【何発でも】腹責め専門SS・その10【叩き込め】

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
例えば、
◆強気な優等生娘がスケバングループに拉致されて
  腹を殴られて悶絶したり、
◆格闘娘が手足の自由を奪われて、鍛えぬいた6パックの
  腹を延々と殴られて腹責め拷問されたり、
◆憎い仇の子種を孕まされた女戦士が、切腹して自害したり、

というような、腹パンチから切腹にわたる腹責めシチュSSのスレです。
オリジナル・二次問いません。

小説以外にも、腹責め系のネタなら大歓迎。(プロット投下など)


まとめサイト
ttp://thinker.web.fc2.com/index.html

腹責め専門SS避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/2964/1241429062/

前スレ
【何発でも】腹責め専門SS・その9【叩き込め】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1321531910/
【何発でも】腹責め専門SS・その8【叩き込め】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1303793228/
【何発でも】腹責め専門SS・その7【叩き込め】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1279806388/
【何発でも】腹責め専門SS・その6【叩き込め】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1244442849/
【何発でも】腹責め専門SS・その5【叩き込め】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229223999/
【ソフトでも】腹責め専門SS・その4【ハードでも】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1209903187/
【嘔吐】腹責め専門SS・その3【子宮潰し】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196431261/
【嘔吐】腹責め専門SS・その2【子宮潰し】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1174024879/
腹責め専門SS
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150474532/
2名無しさん@ピンキー:2012/04/15(日) 05:46:02.52 ID:5/tuj8/Q
いちょつ
3名無しさん@ピンキー:2012/04/15(日) 09:41:46.71 ID:hCDerjCW
>>1乙
4名無しさん@ピンキー:2012/04/15(日) 10:11:33.24 ID:O5vYBATp
いちょつ
5名無しさん@ピンキー:2012/04/15(日) 21:48:04.83 ID:mKho8TN9
失禁とか派手に吐いたりとか悶えるのとか苦手なんだけど
そういうのない軽めのやつでも良いの?
6名無しさん@ピンキー:2012/04/16(月) 06:12:55.85 ID:eNRGP5P3
ソフトな腹責めでもいいぜ。
俺も昔は失禁嘔吐が苦手だったな…
7名無しさん@ピンキー:2012/04/16(月) 12:00:32.72 ID:+jPj8ek2
>>5
全然ぉk

8名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 03:15:28.32 ID:pjsh6Q2C
前スレで投下したヒュースナー・レムブルクの拷問書誌の続編を投下します。

以下、注意事項が記されていますので下記を熟読のうえ自己責任で閲覧ください。

・切腹がメイン。
・流血、臓物描写、及び斬首描写がありますので、グロ耐性がない人はスルー推奨。

9ヒュースナー・レムブルクの処刑書誌:2012/04/17(火) 03:17:31.95 ID:pjsh6Q2C
 ホルスターに収めていたトカレフの銃把(じゅうは)を握って緩慢な動作で引き抜き、遊底(ゆうてい)を軽く引いて薬室に弾が入っているか否かを確認する作業……いわゆるブレスチェックを
行った後、青年下士官は再びトカレフをホルスターに差し込んだ。
 護身程度の役割しか果たさない代物ではあるが、よほどの事でない限り前線に立たない彼には充分事足りる。
 チョコレートのような色をしたブルネットの髪とブラックオニキスのような瞳を持つ青年下士官――エドゥアルト・ルスラン・ヴァジアノフ。
 敵国の捕虜の拷問や政治将校が連行してきた軍内部の犯罪者を処刑及び粛清する、いわば軍の暗部で任務を果たす事を生業としている。

 そのやり方は冷酷無比で残忍。
 ゆえに彼が所属する部隊でもこの青年に恐怖を抱く者も少なくはない。
 彼自身もまた極端なまでに人との関わり合いを避けるため、エドゥアルトと親しい間柄にある人間は皆無に等しい。

 エドゥアルトに恐れを抱くことなく話す事が出来るのは、ハルヴェルス革命から幾度となく修羅場を潜り抜けてきた先任軍曹のカルルと部隊の司令であるリーリヤくらいだ。
 カーキ色に統一された軍服に身を包み、礼装用の制帽を目深に被っているため表情を窺い知る事は出来ないが、真一文字に結ばれた薄い唇を見るに、その容貌に感情というものは映していないだろう。
 軍服と同じ色のコートのボタン全てを閉じ、共産主義国の証でもある星を象ったバックルのベルトで身体を引き締めている細身の姿は、
優男然としていながらも身に纏う雰囲気は尉官や佐官よりも遥かに威厳が感じられる。

 その彼は今、捕虜を収容している地下室へと歩みを進めていた。
 靴底に鋲を仕込んだ長靴が奏でる硬質な足音は、秒針の如く一寸の狂いもない。
 まるで機械を髣髴とさせるほど、動きは精確そのもの。
 暫し足を進めていると、収容所の独房扉が壁に並ぶの目的地へと辿り着く。
 尋問室のとは異なり、上には鉄格子が嵌められた覗き窓、足元には食事を入れるための開閉式小窓があるその鉄扉は、やはり尋問室の扉同様、酸化によって赤錆に侵食されていた。
 まるでこの中へ入らんとするもの全てを拒絶するような雰囲気を醸し出している。

 扉の前に立ち、コートのポケットから取り出した鍵束の中から独房の扉と同じ番号の鍵を見つけ、それを南京錠に差し込む。
 金属音と奏でて開錠した南京錠を外し、エドゥアルトは重厚な鉄扉を開ける。

「時間だ、大尉殿。ここから出てもらう」
 差し込む光を背にして、エドゥアルトは独房に収容されている捕虜の名を抑揚なき声で呼ぶ。
 花崗岩煉瓦で覆われた室内では、一人の女性将校が壁の隅で膝を抱えていた。

 ――ヴォルムス帝国軍第17戦闘航空師団隊長ヒュースナー・レムブルク。
 現在ハルヴェルスと敵対関係にあるヴォルムス帝国空軍の女性エースパイロットである。
 以前彼女は捕虜となって首都ビリアからキキー・モラの駐屯地へと輸送され、地下にある尋問室で兵士達に輪姦された後、
エドゥアルトの筆舌に尽くしがたい拷問によって軍の機密を全て白状してしまった。

 それ以降は廃人同然となってしまい、来る日も来る日もこうして身体を縮こめて動くことなく日々を過ごしている。
 現在は十日前の拷問時のように一糸纏わない姿ではなく、乗馬ズボンに鹿皮製のブーツ、軍服の上にシープスキン製のジャケットを着込んだ出で立ち。
 そして首もとに下げた柏葉剣付騎士鉄十字章が、紛れもなくヴォルムス帝国の一級軍人である事を示している。
 しかし、頬は削ぎ落としたようにこけ、すすきのように煌びやかだった金髪は老婆の如く真っ白に変貌。
 その姿は、フランス革命によって断頭台に立たされる前日、牢獄で一夜にして白髪となってしまったマリー・アントワネットを髣髴とさせる。

 かつてメッサーシュミットを駆り、天空を意のままに飛び回った帝国の英雄は、精も根も尽き果てたといわんばかりに疲弊していた。
 本当にこれがあのヴァイス・ローゼなのだろうか……?
 変わり果てた中級将校の姿に、看守に当たっている赤軍兵士達は疑わざるを得なかった。
10ヒュースナー・レムブルクの処刑書誌:2012/04/17(火) 03:18:29.01 ID:pjsh6Q2C
「……」
 エドゥアルトの言葉に、ヒュースナーは返事を発することなくゆっくりと立ち上がり、覚束ない足取りで扉の前に歩み寄る。
 双眸には光すら宿しておらず、覇気すらも感じられなかった。
 抵抗する事はないだろうが、しかしエドゥアルトはそれで油断するという愚を犯したりはしない。
 いつでもトカレフを抜けるように手套を嵌めた右手に神経を集中。
 庇(ひさし)で隠れた目元に幾分かの緊張を含ませ、眼前の女性将校を見据えるが、やはりヒュースナーは暴れる素振りを見せることなくエドゥアルトの前に辿り着いた。

 間近で見れば見るほど、彼女の衰弱振りは顕著(けんちょ)だった。
 軍服の上からでもやせ細っているのが分かるうえに、元々上背のあった彼女は心なしか身長が縮んだように見える。
 恐らくあの拷問以降、ろくに食事を摂っていないのだろう。
 枯れ枝のようになってしまった五指を見れば一目瞭然だ。
 骨と皮が密着しているその指を見咎めてから、エドゥアルトは彼女に背を向けて歩き出す。
 本来であれば捕虜の奇襲を想定して兵は後ろを歩くのが軍規なのだが、もはやその必要性は全くないと判断したエドゥアルトは前を歩く事にした。

 戦場での実戦経験がないとはいえ、彼とて軍人。
 もし仮に奇襲が行われたとしても、その対処法は充分心得ている。
 もっとも、ここまで弱り果てた人間に脱獄する力が残されているかどうか……。
 はたしてエドゥアルトの読みは正解だった。
 彼女は枷が嵌められた両腕を振り上げる事もなく、また捨て身で突進してくる事もないまま、彼の後ろについて行く形で歩を進め始めた。



            ×            ×



 地下室を抜けて一階の長大な廊下を歩き、一番奥にある大扉の前で彼は立ち止まる。
 扉の上に取り付けられた真っ白なプレート。
 それにはキリル文字で処刑室と刻まれていた。
 フロアにある他の部屋とは異なり、明らかに物々しい雰囲気を醸しだしているそこは、立っているだけで囚人の断末魔や亡者の怨嗟(えんさ)に満ちた呻きが聞こえてくるように錯覚する。
 常人ならば間違いなく恐怖で足が動かなくなってしまうだろう。
 しかし、日頃からここに出入りして咎人を処しているエドゥアルトには何の感慨もない。
 仮にそんな声が聞こえたとしても、彼ならば一笑に付すことだろう。
 それがこのブルネットの髪を持つ死神の怖さなのかもしれない。

 余談ではあるが、以前ヒュースナーを陵辱した兵士達は皆、エドゥアルトの手によって全員この処刑室で粛清されている。
 連邦赤軍にとって強姦は重罪である。
 それを忘れて欲望に屈したのだから、同情しようもない当然の末路といえるだろう。
 兵士達は一様に恐怖の念に駆られるまま命乞いをしたが、その程度で彼が温情を見出す事はなかった。
 「一人の死は悲劇だが数百万人の死は単なる統計に過ぎない」という書記長の思想ゆえ、この共産主義国にとって人命は紙屑よりもなお軽い。
 例え共に戦う同志であってもだ。
11ヒュースナー・レムブルクの処刑書誌:2012/04/17(火) 03:19:36.91 ID:pjsh6Q2C
 手套を嵌めた手でドアノブを掴み、軋む音を奏でる扉を開けるとエドゥアルトは黄泉の入り口ともいうべきその部屋へと足を踏み入れた。
 室内の床はタイル張りで、鮮血を洗い流せるように工夫がこなされている。
 だが、コンクリートが剥き出しである壁には、まるでペンキをぶちまけたかのようなどす黒い血が花開いていた。
 恐らく銃殺刑に処された兵士の血痕だろう。
 それが人の死というものを生々しく伝えてる。
 奥の方には樫の木で作られた古式の断頭台が据え置かれていて、やはりそれの周囲にもシミとなった血が刃などにこびり付いた。
 電灯の類は一切引いておらず、それゆえにこの室内は地下室よりも暗く、窓もないため陽光も入らない。
 それゆえに室内は陰鬱とした雰囲気に支配されていた。

「やっほーヴァジアノフ君。意外と早かったねー」
 幾多もの血が飛散するその処刑室に、およそ場違いな声がエドゥアルトの鼓膜を震わせる。
 驚愕で見開かれた双眸を声のした方に向けると、見覚えのある人物がそこにいた。
 連邦赤軍第58極地戦闘部隊『キキー・モラ』師団長、リーリヤ・アルチェミエフ。
 エドゥアルトにとって司令に当たる女性中将である。
 ヴァイオレットの髪を三つ編みにして将官の証でもある灰色の礼装用軍服を身に纏った彼女は今、
絞首台と断頭台の手前に置いてある椅子に座って優雅に足を組み、肘置きに両手を据えていた。

「司令……? どうしたのですかこんな所で?」
 彼にしては珍しく狼狽した声音で彼女に質すが、当の本人は悪戯っぽい笑みを浮かべて彼の後ろに立つ死刑囚を見咎める。
「だって今日はそこにいる小娘の記念すべき処刑日でしょう。折角だから見学させてもらおうと思ったの」
「そういう事は謹んで頂きたいと以前申し上げたはずですが?」
「あー、ひどーいヴァジアノフ君。私の楽しみを奪うつもりなの!? 酷いわ、貴方をそんな薄情な子に育てた覚えはないのに!」
「私も司令に育てられた覚えはありません」
 駄々をこねる上官を前にして、エドゥアルトは毅然とした態度で応じる。
 有事以外では幼子のように爛漫に振舞う彼女は、やはり高級将校と言うには違和感が拭えない。

「むぅ〜、いいもんいいもん。ヴァジアノフ君がそんな事言うなら、私ここに居座っちゃうもん!!」
 頬を膨らませて拗ねるリーリヤに対し、さすがのエドゥアルトもこれには毒気を抜かれたのか、ポーカーフェイスを崩して大きなため息を漏らす。
「それに、そこの小娘の死刑を命令したのは私だよ! だから私が鑑賞する権利はあってもいいはずだもん!!」
「……分かりました。ただし危険ですので出来るだけ近付かないようにお願いしますね」
 再び表情を硬質なものに戻したエドゥアルトはそれだけを告げて処刑の舞台へと歩む。

 リーリヤの座る椅子の正面にあるその舞台……。
 そこには赤い絨毯が敷かれていて、真ん中に子供の頭がすっぽりと収まりそうなほど大きい聖杯と刃渡り10センチほどのダガーが
花瓶を据える際に用いる台座の上に置かれていた。
 金メッキを施されたその聖杯は、余りにも安っぽさが否めない。
 宝物と呼ぶには余りにもお粗末な意匠。
 だが、それも当然といえるだろう。
 あくまでこれは処刑用の道具として用いられるもの。
 価値を見出すことなど、路傍に落ちた小銭を掻き集めるのと同等に愚かしい行為だ。

「大尉。貴女にはここに座ってもらう。座り方は膝を折って踵に臀部を密着してもらうようにすればいい」
 エドゥアルトの指示に、ヒュースナーは一度だけ彼の顔を見やる。
 一体これから何が始まるのか……?
 自分はどういう風に殺されるのか……?
 そう言わんばかりの視線であった。
12ヒュースナー・レムブルクの処刑書誌:2012/04/17(火) 03:20:36.05 ID:pjsh6Q2C
「貴女の国と同盟を結んでいる日ノ本という国は知っているな? あの国では腹を切るという処刑法がある。腹を切って黄泉路へと行くのは日ノ本の騎士にとって誉れの証であるそうだ……貴女は敵ながら見事な戦果を残した。それを讃えてこの処刑法を選んだ所存にある」
 淡々と紡ぐエドゥアルトの言葉に対し、ヒュースナーはただ無言で聞くばかり。
 それを理解しているのかどうかは定かではないが、ヒュースナーは言われるまま絨毯の上に座り込む。
 全てを諦めきったような翠眼は、もはや何を映しているのだろうか?
 他者の目からでは見当もつかない。

「やり方は簡単だ。ジャケットと軍服、そしてシャツを脱いで素肌を晒したままの腹にダガーを突き刺し、そのまま右から左へと引き裂いて内臓を聖杯の中に収めればいい。あとは私が貴官の首を斬る……それで終わりだ」
「……ヤボール(了解)」
 吐息も同然の小さな返事を返し、ヒュースナーはエドゥアルトの言葉に従うまま、シープスキン製のジャケットのファスナーを下げてからそれを脱ぎ、その下に着ていた空軍将校用の開襟ジャケットも脱いで傍らに置く。
 次いで首もとに下げていた鉄十字章をリボンごと外すと、黒いネクタイとシャツも脱いで上半身は下着のみという姿になった。
 羞恥はない。
 それ以前に散々辱めを受けた身で、どうして今更そんな気持ちが芽生えようか?
 何より、これから死にゆく自分の立場を考えれば、そんな事考えている余裕などない。
 寒さゆえに粟立つ白い肌と鉄十字を鎌で裂かれている焼印が押された腹部を晒した後、ヒュースナーは台座の上に置かれたダガーを手に取る。
 柄の部分を細緻な模様で飾られた西洋拵えのそれは、見れば見るほど骨董品としか思えない前時代的なものだ。
 しかし、刃は抜かりなく研磨されていて、指で触れれば皮などたやすく切ってしまいそうなほど鋭さを孕んでいる。

「ふぅ……ふぅ……」
 両手で柄を握り締め、刃を自分の方へ向けると、歯が鳴らす音が響き渡る。
 よくよく見ると、彼女は全身がまるで『おこり』にでもかかったかのように震えていた。
 例年より早い冬将軍の訪れによって感じる寒さのせいではない。
 これから自分で自分の腹を裂くという狂気ともいえる行為をしなければならないという恐怖で震えているのだ。
 拳銃を口にくわえて自らを撃ち抜くようなものとは違う。
 はたしてその処刑法だったらどれだけ楽だろうか?

「――ッ!!」
 しばらく震えていたヒュースナーであったが、やがて意を決したのか大きく息を吸い込むと即座に呼吸を止め、握り締めたダガーを腹部に押し当てた。
 切っ先の鋭いダガーがヒュースナーの左肋骨下の腹部を突き刺すが、どういう訳か僅かに皮膚を貫いただけでそれ以上は入らない。
 実のところ、腹を切るという行為は思いのほか難しい。
 腹部は他の部位よりも柔らかく出来ているため、自分の力で短刀を押し込んでもなかなか侵入することがないという。
 その自害法が行われている日ノ本でもそれが原因で切腹が失敗するという事例を鑑みれば、仕方のないことだ。

「ぐっ……うぐっ……うぅぅぅぅ……」
 皮膚を突き刺した痛みによって、ヒュースナーが獣じみたうめき声を発する。
 痙攣は先刻よりもなおいっそう大きなものとなり、まるで雷にでも打たれたのではないかと錯覚するほどだ。
 しかし、ヒュースナーはそれでも柄を握り締める手を緩めずに、再び強引に脇腹へ刃を突き入れようと試みる。
 やはり切っ先以外は彼女の腹部に侵入することなく止まったまま。
 これだけを見れば、いかに切腹が困難かというのが窺えるだろう。

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅ……っっっ!!」
 だが……ヒュースナーは刃を押し当てていた短刀を一度15センチほど離してから下腹部に力を込め、そのまま一気に突き刺す。
 勢いをつけたことによって力を得た刃は、とうとうヒュースナーの左肋骨下の皮膚を完全に穿ち、腹壁をも貫くことに成功。
 それによってダガーの刀身は、根元まで彼女の腹に埋没した。
13ヒュースナー・レムブルクの処刑書誌:2012/04/17(火) 03:21:48.28 ID:pjsh6Q2C
「ぐあっ……あがっ……がぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっ!!!!!!」
 マンドラゴラの悲鳴にも似た絶叫。
 それが処刑室にいたリーリヤとエドゥアルトの耳を聾(ろう)する。
 経験したこともない痛みがヒュースナーを襲った。
 まるで痛覚神経を剥き出しにされた状態で硫酸の中に放り込まれるような感覚。
 皮膚を破って自分の腹中へと侵入したダガーをその目で見て、ヒュースナーの痛みは更に倍増する。

「では、そのまま左から右の脇腹まで引き廻してもらう。出来るな?」
 惨状を目の当たりにしても顔色一つ変えないエドゥアルトは、苦悶にもがく彼女に対して冷徹な言葉を浴びせる。
 ……やはりこの死神には血が通っていないのだろうか?
 そう思わずにはいられない。

「がっ……ふぅぅぅぅぅ……ぅぅぅぅぅぅぅ……ごぉぉぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっ!!!」
 獣の喘鳴にも似た声とともに、ヒュースナーは毛細血管が隆起した双眸でダガーを見据えながら柄を緩慢な動作で右へと動かしていく。
 鋏で紙が裁断されていくように、皮膚と腹壁が刀身によって真一文字に裂かれていくと傷口から鮮血が迸った。
 まだ腹壁を裂いた程度ゆえに、毛細血管が切れて血が注射器で水を飛ばすように絨毯に跳ね飛ぶ。
 それは聖杯にも飛び散り、安っぽさが滲み出る金メッキに毒々しい朱色の粒が上塗りされる。

「あがっ……うぅぅぅぅ……ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……がふぅぅぅぅぅぅぅぅ……!!!!!」
 威嚇と紛うほどの凶々しい呻きとともに、ヒュースナーが引き廻していたダガーは隆起した腹直筋の『へこみ』までをも裂き、ようやく右の肋骨下まで到達すると、鮮血はいよいよ量を増して墨汁のように垂れ広がる。
 黄褐色の大網膜が露出し、ヒュースナーの握り締めていたダガーの柄と両手、下腹部から乗馬ズボンをも鮮血で汚されていった。
 その光景は、まさにヨハネの黙示録と表す他はない。

「う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛……ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛………ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っっっ……」
 砕けんばかりに食い縛った歯の隙間から漏れるおぞましい呼気とともに、ダガーが右の脇腹までを完全に引き裂くと、割腹は終焉を迎える。
 だが……処刑はここからが本番だ。
 これから彼女は自分の手で臓物を引きずり出し、それを聖杯に入れなければならないのだから。

「ぐっ……!? はぁ……はぁ……はぁ……あぁ……あぁ……」
 充血して額に脂汗を滲ませる顔を鬼女もかくやといった凄まじいものに歪めたまま、ヒュースナーは右手で柄を掴んだまま血塗れの左手を掻っ捌かれた腹部に突っ込み、半ば露出していた臓物を五指で掴み取る。
 初めて触る自分の内臓。
 それはまるで海洋生物のように柔らかく、そして暖かい。
 体内に収まっていたのだからそれは当然といえるだろう。
 ぬめる血によって滑る内臓に苦心しながらも、ヒュースナーは掻き動かす指に力を込めてそれをしっかりと握った。

「あっ……ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ………うぅぅぅぅぅぐぅぅぅぅぉぉおぉっぉおぉぉぉっぉぉおっぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっっ!!!!!!」
 気の遠くなるような痛みを、しかしヒュースナーは咆哮で自らを奮い立たせるとともに臓物を引きずり出す。
 流石にここは、胆を据えた軍人といえよう。
 鮮血に塗れ、油圧ホースのように長く太い『それ』は、全長約7メートルほど。
 毛細血管がまるで幾何学模様(きかがくもよう)のように張り巡らされている『それ』は、蠕動によって小刻みに痙攣している。
 まるで命を宿しているのではないかと錯覚してしまうほどだ。
 灰褐色の色をしたそれは、大網膜とともに露出した大腸。
 ぬめりを帯びて掴み、引っ張り出されたそれをヒュースナーは震える手で眼前の聖杯に入れる。
 ぬちゃっ……という生々しい音に伴って聖杯に収められた臓物。
 常人がその光景を見れば、確実に胃の内容物を吐き散らしてしまうだろう。

「小腸のほうも出してもらう。それでこの処刑は終わりだ」
 苦心の末に行われた儀式。
 しかし、エドゥアルトはまだ続きを要求する。
 いつの間にか腰元に下げていた剣を鞘鳴りとともに引き抜くと、彼は柄を両手で軽く握る。
 形状こそ西洋剣のそれだが、切っ先が存在せず平らに加工された幅広のもの。
 いわゆる斬首刀と呼ばれる古式の処刑道具だ。
 彼曰く、普通の剣で首を刎ねるよりは、こちらの方が使い勝手がいいという。
14ヒュースナー・レムブルクの処刑書誌:2012/04/17(火) 03:22:22.54 ID:pjsh6Q2C
「うぐっ……ぐっ!!」
 朦朧とする意識のなか、唇を強く噛み締め、必死に頭を振ってから彼女は再度、朱に染まった左手を割腹によって生じた10センチ程度の『裂け目』へと突っ込む。
 そのままを腹中をまさぐると、先刻引きずり出した大腸と同じ位置にそれはあった。
 それは大腸よりも幾分細く、また感触も異なっている。
 大腸が海洋生物とするなら、今手に取っているそれは生まれたばかりの雛鳥のような柔らかさだった。

「うぅぅぐぅぅうぐぅうぅうぅぅっぅぅぅぅぅ……」
 再三唸りながら、ヒュースナーは掴んでいたそれを先ほどと同じ要領で引っ張り出す。
 淡紅色のなめらかなそれは、まるで巣穴から出て来た蛇のようにうねうねと露出しはじめ、大腸のように一気に出るのではなく、除々に外気に晒される。
 これもまた、毛細血管が無数に張り巡らされており、生き物であるかのように痙攣を続けていた。

「はぁ……はぁ……はぁ……」
 25センチほどの長さがある小腸がようやく全て引きずり出されると、ヒュースナーは自らの脇腹に刺さっていたダガーを引き抜いてから絨毯の上に置いて膝立ちになり、絨毯に零れ落ちていた両手で小腸を掴んで持ち上げる。
 骨のない軟体動物のようにぶよぶよしたそれが自分の体内に収まっている……。
 そう考えるだけで吐き気を催さずにはいられない。
 しかし、それよりも勝る気持ちが、彼女に醜態を晒させなかった。
 眼前で自分を嘲笑している敵。
 自分の処刑を物見遊山(ものみゆさん)同然に鑑賞している女……。
 その敵に対する憎悪をありありと示す視線を衝突させたまま、ヒュースナーは既に大腸が収められたその上に小腸を無理矢理押し込んだ。

「覚えておけ……我がヴォルムス帝国は……必ずや欧州のみならず、この世界の大地と……空を……アイゼンクロイツに染め上げる」
 全ての儀式がようやく終わると同時に、ヒュースナーは腹から絞り出すような声で呟く。
 言葉を向けた先にいるのは頬杖を付いて自分を見据えている女。
 その女にありったけの怨嗟を、ヒュースナーはぶつけていた。
 睨み据える翠眼は既に充血して赤く染まっており、化生を思わせる。

「貴様等イワンを隷属にした後は、ブリテンやユナイテッドをも支配する……見ていろ……我が祖国の野望、我が祖国の悲願……千年帝国を……っ!!」
 肩で大きく息をしながら、彼女は尚も呪詛を呟く。
 恐らくその目には、彼女が唯一心酔し、崇拝する独裁者の理想国家が映されている事だろう。
 世界を裏で支配しようと目論むユダヤ人を滅ぼし、全ての人類がゲルマン民族に膝まづくであろう国家を……。

「Sieg Heil!!(勝利万歳!!) Heil mein Fuhrer!!(総統閣下万歳!!)」
 最後の力を振り絞り、ヴァイス・ローゼは独裁者に忠誠を誓う言葉を高らかに叫ぶ。
 だが、それと同時に彼女の首は突如、身体から別れを告げて刎ね飛んだ。
 舞い散る白髪と僅かな鮮血が飛散するとともに、その首はリーリヤの足元へと転がり、膝立ちになっていた身体が力を失って前のめりに倒れこむ。
 そうなったのは、いつの間にか彼女の左肩に添うような形で佇んでいたエドゥアルトが斬首刀で首を落としたからだ。

 斬首は斬り合いよりも容易いという先入観を受けがちだが、それは大きな誤りだ。
 死ぬ覚悟を決めた人間の首を落とすというのは、剣での斬り合いとはまた違った胆力を要求される。
 しかもそれを一瞬のもと成功させなければならないのだから、生半可な覚悟では不可能だ。
 もっとも、それを十二分に心得ているエドゥアルトはこれまで斬首で一度も失敗した事はない。
 彼のやり方は中世ヨーロッパの処刑人がやるようにただ得物を力任せに叩き下ろすのではなく、しっかりと頚椎の隙間を狙って刀身の根元から切っ先までをしっかりと挽き下ろす。
 こうする事によって一瞬の内に人間の首は斬り落とされるのだ。
 やはりそこは処刑を生業とした男。
 見事なまでの鮮やかさである。
15ヒュースナー・レムブルクの処刑書誌:2012/04/17(火) 03:24:37.72 ID:pjsh6Q2C
「フンッ、思い上がりも甚だしいなアーリア人。貴様等ファシスト如きに我が祖国を斃す事が出来るとでも?」
 口を開けたまま固まっている首が足元まで転がったの見咎めると、リーリヤはその首――正確には頭部を足で踏みつける。
 その表情には、先刻エドゥアルトに見せていた朗らかな表情は完全に消え失せ、双眸の瞳は死んだ魚のように濁っていた。

「いいだろう……ならば、私たちが貴様等の祖国に鎌と槌の赤旗を掲げてやろう。馬鹿げた妄想を帝国もろとも戦火の中へと葬り去ってやる」
 鼻を鳴らしながら、リーリヤはポケットの胸元から葉巻を取り出し、吸い口を専用のカッターで切り落としてから口の端にくわえる。

「散っていった同志達の無念は、ヴォルムスの民の血で償ってもらう……そう思うだろう? 同志ヴァジアノフ」
「はい。私も司令と同意見です」
 唐突に意見を求められたものの、しかしエドゥアルトは躊躇することなくリーリヤに同調する。
 それはただ彼女の機嫌を伺うべく発したものではない。
 彼女に忠誠を誓う彼だからこその意見だ。
 事実、彼はこの国の指導者である同志書記長に対して忠誠心など欠片ほどもない。
 彼が仕えるのは目の前にいる女性将官ただ一人なのだから。

「我が師であるラスプーチンは帝政末期に宮殿へと潜り込み、放蕩の限りを尽くした結果、愚かにもロマノフ朝を破滅へと導いた……フンッ、あの程度の器で国を操れると思っているのがそもそもの過ちなのだ」
 咥えた葉巻にガスライターで火を灯し、口の中でじっくとフレーバーを味わうリーリヤは、過ぎ去りし日の帝政時代を語り出す。
 自分が薫陶を受けた怪僧と呼ばれたあの男。
 しかし、今のリーリヤにはあの男に対して敬う気持ちなど存在しない。
 かつての師とはいえ、愚者に敬意を表するのは馬鹿の所業だ。

「だが今ではあの男に感謝している。お陰で私は奴を遥かに超える不死の力を得たのだからな……何より、奴がいたからこそ我々は帝政を打ち倒し、
社会主義から共産主義という道を歩むことが出来た。まぁそれに身をやつして死んだレーニンは気の毒だと思うが、それも致し方ない」
 口腔でじっくりと味わった紫煙を吐き出してから、唇を三日月のように両端を吊り上げ、彼女は誰に向けるでもなく淡々と語りを続ける。
 その表情に映る笑みはどこまでも冒涜的で、どこまでも禍々しくてで、どこまでも悪辣(あくらつ)で、どこまでも残忍であった。

「ククククク……ヴォルムスや欧州を我が国の一部にした暁には、日ノ本や朝鮮、支那大陸、そして中東をもごっそり頂くとしよう……この世界にはためくのはアイゼンクロイツでも
スターズ&ストライプスでも旭日旗(きょくじつき)でもない……我が祖国の赤旗ただ一つだ」
 含笑とともに、彼女は葉巻を口から離してくつくつと笑う。

「кукукуку……хехехехехехехе……ха――――――хахахахахахахахахахахахахахахаха
хахахахахахаха!!!!!!!(クククク……ハハハハハハハ……ハ――――ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!)」

 抑えるようにしていた笑い声はやがて一際大きなものとなり、とうとうリーリヤは椅子に座ったまま天井を仰いで高らかに狂笑する。
 瞳孔は開ききり、口は地割れを思わせるように耳まで裂け、人が発するものとは思えない笑い声は、もはや人ならざる者。
 その姿こそが、リーリヤ・アルチェミエフという『魔女』の正体である。
 これ以上ないというくらい愉快そうに大笑する上官を前にして、エドゥアルトは顔色一つ変えることなく、上官である不死の魔女を見据えていた。



            ×            ×



 駐屯地二階にある司令室。
 今この場では、リーリヤのみに振舞われた豪勢な食事の数々が並んでいた。
 オードブル、ポタージュ、ロティーなど……魚料理であるポアソンは出て来ないものの、それは宮廷料理と比較しても何ら見劣りのしないほど。
 また、普通のコース料理とは異なり、ボリュームも尋常ではない。
 どう贔屓目に見ても10人前くらいはあるであろう量だった。
16ヒュースナー・レムブルクの処刑書誌:2012/04/17(火) 03:28:07.86 ID:pjsh6Q2C
「うーん、おいひぃ〜」
 鉄板の上で熱されて湯気の立つステーキをナイフで切り、その一片をフォークで突き刺してから口に運ぶと、リーリヤは喜悦に満ちた表情を浮かべながら肉を咀嚼する。
 それだけを見れば、微笑ましい光景に映るだろう。
 長机の中央に置かれている軍人の首を見なければの話だが……。
 銀皿の上に飾られたその首は、紛れもなくヒュースナー・レムブルクのもの。
 表情は先刻見せていた憎悪を映すこともなく、双眸と口を開いたまま食卓に鎮座している。
 あの処刑が終わった後、ヒュースナーの首はヒ素で腐敗防止加工を施したのち、こうして司令室に飾られる事となった。
 これはリーリヤが考案したもので、本人は憎むべき敵の亡骸を晒し者にすることによって部下達の士気が上がるからだといっていたが、どう考えても彼女の悪趣味が興じた結果としか思えない。
 リーリヤがいま口にしている肉は、ヒュースナーの身体全てをふんだんに使ったもの。
 爪先から胴体全てを余すとこなく使用された料理だ。

「ヴァジアノフ君も一緒にどう? 帝政時代の戦争で捕まえたヤポンスキーの肉も美味しかったけど、ネーメツの肉も中々上質よ」
「自分の口に人肉は合いません。温まったぺニエリで充分です」
 もごもごと肉を咀嚼しながら、リーリヤは後ろに控えていたエドゥアルトに薦めるが、彼は首を横に振ってその誘いを断る。
「え〜、残念。こーんなに美味しいのにぃ」
 暢気な口調で呟きながら、リーリヤは再びステーキを刺したフォークを口の中へと持っていき、それをゆっくりと吟味するように咀嚼する。
「人肉の旨みを覚えてしまうと食人鬼になってしまうという幻想話があります。お気をつけ下さい」
「ご忠告どうも。相変わらずヴァジアノフ君はやっさしいのねぇ」

 部下の気遣いに対し、にこやかな笑みを浮かべながらも人肉を食す手は止めない。
 もっとも、既に人であることを捨てて魔女となったリーリヤと食人鬼、どちらが恐ろしいかなど論じる必要などないだろうが……。
 やがて、かなりの厚みがあったステーキ肉全てを食べ終えてしまうと、リーリヤはワイングラスに注がれたルイ・ロデレールを呷る。
 やはりその表情には、幸福感というものがありありと浮かんでいた。

「では、私はこれから残っている仕事を片付けなければなりませんので失礼します」
「はーい、ご苦労様。余禄(よろく)はたっぷりあげるから楽しみにしててね」
 料理を堪能する上官に向けて敬礼をした後、扉へと向かうエドゥアルトに対し、リーリヤは絶大な信頼を置いている部下――いや、この国では同志というべきか――に小さく手を振る。
 司令室の重厚な扉を開けて退室したエドゥアルトはその後、自室に戻って机においてあったタイプライターを用い、今回の拷問、及び処刑の過程を書誌としてまとめた。

 この後、二度に渡って行われたスターリングラード攻防戦で侵攻してきたヴォルムス軍を撤退させることに成功したハルヴェルスは、これを反撃の好機と見るや徐々に欧州圏内の帝国領を次々と陥落に成功。
 それはとうとう、首都であるベルリンにまで迫った。
 1945年5月、帝国側の無条件降伏によってベルリンはハルヴェルス連邦国の手によって陥落。
 同年8月、日ノ本もポツダム宣言を受諾したことにより、世界の敵となった二ヵ国は完全なる敗北を喫す。
 これにより、ハルヴェルス連邦国は2000万人という大規模な死者数を出しながらも、この戦争……連邦国内では大祖国戦争と呼ばれた世界大戦は、ブリテン、ユナイテッドなどが筆頭となる連合国、そしてハルヴェルス連邦国の勝利として終焉を迎えた。



<了>


17名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 03:28:59.63 ID:pjsh6Q2C
以上です。有り難うございました

18名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 07:41:47.02 ID:oSIcTMYO
流石にここまで来ると、グロスレに投下してくれとしか言えん
19名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 09:20:20.66 ID:Iz8fC4Pl
>>18
耐性がない人はスルー推奨ってあったろうに・・・
テンプレにも一応切腹系はOKって書いてあるし、いいんじゃない?
>>8
乙でした。濃厚さを感じさせる描写、相変わらす素晴らしいです。
20名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 11:55:16.31 ID:pgtjoBr7
好みの話をしだすと切りないけど、途中で気持ち悪くなって読めなくなるってのは、それだけ文章が上手いってことなんだと思う、ひとまず投下乙です
恭子の人も文章は好みだけど内容がスカ寄りだし、やはり自分は55氏みたいなライトな腹責めが好きなんだなぁと思った
21名無しさん@ピンキー:2012/04/18(水) 22:20:18.36 ID:txU7eFJJ
前スレの546氏乙
続きが気になるね、スパッツ娘の腹パン調教劇とか楽しみだw
22名無しさん@ピンキー:2012/04/18(水) 23:24:38.15 ID:2wG+Kq1A
55氏、作品はDL販売してくれるみたいだな。予告始まってるし。
状況から見て最後の作品になるのかな。
23名無しさん@ピンキー:2012/04/19(木) 05:24:01.13 ID:y/YVjaNv
>>21
腹パン調教か・・・ゴクリ・・・
>>22
行けない俺としてはありがたい
24名無しさん@ピンキー:2012/04/19(木) 12:39:55.33 ID:KvR39JKo
>>23
だから、行けないも何も55氏は出ないんだっての
25名無しさん@ピンキー:2012/04/19(木) 13:12:32.20 ID:jpTQicIg
26名無しさん@ピンキー:2012/04/19(木) 13:24:48.01 ID:1yFaviDB
>>25
なんだよ
27名無しさん@ピンキー:2012/04/19(木) 18:19:44.09 ID:/+OyAK60
せやろか
28名無しさん@ピンキー:2012/04/19(木) 18:36:05.72 ID:g3xEqNqf
どうやろ
とりあえず予告編の表紙で抜いた
29名無しさん@ピンキー:2012/04/19(木) 19:20:00.00 ID:NeFJeusD
腹PA会場に潜入するナンバー55
しかしそれはハラパニスト達による巧妙な罠だった
30名無しさん@ピンキー:2012/04/20(金) 17:55:15.25 ID:OFYP2aIz
恭子は相変わらず可愛いな
31名無しさん@ピンキー:2012/04/24(火) 15:42:15.53 ID:8YhyfFh3
今更だけど55氏の短編やシオン編の続き保存しとくんだったよ
よく考えたら販売されてないじゃん
32名無しさん@ピンキー:2012/04/24(火) 23:37:08.14 ID:0C1ma37X
外部だから仕方ないけど保管庫にも残ってないしな
33名無しさん@ピンキー:2012/04/25(水) 00:09:24.84 ID:DxfTQfaM
性癖って変わるのな…。
34名無しさん@ピンキー:2012/04/25(水) 01:49:01.68 ID:hmKTROCb
ダイゴスの悪口はそこまでだ
35名無しさん@ピンキー:2012/04/25(水) 20:40:54.12 ID:QTd1IVEl
>>31
完全に閉鎖するならブログごと消してるはず
新刊も出すみたいだし、そのうち復活すると思う
36名無しさん@ピンキー:2012/04/25(水) 22:37:31.15 ID:MsG5O1Qd
>>34
筋肉好きは最終的にホモへと帰結するのじゃ
37名無しさん@ピンキー:2012/04/30(月) 13:43:33.29 ID:xAWl65NZ
ダイゴス、最初期からBLサイトも並行して公開してたし、あの性癖は元からだろ
まあ、筋肉ショタもイケる俺にとっては御褒美なので
38名無しさん@ピンキー:2012/05/02(水) 22:49:34.93 ID:V6IJpXVf
55さんの過去ログ復活してるね
39名無しさん@ピンキー:2012/05/03(木) 12:41:58.18 ID:XQNIX1zp
それは吉報
きっと沢山のメールが行ったんだろうなw
40名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 01:50:57.79 ID:9U2Va//a
55が活動休止した本当の理由知ってるけど言ったらおそらく55氏に迷惑というか
精神的に追い詰めることになるので言わないでおく
とにかく過去ログ復活してくれてありがとう
41名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 02:11:57.20 ID:v+FI8XKG
へーすげー教えてくださいよー(棒
42名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 09:53:40.24 ID:J2KjL0no
age落とし上手ぇな。流石アンチ
43名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 12:41:01.58 ID:HUk1yg1M
休止した理由なんて興味無いし知りたくもない。
ただ、復活は素直にありがたいし、55氏のいない腹パはなんかさみしかった。
俺は信者でもアンチでもないけど、ひとつを除いて全サークル買えたけど、あの55氏のDL販売のやつが1番出来がよかったと思う。
44名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 15:10:21.15 ID:J2KjL0no
小説だとイメージを直接的に表現できるけど、漫画ともなると絵的な才能に結構なウェイトがいくからね
特に同人となるとそれに費やせる時間と労力にも限度があるし
AVの腹パン物のフェチ板でのレビューがエロくて期待して買ったら、女優の大根寸止め演技で酷くガッカリしたように

とかく二次元と腹責めは余り相性がよくない気がする
45名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 16:22:11.66 ID:iU9OhGom
その理屈は流石に無理がある
イメージを直接表現するのはどう考えても絵の方だろ
文の良さはむしろ想像力でイメージを膨らませることができる点にある

にしても腹パは漫画の方はあんまり良くなかったのか…
いやまあ単に43のツボから外れただけかもしらんが
46名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 17:28:35.01 ID:HUk1yg1M
>>45
二次元の方が表現に優れてるってのは同意したい。
漫画はあくまでも個人の感想として書かせてもらうと、みんな描写があっさりで短調なのが残念だった。何発か殴って相手のゲロ飲んで終わりとか。
小説売ってた人もいたけど、えっ?これで終わり?って感じで物足りなかったし。
表現力というか、55氏のは単純に使えた。文章だけ読んでても場面をイメージしやすかったし。
まぁ逆に55氏のが嫌いって人もいると思うけど。
47名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 18:04:33.63 ID:kDMz3DaK
そうか腹パに出てた漫画はみんな描写があっさりで短調、何発か殴って相手のゲロ飲んで終わりで
小説はえっ?これで終わり?って感じで物足りないのばかりなんだね
これからは55氏のだけ買うことにするよ!有益な情報ありがとう! >>46
48名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 18:24:15.30 ID:mZbIDkzl
>>47
ちゃんと「個人の感想」って前置きしてんのに何つっかかってんだこいつ
49名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 21:37:16.93 ID:wKweeYwG
まぁ一人を持ち上げて他の作品を悪く言えば
反感買うこともあるわなーとは思う
50名無しさん@ピンキー:2012/05/08(火) 21:54:51.03 ID:J2KjL0no
どう考えてもアンチが燃料投下してるだけだろ
持ち上げの仕方がわざとらしくて幼稚だし
51名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 07:35:58.42 ID:OH0tuKFU
55氏は物書きとしても腹パニストとしても頭一つ抜けた存在。
比べられる他サークルが可哀想だ。
52名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 10:50:33.20 ID:5fq6vZpX
流石にそれはお前分かり易すぎるwwww
凝るのがあきたのかwww
53名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 18:00:53.85 ID:M4vBFOqK
ぶっちゃけ今回の55の作品どうだったの?
サンプルみてれば十分な感じ?
54名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 20:37:51.22 ID:ClCBLNaB
前にも書かれてるように >>46 のような感じだよ
頭一つ抜けた存在
55名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 21:34:29.70 ID:uvHo1chG
こんな過疎スレ荒らしてどうすんだw
過疎スレじゃないと相手して貰えないのか?w
56名無しさん@ピンキー:2012/05/09(水) 23:49:09.24 ID:Whm0oYGx
>>53
どうと言われても返答に困るが、出来はいいと思う
下手な同人誌2、3冊買うならこれ買って長く使った方がいい
57名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 04:12:29.93 ID:iv4exzyK
俺は行けないけど、腹パン好きなら末永く応援して買っとけばいいんじゃない。
よほど苦手な部類の作品ならともかくとして
58名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 08:06:11.25 ID:ajSCPKqd
腹責めスレ名物、55教信者と異教徒のバトル
59名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 09:24:56.85 ID:ajSCPKqd
ただ知らない人用に一応言っておくと、55教幹部にはnnSやシャー、一撃といったフリス黄金期の猛者が名を連ねているから、
あんまり敵に回すような言動をするとこの世界に居られなくなるよ。
60名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 11:08:02.41 ID:TkFC7VcJ
>>59
お前さらりと知らない人に間違った知識教えてんじゃねぇよww
twitterやブログで普通に交流してる作家というだけで宗教幹部って
偏見にしても歪みすぎてるだろww
61名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 11:47:02.68 ID:f0rBFdk9
そして職人たちはここの事を全く気にしていないというね
まあビッグネーム達がお互い仲がいいのはいいことだ
62名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 12:27:35.62 ID:K/WqdPif
他のジャンルでは、有名な作家とかはちょっと何かするとすぐ叩かれたりするが
ここでは何もしてなくても叩かれるというタチの悪さ

なんでリョナ系のファンってこんな民度低いの?
63名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 12:47:55.44 ID:2uaSc6q0
過疎スレだと荒らしに免疫無いから、すぐ反応しちゃうんでしょ
荒らしはいつも一人
64名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 19:10:28.99 ID:Uu9z7VWx
ほとんど嫉妬心からでしょ
65名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 21:22:53.46 ID:Szx/b/vk
人気実力ともに圧倒的に他の作家を引き離してるからな
66名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 21:27:29.44 ID:BDGv93uw
〜だな君久し振りだなw
67名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 01:19:31.14 ID:FaV3KWJC
イベント参加してる人のほとんどが真面目に仕事や就活してる上で作品まで作れるんだから、劣等感感じてる人もいるだろうね。
68名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 07:54:54.09 ID:DtqCEBH9
作家論争でちょっと興味湧いたんで過去作漁りたいんだけど、今までにオススメある?
69名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 16:39:56.14 ID:Uo4Yi+11
そんなに数出てないんだからサンプル見て気に入ったの買えば?
70名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 17:15:42.95 ID:ZcFAhC6l
需要少なすぎ
こちとら赤字なんだよ
あーだこーだ言わず金落とせ
71名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 19:26:16.61 ID:0Lqmxw22
ついには職人に成りすますまで墜ちたか・・・
72名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 19:49:03.17 ID:LFYZkoPX
優越感を感じるいちばん手っ取り早い方法は相手を落とすことだからな
仕事も才能も無い奴の末路か
73名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 20:45:51.73 ID:DtqCEBH9
55って人がブログ休止したのは、リアル犯罪に巻き込まれた(刺されかけた?)からって言うのは聞いた。
74名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 21:52:14.30 ID:2LZZFD4K
まじで
まあ、ニッチな性癖だからな
読者にも狂ったやついそうだな
75名無しさん@ピンキー:2012/05/11(金) 23:18:37.29 ID:FaV3KWJC
タイミング的にどう考えてもおかしい休止だったもんな
イベントで出すSSを更新直後に休止&イベント不参加とか、何か理由がなければあり得ない
76名無しさん@ピンキー:2012/05/12(土) 12:20:49.68 ID:9DeHcgbf
>73
マジ?
77名無しさん@ピンキー:2012/05/12(土) 12:50:21.95 ID:9DeHcgbf
腹パンチ合作本がやっとまともなサイトで買える
http://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ095607.html
78名無しさん@ピンキー:2012/05/12(土) 23:52:12.85 ID:nsAFpCnm
ここまであからさまな宣伝も珍しいな
79名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 00:31:46.62 ID:JE3fhLLN
ありがたいな、ホムペからの通販はなんかややこしくててを出せなかった
80名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 02:49:07.64 ID:S2XWdNyY
DLで出せるなら最初からDLで出せと
あっちで買うわけねーだろw
81名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 07:37:47.31 ID:SiJybK1y
他のサークルに遠慮したんだろ
初動凄かったらしいかから
82名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 07:40:07.59 ID:SiJybK1y
何の宣伝もしてないのに1日で14部も売れてる
これ、軽く500には届くぞ
83名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 09:01:00.35 ID:jJefFvWb
84名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 10:42:50.48 ID:5ruxuzSN
なんでそんなわざとらしいステマっぽい書き込み続けるんだろ
本人って感じでもなし、アンチの攻撃誘導?
85名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 10:58:54.19 ID:bYlYZnpl
こういうステマがあるからサークル主が刺されるんだよ。
まぁ狙い通りなんだろうけど。
86名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 15:40:51.47 ID:iDT/lw7V
>>74
このジャンルは変な奴多いよ
フリス全盛の頃からだけど、職人に粘着する悪質な荒らしとか、殴られ屋とかやりながら相手が気に入ったらストーカー行為する女とか、サイト乗っ取る奴とか色々いたな
87名無しさん@ピンキー:2012/05/14(月) 02:10:18.67 ID:HUZ9A/MH
そんな奴らがいたとは驚きだ。
流石、人を傷つける事に興奮を覚える連中。イベントにいかなかったのは正解だな。
88名無しさん@ピンキー:2012/05/14(月) 02:22:26.46 ID:xClPKJYw
くだらない会話なんて要らないからSS投下しろよ。
89名無しさん@ピンキー:2012/05/14(月) 07:41:46.63 ID:gUFMUUzN
まず貴方からどーぞ
90名無しさん@ピンキー:2012/05/15(火) 15:08:44.93 ID:wT+aT5Gr
イベントに参加してたシャーとかいうニートは、何を根拠にか知らんが、新聞記者相手の喧嘩かなら全部かわしてカウンター入れる自信があるそうだ。
流石イベント参加者ともなると、キチ度も桁違いだな。
91名無しさん@ピンキー:2012/05/15(火) 15:15:04.75 ID:adPX8Ups
何で新聞記者なんだよww
92名無しさん@ピンキー:2012/05/15(火) 15:23:34.43 ID:NP5zbQpn
一日10歩も歩かんようなニートが素人相手でも、攻撃なんかよけれるわけないだろ
93名無しさん@ピンキー:2012/05/15(火) 17:29:08.65 ID:LmlWGnS5
ほんとニートと引きこもりを混同する奴は後を絶たないな

と言うかもう根も葉もないただの中傷じゃねーか
94名無しさん@ピンキー:2012/05/15(火) 20:11:34.40 ID:x/8dSejF
短い文章の中であえて2回「イベント」って口にするあたり
遠いか金がないかコミュ障でイベントにいけなかった人と判断できる。
でもなんか、関西方面での開催の可能性も出てきたみたいだが。
95名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 07:43:44.38 ID:oUM0lagw
シャーがネット弁慶なのは、何も今始まった事じゃないだろ。
前も和田アキ子が気に入らんから一対一の討論番組組め、完全論破してやるとか豪語してたし。
その割には、家族からすら「何言ってるか解らん、ちゃんと喋れ」って馬鹿にされてるらしいが。
96名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 08:34:54.36 ID:toMSoHVw
誰か作品早よ・・・って言いたいけど、こんな不毛地帯にわざわざ支援してくれる職人のほうが珍しいか。
非難されるかスルーされるかのどちらかしかないところに投下しても、旨みないもんな。
何もしてないのに根も葉もない誹謗中傷が飛び交って、近寄りがたいとしか言いようが無い。
俺に少しでも文才があれば、場つなぎ程度に支援できるのに・・・なんて昔は嘆いてたりしたけど
最近の流れをみると、今じゃ例え才能やネタがあっても近寄りたくないわ。
自分のサイト作って、好き勝手気ままに載せていくほうがよっぽどいい。
97名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 08:46:02.37 ID:kNptm5BR
荒しが55さん相手じゃかなわないからシャーさんにターゲット変更したってことはわかった
98名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 18:46:15.45 ID:covQviwr
荒らしは許さないと口を揃えて言う一方でその荒らしが発言しない限りは、自分から話題を振る事もせず、
投下が遭っても無情にスルーするか叩き、
かといって各々のサイトブログにコメントを残す訳でもない。
救いようの無い無気力受身依存寄生虫偽善者共。
99名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 19:17:27.72 ID:WnB0Mro9
>>98
それは鏡に向かっていってるのかい?
100名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 21:00:22.88 ID:30J9AL2x
そもそも、女の腹殴って興奮するような危険因子どもが馴れ合ったら怖いだろ?
そんなヤバイ性癖を持った奴等が集まれば中には、
モノホンの基地外も混じってくるさ
101名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 22:46:23.30 ID:Tdo90dlU
匿名掲示板ならいいが、リアルで馴れ合いは怖いっつかキモイ
基地外な性癖だしな・・・
102名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 23:11:42.30 ID:WnB0Mro9
それはお前等アレだな・・・『自分はリアルで犯罪を起こす可能性が限りなく高い危険人物です。』
『現実社会で通りすがりの女性の腹をいつか殴ってやりたいです。』
・・・て、公然といってるようなものじゃない?違う?
お前達はお偉いさん等が危惧する『現実と空想の区別がつかない』人間なのか?
そうだから怖い、馴れ合いは嫌だって言うんなら、それはしょうがないけど・・・
103名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 23:54:14.58 ID:wGrWPXA4
そういや腹パで変な女いたな
なんか取り巻きみたいの連れてサークル参加者にしきりに話しかけてた
キーキーうるさくてキモかったわ
104名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 23:58:50.61 ID:6Et7CuSW
それ砂雪だよ。>>86で書いてあった殴られ屋とかやりながら相手が気に入ったらストーカー行為する女

105名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 00:12:21.93 ID:oODtRrxT
砂雪ってアニメ声の女?
何人か女性参加者居たけど一人だけすげー浮いてたから気になったわ
106名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 00:45:21.35 ID:1Kx9Vu9J
砂雪はずっと前から有名だよね
あちこちで問題起こしてるから悪い意味で
107名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 00:54:23.27 ID:IDFwxC1H
多分55氏も砂雪にストーカーされて病んじゃったんじゃない?
あれだけ楽しみにしてた腹パを急に参加中止。しかもブログで活動休止宣言したときは何か様子変だったし
108名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 01:10:52.33 ID:1Kx9Vu9J
>>107
あー・・・たしか55氏って有名だけど意外と新参なんだよな
ツイッターでフリスは名前しか知らないとか言ってたから砂雪も知らなかったかもしれん
てゆーかもし砂雪が原因だとしたら参加予定のサークルひとつ潰しといて自分は何食わぬ顔で参加とか・・・
変わってねぇな、マジで糞だわ
109名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 07:44:43.89 ID:336TX5MO
何食わぬ顔でどころか、腹パの数ヶ月前からダイアーモンド名義で参加者をステルス偵察してた
もうマジで誰も信用ならんと思ったわ
110名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 13:44:42.04 ID:sZPQvhZv
>109
精神科行った方が良いよ
分裂病だろ
111名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 14:15:42.68 ID:336TX5MO
人を分裂病扱いする前に、まず自分が精神科に行こう。
112名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 14:51:43.05 ID:BvMYN7yl
>>111
砂雪って人が、って意味じゃないの?
113名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 16:11:17.55 ID:YJid+URS
砂雪ってたしか結婚してなかったっけ?
114名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 16:41:49.64 ID:9T5y2tOE
>>113
してるよ。
その癖にやたら色んな男に擦り寄ってる。

腹パの時もシャーさんとかTOMさんに擦り寄ってたから、シャーさん危ないかもしれん
115名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 18:18:50.06 ID:WbWDoLoQ
そんな有名なマジキチが居たのか…
女で殴られ屋って聞いてちょっと興味あったんだけど、これは関わらない方がいいな
116名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 19:14:02.82 ID:f98tSFbK
いや、本当に危ないのはTOMさんとか獅子○飯店さんあたりだ。
どちらも高身長で筋肉質っぽかったから、かなりアプローチかけてた。
ゴツゴツした筋肉とか拳とかで、かなり興奮してたみたい。
117名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 19:39:12.66 ID:4dggwab8
そう言えば55氏も高身長で筋肉質だったな・・・人も良さそうだから、そこに付け入られたのかもしれないね
いずれにせよ早く傷を癒して復帰して欲しいわ
118名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 20:02:27.48 ID:WbWDoLoQ
つか腹パの時も目立ってたし、こんだけ話題になって引っ掛かる奴ももう居ないんじゃねえの?
119名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 21:43:49.40 ID:sZPQvhZv
>111
てめーがだよw
砂雪?
いもしない妙な妖怪し立てて腹パ妨害するな
120名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 22:14:12.61 ID:f98tSFbK
>119砂雪乙
まぁ今回はもう流石に目立ちすぎたし、話題になりすぎた。異常性もより認知された。
もう引っかかる奴は居ないと大人しく手引いて、某所で好きなだけ腹殴られてりゃいいのに。
121名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 22:30:45.16 ID:1Kx9Vu9J
>>119
もし本当に今回の件が砂雪絡みだとしたらだ、55氏をストーカー対象に選んだのは相手が悪かったな
自分のことしか考えてないストーカー女と、良質な腹パンSS書けて絵師ともコネのある職人
どっちの方が味方多いと思う?

俺も含めて1回でも砂雪と会ったことあるやつなら異常性はみんな知ってるよ
自分の思い通りにならなかったら泣きわめいて悪口言いふらした挙句自殺未遂だからな
死ぬ死ぬ言う割にはいまだに死んでないし
前も言ったけど、悪い意味で有名になり過ぎたな
122名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 22:52:48.27 ID:Z1O3hc6x
いいこと思いついた!
砂雪ネタに腹パンSS書いたらいいんじゃね?
123名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 23:24:23.95 ID:jKEIgntd
>>122
職人も相手くらい選びたいだろ…
124名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 23:32:41.59 ID:jKEIgntd
つか腹パの時に見た砂雪っぽい奴、マジで邪魔だった
・スペースの前で立ち読みし続ける
・三人組でスペースの前に突っ立って完全封鎖
・通路のど真ん中で取り巻きの男に抱きつく
会場一周したあと戻ってきてもまだ居たから、腹パのエリアにずっと居たんだと思う
スタッフも出禁にして欲しい
125名無しさん@ピンキー:2012/05/19(土) 10:23:49.20 ID:MqdrgYFs
http://blog-imgs-52-origin.fc2.com/w/h/o/wholeworld/20120518220655_69_1.jpg
普通こういうのは乳に目が行くんだろうけど、
おれには腹パンハーレム要員が整列してるようにしか見えんw
126名無しさん@ピンキー:2012/05/19(土) 12:56:06.48 ID:aQQFIzfF
直リンで弾かれて見れないけど
どうせまた6パックに割れた腹筋の写真だろ
127名無しさん@ピンキー:2012/05/19(土) 18:53:21.36 ID:x3eMxKF6
うおおお、何か作者さん直々の手でことパンッ!のゲーム化企画が進んでるようだぞ!!
128名無しさん@ピンキー:2012/05/19(土) 22:46:04.20 ID:MqdrgYFs
話題の重量挙げ美少女、さぞかしイイ腹してんだろーなーwくううたまんねw
129名無しさん@ピンキー:2012/05/20(日) 20:31:22.22 ID:cRAL6CaZ
>>120
某所ってどこ?
そこってリアル殴りやってるの?
130名無しさん@ピンキー:2012/05/20(日) 21:28:57.76 ID:WUw7GXYn
これまでの話の流れ見てまだ食いつくのか…
どんだけ節操ないの
131名無しさん@ピンキー:2012/05/21(月) 18:43:44.47 ID:fftmJz0h
55氏なんかエグくなったな・・・
132名無しさん@ピンキー:2012/05/21(月) 19:54:57.28 ID:eToanUzH
結局、マンネリを自覚したら後はハードにしていくしかないんだよ。
エロマンガ家でも、デビュー時はライトだったけど年々コアになっていく人は多いけど、その逆はあんまりいない。
氏賀Y太みたいにバッシングが酷くてグロで仕事取れなくなったケースは別として
133名無しさん@ピンキー:2012/05/21(月) 20:15:01.20 ID:YMbROkIc
リクエストした奴の名前みたら何を汲み取ったかわかるだろ・・・
134名無しさん@ピンキー:2012/05/21(月) 23:46:20.49 ID:g6kFb2WZ
>>133
だな
前にリクエストに応えた時はストーリー重視だったしね
リクエスト主が何を読みたいか考えて書いてるんだろ
135名無しさん@ピンキー:2012/05/22(火) 07:38:55.27 ID:9rkK3WfT
やはり最高だな
136名無しさん@ピンキー:2012/05/22(火) 12:23:07.82 ID:fVBxcL3g
暑い
137名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 11:58:54.65 ID:t+6Ks+wK
nnS氏って、実力もプライドも高い孤高の絵師って印象だったけど、時の人であるルームナンバー氏に擦り寄っていく辺り、俗物化したもんだね。
あれほどの人でも我を通すのに限界があるって世知辛い現実を突きつけられた気分。
138名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 13:24:35.16 ID:uIuwHRAU
いつ擦り寄ったよ?w
139名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 13:35:42.80 ID:uIuwHRAU
nnS氏と55氏は合作本で共同作業した仲だ
別にプライベートでやりとりする位構うまい
140名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 14:14:04.46 ID:VwMeWerr
構うも何も、モノ書き同士が交流したり合作したりするのを
なんで他人がとやかく言うのか
頭おかしい
141名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 15:12:10.24 ID:fjqyCQ2b
腹責め界の絵師の一流と文章の一流がコラボしたんだ
喜ぶ以外にどうすればいい?
142名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 17:31:19.86 ID:ihL+teLV
いつも思うがここの荒らしは人気あるなぁwww
143名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 18:32:14.08 ID:PGMS71Rv
しかも結構腕のある荒らしだな
爆釣だ
144名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 20:47:18.04 ID:cZSo+ZgP
過疎スレの住人は荒らし免疫が無いという典型的なスレですね
145名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 22:45:09.32 ID:VMWfWPdF
何も作れない奴が才能ある人に嫉妬するスレ
146名無しさん@ピンキー:2012/05/24(木) 14:46:16.30 ID:UR80MdNA
乞食がキチガイ相手に喚き散らすスレ、だろ?
147名無しさん@ピンキー:2012/05/24(木) 22:09:48.70 ID:ttMaeaTz
犯罪者予備軍どもおやすみw
148名無しさん@ピンキー:2012/05/25(金) 17:59:52.37 ID:+LVSozGC
nnSって臭そうだよな
149名無しさん@ピンキー:2012/05/25(金) 23:33:13.02 ID:/flBpzSz
自分が一番の職人だと思ってそう
150名無しさん@ピンキー:2012/05/26(土) 01:05:01.02 ID:qAabXS4/
まぁ結局一番醜いのは、ナニを生み出すでもなく職人ディスることしかしない奴なんだけどなw
151名無しさん@ピンキー:2012/05/26(土) 01:43:13.07 ID:0HnwS8aS
カビみたいな連中だよね。
偉そうなことは言えんけど、目に移る範囲に居られたら迷惑、そんな連中。
人を貶したところで自分を含めだれも得しないのにねぇ・・・
152名無しさん@ピンキー:2012/05/26(土) 18:31:31.66 ID:CudIenGm
まぁひとつ言える事は二人ともこのスレにはもう関わってないことだな
153名無しさん@ピンキー:2012/05/26(土) 21:28:22.73 ID:W5Pjx72q
もうどころか、最初から関わってないだろ
154名無しさん@ピンキー:2012/05/26(土) 23:59:28.41 ID:ZxU1z0Xd
久しぶりに覗いたら雪の話題出ててビビったw
まだ生きてたんだなぁ
一回会っただけなのに根も葉もない悪口や自殺ほのめかすメールにキレて、こっちが訴えるって言ったら急に大人しくなったわ
いい歳したキモ女のくせに、自分はチヤホヤされてるお姫様とか言ってる妄想のかたまりだから、被害者は数えきれないんじゃない?
155名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 02:45:15.76 ID:Z+8y1t1H
>>153
55はSS投下しに来てくれてたしnnSは盗賊娘のスライム腹責めの絵うpしてったじゃん
それと砂雪の話題は出すなよ荒れるから
156名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 21:13:16.72 ID:jwc8NGMP
nns
157名無しさん@ピンキー:2012/05/27(日) 22:14:22.55 ID:jwc8NGMP
はぁ…
158名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 07:11:42.53 ID:rhPzU9eQ
ちょっとセカンド幼なじみ(♀)と飯食ってくる
159名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 13:28:42.75 ID:7pWbYhZG
もうハラパのネタ禁止にしたら?
話題出すたび嫉妬厨がわめいてウザい
160名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 14:08:36.72 ID:xmtI63xq
腹パのネタの所為っていうのも無くは無いだろうけど
そもそも此処で喚いてるのは数名の特定できる荒らしだからなぁ。
職人一人に粘着することで、全体の空気を悪くしなさる。
161名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 19:00:02.80 ID:rhPzU9eQ
梅サワーは間違いなく美味しいわ。でも梅干しサワーになると・・・何か・・・・・何か違うのよォ!!
162名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 19:05:50.14 ID:bG9e+ijp

163名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 19:16:20.48 ID:bG9e+ijp
職人一人に粘着することで、全体の空気を悪くしなさる。

164名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 19:33:44.39 ID:sZhtv269
職人よりもこっちをヲチした方がおもしろい
ttp://x19.peps.jp/sunayuki88/?cn=8&_cus=m3hz13
165名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 22:05:57.53 ID:kc+hJAQV
すみません、ちょっとテストです。
166名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 22:07:44.87 ID:kc+hJAQV
間違えてあげてしましました、失礼しました;
不可解な書き込みをしてしまって申し訳ありませんでした。
167名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 22:23:06.67 ID:bG9e+ijp
名無しさん
168名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 23:44:22.25 ID:2LWhg0iZ
何だこの流れ?
砂雪が発狂してるのか?
169名無しさん@ピンキー:2012/05/28(月) 23:46:05.18 ID:hmbvN2kJ
こーゆー分かりやすいカスみたいにほっときゃいいんだよ
嫉妬中のコメにいちいち返信するから荒らしがつけあがるんだ
荒らしへの効果的な対処はスルーしか無いんだぞ
170名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 12:05:23.79 ID:jkx5DIoY
ツイッターの横にアイスカップヌードルとかいう広告があったから見てみたら、いつもよりお湯を少なくして氷を入れましょう、みたいな内容で超ガッカリ
いつものスープがジュレ状になってて、麺に絡めて食べる夏限定商品!とかじゃ全然なくて、熱いのが嫌なら氷でも入れとけ。みたいな投げやり感。やる気無いのか日清。
↑自分が天下の日清社員より優勝と思っちゃう真性キチガイ。
流石は初代馬鹿発見器の人。
171名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 13:28:10.38 ID:8oOTzllk
>>164
なにこいつ典型的なボーダーじゃん
セクロスが腹パンチに置き換わっただけの
172名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 13:40:54.87 ID:FANjRr15
>>171
だよ
関わらない方がいい
173名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 14:58:52.22 ID:RjTngz0Z
俺の時と言ってること違うんだけどw
親父にレ○プされて妊娠して頃したんじゃないの?
話が矛盾だらけで指摘しまくったらものすごい形相でキレたけど
174名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 19:57:23.11 ID:PB6S34gQ
173>キレられるぐらいならまだマシ。 あの砂キモに関わって、一体何人の人間が 鬱にまで追い込まれたか。 直接本人に聞いたんだけど、親の遺産数十 億相続して、全部鞄に入れて持って帰って 来たんだと。 スゲー力持ち!

