341の続き書いた
ちなみに作中榎本が話題にしている事件は実際に起こったもの
深夜、テレビの画面からは明日の空模様が全国的に荒れるという予報が流れていた。
一日中仕事に追い回されて帰宅した後、重く疲れきった身体をぐったりとソファーに投げ出しながら、
青砥はしばらく何も考えずにその画面を眺めているしかなかった。
「…最悪だあ」
つい誰も聞くことのない愚痴も出てしまう。
あの日、思いがけなく榎本から告白らしき言葉を聞いてキスをされ、抱き締められたのはただの夢
だったのだろうか。
そう思ってしまうほどに、その後の進展は一切ないまま一週間が経とうとしている。
どのみち榎本の性格を考えれば簡単に恋人同士にはなれないのは分かっていたつもりだったが、
あれから何度か顔を合わせても、いつも何事もなかったような無表情だ。
「おい青砥」
つい考えごとをしていたせいか、手元が疎かになっていたらしい。纏めていた書類を取り落としそうに
なって目敏く芹沢に声をかけられた。
「あ、はい。すみません」
内心慌てながらも取り繕おうとする青砥に、訝しげな表情を浮かべた芹沢が大袈裟に首を傾げる。
これで意外に勘の鋭い上司であることをうっかり忘れそうになっていた。
「らしくないねえ、このところ凡ミス多いだろ。なんかあった?」
「いいえ何も…別に」
「そう?だったらいいけどさあ、気をつけろよ」
普段でさえ何かと茶化されるのが当たり前になっている。もし榎本との間にあるものに少しでも気付
かれたら、どんなことを言われるか分かったものではない。くらくらと目眩が起きそうになりながらも
何とか遣り過ごそうとする青砥に、全く悪気のなさそうな言葉が刺さった。
「榎本と喧嘩でもした?だったらまずいよー」
翌日の空模様は今にも泣き出しそうなほど暗く崩れ始めていた。まるで自分の心の中のようだと思い
ながらどうしても顔を見ずにはいられなくて、青砥はやはり東京総合セキュリティの例の地下室へと
向かう。
既に顔見知りになった受付嬢が笑顔の上にまたかという色を浮かべたが、わざと気付かない振りを
した。今までも今日もあくまでも所用があるから訪れただけだと必死で匂わせながら、通い慣れた
道筋を辿るのだ。
次第に周囲に人がいなくなっていくのを見計らってから、仕事用に張り詰めきった硬い表情を崩して、
はあ、と溜息をつく。
恋とは、何と愚かなものだろう。
学生時代には何も分からなかった。恋だ愛だと騒ぎ思い悩む友人たちが異次元の存在に思えるほど
昔の青砥は恋愛沙汰など無縁だった。だから付き合った相手がいないこともなかったがそれほど深く
思うほどには至らず、よって愛する相手と身体を繋ぎ合うことで生じる喜びも満足感も知らなかった。
恋に翻弄されていた友人たちを内心多少は侮蔑していたかも知れない、そんなものより学生でいる
うちなら勉学に精進するべきだと。
まるでそんな自分の高慢さに対して、今になって復讐でもされているかのようだ。まだ実るのかそう
でないかさえ判断もつかない恋に、これほど戸惑い悩んでいる。
「…あの」
「何ですか」
黙々と模型を作り続けている榎本の横顔を眺めながら、青砥はおずおずと声をかけた。しかし返って
くる言葉は相変わらず素っ気ない。依頼された事件の密室現場を再現する榎本の模型はいつも驚く
ほど精巧だ。それによって事件が目の前で起こったかのようにありありと再現される。そこまで魂を
込めているものなら横から声などかけられたくないだろう。それは分かる。
会いたくて特に用件もないのに押しかけて来るのは大人の社会人として随分非常識でもあるだろう。
それでも。
全く気のない素振りだけを返されればこの恋は無理だと諦められたかも知れない。なのにそれなりに
青砥の気持ちに応える言動をしたのは榎本の方だ。だからこそ、ここ最近の反応には納得しきれない
ものがどうしてもある。
「わ、私は榎本さんがとても好きです」
「そうですか」
「そうですかって…」
告白っぽいものもキスも、何でもなかったことのように淡々としている榎本が少しだけ憎らしくなった。
「あのっ」
腹立ち紛れに言い返そうとした青砥の前に、榎本が指を一本突き出した。
「お静かに」
その指が心の芯に深く突き立てられたように、思わず息を呑んでしまった。それほど榎本の制止には
ある種の迫力と威圧がある。
これではもう何も期待は出来ないのかも知れない。
そんな諦観に襲われ始めた頃、それまで静かな横顔だけを見せていた榎本がぼそぼそと呟いた。
「不思議なものですね、今まで僕は誰を魅了することもないごくつまらない人間だと思っていました。
なのにあなたは」
「え?」
いきなり何を言い出すのかと固まる青砥の前で、榎本はゆっくりと顔を上げて今日初めて真正面から
視線を合わせた。見たこともないほど真剣な表情に、痛いぐらい心を掴まれる。
「あなたはどうして、僕をそれほどまでに思って下さるんですか」
「そんなこと!」
言葉を返してすぐ、ここ最近の榎本の不可解な反応に全て合点がいった気がした。青砥と同じように、
彼もまた迷い戸惑っていただけなのだと。
「理屈なんかじゃないんです。ただ私にとっては榎本さんがどんな人よりも素晴らしく思えて」
「青砥さん」
「いけませんか、こういう気持ちって自分でもどうしようもないものでしょう?」
きっと真っ赤な顔をしているのだろう、顔が熱かったが思いは止まりそうもなかった。
「いいえ」
答えながら作りかけの模型から手を離した榎本は、何かを振り切るように軽く頭を振ると一歩青砥
の側に踏み寄った。
「僕もですよ、青砥さんが好きです」
「えっ」
言われたことが耳を素通りしそうになって、呆けたように目を見開いた。
「けれどご存じのように僕はとても臆病で幼稚な卑怯者ですから責任を伴うことには及び腰にならざる
を得ず、よって僕と関わろうとするのであれば幸せな行く末など期待出来ないのです。それでも」
ことん、と手にしていた家具のパーツをテーブルに置く。
「青砥さんのお気持ちは翻りませんか?」
「もちろんです!」
榎本の心の内を知ったからには、答えなど決まっていた。
「私、弁護士です。いつでも法律を味方につけられます。榎本さんと関わることで不幸になるのなら、
その程度のチャチな幸せはいりません」
気持ちを繋ごうと必死で言い募る青砥に張り詰めていたものが少し緩んだのだろうか、榎本の表情
に淡い笑みが浮かんだ。しかし一瞬だけひどく苦々しげな険が眉間に漂ったのは何故だろうか。
「…あなたらしいですね」
ゆっくりと歩を進めて距離を詰める榎本から、目が離せない。伸ばされた手が頬に触れた瞬間に身体
が竦む感覚があった。
指先がひどく熱い。
女の予感なのか、この先にきっと何かがある気がして仕方がなかった。怖いとも思えたがここから
離れられない。
見つめあったまままた間合いを詰められ、頬をさらりと撫でられた後その指先が唇に触れてくる。
あ、と反射的に目を閉じたすぐに痛いほど強く抱き締められた。
「榎本、さん…」
夢か現実か分からなくなるほどの感覚の中、もぞりと背中で蠢く手の感触があった。急に肌が泡立つ
ほどの怖気がして、思わず腕を突っぱねて身体を離した。ひたりと目を合わせる榎本の表情からは
恐怖さえ感じるほどの真剣さと共に、それまでになかったものがある。
それが紛れもない欲情だと気付いたのは、やはり女の勘というものなのか。
「わ、私、は…」
「もう、遅いですよ」
決して逃げられない。そう悟って震えている青砥の唇は何かを言い出そうとする前にすぐ塞がれた。
わずかに開いていた唇の間から差し入れられる舌が榎本らしくない乱暴さで歯列をなぞり、竦んで
動かない舌を絡め取られた。
「ン…っ」
頭の芯が麻痺したようにぼんやり熱い。身体に力が入らなくなって思わず榎本の服を掴む。
「怖いですか?」
知らないうちにやはり後ずさりしていたのか、背後の壁にもたれる形で追い詰められてしまった。耳元
に囁いて来る声がじわりと甘い。
「怖くなんか…ないです」
むしろこうなるのが望みだった筈だと、青砥は無理に笑顔を作って見せた。
「そうですか、では続けます」
完全に本気になったのか、榎本は襟元に手をかけていつもシャツの上にきっちりと締めているタイを
緩めた。もう片方の手は青砥の胸元を探るように撫でている。
「いいですね」
「…はい」
眼鏡の奥の切れ長の眼差しがすうっと細められた。密室の謎を解き明かす時と同じこの視線が自分
にも向けられていると思うだけで、鼓動が苦しいほどに高鳴る。そう、確かに今の青砥は暴かれる謎
と少しも変わらない。
ああ、謎にしか興味がなかった筈のこの人にこれほど注視されている。そう思うだけで怖さが薄れて
喜びが湧いてきた。
何度も唇を啄ばみ、そして戯れるように舌を絡ませてくる榎本の手がブラウスのボタンをゆっくりと外し、
ブラを外す勢いでブラウスもスーツの上着も一纏めに脱がせて床に落とした。何から何まで几帳面な
榎本らしくこの地下室はいつも綺麗に掃除が行き届いている。服が汚れることなど決してない。些細な
ことなどもう思い悩む必要もないのだ。
「榎本さん、嬉しい…」
剥き出しになった乳房に緩やかに這う指の感触を感じながら、青砥は何度も唇を求めた。未知のもの
だからと恐怖を抱いていたことなどもうとても遠い昔に思える。それだけ今こうしているのが幸せで
心地良い。
今度はスカートが床に落ちる。ストッキングとショーツ越しに疼き始めているそこをゆっくりと撫でられ
はっと目を見開いた。
しかし、それは初めてのことに直面する女の羞恥であって、決して恐怖などではない。この人ならと
思う相手と抱き合えるのは女として最も幸せなことだと改めて思う。
「これも、脱がしますね」
耳を舐めるように熱い声が降る。
「…これは私が…」
伝線などしたら色々と困るストッキングは青砥自ら脱いで服の上に一纏めに置いた。これでもう身に
つけているのはただ一枚きりだ。再び目を合わせ全身を眺める榎本はわずかに感嘆の気を帯びた
声を漏らす。
「青砥さんは、とても綺麗ですね」
「そんなこと…」
いつどのような時でもお世辞など言わないタイプの榎本だ、きっと100%本音だろう。気恥ずかしさを
隠しながらも青砥は微笑んで身を任せた。笑顔を見たことで意を決したのか、腹部を撫でていた手が
ショーツの中に潜り込んだ。
「ぁっ…」
