らき☆すたの女の子でエロパロ64

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370みずたまりのほとり ゆたか視点 30:2012/04/09(月) 01:25:21.68 ID:QpDzvU0R
みなみちゃんへの罪悪感はさらに大きくなって、胸がずきずき痛みました。
なのに、さっきのような駆け出したい衝動はもう起きませんでした。
心が落ち着いて…というより、目の前のみなみちゃんに心を奪われてしまって
余計なことが考えられませんでした。

泣いているみなみちゃんは…そのぐらい綺麗だったのです。
きらきら輝く涙は、流れ落ちて宝石に変わってる…。
足元に視線を向けたとき、半分ぐらい本気でそう思っていました。

…もちろん、足元にあったのは、小さな水たまりだけでした。
でも、それはただの水たまりじゃなく、みなみちゃんの心が溶け込んでいて、
私の嫌な心も優しく溶かしていく、魔法の水たまりでした。

みなみちゃんに言葉をかけることも、涙を拭いてあげることも忘れて、
私は、少しずつ大きくなり続ける水たまりのほとりで立ち尽くしていました…。

どのぐらいの時間が経ったのか…。
みなみちゃんの涙が止まって…私はようやく我に返りました。
すぐにハンカチを出して、みなみちゃんの涙を拭きました。

「みなみちゃん…ごめんね。ずっと誤解させたままでいて…」

言わなきゃいけなかったこと、ようやく言えました。

「あのとき…おもらししたの、みなみちゃんが触ったからじゃない。
 あの時にはもう、少しもれてて、スカート濡れちゃってた。
 あのとき、私が言ってたのは、動いたらもれちゃうって意味じゃなく、
 動いたらもらしたおしっこが見られちゃう、って意味だった…。
 みなみちゃんが来なくたって、あのまま全部もらしてた。
 みなみちゃんが責任を感じる必要なんて、全然なかったんだよ…」

「………」

みなみちゃんは私の顔を見て、嘘じゃないことを分かってくれたようでした。
でも、みなみちゃんは首を横に振って…、

「私は保健委員なのに、ゆたかの事、注意してなかった。
 ちゃんと休み時間にトイレ行ってるかな、おしっこしたくないかな、って
 いつも注意してなきゃいけなかった。
 授業中におしっこしたそうな素振りを見せたら、すぐに気付いて
 連れ出してあげなきゃいけなかった…」

…真顔で、そう言ったのです。
371みずたまりのほとり ゆたか視点 31:2012/04/09(月) 01:27:41.43 ID:QpDzvU0R
☆☆☆☆☆☆☆

休み時間に、みなみちゃんが来て…。

「ゆたか…おしっこない?」

「ないよぉ。お昼休みに行ったもん」

「でも、お昼にカフェオレ飲んだし…行っておいた方がいいと思う」

「大丈夫だよぉ」

そして、授業中…

「…んっ」

ぎゅっ。

「…んん…」

もじもじ…。

私がそわそわし出すと、みなみちゃんがすぐに立ち上がって…。

「ゆたか、行こう」

「うん…」

私はみなみちゃんに連れられて教室を出て、小走りにお手洗いに向かいます…。
すっきりしてお手洗いから出ると、みなみちゃんが待っていました。

「…ほら、さっき休み時間に行っておいた方がよかった」

「うん…ありがとう、連れ出してくれて…」

みなみちゃんは微笑みました。

「私がいつも注意してる。ゆたかは、おしっこの心配なんかしなくていい…」

☆☆☆☆☆☆☆

……ぼんっ。

頭から煙が出て、そんな想像を振り払いました…。

「う〜〜……」

私は、真っ赤になって、変な声を出してしまいました。
ちょっとだけいいかもと思ってしまった自分が、すごく恥ずかしいです。
でも、みなみちゃんに真顔で言われたら、何だか心がほわほわして、
怒ろうとしても、ぷーってふくれるだけになっちゃって…。

「あのね〜、みなみちゃん…。
 私、おしっこしたくても言えない赤ちゃんじゃないんだよ…?
 そこまでいつも注意されてたら、すごく恥ずかしいんだけど…」
372みずたまりのほとり ゆたか視点 32:2012/04/09(月) 01:30:01.87 ID:QpDzvU0R
「そ…そうかな…?」

みなみちゃんの声の調子も、何だか和らいでいました。

(一昨日『おしっこしたい』って言えないでおもらししたのは誰だっけ…)

『私』がそうつぶやいた気がしましたが、スルーできました。
そのぐらい、ほわほわしていたのです…。

「そうだよっ!もうっ!今回のことだって、
 私が自分で言ってトイレ行かせてもらえばよかっただけだよっ!
 みなみちゃんに責任なんか全然ない!
 みなみちゃん、私のこと、子ども扱いしすぎだよぉ!」

「ご、ごめん…」

何だか雰囲気が和んでしまって…。
このまま笑い合って終われたらって、思いました。
でも、そんなわけにもいきません。

「昨日の夜、お姉ちゃんから聞いた…。
 みなみちゃんが自分のせいだって誤解して思い詰めてたってこと」

私は話を戻しました。

「違うんだよ、って伝えなきゃって思って、今日、学校に来たのに…
 みなみちゃんを見たとたんに逃げて…もっと誤解させちゃった。
 その後だって…みなみちゃんのところにいけば話せたのに、
 夢と同じようにいじめられるのが怖くて、休み時間は誰もいない所に逃げて…
 先生がいればいじめられないと思って、授業の時だけ戻って…
 そんなこと、繰り返してた…」

「夢?」

「一昨日の夜、見たの…。
 おもらしのことでみんなにいじめられて…
 最後にみなみちゃんにも嫌われて…一人ぼっちになっちゃう夢。
 きっとほんとになるんだって…ずっとおびえてた…」

「………」

みなみちゃんは少しの間の後、安心したように微笑みました。

「夢は…夢だよ。本当になる場合もあるけど…間違っている場合だってある。
 その夢で、絶対に間違ってる所、一つ、すぐに言える。
 …私は、ゆたかの事、嫌いになったりなんかしない。
 ゆたかの事、ずっと好きなままだよ。今も、これからも」
373みずたまりのほとり ゆたか視点 33:2012/04/09(月) 01:32:08.68 ID:QpDzvU0R
「あ……」