で、今度は巫女の力だとさ。 世界最強じゃん。
175名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 21:17:22.31 ID:C2T29snF
ネヲチにスレ立ててやれよ…
176名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 23:11:11.94 ID:ltBLA+K5
欝になって性欲減退して腹パンチが苦手になった。
お前らよくこんな鬼畜な妄想で抜けるな。
177名無しさん@ピンキー:2012/05/29(火) 23:16:47.86 ID:Yy8qiXwU
>>174
砂雪は嘘を固めて出来たようなクズだからね
嘘つきって思われても構わないとか寝言言ってるけど、実際嘘しか言わないしな。盗人猛々しいとはこのことだな
俺の時は両親健在で家の金が使いきれなくて困るって言ってたな、遺産ってw
親勝手に殺すなしw

俺もヤバイと思って会うの拒否ったら自殺未遂した後ブログで根も葉もない悪口書かれまくって、携帯にも電話とメール攻撃が凄かった
しまいには変な男(旦那?)まで出て来るし
俺が鬱病になって、精神科医の勧め通り引っ越して携帯も変えてから止んだけど、正直今でも復讐したいわ
あんなクズがのうのうと生きてると思うと反吐が出る
178名無しさん@ピンキー:2012/05/30(水) 02:16:51.35 ID:ZNKgJnqt
そいつの話題は止めろって言ってるだろ
179名無し:2012/05/30(水) 04:16:02.80 ID:P+7MiyPF
どこかに、砂雪被害者の会スレないかな?
今まで自分が人にやって来たこと思い知らせてやりたくてたまらん!
180名無しさん@ピンキー:2012/05/30(水) 09:57:51.62 ID:5+UhX01s
その砂雪とやらにどぼんどぼんして逮捕された経緯を、獄中から投下してくれ
181名無し:2012/05/30(水) 17:40:13.29 ID:T5pP/pV6
えっ、逮捕された奴いるの?
割りあわねぇ
182名無しさん@ピンキー:2012/05/30(水) 20:35:30.50 ID:Q3pUItpz
なんで職人ですらない奴の話題出してんだよ、つかここ雑談スレじゃねーんだよ
創作に関係ないレスは控えろ
183名無しさん@ピンキー:2012/05/30(水) 21:41:42.03 ID:CKkrjkLv
まあまあ
ここは一つ変身ヒロインが四腕の怪人に格闘戦を挑むが、両腕を捉えられて万歳拘束されて、
がら空きになったボディを残った腕に連打される妄想でもしようぜ

腹筋破壊で腹部のいたるところ陥没しまくって、肋骨とかも粉砕されまくった正義のヒロインが
為す術もなく力尽きて怪人の胸板に沈み込むとか最高やん?
184名無しさん@ピンキー:2012/05/30(水) 21:47:17.34 ID:LQ34XZek
それって素敵やん
185名無しさん@ピンキー:2012/05/30(水) 22:00:05.52 ID:9GWs1Egf
マダムやん
186名無しさん@ピンキー:2012/05/30(水) 23:08:51.80 ID:5+UhX01s
ミヤビ「(痛ツイート)」友人「(明らかに会話として不自然な返し方)」

コミュ障が生み出しがちな妄想彼女、友人にそっくりだな
187名無しさん@ピンキー:2012/05/30(水) 23:20:22.10 ID:fKCKafq5
↑はい皆、一応確認だけどスルーしてね。

>>183のはすごいいいね。
ただ変身ヒロインってのが漠然としすぎてて・・・たとえばどんなん?
プリキュア系とか、もうそんなんじゃないグラマラス体系とか・・・

188名無しさん@ピンキー:2012/05/30(水) 23:33:59.74 ID:8aPR3ttt
神よ…なんで私をこんな性癖におつくりになられたのか。
189名無しさん@ピンキー:2012/05/31(木) 00:02:58.81 ID:E/ACr6u0
それはきっと永遠のテーマ・・・
190名無しさん@ピンキー:2012/05/31(木) 01:28:22.47 ID:HxApyBzT
>>188

それが神の恩恵だからです
191名無しさん@ピンキー:2012/05/31(木) 03:26:59.60 ID:Y/mY3T0D
>>187
つ戦闘女神アヌンガ
192名無しさん@ピンキー:2012/05/31(木) 12:24:30.12 ID:sxxybPRd
過去スレの「異能者・ポイゾニックミランダ」が丁度そういう話じゃなかったっけ
193名無しさん@ピンキー:2012/05/31(木) 15:22:02.50 ID:sxxybPRd
あ、間違った。これ僕が今作ろうとしてるゲームの仮題だった…。


自作を宣喧するような真似をして、申し訳ありませんでした。
194名無しさん@ピンキー:2012/05/31(木) 16:01:29.07 ID:ezg48ocW
そういうのはせめて、完成してからいいなさいね?
195名無しさん@ピンキー:2012/05/31(木) 20:43:35.65 ID:f27LDUXj
疲れたもうしたくない  疲れたもうしたくない
196名無しさん@ピンキー:2012/06/01(金) 11:43:55.98 ID:Zfr4Bn5E
口だけ番長シャーは絶好調。最近は庭山とかいう議員に粘着してるようだ。
自分の行動を正義の行いとでも思ってるようだが、自分のニートって立場が親の金奪って生きてる、この世で最も親不孝で恥ずかしい最低の生き様だって事には考えが及ばないのかね。
議員にしろライターにしろ、少なくとも奴らなりに仕事をこなして自立して生きてるんだから、寄生虫ニート如きが非難できる存在じゃない。
議員相手に道徳を説いてる暇があるなら、ハロワでモゴモゴ喋ってあらゆる底辺から嘲笑われる生活を、せめて人間の最低ラインまで引き上げる努力をしろよ。
197名無しさん@ピンキー:2012/06/01(金) 12:55:27.96 ID:IMsQspaP
腹責め永遠のテーマの1つである、一撃必殺派と連撃派
俺は断然連撃派なんだが、そこに第三者による羽交い締めが加わることによって最強にみえる

一流の格闘家と呼ばれている少女が奸計にはまり羽交い締めに捕らえられる
対戦者の女が余裕の笑みで少女に近寄り手加減無しのボディーブロー連打、悲痛な悲鳴とヨダレを撒き散らしながら悶える少女
「早く逃げないとあなたのお腹大変なことになるわよ」そう言いながらも腹責めの手は休めない、がっしりと拘束されてるため逃げようの無い少女
ドポンドポンと少女の腹に拳が沈み込む音と、喉から絞り出すような悲鳴が繰り返される…
198名無しさん@ピンキー:2012/06/01(金) 18:06:57.04 ID:E9iS99XO
>>196
良かったな、本人が見てくれてて、相談にも乗ってくれるってよ。ブログにコメントしてみ。

>>197
羽交い絞めも前はいいなーと思ってたんだけど、あれ後ろの人苦しくないのかね?
そういうのも考えると壁とか木に張り付けの方がいいとも思ったんだが
それじゃ味気ない気もするし・・・ここの人はどっちの方がクルんだろうか。
199名無しさん@ピンキー:2012/06/01(金) 18:09:56.61 ID:Zfr4Bn5E
シャーは俺が思ってたより骨のある男だな。
スマンかった。ちょっと清々しく感じてしまった。負けた。
もう何も言わん。
200名無しさん@ピンキー:2012/06/01(金) 19:28:58.81 ID:E9iS99XO
>>198
わずか3分でどれだけのものを感じ取ったんだアンタwwwww
201名無しさん@ピンキー:2012/06/01(金) 19:29:55.61 ID:E9iS99XO
Σ間違えた、>>199だった。もう寝よう。
202名無しさん@ピンキー:2012/06/01(金) 22:34:52.94 ID:L2OLlnJ8
すみません、話の腰を折ってしまうかもしれませんが、投稿しても大丈夫でしょうか?
203名無しさん@ピンキー:2012/06/01(金) 23:00:23.22 ID:t2PJQvLr
>>197
ええのう、わしゃ元祖ビッチの峰不二子が素裸にライダースーツで
羽交い絞めされて腹パン拷問されとる妄想しとるよw
盗みに失敗したキャッツアイ3姉妹がガチムチな巨漢のボディーガードに
羽交い絞めされて変態金持ちジジイの余興に腹パン拷問てのもいいw

>>202
じゃんじゃんやっとくれ!晩御飯のおかずにするよw
204ミスト:2012/06/01(金) 23:29:32.40 ID:L2OLlnJ8
>>203さん
ありがとうございます。
言葉知らずであまり良い作品ではないかもしれませんが、投稿させて頂きます。


よろしくお願いします。
205ミスト:2012/06/01(金) 23:31:08.65 ID:L2OLlnJ8
昼休み。
 「はすみ、巴。」
教室の入口から、黒髪ミディアムヘアの子と、茶色のショートヘアの子に掌を見せて挨拶する。
 「せっちゃん。」
 「よー、せつなっ!」
はすみが笑顔で控え目に手を振り返し、巴は大袈裟にぶんぶん手を振って応える。
ここは、はすみの教室。
私とはすみはクラスが違うから、お昼は私からこのクラスに来て一緒に食べる事にしているのだ。
私が近くまでいくと、いつも道理はすみが運動会などで使用するような折りたたみチェアを出してくれた。
 「ありがと。はすみ。」
 「しかし……大変だねー、刹那……」
 「ん?何が?」
私は座りながら巴の言葉に返事をした。
すると彼女は大げさに泣き顔を作ってしみじみとこう言った。
 「………クラス居場所がなくて逃げこんでくるなんて。友達いないんだね、かわいそうに………」
彼女は両手で顔を覆い、鼻をすするようにして泣く振りをしてみせた。
 「目の前にいるじゃない。」
 「……クラスにはいないのね……カワイソス。」
 「別にそんなにたくさんいらないし。クラスで必要としてるわけでもないから。」
私は別にどこに友達がいたって構わないし、まして友達の数なんて気にしていない。
自然と友達になれる子がいればそれでいい。

ちなみに、今私と話している茶色のショートヘアの子は富沢 巴。
私と小学校の頃から友達で、いつでもテンションが高いのが特徴。
時に相手をしていて疲れる時もあるけど、性格は悪くは無いので普通に仲良くしてる。
格闘技なんかやらなさそうに思えたが、今は一緒の空手部に所属している。

 「そういえば、今日の放課後は追試だっけ?」

泣き真似から一転、今度ははすみに話しかけた。
 「うん………」
はすみは目を伏せてしまう。何も今言わなくてもいいのに。
すると今度ははすみが私の方を向いて言った。
 「だから、せっちゃん、わたし部活に遅れちゃうと思う。ごめんね。」
 「別に、私は構わないわ。」
申し訳なさそうにしていたが、別に私はどうでも良かった。
部活後の二人での練習がいちばん練習になってると思ってるから。
 「追試って言っても夜遅くまで残されるわけじゃないんだし。部活後の練習までには来るんでしょ?」
 「うん。」
 「じゃ、良し。追試、頑張ってね。」
 「うん!」

 「はあぁ〜〜、精が出ますなぁ。お盛んな事で………」
私達の会話を聞いていた巴が冷やかす。
 「あんたも一緒にやる?」
私は巴を誘ってみた。答えは分かっているが。
 「遠慮しま〜す、あたしには部活後に青春を謳歌するという大事な使命がございますので。にぱー☆」
 「そ。」
 「ところで「精が出ます」ってちょっと卑猥ですよね。」
 「知らない。」

206ミスト:2012/06/01(金) 23:31:41.16 ID:L2OLlnJ8

       『 悪夢が終わらない 』



放課後。
はすみはお昼に言ってた通り追試なので、今は私は一人で格技場に来ていた。
礼をして格技場に入る。まだ誰もいない。
部活が始まるまで時間があるので、私は一人でストレッチをする。

ストレッチをしている中、思い出してしまった。
あの夜の事を………
 (  『 おなか、いたい  くるしい  たすけてっ………!! 』  )
耳の中で、自分の声がリピートされた。
私もはすみもあの夜、菊池 聡美のグループに徹底的にお腹を狙われ、泣き叫んで、嘔吐までして。
私がアスリートとして綺麗に鍛え上げたはずの腹筋は、あの時なにも役に立たなかった。
私は……未だにあの夜の事を引きずっている事に気付いた。

あの後、はすみは三日間お腹の痛みで学校に来れなかった。
私でさえ翌日は休んでしまった。
あんな事で休んでしまうなんて。情けない気持ちでいっぱいになってしまう。

 「相変わらず早いのね。」

声の方を向くと、ポニーテールの子……あの菊池 聡美が来ていた。
礼をしなかったな。河東 先生がいる時はすごく丁寧にやるのに。
 「………」
 「無視?」
私は立ち上がった。
 「何か用?」
 「あら?そんな口の利き方でいいの?」
視界の端で、菊池 聡美が拳を握る固める素振りを確認した。
 「また、お腹をやられたいのかしら?」
 「…っ!」
私はびくりとして、一歩ステップバックしてから構えた。
1対1、それなら私が負ける事は無い。
 「………クス。」
突然、菊池 聡美が笑い出す。
 「クスクス。あっはっはっは。………なあに?その構え。ヘンなの。」
私はハッとして今の自分の構えに気付く。
私の構えは、中段の構え ――― 違う。もう、構えとも言えない。
お腹を隠すように、両手をお腹の前でクロスさせているだけだった。
恥ずかしくて、そして悔しかった。
急に涙が込み上げる感覚を覚え、思わず私は俯いてしまう。
 「ふふふ。良かった。ちょっとはかわいくなったみたいね。」
 「………」
菊池 聡美は、私を覗き込みながら言った。
 「………泣いちゃだめよ?」
私の顔を覗きこみながら、クスクス笑って言う。
私は……何も言えず、今の自分の状態を保つ事で手一杯だった。
 「生意気したら、またお腹いじめするからね?
  ふふ。じゃあ、今日の部活もよろしくね。せつな、ちゃんっ。」
そう言って私を覗き込むのをやめ、クスクス笑いながら更衣室に向かっていった。
私は、両膝を折り、その場にへたり込む。
殴られてもいないのに私のお腹はあの夜の痛みを思い出していた。
額に手を触れると………汗で滲んでいた。


     ――――――――――――――――
207ミスト:2012/06/01(金) 23:33:11.46 ID:L2OLlnJ8
 「違う、違うぞ松本。いいか、腰で回す事で大きな遠心力を作るだろ?それが曲がった膝に伝わると発生した向心力が ――― 」
 「せんせー、私、せっかく追試を免れたのに部活の時間まで数学したくなぁい。」
 「ん?説明しづらいなあ。」
女生徒が数人、指導する先生の周りで笑いながら指導を受けている。
熱心に生徒を教えているのは顧問の河東先生。
珍しい熱血先生で、生徒とのコミュニケーションの取り方もうまく、割と周囲から評判は良い。
短髪で眉毛が太く、顔が濃いとか暑苦しいとか陰口を言う生徒もいるけど、基本的に特別嫌う生徒は見た事が無い。
一見、体育教師に見えるけど担当は数学。
欠点と言えば説明が数学寄りで感覚的にわかりづらくなってしまう所と、
あとは大雑把な一面があるっていう事くらいだろうか。
 「だからわからないって先生〜。」
 「んん?そうか、じゃあちょっとこのホワイトボードに……」
 「先生が図にするともっとわかりづらいー。」
和気藹々とした指導の場。
そこには、菊池 聡美も混ざっている。彼女は裏表が激しい。
先生がいる所だと大抵、良い顔をして猫を被る。その為、菊池 聡美も先生方からの評判は良い。

だから、私はそこを突くしかないって考えた。

 「よーし、みんな集合ー。」

一通り基礎練習などが終わった所で河東先生が皆を集める。
そして時計を見てながら言う。
 「だいたい終わったな……よし、じゃあ今日は組み ――― 」
 「先生。」
私は河東先生が言い切る前に挙手した。
 「ん?どうした、美原。珍しいな、お前から何か言うなんて。」
先生は笑いながらそう言って、私を指名した。
 「そろそろ、大会も近くなってきました。本格的に仕上げてく稽古がしたいです。」
 「ん、そうだな。だから組 ――― 」
 「私に皆の相手をさせてください。」
一瞬、騒然となる。
私はそれを余所に続けた。
 「皆でバラバラにやるより、一人の相手で全員を回した方が個々の力が見えやすいと思います。」
 「う〜ん………お前はそれでいいのか?さすがに美原も疲れるんじゃないかと思うが。」
 「構いません。」
私は、そう言って先生に視線を向け続けた。
先生は少し不思議そうな顔をしていた。が、
 「まあ、お前なら心配ないか。よし、任せた!」
私の提案を承諾してくれた。
 「美原はこう言ってるけど主将はそれでいいか?」
先生は最後に菊池 聡美に話しかけた。
 「全然、問題ないですよ。」
彼女はこぼれるような笑顔でそう答えた。
きっと、心の底では唇を噛んでいるのだろう。
でも私は正攻法を取ったつもり。文句を言われる筋合いは無い。
 「よーし、じゃあ先生が審判やるからみんなプロテクターの用意しろ。」
先生はそう言うと旗を取りに言った。
208ミスト:2012/06/01(金) 23:36:20.68 ID:L2OLlnJ8
     ――――――――――――――――

 「ゆきかずー!」

茶色のショートヘアの少女……富沢 巴が、
旗を取り出そうとかがんでいた河東の後ろから話しかけていた。
 「うお!なんだお前いきなり後から。ていうか河東先生って言えって何回言わせるんだ。」
 「気付いてないの? 事故って怪我するかもよ?」
巴はどこか懐疑的にしているように見える。普段の彼女と違い真剣な顔でそう言った。

 「何だ? 美原の事なら心配いらないぞ。ちゃんと手加減できる技術もあるしな。
  それより嬉しいじゃないか、美原が部活の事で積極的に意見を出すなんて。
  半ば、先生がお願いして入ってもらった形だからちょっと負い目感じてたんだよな。」

 「ふうぅ〜〜ん………」

巴は目を細めて眉間に皺を寄せ、呆れるような顔を作った。
 「 ? なんだ巴。」
 「別にぃ? 富沢って呼んでもらえますー?」
 「何をむくれてるんだ……お前も早く準備しとけよ。」
河東には彼女が言っている事の意味が分からなかった。


     ――――――――――――――――


 「美原、ヘッドギア付けないのか?」
私はナックルサポーターとイージーレガースだけ付けて開始線に立った。
 「問題ないです……大丈夫です。」
 「そうなのか?………じゃあ、始めるぞ。お互いに、礼!」
軽く頭を下げる形で、一礼。
 「始めッ!!」
構えを取る。今度は、ちゃんと。
こんなに意識して構えを取った事は今まで無い。
やっぱり、私はあの夜から抜け出せていない。囚われたままなんだ。
だからこそ、こういう形ででも払拭しなければ。

最初の相手は土戸。下の名前は覚えていない。
彼女は少しずつ、警戒するように私との距離を縮めている。
 「しッ、シッ、シュッ!」
突如、ワンツーからハイキック。
私は余裕を持って迎え撃った。
ワンツーを胴着に触れるか触れないか程度に、
最後のハイキックを前髪に触れるか触れないか程度にウィービングでかわす。
前髪に風を受けつつ、私は素早く態勢を整える。
そして相手が一回転して態勢を立て直す前に踏み込んだ。
 ――――ドムっ!――――
 「ぅぐっ………!」
みぞおちにボディフック。綺麗に入った。
土戸は、弱々しく体を折り、両腕でお腹を覆うようにして崩れた。
 「一本!!それまで!」
209ミスト:2012/06/01(金) 23:37:29.02 ID:L2OLlnJ8

その後も私はパリイングやブロックを使用せず、
運足やウィービング、スウェー、体軸をずらしたりなどして避け続け
「体に触れさせずに勝つ」意志を見せ続けた。
途中、目の端で菊池 聡美が松本と何か話しているのを見かけた。
でも、これは私の領域。どんな作戦を立てようと勝つ自信がある。

 「一本!!それまで!!」

5戦ほどした所だった。
私はまだ一回も触れさせず、全て腹部への攻撃で一本を取っている。
回数をこなす毎に自信が戻ってきている気がする。
あの悪夢の夜から、抜け出せる。
そんな充実感を感じていた。

 「次……じゃあ、松本。」
 「はぁ〜い。」

金髪ロングヘアーをポニーテールにした松本が前に出る。
まだ菊池 聡美も、部で一番の長身・本間 智重も残している。
ここからが本番。
団体戦の選抜メンバーが絡んでくる頃だ。
 「開始線へ。」
松本はメンバーになったりならなかったりしてる子だ。
過去を見れば、相手じゃないって言える程度。
 「お互いに、礼!」
つまらない事で躓かないようにしたい。警戒はしておく。

 「始めッ!!」

 「!」

私は大きく横に避けた。
松本は開始の合図の直後、起こりが丸見えの前蹴りで飛び込んできたのだ。
はっきり言って、本当に前蹴りで来るのかと疑う程だった。
大きく動きすぎて離れすぎた為、私は自分から松本に近づく。
 「ぉっ……と!」
距離がありすぎた。近づく前に彼女が膝を上げたので、手前で止まる。
すると、彼女の唇がかすかに動くのを確認した。
 「………ほんとだぁ。」
そう呟いた。そして次の瞬間またも前蹴り、今度は起こりが小さかった為、私は下がった。
つまさきが胴着を撫でた。
松本は私が下がったのを確認して、更に前蹴りを仕掛けてくる。
今度は滑稽なほど雑に、小さく左、右。
 「待て! 場外。」
今の左右前蹴りを躱した時、下がりすぎて場外に出てしまった。
開始線に戻る。どうも、調子が狂う。
 「服装直して。………松本、積極的だなあ。雑だけど意気込みはいいぞ。ははっ。」
河東先生が松本を褒める。松本はへらへら笑っていた。そして、再開の合図がかかる。
 「続行!」
(左……前蹴り)
丸見えの起こりを見て、私は冷静に右手で捌いた。
追撃をかけようとしたその時。

 ―――― どッ ――――
 「うッ!」
210ミスト:2012/06/01(金) 23:38:30.61 ID:L2OLlnJ8
松本の右の踵が私のお腹に命中する。インパクトの際になんとか腰を引いたけど、少し効いている。
彼女は捌かれた勢いを利用して後ろ回し蹴りを仕掛けてきていたのだ。
それを皮切りに接近し、堰を切ったように攻撃を仕掛けて来た。

 「ぅっ! うッ!!」

松本の拳が左、右と私のお腹を嬲る。
私は思わず片手でお腹を押さえて下がってしまった。
 (場外……)
反射的に私の足は止まり、一瞬棒立ちになってしまう。
そんな私を、松本は見過ごさなかった。
すぐに私に追いつき、再び襲いかかる。

 ―――― どむッ! ドッ! ばすッ! どふっ!! ――――
 「かはっ! ふッ! ん゚ッ!! んん゛っ!!」

容赦なくお腹に埋め込まれる拳に、私は背中を丸めて防御態勢を取っていた。
もう、私は中段の事しか考えられず、両手でおなかを守るために両手を泳がせる。

それでも松本は私のお腹を激しく攻めたてた。

両手の隙間を縫って次々とめり込む拳。
私のお腹はもう抗う力を失い、彼女の拳を前にされるがまま。
足は無意識にふとももを擦り合わせるような内股になっていた。

そして遂に彼女の拳は私のいちばん弱い場所を見つけ出した。

 ―――― ばむッ!!! ――――

視界が一瞬ブラックアウトする。

 「 がはっ………………!! 」

 ―――― ぼたたっ。 ――――

そして私の口から、私の体の中にあった液体が漏れ出た。

 「一本! ――― おい、美原、大丈夫か!?」

今や横たわりお腹の痛みに支配されいる私に河東先生が駆け寄ってくる。
 「う、あ…うぅ………っ。」
私はあまりの痛みに涙を流して震える事しかできなかった。
まるでさっき我慢してた分も出てきているのかと思うくらい涙は出続ける。
視界さえ奪うほど、涙は溢れ続けた。
 「おい、誰か……」
 「私が保健室に連れてく!」
巴の声がした。
 「ほら、刹那。」
 「っぁ、ぅ………」
彼女はそう言って私に肩を貸してくれる。
視界もおぼつかない私は感覚を頼りに彼女に捕まって立った。
 「行こ。」
お腹の痛みで一瞬崩れそうになったが、なんとか歩き出す事ができ、格技場の出入り口に向かった。
211ミスト:2012/06/01(金) 23:39:59.85 ID:L2OLlnJ8
 「せっちゃん………!?」
格技場の丁度はすみと入れ違った。
私はこの時、顔を上げる事ができなかった。
 「はすみ、今は何も言わないでおいて。」
 「………うん。」
巴が言い、はすみが答えて手短に会話が終わる。
 「おーい、遅いぞ楠瀬!もう終わりかけだぞ。仕方ないな、お前、腹が弱いから腹筋だ。」
先生の声を背中に、私達は出入り口から出た。

格技場を出て渡り廊下を歩いている時。
 「ぅあ…っ!」
私はお腹の痛みに負け、巴の肩から滑り落ちるようにかがんでしまう。
巴は足をとめて私に話しかけてきた。
 「ねえ………ここ数日、どうしたの?」
私は一瞬、その言葉に反応して涙と涎まみれの顔を上げてしまった。
 「すごく力んでるし、構えは腰が引けてる時があるし……見てて怖いよ。」
少なくとも巴は知ってたんだ………私が今、直面している何かに。

 「……………… 一体、何があったのさ?」



私はその答えを言えなかった。
私は ――― 人生で初めてスランプというものに陥ろうとしていた。


212ミスト:2012/06/01(金) 23:41:02.41 ID:L2OLlnJ8

以上です。

ありがとうございました。
213名無しさん@ピンキー:2012/06/02(土) 09:47:35.15 ID:/nFH5U9y
乙でした!
前作で本格的な腹責めがあって、その後日談が今回の内容なんですね。
肉体的なダメージが少なめでも、主人公の弱りきっている心理が上手く表現できてて
素晴らしいと思います。次がどういった展開になるのか、楽しみです。
214名無しさん@ピンキー:2012/06/02(土) 10:25:22.55 ID:uFLTWSjz
おお、ミストさんだったのか!
前作から好きでした! 続編うれしい!
今回は内容的に導入部になってるのかな?
とにかくうれしい。続きに期待!
はすみちゃんが好きだから次回は責めてくれると嬉しいです。
215名無しさん@ピンキー:2012/06/02(土) 12:15:18.10 ID:KMM0OFtw
同じくはすみちゃんの大ファンです
まさかまた出てきてくれるとは
何年ぶりなんだw
216ミスト:2012/06/02(土) 23:49:45.80 ID:/QFypeTT
>>213さん
見る人によっては強引な始まり方になってしまい、すみません。
それでも、「ああ、そういう事なんだ」程度にとらえてもらっておいてもさほど差し支えないと思います。
心理状態を少し前に出したらどうなるかと思いましたけど、読んで頂けて嬉しいです。
出来るだけご期待に沿えられるよう頑張りますので、よろしくお願いいたしますね。


>>214さん
もう、随分前の事なのに覚えて頂いてて、とても嬉しいです。ありがとうございます。
仰る通り、今回はトラウマを負った刹那のエピソードを描いてみました。
バックグラウンドを固めていって、次に生かせればいいなあと思っています。
刹那の目線の時が多いですが、実はメインヒロインは楠瀬 はすみの方なので、今後書く事になると思います。
ありがとうございます、今後ともよろしくお願いいたします。


>>215さん
215さんも、覚えていてくださってありがとうございます。
過去ログを見てみたら…5年も経ってました(汗)
でもそれなのに忘れられてなかったなんて本当に嬉しいです。
楠瀬 はすみに関しては前述の通り、この後、頻繁に出る事になると思います。
気に入ってもらえるよう頑張ります、今後もよろしくお願いいたします。




あと、駄文だけではと思うので、ちょっと動画を置いていきますね。
 (既に知ってらしたらすみません。)
腹パンチファンの方なら興味の湧く話だと思っています。
ちなみに、実写です。

http://www.youtube.com/watch?v=vmDj6WS0H24



あと、誤字や説明不足の点が多くてすみませんでした。
今後気を付けますので、皆さんよろしくお願いいたします。
217名無しさん@ピンキー:2012/06/03(日) 22:52:24.71 ID:16QaD3Hh
覚えてたのは作風と登場人物が好きで何度も読んだからです
お世辞抜きに一番読み返した思いますよ
また書いてくれるなんて嬉しいです
218名無しさん@ピンキー:2012/06/04(月) 21:47:10.44 ID:CcbVqQtf
まさか続編が読めるなんて嬉しい限りです!
数多くある話のなかでも、一番好きな話です。
続編ぜひおねがいします。
219名無しさん@ピンキー:2012/06/05(火) 09:05:30.05 ID:ldtowQPj
また力を抜いた状態の腹をどっぽんどっぽんと打ち抜いてもらいたいな
220名無しさん@ピンキー:2012/06/05(火) 15:27:49.16 ID:5Uny5uMC
ミストさん最高だあああああああああああ!


戻ってきてくれてマジ感謝感激!

一番好きな話だぜ!
221名無しさん@ピンキー:2012/06/06(水) 16:04:20.60 ID:CY5I6aat
ミストさん最高です。
これからもお願いします。
222ミスト:2012/06/08(金) 23:28:18.34 ID:b2ZG+MDT

温かい言葉で迎えてくださった皆様、本当に嬉しいばかりです。
レスや感想など全ての方にお返事を返したい所なのですが、あまり好まれない傾向があるようなので、
申し訳ありませんが一括返信にてお礼申し上げます。本当に、ありがとうございます。
いつまでここで続けられるか分かりませんが、お久しぶりの方も、初めましての方も、どうかよろしくお願いいたしますね。



それでは、今度も投稿させて頂きます。
よろしくお願いします。

223ミスト:2012/06/08(金) 23:31:09.88 ID:b2ZG+MDT

朝。

 「…ぅ、ん……?」

まどろみの海の中、わたしはゆっくり目を開ける。
わたしの意識は水面に浮かび上がるかのように、だんだんとはっきりしてきていた。
 「ぁっ!」
 ―――― ばっ ――――
でもそれも束の間、わたしはすぐに飛び起きる事になった。
目覚まし時計の針が示す時間を見ると、起きなきゃいけない時間はとっくに過ぎていた。
 「早く、作らなきゃ。」
すぐに薄桃色のパジャマの上に白いフリルケープを羽織って二階から一階のリビングに向かう。

わたしの家は父子家庭の三人家族。二年ほど前に両親は離婚してしまって、お母さんが居ない。
だから、わたしが朝ごはんを作らないと食事が無いのだ。
 (どうしよう……食パンはあったけど、それだけじゃ困るし、目玉焼きと……)

考えを巡らせながら階段を降りると、リビングの部屋から音がした。
 「えっ……?」
わたしはそれを見て余計に焦った。

 「お父さん!?」
 「おお、おはよう。はすみ。」

ドアを開け部屋のキッチンを見ると、案の定、わたしのお父さんがキッチンに居た。
既に身支度は済んでおりワイシャツとスーツのズボンを着て、その上にキッチンエプロンを付けて朝ごはんを作っている。
 「ごめん、お父さん、わたし、代わる。」
言いながらキッチンの方に入ると。
 「はは、たまには良いさ。今日は私が作るよ。ゆっくり支度しなさい。」
そう言った。
 「ごめん………」
わたしは、すごく申し訳ない気持ちになって、思わず俯いてしまう。
ふとテーブルに目をやると、サランラップでラッピングした一人分の夕食が乗せられたままだった。
「……また、雄太 帰ってこなかったの?」
「ああ………中学に上がってから、ちょっと良くない友達ができたらしいな。」

雄太はわたしの二つ下の弟。
わたしと違って勉強はできるし、健康そのもので元気だった。
でもお母さんがいなくなってから少し性格が変わった気がする。
昔と比べて家族に対してとげとげしくなった。
心配はしていたけど、中学校に上がったらやっぱり非行に走ってしまった。

「反抗期だからなあ……成績が良いのは変わらないが、
 それとこれとは別だ。帰ってきたら怒らないといかんな……」

その時……お父さんは峻厳な表情になっていた。

そんなお父さんを見て、わたしは自分を省みていた。

わたしも雄太の事は言えない。
わたしは雄太みたいに反抗したりはしてないし、決められた門限は守ってる。
でも雄太みたいに勉強が出来る訳じゃないし、女の子なのに空手で体を傷付けて帰ってきてる。
わたしはすごく親不孝だと思う。
224ミスト:2012/06/08(金) 23:34:23.99 ID:b2ZG+MDT

 「お父さん………」

 「………ん?」

 「ごめんなさい………」

お父さんはびっくりしたように振り返った。
 「わたし、全然良い子じゃなくて………」
わたしはこの時、泣いてしまいそうだった。
でもできなかった。
毎日働いて、お母さんもいなくて、わたし達は親不孝して、それでもいつも笑顔でいて。
きっと、わたしよりお父さんの方がもっとつらい。
それなのにわたしが泣くのは違うと思った。

でもお父さんはいつもわたしに接するように、笑って言った。
 「ハハ、何を言うのかと思ったら。」
お父さんはキッチンに向き直って、ごはんを作りながら続けた。
 「はすみは私や母さんの願った通り、良い子に育ってくれてるさ。
  雄太だって今はああだが、本当は素直で良い子のはずなんだ。」
 「 ……… 」
 「まあ、欲を言えばはすみはもっと成績が良く、雄太は素行が良くなってくれるのが一番だけどな。
  さすがにそれは欲張りすぎか、はっはっは。」
お父さんは背中越しに笑いながらそう言った。
 「“雄太”はね………雄々しく胆力と知力に優れた、力溢れる子に。ってね。
  佳澄と一緒にそう名付けたんだ。」
佳澄………お母さん。
 「でもどうやら願いすぎたらしい。雄々しすぎて力が有り余ってる感じだ。まあ今だけだ、もう少しすれば落ち着くさ。」
お父さんは更に続けた。
 「そしてはすみは、今やりたいと思う事を、やりたいようにやっておきなさい。それがいちばん大事な事なんだ。」
雄太の名前の由来を聞き、わたしはつい気になってしまった。

わたしの名前………“はすみ”の名前の意味する所を。
225ミスト:2012/06/08(金) 23:35:05.85 ID:b2ZG+MDT

 「ねえ…?」
 「…ん?」
お父さんは、背中越しに私の言葉を聞いている。
 「わたしの、“はすみ”にはどんな意味があるの?」
 「 ん? ああ………」
少し間が空く。わたしは、お父さんの言葉を待った。 
 「 蓮 ――― 」
 「はす?」
 「そう。蓮の花のような、綺麗な女の子に育つように、ってね。」
 「ぅーん………?」
わたしは思わず首を傾げてしまった。
蓮。花言葉って確か「雄弁」だった気がする。
力強くて立派な印象が思い浮かぶ花言葉。
なんだか、わたしの名前にするのはもったいない気がした。
 「それだけなの?」
 「ん?それだけさ。これ以上無い名前だと思うがね?」
お父さんはやっぱり笑ってそう返した。
 「さあ、学校に行く支度をしなさい。時間がなくなるぞ、ほら。」
ふと時計を見ると、慌ただしくなる程ではないけど話に夢中になってかなり時間が経ってしまっていた。
 「うん、じゃあ、支度してくる。ごめんね、お父さん。」
 「はっはっは………」
お父さんは背中越しに笑って軽く左手を上げた。
もっと気をつけなきゃ。
そう自分に戒めながら、洗面台に行こうとドアに向かった。

 ―――― キィ………ばたんっ ――――


     ――――――――――――――――


 「 蓮の香や水を離るる茎二寸。」

一人になったキッチンで、はすみの父親は突然呟いた。
そして振り向き、ついさっきまでそこに居た娘の場所に向かって彼は言う。

 「 ……心で感じ取る香り……“雄弁”“神聖”“清らかな心”。
  澄みきった心、蓮の花のような女の子に。ネームアナグラムだよ。」

はすみの父親は最後をこう綴った。

 「佳澄と私で生み出した、この宇宙でたったひとつのものなんだ ―――― 」

言い終わった直後、フライパンから「じゅう」という音が激しく上がった。

 「とと、焦げる。」


     ――――――――――――――――
226ミスト:2012/06/08(金) 23:36:32.75 ID:b2ZG+MDT

          『 蓮の香 』




 「せっちゃん、もえたん、お待たせー。」
朝の慌ただしさを感じさせる喧騒の中に、穏やかさを帯びる声……楠瀬 はすみの叫ぶ声が混ざる。
少しだけ茶色を帯びたスーパーロングヘアで長身の少女と、ブラウンに染めたショートヘアの少女がその声に振り向く。
 「おはよう、はすみ。」
 「おっす!はすみー。」
涼やかな声と、よく通る明るい声が挨拶を返した。
美原 刹那と富沢 巴。彼女の数少ない友人達だ。
ちなみに「もえたん」とは富沢 巴の事で、巴がはすみに無理矢理そう呼ばせている彼女の愛称だ。

ここは彼女達の登校時の待ち合わせ場所のようで、三人が揃った時点で彼女達は歩き始めた。
向かって左から楠瀬 はすみ、美原 刹那、富沢 巴の順番で横一列に並んで歩いている。
 「あ、はすみ。髪。」
ふと右の方に目をやった刹那が、はすみの黒髪ミディアムヘア、その後頭部を見ながら言った。
 「え?どこか変?」
 「後ろ髪ハネてる。」
よく見ると後頭部の髪の一部に寝癖が残ったままだった。
 「ちょっと待ってて。」
そう言うと刹那は、カバンからピンク色のコンパクトヘアアイロンを取り出す。
そして寝癖の部分をヘアアイロンで挟んで毛先側に何度かスライドし、彼女の寝癖を直してあげた。
 「ん、良し。」
 「せっちゃん、ありがとう。」
刹那がはすみの前髪に触れながら微笑を浮かべてそう言い、はすみは刹那を見上げながら満面の笑顔でお礼を言う。
この光景を目にした、彼女達の斜め後ろを歩いている男子生徒二人が何やら小声でにやにやと話し合っていた。
更にそれを見ていた巴が、目と口を半開きにして大きな溜息をつく。

 「ハアアアァァァァ〜〜〜〜〜ーーー………」

巴の声にしては低く、ドスの利いた声。
まるで魂までも出て行ってしまっているんじゃないか、とさえ思うほど深い溜息だった。
 「もえたん、どうしたの?」
 「何よ。」
 「あんたらさあ………」
巴は疲れた顔に引きつった笑顔を浮かべ、片手の指で自分の額を押さえながらこう言った。
227ミスト:2012/06/08(金) 23:37:41.12 ID:b2ZG+MDT
 「いや、いいんだよ? 仲良き事は良い事だ、うん。大いに結構。素晴らしい。女の友情よ、永遠であれっ!」
彼女は良く通るその声で言うと、次に繋げた。
 「ただ、ちょっと場所を選んでくれ………あんたらが仲良くする裏で
  いちいちあんたらの関係を問い質されるあたしの身にもなって欲しいんだ……」
 「え…?どういう意味なの?」
はすみは真剣に聞き返していた。はすみには恐らく詳しい説明が必要だろう。
巴はそう思った。
また、刹那の答えも彼女には予想できていた。
 「別に……言いたい人には言わせておけば良いのよ。いちいち気にしてられないわ。」
 「ハアァ〜ー…、やっぱりか。もういい………」
刹那が涼やかにそう言うと、巴はまた溜息をつき、本当に疲れたという感じで会話を諦める。

小柄なかわいらしい美少女とモデルを思わせる長身の美女。見た者に意味深な印象を与えるコミュニケーション方法。
二人にはただならぬ関係を想像させてしまう条件が揃っていた。
巴はその事を言っていたが、片方には自覚が無く、またもう片方は超が付くマイペース。

彼女には諦める以外の選択肢が思い浮かばなかった。
 「ねえ、もえたん、どういうことなの?」
 「だからもういいんだってば ――― 」
はすみは困ったように、刹那越しに巴に尋ね続けていた。


     ――――――――――――――――


そしてその日の放課後。

はすみと巴は格技場に向かう為、階段を降りながら話していた。

 「え、刹那は部活来ないの?」
 「うん、雑誌のインタビューがあるんだって。」
 「はあ…有名人は大変ですなあ〜〜。」
美原 刹那は、空手の技術はもちろん、その容姿や風貌で
入学する前から『 女子空手界に現れた天才美少女 』という肩書があり、注目の的だった。
その為、記者のインタビューや雑誌の特集などで、
部活に来なかったり学校を休んだりなどという事が今までにも度々あったのだ。
228ミスト:2012/06/08(金) 23:38:32.78 ID:b2ZG+MDT
 「じゃあ、今日は秘密のトレーニングはお預けかあ。」
巴は何か含んだような笑顔で言い、横目ではすみを見た。
 「別に、秘密ってわけじゃ………」
少し伏し目がちになるはすみだが、すぐにぱっと顔を上げて巴に聞く。
 「そうだ、今日はもえたん一緒に練習する?」
 「ブー。残念ながらあたしは用事有り。……ああそうだ。せっかくの機会だし、たまにははすみが来ればいいじゃん。」
 「うん?」
はすみの提案を断り、逆に提案で返した。
 「今日、部活後はヨーコ達と一緒に遊ぶ約束なんだ。はすみも来てみない?」
 「陽子………松本さん?」
 「そそ。あと、ひろと京子も来るよ。部活仲間と道場の外で交流を深める事も大事なんだぜえ。」
 「ぅん……」
また目を伏せてしまうはすみ。
 「でも、わたしがいると皆、あんまり良い気分じゃないと思う………。」

はすみ自身は彼女らに敵対する気持ちはまったく無い。
それでも、彼女らの中に自分が入るとあまり良くない雰囲気が漂ってしまうのは敏感に感じ取っていた。

そんな風に思っているはすみを余所に巴は誘い続ける。

 「そうかなぁ〜〜?あたしも居るんだよ。駄目?」
 「 ……… 」
巴は目を伏せたままのはすみを見て、小さく溜息をつき苦笑いで。
 「あっはは、ごめん!忘れて! うん、無理強いは良くない。でも気が向いたらいつでもあたしに言ってよね?」
 「え、ぅ、うん………」
片手ではすみの頭をくしゃくしゃと撫で回しながらそう言った。


     ――――――――――――――――
229ミスト:2012/06/08(金) 23:39:28.03 ID:b2ZG+MDT

格技場。
女子空手部の部員達が円形状に正座している。
部活が終わりに近づき最後の礼儀作法に入っていた。
 「 ――― 神前に、礼!」
顧問の河東の号令が掛かると、部員達は神棚のある方向に向かって一斉に礼。
河東が皆の方に向き直り、再び号令。
 「お互いに、礼!」
彼女達は円形状に並ぶその中心に向かって礼をする。
 「解散!」
 『ありがとうございました!』
最後の号令がかかり挨拶が終わると、格技場には安堵の歓声が飛び交っていた。
 「終わったぁ〜〜」
 「うぅ〜〜〜ん!」
 「いたた……やっぱ足首捻ったかも……」
 「あ、ヨーコ!あのさー、あたしちょっと寄りたい所あんだけど ――― 」
 「いいよぉ。あ、私も寄りたいとこあるぅ ――― 」
顧問の河東は、はすみの方に歩を進めながら彼女達に叫ぶ。
 「おーい、お前ら真っ直ぐ帰れよー!」
一斉に『はーい』という良い返事を返してきた……が、恐らく彼女達は言う事を聞かないだろう。
河東は生徒達を渋々と見送ると、はすみに向き直って格技場の鍵を差し出す。
 「まったく………ほら、楠瀬、鍵。」
 「ぁっ…」
鍵を前に、はすみは困った顔になる。
それを見て河東はようやく思い出した。残って練習する彼女のパートナーが居ない事に。
 「そうか、今日は美原がいないんだよな。」
 「はい。」
 「ふむ………」
河東は少し考え、笑顔ではすみに語り始めた。
 「そうだ、楠瀬。せっかくだ、先生と練習するか?」
 「え?」
 「もちろん、無理にとは言わない。用事が無くてまだやる気があるならの話だが……」
はすみは今朝の事を思い出した。
朝、ミスしてしまったぶん、せめて今日は夕食でも作って待っていようと思っていたからだ。
230ミスト:2012/06/08(金) 23:40:15.56 ID:b2ZG+MDT
 (でも………)
しかし、彼女は思った。
せっかくの先生からの申し出。断る事は忍びない。
何よりいつも残って練習している自分に先生が気を遣ってくれてる。
そう考えたら、とても断れなかった。
 「あの……」
 「 ? 今日は帰るか?」
 「いえ、あの、先生さえ良ければ……お願い、します……」
そう言うと、先生は嬉しそうにしながらはすみに言った。
 「俺の事は気にしなくていいぞ。よし、やろうか。 ……普段、美原とはどんな練習してるんだ?」
 「えっと……簡単な組手とか、キックミットを使ってコンビネーションの練習とか……あと、いちばん最後にわたしのおなかの鍛錬です。」
 「はは、楠瀬は腹弱いからな。最後にやるのか?」
 「あ、はい……先にやると、わたしが動けなくなっちゃう時があるので……」
自分の弱点に、情けない気持ちになりながらはすみはそう告げた。
 「はっはっは、なるほどな。よし、わかった。じゃあそれに沿った形でやってみるか!」
 「はいっ。」

先生と生徒、二人になった格技場。
一度は静寂が支配した場所に、再び稽古の活気が沸く。

  ―――― ぱんっ、ぱしっ、ばんっ ――――

 (ほお………)
河東はプロテクター越しに技を受けながら、楠瀬 はすみの技術に舌を巻いていた。
彼女の負ける試合のほとんどが、ボディへの攻撃によるKO負け。
河東の推測ではボディが弱いだけでなく、ボディの防御の仕方が良くないか、あるいは防御態勢が取れていないかだと思っていた。
  ―――― ばしんっ、ばしっ、ばしっ ――――
しかし攻撃の合間や止まった瞬間、攻撃した直後に河東が手を出してもはすみは態勢を崩さずその攻撃をことごとく捌いていた。
もちろん、河東も本気で打っているわけではないが、自分の弱点を理解してそこから意識を離さない集中力をそこに見た。
見た目以上に攻撃も重く、スピードがあり、自分より大きい相手にも上段の技が届く。
尚且つ、小柄である事をも利用して懐に飛び込み活路を見出そうとする。

河東は今日初めて相手をする事で、彼女の技術の高さを知った。
231ミスト:2012/06/08(金) 23:41:31.89 ID:b2ZG+MDT

一区切りついた時、河東ははすみに聞いた。
 「楠瀬、確かお前は美原に誘われて空手部に入ったんだっけ?」
 「え?はい。」
彼女はタオルで汗を拭きながら河東の問いに答えた。
 「すると……キャリア2,3年っていうところだよな。」
 「えっと…そうです。」
 「すごいな、たったそれだけでここまでになるなんて。はっきり言って、技術的には美原がいなければ一番だぞ。ハハッ。」
河東は嬉しくなり思わず本音をもらした。

彼自身、こうして間近で接するまで気がつかなかったのだ。
今自分の目の前にいる、虫も殺さないような顔をした小柄でおとなしい美少女にここまで戦う才能があったとは。

しかし彼女は言った。
 「えっと………たぶん、せっちゃん…、美原さんの教え方がいいんだと思います。
  それに、菊池さんや本間さんとかの方がわたしより強いと思うし………」
 「はっはっは、もっと自信持っていいんだぞ? 今日は先生にとって良い収穫があったよ。
  次の大会への参考資料にさせてもらおう。」
心底嬉しそうな河東に、はすみは少し照れたように頬を桃色に染めて視線を下げた。

 「と……あとは、弱点克服の練習だな?具体的にどういう事をやってるんだ?」

俄然、河東はやる気になった。
あとは弱点さえ克服すれば、体格差を埋める技術を有する彼女の欠点はほぼ無くなると言って良い。
そんな風に考えていた。
 「えっと………せっちゃんがわたしの上に乗って、わたしのおなかを殴ってます。」
これもまた、想像以上の事に彼は驚いた。
 「うお……っ、荒療治だなあ。腹筋か何かだと思ってた。」
はすみはここへ来て、いかにも自信がなさそうに俯いて言う。
 「最初は腹筋とかしてたんですけど、効果がなくて。」
 「なるほどなぁ………うーむ、とりあえずやってみるか。最初はあんまり強くやらない方がいいな。」
 「あ、はい。よろしくお願いします。」
そう言うと、はすみはゆっくりと仰向けに寝転がった。
河東がその上に乗り、腰の辺りに重心を落とす形で固定する。
 「どのあたりを打ってる?」
 「えっと、ちょうどおへその所です。」
 「よし、了解。じゃあ、いくぞ?」
 「はい、お願いしますっ。」
はすみはぎゅっと目を瞑る。

河東は胴着の上からへそを狙うように拳を打ち込んだ。
232ミスト:2012/06/08(金) 23:42:28.64 ID:b2ZG+MDT

 ―――― どぷっ! ――――
 「 ふぅうっ!!!! 」

 「うおっ!?」

少女の小さな体が、びくん!と大きく痙攣する。

河東が打ち込んだ拳の中心は見事にはすみのへそをとらえ、深々と少女の体にその身を沈めている。
涙を溜めたはすみの目は大きく見開き、天井を凝視しているかのようだった。

打ち込んだ河東自身も驚き、慌てて拳を引き抜く。
少女はそれを合図のように、ゆっくりと瞳を閉じ、全身が脱力し、くてん、と大の字になって動かなくなった。
閉じた瞳から、つぅっ、と一筋の涙が少女の白い頬を濡らす。
 「お、おい、楠瀬!大丈夫か!?しっかりしろ!!」
河東は慌てて腰から降り、少女の頬を軽く叩いて起こそうとする。
 「ぅ、ぁ………………あぅっ、うっ………!! 」
なんとか気がついたはすみだったが、おへその所を押さえて激しい痛みに身悶えながら呻いた。
 「…せん……せ、………ひどぃ、で……す………」
唇は震え、閉じられた瞳からは涙がとめどなく溢れ、雫が玉になり頬から落ちていく。
心なしか血の気が引いており、はすみの白い肌はよりいっそう色が失われているように見える。
 「すまん………でも楠瀬、どうして力を入れなかったんだ?」
 「……ぃ………ぇ……え、……す………っ」
 「すまない、少し待つよ。」
河東は、両手でおなかを押さえて痛みに震えるはすみの背中をさすりながら回復を待った。

この時、河東にはひとつの疑問が浮かんでいた。
拳を打ち込んだ時の感触……拳の埋まり具合を見ても、
はすみはまったく力を入れていなかったようにしか思えなかったのだ。

どうしてそんな受け方をするのか理解に苦しんでいた。

 「そ、そうなのか……!?」

ようやく痛みが治まったはすみに話を聞いて、河東は驚きを隠せなかった。

彼女は打たれる際、全力でおなかに力を入れていたと言ったのだ。

“楠瀬 はすみは腹が弱点”、そこは十分認識していた。
それを考慮に入れた上で、彼ははすみのおなかを殴った。
しかし河東の想像を凌駕するほどに、はすみのおなかは弱すぎたのだ。

理由はどうあれ、気絶してしまうほど痛い目に合わせてしまった。
今日はここまでだと彼は感じた。
233ミスト:2012/06/08(金) 23:43:53.64 ID:b2ZG+MDT

だが………

 「すぅ、はぁ………もう大丈夫です、お願いします。」
 「お、おい、楠瀬?」
彼女はまた仰向けになり、気絶する前と同じ態勢を作ったのだ。
 「はい、なんですか?」
まだ涙を残すその瞳で、不思議そうに河東を見つめる。
 「なんですか、って………お前、まだ続ける気なのか?」
 「はい、お願いします……」
河東は呆気にとられていた。
はすみの我慢強さも頑張り屋だという事も、知っている。
そんな彼女が泣くほど痛い事だったはずだ。普通ならもうやめると言っても誰も咎める事はできないだろう。
それなのに、はすみはまだ続けると言った。

この時ばかりはそんな彼女に応えるべきか否か彼は悩んだ。
 「せんせい………」
 「………ん、あ、あぁ………」
戸惑う河東にはすみはこう言った。
 「わたし、おなか弱いままで痛い思いするの、やだ………」

それは彼女の切実な願いだった。
先に言った通り、はすみが負ける時はすべてボディへの一撃で負けている。
彼女自身がいちばん望んでいるのだ。弱点の克服を。

 「………分かった。」

そんな強い思いを感じ取った河東は、意を決し、彼女に応える事を選んだ。
再びはすみの腰あたりに乗る。
 「すまん、ちょっとお願いがあるんだが………」
 「はい…?」
 「その………腹、触らせてもらっていいか?」
河東は赤面しながらそう言った。
誤解が無いように断っておくと、彼は知っておかなければならないと思ったのだ。
はすみの腹部がどれだけ弱いのかという事を。
どのくらいの力で打ち込めばさっきのような事を繰り返さずに済むか。
その為に必要な事だった。
 「ぇ……おなかですか?……わかりました、良いですよ……」
さすがにはすみは恥ずかしそうにしていたが、胴着の前を開き、白いTシャツをぺろりとめくり上げる。
河東の前に、いかにも柔らかそうな白い素肌と可愛らしいおへそがあらわになる。
筋っぽさがまったく感じられない、儚さをも感じさせる柔らかな腹部だった。

その外観だけでも、はすみのおなかの弱さ、脆さを雄弁に語っていた。
234ミスト:2012/06/08(金) 23:44:47.22 ID:b2ZG+MDT

 「ちょっと、腹に力を入れててくれな?」
 「は、はい……」
はすみは少し怖がる表情を見せて返事をした。
河東ははすみのおなかをぐにぐにと触り始めた。
 (脇腹はそこそこ強い……回し蹴りのパワーはここから来てるんだな)
みぞおちのやや上あたりを押す。
 「ふ」
はすみの口から小さな呻きが漏れた。
 (………ここから下がって……胸尖、水月 ―――― )
指を体の下方へ向かってぐにぐにと押しながら移動させる。
 「ぅっ」
やがて指がおへそに近づく。
 ( ―――― 神闕…ここ。……やっぱりそうか……)
河東はようやく納得した。
最初にどこを打つかはすみに聞いた際の事。
 ( ――― “「 えっと、ちょうどおへその所です。 」” ――― )
なぜ彼女がそこを指定したのかという事を。

河東が触れて見た限り脇腹は弱くはなかった。
だが腹部の中央はへそを中心に、すり鉢 状のように外側から中心に向かうに連れ、筋肉が薄くなっていた。
だからおへその所がいちばん弱いのだ。
 「ふぅむ………」
河東ははすみが特異体質の人間だと初めて思い知らされた。
この上、胃下垂だと仮定したら、はすみの弱点は完全におへそが目印のようになっている事になる。
痛がるのも無理はない。
なるほど、美原が苦労しているわけだ。彼は、そう思っていた。

 「 はあっ 」

少女の唇から官能的な呻きが漏れ、体がぴくんと反応した。
思いを巡らせながらはすみのおなかを触っていた際、つい、生のおへそを撫でるように触ってしまったのだ。
 「あ、すまん。」
 「…だいじょうぶです…」
はすみは頬を染めて答え、そして進言した。
 「……ぁの、もぅ、いぃですか…?」
さすがにこれ以上は恥ずかしいのか、おなかを隠したいという意思表示。
 「ああ、悪かった。でもわかったよ、ありがとう。」
そういうと、はすみは笑顔で服装を元に戻す。
 「先生、時間、なくなっちゃいます。」
 「ああ、そうだった。………帰るか?」
河東ははすみに帰る事を促した。
 「…でも、これ、やらないと…」
だが、やはり彼女の意思は固かった。
 「そうか………じゃあ、いくぞ。」
235ミスト:2012/06/08(金) 23:45:29.65 ID:b2ZG+MDT
 「はいっ。」
はすみは再びおなかに力を入れる。
河東も今度はできるだけ弱めに加減して、へそを狙って拳を打ち込んだ。

 ―――― ぱむっ! ――――
 「ん゚っ!!」

少女の揺れる顔から、汗と涎と涙の雫が光を反射しながら宙に舞う。

 ―――― ぱむっ! ――――
 「うぅっ!!」

 ―――― ぱすッ! ――――
 「あ゚ッ!!」

 ―――― ぱくんッ! ――――
 「ふうぅっ!!」

4発ほど打ち込んだところだった。
よほど痛いのだろう。
はすみ自身、無意識の内に、首を左右に振っていやいやをするしぐさを見せた。

そこで河東は手を止めた。
 「……よし、終わり!」
彼ははすみから離れ、強制的に稽古の終了を告げた。
 「ふぅ……ふぅ……せんせい、わたし ――― 」
しかしはすみは涙と涎にまみれた顔を向け、食い下がろうとする。
 「もう無理だ、楠瀬。」
“ 仕方ない奴だ ”そんな微笑を浮かべ、河東ははすみを愛おしそうに見て告げた。
 「頑張り屋なのはお前の良い所だ。でも頑張りすぎれば逆に体が壊れる。これ以上は、駄目だ。」
 「………はい。」
はすみは観念したように俯いて河東の言葉に従う。
そんな彼女に彼はこう付け加えた。
 「俺は部活で女の子の体を預かってる身だ……あまり乱暴には扱えない。ごめんな。」
はすみは、はっとして仰向けから起き、膝を曲げたまま股を開いたぺたん座りになって河東を見上げて言った。
 「せっかく、先生が指導してくださったのに、迷惑かけちゃってすみません……ありがとうございました。」
彼女は座ったまま、そう言って頭を畳につけた。
 「いや、こっちこそ痛い思いをさせてすまなかった。力の加減をだいぶ間違ったな。
  ……やっぱり、お前の事は美原が一番よく分かってるよ。ははっ。」
236ミスト:2012/06/08(金) 23:47:27.99 ID:b2ZG+MDT
そう言うと、河東は鍵を取り出してはすみに言った。
 「さあ、もう帰ろう。先生も一仕事して帰るから着替えて来い。」
 「ぁ………」

はすみは、依然、ぺたん座りのまま何か言いたげな顔をして河東を見上げていた。

 「んん?どした?」
 「あの、」

はすみは同じ体勢のまま伏し目になり、こう言った。

 「足に力が入らないんです………」



     ――――――――――――――――



河東の車の中。

 「あそこまで我慢してたら、お前そのうち死んでしまうぞ。」
 「す、すみません………」

苦笑いで言う河東に、申し訳ない気持ちでいっぱいのはすみが謝る。
河東は動けなくなったはすみを助手席に乗せ、彼女を家まで送る事にした。

静寂の車内、突然に河東が口を開く。
 「なあ………」
 「はい…?」
河東は思い詰めたような顔で言った。
 「空手部、辞めたいと思う時はあるか?」
 「え………?」
はすみは驚いた顔で、運転席の河東の方に振り向く。
 「わたし、やっぱり空手に向かないでしょうか………」
悲しげな顔で河東に問いかけた。
 「いや、お前は才能がある。これはさっき言った通りで間違いない。
  ただ………空手部にいる限りは痛い思いをし続ける。
  あれだけ痛い思いをしながら毎日過ごす必要は無いんじゃないか?そう思ったんだ。」
はすみは黙って河東の言葉を聞いていた。
 「美原や巴との友達関係も知ってる。
  でもな、例え部活を辞めたって友達との関係は変わらないはずだろ?」
 「 ……… 」
237ミスト:2012/06/08(金) 23:48:25.29 ID:b2ZG+MDT
河東は、ふっ…、と穏やかな表情になり、最後の質問を投げかけた。
 「 空手は、好きなのか? 」
その瞬間、はすみの頭の中である光景がフラッシュバックした。

 ( ――――“「 楠瀬さん 」”―――― )

そしてはすみは河東を見つめてはっきりと言った。
 「はい………空手、すきです。」
河東を見るはすみの瞳には強固な意志が鮮明に見て取れた。
それをちらりと横目で確認する河東。
 「 ………そうか。 それなら、先生にはもう止める理由は無いな。」
河東は笑顔でそう言った。

 「 卒業までよろしくな、楠瀬。」
 「 ……はいっ。よろしくお願いしますっ。」


     ――――――――――――――――


その後、家に着いたわたしは河東先生に横抱きに抱えられて帰宅した。
家にはお父さんが帰ってきていて、わたしの姿を見てすごくびっくりしてたけど、
なんとか話して納得してもらった。
その後、リビングでお父さんと河東先生は少し話をしてたみたい。
わたしは2階のベッドから動けなかったから詳しい内容は聞けてない。
でも、たまに談笑する声が聞こえたから安心した。

先生、手を焼かせてちゃってごめんね。
お父さん、心配かけさせてごめんなさい。


わたしは動けるようになったらお風呂に入ろうと思ったけど、
おなかを痛めて体力が無くなってたみたいでいつの間にか眠りに落ちてしまった。



238ミスト:2012/06/08(金) 23:51:16.18 ID:b2ZG+MDT


以上です。

なんだか思ったよりだいぶ長くなってました、すみません。


一応、このスレの肝である腹パンチシーンのガイドをしておきたいと思います。
 231〜235に腹パンチありです。


それでは、ありがとうございました。
239名無しさん@ピンキー:2012/06/09(土) 16:40:23.61 ID:2Qph9USI
ミストさんはやっぱり最高です!
続きはあるのでしょうか?
240名無しさん@ピンキー:2012/06/09(土) 18:18:35.27 ID:VkWIlg5M
SSというより、むしろかなりちゃんとした小説作品を読ませていただいたような
それぐらいの読み応えと、読んだ後の満足感があります。
ありきたりな言葉でしか表現できませんが・・・・最高です!
ありがとうございました!
241名無しさん@ピンキー:2012/06/10(日) 03:19:11.61 ID:KNRhSRRw
はすみちゃんかわええ
特訓モノいいですなー
242ミスト:2012/06/10(日) 21:56:33.05 ID:Dk8lV6SF
>>239さん
読んで頂き、ありがとうございます。
続きに関しての事ですが、最後までいけるかどうかわかりませんが、
可能ならば小ネタなど挟みつつ卒業までは書きたいと思っています。
お付き合い、よろしくお願い致します。

>>240さん
すごく気に入って読んで頂けたようで、大変嬉しく思っています。
こちらこそ、ありがとうございます。
今回、いざ投稿してみたら腹パンシーンに至るまでが長すぎたかなとか自分で思ったりしましたが…
もしそんな風に感じたりしましたら、指摘してくださると嬉しいです。
文才なんて微塵も無い私の作品ですがこれからもお付き合いよろしくお願い致します。

>>241さん
腹責めって個々の好みで細分化していくと
どんなキャラクター が どんなシチュエーション で どの部分 を どう責められて どう悶えるか
までいってしまうので、メインキャラクターが気に入ってくださったのはとても嬉しいです。
今回、キャラクターを掘り下げて紹介したので、>>214さんや>>215さんに気に入って頂けるかどうか実は不安でした。
特訓系は実戦系と違っておなかの強度を表現しやすかったと思っていますw
感想、ありがとうございました。



このスレッドをご覧になってる皆さんはどういう腹責めが好きなんでしょうか…(´・ω・`)
243名無しさん@ピンキー:2012/06/10(日) 22:04:33.13 ID:2F1CyW2z
ミストさん、今回も続編ありがとうございました。

僕はせっちゃんのように、鍛えてきた腹筋に腹責めをするシーンが何よりも好きですね(^◇^)
続編楽しみにしてます☆
244名無しさん@ピンキー:2012/06/11(月) 00:32:16.20 ID:e0L7WOe4
自分は弱い子好きなんで今回の最高でした
そんなに強く打ってないのにすごく苦しんじゃう描写よかったです
あと嘔吐要素を実戦系でぜひお願いします!!何年でも待ちますw
245名無しさん@ピンキー:2012/06/11(月) 00:49:52.57 ID:O0RzhXO/
久しぶりに覗いてみたらミストさんがまだ居られてワロタ
part2〜4の時のような子宮責めが主体のSSなどを書いて頂けると幸いです
ROMってきたら割と最近は正真正銘の腹パンがメインの様ですが…差し支えなければよろしくお願いします
246名無しさん@ピンキー:2012/06/11(月) 15:14:33.16 ID:gYxTB9nk
ミスト氏の人気にshit
古株の登場に新参は怖くて投稿ができない!
247名無しさん@ピンキー:2012/06/11(月) 15:40:28.78 ID:+n8wnryd
>>246
それ言う必要ないだろww怖くて投稿できません宣言、どうでもよろしおす。
248名無しさん@ピンキー:2012/06/11(月) 20:04:27.23 ID:satLBD5d
君は何を言っているんだ
249ミスト:2012/06/12(火) 00:01:23.60 ID:5SK4Zh0m
自分からの質問だったのでレスさせてください、すみません。

>>243さん
読んで頂いてありがとうございます。
三原 刹那はある意味、腹責めでの汎用性を高くしたいと思っているので
243さんの希望も取り込めたら良いなあと思います。
ちなみに、243さんが好きな「鍛えた腹筋」のサンプル画像などがあれば嬉しかったり…

>>244さん
私も244さんに好みが近いと感じましたw
今回の作品の意図を読みとってくださってありがとうございます。
実戦での嘔吐の事ですが、今回で作ったスパイスを実戦系で役立てたいと思うので
もうしばらくお待ちくださいw

>>245さん
お久しぶりです、「まだ居た」というか「また居た」というか…w
実はあの頃(今もそうですが)は暗中模索の状態で書いていたので……
子宮責めとかも織り交ぜてみたのですけど、
当時反応が返って来なかったので「自分の作品での子宮責めは無理かも」
と思ってしまって止めてしまった覚えが(苦笑)
すぐにとはいきませんが、2〜4レスを読み直してまた挑戦してみたいと思います(`・ω・´)-☆
あの頃から成長してない私の作品ですが、改めて、またよろしくお願い致しますね。

>>246さん
shitΣ(´口`ノノ
私は空白の期間が長いので古いだけかも;
自分も作品投稿の際は、受け入れて頂けなかったら…と、今でも怖いですw
私は246さんの作品も拝見させて頂けたら良いなあと思っていますので、
もしよろしければ投稿して欲しいです。



鍛えた腹筋責めや弱いおなか責めやおへそ責め、子宮責め……この上、切腹系もあるから
一口に腹責めって言っても、本当に深いですねえ(´・ω・`)
250名無しさん@ピンキー:2012/06/13(水) 01:48:47.23 ID:aKypJbA+
>>216
詳細キボンヌ
251ミスト:2012/06/13(水) 21:55:20.55 ID:ei1J0W34
動画の事でしょうか?
拾い物の動画なので番組の詳細とかは分からないです、すみません;
252名無しさん@ピンキー:2012/06/14(木) 22:32:15.98 ID:2cj3hUlS
昔はシックスパックな腹筋がそそる腹だと思っていたが、
最近はむっちり脂がのって臍穴が深い腹こそ至高だと悟るようになったw
滝沢乃南
://katuru2ch.blog12.fc2.com/blog-entry-3286.html
なんてめっちゃエロい腹してるわwww
253ミスト:2012/06/15(金) 23:26:10.30 ID:mP2ZXbx8
今日も投稿させて頂きます。
よろしくお願い致します。
254ミスト:2012/06/15(金) 23:30:08.82 ID:mP2ZXbx8

              『 精神の牢獄 』


            【 楠瀬 はすみ パート】



広がる風景は中世ヨーロッパを思わせる街並み。
その街角に座る、5人の人間。

5人の恰好はバラバラで、
騎士の男の子、腰の両側のホルスターに銃を収めている女の子、魔法使いの女の子、暗殺者と思われる男の子、
そして神官の恰好をした女の子が、地べたに座って5人で話をしている。

その中の、神官の恰好をしたプリースターの女の子がわたしのキャラクター。

お風呂から出た頃に、丁度もえたん(富沢 巴ちゃん)から
  ―――“はすみ、いま手が空いてたらログインして”―――
っていうメールが来て、
『 ノルド・オンライン 』っていう多人数同時参加型オンラインRPG …… MMO形式のインターネットゲームをしているところ。

わたしを除く4人のうち、知ってる人は一人だけ。腰に銃を収めている女の子。
この、銃で戦う“リボルベルヘルド”っていう職業の女の子がもえたん。
キャラクター名は、“レベッカ”。

他の3人の人は、
騎士の恰好をしたリッターの男の子。名前は“サファイア”
魔法使いの恰好、ウィザードの女の子。名前は“みぃ♪”
暗殺者のような恰好、メルダーの男の子。名前は“エド”

わたしは会った事が無い人達だけど、もえたんの知り合いって聞いた。
いつも思うけど、もえたんって本当に人脈が広いなあ。
  ―――― あゆみさん、大丈夫? ――――
騎士の男の子、“サファイア”さんからのコメント。
わたしとサファイヤさんしか見えない1対1専用チャットウィンドウでコメントが送られてきた。
“あゆみ”は、わたしのキャラクターの名前。
当たり前だけど本名は知らないから、お互いキャラクター名で呼び合ってる。

サファイアさんは、たぶん皆の話を見てるだけでわたしがコメントしてなかったから心配してくれたんだと思う。
わたしは、『うん、大丈夫。ちょっとぼうっとしてただけ。ごめんね。』と打ち返した。
  ―――― 良かった。気持ち悪い時は言ってね、無理しないで。――――
『うん、ありがとう。大丈夫だよ。』って返して会話が終わる。
255ミスト:2012/06/15(金) 23:31:05.79 ID:mP2ZXbx8
サファイアさんは会った時から何かと私を心配してくれていて、裏でいつもこんな風に気を遣って声をかけてくれてる。
実際に会った事はないけど、気配りができて優しい人だなあって思う。
サファイアさんはもちろんだけど、エドさん、みぃ♪さんとも楽しくお喋りする。

わたしは、学校とかでもこんな風にできたらいいのにっていつも思う。

   ――――「それじゃあ、そろそろハンティングいくべー」――――

もえたんことレベッカが口火を切る発言。
雑談が一区切りつき、話の流れはモンスターと戦いにいく流れになっていた。
    ――――「今の狩場、飽きたし、そろそろ別の場所いってみる?」――――
    ――――「そだねー。ここいらでハードな狩場でひと稼ぎしたいかも」――――
    ――――「じゃあ、“荒野”言ってみる?」――――

わたしは、“荒野”という発言に少し気が竦んでしまう。

ここにはゲーム中でも強力な敵がたくさん集まってる場所。
特に格闘系のスキルを使う、“ヌンババ”っていう強い大型のモンスターがいる。
わたしのキヤラクターの特徴を考えると、本当はあんまり気が進まなかった。

<ノルド・オンライン>には初期設定の段階で、長所と短所を設定する。
長所は、キャラクターに特殊能力を持たせる事ができるメリット。
例えば特定のスキル使用の際、上方補正がかかるようにできるとか、特定の属性攻撃に対して強くできるとか。
短所は、逆にキャラクターの弱点を設定しなければならないっていうデメリット。
例えば精神力や魔力、体の一部などに関係する事に下方の補正が働いてしまう。

わたしがキャラクターを作る際、もえたんに教えてもらいながら作ったのだけど、
この項目で“覚醒時能力UP”と“ウィークポント:腹部”が設定された。
わたしは、ゲームの中くらい強くしたいって伝えたんだけど、
もえたんは『 この方がはすみらしい。』『 守り甲斐があって男の子にもてるかもしれないよ。』って笑いながらわたしのキャラクターの設定をしてた。

ちなみに“荒野”は略称で、正式な名前は“世界の果ての荒野”っていう殺風景な荒地のエリアの事。

    ――――「でも、あそこだとあゆみさんがきつくない?」――――

騎士の男の子、サファイアさんが発言。
256ミスト:2012/06/15(金) 23:31:58.01 ID:mP2ZXbx8

    ――――「回復役のプリースターはあゆみさんだけだし、あゆみさんのキャラだと
           ヌンババの“ボディブロー”耐えられなくて一瞬でパーティ決壊するかも」――――

敵の使ってくる“ボディブロー”っていうスキルはわたしのキャラクターにとっては一回でもやられたくないスキル。
その事を、わたしの代わりにサファイアさんが言ってくれた。
    ――――「大丈夫。俺があゆを守る!」――――
    ――――「まあ、行くだけ行ってみるのも良いんじゃないかな。」――――
    ――――「初めてだし、行ってみないと分からないから行ってみれば良いんじゃない〜」――――
レベッカ、エドさん、みぃ♪さんの順番で発言。

みんなはもうすっかり行く気になっていた。
わたしはせっかく皆が盛り上がってるから、『 なんとか逃げ回ってみんなを回復させるように頑張ってみるね。』
って打ち込んで、行く事を決めた。
    ――――「ふふふ、俺のカットラスでヌンババに風穴あけてやるぜえ」――――
もえたんのキャラクター、レベッカが、両手で二挺の銃をくるくる回すモーションを見せながら発言した。

     ――――――――――――――――

そして、わたし達は荒野に辿り着いた。
“世界の果ての荒野”っていうだけあって、音楽も寂しくて恐怖心を掻き立てる雰囲気のマップ。
    ――――「とりあえず、エリア一周してみよ」――――
もえたんの一言で歩き出したわたし達5人パーティ。

その瞬間だった。

突然、わたし達の周りに人型をした太めの体格のモンスターが4匹現れた。
それはさっき話していた、ヌンババっていうモンスターだった。
このゲームのモンスターは倒されて復活する際、エリア内の座標にランダムで復活する。
運が悪い事に、大量に倒されたヌンババがわたし達の周りに復活してしまったんだと思う。

わたし達はコメントする暇もなく、みんなポジションにつく為に一斉に動き出した。

 「あっ。」
257ミスト:2012/06/15(金) 23:33:42.21 ID:mP2ZXbx8

わたしは思わずモニターの前で声に出してしまった。
遅れて復活したヌンババがわたしの行きたい方向を塞いで現れた。

 「やっ……」

たちまちヌンババに拘束されてしまう、わたしのキャラクター。
それは恐れていたスキル“ボディブロー”の予備動作だった。

わたしはこの時、思わずキーボードとマウスから手を離し、両手でおへそのところを押さえてしまった。

    ――――“ずぼっ”“ズシャッ”――――

“ボディブロー”のダメージ音と、クリティカル攻撃の音が重なる。

その瞬間、チャットウィンドウに特殊効果の詳細がずらりと並んだ。


 ボディブローによる腹部への攻撃!プリースターは腹が弱い!
 ボディブローによる腹部への攻撃!あゆみは ウィークポイント:腹 のため腹が弱い!
 性別・女 のため、物理攻撃系のスキルに弱い!
 クリティカル!!
 あゆみは死んでしまった!!


