キモ姉&キモウトの小説を書こう!part36

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1名無しさん@ピンキー
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの

お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。

主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。

■関連サイト

キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
http://www7.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1.html

キモ姉&キモウト小説まとめサイト
http://matomeya.web.fc2.com/

■前スレ
キモ姉&キモウトの小説を書こう!part35
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1297535367/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
2名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 16:07:59.80 ID:nLR+XX56
1乙!
3名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 16:50:12.15 ID:bRtpjYBd
乙だよお兄ちゃん
4名無しさん@ピンキー:2011/04/04(月) 19:15:50.08 ID:/cIpcO1a
>>1
5名無しさん@ピンキー:2011/04/05(火) 18:05:09.15 ID:Ii8+GYJt
これでまた一緒だね、お兄ちゃん(はあと)
6 ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/04/05(火) 22:56:13.39 ID:JUm2/O/x
義理兄妹 投下します
7義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/04/05(火) 22:57:31.58 ID:JUm2/O/x
無粋な携帯がパジャマのポケットで振動する。
はっきりいって不愉快極まりない。
ずっと、お兄ちゃんの腕のなかで眠っていられたらいいのに
まあ、そんな現実逃避は意味がないので目覚めることにする。
目の前にはお兄ちゃんの胸板があって、私は思い切り深呼吸をした。
うーん、肺の中がお兄ちゃんでいっぱいだ。
……いけないいけない。悦ってた。朝ご飯作んなきゃ
でも、その前にお兄ちゃんにイタズラしようかな。
態勢をかえて上からお兄ちゃんの顔を覗き込める様にする
両手をお兄ちゃんの頭の両サイドにおき、唇と唇を合わせる
あったかい
いつまでもこうしてたい
でもだめ、呼吸音が変わった 4,3,2,1
すっと頭をあげて お兄ちゃんの顔をのぞきこむ
ぼんやりとした瞳があらわれた。
8義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/04/05(火) 22:58:27.98 ID:JUm2/O/x
「うん?あ、おはよう。サキちゃん」
「おはよう。よく寝てたね、疲れてるの?」
「うーん、わかんない。というか、顔が近いよ」
「それは起きない場合、鉄拳制裁を施すためだよ」
「輝かしい一日の始めにケガしたくない」
「起きろ。そして、お兄ちゃんのいて座は最下位です」
「マジすか。隊長、俺、今日、生き残れないっす」
「・・・早く帰ってきてね」
夫婦漫才を一方的にぶっちぎり台所に向かう
お弁当の準備は昨日のうちに済ませたし、朝の献立も考えてたから時間かかんないよね
料理が私、掃除がお兄ちゃん、洗濯は当番。
家事分担okってお兄ちゃんは良いお婿さんになるなぁ、
もらうのは私だけどね 。
9義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/04/05(火) 22:59:19.85 ID:JUm2/O/x
ご機嫌な気分で朝の身支度を整え、朝食の用意をすると、結構な時間だ。
えっと、さっき洗面所で見かけたから部屋にいるのかな、お兄ちゃんは
遅刻させる訳にはいかない、未来の妻としてはね。
「お兄ちゃん、遅刻するよ〜」
目に飛びこんできたのは、書類を見つめるスーツの男の人だった。
お兄ちゃんは身長は175くらいで普通だが、顔が少々強面の部類に入るから笑っていないと威圧感がでるし、真剣な表情は多少怖く感じる。
私が知らないお兄ちゃんの顔。私が届かない大人のひと・・・
舞い上がっていたテンションが急降下する。
さっきまで笑顔だったのに今の私は仏頂面だ。
10義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/04/05(火) 23:00:07.44 ID:JUm2/O/x
そんな私の態度が不思議なのか、こっちを伺うお兄ちゃん
ごめん、お兄ちゃんが悪いんじゃないの
こんな風に心配かけさせたり、八つ当たりしたりしてほんとに子供だ。
ああ、いやになる。
重い空気の中、朝食が進み、私は食事が終わったお兄ちゃんに飲みものを差し出した。
「またプロテイン入ってたりする?」
「だって筋肉つけないと、また体脂肪率戻るよ」
「いやいや、ランニングちゃんとしてるよ。結構な筋トレもしてますよ。そして激マズなのだよ、プロテイン」
「うん、じゃあ、腹筋割るつもりでいこうっぜ」
「おっさんの体に無茶をいいすぎだっぜ。いびりに近いっぜ。」
「ずべこべ言わないで飲め。いびりレベルを上げるわよ」
「やはりいびりだったのか!」
バカ話で少し私の気も晴れた。やっぱりお兄ちゃんは笑顔がいいよ。
私の知ってるお兄ちゃんでいてほしい。

アンニュイな気持ちが渦巻くなか学校へと歩を進め、午前の授業を消化する
四限目、校庭をみると、体育祭の練習をしていた。
みんな、両親が応援に来たりするのだろうか。
両親かあ・・・・・・。
私と両親との写真は少ない。それでも、時間のことを考えれば多いのかもしれない。二年という短い時間を考えれば ・・・
子宝に恵まれない白城夫妻と近所で両親は有名だったらしい。
そんな中、お兄ちゃんを養子に迎えたが血の繋がった我が子というのが欲しいものなのか、
11義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/04/05(火) 23:01:00.34 ID:JUm2/O/x
長年に及ぶ不妊治療の結果、ようやく授かったのが私。
そして、幸せの絶頂期にあえなく二人ともども事故死。
二才の私はなにも覚えてないし、悲しいかと言われても分からない 。
むしろ幼少期にインパクトの強いものと言えば、お兄ちゃんにわがままをいって困らせたことかな
家は私たちのものになったらしけど、当時21のお兄ちゃんが2つの私を抱えて生きていくって・・・
まあ、生活費がヤバいときも何度かあったけど、行事事にはできるだけ顔を見せてくれたし、特に他の子の両親が羨ましいとかは思わなかったけどね。
ありがとう、お兄ちゃん。やっぱり、お兄ちゃんのこと考えると元気g
フゥー
朝からのアンニュイモードを吹き飛ばしたときに右耳に息を吹きかけられた。
背筋を駆け巡る悪寒に耐え、右を向くと表情がまったく読めない鉄面皮こと
佐原 有希 がいた。
「なによ」
「いや、余命三カ月の患者みたいな顔から幸せで頭いっちゃってる顔に変化してていて、面白かったから」
「なにも、おもしろくないわよ」
「知らぬが仏」
はあー。なんでこいつは冗談を真顔で言ってくるんだろう。
この娘とは幼馴染。
今みたいに冗談も言えないほどコミュニケーション能力がなかったこいつの話相手になったのが小学校のころ
いまでも、一番の友達だったりする。
同じ高さの目線で、同じ様な価値観を共有し、相手の考えをある程度予測できる、居心地のいい関係。
はあ、お兄ちゃんの考えなんてわかんないけどね。
駄目だ、今日は鬱スパイラルみたいだ。
せめて、同じ目線にたてればちがうのかな。
有希みたいに同い年なら考えてることもわかるのかな。
お兄ちゃんと同い年って・・・タイムスリップ?お兄ちゃんが17のときだから19年前?
12義理兄妹 2 ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/04/05(火) 23:01:46.91 ID:JUm2/O/x
「あああ、もう!タイムマシンとかないのかな?」
「全く話がつながってないわよ、紗希。」
「だから、過去に行きたいの!19年前。わかれ、それくらい。」
「無茶言いすぎよ。そう、紗希はタイムマシンがほしいのね」
「そうよ。そういうありそうもないことにでもすがりたい気分なの」
「藁おもつかむってやつね。」
「そう。そんな気分なの」
「・・・私はタイムマシンなんかほしくないわ」
「!!なんで?いろいろ便利なことに変わりないじゃない」
「でも、タイムマシンがあれば、現在は無意味なものじゃない」
「無意味?なんでよ、自分の都合のいいように現在を変えることだってできる  じゃない」
「でもそれって、今まで生きてきた時間は意味がないって言ってるようなもの  よ。いやなことも楽しいことも全部含めて、私はここに生きているって思いた いの」
そういった、有希の目は同い年とは思えないほど、澄んでいてきれいだった。
「そうだね。私の17年は無為にしたくないかな」
「あら?ものわかりがいいのね、今日は」
「その減らず口どうにかならないの」
苦笑まじりの私に微笑をむける、有希。
この娘は気付かない大切なことを教えてくれる。
そうだよね、悔んだり、あり得ないことを考えるよりも、今、できることを考えようかな。お兄ちゃんと過ごした17年は変えがたいものだし。
お兄ちゃんのご飯を作って、一緒に暮らして、一緒に寝て、こんな幸せなこともないよね・・・私がこれ以上を望めば・・・砂上の楼閣なの?
13 ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/04/05(火) 23:03:08.23 ID:JUm2/O/x
投下終了
前回のご意見ご感想すごくうれしかったです
ありがとうございます
14名無しさん@ピンキー:2011/04/05(火) 23:47:05.17 ID:jeBQSOuG
GJ
お兄ちゃんマジイケメン
15名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 01:17:14.17 ID:e4QRqYlL
GJ!19才差となるとキモムスメの妄想しつつキモウトとしても読めるな。
16名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 07:12:25.68 ID:qi0EMEhm
GJなんだっぜ
17名無しさん@ピンキー:2011/04/06(水) 14:26:42.11 ID:PK+1hvlJ
有希良いやつだなあ。恋敵にはならないでほすい
18忘れられない人の話 ◆.AhcBFkQzDbY :2011/04/07(木) 01:23:14.61 ID:74Jc7CUd
今晩は。
表題について投下いたします。
※一話完結です
19忘れられない人の話:2011/04/07(木) 01:24:52.93 ID:74Jc7CUd

俺と彼女は今のソファに向かい合わせで座っていた。
彼女を呼び出したまでは良いが、
言おうとする事をどうしても言えないで俺は黙っていしまっている。
なんとか意を決して口を開こうとするよりも早く、
彼女が先に俺に問い掛けた。
「えっと、海斗さん、どうしたんですか?」
困った様子でこくんと彼女は小首をかしげる。
それを見て、彼女と対峙している自分の口から言葉が抜けていくのを感じた。
「……何でもないよ」
「もう、海斗さんったら」
無邪気な笑い声が彼女の口から漏れた。
「あ、ああ、そうだな」
「ふふふ、変な海斗さんです」
彼女は無邪気に笑う。

違う……
彼女は真由なんかじゃない。
彼女は俺の妹の草夏(そうか)だ。
真由はもう3年も前に死んでるじゃないか。
なのにどうして俺はそれが分からないんだ?
20忘れられない人の話:2011/04/07(木) 01:25:33.35 ID:74Jc7CUd
真由(まゆ)
草夏の小学生の時からの親友。
俺が出会ったのはその何年も後。
背丈は草夏と同じくらいでやや小柄、
厳格な家庭にほんの少しだけ反発して薄く髪を染めていた。
控えに笑う笑顔が印象的な俺の恋人だ。

真由との出会いは草夏が切欠だった。
高校2年生の時、家に帰ると知らない少女と一緒に妹が玄関に立っていた。
そして”この子は私の親友です。この子なら海斗さんを任せられます”
の一言で強引に引き合わされた。
あの時は空良の押しの強さに驚かされた。
そして、俺も真由も草夏は何をやってるんだと呆れたものだった
けれど、草夏の見立ては正しかったようで俺達はすぐに親密な仲になれた。
時には喧嘩をしたりすれ違ったりもしたがその度に草夏に助けてもらって、
そうやって何年も付き合って行く内に、
彼女は俺にとって何にも代えがたい存在になっていた。
21忘れられない人の話:2011/04/07(木) 01:26:00.21 ID:74Jc7CUd


真由のいない日々なんてて考えられない、それくらいに。


それなのに、考えられない日々はあっさりと訪れた。
真由と付き合ってから4年目、大学2年生の夏。
真由は朝の満員のホームで列車に飛び込んで自殺した。
その知らせを受けた時に俺には何の感情も浮かばなかった。
実感できなかった。
俺は彼女の最期の姿を見ていない。
ただ、草夏から知らされただけだった、”真由が死にました”と。
だから俺は真由の居ない日々を受け入れられなかった。
なぜ、あんなにいつも側に居た真由が居ないのか?
朝、扉を開ければ彼女が笑顔で迎えてくれるのじゃないか?
夕、校門を出ればそこで彼女が待っていてくれないか?
待っていれば真由が居るんじゃないか?
あそこなら、ここなら、この時間なら……。
そうやって俺は幽霊のようにいる訳の無い真由をぼんやりと探し続けていた。
そんな俺の様子を見かねた草夏は俺の心の穴を埋めるために、
少なくともその時はそう思っていた、
真由になった。
22忘れられない人の話:2011/04/07(木) 01:26:29.26 ID:74Jc7CUd
ある朝、扉を開けるとそこには俺の探し続けていた姿があった。
そう、”おはようございます、海斗先輩”と控えめに笑う、
あの日から片時も忘れたことの無い最愛の少女が居た、と勘違いした。
それは髪を切って薄く染め、真由の口調をした草夏だった。
元々、真由と草夏は声も背丈も体格も似ていたから
その時の彼女の姿は真由の生き写しに見えた。
驚いて何も言えない俺へ彼女は優しく語りかけた。
”これからは私が真由の代わりになります。
 兄さんの傷が癒える日まで、いえ、例え癒えてからも”
その日から彼女と俺の奇妙な関係が始まった。
同じ家に暮らしているのに玄関前で出会って、玄関前で別れる。
そして、家の中の生活ではお互いに存在しないもののように振る舞う。
いつの間にかそういう暗黙のルールも完成した。
そうやって俺の元に真由が戻ってきて、草夏が消えた。
草夏はずっと昔から真由の親友だった。
俺の知っている事はもちろん、知らない事も全部、誰よりも知っている。
細かな仕草も、反応も、二人だけの時にしか見せない甘えた様子さえも。
だから、草夏の演じる真由は俺にとって真由そのものだった。
その時はどうして草夏がそんな事をするのかも、できるのかもどうでも良かった。
ただ、死んだはずの真由が帰ってきてくれた、それだけで十分だった。
確かに俺の心の傷は偽物の真由によって癒されていたんだと思う。
けれど、ある時を過ぎてからは草夏の行為は、
逆に俺の心を蝕んでいるんじゃないかと思うようになった。
深すぎる傷口は舐めれば舐めるだけずぶずぶと腐っていくように。
あの時から頭の中では分かっていたんだ。
死んだ人は蘇らないし、俺の妹で真由の親友の草夏に恋人ごっこを求めるなんて、
そんなのは真由に対する侮辱じゃないか。
だから何度もこんな事は止めようと彼女に話そうとしてきたんだ。
なのに、目の前に居る彼女は完璧な真由で、
今みたいに真正面から彼女を見ていると
彼女を本物だと心が勝手に思い込もうとしてしまう。
駄目なんだ、もう真由を手放す事ができないんだ。
俺は真由を忘れられないんだよ……。

それだけじゃない。
この真由ごっこを止めさせる他にもう一つ彼女に言わないと、
いや、聞かないといけない事がある。

本当に真由は自殺をしたのか?
どうして空良は親友が死んだのに涙の一つも流さなかった?
満員のホームで人が飛び降りた時に自殺と誰かに押されたのと何処で判別できる?
23忘れられない人の話:2011/04/07(木) 01:27:08.81 ID:74Jc7CUd
「ねえ、海斗さん?
 何か、私に聞きたい事があるのですよね?」
その声に俺の意識が思考から現実に引き戻される。
見れば彼女は困惑の表情を浮かべ続けたままだった。
「真由は本当に自殺をしたのか?」
俺は覚悟を決め、肺から鉛を吐き出すような気分で口を開いた。
「くす、何を言ってるんですか?
 真由ならここにいるじゃないですか?」
彼女が愉快そうに笑う。
その笑い方は何処か暗い影が差していて、俺の記憶の中の真由とは違っている。
「違うよ、もう真由はどこにもいないだろ?」
「だから、真由はここに居る私ですってば。
 いい加減にしてくれないといくら海斗さんだからって怒りますよ?」
静かに彼女は抗議する。
静かだがその声音には不当な言いがかりを撥ね付ける強い意志が籠っている。
これ以上言った所で無駄だろう。
あの日から一度だって自分が草夏であると認めようとしなかったのだから。
「分かったよ、じゃあもしも自殺をしたとしたらだ」
「……海斗さんはそんなに真由が死ぬのが楽しいんですか?」
じとーとした目で無言の圧力を押し付ける彼女。
この真由は俺の記憶の中にもある。
「俺達は自殺する日の次の日にデートの約束をしていたとする。
 前の週から二人ではしゃぎながらその日の計画を立てていたんだ。
 そんな日の前日にお前は自殺なんてしたくなるのか?」
「ふふ、私なら絶対にありません」
「……俺の妹の草夏はその時に何処にいたんだろうな?」
「えーと、いつも通りだったら一緒に登校してたんじゃないかなと思いますよ?」
「どうして、草夏は十年来の友達が死んだのに、
 涙一つ見せなかったんだろうな?」
「うーん、はっきりとは分かりませんけど、
 真由なんて実は死んでも悲しくない程度の子なのかもしれませんね」 
「なんだと!?」
「もう、海斗さん、落ち着いてください。 
 もしもの話だって言ったのは海斗さんですよ。
 だって、もし親友が死んだのに何も感情を抱かないとしたら、
 それはそういう事になるじゃないですか?
 くす、それが道理、ですよね?」
24忘れられない人の話:2011/04/07(木) 01:27:27.26 ID:74Jc7CUd
「確かに、そうだよな……」
模範的な解答に反論の出来ない俺の悔しそうな顔が面白かったのだろう。
彼女は滑稽そうに笑いを噛み殺している。
それから、わざとらしいニタリとした笑顔を作って言った。
「じゃあ、海斗さんが落ち着けるように楽しい昔話をしてあげます。
 昔々、ある所に素敵なお兄さんとそのお兄さんの事が大好きな妹がいました。
 その妹にはとある大きな悩みがあったのです。
 彼女はお兄さんの事がでしたから当然、お兄さんと交わりたいと望みました。
 交わってお兄さんの子を孕みたいと願っていました。
 それなのにお兄さんは彼女を妹としてしか扱ってくれないのです……」
彼女は交わるという単語を口にして目を輝かす。
孕むという言葉に彼女が恍惚とした表情を浮かべる。
真由の姿と声で作り出すその有様は吐き気がするほどに、気持ち悪かった。
「そんなある日、健気な妹はある事を思い付きました。
 もしも、自分にそっくりな人がお兄さんの大切な人になって、
 その人がいなくなってしまえば、
 自分がその人の代わりになれるのじゃないかと……」
彼女がわざとらしく言葉を止めた。
背中の芯がぞくりと冷えるのを感じた。
彼女の語る内容は馬鹿らしいと思いながらも
俺の頭から離れなくなっている疑いそのものだった。
「お前……お前は本当に……?」
「くす、あくまでお話、ですよ。
 もしも、このお話が本当だったらその妹はその為に十何年も前から、
 自分の都合の良い子を探して、その子を自分そっくりになるように仕立てあげて、
 お兄さんとその子が両想いになれるように気の遠くなるほどの裏工作をして、
 そして、お兄さんのをものにする為に何の躊躇も無く始末する。
 そんな事、できると思いますか?」
その通りだ。
だから、俺も疑っていながらもどうしても信じる事ができていない。
それが本当なら、実の兄を性の対象としていて、
その為に何の感情も無く他人を使い捨てる事に何の良心のも咎めもない、
それもまだ物心が付くか付かないかの頃から、
それが俺の妹の草夏だという事だ。
そんな異常者が自分の一番近しい人間なんだとは
どうがんばっても理性が認めてくれないのだ。
「ただ、もしできるとすれば、
 その妹のお兄さんへの想いはどれくらい深いんでしょうね?」
口だけを歪めて、くすくすと彼女は笑った。
もう真由の原型を留めていない。
真由どころか草夏でも人でもないのじゃいないかと思える、
まるで化生のような不気味さを彼女は醸し出している。
25忘れられない人の話:2011/04/07(木) 01:27:51.34 ID:74Jc7CUd
「ああ、でも、海斗さん。
 じゃあ私も、もしもの話をして良いですか?」
「……何だよ?」
「くす、もしも……もしも今の私のお話が本当だったとしたら、
 海斗さんはどうするんですか?」
彼女の質問に心臓を握られるような鈍い痛みを感じる。
それは俺が何度自分に問いても答えを出せない悩みだ。
正解は分かっているのに、何もできない。
「例え、私がその妹だったとしても、
 もう一度海斗さんは真由を失えますか?」
押し黙る俺に絡みつくように彼女が言葉を続ける。
「ねえ、例え、記憶の中の真由と今の真由が違ってきたとしても……、
 海斗さんの妹の空良に近づいているとしても……?」
「え……?」
今まで何で気付いていなかったのだろう。
目の前にいる彼女は少しずつ真由から離れて草夏に戻っていないか?
いつも真由は俺のことを”海斗先輩”と呼んでなかったか?
”海斗さん”と呼んでいたのは草夏だけじゃなかったか?
「違う……お前はやっぱり真由なんかじゃない。
 真由はこんな事は言わない。
 こんな事で笑ったりするはずがない」
「あら、じゃあ海斗さんの知ってる真由は私と何が違うんですか?
「いくらでも言える、それは……。
 あれ? それは……」
俺は頭に3年前の、あの本物の思い浮かべようとする。
ほんの少しだけ髪を染めていて、小柄な少女。
……それじゃあ目の前にいる彼女そのものじゃないか。
おかしい、肝心の中身が思い出せない。
まるでぼんやりと靄がかかったように
真由はどういうように笑っていた?
いつも明るく笑っていた。
いや、でもこんな風に少し影を引いた笑いの方が自然じゃないか?
呼び方は海斗先輩だったはず。
けど、その呼び方に違和感がある。
海斗さんと言われる方が彼女らしい気がしないか?
思い出そうとすればするほどに目の前の偽物のはずの真由の姿に上塗りされていく。
そして、その偽物の方がずっと本物らしい実感がある。
俺はもう真由の事を忘れているのか?
違う、こんなに、
苦しい位に彼女の事をまだ思っているじゃないか?
26忘れられない人の話:2011/04/07(木) 01:28:07.62 ID:74Jc7CUd
「くす、どうしましたか、海斗さん?
 あなたの”真由”は”私”ですよ?」
そう言って彼女は優しく両手を俺のあごに添えて顔を近づける。
「ふふ、辛いのでしょう?
 さ、いらっしゃって下さい、”私”の所へ」
口の中に彼女の柔らかな舌が入り込む。
その心地良い感触を俺は甘んじて受け入れることにした。


もう手遅れだと認めよう。
俺は彼女を忘れる事なんてできないんだから。



27忘れられない人の話:2011/04/07(木) 01:31:39.69 ID:74Jc7CUd
以上です、ありがとうございました。
楽しんで頂ければ幸いです。
延々と長編を書くのも楽しかったですが、
短編も作るのが面白く感じます。
28名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 03:45:47.15 ID:U4nLexxl
乙。掘り返せばもっとどす黒いキモウト像が見れそうだ
29名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 12:11:09.19 ID:LErBidQE
乙、完全にホラーだな。恐ろしい
30名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 16:15:18.88 ID:9p7EZiZO
31名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 21:31:14.91 ID:OOOrBQcQ
兄or弟が大学進学の為に一人暮らしするとなったら、キモ姉・キモウトはどうするんだろう
32名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 22:29:20.82 ID:JeP/sEbX
1:大学進学自体をなかった事にする
2:押しかけて同棲
3:小型カメラ&小型マイク設置で24時間監視

>>31 好きな答えを選べ
33名無しさん@ピンキー:2011/04/07(木) 23:54:11.42 ID:2BteoI0T
>>31
@かわいいキモ姉妹は突如誘拐監禁強姦のアイデアがひらめく。
Aキモ姉妹同盟員がきて助けてくれる。
B泥棒猫にお持ち帰りされる。 現実は非情である。
 
34名無しさん@ピンキー:2011/04/08(金) 00:34:28.30 ID:9+9Cy5bA
9歳のリアル妹をキモウトにしたいんだがどうすればいいかな?
教えて!エロい人!
35名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 01:03:27.55 ID:uyOw26iA
乙です。
36名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 02:19:50.43 ID:FrfhmPX9
20歳のキモ兄いりませんか?
37名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 02:32:58.58 ID:GnkxFzXN
兄をキモいキモい言いつつも下半身はずぶ濡れなキモウト
38名無しさん@ピンキー:2011/04/09(土) 10:15:19.00 ID:74D7d+oz
Heartspeaks 膝上にSisの人>

会話自体は普通を装っているのに、
鳩子の内面の言葉が面白くて良かったw
特に膝膝膝のくだり

義理兄妹 1の人>

36と17という関係は珍しい。今後の展開に期待します。
39埋めネタの続きw キモウト語録:2011/04/09(土) 17:38:20.54 ID:DHO7q8OP
「お兄ちゃん……来て」
(水坂 憐 『BALDR FORCE』)
ラスボスと化した妹の必殺技セリフ。兄を吸収して一つになろうとする恐ろしい技です。
このラスボス、やたらと強いのでこのセリフも強くプレイヤーの印象に残ります。
「お兄ちゃん……私を殺そうとするなんて……。
 私は死なないわ。だってお兄ちゃんと永遠に一緒にいるんだもの」
(秋月 那美 『魂響〜円環の絆〜』)
兄に愛されている限りキモウトは不死身なのです。
そのお兄ちゃんが殺そうとしてるんですけど……ね。
「ご主人様と奴隷じゃない……
 私はお兄ちゃんの妹としてお兄ちゃんを愛したい。愛されたいのっ!」
(硯 碧葉 『Natural AnotherOne 2nd -Belladonna-』)
※普通妹とセックスしません。
「誰かを殺しちゃいけないとか、誰かを傷つけちゃいけないとか……」
「そんなの、美羽は知らない」
(中略)
「美羽は兄様が一番大切なの。
 だから、兄様を不幸にする人は殺されても仕方ない悪い人なの。
 ねえ、兄様……美羽、どうして怒られるの?」
(高城 美羽 『ピアノ〜紅楼館の隷嬢達〜』)
知らない、じゃねーよ!!とついツッコみたくなってしまうセリフ。
開き直りここに極まれり。実際聞くと分かりますが、「どうして怒られるの?」は素で言ってます。
キモウトといっても本当にキモい妹は少ないのですが、この妹は本気でキモい…。だが、それがいい。
「わたしは、兄様のもの…わたしのすべては、兄様だけのもの…」
「だから、兄様のすべても、わたしだけのもの…」
(高城 美羽 『ピアノ〜紅楼館の隷嬢達〜』)
ジャイアニズムとキモウトの重要な違い。
ここ、テストに出るので覚えておいてください。
「御義兄様を誑かす女は全て、私が殺します」
(矢旗澤 香純 『仏蘭西少女 〜Une Fille Blance〜』)
残念ながらこの後返り討ちにされてしまいますが、
いくらキモウトとはいえこうまでストレートなヒロイン皆殺し宣言は珍しい。
40名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 01:36:38.40 ID:wZio+fjn
コピペ乙w
41名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 14:40:55.59 ID:M9TMEMYc
キモウトの歴史の教科書みたいだな
42名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 15:07:20.55 ID:2jrkqGiV
なんかのブログで見た気がするんだが気のせいだろうか
43名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 15:39:22.42 ID:WyYyULxT
前スレオワタ
44名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 18:06:14.38 ID:SXShOR0N
最近こないね
気になるものがいくつがあるんだが
無事終わるだろうか
45名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 18:40:54.41 ID:VoLwbtRx
>>44
作品投下ないのが嫌なら自分で書いて投下してもいいんじゃよ?
46名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 18:55:03.46 ID:crOlaDKn
VIPでSS一本書けない俺にエロパロ小説とかハードル高過ぎだ

未完か打ち切りになるのが目に見えてる
47名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 19:04:41.02 ID:OZomrnRM
>>46
まずは1レスに収まる短編からスタートするんだ。
48狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:13:05.92 ID:UyrXbG1V
狂もうと投下します。
あまり進みませんが、よろしくお願いします。
49狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:13:32.32 ID:UyrXbG1V

「分かった、それじゃ土曜日にまた電話するよ。うん、それじゃバイバイ」
携帯の電源をOffにし、ガラステーブルの上にそッと置く。
本来ならベッドにポイっと投げるのだが、まだ購入して3日しか経っていない新しい携帯なので雑には使わない。
まぁ、大切に使うのは始めの頃だけなのだが…。

「兄ちゃん、今の誰だったの?彼女か?」
くりっとした小さな瞳が下から覗き込む。

「違う違う。友達だよ。」
俺の顎下にある頭を優しく撫で、テレビに目を向ける。

素人だろうか?見たこと無い熟女がテレビの中で綺麗な着物を着飾り演歌を熱唱している。
演歌に興味が無いオレからすれば、年寄り臭いなぁと思ってしまうのだが、俺の膝上に陣取るこの小さな妹…13才の空ちゃんはこの演歌が大好きなのだ。

空ちゃんいわく演歌は日本が誇る文化らしく、女の心をよく分かって歌っているとのこと。
いつ頃演歌を聞くようになったかと言うと、物心ついた時から空ちゃんのお母さんが演歌を口ずさんでいたらしい。
演歌好きはお母さんの影響のようだ。

「そんな事より……なぁ、空ちゃん」

「なぁに〜?」
テレビから目を離さず俺の胸に後頭部を擦りながら返答する。
50狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:13:57.99 ID:UyrXbG1V

「なんで俺の膝の上に座ってるの?」
部屋に入ってからずっと気になっていたのだが、俺が床に座るなり当たり前の様に膝の上に腰を落としてきたのだ。
別に甘えられるのは嫌いでは無い。
由奈で慣れているから空ちゃんが重いとも思わない。
だけど俺と空ちゃんは今日いれても二度しか顔を会わせていないのだ。
そんな俺になつかれる要素があったとは思えない…。

「ぇ……ダメなの?」
俺の声に反応した空ちゃんがやっと此方へ目を向けた。
あれだけ元気な空ちゃんの目がどこか弱々しい。

「あっ、いや…別に俺はいいんだけどね?突然だったからビックリしたよ」
ミスったと思い誤魔化すように笑う。
そう言えば空ちゃんは兄妹が居なかったんだ…。
母親と二人暮らしで父に引き取られたのは空ちゃんの母親が亡くなったからだそうだ。
多分兄や姉が出来て嬉しいのだろう…。
そういう事なら俺も兄として甘やかしてあげなければ。

「兄ちゃんが嫌なら…離れるけど…」

「いいよ別に、俺の膝ぐらいならいつでも。兄に甘えるのは妹の役目だからな」
ゆっくりと膝から立ち上がろうとする空ちゃんの腰を掴みそのまま膝に乗せる。

「そっか…兄か…うん…」
51狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:14:28.46 ID:UyrXbG1V
嬉しそうに俺の膝を手の平で撫でている。
真後ろに居るので表情は分からないが、多分空ちゃんは笑顔だろう。
空ちゃんの背中を見て何となくそう思った。

中学生とはいえまだ親が恋しい時期…あの父に甘えるなんて無理な話だ。
せめて兄らしく甘やかしてやろう…。


「なぁ、兄ちゃん……さっきからずっと気になってたんだけど…」


「あぁ…わかってる」
ため息を吐き、ドアに目を向ける。
なんて事ない見慣れたドア。

そのドアから小さくだが、カリカリ…カリカリ…と音が聞こえてくるのだ。
俺と空ちゃんが部屋に入ってからずっと聞こえているのだが、流石に空ちゃんも無視できなくなってきたようだ。

「猫じゃねーの?」

「いや…猫なんて飼ってないよ」
家にペットはいない…何故なら由奈が嫌いだからだ。
そしてこの家には俺と空ちゃんの他にもう一人長年一緒に暮らしてきた妹が居る訳で…。

「な、なんか喋ってる?」
空ちゃんがビクビクしながらドアを警戒している。
テレビの中では一人熟女がマイクをもって歌っているのだが、もう空ちゃんはそれどころではないらしい。


――やん――ちゃん――
52狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:14:51.96 ID:UyrXbG1V
「……」
確かに、小さくだけど声みたいな音が…てゆうか声が聞こえてくる。
聞き慣れた声が…。

心配する空ちゃんをベッドに座らせ、ドアに近づく。
そして耳をドアにくっ付け声の内容を確認する…。






――お兄ちゃ…お兄…開け…お兄ちゃん…開けて…私も入レ…





「怖いわ、アホ!!」
鍵を外してドアを勢いよく開ける。

「きゃっ!?」
ドアの目の前に立っていたのだろう…開けると何かにぶつかる衝撃と小さな悲鳴が聞こえてきた。

「痛たたたっ…あっ、お兄ちゃん!」
床に倒れ込んでいた由奈が俺の顔を見るなり飛び付いてきた。

「由奈、お前ちゃんと反省してんのか?」
抱きつく由奈を引き剥がし、問い掛ける。

「ぅう…反省してます…だから私も部屋に入れてください…お願いします…」
涙目になりながらヨロヨロと俺に近づく由奈の頭を掴み、再度遠ざける。

「ッそ…そんな…おにちゃっ…」
あからさまな俺の拒絶にショックを受けたのか、絶望的な表情を浮かべその場にへなへなとへたりこんでしまった…。

「……はぁ…分かった分かった……分かったから泣くなよ」
震えながらボロボロと涙を流す由奈の頭を撫で立ち上がらせる。
53狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:15:29.90 ID:UyrXbG1V
「お前もう二十歳越えてんだぞ?もう少し大人の余裕を持てよ由奈」
何が原因で喧嘩になったのかは知らないが、成人を迎えた人間が中学生と本気で喧嘩するものじゃない。

「空ちゃんも許してくれるか?ほら、由奈も謝れ」
腕にしがみつく由奈を前に押し出し、空ちゃんに謝らせる。

「別にボクは怒ってないよ?お姉ちゃんできたみたいで楽しかったし!」
ベッドに腰かける空ちゃんが笑顔を浮かべ小さく手を振った。

「そっか…それならいいんだ」
まだ短い時間しか空ちゃんと過ごしていないが、優しい子だと言うことは分かった。
これならいい関係が築けそうだ。

「それじゃ、テレビでも見よっか?由奈もいい加減離れろ」
由奈を引きずったままでは動き辛いので腕にしがみつく由奈の手を放し床に腰を落とした。
そうすると先ほどまで俺の膝を椅子として使っていた空ちゃんは当たり前のように俺の膝の上に座ろうとするのだが…。

「ちょっ…空ちゃんアンタなにしてんのよ?」
由奈が瞬時に空ちゃんのお尻と俺の膝の間に腕を差し込み、座るのを阻止した。

「何って…兄ちゃんの膝に座ろうとしたんだけど?早く腕どけてよ…座れないじゃないか」
54狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:18:34.62 ID:UyrXbG1V
お尻を悩ましげにくねくね動かし何とか膝にお尻を落とそうとするのだが、それを由奈の腕がさせない。

「空ちゃん…お兄ちゃんの膝の上は古(いにしえ)から私専用って決まってるのよ?貴女は座布団の上に座りなさいよ」
テーブル下にある座布団を指差し、そこに座るよう伝える。

「えぇ〜…ボク兄ちゃんがいい」
強引に由奈の腕の隙間からお尻をねじ込み、膝に腰を落とす。

「ダメ……って言ってるでしょ!」

「ッ!!?あんぎゃーっ!!!」
突然空ちゃんがお尻を押さえて飛び上がった。
その隙をついて今度は由奈が俺の膝へと滑り込む。


「おまえ…何したの?」

「えっ?いや、中指をズボっと」
何処に?と問いかけようか迷ったが、何かを失いそうだったので辞めた。

「姉妹喧嘩みたいだな…」
こう見ると本当の姉妹に見えてくる。
膝の上で上機嫌に鼻歌を歌う由奈…その前でお尻を押さえて悶え苦しむ空ちゃん。

「はは、仲良くしろよ」
この光景を見て笑えているのは多分、空ちゃんを妹として受け入れられたからだろう。


「痛いなッもぉー!んじゃボクは由奈姉ちゃんの上!」
お尻の痛みが引いたのか、勢いよく立ち上がると由奈の膝の上にダイビングした。
55狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:19:10.03 ID:UyrXbG1V
「ちょっ、私の膝の上はお兄ちゃんの耳掻き専用なのよ!重いから退きなさいッ!」

「嫌だぁ〜ッ!!由奈姉ちゃんが退け〜ッ、そしてボクの耳も掻け〜ッ!!!」
俺の膝の上でジタバタと暴れる妹達。
重苦しかったが…少し嬉しかった。
いがみ合いながらも幸せな空気が流れていたから…。







「あら、仲良くしているのね?」
しかし、その幸せは一瞬で消え去った。
冷たい声に由奈と空ちゃんが身体を強張らせる。
勿論俺も。
突然の声にビックリしたのではなく、零菜の声だと確認できたから強張らせたのだ。

「ちょっと…なに勝手に入って来てるんですか?」
由奈が空ちゃんを退けて立ち上がる。
先ほど空ちゃんに向けていた目とは違い完全なる敵対心を目に宿し零菜を睨み付けていた。

「ちゃんとインターホンは鳴らしたのよ?でも誰も出ないから…居ないのかと思ったのだけど、中から優哉の声が聞こえてきたから勝手に上がらせてもらったの」
悪びれる素振りすら見せず、部屋の中へと入ってくる。
一瞬零菜の部屋に行った時の事を思い出したが、あの時のように過呼吸に陥る事は無かった。今でもあの時感じた身体の異変の原因は分からない…本当に何だったんだろうか?
56狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:19:37.98 ID:UyrXbG1V
「で、どうしたんだ?何か用か?」
由奈同様、立ち上がり零菜の前に立つ。
今こうして普通に話せるのだから、単純にあの時は身体の調子が悪かったからなのかもしれない。

「空を迎えに来たのよ」

「え、空ちゃん?」
由奈が空ちゃんの顔と零菜の顔を交互に見ている。
そう言えばまだ由奈には空ちゃんのこと説明していなかった…。

「あのな由奈…空ちゃんはy「空は貴女の妹よ?」

「…はぁ?」
俺の言葉を遮り発せられた零菜の言葉に由奈が呆れたような表情を浮かべた。
呆れたというより、意味が分かっていないのだろう。
そりゃ唐突に妹が出来ましたなんて言われても理解するなんて無理な話だ。

「ちょっとお兄ちゃん…この人なに言ってるの?」
零菜の目先に人差し指を出して指差す。

仕方ない…別に隠すつもりは無かったのだが、空ちゃんが居なくなってから由奈には事情を話すつもりだったのだが…。

空ちゃんにはリビングで待ってもらい俺と零菜で由奈に事情を話した。
始めはぽか〜んとした表情で聞いていたのだが、零菜が深く事情を話すにつれて由奈が顔をしかめていくのは分かった。

「――って事なのよ…分かった?」
57狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:20:08.89 ID:UyrXbG1V
零菜が話終える頃になると、由奈は元の表情を保っておらず明らかな苛立ちを全面に見せていた。

「お兄ちゃんにあれだけ偉そうにグチグチ言ってたお父さんがねぇ……でっ?なんで空ちゃんが家に来たんですか?」

「空がお兄ちゃんに会いたがったからよ?」
零菜の口から出たお兄ちゃんと言う言葉にうすら寒さを感じた。
零菜は俺の事を“お兄ちゃん”なんて可愛らしい言い方は普段しないのだ。
それを分かって言っているのだろう…零菜の口が狐のようににやけた。

「残念ですが妹は一人で間に合ってます。それに家族が増えたなんていきなり言われても困ります。
当主である父と“次期”当主である零菜さんで対処してください。私と兄は父の尻拭いなどしたくありませんので…それにそれは貴女の仕事でしょ?今まで父に可愛がられてきたんだから貴女がお姉ちゃんになってあげるべきよ」
正論…なのかどうか分からないが、由奈の言うことに俺は少し納得していた。

しかし…。

「あのな…由奈」

「ん?なに?」
零菜に畳み掛けに入った由奈を手で制した。
零菜の味方になるつもりなんてまったくないが、俺は空ちゃんの兄になると決めたのだ。
58狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:20:50.18 ID:UyrXbG1V
「空ちゃんを俺の妹として受け入れようと思う。だからお前も空ちゃんを妹として見てやってくれないか?」
由奈に頭を下げ頼み込む。
空ちゃんは間違いなく由奈にもなついている…空ちゃんも兄妹が多いほうが嬉しいだろうし、俺も家族が増えるのは純粋に嬉しい。
だから由奈にも空ちゃんを家族として受け入れてほしいのだ…。




「……はぁ?お兄ちゃん正気?」
だが、俺の思いとは裏腹に頭上から聞こえてきた由奈の声は冷たいモノだった。

「いきなり家族が出来ました?なにそれ?アニメじゃあるまいし……アホらし。
私は絶対に無理だから…私の兄妹はお兄ちゃんだけ。それ以外考えられないの。
話はそれだけ?なら、帰ってもらえますか?他人が家に入ってくるとイライラするので」
由奈から出た言葉は完璧な拒否だった。
由奈は間違いなく零菜も姉とは思っていない。だからここまで徹底して相手を追い詰められるのだ。

「そう……ならお姉ちゃんは諦めるしかないみたいね。優哉は空のお兄ちゃんになってくれるのよね?」

「あぁ、俺は空ちゃんの兄になるよ」
俺の言葉に反応した由奈が此方を睨み付けてきたが、これは俺も引き下がれない。
59狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:21:20.70 ID:UyrXbG1V
「ありがとう。それじゃ、今日は帰るわ」
それだけ伝えると、空ちゃんが待つリビングへと向かってしまった。
俺も後を追うためにリビングへと向かう。
リビングの扉を開けて中を確認するとテレビを見ながらソファーに寝そべりケラケラ笑っている空ちゃんの姿を発見した。
初めて来た家とは思えないほどくつろいでいる。

「空、帰るわよ」

「えぇ!?もう帰るの…?」
もっと遊びたかったのだろうか?
残念そうな表情を浮かべている。

「いつでも遊びにきていいよ。携帯番号は零菜に教えとくから」
新しい携帯番号を零菜に教えた後、玄関で二人を見送った。
空ちゃんの事だからまた近いうちに遊びにくるかも知れない。
それまでに何かゲームでも買っておこうか…。



「……お兄ちゃん」

「……はぁ」
それより先に片付けないといけない大問題があるんだった…。
気を引き締め後ろを振り返る。
目の前に由奈が立っていた。

「ビックリした…こんなところで何してんだ?」
由奈に軽い口調で話し掛けたが、内心かなり焦ったと思う。
何故なら今、目の前にある由奈の表情は一度も見たことが無かったからだ。
どういう行動をとれば正解なのだろうか?
60狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:21:49.25 ID:UyrXbG1V
頭を巡らせ考えに考え抜いた結果、何故か由奈の肩にポンッと手を置いて自分の部屋に戻るというヘタレ行動に至ってしまった。
部屋に入るとベッドに腰かけテレビに目を向けた。
テレビを見る気なんてない…平然を装っているだけ。すべての意識は扉に向かっていた。

俺が部屋に入って数分後、由奈が部屋入って来た。
別にやましい事なんて無いのだが、どこか心苦しい。

「お兄ちゃん…なんであの子を妹にしようなんてバカなこと言ったの?」
ベッドに腰かけ俺の前に立つと、俺を見下ろし小さく呟いた。

「別にバカなことじゃないだろ?兄妹になりたいって空ちゃんも頑張ってんだから俺達も歩み寄らなきゃ」
由奈の手を掴み引っ張り寄せる。
機嫌が悪い妹を機嫌良くさせる方法は兄として心得ている。
少しだけ力強くグイっと引っ張ると、ゆっくり此方へ倒れ込んできた。
それをしっかり支える。

「なっ?ギクシャクしてるよりはいいだろ?」
由奈を膝に乗せ背中を撫でる。
されるがままだった由奈も時間が経つにつれて俺の首に手を回し甘える様に頬をすりよせてきた。

「分かった……でも条件がある」

「条件?なんだよ?」
61狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:22:14.27 ID:UyrXbG1V
多分何かを買えとかだろう……貯金はまだあるから高額でなければある程度の物なら買ってやれる。

「今すぐお兄ちゃんから私にキスして」
やはり由奈…斜め上を要求してくる。

「なんでキスなんだ?買いたいモノとかないのか?鞄とか服とか」
由奈の年頃なら欲しいものだってたくさんあるはずだ。
それを差し置いて兄とのキスなんて…。

「いらない。私の目を見て私にキスして」
真剣な目付きで俺の目を見ている。
これは引き下がりそうもない…。


「分かった…キスだけだぞ?」
してしまえば由奈も空ちゃんと仲良くするって言っているのだ…家族でもキスぐらいは挨拶のうちに入るはず……多分。
サッとして終わらそう。

由奈の目を見て口を近づける。




「ん……んうっ!?」
由奈の唇を合わせた瞬間、突然口の中に何かが滑り込んできた。
慌てた俺は由奈から離れようと後ろに仰け反るが、由奈も同じように倒れ込んできた。

「んッ、ゆ…なッ!」
由奈が俺から離れない。
引き剥がそうと試みるが、体重をかけてしがみついているので剥がそうにも剥がれないのだ。
口の中を何度も何度も出し入れする物体。
間違いなく由奈の舌だ。
62狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:23:07.94 ID:UyrXbG1V
逃げるように避ける俺の舌を由奈の舌が追いかけて絡める。
ぐちゅぐちゅっと卑猥な音が部屋に響く。

「お兄ちゃっ…んあっ、は、あんッ…」
悩ましげに喘ぐ由奈の声に耳がおかしくなりそうだ。

「ッ…やめっ…ろ!!」
なんとか力ずくで由奈を押し退け、距離を取る。

「はぁ、はぁ……お兄ちゃん気持ちよかったでしょ?」
なんとも言えない目で俺の口を見ている。
気持ちよかった?
妹とキスして嬉しがる兄なんて居るわけ無い。

「そんな訳無いだろ…もうしないからな」
由奈の唾液でベトベトになった口を服の袖で拭い、ベッドから立ち上がる。
今は少し頭を冷やしたほうがいい…。由奈も頭に血が上っているだけだろう。

「私はもの凄く嬉しかったよ?だってお兄ちゃんからキスしてくれたんだもん……私だからしてくれたんでしょ?私が妹だからしてくれたんでしょ?」
大きく見開いた目が俺を威圧するように覗き込んでいる。

「こんなこと、他人にしたら絶対に許さないから…」
前に回り込み俺の唇に自分の人差し指を這わせると、その人差し指を自分の舌でいやらしく舐めて見せた。
63狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:33:40.19 ID:UyrXbG1V
くちゅくちゅと音をたてて指を舐め回し口から指を抜くと、由奈の唾液で光る人差し指を再度俺の唇にピトッと付けて微笑んだ。

「ふふ……私の指とお兄ちゃんの唇…赤い糸じゃないけど繋がってる…」
人差し指を唇から離すと、蜘蛛の糸の様に糸を引いていた。
その唾液糸を由奈が自ら舌ですくい取る。