決して怖くないと思っていた筈なのに、その瞬間はつい声が上がった。
「任せて、くれますね?」
怖がらせないようにしてくれているのか、手の動きは実にゆっくりだ。榎本自身もかなり昂ぶっている
には違いないのに、出来うる限り細心の気遣いを見せるのが嬉しい。
「…ンッ…もちろんです…」
榎本に経験があるのかどうかは分からない。どちらにも思えるが、それはどうでも良いことだ。ただ
生まれて初めて身を捧げるのがこの人だったことが奇跡のようで涙が零れる。
きりなく重ねていた唇が頬、顎、首筋と次第に下がっていく。空いた片方の手で乳房を弄びながらも
唇と舌先がきつく肌を吸う。
「あぅ…んっ…」
無意識に榎本の頭を抱えて喘ぎ始めるうちに今まで自分でも知らなかった高い声が上がって、頬が
熱くなった。
「可愛いですよ」
指先が確かめるようにショーツの中で蠢いていた。備わった形の通りになぞりながらクリトリスを擦る
動きだけで、勝手に身体がぴくぴく反応して浮き上がる。手で口を塞いで必死で耐えても、一度感じて
しまった快感はもう消すことなど出来なかった。
「っんっ…」
「声は、出して下さい」
子供をあやすように優しい声で榎本が瞼にキスをしてくる。もう顔は涙でぐちゃぐちゃになっている
ことだろう。これでは本格的に化粧直しをしないと外に出られそうもない。そんな無様な顔を晒して
いることを恥じる余裕などはもうなく、ただ与えられる快感に翻弄されるだけだ。
「ぁあん…榎本、さん…」
開錠と謎の解明の為にだけあるようなあの美しい指が、男としての本能を曝け出して自分の中を
いやらしく探り抉っている。考えるだけで堪らなくなってしきりに身を捩った。そのうちにとろりと何か
腿を伝い落ちるものを感じた。
「そんなに、気持ちがいいですか」
膣内を擦っていた榎本の指がずるりと引き抜かれて目の前に突き出される。何本もの指先は透明な
液にまみれててらてらと光っていた。こんなに愛液を零すほど感じていたなど、信じられない。
「…いや、意地悪…」
思わず顔を伏せた青砥の乱れかけた髪を撫でた後、最後まで辛うじて身に着けていたショーツが
引き剥がされた。今日はこれからまだ仕事があるので事務所に戻らなければならない。激情で濡ら
してしまわないようにとの配慮もあったのだろう。
「や…あまり見ないで下さい」
「そう言われると、ますます見たくなります」
遂に一糸纏わぬ姿になった青砥は、とても目を合わせていられずに視線を逸らした。謎に命がある
としたら、この人に解き明かされる時にはこんな気持ちになるのだろうか。ついそんなことを考えて
また汗ばむほど頬が熱くなる。
何もかも暴かれ、解き明かされ、全てをその目前に晒す幸福と恍惚は他の何物も引き換えになど
出来ない。一見厭世的で人を拒むこの人に望まれ求められるのは、それだけで舞い上がりそうに
なるほどの喜びだ。
「青砥さん、そろそろいきますよ」
頬を擦り合わせながら囁かれる声がじわりじわりと性感を刺激する。もう何も考えられなくなりそう
だった。
「…あ…ぁ…」
皺ひとつなくプレスされたパンツのファスナーが開かれ、中から取り出されたものは既に勢いづいて
反り返っていた。父親以外の異性のものをここまで間近で見るのは初めてで、恐怖や羞恥以上に
興味が先に出てしまった。喘ぎながらもおずおずと手を差し出す。
「触っても、いいですか?」
「ええ、どうぞ」
握らされたそれは思った以上に熱く、硬く、太くて指さえも焼けてしまうようだった。この人もやはり男
であり、こんな風に興奮しているのが面白い、そしてその情熱が今は自分に向いているのが嬉しく
誇らしい。
「熱い、ですね…」
これが本当にこれから自分の中に入るのかと思うと、愛おしくて堪らない。そろそろと撫で回し、扱く
真似事を繰り返すだけでまだ痙攣したように膨張していくのが、まるで生き物のようだ。
「んンっ…」
じっくりと指で慣らされ、濡れきったそこに先端が押し当てられた。溢れる愛液を絡めるように塗り
つつも巧みに充血して膨れ上がっているだろうクリトリスを擦って刺激してくるのが堪らない。挿入を
される前に達してしまいそうで、必死で髪を振り乱した。
「あ…早く下さい…」
「焦らしてしまいましたね、すぐに差し上げます」
震える唇に一度キスをしてから、壁に身体を押し付けた勢いで右脚を抱え上げてくる。荒々しささえ
感じる動作におののいているうちに目が眩むほどの圧迫感にすぐに襲われた。
「ぅ…っ」
さっき目にして握っていたものが徐々に侵入しようとしている。それによる破瓜の苦痛はもちろん感じ
てはいるが、それよりも愛する者と身体が繋がる喜びの方が大きい。
「きついですか」
「これぐらい、平気…です」
こちらの身体に負担をかけまいと、なるべくゆっくりと時間をかけながら挿入してくる榎本の声が耳を
焦がすようだ。見えないものも、見えるものも、みんな熱くて心まで焼き切れてしまいそうで、自分が
どうなってしまうのか分からなくなった。
やがて、遂に膣奥までを完全に犯され、目の前がちかちか発光する。一杯に満たされて身体が破裂
してしまいそうに苦しい。息も絶え絶えになりながら、それでも必死で目を合わせ続けることしか今の
青砥には出来なくなっていた。
がり、と打ちっぱなしの壁を行き場のない爪が空しく引っ掻いていく。
しばらく膣内に収まっていたそれが少し馴染みかけた頃、少しずつ榎本が腰を使い始めた。青砥を
気遣いながらも緩く突き、次第に速度を上げていく。
「や、ああっ…」
立ったままの不安定な体位で激しく揺さぶられ始めて、壁を掻いていた指が引き攣った。バランスを
崩してしまわないように榎本の首に両腕を回して激しく悶え狂う。感度が上がっているせいなのか、
突かれる度にぐちょぐちょと濡れたいやらしい音が響いた。同時に内部で互いの粘膜が擦り合わさ
れるタイミングで愛液がたらたらと溢れ落ちて腿やふくらはぎを濡らした。
正気を失いかけていることは分かっていたので、涙を流して喘ぎながら思いのたけを叫ぶ。
「榎本、さんっ…大好きっ…」
「僕もですよ、青砥さん」
何よりも幸せだった。ずっとこうしていたいと思ったがそれはもう無理そうだった。揺さぶり翻弄する
動きが獰猛とも思えるものになって、榎本にも余裕がなくなっているように見えた。
「青砥さん…」
そろそろけりをつけるつもりなのか、榎本が渾身の力で膣奥を何度も激しく叩いてきた。あまりにも
荒々しくて、限界まで高まっていた青砥は堪えきれずに達してしまった。
「あぁうっ…」
「…くっ」
一瞬遅れた榎本は何とか中で出す前に膣内からそれを引き出したが、猛り狂っているものは勢いを
止めることなく溜め込んでいたものを即座に吐き出した。青砥の胸元も腹も白濁した液でべっとりと
汚れてしまう。
「ああ、すみません。こうなるとは」
「……いえ、いいんです…」
何事も冷静な顔で完璧に遣り遂げるこの人の中にある、この確かな獣性を直に身体で感じ取れた
ことがとても嬉しかった。まだ碌に声も出ないほど息は弾んでいたが、肌の上を重くもったりと垂れ
落ちる榎本の精液を不思議と愛おしむように指で辿った。今この時間だけは紛れもなく男と女だった
のだと実感出来る証拠に思えたのだ。
「ところで青砥さんは自宅のドアには施錠の上、チェーンを掛けていますか?」
事が終わった後、隅で身支度と化粧直しを済ませて戻ってきた青砥に模型作りを再開していた榎本
が唐突にそんなことを話しかけてきた。
「え、ええ…それはもちろん。今は物騒ですからね」
「良い心掛けです」
何だこの会話は。
確かついさっきまであんなことになっていたのに、と面食らうばかりだ。まだ余韻を引きずっていた
のは自分だけだったらしい。榎本の方はやはり何もなかったかのように平然としている。目を合わ
せても顔ひとつ赤らめたりしない。
それが何となく寂しいなと思った。
そんな女心を抱える青砥の気も知らず、憎らしい恋人はこと話の内容が得意分野だからか妙に饒舌
になっていた。
「施錠に関しては、思いがけない些細なことで災難をこうむる場合もあるにはあります。昔こんな事件
が起こりました」
それまでどこか淫らな熱の籠っていたこの室内が、急にしんと冷える。
「あるタクシー運転手が車内に落ちていた鍵を拾いました。それはすぐに持ち主に戻りましたが、運転
手の男は鍵が手元にあるうちに合鍵を作り、また持ち主の住所も控えていました。しばらくして大金が
必要になった男は鍵の持ち主の家に強盗に入ることを思いつき、早速行動に移しました。しかし持ち
主は既に越していて、新たに若い新婚夫婦が入居していました。その夫婦の不幸は、ドアにきちんと
施錠をしたことで安心してチェーンを掛けていなかったことです。その為に鍵を開けた運転手は入居者
が異なることに引っ込みがつかなくなり、まず夫を刺殺してから妻に有り金を吐き出させようと嬲り殺し
にしました。既に逮捕され裁判によって死刑に処されましたが、この事件はチェーンの必要性を痛烈
に感じさせます。ちなみにその運転手が逮捕されて取り調べを受けた際、『もしドアにチェーンが掛か
っていたら中に入れず、あんなことはしなかった』と何とも身勝手な供述を残しています」
「…はあ」
元通りに着込んだスーツでも寒気を覚えるような内容に、青砥はやはりこの人にはまだ簡単について
いけそうもないと首を傾げた。いつになく饒舌が過ぎるのは照れ隠しのようなものかも知れない。が、
よりによって初めて抱き合った後でする話でもないだろう。
そこに榎本に残された幼稚性を感じて少しおかしくなった。
ただ、思いが通じたのは今後に繋がる今日の大きな成果だと気を取り直す。
ところで今の青砥の気掛かりは、あの後すぐに事務所に戻った途端に芹沢が意味有りげに首筋を
指差したことだ。もしやキスマークでも残っていたのでは、と慌てつつこっそり鏡で確認しても行為の
痕跡など何一つなかった。榎本はそんな迂闊なこともしないだろう。
もしやカマでもかけられていてうっかり乗ってしまったのではと、芹沢の狡猾さに呆れるばかりだ。
このエロオヤジが、と心の中で罵りながら、今度はいつ会いに行こうかと無表情で優しい恋人の顔を
思い浮かべた。
終
途中、連続投下と言われて書き込めなくなって焦った
512 :
名無しさん@ピンキー:2012/06/04(月) 11:06:49.22 ID:jycJ2m+R
GJです!