一瞬だけ、幸せに包まれそうになりましたが…。
その幸せは、すぐに悲しみへとひっくり返りました。

自分勝手で、弱虫で、みなみちゃんの優しさも踏みにじった私。
みなみちゃんに好きって言ってもらう資格なんかないから…。

……でも。
みなみちゃんの微笑みは、私の勝手さ、弱さ、それに今したこと、
全てを受け入れてくれていて…
『これ以上、何も悲しまなくていいんだよ』と告げてくれていたのです。

悲しみが…幸せにまたひっくり返って…。
今度こそ、幸せに包み込まれて…また涙が浮かんできました。
一昨日から何度も流してきた涙とは、違う涙。
あの時からずっと忘れていた笑顔が、戻ってくるのを感じました。

「みなみちゃん…ありがとう…。
 私…どんなにいじめられたって、負けないで頑張っていける…。
 みなみちゃんが見捨てないでいてくれる…それだけでいい…」

「…ゆたか」

みなみちゃんは、首を横に振りました。

「私だけじゃない。ひよりだって、他の人だって、みんなゆたかの事を心配してる。
 ゆたかをいじめるのは…ゆたかだけだよ」

「え…」

「おもらしのことで自分を責めたり、自分がいじめられるって想像したり…、
 そうやって、自分で自分のこと、いじめてる。
 もし他の誰かがおもらししたって、ゆたかはそんな風にいじめたりしないよね。
 それと同じように…ゆたか自身のこともいじめないであげて。
 私や他の人に優しいのと同じように…自分にも優しくしてあげたらいい…。
 それで、もう、ゆたかをいじめる人はいない…」

「………」

みなみちゃんの言葉が、胸に染み込んできました。

(…みなみちゃんの言いたいこと、分かるね?
 みなみちゃんが言ってるのは、今、このときだけの話じゃないよ)
 
『私』が言いました。
その声は、みなみちゃんの声と変わらないぐらい温かくなっていました。
374みずたまりのほとり ゆたか視点 34:2012/04/09(月) 01:34:36.08 ID:QpDzvU0R
『私』は、私自身。
『私』があの夜からずっと冷たかったのは、
私が自分のことを嫌になっていたのに呼応していただけ。

今は、もう違います。

(みんなから今回のことの記憶を消せるわけじゃない。
 だから、これから先、今回のことを話題にされることはきっとある。
 軽い気持ちでからかわれることだってあるかもしれない。
 だからって、またすぐさっきまでの私に戻っちゃだめ…ってことだよ)

「…うん。分かった」

私は、はっきりと言いました。
それは、みなみちゃんへの言葉でもあり、『私』への言葉でもありました。

(…よし。もう大丈夫。元通りの私に戻ったよ)

『私』が、去った…いえ、私の中に戻っていったのを感じました。

元に戻れたっていうのを実感して…、
みなみちゃんがくれた幸せが、今は包むだけじゃなく
心の中までいっぱいに染み込んでいました。

「ありがとう…みなみちゃん。本当に…」

私はみなみちゃんの手を取って、ありったけの想いを込めて言いました。
本当はぎゅ〜って抱きつきたかったけど…自重しました。

しばらくそうしていて…
ふと、みなみちゃんの顔色がさっきより良くなっているのに気付きました。

「みなみちゃん…おなか痛いの、大丈夫?」

「…うん。本当は、さっきまで破れてるみたいに痛かったけど…。
 今はもう和らいだ。ゆたかが…治してくれた」

「私が…?」

「ゆたかが本当の笑顔になってくれて…手を取ってくれて…
 すごく幸せで…痛いのが飛んで行っちゃった…」

照れたようにそう言うみなみちゃんは、こぼれるような笑顔でした。
今の私も、こんな素敵な笑顔になれてるのかな…。
37564-285:2012/04/09(月) 01:37:08.87 ID:QpDzvU0R
ゆたか視点の三日目後半は以上です。
後はエピローグだけですが今回はここまで…。
376名無しさん@ピンキー:2012/04/09(月) 01:39:09.01 ID:WEHlRfys
乙です!
377名無しさん@ピンキー:2012/04/09(月) 21:16:00.28 ID:y3XUKO17
>>375
GJ
37864-285:2012/04/11(水) 01:21:00.81 ID:lYxTp2/A
「みずたまりのほとり ゆたか視点」(エピローグ)を投下します。

・4レス前後使用予定
379みずたまりのほとり ゆたか視点 エピローグ1:2012/04/11(水) 01:23:32.26 ID:lYxTp2/A
………

教室を出てから、とても長い時間を過ごしたように感じましたが、
まだ教室を出たときと同じ、6時間目の授業中でした。

「教室、戻ろうか」

「うん」

私とみなみちゃんは教室に向かって歩き出しました。

「…今まで見たことないみなみちゃん、いっぱい見ちゃった」

今まで知らなかったみなみちゃんの魅力を、いっぱい知ることができました。
そのきっかけは、授業中におもらししちゃったこと。
そう考えると…おもらしって案外いいものかも、ってちょっとだけ思えてきて…
さすがにそれはない、と思い直しました…。

「……呆れた、よね」

「…え?」

「おもらししそうになったり…泣いたり…みっともないとこばかり見せちゃった…」

みなみちゃんは自嘲するようにため息をつきました…。

「そんなことないよっ!
 おもらししそうだった時のみなみちゃん、ずるいって思うぐらいかわいかった!
 震えてた体も、切ない表情も、私を見つめてた瞳も、何もかも全部!
 だから、あのとき……」

…私の言葉は、そこでいきなり途切れました。
『このままおもらしするの見たい、ってちょっとだけ思っちゃった』なんて、
いくらなんでも言えません…。

「…とにかく、みっともなくなんかなかった!呆れるなんてとんでもないよ!」」

「………」

みなみちゃんは真っ赤になってしまいました…。

「泣いてる時だって、すごく綺麗だった!
 私みたいにわーわー泣くんじゃなくて、自制を失ってなくて、静かで、大人で…、
 涙を拭いてあげるのも忘れて、涙が止まるまで黙って見惚れちゃった…。
 涙も宝石みたいにきらきら輝いてて…流れ落ちて本当に宝石に変わってるって
 半分ぐらい本気でそう思っちゃった…。
 綺麗な人は泣いたって綺麗で…それどころか流した涙まで綺麗なんだなぁ…って
 羨ましくなっちゃった…」

「………………」
380みずたまりのほとり ゆたか視点 エピローグ2:2012/04/11(水) 01:25:40.10 ID:lYxTp2/A
私が感じたことをありのまま伝えれば伝えるほど、
みなみちゃんはどんどん恥ずかしそうになって…。
教室に着く頃には、今にも頭から蒸気を吹いて倒れてしまいそうでした…。