「私が成人してようがそんなこと関係無い。本当の妹は私だけ…お兄ちゃんも妹は私だけって言ってくれたもんね?
だから空ちゃんのこと“義妹”として扱ってあげる。だけど…だけどもし空ちゃんにお兄ちゃんがこんなことしたら…私は空ちゃんを――」
多分…俺は思い出せないほど昔に由奈の接し方を間違えていたのかもしれない。
何時からかなんて思い出せない…だけど間違いなく由奈は…。






――「コロスから。」


狂っていた。
64 ◆ou.3Y1vhqc :2011/04/10(日) 19:36:20.48 ID:UyrXbG1V
ありがとうございました、投下終了します。

ちょっと前にテレビでアイドルが「弟が誰よりも大好き、弟が中学三年生になった頃から男として意識してる」って公言してたけど、言われた弟はどんな気持ちなんだろうね。
て事でまた近い内に投下しにきます。
65名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 20:00:39.71 ID:WyYyULxT
乙。直接対決の日は近いな
66名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 22:36:05.90 ID:CdSe/h40
空はまだキモウト未満
由奈は完全無欠のキモウト
零菜は単なる破壊者なのか?それともキモウト?の裏返しの行動なのか?
67名無しさん@ピンキー:2011/04/10(日) 23:25:46.55 ID:wZio+fjn
>>64
kwsk
68名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 00:50:26.53 ID:B/pm88o7
良い具合に病んできた
零菜の方は手に入れられなかった団欒を目の当りにして若干苛立ってる…のか?
69名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 01:20:16.14 ID:H0d6a4Pl
とてもいい病みっぷりでした!
そろそろ零奈のマンションでの告白の真意が気になるな。
次回も期待してます。
70名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 02:29:41.81 ID:7nkkRt6r
GJ!
次回も期待
71名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 06:46:12.79 ID:9f2OIOwC
イイヨイイヨー オニイチャンコウイウテンカイダイスキダヨー
72名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 11:11:12.73 ID:uairs7bG
101匹キモ姉という単語が思いついた。
73名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 13:13:17.91 ID:FhgmJB14
長女は一体何歳なんだ・・・
74名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 16:33:46.42 ID:uairs7bG
>>73

両親もキモ姉ハーレムで考えてた。
75名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 19:12:55.45 ID:YjXu+UvE
保管庫掲示板どうしたの?
76名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 19:23:18.89 ID:YjXu+UvE
ブラウザが不安定だっただけかもしれません
ごめんなさい
77名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 22:24:22.83 ID:T0T1pF8R
キモ姉「・・・・・」
78名無しさん@ピンキー:2011/04/11(月) 23:08:57.95 ID:VdqTlmEB
>>76の後ろにLAN ケーブルを持った>>76のキモウトが見えるんだが
79名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 00:01:00.69 ID:AVpGqyNL
ここ以外に姉系SSがあるスレってありますか?
80名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 00:07:52.23 ID:BkVu7VXF
お姉ちゃん大好きスレ
81名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 00:26:50.36 ID:bh5KO/Kd
逆に言えば姉妹、近親相姦ってだけじゃここには来ないということ。もし近親相姦そのものが「DNAが狂っている」(By石原都知事)なら、キモ姉妹は素粒子レベルで狂っているくらいの勢いで。
82名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 01:26:15.52 ID:1NPvPs95
人間不信の主人公と、その姉のssが見てみたい
83名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 04:16:49.42 ID:pfnDSYv5
>>82
おねぇちゃんだけは弟君の味方よ…
と、言って弟君を人間不信から姉だけを信じるように教育するんですね、わかります
84名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 05:18:05.66 ID:1NPvPs95
>>83
自分で言った手前、試しにプロット(と言えるかどうか分からないけど)を書いてみた。

才色兼備の完璧超人の姉を持つ弟は、
平凡だった事が気に食わなかったからなのか、
子供の頃から姉だけでなく、その取り巻きや同級生から虐められた。
親に話しても信じてもらえず、味方がいなかった弟は極度の人間不信になり、
青春の殆どを勉強と読書に注ぎ込む事になる。
大学進学後、姉は今までの事を忘れたかのように弟を猫可愛がりするようなるが、
弟にとって、それは恐怖でしかなかった。
大学でも相変らず読書と勉強の日々を送っていた弟だったが、
悲しそうだったからという理由で勝手に友達になってきたA(男)との出会いにより、
少しずつ変わっていく事になる。
特にA主催の合コンでB(女)とであった事により、弟の人間不信が少しずつだが解消していった。
だがそんな時、弟の元に姉が現れ、虚ろな目で、
ごめんね、ごめんね、と謝られながら犯されてしまう。

書いていたらどんどんおかしくなっちまった。
85名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 12:47:53.41 ID:M2vAteNb
>>84
さあ、それをSSにする作業に戻るんだ。
86名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 20:19:49.30 ID:C/2m+Msx
スゲェ読みたいッス。
87名無しさん@ピンキー:2011/04/12(火) 22:57:26.29 ID:hJuLToW0
>>84
弟は掘られる側か
88名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 03:28:19.91 ID:Vgrq47XK
「あ、弟君!お帰りなさい。」
姉貴がなぜか一人暮らしである俺の部屋にいる。
「は?なんでここにいるんだ?大学はどうしたんだよ。」
「それがね。弟君の大学に編入したからこっちにきたの。」
「だからね、弟君のとこに住もうと思って。」
よくみると部屋の所々が姉貴のものにすりかわっている…

「いやいや、ここ1人しか生活できるスペースないし」
そう抗議する俺に対し
「わかった。こんなおねぇちゃんなんかいらないよね?迷惑だよね?邪魔だよね?」
「そうだよね、いい歳して弟と暮らしたいなんていうおねぇちゃんいらないよね?」
「弟君も嫌だよね?こんなおねぇちゃんでごめんね?もうおねぇちゃんいなくてもいいよね?」
「じゃぁおねぇちゃんこれから包丁で…」
姉貴がノンストップで呟き始め、なにか良くないことを実行しようとしたので

「うん、わかった。一緒に暮らそうか。」
「もう…いつまでたってもおねぇちゃん離れできないんだね。やっぱりこれからもおねぇちゃんがついててあげるね。」
地獄の底にいるような顔から花のような笑顔になる。


うちの姉貴は昔からこうだ。弟である俺の側にいることを何よりも好み、俺に拒否されることを何よりも嫌がる。
しかも場合によってはとんでもない奇行に走ることがあり、きが抜けない。

「じゃぁ俺は床に布団敷いてねるから。姉貴はベッドで寝なよ。」
「なにいってるの弟君?もちろん二人一緒にベッドで寝るんだよ?だって布団だすのも面倒だし、二人で寝たほうが暖かいよ?」
「あ、おねぇちゃんが布団全部とっちゃうと思った?弟君が全部とったっていいんだよ?おねぇちゃん布団なくても大丈夫だから。布団がなくても弟君が暖かく寝れるならおねぇちゃん風邪ひいたっていいんだからね
おねぇちゃんが風邪で倒れてしんでも…」

「わかった。一緒に寝ようか。」
「ふふ、弟君は寒がりだもんね。おねぇちゃんに抱きついちゃって、そんなに寒いのかな?」
「いや、暖かいよ。おやすみ、姉貴。」
姉貴が良からぬことをする前に抱きついて寝ることにした。
「おやすみ弟君、これからもずっと一緒だからね…」

かなり面倒くさい姉貴だか、いまこの瞬間だけはこのままでもいいかと、眠りにつく瞬間にそう思った。


最近姉モノが少ないよ!ということでメンヘル入りの小ネタでした。
89名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 04:48:23.09 ID:fBfQ+tLE
>>88
面白かったよ。こうやって少しずつ無理を通して妊娠まで押し通すんですね。
90名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 13:35:57.88 ID:fBfQ+tLE
姉が妊娠してしまい諦めて姉と一緒になった弟。
子供は姉弟が産まれ自分達の用にならないか心配する父。
姉弟は両親と違い姉が弟をいじめていて父は安心する(虐めには困っていた)。
だが弟が幼馴染と恋人になってから姉の様子がおかしくなり…。

今まで父親視点はなかったよね?
91名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 14:38:35.29 ID:J/Fcb3kb
なんでだろう、このスレにもう3年近くいるせいか1周回って最近幼馴染み属性がついてきた
92名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 16:58:12.46 ID:oScKL/eL
>>90
他人の姉弟を心配する父親(妹に攻略され済み)視点はあった
93名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 17:23:17.53 ID:fBfQ+tLE
>>92
思い出した。あったね。
女系家族ならぬ姉系家族。代々嫁は姉。
94名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 20:06:40.63 ID:PYIxYaC8
>>91
お兄ちゃん、幼なじみが何だって?
詳しく話が聞きたいなぁ
95名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 20:13:45.16 ID:tUS+7LQD
合法的にイチャイチャできる幼馴染みのことを、キモ姉妹がどう思ってるか考えるとたまらないですね
96名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 21:24:06.84 ID:71Vjytot
そこに従姉妹が颯爽と登場してお兄ちゃんを奪うんですね
97名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 22:38:04.93 ID:fBfQ+tLE
ツンキモ姉。
他人がいるとツンツンしてるが姉弟だけになるとキモくなる。
98名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 23:39:42.99 ID:BkrkrANI
なんかツンキモ姉とだけ聞くとツンデレをミックスしたキモ姉に聞こえる。
ツンキモウトは小ネタであったけど。
99名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 23:46:20.83 ID:NssDBKmA
最近、長編の投下が少ない。
転生とか鎖とか。
100名無しさん@ピンキー:2011/04/13(水) 23:47:34.19 ID:TV9ewWlY
キモデレだと?
101名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 00:13:18.96 ID:2jU4ASRr
俺はきっと、壊れてるの続きが気になってしょうがない
頼む完結してくれ
102名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 00:53:10.53 ID:jBS22CTA
続き書きたくなったら書くさ
103名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 02:50:04.71 ID:58bgZ2eL
「おはよう。弟君。」
「おはよう姉貴。」
「ごはん作ったから一緒にたべよ?」
そうだ…昨日から姉貴が俺の部屋に住むことになったんだ。

「そろそろ出ないと1限に遅れるよ?」
「わかってるって!じゃぁ行こうか。」
二人一緒に家をでるのは、昔と変わらない風景だ。

「おはよう、A子。」
同じ学科のA子だ。いつも明るく気軽に喋れる数少ない女の子だ。
「あ、おはよう弟君。ってその横に立ってる人はだれ?もしや彼女とか?!」
そぉいえば、A子は姉貴のことしらないんだ。
「あのね、誰がこんなバカの彼女?私は姉で、今年から編入したの。」
「そうなんですか!てっきり彼女かと………ていうことはまだ私にも………スがある…。」
なんか最後らへんはボソボソとして聞こえなかった。
「ふん、弟がどうしてもって言うから一緒に登校してるだけよ。じゃないと誰が好き好んで…」

「え、そんなこと一度も…ていうかむしろ」姉貴だろ?といいかけて
「あら、昨日私に抱きついて寝てた奴の言うことじゃないわね。」

「…!弟君そんなことしてるの?!シスコンが許されるのは小学生までだよ?!」
なんかA子もノリが良く、からかってるのかツッコミを入れてくる。
「し、してねーよ!」
「あらあら、いつから人様に嘘がつけるぐらいに偉くなったのかしらね?」
続けておれを罵倒する
「ほんと、どうしようもないバカね。」
「……」
そらみろ、A子も引いてるじゃねーか。友好関係が崩れなきゃいいが…

(そっか〜弟君、あのお姉さんにたぶらかされてるんだね…。
弟君を解放してあげられるのは私しかいないよね。待っててね、弟君。)


「ただいま〜」
「お、お帰り弟君。お風呂沸いてるから一緒に入ろ?」
なんだいきなり。
「いや、まだ早いだろ。ってか一緒はちょっと…」
「そっか〜。もうおねぇちゃんなんて要らないんだね?せっかく弟君と一緒に流し合い
できると思ったのに…おねぇちゃん生きる希望無くしちゃったからこれからカミソリで…」

「わー!わー!一緒に入ろう!!流し合いしよう!」
「もう…そんな気合い入れちゃって。エッチなことしちゃだめだよ?」
べ…別に姉貴の裸なんてなんでもねーし。さっさと終わらせるか。



(そろそろ虫が発生する頃だし、害虫駆除しに行かないとね…。)


97の電波を受信した88の姉
104名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 14:01:12.26 ID:LjIIpRCQ
女-男-女の3きょうだい。
姉妹そろってキモ姉妹。
当初は結託して弟(兄)と親しい者を排除していたが、そのうち姉妹どうしの争いに。

「私が産まれる前からお兄ちゃんはお姉ちゃんのこと知ってたんだよね…私だけ仲間はずれみたい」
105名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 14:09:02.31 ID:35+As2Is
昔のドラマを最近見直していて、「末っ子長男姉三人」というビデオに気が付いた

まぁアレは長男の結婚相手が主役で、結婚・同居を始めるのが物語の始まりだったけど
このスレ的には結婚はエンディングだな。主にBAD方面の。
106名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 18:10:03.36 ID:O4tcK0Lc
シスコンクエスト天空のキモ姉妹。
キモ姉妹は現代物が多いね。ファンタジーなら泥棒猫の始末が楽そう。
107名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 18:44:10.68 ID:/ctPF5UA
82の者だけど、書けました。続き物だけど、すぐに終わると思う。
投稿します。
108名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 18:45:05.70 ID:/ctPF5UA
1話 後悔先に立たず

僕は不幸の星の下で生まれたのではないか、と最近思う。
小学校に上がってから欠かさず書いてきた日記を開くと、
汚い字で、学校や家での出来事が少ない語彙で書かれていた。
主語も述語も滅茶苦茶だが、そこから怒りと絶望が感じられた。
その日記の中で、最も多く登場する名詞が、羽生累(はにゅうかさね)。
姉の名前だった。

弟の僕が言うのもなんだが姉は完璧超人だ。
目鼻立ちやスタイルが良いのは当然として、なにより目を引くのは、
腰まで伸びる、しっとりとして光沢のある黒髪だ。
頭の方も、生まれてすぐに言葉を話し、三歳で大学レベルの数学の問題を解いた、
という触れ込みでテレビに出た事があると親が自慢げに言っていた。
一方で、僕は容姿も頭も褒める所など一つもない、ただの一般人だ。
それだけのはずだった。だというのに、姉に虐められた。


日記を書く以前から姉に虐められていた。
幼児に分かるはずのない多彩な語彙による罵倒、
外からでは決して分からない部位への殴蹴、
親に言っても信じてもらえず、それが姉にばれて更に酷い目に遭った。
幼稚園、小学校、中学校に上がっても、姉の取り巻きや同級生達に毎日のように、
たまに姉も加わってリンチを受け、逃げ道などどこにもなかった。
僕はいつも一人だった。一人だったから、読書や勉強が、唯一の楽しみだった。

高校だけは姉とは違う所に行きたかったから他県の高校進学を希望した。
でも駄目だった。担任からは、君ほどの学力なら、都内の名門校に入れる、と、
親からは、寮生活をさせられるほど家にはお金はない、と説得され、
結局、姉と同じ高校に進学した。
この頃になると、流石に苛めはなくなったが、
過去の経験から、周りの人間が信じられなくなっていた。
唯一の救いは姉が暴力や罵倒を言われなくなった事だったけど、
そんなのは気休めにもならなかった。

ただ椅子に座って勉強していただけなのに、
僕の周りには、いつも人だかりが出来ていた。
友達にならないか、部活に入らないか、生徒会に入らないか。
皆口々にそう言っていた。全部断った。
こいつを虐めて学内での暇を潰そう、そういう下心が見え透いてならなかった。
虐めるならば、他を当ってほしい。僕は勉強と読書で忙しいのだ。
関心を示せば漬け込まれる。無関心の型を出せば、その内相手は消える。
これまでの経験で学んだ事だ。誇れる事ではないけれど。



十八年間を顧みてみたが、本当に碌な思い出がない。
それがあと最低でも四年は続く。
僕は今年、大学に進学する。姉と同じ大学に。
109名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 18:45:59.91 ID:/ctPF5UA
高校生活の全てを勉強に費やした甲斐もあって、
国立大学の理科二類に合格する事が出来た。
嬉しかったが、最難関といわれる理科三類に進学した姉の時に比べれば、
親の喜び具合はおざなりだった。期待はしていなかったが、やはり悲しかった。
そんな折、自分の大学進学を一番喜んでくれたのが姉だった。
豊かな胸を顔に押し付け、頬ずりしながら、
「合格おめでとう。これでまた一緒に通学できるね、佑(ゆう)ちゃん」
祐、僕の名前だ。今まで名前ですら呼ばれた事がないのに、いきなりのちゃん付け。
まるで今までの行ないを忘れたような言い方だった。

大学では、二年間は教養学部に所属し、後に後期の専門学部に進学する事になっている。
科目選択によっては上級生とかぶる事もあるので、
最悪、姉とかち合うかもしれないが、それは考えない事にしよう。


こんな事ってあるのだろうか。取った科目の一部(必修科目など)を除いて、
全ての科目になぜか姉がいた。
それも僕を見付けると、
「祐ちゃん、一緒にお勉強しよ」
と言って、隣に座ってきた。監視されている。確信だった。
「ここの数式はね、こうやって解くと楽なんだよ」
嬉々とした声で、先生よりも詳しい解法を教えてくれる姉が、
僕には危機としか感じられなかった。
110名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 18:47:19.96 ID:/ctPF5UA
大学生活も二ヶ月もすると慣れた。
今は第二外国語の授業中、隣の席に姉はいない。
安らかに授業に没頭できる時間であるが、辺りは騒がしい。
来月には前期試験があり、それが終われば夏休みに入る。
長い夏休み、学生達はなにをしようか、という話で盛り上がっているのだ。
友達もいなければ、部活、サークルにも入らず、
アルバイトもしない僕にとって、全く関係のない話でしかない。
だから、小声で喋っている学生が煩わしくてならなかった。
学生の仕事は勉強なのだから、夏休みなど必要ない、と僕は思う。
授業中に隣と喋っていたり、眠っていたりする奴を見ると、
なんのために大学に来たのか、と問い詰めたくなる。
授業終了のベルが鳴った。今日の科目はこれで全て終了だ。
姉が来る前に、さっさと図書館に避難しよう。
本が大量に詰まり、歪に変形している鞄を手に、図書館に足を向けた。


大学図書館は、地上五階地下三階建ての大規模なものだ。
地上階が一般学生や院生がレポート作成のために使っているのに対し、
地下階は本棚に入りきらない蔵書を保存する階のため殆ど人がいない。
静かで空調も整っているので、読書や勉強をするには最適の場所だ。
僕はここを気に入っていた。
111名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 18:47:52.17 ID:/ctPF5UA
この階には時計がない。なので、どれくらい本を読んでいたのか分からない。
後ろから声を掛けられなかったら、いつまでも本を読み続けていただろう。
「なんて本を読んでるんだ?」
声の大きさは普通だけど、静かだったのでとかく響いた。
振り返ってみると、見知らぬ男が立っていた。
僕が目を細めて睨み付けても、その男は構わず本の表紙を覗き、
「ロボット工学……、ガンダムでも作りたいのか?」
と、冗談めいた事を言ってきた。
茶色に染められた髪に、ピアス、着崩した服装から、
高校時代に見た中途半端な不良を思い出した。
「あんた、誰?」
「誰って、お前と同じクラスの聖尊(ひじりみこと)だよ。
最初の授業で自己紹介しただろ?」
「……そうだったな」
とは言ったものの、全く覚えていなかった。誰とも親しくなるつもりもないので、
自分の自己紹介を終えた後は、テキストを読んで上の空でいたから、
当然といえば当然だろうけど。
「それで、その聖尊が一体なんの用?」
「俺と友達にならないか、祐?」
またこれか。大学に入ってからこれで何度目だろう。
携帯の液晶を見ると、既に二十時を回っていた。もう帰ってもいい時間だ。
「悪いけど、その件は断るよ。それじゃ、また」
「ちょっと待てよ!」
強い力で腕を掴まれ、無理やり向かい合わされた。厳しい顔がそこにあった。
「お前、どうしていつも悲しそうな顔をしてるんだよ!?」
腕を掴む力が緩んだ。振り払って尊を睨み付けてやった。
「なにを訳の分からない事を言ってるんだ。そんな顔一度も……」
「今だってしてるだろ!本を読んでいる時だってムスッとした顔で……、
俺はお前が楽しそうにしている顔なんて、一度も見た事がないぞ!」
「生憎、これが生まれついての顔なんだ。文句を言われる筋合いなんてない。
……だからなに?それが友達になるのとどう関係があるんだ!?
頼むから一人にしてくれよ!」
ここが地上階だったら、間違いなく利用者に白い目で見られるであろう、
大きな声を出してしまった。
冷静になって、感情をむき出しにしてしまった自分にいささか後悔したが、
尊は、先ほどよりも柔らかい表情になっていた。
「関係だったらあるさ。困っている人がいたら助ける、小学校の時教わらなかったか?
俺はそれを実践しているだけだよ」
「意味が分からない」
「分からなくてもいいさ。好きでやってるんだから。それと……」
急に話を切らされたと思ったら、携帯を強奪された。
慣れた手付きで携帯同士を向かい合わせ、しばらくすると返された。
「俺のアドレスと電話番号を交換したから。消したって意味がないからな。それじゃ」
満足したという声でそう言うと、尊は帰ってしまった。
112名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 18:48:27.88 ID:/ctPF5UA
自転車を停めて家に入ろうとした時、受信音が鳴った。
尊からだった。

早速メールをしたぜ。
明日授業が終わったら一緒に遊びに行くから、何時に授業が終わるのか教えて。
金だったらこっちが負担するから、なくても大丈夫だぜ。
それじゃ、お休み。

勝手にメールアドレスと電話番号を交換されなければこんな事にはならなかった。
無視すれば、次には電話が来るに違いない。
言い訳をしても、あの男には通じなさそうだ。
仕方がないので、本当の事を送る事にした。

明日は三時限目で授業が終わる。

送信完了の文字を見て、玄関の鍵を開けた。
突如、柔らかい物に顔が圧迫された。またこれか、とうんざりしてしまう。
「祐ちゃん、こんな時間までなにしてたの!?お姉ちゃん心配したんだよ!」
ここのところ、姉のスキンシップが度を越しているように思えてならない。
起床、就寝時のチューを、家の中では腕組、外では手を繋ぐのをねだるなど、
明らかに姉弟の一線を越えている。全て断ってはいるけど。
「今晩のご飯は、祐ちゃんの大好きなハンバーグだよ。早く食べようよ」
そして、なぜか僕の料理だけは姉が作るというのも異常といえば異常だ。
正直、肉よりは野菜の方が好きなのだけれど、
それを言うと姉になにをされるのか分からない。
「うん……、着替えたらすぐに食べるよ」
いつになったら姉から解放されるのだろう。お先は真っ暗だ。
113名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 18:49:19.80 ID:/ctPF5UA
投稿終了です。サブタイトルは思い付いたけど、
タイトルが思い付きませんでした。なにかいいのはあるでしょうか?
114名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 19:04:15.17 ID:MnVhXSwH
うぉぉぉぉぉGJGJGJ!!!!!
115名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 20:37:05.93 ID:OTHZEDjd
>>113

GJです

タイトルは[足掻く者と蟻地獄]はどうかな?
…ダメだ、良いのが思い付かない
116名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 21:28:20.30 ID:O4tcK0Lc
Gjです。

弟を虐めてた姉が反省してキモ姉になるの良いね。
タイトルは「反省」とか。
117名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 22:50:34.19 ID:JODLhraB
sage
118名無しさん@ピンキー:2011/04/14(木) 23:59:13.81 ID:DHQwUsyM
>>113
トラウマはどうでしょう‥‥

姉の過去に弟を虐めてきたことによって出来たトラウマ

弟の過去に姉に虐められたトラウマってことで‥‥

そういえば虐め姉からキモ姉へと言えば狂依存!

そろそろ来ないかなぁ‥‥‥
119名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 00:27:21.22 ID:Aa712OoR
越えられない壁をもじってタイトル「越えられない姉」
120名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 02:00:46.14 ID:aCJeiqmq
GJです。
タイトルは弟君視点で「Rescue me」どうでしょうか?
ゼブラヘッドの曲名ですが、歌詞もそれっぽいですし。
まだお耳にしてないのであれば、一度ご試聴あれ。
121名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 02:04:26.64 ID:4h4O62GC
シンプルに「反転」とかじゃ駄目かね
122名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 06:57:19.34 ID:CsekpyPR
んじゃ俺は『fake me』で
123名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 15:12:17.61 ID:dMMn6GOH
尊はキモい弟を演じようとしているのか、それともアッー狙いなのか期待が高まる
124名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 15:41:00.59 ID:6+enjVDd
キモ姉妹にクサイセリフをはいてドン引きさせたい
兄「桜の花が散る様に君も僕から離れていく日がくる」
キモウト「…」
125名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 16:28:40.19 ID:gd9JTzs/
キモ姉ハーレムで学校で姉たらしと言われる弟。
126名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 18:02:15.19 ID:5nPmGA2/
>>124
桜が散った後に実を結ばせることを考えると、それは自滅行為。
12735-252:2011/04/15(金) 18:37:40.71 ID:vzGkJmn/
さらっと短いのを。クサい台詞が言えない兄です。
128Heartspeaks 後ろにいる輩:2011/04/15(金) 18:38:44.57 ID:vzGkJmn/
鷹司がパジャマ姿のまま階段を下りてくると、玄関で妹と母が出支度の最中だった。
「あ。お兄ちゃんおはよ」
「おはよう……これから入学式か」
「うん」
鳩子は4月に入って髪を少し短く揃え、さらに今朝は眼鏡をかけていた。
「眼鏡デビューなんだな」
「そう」
(机につっぷして色んなもの眺めたり舐めたりしてたら視力落ちちゃった。てへ。忙しかったのは舌と右手なのになぁ)

身を包む制服は、かつて兄も通った高校のものだった。
鳩子がその場でターンしてみせると、赤いネクタイとスカートの裾がふわりと翻る。
「……どうかな?」
「あ……ああ」
鷹司は小さく息を飲んだ。
「なんか……、後輩、みたいだな」
「みたいじゃなくて後輩でしょ。何言ってんのあんたは」
母親が呆れたような声を出した。鳩子はくすっと笑うと兄に背を向け、真新しい靴に爪先を差し込んだ。
「じゃ、行ってきます」
颯爽と出て行く二人を見送った後、鷹司は廊下に突っ立ったまま頭を掻いた。
「……もっとマシなこと言えよ、俺」

「寺胆州高校まで」
タクシーに乗り込み、運転手に告げる。
「もーあの子ったら。妹の晴れ姿なのに、もうちょっと気の利いた感想はないのかしら」
「あはは……まぁ、あんなもんじゃない?」

(わかってない。わかってないねお母さん! 私は今猛烈に感動しているのYo!!
 お兄ちゃんが私を後輩と! 後輩と呼んだ!! これで はとこは こうはい として 生きてゆくことになった。
 いいですか、「後輩」といえば「妹」に次いで、若き男子の圧倒的な支持を集めるエロスの偶像なのです(※当方調べ)。
 始まりはただ文字通りの先輩後輩という関係でした。だけどバター犬のように自分を慕う後輩の純真なまなざしに、
 お兄ちゃんもだんだんと特別な感情を抱くようになっていくのですよ。性欲とか。
 そしてついにある日、お兄ちゃんの下駄箱に後輩からの手紙が!)
 
(呼び出された場所は、校庭に立つ一本の大きな木。
 その木の下で女の子の方から告白して結ばれたカップルは爆発するという伝説があるのです。
 『先輩! 前世からずっと好きでした! これから毎日私のお味噌汁やその他の汁を飲んでください!!』
 ……お兄ちゃんが私のことを後輩と呼んだのは、私をそういうロマンスでリビドーな存在に感じたということ。
 ちゃんと伝わってるから安心してねお兄ちゃん。私超嬉しいよ!! こんな栄誉がありますか!?
 私生まれ変わったつもりで修業に励む! 後輩マスター目指しちゃう! 前人未到の後輩になってみせるからね!!)
 
(お味噌汁で思い出したけど、お兄ちゃんの靴下はダシが出なくて全然だったなー。一人分しか作らなくて正解だった。
 1週間くらい同じの履いてくれたらいいのに。やっぱ下着も入れなきゃだめか。でも隠蔽工作面倒そう……)

「あ、桜が満開」
「ほんとだ。きれーい」
鳩子は無邪気な声を上げた。

129名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 19:29:16.67 ID:tnnKe5JT
gj
130名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 19:31:11.38 ID:AXARIXwu
これはキモイ妹ですね
131名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 19:59:24.63 ID:aCJeiqmq
>>125
サイコーの設定ですな。
132名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 22:23:56.88 ID:CsekpyPR
kiss×sisですねわかります
133名無しさん@ピンキー:2011/04/15(金) 23:11:25.44 ID:gd9JTzs/
>>132
キスシスは義理なのが残念。血の繋がったキモ姉が良い。
134名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 00:40:23.59 ID:REw8HZRY
妊娠して大きいお腹で学校に行って弟の子供だと言いふらすキモ姉。
これで泥棒猫は寄ってこないはず。
135名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 03:05:31.54 ID:/+vlbhI6
>>134
教師「不純異性交遊ほど許せないものはない。
職員会議の結果退学も有りうるので覚悟するように」
136名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 04:00:45.43 ID:wsRlcN+H
その後、教師の姿を見た者はいなかったと言う……
137名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 07:14:23.40 ID:+DMRQn6t
黒髪ロングの清楚系姉ちゃんとボテ腹セックスしたいぜ
138名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 07:47:30.94 ID:P+bA2sf8
>>137さん、放課後職員室に来なさい。
139名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 07:47:46.31 ID:P+bA2sf8
>>137さん、放課後職員室に来なさい。
140名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 08:15:30.49 ID:P08vbBWa
なるほど教師が姉かありだな
141名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 11:04:35.05 ID:REw8HZRY
弟がボテ腹セックスしたいと言ったらすぐやらせてくれるなんて
本当にキモ姉の鏡だな。
142名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 11:24:31.62 ID:YUWx1NT0
今まで兄以外の人に興味がなかったキモウトが兄との子を生んで母親としてだんだんと社会に馴染んでいく話が読みたい
キモさは変わんない感じで
143名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 11:40:09.67 ID:+DMRQn6t
主人公……高校2年生

姉1………主人公高校の教員

姉2………主人公高校に教育実習

双子………同じ高校(クラス隣)

妹1………同じ高校(1年生)

妹2………特待生として部活のときだけ高校に出入り

他にも幼なじみ、中学時代の女友達、塾の講師、近所のお姉さんなどなど
両親は理事会役員。


こんな電波を受信した。誰か助けて
144名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 11:59:14.98 ID:YUWx1NT0
他にも幼なじみ、中学時代の女友達、塾の講師、近所のお姉さんなどなど

ここ削ったらどうでしょう
145名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 12:18:07.43 ID:REw8HZRY
>>142
キモウトが真人間になると思ったらもう子供がいるのか。
産まれた子供がキモ姉妹だったらどうするか気になる。
146名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 16:26:57.58 ID:bXjkHvuD
>>144
キモ姉妹乙
147名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 17:58:40.58 ID:IE5Y4qRl
キモヲタになればキモ姉妹といえどあきらめるだろ?
フヒヒッ
148名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 18:46:56.73 ID:xdVv8/KO
>>145
> 産まれた子供がキモ姉妹だったらどうするか気になる。

もう結構先例あるでしょ。
149名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 19:11:27.40 ID:REw8HZRY
>>148
そうなんだけど兄以外興味がなかったキモウトが
どんな子育てするか気になったんだ。
150名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 20:11:49.52 ID:JYVSh2Pm
ネグレクトとかの可能性は低いと思う。
大事な大事な「兄との子供」だし。
151名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 21:10:28.54 ID:+DMRQn6t
姉が15歳のとき、弟(12歳)を逆レイプ→強制中出しで妊娠→出産

姉は弟が16になるのを待って結婚(逃避行)するつもりだけど、弟はトラウマで姉を怖がっている。
過剰なスキンシップを嫌がるが両親は姉に脅されていてなにも言えない。
家庭内に心の居場所がない弟を唯一癒やすのが、トラウマの結果であり姉との関係を切れない鎖である子供(娘)の存在。
娘には何の罪もないと愛でる弟。
だが弟は知る由もなかった。娘も姉と同じく近親者への歪んだ愛の持ち主だったと・・・。

空の境界の未来福音で出てきた式と幹也の娘からインスピレーション(?)受けた
152名無しさん@ピンキー:2011/04/16(土) 22:44:19.53 ID:xFxXE2cg
>>151
男なら18じゃね?
153名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 00:26:35.28 ID:gy90qIYY
男の方が教員は?
154名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 00:42:30.45 ID:7U1Wualh
キモ姉の子育て奮闘記。
姉が弟に執着してるのを見て青春を思い出すキモ姉母。
必死に姉弟を引き離そうとする弟父。
キモ姉母に弟攻略アドバイスを受けるキモ姉。
弟父にキモ姉の相談をする弟。
155名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 01:06:42.75 ID:A9fFfeFF
姉じゃなくて妹でお願いします
156名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 02:42:11.67 ID:gy90qIYY
>>154
父「弟よ、諦めるんだ。」
157名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 02:59:14.24 ID:GF9rOxIA
翼をください来い来い
158名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 19:47:18.59 ID:NXHECo6e
>>151
空の境界ってアニメなの?小説?
159名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 20:01:37.64 ID:MsNz0CdD
アニメ化なんてなかった
160名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 20:59:32.33 ID:5YNAT9j6
もとは同人出版→商業出版→アニメ映画化
映画はアリだろ………ってスレチだからやめよう
161名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 22:25:58.00 ID:7U1Wualh
江戸時代から続く由緒正しいキモ姉一族。
162名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 22:33:31.37 ID:BY7EMINv
しかし現代に至って大問題が生じた。

案1 男の子が生まれなかった
これは生まれるまで子作りするか、最悪男の子を養子を取れば済むな。
案2 長子が男の子だった
キモ姉と弟以外に、兄がいて困る理由はないか…。
案3 当代には子供がなかった
幼い姉弟をまとめて養子にとって、英才教育すればOKか…。

駄目だ、茶化しようが思いつかない。
163名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 22:52:38.49 ID:7U1Wualh
>>162
双子が産まれ妹が出来てしまった。
こんなのもあるかな。
164名無しさん@ピンキー:2011/04/17(日) 23:57:41.11 ID:BY7EMINv
おお、最初の子が双子の娘というパターンもありましたな。
キモ姉が二人、弟は一人…。
165名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 03:44:23.75 ID:oecT5ikD
ファイルを漁ってたら過去のキモウトものが出てきたので
投稿します
166悪徳の館:2011/04/18(月) 03:49:54.03 ID:oecT5ikD
 
「おはようございます、ミナ様」
「ごきげんよう、ミナ様」
「ごきげんいいかがですか、ミナ様」
「ミナ様」
「ミナ様」

 送迎のリムジンから人影が降りるや、校庭を埋め尽くす通学中の少女たちが、一斉に振り返る。
 自分に憧れる同級生や、下級生たちの熱い眼差しの中を、水無月千早は悠然と歩を進める。
 それらの憧憬の瞳に、最小限の所作で最大限の効果を伴う笑顔を返しながら、である。
 品行方性。
 眉目秀麗。
 容姿端麗。
 頭脳明晰。
 才色兼備。
 文武両道。
 スポーツ万能。

 この学園に於いて、彼女を賛美する言葉は枚挙に暇が無い。
 まさしく、学園のアイドルにして、カリスマ、マドンナにして、シンボル。
 その家門は、鎌倉時代から続く信濃源氏嫡流の家柄であり、旧幕時代は二万石の大名。そして現在では、多国籍企業・信州グループの総本家にして、筆頭株主。
 この名門お嬢様学校である、私立フローレンス学院理事長の孫娘にして、生徒自治会会長。学内定期テスト不動の首席にして、インターハイ女子テニス個人戦二連覇。
 そして、天保以来の古流剣術・東雲流の目録の腕前。
 まさに文字通り、当校創設以来のミラクルガールであり、彼女のファンクラブには、同級生どころか、上級生すら多数の会員がいるという。
 いまもまた、10人以上の取り巻きに、穏やかな笑みを返しながら校庭を闊歩する彼女は、まるで現実の女子高生には見えない神々しさに、満ち溢れていた。

167悪徳の館:2011/04/18(月) 03:52:24.80 ID:oecT5ikD

 その後方10メートルの地点を、古神秀彦とその双子の妹・姫子が歩く。
 双子と言っても、性別の違う二卵性双生児なので、さほど顔は似ていない。
 背まで伸びた亜麻色の髪を、赤いリボンでまとめた美少女と、その妹と同じ血を引いているとは思えぬほどに貧乏臭い相貌を持つ兄。
 そして兄は、先程から妹に何か言いたいらしく、妙にそわそわしていた。

「――なあ、姫子」
「ん、どしたの兄さん?」
「おまえ、今週の『ぴあ』読んだか?」
「『ぴあ』?」
「今度の日曜、日比谷で“ポイズン”のライブがあるんだ」
「え? 日比谷って、東京の?」
「そりゃそうさ。長野に日比谷はないからな」
「観に行きたいの?」
「ダメ、かな……?」
「ダメかなって、……そんなことアタシに訊いたって仕方ないじゃない?」
「訊いたって仕方ないじゃない、って――とことんサディストだな、お前は」
「あ、やっぱそう思う?」

168悪徳の館:2011/04/18(月) 03:56:39.95 ID:oecT5ikD

 彼ら古神家の一族は、先祖代々、数百年にわたって水無月家に仕えて来た家老の一族であり、その永年にわたって結ばれ続けた姻戚関係は、ほとんど分家筋と呼んでもいいほどに強固なものであった。
 だが天保年間に、当時の古神家当主・古神左京が東雲流という刀術を工夫し、以来剣術指南役に就いたことから、彼ら古神一族の役回りも、藩内政治の表舞台から、藩主家の警護役などの舞台裏に、徐々にシフトチェンジしていくことになる。
 そして、平成の現代においても、家老どころか、運転手兼ボディガード兼秘書といった、やはりスポットライトのあたらない役割を担いつづけている。
 都内一等地に広大な敷地を持つ水無月本家の一角に居を構え、本家当主護衛の任に就く彼ら古神兄妹の父も、例外ではなかった。
 しかし、現在この二人は長野県の水無月家の別邸に、兄妹で一室を与えられていた。
 このフローレンス学院に登校する千早の“御学友”という名目で、彼ら兄妹は東京から呼び寄せられたためである。


「“ポイズン”かぁ……。随分聞いてないなぁ。まだ活動してたんだねえ」
「おいおい、一時期あんなにハマってたじゃないか」
「一時期って言っても、もう昔の話よ。まだアタシらが東京にいた頃の話じゃない」

“ポイズン”とは、もう三年も前に、この兄妹の間だけで流行っていたロックバンドで、『こいつらはいつか必ずメジャーになる』という秀彦の予想によって、CDの類いなども全て、彼の少ない小遣いから購入されていた。
 だが、あにはからんや、彼の予想に反し、そのバンドは、みるみるうちに消えていったのである。

169悪徳の館:2011/04/18(月) 03:58:29.08 ID:oecT5ikD

「でも、意外ね」
「ああ、多分一度解散して再結成したんじゃないかな」
「違うよ。アタシが意外だって言ったのは、彼らがまだ活動してたってことじゃなくて――いや、それも意外だけどさ――未だに“ポイズン”なんか聞きたがる兄さんの趣味よ」
「……悪かったな」
「もっと、クラシックとか無難なの聞いてた方がいいんじゃないの? 最近になってようやく目立たなくなって来たんだからさ」
「……………」

 そう、彼はある意味、前方を歩く千早以上に――いや、この校舎にいる誰よりも目立つ存在だった。
 何故なら、この私立フローレンス学院は、いま現在の名目上は『共学校』であるとは言え、本来はバリバリのお嬢様学校――女子高だったのだ。
 そして彼、古神秀彦は、この学校に籍を置く現在唯一の男子生徒であった。

「――頼むよ! 協力してくれよ姫子。どうしても行きたいんだよ。アリバイ工作に一役買ってくれよ」
「え〜〜、またぁ?」
「週末は、また例のメイド軍団の相手をしなきゃならねえんだ。ふらっといなくなるわけにはいかねえんだよ」
「でもさあ、それって、結果的にはアタシがメイドさんたちに恨まれるってことでしょう? そんなのワリに合わないわよ」
「そこをホラ、なっ? お前ならあいつらを言いくるめられるだろ?」
「え〜〜〜〜、どっしよっかな〜〜〜〜」
「何でもするから、この通り! なっ!?」
170悪徳の館:2011/04/18(月) 03:59:54.37 ID:oecT5ikD

 秀彦がそう言って頭を下げた瞬間、姫子の目がニヤリと笑った。
「いいのぉ? またそんな約束を気安くしちゃって〜」
 そう言って、何かを見透かすような目で兄を見つめる妹。
「また、身体で払ってもらうことになる、かなぁ〜?」
 一方、兄は、そんな妹の、意味ありげな眼差しを避けるように、顔をそらす。
「――仕方ねえだろ?」
「嘘ばっかりぃ」
 そう笑いながら、姫子は兄の尻を撫でる。
「ひっ!?」
「兄さんの――へ、ん、た、い」
「〜〜〜〜〜!!」

 ここは校庭だ。
 しかも今は予鈴直前、通学時間としては最も人が多い時刻だ。
 そして、秀彦はこのお嬢様学校において、ただでさえ珍しい(というより唯一の)現役の男子生徒である。
 つまり、だれが、どこで、彼を見ているか知れたものではない。
171悪徳の館:2011/04/18(月) 04:02:08.69 ID:oecT5ikD

「っっっ!!」
 姫子の囁きに、うなじまで真っ赤にしながら、秀彦は妹の手を払いのけた。
「報酬の支払いは、段取りがキチンと済んでからだ。いいな?」
「ふふっ、そういうことなら任せといて。あさってには話をつけておいて上げる。でもその前に……」
 姫子は兄の腕にしがみつくと、耳元で囁いた。
「“手付”が欲しいなぁ……」
「……今晩、例のところで待ってろ」
「えへへ〜〜、まいどありぃ」
 溢れんばかりの笑顔で、彼女は兄に敬礼をかまし、そのまま校舎に走り去って行った。
「ミナ様ぁ〜〜、おはようございますぅぅぅ〜〜」
 走りながら追い抜いたお嬢様、水無月千早にそう声をかけながら。

 
「でね、そのときアイツは、私に向かってこう言ったの。『そんな程度の予算案では、何も活動できません。会長はわたしたちに解散しろっておっしゃるんですか』って。私、よっぽど言ってやろうかと思ったわよ、『だったら今すぐ解散しなさいな』ってね」
「で、千早ちゃんは言ったの? その科学部の部長さんに、その一言を」
「言えるわけないでしょう。言ってたら今頃、こんな風にのんきに弁当なんかつついていられないわ」
「そりゃ、まあ、相手は一応、最上級生だからねえ。いろいろやりにくいこともあると思うけど」

 今は昼休み。
 ここは生徒会室。
 そこに集まって弁当を食べているのは、水無月千早と古神家の双子ふたり。
 その話題は、昨日の放課後、この生徒会室で行われた、今年度下半期の各部活との予算会議の話である。
 年に二回の予算会議が紛糾するのはいつもの事だが、昨日はそれが更に酷かったらしい。
 千早は、腹にたまりまくったストレスを、これでもかと言わんばかりにぶちまける。
172悪徳の館:2011/04/18(月) 04:03:14.33 ID:oecT5ikD

 本来、この学園に於ける千早のキャラは、それほど能弁でおしゃまなものと認知されていない。
 学園のカリスマは、あくまでもクールで物静かで、いつも笑顔を絶やさない。
 彼女の取り巻きにも、それ以外の不特定多数の“ミナ様原理主義者”も、それが千早の真実だと信じて疑わない。――というより、疑いたくないようだが、当然、千早にも年齢相応の騒がしさや、子供っぽさがある。
 もっとも、この学園生活でそれを発散できるのは、昼休みの、この3人だけでのランチタイムだけなのであるが。

「でも、あれだろ? 予算を削る以上に、その部長さんにはしっかり恥かいてもらったんだろ?」
「当たり前でしょ。後でしっかり言い負かしてやったわ。個人的に二人だけで、だけど」
「怖いね全く、この生徒会長さんは」
 弁当を掻きこみながら秀彦が笑う。
「しかし、公衆の面前でやらなかっただけ、まだマシだ。で、予算はいかほど削ったの?」
「削らないわ。無能な人員から予算を削ったら、ますます何も出来なくなるでしょう? だから尻を叩くだけ叩いて恩を着せてやったわ」
「――さすがだな」
「当然の結論よ」

 そう言いながらも、千早は秀彦に評価されたことが嬉しいのか、頬を染めて彼から目を逸らす。
 千早本人は隠しているつもりなのだろうが、姫子の目から見ても、そのあからさまな態度は奇妙なほどだ。
 元来、自分の弱音など、そのアルカイックスマイルに包んで、全く他人に見せようともしない千早が、この兄にかかれば、子供のように素直になる。

173悪徳の館:2011/04/18(月) 04:04:22.84 ID:oecT5ikD

(ああ、千早ちゃんって……ホント、兄さんのことが好きなんだなぁ)
 姫子は、ずきりという痛みと共に、暗い優越感が胸に走るのを感じた。
(でも、千早ちゃんは知らないんだよね……。そんな兄さんが、千早ちゃんにすら見せない顔を持っているってこと……)

「そうだ、千早ちゃん」
 目を輝かせて秀彦と会話を弾ませる千早の流れをぶった切るように、姫子は話に割って入る。
「今度の週末、ちょっと頼まれてくれないかな」
 秀彦が、目で『おい、一体お前何を言い出す気だ』と訴えてきたが、姫子は気にもしなかった。
「今度の日曜、兄さんったら日比谷にライブを観に行きたいらしいんだけど、ちょっと、アリバイ工作を手伝って欲しいの」

「二人で……行くの?」
 千早は、目をしばしばさせて聞いていたが、姫子は笑った。
「兄さんがって――言ったじゃない。いちいち兄さんなんかにくっついて東京に行くほど、アタシはヒマじゃないわ」
「ああ……そう、そうなの、そうよね? 古神の息子が勝手にそんなことしてるって、本家にバレたらえらいことになるからね」
 千早は、やや安心したような表情を作ると、優しい瞳を秀彦に向けた。
「いいわよ。久しぶりにじっくり羽を伸ばしてらっしゃいな。何かあったら、責任は私がとってあげる」
174悪徳の館:2011/04/18(月) 04:05:32.85 ID:oecT5ikD