失礼ながら自分も書きました
513 :
彼女 1:2012/06/04(月) 11:11:58.22 ID:jycJ2m+R
芹沢と青砥は新たな密室事件が起きたため、榎本の職場である地下の備蓄倉庫に向かっていた。
地下にエレベーターつき足早に純子が駆け出す。遠くて薄暗く感じた廊下も、今はもうなんてことはない。
「芹沢さん何か今日はいい匂いがしませんか?」
二人で廊下を鼻をきかせて匂いの出所を探す。
「んー薔薇か?なんか花の匂いみたいだな。榎本も花なんて飾るんだな」
自分達が来るから飾ったのかとスキップ気味に備蓄倉庫の扉を開ける。今思えばノックなどしないでいつも入っていた。
「榎本さん?いますっっ!?……」
急に立ち止まった青砥に芹沢がぶつかる。
「おい青砥、お前急に止まんじゃな…い」
青砥が驚くのも無理ない。この陰気な部屋には似つかわしくない可愛い女性と榎本が立っている。
しかも榎本の腕にべっとりと身体をくっつけて手を握っていたのだ。
榎本が青砥と芹沢に気が付くと手を振り払う。
「今日の19時ですね。必ずお伺いしますので」
「はい。待ってますから。晩ご飯も食べてって下さいね。じゃあ私はこれで」
芹沢と青砥に深々と頭を下げると女性は部屋を出ていく。すれ違う時いい匂い。
彼女の香水の匂いだったんだ。
扉が重たい音をたてて閉まると、固まっていた芹沢と青砥が目を合わせた。
ひどく落ち込んだ顔をした青砥を見て、一瞬今の女性は誰なのか、あの絡みあわされていた腕は何なのか聞かずに流そうかとも思った。が、そんなこと出来るだろうか?いや無理だ。
贔屓目なしにしても青砥のほうが素材は可愛いと思うが、スーツの上からでも分かるあの胸、素晴らしいものがあった。
それに比べてこの青砥の女らしさのないパンツスーツ。まな板………
あ〜気になる。聞かずには今日はいられない。
「あのさ、榎本っちゃん「どうぞ。今回の事件は模型を用意しましたので」
芹沢の話を遮るように榎本が二階へ足早に上がって行った。
青砥の見ると小さくガッツポーズをして自分を励ましている。芹沢は数秒天を仰いだ。
「あのな青砥。取り敢えず座ろう。なっ?それとなく、それとな〜く聞いてやるから」
何とか冷静を装う青砥を椅子までエスコートすると芹沢も椅子に座った。
榎本が模型をセッティングしても、密室の謎を話しても、イマイチ盛り上がらない。最早二人には事件のことなどどうでもいいのだ。「…芹沢さんはどう思われますか?」
「俺?どうって…」
榎本の話など全く耳に届いてはいなかった
「どうってよう。今回の事件の話はあれだな。また今度にしよう…うん。それがいいな」
さっぱり訳の分からない榎本は事件のことをぶつぶつ呟きながら壁を向き一人で考え始める。
ちらりと青砥を見ると顎で早く聞けと催促される。
「まあ…まあ榎本にもさっ!遊ぶ女の一人や二人いるって事だよなあ?だよな〜うんうん…俺も若いころはさ〜」
自虐ネタでなんとか青砥の笑いを誘うことが出来て少し安心する。
だが、その数秒後に榎本が発した言葉でまた一段と空気が凍る。
「遊びの相手では有りませんよ」
「…」
純子の肩が一段と下がり、首をもたげていて表情など一切掴みとれない。
(榎本お前って奴は!!んだよ〜彼女いるならそう言っとけよ〜。)芹沢はまた天を仰ぐ。
「先ほどの女性はうちの従業員です。遊びの相手と言ったら失礼になりますので」
少しほっとして榎本の背中をバンバン叩く。
「何だよ安心したよ榎本。俺てっきり本命ですって言い出すのかと思っちゃったじゃないのよ」
「一応備蓄倉庫ですので芹沢さんと青砥さん以外にも人の出入りはある…それだけですよ。今後はノックをして頂けると有難いですね」
いきなり入ったのはさすがに悪かったと反省する。
516 :
彼女 4:2012/06/04(月) 11:21:44.15 ID:jycJ2m+R
「それに同僚と私用で会うのは変ですかね?芹沢さんも私用で青砥さんの家に行ったことがありましたよね?」
ゴキちゃん事件の事か。
「あれな!あったあった。な?青砥」
「はい!!……あの、榎本さんはやっぱり、先ほどの女性のお家に行くんですか?」
青砥が恐る恐る聞く。
「はい。行きます。以前からどうしても、と頼まれていたもので」
……また二人の身体が固まる芹沢はもう何度と天を仰いだろう。
「家に行くのか?」
「はい」
「一対一で?…家に?」
「はい。正確に言えばマンションです」
こりゃクロだ。真っ黒だな。俺と青砥と、榎本と巨乳ちゃんじゃ話は別だ。
青砥にはこんな鍵オタクとっとと諦めてもらおう。うんそれがいい。
榎本に近づき小さな声で男談義をはじめる。
「よく聞けよ榎本。あのな、女性が男を夜に部屋にあげるなんて、もうOKですよ!つー意味なんだよ分かるか?それにご飯作ってまってますなんてな。逆に何もしないほうが失礼ってやつだ。わかるか?」
とぼけた顔をした榎本の肩をバンバン叩く。
「私はただ、彼女が盗聴されている気がするとのことなので調査を。ただそれだけです」
「それだけ?」
「はい」
「本当に?」
「………」
517 :
彼女 5:2012/06/04(月) 11:23:52.42 ID:jycJ2m+R
呆れて言葉も出ないだけだったが、芹沢には十分過ぎる答えだった。
「しちゃうんだ…何か……こりゃダメだな。帰ろう青砥」
芹沢が席を立つ。
「え!?ちょっと待って下さい。事件のことまだ何も話してないですよ」
事件のことなどとうに頭にはないのに。
「青砥〜!お前は本当に分らず屋さんだな。別に男はアイツ一人じゃないんだから。何なら今後紹介してやるから。な?俺はもう先に帰るぞ。今日はどっぷり疲れたんだよ。解散!!」
面倒な問題が起こると早口でまくしたてる芹沢にしては、今日はよく耐えたほうだ。
それに、事件について話す気力などとうに残っていない。
「あっ明日また来るわ。明日た〜っぷり話聞くから宜しく!」
備蓄倉庫の扉が重たく閉まる音が響いて、榎本と青砥二人きりになると長い沈黙が訪れる。
こんな場面は今まで何度とあったが、今日ほど居心地が悪いと思ったことはない。
………
「芹沢さんは何か勘違いされているようでしたが、事件についてもう一度検証してみませんか?」
「あ、はい!」
やっぱりどうしてもさっきの彼女のことが気になって集中出来ない。
小型カメラを持つその手に、腕に絡みついてたなんて。勝手に溜め息が出る。
518 :
彼女 6:2012/06/04(月) 11:26:49.57 ID:jycJ2m+R
「はぁ〜……。」
「青砥さん?どうかしましたか?」
「へ?あっ!ごめんなさい。考え事してて…あの!あのですね。私も聞いてもいいですか?」
榎本がカメラを置き椅子に座る。きっと青砥が聞いてくるのは事件のことではないとわかっているからだろう。
「さっきの彼女のことなんですけど、榎本さんの本当の恋人じゃないんですよね?」
じゃないなんて、否定から聞くのが精一杯だ。
「はい。違いますよ」
青砥は胸を撫で下ろす。
「彼女には好意を持たれている。とは、他の社員から聞いています。なので私に腕を絡ませてきたりするんだと思います。」
やっぱりあの人も榎本が好きなんだ。
「え、榎本さんは、その気はないんですか?」
「ないですね………たぶんですけど」
正直すぎる答えが榎本らしい。そりゃ榎本だって男だ。あんな可愛いらしい女性の、女らしい家に行って、晩御飯食べさせてもらっちゃって、露出の多い部屋着で絡んでこようもんなら。
「そうですよね………はぁ…」
また大きな溜め息が出る。「そろそろ時間ですね。車で向かうので一緒に行きませんか?家までお送りしますよ。」
もうそんな時間?時計を見ると榎本の約束の時間まであと三十分と迫っていた。
519 :
彼女 7:2012/06/04(月) 11:29:41.34 ID:jycJ2m+R
机の上を整理し、仕事道具の入った大きな鞄といつも持っている鞄をに荷物を詰める。あと三十分したら、榎本さんは………
「……です」
「青砥さん?」
「…ゃです。嫌なんです!彼女の家に行かないで下さい!って、言ったら困りますか?行ってほしくありません。私」
榎本の上着の袖を掴むと少し引っ張っる。
「まだ分かりませんか?私……榎本さんが、好きなんですよ?ずっとずっと好きだったんです」
青砥の予期せぬ告白と、真っ直ぐな視線に、思わず目を逸らし、口を紡ぐ。
「榎本さん何か言って下さい」
「…大変申し訳ないのですが、仕事柄女性とご一緒する機会も多いもので、行くなと言われてもそれは無理な話です」
「ですよね」
捕まえていた袖から手を離す。
「では、約束の時間に遅れてしまうので。青砥さんは乗って行かれないのでしょうか?」
「はい。いいです。もう少しいます。行って下さい」
一人きりになり頭を抱える。私ってば何て事を…。
考えれば考えるほど悲しくて、考えないようにしてもまた頭に浮かぶ。人前では泣かない強い女だが、本当は泣き虫だ。
泣けるだけ泣いて、また椅子に座ったまま寝ていたようだ。
520 :
彼女 8:2012/06/04(月) 11:32:51.78 ID:jycJ2m+R
上体を起こすと両手を広げ伸びをする。
「え!?榎本さん?えっ?」
斜め向かいの定位置で鍵を弄くっている榎本と目が合った。
「帰ってきてたんですか?」
「はい」
変わりない様子の榎本に少しほっとする。
「もう終わったんですか?ありましたか?盗聴器」
「たぶん…有りませんね。それに盗聴器ではありません。電磁波盗聴です。電磁波盗聴またはテンペストと言い、パソコン及びその周辺機器から発する「知ってます!この前私のパソコンを見て頂いたときに聞きました!」
防犯と鍵の話になるとは、止まらなくなる榎本を落ち着かせるのにも慣れたものだ。
「盗聴については、部屋に行っていないのでわかりません。」
行っていない?
「彼女家の前に着いてすぐ、芹沢さんから電話が入ったんです。」
「えっ?芹沢さんから?」
「はい。部屋の鍵をなくして入れない。今すぐ来てくれ。お前が付け替えた鍵だからお前が開けろ。女の家には代わりのものを行かせればいい。と、のことでした」
青砥は机に頭を付けて何度も謝った。
「芹沢さん酔ってたんですか。本当にすみません。でも芹沢さん、大丈夫だったんですか?」
521 :
彼女 9:2012/06/04(月) 11:37:42.78 ID:jycJ2m+R
「はい。芹沢さんの家に着いたときには見つかっていたようで部屋の中にいました」
「良かったですね。でも本当にすみませんでした」
芹沢はわざと鍵をなくしたと言い出した事くらい榎本でもわかっていた。
それに気付かず本気で芹沢を心配して、申し訳なさそうに小さくなる青砥に頬が弛む。
「そんな電話がなくてもすぐに帰って来るつもりだったんですよ。青砥さんにあそこまで言わせておいて…すみません」
青砥にとってあれが人生で初めての告白だったのだ。思い出しただけで…顔を両手で覆い頭を抱える。
「先ほど青砥さんに言われた事ですが…」
「はっ、はい!」
抱え混んでいた頭を起こし、深呼吸する。こんなに緊張してるのは弁護士の合格発表の時以来かも知れない。
「私も、青砥さんに好意を抱いていましたよ。ずっと。
…ただ所詮住む世界が違う方だと思っていましたので。彼女の所に行ってほしくないと言われた時も、冷たく返してしまいました。すみません。あのあとずっと考えといたんです。
青砥さんに悪い事をしている。早く帰らなければとそちらばかり気になってしまって、盗聴どころでは有りませんでした。芹沢さんの電話で正直ほっとしました。
522 :
彼女 10:2012/06/04(月) 11:39:46.46 ID:jycJ2m+R
芹沢さん、とても青砥さんのことを心配していました。それと、とても怒られました。全く気付かずに本当に傷付けてしまったようですみません」
「フフッ。エヘヘ」
話の途中で笑い出す純子に戸惑う。
「可笑しいですか?」
「はい。可笑しいです。謝ってばかりだし、それに榎本さんて鍵の事以外でもよく喋るんだな〜って」
興味のあることや好きなものには饒舌になってしまうのだが、まだ笑っている純子にそんな事を言えばもっと笑われてしまうだろう。
青砥から背を向け、指を擦りあわせる。こんな時はどうするのか?全く思いつかない。
そんなことを考えていると、左の肩が重くなる。
「榎本さん。怒りましたか?」
顔を横に向けると、青砥が肩に頭を乗せて顔を覗きこんでいた。
上目遣いでこちらを見ている。可愛いらしい。
「……ゴク…い、いえ」
「じゃあこっち向いて下さいよ。」
「やめておきます。」
こちらを向かずに部屋の隅へ逃げる榎本を追いかける。
「どうしたんです?」
汗をかいて挙動不審な榎本。カーディガンを必死に下へ下ろしている。
「生理現象です。時期収まりますので、笑ってもいいですよ。」
「笑いません。嬉しい?です」
523 :
彼女 11:2012/06/04(月) 11:42:40.12 ID:jycJ2m+R
自分でも何を言ってるのか。でもあの巨乳に勝てたのだ。
「榎本さん。好きです。」こんな時に何を言い出すのか、一応榎本も答える
「私も青砥さんが好きですよ」
「付き合わないんですか?私達。ちゃんと言って欲しいです。」
「今ですか?」「はい!今言って欲しいです」
「お付き合いしてくれませんか?」「はい!」
次の瞬間、青砥が顔が目の前まで近づき、軽く唇を重ねられる。
唖然とした表情の榎本に、青砥が笑う。
「ど〜しても今、榎本さんとキスしたかったんです。凄く愛しくて仕方なくて。それに、付き合ってもいないのにキスなんて出来ませんから。急かしてすみませんでした」
青砥の考えに榎本も笑うしかない。
「変わってますね」
「榎本さんこそ」
ぎこちない笑顔の顔を指でつまむと、その腕を榎本が捕まえる。
二回目のキスを予感して青砥が目を瞑った。
「…………ん?」
中々来ないので、うっすら目を開けると榎本は定位置の椅子に座り、また鍵を弄くっている。
あり得ない。と思いもしたが、無性に恥ずかしくなり何事もなかったかのように青砥も椅子に座った。
「すみません。別にびびっている訳ではないですから。
524 :
彼女 12:2012/06/04(月) 11:45:36.97 ID:jycJ2m+R
あのままキスしてしまうと、続きを…ゴホ、その、良からぬことをしてしまうと思うので」
「してほしいからしたんですよ。全部私が先じゃないですか」
少し落ち込んで机にだれると、榎本が鍵を置いた。
「青砥さん。ここは私の仕事場です。こういった場所で、そんな行為ははしたくないんです。でなければ、私からしていたと思いますよ。」
そう言い終わると鍵をまた弄る。
ポーカーフェイスを装おっているが、耳が真っ赤になっていることを見逃さなかった。
「じゃあ、許します」
それから暫くして地下倉庫から出て、青砥の家まで歩いて送る。
オフィス街を抜け、住宅街に入る曲がり道で、いきなり榎本に手をとられると、電信柱と住宅の壁の死角に連れ込まれる。
「ちょっ榎本さん?」
後頭部をが当たらないように腕を回すと唇を貪るように深いキスをされる。
「んっ………えのっ…と…さ…」
苦しくて息を漏らすと、やっと唇が離れた。頬を紅く染めて、唇を手で隠し息を整える。
「今の青砥さん。とても素敵ですよ」
「榎本さんってば、ずるいです」
「職場から出れば、と言っておいたはずですが。」
そう言えば、そんなことも言ってたような。
525 :
彼女 13:2012/06/04(月) 11:54:40.93 ID:jycJ2m+R
先に歩き出していた榎本を追いかけると、上着の袖を掴む。
「あと、また生理現象が起きてしまったようですので、こちらもお願いします」
つい苛めたくなって出た嘘だったのだか、目玉が飛びでそうなくらい驚いた青砥の反応が面白くて仕方ない。
「ばっ!そんな…あり得ないですから!」
袖を振り払われると、周りをキョロキョロしだす。
「人がいるじゃないですか!?おさめて下さいよ」
「そうですか。嫌ですか?じゃあ仕方ないですね。先ほど伺えなかった彼女に…」
ケータイを取り出すと青砥が奪って俊足で逃げる。
「駄目です!絶対に駄目です。私が彼女なんですよ?だから……しますから。その、せめて家に着くまで我慢して下さい。ねっ」
照れながらも、夜の閑静な住宅街でそんな言葉を叫べる“彼女”を愛しく感じると同時に、尊敬してしまった。
「榎本さん笑ってせんか?」「いえ」
「笑ってますよ。絶対」
ポーカーフェイスも、もう。長く続かないだろう。
中途半端に終わりです
エロに持っていくつもり&次の日の芹沢を絡めた話まで書くつもりでしたが慣れない携帯からなのと長くなりましたのでこの辺で失礼します。
リアル投下に二つも遭遇して大興奮!!
