピンキー:2013/04/16(火) 23:53:07.07 ID:7FGUao06
>>30
昔に投稿したのがあった
懐かしいなぁ・・・・・・
39名無しさん@ピンキー:2013/04/17(水) 06:39:42.91 ID:0i+Nm+3e
作者降臨
40 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/17(水) 20:12:09.69 ID:4ydYIlzU
少し話題を遮る形になりますが、第8話に投下し損ねた、『Symbolon』§21.5です。

良く分からないかたは、
「女装すると30代そこそこの美人に見える、実際には40代の2児の父親が、実の妻と娘から上下の口を
ペニバンで雌のように犯されるシーン」
 ということだけ了解していただければOKです。そういうのが苦手なかたは回避推奨。

あとSM色が強いので、そっちが苦手な方は読み飛ばしお願いします。
41 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/17(水) 20:13:30.55 ID:4ydYIlzU
『Symbolon』 §21.5・朝島慶子 1/4 2007/04/17(火)

 思いも寄らぬことになってしまった。
 奨められて女の格好になった時点で、今夜あたり、みちると久々にエッチできることは内
心期待していたけど、まさか実の娘も参戦(それも真昼から)することになるとは。
 使い込まれたと分かるペニバンを装着した娘が、怪しい瞳で私をじっと見つめている。

「……パパには、ひとつ恨みがあるの」
「こんな“父親”でごめんなさいね。いえ、今まで黙って隠していたことかしら。心当たり
がありすぎて、ひとつって言っても、どれか分からないの」
「そんなことじゃないの。……玲雄の肌って、父親譲りなのね。今まで真剣に見たことなかっ
たけど、これ絶対四十男の肌じゃないでしょ。どうして私にこの美肌遺伝子くれなかったの」

 流石に返答に困る私のお尻に、すっと指を差し伸べて当てがう。
 途端、視線ががくんと下がってびっくりする。
 一瞬後、腰が抜けたように脚から支える力がなくなり、お尻が床についたことを理解する。
 そしてそのあと、ようやく頭が、たった今自分のお尻に与えられた快楽を把握する。

「パパ、すっごい感度いいお尻持ってるのね」
「……慶子さん、そんなに気持ちよかったの?」
 返事しようとしても、ただ「あぅあぅ」という音にしかならない。

「あらあら。パパって随分可愛いのね。……“パパ”って感じじゃないな。慶子、って呼ん
であげる。私のことは、お姉さまって呼んでもいいわよ」
「お姉さまぁ」
 ようやく口が動き、そんな言葉を発する。自分でも信じられないくらい、甘えた声だった。

「慶子さん、やって欲しいことがあるなら、ちゃんと言ってみなさい?」
「お姉さまぁ。……もっと私のいやらしいお尻をいじめてください」
「……たったひと撫でで、慶子さん取られちゃったのね。なんて恐ろしい子なの」
 呆れるような、面白がるような、妬むような、からかうような口調でみちるが言う。

「そうね。この子をしゃぶってくれたら考えてあげる」
 そう言って目の前に突き出された擬似肉棒を、口に含む。でもそれはすでにご褒美だった。
 懐かしい感覚が蘇る。
 そっとそれを舌で嘗め回す。

「あら、意外に下手糞なのね。……まるで処女の女の子みたい。それじゃご褒美は無理よ?」
 嘲るような声の調子。フェラチオはそれなりに自信があるつもりだったのに、この子は一
体、どこでどんな経験を積んできたのだろう。
「わたしとやってる時には、いつもこんな感じだったんだけどね?」

「そっか、別にじらしているわけでもないんだ。……じゃあ、こっちからいくわね」
 かぶったウィッグごと頭をぐいっと掴み、力強く前後にゆすり始める。
 いきなり喉奥までぐいっとねじ込まれた硬い擬似亀頭に、ついえずきそうになる。嗚咽と
涙が止まらない。

 その惨めさに、久々に穿いた女物の下着の中、(不本意ながら)自分についている器官が
むくむくと自己主張し始めるのが分かる。
42 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/17(水) 20:14:49.83 ID:4ydYIlzU
『Symbolon』 §21.5・朝島慶子 2/4 2007/04/17(火)

「……口のほうはあんまり面白くないなあ。やっぱりお尻か。……慶子、立てる?」
 その言葉に、ベッドに手をつきながらよろよろと立ち上がる。
「さて。おしゃぶりの下手な慶子には、何か罰を考えてあげないとね。……そうだ。ママ、
アイマスクとか持ってる?」

「面白いこと考えるのね。んー。ちょっとないかな」
「じゃあ、テープでいいわ。持ってきて」
「はいはい。すぐに持ってくるわね」
 ペニバンをつけた全裸のみちるが部屋を退出し、すぐに布テープをもって戻ってくる。

「そのままベッドに上がって、膝をついて四つんばいになって。スカートをめくって」
 実の娘に命じられるまま、ワンピースの裾をたくしあげて自分のお尻を妻と娘の前にさら
け出す。その屈辱感に、鼓動が早まる。
「じゃあ、まずはペナルティその1。私の期待に添えないなら、次は口をふさいじゃうから」
 両目をふさぐ形で、布テープが化粧を済ませた顔に貼り付けられる。

 視覚を失い、回りが把握できない不安感に、全身の汗がにじんでくるのを感じる。
 女物の衣装を着て、きれいに化粧をして、ウィッグもつけてきちんと髪型をセットして、
そして実の娘に手荒に扱われる。
 ──その事実に、そう。私の身体はかつてないほどに性的な興奮を覚えていた。

 無言のまま、何の前触れもなく、私の下着が引き摺り下ろされる。
 私のお尻が、なぶるように撫でまわされるのを感じる。熱い吐息とともに、喘ぎ声が零れ
るのを止めることができない。

「慶子、きれいなお尻してるわね」
 しなやかな指先が、谷間の穴に再度触れる。先ほどとは違い、遮るものが何もない接触。
「あ、ぁ、あぁぁぁんっ!」
 そのあまりの快感に、背中が弓なりにしなる。腰がうねりはじめるのを止めようもない。

「やっぱりお尻は感度高いなあ。いやらしいお尻」
「でしょー? でも、あなたのテクニック凄いのねえ。わたしじゃ絶対こんなにならない」
 母と娘の、仲むつまじい茶飲み話のような会話。
 その話題の対象になっているのが自分であるという羞恥心に、全身がうずく。

「反応が丸分かりで面白いのね。慶子って随分マゾっ娘なんだ。苛められて喜ぶ娘なんだ」
「いやぁぁぁぁっ!」
 ぐりぐりぐりぐりと、私のあそこをこねくり回す指の力が強くなっていく。

「ほらほら、やって欲しいことがあればちゃんと言ってみてちょうだい?」
「おねがいしますぅぅっ! 私のはしたないケツマンコに、お姉さまのおちん○んをいれて
くださいぃぃぃぃっ!!」

「……あらあら。びっくり」
 あざけるような、呆れるような声の調子。
「でもね、いきなり最後のご褒美をねだるなんて、駄目すぎるわね。はい、ペナルティ2」
 口紅を塗った唇を覆って、布テープが貼られる。もう「ふごふご」としか声が出せない。
43 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/17(水) 20:16:27.39 ID:4ydYIlzU
『Symbolon』 §21.5・朝島慶子 3/4 2007/04/17(火)

「次のペナルティは……そうね、手首を縛ろうかしら」
「あなたどれだけ女王様なの。SMで食べていくつもり?」
「どこからも内定取れなかったらそうしよっかな。……ま、大丈夫だと思うけど」
 そんな会話を行いながらも、指を私のお尻の中に潜り込ませてくる。

「そういえば玲雄とやったときは、最後まで挿入を拒んでたんだけど、慶子はあっさり堕ち
たわね。どういう違いなんだろ」
「へぇ、あなた玲雄ともやったことあるの」
「うん……あれは……あんなつまらないことやらなきゃよかった」

「そうなの? 綺麗な身体してて、感度もよくって、良さそうに見えたけど」
 実の母と姉の会話として、それはどうななの……と思うけど、今はそんな言葉も発せない。
「プレイ中は最高だったんだけどね。今まで相手してきた中で、最高の『美少女』だったし。
でもそのあとの件まで含めると、色々トラウマ」

「そうなんだ」
「肌がつるっつるっでね、唇なんかプルプルでね、匂いもいいし、反応も可愛いし、顔も声
も仕草も女の子そのもので……それが今は俊彰といちゃついてるんだもんなあ」
「玲雄と、俊彰さん。あなたはどちらに嫉妬してるの?」
「もちろん、両方によ」

 声にわずかに、いらつきの響きが混じる。
 会話中ずっと私の体内を弄り回していた指先に力がこもり、前立腺を的確に責め立てる。
思わず『ところてん』状態で、私のアレの先から白い粘つく液体が零れる。
「ちょっと、早漏すぎ。ペナルティ3ね。次は……ママ、耳栓ってある?」

 娘の命令に従い、ベッドの上に座る。着ていたレディスのジャケットを脱がされて、ワン
ピースの袖を捲り上げられ、後ろ手に布テープでぐるぐると手首を巻かれる。
「色白いし、細いし、綺麗な手。……手タレだって出来そうね。羨ましい」
 そのまま上半身を押し倒され、顎から肩がベッドについた状態にされる。

「菜々華、ローションなんてつけずにそのまま突っ込んでしまって大丈夫よ?」
「へ?」
「触ってみて何も感じなかった? 慶子さん、もう濡れてるはずだけど」
 再度、私のお尻に指が押し当てられる。

「これは不覚。ウンコする穴なのに、確かにぬれてる。でもちょっと不安。滑りが悪いかも」
「そのくらい手荒に扱っても大丈夫よ。むしろこの人、そのほうが喜ぶから」
 菜々華のサディスティックな面がみちるにも感染し始めているような台詞。……いや、今
までセーブ側に回っていただけで、みちるは昔からこんな感じだった。

 ──私を立派なマゾ牝奴隷に堕としてしまうくらいには。

「ぅ、ふぐぅうううううっ?!」
 声にならない悲鳴が部屋に響く。いきなり奥深くまで、ペニバンの竿の部分をねじ込まれ
たからだ。
 数年間の間ご無沙汰していた痛み。でもそれが私の興奮を誘う。腰の動きが止まらない。
44 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/17(水) 20:18:34.99 ID:4ydYIlzU
『Symbolon』 §21.5・朝島慶子 4/4 2007/04/17(火)

 口で息が出来ない息苦しさも、今は悦びの一部でしかない。
 パン、パン、パンという音とともに私の直腸に、硬いまがいものの肉棒が打ちつけられる。
「慶子さん、なんだか不満そう。本物のお○んちんじゃないと満足できないの?」
 そんなこと微塵も考えていないのに、からかう声を投げられる。

「そっか。あなた、俊彰さんの立派なものを見て、物欲しそうにしてたもんね」
 そんなことしてない。いやいやと首を振るけど、この体勢だとそれも難しい。
「『違う』なら『違う』って言ってね。慶子さん、玲雄と俊彰さんの結婚を許可するの渋っ
てたけど、それは自分が俊彰さんと結婚したいなあ、って思ってたからでしょう」

「ひ……ひがっ」
 “違う”と言いたかったのに、もちろん、それは言葉にならない。
「『違う』って言わなかったわね。じゃあ図星なんだ」
「ママもなかなかやるわね……」

「菜々華、どうなの? 俊彰さんのお○んちんってどんな感じだった?」
「知らないわよ。あの人、私相手だと勃たなかったし。……今考えると、『女としての魅力』
で私、結局玲雄に惨敗だった、って意味なのか」
「クス……でも、それ正解かも」

「本当、失礼な話よね。それはそうと、息子の彼氏に色目使おうとした父親には──凄い話
ね──もちろん、ペナルティ4実行で。……次のペナルティはどうしよっかな」
「次は鼻ふさいじゃったら?」
「それ、息ができないんじゃ?」

「ここまでわたしたちの意志に反してしまうんだもの。それもしょうがないわよ」
「ふぐぅっ、ふぐぅっ」
 抗議の声も、当然言葉にならない。
「ほら、慶子さんだって同意してる」

「そっか、なら仕方ないわね。次は鼻をふさぐから注意してね」
 ぞくぞくするような冷たい響きに、思わず絶頂を迎えてしまう。
 ひくついている私の耳に、しっかりと耳栓がはめられる。ご丁寧に上から貼られる布テー
プ。視界は真っ暗で、耳には自分のこもった喘ぎ声と鼻での荒い息しか聞こえない。

 時間の感覚が曖昧になる。
 どれだけの時間、その状態でひたすら突かれていたのだろう。途中、挿入役をみちるに交
代したりもして、それでも挿入が続く。明日無事に仕事できるのだろうか?

 耳栓で音が聞こえないせいでどんな会話が交わされたのか知る由もないけど、突然腕のテー
プがはがされ、四つんばいにさせられる。続いてはがされる、口のテープ。
 ぜいぜいと息をする暇もなく、その口にペニバンが突っ込まれる。

 目隠しの下を涙で完全にぐしょぐしょにしつつ、上と下の口を突かれ続ける。
 実の妻と娘に牝の性奴隷のように扱われる。
 今後も、こういうプレイが続けばいいのになと思いつつ、快感と幸福感に包まれながら、
いつの間にか私の意識は途絶えていた。
45 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/17(水) 20:23:13.12 ID:4ydYIlzU
自分が暴走してもしょうがないので、「まとめ」について何か意見があれば是非にお願いします。
作ることになったとしても、実際に動けるのはGWだと思いますし。

>>38
おお(狂喜乱舞)。まさか本当にいらっしゃるとは。

「まとめ」については、どんなもんなのでしょう。
作るのに反対/どっちでも別に/作るのは賛成だけど、自分の作品は載せないで/普通に賛成
 あたりで言えばどのあたりになるのか、とか、何かご意見いただけると幸いです。
46名無しさん@ピンキー:2013/04/17(水) 21:22:51.25 ID:0i+Nm+3e
おお、ついにアレが来ましたか。眼福眼福
いいもん読ませてもらいました。GJ!
47名無しさん@ピンキー:2013/04/17(水) 21:24:37.74 ID:ue0tATaT
みんな喜ぶと思うよ。
なかなかスキルがないから応援しかできないけど
48名無しさん@ピンキー:2013/04/18(木) 00:47:04.55 ID:1czaf/s3
>>45
ざっとチェックした感じ、19と42かな?>投下作品
見落としはあるかもしれない

というか、「女にお尻を犯される男の子」の方に投下したのか
それともこっちに投下したか覚えてないものも多く
「立場交換スレ」建ててからは、基本的にあっちにしか投下してないからわかるんだけど


それはそれとしてGJであります!
やっぱり女装が似合うパパは娘に犯されてこそ、ですね!
49名無しさん@ピンキー:2013/04/18(木) 21:46:30.60 ID:WVTg99U/
>やっぱり女装が似合うパパは娘に犯されてこそ、ですね!

中年男性が強制的に全身整形を受けさせられて、(性器以外は)完全な美女になって息子に犯されるとか、
巨漢の息子に女装させられ、無理やり犯される小柄な父親。それが徐々に本当の愛情に変わっていくとか、
女装すると娘そっくりになる父親が、娘の彼氏と身代わりデート。いつしか互いに惹かれあってラブラブHとか、
厳格な父親が、振袖の美少女の姿で女中に犯されているシーンを偶然覗き見て、ドキドキしている娘とか、

そういうのは駄目でしょうか。
5048:2013/04/18(木) 23:17:56.23 ID:1czaf/s3
というか、肝心なこと書いてなかった
自分のはもちろん掲載OKであります

>>49
もちろんそれらもステキに決まっております
51 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/20(土) 09:20:49.61 ID:UPpHHF/W
コメント次第にどこに転がっていくのか作者でもまったく不明なこのシリーズ、>>22
拾わせていただきつつ、新エピソード開始です。今回も前・後編に分割。

『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-1 1/5

        <<俊也視点>>

「瀬野君、ちょっといいかな?」
 土曜ホームルーム終了後。帰宅しようとしたところに、クラスの女子達が押しかけてきた。
「これから僕、用事があるから、時間かからない話ならいいよ」
「あ、それならすぐに終わると思う。……これ、瀬野君でいいの?」

 差し出されたスマホの画面上で、動画が流れ出す。
 タキシード姿の少年と、その少年に似たブルーのイヴニングドレス姿の少女が交互に登場
し、色々なポーズを取っているCM画像。
「ああ、これもうオンエアされたんだ」

「じゃあ? じゃあ?!」
「おっと、瀬野。それ少し職員室でも話題になってたんだ。うちの学校、バイト禁止だぞ」
 いつの間にか担任や他の生徒もやってきて、ちょっとした人垣になっている。
「タキシードの子が僕じゃないか、って話ですよね? これ、僕の姉が男装してるんです」

「えぇ──っ? こんなにそっくりなのに?!」
「確か使用法が2つある商品の宣伝ってことで、タキシードの男装とドレス姿の2通りで撮
影した、って言ってたかな。……だからその人は、僕じゃないです」

「へぇ──そうなんだぁ。でもお姉ちゃんがCM出るなんて凄いよね。名前なんての?」
「瀬野悠里。何年か前から雑誌のモデルやってて、最近はテレビにも出てるみたい」
「あの人ってやっぱり瀬野君のお姉ちゃんなんだ。そうじゃないかって前から思ってたけど」
「聞かれたときには答えてたんだけどね。別に言って回ることじゃないし」

「何か、証明できるものはあるかな」
「姉の卒業アルバムを持ってきますよ。一応証拠になりますよね?」
「でもさ、お姉ちゃんが男装すると瀬野君そっくりってことは、瀬野君が女装すると、お姉
ちゃんそっくりになるってこと? あの人すっっっっっっっごい、美人だね?」
「うん、なるのかもね。女装してって言われても、する気はないけど」

「えぇ──もったいなーいー!!」「見てみたい見てみたい」「一度でいいから女装してー」
「駄目、駄目……じゃあ、僕、帰るよ」
 お姉ちゃんのサインをもらってくる約束とかさせられつつ、教室を後にする。
「……それはそうと、スマホの持ち込みも禁止だから、お前それ没収な」
「えっ? えぇ──っ?! おーぼーだぁ──っ!!」

 帰宅しながら、頭の中で自分の台詞を反芻。うん、嘘は言っていない。
 ──ドレス姿の“少女”が実は僕ということを、説明してないというだけで。
 2日がかりの撮影日、一日目の男装での撮影後。裸で制服姿のお義兄ちゃんと抱き合って、
ドレスでむき出しになる肩から腕に跡をつけて、結局僕が“悠里”として参加した二日目。

 モデルとしてはあるまじき行為なわけだけど、プロのメイクさんに本格的にしてもらった
化粧、綺麗な付け爪をしてもらった指先の優美さ、纏ったサテンシルクのドレスの滑らかさ、
高価なアクセサリの輝き、出来上がった映像上の『悠里』の姿の美しさ愛らしさ。
 結果的に僕が得られた『役得』を思い出すと、今でも鼓動が高まるのを止められない。
52 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/20(土) 09:21:58.59 ID:UPpHHF/W
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-1 2/5

「ただいまー」
「あ、俊也さん、おかえりなさい」「俊也、お帰り」
 家に戻ると、ややハスキーな甘い声と、甘ったるい匂いとが迎えてくれた。
 手早く着替えを済ませてダイニングに向かうと、可愛いエプロンをつけた“アキちゃん”
がにっこり微笑んで、改めて「おかえりなさい」と言ってくれる。

 食卓につき、出された昼食を食べる。
 今日はお父さんとお姉ちゃんが仕事で不在だから、母と兄と僕の、この3人で全員だ。
「あれ、2人とも、もう昼飯は食べたの?」
「うん。俊也さんが食べたらすぐに出発できるように、って、メイクの前に」

 撮影用ということで、いつもと違って濃い目の化粧。
 といってもケバい系でなく、アキちゃんの愛らしさを絶妙に引き出した可愛い系のメイク。
 前々から化粧栄えのする人だとは思っていたけど、ここまでとは思ってなかった。

「そのメイク、どうしたの?」
「んーとね」と、お姉ちゃんと僕が懇意にしている美容院の名前を挙げて、「そこの店長さ
んにやってもらったの」
「ああ、あの人プロのメイクで食べてける腕してるよね。流石に上手いなあ」

「だよね。だよね。あたしも早く、あの人の腕に追いつけるといいんだけどなぁ」
 ここ1ヶ月の間、何気に誰よりも『美の追求』に熱心な義兄だった。
 もともとうちの一家では最も余裕のあった時間を、メイクの練習や美容に注ぎ込み続けて
いる。女装に消極的なふりをして、自分を可愛く磨くことに余念がないのが面白い。

 特にメイクの腕は、『甘い点はまだ多いけど、私たちが抜かれる日もそんなに遠くないか
なぁ』と、お姉ちゃんが嬉しそうな表情で語っていたのを思い出す。
 ほんの2ヶ月前。最初にメイド服を着せたときにちらほらと見え隠れしていた違和感も、
今では余程注意してないと見つけることすら困難だ。

 昔僕がやらされたみたいに、自分が誰も男だと思ってない女の子たちに囲まれて、24時間
ずっと少女として1週間ほど過ごす生活を送らせてみたいなとも考えてみる。
 そのくらい、ごく自然に女の子している2つ年上の義理の兄。モデル業で美人/美少女に
接することの多い僕でも、表情がくるくる変わるたびについつい見蕩れてしまう。

「俊也さん、今日のあたしどうかな? おかしな所とかない?」
 僕の視線に気付いたのか、少し恥ずかしそうな表情でそんなことを聞いてくる。
「いや、アキちゃんとっても可愛いから、すっかり見蕩れてただけだよ。どこも変じゃない」

「うわあっ、ありがとう!!」
 無垢で無邪気で無防備な笑顔を満面に浮かべて、僕の言葉に凄く喜んでくれる。
 見ている僕も、なんだかつられて笑みが零れる。そんな素敵な笑顔だった。

 目の前で繰り広げられる、『息子』2人のそんな会話。
「そうそう、アキはわたしに似て美人なんだから、不安になることはないのよ?」
 世をはかなんで辞世の句でも詠みたくなる人もいそうな状況なのに、ニコニコしながら会
話に加わる、この義理の母親の動じなさに一種尊敬の念すら覚えてしまう。
53 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/20(土) 09:23:09.19 ID:UPpHHF/W
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-1 3/5

「じゃあ、2人とも頑張ってね……俊也、アキをお願いします」
 食事と支度を終えて、アキちゃんがお義母さんから包みを受け取って、2人で家を出る。

「アキちゃん、その包みは?」
「野菜たっぷりで、美容にも健康にもいいマフィンだって。今日、ちょっと時間が余ってね。
ママに教えてもらいながら作ってみたの」

 なるほど、帰宅したとき感じた甘い匂いの正体はこれなのか。
「あたしまともにお菓子作りしたのって初めてだから、美味しくできたか不安だけど。撮影
終わったら食べたいなぁ、って」
 しかしお姉ちゃん、お義兄ちゃんに女子力でもう完敗してるような気がしなくもない。

「僕にも食べさせてくれるかな?」
「もちろん! ……あ、まずあたしが食べてみて、それで美味しくなかったらバツで」
 指で小さく×印を作りながら、はにかんだ表情で言う。中身は大学2年の男だというのに、
仕草や表情がいちいち少女めいて可愛すぎた。

 フリルやレースの一杯ついたワンピースに、フリル付きのカーディガンの、ピンク一色の
装い。スカート丈は膝が覗く程度で、足首の締まった綺麗な生足がそこから伸びている。
 僕の学校の校則もあって、そんなに髪を長く伸ばせない僕たち姉弟。それよりもう長くなっ
た髪を、ショートカットの女性に見える感じにセットしてある。

 義母もそうなんだけど、アルビノが少し入っているんだろう。
 高校時代は黒く染めていた髪も今は蜂蜜色がかった茶色で、肌は陶磁器を思わせるほどの
滑らかな白さを帯び始めている。琥珀色にきらめく瞳の色が、すごく印象的だ。
 “女としては”彫りが深い顔立ちもあって、ハーフか、いっそ外国人の美少女のようだ。

 電車の車内でも、そんな可憐な姿は注目を集めまくっていた。
 純粋な容姿やスタイルならお姉ちゃんのほうが上なんだけど、それでも人を惹きつける雰
囲気は天成のものがある。

「今日のモデル、ってどんな感じでやればいいのかな」
「お姉ちゃんの撮影風景は何度も見学して知ってるよね? あんな感じ。まあ気楽にしてれ
ばいいよ。いつもの素敵なアキちゃんをみんなに見せてあげてね」

 今日はそもそも、お姉ちゃんに来た仕事だった。
 中華街でチャイナドレスのレンタルをやってる店の、広告用の写真のモデル。
 お姉ちゃんがやるには日程的に折り合いがつかなくて、“アキちゃん”が代理でモデル役
をやることになったという流れ。

 約10年前の“アキちゃん”時代、『彼女』はかなりモデルとしても経験を積まされていた
のだろう、というのというのがお姉ちゃんと僕の見解。
 最初にネコミミメイドの衣装を着せてみたときから、立ち方にも、動作にも、その名残が
強く残っていた。

 僕達が『モデルやらない?』と2人で何度も誘っていたのは、実はそういう要素も大きい。
 ようやくこれからその姿が見れると思うとかなり興味深かった。
54 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/20(土) 09:24:27.08 ID:UPpHHF/W
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-1 4/5

 土曜昼過ぎだけあって観光客で賑わう中華街を通り、目的のお店へ。

「あらまあ! すっごい美人さんたちだこと。代理、ってことでちょっと不安だったんだけ
ど、これなら十分以上に合格点。1人って話だったけど、2人なのね?」
 外見は貫禄たっぷりだけど、おネェの混じった中年男性の店長さんが歓迎してくれる。
 「僕はただの付き添いで、ついでに男です」と言うと、凄いがっかりしていたけれど。

 店長さんから撮影方針とか聞き出しながら、今日着る衣装などを選んでいく。
 服を替える度に、顔を輝かせて喜ぶアキちゃんの笑顔が眩しい。
 補正下着がはみ出したり、ラインが見えたりしない衣装を選ぶのは少し骨だったけど。

 少し遅れていたカメラさんも到着して、撮影開始。
「体を入り口に向けて、右手を腰に当てて、視線をこっちに向けて。──いい感じ、いい感
じ! アキちゃん。ここに今、一番好きな人がいると思って、最高の笑顔をちょうだい!」
 アキちゃんがカメラさんの声に従ってポーズを取り、喜びの表情を浮かべる。

 その瞬間、部屋の空気の色自体が変わったような気がした。
 カメラさんも見蕩れたのか少しの間静止したあと、シャッターを鳴らし始める。
 引き出しが多い。一つ一つの表情が魅力的だ。部屋の隅で見学しているだけなのに、すご
くワクワクしている自分を覚える。

 天衣無縫で無邪気な愛くるしさに、体の芯をぞくぞくさせるような妖艶さが混じる。
 その不思議なアンバランスさから目を離せない。
 今着ているピンク色で超ミニのチャイナドレスにそんな雰囲気が良く似合って、まるでア
キちゃんのためにあつらえたオーダーメイド品のように見えた。

 僕が学校に行ったあと、お姉ちゃんが補正下着とお義兄ちゃんの体を使って『女性の体』
を再現すべく、散々遊んだのだろうか。
 ここ一ヶ月の本人の美容の努力の賜物もあわさって、とてもこの薄いドレスの下に男の体
が隠れているとは思えない、見事な曲線美が形作られている。

 接着剤で胸に直接貼り付けた、乳首まである超リアルなBカップのフェイクバスト。アン
ダーバストの差があるから、衣装の上からだとDくらいあるように見える。
 今着てるドレスは胸の部分がちょっと小さくて、本来そこにない双つの丘が窮屈そうに納
まっているのも余計に色っぽい。

 コルセットで絞った、高い位置できゅっと括れたウエストのラインと、ヒップアップガー
ドルにパッドを入れて作った腰つきまでの、流れるようなラインがセクシーだ。
 下着が見えないぎりぎりの丈のスカートから覗く、引き締まった長い生足もなまめかしい。

 カメラさんの指示に従い、扇を持った腕を水平に指し伸ばす。
 肩からむき出しの、人形のパーツめいたすらりとして白い腕。指がそんなに華奢じゃない
のが残念だけど、女の手と言われて違和感を覚えるほどでもない。
 ドレスの色にぴったり合う、マニキュアの施されたピンク色の爪が綺麗だった。

 ちょっと条件が変わっていれば、この花のように可憐な美少女めいた義理の兄の代わりに、
僕がこのドレスを纏えていたのにと、嫉妬心が微かにうずくけれど。
55 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/20(土) 09:25:50.66 ID:UPpHHF/W
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-1 5/5

 赤い足首丈のドレス、黒くて長袖のドレス、短い袖付きで膝丈までの青いドレス、緑色の
アオザイ、中国の古典衣装、赤と金も眩しい中国の婚礼衣装etc.etc.
 準備していた衣装に次々と着替え、途中化粧直しを挟むくらいで息を付く間もなく撮影を
進めていく。

 ラスト、僕の提案で入れることになった、私服に戻って店内で衣装選びをしているシーン
まで終えて撮影を終える。
「アキちゃん、良かった!! 凄かった!! 可愛かった!!」
「本当?! ありがとう!!」

 思わず歓声を上げた僕の胸に笑顔で飛び込んできて、受け止めるのに一苦労。
 なんだか小さな女の子みたいな印象だったけど、中身は僕より重い男性なのだ。

 撤収作業をしているカメラさんを眺めながら腰掛け、休憩に入る。
「アキちゃん、本当におつかれさま」
 お店の人に出された冷えた烏龍茶をチューチュー飲む。そんな仕草さえ凄く女の子らしい。
「さて、作ってきたマフィンの出来はどうかな?」

 ぽむ、と掌をたたき、いそいそと包みを広げて一口サイズのマフィンをかじる。
「どう? おいしい? 僕も分けてもらえそう?」
「これなら……うん。なんとか大丈夫、かな?」

 少し不安の残る表情で、おずおずと差し出してくる。
 受け取って頬張ると、控えめな甘さが口の中でとろける。『お菓子作りが得意』って言っ
てるクラスの女子が作るのと、同じくらいの出来栄えだろうか。
 初めてでこれなら充分以上だろう。将来が楽しみになる味だった。

「うん、すごく美味しいよ。きめが細かくて、しっとりしてて。甘さもいい感じ」
「本当? 良かったぁ」
「もう一つ頂戴。……ありがとう。じゃあ、アキちゃん初仕事お疲れ様でした。あーんして」

 一瞬きょとん、としたあと、ピンク色に輝く艶やかな唇をあけて目をつぶってくれる。
 無邪気な姿に悪戯心が動いて、他のもの(僕の舌とか)を入れたくなったけど自制。
 渡してもらったマフィンを半分に割ってその口に入れ、残りを自分で食べる。

「本当なら僕が用意してたご褒美をあげるシーンだけど、そこまで気が回らなくてごめんね」
「ううん、すっごく嬉しい。……俊也さん、ありがと」
 そう言って返してくれた笑顔は、抱きしめて本当に唇を合わせたくなるくらい素敵だった。

「そういえば聞いてなかったけど、君たち恋人同士?」
 撮影終了直後から席を外していた店長さんが戻ってきて、僕たちに声をかけてきた。
「いえ、兄弟ですよ」
「へえ兄妹かあ。うちの子たち、顔を合わせるたびに喧嘩しかしてないから羨ましいわねェ」
 何か漢字が違っていたような気がしなくもない。

「あ、あたし今日、マフィンを作ってきたんです。よければみなさんもお一つどうでしょう?」
 皆で集まって、マフィンを食す。凄い好評で、僕もなんだか嬉しい気分になる。
56 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/20(土) 09:38:54.43 ID:UPpHHF/W
>>26
シリアス方面は避けるように試行錯誤してるところです。おかげで変態一家が量産されてる気もしますがご容赦を。
ママさんは『Symbolon』でやってしまったので、方向は変えるべきか悩むところです。

>>48 >>50
個人的お気に入りの一つ19の作者さん、更に「立場交換スレ」の設立者でしたか。
着替え風景を丹念に描き切る手法は見習いたいと思いつつ、§24レベルになってしまう筆力不足が恨めしい。
用鍛錬です。
(そして§24が2回あったことに今更気付く)
使用許可、ありがとうございます。
5722:2013/04/20(土) 13:43:48.86 ID:KWYJxZHp
新作キター
何気ない一言を書き込んだ者として、非常に嬉しいのであります。
58 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/21(日) 20:14:56.71 ID:YYKhPV/j
後半部投下ということで。

『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-2 1/6

 そのあと、スタッフ用のPCで撮影画像を確認する作業を少し見学させてもらう。
「わあっ!! これがあたしなんですね。こんな可愛く撮っていただけるなんて、ありがと
うございます! ドレスもすごい素敵で良かったです!!」
 ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶ様子が、なんだかとても可愛らしかった。

 報酬を受け取り、普段用にメイクを直したりしたあと、店を出て傘をさす。
「アキちゃん、今日はすごい良かったよ。百点満点で二百点あげて、ついでに花丸つけたく
なるくらい。どうかな。もっと本格的にモデルやる気はない?」

 僕の言葉に、考え込む様子のアキちゃん。
「ま、すぐに決める必要は全然ないから、気が向いたら声かけてよ。……で、どうしよっか。
このまま帰る? それとも遊んでいく?」
「俊也さんは、どうしたいの?」

「僕はね……うん決めた。これからアキちゃんとデートする!」
 少しぱらつく雨の中、相合傘で中華街を回りはじめる。
 昔はよく来ていた、でもここ暫く来ることのなかった懐かしい街並み。
(地元育ちなのに)ここに来るのは初めてというアキちゃんを案内しつつ、色々歩いてみる。

 ローズピンクのワンピースと、クリームピンクのカーディガンというピンクずくしの少女
らしい衣装と面差しは、この中華街だと少し浮いていたかもしれない。
 それが身長の高い、見事なスタイルの持ち主であるという不釣合いさもあって尚更に。

 身長172cmで60cmを切ってる今のウエストは、強く抱けば折れそうな印象を見る人に与える。
 僕と違って素の状態のヒップのラインは男のものだけど、そのウエストとの対比があると
“引き締まった美尻”に見える。
 巨乳というほどではないけど、充分豊かで形の綺麗な胸との対比もいい感じだ。
 いつもお姉ちゃんや僕自身が浴びるのとは少し種類の違う視線に、楽しい気分になる。


「あなた達、ちょっと良いかな?」
 そんな声に呼び止められたのは、小さな水族館を出たくらいだった。スカウトだろうか?
 デート中に声をかけるとは無粋な、と思いつつ声の主の顔を見て驚く。
「弓月摩耶、さん?」

「その名前で呼ばれるのも随分久しぶり。それも男の子で知ってる人がいるなんて」
 背が高くてスタイルがいいスーツ姿のその美人に誘われるまま、すぐ近くのカフェに入る。
「俊也さん、知ってるヒトなんですか?」
「えーっとね。……お姉ちゃんがモデルやってる雑誌で、昔読者モデルやってた人」

「よく知ってるのね。もう覚えてる人誰もいないと思ってた」
「もちろんですよ。弓月さんに憧れて、読者モデルに応募したんですから……えっと、僕の
姉の話なんですが」

 本当は、彼女に憧れて読者モデルに応募したのは、僕だったりするわけだけど。
 あのころはまだそんなに慣れてなかった女装をして、写真を撮って姉の名前で書類を作成。
書類選考を通ったらお姉ちゃんに面接に行ってもらう。今思えばかなり無茶をしたものだ。
59 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/21(日) 20:16:05.49 ID:YYKhPV/j
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-2 2/6

「あっ、あなたひょっとして瀬野悠里さんの弟さん?」
「はいそうです。瀬野俊也、っていいます」
「なるほど、道理でそっくり。なんで今まで気付かなかったんだろ、ってくらい」

「弓月さんって今、何をされてるんですか?」
「そうそう。それを忘れちゃお仕舞いよね。今はわたし、こんな感じ」
 渡された名刺を受け取って眺めてみる。
 
 ──『芸能プロダクション ○○事務所 山田瞳』
「山田瞳っていうのは?」
「それがわたしの本名。……わたし、モデルとして結局芽が出なくて、それでもこの業界に
いたくて、後進を育てたいなあ、ってお仕事」

「なるほど、そうなんですか。弓月さん、もっと活躍してるところ見たかったんですが」
「それよりわたし、あなた達が活躍しているところを見たいな。……どうかな。是非芸能界
入りして活躍して欲しい。わたし達がそのお手伝いできるなら嬉しいし」

 結局その場での回答は保留させてもらって、3人分の名刺をもらって別れる。
 正直僕自身の気分はかなり傾いていた。憧れだった人と一緒に働けるというのも大きいし、
初見で僕のことをきちんと男と認識して誘ってくれたのも、個人的にポイントが高かった。

「……あ、やっと思い出した。あの人一度だけ、会ったことがあるんだ」
「へえ、どこで?」
「甘ロリの格好で初めて外出して、初めて女子トイレに入ったとき、入り口で一緒になって」
 『袖振り合うも多生の縁』、だったか。そんな偶然。


 それからまた遊んで、少し早めの夕食まで食べて。中華街を出て駅へと歩く。
「今日はいっぱい遊んだね──このまま帰る? それともタワー登ってみる? それとも」
 通りすがりに見える建物に、つい意識を取られてしまう。
 僕の視線を追って、赤面するアキちゃん。

「ん。……お願いします」
 スルーして通りすぎそうになったとき、そんな呟きが聞こえた。
 少し戻って『御休憩』の看板の出た、その建物に入る。
 アキちゃんに先にシャワーを済ませてもらって、そのあと僕も浴室へ。

 ──ここから『僕』は、『私』になる。
 アキちゃんに恋しているのは『俊也』もなのに、その状態だと愛してもらえなくて、
『悠里お姉さま』でないといけない。それがなんだか、少し寂しい。

 体を拭いて、バスタオルを胸で巻いて外に出る。
 可愛い私の“妹”は、チャイナドレスに着替えて化粧をしているところだった。

「あっ、お帰りなさい悠里お姉さま」
 そう言って微笑んだ顔は、今日見たどの表情よりも素敵だった。
 思わずその身体を抱きしめ、ルージュを塗っている途中の唇に私の唇を重ね合わせる。
60 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/21(日) 20:17:25.03 ID:YYKhPV/j
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-2 3/6

「はむ……くちゅ……ちゅる……」
 ほんの1ヶ月前までは、ざらざらと乾燥して荒れ放題だった唇。それが今はとても滑らか
で柔らかで甘い感触に生まれ変わっている。
 その心地よさを、存分に楽しむ。

「悠里お姉さまぁ。……いきなりすぎますよぅ」
 とろけるような顔で、とろけた瞳で、とろけきった声色で、抗議するアキちゃん。
「アキちゃんが可愛すぎるからしょうがないでしょ。今日一日、私が我慢するのがどれだけ
大変だったか分かる?」

 そのまま続行したかったけど、もう一度我慢を重ねて身体を離し、荷物を漁る。
 ブラジャーをつけ、パッドを入れ、チャイナドレスを身に纏う。
 今日の仕事の報酬の一環としてもらった、レンタル落ちの衣装たち。
 俊也と父用のメンズチャイナ、母用のアオザイ、アキちゃんと私用のチャイナドレス。

 アキちゃんはそれ以外に、モデルのときに最初に着たピンクのチャイナドレスも店長さん
から特別にプレゼントしてもらって、今はそれを着ている。
 これはレンタル落ちでない、多分ほとんど新品のアイテム。

 他の服もそんなに状態は悪くない。真面目に購入した場合の値段と拘束時間を考えると、
破格と言っていい報酬かも。
 段取りもスムーズなほうだったし、カメラさんの腕もお店の人からの待遇も良かったし、
『いつもこんな感じだったら良かったのにな』と思わせるお仕事。

 花の刺繍入りの赤い超ミニのそのドレスを着て、アキちゃんに向き直る。
 完全に勃起状態の股間の先端が、裏地でこすれるのが変な気分だけど。
「悠里お姉さま、お化粧させてもらっていいですか?」
「うん、お願い♪」

 椅子に腰掛け、アキちゃんに自分の顔を委ねる。
 他人の操るパフや筆が幾度も撫でて、存在を塗り替えていく感覚が私は好きだ。
 メイクや衣装にあわせて、表情や仕草をどういう風に変えていくか、考えるのは楽しい。
 それで、相手の対応が変わるのを見るのも楽しい。

 他人にメイクを施すのは慣れてない……というかひょっとしたら初めてなのかも。
 決して上手とはいえない、たどたどしい手つきで、でも真剣な表情で、丁寧にメイクを進
めていくアキちゃん。
 そんな顔もまた、思わず抱きしめたくなるくらい愛らしかった。

 最後にグロスをルージュの上にさして、化粧の完成。
 どきりとするほど色っぽい、“女の色香”が漂う顔が鏡の中から見返してくる。
 まだまだ隙の多いメイクだけど、それもこれからの成長の余地を示していると思えば悪く
ない。

 でもそーか。アキちゃんは今、こういう相手をお望みなのか。
「どう……ですか?」
「とっても素敵ね。なんだか自分でもドキドキしてる」
61 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/21(日) 20:18:24.48 ID:YYKhPV/j
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-2 4/6

「お姉さま達には、全然敵いませんけどね」
「そりゃそうよ♪ これまでの経験が全然違うもの。
 アキちゃんも私達に追いつけるよう、もっと努力して、素敵な女の子になってね。
 ──私も簡単に追いつかれないよう、その上をいけるよう、もっともっとがんばるから♪」

 キラキラと輝く琥珀色の瞳で私を見つめる身体を抱き寄せ、ピンクの薔薇の蕾のような可
憐な唇に、真紅の薔薇の花のような私の唇を、再び重ね合わせる。

 口付けしたままベッドに上がり、ルージュとおそろいのチャイナドレスの色に包んだ身体
同士をぴったりと密着させて、しっかりと抱きあったままベッドの上二人ぐるぐると転がる。
 やがて私が上位の体制でストップ。互いの舌を絡ませあう、濃厚なキスを続ける。

 回した指の先で、シルクのドレスに包まれたアキちゃんの背中をくすぐるように弄ぶ。
 そのたびに、敏感に身もだえして応えてくれる可憐な少女。
 腰のうねりが大きくなり始める。その度に、チャイナドレスの下の私のおちん○んが、私
とアキちゃんのお腹に挟まれて刺激されて、大変な状態になってるのを覚える。

 複雑に絡ませあった脚が暴れだす。腰はもう、痙攣していると言っていい動き。
 綺麗にマスカラを塗った両目から、とめどなく涙が溢れ出ている。
 やがて、全身の筋肉が硬直したあと、だらりと力が抜ける。
 『アキちゃんはキスだけでイクから』と聞いてはいたけど、実際に目にすると圧巻だった。

 まだ呆けたような表情で喘ぎを漏らし続けているその顔に、首に、むき出しになった肩に、
二の腕に、キスの嵐を浴びせていく。
 全身紅潮し、チャイナドレスに負けず劣らず綺麗なピンク色になった、アキちゃんの白す
ぎるほどに白い肌。それを私の真紅のルージュで染め上げていくように。

「はぁっ、ぁぁぁあん! はぁぁんっ!」
 さっきイったばっかりなのに、また身もだえを始める。
 まるで、全身が性感帯と化したような反応。
 あまりの愛らしさにぎゅっと抱きしめると、その感触だけでまた絶頂を迎えてくれる。

「本当、アキちゃんってなんでこんなに可愛らしいのかしら」
 思わずこぼした言葉。私の作り物の胸に顔をうずめて、わんわんと泣いてそれに応える。
「ゆ、悠里お姉さまぁ。お姉さまぁ……悠里お姉さまぁ……」
「はいはい、アキちゃん♪ ……私の、とってもとっても大事な大事なアキちゃん」

 しばらくその状態を続けたあと身体を下に移動させ、チャイナドレスをめくってアキちゃ
んの、陰毛のないつるりとした股間に顔をうずめる。
 タックで作成した、まがいものの割れ目が面前にある。その割れ目に向かって、たっぷり
と唾液を含ませた舌を伸ばし、ちろちろと舐めあげる。

 ここは感じやすい神経の集中する場所なだけに、反応は今までの比じゃなかった。
 もう絶叫としかいいようがない嬌声が部屋に満ち溢れる。
 腰や脚があばれまくって、腕もなんだか痙攣するような動きを繰り返して、体勢を保つだ
けでやっとの状態。
 今アキちゃんの脳内はどんな状態なのだろう? 私はこんなにイけないだけに嫉妬が疼く。
62 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/21(日) 20:20:15.02 ID:YYKhPV/j
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-2 5/6

 指先でそっと、アキちゃんのすぼまりをなであげる。
 愛液が溢れ出すお○んこのように、腸液でぬちゃぬちゃ状態のその穴。
 軽く力を入れたつもりすらないのに、私の指先はその秘孔にずぶずぶと飲み込まれていく。

 中は火傷しそうなくらい熱くて、トロトロの柔らかい肉が複雑に指先に絡みついてくる。
 括約筋でぎゅっと絞られた指が、折れそうなくらいの圧迫感を感じてあわてて抜きさる。
「ゆ……悠里お姉さまぁっ。ぬい、抜いちゃ嫌ですぅ。もっと奥にぃ」
 息も絶え絶え、という様子なのに、涙目のままそんな懇願をしてくる。

「ごめんね。……でも指はこれ以上は無理かな。締め付けがきつすぎて、折れちゃいそう」
「そっ、そんなぁっ?!」
「だ・か・ら、本物を入れてあげる♪ アキちゃんが、今日一日可愛かったご褒美♪」
「ゆーりおねえさまぁっ!!」

 ピンクのチャイナドレスに包まれた肢体全部を使って、熱烈にハグしてきたりする。
「ちょっ! アキちゃん力緩めて! これじゃ挿入できない!」
 私よりずっと力が強くて、痣にならないか不安になるほど。身動きすらできない状態で、
体勢を整えることもできない。

 力を緩めてくれた隙を縫って、正常位に持ち込む。
「アキちゃん、挿れるわよ?」
 という私の呼びかけに、歓喜に満ち溢れた表情でコクコクとうなずきを返してくれる。

「アキちゃんって、本当にお○んちんが好きなのね?」
「うん、だぁい好き……やっぱりエッチな子はダメなの? ……あたし、嫌われちゃうの?」
「大丈夫。私、そんなアキちゃんが、大好きで大好きでたまらないのっ!」
「アキ、こんなにインランで、いけない子なのに?」
「淫乱でエッチな娘“だから”いいのっ! そんなアキちゃん“だから”大好きなのっ!!」

 今はコルセットをつけてないけど、その状態でもこのチャイナドレスがなんとか着れるま
でくびれが出てきたウエスト。
 そのウエストを両手で掴み、今日一日溜め込んだ本心を大声で吐き出しながら一気に挿入
する。

「はぁぁああああぁあんっっ!!」
 身体を大きく弓なりにしならせて、そんな悲鳴とも絶叫ともつかない嬌声をあげる。
 比較対象の知識に乏しいから良く分からないけど、これまで世界で一番気持ちいいと思っ
てきた、“もう一人の悠里”のおマ○コの数千倍もの快感が襲い掛かる。

「くうっ……かはっ……アキっ、アキちゃん気持ちよすぎっ!」
 ぎゅいぎゅいと、物凄い力で圧迫がかかる。
 ぬめりを帯びた、腸内の熱い肉壁と粘膜と襞々とが、複雑に絡み付き、吸い付いてくる。

 最初に結ばれて以来、オナニーの度にこれしか思い浮かばなってしまっている、まるで麻
薬のような快感。
 アキちゃん以外のお尻は私は知らないけど、たぶん普通のアナルセックスではありえない
そんな快感に、まだ身体を動かしてもないのに一瞬で放出してしまう。
63 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/21(日) 20:21:25.99 ID:YYKhPV/j
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-2 6/6

(やっちゃった……)
 幾らなんでも早漏すぎるだろうと、私自身に呆れる。
 アキちゃんと、萎えてしまった私のモノに内心謝りつつ、引き抜……こうとしたけれども、
いつの間にか私の身体に絡みつくように回されていた、アキちゃんの脚が許してくれない。

 意識的なものか、無意識によるものか分からない、その脚と腰の動きに導かれるままに私
自身、腰を振る。
 萎えた状態でも、括約筋だけではない、直腸全体から締め付けられるような感覚は減って
いない。どんな素質があれば、どんな鍛錬を重ねれば、こんな魔性が生まれるのだろう。

 真下を見る。
 赤いチャイナドレスに包まれた、偽物の双丘が激しく上下しているのが見えるだけで、接
合部の状態は見えない。

 この部屋に大きな鏡がなくて、今の自分の姿が見れないことを残念に思う。
 世界で一番好きだった、今でも世界で二番目に好きな『瀬野悠里』の美しい姿。
 他の有名なモデルや芸能人と並んでも少しも見劣りすることのない、(ちょっと大げさに
言えば)絶世の美少女。そんな少女と自分が“一緒”になれるという陶酔感、高揚感。

 “アキちゃん”が愛しているのは、その『瀬野悠里』ただ一人。
 それでも『僕』が『私』でいる間は、『悠里お姉さま』として愛してもらえる。
 そしてこの絶妙なる名器を味わえるのは、世界でただ一人、『私』だけの特権。そう思え
ば、今までとは異なる高揚感が押し寄せてくるのを覚える。

 アキちゃんのその穴の中に納まり続けていた私のモノも、いつしか力を取り戻してきた。
 いつの間にか剥けた状態になっていた私の亀頭に、まるでミミズのような襞々がからみつ
いてきつく締め上げてくる。
 精液と腸液が交じり合った液体でぬめぬめの直腸全体が、私の竿の部分全体を絞りこむ。
 「もう離さない」とばかりに、私のモノが奥に奥にと吸い込まれていくような感覚。

 気を抜けば一瞬で再度の射精に至りそうな快感に逆らって、大きく腰を振り始める。
 そのたびに嬌声で応えてくれる、ピンク色のチャイナドレスの美少女。
 どのくらいの時間そうしたのだろう。
 私の射精と同時に、ひときわ大きな嬌声をあげて、すべての力が全身から消滅した。


 ぐったりと意識を失い、ベッドで静かに息を立てるアキちゃんの髪を撫でつつ思う。
 『失神にいたるほどの快感』というのは、一体どういうものなのだろう?
 あまりの快感に脳内で処理しきれなくなって、頭のヒューズが飛んでしまってシャットダ
ウンされるような状況。それほどの快楽。

 いつか自分もそれを味わってみたいと思ったところに、フロントから電話がかかってくる。
『御休憩』を『御宿泊』に変えてもらって、次はお姉ちゃんに電話を入れる。
 お姉ちゃんがここに到着するか、アキちゃんが目を覚ましたら第二ラウンドだ。

 どんなプレイにしようかと考えつつベッドに横になり、この愛しい愛しい存在を後ろから
抱っこする。それまではこのまま、しばしの休息を楽しもう。
64名無しさん@ピンキー:2013/04/21(日) 22:45:38.61 ID:tvdocLwT
いいねいいねー
65名無しさん@ピンキー:2013/04/22(月) 00:11:10.25 ID:Daaqv7tC
ぐはぁ!最高だぁ!!

三姉妹(?)でブライダルファッションショーの花嫁モデルでウェディングドレス姿とかあったら、
間違いなく死ねる(爆
66名無しさん@ピンキー:2013/04/24(水) 19:03:02.57 ID:SAilUX4F
弟君の学校の学園祭で、姉と義姉(♂)の舞台を行うのはいかがでしょ?
服の選び方とか化粧とかファッションショーとか

同じ組の皆さんはお姉さんの学校アルバムで説明できますが、他の、全教職員、そして、全校生徒の前で姉と美少女義兄を紹介してしまえば、卒業まてモデルのアルバイトを疑われなくなると思います。



お姉ちゃんの花婿さんに義兄・弟の花嫁さん、とかを披露するもよし。
和服と洋服で。

ついでに秘密に一部の女生徒だけを集めて、初夜ごっこを披露するとか?
67 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/27(土) 15:45:40.97 ID:32TKd2wO
まだまだ作業途中ですがまとめwiki 立ち上げました
http://www55.atwiki.jp/jososs/

まとめのないorなくなった他スレの女装SSとかもフォローしたいな、と考えて広くとってみましたが。
ご意見・誤り指摘・要望等ありましたら、是非に。
68名無しさん@ピンキー:2013/04/27(土) 15:54:19.84 ID:raaI6NRm
乙です
69 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/27(土) 16:02:52.57 ID:32TKd2wO
>>65
ブライダルファッションショー、いいですねえ。
ただあの手のショーの裏側調べてみると、下着丸出しで着替えまくる戦場みたいな状況っぽいので、
どういうシチュにするか悩んでみたりするところです。

>>66
そのシチュエーションなのですが、「三姉妹モデル」ってことですので意味が薄くなってしまうのかなあ、
とBパートほぼ書き上げた状況で困ってみたりしております。
魅惑的なご提案なので、なんとか取り込みたいとは思いますが。
7030:2013/04/27(土) 20:04:12.59 ID:ip9hIZ5I
wiki乙です。
ここまで分類されてると実に捜しやすいなあと実感。
7148:2013/04/27(土) 21:29:15.10 ID:r3IZ3zRA
>>69
wiki乙であります

自分でも書いたことを忘れてたやつをちゃんと分類してもらってたのにはびっくりしてます
72名無しさん@ピンキー:2013/04/27(土) 22:39:28.84 ID:L7P2iLP5
まとめ乙
wiki連絡用メールアドレスって無いの?
73 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/28(日) 01:23:03.40 ID:obTL40QO
ようやく掲載がひと段落しました。手間取って申し訳ないです。
30氏には多大なる感謝を。思いっきり助けられました。

>>72
右上の「ログイン」から、ユーザ名「joso」パスワード「joso」でログインして編集可能になりますので、
何かおかしな箇所を見つけられたかたは、直接修正頂ければ幸いです。
もちろん、ここに書いていただかれば可能な限り対応します。

左上の「ツール」の「このウィキの管理者に連絡」で、私宛てのメール送付が可能みたいです。
ただ、毎日50件くらいスパムが届くため見落としてしまう可能性がありますので、非公開にしたい
話でなければ、このスレに書き込んでいただくのが確実かなと思います。

自分のサイトで投稿文章を掲載されているお二方(【】の人と、KCA氏)の扱いはこれでよいかどうか。
追って確認いたします。
74名無しさん@ピンキー:2013/04/28(日) 01:41:28.06 ID:H9lRhm1q
【】の人って女装SS総合と立場交換スレでは示す人が違うのか
はじめて知った
75 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/28(日) 10:34:30.96 ID:obTL40QO
『とりかへばや?』の作者を“【】の人”としたのはご本人のサイトの記載に従ったのですが、
立場交換スレでの“【】の人”とは確かに別の方ですねえ。
言われて確認してみて、びっくりしてしまいました。

注釈追加してみたのですが、こんな感じでも大丈夫でしょうか。
76KCA:2013/04/28(日) 13:10:45.17 ID:/Kzahi6E
まとめwiki乙です。
別項目に挙げられてますが、以下も実は私の書いたものです。

ヒメガミ(非・女神)
誰が為の幸せ
禍福は糾える縄の如し
影武者姫

あと「信じて送り出した可愛い弟が、リア充男の娘になって恋人(♂)と共に帰宅した件」もですが……これは、まぁ小ネタのところでよいかな。
77 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/28(日) 13:26:07.29 ID:obTL40QO
わざわざご丁寧に痛み入ります。訂正しておきました。
78 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/29(月) 15:28:41.26 ID:8sF6b9P4
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-3(おまけ) 1/4

        <<柊朋美視点>>

「……うわぁ」
 妹の久美が、店の入り口を見つめたまま、うっとりした表情で賛嘆の声をもらした。
 店内の他のお客さんも、かなりの割合で同じ感じだ。
 わたしも釣られて、同じように入り口のほうを向いてみる。

 何かのロケなのだろうか?
 ため息をつきたくなるような美男美女5人連れがお店に入ってきて──そしてウェイトレ
スさんに案内されるまま、何の導きなのかわたし達のすぐ隣の席にやってくる。
 座る動作すらとっても優雅で、思わず見惚れてしまう。

 うち2人はたぶん双子なのだろう。ガーネットと黒曜石のような色彩の、色と柄だけが違
う同じデザインのチャイナドレスに身を包んだ、瓜二つの究極美少女たち。
 ドレスの裾は足首までだけど、腰まで入ったスリットから見事な脚線美を描く生足が覗い
ている。

 ノースリーブの肩からむき出しになった腕も、余分な肉が一切付いてなくてすごく綺麗。
 手足がびっくりするほど長い。身長の半分より股下のほうが長そうだ。
 ほっそりとして、頭もありえないくらい小さい。目測9頭身美人。
 1人でもアトラクティブなそんな美少女が、2人もいるのだ。目を引かないわけがない。

「こりゃ、やっぱり目立っちゃってるねえ」
 たぶん彼女たちの父親なのだろう。
 一行の黒一点の、アメシストの色のメンズチャイナを着た男性が飄々と面白そうに言う。
 スマートで背が高く、少し童顔の入ったハンサムな顔には、確かに彼女たちの面影がある。

「わたしだけ、なんか浮いてる感じで嫌かも」
 サファイアのような色合いのアオザイを着た女性が、笑顔でそんなことを言っている。
 一行では一番小柄な、女優だと言われたら納得しそうな美人。
 茶色の髪をシニョンでまとめた、色白で灰瑪瑙の瞳をした大人の女性。
 肌も綺麗で、多分20代半ばか、いって後半くらいだろうか。

 あからさまに見蕩れすぎていたわたしに向かって、最後の1人がはにかんだ笑顔を向ける。
 とたんにドキリと高鳴るわたしの心臓。
 その瞬間から、あれだけ魅力的だった双子? も意識から離れて、彼女の姿から目をそら
せなくなる。

 超ミニでピンク色の、珊瑚を削って作ったみたいなチャイナドレスに身を包んだ少女だ。
 アラバスターのような、白くてつややかな手足がドレスからすんなりと伸びている。
 中に内臓が入ってるのか疑問に思うくらい細いウエストと、ドレスのヒップが余り気味な
小ぶりなお尻。それなのに豊かな胸が、窮屈そうに自己主張している。

 スタイルも見事で背も高いし顔立ちも整ってるのに、表情や仕草を見ていると、妙にあど
けない感じがする、そんな不思議な、人形めいた美少女。
 アオザイの女性のたぶん妹なのだろう。顔立ちが似ている。
 ハーフなのか色素の薄い大きな瞳が、琥珀の色で輝いているのがとても印象的だった。
79 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/29(月) 15:29:12.10 ID:8sF6b9P4
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-3(おまけ) 2/4

「ね、ね、お姉ちゃん──ねえってば」
 ほっぺたをプニプニと突っつかれる感覚に、やっと我に返る。
「うん、ごめん。久美。何?」
「お姉ちゃん、ぼけっとしすぎ。……あれ、ひょっとして瀬野悠里って人?」

 瀬野悠里。
 言われてみればその通りだ。
 クラスメイトの瀬野君の、姉というモデルさん。
 以前クラスで話題になってからチェックし始めて、今ではすっかりファンになってた人。
 赤と黒、どっちか分からないけど、双子? のうち片方は悠里さんに違いなさそう。

「……そっか。そうだね。言われないと気付かないのは不覚だったけど」
「どうする? 声かけてサインもらっちゃう?」
「そんな、悪いよ」
 それにもし、これが何かの撮影中だったりしたら目も当てられないし。

 でも。あれ?
 その時のクラスでの会話を思い出す。ひょっとして、悠里さんとそっくりなもう1人は、
実は瀬野君の女装だったりするのだろうか。
 もう一度まじまじと2人を見直してみるけど、とてもそうは思えない。
 身体のラインから美貌まで、どこからどう見ても超美少女以外のなにものでもない。

「瀬野君?」
 少し勇気を出して、小声で呟いてみる。
 反応したのは、でも推定双子のどちらでもなくて、メンズチャイナの男の人だった。
「うん。僕は瀬野だけど……呼んだかな?」

 人の緊張を溶かすような柔らかな声。
「あっ、いいえ。そうじゃなくて。……そうじゃなくて、わたしのクラスメイトに似た人が
いたので」
 いつの間にか会話を止めて、わたしのほうを見ているご一行様。
 今すぐ消え去りたいような気分。

「あっ、ひょっとしてあなた、俊也のクラスのかた?」
 アオザイのお姉さんが手を叩いて、嬉しそうにそんなことを言う。
 瀬野俊也……うん、確かに瀬野君のフルネームはそうだったはず。
「はい、わたし瀬野君のクラスメイトで……柊朋美っていいます。こちらが妹の久美」

「なるほどね。俊也も来てれば良かったのに」
「そうよねー。……朋美さんごめんなさい、今日は俊也はいないの」
 赤と黒の美少女2人が、煙水晶のような瞳で見つめて、代わる代わるわたしに言ってくる。
 実は片方が女装した瀬野君というショックな状況じゃなかったと、内心ほっとしてみる。

「そういえばさっき、お姉さまの名前呼んでましたよね?」
 ピンクのチャイナドレスの女の子が、少し低めの甘い声で久美に聞いてくる。
 もっと高い声の持ち主だと思っていただけに少し意外だけど、でもいつまでも聞いていた
くなるような、一種癖になりそうな不思議な声色だった。
80 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/29(月) 15:29:37.34 ID:8sF6b9P4
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-3(おまけ) 3/4

「お姉さま、って?」
「瀬野悠里」
 怪訝な顔で聞き返す妹に、女の子が笑いながらその名前を呼ぶ。
「あっ、聞こえてたんですか。ごめんなさい。お姉ちゃんがファンなもんなんで」

「ありがとー。一応、私が悠里です。どう? サインか何か書こっか。今、書くもの何も持っ
てきてないけど」
 黒いチャイナドレスの美少女が、笑顔でそんなことを聞いてくる。
 慌てて手帳とペンを差し出すと、わたしと妹の分のサインをさらさらと書いてくれる。

「あと私が瀬野愛里ね。悠里の双子の妹で、──聞いてるかどうか知らないけど、私たち、
俊也の実の姉です。……俊也の女装とか、そんなことはないのよ?」
「あうあうあう……ごめんなさい」
 顔から火が吹き出そうな気分。

「あの、皆さんどういう繋がりなんでしょう?」
 妹の物怖じしない性格が羨ましい。
「私と悠里が双子の姉妹。この子がアキちゃん。血は繋がってないけど、私たちの可愛い可
愛い大切な妹」

 その言葉に目を細め、くすぐったそうに幸せそうに微笑むピンクの少女──“アキちゃん”。
 確かに可愛い。可愛すぎだ。
「これが哲也パパ。私達の実の父親。そしてラスト、その再婚相手の純子ママって一家です」
 とすると、アキちゃんと純子さんは姉妹じゃなくて母娘なのか。少し意外。

「今日は珍しくみんなの休日があってね。中華街でゆっくりしようって来てみたんだけど」
「この前、たまたまチャイナ服を全員分手に入れる機会があってね。で、ついでだからそ
れをみんなで着てみよう、って話になって」
「わたし、何かのロケかと思いました。どこにカメラがあるの? って、探しちゃったし」

 色々話してる最中、ウェイトレスさんが瀬野君一家のところに料理を運んできた。
 久美はまだ話したそうにしてたけど、流石に悪いと自分達の昼食に戻ることにする。

「──朋美さん。俊也のことを今後ともよろしくお願いするね」
 それぞれの食事に戻る前、柔らかな声色で、目を細めて、そうわたしに言ってくるパパ氏。
「あっ! はいっ! こちらこそよろしくお願いしますっ!」
 思わず大声で返事して、店のお客さんの注目を浴びて赤面してみたりしたけれども。

 二人もくもくと食事を終えて、店を出たところで同時にため息をつく。
「あんな美形一家っているもんなんだねえ。お父さんもすっごいイケメンでファンになりそ。
お姉ちゃんのクラスメイトって人も、あんな感じなの?」
「瀬野君はパパさんじゃなくって、悠里さんそっくり……かな。多分お化粧すれば見分けつ
かないくらいだと思う。男の子にこの言葉使うのは変かもだけど、綺麗な人だよ……」

 今でも目を閉じるとありありと思い出せる、ジュエリーボックスの中の宝石のような一家。
 でもわたしの胸に一番印象に残ったのは、悠里さん達ではなく、アキちゃんの笑顔だった。
 まるで恋に落ちたかのように、いつまでもドキドキが続いていた。
81 ◆fYihcWFZ.c :2013/04/29(月) 15:29:58.13 ID:8sF6b9P4
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々A-3(おまけ) 4/4

        <<雅明視点>>

(──雅明、おつかれさま)
 着替えに使わせてもらった、例のチャイナドレスレンタルショップの更衣スペース。
 そこにどうにかこうにかたどり着いた俺の脳内に、面白がるような声が形作られる。
「殺せ……いっそ一思いに殺してくれ……」傍から見てれば独り言の、そんな呟きを漏らす。

 いつかやられるんじゃないかと怖れていた、
『アキモードで可愛い女装したあと、雅明モードに意識を切り替えさせられる』羞恥プレイ。
 今日、こんな形でさせられるとは。

 ありえないくらい露出度の高い、ピンクのチャイナドレスを着て人の多い中華街を回る。
 俊也のクラスメイトだけならともかく、俺の知り合いに遭遇したときは心臓が止まるかと
思った。気付かれなかったようなのは助かったけど。

 今まで押し隠してきた羞恥心が一気にぶり返し、このまま自殺しようかとすら思えてくる。
(せめて、チャイナドレスから着替えたあとにしたほうがいいよ?)
 うるさい。

(でも、雅明喜んでたしなあ。本当はあたしが遊びたかったのに譲ってあげたんだからね?)
「……」
 無心にして、回答を与えないようにしてみる。
 所詮は同じ人物、互いの心は手に取るように分かってる。無意味な努力なんだけど。

 19歳の男なのに、可愛いチャイナドレスを着て、女の子のふりをして喜んでいる。
 認めてしまったら人生終わりな気がひしひしとした。

「アキちゃん、大丈夫?」
「ちょうどいいや……コルセットの紐緩めて……」
 カーテンをあけて、黒いチャイナドレスの姿のままの俊也が入ってきた。

「緩めるだけでいいの? 外したほうがよくない?」
 そんなことを言いながら紐を緩めてくれる。やっと呼吸が楽になる。
「まあ、この状態ならそんなに素と変わりないし、外すと持ち歩くのに邪魔だから」
「コルセットが苦しいのは私も思い知ってるから、きついときは遠慮なく言ってね」

 その言葉をありがたくもらいつつ、着替えを取り出す。これまたまっピンクなブラウスに、
白いミニのチュールスカートのセット。ため息をつきつつ袖を通し、鏡を見て自分を確認。
 うん、可愛い☆

(……って。おい、アキ。思考に割り込まないで)
(言いがかりだー。ぶーぶー。自分が可愛いと思ったのは雅明のくせにー)
 無心無心。

 化粧スペースでチークと口紅とグロスを付け直して、鏡の中の自分にウィンク。
 チャイナドレスよりは露出の低い衣装に、少し落ち着いた気分になる。
 ……なんだか順調に、俺の女装調教が進んでいる気がするのが怖かった。
82名無しさん@ピンキー:2013/04/29(月) 17:46:45.94 ID:849lPnpb
わーい更新があった♪
Wiki作成で忙しくてこの週末(まあ1日過ぎてますけど、連休だから無問題)の
更新は無いかと思ってたので非常にうれしいです。
いや、アキちゃんが順調に染まっているようでなにより(爆
83名無しさん@ピンキー:2013/04/29(月) 20:27:24.16 ID:Nadq9vxd
>>81
wikiの更新、そしてSS投下GJであります

そうか、自分ってこの鳥使ってたのか、と
84名無しさん@ピンキー:2013/05/02(木) 21:50:52.58 ID:SGRe1W6d
>>69
ブライダルファッションショーのとき、下着丸出しで胸が出てしまうのが問題なら、
これでいいんでは?
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm6542400

もしくはこっちか。
ttp://www7a.biglobe.ne.jp/~love-breast/index.html
85名無しさん@ピンキー:2013/05/02(木) 23:41:30.22 ID:9GGgQmZg
ドキッ!男の子だらけのウェディングドレスショー

という電波を受信した
受信しただけだが
86名無しさん@ピンキー:2013/05/04(土) 14:27:08.99 ID:73jDHqTq
>>85
作文出来るように、少し詳しく書いて。

その書き方だと、
見学者が若年層の男
と言う意味に読める。
87名無しさん@ピンキー:2013/05/04(土) 14:33:13.65 ID:73jDHqTq
捕捉

若年層の男の人が
結婚相手の女の人に着せる
ウェディング・ドレス
の展示
と言う意味に受け取れる

と言うことですよ。
『男の子』ですから。
88名無しさん@ピンキー:2013/05/05(日) 17:21:45.26 ID:Q/IPMD5n
>>86-87
>>85じゃないんだけど、自分自身でこのスレ向けの補正をかけて読む事ってできない?
俺は>>85の書き込みで充分男の娘モデルで一杯のブライダルファッションショーと解釈できたけど。
89名無しさん@ピンキー:2013/05/05(日) 19:43:10.13 ID:Y5IQ2AvV
いやむしろ、「男の娘」じゃなくてあえて「男の子」と表記することで、

「本当は女装なんてまっぴら、ウェディングドレスなんて着たくもない。それなのにウェディングドレスを着て、
自分が男だとばれないように振舞って、女の子として扱われなければいけない少年達によるドレスショー」

まで意図してると読み取ったが。
90名無しさん@ピンキー:2013/05/07(火) 23:55:21.73 ID:h/8JDFq2
>>89
深読みし過ぎ
それもまた妄想力のなせる業か
91名無しさん@ピンキー:2013/05/08(水) 00:02:47.49 ID:lwwf0P8k
妄想したっていいじゃない!