 千早のその返答には、むしろ秀彦がうろたえた。
「おいおい、何かあったらって、何も起こらないよ。東京行ってライブ見て帰ってくるだけさ。責任もクソも関係ないって」
「だから、万が一よ。万が一本家にバレたら、私が許可を出したって言ってくれればそれで済むし――」
「おいおい何言ってるんだよ千早。それならそれで『そんな許可を要するようなお願いを千早お嬢様にしたのか』って言われるだけさ。黙って脱け出してきましたって言うより、そっちの方が怒られるよ。結果としてお前を共犯にしちゃってる分だけさ」
「……それは、そうかもね」

 秀彦は、実情はどうあれ、千早の警護役という任を負って、この地にいる。つまり、彼が、護衛されるべきお嬢様に許可を取って遊びに行ったなどということが露見すれば、彼は父親に日本刀で叩き斬られかねない。
「だから、むしろ本家の親父たちがどうっていうより、屋敷のメイドさんたちに隠したいんだ。東京に行く情報の半数は、あの連中のおしゃべりがもとだって言うからな」
「うん、わかった、いいよ。私に出来ることなら何でも協力する」
 嬉しそうに千早が自分の胸をドンと叩く。秀彦の役に立てるのが余程嬉しいのだろう。
 しかし、秀彦がメイドさんたちを警戒する本当の理由を千早が知ったら、一体どういう顔をするだろうか。
 姫子は、いつかそうしてやりたいと思う欲望が、胸の奥でもぞり、と動くのを覚えた。
175悪徳の館:2011/04/18(月) 04:06:41.81 ID:oecT5ikD
今回はここまでです
ではでは
176名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 05:11:41.18 ID:sxUP/VkC


なんかこの作品よんでたら
死んでしまった娘の代わりにその双子の弟を女として育てようと女装させて調教するという狂気に憑かれた母親と
その母親の狂気から兄を救い出そうとしているうちに兄の中性的な魅力にとりつかれてしまい
兄に男を思い出させるためにセックスしてるはずが兄を自分のものにするために兄の男としての意識を守ろうとする妹
という電波がとんできた・・・
疲れてるんだな俺・・・
177名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 05:14:53.29 ID:KHEtc4dO
モルダーあなた疲れているのよ
178名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 06:13:23.07 ID:4Ak2TMyG
>>175
凄い好きな出だした…
久しぶりに脱ぐ時が来たようだな
179名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 11:43:19.49 ID:nyXPWI/j
>>175
Gjです。すでにキモウトの片鱗が見えてますね。

キャラの名前の元ネタは神無月の巫女ですか?
180名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 16:49:19.26 ID:nyXPWI/j
両親が他界して弟を育てるために中卒の処女三十路キモ姉。
181名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 19:56:05.04 ID:nY7PdV6e
面白い作品をいくつか教えて、今続いてる作品でもいいから。
182名無しさん@ピンキー:2011/04/18(月) 21:19:59.32 ID:VFKUY/a7
もうこれテンプレに入れてもいいんじゃないか?
183『きっと、壊れてる』第17話:2011/04/19(火) 01:09:35.10 ID:fjQ06z1P
こんばんは。
『きっと、壊れてる』第17話投下します。
184『きっと、壊れてる』第17話(1/8):2011/04/19(火) 01:10:57.06 ID:fjQ06z1P
何かに躓いたと思い自分の足元を見降ろすと、サンダルの紐が無残にも千切れていた。
壊れてしまった。
無理もない、ここ1週間宛てもなく朝から晩にかけて1日中歩き回っているのだ。
兄さんに拒絶をされた私はそれでも諦めきれず、こうして玉置美佐を擂り潰す事だけが頭の中を渦巻いている。
彼女と結婚し、姉さんと共に捨てられるという現実を直視できなかった私は、間近に迫った受験の事など考える余裕はなかった。
自分の弱さを嘲笑し、今一度心の根底にある最も強い感情を言葉にする。

優柔不断な兄さんに、こちらが躊躇するほどの誠実な言葉を吐かせた玉置美佐。
憎くて仕方ない。
兄さんは姉さんの呪縛から逃れたいだけで相手は誰でも良いのだ、と歪曲しても、
私の内には一度飲み込まれたら這い上がる事は不可能であろう憎悪という感情が、とぐろを巻いていた。

足元にあった石を拾い、右前方にあるコンクリートの壁へと力任せに投げ付けた。
甲高い破裂音のような音が辺りに響き渡り、数秒後静寂が戻る。
静かに悦び、顔の前に掲げた掌を広げると、砂や細かい石が指紋に吸いつく様にこびり付いている。
数秒間掌の上の、普段は気にも留めないような小石を眺めた私は、携帯電話を取り出し設定画面から発信電話番号を非通知にした。
そしてここ最近で一番連絡を取っているであろう、名前も知らない男の番号をリダイヤルした。

敵対関係にある人物と実際に対峙した人間から何の情報も得られないというのは、こうも不安を駆り立てるものなのか。
それとも誰でも良い、私の味方が欲しかっただけなのか。

「はい、もしもし」
「私。悪いけど、やはり例の報告を聞きたいの。いつもの場所に来て」
「電話じゃ駄目なのか?」
「できれば直接の方が良いわね」
「……わかった。じゃあ17時ぐらいでいいか?」
「えぇ、それでいいわ」

ブツッと電話回線が切れる音がすると、腰が抜けそうになるくらいの脱力感に襲われた。
自分から言った「全てが終わるまで接触はしない」という条件を覆す事になったが、それはまだ良い。
私が他人を頼っている。
一人ではもうどうしようもない現状に気付き、今まで侮蔑していた男に「助けてくれ」と頼っているのだ。
悔しさで瞳がぼやけ、私は声にならない悲鳴を上げた。

まだ待ち合わせには時間があるので、家に一旦帰る事にした。
平日なのでこの時間なら二人ともおそらく仕事だろう。
持たされている合鍵で玄関に入り、案の定家の中に誰もいない事を確認した私は、
数年振りに復活している姉さんと私の二人部屋へ戻り、布団の中に閉じこもった。
心が負の感情に蝕まれた時、私は必ず自慰行為をする。
もちろん、心地良い気分の時も行うが、不思議と病んだ心の時の方が快楽というものは深く身体に浸透する。
心細く、人肌が恋しくなった私の心と体は兄さんにしか癒せない。

「楓のここ、すごい濡れてる。いつから?」
「やだっ! そんな事聞かないでよぉ」
兄さんは意地悪な笑みを浮かべながらも、私の頭を撫でてくれた。
薄暗い部屋のベッドという何の面白みのないシチュエーションが、
兄さんが添い寝していると妄想するだけで、花が咲き乱れる庭園に変わる。

私は勇気を出して、真っ白なシーツに隠れている兄さんの股間に手を伸ばした。
先日の飛行機の中や兄さんの部屋では興奮が止まず、痴女紛いの事をしてしまったが、
本当は男性器という物が未知の生物の様で怖い。
それに、もし再び兄さんに拒否されたらと思うと私は自我を保つ自信がない。
185『きっと、壊れてる』第17話(2/8):2011/04/19(火) 01:12:04.55 ID:fjQ06z1P
現実の記憶と妄想を混ぜ合わせ、私に都合の良い世界をこの8畳そこらの部屋に創り上げる。
既に釘でも打てそうな程硬く尖っていた兄さんの男性器は、私の掌で包むとぴくぴくと反応を見せた。
「楓の手は世界一気持ちが良いな。お前と一生このまま過ごしたいよ」
「世界中で浮気でもしているの? 許さないから、そんなの」
「ははっ、物の例えだよ」
そう言って笑いながら兄さんは私の左右の太股を裂き、頭から股間に潜る。
生温かい吐息を一番敏感な部分に感じ、思わず身悶えた。



「やぁぁぁぁ! 汚いよそんな所!」
嫌よ嫌よも好きの内とはよく言ったものだ。
私は一刻も早く兄さんの湿った舌を秘部へ押し付けて欲しくて、兄さんが舐めやすいように腰を浮かした。

「すごい匂い。神秘的で、とても下品な黒真珠みたいだ」
私が妄想する兄さんは少しズレた気障なセリフが好きなようだ。
そして現実の私は、言葉攻めに弱い。
体中の水分を一点に集めたように、とめどなく溢れる愛液で私はその場所を洪水にしていた。
「あんっ! あんっ! もっと唾を出してっ!」
兄さんは私の指示通り、口に潜む水分を絞り出し、私の秘部へと丁寧に塗る。
舌のざらざらとした感触、私の愛液と兄さんの唾液が混ざったヌルヌルの秘液がクリトリスを刺激する。
舌先を尖らせて一点のみを集中して攻撃する兄さんは、ねっとりとした絡みが好みなのだ。

「胸も触ってぇ! 少し強くがいいの!」
私が言うと同時に、兄さんの血管が浮き出た男らしい手が胸を覆った。
私は乳首を弄られるよりも、全体を鷲掴みにされる方が好きだ。
その事を理解しているのか、兄さんは痛みに変わる寸前の強さで私の乳房を揉んだ。
気持ちが良い。
まだ現実の兄さんには触れてもらえない乳房。
本音を言えば今のところ姉さんに私が勝っているのは、この部分ぐらいなのではないか。
しかし、そんなコンプレックスがどうでも良いと思えるほど、兄さんの愛撫はその字の通り愛に溢れ、私を満たす。
掛け布団の中の私だけの理想郷。ここには快楽しかない。

「イクぅぅ! やだっ! 恥ずかしいよぉ!」
「駄目だ。まだ俺は全然楽しんでいないだろう」
口では文句を言っているが、兄さんの表情を柔らかだった。
そうだ、兄さんはいつだって私の味方。
楓がお願いし続ければ、何でも叶えてくれるんだ。

「あんっ……あんっ……兄さん! 楓と結婚するって言って!?」
「楓と結婚する。一生愛すよ、楓」
「ふぃあぁぁぁぁぁぁ!」
私の身体は激しく痙攣し、布団をびしょびしょに濡らす。
鼓動が治まらず、枕を両手で抱き締めた。

数時間後、いつの間にか眠りに落ちていた私が目を覚ますと、いやらしく生臭い匂いが仄かに香っていた。
時計を見ると、謀った様に丁度良い時間。
そろそろ支度をしなければ、とショーツがずり下がったままの私は立ち上がる。
部屋を出る際、なぜだかこの部屋にはもう二度と戻って来ないような気がして、私は布団を綺麗に折り畳んだ。
186『きっと、壊れてる』第17話(3/8):2011/04/19(火) 01:15:08.51 ID:fjQ06z1P
平日の街は思ったよりも人で溢れていた。
コンビニへと向かうOLや、取引先へと向かうのであろうスーツ姿の会社員でごった返している。
学生だろうか、私服の人間も多く、公園のベンチに座り文庫を読む私服の浩介も、特に違和感なく風景に溶け込んでいた。
「お待たせ」
背後から待ち合わせをした人物の声が聞こえると、浩介は振り向いた。
相変わらずの装飾がほとんどない黒くシンプルなワンピースを着こなし、
右手首には去年の誕生日に浩介が贈った腕時計が巻き付けられている。
「久しぶりね……一緒に出掛けるの」
真正面に立ち、浩介の顔を上から見下ろす茜は、目尻を緩めると腕時計の針に視線を移した。

「早く来たつもりだったの。けど兄さんの方が早かったわね」
「あぁ、美容院が予想以上に空いていたからな」
「そう、行きましょうか」
浩介は有給休暇を取得していた。
今夏に起こった様々な出来事に疲れ、体と心に休息が欲しかった。
上司に許可を取る際、嫌味の一つも覚悟していたが、
余程生気のない疲労感漂う顔をしていたのか、ただ一言「ゆっくり休め」と言われた事が浩介には意外だった。

「でも良かったの? せっかくのお休みなのに」
浩介の半歩右斜め後方を歩く茜は、長い黒髪を風に靡かせながら独り言のように呟く。
茜も今日は仕事が入っていない事を知った浩介が、少しでもお互い気が紛れればと誘ったのだった。
「うん、茜の予定は大丈夫だったのか? 」
「えぇ、最近あまり休んでいなかったから。ただ夕方ぐらいに本屋さんに予約した本を受け取りに行くの。帰りに付き合ってね」
「わかった」
少し前までは、毎週のように自分が読破した小説の感想を自分に話していた茜だったが、ここ最近は聞かない事に浩介は気付いた。
しかし、読書は欠かさず続けているようだ。
二人は遠過ぎず近過ぎない距離を保ったまま、雨が上がったばかりの湿った地面の上を歩き出した。

江ノ島電鉄の江ノ島駅で降りると、以前美佐と行った鎌倉の時よりも強い潮の香りが辺りを包んでいた。
数人の男女のグループが楽しそうに浩介と茜を通り過ぎる。
傍に茜がいなければ自分との心情格差を目の当たりにして、醜い感情に心が蝕まれていたかもしれない。
なんて小さい人間なのだ、と自身を貶した浩介は茜の横顔を覗いた。
「綺麗ね」
茜は、すぐそこに見える水平線に眼を向けていた。
思わず「茜もな」と言ってしまいそうになるのを浩介は堪える。
罪悪感を感じた浩介は、「あっちへ行ってみよう」と茜を促し、振り向かずに歩き始めた。

人の多い海水浴場を避け、適当に二人無言のまま歩くと、いつの間にか「恋人の丘」と呼ばれる海が見渡せる高台に辿りついていた。
カップルが当然のように多いのを見た浩介は、苦笑いをしながら目立たない端っこの方へと移動した。
十分に絶景が一望でき、人も疎らな崖側へと陣取る。
砂利が混じった少し薄黒い橙色の砂浜と、白い髭の付いた波を打ち出し母性さえ感じさせる昼間の海を眺めた。
風で飛ばされぬよう帽子を手で押さえた茜は、そこはかとなく憂いの表情をしているように浩介には映った。
「良い天気だな」
「そうね」
近所の顔見知り程度の会話をすると、茜はそのまま浩介に語りかけた。
「ここは恋人の丘と呼ばれているのね」
「……そうだな。すまない、適当に歩いてただけだったから」
そうでなければ、流石の自分もこんな所へ連れては来ないと、浩介は謝罪した。
187『きっと、壊れてる』第17話(4/8):2011/04/19(火) 01:16:19.80 ID:fjQ06z1P
「南京錠で二人の愛を結びつけるのね」
茜の目線を追うと、絵馬を飾る板版のような柵に数えきれないほどの南京錠が、結ばれている。
まじないの一種なのだろう。
売店で南京錠がいくつも売られている。
「私達もやる?」
「……やらないよ」
「冗談よ。どうせすぐに撤去されるでしょうし」
言葉通り興味がなさそうな顔をした茜は、数歩崖の方に近付く。
浩介が茜の真横に移動すると、意外にも青空によく似合う茜の黒髪が風に煽られ鼻先を掠った。
「……もしかして兄さんは、私が結婚に反対してるって思ってる?」
茜は着いたばかりの時と同じように水平線の向こう側を見渡していた。
少し躊躇したが、浩介は本音で答える。
「正直、複雑な感情だろうとは思う。けど俺は謝らない。謝ったら余計茜を辱める気がするから」
自己陶酔気味な発言だったが、今の自分にはこれが精一杯の誠意なのだ、と浩介は崖と高台を隔てる柵の上面を強く握った。
「美佐さんの事は好き?」
「好きに決まってるよ。そうでなければ、意味がない」
浩介は、いつもより少し低い声で答えた。
「そうね、そうでなくては困るわ。兄さんの美佐さんへの愛が深いほど、私が浮かばれるもの」
意味はあまりわからなかったが、浩介は「そうか」と一言呟くと、
座れそうなベンチを数十メートル先に見つけ「座ろう」と茜を誘った。
「その前に、一つだけ」
茜は足を動かさず、浩介の真正面へと向かい立った。
黒いワンピースが潮風に揺られ、茜はどこか儚い雰囲気を纏う。
手を伸ばせば触れる事の出来る距離だったが、浩介には茜がなぜか遠くにいるような感覚を持った。

「私が以前出したクイズ、解けた?」
「クイズ? ……あぁ」
普通の兄妹に戻らないか、と茜に告げた初夏の日の事を思い出した。
クイズとは言っても、茜にしては珍しく整然とは言えない言葉の羅列だったのを、断片的に憶えている。
もう数年前の事のように感じるが、実際はまだ同じ夏に自分は居るのだ、と思うと浩介は自分の不思議な時間感覚が可笑しくなった。

「ごめん、まだ解けてない」
浩介がそう言うと、茜は小さく声を出して笑う。
「でしょうね、兄さんは昔からそういうの苦手だから。始めから期待してなかったわ」
そう言って、茜は一歩近付くとからかう様に浩介の髪を撫でる。
そしてそのまま一人先に砂浜へと歩き出し、数歩進んだ所で振り返った。

「そのかわり、美佐さんと一生添い遂げなければ私は兄さんを許さない。約束できる?」
「あぁ、約束するよ」
浩介にとっては本物の約束だった。もはや自分に迷う事など許されない。
数年前、口先だけで誓った茜との契りとは違い、未来永劫美佐を守ると浩介は茜に約束した。

「今度はもう迷わない。他でもない茜に誓う」
浩介はそう言うと少し大げさに頷き、茜に駆け寄った。
茜は「そう」と嬉しそうに目を細めると、「今日で最後だから許してね」と近付いた浩介の腕を取った。
その後の数時間、晩夏の潮風が鼻を擽る中、二人は最後のデートを楽しんでいた。
188『きっと、壊れてる』第17話(5/8):2011/04/19(火) 01:17:41.66 ID:fjQ06z1P
「早いな、いつも時間ぴったしなのに」
約束の時間3分前に待ち合わせ場所に着いた巧は、既に黒髪の美女がベンチに腰掛けている事に驚いた。
「別に。今日は暇だったのよ」
不貞腐れたような態度が、ここ最近の印象で逆に可愛らしく見えてくる。
人間の第一印象など当てにならないなと巧はクスリと小さく笑った。

「あなたって、アルバイトとかしてないの?」
「いや、してるよ。カラオケ屋で夜間」
自分のプライベート等まったく興味がなさそうな黒髪の美女の質問に、巧は驚きながらも答えた。
「やはり大変なんでしょう? 私はまだ働いた事がないからわからないけど」
「そりゃあ、嫌な事ぐらいあるよ。でもバイト辞めたら遊ぶ金すら無くなっちゃうからな」
「例えば?」
働く事を考えているのか、黒髪の美女はやけに巧のアルバイト話に食いついてきた。

「えっと……そうだな、なぜかは知らないけど、やけに態度がでかいお客さんとか」
「多分、自分が優位と明確な場所でないと自尊心が発揮できないのでしょうね。他には?」
「謎のマイルールを押し通そうとするお客さんかな。さっき採点で100点出たから安くしてくれ、とか」
「多分、自分の意見を言う場所が他にないのでしょうね。会社だか家だかに居場所がない人間と私は予想するわ」
なぜ逐一解説のようなものが入るのか巧には理解できなかったが、
黒髪の美女が生きる難易度が難しい方の人間、である事だけは予想できた。
「……無駄話をしてしまったわね。じゃあ先日の報告を聞こうかしら」
視線を巧の顔から目の前を流れる隅田川に移すと黒髪の美女は、いつもの険のある表情に戻る。
「うん、渡す物は渡したよ」
結局あの封筒の中身は巧にはわからなかった。
けれど、自分が見た限り玉置美佐は動揺などしなかった、という事だけは事実として巧の記憶に残っていた。

「効果は? あの女、怖がっていたでしょう?」
黒髪の美女は期待に満ちた瞳を再び巧の方へ戻す。
開いていた掌が急かすように握り拳へと変わっていく過程を巧は目の当たりにした。

「……そうだな。効果、あると思うよ」
嘘をついた。
玉置美佐は動揺などしていない。
もはや黒髪の美女と自分の力だけでは、大勢は崩れない事を巧は確信していた。
しかし、期待に満ちた瞳で自分の肯定を待つ黒髪の美女を目の前にすると、事実を告げる事などできなかった。

数分間、大して中身のない形だけの報告を終えた時だった。
「こんにちは、お二人さん」
ここに居るはずのない人間の声がした。
巧と向かい合っていた楓は反射的に振り返り、影を追う。
そこには笑みを浮かべているようにも、怒りで表情の制御ができなくなっているようにも見える、
一人の女の姿があった。

獲物との距離を少しずつ詰めるように、テラスの階段を1段ずつ下ると、
美佐は「土日含めて5連休とか、解放感まじパねぇ」と独り言を漏らした。

「あなた、裏切ったのね」
首を捻り、楓は巧に批判的な目線と言葉を浴びせた。
この馬鹿でお人好しな男だけは自分の思うがままに動くと信じていた楓にとって、
ここに自分と巧以外の人間がいる事は、美佐に今すべてを暴かれようとしている事以上の屈辱だった。
189『きっと、壊れてる』第17話(6/8):2011/04/19(火) 01:18:28.30 ID:fjQ06z1P
「違うよ! 俺じゃない!」
巧は困惑した表情を見せ、幼子のように首を振った。

「どうりで待ち合わせの時間が遅いと思った。この人を呼んでいたんでしょう?」
「違う! 俺は裏切ってない!」
顔を赤らめ、興奮気味に無実を主張する巧を尻目に、楓は美佐に向き直り胸部の下に腕を組んだ。
「まぁこの際どうでもいいわ。遅かれ早かれ、あなたとはこうして直接話そうと思っていたの」
「それは光栄だね。でも、楓ちゃんお勉強しなくて良いの? 予備校ってけっこう高いんだよ?」
「あんたには関係ないだろ!」
3人の傍を通り過ぎた老人が驚いた顔で振り返る。
腕を組んだのは、こうでもしなければ殴り掛かってしまいそうな自分を抑える為。
楓の感情は、もはや美麗な容姿からは想像出来ない程、醜く昂ぶっていた。

「ムカつく……何で楓があんたに説教されなきゃいけないの! ……楓の邪魔を」
語彙が一時的に困窮し、自身でも何を言っているかわからないのか、
楓は途中咽る様に言葉を止め、美佐を睨み付けた。

「まぁまぁ落ち着いて。楓ちゃんの顔、般若みたいになってるよ? ハハハッ」
楓の表情を、般若面に例え揶揄した美佐は、笑いながら巧が先程まで座っていたベンチに腰を掛けた。
巧はどうすれば良いのかわからず、美佐と楓の顔を交互に見る。
まだ美佐の方が話が通じる確率が高いと判断し、喉を振り絞り震える声を出した。

「あっあの! 玉置さん! もっもうあんな事は俺がさせないから! 許してあげてください!」
そう懇願した巧は、茶色に染まった頭を、美佐へと精一杯の角度で下げた。
状況からは恣意的な謝罪に思えたが、黙って事の顛末を見届ける程、巧は大人ではなく冷静な人間でもなかった。

「こらこら、ポチ君。謝るのはまだ早いでしょう? まず、なぜ君達が私にちょっかいを出していたのかを説明してもらわないと」
話にならないと言った表情で手を左右に振った美佐は、そのまま言葉を続けた。

「とりあえず、この子に色々指示してたのは楓ちゃんで間違いないよね?」
「……そうよ、あなたに色々嫌がらせを行っていたのはこの私」
悪びれる事もなく、楓は答えた。
「4年前、私の家のポストに入っていた怪文書も?」
「えぇ、そうよ」
「理由は?」
「わかっているでしょ? あなたが邪魔だから。兄さんは渡さない」
半分嘘だった。
浩介が欲しいのは事実だが、楓はなにより玉置美佐という女が気に食わなくて仕方なかった。
「なるほど」
「そもそも貴女、前に一度兄さんと別れたじゃない。どの面下げてまたちょっかい出してるわけ?」

どちらから切り出したかは知らないが十中八九美佐の方からだろう、と楓は予想していた。
相槌だけ打ち、反論してこない美佐に違和感を覚えながらも、楓は思いのたけをすべて吐き出した。

「なんで血が繋がっていないってだけで、貴女が選ばれるの! 楓は相手にすらしてもらえないのに!」
「それは辛いね」
「あの人はまだいいじゃない! 楓が生まれる前から兄さんと一緒にいて! 数年間一緒に住んで!」
「そうだね、先に生まれたってだけなのに、ずるいよね」
「私は普通の妹の権利すら途中で剥奪されたのに!」
そこまで言うと楓の目からは涙が溢れ出し、そのまま呻くようにしゃっくりを繰り返した。

「うんうん、忌憚ないご意見、ありがとう」
楓の剣幕をどこ吹く風、と受け流した美佐は、バッグからミネラルウォーターは入ったペットボトルを取り出し、
一口、水を口に含んだ。
190『きっと、壊れてる』第17話(7/8):2011/04/19(火) 01:20:38.60 ID:fjQ06z1P
「でもね、こういうやり方はお姉さんあまり感心しないなぁ。寂寥感も凄そう」
子供をあやす様に泣き崩れた楓の頭を軽く撫でる振りをすると、美佐は少しだけ口元を緩めた。
巧にはそれが悪意のある笑みにしか見えず、半歩後ずさる。
しかし、先程の応酬の中に違和感を覚えていた巧は、思わず楓に声を掛けた。
「……兄さん……? 村上浩介って人と君は兄妹なのか?」
「あなた……まだいたの? もう用済みだからどこかへ消えて」
楓は巧の方を見向きもせず、鼻声でそう言い放った。
もはや誰も信じる事はできないと言った風に、顔を背ける楓はどこか寂しそうだった。

「質問に答えろよ」
「裏切り者に話す義理はないわ」
「なんだと!」
「まぁまぁ。二人とも落ち着いて? ポチ君は状況を把握できていないようだから、私から説明する。
いいよね? 楓ちゃん。ここまで巻き込んだんだし」
二人の間に割って入った美佐はそれぞれに目配せをすると、巧の腕を引っ張りベンチに座らせた。

「まぁ説明するほど複雑ではないけど、一応ね。まずこの子の名前は村上楓。村上浩介の実の妹。ピチピチの女子高生」
「……極度のブラコンって事ですか?」
「少し違うね。この子はね、実の兄である村上浩介を愛しているの、男性として」
巧は絶句した。
これまでの人生で、実の兄に情意を抱いている人間など見た事も聞いた事もない。
自分の好いた女性が、ある意味自分とは別世界にいたという現実に直面した巧は、
怒りとも嘆きとも取れるこの感情をどうしてよいのかと困惑し、手で顔を覆った。

「で、4年前も今現在も恋人である私が邪魔だったってわけ。健気よねぇ、大好きなお兄ちゃんを盗られたくなくて、
一歩間違えれば犯罪になりそうな事までして……あれ? 犯罪……かな? まぁいいや」
ショックを受けた巧を気にもせず、美佐は続けた。
あくまで冷静に、口元からは笑みを絶やさずに淡々と経緯を語る。

「じゃあ……村上浩介さんが楓さんのお姉さんの元恋人、という話はやっぱり嘘だったんですかね?」
自分の想いは兄に伝えられない。
しかし、みすみす他の女に盗られるのも癪だった、という事だろうか。
それならば、大方の辻褄は合う。

「楓ちゃん、そこまで話してたの?」
「そこまで?」
笑い転げ、「そんな話嘘だよ」と美佐が言うのを信じていた巧は、頭が真っ白になった。
「恋人って言うカテゴリに入るのかは知らないけど、男女の仲だったのは本当だよ。
私はてっきりそっちが犯人だと思ってたもの」

巧の耳には予想しない言葉が次々と襲い掛かってきた。
単語は全て知っている。
だが美佐が紡ぐ文章は、人生で一度も聞いた事がないものばかりだった。

「こんなところかな。意外にシンプルでしょ? 君はどう思う? 私と浩介が一緒になるのが一番合理的で良い選択肢だと思わない?」
「論点が違うわ。私は元より感情論であなたを気に食わないと言っているの」
しばらく黙っていた楓が立ち上がり、美佐を睨み付けた。
目は赤く充血しており、いかにもさっきまで泣いていた顔だ。
「と、言われてもねぇ……浩介は私を選んだんだからそれで終わりでしょ? 正直、休みの日にも君達の相手するのカッタルイんだけどなぁ」
「それは私達が兄妹だから、兄さんは良くない事だと思い込んでいるだけ。あなたを選んだわけじゃない」
落ち着きを取り戻したのか、楓はバッグからリップクリームを取り出すと、唇にそれを塗った。
191『きっと、壊れてる』第17話(8/8):2011/04/19(火) 01:21:52.54 ID:fjQ06z1P
「そうかなぁ? 少なくとも楓ちゃんは選ばれないと思うけど?」
口端を上げ、楓を小馬鹿にしたような笑みを美佐は浮かべた。
「それでも貴女だけは絶対に嫌! 私は認めない!」
「子供だねぇ……イヤイヤ首振ってても、どうにもならない事ってあるよ?」

いつの間にか無数の浅黒い雲が空に姿を現している。
美佐の口調は変わらない。
宥めるわけでもなく、説得するわけでもない。
美佐は明らかに楓を只のワガママな子供と認識していた。
冷静に考えれば、兄に異常な執着を見せる面倒な女が自分の男の妹だった場合、
少なからず億劫になるものだろう。

しかし、楓は美佐に普通ならざるものを感じていた。
だからこそここまで抵抗した。

「……るよ」
その時、しゃがみ込み何かを考えていた巧は立ち上がった。
顔は青ざめており、唇は震えていた。
「何? 言いたい事があるならハッキリ喋ってよ」
「狂ってるよ! あんたら全員! 実の兄を好きになる奴も! 実の妹を受け入れる奴も! それをからかう様に解説する奴も!」

巧は心の内をすべて吐き出すように精一杯の大きい声を出した。
自分の頭に血が昇り、顔が赤らいでいくのがわかる。
それでも、叫ばずにはいられなかった。
「おかしいだろうが! そうだろう? あんたら一度客観的な考え方をした方が良い」
まだ納得がいっていない表情を見せる巧は息を切らし、美佐と楓を睨みつけた。
なぜ自分が腹を立てているのかはわからなかったが、諭さずにはいられなかった。

数秒の沈黙の後、楓は巧に近付くと、髪を掴み強引に手元へと引いた。
「痛てえよ」
「……だから何?」
巧は抵抗を止めた。
楓の声は再び、鼻声になり今にも泣き喚きそうな弱々しさが感じ取れたからだった。
「自分が世間と比較して異端な事ぐらいあなたに言われる前からわかっている。楓もおねーちゃんも、そしておにーちゃんも」
「だったら……」
「だからといって、なぜ咎められなければいけないの?
自分から近付いてきたあなたは別として、楓は誰にも迷惑なんてかけてない」
マネキンのように没個性で生きれば皆満足し、誰もが幸せという道に辿りつけるのかといつも自問自答していた楓は、
攻撃的な体とは対称に、心の奥底に仕舞っていた本音で巧に語り掛けた。
「私には思いっきり掛けてるじゃん」
呆れた顔をして言い放つ美佐のボヤキも聞こえていない巧は、楓の瞳を見つめる。
まともに顔を見ながら喋るのは初めてだ、と巧は心の中で苦笑いした。

「そんな事を言ってんじゃねぇんだよ俺は」
「じゃあ何?」
「どうすんだよ、あんた。この先、一生兄さんを想って独身でも貫くつもりかよ? それが兄さんの為になるとでも思っているのかよ?」
自分の言葉で心変わりする等とは思っていない、それでも巧は楓を放っておく事ができなかった。
兄に恋い焦がれ、一生その想いを貫く事もある種の幸せなのかもしれない。
しかしその辛すぎる想いを、すべての言い訳にはしてほしくなかった。
「くだらねぇ人生だな」
パンッと乾いた音が夕暮れに染まった空に響く。
あまり痛みがなかったためか、巧は今自分が頬を殴られたのだと気付くまで数秒を要した。

「くだらないって何よ! 」
「視野がせめーんだよ! お前、自分の判断がすべて正しい、自分が一番賢いと思っているタイプだろう?」
自分にも向けた言葉だった。
大学に馴染めず、落ちぶれていると自覚したくなかった巧は全てを世の中にせいにしてきた。
黒髪の美女に出会い強く惹かれたのは、おそらく自分と同じ匂いを感じたからなのだろうと巧は今初めて気が付いた。
192『きっと、壊れてる』第17話(9):2011/04/19(火) 01:22:42.65 ID:fjQ06z1P
「……今更だけど、あなたには悪いと思ってる、こんな事に巻き込んで。
でも自分だけの価値観で私達の存在を否定しないで」
いつの間にか、巧の髪を離していた楓は力なく言葉を残すと、俯き鼻を啜った。

「私の存在も否定しちゃいや〜ん」
横から割り込むように美佐が楓の前に立った。
タイミングから見て、自分と巧の価値観の話等どうでも良いのだろう、と察した楓は身構える。

「……本当にふざけた女。兄さんにはあの事を打ち明けたの?」

「あの事?」
惚ける美佐に楓は嫌悪感を覚え、一歩後ずさる。
そして本日帰宅した際に、浩介へ打ち明けようと思っていた件を頭の中で整理し、言葉で美佐へと問いかけた。
「文書でも通告したはずだけど、あなたの事は興信所を使って調べさせてもらったわ。
あなたは18歳の時、おそらくあなた自身一生忘れる事のできない事件を起こしている」

「……大した事じゃないよ。そんなハードル上げないで欲しいな。読者の皆も期待しちゃうじゃん」

「笑わせるわ。貴女の過去を兄さんに告げれば、兄さんは絶対にあなたを捨てる。断言しても良い」
「青いねぇ。世の中100%はないよ」
余裕の表情を崩さない美佐に焦れる楓は、姉ならどうやってこの女を崩すのだろうと考えた。

「万が一兄さんが許したとしても、私はあなたを許さない……いえ、許す事ができない。わかるでしょう?」
「だろうね。心中お察しするよ。でも私達ゴールイン目前だよ? どうする気?」
「……兄さんに直談判するわ……というか、もうしているんだけどね」

楓の視線が自分の背後へと釘付けになっている事に気付いた美佐は、事態を把握する。

「いつから?」
美佐は後ろを振り返らずに声を掛けた。
「『私の存在も否定しちゃいや〜ん』ぐらいからかな」
浩介の背丈の割によく通る高い声が耳に届くと、やっと美佐は振り向き、口端を少し上げ微笑んだ。
「そんな大した事じゃないんだよ? 昔の話だし」
「あぁ、でも聞きたいな」
浩介の視線は美佐を見降ろし、どこか悲しそうな息をしていた。
きっと、大丈夫。何があっても自分の味方だと約束してくれた。
自分のすべてを受け入れてくれると信じ、浩介の瞳を美佐は見つめる。

「私、弟をレイプしたの」

美佐の表情に陰りはなく、むしろその堂々と言い放つ仕草に清々しささえ感じた。
東京湾から通り抜ける生温かい風だけが、その場にいた全員の心を見透かしていた。

第18話へ続く
193『きっと、壊れてる』第17話:2011/04/19(火) 01:24:31.63 ID:fjQ06z1P
以上です。
すいません、/8ではなく/9 でした。
では。
194名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 04:16:18.09 ID:GkkHkNgJ
>>193
乙。 やっぱりな
195名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 04:57:11.33 ID:pKJKAl1h
ここまでいくと逆に歪みねぇな
196名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 05:30:28.47 ID:x5sY7MsB
>>193
>「……大した事じゃないよ。そんなハードル上げないで欲しいな。読者の皆も期待しちゃうじゃん」
はい、期待しました
197 ◆hA93AQ5l82 :2011/04/19(火) 18:04:21.31 ID:DWhvMG8x
前に投稿した108の者だけど、続きが出来たので投稿します。
タイトルはRescue meにしました。後、トリも決めました。
198Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/04/19(火) 18:05:11.66 ID:DWhvMG8x
2話 賽は投げられた

寝起きの、夢現がはっきりしない中、頭を誰かに撫でられた。
壊れ物でも扱うような優しい手付きが心地良い。
こんな事をするのは、この家には一人しかいない。
「姉さん……」
「祐ちゃん、起きたの?」
目を開けると、悪びれた様子のない、姉がそこにあった。
「姉さん、タイマーをセットしてるんだから、起こしにこなくても……」
「今日は祐ちゃんを起こしに来るついでに、一つ聞きたい事があるの」
そう言って、姉が取り出したのは、僕の携帯だった。
「この聖って、誰?」
背筋が震えた。だって、目の前の姉が、僕を虐めていた頃の目をしていたから。
まるで死んだ魚の目のような、そんな目をして。
「ひっ……人の携帯を勝手に見たの?」
「質問に答えてくれないかな、祐ちゃん」
ずいっと、姉が顔を寄せてきた。濁った目が、僕を見つめて離さない。
「私はね、心配なの。祐ちゃんは真面目で素直な良い子なんだけど、
流されやすい所があるから、どこぞの下種に誑かされて、
酷い目に遭うんじゃないかって。
……そうなってからだと遅いから、こうやって聞いてるの。
分かるよね、お姉ちゃんの言ってる意味、祐ちゃん分かるよね?」
ねぇ、ねぇ、ねぇ、とまるで壊れたオルゴールみたいに言葉を継がれる。
水の様に澄み切った声だから、余計に怖い。思わず目を背けてしまった。
「それは……、友達の名前だよ。昨日アドレスを交換したんだ」
「男、女?」
「男だよ」
「そう。……あまり変な場所には行かないでね」
ゆっくりと、姉が離れていった。それにつれてプレッシャーも引いていった。
「祐ちゃん、朝御飯の用意が出来てるから早く下りてきて。今日は出し巻き卵だよ。
自信作だから、お弁当にも入れちゃった」
向き直ってみると、姉は笑っていた。その笑顔のまま、部屋から出て行った。
怖かった。本当に怖かった。最近優しくなったと思ったけれど、
やはり姉は変わっていなかった。早く下りないと、また姉を怒らせてしまいそうだ。
ベッドから降り、服に手を掛けた。
「言い忘れるところだったわ」
突如、少しドアが開いた。隙間から姉の目が覗いた。
「これからは、どんな些細な事でも、ちゃんとお姉ちゃんに知らせてね。
……約束だよ、祐ちゃん」
そう言って、姉は階段を下りていった。
199Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/04/19(火) 18:06:24.23 ID:DWhvMG8x
三時限目の授業が終わった。この授業は必修ではないので、隣に姉がいる。
昨日の就寝前に、尊から待ち合わせ場所の指定があったので、後はそこに行くだけだ。
鞄を手に取ったところで、姉に声を掛けられた。
「祐ちゃん、私も付いていっていいかしら」
「別にいいけど」
別に断る理由はない。姉を連れて外に出た。
姉がなにを考えてるのか、朝の言葉を思い出せば容易に分かる。
思い出しついでに、いい事を思い付いた。姉に尊が下種であると、認めてもらうのだ。
そうすれば、今日尊と遊ぶ話も流れるし、それ以降も付き合う必要はなくなる。
尊の形を見れば、大抵の人が不良崩れと勘違いするだろう。勝算は十分にある。
「聖尊……。どんな奴かしら。……ふふふふふふっ……」
隣で姉がなにか言っている。怖いので無視した。


ぱっと思い付いた作戦なんて、役に立たないという事を僕は身をもって知りました。
待ち合わせ場所である大学正門前にいた尊を見た姉が、
「なんだ、男か」
と、急に興味をなくして帰ってしまったのだ。
そりゃあんまりだよ、姉さん。
尊はどう見たって下種な部類に入る服装をしてるでしょう。
心の中でそう絶叫しても、姉には届かない。
隣で、ポケーと姉の後ろ姿に見惚れてる尊をこちら側に呼び戻した。
時間が惜しいので、内容は自転車を漕ぎながら聞いた。
「最初はボーリングに行くぞ」
ボーリング、地質でも調べるのであろうか。
それを遊びというのかは分からないが、それはそれで楽しそうだ。
200Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/04/19(火) 18:07:09.34 ID:DWhvMG8x
こんなのボーリングじゃない。
目の前で行なわれているのは、どう見ても地面に穴を開ける作業ではなく、
ピンに向かって球を投げているようにしか見えなかった。
「騙したな、尊!」
「はぁ?騙すって、なにを?」
「地質を調べるんじゃなかったのか!?なんだよここは!
タバコ臭いし、うるさいし、まるで吹き溜まりじゃないか!」
「ちょっ……、まさか、ボーリング知らないのか!?」
どうやら、意思の疎通が出来ていなかったらしい。
尊の言っていたボーリングは、遊戯のボーリングであって、
僕の思っていた地質調査のボーリングとは違うものらしい。
物凄く帰りたくなったが、既にお金が払われているので、
仕方なく一ゲームだけする事になった。
球をピンに当てて倒せばいいのだろ、なんだ、簡単じゃん。



なんだろうか、この敗北感は。
スクリーンに映っている僕の名前の横に、FとGの行列が出来ている。
対する尊の横には、ネクタイと三角形の行列。
ボーリングをやった事のない僕でも分かる。このゲーム、僕の完全敗北だと。
「いや、あそこまで芸術的にガーターを決められるなんて、ある意味才能だな、これは」
「尊、うるさい」
こいつ、わざわざ自慢するためにここに来たのではないか。そう勘繰ってしまう。
「もう一ゲームやるか?」
「あたりき!」
だったら、その鼻をへし折ってやるまでだ。
今度はこっちがネクタイと三角形の行列を作ってやる。


「なぁ、祐。そう落ち込むなよ。目が死んでるぞ」
「うるさい、馬鹿」
六ゲームもやって、一つもピンを倒す事が出来なければ、そんな目にもなるさ。
こっちはピンの直前でボールが右に曲がって溝に落ちてしまうから、
あえて左側に立って投げるという工夫をしたのに、今度は左に曲がって溝に落ちたのだ。
きっとあの床下には、誰かが潜んでいて、
ピンの直前で床を微妙に傾けているに違いない。
流石は吹き溜まり、汚い。こんな場所、さっさと出て行ってやる。
201Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/04/19(火) 18:08:03.37 ID:DWhvMG8x
ボーリング場から飛び出し、自転車に跨った辺りで、尊に追いつかれた。
「待てよ、祐。まだ帰るには早すぎるぜ」
「こんなのが続くんだったら、家に帰って寝てる方が遥かにましだよ」
「そんなこと言うなよ。……こっちも考えが足りずに悪かったよ。
次は絶対に大丈夫だから、付いて来てくれ」
尊に腕を掴まれる。次はどこの吹き溜まりに連れて行かれるのか。
帰りたい気持ちは変わらないが、どうせ言っても聞いてくれないのだ。
ならば最後まで付いて行って、失望して帰ってくればいいか。
それで尊との縁も切れる。
「……分かったよ」
吹き溜まりでもなんでも、どこにでも連れて行くがいいさ。



次に連れて来られた吹き溜まりも、相変らずタバコ臭いし、
うるさいし、それに目がチカチカした。
「ここは……?」
「ゲーセンだよ」
「臭い、うるさい、目が痛い、帰りたい」
「……お前の言った苦情はすぐになれるから、とりあえずやろうぜ」
尊に急かされ、とりあえず店の中を見て回る事にした。


格闘ゲーム。僕は殴り合うのは嫌いだから駄目。
UFOキャッチャー。あれは店の貯金箱でしょ。
ダンスゲーム。僕を殺す気。
クイズ。今更感があってやる気にならない。
プリクラ。舐めてんの、尊。
マージャン。やり方知らない。
メダルゲーム。地味。
店内のゲーム機の説明は尊がしてくれた。
それに意見を言ったら、段々尊の語気が弱くなった。
本当の事を言っているだけなのに。どうしたんだろう。
最後に説明されたのが、音ゲーだった。
音楽に合わせて、落ちてくる物体の色に対応するボタンを押すという、
実にシンプルなゲームだ。これだったら僕にも出来そうだ。
じーと見ていたら、尊に察せられてしまった。
「あれやりたいのか、やりたいんだな。よし、やろう」
などと言って、無理やり並ばされた。
その子供に接するような態度にイラッと来たが、黙っておいた。
ボーリングでの件もある。とりあえずはこのゲームをしよう。
今は先にやっている人のやり方を見て覚える事が先決だ。

順番が回ってきた。
尊が、初めてだからボタンは五つでいいよな、と言ってきたが、
それでは意味がないので、最大の九つにした。
モード選択画面が出てきたが、多すぎて訳が分からない。
適当にボタンを押していたら、勝手に始まってしまった。
「ハイスピード、ステルス、ノーミス……。ちょ、上級者でも絶対無理だ、これ!」
尊が後ろで騒いでいるが、もう気にはならなかった。
全神経を、目の前の落ちてくる物体に向けた。
202Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/04/19(火) 18:08:36.36 ID:DWhvMG8x
携帯を見ると、既に二十三時になっていた。
僕はボタンの叩きすぎで真っ赤になった手を振りながら、店の外に出た。
その後ろを尊が興奮冷めやらぬ表情で付いてきた。
「いや〜、奇跡ってあるもんだなぁ〜」
「……」
「まさか十三回目、それもあんなにノルマつぎ込んでパーフェクトを出すなんて」
「少し……、黙っててくれないか、尊」
柄にもなく自棄になってしまった。明日は筋肉痛確定だ。
「とにかく、二度とゲームはやりたくない。もう誘わないでくれよ」
「ほら、また嘘を吐いてる」
「はぁ……?」
また訳の分からない事を尊が言い出した。僕は思わず尊を見つめてしまった。
「ゲームをやっていた時の祐、本当に楽しそうだったぞ。
ミスした時なんか、露骨に悔しがってたし、
パーフェクトを出した時なんか、身体を震わして喜んでたじゃないか」
そんな顔をしていたのだろうか。だとしたらかなり恥かしい。
気が付いたら、駐輪場まで来ていた。
自分の自転車に鍵を差し込んだ辺りで、尊に声を掛けられた。
「お前はもう少し、自分に素直になった方がいいと思うぜ。じゃあな」
一足早く自転車に跨った尊は、その言葉を残して、先に帰ってしまった。
尊の言葉が、妙に引っ掛かった。それがどういう意味かはよく分からなかったが。
でも、分かった事もある。それは、これから先も尊との関係は続くだろうという事だ。
そうなると、またお金が掛かりそうだ。いつまでも尊に借りを作るのもよろしくない。
「少し、お金を稼がなきゃならないか。……アルバイト、面倒臭いなぁ……」
僕は自転車に跨り、ゲーセンを後にした。
203 ◆hA93AQ5l82 :2011/04/19(火) 18:09:51.40 ID:DWhvMG8x
投稿終了です。保管庫の方は、これにしておいてください。
お願いします。
204 ◆hA93AQ5l82 :2011/04/19(火) 19:47:26.48 ID:DWhvMG8x
危うく忘れる所でした。
タイトルを考えてくれた人達、ありがとうございました。
205名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 23:02:07.11 ID:Cqy3J/PW
乙。
キモ姉の魔の手からは逃れられない!
206名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 23:02:16.43 ID:ivYTv86E
Gj。姉の出番はまだ少ないね。
久しぶりに現れた策を使わないタイプのキモ姉だ。
207名無しさん@ピンキー:2011/04/19(火) 23:31:45.63 ID:NXxx7q4M
リキュールってブラコンアンソロジーコミックが凄い良かったぞ
208名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 00:48:44.47 ID:zC5SKcZk
>>207
キモ姉妹がでるの?
209名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 01:26:19.75 ID:ePiefAOe
>>208
あんまりドロドロしたのはないが中々質は高いと感じた
210名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 01:28:09.33 ID:ePiefAOe
>>208
質問に答えてなかった
基本的にキモ姉妹
211名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 01:42:22.67 ID:zC5SKcZk
キモイなら調べてみる。