>>511 エロ素敵すぐる...
文章が綺麗なのでエロにも品があって美しい〜
>>525 GJです!
芹沢パパもGJだ!
榎本にからかわれる純子カワユスw
続きが待ち遠しい!
お二方ともキャラがドラマ通りで容易に想像できます
素晴らしい!
短時間に素敵なSSが読めて楽しかったです
お二人さんGJ
やっぱり榎本さんはSですね!!
そういえば玉木宏が「硝子のハンマー」に出るとブログにあったな
これが副社長で独身で青砥さんの元彼という設定なら面白いんだけどな
自分の書いた分だけでも、後で見やすいようにブログか何かにまとめてアップしときたいんだけど
ブログの規定がよくわからんw
イラストと違って、小説の場合は行為表現があるだけではアダルト・猥褻には当たらないと聞いた気がするんだけど
どなたか詳しい人、いらっしゃいません?
やっぱ海外サーバーに置くしかないのかな。広告すごいから気が進まないんだけど
もしくは青砥ちゃんに一目惚れしちゃうとか
おいおいおいおい、なんだよあのエンディングw
このスレでいろんな小説読みまくったせいか、
あのイチャイチャに既視感あったぜw
「あれ、榎本さん何か怒ってます?私変なこと言いました?」
「怒ってません」
2人とも可愛すぎだろ\(^o^)/
3話、4話、8話…犯人が女性の回は
榎本×青砥的に美味しい回という法則が出来たw
>>530 ぴくしぶに登録したのってあなた?
自分の分だけならいいのかもしれないけど・・・・。
え?ぴくしぶに自分が書いてない作品を転載してる人がいるの?
自分で書いてるならどこに転載しようとその人の勝手だと思う
鳥なしだったら自作の証明は難しいかもしれないけど…
>>536 多分、自分です。
ぴくしぶなら、作品ごとにR指定が選べるので、バックアップもかねて登録しました
コテハン名乗ってないので証明しろと言われても困りますが、誓って言います。全て自分が書いたものです。
三点リーダは必ず2つセットで使う、純子の一人称がひらがなで「わたし」になってる、あたりに特徴出てるとは思いますが……
まずいようでしたら今後、スレからは撤退します。
混乱させて申し訳ありません
>>538 今後はトリップつければいいんじゃないかな
作者特定が嫌なら作品ごとに変えるとか
前にも意見出てたけど、個人的には保管庫ほしいな
続き物を続けて読みたい
書いた人の許可がないと難しいかなー
541 :
490:2012/06/05(火) 20:57:02.07 ID:Ck9lopHv
コメントくださった方々、ありがとうございます。
お待たせしました。
>>484-489 の続きを投下します。
お風呂は家主である榎本さんが先に! と押し切られ。榎本は、一人湯船に浸かっていた。
自分でもよくわからない。何故あのとき、純子に泊まっていけ、と言ったのか。
ただ、榎本のために献身的に尽くしてくれた純子を思うと、真夜中、無下に追い出すことができなかった。
(……青砥さんといると調子が狂う……)
一人に慣れ切っていた榎本にとって、自室に誰かが居る、という状況がそもそも珍しい。
恐らくそのせいだろう。思考に乱れが出たのは。
今夜、この部屋に純子と二人きり、という事実には目を向けないようにして。榎本は頭から湯をかぶった。
大丈夫だ。開錠に夢中になって、リビングのソファで一夜を明かしたことなど数えきれないくらいある。一晩くらい、何とでもなるだろう。
そう自分に言い聞かせて、風呂から出る。
次、どうぞ――とリビングに声をかける。返事をする純子の声は、特に震えも怯えもなく、平静に聞こえた。
平静を装いつつ、純子は混乱していた。
自分で沸かした風呂につかって、榎本から借りたパジャマに着替える。
湯船につかっている間、色々と考えてみたが。どう考えても同じ結論しか出ない。全く、何てことだろう?
そっとリビングに顔を出すと、同じくパジャマ姿の榎本が、落ち着かない様子でソファに座っていた。
「あのう、榎本さん」
「……はい」
「今日は、本当に色々申し訳ありませんでした」
「……もう謝らないでください。今日は、色々と家事をやっていただいて助かりましたので」
言いながら、榎本は立ち上がった。寝るところだから、だろう。眼鏡を外した素顔が、何だか新鮮だ。
「青砥さんはベッドを使って下さい。僕はソファで寝ますので」
「えええそんなとんでもない! わたしがベッドで寝ますよ! わたしの方が小さいですし!」
「女性をそんなところに寝かせるわけにはいきません。僕のことはお気になさらずに。よくあることですので」
「駄目駄目、駄目ですっ! 榎本さんにそんなことさせるくらいならっ……」
勢いって重要だな、と。純子はしみじみと思った。普段の自分なら、こんなこと、絶対に口には出せなかった。例え望んではいても。
「一緒に寝ましょう!」
「……は、い?」
「榎本さんをソファに寝かせるくらいなら、一緒にベッドで寝ます! それが駄目ならわたしがソファで寝ます! 何なら床で寝ます!」
「青砥さん?」
必死の純子に対して、榎本はぽかんとしていた。女にこんなセリフを言わせておいて何て反応だ、と。純子の胸に、的外れな怒りがわきあがる。
「……あの、意味がわかって言ってらっしゃるんですか」
「意味!? 意味って文字通りの意味です!」
「青砥さん、僕を仙人か何かだと勘違いしていませんか? 一応、僕も男なんですが」
「当たり前です! 女性にも仙人にも神様にも見えません! 榎本さんは榎本さんで立派な男性です!」
「…………」
まくしたてる純子に、榎本は無言で視線を泳がせていた。
本当に、何なんだろうか、この反応は。それとも、自分はそんなに魅力が無いのだろうか?
「……わたし、言いました。何でもします、って。榎本さんが望むなら、何でもしますって」
「いや、ですから僕の望みは、僕がソファで寝ますので青砥さんがベッドに……」
「そういう望みじゃないんです! そんなんじゃなくてっ……それとも、榎本さん、そんなに嫌ですか? わたし、そんなに駄目ですか?」
「……青砥さんがどうこう、という問題ではありません。こんな、成り行き、と言いますか……こういうのは」
「成り行きじゃないんです! 榎本さんにとってはそうでも、わたしにとっては違います!」
勢いのままに叫んで。純子は、榎本に身体を投げ出した。
「わたしが……そうしたいんです。榎本さんは、わたしじゃ駄目ですか?」
「…………」
純子の言葉に、榎本はしばし無言で。
ややして、首を振った。
寝室に移動して、大して大きくもないベッドに二人で横たわる。
至近距離で見る素顔の榎本は、意外なまでに整っていて、わけもなく胸が高鳴った。
いや、もちろん、意外とイケメンだからときめいた、という意味ではない、念のため。榎本だからときめいたのだ。
緊張をごまかすように自分に言い聞かせていると。榎本は、しばらく無言で天井を見つめ、身を起こした。
覆いかぶさってくる身体を受け止めて、唇を重ねた。
「……青砥さん」
「はい?」
「初めて、では……ないですよね?」
相変わらずデリカシーがないというかストレートな言い方だ、と、逆に感心した。榎本らしいと言えば榎本らしい。
「昔……学生時代の頃ですから、本当に何年も前ですけど。多少は……榎本さんは?」
「……お答えした方がいいでしょうか」
「あ、初めてですね。お気になさらずに。わたしは気にしません」
わざと軽い口調を装って、両腕を榎本の首に絡めた。
本来なら、30にもなる男が経験ゼロ……というのは引くところかもしれないが。榎本に限っては、それが自然だと納得できた。
むしろ、経験があると言われたらショックだった。自分以外に、榎本の魅力を認めた女がいたのか、と。
「んっ……」
もう一度、キス。自分から舌を差し入れると、榎本は一瞬驚いたような顔をして。けれど、すぐに動きを合わせてきた。
しばし無言でキスを繰り返す。降りてきた手が、パジャマの上から胸にあてがわれて、そのまま、優しく撫でられた。
「っ…………」
「す、すいません。痛かったですか?」
「いえっ……」
びくり、とひっこめられようとする手を押しとどめて、首を振る。
正直に言えば、驚いていた。
「もっと……お願いします」
「青砥さん?」
「すごく、お上手だと思います」
「…………」
純子の言葉に、榎本はしばしぽかんとして。やがて、苦笑のような笑みを浮かべた。
「見栄を張るのはやめます。僕は経験が無いので、こういうとき、どうしたらいいのかよくわかりません。痛かったり、嫌だと思ったら、言って下さい」
「……わかりました。どうぞ、ご遠慮なく」
純子の言葉に頷いて、榎本は、パジャマのボタンに手をかけた。
日頃、開錠で鍛えているのだろう。男性にしては細く長い指は、驚くほど器用だった。
あっという間に前身頃を全開にされる。覚悟して、最初から下着はつけていなかった。むき出しの胸が榎本の視線にさらされて、羞恥に、頬が染まった。
「あの、すいません。あんまり大きくなくて」
「……そうなんですか。大丈夫です。見たことがないので、比較対象がありません」
「ぷっ」
榎本らしい気遣いの言葉に、思わず笑みがこぼれた。そんな純子を優しい笑みで見下ろして、榎本は、そっと胸に触れた。
パジャマ越しとは違う、ダイレクトな刺激に、しびれのような感覚が走った。ここを触れられるのは何年ぶりだろうか? 忘れるくらい昔なのは確かだ。
慎重な手つきで胸をまさぐられる。びくり、と身を震わせると、今度は、唇が降りてきた。
「ん〜〜〜〜っ」
しばし、刺激に身を委ねる。榎本の頭を抱えるようにして、歯を食いしばった。
そうしないと、あられもない大声をあげてしまいそうで怖かった。自分から誘っておいて何だが、はしたない女だとは思われたくない。
自然と中心部が潤ってくるのがわかった。火照る身体を抑えきれなくて腿をすりあわせると、動きに気付いたのか、胸への愛撫が中断された。
しばしの沈黙の後、するすると手が降りてきて、パジャマのズボンにかけられた。
榎本の動きを邪魔しないように、と、自ら腰を上げると。一瞬の隙を逃さず、ズボンと下着が同時に引き下ろされた。
やたらと手つきがいいように思えるのだが……本当に初めてなのか?