教室のドアを開けると…。
みんながみなみちゃんを一目見るなり、気の毒そうに話し始めました。

「生脚になってる…ってことは…」

「いや、タイツは朝からはいてなかったよ」

「でも、この表情は…」

「うん、それに目も…」

「苦しくて涙出たとかのレベルじゃない…思いっきり泣いた後…」

「だめだったんだね…」

「あの状態じゃしょうがないよな…」

「むしろ、あの状態まで耐えた上に少しでも歩けたことがすごいよ…」

みんなが口々にそんな事を言いました。

「……?」

みなみちゃんと私は、教室の入口に立ったままで顔を見合わせました。
みんなの言っている意味が分かりません。
みなみちゃんにも分からないようです。

「あちゃー…その様子だと間に合わんかったようやな」

状況を悟るきっかけになったのは、黒井先生の言葉でした。

「え…」

「まー、気ぃ落とすな。おもらしなんて大した失敗やないって。
 泣くだけ泣いたんやろ?もう忘れーな」

おしっこが限界寸前の状態で教室を出ていったみなみちゃん。
そして…戻ってきたみなみちゃんの、真っ赤に泣き腫らした目。
今にも倒れてしまいそうなほどの恥ずかしさを湛えた表情。

みなみちゃんは、間に合わずにおもらしして泣いてしまった。

他の人から見たら、そう誤解されても仕方ない状況だったのです…。
381みずたまりのほとり ゆたか視点 エピローグ3:2012/04/11(水) 01:27:33.96 ID:lYxTp2/A
「え、え、ちょっと…」

慌ててみなみちゃんを見ると…、
苦笑しながら、『まあ、別にいいや』という感じでため息をついています。
誤解を解く気はないようです…。

「ち、違うよ!」

そんなの、だめだよ!
誤解、絶対に解かなきゃ…!

「泣いたのはそんな理由じゃないよ!
 みなみちゃん、おもらしなんかしてない!」

どうしよう…どうやったらおもらししてないって証明できるの…?

…そうだ。
私がおもらししたときはスカートがびちょびちょになっちゃった。だから…。

「ほら、スカートだって全然濡れてない!」

私は、みなみちゃんのスカートを掴んでみんなに示しました。

「ほら、横も!後ろも!こっち側も!」

私はみなみちゃんの体を90度ずつ回転させて、
スカートがどこも濡れてない事をみんなにはっきりと示しました。

「…ね!濡れてなかったでしょ?」

みんなを見回しましたが…納得したようには見えませんでした。
後になって考えれば、私の突然の行動に驚いてそれどころじゃなかったのでしょう。
でも、納得した様子が見えないことに私はもっと焦ってしまって…。

…どうして?
どうしてみんな納得してくれないの?
382みずたまりのほとり ゆたか視点 エピローグ4:2012/04/11(水) 01:29:32.59 ID:lYxTp2/A
……分かった!

私のときにスカートがびちょびちょになったのは、椅子に座ったままもらしたからで、
そうじゃない状態でもらしたら、スカートが濡れるとは限らない。
だから、スカートが濡れてなくたって中のパンツはびちょびちょなんじゃないかって
疑ってるんだ!

だったら、こうすれば!

「ほら、スカートの中だって濡れてない…!」

ばさっ。

私は、みなみちゃんのスカートを思いっきりまくり上げました。
みなみちゃんは、少しももらしてないって、確認したって言ってました。
だから、これで完全に証明できるはず…。

「………」

…気が付くと、教室の中が凍り付いていました。

「あ……」

自分がしたことの意味に気付いて…私はみなみちゃんのスカートを離しました。

…でも、遅すぎました。

凍り付いた教室の中で、誰かが、ある色の名前をつぶやきました。
私は夢中だったので見てなくて、断定はできないけど…、
状況からして、それはみなみちゃんのパンツの色を描写したもの。
つまり、みんなにばっちり見えてしまったということ…。

しゅー………ぼん。

みなみちゃんの頭から蒸気が出て…。

……ぱたっ。

みなみちゃんは、気を失ってしまいました…。

「きゃあああ!みなみちゃあああん!」

パニックになる私。さらに…。

たぱたぱたぱ…。

教室の中から、何か流れ落ちる音がし始めて…、

「うわー、こっちもやばい!」

「血が!血が止まんないぞー!」

すでにパニックだった私には、誰に何が起きたのか分かりませんでしたが…
それが起きたのは、明らかに私が今したことが原因です…。

あああぁぁぁ、私、どうしたらいいの……?

(おわり)
38364-285:2012/04/11(水) 01:33:19.89 ID:lYxTp2/A
以上でゆたか視点は完結です。
お付き合い下さりありがとうございました。

なお、エピローグ部分で増えた謎はひより視点で解明されます…。
384名無しさん@ピンキー:2012/04/11(水) 01:33:57.27 ID:nrKpgmkV
乙です!
ひより視点も楽しみに待ってます!
38564-285:2012/05/02(水) 01:03:02.84 ID:u9g3RWby
「みずたまりのほとり ひより視点」(1日目)を投下します。

・基本的な注意事項はみなみ視点・ゆたか視点に準拠
・ひよりも話が進むにつれて壊れてきます(みなみ・ゆたかとは別の意味で)
・時間軸でみなみ視点・ゆたか視点の1日目に相当
・8レス前後使用予定
386みずたまりのほとり ひより視点 1:2012/05/02(水) 01:04:54.78 ID:u9g3RWby
授業中…みなみちゃんが不意に立ち上がった。

「先生…小早川さんの具合が悪そうです。保健室に連れて行きます」

見ると、ゆーちゃんは確かに顔色が悪く、がたがた震えていた。
さすがみなみちゃん。ゆーちゃんのこと、よく注意してる。

みなみちゃんが近づくと、ゆーちゃんは首を振った。

「だめ…行けない…」

「無理しちゃだめ」

「だめなの…動けないの…」

「歩けないほど辛いの?だったら抱っこしてあげる…だから、行こう」

…私の脳内に、0.05秒でお姫様抱っこの図が完成する。
すでに手が走って、ノートにラフを描き始めていた。

「だめ…触らないで…」

恥ずかしいのか、首を振っていやいやをするゆーちゃん。
大丈夫!何も恥ずかしいことないから!早くお姫様抱っこされて見せて!

「やめて!動いたら…!」

ゆーちゃんの声に構わず、みなみちゃんは手を伸ばす。いいよいいよー!