普段から女装している男の娘がウェディングドレス着るよりも、
普通の男の子が着る方がなんとなく背徳感があって萌える
92名無しさん@ピンキー:2013/05/08(水) 12:44:27.92 ID:HsZNellf
妄想、深読み、などから短文、作文、SS、などを書いて欲しいです。

どうして、そう言う会場に誘拐されたのか
とか、
着たら、どういう風に代わったか
とか
93名無しさん@ピンキー:2013/05/10(金) 21:19:16.77 ID:l3wEdYZR
2013年06月25日発売予定のわぁい表紙が、男の子がウェディング・ドレスを着ている絵ですよ。

わぁい!
94名無しさん@ピンキー:2013/05/10(金) 23:58:43.44 ID:1dF/sQjF
男の娘だったりショタが女装するのは世間的にかなり受け入れられているけど
おじさんが女装する話になると特殊な腐女子向けジャンルに思えてくるのは気のせいか
よくカップリングで新郎新婦コスでおじさんキャラがウェディングドレス着てるの見かける
95名無しさん@ピンキー:2013/05/11(土) 00:01:53.42 ID:TrhjIfHX
>>94
40過ぎのおじさんが好きで好きでたまらない16歳ぐらいの女の子(腐女子)が
結婚式で「腐女子の夢」をかなえるため
自分がタキシードを着ておじさんにウェディングドレスを着させて挙式

という電波がどこからともなく
96名無しさん@ピンキー:2013/05/11(土) 12:36:59.96 ID:kd7KnB+T
青年でもショタでも、「似合わない女装」に萌える、ってのはBLだと結構あるよね。
下手すると、「似合う女装」に萌える人より多いんじゃないか。
女性向けの女装アンソロジー見て、男女の感性の違いに戸惑うところ。

リアルの文化祭の女装喫茶で、女子からは、洒落にならないくらい似合ってる人はスルーされて、
“微妙に似合う”レベルの人のほうがちやほやされる、って話があって納得してしまった記憶がある。
一般化していい話かどうかは知らないけど。
97名無しさん@ピンキー:2013/05/11(土) 16:27:00.64 ID:BcDEyfKZ
文化祭など?
女の子にとっては、素で女の子よりもかわいい男の子は敵でしょ?
いじれる位、オモチャに出来るくらい、明らかな無理やり女装の男の子のほうがよいですよ。
98名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 03:39:55.43 ID:Cvh2zYa6
短編投下しますです
99名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 03:40:37.31 ID:Cvh2zYa6
【その1】
「おい、晩飯はまだなのか?」
「うるさいわね! だったら手伝ってくれてもいいじゃない!」
今日も今日とて、高山家には健一と由希子の口げんかが響き渡る。
結婚してから早5年。
子供ができれば変わるのだろうが、ここ2年ぐらいはセックスレスでそのような兆候もあるはずない。
今でもお互い憎からず思っているのは確かなのだが、健一も由希子も積もったストレスが原因でついつい相手に文句を言ってしまう。
一度は別居も考えたのだが、心のどこかで「ちゃんと仲直りしたい」という思いも強く、
ここでもし別居してしまったら二度と修復できないのでは? という恐れから踏み切ることもできない。
今日も向かい合いながらお互い一言も発せず晩御飯のカルボナーラを食べ、
バラバラに寝るまでの時間をつぶし、そしておやすみの挨拶もせずにベッドへと入る。
こんな状況になっても寝室ではシングルベッドを2つくっつけているのは、
どちらにとっても、ここが「関係を繋ぐ最後の場所」という意識があるからだろうか。
100名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 03:44:12.66 ID:/xreIZNv
【その2】
休日、もう昼といっても差し支えない時間に目覚めた健一は、
テーブルの上に一枚の置手紙があることに気がついた。
一瞬「まさか!」と思ったが、ただ単に「買い物に行ってくる」というメモだった。
ふうと一つ安堵の息を吐き、買い置きのバターロールをコーヒーで流し込む。
そして顔を洗い、電気髭剃りと安全カミソリの2つを使い、丁寧に髭を剃っていく。
続いて寝間着替わりのスウェットやTシャツからトランクスに至るまで、着ていたものをすべて脱ぎ捨てると、
寝室の隅にうずたかく積まれたクリーニング屋に出す前の洗濯物を漁りだした。
黒い膝丈までのベアトップタイプのドレス。
ドレスにあわせる白いボレロ。
先週、由希子が友人の結婚式に出席した時に着ていたものだ。
あまり几帳面とはいえない由希子らしく、ドレスにあわせるための高級下着や緻密なレース状の加工が施されたストッキングなど、
ドレス以外のこまごまとしたものも一緒に出てきた。
それらの収穫物をベッドの上にきちんと並べると、健一はにんまりと笑った。
健一は学生時代から女装が趣味だった。
どことなく線の細い健一は、学園祭の余興をきっかけにすっかり女装にハマっていた。
結婚前はワンピースやドレス、ロリィタ服から水着やバニースーツに至るまで
いろいろな衣装を持っていたのだが、結婚を機にすべて捨て去ってしまった。
しかし、ストレスがたまるとどうにも女装熱が昂って、時折女装サロンで女装を楽しんでいたのだ。
普段ならばそのように慎み深く楽しんでいたのだが、
先週、ドレスアップした由希子を見てどうにも止まらなくなってしまっていたのだ。

あのドレスを自分が着たら、どんなにステキに変身できるだろうか……

彼女が日常的に着ているもので女装するのは明らかにバレるだろうが、
あとはクリーニングに出すだけのものを身に着けたとしても少しの違和感程度でスルーされるだろう。
そういう考えもあり、この一週間、時々由希子と喧嘩しつつもこの日を待ちわびていた。
101名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 03:45:13.44 ID:/xreIZNv
【その3】
まずはノンストラップのビスチェを身に着けていく。
男と女ではウェストの位置や骨格の関係でそのまま着るのは難しいと言われる女性用補正下着だが、
そこは昔取った杵柄、少々手間取ったもののなんとか体を通すことができた。
余った肉を強引に引き寄せ持ち上げ、ささやかながらバストを生み出すと、
背中のホックを止めて女性らしいラインを作り上げる。
そして揃いのショーツに脚を通し、その上からストッキングを履く。
まるでイタリア辺りから輸入した高級品のような緻密なデザインに傷がつかないよう、
慎重に丸めて、つま先の方から伸ばすように慎重に引き上げていく。
するりするりとストッキングが足を覆っていくたび伝わるなんとも言えない締めつけ感が、
いやが上でも健一の心を高ぶらせていく。
クローゼットを開け、大きな姿見で今現在の様子を映してみる健一。
首から上こそ男だが、その肢体はしなやかな曲線を描き、シルエットだけならば女性そのもの。
そのような美しい姿に生まれ変わったにもかかわらず、股間がしきりに男性を主張し、
それが逆に倒錯のエロティシズムを演出している。
逸る気持ちを抑えながら、ドレスに体を通す。
カップの部分をしっかり合わせ、後ろ手でゆっくりファスナーを上げていく。
ファスナーをしっかりと引き上げ、一番上についたホックも留める。
そして最後に残ったボレロを軽く羽織ればドレスアップ終了だ。
だが……どこか物足りない。
これだけでは、ただ「女物のドレスを着た変態男」どまりだ。
画竜点睛は欠きたくない。
そう思った健一は、由希子のドレッサーに腰かけるのだった。
102名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 03:45:53.13 ID:/xreIZNv
【その4】
髪の毛がかからないように数か所ピンで留め、チューブを絞りクリームファンデーションを少量手に取る。
肌色に近いベース化粧品を手のひらでなでつけ、最後はパフで細かいところを調整する。
すると少しくすんでいた男っぽい皮膚が、ぱっと明かりがさしたように女性の肌へ変貌する。
続いて、ライナーでくどくならない程度にアイラインを引き、目元から受ける印象を女性のものへと作り変える。
ビューラーで根元からしっかりまつ毛を立ち上げ、アイラインと同じ色のマスカラを塗り重ねる。
いい感じにまつ毛がボリュームアップさせ、2、3回ほど瞬きをする健一は、
眼だけならばモデルにも負けないぐらい美人に仕上がったのを確認すると、満足そうに微笑んだ。
妻と暮らしている以上眉毛を女性的にいじれないのは残念でならないが、
今日は諦めるしかないと割り切り、口紅を手に取る。
直接口紅につけてもいいのだけれども、由希子が使っているように筆を使って唇を描き出していく。
本来よりもわずかに小さく描かれた桜色のリップをグロスで仕上げると、
ぷるんとしたなんともかわいらしい唇が生まれ、
自分のものであるはずなのに健一は思わずキスしたくなる衝動に駆られるほどだった。
「ウィッグがあればなぁ……」
このドレスには、由希子のようにゆるやかに巻いたロングヘアのほうが似合うのだが、
ここは諦めるしかない。
短めの髪の毛はいじりようがないため、ワックスで分け目を消してベリーショートの女性風になんとかセットする。
これで全身コーディネート完成と、ドレスアップした姿を鏡に映して悦に浸る健一。
傍から見るとベリーショートのキュートな女性がポーズをつけているようにしか見えないが、
女性にはありえない器官がドレスの下から自己主張しているのがわずかながら見て取れる。
103名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 03:46:33.10 ID:/xreIZNv
【その5】
数分間ポーズをつけてうっとりしていた健一だったが、
ずっと感じていた「物足りなさ」の原因に思い至り、慌てて玄関のほうへ走り出す。
全身コーディネートしているのにも関わらず、足元を飾るヒールがないことに気がついたのだ。
男にしては小さい足のサイズは、こういうとき便利だ。
そう思いながら玄関へ行くと、ふと外から聞きなれた自動車の音が響いてくる。
出かけたはずの由希子が乗る軽自動車のエンジン音だ。
買い物に出かけたら夕方まで帰らないはずの由希子が、すぐそばまで来ている。

この姿を見られたらどうしよう!

そう思った瞬間、健一は玄関にある自分の靴を抱え上げると、
寝室とつながったウォーキングクローゼットへとその身を隠すのだった。
104名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 03:47:19.73 ID:/xreIZNv
【その6】
「もう、財布忘れちゃうなんてどうかしてるわ。
 ……あら、アレは出かけてるのかしら?」
玄関に健一の靴がないことに気がついた由希子は、にんまりと笑い寝室の方へ小走りに駆けて行った。
寝室へとやってきた由希子は身に着けているものを乱雑に脱ぎ捨てたあと、
また寝室から出て行った。
しばらくしてタオルで顔を拭いながら、手にしていた布きれをベッドの上に乱雑に放り投げた。
洗濯したてのランニングシャツとアイロンがよくかかったワイシャツがばさりとベッドの上に広がるのも気にせずに、
由希子は手に残ったビニール袋を破り捨て、中から出てきたトランクスに迷わず履くと、
ランニングシャツやワイシャツに袖を通していく。
そして壁にかかった健一のスーツのうち1着を手に取ると、これまた慣れた様子で身に着けていく。
するすると自らの首にネクタイを巻きつけ、
続いてゆるやかなウェーブがかかったロングヘアに健一のヘアワックスを撫でつけてオールバックにすると、
前髪以外をすべてまとめてゴムで縛りあげた。
「うん、やっぱり『俺』はカッコいいな!」
あれよあれよという間に健一の服をまとった由希子は、まるでどこかのお笑い芸人のように胸を張ると、
普段の女性らしい表情とは違う男らしい笑顔を浮かべていた。
「やっぱり、無理言ってアイツにこのスーツ買わせて正解だったな」
半年前、量販店で既製品のスーツを買う際どちらにするか悩んでいた健一の背中を押し、
このスーツを買うように強く推した理由は、由希子自身が着てみたいという願望からだった。
そう、健一も知らなかったが、由希子には男装趣味があったのだ。
自ら「理想の男性」になりきり、スラックスの上から自らを慰める由希子。
その様子をウォーキングクローゼットの扉の隙間から眺めるしかない健一。
ふと由希子の手が止まり、ゆっくりウォーキングクローゼットのほうへと歩き始めた。
「やっぱりこのスーツにこのネクタイは合わないな」
アイツはセンスが悪いからな……などとつぶやきながらウォーキングクローゼットの扉を開ける由希子。
「や、やあ……」
扉が開いた瞬間、健一は何ともばつの悪い笑顔を浮かべるしか方法がなかった。
105名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 03:48:06.63 ID:/xreIZNv
【その7】
「おーい、晩御飯はまだー」
リビングでバラエティ番組を見ながら、ベストにポロシャツ、スラックスといった姿でくつろぐ夫が、
腹ペコのあまりキッチンに向けて声をかける。
「ごめんね、もう少しで出来るから。
 あ、ちょっとお皿出してもらえる?」
ゆったりとしたデニムのワンピースに桜色のエプロンをつけた妻が、甘い声で返事する。
仕方ないな……とつぶやきながら、夫は手際よく食卓に皿を並べていく。
あれから健一と由希子はすっかり仲直りし、いまでは新婚当時のようなラブラブの夫婦へと生まれ変わった。
ただ一つ違うところと言えば……
「ねえ健ちゃん、お皿はこれでいい?」
「うん、バッチリ。ありがと由希くん」
お互いの男装姿、女装姿に燃え上がって濃厚なセックスをかわした2人は、
家の中では健一が女装して、由希子は男装して過ごすことになったのだ。
その日からまったく喧嘩せず、お互いを思いやるように暮らせるようになり、
そしてストレスも溜めずに過ごせるようになった。
もちろん夜の生活でも……。
「えっとね、実は今日バニースーツ買っちゃったんだ……」
恥ずかしそうに上目使いで由希子を見る健一。
「じゃあ今夜は寝かせないぞ」
バニースーツ姿で誘惑する健一の姿を想像しながら、由希子は健一お手製のスタミナ料理を舌鼓を打つのだった。
106名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 03:49:41.13 ID:/xreIZNv
おしまい

某所で「妻のいない間にドレスで女装を楽しんでいたら・・・・・・」という
ショートムービーを見かけ、勢いで書いてしまいましたとさ
途中でIDかわるのは再接続したからです
申し訳ない
107名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 17:18:29.54 ID:RaSgjZbj
GJ!
108名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 18:00:01.01 ID:cm7bPhmw
似た者夫婦ですね
どういう馴れ初めなんだろう?

御子様を授かるまでお楽しみ下さいませ。
109 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:40:33.95 ID:UwoMlNKG
 同じ日に被ってしまって申し訳ないのですが、本日分の投下になります。

※なおこの話はフィクションです。実在の人物、会社、芸能事務所、お祭りとは無関係ですのでご了承ください。ということで。

『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 1/13

「やっと巡りあえたね! 我が愛しき運命の人よ!!」
 眺めているフリをしていたスマホから目を上げると、そこにデンパナンパ男がいた。
「ね。あなたひょっとして、会う人会う人全員に『運命の人』って声をかけて回ってるの?」
 前から少し疑問だったことを聞いてみる。

 最初に会ったとき、俺は甘ロリでギャル系メイクで茶髪のカツラをつけた姿だった。
 2回目は確か、森ガールでナチュラル系メイクで地毛だったはず。
 3回目になる今は、赤のチェック柄ワンピースに黒のテーラードジャケットを合わせて、
OL風のメイクに黒髪ストレートのカツラをつけた、“大人カワイイ”を目指した格好。

 よほどの知り合いじゃなければ、まず別人と認識しそうな取り合わせだと思うのに。
「君と会うのも3回目だけど、やっと普通に返事してくれたね。なんだかすごく嬉しいよ。
 ……けど何のこと? オレは君以外、他の誰にも声をかけたことなんてないのにさ」
 やや怪訝そうな顔で、平然そう聞き返してくる。

 意外に鋭い男だった。どうせならその鋭さを、俺が男と見抜くのに使って欲しかったけど。
 少なくとも他のナンパ男が寄って来るのは防げるだろうし、悠里たちと合流する少しの間、
つきあってみることにするか。そんな気まぐれを起こしてみたりする。

「そうそう。今度会ったら君に渡したいって、プレゼントを用意してきたんだ」
 そう言って、上着のポケットから小箱を取り出す。前回までは男物の服なんて興味がなかっ
たから気付かなかったけど、仕立てのいい、多分ブランド品のジャケットだ。……って。
「ごめんなさい。あたし、あなたからプレゼントもらう気はないんです」

 何か嫌な予感がして両手を振って押し返す。
 意外にあっさり引っ込めてくれて、ほっとしてみたり。
 彼との会話は意外に楽しかった。思い込みが激しいのが難だけど、ユーモアがあって話題
豊富で、白いスーツ姿の悠里(?)の姿が見えて別れるのが少し残念になるくらい。

「じゃあ、待ち合わせの人が来たから、あたしはこれで」
「……やっぱり、オレの恋人になってもらうのは無理なのかな?」
「うん、何があっても100%無理。それは断言するから希望は絶対に持たないで──バイバイ」
 期待を持たせたら可哀そうだしと、冷たく言って悠里(?)に向かって足早に歩く。

「おつかれさま……えっと、悠里?」
「アキちゃんもお疲れ様。一応、私は愛里ね」

 前々から所属する芸能事務所を探していた悠里。瞳さんの事務所の話をした翌日に見学に
行って、その場で契約をしてきた。相変わらず即断即決な行動力が、俺には眩しい。

 その数日後に、俊也も同じ事務所に契約。
 ただ彼の場合バイト類が禁止な校則があるので、高校生の間は『瀬野愛里という名前の、
瀬野悠里の双子の妹』という名義で活動することになってるのだそう。
 色んな意味で、よく許してもらえたものだと思うが。

 そして俺はというと……未だに迷ったまま保留状態。
 この姉弟と違って、やるともやらないとも決められないままだ。
110 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:41:56.29 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 2/13

「さっきの誰? 知り合い? 随分と楽しそうだったけど」
「名前も知らないナンパ男なんだけどね。時間つぶしで付き合ってみたの」

 今日は悠里のお願いもあって、悠里の雑誌で読者モデルをやってきた帰り。
 仕事中は『アキモード』だったから余り気にもならなかったけど、顔見知りのスタッフが
大勢いる中で女の子のフリをして撮影するのは、思い出すと恥ずかしい経験すぎた。

 その後帰りの電車で色々あって『雅明モード』に戻って、今はすっかり女装男状態だ。
 相変わらずやたらと人目を引くらしい、俺と俊也の女装姿。
 アキのときは快感な道行く人の視線も、今はただただ、恥ずかしい。

 もっとも、今一番注目を集めているのは、愛里(=俊也)の白いタイトなミニスカートか
ら伸びた長い生脚っぽいけど。
 俺自身、相手が男と分かっていても、悠里そっくりの美脚につい目が行ってしまうのを止
められないのが悲しい。

「うん? 私の足になにか付いてる?」
 悠里を待つ会話の途中、俺の視線に気付いたのか、俊也が面白そうな顔で聞いてくる。
「いや、そのスカート似合ってるなぁ、って。あたし絶対着れないし」

 そんな流れでファッションについて話してる最中、「おまたせー」と悠里がやってきた。
 “愛里”と対になる、黒のスーツの上下。俺の着ている黒いレディスのジャケットが、悠
里とペアルックっぽい……って、喜んでしまってよいものかどうか謎だけど。

 今日の目的地は、隣の市で毎年やってる祭りの説明会。
 その祭り出し物の一つである花魁役を、悠里と俊也と、あと同じ事務所のもう1人の3人
でやるのだとか。
 部外者のはずの俺がなぜ同行させられてるか不明だけど、悠里のお願いは断れない。

「ところでアキちゃん、そのポッケの中身何?」
 スカートを翻しつつ3人で会場に向かう途中、悠里がそんなことを聞いてきた。
 見ると俺の上着のポケットが妙に膨らんでいる。何か入れた記憶もないのに。

 探ってみると、まず小さな紙切れが2枚出てくる。
 1枚目は『株式会社△△△△ 代表取締役 桧垣晃司』という名刺。
 2枚目は『運命の君よ! 個人携帯は0xx-xxxx-xxxxいつでもかけてきてくれ』他いくつ
かメッセージが書かれたピンク色の名刺大のカード。

「げっ。デンパナンパ男かぁ。プレゼントは断ったはずなのに、いつの間に入れたのかな」
「それ、合流の前一緒にいた人? 若いイケメンに見えたけど、見かけによらないもんだね」
 残りの小箱をポケットから取り出し、蓋を開く。

「うわぁ……婚約指輪! どうするこれ。多分すごく高いよ。社長夫人目指してみる?」
 中身を見て、思わず、と言った感じで賛嘆の声を漏らす悠里。
「ご丁寧に宛先教えてくれたんだから、こんなのはもちろん送り返すけど……」

 でも──そうか。婚約指輪か……
111 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:42:53.70 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 3/13

 えっと、ここまでがだいたい半月くらい前の話。
 ここからの今日のイベント当日については、あたし、アキがお伝えします、ということで。

「よろしくお願いします」
 これからお世話になるメイクさん──確か「顔師」って呼んでと言われたっけ──にちょ
こんとお辞儀して、指示されたとおりに腰掛ける。
 お姉さま達はどこなのかな、と、居場所を探して、少しきょろきょろ。

「ごめんね。ちょっと、じっとしてもらえないかな」
 顔師さんが苦笑しながら言ってくる。いけない、これじゃあたし悪い子だ。
「ごめんなさい……じっとしてますね」
 幸い、じっとしているのは得意なほうだ。瞼を閉じて動かないことに専念してみる。

「うん、ありがとう。じゃあ私からも宜しくお願いするわね」
 目を瞑っているから詳しく分からないけど、まずは顔全体にぬめぬめした液体……オイル
なのかな? が塗られていく。
 そのあと、あたしの眉と瞼に、指先で丹念に化粧が塗り込められる。

 あたしがモデルになるのを散々渋っていた雅明がついに折れて、お姉さま達と一緒の事務
所に入るのを許してくれたのが、例の説明会からの帰り道のこと。
 それから話がとんとん拍子に進み、“事務所のもう1人”と入れ替わりで、『瀬野三姉妹』
でこの祭りの華である、花魁道中の花魁役をすることになったのだ。

 あたしが事務所に入って仕事はいくつかあったけど、お姉さま達と一緒の仕事はこれが初。
 耳を澄ませば、顔師さん達と楽しそうに会話しているお姉さま達の声が耳に届く。
 それだけでもう、心が躍るのを止められない。

 顔全体を撫で回すハケの感触。たぶん水白粉であたしの顔が白く塗られているのだろう。
 冷やりとする感覚に首がすくみそうになるけど、がまん、がまん。
 タンクトップを着た胸元から背中、首、顎から耳の中まで、ハケが走る。
 そんな中じっとするのを保つのは、さすがのあたしでも大変だったけど。

「そっちはどう? どんな感じ?」
「すごいよー、この子。さっきからピクリとも動いてないの。本当にお人形みたい」
 あたし担当の顔師さんと、誰か知らない声が会話してる。

 パフで水白粉を馴染ませ、もう一度水白粉をハケで塗られ、更に再度パフを当てられる。
 いつまで続くかと思ったら、ようやく目のあたりの化粧に入る。
 小さな筆とかも使って、丁寧に丁寧に。
 眉を引き、頬と口とに紅をさす。

 “化粧”というのは、いつだって感動的な体験だ。
 今までの自分とは違う、別の自分に出会う。
 でもそれは確かに自分であって。今まで気付かなかった、見落としていただけの自分自身
の新しい側面で。愛しい自分の領域が増える、広がる。

 ──昔々、『雅明』が出会った、『アキ』という少女のように。
112 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:44:00.59 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 4/13

「次は、足に白粉塗るから足を前に出してね──ありがとう。本当に白くて綺麗な足ねえ。
これだと白粉なんか塗らなくてもいいかも」
 そんなことを言いながら、でもハケを走らせてあたしの足に白粉を塗っていく顔師さん。
 初めての経験に少しびっくりしたけど、足を見せて歩くのでこんな化粧が必須なのだそう。

 それが終わったら、今度は腕にも、指先にも。
 化粧が終わり立ち上がって振り向くと、お姉さま達は眉を描いているくらいだった。
 あたしと違って、顔師さん達とすっごく楽しそうに会話しながら進んでいく。
 いらない緊張とは無縁な、リラックスした世界。見習わないと。

 あたしの担当が、顔師さんから着付師さんにバトンタッチする。
 タンクトップとホットパンツの上から、どんどんと布の山を重ねられていく。
 赤い襦袢と、目にも鮮やかな花柄の着物。完成形だとほとんど見えないはずだけど、こん
なところから気を使っているものなのかと感心しちゃう。

 すごく幅広の帯をぐるぐると巻かれて、前帯を取り付ける。金色の糸で細かな刺繍がして
あって、とっても綺麗。この上から更に、これまた煌びやかな着物を羽織る。
 ずれないように針と糸で縫い付けたりして、脱ぐのも大変そうだけど。

 日本髪に高く結われた、豪奢なかんざしが一杯ついたかつらを被る。
 これで一応の完成形だ。

(これから更に下駄つけて、総重量30kg以上になるんだっけ。洒落になってないよなあ)
 あら、雅明いたんだ。
(まあいつでも居るけどさ。これ、俺ならもうギブアップしてるわ)
 思ってたより重さも感じないし、動きやすいと思うけどな。雅明って、忍耐力なさすぎ。

 鏡の中を覗き見ると、豪華絢爛な衣装を身に纏った花魁さんが見返してくる。
 ──これが、今日初めて出会う、『新しい自分』。
 “可愛い”って感じではなくて、すっごく“色っぽい”感じに仕上がっているのが自分で
も不思議だった。“妖艶な花魁さん”として、今、ここにいるあたし。

「これだけ綺麗な花魁さんって初めて見る」「こうしてると、本当に京人形みたい」「いや、
すごく色っぽいねえ。見ててぞくぞくする」「『傾国』『傾城』って、本当にそんな感じ」
 笑顔を作ってみたり、流し目をしてみたり。
 そのたびにどよめきに似た声があがるのが楽しい。

 そうこうするうちに、お姉さま達も完成したみたい。
「うわぁっ、アキちゃんすっごく綺麗!」
「お姉さま達も、とっても綺麗ですよぉ」
 あたしと同じく、花魁衣装に身を包んだ二人のお姉さま達がそこにいる。

 お姉さまも、愛里お姉さまも本当に綺麗──というか少し意外だけど、あたしとは逆に、と
ても“可愛い”感じで仕上がってる。
 顔の小ささで目の大きさが引き立って、そんな印象がする。笑顔になると、もっと可愛い。
 頭の髷の大きさとの対比が、喉仏のない、すっきり伸びた首の細さと長さを際立たせる。
113 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:46:10.05 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 5/13

 これだけの化粧だ。元の顔がどうこうなんて関係ないんじゃ? と思ってたのが恥ずかしい。
 いざ自分達でしてみると、骨格の形の良さとかが丸分かりで、美人かそうでないかがありあ
りと良く分かる。
 そして今あたしは、お姉さま達の姿にすっかり魅了されていた。

(でも、花魁の格好でここにいる3人のうち、2人は男なんだよなあ……)
 雅明、そんなどうでも良いことは、気にしなくていいから。

 それから暫く待機の時間が流れて、あたしたちの出番がやってきた。
 お姉さま達から少し間をあけて、あたしを含むご一行がいざ出陣。
 一応練習を重ねたとはいえ、花魁衣装を着てするのは初めての、外八文字とかいう歩き方。
 気はせくけれども、ゆっくりとゆっくりと歩みを重ねていく。

 今のあたしは花魁さん。
 皆をあたしの魅力で魅了してしまえるように笑顔を作る──いや、心からの笑みを皆に送る。
「おおぉぉ──────っ!」「きっれ──────っ!!」「すてき──────っ!!」
 途端に鳴り響く、歓声とシャッター音。それがとても気持ちいい。

 天気予報にはやきもきさせられたけど、今日は見事に晴れていい天気。
 その太陽の下、歩いているうちに段々とコツも掴めてきた。
 最初は歩くだけでいっぱいいっぱいだったけど、細かい声とかも拾えるようになってくる。

「いや今年すっごくレベル高いねえ」「プロのモデルさんなのかな?」「笑顔がとっても素敵」
「花魁ってさ、一晩寝るのに何百万ってかかったんだって。でもこれなら納得しちゃう」
「さっきの2人も良かったけど、この子は雰囲気あるよね。見ててぞくぞくする」
 煌びやかな衣装を纏って、皆の注目を浴びて賞賛を受ける。本当に癖になりそうな快感。

「アキちゃーん!」
 途中、聞き覚えのある声がした。目を向けると、ママがぶんぶんと片手を振っている。
 そのママと手を繋いで隣に立ち、あたしに優しい視線で頷きかけてくれるパパ。
 片方は血は繋がってないけれども、でも最高のあたしの両親。

 何故か涙が出そうになるのをぐっと押さえて、笑顔であたしの感謝を伝える。
 年甲斐もなく、ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んでくれるママ。
 口許にどうしても、今までとは違う笑みがあふれてくるのを止められなかった。


「──3人とも、お疲れ様でした」
 道中を無事終えて、取材攻勢とかも乗り越えて、瞳さんと一緒に電車で帰る。
「まあ、今日は確かにほんっとーに疲れたわ」
 お姉さまの言葉に、無言でコクコク頷く愛里お姉さま。

「でもみんな、凄い評判良かったわよ。会長さんからも、来年もお願いしたい、って」
「じゃあ、もっと上手く歩けるよう、今からでも練習しなくちゃですね」
「アキちゃん、元気でいいなあ」

(……同感)
 頭の中で、雅明がぼそりと呟いた。
114 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:47:16.46 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 6/13

 途中事務所に立ち寄ってそこで瞳さんと別れ、家へと帰還。
 今日これからエッチできないかって言ったら、「体力的に無理!」「明日学校あるしねえ」
と全力で拒否されたのが悲しい。
 でも、お姉さまが何か思いついたようで、にこにこしてたのは期待が持てた……かも?

「やっぱりアキちゃんが一番目立ってたかー」
 ようやく寛げる家の中、県のローカルニュースの録画を繰り返し見ながら、いつもより豪
華な食事を皆で取る。こんな感じの、一家5人の家での団欒は久々かも。
「お姉さま達のほうが、ずっとずっと綺麗だったと思うんですけど……」

 祭りの中の1イベントということで、花魁道中のニュースでの扱いはそんなに長くない。
 画面に映るのは愛里お姉さまが少しと、あたしが大半だった。
「いやでも、この扱いは私でも納得いくな。アキちゃん、なんというか華とか色気が全然違
うもの♪ 今日はアキちゃんがいてくれて、本当に良かった」

「そういえば、あたしをあの説明会に誘ったのって、最初から狙ってたんですか?」
「まあ、そうなればいいなあ程度、かな? 最初入る予定だった事務所の先輩、わりと嫌がっ
てたしね。『アキちゃんにお礼言っといて』、って言われてたっけ」
「あたしも、あんな体験できるなんて夢のようで、替わってくれた先輩にお礼しなきゃです」

 食後は美容体操とかマッサージとか交えつつ、最近なかったゆっくりした時間が流れて。
「そろそろお風呂入ろっか。……今日は、アキちゃんと愛里も一緒に入ろ」

        <<純子視点>>

「雅明くんの女装は最初から気にしてないけど、“アキちゃん”には慣れそうにないなあ」
 3人一緒にお風呂に入るのを見送って、哲也さんがしみじみと呟いた。
「わたしだって、最初はかなり悩んだんだからね。……でも受け入れてあげないと、って」

 最初の夫が失踪して、後始末で大変なところに残された息子が女装して『アキ』と名乗り
始めて。
 睦さんとも最初大喧嘩したし、どの方法で心中するか真剣に悩んだ時期もあった。
 でも結局、わたしの心を解いてくれたのは、“アキちゃん”の無垢な愛らしさだった。

「アキちゃんいい子だしね。雅明なんて絶対家事手伝わないけど、さっきも何も言わなくて
も食事の片付け手伝ってくれたし」
「いやいや、雅明くんだって十分いい子だと思うよ?」

「わたしは“愛里ちゃん”に慣れられないかな。俊也が時々悠里ちゃんのふりをしてたって
のも、このあいだ聞いてびっくりしたし。……あなた、知ってたの?」
「そりゃあね。子どもの見分けもつかない親はいないさ。……まあお互い、段々と慣れてい
けばいいのかな。よそからみれば、すごく変な一家なんだろうけど」

「よそから見たなら、美人3姉妹でいいじゃないの」
「人に聞いたら、美人4姉妹に見えるみたいだけどね。純子が長女で、僕だけオヤジ」
『あんっ……』
 そこまで話したとき、風呂場からやたら色っぽい声が届いてきた。2人で顔を見合わせる。
115 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:48:52.24 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 7/13

「あの子達、水道管通してご近所さんに声が丸聞こえって、忘れてなきゃいいんだけど」
「一応、そこらへんは気は使ってるみたいだね。……うん、僕らもしちゃおう」
「え? ……ええっ?」

 いきなりわたしを軽々とお姫様抱っこで抱えあげて、ソファにそのまま座ってフレンチキ
スをしてくる哲也さん。
 今でもわたしも『女』ということか。年甲斐もないトキメキが胸の中に訪れる。

 散々ためらったけど、再婚してよかったなと改めて思う。
 これまでも色々あったけど、これから色々大変そうだけど。
 でもよろしくおねがいします。哲也さん。

        <<アキ視点>>

 1人で入るならゆっくりできる、2人だと狭い我が家のお風呂。
 そこに3人で入るのだ。はっきり言ってぎゅうぎゅう詰め状態。
 愛里お姉さまが最初に湯船に浸かり、あたしはお姉さまに身体を洗ってもらってる。

「本当、綺麗なお肌。私も頑張ってきたけど、もう抜かれちゃったかなあ」
「まだまだだと思いますよぅ。少なくともあたしは、お姉さまの肌のほうがずっと好き」
「まあ、アキちゃん。ありがと♪」
 そんなことを言って、背中からぎゅっと抱きついてくる。

 むにゅっと押し当てられる、二つのすべすべして柔らかで温かな感触と、その先端の感触。
「私はアキちゃんの肌のほうがずうっと好きだけどね。このピンク色した乳首もだぁい好き」
 そう言っていきなり、あたしの小さな乳首を、指先でいじり始める。

「あんっ……」
 思わずそんな声が、自分の唇から零れるのを止められない。
「感度もいいし、反応も可愛いし、本当最高。……でもね、アキちゃん。うちのお風呂、他
の部屋のお風呂に音が筒抜けって、忘れちゃ駄目よ?」

「もぅ、お姉さまの意地悪ぅ……」
「うん、そう。私って意地悪な女なんだ。……アキちゃん、そんな私は嫌い?」
「お姉さまって、ほんと意地悪。聞かなくてもわかってるくせにぃ」

「それでもちゃんと、アキちゃんの口から聞きたいな」
「……アキはお姉さまが大好きです。意地悪なとこまで含めて好きで好きでしょうがないの」
「うんうん。相思相愛で良い事だ♪ アキちゃん、こっち向いて」

 言いつけどおりに振り向くと、唇を重ねてくれる。
 柔らかくて気持ちのいい、心やすらぐなお姉さまの唇。大好きな唇。
 今はあっさりと離して、ピンクの舌でぺろりと自らの唇を舐めるところまでを眺める。

「うん、アキちゃんの唇、すっごく美味しい♪」
「本当、甘くて美味しいよねえ♪ ……アキちゃん、あとで私にも分けてちょうだいね?」
 この2人に褒められると、頑張ってきた甲斐があったとニンマリしちゃう。
116 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:50:10.83 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 8/13

 細い指先で優しくマッサージするように、頭を洗ってくれる。
 一番最初にも髪の手入れの仕方は教えてもらってはいたけど、色々自分でも調べたあとだ
と一つ一つの手順の意味が良く分かる。
 きちんとあたしの髪の状態にも合わせてくれて。勉強になると改めて感心しちゃう。

「アキちゃんの髪、伸びてきたわねえ。細くて柔らかいし、これからが本当楽しみ♪」
「お姉さまももう髪を伸ばしてもいいんじゃないですか? まだ入れ替わりは続けます?」
「私宛に男役のオファーも結構きてるし、それにまだまだ入れ替わりは続けたいかな。雅明
は未だに見分け付かないんでしょ?」

「付かないですねぇ。2人ともこんなに違うのに、一体どこを見てるのか不思議なくらい」
「それをアキちゃんが言うのも面白いよね♪」
 そんな言葉に笑いあいながら髪の手入れを終えて、綺麗に泡も流し終えて。

「じゃあ、アキちゃん立ち上がってこっち向いて」
 というお姉さまの声に従って、狭いお風呂場の中お姉さまと向かい合う。
 指先でそっと、あたしの身体をなぞるお姉さま。声をあげないようにするのに一苦労。
「うん。おへそも縦長だし、くびれもいい感じだし、本当きれいなライン」

「目標まで、あと一息ってとこです」
「その目標は楽しみだよね♪」
「目標? それは初耳かも。愛里、私に隠し事はなしよ?」
「アキちゃん私達のスカートを穿きたいんだって。余程きつくなきゃ、もう入るんだけどね」

「上はどうしても無理だけど、下はあと2cmでぴったり一緒になる……はずなのです」
「そうすると、アキちゃんのスカートを私も穿けるようになるのかー。服のバリエーション
も増えるし、確かにそれいいわね♪」

「でも前はウェストニッパーが必要なくなるのが目標って言ってたし、次はコルセットが必
要なくなるようにとか言い出さないかちょっと心配」
「あのコルセット、フルクローズで56cmだっけ? 確かにそこまで行くとバランス悪いわね。
うん、アキちゃん、私達と同じサイズってのを最終目標にしてね」

 次はあたしが浴槽に浸かり、お姉さまの身体を愛里お姉さまが洗う。
 貧乳と美乳という差はあるけど、その姿は仲の良い双子の姉妹そのもので、眺めていて本
当うっとりしちゃう。
 入浴剤の、ジャスミンの香りに包まれながらそんな様子を鑑賞する。天国みたいな気分。

(『……という設定』が増えすぎて、何が本当やら頭がこんがらがってきた)
 雅明は、余計なこと考えすぎ。
 そんなのだから、お姉さま達の見分けも付かないんだ。
(どうせお前と義父とあと何人かしか区別つかないんだから、それが普通でいいじゃないか)

 そんな対話を脳内で繰り広げてるうちに洗うのも終わり、さっきのあたし達と同じように、
まるで鏡がそこにあるかのように、お姉さま達が向かい合って立つ。
 そのまま互いに、身体のラインをなぞって確認する2人。
 それはなんだかとても神秘的なくらい綺麗で、どきどきする光景だった。
117 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:50:55.89 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 9/13

「お姉さま達が2人でシャワー浴びてるときって、こんなことしてたんですね」
「うん。互いの身体のラインが違ってないか、時々チェックしないとずれてきちゃうから」
「ほっておくと、愛里はすぐ痩せすぎちゃうしね」

「次は、あたしが愛里お姉さまの身体を洗う番ですよね?」
「ちょっと待って。……手順ミスったかな。愛里、アキちゃん、向かい合って立って」
 お姉さまとあたしの場所を交代し、言われたとおりに狭い風呂場の中向かい合う。

「うんうん、じゃあ私の言うとおりに続けてね。……そのまま身体を密着させて抱き合って」
 至近距離に、愛里お姉さまの綺麗な顔が見える。
 洗う直前の身体から漂う、なんだかドキドキする匂い。小さな頭、長い睫毛、滑らかな肌。
しっとりとした肌の感触。愛里お姉さまの心臓の鼓動。

 強く抱きしめたら壊れそうなくらい細いその身体を、両腕でそっと抱きしめる。あたしの
体とは違って柔らかで、触れる指先が沈んでいくような感触が心地いい。
「愛里、さっきアキちゃんとキスしたいって言ってたよね。ここで思う存分してちょうだい」
 少し戸惑ったけれども、その言葉に従って唇を重ねる。

「腰をもっと近づけて、脚を絡ませちゃう感じで」
 風呂に入る直前に、リムーバーでタックを解除していた2人の股間。それがぴったりとくっ
つく。にゅるにゅるした液体が混じりあう、腰がくだけそうなくらい気持ちの良い感触。

「天国のママ、見てますか? 肌もスタイルも顔も、全部が完璧な美少女2人の兜あわせ。
 ……私、生きててよかったぁ」
 お姉さまの、すごく陶然とした声が耳に届いてくる。
 お姉さまが嬉しいなら、あたしも嬉しい。

 愛里お姉さまが微かに首を上に向けて、あたしが微かに下を向いて。
 互いに唾液を交換しあう、そんな優しいキスに時間を忘れる。
「じゃあキスはそのくらいで……ここで1回ずつ互いに抜いてね」
 うん、それなら得意だ。しゃがみこんで、愛里お姉さまの愛らしい器官を口に含む。

「いつ見ても、アキちゃんフェラうまいなあ。……でも今日はあんまりじらすのはやめてね。
あとできればお口じゃなくて、精液を全身に浴びてるアキちゃんが見てみたいな」
 いつになく、注文の多いお姉さま。
 でも、アキの名前にかけて、お姉さまの愛情にかけて、その全部をこなしてあげるんだ。

「……っ!!」
 口を引き絞り、なんとか声をもらすまいとする愛里お姉さま。
 登りつめる瞬間に唇を離し、それでも根元を握る手は緩めずに。

 顔に、胸に、肩に、おなかに、太腿に、腕に、飛び散る熱い液体を受け止めていく。相変
わらずの量と濃厚さの愛里お姉さまの液体。特に顔はパックでもしたかのような状態だ。
 演技でなく、その感触の心地よさを心から愉しむ。

「……ごめん私も今イきかけた。なんてセクシーなの。アキちゃん最高。大好き。愛してる」
 お姉さまが喜んでくれるなら、あたしも喜ぶ。
118 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:52:36.58 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 10/13

 今度は愛里お姉さまが、あたしのクリちゃんを口に含んでくれる。
 お姉さまの擬似肉棒だけで練習したからだろう。思い返すと愛里お姉さまには、見当違い
の箇所を一生懸命刺激しようとする、変な癖がちょこっとあった。

 でも今は、きちんとあたしのツボとかも把握して、的確に刺激してくれる。
 あたしが愛里お姉さまに対してやったテクも、すごく上手にマスターして、そのままあた
しの身体にプレゼントしてくれてる。あたしの考えたことのない工夫まで入れて。
 今度の機会にお返ししてあげたいと思う。

 人を愛することはあった。人に愛されることはあった。
 でも、愛し愛され、互いに高めあう。この関係のなんと稀有なことか。
 すごく陶然とした、ふわふわした感覚につつまれたまま、さっきの愛里お姉さまと同様に、
その全身に白いはしたない液体を振りまいた。


「あなた達、随分と長くかかったのね」
 随分とツヤツヤした顔で、パパとママが風呂上りのあたし達を迎えてくれた。
 あたし達も、同じくらいツヤツヤした顔。ツヤツヤ一家で良い事だ。思わず笑みが零れる。
 パパとママも、なんだか2人で一緒にお風呂場に向かってるし。

「私達がなにやってたか、パパとママには匂いで気付かれちゃうかなあ……」
「匂いがなくても、バレバレだと思うな」
 キャミ姿の3人でお肌の手入れをしながら、お姉さまのそんな言葉に笑いあう。

 顔に同じようにピールオフタイプのパックを塗って。唇にはちみつでパックもしたりして。
 お姉さま達とあたしとでは肌のタイプが違うから、それぞれ別の化粧水を手足に塗る。
 あたしの白くてさらさらの肌をお姉さま達は素敵と褒めてくれるけど、あたしにとってお
姉さま達の健康的な色で、しっとりとして柔らかなお肌が、永遠の憧れの対象だ。

 以前は部屋で隠れるようにすることの多かった手入れ。
 リビングでおおっぴらにできるようになったのは密かに嬉しい。
「相変わらず3人とも、お肌綺麗で羨ましいわねえ。わたしも混ぜて?」
 風呂上りのママが入ってきて一緒に手入れを始めたり。これもすっかり、いつもの光景。

「うーん、やっぱり僕には、この光景刺激的すぎるや」
 手入れの最中、いつもは所在なげに居間の片隅で本を読んでることの多いパパが、お酒の
瓶とグラスを持って書斎部屋に向かうのは珍しいかもだけど。
「あ、パパ……今日はどうもありがと。道中のとき、優しく頷いてくれて。あれ物凄い心強
かったの。本当、パパの娘になってよかったなあ、って思っちゃった」

 あたしの言葉に、しばらく視線を泳がせていたけパパ。
 でもやがて、あたしの目をまっすぐ見つめてにっこり笑って、
「うん。今日はアキちゃん、よくがんばったね。僕もいい娘を持てて幸せだよ」
 と指の長い手で、あたしの頭を撫でてくれた。

「ね、どうせならパパも一緒に肌のお手入れしない?」
 とお姉さまが言ったら、一目散に退散したけれど。
119 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:53:34.56 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 11/13

 お肌の手入れの後、言いつけに従ってお姉さまの部屋に集まり、ベビードールに着替える。
 可愛らしいけど色っぽいデザインの、心地よい肌触りの卸したてのピンクのベビードール。
 完全に3人とも同じもので、サイズだけが違う。

「今日はこれからどうするんです?」
「今日はもう、寝るだけよ。……このベッドに3人一緒に」
「ベッドが小さすぎじゃないかなあ?」
「だからいいんじゃない♪ 身体寄せ合って、ぎゅうぎゅう詰めで」

 お風呂場といい、ぎゅーぎゅーが今日のお姉さまのブームらしい。
 お姉さま達と肌を寄せ合うのは、とても気持ちいいから嬉しいけれど。
「じゃ、寝よっか。あたし最初に入るから、次アキちゃんで。愛里はその後ろに入ってね」
「「はーい」」

 お姉さまと抱き合う形でベッドに入る。
 豆電球だけが照らす室内。
 そのあたしを、後ろから抱きしめる形で愛里お姉さまがベッドに入る。
 やっぱり狭いけれども、でも愛と幸せとに包まれるそんな空間。

「はふぅ……」
「ん? どうしたのアキちゃん」
「いや、あたしこんなに幸せでいいのかなぁ、って。これ気持ちよすぎですよぅ」
「まだまだ、これがスタートなんだからね?」

 ニヤリ、とお姉さまが笑った気配。
 そのまま回した手であたしの身体を撫で始める。
「ひゃぅうっ!」
「アキちゃん、声出しちゃだめよ。今日はパパとママがいるんだから」

 涙目のまま、こくこくと頷く。
 愛里お姉さまも加わって、前と後ろからあたしの体をその繊細な指先でそっと責め続ける。
 声も出せない、身もだえもできない。
 身も心も蕩かす、快楽という名の拷問の時間。素敵な素敵な、天国のような地獄の時間。

「……アキちゃん寝ちゃった?」
「いえ、起きてますよぅ」
「ちっとも反応ないから、てっきり寝ちゃったのかと」
「お姉さま達の意地悪ぅ。アキ、一生懸命、一生懸命がまんしてるのにぃ」

「そうなんだ? ……それはそれで凄いわね。じゃあ、どこまで我慢できるのかな」
 こうなるともう、意地の張り合いだ。
 お姉さま達の絶妙な指使いが、前と後ろからあたしの全身のビンカンな部分を弄び続ける。
 一瞬でも気を抜けば大声をあげて暴れそうな身体を、なんとか押しとどめる。

「あっ、アキちゃん今イっちゃった?」
「一瞬だけピクンってなったね……でもこれだけ密着してないと、イったことすら分からな
かったかも」
120 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:54:39.52 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 12/13

「他の子なら、『マグロなのかな?』で済むけど、“あの”アキちゃんなのにねえ」
「……が……がんばりましたぁ……」
「そういえば、今日の花魁のお化粧の最中、1ミリも動かずにずっといたんだって?」
「……じっとしてね、って言われたから……」

「いくら言われたからって、私そんなの絶対無理! あれ、けっこうムズムズしたよね」
「何もせずに座ってるだけならできるけど、ぴくりとも動かないって大変だよね」
「アキちゃんの新しい特技発見……かな。絵のモデルとかに便利そう」
「人間マネキンとかにも良さそうだよね。色々できて羨ましい」
「お仕事の幅が広くなるって、凄い良いことだよね」

 あんまり自覚なかったけど、それってそんなに凄いことなんだろうか?
 密着させあった身体の前後、すぐ近くからお姉さま達の代わる代わるの賞賛を受けている
と、なんだか不思議な満足感めいたものが浮かんでくる。

「私もちょっと真似してみるかな。アキちゃん、愛里、ちょっと私の身体撫でてみて」
 2人して、思う存分ベビードールの上からお姉さまの身体を愛撫してみる。
「……15秒くらいもったのかな?」

「え、たったそれだけ? これ、本当にきっついわ。感心した。アキちゃんやっぱり凄すぎ」
「この流れだと次やらされそうだけど、私もう降参。今のでもう無理って分かっちゃった」
「愛里、はやっ。……まあ、今はそこまで我慢する必要なくてね、外に声が漏れなければい
いんだから。ゆっくりお願い」

 柔らかい灯りの照らすベッドの中、3人でゆっくりと互いの身体を愛撫しあう。
 気持ちいい場所、気持ちいタッチがあったらすぐに真似したりしてみて。
 お互いどんなことが気持ちいいのか丸分かりの、恥ずかしくも嬉しくもある状況。

「本当、アキちゃんの肌って気持ちいい……」
 両脚を複雑に絡ませながら、お姉さまがうっとりと言ってくる。
 その脚の感触が、なんと気持ちよいことか。
 そっと掌をその太腿に当てて、その柔らかい感触を存分に楽しむ。

「ふっ……んっ……ぁっ……」
 誰が漏らしたのかもう分からない、抑え目の喘ぎ声と優しい吐息が混じりあう。
 そんな優しい時間がゆっくりと流れる。

 目を閉じて、残りの四感でお姉さま達の存在を受け止める。
 呼吸するたびに感じる、お姉さま達の匂い。
 どんな香水よりも素敵な素敵な匂い。
 舌先を伸ばして、お姉さまの顔を味わう。
 微かにぬめりを帯びたお姉さまの、汗の味わい。きめの細かい肌の舌触り。

「……お姉さま。アキはお姉さまを愛してます。好きで好きでどうしようもないくらい」
「私も大好きだよ、アキちゃん。私、あなたに会えて良かった」
「私だって、アキちゃんを愛してるんだからね?」
「もちろん、愛里お姉さまもだぁい好き。……あたし、生まれてきて良かった」
121 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 22:55:30.85 ID:UwoMlNKG
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々B 13/13

 開始から随分たって、多分お姉さまがいつもは眠る時刻。
 このまま眠りに入るのかな……と思っていたら、お姉さまが、
「ん……いい感じかな。愛里ごめん、ちょっと立って待ってて」
 そんなことを言い出した。

 言いつけに従うまま、正常位の形であたしのクリちゃんをお姉さまのあそこに挿入して、
伸展位になって、またベッドに横になる。
 身体をぴったり合わせているから分かっていたけど、先ほどから蜜が流れっぱなしの状
態になっていた場所だ。

 雅明のときの感触は記憶にあるけど、あたし自身が味わうのは初めての、柔らかい感触。
 雅明が夢中になるのも分かる、気持ちい感触。
 あたしのおマ○コも、他の人にこれくらい気持ちいいと思ってもらえてるのだろうか?
 ねっとりと絡み付いてくる温かな感触に、確かな快感を覚える。

 あえて力を抜いて、締め付けないようにしているのが分かる。
 そうでなければ、あたしはもう射精していただろう。
 お風呂場のことといい、お姉さまの配慮には頭が下がるばかりだ。

「うん、いい感じ……気持ちいいや……じゃあ、アキちゃん、力を抜いて。愛里、お願い」
 愛里お姉さまがまたベッドに入ってきて、ぴったりあたしの背後から抱きついて、あた
しのお尻にクリちゃんを挿れてくる。
「……アキちゃん、相変わらず気持ちよすぎ……」

 お姉さまの言葉通り、余計な力を身体から抜いていく。
 意識しないと、愛里お姉さまに殺到したがるあたしの身体をなんとかなだめて。
 でも今までになく、“結ばれている!”ことを強く感じる、そんな体験。
 3人の体温が同じ温度になってる。心も体も同じ温度。それがこんなに気持ちいなんて。

(ポリネシアンセックスって言うんだっけ? 俺、調べたことないけど)
 だっけ? 違う気もするけど、名前や分類やセオリーなんてどうでもいいや。
 なんだかあたし自身が溶けて、形を失って3人混じり合っていきそうな、心地よい感覚。
 それさえあれば、もう充分。

「うん……すごく気持ちいい……アキちゃん、そのままゆっくり私を撫でててね……」
「……それでお姉さま、このあとは?」
「どうもしない……寝る……お休みなさい……」
 今日一日のお仕事の疲れもあるのだろう。すぐに優しく寝息を立て始めるお姉さま達。

 お姉さまのお肉にあたしのクリちゃんが優しく包まれて、愛里お姉さまのクリちゃんをあ
たしのお肉が包みこむ。
 前も後ろも、時折ピクッ、ピクッとうごめく感触も気持ちいい。

 ベビードールに包まれたあたしの身体を、お姉さま達にしっかりと抱きしめられて。
 それとおそろいのベビードールに包まれた、お姉さまの身体をしっかりと抱きしめて。
((本当、気持ちいい……))
 珍しく、あたしと雅明の呟きが一致したところで、睡魔があたし達の意識を飲み込んだ。
122 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/12(日) 23:01:12.30 ID:UwoMlNKG
ドレス談義まっさかりのところに、和風?の内容を突っ込んでしまって申し訳ありません。
自分でも色々考えてはいるところですが、他のかたの作品・プロット・作品案などあれば嬉しいところです。

>>106
素敵な作品ありがとうございます。
途中までてっきり、女装した旦那さんが浮気相手と勘違いされて修羅場に発展……と思い込んでしまった
のは自分の心が汚れすぎなせいなのか。

まとめwikiの掲載場所は「9話099」のところでよろしいでしょうか?
「属性」の項目で、ちょっとネタバレしすぎたかなと悩みつつ。
123名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 23:13:54.81 ID:/xreIZNv
>>122
ステキなのキテタ!
これから読ませていただきますです

まとめの位置はバッチリであります
ありがとうございます
124名無しさん@ピンキー:2013/05/12(日) 23:30:21.79 ID:RaSgjZbj
GJ!
本日2回目のGJ(何
今日はいい日だ…今週は全力でがんばれそうだ
125名無しさん@ピンキー:2013/05/13(月) 01:13:06.13 ID:Xsskzdqw
放課後

晶「帰んのかよー、どうせ暇だろ健介ww」

健介「まぁ…」

晶「ちょっとこっち来いよ」

健介「勘弁してください」

晶「おっし、ここは滅多に誰も来ねーからさw」ヌギヌギ

健介「体育倉庫…いや、なんで脱いでるんですか」

晶「あー、勝負下着じゃねーけどお前だからいいだろww」

健介「意味が…」

晶「いーじゃねーかおめーも期待してたんだろwwwほれほれ、興奮してんだろ童貞ww」

健介「説明を…」
126名無しさん@ピンキー:2013/05/13(月) 20:25:36.95 ID:/Vo6kuux
実在とは関係ありません
ですか?