そんな疑いを抱くほどに、榎本の動きは巧みだった。触れる指先は無駄な動きなど一つもなく、純子の弱いところを的確に攻めたててきた。
「え、榎本さんっ……」
「……はい?」
気づけば、自分が羽織っているのはパジャマの上着一枚。前身頃を全開にした状態で組み伏せられている姿が、どれだけ乱れているか、想像したくもない。
「わたし、もうっ……おかしくなっちゃいそうでっ」
「……そうですか」
榎本は何でこんなに平静なのだ。自分はこんなにも……狂おしいほどに榎本を求めているというのに。
そんなことを思うと、自然と涙が浮いてきた。純子の顔を見下ろして、榎本の顔が、ぴくりと動いた。
「青砥さん」
「っ…………」
「泣かないでください。……やっぱり嫌でしたか?」
「なっ……ここまで来てこんな状況でそういうこと言いますっ!? もう信じられない!」
あれだけ声を抑えよう、と努力していたのに、駄目だった。切れてしまった。
だってもう限界だ。この人は、あんなにも頭脳明晰なのにどうしてこんなにも鈍いのだろう。
「早くして欲しいんですっ! もうっ……焦らさないでください。早く来てくださいっ! わたし、榎本さんが欲しいんですっ! お願いっ……」
「…………」
純子の悲鳴のような叫びに、榎本は呆気に取られたようだった。
すみません、という小さな囁き声。ぐいっ、と片脚を持ち上げるようにして、割り込んでくる身体。
「……タイミングがわからなかったんです。僕ももう限界だから……乱暴にしてしまったら、本当にすみません」
それと同時、一気に、榎本の身体が内部に押し入ってきた。
「っ…………」
「うっ…………」
既に十分に潤っていたつもりだが、男性を受け入れるのが久々なその部分からは、きしみのような音が響いた。
正直に言えば、ちょっと痛い。でも、やめないで欲しいと、心からそう思う。
「榎本さんっ……」
「…………」
ぐいっ! と、榎本は、純子の悲鳴にお構いなしに身体を突き進めてきた。
いや、多分、彼にも余裕などないのだろう……ちらりと薄目を開けて見てみると、榎本も、固く目を閉じて歯を食いしばっていた。
……あ、そういえば、避妊……いや、もういい。榎本となら、いい。
女性としては迂闊さを責められるべきだろうが、熱に浮かされた純子の頭には、そんな冷静な言葉は響かない。
今、やめられる方が嫌だ。きっとおかしくなってしまう。あの榎本が、そんな小道具をいそいそ買う場面なんか想像したくもないし、持っていないことにホッとしているのも事実だ。
そのまま、ゆるゆると腰を動かされた。最初はゆっくりと、段々と激しく。
快楽に理性が押し流された。榎本の身体を抱きしめて、何かを叫んだような気がするが……自分が何を言ったのかもわからない。
「あ、青砥さんっ……」
「やめないで。お願い、そのままでいてっ……」
フィニッシュを迎える瞬間、榎本は、身体を引こうとしたが。それを、純子は全力で押し留めた。
何も考えていないわけではなかった。榎本も、純子を気遣ってくれた……それで十分だ。
内部で爆発が起きる感覚を味わった。それと同時、純子の目の前が真っ白に染まって……そのまま、脱力した。
「……すいません」
「え、何がですか」
事が終わった後、二人で交互にシャワーを浴びて、再びリビングへ。
気が付けば夜というより朝に近い時間になっているが。今日は土曜日。二人とも仕事はない。だから、まあいいだろう。
「いえ、その。初めてなので、よくわからず……青砥さんには色々とご迷惑を……」
「ぷっ……迷惑なんてかけられてません! 榎本さんらしいですね、本当にっ」
「…………」
純子の言葉に、榎本は無言でうなだれた。その仕草が、何だかちょっとかわいい。
いや、年上の男に向かって、そんな台詞は吐けないが、もちろん。
「ちょっとだけ寝たら、朝ごはん食べて、それからお洗濯します。シーツとか、洗った方がいいですよね」
「……僕がやりますよ」
「わたしが何でここに来たと思ってるんですかっ! わたしがやりますから榎本さんは鍵でもいじってて下さい!」
「もう、お詫びは十分にしていただきました。これ以上は……」
「何を言ってるんですか!」
榎本の言葉を断ち切って、純子は立ち上がった。
最初は、そんなつもりはなかったのだ。純粋に、お詫びのつもりだった。
けれど、駄目だった。榎本の誠実さを、優しさを知れば知るほどに、自分が止められなくなった。
「榎本さんに見てもらいたいんです」
「……はい?」
「榎本さん、わたしのことすごくだらしない女だと思ってませんか? 以前に恥ずかしい部屋を見られちゃいましたし!」
「いや、そんなことは……」
「誰にも見てもらえないひとり暮らしの部屋だからです! わたしだって、その気になったら相応に料理も掃除も洗濯もできるんです! それを榎本さんに知ってもらいたいんです!」
「……はい?」
それは、どういう……と言いかける榎本の唇を、自らの唇で塞いで。
「意味、わかりますよね?」
「……おおよそは。もしかしたら、という解答はありますが」
「多分、それで正解です。迷惑ですか?」
にっこり笑ってみせると、榎本の頬が緩んだ。
苦笑とも失笑とも違う、綺麗な笑顔だった。
「いいえ、光栄です」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
頭を下げたのは同時。顔を上げるのも同時。
それが何だかおかしくて。純子は、声をあげて、笑った。
〜〜END〜〜
547 :
490:2012/06/05(火) 21:04:20.45 ID:Ck9lopHv
終わりです。
自分の書く話はいつも純子から押せ押せなので
次は榎本から押せ押せな話書いてみたいなあと思いつつ
名無しに戻ります。
GJです!
たまらんです。
GJ!
ふたりのやりとりがリアルにイメージ出来る!
また書いてください!
GJ!!
ここ見はじめてからドラマ見るのがますます楽しみ
昨日のラスト、指擦るのを手でピタッと遮られた榎本さんはその日の夜純子の手の感触をオカズにしちゃえばいいと思う
GJです!純子押せ押せも榎本押せ押せもばっちこい!
昨日のラストを見て、自分も書いてみました!
エロなしですが、箸休めにでも。
「なんか怒ってません?」
「知りません」
「怒ってますって、私何か失礼なこと言いました?」
「知りません、知りません。」
榎本のせわしなく動く指を純子が封じる。
「知りません。」
「・・・」
「・・・」
「フフッ(笑)、でも賢くなくても、家にいるだけで癒されそうですよね、犬って。
毎日家に帰るのが楽しくなりそうですよねー。」
「独身女性が犬を飼うと婚期が遅れるそうですよ」
「え、そうなんですか!?」
「嘘です。でも、犬に夢中になってしまって彼氏はいらないという人もいるそうですから、
あながち間違いではないと思いますが。」
「まあ確かに、男の人に振り回されるよりは犬と戯れていたほうがいいかもしれませんよね。
犬は裏切らないし。」
「裏切られるのが怖いんですか?」
「怖いというか、嫌ですよそんなの誰だって。榎本さんだって嫌でしょう?」
「僕は・・・別に。それが人間だと思っていますから。」
「なんかドライですねー、榎本さんって。熱くなるようなことってないんですか?」
「鍵の解錠には常に冷静さが必要ですから。どころで・・・その手をそろそろ離していただけないでしょうか。」
「あ、ごめんなさい。」
気づけば純子は榎本の手を握ったままだった。そのことに気づいたら急に恥ずかしくなって
純子は慌てて榎本から離れた。
「僕だって熱くなるときはありますよ。」
「え、そうなんですか?どんなときですか?」
一度体を離した純子が再び榎本のほうへ身を乗り出す。
「こういう時ですよ」
榎本はそういうと、純子の腕を引き寄せると純子の頬にキスをして、すぐにまた純子に背を向けた。
「え、ええーーっ!?榎本さん!」
一瞬の出来事で何が起きたのかわからなかった。
純子が我にかえると榎本はこちらに背を向けて再び指を擦り合せている。
「え、えーっと、榎本さん、い、今のは・・・」
「・・・知りません。」
553 :
552:2012/06/05(火) 23:31:42.96 ID:h8b6lEMs
超短いSSですみません。
ネタかぶりでも自分は気にしないので、昨日の続き書いてる方は遠慮しないでくださいね。
>>552 たまりませんwwwGJですww
反撃に転じてもほっぺにチューなところが榎本かわいいよ榎本
555 :
442:2012/06/06(水) 05:55:23.43 ID:ccrCPiOA
続きです。。
エロなしです。すみません。
長野から帰る電車の中、二人は事件のあまりに悲しい結末に言葉少なになっていた。
「やるせない事件でしたね…。」と純子がぽつりと言えば
「…ええ。」と一言。
榎本はいつもの、どこを見ているのかはかりかねる瞳で遠くを見ながら答える。
「何故、あんな悲しいことになる前に分かり合えなかったんでしょう?」今度は問いかけてみたが
「…そうですね。」とやはり遠くを見たまま答える。
それ以上話しかけるのもなんだかはばかられる気がして、純子も一人物思いに沈んでいった。
「…とさん。…おとさん。」
聞き慣れた男の人の声がする。
「ん…。」優しい声のこの人は…。昨夜私はこの人と…。
「青砥さん。もう着きますよ。」
はっ、と純子は目を覚ます。
「ああっ!すみません!私榎本さんの肩に!」見るとほんの少し榎本の肩が純子の涎で濡れている。
「いえ。大丈夫です。だいぶお疲れのようですね。」榎本は純子を真顔で見つめ
「…すみません。僕のせいです。」と言った。
「!!」
そんなに大きな声ではなかったが誰かに聞かれたら恥ずかしいのと、
昨夜のことがまざまざと思い出され恥ずかしいのとで思わず
「榎本さんのせいじゃないです!気にしないでください!」と純子の方が大きな声を上げてしまった。
そのまま「あ、榎本さんは○○線ですよね。私△△線なので、ここで失礼します。
お疲れさまでした。ありがとうございました。」精一杯の笑顔を作ると
あっけにとられているような表情の榎本を残してさっさと行ってしまった。
あれから何日かたって。
純子は携帯電話を見つめてため息ばかりついている。
『あれは、一晩だけのつもりだったのに。』
日が経つにつれ、榎本に抱かれた感触が蘇ってくる。
『こんなに会いたくなるなんて…。』
付き合っているわけではないのだから、ただ会いたいと言って連絡は出来ない。
『だって、榎本さんからも連絡来ない…。』
556 :
442:2012/06/06(水) 05:55:55.54 ID:ccrCPiOA
「おい。青砥!あいつを呼べ!」
ぼんやり考えていると上司の芹沢が呼ぶ。
へ?「あいつって…?」
「ぼんやりするな!榎本だよ、榎本!」
!「…はい!」…自分でも気持ち悪いくらいの笑顔を芹沢に向けた。
久しぶりに会う、といっても実際はそんなに何ヶ月も経ったわけではないが、
榎本は純子と芹沢にぺこりとお辞儀をすると早速部屋の検証を始めた。
変わらない榎本の様子に純子も変わらずに接することに決め、
密室について考えを巡らせる努力をする。
そうすることがまた、榎本に近づき、理解することにつながると思うから。
榎本もまた、変わらぬ純子の様子に一種の安堵を覚えたが、以前と違うことがあった。
純子の笑顔を見た後の、一瞬の胸の高鳴り。
気付くと純子を目で追っている。
野暮ったいスーツの中のしなやかな肢体を思い浮かべそうになる。
とはいえ、やはり目の前に、閉ざされた部屋の殺人があればそちらに集中することになる。
ある女性漫画家が密室で殺害された事件。
加害者はアシスタントの一人だった。
事件の鍵を握っていたのは一頭の犬。
「…普段は大人しいけど、いざとなったらすっごい頼りになるなって。」
「本当に頭いいんですね。」
「犬って。」
何となく、榎本の顔を見ていたらちょっといじめてみたくなったのだ。
少しすねたような顔の榎本の顔を見れただけでもなんだか嬉しくなった。
「ごめんなさい。榎本さん。怒りました?」
「知りません。」
「私、榎本さんが好きです。」
「!」
「この間のこと忘れようと思いました。けれど私そんなに大人じゃありません。」
「忘れようとすればする程、榎本さんのことばかり考えてしまって…。」
「…僕もです。」
「嬉しい。」純子の笑顔に榎本もまた微笑む。
そして、おずおずとキスをしたのだった。
おしまいです。
思いつきで書いたのでやっぱりおかしいところがあったらごめんなさい。
おそまつさまでした。
書き手さんたちGJだよ〜。どんどん妄想投下してくれくれ。
これからSSを投下します
作中登場する密室ミステリー・本陣殺人事件は読み応えありました
三つ首塔は真野響子主演のドラマが
女王蜂は栗山千明主演のドラマが面白かったので
どちらも買って読みました
未読の方は良かったら読んでみて下さい
560 :
密室の本1・4:2012/06/06(水) 08:50:51.07 ID:we7Aj8cD
最近の純子は、書店でも旅行の本には見向きもせず密室の本ばかり読み漁っている
今日も“密室ミステリーの最高傑作”という手書きのポップを見て買ってしまった
「へ〜え、“本陣殺人事件”かぁ…」
用事があって備品倉庫室に行くが榎本は不在だったので暇潰しにこの本を読む事にした
西洋と比べると密閉性が低い古い日本家屋で起きた事件を、季節独特の自然現象によって密室にしてしまった発想が凄い
それ以上に、真犯人の心という密室を破ってしまった探偵と、補佐した刑事が凄い
ただ弁護士として真犯人の弁護が出来るのかと聞かれたら“NO”だなと純子は思った
被害者Aなら弁護したいとも思った
「実に青砥さんらしいですね。バッドエンドは面白くありませんか」
いつの間にか榎本が戻って来ていた。独り言を口に出していたのが恥ずかしく感じた
「あ〜、あのぉ、お、お帰りなさい!」
慌てて本を閉じてここに来た目的を始めようとした純子だがその前に少し休憩がしたいと言う榎本に止められる
「僕はそれをドラマで観たのが最初ですね。見終わってから本屋に行ってその本を買いました。鍵が無くても密室は作れる、その発想は思いもよらなかった」
買い物袋の中から有名なコーヒーショップの小さな袋を取り出し封を開けて淹れる
辺り一面にコーヒーの香りが漂い純子の鼻をくすぐる
(そういうの、径さんらしいな…)
目の前に置かれたコーヒー純子が飲む
左隣に座った榎本が自分で淹れたコーヒーを飲みながら純子が読んでいた本を手にする
パラパラと開いて後ろの作品紹介を見る
「あっ…!」
この作者が書いた別の作品のタイトルが目に入りちょっとだけ頬が赤くなる
「どうしたのですか?」
「べ、別に何でもありません…。ただ、そのタイトルを見て思い出したのです」
それは“三つ首塔”という題名で、ドラマでもヒロインが男にアレされる場面があった
まだまだ子どもだった榎本はそういう場面を観てハイテンションになった事があった
(あんな事をしてまでも、ずっと思う彼女の、心の密室に自分を収めたかったのか…)
ふと自分の横でコーヒーを飲む純子を見る
ヒロインと同じで男を知らない体だった
(こうしてみると清楚で知的だと言っていた立川さんの気持ちもわかる…)
「榎本さん、具合悪いのですか?」
いきなり掌を額に当てて熱はないのか純子は確かめる
ヒンヤリとした細くて小さな掌の感触が気持ち良い
561 :
密室の本2・4:2012/06/06(水) 08:52:11.33 ID:we7Aj8cD
「僕自身にはわからなくても青砥さんがそう感じるのなら用心したほうが良いですね」
どうせ明日と明後日は休みだ。やるべき事を早く済ませて榎本は家に帰る事にした
ここは榎本の自宅。寝室には純子の姿もある
仕事場から離れた開放感からなのかそれとも情事に溺れたいからなのか榎本は純子の着ている物を一枚一枚脱がしてゆく
その意思に反し純子が自分で脱ごうとすればその手に榎本が手を重ね指で指を愛撫する
特に純子の左手の薬指は榎本の右手の指全部で弄るのではなく嬲られている
「径さんっ!やめ…」
半裸にされた純子が無駄だとはわかっていても抵抗する
「やめたくはないです」
純子の手が当たって榎本のメガネが飛ぶ
メガネをかけていれば光の反射か何かで隠れてしまう目の表情が部屋の灯の下に晒される
意外な程に熱く優しい目にドキンとする
「そ、そうですか…」
頬を赤く染めて顔を反らすと純子はもう観念したのか榎本のやりたいようにさせた
それでも一糸纏わぬ姿にされると両目を固く閉じた
衣擦れの音が耳に入り榎本も脱いでいるのだなと感じると益々固く閉じる純子であった
そんな純子の気持ちを伺う余裕などないのか、榎本はベッドに純子を俯せに寝かせると腰を持ち上げて尻を掴む
「ひゃう!」
これから起こる事への期待感で純子の陰部が昂ぶっているのが榎本の目に映る
無機質そうなその目がこの時ばかりは興奮している。両方の親指で陰唇を拡げて中を覗くと更に加虐に満ちた光が宿る
「ひぃっ!」
いきなり榎本の分身が挿入されて声を上げる
「んんっ、やぁ…!」
シーツを握り締める力が強くなる
ビク、ビクン!