他スレだけどNTR物の主人公の姉よかった。
ここでも似た題材のssあったよね。
212名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 02:15:13.55 ID:cjttunXl
乙です。
わたしの考えたタイトルを選んでくれるなんて、感激しちゃう!
213 ◆wBXWEIFqSA :2011/04/20(水) 02:28:46.12 ID:8IkPgYvt
こんばんは。
狂依存18話を投下します。
※姉以外とのエロ有りです。
214狂依存 151:2011/04/20(水) 02:29:14.95 ID:8IkPgYvt
「(沙耶さん……)」
授業中も昨日の事が頭から離れなかった。
とにかく昨日の事を謝りたいが、麻由お姉ちゃんが沙耶さんの携帯の番号とメールと履歴も全部消去してしまった為、こちらからは連絡が取れない。
番号のメモもどっかに失くしてしまったし、向こうからも連絡が来ない。
やっぱり、嫌われたよな……。
最近はあの人の事で頭を悩ませていたとはいえ、やはり昨日の出来事はショックだったろうしな。
「(可愛い人であったんだけど……)」
麻由お姉ちゃんの事がなければ、喜んで付き合ってたかも……いや、それが無ければそもそもこういう関係にもならなかったか。
とは言え、やはりちゃんと謝りたい。
今日、帰りに家に直接行ってみるか……。

今日も課外授業に出てた為遅くなってしまったが、帰りに沙耶さんの家に向かう。
一応バイト先のお店にも行ったが、いなかったので直接出向く事にした。
いきなりお邪魔するのはまずいと思うが、向こうから連絡が来ない以上、こうする以外にはない。
いると良いんだけど……。
「だーれだ?」
「うわっ!!」
沙耶さんの家の近くまで来た所、いきなり目の前が真っ暗になり、聞き覚えの声が背後から聞こえた。
この声は……。
「さ、沙耶さん……?」
「えへへ……当たり。良くわかったね。やっぱり、私達は心と心で通じ合ってるんだよ」
沙耶さんは嬉しそうに僕に抱きつき、頬ずりしてくる。
「驚かさないでくださいよ……」
「ここで待ってれば来ると思ったよ。大輝の事だから、絶対に昨日の事を謝りに来ると思ってね。へへ……沙耶、その気持ちだけで嬉しくて濡れちゃいそう」
「ちょっと、変な事言わないで下さい」
絶対に怒ってると思っていたがいつも通りだったので少し安心した。
「昨日は本当にごめんなさい。謝っただけで済まないとは思ってますけど、姉にはもう二度としない様にきつく言っておきましたし、もう絶対にあんな事はさせません。体の方は大丈夫ですか?まだ痛みませんか?」
「うーん……まだ蹴られた所とか少し痛むけど、別に平気だよ。大輝は大丈夫?」
「ええ、まあ何とか」
実はまだ殴られた所は少し痛むけどね。
「麻由ちゃん凄い力だったよね……昨日は本当にごめんなさい。まさか、大輝に暴力を振るうような真似をするとは思わなくて……私が麻由ちゃんを怒らせるような事を言ったせいだよね。本当にごめんね」
「いえ、別に沙耶さんが謝る事はないですよ」
昔は僕がしつこく付きまとっていたのが原因とは言え、毎日の様に殴られていたからな。
でも昨日は昔殴られた時よりずっと痛く感じた。
昔はどんなに殴られても照れ隠しとか、愛情の裏返しとかにしか思ってなかったし、何より楽しんでたフシがあったからあまり痛みは感じなかったけど、昨日はなんて言うか理不尽な痛みを感じた。
昔より麻由お姉ちゃんの力が付いたというのもあるだろうけど……。
「でも昨日は嬉しかったよ。大輝が私の事を必死で守ろうとしてくれて。やっぱり私の事を愛してくれてるんだね……」
「そういう訳ではないですよ。どんな理由があれあんなの見せられて黙って見てる訳にいかないじゃないですか」
「もう、照れなくて良いのに……お礼に今日一日……ううん、一生沙耶の事を好きにしていいからさ……」
「あのですね……また昨日みたいな目に遭いたいんですか?もう僕に付きまとうのは止めてください。僕も迷惑ですし沙耶さんの為でもあるんですよ」
「嫌だよ。沙耶は一生大輝のそばから離れないって決めたんだもん。麻由ちゃんがどうとか関係ない。例え殺されても別れないよ」
「沙耶さん……」
こんな可愛い子にここまで好意を寄せられるのは悪い事ではないのだろうが、今は頭痛の種でしかない。
どうしたら、僕から身を引いてくれるのだろう?
「お願いします……沙耶さんのその気持ちは嬉しいですけど、あなたとは付き合う気は無いんです。姉さんの事もありますし、沙耶さんをこれ以上危険な目に遭わせたくないんです。だから……」
「まだ、そんな事言ってるんだ……沙耶はもう大輝の物になってるの。あなたの一部になって離れなくなってるんだよ。もう何を言っても離れられないし、離れる気もないもんね」
「いい加減にして下さい。どうしてわかってくれないんですか?沙耶さんに好き勝手な事してきたのは謝ります」
「何度言えばわかるの?謝っただけで私の気持ちは変わらないし、もう沙耶の体は大輝無しでは生きていけないの」
沙耶さんは僕の腕をがっちり組んで、鬼気迫る顔で僕に詰め寄ってくる。
215狂依存 152:2011/04/20(水) 02:30:04.62 ID:8IkPgYvt
こんな所で、そんな恥ずかしい事を堂々と言わないで……。
「ほら、麻由ちゃんが来る前に早く家に入って。今日は絶対に沙耶を抱くまで帰さないからね」
いつの間にか沙耶さんの家の前に着き、強引に門の中に押し込められる。
どうしてあんな痛い目に遭ったのに懲りないんだよ……。

「へへ……大輝。昨日はちゃんと見せられなかったけど、今日はじっくりと私の新しい下着姿見てね……」
沙耶さんの部屋に半ば強引に連れてかれた後、昨日と同じように下着にエプロンという格好でお茶を持ってきて、エプロンを撒くって見せ付ける。
確かに可愛らしくて沙耶さんに良く似合ってはいるけど、とてもその姿を見て楽しむ気にはなれない。
「好きでもない人の下着姿なんて見ても、嬉しくないです。やっぱりもう帰りますね」
自分でも信じられないぐらい、冷淡な言葉が自然に出てきた。
もう沙耶さんを傷つけてでも、引き離さないと駄目だ。
「そりゃ私は麻由ちゃん程スタイルも良くないし、センスもないかもしれないけど、大輝も沙耶のエッチな姿を見て少しはドキドキしてるんでしょ。遠慮なんかしなくて良いからさ……」
「もう沙耶さんの体は飽きたんです。だからこれ以上あなたと関係を続けるつもりはありません。
はっきり言って沙耶さんとのセックスは虚しいだけなんですよ」
僕に抱きついて尚も迫ってくる沙耶さんを冷たい言葉を浴びせて強引に突き放し、そのまま部屋から立ち去ろうと立ち上がる。
これだけ言えば、沙耶さんもショックを受けて……
「何を言っても無駄だってわからないの?そう言えば沙耶が大輝の事を嫌いになるとでも思ってるんだろうけど、そんなの有り得ないんだからね」
「え?ちょっと……」
がばっ!
沙耶さんは僕の手を引いて強引に押し倒し、僕に跨ってきた。
「沙耶はね……あなたの全てが好きなの。優しい大輝もエッチな大輝も冷たい大輝も何もかも……大輝の好きなものは全部好きになるし、嫌いなものは全部嫌いになるよ」
「だから、大輝が麻由ちゃんの事好きだっていうなら私も好きだよ。逆に嫌いになったら私も嫌いになる。でも大輝が麻由ちゃんの事嫌いになるなんて有り得ないでしょ?だから私も麻由ちゃんの事嫌いにならないよ」
「ちょっと、沙耶さん。本気でそんな事言ってるんですか?冗談なら……っ!」
「んちゅ……ちゅ、むちゅっ……ちゅっ、ん、んふっ……ん、んん……」
沙耶さんは僕の口を塞ぐように唇を押し付けてキスしてきた。
唇と舌を強引に絡め合わせて、口内を掻き回す様にキスを続ける。
「ん、んく……ちゅっ、んふっ……ちゅっ、ちゅっ、んん、んふっ……はあっ……ふふ……沙耶のキスで大輝のあそこがこんなに勃ってるよ……早く沙耶を押し倒してえ……ちゅ……」
「沙耶さんどいて下さい……何度言えば……ん!んん……」
「ん、ちゅっ、んちゅ、むちゅう……れろっ、べろ……ちゅっ、ちゅ……ん……いちいちうるさいよ……大輝は黙って沙耶を犯してくれれば良いの。本当は私としたいんでしょ……?ほらほら……」
沙耶さんは再びキスをして僕の口を塞いだ後、僕の手を胸に当てて、乳房を揉ませる。
麻由お姉ちゃん程じゃないけど、底々ボリュームもあって触り心地も良い。
「ふふ……沙耶のおっぱい大輝の好きにして良いよ……ほらあ我慢しないで沙耶のエッチなお口におち○ぽぶち込んでえ……」
「沙耶さん……」
目を細めながら、微妙に顔を紅潮させて僕に迫ってくるその様子がいつにも増して色っぽく感じ、徐々に欲情を刺激していく。
この感じ……まるで麻由お姉ちゃんみたいだ。いや……段々似てきている。
「へへ……ほら、こんなにおち○ちんビクビクさせちゃって……きゃっ!」
我慢できなくなり、上に乗ってる沙耶さんを抱きついて押し倒し、下着を剥ぎ取る。
「ああん……そうだよ……それで良いんだよ……そうやって、沙耶を欲望の赴くままに満足するまで犯して……私を麻由お姉ちゃんだと思っても良いから……ん、んん……」
今度は沙耶さんの口を塞ぐようにキスをし、乳房に手をかけ揉みしだく。
「ん、んん……れろ、れろ……んちゅっ、ちゅっ、んちゅっ……はぁっ……あっ、そんなに強く……やっ、あああああんっっ!!」
乳首をこねくり回した後、思いっきり引っ張り弄ぶ。
もう頭の中は沙耶さんに対する欲情でいっぱいになってしまった。
こんな女滅茶苦茶にしてやれ……。
麻由お姉ちゃんに抱いていたような凶悪な欲望を今度は沙耶さんに対して感じるようになった。

216狂依存 153:2011/04/20(水) 02:31:02.54 ID:8IkPgYvt
「いたっ……!はあああんっっ…もう、あなたったら……はっ、や、あああああああぁぁぁぁっっっ!!!」
有無を言わさず、沙耶さんの足を開いて、既に熱くたぎっていた肉棒を沙耶さんの中にぶち込む。
「はんっ!いきなり……はふっ、あんっ!やあああっ、はっ、あんっ……」
いきなり挿入されて少し驚いていたようだったがすぐに慣れて肉棒を締め付け、腰を振りまくる。
もう今は何も考えられない。
沙耶さんの中で気持ち良くなりたい。
「あっ……はふっ……!はんっ、やっ……あんっ!はっ、あっ、はんっ……あっ、あああああぁぁぁぁんっっ!!」
「良いよ……その調子だよ……!もっと……もっと動いて……沙耶を犯しまくってええっっ!!やっ、はっ、はああああんっっ!!」
お望みどおりがむしゃらに沙耶さんの子宮を突きまくって、この目先の快楽を堪能する。
気のせいか、最初の頃より肉棒の締め付けが心地よくなっている気がした。
「はんっ!!うん、そうだよ……沙耶のおまんこ、大輝のおち○ぽに開発されちゃったんだよ……もう大輝以外のおち○ぽは受け入れられないんだから……!はんっ、あっ!」
僕の手を握り、嬉しそうに喘ぎ声を上げながらヨガリ狂う。
その様子を見て、更に欲情を掻き立てられ腰を動かすスピードを自然に速める。
「はんっ、やっ……!あっ、ああっっ!!イクっ……!やんっ!もうイッちゃう……あっ、はああああんっっ!!」
本当にこんな事されて嬉しいのか?
そうなら勝手にやらせて貰おう。
「はんっ!!やっ、イクっ……もう……あっ!やっ、はんっ!!イク、イク……あっ、はんっ……はっ、あああああぁぁぁぁっっっ!!」
どぴゅっっ!!どぴゅるるるるっっっ!!!
思いっきり中で放出し、肉棒を子宮に押し付けてしっかりと精液を叩き込む。
「はあああぁぁぁっっっ……こんなにいっぱい……はんっ、あっ……あっ、はんっ……」
「ふふ……お姉さんの中がそんな気持ちよかったんだ……さあ……続きをしよう。まだまだ終わらせないからね……ちゅっ、んちゅっ……」
沙耶さんは抱きついて来て、更に求めてくる。
だけど……。
「……沙耶さん」
「何?」
やっぱり、この人とは付き合う気になれない。
嫌いでは無いし、悪い人ではないのだろうけどどうしてもそういう目では見れない。
「ごめんなさい……沙耶さんとは付き合う気になれません……こんな事しておいて勝手だとは思いますけど……やっぱり……」
ピンポーン
「っ!?」
沙耶さんの体から離れようとした瞬間、突如として呼び鈴がなった。
「はーい。ごめん、ちょっとどいてね」
「あ、はい……」
沙耶さんはすぐに服を着て下に降り、玄関に向かう。
誰だろう?麻由お姉ちゃんじゃなきゃ良いけど……。

「あ、お母さん。お帰りなさい」
「ただいま。ねえ、誰か来てるの?」
え――?
今、『お母さん』って聞こえたような気が……。
まさか―――?
「うん。ちょっと友達が来てて。お父さんは?」
「急な仕事が入って少し遅くなるって言ってたけど……でも、お友達って?この革靴って……」
「へへ……ちょっと待っててね。今呼んでくるから」
沙耶さんが階段を駆け上がって、この部屋に戻ってくる。
ちょっ!冗談だろ?

「大輝。ほら早くズボン履いて。お母さんに大輝の事紹介するから」
「ま、待ってください!急にそんな事言われても……」
「何言ってるの?今日はそのつもりで呼んだんだよ。私たちは将来結婚するんだから、ちゃんと両親に紹介した上でお付き合いしないとね」
し、しまった……。
そう言えばこの前、沙耶さんを家に送っていった時も両親に紹介するとか何とか言ってたっけ。
あの時は冗談で言ってるのかと思ったけど、まさか今日こんな事になるなんて……。
いや、とりあえずちゃんと着替えて挨拶だけはしないと。
「もう、もたもたしないで。今日は家で夕飯食べて二人の事をじっくり話し合うんだから」
「な!?夕飯なんていいですよ!いきなりそんな事されても親御さんだって困るだろうし……今日は挨拶したらすぐ帰りますから」
「ほら、いいから早く行くよ」
「ちょっと、押さないで……」
制服を整えたら沙耶さんはすぐ僕を部屋から押し出し、下にあるリビングに引っ張って行った。
217狂依存 154:2011/04/20(水) 02:31:52.75 ID:8IkPgYvt
リビングに行くと仕事帰りなのだろうか、スーツ姿で沙耶さんのお母さんと思わしき女性がやや困惑した表情でソファーに座っていた。
やはり、お母さんにとっても突然の事だったのだろう。
「お母さん、紹介するね。こちらは三船大輝君。ほら麻由ちゃんって知ってるでしょ。お母さんも会った事あるよね。その子の弟さんなんだ」
「は、初めまして。三船です……」
「どうも……沙耶の母です。えっと……三船さんは沙耶とはどういう関係で……?」
「え、その……」
思わず沙耶さんをチラっと見る。何て説明すれば良いんだ?
友達の弟ってだけでわざわざ家に来るなんて普通無い訳だし……。
「へへ……私達お付き合いしてるんだ……1ヶ月ぐらい前からね」
「ちょっ!何言って……」
「そうだよね?」
僕の腕をガッチリと組み、さりげなく足を踏んできた。
「付き合ってるって……三船さん……でしたっけ。失礼ですが、あなたお幾つなのですか?」
「あ、はい。18歳、高校3年です」
「麻由ちゃんの家に遊びに行った時に知り合って、それで仲良くなったんだ。折角付き合う事になったんだから、早い内に紹介しておこうと思って。ねえ、今日家で晩御飯食べてって貰おうと思ってるんだけど良いよね?」
「ええ?いや、そんな悪いですよ……それに僕達付き合ってる訳では……」
「へへ……ちょっと照れ屋さんだけど、そんな所も素敵なんだよ……」
「ちょっと、止めて下さい……」
目の前にお母さんがいるにも関わらず、堂々と僕の腕を組んで頬ずりしてくる沙耶さん。
「沙耶、止しなさい。困ってるでしょ」
「はーい……」
お母さんに注意され渋々離れる。
「すみません……色々迷惑かけているみたいで……」
「い、いえ!僕の方こそ普段から沙耶さんにはお世話になりっぱなしで……」
娘さんに言い寄られて迷惑していますとは流石に言えない……。
「ねえ、大輝。晩御飯家で食べて行くよね?頑張ってご馳走作るからさ。お母さんも良いよね?」
「え?それは別に構わないけど……」
「い、いや!今日は本当にちょっと挨拶しに寄っただけなんで!あまり遅くなると姉も心配しますし、もうこれで……」
とにかく早くこの家から出たい。
沙耶さんのお母さんも突然見ず知らずの男を連れて来たからか、少し迷惑そうな顔をしているので、はっきり言って少し居心地も悪いし、これ以上長居したら面倒な事になるのは火を見るより明らかだ。
「もう、遠慮しないの。麻由ちゃんにはちゃんと連絡すれば大丈夫だよ。それにちゃんとお父さんにも挨拶しないと駄目でしょ」
この場を去ろうとする僕の袖を引き、強引に引き止める沙耶さん。
「(沙耶さん、お願いですから今日はもう帰して下さい。そんなつもりで来たんじゃ無いんですから)」
「え?夕飯はカツカレーが食べたいって?わかった。じゃあ出来るまで私の部屋で待ってて。お母さん、今日は私が夕飯作るから」
「ちょっ!誰もそんな事……!」
お母さんに聞こえないように耳元で小声で帰らせて欲しいと囁いたが、沙耶さんは完全に無視して僕が言った事と真逆のことを言い放った後、そのまま台所に行ってしまった。
「あの……娘もああ言っている事ですし、今日はどうぞ家で夕飯を食べて行って下さい」
「は、はあ……」
どうしよう?何か帰りづらい雰囲気になってしまった……。
「それじゃあ、私も着替えますので三船さんはどうぞ娘の部屋でゆっくりくつろいでいって下さい」
「……は、はい」
沙耶さんのお母さんも少し居辛いのか、そう言うとそそくさとリビングから出て行った。
どうする?このまま隙を見て帰ってしまおうか?
しばらく呆然と突っ立ってた後、リビングから出て廊下で台所の様子を伺うと沙耶さんが鼻歌を歌いながら上機嫌な顔をして夕飯の仕度に取り掛かっていた。
今のうちに気づかれない様に……
「ちゃんと部屋で待っていてね、ダーリン♪腕によりをかけて作ってあげるから」
沙耶さんはキッチンで野菜を切りながら、上機嫌な声で僕に部屋に戻れと呟く。気づかれていたか……。
218狂依存 155:2011/04/20(水) 02:32:29.96 ID:8IkPgYvt
「沙耶さん……お願いです。今日はもう帰して下さい。姉の事もありますし」
「今、愛情をたっぷりと込めたカツカレーを作るからね。あ、辛口が良いかな?」
「いい加減にして下さい。気持ちは嬉しいですけど……」
ピンポーン
「ん?誰だろう?はーい」
全く噛み合わない会話の途中で呼び鈴が鳴り、沙耶さんが玄関へと赴く。
「あ、私が出るわ。はーい」
沙耶さんが出る前に沙耶さんのお母さんが玄関に出る。
「どちらさまですか?あら……」
「こんばんは。あの、沙耶さんはいますか?」
ん?この声は……?
「ああ。麻由さんでしたっけ。ちょっと待ってて下さい。沙耶ー」
「むう……麻由ちゃんが来ちゃったか……はーい」
お母さんに呼ばれて、沙耶さんが玄関へと行き、僕もその後に続く。
やっぱり、麻由お姉ちゃんだったか……。

「はい。ああ、麻由ちゃん。どうしたの?こんな時間に?」
「どうしたの?じゃないわよ。大輝を迎えに来たに決まってるじゃない」
「ええー。今日は私の家で夕飯食べる事になってるんだけどなあ。良かったら麻由ちゃんも一緒に……」
「あの!こうして姉も迎えに来た事だし、今日はやっぱり帰りますね……」
助かった……!この機会に早くこの家を出よう。
「駄目。今日は絶対に家で夕飯を食べて貰うんだから」
家から出ようとすると沙耶さんががっちりと腕を組んで、阻止する。
「一体、どうしたの?」
玄関で言い合いをしている最中に、沙耶さんのお母さんが騒ぎを聞きつけ、再び玄関へとやってきた。
「あ、おばさん。急な用事が出来て、弟を迎えに来たんです。すみません、折角お誘い頂いたのに……」
「あら、そうなの。残念ね」
「本当に申し訳ありません。さ、いくわよ」
「あ、うん……それじゃあ、沙耶さん。お邪魔しました」
「ちょっと、待って……!」
この好機を逃すまいと、沙耶さんの腕を振りほどき、麻由お姉ちゃんと一緒に玄関を出て家を後にし、門の傍に止めてあった家の車に乗り込む。
本当に助かった……。
車に乗った後、心からそう思い安堵の息をつく。
「麻由お姉ちゃん、良く僕が沙耶さんの家に来てるってわかったね」
「あなたの事だから、昨日の事を謝りに沙耶の家に行くと思ったわ。帰りが少し遅いから嫌な予感がして迎えに来たの」
「はは……謝ってすぐ帰るつもりだったんだけどね。今日は本当に助かったよ。ありがとう」
「べ、別にお礼を言われる様な事じゃないわよ。ただあの女にはもう二度と近づかないようにして。わかったわね」
「うん」
僕がお礼を言うと麻由お姉ちゃんは少し照れた様な表情をし、その仕草が無性に可愛く思えた。
こうやって照れ隠ししてる麻由お姉ちゃんも可愛いな……。

「ふう……」
家に帰り、自室で着替えた後ベッドに座り込んで息をつく。
今日は本当に麻由お姉ちゃんに助けられた。
こんなにも麻由お姉ちゃんに感謝したのはいつ以来だろう?
沙耶さんが夕飯を作り終える前に来てくれて良かった。
「でも、今日は逃げられたけど沙耶さんとの関係はこれからどうするか考えないと……」
「あの女と会わないようにすれば良いのよ」
「え?」
声がしたので、顔を上げると麻由お姉ちゃんがいつの間にか目の前に立っていた。
219狂依存 156:2011/04/20(水) 02:33:15.79 ID:8IkPgYvt
「会わないようにすれば良いって、どうやって……?」
「最初からこうすれば良かったんだわ……」
「はっ?」
プス
「え?」
麻由お姉ちゃんが抱きついた後、首筋に何か突き刺された様な感触がした。
何を……?うっ……。
「あっ、がっ……」
何だ?急に意識が……。
バタッ

……

「うっ……」
何だ……?どうしたんだ……?
「ようやくお目覚め?」
「え?」
うっすらと目を開けると、麻由お姉ちゃんの声が聞こえたので重い顔を上げる。
「そ、その格好どうしたの?」
目の前にいた麻由お姉ちゃんは下着姿とガーターベルトという艶かしい姿で僕の前に立っていた。
「あら?どうしたのじゃないわよ。いつもお姉ちゃんの裸見てるんだから、このぐらいの格好で驚くことないでしょ」
「それは、そうだえけど……」
いや、それより……。
「ね、ねえ……手が動かないんだけど……」
目を開けて見る後ろ手に縛られて動けなくなっている。いや、それよりここは何処だ!?
僕の部屋では無い―――蝋燭の灯りが何本か照らされた薄暗く、狭い部屋に麻由お姉ちゃんと二人っきりでいた。
「ごめんなさい……あなたを凶悪なストーカーから守る為なの。わかるわよね?」
いや、だからって何でこんな所に……?
「ほら……早く始めるわよ。お姉ちゃんとセックスしたいんでしょ……んっ……」
麻由お姉ちゃんは僕に抱きついてキスを始めてきた。
「ん、んん……ちゅっ……ん、んふっ、ちゅ、んちゅっ……んん……ちゅうっ……さあ、おっぱいしゃぶってえ……あんっ……」
「ま、麻由お姉ちゃん……ん……ここは何処なの?一体何をしたの?」
「うるさいわね……ほら、さっさと麻由お姉ちゃんのおっぱいを味わいなさい。ん……」
僕の口を封じる様に顔に乳房を押し付け、股間を肉棒に擦り付ける。
「ああんっ……こんな状況でもお姉ちゃんにおっぱい押し付けられて勃起しちゃうなんて……本当にエッチなのね。これからはそうやって私とセックスする事だけ考えなさい……」
「あふっ……んっ……麻由お姉ちゃん、お願いだから質問に答えて……ここはど……ん、んん……」
「ん、ちゅっ、ちゅるっ……んちゅっ、れろ、ちゅっ、んちゅっ……れろ、むちゅっ、んん……ほら、入れるわよ……」
「いや、話を……」
「そら……はんっ!あっ、はんっ、はあああああぁぁぁぁぁっっ!!」
キスをしながら肉棒を股間に擦りつけ、十分に勃起させてから一気に腰を落として挿入し腰をガンガン押し当てる。
「はんっ!!あんっ……良いわ……あなたのおち○ぽ最高よ……!はんっ、やっ……ああっ、あああんっっ!!」
中でぎゅうぎゅうにち○ぽを締め付けながら、僕に抱きついて腰を揺り動かし、淫らに声を上げヨガる。
こんな異常な状況でも麻由お姉ちゃんの膣の中は最高に気持ちよく、瞬く間に快楽で頭がいっぱいになってしまった。
「あんっ!はあっ……あんっ!ほらっ……さっさと出してお姉ちゃんにち○ぽミルク飲ませなさい……はむっ……ちゅっ……」
耳たぶを軽く噛み、更に肉棒を刺激させて腰を押し付けるスピードを速め、締め付けもきつくする。
麻由お姉ちゃんの中で擦り付けられる快楽で早くも射精寸前に追い込まれてしまった。
「はんっ!あっ、あああんっっ!!やっ……!はああんっっ!!イクのね……良いわよ……早くお姉ちゃんのおまんこに思いっきり出してえっ……はんっ!!やっ!ああああっっ!!」
麻由お姉ちゃんもラストスパートをかけて腰を打ちつけ、自然に僕も肉棒を突き上げて一緒に腰を動かす。
もうイキそう……。
「あんっ!!そんな、強く……あんっっ!!やっ、イクっ……イっちゃう……!あんっ、やっ、あんっ……あっ、はああああぁぁぁぁっっ!!」
びゅくっっ!!どぴゅるるるううぅぅぅっっっ!!!
肉棒を突き上げながら、麻由お姉ちゃんの子宮に思いっきり射精しザーメンを叩き込む。
後ろ手を縛られて身動きが出来ず、ここが何処だかわからないまという異常な状況下でも麻由お姉ちゃんの体がもたらす快楽には抗えず、射精は中々止まらない。
「はんっ……あ、ああああぁぁぁぁんっっ……はんっ!ふふふ……こんなにいっぱい出しちゃって……いつ、どんな時でもあなたは麻由お姉ちゃんとセックスしたくてしたくて堪らない程、好きなのね……」
「ねえ、麻由お姉ちゃん。もう良いでしょ?ここが何処なのか教えてよ……んっ……!」
「ふ、んふっ……ちゅっ、んちゅっ……ちゅ、ちゅっ、ちゅっ、んちゅっ、れろ……ちゅっ、むちゅっ、んん……」
僕が質問するとそれを黙れと言わんばかりに再びキスをして口を塞ぐ。
220狂依存 157:2011/04/20(水) 02:34:17.91 ID:8IkPgYvt
丁寧に唇をついばむようにキスを繰り返し、舌を絡めて口の中をかき回す。
その麻由お姉ちゃんのキスが蕩ける様に気持ち良くて、また頭の中が徐々に快楽に支配されていった。
「ん、んちゅっ…ちゅっ、ちゅっ、れろ、れろ……ちゅっ、んん……んはぁっ……今度はおっぱいでおち○ぽしごくわよ……」
「ね、ねえ、話を……」

僕の言う事など全く無視し、再び勃起しかかってた肉棒に乳房を挟み、パイズリを始める。
これをやられるとまたしばらく快楽で何も考えられなくなってしまう……。
「ほら……ん、んん……ふふ……面白い様に私のおっぱいの中で大きくなっていくわね……ん、んちゅっ、ん、んふ……」
「麻由お姉ちゃん、いい加減に質問に答えて。ここは一体……」
「ん、んちゅっ……静かにしないとこのち○ぽ噛み切るわよ……はむ、ちゅる……」
「ひっ……」
僕を一瞬脅す様な目線で睨み付けて怯ませた後、再び乳房で肉棒を擦りながら先端をしゃぶる。
そう言えば以前にも同じような事を言われて、その時は本当に噛んできたんだっけ……。
「くすくす……そうよ……大人しくしないと本当に噛んじゃうから、黙ってお姉ちゃんに身を委ねなさい……ん、んちゅっ……」
乳房で肉棒を押し上げるように揺り動かし、その度に柔らかい乳房が擦れる感触で肉棒が熱くたぎってくる。
麻由お姉ちゃんのパイズリやフェラは何度やられても慣れる事は無い。
やれる度に頭がおかしくなるぐらい気持ち良いし、実際あまりの快楽で本当におかしくなってるかもしれない。
「ふふ……心配しないで……したくなったら、いつでもやってあげるから……はむ……ちゅっ、んちゅっ……ちゅっ…」
亀頭を舌でもったいつける様にチロチロと舐めて、肉棒を乳房と口で弄ぶ。
体が快楽のあまり火照ってきて、おかしくなりそうだ……。
「くすくす……ほら、さっさと出しなさい……ん、んちゅっ、はむっ、ちゅっ……ちゅっ、んちゅっ、ちゅっ……」
更に擦りつけるスピードを上げ、肉棒を絶頂に導く。
「ん、んん……ちゅっ、ちゅぷっ……ん、んふっ……ちゅっ、ん、んふっ……ちゅっ……」
どぴゅっっ!!びゅくるるるるるるっっ!!!
麻由お姉ちゃんの口内で思いっきり射精し、喉の奥にザーメンを流し込む。
2回目……いや、今日だけで3回目の射精なのにどんどん精液が出てくる。
本気で体がおかしくなってしまったんじゃないくらい、射精が止まらない。
「はむ……ん、んんく……ちゅっ、ちゅぷ……ごくっ……はぁっ……ちゅっ、ちゅぷっ……」
麻由お姉ちゃんは精液をしっかりと飲み込み、舌先を丁寧にしゃぶって残りカスも舐め取る。
まだまだ体の火照りが止まらない……。
「麻由お姉ちゃん……」
「くすくす……火がついたみたいね……いいわよ……気の済むまで麻由お姉ちゃんを犯しなさい……」
そう言うと、妖しげな笑みを浮かべながら手を縛っていた縄を外し、軽くキスし胸を押し付ける。
もっとやりたい……。
「きゃんっ!あっ、やあああぁぁん…そうよ……いつもみたいにガンガン麻由お姉ちゃんを犯してえ……あっ、はああああぁぁっっ!!」
欲情に支配された体の火照りを我慢できなくなって麻由お姉ちゃんを押し倒し、体を思いのままにひたすら貪り、犯しつくす。
蝋燭に照らされた薄暗い部屋で気を失うまで、麻由お姉ちゃんを犯し続けた。
「はああんっっ!!やんっ……!はっ、ああああぁぁぁんっっ!!良いわ……またイクっ、あっ!イっちゃうっっ!!あっ、ああああぁぁぁっっ!!!」

「それじゃあ、お邪魔しました」
「あっ、待って」
バタンっ
「もう……」
折角、両親に紹介して大輝と私の仲を周りに認知させて逃げ場を無くそうとしたのにそれを阻止するかの如く。麻由ちゃんが大輝を強引に連れ帰ってしまった。
頑張って大輝の好物のカレーを作って食べさせてあげようと思ったのに……。

「沙耶。沙耶」
「えっ?」
「どうしたの?ボーっとしちゃって?」
「えっ、ううん別に。ちょっと残念だなって思って」
「そう……ねえ、三船さん帰っちゃたけど夕飯どうする?」
「せっかく準備したんだし私が作るよ。カツカレーで良いよね?」
台所に向かい、夕飯の仕度の続きに取り掛かる。一応4人分作っておくか……。
カツだけでも後で届けよう。
221狂依存 158:2011/04/20(水) 02:34:50.40 ID:8IkPgYvt
「今日の夕飯は沙耶が作ったのか?」
「うん」
ちょうど夕飯が出来た頃にお父さんも帰ってきたのでしばらくぶりに家族全員で夕飯を食べる。
いつもは二人とも仕事が忙しくて帰りが遅いため、三人で食事というのはあまりない。
二人とも帰りが遅くなる時は大抵外食で済ませてしまう。
本当だったらこの食卓の中に私の未来の夫も加わるはずだったのに、麻由ちゃんが余計な事をしたせいで……。
「(大輝が好きな物は私も全部好きって言ったけど……)」
やっぱり麻由ちゃんは邪魔だ。
麻由ちゃんが大輝を縛り付けて苦しめてるんだ。
「今日は沙耶のお友達が来て、一緒に夕飯を食べる予定だったのだけど急用が出来たとか言って、帰っちゃったのよ」
お母さんが私の方をチラリと見て、お父さんにさっきの事を話す。
「違うよ。友達じゃないよ」
「え?」
『友達』だなんて言ったのは私に気を遣ったつもりなんだろう。だけど、それは無用な気遣い。
「友達じゃなくて彼氏だもん」

「ふう……」
食事し終わった後、自室のベッドに寝転がってため息をつく。
あの後、両親に大輝の事を色々話したけど、何か少し気まずい雰囲気になってそのまま有耶無耶になってしまった。
お父さんもお母さんもはっきりと交際に反対はしなかったが、相手が高校生だからなのかあまり良い顔はしてなかった。
本当に良い子なのに……。まあ良いや。
既成事実さえ作ってしまえば嫌でも認めるしかないのだから、焦ることは無い。
「そうだよね、ダーリン」
携帯で隠し撮りした大輝の写真やアルバムに保存した写真に語りかける。
「へへ……今日も何十枚もダーリンの素顔を記録しちゃった……」
もう携帯の内部メモリもアルバムも大輝の写真でいっぱいになってしまった
これだけ私が彼を愛しているって証なんだろう。
「あんっ……もう……」
何気ない立ち姿の写真を見ただけで、興奮してきてしまいヴァギナに指を入れて自慰を始める。
「はあんっ……!あんっ……ダーリン……」
愛する人の事を想いながら、指をぐちゅぐちゅと中で引っかき回す。
今まであまりオナニーはした事はなかったけど、大輝と付き合ってからはすっかり日課になってしまった。
写真だけじゃ足りないよ……。
「はむ……あんっ……良い匂い……」
引き出しからハンカチを取り出し、口に咥えて、指を動かすスピードを速める。
このハンカチは以前公園でセックスした時、大輝がおち○ぽを拭いた私のハンカチ。
あれ以来洗っておらず、精液ですっかり黄ばんでゴワゴワになってしまったが、今は一番の私の宝物。
だって彼の愛がたっぷりと染み込んだ物なんだから。
「はふっ……ああっ……良い匂い……これが愛の匂いなんだね……」
彼の愛が詰まってると思っただけでアソコがどんどん濡れてきちゃう……。
こんな所傍から見たら、どう見ても変質者にしか見えないだろう。
「はむ……ちゅっ、んちゅ……れろっ……ああ……大輝の愛の味がするよ……」
ハンカチをくちゃくちゃとしゃぶりつき、愛する人の愛の味を堪能する。
どうしよう?沙耶、完全に狂っちゃった……。
「はあんっ……あっ!でもとっても幸せ……」
だから、もっともっと狂っちゃおう。どんどん狂わせて沙耶をおかしくして。
人を愛するのがこんなに幸せな事だったなんて……。
「はあっ!あんっ、やっ!はああああんっっ!!」
そう思ったら、更に疼いて愛液でぐちょぐちょにおまんこが濡れてきてしまい、突っ込んだ指を引っ掻き回す勢いも速くなる。
「ああんっっ!!あっ……指だけじゃ足りない……」
体の疼きがいつになく止められなくなってしまった。
もう大輝の愛無しに生きられない体になっちゃたのだろう。
「へへ……そうだ。今から大輝の家に行っておち○ぽを入れてもらおう」
いつも通りなら、今頃大輝は夕飯も食べ終わってお風呂で麻由ちゃんとセックスしてる最中だ。
今日は麻由ちゃんに邪魔されたから、今度は私が割り込んで邪魔してしまおう。
ダーリンも喜ぶだろうな……可愛い彼女と綺麗なお姉ちゃんの3人同時に出来るんだから。
両手に花って奴だよね。
222狂依存 159:2011/04/20(水) 02:35:27.36 ID:8IkPgYvt
「待っててね。お風呂に入って体を綺麗にしたら、すぐに行くから」
アルバムにある大輝の写真にキスしてから、急いでバスルームに向かう。
夫婦の営みの前に念入りに体を綺麗にしておかないとね。

「うっ……」
ここは……?そうだ、麻由お姉ちゃんと……。
変な所に連れ込まれて、それで……。
蝋燭が2、3本点いてるだけの薄暗い部屋を見渡して見る。
いや、良く見ると見覚えがある。ここは……。
「家の屋根裏部屋じゃないか……」
そうだ、何年も入ってないからすっかり忘れていた。
ここは確か麻由お姉ちゃんが子供の頃隠し部屋に使っていた、屋根裏にある小部屋。
麻由お姉ちゃんの部屋には鍵がついてないので僕が無断で良く入って来て、麻由お姉ちゃんの着替えを偶然を装って見ようとしたり、色々邪魔になる様な事をしていたので、試験前なんかは僕に邪魔されないように、ここに入って良く勉強していた。
部屋の隅に小さな机とデスクライトと懐中電灯も置いてあるし床に何故か布団も敷いてある。
麻由お姉ちゃんの押入れの中にある天井が入り口なのだが、ここに潜り込まれると中から鍵をかけられてたのか、入口が開かなかったので侵入する事が出来なかったので歯がゆい思いをした事が良くあったけな。
「何だ……ここは家だったのか……」
正直、少しホッとした。何処だかわからない所に監禁されるよりはまだマシだしな。
「ようやく気づいた様ね」
「えっ!?」
背後から突然声がしたので、振り返ると麻由お姉ちゃんがいた。
「ま、まだいたの……?わっ!」
振り返った途端に僕を布団に押し倒し、跨ってきた。
「ちょっと、麻由お姉ちゃん。こんな所に閉じ込めてどういうつも……んっ!」
麻由お姉ちゃんは体を倒して、またキスをして僕の口を塞いだ。
「ん、んちゅっ、ちゅっ、んふっ……ちゅっ……さあ、まだまだやるわよ。あなたはここでずっと大好きな麻由お姉ちゃんとセックスするんだから……」
「ずっとって……ちょっと早く出してよ!学校の課題もやらないといけないし……」
「学校はしばらく休みなさい。ほら行くわよ……」
肉棒を再びズボンから引きずり出して、股間に擦り付けて刺激を与える。
「麻由お姉ちゃん、これ以上は本当にもう……」
「何がもうよ。私のおまんこに擦られて大きくなってるくせに……ん、んん……ふふ、さあ入れるわよ」
「待って、もう……」
勃起した肉棒をつかみ、一気に体を沈みこませてまた挿入する。
「ふっ、はあああぁぁぁんっっ!!あっ、はああんっっ!!あっ、はんっ!!」
「ふふ……ほらほら、もっと腰動かしてお姉ちゃん満足させなさい。あっ、はあああんっっ!!」

お風呂から出た後、すぐに着替えて準備をする。
車は駐車スペースがないから、自転車で行くか。
今日作ったカツもお裾分けに持っていこう。
沙耶と一緒に美味しく食べてくれると嬉しいな。
「お母さん、ちょっと今から出かけてくるね」
「ええ?こんな時間に?」
「大輝が家に教科書忘れちゃったから、それを届けに行こうと思うんだ。ちょっと勉強見てあげてたからさ」
「そう……気をつけてね」
「うん」
玄関を出て車庫にある自転車を運び出し、すぐに大輝の家へと向かう。
家からならちょっと急いで行けば15分かからない距離だ。
まず家に着いたら、大輝を呼び出さないとね。どうやって呼び出そう?
忘れ物を届けに来たとか言って外に呼び出して、それから脅して中に入れさせて貰って押し倒しちゃえば良いか。
麻由ちゃんの目の前で大輝とセックス……。
あんっ……想像しただけで頭がどうにかなっちゃいそう。

「ふーん、ふふーんっと。おっ、着いたか」
早く会いたいが為に急いで漕いだら、いつもより早く着いちゃった。
これも愛の力だね。
「あれ?おかしいな……」
大輝の家の電気が何処の部屋も点いていない。
まだ寝るには早い時間だし、二人がセックスするときは大抵電気を点けてやっている。
何処かへ出かけてるのか……いや。
223狂依存 160:2011/04/20(水) 02:36:00.57 ID:8IkPgYvt
「わかるよ……大輝は家にいる……」
恐らく麻由ちゃんも一緒だ。
何処かに閉じ込めてるな。でも無駄な話だ。
私には大輝の気配がはっきりと感じ取れるんだから。

「はんっ!あんっ……!……ん?」
大輝に跨って腰を動かしてる最中に携帯の着信音がなった。
もう誰よ……ってあの女か。
「はい」
「麻由ちゃん、駄目だよ。大輝を閉じ込めて独り占めしちゃ。可哀想じゃない」
「ふん、あんたには関係の無い話よ。今夫婦の営みの真っ最中なんだから邪魔しないで」
「大輝を隠したって無駄だよ。私には何処にいるかわかっちゃうんだから。へへ……愛の力って凄いよね」
何て気色悪い女なの……。
こんな変質者にこれ以上接していたら、私の夫がおかしくなってしまうわ。
「場所がわかったら何だというの?あんたに何が出来るっていうのよ。家に来たきゃ今すぐ上げてやるわよ。思う存分、なぶり殺してやるから」
「あっ……うっ……」
大輝が苦しそうな呻き声を上げたのでお尻の穴を指で弄ってペニスに刺激を与えて勃起させ、締め付けを厳しくし、腰を打ち付けるスピードを速める。
まだまだお姉ちゃんとの愛の営みは続くわよ。
「用が無いなら、もう切るわよ。近いうちに殺してやるから今の内に遺書でも書いておきなさい」
そう言った後一方的に電話を切り、電源も切って携帯を放り投げる。
この子は気づいていないみたいだけど、あの女最近、大輝にこそこそ付きまとって、盗撮したりしてるのよね。
教えてあげても良いけど、それを知ったら大輝に余計な精神的な負担がかかってしまうし、あの女の事だから、自分がストーキングしてると気づいたのを知ったら開き直って何をしでかすかわからない。
あんな性質の悪いストーカーに付きまとわれちゃうなんて本当に可愛そうな子……。
「あんっ……!はふっ、あっ!イクのね……さあ、早くお姉ちゃんのおまんこの中に出しなさい!はっ、はっ、はあああぁぁぁっっ!!」
腰を打ち付けるスピードを速めて一気に絶頂へと導く。
ふふふ……思いっきり出しなさい。
「うっ……!」
びゅくっ!!どぴゅるるっっっ……!
私の中で何度目かの射精をし、私の子宮に注ぎ込む。
流石にだいぶ勢いも量も減ってきたが、それでもまだ結構出てる。
「あああんっっ……またこんなに出しちゃって……本当にエッチな子なんだから……」
「麻由お姉ちゃん、お願い……もう……」
「何がもうよ。まだまだイケるでしょ……今日、沙耶とヤッたお仕置きも兼ねてるんだから、こんなもんじゃ終わらせないわよ……よっ……はむっ……れろ……」
一旦ち○ぽを出した後、またフェラを始めて残りカスを掃除してまた勃起させる。
口の中でじらすように吸いながら、先端にキスしたりチロチロと舐めたりして刺激を与えると面白いようにまた大きくなってきた。
「はむっ……んちゅっ…、ちゅっ、ちゅるっ、んちゅっ……ちゅっ、れろっ、ん……ほら、まだまだイケるじゃない……夜はまだまだ終わらないわよ……」

「もしもし、もしもし」
切れちゃったか……。
本当にずるいなあ、麻由ちゃん。私の婚約者を独り占めして楽しんじゃうなんて……。
私だって同じ事やって一晩中夫婦の営みをやりたいのに。
これから、どうするか?
多分、屋根裏か物置辺りにいるんだろうけど勝手に入る訳にもいかないし、仮に入れて大輝の所へ行けても彼はもう麻由ちゃんに絞られて虫の息。
今日はもう楽しめそうにないな……。
「しょうがない、今日の所は引き返すか」
そして、変態お姉ちゃんに閉じ込めれてる大輝を助けて保護してあげないと。
麻由ちゃんにばっかり美味しい思いはさせないんだから。
「待っててね、あなた。もうすぐ沙耶が助けてあげるからね」
そう言い残し、自転車を漕いで大輝の家を後にした。
224 ◆wBXWEIFqSA :2011/04/20(水) 02:36:26.01 ID:8IkPgYvt
以上です。
ありがとうございました
225名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 04:16:20.81 ID:Pb+97+lT
乙。
このキモさ、想定外
226名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 06:11:53.04 ID:2fyq8zXN
乙!
遂に監禁段階に入ったかw
227名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 06:25:03.07 ID:Tnbg12kV
まってましたGJーーッ!!

基地外メンヘラ女沙耶とキモ姉麻由
大輝の明日はハーレムルートか
それとも修羅場監禁エンドか……

228名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 14:26:33.49 ID:s80UqvMB
乙!
早く続き読みたいです!
ハァハァ
229名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 22:56:37.93 ID:CVYmQTDp
>>224
GJです!
麻由お姉ちゃんと沙耶さんの血戦の日も近そうだ
230名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 23:40:33.72 ID:piukdzRq
GJ!