でしたら場所を描く場合、思い切り離れた場所を混ぜたらいかがでしょうか。

ゲームのKanonの場合
大阪府守口市の駅
神奈川県横浜市の商店街。元町中華街の駅近く
東京都は八王子駅からさらに山梨県の方にある公園
を雪国に置いています。

あなたの場合、横浜市のみなとみらい地区、元町中華街地区みたいな描写ですが、
例えば、兵庫県神戸市辺りのGoogleストリート情報を混ぜても良いかと思います。

より、実在しない土地らしさを描く場合、
例えば、兵庫県と神奈川県は喫煙、禁煙に対してヨーロッパ並みに制限されています。
例えば条例で
受動喫煙防止
分煙化の徹底
歩行禁煙の徹底
などが規定されています。

そういう事も含めると良いかと思います。
127名無しさん@ピンキー:2013/05/13(月) 23:08:55.86 ID:u1o32J9D
まとめwikiありがとう
職人さん達もありがとう
128名無しさん@ピンキー:2013/05/14(火) 07:38:06.82 ID:+ZVzLzjs
>>126
作者に何をさせたいのか意味不明。余計なお世話。
作者潰しが目的なら出て行け。
129 ◆fYihcWFZ.c :2013/05/14(火) 21:36:08.41 ID:PeiFSwdC
ぶっちゃけて言うと、今回『実在の〜』と注意書きをつけたのは、実際の中原街道時代まつりとは
関係ないですよ、というだけの意図です。
『親バレしたからには次はデビューしかあるまい』とか、『本名出せないから偽名で』の前フリのつ
もりだけだった校則の件といい、思ってもみなかった裏読みを受けるのは正直楽しい限りです。

そういうものから発展したネタが、特に『瀬野家の人々』には満載なので、今後とも色々いただける
とありがたいと思っています。


ただ、逆に出来る限り『場所』と『時』に関していえば、実在のものをベースに書くスタイルを作者の
わがままとして今後も続けたいと思っているので、ご了承いただけると幸いです。

(例えば今回の投下分も、5/12当日に雨が降ったりしないか冷や冷やしっぱなしでしたが)
130名無しさん@ピンキー:2013/05/19(日) 02:44:08.16 ID:L8RlX9q7
外国の女装小説に多い「強制女装でオバカなギャルにさせられる」系が書きたい熱がたまってきた

女児女装モノもいいなぁ・・・・・・
むりやり小学校中学年ぐらいに入れられるの
131名無しさん@ピンキー:2013/05/19(日) 11:42:20.32 ID:mavCiKM8
ほぅ?
成人した小柄の男の人に私立小学校の制服をきせるのか?
132名無しさん@ピンキー:2013/05/19(日) 15:30:16.17 ID:crNCjy7D
その手の話は恥辱庵に多いな
133名無しさん@ピンキー:2013/05/19(日) 15:50:54.24 ID:2aHWY4TA
幼児化させておしっこ漏らす小説には興味ない
ていうか、最近更新する気全然ないでしょあそこは
134うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
135名無しさん@ピンキー:2013/05/19(日) 22:59:53.38 ID:zca49w3Y
>>133
何気にディスると空気悪くなるからほどほどにな
136名無しさん@ピンキー:2013/05/19(日) 23:59:55.92 ID:WlKaft11
133はディスっているんじゃなくて、自分の性癖を告白してるだけでは。
137名無しさん@ピンキー:2013/05/20(月) 00:43:15.21 ID:1mATTAI7
多分2行目の事を指しているんじゃない?
そのサイトでも掲示板で少しだけ話題になっていたし
趣味ではないと言いつつ更新をチェックしてるのは実は>>133はそのサイト好きで
更新ないからすねているだけなのかもね

と邪推してみる


あ、今、すねると言うワードで
少し違和感のある女装をさせられた少年を可愛い可愛いと騒ぐ女子に
自分の方が可愛いのにとすねる女装が似合う男の娘と言う萌えを受信した
138名無しさん@ピンキー:2013/05/20(月) 07:19:53.02 ID:SBmMr+Ag
中2病をこじらす感じで男の娘を気取って女装をしだし
自分はそこら辺の女子より可愛いと思い込み
回りの男子は自分の事が好きだと信じ込んだ挙げ句
自分は可愛いアピールしまくり
ちやほやされるのが当然と考えている
そんなウザイ系のならリアルで居たらしいと何処かで聞いた事がある

ここ向けにSSにするなら女子に反感買って
先輩の男とかを使ってその勘違い男の娘を犯させるとか
アピールし過ぎでクラスのタガが外れた男子達にまわさらるとかかな
139名無しさん@ピンキー:2013/05/20(月) 12:26:00.98 ID:FoH+/7AZ
>>138

貴方の知識や好みが標準では有りません。
出来具合どうであってもSSを投下して下さる人が必要なんです。
140名無しさん@ピンキー:2013/05/20(月) 18:29:27.99 ID:sycNZ9tt
なに突っ掛って変な流れにしてんの?
141名無しさん@ピンキー:2013/05/20(月) 21:46:38.67 ID:NYGUfesR
>>139
忘れ物ですよ。

つ 『だから俺が、今からそれをもとにSSを書いてやる!』
142名無しさん@ピンキー:2013/05/21(火) 10:31:18.97 ID:/81TjNfw
>>141
私のシュミとセイヘキ全開で良ければ。
書いちゃいますよ。
143名無しさん@ピンキー:2013/05/21(火) 19:38:32.67 ID:QTrSN0D3
>>142
期待してますですよ
144名無しさん@ピンキー:2013/05/23(木) 08:40:53.77 ID:uR4KDynS
お題

男子は2人
・女装 させられている男子
・女装 している男子
女子の人数は不明
・女装 させている女子
背景
・場所、日時、状況、男女の関係性、など
不明


で、良いのですね?
145名無しさん@ピンキー:2013/05/23(木) 21:24:57.61 ID:dt8Rl21O
よくありません、回れ右して巣にお帰りください
さようなら
146名無しさん@ピンキー:2013/05/23(木) 22:21:24.59 ID:sO7ju2DY
趣味に合わないならスルーだろ?
どうも荒らしをしたくて仕方が無いのが居るな
147名無しさん@ピンキー:2013/05/23(木) 23:04:57.81 ID:G62TTNQJ
>>146
釣られてどうするよ。

>>144
まあそんな感じ……かな?
自分の書きやすいように条件は適当に変えてしまったり付け加えたりしても問題ないし。
男女逆転喫茶にするとか。
148名無しさん@ピンキー:2013/05/23(木) 23:16:30.14 ID:TrHYieJl
なぜネタ出しした人ではない人が答えてるんだろう?
ただのネタだから好きに書いてもらっていいんだけどね
149名無しさん@ピンキー:2013/05/23(木) 23:28:28.42 ID:VdDwYUS5
かなり書き慣れてる人でもない限りは

リビドーの赴くがままに書き殴ってくれる方がこっちとしても
ハァハァしながら読めるから自由にしてください
150名無しさん@ピンキー:2013/05/23(木) 23:57:03.46 ID:Iy0WiwSW
一々レス欲しがらないで書くなら書けよとしか言えんな
151名無しさん@ピンキー:2013/05/30(木) 05:59:45.50 ID:uKlJ+RkA
保守
152名無しさん@ピンキー:2013/06/03(月) 18:10:42.22 ID:ImkghwMJ
「夜は娼婦」って単語が浮かんだ
153名無しさん@ピンキー:2013/06/07(金) 15:39:46.33 ID:6zCrp3e6
夜は。
娼婦。

昼間は何なの?。
154名無しさん@ピンキー:2013/06/08(土) 06:01:21.98 ID:BWVbomOf
こんな素晴らしいスレがあったとは
アキちゃん可愛すぎて憧れるわ
155名無しさん@ピンキー:2013/06/09(日) 14:53:23.59 ID:EiMnpLeN
昼は詰襟を着た学生なのか、あるいはバリバリのサラリーマンか
ちょっとだけ夢が膨らむ>夜は娼婦
156名無しさん@ピンキー:2013/06/09(日) 17:18:42.70 ID:wznh2653
お嬢様学園に通う、品行方正で知られる優等生(実は性別♂)というのもなかなか。<夜は娼婦
157 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/11(火) 00:28:25.64 ID:4ZKxd6jm
>>152-153 >>156 こげな感じでしょうか。

『夜は娼婦。昼は……?』 1/2

「遠藤……先生?」
「僕もびっくりしたよ。君がこんなことしてただなんてね……久住百合香さん」
 自分の勤めるお嬢様学園。その制服を一分の隙もなく校則通りに着こなした清純な美少女。
 その瞳が驚愕に見開かれる。

「大丈夫だよ。今日は僕は客として来たんだ。誰にも口外したりしない。──きちんと誠心
誠意、サービスをしてくれるならね。さあ、こっちへ来て」
 学内では常に控えめで目立とうとしないけど、品行方正の優等生として知られ、良家の子
女に相応しい佇まいと容姿を備えた彼女は、少なからず一目置かれる存在ではあった。

 白いセーラー服を着た、ほっそりとした身体のその少女が、おずおずと僕の隣に腰掛ける。
「うん。それでいい。……まずは持ち物検査しようか」
 僕はそう言って、校則通りの丈の、彼女の履いたプリーツスカートを左手でめくり上げた。
 肉付きの薄いほっそりとした両脚の付け根に、飾りのない白いショーツが見える。

 その様子は可憐な少女そのままで(やっぱり担がれたのかな?)という考えが脳裏を過る。
「先生、駄目です……」
 首を振ると、首筋までの長さできちんと切り揃えた艶やかな黒髪から、甘い芳香が漂う。
 柔らかな産毛の生えた滑らかな白い頬が、だんだんと羞恥に赤く染まる様子に見とれる。

「『先生』なんて呼ばないで。……そうだね。隆志さん”って呼んでくれると嬉しい」
「隆志さん、やめてください……」
 生娘の反応そのままに、恥ずかしがる様子。これは演技なのだろうか?
 判断がつかないまま、彼女が身に着けるショーツを右手で引き下ろす。

「やあ、びっくりしたよ。まさかあの久住さんが、こんな秘密を隠しているだなんてね」
「い、いやあああぁぁっ!」
 そこにあるのは、うちの生徒には決してないはずの器官。同じ年頃の少年と比べるとひど
く小さくて形も可愛らしく、『大きめのクリトリスなんです』といえば通りそうな存在。

 女の子のショーツに、窮屈そうに収まっていたそれは、空気に直接さらされた解放感から
か、内心の興奮を反映してか、むくむくと大きさを増していく。
 ──それでも、僕の通常時よりもずっと小さなものだったけれども。

「指でスカートを摘み上げていてね」
 と、『彼女』にお願いしてベッドを降り、可憐なその蕾を咥える。
 いい加減見慣れすぎて食傷気味だったセーラー服。でもそれを纏っているのが少年だと認
識したとたんに、こうも興奮を覚える自分の性癖に内心苦笑する。

 最大サイズでも口の中でなお余りのある小さな器官。舌を伸ばし、竿の根本から玉袋まで
を丹念に丹念になぞる。
 そのたびに少女そのままの姿で身体をくねらせ、少女そのままの声で喘ぎ声をあげる。
 登り詰めそうになったら緩め、落ち着いてきたら強め。

 そんな時間をたっぷり楽しんだのち、彼女の発したたっぷりの精液を口の中に含んだまま、
ほっそりとした身体をベッドの上に押し倒し接吻をする。
 本気で抵抗しかけた手足を押さえつけ、半ば無理やり彼の体液と自分の唾液とを流し込む。
158 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/11(火) 00:28:40.25 ID:4ZKxd6jm
『夜は娼婦。昼は……?』 2/2

 深く唇同士を重ね合わせたまま、至近距離から顔を観察する。
 長く濃い睫毛が、皮膚の薄そうな白い頬に影を落とす。
 ニキビのない、同じ年齢の少女たちと比べてもずっと滑らかな肌。あどけなさを残した、
上品な端正な顔立ち。

 その美少女の股間にある器官が、さっきあれほどまでに放出したにも拘わらず、スカート
を押し上げて硬直しているのを微かに感じる。
 キャミソールを引き出し、セーラー服の隙間から腕を潜り込ませる。ブラに直接取り付け
たパッドが作る控えめな胸。でも実際には膨らみの兆しもない平らな胸。

 その筋肉を感じさせないすべすべした平原の上、左手の指を走らせて、小さな小さな乳首
の周辺をそっと丁寧になぞる。
 同時にプリーツスカートを捲りあげる形でお尻の割れ目を執拗に責める。

 唇と乳首とアヌスの3点責め。
 股間のものが刺激を求めてひくつくけれど、そこには決して刺激を与えないように注意し
ながら、穢れを知らない清楚で可憐な美少女以外には決して見えない少年の心と体に、『女
としての快楽』を教え込んでいく。

 長いキスを終え、今度は自分のペニスを黒髪のセーラー少年に咥えさせる。
 そこで漸く、確信に至る。
 恥ずかしがっているふり、慣れていないふりを演出しているけれども、この子は恐ろしい
ほどの訓練と実践を重ねた存在なのだ。

 良家の子女が通うことで有名なお嬢様学園である、自分の勤め先。
 その学園の中でも、優れた容姿と優しい物腰、折り目正しい楚々とした仕草で、密かな尊
敬を同級生の少女たちや教師たちからも集める、セーラー服の美しい少女。
 それが実は少年だというのも驚きなのに、夜な夜な身体を男たちにひさぐ娼婦なのだ。

 自分でも可笑しいくらいに、容易く心と体が快楽に支配される。
 キスの味すら知らないような可憐な唇が、器用に動く長い舌が、ありえないくらいの精度
で雄としての自分を覚醒させる。
 気が付いたときにはもう、彼女の細い体を後ろから一心不乱に突き上げていた。

 『年端もいかない少女を犯している』『教え子を犯している』『同性の少年を犯している』
3つのタブーを同時に犯す背徳感が自分の興奮を否が応でも煽り立てる。
 アヌスの具合も抜群にいい。入口だけでなく、奥まで自分の分身を締め上げてくる。
 その晩、僕はこの『少女』の身体に、それから4回の精液を注ぎ込んで果てたのだった。


「ごめんなさいね。あなた」
「……しょうがないことは分かってるんだ。百合香。気をつけてね」
 土曜夕方の玄関先、清楚なワンピースに身を包んだ愛しい妻”にキスをして見送る。

 あの『初めての晩』から3年後、『彼女』が高校を出るなり僕たちは結婚式を挙げた。
 昼の間は若々しく貞淑な新妻”として近所でも評判な彼女だけど、一週間に一度の夜に
は未だにこうして娼婦を続けている。それが少し、僕をやるせない気持ちにさせるのだった。
159名無しさん@ピンキー:2013/06/11(火) 01:43:23.37 ID:vaazqWlY
GJ! もっとも、何で未だに街角に立つのが気になりますが・・・
160名無しさん@ピンキー:2013/06/11(火) 19:10:46.60 ID:LvrTa6Oe
欲を満たすためだよ
彼女の中に巣食う淫獣のね
161名無しさん@ピンキー:2013/06/11(火) 20:05:58.10 ID:63ZyrKrw
それ以前に先生はどこから情報を仕入れたのか気になるw
「担がれたのか」ってことはどっちの秘密も聞いてきたわけだろうし

しかし毎度毎度、氏の速筆とボリュームには恐れ入る
リアル女装に目覚めたらどうしてくれるのか
162名無しさん@ピンキー:2013/06/11(火) 21:08:37.32 ID:u/Rz1w4p
GJ!
このところ更新が無くて淋しかった
163名無しさん@ピンキー:2013/06/11(火) 22:33:58.70 ID:hDmfXD4B
随分久々
164名無しさん@ピンキー:2013/06/11(火) 22:37:19.13 ID:mId+VUDR
>>157
GJ!

ところでwikiなんだけど、登録済みのヤツに更新が入ってるときあるのはなんで?
ちょっとだけ気になったので
165名無しさん@ピンキー:2013/06/11(火) 22:55:11.14 ID:u/Rz1w4p
誤字訂正とかやってんじゃね
166 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/12(水) 21:12:42.14 ID:eZV7s8xy
アキちゃん話の次がなかなか難産で、筆が進まない自分に困ってるところだったりします。
来週末投下予定分の完成が間に合うかどうか……

>>160
採用。

>>164
上のメニューの「表示」>「最新版変更点(差分)」で変えたところは見れます。
最初突貫工事で作成したので、体裁が変になっているところとか、紹介がおかしなことになっている
箇所が多々あり、修正をぼちぼちやっているところだったりします。
167名無しさん@ピンキー:2013/06/14(金) 20:50:05.65 ID:6AG75eNi
数日後になっても、より、読みやすい作品をお願いします。
作文、難しいです。私には。
168 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/16(日) 19:57:19.99 ID:JXackwie
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-1 1/6

 ──いよいよ、“この日”がやって来たのだ。
 自分の目の前には、一輪の花のような可憐な花嫁がいる。
 よく見慣れた面差しのはずなのに、丁寧なメイクを施された顔は別人のように華やかだ。
 ピンクのオーガンジーで出来た、軽やかな打掛を天の羽衣のように着こなした美しい少女。

 これは新和装、って言うんだっけ。
 白無垢をベースにしつつ、洋風のドレスのテイストをあわせた可愛らしい花嫁衣裳。
 髪もメイクも洋風で、薄紫の桔梗の生花をあしらった髪飾りが良く似合ってる。
 その少女に笑いかけると、少しはにかんだ、でもあでやかな笑顔を返してくれる。

 胸の中が、なんだかとても温かなもので満たされていくような、そんな笑顔だった。
 少女はそのまま袖の裾を持って、ひらり、ふわり、軽やかに衣装の様子を確かめ始める。
 その天女の舞いのような姿に、すっかり陶然としてしまう。

「アキちゃん、準備できた? ……うわぁっ。凄く綺麗!」
 鏡の中に映る自分の姿から目を離し、あたしは世界一愛しい、その声の主に笑顔を向ける。
 ──そうだ。あたしは今日、このピンクの打掛の婚礼衣装で、お姉さまの花嫁になるのだ。

(気分出してるとこ悪いけど、お前の結婚式じゃなくてお仕事だからね? これ)
 ……雅明って本当、無粋なんだから。
 ということで、今日はお姉さま達と一緒に、ブライダルフェアの中のウェディングドレス
ファッションショーのお仕事なのです。
 新郎役2人と新婦役6人。相場は知らないけど、この手のショーとしては大規模だとか。

(実際には男4人、女4人だけどなー)
 はい雅明、お約束の突っ込みありがとう。でも、それをいうなら男5人、女3人だよ?
(……うそっ。ってことは俺と俊也以外に女装して花嫁やってる人がいるの? 誰?!)
 悩む雅明をほっておいて、お姉さまの姿に見蕩れる。

 古典的で豪奢な黒打掛に身を包んだ、あたしと違って純日本風の打掛姿の花嫁さんだ。
 肩幅が狭く頭が小さくて首が細くて長いお姉さまのこと、そんな姿もとても良く似合う。
「でもやっぱり、打掛って重くて動きにくくて大変。アキちゃんは大丈夫?」
 すごく軽やかで優美な動きのまま、優しくあたしを気遣ってくれる。

「この打掛、軽くて動きやすくていいですよ?」
「アキちゃん、花魁のときもそんなこと言ってたから、油断できないよね♪」
 これも豪華な赤い打掛姿の愛里お姉さまが、くすくす笑いながら言ってくる。
「でも、衣装合わせで何度も見たけど、メイクするとまた格別。言葉に出来ないくらい綺麗」

「お姉さまがたも、本当に綺麗ですよぅ。もう、感動で涙が出てきちゃいそうなくらい」
「あらあら。せっかくのメイクが崩れちゃうから、それはもうちょっと待ってね?」
「メイクって厄介よね。それがなければ、今でもアキちゃん抱きしめてキスできるのに♪」

(でもさ、アキ。俺と悠里の結婚式やるとしたら、やっぱり俺がドレス着るのか……?)
 どんなドレスがいいかなぁ。今日着る3着目のドレス、あれなんか素敵だよねっ!
(いや、俺は普通に結婚式をあげたいし、ドレスなんて着たくないんだけど)
 ……雅明。あたしに嘘ついても無意味ってこと、ちゃんと学習しないとダメよ?
169 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/16(日) 19:58:03.92 ID:JXackwie
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-1 2/6

 ブライダルフェアの裏側。あたし達の出番が来るまで、しばらく待機。
 イベントのモデルの時に毎回ある、緊張と興奮とでドキドキしちゃう時間だ。

 今日は最初は全員和装スタートで、そのあと急いでドレスに着替え。
 特にお姉さま達はお客さんの前で、『5分で色打掛からドレスに早着替え』を実演するそ
うで……最前列でかぶりつきで見たかったなぁ、と正直ちょっぴり残念。
 でも一緒にウェディングドレスで競演できる喜びも捨てがたく、迷ってしまう乙女心。

 お姉さま達が一番綺麗なのは当然として、ほかの3人の花嫁さんたちも本当に綺麗。
 1人は身長180cm以上ありそうな、すらりと背の高い女の人。このショーのチーフプロデュー
サーも兼ねているという、才色兼備の美人さん。今は白無垢に身を包んでいる。

 白無垢の人はもう1人。なんだか天使を思わせる、少し不思議な人だった。お姉さま達と
並んで容姿とスタイルで見劣りしない人を、モニタ越し以外で見るのは初めてかも。
 最後の一人は黒引き振袖を着た妖艶な美人さん。今は隠れてるけどたぶんGカップくらい
の綺麗なおっぱいと、あたしが少し見上げるくらいの身長の持ち主だ。

 花婿役さんたちも、すらり背が高くて本当に美形。
 今は紋付袴姿で、長く伸ばした髪を後ろで纏めた、細身で中性的なハンサムさんと、タキ
シード姿で筋肉質の、ちょっとワイルド系のイケメンさんの2人。

「今日はすっごい、モデルのレベル高いわね」
 お姉さま達とチーフさんが、早着替えの最後の打ち合わせ中。
 1人ぽつんと待機状態のあたしに向かって、黒引き振袖の妖艶さんが話しかけてきた。
「そうなんですか? あたしこの手のショー、初参加だから分からないことが多くて」

「やっぱり。なんだかそんな感じがしたもの」
「そうなの? リハでもウォーキングとかうまくて、慣れてるなあ、って感心してたのに」
 白無垢姿の天使さんが、驚いた様子で会話に参加してくる。
「あなたのほうは、初めてじゃないのよね?」

「私なら大学のとき2回バイトで参加したくらいですね。本業モデルさんにはとてもとても」
「あれ? ということはモデルさんじゃないんですか? こんなに素敵なのに」
「私、そういうのは全部お断りしてて。今日はいろいろあって仕方なく」
 びっくりするくらい綺麗な肌が印象的なこの人にも、色々事情があるんだろうか。

「アキちゃん……だっけ? さっき悠里さんのことお姉さまって言ってたけど、どんな関係?」
 タキシードのワイルドさんも、会話に参戦。
「えっと。親同士が再婚したので、血は繋がってないけど、お姉さま達の妹です」
「へぇ。なるほどね! 瀬野姉妹の秘蔵妹か! やっぱりモデルになるんだ?」

「はいっ! お姉さま達に一歩でも近づけるように、日々修行中なのです」
「やっぱりか。きっとビッグになれるよ。今日、ショーが終わったあとサインもらっていい? 
将来自慢できるようにさ」
 紋付袴さんのハンサムまでそう言って参加してききて、会場に聞こえないよう小声で会話。

 そんな和やかな雰囲気の中、いよいよショーが始まった。
170 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/16(日) 19:58:39.74 ID:JXackwie
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-1 3/6

 あたしの出番は4番目。
 5番目の愛里お姉さま、6番目のお姉さまに引き継ぐ、露払いのお役目だ。
 1番手のチーフさんが舞台袖に戻ってくるのを合図にして、会場に脚を踏み入れる。
 とたんに溢れる、あたしとその衣装を称える声とフラッシュ。

 一度体験してしまうと止められない、エクスタシーに似た快感が全身を包みこむ。
 さっきの会話で、いい感じに緊張感も取れてくれた。妖艶さん達に感謝だ。
 大きく袖を広げ、西洋の貴婦人の礼をイメージしながらお客さんたちに一礼する。
「うわぁぁっ。綺麗ー」「可愛ぃー」「華やかでいいねぇ」

「あら、こんなのも可愛らしくていいわね」「私はもっと普通なのがいいかな」
 会場から、乗り気な母親を年頃の娘さんがたしなめる声が届く。それがなんだか楽しい。
 他の人は純粋な和装で、歩く姿もしずしずとした雅な姿。
 でもあたしには新和装の軽やかさを演出するように、むしろ華やかにと指示を受けている。

 足を止めて投げキッスしたり、小さな女の子相手に、少し屈んで笑顔で握手してみたり。
 その度に生まれるお客さんとの一体感。なんだかとても嬉しい気分になる。
 『ブライダルファッションショー』と聞いて、何か舞台の上でやるファッションショーを
最初思い浮かべてたんだけど、今日はそんな感じじゃない。

 ホテルの会議場2部屋分を繋げて使った会場。
 手前に並べた椅子には主に母娘連れが座り、男の人とかが後ろに凄い密度で立っている。
 あたしたちが歩く場所は、中央に敷かれた赤いじゅうたんの上。
 手を伸ばせばお客さんたちとも触れ合える、そんな距離感がとても楽しい。

「きっ、れ──」「……ええっ?! 瀬野悠里さん?!」「本当だぁ。こんなところで見れ
るなんて思ってなかった!!」「悠里さーん!」
 背後から、そんな声が上がってきた。
 ポーズをとる振りをして後ろを向き、苦笑している愛里お姉さまとアイコンタクト。

 悠里・愛里の双子姉妹として何度かテレビにも出てるとはいえ、まだまだ知名度にはお姉
さまには劣る愛里お姉さま。
 お姉さまの、これまでの地道な積み重ねの重要さを実感する。

 2部屋目で折り返して、丁度愛里お姉さまとすれ違う頃合、今度は本物のお姉さまが登場。
「あれっ? また悠里さん?」「……ああっ分かった! 今度は愛里ちゃんか?!」
 一部で混乱している様子に、吹き出しそうになるのをぐっと堪える。

 それにしても、お姉さま達は本当に優美だ。
 なんだかお決まりのようになってる、赤の衣装の愛里お姉さまと、黒の衣装のお姉さま。
 お姉さま達にいつも感心させられるのは、ちゃんと衣装の良さを引き出しているところだ。
 自分がモデルをやってみて、その凄さが特に実感できる。

『もうお気づきの方もいらっしゃるようですが、黒の打掛の方がモデルの瀬野悠里さん。赤
い打掛の方がその双子の妹の瀬野愛里さん。そしてもう1人、ピンクの打掛の人が、お二方
の妹の瀬野アキさんです』
 アナウンスの人がいきなりアドリブで、あたし達の紹介をしてくれる。
171 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/16(日) 19:59:09.70 ID:JXackwie
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-1 4/6

「ああっ、なるほど!」「悠里さーん!」「さっき、間違えちゃってごめんなさいっ!」
「アキちゃんって言うんだ。かぁいーっ!」「愛里さーん!」「アキちゃーん!」
 突如“ブライダルファッションショー”ではなくなってしまった空間と、知らない人から
こんな風に名前を呼ばれる初めての体験。

 そしてリハーサルにない無茶振りに内心戸惑いつつ、3人笑顔でお辞儀する。
「うわぁ。本当、綺麗」「息もぴったり。練習してたのかぁ」「美人三姉妹でいいなあ」
 お客さん達が喜んでくれたようで、ほっと安心する。
 そのあとあたしだけ進んで退場、お姉さま達は部屋に1人ずつ立って早着替え実演開始。

 さて、これからが戦場だ。
 本来20分くらいかかるという和装からドレスへの着替えを、9分以内に終えるのだ。
 舞台裏に入った瞬間、横から伸びた手に髪飾りを外され、打掛をするりと脱ぎ去る。帯を
取って脱いで、下着だけの姿になってパニエを装着。

 大慌てで白いドレスを纏って、メイクと髪型を調整する。鏡の中の、可愛らしい花嫁とし
ての自分の姿。それをじっくりと鑑賞する間もなく、次の出番に入る。
「アキちゃん、可愛いよ♪」「リラックスして頑張ってね」
 自分達も着替えで忙しいのに、笑顔で声をかけてくれるお姉さま達の存在が愛おしい。

 バレエ衣装を思わせる、チュールスカートがふんわりと膨らんだ、膝丈までのミニドレス。
 肩胸背中が大きく開いた胴部のデザインは身体にそったシンプルなものだけど、その分ス
カートには花飾りとか散らされていてとっても可愛い。
「これ、軽くて動きやすそうでいいなぁ」「式で着るにはちょっとはしたないんじゃ?」

 「アキちゃーん」と呼ばれるたびに笑顔で手を振って、さっき握手した女の子の前でくる
りと一回転したりして。そんな折り返し地点、またお姉さま達の姿が見える。
 オプションの付け方でがらりと印象の変わる4wayのウェディングドレス。ホルターネック
に見える飾りをつけた愛里お姉さまと、それを外してベアトップ状態のお姉さま。

 2人で仲良く手を繋いで優雅に歩く姿につい見蕩れそうになって、慌てて意識を引き戻す。
 あたしが退場する間際、くるりと一礼すると、お姉さま達がスカートを外してミニドレス
に変化する様子が見えた。ギミック満載なのが羨ましくもあり大変そうでもあり。

 3分間で着替えを済ませて次の出番。
 これはあたしには珍しく少し大人びたドレスで、密かなお気に入りなのだ。
 前は小さく、お尻側を大きく膨らませたバロックスタイルのウェディングドレス。

 胸元と背中が大きくむき出しで、長袖になった腕と胴部にびっしりとフェイクパールと刺
繍が付けられている。お尻につけられた大きなリボンが可愛らしさを演出する。
 ラインが綺麗で、ウェストがすごく細く見えるのもお気に入りの理由の一つだ。
「これ凄くいいね! 気に入った」「でも、あなたじゃウェスト入らないんじゃ……」

 前回までとは打って変わって、優雅に歩きを進める。
 できればこの姿で、いつかお姉さまと一緒にヴァージンロードを歩くその時を夢見ながら。
 先ほどまで華やかな声をかけてくれていた女の人達が、うっとりとため息をついている。
 そんな様子が誇らしい。
172 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/16(日) 19:59:42.57 ID:JXackwie
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-1 5/6

 ターンすると、一足先にカラードレスになったお姉さま達が見える。
 赤と黒の、スレンダーなイヴニングドレスに身を包んだ綺麗な姿。

 愛里お姉さまのTVデビュー時、ドレス姿の少女がお姉さまじゃなくて愛里お姉さまとい
ことを自ら暴露してちょっと騒ぎになった、いわくつきのCM。
 そのCMで愛里お姉さまが纏っていたのと同じデザインで色違いの、優美なドレスだ。
(スポンサーさんは結局、いい宣伝になったと大喜びだったそうだけど)

 お客さん達でも気付いた人がいたらしく、「これ、CMのドレスだね」「実物だと、もっ
と綺麗だなあ」「いいなあ。あたしも着れるかな?」とか言い合ってる声が耳に届く。

 そのあとあたしはスカイブルーのミニのドレスに着替えて再登場し、更に最後の、豪奢な
ピンクと白の、童話のお姫様風のドレスに着替える。
 大きく膨らんだプリンセスラインのスカート。広がるパコダスリーブの袖口。
 金髪巻き毛のウィッグの上に、ティアラが燦然と輝いている。
 コスプレっぽい気もするけど、披露宴でこういうのも人気だとか。

 最初に握手した女の子の前で、今度はスカートを摘み上げて貴婦人の礼。
「アキさん、ありがとう! お人形さんみたいで本当に綺麗!」
 一緒にいたお母さんともども大喜びしてくれて、何よりと思う。

 真紅のスタンダードなAラインドレスのチーフさん。漆黒の色っぽいマーメードラインの
ドレスの妖艶さん。背中の大きなリボンが妖精の翅を思わせる、桜色のミニドレスを着た天
使さんの前を通り過ぎ、モスグリーンとマリーゴールドの、色違いで同じデザインのベルラ
インドレスのお姉さま達。それに花婿さん達の横に並び、最後に大きくみんなで一礼。

 途端に鳴り響く、大きな拍手。
 準備も含めて確かに色々大変ではあったけど、それが報われたと思う瞬間だ。
 皆そのままの衣装で着替えることもなく、髪やメイクのセットをきちんとしなおしたりし
て、ブライダルフェアを終えたお客さん達を見送る。

 お姉さま達の周りが人だかりになるのは当然なんだけど、あたしの周りに出来るこの人だ
かりは意外だった。
 すっかりお馴染みになった女の子を抱っこして写真を撮ると、他に何人かいた女の子達も
我先に抱っこをねだってくる。

『ブライダルフェアの主役はお客様』ってチーフさんの言葉を思い出しつつ、握手をしたり、
一緒に写真を撮ったりして、ようやく人がはけたのは割と時間ぎりぎりになってしまった。
 ここまでが1回目のショーで、最初のピンクの打掛に着替え次のショーに備える。

 ここまでが1セットで、これが今日は残り3回。
 意外に工夫しどころがあって、面白い。
 同じドレスでも、自分の動き方を変えるだけでお客さんの反応が随分変わってくるとか。

 3分間での着替えも、最初ぎりぎりだったのが、段々と余裕が出るようになってくる。
 もっともっと続けたい。
 そうは思っても、やっぱり終わりの時間がやってくる。それがちょっと寂しかった。
173 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/16(日) 20:00:08.92 ID:JXackwie
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-1 6/6

「アキちゃん、また腕をあげたね♪ サクサクしてるのに、口の中でとろけてる」
「この甘さに癒されるわあ。ほっぺた落ちそう」
「いつもながら美味しいわね……アキちゃん、愛い奴、愛い奴」
「ん。なんだか少し、不思議な食感がする……これ、ひじき入りかな? あとはおから?」

「当てられるとは思ってなかったです。ミネラルと植物繊維たっぷりにしてみました」
「なるほど、体にもいいんだ。それでこれだけ美味しいし。今度私も試してみよ」
 今日のショーもすべて終わって、普段着に戻って化粧直しして。
 撤収作業その他で忙しいチーフさん以外の、今日の花嫁モデルさん5人で少し休憩。

 昨日のうちに作って持ってきたチョコクッキーを皆で食べる。
 お姉さま達と3人で食べるつもりだったけど、色々意見を聞けるのはやっぱり嬉しい。

(ところでアキ、俺ら以外に女装してる1人って結局誰なの? やっぱりチーフさん?)
 ん? あたし、そんなこと言ってないよ?
 持ってる情報は一緒なのに、やたらと男と女とかどうでも良いことに拘るくせに、相手
が男か女かも分からない雅明がなんだか不思議だった。

 スタッフの皆さんとも挨拶をして、会場を出る。
 下着の上はショーのときから変えてないから、今日は胸元を見せる服が着れる。
 ということで衿が大きく開いた、白地に赤い小花を散らしたトップスの上に、ピンクの
長袖シャツを前を開けて羽織り、空色のマキシスカートを合わせた衣装。

 その服で事務所に立ち寄って、今日はあとは帰宅だけだ。
「いい一日だったねー♪ 素敵なドレス一杯着れたし」
「やっぱりドレスは女の子の憧れですよねぇ……すてきなお仕事でした」
「あなた達はそうかも知れないけど、私は流石に疲れたわ」

 今日をうっとり回想する愛里お姉さまとあたしに、お姉さまが突っ込みを入れる。
「まあでも、可愛いアキちゃんがいーっぱい見れたから、今日は私も大満足かな♪」
「アキちゃん凄かったなぁ♪ 舞台の最中でも、どんどん上手くなっていくんだもの」
「お姉さま達を見て本当に凄いな、って思って。一歩でも近づけるように、って頑張って」

「やっぱりアキちゃん偉いなぁ。……私も負けてられないな。このあと、事務所のトレー
ニングルーム使わせてもらえないか、聞いてみよ」
 と言って携帯を取り出すお姉さまに、大慌てで「あたしもお願いします」と頭を下げる。
「2人とも元気だなぁ……あ、お姉ちゃん、私の分もお願いしてね」


 それにしても、今日は素敵な一日だった。あんなに綺麗なドレスをいっぱい着れて。
(男なのに、せっかくの日曜を女物のドレスを着せられて潰して。酷い一日だった……)
 ……なんだか雅明、今日はやけにつかっかってくるのね。

 それじゃあ来週もブライダル関係のお仕事だし、せっかくだから雅明にお任せしちゃおう。
(本当に勘弁してよ。俺、ドレスなんて着たくないんだって)
 あの素敵なドレスを“あたし”が着れないのは本当に残念だけど、雅明のことを思って譲っ
てあげるんだからね。感謝しなさいよ?
174 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/16(日) 20:05:10.52 ID:JXackwie
>>65
のアイデアをありがたく頂戴しつつ、今回分の投下です。
他いくつか頂いていたりしますが、それは次回投下分にて。

なおこの話は実在の某歌手兼モデルさんおよびブライダルショーとは無関係です、と一応注釈を。
17565:2013/06/16(日) 23:17:59.03 ID:QHmlKBl9
GJ!!!!!!!!
素晴らしい!!!
なんか今週一週間無敵状態で戦えそうな気がしてきた(違
アイデア採用していただき、ありがとうございました!
176名無しさん@ピンキー:2013/06/19(水) 02:13:15.61 ID:VJp9rL1B
毎度のことだがファッション知識すげーな
種類が多すぎて情景が想像しきれないぜ、まぁ調べるのも楽しいが

女装な方(天使さん?)が新たに出てきたってことは、
この方も巻き込んで秘密のイベントあったりするのかな
177名無しさん@ピンキー:2013/06/20(木) 23:45:09.18 ID:3QZ++uOa
天使さんは新キャラじゃなくて旧キャラな気がした。
178 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:44:58.37 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 1/13

「うん。アキちゃん、やっぱりおっぱい綺麗でいいなあ♪」
 俺の胸を指先でぷにぷにと突きながら、悠里が実にニコヤカな笑顔で言う。
 見下ろすと見える、たった今出来上がったばかりの谷間が、下着の合間から『コンニチワ!』
している光景。

 別に豊胸したわけでなく、上半身の肉を胸のところにかき集めてそれらしくして、ヌーブ
ラで持ち上げて下着で固定して作った、即席でまがいものの谷間もどきである。
 着替えやドレス合わせに何度か参加しても、(多分)一度も俺が男だとばれなかった優れ
もの。……貧乳・上げ底というのは、わりとバレまくりだったけど。

 俺が今着ているのは、純白のウェディングドレス用の下着(ビスチェとか呼んでいたっけ)。
 コルセットと胸のカップが一体になったもので肩ひもがなく、背中側は大きく開いている。
 最初のころ息が止まるかと思った締め付けには段々と慣れてきたけど、マシュマロや悠里
の素肌のような肌触りのよさには未だに慣れられそうにない。

 アキでいるときは大喜びしていたそんな姿も、今はただ、げんなりさせる材料だった。
「悠里、毎度だけど胸作る手助けありがとな。……あとズボン貸してくれない?」
「どうぞどうぞ。……私もそろそろ準備に入らなきゃ、かな」
 時計を見上げて風呂場に向かう悠里。その背中を見送ってクローゼットを開く。

 『彼女のクローゼットを開いて物色して、その服を着る彼氏』というのもまた異様な話だ
けど、俺たちの間では最近普通になってきた。なんだか感覚が麻痺してきてまずい。
 黒のジーンズを適当に選んで部屋に戻り、二ヶ月前に部屋に増えた自分の衣装棚を開く。
 フリル・レース沢山、ピンク系多数の、頭がくらくらするような眺めと匂いだ。

 今日はホテルでの撮影。ロビーで場違いにならぬよう、シックに大人らしくなるように。
 頭をひねってお洒落するのは楽しい……と思っている自分に気付いて落ち込むけれど。
 まずレースのついたクリーム色のショーツに穿き替えて、胸元に小さなリボン飾り付きの
白のキャミソールを羽織る。アキで慣れて、もう感想も浮かばなくなってるのがやばい。

 その上から俺用の、男物の無染色のリネンの長袖シャツを着て、先ほどのジーンズを穿く。
 脚の長さは殆ど一緒で、腿回りは少し余るくらい。いつも着ている男物よりよほどフィッ
トするという事実が、俺の男としてのプライドをいい塩梅で潰してくれる。
 ウェストがぶかぶか過ぎるのは、ベルトをきつめに締めてカバー。

 タックで股間に回したペニスが、ショーツの生地とジーンズの股下部分に常に刺激されて
かなり気持ちの良い事態になってるけど、それは我慢しつつ自分の姿を鏡に映して確認。
 お尻が寂しいので、ジーンズの上に、白地に赤い花柄のスカートを着用してみる。

 女物とはいえジーンズと、男物のシャツの取り合わせ。
 マニッシュ方面を目指したつもりだったはずなのに、下着に取り付けたパッドのせいで突
き出た胸と、括れたウェストが強調されて、逆に非常に女らしくなっていた。
 お洒落って難しい。

 髪をとかして、最小限のメイクをして、女物のベージュの薄いジャケットを羽織ればもう、
“可愛くて発育の良い女子中学生”の出来上がりだ。
 ……『シックに大人らしくなるように』は、どこに行ってしまったんだろう?
179 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:46:25.68 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 2/13

 モデルの仕事がある日はいつも勝手に登場している“アキ”なのに、今日は呼んでも何し
てもやってこない。
 前の日曜、今日は俺に任せるとか言ってた記憶があるけど、本気なのだろうか?
 案内された控え室でマニキュア・ペディキュアを塗られながらも、既に違和感が半端ない。

 靴や手袋で隠れるのに、いちいち塗らなくても良いだろうに、とも思うのだけど、今日は
本格的な花嫁姿で撮影するのがクライアントの意向とかで仕方がないらしい。
 男そのものである俺が、『本格的な花嫁』! ……どんな酷い冗談なのかと。
 手術済みとか、心は女とか、せめて女装が趣味というならまだ理解可能な世界なんだが。

 だけど冗談でもなんでもなく、俺は徐々に徐々に花嫁にされていく。
 ベースの化粧だけで、種類を替え、場所を替え、色を替え。
 睫毛も一本一本持ち上げていくように。

「今日は随分可愛らしいモデルさんなのね。お肌も本当に若々しくて……何歳になるの?」
「もうすぐ18歳なんですよぅ」
「ええっ?! もっと若いと思った。私も何回か16歳の子のメイクしたことあるけど、そ
れよりずっと若い感じ……白人さんでも、こんなに肌が白くて綺麗な人いないし」

 やたらと話しかけてくる、中年女性のメイクさんだった。
 そのたびに“17歳の現役女子高生モデルの瀬野アキ”として回答しないといけないのが
いちいち羞恥心を煽る。2歳サバを読んで、まだ幼く見えるのってどんなのだろう。
 ただこのメイクさんの腕は確かで、その指の動きについつい見とれてしまう。

 メイクさんも俺のそんな視線に気づいて、少しの会話ののちメイクの説明を事細かにして
くれるようになった。面白いテクも多くて参考になる。
 写真栄えするぎりぎり最小限の色遣いでとどめて、モデルでは意外と欠点になりがちな色
の白さを魅力に置き換えている。

 化粧も終わって次はヘアメイク。アップ風に纏めて、ゆったりとしたウェーブのかかった
髪と同色のエクステをつけて背中に垂らす。
 そのくすぐったい感覚が心地よいと、不覚にも思ってしまった。

 ひとまず完成した、鏡の中の自分を見つめる。
 いつもの自分の幼さは、瑞々しく若々しい可憐さに変えられている。代わりに占めるのは、
ヨーロッパの社交界にでも出せそうな気品と上品さと、新雪のような透明感。
 メイクってやっぱり奥が深くて面白い。自分の女装姿に落ち込みつつ、改めてそう思う。

 下半身の下着を替えたあと、ボリュームを出すためのパニエを身に2重に着ける。
 そしてスタッフが何人がかりかで持ち込んできた、本日1着目のドレスと対面。
 衣装合わせのときも思ったけれども、本当に俺が着てよいものかどうか不安になるような
ドレス。1日間のレンタル料だけで百万円を軽く越えそうだ。

 本当に俺が──というより人間が着れるのか不安になるほどほっそりした上半身。
 びっしりと細やかな刺繍と、本物の真珠らしい輝きと、布地そのものの煌きがそれを彩る。
 スカート部を埋める花を模した飾りが、まるで花畑のよう。
 ドレスというより、布で作った芸術作品という印象すら与える存在だった。
180 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:47:35.91 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 3/13

 その“芸術作品”のパーツの1つに、俺はこれからされてしまうのだ。
 そう考えた瞬間、なんだかよく分からない感慨めいた何かが背中じゅうを駆け回るような
感じがした。

 化粧を衣装につけないよう、慎重に慎重にドレスを上から被らせてもらう。
 パニエの上を滑らせたスカートを合わせるふりをして、生地に指をそっと這わせる。
 “シルク”と一言で言っても、ここまで差があるとは思わなかった。

 手触りが違う。煌きが違う。
 初めてシルクのチャイナドレス(正確にはシルク混紡だそうだけど)を着たときも、男物
の服にはない気持ちよさにびっくりしたものだけど、それとすらレベルが完璧に違う。

 ボディの部分を慎重に合わせて、コルセットみたいに背中の紐を編み上げられる。
 肘上までの、これまたシルクのグローブを慎重に引き上げてもらう。
 自分の手であることが信じられない、細くて優美な姿。手を開いたり閉じたりして確認す
るけど、それでも現実感がしてこない。

 スカートの中に潜り込んだスタッフの手助けをもらって、ヒール付きのパンプスを履く。
 大きな真珠のついたチョーカーを首に巻き、ダイヤとプラチナの輝きも眩しい上品で重い
イヤリングを耳につけ、頭に豪奢なティアラとヴェールをつけ、ブーケを受け取る。
 少し髪と化粧の手直しが入って、何か肌に粉を振りかけられて、これで漸く完成形。

 改めて鏡を見なおしてみる。
 オフショルダーでプリンセスラインのウェディングドレス。肩から胸、背中にかけて大き
く開いていて、白くて柔らかそうな胸の谷間が微かに覗いている。
 先ほど振りかけられた粉のお陰か、肌が形容でなく本当にキラキラと光り輝いている。

 大きく大きく膨らませたスカートが、上半身の細さと優美さを強調する。
 一歩間違うと装飾過多でごてごてした感じになりそうなのに、洗練されたデザインのおか
げでむしろすっきりした印象になっている。
 振り向くと見える、5m以上ありそうな長いトレーンと腰より長いヴェール。

 恐らく本当の女性でも、多分一握りの令嬢にしか袖を通すことが許されない高貴なドレス。
 それを建前的にも女子高生モデルで、実際には女装男子大学生の俺が着ている……その事
実に、なんとも言えない複雑な気分になる。

「凄い綺麗……このドレス、こんなに着こなせる人は多分、世界中探しても他にいないわね。
アキちゃんのために作られたみたい」
 いつの間にか入ってきていた瞳さんが、うっとりとした声で言うのを聞いて我に返る。
「あ、瞳さんおはようございます」

「アキちゃん、おはよう。……けど本当にアキちゃんて、綺麗なドレス着るのが好きなのね。
今もわたしに気付かないくらい、嬉しそうな笑顔ですっかり自分に見蕩れきっちゃって」
 ……俺、そんな顔してたんだろうか。

 瞳さん含め、ここにいる全員が俺を女性と信じて口々に賞賛してくるのを、嬉しく感じる。
 せめて自分だけでも俺は男であると認識していたいのに、それすら揺らいできそうだった。
181 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:48:44.66 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 4/13

「俺は男だ!」「女装なんて真っ平だ!」「ウェディングドレスを着るなんて絶対嫌だ!」
 そんなことを叫びたい誘惑に駆られる。男なのに矯正下着でウェストを絞り上げ、手術も
ホルモンもなしで胸元に谷間を作り、女装趣味でもなんでもないのに唇を紅く塗った姿で。
 でもそんな俺の内心の葛藤は完全に無視された状態のまま、撮影場所に移動する。

 女物の衣装って、ふわふわとして柔らかくて肌触りがいいのが多いけれど、特にこれは飛
び切りだ。
 そして女の衣装って、重くて動きにくいのも多いけど、これはそっち方面でも飛び切りだ。

 下手に動くと破けて高い弁償を払わされそうで、ついつい動きが制限される。
 姿勢を固定された挙句に普段使わない筋肉を使わされて、正直かなりきつい。
 『動きが優美だ』と口々に言われるけれど、そんなの慰めにもならない。
 顔が引きつりそうだけど、それさえも許されないのだ。

 スタッフ達に導かれるままについたのは、こんな機会でなければ足を踏み入れることもな
かっただろう、立派なチャペル風の式場。それも改装オープンを目前にした真新しい空間だ。
 黒のテールコートを着た、長身の新郎役の男性がびっくりした表情で自分を見ている。
 どこかで見たような、と思ったら先週アキが“ワイルドさん”と呼んでた男モデルだった。

「うーん、こんな綺麗な花嫁、初めて見た……アキちゃん、でいいんだよね。見違えたよ」
 少しの間のあと、そう言う彼。改めて見ると、顔立ちの整いぶりが半端でない。
 元々宝塚の男役のような美形に、鍛えられた逞しさが精悍さを加味する。俊也や義父、そ
れに北村と知人に割に多いハンサム連中の中でも、トップクラスだろう。

 その彼と挨拶と多少の会話をして、撮影に入る……寸前に。
「アキちゃん、愛してるよ」
 囁くように、そんなことを言われてしまう。
 途端、全身に鳥肌が立つのを覚える。

 土曜の休日を潰して、可愛い美人の恋人と遊びに出かけもせずに、男なのにウェディング
ドレスを着て化粧して、よりによって男から愛を囁かれる!!
 これが悪夢だったらどんなに良かっただろう。でも、これは現実なのであって。
 見返すと、真顔で、真剣な眼差しでこちらを見つめる“ワイルドさん”の顔がある。

 とても演技とは思えない迫真さ。中途半端な自分が嫌になり、プライドを捨てようと決心
する。瞼を閉じ、衣装の許す限り最大限の深呼吸。先の鏡の中の自分に意識を合わせる。
「……ええ、あなた。あたしもです」
 自分の左胸、心臓と柔らかい胸のある場所に手を当てて、にっこりと微笑む。

 ──これからの時間、あたしはこの世界で最高の男性を夫に迎える、世界で最高の花嫁。
 それ以外の自分は、すべてひとまず封印だ。……そう、自分に言い聞かせる。
 そしてその陶然とした、ふわふわとした心のまま、撮影を進行させていくのに任せる。
 祭壇の前で指輪を交換し、結婚証明書への署名をし、2人で誓いのキスをする。

「いや、それはフリだけでいいんだってば!」「メイクさん、手直しお願い!」
 大慌てするスタッフさんの声に、顔を見合わせて同時に吹き出す。
 温かくて力強くて優しい唇の感触が、まだ残っていた。
182 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:50:14.50 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 5/13

 最初の衣装での撮影を終え、白無垢と赤い打掛の悠里と俊也、それに初めて見る花婿役の
男性モデル氏にバトンタッチして、お色直しのために控え室へ。
 メイクを一旦完全に落とし、下着姿に戻る。
 そこにいるのは、一人の恋する乙女。

 新しい化粧を済ませ、ドレスを再び纏ったあとに現れるのは、愛する男性との結婚を迎え、
人生の絶頂に眩いばかりに輝く一人の美しい女性。
 先ほどとは打って変わり、飾りは少ないけどその分デザインの優美さが際立つドレス。
 足首までの長さのAライン、ホルターネックタイプでわりと動きやすい。

 そんな姿で次の移動。
 タキシードに着替えた彼が、あたしの姿を目にするとニッコリと微笑む。
 ドレスのアクセントである大きなリボンの下にある心臓が、恐ろしいほど早く強くバクバ
ク言って、下手につついたら弾けて破裂しそうな気さえしてくる。

 そのままぴたり2人で寄り添って、ホテル内のブライダル施設を順に巡りながら撮影を重
ねていく。トレーンはないけど、代わりに足元まで届くマリアヴェールを翻しながら。
 通りすがるホテルのお客さん達から、口々に祝福を受ける。
 くすぐったくもあり嬉しい感覚。

 特に指示もないのに、お姫さま抱っこで抱えあげられてみる。
 体重とドレス、足して60kg近くあるのに、不安定さを微塵も感じさせない確かな足取り。
 自分の胸を、幸福感が埋めていくのを感じる。
 包まれている、守られている、愛されている、そんな実感をひしひしと感じる。
 その後、再びのお色直しのため、愛しの彼とまた別れて控え室へ。

(……雅明ってさ、時々あたしよりずうっと乙女ちっくになるよね)
 頭の中で、アキが感心するように言うのを聞いて、思いっきり我に返る。
 冷や水を浴びた気分。……俺は一体、今まで何をやらかしてたんだ?

(アキ。今までどこに行ってた?)
(あたしはどこにも行けないよ? それは雅明が一番良く知ってると思うけどなぁ)
(良くわからないけど、まあいいや。せめて次のシーンでいいから交代してよ)

(嫌よ。あたしはお姉さま達に一筋なの。雅明みたいに、『愛してる』って囁かれただけで、
すぐ転ぶような尻軽じゃないもの。他の人の花嫁役なんて、まっぴら)
 ……なんだか凄い誹謗中傷を受けた気がする。

 次に着替えさせられた衣装は、漆黒のイブニングドレス。
 生地が薄く、軽く、滑らかで、まるで何も纏っていないかのような落ち着かなさを覚える。
男物の服には絶対ない、でも女物の服でおなじみになってしまった、裸のときより裸な感覚。
 装飾が殆どない分、布の黒と肌の白との対比が恐ろしいくらい目を惹く。

 裾はわずかに引きずる長さだけど前にスリットが入っていて、動くたび右脚全部が見える。
 下着の許す限り大きく露出したビスチェタイプのデザインで、背中も恐ろしく開いている。
 後ろは被った黒のストレートロングのカツラが隠しているけど前は丸見えで、覗いている
白い谷間に、これが自分のものと分かっていながら魅入りそうになる。
183 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:51:30.38 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 6/13

 化粧も一度完全に落とされて、また自分の存在が別人であるかのように書き換えられる。
 ご丁寧に目にも黒のカラコンを入れて、今の俺はエキゾチックでセクシーな美女な状態。
 たださっきのキラキラ状態から一気に落ち込んだので、色々心配されてしまったけれども。

 歩くたびに脚にまとわり付く、薄い布の感触がつらい。露出狂の気はまったくないのに、
大きく開きまくった肌がきつい。耳元で揺れるイヤリングの重みが堪らない。
 特に男性からの視線が視姦されているようで、鳥肌が立ちそうだ。

 撮影場所に到着してみると、悠里たちの撮影がまだ続いていた。
 “ワイルド氏”は事情があって少し遅れているとの話で、少しほっとする。
 とにかくどんな顔をして会えばよいのか分からない。こんなんで撮影できるのかも不明だ。
 心を落ち着けるために、今は唯一のよすがになる俺の恋人を見つめていたかった。

(アキ、どっちが悠里か分かる?)
 今撮影しているのは純和風の赤い裾を引きずる振袖と、それとうって変わって和風の生地
をドレスに仕上げた衣装の2人。だけど悲しいかな、俺だとどちらがどちらか分からない。
(振袖のほうだよ)

 良かった、意外にあっさり教えてくれた。
 赤い百合のような、悠里のほっそりした佇まいに見蕩れる。
 大きく結った日本髪のカツラとの対比のせいで、すんなりと伸びる首の細さが一層強調さ
れて折れてしまいそうにすら見える。

 小さな頭、狭いなで肩によく映える和装。
 後ろを向いたときの、うなじの優美さは驚くほどだ。
 赤の地に白で大輪の花々を描いた鮮やかな衣装と、それに負けないくらい華やかな笑顔。
 振袖って、こんなに綺麗な衣装だったのかと感動すら覚える。

 やっぱり悠里は凄い。
 ただ立ってるだけのように見えるのに、それだけで他の花嫁とは格が違っている。
 一見なにげない仕草の中に、『いかに自分を、衣装を美しく見せるか』の超絶技巧がどれ
だけ含まれているのか。改めて惚れ直している自分を感じた。

(ごめん雅明、間違えた。ドレスのほうがお姉さまで、引き振袖は愛里お姉さまだった)
(……)
 悶絶しそうになるのをなんとか抑える。
 ──こいつ、分かっててやりやがったな?

 そうこうしているうちに、白いタキシードに着替えたワイルド氏も到着。
 その笑顔を見た瞬間に、先ほどよりは少し大人びた、ゆったりとした愛情が胸を満たして
いくのを覚える。多少の会話を交えたあと、悠里たちと交代する形で撮影開始。
 慣れない“色っぽい”衣装に合わせるのに苦労して、少し駄目出しを受けてしまったけど。

 でも、彼の視線に見守られながら、時にアドバイスを受けながら、形にしていく。
 最後はスタッフたちから賞賛まで受けて、なんとも誇らしい気分になりながら控え室へ。
 今日最後の衣装は、衣装合わせのとき一目見て「かーわいぃっ!」と思わず叫んだ、ペパー
ミントグリーンのプリンセスラインのドレスだ。
184 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:52:20.13 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 7/13

 細身で大きく開いた上半身。チュール製の花々が胸元を飾る。
 右足の付け根までくし上げたスカートような飾りが付いていて、その下に花の刺繍入りス
カートが覗いている。そんなドレス。
 メイクもそれに合わせて、非常に可愛らしい雰囲気に変更。髪も地毛を結い上げた感じ。

 うん、自分はやっぱりこっちのほうが演じやすい。
 ドレスと同じ色の大きな帽子に、やっぱり同じ色のチュールのショールを羽織り、悠里た
ちの撮影真っ最中の場所に移動する。

 純白と真紅。色違いで同じデザインのスレンダーなドレスを纏った悠里と俊也。
 やっぱり悠里は綺麗だ。……どっちが悠里か分からないのが残念だけど。
 さっきのようにもっと眺めていたかったのに、自分が到着したのと殆ど同じタイミングで
撮影が完了してしまって少し残念。

「そのドレス、本当に可愛いね。まるで花の妖精のようだ」
「あら、可愛いのはドレスだけ?」
「もちろん、アキちゃんも妖精みたいに可愛いよ」
 そんな会話をしながら、銀系統のセレモニースーツの相方と一緒に自分達の撮影を開始。

 途中からピンクとブルーのミニのドレスに着替えてきた悠里達と合流し、ソファに並ん
で座ったりしながら、ややゆったりした気分で撮影を続ける。
 ドレス姿の3人で抱っこしたりされたり、抱き合ったり、膝枕したりさせてもらったり、
自分が真ん中で両側からキスするフリをされてみたり。

 傍から見てると『美少女同士の戯れ』に見えるのだろう、そんな光景。
 最後、花婿2人も加わって合計5人のショットも撮り、本日の撮影が完了した。


「お疲れ様……3人とも凄く良かったわよ」
「綺麗なドレス沢山着れて、いいお仕事でした♪ でもお腹すいちゃったね」
 あまりにノリノリに『恋する乙女』を演じてしまったせいで、なんともいえない自己嫌悪
と心身の疲労困憊を抱えながら、瞳さんとも一緒の4人での帰り道。

 撮影場所だったホテル、そのロビーに差し掛かる……と。
「アキちゃん、ちょっといいかな?」
 ソファに座っていたワイルド氏が立ち上がり、俺に声をかけてきた。
 背が高く、身体も厚い。トラッドなファッションが良く似合う。

 俺もこんな体格なら、女装なんてさせられることもなかったのに、と少し羨望してしまう。
 自分の心を探ってみる。
 撮影中の『乙女心』は、ありがたいことに憑き物がとれたように霧散していた。
 あるのはわずかな羨望と、『何であんなことをやらかしたんだろう』という大きな羞恥心。

「ええと、なんでしょう」
「どこから切り出すか迷うけど……アキちゃんって、彼氏いたりするのかな」
「いいえ」と首を横に振る。彼氏なんていてたまるか。俺にいるのは、愛しい彼女だけだ。
 その答えに、「良かった……」と、少し考え込む様子の彼。
185 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:53:41.99 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 8/13

 そういえば、と思い出す。
 今日の撮影の直前、演技とも思えない迫真さで『愛してるよ』と囁いてくれて、それに応
えようと努力することで、何とか今日の仕事を終えたんだった。
 あのきっかけがなければ、きっとグダグダのまま進んでいただろう。その礼を言ってない。

 そう考えて彼の瞳をまっすぐ見返すと──あのときよりも更に熱っぽい視線が返ってきた。
 不意に、撮影中の『誓いのキス』の感触を思い出しそうになる。
 ぶんぶんと頭を振ってその記憶を頭から追い出す。
 でもどう答えたものか。「俺は男だから、男と付き合う気はない」と本当は言いたいけど。

「……今日の撮影、どうもありがとうございました。新郎の演技、とても上手くて尊敬しま
した。あたしも、少しはそれに応える演技が出来ていたら嬉しいんですけど」
 お辞儀をして、『演技』というところを故意に強調しつつ言ってみる。

「俺は演技じゃないよ。最初から最後まで、偽りない本心だ。先週から好意を感じてたけど、
今日また会って確信した。いつか仕事じゃなくて、本当にアキちゃんと式を挙げたいって」
 何が悲しくて恋人の目の前で、同性から求婚を受けなきゃいけないのか。
 人の往来も多い土曜夜のホテルのロビー。無茶苦茶目立ってて恥ずかしくて逃げ出したい。

「あたし、凄くいい演技をする人って、ずっと感心してたんですけど……」
「アキちゃんこそ、あれが演技とか信じられない。演技だったことにしたいだけとか?」
 なんとか当たり障りなく別れたいと言葉を交わしてみるけど、どうもうまくいかない。

(ああ、もう見てらんない。ごめん、雅明)
 しばらくの会話のあと、突然“アキ”が頭の中でそう言って、俺の主導権を奪う。
 そのまま彼の耳元に口を近寄せて、小声で囁く。
「ごめんなさい。あたしやっぱり、女の人と付き合う趣味はないんです」

 俺自身、びっくりな一言だ。でも彼? の狼狽もまた凄かった。
「今日はありがとうございました。次ご一緒する機会があれば、またお願いします」
 その隙を縫って距離を取り、にっこりと笑顔のまま一礼して別れる。

(……あいつが女って、アキはいつ気付いたの?)
(あれ? 先週の最初に言わなかったっけ? 花婿役が全員女の人で、花嫁役のうち1人を
除いた全員が男の人。あわせて男5人に女3人、って。お姉さまだけがなぜか例外で)
 あれ、そういう意味だったのか。今のを見ても信じられないし、正直わけが分からない。

「ごめんなさい、お待たせちゃいました」
「アキちゃん、モテモテだね♪ 食事くらい一緒に行ってあげたら良かったのに」
「お姉さま、そんな意地悪言わないでくださいよぉ」
「ところであの人になんて言ったの?」
「んと……それは秘密です」

「それでこれからどうするの? また事務所のトレーニングルーム使うなら、わたしもアド
ヴァイスするけど」
 帰りの地下鉄の車内。瞳さんの質問に、俺は少し考えて、頼み込むことにしてみる。
「えっと、それなんですけど……」
186 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:55:16.59 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 9/13

        <<悠里視点>>

「くちゅ……ちゅぷ……ちゅぱ……」「ぬちゅ……ちゅる……ちゅぴ……」
 静かな部屋の中、キスの音だけが伝わる。

 地下鉄の中で瞳さんと俊也と別れ、そのまま臨海地区で雅明と2人でデートして。
 そのあとホテルの部屋に入るなり、荷物を足元におとしただけで、熱烈なキスを交わす。
 ぷっくりとして、柔らかくて滑らかな、女の子として極上の唇。
 蜂蜜パックを続けているせいか、ほのかに甘い味がする。

 形もよくて、艶めいて。見てても思わずキスしたくなるようなそんな唇。
 それが『自分のもの』であるということに、なんとも言えない満足感を覚える。
 アキちゃんがつけてる花の香水の匂いと、息にも気を使っているから甘やかな吐息の香り
が私を興奮に誘う。雅明が『雅明』でいる頃には、正直なかった興奮だ。

 デート前に、スカートとジャケットと下着を脱いで化粧を落として、一応は女装を解いて。
 それでもその後ナンパされまくった、可憐で庇護欲を誘う、飛び切りの『美少女』。
 そんな私の恋人との間に作った唾液の糸が、長く空中に留まって落ちるまでを見送る。

「このまま、いい……?」
「それよりお風呂入りたいかな。2人一緒に」
 私の提案にすんなり従って、脱衣場に入る。浴室へは先に入ってもらったあと、さっきま
で雅明が履いていたスキニーデニムを手に取ってみる。

 購入するとき、ぴったりサイズあうがないか、それなりに探して回った私用のパンツ。
 それを『彼氏』が普通に履きこなしてしまう現状に、大きな達成感を覚える。
 “スタイルに自負のある女の子”としてのプライドが、ちょっとめげそうでもあるけれど。
 ……ウェストとか太腿とか、コルセットなしでもちょい余るくらいだったもんなあ。

 感慨にふけるのもそこそこに浴室に入ると、一輪の白百合の花がいた。
 そんな錯覚を覚えるほど、色が白くてほっそりした可憐な姿。
 たった今タックを外し、解放された股間のものが覗いている。それが唯一の男の証。

「今日も一日お疲れ様……やっぱ悠里は綺麗でいいなあ。この眺め、最高のご褒美って感じ」
「雅明も凄く綺麗で素敵だよ♪ 見ててうっとりしちゃう。……ね、身体洗わせて」
 一瞬だけの戸惑いのあと、「よろしく」と言う雅明。
 保とうとしている無表情を透かして、無防備な笑顔が垣間見えるのが可愛い。

 備え付けのボディソープを手に取り泡立てて、その身体を撫でるように洗っていく。
 女装を本格的に始めさせてから3ヶ月くらい。
 女性ホルモンを投与しても、この期間だとここまでは変化しないんじゃないか。

 元々の素質、本人の意思、適切な技術。
 3ヶ月前までは普通の男の子だったはずなのに、この3つが合わさって、今はモデル仲間
でもなかなかいないくらい綺麗な『女体美』がここにある。
 でも一番凄いのは、まだまだ綺麗になっている途中だということだろう。
 半月前の雅明より、今の雅明のほうがもっと綺麗。半月後は、たぶんきっともっと綺麗。
187 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:56:22.18 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 10/13

 色が本当に白くて白くて、シミもなくて、きめ細やかで、さらさらと手触りが良くて、脂
肪の柔らかさとしなやかな筋肉の弾力を兼ね備えた肌。
 毎週のようにエステに通っているおかげもあって、ムダ毛も吹き出物もないツルツルお肌。
 両手の掌で、その身体をくまなく洗っていく。

 美容体操の効果か、スタイルもいい。括れたウェストも綺麗だし、お尻の形も素敵。
 下着や水着のモデルは厳しいかもだけど、バニーガールのお仕事くらいは楽に出来そう。
 私としては、女性モデルとして丁度いい感じに張った肩のラインが羨ましい。私たちの狭
い肩は、和服のモデル向きではあっても、今日みたいなドレスは微妙に似合わないのだ。

「悠里の手って、やっぱり気持ちいいな……」
「雅明の肌も、すっごく気持ちいい♪」
 綺麗に身体を洗い終えて、私の身体も洗ってもらって。
 浴槽にも二人ぴったり身体をくっつけあって入る。すべすべの肌が気持ちいい。

「もっと広いお風呂に一緒に入れるといいんだけどねえ」
「うち狭いもんね。……一緒に女湯に行ってみる? 雅明なら大丈夫だと思うよ♪」
「無理無理! 確実に男だってばれるし、犯罪者になりたくない」
「そうかなあ。疑われるどころか、たぶん羨望の眼差しで見られると思うけど」


 お風呂をあがって、軽くマッサージをしながら身体を冷まして乾かして。
 ふと興味が湧いて、雅明が昼間につけていたビスチェを取り出して手に取ってみる。
「ね、雅明。ホック閉じてくれないかな?」
「今日はドレス用の下着でのプレイ? ……いいね」

 そんなことを言いながら、下から順にホックを締めていく雅明。……って。
「ごめん、ギブ、ギブアップ! 私これ無理! 外して、お願い!」
「昼間は大丈夫だったのに?」
 雅明の怪訝な声が聞こえるけど気にしてる余裕がない。完全に外してもらって一息つく。

「……ありがと。これ、雅明がつけてたほうなんだけどね。私だと苦しすぎて無理だった」
 そう説明したあとの雅明の顔の変化は、一種見ものだった。
 そんなことに面白さを感じる自分もあれだけど。

「やっぱり、私は大人しく自分の下着にしよ。雅明もそれちゃんと着けてね?」
「……ええ?」
「それ、ちゃんと着てね?」

 ぶつくさ言いながら、でも結局(私は着れなかった!)ビスチェを身につけてくれる雅明。
 ま、股間の反応で、彼が内心喜んでるのはまる分かりなんだけど。
 鞄の中からロンググローブと短いヴェールを取り出して、これまた2人で装着する。

 上半身は純白に包まれた状態。でも下半身には何もつけてないから、陰毛のないつるりと
した股間から、『花嫁にはあるはずのないもの』がいきり立って見える。
 でもそのインバランス感がそそる、清楚で官能的で無垢で淫乱で可憐でエッチな、私のた
めの美少女花嫁さん(※性別:男)の出来上がりだ。
188 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:57:56.68 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 11/13

「うんうん、アキちゃん。すっごく綺麗♪」
「……なんでこんなアイテムの準備を? 今日エッチする予定まったくなかったよね?」
「実は結構前から仕込んではいたんだ。今日やっと実行に移せたけど」
「……今日は俺、自分が男なことを確認したくて誘ったんだけどなあ」

「うん、いいよ♪ 私の身体に、雅明が男である証拠をいっぱい注ぎ込んでね!」
 白くてレースが控えめに飾る、お揃いのブライダルインナーに身を包んだ2人。
 ベッドの上で身体を密着させて抱き合い、キスを重ねあう。
 回された腕が、サテンの感触で愛撫してくれる様がなんとも新鮮で気持ちいい。

 付き合い始めた最初に比べ、雅明の愛撫も随分上手くなった。
 特に女装でのプレイを初めて以降の上達ぶりは目を見張るようだ。
 彼に女の格好をさせるのは私の困った性癖だけど、それで性的な興奮を覚えてしまうのは
本当に困った私の性癖だけど、それ抜きでも女装を始めさせた甲斐があったと思ってしまう。

「今日、私感動しちゃった……そのくらい、今日のアキちゃん凄かった……ぁん」
「俺は本当に一杯一杯で、何とか形になって良かったけど、本当にきつかった。……ゃっ…
…悠里がどれだけ凄いか改めて確認して、改めて尊敬した……ぁあん」

「でも私、あんなに見事に『幸せの絶頂にいる新郎新婦』に成り切ること出来ないもの……
んっ! ……成り切る、ってレベルじゃないな。なんというか、新郎新婦そのもの、だった」
「やめてよ。あれ、一生懸命忘れようとしてるのに……あっ、ぁっ、あぁん!」
「もったいないよ。あれ絶対に武器だよ……っ! ゃん!……」

「嫉妬とかしなかった? ……はぁふ……」
「うん、した。アキちゃんは本当に凄いなあ、って。……んぅっ!」
「彼氏が男と新郎新婦やってることは……あぁぁん……気にしなかったんだ」
「そんな事、軽く吹っ飛んじゃった。モデルなら必要って分かってるしね……あんっ」

 会話の部分は努めて男声を保とうとしてるのに、嬌声の部分は私なんかよりずっと可憐な、
少女の声色。2人だけなのに、3Pしてると錯覚しそうな変な状況に心が躍る。

 ふと思いついて、そんな音を奏でる、彼の喉のラインに舌を這わせてみる。
 俊也ほどじゃないけど傍から見て膨らみが判然としない、すっきりした頸。
 でもこうやってみると、男の子の徴が確かにある。不思議にそれが愛おしい。

 そのまま頭を少し上げ、舌を顎の下のラインに沿って往復させる。
 丁寧な手入れの賜物で、毛根の跡すら判然としない滑らかな肌。
 将来女装をやめたとしても、この手入れは続けて欲しいなと思う。
 更に上げて、ぷにぷにと柔らかい頬っぺたの味を楽しむ。

「これだと……ぁん!……なんだか……ゃん!……俺のほうが女の子みたいだ」
 私の舌先による愛撫を浴びて、散々可愛らしい嬌声を上げ続けていた雅明が、息も絶え絶
えに抗議してくる。拗ねるような、甘えるような声色だけど。

「こんなの嫌かな? 気持ち悪い?」
「いやそんなことない……とっても気持ちいい……」
189 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 09:59:07.70 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 12/13

 許しを得たこともあり、舌先による愛撫をより激しくする。
 与えられる快感に酔うように目を閉じて、睫毛を震わせる雅明。
 光の当たり加減によっては金色に見える、よく手入れされた長くて濃い睫毛だ。

 頭にはヴェールを付けたそんな姿。
 化粧気のない今でも、この至近距離から見ても、その顔は美少女そのもの。
 この日のために守り抜いた純潔を、愛しの花婿に捧げようとする麗しい花嫁そのもの。

 お揃いの純白のビスチェを身体に纏って、傍から見ればたぶんレズ行為に見えるだろう、
2人の世界。
 下半身を隠したまま、『この2人のどちらかは女装した男性です。それはどちら?』と質
問したら、十人中九人が、たぶん私のほうを男だと答えるんじゃないか。