みなみちゃんの手が触れた瞬間…。

「おしっこがぁ!!」

「!?」

みなみちゃんはすぐに手を離した。
…でも、手遅れだった。

ぽたっ…ぽたっ…ちょろろろ……しゃあああああぁぁ……。

ゆーちゃんが座っている椅子の下に、あったかそうな液体が流れ落ち始めた。

「うわあああんっ!」

ゆーちゃんは机に泣き伏してしまった。
それでもおしっこは止まらず、椅子の下に水たまりになっていく…。

「……」

私は魂を奪われたように、大きくなっていく水たまりを見続けた…。
387みずたまりのほとり ひより視点 2:2012/05/02(水) 01:06:50.15 ID:u9g3RWby
「……」

みなみちゃんもまた、魂を奪われたようにその場に立ち尽くしていた。

「ぐすっ…えぐっ…みない…で…」

ゆーちゃんが顔を伏せたまま言った。
みなみちゃんは慌てて目をそらし、自分の席に戻った。
やがて、おしっこは止まったけど…。

「ひっく……うぅぅ……えぐっ……うえぇぇん……」

ゆーちゃんは濡れた椅子に座ったまま、いつまでも泣き続けた…。
みなみちゃんがまた立ち上がり、ゆーちゃんの所に行った。

「保健室…行こう。着替えなきゃ、風邪ひいちゃう…」

「……ぐすっ…」

ゆーちゃんがよろめきながら立ち上がった。
みなみちゃんが支えようと手を伸ばすと…、

ぱしっ!

ゆーちゃんはその手を払いのけて、一人で走って教室を出て行ってしまった。

「………」

みなみちゃんは、払いのけられた手をもう片方の手でそっと押さえた。
一瞬だけ浮かんだ、悲痛な表情。
みなみちゃんがどれだけの痛みを感じていたか…私には想像もできない。

…それでも、みなみちゃんは次の瞬間には気を取り直していた。
自分の席に戻らず、掃除用具入れに向かってバケツと雑巾を数枚取ってきた。
みなみちゃんは、おしっこの後始末をするつもりなんだ…。

雑巾を水たまりの上に置いて、吸わせて、バケツに絞る。
水たまりはとても大きくて、一回では吸い取りきれない。
また雑巾を水たまりの中に置いて…バケツに絞る。
一片のためらいもなく、素手でその作業を繰り返すみなみちゃん。
みなみちゃんは優しい人だって…改めてそう思った。

どきどきして、みなみちゃんから目が離せなかった。
そのどきどきが何によるものか、自分でも理解できなかった。

「…んぐっ」

無意識のうちに、私は音を立てて唾を飲み込んでいた。
それを聞いたみなみちゃんが、ふと手を止めた。

「…見てる必要は、ないと思う」

みなみちゃんは、振り向かずにそうつぶやいた。
その声は怒っていたわけじゃなく、むしろ穏やかで…
…ものすごく冷たかった。
388みずたまりのほとり ひより視点 3:2012/05/02(水) 01:08:53.15 ID:u9g3RWby
「!!」

それは私にピンポイントで向けられた言葉だと思って、慌てて目をそらした。
…でも、周りを見ると、他の人も同じようにたった今慌てて目をそらした様子だった。
見ていたのは私だけじゃなくって、みなみちゃんの言葉も私だけじゃなく
周りの全員に向けられたものだったらしい。

視線がそれたのを確認し、みなみちゃんが後始末を再開した。
でも、その後も私は気付かれないようにちらちらと見てしまった…。

みなみちゃんはおしっこを吸い取り終わると、バケツを持って出て行った。
バケツに水を汲んで戻ってきて、床と椅子の上を雑巾で丁寧に水拭きし始めた。
その頃にはまた、元のようにみんなの視線が集まっていたけど、
みなみちゃんはもう気にする様子もなく淡々と後始末を続けた。

みなみちゃんは、自分が好奇の視線に晒されるのなんてどうでもよかったんだ。
さっきの意思表示は、ただゆーちゃんの気持ちだけを考えて、
おしっこの水たまりが人目に晒されないようにしたかった…そういうこと。

みなみちゃんは水拭きを終えると、作業の完璧さを確認するように
自らゆーちゃんの席に座り、机の上に残っていた涙の跡をハンカチで拭いた。
再び立ち上がり、雑巾とバケツを洗ってきて元の場所に戻し、
落としたペンケースを拾いに立っただけのように平然と自分の席に戻った。

みなみちゃんが席に戻っても、パニックの余韻は消えなかった。
そんな中、『何を騒いでるのか分からない…』というように
一人平然とした表情のみなみちゃん。

…でも、いつもみなみちゃんを観察している私には分かっていた。
みなみちゃんがいつもと変わらないその表情の下でずっと、
泣き出しそうなほどの動揺を懸命に押し隠していたことを…。
389みずたまりのほとり ひより視点 4:2012/05/02(水) 01:10:40.45 ID:u9g3RWby
☆☆☆☆☆☆☆

みなみは、授業中におもらしをしてしまったゆたかを保健室に連れてきました。
他の生徒はおらず、ふゆき先生もどこかに出ていて、保健室は空でした。

ふゆき先生がいなくても、今は特に困ることはありませんでした。
むしろ、好都合だったと言えるでしょう。

保健委員であるみなみは、どこに何の備品があるかをすっかり心得ていました。
みなみは手早く棚の中からタオルと体育着のショートパンツを取り出し、
奥のカーテンで仕切られた空間にゆたかを導きました。

「はい…これ。下着はないから直接はくしかないけど、
 今はいてるのはすぐに洗濯して乾かすから…それまで少し我慢して」

みなみはタオルと着替えをゆたかに渡そうとしましたが…、

「ひっく…ひっく…ぐす……」

ゆたかはスカートを掴んだまま泣きじゃくるだけで、受け取ろうとしません。

(私が目の前にいるせいで、動きづらいんだね…)

そう思ったみなみは、

「…ここに置くね。向こう側で待ってる。
 脱いだものは洗濯機で洗うから、このかごに入れて出して」

手近のかごをゆたかに示し、タオルと着替えを傍らのベッドに置いて
カーテンの外に出ようとしました。

「やだ…」

ゆたかが呟きました。

「え?」

「いっちゃ…やだ…」

涙声で聞き取りにくいですが、ゆたかは確かにそう言っていました。

「ゆたか、着替えるんだから、外に出てた方が…」

「ひとりにしちゃ…やだあぁ…!」

教室にいたときのように、また大声で泣き出しそうになるゆたか。

「わわわ、分かった…。じゃ、後ろ向いてるから…着替えて」

みなみはゆたかに背を向け、着替えるのを待ちました…。
390みずたまりのほとり ひより視点 5:2012/05/02(水) 01:12:37.44 ID:u9g3RWby
………