頭で抵抗しても体は恭順する。純子は嬉しさなのか悔しさなのか、自分でも判らない涙をホロリと流しそれを枕で拭う
秘裂の位置がノーマルよりもバック向きなのか挿入された時の反応が断然良い
カリ首まで引き出すと、捲れ上がった陰唇が離したくないと訴える
「ここで止めても、良いですか?」
「い、意地…わるっ!」
傍から見ればとても恥ずかしい姿をさせられ言わされている
想像しただけでまた涙が零れる
「そうです、意地悪だから、もっと泣かせて、もっと鳴かせてみたくなる…」
結局抜けてしまった分身がヌラァとした液に塗れ秘裂との間に出来た糸が鈍く光る
562 :
密室の本3・4:2012/06/06(水) 08:53:01.11 ID:we7Aj8cD
「きゃう、ぁあ!」
ズン!
もう一度腰を掴まれ分身が秘裂の奥まで挿入されると繋がった喜びで見開き震える
ニュプ、ヌクッ、ヌチャ。
卑猥な水音を立てる秘裂が憎い
上半身を榎本の両腕で持ち上げられて体位が変わると子宮の辺りがキュウウとなる
「堪らないですね…」
純子と違って榎本の心は乱れるのを知らないのか口調が変わらない
ただ目だけは先程よりも余裕がない
「あぅ、あぁ…、あっ…」
下から上に動く度に中を掻き回される
純子は前屈みになると、両脚が左右に大きく開かれているのと、髪の毛と同じ色の茂みの下で榎本の分身を咥え込んでいるのが見えて恥ずかしさでまた目を閉じる
そんな純子の顎を捉えて顔を横向ける。頬に伝わる涙を舌で舐める。そして口付けをする
「…んぐ、ぇあ、んんっ」
下の口に続いて上の口も責められる。乳房を弄られて乳首を抓まれるので堪らない
「…はぁぁ、ひゃぁ!らめぇ!!」
やっと解放された口から普段の弁護士としての純子からは思いもよらぬ言葉が上がる
「やらっ、つねっ…、ぁぁあ!んぁ!」
榎本の人差し指が乳首の先を押したり乳輪の辺りをなぞったりして純子の感じ易い部分への攻撃を続ける
同時に胎内を分身が掻き回す。純子が絶頂に達するのも時間の問題である
だからまた体位をノーマルに変え焦らし捲る
「んっ、んん!…ぁっ!」
ヒールの高い靴を履いた純子と、同じ背丈になる榎本でも、脱ぐと結構引き締まっていて筋肉がある
その筋肉と乳房が擦れ合う
「ひゃう、ひぃ、ひぁ!」
秘裂が分身を根元までしっかりと銜え込む
汗や液で濡れた茂みが倒れて陰核が剥き出しになり根元を覆う毛が刺激を与えると純子の体が反り返って榎本の体と密着する
「あぁぁ!ひゃぁぁ!あぁ!」
「……っ」
散々焦らされた体がようやく絶頂に達した時、胎内に熱いモノが放出される
純子の鎖骨の窪みに榎本の汗が一滴落ちる
「…け…、い…」
息が上がり微かな声で愛しい男の名前を呼ぶ
うっすらと目を開けてみると汗臭い髪を振り乱した、優しい顔をした榎本がいた
「何?」
「なん…、でも…、な…い…」
ただ呼んでみたかっただけだと笑った
「そうですか…」
照れ臭そうに榎本が笑う。そして唇を重ねた
563 :
密室の本4・4:2012/06/06(水) 08:53:47.30 ID:we7Aj8cD
翌朝…。あのまま眠ってしまった純子は隣で眠る榎本を起こさないようにベッドから出た
トイレで用を足し、浴室でシャワーを浴び、濡れた髪と体にそれぞれタオルを巻いて寝室に戻ろうとした
ふとTVの置かれた部屋にある本棚を見ると、昨日買った本の作者が書いた別の作品が二つ並べてあるのに気付いた
「“女王蜂”、“三つ首塔”か…」
何となくそのうちの“三つ首塔”を取り出しソファーに座り読んでみる
内容は高額過ぎる遺産を巡っての連続殺人で、あくまでも純子からみれば戦争さえなければここまで酷い事にはならずには済んだのかなと感じさせるものであった
「実に純子さんらしいですね」
「え?ひゃあ!」
いつの間にか純子の後ろにはシャワーを浴びてきましたって感じの榎本が立っていた
「ハッピーエンドが好きなのですね」
「そ、そりゃあ、そのほうが面白いですから」
実はこの作品様々な試練を乗り越えて二組の男女が幸せを掴んでいる
「良かったら、その二冊あげます」
“女王蜂”もヒロインが意中の彼と結ばれる話である
密室好きな榎本には物足りない話でもある
「その代わりと言っては何ですが…」
言うなり、榎本は純子が頭に巻いたタオルを外す。白くて細い肩に黒い髪が舞う
「あ、あの…、径さん?」
むっちりとした純子の太腿に榎本の手が這う
「今日は、会社も事務所も休みの日ですよ」
「休みなのは、私も知っています……、あ!ちょっと、何処触って…!」
昨日の余韻が残る陰部に榎本の手が触れるとそれだけで甘い声に変わってしまう
ぬぷ、ぬちょ、にゅぶ。
右手の人差し指が陰核や尿道口に触れ、秘裂に入っただけで液が溢れて来る
「んっ、あ!あぁん!くぅ…」
人差し指に続いて中指も入りバラバラに動かされていると堪え切れずに喘ぎ始める
「そうやって、快感を抑え込もうとすると、僕は、もっと純子に意地悪したくなる…」
ソファーに押し倒した純子の体からタオルを外すと圧し掛かって強引に唇を吸う
ヤダヤダ止めてと言わんばかりに叩く右手に左手を重ねて指を絡ませる
「はぁ、はー!はぅ!」
キュ!と結ばれた唇が絶妙な舌使いの所為で抉じ開けられて口内を弄ばれた後、息遣いが荒くなり頬が赤く染まる
「?!あぁ、やぁ!」
繋がった瞬間もう一枚タオルが床に落ちた
〈おしまい〉
GJGJ!!!