 そこまで考えて、ふと下半身を責めてみたくなる。
 肘より長いロンググローブに包まれた指先で、今私の腕の中に敏感に身もだえしている可
憐な花嫁さんの男の証を弄ぶ。
 色白の肌を、全身ピンクに更に紅潮させていく様子がなんとも色っぽい。

「あっ、あっ! あぁぁん! ひっ、イク、イっちゃう────────っっっ!!」
 雅明はわりと耐えて我慢していたようだけど、執拗な責めに結局屈服して、少女のような
絶頂の嬌声をあげて、私の白い手袋と下着とに、白い精液を解き放った。

 少しの休息を挟んで、攻守交替。
 私がベッドに腰掛け、床に座った状態の雅明が指と舌とで私の股間を責め上げる。
 ぺたんと女の子座りになっているのは、意識しての仕草なのかどうか。

 純白のインナー、純白の手袋、純白のヴェール。そんな姿の花嫁さんが、私の股間に一生
懸命ご奉仕してくれる。途中、上目遣いで私を見上げる花嫁少女と視線が交差する。
「うん、アキちゃん綺麗。凄いいい眺め」「悠里、綺麗だよ。とってもいい眺め」
 ふたりぴったり同時にそんなことを言葉にして、一緒に吹き出してもみる。

 テクもかなり上手い。というか、この3ヶ月で飛躍的に上手くなった。
 教え尽くした、新たに開発された弱点を的確に責めたてられ、快感が全身を駆け巡る。
 アキちゃんのように派手に大きな興奮というのは、私にはやって来ない。
 けれども多分、それに近い状態を、最近は垣間見ることが出来るようになってきた。

 心が体が、徐々に千々に乱れていく。
 正常に制御しようとすればできるけど、今はただ、その大きな流れに身を委ねる。
 サテンの手袋に包まれた、雅明の器用な指先が私の腿の内側の敏感な部分に触れるたび、
電流のような感覚がビリビリと伝わっていく。

 前まではこんなことなかったんだけど、変わったのは私の側か、彼の側か、両方か。
 クンニだけでいったん絶頂を迎えた私の身体を、今度は立ち上がってベッドの外から正常
位で突き上げてくる。

 激しい動きのせいで、既にヴェールは髪になんとか引っかかっただけの状態。
 純白のビスチェは汗だくで、そんな花嫁さんが一心不乱に突き上げてくる。
190 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 10:00:32.85 ID:W5fWbXiR
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-2 13/13

 下着の胸のカップ部には最初からパッドが入ってるから、この状態だと普通に胸があるよ
うに見える。脱いでも見事なウェストの括れが強調されて、優美で女らしいラインを作る。
 首を振るたびに、さらさらの髪が乱れる。喉からこぼれでる嬌声は相変わらず女の子のよ
うで、でもそれなのに男らしく私の身体を責め続けてくる。

 鏡に映る自分たちの姿は完全にレズ行為のようで、そうでないことは私の膣内の雅明の分
身が激しく主張していて。
 雅明の熱さを感じる。雅明の脈動を感じる。雅明を感じる。

 今日の撮影の光景を思い出す。
 すべての女性が憧れそうな、まるで芸術品のような煌めきを放つ豪奢な純白のドレス。
 その衣装に少しも負けることのない、むしろドレスの美しさをますます高めあっている、
若々しく気品あふれる美しい女性。

 最愛の新郎を見つめるその視線は、本物の新婦よりずっとずっと新婦そのもので。
 優雅さと優艶さを兼ね備えたその姿は、本物の女性よりずっとずっと女性そのもので。
 綺麗に化粧されたその美しい花嫁の顔と、今の雅明のすっぴんの顔がぴったりと重なる。
 いつの間にか私は、そのドレスを纏った花嫁に抱かれているような錯覚に陥っていた。

 びっしりと施された細かな刺繍と真珠の飾りと、最上級の絹だけが持つ生地の煌めき。
 耳元で揺れるイヤリングと、頭を飾るティアラの輝き。
 そして内側から光を放っているかのような、純白の無垢な素肌の眩さ。
 錯覚だと頭では理解してるのに、質量さえ伴うかのようなそんな幻覚。

 その光り輝く乙女に今、私はしっかりと貫かれている。
 朦朧とする意識の中、私の絶頂と同時に、美貌の花嫁は私の胎内に精子を振りまいた。

 幻想が解ける。
 豪奢なドレスを纏った王女のような花嫁は、錯覚がなおったあともやっぱり可憐な花嫁で。
 そのほっそりした姿を、思わず全身を使って思いっきり抱きしめる。

 華奢だけどしっかりとした筋肉を秘めた身体。
 シルクに負けないくらい肌触りの良い肌。
 花の香水の匂いに混じる、嗅ぎなれた体臭の匂い。

 極上の美少女であると同時に、しっかりと男でもある不思議な私の花嫁。
 そんな存在と巡り合えた、自分の手で生み出せた幸福感に、私は包まれていた。
191 ◆fYihcWFZ.c :2013/06/22(土) 10:08:44.36 ID:W5fWbXiR
ということで、
>>84 の上側と、>>85 のアイデアを頂いていたことを白状しつつ、今回分の投下です。

ファッション知識は、常時「教えて! グーグル先生!」状態なので、変なことを書いてないかいつも
ハラハラ状態だったり。

なお「天使さん」は手ごろな女装キャラということで、拙作Symbolon から篠原玲央を登場させてみました。
>>177 さん、鋭いです。……というか、もう少し分かりやすくしとくべきだったかと反省です。
こっち方面で新展開とかは予定していませんので、悪しからずご了承くださいませ。
192名無しさん@ピンキー:2013/06/22(土) 22:59:43.71 ID:Dtfm3pI3
更新キテター!!!!!!!
ホントに「男だらけの〜」だったとは(喜
超逆転ブライダルショー、最高です!!!!
193名無しさん@ピンキー:2013/06/23(日) 00:46:28.34 ID:qo9NxIIt
>>177見てピンと来たがやっぱり乙女ちゃんだったのか
しかし実態はそれ以上www
194名無しさん@ピンキー:2013/06/28(金) 23:50:14.78 ID:zTyvQzGY
昔投稿したのがwikiに保管されてた
これは嬉しい
195名無しさん@ピンキー:2013/06/29(土) 09:44:40.94 ID:6bDNxeQ0
作者さんキター
196名無しさん@ピンキー:2013/06/29(土) 22:20:31.05 ID:clsqywmm
wiki&本スレを久々に覗いてみたけど、相変わらずこのスレに投稿されるSSはレベル高いなぁ・・などと思ってたり。

※過去に自分が投稿したSSを除く・・orz
197名無しさん@ピンキー:2013/07/01(月) NY:AN:NY.AN ID:MO4bWabq
「夜は娼婦」ネタや「強制ビッチギャル化」の電波を少しだけ受信
増幅作業に入る
198名無しさん@ピンキー:2013/07/02(火) NY:AN:NY.AN ID:WKkwCyO/
wktk
199名無しさん@ピンキー:2013/07/03(水) NY:AN:NY.AN ID:c68RWoQs
「強制ビッチギャル化」の逆で、不良というかチーマーというかツッパってるタイプの中高生が、やむを得ない事情で女装させられて、躾というか演技指導の結果、清楚可憐系の男の娘化するのを見たいと願う自分は異端なのか。
……あ、好きな相手の前でなら、「夜は娼婦」でも無問題っす。
200名無しさん@ピンキー:2013/07/03(水) NY:AN:NY.AN ID:oFvTELLl
201199:2013/07/04(木) NY:AN:NY.AN ID:o4hBXXR5
>200
おお、割とイメージに近いですね。
こういうのが書ければ(もしくはどなたかが書いてくだされば)いいのですが……。
202 ◆fYihcWFZ.c :2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:7BVVuW3u
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3(おまけ) 1/4

        <<伊賀真治視点>>

「ね、ね、前こんな看板なかったよね? きれーなモデルさんねぇ」
「いいなぁ、わたしもこんな美人になって、こんなイケメン捕まえて結婚したいなぁ」
「んー、あんたなら、一回死んで生まれ変わらないと無理かな」
「ひどっ?!」
 前を歩いていた女性2人連れの会話が耳に入る。

 今まで気にしたこともなかったけど、確かにこの看板は見覚えがない。
 ホテルの結婚式場のものだろう、美男美女のカップルが、『リア充爆発しろ!!』と叫び
たくなるくらい幸せそうに『誓いのキス』を交わしている様子が写っている。
 大学への通り道だから、毎日朝晩に見かけるその看板。
 なぜだか次第に、ウェディングドレス姿のその花嫁が非常に気になっている自分を覚えた。


「あー、今日は愛里ちゃん一緒じゃないのかぁ」
 そんなある日。最近では少し珍しく、アネキとお袋の3人で一緒の晩飯どきの話。
「あらあなた、ちょっと前まで『悠里ちゃん』『悠里ちゃん』って言ってたのに?」
「悠里ちゃんもいいけど、どっちかと言えば愛里ちゃんかなぁ、って」

 テレビのバラエティ番組に片割れが出演してる、双子モデルの会話が姦しい。
 つられて何となく、画面の中に注目してみる。確かに顔もスタイルも無茶苦茶いい美人だ。
「って、あ────っ!!」
「何? 真治、突然」

 食事を中断して部屋に戻り、しまっていたものを探し出して食卓に急ぐ。
 怪訝な表情のアネキをスルーして、見つけたプリクラとテレビに並べてみる。多分そうだ。
「うわっ、何これ凄い。悠里ちゃん? 愛里ちゃん? どっち? 超レアもんじゃん。
 ……で、なんであなたがこんなもの持ってるの。てかなんで一緒に写ってるのよ」

 マシンガンなアネキの質問をかいくぐり、事情を説明する。
 といっても、高校卒業後の春休み、北村と一緒にゲーセンで遊んでいたときに出会って、
偶々ナンパしてプリクラを撮っただけなので、あんまり説明できることもないんだけど。

「いいなぁ、いいなぁ。ナマ悠里ちゃんかぁ。……なんで今まで黙ってたのさ」
「いやぁ、てっきり別人だと思ってたし。髪型もメイクも全然違うし、むしろ良く気付いた
って褒めて欲しいくらい。……名前も確か、瀬野悠里って言ってなかったし」
「そりゃあんたアレでしょ。芸名」

 あの時のことを思い出そうと努力してみる。
 “悠里ちゃん”は確かに凄い美人だと思ったけど、彼女一人だけなら声をかける気にもな
れなかっただろう。おれが惹かれたのは、“アキちゃん”のほうだ。
 まあ、じゃんけんに負けたせいもあって、あの娘は北村に譲る羽目にはなったけど。

 そこまで考えたとき、番組がCMタイムになる。
「あっ、これアレよね。駅前のホテルの看板の。やっぱすごい美人だなあ。憧れちゃうなぁ」
 こういうのには疎いおれでも分かる、例の看板の結婚式場のCM。
203 ◆fYihcWFZ.c :2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:7BVVuW3u
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3(おまけ) 2/4

「あ────っ! そっか────っ!!」
「真治、近所迷惑よ。あんた声でかいんだから」
 ようやく、今更ながら、『あの看板』の花嫁が気になっていた原因に気づく。
 印象が変わりすぎて分からなったけど、たぶん、あれアキちゃんなんだ。

 ということで夕食後、久々に(彼女のプリクラを持ってる)北村に電話をかけてみる。
「よぅ、北村、久しぶり。あのな……」


 土曜昼過ぎに北村と待ち合わせて、例の看板のところに行ってみる。
 人だかりというほどではないけど、人が看板近くのショーウィンドー前にたむろっている。
 看板の確認もそこそこに、なんとなくその場所に行ってみる。

「これ、人間なのかな?」「私さっきから見てるけど、ピクリとも動いてないし、瞬きもし
てないしマネキンでいいと思う」「そうなんだぁ。けど凄いリアルねぇ。動き出しそう」
「看板の花嫁さんそっくりだよね。やっぱ美人よねえ」「ウェストほっそいよねえ。原寸?」
「間近で見るとこれ、ドレスも凄いなぁ。どんなセレブなら着れるんだろ。憧れだなぁ」

 そんなことを言ってるギャラリー連中の上から、自分達の身長に感謝しつつ覗き込む。
 確かにやたらに精巧なマネキン?が置いてあった。
 ドレスの区別なんかつかないおれだけど、多分看板やCMと同じ衣装を着たマネキンだ。
 顔もモデル本人から直接型取りしたに違いない。それくらい似てる。
 けど一緒に覗いた北村は、「アキちゃんっ!」と叫んで、皆の注目を集めてしまった。

 マネキンは当然、反応がない。何も映らない無機物の瞳で、どこかを見つめているだけだ。
「北村、やっぱりあの看板の花嫁、アキちゃんでいいの?」
「……そうだけど、そうじゃない。今あそこでマネキンのふりをしてるのが、アキちゃんだ」
 なぜか確信した感じで言われても、おれには少しぴんと来ない。

 その時ちょうど、1時の時報の音楽が街中に鳴った。
 自分の目で直接見てなかったら、きっと何かのSFXだと思っただろう。
 時報を合図にするかのように、今まで命を持たない花嫁人形そのものだったマネキンが、
急に生き生きとした生命を持つ花嫁に生まれ変わる。

 これまで微動もしなかった身体は滑らかで優雅極まりない動きに、作り物の笑顔を貼り付
けていた顔は柔らかで華やかな笑みに、ガラス玉のようだった瞳は愛する相手を迎える花嫁
そのものの夢見る瞳に。
 周囲で起きた悲鳴と歓声を、おれはひどく遠くで起きたことのように感じていた。

 まわりを見回しながら手を振ったりしていたアキちゃん。
 観客の一員であるおれ達には、特にすてきな笑顔とウィンクまでプレゼントだ。
 そんなこんなで時が進み、時報の音楽が止まる。
 その瞬間に、今までが嘘だったかのように、最初とは別のポーズでぴたり静止する。
 そうなるともう、本当にマネキンにしか見えない。

「すごいな……」
 正直、ため息しか出なかった。
204 ◆fYihcWFZ.c :2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:7BVVuW3u
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3(おまけ) 3/4

 予めホテルの人から聞いていた終了時刻である6時の、その少し前。
 戻ってきてみると、けっこうな人だかりができていた。
「これ、本当に人間なの?」「本当だって。もうちょっと待ってて。そろそろ動くはず」

 時報の音楽が鳴り始める。1時の時とは違い、最初は機械的に2、3度瞬きしただけだ。
 それでも、一度見て頭の中で理解していたはずなのに、『動かないはずのマネキンが命を
もって動き出す』という非現実的な光景に、強いショックを受ける。

 人形めいた動きで身体を動かし始める。機械仕掛けの人形と言われたら納得しそうな動き。
 それが徐々に滑らかに、人間らしい動きと表情を取り戻し、優美さを備え始める。
 ドレスのスカートを両手で摘み上げ、背筋をきちんと伸ばして礼をした状態で音楽が終わ
り、そのまま静止してこの短い公演が終わりを告げた。


「アキちゃん、本当におつかれさま」
 それから1時間くらいあと。ホテルの中から出てきた少女に、北村が声をかけた。
 フリルのついた薄手の白いブラウス、少し透ける黒い長いスカート、細い黒いリボンタイ、
つばの広い大きな白い帽子。“深窓の令嬢”という言葉が似合う綺麗な少女だ。

「待ってて頂けたんですか。ありがとうございます。北村さん伊賀さん、お久しぶりです」
 あわてて帽子を取り、にっこりと笑いながら、ぺこりと頭を下げる彼女。
「……お疲れ様、本当凄かったよ。おれのこと、覚えてくれてたんだ。嬉しいな」

 おれの知ってるアキちゃんは、どこかボーイッシュなところなところのある、『わりと可
愛い』レベルの女の子だった。
 それが今は、アネキやお袋、いやおれの知ってる女性全員とすら比較にならないくらい女
らしい、綺麗で上品で可憐で可愛らしい、飛び切りの美少女になっていた。
 よく彼女がアキちゃんだと一目でわかったもんだと、北村に内心で感心しつつおれも挨拶。

「アキちゃん、このあとどういう予定? やっぱり彼氏さんとデート?」
「いえ、事務所に行って、明日のイベントの打合せです」
「うわ、頑張ってるんだなあ。凄いよ。尊敬する」
「ありがとうございます。色んな仕事ができて、毎日充実中、って感じですね」
 今からの予定をいろいろ聞き出し、結局事務所まで一緒に行かせてもらうことにする。

 あの大仕事のあとだというのに疲れを見せない、背筋をぴんと張った流れるような足取り。
 細くて艶やかな髪を今はアップで纏めてるのでよく見える、透明感溢れる白い首筋。
 『笑顔』だけで幾つ表情を持っているのだろう。先ほど無表情なマネキンの演技をしてい
たとは信じられないくらい、くるくる変わる表情に、おれは見とれる。

「アキちゃん結局、モデルになったんだね」
「はいっ。あれから色々ありまして。でも、あの時の伊賀さんの後押しがなかったら、なら
なかったかも。あの時のお礼もまだでしたね。ありがとうございます」
「あの式場、ちょうど大学の行き道にあるから、毎日看板見て、綺麗だな、って思ってた」
「うわっ、なんだかちょっと恥ずかしいですね」

 平日は毎日使っている地下鉄を、大学とは反対方向の便に乗る。
 揺られること10分強、そこから歩いて数分。『事務所』と聞いて都心に行くのか思って
いたら、意外なくらいに近場だった。
205 ◆fYihcWFZ.c :2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:7BVVuW3u
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3(おまけ) 4/4

 前回は比較対象が悠里ちゃんだったから目立たなかったけど、この子も頭が小さくて腰の
位置が高い場所にある、スタイル的にも満点な美少女ぶりだ。
 北村と並んで違和感がないくらい背がすらりと高く、胸とウェストの対比も見事。
 何よりも滑らかな白い肌が、周囲の乗客の注目を集めまくっている。

 でも最初は外見の変化に気を取られていたけども、それより大きく変わっていたのは、彼
女の内面のほうだと、道中話しているうちに気づく。

 以前あったときは、何かこう、自分を包む殻をおっかなびっくり内側からつついている、
孵化寸前の雛ような印象のあったアキちゃん。
 それから4ケ月も経ってないのに、もう自分の翼で大空を飛び始めている。そんな印象。
 一体、これから彼女がどこまで飛んでいくのか、楽しみにすらなってくる。

「アキちゃん本当にすごい変わったよね。おれだけなら分からなかったかも。素敵になった」
「ありがとうございます。以前のあたし知ってる人と会うのはやっぱり恥ずかしいですね。
……あたしもう、自分に嘘をつくのやめたんです。可愛くなっていいんだ、って」

 人って、こんなにも変われるもんなんだ。
 そんな感動すら覚えているおれの鼻に、彼女の匂いが届く。
 お気に入りの香水なのだろうか。前会ったときと同じ、花のような微かな香り。
 大きく変わった彼女の中の、変わらない点──それに何故か余計にドキドキしてくる。

 そんな楽しい時間は、あっという間に終わる。
 『こんな場所に芸能事務所があったのか』と驚くような、大きくはない雑居ビルの前。
「そうそう、忘れるところだった。アキちゃん、これ」
「へっ? え? え? え? かっ、かぁいぃーっ!! やっぱかぁいぃーなぁ、もぅっ」

 北村が手渡した白い仔猫のぬいぐるみ。それを見て、大きな目を更に大きく丸くしてる。
「これってあれですよね。最初お会いしたときの」
「うん。アキちゃんが狙ってた、クレーンゲームのぬいぐるみ。今日一日、がんばったね、
って、僕たちからのプレゼント」

「いいんですか? ありがとうございます。ありがとうございますっ。やったぁ!」
 原価でたぶん500円もしないアイテムを両手で抱えて、ぴょんぴょん飛び跳ねたりし
てるアキちゃん。
 今日、6時のアキちゃんの仕事の終了を待つ間に探して何度も挑戦して、最後は店員さ
んにお情けで開けてもらったシロモノだけど、この喜びようだけで十分な気がしてしまう。

「本当にありがとうございます。うわっ、今日はいい日だ。かーいぃよう」
 そう言うアキちゃんのほうがずっと可愛く見える。
 柔らかそうな胸の間にぬいぐるみをむぎゅっと抱きしめて、何度もお礼するアキちゃん。
 おいお前、場所変われ。

 別れの言葉を繰り返してビルの中に入る姿とその残り香を見送って、北村に声をかける。
「で、北村。これからどうする? 何か飲みに行くか?」
206 ◆fYihcWFZ.c :2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:7BVVuW3u
七夕イベント参加で、浴衣姿のアキ&愛里を書くつもりだったのですが、間に合いそうにないので
その前段部分のみで投下です。
『瀬野家の人々』 雅明くんの春休みCで登場した元バスケ部2人組ですが、覚えてない人も多そう。

色々案も出てるので、次は色々な作家さんが書いていただけると嬉しいなあ。とか思ってみます。
207名無しさん@ピンキー:2013/07/06(土) NY:AN:NY.AN ID:aI3D1uuG
おお、今度は人間マネキンですね。
またもいいものを頂きました。眼福眼福♪
208名無しさん@ピンキー:2013/08/08(木) NY:AN:NY.AN ID:sBhgW37C
1ヶ月書き込みがないとかどんだけ過疎化
209名無しさん@ピンキー:2013/08/08(木) NY:AN:NY.AN ID:RJijY22p
夏 ですから、ね。

過疎化 ではなくて。
書き込み規制とか、書き込み規制とか、書き込み規制など、原因ですね。
210 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 1/12

 目を覚まして、時計を見る。うん、目覚まし時計が鳴る2分前。
「ましろん、ふーみん、ゆっちん、おはよっ☆」
 ベッドの上のぬいぐるみさんたちに小声で挨拶して、2段ベッドの下を覗く。
 愛里お姉さまはまだ、柔らかな寝息を立てているところだった。

 目覚ましが鳴らなかったことに感謝しつつ、音を立てないようにそうっとベッドを降り、
着ていたネグリジェから花柄ピンクのルームウェアに着替え、部屋を出る。
 最近部屋替えして相部屋になった、あたしと愛里お姉さま。
 昔の俊也さんの部屋が、今は雅明と俊也さんの相部屋ということになっている。

 あたし的には、この部屋替えで可愛い小物を遠慮なく置けるようになったのが嬉しい。
 匂いも素敵だし、人も遠慮なく呼べるようになったし、なんでもっと早くこうしなかった
のかと思ってみたり。

 朝の新鮮な空気を深呼吸して洗面所に。
 鏡の前でもうすっかり日課になった、笑顔の練習だ。
「うんうん。あたし、とっても可愛い☆」
 今日も素敵な一日になるように、素敵な笑顔でがんばろう。

 朝のスキンケアを手早く済ませて、キッチンに入ってエプロンをつける。
 ピンクでフリル付き、黒猫に白猫が寄り添ってるプリント付きの、最近のお気に入り。
 今日は麦とろごはん、ワカメの味噌汁に焼きシシャモの和風メニューだ。
 平行してお昼のお弁当も。カロリー控えめで、スタミナがあって、美容によくて、栄養バ
ランスがよくて、美味しい食事。工夫のしがいがあって、なかなか面白い。

「相変わらず美味しそうな匂いね。アキちゃん、おはよう」
「おはよっ、ママ」
 あたしの頭をなでなでして、一緒にお料理してくれる。相変わらず、見とれちゃうくらい
の腕前だ。

 楽しい会話を母娘でしつつ、楽しいお料理。こんな時間をちょっと前まで持てなかっただ
なんて、なんてもったいないことをしてたのだろう。
「うん、あとはよそうだけだから、アキちゃん、みんなを起こしてきて」
「はーい、ママ」

 まずはあたしたちの部屋に戻り、部屋の明かりを灯す。
 愛らしく寝息を立てている愛里お姉さま。まるで天使のようだ。
 長い睫毛とすべすべのほっぺ、額の描く曲線美、形のいい唇に見とれる。
 思わずその唇に、自分の唇を重ねてしまう。

 ほんの一瞬、軽いキスだけのつもりだったのに、愛里お姉さまが抱き付いてきて、いきな
りディープキスに。
「?!っ ……んっ? ぅんっ……!」
 思わず脚から力が抜けて、思いっきり抱き合う形でベッドに重なり合う。

「んーふ♪ 朝のアキちゃんキスげっとー♪ おーはよっ♪」
 身体を起こして、唇に指をあてた愛里お姉さまの、爽やかな笑顔が眩しかった。
211 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 2/12

 ドキドキしてる胸がちっとも静まらないのに困惑しつつ、次はお姉さまの部屋。
 ノックをして「どうぞー」と言われたので開けてみると、お姉さまは既に起きていて、全
裸で鏡の前で身体のラインとか確認しているところだった。
 その美しい姿に、思わず息を呑む。

「おはよっ♪ アキちゃん」
 振り返りながら笑いかけるその顔に、ぴょこんと心臓が飛び跳ねる感触がする。
「お姉さま、おはようございます。朝食の準備が出来てるので、来てくださいね」

 最後にパパを起こしてあげて、一家みんなが食卓に並ぶ。素敵な光景。
(──おはよ、雅明)
(おはよ♪ アキ)
 頭の中で、眠たげに挨拶してきたアキに対しても挨拶。

 ……ってちょっと待った。“あたし”……じゃない、“俺”は雅明なのか?
(なぁに、雅明。なんでそんな変なこと言ってるの?)
 大学が夏季休暇に入って以来、ずっと女装しっぱなし、タックしっぱなしで男姿に戻った
ことがないとはいえ、なんで俺はここまで『女の子』に順応してるのか。
 ──俺はもう、駄目かもしれん。


 準備と最低限の家事を済ませて、家を出る。
「アキちゃん、おはよう。こないだのキャロットケーキありがとう。おいしかったわぁ」
「坂本さん、おはようございます。お口にあって何よりです」

「うちの亮、普段人参食べないくせに『美味しい、美味しい』って。人参のケーキってばら
したらウゲって顔したけど、アキちゃんの手作りって教えたら『もっとないの?』、だって」
「あはははは。でも、嬉しいです」
「こんな可愛いし、性格いいし、料理もお菓子も上手だし、本当、いいお嫁さんになるわぁ」

 雅明のときには黙って頭を下げて通り過ぎるだけの、近所の住人たち。
 それが“アキ”になったとたんに、親しく言葉を交わす知人・友人たちになる。
 20年くらい実際に生きてきた実在の男性『雅明』より、半年前には影も形もなかった非
実在の少女『アキ』のほうが、もう知り合いの数が多いんじゃないのか。
 改めてそのことを実感させられて、なんとも不思議な気分に包まれる。

 唇や顔を覆うヌメヌメ感、妙な匂い。耳たぶの圧迫感、耳元で揺れる重み。風になびく髪、
その度に届くシャンプーの香り。呼吸のたびに緩やかに上下する胸。
 ピンクの可愛らしい日傘、日除けの白いショール、長手袋。足首丈の淡いブルーのサマー
ドレスの裾が、脛毛のない脚に絡む感触。『慣れるため』と履かされているハイヒールの不
安定感、締め付け感と、コンクリートを叩くコツコツという音。

 おかしな気分だ。
 とっくに慣れたはずの『女らしい』色々なことが、なぜか妙に気になる。
 一歩間違えればただのキモい変態の、女装した男。それなのに『背の高い可愛い女の子』
として疑いもなく受け入れられる、見られる、扱われる、振る舞うことを要求される。
 とても奇妙な、自分でもよくわからない、ふわふわした気分がした。
212 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 3/12

「瞳さん、おはようございまーすっ」
「おはよう、アキちゃん。……何かいいことあったの? なんだかいつもより嬉しそう」
 そんなこんなで事務所到着。……俺が“嬉しそう”? そうなんだろうか?
「あたしはいつも通りだと思いますよ? お姉さまたちはもう出ちゃいました?」
「2人はここは少し立ち寄っただけね。ちょっと早いけど、わたしたちも出発しましょうか」

 8月に入ってからずっと、悠里と俊也はドラマの撮影にかかりきり。
 女優になるのが夢と悠里は言っていたから応援したいけれども、せっかくの夏休みに土日
以外ほとんど顔を合わせる間もないのが悲しい。せめて仕事場が一緒なら良かったのに。
(これはまあ、昔、俺がファンだった某男優が主演のドラマの撮影という理由もあるけど)

 たしか、大正時代を舞台にした探偵もの。。
 大正の女学生スタイルは可愛くていいけれど、時代考証のしっかりしたドレスは重くて動
きにくくて大変、と悠里がぼやいていたことを思い出す。
 ……まあ俺も今、その『時代考証のしっかりしたドレス』を着ているわけだが。


「本当、綺麗ねぇ」「お姫様そのものって感じ」「フランス人形みたい」「身体細いのねえ」
 スタッフさんたちの賞賛を、素直に喜びそうになっている自分が嫌だった。
 コルセットをこれでもかというくらいに締め上げ、スカートを鳥かごみたいなモノで思いっ
きり膨らませた“ヨーロッパのお姫様”みたいな、淡いピンクの生地に花柄のドレス。

 衣装合わせの時に、ロココ朝のドレスを完全再現って言われたっけ。よく覚えてないけど。
 一応自分の身体に合わせてもらったけど、それでもドレスは男が着る衣装じゃない。そん
なことをしみじみ実感させられる、きついドレスだった。

 今日のお仕事は、とある企業の新製品のCMの撮影。
 朝から相方の俳優相手に普段着でリハを繰り返し、このレトロなドレスが本番用の衣装。
 ……ただ、この『とある企業』というのが少し問題で、『あいつ』の会社なのだ。
 今のところ顔も見てないけど、撮影後食事に、とかあるんだろうか? と思ってたら。

「──実に懐かしいよ。昔を思い出す。アキさん、綺麗だ」
 かけられた声の主を見て、思いっきり吹き出す。そうきたか。
 視線の先には、『あいつ』=『このCMのスポンサーの会社の社長』=『デンパナンパ男』
が、王子様の出で立ちで立っていた。美形ではあるし、似合ってはいる……のだけれど。

 リハで相手した俳優氏はダミーだったのか。流石にひきつった笑みしか出てこない。
「本当はリハーサルから一緒に居たかったんだけど、どうしても都合がつけられなくてね」
「それはいいんですが……『昔』、って何のことでしょう?」
 ひょっとしてこいつ、10年前の“アキ”の知人だったのか? 少し身構えて質問する。

「ごめん……そうだよね。君には前世の記憶なんてないんだよね」
「すいません、この社長さんって、いつもこんな感じなんでしょうか」
 思わず、このCMの担当役をしてくれていた中年男性の社員さんに聞いてしまう。
「いえ、こんな社長は初めて見ました。基本、生真面目なかたですし」

 しかしどうしよう。突っ込みどころが多すぎて困った。
213 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 4/12

 何か言いたげな瞳さんとか、話したいことは色々あるけれど、でも撮影を開始しないと。
 頭の中で流れを確認する。
 最初は昔のヨーロッパ貴族の衣装で2人で登場。その後商品紹介が入り、現代のスーツ姿
で2人、職場で働いているシーンで終了という、まあ単純なストーリーのCMだ。


 撮影は、意外なくらいスムーズに終わった。
 始めしどもどして怪演していたデンパナンパ男が、すぐに気を取り戻したように役に入り
きって快演で応えてくれたのが大きいのかも。
 終了後、2人で着替えもせずに、撮影に使った職場の隅に退避して、撤収作業を見守る。

 スーツの上下にネクタイを締めたビシっとした姿のデンパナンパ男。前に会ったときのカ
ジュアルな服よりずっと板について格好いい。
 これでやり手な若手社長なのだから(たとえ極度のデンパ男でも)もてそうなのに、先ほ
どの中年男性氏によれば、今まで浮いた話がないというのが意外だった。

 ちなみに自分もレディスだけどスーツ姿。(ヒップパッド入りの)体のラインがきっちり
出るタイトスカートに肌色のストッキング。パッドが盛り上げるブラウスに、スーツの上着。
 瞳さんを見ていいなと思っていた衣装を、自分が着ているという事実が妙に恥ずかしい。

「……『何をしてるのですか? あなた。時代はもう変わったのに』」
 それまで沈黙していたデンパナンパ男が、ふとCMの中の俺の台詞を呟く。
「……アキさん。この言葉を聞いて、何も思い出したりしないかな?」
「すいません。あたし、あなたが何を言ってるのか分からないです」

「そうなんだよね。『時代はもう変わったのに』……200年も前に言われたのに、オレは
今でも昔に拘ってる。前のキミは、今のキミじゃないのに。いい加減、吹っ切らないと」
 なんかいきなり自己完結してるし。いや本当に吹っ切ってくれるならありがたいけど。

「ところでアキさん、今高校3年だっけ。どう? 卒業後はうちの会社に来ない?」
 それは少し心が揺らぐ申し出だったけど、色んな意味で無理な話だった。
 けどさっきのは、『新しい関係を始めよう』って宣言なのか。ゲンナリしてみる。


 もとのサマードレスに着替え、瞳さんに付き添う形で悠里たちの撮影現場へ。
 スタジオに入ると、丁度悠里と俊也が2人向かい合って熱演している最中だった。
 桜色の小袖に海老茶色の女袴。ハーフアップの髪を大きなリボンで留めた大正の女学生姿。
そんな格好も似合っていて、無茶苦茶可愛い。

 まるで鏡のように、外見がぴったり一緒の2人。そんな美少女が2人もいるのだ。なかな
か良い眺め……じゃない。片方が実は男だと知ってる俺にとっては、微妙な眺めだった。
 悠里が演じるのは探偵の助手の少年で、俊也が演じているのはその助手にそっくりの華族
の令嬢。今は探偵助手が令嬢に変装しているシーンなのだろう。

 中身を知ってる俺からすれば、逆の配役が良さそうに思える変な状況。
 素直に自分の恋人の姿に見とれたいのに、それも出来ずにもどかしいと思う俺に向かって、
ドラマのスタッフと色々話していた瞳さんが相談をかけてきた。
214 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 5/12

 鏡の中に映る、一人の女学生の姿。
 紫の矢絣の小袖、濃紺の女袴。ドーランを塗ってそばかすを描いて黒い三つ編みのかつら
を被って目立たないようにした、でも隠せない愛らしさを持った少女。
 自分は男なのに、また変なコスプレ女装させられて全国にその姿を晒される。

 ──そのことを嫌だと思う自分と、可愛い衣装にウキウキしてる自分。
 鏡の中の“少女”の表情を見ているだけで、どっちが本当の自分か丸分かりで辛かった。
「相変わらずアキちゃん可愛いわねえ。……それに引き換えわたしはこの齢で、恥ずかしい」
「いぇ、瞳さん、十分可愛くて綺麗でいけてますよっ。美人で憧れちゃいます」

 事情は知らないけど、2人抜けたエキストラのピンチヒッター。名前も台詞もない、画面
に映るかも分からない本当の端役。それでも悠里との共演は心が躍る。
 『女装に戸惑う男の子』の役を演じる女の子の後ろに、女装した男が普通の少女の役で存
在する。そんな皮肉な構図には、内心笑いが出てしまうけれども。

 『瞳さんが目立ちすぎ』という理由で、一度NGくらったくらいで、そのシーンは結局ス
ムーズに終了。俺はまたなんとなく女袴のまま、ドラマの撮影を見学させてもらっていた。
 間近で見る男優氏の演技もやっぱり凄いけど、初出演なのにそれを食う勢いの熱演ぶり。
 悠里は凄い……いつも思うことを、改めて実感する俺だった。


「もうっ! アキちゃんってば可愛すぎっ!」
 撮影が終わって、退出した2人を追う形で楽屋に入った俺に、悠里がほとんど飛びつくよ
うな形で抱き付いてくる。何とかドアを閉め、二人で深いキスを交わす。
 俺が女袴の女装姿、悠里が少年役の男装姿。キスもなんとなく自分が受け側気味だ。

 もう慣れて感覚が麻痺しかけてるのがまずい、倒錯した関係。でもこの温もりが愛しい。
 いつまでもこうしていたかったけど、ドアのノックの音で、慌てて飛び離れる。
 入ってきた瞳さんにバレてなきゃ良いけれど。

「瞳さんもあの衣装のままだったら良かったのに。すっごく綺麗だったよ♪」
「愛里ちゃんもそんなこと言わないでよ。わたし、恥ずかしかったのに」
 大正時代の令嬢らしい、少し時代錯誤的な洋服姿の俊也と、スーツ姿の瞳さんによるそん
な会話。俺的には、ドレスや女袴よりスーツのほうが恥ずかしかったんだけど。


 明日のスケジュールを確認して瞳さんと別れ、そのあと何故かドラマ陣に混じって夕食。
 その後ホテルに入り、先に風呂に入る2人を見送って、ベッドに倒れこむ。

 今日はCM撮影やエキストラも大変だったけど、最後の夕食の席が一番疲れたかも。
 くだんの男優氏との会話は楽しかったけど、後半酒が回ると俺を口説き始めてくるし。
 俺が本当に女なら、今頃は別のホテルの別の部屋で寝ていたかもしれなかった。

 悠里たちと交替で風呂に入り、弁当箱も洗って外に出ると、悠里たちは寝息を立てていた。
 無乳と美乳の違いだけで、双子の美少女にしか見えない裸姿でピタリ抱き合って。
 久しぶりにエッチできると思っていたのに、肩透かしを食らった気分。
 彼女たちを起こさないよう、俺も静かにベッドに横になると、すぐに睡魔が襲ってきた。
215 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 6/12

 目を覚まして、目覚ましが時計どこにあるのか探して少しキョロキョロする。
 いつもと違う光景。そっか、あたしは昨日ホテルに泊まったんだった。
 そして目に入る、あたしの身体の左右に寄り添うお姉さまたちの姿。
 今日はお昼すぎまで、姉妹3人でゆっくり休みという素敵な一日。

「ふにゃあ」
 思わず満足の鳴き声(?)が喉からこぼれてしまう。
 一糸まとわぬ姿でぴったり抱き付いてくる2人の、肌のぬくもり、柔らかさ、いい匂い。
 瞼を閉じて、それを存分に堪能しよう。そう思ったのに……いつの間にか寝てたみたい。


 ……唇の柔らかい感触に、意識が引き戻される。
 王子様ならぬお姫様のキスによる目覚めだ。うっとりした気分。
「おはよう、アキちゃん♪」
「お姉さま、おはようございます……って、あっ! あぁぁんっ! ……ふぐっ!」

 まだ寝惚け眼のあたしに向かって、上の口と下の口に対するキスの嵐。
 唇をお姉さまが、(タックで作った)割れ目ちゃんを愛里お姉さまが、それぞれ慣れ親し
んだ絶妙なテクニックで舌先による愛撫を繰り返す。
 あまりの快感に、身体がうねるように飛び跳ねる。素敵だけど、でも大変な朝の目覚め。

 結局3回も絶頂を繰り返したあとで、ようやく開放された。
「ふぁにゃあああぁぁぁ」
 なんだか猫のような声しか出てこない。まだ目がとろんとしているのが、自分でもわかる。
「アキちゃん、本当気持ちよさそうな表情でいいよね♪」

 そう言う愛里お姉さまは、水着を纏った格好。それも紐メインで布の面積の小さい、かな
りきわどいビキニだ。
 胸はないけど、惜しげなく晒された長い脚の滑らかな曲線美、きゅっと上を向いたお尻の
丸み、高い位置のウェストのくびれは、それだけで芸術作品と言えそうなくらいに綺麗。

 お姉さまも、それとお揃いのビキニを着用。相変わらずの赤と黒の色違いだ。
「……今日は、水着なんですか?」
「うん♪ ……本当はいろいろ考えたんだよ? 今日の夕方のイベントの浴衣とか、昨日の
袴姿で出来ないかとか」

「袴でのプレイが出来なかったのは残念だよね……まあ、あれエッチしにくそうだけど」
「で、まあ夏の盛りだし、結局水着で。……ほらアキちゃんも」
 あたしの知らない場所で、何か色々あったみたい。

 立ち上がって、お姉さまたちに水着の紐を結んでもらう。
 触られただけで感じちゃう状態なだけに、いぢられまくって大変な状態になってましたが。
 お尻を覆う布の面積は小さく、つるりとしたお股を覆う面積はそれよりも小さく。
 毛とかきちんと手入れしてなかったら、みっともない状態になっていたところだ。

 ぺたりとした胸だって、乳首とあと僅かな面積を隠すくらいで、ほとんど解放状態。
 ピンク色の、そんな衣装とも呼べぬ衣装。裸よりも裸な気分にさせる露出度が恥ずかしい。
216 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 7/12

「うわぁっ、きれーっ」
「色が白いって、やっぱり『力』だなあ。水着なのに、なんだか雪の妖精みたい」
「みんなに見せてあげたい気分もするけど、でも今は私たちだけでアキちゃん独り占めなん
だよね……すっごい優越感がする」

 そんなお姉さまたちの賞賛を気恥ずかしく思いながら、鏡に全身を映してみる。
 部屋に差し込む朝日を浴びて、それぬ負けぬ光を内側から放つかのようなきらきらした姿。
 膨らみのない胸、曲線にやや欠ける体つき。そんな思春期前の少女のようなあどけない肢
体が、露出度の高すぎる水着によって逆に危険な色っぽさをもたらしている。

 それが自分の姿であることを忘れ、しばらくその姿に見とれる。
 そしてそれが、あたし自身の姿であることに、誇らしい気分を抱く。
 肩をふわっと隠す長さまで伸びてきた髪が、今は寝癖つきまくりなのが、少し微妙だけど。

 お姉さまたちもそれに気づいたのか、ブラシを取り出して丁寧にブラッシングしてくれる。
「髪が柔らかくて素直だから、寝癖すぐ直るんだね。びっくり」
「このダークブロンドの髪の色とか髪の質ってって、女の人がお金使って、気を使って目指
す理想の状態なのに、それが天然で『こう』なんだもんね。本当反則」

 ブラッシングを終えたあとは、3人でプチ水着ファッションショー。
 3人ともプロのモデルなのだ。身内だけのお遊びとはいえ真剣に、でも笑顔を振りまいて。
 ほとんど自分の身体だけで、衣装の魅力を伝える久々の体験。いかにあたしが最近服に頼っ
てきたかを思い知らされて──モデルの持つ、新しい奥深さにワクワクしちゃう。


「お姉さまたち、ほんっとーに素敵でしたぁ」
 結局1時間近くショーを続けて、心地よい疲労感に包まれながらベッドに腰掛ける。
「アキちゃんこそ、本当凄かったわよ。……グングン吸収していくんだもんなぁ」
「……アキちゃん、ちょっといいかな?」

「なんでしょう? 愛里お姉さま」
「もう、アキちゃんってばセクシーすぎ! ここまで我慢した私を褒めてっ!」
 返事の前に、あたしの唇が愛里お姉さまによって完全に塞がれる。そのままベッドに押し
倒されて、侵入してくる舌にあたしの舌を絡ませあう。

 胸があまりに強く激しくドキドキしまくって、張り裂けてしまいそう。
「あー、愛里抜け駆けずるーい!」
 そういって、水着の上をちょっとずらして、あたしの乳首を舌で責め始めるお姉さま。
 ほんの一瞬で、絶頂の波が押し寄せてきてしまう。あたしが男なら早漏レベル。

「あん! やん! あぁぁああんっ!! ひゃんっ!」
 愛里お姉さまは唇を離して、お姉さまと反対側の乳首を、同じように責め始める。
 左右同時の乳首責めに、絶叫のような嬌声が止まらなくなる。腰が、身体がいやらしくう
ねるのが止まらなくなる。

 乳首を甘噛みされて、乳首の周囲を舌で丁寧にペロペロされて。片方でもいきそうなそん
な刺激が、左右同時に! あまりの快感に、心が、体が、完全に翻弄される。
217 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 8/12

 乳首責めだけで、何度イってしまったのだろう。
 ふと気づくと、お姉さまが立ち上がって鞄のところでごそごそしていた。
「あはっ、おちんちんだぁ☆」
 朦朧した頭、少し霞んだ瞳に映るのは、ペニバン姿のお姉さま。

「アキちゃんって本当におちんちんが好きなのね」
「うんっ! だぁいすきぃっ!」
「うふ。……本物のペニ○じゃなくてなくてごめんね」
「んっ、アキいい子だから、がまんする!」

 雅明のものより、もう一回りくらい多分大きな、お姉さまの疑似おちんちん。
 愛里お姉さまと一緒になって左右から同時にお口でご奉仕を始める。
 息がかかるくらいすぐ近くにある、整った顔立ち、滑らかな頬、長い睫毛。
 目があうと、にっこりと微笑んでくれる。そのたびにもうドッキドキだ。

 そんな時間がしばらく流れたあと、ベッドの上に上がって四つん這いになり、お姉さまの
おちんちんを受け入れる体制に入る。繊細な指先が、そっとビキニをずらす。
 あたしと愛里お姉さまの唾液でぬとぬとになった、微かに温かい疑似肉棒があたしの穴に
押し当てられる。それだけでイってしまいそうな興奮があたしの全身を襲う。

 あたしのお尻が、お姉さまのおちんちんをずぶずぶと受け入れる。
「ぁあぁっ……! はぁっ……! っぁぁぁぁっ!!!」
 堅い物体が、あたしの中に入り込んでくる。快感が全身を貫く。ぽたぽたと汗が滴る。
「アキちゃん、すごいすごい。本当にこれ最後まで飲み込んじゃったんだ」

 感心するようにお姉さまは言ったあと、腰を力強く振り始めた。
 張り出したカリ首が、あたしの体内をえぐるように動く。竿の部分が、何度も何度も門の
部分を往復する。深く突き当てるたび、先端があたしの一番奥深い部分を叩く。
 そのどれもが気持ちいい。

 もう、四つん這いの形を保ててるのが不思議なくらいに身体が暴れまわる。
 何度イったのか、数える気にもなれないくらい絶頂が絶間ない波として襲い掛かってくる。
 途中から、双頭ディルドー装備の愛里お姉さまとタッチして、今度は正常位でエッチだ。
 細いし、短いし、力強くもない。でも繊細なテクニックがそれを埋めてなお余りある。

 全身くたくたなのに、それでもまだ貪欲に快楽を求めるあたしの躰。
 ビリビリした電流めいた快感が指先まで走り抜け、支配する。なんて素敵な朝だろう。
「お姉さま、愛里お姉さま、愛してますうっ!」
 思わず口から出てきた言葉に、2人一瞬顔を見合わせたあと、完璧にハモりながら。

「「ありがと! 私もアキちゃん大好き!!」」
 とても素敵な笑顔でそう、答えてくれた。

 ……そのあと流石に少し休憩を挟んで、その間にリムーバーで股の接着をはがされる。
 久々に見る『雅明』の姿に、凄い違和感。
 昔お風呂でしたように、愛里お姉さまとぴったりと抱き合って、ビキニから完全にはみ出
た股間同士を重ね合わせつつ、ディープにキスをする。
218 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 9/12

 なんだか身体の芯の部分からこみ上げてくるような感覚がして、それだけで何もしていな
いのに、盛大に白いものが噴き出してしまう。
 愛里お姉さまとあたしから同時に出た熱い液体が、混じり合いながら2人の身体を染め上
げていく。それは初めて味わうような、深く長い発射感。

「キスだけでイク……こんな感覚なんだね。なんだかとても不思議な気分」
 2人で床の上に崩れるように座り込んで。目を閉じて、深い真理でも語るような調子で、
愛里お姉さまが言う。
「世界が変わりますよねぇ。空気そのものが光り輝いて……」

 しばらく2人で呆けた次は、3人身体を重ね合わせる。
 あたしのクリちゃんを、その……お姉さまのアヌスに慎重に入れて、あたしの穴に今度は
愛里お姉さまのクリちゃんを迎え入れて。お姉さまのペニバンより3回りは小さい、でもま
がい物では決してありえない熱さに興奮が高まる。

「あっ、やっ、ひゃうぅぅんっ! アキっ、アキちゃんやっぱり気持ちよすぎっ!!!」
 腰を振り始める前にいきなり、あたしの体内に迸る熱い液体の感触。
 さっきイったばかりだというのに、その元気さが羨ましい。おまけに抜くこともなく、そ
のまま一心不乱に腰を大きく振ってくれる。

 さっき出したばかりの白い液体があたしの身体を前後に包んで、ぬちゃぬちゃと音を立て
る、ヌメヌメと感触がする。でもそれすら愛しくて気持ちいい。
 3人ともほとんど全裸な水着姿で、でもこれはしっかりとした衣装で。
 いつかあたしも、こんな水着で被写体になる日が来るんだろうか?

 お姉さまのあそこはキツキツで、愛里お姉さまのあそこはまた堅さを取り戻し、前と後ろ
から火傷しそうな熱さであたしを責め立ててくる。
 もう誰が何度絶頂を迎えたかも分からない。ただただ嬌声がこだまする。前後の性器だけ
じゃない。もう全身が性感帯になって、至る所でもはや爆発のような快感を繰り返す。

 ──殆ど意識が飛んだ状態で、ふと気になる。今の“あたし”はどっちなんだろう?
(……もう、いいところなんで気にするの。どっちでもいいじゃない? “アキちゃん”)
 そっかあたしはアキなんだ……じゃない。“俺”は雅明だったのか。たぶん起きた時から。
(ちえ。分かっちゃったか。でも、アキと雅明は同じ人物なんだよ? 区別いらないって)

 『アキと雅明は同じ人物』……何度も繰り返されてきたフレーズ。でも、昨日と今日の朝
を経て、初めてその言葉がストンと落ちてくる。
 露出度が高いけど可愛い女ものの水着を着て喜んで、後ろから同じく女ものの水着を着た
俊也から貫かれて悦んでいる。そんな“雅明”でいいやと思えてしまう。

 最初は波のように襲ってきた快感が、完全に絶え間ないものになる。
 今までより強く、今までにないくらいに3人……いやアキも含めた4人の心と体が結ばれ
ているのを感じる。

 身体はまだまだ貪欲に快楽を求めている。でも、もうとっくに脳がその大きすぎる快楽を
処理しきれなくなっている状態。
 その快楽が目の前で大きな爆発をして、その白い閃光に飲まれる形で意識が途絶えた。
219 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 10/12

「アキちゃん、おはよう」
 唇に感じる温かい感触に目を覚ます。仕立ての良い男物のシャツ、すらりと伸びたスラッ
クス。一部の隙もなく男服を着こなした美少年の姿。見た目的には俊也だけど、でも。
「おはよう、悠里」

「2人同時に気絶しちゃったときは、どうしようかと思っちゃった。アキちゃん、愛里を起
こしてあげて」
 ベッドの上で寝息を立てる、(胸と股間以外は)完璧な美少女。言われた通り、その柔ら
かい唇に自分の唇を押し当てる。

「やっぱり起こすのはキスなんだ」
 そういえば、「起こして」と言われただけで「キスしろ」とは言われてないんだっけ。
「……アキちゃん、おはよ……そっか、私、快感で失神しちゃったんだ」

 身体をきちんと洗い流し、タックをしてショーツとブラジャーを身に着ける。
 その状態で鏡の前でポーズ。うん、今日もあたしはとっても可愛い……だけじゃなくて、
なんだか今までより『綺麗』に見える。
 今日は淡いグリーンのサマードレスを着て、ショールその他は昨日のままで。

 日焼け対策で、どうしても普段着れる服に制限が出るのがつらかった。あたしもキャミと
ミニで涼しげに可愛くなりたい……そんなことを思っている自分に驚いてみる。
 俊也は黒いロングのウィッグをつけて、白いワンピースのお嬢様姿。
 これで悠里と並んでいると、本当にセレブの兄妹か似合いの超美男美女カップルって感じ。

 移動途中もずっと人目を引いてるし……って、これは俺?あたし?も含めてだけど。
 惹かれるような、憧れるような、恋するような視線で自分たちの姿を追う多くの人たち。
 本当の性別が分かる人が何人いるのだろう。なんだか不思議なおかしさがこみ上げる。
 ごく自然に、女の子に、アキになりきって、この視線を楽しんでいる“あたし”がいた。


 少し遅めになってしまった昼食のあとに、今日のお仕事のイベント会場入り。
 リハーサルのあと、瞳さんが持ってきた浴衣に着替える。
 悠里が濃紺地に白の、俊也が白地に薄青の、朝顔の柄の浴衣。あたしはピンク色に金魚の
浴衣だ。あたしだけ、レースつきまくりでミニで太腿まで露出した可愛らしいタイプ。

「やん! やん! やんっ! やっぱりアキちゃんかわいいっ!」
 着替え終わった控え室、俺が悠里に見とれている隙に、俊也がそう言って飛びついてくる。
 柔らかい身体、細い首が覗く襟足、そこから立ち上る体臭と香水の混じった匂い。
 ……って“俺”はなんでこうドキドキしてるんだろう。

 実際には女装男同士でいちゃついてるシーンなのに、『仲の良い美少女姉妹の戯れ』だと
他の人たちから見られているのが複雑な気分。
 コルセットで圧迫されるのはもう慣れたとはいえ、帯の圧迫感はまた別物。タオルや腰紐
やら伊達締めやらでぐるぐる巻きにされて結構たいへん。

 それでも鏡に映る3人の美少女たちの姿に、思わず満足げな笑みがこぼれてしまうあたし
なのだった。
220 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 11/12

 司会の合図に従って入った会場は、凄い熱気だった。
「悠里さーん!!」「愛里さーん!!」「アキちゃーん!!」
 女性客メインのイベント会場。メディア露出が少ないだけに『あんた誰?』扱いされるこ
とを予想してたのに、少ないもののあたしへの声援もあってびっくり。

 中でも一番大きな声のしたほうを見ると、元バスケ部の2人組、北村さんと伊賀さんが少
し居心地悪そうにしながら手を振っている。
 一瞬吹き出しそうになったのをこらえて、笑顔で小さく手を振り返す。伊賀さんの隣の女
の人は恋人なのだろうか。

 紹介を経て3人でトーク。そして浴衣でのウォーキングなどを披露してたりもする。
 司会さんがうまい人で、後半ほとんどイベントということも忘れて会話を楽しんでいただ
けの気もするけど、お客さんも一緒に楽しめてる感じで多分オーライなのだろう。
 始まる前は務まるかドキドキだったけど、終わってみると一瞬で少し寂しい感じだった。


 花火の光が唯一の灯りの、暗い道。
 今から自分がやろうとすることに胸をドキマキさせつつ、“俺”はそこを歩いていた。
 鞄から服を取り出して、イベント会場からここまで着てきた女もののピンクの浴衣を脱ぐ。
 他にひとけがないから良いけれど、いたら完全に痴女だなと苦笑してみたりもする。

 10分後に来るようにお願いしていた悠里がここに着く前に済むよう、急いで着替えを。
 久々に着た男物のスラックスとシャツは何だかゴワゴワして肌触りが悪くて、ついつい着
慣れた女ものの服が恋しくなる。
 メイクは落とせてないし髪は後ろで縛っただけだから、傍から見たら多分『男装の女の子』
に見えるんだろうけど、これからやることはせめて自分の意識としては男姿でやりたかった。

(──おめでとう、雅明。とうとう、これで目標達成なんだね)
(ありがとう。長かったような、短かったような。『アキ』にも色々迷惑かけてごめんね)
 モデル経験で早着替えが板についてたせいか、時間が余ってしまったたので、花火の音が
鳴り響く下、話しかけてきたアキと脳内で会話してみる。

(モデルを始めた理由はこれでなくなるわけだけど、これからどうするのかな?)
 少しからかうようなアキの言葉。それに俺は、少し考えたあと返事を作る。
(もちろん、モデルを続けるよ……こんなワクワクすること、辞められそうにないや)
(うん、知ってた。……これからもよろしくね。もう一人の“あたし”)

 そこまでの対話を終えたあと、夜道に鳴る足音に振り返る。
「ここ、いいとこだね」
「……うん。花火がよく見えて、人が来ない穴場なんだ」
 イベントと同じ、濃紺に白い朝顔を咲かせた正統派の浴衣。ほっそりとしつつきちんと肉
のついた、スタイルが良すぎるほどに良い肢体。

 素敵な笑顔で優美に歩いてくる、そんな姿に思わず見惚れる。
 少しぼけっとしていた俺だけど、我に返ってポケットから小さな箱を取り出す。
 喉がカラカラして、心臓がバクバクいっている。
 自分の動きがぎくしゃくしているのが分かる。
221 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々D 12/12

「俺からのプレゼントなんだけど、受け取ってくれるかな」
「……ありがとう。嬉しい。……ね、つけてくれるかな」
 微かに戸惑ったあと、小箱を開け、うっとりとした表情で呟く悠里。
 その華奢な指先を取り、慎重に左手薬指に“それ”を嵌めていく。

 もう随分昔に思える。デンパナンパ男に婚約指輪をもらった時に思いついたアイデア。
 自分で稼いで買った指輪で、悠里にプロポーズしたいと。
 ようやく目標にしていた金額が溜まって、今それがここにある。
 悠里に自分の分もつけてもらって、並べてみる。

 あの時もらった指輪よりずっとずっと安物だけど、それでも誇らしい気分だった。
 もう言葉も要らない。
 浴衣姿の悠里の身体を引き寄せて、唇同士を重ねあう────ぶっ。

「お前か俊也────────────────っ!!!」
「あははははっ、やっと気付いたんだ。でもこの話には、やっぱりこれがないとね♪」
「お前なあ、俺が死ぬ気で告白したのに、茶化しやがって……」
「……別に、茶化したわけじゃないよ。婚約指輪、嬉しかったもの。……本当に嬉しかった」

 きらきらと光る瞳に、蠱惑されたように動けなくなる。目の前に存在するのが男とは頭で
は理解していても、でも外見は最愛の女の子と同じ姿の浴衣美少女なのだ。
「ふーん、雅明って私より愛里のほうがいいんだ」
「ゆ……悠里サマ、申し訳ありませんでしたっ」

 暗がりから現れた、白い浴衣姿の(今度は本物の)悠里に向かって土下座してみたり。
「ごめん、私たちもちょっとおふざけが過ぎたかな。……ほら、雅明立って」
 促されるまま立ち上がる。一生一度の告白の不発もあって、まともに悠里の顔が見れない。
「ほら、雅明、こっち見て。……私からもプレゼントがあるの」

 差し出されたのは、たった今俺が悠里(と思い込んでいた俊也)に渡したのと同じ小箱。
 開けてみると、そっくり同じデザインの指輪が入っている。
 そっと取り上げて、俺の薬指に嵌めてくれる。
「ありがとう。……なんてのかな、凄い嬉しいよ」

 もう一つの指輪を受け取り、悠里の指に嵌める。
「うん……これ、意外なくらいに嬉しいね」
 左手を目の前に掲げて、うっとりと眺める悠里。指がすんなり伸びたその小さな手に、自
分の手を合わせる。左手を掲げ、俊也もその手を重ねてくる。

 白い浴衣が鮮やかな浴衣姿の、愛しくて可愛い俺の婚約者にして義理の姉、悠里。
 それと瓜二つの、双子の姉妹の美少女にしか見えない、でも義理の弟、俊也。
 指先までそっくりな2つの手、その薬指に1つずつ輝く指輪。
 そして男でもあり女でもあるような、中途半端な格好をした俺の薬指で輝く2つの指輪。

 花火が頭上で大輪の花を開かせる。ひときわ大きな音が鳴り響いてくる。
 その光に照らされて、夜闇の中光る4つの指輪。
 それは少し奇妙なようでいて、でも俺たちの関係をうまく表すもののように思えた。
222 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:LXCrPDfn
本当は一昨日アップの予定だったのですが、遅れて申し訳ありません。
8/9(金)から8/10(土)にかけてのお話です。

 「アキのモデル修行な日々」はこれにて終了なので、色々伏線とか回収しまくってたら
イベント多くなりすぎて、その分描写が薄くなってしまったのは、本当に申し訳ないです。
 女もののタイトスカートをはいて、性的に興奮しているところとか、色々描写したかっ
たのですが。あとは皆さまの妄想力におすがりするしか。
223名無しさん@ピンキー:2013/08/12(月) NY:AN:NY.AN ID:T2fghSOk
キター!!!!!
すごい盛りだくさんで最高でした!!!

なんか雅明とアキが混濁してきているようで、今後どうなるのか興味津々だったり。
三姉妹モデル(爆)の今後の活躍も楽しみです。
224名無しさん@ピンキー:2013/08/14(水) NY:AN:NY.AN ID:mE9CJJZd
夏祭りネタで絶対来てくれると思ってたよGJ!!
アキちゃんイヤリングまでしてるのか、どこまでも可愛すぎる方だほんとに

一人称の細かい書き分け含めて氏の文章力すげーと思うんだが、
女装に限らず他にもSS経験ある方なのでしょうか?サイトとかあるなら読みたいです
225名無しさん@ピンキー:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:y/fo/tyT
SS書いて投稿したいんだけど
女装スレと男の娘スレの境界線が分かんないんだけど
とりあえず女装描写があったらここで投下していいってこと?
226名無しさん@ピンキー:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:9xoVtLRF
そこら辺の境界は、深く考えるだけ無意味になるから心の赴くままに投下すればよいのではないでしょうか。

是非に是非に投下お願いします。
227名無しさん@ピンキー:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:6wANLJS6
>とりあえず女装描写があったらここで投下していいってこと?
スレタイを真っ正直に読むとそうなるね。
逆に男の娘モノでも女装が無かったらダメそうな気がするが。
228名無しさん@ピンキー:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:fgzwTv6x
女装がない男の娘モノって想像できんのだが
俺の知らない男の娘の定義があるのであれば教えてくれ
229名無しさん@ピンキー:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:9xoVtLRF
「男の娘」定義論争はマジ勘弁。どこに行っても必ず荒れる。
230名無しさん@ピンキー:2013/08/17(土) NY:AN:NY.AN ID:fgzwTv6x
すまん
好奇心から聞いただけで、定義の議論とか全く求めてないので俺のレスは忘れてくれ
231名無しさん@ピンキー:2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:Nuj+nhNW
世間には女装無いのに「男の娘もの」を標榜している作品が存在するんじゃよ
232 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 1/11

(ね、ね。雅明。見て見て)
(言われなくても、同じもの見てるってば)
(綺麗に撮れてるよねえ。あたしより、雅明のほうが実はモデルに向いてるんじゃ?)
(そりゃないよ。この時も勢いで誤魔化したけど、色々ギリギリだったのは分かってるだろ?)