いつまで経っても、着替えが始まる気配がありません。
ゆたかが動いている気配がまったくないのです。

「ゆたか…そっち、見ていい?」

「…うん」

みなみは振り向きました。

やはり状況は、みなみが後ろを向く前とまったく変わっていませんでした。
ゆたかは着替えを手に取ろうともせず、スカートを掴んだまま泣いているだけです。

「ゆたか…どうして着替えないの?」

みなみは困った様子で言いましたが、ゆたかは泣き続けるだけでした。

「そのままじゃ、風邪ひいちゃうよ…」

それでも、ゆたかは何もしようとしません…。

一体、ゆたかはどうしたのでしょう。
まるで、泣くことしかできない赤ちゃんです。
おもらしのショックで精神が退行してしまったのでしょうか…。

「………」

みなみは少し考え込んだ後…、

「ゆたか…自分で着替えないなら…私が脱がせて、着替えさせちゃうよ?」

わざと意地悪な調子で言いました。
もちろん、本気じゃありませんでした。
こう言えば、びっくりして着替えを始めてくれるだろうと思っての言葉でした。

…しかし。

「…うん…きがえさせて…みなみちゃん」

ゆたかはその言葉を待っていたかのように、顔を赤らめてそう答えたのです。

「!?」

「きがえさせて…みなみちゃん」

凍り付いたみなみに、ゆたかは繰り返しました。

「…ゆたか。何言ってるか…分かってる?」

「わかってる…」

「着替えさせるって…ことは…その…スカートも…下着も…
 私の手で…脱がせちゃうってこと…」

動揺で途切れ途切れになるみなみの声。

「うん…いいよ」

ゆたかは…どう見ても、どう聞いても本気で言っていました。
391みずたまりのほとり ひより視点 6:2012/05/02(水) 01:15:30.53 ID:u9g3RWby
「赤ちゃんのおむつ替えるのと…同じようなこと…しちゃうんだよ?
 脚とかも…拭かなきゃいけないし…
 脱いだ状態の…見ちゃうかも…しれないよ…?」

「いいよ…わたし…おもらししちゃう…あかちゃんだから…」

ゆたかは照れてはいましたが…間違いなく本気でした。

(どうしよう……)

みなみは困り果ててしまいました。

「…くしゅん!」

ゆたかがくしゃみをしました。

「うぇぇ…つめたいよぉ…さむいよぉ…みなみちゃん…はやくきがえさせてよぉ…」

ゆたかが身震いしました。
風邪をひいてしまう前兆かもしれません。

(これ以上、ゆたかをこのままの状態にはしておけない…)

「分かった…着替えさせるよ…」

意を決したみなみは、ゆたかのそばにそっと座りました。

(スカートはこのままにしておいて、下着を脱がせて、脚とかを拭いて、
 ショートパンツをはかせて、最後にスカートを脱がせる…)

手順はすぐにまとまりました。
スカートもびちょびちょなので早く脱いだ方がいいのですが、
スカートで隠していないと、下着を脱がせたり拭いたりするのは不可能です。
隠してなくても、ゆたかはいいかもしれません。…たぶん、いいのでしょう。
でも…みなみの方が耐えられません。

「このまま下着、脱がせるから…スカートめくれないように、そのまま掴んでて」

「…うん」

下着を脱がせるには、ゆたかのスカートの中に手を突っ込まなければいけません。
緊張で手が震えます…。

「…んくっ」

思わず音を立てて唾を飲み込んでしまい…、
変な意味に取られてしまったかも、と思って慌てるみなみ。

でも、ゆたかは何事もなかったようにみなみを見つめていました。
気付かなかったのか、気付いたけど変な意味には取らなかったのか、
もしかしたら…変な意味に取った上でそれを喜んで受け入れたのか。

…どれだとしても…今はどうでもいいことです。
みなみは深呼吸をした後、手をそっとゆたかのスカートの中に……
392みずたまりのほとり ひより視点 7:2012/05/02(水) 01:17:15.88 ID:u9g3RWby
☆☆☆☆☆☆☆

「…うわあああああ!」

シャープペンを片手に頭を抱える私。
学校から帰って、部屋で今日のあの出来事を思い出していて…
気が付いたら、ノート十数ページにわたってこんなネームが描き連なっていた。

…この後はもちろん、パンツを脱がせ終わって拭いてあげてるうちに
二人とも変な気持ちになって、そのままなし崩しに…。

「だああああああ!」

続きを描き始めようとする手を、もう一方の手で必死に押さえ込んだ。

「自重しろ…自重しろ…何をネタにしてるんだ私…!」

あの出来事を茶化すつもりなんか絶対にない。
腐った目で見なくたって、おもらしして泣いてたゆーちゃんは
保健室に連れてってお着替えさせてあげたくなるほどかわいかった。
そして、懸命にフォローしようとしていたみなみちゃんも
健気で優しくて魅力的だった。
だから物書きとして、純粋に二人の魅力を作品にしたいと思ったからで…。

「……はぁ」

私はため息をついて、ネームを書き連ねたノートを引き出しの最奥に封印した。
どんな理屈を並べたって、あの出来事を漫画のネタにするのは許されない。
少なくとも、時間が過ぎて、笑って話せるようになるまでは…。

…でも、目に焼きついていたゆーちゃんのおもらしシーンをイラストに一枚描くまで
むらむらして眠ることができなかった。

ああ…私、今日のことで何かに目覚めてしまったのかもしれない…。
39364-285:2012/05/02(水) 01:19:24.01 ID:u9g3RWby
ひより視点の1日目は以上です。
もしかするとこのスレに最後まで収まらないかも…?
394名無しさん@ピンキー:2012/05/04(金) 02:51:17.98 ID:7zYe0I1K
かがみの尿道にカテーテル挿して
ガラスコップに溜まった琥珀水を見せる恥辱プレイ
395名無しさん@ピンキー:2012/05/05(土) 10:52:24.62 ID:NFw4OtPl
金環日食の暗がりで輪姦されるかがみん
39664-285:2012/05/10(木) 00:36:31.09 ID:MfN9HP8/
「みずたまりのほとり ひより視点」(2日目・前編)を投下します。

・7レス前後使用予定
・時間軸でみなみ視点の2日目前半(朝〜6時間目開始直前)に対応
・ゆたかは登場しません
397みずたまりのほとり ひより視点 8:2012/05/10(木) 00:38:17.18 ID:MfN9HP8/
朝になった。
昨日の夜と違って、気分はすっきりしていた。
たぶん、ネームやイラストに描いたことによって、
心に溜まっていた何かがある程度発散できたのだろう。
これなら、ゆーちゃんとみなみちゃんに普段通り接することができそう。
安心しながら、身支度をして家を出た。

でも…。
通学途中で、不意にかすかな不安が胸に浮かんだ。
その不安は、根拠も分からないのに少しずつ大きくなっていった。

…この不安の正体は、何?
あの出来事をネタにいろいろ描いたのがばれないか、ってこと?