狂ってやがる…!
遅すぎたんだ…!
231名無しさん@ピンキー:2011/04/20(水) 23:47:05.73 ID:eLISF5U/
GJ
キモ姉妹スレだけど、沙耶さんみたいな人とお付き合いしたい
232名無しさん@ピンキー:2011/04/21(木) 02:19:58.13 ID:Jgbq1on7
なんだこの投下ラッシュは
>>193
美佐たん実はキモ姉だったのね
急にいい展開になってきたなw
GJしか言えん自分がもどかしい
233名無しさん@ピンキー:2011/04/21(木) 19:27:14.87 ID:78qSg+1n
HeartSpeaks読んだ感想
『先輩! 前世からずっと好きでした!
これから毎日私のお味噌汁やその他の汁を飲んでください!!』

でワロタw
こういうライトなコメディなの大好物なんですわ
234名無しさん@ピンキー:2011/04/22(金) 00:17:11.16 ID:iIsn85T8
Heartspeaksは兄貴に彼女がいてもおかしくなさそうなのが怖いところ。
235名無しさん@ピンキー:2011/04/22(金) 07:52:09.26 ID:fR37pUe2
そろそろゴールデンウィークか……
236名無しさん@ピンキー:2011/04/22(金) 22:15:49.32 ID:FyuAANKH
働きに出てた姉が家に帰ってくるな・・・弟は早く避難先を確保しないと
237名無しさん@ピンキー:2011/04/22(金) 23:26:46.85 ID:IncmzY2K
姉にレイプされた後姉が失踪し
あれから1年かと思い出していたら
赤ちゃんを抱いた姉が現れ
満面の笑顔であなたの子よと言われたい。
238名無しさん@ピンキー:2011/04/22(金) 23:41:40.00 ID:bWhslBTx
キモ姉に留学したいと言えば監禁されるかな
239名無しさん@ピンキー:2011/04/22(金) 23:44:01.86 ID:DITmDwf6
二人になれる絶好の機会ととらえてついてくるんじゃないかな
240名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 00:12:31.53 ID:Nc1/V+LP
ということはウイーンまでキモ姉が憑いてくるのか…胸熱
尤も自分は一人っ子なんですけどね
241名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 00:16:56.28 ID:WJVf44yO
妄想の中のキモ姉かキモ妹が高見盛な容姿だったら嫌だな
242名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 00:29:52.67 ID:+DjaFyDq
test
243名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 00:40:17.60 ID:4j0ut7kQ
姉と妹はどっちが優れてるか
白黒つけるべき。
まあ姉の圧勝なんですけどね。
と家の姉がほざいてた。
244名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 01:24:04.14 ID:Dv2GKCl9
仲の悪い妹と兄。もう何年も会話すらしたことがない
みたいな設定で、実は妹は兄が好き好きで照れ隠しでまともに顔を合わすことができない
というギャップは必要かね?
245名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 02:08:03.30 ID:hkjoIS1P
>>244
それなんて俺妹
246名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 07:02:54.08 ID:bxC1o24E
キモ姉キモウトとの3Pが読みたいです!
まぁ本当は姉2人とのが読みたいけど
247名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 09:35:26.79 ID:Y1IqRzXZ
>>246は今ごろ2人の妹さんと3Pの真っ最中かな
248名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 12:57:12.60 ID:4j0ut7kQ
姉が世界征服したら。
第一に弟は姉としか結婚してはいけない。
第二に妹は死刑。
第三に泥棒猫も死刑。
249名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 20:31:52.63 ID:SwJfr6Ue
>>248
待て。でもそれでは次男坊君に恋してる次女ちゃん(長女、長男、次女、次男の順)がかわいそうじゃないのか?
250名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 22:56:12.26 ID:4j0ut7kQ
>>249
絶対王制ならぬ絶対姉制なので問題ない。
弟以外はどうでも良い。
251名無しさん@ピンキー:2011/04/23(土) 23:43:00.21 ID:svD2fopQ
次女「ひどいよお姉ちゃん! 自分は姉だからって長男兄さんとイチャイチャしていいのに、
   どうして私は弟の次男君と結婚したらイケないの?」
長男「そうだぜ姉ちゃん! 姉ちゃんの理屈だと複数弟のいる姉貴はハーレムじゃねえか!
   俺だけじゃ不満なのかYO! なに? 次男の奴も狙ってるんですか!?」
長女「嗚呼、ごめんなさい。私が間違ってたわ。
   そうよね。次女ちゃんだって次男君からすればお姉ちゃんだものね。
   結婚しちゃイケない道理はないわ。
   それより長男君もしかして妬いてくれてるの!? 嬉しい! 
   安心して。お姉ちゃんの心も体も全部あなた一人のものだから! 今夜は離さないわマイダーリン!」




次男「俺の意思は一体どこに……もうやだこの姉兄(キョウダイ)」
252名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 00:01:07.89 ID:9JWVy12R
>>251
3〜4人のきょうだいがいて、そん中で1人だけ冷めている奴がいたら面白いな。
253名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 00:59:09.71 ID:rTgrv5KR
お姉ちゃんを腹ボテにするだけの簡単なお仕事です。
254名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 01:09:53.59 ID:G1iBv403
>>253
いいえ、無休のブラック労働です。
255名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 01:19:08.84 ID:9PLRj6F1
最近キモ姉勢力が強いな
256名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 01:31:05.59 ID:AsTpOt3x
キモウト達は願いが叶ってここにいる必要がなくなったんだよ
257名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 03:11:17.97 ID:bXDJXABL
最近落ち着いた妹さんが多くて無邪気にまとわりついてくるキモウトを見てない気がする
258名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 04:58:46.39 ID:kuuNQNqU
>>256
めでたしめでたしだな!
259悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:31:15.63 ID:wwcjCl3E
投稿します
260悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:35:21.05 ID:wwcjCl3E

 そもそも千早は、この水無月家の歴史に於いても、かなり特別な存在だった。
 信濃源氏の嫡流たる水無月家に、女を正嫡の後継者として置いた前例は無い。
 例え、当代が男子に恵まれなかったとしても、しかるべき筋から、しかるべき資質の後継者を養子として迎え、それに直系(あるいは傍系の)の娘を添わせ、その子を正嫡とするのが伝統とされてきた。
 また、いかに直系の男子であろうとも、その資質を認められなければ、嫡子として水無月宗家を継ぐ事は出来でも、それ以上の役割を担うことは出来ない。
 つまり、信州グループ総帥として、振るうべき辣腕を持たなければ、財団経営に参加するどころか、本家で飼い殺しになってしまう。
 早い話が、いかに血が濃くとも、女と能無しは企業経営に参加できないのである。
 後代に残す血を管理するために、あてがわれる異性以外は抱く事も許されず、それが嫌なら出家か出奔するしかないという、辛い生き方を強制されることとなる。
 これが、千年続く現代の名門の実情であり、その封建性は、能力主義が導入された分だけ、さらにタチが悪くなったと言えるだろう。
 まあ、株主や取締役たちに言わせれば、ただ、その家に生まれたと言うだけで、無能なる者に、大事な財団経営を任せることは出来ないと言うだろうが。
 つまり千早が、その千年の禁を破った最初の一人ということになる。
 彼女こそが、女の身を以って水無月家を継ぎ、さらに信州グループの総帥の座に就くことを約束された最初の一人であった。

 そもそも千早の父、水無月藤十郎という男が、水無月家累代の中でも出色の人物といわれた男だった。
 信州グループをバブルの波に乗せてさらに発展させたばかりか、その終焉を予期するや、無計画な拡散経営を抑えて不景気を乗り切った男である。
 さらに政界再編の波に乗って、国会に出馬するや否や、圧倒的に強固なその地盤や、潤沢すぎる軍資金を武器に、たちまち数回の当選を果たし、今では与党最大派閥の顔役とまで言われている男なのだ。
 その彼が言い放ったのだ。
 我が後継者は千早以外にいないと。
 しかも、当の千早がまだ小学生だった頃に、である。
 そして、万人がそれを納得するほどの才気に、彼女は溢れていた。

261悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:36:29.20 ID:wwcjCl3E

 宗家を継ぐというだけなら知らず、グループの総帥の地位まで女児に継がせるなどとんでもない! と息巻く一門の大人たちも少なからずいた。
 だが、水無月藤十郎の圧倒的な影響力と、数学オリンピックに出場するほどの千早の早熟な学才に、やがて彼らは反論の言葉を失い、沈黙を余儀なくされてゆく。
 なにより千早の前に立てば、彼女が発する圧倒的なオーラに、よほど鈍感な者でない限り気付くであろう。
 それはまさしく、人の上に立つことを生まれながらに宿命付けられた者のみが纏い得る存在感であり、たとえ信州グループに数多の人材ありと言えども、彼女以外にその空気を所持しているのは、現総帥・水無月藤十郎のみであったのだ。



「――で、兄さんはそんな千早ちゃんのことをどう思ってるの?」
「……………」
「気付いてないとは言わさないわよ? 千早ちゃんが兄さんをどう想っているかなんて、よっぽどのバカか朴念仁でもない限り、すぐに分かるんだから」
「……………」
「答えなさいよ」
「……………」
「答えられないの?」
「……………ッッ」

 秀彦は何か言いたげに首を振るうが、がっちりと姫子の大腿部に頭部を挟まれ、なによりその顔面に彼女の全体重が乗っているとなれば、口など利けるはずがない。
 ベッドに横たわった兄の顔に、股間を押し付けるように座り、愛撫を強制する妹は、彼女のあどけない美貌と相まって、ひどく淫靡でいやらしい眺めに見えた。
 彼女がフリルのついたワンピースを着ている――スカートの下は何も穿いてないのだろうが――に対し、秀彦が寒々しい赤裸であるのも、彼の立場を象徴していると言えるかも知れない。
「ふふふ……まあ、答えられないなら無理に答えることはないわ……んッ!!」
 そう言いながら笑う姫子は、背まで伸びた亜麻色の髪をなびかせ、みずからの股間から生じた快感に身を任せ、そのまま唇を噛んだ。
 
262悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:37:53.34 ID:wwcjCl3E

 ここは長野にある水無月家の別邸――信州グループが東京に進出するまでは本宅であった住居――であり、のべ一万坪の敷地を所有する大豪邸である。
 無論その地下には、その豪邸に相応しい数のおびただしい地下室や地下倉庫・地下施設があり、兄妹が睦み合うこの部屋は、そんな忘れられた地下の一室であった。


(やっぱり……兄さんの舌は最ッ高……ッッ!!)
 そう思いながら、姫子は身を揺すった。
 その瞬間、まるで以心伝心のように彼女の望んだポイントを兄の舌が襲う。
「くうッッ!!」
 思わず声が迸る。
 のけぞりながらも兄の髪を掴み、本能の命じるままに彼の顔に体重を乗せる。
 むろん彼の顔が苦痛に歪むのを見届けながらだ。
 姫子は酷薄な笑いを浮かべ、その上で秀彦の呼吸をさらに妨害すべく、おのれの陰核を兄の鼻に押し付け、叫んだ。
「さあ!! 早くあたしをイカせないと窒息しても知らないわよ兄さん!!」
 

 姫子は、この姿勢が好きだった。
 舌での奉仕のみならず、セックスの際も彼女は、正常位ではなく騎乗位を好んだ。
 秀彦の愛撫から与えられる物理的な快感だけでは物足りない。――無論それだけでも我を忘れるほどのエクスタシーを彼女は享受する事が出来るが――それ以上に彼女は、兄の存在を文字通りおのれの尻に敷き、彼を見下ろす瞬間が好きなのだ。
 そして、まるで触手のように股間を這いずり回る兄の舌は、確実に彼女の肉体を昂ぶらせ、股間の隙間から僅かに覗く兄の瞳には、被虐の興奮に歓ぶギラギラとした光が宿り、それが彼女の心をさらなる高みへと追いやる。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」

 声にならない悲鳴が地下室に響いた。
 性感の頂点を知る者のみが味わえる電流が姫子の肉体を貫き、この瞬間ようやく彼女は一個の征服者から快感に悶える一人の女へと戻り、そのまま脱力してベッドに倒れこむ。
 さすがに舌と唇だけの愛撫ではセックスと同量の絶頂は望むべくも無いが、今夜はそれを望むつもりはない。

263悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:39:26.40 ID:wwcjCl3E

 姫子はのろのろと身を起こし、秀彦を見る。
 まるでフルマラソンを完走したランナーのように顔面蒼白になり、荒い呼吸を繰り返す兄。その股間には、まるで石のように硬くなった彼のものが屹立し、その存在感を誇示していた。
(あ〜あ……今夜が危険日じゃなかったら……腰が抜けるまでたっぷり兄さんを可愛がってあげられるのになあ……)
 そう思いながらも、こきりと首を鳴らし、腕時計を見る。
 針は、午前二時に差しかかろうとしていた。
 むろん、この館の主たる水無月千早が起きている時刻ではない。
(そろそろ、よね)
 姫子はひそかに笑うと、まだふらつく足でベッドを降り、地下室の扉のロックを外す。

「姫子……?」

 ようやく落ち着いたらしい秀彦が、不審そうな視線を妹に向けるが、姫子はいちいち気にもしない。
 逆に姫子は、いかにもわざとらしい声色で兄に頭を下げる。
「ごめんね兄さん〜〜」
「ごめんって……何が?」
「例の兄さんとの約束の一件だけどさ、話したらメイドさんたちがやっぱりヘソ曲げちゃってさ〜〜」

 その瞬間、秀彦の視線が一気に険しくなる。
 おそらく妹が言わんとしている意図に気付いたのであろう。
 成績こそ人並みであっても、彼は決して頭の回転の鈍い男ではない。
 そして、そんな兄を嘲笑うように妹は形だけの謝罪を続ける。
「週末にノルマが果たせないなら、今夜働いてもらう。それがいやなら東京なんかには行かせないって、菊島さんが仁王立ちして言うのよね〜〜」
「今夜って、おま――」


 その瞬間、ドアからコンコンとノックの音が鳴った。


「どうぞどうぞ〜〜みなさん御苦労様です〜〜」
 にやつきながら姫子が開け放ったドアからぞろぞろと地下室に入って来たのは、都合十人のエプロンドレスを着込んだ女性たちの群れ。
 メイド長の菊島優子を筆頭に、この屋敷で働く全てのメイドたち。
 彼女たちは、ここにいる古神秀彦の肉体を、その妹たる姫子と共有する女たちであった。
――無論その事実は、水無月千早の知るところではない。
264悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:40:40.54 ID:wwcjCl3E

「秀彦さん、話は姫子さんから聞きましたわ」
 凛とした声で、先頭のいかにも生真面目そうな眼鏡メイドが言う。
 だが、彼女――菊島優子の口元は歪み、目元は淫らな欲望に潤んでいる。
「残念ながら、自分の勤めを果たさずに東京に遊びに行きたいと仰られましても、ワタクシどもと致しましては、素直にハイいってらっしゃいとお見送りするわけにはいきません。お分かりですわね?」
「じっ、自分の勤めって……いつからそんな――」
 だが秀彦の反論を最後まで言わせる気は、もちろん菊島には無い。
「貴方様は、ワタクシどもの勤労意欲を維持させるための大切なレクリエーション。つまり水無月家に対してつつがなく御奉公をするためにも、秀彦さんの申し出をこのまま見過ごすわけにはいかないのです」

 そう言いながら菊島は、つかつかと早足でベッドに歩み寄り、いまだ硬くなったままの秀彦の男根――ではなく、その下の睾丸をぎゅっと握り締める。
「ぎッッ!!」
 秀彦の顔が、またも苦痛に醜く歪む。
 反射的に、菊島の握撃をふりほどこうとおのれの股間に伸びる秀彦の腕だったが――そのまま空中で、別のメイドの手によって差し押さえられた。
 いや腕だけではない。
 またたく間に五人のメイドたちが彼の体に取り付き、気がつけば秀彦は、女体というロープに縛られて、微動だにできなくされてしまっている。
「へえ……!」
 見慣れたはずの眺めではあるが、いつもながらその見事なコンビネーションに、高みの見物を決め込んでいた姫子も、思わず賞賛の声をもらしてしまう。

 信州グループ次期総帥に直接仕えるメイドたちともなれば、当然彼女たちは単なる家事手伝いではない。有事の際には秀彦とともに千早の身を守るボディガード役でもある。つまり、彼女たち全員が何がしかの体技の玄人であるということだ。
 ならば、その身体能力――つまり彼の急所を握り締める握力――も、やはり普通の女性の比ではない。

「ふふふ……こんなか弱いメイドさんにあっさりキンタマ握られて悶え苦しんで……男のクセに情けないと思わないのですか?」

 むろん返事をもらうための質問ではない。
 なぜなら、魚のように口をパクパクさせている秀彦の口を、菊島はおのれの唇であっさり塞いでしまったからだ。
 そのまま、彼の口元からは水蛇がのたうつような淫靡な音が洩れ聞こえてくる。むろん彼女の舌が秀彦の唇を犯す音だ。
 唇だけではない。
 彼の体にまとわりつくメイドたちは、そのまま秀彦の乳首や男根、肛門や首筋、背中や脇腹などの急所に指を伸ばし、あるいは舌を這わし、まるで捕食せんばかりの勢いで彼の全身を凌辱し始める。
 先程まで菊島の手によって握り締められていた睾丸も、いまや別のメイドが口をすぼめて吸い込んでいた。
265悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:45:34.20 ID:wwcjCl3E

「しかしまあ、相変わらずエゲツないわよねえ、あなたたち……」

 苦笑いを浮かべながら姫子がメイドの一人に囁く。
 話し掛けられたメイドも、応じるように笑いながら、こりこりと頬を掻いた。

 共有といってもルールはある。
 メイドたちは責任者の菊島を含めて、集団ならぬ一対一のセックスをしない、というものであり、そのためかもしれないが、メイドたちが秀彦の肉体を貪り合い、男根を奪い合う様は、まるで牡鹿に襲い掛かる群狼のごとき壮絶なものとなるのが常であった。
 現に、ベッドの上では、先程に引き続き五人のメイドが、エプロンドレスを翻しながら秀彦の肉体に絡みつき、あるいは唇で、あるいは舌で、あるいは指で、あるいは性器で、彼の肉体を蹂躙している。
 もっとも菊島優子が引き連れてきたメイドは総勢十人なので、当然先発組と後発組に彼女たちは分かれている。一人の人間の体積から考えれば、十人という人数はやはり一度に性的接触を図るには多過ぎるためだ。

 というわけで、ベッドの周囲には残り五人のメイドたちが順番を待っているわけだが、姫子が話し掛けたのは、メイドたちの中でも彼女と一番仲の良い、シャーリー江馬というハーフのメイドだった。
 イギリス系白人の血を引く彼女は、メイド長の菊島と同じく眼鏡が似合う美人だが、そのレンズの奥のまなざしは菊島と違って慈母のようにおだやかで優しげなものであり、そんな彼女を姫子は姉のように慕っていたのだ。
 
「まあメイドというのは、それだけストレスの溜まる仕事だということですわ」
 そう答える江馬に、姫子は皮肉な笑みを崩さず言い返す。
「嘘ばっかり。ただ単にあんたたちが淫乱メイドだってだけでしょうが」
 そう言われては江馬としても返す言葉も無い。江馬としては引き続き苦笑を浮かべる以外になく、そんな彼女に姫子が言葉を続ける。
「まあ、うちの兄さんにかかれば仕方ないわよね。あの菊島さんでさえこのザマなんだからさ」
 そう言いながら顎で姫子が指し示す彼女――菊島は、まだ秀彦の唇を他の女に譲ろうとしない。彼とのディープキスが始まって、すでに十分は経過しているだろう。
 秀彦の顔面はまたも蒼白になっており、そろそろチアノーゼでも起こしかねない顔色になっているが、彼の首に両腕を回した菊島は、おそらく秀彦が失神するまでキスを辞める気は無いのではなかろうか。
 
「メイド長は……ひょっとして秀彦さんが好きなのですか……?」
 江馬がぽつりと呟く。
 菊島の瞳には、キスという行為を楽しむ以上の情動が見え隠れしている。
 少なくとも、あんな目をして男とキスをする女の心に、快楽追求以上の感情が無いはずがない。
266悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:47:44.87 ID:wwcjCl3E

「かもね」
 姫子も、それまでの笑顔を引っ込め、真顔になって呟く。
「いいのですか姫子さん?」
 心配そうな眼差しを向ける江馬に、いいも悪いもないわよ――などと姫子は強がったりしない。ただ彼女は、少し寂しそうな光を目に宿しながら言った。


「……だって……兄さんはああいう人なんだもの……仕方ないじゃない」


 江馬としては、そんな姫子から視線を逸らしてうつむくしかない。
 姫子が、一個の女として兄・秀彦に熱い想いを寄せているのは江馬としても知っている。
 しかし、だからといって江馬に何かを言う資格はない。
 なんとなれば、彼女もまた秀彦の肉体が生み出す圧倒的な快楽に魅せられた女の一人だからだ。今更あの男の“味”を忘れてしまえと言われたところで、そんなことは不可能に決まっている。少なくとも、この家の一つ屋根の下でともに彼と暮らす以上は、だ。
 だから、せめて本気にならないように、心まで奪われてしまわないようにするくらいしか、江馬としては姫子に報いてやれるすべがない。何と言っても、そもそも秀彦の肉体をメイドたちに提供したのは、他ならぬ姫子なのだから。
 
「ではなぜ、秀彦さんを我々に差し出すような真似をしたのです?」

 今更ながらの質問を姫子にする江馬。
 だが、相変わらず姫子はその問いに答えない。
 答える言葉を持たない――というわけではないのは江馬にもわかっている。
 ただ、普段は明るく素直な姫子が、この質問をされた時だけは頑なになり、石のように沈黙してしまうことを知っている。
 しかも奇妙なことに、彼女の沈黙には拒絶の匂いが無い。
 つまり――たとえば誰かから脅迫などされて――いやいやながらに兄を自分たちに抱かせているわけではない、ということも江馬にはわかるのだ。
(一体どういうつもりなんだろう……?)
 江馬としては、そんな姫子の態度に首を捻るしかなかった。
 


 むろん、姫子には姫子の理由がある。
 と言うより、これはあくまでも嗜好の問題であり、理由というほどの「理」ではない。
 だから姫子は何も語らない。
 言ったところで、おそらく江馬には理解できないことを姫子は知っているからだ。
267悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:51:08.42 ID:wwcjCl3E

(ああ……兄さんが、あんなに苦しんでる……あたし以外の女に責められて……ッッ!!)
 
 姫子の股間がじゅん、と疼く。
 いまや地下室には、女たちのもらす息遣いや喘ぎ声が充満している。――にもかかわらず、秀彦の声だけが聞こえない。
 当然であろう。彼の口はいまなお「声」という呼気を発せられる状態には無い。
 ベッドに横たえられ、ショーツを脱ぎ捨てたメイドに騎乗位で犯され、別のメイドの指で肛門を抉られ、二つの乳首には同様にそれぞれ別のメイドがすっぽんのように吸い付き、そんな状態の兄の唇を、いまだに菊島が独占し続けている。

 いや、さすがにキスは続いていない。二人の唇は離れたままだ。
 だが、菊島の行為は、キスよりもさらに秀彦の呼吸を阻害し、もはや兄の肉体は失神寸前まで追い込まれていることは見れば分かる。
 なぜなら、開いたままの秀彦の口には、先程から絶えることなく彼女の唾液が流し込まれている。しかも彼が口を閉じられないように、その鼻を菊島がつまみ、気道を完全封鎖しているとなれば、もはや兄がブラックアウト寸前なのは明白だ。
 むろん通常なら抵抗するだろう。秀彦は仮にも千早の学生生活におけるボディガード役として東京から送り込まれた男だ。気力体力ともに、そこら辺の男子高校生の比ではない。
 だが、さすがに古流剣術東雲流の遣い手と言えど、体に覆い被さった何人もの成人女性を跳ね返すパワーはない。しかもメイドたちも彼の抵抗を防ぐように、巧妙にポジショニングに気を配って秀彦の動きを封じているとなれば、なおのことだ。
 そして、なぜこんな殺人未遂スレスレの真似を彼女たちがしているのかも姫子は知っている。

「ひはッッ!!」

 騎乗位で秀彦に跨っていたメイドが、まるで通電したかのように身を震わせる。
「あああああ出てる出てる出てる出てる出てるッッッッ!!!!!」
 しかも、その震えは止まらない。
 メイドのエクスタシーのせいだけではない。
 兄の終わらない射精が、メイドの絶頂を終わらせないのだ。
 むろん秀彦の肉柱を挿入している以上、そのメイドは安全日なのであろうが、おそらく彼女の子宮には、いまや溢れんばかりの秀彦の精液が流れ込んでいることだろう。
 そして数秒後、ようやく射精が途切れたらしい秀彦が、がくりと四肢を脱力させ、彼に跨るメイドも満足そうに倒れこみ、他のメイドに支えられている。おそらく二人は気をやると同時に気を失ったのであろう。
268悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 13:54:38.19 ID:wwcjCl3E

――意識喪失を伴う射精は通常時よりもさらに量が多く、絶頂感も高く、長く続く。
 江馬は知らないが、いわゆる「腹上死とは死ぬほど気持ちいいらしい」という理屈を応用した責めで、これも姫子が兄とのセックスで開発し、つい先日、菊島に提供したテクニックの一つに過ぎない。
(本当は兄さんを縛り上げて、女性上位の体勢でやるのが一番気持ちいいんだけどね)
 そう思いながらも、これは安全日でなければ出来ない行為であるため、姫子にはあと数日は不可能なプレイではあるが、それはいい。
 ぜえぜえと息を荒げながら、潤んだ目で菊島が眼鏡の奥から失神した兄を見つめているが、それもどうでもいい。
 
 服のポケットからハンカチを取り出し、口元を拭う。
 ピンクのハンカチがべっとり唾液で濡れる。
 むろん通常の精神状態で、こんな餌を前にした動物みたいに涎を垂らす趣味は、姫子には無い。
 彼女はイったのだ。
 さっきの光景を目に焼き付けた瞬間、股間や胸といった性感帯に一切の物理刺激を与えることなく、姫子は絶頂に至ったのだ。
 自分以外の女たちに、自分の兄が凌辱され、征服され、支配され、そして悶絶させられたという視覚情報だけで、彼女の肉体は直接的な性行為以上のエクスタシーを脳に送り込んだのだ。
 愛する男を奪われているというマゾヒスティックな感情と、愛する男が弄ばれているというサディスティックな感情が、互いに交差し、絡み合い、絶妙なまでの刺激を与えてくれる。
――これこそが、姫子が秀彦をメイドたちに捧げた理由だった。


***********
今回はここまでです
269名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 14:02:52.21 ID:AsTpOt3x
リアルタイムGJ
新しい属性持ちのキモウトだな
千早さんかわいそう
270悪徳の家(その2):2011/04/24(日) 14:12:21.12 ID:wwcjCl3E
すみません
今度こそこれがラストです
*************


(でも……まさかこんな程度で終わりだなんて思ってないよね兄さん……)
 失神したメイドをベッドに横たえ、残ったメイドたちが再び彼の体にまとわりついていく。
 依然として硬度を失っていない陰茎に、今度は菊島が跨り、同時に口に水を含んだメイドが秀彦に口移しで水を飲ませて意識を回復させ、そのままディープキスに移行していく。
 そう、メイドたちは十人もいるのだ。
 彼女たちが全員満足するまで兄が解放されることは無い。
 そして、それが終わった後、――疲労で勃起すら出来なくなった兄を、心行くまで姫子がイジメ尽くすのだ。
 バイブを使い、ローターを使い、ペニバンを使い、浣腸を使い、ドラッグを使い、兄が泣いて泣いて、声が涸れるまで泣き叫んでも絶対に許さない。男の形をした最高級の「肉」を、朝までかけて姫子がゆっくりと喰らい尽くす。
――これこそが、毎週末に行われているメイドたちと兄妹との「宴」なのだ。
 いつもと違うのは、明日が学校だということだが、まあいいだろう。授業中に居眠りしている生徒など珍しくもあるまい。


 メイドたちも、そして主君である千早でさえも、姫子にとっては兄を精神的にいたぶるためのオモチャに過ぎない。
(さあ……楽しい夜の始まりよ)
 姫子はぺろりと唇を舐めた。

271名無しさん@ピンキー:2011/04/24(日) 16:59:02.80 ID:iYlXQNOg
乙。強いメイドさんは嫌いじゃない
272名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 00:14:17.15 ID:+JO76lGz
GJ
へ、変態d(ry

>>271
目欄w
273名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 01:07:30.34 ID:pQbeFHgp
>>270
ひでえ……こんなひどい妹このスレで初めて見たぜ
274名無しさん@ピンキー:2011/04/25(月) 10:32:26.20 ID:I5UgWLys
エロすぎる
これはガチで抜ける
275名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 02:47:18.34 ID:TKs4sRJf
弟受けとは惹かれるな・・・
276名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 22:03:24.21 ID:XjCKI51k
なんかちょっと作品投下の間が空くと投下しづらくなるな
277名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 22:29:31.57 ID:ZqjuwlEQ
>>276
馬鹿だな〜


明後日からゴールデンウィークだぞ!キモ姉、キモウトが自分の兄弟と長く居れる最高の期間だぞ!
278名無しさん@ピンキー:2011/04/27(水) 23:38:00.64 ID:LdDCRkwp
GWはキモ姉に監禁されて孕むまで逆レイプ。
279名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 00:17:52.82 ID:3hH8d9/3
そんなこと書き込んでるとキモウトに襲われますよ
280名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 00:33:18.45 ID:XqYuQekG
その後、>>277達を見たものは、いない・・・
281名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 00:35:54.17 ID:yfEkiAZ1
兄の脳内キモ姉に嫉妬するキモウトってどうだい
282名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 00:38:33.05 ID:tQNLGV/t
兄はキモ姉SSを書いてるわけか
283「姉」の物語:2011/04/28(木) 01:08:26.11 ID:GBt9myjP
今日も兄さんは机に向かって「姉」を書いている。
兄さんの仕事は小説家…有り体に言えばポルノ作家だ。得意ジャンルはインモラルである。

兄さんの仕事を軽蔑するつもりはない。我が家の家計を支えるのは兄さんの小説だし
実は私自身、密かな愛読者である。だが、今書いているシリーズは、私には…とても辛い。

物語の中で主人公は実の姉と愛欲の限りを尽くすのだ。
執筆している期間、兄さんは書いている時間はもちろん休憩中も作品のことばかり考えている。
そして兄さんは自分の作品にのめり込みながら執筆するタイプだ。
結果として、兄さんは24時間「姉」との行為に思考の全てを注ぎ込んでいる。私にはそれが辛い。

その思いを私に向けて。小説に書いた行為の全て、際どすぎて書くのを諦めた行為の全てを私にして。
そう叫んで縋り付きたい衝動を抑え込んで日々を暮らす私は、兄さんの欲望を叩き付けてもらえる
「姉」が羨ましい、妬ましい。
幸か不幸か「姉」の作品はよく売れており、長期のシリーズ化が決まっている。
目の前にいながら、私から兄さんの心と兄さんと共に生きる時間を奪っていく「姉」が憎い。

馬鹿げているのは判っている。私は架空の人物に嫉妬しているのだから。私は狂っているのかも。
……でも、愛憎は理屈じゃないのよ。

世間がまもなく連休に入るというある日、私の忍耐は限界を迎えた。
私は、兄さんを私に縛り付けるためのロープと、「姉」を焼き殺すためのライターを携えて
書斎のドアをノックした……。

−−−Fin−−−−


#超短いですが、こんな感じですか?
284名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 01:17:28.38 ID:b1xr6qH0
ヤフチャのアダルト部屋で・・・
ryokoryoko_aroma1←家庭ではレスの欲求不満の悲しいアラフォーばばあ!
“癒しのアロマ部屋”で夜な夜な、たるんだ身体を披露してます
旦那とは、レスで浮気相手を探して今夜も公開頑張ってます!
住んでる地区は、千葉でも東京寄りなんで関東の皆さん!
溜まってる方は、是非1発抜いて貰いましょう。誰でもさせてくれるよ
昔でいう。。。 させ子です! あははは〜!!!
バスケットやってる高校生の息子と中2の娘にバレたら大変だな!!!
公然わいせつ罪で訴えてやるかな! あははは〜!
28535-252:2011/04/28(木) 01:59:21.35 ID:Q0D0y2CU
>>283
GJです!
素直に告れば十分ハッピーエンドも期待できる兄なのに
溜め込んで猟奇に走るキモウトの切なさよ…
お題出てから30分て何なの一体。そのスピード分けてください。

私も短いの投下します。連続になってすみません。
286Heartspeaks 友と書いて「とも」と読む(1/2):2011/04/28(木) 02:00:51.36 ID:Q0D0y2CU
入学式の翌日はもう通常授業の時間割である。
とはいえ新入生相手の最初の授業ということで、どの教師も今日は軽いガイダンスを行うのみだった。
授業の合間の休憩時間、使わなかった教科書を鳩子は黙々と片付ける。

(同じ中学の子は私入れて3人でクラスもばらばら。孤独なスタートになっちゃった。
 でもお兄ちゃんの残り香を追うために入学したようなもんだから全然平気!
 いやーお兄ちゃんがいた頃は周りを何百回うろついたかわかんないし校舎は超ホーム感覚なんだけどね。
 制服姿のJCでなかったら絶対通報されてたよ。実はされてる? 私が気付いてないだけ? どきどき)

そのとき前の席に座っていた少女が、椅子ごと体を回して振り返った。
「あんまり授業らしい授業、しないんだね」
「そう……だね。最初だからかな」
「あたし予習までしてきたのにー。拍子抜けだよ」
「ふふっ。緊張して損したよね」
入学式の後の自己紹介で、少女が八坂鈴芽と名乗ったのは覚えていたが、まじまじと顔を見るのは初めてだった。

「へー、長峰さんのお兄さんも寺高なんだ」
「うん。去年卒業しちゃったけど」
「あれれ? なんか残念そう? ひょっとして一緒に通いたかった?」
「そっそんなことは……。ただ、居たら心強いし、便利だったりするかなって……」

(うっわ! やべっうっわ! 顔に出てましたかデュフフ! 出るよねそりゃ出ますよねオホフ!
 別に隠す必要もないんスけどねブヒヒ! 一応まあ公共の場でのマナー的なアレといいますかねウピョ!)

「え、えーと。八坂さんは兄弟はいる?」
「うちも兄貴がいるけど、長峰さんとこみたいに仲良くないから。あ、それと鈴芽でいいよ」
「じゃ、私も鳩子で。……お兄さんと、うまくいってないの?」
「あー、なんかもうね。長いことロクな会話もないしさ。いてもいなくても一緒、みたいな」
「そんな……」

(ちょっとちょっと待ってよ八坂さん! あ、鈴芽ちゃんでいいんだっけ……。鈴公貴様!! このたわけ者!!
 兄がいるという至福に恵まれながら、その兄と仲違いするとは何という神への叛逆!!
 私なんか毎朝毎晩寝る前と起きた後、自分が妹である事に感謝して天地万物へ祈りを捧げてるのに!
 だいたい兄に欲情しないって何なの? 血が繋がってないの!? おかしいでしょ倫理的にも生物的にも!!
 はぁ……おばちゃんまだ若いつもりでいたけれど、最近の子のモラルにはついていけないわ……)

「その……、兄妹は、ずっと兄妹だから……。少しずつでも、仲直りしていった方がいい、と思う、よ。
 ごめんね、きっと鈴芽ちゃんには鈴芽ちゃんの事情があるし、余計なお世話なのはわかってるんだけど」
「ううん。ありがと。……そうだね、機会があれば、ね」
287Heartspeaks 友と書いて「とも」と読む(2/2):2011/04/28(木) 02:02:50.37 ID:Q0D0y2CU
昼休み。一緒に昼食を食べる相手のいない鳩子と鈴芽は、二人で机をくっつける。
(十二時かぁ。お兄ちゃんはまだ講義中かな)
窓の外にぼんやり目をやると、鳩子の隣、窓際の席の男子生徒が、ちょうど弁当箱を開けるところだった。
両手を添えて蓋を持ち上げた───その瞬間、彼はさっと顔色を変え、素早く元通りに箱を閉じてしまった。
そろそろと慎重に周囲をうかがい、そして鳩子と目が合う。

「……見た?」
「見た」
御飯の上一杯に海苔と錦糸卵で書かれた文字は、『入学 おめ!』と読み取れた。桜でんぶのハートもついていた。
「うう……参ったなもう」
自己紹介で小林鵜之介と名乗った彼は、弱弱しい声を上げて頭を抱えた。
「入学早々何すんのさ姉さん……」
「お姉さん?」
「なんか今朝、妙に張り切って作ってくれたんだよ。そしたら……」
「弁当テロだったと」
鈴芽がニヤニヤしながら言った。
「テロってそんな、大袈裟だよ。いいお姉さんじゃないの」
「……うん」

(お?)

「ありゃ、意外。よくねーよバカ姉貴だよーとか言うかと思った」
鳩子と同じ感想を、鈴芽が口に出す。
「言わないよ」
鵜之介は笑った。
「祝ってくれてるのは本当だし。それに、話聞いてたら、きょうだいと仲良くやれてるのはいい事だと思ってさ」
「え、さっきの話聞いてたの?」
「ごめん、耳に入ってきちゃって」

(おおお……!?)

「でもやっぱり照れるねこういうの。身内の良さを人に言うって、どうもみっともないというか」
困ったように鵜之介は頭に手をやった。

(こ、これは! ひょっとして見所のある若者!? 性別は違えどインセストの覇道を共に歩む同志キタ!?
 この世紀末を生き延びる為には見逃すわけにいかない邂逅かも! 世紀末までまだだいぶあるけど!)

「そんなことないよ」
鳩子は言った。
「みっともなくないよ。お姉さんを好きって気持ち……私は、とてもいいと思う」
身を乗り出し、瞳をじっと見つめる。鵜之介は魂を奪われたような表情で、呆然と鳩子を見返した。
「そう、かな」
「そうだよ」
鳩子は笑顔を見せた。
鵜之介の頬がみるみるうちに紅潮し、彼は慌てて弁当箱に向き直った。
「ほほう……」
キラリと眼を輝かせて鈴芽が呟いたが、それはもう鳩子の耳には届いていなかった。

(小林君だっけ。見つけたよ魂の同志よ! 共に世紀末を征こうじゃないか! だいぶあるけど!
 こんな近くに仲間がいたとはね。ただのクラスメイトだと思ってた。ごめん! 君は今日からクラス盟徒だ!!
 お姉さんへの恋の悩みや性の悩み、何でも相談に乗るからね! 私の悩みはかなり自己完結してるから別にいい!
 拝啓お兄ちゃん、鳩子はぼっち脱出に成功しました! 正直ダメかと思ってました! ちょっと泣きそう!!)

288名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 02:35:13.61 ID:n0Oyach6
>>283
GJ!!
文章が作り込まれててとても30分で仕上げたように見えません……
描写もきれいで気持ち悪さでゾクゾクしました。

>>286
GJ!!
相変わらずキモさw鳩子が鵜之介くんのお姉さんと組んだら大惨事の匂いw
289名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 12:58:05.24 ID:iO7eWzp2
>>286
いつも乙です
鳩子は本当に元気だなあww新キャラとの今後の展開に期待です
290名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 16:19:34.19 ID:C58s4RQ7
>>286
いつも楽しく読ませて頂いてます、GJ!
鳩子かわいいよ鳩子!! 呼んでくれれば私も世紀末を共に生き抜くよ! 世紀末までだいぶあるけど!
291名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 18:31:42.21 ID:H1otz+Uk
キモ姉をレイプしたい。
292名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 18:47:44.31 ID:T0/bueb7
>>291
犯行後にキモ姉が「計画通り」とか言ってくるわけですね、分かります
293名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 18:51:51.58 ID:4LSXyHh1
クールツンキモ姉の頭をナデナデしてあげたい
294名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 19:14:36.91 ID:lMGgcLbn
295名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 19:14:59.29 ID:lMGgcLbn
>>293
泥沼じゃあ・・・・・・
296名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 22:28:28.73 ID:H1otz+Uk
五つ子の末弟が4人のキモ姉にかわいがられる妄想。
学校も同じクラスで席も姉達に囲まれている。
近づくメス豚は4人でリンチにかける。
同い年キモ姉良いよ。
297名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 22:33:42.90 ID:qMxy/8YB
>>296
腹が同じかどうかってこういう時の連帯に大きく影響するんだろうなぁ……
298名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 22:44:43.02 ID:JBzP2nwF
クォーターのキモウトとか……いいよね
299名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 22:50:28.99 ID:XZX391uV
自分が兄妹の中で最年長なのに、背の高い妹たちに可愛がられる背の低い兄とかに萌えるようになってしまった
一番近しい長女にダダ甘に可愛がられてるその裏で、サディストの小さな妹たちの『可愛がり』を受けてたりするとたまらない
萌える対象が妹じゃなくて兄なのは絶対に口に出せないここだけの秘密
300名無しさん@ピンキー:2011/04/28(木) 23:00:30.40 ID:4QKYBDLj
そろそろ狂もうとの投下こないかな〜。
あのキモウトっぷりは素晴らしすぎる。
301名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 08:27:09.33 ID:R8OkRmou
主人公だけが日本人でほかの姉や妹がハーフってのもアリ?

302名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 09:01:44.10 ID:UzYHNafY
>>301
姉妹は片親が違うか、あるいは血がつながってないのが前提になるか。
このスレ的には特に問題ないかと。義理でもキモければOK
303名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 12:26:53.15 ID:UXt3HtfR
弟ペロペロ。
304名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 23:15:10.23 ID:FunDVIOF
そしてキモウトにNTRかまされるわけですねわかります
305名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 23:37:37.44 ID:uApPPMwP
>>304
ちょっと何言ってるかわかんないですね
306名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 23:49:15.24 ID:EE/fkCFe
ええと、誰が誰をNTRすれば良いの?

キモウトが恋人から兄をNTR?
それともまさか…兄の恋人をキモウトが?
あれ?、姉からNTRするのかな?
307名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 23:53:18.44 ID:TJvN2Xys
お前らNTRスレに行けw
308名無しさん@ピンキー:2011/04/29(金) 23:57:48.10 ID:UXt3HtfR
キモ姉から弟をNTRできるわけない。
弟は姉の身体じゃないと射精出来なくされてる。
309名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 00:00:41.70 ID:udgiYFI+
かーらーのー?
310名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 00:38:11.20 ID:7Sxk8soe
キモ姉がキモウトに生まれ変わって最終的にキモ双子が勝利するみたいな
311名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 03:17:02.39 ID:CVsqiGjN
キモ双子姉弟に嫉妬するキモウトなんてどうだろ。


私にはお姉ちゃんとお兄ちゃんがいる。
生年月日は二人とも一緒。
つまり、双子。
それにしても、単に姉弟というだけでそこまで仲が良いものなのだろうか。
私は知っている。
お姉ちゃんはときどきお兄ちゃんのベッドで一緒に寝ていることを。
お姉ちゃんとお兄ちゃんは私が産まれる前から、
二人が産まれたときから、いや、産まれる前、お母さんの中にいたとき、
それどころかお父さんのきんたまだった頃からの長い付き合いなのよね…
312名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 03:28:41.59 ID:w8P712Ov
>>311
せめて精子と言ってやれw
313名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 08:12:25.32 ID:UiwX60Qp
キモ姉&キモウトの熱烈なスキンシップに嫌気がさしている主人公
姉&妹は自分らが主人公と血が繋がっていない(と自称し関係強要)
両親他界済みなので確認とれず
そんなこんな姉妹に辟易としている主人公のクラスに転校してきた女の子
やたら仲良く接してきてかなりイイかんじ
お互い惹かれあって付き合うことに
だけど実はこの子、主人公と生き別れた双子
病院の手違いによって「いないことにされた」血の繋がった女の子
「私が誰よりも主人公と繋がっているべき」と独占すべく姉妹とバトルを繰り広げちゃうんじゃないかと起き抜けに妄想する俺は5月病
314名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 13:14:03.57 ID:mpyDQtph
>>313
双子は惹かれあうか。
315名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 14:24:07.78 ID:Kx4+xxAN
これから一本書こうと思ってるんだけど
ストーリー的に主人公はキモ姉妹とのスキンシップに対してどう向き合うべきなのか
血縁がどうとか言ってグダグダ煮え切らない兄or弟はもう見飽きた感があるし
かといって割り切って姉妹をセフレ扱いしてる兄or弟も抵抗あるし
316名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 15:45:55.32 ID:kpqPo5t1
よほど特殊なケースを想定しない限り「拒む」か「拒まない(拒めない)」の
2パターンだからなぁ。
拒むパターンを細分化しても煮え切らないか、毅然と拒むの2種類。
拒まないパターンも、本人がやる気=既に単なる近親バカップルか
既に支配されているパターンか…なにかこう、画期的なパターンがないかな?
317名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 16:52:31.79 ID:UiwX60Qp
催眠術とかは?キーワード的なもので催眠状態になって姉妹の言うがままって
318名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 17:03:51.35 ID:JiuHWzsD
傷は幼児退行だっけ?
あれやってたのは姉だけだった気がするけど…楽しみだったのに止まっちゃって悲しい
319名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 17:10:08.98 ID:MAjcL0Tt
「やらざるをえない」ってのは?