最大耐久値の3倍を超える程のダメージ値が赤い数字で表示される。
わたしのキャラクター“あゆみ”は専用のダメージモーションになり、
両手でおなかを押さえて、どばっと鮮血を吐き、力無くその場に倒れ込んだ。
 「………うっ………」
思わず片手で口を押さえてしまう。
起きたのはゲーム内の事でも、わたしはすごく生々しい感覚を覚え、おなかが気持ち悪くなった。
    ――――「うはww あゆみ、被ダメ最大レコード更新wwwwwww」――――
もえたん…レベッカの発言。

気が付いたらみんな倒れてしまっていた。

わたしはすごく罪悪感を感じ『 みんなごめんね。』って打ち込んだ。
258ミスト:2012/06/15(金) 23:34:23.44 ID:mP2ZXbx8
    ――――「いあいあ、今のはしょうがないっしょー」――――
    ――――「いきなりヌンババ4匹が足元湧きとは……ついてねー」――――
レベッカとエドさん。
    ――――「ごめん、あゆみさん助けようとしたけど間に合わなかった」――――
サファイアさん。
わたしは、『 私のポジション取りが悪かったからサファイアさん悪くないよ。ごめんなさい。 』って打ち込んだ。
    ――――「むう、まだ無理だったかー。帰ろー」――――
みぃ♪さんが発言して、みんな町のセーブポイントに戻ってきた。

ここでわたしは今日は気持ちが悪くなっていたので切り上げたくなり、
『 ごめん、私、今日はここまでにするね。』って打ち込んだ。

    ――――「むう、あゆが抜けるとヒーラーが……」――――
レベッカの発言。
    ――――「しょうがないよ。無理させてごめん、あゆみさん、また今度よろしくね」――――
サファイアさん。
    ――――「また一緒に行こうね。おやすー」――――
    ――――「サブキャラでも鍛えようかな……あゆみ、またよろ。おやすみー」――――
みぃ♪さん、エドさん。

わたしは、『 ごめんね。みんなまたよろしくね、ばいばい。』って打ち込んでログアウトした。

 「 ふぅー ………」

ゲームを終えたわたしはおへそのところをさする。
そして何故かいつも思ってる事を独り言で口に出してしまった。

 「おなかって、どうすれば強くなるのかなあ……」

薄桃色のパジャマをめくり、自分の情けないおなかを見ながら言っていた。

わたしにとってはやんごとなき事。
それでいて考えて悩んでも取り留めも無い事。

だからこそわたしにとってはいつも難題として付き纏う、悩みの種。

 「………勉強、しなくちゃ。」 

わたしは思い直し、パソコンをシャットダウンさせてから机に向かった。

でもわたしの体は部活とゲームで疲れてしまっていて、机に座ったまま途中で眠りについてしまった。
259ミスト:2012/06/15(金) 23:36:02.67 ID:mP2ZXbx8
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

             【 美原 刹那 パート】



放課後の格技場。
私はいつも通り、女子空手部の活動に参加していた。
練習は終盤に差し掛かり、河東 先生の指示で順番に組手をやっている所。

 「はっ、ふっ、やぁ。」
  ―――― ばしっ、ばしっ、ぱんっ ――――
 「っ、…、……」

いま組手をやっているのは、空手部で一番小柄なはすみと空手部で一番大きい体の本間 智重。

どうして河東先生がこの組み合わせでやらせるのか意図は分からないけど、
はすみは小さい体を精一杯動かし、大きい体に立派に対抗していた。

そんなはすみを、私は目で追いながら思いに耽っていた。

普段なら「いつも私と練習してるから当然。」と、安心して見ているのだろうか。
いつもの私なら今のはすみをこんなに眩しく瞳に映してはいないのではないか。

私の番が回ってくる事に対してこんなに怖いと思っているだろうか。
 「ぇぃっ、せぇ、はっ。」
はすみは、自分に有利な間合が取れるように素早い運足やパリイングを駆使して、本間 智重を圧倒していた。
はすみの有効打が多い。判定にもつれ込めば間違いなくはすみの勝ちだろう。
しかも自分がやられたら嫌な事だからなのか、相手のおへそのあたりは打たないように攻撃を繰り出している。
組手を見守る女子空手部員はこの光景に大きくどよめいていた。

どうしてあんなに向かっていけるのだろう。

 「しっ、しゅっ、はぁっ。」

はすみは………怖くないのだろうか?

 「残り30秒!」

お腹をやられるという事に対して。
260ミスト:2012/06/15(金) 23:36:53.05 ID:mP2ZXbx8

 ―――― ぱすんッ!! ――――
 「 きゃふッ!! 」

審判をする河東先生の“残り30秒”の宣言とほぼ同時に、高く、短い悲鳴が上がった。
 「 ぅぁあ!! あああぁぁ…………! 」
本間のえぐるような力任せのボディブロー 一発。
おそらくおへそのところをハードヒットしたんだと思う。
はすみは両手でお腹を抱えて、頭を床にぶつけるように倒れ込んだ。
 「ぅっ、ぁぁ………」
はすみは涎を床に垂らしながら泣く。
河東先生はそんなはすみを見て最後の礼をするのは無理だと判断したのか、
駆け寄ってはすみを横抱きに抱え上げ、そして言った。
 「サイズ的にあまり無い対戦だったからやりにくかっただろう。
  でも、二人ともよくやったぞ。ナイスファイトだ。」
そして部員達を見回しながら言った。
 「こんなに小さい楠瀬でも、大きな選手に対抗できる。
  こんなに大きい本間でも、小さくてスピードのある選手にも遅れを取らない。
  皆も二人に負けないよう、今より更に技術を高めるように切磋琢磨してくれ。」
『はい!』という声が格技場に響く。
河東先生は言い終わると、半失神状態で泣いているはすみを抱えて連れていき
巴に介抱を頼んで畳に寝かせた。

たぶん……はすみがお腹をやられた瞬間だと思う。

私は、いつの間にか左手で自分のお腹を押さえていた。

 「よし、次……菊池 聡美 と 美原 刹那!」
261ミスト:2012/06/15(金) 23:38:08.91 ID:mP2ZXbx8

私は立った。
立って、開始線に向かった。
でも私は組手の事なんか頭になかった。
 「お互いに、礼!」
反射的に、礼はできた。
 「構え!」
 「………」
この時 ――― 私は、棒立ちになっていたのだと思う。
 「…美原?どうした?」
 「………すみません。」
 「具合でも悪いのか?」
先生が私に聞く。
「……はい、今日は遠慮しておきたいです。」
思わず、そう言いそうになった
 「大丈夫です、やります。」
 「そうか…?なら良いが……」
私は組手をやる旨を伝えた。

どうして………やめるって言わなかったのだろう。

 「よし……構え!」

私は構えをとった。中段で構えた。

 「始めッ!!」

組手開始の合図が掛かったが、私は構えたまま動けなかった。
私の瞳は畳を映している。

恐かった。

お腹をやられるのが。
どうすればお腹をやられずに済むのだろう。
綺麗に鍛えてきたはずの腹筋は意味を成さない。
必至にガードしても打たれてしまう。
お腹ばかり狙われる。

どうしよう。
どうしよう。
262ミスト:2012/06/15(金) 23:38:46.90 ID:mP2ZXbx8
 「ふッ!」
 ―――― ばむッ!! ――――
 「あうっ………!!」

気が付いた時には菊池 聡美の拳がお腹にめりこんでいた。
私は目をいっぱいに見開き、口から涎の塊を吐きだす。

 ―――― ドッ!! ――――
 「うッ!」
 ―――― ドスっ!! ――――
 「 う゛っ ! 」

間髪入れず、尚も私のお腹を攻めたてる。

 ―――― バクンっ!! ――――
 「ふぐッ!!」
 ―――― ドムッ!! ――――
 「はうッ!!」
 ―――― ばぐッ!! ――――
 「うあっ…!!」

まるで恨みでもあるかのように、菊池 聡美の拳は執拗に私のお腹を虐げ続けた。

 「…すっかり素直で可愛らしくなったわね。」
 ―――― ぼむッ!! ――――
 「はがっ……!! …ぁ…、あ………」

菊池 聡美は周りには聞こえないように小声でそう言い、
自分の右肩を私の右肩にぶつけるように踏み込んで、私のお腹に拳を捻じ込んだ。
 「これが最後。もう生意気しちゃ駄目よ?生意気するなら死ぬまでやるからね。」
私の耳元でそう言うと一歩ステップバックし、
お腹に狙いを定め、勢いをつけて低姿勢で飛び込んで来た。

 ―――― どぱんッ!!! ――――
 「 う゚ゥッ!!!! 」

私はお腹に拳を打ち込まれた衝撃で、一瞬、お腹を支点に体の上半身と下半身が内側に折れ曲がった。
わたしはそのまま場外に倒れ込み、そのまま意識を失った。


どうしてこんな事になったんだろう。
どうしてこんな目に遭わされるのだろう。
どうすれば許してもらえるのだろう。



誰か、助けて ―――

263ミスト:2012/06/15(金) 23:39:21.47 ID:mP2ZXbx8

以上です。

ありがとうございました。
264名無しさん@ピンキー:2012/06/16(土) 01:24:03.84 ID:Kms71DVA
乙!!

ミストさんは心理描写が素晴らしく、ぐんぐんキャラクターに感情移入してしまいます。

非力でも前向きなはすみとトラウマに振り回されるせっちゃんの対比が興味深いですね。
二人の今後どうなっていくのか楽しみです。

頑張ってください!
265名無しさん@ピンキー:2012/06/17(日) 11:32:45.13 ID:BnOnnPiM
ネトゲでまでやられるなんてw
せっちゃんはどうしちゃったんだ!?
266名無しさん@ピンキー:2012/06/17(日) 21:40:22.87 ID:s+JyMco3
最高です!
とても扇情的な描写と、腹責めに感服ですww
267ミスト:2012/06/18(月) 00:12:00.45 ID:QiTZa853

>>264さん
とても嬉しい評価をしてくださって、ありがとうございます。勿体無く思いますw
「どんな子が腹責めされているのか」っていう部分も、人それぞれで好みがあると思いますので、
キャラクターに着目してくださってるのも嬉しく思います。
今後はたぶん少しずつ流れが変わってくると思いますが、ご期待に応えられるよう頑張りたいと思います!

>>265さん
こういう、「おなかを弱点にできるゲーム」があったら……なんて考えてたらいつの間にか出来上がった作品でしたw
でも、ちょっと表現しきれなかった感が(汗)
刹那は激しくお腹を痛めつけられたトラウマとそれから来る「力みすぎ」によって本来の力が発揮できなく、
また、精神的にも衰弱している状態です。(作中でもっとうまく表現できていればよかったのですが;)
今後は腹責めSS的にどうしようか幾通り考えてますので、今後もよろしくお願いいたします。

>>266さん
ありがとうございます、端くれですが腹責めSSの書き手として嬉しい感想です。
何か、腹パンフリークの方々を少しでも満たされた気分にさせるための言葉やシチュエーションを
自分なりに選んだり考えたりしてるので、そういう所も見てくださってありがとうございます。

あと>>244さん、遅くなってしまって申し訳ありません。
はすみの実戦系の嘔吐描写に関してはもうすぐだと思いますので、
あと少し、お待ちくださいね。



今後、展開が少しづつ変わっていきますが、
皆さんよろしければ最後までお付き合いくださると幸いです。m(_ _)m
感想、ありがとうございました。
268名無しさん@ピンキー:2012/06/19(火) 08:09:17.96 ID:/MgPmD6+
全レス…か
269名無しさん@ピンキー:2012/06/19(火) 18:30:58.57 ID:Oi3x4Gu+
全レスしないとミストは死ぬんだよ
命かかってるんだからしょうがない
270名無しさん@ピンキー:2012/06/23(土) 14:05:49.07 ID:j9+D9IlY
ミストさん戻ってきてくれてありがとうございます!!

これからも腹責めよろしくお願いしますwww
271ミスト:2012/06/24(日) 01:43:25.96 ID:GMqvFGuo
真夜中に失礼いたします。
今回も投稿させて頂きます。

よろしくお願い致しますm(_ _)m
272ミスト:2012/06/24(日) 01:44:42.18 ID:GMqvFGuo

お昼休み。

今日はせっちゃんが来なかった。
いつも来る時間をだいぶ過ぎてしまったから、もえたんと一緒に食べ始める事にしようとしてるところ。

そこでわたしはもえたんに言った。

 「ねえ、もえたん。」
 「んーー?」

もえたんはお箸を口にくわえてお弁当の小風呂敷をほどきながらわたしに顔を向けた。

 「やっぱり、わたし達がせっちゃんのクラスに行った方が良いような気がするの。」

考えてみればいつもせっちゃんに来てもらってばっかり。
こういう時くらい、こっちからせっちゃんのクラスに行くべきだと思った。

 「ああ、やめときー。」

でも、もえたんは平然と笑顔で答える。

 「今みたいな刹那は、他人に頼らないで全部自力で解決したがるから。
  むしろ、憖っか手を貸すとプライド傷付けて逆に嫌われるよ。」
 「うぅん………」

小学校の時からせっちゃんの友達してるもえたんの言う事だからきっとそうなんだと思う。

 「ねえ、やっぱりせっちゃん ――― 」
 「変だね。何かあったね、アレは。」
 「何か ――― 」
 「あたし達にしてあげられる事は思い浮かばないねえ。」
 「ぅん………」
 「大丈夫、いつもみたいに立ち直るさー。」

最後は、ちょっと苦笑い気味に言った。
もえたんはわたしが何を聞きたいのかわかっていたみたいで、すごくスムーズに応えてくれた。

 「 ――― でもねえ。」
 「うん?」
 「今までとは違うように感じられないんだよね、今の刹那。あたしとしても心配ではあるかなあ。
  ゆきかずは変に思っても何もしなさそうだし。あのにぶちん。」
 「そうなんだ……」

もえたんは何処か遠くを見るような目でそう言い、お弁当を口する。
“ゆきかず”は3年生の数学担当で、わたし達 女子空手部の顧問をしてる 河東 幸和 先生。
もえたんは河東先生と仲が良くて、“かとうせんせい”じゃなくて“ゆきかず”って呼ぶ。

 「まあ、どっちにしろ本人が話さない以上はあたしゃ何にもできないわ。」

ちょっと呆れた感じで言った。
273ミスト:2012/06/24(日) 01:45:48.13 ID:GMqvFGuo


放課後、部活動。

部活の時のせっちゃんはより色濃く違和感を醸し出す。
昨日、わたしはおなかを強く打たれて意識が薄れていたからどういう状態だったかわからないけど、
せっちゃんは組手で菊池さんに負けちゃったみたい。

だからなのか、今日は今までで特に元気が無かった。
どこか血色も悪いように見えて、せっちゃんの透き通るような肌からは、
まるでそのまま消えてしまいそうな印象さえ、わたしに与えていた。

そして部活終了後。

 「ごめんはすみ。今日は私、用事あるから。」

初めてだった。
せっちゃんから部活後の練習を。

 「せっちゃん……調子、悪いの?」
 「ん?そんな事ないわよ。」
 「もし何か困ってる事があるなら、わたし ――― 」

わたしが言い切る前に、せっちゃんはわたしの頭を撫でた。

 「大丈夫、本当に家の用事があるだけだから。そんなに困ってるように見えた?」

いつもみたいに、微笑を湛えて。
そう言って、せっちゃんは先に帰った。
その後は河東先生がまた練習相手を買って出てくれたので、わたしはまた先生と一緒に部活後の練習をした。
でも、わたしのおなかは先生にとって力の加減が難しいらしくて、今日はおなかの鍛錬はしないで練習を終えた。

274ミスト:2012/06/24(日) 01:46:31.61 ID:GMqvFGuo

            『 RENDEZ−VOUS 』





下校。

夜の闇に落ちた路地を歩きながら、わたしは考えていた。

 (せっちゃんはやっぱりあの夜から………)

あの夜。
それは、わたしとせっちゃんが菊池さん達のグループに暴力をされた日。

わたしは死んじゃうと思うくらいおなかを酷く痛めつけられて、気を失ってしまった。
きっとその後、せっちゃんもおなかを狙われたんだと思う。部活での動きを見てても、おなかを庇うように動いてるからわかる。
すごく痛くて嫌だけど、わたしは部活とかでおなかを痛めるのはもう普通の事になっちゃってる。
それでいつも泣いちゃうのは情けないけど、わたしにとっては日常茶飯事で当たり前の事。

でも、せっちゃんはきっと違う。
あの日が初めて、おなかを酷い目に遭わされた日だから、今はおなかをやられるのがすごく怖いんだと思う。
わたしもその過程を経て今に至ってるからわかる。
わたしがせっちゃんに今できる事……何か無いか探したい、何か力になってあげたいって思った。
会った時からずっとわたしの事を助けてくれたせっちゃんだから、こういう時くらい助けてあげたい、って。

 (どうすればいいんだろう………)


考えを巡らせながら路地を進み、ブロック塀に囲まれた十字路に差し掛かった時だった。

突然「キーン」という耳鳴りが起こり、三半規管を揺さぶられたようにぐらついた。
わたしは自分の耳がおかしくなったのかと思った。
だって耳鳴りの正体は、今まで聞こえていた周囲のあらゆる音が消えて、突然無音状態になった事が原因だったから。

遠くで走る車の音、人の声、家々から漏れていた生活音。
音という音が一度に全て消えていた。

 「…ぁ-、あー〜…」

思わず自分で声を出す。声は正常に出ており、それを耳で拾えているように感じられた。
感覚から、自分の耳がおかしくなった訳では無いように思う。

そして直後、その感覚を確信付ける証拠を得る事になった。
275ミスト:2012/06/24(日) 01:47:04.79 ID:GMqvFGuo

  ―――― コツン…コツン…コツン… ――――

十字路の、正面の道。
その道の向こうから誰かが歩いてくる足音がはっきり聞こえた。
街灯が少ない道なので、まだちゃんとした姿は見えないけど背の高い男の人がこっちに歩いてきてる。

わたしは異常事態に陥った心境だったので、面識がない他人の人でも嬉しかった。

 「 あのっ ――― 」

声を出し、駆け寄ろうと一歩足を踏み出したその時。

前から歩いてくる男の人の異常に気付いた。

遠くの街灯の僅かな光が照らし出すシルエットは、体格や歩くしぐさから考えて長身・痩身の男の人。
異常なのはその頭部。
頭部はおよそ人間らしくない、縦の長方形を成していた。
何かを被っているとしても普通な感じじゃないと思う。

  ―――― カツ…カツ…カツ… ――――
  ―――― ジャッ…ジャッ…ジャッ… ――――

正面にばかり気をとられていたけど、左右両側の道からも足音が近づいてきている事に気付く。

街灯に照らされる十字路。
3つの足音はその光を目指して迫ってきている。

わたしは動けなくなってしまっていた。
迫りくる足跡と、早くなった自分の心臓の鼓動音を聞きながら立ち尽くし、息を飲む。

やがて十字路の街灯の光がその3人の姿を映し出した。
276ミスト:2012/06/24(日) 01:48:03.29 ID:GMqvFGuo

 「ほう」

正面 ――― 最初に発見した長身・痩身の男の人(?)
茶色の四角い頭部は、小さな直方体のダンボールを被ったような形で、目に相当する部分に穴がふたつ空いているだけ。
体は白の全身タイツ。

 「あら」

右側の道 ――― ロングヘアーで金髪碧眼、長身で綺麗な女の人。
紫色のブラウスと黒いロングスカート、ピンヒールパンプス。

 「……」

左側の道 ――― 小学校低学年くらいの男の子。
黒いパーカーと迷彩カーゴパンツのストリート系ファッションで、
フロントに大きな目玉が描かれた紺色のキャップを被ってる。
性格が強そうな顔つきの、何処か違和感を覚える子供。


ブロック塀に囲まれた十字路の中、それぞれの道から現れた三人は今やわたしに注目していた。
まじまじと、そしてゆっくりと舐め回すようにわたしを観察する三人。

やがてそれは終わり、正面の道から現れた直方体の頭をした人……
その目に当たる部分のふたつの穴の奥が一瞬赤く光ったと思うと、口々に発言し始めた。


 「 これは素晴らしい 」

茶色の直方体の頭の人。

 「すごい色…すごいわ、こんな子がいるなんて!」

ロングヘアーの、金髪碧眼の女の人。

 「当たりを引いたのですか?どうなのですか?」

大きな目玉が描かれているキャップを被った、ストリートファッションの子供。


わたしには三人の人達の言っている意味がわからなかった。
わたしの事を言ってるように思えるのだけど、何について言っているのかわからない。
277ミスト:2012/06/24(日) 01:48:40.09 ID:GMqvFGuo

 「あの……」

まるで状況を飲み込めない中、わたしは恐る恐る話しかけた。

 「ん?なあに?」

返事をしたのは右側の道から現れた、金髪碧眼・長身の女の人。
わたしの目線に合わせるように腰をかがめて、満面の笑みを浮かべている。

 「わたし、なんだか変なんです。」

今わたしの身に起きてる異変をうまく言えず、変な言い方をしちゃっていた。
でもその女の人は当たり前のようにそれに答え始めた。

 「あなたは変。変、というより希少。というべきかしら。いいえ、希少よりももっと……唯一無二、とか。」
 「え?」
 「そしてあなたを取り巻くこの空間もあなたにとって変。
  ここは普段あなたがいる空間を支る為に、常に均衡を保ちつつ存在するもうひとつの空間。」
 
説明されても、わたしには何を言われているのか理解できなかった。
ただ、わたしは知らない内に“わたしの理解できない場所”に迷い込んだのかもしれないう不安感と恐怖心を感じていた。

 「止すんだ。説明した所で理解はできない。」

ダンボールのような頭をした人が間に割って入り、尚も続けた。

 「それよりも早く目的を果たそう。」
 「ふふ、そうね…」
 「………」

 「えっ……」

ダンボールの頭の人が言うと三人同時にゆらりと動き出し、わたしに歩み寄ってきた。

 「ぁ…、あのっ。なにをするんですかっ?」

わたしは怖くなって必死で叫んだ。
だけど三人が歩を止める事は無く、一歩早く接近した女の人が指でわたしの顎をくいっと上げて呟いた。

 「うふふっ、かわいい。」
 「ぇ…かわいい…?」
278ミスト:2012/06/24(日) 01:49:30.44 ID:GMqvFGuo

わたしは言われ慣れていない言葉に、顔が熱くなった。

 「ピ○チoーとかミッ○oーとかそういうのだ。」

キャップを被った子供の子が口を挟んだ。
そして、次のお姉さんの言葉にわたしは血の気が引く思いをする事になる。

 「ふふっ………おなか、よわそう。」
 「ぇ………?」

どうして分かるのか、分からない。
だけどそれは、次の展開を予想するには十分すぎる言葉だって感じた。
一転してまた一転、恐怖に固まるわたしに更なる恐怖が叩きつけられる。
それは帽子の子の発言。

 「あの、そろそろおなか殴りたいんですけどいいですか?」
 「ゃ…、いやああぁ――――――っ 」

わたしは踵を返して全力で走りだした。

 「あぁん、もう。」
  ―――― カッ、カッ、カッ、カッ。 ――――

足音からすると、金髪碧眼のお姉さんだと思う。

 「ねえ、待って。」

逃げるわたしを追って走ってくるのがわかった。

 「ねえ。ねえってば、ねえ。待って〜。」

お姉さんとわたしの距離は一定を保っていた。

 「ねえーー。しないから……痛い事しないから………! 」

途中からちょっと声色が変わったように感じた。
わたしは思わず後をちらりと見て、ぎょっとした。

 「痛い事なんかしないからちょっとしか―――――――ッ!!!! 」

お姉さんの綺麗な顔は歪み、般若のような形相になっていた。

 「きゃああああああぁぁぁぁぁっ」

わたしの恐怖心は頂点に達し、後先考えず全力疾走した ―――

279ミスト:2012/06/24(日) 01:50:20.16 ID:GMqvFGuo

     ――――――――――――――――


 「 ――― もうっ。足の速い子ね。」

金髪碧眼の女は左の掌を上に向け、その上に掌を合わせるように右手を置いた。
そして本を開くように右の掌を返す。
すると両手の掌の上に、ホログラムのように映像が映し出された。

 「 ――― どうした? 」

映像は、あの直方体のダンボールを被ったような男の顔。
彼ら(?)の通信手段のひとつらしい。

 「兄さん、逃げられちゃった。」

女が少しむくれ気味に伝える。

 「まずいな……タイムリミットまでに帰してやらないとまずい事になる。」

言葉の割に危機感は感じさせないような声色だった。
彼に限らず、三人はどこか無機質な印象がある。

 「とりあえず、奴は別の道から彼女を追った。お前はそのまま彼女の後を追ってくれ。」
 「りょーかい。まったく、不便ね。人間の体って。」
 「しかしこれが一番“満たされやすい”形だ。仕方ない。それじゃあ俺も行くぞ。お前も早く追跡するんだ。」

本を閉じるように、再び掌を合わせるとホログラムは消えた。
そして女は再びはすみを追うべく動き出した。


     ――――――――――――――――


 「はあっ、はぁ、はあっ。」

わたしは繁華街を全力で走っていた。
明るくて人が多い場所にいけば誰かにたすけてもらえるかもしれない、って思ったから。
だけど……

 「…どうして…?」

明かりもついてるし、立ち並ぶお店の看板もライトアップされたまま。
信号機は普通に動いてるし、車もたくさん並んでいた。
280ミスト:2012/06/24(日) 01:51:15.36 ID:GMqvFGuo

だけど、人だけが居ない。

わたし以外に歩いてる人がいないし、お店を覗いてみても店員はいない。
誰も乗ってない車に至っては、道に並んだまま停止している。
本当に人だけが切り抜かれたように居なくなってしまってる。

 「ふぅ、ふぅ……んっ、はあ……」

ずっと全力で走ってきたけど、とうとう限界が来て足を止めてしまった。

ふと目の前の看板を見る。

  ―――― “ BOOKS ほしの ” ――――

絵本から難しい専門書、同人誌まで幅広く取り扱う、この町でいちばん大きな本屋さん。
DVDなどのレンタルエリアもある。
ここなら隠れ場所も多いし、見つかりにくいかもしれないって思った。

わたしは、意を決して中に入る。

やっぱり、お客さんも店員さんも居ない。
わたしはもっと上に逃げようと思って、階段を使って上を目指す。
直感的にエレベーターやエスカレーターを使う事は躊躇いがあったから、使わなかった。

レンタルエリアのある階に着く。
案の定、誰もいないけど宣伝用のモニターで映画のCMなど流れたまま。
雑音の中ならより見つかりづらいはずだって思った。
わたしはここで隠れる場所を探す。

すると、奥のほうにカーテンで仕切られたエリアがあるのを発見したから、急いで向かった。

 「……ごめんなさい……っ」

“18歳未満視聴禁止”の表示があったけど、いちばん奥の隅っこでしゃがみこみ、身を潜めた。

 「ふぅ……ふぅ……」
281ミスト:2012/06/24(日) 01:52:08.11 ID:GMqvFGuo

ようやく一息つけた。
わたしは考えた。あの人達は何だろう。
どうしてわたしとあの人達以外に人がいないんだろう。
“もうひとつの空間”ってどういうこと?

ただひとつ分かっている事……

 “「………おなか、よわそう。」”

どうして、よりによっておなかなんだろう。
捕まったら絶対おなかを痛くする事をされると思う。
恥ずかしいけど、わたしはやっぱり人一倍おなかが弱い。
その現実を自覚してるだけに、どうしても逃げ切りたい気持ちになった。

 「でも…どうやって………」

思わず、抱えた膝に頭を埋め込む。


   「 見 つ け タ 」


それは、わたしの頭の上から聞こえた。
ばっ、と顔を天井に向けると、あの大きな目玉のキャップを被った子供が
天井の隅に張り付いていた。

 「きゃあああぁぁっ」

反射的に立ち上がり、後ずさりした。
その子は、蜘蛛がスーッと降りてくるように床に着地し、わたしの方を向いた。

 「…ぃゃ、やめて、おねがい ――― 」

一生懸命、懇願したけど、その子は早足で接近してきてわたしの胸倉を片手で掴んだ。
直後、子供とは思えないほどすごい力でわたしは投げ飛ばされた。

  ―――― がしゃあああん!! ――――
 「あうっ」

わたしの体は宙を舞い、DVDが陳列する棚に叩きつけられ、そのまま二つ三つと棚を巻き込みながら壁に叩きつけられる形で停止した。

  ――――…ガラガラ…――――
282ミスト:2012/06/24(日) 01:52:57.08 ID:GMqvFGuo
 「う、ぅ…」

DVDの山の中からわたしは四つん這いで立ち上がろうとした。

 「ぁっ………あっ。」

だけどそれより先にまた胸倉を掴まれ、今度はまだ立ったままの棚の方にわたしを放り投げる。

  ―――― がしゃあああん!! ――――
 「ぅうっ」
  ――――…ガラガラガラ…――――

またDVDの山に埋もれてしまう。
ダメージはほとんどなかったけど、あまりの事に、精神的に起き上がる気力がなくなってしまった。
でも、キャップを被った子供はDVDの山の中から腕を掴み、わたしを無理矢理引きずり出した。

 「ああっ」

よろよろと引っ張られ、棚が無くなって出来たスペースにわたしを叩きつけるようにうつ伏せに寝かせた。

 「うつ伏せだとできないんですが仰向けにしていいですね?」

子供はそう言うと、足でわたしの体を無理矢理仰向けにする。
わたしの制服はボロボロになり、ほとんどTシャツ姿になっていた。
その上に子供が馬乗りに乗ってくる。

 「始めていいんですよね?」
 「…っ」

この時、わたしは初めて分かった。この子供に感じていた違和感の正体が。

この子は喋っているのに顔が無表情で口も動いていない。目も動いていない。

顔に見える部分は擬態だったのだ。
本当の口は首の所にあった。

つまり人間の顔に見える部分は上顎で、鎖骨までの辺りが下顎なのだ。
そして目は…キャップに描かれていると思われた大きな目玉が本物の目。
現に、今わたしを見下ろしているキャップの目玉は最初に比べて明らかに血走っていて、目玉がこちらを向いていた。

わたしはその異様な姿に恐ろしくなり、抗う事さえ忘れていた。

その子はそんなわたしに構わず、次の行動に移る。
283ミスト:2012/06/24(日) 01:53:47.61 ID:GMqvFGuo
子供の顔が上を向く ――― つまり、首にある大きな口が開いた。
するとその口の奥から、舌べろとは別なピンク色の細い触手が一本、ゆっくりと姿を現した。

 「なにするの?おねがいっ、やめてっ」

わたしは叫んだけどまるで全然聞こえていないように触手がわたしのおなかに向かって伸びる。
ある程度まで近づくと、馬乗りになったその子はTシャツとスカートをかき分けるようにめくり上げる。

 「おねがいだから、乱暴しないでっ」

一本の細い触手は、露わになったわたしのおへそを目指してゆっくり伸びていく。
もう何をしたいのかわかる。わたしは両手で触手を掴み、その進行を拒んだ。

 「う、うぅ〜〜〜〜〜っ」

だけど無駄だった。

 ――――だんっ!――――
 「あぅっ。」

彼は両手でわたしの両腕を掴み、床に叩きつけるように抑え込んだ。
触手の先端は再びわたしのおへそに向かって伸びだした。

 ――――… するっ …――――

触手の先っぽがおへそにすべり込むように進入する。
もう………成す術は無かった。

 ―――― …ぐぐりぐりりッ――――
 「ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!」

想像を遥に超える激痛に、わたしは絶叫して泣き喚いた。
彼の触手は、わたしのおへその奥を目指して前進する。

 「 ひ い゛い゛ぃ゛!! ………ぅっ、うげえっ!」

おへそをえぐられるという激しい痛みと、おなかの違和感から来る吐き気が同時にわたしを襲う。
それなのに、彼の触手はそれに飽き足らず、次の行動に出た。

 ――――……にる……ずすぅ……――――
 「っ!!!!!!」
284ミスト:2012/06/24(日) 01:56:44.05 ID:GMqvFGuo

おへその奥で、触手の先っぽが細くなっていき、硬質化するのが分かった。
それは針をおへそに刺される事と同様の状態。

 ――――…ずっ……ずすっ…――――
 「っ!!、っ!!、っ!!!!」

触手の針は更におなかの奥を突き進む。
更なる強烈な痛み。そしておなかの中をやられたショックでもたらされた尿意がわたしを襲った。

 ―――― じょばっ! ――――

わたしの股の間から、勢いを伴っておしっこが放射される。
おしっこはショーツと太ももを濡らし、みるみる内に床に水たまりを作った。

 「…た……す………ヶ……っ」

激痛とおなかの中を痛めた事で、わたしは意識を手放すところだった。

 「こらっ!」

女の人の声がした。
その瞬間、触手が引っ込み、やっとわたしのおへそを解放してくれた。
刺さっていた触手が抜かれ、おへそからは血が溢れ出し、わたしのおなかを赤く染めた。

涙で霞んでよく見えないけど、金髪と紫色のブラウスに黒いスカート。茶色で死角い頭で、白い全身タイツ。
他の二人もここを見つけ出したのだ。

お姉さんは怒っていた。
きっとあまりに酷い事をしたからキャップの子供を叱ったんだ。
そう思ったのに。

 「ダメでしょ、私達のぶんまで取るところだったじゃない!」

わたしの見当違いだった。
そしてそれは、このあと更なる苦痛が待っている事を示していた。

 「ひっ、ひっく……おねがいします……もう、おなか、やめてください……おねがい……もう、これ以上、いじめないで………」

わたしは横たわって泣きながら訴える事しかできなかった。
ここまでで十分わたしのおなかはボロボロ。これ以上やられたら本当に死んじゃう。
必死の訴えだった。

 「ぅ、う……っ」

そんなわたしを見たお姉さんは。

 「………ヵ」
285ミスト:2012/06/24(日) 01:57:27.40 ID:GMqvFGuo
悶える様に身を捩って叫んだ。

 「かわいい〜〜〜〜〜〜っ!!」

心なしか、ダンボールの頭の人も、頬に当たる部分が上気しているように見えた。
救いの手なんてここには無い。わたしは絶望するしかなかった。

 「もうちょっと。私と兄さんのぶんが終わったらすぐだから、もうちょっと我慢してね〜〜?」
 「ぅっ、ぅっ……」

そう言いながら泣き続けるわたしを、後ろから両脇を抱えて抱き上げ、強制的に立たせた。
するとお姉さんはそのままわたしを羽交い絞めにすると、ダンボールの頭の人にわたしの血まみれのおなかを向けた。

 「兄さん、私のぶんもあるんだからやりすぎないでね?」
 「ハァ、ハァ……ゴクッ。わかってる。」
 「……本当に大丈夫なのかしら。」

いつも思う。
おなかを殴られるって、痛すぎる。
でも痛すぎて気絶する時はまだ良い方。
気絶できないほど痛い時はとても言葉で言い表せないほど辛い。

 「おおぉ……」

わたしはお兄さんが最初にする一発で気絶できればいいのに、って思っていた。

 「ふんッ!!」
 ――――ぱすッ!!!――――
 「ふうゥッ!!!!」

おへそを狙ったお兄さんの拳は、血飛沫を飛ばしながらわたしのおなかに深く埋め込まれた。
一瞬、目が見えなくなるほどの痛み………

 「ぁ゚………ぃゃぁ………」

おへそを刺された上におなかの中までダメージを受けたわたしには痛すぎる痛みで、とても気絶なんてできなかった。
わたしのささやかな願いさえ叶わない。
やっぱり、現実は甘くなかった。

 ――――ぐぐっ…――――
 「ぁ、ぅ、ぁ……」

しかもお兄さんは拳をおなかから抜かずそのまま押し込み続け、まるで打ち込んだ余韻に浸っているようだった。

 「瑞々しく儚い弾力 ――― 外観を裏切らない、いや、それ以上の柔らかさと弱さ。これはすごい ――― 」
 「ぁ……ぐっ……!! ブぶばッ!!」

わたしはお兄さんの拳に耐え切れず、透明な体液を大量に吐き出してしまった。
そこでお兄さんはやっと拳を抜いてくれた。
286ミスト:2012/06/24(日) 01:58:14.10 ID:GMqvFGuo

 「けぽっ、はあ、ぅ……」

体中の力が抜けてしまい、ぐったりするわたし。
後ろでわたしを羽交い絞めにしているお姉さんは、羽交い絞めの状態のまま脇下からわたしの顔に手を伸ばし
片手でわたしの顔を自分の方に向けさせる。

 「 ん、………んっ ――― 」

お姉さんはわたしの涙を舐めてから、涎まみれのわたしに口づけをした。
そして、満足げに言う。

 「んっ。……んふふ、あなたは体液までおいしいのね。」

何を言われているのか、どうしてこんな目に遭ってるのか。
もう、何も考えられなくなっていた。
この後に何をされるのか、いつまで痛めつけられるのか。
それさえもわからないまま、ただただおなかの痛みに苛まれるだけ。

 「兄さん、早く早く。」
 「うむ、時間がないな。急ごう。」
 ――――ずむっ!――――

お兄さんは唐突に、わたしのおへそに人差し指を刺し込んだ。

 「 はあぁ゛!! 」

わたしのおへそはさっき大きな痛手を受けたばっかり。
触れられるだけでも痛い状態なのに、更に傷口を広げられる事になった。

 ――――ぐりッ…くりッ…ぐぐっ…――――
 「 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!! 」

お兄さんの指がわたしのおへその奥で小刻みに動く。
あまりの痛みに悲鳴が声にならなかった。
わたしは激しく首を振り、口をぱくぱくさせて涎をまき散らす。

 「うふふ、かわいいわあ。」

お姉さんが何か言った。でも、わたしの意識はおなかの痛みに支配されて言葉の意味まで頭に入ってこなかった。

 ――――……すっ……――――
 ――――ぴゅうッ……ぴちゃぴちゃ……――――

どれだけ時間が経ったのか。やっとお兄さんは指を引き抜いてくれる。
おへそから再度血が噴き出て、わたしのスカートとショーツを赤く染めた。

 「兄さん、そろそろ。」
 「うむ。」
287ミスト:2012/06/24(日) 01:58:53.01 ID:GMqvFGuo

今度はお兄さんがわたしを羽交い絞めにし、お姉さんがわたしの前に立った。

 「最後のラッシュよ、もう少し頑張ってねー。」

意識が朦朧としているわたしにそう言い、お姉さんは構える。
構えが安定した直後、ものすごい勢いでお姉さんの拳がわたしのおなかを襲った。

 ―――― ぱすッ!ぱむッ!ぱくんッ!ばすッ!ぼむッ!ぱみゅッ! ――――
 「う゚っ!!」「あ゚ッ!!」「ぐっ!!」「はあッ!!」「ぅぐッ!!」「ぶばッ!!」

お姉さんの拳に踊らされるかのように、おへそのところを打ち込まれる度にわたしの体はビクビクと痙攣した。
涙を流し、涎を吐き出し、おへそからは血を垂れ流し。

 ――――…ぷしゃああぁぁ…――――

おしっこまで漏らしてしまっていた。

お姉さんは拳の連打を止め、身を沈めて蹴りを繰り出す態勢に変わった。

 「ハァッ!!」

そして気合一閃、おへそ目掛けて最後に大きな一撃を打ち込んだ。

 ―――― ぱぐンッ!!! ――――

蹴りの勢いが乗ったピンヒールの先端は、わたしのおへそを貫くように食い込んだ。
“グチッ”
爆発するような痛みと共に、おなかの奥でそんな音がした。
それと同時に、おなかから熱い物が込み上げてくる感覚を覚えた。

 「 ――― げぱあッ!!! 」

そして……わたしの視界は赤く染まった ―――




     ――――――――――――――――
288ミスト:2012/06/24(日) 01:59:45.12 ID:GMqvFGuo

それはすごく懐かしい感覚。
優しくて、包容感があって、すごく安心する。

 「ぅ……ん……」

誰かがおなかをさすってくれてる。

 「お母さん……」

思わず呟く。
でも、そうじゃなかった。

 「あら、目が覚めたみたいね。」

さっきまでわたしのおなかを激しく責め立てた、金髪碧眼のお姉さんだった。
はっとして、わたしは自分のおなかを見たり口元を触ったりした。

 「血……」

血が流れ出ていたはずのおへそは、今は何ともなっていない。
最後にたくさんの血を吐いたはずなのにそんな痕跡はなく、
それどころか制服もスカートも、何もかもが元に戻っていた。

 「本当にごめんねえ。痛かったでしょう?
  でも、ちゃんと治療したから、もう大丈夫よ〜。」

お姉さんは本当に申し訳なさそうに笑みを向けて、わたしにそう言った。

 「だが、今日は過去に類を見ない最高のお腹を堪能できた。これで当分は安心だ。」

あの、直方体の小さなダンボールを被ったような頭のお兄さん。
わたしには何の事かわからないけど、もう危害を与えてくる感じはしなかった。

 「ふん……」 

首に口がある、目玉のキャップを被った男の子。
なんだか拗ねてるみたいだけど、それが妙にかわいく見えた。

不思議だけど、今の三人からは最初に受けたような威圧的で攻撃的な感じはまったく無くなっていた。
ただ、不思議な感じがするだけだった。

 「さて……」

お兄さんはわたしの前に来て、こう言った。

 「タイムアップが近い。君を元の場所に戻さなければならない。だが……」
 「…?」
 「私達と契約を結ばないか?」
 「契約…?」
289ミスト:2012/06/24(日) 02:00:25.88 ID:GMqvFGuo

意外っていうか突拍子も無い申し出で、わたしは返事に困った。

 「そうだ。君にはその資格もあるし、そうするだけの物も私達に与えてくれた。」

お兄さんはそう言ったけど、わたしは聞いておかなきゃいけないと思った。

 「……あの。」
 「何かね?」
 「あなた達が、どういう人達なのかわたしにはわからないんです。」

わたしは三人の正体を知らない。ただ、人間じゃないっていう事だけは感じ取れる。
そうしたら、お兄さんはこういう風に答えた。

 「妖精……天使……精霊……悪魔……神……
  程度はどうあれ、おそらく君たちが非科学的な物として規定する物だ。」
 「………」
 「だから君達の世界では発揮できない力で、君が望む事を、
  私達が出来得る限りの力を以てそれを叶えたいと思っている。その為の契約をしようという訳だ。」

つまり、わたしが今日辛い目に遭った見返りとして、何か願い事を叶えてくれるっていう事だと思う。
わたしは、お兄さんの言っている事に悪意がないように感じた。
わたしは契約を結ぼうと思った。

 「それなら ――― 」

わたしは、わたしの願いをお兄さんに伝えた。

 「ふむ………それはまた、難しいな。」
 「そうなんだ………すみません。」
 「いや、私達にそれだけの力は無いだけの話だ。何せ、造物主ではないのでね。」
 「じゃあ………」

今度はなるべく可能な範囲だと思える事を伝えてみた。

 「 ――― なるほど。そういった事なら力を貸せるかもしれない。しかも我々にとっても有益ともとれる。」
 「よろしくお願いします。」
 「よし契約成立だ。……では時間も少ない、君のいるべき場所に君を戻そう。」
 「はい、お願いします ――― 」

送り帰される直前の光景。
子供は拗ねてしゃがんだままだったけど、キャップの目玉はどこか寂しそうにこっちを見てた。
お姉さんはただ微笑んで見送り、お兄さんはふたつの穴からわたしを見つめていた ―――



こうしてわたしの不思議な体験は幕を閉じた。

でもわたしは送り帰された時にはこの出来事を忘れてしまっていた。。
わたしが受けたおなかの痛みも、お兄さん達と交わした契約も、わたしがした願い事も。
わたしがこの事を思い出すのはもっと後の事だった。


290ミスト:2012/06/24(日) 02:05:37.12 ID:GMqvFGuo

以上です。

お目汚し、失礼いたしました。
291名無しさん@ピンキー:2012/06/24(日) 02:09:27.39 ID:zm0Z/PWH
まさかミストさんの投稿を生で見れるとは思いませんでしたwww
これからの展開に期待します!
292名無しさん@ピンキー:2012/06/24(日) 16:42:31.65 ID:nvBeLewn
              /                  ヽ
           /   な  い  ミ  も     |
           l    い  い ス  う    |',           /
           |   か ん  ト       l  ',        /
           |   な  じ  一 全   /   〉く }三{`>く
          ヽ、    ゃ 人  部   / ∠_/ ̄∨__〉、
      、     \ ,       で     /   !:::ハ ゚ /::::l|     ,..-―
      \     / `丶、____x く    ト、:_:_}  {_:_:_ノ|    / ; : : :
       ,.ィT: ̄:7ハ、                 V「::r┬宀┬ 、:}V_/:./: : : :
      人,-、:.・:; -vヘ              ∨仁ー--'二l }イ{}=彡く_:_:_:_:_:_
     〔:.:{::}ー{::}:.:}             _, <l入ヽ二二 // /勿¬┬┬-..、
    __Y/:|三三ト、:/           , -<}>_'´_::ヽ\_二_/ノ::_ニ::. ┴┴-<
_rく´ |:.:| lヾ:|三三|:/「`ーrー、    /,..:'r―-、ヽ、`ヽミー--‐ニ-'´ /r──‐┐::
∧ ヽ `  \ヽ二ラ /:.:.:./ | }   //::..{      ̄    ヽ:/´    '′      |::..
:.:.ヽ |     ` ┬彳:.:.:.:/ | ∧  //::..::..\       ‖          /::..:
:.:.:.:〉|      l 〈:.::.:/ 〃:.:∧//::..::..:「`ー      ‖       _/::..::..
:./| lノ〉_r、   !  ̄  ∧:.:.:.:.7/::..::..::..ヽ、      ‖       ` ̄フ::..::.
  ', ヽ、ー′ |    / ヽ:. //::..::..::..::./ヽ¬     ヾ      -r―'´::..::..::.
293名無しさん@ピンキー:2012/06/24(日) 19:32:10.24 ID:B99R7Kyq
そもそもミスト以外に殆ど書く奴いないし
294名無しさん@ピンキー:2012/06/24(日) 20:53:25.59 ID:0rLOWvkQ
一時期荒れて人減ったからな
295名無しさん@ピンキー:2012/06/24(日) 21:49:34.46 ID:cg8znpjg
ミストさんやばいwwww

早くはすみと刹那の腹責めされて嘔吐シーンが見たいですwww

296名無しさん@ピンキー:2012/06/24(日) 23:35:48.99 ID:WrcM6hQf
ミストさんお疲れさまです
文章が読みやすくてすんなり読めました
ミストさんは今注目してるSS書きさんっていますか?
297ミスト:2012/06/25(月) 01:23:40.95 ID:ePApsL4J
皆さん、今回も読んでくださってありがとうございます。
リアルタイムでみてくださった方もいたようで…今更ながら恥ずかしい気持ちになりました。

>>296さんの質問に関してですが、
現スレの最初の方でも投稿してらっしゃる“前スレ546”さんや、
腹パンチ合作本の“ナンバー55”さん、
腹責めSS板では最初の方から投稿してらっしゃる、“ランサー”さんなど、
自分が恥ずかしくなるくらい、文章力・表現力がすごくて思わず注目してしまいます。

あと、腹パンSS専門の方ではなくキャットファイト系SSの方だと思うのですが
“三河饅頭”さんは学生だった頃から影響を受けているので未だに意識しています。
腹責めを書く時の「おなかをむちゃくちゃにしてる感」がすごくお気に入りなので……。

三河饅頭さんの作品はこちらの「投稿作品」のカテゴリーで見られるので、よろしければ。
ttp://mfm.fc2web.com/iroiro.htm


あと、失礼ながら>>296さんに質問させて頂きたいのですが、
「はすみと刹那がセットで腹責めされて嘔吐する」というシーンをご所望でしょうか?
もしそうであれば、導入できるように考えたいと思っています。



相変わらず長いレスを失礼致しました。
他SS書きさんが帰ってくれば私はあっと言う間に埋もれてしまいますが、
それまでの場繋ぎとして皆さんを少しでも楽しませられればと思っています。
よろしくお願い致します。m(_ _)m
298ミスト:2012/06/25(月) 01:28:43.96 ID:ePApsL4J
カテゴリーじゃなくてコンテンツだった;
大変失礼いたしました。
299名無しさん@ピンキー:2012/06/25(月) 17:41:52.42 ID:Ht0XP1kS
全レスや長文レスはまだいいとしても他人のサイトを晒すのは流石にどうかと思う
300ミスト:2012/06/25(月) 18:22:55.26 ID:ePApsL4J
すみません、基本的な所でミスをしてしまいました。
>>299さんの仰る通りだと思います。
皆さん、すみません。

今、サイトの管理人さんと話をする為に、メールを送らせて頂きました。
この件に関して何か問題が起きましたら、なんとか自分が責任を取りたいと思っています。

すみませんでした。
301名無しさん@ピンキー:2012/06/25(月) 19:18:46.63 ID:Ht0XP1kS
責任って・・・どうやって取るつもりなの?
サイトは2年前から更新止まってるから何の問題ないだろうけど管理人じゃない人が責任なんか取りようないだろ
基本的云々っていうより軽率過ぎ
302名無しさん@ピンキー:2012/06/25(月) 19:43:06.36 ID:vEPgNAyS
お前ら…よりにもよってミストさんに嫉妬して叩きとか流石に辞めろよ。
ミストさんが傷ついて作品書かなくなったら、それこそどう責任取ってくれるんだ?
303ミスト:2012/06/25(月) 19:49:19.51 ID:ePApsL4J
返す言葉もありません。
ただ、問題が起きた際に傍観する事だけはしないようにしたいと思っています
申し訳ありません
304ミスト:2012/06/25(月) 19:51:42.72 ID:ePApsL4J
傷つくかどうかは別問題として、
私がここに居て荒れ続けるようであれば自粛したいと考えます
305名無しさん@ピンキー:2012/06/25(月) 22:22:33.79 ID:X/u79niI
>>297
気にせずにこれからもSS期待してます
546氏や55氏は自分も大好きです
腹攻めのみならずストーリーもしっかりしている所は共感できます
306名無しさん@ピンキー:2012/06/25(月) 22:27:20.40 ID:26TzRWwN
>>304

荒れてもいいじゃん、気にスンナwww

>>296だけど、嘔吐はセットでもセットじゃなくてもいいぜ。
腹責めで耐え切れず嘔吐するシーンなら何でもいいぜ!
307名無しさん@ピンキー:2012/06/25(月) 23:06:50.72 ID:sLeTvsfO
この流れ久しぶりだなーwww
これでどれだけの逸材を失ってきたことか…ミス指摘はもちろんするべきだがそれを責めまくって空気悪くしてSS投下しづらくするその神経がわからん
折角活性化してきたんだから紳士同士仲良くいこうよ
308名無しさん@ピンキー:2012/06/26(火) 11:09:52.26 ID:0NIWVKUj
荒れた流れに便乗して個人批判しておいて、紳士とはよく言ったもんだよ
309名無しさん@ピンキー:2012/06/26(火) 12:32:19.41 ID:ZGVGiBaM
このスレにおける紳士的ってのは、一般社会における粗野粗暴、暴力的って事だしな。
310名無しさん@ピンキー:2012/06/26(火) 14:59:09.31 ID:4cVGx83f
お前らもうネタか感想だけ書き込むようにしろ。
そうしないとまた終わる。
311名無しさん@ピンキー:2012/06/26(火) 22:41:59.08 ID:Lqq4zDCA
職人は多少荒れたからといって心折れる人は少ないと思う
面白いSSや小説は書き手の人生経験の過多に寄る所が多いよ
特に一線で活躍してる職人は多分皆そう
恭子の人やことパンッの人もみんな就職してるし
もうツイッター見れないけど55氏は中流以上の生活をしていることは明らかだし
よくわからない嫉妬厨なんて視界にも入ってないと思う
312名無しさん@ピンキー:2012/06/27(水) 19:30:15.13 ID:Pqu3s7L4
ミストさんには居てほしいけど、確かに他人のサイトをこんな所で晒す迂闊さは注意されて当然だと思う
何故なら更新止まっているかは問題じゃない。多分、更新止まってないとこでも同じように晒すから。
何しろ何が悪いのか分かってないんだもん
こういう場所でそういうサイト晒したら攻撃始める輩は一杯いる訳で
そういう時に晒された方が荒らされでもしたら、相手さん関係ないのにいきなり変な事になって可哀想じゃん?
だからミストさん今度から気をつけてねぐらいは有りだろ
それを無視して気にするなっていうのは、信者の太鼓持ち書き込みの無責任な擁護だよ
それが勘にさわってミストさんを叩く奴もいるだろう
313名無しさん@ピンキー:2012/06/27(水) 20:46:01.84 ID:aA04QfeS
作品が叩かれてるなら擁護出来たけどミストさんが非常識な事やって荒れたからフォローできんわ
314名無しさん@ピンキー:2012/06/27(水) 21:34:40.69 ID:r3IGudte
ミスを注意するのはいいが、それに便乗して過剰に叩いてるバカがいるから言ってんだよバカども
315名無しさん@ピンキー:2012/06/27(水) 21:54:50.59 ID:ziVb3nd5
でもそれって根本的な解決にはなりませんよね?
316名無しさん@ピンキー:2012/06/27(水) 23:15:32.12 ID:FrMUpyPZ
またグダグダ


結局このスレは、中流以上の生活をしている55氏が頂点で、就職してる馬鹿発見器二人組が並、
それ以外はゴミクズだ
317ミスト:2012/06/28(木) 00:59:58.86 ID:HJgNkSuR
お話中にすみません。
>>299さん、>>301さん、>>313さん がご指摘の通り、
私が非常識で軽率な行動が引き金になり、ひとつのサイトの存在を危うくし、
このスレッドの雰囲気を悪くしてしまいました。

本当に申し訳無く思っております。

今後は細心の注意を払い、類似するような行動をとらないよう気を付けたいと思っています。
もちろん、ミスの指摘などは作品の感想を頂けるくらいありがたい事だと考えていますので、
できるだけそういった状況は避けるようにしたいと思いますが、間違った事をしたら遠慮なく指摘してくださると助かります。


皆さん、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。


許されるのであれば、今後も引き続きこのスレッドで腹責めSSを書けるチャンスを頂きたく思います。
失礼いたしました。
318名無しさん@ピンキー:2012/06/28(木) 09:34:54.39 ID:WlrrABhe
気にすんな。
このスレでは、中流以上の生活をしている55氏と親交さえあればデカイ顔ができる。
nnSを見習ってプライドを捨てればおk
319名無しさん@ピンキー:2012/06/28(木) 10:10:16.54 ID:mxu8B5eR
どんだけ金持ちコンプだよ
nnsは元から人気あったしあのコラボの経緯見りゃ擦り寄りじゃないのは分かるだろ…

ミストには酉付けといて欲しいな、名前騙った便乗荒らしとか出そうだし
320ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/28(木) 18:19:19.46 ID:HJgNkSuR
ナンバー55さんは私が名前と作品を知っているだけで交流がなく、一方通行の状態です。
nnSさんは私がこの板で初めて投稿した時に支援イラストを書いてもらったり、
nnSさんのキャラクターをSSに使わせてもらったりしてますが、
寂しい事に交流らしい交流があるとは言えません。
(その恩返しをするどころか、私のせいで腹責めSSスレを荒らした状態になってしまっているのが悲しいですが…)

ですので、皆さんとここで共存していくには自分の力で皆さんに認めて頂く事しかないと思います。
小さな存在で十分です。ここで皆さんと一緒に楽しくしたいというのが本音です。


>>319さん、お心遣いありがとうございます。
調べて使ってみたので、これで大丈夫だと思います。
321名無しさん@ピンキー:2012/06/28(木) 19:19:33.71 ID:WlrrABhe
実力自体は認められてんじゃないの
あんたの問題は、そうやって一々作品と関係無いところで長々グダグダとくっちゃべる所。
そういうのは2ちゃんの空気じゃないの。チラシの裏にでも書いてろって奴。延々仲良しお喋りがしたいなら、サイト作って自分とこでやりなさい。
322名無しさん@ピンキー:2012/06/28(木) 19:36:55.41 ID:oLpSVhws
こうしてまた、此処に投下してくれる職人さんが減っていくのであった・・・
323ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/28(木) 19:38:42.07 ID:HJgNkSuR
わかりました、すみませんでした。
324名無しさん@ピンキー:2012/06/28(木) 20:07:24.67 ID:tNikFfuP
まあ、投下する機械になるのが一番だとはよく言われるね
325名無しさん@ピンキー:2012/06/28(木) 21:27:04.89 ID:GQeidaI3
ミストさん下手に出過ぎてね?
誰だってミスはあんだよ。謝ってんのにウダウダ言うなってくらい言ってやれよ
326名無しさん@ピンキー:2012/06/28(木) 22:26:47.99 ID:OE7SY9NF
確かに、ここは「便所の落書き」2ちゃんねるだからな
弱みを見せたら面白がって叩いてくる、何も生み出さないくせに常に上から目線
で当然の結果として住人が減ってくると、次の餌を探して別のスレに移動
そんなカスどもとマトモに取り合う必要はないよ

リンクの件はミスト氏が謝った時点で終了
それ以降も叩いてくる奴は荒らし目的の愉快犯正に便所の落書き
取り合う必要無し
327名無しさん@ピンキー:2012/06/29(金) 00:10:05.50 ID:6MagXBht
こっちは読んでやってんだ!
ありがたく思え!
何が叩くなだよ、有名税だろ!
嫌なら書くなよ!
腹パ参加者ふざけんなよ!
金稼ぎやがって!
タダで配れよ!








おいババァ!メシまだかよ!
328名無しさん@ピンキー:2012/06/29(金) 08:21:19.64 ID:zzmnaFro
ミストさんは何も悪くないよ!
飽くまで作品を投下するための板で延々自分語りして全レスしたりするのは忌避されて当然だけど、人気者のミストさんなら何でも許されるよ!
嫌う人間なんて居るはずないよ!
もしも居たとしたら、そいつは確実に荒らしだから気に止めなくて良いよ!!!!!
329名無しさん@ピンキー:2012/06/29(金) 11:50:02.31 ID:FAKQnqZf
はい、とても分かりやすい荒しのレスでした
330名無しさん@ピンキー:2012/06/29(金) 15:15:36.56 ID:IeEwfuI4
正直書き手って、ギルガメッシュみたいな超絶憮然が一番良いと思うんだ。
331名無しさん@ピンキー:2012/06/29(金) 18:29:30.38 ID:zzmnaFro
慢心してボコボコにされて消えるのか
332名無しさん@ピンキー:2012/06/29(金) 19:09:54.26 ID:YSjYqYdN
いい書き手が育つには、見る側にある程度レベルとモラルが求められる。
自分の不幸を撒き散らしたいここにいる奴には人間の資格すら危うい。

重要なのは書き手は場所を選べるってこと。
いいものを気持ちよく書きたいなら、場所を選ぶか作ったほうがいいよ!!

333ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:34:55.16 ID:JzVarY3G
投稿させて頂きます。
よろしくお願いします。
334ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:35:37.80 ID:JzVarY3G

 「おはよー。せっちゃん、もえたん。」
 「おはよう、はすみ。」
 「はすみ、ぼんじょーるのー。」

いつも通りの朝、いつも通りの挨拶。
いつも通りもえたんが会話の口火を切って、いつも通り楽しく話をしながら登校する。
今日もいつも通りのわたしの日常が始まる。

そんな日々の中、最近、少し気がかりに思う事がある。
それはせっちゃんの事。

せっちゃんは女の子のわたしから見ても綺麗で可愛いと思うし、その上、凛としててかっこいい。
他の子はとっつきにくいっていうけど、いつも余裕を持ってて、わたしにはすごく優しく接してくれる。
容姿端麗で文武両道。堂々として悠然。
わたしが憧れる完璧な女の子像があった。

でもやっぱりあの夜からせっちゃんは少しずつ変わっていってると思う。

特に空手では、硬直するって言っていいくらい体に力が入りすぎてうまく動けてないように見える時が多く、
組手では今まで負けた事が無い子にも負けてしまっている。
いつも自信に満ちていた表情は、いつからか不安に駆られたような強張った表情を見せる時も。

それにせっちゃんは気付いていないのかもしれないけど
最近は普通にしてる時でも、たまに表情に影を落とす時がある。
今もそう。

 「…せっちゃん?」

わたしは心配のあまり、せっちゃんの顔を見上げて呼んでしまった。
だって今、せっちゃんは険しい表情で何処か遠くを見るような目をしていたから……。

 「ん、何?はすみ。」

せっちゃんがわたしの方に顔を向けた時は、もう、いつものせっちゃんの顔だった。
微笑を湛えて、優しい目でわたしを見ている。
なんだか、わたしにはそれがすごく辛く感じられた。

 「ううん、なんでもない。」

わたしは精一杯の笑顔で返した。
335ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:36:16.85 ID:JzVarY3G

            『 五里霧中に抗い 』




昼休み。
はすみと巴は弁当を開けず待っていた。
 「ん〜〜〜、来ないねえ。」
 「うん………」
しかし、既に来るはずの時間はとっくに過ぎていた。
刹那は今日も来なかった。
 「仕方が無い、食べよ。」
そう言って、巴は弁当箱を開ける。
はすみもそれに頷いて弁当箱を開け、二人は昼食をとり始めた。
 「ねえ、もえたん。……せっちゃん、大丈夫かなあ。」
いったん食事の手を止め、俯き加減ではすみが言う。
その問い掛けに巴も食事の手を止め、ひとつ溜息をついてから答えた。
 「あたしらが心配してもどうにもならないよ。それに、刹那はそんなに弱くない。」
 「うん……そうだよね。」
相槌は打つもののはすみの表情は曇ったまま。
そんな彼女を見て、巴はハンバーグの欠片を刺したままの箸先をはすみに向け、言った。
 「どうすれば良いか何も浮かばないんでしょ?
  それに前に言った通り、下手な行動を起こしたら逆に刹那を傷つける。心配するだけ損ってもんよ?」
 「………」
はすみは完全に下を向き、沈黙してしまう。
 「……まあ、心配なのはわかるけどね?あたしも心配してないという訳じゃないし。
  でも、歯痒いけど今はそっとしておいてやるのがベストだよ。」
巴はそれだけ言うと再び食事に手をつけ始めた。
 「………うん。」
それでもやはりはすみは気が晴れないらしく、悲しそうに俯き続けていた。
 「……ほらっ! あたしらまで暗くなると刹那に伝播しちゃうって!
  ほら、食べな食べなー。いっぱい食べて元気をだすんだっ。」
 「あ、う、うんっ。ぁう、ちゃんと自分で食べるー。」
見るに見兼ねてか、巴は笑いながらハンバーグをはすみの口に押し込む真似をし、無理にはしゃいだ。


放課後、清掃時間終了後。

 「オッケー。待たせて悪いねー。」
 「ううん、だいじょうぶ。」
今日は巴が清掃当番だった為、はすみはそれが終わるまで待っていたのだ。
 「おっし。部活いこー。」
 「うん。」
巴は、ぶん、とカバンを振り回すように右肩に背負い、はすみと歩を合わせて格技場を目指した。
336ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:37:01.32 ID:JzVarY3G
     ――――――――――――――――


 「 ――― えー、そうなの?」
 「ほんとほんと。サファイアとかも心配してたよ。
  だからもっとログインするのだはすみ。もとい、あゆみ。」
 「うーん、でも ――― 」
オンラインゲームの話に盛り上がりながら、二人は格技場の小ロビーに到着する。

二人がロビーに踏み入れるとほぼ同時。
空手着に着替え終わった三人の女子部員が、更衣室側の通路から出てきていた。
 「 …? 」
三人は何やらこそこそ話しながら足早に、二人の正面に位置する格技場の扉へと向かっていく。
 「風子、エリカ、ひろ。何かあったん?」
 「あ……巴。」
巴が三人に声をかけると、三人が恐る恐るといったように振り向く。
どこか、巴に対して余所余所しい感じだ。
 「別に、なんにもないよ。 い、行こ……」
三人のうち、エリカと呼ばれた子が巴に返答を返すと、三人はそそくさと格技場に入って行った。
 「ふーむ……?」
 「 ……… 」
巴が首を傾げ、はすみは更衣室へ続く通路の奥をただ見つめていた。

と、はすみは思い出したかのように素早く靴を脱ぎ、更衣室の方へ駆けていく。

 「ふむ。」
巴もその後を追う。

はすみが更衣室のドアを開けて中を見た。
巴も追い付き、はすみの後ろから更衣室の中を覗く。

 「 ――― せっちゃん。 」

ぐったりと壁に寄りかかって座り、無造作に足を床に放り出し、放心状態で佇む刹那の姿があった。

着替えの途中だったらしく、上半身は黒のTシャツ、下は胴着。
表情は前髪で見えないが ――― 口は半開きで涎を垂らし、頬には涙の痕が見られる。
透き通るような肌は血の気が引いてよりいっそう色を失い、今にも消えてしまいそうな印象を与える。
あられもない状態の刹那がそこに居た。
337ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:37:50.83 ID:JzVarY3G

 「せっちゃん……っ」

はすみが血相を変えて駆け寄る。
その彼女の目を引いたのは黒いTシャツ……その腹部に幾重にも重なったような円形の皺。

 「せっちゃん、おなか………おなか、殴られたの?」

刹那の前髪越しに、力なく開かれた目を見たが、そこには光が失われていた。
そして問い掛けに答える気配もなく、ただ茫然自失とした風に床を見つめ続けるだけだった。
しかし言われるまでも無い。小ロビーで会った三人がやったのだ。
 ―――― キィ… ――――
巴は二人を余所に、といった感じでロッカーを開けて着替えを始める。
 「ホント ――― どうしたのさ、あんたらしくもない。」
だが意識は刹那の方に向いていた。
 「もえたん……」
はすみが振り向くと、巴の横顔は少し寂しそうな苦笑いを浮かべていた。
 「ま、あくまで自力でっていうスタンスはあんたらしいとも言えるけど……
  あんたの事を気に掛けてる人間も居るっていうこと。忘れない方がいいかもよ。」
巴は手早く胴着に着替え、更衣室のドアの方に向かった。
そして最後に背中越しに言った。
 「ひとりの力なんて、結局ひとりぶんでしかないんだよ。」
ドアが閉じられ、はすみと刹那の二人だけになる。
一瞬の静寂。はすみは刹那に何を言うべきか思いつかずにいた。
 「せっちゃん……口、拭かなきゃ。」
はすみは白いハンカチをポケットから取り出し、刹那の口元に持っていくと。
 ――――ばしんッ!――――
白いハンカチが宙を舞う。
 「ぁっ……」
はすみは、叩かれた手を押さえて刹那を見た。
刹那の呼吸は僅かに荒くなっており、ゆっくりと肩が上下している。
それは静かに激昂する猛獣を思わせた。

 「………って。」
 「え…?」
 「早く行ってよ………!!」

必死に感情を押し殺すような震えた声で刹那が促す。
はすみは悲愴な面持ちで立ち上がり、自分のロッカーを開けて胴着に着替えた。
更衣室を出る前に刹那を見たが、刹那の姿は更衣室に入った時と同じ状態だった。

はすみが更衣室を出ると、壁に寄りかかる体勢で巴が待っていた。
そしてはすみに歩を合わせて歩き出すと、口を開く。
 「刹那、もうダメかも。」
 「 ……… 」
はすみは黙って巴の言葉を聞いていた。
 「今まで積み上げてきたプライドが壁になって、自分自身も閉じ込めてる。」
 「………せっちゃんは、どうしたら良いか分からなくなってるんだと思う。」
 「そうだよ。」
巴は決意を固めるような顔をして続けた。

 「前言撤回。あたしも何かしてやれる事でも考えなきゃだ。」
338ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:38:36.22 ID:JzVarY3G
     ――――――――――――――――


 「おっ?美原、今日は髪縛ってるんだな。それも似合うぞ、ははは。」
そう、更衣室から出てきた刹那は長い髪を一本結びにしていた。
 「あンの、あほんだら……」
顧問の河東が茶化すような口振りで笑いながら刹那に言ったが、それを見た巴は吐き出すようにぼやいた。

刹那が腰までの流れるような髪を縛らずストレートにしていたのは、
動きが制限される中でも勝てる自信と、そこからくる彼女の美学の表れでもあったのだ。
その刹那が髪を縛っている。
巴は……いや、はすみもまた、刹那がどれだけ窮地に立たされているか十分すぎるほど感じ取っていた。

そして部活の練習メニューも後半に差し掛かり、ここのところ頻繁に行っている組手稽古へと移行していった。
 「……美原、おまえ最近、調子悪そうだが大丈夫か?
  無理してやっても怪我するだけだぞ。棄権した方が良くないか?」
河東もさすがに刹那の異常には気付いている為、念には念を押す形で彼女に問い掛けた。
刹那は、というと。
 「………やります。」
言葉少なに意思表示する。どう見ても悪く見える顔色で。
合点がいかないといった感じの河東だが、結局いつも通り刹那の意見を尊重する形をとった。

相手は先日、はすみが組手の相手をした本間 智重。
比較的 長身な刹那より更に背が高く体格も良いが、問題は無いだろう。
……もちろん刹那が普通の状態であれば、の話だが。

審判を務める河東の、組手開始の合図がかかる。

この時、はすみは刹那の顔を確認する事が出来た。
刹那は過度と言って差し支えない程、険しい目つきで前を見据えている。
しかし更衣室で見た時と同様、その目には光が宿っているようには感じられなかった。
彼女は、刹那が見えない恐怖に対し自棄になっているような印象さえ覚えた。

刹那は動いていないが、本間は慎重に前進し、徐々に距離は詰まっている。

 「 せっちゃん動いてっ! 」

聞き慣れない大声に、ほぼ全員の視線がはすみに集中した。
本間が踏み込む。しかしそれでも刹那は足を止めたままだった。
339ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:39:21.39 ID:JzVarY3G

 ―――― ドッ!! ――――
 「ふくッ!」

本間の前蹴りが刹那の胴体に突き刺さる。
食いしばる刹那の口から小さな涎の玉が飛沫いた。
蹴られた衝撃でよろよろと後退する刹那に追撃をかける本間。
 ―――― ぱんっ!パシィ! ――――
胸元へ正拳突き、しかし刹那はこれを捌く。
続いて、左の下段蹴りから右上段。
 ―――― ぱしィ!バシッ! ――――
右足でブロック、左ガード。

ここでまたもはすみが気付く。
 (どうして……?)
刹那の構えが必要以上に高い。まるで中段を打ってこいと挑発しているかのように。
本間はそれに気づいたように近距離に持ち込み、ボディに攻撃を集め始めた。

 ―――― ドンッ!!ドッ!! ――――
 「うッ!!がぅッ!!」

振り下ろされる正拳突きをお腹で受け止めてしまう。
刹那の背中が、髪が揺れ、呻き声が漏れた。
尚も刹那は責められ続けた。

 ―――― ドッ!!ドムッ!!バクッ!! ――――
 「ヴッ!!ぎゥっ!!はぐッ!!」

振り下ろすように。突き上げるように。叩きつけるように。捻じり込むように。

 ―――― どォッ!!バムッ!!ドボっ!! ――――
 「うっ!! う゚ッ!! うゥっ!!」

本間の左と右の拳が刹那のしなやかな体躯に次々とめりこむ。

 ―――― ばぐんッ!!どぼっ!!ばみゅッ!! ――――
 「はあッ!! あぁっ!! う゛あ゚ …!!」

その度に揺れる、丸まった背中、一本結びにした長い髪。
ビクビクと痙攣する全身。
刹那の背中側からその光景を見ていたはすみは、思わず自分の口とおなかを手で押さえてしまっていた。
 「 待てッ!! 開始線へ! 」
河東の制止を促す声が掛かる。
本間は攻撃の手を止め、開始線へ向かう。
おそらく、刹那の戦意喪失で本間の技有りか、判定負けの結果だろう。
340ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:40:09.69 ID:JzVarY3G

 「美原……?」

しかし、刹那は開始線に戻る気配が無かった。
構えたまま、やや下方を凝視するように目を見開いている。

 「…!」

はすみは刹那の異常に気付く。過去に自分も同じ状態になった事があるからだ。
刹那の全身は小刻みに震えている。

 「 うっ………………!!!! 」

次の瞬間、刹那は両手でお腹を抱えて踵を返し、格技場の隅を目指して猛ダッシュした。

 「 う ……… ぶべええぇ゛ッ !!!! 」

だがそこへ到達するまで耐えられず、刹那は蹲って激しく嘔吐した。

 ――――…びちゃびちゃびちゃぼたたたた…――――

刹那は、自分のお腹の中の内容物を惜し気もなく床にぶちまけた。

 「せっちゃんっ」

後を追ってきていたはすみが刹那の背中をさする。

 「 はァっ……はァっ……はァっ…… 」

それを拒む力も無いのだろう。
刹那は瞳を閉じ、ふるふると唇を震えさせ、お腹を抱えて涙を流し続けた。
 「はすみ………次、あんたの番だよ。」
いつの間にか二人の近くに巴が来ていた。
 「ゆきかずに断っておいたから。刹那はまかせて、早く行きな。」
 「……うん、わかった。…お願いね。」
はすみは後ろ髪を引かれる思いがあったもののそれを断ち切り、開始線へ向かった。
341ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:41:03.64 ID:JzVarY3G
開始線には今日の組手相手の高木 風子が既に待ち構えていた。
風子………おそらく、さっき刹那を更衣室で痛めつけてた女子部員の一人だ。
肥満体型でかなり体重差があり、身長もはすみより高いものの、刹那や菊池 聡美と比べると身長差はそれほど大きくない。
おなかさえ気を付ければ大丈夫。はすみはそう思って自分を信じた。
 「構えッ!」
河東の号令がかかる。
はすみはいつもの通り、肩の力を抜き、十分にリラックスして構えを取る。
 (今度はわたしがせっちゃんを守ってあげなきゃ)
はすみは昂る気持ちを静めつつ、気を入れた。
 「始めッ!!」
開始の合図と同時に高木が前蹴りで飛び込んで来る。
 「しいっ。」
 ――――ぱんっ――――
 ――――どっ!――――
 「がッ……!!」
しかしはすみは綺麗にそれを捌き、高木の脇腹にボディフックを入れていた。
打たれた脇腹を片手で押さえ、よろよろと後退する高木。
 「この……!」
高木は構え直し、再びはすみを襲う。
接近戦の攻防に持ち込んだが、はすみは全ての攻撃を綺麗に捌き切り、逆に有効打を打ち込んでいく。
圧倒的にはすみがスピードと技術で勝っていた。

高木の攻撃の中には、おなかを狙う物も少なくはない。
しかしはすみにとっておなかを狙われるのは既に当たり前のこと。
腹部には一発も当てさせる事無く有利に戦っていた。

だが ―――

 「あっ。」

突然、何かに足を取られ、スリップする。
そこは先ほど刹那がボディへの連打を耐えていた場所で、汗などで濡れていたため滑りやすくなっていたのだ。

 「はッ!」

体勢を立て直す間に、高木がはすみのおなかに狙いを定めて踏み込んできていた。
342ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:42:36.11 ID:JzVarY3G

 ―――― ぱすっ! ――――
 「ああっ!!」

彼女の泣き所に拳が決まる。
はすみはインパクトの瞬間、咄嗟にポイントをずらしてダメージを軽減させたが、
彼女にとってはそれでも十分に厳しい一発となってしまった。
一気に体の力が失われ、体が傾く。

 「ぅぁぁ……っ」

呻きながら深く前のめりになった、その直後。

 ―――― すぱぁんっ! ――――
 「がっ……!!」

はすみの右足が高木の頭部を刈るように捕えていた。
彼女は最後まで諦めず、体が倒れ掛かるその力を利用し、力を振り絞って胴回し回転蹴りを放ったのだ。
高木は派手に倒れ、はすみは左足と右手で着地していた。
 「あうっ………」
激しいおなかの痛みに耐えながら、彼女はゆっくりだが、なんとか立ち上がった。
 「一本!!それまで!!」
河東が一本の判定を宣告。
高木は頭を押さえてふらふらしながら開始線に戻ろうとする。
はすみもおなかを押さえ、苦痛に顔を歪めながらも開始線に戻った。
 「お互いに、礼!」
両者ともに礼をする。
はすみはその後に握手をしようとしたが、高木が早々に戻ろうとする。
河東はそれに対し一喝した。
 「高木!!握手をしろ!!」
言われると一瞬ビクッとし、高木は向き直りしぶしぶと握手をした。

はすみは試合コートのラインを割った所で、おなかの痛みに我慢できず両ひざをついてしまう。

 「ふぅ、ふぅ……」

しかしこの時、はすみの中でひとつの決心が固まっていた ―――


     ――――――――――――――――
343ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:43:15.04 ID:JzVarY3G

部活終了後。

帰宅する喜びに賑わいながら、女子部員は格技場から散らばりながら一斉に出てきていた。
 「風子ー、負けてんじゃねーよ、楠瀬なんかに。」
 「だからぁ、おなか狙えば勝てるってばぁ〜。」
 「今日はたまたま捕まえられなかっただけよー。いたた……」
笑いながら高木にブーイングを飛ばす女子部員達。
その集団の先頭を行く菊池 聡美と本間 智重。

 「あ……」

話していた部員達が一瞬にして黙り、全員が足を止めていた。
もちろん菊池 聡美も。

 「………ぁ、あの。」

先頭を歩いていた菊池 聡美。
その前を塞ぐように、小柄な少女……楠瀬 はすみが立っていた。

 「……何かしら。」

菊池 聡美は冷然とした態度をはすみに向ける。
はすみは唾を飲み込んで、口を開く。

 「はっ」

彼女は緊張しながらも、思い切って言った。


 「話があるの。」

344ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/06/29(金) 23:44:04.92 ID:JzVarY3G
以上です。
ありがとうございました。
345名無しさん@ピンキー:2012/06/30(土) 02:43:08.82 ID:Ah3WWx0T
投下乙です。
刹那が三人に何をされていたのか…
そっちの描写も是非見てみたいですね。

何かスレに不穏な空気が漂っていますが、余り重く受け止めずに頑張って下さい。ほぼROM専の読者ですが応援してます。
346名無しさん@ピンキー:2012/06/30(土) 18:24:52.59 ID:00XnPJzs
刹那の嘔吐キターーーーーーーーー!!

ミストさん、最高です!
347名無しさん@ピンキー:2012/07/01(日) 20:23:21.17 ID:9HCDzs2D
俺も刹那さんが3人にどんな事されたのかその描写が知りたいです。
348名無しさん@ピンキー:2012/07/01(日) 21:42:59.17 ID:nc3rZLNb
ミストさん、外野は無視して気合入った腹責めSS披露してくださいな
これで昔の書き手さんも戻ってきてくれたらな
ランサーさんとか、彩並先生が腹パンでダウンするとこ読みたかったんよ
349名無しさん@ピンキー:2012/07/02(月) 01:03:53.73 ID:JXhirVg5
新参だけど投下していい?
350名無しさん@ピンキー:2012/07/02(月) 02:02:29.05 ID:tP7B3bvM
新参も古参も関係ないよ
投下は歓迎だ
351名無しさん@ピンキー:2012/07/02(月) 12:09:20.98 ID:4M0x4RNZ
じゃあちょっと投下
出先からだからID変わってると思うけど
352名無しさん@ピンキー:2012/07/02(月) 12:11:24.66 ID:4M0x4RNZ
目覚め


切っ掛けは、公園の隅に捨てられていたDVDだった。
黒無地のケースに入ったそれを、真は学ランの内ポケットに隠すようにしまい、角張った胸を抱えて家へと走った。
3532:2012/07/02(月) 12:14:06.17 ID:4M0x4RNZ
鍵を開ける。

「……ただいまー」

返事はない。
真自身もそれは分かっていたが、この『戦利品』を楽しむには万が一にも親がいるとまずい。
何かの気まぐれがない限り、ワーカホリック気味の両親は夜中まで帰ってこない。
3543:2012/07/02(月) 12:16:45.29 ID:4M0x4RNZ
酒、タバコ、アダルトビデオ。
同級生達がひた隠しにしなければならないようなものでも、真は少なくとも親の居ない間は自由に楽しむことができた。
とはいえ、普段は品行方正を装ってはいるのだが。

真はリビングのソファへ座り込み、マルボロのライトメンソールを咥えた。着火し、軽く吸い込む。

「……ふぅー」
3554:2012/07/02(月) 12:18:48.37 ID:4M0x4RNZ
煙が肺に染み込み、広がる自由の味を噛み締める。
それほど旨いとは思わないが、煙草を吸っている間の自分を咎めるものが居ないのだ、という感覚は心地良い。
煙草を咥えたまま黒いケースを開き、白無地のDVDをプレイヤーに押し込んだ。
3565:2012/07/02(月) 12:20:52.24 ID:4M0x4RNZ
ざあざあとくぐもったノイズ。
コンクリート打ち放しの壁。
ガチャガチャとカメラを動かす音がし、ノイズがおだやかになった。

画面の中央には鉄パイプと板を組み合わせて作ったらしい歪な十字架のようなものと、そこに四肢を拘束された黒髪の女。
女の足に画面がズームし、舐め上げるようにじっくりと写していく。
3576:2012/07/02(月) 12:22:56.19 ID:4M0x4RNZ
ヒールの高いサンダルを穿いた足、腿まで露出したミニスカート。
胸は大きくないが、その分淡いピンク色のキャミソールがよく似合う。
大人しそうな顔付きと艶やかなセミロングヘアは清楚な印象で、一見するとこういったビデオに出るようには見えない。
もっとも、そんな印象は全くあてになるものではないが。
3587:2012/07/02(月) 12:24:59.38 ID:4M0x4RNZ
女は不安げにあたりを見回していた。

「はい、じゃあ始めますねー」

機械を通したらしい、くぐもった男の声。

「あの……普通のえっちなビデオ……なんですよね?」

拘束されたままの女が視線をあちこちに泳がせながら言う。

「あー、ハッハッハ。あれ嘘」
3598:2012/07/02(月) 12:27:03.30 ID:4M0x4RNZ
言葉に合わせ、目出し帽を被った男が画面に入ってきた。
手にはプラスチックのバット。

「え、え? ちょっと待って下さい何する気でぐえぇっ!」

言葉が終わる前に、目出し帽の男がバットを振りかぶり、女の腹目掛け、思い切り振り抜いた。
3609:2012/07/02(月) 12:29:05.69 ID:4M0x4RNZ
ちょうどへその辺り、バットが吸い込まれ、小気味のいい音を響かせる。
女は拘束故に倒れることも出来ず、体を前に折り、目を見開き、口をぱくぱくと動かす。
涎が一筋、だらりと流れ落ちた。

「こーゆービデオでーす。頑張ってねー」

機械越しの声。
36110:2012/07/02(月) 12:31:08.01 ID:4M0x4RNZ
目出し帽の男がキャミソールを捲り上げ、カメラは晒された腹をズームアップした。
緩やかなくびれと形の良い臍。
時折小さく痙攣する白い肌が、じわじわと赤黒く染まっていく。

「あ……あ……カハッ、ケホッ」

女は唾液を垂れ流しながら咳き込んだ。
36211:2012/07/02(月) 12:33:10.92 ID:4M0x4RNZ
「じゃ、もう一発行ってみようか」

その声に目出し帽の男は肯き、バットを振りかぶった。

「やめでぇ! もうやだ! 嫌ぁ!」

泣きながら懇願する女に構わず、再びフルスイング。
36312:2012/07/02(月) 12:35:14.75 ID:4M0x4RNZ
コーン、と固い音がした。

「ギャアアアア! 痛い! いだいぃ!」

女は狂ったように髪を振り乱し、暴れた。

「あーあー、アバラ当てちゃったんじゃないの? しっかりしてよもー」

目出し帽の男はわざとらしく頭を掻いた。
36413:2012/07/02(月) 12:37:19.01 ID:4M0x4RNZ
ぶつりという音と共に、画面が暗転した。
36514:2012/07/02(月) 12:39:22.13 ID:4M0x4RNZ
真は大きく深呼吸をし、停止ボタンから指を離した。
灰皿に置いてあった煙草は燃え尽き、フィルタを残して灰になっていた。
心臓が激しく脈打つ。
小さく震える手で二本目の煙草を取りだし、咥えた。
味がしない。
火を点けたばかりの煙草を揉み消し、水でも飲んで落ち着こうと立ち上がり……そこで気付いた。
真は、今までにないほど固く勃起していた。
366 ◆54541QUsxA :2012/07/02(月) 12:42:28.14 ID:6IQcKrai
おわり
思った以上に細切れになっちゃった。ごめん
読みづらいとことか改善点とかあれば指摘してね

よければ時間のあるときに続き書いて投下するです
367名無しさん@ピンキー:2012/07/02(月) 13:28:28.28 ID:o5JH3FRa
乙。
腹責めssとは思えないほど独白がハードボイルド調だなww
改善点としては、導入部だからなのかも知れんが腹責めシーンの描写が少し薄い気がしたかな。

猟奇系腹責めはこのスレでも少数派かもしれんが頑張ってくれ。
368名無しさん@ピンキー:2012/07/02(月) 13:42:44.35 ID:FJJh6BVw
投下乙です!
読む側が主人公目線と重なっているのが感情移入しやすかったです。
あと、ターゲットの女の子の特徴と責めるポイントは自分好みでしたw

真くんがこれから何をしていくのか気になるので是非、続けて欲しいです!
369名無しさん@ピンキー:2012/07/03(火) 00:22:31.69 ID:7xMBw24P
テンツでも働いているというのにお前らときたら・・・
tp://ameblo.jp/0357-0329/
370 ◆54541QUsxA :2012/07/03(火) 00:58:08.04 ID:DjmMEUJT
帰りの電車で書いてたら書けた
>>352-365の続き
3711:2012/07/03(火) 00:58:51.90 ID:DjmMEUJT
計画

「あー……畜生!」

真はDVDケースを投げた。
ケースは壁に当たり、ぱこん、と間抜けな音を立てて床に落ちた。
3722:2012/07/03(火) 00:59:46.58 ID:DjmMEUJT
拾ったDVDを見て以来、ひたすら『猟奇』『ハードコア』と銘打たれた動画を漁ってきたが、今日まであの、背骨に氷水が流れたような興奮が甦るものは一つとしてなかった。
そのくせ何故かDVDの続きを見るのは恐ろしく、もやもやとした欲求を持て余していた。

「はあー……」

溜め息と共に煙を吐き出す。
リモコンを適当に操作し、テレビをせわしなく切り替えながら眺めた。

『少女を監禁し』

何気なく流れてきたフレーズを聞き、真はチャンネルを一つ戻した。

『調べによると、犯人は元交際相手の少女に暴行を加えており――』
『少女が隠そうとしたため発覚が遅れ――』

頭の中で、何かがすっと融解した。
3732:2012/07/03(火) 01:00:55.72 ID:DjmMEUJT
秋穂は校舎の隅、人気のない階段の近くに隠れるようにして立っていた。
野暮ったい一つ結びに飾り気のないセルフレームの黒ぶち眼鏡、おまけにセーラー服を校則通りにきっちりと着込んでいる。
時代錯誤なまでに完璧で、模範的な。ただそれ故に目立たない容姿だ。

コツッ、コツッ、コツッ……。

足音が静かな廊下に響いた。
胸に手を当て、深呼吸を一つ。
そっと壁から足音の主を覗き見る。

「……ッ!」

慌てて壁の陰に戻り、声にならない声を上げ、そわそわと落ち着きなく動く。
緊張のあまり逃げ出したいような気分にさえなってきた。

コツッ、コツッ、コツッ……コツッ。
3744:2012/07/03(火) 01:01:53.22 ID:DjmMEUJT
「……こんにちは」

男、さきほどまでの足音の主はにこやかに挨拶をした。

「こここ、こんにっ! ちは! あ、あ……あの、これ!」

秋穂はガチガチに固まりながらなんとか言い、手にした封筒を突き出した。

「読んで、もらえたかな」

「ははははい! でも、あの、本当にわたしなんかの、ええと、間違いじゃ」

男はすっと一歩近付き、秋穂の掛けた眼鏡を外した。
3755:2012/07/03(火) 01:02:43.19 ID:DjmMEUJT
「……うん、眼鏡がない方が可愛いよ。髪も解いてみて」

ぼやけた視界の中、男の顔がすぐ目の前にある事は秋穂にもわかった。
頭が真っ白になりながらも、言われるがまま髪を結んでいるゴムを外した。
男の手がそっと髪を撫でる。

「やっぱり可愛い。どうかな、俺と、付き合ってくれないか」

秋穂はこれが夢でない事だけを願いながら、蚊の鳴くような声で答えた。

「……は、い」

男、真はにっこりと笑った。
目の前に立つ、艶やかな黒いセミロングの、大人しそうな顔付きをした少女を見て。
3766:2012/07/03(火) 01:03:34.77 ID:DjmMEUJT
夜、自室。
真はヘッドホンとノートパソコンを使って例のDVDの続きを見ていた。
3777:2012/07/03(火) 01:04:25.22 ID:DjmMEUJT
ぐったりとした女が、ベッドの上に横たえられている。
目出し帽の男がその周りを動きながら、手足をそれぞれ縄で縛り、大の字に拘束していく。

「おーい、起きてるー?」

機械を通したような声と共に、横から出てきた手がぺちぺちと顔を叩く。
女は口を半開きにしたまま、虚ろに天井を見ている。

「……まあいいや。コレ、何かわかる?」
3788:2012/07/03(火) 01:05:00.73 ID:DjmMEUJT
女の目線の先に突き出されたものは、電動のマッサージ器だった。
それを見て、女の目に僅かに希望の光が戻った。
棒と球で出来たそれは、どう見ても暴力的な行為に使えそうなモノではなかったからだ。
ブブブ、ブブブブブ。
威嚇するようにスイッチをオンオフする。

「わかる? ブルブル震えるやつ。コレ使うから」

安堵感からか、口元へ僅かに微笑みさえ浮かべながら、女は脱力した。
ブブブブブブブ……。
再びスイッチを入れられたマッサージ器が、女の体へ押し当てられる。
3799:2012/07/03(火) 01:05:59.86 ID:DjmMEUJT
「ヒギャアアアアアアア!!」

全身をくねらせ、背中を浮かせては叩き付け、ベッドそのものが揺れるほど暴れた。
マッサージ器は女の脇腹、先ほどバットが当たったところへ執拗に押し付けられる。
アバラにはヒビが入っているのかそれとも折れてしまっているのか、外見からは判断できない。
しかしどちらにせよ、傷付いた骨を抉られる痛みに変わりはない。

「アァアアアア!! イダァアア!! イギャアアアアア!!」

唯一動かせる腰と頭を無茶苦茶に振り回す。
顔は涙と鼻水で紙屑のように皺がより、口の端には赤みの混じった泡がこびり付いている。
38010:2012/07/03(火) 01:06:59.36 ID:DjmMEUJT
マッサージ器が女の体から離れた。

「ああ……ああああ……もうやだぁ……うああああ……」

泣きすぎて疲れた子供のように、切れ切れに声を上げる。

「大丈夫? 痛い?」

機械越しの声が白々しく言った。

「ごべんなざい、ごべんだざいぃ……」

女は目を固く瞑り、嗚咽しながら言う。

「痛い? 痛くない? 平気?」

「いだいでず、ごべんだざい、ゆるしでぇ……」

男の手がカメラ側から延び、先程まで執拗に責めていた所にそっと触れる。

「ここ? 痛かった?」

「はいぃー! 許してぇ!」

「そうかー」

男の手がぴたりと止まった。
38111:2012/07/03(火) 01:08:44.56 ID:+s7T2DaZ
「いたいのいたいのとんでけー」

パチン。
夏場の蚊でも潰すような、小気味のいい音。
男の平手が女の腹へ。

「いぎっ」

短い声と共に全身が大きく跳ね、そのまま反動でベッドに沈み込んだ。
カメラが顔をアップにする。
体液で汚れた顔。
半開きの口から赤黒い液体がごぽりと溢れた。
38212:2012/07/03(火) 01:10:47.32 ID:+s7T2DaZ
真はぎらぎらした目で、口を大きく左右に歪め、じっと画面を見つめていた。
383 ◆54541QUsxA :2012/07/03(火) 01:14:06.67 ID:+s7T2DaZ
おわり
次が本番の予定、がっつり腹責めしたい
あと>>373はナンバリング間違えた

感想参考にするね、ありがとう
384名無しさん@ピンキー:2012/07/03(火) 18:13:19.13 ID:MgGhcVqT
ここまでがプロローグなんですね、お膳立てが整った感じなので次の投稿が楽しみです。
これまでの主人公・真を見てると、何か腹責めに関して覚醒しかかっているって所でしょうか。
かなりのサディズムを心の底に秘めていそうな点も注目してます。
385名無しさん@ピンキー:2012/07/03(火) 19:03:35.79 ID:PV9pHBAf
レスの分け方が、漫画のコマ割りみたいだね。
それが良いのかどうかは分からないけど、自分は読みやすくて良いと思いました。
386名無しさん@ピンキー:2012/07/04(水) 00:00:23.62 ID:7xMBw24P
久しぶりに見たら55さんのブログかっこよくなってるな
387名無しさん@ピンキー:2012/07/04(水) 00:01:53.87 ID:sDD1/5L/
>>383
描写が簡潔でわかりやすいです
ハードボイルドな感じだね
388名無しさん@ピンキー:2012/07/04(水) 18:12:01.81 ID:Na4VNYA0
へ、へそ〜
389名無しさん@ピンキー:2012/07/04(水) 22:00:30.76 ID:4A8YlY3/
へそ!
390名無しさん@ピンキー:2012/07/05(木) 08:06:38.95 ID:pecyhG9i
とうかしまっす↓
ttp://ryonabp.seesaa.net/
391名無しさん@ピンキー:2012/07/06(金) 00:02:37.43 ID:ltwzXP4w
>>390さん乙です! 拝見しました。
アスリート系の巫女がターゲットなんですね、鍛えた腹部を凌駕する腹責めの描写がすごく良かったと思いました。
自分たちと同じ時間軸のリアルタイムヒロインっていう設定も、どこか親近感と臨場感を覚えました。
次回があるようでしたら、また読ませて頂きたいです。
392 ◆54541QUsxA :2012/07/06(金) 18:07:30.73 ID:guES97oV
ちょっと間あいたけど続き書けたー
あとレスの分け方はちょっと意識してるとこだから、誉められて嬉しかった。ありがとう

いっこめ >>352-365
にこめ >>371-382
3931:2012/07/06(金) 18:12:15.23 ID:guES97oV
落下


「ふーん、ふんふふーん」

調子外れな鼻歌を口ずさみながら、秋穂は髪にブラシを入れた。
今日は花火大会。それも両親は二人で懸賞で当たった温泉旅行に出掛けている。
付き合い始めて何度か遊びには行っていたけれど、過保護な両親のせいで明るいうちだけだった。
頬が緩む。
ぼふん、とベッドに頭を突っ込み、足をじたじたと動かす。

「うー! わー! あー!」

ばたつかせた足の先が、机の角に当たった。

「……つっ! くぅー……」

秋穂は涙目でベッドから起き上がった。
3942:2012/07/06(金) 18:13:59.57 ID:guES97oV
待ち合わせ場所。赤々とした夕日が綺麗だ。
秋穂は近くのショーウィンドウを見て、写った自分の姿に改めてくすりと笑った。

一つ結びはやめて、髪はそのままおろす。
眉を細くして、眼鏡はコンタクトに。
言われるがままだったけれど、一つ変わるたびに彼がにこりと笑うのが嬉しかった。

それに、今日のために用意したピンク色の浴衣。
彼は誉めてくれるかな。
秋穂はもう一度にこりと笑い、周りを見回した。
3953:2012/07/06(金) 18:15:10.40 ID:guES97oV
「……あ、真くーん」

秋穂は大きく手を振った。
真も小さく手を振り返し、小走りで駆け寄った。

「ごめん、待った?」
「ううん、今来たところ」
「そっか。……浴衣、可愛いね。似合ってるよ」

その言葉に笑みが溢れる。
二人は他愛のない会話を交わしながら歩き出した。

「そういえば、いい場所があるって言ってたけど……」
「うん。今は使われてない倉庫の近くなんだけど、鍵がないと入れないから。貸し切り状態だよ」

そう言って真は指に引っ掛けた鍵をくるくると回した。
誰もいない廃倉庫で二人きり。
秋穂は頭に浮かんだ妄想を振り払うように、小さく頭を振った。
3964:2012/07/06(金) 18:19:21.43 ID:guES97oV
秋穂はぼんやりと空を見上げていた。
もう夕日も沈み、空は明るいながらも夜の色へと変わっている。
首筋にひやりとしたものが当てられた。

「ひゃあ!」
「はい、飲み物」

真は悪戯っぽく笑い、瓶を手渡した。

「あ、ありがとう真くん」

秋穂は受け取った瓶を見もせず口にし、噎せそうになりながら飲み込んだ。

「これ……お酒?」
「飲んだことなかった? まあ、お祭りだしさ」

真は再びにっこりと笑った。
まあいいか、と秋穂はさらに瓶を傾けた。
炭酸の弱いサイダーのような味で、微かに後味が苦い。
二人は寄り添うようにして座った。
海に面した廃倉庫は薄暗く、他に人影はない。
3975:2012/07/06(金) 18:20:23.30 ID:guES97oV
「……本当に誰も居ないんだね」

真は小さく微笑んだ。

空に一筋の煙を残し、まばゆい光を放つ球体が打ち上げられる。
光球は空で炸裂し、ドーンという音と共にオレンジ色の花を咲かせた。

「綺麗……」

秋穂は真の肩に寄り掛かった。
そっと、肩を抱かれる。

花火の音が、光が遠くなり、意識が薄くなっていく。
3986:2012/07/06(金) 18:23:36.09 ID:ocUuByeP
「……くしゅん」

肌寒い。
いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
体が痛い。
伸びをしようと腕を伸ばした。

じゃらり。

「……え?」

腕に付いた手錠と、そこに繋がれた鎖が立てた音だ。太く頑丈そうな鎖は上からぶら下がっている。
一気に目が覚めた。
両腕以外にも違和感がある。

「なにこれ……」

両足に付けられた、金属製の足輪。
それぞれが鎖で埋まり繋がれ、大きく動かせないようになっている。
よく見れば、回りは壁で囲まれていた。
古い倉庫か何かのようだ。
3997:2012/07/06(金) 18:30:26.92 ID:ocUuByeP
「おはよー」

「真、くん……?」

金属製のトランクに腰掛け、笑顔で缶チューハイを飲む真。
しかしその笑顔は秋穂の知っている優しげな微笑みではなかった。
ねっとりと絡み付くような視線と人を小馬鹿にしたような歪に曲がった口。
別人かと思ったほどだ。

「真くん、これ……」
「起きたならいいよね? スイッチオーン」

楽しげな口調で立ち上がり、壁のパネルを操作する。
ガタガタ、ギチギチという軋んだ音が倉庫中に響く。

「え?」

音源は秋穂の頭上からだった。
鎖がゆっくりと巻き取られていく。
自然と立ち上がらされる。
下駄は既に脱がされていた。コンクリートの床が冷たい。
鎖の動きに合わせ、両腕を吊り上げられる。
秋穂が爪先立ちになったところで、機械は再び軋みながら止まった。
4008:2012/07/06(金) 18:32:13.52 ID:ocUuByeP
真は缶を投げ捨て、ゲラゲラと下品に笑った。

「真……くん?」
「あー、マジでここまで成功するとは思わなかったわ」

笑いながら近付き、秋穂の浴衣の帯を毟るようにして解く。

「やっ……な、やめて!」
「無駄だから暴れんなーって」

秋穂は身を捩ったが、抵抗の甲斐なく帯は外され、ピンク色の浴衣は肩から掛けられただけの状態となった。

「きゃっ……」

真はにやつきながら浴衣の合わせに手を掛け、ゆっくりと開いた。
上下セットの薄ピンクの下着があらわになる。
しかし真の目はその間、不健康にさえ見える青白い肌と、そこに一筋の切れ目のように入った縦長の臍に吸い寄せられていた。
4019:2012/07/06(金) 18:33:30.87 ID:ocUuByeP
「ううっ……」

秋穂は赤面した。
真は臍の横へそっと指先で触れる。
うぶ毛の柔らかな感触と、少しひんやりとした肌。そして微かに伝わる脈拍、鼓動。
恍惚とした表情で、なでるようにして皮膚をなぞる。

「くふっ、あははは」

くすぐったさに堪えきれず、笑ってしまう。
真はすっと目を細めた。
指を引っ込め、拳を握り込む。
そのまま先程まで愛でていた箇所へ、抉るようにして拳を突き込む。

「あぐうっ……うぐっ……」

鎖を揺らして勢いを殺そうとするが、かえって戻ってくる勢いで自分から押し込んでしまう。
40210:2012/07/06(金) 18:35:04.50 ID:ocUuByeP
真は右手をぐりぐりと捻るように動かした。
しっとりとした皮膚、弾力のある薄い腹筋、ごつごつとしたアバラ骨。
そのひとつひとつの感触をもっと味わおうと、さらに手を動かす。

「あ、あ、あ、あ、あ」

秋穂は腹の中を直接かき混ぜられるような不快感に、嘔吐しそうになりながらも耐えていた。
頭の中は僅かな疑問を残して苦痛で埋まり、知性はどこかへ消えていた。

金魚のようにくちをぱくぱくと動かす秋穂を見て、真はにやりと満足げに笑った。
そして拳を崩し、まるで女性器に愛撫するように臍へ中指を当てた。
40311:2012/07/06(金) 18:36:30.03 ID:ocUuByeP
「あ、はあ……ああ……はあー」

秋穂が息を吐ききった瞬間、中指が臍をこじ開けるようにして押し込まれた。

強烈な嘔吐感。
拳が押し込まれていたときとは違う、直接内臓へ伝わる痛みと不快感。
臍へ入っているのは指の第一関節、先端だけだったが、秋穂は本当に腹を切り開かれているかのような苦痛を味わっていた。

息を止め、動かず、耐える。
内臓をほじり出すような、筋肉とアバラの隙間を抜ける動き。
身動ぎしそうになるたび痛みが強まり、慌てて全身を硬直させる。
40412:2012/07/06(金) 18:37:32.79 ID:ocUuByeP
何分経ったのか、あるいは数秒だったのか。指が引き抜かれた。
秋穂は息を吐き脱力した。

あ、と思ったときには遅かった。
太腿を温かい液体が伝う。
元々薄い色の下着から、うっすらと生えた陰毛が透け見える。
真はにやにやと指を舐りながらそれを見ていた。

秋穂の意識はゆっくりとブラックアウトした。
405 ◆54541QUsxA :2012/07/06(金) 18:40:55.54 ID:d1aDyl0Y
おわり
がっつり腹責めするつもりが導入が長くなった
ここまでやればもうセメホーダイだから、もう一回頑張る

何かあれば指摘とかお願いね
406名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 01:15:42.20 ID:3yZfioxJ
まさかの拘束へそ責めごちそうさまでしたw
ターゲットが暴れると逆に痛い思いをするっていう状態、好きです。
それをわかってやってる主人公もリョナ度高くていいw
ひょっとして、おへそ責め好きな方なんでしょうか。
407名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 06:03:50.98 ID:V4FwJzfV
>>391
ありがとうございます。また続きや別のも書いてみます。
408名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 07:06:03.02 ID:G3jexGWY
へそ責め好きだよー
ここの書き込みにへそー、ってあったからちょうどいいしへそ責めしてみた
拘束はリョナでも普通のエロでも大好き

ちょっと聞きたいんだけど、ここの住人って
・流血なし/ちょっとのリョナ
・流血多量/刃物とか使うリョナ
・ポロリ(内臓とか)
のどこまでOK?
展開変えるとかじゃなく、ただの興味なんだけどさ
409名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 07:27:43.37 ID:wLrDmOAy
>>1にも書いてある通り、こぬスレは腹パンから切腹までOKだ。
まあ刃物とか内蔵が出る作品はこれまでも殆ど投下されてないけどなw
410名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 08:07:35.65 ID:kcPHxjyK
そういえば>>1だと腹責めなら二次創作もOKなんだよね
まあ実質腹パン中心っぽいからここ見てる人はどうなのかなー、とか思ったんだ
流血はいいけど内臓はちょっと、みたいな人も居そうだし
411名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 10:42:50.17 ID:8xbI0jyr
個人的にはモツまでいっちゃうと腹責めって言うより、総合的なリョナの範疇に入ってしまう気がする
412名無しさん@ピンキー:2012/07/09(月) 22:34:51.23 ID:wl6CHJFG
次スレからテンプレ変更かね
413名無しさん@ピンキー:2012/07/10(火) 13:48:07.83 ID:fGNYwrLj
今腹パンとかいってそれなりに認知されてるのも、そもそも腹責めってのがリョナの中でもライトな部類で受け入れやすいってのがあるんだろうな
基本部位破壊無し、怪我してもせいぜい吐血って描写だし
腹責め好きでモツも好きってなるとかなり人口限られそうな
414名無しさん@ピンキー:2012/07/10(火) 17:49:58.75 ID:T/yfweuS
モツ好きで腹責めもいける、なら一定数居そうだけどね
415名無しさん@ピンキー:2012/07/10(火) 18:16:01.85 ID:i3K+1eco
まさかライトな腹パンのみに絞ってさらに物書きを減らすつもりでごわすか
416名無しさん@ピンキー:2012/07/10(火) 20:09:30.50 ID:NhCEgoKJ
それだけは勘弁願いたいでござるよ…
417名無しさん@ピンキー:2012/07/10(火) 20:18:12.01 ID:uhdIgGfP
幅はある程度広い方が良いよね。
>>刃物とか内蔵が出る作品はこれまでも殆ど投下されてないけどな
っていうように書き手側もわかってる人がほとんどだし。今まで道理で大丈夫じゃないかな。
需要ポイントは「内臓責め」じゃなくてあくまで「腹責め」なワケで…
418名無しさん@ピンキー:2012/07/10(火) 20:55:45.23 ID:z8RCSStH
たぶん腹とモツは分けて考えてる人が殆どなんだろう
悠理愛も腹責めには理解があって、打撃だけでなく刃物までズブズブやっちゃうけど、モツ描写は無いし
419 ◆54541QUsxA :2012/07/11(水) 01:04:14.03 ID:AvKkCUVl
まいどどうも
だいぶ間が空いちゃったけど続きを
一応これが最後

いっこめ >>352-365
にこめ >>371-382
さんこめ >>393-404
4201:2012/07/11(水) 01:05:10.14 ID:AvKkCUVl
決壊


花火が打ち上がった。
ああ、これは夢だ。秋穂は一瞬で理解した。
真が隣で優しげな笑みを浮かべ、こちらを見ている。
そう、よく知る表情だ。
そのままそっと空を指す。
一際大きい花火が炸裂した。
4212:2012/07/11(水) 01:06:05.32 ID:AvKkCUVl
優しい夢は一瞬だった。
はっと目を開く。
ひんやりとした空気。

「うーっす、おはよう」

再びトランクに座っていた真が立ち上がった。

「……ひっ」

引き攣った呼吸音が喉から漏れた。
真はにたりと口を歪めた。

「とりあえずさー、今思い出したんだけど、写真撮らせてね? いい?」

そう言いながら、手をポケットから出す。
カチン、という音と共に握られていた飛び出しナイフ。
冷たい刃の背が秋穂の脇腹に押し付けられる。

「……ね、いい?」

首を曲げ、覗き込むような姿勢で真は言った。
4223:2012/07/11(水) 01:07:47.53 ID:AvKkCUVl
秋穂は泣きそうになりながら、かくかくと首を振った。

「ありがとー、やっぱ俺の彼女は物分かりが良いねぇ!」

嘲るような口調で言い、ナイフをつっと下へ動かしていく。
秋穂は息を飲んだ。
腰骨を通り、下着の側面へ入り込む。
ぷつりと繊維の切れる音が、やけに大きく聞こえた。

「やっ……」

秋穂は悲鳴を上げかけたが、真の持つナイフを思い出し、必死に声を飲み込んだ。
物心ついてからは親にも見られたことのない秘部が露わになり、秋穂は一目見てわかるほどに赤面した。

「んじゃ撮るよー」

真は一歩離れたところで小さなデジテルカメラを構えた。

「やっ……やめて……」

フラッシュが光った。
ふと、さっき夢の中で見た花火がこんな感じだったな、と他人事のように思った。
4234:2012/07/11(水) 01:12:04.35 ID:AvKkCUVl
「まー、なんだ。わかるよね?」

大量の写真を撮り終えたカメラを手に、真は笑いながら言った。
秋穂は無言のまま、首をだらりと垂らしていた。

「おー、しっかり撮れてる。見てみる? ……おーい?」
「やだ……もうやだ……」

真は肩をすくめた。

「諦めたら?」
「うるさい! 卑怯者! 死んじゃえ! ああああ!」

涙をにじませ、髪を振り乱して絶叫する秋穂。
真は小さく舌打ちし、背を向けてトランクを開けた。

「卑怯者! 死んじゃえ! 死ね死ね死」
「黙れよ」

秋穂の喉に、細い金属がぴたりと当てられた。
4245:2012/07/11(水) 01:13:31.96 ID:AvKkCUVl
「腹にこれ突っ込まれたいか? それともこれで処女捨てるか?」

ハンドドリル。
それも、日曜大工レベルではない、プロが仕事で使うような大型のものだ。

ヴィイイイイイイ!!

目と鼻の先でドリルが回転する。
秋穂は口を動かしたが、掠れた声すら出なかった。

「ああ!?」
「ひいっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

秋穂は目を固く閉じ、絞り出すように言った。
ガチガチと歯が鳴った。

「チッ……」

真はドリルを投げ捨てるように放り出した。
4256:2012/07/11(水) 01:14:31.65 ID:AvKkCUVl
「さて、と……次はどうすっかな」

わざとこつこつと足音を響かせ、荷物を物色する。
荷物のある場所は薄暗く、秋穂にはがちゃがちゃという不安を掻き立てられる音しか伝わらない。

「……あー、やっぱこれかなー。俺もやってみたいし」

秋穂はそっと目を開けた。
赤い、プラスチックバット。
真はぶんぶんと風を切る音をさせ素振りをしている。
手に馴染んだのか、ゆっくりとバットを秋穂の腹へ当てた。

「なー、顔上げて、目は開けててよ?」

秋穂は顔を上げ、口元を引き攣らせながら真の顔を見た。
真はにっこりと笑った。
秋穂のよく知る、優しげな微笑み。
4267:2012/07/11(水) 01:17:24.42 ID:AvKkCUVl
バットが大きく振りかぶられ、秋穂の脇腹へと刺さった。

「あぐうっ!」

衝撃が音叉の音色のように身体の中をじんじんと響いていく。
今までの内臓の痛みではなく、骨へ伝わる衝撃。
足ががくがくと震えるが、腕に繋がる鎖が崩れる事すら許さない。
全身を伝わる痺れに震えながら、ぶら下がるような姿勢で耐える。
倒れてしまいたい。
気を失ってしまいたい。
腕の拘束に引き摺られ、それもままならない。

しかし、真はバットを見、痛みに耐える秋穂を見て、首をかしげた。

「んー……」

そして何度か素振りをしてから、プラスチックバットを放り投げた。
4278:2012/07/11(水) 01:20:17.52 ID:AvKkCUVl
「なんか違うなー」

そう言って、荷物の中から別の凶器を取り出した。
金属バット。
秋穂は呼吸を荒げながら、精一杯の大声を上げた。

「やめ、やめて! 無理! そんなの、本当に死んじゃうよ!」

真はにんまりと笑った。

「じゃあこれ振り回して殴るのは止めてやるよ、殴るのは」

その口振りに不吉なものを感じながらも、秋穂はほっと息を吐いた。

「これ突き込んでやるから、腹か処女か、守りたい方選べ」

すっと心臓のあたりが冷える。

「両方でもいいけどな、どっちに突っ込まれたいか選べよ」

瞬きすら出来ず、向けられたバットの先端を見つめる。

「あー、それともドリルがいいか?」

秋穂はびくりと肩を震えさせた。

「……さい」
「あん?」
4289:2012/07/11(水) 01:22:26.34 ID:AvKkCUVl
「うっ、うぐううう……」

秋穂は歯を食いしばり、涙を流しながら言った。

「お腹に、して、ください……」
「もっと楽しそうに言えよ」

はは、と笑いながら真は言った。

「ううう、あうっ、ぐううう……」

しゃくりあげ、顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら、秋穂は笑顔を作った。

「わだじの、おながに、バッド、つっこんで、ぐだざい……」
「あひゃひゃひゃひゃ!」

真は狂ったように笑った。

「本当に言ったよ! じゃあその通りにしてやるわ! えひはははは!」
「うう、ううう、う……」

秋穂は歯を食いしばったまま、泣いた。
どうして。
なんで。
そんな言葉ばかりが頭を巡る。

「行くぜー」

バットを脇に抱えるようにして持ち、秋穂の臍のあたりへ当てた。
42910:2012/07/11(水) 01:28:58.50 ID:AvKkCUVl
一歩下がり、勢いをつけ、槍か何かのようにして、腹へ。
踏み込みと共に押し込む。
音が聞こえた気がした。

「ぎいいいいい! あああああ! いだあああああ!」

がちゃがちゃと鎖を鳴らし、秋穂は身を捩って暴れた。
バットが突き刺さった部分が冗談のように丸くへこみ、赤く染まっていく。

「ぎゃああああああ! やあ! やだあああああ! ゲホッ、ゲバッ」

咳き込み、黒い血を吐き出す。
同時に腿に黄色がかった尿と、赤い血が伝った。
狂ったように身体がぐるぐると回転する。

「ゲッ、カハッ、こっ」

そして、くぐもった音を喉から出し、ぐったりと力を失った秋穂の身体。
真は壁のパネルを操り、秋穂を床へ下ろした。
鍵で拘束具を外す。

ピンク色の浴衣が大きく広がり、その上に横たわる白い身体。
臍の回りが丸くへこみ、そこを中心にどす黒い染みが今もまさに広がっている。
口からは赤黒い血。
股間は尿と血の混ざった液体で濡れている。
皮膚の裏がぞわぞわと泡立つような背徳感、快感。

しかし、その余韻を邪魔する、無粋なサイレンの音が遠くから聞こえた。
43011:2012/07/11(水) 01:29:55.70 ID:AvKkCUVl
新聞の地域欄。
その隅に、少年Aの起こした障害事件は小さく取り上げられた。
被害者、加害者と噂されたそれぞれの家族はいつの間にか引っ越しており、さした話題になることもなくいつの間にか忘れられた。
431 ◆54541QUsxA :2012/07/11(水) 01:32:13.20 ID:AvKkCUVl
おわり
一応エピローグ的なお話の終わりも書いたから、ちょっと休憩したら投げるね
4321:2012/07/11(水) 01:47:14.94 ID:AvKkCUVl
切っ掛け


真はフルスモークのワゴン車の後部座席にどっかりと座り、備え付けのミニテレビでつい今しがた撮影した映像の確認をしていた。

『やめ、やめでぇ!』

イヤホンから悲鳴が漏れ聞こえる。

「……喉が渇いたな」

ぽつりと呟くと、運転席の男が反応した。

「コンビニで買ってきますよ。缶チューハイですよね」
「おう、頼むわ」

真はポケットからマルボロのメンソールを取り出し、軽く振ってから握り潰した。

「……わり、煙草も頼む」
「了解っす、真さん」

運転手は笑いながら言った。

「あ、そこにコンビニありますね。車入れます」

ワゴンはコンビニの駐車場へゆっくりと入った。

「じゃ、買ってきます」

小走りで店の中へ向かう運転手を見送り、真はふうと息を吐いた。
4332:2012/07/11(水) 01:48:16.13 ID:AvKkCUVl
ピンク色の浴衣と下着。
秋穂。
もう十何年前の事だろうか。
だが未だに昨日のことのように思い出せる。

「……やれやれ」

感傷的になるのは歳のせいか。
映像を止め、ふと外を見る。
道路を挟んだ向かい側、小さな公園が目に入った。

そういえば。
切っ掛けは、公園の隅に捨てられていたDVDだった。

真は鞄から『商品』を取り出し、ジャケットを外した。
黒無地のDVDケースを手に、車から降りる。
4343:2012/07/11(水) 01:49:01.68 ID:AvKkCUVl
少年は黒無地のケースに入ったそれを学生鞄に押し込み、家へと走った。
435 ◆54541QUsxA :2012/07/11(水) 01:54:02.70 ID:AvKkCUVl
ぜんぶおわり、これで完結
何か意味不明なとことか誤字脱字、指摘なんかあったらお願い
読んでくれた人ありがとでした

いっこめ >>352-365
にこめ >>371-382
さんこめ >>393-404
よんこめ >>420-430
エピローグ >>432-434
436名無しさん@ピンキー:2012/07/11(水) 23:33:38.43 ID:q2sGDAPQ
砂雪死んだってマジ?
437名無しさん@ピンキー:2012/07/12(木) 05:54:22.62 ID:Kg4smsWS
>>436
知らん
あんなクソ女死のうがどうでもいい
438名無しさん@ピンキー:2012/07/12(木) 08:40:49.64 ID:bYl13nmI
>>435

真の今後の活躍にも期待w
439名無しさん@ピンキー:2012/07/12(木) 19:40:48.58 ID:W4UrSBjh
そういえば次の腹パは10月みたいだね
440名無しさん@ピンキー:2012/07/12(木) 19:48:39.43 ID:W4UrSBjh
ちなみにソースは公式
ttp://www.sdf-event.jp/hara_pa/

55氏は復帰するのかなあ
441名無しさん@ピンキー:2012/07/12(木) 20:43:40.37 ID:X/ojTvlM
>>435さんお疲れ様です!アンチ・ミステリーみたいな締め括りですね。
真が拾ったDVDは一体誰がとかDVDのその後の行方とか思わず考えてしまいます。
責め側の真がかなり鬼畜だったので、ターゲットとの温度差があって残酷度を高めていたので楽しめました。
恐縮ですが、個人的には真や秋穂の心情の描写などももっと見たかったかなあ…と思います。
次作も楽しみにさせて頂きますね。
442名無しさん@ピンキー:2012/07/12(木) 22:16:08.12 ID:78xDnITV
>>440
復活してくれるといいね
エロ有り、ストーリー重視、何らかのサプライズとか
他の参加者と比べていい意味で異端だか
ら早く復活して欲しいわ
443名無しさん@ピンキー:2012/07/12(木) 23:04:58.85 ID:vs5e6WC9
誰か腹パ参加者が何出してるか(漫画か小説か)とか、作風なんかのまとめって作ってないかな
444名無しさん@ピンキー:2012/07/13(金) 06:25:07.35 ID:jZJQF9/q
ミストさん待ってます。

それと、
女不良グループが暗めの女子をリンチする話って需要あるかな?
445名無しさん@ピンキー:2012/07/13(金) 08:28:15.19 ID:Yqn+dptO
需要ありますよ。
是非見たいです。
446名無しさん@ピンキー:2012/07/13(金) 18:59:53.20 ID:fhb89l/Q
ターゲットが暗めの女の子って所が興味心をそそられる。
腹責めされてどんな事になるのか…
もしそういう作品を作ってくれるなら見たいに一票。
447名無しさん@ピンキー:2012/07/13(金) 23:06:05.74 ID:KEs9cl+S
ことパンの作者は、リア充爆発しろって周りから言われ過ぎてうんざりしてるんだってさ
448名無しさん@ピンキー:2012/07/13(金) 23:54:52.52 ID:ykfAwXtq
先週、今週と豊作だったので読む専になってました。
感想をくれた方、指摘をしてくれた方、応援してくれた方、ありがとうございました。
今回も投下させて頂きます。よろしくお願い致します。
449ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/13(金) 23:58:16.86 ID:ykfAwXtq


 「おはよう、はすみ。」

それは至極日常的な朝。
そして私にとって既にありきたりな光景。

ここで巴と待ち合わせし、はすみと合流して三人で登校する。
歩き出すと、必ずと言って良いほど巴が会話のネタを持ち出し、三人で歓談しながら通学路を行く。
私にとって当たり前の事。

でも今の私はこの「当たり前」をする事さえ辛く感じ始めている。

何かを見ても。何かを聞いても。何をやっていても。
成績がトップでも、体力測定で優秀な結果が出ていても。
まるで目には見えない“濁り”を体中に帯びているかのように、気怠く、心憂い感覚が私に纏い付いて離れない。

あの夜から今日までに幾度も聞いた、私の心が折れる音。
その度に濃くなっていく“濁り”。

見えない強大な力が、今や私を握り潰そうとしている。

それを振り払い藻掻こうとする自分、絶望を受け入れてしまおうと諦めかける自分。
双方のせめぎ合い。
しかし日増しに戦局は後者に傾いていくのを感じる。
最近は「どうしたらいいのか」を考える事さえおっくうになっている。

私はもう………

 「…せっちゃん?」

はすみの、か細く穏やかな声。
私はハッとし、自分を取り戻す。

 「ん、何?はすみ。」

私はいつものように笑顔ではすみを見た。
心配するような、慰撫するような目で私を見上げていたが、

 「ううん、なんでもない。」

はすみは顔いっぱいの柔らかい笑顔を返してきた。
その笑顔に心を癒される感覚を覚えた。心の平安を感じる自分がそこに居た。
まだ、頑張れる。

今、私はぎりぎりの所で踏み止まっている。

450ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/13(金) 23:59:33.13 ID:ykfAwXtq

     ――――――――――――――――


            『 壁に囲まれて 』




その日の更衣室での出来事。

私の教室は比較的 格技場に近い。
クラスの子と雑談する事も無いので、大抵は一番に格技場に着く事がほとんど。
これも最早あたりまえの事で、習慣になっている。

今日は巴が掃除当番と言ってたから、はすみと一緒に少し遅れて来るだろう。
私はロッカーを開けて着替えを始めた。
道着の下穿きを穿き、その前紐を締める。

 「つっ…!」


刺激を受けて痛むお腹を指で押さえ、つい声を漏らしてしまう。
最近はずっとこうだ。

ここの所、菊池 聡美のグループは専ら私のお腹を休ませない事に躍起になっている。

トイレの後、すれ違いざま、お昼休みに偽の呼び出し・強制連行。
そして ―――

 ―――― ガチャッ ――――

こうした、孤立状態を狙って。

 「クスクス……」
 「やってもいいんだよね?巴と楠瀬は遅れて来るって下調べしてあるし……」
 「……ふふ、聡美が隙を狙ってやれって言ってんだからやらねーと……」

しかも多人数で隠すようにさりげなくやったり、こうした人につきにくい場所で数にまかせて襲ったり。
用意周到に注意深く、確実に目的を遂行する。

私は着替えの途中だったので黒いTシャツに下穿きの恰好のまま、入口から来る奴らの方を見た。

レングスボブカットで肥満体型の子。
ショートヘアで色黒、がっしりした体格の子。
ブラウンのベリーショートヘアにピンクのヘアピン、やや身長が低めの子。

三人とも女子空手部員だ。

三人はクスクスと笑いながら私に迫る。
何をしようとしているのかは、分かっている。
でも結局、最後にはいつも同じ結果になってしまう。

日毎夜毎のように続くお腹への責め苛みは精神さえも蝕み、私から抵抗する気力をも奪っていた。

 「こんな事して、楽しいのかしら……」

それは辛うじて出た吐露。
しかしそんなものに答える前に、三人のうちの二人が両側からしっかりと体を押さえつけた。
451ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/14(土) 00:00:10.80 ID:fQIzRvk5

 「楽しいに決まってんじゃん。人間なんだし。」

両側から押さえつけられている私の前に立つ、色黒で体格が良い子。
彼女が先ほどの私の呟きに答えると、丁寧に小指から順に指を折り曲げていき拳を作った。

 ―――― どンっ!! ――――
 「 く゚ッ! 」

突然、視界が揺れた。
拳が出来上がると同時にそれが私のお腹を打ったのだ。
深く踏み込む訳でもなく、ただ、乱暴に。
それでも日々継続的に責められ、ダメージが癒える事の無いお腹には堪える。
全身から脂汗が滲み出る感覚を覚えた。

 ――――ドスっ!!――――
 「うっ……!」

二発目も、粗雑なボディブロー。
空手の技術を無視した、精神性をまったく感じさせない打ち方だった。
色黒の子は、今度は大きく振りかぶるように拳を引いた。

 「フンッ!!」
 ―――― ばくゥ!! ――――
 「ううゥ!!」

打たれたお腹を支点に上半身と下半身が内側に折れ、一瞬、つま先立ちになってしまう。
私の体をそんな風にしたのは、まるで投球フォームのようなでたらめなパンチ。

 「う、ああぁぁ……」

でも動けない的と化した人間に対しては効果覿面な攻撃方法だ。
現に、私のお腹は深刻なダメージを受けていた。

 ――――…ぽた、ぽた…――――

打撃により押し上げられた体液は迫り上がり、涎となって口から垂れ始めた。

 「ぅぅ………」

体から力が抜け膝を折り、ずるりと崩れ落ちそうになった。
452ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/14(土) 00:01:19.07 ID:ykfAwXtq

 「ほら、まだまだ。」
 ―――― ぐいっ ――――
 「うっ……」

だが両サイドで私を拘束している二人はそれを許さず、無理矢理 私の体を押し上げる。
座らない首をぐらぐらさせながら、再び私の体勢が元の状態に戻されてしまった。

 「エリカー、時間少ないからこっちに回してよー。」
 「じゃあ次、ひろ、やんなよ。」

そんなやりとりし、私の左半身を押さえつけていたベリーショートヘアにヘアピンをした子と交代した。

ベリーショートの子が私の前に立つ。
女子空手部においては比較的小柄な子だ。

 「私、良い事知ってるんだ。」
 ――――…じゃらじゃら…――――

そう言うと、お財布から小銭を十枚ほど取り出し、それを掌に乗せた上で拳を作る。
よく言われている、パンチの重さを増しつつ拳のグリップも強くする方法。
もちろん、空手でもボクシングでも即時反則となる悪質な方法だ。

 「こうやるとパンチが強くなるんだって。」
 ―――― バスっ!! ――――
 「ウッ!!」

コイン入りの拳が私のTシャツの真ん中に埋まる。

 ―――― ばくッ、ドムッ、ズドッ、ずぬッ ――――
 「 うッ!、ウっ!、うくッ!、うぁッ! 」

再びお腹が拳による拷問にさらされ、私の体は埋め込まれる拳に合わせてビクビクと震え始めた。

 「ふーっ……」

しかし、程無くして拳の連打は止まった。
453ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/14(土) 00:01:59.79 ID:fQIzRvk5

 「いたた……慣れてないせいかなあ。これ、思ったより楽じゃないね。
  なんかグリップも安定しないし手のひら痛めたー。次、風子行ってー。」

ベリーショートの子は手をひらひらと振りながら交代の意志を示す。
今度は私を右側から押さえつけていた肥満体型の子が私の前に立った。

 「やっぱり普通にやるのが、一番いいんだってば。」

そう言うと私のお腹を狙って構えた。
と、不意に彼女と目が合う。

 「ふん。」

肥満体型のその子が私の目を確認して鼻で笑った。
そして低いフォームで、私のみぞおち目掛けて一直線に拳を突き出す。

 「抵抗する気も無いなら、さっさと土下座して謝ればいいのに!」
 ――――ドぶッ!!――――
 「はゥっ…!!」

謝る……?
何故?
私は何も悪い事はしていない。
していないはずだ。
一体、何を謝ればいいと言うのか ―――

 ――――ドボッ!!――――
 「うッ!!」

でも謝れば楽になるのだろうか。

 ――――どぼッ!!――――
 「うぁッ!!」

謝れば元の私に戻れるのだろうか。

 ――――どぶッ!!――――
 「がは!!」

分からない。私には何も分からない。

 ―――― ボムっ!! ――――
 「 う゛ッ!! あぁ………! 」

4人しか居ない更衣室。
お腹を打つ音と私の呻き声が響き続けた。
体を左右から押さえ付けられたまま、私のお腹はされるがままに拳を受け入れ続けた。
454ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/14(土) 00:02:40.98 ID:ykfAwXtq


そんな最中 私は頭の中で、ある光景を想起していた。


それは、はすみと初めて出会った時。
彼女を助けた時の事だ。

元々いじめられていたはすみは今の私とまさに同じ状態だった。

押さえ付けられて、おなかを殴られて、はすみはしゃくり泣いていた。
泣きながら涎をたらし、撒き散らし。おもらしまでして。
なすすべもなく弱々しく呻いているだけだった。

助けたのは、抗う事もしないような弱い子を救う為だった訳じゃない。
いじめていた側が仮にも私と同じ空手に携わる人間だったから許せなかっただけ。
後に、はすみは思っていたような弱い子じゃないと知る事になったけど、
その時は弱い子がいじめられているようにしか見えなかった。

今の私もそんな風に映っているのだろうか。
私はそんなに弱くなってしまったのだろうか。

――― 違う。

私は絶対、屈しない。
どんなに痛くても、酷い目に遭わされても。
諦めてしまえば今までの私が全て無駄になってしまう。
泣いたりするものか、謝ったりなんかするものか、負けてたまるものか。


 ――――どぼんッ!!――――
 「 ゴぶっ!!! 」
 ――――…ぽたたたたた…――――


渾身のストレートパンチに、私の口から涎が床に滴り落ちる。
もう完全に体に力が入らなくなっていて、左右の二人に支えられてやっと立てている状態だった。
455ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/14(土) 00:03:33.06 ID:fQIzRvk5

 「うっ……うぅ、ぅっ………」

意識が朦朧とし、視界がはっきりしない。気管も変に震えて、呼吸しづらい。

 「あっはは、風子、泣かした〜。」
 「美原ァ、そんなに痛かった?アハハハハーッ!」

目が熱い。そして目から頬を何かが伝っているのを感じた。

――― 誓ったそばから私は泣いてしまっていたのだ。

今の自分、今の状況、そして激しいお腹の痛みに。

 「あはッ。もういいや。」

そう言うと、押さえていた二人が私の体を壁に突き飛ばした。

 ――――だんッ!――――

もはや力が入らない私の体は壁に叩きつけられ、壊れた人形のようにずるずると頽れて床に座った。
崩れ落ちた私はそのままの体勢でしゃくりをあげるだけで、
体も、心も、私の何もかもが虚無感に満たされてしまっていた。

 「ふー、練習前に良い汗掻いたわ。」
 「クス、こんだけやれば今日の部活も安心じゃねー?」
 「今日は私の勝ちだから帰りに ――― 」

三人が口々に何か言いながら更衣室を出て行く。

一人残された私は、未だ痛むお腹にしゃくりをあげて泣く中、ゆっくりと目を閉じた。

あの音が聞こえる。
私の心が折れる、音。

もういい。もう、たくさん。
このまま目を瞑って、永遠の眠りにつければいい。
そうすれば、この痛みから、苦しみから、解放される。
死ぬ時くらいは許されたい。眠るように死にたい。

456ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/14(土) 00:04:35.02 ID:ykfAwXtq

 「 ――― せっちゃん。 」


あの子の声。
傷ついた私を何度でも癒してくれる、あの声。

 「せっちゃん……っ」

私は半分だけ瞼を開けた。
やはりそこにはあの子の顔があった。
優しげで柔らかく、安らぎと温もりを感じさせてくれる、あの子の顔。

 「せっちゃん、おなか………おなか、殴られたの?」

前髪越しに見るはすみは、今にも泣きだしそうな顔をしていた。

 「ホント ――― どうしたのさ、あんたらしくもない。」

突如、巴の言葉が激しく私を貫いた。

私らしく………ない?

私は……
空手は元より勉強でも運動でも努力を忘れた事は無い。
生まれ持った才能もあるかもしれない。
それでも常にトップであり、またそこに肉薄する位置に自分を置くよう努めてきた。

今までどんな事にも屈する事は無かった。
どんな困難も独力で切り抜けてきた。

それを私らしさと言うなら ―――

 「せっちゃん……口、拭かなきゃ。」

何時の間にか、はすみに安息を覚えるようになった今の私は私らしいとは思えない。
私らしくもなく他人に甘えている。
そして“いじめられる立場”に落ちた私が私であろうはずがない。

そう思った瞬間。はすみの優しさゆえの行動が、憐みや同情といった感情からくる非建設的な行為に見えた。
457ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/14(土) 00:05:37.96 ID:ykfAwXtq

私はそんな手は借りない!借りたくない!!

 ――――ばしんッ!――――

白いハンカチが宙を舞った。

 「ぁっ……」

衝動的に、と言っていい。
気が付けばはすみの手を叩いていた。

その時だった。
徐々に体の底から何かが湧き上がってくる感覚を覚えた。
今までに感じた事の無い感覚。
まるで、体の奥から黒い炎が立ち上るかのように、怒りにも似た感情が体中に漲ってくる。
苛立つ気持ちを抑止できない。

 「………………はやく、出てって。」
 「え…?」

こんな姿を晒している私は私じゃない。
早く一人になりたかった。
私は前髪越しにはすみを睨みつけ、絞り出すように言葉を放った。

 「早く行ってよ………!!」

私の言葉にはすみが後ずさりするように、二歩、三歩と下がる。
やがて私から目を外し、自分のロッカーを開けて道着に着替え、更衣室の出口へと向かった。

 ―――― カチャ………ぱたん ――――

はすみが出ていったのを確認すると、
いつの間にか乱れていた呼吸を鎮める為に精神統一する。

しかし内に宿った黒い炎は消える様子が無く、未だ私の中に灯り続けている。
それは、私にはまだ抗う為の力が残っているのだと思わせてくれた。


たとえどんな力でも。
この体に抗う力が残っているなら、私は私を取り戻すまでそれに頼りたい。
相手が死ぬまで痛めつけるつもりならそれでも構わない。
どんな手を使おうと。
どんなに打たれようと傷付けられようとも、元の自分に戻ってやる。


私は空手の道を歩んでから初めて、自分の髪を結わえた。



458ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/14(土) 00:06:47.58 ID:fQIzRvk5

以上です。
ありがとうございました。
459名無しさん@ピンキー:2012/07/14(土) 01:19:37.43 ID:3/lcT1Wu
>>443
簡単だがこんな感じでいいか?
とりあえず参加頻度の高いサークルをピックアップしてみたから追記、修正たのむ

・monochrome
 漫画。女の子同士の殴り合いメイン。腹界ではベテランの域。腹筋が特徴的。
・purgatory
 漫画。ジャンルの幅が広く、内容、キャラが良い。表情豊か。絵に動きがある。
・Suicide Black
 漫画。絵が可愛い。基本的に二次創作。内容は若干ライト。
・さるみあっき
 小説。さらっと読める内容。表紙にイラストあり。
・MWB
 漫画。買ったこと無いんでよくわからん。主催?
・Яoom ИumbeR_55
 小説。内容、キャラ共に良い。作風はダーク。参加者の中で唯一のエロ有り。挿絵のレベルが高い。
・雄猫屋
 漫画。ボクシングメイン。絵のレベルがかなり高い。
460名無しさん@ピンキー:2012/07/14(土) 01:20:17.15 ID:3/lcT1Wu
>>458
乙でした
ごちそうさまでした
461名無しさん@ピンキー:2012/07/14(土) 01:40:27.01 ID:UnPOqAl0
>>458
投下乙!
腹責めも最高だけど、主人公達もかっこいいね。
刹那もはすみもこれからもっと腹を痛め付けられて欲しいけど、つい応援したくなる。
462名無しさん@ピンキー:2012/07/14(土) 02:22:20.74 ID:dOkvvMXG
>>458
乙です
今回も良かった

>>459
ありがたい、小説は2サークルだけか…
委託販売してるのはpurgatoryとЯoom ИumbeR_55だけかな
463名無しさん@ピンキー:2012/07/14(土) 09:18:29.75 ID:+WsKIoz4
やはりミストさんは最高だぜ!
464名無しさん@ピンキー:2012/07/14(土) 09:40:10.20 ID:nlr+kfUc
ミストさん最高です!続きが早く読みたい☆
465名無しさん@ピンキー:2012/07/14(土) 11:07:28.66 ID:ZyOR402B
ミストさんお疲れ様でした!
この後の展開が非常に気になる。相変わらずドラマチックで、素晴らしいです。

>>462
Suicide Blackのコッペパンさんと、雄猫屋のTOMさんと、monochromeの夜凪さんと、
あと>>459で載ってないけど、越智多たいじさんもDL販売してるよ。
466名無しさん@ピンキー:2012/07/14(土) 12:22:08.28 ID:tlkKuif9
あれだ、ミスト氏のSSで明日のジョーの
看守がいないところで猿ぐつわ噛ませて高い所からジャンプして腹に飛び降りるアレを思い出した。
467名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 01:35:59.39 ID:OCq4w/5z
>>462
小説が好きなら55氏のは買って損はないと思う。
上にも書いてあるとおりダークな作風だけど、メッセージ性があるから読んでてハマる人はハマる。
468名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 22:19:28.50 ID:RTpSUdyf
そういえばコッペパンさんの買ってあったなあ
469名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 22:30:37.17 ID:d6iMs9ra
まとめサイトも更新停止してるし、腹パ参加者の情報兼ねたWikiでも作るべきかな
470名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 23:03:23.56 ID:IZVtPfEN
腹責めSSまとめを新たに作るのはいいかもしれないね。
ただ個人的な意見として、腹パ関係の話題はいい意味で盛り上がれていいかも知れない反面
荒れたりとか悪い方向で盛り上がる可能性があるから、容易に賛成はできないかなーと思った。
471名無しさん@ピンキー:2012/07/15(日) 23:16:26.07 ID:d6iMs9ra
腹パ関連の話が広がったら、委託販売とかしてくれる人も増えるんじゃないかなーとも思うんだよね
サークルさんがこっちに投下してくれる切っ掛けにもなるかもしれないし
472名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 00:16:41.11 ID:FbsVp3XA
そうなんだよね、賛成といえば賛成派ではあるんだけども。
ただやっぱり様々な理由で、腹パ関係の話題が出はじめると荒れるんだよね。
どうせこの後すぐにでも『SS版に関係ない話やめろカス』って言う人が現れるだろうしね。
念のためこの手の話は、ここ以外のところで話したほうがいいと思う。
少なくとも此処だと、『SSと関係ない話だから』っていう理由が成り立ってしまう。
473名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 00:47:26.30 ID:+lhO8r/6
やっぱりwikiが欲しいなぁ
個人的には行けないからこそ腹パの話題してもらいたいけど、ここにはアレルギーがある人がいるし
腹パや外部サークルの作風やまとめがあって、公式に腹パの話題オーケーな場所があればものすごくありがたい
474名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 01:08:54.42 ID:cizONwhU
でも、腹パ合作にもSSがあるわけだし…
ここでの話の種になるのなら良いんじゃないかなあと思うけど、難しいのかな。
「腹パ合作で○○みたいなシチュエーションがあったけど俺はああいうのが好きだ」みたいに話を広げていければ板ももっと盛り上がるんじゃないかなと。

>>腹パの話題オーケーな場所
『腹パンチに萌えるスレ 16発目』のスレッドじゃだめですかね…?
475名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 01:20:13.61 ID:FbsVp3XA
そこでいいんじゃない?少なくとも此処よりは風当たりは少なそう。
前向きに捉えて盛り上がれる人は大いに盛り上がれそうだけど、実際過去を振り返ると
特殊かつ超粘着質に荒らす奴や、文字通りアレルギーを起こすような人もいる。
そっちで出たネタに興味がわいたら、こっちでSSにすればいいだけのこと。
476名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 01:22:23.65 ID:FbsVp3XA
・・・て書き込んだ直後であれだけど
『腹パンチでリョナ』ってスレッドの方が、腹パの話題OKな感じだった。
477名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 01:34:07.79 ID:hApJkBZq
質問なんですが、
ssを保存してまとめてるサイトは何故part6で
更新停止してるんですかね?
478名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 02:12:48.90 ID:+lhO8r/6
腹パもそうだけど、職人自体に敵意を持ってる人もいるよね
俺に外部サイト作る力があればなぁ
479名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 06:28:46.74 ID:DqjE0gFV
ログ見直してたんだけど、
スレが荒れる→腹パ行けない奴の僻み乙
って流れがあっただけで、別に腹パが荒れる原因な訳でもないような…?