 俺たちの視線の先にあるのは、一枚の大きな看板。
 豪華な純白のウェディングドレス姿の花嫁が、黒のテールコート姿の花婿と、幸せそうに
“誓いの接吻”をしている。そんな大きな写真。
 その下には『2013年7月1日リニューアルオープン!!』の文字が躍っている。

(なんでよりによってこの写真を使うかな? ……というか、この時撮影してたんだ)
(いい写真じゃない。あたしだって、これ見てたら結婚したくなるもの)
(けどこれ、ドレス女装男と男装女のキスなわけだろ? 教育上まずくないか?)
 そう。この看板の『花嫁』は以前撮影した、女装した俺なのだ。

 最近、量産体制に入っている気がしなくもない俺の黒歴史。
 その中でも最大級のシロモノが、新幹線駅も近いこんな人目につく場所に置かれている。
 俺自身があまり来る場所じゃないのが、まだ救いなのかどうか。


(それ、何?)
 今日についての打合せのあと、メイクその他を済ませて入った従業員用の女子トイレ。
 鞄から“ソレ”を取り出したアキに、俺は尋ねる。

(何、ってナプキンだけど?)
(俺、男なんだけどな。どうしてそれが必要なのか、って聞いてるの)
(あれ? 雅明は自覚ないの? 用心しといたほうがいいと思うんだけどな)
 どういう意味だろう。聞いてみたほうがいいような、聞きたくないような。

 これからの7時間(準備撤収含めれば+1時間)、トイレ休憩もないから用を足したくなっ
ても我慢するしかない。一応昨日の昼から飲み物は取ってないけど大丈夫かどうか。
 その最後のトイレということで、最後の一滴まで用を足して丁寧に拭き取る。

 そして俺には本来無縁のはずのその物体を、ショーツの上に慎重に置く。
 ゆっくりと下着ごと引き上げて、ぴったりセット。奇妙な柔らかな感触が、お尻のほうに
こっそり覗いた○ンコの先端ごと股の部分を包み込む。
 きちんと装着するために指を前後に走らせるたびに、快感めいた何かが背筋を駆け抜ける。

 男なら一生涯の間、決して知るはずのない感触。
 ……でもそういえばこの前、俊也がナプキンのCM(!)に出演したって言ってたっけ。
(そ。試用に、って渡されたものをもらって来たの。これお姉さまたちにも好評だったし)
 そういえば前、俊也とそんな会話してた気がする。……酷い話だ。

(薄いし、ガサガサしないし、蒸れないし、べとつかないし、それで吸収力抜群なんだって)
 そんなことを言われても、俺は“普通のナプキン”が分からないから比較できない。
 今まさに股間を覆う、慣れないなんか変なくっつく感覚に戸惑うだけだ。
 勃起しかける自分の息子に戸惑いながら、スカートを整えなおして外に出る。
233 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 2/11

 トイレに入ってきた女性が、悲鳴を上げる寸前、って顔でこちらを見たのが印象的だった。
(あの人の表情、ちょっと失礼じゃない?)
(しょうがないと思うよ。自分の顔、見てみなよ)

 仕立ての良い白いフリル付きブラウス、ハイウェストで足首丈の透ける黒いスカート。
 そんな首から下は良いとしても、マネキン風に化粧した首から上が鏡の中から見返す。
『トイレの中で、動くマネキンに会う』……そんな怪談に出てきそうなシチュエーション。
 本当に悲鳴を上げられなかっただけまだマシなのかも。


(まさか、このドレスを3回も着る羽目になるとはねえ)
 最初はチラシや雑誌向けの写真の撮影で。2回目それから数日後、CM撮影で。
 CMは元々別のモデルさんがやる予定だったのに、そのモデルさんが出演できない事態に
なって、『すぐにドレスを準備できる』花嫁モデルの自分にお鉢が回ってきた。

 大学を自主休講して、平日にCMの撮影。『見栄えがいいから』ということでこの豪華だ
けど重いドレスをまた着せられて、15秒と30秒バージョンを一気に撮り切る。
 ちなみにそのCMはもう放送中で、恐ろしいことに県内のテレビ画面には俺のドレス女装
姿が映りまくってたりもする。どんな羞恥プレイなのかと。

 その撮影の後は“高校の考査の期間”ということで、しばらくは仕事をあけてもらって。
『次の仕事の七夕イベントまでのんびりできる』と喜んでいたのに、急遽入った本日の仕事。
 事務所の仕事欄に、『絵画モデル・人間マネキンも可』と書き加えられたのが恨めしい。

 これは女装した男で、それも俺自身なのだ。
 頭ではそう理解していても、それでも花嫁姿の美女にしか見えない、鏡の中の人物。
 チョーカーで首が、手袋で手先が、スカートでお尻が。意図的なのか俺の体で比較的『男』
を残している箇所が隠されているせいで、余計にそう見える。

 ウェスト部ではほとんど水平になるくらいに大きく大きく膨らんだスカート。狭い展示ス
ペースに本当に入りきるのか不安になる。
 その下半身部の対比から更に細く見える、コルセットで作った細いウェスト。
 そこから続く背中の弓なりのラインが、なんだかとても女らしい印象を与える。

 通常でも大きな目が、今は化粧のせいで更に一回り大きく見える。
 重い付け睫毛に縁どられた目は、言われ慣れた言い回しだけど本当に『お人形みたい』だ。
 日本人にしては色素が薄く、少し大きめな瞳がその印象をより強める。

 オフショルダーでほぼむき出しになった、陶器めいた質感の白い肩、白い二の腕。
 例によって光る粉末をかけられたせいで、なんだか肌自体がキラキラして見える。
 毎度のテクで作った偽物の谷間が、ドレスの胸の部分からチラリ覗いているのも女らしい。
 けど何より“女らしい”のは、綺麗なドレスにうっとりとする乙女そのものの表情だろう。

(こら、雅明。あたしのおっぱい見て鼻の下伸ばしてないで。お仕事行くわよ)
 そう言って移動を始めるアキ。
(……って、もう。雅明、邪魔しないでよ)
 抗議されてしまったけど、俺のほうは対応する余裕がなかった。
234 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 3/11

 付け慣れないナプキンが覆った状態で、後ろ側に回された俺のペニス。
 歩くたびに太腿の間で挟まれて揉まれて、絶妙な刺激がやってくる。
 トイレから控え室に戻る間はまだ我慢できるレベルだったのに、何の加減か今は一歩歩く
たびに一発で昇天しそうな快感に変わってしまっている。

 アキはそんな俺をからかうためか、まるでこの場が舞台の上であるかのように大きく腰を
振って、スカートを揺らしながら歩いてるし。
 普段オナニーしているときよりも強いエクスタシーが、脚を動かすごとにやってくる。
 展示スペースにつくまでの間に射精に至らなかったのを、自分でも褒めたくなるくらいだ。

 そんな俺のことは完全に無視して、アキはカーテンの降ろされたその狭い空間の中央に陣
取り、ポーズを取る。
 街中に鳴る11時の時報の音楽、それを合図にするかのようにカーテンが上げられる。
 これから7時間に及ぶ長丁場。俺とアキの1人による舞台の始まりだ。

 道行く人が、驚いた表情、憧れるような表情、怪訝な表情、様々な表情でこちらを見てる。
 自分が『瀬野雅明』であることを否定され、19歳の男であることを否定され、今度は人
間であること、どころか有機物であることすら否定されている。
 胸の奥で、“ジン”という不思議な感触がした。

「これマネキン? 人間? あの看板のドレスだよね」「んー。マネキンじゃないの? あ
の看板、修正しまくりだったけどそれに合わせて作ってる」「修正しまくり、って?」
 なんとなく、どこかで聞いたことがあるような女性2人の声。

「あー。あれウェストとか肌とか、どう見ても画像修正してたじゃない」「そうなの? よ
くわかんないけど、広告用の写真って今時そんなもんか」
 苦しい思いをして絞ったウェストとか、気を使いまくっている肌とか、そんな風に思われ
ていたのか。ショックでもあり面白くもあり。

「もーしもーし。人間さんですかー? モデルさんですかー?」
 視線のある方向に回り込んで、その記憶にある声の主が、俺に向かって手とか振ってる。
 どこかで見たような、太めの女性……凄い昔、“甘ロリ女装した雅明”として一緒に夕食
を食べた女性2人組なのだとようやく気付く。

(アキ、手くらい振り返してあげたら?)
 そう言っても、返答は何も帰ってこない。
 最初にカーテンが開いた瞬間、(『これ』はマネキン。店頭に置いてある、人型の展示物)
と脳内で呟いたあと、何も思考が浮かんでこない状態のままだ。

「ねー。やっぱりマネキンでしょ」「そっか。けど凄いリアルよねー。今にも動き出しそう」
 それからしばらく俺の前で立ち話したあと、彼女たちはそのまま立ち去る。
 女装した俺を見ていた相手に、よく俺だとバレなかったものだと、内心ほっとする。

「このドレス、こうして近くで見ると本当素敵よねえ。私も着たいなあ」「こういうのが良
いんだ。確かにこれ着たエミ、俺も見てみたいけど」「でも、すっごく高いんだろうなあ」
 それからほどなく、カップルの男女がガラス越しに俺のことを見ながら会話している。
 俺のことをただのマネキンだと信じきった、そんな感じの会話。
235 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 4/11

 人通りの多い道。通り過ぎるだけの人、立ち止まる人、興味深そうに見ている人々。
 誰もが俺のことを、精巧だけど意識のない、ただのマネキンだと信じている。
 そのことを意識するたびに、身体の芯からじわじわと性的な興奮がこみ上げてくる。
 タックしていなかったら完全に勃起していただろう。先走り液がにじみ出るのが分かる。

 隠れていじって自分を慰めて収めることもできない。ピクリと動くこともできない状態。
 衆人環視の中、なんとも切ない性欲を、俺はただ持て余していた。

 そういえば、とふと思い当たる。
 このお仕事、『人間マネキン』という説明と条件(開始終了と休憩)を確認しただけで、
肝心かなめの、『客が人間マネキンに何を求めるか』が聞けてない。
 このまま動かないならマネキンを置いてるのと変わらないわけで、それでいいんだろうか。
 そういう疑問を脳内で伝えてみるけど、アキからはやっぱりなしのツブテだ。

 もの凄い長い時間が過ぎたような気がするけれど、でも時報の音楽はまだ1回しか耳にし
ていない。するとあと5時間以上この状態でいないといけないのか。
 改めてこの仕事のヘビィさにうんざりしてしまう。

「看板の花嫁さんそっくりだよね。やっぱ美人よねえ」「ウェスト細いよねえ。原寸?」
「間近で見るとこれ、ドレスも凄いなぁ。どんなセレブなら着れるんだろ。憧れだなぁ」
 それでも(本人がもろに聞いてるとも知らずに)自分の容姿やドレスを褒める言葉を聞く
と、嬉しい感情が心の奥から湧いてくるのを止められない。

 そんなことを考えつつ、でも表面的には感情を持たないマネキンを演じているとき、唐突
に「アキちゃんっ!」と聞き覚えのある声で叫ばれてしまう。
 意識を占めているのが、俺でなくてアキでなくて良かった、と思う。俺なら凄い勢いで反
応していたところだ。……そもそも俺なら、始まって3分も耐えられなかったとも思うけど。

(この声、北村さんか。随分久しぶりね)
 何故か唐突に戻ってきたアキの言葉に思い出す。昔俺たちがナンパされた、元バスケ部2
人の片割れか。なんでこんなところにいるのやら。
(そうそう、その北村さん。雅明がキュンキュンしてた相手ね)

(なんだ、アキ。変な言い掛かりして。俺はホモじゃなくてノーマルだっての)
(男なのに土曜の昼間から街中でウェディングドレスを着て女装して、知らない人に自分の
姿を鑑賞されてハァハァ言ってるのは、じゅーぶんアブノーマルだと思うけどな)
 内心自覚があるだけに、アキの言葉がグサグサと心に突き刺さってくる。

 北村と……確か伊賀だったっけ、2人はまだ何か言い合っているようだけど、喧騒に紛れ
て半分も聞き取れない。
 ただ北村が、なぜか俺がマネキンでなく“アキ”本人と確信してることは、途切れ途切れ
の中伝わってくる。

(なんでこいつ、俺がマネキンじゃないって分かるんだろ。他は大体誤魔化せたのに)
(ほら、やっぱりあれじゃない? ラヴの力)
(やめてくれよなあ)
 北村と“誓いのキス”をしている花嫁姿の俺を、一瞬想像してしまってげんなりする。
236 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 5/11

(そうだ、アキ。このままだと普通のマネキンと変わらなし、少しくらいは動いたほうがい
いんじゃない? でないと『人間マネキン』のメリットがないし)
(そっか、雅明は北村さんに挨拶したい、と。うん、分かった)
(違うって、そういう話じゃなくてな……)

 その時ちょうど、図ったかのように1時の時報の音楽が街中に鳴り始める。
(じゃ雅明、やってみるね)
 実に2時間ぶりの瞬きをして、これまで自分を生命のないマネキンだと信じ切っていたギャ
ラリー相手に笑顔を振りまき始める。北村相手にはウィンクまでするサービスぶり。

 周りに湧き起こる、驚きの悲鳴と感嘆の声。
 なんとも不思議な快感が背筋を駆け抜け、軽くイってしまう。それでも表面上は平然と、
周囲に愛想を振りまいて、時報の音楽が鳴り終わると同時にピタリと静止する。
 やばい、周りの反応が楽しすぎる。ドヤ顔のアキの表情が目に浮かぶようだ。

(じゃあ、またマネキンになるわね)
 そう言って、再び無機物の無思考に戻るアキ。
 アキが狙ってやったのか分からないけど、ウェディングドレスを着てマネキンのふりをし
ている俺を見つめる、北村の熱い視線がもろに視界に入っている。

 パニエとスカートの何重もの布の塊に覆われ、女ものの下着類とナプキンで隠され、後ろ
に回された挙句に接着剤で止められて。
 そんな状態なせいで、外からは絶対に充血しているとはばれないはずだけど、実はずっと
俺の息子は興奮状態だった。

 でも、北村の視線を意識するたびに、そことは別の場所──下腹部のあたりがジンジンと
熱くなるような、不思議な興奮を感じる。
 ──アキと雅明。この感情は一体どちらのものなのだろう?

 失敗したかな? と、北村たちがその場を離れたあと、少し後悔する。
 さっき動いたせいで、俺のことをただのマネキンだと思ってくれる人がかなり減ったのだ。

「近くで見ると、このドレスこんなになってるんだ」「刺繍とか真珠とか本当にびっしり」
「スカートもトレーンも迫力あるなあ」「この人って、CMに出てたモデルさん本人よね?
なんだかすごいなあ」「本当に美人よねえ。手足長いし、スタイルすごい良くて羨ましい」
 そんな意見には内心湧き上がってくる喜びを隠せないし、

「えーっ?! 本当にこれ生きてるモデルさんなの? 信じらんないっ! だってだって、
お肌とか人間にしてはツルツルしすぎてるし、お目々もありえないくらい大きいじゃん」
「ツイッターにそう書かれてたけど、自分じゃ確認してないからなあ。なんか自信なくなっ
てきた。瞬きもしてないし……瞼の上に目を書いてるわけじゃないよね?」

 という会話には内心ニンマリしてしまうけど、でも『意識を持たないただのマネキン人形』
だと信じ込まれて、自分がそこにいないように鑑賞されて会話される、それを自覚した時に
感じる性的な興奮にはやっぱり勝てない。

 ……いや、俺がそんなことに興奮する超絶変態だったとか、知りたくなかったんだが。
237 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 6/11

 それはともかく、この仕事で大変なのは、時間の経過がやたらと遅く感じることだ。
 もう何日間もここでじっとしている気がする。
 今後の一生マネキンにされてしまって、もう二度と解放されることがない気がしてしまう。

 それでも時間は過ぎて、待ちわびていた時報の音楽が街に鳴り響く。
 自分がマネキンではなく人間であって、身体が動くものだと理解するまでしばらくかかる。
動きがぎこちないのが自分でも分かる。
 体も心も、本当に機械仕掛けの花嫁人形になってしまっていたような錯覚がする。

 それでも徐々に、もとの動きを取り戻していく。反応を見るに、幸いに最初のぎくしゃく
さも演技の一部に思われたような印象でほっと少し安心。
 周囲を見回しているうちに、何故かまた来ていた北村と視線がピタリとあってしまう。
 心臓がぴょこんと飛び跳ねたような感触。仕事中というのにドキドキが止まらない。

 彼の目には、自分の存在はどう映っているのだろう。
 この素敵なウェディングドレスに、見合った花嫁に見えていれば良いのだけれど。
 もう聞き慣れた音楽に合わせて最後の公演を済ませ、最後にスカートを摘み上げて一礼。
カーテンが降りるまでの時間がいやに長く感じた。


 ドレスを脱いで従業員用女子トイレに駆け込み、個室で付けていたナプキンを取り外す。
 赤いオリモノならぬ、白い精液がついていて死にたくなる思いだ。
(ね、雅明。ナプキン付けてて良かったでしょ?)
(あー。うん、認める。万一ドレスに精液ついたら洒落になってなかった)

 匂いが広がらないうちに慌ててビニールに入れて鞄につっこんだあと、いつものように便
座に腰掛けてほぼ8時間ぶりの用を足す。ほっと一息。
 ……って何か変だ。いつの間にやら意識の主導権がアキでなく雅明に切り替わっている。
 ごく自然に女子トイレに入ったのは、アキだったのか雅明だったのか。

(んー。あたしにも良く分かんない。最後の時報の前から雅明だった気もするけど)
 アキの言葉に困惑しつつ控室に戻って、少しの休憩のあと普段用のメイクをする。
 白いブラウスと黒いスカートをきちんと着て、黒いリボンタイを結びイヤリングをつける。
 もう少しお洒落したい気分がして、髪をアップに纏めて香水を振る。

 10年前、一番初めに女装をしたときの衣装によく似た服。その少女が美しく可憐に成長
を遂げたかのような姿に、これが自分だと分かっていてもトキメキを感じる。
 さすがに少し疲労の陰が見えたけど、気を引き締めなおして心からの笑顔で吹き飛ばす。

 仕事の後始末まで終えてホテルを出る。
「アキちゃん、本当におつかれさま」
 横からかけられた声を、俺は予想(あるいは期待)していたのだろうか?
「待ってて頂けたんですか。ありがとうございます。北村さん伊賀さん、お久しぶりです」

 帽子を脱いで、声の主である北村とその隣の伊賀にぺこりとお辞儀をする。
 モデルをやっていて、自分より背の高い女性や、自分と釣り合う背丈の男性は割と見慣れ
た存在になってきていた。それでもこの2人の身体の大きさはやっぱり別格だ。
238 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 7/11

 なんだか意識が、10年前の小さな少女である自分に引き戻される感覚がしてしまう。
 偽物の胸の丘が、呼吸のたびに緩やかに上下しているところが、当時とは異なるけれど。
 伊賀とか、視線がついつい胸元に行くのを止められてないし。
 本人はこっそりやってるつもりだろうけど、分かってるんだゾ。

「アキちゃん、このあとどういう予定? やっぱり彼氏さんとデート?」
「いえ、事務所に行って、明日のイベントの打合せです」
「うわ、頑張ってるんだなあ。凄いよ。尊敬する」
 18歳になりたての女の子、“アキ”に成り切って、色々会話。

 いつも内心気恥ずかしい思いをしてて、終わったあとに自殺したい症状に駆られるなりき
りプレイ。でも今は別の種類の気恥ずかしさが胸の奥にこみ上げてくる。
(まるで、初恋の先輩の前で平常心を装って普通に振る舞おうとする、健気な恋する乙女み
たいだねっ☆ とってもとっても可愛いよ)
 アキはあんまり俺の心をえぐらないでくれると嬉しい。

 早く別れたかったのに(アキ:本当に?)、3人一緒に事務所の前まで行くことに。
「あたしもう、自分に嘘をつくのやめたんです。可愛くなっていいんだ、って」
 色々互いの近況を確認する会話をして。その中でつい自分の口から飛び出た言葉に戸惑う。

 雅明は男の本当の自分で、アキは女装の気恥ずかしさを誤魔化すために生んだ仮想の女の
自分──にしてはきっちり自我を持ちすぎてる気もするけど──そう認識してたけど、ひょっ
とするとそれは勘違いだったのかもしれない。
 自分に嘘をついてるのが雅明で、ついてない素直な本当の自分がアキ。そういう差。

(ようやく今更気づいたんだ? 『女装なんて嫌だ』『可愛いくなりたくない』──それに、
『目立ちたくない』『平凡でいたい』。そんな【嘘】をやめたのがあたしなの)
(今、会話してるんだから、割り込んでこないでよ)
 それは少なからずショックな話。間違いや勘違いならいいんだけど。

 気が付くともう事務所前。マネキンを演じていた時とは違って、時間の経つのが早いこと。
 別れようとする自分に、北村さんが鞄から何かアイテムを取り出す。差し出した掌の上に、
「プレゼントだから」とちょこんと置かれた、白い仔猫のぬいぐるみとご対面。

 何だか記憶に引っかかる……って、“アキ”として最初に外出した時、欲しかったクレー
ンゲームの景品か。これ、わざわざ取ってきてくれたんだ。
 あの時も可愛いと思ったけど、目の前で見ると本当に可愛い。
 気が付くとアキと2人でピョンピョン飛び跳ねて、場所も考えずに大喜びしていた。

 冷静に考えると20歳近い男が貰って喜ぶものでもないんだけど、でも何故か止まらない。
「本当にありがとうございます。うわっ、今日はいい日だ。……可愛いよう」
 何度もお礼して、そのまま別れてビルに入り、ひとけのない階段を上る。

 結局、北村さんはあたしを『お持ち帰り』する度胸はなかったんだ。
 紳士的なのはいいけど、時にはもっと積極的にならないとね……それともあたしって、そ
こまで魅力的な女の子じゃないのかなあ。
 そんなことをナチュラルに考えている自分にふと気が付いて、とても怖くなった。
239 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 8/11

「おはようございまーっす」
 深呼吸して気を取り直し、元気に事務所のドアを開ける。そこかしこから返ってくる返事。
お姉さまたちがいると教えてもらった部屋に入る。
「お姉さまがた、おはようございます。……遅れちゃってごめんなさい」

「アキちゃん、おはよ。お仕事すごかったんだってね」「……むぅ」
 いつもは明るく返事を返してくれる悠里が、女装した俺の顔を見た瞬間むすっとしてる。
「……お、お姉さま、なんでしょう?」
「──浮気の気配がする」

 いつもは俺が男と抱き合おうがキスしようが気にしない悠里なのに、なんだか雲行きが怪
しい。今までこんなことはなかったはず……って、そういえば一度あったのを思い出す。
 確か以前、北村とデート──じゃない、北村に買い物の同行をお願いした時に、こんな
瞳で俺を見たことがあった。あのとき、二度とこんな顔させまいと誓ったはずなのに。

「お姉さまっ、申し訳ありませんでしたっ」
「……釈明を聞きましょうか」
「その、仕事帰りに北村さんたちがやってきてですね、事務所まで送りたいっていうから断
れなくて、一緒にここまで来ただけです。キスもハグも手繋いだりもしてないです」

 土曜の夜。ブラウスにスカートを着て、下着まで女ものを身に着けて胸を膨らませて、長
くなった地毛の髪を女らしくアップに纏めて化粧もイヤリングもした完璧な女装姿の俺。
 そんな格好で、愛しの彼女から【男】相手の浮気を疑われるという、きつい状態。
 でも一番きついのは、自分でも完全にそれを否定しきれないところだろう。


 そのあと入ってきた瞳さんから明日の説明を受けて、事務所を出て俊也と別れて、閉店間
際のショップに飛び込んで、料金悠里持ちで何故か2人分の浴衣を購入。
 それを包んでもらって店を出て、遅めの夕食を悠里と2人で取る。

「……やっぱりアキちゃんって、本当に可愛いなあ」
 ここまでずっと、まともに悠里の顔も見れない状態。
 そんな俺をじっと見つめて、悠里が感心するかのようにしみじみと呟く。
「顔も性格も可愛いし、男だったら誰でも惚れてしまうのも分かるな」

 俺は返事に困って、「……それはお姉さまもですよね?」というのがやっとだった。
「私? 私はあんまり男からは好かれないのよね。その分、女性からの好感度が高い、って
分析結果を今日、事務所の人に見せてもらって、なんだかすごい納得しちゃった」

 すらりとしてスタイルが無茶苦茶良くて、目鼻立ちのきっちりした美人で、自己がしっか
りしてて、頭が良くて、(家事以外は)何でもテキパキとこなして。
 俺が恋人を名乗っているのもおこがましいくらいの、男なら誰でも憧れる存在だと思って
いたけどそうでもないんだろうか。

「愛里も私と同じ感じ。ただ男受けは私より随分いいかな。で、アキちゃんは中高年と子供
が好感度高めで、男受けが無茶苦茶良くて、逆に若い女性層からの好感度が案外イマイチ」
「──そんなのが出ちゃうんですね。でもなんだか変な感じ」
240 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 9/11

「でまあ話を戻して。……何を言いたかったかというと、ごめんなさい、ってこと」
「へ?」
「私も忙しさにかまけて、最近あんまり構ってられなかったなあ、って反省してるの。これ
じゃあ、恋人をほかの男に寝取られても仕方ないのかな、って。
 このデートも、さっきの浴衣のプレゼントも、私からのお詫びのつもりなんだから」

「……怒ってるんじゃないんですか?」
「そりゃ、怒ってますよ。でも私にも悪いとこあるんだから、そこは改めていかないとね。
これからますます忙しくなるし。……ほら、アキちゃん。こっちを見て。はい、あーん」
 視線を上げると、豆腐ハンバーグをつまんだ悠里の箸先がある。

 少し戸惑って、それをパクリと口に入れる。狐につつまれたような、でも甘酸っぱい気分。
「ありがとう、お姉さま。あたしからも、あーん」
 ちょっと調子に乗って、自分も同じように一つまみして食べさせてみるバカップル状態。
 でも傍からは、『仲の良い女の子同士の微笑ましい戯れ』に見えるんだろうなあ。

「そういえば、ますます忙しくなるって、もうすぐ夏休みですよね?」
「その前に前期末があるし、8月にドラマの撮影が入ったから、それにほとんど時間が取ら
れちゃう。だから隙を作ってイチャイチャしないと」
「おめでとうございますっ。ついに女優デビューですね。……どんな役なんです?」

 正直寂しいしツラい。でも彼女の夢は応援するのが彼氏としての努めだろう。これがア
キならどんな反応をしたのだろう? 北村と別れたくらいから何も言ってこないけど。
「大正時代を舞台にした探偵ものでね。○○さんが主演の探偵役で、私がその少年助手役。
ついでに愛里が、華族の令嬢役だっけ」

「あら女優じゃなくて男優デビューなんですね。……でも、○○さんかあ。懐かしいなあ。
あたし昔大ファンで、あの人の主演の映画は何回も見に行ってました」
 その後映画を見に行くどころかテレビも家にない生活が始まって、興味も薄れていた。
 ……そう思っていたのに、彼と共演できる悠里と俊也を、羨ましいと思う自分がいた。


 食事処を出て、ホテルに入って、お風呂に2人でゆっくり入って。
 その間中、ほとんどずっと2人で話っぱなし状態。悠里と2人だけでこれだけ色々と会話
するのもずいぶんと久々な気がする。
 それだけの言葉を重ねて、改めて俺はやっぱり悠里が好きだと思う。

 外見だけじゃなくて、自分の夢を実現させるため、努力を重ねる内面が好きだ。
 もちろん外見も好きだ。小さな顔、細い首、薄い肩。さっき買ったばかりの正統派な浴衣
が良く似合っている。湯上りの肌が、朝顔の花咲く濃紺の衣装によく映える。

 まあ、俺を女装させておもちゃにして楽しむ部分は困ったものだけど。
 ──いや。今日アキが言っていたことがもし本当なら、その部分すらひっくるめて、俺は
彼女のことが好きなのだろう。

「悠里……愛してる。惚れ直しちゃうな。凄く綺麗だ」
「あらあら、ありがとう。“アキちゃん”も凄く可愛いよ。惚れ直しちゃう」
241 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 10/11

 鏡の中に視線を移す。
 ピンク色の生地に赤い金魚が泳ぐ。襟元袖元には白いフリル満載で、ミニ丈の裾から白く
てすべすべの脚が覗いてる、そんな浴衣姿の可憐な美少女……いや女装男。
 いかにもアキが好きそうなデザインの衣装。心なしか俺の顔も嬉しそうに緩んで見える。

 もう殆ど意識しなくても、日常の中でもいつの間にかするようになっていた姿勢を、より
意識的にポーズしてみる。背筋をピンと張って肩甲骨を互いに引き寄せ、胸を張る。
 右肩を下へ落とし、ヒップを上に思いっきり持ち上げる。
 頭の中に浮かべた『S』の字に、全身のラインを合わせるイメージで。

 こうすると身体の曲線美が強調されて、本当は男のはずの自分の身体が、いっそ蠱惑的と
言いたくなるくらいに『女』の魅力を放つ。
 両手を胸の前で軽く組み、小首を傾げて鏡の中の自分に微笑んでみる。
「もう、アキちゃんってば、ほんっとーに可愛すぎっ!」

 いきなり抱き付いてこられて、帯が潰れるのも構わずベッドの上に押し倒されてしまう。
「やんっ! お姉さまっ、いきなりすぎっ……はぐっ!」
 抗議の言葉も悠里の唇でふさがれ、身体の芯から突き上げる快感の衝撃に、身体が弓なり
にしなってしまう。意識と関係なくビクン! ビクン! と身体が反応する。

 まだキスだけというのに、目の前で火花が散り、飛びそうになる意識を留めるのがやっと。
「あぁっっ……っ! はぁぁあぁんっ! ゃっ! お姉さまっ、お姉さまあっ!」
 何度絶頂を迎えたかも分からない長いキスが終わり、そのまま2人の唾液が混じり合った
舌先で俺の頬や顎を舐め始める。そのたびにいやらしい声が溢れるのを止められない。

 最近の悠里のお気に入りなのか、舌先で喉を丹念に何度もくすぐってくる。
 そんな場所まで性感帯になっていて、その度に快感が身体の芯で弾ける。
 そっか。今日は7時間耐久で寸止めしてたようなものだから、余計に感じてしまうのか。
完全に朦朧とした頭に、そんな考えがふわりと浮いて消える。

「なぁんでアキちゃんって、こんなにも可愛いのかなあ」
「ふにゅ?」
 ピンクの浴衣姿で喘ぐ俺の上にまたがって、少し攻め手をやめていた悠里が、不思議そう
に呟く。涙目の俺の瞳に映る濃紺の浴衣姿が、ありえないくらいに綺麗。

「──触れれば溶けそうな粉雪みたいな肌がいいのかな。端正なのに愛くるしい顔がいいの
かな。無垢で純粋な笑顔がいいのかな。思わず守りたくなるような、儚げで危うげな感じが
いいのかな。それでいて頑張り屋で、家事が上手いのがいいのかな。
 キスも知らない清純な印象なのに、このエッチで感度のいい躰がいいのかな」

 これは何だろう。どれもとっても、“俺”には程遠いように感じる言葉の数々。
 でもそれらを自分のこととして素直に受け取って、喜びを覚えている“あたし”もいて。
「──私もアキちゃん見習って、もっと女らしくなって、男受け良くしたほうがいいのかな?」

「あ……あたしは、お姉さまのことが大好きですよっ? それでいいんじゃないですか?」
「──そっか。──そうだね。アキちゃんありがとっ。もう二度と浮気なんてしないでね」
 今までの狼藉ではだけ始めた襟元に、そう言って再び舌先による責めを始める悠里。
242 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
『瀬野家の人々』 アキのモデル修行な日々C-3’ 2013/07/06(土) 11/11

 「浮気なんてしてない」って言いたかったのに、それは自分の口から飛び出す声にかき消
される。
 ピンク色した女ものの可愛らしい浴衣に包まれた身体が、いやらしく震え、くねり、暴れ
まわる。そのたびに結んでいた帯が緩み、露わになる面積が大きくなっていく。

 鎖骨を舐められて思わず身体をよじり、そのせいで更に露わになった胸元まで舌が下がり、
とうとう乳首まで到達する。
 2人とも下着をつけずに素肌の上に直接浴衣を着たから、ブラジャーもなくて何も隠すも
のがない状態。その乳首から来る快感に、心と体が大きく弾ける。

 同じようにはだけまくった裾の部分から、露わになった股の部分が見える。
 お姉さまの言いつけに従って脱毛して、一本の毛すらなくパイパン状態の一筋の割れ目。
(俊也にリムーバーをもらいそこねて……タックはずせなかったから……)
 まともに考えることもできない脳裏にそんな考えがよぎるけど、もう意味も理解できない。
 ただただ、そのスリットの奥からこみ上げてくる快感に翻弄されるだけだ。

 ふと、密着していた身体が離される。
「アキちゃんって、本当にピンクが似合うのね。浴衣もそうだけど、ほてった肌が凄く綺麗」
 浴衣の帯を緩めつつそう言うお姉さま。でも呼吸を荒くするだけで答えることもできない。
「このツルツルの割れ目ちゃんも、とっても素敵……色々、ありがとうね」

 お姉さまに褒められて、その誇らしさにもう胸いっぱいになる。
 あたしの脚を持ち上げ、松葉崩しのような体位。さっき褒められたあたしの割れ目に、露
わなったお姉さまの割れ目をぎゅっと合わせてくる。
 気持ちいい! 気持ちいいっ!! 気持ちいいいいいっっ!!!

 今までの快感すらただのさざ波にしか思えない、圧倒的な感覚が爆発する。
 肉体はそれをまだ快感だと把握できているようだけど、脳が完璧に追いついてない。
 快感というより、むしろもう【白】とでも名付けたくなるような炸裂感。
 今の一瞬で失神しなかったのは上出来だと思う。

 いつからあたしは、こんなエッチな女の子になってしまったのだろう?
(ある意味、生まれつきだと思うよ? 雅明がこんなに淫乱なのは)
 ……あたしを『雅明』と呼ぶこの声は誰なのだろう? あたしはアキって名前なのに。
(うーん、それならそれでいいやっ☆ いや、それもひとつの正解なんだし)

「アキちゃん、とってもエッチで可愛いっ!」(アキちゃん、とってもエッチで可愛いよっ)
 お姉さまの、半分叫びのような声と、脳内の不思議な声がきれいにハモる。
「お姉さま、お姉さまっ、おねえさまああっっ!」
 弓なりにしなるあたしの躰から、自然とそんな甲高い絶叫が溢れ出る。

 濃紺の浴衣と、ピンク色の浴衣。もうほとんどはだけてその下の肌が覗いた状態。
 そんな美少女2人が、複雑に身体を絡ませあっているシーンが目に飛び込んでくる。
 一瞬その奇跡のような美しさ見とれたあと、ようやくそれが鏡の中の自分たちだと気付く。

 もう限界はとっくに超えていたのだ。それを理解した瞬間に訪れた高揚感と陶酔感と【白】
とに全身を包まれながら、あたしの意識はぷつりと途絶えた。
243 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:JhN+k4CC
>>202-205 の雅明サイドでのお話の投下になります。
もっとさらりと書くつもりだったのに、なぜこんなに長くなった……

>>224
ご過褒に預かり恐悦です。小説やSSをアップしたのは、ほかのスレッドに2、3したのが
ある程度で、女装スレ8・9話に投下した分が殆ど全部になります。
そんなことでご了承頂ければ。

>>225
ぜひに、ぜひに、投稿お願いします。
244名無しさん@ピンキー:2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:Nuj+nhNW
また新作キターーーー!!!!!
某社のエロゲによくあるAnother Sideが大好きなんで、こういうのもすごく嬉しいです。
いやあ、まさかあの人間マネキンのAnother Sideが読めるとは思ってなかった。
お盆休みの〆に最高です。これで今週1週間戦える!
245名無しさん@ピンキー:2013/08/20(火) NY:AN:NY.AN ID:IYQa+EC2
2時間(5時間?)瞬き無しって人間にできることなのか
アキちゃんもはや超人じゃないですか!

1個だけ誤字見つけたのでご報告
アキちゃんが狐に包まれちゃってます
246名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:M7ZYvSys
>>225の者だけど、ちょっと書き始めた。
こういうの初めてなんだけど、結構難しいな、これ
247名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:M7ZYvSys
一話二話にわかれてるんだけどさ、一話は女装なしで2話にぶっこもうと思うんだけど
これはありなの?なしなの?
248名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:LH++Awtp
事前に注意書きがあって、かつ1話と2話の投下にあまり間が開かないようなら俺は許容する
249名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:+U+V+1wh
この総合スレ最初の長編IMITATION-GIRLがそんな感じだったし、問題はまったくないと思った。

ただ「物語の構成」として、
「女装中のシーンを少し描写」→「回想的にそれに至る経緯を書く」→「女装のメイン」
になってるほうが、個人的には読むときのモチベーションを保ちやすいかな。

まあ気楽に、深く考えずに、勢いでやってしまったほうが楽。
250名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:M7ZYvSys
とりあえず途中までできたんで投下します。
お手柔らかに!
251病室の彼女:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:M7ZYvSys
俺の親友――松崎 智也(ともや)――智也が事故に遭ったと聞いて、俺は急いで病院へ駆けつけた

「よう、智也、元気か?」

 夕方、智也は近所のスーパーへ買い出しに行っていたらしい、その時急に車道に突っ込んできた車があった。
智也を狙ったのか、他の車を避けようとして、車道側へ寄ったのかは知らない。
 だが、警察は運転手からアルコールが検出された事から、よっぱらい運転が招いた事故として取り扱っているらしい。
幸い、智也は生きていた。足や腕は折れている物の、なんとか、生きてくれて居た。
 だが、彼の開口一番で、俺はひどく傷ついた。まるで、死刑宣告を目の前でされた気分だった。

「お兄さん、誰ですか?」

「え?……と、智也?俺の事、覚えてるよな?」

智也は、申し訳なさそうに首を横に振った。
それが俺には痛く、耐えられなかった。

「お、俺だよ、真司(しんじ)。加藤真司。ほら、ちっさい頃からよく遊んだだろ?」

「加藤…真司…?」

「そ、そう!加藤真司!お前と同じ歳の幼馴染、お前と同じ高校1年生の加藤真治!」

「あ、真司じゃなくてさ!いつもみたいに真ちゃんって呼んでくれよ、そっちの方が俺はさ」

「すいません……。そんな名前の人、知らないです……。」

「第一、僕達が顔を合わせる事自体今回が初めてですし……。」

 この時、俺の世界は真っ白に染まった。今まで積み上げてきた、友情、信頼、努力。
全てがぶち壊された。
 この時は、智也は記憶喪失で、智也に関わった全員を忘れたのだと思った。いや、そう思いたかった。
 だが、智也の両親はこう言ったのだ。「そんなはずはない。確かに頭には打撃はあったが、何も異常はないと医師に言われた。」と。
確かに智也の両親が言った事は本当だった。俺の他に智也のクラスのクラスメートがお見舞いに来た時は、まったく問題なかった。
他愛ないクラスの現状を話あったり、テレビの話を言い合ったり、その時の智也は、事故の前の智也だった……。
 ただ、俺一人の記憶がすっぽり智也から抜けたのだ……。それが、俺にはとても耐えられなかった。
 そして、意識がある時はずっと智也の事だけを考えていた。今日はどうやって思い出して貰おうとか
何か、智也が俺を思い出してくれるくらいの智也と俺の思い出は無かったか、とか。
 だが、どれも無駄だった、結局何も通用しなかった。何も
――だから、俺は――智也と新しい関係を築く事にした――

「あ、真司くん、いらっしゃい!」
252名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:M7ZYvSys
智也は笑顔で俺を迎えた。だが、智也が迎えるのは、「真ちゃん」としての昔の俺じゃない。
「真司くん」、つまり、今の俺だ。
コイツにとって俺は彼氏、そして智也は俺の、義理の「彼女」という事になっている。
もちろん、智也は男だ。中学の頃はサッカー部のエースだったくらいに運動ができた。
 だが、智也は童顔で、優しくて、肌は白くて……まるで、女の子の様なのだ。
証拠に、俺の目には、今、智也はショートヘアーの女の子に見える。俺に優しく微笑んでくれる女の子。

「おう、智美(ともみ)、リハビリはどうなんだ?順調か?」

「うん、大分うまくいってるよ、最近ではね、ぼく、自分で着替えができるようになったんだ」

――智美。智也と俺で二人だけの時に名乗らせてる名前だ。
設定としては、智也は本当は女の子で、智美という名前を持っていた。
 だけど事故の影響で彼女は記憶喪失になり、智也として記憶をすり替えられ、恋人である俺の記憶をなくした。
という感じである。我ながら、痛々しいのは分かってる。これが自分の傷口を広げる行動だと言う事も分かってる。

でも、俺は………。

「そうか、智美。これさ、入院お見舞い、はい。」

「え?真司くんがぼくに?ははっ、なんだか珍しいね。」

「あぁ、ちょっと見てみてくれ。」

元の智也なら、恐らく、俺は変態と罵られ、縁を切られていただろう、それほどにひどい物を俺はお見舞いの品に選んだ。

「うわぁ!綺麗なワンピース!これ、僕にくれるの!?」

俺が見舞いに選んだのは、白のワンピース。智也の綺麗な肌に合う、白色だ。

「なぁ、智美。このワンピース、ここで着てみないか?」

「い、今ここで……?ちょっと恥ずかしいかな……。」

「ぼく、下着とか男物のだし……。真司くん、ぼくの事嫌いになっちゃうよ……。」

「ははっ、そんな事心配してたのかよ。」

「そ、そんな事ってなんだよ!ぼ…ぼくにとっては大事な事なの……。」

「大丈夫、ちゃんと女性用の下着も入れておいた。ほら、見てみろよ」

「あ……本当だ!真司くん、ありがとう!」

「ははっ、気にすんなよ。」

「それより、着て、見せてくれないか?お前のワンピース姿」
253名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:M7ZYvSys
とりあえず今回はここまでです。
ここに投下するのは初めてなので、感想とか書いて貰えると嬉しいです。

というか、他の人は大体何行ぐらいできたら投下してるんですかね?
254名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:M7ZYvSys
ミス訂正します

車道に突っ込んできたx

歩道に突っ込んできた○
255名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:UcBVaiYY
イイヨイイヨー
続き出来たら投下よろしく♪
256名無しさん@ピンキー:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:IhUD9LVd
>>253
書き上げてから投下する
257名無しさん@ピンキー:2013/08/22(木) NY:AN:NY.AN ID:ilrzs1r4
「親友」ではなく「恋人」として、関係を再構築しようとしている理由とか
「彼女」としてどんな風に染められていくのとか、すごく気になります。
続き期待です!
258名無しさん@ピンキー:2013/08/25(日) NY:AN:NY.AN ID:pJVg7sdq
>>253
続きまってますよ
259 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN ID:KH/TCJQ7
だいぶ間が開いてしまい申し訳ないのですが、男の娘スレ投下分とあわせてまとめスレにアップさせていただきました。
不具合等ございましたら言っていただくか、直接修正お願いします。ユーザ名/パスワード:joso/josoでログインできます。

>>253
1レス49行といのは私の場合もう固定になってるんで、6〜7レス分まとまった状態で投下したいと心がけて
はいるのですが、つい12〜14レス分になってしまって「なげーよ!」と自分自身に突っ込みを入れまくって
いる昨今です。
260 ◆fYihcWFZ.c :2013/08/28(水) NY:AN:NY.AN ID:KH/TCJQ7
まとめスレちゃうわ。まとめwiki
http://www55.atwiki.jp/jososs/
です。
261名無しさん@ピンキー:2013/08/29(木) NY:AN:NY.AN ID:CJZRGOAU
あげ
262名無しさん@ピンキー:2013/09/14(土) 18:01:23.37 ID:sHwf8+Ku
ほっしゅ
263名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:07:59.19 ID:t8lGS5Mp
【その1】
「松井、今日飲みに行かないか?」
「ゴメン。無理だ。今日は約束があってさ」
「しっかたねぇなぁ……また今度な!」
珍しく定時に終わった週末、同僚の高橋の誘いを断りつつ机の上の物を鞄に詰め込む。
「お? 彼女のところか?」
「ま、そんなとこだ」
時計を何度も見直しつつ慌てて帰り支度をする俺の姿を見ながら、
同僚はデートの約束だと思ってくれたようだ。
これはこれでありがたい。
挨拶もそこそこに会社を飛び出し、電車に乗って繁華街へと向かう。
車窓の向こうに輝くネオンの輝きがどうにもまぶしく、
これから待つめくるめく官能の時間を髣髴させて気分を高ぶらせていく。
自分ではわからないが、恐らく俺の鼻息は相当荒かったに違いない。
ゆっくり開く電車のドアから転がり落ちるようにして出ると、
心拍数が上がりすぎないようリズミカルに呼吸をしながら早足で目的の店を目指す。
そのまま数分の間、競歩状態で歩き続けた結果、
うっすらと額ににじんだ汗をハンドタオルで拭き取り、すっと視線を上にあげる。
コンクリート打ちっぱなしの外装に武骨な鉄の扉と、
ネオンや看板で彩られた周囲の華やかな店とは一線を画した店構えが目に飛び込んでくる。
プラスチックの白い板にマジックで『クラブ アップサイドダウン 通用口』と書かれているだけの看板を見て、
俺はにんまりとほほ笑み、そしてゆっくりと扉を開けた。
264名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:09:05.26 ID:t8lGS5Mp
【その2】
扉の向こうにはパリッとした、それでいて水商売には見えない
しっかりとしたスーツを着込んだ男が立っていた。
ぎろりと睨むように目線を投げる男に対して
「お疲れ様です」
とお辞儀すると、
向こうも「出勤お疲れ様です」
と返してきた。
そう、このやりとりは、ここアップサイドダウン独特の『合言葉』みたいなものなのだ。
このやりとりができない――つまり何も知らないで入ってきた通りすがりの客――は、
ここで追い返されるシステムとなっている。
「今日はどの部門を担当しますか?」
「んーっと……今週のWコースの制服ってどうなってるの? まだセーラー服なの?」
「セーラー服は先週までで、今週はバニーガールとなっています」
男が淡々と説明する状況を聞きつつ、いろいろと思いをはせる。
「ではHコースを担当します」
数秒悩み、俺は当初の予定通りHコースを担当することにした。
「当店での出勤は初めてでしょうか?」
「いえ、何度か出勤してます」
財布から1枚のカードを取りだし、男に提示した。
それを見た男はなにもかも了解したような顔で頷いて、俺をロッカールームへと案内する。
「それではヘアメイクをご利用の際は内線でお願いします」
パタンとロッカールームの扉が閉まり、俺はひとつ大きく息を吐き出す。
そしてこれまた無数に並ぶロッカーから目的の番号を探しだし、
会員証代わりになっているカードキーをロッカーに通す。
ピピピ……とわずかな電子音の後、かちゃりと音を立てて鍵が外されたロッカーを開くと、
どことなく甘いにおいがむわりとたちこめ、脳をくらくらさせる。
「まずはこいつをどうにかしないとな」
誰に聞かせるでもなくそうつぶやくと、俺は大急ぎでスーツを脱ぎだした。
265名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:10:28.44 ID:t8lGS5Mp
【その3】
ワイシャツ。スラックス。黒い靴下。そしてトランクス。
すべてを脱ぎ捨て生まれたての姿となった俺は、
ロッカーにしまいこんだ紙袋から一枚の布きれを取り出す。
シルク独特の怪しい光沢を放つ、豪奢なレースに彩られた女性用のショーツ。
普通の女性ならば「勝負下着」として準備しているであろうそれに脚を通してするりと引き上げ、
股間にある男性のシンボルを小さくまとめるように納める。
続いてショーツと同じ素材で出来たチューブトップのブラを取りだして胸に当てると、
後ろ手でホックを止める。もちろん、止めた後に周囲の肉をかき集めて
パッドが収まったブラのカップ内に押し込むのも忘れない。
それからサポートストッキングを履きやすいように小さくまとめ、
つま先、かかと、ふくらはぎ、ふともも、ヒップの順に引き上げていく。
強烈な引き締め効果で有名なこのサポートストッキングは、
脚線だけでなくヒップラインを美しくするためにパッドが入っているのもうれしい。
サポートストッキングを履いた後は、今度はレース編みで幾何学模様がデザインされた
柄ストッキングを同じように履いていく。
一部ストッキング愛好者からは『カバコ』とか揶揄されるストッキング重ね履きだが、
俺にとってはこれが一番脚線美を発揮できる方法なので仕方がない。
一通り下着をつけた後はいよいよドレスアップ。
いろいろ迷ったものの、今日はHコースということでスーツを選ぶことに。
スーツと言っても、もちろんさっきまで着ていた男性用スーツとは違う。
まず大きな衿がついたストライプのノースリーブシャツとベストが一体化したような
トップスを着込み、幅が太いネクタイを結ぶ。
もちろんネクタイはしっかり結ばず、胸元を開けるような感じでゆったりめに仕上げる。
続いて大きく入ったスリットがセクシーなロングタイトスカートを履き、
太いエナメルのベルトを締める。
最後にシャンパンゴールドに輝くヒールの高いパンプスを履くと、
視線がぐっと高くなり背筋がしゃんと伸びた。
大きな姿見の前で軽くポーズをつけると、
首から下だけはまるで高級クラブのホステスのようだった。
266名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:11:44.32 ID:t8lGS5Mp
【その4】
しかし、ただ着替えただけで終わりではない。これからメイクが待っているのだ。
メイク台の前に座り、手早く髪をピンでとめてから電動髭剃りを取り出し、
ただでさえ薄い髭を入念に剃りあげてからコンシーラーで痕を隠し、
ついでに眉毛もコンシーラーで丁寧に隠していく。
次にリキッドファンデーションをスポンジの上に取りだし、頬になじませていく。
目の下からこめかみ、鼻の下から耳の上、小鼻から耳に、
唇の端から耳の下へと、数回に分け、丁寧に丁寧に伸ばしていく。
仕上げに目の周りやひたい、口の周りなどにもファンデーションをつけていくと、
男っぽい毛穴が目立つ皮膚が女性らしいきめ細やかな肌に変化した。
間髪入れずにフェイスパウダーをパフを滑らせるように肌へと乗せると、
ファンデーションを塗った直後独特の質感だった肌に透明感のある輝きが宿された。
続いて指先に細かくパールが入っているブラックのアイシャドウを取り、
まぶたの上になじませていく。その上にキラキラ感の強いシルバーのなじませ、
目頭から目じりに向かって微妙なニュアンスをつけるように丁寧に塗っていく。
そしてペンシルタイプのアイライナーで、
目頭から目じりへとまつげの生え際を沿うように少しずつラインを引いていく。
しっかりラインを引き終わったらビューラーでまつげを根元から立たせ、
マスカラでしっかり立ったまつげをキープする。
大きさは変わっていないはずなのに、
目が大きくなったような錯覚すら覚えるアイメイクにうっとりしつつ
使い捨てのカラーコンタクトを装着すると、
本来のものからグレーに変化した瞳がきらきらと輝く。
最後にブロウペンシルで丁寧に1本ずつ描くように、アーチ状の眉毛を仕上げていく。
もともとの眉毛を剃るなり抜くなりして整えるほうが綺麗に仕上がるのだが、
普段は会社勤めをしている身なのでそんな無理はできない。
まばたきするたびにバサバサはばたく音が聞こえてきそうなほど長いまつげと、
目元を際立たせるアイライン。
そして、派手ではないが自己主張はしっかりしているアイメイクと、弧を描くようなまゆげ。
完璧に作り上げられたアイメイクが、俺の目を女性の色っぽい視線へと生まれ変わらせた。
それから目の覚めるような、それでいてどことなく落ち着いた感じのする赤い口紅を取りだし、
筆で唇を描き出していく。
仕上げにつややかなグロスを塗ると、ぷるぷると震えるような色っぽい唇が完成した。
267名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:12:43.29 ID:t8lGS5Mp
【その5】
これでフェイスメイクは完璧なものとなったが、
逆に貧相なままのサラリーマンヘアがなんとも言えない違和感をかもしだしていた。
その違和感を何とかしようと、ヘアメイク呼ぶための内線電話を取る。
数言のやり取りの後受話器を置いて2分ほどすると、
スリーピースのスーツを着たヘアメイクアーティストがやってきた。
「どのようにしますか?」
「ゴージャスな感じのふんわりしたロングでお願い。前髪はぱっつんで」
「色はどうします?」
「ん……スモーキーアッシュで」
「かしこまりました」
ヘアメイクアーティストは恭しくお辞儀すると一旦ロッカールームから立ち去り、
しばらくしてウィッグを持ってきた。
そして手早く俺にヘアネットをかぶせたあとウィッグを仮装着して頭へのなじみ具合を確認し、
アジャスターを調整してから再びウィッグをかぶせて頭に固定する。
固定したあとにブラッシングや手櫛で髪型を整えていくと、
最初はどこからみてもウィッグにしか見えなかったものが、
まるで本物の髪が整えられたかのような躍動感と美しさが与えられていく。
「完成いたしました」
「ありがとう」
そっとチップを握らせながらお礼を言うと、
またも恭しくお辞儀をしてヘアメイクアーティストは去っていった。
フェイスメイク、ヘアメイクが終わったら今度はハンドメイク。
ラインストーンで装飾が施されたパールに輝くスクエアタイプのネイルチップを、
爪の根元に合わせ両面テープで張り付けていく。
あらかじめ家で形を整えてきただけあって、
まるで本物の自分の爪にネイルアートを施したような出来栄えとなり、眺めているだけでうっとりしてくる。
268名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:14:42.28 ID:t8lGS5Mp
【その6】
しかし、時間を浪費している暇はない。備え付けの名札を1つとり、
利き手ではない方で『あすか』と源氏名を書いていく。
ただでさえネイルチップをつけているためペンが握りにくいのに利き手と逆で書いた文字は、
絶妙なゆがみと丸みを帯びて知的さを一切感じさせないものとなった。
さらに名前の隅にハートマークを描き加えると、バカっぽさはさらに上がっていく。
これを腰の部分につけて、仕上げにお気に入りの香水をうなじと足首に
ほんの少しだけつけてから姿見に自分を映すと、
ゴージャスなウェーブヘアをたたえドレス風スーツを着込んだ女性が、
どこか虚ろな瞳を輝かせ口角をあげた微笑みを返してきた。
「よし、上出来♪」
『全身をキメキメにしているけれども、頭の中はからっぽな商売女』という
俺のなかで理想の女装スタイルの完成に満足した俺は、
ポーチを手にヒールでつまづかないようにゆっくりとホール目指して歩き出した。
そう、この瞬間から俺はサラリーマンではなく、高級ホステスなのだ。
内側から湧き上がる自信を胸にホールに踏み出すと、
入り口そばにいた店員が名札をちらりと見てから
「あすかちゃん出勤いたしました〜」
と、備え付けのマイクで店内に一斉放送をかけた。
「じゃ、4番テーブル入ってね」
そう耳打ちされた指示に従って4番テーブルに向かう俺。
間接照明が多用された店内は薄暗いが、
どのテーブルからもよく見える位置にあるステージでは、
ラメブルーのビキニトップに股上が浅くおしりが見えてしまうほどのホットパンツを身に着けた黒ギャルが、
プラチナアッシュのロングヘアをなびかせながら煽情的なポールダンスを披露している。
通路にはエナメルのバニーコートを着たバニーガールたちが、
バックシームのラインがセクシーな網タイツの脚線美を披露しながら
テーブルにお酒やおつまみを運び、ときには客からおしりやふとももを撫でられて嬌声をあげる。
そして各テーブルでは高級そうなスーツを着た男たちが、
スーツやドレス姿の嬢に接客されながら楽しそうに酒を飲んでいる。
このような、どこにでもある『水商売のお店』の様子を横目に見ながら、
俺は指定された4番テーブルへと到着した。
「よろしくお願いします〜♪ あすかで〜す」
必死に訓練して出せるようになった、鼻にかかったような甘い女の子のような声で軽くおじぎをする俺。
「よう、あすかちゃん。ひさしぶり」
ソファーにゆったりと腰かけた高級そうなスーツの男が、片手を上げて挨拶を返してくる。
かっちり決めた髪型と綺麗にトリミングされたあごひげ、そしてスーツから覗くカラーシャツが、
いかにも遊び慣れている雰囲気を漂わせている。
269名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:16:13.56 ID:t8lGS5Mp
【その7】
「お久しぶりです、ユージさま」
「かたっくるしい挨拶はヌキでさ、はやく座ってよ」
ポンポンとソファーの横を叩き、俺の着席を促してくる。
「失礼します」
促されるまま席に座ると、ユージは無言で煙草を取り出そうとした。
その予兆を素早く察知した俺は、ポーチからライターを出して一度手許で火をつけ、
そしてゆっくりとユージが咥える煙草へと近づける。
ぼんやりと明るく照らされるユージの整った顔。
しかし、トリミングされたあごひげは、どこか作り物のような感じが見て取れた。
ゆっくり視線をユージの手許に移すと、そこには男性らしくないしなやかな指があった。
そう、ユージは女性なのだ。
彼だけではない。このフロアで酒やキャバ嬢との談笑を楽しんでいるホスト風の男も、
セクハラまがいのスキンシップをするバーコードヘアの男も、
眼鏡をかけた真面目そうなサラリーマンも、すべて女性であるという。
逆に、先ほどステージでポールダンスを披露していたギャルも、お酒を運んでいたバニーガールも、
そして各テーブルにいてかいがいしく酒を作ったり談笑している嬢たちも、全員が男性なのだ。
では、ここがオナベ専用のニューハーフパブかと言われたら、決してそうではない。
この『クラブ アップサイドダウン』は、男性客が思い思いの水商売風女装をしてキャバクラの接客を体験し、
逆に女性フロアスタッフは『よくキャバクラに来る男性客』っぽい格好をして
にわかキャバクラ嬢のおもてなしを受けるという、ちょっと変わった店なのだ。
ちなみに、この店で一番人気の『お客様』(つまり、女性スタッフ)は、
ハタチそこそこなのにわざわざ毛抜きで髪を抜いてバーコードヘアにセットしている『敬一郎』だという。
どちらかといえばアイドル系の顔立ちなのにわざわざオヤジくさい格好をして、
さらにセクハラまがいのボディタッチまでする積極性が人気の秘訣なのだとか。
一方、ユージは人気ランクでは3番目ぐらいだが、
どことなく宝塚のトップスターを髣髴させる整った顔立ちと、
キザで遊び慣れたような立ち振る舞いが俺のお気に入りで、
可能な限り彼を『担当』することにしているのだ。
270名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:17:17.07 ID:t8lGS5Mp
【その8】
そのお気に入りのユージが煙草をくゆらせている間に、
通りがかったバニーガールにそっと声をかけ、水割りセットを用意してもらう。
「じゃあ、そろそろお酒でも作ってよ」
吸いかけの煙草を灰皿で揉み消しながらユージがお酒の催促をしてきたのとほぼ同時に、
バニーガールが水割りセットを持ってきた。
露骨なまでに前かがみになって、高級な女装用ブレストフォームを使っているのか
女性のものと区別つかないほど豊かなバストを誇示するバニーガールに内心苦笑しつつ、
小道具として挟み込んだライターが自己主張する胸の谷間は俺ですらドキッとさせられ、
今度バニーガールをすることになったら真似してみようと思わせるほどであった。
間接照明で艶やかに光るヒップを振りながら去っていくバニーガールを横目に、
グラスに氷を入れて軽くマドラーでかき回してグラスを冷やし、
続いてウィスキーをグラスの底から指一本分のところまで入れる。
そしてミネラルウォーターをグラスの7分目ぐらいまで注ぎ、マドラーで上の方を軽く混ぜる。
最後にトーションでグラスについた水滴を拭い、グラスの下の方を両手で持ってユージの前にそっと置く。
「あすかちゃんも飲みなよ」
とユージが勧めてきてから、改めて自分用の水割りを手早く作る。
「それじゃ、乾杯」
「乾杯」
両手でグラスを掲げてユージのグラスの底のほうに当てるように乾杯をする。
女の子らしくちびちびといただきながら、ユージと他愛のない話をしつつ、
水割りを作ったり煙草に火をつけたり灰皿を交換したりと、嬢の仕事をこなす。
時折、スリットから覗く脚を触られたり、肩を抱かれたりと、
積極的なスキンシップに頬を染めていると、
ふとした瞬間にユージと瞳が重なり、なんとも言えない切ない沈黙が訪れた。
「……いいかい?」
無言で目を伏せる俺。
そっと触れるような、初々しい中学生のようなキス。
ユージとのファーストキス。
恐らく時間にして3秒ほどの永遠が過ぎ、ゆっくりと瞳を開けるとユージの顔が遠ざかっていく。
彼の顔がまともに見れないほど、心臓がどきどきと高鳴っている。
火照った顔をどうしようかと思っていると、追いうちのようにユージが耳元でささやいてくる。
「今日、アフターできるかな?」
すっかり舞い上がってしまった俺は、無言で頷いた。
もしかしたら、何度もブンブンと首を振ってしまったのかもしれない。
それから『あがり』になる1時間ぐらいの間、何をしていたのか忘れるほどに、
俺は浮かれた気持ちで『接客』を続けていた。
271名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:38:52.13 ID:vL0fkiox
【その9】
既定の時間が終わってロッカールームに戻り、
本来ならば着替えて料金を精算するのが常だが、
この格好のまま帰ることをロッカールームつきの係員に告げる。
そして時間経過や飲食で崩れた化粧を直し、
来る時に着ていたスーツをレンタルしたスーツキャリーへと詰め込む。
そして店の横に用意されているコインロッカーに荷物を投げ入れて、
大きな荷物を持ち歩かないで済む状態にした。
かなり手早く身支度をしたつもりだけれども、
それでも『あがり』の時間から30分以上経過してしまい、
ユージを待たせてしまう形になってしまった。
待ち合わせ場所の場所に慌てて向かうと、ユージは所在無げに煙草をふかしていた。
「ごめんなさい! 遅くなっちゃいました」
「大丈夫、そんなに待ってないよ」
深々とお辞儀をしてユージに謝ると、彼は優しく頭を撫でてくれた。
その手がやけに温かく、さらに自分の顔がほてっていくのがわかる。
「じゃあ、行こうか」
すっとユージが腕を差し出してきたので、それにすがるように抱きつく。
ちょっと高めのヒールを履いているにもかかわらず彼は自分よりも頭一つ高く、
本当に男の人の腕にもたれかかっているような気分になってくる。
そのままデート気分で繁華街を歩いていると、
前方から見慣れた人物がやってくるのが見えた。
高橋だ。
飲み会の帰りなのか、別の課の人間と一緒に大声で騒ぎながら歩いている。
すれ違った瞬間、高橋がちらりと俺の方を見たのに気づく。
恐らく、彼の方に開いていた脚のスリットに惹かれたのだろう、
一緒にいた奴らに「今すれ違った娘、脚がすげー綺麗だった!」と
興奮気味に語ってはたしなめられていた。
そうか、アイツから見ても俺はかなり魅力的なのか。心のなかで軽くガッツポーズをする。
ウキウキ気分のままユージに導かれるまま歩いていると、
繁華街とは反対の方に向かっていることに気がついた。
この方向は……ホテル街だ。
まさかと思ってユージの方を見上げると、
「……あすかは、嫌かい?」
とびっきりの笑顔をみせるユージ。
断れるわけがない。
無言で目を伏せ、ぎゅっと抱きつく。
ユージに導かれるまま、俺はホテルの入り口をくぐった。
272名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:40:00.30 ID:vL0fkiox
【その10】
ホテルは間接照明と壁紙の色合いのせいか、どことなく淫靡な雰囲気が漂い、
これから起きるであろう出来事への期待感が高まっていく。
「ねぇ……シャワー浴びてきていい?」
もう深夜といっても差し支えない時間。このままユージに抱かれるとなると、
汗のにおいなども気になってしまう。
だが、ユージは俺をベッドに押し倒し
「だってシャワーを浴びちゃったら、あすかにかかった『魔法』が解けちゃうだろ?」
とささやいて俺の唇を自分のものでふさいだ。
口腔内を溶かしつくされるような濃厚なキスで脳がしびれている。
この瞬間、俺は――ワタシは本当に魔法にかかり、ユージの『女』になった。
唇に、首に、脇の下に、何度も何度もキスをするユージ。
そのたびに自分の中の『女』がどんどん大きくなっていく。
やがてユージの手がスリットの間からスカートの中に差しこまれ、
ワタシの大事なところを執拗に愛撫する。
ストッキング越し独特のなんともいえない感触にどんどん昂り、吐息が唇から洩れてしまう。
「そろそろいいかな?」
手慣れた感じでスカートをはずされ、ストッキングのみの姿にされてしまう。
なんか急に恥ずかしくなってきて、ユージの方を見られない。
「そろそろいいかな?」
ユージはワタシのストッキングも下ろし、大事な部分を一気に露出させた。
瞬間、はじけるようにワタシの『モノ』がピンと屹立し、激しく自己主張をはじめた。
ユージの前では『女』でいたかったのに、ここで男を見せてしまったことが恥ずかしくなってしまい、
彼の顔がまともに見られない。
「大丈夫、あすかは誰よりも『女の子』だよ」
ヒクヒクと脈打つワタシ自身に軽くキスをし、そして口に含んだ。
「ああんっ」
ユージの口の中は温かく、そして蕩けるような気持ちよさで、すぐに絶頂に達してしまった。
273名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:40:54.35 ID:vL0fkiox
【その11】
ワタシが出したものを嫌な顔せずに飲み込むと、
ユージはスラックスを脱ぎ捨ててなにやらごそごそやりはじめた。
「じゃ、今度は俺のものを気持ちよくしてもらおうかな?」
ユージの股間には、黒く光る『男性自身』が装着されていた。
ワタシはそれを咥えこみ、舌や唇を使って全力でフェラチオしはじめた。
カリの裏を舐め、ディープなストロークでサオ全体を撫でる。
ジュルジュルと自分がたてる粘液音が響き渡り、それがさらに興奮を加速させる。
「舌だけじゃなく、もっと頬やのどを使えよ」
「こ、こうでひゅか?」
上目使いでユージの様子を見つつ、より強くペニスを吸引しながら唇や頬を使いペニス全体を愛撫する。
たぶん、ユージから見える自分の顔は、まるでひょっとこのようにおかしなものになっているに違いない。
しかし、自分でも自覚できるほど情けない姿も、すべてユージのため。
「……んんっ!」
ユージのものを愛している。フェラチオしている。
そう思っているだけでどんどん高みへと上り詰め、ついに触らずに絶頂へと達してしまう。
「……フェラチオだけでだけでイっちゃったのか。あすかは本当にエッチな娘なんだな」
あざけるような、あわれむような、ドSな視線でワタシを見つめるユージ。
「……ふぁい、あしゅかはえっちなこでしゅ……」
そのまなざしに蕩けながらも、フェラチオする口は休めない。
「さて、そろそろかな?」
まるで引きはがすようにワタシの唇から抜くと、ユージは四つん這いになるように促してきた。
言われるがまま、ユージに大事なところをすべて晒す。
少しの間が開き、なにか冷たいものがワタシのおしりにかけられた。
「ちゃんと濡らしてあげないとな……」
どうやらかけられたものはローションだったようだ。
図らずも一瞬にして濡れたワタシの股間は、ユージのものを全力で受け入れる体勢になった。
おしりを両手でつかみ、大事なところに一気に突き入れるユージ。
最初はゆっくり、ゆっくり……そしてだんだんとストロークが速く激しくなっていく。
ぱぁん! ぱぁん! と激しく腰を打ちつける音が響き渡り、
そのたびにケモノのようにあえぐ声が唇から洩れてしまう。
「あ、あぁんっ!」
「いいか! 俺のがいいのか!」
「ユージが! ユージのがいいのぉ!」
「あすかは俺のだからな! 俺のオンナだからな!」
「ひゃい! あすかはユージのものでひゅ!」
ゆっくり。はげしく。やさしく。つよく。
貫かれるたびユージへの思いが全身に詰め込まれていく。
そして何度目かわからない絶頂を迎え、ワタシは静かに微睡の中へと沈んでいった。
274名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:41:40.69 ID:vL0fkiox
【その12】
「目、覚めたか?」
どのぐらい気を失っていたのだろうか、
ワタシはユージの胸の中に抱かれるようにして眠っていたことに気がついた。
少しだけジンジンするおしりは処女をユージに捧げた証拠なので、痛さも少し心地いい。
「もう少し、休んでいくか?」
煙草をくゆらせながら、ぶっきらぼうにつぶやくユージに無言で答える。
「ところでさ。あすかは専業でキャバとかやったりしないのか?」
「……勤めもあるし、なによりアレは趣味にしておきたいし……」
「そうか、残念だな。今度、俺がオーナーで新しい店を出すんだけどさ、
 あすかにそこの店で働いてもらいたいって思ってたんだけどな」
残念、残念と、何度も自分を納得させるように頷くユージ。
頭の中で会社に勤めながら女装を趣味とする人生と、
ユージの傍らでかいがいしく働くあすかの姿を天秤にかける。
もちろん会社勤めに大きく傾きはじめた瞬間、
「あすかとは、これでおしまいかもしれないなぁ……」
そのユージのつぶやきを聞いた瞬間、天秤の支柱は大きく音を立てて折れてしまった。
もう、ワタシにはユージなしの人生は考えられない。
「……やめます」
「ん?」
「会社、やめます! ユージのお店で働きます!」
会社勤めの安定した人生も、男としての一生も、ユージと比べたらゴミのようなもの。
ワタシはユージについていくことを決意した。
「イイ子だな、あすかは」
いとおしいものをあやすかのように、ワタシをやさしく撫でてくれるユージ。
これだけで、宣言をした価値はある。
しかし、ワタシがユージについていくと言った瞬間に見せた、
あの邪悪な笑顔はなんだったのだろうか。
「じゃ、続きシようか」
そう言ってユージはワタシに覆いかぶさってきた。
一瞬浮かんだ嫌な想像は、ユージのキスでどこかに吹っ飛んでしまった。
頭の片隅で泥沼にはまってしまったことを自覚しつつ、
それを振り払うかのようにワタシはユージとの愛欲におぼれていくのだった。
275名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 05:43:16.91 ID:vL0fkiox
おしまい
途中でID変わっているけど同一です