そうじゃない。
あれが他の人、特にゆーちゃんやみなみちゃんにばれたら大変なのは事実だけど、
不安なのはそんなことじゃない。

…結局、不安の原因は分からないまま学校に着いた。
教室に入っても、みなみちゃんとゆーちゃんはいなかった。

普段だったらそんなの、いちいち心配することじゃない。
私が二人より先に着いたってだけのこと。珍しいことじゃない。
もうすぐ、いつものようにバス停で合流して、二人で一緒に来るはず。
頭ではそう分かっているのに、さっきから抱いてる不安が、大きくなった。

………

二人が、来ない。

………

がらっ。

HR開始のチャイムが鳴る直前、みなみちゃんが教室に入ってきた。
みなみちゃんは…一人だった。

「おはよう、岩崎さん…」

私は不安を抑えながら声をかけた。

「…おはよう」

みなみちゃんは、無理して笑顔を作って答えた。

「あの…小早川さんは…?」

みなみちゃんが一人で来たこと自体が明白な答えなのに、尋ねずにはいられなかった。

「……来なかった」

みなみちゃんの無理した笑顔はあっさり消え、悲しみと不安がその表情を覆った。

「………」

私も、みなみちゃんも、それっきり何も言えなかった。
398みずたまりのほとり ひより視点 9:2012/05/10(木) 00:40:22.29 ID:MfN9HP8/
さっきから感じていた不安の正体が、分かった。
そして、その不安はもう現実のものになっていた。

ゆーちゃんは昨日の出来事で、学校に来られないぐらい落ち込んじゃったんだ…。

朝のHRが始まった。
先生から、ゆーちゃんは風邪で休みだと告げられた。
風邪は本当なのかもしれない。濡れたままでしばらく泣いてたし、
帰るまではお風呂で温まることもできなかっただろうから。
でも…

「ほんとは、昨日のあれが原因だろうね…」

教室のどこかから、そんな声が上がった。
それは勝手な想像に過ぎないけど…誰もが同じ事を思っていた。

「すっごい泣いてたもんね…」

「立ち直るまでしばらく休んじゃうのかな…」

「立ち直るったって…一日や二日じゃ無理そう…」

「もしかしたら、このままもう学校やめちゃったり…」

出てくる見解はどんどん暗くなる。

みなみちゃんの表情は、それらを聞くたびに深く沈み込んでいった。
自分のせいでこうなったんだって、責任を感じているのに違いなかった…。

「そこまで落ち込まなくてもいいのにな…」

誰かがそう言って、教室が同意の空気に包まれた。

そう。ゆーちゃんは落ち込む必要なんかない。
おもらしなんて萌えイベントの一つにすぎない。
非18禁の作品でも普通にある。泉先輩も某萌えドリルでやっちゃうらしいし…。
もし私がしちゃって5分や10分で立ち直れるかって言われたら困るけど、
とにかく、二度と立ち直れないような失敗じゃない。
おもらしのことでゆーちゃんをいじめるような雰囲気もない。
みんな、ゆーちゃんのことを心配してる。
ゆーちゃんが元気に学校に来たら、それで元通りになる…。

それに、みなみちゃんも責任を感じる必要なんかない。
あのとき…結果としては、みなみちゃんが触ったことが
ゆーちゃんにとどめを刺してしまったのかもしれない。
でも、みなみちゃんのしたことはあの状況では当然のこと。
あんな苦しそうなゆーちゃんを放っておけるわけ、絶対にない。
それに、触られただけでもらしちゃうような状態まで行っちゃったら
トイレまで歩くどころか、立つことだって無理だったはず。
みなみちゃんが何もしなかったとしても、結末はきっと同じだった。
ゆーちゃんがまだ動けるうちに気付いてあげられなかった、
という意味での責任なら、あるかもしれない。
でも、それはみなみちゃんだけじゃなく私にだって言えることで、
みなみちゃんだけが一人で背負い込むことじゃない…。
399みずたまりのほとり ひより視点 10:2012/05/10(木) 00:42:31.89 ID:MfN9HP8/
………

1時間目の授業が終わると、みなみちゃんは三年生の教室の方に向かっていった。
泉先輩にゆーちゃんのことを聞きに行くのだろう。
一緒に行きたいと思ったけど、みなみちゃんの雰囲気は何だか近寄りにくくて
そのまま見送ってしまった。

教室で待っていて…また、一つの不安がよぎった。
ゆーちゃんが、みなみちゃんの手を払いのけたことを思い出したから。

…あれは、私の目には、恥ずかしくて反射的にやってしまったことに見えた。
でも、絶対にそうだっていう根拠はどこにもない。
もしゆーちゃんが、おもらししたのをみなみちゃんのせいだって考えてて、
それをそのまま泉先輩に伝えていたら…。
泉先輩は、みなみちゃんを責めるかもしれない。

…ううん、大丈夫。
泉先輩はそこまで単純で短気な人じゃない。
もしゆーちゃんがそんな風に伝えてたとしても、
みなみちゃんの言い分もちゃんと聞こうとするはず…。

…でも、待って。
そうなったとき、みなみちゃんはまともに弁解できるだろうか?
どう考えても…無理だ。
それどころか、聞かれる前に自分のせいだって言ってしまいそう。
そして、みなみちゃん本人からそう聞けば、泉先輩だってそうだと信じて…。

…がたっ。

心配が大きくなって、今からでも行こうと立ち上がった。
…でも、そのとき、当のみなみちゃんが戻ってきた。

私の心配は、ただの取り越し苦労だった。
みなみちゃんは、泉先輩と話したことで胸のつかえが少しだけ取れたように見えた。
…ただ、みなみちゃんが今も自分を責め、思い詰めているのは変わりなかった。