他力本願で申し訳無いが、誰か詳しい人Wiki管理してくれないかな
480名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 10:50:18.71 ID:LMFisWm4
才能のないニートが、SSで稼いでる職人に対する嫉妬を吐露してるだけだよ
481名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 11:01:23.76 ID:FbsVp3XA
大分的を得た話だけど、職人からすればその『SSで稼ぐ』っていう表現自体が
中傷に当たる可能性があることを覚えておいたほうがいい。
本人達はあくまで自己満足で作っている上に、基本的にはみんな制作費が
売り上げを大きく上回る。赤字になってでも好きで作ってる人が殆どだから。

念のため、続きは『腹パンチでリョナ』に書くことにした。
482名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 11:43:48.44 ID:VKnvwZyy
金儲け、って話題で腹パ参加者何人か荒れてたもんなあ
483名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 11:56:27.18 ID:cizONwhU
>>477さんの言葉で思い出した。良い機会だからSSまとめサイトで過去作品に浸ってこよう。
484名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 19:24:54.91 ID:DqjE0gFV
一応貼っときますね
ttp://harapanonly.wiki.fc2.com/wiki/
485名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 19:32:15.71 ID:DqjE0gFV
486名無しさん@ピンキー:2012/07/16(月) 23:18:39.21 ID:Oz9Uqibk
wiki乙
カミウミの人とか恭子の人みたいに、完全名無しで複数作品書いてる人は、作者別のまとめが大変そうだ
487名無しさん@ピンキー:2012/07/19(木) 18:08:19.01 ID:gcepehFA
ネットでダダ絵ダタSSを拾ってオナってる乞食は作品に価値が無いと思い込んじゃうんだろ

創作物を手に入れるのに金払うのは当たり前です。
タダより高いものは無い、ってのは勘違いしてると馬鹿に見られて敬遠されますよって意味も含んでるんだろな
488名無しさん@ピンキー:2012/07/19(木) 18:20:17.29 ID:8ToNssUa
http://www.geocities.jp/monstersempire/custom/photct/dada1.jpg

まあそれはともかく、作者に対して評価してるよって応援する意味もあったりするよね、同人誌買うの
489名無しさん@ピンキー:2012/07/19(木) 23:43:50.97 ID:ewMz5/ZI
さりげなさすぎて一瞬何事かと思ったわw
490名無しさん@ピンキー:2012/07/20(金) 00:38:06.98 ID:z7iWaSli
ダダ絵かw
491名無しさん@ピンキー:2012/07/20(金) 01:08:34.54 ID:yUHbEO6r
ダタSSはよ
492名無しさん@ピンキー:2012/07/20(金) 07:41:43.78 ID:JBrvVGwQ
中流以上の生活をしている人に頼めば?
493名無しさん@ピンキー:2012/07/20(金) 07:47:57.49 ID:IPce6NGd
>>491
それ読みたいか?
…いや読みたいな。
494ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:06:25.52 ID:V9c1Nw2W
前回読んでくださった方、感想くださった方、ありがとうございました。
投下させて頂きます。よろしくお願い致します。
495ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:08:16.00 ID:V9c1Nw2W

朝。

今日は生憎の雨。
道行く学生やサラリーマンは皆一様に傘を差し、雨に煙る街並みをカラフルに彩っていた。

 「 ――― もえたん、おはよう。」

ミディアムほどの長さの黒髪で小柄な少女・楠瀬 はすみは、
縁が薄桃色の白い傘を揺らしながら朝の挨拶をかけた。

 「ぐ・もろん。はすみ。」

黄色が基調の、茶色や白が混じるグラデーションプリントを施したお洒落な傘を手にする、
ブラウンのショートヘアの少女が挨拶を返す。

 「……せっちゃんは……?」

今しがたはすみに挨拶を返した少女、富沢 巴はその問い掛けに対し、神妙な面持ちで黙って首を横に振った。

 「いつもより早くここに来たけど、刹那、見なかったよ。」
 「そう…」

巴の答えにはすみは寂しそうに俯く。
そう、いつもならとっくに来ているはずの美原 刹那は、今日は三人の待ち合わせ場所に来ていなかったのだ。

 「……少しここで、せっちゃん、待ちたい。」
 「待っても無駄だと思うよ。」

はすみは目線を伏せたままお願いするように言ったが、巴は即座に拒否の意向を示す。
そして続けた。

 「刹那なら遅れたらメールや電話してくるもん。」
 「うん………でも、昨日は辛かったと思うから、きっと疲れて寝坊しちゃってるとか ――― 」
 「そっちの可能性の方が低いよ。刹那ならそういう時こそ気を付けてるはずだし気回しするはず。
  はすみも知ってるはずだよ?」
 「………うん。」

はすみは返事をして俯きかげんのまま歩き出し、巴もそれに合わせて歩を進めた。

 「あたし、はすみが来るまでの間にあたし刹那に電話かけたけど出なかったんだ。」
 「………」
 「まあ、なんとなくこうなる予感がしてたんだけどね。」
496ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:09:23.81 ID:V9c1Nw2W

そう言った後、暫し間を置いてから巴が再び口を開く。

 「はすみぃ………。」
 「なあに?」
 「はすみはさ、どうするつもりなの? 昨日、あんな事言ったけど。」
 「 ……… 」

はすみは思わず返事に詰まった。
あんな事……それは、昨日の帰り際の出来事。


     ――――――――――――――――


 「はっ………、話があるの。」

部活動を終え、大勢の女子部員達が格技場から出ていく所。
そんな中、はすみはその集団の先頭を行く菊池 聡美の前を塞ぐように立ちはだかりそう言った。

 「話…?」
 「ぅ、ぅん……」

黒髪でポニーテールをした菊池 聡美は、その一重瞼の瞳で威圧するようにはすみを捉えている。
それだけでも十分に彼女を緊張たらしめていたが
その上にはすみは今、自分と刹那を除く全部員を視界に収めている状態。

緊張と恐怖のあまり目は潤み、膝は小刻みにかくかくと震えていた。

 「………ふぅん。」

その様子を見た菊池 聡美は嘲りの笑みを浮かべた。

 「ッざってーんだよ!帰る邪魔してんじゃねえよ楠瀬!!」

色黒でがっしりした体格の女子部員が、集団の後方からはすみに罵声を飛ばす。
はすみはその剣幕に気圧され、思わず後ずさりしそうな姿勢になる。
しかし菊池 聡美は振り返って彼女を宥めるように言った。

 「待って、エリカ。そんなに時間は取らせないわ。」

そしてはすみの方に向き直る。

 「今は皆の帰りを邪魔する事になるわ。それはあまり良くない事だって分かってやっているのね?」
 「ぁ………」
 「何の話かは分からないけど、皆の足を止めてしまう程の権利はあなたに無いでしょう?」

はすみは完全に籠絡され、沈黙してしまった。
そんなはすみを見て菊池 聡美は不敵な笑みを作る。
497ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:12:35.31 ID:V9c1Nw2W
 「明日のお昼休み。視聴覚室。」

身長差があるため少し体を傾けてから彼女ははすみに言った。

 「は……っ。」 
 「お話しましょ。お昼ごはんの時間はちゃんと残すわ。待ってるからね?」
 「ぅ………うん。」

はすみは緊張に固まる中、なんとか返事を返した。

 「おーい、お前ら何やってるんだ?揉め事かあー?」

格技場の戸締りをしていた空手部の顧問・河東が格技場の入口の方から、
大勢で固まっている女子部員達に大声をかけた。
菊池 聡美はゆっくりとその声に振り向く。

 「何でもないですよ。ちょっと反省会をしていたところなんです。すぐ帰りますね。」

菊池 聡美は河東に対して、はすみに向ける笑みとは180°違った笑顔を作りつつ答えた。

 「そうかあ。寄り道しないで帰れよー。」

河東はそう言うと中に入り格技場の扉を閉め、鍵をかけていた。

 「………もういいでしょ?」
 「ぁ……ぅん……」

菊池 聡美の無言の促しにはすみが道を譲ると、女子部員達はこそこそと話をしながら下校を始めた。


     ――――――――――――――――
498ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:13:32.06 ID:V9c1Nw2W

 「 ――― いったい、何の話をするつもりなのさ?」

その時、集団の中から見ていた巴が、はすみの真意を問い質す。
はすみは少し困ったように答えた。

 「………わかんない………」
 「ぅおおいっ。」

巴はその返答に呆れ、思わず大声を上げた。
しかしはすみは続ける。

 「わかんないけど……でも、何かしなきゃって思うの。
  何かしないと、大変な事になっちゃう気がする……」
 「………まあね。」

その部分に関しては巴も同じように感じていたようで相槌をした。

 「あたしはさあ……正直な話、何していいかわかんないんだよねー。」

少し上に目線を上げ、誰ともなく心中を言葉にした。

 「何を言っても伝わらない気がするし。やってやれそうな事も浮かばないし。
  それに何より向こうから干渉するの拒否ってる気がするし。」
 「うん………でも。」
 「でも?」

はすみは俯いていた顔を上げ、前を見据えて言った。

 「それでも何とかしなくちゃ。」


499ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:14:43.35 ID:V9c1Nw2W


            『 贖罪の巫女 』



昼休み。

 「 ――― で。本当に一人で行くん?」

4時限目終了後、席をすぐに立つはすみを見た巴が問いかけた。
しかし、はすみは振り返って笑顔を返す。

 「うん。二人でした約束だから、一人で行かなくちゃ。」
 「ふーん。…ま、頑張んな。気をつけなよ。」

巴は何食わぬ顔でそう言いって、ひらひらと手を振る。
はすみはそれに軽く手を振り返すと教室の出入り口に向かった。


       ――――――――――――――――


視聴覚室の前。


 「え……っ。」

はすみがそこに着くと、菊池 聡美と数名の女子空手部員が居た。

 「来たわね。」

菊池 聡美が前に出て、自分達を見て固まってしまったはすみに声をかけた。

 「心配しなくても今日はちゃんと私一人で話すわ。」

そう言うと今度は後ろを向いて数名のうちの一人、背が低めの子に声をかける。

 「ひろ、鍵かして。」
 「ん。はい。」

ひろ、と呼ばれた子から鍵を受け取ると顔だけはすみの方に向けて、再び話しかけた。

 「時間が勿体無いわ。さ、行きましょ。」
 ―――― ガチャ ――――

そう言って視聴覚室の扉を開けた。

 「うん………」
 ―――― キ……バタン ――――

はすみと菊池 聡美の二人が中に入った所で扉が閉められ、鍵が掛けられた。

 ―――― カチャ ――――



       ――――――――――――――――
500ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:15:52.81 ID:V9c1Nw2W

放課後、部活。

はすみと巴が格技場に着いた時だった。
入口に差し掛かかり小ホールに居ると、ちょうど刹那が更衣室側の通路からこっち歩いてくる。

 「あ…せっちゃん。」

はすみは声をかけた。
が……

 ――――ガラガラ………――――

刹那はそれに反応する様子も見せず、避けるような素振りも見せず。

 ――――……ガララ……ぱん……――――

静かに道場内に消えていった。

はすみは思わず巴と顔を合わせてしまうが、
巴は両手を横に広げ、欧米風の呆れ返ったポーズをしてみせた。


 「なーんかねえ。似てるんだよねぇ……」

更衣室で着替えている最中、独り言のように巴が口を開いた。
はすみが反応し、その言葉の意味を問う。

 「似てる?」
 「うん。今の刹那、あんたと出逢う前の刹那にそっくり。……見ようによってはもっと酷いかも。」
 「どういう風に違うの?」
 「それはあんたも今感じてるんじゃない?愛想無くて冷やかで、何でも自分一人でやっちゃって。
  はすみと逢うまでは刹那の笑顔なんて超レア物だったよ。」
 「……そうなんだ。」

はすみは自分と会った時からの刹那しか知らない。
出逢った頃の記憶を辿ると、朧げながらだがそうだった気がする、という程度には思い出す。
でも刹那の事を多少なりと知った今となっては、巴が言うほど違う刹那は想像できなかった。
501ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:17:35.34 ID:V9c1Nw2W

       ――――――――――――――――


 ―――― どぼッ!! ドっ!! ズボっ!!――――
 「 ふッ!! ぐッ!! うッ!! 」

揺れる丸めた背中と一本結びの長い髪。

 ―――― ドムッ!! ドスっ!! ――――
 「 くッ!! ぅん゛ッ!! 」

今にも崩れ落ちそうに震える膝。

 ―――― ドブっ!! ――――
 「 ぎぅ゛ッ!! 」

飛沫を飛ばす、歯を食いしばった口。

悪意を含んだ残酷な突きが、端正でしなやかな肢体を容赦なく蹂躙する。
刹那のお腹は今日も拳を受け入れていた。
それは、最近では珍しくもない、いつもの光景だった。

 「 ――― ねえ、はすみ……」

今日ははすみの隣に座って組手を見ていた巴が小声で話しかけてきた。

 「うん?」
 「……全然変わってないじゃん。あんた昼に話、してきたんでしょ……?」

巴は僅かながらも期待していただけに、思わずはすみを責めるような言い方で聞いてしまった。
はすみは、その言葉に俯いてしまう。

 「……お話、したよ。でも……」
 「…でも…?」

 ―――― どッ!、バンッ!、ばしんッ!! ――――

音が変わった。
二人が振り向くと、刹那は蹴りの戻り動作の状態だった。
やや斜め後ろ側に倒れる相手、土戸 衣里佳の状態と刹那の体勢を見る限り、
おそらく刹那が強引に捻じ込むように、コンビネーションから上段回し蹴りを決めたのだろう。

 「一本!!それまで!」
502ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:18:30.26 ID:V9c1Nw2W
 「はァ、はァ、はァ……」

刹那の空手と言えば、一言で言うと“華麗”という表現になるだろう。
それは、高い技術とスマートな戦い方、尚且つ華やかさをも持ち合わせた本来の刹那に相応しい形容だ。

本来なら格下の相手にやられるだけやられて強引に突破口を作り、勝ちを収める。
今の組手を見る限りやはり刹那らしくない姿だったと言わざるを得ない。

 「……ほら、エリカなんかの相手にあんなに手こずってるんだよ……?」

刹那は組手後の礼儀作法を終えると蹌踉として試合コートを出ようとしたが、
自分が向かう方向にはすみ達を確認したため、踵を返し、わざと反対方向から試合コートを出た。

 「せっちゃん………」

はすみはその姿を見て寂しそうに呟いた。
そしてまた俯くと、巴に言った。

 「……もうすこし。もう少しだけ、様子見てて……」
 「………ふぅむ、あたしも何も出来てないからはすみを責めるのは違うけどさ………ゴメン。」

巴は片手でくしゃりとはすみの頭を撫でて謝り、引き下がった。


部活終了。

はすみはいつも通り、真っ先に刹那の元に向かう。

 「せっちゃんっ、今日の。れん……しゅぅ………」

駆け寄って声をかけに来たはすみの脇をすり抜けるように、刹那は足早に出口へ向かっていってしまった。
はすみはそれを目で追う事しかできなかった。

 「おーい、巴ぇ!ちょっと来てくれー!」

女子部員達の、解放感から盛り上がる談話を引き裂く、河東の大声。

 「楠瀬、悪いがお前もちょっと残ってくれ。」
 「はい。」
503ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:19:16.54 ID:V9c1Nw2W
 「もー、何さ?」

既に出口付近に居た巴は明らかに不機嫌そうだ。
河東は刹那が居なくなったのを確認してから小声で切り出した。

 「美原がどうもおかしいんだ。お前ら、何か知らないか?」
 「えええ、今更ー!?」

この問い掛けに巴が見下げ果てたような態度。

 「いや、前々から様子が変な事は気付いてたんだ。だから ――― 」
 「ていうかもうそんな話してるレベルじゃなくなってるんだってば。……なんかイラッとするな。」
 「………」

巴が苛立つ中、はすみが少し困るような、悩むようなしぐさを見せていた。
その雰囲気を感じ取って、河東がはすみに問い掛ける。

 「楠瀬、何か知らないか?こう……原因になってるような事とか。何かしてやれる事でもあればいいんだが。」
 「………」

はすみは迷っていた。
自分が知っている事の全てを話した方がいいのかどうか。

 「あたしは打つ手ナシ。だから、やること無ぁし。あたしが聞きたいくらいだっ。」
 「おい、幼馴染のお前がミもフタもない事言うなよ……」

巴は今更ながらの問題提起に完全に会話を放棄したような態度。
しかしそれも無理も無いというもの。
恐らく長い付き合いの巴だからこそ隔靴掻痒とする部分もあるのだろうから。

 「あの……」
 「ん?何か良いアイデア見つかったのか?楠瀬。」

はすみは考えた末、ある結論に辿り着いた。
話しても刹那が元に戻らないということ。
少しでも刹那の助けになる事をするしか無いということ。

だからこう答えた。

 「もう少し、しばらくの間、せっちゃんを見守ってあげてください。」

はすみは目を伏せてそう進言した。

 「さっきもそんなこと……って、はすみ、まさか。」
 「ん?何だ?」

504ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:21:11.68 ID:V9c1Nw2W

       ――――――――――――――――



翌日。

昼休み、視聴覚室前。


はすみは昨日と同様、同じ時間にここに来た。
そしてやはり菊池 聡美と数名の女子空手部員が待っていた。

 「約束通り、来たわね。」

そう言ったのは菊池 聡美。

 (……松本さん。土戸さん。御堂さん。井出さん……)

菊池聡美の他には4人が居た。

 「………」
 「それじゃあ、入りましょ。」
 ―――― ガチャ……キィ…… ――――

御堂 洸が鍵をあけ、ドアを開く。
はすみが入り、そして菊池 聡美が入る。
そしてその後をずらずらと4人が続く。

 ―――― キ……バタン……ガチャ ――――

最後尾の御堂 洸がドアを閉め、鍵を掛けた。

視聴覚室の中は扇形になっており、固定式の机で外側の弧に近づくにつれて段がつき、床が高くなっていた。
孤の内側にあたる部分に教卓があり、その後ろにはスクリーンが設置されている。
また、部屋は防音設備が設けられており完全防音となっている。

教卓の周辺は広めのスペースがあり、5人はその辺りにぞろぞろと集まっていった。
はすみもその後を追って進む。

 「それじゃ、友好を深めましょう?」

菊池 聡美がそう言うと、
金髪ロングヘアで垂れ目の少女
カントリースタイルのツインテールの少女が、はすみを両サイドから押さえつける。

 「ぁっ……」
 「そんじゃ、まず私から。」
 (……土戸さん……)

色黒でショートヘア、体格の良い子……昨日、刹那が組手の相手をした土戸 衣里佳がはすみの前に立つ。

 ―――― ぱあんッ!!――――
505ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:23:22.69 ID:V9c1Nw2W
 「あぅっ」

彼女ははすみの頬を手加減せず、思いっきり引っ叩いた。
しかしはすみのダメージはあまり無いようで、触れた頭を元の位置に戻す。

 「菊池さん……わたしたち、仲良くするって……」

はすみは菊池 聡美の目を訴えるように見つめて言った。
その問いに菊池 聡美が答える。

 「そうよ?でも、今まであなたは私達と仲良くしようとしなかった。」
 「ぇ………?」

この言葉にはさすがにはすみも疑問を覚えた。
刹那や巴と友達になる前に暴力で接してきていたのは彼女達の方だった。
それにはすみは部活で誰に対しても挨拶を欠かした事は特別な場合を除いては皆無だ。
いつも挨拶はしていた。
むしろ彼女を無視していたのは、今、自分を取り囲んでいる5人の方だった。

 「そんなっ、わたし……っ」

歩み寄ろうとしているつもりだった。
友達になれればと常々思っている。
皆に溶け込みたい。

はすみはそう伝えたかった。
しかし菊池 聡美はそんな彼女の願いとも取れる主張に聞く耳も持たず、続けた。

 「長い間“そうしようとしなかった”。それなのに今になって簡単に“はい友達です”って不自然だと思わない?
  代価は大きいわ。それならそれなりのスキンシップが必要なの。わかる?」

 ―――― ぱあんッ!! ――――

土戸 衣里佳が今度は反対の頬を叩いた。

 「 ――― エリカ、顔はだめって言ったでしょ?他の奴や教師はともかく、河東が気付いたら大変よ。」
 「ゴメン聡美。なんかこの平和そうな顔見てるとつい。
  大した顔じゃないから多少潰れても良いだろうけど、でも、もうやめとく。」
 「そういうこと。だから、おなかにしておきなさい?」

 「!!」

はすみは菊池 聡美の言葉に、一瞬にして青ざめ、そして慌てた。

 「待って、お願いっ。」

エリカと呼ばれた少女が拳を引く。
506ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:24:38.07 ID:V9c1Nw2W

 「 わた 」
 ―――― どぷっ!!! ――――
 「 すっ!!!! 」

はすみの目はかっと見開かれ、体はビクン!と大きく痙攣した。
ブラウス越し。
エリカの大きな握り拳は、はすみのへそを捉え、おなかにその身を全て隠さんとばかりに潜り込んでいた。

 「あははははぁ、“わたす”だってぇ。放言みたぁい。」

はすみの右側から押さえつけている松本がその様子を見て大笑いした。

 「今、すごいびくんってしなかった?ウケるー。」

左側を押さえつける井出も同様に笑う。

 「ぅ……ぅ………」

拳におなかを占領され、依然、硬直状態のはすみ。
エリカが拳を引き抜く。

 「ぅ、ぁぁ……っ」

すると、一瞬にして全身の力が抜け、体が崩れ落ちる。

 「おっととぉ。」

慌てて両サイドの二人がはすみの状態を引き上げた。
はすみの首はぐらぐらと座らない状態。

 ―――― ………ぽたたたたたた……… ――――

閉じられた瞳から涙が、そして口からは涎が滴り落ちていた。

 「あれ、気絶しちゃってるよ?」
 「あっははぁ、よわぁい。」

はすみのおなかの弱さを考慮に入れていない残酷な拳は、たやすく彼女の意識を奪っていた。

 「じゃあ、気付けしなきゃ。」
507ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:25:59.55 ID:V9c1Nw2W

はすみを除く5人の中では一番小さい御堂 洸がはすみのおなかの前に立つ。
すると、おもむろに片手ではすみのおなかを鷲掴みにした。

 ――――…… ぐにぃッ ……――――
 「 ――― っ!! はあぁっ!!」

その途端、失っていたはすみの意識は一瞬にして引き戻された。

 ――――…ぐぐ、ぐに、ぐに…――――
 「ああっ、あうう! ぅ、うえぇ、うあぁあぁあ!!」

痛みと苦しさと気持ち悪さに、はすみは髪を振り乱して嫌がった。
御堂 洸の5本の指ははすみのおなかを、勢いをつけるように何度も握る。
しかも悪い事に小指がはすみのおへそに刺さるように食い込んでいた。

 ――――…じょばっ!…――――

 「わぁっ」

はすみのスカートの中……ふともも と ふともも の間からおしっこが勢いよく漏れ出した。

 「何この子ぉ、おもしろぉい。」
 「えー、おしっこなんて漏らす?フツー。」

両サイドの二人、松本は大笑いしているが、井出の方は気分的に萎えてしまったようで
まるで汚い物でも見るようにはすみを横目で見ていた。

 ――――……ぐにににに……――――
 「 あうっ! あぅ、ぶブ、うううぅうぅ!!」

溢れ続ける涙、滲み出る汗、吐き出される涎の塊、垂れ流しのおしっこ。
はすみのおなかを蹂躙する5本の指、
それはまるではすみの体から体液を絞り出しているかのようだった。

 「ひろー、もういいよー。気がついたから。」

井出がそう言うと御堂 洸の5本の指は、やっとはすみのおなかを許す。
はすみはそれを合図のように脱力し、かくん、と首を前に倒した。
508ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:27:11.20 ID:V9c1Nw2W

 「あはは、だめ、面白すぎるぅ。」

松本は未だはすみの苦しむ姿、その滑稽さに笑いの余韻が残っているようで笑いが止まらない状態。
床には、はすみから絞り出された体液の水たまりができている。

 「ねえ、聡美。早く終わりにしようよー。こいつ臭いし。」
 「そうね………」

菊池 聡美ははすみの前までいくと、指ではすみの小さな顎をくいっと持ち上げ、顔を確認した。

 「……ぅぅ……ぅ……」

はすみは瞼を閉じて泣き、力なく呻くのみ。
その様子を見た菊池 聡美。

 「 ――― 限界ね。今日はこのくらいにしましょ。………ほんとに臭いし。」

そう言って手を離すと、はすみの頭ががくんと落ちる。
菊池 聡美は出口に向かって歩き出し、そして背中越しに言った。

 「エリカ。締め。」

そう言うと松本と井出はぐったりしたはすみの体を定位置まで持ち上げ、エリカは低姿勢で構えた。

 「 シュッ 」

エリカの体が横に回転する。

 ―――― どぱんっ!!! ――――
 「ふうぅっ!!!」

それは、わざわざおなかに狙いを定めた強烈なバックブローだった。

 「 げぽおっ 」

松本と井出が手を離すと、涎の尾を引きながらはすみは前のめりに倒れ込む。

 ―――― びちゃっ ――――

自分の水溜まりに頭から突っ込み、はすみはそのまま動かなくなった。
509ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:29:14.63 ID:V9c1Nw2W

 「あはは、ちゃんと自分で掃除して出ろよ。」

エリカがそう言い鍵をはすみの背中に投げ捨てると、全員が出口に向かった。
全員が出口に集合すると、最後に菊池 聡美がはすみに声をかける。

 「 じゃあ ――― また明日、ね。 はすみ、ちゃん。 」

 ――――…キ………バタン………――――
 
そう言い残して扉が閉められた。

 「ほんっと、あいつって腹、弱すぎだよねー。」
 「あはははぁ。面白かったからぁ、私は満足ぅ。」
 「ヨーコ、あんた笑いすぎだってば」
 「ひろ、あんた次はやんないでよ。臭いから ――― 」

4人ははすみを嘲り笑いながら口々に話していた。
先頭を行く菊池 聡美。
彼女はぎらぎらした目で、何か考えているようだった。

ふと、はすみの顎を触った指を見ると涎がついていた。

 「 ………………くさっ。 」

彼女は手についた涎を壁になすりつけ、平然と自分の教室へと戻って行った。



       ――――――――――――――――



視聴覚室。

まるで雨に打たれたかのように濡れて横たわる少女が一人。
彼女は意識こそ辛うじてあるものの、体の力が失われたまま動けずにいた。

自分の池に浸かって動けないまま、思いを巡らせていた。

 ( ―――……せっちゃん……――― )

彼女が大好きな親友、美原 刹那に対して。

 ( ――― もう大丈夫。大丈夫だからね ――― )

まるで祈りを捧げるように、心の中で語り掛けていた。

 ( ――― せっちゃんなら、きっと大丈夫だから……
       だから元に戻ったら、また一緒に居てね ――― )

はすみはゆっくりと瞼を閉じる。


 ( ――― こんどは、わたしが守るからね ――― )




510ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/21(土) 02:30:34.57 ID:V9c1Nw2W

以上です。
ありがとうございました。
511名無しさん@ピンキー:2012/07/21(土) 07:07:03.18 ID:4g1Qy8q8
失禁キタ!
色んな責めが見れて良いですね。

コンスタントに作品を投下して貰えるのはありがたい。
応援してます。
512名無しさん@ピンキー:2012/07/22(日) 14:25:23.01 ID:6tdl2s0O
シャーのツイート見てると、やっぱりイジメって苛められる方が悪いんだと思えるな。
性格が悪いから嫌われて苛められる。
513名無しさん@ピンキー:2012/07/22(日) 16:07:04.07 ID:mkkh2QSD
職人は全員童貞
514名無しさん@ピンキー:2012/07/22(日) 16:30:24.81 ID:5gJ4676B
すばらしいです!
せっちゃんの今後も気になります☆
515名無しさん@ピンキー:2012/07/22(日) 19:12:37.59 ID:6tdl2s0O
つれーわー リア充爆発しろって言われ過ぎてつれーわー
周り中が言ってくるからなー
あの言葉嫌いだわー これ以上なくムカつくわー
ホント皆が言うからなー
つれーわー
516名無しさん@ピンキー:2012/07/22(日) 20:39:55.74 ID:9NzS8XVi
なんだいつもの奴か
517名無しさん@ピンキー:2012/07/22(日) 21:47:10.98 ID:8Yv6UZWH
予定調和ですなぁ。
518名無しさん@ピンキー:2012/07/23(月) 15:54:51.57 ID:A4qUoK2a
ミストさんサイコー!

失禁してその水溜りに突っ込むとか、ミストさん分かってる!
519名無しさん@ピンキー:2012/07/24(火) 00:45:03.45 ID:lB/lPzrD
ねちねち責めいいっすね
520名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 22:08:12.78 ID:KhKQ/bYJ
実際女の子のお腹殴ったらどんな声を出すんだろうね。

「――かはっ」

「げふぅ!?」

「ぐうえぇぇうええ!」

「ごはぁぁあ!!」

うーん、どれだろ?
521名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 22:44:57.23 ID:kdCNMkRn
マジレスすると声出せない
522名無しさん@ピンキー:2012/07/26(木) 22:58:25.82 ID:WwkugjjR
ずっと前に読んだ、相手の了承を得た上でやった事がある人の小説があったが
それに倣うと「ふっ!」と「うっ!」の中間らしい。
それで上記レスのように、身をすくませて悲鳴はあげない。
…らしい。
523名無しさん@ピンキー:2012/07/28(土) 07:39:09.16 ID:iZg/FFL5
喧嘩や格闘技した事あるならわかるはず
男も女も症状の大小は違えど基本的に変わらない

思いっきり油断した腹に入れられると・・・
下腹を下に思いっきり引っ張られたように鈍痛がして、
腰が抜けたように崩れ落ち、
呼吸困難で声が出せないが嗚咽は止まらないので、
口が鯉のようにパクパクしてしまう
軽いショック状態のようになる
痛みは時間が経つほどひくが、局部的に鈍痛と痺れが数週間残る事も
内臓にダメージがあると数日後に急変して死に至ることもある

腹パンを極めたいなら誰かにマジで殴ってもらうのもいい
責任は持たん
524名無しさん@ピンキー:2012/07/29(日) 15:22:36.83 ID:IyiRotFE
おえええって声出した子いる
525ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:26:19.43 ID:wZ0o4PEP
前回、色々な意見や感想ありがとうございました。
雑談中ですが失礼いたします、投下させて頂きます。
526ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:30:05.73 ID:wZ0o4PEP


窓に夜の闇を映す格技場、その道場内。


女子空手部の活動は終盤を迎え、
ここのところ当たり前のように行われている実戦組手方式での稽古に及んでいた。

 「正面に礼ッ!」

私にとっては部活以外でも幾度となく繰り返してきた礼儀作法。
号令に倣い、体は自然に反応する。

 「お互いに、礼ッ!」

ただ今までと違うのは……
私の中ある、新たに熾された黒い火種。
今までの私が持ち得なかった、抗う為の新しい力。

 「構え!」

河東 先生の号令に構えをとる。
それと同時に暗い昂りが“私”を満した。

 「始めェ!!」

逸る心。漲る力。
衝動を抑えられず、私は素早い運足で相手との距離を縮めた。

 ――――どゥ!!――――
 「く゚ッ!」

しかしその出鼻を挫くように突き出されたつまさきが私のお腹に突き刺さり、
私は一瞬動きを止めてしまう。
これまでに痛めつけられてボロボロになったお腹には、それだけでも堪えた。

そんな事はもう了知していると言わんばかりに、
次は相手が自ら踏み込み私のお腹を狙ってきていた。

 「くっ……!」
 ―――― ぱしッパンッ ――――

左右の拳がお腹を襲う。が、私だって狙われるのは重々承知している。
ふたつの拳をパリイングで捌く。

 ―――― どっ! ――――
527ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:31:14.07 ID:wZ0o4PEP

 「うッ!」

しかしみっつめを捌き損ね、左の拳を右の脇腹で受けてしまう。
私は痛みに身をよじり、後退しそうになった。

その瞬間、あの黒い炎が私の中で音を立てて立ち昇った。

 (この………!!)

それが抗おうとする私の体を後押ししてくれた。

 ―――― どっ、ドムっ! ――――
 「ぐっ、ぐぅッ。」

更に二発の拳をお腹の真ん中で受け止めてしまう。
それでも構わず、私はそのまま反撃に転じた。

次の相手の中段突き。しかしそれより速く。

 ―――― ドッ、ドッ、ドッ ――――

相手の胸、正中線に私の三発連続の正拳突き。

 「ぐはッ……!」

それに怯み、相手は後退の気配を見せる。

 (逃がさない…!!)

さがるより先に両手……リストとリストで相手の首を挟み込み、
相手の頭部や腹部を狙って自分の膝をしたたかにぶつけた。
ぶつけ続けた。

 ―――― ガッ、ドシィ、ガツッ ――――
 「く、が、うあッ。」

しかし相手はタイミングを見て姿勢を低くし、滑りぬけるように後退して私の首相撲から抜け出す。
私はそのせいで空振りした右足を、一瞬、地面に降ろし
そこから右の上段回し蹴りで相手の頭を追って蹴り抜いた。

 ―――― バシィンッ!! ――――
 「 がっ…… 」

 「一本ッ!」
528ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:32:02.71 ID:wZ0o4PEP


相手が膝から崩れ落ち、一本の宣告。

私の、勝ちだ。

組手終了の礼儀作法を終え、試合コートから出ようとする。
と、その際、河東 先生が私に声を掛けてきた。

 「美原、ちょっと硬いぞ。それに不自然に力が入りすぎだ。もう少し ――― 」
 「不服でしたら、練習からも大会からも除外してもらって構いません。」
 「お、おい……」

先生の忠告を馬耳東風として場を後にした。

自分の事は自分がよく分かっている。
ここに来てやっと見いだした光明。
今の私には必要な物で、今はこの力に頼る事が最良の策なのだ。



そして部活終了後。
ご多分に漏れず、はすみがいつも通り私に駆け寄ってくる。

 「せっちゃん、今日……」

はっきり言って、鬱陶しかった。

 「 ぁ…… 」

はすみが言い切る前に、私は平然として髪を一本結びにしていたゴム紐を解きながら、彼女の横をすり抜けた。


これで良い。
はすみと一緒に居ればあの子に甘えてしまう。
あの子の心は私を弱くしてしまう。


私は、これで正しいのだ ―――


529ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:32:57.56 ID:wZ0o4PEP


          『 κάθαρσις 』




 (これで!!)

 ―――― ずぼおッ!! ――――
 「ぶがっ!!」

私の中段正拳突き。
肥満体型のみぞおちに深々と埋る拳……手応え十分な感触だった。

 「一本!!」

 「ぐふッ……」

汚らしく涎を垂らし蹲る相手の子。
私は早々に開始線に戻り、その様子をただ見つめていた。

 「おい高木。大丈夫か、立てるか?」

河東 先生が肥満体型の子に近寄り声をかけていた。

……正直、早くして欲しかった。
そんな三流を相手に時間を無駄に使って欲しくない。

それにしても呆れる。
私のお腹を散々痛めつけた相手が、ボディに沈む。
滑稽だ。

 「お互いに、礼ッ!」

私は試合コートの外に出た。
しかし私はうっかりはすみの居る方に出てしまった。
はすみは寂しそうな瞳で私を見ていた。

 「 ……… 」

でも意識する事は無い。
私は普通にしていればいいのだ。

そのまま歩を進めてはすみと離れた位置に座し、他の子の組手を見る。
座った後もしばらくの間はすみの視線を感じたが、構わない事にした。



 「せっちゃん、……」

部活が終わると、決まってはすみは当然のように私に声を掛けてくる。
私は、はすみへの対応に関しては等閑を決め込み、距離を置く日々を送っていった。

530ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:33:36.28 ID:wZ0o4PEP
     ――――――――――――――――


 ―――― どんっ!! どぅッ!! ドブっ!! ――――
 「 ぐッ! クっ! ふッ! 」

連日狙われる私のお腹。

 ―――― どっ!! どむッ!! ――――
 「 フッ! んッ! 」

しかし、ここへ来て変化を感じていた。

 ―――― どむッ!! ――――

痛い事は痛い。
それでも、私のお腹のダメージが日を重ねる毎に癒えてきているのを感じた。
打たれる中で私のお腹が強くなり、回復力がダメージを凌駕し始めたのだ。

 「セぇッ!!」
 ―――― バスッ!! ――――
 「 ふぅッ! 」

やはり私は間違っていなかった。
私はこの時、確かな感触を得ていた。

 (いい加減に…!)
 ―――― どむッ! どむっ! ドボッ!! ――――

私の、お腹への三連突きによる反撃。

 「 う゛っ!! ぐぅ!! ぐえぇっ!! 」 

松本は三発目で床に崩れた。

 「それまで!」

ここの所、右肩上がりで調子が良くなっている。
表にこそ出さないが、私はそれが嬉しくてたまらなかった。

もう大丈夫。
元に戻る事が出来る。その目処が立った。

 「 ……ねえ、せっちゃん ――― 」

あなたはもう私に必要無い。
あなたがいるから私は駄目になってしまっていたのだ。

 「 ……… 」

私は独りで戦える。
独りで戦えるのが私。

やっと、その強さを取り戻せるのだ。

531ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:35:16.56 ID:wZ0o4PEP

     ――――――――――――――――

昼休み。

私は小風呂敷を解いてお弁当を出す。
と、席を立つ女子が二名ほど居た。
金髪のロングヘア……松本。もう一人の方も空手部員。

 (来た……)

このタイミングという事は恐らく、私を強制連行して視聴覚室で痛めつけるつもりだ。
私は開けかけたお弁当の箱をゆっくり元に戻し、二人を睨みつけた。
だが ―――

 「 ―――?」
 「 ――? ―――。」

しかし二人は私には目もくれず、何か話しながら廊下へ出ていく。
こちらに来る様子は無さそうだ。
私は拍子抜けし、お弁当に手をつけ始めた。

食べながら考え、そして思い起こしてみた。

 (…あの子達がこのタイミングで席を立つのは防音設備のある部屋で集団暴行をするパターンのはず…)

でも彼女らは私の方に来なかった。

では、なぜ席を立ったのか?

 「 !! 」
 ―――― がたっ ――――

私は思わず立ち上がってしまった。
気付いてしまったからだ。

すぐにお弁当の蓋を閉じて教室を出る。
そして自分の教室のあるA棟1階からB棟の3階に向かって急いだ。

どうして勘違いしていたのだろう。

私はここ最近、菊池 聡美たちの暴行を一切受けていない。
性格的に見ても菊池 聡美は自発的にそれを止めるはずはない。
私を………いや、私達を許すはずがない。

私が対抗できる力を手に入れた訳ではなかった。

ターゲットが変わっただけだったのだ。

532ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:36:35.97 ID:wZ0o4PEP

 (はすみ……!)

滲み浮かんで来るようにはすみを、あの子に対する気持ちを思い出した。

 「はあ、はあ、はあ…」
 「 おおっ? 久しぶりのシチュエーション。 おーい刹那、こんち。」

巴の言葉に一瞬、全員の視線が教室の出入り口にいる私に集まった。
巴はぶんぶんと手を大きく振り、私を呼び込む。
私は教室に入り、巴に近寄る。

いつも一緒に居るはずのはすみの姿はそこにはなかった。

 「…………はすみは?」

巴はパックのフルーツミックスジュースをストローで一度吸ってから答えた。

 「知らない。用があるって出ていったけど。」

何という事も無い、という具合。
逸る私は巴のその態度に苛立ちを覚えつつ更に問い詰めた。

 「……じゃあ、今あの子は一人なの?」
 「だよ。本人が一人で行くって言ったし。」

空になったジュースのパックをペコペコとやりながらおどけて答える。

 「だぁーいじょうぶだって。あの子だって小さい子供じゃなかろうて。」

巴はそう言ってカラカラと笑って見せた。
私の我慢は限界に達した。

 「 あんた、何やってるのよ!! 」
 ―――― ばあんッ!! ――――

両手を巴の机の上に叩きつけて、思い切り叫んだ。
それに周囲がびくりとして再び視線が集まったが、今はそんな事を気にしていられない。

 「あんたにあの子の事、頼んであったじゃない…!」

私と遭うまでいじめられていたはすみ。
1,2年生の時は同じクラスだったから私が一緒に居て守る事が出来た。
しかし3年に上がった時に別々になり、
代わりに巴がはすみと同じクラスになったので、前もってはすみの事をお願いしてあったのだ。

 「あんただって知ってるはずじゃない、私達が守ってあげないと、あの子は ――― ! 」
533ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:37:43.57 ID:wZ0o4PEP

 「ほら、そこ。」

巴は私の顔に人差し指の腹を向け、私の言葉を止めた。
そして稀にしか見せない真剣な表情で巴は言った。

 「あんたにそのつもりは無いのかもしれないけど、はすみの事、馬鹿にしてない?」

その言葉の意味する所が分からなかった。

 「 …どういう ――― 」
 「あの子の弱い所にばっかり目が行ってない?はすみは戦えないほど弱くはない。
  はっきり言わせてもらうけど、はすみは今のあんたなんかよりずっと自分を貫いて戦えてるよ。
  ……あんたを助けたいって。仲良くしたいって、その一心で。」

 「 ……… 」

言葉が出て来なかった。
そして今更ながらはすみをぞんざいに扱った事に罪悪感を覚えていた。
今こうしている間にも、はすみは私の為に痛い思いをしているはずだ。
私の思い違いの犠牲になって ―――

 「それにあたしも最初に返答したはず。あたしができる範囲ではすみを助けるって。
  ずっとその約束は守ってるつもりだよ。あたしが考える“友達”の範囲内でね。」

巴には巴の考え方がある。
巴はそういう大事な部分では至って真剣。
それもわかってる事だ。

 「前にも言ったけど……刹那がどんなに大きな力を持っていたって、一人の力でしかないんだよ。
  それだけじゃ乗り越えられない物だってあると思う。あんたはその事に気付かないままここまで来た。
  だからはすみはあんたに何も言わず行動に移したんだよ。」

私は自分の事しか考えられなくなっていた。
でもはすみはその間も私の事を考えていてくれていたんだ。
私がどんなに冷然とした態度をぶつけていても……

 「 ……… 」

いつの間にか私は激しい後悔の念に、俯いてしまっていた。

 「 ――― まあ、今の刹那ならもう分かるんじゃない?」
534ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:38:38.67 ID:wZ0o4PEP

突然、巴の声質が変わった。

 「 え………? 」

彼女の顔を見ると、いつものおどけた顔の巴になっていた。

 「だから、行くなら早く行きな。はすみもきっと喜ぶさー。」

そう言ってそっぽを向き、手をひらひらと振りながら私に促した。

  ――― 気まずい。何を話したら。どんな顔をして会えば ―――

そんなつまらない心配は浮かんでこなかった。
ただ、あの子に会いたい。
はすみと会って、話したい。
そう思っていた。

 「……行ってくる。」

そう言い残して私は出口に向かった。

 「おーう。行ってこーい。」


     ――――――――――――――――


 「幼馴染のあたしにゃ、何の言葉もナシかい。」

刹那が居なくなった後、巴は不満を呟いていた。
しかし久しぶりに見た、ある種有機的な刹那に安心を覚え顔をほころばせてもいた。

 「まあ、あたしにできる事っつったらこれくらいかね。」

彼女は頬杖をついて瞼を閉じ、仮眠の体勢をとった。


     ――――――――――――――――
535ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:39:28.82 ID:wZ0o4PEP

視聴覚室はB棟4階の端。
このすぐ上の階だ。

私は階段に着き、4階に上がろうとした。
その時。
2階に降りる方の下り階段……2階と3階の間の踊り場に、
肩あたりまでの長さの黒髪をした小柄な女子生徒の後姿を発見した。

 「 ――― はすみ!」

小柄な少女は私の声に一瞬びくりとして肩をすくめ、ゆっくりこっちに振り向く。

 「 せっちゃんっ。 」

見上げてくるはすみの顔は、ぱぁっと笑顔になった。
私は踊り場の方へ下りると、はすみは体も私の方に向けた。

 「……どこに居たの?」
 「ぇ……うん……、ちょっと、お手洗いに行ってたの。」

嘘だ。
こういう時のはすみは分かりやすい。
それに、私は見逃さなかった。
体が振り向く直前まで、手でおなかを押さえていたのを。
これまでの流れで大方の見当はついている。

 「こんなに長い時間?」
 「ぁ……う、ぅん…。」

言いたくないのはわかる。
でも私の事も見縊らないで欲しい。

平常時より血の気が引いた顔。湿った素肌と服。そして汗などの臭い。
私から見たら証拠だらけだ。

 「ねえ、はすみ。」
 「うん?」

私ははすみの目を真っ直ぐ見つめて言った。
536ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:40:04.15 ID:wZ0o4PEP

 「 ――― 笑うふりをしないで。」

私の言葉に、一瞬表情が固まる。

 「本当の事を教えて。何があったの?」

私は全てに向き合おうと思った。
だから、どうしてもはすみの口から言って欲しい。
どんな事でも、今の私なら素直に聞ける。

私は、はすみの言葉を待った。

 「 ……っ。」

私を見上げながらはすみは目に涙を溜め、唇を震えさせ始めた。
泣くのを堪え、何かを言いかけているように見えた。
おなかの痛み以外で泣くのは、はすみには珍しい事。
きっと、今から口に出そうとしているのはそれ相応の話なのだと思えた。

 「 ……ぁ。」

ゆっくりと、唇が開かれようとしている。
そして今まさに口を開こうとしたその瞬間。


 「 ブぶばっ!!!! 」
 ――――…びちゃちゃちゃびちゃぼたたたたたた…――――
 「!!」


はすみの口から透明な液体が大量に溢れ、撒き散らされた。
直後、はすみはゆっくりと目を閉じ、それと同時に フッ と体の力が消えるのを感じた。

 「はすみっ!!」
 ―――― ぱしッ ――――

間一髪、崩れ落ちる前に両手をはすみの両脇に潜り込ませ、体を支える事が出来た。

恐らく見つけた時には既にはすみの体は限界に達していたのだろう。
立っている事さえ辛い状態だったのだ。

 ( ――― 保健室に。)

私ははすみを背におぶり、A棟1階の保健室を目指した。
537ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:41:05.80 ID:wZ0o4PEP

     ――――――――――――――――


保健室。

保険室のドアをノックすると、女性のスクールナースが返事をしたのでドアを開けた。

 「失礼します。」

中に入りドアを閉める。
それとほぼ同時に、スクールナースが椅子ごと振り向いた。

 「あら……二人揃っては珍しいわね。」

そう言ったのは、黒縁眼鏡と白衣が似合う女性。名前は高山 規子。
髪は黒で、金色の蝶の装飾をつけたシュシュでまとめてボリューム感を出したアレンジポニーテール。
“美人保険医”なんて言葉が出てきそうな綺麗な女性のスクールナースだ。

 「はすみちゃんは、いつもの?」
 「はい。……お昼休みに少し練習してたら、力の加減を誤ってしまって。」

一年生の頃からよくお腹を痛めていたはすみはもはや常連。
高山 先生とはすっかり顔馴染みになっており、話はある程度 省略しても通じる。
……逆にそのお陰で、多少の嘘をついてもばれない。

 「それじゃあ、一応おなか見てみようかしら。」

先生が席から立ち私達の方に近づこうとした。

 「いえ、いつも私が見たりする事もあるので。少しベッドを貸してもらえるだけで、助かります。」
 「そうなの?」

私は何故か、嘘をついた方が良いという予感がしていた。

 「それなら後は私が看てるから、美原さんは安心して教室に戻っていいわよ。そろそろ5時限目も始まるでしょうし。」
 「……私のせいではすみがこうなってしまったので……私がはすみを看ていてあげたいです。」

これに関しては……嘘はついていない。
私の様子に少しおかしいと思ったのか、先生は少し考える素振りを見せたが、こう言った。

 「……美原さんなら大丈夫かな。色々な意味で。
  私もちょうど職員室に用事があった所なの。戻るまで看ていてくれると助かるわ。」

先生はそう言うとベッドの仕切りカーテンを開け、はすみを寝かせるように促す。
はすみを運びベッドに寝かせると、先生は仕切りカーテンを閉める前に私に言う。

 「先生達には私から連絡しておくわ。もし異常があったら知らせてね。」
 「はい。ありがとうございます。」

私が返事をすると先生はカーテンを閉め、保健室はベッドで寝ているはすみとそれを看ている私だけになった。
538ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:42:04.03 ID:wZ0o4PEP

 「 ……… 」

私ははすみの状態を確認すべく、ゆっくり布団を開け、はすみの服をめくりあげておなかを見た。

 「 …? 」

そこで見た物は、はすみの白いおなか。
そして、丁度おへそのところに四つ折りにして置かれたブラン・ルージュのハンカチ。

 ( 赤…黒い? )

私はぞっとして、そのハンカチを端からゆっくりとめくりあげた。

 ――――…ぺりっ…――――

濡れたハンカチが音を立ててゆっくりと素肌から離れていく。

 ( ! )

ハンカチの下には血を溜めたおへそと、ハンカチの型にべっとりと塗られた血糊があった。

赤黒いハンカチではない。
そう見えるのは、白いハンカチがおへそから出る血をたっぷりと吸っていたからだ。

何かでおへそを刺されたのか。それとも殴られている内にこうなってしまったのか。
どうすればこんな痛め付けられ方になるのか。
どうしてこんな酷い事ができるのか。
理解できなかった。

私は焦り、高山 先生を呼ぶ為に椅子から立って出入り口に向かう。

 ―――― ぱしっ ――――

そのつもりだった。
が、立って振り向こうとした瞬間、腕を引っ張られた。

 「 せ……ちゃ…、だめ…… 」

はすみが、私の腕の裾をきゅっと掴んでいた。

 「はすみ……!」
 「 ――― ぉ ね … ヵ゛ぃ ……」

はすみは小さな力で、必死に私の服の裾を掴んで離さなかった。
呟きながら、私を制止していた。
539ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:42:55.18 ID:wZ0o4PEP

 「………分かったわ。分かったから離して大丈夫よ。」

そう言うと、はすみは安心したように手を離した。
私は、とりあえず今ははすみの意向に沿おうと思い、
静かに救急箱とお湯を入れた洗面器を持ってきて、応急処置をしながらはすみと話す事にした。



ガーゼではすみのおなかやおへその血を拭き取り、綺麗にしていく。
幸い……と言って良いのか。おへその傷は重症なほど深くはなかったらしく、もう血が出てくる様子はなかった。
私はそれを見て少しだけ安心した。
後は、私の知り得ない事情を聞かなければいけない。そう思った。

 「はすみ……」
 「……うん。」
 「どうしてこんな酷い目に?」

血はあらかた拭き取ったが、主におへその辺りに色濃く残っている内出血。
それだけでも事の重さ……正視する事さえ躊躇う凄惨さを物語っていた。
それでももう一度、私ははすみに聞いた。

 「うん…」

はすみは少し目を伏せて、語り始めた。


  「はなすね。」



     ――――――――――――――――



あの日 ――― 道場の更衣室でせっちゃんの姿を見た後のこと。
部活が終わった後、菊池さんに話がしたいって伝えたの。

でも、その時は皆に迷惑がかかっちゃうから次の日のお昼休みに話す約束した。
540ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:43:36.52 ID:wZ0o4PEP

次の日に視聴覚室で菊池さんと私だけで話す事ができたんだけど ―――

  『 ――― 話って。美原 刹那の事でしょ?』
  『 ……うん…… 』

菊池さんはわたしが何を話そうとしてたのか分かってたみたいだった。
だから、わたしはすぐにお願いしたの。

  『お願い……せっちゃんに、かわいそうな事しないで。』

って。
そうしたら…

  『かわいそうな事? ……ふぅん…… あなた勘違いしてるみたいね。』
  『勘違い…?』
  『そう。私達はあなた達と仲良くしたいと思っているだけよ?』

わたしには、菊池さんの言っている事がわからなかった。
だって、わたしは菊池さん達がせっちゃんのことをいじめてるようにしか見えなかったから。

  『仲良く……それなら ――― 』
  『それじゃ、あなたに聞くけど……
   “友達になりたい”って伝えただけで美原 刹那は私達と友達になってくれるかしら?』

そう聞かれた時に……わたし、答える事が出来なかったの。

せっちゃんはわたしを助ける為に菊池さん達と対立する事になっちゃったから。
わたしのせいで、せっちゃんと菊池さん達の間に溝ができちゃったから。
ずっとそうしてきて、その溝が簡単に埋められるなんて思えなかったから……

わたしが黙っちゃったから、菊池さんは。

  『まあ良いわ。とりあえず美原 刹那の事は保留にする。でも私は友達になる事は諦めない。』

…って。そして、こう言ったの。

  『まず、あなたから友達になる事にするわ。そして、あなたを介して美原 刹那と友達になろうと思う。』
  『わたしと……?』
  『そうよ? 私達と友達になるのは嫌かしら。』

菊池さん達と皆で仲良くするのって、わたしはずっとそうできればいいなあって思ってたから。

  『ううん、そんなことない。わたしも、友達になりたい。』

すぐに返事をした。

  『ウン。じゃあ、明日も同じ時間にここに来てね。今度は皆も一緒に……もちろん、あなたは一人で来てね?』
  『うんっ。』
  『じゃあ、そろそろ戻りましょ。お弁当の時間よ。』

その日は、それで終わりだった。

そして、わたしは約束どうり、次の日も同じ時間に視聴覚室に行ったの。
でも……次の日はわたしが想像してた事と全然違う事が起こった。
541ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:45:03.92 ID:wZ0o4PEP

  『今まであなたは私達と仲良くしようとしなかった。
   今さら簡単に“友達です”って不自然。
   それならそれなりのプロセスがあるの。』

そう言われて、おなかを殴られたの。
両側から押さえ付けられて、わたしは避けることもおなかを守る事もできなくて。
おへそのところを1回 殴られただけで、すごく痛くて、泣いちゃって、気が遠くなった。
そうしたらすぐにまた急におなかが痛くなって、おへそも痛くて ―――


     ――――――――――――――――


ここで、はすみは一度私と視線をそらすように目を伏せた。

 「……はすみ、大丈夫?」
 「………うん、ごめんね。続き、言うね。」

そう言って元に戻り、また話し始めた。


     ――――――――――――――――


痛くて目を覚ましたらまたおなかを強く殴られて、涎とかいっぱい吐いて。
おなかがすごく痛くて、倒れて動けなくなった。
お昼休みが終わって5時限目が始まっちゃったけど、その日は5時限で視聴覚室を使うクラスがなかったみたいで
わたしは動けるようになってから、自分が吐いちゃったものとか掃除をして教室に戻ったの。


その次の日は教室の外で待ってる子がいて、音楽室の方に連れていかれた。
今度は音楽室で、前の日と同じ事をされそうになったから、わたしは恐くて思わず言ったんだ。

  『 おなかだけは殴らないで 』
  『 どうしておなかを痛くするのが友達になる事なの?』
  『 こんなふうにしなくても、仲よくできるはずだよ 』

……って、必死で訴えたんだ。
そうしたら、菊池さんは

  『おなかを殴るのかは、あなたのいちばん弱い所を強くする為だから。』

って。

  『美原さんとはすみちゃんはなあなあになっちゃって厳しさを無くしてしまっている。』

って。

  『それだといつまで経っても強くならない。だから本当の友達として扱う為にも私達みんなで鍛えてあげるんだ。』
542ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:45:53.35 ID:wZ0o4PEP

……って、そう言われたの。
もちろん、わたしは「せっちゃんはわたしの体を壊さないように苦労して加減しながら鍛えてくれてるんだよ」
って伝えたけど、「それ事態が間違ってる」って言われちゃった。

それで、何にも言えなくなっちゃって……結局その日もおなかを殴られる事になったの。
今度は机の上に乗せられて、おなかが反った状態で。
おなかに力が入れにくくて、おなかも痛めやすい体勢で、皆が、かわりばんこにおへその所を殴って……
すごくおなかが痛くて、たくさん吐いて、泣いちゃって。思わず

  『 やめて 』 『 たすけて 』

って何度も口に出ちゃってたけど、それでも皆やめてくれなくて。
気がついたらまた気絶してて………
気がついた時は、置き去りにされてて、やっぱりしばらく動けないくらいおなかが痛くて。
前の日と同じように立てるようになってから戻ったの。



――― 次の日も視聴覚室に呼ばれた。
黙ってたら、また同じ事をされそうだったから、
わたしはもう殴られる前から泣いちゃってた。

  『お願い、おなかはやめて』
  『おなか殴られるとすごく痛いの』
  『なんでもするから、おなかを痛くするのはもうやめて』

――― ぼろぼろ泣きながらだったけど、どうしても辛くていやな事だからお願いしたんだ。
そうしたら菊池さんが

  『あなたは理解力が足りないみたいだからもういいわ。やっぱり先に美原さんと仲良くならないと駄目ね。』

………って。
そう言って、部屋を出ていこうとした。
だからわたしはすごく焦って、思わず菊池さんの腕にしがみついてお願いし直したの。

  『ごめんなさい』

って謝って。

  『わたしも仲良くするように頑張るから見捨てないで』

そう伝えた。
543ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:46:42.41 ID:wZ0o4PEP

そうしたら、菊池さんは笑ってくれて

  『あなたに頑張る気があるなら私達も頑張るわ』

って言ってくれた。

  『今度はもっと効果がありそうな練習方法を考えてきたからそれを試してあげる』

菊池さんがそう言ったすぐ後に、すごく強い力で誰かに背中を押されて。
わたしの前に居た子に肩がぶつかりそうだったから止まりたかったけど、勢いが付きすぎて自分じゃ止まれなかったの。
前の子に当たりそうになっちゃうって思った時。
おなかに重たい衝撃を受ける感覚があって、おへその所がすごく痛くなって。
気がついたら私の体は回転して、背中から床に落ちたの。

やっぱり、またたくさん吐いて泣いちゃってた。
体が震えて、足に力が入らなくなって。
それでもおなかが痛いまま、またむりやり立たされて背中を押されて………

それでいつの間にかまた気を失ってたの。



その次の日 ―――



     ――――――――――――――――


 「もういい。」

私ははすみの話を切った。
もう十分。
ここまででも聞くに堪えない内容だ。

 「せっちゃん……」

あいつらがはすみに何をやったか、十分すぎるほど理解した。

 (私が思い上がっている間にはすみは………)

そう思うと怒りが込み上げてきた。
暗黒の怒り。黒い炎。また“あれ”が立ち上ってくる ―――
544ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:47:29.52 ID:wZ0o4PEP

 「 せっちゃん。 」

 「 ―――! 」

はすみは、私の頬を両手でやさしく包み込むように触れていた。

 「そんな顔しないで。」
 「はすみ………」

はすみは私の頬に両手を触れたまま、優しい笑顔を向けていた。
不思議だった。その笑顔を見た瞬間、私の中にある怒り…黒い炎が跡形もなく消え去っていた。
はすみの柔らかくてあったかい笑顔。
それはやはり私に安堵を、平穏を齎してくれた。

はすみはそのままの状態で、私に言ってくれた。

 「わたしは、せっちゃんみたいに強くないけど………でも、頑張るから。
  菊池さん達と仲良くして、みんなで仲良くできるように頑張るから。
  せっちゃんはずっと素敵なせっちゃんのままでいてね。」

そう言ってから手を離し、ベッドに寝たまま笑顔を送り続けてくれた。

 「 ……… 」

――― 私は立ち上がった。
立ち上がってカーテンを開けた。

 「そろそろ戻るね、はすみ。」
 「うん。ありがとうね、せっちゃん。」

私は背中越し、はすみに顔だけ向けて言った。

 「 ――― 友達でしょ。」


     ――――――――――――――――


“私らしさ”がどういう物であったのか。それはもう分からなくなっていた。
ただ、今確実に言える事。“今の私は私らしい”それだけは確信に値した。

545ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:48:24.68 ID:wZ0o4PEP

 「次、美原 刹那!菊池 聡美!」

今日は稽古中、今までと比べものにならないほど体が軽く感じられた。
あの夜から昨日まで、どれだけ無駄に体の力を入れていたのか。
今になってようやく気付く事ができた。

 「構え!」

全ての動作が自然に、スムーズに行える。
心地よいまでの自然体。相手の呼吸まではっきりと分かってしまいそうな感覚だった。

 「始めェ!!」

私は相手の軸足を下段蹴りで刈った。

 「くぁッ!」
 ―――― どしんッ ――――

どんな攻撃を仕掛けようとしたのかわからないが、体軸や重心の移動から軸足となる方の足が分かった。
相手は攻撃の出鼻を挫かれ、尻餅を突いていた。

 「技有り!」

スリップダウンのようだったが技有り判定。

 「クっ…!」

菊池 聡美が下から私を睨みつける。
私は笑みを浮かべていた。
優越感や挑発行為などといった物ではない。
自然に笑みがこぼれてしまったのだ。
久しぶりの、解放感に。

 「再開!」

開始線に戻り再開の合図がかかる。
出鼻を挫かれたため慎重になっているのか、相手はじりじりと間合いを詰めてきていた。
私は踏み込み、先ほど下段を入れた方の足に再度、下段回し蹴りを放つ。

 ―――― ビュッ ――――

ただし、今度は形だけで当てないように。

 ―――― ヒュッ ――――
 ―――― どっ! ――――
 「ふぐッ!」
 
その直後に後ろ回し蹴りを用意してあったからだ。
単純な技だが、自分の体が思う以上に動いてくれたので見事に決まった。
が、さすがに部の主将である菊池 聡美。僅かながらもポイントをずらしたのか、これに耐えた。

今の攻撃で多少、距離が空く。
546ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:49:12.08 ID:wZ0o4PEP

私は間髪入れず前に出て最後の技を仕掛ける。

ワンアクション目を下段回し蹴りに模し。
ツーアクション目で後ろ回し蹴りを模して回転し。
最後に、更にそこから飛び上がりながら横に一回転を加えた左の上段後ろ回し蹴り。
全てを一瞬で行った。

 ―――― スパァンッ! ――――

540°回し蹴り。
菊池 聡美の頭を刈り取り、彼女は無言で倒れる。
華麗な終幕に道場内が一時騒然となった。

この時 ――― 私は全ての呪縛から解放された、その余韻に浸っていた。


     ――――――――――――――――


翌日、昼休み。

 「じゃあ、もえたん。行ってくるね。」
 「んー。あんまり頑張りすぎるなようー。」

巴にそう言われながら見送られ、はすみは廊下に出た。
すると……

 「はすみ。」

教室の前に、刹那が立っていた。

 「行くつもりなんでしょ?1人で。」
 「うん………頑張ってくるねっ。」

そう笑顔で言うはすみに刹那はひとつ、大きな溜息をついてから言った。

 「駄目よ。」
 「え?」
 「自分だけの力じゃ解決できない事だってある。
  1人の力なんて、どんなに頑張っても1人分の力でしかないのよ?」

言ってから、刹那は微笑みを湛えてから続けた。

 「………巴の受け売りだけどね。」
 「せっちゃん……。」

刹那は、はすみに左手を差し出す。

 「行こう。2人で。」

はすみは自分の右手を、刹那の手の上に重ねた。


 「 ――― うんっ。」

547ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/07/29(日) 22:51:35.67 ID:wZ0o4PEP
以上です。

しばらくこのシリーズは休んで、次は別の物を書こうと思いますのでよろしくお願い致します。
ありがとうございました。
548名無しさん@ピンキー:2012/07/29(日) 23:53:26.64 ID:oeWdTbY6
すばらしいです!
別の物も期待していますが、続きもぜひお願いします☆
549名無しさん@ピンキー:2012/07/30(月) 00:12:48.94 ID:A1kJU/4Y
毎週お疲れ様です。
クライマックスが近づいているみたいですが、ここに来て新しい作品に取り掛かるということは何か理由があるのでしょうね。
なんにせよ素晴らしい作品を期待しています。
550名無しさん@ピンキー:2012/07/30(月) 14:47:18.86 ID:i1mv0qbu
お疲れ様です
次の展開を楽しみにしてます
551名無しさん@ピンキー:2012/07/30(月) 17:14:47.68 ID:i1mv0qbu
55氏も更新してるね
この人1回本格的なラノベとか書いてみた方がいいんじゃないかな
552名無しさん@ピンキー:2012/07/31(火) 01:13:10.00 ID:zEokLLDn
突然ですが初めて投下します。短めだと思うので気楽にどうぞ。
553シチュエーションプレイ 1/3:2012/07/31(火) 01:17:25.83 ID:zEokLLDn
俺はいつものようにエレベーターに乗り、いつもの階を目指した。
 二十二階。ここは一般人が立ち寄るような場所ではない。スーツを着たサラリーマン風の男の受付がいるだけだが、俺みたいな客はこのフロアの奥に何人もいるはずだ。
「いらっしゃいませ」
「予約をしていた佐藤だが」
「お待ちしておりました。三回目の来店でございますね。内容に変更はございますか?」
「ない」
「かしこまりました。それでは十一番のお部屋へどうぞ」
 そしていつものように鍵を受け取り、目的の部屋へと向かう。
 どんな素材かは知らないが、フロア全体が防音壁で覆われていて、他の階どころかそれぞれの部屋から音が漏れることは絶対にない。何が行われているかは様々だろうが、共通している部分が一つだけある。
 十一番の部屋。俺は一旦足を止めて、今日の台本を頭の中で反芻した。多少間違えても相手がフォローしてくれるが、俺は常に完璧を求める。
 最初から最後まで決められた通りに進まないと納得できないタチなのだ。さすがに緊張する。深呼吸してから木製の扉を開けた。
 おお、これはすごい。扉の先は体育館になっていた。一応言っておくがここは学校などではなく、とあるビルの一室だ。
 しかし俺の目の前に広がっている光景は間違いなく体育館で、バスケが出来るくらい広い。一体どんな魔法を使ってるんだこの店は。
 そしてその中央に立っている女の子が一人。
「来たわね佐藤太一! 逃げなかったのは褒めてあげるわ!」
 セーラー服に身を包んだ女子高生が俺の名を呼んだ。部屋に入った瞬間からもう全ては始まっている。
「暇だったから来てやっただけだ。本気でやるのか?」
「当然。お兄ちゃんの仇を取るんだもん」
 目の前にいる十六歳の女の子――源氏名は茜。この店におけるAランクの一人。本名は知らない。彼女に兄がいるかどうかも知らない。なにもかも俺が勝手につくった設定なのだ。
 年齢も本当は不詳だがセーラー服を見事に着こなしている。目は丸くて童顔だし、女子高生といわれても違和感がない。髪は邪魔にならないようにポニーテールに結っていた。
 背は若干低めだがプリーツスカートから伸びる脚は健康的で妙にエロい。
 茜の兄をボコボコにしたから、その仕返しをしにきたという簡単な話。兄妹そろって空手をやっていて、妹の方は尊敬していた兄が負けたというのが信じられず――
「お兄ちゃんが負けるなんてあり得ない。卑怯な手を使ったんでしょ!」
「してない。真正面から返り討ちにしたんだ」
「嘘だ! いいもん。あたしがメッタメタにしてやる」
 彼女は拳と掌をぱしんと合わせてから構えを取った。その姿は確かに経験者のようで、実際空手を習っているのだそうだ。彼女に限らずこの店で働いている女の子はみんなそんな感じのスポーツをやっていて、体が出来上がっている。
 それが特徴であり、コンセプトの一つだ。
「俺は女を殴る趣味はない。見逃してくれないか」
「ふざけないで! 絶対、お兄ちゃんに謝らせてやる!」
 まっすぐ茜が突っ込んできた。真正面から。右の拳を振り上げている。
554シチュエーションプレイ:2012/07/31(火) 01:19:10.11 ID:zEokLLDn
 俺はそれを避けなかった。頬に彼女の小さく固い拳が直撃したとと同時に視界がすごい勢いでズレた。うっわいてえ。台本通りとはいえマジで痛い。
 茜の心底驚いたような表情も、演技だから大したものだ。
「なんで……ガードくらいできたでしょ!」
「仕返しできたろ。これで勘弁してくれ」
 喋ると余計痛い。くそっ、さすがにここは手加減してくれと頼んでおくべきだったか。いや、やっぱりこれでいい。演技とはいえ全て本気でかからなくては。
「お兄ちゃんに謝るならね」
「それはできない相談だな」
「じゃあそうしてくれるまでボコる」
「抵抗しない人間を殴り続けるのか? それこそ卑怯な手ってやつだろ」
「むっ……それなら、あんたに正式な勝負を申し込むわ。これでいい?」
「受けないと言ったら?」
「ボコる」
「同じじゃねーか!」
「と、とにかく真剣に戦えー! 一度でいいんだから! でないとどこまでも付きまとうからね!」
「……はぁ」
 子供のように足踏みをする茜に対し、俺はため息を吐く。いかん、今のはあまりにもわざとらしすぎた。演技ってのはやっぱり苦手だ。
「一回だけな」
「分かればいいのよ――その前にあたしを一発殴って」
「なんで」
「こっちが先に殴っちゃったから! これじゃ気持ちよく仕切りなおしできないの!」
 なんてわがままなんだ、と俺は自分がキャラ付けしたくせにちょっと呆れてしまった。実際こんな女の子いるわけないな。
「分かった分かった。でも顔はさすがに抵抗がある」
「なによ、変なところで気を遣って……それじゃお腹」
「そこも女の子には大事なところだと思うが」
「鍛えてるもん。ちょっとやそっとじゃビクともしませんよーだ」
 べーっと舌を見せ付けている。おお、これはアドリブだな。なるほどそれなりにこっちもイラッときたぞ。
 拳をぐっと握り締める。茜は両手を後ろに組んで直立し微動だにしない。丸い瞳は背がいくらか高い俺の顔をじっと睨みつけていた。