「客が女装して店員をもてなす擬似キャバクラ」というのが
アイデアの出発点だったのにどうしてこうなった
276名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 10:13:48.43 ID:3OKzMHnD
GJ!
今後予想されるあすかの転落人生(何)もよろしく
277名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 11:45:44.34 ID:+nLAWObh
>>275
ありがとうございます
楽しく読ませてもらいました
278名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 12:16:19.94 ID:ITijvogz
女に変わるシーンはいつ見てもいいものだ
楽しかったです
279名無しさん@ピンキー:2013/09/16(月) 23:35:52.93 ID:JVVXUfPi
このシチュは思いつかなかった、GJでした!
もしかして、男装女×女装男結婚式の作者様ですか?
280275:2013/09/17(火) 08:57:48.56 ID:I0KYKhP0
読んでいただきありがとうです

>>276
続きは多分ない・・・・・・はず
アイデアがぼんやりと浮かんでは消えてるような感じではありますが

>>279
ですよ
やっぱり男装女×女装男が好きなようです
281名無しさん@ピンキー:2013/10/07(月) 11:15:00.19 ID:jyPuH7FA
ほっしゅ
282名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 13:39:03.77 ID:oXz/7WCf
◆fYihcWFZ.c氏や男装女の方の再臨が待ち遠しすぎて我慢できない
283名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 17:01:04.80 ID:+lDXEq9X
そろそろ前回の作品投下から1ヶ月か…
284名無しさん@ピンキー:2013/10/14(月) 23:30:23.22 ID:tGCuFpuN
ネタはぽややんと出かかっているけど、どうも面白くならない
285名無しさん@ピンキー:2013/10/21(月) 22:54:33.16 ID:5b7LIl8/
バニーガールとか下着とかいろいろ書きたい欲求が
286名無しさん@ピンキー:2013/10/22(火) 09:07:07.11 ID:KAcSxPVC
バニーガールとか下着とかいろいろ着たい欲求が
287名無しさん@ピンキー:2013/10/22(火) 12:01:29.45 ID:dsAZcoUG
だれうま
288名無しさん@ピンキー:2013/10/22(火) 14:58:53.44 ID:fKdHfsqe
タマにはこーゆーのも読みたくなる
(やたら前置きが長いのと、ポップアップバナー注意)

ttp://www.muvc.net/fantasydate/kuso2001/yuimi60.html
289名無しさん@ピンキー:2013/10/30(水) 17:14:29.57 ID:y6pZknEZ
女装しつつ保守
290名無しさん@ピンキー:2013/10/30(水) 23:44:11.08 ID:7PB684wW
>>275
GJです。このシチュは良いですね
続きあったら是非お願いします
291名無しさん@ピンキー:2013/11/02(土) 02:49:55.07 ID:5ox/tIEt
ケバ系キャバ嬢とかビッチ系黒ギャルとか、
「お嬢様系」や「オタクが好むような系統」ではない女装モノがもっと増えないかな
292名無しさん@ピンキー:2013/11/02(土) 08:32:17.84 ID:Pimv3sKA
「オタクじゃない俺」カッケー
293名無しさん@ピンキー:2013/11/12(火) 17:57:52.46 ID:1GylcI7H
まあ>>291の言い方はともかく
ギャルっぽい女装SSが見たいのは俺も同感
振る舞いや言葉遣いも徐々にギャルに調教されるとかだとなおいい
294ほしゅ:2013/11/17(日) 13:48:23.10 ID:M/C7KIxx
 「おっ待たせ〜!」
 「!?」
 昼下がりの繁華街、待ち合わせ場所に現れた人物の姿に声も出せないほど驚く啓介。
 「あははっ! なにその顔ウケる〜〜っ!」
 背中まで伸びた癖毛っぽい茶髪。派手目なメイクと見せブラに合わせたヘソ出しシャツと高そうな
ジャケットとホットパンツとミュールと……とにかく平凡な中学生を自負する啓介が知人と思われる
のも躊躇してしまうような少女。同い年くらいの背丈と顔立ちなのに、なんだか軽薄そうで遊び慣れ
た感じの女の子は羞恥心の欠片もなさげな大笑いをしながら周囲の人目も気にせず真っ直ぐに啓介に
駆け寄ってきて腕に抱きついた。
 「どう? 可愛いっしょ?」
 「っ!!」
 そして公衆の面前で腰を振り、自慰を連想させるような淫靡な動きで啓介の腕に上半身を擦り付け
潤んだ瞳で頬を染める。目の前で揺れる髪から漂ってくるシャンプーか香水か良く分からない匂いで
クラクラしてしまいそうだ。
 「あ、あの……」
 なんとか声だけは出せたものの、咄嗟に言葉らしい言葉が浮かばない。
 「もぉ、酷いなぁ啓介はぁ?」まるで彼氏に素っ気なくされような拗ね顔の少女は、更に足を絡め
啓介の足に股間を密着させながら爪先立ちになって耳元で囁く「せっかく気合い入れて来たっていう
のにさぁ? ちょっとくらいは褒めてよぉ〜!」
 「な、なんで僕の事……って、もしかして智毅うぐっ!?」
 「ちょっと、そんな大きな声で名前呼ばないでよっ。バレちゃうじゃん〜ん!」
 同じ男とは思えない柔らかい手で唇を塞がれて心臓が跳ね上がる啓介。バイト用の女装で行くから
驚かないように、と事前に注意されていたにしても、ここまでとは思ってもいなかったのだし、何より
も大勢の人達が行き交う前で大胆すぎるアプローチを掛けられて平常心を保てという方が無理な相談
である。
 「だ、だって……」
 「あははっ、やっぱりビックリした? したよねっ? 大成功〜〜!」
 充分に驚かせて満足したのか智毅は少し抱擁を緩め、それでも啓介は解放せず腕にぶら下がって
肩に頭を擦り付けながら先を促すように歩き始める。
 「んじゃ、さっそく行こっか?」
 「え? あ、う、うん……」
 そうして歩き始めた二人は昼間から『いかがわしい場所』に直行する不健全な交際か何かにしか
見えないらしく、周囲の通行人の冷ややかな視線が容赦なく浴びせられるが。
 「んふふふ〜!」
 今にも逃げ出したい啓介とは正反対に、智毅の方は全く意に介した様子もなくご機嫌そのものと
言った笑顔で啓介を引っ張ってゆく。
 「あ、あのさ? 智毅……」
 「トモ」メッ、と言いたげに人差し指で啓介の唇を封じる智毅「トモって呼んでよね? 良い気分が
台無しじゃん。アタシの方はスイッチ切り替えて雰囲気出してんだからさぁ、啓介もちょっとくらい
空気読んで盛り上げてよぉ〜!」
295ほしゅ:2013/11/17(日) 13:49:41.78 ID:M/C7KIxx
 メイクされた頬を膨らませる様が本物の女の子のようで可愛い。しかも声色が自然すぎて未だに
信じられないというか受け入れられない啓介は振り回されっぱなしにまま。
 「えっと……じゃあ、トモ……さん?」
 思わず『さん』付けになってしまう。
 「ん? ん?」
 そんな啓介の戸惑いを明らかに面白がっている智毅は笑顔。
 「何て言うか……ほ、本当に本物だよね? 本物の女の子が僕を驚かせるために智……振りをして
るってことは……」
 「あははっ、ないないない。絶対ないって。第一、そんなことしたってアタシにはメリットなんか
一つもないじゃん?」
 「そ、そうだけど……」
 「よく考えてみなよ。女の子の振りしてお小遣いもらうバイトを紹介してあげるって言ったのは
アタシの方なのに、ンなの逆効果にしかならないじゃん。だから啓介も警戒しないでさぁ、もっと
楽しもうよぉ〜〜!」
 「で、でも……」
 「んもぉ、信用無いなぁ」とルージュで光る唇を可愛らしく尖らせる智毅「そんなに信じられ
ないんならさぁ、確かめてみる? アタシの……おちんちん?」
 「お、おち……っ!?」
 「そ、おちんちん」軽そうな笑顔から一変、艶っぽいで声で手首を掴まれる啓介「バイト中は
女の子になりきらないとダメだし、ちょっとヤなんだけどさぁ、啓介なら良いよ? 友達だし、
アタシが可愛いって思ってくれてるし、特別に触らせてあげるね?」
 「いや、ちょっと……」
 「大丈夫、ちゃんとナマで弄らせてあげるから……ほら、もうちょっとで……」
 そのまま剥き出しの細いお腹に掌がが押し付けられ、
 「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!!」
 啓介の突然の大声に、周囲の通行人が何事かと一斉に振り返る。
 「あははははっ、やっぱ啓介って純情〜! カワイイ〜イ!」
 そして注目を物ともせず大きな声で喜ぶ智毅。
 「い……いい加減にしてくれよっ!!」
 一瞬だけとは感じた女の子のように柔らかい下腹部の触感に動揺しながらも、智毅の余りに奔放な
振る舞いの連続に耐えきれなくなり声を荒げる啓介。
 「あははっ、ごめんごめん〜」
 だが智毅は面白がる様を隠しもせず、体を密着させたまま上辺だけの謝罪の言葉で啓介の憤慨を
軽く受け流し片付けてしまう。
 「っ!」
 それで納得など出来るはずもないとは言え、色々な意味でこれ以上目立ちたくない啓介は喉まで
出かかった次の言葉を渾身の思いで飲み込んで耐えるのみ。
 「あ、そこを右だから。なんか色々転がってるから足下気をつけてよね?」
 そのまま二人は智毅のアルバイト先の事務所があるという昼間でも薄暗い路地の一本へと消えて
いったが、それを気に留める者は一人もいなかった。
296ほしゅ:2013/11/17(日) 13:54:37.74 ID:M/C7KIxx
おわり
書いた自分が言うのもナンだけどさぁ、なんか違くない? みたいな〜?


……正直ゴメンなさい(AAry
297名無しさん@ピンキー:2013/11/17(日) 15:16:28.05 ID:0dwVT3yH
>>296
GJ!
続きを読んでみたいです。
298名無しさん@ピンキー:2013/11/17(日) 16:23:56.22 ID:wJW8isI7
続き希望
299名無しさん@ピンキー:2013/11/17(日) 17:47:20.73 ID:FLkkp5OS
淫乱ビッチ男の娘ギャル美味しいれす^ρ^

あと話は変わるけど
『瀬野家の人々』のスピンオフで、俊也が初女装に至った経緯とか女装修行の日々とか読んでみたい。
作者さんお願いします。
300名無しさん@ピンキー:2013/11/17(日) 19:27:36.07 ID:ip3NrC1X
>>296
全ッ然違わなくないぞ
だからケイの成り行きをだな(ry
301名無しさん@ピンキー:2013/11/17(日) 19:28:37.81 ID:ip3NrC1X
違わなくないじゃダメじゃないかアホか俺
頭冷やすために汚装してくる
302名無しさん@ピンキー:2013/11/18(月) 00:12:38.57 ID:qvs8dRvp
変えられていく過程をじっくりお願いします
303名無しさん@ピンキー:2013/11/19(火) 07:38:45.33 ID:ezMnC52z
汚裝はしないで良いですから何か書いて下さい。
304ほしゅ2:2013/11/19(火) 21:48:53.89 ID:qxG8Ylp6
  『簡単に言うと女装して接客するだけの簡単なアルバイトだよ。あまり大きな声では言えない
仕事だけど、その分だけ短時間でもお金は沢山貰えるし内容だから、女の子の格好に抵抗感が
無いんだったら啓介を紹介してあげても良いけど……どうする?」。
 という智毅の説明から、間違っても人前ではおおっぴらに出来ない趣味を持つ大人向けの隠れた
飲食業かなにかを想像しジメジメした地下室的な店を覚悟していた啓介だが。
 「え〜とぉ、ぽちぽちぽちっと……」
 相変わらず腕に抱きついたままの智毅が片手で解除したビル裏口のオートロックの最新鋭っぽい
作りに先ず驚かされ、入った先で待ち構えていた明るくて綺麗なエレベーターホールに度肝を
抜かれてしまった。
 「…………あ、あのさ智毅? ここって……?」
 そうして、やっと口を開くことが出来たのは殆ど揺れない清潔そのもののエレベーターに
乗り込んでからだった。
 「トモって呼んでっつったでしょ!」ぎゅっ、と抱きつく腕に力を込めながら女の子としか
思えない拗ね声を出す智毅「だから言ったじゃん、事務所だってばぁ!」
 「……でも、ここって凄い高さそうなマンションにしか……」
 「ん? そだよ?」
 「そ、そだよって……」
 予想していた楽屋裏というかバックヤードみたいな場所との余りのギャップに現実感を失いそうな
啓介などお構いなしに、軽快な電子音と共に目的階に到着したエレベーターのドアが静かに開く。
 「もぉ、細かいことはどうでもいいじゃん! 早く早くぅ!」
 そのまま満面の笑みの智毅に引っ張られて高級マンションの一室へと。
305ほしゅ2:2013/11/19(火) 21:57:41.51 ID:qxG8Ylp6
 「初めまして、責任者の鈴原です……と言っても偽名ですけどね」
 完璧な営業スマイルで二人を出迎えてくれたのは純白のスーツに身を包み『新鋭女社長』という
言葉を体現したかのような比較的若く真面目そうな人物だった。
 「は、はいっ! 僕は……」
 「トモちゃんのお友達、でしょう? それ以外は今は全く必要ありませんから何も言わなくても
構いませんよ。とりあえず、こちらへどうぞ」
 大人の余裕の中に冷静な何かを感じさせる鈴原に先導され部家の奥に進むと、そこは壁一面に
広がる大きな窓から差し込む日差しで明るく照らし出された部屋。十畳以上はありそうな豪華にして
居心地が良さそうなリビングルームが待ち構えていた。
 そしてソファーや絨毯の上と言った思い思いの場所でくつろぐ少女達の姿。
 「み〜〜んなアタシのバイト仲間なんだよ。ね、凄いっしょ凄いっしょ〜?」
 褒めて褒めてと頭を擦り付けてくる智毅だが、啓介はそれどころではない。
 「あの……あの人達って……その……智……と同じバイトって事は……」
 「うん! 鈴原さん以外は全員男の子っ!」
 と自慢げな智毅。
 「そういうことです。それに全員が未成年ですから余り緊張しなくても良いですよ」と鈴原が
柔らかな声で継ぐ「それじゃあミケちゃん、あとはお願いしますね」
 「えぇ〜〜? また私かよ〜〜?」
 完全なアウェイで戸惑うばかりの啓介の頭上を素通りして話は勝手に進んでゆく。
 「お給料は『それ』込みだというのを忘れたわけでは無いでしょう? それに、この子も私が席を
外した方がリラックスできるでしょうから」
 「…………りょ〜かい」
 別の部家に続く扉の向こうに姿を消す鈴原と入れ替わるように、ミケと呼ばれた女装少年が気怠そうに
腰を上げる。啓介より年上に見えるが未成年と言うことは高校生か大学生か。健康そうに焼けた肌と
ポニーテール。タンクトップにジーンズという出で立ちと猫科の動物のように引き締まった体型から
して男とか女以前に健全そうな人物にしか見えないが。
 「あ、あの……」
 「トモから聞いてるだろうけど、シフトとかもないし自由出勤だから完全歩合制な。基本的に全部
メールでやり取りすっけど、ここで待機してた方が優先的に回して貰えるから稼ぎたかったらマメに
顔出すこったね。あと無理に本番コナさなくても良いけどさ、客は全部鈴原サン経由の紹介だから
病気とかの心配はいらねーしシンドイ割には金貰えねーし指名とか殆ど貰えねーから、どうせなら
本番の方がいいぜ。ああ、あと金と言えば客の払いは全部鈴原サンが受け取って、私らは後で八割の
現生をココで受け取るシステムになってっから。あとは……なんかあったっけ?」
 「服とかお化粧とかは全部自腹だよ〜!」と絨毯の上で頬杖をついて寝転がりながら真っ白な足を
ユラユラ動かす黒いドレスっぽい服の女装少年が補足する「だってお仕事以外でも使えちゃったりする
もんね? あと少し位のおチップって言うか小遣いなら鈴原さんも見ない振りしてくれるから、
やっぱり生でドンドンやって満足させたげた方が断然お得だと思うな〜。それとぉ、このお部屋の
お菓子とジュースは食べ放題の飲み放題だよ〜ん」
 楽しそうに語る彼女の周りにはスナック菓子の袋が幾つも散らばっていたりする。
306ほしゅ2:2013/11/19(火) 22:00:43.69 ID:qxG8Ylp6
 「は、はい……」
 と素直に頷いてみせる啓介。教えて貰った範囲は割と丁寧な説明だったとは思う。
 「ま、そんなトコだな」と頭をポリポリかきながら面倒くさそうな声のミケ「まだなんか忘れて
っかも知れねーけど、まぁ要はヤりまくって金貰うだけだからな。あんま難しく考えなくても直に
慣れるから心配すんなって」
 「そ〜そ〜。気持ちイイお仕事なんだし楽しまなきゃ損だよ〜」
 「最初のお仕事はアタシがサポートしたげるしぃ、大丈夫だって!」
 「う、うん……」
 覚悟していたような陰気な場所では無かったし、仕事仲間も朗らかというか親しみやすい感じの
人達だし、しかも皆が自分と余り変わらない未成年らしいという話で啓介の緊張も多少は和らいだ
ような気がする。
 「と、ところで……あの…」が、どうしても確かめなくてはならない部分は残っていて、そこだけは
明確にしておかなければならない「……その……」
 「あ? ンだよ、ハッキリ言えよ!」
 「い、いえっ! あの……その……」
 「もぉ、ミケちゃん!」と、腕に抱きついたまま智毅が半歩前に出て啓介を庇うように頬を膨らま
せて睨み返す「アタシのお友達怖がらせないでよぉ〜!!」
 「あ………わ、悪ぃ……」
 そして驚くほどアッサリ引いてしまうミケ。
 「うふふっ。ミケちゃんはツンデレさんの体育系だから、ハッキリしない子は好きじゃないん
だよね〜?」黒ドレス少女が人懐っこい声で間に入る「でも別に本気で怒ってるわけじゃないしぃ、
面倒見はすっごく良い子だからなんでも聞いて良いよ〜?」
 「がるるるるっ!」
 まだ不機嫌そうに唸っている智毅。。
 「だ、だからツンデレとかキショい呼び方すんなっ! つか……まぁ、鈴原サンから任されたのは
のは確かだし……その、わかんねーことあったら……い、いまのうちに言っとけよなっ!」
 「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて………その………やるとかやらないとかって結局、なにをする
アルバイトなんでしょうか?」


 「「「えっ?」」」


 その場の全員の目が点になり、視線が啓介に集まる。
 「な、なにってお前、そりゃ……」と何故か狼狽えるミケ。
 「トモちゃんから聞いて、是非にって思って来たんじゃないの?」
 黒ドレスの少女も思わず起き上がり……アニメなんかで良く見かけるゴスロリ風だった事に今更
気付いたが……何度も瞬きを繰り返し驚いている。
 「えっと、智……トモ……さんからは『女の子の格好をして接客する簡単なアルバイト』としか
聞いてなかったから……その、ちょっと特殊な喫茶店かガールズバーの一種かなくらいのイメージは
あったんですけど……お話を聞いてると、ちょっと違うような……?」
 

 「「「はぁっ!?」」」


 なに言ってんのコイツ? と言う視線が今度は智毅の顔に集まる。
 「あ、あれぇ〜?」啓介の胸に縋るように密着しつつ、引きつった笑みを作る智毅「そ、そんな
コトいったっけ? でででも間違いじゃないじゃん? 実際好きな服着て女の子のフリするしぃ、
お客さんの相手するだけだしぃ、別に難しいコト覚えるヒツヨーもないんだからマジ誰でも出来る
簡単なアルバイトじゃん? ウソは言ってないよね? ね〜っ?」
307名無しさん@ピンキー:2013/11/19(火) 22:02:32.84 ID:qxG8Ylp6
 「いや、僕に言われても……」
 やっと腕を解放したかと思うとクルリと半回転しながら啓介の前に立ち、助けを求めるような目を
しつつ胸元で可愛らしく拳を作ってみせる智毅だが、残念な事に啓介には如何ともし難い。
 「トモ、お前……!」
 「あ〜あ、またかぁ……」
 「あ……あははは〜?」
 やっちゃったよコイツ、と残念な子を見る目を独り占め状態の智毅。流石に萎縮してしまいながら
仲間に愛想笑いを振りまいてみせるものの、効果は全く期待出来そうにもない。
 「……何て言うか、今更なんだけどさねー……」とドレス少女改めゴスロリ少女「トモちゃんの説明は
ちょっと違くて……ココって、よーするにお金貰ってエッチぃことするの大好きな子の集まりだったり
するんだけど……大丈夫?」
 「え……」音を立てて啓介の顔から血の気が引いてゆく「エッチぃことって、つまり、それは……
やっぱり……」
 「まぁ、あれだな……いわゆるエンコーって奴だな、ぶっちゃけ」
 「どっちかって言うとデリヘルの方が近くないかなぁ? 自分で引っかけるわけじゃないし〜、
お金も直接は貰えないじゃん。ま、どっちも似たような物だけどねぇ〜」
 「でもホテルとか殆どなくて青姦ばっかりだよね? やっぱ援交の方が近くない?」
 「それは主にお客様の層の問題では? 余りお持ちで無い方々を狙っている様ですし」
 「でもでもぉ、公園とかって興奮するよね? あと屋上とか!」
 「わかるわかる〜! 触られなくてもスカートん中に射精しちゃうこともあるもんね?」
 「……だけどドライアクメ……何回でも出来るから便利……」
 「あとさぁ、慣れてくると喉も気持ちいいよね? 奥の方擦られちゃうと思わず自分でシコシコ
したくなっちゃう〜みたいな?」
 何が引き金だったのか堰を切ったように部屋一杯の猥談が咲き乱れるが、真っ白になった啓介の
頭の中には何も一つも入っていない。というか無意識に一歩、後ずさってしまう。
 「ちょ……急に騒ぎ出すな! うるさいって、お前らっ!」
 「っていうかさぁ、大丈夫なの? あの子?」


 「「「あ……!」」」


 幸か不幸か一時的に蚊帳の外状態だった啓介だが、ゴスロリ少女の一言で雀の大合唱が一瞬で
鎮火して再び部屋中の注目を集めてしまう。
 「い、いや……あの、僕は……」」
 それは総じて同情というか哀れみの眼差しばかりだったりするのだが、だからと言って到底
耐えられるものではない。
 「ご、ごめんなさーーーーーいっ!!」
 何を謝っているのか自分でも良く分からないまま慌てて踵を返し、何も考えず玄関の方へと
駆け出す啓介……だが。
 「だ、だめ〜〜〜〜っ!!」
 智毅の声が聞こえたと思った次の瞬間に視界が反転して、そのまま暗転してしまった。
308名無しさん@ピンキー:2013/11/19(火) 22:03:51.82 ID:qxG8Ylp6
ここまで
何処まで続けられるかわからないけど、とりあえず宜しくお願いします
309名無しさん@ピンキー:2013/11/19(火) 22:06:31.79 ID:2q7i4Tl1
>>308
素晴らしい!
続き楽しみに待ってます。
310名無しさん@ピンキー:2013/11/19(火) 22:51:08.14 ID:P8GOFNSH
ありがとうございます!
続きお願いします!
311名無しさん@ピンキー:2013/11/19(火) 23:25:47.23 ID:ELadsb3i
いいねいいね

ところで、
>>304の2行目中ほどの
> でもお金は沢山貰えるし内容だから、
って、なにか変じゃないですか?
312名無しさん@ピンキー:2013/11/19(火) 23:54:19.66 ID:Wk4B+B7U
久しぶりスレ覗いたら新作!
続き、期待しております
313名無しさん@ピンキー:2013/11/23(土) 23:56:32.24 ID:164zaByn
 啓介が目が覚ますと、見知らぬ天井があった。
 「…………ええと?」
 「あ、起きた! 起きたよツカサちゃん!」
 声のした方に視線を動かすと、正直言って未だに信じ切れないほど見事に女の子に成り切って
いる智毅の心配そうな顔。
 「どれどれ?」そこにゴスロリ少女の顔が加わる「まだ動いちゃだめだよ? 何も言わなくて
いいから大きく息を吸って……そう、はい、もう一回」
 開こうとした口を細い指で制され、啓介は言われるままに深呼吸を繰り返す。
 「そう……そう、上手だよ。吐き気とかない?」
 「た、たぶん……」
 「じゃあ自分の名前……はココじゃ言えないからぁ、生年月日は?」
 「……十一月の十日ですけど……」
 「どう、トモちゃん?」
 「うんっ、合ってるよ合ってる!」
 「あれ? 僕、智……誕生日教えたっけ?」
 「え? あ……頭痛いよね? 痛いよねっ? ごめ〜〜〜んっ!」
 飼い主に頭を叩かれる子犬のような顔で両手を合わせて必死に謝る智毅。
 「いや、あの、だから誕生日……」
 「だから、まだ動いちゃダメだよぉ」思わず起き上がろうとした啓介の肩を柔らかい手で優しく
抑えるゴスロリ少女「大丈夫だと思うけど、急に頭を動かしたら目眩とかする人もいるんだし、
もうちょっと良い子にしてて、ね?」
 近くで見ると啓介より少しだけ上か同い年くらいか。動揺しまくりの智毅とは正反対の落ち
着いた笑顔と穏やかな声で諭されると、不思議と子供扱いされても腹が立たない。
 「は、はい……」
 「よしよしよし」女装して体を売っている少年とは思えない微笑みで前髪を梳いて貰うのも
何だか気持ちが良い「瞳孔にも特に異常は無いね。私とトモちゃんの顔、ダブって見えたりして
ないかなぁ? そう、じゃあ脈を測らせてもらって良い?」
 そっと毛布の中に潜り込んできた手が慣れた動きで啓介の手首を包み、そのまま部屋の何処かで
時計が時を刻む音だけの静かな時間がしばらく続く。
 「……………」
 同じ男に手首を握られているだけだというのに、余りに見事な女装姿になんだか居心地が悪く
なってきた啓介が怒られない範囲で静かに首を回してみると、先ほどより少し傾いた日射しが
差し込むリビングのソファの一つに自分が寝かされているのだとようやく気がついた。
 「ん」やがて計り終えたのか、満足そうな顔で頷くゴスロリ少女「ちょ〜っと(脈が)早かった
ような気がしないでもないけどぉ、気付かなかったことにしてあげよっかなぁ?」
 「っ!?」
 「あははっ、可愛い〜いっ!!」
 「ちょ、ちょっとォ! ツ〜カ〜サ〜ちゃんっ!!」
 手も足も出せずハラハラと様子を見守っていた智毅が背後で不機嫌そうに唇を尖らせているが、
ツカサと呼ばれているらしいゴスロリ少女は何処吹く風とばかりに軽く受け流す。
314名無しさん@ピンキー:2013/11/23(土) 23:59:59.28 ID:164zaByn
 「はいはい、フローリングの上でお友達をタックルで押し倒して失神させちゃった犯人さんは
冷蔵庫のミネラルウオーターを持ってきて下さいねぇ〜?」
 「う、うぅ、う〜〜〜〜!」
 「あとぉ、病室は通話禁止ですからキッチンから鈴原さんに彼が目を覚ましたって電話して
くるのも忘れないでねぇ〜?」
 「うぅ〜〜〜〜〜っ!!」
 何も言い返せず、涙声で唸りながら不機嫌そのものの足取りでリビングから出て行く智毅の
後ろ姿が少し可哀想だったが、お陰で啓介にも全貌が見えてきた気がする。
 「看板とか出してないけどぉ、このマンションの三階に鈴原さん達と契約してるお医者様が
いてね? 来て貰って簡単な検査とかしたけど今の所は特に異常とかはないって言ってたし
意識障害も外出血も見当たらないから、とりあえずは平気だと思うよ?」
 「そ、そう言えば鈴原さん……ていうか、他の人達は?」
 気を失う前には大勢の女装少年が待機していた筈のリビングだが、今は人の気配が全く感じ
られない。自分自身がこんな状態なので余り自信はないが、先ほどと同じ部屋のように思え
るのだが。
 「みぃ〜んなお出かけ、というかお仕事。一応だけど君は大丈夫みたいだったし、ここって
単なる控え室みたいなものだからね。鈴原さんも別に住んでるわけじゃないみたいだし、他にも
仕事が…………って、そう言えば鈴原さんの名刺を預かってるよ」
 「名刺……ですか?」
 「ま、保険証の代わりみたいな感じ? もしかしたらだけど、頭痛とか目眩とかって後遺症が
残るかも知れないし、本当に気になっても普通のお医者様の所にはいけないでしょ? そういう
時に鈴原さんの名刺を持って三階にいけば内緒、かつ無料で精密検査もしてもらえちゃうって寸法
なのよね。もちろん秘密厳守が前提だけど」
 「すいません。助かります」
 と毛布から手を出して伸ばすが、ツカサはニコニコと人懐っこい笑顔を浮かべるだけで渡して
くれる様子は全くない。
 「あの……?」
 「渡したげても良いけどさぁ? どこに仕舞うのかなぁ?」
 意味ありげな物言いと共にツカサが目を向けた先、広いリビングのほぼ中央に位置している
高級そうな食卓の上には見覚えのある服が綺麗に畳んで重ねられ、しかも一番上には男物の下着と
いうかパンツが鎮座している。ということは……
 「……え? えっ! えええっ!?」
 「あははっ、ホントに気付いてなかったんだぁ」口元を手で隠しながらコロコロと心底可笑しそ
うに笑うツカサ「君、思ってたよりも体細いんだね? しかもお尻が超可愛いし。トモちゃんが
勧誘したくなった気持ち、わかるなぁ?」
 「ちょっ! あの……っ!」
 「そんなに慌てなくても大丈夫だって。他に打撲とかないかなって検査の後で調べただけだから、
脱がしたのも見たのも同じ男の子だけだし。キスマークとか付いてない筈だからぁ?」
 中身は同じ男だと言われても啓介には女の子にしか見えないわけで、というか勝手に脱がされて
慌てるなと言うのが無理な相談というかキスマークは『ない筈』とか中途半端な物言いが逆に凄く
怖いというか……その上、ソファに寝かされ毛布に包まれた自分の体を首を持ち上げて確認して
みると極一部分だけが不自然に盛り上がっていて、思わず身じろぎしてしまうと敏感な粘膜部分が
毛布と直接擦れて……
 「うふふっ、元気元気〜!」
 と指摘されてしまうと、いますぐにでも逃げ出したくなってしまう訳で。
315名無しさん@ピンキー:2013/11/24(日) 00:02:56.89 ID:164zaByn
 「こらこら、急に動こうとしたらダメだってばぁ!」
 「いや、だって、その……っ!」
 百歩譲って同じ男だと無理矢理納得しても、これは流石に恥ずかし過ぎる。大きくしてしまってる
のを見られているのもさることながら、この現状でフル勃起させてしまう啓介本人も理解不能な体の
反応が我ながら正視に耐えられないというか信じられない。
 「だめだよぉ! 男の子同士なんだし恥ずかしくないからぁ!」
 「はずかしくないわけないですっ!」
 「ああもぅっ……めっ!!」
 「はうっ!?」
 瞬時にお姉さん顔になったツカサが啓介に覆い被さって来て……あろうことか手を伸ばして毛布の
上から勃起を握りしめてきた。生まれて初めて自分以外の手に包まれた啓介は同性ならではというか
熟練者ならではというか、とにかく絶妙な力加減に情けない声を上げてしまう。
 「だから、こういうのは別に珍しいことじゃないのっ! 疲れマラとか朝立ちとか言って健康な
男の子ならむしろ普通なのっ! どうして言うことが聞けないのっ!?」
 「あうっ……ちょ、ツカサさ……手っ!」
 真面目な顔でお説教しながらシコシコと手を動かされ痙攣してしまう。
 「どうなのっ! お姉ちゃんの言うこと、わかったのかなっ!?」
 しこしこしこしこしこしこしこしこしこっ。
 「わかっ、わかりましたから手っ! 手を……っ!」
 男ならお姉ちゃんじゃなくお兄ちゃんでは? と突っ込む余裕すら無い。
 「分かったんだったら……よしっ」と満足そうに息を吐くツカサ「じゃあ素直になってくれたご褒美に
優しくしてあげるね? はい、いいこいいこ……ね?」
 「はぅぅっ!」
 今度は先端だけを器用に手で包んでナデナデ。
 「いいこいいこ、いいこいいこ」
 毛布越しとは言え神経が集まっている亀頭を優しく転がされて感じない訳がない。それどころか高級品らしい
毛布の繊維が鈴口の中まで入り込んできてチクチクと未知の刺激を送り込んでくる。
 はっきり言って、性的な意味で凄く気持ちが良い。
 「うぅぅぅぅ……!」
 「いいこいいこ、いいこいいこ……うふふっ」
 捕まえた獲物をいたぶる猫のようなツカサに何故か逆らない啓介。されるがままに悶える勃起の
根元では疼きが次第に大きくなり、非常に拙い何かが蓄積され膨張しつつあった。
 「うぅ……も、もう良いですから……っ」
 「いいこいいこ……あふん、固ぁい、ぴくぴくして可愛いぃ……いいこいいこ……はぁ……
こちこちでおっきい、はうん!」
 が、愛撫しているツカサの方の様子も徐々におかしくなってきた。次第に目が潤み、息遣いも
乱れがちになり時折舌で唇を舐め回しながら明らかに紅潮した顔を近づけてくる。
 「ってツカサさん……よよ、涎が……」
 「いいこいいこ……はぁ、はぁ……ねぇ〜え?」
 熱くて甘い吐息を直接口内に吹きかけられ、鼓動が跳ね上がってしまう啓介。
 「は、はい?」
 「お姉ちゃん、撫で撫でしてたら我慢できなくなっちゃったみたいなの。ゴメンね?」
 「!!」
 ファーストキスを奪われる!
 そう直感して尚、色香に支配された啓介にはきつく目を閉じることしか出来なかった。
316名無しさん@ピンキー:2013/11/24(日) 00:06:14.25 ID:HtyHi/4u
 「な、ななっ!」電話を終えキッチンから戻ったばかりの智毅の手からペットボトルと
コップが落ちて床に転がる「なにしてんのよ二人ともっ!?」
 驚愕する智毅の目の前、キスを覚悟して硬直する啓介の不意を突いたツカサは獲物に
飛びかかる猫の様な勢いで毛布を剥ぎ取って啓介の股間に食い付いた。
 いや吸い付いた。
 「はぁはぁ、すっごい匂い……大っきい……いただきまぁ〜す、あむっ!!」
 「うわっ? や、止めてくださいっ!!」
 「らいじょうぶらからっ! おかねはいららいからっ、ちゅぷぷぷぷっ!!」
 「そそ、そういう問題じゃ……うわ熱いっ!?」
 「ちゅぽっ、ちゅぽっ、ちゅるるるっ! ちぅ〜〜〜〜〜〜っ!」
 「すす、吸わないでくださいっ!」
 「ツカサちゃん……けい……す……そ、そんなぁ!」
 「あ、智……!」呆然と立ち尽くし、今にも崩れそうな表情で自分達を見つめる智毅の姿に
気がついた啓介が蜘蛛の糸に縋る思いで助けを求める「なんとかしてよっ! ツカサさんが!!」
 「ひ、ひどいよぉ……!」うるるっ、と智毅の目尻に大粒の涙が溢れる。
 「と、智?」
 「け……あんたの童貞、アタシが食べるつもりだったのにぃ!!」
 「はいぃぃぃっ!?」
 「ちゅぷっ、ちゅぷ、やっはりこの童貞おひんひん、トモひゃんもじゅっと狙っれらんらね?
ちゅぷちゅぷ、 んふふっ!」
 「その顔……ひどい、知ってて食べちゃったんだっ! ツカサちゃんのイジワルっ!」
 「らっれ、あんまり可愛いすぎれ……んちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、あむあむあむっ!!」
 「二人とも何言ってるのっ!?」
 最も敏感な器官で初めて感じる他人の体内は熱くて柔らかくて濡れてて、ツカサの技術と
相まって啓介の倫理観とか自尊心とかを一時的にでも押し流してしまいそうな量の快感を
絶え間なく送り込んでくる。
 「れろれろ、んんん〜〜んっ!!」
 「って舌っ! ツカサさんの舌が巻き付いてっ!」
 「んくんっ……しゃきばしり、にがいのにおしひい……」
 「もぉ、ツカサちゃんっっ!」
 垂れてきた唾液で根元まで濡れ光る啓介のフルチャージペニス。その中でも一番敏感で美味し
そうな粘膜部分を口一杯に頬張って舌を使うツカサ。その恍惚とした顔と、擬似的とは言え初めて
の性交の余りの気持ちよさに翻弄され悶える啓介の表情を見ているだけで智毅の下腹部に火が灯り、
ペニスの勃起と共に肛門付近も疼き始めてしまう。
 「……ぬ、濡れてきちゃった……」
 アルバイト前にワセリンをたっぷり塗り込んで解しておいた穴の内側に早くも直腸液が溜まり
始めているのを感じる。うっかり気を抜くと女の子のように下着を汚してしまいそうだ。
 「それにアタシ、おちんちんも……なのにぃ! もぉっ、ばかぁ〜!!」
317名無しさん@ピンキー:2013/11/24(日) 00:09:26.06 ID:HtyHi/4u
 もう我慢も限界だった。というか何故、強引にでも割り込もうとしなかったのか自分でも
不思議なくらいだ。
 「け、啓……けーちゃん? こっち見て?」
 「けーちゃん? それってもしかして僕のことっ!?」
 先程までの明け透けでハイテンションな智毅は何処へやら。コギャルっぽい挑発的な格好の
ままの智毅が本物の少女の様に恥じらう姿は、大胆に腕に抱きつき羞恥の欠片も無い大声で
笑っていた時とはまるで別人物。
 「んん?」
 思う存分に啓介を貪っていたツカサも思わず動きを緩めて見つめてしまう。
 「ちゃ、ちゃんと見て、ね? アタシの恥ずかしい、トコ……」
 上目遣いに啓介の目を見つめながらホットパンツのベルトとボタンを外しチャックを下ろし、
ルージュを引いた唇を震わせながら両脇に指を差し込んだ智毅が『えいっ!』と最後に目を
閉じながら一気に下半身を露出させると。
 「なっ!」
 「ふふ〜ん?」
 ぴょこん、と皮を被ったままの真っ白い勃起が可愛らしく跳ね返った。
 「と、智……やっぱり本物の……!」
 流石に智毅本人か否かまでは啓介にも分からないが、これで少なくとも女の子ではない事
だけは確かめることが出来た。というか生まれてこの方、興味のキの字も持ったことのない
同性同世代の生殖器に何故だか釘付けになってしまう啓介の視線。
 「あ……やだ、ガン見……」
 モジモジと内太股を擦り合わせる智毅の先端、純白の先っぽに先走りの透明な滴が玉と
なって膨らみ、二人が見ている前で粘っこい糸を引きながらゆっくりと垂れ落ちる。
 「ごくっ!」
 思わず生唾を飲み込んでしまう啓介。
 「ご、ごめん!」目を泳がせながら謝る智毅「で、でもね? さっきも言ったンだけど
さ? 啓……けーちゃん、友達だしアタシの女の子のカッコも可愛いって思ってくれた
みたいだし、その、キョーミあるんだったらさ、その……いいよ?」
 くいっ、軽く腰を突き出だけで勃起したペニスはプルルンと遠慮がちに揺れる。まるで
差し出された鮮魚みたいに。
 「いや……あの……」とは言え据え膳を差し出されても食欲、という段階までは達して
いない啓介は対応に困ってしまう「……まだ僕は……なんていうかはぅっ!?」
 「れろれろっ、『けーちゃん』でいいろ? 私にご奉仕させておいて、れろん、他の子に
目移りはどうかとおもうんらけどなぁ?」
 それを黙って見ているツカサでもないらしい。一旦口を離し、今度は智毅にも見せつける
ように舌を伸ばして亀頭に這わせ始める。
 「ほ、奉仕ってツカサさんが無理矢……はうぅっ!?」
 「こらこら! 女の子のせいにするらんて……めっ!」
 「うわっ、うわわっ!!」
 柔らかい舌先で鈴口をほじられ、再び情けない声を上げてしまう啓介。
318名無しさん@ピンキー:2013/11/24(日) 00:12:26.44 ID:HtyHi/4u
 「ちょ……ツカサちゃん! けーちゃんっ! もぉっ!」
 再び自分を置き去りにして自分達の世界に没頭してゆく二人に有様に羞恥も何処かに
吹き飛んでしまったのか、嫉妬を丸出しにした智毅が不自然な内股のまま啓介の枕元に
駆け寄る。
 「ふふふっ!」
 すっかりテンパった智毅の顔を横目で面白そうに監察しながら、射精を促す奉仕ではなく
自分が楽しむ舌使いで啓介の味を堪能するツカサ。
 「ほ、ほらっ けーちゃん! はいっ!」
 「うわっ!!」
 色白で柔らかそうな智毅の下腹部と、同じ色の肌で包まれ震えているペニス。同級生に
しては少し幼い勃起を口元に突き出され仰天してしまう啓介。
 「好きにしていいから……えっと、ど、どうぞ?」
 「いや、どうぞって言われても……うぅっ!」
 「そんなんじゃダメダメなんだけどなぁ、トモちゃん? けーちゃん、別にトモちゃんの
彼氏でも何でも無いノーマルな子なんでしょ? んちゅっ、ちゅっ!」
 舌での攻めから裏筋へのキス攻撃に切り替えたツカサ、親指で先端を虐めながら余裕の
表情で智毅にもアドバイス。
 「そ、それは……」
 「トモちゃんは充分に可愛いんだから、先ずはけーちゃんの下半身を誘惑する方がいいんじゃ
ないかと思うんだけど……あ、こっちも美味しそう! あむっ!!」
 「ツカサさん、そっちはタマ……っ!」
 「下半身って言ったって、おちんちんはツカサちゃんが独り占めしてるし……も、もしか
してお尻の処女を奪っちゃえって事っ!?」
 「……え? しょ、処女ってっ!?」
 思わず腰を浮かせ後ろを両手で庇ってしまう啓介。
 「だから、そうじゃなくて! あむあむ……プロだったら取られて泣くんじゃなくて、
誘惑して取り返すくらいの気合いがれろれろれろっ、まぁ一回目は私が美味しく頂いちゃう
から無理だけど、前にミケちゃんが言ってたはにゃしとかためしれもいいんりゃなかなっれ
わらしはおおうんだけろんちゅ〜〜〜〜〜っ!」
 睾丸を吸ったり舐めたり甘噛みしたり。同時に十本の指を竿全体に絡みつかせて唾液やら
先走りやらが混ざった粘液を丹念に塗り広げ、巧みにボルテージを維持させるツカサの上級者
っぷりに流されっぱなしの啓介は完全にマグロ状態。
 「ミケちゃんに教えてもらったのって……ええっ、アタシがアレをっ!?」
 「実践の良い機会だと思うけどな〜はむはむはむはむぅ」
 「そんな美味しそうにタマタマ食べながら言われても説得力ない〜〜〜いっ!!」
 「ま、それはさておき……そろそろピュッピュしたいでしょ? けーちゃん?」
 「うぅ、ツカサちゃんのいけず〜〜〜〜ぅっ!!」
 どうやら、これ以上は智毅を甘やかすつもりはないらしいツカサ。ドロドロに汚れた
口で舌舐めずりをしながら更に器用に指を動かす。
 「けーちゃん、タマタマが張って苦しいよね? 生殺しはヤでしょ?」
 「そ、それは……あの、えっとぉ……」
 「ハッキリしない子、嫌いだなぁ?」ちゅ、優しく先走りを吸い取る「私だって健康な
おちんちん持ってるし、隠しても無駄なんだけどなぁ?」
 「うぅ……あの、で、出そう……です……」
 気恥ずかしさと、謎の後ろめたさで智毅の反対側に向きながら白状する啓介。涎のように
先走りを垂れ流し精巣をパンパンに膨らませながら、いまさら同性相手に誤魔化しても意味が
無いと諦めたらしい。
 「うん!」と満足そうなツカサ「けーちゃんは素直な良い子ね。じゃあ特別に教えてあげる
けどね? 実はお姉ちゃん、お口で抜かずの三発とかさせちゃう子なんだけどぉ、けーちゃんは
オナニーで三回連続とか出した経験ある? お姉ちゃんのお口で試してみたくない?」
319名無しさん@ピンキー:2013/11/24(日) 00:19:34.65 ID:HtyHi/4u
 「な、なななっ!?」ががーん、という擬音が聞こえてきそうな程の衝撃を受け後ずさって
しまう智毅「だめっ! それだけはダメっ! そんなに出したらアタシの分が……」
 「さ、さんかい? 三回……も?」
 「そ。全部ちゅーちゅーしてぇ、ごっくんしてあげる。それともぉ、お姉ちゃんのお顔に
ピュッピュしたい?」
 「……ツカサさんの、顔に……」
 「けっ、けけけけっ、けーちゃんっ!」もう形振り構っている場合じゃない。智毅は全てを
投げ捨てる覚悟で体の向きを変える「お願いだからアタシも見てっ! 見てよぉっ!!」
 「っ!?」
 「ほ、ほらっ! くぱぁ……?」
 足を開き、立ちバックで男を誘うポーズを取った智毅は両手で尻肉を左右に引っ張って真っ
白い臀部の一番奥に隠れていた穴を自ら開いて啓介を必死に誘惑する。
 「う……あ……!」
 「み、見える? 見えるよねっ? アタシのおし……お腹の中っ! お腹の中が、けーちゃんの
おちんちん欲しくてキュンキュンしてるの見え……あああっ!?」
 だが晒してしまうということは緩めてしまうということでもあり、物欲しげに脈動する肛門や
テラテラと濡れ光る直腸内の様子のみならず、溜まっていた分泌液が自分で広げた穴から漏れ出し、
蟻の門渡りを伝って無毛の睾丸まで汚してしまうという想定外の醜態まで残さず見られる事に
なってしまう。
 「と、智……」
 「ひぅっ、中なんてお客さんにも見せたことないのに……も、漏れちゃってるよぉ……」
 薄暗い公園とかで小悪魔気取りでお尻を振ってからかったこと程度ならあっても、自分の体の
中で一番はしたない所を明るい部屋で晒すなんて想像すらしたこともない。ましてや節操のない
女性器みたいに涎を垂らすところなど。
 「す、すごい! 智の中ってピンク色で、凄く濡れてて……動いて……!」
 一方ツカサの口の中で粘膜愛撫の気持ちよさを覚え、射精への欲求で理性が働かなくなって
きた啓介の中では、女の子になりきっている智毅の直腸の様子が女性の膣内のように思え始め
ていた。物欲しげに蠢き、熱い樹液を湛えた内臓を凝視しているだけで興奮が高まって腰が
動いてしまう。
 「はぅ〜! けーちゃんの視線、お腹の奥で感じちゃう。奥がチクチクしてキュンキュンが
止まらない。エッチなお汁が勝手に溢れちゃうよぉ!」
 そして智毅もクイクイとお尻が勝手に動く、恥ずかしいと思えば思うほどに愛液の如くに
腸液が溢れ出し切なさで腰を振ってしまうのだ。
 「うふふっ、二人ともお猿さんみたいにお尻を突き出して……本当に可愛い」
 「や、やだぁ! そんなに顔を近づけたら、けーちゃんの息がお腹の中まで……熱くて
変になっちゃうよぉ!」
 「うわ、あんなにウネウネして! 柔らかそうで!」
 「……でもぉ、けーちゃん童貞はお姉ちゃんがもらうからね? トモちゃんじゃなくって、
お姉ちゃんのお腹の中に処女ピュッピュしましょうね? んんんっ!」
 二人の痴態を存分に堪能したツカサ、啓介の突き上げで激しく揺れる亀頭を難なく口の中で
受け止め、タイミングを合わせて根元まで一気に飲み込む。
 「うわっ、出……!!」
 行為に慣れた喉は嘔吐反応など起こさない。それどころか嚥下の要領で脈動させると女性器
以上の吸引力を発揮して童貞の啓介を一気に追い込む。
 「出る出るっ! 吸い込まれる! 全部吸われちゃうぅぅぅぅっ!?」
 それは口内射精どころか食道射精。頬の内側で締め付けられ舌で裏筋を刺激され喉で引っ張られ
ながらという普通の恋愛では一生知り得ないフィニッシュに溺れ痙攣を繰り返しつつ、啓介は
ツカサの唇に腰を押し付けながら精巣の全てをツカサの胃の中に放ってしまった。
320名無しさん@ピンキー:2013/11/24(日) 00:21:46.84 ID:HtyHi/4u
ここまで

誤字脱字などなど、一応はチェックしているつもりだけど
か、かんべんしてつか〜さぃ(ToT)
321名無しさん@ピンキー:2013/11/24(日) 00:24:21.31 ID:VYiWIFfx
グッジョブ
リアルタイムで見れたの初めてかもしれん
322名無しさん@ピンキー:2013/11/24(日) 02:13:51.37 ID:sh2PJpVV
いいねいいね
323名無しさん@ピンキー:2013/11/24(日) 06:24:42.35 ID:Snn9wnWo
ありがとうございます
324名無しさん@ピンキー:2013/11/28(木) 23:56:13.78 ID:1Or6O5yM
 それは、未だに夢か幻だったのでは無いかと疑いたくなる程に衝撃的だった智毅のアルバイト先での
体験の翌々日の昼休みだった。
 「おい啓介、ちょっと面貸せよ!」
 「と、トモ……毅……」
 思わず赤面してしまう啓介とは正反対に不機嫌マックスを隠そうともしない智毅の険しい顔。
 普段はクールを絵に描いた級友の意外すぎる一面に周囲の同級生達が唖然としている中、どう返事を
すれば良いのか分からず信号機のように顔色を変える啓介の手首を掴んだ智毅は周囲には目もくれずに
教室を後にする。
 「い、痛いって! どこ行くんだよトモ……」
 「良いから黙って付いてこいっ!」
 大海を裂いて道を作る賢者のように人並みをかき分けて進む親友の背中を見つめる啓介の頭の中で、
また先日の光景が鮮明に蘇ってくる。
325名無しさん@ピンキー:2013/11/28(木) 23:58:43.00 ID:1Or6O5yM
 「そぉ〜んなにトモちゃんの中ばっかりジロジロ見て、お口でしてあげたお姉ちゃんへのアフター
フォローはないのぉ? ないのかなぁ、けーちゃん?」
 射精中も、その後も啓介の視線は智毅の内臓に釘付けのまま。余りに失礼すぎて言葉にしたりは
出来ないが、智毅の直腸への射精をイメージしながらツカサの喉奥に放っていたような部分もなきに
しもあらず。
 「す、すいません!」
 色々な意味で申し訳なさ過ぎて素直に謝ってしまう。
 「なぁ〜んちゃってね、ほんとは気にしてないから平気平気っ! 男の子だもんね? やっぱり
お腹の中も興味あるよね? お姉ちゃん、男の子の気持ちも分かるから全然怒ってないし謝らなくても
大丈夫だよ」
 「は、はい……」
 と返事をしながらも、物欲しそうに腸液を垂れ流し続ける智毅から目が離せない。
 「それじゃ、今度はトモちゃんのエッチになってる方のお口弄ってみよっか? ね? じゃあ座り
直して……大丈夫かな? 目眩とかしない? 頭、痛くない?」
 やはり中身が男性だからなのか、はたまた介助に慣れているのか。見た目よりも腕力があるツカサに
支えられながら上体を起こし、ソファに腰掛ける格好になった啓介の目の前には立ちバックスタイルで
お預けを食ったまま切なそうに呼吸する智毅の桃尻が。
 「と、智……」
 気持ちよさそう、という感想しか思いつかない。半ば無意識のうちに手を伸ばしてしまう啓介。
 「ひぁっ!?」
 啓介とツカサの口腔性交を見せつけられ興奮し、くぱくぱとお腹を空かせた雛鳥の口のように脈動
する入り口に指先で軽く触れただけで智毅の体はブルブルと震え、控えめなサイズの真っ白な陰茎が
大袈裟なほどに揺れて跳ねる。
 「ご、ごめん!」思わず謝ってしまう啓介。
 「ううん、その……ちょっとビックリしただけだし」そして恥ずかしそうな智毅「いま、凄く敏感に
なってて……えと、けど、指くらいなら平気だし……」
 「充分濡れてるみたいだし、普段は大人のおちんちんも食べちゃう穴だもんね?」
 啓介の太股に甘え、舌先でペニスを舐め清めながら面白がってるツカサ。
 「そ、そっか……ここに……そうなんだ……」
 売春、という言葉に今更ながら軽いショックを受けてしまう啓介。
 「そうだよぉ。エッチで気持ちいい穴なんだからぁ?」
 だが、さっきまで目を奪われていた智毅の内臓は綺麗なピンク色だったし、広がった穴の周囲も色素の
沈殿は殆どないし、分泌液も透明に近いしで汚れていたり変形したりと言った様子は見られない。
 真っ新だと言われても信じてしまうそうなくらいだ。
 「あぁ、けーちゃ……あふん」
 そして、そっと指先を沈めてみると中は思いの外に広くて温かい。
 「すごい……すごい……!」
 他の言葉が思いつかない。
326名無しさん@ピンキー:2013/11/29(金) 00:00:37.83 ID:DELnZ18C
 「はう〜〜〜っ!」
 その上、稚拙な啓介の指の動き一つ一つに反応して悶える智毅が可愛くて仕方がない。もう目の前の
女装少年の排泄器官が女性器にしか見えていない啓介は、女の子の一番大切な器官を弄って感じさせて
思い通りにする興奮と歓喜に酔いしれている。
 「あ〜あ、ほんとにトモちゃんに夢中って感じぃ」ちっとも残念そうには聞こえない声「ちょっと
妬けちゃうけど、お姉ちゃんらしく教えてあげるから頑張ろっか?」
 後始末フェラから、硬度を保つ程度の手コキに切り替えたツカサ。啓介に寄り添うように座り直して
耳元で呟く。
 「は、はい!」
 「じゃ〜あ、先ずはお口の周りを少しず指先で広げてみて?」
 「少しずつ……指先で……」
 「はぅっ、くぅん、くぅ〜ん!」弾力を確かめるように穴の縁をなぞり軽く拡張すると智毅の口から
子犬みたいな声があがる「これ、けーちゃんの指なんだ……けーちゃんの……くぅぅん!」
 少し力を入れただけでも面白いように広がって形を変える智毅の入り口。これなら確かに挿入しても
問題ないだろうし、早く挿入したくなってきてしまう。
 「うん。けーちゃん上手、上手だよ。じゃあ、今度は指を二本にして……」
 「……こう……ですか?」
 「そうそう! それで入り口をもっと解してあげる感じに浅く小刻みに……そうだよ、その調子。
前戯が嫌いな子なんていないんだからね? ほら、トモちゃんのお尻が動き始めたでしょ?」
 「ほ、ほんとだ!」
 「でもまだ焦っちゃ駄目。優しく優しく、ね?」
 「優しく……優しく……」 
 「そしてぇ……たっぷり解してから……えいっ!」
 「きゃん! んんんんんんんんっ!?」
 啓介の手を取ったツカサが問答無用で根元まで突き込むと、智毅の背中が反り返り肛門の締め付けが
信じられない程キツくなり、
 「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっ!!」
 「トモっ!?」
 ちゅぽん、と水っぽい音で啓介の指を解放しながら崩れ落ちてしまった。
 「うわぁ、けーちゃんは凄いね? トモちゃんイッちゃったよぉ?」
327名無しさん@ピンキー:2013/11/29(金) 00:06:30.39 ID:SaL0Rutx
C
328名無しさん@ピンキー:2013/11/29(金) 00:07:51.26 ID:jYjbr45e
 正確には出かける前の準備で行ったワセリンでのセルフマッサージで少なからず感じ、啓介との同伴
出勤で彼氏に甘える女の子のような体験をしながら興奮し、気を失った啓介を脱がしたりツカサの
フェラを見せつけられたり今迄で一番恥ずかしい所を見せたりしながら充分に高ぶっていた智毅。
 その上にツカサ指導の意地悪な焦らしプレイモドキで達しそうになっていた所にもってきて、これも
ツカサ誘導の不意打ちで昇天してしまったのだが、そんな機微が啓介に分かるはずもない。
 「こんなに可愛い子が……僕の指で……」
 そして啓介自身も、派手な格好をして遊び慣れているっぽい女の子を自分の指で昇天させたという
妙な興奮に取り憑かれてしまっていた。また智毅がドライアクメで達して射精しなかったというのも
大きい。
 余韻でピクピク痙攣する智毅の後ろ姿が女の子のそれにしか見えないのだから。
 「トモちゃん、可愛いわよね?」
 「う、うん、可愛い!」
 「でしょでしょ? じゃあ、そろそろヤッちゃお?」
 「う、うん……って! でも、それはちょっと……」
 「女の子なんだもん。したくない人に触られてもイッたりなんかしないよぉ。トモちゃんの中、
けーちゃんの指美味しいって言ってたでしょ?」
 散々に愛撫で弄んだし挿入したいのが事実だとしても、一線を越えるのは簡単ではない。
 「そ、そうかも……知れないけど……」
 だが、その戸惑いは恋人でもない子とセックスする逡巡と、無防備な状態からの一方的な挿入という
レイプ紛いの行為に対する抵抗感のみ。女装しただけの親友とアナルセックスで繋がるという認識は
頭の中から消え去っていたし、初めての行為に対する不安や緊張も目の前でパックリと開いた穴に
入れれば良いだけだと思えば足枷にはならない。
 「もぉ意気地がないんだから、しょうがないなぁ」
 「す、すいません……」
 どこか子供っぽい智毅の拗ね顔とは少し違い、コケティッシュに頬を膨らませるツサカの横顔に
ドキドキしながら思わず謝ってしまう啓介。
 「トモちゃん準備万端だし、こんな時くらいはもっと『がっついた』方が年頃の男の子っぽくて
好感度アップしちゃったりするんだけど……確かにちょぉ〜っとムードが足りないかもね? それに
けーちゃん、お姉ちゃんに一回抜かれた後だから少し賢者入っちゃってるもんね?」
 どんまいどんまい、とツカサに微妙な慰められ方をしてしまった。
 「それなら……トモちゃん? ト〜モ〜ちゃ〜ん〜ん?」
 「……ふぇ?」
 まだ余韻から抜けきっていないのか、少し虚ろな表情で顔だけ振り向く智毅。
329名無しさん@ピンキー:2013/11/29(金) 00:09:58.00 ID:jYjbr45e
 「ほらほら〜?」啓介の砲口を向けながら楽しそうに扱いてみせるツカサ「けーちゃんの、まだ
こんなに元気なんだけどぉ? また私が食べちゃって良いのぉ?」
 「あ……!」
 新たな先走りを零す啓介の勃起に智毅の視線が引き寄せられ焦点が合わさる。
 「ほらほら〜? ちゃぁ〜んとお強請りしないと食べちゃうよ食べちゃうよ〜?」
 「や、やだ!」俯せのまま、生まれたばかりの子鹿のようにヨロヨロと足を動かし膝の力だけで
僅かにお尻を持ち上げた智毅、恥も外聞もない格好で再び両手を使って穴を広げる「こっち! ここ
だから! ここ、来て? もう我慢出来ないよぉ……!」
 「と、智……」
 「トモちゃんすごぉい! これはもう、満足させたげないと男じゃないね?」
 「智……!」
 トロトロと蜜を沸き上がらせる熱い泉に吸い寄せられるように、ふらりと立ち上がった啓介は
智毅の体に覆い被さる。そんな啓介を頼もしそうに嬉しそうに見上げる智毅。
 「い、入れるよ。入れるから!」
 「うん、良いよ。来てっ!」
 「智! トモっ!!
 限界まで引っ張り広げお尻を突き出して啓介を迎え入れる智毅。ここまで歓迎してくれれば位置を
視認しなくても失敗など有り得ない。片手で角度を調整しながら腰を押しつけると、ニュルリとした
感触と共に驚くほど簡単に鬼頭が埋まってしまう。
 「あうっ!?」
 「ひぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
 啓介は入り口付近の吸い付くような締め付けに。智毅は空虚だった性感帯が拡張され、待ち望んでいた
モノで満たされてゆく充足感で身震いしてしまう。特に啓介は直前のディープスロートで射精していな
ければ暴発してしまいそうな程の快感を得ていた。
 「智……の中すごいっ!、キツくて柔らかくて……熱っ……!」
 「あンいいっ! いいよぉ! いつもより感じるぅ!!」
 「ほ、ほんとにっ!?」
 「ホントにイイよぉ! だから動いて、いっぱい擦って、擦ってぇ!!」
 だらしなく舌を垂らしながら悦ぶ智毅の横顔を見ているだけでも興奮するというのに、動く度に飛び
散らせるほどの粘液を湛えた直腸内を掻き混ぜる感触がたまらない。柔らかくて温かい腸内粘膜に最も
敏感な先端部分を擦り付けた時の気持ちよさもさることながら、やはり輪ゴムを束ねたような締め付けと
伸縮性を併せ持ち、天然のローションでつるつるに滑る括約筋で竿を刺激するのが止められない。
 「すごい! すごいよ智っ!!」
 「いいっ! いいっ! いいいいぃっ!!」
330名無しさん@ピンキー:2013/11/29(金) 00:12:08.01 ID:jYjbr45e
 「二人とも、へこへこお尻振ってお猿さんだよぉ」眼下で繰り広げられる若々しい性交をオカズに、
スカートの中に忍ばせた指で緩やかな自慰を楽しんでいるツカサ「しかもトモちゃんったら、意識して
るのかしてないのか分からないけど弱いトコに当たらないようにしてるんだ。そんなに沢山欲しがらせる
なんて、けーちゃんも色々と罪作りな子だねぇ」
 うつ伏せに組み敷かれ、床に押さえ付けられながら普通の女の子ように蹂躙されているように見える
智毅だが、実は啓介の本能に任せた無秩序な突き込みに合わせスムーズに出し入れできるように角度を
調整している。しかも急所である前立腺を巧みに避け、中も外も肉棒で擦られ拡張される快感を出来るだけ
長く楽しむ為に足を開いて啓介を受け入れている。
 「けーちゃんの、くる! きてるっ! お腹の奥まで広げちゃってるぅ!」
 「すごいっ! ほんとにすごいっ! すごいよ!」
 ぺちぺちと素肌同士がぶつかる音と、粘液が空気と混ざって撹拌される卑猥な水音に酔いしれながら
啓介は夢中になって腰を振る。皮肉なことに、初めての相手がセックスの楽しみ方を知っていただけに
余計な気遣いや遠慮も要らず行為に没頭出来たていた。そして今の体位なら智毅の前面が見えず、自分と
同じくらいの背丈の女の子にしか見えないのも大きい。
 「智……トモっ! トモっ!」
 「けーちゃんっ、けーちゃぁぁぁぁん!!」
 後ろからのし掛かったまま、這いつくばった智毅の手に自分の手を重ねると恋人同時のように指の
間を開いて絡ませてくれる。それだけで女の子の身も心も支配し独り占めしているような優越感を
得た啓介の動きがラストスパートに入る。
 「さ、先っぽ膨らんでっ……出ちゃうのっ? けーちゃんの、中で出ちゃうのっ!?」
 「うんっ! いいっ? 良いよねっ!?」
 二人の肌は大量に汗で濡れ、濃厚なフェロモン臭で彼らだけの世界を作っている。智毅の真っ白な
うなじと、そこから沸き立つ甘酸っぱい香りを荒い息の合間で吸いながら、啓介は智毅の返事を聞く
前から根元まで挿入して一番奥にグイグイと押しつけ体内射精を求める。
 「いいっ、いいよっ! 好きにしていいから最後まで動いてっ! 最後までアタシのお腹の中
いっぱい気持ち良くして!!」
 息も絶え絶えな顔で健気に微笑む姿が啓介の劣情を更に加速させる。この子の中に自分の子種を
流し込んで体内を染め上げることが出来ると思うだけで精嚢が収縮し、いまにも精管を押し広げ
て爆発しそうになる。
 「ほんとに? ほんとにいいんだよねっ!?」
 「いいよっ! いいからっ! あん、いいっ! いいのぉっ!」
 口紅で桃色に光る口を半開きにし、小さな舌先を覗かせながらハァハァと熱い吐息を絶え間なく
吐き続け譫言のように『いい!』を繰り返す色っぽい横顔。
 「トモ……トモ……出るからっ! 出る……………ううううっ!!」
 止め、とばかりに目一杯の力で押し込み最深部で解き放つ啓介。先程ツカサに吸い取られたときも
信じられないくらいに気持ち良かったが、征服欲を満たしつつ自分の意思で相手の最深部に支配の
証を刻み込む快感は別格だ。射精の心地よさもさることながら、神聖な部分を汚す原始的な欲求が
満たされ自分が偉くなったような錯覚さえ感じてしまう。
 「ひっ! あひぃぃっ!?」
 膣以上に脆くデリケートな腸にとって、精巣からダイレクトに注入される精液は温度が高すぎて
火傷を連想させる程の刺激となってしまう。こればかりは何度経験しても慣れないらしく、反射的
に智毅の体が痙攣して括約筋が急激に締まる。
 「きゅ、急に狭く……う、ううっ! うっぅぅぅぅぅぅっ!!」
 それがまるで絞る取る動きのように感じられ、啓介の射精は止まるどころか勢いを増す。
 そして高温の体液で腸内が拡張される智毅も、
 「あひぃっ! いくっ! いくいくいく熱いの出されていぐぅぅぅぅ……っっっ!!」
 絨毯に押しつけられた亀頭から透明な液を吹きながら達してしまう。さながら少女がはしたなく
潮を吹いてしまうように。
 「あぐっ、出る! まだ出るっ! トモっ!」
 「はひっ、はうっ、はふっ、けーちゃ……あひぃ……!!」
331名無しさん@ピンキー:2013/11/29(金) 00:13:35.01 ID:jYjbr45e
 「だから昼間っからニヤニヤと何を考えてんだよ、お前はっ!」
 智毅の怒声で我に返った啓介。いつの間にか二人は校舎の屋上に到着していた。
 「あ、あれ?」
 「『あれ?』じゃないだろ! いつまで反芻してんだ!?」
 「ご、ごめん……」
 「あのなぁ」呆れたとばかりに重い溜息を付く智毅「気持ちも分からないでもないけどさ、
いい加減に切り替えてくれよな? 一日中何度も何度も人の顔をチラチラ見やがって、変な
噂とか立ったらどうするんだよ? お互い困るだろ、色々と?」
 「そ、そうだけど……なんていうか、未だに信じられないって言うか……」
 体を重ねて快感を共有したトモと、目の前の親友の姿が一致しない。というか一致させる
のが怖いとさえ思うのに、気がつくと智毅の姿を目で追っている日が続いていた。
 「だったら曖昧なままで放っといて良いって言ったよな? 俺は俺、じょ……変装は変装、
トモはトモ。別人だと割り切って、早く普通に戻れよ」
 「う、うん……」
 「とにかく!」びしっ、と啓介を指さす智毅「俺はオンオフを混同しないし、他の連中も
そうなんだから早く慣れろよ! いいな!?」
 「……わかった……」
 肩を落としてしまう啓介。
 「ったく、何度も同じ事言わせんなっつの!」そのまま背を向け一人で校舎の中へ戻って
ゆく智毅だが「で、どうすんだよ!?」
 「え? えっと……」
 入り口で足を止め、背を向けたままの問いかけに首を傾げる啓介。
 「バイトだよ、バイト! 鈴原さんも良いって言ってるし、ホントに始める気があるん
だったら今日も連れてってやるけど……どうすんだ?」
 「……えっと……行こう、かな?」
 戸惑いというか抵抗感の方が大きいが、行けばトモに会える。
 「ふんっ!」と不機嫌そうに鼻を鳴らす智毅「行くってことは、遅かれ早かれお前もヤる
って事だぞ? 覚悟は出来てるんだろうな?」
 「た、多分……」
 「じゃあ……好きにしろよっ!」
 まだ何か言いたげな智毅だったが、結局は待ち合わせ場所と時間以外は何も言わず階段を
降りて去ってしまう。
 「……………」
 心地よい風が、啓介の頬を撫で通り過ぎて行った。
332名無しさん@ピンキー:2013/11/29(金) 00:18:55.27 ID:jYjbr45e
ここまで
支援ありがとう!