過去にこんなエロゲあったんだが
元々弟に対して過保護な姉が最近ますます過干渉になってきていいかげん辟易していたとある日

弟の元に姉のあられもない姿が写された画像が変な要求と共に送られてきた。その要求に従わないと画像をばらまくという
姉に相談した所、涙ながらにばらまかれないように協力してほしいと涙ながらに懇願してきた

ただ、その要求というのが弟が姉とキスをしてそれをカメラにおさめろという
困惑しながらもその要求をこなした二人だったが、数日後には相変わらずの画像と共にさらにエスカレートした指示が送られてきて…

っていうあらすじなんだけど何か活用できないかな?
320名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 17:38:35.79 ID:kpqPo5t1
「やらざるを得ない」の変形で。

セックスしないと死んでしまう(あるいは発狂するとか)奇病に冒された妹。
「好きでもない男とするくらいなら死ぬ」と泣く妹の命をつなぐため
罪悪感を押し殺して妹を抱く兄。そんな生活を続けるうちに…


……連休だからと言って日のあるうちから酒飲んでると、妙な電波が飛んでくるな。
321名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 18:49:09.93 ID:f+IuGawB
>>319
そのエロゲのタイトル教えてくれ
実は要求してきていたのは姉でした、なんて結末が見えているんだが詳しく知りたい
322名無し@ピンキー:2011/04/30(土) 19:02:15.69 ID:9kH3wmb/
>>321
それ
しすたー・すきーむ
323名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 19:05:27.33 ID:FVKx1xmZ
>>321
ただし犯人は姉ではないけどな
324名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 19:56:44.69 ID:ExRsXFof
>>319
同じようなプロット考えたことあるけど、やっぱり先人がやってるもんなんだよな
325名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 20:33:21.76 ID:MAjcL0Tt
それでも「個人的にはやらざるをえない」もしくは「脅されて無理矢理」ってのがストライクだからそういう作品が増えてくれるとうれしい

黒い陽だまりや囚われし者とかウェハースなんてモロストライクだね。あ、それと無形氏シリーズはゼッタイね
326名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 20:41:05.46 ID:MAjcL0Tt
>>325
すまん!調子乗って他スレの話を出してしまった

しばらくキモ姉に監禁されてくるので勘弁してくれ
327名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 21:06:15.66 ID:Hc6Ile2d
クールツンキモ姉の頭ナデナデしたい。
普段照れ隠しのため姉に馬鹿にされているから、どうにか弟が一矢報いたい。
言い返すと負けるのが目に見えているので、逆に姉を褒めてナデナデする。
弟「姉さん全教科100点とか凄いな(ナデナデ)」姉「何をするやめ…ふぁ\\\」

俺の妄想がトランザムしてしまったちょっと頭冷やしてくる
328名無しさん@ピンキー:2011/04/30(土) 23:42:53.68 ID:34YWrt5w
キモ姉妹が相手なら「連休旅行&行方をくらます」を使わざるを得ない・・・!
329名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 00:12:26.87 ID:09944Vw8
歪みねぇな
330名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 04:35:40.39 ID:VpYFVznx
>>320
それもどう考えても妹の策謀じゃねえかw
331名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 13:35:22.47 ID:BWQc61S2
ワガママ双子キモ姉。
いつも双子の弟に命令ばかりしてそれを聞いていた弟だが
ある日弟が彼女が出来たと言いだしもうワガママは聞けないと言われてしまう。
姉は怒り狂うがすぐ弟に見捨てらた事に恐怖し
どうすれば弟を繋ぎ止められるか考え双子でも男女であると思いつく
姉の妄想はエスカレートしていき血が繋がってるから身体の相性は抜群や
産まれる前から一緒なので結婚相手に良いなど
弟には姉の自分しかいないと思い込み始める。
332名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 13:57:09.92 ID:RD4hxg0v
彼女が死んだ。
事故だった。
居眠り運転に巻き込まれたらしい。
彼女とは来月結婚するはずだった。
事の真相なんて知りたくもなかった。
姉さん。
あなたは彼女以上に大切な人だよ。
だけど…
知らなきゃよかった。


あ、全く何も用意してません。
333名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 14:29:21.77 ID:/cuh6MpV
>>332











334名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 20:10:27.27 ID:pi83o1FT
遅くなっちまったが
>>322
情報提供サンクス ちっと調べてくる
335名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 20:20:44.01 ID:LyygPK4E
作品投下はっ!!?
336名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 20:43:12.52 ID:3Vc7tMEA
>>317
もし作ったらこっちにも下さい

女の子に催眠、洗脳されてしまうスレ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1298795741/l50
337名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 23:16:56.33 ID:LMz0IFlg
宣伝なんかしてたらキモウトにおしおきされちゃうよ!
338名無しさん@ピンキー:2011/05/01(日) 23:23:17.63 ID:3Vc7tMEA
>>337
心配ない、こんなこともあろうかと俺は姉派だと偽ってキモ姉を用心棒に着けてある

という冗談はおいておきすんません自重します
339名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 01:12:34.71 ID:hjAY5sJi
三つの鎖って東北大フィーバーの後来てたっけ
それとも作者死んだか?
340名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 01:20:50.79 ID:miRxHPw1
若干亀だが『やらざるをえない』という点においては近親戦隊ソウカンジャーが素晴らしい例だと思う
341名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 03:17:24.69 ID:mm3ugM/E
>>339
PC が流されただけでしょ。
避難所からの投下を待ちましょう
342名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 03:40:16.16 ID:B5lmIRGW
いや、震災直後に投下しているよ

263 名前:三つの鎖 32 前編 ◆tgTIsAaCTij7 [sage] 投稿日:2011/03/12(土) 12:51:17.60 ID:jYjLVp+X
343名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 05:37:14.53 ID:zvGE+WVP
作品投下は作者の都合が有るのでRom専からすれば気長に待つしかない
344名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 08:20:41.64 ID:mm3ugM/E
>>342
そうだったのか、確認不足で申し訳ない
345名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 08:37:03.52 ID:roYpLd6a
たまには幼馴染みがキモ姉妹に勝つSSとか来ないかな……?
346名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 08:44:35.96 ID:tF4/7dwz
保管庫にそのパターンあった気が…
347名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 13:44:43.31 ID:qblVhYA/
でもそのパターンってネトラレに近い感情がわいてくる
348名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 14:28:14.33 ID:W5hnnWKz
まあなあ
でもたまに両方応援したくなることもあるから難しい

幼なじみが無力過ぎた場合とか逆にキモ姉妹以上にキモかった場合とか
349名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 20:10:49.56 ID:3nAIGb4F
キモ姉をホッカイロ代わりにだきしめたい
350名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 20:11:42.43 ID:3nAIGb4F
キモ姉をホッカイロ代わりにだきしめたい
351名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 20:31:51.90 ID:lI9TqWx0
>>350
最初は抵抗するふりをしてほしいな
352名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 21:03:13.80 ID:MUmTQ5SP
むしろこれからの季節は「暑いから」と言って姉妹を拒める。
353名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 21:31:11.43 ID:mBbw2n57
弟との子供に(おばさんに挨拶しなさい)と幼馴染に言うキモ姉。
354名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 21:34:12.11 ID:QWBxaopM
何かで読んだけど、汗かいている者同士が裸で抱き合うと、互いの肌がひんやりと冷たく感じられるそうな。試した事ないけど。

つまり……。
355名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 21:35:52.44 ID:jpkxlwEQ
暑いの?そうなの?

あ、いい事思いついた

氷水張ったお風呂で体冷やしてくるから温めてね


とかいって唇が紫色を通り越すまで全身を冷やして
兄or弟の寝ているベッドと浴室を往復し続ける妹or姉
こうですねわかります
356名無しさん@ピンキー:2011/05/02(月) 21:51:50.32 ID:tF4/7dwz
そこはいっそ一緒に水風呂に…
357名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 00:43:38.25 ID:ktCl+ldQ
ママさんキモ姉。
358名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 01:21:57.43 ID:hgrMNzaH
>>356
堅く絆が結ばれそうだな
死後硬直も相まって
359名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 03:14:04.21 ID:6ySu8Q/z
>>358
そうなったら誰が第一発見者だろ、やっぱキモウトなのかな
360名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 04:14:41.20 ID:Ou/VzkcW
>>359
キモウトならその場で後を追いかねないな
361名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 12:01:53.77 ID:6ySu8Q/z
キモウトはそうなる前に察知して飛んでくる気がしてきた
362名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 16:51:07.93 ID:ThIgiBEW
作品来ないなぁ
363名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 16:59:29.07 ID:vDz0zc2E
翼をくださいもう来ないのだろうか
364名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 17:14:06.31 ID:ktCl+ldQ
ニートキモ姉にパラサイトされて周りから良い夫婦だと言われたい。
365名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 18:00:35.70 ID:ThIgiBEW
保管庫見て思うけど途中で終わって続きが気になる作品いっぱいあるな
366名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 18:18:57.53 ID:favSGEn2
みんな最初は書けるんだよ
モチベを保つのが一番難しい
367名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 21:30:03.34 ID:Au5A3s/W
1話だけ、最初だけなら投下できるけど、今後続きを書く予定がない人ならそもそも投下するべきではないですよね?
それがわかってるならレスるのもおかしな話ですが、前に比べてずいぶん過疎ってたようなので・・・
368名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 21:34:56.46 ID:WKD3xqEB
そういや随分と人減ったよなぁ。定期的に覗いてるやつなんかもはやいない希ガス
369名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 23:16:11.02 ID:dXYWzjXm
>>368俺がいる
370名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 23:16:26.37 ID:u17zKp/W
>>368
定期的に覗いてんぞ俺
371名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 23:17:37.52 ID:2qH+KYL0
>>368
スレタブにずっとあるよ
作品投下は減ったけど書き込み間隔短くなってない?
372名無しさん@ピンキー:2011/05/03(火) 23:59:23.03 ID:ThIgiBEW
>>371
そうかな?
まぁちょっと前まで賑やかすぎたから余計に寂しく感じるのかも知れないね
373名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 00:01:50.47 ID:g9n8+ilR
>>368
基本ロム専だが
374名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 01:12:42.07 ID:0NDjzyz8
ゴールデンウィークなんだからもしかしたら投下がくるのではなんて妄想してたので少し残念

一時期の賑やかさが懐かしい…
375名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 04:16:22.19 ID:BrGX4dVI
>>374
GW中はリアルに専念してるのかも(うちは仕事orz)
連休明けの続編投下を期待
376名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 10:53:23.86 ID:MUNGFWQH
>>368
亀だが俺もいるぜ
377名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 11:28:35.79 ID:0QR+mGSy
だいたいどこも連休中は投下少ないだろ。
378名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 17:32:55.66 ID:22w3rOdd
だいたい連休中に書きためるからな
小ネタとか筆の早い人なら休み中にも投下出来るんだろうけど
379名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 19:02:59.90 ID:HdXwiT3i
竿の早い人に見えた

疲れてるみたいだ……
380名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 21:18:13.29 ID:ot1+k6HI
普通仕事終わりや日曜日とか小さな時間できたら少しずつ書き溜めない?わざわざ連休に書き溜めるの?
俺的には連休投下無かったらまだ長引きそうな感じがするけど…。
381名無しさん@ピンキー:2011/05/04(水) 23:22:50.59 ID:IB49RONN
乞食はいい加減我慢して待つことも覚えろ
書く人にも書く人の都合があるだろうよ
382名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 00:39:28.36 ID:7ch3f5k7
キモ姉の話しようぜ。
逆レイプじゃなくて泣き落としキモ姉を思いついた。
一生の頼みだからSEX してくれと土下座から始まり
要求が子供産ませてなどエスカレートしていく。
弟は気持ちよくて断れない。
38335-252:2011/05/05(木) 03:24:48.48 ID:yb8XSaNV
確かにしばらく投下ないですね。というか先週までが凄すぎたような。
つなぎに短いのを。お題出た矢先にすみません。
384Heartspeaks 疾病妹の疾走(1/2):2011/05/05(木) 03:25:40.08 ID:yb8XSaNV
「あれ、鳩子?」
「お兄……ちゃん?」

休日の街角でばったり顔を合わせたのは、兄と妹と、そしてもう一人。

「『お兄ちゃん』って……え、ながみーの妹さん?」

その日の鷹司の隣には、女性がいた。
同じ店の紙袋をそれぞれ手に持って、親しげに言葉を交わしながら歩いてきた二人連れ。

(警告! 警告! 異常事態発生中!! 何これ!? 一体何が起こってるの!?
 私ともあろう者が、こんなに距離が詰まるまでお兄ちゃんの存在を感知できなかった!!
 隣にこの人がいたせい!? 女連れのお兄ちゃんを認識することを、私の脳が拒絶したというの!?)

「あ、えーと。紹介する。妹の鳩子。
 こっちは、大学のサークル仲間の、小林」
「小林美鷺です。はじめまして」
女性は笑って軽くお辞儀した。Tシャツを押し上げている胸の曲線が、否応なく鳩子の目を吸い寄せた。

(サム、これは何ですか? いいえハトコ、それは彼女ではありません。
 本当なのサム! 彼女じゃないなら何なの? おっぱいなの!? ついでに貴方も誰なのよサム!!
 信じていいのね!? ヘイ黙らないでよサム! 昔みたいに『米軍は君が欲しい』って言ってよ!!)

「長峰鳩子です。兄がいつもお世話になってます」
混乱をおくびにも出さず、鳩子は如才なく挨拶を返した。
「二人で……買い物?」
「ん? ああ」
鷹司は手にした紙袋に目をやる。
「次の連休に、サークルの有志でプチ合宿やるって話しただろ。その買い出し」
「一通り終わって大学へ置きに行くとこなの」
「そうなんですか。お兄ちゃん、今日は遅い?」
「いや。晩飯までには帰るよ」
「分かった。……それじゃ、失礼します」
ぺこりと頭を下げると、鳩子は二人の脇を抜け、歩き去って行った。

「ちょっとながみー! あんな眼鏡美少女どこに隠してたのよ!!」
「いてーよ叩くな! 別に隠してないっつーの」
「やーん妹さん可愛い! 礼儀正しくておとなしそうで。似てない兄妹っているものねえ」
「ああまったくだ。サークルの誰かさんとの比較で余計そう思えるわ」
べしっ、と美鷺の手の甲が鷹司の額に直撃した。
「っっ……言ってる傍からお前は……」
「あら失礼。手が当たりまして?」
美鷺は両手を広げ、くるくる回りながら少し先を歩いている。
額をさする手の陰からその姿を眺めて、鷹司は小さく微笑んだ。
385Heartspeaks 疾病妹の疾走(2/2):2011/05/05(木) 03:26:21.69 ID:yb8XSaNV
ふらつく足で角を曲がり、やや人通りの少ない閑静な道に出る。

(二人で買い出し。合宿の買い出し。合宿って何だっけ? 買い出しって何だっけ?
 合宿だから宿を合わせるんだよね。同じ宿だよね。浴衣の君は鈴木の桟橋♪ってやつだよね。
 それから買い出しは買って出すことだよね。出してもいいように被せるものを買うんだよね。
 お相手のあの人は美鷺さんって言ったっけ。さすがお兄ちゃん、見立ても確かです。
 おっぱい大きいし美人だしおっぱいだし。お兄ちゃんくらいになればもうよりどりみどりなんだ)

震える膝が、体を支え切れなくなったように折れ曲がり、鳩子は歩道にしゃがみこんだ。
上半身が前のめりに崩れ折れ、とっさに両手をつく。

(お兄ちゃん……)

片足を引きつけ、膝に力をこめると、腰が高くなる。
掌を浮かせて指先で体を支える。力強く顔を上げれば、人影もまばらな一直線の歩道が続いていた。

(破ッッッ!!!)

鳩子は全身のバネでクラウチングスタートを切った。つむじ風が逆巻き、砂埃を舞い上げた。

(認めない! 認めらんない!! 何よ何よ何よ、何なのよーーーっ!!!
 サークル!? 合宿!? 買い出し!? サークルならさっさと記憶消されて戦闘から抜けなさい!
 合宿といえばお兄ちゃんどいてそいつ○せないの本場でしょ! マジでころころしちゃうよ!?
 買い出しは……か、貝くらい出すよお兄ちゃんの前でなら! あの人のより綺麗だよ! 多分!!)
 
風を巻き起こしながら、弾丸のように鳩子は駆ける。暗い怒りが膨らむほどにスピードも上がっていく。

(お兄ちゃんもお兄ちゃんだよ!! 実の妹を差し置いて他の女と浮気ってどういう了見!?
 本当はお兄ちゃんの部屋にエロ本やエロDVDがあるのも嫌なのに百歩譲って見逃してるんだよ!?
 本棚の裏とクローゼットの隅とPCの空き箱の梱包材の下ね! 幼い系が好きそうで安心してた!
 なのに大学生と同伴! 一貫性欠けてます! 気さくなお姉さんタイプとか! それに胸とか胸とか!!
 妹の貧乳より他人の豊乳を選ぶの!? 私の胸がFカップになるまで待てないっていうの!?
 お兄ちゃんのバカ! 哺乳動物! 豆腐の角で転校生とぶつかって死んじゃえ!!)

店から出てきた鵜之介の前を、謎の影が猛然と走り抜けて行った。
「ぐあっ」
風圧で首が吹き倒される。うなじをさすりながら、鵜之介は影の後ろ姿を目で追った。
「今の……長峰さん!?」

(泣いてた……?)

駆け出そうとして、思い留まる。

(いや、僕が追いかけてどうするんだよ。長峰さんにとっちゃただの同級生だぞ。
 それに何があったかも分からないのに、首を突っ込む勇気があるのか……?)

一瞬の逡巡の後、鵜之介はぐっと拳を握りしめ、鳩子の後を追って走り出した。

386名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 09:26:17.66 ID:wUDvEThx
GJです!
おっぱいの名字は小林…という事はもしや?
387名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 16:31:43.58 ID:fO1jjXaH
GJ

おっけー兄貴と弟生`
388 ◆UgTvGvLQRk :2011/05/05(木) 19:39:17.16 ID:y6fI1JVG
第一話、投下します。
389ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:40:16.58 ID:y6fI1JVG
 生まれ変わろう。
 六畳一間の小汚いアパートの一室。その部屋の中心で、僕は遂に決心したのだった。
 いつもの僕なら、決心するだけで終わりだった。己の無知を自覚するソクラテスのように、自分が駄目な奴だと自覚している分、他の同じ駄目人間達よりも幾分マシであろうと、己を無理やり納得させて終わりだった。
 僕はいつも決心するだけで、その後にはなんの行動も伴なわなかったのだ。自己満足と自己嫌悪の応酬を続けるだけだった。
 しかし、今回の僕は一味違っていた。胸中で渦巻くモヤモヤとした黒い塊に、とうとう耐え切れなくなったのだ。
 もう嫌だ。こんな陰鬱な気分でこれからの日々を過ごすくらいなら、いっそ死んでしまったほうがマシだ。けど、当然僕には自殺するような勇気は微塵も無い。
 なら、重い腰を上げて動くしかないのである。酔生夢死の徒からの脱却。厳しい任務だ。けれど、僕は今夜、生まれ変わってみせる。
 そうと決まれば即行動である。決意の熱が冷めてしまわぬ内に、具体的な行動計画を立てよう。
 壁時計へと視線を移した。
 現在の時刻は午前一時半。普通の生活サイクルを送る者ならば、今頃はみんな床についている時間帯。つまり、僕にとっては今が絶好の外出時刻だ。
 僕が住んでいる街は、世間一般に言う郊外のベッドタウン。こんな夜更けに出歩いている人間といったら、せいぜい酔っ払いのサラリーマンぐらいが関の山だ。なんら心配はない。
 あっ、けど、もし道中でからまれたりしたらどうしよう。酔っ払いは何をしでかすかわからない分、素面のサラリーマンよりも余程に性質が悪い。妙な難癖をつけられて、殴られたりするかも。
 嫌だな。痛いのは嫌だ。そもそも酔っ払い以前に、パトロール中の警察官に出くわして、職務質問とかされたらどうしよう。
 まともに対応出来る自信なんて、からきし無い。逆に、不審者として連行されてしまうかもしれない。
 嫌だ。外は危険だ。危険な外になんか出たくない。やっぱり無理だ。今日はもう止めて、また明日頑張ろう。そうしよう。
「いけない、いけない」
 ネガティブな考えが脳内を支配し始めているのに気づき、僕は雑念を振り払うように左右に頭を振った。
 とにかく、今は物思いに耽ったりせずに、ただ動こう。益体のない思考は、行動の硬直化を招くだけだ。
390ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:42:25.37 ID:y6fI1JVG
 今夜の作戦を決定する。
 僕は今から深夜のコンビニへと赴き、店内に置いてある求人誌をゲットする。ついでに、夜食のポテチとコーラを一緒に購入。そしてそのまま寄り道することもなく、真っすぐにこのボロアパートへと帰宅。
 大丈夫、簡単なことだ。この程度のおつかい、小学生どころか幼稚園児にだってこなせる。今年で二十七になる自分に出来ないはずがない。
 頬をピシャリと叩き、自らを鼓舞する。
 万年床から這い出て、毛玉だらけの着古したスウェットを脱ぎ捨てた。そして、押し入れにある真新しいシャツとジーンズを着る。その上に厚手のコートを羽織り、最後に黒のニット帽を被った。
 洗面所の鏡で自分の姿を確認。とりあえず、おかしな格好ではないと思う。
 あいうえおー、と年のために発生練習した。ただレジを通すだけの簡素な買い物だ。おそらく声を出す機会など一度もないだろうけれど、万が一に備えての事である。暇を持て余したコンビニ店員が、僕に世間話をふる可能性もあった。
 脱ぎっぱなしのスウェットを洗濯機へ放り込み、僕は玄関へと移動した。
 大学生の頃から使っている汚れの目立つスニーカーを履いて、目の前にそびえ立つドアと対峙する。
 ここから先は、もう未知の世界だ。この部屋と違って、僕以外の人間が平然と闊歩する異世界。そして僕のことを守ってくれる存在など、勿論ひとりも居ない。
 気分はさながら、魔王を討伐しにいく勇者の心境だ。大袈裟だと思われるかもしれないが、ひきこもりの僕にとってはそれほどの一大イベントだった。
 一度、大きく深呼吸。心を落ち着かせる。
 それから冷たいドアノブを握り、ゆっくりと引いた。冬の寒気が、ドアの隙間から漏れ出てくる。それだけで引き返したくなる。だけど、それじゃ駄目なのだ。僕は今夜、生まれ変わらなくてはならない。
 外に出た。
 久しぶりの外界は、ゾッとしてしまうほどにしんと静まり返っていた。肌を突き刺すような冷気が、僕の体温を奪っていこうとする。思わず、両手で身体を擦った。
 とりあえずの所、視界に人はうつらない。ホッとする。
 錆びた階段を降りて、道路に出た。等間隔に並んだ街灯が、スポットライトのように地面を照らしていた。遠くでバイクのエンジン音も聞こえる。
 カチカチと歯の根が合わない口をギュッと引き締めて、僕はコンビニを目指して歩き始めた。
 大丈夫、大丈夫と心の中で何度も反芻させながら。
391ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:43:48.20 ID:y6fI1JVG
 吐き出した白い吐息が溶けていくのをぼんやりと眺めながら、僕は闇の中を進んでいく。
 しばらく歩いていると、さすがに気持ちも落ち着いてきた。心に余裕が出てくると、ついつい考えごとをしてしまう。
 僕はゆくりと回顧する。
 僕は所謂、ニートであった。社会不適合者の烙印を押されてから、かれこれ六年ぐらい経つ。今は、特に何もやっていなかった。本当に、なんにも。ただ無意味に一日を消化するだけの毎日を過ごしている。
 今思えば、元々そのケはあった。
 僕は昔から、どうも人とコミュニケーションをとるのが苦手で、許される限り孤独を謳歌するような人間だった。
 友達らしい友達なんて、ひとりも居やしなかった。だけど、別に欲しいとも思っていなかったので不満はなかった。
 転機は大学三年生の春に訪れた。相も変わらず孤独な日々を過ごしていた僕は、なんの意味も意義も無い大学生活に疑問を感じ、勢いそのままに大学を中退した。
 中二病をこじらせたのか、若気の至りであったのかは、今ではわからない。
 が、たとえ無事大学を卒業したところで、僕はおそらく同じような道を辿っていたと思う。
 相槌を打つ協調性すら皆無の自分が、就職活動なんてたいそれたものを成功させる姿は、とても想像出来なかったからだ。
 さて、そんなひきこもりニートの自分がどうやって生計をたてているのかというと、答は簡単。もちろん家族に養ってもらっているのである。
 大学を中退してからも、僕は実家に帰らずに下宿先のボロアパートに居残り、親父の送る生活ギリギリの送金で糊口をしのいでいた。
 そんな日々が、しばらく続いていた。僕は決して幸福ではなかったけれど、不幸でもなかった。親父には悪いとは思っていたけど、実際動くとなると話は別だった。僕は、ひたすらに外が怖かったのだ。
 だがある日のこと、僕の生活基盤を揺るがす大事件が起きた。
 今から二年前のことだった。僕の扶養主である親父が、交通事故にあって亡くなってしまったのだ。母親はとうの昔に死んでいたので、これで僕は両親二人を失うことになった。
 自分でも非情な奴だと思うが、僕はこの時、親父が死んだ悲しみよりも、むしろこれからの生活への不安のほうが大きかった。
 両親が死んだ。つまり、僕を養ってくれる人間が消えた。生活の糧をも失ってしまった。
 当時、僕は深く絶望していた。行き先の無い未来に対して、途方もない恐怖を抱いていた。
392ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:45:31.50 ID:y6fI1JVG
 これからどうやって生きればいいのか、それだけばかりを必死で考えた。親父の遺した僅かばかりの金では、この先とても持たなかった。このままでは野垂れ死んでしまうことは目に見えていた。
 どうすれば、どうすれば、どうすればいい。
 しかし、僕は存外あっさりと、自分が生存する方法を見つけるのだった。それが最低最悪の方法だと自覚しながら。
 そう。僕は両親は失ってしまったけれど、家族は失っていなかったのだ。
 僕の家族構成は四人。両親二人が死んだ今、残りは二人いる。一人は僕で、もう一人は二つ下の妹だった。
 そう。両親が死んで以来、僕はあろうことか唯一の肉親である妹に頼ったのだ。そして今も現在進行形で、彼女に養ってもらっている。
 兄として、これほど情けないことはないと思う。畜生にも劣る存在だ。けれど、僕は妹が何も言わないことをいいことに、ダラダラと今の生活を続けている。
 今回の一大決心の要因は、なによりも妹の存在が大きかった。今までは親父に迷惑をかけ、さらにこれからは妹にまで迷惑をかけていいはずがない。
 とにかく、アルバイトでもなんでもいいから一刻も早く職を持って、僕は妹の負担を減らさなければならない。
 そのためにも、早く生まれ変わるのだ。今夜は、その第一歩であった。

 異変が起きたのは、コンビニまで後五分というところだった。
 二つ先の街灯の下に、三人の人間が照らされていた。僕は反射的に近くの電柱に身を潜めた。外出してから初めて現れた登場人物に、戸惑いを隠しきれなかったのだ。
 頼むからさっさと何処かに行ってくれ、と必死に念じながら、電柱の影からこそりと前の様子を伺う。
「なあ、いいじゃんかよ」
 やけに甲高い男の声が耳に届いた。閑静な住宅街だけあって、声は明瞭に聞こえる。
 目をこらす。
 前方にいる三人は、男二人に女一人の構成だった。
 男は、背の高いのが一人に低いのが一人。両方とも頭髪を明るい色に染めている。穿った見方かもしれないが、軽佻浮薄の四文字が最も似合いそうな二人だった。
 一方、女のほうはこちらに背を向けて立っているので、表情まではわからない。長い髪をひとつに結んでいて、暗い色のスーツをビシッと着こなしている。コートを着ていないので、かなり寒そうだ。どこかに勤めるOLさんなのだろうか。
393ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:46:53.10 ID:y6fI1JVG
「やめてくらあさい」
 と、次に聞こえてきたのは女性の声だ。が、どうにも様子がおかしい。なんていうか、夢見声というか、呂律が回っていないというか。
 よく見れば、OLさんはフラフラと左右に揺れていて重心が定まっていないようだった。どうやら酔っているらしい。
「いいじゃん、いいじゃん。ちょっと俺の家で休むだけだって。ほら。ここら辺、最近物騒だって聞くし、そんな中を酔ってる女性が一人で歩いてちゃあ、危ないでしょ?」
 お前らのほうがよっぽど危ないよ、と心の中で一人ツッコミ。というか、背の高いほうが甲高い声の持ち主だったのか。なんか意外。
 だいたい状況は掴めてきた。
 OLさんはひどく泥酔しているらしく、それを目敏く見つけた二人組の男が、彼女が酔っているのをいいことに、家へと連れ込んでニャンニャンしようとしているらしい。
 尤も、あの様子じゃOLさんが連れて行かれるのも時間の問題だろう。
「それにしても寒いな。身体も冷えてきちまったし、さっさと行こうぜ」
 そう言いながら、背の低い男がOLさんの肩に手をかけた。しかし身長が足りていないので、見ようによっては子供が大人にぶら下がっているようにも見えた。
 が、OLさんが意外な行動に出る。いきなり男の手を振り払ったかと思うと、一際大きな声を上げたのだ。
「だーかーらー、やめてくらさいって、言ってるでしょうがっ」
 相変わらず舌っ足らずな口調だったけれど、想像していたよりもずっと強い拒絶に、男達は狼狽しているらしかった。僕も驚いていた。
 今の一言で、彼女が簡単には身を許さない、身持ちの固い女性であることが明白になった。
 チッ、と背の低い男が舌打ちする。
「うっせえなぁ、いいからさっさと来いよ」
 あからさまな拒絶に腹が立ったのか、男達はさっきとは打って変わり、乱暴な所作でOLさんを連れて行こうとした。
 ヤバイ。
 漸く、僕も自身の身が危ないことに気付く。
 進路方向によっては、僕が彼等と鉢合わせてしまう可能性があった。それだけは避けたかった。見た感じ男達は苛立ってるし、変なイチャモンをつけられるかもしれない。
 僕は最悪の場合を危惧し、逃げ場を探そうと視線をさ迷わせたが、杞憂に終わることになった。
 幸運なことに、男達が向かって行くのは僕の居る場所とは正反対の方向であった。鉢合わせの可能性はこれで潰えた。僕は安心する。
394ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:47:55.97 ID:y6fI1JVG
 正直なところ、OLさんがどうなろうと僕は知ったこっちゃなかった。
 今回のことは、どう考えてもベロンベロンに酔っているOLさんの不注意によるものだし、自業自得である。
 それどころか、後々のための良い薬になるだろうとさえ、僕は考えていたのだった。
 他人の心配なんかする余裕はない。そんなことよりも、僕にはやるべき事があるのだ。
 正直、彼女のことは可哀相だとは思うけど、目撃者がニートである僕であったことが運の尽きだ。
 どっちにせよ、僕には関係が無い。OLさんへのせめてもの餞に、心の中で合掌をしてやろうと思っただけだった。
 そう、思っていた。そう、思っていたのに
「やめてっ」
 今までで一番大きなOLさんの叫び声に、僕の死んでいたはずの良心が刺激された。
 即座に、周囲に視線を張り巡らせる。人っ子ひとりいない。通りすがりのヒーローが彼女を助けてくれる可能性は消えた。彼女を助けられるのは、自分一人しかいない。
 心臓が有り得ないぐらいの速さで脈を打っている。鼓動は、男達との距離が広がっていく度に速さを増しているようだった。
 良心が警鐘を鳴らす。
 本当に、僕はこのまま何もせずに、彼等を見送ってしまってもいいのだろうか。
 どう見ても、OLさんは嫌がっている。これはれっきとした犯罪行為ではないのか? 僕には、警察へ通報する義務が生じるのではないのか?
 けど、僕はあいにく携帯電話なんて持ち合わせていない。ひきこもりニートにそんなものは必要ないからだ。
 なら、交番へ行くか? だけど、僕は交番の場所なんか知らない。今から探して間に合うだろうか?
 でも、仮に交番へ行けたところで、僕みたいなひきこもりニートがまともにこの状況を伝えることが出来るのか?
 いや。おそらく、失笑されて終わりだ。いい年した男が、変なことを口走っていると思われて。それで終わりだ。
 いや。それどころか、不審者と見なされて取り調べとかされるかもしれない。そして、拘置所の中にぶち込まれるかもしれない。
 いや。きっと、そうなる。だって僕、ひきこもりニートだもの。人間のクズだもの。絶対に、無理に決まってる。
「…………」
 結局、僕には何も出来なかった。茫然として、彼女が連れ去られるのを見届けるだけだった。
 仕方がないのだ。
 僕はコミュニケーション不全の駄目人間なのだ。こうやって深夜に出歩けるようになったのも、ついさっきの出来事なのだ。
395ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:49:07.92 ID:y6fI1JVG
 言うならば、僕は生まれたばかりの小鹿に等しい。悪漢に連れ去られる女性を助けるなんて、絶対に無理だ。最低レベルのまま、ひのきのぼうと布の服で魔王に挑むようなものである。
 だから、仕方ない。
 いや。それどころか、こうやってOLさんを助けなくてはならないという正義感に駆られてるだけ、僕はまだマシじゃないか。そこらのニートよりも、格段に勝っている。こんなこと、普通のニートに出来るか?
 そうだよ。逃げ出さないで、辛い現実から目を逸らさないでいるだけ、僕はまだカッコイイじゃないか。少なくとも、ただのニートではない。スーパーニートだ。
 だから、いいんだよ。別に、僕は立ち向かわなくたっていいんだよ。
 自己を合理化して、罪悪感を薄れさせる。知りもしない他者に対して、よくわからない優越感を抱く。いつもの僕がやる常套手段だった。
 だけど、それの何が悪い?
 僕がそのまま、マイナスの感情に身を委ねてしまおうと思った時だった。
 声が聞こえた。
「誰か、助けて」
 決して、大きい声ではなかった。しかしはっきりとした声が、僕の鼓膜を震わせ、脳を揺さぶった。
 フラッシュバックするセピア色の光景。
 夕日に照らされて、教室の中で立ち尽くす少女。机の上には、刻まれた体操服。普段は凛としている彼女の瞳が、今は頼りなく光っていた。
 そして、今にも泣きだしてしまいそうな顔で、見えない何かに耐えるように拳を力強く握りしめながら、少女は誰にでもなく呟くのだ。
 ――誰か、助けて。
「ああああ、あっの、少し、よろしでしょうか?」
 突然だった。
 噛みまくりの情けない声が、急に聞こえだしたのだ。
 誰だ? こんな聞くに耐えないような不快な声を出すのは。
「誰だよ、お前」
 いつの間にか、背の高い男の顔が目の前にあった。
 あれ? どうして、こんな近くに男の顔があるのだろう? さっきまでは、あんなに遠くにあったのに。
「あっ」
 そうして僕は、やっと気付く。
 僕は男達のすぐ側まで、全力で駆け出して来ていたのであった。息が途切れ途切れでひどく苦しい。
「だから、何のようなんだって聞いてんだろ」
 背の低いほうが、いつまでも返事をしない僕の肩を軽く小突いた。
「ひっ」
 たったそれだけの行いで、僕は情けのない声を出して、その場にペタンと尻餅をついた。男達はキョトンとした顔でそれを見た後、ゲラゲラと下品に笑った。
396ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:50:56.78 ID:y6fI1JVG
「おいおい、なんだよ。ちょいと触っただけじゃねぇか。何をそんなにビビってんだよ」
 頭の整理がまだ出来ていない僕は、羞恥心やら恐怖心やらで顔を赤らめる。
 くそっ、何をやっているのだ僕は。傍観するだけって決めたじゃないか。なのに、なんでノコノコとコイツらの前に参上しているんだよ。正義の味方にでもなったつもりなのかよ。
 立ち上がって、パタパタとお尻を叩く。
 ええい、ままよ。
「いいい、いや、嫌がっつるじゃあないですか、その人」
 半ばやけくそになった僕は、男達へ向かって声を上げる。自分達の行いが非難されてると知って、男達の顔色も変わった。
「テメェには関係ねぇだろ」
「けけけっ、ど、それってはは犯罪になりますよね。女の人、いややがってるし」
「だからなんだってんだよっ」
「たとえ、たとえですよ。仮にぼぼ僕が、なにもしなくたってえ、その女の人が、後ほど、けけ警察に通報したりするんじゃああありませんか?」
 あくまで自主的に止めさせようと、僕は説得じみたことを始めた。この場が丸くおさまれば、それが一番だからだ。
 しかし、
「ああ、それについては大丈夫だよ」
 下卑た笑みを浮かべながら、背の高い男はあっけらかんと言った。
「ハメ撮り写真でも撮って、これをばら撒くぞって脅せば、女なんて何も言わないからさ、実際。
 心底わかってんだよ。警察に行って一生の恥かくよりも、たった一夜の過ちを悔やんだほうが割に合うってな」
 目眩がした。世界が回って、足元もふらついた。
 駄目だ。コイツら、下手したら僕以上のクズだ。男達がこういう行為をするのが初めてでないことは、今の物言いで一目瞭然であった。
「でででで、でもですねえ」
 正義のヒーローなら、ここで迷わす鉄拳制裁なのだろうけど、非力な僕には説得を続けることしか出来ない。
「ああ、もうウッゼェ。さっきからネチネチうるせぇんだよ」
 いつまでも突っ掛かってくる僕に痺れを切らしたのか、背の低いほうが、遂に僕の顔を殴った。
「ひっ」
 殴られた勢いで、僕は地面に倒れる。アスファルトの道路にモロに顔をぶつけ、頬が擦り切れた。痛い。
 僕はそのままダンゴムシのように丸まって、ガタガタと震えた。口内では鉄の味が広がっている。
「んー?」
 そんな僕の情けない仕草の一々に疑問を感じたのか、背の低いほうがボソリと呟いた。
397ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:52:17.72 ID:y6fI1JVG
「お前って、もしかしてひきこもりか何か?」
 思わず、ビクリと震えてしまった。ひきこもり、という単語に脊髄反射してしまう。目の奥がカッと熱くなった。僕は恐る恐る顔を上げた。
 僕の頭上では、我が意を得たり、と背の低い男はニヤリと笑っている。
「おいおい、マジでヒッキーなのかよコイツ。えっ? なんですか? 今までずっと、社会の底辺が俺らに口を出していたって訳ですか?」
「えっ、あっ」
 なんで、なんで、なんで、なんで。
 なんで僕がひきこもりニートだってことがバレたんだ。顔か、体格か、それとも雰囲気か。
 僕はうろたえる。この瞬間、優劣関係が硬固たるものへと変わった気がした。
「ふーん、ひきこもりねぇ」
 背の高い男も、これまで以上に馬鹿にするような目で、僕のことを見る。
「ひきこもりとか、社会のゴミじゃねぇか。ゴミがなに偉そうに人様に説教してんだよっ」
 背の高い男が、僕の腹を蹴る。痛い。不意に吐き気が込み上げてきて、慌てて口を塞ぐ。胃液を飲みこむ。
「その通りだな。ヒッキーはヒッキーらしく、じめじめと岩の下で暮らしてりゃあいいんだよっ」
 背の低いほうも、僕の顔を蹴った。痛い。唾液と血が混じったものが、口から流れ出て道路を汚した。
「ていうか、いっそ死んじまえよ」
「そうだそうだ。さっさと死ね。穀潰しが」
 容赦なく降り注ぐ、僕の存在を否定する声。自分自身、己の存在を否定するなんて日常茶飯事の事であるが、他人に否定されるの初めてのことだった。
「死んじまえ」
「死んじまえ」
 サラウンドに聞こえてくる、死ねの声。
 不思議な気持ちだった。普段、自分で自分の存在を否定していると、坂を転がり落ちるように気分も落ち込んでくるものだ。そして、実際に死にたくなってくる。
 けれど、他人に自分の存在を否定されていると――
 僕はゆらりと幽鬼のように立ち上がって、目の前の男達を見据えた。
 僕の視界は真っ赤に染まっていた。この感情は、久しぶりだ。久しぶり過ぎて、忘れていた。そう、これは怒り。僕は今、猛烈に怒っている。
 風船が破裂するように、僕も破裂した。
「僕はひきこもりじゃないっ」
 夜空に向かって、叫んでいた。
398ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:53:46.49 ID:y6fI1JVG
「ぼぼぼ僕のどこが、ひきこもりだって、言うんですかっ? ほら、見てくださいよ。僕はこうして今現在進行中で外を、ででで出歩いているじゃああありま、せぬか? なら、ひきこもりじゃあないでしょう。
 ええ、そうですよ。僕はたしかにひきこもりでしたよ。けど、それは過去のことです。過去形です。ワズです。
 だあかあらあ、いいいまは違うでしょうっ。ひきこもりじゃないでしょう? ニートですけど、ひきこもりではないでしょうがっ。
 て訂正してくださささいよおっ、今言ったひきこもりって言葉。訂正してくださいよおおお。どうせならニートって呼べよ。つーか、そう呼べええっ。さあさあさあささあさあっ」
 深夜の寒空の下、唾と血を飛ばしながら騒いでいるニートが、ここに一人。ええ、そうです。それは、僕です。
「…………」
 突如、態度が百八十度変化した僕に対し、男達はドン引きしていた。口をポカンと開けて、僕のことを凝視している。
「お、おい。コイツ、ちょっとヤベェんじゃねぇの?」
 背の低いほうが高いのを肘でつつき、高いほうもハッと我に返る。
「あ、ああ。確かにコイツ、かなりヤベェよ。見ろよ、目がイッちまってる。あれは完全にキ〇ガイの目だ」
 背の低い男も、同意するように無言で頷いた。
「なっ、ななななにをさっきからあ、ごごゴチャゴチャ言っ、てるんですかかかねえっ」
 しかし、僕の興奮は収まることを知らない。ぼたぼたと鼻血を垂らしながら、じりじりと男達に詰め寄って行く。
「てて、て訂正しててくださいよおお。ぼ僕のことをひひ、ヒッキーって言ったことお、訂正してくださいよっ。ごご、語弊を正し、ってくださいよ」
 僕が一歩進むと、男達が一歩下がる。僕が二歩進むと、男達も二歩下がる。それを何度か繰り返した後、背の高い男が遂に諦めた。
「今日は、もういい。さっさとずらかろうぜ。コイツ、マジでなにをしでかすかわからねぇぞ」
「ああ、同感だ」
 そして、男達はぐちぐち悪態をつきながらも、僕の前から逃げるように去って行った。
 狂人を相手にするリスクのほうが、OLさんを手にするリスクよりも上回ってしまったのだろう。
 なにはともあれ、計らずとも僕は二人の悪漢に打ち勝ったのだった。
「…………」
 なのに、どうしてこんなに虚しいのだろう。いつの間にやら、僕はポロポロと涙を流していた。自分のメンタルの弱さに、さらに呆れてしまう。
399ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:55:06.49 ID:y6fI1JVG
 僕は一体、何をやっているのだ。ただ徒に自分の矮小さをさらけ出して、己のことを傷付けただけじゃないか。僕がやっているのは、ただの自傷行為だ。カッコイイことなんて、何一つない。ていうか、カッコワルイ。
 熱くなった頭とは対照的に、指先はとうに冷え切っていて、既に感覚が無かった。寒い。
「帰ろう」
 今更、コンビニへ行く気にもなれなかった。早く家に帰って、万年床の中でぬくぬく温まりたかった。しばらくの間は、外に出たくなかった。
 僕は踵を返して、自宅を目指す。
「待ってくらさい」
 しかしそれを妨げたのは、すっかり蚊帳の外であるOLさんだった。僕の肩を掴んで、相変わらずの不安定な喋りのまま行く手を憚る。
 対して僕は、そういえば女の人に触られるのは小学生以来だなぁ、なんてことをぼんやり考えていた。
「とりあえーず、礼を言っておきましょう」
 助けられた側なのに、なぜだか尊大な口調でOLさんは礼を言った。甘ったるい酒の匂いが、こちらまで漂ってくる。
「いいですよ、別に」
 僕は素っ気なく言い放った。テンションが最低辺にまで落ち込んだ影響か、吃りまで消えてしまっている。誰かとまともに会話するなんて、随分と久しぶりだ。
「いや、そういう訳にもいきまひぇんよ」
 しかし、OLさんしつこく食い下がる。
「私、借りを預けっぱなしっていうのはあ、どうにも性分に合わないんれす。今はこんなんですから無理ですけど、後ほど改まって礼をさせてくらだい」
「いや、本当にそういうのいらないんで」
「わったしがよくないんですよぉ」
「いや、だから」
「ほら、さっさと連絡先ぃ教えんしゃい」
「その」
「ほらぁ、早く早く早くぅー」
 ブチッ、と何かが切れる音がした。
「あああ、もう五月蝿いっ。僕のことなんかほっといてくださいよっ」
 先程の興奮が未だ冷めていなかった僕は、遂に耐え切れなくなって激昂する。肩に置かれた彼女の手を乱暴に振り払った。
「あららら」
 しまった。
 身体の支えを失ったOLさんは足元をふらつかせて、そのまま後ろへ倒れていく。危ない倒れ方だった。このままでは、彼女は後頭部を打ってしまうだろう。
「危ないっ」
 ほぼ無意識だった。僕はOLさんへと必死に手を伸ばして、彼女の身体を抱き寄せた。普段の僕では考えられない、紳士的な行動だ。
 必然と、OLさんと目が合う。今になって気付いたが、彼女はびっくりするぐらい整った容姿をしていた。
400ひきこもり大戦記:2011/05/05(木) 19:56:02.71 ID:y6fI1JVG
 酔いのせいか頬は赤く染まり、目はとろんと半分垂れ下がってだらしの無い表情をしているが、それを差し引いたとしても、彼女は美しかった。
 女性と見つめ合うなんてことは、僕には出来ない。が、この時ばかりは違った。僕は彼女の瞳にスッカリと魅入られてしまい、視線を外せずにいた。
 OLさんが口を開いたの突然だった。
「……武井、くん?」
 いきなり呼ばれた、僕の苗字。時が止まった。心臓も止まった。
 どうして? なんで、僕の名前を。何故、僕の名前をOLさんが知っているんだ?
 僕はひどく動揺した。ゲージがフルテンまで振り切れる。色んな感情が織り交ざって、何も考えられなくなる。
 ひきこもりニートにとっての最大のタブー。それは、過去の知り合いと出くわすこと。そして今、僕の目の前にいるOLさんは僕のことを知っていた。
「武井くん……れしょ?」
 OLさんがもう一度尋ねる。
「……違います」
 僕は呟く。
「えっ?」
「違いまあああああすっ」
 キャパシティを超えた。
 僕は悲鳴となんら変わらない叫び声を上げて、OLさんのことを突き飛ばした。いったあい、と色っぽい声を出してOLさんが僕を非難した。
「ちっ、違いますから」
 わなわなと震えて抗議する。
「僕は、僕は、決して、武井ヒロシなんかじゃあ、ありませんからああああああああ」
 出した結論は、逃避。
 全力疾走した。少しでも彼女から遠ざかろうと、只ひたすらに走った。
 明日はきっと筋肉痛だろう。疼痛で一日中苦しむだろう。だけど、今はそんなことを考慮する暇もなかった。僕は走る。目的地は考えていない。ただ走るのだ。親友のもとへ向かう、メロスのように。
 こうして、僕が一大決心のもとに挑んだ一夜の冒険は、目的地に辿り着くことすら出来ずに敢え無く失敗し、僕は悲痛の涙を流しながら、夜の街を一人遁走したのだった。
401 ◆UgTvGvLQRk :2011/05/05(木) 19:56:50.79 ID:y6fI1JVG
投下、終わります。
402名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 19:59:42.50 ID:TO911/1p
>>401
投下GJです
403名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 20:01:11.83 ID:8bzZnhpP
なんか涙出てきた・・・
404名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 20:25:16.27 ID:z0z2sdFP
これは期待
405名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 20:32:37.09 ID:tUwzlpi+
糞ッ今から続きを全裸待機だッ
406名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 21:15:20.23 ID:ribzWFL/
>>401
主人公ドジっ子かw
GJ
407名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 23:07:11.39 ID:h59wxA1q
>>400
リアルだなあ
GJ
408名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 23:21:44.83 ID:il0tgkVf
>>401
俺のこと書いてんのかと思ったwGJ
409名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 23:21:48.08 ID:uRZtAGmf
おお、面白そう!
410名無しさん@ピンキー:2011/05/05(木) 23:46:13.03 ID:fO1jjXaH
>>401
GJ
ごめん主人公可愛いと思っちまった
411名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 09:59:05.39 ID:4zmoQ7jg
まだ妹出て来てないのにおもしろい!
412狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:50:07.51 ID:N/WxE+YY
一週間ほど前に友達である杉原 薫ちゃんから電話がかかってきた。
内容は「土曜日に隣の市にある遊園地に行こう」と遊びの誘いだった。
普段から二人で会う事がよくあったので、OKと二つ返事で返し恵ちゃんと遊ぶ事にした。
由奈には友達と遊びに行くとだけ伝えて待ち合わせ場所である最寄り駅に足を運んだのだが…。



「あ、あのね!優くん驚くのは分かるけど!あまり過剰な反応は…」
待ち合わせ場所に先に来ていた薫ちゃん…数少ない友達である薫ちゃんが周りをキョロキョロと気にしながら俺に何かを説明しようとしている。

「ぁ…あ…おまっ…なにしッ…」
だが俺は薫ちゃんの言葉をすべて聞き流し大きくパニックを起こしていた。
いや、思考が完全にストップしたと言ったほうが適切だろう。
汗が溢れだし理解不能な状況に意味の無い笑みがこぼれ落ちた。

「どうも、優哉くんでいいかな?」
薫ちゃんの隣に立つ女性が俺に向かって笑顔を浮かべて軽く頭を下げた。
――優哉くん?何を言っているのだろうか?いや…何を考えているのだろうか?