「ふっ――!」
 俺は短く息を吐きながら腕を振るった。目の前にあるセーラー服に包まれた無防備に佇む女子高生の胴体。その中心に右の拳をめり込ませる。
「ふぐっ!?」
 どふっと鈍い音がした。めり込んだのは一瞬だけで、茜の持ち前の腹筋が拳を押し返してきた。さすがAランク。その感触に俺は感嘆する。素直にすごいと思った。
 茜の余裕ぶっていた顔が苦悶の色に変わり、腹を押さえながら身をわずかに傾ける。
「大丈夫か? 合図するべきだったな」
「けほっ……な、なに言ってんの? 鍛えてるってば。こんくらい平気だし別に。まあ、結構いいパンチ、持ってると思うけど」
 途切れ途切れな言葉ながらも強がってみせている。
「今のはまだ本気じゃないが」
「えっ……だ、だよね。今のが全力だったら笑っちゃう」
 乾いた笑みを浮かべる茜の額にはうっすらと汗が滲んでいた。全部演技のはずだが、あまりにもリアルに感じられる。そこがたまらなくそそる。
「あたしは、最初から本気だからね」
 腹を押さえていた両手を握り締めて構えを取る。プリーツスカートから覗く両脚がわずかに震えている気がした。
「いいぜ。来い」
 ちょいちょい、と指で挑発してみせる。
「調子にのんな!」
 怒りと共に彼女の脚が振り上げられる。格闘家らしく細すぎず引き締まった長い脚だ。しかも顔を狙ったハイキックである。
 俺はそれを上体を後ろに反らすだけで避けた。内心冷や汗ものだ。今のはマジで怖かった。顔には焦りを出さずに呟く。
「お、白か」
「――あっ!」
 反射的に茜はスカートを押さえた。顔を真っ赤にしている。すごいな、もはや演技とは思えない。女優になれるよきっと。
「絶対殺す!」
 おい待て、今のセリフは台本にないはずだぞ。マジで怒ってるんじゃないの。
555シチュエーションプレイ:2012/07/31(火) 01:20:02.27 ID:zEokLLDn
 怒り心頭といった様子で打ち出されてきたパンチは、しかし台本どおりだった。真っ直ぐ迫る小さな右拳を俺は屈んでかわし、懐に飛び込む。
 一歩強く踏み込みながら、がら空きになっている茜の腹へと力を込めた拳をねじ込んだ。
「ぅげっ、がぁ……!?」
 みしりと腹筋がヘコむ。女の子とは思えないほど汚い呻き声が茜の口から溢れた。
 狙ったのは胃袋の辺り。彼女も自信を持っていたはずの腹筋はあえなく崩壊していた。セーラー服が少しねじれながら拳へと吸い込まれている。腹肉がぴくぴく痙攣しているのは拳を押し出そうとしているのだろう。
 今度はそうはいかない。茜の背中へと左腕を回して、細身だがほどよく筋肉がついた体を引き寄せながらさらに拳を押し込んだ。
「うぐぇ……!」
 既に深く突き刺さっていたパンチが強引に潜り込んだせいで搾り出されたような声だった。固く握った拳に鍛えられた腹筋が歪む感触と、その奥にある胃袋の温かみを確かに感じ取った。
「お前の兄貴を負かした拳だ。効くだろ?」
「ぇほっ、き、効いてない、し。こんなの、屁でもないよ。ぁっ……」
 そう口ごたえしている割には相当苦しそうだ。彼女の腹部には拳が沈んだままで、呼吸さえまともにできないだろう。それでも茜はまだ負けてないと意地を張って、俺の腕を引き抜こうとしながら睨み上げてくる。
 やっぱりこれだ。これがいい。相手の方が上手なのに強がって抵抗する女の子ってのはかわいいな。その顔をもっと歪めたくなる。
「そうか。今のも本気じゃないからな。やっぱり効いてないか」
「う……? そ、そうよ。七割くらい、でしょ」
「半分以下だけどな。しかも利き腕じゃないんだぜ」
「ううう……!」
 見る見るうちに茜の顔が恐怖に染まっていく。ここまで来ると俺はもう台本とか演技とかいうことを忘れそうになっていた。あまりにもかわいすぎるし、リアルすぎる。
「そんなに不満なら、次が本気の一撃にしてやるよ」
「あ、いやっ、待って――!」
 俺は右腕を素早く引き抜いた。反応するように一瞬びくりと体を震わせた茜は棒立ちとなる。わずかにヘコんでいるセーラー服の中心を、利き腕の拳で突き上げた。
 一際くぐもった鈍い音が響いた。
「ごぇっ……!」
 茜の口から潰れたような呻き声と舌が飛び出た。両目をめいっぱい見開いている。
 本気のボディアッパーは腹に深くめり込み、体が浮き上がるほどだった。衝撃が背中まで突き抜けたと思う。拳にはひしゃげた内臓の感触がはっきりと伝わってきた。
「かはっ……げぇっ……んむっ」
 えずいていた茜は咄嗟に口元を両手で押さえた。俺は慌てて拳を引く。体内で移動させられていた内臓が元に戻っていき、ぐぼっと水っぽい音をたてた。
「んぐぅ! っ、ごぷぅ!」
 抑えていた指の隙間から液体が溢れた。少し黄色く濁った胃液。胃袋に強烈な打撃を受けたんだから吐くのも当然だ。
「うぐっ……げほっげほっ! ぅえ、ぇほっ……!」
 ぽたぽたと体育館の床に胃液をこぼしながら茜は膝をつき、片手で腹を押さえながら海老のように背中を丸めた。こっちまで吐き気を催しそうなほど咳き込んでいる。
「どうだ、これも効いてないか?」
 わざと煽ってみるが、彼女はもう反論する余裕もないようだった。苦しげに呻きながらうずくまったまま。
「これで分かったろ。俺は卑怯な手なんか使ってない」
 小刻みに体を震わせている少女に向かって俺は告げる。
「卑怯者はお前の兄貴だよ。あいつがイジメをやってるとことを見たからな」
 ぴたりと震えが止まった。まだ腹部の痛みで悶絶している茜は小さく声を絞り出す。
「……うそ」
「嘘じゃない。むしろ妹のお前が正々堂々としていて俺がびっくりしたさ。よかったな兄貴に似なくて」
「うそ、だぁ……うそ……!」
「信じる信じないはお前の自由だ。もう俺に仕返しとかしないでくれよ。これっきりにしてくれ」
 いまだに立ち上がれない茜に背中を向けて扉へと歩を進める。あの木製の扉。開けるとその先は学校の校舎や中庭などではなく、ビルの廊下である。全く不思議な店だ。
 はあ、終わった。
556シチュエーションプレイ:2012/07/31(火) 01:22:36.77 ID:zEokLLDn
 俺が受付へと戻ると、待ち伏せていたかのようにスーツの男が椅子から立ち上がった。
「お疲れさまでした。お知らせがございます」
「なんだ」
「次回からSランクの指名が可能となりました」
「マジで?」
 こんなに早くランクアップするとは思っていなかった。
 Sランク。つまりAランクよりも腹筋が固い女の子たち。茜も結構なものだったが、それを打ち砕いた俺は認められたということなのだろう。
 ここそういう店だ。用意されているのは部屋とランク分けされた女の子だけ。後は客が何もかも準備する。茜が着ていたセーラー服も俺が提供したものだ。
 客はどんなシチュエーションで「プレイ」するか、台本を書く。それを指定された女の子がテレビドラマのように演じてみせるのだ。
 プレイっていってもセックスは駄目。顔を傷つけても駄目。やっていいのは腹を殴ることだけである。もちろん本気で。
 今回のは兄を仇をとろうとした空手少女が、あっさりと返り討ちにあうという簡単なシナリオ。
一、俺が一発殴られる。
二、仕切りなおしとして女の子が殴られることを希望する。
三、大雑把な攻撃を避けられて腹に重い一撃。
四、とどめ。
 みたいな、こんな感じでオファーをする。備考として「最後のとどめを食らうまで効いていないと言い張る」みたいなオプションをつけたりする。
 茜は多分、一発目や二発目でかなりダメージを受けただろうが、俺のシチュエーションを忠実に再現してくれたというわけだ。あの子結構気に入ったかも。
「それにしてもお客様は珍しいタイプですね。一方的に痛めつけるのが定番なのですが」
「そんなの面白くもなんともない。どうせCランクばかり指名する客だろ?」
「ええ、その通りでございます」
 リストを見た限りCランクもかなりかわいい女の子ばっかりだった。だけどスポーツとかをなんとなくかじっている程度の体つきで、腹筋もたいしたことない。
 実際指名したことがあるから分かる。そのときはあまりにも腹が柔らかすぎたためか、一撃で気絶させてしまった。
 ただの人間サンドバッグじゃ興ざめだ。女の子を殴るにもそれなりの理由があるし、なにより大事なのはさっきも言ったシチュエーションである。
 俺は強気で男に引けを取らないタイプの女の子を打ち負かすのが好きなんだ。抵抗できない弱っちい子をいたぶるだけのプレイなんて反吐が出るね。
「お客様の評判は女の子たちの間でも噂になっています。私を指名してくれ、という声も上がっていますよ」
「そりゃあ嬉しいな」
 それってつまり私のお腹をぶち抜いて欲しいってことなのか。そう考えるとたまらなく興奮する。
「ところでSランクってのはどんな感じなんだ」
「そうですね……今のお客様だと、完全には楽しめないかもしれません」
 妙な言い方だ。俺の腕力じゃSランクの腹筋は砕ききれないってか?
「言ってくれるじゃないか。次までに鍛えておくよ」
「次回も電話でのご予約で?」
「もちろん。シチュを考えるにも時間がいるからな」
「かしこまりました。お待ちしております」
 女の子のリストを受け取り、会釈する受付に軽く手を振りながら俺はエレベーターに乗り込んだ。
 早速準備に取りかかろう。今回は女子高生をやったし、次はどうするかな。ちょっと趣向を変えて、コスプレみたいな衣装を用意するのも悪くない。メイドとか、魔法少女とかどうだ?
 なんにせよ、Sランクの女の子には期待が膨らむ。きっといい体つきで、並の男のパンチなんかものともしないくらいの腹筋なんだろうな。自分の肉体に自身も持っていることだろう。
 すんごい楽しみだ。
557名無しさん@ピンキー:2012/07/31(火) 01:26:03.77 ID:zEokLLDn
すみません、3つに分けるつもりが文章長すぎるとか行長すぎとか言われたので
慌てて改行とかつくったりしてたらナンバリングがおかしくなりました。
最初の1/3は忘れてください。
とはいってもまだ長い行があるので読みづらいと思います。ごめんなさい……
558名無しさん@ピンキー:2012/07/31(火) 02:25:12.01 ID:55a4d2J4


責め方も茜の反応も良かった!

Sランクがどんな子で、どんなプレイになるのか楽しみだ。続編に期待。
559名無しさん@ピンキー:2012/08/01(水) 00:38:17.53 ID:p+okoTDY
お疲れ様です!
一人称形式での描き方が上手くて、とてもスムーズに読めました。
腹パン系風俗って面白いですけど、とくにおなかの強度によってのランク分けって良いなあって思いました。
利用客によって変わる需要にすべて答えられそうですね。
もしシリーズ化されるのでしたら、低ランクの子も見てみたい所ですね。
もちろん、Sランクにも期待です。

あと、今後もここで書いてくださるようでしたら、コテつけてもらえればその方がいいかも……
560名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 07:43:54.53 ID:BZN2CodN
確実に中流以上の生活をしているルームナンバー55氏より文章上手いかも
561名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 20:08:02.69 ID:zSjNNjDb
中流以上の生活ってどうすればできるんだろう
562名無しさん@ピンキー:2012/08/02(木) 20:24:06.53 ID:7gFgaVzl
中流よりいい生活すりゃ中流以上だろ

それはともかく投下乙
563名無しさん@ピンキー:2012/08/03(金) 12:23:37.69 ID:UDCGrVjE
中流を名乗るからには最低でも総資産5000万は必要
564bパンチ:2012/08/03(金) 15:03:08.57 ID:p2w04hU1
表現力がないですが、投下します。誤字あればすいません
565bパンチ:2012/08/03(金) 15:06:31.07 ID:p2w04hU1
「今日はかわいい子が来るといいですね。ふふふ」

ここは、とある場所。まだまだ暑い夏で夜遅くなると人も通らない細い路地。周りも田んぼで人目につく事はまずない。
だがそんな田舎道でも、近くの駅から大通りに出るには、この道を通らないといけない。
そんな道に立って独り言を言っているのは、タカシというまだ20代で、どこか頭の切れる賢そうな雰囲気をだした男。
タカシはここで通る女性を待っていた。自分の欲求を満たす為に。
だが、こんな暗い道を通る女性も少ない。だから暗い田んぼに隠れて、じっと待つしかない。

夜、11時を回ろうとしていた。向こうから女性らしい影が歩いて来るのが見えた。

「やっと来ましたか。他に歩いて来そうでもないし、絶好の時だ」

タカシは隠れて女性が通り過ぎるのを確認した。
暗かったのではっきりとは見れなかったが、髪が短く、それでいて幼顔のなかなかの可愛らしい女性だ。背はそんなに高くなく、細いデニムに白いティシャツがはっきり見えた。無地のティシャツが似合う女性なんて、あまりいない。それだけいい女。
女性は隠れているタカシに気付かず、そのまま歩いて行った。タカシは女性が通り過ぎると、音が鳴らない様に田んぼから出て、気付かれない様にゆっくりと女性に近づいて行った。
タカシの腕が女性を捕らえる距離まで接近すると、女性は異変に気付き後ろを振り返った。
その一瞬、タカシは右の手で拳を握ると女の腹部を軽いアッパー気味に殴った。

「ぐっ!?」

女からは時が止まった様に感じるであろう。タカシの右手は女の腹部の中心にモロに入っている。そして、女は膝から崩れていった。

「うぅ‥っく!‥」

腹を押さえ苦しむ姿はタカシにとって最高のご褒美だ。

「なっ‥なん‥なの?‥」

いきなり腹部を殴られた女性は、息が詰まり、上手く喋れない。上を見るとタカシが笑みを浮かべながら立っている。状況が理解し始めた頃にタカシは言った。

「間近で見ると、すごく可愛らしい方だ。君のお腹もすごく柔らかいしね」
566bパンチ:2012/08/03(金) 15:07:12.22 ID:p2w04hU1
女性は、まだ立ち上がれない。犯されると思い、大声を出そうとするがすぐさまタカシに首を締められる。

「かっはぁ‥くるっ‥し」

「細い首ですね。片手で首を掴める。大丈夫です。ここはめったに人が通らないですし、次の電車までまだ40分以上あります。
別に犯そうと思っていません。ただ、あなたのお腹やその中の内臓に興味があります」

女は首を締められながら、カバンから携帯を捜す。
それを見たタカシは首を掴んだまま女を立たし、また女の腹部を殴った。

「がっ!‥あっ‥‥げほっげほっ!」

女を解放すると、首締めと腹を殴られたせいでかなり咳こんだ。
タカシは女のカバンから財布を取り出すと、免許証に目をやった。

「岡崎、里穂。えっと、21歳ですか。私と同じ歳ですね」

「げほっ!‥おっお金ならあげる!だからお願い!家に帰して!この事も誰にも言わないから!」

里穂は涙を浮かべながら叫んだ。
するとタカシは里穂の方を見て、

「だから、私が興味あるのは、里穂さんのその細いお腹です。私は女性のお腹を殴るのが大好きなんですよ」

「わたしのお腹って‥?」

タカシは座り込んだ里穂の肩を掴み押し倒す様に仰向けにすると、里穂の太ももの位置に座ると、拳を振り上げた。

「いやぁぁ!誰かたすけっ‥げふっ!‥」

助けを呼ぶ声はかき消された。タカシの振り上げた拳は、里穂の腹にめり込んだ。

「う〜ん、柔らかいですね」

「かっ‥ぐっぁ‥」

タカシは拳を抜くと元に戻ろうとする腹筋を許さず、すぐさま里穂の腹を殴った。

「はぅっ!‥ん‥」

里穂の細い腹は、タカシの拳によって潰される。
つづく
567bパンチ:2012/08/03(金) 15:56:46.00 ID:p2w04hU1


今度のパンチはすぐには抜かず、内臓が動く感触を楽しんだ。

「今動いているのは、小腸ですね」

タカシの腕は腸をかき分けながら更に里穂の腹部に沈んでいく。

「うぅぐっ‥手を‥どけて‥」

ドクン、ドクン、ドクン
腹の中の大動脈が脈打つ。

「くるっ‥し‥‥ぁ‥‥」

里穂は苦しそうに顔をしかめる。両手でタカシの腕を引き抜こうとする。

「この脈のリズム。いいですね、まだまだあなたにも味わって頂きたい」

殴りつけた拳を抜かず、何分経ったか、大動脈の脈は激しくなっている。

「はっ‥はっ‥はぁっ‥‥」

タカシの腕を掴んでいる里穂の両手は、徐々に力が抜け ただただ自分の腹を圧迫する腕の侵入を許すしか出来なくなっていた。

「おや?力を入れないと、内臓が傷つきますよ?」

タカシはゆっくりと里穂の腹から手を離した。

「はぁっ!はぁっ!うぅ‥ふぅ‥げふ」

ようやく圧迫から解放された里穂は両手を地面に落とし激しく肩で息をする。
568bパンチ:2012/08/03(金) 15:58:00.79 ID:p2w04hU1
「だいぶ効いてますね。次はみぞおちにいきますね。
ちょっと息が出来なくなりますが我慢して下さい」

そう言うと今度は拳に中指の第二関節だけ たてた。骨を避け、みぞおちという 狭い範囲を殴る為に。
そして、拳をあげ、まだ苦しむ里穂のみぞおちに強めに殴り落とした。

「はぅぐっ!!‥」

里穂のみぞおちにタカシの手、ただの拳ではなく、狭い急所を殴るための拳が埋まる。
そして、間いれず またたくまに、何度もみぞおちめがけ、一点集中で連続で振り落とした。

「ぐっ!‥あがっ!‥はっ‥うぐっ!‥‥はぅ!‥‥げふっ!‥‥くっ‥‥ぐぁ!‥‥やめっ‥‥えぐぅっ!‥‥てっ‥‥ぐふぅっ!‥‥」

何発殴っただろうか。タカシの額から汗が流れた。
里穂は呼吸がさだまらず、みぞおちを殴られた苦しみと痛みに耐えている。


「ふう、疲れました。みぞおちは、どうでしたか?かなり辛いと思います」

汗を手でぬぐうと、次にみぞおちから少し下を狙いつけた。

「ぅぅぅ‥はぁ、はぁ、息がっ‥出来ない‥もぅ‥やめてください‥気持ち‥悪い‥」

里穂の喉から変な音が聞こえる。

「吐きそうですか?それはいい事です。お腹を殴られて吐くのは、めったに経験できませんよ?」

そういうと、狙いをつけた所を重いパンチが降った。

「がはぁっ!!‥ごぽっげぇぇぇ」

里穂の口から女とは思えない声が出ると嘔吐物があふれる。

「出ましたね。全部吐くと、楽ですよ」

そう言うと、同じ場所を殴りつけた。もう力も入らない里穂の腹はとても柔らかかった。

「ごぉっ!げぇぇぇ‥‥‥‥‥」

またも吐く里穂は そのまま気を失った。

「気絶しましたか。でもまだ楽しませて下さい」

タカシは気を失った里穂の横に立つと ジャンプをし、腹の上に膝を落とした。

「はぐぇ!!‥‥かっ‥‥は‥‥」

気を失った里穂はすぐに気を取り戻す。力ない腹部はタカシの膝により潰された。
そして、また気を失った。

「楽しませてくれてありがとうございました。またいつか会えたらよろしくお願いします」

そう言うとタカシは去っていった。

時間が経ち、里穂は嘔吐物が散らばるその中で倒れたまま通行人に発見され、病院に運ばれた
569名無しさん@ピンキー:2012/08/03(金) 22:44:59.67 ID:zK+Dfc4T
なにこの55氏の劣化コピー
570名無しさん@ピンキー:2012/08/03(金) 23:19:10.38 ID:BBO+DzO1
投下、お疲れ様です!
主人公がかなりサディストで、腹パンフリークの真理を突いてましたね。
あと、ターゲットとなる女性が白い無地Tが似合うっていうのが個人的にポイント高かったですw
何気に気になる部分ですよね。
これが事件として扱われたら新聞にどんな見出しが躍るか……なんて思わず考えてしまいました。
571名無しさん@ピンキー:2012/08/04(土) 13:00:27.35 ID:hATJzv+c
文体から中流以上の生活をしてない感じが滲み出てるな
572名無しさん@ピンキー:2012/08/04(土) 13:15:05.64 ID:CgKnmLCP
投下乙!

>>571
>>569
書いてから言えよ
573名無しさん@ピンキー:2012/08/04(土) 15:19:18.70 ID:JY5RorV7
中流以上の生活の話飽きたからもういい
574名無しさん@ピンキー:2012/08/05(日) 13:04:27.56 ID:1aIXEzZ8
投下お疲れさまです。
とても興奮してしまいました。
このタカシをシリーズにして、エリートOLやセレブ女子大生の腹を抉って
汚物撒き散らす話もみたいです!
575名無しさん@ピンキー:2012/08/06(月) 16:48:50.10 ID:JHjQfQH9
投下乙
容赦無い責めに興奮しました
里穂とタカシの再開を期待しますw



>>569
>>571
さっさと職安行ってこい
576名無しさん@ピンキー:2012/08/06(月) 18:12:45.24 ID:kl454sad
中流以上の生活が本来出来る筈だったのに、不甲斐ない息子に金を吸われ続けて貧するシャー家

さっさと職安いけ
577名無しさん@ピンキー:2012/08/06(月) 22:44:26.53 ID:maBkHAoS
なんか最近、新規の方も多く作品投下されて嬉しいなあ。
盛り上がってきたね。
578名無しさん@ピンキー:2012/08/07(火) 01:10:35.41 ID:QdpCgseH
何が中流以上だよ
55みたいな海外の服買いまくってるヤツに限って四畳半の小汚い部屋に住んでたりするんだよ
579名無しさん@ピンキー:2012/08/07(火) 03:37:32.42 ID:F7RDOFz0
自演までして頑張ってるね。
でも外部の作家さんの悪口書いたところで、このスレで反応は得られないよ。
580名無しさん@ピンキー:2012/08/07(火) 16:52:33.71 ID:sCh7Y+G+
腹パ4のサークル参加条件
・生活水準が中流以上
・有職者
・リア充
・非童貞

上記に一つでも当て嵌まらない方は参加出来ませんのでご注意下さい

581名無しさん@ピンキー:2012/08/07(火) 20:48:13.57 ID:KMywRdau
どうせもうじきレッスルや女子ボの連中に乗っ取られて格闘技オンリーとかになるよ
純粋に腹パン好きな人ばかりだった1回目が懐かしい
582ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/08(水) 03:44:14.29 ID:ZpIBqThG
お話のところ、失礼致します。
小ネタ的な物が浮かんだので投下させて頂きたいと思います。
よろしくお願い致します。
583ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/08(水) 03:58:33.69 ID:ZpIBqThG

    ※ 番外編:とある日の出来事



学校、テニスコート。


3時限目の体育の授業中。

肩あたりまでの黒髪で小柄な少女 楠瀬 はすみ と
やや茶色がかかったスーパーロングヘアで長身の 美原 刹那 が、
テニコートのコート外にある、コンクリートの段差がある場所にその2人は居た。

 「それでね、もえたんが ――― 」
 「ふうん、そうなんだ。ふふ、巴らしいわね ――― 」

普段はクラスが違うはすみと刹那だが、この時だけは一緒に授業を受ける事ができる。
授業内容がテニスで、担当教師の指示で自由にペアを組む事が出来たので
2人は引き合うように自然とペアになっていた。
また、2人の友人でもある 富沢 巴 も普段クラスが違う 松本 陽子 とペアを組んでいる。

はすみ達のいる場所は、50cmほどのコンクリートの段差だったので座るのに手頃。
刹那は長くしなやかな足を組んで座り、はすみは手を後ろで組んで立っている為、刹那ははすみをやや見上げながら話している。

 「わたし、どうしてもそのぬいぐるみが欲しくて、500円くらい使っちゃったけど駄目だったの。」
 「クス…珍しいわね、はすみがそこまで我を忘れるなんて。」
 「だって、非売品だったんだもん ――― 」

和気藹々と話す2人。
普段、巴と話すのと一風違った顔を見せるはすみ。普段、必要な事以外はクラスの誰とも話さない刹那。
女子空手部以外の生徒の目にはよほど変わった光景に映るらしく、そこかしこから2人に好奇の視線が送られていた。

 「それでわたし、もう諦めるしかないなーって思って ――― 」

しかしそれは突然起きた。

 ―――― 「あっ!!」 ――――

コート側から大きな声が聞こえた。

はすみと刹那は反射的に声がした方向に顔を向く。
その際、振り向く刹那の視界を何かが横切った。
次の瞬間。
584ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/08(水) 03:59:51.06 ID:ZpIBqThG

 ―――― ぱっすッ!! ――――
 「ふうぅっ!!!!」


刹那の隣から柔らかい物を打つような音、それと同時にはすみの悲鳴が鳴り響いた。

 「はすみ!?」

刹那は正面に目をやるのも束の間、すぐにはすみ方に向き直る。

 「 ……ぅ……ぁ………っ 」

はすみは両手でおなかを抱え体をくの字に折りながらも顔は正面を見据えていたが、たっぷりと涙を溜めたその瞳は焦点が定まっていない。
唇はわなわなと震え、口の端からは一筋の涎がつぅーっと糸を引いた。

 ―――― ……ぽてっ………てん、てん…… ――――

刹那が見ると、はすみの体操着のおなか……ちょうどおへその所に円形の皺を痛々しく残し、テニスボールが地面に転がり落ちた。

 「……うっ」
 「はすみ!!」

はすみはそれを合図のように、両手でおへその所を押さえ膝をついた。
座っていた刹那は立ち、慌ててはすみに寄り添った。
はすみは涎をたらし、閉じた目から涙をぽろぽろと落としながら嗚咽をあげている。

 ――――「ごめー………あー、なんだ。楠瀬じゃん。おーい、ボール返してよー。」――――

その声に2人は顔をテニスコート内に顔を向けた。
はすみは依然辛そうにおなかを押さえ泣きながらも、必死に愛想笑いを作ろうとしていた。

 ――――「おーい。早く、早くー。」――――
 ――――「ばかっ、あんた、あの隣……」――――

はすみの隣にいるのが刹那だと気付き、パートナーの少女が声をかけている少女をたしなめる。
しかし時既に遅し。

  「ちょっと、あんた!!」

はすみの温もりを残すテニスボールを握りしめ、刹那はコート内でプレイしていた子達に食って掛かった。

 ――――「女の子のおなかにボール当てておいて、そんな態度で ――― 」――――
 「………せっ……ちゃ、ゃめ………」


はすみの制する言葉を掻き消し、授業の場は一時騒然となった。


585ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/08(水) 04:09:27.01 ID:ZpIBqThG
短いですが、以上です。

ありがとうございました。
586名無しさん@ピンキー:2012/08/08(水) 19:35:51.83 ID:+9S6Qjxq
乙。
ボールで腹責めって結構珍しいね。

悶える様がエロくて良かったです。
587名無しさん@ピンキー:2012/08/08(水) 20:05:43.26 ID:rbINwOQi
ミストさん台詞回しとかの息継ぎとか好きなんだけど、貴方の文章は改行多過ぎだよ
作風なのは分かるけど無駄に行数稼いでスレの容量圧迫するから、もうちょっとなんとかして下さい
偉そうにゴメンコ
588名無しさん@ピンキー:2012/08/09(木) 07:15:04.39 ID:xx6L6Tfp
アクシデント系もいいですよね
改行なんてたいして容量使わないし気にしなくていいと思いますよ
589名無しさん@ピンキー:2012/08/10(金) 18:10:34.00 ID:fC0U2iqE
>>587
本当に偉そうだな
SS投下スレでなに見当違いなこと言ってんだ
590名無しさん@ピンキー:2012/08/10(金) 19:58:06.70 ID:VwKgTuIV
>>580
そんな条件つけると55氏やTOMさんみたいに砂雪にストーキングされるで
591ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/10(金) 22:52:28.63 ID:NN92OMIq
お話中、失礼致します。感想や様々なご意見、ご指摘などありがとうございます。
明日の夜に投下する物を少し調整したので、読みがてら確認してくださるととても助かります。
皆様よろしくお願い致します。
592ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:24:30.45 ID:uUe6TDe1
投稿させて頂きます。
今回も、よろしくお願い致します。
593ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:25:49.42 ID:uUe6TDe1
それはどこにでも居そうな普通の少女だった。

明るく馴染みやすそうな印象の、それなりにだが恵まれた感のある容貌。
性格もそれに見合うように明朗にして快活。
健康美に満ち溢れた年相応の瑞々しい肢体。
また、スポーツ少女である彼女の黒髪は短く整えられており、清涼感を醸し出していた。
スポーツに打ち込む普遍的な、平々凡々とした少女だった。

少女は今、迷宮の中にいる。

自分の家という迷宮に。


         〜 AFTER 24 〜

             T

          『 バスルーム 』


私は昨日までの事しか覚えていない。

正確に言えば、知識や記憶は残っているが体験したはずの出来事は昨日より以前の事が思い出せない。
いくら思い出そうとしても……何故こうなってしまったのか、いつからこうなってしまったのか。
その部分だけが欠落していており、まるで思い出す事ができない。
不安。恐怖。苦痛。
そういった覚えていても得の無い、おぼろげな感覚ばかりが心に留まり、
それら感覚は確実に私の中に蓄積され続け、日々(?)、私の精神と体を蝕んでいくのを感じている。

現在PM.8:00。
私は今、1階の洋間 ――― 18畳1LDKのリビングでテレビを見ている。
別に特別テレビを見たかった訳じゃない。
他にする事が無く、また自分の中で習慣化してしまっている行動からきているだけだ。

テレビの画面は、ゴールデンタイムに相応しいバラエティ番組を映し出している。
 ――――“『 さあ、始まりました! 』”――――
 ――――“『 始まりました〜っ! 』”――――
スタジオの拍手と喝采、豪華なスタジオのセットを背に番組の司会者とアシスタントのアナウンサーが軽妙洒脱な語り口でオープニングを飾る。
 ――――“『 この「 ベリィ・ワールド 」では毎回楽しく…… 』”――――
独特なアクセントとイントネーションで煽る司会者。
 ――――“『 ……さて!それでは今回も紹介したいと、思います! 』”――――
それを見ても私は全然楽しい気分にならない。
 ――――“『 皆さん注目のターゲットは ――― 』”――――
594ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:26:54.21 ID:uUe6TDe1

次の瞬間、色鮮やかだったテレビの映像は赤と黒の陰影のみが支配する世界に変わった。

 ――――“『 り゛ょ゛う゛さ゛ん゛ 』”――――

同時にそれまで軽快で明るかった司会者の声も嘲るような不気味な声色に変わっていた。

りょう ――― 涼。
私の名前。

これは私の事を取り上げた番組なのだ。
そしてこれから紹介されるのは、昨日(?)、実際に私の身に起きた出来事。
思い出すのも痛ましい、激痛の記憶。
 ――――“『 で゛は゛、ご゛覧゛頂゛き゛ま゛し゛ょ゛う゛――― 』”――――
暗転。
そして暗転後、色を取り戻した画面に映ったのは ―――
おそらく地下室、壁も床も石でできた薄暗く陰気臭い部屋。
部屋の中央にはやはり石で築かれたベッドのような物……拷問台。 腕と足を拘束出来るように大の字に作られた拷問台だ。
そう、ここは拷問部屋なのだ。
 ――――“『 やめて!お願い、やめて!! 』”――――
そこには拷問台に大の字に張り付けられた黒髪ショートヘアで裸の女の子。
女の子は厳重に拘束されて動かない体を必死に揺すり、
なりふり構わず泣き叫び助けを求めていた。
 ――――“『 お願い!お願いします、助けて!! 』”――――
女の子が顔を向けている方向から、上半身裸で黒い三角帽子を顔まですっぽり被った不気味な大男が画面にフレームインしてきた。
その男の人は彫刻のような隆々とした筋肉を備えた体で、大工さんが使うような小さな金鎚を手に、ゆっくりと私に迫る。
 ――――“『 お願いします!! なんでもします!! なんでもするから許してえぇ!! 』”――――
見ている方が怖くなるほどの悲鳴と訴え。
それでも男の人は何も聞こえていないように私との距離を縮めている。
画面の中の私は必死に体を……特に胴体を激しく揺すぶり逃れようと暴れていた。
しかしそれは叶わず、とうとう屈強な体が石のベッドに横たわる私に隣接し、足を止めた。
 ――――“『 なんで!? ねえ! なんでえ!!? 』”――――
グロテスクなまでに筋肉を備えた腕に力が込められ、小さな金鎚を持った手が振り被られる。
 ――――“『 お願い、お願いだからあ…………! 』”――――
眼前の恐怖に体が硬直し、もはや私は震えあがる事しかできなくなっていた。
 ―――― ヒュッ ――――
 「 ひ 」

そして小さな金鎚は、振り下ろされた。

 ―――― どちッ!!! ――――
 ――――“『 む゛ぐ ッ ……!! 』”――――

金鎚の鉄の頭がお腹を穿つようにめり込む。
画面の中の私は目を見開き、口から透明の液体を撒き散らしながら体中をじたばたと藻掻き動かす。
595ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:27:45.22 ID:uUe6TDe1
 ―――― ギチ、ギチ、ギチ ――――
決して壊れない手足の拘束具がきしめく。
私は目を見開いているが激痛のあまり目の焦点は定まっておらず、急激なお腹の痛みの侵害反射による防御反応で無駄に全身を動かしているだけだった。
そんな状態の私に対し大男は憮然として変わらず、金鎚を振り続ける。

 ―――― どちッ!! どちッ!! どちッ!! べぢッ!! ――――

黒い三角帽子で表情はわからないが、大男に感情らしいものは何も感じられずひたすら金鎚を振り下ろし続けている。

 ――――“『 い゛ッ!! ぐ゛ッ!! い゛だ゛ぁ゛!! ん゛グ゛!! 』”――――

金鎚は小さくても、使用する人の力は強い。
だからこそ逆に、小さな金鎚は私のお腹の奥へ奥へと頭を沈めていた。

  ――――“『 ぶくぶくぶく…… 』”――――

私の口から泡が溢れ出た。
酷い顔だ。
虚空を凝視する見開かれた瞳。その目から惜し気もなく流れ出る涙。体もヒクヒクと痙攣し、私はあまりにも無様な醜態を晒していた。
お腹には殴られた数だけ紫色の内出血ができている。
 ―――― “ごとん” ――――
大男は持っていた小さな金鎚を無造作に手放すと、金鎚は小さな音を立てて石畳に落ちた。
無表情の黒い三角帽子は反転し、私から離れ画面からフレームアウトする。
 ――――“『…はっ…!………ひぃ…!!』” ――――
画面の私は大男が消えた方向を見てまたも恐怖に顔を歪めていた。
再びあの黒い三角帽子を被った男がフレームインする。
そこで大男が手にしていた物……今度は、頭径が7cmほどもありそうな大きめのゴムハンマーだった。
ゴムと言ってもハンマーである以上相応の強度はあるはずだ。しかも、さっきより頭部が大きく重い。
 「あ……が、ぅ……!」
私はそれを見て叫ぼうとした。
でもこの時はお腹の痛みで言葉を発する事が出来なかった。
そうしている間にも、大男はまたゆっくりと私の方へ歩みを進めている。
そして先程と同じ位置に来ると無機質な動きでゴムハンマーを振り上げた。

 「っ、やだ! それやだ!! やだああぁー!! 」

お腹に痛みを走らせながらもやっと絞り出せた声。
振り下ろされるゴムハンマー。

 ―――― ばくんッ!! ――――
 「 ぶぶぶぶッ!!!! 」

私の体に打ち込まれるには余りにも深く、無情にも埋まったゴムハンマーの頭部。
一瞬でお腹の内容物がこみ上げられ、口から体液の噴水を噴出させてしまった。
私は体液のシャワーを顔に浴びながら悶え苦しみ続けた。
596ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:28:55.68 ID:uUe6TDe1

 「 …っ!!……ッ!!………!!! 」
 ―――― ガチャガチャ、ガチャ、ガチャ ――――

口をぱくぱくさせ、目を見開いて左右に激しく首を振り、痙攣させながらじたばたと藻掻く拘束された体。
あまりの痛みに目が眩み、石の天井がぐるぐると回って見えた。
そうしている間に大男は二撃目を振り上げる。

 ―――― どばんッ!! ――――
 「 ご゛む゛ッ !!! 」

二撃目に一度は止まった噴水だったがそれは一時的な物で二回目の分の噴水が吹き出す。
 「 ぶばばばッ 」
激しく左右に首を振って悶え、どこへと構わずお腹の内容物を撒き散らした。

 ―――― どぼんっ!!! ――――
 「がばッ!!……ごぽ、ぉほ、えほッ!!」

三撃目。立て続けの激痛と衝撃に、とうとう私のお腹の内容物は吐き出し尽くしてしまったらしく、最後には咳しか出なくなっていた。
 ―――― ごてん ――――
大男はさっきと同じようにゴムハンマーを床に落とし、また何かを取りに行った。
 「こはっ、こほっ……」
私はというと、もはや大男を目で追う気力もなく、両手で押さえる事も叶わないお腹の痛み、その虜囚と化していた
次に私が目にしたのは、ゴムハンマーより更に大型のハンマー……頭部が鉄製で赤いペンキが施された大きなハンマー。
確か、スレッジハンマーとか言う物だと思った。線路の犬釘のような大きな鉄の棒を打つためのものだったはず。
そんな物でお腹を打たれたら………
 「…そんな……そんなの、そんなの死んじゃうヨォ〜〜〜!!」
私は子供のように泣きじゃくりながら訴えた。
やめてもらえない事はわかっている。でも、そうせずにはいられなかった。
きっと、そうでもしないと眼前の恐ろしさ、絶望から気が狂ってしまいそうだったからだ。
泣き叫び続ける私のお腹を目掛けて。

 ―――― ヒュンッ ――――

それは打ち込まれた。

 ――――どぷんっ!!!!―――― 
 「 あ゚ッ!!!! 」

私のお腹はぺしゃんこに潰されてしまった。

 「 〜〜〜〜〜〜〜〜〜!! 」

お腹を潰されてしまったのだ。その痛みたるや、どんな言葉を以てしても形容し難い。激痛という表現をして足らないほどの痛みだった。
その痛みと同時に、ここへ来てまたもお腹から込み上げてくる物を感じた。
お腹の体液はもう吐き尽くしたというのにだ。

 「 ――― ごぼッ!!! 」
597ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:30:20.18 ID:uUe6TDe1
私の口から出た噴水。それは鮮血の噴水だった。
やはり噴水はシャワーとなって私の顔に降り注ぎ、私の顔を、視界を赤く染め上げた。
耐え難いお腹の痛みの中で私はいつの間にか意識を手放していた。

私は、絶命した。

      ――――――――――――――――

 ―――― “ たぱんッ!! どぼんッ!! ぼぷッ!! ばちゃッ!!! ぐちゃ!!! ” ――――
ここから先は、私の生は果てていたので初めて目にする光景だ。
テレジの画面では、もう息の無い私のお腹にひたすら大きなハンマーを打ち続ける大男の姿が映し出されていた。
画面の中、私のお腹は既にぐちゃぐちゃになっており、お腹の中身までも晒している。
それにも拘らず大男はハンマーを振り続けている。
 ―――― “ ビタンッ!! ダンッ!! ガンッ!! ” ――――
打ちつける音も、もうハンマーで石のベッドを打つ音へと変わっていた。
それでも何か恨みでもあるかのように大男は一心不乱にハンマーを振りおろし続け、手を止める気配は無い。
 ―――― ピッ ――――
これ以上見る必要性を感じない。私はテレビの電源を落とした。
 「 ……… 」
無音のリビングの中、私はしばらくその場で佇んでしまっていた。
それでも私にはやる事があるのでそこから立ち、リビングを出た。
リビングを出てすぐ右にある2階への階段を上る。
上ってすぐ左のドアが、私の部屋のドア。私は部屋に入り、机の引き出しを開けた。
 ――――…ごそ…――――
机の引き出しの中にあるノート。
ここに私が体験した事や思った事などが書き綴られている。
いわゆる、日記だ。
さっきも言ったけど、私は昨日より以前の事を思い出す事が出来ない。
ただはっきり分かっている事は、家の外に出られない事。『 一定の時間を超えると開けられない出入り口が開くようになる 』事。その後、殺されてしまう事。
絶望に彩られた過去だ。
そんな繰り返しの中。
きっと私は何かを残し、ここから抜け出すための糧にしようと考えたのだろう。
覚えている事や起きた出来事などをこのノートに書き留める習慣をつけるようにしたのだ。
 “『 日記を書き始めて7日目 』”
私は昨日、自分の身に起きた事や、どのドアを開けたのか、そうしたらどうなったのか。
さっきテレビで確認した事を含めて、どんな些細な事でも全て書き込んだ。
 ――――… コト …――――
今日のぶんを全て書いた後、私はペンを置いて日記を読み返す。
昨日も読んだはずだ。だけど、やはり覚えていないのだ。昨日より前を。

全てを読むのは大変になってきているので、目を引く事柄を抜粋しながらノートに目を通す。
 
 “ 今日からこの日記を付けたいと思う。ここから抜け出すヒントが得られるかもしれない。”
 “ 昨日は1階の西側の和室、その南側のガラス戸から出た。でもやっぱりおかしな場所に出て殺された。”
 “ 前日より前の記憶が無い。一度開けた場所は赤いテープを×字型に貼る事にした。”
 “ 午前0時を回ると開けられない出入り口が開くようになる。それまでは外に繋がりそうな出入り口を開ける事はできない。”
 “ ドアを開けられるようになるのとほぼ同時に赤い雨が降り始める。これは何かに関係してるのかな・・・ ”
 “ 必ずお腹を責められて殺される。これに関して思い当たる事は何か無いだろうか。”
 “ きっとどこかに出口があるはず。諦めないで、私。”
598ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:31:09.79 ID:uUe6TDe1
大体こんな感じの事が記録されている。中でもいちばん気になったのはこれ ―――

 “午前0時過ぎに親が帰ってくる。
   でも決して会ってはいけない。
     会っても良い事は、何もない。”

私はこの文字羅列を見ると背筋が凍りつく感覚を覚える。
きっと「会ってしまった事」を酷く後悔し、強烈に印象付けられているため体が覚えているのだろう。
だから私は素直にこの言葉を信じようと思えた。

      ――――――――――――――――

1階、キッチン。

 ―――― ビイィーー… ――――

私はキッチン脇の勝手口のドアに赤いテープを×字に貼った。
昨日、ここから出ようとしたからだ。

現在PM.11:30。

もうすぐ選択の時が来る。
その時は赤いテープが貼られていない、家の中から外に出られそうな扉を選ばなければならない。
私は、自分の部屋の机でその時を待った。

      ――――――――――――――――

PM.11:59
既に秒読み段階に入った。
私の体は小刻みに震えていた。手も膝も震え、その時が来た際に立つ事が出来るか自分で自分が心配になった。
まるで死刑が執行される直前の死刑囚のような ―――
 「……!」
私は頭を左右に大きく振り、心中を掻き消そうとした。
そんな考えを持たないように心掛けた。
生きて出たい。なんとしても。また、あの平穏な生活に戻るんだ。
絶対に出口はある!
 ――――… ポッ、ポツ、ポツ …――――
 (……来た……)
雨の音が聞こえ始め、徐々にその激しさを増していく。
そして ――― アナログの掛け時計の長針・短針・秒針が全て重なった。
 ―――― がしゃん! パラパラパラ… ――――
 「 ぅ! 」
同時に、掛け時計のガラス部分が割れ、時計の針は3本とも重なったまま時を刻むのを止めた。
 ――――…“ ガシャアッ! パリン! ガチャア! ”…――――
家のあちこちからガラスが割れるような音が聞こえてくる。
恐らく、掛け時計や目覚まし時計といったアナログ時計すべてが、私の部屋の時計と同じように時を止めたのだろう。
 ――――… ザアアアアアァァァ …――――
雨が激しく降りはじめる。
見ると、雨の雫が窓に当たり、いくつもの赤い楕円を塗りつけていく。
思わず手元の多機能型携帯電話端末を見ると、『 24:03 』というありえない時間のデジタル表示をしていた。
私は得も言われぬ焦燥感に煽られ、ドアを開けて部屋を出た。
目の前の階段を使用し、ちょうど階段の中腹あたりまで下り正面に玄関のガラスドアが見えた所だった。
突然 紫色の稲妻が「かっ!」と光り、暗い廊下を紫色の光が支配した。
その時だった。
 ―――― ドオオオォォンゴロゴロゴロゴロ… ――――
599ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:32:06.13 ID:uUe6TDe1
私は見てしまった。
正面の玄関、ガラスドア越しに誰かのシルエットらしき物が照らし出されたのを。
玄関の前に、誰かいる。

  ――――“『 ただいまー 』”――――

父の声。しかし、私はその声を聞いた瞬間、背筋凍った。
 (“午前0時過ぎに親が帰ってくる。 でも決して会ってはいけない。 会っても良い事は、何もない。”)
あの日記の言葉が頭の中で反復される。
私は無言で階段を下り切り、玄関とは反対方向に1階の廊下を進もうと思った。
すると、また紫色の稲妻が走った。
 ―――― ドオオオォォゴロゴロゴロ…… ――――
 「 !! 」
今度ははっきりと見えた。

 ――――“『 ただいまー 』”――――

おそらくシルエットからスーツを着て鞄を手に持っている。
異常なのは一箇所。
そのシルエットは人型だが、肩から上……つまり頭。頭が、異常に長いのだ。
明らかに人間のものではない。

 ――――“『 タダイマー 』”――――

 「ぅ……わ………!」

私は恐怖のあまり玄関とは反対の方向に廊下を走って逃げた。
正突き当り、正面はお手洗い。ここには既に赤いテープが×に貼られている。
ここじゃだめだ。私は突き当りを左に曲がり、お風呂場に向かった。
 「あ……」
お風呂場にはまだテープは貼られていない。
ここだ。ここからお風呂場の窓ガラスを割って外に出よう。
  ―――― ガララララ…… ――――
お風呂場のドアを開けるとお湯を張ったバスタブが見えた。
バスタブにフタをしてそこに乗り、窓を開けよう。
そう思い、タイルの床に足をつけようと踏み込む。

 ―――― ザバアンッ ――――
 (!?)

タイルに足がついた瞬間、私は水の中にいた。
錯覚じゃない。私が今の今まで目にしていたのは確かにお風呂場だった。
600ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:32:47.70 ID:uUe6TDe1
 「ぷはあっ」
それなのに、今いるのは足もつかない深い池……いや、沼。
お風呂場の景色は消え失せ、あたりは湿地帯に生えるような木や草に囲まれていた。
 「ここは……?」
どこの国なのかも分からない、見覚えも無い場所だった。
とりあえず沼にいるのは危険だと思い、陸へ上がろうと思う。
 ―――― バシャ、バシャ ――――
岸までなんとか辿り着き、地面に手をかける。
 「はあ、はあ。」
着ているのが制服である為たっぷりと水を含み、かなり体が重い。
陸に上がるのがやけに大変に感じられた。
私は近くの木にもたれかかり、少し呼吸を整えようと思った。
 「 ――― フウ… 」
空は雲ひとつ無い。太陽は沈みかけているのか光源ははっきりしないが、空は一面紫色に染まっていた。
正直、かなり不気味だ。
でも少し安心している自分が居た。昨日は勝手口を開けて出た次には体が拘束されていた。
今は少なくともこうして自由に動き回れる。ひょっとしたらお風呂場の扉が出口だったのかもしれない。
そう思うと希望が持てた。これであとは人がいる場所に辿り着ければなんとかなりそう。
とりあえずはこの森を抜ける事に全力を注ごうと決意した。
 「そろそろ ――― あれ?」
体を起こし歩き出そうとしたが、動かなかった。
 「えっ……?」
私は自分の体を見て驚いた。沼の中にいたのだろうか。
紫色で半透明な液体……紫色のスライムがまとわりついていたからだ。
スライムは私の手足の素肌に吸いつくように付着し、寄り掛かっていた木に私を磔にする形でへばりついていた。
 「な、何これ!?」
力を入れて抜け出そうとすると、紫色のスライムはまるで意志を持っているかのように反発して拘束の手が強まる。
スライムに手足を封じられ、完全に動く事ができなくなってしまった。
 ――――……. .・ ・ ゥ ゥ……――――
それを見計らったように遠くから音が聞こえてきた。
 ――――… ゥ ゥ゛ゥ゛ゥ゛ウ゛ウ゛…――――
虫の羽音のような音。どんどん大きくなっていき、私の方に近づいてきている。
 ―――― ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛――――
風を巻き起こしながら、それは私の目の前に降りてきた。
 「ひいっ…!」
ゆっくりと私の目の前に降りてきたのは、胴体が1mを超えていそうな巨大なスズメバチだった。
凶悪な黒いふたつの目。見ているだけで痛覚を刺激されるような強靱な刺々しい顎。先端に毒針を携えた大きな腹部。
突然現れたその悪魔は、耳を聾する羽音と共に風を巻き起こしながら、今や私との距離を縮めつつある。
悪夢のような光景だった。
 「 嘘………嘘だよ、なんで、こんな……」
こんな状況だという事だけでも、涙が溢れ出していた。
さっき感じた希望の光は簡単に絶望の闇色に塗り替えられてしまっていた。
紫色の空もスライムもこんなに巨大な蜂も、何もかも理解の範疇に無い。
どうすればなんて考える気すら起らない。
 ―――― ガヂ ――――
 「あがあっ!」
そんな私の心境も現実はお構いなし。
巨大なスズメバチの2本の足が、動けない私の脇腹を両サイドから掴んだ。
そして先端に毒針がついている腹部が弓を引く。
601ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 04:33:46.80 ID:uUe6TDe1

 「ああああああやだああああああ」

 ―――― どすッ!! ――――

 「ぐべえ………………っ」

お腹の中心から全身へと電気が走った。
毒針は見事に私のおヘソを貫いていた。
おヘソと針の間からは血がぴゅうっと吹き出し、スカートとその中の下着を赤く染め上げる。

 「うあああ、やだ、いやだあああ」

私は激痛に泣きじゃくりながら針の刺さったおヘソを凝視する事しか出来なかった。
暴れても暴れても。紫色のスライムは私を縛り続けて離さなかった。
そしてここまでされて尚、私のお腹の中で新たな異変が起こり始めていた。

 ―――― ……ちゅ……ぶぢゅる…… ――――
 「 へ 、へぁ…… 」

お腹の中にひやりと冷たい感覚が広がっていく。
針の先から、何かを流し込まれている!

 「ああ、あああ!! なんで、なんでえええええ!!」

冷たさが広がると共に、その感覚の後から後へ気持ちの悪い痛みがお腹を占領していった。
 ―――― ギリリ、ギリギリ ――――
それに対して満足げにスズメバチは顎を鳴らす。

 「えええ、おげぅ、うええ!!」

私は広がる気持ち悪さと痛みに急激な吐き気を催した。
が………

 「げるっ………!」
 ――――ばしゃああぁ……――――

それは口からではなく、太腿と太腿の間から流れ出た。
溶かされて液体となったお腹の中身が ―――
602ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 13:50:04.74 ID:uUe6TDe1

      ――――――――――――――――


 ――――“『 べふっ…… 』”――――

テレビの画面の中、私は白目をむき、全身から力が抜けて頭を垂らす。
こうして、昨日の私は死んだ。
 ――――“ ギリ、ギリ、ギリリリ ”――――
それでも巨大なスズメバチは私を離さず、おなかを掴み毒を流し続けている。
もはやお腹の中に溶ける物はなく、おへそから股の間へと紫色の毒が垂れ流しになっていた。
 ―――― ピッ ――――
私はテレビを消した。これ以上は見る必要性を感じないし、見たくない。
テレビが消えて無音が支配するリビング。私は少しの間茫然とする。
しかし日記をつけなければいけない。私はリビングを出て2階の自分の部屋に向かった。


現在PM.9:00。

私は助かる事ができるのでしょうか?
この苦痛から解放される日が来るのでしょうか?


もしここから出られる方法があるのなら、誰か教えてください ―――

603ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/12(日) 13:51:03.67 ID:uUe6TDe1
以上です。
ありがとうございました。
604名無しさん@ピンキー:2012/08/12(日) 14:38:39.96 ID:ymQhkvKz
お疲れ様です
ホラー系の話だと普通じゃ出来ないような腹責めが可能だからいいよね
605名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 02:11:34.15 ID:YMd0Yci6
描写が詳しく想像できてすごいです。声や恐怖感もリアルに伝わります。
自分も何か投下しても良いでしょうか?
606名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 03:09:58.87 ID:YMd0Yci6
AM1:00 とある地方都市。

陽菜は恋人の健太のマンションを出て自宅に帰ろうとしていた。

「送らなくて悪いな。気をつけて帰れよ」
健太は熱のため青白い顔をしながら陽菜を気遣った。

「ううん。車だし、大丈夫よ。健ちゃんもお大事にね。またご飯作りにくるからね。」
健太は陽菜の綺麗なロングヘアをくしゃっとなでて、別れた。

健太のマンションの駐車場。人気はいない。

陽菜はアルファベットが控えめにプリントされた、小さな白いTシャツに、
デニム素材のホットパンツを履いている。足元はオープントゥーのサンダル
で夏らしい開放的な装いが、清楚な雰囲気を持つ陽菜との相性が良い。

コツコツとヒールの音だけが響く。愛車のフィアットまであと少し。
ドアノブに手をかけた瞬間。大きな手が彼女の華奢な手首を掴んだ。

607名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 03:22:38.67 ID:YMd0Yci6
「きゃあっ」と短く悲鳴を上げたが、口元を何かで押さえつけられているうちに
陽菜は意識を失った。

数十分後、目を覚ました陽菜は、自分の見に何が起きているのか理解できていなかった。
「どうしたんだろう・・あたし・・ここは?」

どうやら薄暗い倉庫のようだ。突然、重たい鉄の扉が開いた。
暗闇から顔をのぞかせたのは、身長2メートルはありそうな、大男だった。
真夏なのにレザーのジャケット、鉄板入りの大きなブーツを履いている。

「な、何よ・・誰?」陽菜が全身をこわばらせ、その男を見上げた。

「目が覚めましたか、ご気分はいかがですか?」見かけによらず丁寧な
口ぶりだったが、その男からは表情というものがまるでなく、感情のかけらも
感じなかった。

陽菜は、自分がこの男に拉致されたのだと知った。
「あ、あなたは・・・?」



608名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 03:38:34.18 ID:YMd0Yci6
「悪く思わないで下さい。私はあなたには何の恨みもありません。」
陽菜の質問には答えず、淡々と語りかける大男。

「私は、依頼人の要望通り仕事をするだけです。客観的にはあなたのような
美貌を持つ方にこのような仕打ちは残酷かと思いますが、ご容赦願います」

「ちょ、ちょっと・・何を言ってるんですか?さっぱり分からない。依頼人?
仕事?私は家に帰らなきゃならない時間なの、ここがどこだか分からないけど、
帰して下さい。」

大男は、レザーのグローブをはめながら、陽菜にゆっくりと近づく。
「それはできかねます」
あまりの不気味さに、陽菜は鳥肌が立った。(何、この男・・怖い)
大男の影が陽菜をすっぽり包み込んだとき、大男の腕が大きく、すばやくしなった。

ドブウッッ! 鈍い音が響く。

「がっ・・な?」何が起こったか分からない陽菜。自分の小さなTシャツごしの
腹部に、大男の拳がめり込んでいるのが分かった時、腹の中が爆発したような痛みに
襲われる陽菜。

「あっ・・・ああっ、うう、う、い、痛い・・」溜まらず膝をつき、腹を抱えて
うずくまる陽菜。





609名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 03:54:34.11 ID:YMd0Yci6
生まれて22年間一度も味わったことのない痛みに苦悶の表情を浮かべる陽菜。
(なぜ・・?どうして・・?)頭の中では自分の身に起こっていることの整理が
まだつかない。

「随分と柔らかいお腹ですね。この調子だと持って10分といったところでしょうか。
依頼人が来るまで30分、意識を失わない程度に痛めつけるよう指示されています。」

(・・・!?なによ、意味がわからないわ)
うずくまる陽菜の髪の毛を乱暴に鷲づかみし、無理やり立たせる。
「痛い!やめて!」ぐいぐいと踵が浮くほど引っ張られ、大男の手を
引き離そうと必死で抵抗する陽菜の、がら空きのボディーに大男のもう片方の
拳がめり込む。強さはさっきと同じ程度だが、華奢な陽菜にはひとたまりもない。

ドスウッッ!

「うあ・・・がはっ」口から涎が飛び出す。大男は無慈悲な攻撃を続ける。
同じところに、2度、3度とパンチを決めていく。
バスッッ、ドスッ、ボフッッ

「ああっ!・・・いやぁっっ!・・うっく」
610名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 04:08:32.94 ID:YMd0Yci6
腹への攻撃を防ぐため、両手で腹部をかばう陽菜だが、鷲づかみにされた髪の毛を
上にひっぱられ、また両手が空いたところを狙う執拗な攻撃。

少ない腹筋に力を入れて耐えようとしているが、続く攻撃によって徐々に
腹筋が緩み始めている。

ドボウォッッッ!大きな一撃が陽菜の胃を直撃した。

「ぐああっ!?」一瞬で胃の中がぐちゃぐちゃにされたような痛みが訪れる。
「・・・・ぐうぉおお・・・おえ」胃を潰されている音が口から漏れているようだ。
涎のようなものが口から糸を引いている。

突然髪の毛を掴む手が離れた思うとかと、陽菜の小さく整った顔に容赦ない
右フックが飛ぶ。一メートル以上とばされる陽菜。

「ひいいいっ!い、いたいいっ、やめて」顔を押さえて倒れこむ陽菜。
可愛い白のTシャツが誇りまみれになっている。そのめくれあがった
Tシャツから見える白い腹部に、大男が狙いを定めて踵落としを決める。
鉄板入りの鉛のような靴が仰向けになっていた陽菜の鳩尾を押しつぶした。

「げうぇああっ!」妙な声が陽菜から発せられた。


611名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 04:23:14.72 ID:YMd0Yci6
「うううっ・・・げ、げほ、げほっ・・・うぐおおおお〜!」
のたうち回る陽菜。口を金魚のようにパクパクさせて呼吸を保とうとしているようだ。

「おやおや、どうしました?そんな声が出てしまうほど効きましたか?
でも、まだまだあなたを楽にさせる訳にはいかないのですよ」

今度はTシャツの胸倉を捕まれて立たせられる。ビリっとした音とともに
Tシャツの胸元が破れ、大人びた黒のブラジャーが顔をのぞかせる。

「一般的な男ならその2つの乳房をどうにかしたいと思うんでしょうがね。」
「私はその乳房の間の内臓を壊すことの方が好きなんですよ」

ドブッッ 再び陽菜の腹にボディーブローを叩き込む大男。
もはや腹筋が入らなくなっている彼女の胃に直接衝撃が入る。

「げうううっ!!お、おええ〜っ、や、やめで下さい!」
薄いメイクも完璧だった彼女が、涙を流し助けを請うている。
鼻水まで垂れている姿が、非常なリンチにあっている彼女を無様に映し出す。

612名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 04:43:35.92 ID:YMd0Yci6
もう倒れて気を失いたい・・・・

陽菜の切な願いだっただろう。
だが、そうはさせてもらえない。

胸元をしっかり掴まれ、岩のような拳を何度も叩き込まれる。
「ぐぶううっ!」「えぶっ!」「ぐうぉっ!」「えぐぉう!」
(な・・・なんであたしが・・)

身に覚えのない洗礼をうけながら、嘔吐感がこみあげるのを必死で堪える陽菜。
(け、健ちゃん・・・たすけて)

「どうしました?気持ち悪くなりましか?無理もないでしょう。
これでも手加減してますが、あなたの華奢な体でここまで持っているのが不思議な位ですよ」

「お、お願いっ・・します、げほっ、もう、殴らないで、おえっ・・うっ!
うっ、げえええっ!うぼうぇええっ、ゲウェッ、グウェ」

懇願の台詞を口にしながら、胃の中のものを嘔吐した陽菜。
ドロドロと粘り気のある茶色い嘔吐物を撒き散らし、Tシャツを汚す。
胸元にもおびただしい量の汚物がかかっている。

だが、彼女はまだ立っていた。いや、正確には立たされていた。
大男の拳が陽菜の腹部に埋まったまま、そこで固定されていた。
倒れるはずの陽菜を、拳が突き上げている。

「げふっ・・おふぇっ」口から空気と汚液を漏らし、うつろな目をしている
陽菜。もはや美貌を感じのはその華奢だがバランスの取れたプロポーションの
身体だけだろう。
613名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 04:54:59.44 ID:YMd0Yci6
拳が引き抜かれると同時に、糸の切れたマリオネットのように
膝から崩れ落ちる陽菜。そのまま自らの胃の中から出した汚物に
顔から突っ込み、動かなくなった。

「おやおや、失神しちゃいましたか?」
大男は汗ひとつかかずしゃがんで陽菜の髪を掴み顔を上げさせた。
口を開いたまま、彼女は失神していた。

「綺麗なお顔が台無しになっちゃいましたね。」
そういって髪の毛から手を離すと、ベチャッとふたたび汚物にまみれる
愛くるしい顔。

「私としたことが。つい力を入れすぎてしまいました。起きてもらわないと
なりませんが。。はて、どうしましょう。」

大男の目線は、陽菜の持っていたヴォッテカのバックだった。
その中から、15センチほどの長さの整汗スプレーを取り出した。
そして、倒れている陽菜に再び近寄り、小さな形の良いヒップを
突き出しているホットパンツのベルトを外し、それを脱がした。
ブラジャーとお揃いの、黒のパンティが露にされる。

614名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 07:16:03.87 ID:mInYs3MK
支援

続き期待
615名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 07:47:46.55 ID:UxMbKsrb
実際に殴ったことある身としては、ここの作品ほぼ全て現実味が無いな。
俺も作家の一人だったが、リアルでやっちまったら創作出来なくなっちまった。
616名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 12:12:07.79 ID:QCpQ90nd
創作に現実味を求めてどうするんだよ。しかもこんなジャンルで。
最近増えてていいね。投下した人みんな乙。
617名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 14:13:33.01 ID:00gwJZ0f
投下お疲れ様です。
>>564の bパンチ さんでしょうか?あの男が再登場ですかね。
依頼人はひょっとしたら健太なのかなとか思ってしまいました。
618名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 16:43:33.27 ID:+HCHDKs3
>>615
言い訳乙
書く気がないだけだろ?
619名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 21:20:05.34 ID:/U2XNKvg
イラストもSSも続けられる人は少ないからね
1年以内にリアルが忙しいとか色々言い訳してやめる人がほとんど
コンスタントにずっと続ける人は稀だよ
620名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 21:35:16.44 ID:AU1qKwE/
エロ漫画に「現実じゃありえない」だのなんだの文句つけてそうだな
エロきゃそれでいいんだよ
621名無しさん@ピンキー:2012/08/13(月) 21:35:55.41 ID:AU1qKwE/
あ、投下した人たち乙
美味しく頂いてる
622名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 02:23:33.39 ID:geejVSwh
黒のパンティーをずり下げられる陽菜。

真夏の夜の壮絶なリンチのせいか、一瞬ムッとした湯気のような熱気が
露になった局部から漂うのを大男は感じた。
形の良いちいさな白いヒップ。太ももと一緒に汗ばんでいるのが分かる。
だが、彼女は顔を地面につけて尻を高く突き上げた姿勢のまま動かない。

「やり方は問わないと依頼されてますので、多少羞恥を伴いますが悪く
思わないで下さいね。」

そういうと、手にした陽菜の整汗スプレーの丸まった先端を、彼女の肛門にあてがい、
狙いを定める。そして釘を打つかのように拳で叩き込んだ。

陽菜の見えないほど小さな肛門に、極太のスプレー缶が一気に進入した。
一瞬で肛門を裂き、直腸にめり込み、後ろ数センチを残す以外すべて彼女の
体内に入り、停止した。



623名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 02:36:53.01 ID:geejVSwh
腹部の痛みにより失神していた陽菜が、金切り声を上げて悶絶する、
「ひぎゃあああッッッ!!・・い、いひ、いたいいいいっ!」

突然襲った下半身の重たい衝撃と、天地がひっくり返ったような痛みで
転がりまわる。

「目を覚まして頂けましたか?やはりお尻もさぞ痛いことでしょうね」

恐怖に目を見開き、痛みの原因を本能的に探す。事実が分かったとき、
陽菜は気が狂いそうな精神状態で許しを請うた。

「ぐひいいっ、いぇべ、やべでよお〜、あだじが何したって・・・おしり、
おしり、お腹もいたいよお、抜いて、抜いてくだしゃい〜」

綺麗な顔は自分の吐瀉物にまみれ、涙と鼻水と涎を垂らしながら懇願する
美女の陽菜。朝送り出した親が見たら失神することだろう。

その時、入り口の鉄の扉が開き、誰かが入ってきた。
「思ったより早かったですね」大男が話しかける。
624名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 02:54:30.13 ID:geejVSwh
その人物は、それには答えず、コツコツと陽菜の方に近寄った。

「あらあら、随分と派手にやられてるじゃない。ひどい様よ、アンタ」
「だ、誰・・・?」涙で姿が見えないが、どこかで聞き覚えのある声だった。

「誰だって??アンタあたしを忘れたってのかい!」その気迫のある話し方。
この派手な香水の匂い・・・そう、やはりそう、あの女だ。

正体が分かったと同時に、陽菜は新たな種類の恐怖が全身を駆け巡るのを感じた。
体中の毛穴が開き、冷たい汗が噴出すのが分かる。顔が真っ青になった。

「思い出してくれたようだね〜子猫ちゃんがよ。あのときはどうも〜」




(たしか健太がバイトしているレストランに来ていた・・・・・ああ、あの
ストーカーだわ・・・)


625名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 03:12:59.10 ID:geejVSwh
健太は地元で評判のイタリアンレストランでシェフをしている。
リーズナブルな価格で味が抜群に良いということで、女子大生やOLなど
若者に人気の店だ。中でも、健太の腕は一流で、ルックスも爽やかなイケメン
とくれば、健太目当てで来店する女性も多かった。

陽菜と健太はそこで知り合い、交際が始まった。
地元の有名女子大に通う陽菜は大のイタリアン好きで、所属しているマスコミサークル
の仲間と勉強会や打ち上げのため、頻繁に利用していた。

仕切りたがりではないが、人望がありしっかりものの陽菜は幹事を任されることが多く、
自然と健太と会話を重ねるようになった。そして以前から好意を寄せていた健太が告白し、
二人は付き合うようになった。

来年4月から地元局の女子アナとして内定をもらっている陽菜と、
情熱的で、将来有望なイタリアンシェフの健太の美男美女の組み合わせ。
周囲は誰もが彼らの交際を祝福した。

あの女を除いては・・・・。
626名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 03:34:23.88 ID:geejVSwh
「うわ、何かくっさいーと思ったらゲロ?何、アンタ吐いたの?」
女は陽菜に聞く。

「なんだこりゃ、きったな。晩飯何食ったんだよ?おい?」
「・・・・・」頬を紅潮させ、うつむいたままの陽菜。

「健太の部屋で食事してたんだろ?アンタがリゾット作って一緒に食べたんだろ!?」
「・・・ど、どうしてそれを!?」

(な、何?どういうこと・・ずっと監視してた?)