ちなみに俺はノンケなのでお話は本とかエロゲの男の娘とかから拾い集めた付け焼き刃っす
よって不自然な部分はフィクションというかファンタジーだと思って見逃してくれると助かるっす

あと、この辺りから諸々の事情からスピードが落ちそうな気がするので先にゴメンなさいしておくっす
333名無しさん@ピンキー:2013/11/29(金) 19:31:50.04 ID:swrITexI
>>332
gj
問題ないです
334名無しさん@ピンキー:2013/11/29(金) 23:19:06.48 ID:gTR0+JkE
続き期待です
335名無しさん@ピンキー:2013/12/07(土) 17:12:32.66 ID:UihDHWDe
 先日と同じ時間、同じ場所。
 そして今回も先に到着したのは啓介らしい。前回とは違い、智毅の女装の傾向を頭に入れた上で、
周囲を見渡して『それっぽい』少女を探してみたものの、雑踏の所為もあって見当たらない。
 「……まぁ、まだ時間じゃないし……」
 そう自分に言い聞かせたところで一抹の寂しさは拭えない。まるで付き合い始めた女の子との
デートに向かうみたいに浮き足立っていたが為に、到着してに少しでも頭が冷えてしまった途端に
悪い想像ばかりが増殖して頭の中いっぱいに広がってゆく。
 「そ、そうだよ。トモは智毅なんだし……お金で……してるんだし……」
 今更ながら、屋上でうけた痛みがジワジワと蘇ってきた。
 トモが女装した親友で、その理由は売春だとは分かっている。分かっていても、啓介にとっては
生まれて初めて体を重ねた相手に変わりは無い。啓介の年齢で達観し、割り切って考えろという
方が無理な相談だ。
 「でも、トモは…………うわっ!?」
 ぶつかるような勢いで後ろから抱きつかれ、たたらを踏んでしまう啓介。
 「え、えっとぉ……待った?」
 そして細い腕を腰に回し背中に顔を埋めたまま、くぐもった女の子の……いや、女の子っぽい
声と熱い吐息が。
 「…………トモ?」
 「う、うん」えへへっ、と背中で照れ笑いするトモ「なんか……らしくないけどさ、とにかく
顔見ながらじゃハズいっていうか……あの、昼間はその……ごめんね?」
 「え? あ……」
 昼間、つまり学校の屋上での突き放すような言動の事を言っているのだろうか?
 「け、けー……ちゃん?」
 「あ、うん」中身が男でも、今は可愛い女の子だ。こんな風に謝ってもらって許せな訳が
ない「その、あれだよ。もう全然気にしてないから! さすがに最初は少し驚いたけど、
トモが言ってることの方が正しいって段々思えてきたし、いまは納得してるからちっとも
怒ってないよ。ほんとに!」
 おどおどと自分の顔色を伺うトモの体温をと柔らかさを背中で感じているだけで、他の
全てがどうでも良くなってしまった自分の単純さに苦笑する啓介。
 「ホントに!?」
 「うん!」
 「じゃ、じゃあさ? 仲直りの印に腕組んで良い? ところで、えっと、あの……ああ、
あの……あれじゃん? 待ち合わせだけどね? ホントは早く来てたんだけどさ、自分で
言うのもナンだけどアタシって超可愛いっしょ? だから一人で立ってっとウザいのが
ドンドン湧いちゃって気安く腕とかベタベタ触ってくんだよね。んでぇ、アタシは彼氏
待ってんだけどっていっても全然聞かなくて……」
 「と、とにかく事務所? に早く行こうよ、ね?」
 啓介が怒っていないと言った途端に笑顔を取り戻してくれたのは良いが、テンションまで
元に戻ってしまい猛烈な勢いで喋り始めたトモは、悪い意味で非常に目立つ。
 「オッケオッケ! じゃあこっち……って、どこまで話したっけ? そうそう、それで
チャラチャラした顔で、もうしつこくてしつこくて……」
 そのまま二人は先日と同じコースを、先日同様の有り難くない注目を浴びつつ仲良く
腕を組んで進んでいった。
336名無しさん@ピンキー:2013/12/07(土) 17:15:36.82 ID:UihDHWDe
 「先日はこちら……というよりトモちゃんの失礼で有耶無耶になってしまいましたが、
また来てくれたと言うことは非常に前向きであると判断させて頂きます。そこで今日は
先日の仕切り直しの意味も含めて、トモちゃんと一緒に女装で現場に行って見学をして
きてもらうことにしたいのですが、構いませんね?」
 との鈴原女史に頷くしかない啓介は、トモとも話もそこそこに準備を始めなければ
いけない流れに。
 「と、言うことで……彼の準備のお手伝いを……」
 「わーってるって! 私だろ?」
 「では、ミケちゃんの指導でお願いします」
 「よ、よろしくお願いします……」
 初めてだし、手ぶらでも余裕余裕っ! と言い放ったトモの言葉を信じた啓介は何の
用意もしていない。
 というより女装の経験など無いので何を用意して良いのかさえ分からない。
 「そんなに緊張しなくても平気だから」と前回同様、先に来てスナック菓子を食べて
いたツカサが寄ってきて囁く「ミケちゃん、ガサツで大雑把っぽく見えるけどメイクは一番
上手だから。いまだって殆どスッピンでポニーテールは束ねる高さを変えただけだし、顔も
薄めのお化粧だけなんだよ。それで本当に女の子っぽいから凄いよね?」
 「へ、へぇ……」
 そう聞き、改めて見つめてみるとミケの女装は実に自然だ。これは前回も感じたことだが
何処から見ても背が高くて健康そうなスポーツ少女。そのまま体操着に着替えて近隣の女子
校生の中に混ざっても全く違和感がないようにしか思えない。
 もっとも、少女にしか見えないのは他の女装少年達も同様だが。
 「えっと……あれだ。初めてだから全部私がやってやるし、黙って目ぇ瞑ってりゃ直ぐに
終わるから難しく考えなくても平気だからな?」
 手放しでツカサに褒められ、ちょっと恥ずかしげなミケ。
 「は、はいっ!」
 そう言われても緊張しないわけがない。思わず直立不動の姿勢になってしまう啓介。
 「だからぁ〜、そんなガチガチになってっると……こちょこちょこちょこちょ〜!!」
 「ひゃっ! ちょっ! ツカサさんっ!」
 「ね〜ね〜ミケちゃん。けーちゃんイシュク気味だし、うるさくしないから私も一緒して
良い? 良いよね? じゃあ出発進行〜!」
 「好きにしろよ」
 そのままツカサに背中を押され、呆れ顔のミケに続いて啓介は隣の部屋に。
337名無しさん@ピンキー:2013/12/07(土) 17:18:45.00 ID:UihDHWDe
 そして、残された一同が固唾を呑んで待ち続ける事十数分後。
 「………………ど、どうかな?」

 「「「おお〜〜〜〜〜っ!」」」

 啓介の初お披露目は感嘆の声で受け入れられた。
 「け、けーちゃんのツインテール、すっごい可愛い!!」
 その中でも瞳をキラキラと輝かせるトモの視線が一番恥ずかしい啓介。
 「ま、派手な髪型っぽいイメージがあるけど、割と簡単だしケイくらいの年頃だったら大抵の
キャラに使える代物だからな。別に染めてないし、大人しくしときゃ内気で初心な女に見えると
思うから、あんま気ぃ遣わまくても大丈夫だと思うぜ?」
 「そうそう! その制服と相俟って良いトコのお嬢様みたいだよ?」
 そして着ている服はツカサのチョイス。ミケのクローゼットから発掘したのは裾が長いチェックの
スカートと純白のブラウスとネクタイと、更に何処かで見たことがあるような気がする校章が入った
ベージュのサマーカーディガンと濃紺のニーハイソックス。
 ついでに高そうなローファーも。
 「スカート、短くないのに心許ないって言うかスースーするんですけど……」
 「そのためにツカサの下着を借りたからな。そうやってスカートの中を常に意識してる方が女らしい
仕草が早く身につくから頑張れ」
 「男の子パンツと違って肌触りが良いでしょ? これに慣れちゃったら、もう安いのなんか穿く気に
ならなくなっちゃうかもよ?」」
 「う、うぅ〜〜〜!!」
 姿見で見た啓介が言葉を失うほどの美少女。内股でモジモジと恥ずかしそうに体を揺らす気の弱くて
育ちが良さそうな、黒髪ツインテールの小柄な女学生が完成していた。
 「ヤバイヤバイっ、ヤバイよぉ! 妹に欲しいっ!!」
 すっかり興奮したトモ、まだ名前を聞いていない女装少年に襟首を掴まれながらも啓介に抱き
つこうと藻掻いている。
 「声の出し方とかも一応教えたけど、今日はトモちゃんのお供だし殆ど喋らなくても大丈夫だと
思うな」とツカサ「だから恥ずかしそうに俯いたまま小さな声で『ハイ』とか『イイエ』だけ言ってれば
問題ないと思うよ。ただし、ちゃんとトモちゃんのお仕事っぷりを見て流れを覚えないといけない
んだから忘れないでね?」
 「は、はい……」
 「トモもだぞ! 鼻息荒くしてないで、ちゃんと面倒見てやれよ!」
 「わかってるっ! わかってるってっ!」
 と言いながらも目が血走っているトモ。
 「……まぁ、あんな子でも勤まるお仕事だし、リラックスしてね?」
 ツカサの言葉で、少しだけ肩の力が抜けたような気がした。
338名無しさん@ピンキー:2013/12/07(土) 17:20:33.05 ID:UihDHWDe
 その後、何とか鼻血だけは噴かずに済んだトモが抱きついたり頬ずりしたり撫で回したりしと
煩悩を満たし、充分に発散し尽くし落ち着くのを待った二人はマンションの前から送迎タクシーに
乗り込んで出発した。
 「だってほら、こんなカッコで歩いてて補導とかシャレにならないじゃん?」
 「そ、そっか……」
 確かに、この姿で売りをしていると家族に知られた日には全てを失ってしまう。
 「そういうこと。さてと……」
 車が走り出すや否や、いそいそとバッグから手鏡を取り出して熱心にメイクのチェックを始め、
集中の余りか一言も発しなくなったトモ。そして声もかけられずモジモジと着心地が悪そうに内股を
擦り合わせている啓介。
 黙り込んだままの女装少年二人を乗せ、タクシーはチラホラと街灯が点灯し始める夕暮れの繁華街
を滑ってゆく。
 「「……あのさ?」」
 やがて微かなエンジン音だけだった車内の静寂を破ったのは、重なり合った二人の声。
 「「っっ!」」
 そして同時に息を呑むトモと啓介。
 「……あ、アタシから先で良い?」
 こういう場合は引率役の自分がリードしなければ、と思ったらしく強ばった笑みを作るトモに
コクコクと頷く啓介。
 「あ、あのさ?」シートの上で居住まいを直し、夕暮れ色の頬で外を流れる風景を眺めながら口を開
くトモ「ここ、この前のさ、アレ……アタシもすっごく良かったから、ホントに!」
 「!!」どくん、と大きく跳ねる啓介の心臓。
 「でさ? その、なんて言うかさ……えと……ンなこと、けーちゃんにコクった言った舌の根も
乾かぬうちっていうのかな? お客さんっていうか他の男とシちゃう訳じゃん? しかも、その……
アタシ、こういうカッコの時にアレするの割と……ううん、結構好きだし、お客さんに満足してもら
わないと次のお仕事にも障っちゃうって言うかアタシあんま上手くないから気持ち良くならないと体の
中とかもちゃんと働かなくって満足させられないって言うか……だから、けーちゃんの前で、お客さん
に入れられちゃって、すっごいヨがっちゃうと思うんだ」
 「う、うん……」
 「でね? そんなの見せといてさ、軽いコだと思わないでーとか言えないし……だから、出来れば
でいいけど、コレが終わってからも、えっと……フリだけでも良いから友達でいてくれなると嬉しい
っていうか、友達でいて欲しいなぁとか思ったりしてるんだけど……」
 「え、えっと……」
 「とか自分から誘っといてすっごいワガママな子だよね? やんなっちゃうよねフツー?」
 あははー、と外を見たまま自嘲気味に笑うトモ。
 「その……」
339名無しさん@ピンキー:2013/12/07(土) 17:24:35.93 ID:UihDHWDe
 「ナシナシっ! やっぱ今の話、ナシで良いから! 正直キツイもんね! だから……」
 「あ、あのさっ!」
 「っ!!」
 ぎゅっと手を握る。小さく震える手を啓介が掴むと、トモの全身がビクリと強ばる。
 「僕の方こそ、そういうことに慣れてるトモと一回したくらいで……あれなんだけど、自分でも
よくわからなんだけどトモって柔らかくて温かくて良い匂いがして一緒にいるとドキドキして、
この前もトモに来てって言われて夢中になっちゃって……」
 「…………」
 「だから、トモと一緒にいるのは嫌じゃないとは思うから、えっと、僕……いまは自信とか全然
ないけど、僕も……」
 「……けーちゃんってば、さ?」クスリと柔らかく笑う声「ボクボクって、もしかして『ボクっ子』キャラで
決めたの? 今のカッコに全然合ってないですけどぉ?」
 「え?」言われて啓介は思い出した、いまは女の子なんだと「あ、いや……」
 そんな啓介の体にもたれ掛かり、ころんと頭を肩に乗せてくるトモ。
 「やっぱ、けーちゃん可愛い過ぎ! なんかアタシの方が嫉妬しちゃうかもって感じ?」
 「えぇっ!?」
 「なーんてね…………とりあえずお仕事じゃん? おしごと!」
 「え? う、うん……」
 二人を乗せたタクシーは事故にも渋滞にも合わず、消えかかった夕暮れの街の中を中をスイスイと
進んでいった。
340名無しさん@ピンキー:2013/12/07(土) 17:26:12.26 ID:UihDHWDe
ここまで
ツインテ+ニーソ+モジモジは至高です(謎
341名無しさん@ピンキー:2013/12/07(土) 20:12:46.02 ID:F+p9Gx7B
支援です
342名無しさん@ピンキー:2013/12/08(日) 01:44:35.84 ID:JE+8VpOG
いいのキテタGJ!

自分もそろそろ何か書きたいゲージが溜まってきた
「女装した主人公が各地の変態に会って自らの変態力を高めていく」
というのを考えたけど、女装メインじゃなくなりそうだ
343名無しさん@ピンキー:2013/12/08(日) 03:50:51.74 ID:vekGyTsS
俺より濃ゆいヤツに会いに行く か
344名無しさん@ピンキー:2013/12/09(月) 00:10:55.48 ID:ue6SMFaw
「女装した主人公が各地の女装者に会って自らの女装力を高めていく」ではだめなのか
345名無しさん@ピンキー:2013/12/09(月) 00:39:15.79 ID:QWIUyvQp
殺意の波動ならぬ変態プレイの波動に目覚めそうだ
346名無しさん@ピンキー:2013/12/09(月) 10:30:14.46 ID:QhBEokhm
何にしても書き手が増えかるのは大歓迎だ罠
347名無しさん@ピンキー:2013/12/12(木) 21:05:46.31 ID:SJMNp/Op
すみません

どっかで運動場の隅のクラブハウス(部室)の裏の塀との間に
後輩か同級生に女装させられて連れ込まれて
吐精させられるSS読んだのですが見つからなくて困ってます

誰か知ってたら教えて下さい すみません
348名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:23:27.90 ID:o7g8gEOJ
 運転手も慣れた物で、眉一つ動かさず安っぽいラブホテルの駐車場まで送り届けると、二人が降り
るや否や何も言わずにサッサと走り去ってしまった。
 「……あれ、お金は?」
 「鈴原さん達が会社と直接契約してるみたい。だからアタシが無事に着いたよって鈴原さんにメール
しとけば全部オッケーって感じ」
 「そ、そうなんだ……」
 「じゃ、行こっか?」
 「うん……」
 車内での会話のお陰か、あるいは現場に到着したことでスイッチが切り替わったのか。余裕を取り
戻し柔らかい笑みを浮かべるトモに手を握られ、啓介は生まれて初めてのラブホテルへと覚束ない
足取りでチェックインする。
 「ここ、基本的に他の人と顔合わせたりとか絶対ないっぽいシステムだからビビらなくても大丈夫
だって。どうせ見られたって正体不明の女の子だし、しかもアタシ等ホントは男の子だし」
 「そ、そうだけど……」
 手を引かれるままエレベーターで目的階まで上がる間も、降りた廊下にも人の気配は全くない。よく
テレビドラマか何かに出ていそうな安っぽいホテルと余り変わらないようにも思えるフロア。
 「初めてで緊張するのもわかるけど、あんまりソワソワしてたらお客さんに足下見られるから気を
付けてね? こんなだけど、客商売って奴だし?」
 「お客さん……か。ねぇ、どんな人なの? 知ってる人?」
 小鴨のようにトモに寄り添って進む啓介。
 「アタシ的にって意味? それならうん、今日の人は常連さんだから知ってるよ。いっつもアタシを
指定してくれるしお小遣いも結構くれるんだ、名前とか知らないけど」
 「ふ、ふ〜ん?」ちょっと得意げなトモの横顔を恐る恐る伺う啓介「で、どんな人?」
 「どんなって…………まぁ、変態?」
 「へ、変態!?」
 「だって、お金払ってでも女のカッコしてる男の子とズッコンバッコンやってお尻ン中に射精したがる
男なんか全員変態に決まってんじゃん? しかもさぁ、アタシが一番小柄でパインパンの包茎だからって
理由で指名して必死に気を引こうとしてるんだよ? マジ人間として終わってない?」
 「そ、それは確かに……ちょっと……」
 「それから全部脱ぐより下だけ裸の方が興奮するとか言ってさ? しかもアタシが自分で脱ぐとこ見る
のエロくて好きだからってパンツルック限定とか言っちゃってるマジキチだから。そうそう、けーちゃんも
アタシと背丈一緒くらいだから見せろとか言われるかも知んないけど、ガン無視ね」
 「…………」
 部屋に入る前から嫌悪感で身震いしそうになってしまう啓介。
 「って言っても一応お客さんだし、面と向かって変態呼ばわりとかはNGだから。逆ギレされない程度に
良い子ぶって、あとはあっちの好きな体位で入れてもらって気持ち良いなって思ってる間に勝手に終わって
お給料って寸法なわけ。年上とか買ってくれてるとか必要以上に意識して安売りしないって言うか、あんま
天狗にさせないってのがコツかな?」
 だって、これも一応売買だし……あっちがオナホだと思ってなら、こっちはバイブの代わりだよって頭ん
中で小馬鹿にする位で丁度良いんだよ、と笑うトモに青い顔で頷くしか無い啓介。
 「そ、そうなんだ……」
 「あ……そう言えば、大事なこと忘れてた」とドアを開く寸前で止まったトモ「基本、アタシ等って偽物
っていうかフィクションの存在でしょ? だからセックスしてる間以外は赤の他人でプライベートとか一切
知らない知らせないが暗黙のルールだから。中には年とか聞きたがるお客さんもいるけど、なんか聞かれ
ても全部シカトかデマで良いくらいだと思ってよね。あっちもマジで期待したりしてないし」
349名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:25:39.24 ID:o7g8gEOJ
 「その子が新人? 大人しそうで可愛いね」
 変態というキーワードから連想される脂ぎった中年よりは随分と若そうだ、というのが啓介が受けた
第一印象だった。髪をオールバックにした三十代前半くらいの男性はバスローブに着替え、ピンクの
照明で桃色に染まったベッドに腰掛けた状態で二人を出迎えた。
 「よ、よろしくお願いします……」
 声も出し方も、黙っていても構わないと言われた事も忘れ小声で挨拶をしてしまう啓介。
 「ほほぉ、確かに初めてっぽいね。初心な感じがたまらないなぁ」
 「ひぃっ!?」
 ネットリと値踏みするかのような目が怖くなり、思わずトモの背中に隠れてしまう。
 「ちょっとォ!」啓介を庇うように仁王立ちになるトモ「鈴原さんから聞いてるっしょ? この子、
今日は見学だけなんですけォ!?」
 「も、もちろん聞いてるよ! でも見学って事は将来的には抱いても良いってことだし、別に触ったり
しないし……とりあえず服を着たままなら見せてくれても良いんじゃないかな?」
 「う、うぅぅ!」
 覗き込もうと首を伸ばす動きから逃げるように小さくなる啓介。だが、その挙動は客観的に見て内気な
少女が可愛らしく恥じらう様子と全く同じなわけで、小柄で細身な女装少年が好物らしい男の食指を刺激
しない訳がない。
 「だから、この子はダメって……」
 「ほんとうに可愛いよ、うん! 君、名前は? トモちゃんと同じくらいに見えるけど中学生? それ
とも……ひょっとして小学生!? まだ剥けてないよね? ちょっとだけ見せて……」
 目が血走っていて、いまにも襲いかかって来そうな勢いだ。
 「い、いやぁ……!!」
 怖すぎて、女の子みたいな悲鳴が漏れてしまう。

 「いい加減にしろって言ってんのが聞こえないのッ!?」

 我慢の限界を超えたらしいトモの一喝で部屋の空気が凍った。
 「あ……」
 我に返ったらしい男も言葉を失ってしっまった。
 「あんま、調子乗らないで欲しいんだけど?」くるりと向きを変え、啓介を守るように抱き寄せた
トモは不機嫌さを隠そうともしない顔で男を睨む「これ以上、この子怖がらせるんだったら今すぐ
鈴原さんにメール打つけど、それでも良いわけ?」
 「い、いや、それは困るよ! 悪かった、悪かったから!!」
 感染の恐怖も、露見の心配も無く未成年の女装少年を定期的に買うことが出来る環境。その貴重さを
誰よりもよく知っている客にとって、仲介役である鈴原女史への苦情報告ほど怖い物は無い。一瞬で
イニシアチブを奪われてしまった男が、きっと一回り以上は年が離れているであろうトモに向かって
ペコペコと頭を下げる姿は哀れを通り越して滑稽にしか映らない。
 「大丈夫、大丈夫だからね。けーちゃん」
 「う、うん……」
350名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:27:39.74 ID:o7g8gEOJ
 ぽんぽんと優しく背中を叩かれながら囁かれ、横目で男の情けない姿を盗み見していると少し
だけ恐怖心が和らいでくれる。
 「そ、そうだ! お詫びにお小遣いあげるからさ、終わった後でケーキでも食べに行って元気
出してくれよ! もちろん、その子の分も出すし!」
 「…………ふ〜ん?」
 トモの目から険しさが薄れてゆく。
 「お、お小遣いって……お金なんかで……」
 と言いかけて啓介は思い出す。確かに心まで金で買おうとする男の姿勢には憤りしか感じられな
いが、自分達と男の接点は今、ここだけなのだ。互いにプライベートには一切踏み込まない上に、
女装して体を重ねている間しか、この世に存在しないトモ達に確実に誠意を示す方法は現金しか
ないのだ。
 それがどんなに即物的、短絡的にしか見えない浅ましい結論だとしても。
 「どうする、けーちゃん?」
 「……わかりました」
 ぱちり、と啓介にしか見えない角度で得意げにウインクして見せるトモ。
 やったね! と言いたげに。
 「け、ケイちゃんていうのか! もう怖いことはしないし……えっと……ほら、どっちみちトモ
ちゃんとしてる間はアレだし、そこから動かなくても良いから少しだけ見せてくれないかな?」
 「とかいって、スカート捲れとか言い出したらアタシも速攻帰るからね!」
 「しないしない! 無理強いは絶対しないからっ!」
 「そこまで言うなら……良いよね、けーちゃん?」
 男の言うとおり、行為が始まってしまえばイヤでも見られるのだ。啓介が頷くと、トモはそっと
抱擁を解いてから啓介の後ろに周り背中に寄り添ってくれる。
 「お、おおっ!」男の目が興奮で大きくなる「い、良い……すごく良いよ、うん! そのまま腕を
背中に回して前をもっと見せて……うんうん、可愛いよ!」
 「あ、ありがとうございます……」
 赤く染まった顔をウイッグの前髪で隠し、斜め下に逸らしながら恥じらう啓介。ミケの持ち物
だった所為か少し大きすぎる制服を着たツインテールの女装少年が初々しく内股を擦り合わせる
様子に、いまにも涎を垂らしそうなほど大喜びな男。
 ただただ気持ち悪いだけの筈なのに、自分の女装姿を認められ褒められているみたいで少しだけ
嬉しくなってきてしまう啓介。
351名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:29:27.99 ID:o7g8gEOJ
 「そういやさぁ?」そんな啓介の横からジト目で顔を出すトモ「アタシ、部屋に入ってから一度も
褒めてもらってないんですけどぉ! 張り切って新しいピアスしたりパンツも新調したってのに
ガン無視とか、なんかヒドくない?」
 「え? あ……」
 サービス不足を指摘され、またも男が顔色を変える。
 「あ〜あ、なんかヤル気なくなったって感じ? ヤらせてあげるアタシのことスルーして他の子
ばっかべた褒めされてさ、な〜んかアソコ乾いちゃったかもぉ〜?」
 「そ、そんな……もう払ってるのに……」
 「えー」頬を膨らませたままのトモ「ンなこと言ったって、アタシ悪くないし! なんかメンド
クサクなっちゃったし、う〜ん……」
 わざとらしく考え込む振りをするトモのペースで話が進んでゆく。
 「た、頼むよ! トモちゃん!」
 「……じゃあ、なんか気分じゃなくなっちゃったからフェラ無しで。セックスさせてあげるけど
ローションで。あと中に出してもお掃除もなしで」
 「それならせめて、トモちゃんの手でローション塗ってくれないかな?」
 「え〜っ! それって要するに手マンじゃん!?」
 「あと、出来ればで良いけどケイちゃんにも手伝ってもらったりは……」
 「だからぁ、けーちゃんはダメって何回言わせる気!?」ぎゅっ、と後ろから啓介のウエストを
抱きしめて頬摺り「この子、正真正銘の処女なんだからね! それどころかお口だって手だって
綺麗なままだっての! おちんちんなんか触ったこともないアタシのお友達にイキナリ生手マンとか、
調子こくのも大概にしとけっての!!」
 「しょ、処女って本当に? 触ったこともないの!?」
 或いはトモの計算だったのか、処女という単語に早速食い付く男。
 「……えっと……はぃ……」
 女装少年だと知っているのなら、当然ながら啓介自身の持ち物以外の話に違いない。そう結論づけ
て上目遣いに小さく頷く啓介。
 「じゃあ、ここで頼めば僕が初めてになるんだよね!」
 「い、いちおうは……」
 「だったら追加で三……いや五枚渡してあげるから手で握っててくれないかな? もも、もちろん
軽く握るだけで良いし、扱いてとか脱いでとか絶対言わないからっ!!」
 「あ、あの……でも……」
 「うわ必死すぎ! 正直引くよね〜?」手で握ったら五千円くれるって、と啓介にしか聞こえない
小声で呟くトモ「でもでもお金くれるって言ってるし、おちんちんに慣れる練習だと思って軽く握って
みる? 親指と人差し指で輪っかを作って軽く握るだけなら汚れないと思うし」
 「……えと……えっと……」
 「そ、それで良いからっ! 軽く持っててくれるだけで良いからっ!!」
352名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:31:08.88 ID:o7g8gEOJ
 「れ、練習……」
 確かにトモの言うことにも一理はある。遅かれ早かれ手淫や口腔性交、果てはアナルセックスまで
体得し、体中何処ででも客の欲望を受け止められるようにならなくてはいけない。
 それも、出来るだけ早く。
 「ローション塗るだけなんだから超簡単だし、アタシも一緒にやるから。ほら、大丈夫だから手を
出してみて?」
 「う、うん……」
 曖昧に頷いた啓介の掌にトモの自前らしいローションがゆっくりと垂らされる。
 「慌てなくて良いからね。先ずは……こーやって手に馴染ませてぇ、指の間とかにもタップリ絡ま
せて体温で温めて……えへへっ、ヌルヌルして面白いっしょ?」
 肩を密着させながら、トモの動きを真似るようにして独特の感触と粘度を持つ液体を全体に塗り込め
てゆく啓介。
 「な、なんか泡石鹸で手を洗ってるみたいな……」
 「あ、その例え上手い! 頭良いじゃん!」
 「なぁトモちゃん? そろそろ……」
 「はいはい、じゃあサッサと脱いじゃえば?」
 予想通り、男はバスローブの下に何も付けていなかった。同じ男性だし、裏ビデオで見たことくらいは
あるので勃起した成人男性の性器で取り乱したりはしないとは言え、気持ちの良い物でも無い。
 そんな男の前に自然な動きでトモが跪き、男の右横に啓介が腰掛ける形で最初の奉仕は始まった。
 「てか、こんなにギンギンにしちゃってさ? 知ってると思うけどアタシ顔射は嫌いだから。勝手に
出したら怒るかんね?」
 「だ、大丈夫だから早く頼むよ!」
 「ったく、犬みたいにガッつくなっての。んと……よいしょっと」
 「お……おおっ!」
 なんの躊躇いもなく先端に顔を近づけたトモが両手で包み込むように握ると、それだけで男は獣の
ような嬌声をあげビクビクと震える。
 「力、入れなくても平気だから……こうやってヌルヌルで擦る感じでシコシコシコっと」
 自慰よりも優しいタッチで極力、刺激を与えないようにローションを塗してゆく。
 「うわぁ……」
 「ね、簡単っしょ? けーちゃんも、左手だけでいいから軽く握ってみて。怖かったら指だけで
良いからキュッと……ゆっくり、ゆっくりね?」
 逃げ腰のまま腕だけを伸ばし、男から顔を隠しながら啓介自身のモノより二回りは大きいペニスを
恐る恐る指で摘まんでみる。
 「うぅ……」
 「おおっ、おおおっ!」
 余り気持ち良くはない筈である陰茎の根本付近。そこを親指と人差し指で軽く挟んだだけで男の
体は歓喜に震える。きっと物理的な刺激以上に、無垢で内気な女装少年の真っ新な指を征服した
感激が大きいのだろう。
 「どう、けーちゃん?」
 「な、なんだか生暖かくて……固くて柔らかくて、うぅぅ……!」
 我ながらボキャブラリーが足りていないとは思うが、それどころではない。
353名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:33:08.33 ID:o7g8gEOJ
 「そのまま、ちょっとだけ動かせる? ほんのちょっとで良いから」
 「う、うん……」
 ほんの数ミリ動かしただけで中の血管が脈動するのを感じる。正直言って気持ち悪いが、それを
口に出すべきでは無いと自制できる程度の理性は辛うじて保てている。
 「トモちゃんは上手いし、ケイちゃんの細い指も良いよっ! こんな可愛くて小さな子二人に手で
シてもらえるなんて感動だよっ!!」
 「だから、ホント勝手に射精しないでよ!?」
 「わ、わかってるって……うぅっ!!」
 「って言ってる側から先、膨れてるじゃん! どんだけ興奮してんのよっ!」
 トモの物言いは辛辣だが、啓介的には男にも多少の同情の余地もある。もしも自分が可愛い女の子
二人を侍らせて手で擦って貰ったとしたら、我慢出来るかどうか怪しいものだし。
 もっとも啓介の想像の中での相手は飽くまでも同世代か、あまり年の離れていない少女。
 だから、こんなに気前よく現金を払えるほどの大人が、自分より十歳は若い未成年に翻弄され小馬鹿に
されながらも必死に媚び、ちょっと触っただけで大袈裟に騒いでいる様を間近で見ていると先程以上に
滑稽に見えてきて余裕さえ生まれてくる。
 「……ーちゃん? けーちゃん! ちょっと、けーちゃんってば!」
 「え? あ……トモ……」
 「そんくらいで良いよ。いまにも射精しちゃいそうだもん」
 いつの間にか啓介は指三本で小刻みに扱いていた。そして、そのお陰かローションで光る肉棒は
触る前以上に大きく硬くなっていた。
 「あ…………!」
 そんな男の興奮する様に、ちょっとだけ鼓動が早くなる啓介。
 「ほんと、お尻に入れただけで爆発しちゃいそうじゃん。カッコ悪ぅ〜!」
 「で……でも、ほら、トモちゃんの中って二回目の方が気持ちいいし……」
 「精液でタップタプのお尻掻き回すの好きだもんねぇ? でも今日は舐めて綺麗にとかしてあげ
ないって約束だし。忘れないでよね?」
 「お、覚えてるって! その代わり……その、ケイちゃんに持ってもらったままで……」
 「え? あ、あの……は……」
 「そこまでさせンだったら、けーちゃんも一緒にシたって鈴原さんに連絡しといて貰わないと、
けーちゃん丸損になっちゃうんだけど? ヤリ逃げなんて甘いコト考えてたら二度と入れさせて
やんないんだから!!」
 危うく無条件で頷きそうだった啓介を遮って釘を刺すトモ。
354名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:34:37.89 ID:o7g8gEOJ
 「も、もちろんだよ! もちろん!」
  コクコクと引きつった顔で頷く男を見て納得したのか、立ち上がったトモはショートブーツを
脱ぎながら軽々とベッドに飛び乗り、仰向けに転がる。
 「じゃあヤらせてあげるけど……脱がしてくれる? それともぉ……」
 「そ、それは……」
 「あははっ! やっぱ脱ぐトコ見たいんだ?」ケラケラと笑いながら返事を待つこと無くベルトを
外すトモ「それじゃ、ちゃ〜んと見ててね?」
 小悪魔の笑顔でウインクしてから、下着ごとショートパンツを脱ぎ始めるトモ。わざと動きにく
そうにモゾモゾと体を揺らし、こちらに股間が見えるような角度でお尻を持ち上げ焦らすように
徐々に両手で下ろしてゆく。
 「んしょ、んしょっと」
 そうして真っ白な臀部が半分ほど露出したところで動きを止め、今度は股を閉じてから両足を
垂直に掲げ、幼い性器や濡れ光る肛門まで全て見せびらかすように上下に動かしながら膝の位置
まで上へ上へと下ろして……最後は膝から足先までを開帳しつつ寝台の外へと不要になったパンツ
と下着を放り投げた。
 「「……………」」
 その間、啓介と男はトモの裸の下半身を瞬きするのも忘れながら見入ってしまっていた。
 「…………ちょっと、寒くなっちゃった……」
 そう呟くトモに、物欲しそうに濡れた瞳で見つめられた男は啓介を振り払ってトモの股間に
かぶりついて力任せに膝を割り広げる。
 「いい、入れるよっ! 入れるからね!!」
 「あんっ」と色っぽい声を上げるトモ「まだだよ。まだ、だぁ〜め! けーちゃん、こっち
来て? アタシの隣」
 押し込まれる寸前だった切っ先を片手で握って逸らしながら、もう片手で自分の隣をぽんぽん
叩いて誘うトモ。啓介は言われるままベッドに乗り、導かれるままトモと添い寝するような格好で
横になる。
 「えっと……トモ?」
 至近距離で見つめ合うと、下手な女の子よりもトモの方が美少女だと改めて思ってしまう。それは
造形とか化粧は余り関係なく、些細な仕草や表情や魅せ方の違いによるものなのだろう。
 「アタシ、けーちゃんに入れて欲しいな?」
 顔は啓介と向き合いつつ、ちらりと横目で視線を送ると男の顔にも理解の色が浮かぶ。
 「そ、そうだよね! どうせなら……ケイちゃん、また握ってくれる?」
 「あ……」一呼吸遅れて啓介にもトモの意思は伝わった「……は、はい!」
 添い寝したまま啓介が手を伸ばして遠慮がちに竿を握ると、トモが自分の手で先端の角度を合わせ
ながらズリズリと下がり、お尻を上げて位置を調整してくれる。
 「あふん……熱……」
 トモの体で最も敏感な部分。そこと鈴口が触れ合って熱い先走りを粘膜で感じ取ったトモが
啓介の唇に甘いと息を吹きかける。
 「と、トモ……」
 「これで入ると思うから……食べさせてくれる?」
 
355名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:36:28.14 ID:o7g8gEOJ
 それは啓介と男と、どちらに向けての言葉だったのか。ともかく啓介が手で押し込むのと同時に
男が腰を突き出し、トモの数倍はあろう肉棒は真っ白な菊門を目一杯に広げながらも何の抵抗もなく
啓介の手が当たるまでトモの直腸に飲み込まれてしまった。
 「んんんんんんんっ!」
 「おおおおお……!!」
 「うぁ!」
 三者三様の感嘆の呻きも一瞬のこと。元から射精寸前まで高まっていた男は、何度も貫いて十分な
開発が済んでいると熟知している女装少年の体内を遠慮なしで味わい始めた。
 「あん! あはん! やん、激しいよぉ……!!」
 男の動きに合わせ、グッチュグッチュとお世辞にも上品とは言えない音が立つ。倍近い体格差で
翻弄される華奢なトモだが、その顔に浮かんでいるのは乱暴に扱われることへの苦痛ではなく他者と
交わることでしか得られない快楽に溺れる寸前の歓喜だ。
 「トモちゃん、やっぱり狭くてキツくて最高だよ! トモちゃんも気持ちいいだろ!?」
 「うん、気持ちいいっ! 大人のぶっ太いおちんちん、たまんないよぉ!!」
 「そうだよね! トモちゃん太いのが好きだもんね! 今日はどうして欲しい、どこを虐めて
欲しいのかなっ!?」
 「奥っ! もっと奥っ! 一番奥ズンズンしてぇ!!」
 「……トモ……」
 タクシーの中で聞いていたとは言え、こうして見たことも無い男に抱かれて悦んでいる顔を至近で
見せつけられ少なからずショックを受けてしまう啓介。夢中になっている今は耳に入らないだろうと
心の片隅で諦めながらも小声で名前を呼んでしまう。
 が……
 「うふふっ! どうしたのかな、けーちゃん?」
 汗塗れの顔を更に近づけ、ぺろりと鼻先を舐められてしまった。
 「え? いま……」
 「しっ!」
 トモの視線に従って男の方を盗み見してみると、トモが喜ぶ最深部を責めようと必死になっている男は
すっかり下半身に気を取られている。
 「ね、けーちゃん?」ゆっさゆっさと揺さぶられながらも器用に息を継いで喋るトモ「あのね、アタシ、
けーちゃんのベロ、舐めたくなっちゃった」
 「え? えぇっ?」
 「こいつの口、タバコ臭くてね、ヤなんだ。けーちゃんさえ嫌じゃなかったら……はふん! 二人で
ベロの舐めっこして、見せたら興奮してくれるし、キスもしなくて済むんだ」
 セックスの最中のトモは全身から甘酸っぱい発情臭を放つ。男に抱かれて間違いなく快感を得ている
であろうトモの妖艶に火照った顔は、文字通り目と鼻の先に。
 「ね、けーちゃん。可愛いベロ……見せて?」
 「……………………」
 口から鼻から流れ込む甘い香りに誘われるまま、トモの吐息を吸い込むように開いた唇の中から少しだけ
舌先を覗かせる啓介。
 
356名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:42:57.91 ID:SEyePRtx
 「んちゅ……」
 その先端を祝福するように、そっと目を閉じ口付けで迎えるトモ。
 「っ!!」
 既にトモのアヌスで童貞は捨てているとは言え、キスは初めてだった啓介。軽く舌を吸われただけで
顔は火照り頭にまで血が上って反射的に舌を引っ込めようとする。
 「あん、逃げちゃらめらってばぁ!」
 が、それよりも早く伸びてきたヌルヌルの舌が絡みついてきて放してくれない。男に体内をに貪られて
自由に動けないはずのトモの小さくて柔らかい舌で粘膜愛撫される気持ちよさに逆らえない。
 「うあ……あ……あ……!」
 そして手を引かれる様に舌を引き出されて……
 「ちゅるるるるるるっ!」
 「んん〜〜〜〜〜んっ!?」
 唇で挟まれ吸われ、反射的に男のペニスを握る手を締めてしまう。
 「ううっ、それ良いよケイちゃん! なんか二人一緒に抱いてるみたいな……って、二人とも
何をっ!?」
 「なにって……けーちゃんの初キッスに決まってんじゃん」
 「〜〜〜〜〜〜っ!!!」
 「どう? どう?」と舌舐めずりしながら、驚きの余り思わず動きを止めてしまった男に得意顔で
見せつけるトモ「こういうのも興奮するっしょ? 特別サービスなんだからね!」
 「す、する、それ凄く興奮するよ! すごいよ二人とも! まだ子供なのに凄いよ!」
 女装少年同士の痴態に煽られ、男が再び腰を振るい始める。
 「ああん太いぃ! さっきより大きくてかちかちぃ! これ、気持ち良いよぉっ!!」
 「ケイちゃんも、さっきみたいに手で締め付けて……おおおっ、それ凄く良いよ! トモちゃんも
中がウネウネして吸い込まれそうだ!」
 「けーちゃ、けーちゃんも一緒に! 早くっ、早くぅ!」
 男がラストスパートに入ると、小柄なトモは嵐に飲まれた小舟も同然。関節という関節が外れて
バラバラになってしまわないかと思ってしまう程に激しく揺さぶられている。
 「と、トモ……」
 「トモちゃんの中も締まって……出すよっ! もうすぐ、ありったけ出だすからっ!!」
 「あはん、お腹の中で膨らんで……けーちゃんもベロ! ベロ早くぅ!!」
 失禁と間違いそうな腸液の染みをシーツに広げ、暴れ回る幼い勃起の先端から透明な滴を撒き散らし、
泣き出す寸前の様に蕩けた顔で他の男と交わり快感を露わにしながらもトモは啓介を求めている。
 もう満足に体を動かすことが出来ない状態でも一生懸命、自分を見つめ自分に向けてに舌を差し出す
トモのいじらしさに応えたくて、今度は自分の方から舌を吸って口の中で愛撫する啓介。
 「トモ、トモっ! じゅるるるるるるっ!!」
 「あぁぁぁぁぁんいぐ! いぐいぐいぐいぐ、あちゅいのいっぱい出ひゃれれいぐっ! アラシ、
けーひゃんとキスしにゃがらお尻に射精しゃれれいぐっ!」
 「トモちゃん、トモちゃんっっっっっっっっ!!」
 そして最後の一突き、とばかりに限界まで押し込んだ男が達すると、握っていた啓介の手にも射精
特有の脈動が伝わり、直腸内粘膜に熱い飛沫を浴びたトモの体がエビ反り跳ね上がる。
 「いぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
 射精に反応した一足遅れで訪れたトモのアクメ。射精並みの勢いで何回もカウパー氏腺液を吐き出し、
女性の様に痙攣を繰り返すトモのドライオーガニズムは括約筋が力尽きるまで続いた。
357名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:45:20.78 ID:SEyePRtx
 「あ〜あ、お腹空いたぁ!」
 帰りの送迎タクシーの中。ホテルの部屋を後にする時に啓介の方から無言で手を握って離さないでいると、
それだけで安心したらしいトモは明け透けな女装少年のままでいてくれている。
 「ね? ね? お小遣いもらったし、どっかで何か食べて帰らない? ね〜〜〜っ?」
 「う、うん……」
 「やた〜〜っ!!」
 満面の笑みになり、少女同士がじゃれ合うみたいにコロリと啓介の足を枕に寝転がるトモ。
 「…………あれ? あれれっ?」
 が、スカート越しに側頭部を突く突起物に気がついた。
 「っ!!」
 「けーちゃん、これ……もしかして、おっきしてる?」
 「〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
 これはもう、何も知らない何も聞こえない作戦しかない。
 「ねぇ、けーちゃん?」座り直したトモ、こんな有様でも握った手だけは離したくない啓介の耳元に
唇を寄せて囁く「実はアタシも、ちょっと射精したいかなーって思ってたんだけどぉ?」
 「う、うん……」
 「けーちゃん、手で擦れるようになったし事務所に帰ったら二人でコキっこしない? お化粧落とす
前に女の子のカッコのままで?」
 「っ!!」
 「あ、今ビクンってなったよ? 可愛い〜ぃ!」
 「だ、だって……」
 「けーちゃん、まだ知らないと思うけど事務所のお風呂って大きいんだよ? だから後始末も楽ちん
だし他の子も殆どは直帰だから……そうだ! キスしながらシコシコってどう? 一人でオナニーする
より絶対気持ち良いって思うんだけどぉ?」
 頬を真っ赤に染めて返答に困る啓介の様子にトモの小悪魔スイッチが入る。一番端に逃げる啓介を
追い詰め体を密着させ、握り合った手に強弱を付けながら残った片手でスカートを持ち上げる物体を撫で
回し、トドメとばかりに吐息を乗せた囁き攻撃。
 「アタシのおちんちん、興味あるんでしょ? けーちゃんだったらニギニギでもシコシコでも好きな
だけ弄らせてあげても良いよ。それこそ、けーちゃんがしたかったら舐めっこでも……」
 「ててて、手だけでいいからっ………………あ!」
 思わず大声を出してしまった啓介、恥ずかしさの余り頭から湯気を上げながら俯いてしまう。
 「けーちゃんのそういう可愛いトコ大好きっ! 帰ったらお風呂でいっぱい洗いっこしようね? 
特にぃ、おちんちんはヌルヌルにして重点的にね?」
 心底可笑しそうに笑い転げるトモと、汗と湯気で干上がってしまいそうな啓介を乗せたタクシーは
深夜の街を埋め尽くす無数のライトの中に溶けていった。
358名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 11:48:35.95 ID:SEyePRtx
ここまで。

女装少年の必要性と言うか必然性みたいな?のを意識するのは結構厳しい
書き手のみなさん尊敬するっす
359名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 12:12:50.85 ID:BjDGBbJI
リアルタイムで乙!
けーちゃん徐々にスイッチ入ってるのがいいねぇ
360名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 14:25:46.71 ID:WIA2oGi4
すばらしすぎだ。

読んでる自分もかちかちだった。
361名無しさん@ピンキー:2013/12/15(日) 18:15:00.05 ID:Cn5VBeht
トモとか言うビッチが生意気すぎてむかつくんだが
362名無しさん@ピンキー:2013/12/17(火) 13:54:09.99 ID:2M2spxfx
じゃあトモちゃんは俺が貰っていきますが、構いませんねッッ!?
363名無しさん@ピンキー:2013/12/17(火) 23:08:07.14 ID:59Byyad4
書き手さんに触発されてなんか自分も書いてみたいけど上手く文章にできないジレンマ
こういうの書ける人羨ましい
364名無しさん@ピンキー:2013/12/17(火) 23:14:56.05 ID:7i+5MNBb
>>363
まずは無理に小説化しようとせずに
「書きたいシチュエーションを羅列する」のがいいよ!
365名無しさん@ピンキー:2013/12/18(水) 22:11:12.46 ID:DScGs9Pk
>>364
レスありがとう。やってみます。
366名無しさん@ピンキー:2013/12/18(水) 23:30:08.12 ID:6bdUhxyg
唐突に思いついた番外編風味
超短編〜みたいな?
367名無しさん@ピンキー:2013/12/18(水) 23:30:43.99 ID:6bdUhxyg
 こうして着付け、街を歩いている自分が思うのも何だが、ゴスロリファッションで出歩く女性は
本当に凄いと思う。
 確かに可愛いし奥は深いし自分で作れば愛着も一入。散々悩んで『これだ!』と決めた絶妙な
センスや着熟しを披露したい気持ちは痛いほど理解できるが、正直言って日本では浮きすぎて好奇の
視線以外は殆ど期待できない。まだ、そっち系のイベントへ行った方がマシなのだろうが、そこでは
逆に埋もれてしまい自慢にはならない。
 詰まる所、どんなに気張っても単なるアウトドアコーディネイトの域を出ない(出すつもりも毛頭
無い)ゴスロリファッションではイベント特化型のコスプレのインパクトに適うはずもないし、逆に
コスプレ扱いされるのも不愉快だ。
 となると、やはり周囲の空気という奴をシカトする位の気持ちで街に出るしか無い訳なのだが、
生憎と自分には興味本位の目の集中砲火にに耐えられる自信は無い。思い切って女装して別人になり
切り、恥も外聞も掻き捨て御免状態でなければ玄関から一歩踏み出すことも出来ないだろう。
 そう思うと、先程すれ違った同じ趣味の女性が尊敬に値する人物に思えてくる。
 「なぁ〜んて考えてる間に到着ぅ」
 待ち合わせの場所は大通りに面した高級ホテルの前。この格好で堂々と歩くのが大好きなので、
帰り以外で送迎車を使うことは殆ど無いと言うこともあり、遅刻しないよう余裕を持って出発した
ので客よりも先に着いたようだ。
 「お?」
 と思いきや、こちらが到着するのを待ち構えていたように黒塗りのリムジンが音もなく滑るように
やってきた。ここを待ち合わせに選んだ理由は、宿泊施設の利用ではなく大型車がスムーズに横付け
出来る場所が限られていたからである。
 そして静かに停車したリムジンのから見慣れた運転手が降りてきて、小娘の自分の為に恭しく
ドアを開けてくれる。
 「ありがとうございますぅ!」
 得意の人懐っこい笑顔で会釈しながら彼女、ツカサと名乗る女装少年は慣れた仕草で超高級車の
後部座席に乗り込んだ。
368名無しさん@ピンキー:2013/12/18(水) 23:32:22.02 ID:6bdUhxyg
 ツカサが着席すると微かな振動と共にリムジンはホテル前を後にする。もちろん、揺れや加速度
などは全く感じない。
 「こんばんわ、社長さん。今日も車の中で?」
 「公私共々、色々と立て込んでてね。ワインはどうかね?」
 壮健、という言葉を体現したような初老の紳士がツカサの上客だ。社長というのは肩書きでも
何でも無くツカサが勝手に付けたあだ名だが特に拒絶もされないので使い続けている。
 「ワインですか……一口分だけなら」
 上目遣いに意味ありげな笑みを浮かべてみせると、客は備え付けのバーに用意してあったグラス
の赤ワインほ一口だけ含みながら優しくツカサに覆い被さって口移しで飲ませる。
 そのまま二人は折り重なるように口付けながらソファの様な座席をリクライニング。
 「んふ……」
 こくり、と可愛く喉を鳴らしたツカサは上品なワインの吐息を漏らし、濡れた瞳で客を誘惑
しながら淫靡に唇を舐める。
 「未成年を押し倒してお酒を飲ませるなんて、悪い大人ですね?」
 「可憐な君にはアルコール混じりの甘い息が良く似合うと思ってね。どれどれ……?」
 「あん、せっかちなんだからぁ!」
 ドレスを捲って侵入しようとする客に合わせて足を開き、首に腕を巻き付けるツカサ。
 「……ふむ、ちゃんと約束を守っているようだ」
 ツカサは下着を着用していない。細い太股を撫でながら上へ上へと移動する客の手は、やがて
無毛の陰嚢に辿り着く。その触感と形を丁寧に楽しむように動く指。
 「ん……んんん、んっ」
 ヒクヒクと控えめに悶えるゴスロリ女装少年の様子と、勃起の触り心地を暫く楽しんだ客の
手はツカサの股間の更に奥へ。
 「あ……!」
 そこで見つけたのは肛門から伸びたシリコン製のリールと、先端にあるリング。つまり、
これを入れたままマンションからホテルまで下着を着けずに歩いたことになる。
 「よく落とさないで来れたね。感心感心」
 「そ、そう言う約束だったから……」
 流石に恥ずかしいのか、顔を伏せるツカサ。
369名無しさん@ピンキー:2013/12/18(水) 23:33:27.94 ID:6bdUhxyg
 「じゃあ、早速ご褒美をあげないと…………それっ!」
 ちゅぽぽぽぽぽぽぽんっ!!
 「ひぁっ! あああああああああ……あぁーっ!?」
 粘液を飛び散らせながら大きなビーズを全て一気に引き抜かれ、舌を突き出し感電したように
体を痙攣させながらツカサは達した。アルコールと愛撫で充血していた陰茎から放たれた精液が
スカートの内側を白く汚す。
 「うむ、いい顔だ。実に良い」
 役目を終え放られたアナルビーズはツカサの直腸内の液でテラテラと濡れ光っている。
 が、事前に指定された香油で腸内を洗浄しておいたので不快になるような匂いはしない。
 「はぁ……はぁ……何も言わないでいきなり……い、意地悪です……!」
 真っ赤な顔で拗ねるツカサ。
 「色々と立て込んでると最初に言ったじゃないか。それに……君もそれなりに楽しんでると
思うんだが?」
 柔らかくなった陰茎と絞ると、尿道管に残った精液が漏れる。それを指に付けてツカサの
唇に塗りつけると、怒った顔をしながらも自ら咥えて綺麗に舐め清める。
 「もうっ!」こくん、と自分の子種を嚥下するツカサ「あんまりイジワルばっかりしたら、
ホントに嫌いになっちゃいますからね?」
 そう拗ねながらもブラインドタッチで客の股間を撫で、ビーズが抜け落ちて寂しくなった
穴に温かくて太いものを欲しいとアピールする。
 「じゃあ、そうならないように愛情を注いであげないとね?」
 目を閉じ、再び深い接吻を交わす二人。
 ツカサは舌を絡め合う心地良さを楽しみながら、客のズボンのベルトを外しつつ足を大きく
開いて迎え入れる準備を整える。 

 (お尻で二回、お口はお掃除だけ……うんん、お掃除しながら立たせて一回かな? 今日も
癖になっちゃうくらい絞り尽くしてあげちゃうんだから!)

 車は滑らかに環状線へと滑り込み走り続けた。
370名無しさん@ピンキー:2013/12/18(水) 23:38:38.58 ID:6bdUhxyg
ここまで
トモより、ちょっとだけ難易度が高い接客も出来ちゃうツカサたんです

ちなみ年内は、あと一回投下できるか否かくらいっす

>>365
私見ですが、やはり好きな人が好きなお話を好きに書くのが一番良い物が出来ると思います
という訳で期待してまふw
371名無しさん@ピンキー:2013/12/22(日) 22:31:18.83 ID:2bRAFTDm
>>365
文書でなくて好いです
作文メモみたいなものでもご飯5杯逝ける場合も有ります
372名無しさん@ピンキー:2014/01/05(日) 02:30:56.50 ID:renNZAs2
似合わない異性装でも良いのかな?
例えば、運動会の借り物競争、だとか、親戚のお姉ちゃんにオモチャにされている、みたいな話。
373名無しさん@ピンキー:2014/01/05(日) 19:59:20.17 ID:GqLZ7ZCj
寧ろ凄く好物です・・汗(←精液臭い)
374名無しさん@ピンキー:2014/01/05(日) 23:37:39.33 ID:FTQKAwBR
メモ書き程度で良いらしいので書きますね

・古い 習慣が残っている家庭ではお正月とか御盆などに親戚が集まりますよね?
多分、従兄姉だとか、従姉兄の子ども達とか集まると思うんですね。
・そうなると従兄姉同士で年齢が親子以上に離れていて、従兄姉の子どもが、従妹弟よりも年上だとか、あるとおもうのですよ。

・お母さんたちとかが子ども達の服やオモチャなどを交換する事もあると思うんですが
子ども達の中でも、服とかぬいぐるみだとか、木と紙とプラスティック板などで玩具を作れる人とか、いると思うんですね。
・誰が見てもオジサンとかオジイちゃんなのに、年下の女の子たちから、どんなに嫌がっても 人数で負けて
女の子たちが作った男の人の寸法で作った女の子服とか肌着やアクセサリなどで着せ替えさせられたり。
袖なしなどのシャツと肘が覆われる手袋だとか腕抜きだとか。
フトモモくらいのミニスカートやミニワンピでソックスは5本指独立で、モモ丈でとか
パジャマでなくてネグリジェだとか、
・お部屋なども
日常の着替えとか、お風呂、トイレ、などでも、年上なのに年下扱いされて、男の人なのに女の子扱いされて
寝るときも、添い寝をさせられたり、
・それも。たとえば本家と分家の都合で逃げられない。

というような話です。
375「泡沫〜うたかた〜」第一話:2014/01/09(木) 00:45:11.10 ID:QyLWGGd1
 山間の集落の日暮れは早い。
 辺り一帯の山の中でも一番高い通称『御山』の中腹に鎮座する神社の本堂。その軒下に並んで
腰掛け、静かに暮れてゆく茜色の空を手を重ね合って見つめる二つの影。
 「なぁ、やっぱり受けてみないか? 行くかどうか決めるのは後でも良いからさ?」
 真っ赤な空に目を向けたまま口を開いた少年、真人の横顔を上目遣いの申し訳なさそうな顔で
見つめながら、ごめんねと唇を動かす巫女装束の明日華。
 「真人と離れ離れになるの、本当に寂しいけど私には御山を守るお役目があるし……村の外は
やっぱり恐いよ……」
 現在、この村の小中併設校に通う児童は全部で五十人足らず。
 その中で来年に卒業を迎える真人と同い年なのは明日華一人だけ。
 物心がついた頃には二人は一緒だった。一緒に野山を駆けまわって川で泳いで勉強して気付いた
時には互いを唯一の存在と認め、そろそろ幼馴染みという曖昧な距離感を卒業しようと真人が村の
外への進学に誘った時、二人の時間は終わってしまったのだ。

 この村は御山の白大蛇様の御力に守られている。

 それが村の大人達、その中でも特に絶大な発言力を持つ年配層の口癖である。
 曰く、この神社の更に奥にある村唯一の水源には古くから白い大蛇が住み水を通して村全体に
神通力をもたらしている。故に村の水を飲んでいる村人は病気とは無縁だし田畑は毎年のように
豊作だし、川の魚が尽きることも無いというのが彼らの言い分である。
 そして明日華は村の地主神である白大蛇を祭り崇める神社の次女。蛇神としては風変わりな
白大蛇は御山を男子禁制と定めていると古くから伝えられているため、母や姉と共に明日華は
村中の期待を背負い、幼い頃から祭事にも積極的に関わっている。
  「俺と一緒でも……恐いのか……」
 だからこそ、真人は明日華の手を引いて村の外へ出たかった。大人達の勝手な期待で明日華を
押し潰されたくなかった。広い世界で色々な物に触れて、もっと輝いて欲しかった。巫女としての
微笑みじゃなくて、幼い頃と同じ元気いっぱいの笑顔が見たかった。
 「真人じゃないよ。私が……臆病なだけだから……」
 そして明日華は外の世界で全てを失ってしまう未来が恐かった。田舎娘の自分が都会に出て、
他の女の子達と張り合えるわけがない。真人の事が好きで、信じているからこそ万が一にでも
他の少女の洗練された輝きに目を奪われたり心が揺れてしまったりする瞬間を目の当たりに
してしまったら、とても耐えられそうにない。
 なら、いっそのこと離れ離れになることを自ら選び、手が届かないから仕方ないと自分に
言い訳しながら白大蛇様に尽くすことで忘れた振りをして一生片思いのままの方が良い。

 そんな真人と明日華の姿を、木の枝に巻き付いた白い蛇が見つめていた。
376「泡沫〜うたかた〜」第一話:2014/01/09(木) 00:47:39.32 ID:QyLWGGd1
 「決めたぞ、おぬしじゃ!!」
 そんな幻聴に驚き、机に向かったまま寝てしまっていた真人は椅子から転げ落ちそうに
なりながら目を覚ました。
 「って夢かよ……」
 あれから何度か誘っても明日華は首を縦に振ってはくれないが、だからと言って簡単に
は諦められない。幼い頃から時間をかけて温めてきた初恋は、もう切り離すことの出来ない
真人の心の一部。
 「……やっぱり明日華以外なんて考えらないって!」
 それを再確認した真人の受験への意気込みは少し変わった。
 もちろん明日華への説得はギリギリで続けるつもりだが、もし最後まで折れてくれなかった
としても真人は一人ででも都会の学校に合格して村を出る決意を固めた。
 そして高校でも一生懸命に勉強して立派な社会人を目指して、明日華を幸せに出来るだけの
生活力を手に入れてから迎えに戻ってプロポーズする。
 それを村を離れる時に伝え、待っていて欲しいと頼むつもりなのだ。
 「って、その為に気合い入れて寝落ちとか本末転倒だよなぁ」
 少し根を詰めすぎたか、などと考えながら側で充電しているスマートフォンで時間を確認
しようと伸ばした右腕の肘が何かに当たり、重そうな音と共に机から落としてしまった。
 「………………蛇?」
 寝ぼけ眼のまま拾い上げてみると、それは見覚えの無い置物だった。長さというか高さは
30センチ弱くらい、太さは真人自身の親指と同じくらいの木製の蛇の彫り物。鎌首を
持ち上げているというかコブラが威嚇している時のようなポーズで直立しているが形自体は
普通の蛇。手に持ってみると、先程の落下音ほどの重さは感じないが。
 「誰のイタズラだよ、これ?」
 というより、この村で蛇の置物と言うことは受験への縁起担ぎだろうか? だとすると
両親か祖母がこっそり差し入れてくれたのかも知れない。
 そんな事を暢気に考えながら明くる朝も普段通りに学校に向かい、真面目に授業を受け
放課後のスケジュールを組み立てながら帰宅した真人を待ち受けていたのは悲痛な顔の
父と母と祖母と、明日華の姉と、


 『人身御供』


 という時代錯誤な迷信だった。
377「泡沫〜うたかた〜」第一話:2014/01/09(木) 00:50:16.88 ID:QyLWGGd1
 「どうしてっ! ねぇどうしてなのっ!?」
 制服のまま半狂乱で駆け込んできた明日華は、当事者である真人が驚いて言葉を失って
しまうほど憤り大人達に食って掛かっていった。
 「お、落ち着いて明日華ちゃん」
 そう真人の母が宥めようとしても、
 「おばさん達こそ、なんでそんな簡単に認めちゃってるの! 真人だよ、真人がいなく
なっちゃうのなんて嫌でしょ! 絶対におかしいもん!!」
 怒りの余り、明日華の口調が幼い頃と同じ強気な物に戻っている。
 「いい加減にしなさい明日華!」
 「それにお姉ちゃんはお姉ちゃんで何なの、その格好! 祭事の時しか着ない千早まで
引っ張り出して威圧して、真人を苛めて心は痛まないの? 真人が可愛くないの? もう、
みんな信じられないよっ!!」
 「お、おい明日華……」
 「絶対に認めないっ、認めないんだからっ!!」
 幼馴染みの怒りが激しい余り、なんだか怒るに怒れず冷静さを取り戻してしまった真人の
頭を胸に抱きしめ、普段は恥ずかしがって見せない八重歯を犬歯のように尖らせて大人達を
威嚇する明日華。
 「もう誰にも、真人には指一本触れさせ……」
 「我が儘も大概にしなさい、明日華!!」
 「っ!?」
 まさに鶴の一声。
 村内の序列最高位に位置する一人。男子禁制の御山を守る神社の現宮司である自分の
母が玄関から飛ばした一喝には、流石に明日華も言い返せない。悔しそうに目で訴えながら
渋々真人の頭を解放し、代わりに手を握りながら大人しく口を噤み真人の横に正座する。
 「娘の粗相、代わってお詫び申し上げます」
 挨拶代わりに頭を下げた明日華の母を恭しく迎え、上座を勧める真人の両親と祖母。
 宮司の参上により、ようやく場が落ち着きを取り戻した。


 「先ず真人君に確認したいのだけれど、これは昨日まで無かった物なのですね?」
 煎れ直したお茶が揃い、一同が話を聞ける状態にまで戻った事を確認した明日華の母が
宮司の顔で巫女装束の懐から件の木彫りの蛇を取り出す。
 「は、はい……」
 「そして今朝、目が覚めると枕元に置いてあった?」
 正確には机の上だが、机に向かったまま寝ていたわけだから枕元と言っても良いだろうと
考え素直に頷く真人。
 「いつ、誰が置いていったのか見ましたか? あるいは誰かが部屋に入って、これを
置いて去る音を聞きましたか?」
378「泡沫〜うたかた〜」第一話:2014/01/09(木) 00:52:08.79 ID:QyLWGGd1
 「いえ、誰も見ていませんし音も聞いていないと思います。けど……」
 「けど?」
 「たぶん夢だと思うんですけど、子供っぽい声で『決めたぞ』みたいな言葉を聞いたような
聞かなかったような……」
 真人の言葉に両親と祖母は顔を見合わせ、宮司は眉を曇らせ、明日華は握る手に力を込め
ながら悲しそうに瞳を揺らす。
 「そうなると、もう疑う余地はなさそうですね」辛そうに溜息をつく宮司「もう陽菜から
聞いているとは思いますが、宮司として改めて断言します」
 「うぅ……」情けない声を漏らす明日華。
 「この蛇は白大蛇様からの賜り物で、白大蛇様が真人君をご所望なさっているという白羽の矢
に間違いない……と私は考えます」
 反論も疑問もなく、明日華が駆け込んでくる前と同じ重苦しい空気が一同の背中に多い被さり
口を封じてしまう。
 「しょ、所望って……」
 「真人君のご家族ではないことは確認済みですし、この村で蛇の置物を悪戯に使うような
不信心者などありえません。その上で誰も姿を見てなく音も聞いておらずとなると、夢の中の
御言葉が白大蛇様のお告げと考える他にないでしょう」
 そんな非科学的な! と真人が反射的に言い返さなかったのは幼い頃から白大蛇の伝承を
繰り返し聞かされ、大人達は聞く耳を持たないだろうという確信があったからだ。
 また、明日華の親や姉に悪う印象を持たれたくないという思いも少なからず存在したのかも
知れない。
 「別に真人君を縛って沈めるとか、そういうことをする訳じゃないのよ?」そんな真人の
顔色を見て胸の内を悟ったのか誤解したのか。慌てて言い添える明日華の姉、陽菜「まだ
詳しくは教えてあげられないけど、真人君には自分の足で歩いて一人で白大蛇様の泉まで行って
もらうだけだから」
 「俺が? 自分で歩いて、ですか?」
 予想外の内容に、思わず真顔で聞き返してしまう真人。
 「神社の奥から川に沿って道があるので、それを遡って行けば辿り着けます」
 「そうなんですか。それで、白大蛇様の泉に着いた後は……?」
 「嫌だったら断っても良いんだよ真人!」
 村の水源である白大蛇の泉は神域とされ、普段は立ち入ることを禁じられている。
 人身御供という言葉に不吉な物を感じていた真人が拍子抜けするほど簡単っぽい儀式の
内容と、村の水源に興味を示した途端に明日華が割り込んできた。
 「あ、明日華……?」
 「私だって調べたもん! 白大蛇様の賜り物を頂いた後でも、それを無効にする方法が
あるんだよね、お姉ちゃん? お母さん!?」
 「え、ええ……」
 「あることは、あるけど……」
 「あるんですか?」
 これまた意外な事実を知って身を乗り出してしまう真人。
379「泡沫〜うたかた〜」第一話:2014/01/09(木) 00:53:58.65 ID:QyLWGGd1
 「白大蛇様の賜り物を頂戴したとしても、村を捨て全ての縁を切ってしまうと決めれば
生涯村と関わりを持たない代わりに儀式を辞退できます」
 そう説明する宮司の声色には、僅かながら不満そうな色が漏れ出している。
 「それ以外の方法はないんですか?」
 村との関わりを一切合切絶つと言うことは、村に戻れなくなるどころか村人と交わ
ることも出来なくなる。明日華を迎えに戻る未来も消失してしまうのだ。
 それだけは絶対に選べない。
 「あと一つだけ、白大蛇様は清い者以外を御身に近づけないとされています。です
から誰かと契りを結んでしまうと資格を失ってしまうとされています……が……」
 「ちち、契りって……!」
 ありたいていに言ってしまうとセックスの事である。
 「白大蛇様から賜り物を頂いたって事は、真人君はまだ誰とも経験してないんだと思うの。
だけど将来一緒になるって約束してる子がいるんだったら今からでも間に合うよ?」
 妹の様子をチラチラ横目で伺いながら真人の顔を見つめてくる陽菜。
 そうやら真人の片想いはお見通しらしい。
 「真人! あのね、真人の為だったら私……」
 「どっちも無理です!」
 心臓に杭を打ち込まれたような痛みを覚えながらも幼馴染みの少女を遮る真人。真人が
人身御供から逃れるためなら明日華は全てを許してくれそうな気がするが、それで明日華と
繋がることが出来たとしても、それは真人の本意とは少し違う。
 きちんと想いを伝えて受け止めてもらい、明日華を一生涯守り切れる男として全ての人が
認めてくれた上で、体を重ねたその先も覚悟して抱きたいのだ。
 二人で絆を育む前に、祭事を言い訳にして初めてを奪ってしまうなんて言語道断だ。
 「……真人……」
 「ごめん」
 そして誰も口に出さない最終手段。
 駆け落ちという名の逃避行は考えるのに値しないとさえ真人は決めている。
 明日華の為にも、堂々と娶る以外の選択肢は初めから存在していのだ。
 「俺、白大蛇様の泉に行きます。そして戻って来ます!」

 だが、まだ真人は何も知らなかった。
 明日華が身を張ってまで思いとどまらせようとする理由。
 大人達が言葉を濁し、全てを語ろうとしない訳。
 男子禁制である自分の神域に、白大蛇自らが真人という少年を招く真意。
 そして一同が囲むテーブルの上に鎮座して真人を見つめる木彫りの蛇の本当の意味も。

 こうして五十余年の時を経て古の儀式が再び幕を上げた。
380名無しさん@ピンキー:2014/01/09(木) 00:59:52.35 ID:QyLWGGd1
田舎、風習、伝承……
いかにも! な感じでプロローグです。

もちろん女装もありますけど、最終的には○○とか○○○○とか○○○○なんかの特殊性癖連発を予定してます。
いやな予感がしたら速攻でスルーした方が良い人もいるかも?w
381名無しさん@ピンキー:2014/01/09(木) 03:52:16.14 ID:QNwncTEy
好んでスレ開いてるのにイヤな予感な訳があるか
期待させてもらうぜ
382名無しさん@ピンキー:2014/01/09(木) 17:54:56.45 ID:KT0dps1U
しえーん
383名無しさん@ピンキー:2014/01/09(木) 17:55:11.82 ID:Jld83S2A
もう裸で毛布被って18時間くらい立ってるのですが
384名無しさん@ピンキー:2014/01/09(木) 22:05:51.70 ID:t3lvXY5i
期待保守
385名無しさん@ピンキー:2014/01/10(金) 21:32:44.32 ID:NWN576MD
荒ぶる保守
386名無しさん@ピンキー:2014/01/13(月) 03:25:06.03 ID:XB+IGtWU
新年ネタでなにか書こうと思ったのに、風邪でぶっ倒れてなんもできんかった
387名無しさん@ピンキー:2014/01/13(月) 12:24:33.64 ID:Aho8YfrP
新年早々ためてた妄想を書きなぐってやろうと思ったが長くなりすぎそうでワロタ
388名無しさん@ピンキー:2014/01/13(月) 17:25:55.91 ID:UhGuB9gX
>>387
問題ない。
続けたまえ
389名無しさん@ピンキー:2014/01/13(月) 22:52:40.91 ID:/ybBtyZ/
三連休のうちに仕上げようと思ったが無理だった・・・
390名無しさん@ピンキー:2014/01/14(火) 00:08:26.72 ID:CTJCstTo
>>387
長文でも冗長でもいいのよ?