「驚くのも無理ないよね…私も初めて会った時夢かと思ったから…」
違う…そう言う意味じゃない。
413狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:50:33.75 ID:N/WxE+YY
薫ちゃんが言う“驚く”とはまったく違う意味で俺は驚いている。
と言うかショックで気を失いそうだ。

「薫ちゃんから話は聞いています。一応自己紹介しますね?」
薫ちゃんの斜め後ろに立っていた女性が薫ちゃんの横へと並ぶ。



「篠崎 零菜です。職業はモデルをしてます」
聞き慣れた声と名前がその女性の口から発せられた。
目の前に居る女性は間違いなく俺の妹であり篠崎零菜だ。

「ど、どうも…」
なんて返せばいいのか分からない。
零菜が此方にずっと笑顔を向けている。
皆が喜んで受け返す笑顔…だが俺はひきつったままの表情で受け止める事しかできなかった。

「ここじゃなんだから…遊園地もまだ早いしちょっとお茶しよっか?」

「ぇ…あ、あぁそうだね」
そうだ…まず状況を把握しなければ。
俺と他人のフリをするのは…何となく想像がつくから別にどうでもいい。
何故此処に零菜が居て薫ちゃんと親しそうに話しいるのか…それが一番気になる。
――歩きだす二人の後を追って俺も同じように二人の後ろを歩き出す。
駅前から数分歩いた場所に小さなオープンカフェが姿を現した。
414狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:51:05.97 ID:N/WxE+YY
大学時代からよく訪れていた行き付けのカフェで薫ちゃんも何度となく足を運んでいる行き馴れた場所でもある。
いつもなら外のテーブルを選ぶのだが、今日は零菜が居るからだろう…。
薫ちゃんは外のテーブルに見向きもせず店内へと入っていった。
店内に入ると眠たくなるような音楽が耳に流れこんできた。
木造建築のカフェで、忙しない外の世界とは違いこの店の中はゆっくりと時間が流れている。
癒しの穴場と言われるほど落ち着ける場所なのだが…。

「優哉くん座ったら?」
奥にあるテーブルに先に腰掛けている零菜が隣の椅子をポンッと手で叩いて俺の席を指定してきた。
…コイツの存在のせいでまったく落ち着けない。
これほど緊張感を与える人間も珍しいのではないのだろうか?


「……失礼します」
仕方なく零菜の隣へと腰掛ける。
俺が座るのを確認すると薫ちゃんも椅子に腰掛けた。

「いらっしゃい。今日は女の子二人も連れてるんだね」
エプロン姿の髭面店長が奥から姿を現した。

「勘弁してくださいよ…はぁ」
この店長…俺と薫ちゃんが来る度に早く恋人同志になれと横から口うるさく話しかけてくるのだ。
415狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:51:28.15 ID:N/WxE+YY
あっ、ごめんなさい…投下させていただきます。
416狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:51:57.62 ID:N/WxE+YY
大学時代からの常連と言うだけで別にプライベートで親しくしている訳では無いのだが、親友感覚で接してくる。
それが隠れた名店と言われる由縁でもあるのだろう…俺も嫌いでは無い。
嫌いでは無いが今は勘弁してほしい。

「はは、修羅場みたいだからオジサンは裏に入ってるね?コーヒーは話終わったらもってくるから…カップ割られたら洒落にならないし」

「早く裏に消えてください」
シッシッと手で追い払うと、肩を竦めて裏へと戻っていった。
気を引き締めて二人に目を向ける。

「じゃあ手っ取り早く話すね?」
昔はあれだけアタフタしていた店長の戯言にも無反応を決め込んでいた薫ちゃんが小さくまとめて話してくれた。

零菜と初めて会ったのは二週間前…夜橋の上で涼しんでいると後ろから零菜に話しかけられたそうだ。
そこから零菜と意気投合、電話番号を交換し今に至ると言う…。
信じがたい話だが、薫ちゃんが言うのだから本当なのだろう。

「それでね?零菜さんが一度優くんを見てみたいって言うから…優くんも驚かせてあげようと思って…だから今日零菜さんに時間作ってもらったの」

「はは…そうなんだ…」
どういう事なのだろうか?
417狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:52:20.88 ID:N/WxE+YY
零菜は俺が薫ちゃんの友達だと分かっていたのか?
じゃあ何故わざわざ薫ちゃんに紹介される形で俺と会う必要が…。

単純に駅で待ち合わせして俺が姿を現すまで俺が来る事を知らなかったとかなら、瞬時に零菜が俺と他人のフリをするのも頷ける。
薫ちゃんも俺と零菜が兄妹だと気がついていないみたいだし…しかし本当にそんな偶然あり得るのだろうか…


「まぁ、薫ちゃんを責めないであげてね?でも……薫ちゃんが私と雰囲気似てるって言ってたけど……そんなに似てるかしら?」
椅子を俺の横へとずらし薫ちゃんに見える様に俺と顔を並べて見せた。

「う〜ん、顔が似てるって言うより…なんだろ?雰囲気が…一緒?」
俺と零菜の顔を見比べ首を傾げているが、似てて当たり前…だが似てるとは一度も思った事は無い。

「ははっ、全然似てないよ。おれが零菜に似てるって言われた事一度でもあった?」
おどけたように薫ちゃんに話しかけると、薫ちゃんが一瞬顔をしかめるのが分かった。

「びっくりした…もの凄く親しげに名前呼んだね今。てゆうか優くん零菜さん見ても全然驚かないんだね?」
418狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:52:43.80 ID:N/WxE+YY
「あっ…びっくりはしてるんだけど…な、なんて言えばいいのかな…。
ま、まぁテレビで見てる感覚で…すいません」
忘れてた…そう言えば今は他人のフリをしていたんだった。
不本意ながら隣に座る零菜へと軽く頭を下げた。
何が悲しくて妹に敬語を使い謝らないといけないのか…。

「……別にいいのよ?他人に呼び捨てされるのは嫌いだけど…貴方なら許してあげる」
薫ちゃんに見えないテーブルの下で零菜の指が俺の膝の上を這う。そして此方へ顔を向けると何故かニコッと微笑んだ。

「ちょ、ちょっとだけトイレ行ってくるね」
テーブル下の零菜の手を払いのけると勢いよく立ち上がりトイレへと逃げ込んだ。
そのまま個室へと飛び込み便座に座ると頭を抱えてうずくまってしまった。

「なんだよアイツ…何考えてんのか全然分からない…」
そう…何を考えてるかまったく分からないのが一番怖いのだ。
由奈ならまだ対処の施しようがある…だけどアイツ……零菜はダメだ。
零菜は俺の心を読めるらしいが、俺はまったく零菜の心を読むことなんて出来ないのだ。

「とにかく…早く零菜にも事情を聞かなきゃ…頭がどうにかなりそうだ」
419狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:53:07.00 ID:N/WxE+YY
こうして個室で唸っていても何も変わらない……大きなため息を吐き捨てると、トイレから出て二人が待つテーブルへと足取り重く向かった。


「あれ?…零菜…さんはどうしたの?」
テーブルにつくと零菜は既に居らず、薫ちゃんだけが椅子に掛けていた。

「優くんの顔を見たかっただけなんだってさ…。仕事でもう行っちゃった」

「そっか…まぁ多忙な人みたいだから仕方ないよね」
表向き仕方ないなんて言葉を使ったが、零菜が居なくなった事に大きく胸を撫で下ろしていた。
まさか零菜まで遊園地についてくるんじゃ…そう覚悟していたのだが流石にそこまで考えていなかったようだ。

「それじゃ、行こっか?」

「うん…」

「どうしたの?元気ないね?」
ふと薫ちゃんの表情が曇っていることに気がついた。
先ほど零菜の事を話している時はあれだけ楽しそうだったのに…。

「優くんさ……零菜さんの事好きになっちゃった?」

「はぁ?」
唐突に発せられた薫ちゃんの言葉に口から空気が漏れた様な声が出てきた。
あの短時間で俺が零菜に気があるような素振りを一ミリでも見せていたのだろうか?
いや、あり得ない。
何故かと言うと実の妹だからだ。
420狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:58:32.18 ID:N/WxE+YY
だから惚れるなんて絶対にあり得ない。

「いや…なんでもない。てゆうか向こうはトップモデルだもんね!恋愛なんて無理矢理!さっ、遊園地に行こっ!」
自分自身に言い聞かせる様に声をあげると、椅子から立ち上がり俺の手を掴みそのままカフェを後にした。
よく分からないが、なんとか危機は脱したようだ…。




※※※※※※※※


「……行ったわね」
喫茶店から出ていく二人を車の中から見送る。
目立たないように喫茶店から50メートルほど離れた駐車場に車を停めて居るのだが、前の道を歩く通行人は皆此方へ目を向けて通り過ぎていく。
家一軒帰るの高級車が目立たない訳が無い…だけどこれも私の飾りの一つだ。
二人は仲良く駅の方角へと歩いていくと、曲がり角で姿が見えなくなってしまった。

「なぁ…本当に一緒に行かなくていいの?」
助手席に座る空が二人が曲がった角を見ながら心配そうに呟いた。

「いいのよ。薫ちゃんの前で優哉に対して私の顔見せだけできれば」

「でも…兄ちゃんあの女と付き合っちゃうんじゃ…」
優哉は私と違って面倒見が良いから空もなつくとは思っていたが…。
二回会っただけなのにもう優哉を慕っているらしい。
421狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:59:04.99 ID:N/WxE+YY
「なに?お兄ちゃん盗られるのが心配?」
クスッと鼻で一笑いした後、エンジンをかけて車を発進させた。

「べ、別に盗られるとか…そんな事考えてないけど」
頬を赤くして外に目を向けてしまった。
実家に戻っても空の話は良く聞くが、近所から随分可愛がられているらしい…。
今、何となくこの子が可愛がられる意味が分かった気がする。
母性をくすぐられる…と言うのだろうか?
まぁ残念な事に私の心は“母性”と言う言葉が欠落してしまっているので何とも思わないが。

「まぁ、優哉があの子を選ぶ事は多分無いわよ?」

「なんでそんな事分かるんだよ?」
むくれっ面を窓から此方へと向けてくる。

なんでそんな事分かる?
分かるものは仕方ない。
空には分からないだろう……由奈にも分からない。


「空…覚えておきなさい」
双子の私だから分かる事がある。




「優哉はね?他人に私の事をバカにされるとその人に大きな怒りを覚えるのよ?その証拠を見せてあげる」
携帯を取り出し優哉にメールを送る。
422狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 13:59:50.78 ID:N/WxE+YY

『優哉が来るなんて夢にも思わなかったわ。私が居たら邪魔でしょ?だから私は先に帰るわね。
あと他人のフリしてごめんなさいね?
貴方に迷惑がかかると思ったの。だから私の事は黙ってて。

それと優哉にお願いがあるんだけどいい?
空からのお願いなんだけど、今日発売の○○って本を遊園地からの帰り駅前の本屋で買ってきてくれない?
多分優哉では分からないと思うから薫ちゃんに聞いてみて。

それじゃ、二人で遊園地楽しんで来てね」
優哉にメールを送信すると、携帯を閉じカバンの中へと投げ入れた。
空は意味が分からず首を傾げていたが考えるのを諦めたのか私の顔から目を反らし外の景色に視線を向けてしまった。
――私の暇潰しはまだ始まったばかり…追い詰めて追い詰めて追い詰めて追い詰めて…泣いてすがるまで追い詰めて……動けなくなったら…。





「その時は私の色に染めてあげるわ…出来損ないの愛しいお兄様……ふふ…」
423狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/05/06(金) 14:00:08.20 ID:N/WxE+YY
ありがとうございました、投下終了です。
424名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 15:44:48.96 ID:Oq0PmVKc
>>423
GJ!
何という歪んだ愛情
425名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 17:43:18.41 ID:hXiJ4WDV

極悪な意味でキモウトだな零菜は…

新しいタイプかとも想ったが所有して隷属させたいという事か

426名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 20:36:08.11 ID:jD4My7cr
スレ違いだが、大先達に黙祷

作家の団鬼六氏が死去、79歳 官能小説で独自の境地
ttp://sankei.jp.msn.com/life/news/110506/bks11050619500000-n1.htm
427名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 21:07:07.85 ID:CWdscQzt
GJ!
帰った時の由奈の反応が楽しみですな
428名無しさん@ピンキー:2011/05/06(金) 22:39:35.35 ID:UrsEzQT+
保管庫にある俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがないって確か6話あったよな…
今更だが更新されていない…
429 ◆hA93AQ5l82 :2011/05/06(金) 23:01:42.46 ID:6g7+6XPo
test
430 ◆hA93AQ5l82 :2011/05/06(金) 23:03:00.23 ID:6g7+6XPo
>>423
gjです。
私も投稿します。
431Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/06(金) 23:04:14.98 ID:6g7+6XPo
3話 後の祭

アルバイトをやろうかと考え始めた僕の周りが最近騒がしい。
尊とはあれからもよく遊んでいるけど、
その尊が、たまに自分の友達を紹介してくるのだ。
困っている人は見過ごせない、と尊が言うだけあって、その人種も様々だった。
尊と同様の風体をしているのもいれば、日陰で育った様な暗いのもいた。
まっさらだったアドレス帳が、あっという間に埋まってしまった。
お陰で、一日に必ず誰かからメールが来て、半ば強引に遊ぶ羽目になり、
読書や勉強の時間がごっそり削られてしまった。
その事で尊に文句を言ったら、
「いい傾向だよ。もっといろんな人と付き合いな」
と、笑顔で返された。なにがいい傾向だ。こっちは迷惑してるんだ。
「夏休みは俺のアパートに遊びに来いよ。場所は……」
って、勝手に夏休み中の予定を決められてる。
頼むからたまには人の意見も尊重してくれよ。
あぁ、もう駄目だ。夏休み中の読書漬け計画も、全てぱぁだ。

尊の手により、夏休みの最初から最後までが遊びで埋められてしまった。
最早、なにも言うまい。どうせ言ったって聞いてくれないし。
漫画を見たりするのも、ゲームをしたりするのも、異文化交流とでも思えばいいや。
そんな事が続いた八月の始め。
「なぁ、佑。お前、バイトする気ある?」
シューティングゲームの協力プレイをやっている最中に、尊に声を掛けられた。
「お金は少し欲しいとは思ってるけど……ボム使うよ」
「だったらさぁ、ちょっと手伝いをして欲しいんだ。
佑は成田利剣(なりたとしあきら)って知ってるだろ?」
「あぁ、前に一緒に漫画を買いに行った人ね。
別にいいけど、なんの仕事。……尊、こっち寄りすぎ。弾に当る」
「同人誌販売の手伝いなんだけど、大丈夫か?」
「同人誌の販売……。……ふーん、随分と渋い事を。
……いいよ、やるよ。……はい、クリア!」
尊の友達に、文学を愛するような人がいたなんて。人は見かけによらないな。
テレビ画面のハイスコアを見ながら、僕はそんな事を思っていた。
432Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/06(金) 23:05:11.91 ID:6g7+6XPo
「また……また嘘を吐いたな、尊!」
「えっ、なにが!?」
同人誌即売当日、電車を乗り継いで会場に来た僕は、
横にいた尊に怒鳴り声を上げてしまった。
「なにがって、あれのどこが同人誌即売会場だ!」
指差す先に見えるのは、逆三角形の特徴的な建物の前に群がる人、人、人。
日陰から這い出てきた奴みたいなの以外に、非現実的な服装をした女性が目に付く。
彼等の頭上から沸き立っている湯気は、直射日光故か、熱気故か。
紳士淑女の、粛々とした催しとは程遠い光景だった。
「これじゃ、どう見ても奇人変人が自分の欲望をぶちまける場にしか見えないよ」
「いや、それがコミケだし……」
尊の、俺嘘吐かない、という顔がなんとも腹立たしい。
とはいえ、一度了承してしまった以上、約束は果たさなければならない。
サークル関係者として、僕と尊は別の通路から会場入りした。

開始までは、まだ幾分時間があった。
準備か終わり、後は待つだけとなって、ふと、目の前に積まれている本を手に取った。
並べている時から気になっていた、その異常な薄さと、adult onlyの文字。
どう見ても完璧なエロ本、本当になにやってるんだ、この人達は。
「んっ、その本に興味があるんか?
開幕前やけど、特別に定価の五百円のところを四百円で売ったろうか?」
「結構です!」
そう言って、本を元の場所に戻した。
開始時間まで、あと十分。会場前に並んでいた人達の顔を思い浮かべて、
僕は身震いしてしまった。

とにかく凄まじいとしか言いようがなかった。
濁流のようにいろんな人が、必死の形相で押し寄せてくるのが、
まるで地獄の釜から這い出てきた亡者みたいで、本当に怖かった。
その地獄も、十四時ぐらいには収まり、十六時で終了となった。
計八時間、なかなかの重労働だった。
「いやぁ〜、あんがとなぁ〜。お陰で助かったわぁ〜」
成田さんも、満足そうだ。こっちは働く気が失せそうだ。
「成田さん、滅多に出来ない経験、ありがとうございました」
「結構結構。そんじゃ、今回の謝礼六千四百円と、こいつを」
そう言って渡されたのは、謝礼金と、紙袋だった。
なんだか、嫌な予感がした。
「あの、これってもしかして……」
「買い子が買ってきてもらった同人誌やでぇ〜。布教用やから、遠慮せんといてな」
「…………」
袋から一冊の本を取り出してみる。
表紙には、服をズタズタに切り裂かれたあられもない姿の少女と、
その目の前でハサミを持って佇む何者かが書かれていた。
「(あれ、これ尊の家で散々読んだ漫画のヒロインじゃないか。
あの漫画って確か、男は一人も出てこなかったはずじゃぁ……。
でも、ハサミ持ってる奴の手、どう見ても男の手じゃ……。
思いっきり設定を無視してるぞ、これ)あぁ、あの……、気持ちは嬉しいんですが、
こういうのは……」
「佑は陵辱物嫌いか?純愛物の方が良かったかいの?」
「だからそういう……」
「まぁいいじゃん、貰っちゃえよ、佑」
「…………」
結局、断りきれずに持ち帰ることになってしまった。
外はまだましだったけれど、電車の中では、周りの視線がとにかく痛かった。
決めた。明日の早朝に、この同人誌を捨てに行こう。
明日は燃えるごみの日だし丁度良いか。
433Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/06(金) 23:06:03.10 ID:6g7+6XPo
「佑ちゃん、これは一体なんなのかしら」
僕は今、姉の部屋で正座をさせられている。
家に帰ってきて、いつもの様に抱擁を受けていたら、
姉に紙袋の中を見られてしまったのだ。
僕が説明するよりも先に姉に手を引っ張られ、今の状況に到っている。
正直、今の姉の顔を直視したくはない。だって、またあの目をしていたから。
「あの……、姉さん……」
「答えてくれないかな、佑ちゃん。なんでこんな気持ちの悪い本なんて買ってきたの?
こんなでたらめばかりの性知識が書かれた本なんて読んだら悪影響だって、
佑ちゃんも分かってるはずだよね?分かってるよね?
分かってるんだよね?佑ちゃん、私の言ってる事、分かる?
ねぇ、なんで、なんで、なんで、なんで?」
怖い怖い怖い、顔を近づけながら、ノンストップで言わないでよ。
「そっ……それは今日の友達の手伝いで貰ったんだよ。
いらないって言ったんだけど、断りきれなくて……」
「ふーん……」
「明日は燃えるごみの日から、その日に捨てようと思ってたんだ。
本当だよ。信じてよ、姉さん」
「ふ〜ん……」
相変らず姉の顔は近い。
極力目を合わせないようにしていると、気迫が薄らいだ。
「……分かったよ。お姉ちゃん、佑ちゃんの言う事、信じるよ」
「姉さん……」
「でもね……」
そう言った瞬間、姉に押し倒された。
「こんな物を貰っちゃった佑ちゃんには、お仕置きしなきゃ駄目だよね」
そう言って姉は、僕の右足を、
「ねえ……あがぁあああああああ!!!」
あらぬ方向にへし折ったのだ。
「これで、しばらくは外に出れないでしょ」
「うぅ……あぐぅ……」
「足の事だったら大丈夫。私がちゃんと治してあげるから。
なにせ、お姉ちゃんは医者の卵なんだから」
姉の甘ったるい声と共に、紙を裂く音が、激痛で霞む頭の中に入ってきた。

しばらくの間、なにも考えられなかった。
ギブスを付けられる時も、姉の献身的な介護を受けてる時も、
頭の中は常に真っ白だった。
やっと放心から覚めて、最初に抱いた物は、尊に対する苛立ちだった。
こうなったのも、全部尊のせいだ。
尊が勝手に友達になるとか言って、いろんな所に連れ回すから、
姉の逆鱗に触れてしまったのだ。
なにが、困っている人がいたら助ける、だ。
僕は尊のせいでこんな酷い目に遭っているのだぞ。
もう、尊と遊ぶのは止める。
これから先、話しかけてきても、メールや電話が来ても全部無視してやる。
そもそも僕は、勉強をするために大学に来ているのだ。
遊ぶために来ているのではない。
もうそろそろ元に戻る時だ。そう思い、僕は覚束ない足を松葉杖で支えながら、
一冊の本を取り出した。それはデザインや造形に関する本だ。
アシモを越えるロボットを作りたい。これは大学に入ってから出来た僕の夢だ。
そのためにデザインや造形を勉強してもなんらおかしな事じゃない。
一通り読み終えたら実践もしてみよう。早速本のページを捲った。
434Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/06(金) 23:08:52.25 ID:6g7+6XPo
久々にくぐる赤門は、秋の澄み切った空気のためか、どこか輝いて見えた。
でも、その輝かしい光景の反面、僕の心は沈みきっていた。
右足のギブスは既に外れていて、松葉杖もいらないぐらいに回復はしたけど、
隣にいる姉が必要以上にくっ付いてくるので、
骨折時の事が否応なくフラッシュバックしてしまう。早く姉と離れたい。
幸いにも、今日姉と一緒に授業をするのは二時限目だけ。
それさえ終わってしまえば、今日の僕の授業は終了。
五時限目まで授業がある姉と離れる事が出来る。
残りの時間を読書に使える。よし、そうしよう。
そう思って歩いていると、
「佑、それに累さん、お久し振りです!」
元凶が笑いながら近付いてきた。
「佑、足の骨折は大丈夫なのか?」
「…………」
「あぁ、大丈夫な訳ないか。すまん、嫌な事と聞いて」
「…………」
頼むからどっかに行ってくれよ、僕はお前なんかと話したくない。
「ごめんなさい、尊君。私達、授業があるから」
まだなにか言いたそうな尊の口を塞いだのは姉だった。
「そう……ですか。分かりました」
そう言って、尊は学生食堂の方に行ってしまった。
435Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/06(金) 23:09:24.52 ID:6g7+6XPo
分かっていた事だけど、どうやら僕は、とんでもない奴に目を付けられたらしい。
授業が終わって図書館の地下に行ったら、そこに尊がいたからだ。
「やっぱり、ここに来ると思ったよ」
「…………」
笑っている尊を尻目に、僕は椅子に腰を下ろした。
「さっき言い損ねたから聞いてほしいんだけどさ、実は俺、同人活動を始めたんだ。
前の手伝いで、来てたみんなが物凄く楽しそうにしているのを見て、
これだ、って思ってさ、最近サイトを立ち上げたんだ」
「…………っ」
「でもさ、まだ立ち上げたばかりで人気もそんなにないんだ。
だからお前からも意見を聞きたいと思って、……どうしたんだ、佑?さっきから黙って?」
かすかにだけど手が震えた。身体中の血も冷えて寒気がした。
もう我慢できない。二度と話さないと決めたけど、黙っていたら尊は図に乗るばかりだ。
僕は両手を机に叩き付けた。
「いい加減にしてくれよ!もう放っておいてくれよ!」
「どっ……どうしたんだ、佑!?」
「どうした、じゃない!尊のせいで、どれだけ酷い目にあったと思ってるんだ!」
そう言って、僕は口を滑らしてしまった事に気付いた。
尊の事だ。必ず追求してくるに決まっている。
「俺のせいって、一体どういう事だ?」
思った通り、尊が疑問の声を上げた。そんな事、しゃべれるはずがない。
僕は口を噤んで、目を逸らした。すると、
「佑、ここには今、俺とお前しかいない。
独り言を呟くぐらいなら、問題ないんじゃないのか?」
変に穏やかな声で、尊がそう言った。
遠回しに俺にしゃべってくれ、という訳か。
ふざけるな、そんな簡単にしゃべれたら、苦労などするものか。
仮にしゃべったところで、信じてくれるはずがない。
両親だって信じてくれなかったんだ。赤の他人にしゃべってなんになる。
もう帰ろう。そう思って鞄に伸ばした手を、尊に掴まれた。
「佑、俺にやれる事だったら力を貸す。だから、話してくれないか?」
「…………」
なんで、なんでこんなに食いついて来るんだ。
僕みたいなの、無視してしまえばいいのに。
「なんで……」
一度吐いた言の葉はもう止まらなかった。
「なんでそんなに構うんだよ。他にも友達がいるんだろ。
だったらこんなくらい奴は無視して、そっちにいけば……」
「全く、分かってないなぁ〜、佑は」
「…………」
「お前だって、俺の大切な友達だ。
その友達が困っているのならそれを助ける。当たり前の事じゃないか」
尊の手を握る力が弱くなった。僕は、それを振り払う事が出来なかった。
信じて、いいのだろうか。
気付いたら、僕は骨折の理由を尊に話していた。
436Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/06(金) 23:10:33.50 ID:6g7+6XPo
話し終えて尊を見ると、呆気に取られた表情をしていた。
「そんな酷い事をされたのか」
「信じてくれるの。実の姉に足をへし折られたなんて話を?」
「疑う訳ないだろ。……でも、なんで同人誌だけでそこまで……」
僕にもそれが分からなかった。というか、今の姉そのものが分からない。
だから、いつ地雷を踏むのか分からなくて怖いのだ。
「なぁ、佑。俺の家に来ないか?しばらくは累さんと距離を置いた方がいいと思うんだ」
突拍子もない事を、尊が言い出した。
「……いいのか」
「別に問題はないよ。家賃や生活費だって、二人で折半すればいいし、
累さんも、キャンパス内だったらそんな派手な事は出来ないだろうから」
「アルバイトするのは、確定事項なのか?」
「あたりき」
なんだか、尊の術中に嵌っているように思えてならないけど、
ルームシェアの話は、姉から離れるにはちょうどいい口実だった。
「……分かった。尊の話、乗るよ」
家に帰ったら両親にこの事を話そう。
これが僕の変われる道と信じて。
437 ◆hA93AQ5l82 :2011/05/06(金) 23:11:57.03 ID:6g7+6XPo
投稿終了です。前の投稿のやつで、
佑を『祐』と書き間違えましたので、修正しました。
438名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 00:24:43.08 ID:ZXqu20+2
>>423
GJ!やっぱキモウトが一番ですね!

>>437
GJ!どう考えてもキモ姉が一番ですね!
439名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 00:37:15.09 ID:CdAVNTu4
>>423
今回もGJです!
零奈がどのように証拠を見せるのか今から楽しみすぎるw
零奈ちゃんみたいなキモウトもいいなぁ
440名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 00:49:43.14 ID:cdbptZtl
>>437
GJ!
姉の狂気っぷりが表面化してきたね
441名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 04:37:06.37 ID:GQ337uie
>>438
なんという華麗なる転身www
442名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 15:41:20.70 ID:k3sDFgi2
>>423
>>437
どちらの作品も徐々に恐くなってきて続きが気になる・・・
投下GJです!!
443名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 19:56:27.41 ID:f86m/z2U
>>441
そりゃキモ姉妹の兄弟はどっちもほめておかなくちゃ自分が危うくなるからね。
しかして、その本命は……?
444名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 21:17:34.99 ID:cPKmIfBT
キモウトとかお子ちゃま過ぎて話しにならん
時代はキモ姉…おや?だれかき
445名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 21:34:24.88 ID:rRNLT2Hq
今は姉でも妹とでもない産まれる前から一緒のキモ三子の時代。
浮気したらテレパシーで分かる。
446名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 22:33:19.75 ID:oLecDxGw
スレチだが荒れていたヤンデレスレが
避難所で復活を遂げっつ有るのは嬉しい
話だ……
447名無しさん@ピンキー:2011/05/07(土) 23:05:10.77 ID:VlAUwu28
>>446
すれ違いと分かっててなぜ書き込む?
448名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 00:11:18.51 ID:vwRPQgUY
弟を誘惑するヤンデレ泥棒猫は帰ってくれ。
449名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 00:15:28.63 ID:T9RXGJIE
>>445
文字通り心が通じ合っていると。
あれ? ということは,男の子は24時間365日
姉妹からの欲情に晒され続けるのか?
450名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 01:38:47.36 ID:NeT/+Wwr
>>449
そう考えると諸刃の剣だよな。兄弟が対策を立てやすくなるんだから。
451名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 03:45:41.13 ID:vwRPQgUY
快感もお互い共有してるから他の女だと満足出来ないんだね。
快感を共有してる双子姉弟エロ漫画あったな。
452名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 11:43:08.10 ID:6UYYyhWw
逆にかなり歳に開きがあるきょうだいとか。
長女:24歳
長男:18歳
次女:12歳
453名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 11:54:25.47 ID:ttF9/uT/
話は変わるが職人に質問なんだが‥‥

私はssを書いて最初の設立段階ではスラスラ話が書けるのだが‥
その内、日常生活の何やかんやで、テンションが上がらない日が続くとめんどくさく成って没に成ることが多いんだ…

皆さんはどうしてるの?例えば一気に書くとか時間を決めて書くとか…何かアドバイスをくんろ!
454名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 12:06:16.66 ID:b7ZYGRvE
>>453
原稿消さずにとっておくと、半年〜1年ほど経つとまた文章欲沸いてきて書きたくなるときがくるからその時に仕上げる
455名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 12:19:04.71 ID:ttF9/uT/
>>454thanks
456 ◆wBXWEIFqSA :2011/05/08(日) 18:50:51.72 ID:e/aYr2VW
こんばんは。
>>223の続きを投下します。エロ有りです。
457狂依存 161:2011/05/08(日) 18:51:31.55 ID:e/aYr2VW
うーんと……あっ、あった。
本屋に行き、今日発売の漫画の最新刊を手に取る。
これ最近休載多いから、中々単行本化しないんだよなあ。
じゃあ、早速レジに……ん?
漫画を手に取りレジに持っていこうとした所、レジの前の棚に積んであったある漫画が目に入った。
「こ、これは……!」
僕達にピッタリの漫画じゃないかっ!!

ピンポーン!ピンポーン!
あれ?何度押しても出てこない。
お母さんは今の時間パートに出てていないけど、麻由お姉ちゃんは試験前で部活が休みだから、家にいるはずなんだけど……。
早く愛する麻由お姉ちゃんと一緒にあの漫画読みたいのに。
まあ、いいか。合鍵持ってるし。
カチャ
「ただいまー」
あれ?麻由お姉ちゃんの靴がない。何処かに出かけたみたいだな……。
「つまんないのー」
と呟きながら、何故か麻由お姉ちゃんの部屋に入る。
ふふ……どうせいないなら、色々やらせて貰おうか……。
「えいっ!」
麻由お姉ちゃんのベッドに飛び込み、枕を抱いて匂いを嗅ぐ。
ああ……麻由お姉ちゃんの匂い……最高だ……。
将来はこのベッドで二人で抱き合う仲に……。
「いやいや、将来と言わず今すぐにでも良いんだよ。ね、麻由。むちゅ……」
と、呟きながら麻由お姉ちゃんの枕にしゃぶりつく。
ああ……麻由お姉ちゃんの味がする……。このままいつまでも、麻由お姉ちゃんを感じていたい……。
ごんっ!!
「ん?」
枕にキスして悦に浸ってる途中、何やら天井から何かを叩いた様な物音がした。
だ、誰かいるのか?いや……。
「麻由お姉ちゃん?そこにいるんだね?」
シーン……
むう……無視と決め込んだか。
最近、何故か麻由お姉ちゃんは屋根裏の小部屋に篭る事がたまにある。
きっと僕の事が好きすぎて、一緒にいると襲っちゃいそうだから理性を抑える為にやってるんだろうな。
何も遠慮することないのに……。
「確かここから入れるんだっけな……」
麻由お姉ちゃんの部屋の押入れを開け、冗談によじ登り天井にある屋根裏に通じている蓋に手をかける。
ここを押せば入れるはず……よっと……。
開かない……。
中から鍵を閉めてるのか、蓋の上に何か重い物を置いて開かない様にしてるな。
「麻由お姉ちゃん、開けてよ!麻由お姉ちゃんっ!!開けなさい、麻由っ!!」
ドンドンっ!!
大声を出して天井を叩き、敢えて『麻由』と呼び捨てして挑発し麻由お姉ちゃんをあぶり出そうとする。
今日は絶対にこの漫画を一緒に見て二人の愛を深めないといけないんだから。

ドンドンっ!!
「麻由お姉ちゃんっ!!麻由お姉ちゃんっ!!」
「っ……」
う、うるせえええええっっっ!!
デスクライトで照らされた机で頭を抱えながら、そう叫びたくなる衝動をぐっとこらえる。
もうすぐ試験だし、今日はお父さんもお母さんも遅くなるので、あの馬鹿に邪魔されないように靴を持ち込んで不在を装い、ここに篭って勉強するつもりだったのに……。
何やら私の部屋でよからぬ事をしていたみたいだったので、堪らず床を叩いてここにいる事を知らせたのだけれど、今日はいつになくしつこい。
「麻由お姉ちゃんっ!!開けてよっ!!今日凄く面白そうな漫画買ってきたから、一緒に読もう。ねっ!?」
ドンドンっ!!
「うるせえっっ!!試験勉強してるんだから、静かにしろっ!!てめえと遊んでる暇なんかねえんだよっっ!!」
「そんな事言わないで早く出てきて、一緒に読もうよ。時間は取らせないから。出てこないと……」
ん?急に静かになったな?
「えへへ……麻由お姉ちゃんのパンツ……良い匂い……」
「なっ!?」
458狂依存 162:2011/05/08(日) 18:57:05.26 ID:e/aYr2VW
あいつ、まさか……?
慌てて、屋根裏部屋から飛び出て私の部屋に降りる。
「おいっ!!何してやがんだっ!!って……あれ?」
「へへ……出てきた」
おぞましい言葉が聞こえてきたので、何をしているのかと思い出てきたら大輝は私の部屋で正座して座ってただけだった。
ま、まさか……。
嵌められたのか……?
「もう……麻由お姉ちゃんったら、そんな血相変えて出てきて……本当に可愛いなあ。僕がそんないかがわしい事するわけないじゃないか」
「くっ……」
そんないかがわしい事をする奴だと思いっきり思ってるのだが、それ以上にこんな奴に嵌められた自分に腹が立った。
「匂いなんか嗅ぐわけないじゃない。こうやって大事に持って鑑賞するのが僕の趣味なんだから」
そう言うとポケットから私のパンツを取り出して、頬ずりし始めた。
「はあっ……麻由お姉ちゃん、本当にセンスが良いよ……で、一緒に見たい漫画なんだけど……」
「てめえは百回死ねえええええええっっっっ!!!!!」
ドカっ!!ボキっ!!グサっっ!!ゴスっ!!

「はぁっ……はぁっ……」
「うう……酷いよ、麻由お姉ちゃん……」
何分も殴られまくって、もう体中あざだらけ、こぶだらけになっちゃったよ……。
「どっから、どう見てもあんたの方がよっぽど酷い事してるでしょうが!ふざけてないでほら、さっさと出てけ。二度と私の視界に入ってくるなよ!」
「ああんっ!待って面白い漫画買ってきたから一緒に読もう、読もう」
襟を掴んで部屋から追い出そうとしたが、じたばた足掻いてこの場に踏みとどまる。
「あんた、さっき私が言ってた事聞いてなかったの?もうすぐ試験なんだから、てめえみたいな馬鹿を構ってる暇なんかないの!」
「お願い……少しだけで良いから……麻由お姉ちゃん、ここの所ずっと僕に構ってくれないから、寂しくて……」
「だから、今はあんたと一緒に遊んでる暇なんかないって言ってるでしょ!泣いたって駄目。そうやっていつも私を騙して碌な事しないじゃない」
「麻由お姉ちゃん……うっ……えぐっ……今までの事は全部謝るから……えぐっ……だから、昔みたいに一緒に漫画本読もう……」
昔は良くこの部屋で漫画読んだり、絵本読み聞かせてあげたりして貰ったのに最近はそういう事全然してくれないんだもん。
必死でジタバタして泣きながら、麻由お姉ちゃんに食い下がる。
この漫画だけは絶対に一緒に読まないといけないんだから……。
「ああ、もうわかった!5分だけ付き合ってやる。絶対に私の体に触れるなよ。やったら、今後お前とは一切口聞かないからな!」
「本当!?ありがとう、麻由お姉ちゃん!」
流石、僕の嫁。
何だかんだ言いながら、僕の事が好きでたまらないんだね。このツンデレお姉ちゃんは。
「えへへ……この本なんだけど……」
「どれ……?っ……」
「ね?僕たちにピッタリの本でしょ?こういうのが理想だよね?これなんか麻由お姉ちゃんに良く似ているし」
「でも、これ血の繋がっていない義理の姉弟なんだって。それじゃあ僕達とちょっと違うよね」
僕たちは血の繋がりなんか超えて生まれながらに愛し合ってるから、この漫画に出てくるどの姉弟よりも絆は深いはずだ。
「僕達も近いうちにこういう風に結ばれると良いね……って、麻由お姉ちゃん?」
何やら、じっと表紙を見つめてわなわなと震えてる様だが……。
459名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 18:58:30.14 ID:e/aYr2VW
「あんたさあ……前々からずっと思ってたんだけど、私をコケにするのそんなに楽しいわけ?」
「ん?コケにする?僕はいつでも麻由お姉ちゃんに大しては本気も本気、大マジだよ」
今更、何を言ってるんだこの嫁は?
「こんないかがわしい本見せるために、私の邪魔しやがって……もう許せんっっ!!」
どすっ!!
僕が買ってきた本を顔に投げつけ、踏んづけてしわくちゃにし、再び殴りかかってきた。
ちょっ……折角買ってきた『禁断のラブラブアンソロジー 姉×弟編』が……。
「全然いかがわしくなんかないよ!成人向けじゃないから、小学生の僕でも普通に買えたし……」
裸とか下ネタ結構あったけど、普通の漫画コーナーにあったから小学生がお姉ちゃんと読んでも問題ないはずだ。
「もう我慢できない!殺すっ!今すぐ!ここで死ねっっ!!」
「ああん、麻由お姉ちゃん……そんなに恥ずかしがる事はな……ぐええええええええええっっ……!」

「あっ……うっ…」
うっすらと目を開け、起き上がる。
また昔の夢か……。

163体が重い……今、何時なんだ?
そうだ、屋根裏部屋に閉じ込められてそれで……麻由お姉ちゃんは……!?
今度は部屋を念入りに見渡し、麻由お姉ちゃんはいないか確認する。
どうやら、いないようだ……。
室内は蝋燭とデスクライトの灯りでうっすらと照らされ、少し不気味な雰囲気が漂ってる。
部屋の中を見回して机を見てみると、机には携帯電話と蝋燭とマッチが置いてあり、机の下には僕の参考書や教科書、ノート、漫画や小説が何冊とゲーム機が入ったダンボール箱があった。
「あれ、この携帯は誰のだろう?」
机の上に置いてあった携帯は僕のでも麻由お姉ちゃんのでも無い、見覚えの無い機種。
開いてみると、着信履歴が一件あったので番号を見ると宛名が記されてない携帯の番号からの着信であった。
「ん……?この番号は……」
見覚えがある。確か麻由お姉ちゃんの……。
いや、間違いない。そう確信した後、すぐに発信ボタンを押して電話をかける。
「はい。ふふ……やっと起きたのね」
「やっぱり、麻由お姉ちゃんのだったのか……こんな所に閉じ込めてどういうつもり?」
「どうも何も今日からあなたはそこで私とセックス三昧の毎日を送るの。嬉しいでしょ」
「う、嬉しいって冗談は止めてくれよ……とにかくすぐに出るから……」
出入り口は確か床にあるここを引けば……おっ、開いた……って!?
「な、何だこれ……?」
床にある屋根裏から麻由お姉ちゃんの押入れに通ずる出入り口の戸を開くと、一面の金網が張ってあり、更にその下はダンボールがぎっしり敷き詰められて塞がれていた。
金網を必死で手で押したり、引いたりしたが全く開かない。
これじゃ、ここから出れないじゃないか……。
「くすくす……言ったでしょ。今日からあなたはそこで暮らすのよ。大丈夫。お姉ちゃんが全ての面倒を見てあげるから……」
「ちょっと!どうしてこんな事を!?これじゃ、トイレにも行けないじゃないか!早くここから出して!」
「トイレならそこの部屋の右隅に用意してあるじゃない」
460狂依存 164:2011/05/08(日) 19:03:11.95 ID:M2WJ4Z9E
「え?」
右隅……?
懐中電灯を照らし、その辺りを見回してみると確かにトイレの様な物が置いてあった。
これって確か以前トイレが壊れた時に家で買った簡易トイレだったっけ……?
「大丈夫よ。ちゃんと消臭剤は使ってあるし後始末も全部お姉ちゃんがやってあげるから。あ、そうだ。夕べから何も食べて無いからお腹が空いたでしょ?何食べたい?好きな物何でも作ってあげるから」
「ねえ……冗談だよね?まさかずっとこんな所に閉じ込めたりしないよね……?」
「冗談?これは、あなたをあの変質者から守るためなのよ。そうでなければ一生あなたはあの女に付きまとわれる人生を送る事になるわ。だから、そこでお姉ちゃんが保護してあげる」
「あ、あの……学校は?今日もあるんだけど……」
携帯電話の時計を見ると、既に授業が始まってる時間だった。
今まで無遅刻、無欠席でもう少しで皆勤賞だったのに……。
「今日はとりあえず欠席の連絡をしておいたわ。でも、あの女を始末するまでそこからは出せないわよ。それに……」
「あの女を抱いた罰も兼ねているからね。もう抱かないって言ったのにまた昨日セックスしちゃって。本当にイケナイ子なんだから」
「そ、それは……」
確かに言い訳できないけど……。
「それは謝るよ。本当にごめんね。もう二度とやらないから……」
「あなたって昔からそうよね。『もう二度としない。ごめんなさい』って謝っておいて、何度私を騙していたか忘れた訳じゃないでしょうね?」
「あっ……」
さっき見た夢を思い出す。
昔は『もう二度としないから、ごめんなさい』って嘘泣きしながら謝って、麻由お姉ちゃんを欺いてふざけた事を繰り返していた。
それでずっと麻由お姉ちゃんを傷つけていて……。
「う、うん。わかった。じゃあ、これは約束を破った罰としてとりあえず受け入れるから、麻由お姉ちゃんも沙耶さんに危害を加える様なことをしないって約束して。お願いだから……」
「ああん……私があんな理不尽な事言ったのに、それを受け入れちゃうなんて本当に優しい夫なのね。待ってて今暖かいご飯作ってそっちに行くから」
「え?いや、あの……もしもし?」
切れてしまった……。
もう一度かけてみたが、電源を切られていてかからなかった。
「はあ……どうしよう……」
思わずため息をついて、肩を落とす。
でも、麻由お姉ちゃんとの約束を破ったのは事実だし、散々麻由お姉ちゃんを騙してそれで傷つけていたのも事実。
だから、これぐらいの事はやられても文句を言える立場ではないのかもしれない。

「だけど、これからどうする気なんだろう?」
麻由お姉ちゃんは沙耶さんを始末するまで、僕を閉じ込めるとか言ってたけど、まさか刺したりしないよな……?
とにかく変な事しない内に出来るだけ早くここから出ないと。
こんな電気も通ってない部屋にずっと閉じ込められて生活するなんて考えただけで、気が狂いそうになる。
幸いにも明日は日曜で学校も休みなので、明日までに何とか出してもらうよう説得してみよう。

トントン
「っ!?はい」
461狂依存 165:2011/05/08(日) 19:05:31.52 ID:M2WJ4Z9E
「お待たせ。ご飯持ってきたわよ」
床から何か叩く音がしたので思わず返事をして振り返ると、麻由お姉ちゃんがご飯を持って部屋に入ってきた。
しかもエプロンだけ着て……。
「カツ丼にしたけど良かったかな?昨日は夕飯も食べさせないで夜通しセックスしちゃったから、お腹が空いたでしょ。本当にごめんね」
「え、うん……別に良いけど」
「良かったあ。他に何か食べたい物があったら遠慮なく言ってね。すぐに作って持ってくるから」
この薄暗い部屋で見ても眩しい位の優しい笑みを浮かべて、丼に溢れんばかりの揚げたての大きなカツが二枚乗ったカツ丼と何か冷たい飲み物を載せたお盆を置き、僕の前に座る。
「あの……麻由お姉ちゃん、本当にごめんね。沙耶さんとの事……」
「ん?もう……私の方こそさっきはごめんなさい。あんなにきつい事言っちゃって……本当に悪かったと思ってるわ」
麻由お姉ちゃんはわざとらしい口調で謝りながら僕に後ろから抱きつき、体を擦り付けてきた。
「だから……お姉ちゃんの体、好きにしていいわよ……ちゅっ、はむ……」