私はすぐみなみちゃんに話しかけた。

「泉先輩に聞いてきたんだね。小早川さんのこと」

「…うん」
400みずたまりのほとり ひより視点 11:2012/05/10(木) 00:44:09.14 ID:MfN9HP8/
「やっぱり…あのこと?」

「…うん。今朝も、ベッドから出られないぐらい落ち込んでたって…」

「そう…」

「………」

会話が途切れた。

「あのね…」

今朝から、みなみちゃんに言おうと思っていたこと。
今こそ、言うとき。

「…岩崎さんが責任を感じることなんて、ないと思う」

「………」

みなみちゃんは、黙ったまま。

「あのときの小早川さん…本当に苦しそうだったもの。
 抱っこしてでもすぐ保健室に連れて行こうって、誰だって思うよ。
 あのとき岩崎さんがしたことは、間違ってなんかない。
 それに…もし岩崎さんが何もしなくたって、あんな状態になってたんじゃ
 トイレに行くの、結局は無理だったと思う。
 岩崎さんのせいだなんて、誰も思ってないよ…きっと、小早川さんも」

「……ありがとう」

みなみちゃんは微笑んで見せた。

「何だか、気持ちが楽になったよ」

…みなみちゃんは、気持ちを隠すのは上手なのに、嘘をつくのは下手すぎた。
401みずたまりのほとり ひより視点 12:2012/05/10(木) 00:47:25.16 ID:MfN9HP8/
………

お昼が過ぎて、5時間目の授業の最中。

…ぞくっ。

「う…」

突然、おなかに嫌な感覚が走った。

…おしっこ。

しまった…いろいろ考えっぱなしでトイレに行くの忘れてた。
一瞬、ゆーちゃんと同じ運命を辿る自分のイメージが頭に浮かぶ…。

いかんいかん、危ない危ない。
素数を数えて落ち着こう。
i、2i、3i、4i、5i…。
待て待て、それは虚数だ。

頭の中でそんなやりとりをしてるうちに、意識がおしっこから離れて落ち着いた。
あと10年…は無理だけど、10分は戦える。
問題は…授業がまだ20分あること。

おしっこを我慢し続けられる時間をnとする。
私はおしっこを1秒我慢できる。当たり前。つまりn=1が成り立つ。。
そしておしっこをk秒我慢できる、つまりn=kが成り立つと仮定する。
そこからさらに1秒ぐらいは我慢できるはずだから…n=k+1も成り立つ。
したがって、nは全ての自然数で成り立つ。
だから、私はおしっこをいつまでも我慢し続けられる…。

数学の時間に習った理論の応用で、何とか気分を楽にしようとしていると…。

…ぶるっ。

…ん?今、みなみちゃんの体が震えたような…。
気のせいかな…。

ぎゅっ…。

「!」

みなみちゃん、今度は思いっきり脚を閉じた。
そして…そわそわ落ち着かなくなった。

もしかして…みなみちゃんも…おしっこ?
そういえば、今日はみなみちゃんがトイレ行ったの、一度も見てない。
私と同じように、ゆーちゃんのことを考えてて忘れてたのかも…。

…やがて、みなみちゃんのそわそわは収まった。
落ち着いたみたい…よかった。
402みずたまりのほとり ひより視点 13:2012/05/10(木) 00:49:17.06 ID:MfN9HP8/
それにしても…みなみちゃんがあんなに焦っちゃってるの、初めて見た。
普段のクールさとのギャップがたまらない…。

…気が付くと、私の左手は既に、さっきのそわそわしてたみなみちゃんを
ラフ画にしてノートに記録していた。
これを見たら…みなみちゃん、さすがに怒るだろうな。

  おしっこ我慢の仕草には どこか危うくて切なそうで
  これから何か始まる? 期待してみたいほど…

…頭の中に、歌の断片のようなものが浮かんた。
どうしたんだ私。落ち着け。
期待してみたいって、何をよ…。

………

ずっとどきどきしながら見ていたけど、みなみちゃんはその後
事態が悪化する様子もなく、5時間目の授業は無事に終わった。

…休み時間になって、数分経った。
直ちにトイレに行くものと思っていたのに、
みなみちゃんは席から動く気配がまったくない。

みなみちゃん、トイレ行きたくないのかな?
さっきの授業中のそわそわは、私の気のせいだった?
思い返してみても、とてもそうは思えないけど…。

私はみなみちゃんに近づき、小声で話しかけた。

「ちょっと失礼なこと聞いても…いいかな?」

みなみちゃんは困った様子で、でも覚悟はしてたというようにうなずいた。

「さっきの授業中から、トイレ行きたそうに見えるんだけど…気のせい?」

「…気のせいじゃない。行きたい…」

やっぱり、そうだった。

「そわそわしてたの…他の人にもばれてたかな?」

「ううん、大丈夫だと思う。そんなに長くはそわそわしてなかったし…。
 実は、さっきの授業中に私も行きたくなっちゃって。
 たまたま同じ状態だったから気付けたんだと思う」

みなみちゃんは少しだけ安心したようだった。

「そんなわけで、今から行くけど…よかったら一緒にどうかな?」

私がそう言うと、みなみちゃんは首を横に振った。

「行かない。私、このままで次の授業を受ける」
403みずたまりのほとり ひより視点 14:2012/05/10(木) 00:52:41.12 ID:MfN9HP8/
「え…?」

私は思わず当惑を声に出してしまった。

「………」

みなみちゃんは、それ以上言葉を付け加える気がなさそうだった。
どうしてなのか、詳しく聞きたい…。
…と、思ったんだけど…。

ずきゅぅぅん!

「はうっ!?」

おなかの内側から、全身に電撃が走った。
…そうだよ!みなみちゃんに気を取られて忘れてたけど、
私もおしっこ、かなり危険になってたんだった!