女が不敵に笑う。
「だって、健太君が言ってたんだもん」
「どういうことよ?ま・・まさかあなた」
陽菜は身体の痛みに耐えながら、少しでも冷静さを取り戻そうと必死だ。

「そう、アンタがここでいたぶられてる間、あたし健太くんと一緒だったの〜」
ぼさぼさに伸ばした髪をかき上げながら、その体重80キロはありそうな巨体の
胸らしきものをゆさぶる。

627名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 03:51:36.51 ID:geejVSwh
「健太とあたしは、永遠に愛を誓ったのよ」

みるみると嫌な予感がこみあげる。
「ちょっと・・健太に何をしたのよ!」涙声で叫ぶ陽菜。

いつも元気な健太の様子がおかしいと思ったのは、2ヶ月ほど前だ。
「健太、あたしには何でも相談してって言ったよね?」陽菜に諭された健太
は、店の客に執拗に迫られていることを打ち明けた。

一応常連客だし、邪険にするわけにもいかなかったため、気持ちは嬉しいが
彼女がいるから付き合うことはできないと伝えるとひどく激高した。

「そんなの信じない、彼女がいるんだったら会わせて!!それが本当だったら
あきらめるから」
大切な彼女を面倒なことに巻き込みたくない、そう考えていた健太は
陽菜に話せないまま思い悩んでいたのだ。

それを聞いた陽菜は、健太の手を握りこう言った。
「よし、じゃあその人に会いにいこう!それで私たちが愛し合っていることを
分かってもらって、あきらめてもらおうよ」

628名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 04:00:06.33 ID:geejVSwh
面会は喫茶店で行われたが、陽菜も健太も完全に想定を超える修羅場と
なってしまった。

女はずぶぬれで店に入って周囲を仰天させたが、陽菜が挨拶をする前に
いきなりコップの水を彼女めがけてかけた。そしてつかみかかったのだ。
あわてて健太と店員が静止したが、いきなりの出来事で普段は怒らない
陽菜がついこう口走ったのだ。

「何するのよ!気持ち悪いストーカー!!」

その後、女は健太の前から姿を消した。いや、そう見せていただけに
すぎない。その間、健太を自分のものにするための最終計画を練っていたのだ。

恐ろしく無慈悲で、残虐な計画だった。




629名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 04:16:05.69 ID:geejVSwh
時刻は午前3時を回っていた。
薄暗く、蒸し暑い倉庫の中に、一人のか弱き女性が壊れる音が響く。

ドズンッ!
「げぼおっっ!・・・お、おえ〜っ!」

ズボオッ
「おお!・・うっぷ」

ドヴォッッ
「もうやめ・・うおえッッ!・・・げへえっ」

もはや腹筋が崩壊したところで、膝蹴りを連続でまともに鳩尾に受けている。
口から吐瀉物をビシャビシャ撒き散らしながら、美人から発するものとは
思えない声を発している、非常な暴力の洗礼を受ける陽菜。

手を下しているのは、大男ではなく、女の方だった。
630名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 04:28:18.94 ID:geejVSwh
女とは言え、体重80キロの女の膝蹴りを、スレンダーな女性がまともに
受けて耐えられるはずはない。

膝をついている陽菜の顎を持ち上げ、無理やり上を向かす。
「アンタなんざ、こんな男の手なんか借りなくたって捻り殺せるんだけどさ、
ちょっとでも健太くんといたいからさあっ!おら!おら!おらあ!」

似合わないヒールを履いた大足で、陽菜の胃袋を蹴り上げる。つま先が
直撃し、壊れた蛇口のように口から汚液を噴出す陽菜。

「ぼっふぇぇっっ〜!」

「ちょっと、脚にかかるじゃないの」
そういって陽菜の顎を蹴り上げる。

「うがふっ!」
シャッターのカメラを押したようにパシャリと
白目を剥き、大の字に倒れる陽菜。

その時、陽菜の尻に突き刺さったままだった整汗スプレーが肛門から
にょきにょきと飛び出してきた。抜けきったとき、「ブホッ」という
放屁音とともに陽菜の直腸につまっていた内容物が溢れ出てきた。

631名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 04:43:34.01 ID:geejVSwh
「あっはっはっは!!超汚いこの女!いい年してう○こ漏らしちゃったw」

「いやあ・・・・やめて・・・」
薄れ行く意識の中で、力の入らない自分の身体から最も他人に見られたくない
ものが流れ出てゆくのを感じ、頬を真っ赤にする陽菜。

ジャア〜ッッ
さらに股間から勢いよく小便まで流れてゆく。

もはやどこかの地下格闘技の生贄にされたような姿で倒れている陽菜。

破れたタイトな白いTシャツ、そこから顔をのぞかせる黒のブラジャー
(暴力の衝撃によって片方からは形の良い乳房がはみ出ている)、脱がされ
足首のところでとまっているデニムのホットパンツと、黒のパンティー。
足首まである編み上げのオープントゥーのサンダルは履いたまま。

上半身には吐瀉物が、下半身は糞尿を垂れ流し、蒸し暑い倉庫の中で
すさまじい悪臭を放っている。



632名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 04:54:14.25 ID:geejVSwh
「くっさあ、もうアンタ女捨てたね、これで健太くんもあんたのこと見限るね。
最初から最後まで全部あの固定のビデオで撮影してたから、そろそろ
健太くん家に行って一緒にビデオ鑑賞楽しませてもらうね。」

「・・・・う・・・健太・・」
仰向けの陽菜が力を振り絞って起き上がろうとする。
すかさず女が陽菜の腹にまたがり、ドスンとしりもちをつく。

「うぇぇッ!・・・・ううっ、お、おもい・・・」口をパクパクさせる陽菜。
「重いだって?」カチンときたのだろうか、マウントポジションで
陽菜の顔を拳でめちゃめちゃに殴りつける。

今度は陽菜の美貌が壊れてゆく。
「がふっ」「いやっ」「ぶはあっ」「かおっ・・」「ぎひっ」

・・・10分後

「はいでっきあがり〜」


633名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 05:10:27.71 ID:geejVSwh
そこにあったのは、陽菜であって陽菜でなかった。

整った鼻はひしゃげ上を向き、目は窪み開かなくなっている。
歯は見えるところは全て欠損して地面に散らばっている。

「ひい・・・あたひの・・・かおが」

ぴくぴくと華奢な身体を痙攣させ、身体から絞り出るように残った便を垂れ流している。
「あんた、アナウンサーの内定もうだめだねwマイクの代わりにこれでも咥えてな!」

半開きになっている陽菜の口に、彼女の糞にまみれた製汗スプレーが突っ込まれる。

「かはっ・・ごえっ」
必死で押し出そうとしていたが、巨体女の力任せで喉の奥まで突っ込まれた
とき、陽菜の手が地面に落ち、抵抗が終わった。

「これであたしたちの仲を邪魔するやつはいなくなったわ、あんた、ありがとうね。
残りの報酬はさっき振り込んだわ。」

「・・・」大男は何もいわずその場から立ち去った。
「健太君、待っててね、すぐ帰るから」

女は、生ゴミを捨てるような顔で物言わぬ物体と化した陽菜を見下ろし、
彼女の腹を踏みつけ、出口に向かった。

634名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 08:34:19.95 ID:FG7VubJb
ここで終わりかな?
投下乙
なかなかハードコアだ。特に終盤。
気に入ったけと、展開的に腹責めより残虐さの方が印象が強いかな。梨奈さんの作風に似てる気がする。
635名無しさん@ピンキー:2012/08/14(火) 22:54:59.34 ID:geejVSwh
ありがとうございます。
書いてるうちについ上がってきちゃって少しやりすぎた。
636名無しさん@ピンキー:2012/08/15(水) 00:34:39.60 ID:ICHZzLIL
投下お疲れ様でした。
拷問がかなり激しい作品でしたね。
濃いめのスカトロ描写や顔面破壊をまじえた腹責め作品って珍しいかも。
637名無しさん@ピンキー:2012/08/15(水) 07:21:58.69 ID:m7OFgND6
美女のビフォアーアフターを描きたかった。
スカ描写や顔面破壊で不快な人がいたら申し訳ない。
638名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 09:25:10.00 ID:629PTMLY
ここに投下するって事は、中流以上の生活できてる人?
639名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 10:23:57.14 ID:SEj6+Uup
A. 理解不能な下らない事を考えず、純粋に書いてみたいと考えて実際に書く行動力がある人。
640名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 10:50:53.48 ID:629PTMLY
図に乗んなクソ書き手

さっさとハロワ行け
641名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 11:00:27.17 ID:dPkD7H0q
職人disとか最低だな
さすがに引くわ
642名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 12:50:19.88 ID:SEj6+Uup
なんかイライラすることでもあったんでしょう。
落ち着くまで放置が得策。
643名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 13:19:03.21 ID:oc5w6WI3
イベントでも人生経験浅そうな奴ら多かったからな
コンプレックスのかたまりなんだろ
644名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 13:34:14.74 ID:2/SPrYVI
投下します。
内容:デモノフォビア二次創作
※注意※
原作のネタバレあり
645サタンの断罪:2012/08/16(木) 14:25:54.49 ID:2/SPrYVI
 ――ここはどこなんだろう?
 文目も分からぬ闇が広がる世界で、少女は思案を巡らせる。
 しかし、いくら考えたところで答えは出ない。
 その場所を前にして少女、那廻早栗(くにかい さくり)は言い表しようのない不安と恐怖に押し潰されそうになっていた。
 
目を覚ましたとき、湿気を帯びた石造りの部屋にいた彼女は、とにかく出口を探すべく、ひたすらこの迷宮を彷徨った。
 その道中、カラスに酷似した異形に頭上を襲われたり、地を這うモグラに脚を噛まれたりしたが、必死に逃げ回り、
とにかく出口を目指して地を駆けた。

 それらから逃げ切った後、先刻通った一本道では架空の魔物、ワームと同じ姿をした化生に
幾度とない強襲を受けたものの、命からがら逃走に成功して今に至る。

 大きく息を乱しながら最後の力を振り絞って逃げた結果、ようやく辿り着いたその場所には、三つの部屋が存在していた。
 一つは右手に見える扉のない入り口。
 もう一つは左手に見える入り口。
 ここもまた、扉は存在していない。
 そして……正面に見える扉。

 どういうわけか、そこだけは扉が備わっている。
 しかし、その扉は血のように赤い液体がべっとりとへばりついており、その扉がある壁には、まるで眼球のような
禍々しい装飾品が無数に埋め込まれていた。

 心なしか、その眼球は早栗の事を睥睨しているように見える。
 この部屋には入ってくるな……そういいたげな視線を向けて。
646サタンの断罪:2012/08/16(木) 14:27:14.15 ID:2/SPrYVI
「ひっ――!!」
 その眼球の視線を真っ向から受けてしまった早栗は、思わず身を竦ませて短い悲鳴を上げた。
 まだ多感な時期にある少女の心を支配する恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖。
 コインローファーを履いた足ががくがくと振るえ、それが大腿から身体全体にまで伝わってくる。
 怖い……怖い……!!
 もうやだ……帰りたい……帰りたいよぉ……!!

 今まで生きてきた人生の中を、ずっと両親に依存して生きてきたため、彼女は酷く弱気な性格である。
 ゆえに、辛いことがあると、彼女はすぐに現実から目を背けてしまうのだ。
 打ち震える恐怖の中で、早栗は父と母、そしてこの前10歳になったばかりの恵理の顔が頭に浮かんでくる。
 早く皆に会いたい……。
 会って皆の顔を見たい……。
 しかし、そう願ったところで帰れるわけもない。

 家族の元へ帰るためには……この迷宮を抜けなければならないのだから。
 だからこそ、彼女は自分を奮い立たせて先へと進む決意を固める。
 『進まなければならない』
 先刻から聞こえる誰かの声。
 それを必死に心の中で反芻し、彼女は震える足を一歩前に進めた。
 三つある扉の中から、彼女はまず、正面の扉に入るため、赤い液体で汚れた鉄製のドアのハンドルに手をかけた。


            ×         ×


 ――そこは不思議な部屋だった。
 それまでの空間は、ただ周囲を石が覆う洞窟めいた場所だったのに対し、今彼女が入り込んだ部屋は、
地面と目の前に見える壁が全て平坦になっている。

「ここ……は?」
 口を衝いて零れる早栗の呟き。
 暫し周囲を見渡すと、右側の壁には岩とおぞましい装飾の混じる壁が存在している。
 室内を一通り見回してようやく視線が正面に戻った頃、早栗はその先に台座のようなものが存在していることに気付いた。
 高さはちょうど早栗の胸辺り。
 長方形に形作られているそれは、地面から伸び出たように設えられており、まるでキャビネットの様相を呈している。
647サタンの断罪:2012/08/16(木) 14:28:01.93 ID:2/SPrYVI
「……あれ?」
 ふと、早栗はその台座の上に何かが嵌まっているのを発見した。
 光源のない室内では些か視界に不自由するものの、目が慣れてきた彼女にとってそれは瑣末なものでしかない。
 その台座の上に嵌まっているのが何であるかを確認すべく、早栗は歩を進める。

 台座まで歩み寄った彼女は、そこに嵌まっているものを見咎めた。
 それは、六亡星の形をしたプレートだった。
 大きさは掌に収るくらいのサイズで、赤い色をしている。
 何の素材で出来ているのか、それすらも定かではない。

 もしかしたら……これは、先刻手に入れた水晶玉と同じようにこれ自体が鍵となっているのかもしれない。
 そう考えた早栗は六亡星を手に取り、それをスカートのポケットにしまい込む。

「ふぅ……とりあえず……ここを出なきゃ」
 髪を止めている赤いヘアピンが外れかかっている事に気付き、それを付け直してから、早栗は吐き気を催すほど不気味な部屋を出るべく歩き出す。

 その瞬間、早栗の眼前に『それ』は姿を現した。
 聳え立つ『それ』は身の丈2メートル超過。
 全身の色はまるで鮮血の如き赤(あか)紅(あか)朱(あか)……。
 禿頭で目は存在しておらず、口はまるで防毒マスクの排気口のような形になっており、脊髄からはスパイクを髣髴とさせる棘が伸びている。
 腹部は皮膚で覆われておらず、まるで無理矢理収納したホースのように捻くれた腸が剥き出しになっていた。
 それらを見て、はたして眼前の『それ』を人間だと思う者はいるだろうか?
 いや、そもそも地球上に存在する生物だと、誰が思うだろうか?
 姿形こそ人型ではあるものの、やはりどう見ても化生の類にしか見えない。

「あっ……!」
 まさに化生ともいうべき異形を前にして、早栗は短い悲鳴を発した。
 見開かれる双眸に映るそれに、彼女は恐怖で、驚愕で、戦慄で、身体が動かなくなってしまう。
 逃げなければ……!!
 防衛本能がそう告げているものの、やはり身体はセメントで固められたかのように動かない。

 早栗が身を竦ませている一刹那の間に、異形は早栗の髪を五指で掴み取る。
 熊手の倍以上はあるその手に掴まれて逃げられる道理は無い。
 当然ながら早栗は、何一つ抵抗も出来ず、ただ軽々と持ち上げられるままとなってしまった。
648サタンの断罪:2012/08/16(木) 14:29:01.27 ID:2/SPrYVI
「痛い! 痛いよぉ! はなしてぇ!!」
 必死の懇願。
 しかし、当然ながらそんな叫びに異形は慈悲を示すわけもなく、自身の胸の高さまで早栗を持ち上げると、異形は丸太のような腕を振るった。

 轟音が室内に響き、大気が唸る。
 刹那、固く握り締めた異形の拳は早栗の腹部に埋没。。
 それに次いで奏でられる破砕音。
 鉄球で鉄筋コンクリートを打ち砕いたような音は、その狭い部屋に反響した。

「げぼぉぉぉっ!!」
 早栗の柔腹に深々とめり込む拳は、身に纏っていたブラウスもろとも巻き込んで歪な形になってしまう。
 無惨な形となった早栗の柔腹。
 しかし、異形はその一打に留まらず、立て続けに四発の拳打を早栗の腹に突き入れた。
 間断なく拳が早栗の腹を蹂躙していく。


「ごぶぅっ、ごぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!」
 尋常でない衝撃の全てを柔腹に受け、内臓器官の全てが揺さぶられ、それらは体内で炎火に包まれた蛇の如くのた打ち回る。
 胃が、膵臓が、肝臓が、肺が、大腸が、小腸全てが暴れ、猛り狂い、激痛に悲鳴を上げる。
 汚らしいえづき声を漏らす早栗に対し、紅い異形は突然手を離して彼女を解放する。

「おぶぅぅうぅぅぅぅうぅるぅぅううううぅぅっっっっっっ……ごぼぉぉぶうぶぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!」

 重力に従って地面に落ちた早栗は、両手両膝をついて四つん這いになると、すぐさま食道からせり上がってくる流動物を口腔から吐き出した。
 顔のすぐ下にある吐瀉物の溜まりのなかに未消化の食物は殆ど存在しておらず、胃液が大半を占めていた。

「がひゅー……がひゅー……ひゅー……ひゅー……げほっ、ごほっ!!」
 酸味の強い味に不快感を覚える暇もなく、早栗は先刻の衝撃によって肺から搾り出されてしまった酸素を必死に口から供給する。
 しかし、余りにも急にやり過ぎたため、大きく咳き込んでしまう羽目となってしまった。

 無様に悶絶する早栗。
 それを異形は無言のまましばらく見下ろす。
 やがて、異形は片膝をつくと、再び早栗の髪を左手で掴み、彼女の顔を無理矢理上げさせる。
649サタンの断罪:2012/08/16(木) 14:30:03.04 ID:2/SPrYVI
「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!! やめて……もうやめてぇぇぇぇぇぇ!!」
 涙を流しながら、早栗は半狂乱になって叫ぶ。
 例えそれが無駄な事だと分かってはいても、声を発さずにはいられなかった。
 無力な少女は、そうする以外の術を持っていないのだから。
 当然ながら少女の願いも虚しく、異形は再度拳を構えると、今度は早栗の顔に拳撃を叩き込む。

「あぎゃあっ!!」
 骨と骨が衝突する硬質な音が奏でられるとともに、早栗は醜い声を上げる。
 ぐしゃりと鼻骨が折れ、前歯の何本かが砕かれたのを早栗が感じる間もなく、異形はもう一度拳を少女の顔に打ち込んだ。
 額が割れ、生じた傷口から鮮血が流れ出ても。
 頬が陥没しても。
 瞼が内出血を起こし腫れ上がり、片目が見えなくなっても。
 異形は、殴る事を辞めなかった。
 まるで憤怒や憎悪をぶつけるかの如く……。

「おね……おねがいれひゅ……もう……やめてくらひゃ……」
 激痛に苛まれながら、もう一度紡がれる懇願。
 上下の前歯、及び奥歯までも失ってしまったため、喋ることすらままならない。
 血で真っ赤に染まった酸鼻を極める少女の顔は、恐らく彼女の両親が見ても自分の娘だと分からないだろう。
 それほどまでに、彼女の顔は理不尽極まりない暴力で歪められてしまったのだ。

 もう……夢なら早く覚めて欲しい。
 繰り返される殴打を幾度となく顔に受けながら、早栗はそう願った。
 やがて痛みすら感じられなくなり、相変わらず自分の顔が殴られ、砕かれている音を聞きながら……目の前が赤く染まっていく様を
どこか他人事のように眺めながら、早栗は絶命した。

 これで……ようやく……ゆめからさめれる。

 死ぬ間際、少女はそう思って安堵した。
 しかし、少女は知らない。
 ある者が絶命した彼女の骸を修復し、その時の記憶をも消してもう一度この迷宮を進ませる事を……。

END
650名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 14:31:07.61 ID:2/SPrYVI
以上です。有り難うございました

651名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 16:55:58.46 ID:SEj6+Uup
乙でした!
あのシーンはグロ等の猟奇的シーンだらけの作品だけあって、徹底的で容赦ない描写がよかった。
それをSSで呼び起こしてくれるいい作品でした。
652名無しさん@ピンキー:2012/08/16(木) 22:48:36.46 ID:uGO/DVm8
投下ご苦労様です!
デモビアの2ステージ目は自分もかなりお気に入りでした。
設定などにも忠実に従い、説明がかなり分かりやすかったので
思わずあのシーンを思い出してしまいました。
653名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 05:39:48.23 ID:kGa6pXS7
まとめサイト作ろうと思ってるんだがどうだろうか?
過去のまで遡って
654名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 05:43:54.72 ID:kGa6pXS7
html練習してみたいし
655名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 10:08:48.34 ID:s0u9VT/l
買ってに作るぐらいの熱意がないと続かないからやめとけ
656名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 10:18:49.55 ID:2nAYBbmI
何度か放置状態になったからwiki作ったんだと思うよ
これなら放置されても誰か編集できるし
657名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 10:22:53.58 ID:kGa6pXS7
>656
wikiみたいです。
URL教えていただけませんか?
作るのは7からですね・・・
658名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 10:46:20.30 ID:S4dyTTej
659名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 10:51:25.89 ID:kGa6pXS7
>658
ありがとうございます。
すでに立派なまとめサイトがあるのですね。
なら作る必要そのものが無いのですねw
660名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 11:58:15.02 ID:NTLIh48F
そのwikiすら、最初のテストだけで後は誰も更新しないけどな

まあ万事他力本願なここの連中らしいが
661名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 12:48:23.81 ID:S4dyTTej
>>660
更新履歴はちゃんと見ような、○○だな君
662名無しさん@ピンキー:2012/08/17(金) 13:16:24.74 ID:8m8aZByh
その某所wikiの管理人どぇす☆
・・・すいません、ちょっと休憩しますorz
まとめ方で試行錯誤してます。もしご意見ありましたらwikiのコメント等にお願いします。
663名無しさん@ピンキー:2012/08/18(土) 16:06:08.21 ID:CGZW0bGp
wiki管理人さんご苦労様です。
腹wiki、知らないうちにSSの方もガンガン増えていってるね。
>>653( = >>659?)さんかな?あるいは管理人さんか他の方か・・・
とにかく、ありがたい限りです!補完できてない物もあるから本当に助かる・・・
664名無しさん@ピンキー:2012/08/18(土) 16:21:08.53 ID:EzXCthdu
おお、丁度良かった。
昨日過去作品をざっと見通しつつ作業してて、色々思ったことがありまして・・・。
例えば、1部2部とか分けているならまだしも、一つの作品が未完のまま、区切り悪く次のスレに跨いでてしまったり
1レスごとに作品を投下されてる人も至りと、結構色々あって纏めるのが結構一苦労だったりしました。
特に過去の作品は、複数作品が未完の状態で混ざりながら投下されてたりして・・・

なので勝手にではありますが、一レスごとに項目作ると大変分かりづらい雰囲気になってしまうので、
独断で一つの作品としてまとめ編集(といっても1レスずつくっ付けて一つの作品にする)致しました。
スレを跨いでしまった作品については、一先ずそのまま通例どおりスレ毎に項目をつくり
作者ページでまとめようかと考えています。
・・・ていう感じでよろしいでしょうかね?ここでも別のとこでもwiki内でも、コメント頂ければ幸いです。
665名無しさん@ピンキー:2012/08/18(土) 18:32:36.82 ID:CGZW0bGp
管理作業、ご苦労様です。
基本的にこちらのスレッドに作品投下してくださる筆者の方々は匿名の方も多いので、
最初は固定ハンドルネームを持っていらっしゃる方から目印としてまとめていき、
残りを、まとめ編集(管理人さんのおっしゃる通り、スレッドで区切ってひとつまとめに編集する)
という案はどうでしょうか?

タイトルの無い作品も多いので、そのあたりは他の人の手も借りないと膨大な作業量になってしまいそうですが…
666名無しさん@ピンキー:2012/08/19(日) 01:00:52.31 ID:BZRZISKq
http://blog-imgs-35.fc2.com/l/o/v/lovemusclebeauty/fgegergre007094.jpg
ええ腹しとるわw
こんな腹を誇示するような高慢女に、キッツイ仕置き食らわせたってください職人さんw
667名無しさん@ピンキー:2012/08/19(日) 01:12:54.03 ID:oefERHvi
wikiのほう、自分も手伝える所から何かしようかな・・・
668名無しさん@ピンキー:2012/08/20(月) 16:19:38.02 ID:GAeAc2pd
誰かメシ作るのが異常に遅いウチのババアにも腹パンしてくれ
俺から早く作れって言っても、「偉そうに言う前に働け」とか逆ギレしてきて話にならん
669名無しさん@ピンキー:2012/08/20(月) 21:53:53.81 ID:LCxF/1PG
なにこれコピペ?
670名無しさん@ピンキー:2012/08/20(月) 21:56:26.89 ID:3z3ppb7u
ただ不快感を植えつけるだけの文面のため、ただの荒らしと思われる。
日常でおきた苛立ちを発散させるための突発的な行動の可能性があるため、以後触れる人が現れないように。
671名無しさん@ピンキー:2012/08/20(月) 23:38:09.95 ID:dOXGm5fU
VIPあたり見てるとほんとに同じネタしか見ないから嫌になる
ニートネタもそのひとつ
672名無しさん@ピンキー:2012/08/21(火) 10:57:00.94 ID:S+c7g4A5
もうすぐ腹パだぞ
回を重ねるごとに参加サークルが増えて嬉しい限りだ
55氏復活も期待
673名無しさん@ピンキー:2012/08/21(火) 19:01:43.09 ID:ozT+uoRv
確かにねー。
でも一応、腹パ関係の話題はwikiつながりで別の所でしないかい?
674名無しさん@ピンキー:2012/08/21(火) 21:16:09.77 ID:U2OGJzY8
ここでいいんじゃないか?
腹パの話題が上がると荒れるわけでもないし
むしろ職人に腹パの存在を知ってもらって盛り上げて欲しい
675名無しさん@ピンキー:2012/08/22(水) 02:32:51.79 ID:eo2zL9/0
とりあえずここで話をすると仮定して・・・腹パ関係だと、どういうテーマで話をすればいいんだろ?
676名無しさん@ピンキー:2012/08/22(水) 02:49:00.89 ID:VL3V2t5m
誰のどの作品が良かったとか、この人の本は買いだ、とかかな
SSは55氏だけ?
677名無しさん@ピンキー:2012/08/23(木) 02:17:25.52 ID:4ZG9xs4l
腹パの話で盛り上がっている所をすみません。


『電脳ちょこれ〜と』のAwAさん企画の腹責め合同誌【 ぽんぽんいたいの 】
も、参加者を募っているようです。
コンセプトは「 ぽんぽんをいぢめる本!! 」

参加者募集の締め切りは 10/26(金)


詳しいスケジュールやその他細かい事柄もサイトに親切に載せてくださっているので、
こちらを見ていらっしゃる腹責めSSの作家さんは是非参加して欲しいです。


AwAさんから許可を頂きましたので、アドレスでの誘導をさせて頂きます。

ttp://awa.lolipop.jp/plan/01_ponpon01/main.html

皆さん、よろしくお願い致します。
678名無しさん@ピンキー:2012/08/23(木) 14:36:57.24 ID:qJZ/EJ2w
>>676
wiki見れ、確かもう1サークルある
679ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/25(土) 20:45:06.28 ID:4Aw/SgjW
お話し中に失礼致します。
前回、読んでくださった方、感想くださった方、ありがとうございました。
投下させて頂きます。よろしくお願い致します。
680ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/25(土) 20:47:19.08 ID:4Aw/SgjW

         〜 AFTER 24 〜

              U

            『 納戸 』


PM.9:13。

 “『 日記を書き始めて12日目 』”

短く整えられた黒髪の少女が自室で日記を付けている。
本来明朗快活な彼女が日記をつけるその面持ちは、見る影もない程に曇っていた。
状況は依然変わらず、涼は自分の家からの脱出は果たせずにいる。
抜け出せないまま、毎々に増していく苦痛の感覚や強迫観念を蓄積させ今に至っている。
今日も彼女は選択を迫られるだろう。自分の家から出る為の出口の選択を。

本来、安らぎの空間であるはずの“我が家”は、今や彼女にとって苦痛を伴う閉鎖的な空間と化していた。

 “ 前日より前の日の記憶が無い ”
 “ 午前0時を回ると開けられない出入り口が開くようになる。それまでは外に繋がりそうな出入り口を開ける事はできない ”
 “ 出口を開けられるようになるのとほぼ同時に赤い雨が降り始める ”
 “ 午前0時過ぎに親が帰ってくる。でも決して会ってはいけない。会っても良い事は、何もない ”
 “ おかしな場所に出て殺される ”
 “ どこを開けても共通しているのは、必ず、ひどくお腹を痛めつけて殺されること。何か思い当たる事は・・・ ”
 “ 一度開けた場所は赤いテープを×字型に貼るようにする ”
 “ きっとどこかに出口があるはず。諦めないで、私。”

 「 ……… 」

涼は ――― 恐らく幾度となく読み返しているであろう日記に目を通し、記載事項を確認する。
今挙げた物とは別に

 “ 昨日は1階の西側の和室、その南側のガラス戸から出た。でもやっぱりおかしな場所に出て殺された ”
 “ 1階の廊下、階段下収納の扉を開け、その中に入った。入った直後、両手を縛られ宙吊りになり、大男に死ぬまでお腹を殴られた。 ”
 “ 1階キッチン脇の勝手口から出たら、そのとたん拷問台に縛り付けられた状態になり、死ぬまでハンマーでお腹を打たれた ”
 “ お風呂場を選んだら例によっておかしな場所に出たけどしばらく自由に動けた。結局ダメだったけど、次に同じ状態になる時があれば… ”

など、午前0時以降に起こった事柄も漏らさず綴ってある。
繰り返すようだが、昨日より以前の記憶が無い為、そういった物を含めて出口に繋がるようなヒントを得られるよう涼自身が残しているものだ。
脱出への足がかり。だが、今それを繋ぎ記す手は大きく震えていた。
 「 ――― だめだよ……わかんないよっ!」
突然、涼はノートと手にしていたシャーペンを一緒に床に投げつける。
叩きつけられたシャーペンの乾いた音と、ばさりと落ちるノートの音が重なった。
 「ヒントなんて何もないじゃん!こんなの書いてたって意味ないよォっ!!」
彼女は頭を抱え、そう叫びながら机に突っ伏した。
日記に書いてあるのは一向に変化の無い状況と痛ましい拷問の記録ばかり。読むのはつらいばかりでしかもここまでこれといった収穫もない。本当は日記など付けたくないのだ。
涼が自棄になってしまっても仕方のない事だった。
記憶は無くとも、拷問によって受けた多くの苦痛は確実にトラウマとなって涼の心を蝕んでいた。
 「うっ…うっ、うっ、うぅ……!」
突っ伏したまましゃくりを上げて押し殺すように泣く涼。
彼女はもう為す術を無くしていた。
681ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/25(土) 20:49:33.30 ID:4Aw/SgjW

――― 人は戦う事ができる。逃げる事もできる。
たとえ相手が何かわからなくても生きる為に戦える。自分の無力さを呪いながらも逃げる事ができる。
 “『 日記を書き始めて11日目 』”
そして………圧倒的な絶望に打ちひしがれ自ら命を絶ち、人生に幕を降ろす事も。
 “『 今日は自殺をした。 』”
そうであるはずだ。
 “『 でも気がついたらいつものように玄関に倒れた状態で目を覚ました。そして時間だけが無駄に過ぎていただけだった。 』”
しかし床に落ちたノートが開くページにはそれさえも許されない答えが記されていた。
死を以てしても逃れられない現実。それだけが涼に突き付けられていた。
 「ぐ……く、うぐう………!」
涼は席を立ち、ノートを拾い上げる。そして泣きながらも懸命に続きを書き始めた。
神が人に課した業なのか。ここに来て未だ涼の精神は壊れていなかった。
いっそのこと壊れてしまえれば楽だろう。でもどんなに辛い目に遭おうと地獄を見ようと、人は簡単に壊れる事などできはしないのだ。

      ――――――――

PM.11:27。

 「やだっ……やだ、やだ………!」
今日も選択を迫られる。もうすぐ“その時”が来る。
涼は机で頭を抱えながらかぶりを振る。迫る恐怖を遠ざけるように。
先程までは必至で家の中を歩き回り、調べていた。過去に自分がやったかもしれないと思いつつも、直接的に家の外に繋がりそうな窓やドアは無いかと各所の点検を行っていた。
しかしやはり日記に書いてある通り、どこも開く場所は無かった。時間が来るまで待ち、開けるしかない。そう思った時だった。
 「 はっ…… 」
脳裏にひとつの可能性がよぎった。
 (ドアを開けに行くんじゃなくて、やり過ごす事が出来れば……)
確信ではないが、ひとつの光明。思った時には立ち上がり、自室から出るドアに向かっていた。
2階の北西に位置する自分の部屋。そのドアを開けると、正面に1階に降りる階段、2階の北東に位置する4,5畳の洋間の部屋のドア。
それらを無視し、涼は2階の南に向かって廊下を進む。
廊下を突き当たった所で、左側……南東に両親の寝室、右側に西南は涼の兄の部屋を臨む形になった。
 (部屋に隠れたらきっとすぐ見つかっちゃう……)
そう直感した彼女はそのどちらも選ばず、ちょうど涼の兄と涼の部屋の間に隣接する納戸の扉を開けた。
納戸を開けると、洋服タンスや物を置く棚、普段は使用しない物などが雑多に置かれている。
 (ここだ……)
涼は電気も点けず、道具に被せてあった大きな風呂敷を開け自分も道具と同じようにその中に入ると息をひそめた。

――― そしてAM.12:00。

涼の持っている多機能型携帯通信端末のデジタル表示では『 24:00 』を表示した。

 ―― ぱんッ! ガチャッ! ガシャンッ! パリンッ! ――
あちこちでガラスやプラスチックの割れる音が聞こえる。涼も昨日までの事は覚えているから恐らく分かるだろう。
家中のアナログ時計や掛け時計のカバーの部分が割れ、秒針、長身、短針が12を差した所で時を刻むのを止めたのだ。
 ――……ザアアアアアアァァァ……――
そして外では赤い雨が地面を激しく打ちはじめた。
 ―――― ドオオオォンゴロゴロゴロ…… ――――
周囲を紫色に照らす稲光。それとほぼ同時に響き渡る轟音。
記憶はなくとも積み重なっていく感覚。それらの音は涼の恐怖心を大きく煽った。
しかし涼は耐えている。根拠の無い思いつきだとしてもやる事がある。その目的意識が崩れそうな彼女の精神を制御するに至っていた。
 ――“『 ただいまー 』”――
24:04。 1階の玄関からだろう。涼は階段の下から雨の音に混ざって父親の声が聞こえるのを感じ取った。
 ――……ザアアアアアア……――
 ――“『 ただいまー 』”――
涼は道具に紛れ大風呂敷の中、ただ静かに息を殺して隠れる事に専念した。
682ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/25(土) 20:50:48.81 ID:4Aw/SgjW
 “午前0時過ぎに親が帰ってくる。でも決して会ってはいけない。会っても良い事は、何もない。”
ノートのあの言葉が一瞬、涼の精神を掻き乱す。
 ――“『 ただいまー 』”――
会ってはいけないのなら、やり過ごせれば良い。もし見つかっても逃げられる限り逃げてやる。
その先にある物を見るために、覚悟を決めた。
 ――“『 タダイマー 』”――
 ――……ガチャ…………バタンッ……――
玄関の扉が開き、そして閉じた音がした。いよいよ中に入ってきた。涼は自分を保つ為にお腹に力を込める。
 ――……トン…トン…トン…トン……――
迷い無く階段を上がってくる足音。
 ――「 タダイマー 」――
 (……ばれてるの……?)
心臓の波打つ音が大きくなったのを耳の裏で聞く。
 「 タダイマー 」
 (近い…!)
高鳴る心臓の鼓動音。もう2階まで上がり切り、近くまで声が迫っているのを感じていた。
  ――…カツ、カツ、カツ、カツ…――
廊下を歩く足音。それは納戸のドアの前で止まった。
 (来る!)
 ―― ガチャン キイイィ… ――
ドアが開けられ、僅かに明かりが漏れてきた。
  ―― カッ カッ カッ カッ ――
ばっ、と大風呂敷が開けられる。

 「 Βγες έξω 」
 「えっ……?」

開けられた後、周囲を見渡すとそこは納戸ではなく、薄暗くじめじめした牢屋のような風景に変わっていた。

そして、いま目の前で涼に声をかけたは人間だった。れっきとした人間の男性だが、日本人には見えなかった。
ちぢれ毛で黒色の頭髪、褐色の肌、彫刻のように彫りの深い顔。
服装は、顔の部分は覆われていない鶏冠のついた青銅製の兜。皮革の鎧。たくましい上腕には何もつけず、手首に篭手。 筋肉質な足……太腿には何も付けず、脛当てと革紐を使用したサンダルのような靴。
そして槍を手にしていた。
どう見ても日本の ――― いや、現代のものとは思えない。
涼はまたも自分が異常な空間に迷い込んでしまったと落胆していた。
 「Αλλάξτε ρούχα」
言葉も日本語ではない。また、英語でもないように感じる。
 ―― ばさッ ――
今の言葉の後に、男は服らしきものを涼の前に投げ落とした。着替えろ、という事なのだろう。
ここで、ふと、涼は思い出した。自分が書いたあのノートに記された言葉。
 “ おかしな場所に出たけどしばらく自由に動けた。結局ダメだったけど、次に同じ状態になる時があれば… ”
今がその時ではないのか。
 「 ――― っ!!」
 「 Περιμένετε ! 」
意を決し、涼が男の脇を潜り抜け、牢屋の出口へ走った。
だが……
 ―― どふっ!! ――
涼の角度からは扉の影に隠れて見えなかったのだが、男性がもう1人おり逃げようとした涼のお腹に膝を入れてる事で彼女を止めた。
猛ダッシュの勢いは男の膝に当たった事で衝撃として転化され、そのすべてが涼の柔らかいお腹に返ってきていた。
 「かっ………はあぁ…!」
涼はお腹を抱えてゆっくりと膝を折り、その場に崩れ落る。
 「Αποδράστε είναι αδύνατο ! 」 「あ……ああぅ……」
男はそんな涼の髪を掴みあげ、涎をたらす涼の顔目掛けて一言怒鳴ると、牢屋の方に彼女を投げるように戻す。
 (やっぱり……無理なんだ……)
 ―― どおっ! ――
 「はゥっ!!」
失意に暮れる涼に追い打ちを掛ける。先程、一度は潜り抜けた男が槍の反対側で涼のお腹を突いた。
683ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/25(土) 20:51:47.10 ID:4Aw/SgjW

 「Μην δρουν εγωιστικά ! 」
 ――ぐにぐにぐに……――
 「うあああ〜〜〜〜〜〜ッ!!」
更にそのまま槍の柄の部分で涼の柔らかいお腹をこねるように責めた。蹴られた後のお腹への攻撃だった為、痛みのあまり手足や頭をばたつかせて痛がった。
 「Αλλάξτε ρούχα ! 」
槍を離し、その上で男が一喝する。
 「うっ………ぐす、わかったわよ…」
涼は痛いお腹を押さえ、泣きながらもよろよろと着替えを始めた。

渡された服はハイレグのレオタードに腰巻き、レッグウォーマーにシューズ。
腕や太腿には付ける物が無く、健康美に溢れる涼の素肌を晒している。
まるでエアロビクスのような服装だった。
 「Έλα εδώ」
男がジェスチャーも加えて喋ったので涼にもなんとなく分かった。たぶん「傍に来い」というような事を言ったのだろう。男の前にいくと、男は仮面のような物を取り出した。
仮面は鉄のようだが唇や鼻がはっきりと形どられており、目の部分は円形に近い形で半透明のガラスがはめ込まれていた。
まるでデスマスクのような不気味な無表情の仮面だ。男はそれを涼の顔に付けると、涼を呼び込み牢屋から出す。
2人の屈強な男性は彼女の両脇に付き、持っている槍を涼の前でクロスさせるように突き付け、歩く事を促す。
涼はなすすべも言われるがままに通路を進んだ。
通路の向こうからは日の光が差し込んできており、進むにつれてその光は大きくなっていく。通路の向こうが広場になっているのが分かった。
そして涼がその光に辿り着く ―――

 ――“『 オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ 』”――

たくさんの声が涼の体を叩く。だが、歓声といったような物ではないように思える。まるで大勢の人間が一斉に呻き声を上げているような、そんな声だ。
 「……なに……これ……」
仮面越し、涼の眼前に広がるのは広大な闘技場だった。
地面がむき出しの、楕円形に広い地面。涼が出てきた通路とは反対の位置にも同じような通路が口を開け闇を見せている。
その広場を見下ろすように高く位置している観客席。闘技場からの高さは軽く5メートルは超えていそうで登れそうもない。
円筒形で屋根が無く、観客席は外側に向かうにつれて段が高くなっている。また、高い位置に玉座のような物も確認できた。
この建物全体の大きさは長径で190m、高さは50m近くありそうで、キャパシティは5万人ほどありそうな巨大な建造物。
それはまさにフラウィウス円形競技場 ――― いわゆる古代のコロシアム、それだった。

涼はその大きさと大勢の人間……そして異様な雰囲気にただただ圧倒されていた。
 ――“『 オ オ オ オ オ オ オ オ オ 』”――
観客席を見渡すとその全てが人間でない事がわかった。
人型を成しているものの、顔は目と口に相当する場所に黒い穴があるだけで、まるで灰色のモヤのように揺らめき蠢いている。
その異様な姿はエドヴァルド・ムンクの代表作「叫び」を想起させた。
 ―― どんっ! ――
 「あッ!」
突然、背中を突き飛ばされて涼は前のめりに倒れ込む。
 「 なにす ――― 」
抗議を口にしようとした涼は、はっとして息を飲む。
四つん這いの先……こちらとは反対側に位置する通路の暗闇を、誰かが歩いて来ている。
それが日の光のもと姿を映し出すと、自分と同じようにエアロビクスのような服装で不気味な仮面をつけているのが分かった。大人の女性だ。
ただし涼と違うのは細身ながらも十分に筋肉を備えた二の腕と太腿を晒している所。それだけでも涼との圧倒的な体力差が窺えた。
闘技場。観客。1対1。そう、やる事は決まっている。
 「無理…無理だよォ…」
涼は無表情な仮面の下で恐怖に引きつった顔を作っていた。
 「こんなのやだヨォー!!」
涼は自分が通って来た通路に向かって走った。
だが。
 ―― ガキッ! ――
 「あうッ!」
涼を連れてきた2人の男性が槍をクロスさせ、涼の行く手を阻んだ。
逃がしてもらえない涼が再び振り向くと、相手の女性は消えていた。
 「あれ?………ハッ!!」
突然、影が差す。涼が上を向くと、一瞬、太陽の中に人型のシルエットを確認した。

だがすぐに太陽光に目が眩み、無防備なまま相手の攻撃を受ける事になった。
684ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/25(土) 20:52:47.48 ID:4Aw/SgjW

 「シャアアアァァッ!!」
 ―― どぼおッ!! ――
 「うぐっ…!!」

凶悪なつまさきが涼の無防備なお腹の真ん中に容赦なく突き刺さった。

 「ごぼォ!」

その一撃に仮面の下で、瞬時に勢いよくお腹の中をの物を吐き出した。その液体は顎のラインと仮面の隙間を縫って漏れ出る。
そして女の攻撃はこれで終わりではなかった。まるで涼のお腹を踏み台にするようにそのまま空中に留まり続け、更につまさきで涼を襲った。

 ―― ドブッ!! ずぼッ!! ずんっ!! どフッ!! ずぶッ!! ぼブっ!! どすッ!! ――
 「 あ゚ッ!! うッ!! ふゥ!! おゥっ!! ふぐ!! ごぶ!ごぶぶ!!」

みぞおち、へそ、その中間、下腹部………女のつまさきは正中線に沿って正確に涼のお腹の急所を貫いた。
 「テイィ!!」
そしておまけとばかりに仮面を付けた涼の顔を蹴り上げる。
 ―― バキィッ! ――
 「うああッ!!」
涼は蹴り飛ばされ、体を地面に擦りながらうつ伏せで停止した。
相手の女は着地し、構えを取り直す。刻まれた毒蛇のタトゥーが力を込める二の腕の上で歪む。
 ――……ジワァ……――
うつ伏せの涼の頭あたりから広がっていくように、みるみるうちに地面に体液の水たまりが出来上がる。
 「うっ、う、うう〜〜……」
涼は激しいお腹のダメージに体が麻痺し、痛いお腹をさする事もできなかった。
無表情な仮面の下で苦悶の表情を浮かべながらただただ涙と涎を垂れ流し続ける事しかできなかった。
 (なんで……なんでこんな目にぃ………)
十分に鍛え上げられた成人女性が、無慈悲にも全力で少女のかよわいお腹に暴行を加える。
今の涼の姿を見れば誰もがかわいそうだと思うだろう。
 ――“『 オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛』”――
しかしそんな事を思う者はこの場に存在しなかった。むしろ、呻き声のような轟音は興奮しているかのように更に大きく湧き上がった。
 「ぅあ……うわああぁぁ………」
涼の体が漸く少しだけ動くようになる。すると彼女はお腹を押さえて泣き喚きながら壁に向かって歩き出した。
 「わあぁぁ……あ、ぅ、あああ………」
時折、お腹の痛みにつまづきながらもなんとか壁に辿り着く。
上を見るととても登れそうにない高さの壁。その上の観客席、陽炎のように揺らめく無数の人型の影たち。
涼はその影たちに向かって叫ぶ。
 「………助けて………お願い、誰か助けてぇ!!」
 ――“『 オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛』”――
しかし涼の悲痛な訴えをまともに聞き入れる者など居はしなかった。
 「助けて、たすけてええぇ!!」
壁にしがみ付き泣き叫び続ける涼。
 ―― ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ――
その後ろからは二の腕に毒蛇のタトゥーを施したあの女が迫っていた。
 「たすけ………はがっ。」
女は涼の真後ろまでいくと涼の髪を掴みあげ、自分の方に顔を向けさせる。
 「 ――― ぎゃあああああああ!!」
と、女の姿を見たとたんに涼はまた泣き喚き、暴れ出した。
 「いやああ!!やだ、いやだああぁーーー!!」
すると、女は涼の首あたりを押さえつけ、自分の方に引き込む。

 「う、あっ」
 ―― どすうっ!! ――
 「うっ………………!!」

女は引き込む事でカウンターを作り、お腹に膝を入れて泣き喚く涼をおとなしくさせた。
685ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/25(土) 20:54:24.16 ID:4Aw/SgjW
再び痛みにさらされた涼のお腹。彼女は抵抗する気力さえ奪われてしまっていた。
 「ぅぅ………いたい、いたい…」
仮面の下、しゃくりを上げて泣く涼。女はその様子に戦意の喪失を見て、涼が通ってきた方の通路に向かって歩き出した。
そして通路を守る2人の男の前に涼を放り捨てる。
 「うぅ………」
2人は涼を抱き上げ、無理矢理立たせた。
 「Ακόμα είναι πολύ νωρίς για να κοιμηθεί !」
男は何やら挑発するように言葉をぶつけると、2人が両側から押さえ付ける形のまま涼の腹を女の前に差し出す。
 「セヤアアアァーー!!」
女はそれを確認すると、毒蛇のタトゥーが刻まれた右腕を弓引き、嬉々として飛び込んだ。

 ―― どずうッ!!! ――
 「 はがっ…!!! 」

狙いはやはり涼のお腹。
拳を埋め込まれた瞬間、涼のしなやかな肢体は激しくびくつく。仮面の下では目をかっと見開き、唇をわなわなと震えさせていた。
見れば女の拳……その人差し指は涼のへそを見事に捉え、レオタードのお腹に指が丸々一本、根元まで埋まっていた。
 「あっ、あっ、あっ………」
口をぱくぱくさせ、涎を飛ばす涼。
この信じ難い状態を彼女の頭は受け入れられず、目の前の真実を否定する答えを導き出す為に脳細胞を総動員させ、結果、パニックに陥っていた。
 ――…ぐに…ぐり…ぐにゅ…ぐち…――
女の人差し指が涼のお腹の中を直接触る。
 「い……ぎひゃあああああひいいいぃ、いやあああああ!!」
これが揺るぎない現実の証拠。涼はこの恐るべき事態と激痛に、悲痛な叫びをあげた。
 「こんな……こんなあああああああ」
非情事態に脳が追い付いていかない。脳はこの不可解な異常事態を補足する為に涼の想像力を刺激し「細長い生物がおへそから侵入している」というとんでもない感覚を呼び起こしていた。
 「う!ううぇ!!うげえ、ぇはッ、ぶえええ!!」
無表情な仮面とは反対に、その下にある涼の顔は痛みと気持ち悪さに顔を大きく歪める。
 「うええ!!………やだあ……やだよぉ…抜いて、抜いてよォ………」
相手の右手を両手で掴み、泣きながらに訴える涼。そして女は。
 ――…すっ…――
指を引き抜き、元の構えに戻った。女の人差し指から鮮血が雫となってぽたぽたと地面落ちる。
 ――…ぴちゃぴちゃぴちゃ…――
涼の突き破られたへその奥からは血が垂れ流され、下腹部や股、ふとももを濡らしていく。
 「ぅぅ、いたい、いたいよう………もうやだあ、もういじめないでえぇ……」
深刻なお腹のダメージにぐったりとし、両サイドから押さえつけている2人の男に垂れ下がるような体勢になっていた。

 ―― どすうッ!!! ――
 「はゥっ!!!」

だが、女はあくまで涼のお腹をいじめるのをやめなかった。
女の拳は傷ついたおへそを狙う形で涼のお腹を襲い、涼の細いお腹は女の拳が手首まで埋まるほど受け入れた。
女は一撃に留まらず、次々と邪悪な拳を以て少女の体でいちばんやわらかく弱い所を嬲る。

 ―― どすっ!! どすっ!! どすっ!! ――
 「 ウ゚っ!! ぅッ!! う゛う゛ゥ ッ !! 」

矢継ぎ早に繰り出される拳、その一発一発がまるで涼のお腹に吸い込まれるように身を沈めていく。

 ―― どすっ!!どすっ!!どすっ!!どすっ!!どすっ!!どすっ!! ――

拳を受け入れる度にびくびくと痙攣する肢体。揺れる背中と整えられたショートヘア。顔の輪郭と無表情なマスクの間からだらだらと喉から胸元へと流れる体液。切なさを感じさせる内股。そのふとももとふとももの間から吹き出るおしっこ。
686ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/25(土) 20:57:40.61 ID:4Aw/SgjW

まるで女の拳での問いに対し、涼は体全体で激痛の返答をしているかのようだった。

 ―― どすっ!!どすっ!!どすっ!!どすっ!!どすっ!! ――

ピストン運動のように止まらない強靱な拳。涼は無表情なマスクとは対照にその下で激痛に悶え苦しみ、顔を歪めている。

 ―― どすっ!!どすっ!!どすっ!!どすっ!!どすっ!! ――

腹に拳を打ち込まれては強い衝撃にがくんがくんと揺れる体。やがてマスクと顎の間から流れる体液は透明な液体から赤色の液体へと塗り替えられていった。

 ―― どすっ!!どすっ!!どすっ!! ………――

そして過剰な激痛の最中 ――― 少女はそれに耐えられず完全に意識を失った。

      ――――――――

PM.19:00。

 「 う……… 」
涼が目を覚ますと、そこは我が家の玄関の景色だった。
服装もレオタード姿でなく、いつもの制服へと戻り、手には鞄を持っていた。。
玄関のフロアに横たわっていた体を起こし、膝をつく体勢で涼はお腹を抱えた。
 「 ………………うっ…うっ、うぐ、ヒック…… 」
少女の頬を涙が伝う。
ついさっきまで自分が受けた仕打ちを思い出していた。お腹も元通りになっていたが、思い起こすだけで痛みが蘇ってくるようだった。

 「 ………もうやだ………こんな生活もうやだあ 」

少女はそう言うと泣き崩れた。

24時突入まであと5時間。
次は彼女が望む世界への扉を開くことができるだろうか。

687ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/08/25(土) 20:58:24.25 ID:4Aw/SgjW
以上です。
ありがとうございました。
688名無しさん@ピンキー:2012/08/26(日) 19:50:28.21 ID:vKdj5T8D
いいよいいよー
689名無しさん@ピンキー:2012/08/26(日) 22:58:24.95 ID:zRHgUJHv
乙でした!!
690名無しさん@ピンキー:2012/08/27(月) 20:51:42.01 ID:Z+AHaeDN
中流以上ってネタじゃなかったのかよ・・・
当たり前のように高級店で彼女と食事してるじゃねーか
あの人なんでこんなSS書いてんだよ
691名無しさん@ピンキー:2012/08/27(月) 22:02:47.06 ID:9xP9+Ip+
>>690
また荒れる流れに持っていきたくて必死だな
おまえ分かり易すぎるよ
やっぱ中流以上は違うね^^
692名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 10:24:20.57 ID:ujlr+0sR
初代から今までに出てきたヒロイン同士の、素手でのバトルロワイヤルが見てみたい。
誰が生き残るかな。
693名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 15:06:07.31 ID:14Y8iNkJ
“初代から今までに出てきたヒロイン” って、腹責めSSスレの1〜現行スレまでのって解釈で良いのかな?
もしそうなら結構興味深いな。過去作品読み直す良い機会にもなるし、自分が気に入ったキャラクターがまた見られるかもしれないと思うと嬉しい。
問題は誰が書いてくれるかだけどw
694名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 15:14:49.14 ID:GyZ2K7DX
間違いなく荒れるだろうな
695名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 16:02:57.24 ID:iQZEdcWD
一方的にボコボコにされた一般人とか、病弱な少女とかいるしねww
まぁそれは置いておくとしても、ヒーローとかいるし、上位はあっさり絞られそうな気が。
696名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 21:31:16.59 ID:JUOR7KGQ
格闘系のヒロイン書いてる人って恭子の人、55氏、ことぱんッの人、ミストさん、ランサー氏くらい?
697名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 22:27:46.50 ID:ujlr+0sR
読み切りでならカミウミの人も。
ただ55氏は、ここでの掲載は海賊の話だけだし、他サイトのもどっちかと言えばファンタジー系かと。
そもそも今のところ戦闘シーンそんなにないから、各キャラがどんな能力か測りかねるけど。
698名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 22:36:29.43 ID:7qmj0P7d
自由にレスる形式のSSではあるが
他作者が創ったキャラ使用というのは
許可が要るかもしれないしなあ〜
699名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 22:39:27.60 ID:JmnIgKZh
>>696
格闘系ヒロインだけで行くなら恭子無双になる予感。元キックボクシングチャンピオンで現役プロレスラーだし
700名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 22:55:42.98 ID:14Y8iNkJ
色々難しいかもしれないけど、でもいいじゃん。
こうして話してるだけで色々浮かんできてスゲー楽しい。想像するだけならタダだしね。
形になるかどうかは別問題でいいんじゃないかな。
701名無しさん@ピンキー:2012/08/29(水) 23:52:31.89 ID:JUOR7KGQ
現役プロレスラーVSボクサーVS対人外の戦闘員VS魔法使いVS不良娘か
702名無しさん@ピンキー:2012/08/30(木) 12:13:28.66 ID:jGvPqqzI
これは周りの空気に踊らされて書き始めた書き手を総出で叩く周到な釣り。
コラボとかより普通に書いてもらえればそれでいいんですよ
703名無しさん@ピンキー:2012/08/30(木) 12:23:55.24 ID:3iBnFmAy
まとめwikiとの相乗効果で、珠玉の過去作を懐かしむのも一興。
温故知新って奴だ。
704名無しさん@ピンキー:2012/08/30(木) 19:41:24.41 ID:70tmZq0c
恭子 対指 綾(55氏) 対 マーガレット
705名無しさん@ピンキー:2012/08/30(木) 20:57:18.24 ID:EgoNNy/c
ランサー氏の彩並先生が最強やろw
腹責め処女みたいだからどんだけ耐久力あるか判らんけどさ
706名無しさん@ピンキー:2012/08/30(木) 21:19:59.60 ID:EIV8IzYM
出ているのて全体的にオリジナル作品が多いな
ここで版権女子のおぽんぽんを痛めつける作品を是非 というのは過剰期待
やはり望み通りのシチュを求めるなら自作か〜
707名無しさん@ピンキー:2012/08/30(木) 21:25:36.61 ID:+P18ZhGL
版権だと知ってる知らないがあるからなー
708名無しさん@ピンキー:2012/08/30(木) 22:31:02.26 ID:uyc4Z6/n
オリキャラだけでも相当数いるだろ
個人的には恭子VSはすみVSシオンが見たいな
プロレスVS空手VS蹴り
709名無しさん@ピンキー:2012/08/31(金) 00:01:47.81 ID:YozSezd1
知ってたらそれでハァハァできるし、知らなかったらオリジナルとして見れるでしょ
710名無しさん@ピンキー:2012/08/31(金) 01:12:08.53 ID:Dj5sZyc1
版権は書く側がストーリーだけじゃなくてキャラの内面とか熟知してないと書けないから大変そう。
711名無しさん@ピンキー:2012/08/31(金) 01:37:50.15 ID:KxPaH7q/
二次創作だとキャラの外見とか性格とか関係とかそういう下地の類がねー

書く→知ってる人は鬱陶しい
書かない→知らない人には意味不明になる

…というジレンマ
腹パでも二次創作は少なくなかったっけ
712名無しさん@ピンキー:2012/09/01(土) 09:41:53.27 ID:qQKfY3sW
腹責め処女の格闘美女
…その美腹筋は、未だ鉄拳に蹂躙されたことは無い…

こんだけで興奮するぜw
713名無しさん@ピンキー:2012/09/01(土) 13:42:23.64 ID:CSkoyLl/
腹パン系女子が好きでスレ覗いてみたけど、エリート多すぎて笑った
俺はまだ正常だったようだ
714名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 00:52:36.96 ID:lZQROPCO
腹パンで二次創作は格ゲーが鉄板だろう

特にストリートファイター系
キャラの造形が大味なほうが腹責めには合う
KOFやGGみたいな中2要素(悪い意味でなく)は微妙

一次創作なら、地下闘技場ネタとか鉄板だよな
715名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 03:30:23.73 ID:48x6mrTX
鉄拳やソウルキャリバーならともかく
ストツーはないわ
716名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 03:45:39.14 ID:7dkHy7G5
ベルトコンベアアクションもいいぜ…
717名無しさん@ピンキー:2012/09/02(日) 05:54:02.89 ID:JA8JAnlh
>>713さん
ようこそ、同士。これからよろしく。
718名無しさん@ピンキー:2012/09/03(月) 21:05:35.74 ID:wrhgAdLb
スト2系の女子は何と言うか漢(おとこ)臭いというか…
厨二系が微妙なのは何となく分かる
719名無しさん@ピンキー:2012/09/05(水) 16:03:56.72 ID:Xqec96Tp
親からの仕送りがストップして、来月から働かなくちゃならない。
不幸過ぎる。
720名無しさん@ピンキー:2012/09/05(水) 17:56:59.43 ID:GFDHY9Qc
今までニートだったのかよ
721名無しさん@ピンキー:2012/09/08(土) 22:04:33.34 ID:3Mf4+cY+
腹パンチ-age
722名無しさん@ピンキー:2012/09/10(月) 10:41:02.95 ID:okqP0mrD
コラボの話はどうなった?
723名無しさん@ピンキー:2012/09/10(月) 15:03:42.09 ID:2Zyi0QIw
オリキャラで二次創作の話?
724名無しさん@ピンキー:2012/09/10(月) 15:25:51.15 ID:OjwN2PPH
やるわけねーじゃん
雑談ネタとして使ってただけだ
725名無しさん@ピンキー:2012/09/11(火) 01:11:28.35 ID:LK/iM1wN
腹パまでもうすぐ1ヶ月だが、また砂果実来るのかね?
念のために運営にも通報した方がいいかな?
726名無しさん@ピンキー:2012/09/11(火) 02:20:36.60 ID:U1f7fQMi
>>725
これだけ悪名知れ渡れば参加サークル側も注意するから大丈夫だと思う
727名無しさん@ピンキー:2012/09/11(火) 14:58:24.85 ID:9VyrVP72
時期的にスケブ野郎の方が心配
728名無しさん@ピンキー:2012/09/11(火) 17:04:59.45 ID:djuZWU2X
スケブ野郎?そんな人もおるの?
砂果実ぐらい悪質な奴がまだいるのか?
729名無しさん@ピンキー:2012/09/11(火) 18:46:08.81 ID:J0JxJS0A
だから職人でもない人間の話題は要らねぇんだよ
730名無しさん@ピンキー:2012/09/11(火) 19:38:38.05 ID:ZQpHNvej
スケブ野郎はその場で迷惑なだけ
砂雪はストーキング〜自殺未遂〜893に泣きつくのコラボ
迷惑の度合いが違う
731名無しさん@ピンキー:2012/09/12(水) 11:31:59.20 ID:Qi8uqCYF
NGワード推奨

砂果実
砂雪
スケブ野郎
732名無しさん@ピンキー:2012/09/12(水) 15:50:26.30 ID:i+AfIdUA
砂雪の話題になるとすぐ火消しが湧くな
取り巻きかなんかか?
733名無しさん@ピンキー:2012/09/12(水) 16:53:02.59 ID:bXMhdvq8
本人の可能性もあるぞ。
前回もツイッターの捨て垢で参加者の事探ってたし。
734名無しさん@ピンキー:2012/09/12(水) 17:14:01.76 ID:afJQPbVD
ネヲチでやれネヲチで
直前にヲチへのリンクだけ流してくれればいいよ
735名無しさん@ピンキー:2012/09/12(水) 18:02:15.53 ID:i+AfIdUA
砂雪のネヲチなんてあるのか?
736名無しさん@ピンキー:2012/09/12(水) 22:27:22.11 ID:bXMhdvq8
宮内ミヤビ先生もついに腹パ参戦か
737名無しさん@ピンキー:2012/09/13(木) 06:46:01.45 ID:NEMbt6WB
>>735
無きゃ立てろよ、砂雪の話したいんなら
738名無しさん@ピンキー:2012/09/13(木) 14:49:48.29 ID:5lAhZA9Z
つか砂雪って捕まってないのか?
家で55さん刺したんだろ?
739名無しさん@ピンキー:2012/09/13(木) 15:06:18.11 ID:Mn4A4NwC
>>673-674の会話内容を見た上で言うけど、こういう嫌な流れになるから腹パ関連の雑談をする事に不安を覚える人がいるんじゃないんだろうか。
腹パはSSの人も参加してるからスレ的に無関係ではないけど、こういう不穏な空気になるから腹パの雑談しづらくなるんだと思うよ。
少しの気遣いだけでいいと思うんだ、もう少しだけ楽しく盛り上がれる方向にもっていけるように皆で心掛けていかない?
740名無しさん@ピンキー:2012/09/13(木) 18:10:14.22 ID:mWIYv0au
腹パの話題と犯罪者まがいのメンヘラの話題を一緒にしないでくれ
むしろそっちの方が不愉快だ

しかし参加者増えてるみたいで楽しみだな
741名無しさん@ピンキー:2012/09/13(木) 22:16:54.15 ID:Mn4A4NwC
腹パの話からメンヘラの話題が出てくるから問題だから言ってる。
だから気を付けようよって話。
742名無しさん@ピンキー:2012/09/13(木) 22:21:21.77 ID:lOerQfGo
サイクロンとかあの辺のリョナサークル参加してくれればなあ
743名無しさん@ピンキー:2012/09/13(木) 22:41:55.45 ID:vmvHibTO
>>741
だから悪いのは砂雪の話であって腹パの話じゃないだろ?
隔離すべきは奴であって腹パじゃない
その理屈でいくと砂雪の話題に繋がるから55氏の話題禁止、実在の人物の話題禁止、職人の投稿以外禁止、とどこまでもいくぞ
744 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 :2012/09/14(金) 02:20:11.03 ID:2HXdEPfS
テスト
745名無しさん@ピンキー:2012/09/14(金) 05:18:56.15 ID:4AkmBytN
>>743
その辺意図的にスルーしろよって事だろ
参加できない側からすればスレ違いで鬱陶しいだけだし、
初参加考えてる側からすればそんなののさばらせとく運営のやってるイベントじゃ不安にもなるわ
ネガキャンでしかない話題しか出せないならするなって話だよ
こういうのをメジャーにしたくないとは正常に考えておもうけど、そういう場はそういう場で盛り上がっていいと思ってるから水差したいだけなら発言自重しとけ
746名無しさん@ピンキー:2012/09/14(金) 07:39:23.40 ID:XJlQhyoS
腹パ、上海でやれば?
今なら、鉄拳やラーメンやナイフでぽんぽん虐めてくれるぞ
747名無しさん@ピンキー:2012/09/14(金) 19:02:19.10 ID:0956WT6a
>>746
無理に時事ネタしなくてもいいのよ
748名無しさん@ピンキー:2012/09/14(金) 19:13:14.85 ID:YQj5h+qZ
さすがに奴も衆人環視の中でコトは起こさんだろ
奴を神の様に崇めてる取り巻き使ってなんかしてきたら取り押さえて運営か警察に突き出せばおけ

早くサークル発表されんかね
749名無しさん@ピンキー:2012/09/18(火) 07:10:01.91 ID:OYyc9RQH
やっと綾に会えた……。
750名無しさん@ピンキー:2012/09/18(火) 14:49:25.40 ID:WDUYIZ4J
急になんだ?
751名無しさん@ピンキー:2012/09/18(火) 17:51:57.98 ID:FSW861VL

明確な荒らしなので今後スルーしていきましょう。
イベントも近付いてきたので、まだまだ湧いて出ると予測しますが、スルーで。
752名無しさん@ピンキー:2012/09/19(水) 07:11:38.25 ID:ZzD/c8+c
シオーン、衣装合わせするからちょっと来てー。
753名無しさん@ピンキー:2012/09/19(水) 09:16:42.12 ID:kCpuLJfG
今のところ、SS関係のイベント参加者は2組って感じやね。
現段階で18サークル中2組・・・ゆくゆくはもうちょっと増えてくといいなぁ。
早く確定情報がほしい。
754名無しさん@ピンキー:2012/09/19(水) 11:24:42.41 ID:kXn0nmvR
もう情報出てんの?
755名無しさん@ピンキー:2012/09/19(水) 13:43:57.89 ID:kCpuLJfG
暫定ではあるけどね。サークルカットも分からないから何だすのか分からない人もいるけど
確定してるのは2組。
まぁここでその話が盛り上がると、例にならって面倒くさいのが出てくるだろうけど
一応SS関連の情報ということで。
756名無しさん@ピンキー:2012/09/19(水) 22:50:11.09 ID:bmTKA2hC
イベントで同人小説は売れないからな
漫画の10分の1売れればいいほうだとはよく聞く
757名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 00:15:32.01 ID:cVhhEqqV
コミケでも小説ブースは高速道路って言われてるしな
758名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 01:23:02.23 ID:Gv90aBtH
まぁ第一回から始まり、スローペースでも徐々に全体数が増え始めているから
今後も期待したいなぁとは思う。ここの職人さんの中からSS参加者が現れるかもしれない。
それにジャンルがコアなだけに、コミケの常識が通用しない可能性もあるのでは?
759名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 01:35:45.96 ID:axWVW7qm
今までもここで有名な55氏と、あと1サークルだけだっけ>小説参加
次回参加もこの2サークルなのかな

小説本は売れないし印刷費も高いんだよね…ページ数的に…
760名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 09:51:36.31 ID:eV5M3O4r
55氏は前回欠席したから今回もわからんだろ
さるみあっきと宮内さんとこじゃね
761名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 11:29:57.19 ID:P14rcgrJ
今見たら、名前の上がった3サークルはみんな参加みたいだね
あと初参加が1サークル
小説系は4サークルかな
762名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 12:24:42.09 ID:UJdAq4pV
宮内ミヤビさんは小説じゃなくてゲーム枠だろ
763名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 13:14:47.51 ID:cHYJqeHW
そうなの?
発表前なのにどうしてわかるの?
764名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 13:48:21.47 ID:wIEbwJY5
SDFイベントではまれによくあること
765名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 17:47:52.58 ID:UJdAq4pV
業界屈指のブーメラン投擲者宮内氏
766名無しさん@ピンキー:2012/09/20(木) 23:33:54.44 ID:YGzgkW2Q
ミスト氏は腹パ出ないのかな
どうでもいいけど『ミストさん』だとアトリームの方が浮かんで駄目だ
767名無しさん@ピンキー:2012/09/21(金) 18:47:30.97 ID:5P7nvOJm
純粋に疑問なんだが、仕事してない人間って腹パ参加費とか製本代どうやって賄ってるんだ?
ママからのお小遣いでなんとかなる金額じゃねーだろ?
768名無しさん@ピンキー:2012/09/21(金) 19:05:44.41 ID:V6An2lRB
働いてないだのニートだのって口では言ってても、
皆お前みたいにガチで何もしてないわけじゃないんだよ
https://www.hellowork.go.jp/
769名無しさん@ピンキー:2012/09/21(金) 22:48:37.16 ID:zD41GjPM
純粋に疑問なんだが、出展者側にニートがいるとでも思ってんの?
770名無しさん@ピンキー:2012/09/21(金) 23:50:38.58 ID:dVPK0eqG
参加者でニートっぽいのは何人もいたけどな
あとは明らかに人生経験少なそうなやつとか
全体的に客の方が職人よりねんれいそう高め
771ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/21(金) 23:59:50.42 ID:msN3D/wA
雑談中に大変失礼いたします。
投下させて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。
772ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:02:40.05 ID:F5tFfK8n
         〜 AFTER 24 〜