エロかった〜♪♪♪
上の方投下される前に暇でちょっとかいて見たやつ一応おいときます。
ピンクはないです。
とある昼下がり・・・。
何日も前から注文していてた外国直輸入た最新タイプの錠がやっと手元に届いたので、
榎本は静かに興奮していた。
この構造だと解錠作業にかかる時間は2時間・・・いや3時間はかかるか。
これからの至福の時間を思って1mmほど口角をあげていることに榎本は気づかない。
錠を固定する器具にセットして、いざツールを手に取ったとき、その内線電話が鳴り響いた。
おそらく緊急の外回りを打診する電話だろう。
専門家でも難しいタイプの解錠作業は榎本に回ってくるのだ。
せっかく届いた最新タイプなのだが、これで今日中には手を出せないのだろうと思うと、
心の中で内心舌打ちしてしまうのは仕方がないことだろう。
「はい、榎本です。」
「お疲れ様です。秘書室の田中です。榎本径さんでいらっしゃいますね。」
聞きなれない女性の声だった。てっきり自分の上司か同僚からの電話だと思っていたのだが・・・。
「はい、そうです。お疲れ様です。どういったご用件でしょうか。」
榎本は秘書室と関わるような仕事はしていない。
社内で鍵のトラブルでも発生したのだろうか。
「専務がお話したいことがあるそうです。
榎本さんの直属の上司の方から許可をいただいていますので、至急専務室においでください。」
「分かりました。失礼します。」
受話器を置いた。
話がある−−−−この言い方になんとも嫌な予感がした。
うっかり鍵が開かなくなったのではなさそうだ。
密室事件に巻き込まれたわけではあるまいが・・・そう思いながら、
初めて密室事件に関わったときに道端で青砥に呼びとめられたことを思い出す。
思わず口がほころびそうになったが、やはり嫌な予感はぬぐえず無表情に戻る。
面倒なことに巻き込まれたくはないのだが・・・・。
届いた最新錠をダンボールに戻し棚に目立たないように仕舞う。
会社の業務でも同じようなことはするが、これに関しては私物なので、
自分が解錠する前に他のものに見られるのは嫌だった。
妙な独占欲が働いているのだ。
よく車の選び方を見ると好きな女性のタイプが分かると言われているが、
自分の場合は鍵への気持ちが女性に対するそれと類似しているかもしれないと思う。
あなたが完全に僕のものになるまでは、あなたを他の男の目には触れさせず、
大事に閉じ込めておきたいと思っていることを、知らないでしょう?青砥さん。
歪んだもの思いに自嘲して口の端も歪める。
さて、専務の元へ参りましょうか。
榎本はネクタイをきゅっと締め直しながら、地下室を跡にした。
(この3分後、専務にCMに出て欲しいんだなどと言われて
「な、なぜ、ぼ、ぼくがCMにでるひつようがあるのですかっ!」
と棒読みしてしまうことになるとは、いかな榎本にも想像はつかなかった。)
8話ラストの榎青があまりにも可愛いすぎて、つい妄想してしまった
とはいえあれから夜勤だったので戻ってから書いたよ
なので後出しっぽくなったけど、ホンマごめん
「私変なこと言いました?」
今回の事件によって犬が賢いことを改めて実感した青砥は、防犯の意味も兼ねて一匹飼ってみよう
かなと思い始めていた。雑談がてら軽く榎本に相談したつもりだったのに、何故か突然突っぱねられて
しまい、困惑してしまった。
それまで大人しく一緒に芹沢が出演する番組を見ていた榎本は、もう目を合わそうともせずに右手の
指をしきりに擦り続ける。彼特有の癖ではあるが、一体何が気に障ったのか全く分からない。
榎本は全てを拒絶したように一つの言葉を返すばかりだ。
「知りません」
これまでの行動パターンからして、恐らく決定的に何かまずいことを言ったのだろう。それは確かに
分かった。しかし探れない以上どうすればいいと言うのか。
青砥は内心頭を抱えた。
とはいえこの事態をこのままにしておくのはもっとヤバい。それも痛いほど分かった。
さっきまでは、二人とも本当にいい感じだったのに。
「…榎本さん」
もう返事すらなかった。榎本はただ目を逸らしたまま指を擦るばかりだ。こうなれば自分にもある武器
を使うしかないではないか。これは非常事態だからと、心を決めた。
「私は怖いんです」
ぴく、と神経質な指の動きが止まる。
「このところずっと、目の当たりにする事件はどれもいつか自分に起こり得ることのようで、一人でいる
のはとても怖いんです」
「…知りません」
「もし飼えないとしても、誰か心強い人がいてくれたら嬉しいんですけど」
「……知りません」
雰囲気的にもう一押しのような気もしたが、何となくこれ以上榎本のプライドに付け込むのはやっては
いけない気がした。
駆け引きなどではとても測れないほどに、榎本に心を奪われ過ぎているからだ。
この人の本質はとても深い。
果てしなくて、眼差しを覗き込んでも底などとても見えそうにない。
まるで心の奥底に凄まじい混沌を隠しているように。
それは恐らく誰もが太刀打ち出来ない密室の謎というものに対峙しているからだろう。
かのニーチェは著作の中で語る。
「怪物と戦う者は自分が怪物となってしまわないよう注意しなければいけない。深遠を覗き込むとき、
深遠もまた君を覗き込む」
と。
一旦発生した謎は時が経過すればするほど一層混迷へと進み、遂には一筋の光すら差さぬ迷宮の
森と化す。そこに踏み込もうというのだから常人ではとても務まらない。
下手をすれば謎そのものが吐き出す悪意に意識ごと絡め取られて、それこそ怪物化してしまいかね
ないだろう。
それでもきっとこの人は解明の光を求めて道なき道を踏みゆくに違いない。
ならばどのようなことがあっても側にいたい。この人にとって何がしかの慰めになれるならばそれで
いい。
榎本に恋をした時から、青砥の心は決まっていた。
素性も身の上も今はまだ何も分からないも同然だとはいえ、安易な覚悟で向き合ってはいけない人
だとは思っていた。だからこの先に何があってもきっと怯まない。
「…ねえ、榎本さん」
やはり返事はなかったが、構わず青砥は出来るだけ自然に身を添わせた。言葉はなくとも、一瞬で
身体に緊張が走るのは分かった。
「そのうちでいいですから、更に強固な防犯が出来るように私の部屋を調査して下さいね」
「…そうですね」
緩く肩を抱き寄せられるのを感じて、青砥は微笑んだ。これで今日のわだかまりがリセットされたの
だと嬉しかった。
これまでも榎本とは何度か抱き合ったことがある。けれど脱ぐのはいつも自分だけだ。
榎本の方はそんな時でも襟元を緩めたり眼鏡を外したりするだけで、セーター一枚脱ぐこともない。
ただ、それが例の怪物化の一歩手前で思考錯誤しているゆえの行動であれば、甘んじて受け入れ
られそうな気がした。
つまるところ、恋そのものが最も厄介な怪物なのかも知れない。
「約束ですよ、きっと来て下さいね」
念を押すようにゆっくりと告げると、抱き寄せる腕の力がぐっと強まった。
テレビの中では相変わらず芹沢がオヤジギャグを連発して滑り続けているが、それは今のもう二人にとってどう
でも良いことだった。
終
GJです。自分も、最後の榎本と青砥の 「静かだけど、いざとなると頼りになって…」の青砥の台詞で
榎本がドキッとして癖の指を擦り始め
「私、変なこといいました?」
って榎本の擦ってる指を掴む青砥
「…知りません。」
「でも…」
「…知りません。」
あの場面にかなり萌えた
榎本っちゃんも少なからず 青砥に好意を持ってるというのを連想される
なかなかいいシーンだったねぇ
ちょwww
同期の某弁護士ドラマパロスレで芹沢がネタにされてるwww
571 :
デート 前編:2012/06/06(水) 21:13:37.45 ID:auYlvkwW
「知りません」連呼で浮かんだネタを一発
エロなしですいません
××××××××
青砥純子が、その日、何故そんなにも不機嫌になったのか。榎本にはさっぱりわからなかった。
そのきっかけだけはわかる。ささいな質問だ。だが、その解答が何故彼女をそんなにも不機嫌にしたのか、その理由がわからない。
「榎本さん」
「はい」
東京総合セキュリティの地下備品倉庫にて。
用事はないけど仕事が早く終わったので――と、手土産と一緒に純子が訪れた。
榎本がお茶を入れ、純子がお菓子を用意する。一連の手慣れた作業の合間に。
「そういえば榎本さん」
「はい?」
「デートしたことありますか」
何の脈絡もなくそんな質問がとんできて、榎本は凍りついた。
「榎本さん?」
「……僕がデートしたことがあるかどうかと、今、この状況と、何か関係があるのでしょうか」
「何もありません。ただの雑談です」
榎本の切り返しに純子はさらりと答えた。
何だか、以前も同じようなやり取りがあった気がする。あのときは、「彼女いますか」だっただろうか。
自分はその質問にどう答えただろうか? 確かそのときは、話題が別のことにそれて、明確な回答は出さなかった気がするのだが。
「で、どうなんですか?」
「…………」
「榎本さーん」
「女性っていうのはどうして恋愛関連の……」
「そりゃ面白いし興味があるからですよ。女性っていうのは恋愛関連の話にはいつだって興味津々なんです! いけませんか?」
「…………」
そう聞き返されると「いけません」とは言い辛い。
この際、芹沢でもいいから誰か来てくれないか、と視線を泳がせてみたが。生憎、倉庫の扉は静まり返っていて、誰かが邪魔してくれそうな気配は微塵もなかった。
ため息を一つ。まあ、純子を相手に、見栄を張る必要はないだろう。
「ありません」
「…………」
「もっと言えば、彼女、と呼べるような存在がいたこともありません。当然、女性とデートしたことなどありません」
いけませんか、と問い返そうとして。榎本は、ぎくり、と身を強張らせた。
純子の顔が、傍目にもはっきりと強張っていたからだ。
572 :
デート 中編:2012/06/06(水) 21:14:41.11 ID:auYlvkwW
「あの、青砥さん。僕は、何か気に障るようなことを言ったでしょうか」
「知りません」
「青砥さん」
「知りません」
「……お茶が冷めますよ」
「知りません」
「…………」
何だか似たようなやり取りをした覚えがあるな。あのときは、自分が「知りません」を連呼したのだが……などと思いながら、居心地悪く椅子に腰かける。
自分は何かの地雷を踏んだらしい。それはわかるが、その地雷が何なのかがよくわからない。
何か他の話題でも振って話をそらしたいところだが、普段から、会話の糸口は常に純子が発していて、榎本から声をかけたことなど、事件の謎が解けたときくらいしかない。
うまい話しかけ方もわからず、二人でひたら、無言でお茶をすするという居心地の悪い時間を過ごした後――
「……では、わたしはこれで失礼します」
「青砥さん」
「失礼しました。お邪魔しました」
「…………」
とっさに声をかけようか、として、思いとどまる。一体、何と声をかければいいのかわからない。
何故怒ってるのか、という問いが無駄なことは、先ほど証明したばかり。
一体、何がいけなかったのだろうか。自分は、あのとき何と答えるべきだったのだ?
女性とつきあったことがない。デートしたこともない。だって事実なのだ。事実を口にしただけなのに、何故、純子が不機嫌になるのだ?
女性の心理はわからない――と。榎本は、深々とため息をついた。
(榎本さんの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿鈍感なんだからー!)
東京総合セキュリティからの帰り道。純子は腹立ちまぎれに、胸の中で思いっきり榎本を罵っていた。
全く、何てことだろう。あのとき、自分は精一杯勇気を出したつもりなのに。
それは、昨日の話。
「おい、青砥。お前、榎本とはどうなってんだ?」
「はい? どうってどういう?」
「もう付き合ってんのか? キスくらいしたのか? 二人ともいい年だからな。色々過程をすっとばして最後までっていうのも俺はありだと思うぞお」
「芹沢さん。セクハラで訴えてもいいですか?」
「おまえっ! 上司と部下の軽いコミュニケーションじゃないか! ま、それはともかくとして、な? どうなんだよ?」
「な、何もありませんっ。わたしと榎本さんは……」
「何だ、何もないのか? じゃ、俺、今度榎本を誘ってもいいか?」
「……はい?」
「合コンがあるんだよ。ご・う・こ・ん♪ たまには若いの連れて来いって言われてな。榎本は無愛想だが、あれで顔はなかなかいいからな。連れてけばそれなりに……」
「だだだ駄目です駄目です合コンなんてそんなのっ!」
「ん? だって青砥と榎本は何でもないんだろ? だったら……」
「っ……つ、付き合ってる、ってはっきり言ったわけじゃないけど! でも、デートはしました! 今度もする予定ですっ! だからっ……」
573 :
デート 後編:2012/06/06(水) 21:16:10.30 ID:auYlvkwW
(あれって、デートじゃなかったの!? 普通、あれはデートでしょ!!)
以前巻き込まれた、劇団の事件にて。
偶然手に入れたチケット。芹沢には黙っていて欲しい、と言われ。また、「密室に囚われた男」というタイトルが、榎本の興味を引きそうだ、と思ったから。
仕事とは関係なく……そう。初めて、仕事とは無関係に、榎本と連絡を取り、二人で待ち合わせて、演劇鑑賞した。
プライベートだったから、純子は私服だったし。榎本だって……まあいつもと大して変りない服装だったが……ちょっとは、打ち解けていた、と思う。
その後も、同じ劇団の舞台に誘ったし(そういえば、あのとき、電話が通じたのに榎本から全く応答がなかったのは何だったのだろうか)
プライベートで連絡を取り、二人きりでお出かけ。これはデートだろう。好きとか付き合ってとか言ったわけではないが、榎本と自分はデートをするような関係になっている、と言ってもいいだろう。
それなのに。
(榎本さんの馬鹿ーっ!)
純子の複雑な女心が榎本に届くまで、まだ先は遠そうだった。
おしまい
××××××××
おそまつさまでした
ところでスレ容量が480KB越えてるんですけど
そろそろ次スレでしょうか?
投下予定の書き手さんがいらっしゃったらご注意ください
>>574 スレ立て乙!
最初のスレから一ヶ月とちょっと経ってるんだ・・・感慨深い
>>574 スレ立て乙です
ここの充実ぶりはさすがにすごいね
まとめとか保管庫は無いの?
いいだしっぺの法則
>>540が出していた保管庫を使わせてもらい
出来る人が管理人になってくれるといいな
直前に投下してくれてる書き手さん達を無視してスレ立て乙乙って、、、
ちょっと書き手さん達に失礼すぎない?