>>389
平日でもいいのよ?
391名無しさん@ピンキー:2014/01/14(火) 00:35:22.55 ID:idCfczGn
自分で悩まないで書いてしまえばいいのだ
書きもしないくせに文句言うやつには言わせておけばよい
392名無しさん@ピンキー:2014/01/17(金) 00:04:58.57 ID:BfPe0RgZ
過疎ってんなぁ・・・
393名無しさん@ピンキー:2014/01/17(金) 12:34:32.71 ID:tyrgDhiL
>>391
激しく同意
それと440kb超えてるし、次に投下する人は注意してくれ
394 忍法帖【Lv=2,xxxP】(1+0:8) 名無しさん:2014/01/17(金) 16:23:08.00 ID:2oEmrllf
500KBで打ち止め、480KB超えで簡単DAT落ち
今446なんでおそらく、あと30KBくらいで次スレ立て ですか?

1投稿最大で1020文字くらいで、3KBくらい使いますので
取りあえず、10から15投稿くらいで様子を見ないとダメなんですね?
395 忍法帖【Lv=2,xxxP】(2+0:8) 名無しさん:2014/01/17(金) 16:25:57.26 ID:2oEmrllf
おっと。私はこのスレではスレ立て出来ない様だ。
!ninja が P で xxxPt になってない。
396 忍法帖【Lv=29,xxxPT】(1+0:8) :2014/01/17(金) 21:10:36.77 ID:ViMfnw25
てす
397名無しさん@ピンキー:2014/01/18(土) 10:25:14.98 ID:vAWABYaI
昨日は痴漢を受けた後にトイレに連れ込まれた
女装を見抜かれて抵抗出来なかった
去り際に連絡先を聞かされた
痴漢は近くの病院のPSW、つまりはケースワーカーの人だった

私は17歳 少し精神の病も有る
それも恐らく見抜かれてた

あいつら悪魔は人の心の闇をつつく
弱みや負い目につけいるのだ

私はこれからどれだけあの人に吐静させられるのだろう
中学時代の悪夢が蘇る どれだけ飲精させられるのだろう
上のお口 下のお口で いつになるとこの地獄から抜け出れるのだろう

放課後毎日暴力教師に無理矢理犯されてた
あの頃に

私の身体は眠れない
常に悪魔を引き寄せる

私には彼らを引き寄せるなにかがある
そういう性の淫靡な匂いのようなものがあるのだろう

そして私もどこかでこの運命を受け入れてる・・

性の快楽地獄を・・
398 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(2+0:8) :2014/01/18(土) 23:14:24.50 ID:mgHml7DJ
前スレ
女装SS総合スレ 第10話
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1390053263/
399 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(3+0:8) :2014/01/18(土) 23:16:19.99 ID:mgHml7DJ
【既存の女装関連スレ】

強制女装少年エネマ調教 ネオ×7
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1255107219/

ニューハーフ・シーメールでエロパロ6
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1336219403/

↑のシチュに該当するSSはこちらのスレでお願いします。



【隣接ジャンル】
女にお尻を犯される男の子8
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1287824025/

強制女性化小説ない?Part47
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1346641476/

男装少女萌え【11】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1296266561/

【女体化】TS系小説総合スレ【男体化】8話目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1338195162/

立場だけの交換・変化6交換目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1352137904/

男の娘でエロパロ!
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1272566973/
400 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(4+0:8) :2014/01/18(土) 23:20:39.40 ID:mgHml7DJ
誤爆しすぎてすいません。

10たてました
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1390053263/
401JUJI ◆fllo3klFTL5x :2014/01/19(日) 17:21:50.42 ID:mHdHJTG1
てす
402 忍法帖【Lv=14,xxxPT】(1+0:8) :2014/01/19(日) 17:25:50.45 ID:z6a4gWwt
test
403埋めネタ:2014/01/19(日) 20:55:31.12 ID:z6a4gWwt
  最近、私の親が再婚しました。
  それと同時に、一人っ子だった私に可愛い妹ができました。
  小柄で、目がパッチリしていて、髪はショートだけどサラサラで、しかもツンデレで……。
  きっとこれは、ふしだらな親の代わりに神様がくれたプレゼントです。
  今日は幸いにも日曜日。しかも、邪魔っ気な両親は昨日からお出かけしているので二人っきりです。
  姉としても、今日は精一杯かわいがってあげないとね。

***

  午前7時。休日は何故か平日より、何故か朝の目覚めがいいです。
  背をグーッと伸ばし、ベッドから身を起こすと真っ先に洗面台へと向かいます。
  歯を磨き、顔を洗い、そして髪のお手入れをします。
  時間を気にしなくて良い分、丁寧に手入れが出来るところがいいですね。
  最近は、髪がようやくセミロングまでの長さまで伸びて、髪のお手入れも楽しくなってきました。
  両親は「早く切れ」と五月蠅いですが……ショートが好みなのでしょうか?

  洗面台への用事が済むと、部屋へと戻りお化粧と着替えです。
  お化粧は、厚ぼったいメイクは嫌いなのでナチュラルメイクを施します。
  初めての頃はずいぶん苦労しましたが、今では慣れたモノです。
  もちろん、妹にもしてあげているのですが……あまりお化粧は好きじゃ無いみたいです。
  後は着替え……ですが、これが一番悩みます。あーでもない、こーでもないと悩みまくりです。
  結局、袖の長いボーダー柄のTシャツと、タイツを履いた上にショートパンツという、
404埋めネタ:2014/01/19(日) 20:56:46.05 ID:z6a4gWwt
  どちらかというと、動きやすさを優先したような服装になりました。
  だって、今日は妹と出かける可能性が大きいですからね。

  そんなこんなしていたら、午前8時半になっていました。
  私は、着替えるとキッチンに向かい朝食の準備をします。
  メニューは、定番ですがハムエッグとトーストした食パンです。
  後は、妹が起きるのを待つだけ……ですが、いくら待っても降りてきません。
  仕方なく、妹を起に部屋へと向かいました。

  午前9時。まだ起きてきそうも無いお寝坊さんな妹を仕方なく起こしにきました。
  ホント、私がいないと何も出来ないんだから……でも、そこが可愛いんだけどね。
  私は妹の部屋をノックします。
 「アキちゃん、まだ寝ているの? もう9時よ」
  そう言っても起きてくる気配はありません。まだ寝てるのでしょうね。
  私は、少しため息をついて部屋に入ります。
  見ると……やはり、ベッドの上で可愛い寝息を立てていました。 
 「アキちゃん、起きて。日曜日だからっていつまでも寝てないの」
  何とか起こそうと、アキちゃんの体を揺らします。
 「う……うぅん……眠いんだよ……起こすなよ……」
  寝惚け眼の目をこすり、私の存在を確認します。
  起きると思いきや、恨みがましい視線を向けられた挙げ句、私に背を向けました。
  ……ちょっとイラッときました。
  私は体をガシッと掴むと、強引にこちら側へと向けさせます。
  アキちゃんは、何のことかと驚き可愛い瞳をパッチリと開けて、私を見つめていました。
  何も言わず、ジッと睨み付けます。そうすると、アキちゃんの綺麗な唇がプルプルと震えだしました。
405埋めネタ:2014/01/19(日) 21:00:06.16 ID:z6a4gWwt
 「わ、わかった。起きるからそう睨むなよ……」
  アキちゃんは目をそらし「はぁ」と気怠くため息を吐くと、布団から身体を起こそうとします。
  しかし、そうはさせません。いや、最初はそうさせるつもりだったんですが……予定は変更です。
  私は、アキちゃんの肩を強く掴むとベッドに押さえ込みます。
  その突拍子も無い行動に、軽くパニックになってるようです。
  いつものような憎まれ口をたたけず、困惑した表情を浮かべて黙ってます。
  ただ……相変わらず震えていることだけは解ります。臆病な子ですね。
  私はニッと怪しげな笑みを浮かべると、何も言わず妹の唇を奪いました。
 「!? んっ……んんぅ……!!」
  舌を使ってキュッと閉じているアキちゃんの唇をこじ開けて、私の舌を侵入させます。
  ……はぁ、妹の唾液ってなんでこんなに美味しいんでしょうか。
  見ると、目をギュッとつむりながら首を横に振ってます。ツンデレってやつですね。
  そんな妹をお構いなしに、私はじっくりと朝のキスを楽しみます。
 「んっ……はぁ……んぅ……あにぃ……や、やらぁ……」
  アキちゃんが顔を赤くしつつ恨みがましい視線を向けながら、私に何か言ってきます。
  やらぁ? お姉ちゃん、そんな言葉知りません。それに「あにぃ」って何ですか? 英語?
 「んふ……かわひぃ子……」
  私も釣られてよくわからない言葉を使ってしましました。姉としてちょっと失格です。
  ピチャピチャと、時にはジュルジュルと何ともイヤらしい音が妹の部屋に響き渡ります。
  3分ぐらいたったでしょうか。十分に堪能した私は、満足げに唇を離しました。
  ツーッと、私とアキちゃんの間に出来た透明な液体が線を描いてアキちゃんの唇へと落ちていきます。
  その本人はというと……あらら、目がトロンと蕩けています。それに、どこか息も荒い気がします。
406埋めネタ:2014/01/19(日) 21:02:04.70 ID:z6a4gWwt
 「はぁ、はぁ……んっ。朝から何するんだよ、馬鹿兄! このホモっ! 変態!」
  妹は一息つくと、私を押しのけて身を起こし、一気に罵倒の言葉を投げつけます。
  兄貴?? 私は姉ですが……。あとホモじゃないですよ。レズかもしれませんが。
  というか、そんな汚い言葉どこで覚えたんでしょう……お姉ちゃん不安です。
  ともかく、年上に向かってこういうのはいけないですね。
  本位ではありませんが、躾も大事です。
 「!?」
  私は妹の胸ぐらを掴むと、一気に自分の顔へと引き寄せます。
 「お姉ちゃん……でしょ? 兄貴って……なぁに?」
  私は冷めた目で、アキちゃんの可愛いお顔をジッと見つめます。
  さっきの威勢はどこへやら。
  アキちゃんの表情は見る見るうちに怯えた表情へと変わっていき、縮こまって答えようとしません。
 「……答えて」
  私は、もう一度聞き直しました。
  すると、アキちゃんは可愛いお口を開き、涙を目にためて小さな声を何とか絞り出して言いました。
 「ぁ……おれ……あたしの言い間違いです……おねえちゃん……ごめんなさい」
  何か聞き慣れない一人称が聞こえた気がしますが……まぁ、良いでしょう。
  それにしても、泣きそうな顔も可愛い。しかし、躾は躾。
  ここで許しては、また汚い言葉を使う悪い子になっちゃいます。
  私は心を鬼にして、表情一つ変えずに躾を続けます。
 「あとね……ホモとか、レズとか、変態とか、そんな言葉は使ったらいけないでしょ。
  今日は許してあげるけど、今度そんな言葉使ったら……」
  私は、アキちゃんの胸ぐらを掴んでいる手を、少しギュッと力を入れました。
  すると、アキちゃんは少し苦しそうな表情を浮かべました。
 「……許しませんからね」
407埋めネタ:2014/01/19(日) 21:04:02.05 ID:z6a4gWwt
  私は、出せるだけ一杯のドスのきいた声を出してアキちゃんを叱りました。
  正直、こんな声は出したくないです。出しづらいですし。でも、仕方ありません。
  そのおかげもあってか、アキちゃんはコクコクと壊れた人形のように首を立てに振ります。
  わかってくれたようです。私は、パッと表情を明るくすると、ゆっくりと手を離します。
  アキちゃんは苦しかったのか、少し咳き込んでいます。
 「ごめんね、きついことして。でも、これもアキちゃんが良い子になるための躾なの。解ってね」
  相変わらず泣きそうな顔をしながら、コクコクと頷きます。
  そんなアキちゃんが愛らしくて、つい頭を撫で撫でしてしまいます。
 「よしよし、えらいえらい。それじゃあ、着替えてキッチンにいらっしゃい。もう朝食できてるから」
  私はベッドから降りると、部屋からでようと……おっと、伝え忘れたことがありました。
 「言って置くけど……また、男の子みたいな服着たらお説教ですからね。
  ……前に買ってあげたワンピース着てくれたら、お姉ちゃんとっても嬉しいんだけどな」
  ちょっと期待を込めつつ、そんなことを言い残しアキちゃんの部屋を後にしました。
  
  さて、今日はどんな楽しい一日になるのかしら♪
 
  『おしまい』
408名無しさん@ピンキー:2014/01/19(日) 21:50:05.96 ID:I16Xp3FR
455 あと44 で打ち止め

とね?
>>403-407 って
お姉ちゃん(男の娘)は良いとして妹さんはもともと妹さん(男の娘)ですの?
それとも、今までは男の子で、調教されているの?
409名無しさん@ピンキー:2014/01/19(日) 22:44:57.05 ID:z6a4gWwt
見返したら、やっぱ誤字脱字とかあるな…すんません。

>>408
>それとも、今までは男の子で、調教されているの?
そう考えてもらえれば良いです。
解りづらくてすいません。
410 ◆fYihcWFZ.c :2014/01/19(日) 23:26:36.34 ID:VAXJkgWr
長らく放置しており申し訳ありません。
まとめwikiのほうを更新させていただきました。>>398さんスレたてどもです。

新しい作者様も増えて嬉しい限り……といいつつ以前の作者様の復活かもと自分の
作者同定スキルの乏しさに悩んでみたり。
「これは俺の作品だ」というかたは言っていただけるとありがたいです。
411名無しさん@ピンキー:2014/01/20(月) 13:26:02.02 ID:RsBEVIgG
>>409
誤字脱字は、話が面白いから、気にしません私は。
だけど
最後に弟の独り言を付け加える。とかで、兄が姉ぶって、弟さんを妹扱いしてるのがわかる気がしますが?

しかし兄さんが今一つお姉ちゃんになりきれていないですね
多分、
>胸ぐらを掴む
のではなくて
両肩に手を強く載せて引き寄せる

とか

>出せるだけ一杯のドスのきいた声
ではなく
両目に涙を浮かべて、涙声で
とか
作り笑顔(背中には鬼のオーラ)で抑揚無く耽々と
みたいな感じになると思うのに?
412名無しさん@ピンキー:2014/01/20(月) 15:43:09.12 ID:uVAtSbwi
わーいw僕の書いたのがまとめに載ったじょうwww
413シゾのお薬:2014/01/22(水) 06:55:53.01 ID:8vwt8PZH
吐き気がする
今日も病院の多目的トイレであの男に吐精させられた

男「また、飲ませてねw」「またその格好で来るんだよ」

私は女子高の制服のような格好をしてる
コスプレだが値段は恐らく本当の女子高生が
着てる制服より良い物だ
最近は街で女子高生を見ても疲れたおばさんにしか見えない
弛んだ身体に手入れの悪い安っぽい制服
ニキビやソバカス 顔も洗ってないような不衛生さ 凄く臭そうだ

・・・やっぱり私の精神疾患は悪化してるようだ・・・

男はPSW 精神科のケースワーカーだ 男は言う
「ちゃんと薬飲むんだよ?w 僕の体液もだけど、抗精神病薬もね?ww」
「君は頭がおかしいんだw ちゃんと飲まないと狂うよwwww」
「あと食事制限ねww ちゃんとその細い体型を維持するんだよwww」

男にプリーツスカート内側に手を入れられ性器を扱かれ
射精させられる スカートの裏地を体液で汚してしまう
そしてその後は男の精液を飲む これが毎日何度も続く

私は地獄だ でもやはり私はこの地獄を心のどこかで喜んでる 受け入れてる
諦観?諦め? 私は今までの人生で抵抗しないで生きる事を学んだ
そのほうが心地良いのだ 抵抗は攻撃を招く 更なる攻撃を だからこれで良いのだ
私は幸せだ


作者談 余りに酷くてすみません
414シゾのお薬:2014/01/22(水) 07:02:10.25 ID:8vwt8PZH
男の出す物を飲んだり、私の出す物を飲まれたり
便器に出さされたり、スカートの内側や後ろ側を私の出すものや
男の出す物で汚されたり・・
出す物とは精液の事だ 周囲にばれないように気を使う
やはり匂いが凄く臭く気になるのだ
415名無しさん@ピンキー:2014/01/22(水) 23:38:47.45 ID:es9jJzbL
>>397の続きということでよろしいか?
416名無しさん@ピンキー:2014/01/23(木) 11:55:11.85 ID:ZCJR5QXL
そうです すみません
417名無しさん@ピンキー:2014/01/24(金) 12:57:39.40 ID:Vz0Sm1EB
やっぱ俺のようなクソみたいなssはこのスレでは書いてはいけない
申し訳有りませんでした
418名無しさん@ピンキー:2014/01/24(金) 20:54:25.06 ID:ttXySJG7
何、卑下してますの?
誰も悪くは言ってませんわ。
何回か投稿なされば良くなると思います。保証は有りませんが。
419名無しさん@ピンキー:2014/01/24(金) 21:24:14.29 ID:ttXySJG7
459になりました
あと40ほどです。

埋めるために雑学

日本では認められない場合が多いですが、国や地域により政府や自治区の戸籍などが『女、以外、男』の表記になっています。

日本人では、1万人に5〜8人が、生まれたときから、股関の見た目が男だけど、他の、遺伝子や体内の作りが女の皆さんがいらっしゃると言われています。

医学的には遺伝子の組み合わせの確率的に1000人に1人程度が、女なのに外観が男になるらしいです。

その、1000人〜2000人に1人を大事にする国と、女装だとか男の娘など、男にしてしまう日本。
ある意味、未開発国家日本。
日本は、もっと、先進国になる必要が有ると思います。
男の娘や女装男子がいないのが恥ずかしい国になることを期待します。
420名無しさん@ピンキー:2014/01/24(金) 21:34:40.87 ID:M34vJaxm
そういう症状と男の娘・女装をごっちゃにするお前の方が恥
421 ◆fYihcWFZ.c :2014/01/25(土) 08:59:16.72 ID:ov+qToF7
「シゾのお薬」がシリーズタイトルなのか章タイトルか不明でしたので、とりあえずシリーズタイトル扱いで
登録しなおしました。ダークでズブズブはまっていきそうな感覚がいい感じです。

>>417
どっちの作者さんか(それともスレ誤爆か)特定不能ですが、なかなかいい感じだと思うんですけどね。
続きを読みたいです。
422名無しさん@ピンキー:2014/01/25(土) 17:14:04.61 ID:bzDnkYwP
性自認が完全に女である人が自分の格好を女装とのたまうのは(自虐を除いて)ない気がする
それはあくまで日常の格好であって、特殊な衣装でも趣味でもないんだから
創作上ではGID設定であろうがなかろうが「女装」に括れてしまうからややこしいけどね

「性別に囚われるのが恥ずかしい国」という意味ならその通りかな
ちょうど次スレにアキちゃんと玲央さんが来てたので長文書いてしまったスマソ
423名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:31:43.84 ID:uXHcJa1X
>>357の続き
途中で容量使い切ったらごめん
424名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:32:18.53 ID:uXHcJa1X
 待ち合わせ場所に現れた黒塗りの乗用車。
 その後部座席に目隠しで乗せられ数十分揺られ、着いた場所は何処かの豪邸の一室らしいキング
サイズのベッドが鎮座ましましている大きな寝室。

 「どこから見ても女の子なんだけど、これが男の娘ってのもなのしかしら?」
 「姉様の言う通りだわ。どうやってセックスするのか凄く楽しみね!」

 そして、育ちの良さそうな双子の幼女が目を期待に輝かせながらベッドと反対側の隅から
啓介とトモを見つめている。
 「こ、これって?」
 「あるんだよねぇ、こういうパターンも……」
 「パターン……って?」
 今ひとつ状況が飲み込めず狼狽える啓介は前回と同じツインテールの制服姿。
 「要するにぃ、けーちゃんとアタシがセックスするトコ見せろってコト。アタシが恥ずいカッコで
オナニーしたりアナニーしたりすんのをガン見すんのが一番興奮するってお客さんも時々いるし、
こういう仕事もタマに来るんだよねぇ……」
 そしてトモは相変わらずの臍出しルックにデニムの超ミニスカート。
 「あなにー?」
 「おちんちんじゃなくて、お尻の穴だけで気持ち良くなるオナニーのこと。指とかバイブとか
使うのがセオリーなんだけど、今度詳しく教えてあげるから一緒にしよっか?」
 「う、うん……」

 「ねぇねぇ、あなたたち男の子なんでしょ? だったら早くおちんちん見せなさいよ!」
 「そうよそうよ! 父様のしか見たことないんだもの、早く見たいわ見たいわ!」
 高級そうなソファの上。全く同じドレスを着て仲良く並んで座る幼い観客達は、前のめりになり
ながら興奮を隠そうともせず先を急かしてくる。

 「う、うぅ……」
 そんな遠慮の欠片も無い視線を浴びせられ思わず怯んでしまう啓介。
 「けーちゃん、脱ぐの初めてだもんね。大丈夫?」そんな様子に気付いたトモ「そうだ、この前事務所の
お風呂で扱きっこした時みたいにベロチューしようよ! してる間に脱がしたげるから!」
 「えっ!?」
 初仕事の帰り、興奮に流されディープキスをしながら下半身だけ裸になって愛撫し合った記憶が蘇る。
 「あれ、すごく気持ち良かったでしょ? でしょ?」
 「よ、良かったけど……」
 互いの舌や口中を舐めながら扱き合い、熱い精液を相手の性器に浴びせたり浴びせられたりしながら
手も下半身も白濁液でドロドロになるまで求め合う初めての性交は確かに気持ち良かった。
 「だったら良いじゃん! どうせシなきゃ駄目なんだし、だったらウザいガキなんか無視の方向で
二人で楽しもうよ、ね?」
425名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:33:34.78 ID:uXHcJa1X
 「なに内緒話してるのよ! 早く見せなさいよー!」
 「早く早く−!!」

 「うっさいっての、もうっ!」バタバタと足を動かして不満を露わにする幼女達には聞こえないように
舌打ちするトモ「けーちゃん、来て?」
 「はうっ!」
 ぺろり、と小さな舌先を覗かせながら少し恥ずかしそうに目を閉じるトモは本当に愛らしい。
 引き寄せられる様に自分も舌を伸ばしながら、淡いルージュを引いたトモの唇に自分の唇を優しく重ねて
吐息を流し込む啓介。
 「はむん」
 「けーひゃん、んちゅぅぅぅ……」
 
 「うわっ、あれキスなの!?」
 「あんなにお口を開いて……もごもご動いて……私が知ってるキスと全然違うの!」

 温かさと柔らかさで想いを確かめ合うピュアなキスとは違う。
 またアダルトビデオのように『これ見よがし』に舌を見せつけながら舐め合うヴィジュアルだけの
キスとも明らかに異なる深い口付け。
 接吻の先にあるリアルな口内愛撫。密着した口の中で互いの吐息を混ぜ合い、舌を絡めて唾液を
撹拌させる疑似性交。その快感を知ったばかりの啓介の喉を通して鼻の中までトモの淫靡な香り
が広がり他の全てが次第にぼやけてくる。
 「んふふふっ」
 そんな啓介が自分の色香に没頭してきた頃合いを見計らい、快楽のいなし方を知っているトモは
情欲で濡れた薄目で笑みを作りながら啓介のスカートをブラインドタッチで外しにかかる。
 もちろん、その間も巧みに舌を動かしながら。
 「!」
 ふわり、と脱皮のようにスカートが落ち、続けて両サイドの蝶々結びを解かれた女性用の薄い下着が
花弁みたいに捲れて散る。そして全ての覆いを失った下半身を常温の空気で撫で回される感触で、
啓介は夢見心地から引き戻され、慌てて舌を引き抜く。
 「あ、こら! 逃げちゃダメだってばー!」
 「だ、だって急にパンツまで……」
 「うふふっ。キスで『おっき』しちゃったおちんちん、丸見えって感じ?」
 「あ……やんっ!?」
 「固ぁい、熱ぅい!」
 左手で生尻を抱き寄せつつ、右手で包んだ勃起を余り皮で優しく擦るトモ。
 勝手知ったる絶妙の焦らし加減で先走りを絞られ、更に硬度を増す啓介。
426名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:34:48.69 ID:uXHcJa1X
 すっかり蚊帳の外状態の双子だが、その疎外感を上回る衝撃的な光景の連続に魅入られ釘付けに
されながら生唾を飲み込んで女装少年達の性の行方を凝視している。

 「ほほ、ほんとに男の子じゃない!」
 「おちんちん、すごいわ!」

 「けーちゃん、気持ちいいよね?」
 「う、うん! うんっ!!」
 首から上のあちこちを啄まれながら丁寧に扱かれ、ぷるぷる震えながら頷く啓介。上半身は女装の
まま、フェザー過ぎるタッチのもどかしさに時折腰を揺らしてもしまうほどに感じている姿は男性
として成熟する前の細身と相俟って、勃起さえ見なければ快楽に翻弄される女子中学生と見間違えて
しまうほどに可憐だ。
 「でも射精はだまダメだかんね? アタシのことも気持ち良くしてよぉ?」
 「と、トモのこと……気持ち良く……」
 「そ。今度は、けーちゃんがしてくれる番」愛撫していた手を啓介の肩の上に乗せて僅かに力を
込めるトモ「脱がして、ね?」
 「う、うん……」
 促されるまま、キスと手淫の余韻でフワフワと雲の上を歩いているような表情で跪いて膝立ちに
なる啓介。そうして目の前に来たデニムのスカートの不自然な膨らみに熱い息を吹きかけながらベルトを
外す。
 「けーちゃん、まだスカートの脱がし方とか慣れてないしパンツも一緒に思いっきり下ろしちゃって
良いからね。アタシもおちんちん苦しいから早く出して欲しいもん」
 「トモの……おちんちん……」
 「けーちゃんの所為だよ? けーちゃんとのキスも、けーちゃんのおちんちんをシコシコも気持ち
良すぎるのが全部悪いんだからね? 責任とって、アタシのおちんちんも良くしてくれないと許さない
んだから!」
 「ボクの……所為……」
 この一週間ほどの間の様々な体験で、啓介の中でトモの幼い包茎は性的興奮の対象として刷り込まれ
ている。それこそ最も身近な自慰の対象にしてしまうほど。
 そんなトモが自分に興奮して厚手のスカートを持ち上げている様を見て我慢出来るはずもない。
 自分でも信じられない程の焦燥に駆られ、啓介は力任せにトモのスカートを下着ごとズリ下ろす。
427名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:35:23.89 ID:uXHcJa1X
 「トモっ!」
 そして少女の様に細いウエストに抱きつきトモのペニスを丸ごと頬張った。
 これが初めてのフェラチオとは思えないほど一気に、貪欲に。
 「け、けーちゃんっ!?」
 予想外の奉仕を受け、普段は余裕綽々のトモさえも仰天した。

 「え? ちょっと! 食べちゃったの? 男の子なのにおちんちん食べちゃったの!?」
 「だってオシッコ出るところでしょ? 汚いところでしょ? なんでなんでなんでっ!?」

  (いまは女の子だもん! だから可愛いおちんちん舐めたくなるのは普通なんだもん!)
 啓介自身の持ち物より二回りは小さくて皮を被ったままの真っ白な陰茎は本当に愛らしい。
 さっきまでのディープキス勢いで根元まで含んで舌を絡めると、独特の臭気と味が口一杯に
広がる。
 (少ししょっぱいけど全然平気! トモの……ちっちゃいのに芯があってトクトクして
温かくてプニプニで……舐めるとピクピクするのが可愛いっ!!)
 「けーちゃん、激し……あうぅぅっ!」
 口をすぼめて思いっきり吸い上げると面白いくらいに感じて可愛い声を聞かせてくれる。経験豊富な
はずのトモを喘がせていると思うと嫌悪感が遠のき、自分の勃起まで疼きだす。
 (先っぽから苦いのがいっぱい出て……もっと感じさせたい!)
 快楽の証である粘液を更に味わいたくなり、唇で締め付け絞り出すように頭を前後に振る啓介。
 「う、ううっ……うぅぅっっ!」
 たまらず両手で唇を覆い、涙目で快楽の嗚咽を漏らしながら自分の股間に吸い付くツインテールを
見下ろすトモ。仕事モードになると自動的にスイッチが入り興奮気味だったところに前戯のディープ
キスでペニスもアヌスも今すぐ使えるほどに出来上がっていたのだ。
 その状態で不意打ちの丸呑みフェラで愛され、精巣が大人しくしている訳がない。たちまち収縮して
竿の根元に最初の砲弾を無理矢理詰め込んでしまう。
 「けーちゃ……出るぅ! 出ちゃうっ、出ちゃうよっ、精液出ちゃうからぁっ!!」
 啓介はまだ直腸で精液を味わったことのない処女だ。初めてのフェラチオで口内射精は余りにキツ
すぎると頭では理解している一方、他の誰かに汚される前に欲望の証で啓介の口の中を満たして自分の
物に出来る魅力にも逆らい難い。
 結果、トモは引く抜くことも押し込むことも出来ず膝を振るわせながら警告の言葉を発するだけ。
 生娘のようにとオロオロと快感に流されるままになってしまう。
 「じゅぽっ、じゅぽっ、じゅぽっ!!」
 「もうダメ! お口の中に射精しちゃ……う……っ!」
 「じゅるるるるるっ!!」
 「あひぃぃぃぃん!!!」
428名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:37:01.64 ID:uXHcJa1X
 びくびく、と痙攣で啓介の口の中に押し込みながら決壊させてしまうトモ。いやいやと
頭を振っても、一度始まってしまった射精は止められない。
 「うぐっ!?」
 幼い尿道から新鮮な子種が次々と放出され啓介の口を満たしてゆく。

 「え? なに? あれなにしてるの?」
 「射精だわ、きっと射精してるのよ! おちんちんから白い液がいっぱい出てるのよ!」
 「お、お口の中に? だってオシッコと同じ所から出るんでしょ? 平気なの?」
 「わ、わかんないけど……ああっ!」
 「ほ、ほっぺが動いて……喉もゴクゴクって……」
 「飲んでるわ飲んでるのよ! 射精をゴクゴクしてるんだわ!」
 「あ、あんな……すごい吸って……うそ……!」

 (平気だもん! トモのだったら平気なんだから!)
 初めて味わう新鮮な精液はお世辞にも美味しいとは言えなかった。
 だがトモを射精に導いたという喜びがと、フェラを完遂したいという思いが啓介の喉を動かし
殆ど固形状の粘液を吸引力で無理矢理体内に取り込まさせていた。
 更に、
 (トモの精液は全部ボクの物! あんな子達になんか見せてやらない!!)
 不可解な意地というか独占欲が後押しもしていた。最初こそ驚いたものの、トモの可愛らしい
睾丸の大きさに似合った量の射精であれば喉に浴びない限りは何とかなる。やや苦しいながらも
ペースを掴んだ啓介は積極的に吸い付いてトモを独り占めする。
 (もっと……もっと出して! 気持ち良くなった証拠、全部ちょうだい!)
 「あう……う……うぅっ!」
 吸引されながらの放出ほど気持ちが良い射精はない。頬をすぼめ喉を律動させるツインテールを
涙目で見下ろしながらトモは最後の一滴まで快感の中で放つことが出来た。
 「ちゅう……ちゅうぅ……」
 「け、けーちゃん? あの……終わったよ? もう出ないんだけど……けーちゃん?」
 「ちゅうちゅう……ちゅう……」
 が、ウットリと吸い付いた啓介が離してくれない。射精を終え少しだけ柔らかくなったトモの
包茎を一心に吸い続けている。
 「そ、そんなに美味しそうな顔されたら、アタシまた大っきく……あ!」
 そんな啓介が、口腔性交の興奮と精液の味でパンパンになった勃起を自分の手で慰めているのに
気付いてしまったトモ。。
429名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:38:35.04 ID:uXHcJa1X
 「け、けーちゃん! そんなのダメぇぇっ!!」
 「ひゃんっ!?」
 ちゅぽん、と水っぽい音と共に口の中のご馳走を取り上げられたと思った次の瞬間に啓介は
ベッドの上に押し倒され組み敷かれていた。
 「あれ? あれ? トモんんんんんっ!?」
 そして開いた唇をトモの口で即座に塞がれてた。
 「けーひゃん……」
 すかさず侵入してきたヌルヌルの触手。トモは啓介の口に唾液を流し込みながら隅から隅まで
舐め回し、頬の内側から歯の裏までこびり付いた自分の精液を綺麗に舐め取ってゆく。
 
 「ちょ、ちょっと! あの子、自分のおちんちん食べた口にキスしてるわ!」
 「それに……射精したお口の中を舐めて……やだ、飲んだの!?」
 「うそうそうそっ!」
 「信じられない信じられないっ!!」

 「と、トモ……」
 「ふふふふ〜ん」啓介の唾液と自分の精液の混じった特製ブレンドの粘液を吸い上げて迷わず
嚥下したトモ。得意の小悪魔スマイルを浮かべながら満足そうに舌舐めずり「アタシが居てるっ
てのに自分でシコシコなんて絶対許さないんだからね、けーちゃん? 今度はアタシがカチカチ
のおちんちんと熱いザーメン美味しく頂いちゃう番なんだから!」
 マウントポジションを取ったコギャル女装少年。模範的な着こなしで制服を纏う大人しそうな
ツインテール女装少年の勃起を片手で独占しながら大股開きになり、疼きっぱなしの肛門へと
先端を誘う。
 「あ……!」
 「ほらほら? ほぉ〜ら?」
 互いの熱を感じるほどに近づき合った射精器と受精器。興奮で荒くなったトモの呼吸に合わせる
ようにクパクパと開閉を繰り返す菊門から漏れた粘液が、とろりと垂れて啓介の真っ赤な先端に
絡みつく。
 「熱……っ!」
 「その顔、やっぱりゾクゾク来ちゃうって感じ!」
430名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:40:40.84 ID:nAN5Noad
 「トモも、すごくエッチな顔で……はうっ!?」
 トモが腰を下ろすと先端が僅かに沈み込む。吸い付くようなトモの入り口の熱と、血の通った
粘膜同士が密着する独特の心地よさで啓介が震える。
 「それにぃ、おちんちんトクトクしてて固ぁい! けーちゃんのお汁でアタシのお尻の穴が
ヌルヌルになっちゃてるよぉ?」
 「うぅぅ……」
 くちゅり、と鬼頭の半分程までが飲み込まれ締め付けられる。経験豊富なトモの括約筋は啓介を
柔らかく迎え入れて強烈に絞る。

 「……いま、お尻の穴って……」
 「ほほほほ、ほんとにお尻の穴でセックスしちゃうの!?」
 「お尻の穴なのに……」
 「きゃ! どんどん入っていってるわ!!」
 
 「ああん! けーちゃん可愛すぎてお尻の穴ジンジンするぅ!、もっとイジワルしたいのに、
アタシもう我慢出来ないよぉ!」
 射精の余韻で疼く性感帯を啓介で広げてしまったトモ。拡張される気持ちよさに辛抱できなく
なり一気に挿入し、自分も勃起させる。
 「ひゃぅぅぅぅぅ〜!!」
 そして騎乗位で根元まで飲み込まれた啓介も少女の様な声で喘ぐ。それでも精一杯の意地で
射精だけは何とか堪えたが。
 (いま射精しちゃったらトモの中で小さくなっちゃうかも知れない!)
 トモなら射精した啓介を腸内に入れたまま、何も言わず笑顔でもう一度大きくさせてくれるかも
知れない。だが挿入だけで漏らしてしまうなんて男の沽券が許さない。
 「んんんんん〜〜〜〜〜っ!!」
 と思ったらトモの方が潮を吹いていた。プルプルと震えながら間歇泉のようにカウパーを撒き
散らせて啓介を締め付けている様子は、初体験の時の絶頂と全く同じに見える。
 「と、トモ……?」
 跨がったトモが痙攣して動けないお陰で、啓介の波が次第に引いてゆく。
 「け、けーちゃ……アタシ、入れただけで……イッ……かも……っ!」
431名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:41:42.08 ID:nAN5Noad
 持て余すほどの快感に頬を染め半泣き顔のトモは少女そのもの。
 「トモっ!」
 そんな顔を見せられてジッとしていられる訳がない。射精が遠のき硬度と興奮を維持したまま
体の自由を取り戻した啓介は、繋がったままトモを押し倒して細い足を力任せにVの字状に持ち
上げ開いて体ごとペニスを突き込んだ。
 「あひぃん!?」
 たまらず少女みたいな悲鳴を上げるトモ。
 
 「「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」」

 横の方で別の悲鳴が上がったような気もするが、もう眼中には入らない。キュウキュウと痙攣で
愛撫するトモの直腸内を欲望に任せて蹂躙する啓介。
 「そ、そんなっ! アタシがけーちゃんを食べようって思っ……ああん強いよぉ!!」
 そんなことを言いながらも瞬く間にリズムを合わせ、攻める啓介を受け入れてしまうトモ。次第に
ペースを取り戻してきたらしい入り口が啓介の出入りと同じタイミングで強弱を切り替える。
 「あひっ、あひっ、あひぃん!」
 そして自分で自分の内太股を抱え、啓介の顔色を伺いながら嬌声を上げる。
 「ま、またトモのペースに……うぅっ!」
 「だって、けーちゃんのおちんちんピチピチで美味しいんだもん! ちゃんと味わって食べ
ないと勿体ないっていうか……あはん! ヤバイくらいイイっ!!」
 「トモの中も柔らかくて吸い付いてきて……引っ張り込まれそうっ!」
 膣内と違って腸に行き止まりは無い。極端な体格差さえなければ受け入れる側が望むだけ飲み
込んで頬張ることが出来る。
 そして今、トモは限界まで足を開いて体を揺すって啓介に食い付いている。
 「けーちゃん、すっごい奥まで来て……お腹の中グチョグチョぉっ!!」
 奥まで受け入れれば受け入れるだけ、ストロークが長くなり擦られる快感も増す。また体の最深部
まで侵入される恐怖感もトモにとっては至上のスパイスだ。串刺しにされ犯されていると思うだけで
他の全てがどうでも良いことに思えてくる。
432名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:42:26.30 ID:nAN5Noad
 一方の啓介も、初めての時と同じように女装少年の内臓に夢中になっていた。もう啓介の中では
トモは『トモ』という特別の個体であり性別を超越した存在だった。
 「トモっ! トモっ!!」
 「けーちゃんの……アタシの中で膨らんでるよっ! もう出ちゃうのっ? おちんちんから
熱いのドピュドピュ出ちゃうのっ? 全部出ちゃいそうなのっ!?」
 「うんっ、うんっ!!」
 「いいよいいよイイよっ! いっぱい出してどんどん出してっ! お腹パンパンになるまで
一番奥に出してぇっ!!」
 情欲で潤んだ目で懇願され、啓介の射精感が一気に膨張する。さっき押し戻した分に再充填された
分まで上乗せして、トモの体内で一気に解き放つ。
 「出るぅっ!!」
 「ひぐぅぅぅぅ〜〜〜〜っ!?」
 直腸粘膜に灼熱を浴び全身の筋肉を硬直させる女装少年。グイグイと腰を押し付けながら射精を
続けると、華奢なトモが白魚の様に飛び跳ねて悦んでくれる。
 啓介はトモの内臓に自分の証を擦り込むよう腰を打ち付け亀頭で精液を塗りつけながら、最後の
一滴まで全部トモの中に注ぎ込んだ。

 「……セックスって、すごいの……」
 「姉様の言ってた通りなの。男の子同士でも気持ちいいのね」
 「それに、すっごく幸せそうなの……」
 「おちんちんはないけど……お尻の穴なら……なんかムズムズするし」
 「私も……後で姉様に教えてもらうの……」

 「あんっ! 急に抜いたらお尻の穴が……すぐに戻らないから漏れちゃうって!」
 「ごめん。でも気持ちいいのが残ってる間にキスしたくて……」
 「あははっ! それ、アタシもぉ〜!」
 熱いほど火照った唇同士を重ね合うと、トモの甘い香りが頭の中まで染みこんできた。
433名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 20:46:06.99 ID:nAN5Noad
終わり
これで480kbくらいかな?
434名無しさん@ピンキー:2014/01/30(木) 22:09:53.34 ID:NRYqrvmj
478kbですね、GJでした
こんな濃厚なデリへルを幼女に見せるなんてとんでもない家だw
435名無しさん@ピンキー:2014/01/31(金) 03:17:04.18 ID:gKPC0hZQ
これ、>>357までと>>424からは違う日の話なのかな?
436名無しさん@ピンキー:2014/01/31(金) 22:27:29.76 ID:02M5i9Gy
>>435
説明不足というか書き方が悪かったかな?
別の日のエピソードだよ
437名無しさん@ピンキー:2014/01/31(金) 22:28:50.96 ID:02M5i9Gy
おっとageちまったスマソ
438名無しさん@ピンキー:2014/02/01(土) 02:42:29.50 ID:33MkSIi3
メモ帳か何かに357と424をコピペして続けて読んでみ?
439 ◆fYihcWFZ.c :2014/02/01(土) 12:21:09.12 ID:XMJDzG6H
まとめwikiに掲載終わりました。

エッチの描写が上手いのが羨ましいです……
440432:2014/02/01(土) 22:27:49.93 ID:asdIExnD
>>438
更新お疲れ様です

>エッチの描写が上手いのが羨ましいです……

プロの受け売り文体ですし、エロ以外はスカスカですけどねw
むしろ日常を難なく書ける方が羨ましいです
441名無しさん@ピンキー:2014/02/10(月) 23:39:27.34 ID:yAPdGLuI
otu!
442 忍法帖【Lv=2,xxxP】(1+0:8) さん@ぴんきー:2014/03/03(月) 11:00:48.93 ID:cEaXkcyW
480 KB って事はあと 大体20KB書き込めるのでしょう?
何か短編とか書ける人いませんか?

最近の、小学生中学生向け週刊マンガ雑誌に
女装少年や特に女装していないのに必ず女の子に間違えられる男の子が出てくる事が増えたと感じます
現実の女の子が男の子みたいになってきている反動なのかな?
443ゆりかのエロ臭い?匂い:2014/03/04(火) 14:24:01.87 ID:p4wIKGnM
今日も純女の彼女で幼馴染の「ゆりか」にトイレで精液を飲んで貰う。
私が女装娘だとは、誰も知らない。
女子校だが、別のクラスのゆりかとは休憩時間は何時もトイレで落ち合う。
一番奥の個室で毎回、陰茎から飲んで貰ってる。
一日に何回もだ。生まれつき何回も出さないと駄目な身体なのだ。
幼稚園の時から手伝って貰ってる。お互いの親さえ知らない秘密だ。
ゆりかの体臭が何故か甘くエロ臭くて、有名なのはそのせいだ。
私たち以外は、誰も何故ゆりかが何時もそんな魅力的な
フェロモンと匂いの持ち主なのかは知らない。
その事で二人はいつも話題にして笑ってるのだ。
私の精液のお陰だと。これまで物凄い量の精液を
飲んできたからだと。
444ゆりかのエロ臭い?匂い:2014/03/04(火) 14:40:25.16 ID:p4wIKGnM
陰茎から→イラマで
445名無しさん@ピンキー:2014/03/04(火) 21:03:17.96 ID:Bmqr9xH9
第二次性徴もへったくれもないな
446名無しさん@ピンキー:2014/03/07(金) 15:56:33.34 ID:Rkqg3Xp1
せやな。雑だな。すまんかった。
3分で書き上げるとこーなるな。
二度とかかんわ
447名無しさん@ピンキー:2014/03/07(金) 21:35:00.17 ID:aw7jXPtn
雑なのは別に問題じゃないが、幼稚園から射精してたというのはどう考えてもおかしいだろ。
448名無しさん@ピンキー:2014/03/07(金) 21:48:39.72 ID:0eoseBsk
女の子で4歳くらいで出産した実話があったと思うが?
男の子でも何かの条件で出来ると妄想しても良いのでは?
449名無しさん@ピンキー:2014/03/08(土) 00:07:19.06 ID:u4ibls0A
幼稚園児から射精て…おさるさんかな?
450名無しさん@ピンキー:2014/03/08(土) 01:01:57.23 ID:epi+z9pI
エロ「パロ」板なんだから、良いSSさえ読めればぶっとび設定の1つや2つ気にせんさ
それを言うならふたなりやらTSやらの方が遥かにぶっとんでるしな
451名無しさん@ピンキー:2014/03/09(日) 08:58:41.49 ID:aniS4oSn
そうか?
ふたなりやTSよりも幼稚園児が射精ってほうが気になるよ…
452名無しさん@ピンキー:2014/03/19(水) 23:58:41.63 ID:6SFZ2p3c
テキストファイルだと10kbほどなんだが、
途中で埋まったらゴメン
453名無しさん@ピンキー:2014/03/20(木) 00:01:22.04 ID:oWgW9xu+
 美心(みこと)にとって小学生時代は黒歴史の連続以外の何物でも無かった。
 確かに親の真心は感じる名命名だが、紛らわしい上に美心自身の外観が中性的美形だった所為で
女子にも気軽に話しかけられたり良く誘われたり、それが気に食わない男子に女子トイレに無理矢理
押し込まれたり、劇で女装させられたり遠足の度に男子にハブられて女子に拾われたり体育の時間に
女子の前で下半身を丸出しにされたりと碌な思い出が残っていない。
 そして毎回毎回、純粋な厚意から女子達に励まされたり慰められたのが地味に痛かった。

 それもこれも……
 「みこちゃ〜ん、ちょっと良いかな?」
 ……ファッションデザイナーの母親の所為だと言っても過言じゃ無い。
 恐らく悪気と言うか悪意はないのだと思いたいが、幼い頃から美心に新作の女児服を着せては
写真をバシバシ撮って資料と称して保存したり、モデル代が安く済むからと言って美心を会社や
スタジオに引っ張っていって女装させたりと迷惑千万な所行に枚挙の暇がない。
 おぞましくて開く気さえ起きないが、きっとアルバムは女装で溢れているに違いない。
 「いやだよ! ボクは手が離」
 「モデルの子が怪我しちゃったって連絡があってね。時間が無いから久しぶりに……」
 「どうして返事を全部聞く前にノックもしないで入ってくるんだよ!?」
 「まぁ親子なんだし細かいことは気にしないから、ね?」
 「だからなんで母さんが被害者っぽい口ぶりなんだよ! ボクの部屋だよね、ここ!?」
 「……もしかして自家発電中?」
 「それ晩ご飯にニンニク尽くしをリクエストしてるって意味に受け取っても良いよね!?」
 「そうそう! それなんだけど、今日は遅くなるから一緒に外食ね?」
 「〜〜〜〜っ!!」
 糠に釘というか暖簾に腕押しと言うか、この母親に口で勝てる気が全くしない美心。
 あと中学生の息子を捕まえて「みこちゃん」もいい加減止めて欲しい。
 「でね? 今日は……」
 「だから何も引き受けてないし! 引き受ける気も無いし!!」
454名無しさん@ピンキー:2014/03/20(木) 00:02:43.17 ID:oWgW9xu+
 これ以上の黒歴史の積み重ねに耐えきれなくなった美心は必死に努力した。
 まず小学校時代を知っている旧友との綺麗さっぱり断ち切るために私立の進学系の中学を目指して
一生懸命勉強して、精神面を鍛えて男ら縁をしい体格を得るために近所の道場で剣道を習い、毎回四桁は
下らなかったアルバイト代の誘惑も断腸の思いで振り切り母の要望を全て断ってきたのだ。

 もっとも進学校については、その過酷な競争社会の片鱗に触れただけで撤回したが。

 「でもね、みこちゃん……」
 「でもも何も無いから! もう女の子の格好なんてしないから!!」
 「どうしても駄目? バイト代弾むわよ?」
 「お、お金の問題じゃ無いから! ボクは男らしくなるって決めたから!」
 「……そうなんだ、そこまで言うなら母さんも諦めるけど、実を言うと今日は佐倉未亜ちゃんと
一緒の撮え」
 「ほんとにっ!?」


 と言う訳で、
 「あらあら、みこちゃん久しぶり! 大っきくなっても綺麗よねぇ!」
 「……どうも」
 憧れのアイドル、佐倉未亜との接近遭遇に釣られて引き受けてしまった。
 「落ち着け落ち着け、よく考えるんだボク。未亜ちゃんは超可愛い女の子なんだ。そんなアイドルに生で
会って営業外で話が出来たり手とか握ったり直筆のサインも貰えたりするかも知れないチャンスのために
多少の理不尽も覚悟するのは男としては間違ってない筈なんだ。いや、むしろ男らしいと言っても過言じゃ
ないかも知れないじゃないか!」
 女の子に化けて、という前提は敢えて無視しつつ必死に自分を騙そうと呟き続ける美心。
 「あぁ……なるほどぉ。おタケさんも情け容赦ないわよねぇ相変わらず」
 おタケさん、というのは業界での母の愛称らしい。
 鏡に映るメイク中の自分と、小学校の頃に色々と世話になった母の同僚のメイクアップアーティストの
苦笑も見えないふりで美心はひたすら自己弁護に努める。
 「ボク、男らしくなりましたよね?」
 「…………………えっと………………」
 「……すいません無茶振りだったら無理に合わせてくれなくても構いませんけど……」
 そうでもしないと些細な事で折れてしまいそうだのは自分でも薄々気付いては居るが。
 「…………あ、あれよね? みこちゃんが目指してる男らしさとは少し違うかも知れないけど、
女装でもイケちゃう男の人って何処かしらセクシーな部分があるのよね。ほら歌舞伎の女形の人とか
野性味はないかも知れないけど洗練された美しさって言うか、そこはかとなく上品でダンディな
雰囲気とかあるでしょう?」
 「……そ、そう言えば……」
 「そういう男性って、下手に油臭い男よりも女の子にモテたりするものなのよ? 男らしさって
言っても最終的に判断するのは他人なんだし、みこちゃんの資質を上手く生かして女の子に認めて
貰える男らしさを追求するって言うのもアリじゃないかしら? それに女の子の格好して女の子の
気持ちを理解すればそれだけ気配りが出来る素敵な男性にもなれると思うし?」
 「……そ、そう言われればそんな気も……そう、そうですよね!」
 プロというモノは、いろんな意味でプロだった。
455名無しさん@ピンキー:2014/03/20(木) 00:05:17.33 ID:oWgW9xu+
 そうして体よく騙され……もとい励まされて復活した美心は意気揚々と胸を張り、母がデザイン
したらしい夏物のワンピースドレス姿でグラビア撮影のためスタジオ入りした。
 「へぇ、あなたがおタケさんの娘さん?」
 「背も高いし姿勢も良いし、こんな可愛い子を隠してるなんておタケさんも人が悪いよなぁ」
 「新作なのに着負けしてないですね。普段から着こなしてて慣れてるのかな?」
 「新顔だって聞いてたけど、これなら大丈夫だよね?」
 「撮影にも慣れてるっぽいし、むしろ助かったって感じ?」
 「……どうも」
 他のモデル……と言うより人気アイドルの佐倉未亜のスケジュールに穴を開けないための代打として
スムーズに受け入れて貰えるよう、娘という触れ込みで参加している美心は精一杯の笑顔で周囲の賞賛の
声に応じる。が、女として絶賛され内心またも心が折れそうな気分だ。

 しかし……
 「おはようございまーす!」
 背後から聞こえた可愛い声で美心のテンションは一瞬で回復した。
 「未亜ちゃん!」
 「佐倉未亜です。よろしくおねがいしまーすっ!」
 少し目尻の上がった大きな瞳と柔らかそうに広がったショートカット、明るく笑う度に顔を覗かせる
愛らしい八重歯がチャームポイントの新鋭アイドル佐倉未亜。活発過ぎて『好奇心の塊が服を着て
歩いてる』と揶揄される程にエネルギッシュで、常に瞳を動かし面白そうな物を見つけるとキラキラと
目を輝かせ食い付くが、ひとたび話を振られれば年相応の明るい笑顔で無難に受け答えする彼女は実は
美心と同じ中学生というプロフィール。
 それでいて、飛び入り新参の美心の次にスタジオ入りして周囲のスタッフ全員にバネ仕掛けのように
元気の勢いのある会釈を配りながら歩く辺り、可愛くて頭が軽いだけの御輿アイドルでは無いのではとも
噂され仕事も着実に増加中である。
 「おはようございまーす。おはようございまーすっ!」
 八重歯が見えるほどにハキハキと元気な声で挨拶を繰り返しつつ、だんだん近づいてくる未亜に
釘付けになってしまう美心の視線。黒を基調にデザインしながらも、お辞儀に会わせてフワフワ揺れて
下地が透けそうな薄くて軽そうな黒のサマードレスが良く似合っていて本当に可愛らしい。
 「おはようございまーす! おは…………あら、あなたは?」
 そうして何気ない振りで美心への挨拶を最後に持ってきた上、瞳を大きく広げながら顔を近づけ名前を
尋ねてきた未亜。
 「お、おお、大竹美心って言います! よろしくお願いしますっ!」
 未亜との接近遭遇で舞い上がりながら女の子っぽい声を出そうとして裏返ってしまった。
 「おおたけ……みこと……さん?」
456名無しさん@ピンキー:2014/03/20(木) 00:06:36.89 ID:oWgW9xu+
 「デザイナーの大竹さんの娘さんだよ。睦月ちゃんが怪我しちゃって代わりに……」
 「……大竹さんの……ふ〜ん?」
 中身が男だけあって美心の方が若干長身だ。更に一歩踏み込み、腕を伸ばせば握手が出来そうな
所まで近づいてきた未亜の真っ直ぐな視線が美心の目にロックオンされる。
 まるで観察されてるみたいだ、と感じ緊張してしまう美心。
 「……ちょっと、良いかな?」
 と未亜。
 「は、はいっ?」
 「動かないでね?」
 そのまま上半身を折ってギリギリまで顔を寄せ、その姿勢でクルリと美心の周りを一周して観察を
続ける未亜。興味津々な様子を隠そうともしない辺りは、いかにも彼女らしいが。
 「…………………」
 「……すんすん、すんすんすんすん……」
 そして最後に吐息を感じるほど首を伸ばし、目を閉じ小さな鼻をピクピクさせ美心の首筋辺りの
匂いを熱心に嗅いでから「ふ〜ん?」と意味深な瞳で首を傾げた。
 「…………………」
 一方の美心は、憧れのアイドルの髪から漂う甘い香りでノックアウト寸前である。
 「ねぇ? ミコトちゃん、って呼んで良い?」
 ぴょん、と一瞬で元の姿勢に戻った未亜は人懐っこい笑顔。
 「え、えっと?」
 「ねぇ今井さん! 未亜、ミコトちゃんとお友達になりたくなっちゃったの! ご迷惑じゃなかったら
最後に未亜とミコトちゃんのツーショットとかお願いしても良いですかぁ?」
 美心が返事をする前に、未亜の興味は写真家の方に移ってしまった。猫なで声で擦り寄りながら
美心とのツーショットを可愛らしく強請る美少女アイドル。
 「ねぇ? ねぇ? 良いでしょ良いでしょう?」
 そして、その後ろでは既に諦めたらしい未亜のマネージャーが鹿威しか水飲み鳥のようにヘコヘコ
頭を下げまくっている。
 「……いや、まぁ未亜ちゃんの都合さえ良ければ僕は構わないけど」
 「やったぁっ!」
 全身で喜びを表すように満面の笑みで飛び上がる未亜。その元気な様子にスタジオ全体が微笑まし
い空気になる。
 「え? え? ええっ!?」
 そして完全に置いてけぼり状態の美心。
 「じゃあ、まだ少し時間もあるから控え室で未亜とお話ししましょ! 携帯の番号とかメルアドとか
交換したいし聞きたいこともいっぱいあるの!」
457名無しさん@ピンキー:2014/03/20(木) 00:08:21.90 ID:oWgW9xu+
 誰も異論を唱えない所からして未亜の少々の我が儘は日常茶飯事らしいが、いくら未亜と親しく
なれるチャンスでもコレは即座には頷けない。
 「あ、あの……」
 身上を偽っている美心は迂闊に口を開くことが出来ない。相づち程度ならともかく、母との
摺り合わせもなしに余計なことを口走って正体が露見してしたりすれば美心一人の恥曝しでは
収まらないのだ。
 ましてや未亜と個人情報の交換など出来るはずもない。
 「じゃあ早く行きましょ行きましょ! 未亜、この後もお仕事いっぱいあるし時間あんまり
ないんだぁ!」
 問答無用で腕に抱きつき、肩に頬を擦り付けるように甘えてくる未亜。その上目遣いの大きな
瞳には抗いがたい魅力があるが、こればかりは無理だ。
 「で、でも……」
 「それとも……ここでバラしちゃっても良い?」
 「え? えっ? えぇっ!?」
 「じゃあ未亜、ちょっとだけ失礼しまーすっ!」
 一瞬の虚を突かれた美心、自分より背の低い未亜に引きずられるようにスタジオを後にした。
 と言うより呆気に取られている間に拉致監禁されてしまった
458名無しさん@ピンキー:2014/03/20(木) 00:09:42.52 ID:oWgW9xu+
とりあえず、ここまで
続きは後日、次スレに投下出来ると思います
459名無しさん@ピンキー:2014/03/20(木) 02:20:13.96 ID:3EuWbzhR
いいねいいね♪
460 忍法帖【Lv=2,xxxP】(1+0:8) さん@ぴんきー:2014/03/21(金) 01:54:38.59 ID:iTLrmhxv
にほい。。。。まぁ、香水でも誤魔化し切れないのかなぁ?


無粋ですが、とりあえず、493KBなんで、あと7KBくらい残ってます。
461 ◆fYihcWFZ.c :2014/03/21(金) 10:02:12.32 ID:UOU/nLgj
素敵な作品、ありがとうございます。

まとめwikiに掲載したいのですが……今度から本人の了承が必要になったんでしたっけ?
転載許可いただけましたら幸いです。

>>460
○○だから分かったとか? とか期待してみつつ。
462名無しさん@ピンキー:2014/03/22(土) 01:40:57.37 ID:pM+xAXAI
>>461
掲載は構わないっすけど、
atwikiの騒ぎって何時の間にか収束してたのか
463名無しさん@ピンキー:2014/03/22(土) 11:32:27.04 ID:JW2XKcvG
464 ◆fYihcWFZ.c :2014/03/22(土) 12:16:18.46 ID:ejI27Jc6
ありがとうございました。掲載完了しました。

atwikiは情報が出揃ってしまえば、wiki管理人のユーザIDとパスワードあたりの
情報が外部に流出しただけだったので、大変なことはなかったですね。

途中時点では、もっと上位の書き換えが可能なような煽りもあったので、一応
警戒はしておきましたが何もなくて幸いです。
465名無しさん@ピンキー:2014/03/24(月) 11:21:58.16 ID:G7jz2IXv
うめうめ
466名無しさん@ピンキー:2014/03/28(金) 05:31:59.74 ID:cpM1ZVhV
まだ埋まらんかな
467 忍法帖【Lv=14,xxxPT】(1+0:8) さん@ピンキー
あと、残り5000文字くらいかな?半角で。