「分かった…じゃあまた後で」

私は何とかそれだけ言って、反転してトイレにダッシュした。
みなみちゃん、びっくりしたかも。

廊下は無事に駆け抜けたけど、トイレがいっぱいだった。
さらに、二人も並んでいた…。

すぐにおしっこできないというショックで、余計に尿意が煽られる。
頭の中がおしっこでいっぱいになって、時間の感覚がおかしくなる。
1秒が、1分に感じる。
0.5秒が、10分に感じる。
0.1秒が、1時間に感じる。

個室が一つ空いて、前の人は一人になった。
でも、そこからがまた長かった。

もう、出るところをぎゅーっと押さえてなきゃいけなかった。
おなかから下がしびれて、感覚がない。
力を入れすぎて、押さえた手までしびれてくる。
膝ががくがく震える。
苦しくて、涙が浮かんできた…。

「ううぅぅ……」

「あ、あの…次が空いたら先に入っていいよ」

前の人が見かねて順番を譲ってくれた。
でも、あと一つがなかなか空かない…。

0.05秒が、10時間に感じる…。
1ミリ秒が、1日に感じる…。
一瞬が、永遠になる…。
404みずたまりのほとり ひより視点 15:2012/05/10(木) 00:56:19.63 ID:MfN9HP8/
理性が、吹っ飛びかける。

泣き出して、その辺のドアを乱打して『早く出てよー!』って叫び出しそうだった。
それか、もうパンツ下ろしてその場でしちゃいそうだった。
…幸い、そのどちらかを実行する前に、目の前の個室が空いた。

………

じゃあああああ……。

済ませて、水を流した。
まさに間一髪のセーフだった。

うぅ…危なかったぁ。
並んでる間の痴態を思い出して、耳まで真っ赤になる。
みなみちゃんが一緒に来てなくて、本当によかった…。

学校でここまでおしっこに追い詰められたのは初めてだった。
昨日のゆーちゃんの苦しみを、私も少しは共有できたのかな…。

少しぐらいもれててもおかしくなかったけど、被害はゼロだった。
スカートの押さえていた部分がもみくちゃになってたけど、
引っ張ったり手でプレスしたりしてみたら、なんとか直った。

スカートのもみくちゃが直った頃には、もう休み時間は残り1分ぐらいだった。
手を洗ってトイレから戻ると、みなみちゃんは変わらず席に座っていた。
トイレに行く気配は全くない。行こうにももう時間はなかったけど…。

みなみちゃん…どうしてトイレに行かなかったんだろう。
行きたいって、認めていたのに。
さっきの私ほど差し迫ってないんだとしても、別に我慢する必要なんて…。

チャイムが鳴った。
次は、6時間目。
昨日の…あの出来事が起きたのと同じ時間。

もしかして…同じ時間におしっこを我慢することで、
みなみちゃんも、昨日のゆーちゃんの苦しみを共有しようとしているの?
40564-285:2012/05/10(木) 00:57:43.12 ID:MfN9HP8/
2日目前編は以上です。
今回はここまでです。
406名無しさん@ピンキー:2012/05/10(木) 01:43:39.94 ID:DgNFaGZT
岩崎みなみの無乳を揉んで吸って美乳にするスレ
http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/campus/1336500705/
407名無しさん@ピンキー:2012/05/12(土) 11:39:39.50 ID:jv2Hhcjf
百合に過剰反応してスレから追い出そうとするやつって
どこにでも居るけどこのスレは大丈夫だったの?

百合好きなのに荒れるせいで好きな作品で百合れないのが辛い・・・
408名無しさん@ピンキー:2012/05/15(火) 04:47:55.13 ID:fr/xZMaS
澪ちゃん、ちゃんと歌おうよ     ダメダメダメ!絶対!
             -――‐-      ___        ____
              / : : : : : /: ヽ: \  /::::::::::::::::::::`丶  r-=7´ : : : : : : \
           /: : : : : |: : |==:ハ: : :∨::::::::::/::∧::::::::::::::ヽ {:/T: : : : : : : : : : :ヽ
         {/: : : : : |: : |=:/´N ∨:::/:: /∨ Vヘ:::::j:::::| |{/| : |/ : : : : : : :/:}
           ,′:〉: : (l: : l? 0´i: :| イ:: /○   ○∨:| :| |:}_| : |) : : : : : : { 君が代歌うだけで何でそんな反応なんだよ!?
            レ{:/: : : : |: : ∨'" 〈: 厶i:::リ U    U { ::|:/ lノ│: |: :/: : : : : :
          厶-ヘ 八: : :{.  ノ/  |:人  r'⌒) /::/  |ヽ|: :ハ : : : : :xヘ〉
              /  ̄ ̄ ̄∨ /|::::::}>r--yイ|:::|^ヽ ∨  ̄\∧/\
           /          ヾ  |:::/ |_>く_/ |:::|  ∨         〉
             /     __   \V >〈〈_∧〉〉 |:::| /   /    l/
          ′    r∠ \__〉\</レ' / |::〈   /\ _   |


409名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 18:14:52.86 ID:+eolpVTf
>>407
1にOKって書いてあるから
いないんじゃね
410名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 18:35:36.80 ID:1moi+oGB
>>407
よく知らないけど、このスレは元々百合厨が立てたスレじゃないのかな?
最初から百合がメインだったのだから、追い出されるはずがない。
411名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 23:48:18.57 ID:gIdUd6T5
>>407
保管庫を見て傾向を見てきたら?
412名無しさん@ピンキー:2012/05/19(土) 02:35:04.12 ID:p8fMQid9
>>405
乙です!
ひよりんかわいいよひよりん
413名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 07:01:57.25 ID:CCLj0Art
死ねチョンコロ死ねチョンコロ死ねチョンコロ
死ねチョンコロ死ねチョンコロ死ねチョンコロ
死ねチョンコロ死ねチョンコロ死ねチョンコロ
死ねチョンコロ死ねチョンコロ死ねチョンコロ
414名無しさん@ピンキー:2012/05/23(水) 09:30:39.63 ID:nUTyt9xP
>>409
書いてあっても叩きにくるんだぜ、あいつら
415名無しさん@ピンキー:2012/05/25(金) 08:28:32.02 ID:eHmeHv5Z
チョンコロ半島って中国にぶら下がってるインポの短小包茎祖チンにしか見えん
まさに中国の属国、奴隷にふさわしい形だ
416名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 03:15:24.90 ID:4GSIc+de
続きこないかな〜
417名無しさん@ピンキー:2012/07/07(土) 08:02:53.83 ID:VB5qR42o
>>415
ちんこといえば北欧の3国ほどふさわしいものはない
ノルウェー、スェーデン、フィンランド
41864-285:2012/07/07(土) 23:01:18.60 ID:DHon7z+F
>>416
音沙汰なしですみません…。
先月からずっと規制で続きが投稿できない状態です。
なお、現在はひより視点の2日目後半が完成して3日目の下書きの途中です。
419名無しさん@ピンキー
>>418
返信ありがとうございます!規制とは…
急かしたようでしたらすみません。続き楽しみにしてますね!