うん、出ていたよ
スレも終盤なので梅がてらこっそりと…
芹青が好きだー
榎青も好きだけど、四話の青砥に甘い芹沢さんに萌えてしまった
毎度毎度のかけ合いも、痴話喧嘩しているようにしか見えなくて困る
最近の、芹沢の扱いに慣れてきて軽くあしらったりしてる青砥が可愛い
一連の密室事件が解決したとある金曜日純子は榎本を自宅に招く
童貞設定ではなく、カッコイイ榎本と純子の一夜の物語です。
「榎本さん、私・・」シャワーを浴びた純子がそっと榎本の背中を抱いた。
「私、何ですか?」メガネを外して榎本はそう微笑んだ。「まだ髪が濡れてるから乾かさないと」
そう榎本が言おうとすると話を遮る純子
「榎本さん、私・・・今夜は朝まで榎本さんと一緒にいたいの、いいんです軽い女だと思ってくださって」
「あなたが軽い女だなんて思うわけがないでしょう?」
そう言うと力強く純子を抱き寄せ唇を重ねた。優しく愛おしむような口づけにぽっと体の芯が疼いて純子は
ため息を思わず漏らしてしまう。
やがて榎本の右手がゆっくりとためらうようにバスローブ上から純子の胸のふくらみをまさぐり始める。
そしてバスローブの襟元からゆっくりと純子の乳房に触れた。
「あぁ、榎本さん・・・」
「嫌だったですか?」少し照れたように純子を気づかう榎本。
「嫌じゃありません、ただ私、胸が小さいし・・・」
「可愛い人ですね、僕はそんなことを言うあなたが好きなんですよ。」
そう言って微笑み榎本は純子の首筋から胸元へ唇を這わせた。
今夜は満月だ。ボイルカーテンを閉めた窓からうっすらと月明かりが差し込んでいる。
軽々と純子を抱いてベッドに下ろしシャツを脱いでいる榎本を背中に感じ、あの優しい穏やかな榎本に抱かれる自分が
どうなってしまうのか・・・胸の鼓動が激しくなってくる。
榎本がベッドの中に入ってきた。純子は壁の方をむいたまま体が固まってしまうほど緊張している純子の肩に榎本がそっと手を触れる。
優しくゆっくりと肩を撫で背中に唇を這わせる。長く美しい指、大きく逞しい榎本の手が純子の乳房を愛撫する。
純子のうなじに届いた榎本の唇はついばむように純子の耳朶を甘く噛み乳房を揉みしだいている。
純子の恥ずかしさのあまり声にならない声が切れ切れに漏れはじめると
榎本が純子の背中にぴったりと自分の体をくっつける。純子は自分のお尻のあたりの熱い昂まりを感じると
思わず「あぁ」と声を上げてしまう。
榎本はまだまだ男女の閨房のことなど分かっていない純子をまるで少女のようだと思いながらも
少女のよう純子に溺れている自分を感じていた。
「こっちを向いてくださいね」そう言うと榎本はずっと壁の方を向いていた純子を仰向けにすると
静かに純子の上に体を重ねた。
「純子さん、あなたは可愛い人だ。男がどんな風に女性を愛するのか本当のところはわかっちゃいないでしょう
僕が教えてあげますよ」
長いキスのあと榎本はじっと純子の目をみつめたままためらうように純子の秘所に指を滑らせた。
「もう少しだけ、脚を・・・そう、少し脚を開いて・・・」
秘所に届いた榎本の中指が愛おしむようにゆっくりと純子の花弁を愛撫する。
あ、あの指が、榎本さんの長くてキレイな指が私を・・私の恥ずかしいところを侵しているんだ・・。
そう気づくと純子は自身の秘所が熱く潤ってくるのを感じて頬を初めた。
榎本の指は純子の花弁の奥が潤ってくるのを知ってゆっくりと中指を花弁の真ん中に押し当てた。
蜜のあふれる部分をゆっくりとゆっくりとまさぐる。
「純子さん、痛くないから・・・」そう言うと榎本はゆっくりと純子の蜜の奥に指を推し進めていった。
処女のような硬い抵抗はないものの、純子の秘所は榎本の指さえ拒もうとしている。
榎本が思っていた通り、純子はそれほど男の体を知らないのだ。それがわかると榎本は急に純子を
からかいたくなっていまう。
「純子さん、ここ、ここ、あなたの大切なところが濡れてますね、なぜですか?」
もう疲れたのでフィニッシュまで時間ください。下手ですいません。
「濡れて・・・って、いやぁ・・榎本さんの意地悪・・。」
「はい?僕が意地悪ですか?今まであなたをいじめたことなんてないでしょう?でもいいですよ意地悪でいいですから
どうして、ここがこんなになるのか教えて下さい」
そう言ってふふと微笑み榎本の眼差しがあまりにも優しさをたたえているのに純子は気づく。
出会ったばかりの頃は女慣れしておらず鍵と密室だけにしか興味のない朴念仁だと思っていたのに
榎本にはこんな「男」の顔があったんだ。それも相当に女を扱うのに慣れていいるからこその余裕がこんな優しい目をしているんだ
「もう・・からかわないでください・・・榎本さんは・・・そんなこととうに分かっているくせに・・・」
榎本は純子のそんな女子学生のような抵抗がますます可愛いらしく、またゆっくりと愛撫を始める。
榎本が指をゆっくりと奥へ奥へと押し進め、また指を引き抜くその度に秘所が恥ずかしい音をたてる。
恥ずかしい音が次第にくちゅくちゅと大きくなっていくと純子はもう耐えられないよう声を上げてしまう。
「いいんですよ、もっと声をだしても。恥ずかしがらないで、あなたのここがこんなに可愛らしく鳴くのを聞いているのは僕だけだから」
「榎本さん、わたし、あぁ・・・あぁ・・・もう・・・・」
「もう、何ですか?もう、じゃないです。こんなに感じていては本当の僕を感じてもらえない・・・まだですよ」
榎本は両手で純子の脚を広げると純子の溢れる蜜を舌でゆっくりと味わった。
「いやあ・・・榎本さん・・・そんなこと・・・」
恥じらった純子は思わず脚を閉じようとするが榎本の力強い腕がそれを許さない。ぐっと力を入れるとさっきより更に大きく
純子の脚を広げ、ぷっくりと赤く潤いひくひくと蠢く純子の蜜をまた味わい始める。
榎本さんの唇が私の・・・私を。そう思うと純子の襞の奥からまた蜜が溢れ出てシーツを濡らしてしまう。
榎本の唇が舌がゆっくりと時間をかけ秘所を丹念に愛撫する。くちゅくちゅという音が榎本の耳に快い。
いつもは地味なスーツの下に隠れているこの愛らしい部分を今自分の目の前にあって恥ずかしい音を立てていることが榎本を十分に満足させていた。
純子は恥ずかしい程シーツを濡らしていたがまだ
純子は恥ずかしい程シーツを濡らしていたがまだ「女」として目覚め切ってはいない。
「純子さん、いいかな?これからどうなるかは知っていますよね?途中で嫌なんて言ってもやめませんよ」
こっくり頷く純子が愛おしく榎本は純子を強く抱きしめた。
純子の両脚を開き自分の肩に掛けると榎本はぷっくりと膨らんで赤く潤った純子の秘所に自分の固く大きな昂まりを当てがった。
「ああっ・・・・榎本さん・・・」
「好きだよ、純子・・・さん」
純子の蜜を固くなった自分の分身にあてがうと、ゆっくりその蜜を男子自身で味わう。
純子の花弁は十分に濡れそぼって榎本の男性自身を包み込もうとする。榎本はそっと先端を押し進めた。
くちゅっと音がして榎本がまた先端を奥に進める。ゆっくりとゆっくりと純子を味わうように。
榎本の大きく膨らんだ男性自身が秘所にゆっくりと入っていく。男性自身をずぶっと押入れては抜きまた押し入れてゆっくり抜く。
ぐちゅっぐちゅっと二人の結ばれた部分が淫靡な音をたて、それがますます榎本の分身の昂まりを増すのに気づいて
純子は思わず嬌声を上げた。
純子の襞は熱く潤い、榎本の男性自身を奥へ奥へと誘う。榎本は次第に腰の動きを速めていく。
ぐちゅっ・・・ぐちゅっ・・・何度も何度も榎本の膨れ上がった男性自身が純子の中で蠢く。
「あ・・・あ・・・ああっ・・・えのも・・径さん・・いやぁああ」
「径・・・って呼んで・・くれました・・・ね。あなたのここが僕をほら、こんなに・・離さない・・・わかりますか?」
榎本の男性自身が根元まで純子の奥に届き、純子は胸がいっぱいになるような喜びに満たされてくるのを感じた。
「径・・・径・・・好き・・・ああぁあ」
「もっと、もっと声を出して・・・僕を感じて・・・まだだよ、もっと感じるんだ」
純子はふと榎本の顔を見た。優しく自分の体を愛撫していた榎本が雄となって自分を侵している。
いつかのようなぶっきらぼうな面影は全くないのだ。女である自分を愛しんで女の自分の体の奥まで侵入して
自分を味わいつくそうとするこの男が愛しくてたまらなかった。そしてその愛しい男が自分の秘所の奥深くを貫いていることに痺れるような快感を覚えていた。
激しく抽送を繰り返す。何度も何度も純子の秘部を押し広げ榎本の男性が純子を激しく侵す。
男性自身を引き抜こうとする度純子の紅色の襞が榎本を離すまいと男子自身を包み込む。
純子の秘部から溢れたものが更に淫靡な音をたて、榎本は純子の乳房を揉みしだきながら純子の中で果ててもいいかを訪ねた。
「うん、、大丈夫・・・安全な日だから・・・・私の中にください・・・」
「純子さん・・・」
「純子、って呼んで・・・径・・・あぁ・・・・あっ、私、もうもう・・・」
「純子・・・純子・・・好きだよ・・・こんなに・・こんなに・・・愛してる」
更に激しい抽送が続き純子の赤い襞がひくひくと蠢き榎本の男性自身をくわえ込む。
腰を激しく動かし純子の奥深くの部分に根元まで男性自身を貫き通すと榎本は純子の中に精を放った。
うほー
エロい…
全然下手じゃないですよ!
とてもお上手です。
ご馳走様でした!!!
>>594 GJGJ!!
梅しようと寄ったらこんな素敵な作品が!!
余裕ある榎本さんは…やらしいなぁ〜
青砥さん、どんどん開発されちゃって。
ちょいS榎本とかDTの癖にやけにエロい榎本とかいいよね。
あと榎本おのフレンチキス(軽くないよ?)で腰ぬけちゃう青砥とか。
そっと投下
青砥「…いざとなると頼りになりますよね…」
榎本「…(えっ?)」
青砥「…犬って…私飼おうかなと…」
榎本「(なんだ。僕のことじゃないのか
まぁ青砥さんは僕を仲間にしか思ってないだろうし、青砥さん綺麗だし彼氏とかいるかも知れないし …こんな鍵マニアの密室オタク…そして童貞…でも…今まで協力してきた僕は…)」
榎本は青砥の何気ない雑談の言葉にイライラし始めていた。どうしてだろう 会社や周りの誰がどんなことをいっても今まで自分は自分。他人は他人。同僚も他人と割り切れて生きてきたのに…
そう思いながらあの綺麗な指を いつもの癖である様に擦り始める
青砥「…榎本さん?なんか怒ってます?」
榎本「…知りません。」
青砥「…私、変なこといいました?」
榎本「…知りません。」
青砥が榎本の癖である擦る指をガバッと掴んでいう
青砥「榎本さん怒ってますって 私何か悪いこといいました?」
ドキンっ。榎本の心臓が強く脈をうつ。
柔らかい優しい青砥の手で握られた指が熱い…無表情を装うが榎本の心臓は早く強くなりっぱなしだ なんなんだ。この感情は…
生まれて30年変わり者と言われても構わず自分を貫いてきた榎本にとって密室や 超難しい開鍵よりわからない。 自分に何が起きてるのかも 自分がどういう感情なのかもわからない
「…知りません。」
わからないんだからそれしか言えないのだ、ただもういつもの無表情でいられるかわからないくらい 榎本の心臓はドキドキしていた。
青砥「…知りません。って何を怒って…
あれ…?」
青砥はいつもの天然な青砥と違って何か思いついた様子だ
青砥「…もしかして 榎本さん。私のさっきの台詞…ヤキモチやいてません?」
榎本「…知り…っ……な…なにを…」
青砥「…やっぱりそうだぁ 私が頼りになるとかいって 犬を飼おうかなとか言ったからだぁ」
今日の青砥は青砥らしくない。中に誰か違う人でも入ってるのか……頭脳明晰
沈着冷静な榎本の脳は握られた指の暑さでいつもの思考回路ではないくらいに変になってた
榎本「…知りません。」
もう知りません。しか出てこない。もう心臓も思考回路の脳も全部 握られた指にいっているのだから
青砥「…年上の榎本さんにこんなこと言ったらすごく失礼なのはわかってますが…」
青砥が榎本の指を離す。
青砥「……榎本さんって…榎本さんって 時々すごく かわいい♪」
指が離れた途端。榎本の頬にいい香りがして柔らかいものがふれた。
ちゅ…
榎本「…な……な」
青砥が榎本のほっぺに軽くキスをしてきたのだ。どうしたんだ。今日の青砥は! …で、このほっぺにちゅ。は…
榎本は固まってしまった
青砥「…犬はかわいいから飼いたいなってちょっと思っただけですよ。一番頼りにしてるのは、芹沢さんでもなく 榎本さんです。」
榎本「…は…はぁ」