              V

            『 窓 』



 「 わああああああああああああああああ!! 」

 ――ガシャアッ!! パラパラパラ…… ――

1階リビング。掛け時計のガラスカバー部が勢いよく割られ、破片が光を散らしながら床に落ちる。
少女は手にしたアームレスチェアを振り回し、家中を暴れまわっていた。
18畳LDK、少女はリビングからキッチンの方に向き直ると、その瞳に電子レンジのデジタル表示の時計を映す。
すると彼女はイスを手に猛然とそこに突進した。
 ―― ガヅ!! ――
そのままの勢いで椅子の角がデジタル表示を直撃。
 「 あああああああああああ!! 」
 ―― バギィ!ベキ!バキャ!! ――
少女は狂ったようにイスの背もたれの先端部でその表示を叩き続ける。
時計の部分どころか、電子レンジが半分ほど潰された状態になった所で少女はようやく手を止めた。
 「はあ、はあ、はあ……」
荒立てた呼吸のまま、少女はリビングから廊下に出る扉を瞳に捕らえる。
18畳LDKの部屋を出ると、左側に玄関、正面に和室、右側に2階へ続く階段、及び、トイレとバスルームへ続く廊下。
少女は正面を選び、和室へと足を踏み入れた。
 「 ――― ふ あ゛ッ!! 」
踏み居るとほぼ同時に、振り子のついたアンティークな和風掛け時計を睨みつけ、先程と同じように時計に向かってイスを振り上げる。
 「 わああああああああ!! 」
 ―― ガシャン!! ――
 「 わああああ、あぁあぁあぁあぁあ!! 」
 ―― ゴス!バキィ!!ゴシャア! ――
衝撃で掛け時計が床に落ちても少女は叩き、叫び続ける。
 「どうせ割れるんでしょ!? どうせ割れるんでしょ!! なら、先に割ってやるんだからッ!!」
彼女は、24:00になると決まって自然に割れるすべての時計のカバーを割って回っているのだ。そこには何の理由も意味も存在していない。
目に見えない不合理な仕打ちに掻き立てられた結果の自棄的行動……涼は既に冷静さを失っていた。
 ―― ボーン、ボ… ――
 「 うるうさああああああああぃ!! 」
 ―― ガン!バキ! ――
アンティーク風の振り子時計は叩かれた衝撃で誤作動を起こし、ときおり低い鐘の音を鳴らしながら破壊されていく。
 ―― ガアン!! ――
 「はあ、はあ、はあ、はあ……」
涼が叩く事に疲れ手を止めた頃には振り子時計はボロボロになっていた。
 「………くっ!!」
涼は振り子時計に背を向け、隣の部屋……1階の北西に位置する仏壇のある和室に向う。
 ―― 『 わああああぁ!! 』 ――
そしてやはり何かに憑りつかれたかのように時計を壊していく。
恐怖に駆り立てられ、何をしたら良いのかも分からず、自分を見失って藻掻くその姿は痛々しかった。
………振り子時計は無残にボロボロの姿にされながらもなお三本の針は時を刻むのを止めず、静かに、確実に24:00を目指していた。

PM.10:30。

家の2階、北西に位置する涼の部屋。
彼女は先程までの興奮状態と打って変わり、今はベッドの上でうつ伏せになり呆然と佇んでいる。
目は開いていたがその瞳には何も映していなかった。感情も無く思考も停止し、空虚な意識があるのみ。
ここの所、涼はこういった状態が続いていた。ストレスによってもたらされた衝動は破壊行動として現れ、それが発散されると反動で呆然自失となり何も感じず考えられなくなってしまう。
いよいよ以て涼の精神は深刻な所まで追い込まれてきていた。
 「 ……… 」
涼はベッドの上でうつ伏せから仰向けに体を返すと、部屋の北側の窓が視界に入る。
この窓も開かないのだ。クレセント部もロックされた状態で、まるで古く錆び付いたように動かない。
773ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:05:54.86 ID:F5tFfK8n
窓ガラスを割ろうとした事もあったが、強化ガラスにでもなってしまったかのように割る事ができなかった。
しかしたとえ窓が開いたとしても、家の北側は断崖絶壁の状態。フリーフォールで体が地面に叩きつけられる事になる。
2階からとはいえ、ダメージは小さくないかもしれない。
 「 ……… 」
しかし仰向けに横たわる涼はその自室の窓を睨みつけるように凝視していた ―――

PM.11:05。

 “『 日記を書き始めて21日目 』”
涼はいつも通り日記をつけ始めた。自分がどうしたのか、何をしたらどうなったのか、どこを開けたらどこに繋がったのか。その結果、どうなったのか。
 「 ……… 」
生気を失った瞳で淡々と事務的に。シャーペンでノートに書き込んでいった。今までの注意事項もノートの後ろのページに纏めてあるので、改めて確認する。
しておかなければ二日後には忘れてしまうから確認する。しかし有益な情報は少ない。それでもこの日課は無意識下でも重要事項と捉えているためか忘れる事はなかった。
 ――… ポッ、ポツ、ポツ …――
24:00。
 ――… ザアアアアアァァァ …――
赤い雨。
窓ガラスに打ちつけられた雨の雫が赤い楕円となって次々と塗りつけられていく。
 ―― ドオオオオォォン ゴロゴロゴロ… ――
紫色の稲妻。
いつも通りだ。ただ一点違うのは、アナログ時計のカバーが割れる音がしないだけ。
涼が先程すべて割ってしまったのだから当然の事だが、状況に大した変化は無い。 現に、カバーが割られていてもアナログ時計の針は全て“12”を差した所で止まっていた。
 ―― ドオオォン ゴロゴロ… ――
紫色に照らし出される周囲。
その中には、自室の窓の前、俯いて立つ涼の姿があった。
 ――……ザアアアアアア……――
手にはさっきまで自分が座っていたイスが握られている。
 ――“『 ただいまー 』”――
24:04。
いつもの“何か”が帰宅する。
 ――……ザアアアアァァ……――
 ――“『 ただいまー 』”――
少女の心を波立たせようとするあの声。
 ――“『 ただいまー 』”――
しかし涼は自分の正面、一点のみに集中した。
 ――……ザアアアアアア……――
 ――“『 タダイマー 』”――
 ――……ガチャ……――
雨の音に混ざって玄関のドアが開かれる音が聞こえた。
その瞬間、涼はくわっと目を見開き、両手でイスを大きく振りかぶる。
 「 あッ―――!! 」
そして意を決して自室の北側の窓に向かって勢いよくイスを投げつけた。
 ―― ガシャアーーンッ!! ――
窓ガラスが粉々に砕け散り、イスが勢いよく外に放り出される。
 ―― ドオオオオオォォォン ゴロゴロゴロゴロ… ――
 「ふふっ………うふふふふ。」
紫色の稲妻が走る中、少女の口元には嘲笑が貼り付けられていた。
 「 ………ほら……… 」
少女は顔を上げ、そして言った。
 「やっぱり割れた……」
普段、いくら試しても開く事のなかった窓。
涼が見出したのは24:00以降という特殊な時間帯を条件に、外に通じる場所はすべて開放が可能になるという法則。
そしてそれに答えた結果。当て推量ともとれる彼女の憶測はその実、的を得ていた。
度重なる拷問の日々の中、彼女はこの異常な世界に知らず知らずの内に順応していたのだった。
 「……きっと意地悪な人が私を閉じ込めてるんだ。だからきっとここが出口。」
涼は割れた窓から下を見る。やはり家の北側には凹凸がないただの壁で、普通に降りれば2階の高さから落下する事になる。
 「家でいちばん危険な場所だもん……きっとそうだよ。」
誰ともなしに涼は言った。
 ――……トン…トン…トン…トン……――
 ――「 タダイマー 」――
774ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:07:00.63 ID:F5tFfK8n
例の“何か”の声が自分のいる2階に上がってくるのを察知した。
 「ふん。」
しかし涼はそれさえも鼻で笑い、窓ガラスの破片に気を付けつつ冊子のあたりに足をかけて言い放つ。
 「バイバイ。偽物。」
そう言い捨て、涼はその身を宙に投げ打った。

 ―― ドチャアッ ――
 「……?」

不思議な感覚だった。
2階から飛び降りたはずの涼の体はすぐに地面に到達していた。
まるで一階から飛び降りたような感覚だったのだ。衝撃もほとんどなく、飛び降りてすぐに地面があったような、そんな感覚だった。
涼は不思議に思い、家の2階の明かりを見上げたが、確かに2階が自分の部屋だ。
そしてちょうど今、異形の人型が部屋に入り込んできたのが遠目に見える。
見つかって捕まってしまっては元も子もない。おそらく閉じ込められてから初めて手にした明確なチャンス。涼はすぐに移動を開始し、この場から離れる為に家の表側に回る。
あの異形が自分の部屋にいるなら家の南側、玄関の方にいけば自ずと死角に入る。
涼は玄関の前を素早く通り過ぎ鋳物門扉を開け、家の敷地内から外に出ると一気に夜の闇へと駆け出した。

日記をつけ始めて21回目。ようやく、涼は自分の家から出る事に成功した ―――

    ――――――――

 「ハア、ハア、ハア…ハア……ハア………ふゥ………ふぅ。」

家からだいぶ離れたコンビニエンスストアの前。ここまで薄暗い夜道を全力疾走してきた涼は明るい場所に出て安心したのか、ここに来てようやく歩を緩め、やがてゆっくりと歩みそのものを止めた。
 「ぁ……あは…あはは。」
そして乱れた呼吸が落ち着くと、電柱にもたれながら滑り落ちるようにへたへたとその場に座り込んだ。
 「 ……やったよ。やっと戻ってこれたよォ…… 」
大きな安堵と解放感。今の涼の顔……そこには以前によく見せていた、本来の彼女らしい明るい笑顔が取り戻されていた。
あの日帰宅した後から昨日までの間の記憶は確かに抜け落ちたままだ。しかし涼にとってここまでの道のりがどれだけ長く感じた事か。どんなに嬉しい事か。
熱い涙が自然と溢れ出て、心地好く頬を濡らしていった。
極度の緊張から解き放たれた涼は、満月が優しく見守る沈黙の中しばらくその余韻に浸っていた。


涼は今、コンビニエンスストアの中で買い物カゴを片手に商品を物色している。

しばらくして落ち着いた涼は空腹感と喉の渇きを覚えた。おあつらえ向きに目の前には食べ物も飲み物も売っている24時間営業の小売店。
制服から着替えていない為、全財産は手元にある。とりあえず後の事は体調を万全にしてからと考えた。
こうした些細な買い物も、食欲さえも涼は懐かしく感じていた。
 「 ――― あー、やっぱりぷにたまも買おうっと。お祝いだっ。」
心が躍るあまり声に出てしまう。が、深夜という事もあり店内には涼の他に居る客は眼鏡をかけグレーのジャケットを着た痩身の男性が一人。涼が店内に入ってから雑誌コーナーでずっと立ち読みをしているだけ。
今の涼はまったく意に介さなかった。そう多くない手持ちと相談しながら好きな食べ物を買い物カゴに入れていく。
そして飲み物を買おうとペットボトルや缶が立ち並ぶウォークイン冷蔵庫の前に差し掛かった時だ。
光がちらつき、一瞬、眉をしかめた。
 「 ……? 」
涼の感覚では光源は床から。だからその辺りを目を凝らしてよく見る。
それが何か確認した瞬間、涼は上を見上げ、呼吸が止まらんばかりに息を飲んだ。

 「はぁっ……!!」

尻餅をついた。

 ―― バコンッ ――

買い物カゴを落とした。

 「…ぁ……ぁ、あ………!!」
775ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:08:05.40 ID:F5tFfK8n
散大……と言っていいほどに涼の瞳孔は拡大していた。
ウォークイン冷蔵庫の上部付近にある物。

時計だ。

床からの光源は割れたプラスチックカバーの破片。
そしてアナログ時計の3本の針は全て“12”を差したまま止まっていた。

 「ウソだよ、そんなのウソだよ!! 」

涼は急ぎ慌て自分の多機能型携帯通信端末のデジタル表示を確認する。

  “25:02”

――― 愕然。失意。絶望。
自然と体が後ろに倒れ、スナック菓子が陳列している棚にもたれかかった。
 「………え?」
光を失った瞳のまま呆然と言葉を紡ぐ。
 「 ――― なんでなのよ 」
涙は出てこなかった。それほどまでに受けた衝撃が大きすぎた。
それは、果てしなく暗く深い海底に引き摺り戻されたような感覚。絶望の深潭。
そして頭の中では今日見てきた物がぐるぐると回っていた。

イス。時計。自分が壊して回った家中の時計。惰性的に書き込んだ日記。赤い雨。紫色の稲妻。窓。地面。2階の自室の明り。庭。門。暗い道。いくつもの街灯。明るい光。コンビニ。買い物カゴ。眼鏡。本。食べ物。飲み物。光。また時計。
どこだろう。どこで間違ってたんだろう。そう思い何度も、何度も自分の頭の中で見てきた光景を繰り返し思い浮かべていた。
 (イス…時計を壊す為に持ったイス。壊した時計。今日も書き込んだ日記。24:00の赤い雨。紫色の稲妻。……あれ……?)
ここで涼はひとつ気付く。
 (赤い雨…紫の稲妻…窓………違和感。着地した地面。あれ……?)
着地の際の違和感。高い所から落ちた感覚ではなかった違和感。
 (見上げた2階の自分の部屋の明り……見上げた……雨が降ってない……庭、玄関の前、門……降ってない……)
そう、2階から降りた時には既に赤い雨は止み、降った形跡さえ残っていなかった。まるで最初から降っていなかったように………。
 ( ……違うんだ、最初から違うんだ……! )
涼は頭を抱え込み、自分の膝に顔を埋めた。
彼女の考察は間違っていなかった。
涼は今自分の家の外にいる。自室の窓から脱出し、家の敷地から出て、そしてここまで辿り着いた。
しかしそれは限りなくそのように見える状況なだけであって、根本的にはこれまでと同様、“出口だと思われる場所”をくぐったに過ぎない。現に窓をくぐった瞬間から別の場所へ出てしまっていた。その状況証拠のひとつが赤い雨の有無なのだ。
 ( 薄暗い道……! 街灯……! 明り……! コンビニ……! )
涼は早送りするかのように回想を急く。
 ( 買い物カゴ……! 眼鏡……! 食べ物、飲み物、光……!! )
しかしそれは絶望の為の答え合わせに過ぎなかった。
 ( ……時計……!! ……25:02……!! )

 「 ――――――――ッ!! 」

涼は声にならない慟哭を上げた。
この後に地獄が待っている。そしてその先は恐らく ―――
 「 違う!! 違う、違う!! 」
必死でその考えを否定しようとした。しかし、いくら否定しようとしてもその決定的な材料が見当たらない。頭の中でぐるぐると同じ回想を繰り返すだけだった。
しかし涼はその中で今までと明らかに違うと思われる要素を見つけ出し、そして呟いた。
 「 眼鏡…… 」
それを見たシーンで回想が止まる。自分より先に店内に居た、眼鏡の男性。注意深く思い出す。
 「 眼鏡……グレーのジャケット……痩せた男の人……」
間違い無い。それは確かに人だった。過去の日記を思い返せば自分以外の人間が存在するという事柄は書いていなかった。
自分の他にもこの世界に人が居る。そう思えた時、涼は立ち上がっていた。
しかし雑誌コーナーにいたはずの彼の姿は既に店内になく、涼は出口に急いだ。
 「はあ、はあ。」
涼は店を出ると道路脇まで行き、左右を見渡す。
 「 ! 」
776ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:09:05.31 ID:F5tFfK8n
見つけた。
街灯だけが頼りの薄暗い道だが、背格好からしてほぼ間違いない。さっきの男性が、自分の家に続く方角へ向かって歩いていくのがはっきりと確認できる。
 「 ま、待って! 」
涼は急いでその後を追った。自分の家の方向に戻るという事に抵抗を感じながらも追い掛けずにいられなかった。
 「はあ、はあ、はあ……待ってえぇーー!!」
必死に声を掛けるが男性が振り向く気配は無い。やがて男性の姿は方向を変え、左の路地に入って行くのが見えた。
 「 そ、そんな……! 待って、待ってください ――― !! 」
それを見た涼は焦り、急いで同じ路地を曲がる。
 「はあ、はあ、は……!」
路地に差し掛かった所で涼は思わず足を止めた。
一定の間隔で街灯の光が照らす薄暗い路地。どちらを向いているのかはわからない。ただ、少し先で誰かが膝を抱えるように座り込んでいるような影を辛うじて確認できた。
ぞくり、と背筋が凍る。
座り込んだ影は岩のように動く気配が無かった。だがそれだけに異様な不気味さがいっそう漂う。彼女の直感も警鐘を鳴らしていた。
ここに居ては危ないと。
 ―― どんっ ――
 「 !? 」
後ずさりしようとした彼女を壁が阻んだ。比喩ではない。たった今通ってきたはずの道が壁……ブロック塀で塞がっていたのだ。
 「 な、なんで!! 」
その涼の声に“それ”は反応した。

岩のように動かなかった影がゆっくりと立ち上がり、その形を成した。
薄暗い上に遠目で分からなかったが、それは明らかに先程の男性ではなかった。

樽のように丸々と肥えた胴体。
異様に長い腕は上腕部あたりは太いが、手の先に向かうにつれて細くなっている。
長い腕に反して短く太い足。

“それ”はどうやら反対側を向いていたらしく、涼の方に振り向いた。
 「 はっ…… 」
その際にはっきりとその姿の異常さを見て取る。
極端なまでに前後に長い頭部。その後頭部の下部、びっしりと生え揃ったミミズのような髪の毛。
人間では、ない。
 ――…ずる……ずる……ずる…――
異様な姿に涼が圧倒されている間にも、足を擦らせながらそれは迫ってきていた。
そして近付くにつれ、涼の眼前にその醜悪さを露にしていく。
全身、皮膚が無く、体を構成する組織や骨格が剥き出し。
前後に長い頭部……前頭部から後頭部にわたって上部は頭蓋が剥き出しのようにツルツル。そしてやはり後方下部に夥しい数の、ミミズのような触手。
顔に相当する部分には大きく横に割けた口のみが存在し、鋭い歯が生え揃う。
しかしこれらグロテスクな人外の特徴を数多く有しながらも、全体的にその姿は不快なほど人間に寄っていた。
見た事も聞いた事も無い生物。それはまさに異形と称するに相応しい姿だった。

 「 ウ゛ル゛ル゛ル゛ル゛ル゛ル゛…… 」
 ―― ぼた、ぼたた、ぼた ――

異形は口から低い声と唾液を漏らしながら、既に2メートルを切ったほどの距離にまで涼に近付いてきていた。
 「 ……あはっ。」
涼の口からは乾いた笑いが衝いて出た。
彼女はこの状況を眼前に、不思議と恐怖心や嫌悪感を感じていなかった。感覚が麻痺してしまっているのかもしれない。
 「 あはっ、あはははは……もういい、もういいよ。 」
彼女はもう逃げる事にも疲れてしまっていた。
 「 そんなに私をいじめたいならそうすればいい。 」
辺りを見渡すと、自分のすぐ横の家の塀の傍に細い鉄パイプが落ちていた。
それを素早く拾い、両手で構えると異形に向かって言い放つ。
 「 でもタダじゃやられてやらないんだから……! 」
 ―― ジャッ ――
終わりが訪れない逃げるばかりの地獄。もはや少女はそれに疲れていた。
だから……涼は自ら前に踏み出る事を選んだ。
 「 ――― あんたも痛い目に遭うといいんだっ!! 」
 ―― ガィンッ!! ――
777ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:10:05.36 ID:F5tFfK8n
 「 ウ゛ル゛ゥ゛! 」
思い切り振り被った鉄パイプが、醜悪な口のみが存在するのっぺらぼうの顔に直撃する。
同時に涼の両腕に痺れが走ったが、涼は鬼気迫る形相で、異形の前後に長いツルツルの頭部を目掛けて鉄パイプを振り続けた。
 「 死んじゃえッ! 死んじゃえッ!! 死ねっ、死ねっ、死ねェッ!!!! 」
 ―― ガギン!! ガンッ!! ギィンッ!! ゴキンッ!! ――
まるで鉄を叩いてるような感覚に涼の腕は悲鳴を上げる。
 「 わあああああああァ!! 」
 ―― カ゚ァ ンッ!! ――
全力の一撃を叩きこんだ。しかし。
 ―― ガラン、ガランカラン…… ――
その反動に涼の腕は耐え切れず鉄パイプを手放してしまった。鉄パイプは異形の頭で大きくバウンドし、異形の向こう側のアスファルトに音を立てて落ちる。
すると叩いている間ずっと俯きかげんだった異形はゆっくりとのっぺらぼうの顔を上げ、大きく横に裂けた口を開いた。
 「 ハ ア゛ア゛ア゛ァ゛――――……! 」
 「 う……あ…… 」
唸りを上げる異形の目線(?)が涼の目線と並ぶ。武器を失った涼は異形の醜悪な佇まいに圧倒される。今更ながらに恐怖心が湧き上がってくる。
だが後ずさりしようにも後ろは壁。既に彼女は逃げ場も突破口もあっさりと無くしてしまっていた。
 「やだ……やだっ、来ないでェ!!」
 「 キ゛ア゛ァ゛ッ 」
異形の長い手が涼に向かって伸びる。
 「 うああーッ!! 」
異形の手は涼の首を捕え、軽々と彼女の体を宙吊りに浮かせた。
身長こそ涼と同じくらいだったが、樽のように丸々とした体と太い二の腕は涼とは比べ物にならない程の体力をたやすく想像させた。
これまでの事を日記で読んで知っている涼にはわかっていた。異形の顔は今、涼の腹部の高さにある。狙われる事はわかっていた。
 「 うがあ……ぅ、うぐ、あぁあぁあ!」
涼は全力で異形の頭を足の裏で蹴りつけた。
 「 グ゛ル゛ゥ゛!! 」
すると、あれほど鉄パイプで叩いてダメージを感じさせなかった異形が怯む様子を見せる。
チャンスだと思った涼はそのまま異形を蹴り続けた。が……
 「 あっ!! 」
突如、異形の後頭部の下側に生える触手が幾多にも伸び、たちまち涼の両手両足を拘束し体を涼の後ろのブロック塀に押し付けた。
触手で完全に拘束し終わった異形は涼の首から手を離し、頭の後ろ側から伸ばした触手のみで涼を磔にしている。
 「あ……ああ……」
 「 ハ ア゛ア゛ア゛――――!! 」
蹴りつけた事に怒りを覚えたかのように昂りを見せる異形。
今、異形の両手はフリーの状態だ。自分は拘束され抵抗は許されない。この後の運命を悟った涼の目に再び涙が戻っていた。
 「 ――― やめて、やめてえええぇェーー!! 」
 ―― がしっ ―― 
 「 あうっ! 」
いよいよ涼が恐れる事態が起ころうとしていた。
涼の脇腹を左右から両手で鷲掴みにする異形。すると横に裂けた口をがばっと開け、喉の奥から舌……いや、太い触手を出した。
舌のようなその太い触手の先端は涼のお腹の前までいくと一瞬弓を引く。

 ―― ビュドッ! ――
 「 うッ!! 」

そう思った直後、体に衝撃が走る。
十分な力を溜め込み発射された太い触手は、制服の布を巻き込みつつ、涼のお腹を奥まで抉っていた。

 「 かはっ……! 」

涼の口から涎の塊が吐き出される。そして痛みのあまり更に涙が急激に込み上げ、あっという間に涼の頬を濡らした。
この一撃で涼の全身の力は一気に奪われ、意識をも失いかけた。……今、涼の瞼はゆっくり閉じようとしている。
が、異形の攻撃はこの一撃に留まらなかった。

 ―― ビュッ! ドゥッ!! ――
 「 うゥッ!!!! 」

弓を引きなおした口の触手がまたも涼のかよわいお腹を嬲る。
778ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:11:07.09 ID:F5tFfK8n
意識が失われようとしていた涼の体は、無防備な状態で触手を受け入れてしまった。

 「 べふっ…… 」

一撃目よりも非情さを増したそれは失われつつあった涼の意識を引き戻し、涼の体液を口から絞り出させた。
口いっぱいに溢れ出た涎は涼の体の前を濡らした。涼の制服が、下着が、スカートが。涼の体前面の布がびしょびしょになり、涼の健康美溢れる体のラインをうっすらと浮き上がらせた。
異形は依然、両手で鷲掴みにしているその胴体めがけて次々と舌の触手を打ち込み続ける。

 ―― どっ!! どむっ!! すぼっ!! ばみゅっ!! どぶっ!! ずぼっ!! ばむッ!! ――
 「 ぐ む゛っ!! ぶぐッ!! ゃむ゛っ!! や゛だ゛ッ!! ぁ め゛ッ!! たずぶッ!! ぶ゛ば゛ッ゛!! 」

ピストン運動のように高速で細いお腹に叩きこまれる太い触手。その一撃一撃が涼の腹を貫かんばかり涼の腹に先端を埋め、細い触手達に手足を拘束された体はその度にびくんびくんと痙攣している。
ブロック塀に体を押し付けられ磔の状態なので衝撃が逃げず、涼はその全てをお腹で受け止めてしまう。
激痛と衝撃にショートカットの黒髪を振り乱し、涎を撒き散らし、涙を流しながら涼はお腹の痛みに踊らされていた。

 「 ぅ……ぐ…………ぶくぶくぶくぶくぶく………… 」

連打が止んだ頃には涼は首が座らない状態で口から泡を吹き、焦点が定まらない目を見開いて半失神状態に陥ってしまっていた。
無数の細い触手で拘束されている涼の体はだらしなく力が抜け、時折ぴくぴくと痙攣している。
  「 ウ゛ル゛ル゛…… 」
異形は涼を見上げるように顔を近づけ、どことなく満足げに低い唸りを上げた。
首が座らない涼はその姿を横目で見る。力が入らず、自分の意志とは無関係に震える体で、涼は必死に異形と向き合っていた。

 「 ぉ……の……っ 」

もはや言葉を発する事もできないほどに腹を打たれた涼だが、僅かに残された意識と力を振り絞り、懸命に首を起こした。
そして……
 「 ぷっ! 」
口だけのっぺらぼうの顔に唾を吐いた。
 「 ウ゛ル゛ゥ゛ー ! 」
異形はそれに対し大きく反応を示した。唾をかけられた頭を両手で押さえて振り、半歩下がる。
しかし拘束する細い触手の手は弱まるどころか逆に涼の体をより強く締め、壁に押し付けた。
 「 ぁぅ! 」
 「 ハ ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛!! 」
異形は大きく開いた口から太い唸り声を上げ、怒りの色を見せた。
 ―― ベキベキベキベキ ――
異形の背骨から何か剥がれる音がすると、見る見る内に骨格が剥き出しの尻尾が姿を現した。
尻尾は異形の股下をくぐり、先端が涼のお腹を目指して立ち上がる。
 「 ひっ……! 」
涼の顔が引き攣る。それもそのはずだ。涼のお腹の高さまで上がってきた尻尾の先端は見るだけで痛みを覚えるような、金属のような鋭い針の形を成していたからだ。
その後の光景を予想するより早く、それが起こる。

 ―― すどッ!! ――
 「 ぎッひい!!」

速く鋭く先端が涼のお腹にある可愛らしい穴を的確に貫いた。

 「 …………ぅぎゃああああああああああああああ!!!! 」
 ―― じょばあッ! ぼたたたたた…… ――

お腹の中に直接ダメージ受け、おへそに針が刺さった瞬間に涼はふとももの間から勢いよくおしっこを噴射させていた。
涼は狂ったように頭を振り乱す。それに合わせ四肢もじたばたと動かしていたが、拘束する触手が外れる事はなかった。

 「 痛゛い゛ッ !! いたいいいいいいぃぃ!!!!」

喉が破れんばかりに叫ぶ。それほど痛かった。
その様子を下から不敵に見上げていた異形は尻尾を後退させる。
尻尾が後退すると、先っぽから血の糸を引きながら針がおへそから抜かれた。

 「 う! 」
779ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:12:05.07 ID:F5tFfK8n
へそから尻尾の針が抜かれた瞬間、涼の体がぴくんと反応する。
突き破られたへそからは血が流れ出ていた。
怒り冷めやらぬ異形はフリーになっている自分の両手を拳の形に作る。まさに丸太のような二の腕は鍛えた大人と比べても格段に太い。
しかし肩から手先に向かうにつれて細くなっていき、最終的に拳の大きさは、丁度ソフトボールより少し大きめのサイズ。
それを異形は涼のお腹の血が流れ出ている部分めがけて思い切り打ち込んだ。

 ―― どばんッ!! ――
 「 ふぅぐッ……!!!! 」
 ―― びちゃちゃ ――

おへその激痛と腹部への痛恨の打撃が混ぜ合わさる。涼の視界を一瞬奪ってしまうほど大きな一撃。
殴られたおへその所から血が飛び散り、ふとももの間からは残っていたおしっこが噴き出ていた。
 ――… ミシミシィ …――
さらに壁磔の土台に衝撃が行き渡り、ブロック塀が悲鳴を上げた。

 「 うッ……! ぶべべえ!! 」

ここまで幾度となく嘔吐していた彼女のどこにこんな体液が残っていたのか。そう思うほどの体液が上と下の口、両方から放出される。
そして更に異形はもう片方の腕に力を込めた。皮膚が無い為、剥き出しの組織や骨格がめきめきと音を立てて締まる。
既に涼のやわらかいお腹に深くめりこんでいる拳を引き抜くと、入れ違いになる形でもう片方の拳が勢い良く打ち出された。

 ―― ばぐんッ!! ――
 「 ぶうゥ!! 」
 ―― ミジミシミシ…… ――

いずれも涼のお腹の強度を考慮に入れない無情な打撃。涼の全身はお腹の痛み一色に染まった。
 「……ぅぁあ……うぁぁ……」
見開かれた目から溢れる涙。わなわなと震える唇。口から垂れ流れる体液。拘束され可動域が狭くなっているが限界まで内股になった濡れたふともも。ビクビクと痙攣する体。
涼は、顔で、体で、全身で「お腹が痛い」を訴えていた。
 「 ……たた……たすけ……たすけててて 」
夜の虚空を凝視しながら、あまりの痛みに無意識に助けを乞う。
――― 聞き入れられるはずが無かった。

 ―― どぼォッ!! ――
 「 む゛ぶ゛ッ!!!! 」
 ―― ビシィッ! ――

お腹に丸ごと埋まる拳。あまりの衝撃に破れる服。見開かれた瞳。一瞬大きく膨らむ頬。そして……

 「 ぶべあッ―――!! 」
 ―― びちゃッ びちゃあッ ぼたぼたぼたぼたぼた ――

薄暗い中でも見て取れる、明らかに色のついた体液の嘔吐。
大量に吐き出された赤黒い鮮血は、異形の頭に降り注ぎ、自分の体の前を染め、アスファルトに血の雨を降らせた。
 「 ギ゛ワ゛ア゛」
異形はそれに満足したかのように降り注ぐ血の雨を気持ち良さげ浴びる。

 「 ぅ゛べ …… ぐべ、ぁぃ゛…… ぃ゛た゛い゛、 い゛だ゛い゛ぃ゛ 」

壊れた人形のように体は痙攣し首をがくがくさせ、血を吐き散らしながら朦朧と痛みを訴える。
お腹の中身を潰された涼は、その耐え難い痛みに遂に発狂してしまった。
もはや涼には今何が起こっているかさえ分からなくなっている。ただただ、激しく襲い来る痛みの虜になってしまっていた。
 ―― ビキ、ベキベキバキ…… ――
そして……自分が触手で拘束している獲物を仕留めようと異形は腕を鳴らして力を込める。
そう、完全に壊されれば死を免れない場所への攻撃だ。

 「 はが、あがが……い゛だ゛ぁ゛……! 」

あわれ痛みに震えるだけの少女に、非情な拳が唸りを上げて無慈悲に襲い掛かった。
780ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:12:53.49 ID:F5tFfK8n
 ―― どぱんッ!!!! ――
 「ううゥーーー!!!!」

少女のお腹のいちばん奥にまで達した醜悪なる者の拳。

 ―― ゴバアンッ! ――

遂に衝撃に耐えられずブロック塀は涼のお腹の位置から円形に決壊し、彼女はそこから飛び出るように地面に倒れ込んだ。

 「 ……… 」

彼女は目を見開いたまま生命活動を停止していた。
体中の力が抜けた為、口から、股から、おへそから血が流れ出る。
目に涙を残したまま、少女は死んだ。

 「 ゥ゛ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ーーーッ!!! 」

円形に破壊されたブロック塀の向こうで、異形は天を仰ぎ勝ち名乗りの咆哮を上げていた。

    ――――――――

PM.6:00。

涼はまたも自分の家の玄関で倒れている。
目を覚ませばまた涼は苦悩に苛まれるだろう。そして二日後には恐怖と苦痛のみを残し積み重ね、忘れていくのだろう。
彼女は出口を見つけ平穏な日々に戻る日が来るのだろうか。あるいはその前に精神が崩壊してしまうだろうか。
それでも涼は選択する以外の自由は許されないと無意識の中で感じていた。

 ―― …コツ…コツ…コツ… ――

横たわる涼に影が差す。


    「 オ カ エ リ 」




                      See you next midnight again...


781ミスト ◆rwH8YN9ojw :2012/09/22(土) 00:13:30.66 ID:F5tFfK8n
以上です。ありがとうございました。
782名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 00:20:15.87 ID:qY4w+uP+

>>781

キミ、

合格。


ちょっと危うい所あったけどね
783名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 00:32:36.40 ID:EsehVVVd
投下乙
そしてお前は誰だwwwww
784名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 07:20:45.94 ID:lXCyN+Lb
投下乙です
相変わらずの濃厚な描写に敬服します。
785名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 08:35:21.03 ID:/G8QuzTz
GJ!
無限ループで腹パンとか地獄過ぎる

しかし最近GJレスを見かけないな
786名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 14:37:49.40 ID:ThJfrM3j
んー…。

合格圏内とは言えるかも知れないけど、これを安易に合格にしてしまうのは危険な軽率ではないか?
787名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 14:53:25.72 ID:LARumnX4
おまえブロントさんっぽいな
788名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 15:46:22.06 ID:08rL5QxR
『危険な軽率』という言い回しは文法上正しいのか否か、論文を提出し議論をする必要がありそうだ。
789名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 16:54:10.71 ID:YkQ9lB/J
>>781

               /|:::::::::::::::::::::ヽ.:.:.:.:、:.:.:.:、:.:.:.、.:.、.:.:.:.:.:.::`゛>
           /{::|:\:::::::\.:.:.:\.:.:.ヽ::.::.ヽ:.:.ヽ::::::::::.:.`゛ー- ..,__
: 何 :    /:|::',: ト、::::::ヽ、:.\:.:.:.\:.:.ヽ:.:.:\.:.:.:.:.:::.:.:.:.:::.::::_;:-'´   : : :
: が :   //: /:::|::',|::'、:::::::::\:.:\.:.:.ヽ:.:.:\:.:..\::::::::::::\、::::\    : : :
: 何 :  /!::|::l:::: /|:::l:ヽ:\::ヽ:.:\:.:\.:::ヽ:.:.:ヽ:.:.:.:\::::::::::::\ ̄   : : :
: だ :   |/l::|::|::|: ト、:::::::::、、:ヽ、:.:.:.:::::::::::::::ヽ::::.:ヽ:.:.:.:.\:.:.:.ヽ:::\.   : : :
: か :   |::|::/l::|::|r‐ヽ:::::ヽ(ヽー,―\::::::、::::::::::ヽ::.:.::::::.:::::::ヾ. ̄   : : :
:    :   }//l::|:::|{(:::)ヾ、:::ヽ \!(:::) ヽ,:::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ、   : : :
: わ :.   |/l::|::|:::|ヽ==''" \:ヽ、ヽ=='" |:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、::::\
  か     / ',|::|:::|   /   `゛       |!::::::::::::::::::::::::::::ト、::ト、_` ゛`
  ら      l::!::::ト、  '、 _         ||::::::::::::::::::::::::ト:ヽヾ| | ̄ ̄ ̄`ヽ、
  な     r'"´||',::::',                 |:::::/l:::::|\:::ト、ヾ | |     / / \
  い   /   ll ',::', 、 ーこニ=-       /!::/ ヽ:::|  ヾ、  ノ ノ  /  ,イ   ヽ、
       ,'    |  '、:, \ --       ,. '´ |;'  l ヾ、.   //     / |    l: l
      |   |!  ヽ;  ヽ       /.:    i!  /   ゛// |l      / |      | |


注・褒め言葉です
790名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 17:05:04.47 ID:F5tFfK8n
合格とか合格圏内とか何の話?
悪いけどまったく意味がわからなくて気持ち悪い
分からない人や新規さんとか困るからちょっと詳しく説明をお願いしたい
791名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 18:30:23.94 ID:s0FmE7Uh
気にせんでいい
多分みんな分からない
そんなのを真に受けて悩んでしまうのは危険な軽率ですよ
792名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 18:47:13.07 ID:PsT256s7
>>787のせいでブロントさんにしか見えなくなった
793名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 20:15:20.08 ID:ThJfrM3j
文章読みの板に、「軽率」を解らない人間がこれほど居るのは正直驚き
794名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 22:27:35.51 ID:08rL5QxR
>>786 >>793 あんた「軽率」にこだわるねーww

それはそうとミストさん相変わらずGJでした。堪能させていただきました。
お疲れ様です!
795名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 22:57:19.28 ID:TvwOmcei
>>793
×危険な軽率
○軽率であり危険だ
796名無しさん@ピンキー:2012/09/22(土) 23:31:01.91 ID:s0FmE7Uh
なんというマジレス

でもなんかマジボケっぽいしな…
797名無しさん@ピンキー:2012/09/23(日) 03:35:24.72 ID:fsSMWYto
ただのブロンティストだろう
798名無しさん@ピンキー:2012/09/23(日) 20:08:38.60 ID:qyO4lHKe
お前らって集団でいるとそうやって強気だけど、いつか自分が断罪されるかも、とか思わないの?
799名無しさん@ピンキー:2012/09/23(日) 20:20:32.06 ID:YM3HDouq
断罪????何か悪いことしたか????
妄想だとか趣味の内容が普通ではないっていう自覚は勿論もってるが
だからといって犯罪行為に走ろうとは微塵も思ってないし・・・
そういうイラストや小説を探して見て楽しんでるだけだよ。捕まることなんか何一つしてねーべ?
『いつか自分が断罪されるかも、とか思わないの?』ていうのは、なんていうか・・・
明らかな犯罪行為をしてる上で有頂天になってる、暴走族だとか詐欺してる奴とかにこそ
相応しい台詞じゃね?て思う。それらに比べりゃ誰にも迷惑かけず仲間内で盛り上がってるだけの俺らなんて
可愛いものだと思うけどね。

えらいマジレスしてしまった。暇だったんでつい・・・流して頂戴。
800名無しさん@ピンキー:2012/09/23(日) 20:57:52.19 ID:b0GRfTes
断罪とかコイツ本当にアホなんじゃなかろうか
801名無しさん@ピンキー:2012/09/23(日) 23:37:37.11 ID:AuViU6c3
地味に残りバイト数が少ない…
ミニサイズのSSなら一つ入るだろーか
802名無しさん@ピンキー:2012/09/23(日) 23:45:47.15 ID:nhGnv9NF
SSならひとつ10kbくらいかなあ…485kb越したら次スレ立てよう
803名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 00:28:45.81 ID:A5TctZtb
半端に容量残して気にしながら投下してもらうよりは、
いっそ次スレ立ててこのスレは雑談で消費するのも手かと思った
サークルリストも正式公開されたしなー
804名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 00:42:43.23 ID:UZt8L2Nr
今見てきた。
SS組みは、宮内氏のノベルゲームを含めると4サークルと増えたね。
増えたが・・・・・・ちょっと趣旨がずれてるっぽい人がチラッと見えたような・・・?
805名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 04:37:39.50 ID:CbKhhY2E
久々に除いてみたけど投稿した人に対して冷たい言葉をかける人、まだいるんだ。
でも、以前に比べればきちんと評価する人も戻ってるみたいで安心。以前は投稿
しても無視するか批判するしかなくて最悪のスレだったけど。それでいなくなっ
人はもう戻ってこないのかな?
806名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 05:28:14.47 ID:i+k2nX3S
そういうのは放っておけばぉk
相手にするだけ時間の無駄
807名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 08:15:06.92 ID:OJAgNSmZ
やっぱり断罪が必要じゃねマジに
808名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 08:50:14.30 ID:pnDJMXQy
だん‐ざい 【断罪】
[名](スル)
1 罪をさばくこと。罪に対して判決を下すこと。断獄。「責任者を―する」
2 斬首の刑。斬罪。うちくび。「あはれ―流刑にも行はせばや」

お前は何様だよ
809名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 10:17:25.45 ID:UZt8L2Nr
なんか断罪って厨二的な台詞だよね。
漫画とかアニメとか、作品内で見る分にはいいんだけど、実際に使うのには無理がある台詞。
ぶっちゃけキモイ。
810名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 11:02:09.71 ID:rjBxGpc+
↓以下、断罪だけで1000を目指すスレ
811名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 11:47:31.22 ID:2gYMGllN
とりあえず新スレを断罪しよう
812名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 11:58:18.93 ID:JrjWPYAZ
つか自分でやってくるわ
813名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 12:12:18.00 ID:JrjWPYAZ
「書き込みました」とは出たけど一覧に出ない…
よし、断罪されてくる
誰か一応確認と、駄目だったらスレ立て頼む
814名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 22:50:19.07 ID:UZt8L2Nr
断罪で一ネタいってみてもいい?
容量とかよくわからないから、もしかしたらやばいかも知れんけど
短めにまとめたから、試しにやってみたいんだが。
815名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:13:49.09 ID:rvhuaZ1i
俺が新スレを断罪した・・・・>>815の時点でな・・・・

【何発でも】腹責め専門SS・その11【叩き込め】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1348582025

テンプレも少し断罪した
816名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:14:56.23 ID:UZt8L2Nr

腰まで伸ばした黒髪が綺麗だと、友達から褒められたその日の夜。
汗でべたつき、土に汚れ・・・今の彼女は、見るも無残な姿に変わり果ててしまった。

―ドボッ!―

「ぐべぇッ!!・・・え・・ッ」
ビシャビシャと口からこぼれる涎と胃液が、制服の胸元を汚す。
89cmの胸囲を誇る自慢のバストに、濡れた制服が張り付いてその豊満さを際立たせる。
しかし口から溢れ出る吐しゃ物は、平均女性よりも大きめに出来る深い谷間にも収まりきらず、地面に零れ落ちた。

―ボグッドフッ――ドブッ!―
「ぐむッ、う・・ぶうぅ!ぇ・・・ぐべぇぇぇッ!!」
潰された蛙の断末魔のような醜い声が、可愛らしくモデルにも匹敵すると揶揄されたその顔から出るとは、だれが思うだろうか。
左右の豪腕から繰り出された拳が少女のか細い胴の両脇をえぐり、一瞬の間をおいて、右の強烈なアッパーが鳩尾を抉る様に穿った。
豊満な胸が大きく数回パウンドし、たまった汚物が水しぶきとなって弾け飛ぶ程の破壊力があった。
両足が一瞬浮き上がるほどのボディブローを受け、少女の意識は殆ど消えかけていた。
だが、少女の虚ろな瞳は、更なる豪打を加えようと引き絞られる、男の腕を捉えていた。

高校2年生の終りが間近に控えた冬の夜。
菊池彰子・・・今宵の標的である少女は、その男に捕まり、拷問を受け続けている。

《断罪屋ゼロ》―――それが男が名乗った名前だった。
817名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:16:58.03 ID:UZt8L2Nr

ぎゃぁぁぁぁぁす!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・
ど、どうしたらいいですかねorz
818名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:29:14.10 ID:KXo5YPv7
お前が美少女ならまず腹を出せ
819名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:35:03.96 ID:UZt8L2Nr
まぁいいや、続けます。。。
820名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:36:41.43 ID:UZt8L2Nr
かつて製鉄所だったが、不況の影響で数年前に閉鎖され、寂れてしまった廃墟がこの街にはあった。
天井は剥がれ落ち、壁も穴だらけで、冬の寒さには若さに物を言わせる街の不良たちも参ってしまい、
溜まり場にもされなくなった場所だった。

今はそこに影が二つ。
菊池彰子と、彼女をコンクリートで補強された柱に縛りつけ一心に腹を殴り続ける大男、《断罪屋ゼロ》であった。

男は全身を黒いスーツで纏っていたが、その服の張りからいかに鍛えられた体かは一目瞭然であった。
彰子の体の一回りも、いや、三回りはあろうかというその巨体は、少女の姿を悠々隠す事ができる程だ。
何より印象的なのはその顔だ。麻で出来た袋で顔をすっぽりと多い、多少鼻の部分が出っ張っている以上のことは分からない。
果たして本当に前が見えているのかさえも謎だ。しかし、的確に人体の急所である臓腑を一つ一つ打ち抜いている所から、
おそらく見えているのだろう。
彰子も、この人物が体格から男性だという事だけは分かるが、彰子はいまだにこの男の声さえも知らない。
学校帰りに、突然物陰から現れた男に鳩尾を強かに突かれ、意識を一瞬のうちに奪われて、いつの間にかこの場所へ連行されたからだ。

一方、その男のサンドバッグと化している少女は、まさに悲惨そのものであった。
両腕を上げた状態で縛り上げられ、なぜか男によって腹部を隠す布地は破り捨てられてしまい、
延々とその素肌に拳を叩き込まれている状態が、すでに1時間近く経とうとしていた。
ビリビリに破かれた制服の裾から、豊満な乳房を支える下着が見え隠れする。
度重なる豪打の嵐に耐え切れず、制服は嘔吐物だけでなく失禁によるシミも重なって、
目も当てられない痛ましさを醸し出している。
執拗に殴られ続けた腹部は、健康的な肌色が痛々しい痣で塗りつぶされていた。

―ズドォォッ!―
「オ"・・・ゴォォッ、お、グォェえぇッ!!!」

少女の胴とさして変わらない太さをもつ膝が、容赦なく胃を押しつぶした。
今までの非ではない量の吐しゃ物を撒き散らし、瞳は点のように収縮し、全身を激しく痙攣さえる。
たっぷり数十秒、膝が少女の背後の壁の硬さを認識するようにゴリゴリと抉った後で、ようやく腹から引き抜いた。
少女の腹部は数秒ではあったが、深く陥没したままであり、絶えずギュルギュルと内臓が悲鳴を上げ続けている。
「ゲェェェ・・オグ・・・げほっゲボォッ!・・ぁ・・・」
少女の脳が処理しきれる限界を、とうに超えていた。もはや呼吸という、最低限生命の活動に必要な活動さえも、
深いダメージを受けた内臓が拒否反応を起こしていた。
821名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:38:24.23 ID:UZt8L2Nr

男はここでようやく、少女に振るい続けた剛拳を止めた。

実際は数分間ではあったが、その間男は何もせず、一歩引いた位置から少女がうめく様を静観していた。
それでも少女の体力も損傷した内臓も回復することはない。が、少女は力をふるって、首をあげた。
そこには男が両腕を組み、こちらの方向を向いてただ人形のように静止している。
「はぁ・・・は・・・たず、けっ・・・え”ほっ」
助けて、という言葉さえ発するだけでも尋常ではない痛みがこみ上げる。
それでも少女の衰弱した体が、このままでは確実に死ぬ、という非常な未来を暗示させていた。
懸命に少女は懇願した。ちゃんとした言葉にもならないが、とにかく死にたくなかった。

「・・・これは断罪だ。」

低く、そして重量感のある声だ。
この時はじめて少女は男の声を聞いた。それと同時に、心の奥底に安堵する自分がいるのも感じ取った。
それまでは一声も発さず、表情も見せず、淡々と暴力を振るい続けてきた男を、この世のものではない化物か何かと
位置づけていた自分が居た為だ。
会話をすることが出来る。意思を伝えることが出来る。
この安堵が一瞬、少女の生きる希望となって、少女をかすかに回復させた。

「た・・助けてっ!!おねがぃ、しま、すっ!なんでも・・・する、から・・!!」

肺が傷ついたためか、ヒューという音が言葉を発するたびにどこからか漏れているのがわかる。
もはやまともに言葉を発するのは不可能な状態だ。

「おねがい・・・します・・・もぉ・・・や――」
「『もうやめてください』か。」

男の声が彰子の言葉をさえぎる。震える体で、必死に首を縦に振った。

「その言葉を、言いたくても言えなかった者がいる。」

少女は息を呑んだ。その男の言葉が、あまりにも重く、ただならざる圧力を持っていた。
彰子は完全に男の一言に、圧倒されてしまったのだ。
822名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:40:01.66 ID:UZt8L2Nr

「私は《断罪屋ゼロ》だ。罪を犯し、裁かれず、のうのうと日々を過ごす悪人を裁くのが役目」
「お前は罪を犯した。しかし運よく、それが裁かれることはなかった。」
「それに納得がいかない者が、私に依頼をした。だから私は依頼を果たす。ただそれだけ。」

淡々と言葉を繋げる男に、彰子は震えながらも、気圧されながらも声を上げた。
「待って!?わ、わたしが・・な、――」
「『私が何をしたっていうの?』・・・か?」
彰子は目から涙を浮かべ、大きく首を上下に振った。しかし。

―ドボンッ―
「グブゥゥゥッ!!?」

一歩で間合いをつめた男が、目にも留まらぬ速さで彰子の臍に拳を突き刺した。
ズズンッという音と共に、わずかにコンクリートの柱が振動した。

「は・・・がっ・・あぁ・・ぁ・・!?」

目を見開き定まらない視点を彷徨わせながら呻く少女に、拳をグリリとねじ込みながら男は続けた。

「それはまるで、お前が今まで何一つ罪を犯さなかった聖女であるかのような言い草だ。」
気に入らん、と言葉を吐き捨て、拳を抜いた。

グポンッという水っぽい音と共にゆがんだ腹部が元に戻りかけた。

―ドムゥッ!―
「ゴボぉッ!?」

男の左拳が、豊満な双乳のすぐ真下にある、極めて危険な急所を容赦なく突き上げた。
コンクリートに背後をふさがれた少女の体が、抉る拳に突き上げられる形で上昇する。
今少女の体を支えているのは、厚く硬いコンクリートと、押し上げるように手首まで鳩尾にめり込んだ男の拳だけだった。
「かっ・・・か・・ぇ・・げ・・・・・」
完全に肺を潰され、いまだかつて味わったことのない激痛と圧迫感に苛まれ、全身を痙攣させた。
「忘れているというなら思い出させてやろう・・・」
そういって男は、ようやく自身の顔と同じ高さまで突き上げた少女の苦痛にゆがんだ顔に、顔を近づかせて耳打ちした。

「2年前の、2月19日だ。」

その瞬間、虚ろになって閉じかけた少女の瞳が、カッと見開いた。
2年前の2月19日。自分の記憶が確かならば間違いない。



少女が、家の近くのコンビニで・・・万引きをはたらいた日だ。
823名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:41:29.33 ID:UZt8L2Nr

「はふっ!?ふぅあぁぁぁ!!?」
肋骨をかいくぐって臓腑を抉る拳を、男はさらにひねり、激痛を与えた。
「思い出したようだな。もっとも、お前はあの日が初めてであり、最後だったようだが」
今度こそ、男は拳を引き抜き少女を解放した。
途端、少女は赤黒い血液の混じった胃液を大量に嘔吐した。
「ゴボェェェェッ、オゴォ・・・グベェェェッッ〜〜〜ッ!!」
すでに柱の周りには、バケツ一杯分に相当するかといった量の水溜りが広がっていた。
汗や唾液、胃液、吐しゃ物、そして血・・・如何なる言葉も、この光景の前では生ぬるく感じられてしまうほどの、地獄絵図であった。
「ガヘッ・・・は、はぁ・・・はぅ・・・ッ!!」
「依頼主は誰かをいう事はできない。ただし、コレだけは言える。お前は・・・」
そういって男はまた少女に顔を近づける。今度は真正面、鼻と鼻が接するほどの距離だ。

「お前のその軽はずみな行動が、あまりに多くの人間を不幸にした、という事だ。」

それを聞いた少女は青ざめた。それは瀕死の重傷をおった事とは別の原因だ。

「・・・正確には、『お前のような輩の、その軽はずみな行動が』、だがな」
男は顔を離し、両腕を組みなおして、話を続けた。
「お前は、普段当たり前のようにそこにあるコンビニが、どのようにして出来ているのか知っているのか?」
「一つの店舗を成り立たせるために、どれほど多くの人間が関わっているのか、お前は知っているのか?」
「あの店が扱う商品を、一体誰が、どんな思いで作っているのかを知っているのか?」
「知るはずもあるまい。お前たち位の子供は、あれがそこにあって当たり前なものとして、ありがたみ等一切感じていまいよ。」
「あの店が一つ潰れたことで、誰が迷惑を被ると考えている?店長か?アルバイトか?社員か?」

「答えは、”あの店に関わった全ての人間”だ。」

男はそれだけいうと、拳をギリギリと握り締め、腕を限界まで引き絞った。
彰子の目の前で、確実な『死』が今、自分の腹部に狙いを定めた。
824名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:42:45.07 ID:UZt8L2Nr

「ひっ!い、いやぁぁ!!おね、が・・だすげてぇ!!」
頭を振って瀕死の体を必死に動かし、拘束から逃れようとする。だが柱に鎖で縛り付けられた両腕は、数ミリたりとも緩むことはない。

「お前は常習犯というわけではなかった。悪い友人にそそのかされでもしたのか。もしくはほんの出来心だったか。」
「盗んだものはたかだか10円の駄菓子・・・この程度ならおまけで許してもらえる、とでも思った上での思いつきか?」
「そういう輩が後を絶たず、様々な工夫を施した努力も報われず、あの店は潰れた。不幸が、憎しみが生まれた。万引き犯は絶対に許さない、と。」
「そしてビデオで検証した結果、まずお前に白羽の矢が立ったまでのこと・・・不運だったとあきらめることだ。」

男の声に、一切のためらいはない。

「いやぁぁぁぁっぁぁぁあぁぁあ!!!!!」

「 断 罪 の 時 だ 」


直後、爆音が廃墟に響いた。
何十発もの爆撃のような轟音と振動は、か細い少女の悲鳴をかき消した。



「・・・すぐに迎えが来る。第二の人生に向け、今はただ悔い改めよ。」

携帯を右のポケットにしまい、男は少女にそれだけ言葉を残して、その場から立ち去った。
全面にヒビが入り、いくつかの塊が崩れ落ち、もはや見る影も無くなったコンクリートの柱。
少女の体は、それに埋もれる形で柱と一体になっていた。少女を中心にクレーター状にへこみ、
細かい蜘蛛の巣状のひび割れが入る中、鳩尾や臍、下腹部といったところ全てに大きな陥没痕を残した少女。
その瞳から光は消え・・・呼吸はあるかどうかも疑わしい。

まもなく、救急車がけたたましいサイレンと共に現れ、少女を乗せて夜の町へ消えていった。
825名無しさん@ピンキー:2012/09/25(火) 23:43:53.56 ID:UZt8L2Nr
以上です。お目汚し失礼致しました。
あと新スレ乙!あとめちゃめちゃ中途半端なタイミングでごめん。
826名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 00:02:21.95 ID:WFNUEcUy
>>815
断罪と書いて乙
827名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 00:03:22.05 ID:u+SUOUlF
>>825
おっと俺まで間が悪かった、断罪されてくる
スレネタ乙w
828名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 00:38:19.14 ID:jp9Vql0V
また書いてほしいすごくおれ好みのSSだった
断罪(*^ー゚)b グッジョブ!!
829名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 01:13:39.42 ID:J5w7b5Um
断罪乙
これで485kbか、案外いけるもんだな
830名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 04:59:38.15 ID:z38d94vz
断罪のGJ
831名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 10:51:49.54 ID:OtqdbW8p
まさか断罪の単語から一作やる人が出るとは
アリガトゥ
832名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 12:42:20.62 ID:bOOhcUSk
腹パ史上初の腹パンチノベルゲーム楽しみ!
自身も格闘技経験のある作者による、本格的なノベルが堪能出来そう
833名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 18:50:50.36 ID:z3N7gyji
漫画や小説だけでなくゲーム、CG集、コスプレ写真集を出す人も出てきてイベントとしての規模が徐々に大きくなりつつあるのは嬉しい
834名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 19:04:25.76 ID:beS0Apz4
反面コスプレROMは少し怖いな
ググったら普通にエロ出してる人だし
835名無しさん@ピンキー:2012/09/26(水) 19:09:06.30 ID:xzg+pDMQ
最初はたった7サークルだったのにね。
第4回にして遂に20サークルに達したこの成長は期待できるね。
なによりもより多くの腹パンを拝めることが楽しみでしょうがない。
836名無しさん@ピンキー:2012/09/27(木) 19:24:59.77 ID:epzU53xW
唯一の不安要素は砂雪だな
イベントでヤケになって問題でも起こしたら腹パはおろか他のイベントにも迷惑がかかる
837名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 00:10:45.61 ID:E6wossqu
皆は女の子のお腹のどの部分が好き? 腹責的な意味で。

@みぞおち
Aへそ
Bおなかの真ん中(みぞおち〜おへそ の間)
C子宮のあたり

ちなみに自分はA
838名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 00:25:33.36 ID:0qmYddNU
AかBだなー
839名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 12:19:49.66 ID:5tPdmC2f
世はまさに大腹責時代。
リョナなんかと一緒にされてた時代が懐かしい
840名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 12:28:07.11 ID:UKygyWLu
まあリョナの一ジャンルではあるけどな
俺は2と4だなぁ…
841名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 17:21:33.44 ID:eckC0FzB
肝臓も追加しましょう(提案)
842名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 20:24:00.40 ID:ueLCACJM
腹責めとリョナは、
寝取られと凌辱の微妙な関係に似ている…
ところで、腹責めって言い方はいつ始まったのかな?
フリスの頃はまだ腹パンだったぜ
843名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 21:59:17.03 ID:E6wossqu
追加してみました。
みんな腹責的にどの部分が好き?

@みぞおち
Aへそ
Bおなかの真ん中(みぞおち〜おへそ の間)
C子宮のあたり
D肝臓(レバー)
E脇腹

意外にもAの需要が高い・・・
844名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 22:05:30.43 ID:0qmYddNU
へそってなんかエロいですし
845名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 22:51:16.62 ID:poAD7Fko
やっぱへそは人気だなー
ヤられてる側は
A 強い(ボクサーとか格闘家系)
B 弱い(一般人)
のどっち派?

どっちも好きだけど俺はB派。
846名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 22:56:48.85 ID:eckC0FzB
肝臓ぶん殴られて激痛のあまり呼吸出来なくなってる女の子とかは個人的に好き
847名無しさん@ピンキー:2012/09/28(金) 23:37:05.70 ID:E6wossqu
>>845さん
どっちでもイケるけど、「おなかが弱い」っていう言葉の響きからBを選ぶ。
848名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 01:30:46.45 ID:al3Zm8Uo
君達に質問なんだけどさ、自分のソンザイに価値、感じてる?
849名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 01:37:38.32 ID:xc1iQv/J
断罪さん久しぶりだね
850名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 03:09:27.33 ID:/eta7uZv
>>848

                                  、__ ト、_,ィ
                               ,ゝ‐-:.``:.:.:' ̄≧_
                               /:.:.:,ゝ-:.:.:.:.:.:.:.:.:、:.:.:ミ、
                              ソ:./:./,:.,、,、:.:.:、ヽ:.\:.ミ、
                             ノ:{:,イ:|:.|゙'"|:.ト、:}:.i| Ν:Ν
                                |∧:トИ:.i ,|/ Иノレl::Ν
                              `.f∧狂ュ, 斥弋7, i´リ|
                                 ゞヘ  〈|     /‐'弋
                              彡イ ヽ ー==- ∠ィ: :.イ
                               「レリrl丶-イ─ノイヘノ 女の腹という存在を嬲る時、
                             ,-───'L|人 `Y ̄|___/ハ_    _           私は最高の愉悦を感じる。 
                         /: : |: : :./: ://|::::`メ-イ{: : : : /: :i: : :.,ィ´ ̄\
                             |: : ハ:.:/: ://:::|:::/::::::ハ∨: : : : :|: :./: : : : : :.:|
                       _У: : У: :,リ : :|::j::/:::: | |: : : : : |:./: : : : : : :.ノ
                          〉: : : :.:} ://:::::::::Ψ:::::::::: | |: : : : : |:|: : : : : :.:.:.|
                      /: : : :.:.|: : | |::::::::::╋::::::::::::| ト、: : : : ソ: : : : : :.:.く
.   __  r=-、              /: : : : : :|: : | |::::::::::┃::::::::::::| |: :、: : :`Y: : : : : : :.〈
 /π-、`}ヽ Y                j: : : : : :.:.:}: :ノノ:::::::::ノ::::::::::::::::| |: : 、 : :.::|: : : : : : : : \        ,ノフ _辷 、
 `Y´,r‐く    \_    __,r‐<: : : : : : :.:.|: :| |:::::::::::|::::::::::::::::::| |: : :.、: : ::{: : : : : : : : : : 〉    / ノ辷ー、`|
.   `〈_.タ´`y-ヘ }|:.` ̄´: : : : : : : : ..``ヽ:.:.:.:/|: :| |:::::::::/::::::::::::::::// : : :.::、: : 入: : : : : :.:,ゝヘ-y‐フ. r- 、| |/
.    `-'廴__.」:|:.:.             . : ::.:.:/ ノ: :| |:::::::::|:::::::::::: . | |: : : : .::.、:/  Υ: : :./.: .   / Y   入 Υ
          匕丿:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ,ゝ:.:.| |::::::::ノ::::::::::: . :| |: : : : :.:.く    |: : .     〈  ト-┬‐┴‐'
             卜-───--───'´ ノ: : :.:| | :: /:::::::::::::::: :| |: : : : : : :.:|   ヽ: : : : : : : :ヽ .\ノ
                        〉: : :.:| | :: |::::::::::::::: : :| |: : : : : : :.:|    \_: : : : ::Υ7
                          /: : : :// .: ノ::::::::::::::::: :| |: : : : :.:.:.:〈         ``ヽ、._V
                       /: : : :// : :::ハ::::::::::::::::::::| |: : : : : :.:.:{
                         /: : : ://::::::::::|:|::::::::::::::::::::| |: : : : : : : :|
                     /: : : ://::::::::::::ハ:::::::::::::::::::| |: : : : : : .ハ
                       /: : : ://:::::::::: : |: :| :::::::::::::::::| |: : : : : : : :ハ
                         /: : : ://:::::::::::::::/、::|:::::::::::::::::::| |: : : : : : : : : :\
                     /: : : :// \::::::::/: :Н  :::::::::::::| |: : : : : : : : : : :.:.\
                  /: : : ://: : : ::\/: : ::| |_____ハヽ: : : : : : : : : : : : :.\
851名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 03:10:22.84 ID:CKmPxYyA
>>843
1,3,5だな

>>845 は A

腹筋鍛えてるの格闘娘が腹責めされるシチュが一番好きだ
852名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 07:01:59.82 ID:OEcfbtMr
>>851
同じくA
853名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 17:56:14.64 ID:al3Zm8Uo
今一度問おう。
君達は、自分のソンザイに価値を感じてる?
もっと理解しやすく、かつ俊敏に言及するなら、自分が今、存在(いき)てると思う?
854名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 18:05:51.21 ID:suB1MsfY
ご、ごめんwwwww流すつもりが、耐えられなかったwwwww
『俊敏』てwwwwwwwwwwwwwwwwww
センスが天才すぎるwwwwwwwwwwwww
855名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 18:08:42.03 ID:S3o0Uznq
>>845
やっぱりAだね
鍛えててプライドも高い女の子が、肉体的にも精神的にも打ちのめされる過程が良い。
856名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 18:13:58.25 ID:mqq4oyB0
あー、ちょっとやりすぎかな
もっと天然モノっぽさというか、真性さを出さないと
857名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 23:49:19.76 ID:mqq4oyB0
あの
858名無しさん@ピンキー:2012/09/29(土) 23:50:08.67 ID:mqq4oyB0
すまん誤爆
859名無しさん@ピンキー:2012/09/30(日) 00:07:42.02 ID:49HvyM43
スレも残り少ないからどさくさ紛れで聞きたいんだけど、腹パで出す(出した)モノを投下したり公開したりってどう思う?
出来れば参加する人しない人それぞれの意見を聞きたいなって
860名無しさん@ピンキー:2012/09/30(日) 00:16:26.59 ID:D2xAvUrZ
それはつまり・・・たとえば55氏みたいに
土台となるSSはブログで発表してて、それをイラスト付きで冊子にして出す、てことがどう思うかってこと?
それとも腹パで手に入れた作品を、皆にも共有してほしいからって書き写して投下・公開しちゃうってこと?
いや、後者はないかwwww
861名無しさん@ピンキー:2012/09/30(日) 00:22:52.73 ID:49HvyM43
腹責め合同って割られてるんだよな…悲しい事に

それはともかく俺がいいたいのは前者の話ねw
あとは自分で投下したSSを本で再録とかそんなん
862名無しさん@ピンキー:2012/09/30(日) 00:23:56.45 ID:D2xAvUrZ
大手の同人イベントとかだと、pixivとかでもう作品を全部終わりまで載せちゃって
それをそのまま冊子にしてイベントに持っていくサークルさんもなかには居るよね。
もう全部保存してあるけど、まったく同じ内容にも関わらずあえてイベントに行ってお金を払って買うって事に
意味を持ってる人は買う訳で、もって無い人はわざわざ・・・て思うし、考え方は人それぞれだと思うよ。
863名無しさん@ピンキー:2012/09/30(日) 00:27:35.30 ID:D2xAvUrZ
俺だったら、金額が法外だとか仕様がよほど酷いものじゃなければ欲しい。
俺はイベントに行って、なんかその空気を味わいたいというか
そこにいったっていう記念として欲しいなーって感じ。
864名無しさん@ピンキー:2012/09/30(日) 02:28:23.40 ID:OCO7d3Me
どう思うもなにも、作者の自由だからどうも思わん
pixivやサイトで下書きして同人誌で清書する人もいるし、55氏みたいに自分のSSでは金取らないって人もいるし
まぁイベントで金出して買ったのを数日後にそっくり公開されると複雑な気分にはなるが
865名無しさん@ピンキー:2012/09/30(日) 04:51:32.10 ID:QpWgQ/n1
割れはなぁ・・・合同誌も次は出来ないってさ。
ただで見れるなら、そりゃただで見たいのが人間ってものさ。

866名無しさん@ピンキー:2012/09/30(日) 22:04:36.62 ID:OCO7d3Me
スレチかも知れんけど55氏大丈夫だよな・・・?
例の人がナイフ持って乱入とか無いよな?
867名無しさん@ピンキー:2012/09/30(日) 22:19:29.75 ID:sq9/oSgA
大丈夫だ
境界例は意外と狡猾だから自分が不利になるような事はしない
せいぜいある事ない事周りに吹き込んで自分の味方作ろうと必死になるくらいだ
868名無しさん@ピンキー:2012/10/01(月) 07:52:49.12 ID:Kc4/cHaE
お前ら、万が一55氏が刺されそうになったら身を呈して護るんだぞ?
氏は代わりが利かないんだからな。
869名無しさん@ピンキー:2012/10/01(月) 09:36:20.83 ID:Q1d++7TX
身を呈して護る前に相手止めろよwww
870名無しさん@ピンキー:2012/10/01(月) 23:19:27.09 ID:Kc4/cHaE
じゃあ練習な
ブスウ!
55「死ぬう!」

はいお前ら
871名無しさん@ピンキー:2012/10/01(月) 23:26:14.00 ID:wxR7OqVO
え、救護処置の練習!?
872名無しさん@ピンキー:2012/10/01(月) 23:39:29.67 ID:k7NgU25W
血が出てる時は心臓マッサージだよな!
873名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 00:51:36.65 ID:uzRnxc+a
てか刺されるの前提かよw
874名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 01:12:01.25 ID:1bM+6/jF
お前ら、今どういう話で盛り上がってるか理解できてるか?
気分わりーんだよ
875名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 02:17:13.09 ID:87zcJ0bp
>>874
いちいち気にしてたら身が持たないから辞めておけ

これだけスレ内で55氏を笑い者にする奴はいても腹パで本人に面と向かって言う奴が出てこないんだから構う必要もない
876名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 08:12:28.28 ID:DLycKtnp
?腹責めの祭なんだから、実際に腹を刺される奴が居ても何もおかしくないし、
現状最もその可能性の高い人物として55を挙げているだけだが?
877名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 08:34:54.34 ID:SwT1Butz
>腹責めの祭なんだから、実際に腹を刺される奴が居ても何もおかしくないし、
まてそのりくつはおかしい
878名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 13:28:34.64 ID:+YB9qEsS
とりあえず、この流れに引いてる奴もいることにはちょっと安心した
879名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 13:40:08.64 ID:DLycKtnp
そういや住所不定無職童貞のシャーは出るのか?
880名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 13:45:49.45 ID:Qpcc+NSa
ああなんだいつもの荒らしか
881名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 13:49:31.29 ID:+YB9qEsS
IDくらい変えればいいのにとは思う
882名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 13:53:43.67 ID:qh/sT2ZB
とりあえずこいつは人を刺しかねない危険人物だということははっきりわかったな。
愛国心からの暴走だから何したってOKみたいな中国ばりのキチガイで
そういう作品が集まる同人誌即売会だから腹を刺される事件が起きてもおかしくないと。
真性のキチガイか・・・かわいそうになるね・・・来世ではどうか幸せになってくれますように。
883名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 13:56:41.56 ID:qh/sT2ZB
>>879 あと、俺は出れないんだ、ごめんね。作品も描けそうにねぇです。
884名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 14:39:51.98 ID:i1LsUZRT
さて、そろそろ容量限界か
885名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 14:52:25.20 ID:DLycKtnp
釣れんのはえー

ネトゲで一狩りして帰ってきたらもうこんなに。

必死すぎ。
886名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 15:09:29.01 ID:JKYaHqBF
埋め
887名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 15:10:31.41 ID:Qpcc+NSa
いいねー、必死だなって言っとけば勝ったように見えるテンプレ
そういうの好きだよ俺
888名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 15:17:54.33 ID:Qpcc+NSa
一応マジレスしとくと、犯罪予告に取れるから
>実際に腹を刺される奴が居ても何もおかしくないし、
>現状最もその可能性の高い人物として55を挙げているだけだが?
こういうのは次からやめとけよ?

むしろ今のうちに通報するべきなのかね
889名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 15:21:38.07 ID:JKYaHqBF
埋め
890名無しさん@ピンキー:2012/10/02(火) 15:23:54.54 ID:Qpcc+NSa
容量だから長文じゃないと意味ないような?

高飛車なお嬢様がぐちゃぐちゃに虐められる話読みたい
891名無しさん@ピンキー
>>887
後釣り宣言でggr
昔からある