「ちょっ……そんなのいいから……」
耳たぶを軽くしゃぶって頬にキスし、乳房を押し付け、ズボンに手を入れてに肉棒を軽く擦り誘ってくる。
ただでさえ夕べから何も食べてない上、昨日散々やられて疲れてるのに、これ以上されたら体がもたない。
でもそんな状況でも麻由お姉ちゃんの柔らかい手に巧みに擦られて刺激された肉棒はどんどん勃起していき、更に甘ったるい香水の匂いとエプロンの布越しに背中に押し付けられた乳房の感触が欲情をドンドン誘い出していく。
「ん、ちゅっ……ふふ……ご飯を食べる前にお姉ちゃんを食べる?好きなだけ食べてくれて良いのよ……」
「あ、あのね……!お腹も空いてるし、昨日はお風呂も入ってないから今は良いや。汗臭い体に抱かれるのはやっぱり嫌でしょ?」
「ああん……別にそんなの気にしないわ。大好きな麻由お姉ちゃんの体を召し上がって欲しいのに……」
麻由お姉ちゃんの手を振りほどき、強引に体を突き放すとわざとらしく不満そうな声を漏らす。
「だからさ……ちゃんとお風呂に入って体を綺麗にしてから麻由お姉ちゃんとしたいなあ……なんて……」
とにかくこの窓も電気も無い暗くて窮屈な部屋から出たいので、お風呂に入るという口実で出れないか試してみる。
囚人だって風呂ぐらいは入るんだから、このぐらいは要求してもおかしくはないはず。
「あ……!お風呂で麻由お姉ちゃんとエッチな事したいなあ。いつもの様に体洗って気持ち良くしてくれないかな?」
「もう……本当に甘えん坊さんなんだから……そんな事言われたら、お姉ちゃんのおまんこ濡れちゃうじゃない……」
「じゃ、じゃあ……」
「良いわよ。じゃあ、ご飯食べたら一緒に入りましょう。今の内にお風呂掃除して沸かしておくから」
「ありがとう、麻由お姉ちゃん」
そう言った後すぐに屋根裏部屋から出て、お風呂の仕度をする。
一応出た後、入口の様子を見たがしっかりとまた金網が張られていた。
監禁されておいてお礼を言うのも変な気がしたが、とにかくこれで一旦この部屋から出る事が出来るのでホッと一息付いて、麻由お姉ちゃんが持ってきた食事を食べる。
麻由お姉ちゃんだって、こんな所に僕を何日も閉じ込めたままにしておくことなど出来ないはず。
何日も学校に行かなければ、学校から連絡は来るだろうし家にも先生なり友達なりが様子を見に来るだろう。
「大丈夫だよな……」
そうだ、後何日かの辛抱だ。
僕が呼び出せば、すぐにここに麻由お姉ちゃんも来るのだから、出来るだけ一緒に居るようにすれば、沙耶さんにも手は出せないだろうし、出してもらう様に説得する事だっていくらでも出来る。
462狂依存 166:2011/05/08(日) 19:06:07.58 ID:M2WJ4Z9E
そう考えればさほど深刻な状況ではないのかもしれない。
「麻由お姉ちゃん……」
本当にごめんなさい。約束破っちゃって……。

「大輝。お風呂沸いたわよ」
食事を終えてしばらくした後、麻由お姉ちゃんがお風呂を沸かした事を告げに再び部屋に入ってきた。
良かった……これでしばらくはこの部屋から出られる。
「うん、わかった。今行くから」
「待ちなさい。服はここで脱いで」
「へ?何で?」
麻由お姉ちゃんは僕が部屋を出ようとすると腕を掴んで制止し、服を脱ぐよう命令してきた。
「ふふ……お姉ちゃんからのお願いよ。少しでも長くあなたの裸が見たいから、ここで服を全部脱ぎなさい」
「ええっ!?いや、だから何で?」
「何でも何もないわ。いいから、さっさと脱ぎなさい。脱がないとお風呂に入れてあげないし、ここで押し倒して夕べみたいにしちゃうわよ」
僕に体を擦り寄らせて、甘えるような声で服を脱げと迫ってくる麻由お姉ちゃん。
「わ、わかったよ……!」
やたらと急かされて渋々要求どおり、服を脱ぎ裸になる。
でも何でここで脱ぐことを強要してきたんだ……?
「くすくす……良い子よ。ちゅっ……さ、行きましょうか」
頬に軽くキスした後、僕の手を引いて風呂場へと引っ張って行く。
この家には僕と麻由お姉ちゃんしかいないし、麻由お姉ちゃんには何度も裸を見られてるが、それでも全裸で家の中を歩くのはかなり恥ずかしい。
これじゃあ、隙を見て外に逃げ出す事も出来ないし……。
「(あっ……!だからか……)」
服を着たまま部屋に出したら、隙を見て外に逃げ出す恐れがあるから、脱がしてから外に出したのか……。

「さ、先に入ってて。私もすぐに入るから」
麻由お姉ちゃんに促されて先に浴室に入り、シャワーを浴びて体を軽く流す。
既に浴室にはマットが敷いてあり、いつもの様に僕を寝かせて
「これじゃ……まるで本当に囚人になったみたいだよ……」
シャワーを浴びながら、がっくりと肩を落とし、溜息を漏らして呟く。
こんな生活一日でも続けたくはない。
何とか明日までに終わらせないていつも通りの生活に戻すようにしないと……。
「囚人がこんな可愛い奥さんと毎日セックスしたりする訳ないじゃない」
「えっ?わっ……」
考え込んでる最中に突如声がしたので振り返って見ると、すかさず麻由お姉ちゃんが抱きついてきてキスをして口を塞いだ。
「ん、んちゅっ……ちゅっ、ちゅっ、んふう……ちゅっ、むちゅっ、んん……はあっ……」
「さあ……お姉ちゃんがあなたの体を綺麗にしてあげるからね……ん、ん……」
たっぷりとボディーソープをかけたスポンジで体を泡立たせた後、体を密着させてゆっくりと背中を流していく。
「あん……ん……ほうら……お姉ちゃんの体でいつも以上に念入りに気持ちよくしてあげる……ん、んん……ちゅっ……」
麻由お姉ちゃんは乳房を背中に密着させて、ゆっくりと上下に揺らす様に擦りつけ、更に手で肉棒を優しく握って焦らす様に撫で回す。
たっぷりと泡立てられ、より滑らかになった柔らかくてボリュームのある乳房が背中に押し付けられ擦られる度に、頭がチカチカする程の快楽に襲われる。
「(いや、何とか今の内にあの部屋から出してもらうよう説得しないと)」
「ねえ、麻由お姉ちゃん。やっぱり……んっ……」
「ん、んふっ……ちゅっ、んちゅっ、ん……ちゅるっ、れろっ、ちゅっ、むちゅっ、んん……れろっ、ちゅっ……」
僕がしゃべろうとするとそれを阻止するかの如くキスをして口を塞ぎ、舌を滅茶苦茶に絡ませて口内を蹂躙する。
463狂依存 167:2011/05/08(日) 19:12:08.88 ID:M2WJ4Z9E
あまりにも激しく口内を舌で絡ませられて息が出来ない。
「(ちょっと、しゃべらせて……)」
「ん、んふ……ちゅっ、ちゅるっ、んちゅ……ちゅっ、んん……くす……そんなお姉ちゃんにキスされるたいんだ……嬉しいわ。ほら早く横になりなさい」
漸く口を離すと、僕を押し倒して股がりボディーソープを全身にかけてスポンジで泡立たせた後、肉棒を股間に押し付ける。
「ん、んん……おちん○んは特に念入りに綺麗にしておかないとね……ん、んん……」
乳房と同じくらい柔らかい太ももに挟まれ、おまんこに近い部分でグリグリと押し付けられた肉棒はその刺激でどんどん膨張していく。
「うっ、く……」
あまりの気持ち良さに思わず顔を歪め、麻由お姉ちゃんから目をそらす。
「ん、んん……駄目よ……ちゃんと大好きな麻由お姉ちゃんの顔を見なきゃ……ん、んく……」
目をそらしたら、すかさず僕の顔を真正面にずらして強制的に自分の顔を見つめさせる。
濡れた髪とわずかに紅潮して妖しげに微笑んだ顔がやたらと色っぽく見えた。
「あん……こんなにビクビクさせちゃって……いつでも出しちゃっていいからね……」
「あの、麻由お姉ちゃん……ちょっと話が……」

「ん……?もう入れて欲しいのね。良いわよ……ん、んん……あっ、ああああぁぁぁぁぁんんっっ……」
僕の話など全く聞く耳持たず、膣穴に肉棒を押し当て一気に挿入する。
何とか話をしないと……。
「あんっ!!あなたのおち○ぽ何度咥えても良いわ……やんっ!あっ、はああんっ!!」
「麻由お姉ちゃん。本当にごめんね……沙耶さんとの事……約束破っちゃって、悪かったって本当に悪かったって思ってるよ。でも……んっ……」
「ん、んちゅっ……れろっ、べろっ、ちゅっ、むふっ、んちゅっ……ん、んふっ……」
黙れと言わんばかりに、麻由お姉ちゃんは体を倒してキスをして口を塞ぐ。
お願いだからしゃべらせて……
「ん、んん……はぁ……あなたは余計な事考えないで、お姉ちゃんで気持ち良くなる事を考えてればいいの。ほらもっと腰突き上げないさい」
「いや、でも……流石にまずいと思うんだ……僕だって麻由お姉ちゃんだって困ると思うし……あっ、ん……!」
僕が喋ると、今度は膣中の締め付けをきつくして、腰をガンガン激しく打ちつけてきた。
麻由お姉ちゃんが腰を動かす度に乳房が激しく揺れ、その様子が堪らなくいやらしく感じて更に欲情を刺激され自然に腰を突き上げた。
「ああんっ!!あっ、はああううっ……あっ、あんっ!いいわ……もっとよ……もっと突き上げなさい……あっ、あんっ!!」
二人ともここまで来ると何も考えられず、ただひたすら欲望の赴くままに腰を揺り動かしてお互いを求めあった。
麻由お姉ちゃんの中で締め付けられて、柔らかい膣壁に圧迫される感触は本当に気持ち良すぎる。
「あんっ!!もう駄目……あっ、やんっ……!!あっ、はんっ、あっ、はんっ!!やんっ、あっ、あんっ……」
激しい嬌声に刺激され、腰を突き上げる速度を更に上げて一気にラストスパートをかける。
もうイク……。
「あんっ!!あうっ、あっ……あんっ、はふっ、あんっ、あっ。イク……あっ、やああんっっ……やっ、はっ、あああああぁぁぁぁっっっ!!」
どぴゅっ!!!どぴゅるるるるっっっ!!
麻由お姉ちゃんの子宮に肉棒を思いっきり突き立てて、一気に精液を叩き込む。
この膣中に流し込む時の快楽は本当に何とも言えない心地良さを感じた。
464狂依存 168:2011/05/08(日) 19:13:16.93 ID:M2WJ4Z9E
「あっ、ああああんっっ……はんっ……こんなに一杯流し込んじゃって……はんっ……ん、んんふっ……」
射精し終わると、麻由お姉ちゃんは体を倒してキスをして体を重ね合わせたまましばらく余韻に浸る。
キスをしながらお互い泡まみれでヌルヌルした体で抱き合い、肌と肌を擦り合わせてたっぷりとお互いを感じあう。
「あんっ……ちゅっ、んちゅっ、ちゅっ、んん……ふふ……まだまだ元気じゃない……お姉ちゃんがいっぱい気持ち良くしてあげるからね……」
「あの、麻由お姉ちゃん……そろそろ体流して出ようと思うんだけど……」
「ん?お姉ちゃんのおっぱいでおちん○ん綺麗にして欲しいのね。いいわよ……今やるからね……」
そう言うとすかさず肉棒を抜いて、四つん這いの体勢になり、乳房を挟みこむ。
「さあ……あなたの大好きな麻由お姉ちゃんのおっぱいでちゅよ……たっぷりと味わいなさい……」
何とかあの部屋での監禁状態を止めてもらうよう、麻由お姉ちゃんを説得したいんだけど……。
仕方ないこのまま話すか。
「あの、麻由お姉ちゃん……やっぱり……あつっっ!!」
話をしようとしたら、麻由お姉ちゃんはすかさず手に持ってたシャワーを熱を最大限上げて僕に浴びせる。
あまりの熱さに思わず体を起こして手を振り上げるが、麻由お姉ちゃんに強引に腕を押さえ込まれてしまった。
「わからない人ね……あなたは何も考えずに私を気の済むままに犯せば良いって言ってるでしょ。ほら、続きやるわよ。ん、はむっ……」
「あんっ、ちょっと萎えちゃったわね……お姉ちゃんがすぐ元気にしてあげるから……はむっ、ん、ちゅっ、れろ……はん……」
麻由お姉ちゃんはシャワーを止めた後再びパイズリを始め、先端を咥えてしゃぶり始めた。
「ねえ……話を聞いて……」
「このまま噛み切るわよ。はむっ……」
「ひっ……」
肉棒を咥えながら、僕を睨みつけて脅し、肉棒を上下に揺らす速度を速める。
以前、本当に噛んできた事があったので仕方なく身を委ねた。
「ん、はむっ、ちゅっ、んん……段々、大きくなってきたわね……あふ、あんっ……」
こんな目に合わされながらも豊満な乳房に挟まれながら、揺らされ、舌で巧みに刺激された肉棒はどんどん膨らんでいった。
本当に気が狂いそうなくらい気持ち良い……。
というか、やればやるほど上手くなっている気がする。
「こんな酷い事言われても感じちゃうなんて、本当にスケベな子……それだけ私の事が好きなのね……」
「そんな事……」
小馬鹿にした様な口調で言われた為、少しムッとなって麻由お姉ちゃんを睨む。
「くすくす、怒っちゃった?なら、どうすれば良いのかわかるわね?」
「えっ?」
「ん、はむ……この熱くたぎったおち○ぽで、お姉ちゃんのおまんこにぶち込んでお仕置きすれば良いのよ。ん、んふ……」
肉棒を胸でぐりぐりしながら、悪戯っぽい視線を送ってチロチロと先端を舐め挑発する。
さっさと押し倒してやれって事か……。

「(仕方ない……)」
「ん、はむっ、ちゅっ……やんっ!!」
起き上がって麻由お姉ちゃんを押し倒し、四つん這いにして股を開く。
「やっとその気になったのね……ほら、早くおまんこにぶち込んでえ……はんっ、あああああぁぁぁぁっっ!!」
お望みどおり、肉棒を中に突き刺して腰を動かす。
このまま麻由お姉ちゃんをイカせてその隙に風呂場から逃げ出そう。
465狂依存 169:2011/05/08(日) 19:14:45.02 ID:M2WJ4Z9E
「あんっ!!良いわ……その調子よっ!はっ、あぐっ……あうっ、やんっ……!はっ、ああああっっ!!」
ひたすら腰を動かして子宮を突きまくり、快楽を貪る。
いや、このまま流されてはいけない。隙を見てここから出ないと。
「ふふ……ほらあ……もっと、もっとお姉ちゃんを犯してえ……はっ、あんっ……!やっ、はあん……」
逃げ出そうとしたのを察知したのか、麻由お姉ちゃんは膣中の締め付けを厳しくして腰を突き出し揺り動かしてきた。
「あんっ!良いわ……もうイク……あんっ!!イッちゃう……はっ、はふっ!!」
あまりにきつく締め付けられた為、少し苦しくなり、その圧迫から逃れるために更に腰の動きが速まった。
「(気持ち良すぎる……)」
この締め付けといい、膣壁の柔らかい感触といい……。
更に実の姉を犯しているという背徳感が快楽を増長させていった。
もう完全に麻由お姉ちゃんの体の虜になってしまったのかもしれない。
「はっ、あんっ……もっと激しくう……あんっ、やっ……もうイっ……あっ、はっ……やああああぁぁぁぁっっ!!」
再び麻由お姉ちゃんの中で思いっきり精液を吐き出し、子宮にぐいぐい肉棒を押し込む。
麻由お姉ちゃんもがっちり締め付けて、受け入れている。
「あっ……はっ、やんっ……はああああぁぁぁぁぁんっっ……」
射精し終わった後、一気に疲労が出てきて一旦その場にへたり込む。

「(いや、休んでる暇はない)」
体がきついが今の内に逃げないと。
麻由お姉ちゃんの中に入っていたち○ぽを引き抜き、体をシャワーで軽く流した後、すぐにこの場から離れようとする。
麻由お姉ちゃんも疲れているのか、四つん這いの体勢で息を上げてそのままへたり込んでいる。
今の内に……。
「何逃げようとしてるのよ」
「えっ!?」
「まだまだこんなもんで終わらせないわよ……」
バシャーンっ
風呂から出ようとすると麻由お姉ちゃんは僕の足を掴み、そのまま起き上がった後、僕を強引に湯船へと押し込んだ。
「ちょっと何を……?」
「何をじゃないわよ。湯船につからないで出たら風邪を引くでしょうが。ほら、お姉ちゃんと一緒に暖まりましょう。ん、んふっ……」
湯船に入ったら、僕に抱きつきキスをしてきた。
あまりに激しく口を絡ませてくるため息が出来ない……。
「ん、んちゅっ、ちゅる、ん、んふっ……むふっ……ちゅっ、ちゅっ……はぁっ……」
「ちょっと、麻由お姉ちゃん。もうここから出して……」
一緒にお風呂に入ってエッチにようと言ったのはあなたの方よ。まだまだこんなもんじゃ終わらせないんだからね。さあ、入れるわよ。ん、はああああぁぁぁぁっっ!!」
湯船でがっちり僕に抱きつきながら、肉棒を太ももで擦り強引に勃起させ、また中に入れる。
「ちょっと、もういい加減に……」
「ほら、もっと腰動かしなさい。ん、んあっ……!」
結局このままくたくたに動けなくなるまで麻由お姉ちゃんとのセックスは続いた。
「ん……」
目を覚ますと再び屋根裏の中の布団の上で横になっていた。
浴室でぐったりしていた僕をここまで抱えて、麻由お姉ちゃんが運んできたのか……。
あれだけやったのにこんな力があるなんて本当に関心する。
あんな可愛い顔してるのに、とんでもない腕力の持ち主だもんな。
466狂依存 :2011/05/08(日) 19:15:54.12 ID:M2WJ4Z9E
「うう……体がだるい……」
今、何時だ……?まだ夕方前か。
夕べあんなにやられた上、お風呂でも体がボロボロになるまでセックスされて、もう腰とか体のあちこちが痛い。
麻由お姉ちゃんを呼んでマッサージでも……いや、何やらかすかわからないし、やめておくか……。
がちゃっ
「あら、起きたの」
「え!?」
物音がしたので振り返ってみると、麻由お姉ちゃんが部屋に入ってきた。
「体のほうは大丈夫?あんなに激しく動かした後じゃ腰とか痛むでしょ?マッサージしてあげるからうつ伏せになりなさい」
「ええ?いや、良いよ」
まさかとは思ったてたけど、ここまで僕が何考えてるのかわかるなんて心の中を読む力でもあるのか?
「あら、まだ元気なんだ?じゃあ、さっきの続きしましょう。お姉ちゃんまだまだし足りないのよね……」
「わかったよ!じゃあ、お願い」
麻由お姉ちゃんが服を脱いで迫ってきたのを見て、慌ててうつ伏せになる。
「ふふ……じゃあ、始めるわね。終わったら湿布貼ってあげるから。ん……」
うつ伏せになった僕に跨り、ゆっくりと腰を揉み始める。
そうだ……今の内に出してもらうよう説得してみるか……。
「ねえ、麻由お姉ちゃん。わざわざこの部屋に来て食事とか持ってきて僕のお世話をするのは大変じゃない?」
「ん……大した事じゃないわ。お姉ちゃんの事気遣ってくれるのは嬉しいけど、心配しなくても大丈夫よ」
「うん……でも麻由お姉ちゃんに余計な負担をかけたくないし、大学だってあるんだからずっと家に居るわけにもいかないでしょ?それに僕もこんな薄暗い部屋にいるのはちょっと辛いかな……なんて……」
麻由お姉ちゃんにちらりと視線を向けると、聞いているのかいないのか、機嫌よさそうな顔をしていた。
「だからさ……どうせ閉じ込められるのなら、せめて麻由お姉ちゃんの部屋が良いな……そこならいつでも大好きな麻由お姉ちゃんを感じていられるし、麻由お姉ちゃんも僕の目が行き届きやすくて助かるでしょ……」
何か変質者みたいな言い分になっちゃったけど、とにかく何が何でもこの部屋で過ごすのは嫌だ。
「ねえ、お願い……麻由お姉ちゃんのベッドで一緒に寝たいな……」
わざとらしくおねだりするような口調でお願いする。
「大輝……」
「何?」
「そんな事言って、お姉ちゃんをたぶらかそうなんて本当にいけない子……そうやって私を騙してここから逃げ出そうとしてるのね……」
「う……」
下を向いて無表情でボソリと呟く、麻由お姉ちゃん。
完全にバレバレだったか……
「でも、嬉しい……私の事をいつでも感じていたいなんて……その言葉だけでお姉ちゃん、
天国にでも行っちゃそうなくらい嬉しいわ……例え嘘だとしてもあなたの口からそんな言葉が聞けるなんて」
「そ、それじゃあ……」
「もう嬉しさで頭がどうにかなりそう……良いわ、行きましょう。私の部屋に。そこを私達の永遠の愛の巣にしましょう!」
「ええ?あの?」
偉く興奮した口調でそう言った後、すぐに立ち上がって僕の手を引っ張り、下にある麻由お姉ちゃんの部屋へと降りる。
「(やった……とにかくこの部屋からは出られるみたいだ……)」
駄目元で言ってみたけど、やっぱり話せばわかってくれるんだね。

「さあ、一緒に愛を育みましょう!」
「ちょっと、落ち着いて……」
麻由お姉ちゃんは部屋に降りると同時に僕を自分のベッドに押し倒して、すかさず僕に飛び込んでキスしてきた。
467狂依存 171:2011/05/08(日) 19:17:03.06 ID:M2WJ4Z9E
「あふ……んふっ、ちゅっ、んちゅっ、ん、んん……ちゅっ、んちゅ……」
「ん、ちょっ……落ちつ……ん、んん……」
いつも以上に強く抱きつき、激しく唇に吸い付いてキスを繰り返す。あまりも強く抱かれて、吸い付かれてるため息も出来ず苦しい。
「あん……ん、んん……落ち着いてなんかいられないわ。あなたがお姉ちゃんをこんなにも求めてくるなんて……ほら、見て……お姉ちゃんのおまんこ。ぐちょぐちょになっちゃったじゃない……」
麻油お姉ちゃんが一旦離れた後、ベッドで股を開き、まるで泥酔したかの様な赤い顔と虚ろな目をして、ぐちょぐちょに濡れたまんこを嬉しそうに開いて僕に見せ付ける。
その様子を見て本当に頭がおかしくなったんじゃないかと心配になってしまうぐらいの異様な感じだった。

「そうよ……麻由お姉ちゃんはさっきのあなたの言葉ですっかりおかしくなっちゃったわ……もう身も心も全てあなたの物になったの……だから、早く入れてえ……」
「で、でも……もう疲れたし……」
「あら?あなたが来ないなら、またお姉ちゃんの方から行くわよ……」
躊躇ってると、麻由お姉ちゃんが再び僕に向かって来た。
どうしよう?まさかここまで変になるとは思わなかったし……。

ピンポーン
「!?」
麻由お姉ちゃんが僕を押し倒して抱きついた瞬間、呼び鈴がなった。
「ねえ、誰か来たみたいだよ……」
「そんなの後で良いわ……早く続きしましょう……」
ピンポーン、ピンポーン……
「もうしつこいわね……」
最初は無視していた麻由お姉ちゃんも、何度もしつこく呼び鈴が鳴った為、流石にただ事ではないと思ったのか僕から離れて服装を整えて、玄関へ行こうとする。
「あ、僕が出るよ!」
この好機を逃す手は無い。
麻由お姉ちゃんを強引に振りほどき、急いで玄関に降りる。

「はーい……って……」
玄関を開けると、そこには沙耶さんがいた。
まあ、呼び鈴をしつこく押してた事から何となくそんな予感はしてたけど……。
「た、大輝……いたんだ……」
「えっと……何か……?」
「うん、その……ね……」
僕が出ると、沙耶さんは何か言いにくい事がある様な顔をして体をもじもじさせていた。
いつもと様子がおかしいような……?
「あんたか……何の用なのよ?」
麻由お姉ちゃんが僕の後ろから殺気が篭った様な低い声で沙耶さんに話しかけた。
「あのね……その……ごめんなさいっっ!!」
「……へ?」
沙耶さんは麻由お姉ちゃんが話しかけてしばらくしてから、深々と頭を下げて謝った。
一瞬何が起こったのか理解できず、言葉を失う。
「あ、あの……ど、どうしたんですか?急に……?」
「どうしたも何も、今まで、その……二人に付きまとって迷惑かけてたじゃない……それで、今更だと思うけど……謝ろうと思って……本当にごめんなさい」
「ええ!?いや、それは……その……」
一体どうしたんだ……?
今まで何を言っても、聞かなかった沙耶さんが今日になって急にこんな事、言い出すなんて……。
「あのね……昨日、あの後お父さんとお母さんに大輝の事を話したのね。そしたら、その事で凄く怒られて……高校生なんかと付き合って何かあったらどうするんだって……」
「最初は反発したんだけど、段々目が覚めてきて……私、とんでもないことしちゃったんだなって……」

468狂依存 172:2011/05/08(日) 19:17:53.23 ID:M2WJ4Z9E
顔を青くしながら、今にも泣きそうな顔をして語る沙耶さん。
まさか、本当に……?
「私、どうかしてたよ……きっと大輝と仲良くなったのに浮かれてこんな事しちゃったんだと思う……本当にごめんね。今更、こんな事言っても信じてもらえないと思うけど、本当にごめんなさい。もう二度と大輝に付きまとったりしないから」
目に涙を浮かべながら、再び深く頭を下げる。
思わず麻由お姉ちゃんに目を向けると、予想外の出来事にどう対処してわからず困惑している僕とは違って険しい眼をしていた。
「あの、沙耶さん……そんな、頭を上げて下さい……」
「う……えぐっ……ごめんなさい……本当にごめんなさい……」
「謝らなきゃいけないのは、僕の方ですよ沙耶さん。今まで散々沙耶さんに酷い事しちゃってごめんなさい……」
同じ様に僕も沙耶さんに出来る限り、頭を下げて今までの事を謝罪する。
謝っただけでは済まない事をしてしまったと思うけど、今はそれしか出来ない。

「二人とも気は済んだかしら?」
「え?」
二人が頭を下げている最中に今まで沈黙を守ってた麻由お姉ちゃんが漸く口を開いた。
「こんな下らない猿芝居をして何を考えてるのか知らないけど、あんたが何を言おうが、もう許す気はないわ。少しでも長く生きたいのなら、今すぐここから、出てって」
「ちょっと、そんな言い方は……!」
「うん……簡単には信じてもらえないと思ってるよ。だから、私はもうどうなっても良い。でも大輝の事は許してあげて。お願いだから……」
「あんたが何言っても、もう無駄だって言ってるでしょ。どうなっても良いって言ったわね。ならさっさと死ね。今すぐ、ここで首を吊りなさい」
「いい加減にしてくれ!沙耶さんもここまで言ってるのに、どうして死ね何て言うの?」
「ああん……あなたったら……こんな猿芝居に騙されちゃうなんて本当に純真なのね。でも、大丈夫。お姉ちゃんが守ってあげるから……」
「ちょっと、止めて……」
僕が少し語気を荒げて食って掛かると、麻由お姉ちゃんは抱きついて体に頬ずりしてきた。
「うん……殺されても仕方ない事をしたとは思ってるよ。だからそうされても麻由ちゃんを恨んだりしない。でも大輝は許してあげて。ね?」
「沙耶さん……」
「あまり、長居しても迷惑だろうから今日はこれで失礼するね。今まで本当にごめんなさい。それじゃあ……」
消え入りそうな声を出しながら、頭を下げて玄関を出た。

469狂依存 173:2011/05/08(日) 19:18:38.24 ID:M2WJ4Z9E
「ねえ……続きをしましょう……」
沙耶さんをそのまま見送り、しばらく呆然と立ち尽くしていると麻由お姉ちゃんが僕を自室へと引っ張っていく。
「ごめん……今はそんな気分じゃ……」
「あら、お姉ちゃんの部屋で過ごしたいって言ったのはあなたの方よ。だから、好きなだけ私と過ごさせてあげるわ。ほら、来なさい……」
「でも……」
「でもじゃないわ。ん、んふっ……ちゅっ……」
麻由お姉ちゃんは僕を強引に壁に押し付け、口付けしてきた。
「ん、んん……あの女の嘘泣きに惑わされちゃ駄目。あなたは私と一緒に気持ち良く過ごすことだけ考えれば良いの。さ、入りなさい」
僕を部屋に押し込んだ後、胸元を露にしてベッドに押し倒してひたすら強く抱きついた。
「ねえ、沙耶さんともう一度ちゃんと話……」
「ん、んん……ちゅっ……さあ、続きをやるわよ。私を押し倒す気がないなら、黙ってじっとしてなさい。いいわね」
「ま、待って……」
結局この後、夜が更けるまで麻由お姉ちゃんとの交わりは続いた。
でも、その間でも沙耶さんの事が頭から離れる事はなかった。
本当に僕の事、諦めが付いたのだろうか……?

「結局この手紙は渡せなかったな……」
あれからすぐ家に帰り、自室の机で悶々としながら、今日大輝に渡すはずだった謝罪の手紙を見つめる。
本当なら、麻由ちゃんに謝った後この手紙を渡して帰るつもりだったのだが、まさか大輝本人が出迎えて来るとは思わなかった。
何処かに閉じ込められて、出られない状態だと思ったから、手紙だけでも……と思ったのだけど……。
「でも、麻由ちゃんは信じてくれなかったみたいだな……」
顔色一つ変えず、猿芝居だって断じて全く相手にしなかった。
今までの事を考えれば当然か……。
「でも……」
大輝は騙せたみたいだし、良いか♪
少なくともかなりうろたえてはいたみたいだし、今頃私の事が気になって仕方ない事だろう。
「ん、んん……ちゅぷっ……待っててね、もうすぐ麻由ちゃんの魔の手から救い出して私だけの物にしてあげるから……」
写真を見て、指をしゃぶりながら自慰をしそう呟いた。

470 ◆wBXWEIFqSA :2011/05/08(日) 19:19:15.42 ID:M2WJ4Z9E
以上です。
ありがとうございました
471名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 19:48:36.50 ID:GOcvwFuY
キター
472名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 20:40:02.54 ID:btCDNn/U
>>470
GJです!
大輝は泥棒猫にコロッといきそうな勢いだがどうなる事やら
473名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 21:19:42.11 ID:ttF9/uT/
麻由お姉ちゃんの監禁から、虎視眈々と大輝奪還を企む泥棒猫沙耶
彼女の策略が最強のキモ姉麻由お姉ちゃんに果たして通じるか……
次回もGJ展開に期待!
474名無しさん@ピンキー:2011/05/08(日) 22:23:00.23 ID:zDY+CbXI
GJ!
あいかわらずエロくてよろしい!
475名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 01:14:09.70 ID:aT+YXGZv
姉…妹…その全てを超越した存在に私はなる…!
476名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 01:55:25.17 ID:who4Rc6B
「もっと腰動かしなさい」にいつも吹くGJ
477名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 02:02:13.42 ID:gYVT7VFt
俺からもGJ!!
478名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 03:12:47.18 ID:KhGIGF3I
いいなあこのパワーバランス
しかし昔の大輝もたいがいキモオトだな
479名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 17:54:51.95 ID:4aJ7gcb9
弱気モ姉は内気で何時も弟に助けられていたが
弟は幼馴染と恋人になってしまい姉を構わなくなってしまう。
480義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 18:37:16.26 ID:AnK4RP7W
投下します
481義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 18:38:22.81 ID:AnK4RP7W
「お兄ちゃん、起きて」
「うーん、後1日」
「月曜日になっちゃうよ」
「……もうちょい……」
そんな言葉を口のなかで混ぜながらうつぶせの状態で枕を掴み、布団に潜りこむ
ポスんと音がして腰のあたりに重みが加わった

顎が柔らかい手に包まれた

ヤバいと思ったときには背中に激痛が走る
背骨が自分の意などおかまいなしに曲がっていく
なんだっけこれ
えっとそうキャメルクラッチだ

「…ギ…ブ」
その一言が喉から漏れると頭部が弧を描いて布団に落下していく

なんか今日はやけに起こし方が荒い
どうしたんだろう
昨日はちゃんと約束の時間に帰ってきたし、ちゃんと筋トレしたし……
おい、怒られる要素ねぇぞ
これはひとつ文句をいってやらないと

ペタン
あれ?なんか柔らかいものが背中に落ちてきた

ん?これは態勢的には敷布団にされてんのかわぁ、親亀子亀ならぬ兄亀妹亀だな
「ちょ、なんなんだよ。行動が荒かったり、謎だったりでついてけないよ」
「!それは今朝うつぶせだったからキ…」
「き?」
「りぎりすが鳴くころね」
「俺の寝相とキリギリスの求愛は関係なくね?」
「うるさい、この低血圧。時間を確認してからいいなさい」
えっと目覚まし時計は……うわーい、ヤバっい〜

「だー、なんでもっと早く起こしてくんないだよ」
サキちゃんを背後にして、慌ててパジャマがわりにしていたジャージの上下を脱ぐ
482名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 19:37:28.27 ID:0dVxaqdZ
ジャージを脱いでどうなった?腕へし折られたんか?
483名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 19:39:42.50 ID:4aJ7gcb9
規制されたのかな?それともキモ姉妹に襲わたか。
484義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:03:27.64 ID:AnK4RP7W
「ちょっパンツの前後逆!」
「いっ?マジ!」
確かに前開きがない、う〜ん我ながら抜けている
直そうとすると突っかかった

あれ?朝勃ち?
うわ、最近やたら元気だな、おい

・・・なんか視線感じるってことは・・・サキちゃんですよね
えーっと、ここで見んなというのは小さい頃から見てたサキちゃんには通じない訳で
かといって勃ってるのをみせるのは抵抗が……
いやいや、パンツ半分脱ぎかけた状態の方が恥ずかしいよ

「ごめん、お見苦しいものを…サキちゃんなんでガッツポーズしてんの?」
「やったぜ、亜鉛!……!!いや、なんでもないの。」
朝からやや壊れてますねサキちゃん
まぁ、今日はお父さんとお母さんのお墓参りだから緊張してんのかな

485名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 20:06:26.71 ID:MJQMF1Gu
繋ぎ直して1回の投稿量を3000byte以内にしてみたら、どうでしょう?
Janeを使えばレス欄の下に容量が表記されてるので、わかると思います
どうしても駄目なら避難所の掲示板で投下しても良いかと 
486義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:06:33.44 ID:AnK4RP7W
「えっとご飯はどうしよっか」
「朝はもう準備できてますよ」
「いやいや、昼だよ。お寺の近くのお蕎麦屋さん、行くの?」
「白玉ぜんざい頼んでいいの?!」
「それくらいのお給料はもらってるし、毎回食べるでしょ、サキちゃん」
「絶品なんだよ。」
「うーん、甘いのは苦手だ」
「食べてみればわっかるのに、もったいないんだ。早くしてね」
「はいはい」
といった話があり現在、二人で件のお蕎麦屋さんにいるわけだ
蕎麦を食べるまでは良かった。天ざるの海老が無言でさらわれた以外はね、
(多分、いつものカロリーオーバーだろうしね)しかし、これは……

「はい、あーん」
わずかに粒がわかるぜんざいにまみれた白玉を木でできたスプーンで
俺の口元に運んできて笑っているサキちゃん

甘いのが苦手うんぬん前に昼時で賑わう店内でこれは……
487義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:08:36.29 ID:AnK4RP7W
えっと、羞恥プレイ?
無理無理
しかも絵面が最悪だよ
兄妹見られてるならまだいいけど一歩違えばなんか援交デートみたいだよ
うわぁ笑顔が崩れてきたよ
怒んないでサキちゃん
墓参りもすんでないのに雰囲気最悪とかいやだよ
だー、どうにでもなれ!
パク
488義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:11:10.28 ID:AnK4RP7W
「美味しい?」
「あ、うん。割りと甘さ控え目でいけるかと」
「でしょ!はい、あーん」
「ちょっと待って。海老天とっていったしカロリーオーバーじゃねえの?」
「これをするためにカロリーの調整したに決まってます」
は、図ったなぁ!


山の中腹にあるメモリアルパークにお父さんとお母さんの墓はある。
丁寧に石を磨き、周囲を掃除すると、サキちゃんが手を合わせ、数秒で離した。
「参拝完了」
「早いよ。初詣並の拝みかただよ」
「う〜ん、なに報告したらいいのか、わかんないし」
「……まぁ、しょうがないか」

墓の前で腰を降ろし、手を合わせる……
489義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:14:26.59 ID:AnK4RP7W
俺が白城夫妻の実の子ではないと、つまり養子だと知ったのは中学一年の春だった
偶然、近所の人たちが話してるのを聞いた。
内容は、まあ、二人の血が入っていないから、進学校に落ちたんだ、みたいなかんじだった
薄々、勘づいてはいた。それは、きっと顔の造形だとか、仕草だとか
そんな小さなことから解ったことだったけど

それが確信に変わっただけ。そうだ、それだけだ。それだけ・・・
・・・「だけ」と言えたのは両親が夜、寝室でやってることが何か知るまで

こう考えていた・・・
いつか、母さんの腹が膨らみだしたら
そしたら・・・そしたら・・・血がつながらない自分は棄てられるんじゃないか
要らないと、どこかに行ってしまえと冷たい言葉が鼓膜に響くのではないか
大好きなふたりは自分ではなく未だみぬヒトに奪われてしまうのではないか

490義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:18:09.56 ID:AnK4RP7W
簡単に言えば、俺は生まれてくるであろうキョウダイに、
恐怖し、嫉妬し、これ以上ないほどの憎悪を抱き、不幸を願った。
それこそ、人が人に抱いて許される感情の度合いを超えていたと思う
だから、俺はあの子と初めて出会い、腕に抱いたとき・・・
ギュム
491義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:22:31.91 ID:AnK4RP7W
耳、引っ張られた。
「ちょい、ちょい、ちょい、痛いっすよ」
「長いよ。そんなに報告することあるなら、まめに来たらいいんじゃないの」
「それは・・・ぐらついちゃうから、駄目かな」
「訳わかんないよ」
「うーん・・・こうやってお墓参りするとね、父さんと母さんが
 生きているみたいに感じるんだよね。なんとなく、気持ちが安心する
 でも、いない人間を頼ろうとするのは・・・ダメな気がする」
「・・・・・・お兄ちゃん。前にならえのポーズして」
「? こう」

両腕が肩の高さにくるようにピシッとのばす。
すると、サキちゃんは、先頭の子のやつでおねがい、といってきたので
今度は腕とわき腹が三角を描くように両手を腰にあてる。
軽い足取りで俺の背後に回ると腕をまわして、俺の体を支えあげた。準備体操なんかでやる、あれだ
ふわりと足が地面から離れる

492義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:26:39.72 ID:AnK4RP7W
「あのね、私、最近、居酒屋のチラシ渡されるの」
「え!?サキちゃん、未成年だよ。まだ早いよ」
「・・・そうじゃなくて、その・・・えっと、こんなこというの恥ずかしいけど」
「けど?」
「・・・私も少しずつ、大人になってる、だから『ほんの少しだけど、お兄ちゃんの力になりたい』」

・・・・・・・・・・・・なんでだろう、泣きたくなった
彼女の成長がみれたからか
こんな情けない自分を助けてくれるいってくれたからなのか
無理をさせてしまっていると感じたからか
それとも・・・・・・
「お兄ちゃん?泣いてるの?」
反動をつけて、足を地面につける。
かがんで、サキちゃんの腕をロック、そして、
回転、回転、回転、回転、回転、回転、回転、回転、回転、回転、回転、回転
493義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:31:07.03 ID:AnK4RP7W
三分ほどやって、涙も乾き、さすがに疲れたので、サキちゃんを降ろすと
サキちゃんは地面にへたりこみ、自分もその横に座った。
いろいろ文句をいっているサキちゃんを横目に空を見上げる

綺麗な夕焼けだ。空の一面に散らばった雲が沈んでいく太陽に吸い寄せられてくみたいだ

ああ、そっか、これだ
サキちゃんと初めて会ったときも、さっきのことも

いろんな感情が入り混じって、でも、最後に残るのは・・・

494義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:34:11.93 ID:AnK4RP7W
「ねえ!!聞いてるの!?なんであんなことしたのよ」
「がんばろうって思ったから」
「はあ!?」

君に初めてあったときも
さっき後ろから声をかけてくれた時も

最後に心の浮かんだ感情は・・・喜びだ
あれほどの暗い感情はどこへやら、君がいるとそんなものは消えてしまう

君を大切に、君を喜ばせてあげたいと思う
495義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:39:30.38 ID:AnK4RP7W
心の底からそう思うんだ。人なら普通の感情なのだろうけど
それが自然に心に浮かんでくることが、そうできるようになったことが
君の幸せを願えるようになったことが嬉しい

っと、悦にはいっていたら、いつのまにか
サキちゃんは怒って、一人で出口の方に大股で歩いて行っている

走って追いついて、さっとサキちゃんの手をとり、指を絡める
指の股と股がくっつくようにする
しっかりくっついたら、サキちゃんの腕を引っ張って歩く
496義理兄弟 3  ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:48:57.90 ID:AnK4RP7W
[な、なによ一体!?」
「恋人つなぎ、家まで羞恥プレイな」
「いきなりなんなのよ!」
「なにって・・・仕返し??」
なんの仕返しなんだ、とか、今日のお兄ちゃんは訳がわからない、とか
いろいろといってるが全部、右耳から左耳に流して、サキちゃんの瞳を見据えていう

「な、なによ。真剣な顔して・・・」
「・・・幸せになろうな、紗希。」
その後、家まで終始、顔を伏せていたサキちゃんだったが、「そのつもりよ」
と小さな声で返してくれたので、幸せになる気は満々らしい。

お兄ちゃんはサキちゃんが幸せなら、それで、幸せだよ
だから、ふたりそろって幸せになれるね
うん、兄冥利に尽きる休日だったね、明日も頑張れそうだ。
497 ◆Xaq9.y7Ff2 :2011/05/09(月) 20:51:03.54 ID:AnK4RP7W
投下終了

初心者に親切なアドバイスありがとうございます
498名無しさん@ピンキー:2011/05/09(月) 21:01:29.25 ID:gvqwdMhL
GJ
この兄貴なら落とせる!

忍者規制?
499名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 14:08:15.31 ID:kkCumtIo
私はお姉ちゃんの長編が見たいです。
500名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 14:59:36.69 ID:uG11TxsL
>>499
姉さん、そんなとこで何やってるの?
部屋の隅でうずくまってパソコンなんか開いて。
501名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 15:03:36.65 ID:kkCumtIo
>>500
短編の「私はお姉ちゃん」の長編が見たいです。
勘違いさせてすいません。
502名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 16:06:49.04 ID:DsF2Gf21
妹より優れた姉などいない!…なのになぜダメ姉ばかりかまうのか兄者よ
503 ◆YBm7PBq9q6 :2011/05/10(火) 18:42:59.28 ID:XMBdWY0c
投下します
以下注意事項
・VRMMOもです。
・ほぼ主人公同一の第3者視点ですので、地の文で主人公だけプレイヤー名ではなく実名です。
つまり悠=トモ
・規制された場合は避難所に投下します。
504名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 18:44:29.73 ID:4dJlpeOD
四円
505 ◆YBm7PBq9q6 :2011/05/10(火) 18:51:08.88 ID:XMBdWY0c
申し訳ありません。
たった今重大なミスに気が付いてしまったので、1時間後くらいに出直してきます。
506名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 19:08:53.84 ID:zOxCRHpU
>>501
その短編ってたしかお姉ちゃんが頭弱い作品だろ?
あれは多分狂もうと書いてる作者だった気がする。
あの人が書く作品はかなり深い変態度(誉め言葉)だから俺も好きだし見てみたいな。
でも今は狂もうと途中だからなぁ…。
507名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 19:16:28.42 ID:XCxCuX/t
>>506
頭弱いってw
508 ◆YBm7PBq9q6 :2011/05/10(火) 20:06:35.69 ID:XMBdWY0c
本当に申し訳ありません。
色々と問題があって、避難所の方に投下させて頂きます。
どなたか代理投下をお願いいたします。
509名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:30:14.81 ID:NjDWvofU
252: ◆ YBm7PBq9q6 2011/05/10(火)20:13:55 ID:TaoVpjpY
本スレの方ではご迷惑を掛けてしまい申し訳ございません。
こちらの方で投下させていただきます。
510名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:35:43.29 ID:NjDWvofU

253: 黒い百合2 2011/05/10(火) 20:15:39 ID:TaoVpjpY
カーテンの隙間から朝日が入り込む。
悠はいつもとは違う部屋の香りと朝日で目を覚ます。
そのまま十秒ほど寝ぼけていたが、自身が暮らしている部屋とは異なることに気づき、一気に眠気が吹き飛んだ。
そして多くのプレイヤーが『DLTB』に閉じ込められた昨日のことを思い出し、悠は深い深いため息を吐いた。
なぜなら目が覚めたら全部夢であって、いつもの部屋が見えるのではないかと淡い期待を寄せていたからである。
しかし現実は非情であり、これから悠たちは現実世界に戻れるかも分からない状態で、ファンタジーの世界で生きて行かなければならないことを再度突きつけられた気分
だった。
現実逃避も兼ねて、体を横にして布団に潜り込み惰眠を貪ろうとして……失敗した。
なぜなら体を横にしようとしたらうまく動かなかったからだ。
悠は隣のベッドで寝ているはずのリリィが居ないことに気づき、さらに自身の左半身に人一人分の体重が掛かっていることに気づいてしまった。
ある種の予感と共に布団を捲り、覗き込むと……全身白い少女が悠の上に乗るかの様な体勢でしっかり、ぎっちりと抱きしめて幸せそうな寝顔を浮かべて寝ている。
「…………〜〜〜っ!!??」
悠はあまりにも幸せそうな寝顔に見蕩れてしまったが、今の状況を思い出して声にならない叫び声を上げた。
声は響かなかったが体の振動は伝わったようでリリィは目を覚ましたようだ。
「お、おはよう……」
余りにも混乱して何を喋れば分からなくなった悠は、とりあえず朝の挨拶をする。
しかしリリィはそんな悠を一瞥し、軽く会釈をした後、さらにぎゅっと抱きしめて目を瞑った
そんな様子に悠は慌ててリリィの体を揺さぶって起こそうとする。
「いやいやいや!とりあえず起きろ!」
「なんですか、もう」
リリィは非難するかのように、ジト目で見つめる。
「……明らかに現状がおかしいのに俺が非難されなければならないのか分からないけど、なぜ俺のベッドに潜り込んでいるんだ?」
「寝ぼけていたんです」
「嘘付け。仮に寝ぼけていたとして、何で抱きしめているんだ?」
「抱き枕がないと寝れないタイプの人間なんです」
「……とりあえず、次からは潜り込まないように」
「善処します」
そして再び目を瞑り、先ほどより強く抱きしめるリリィ。
この問答の最中、一時も離さずに悠に抱きついていたリリィはいい根性をしていると言えるだろう。
全くと言っていいほど悠の言ったことを無視しているリリィの様子にため息を吐く。
昨日から明らかにリリィのペースに乗せられて無茶を聞かされている悠はこのままでは駄目だと思った。
なぜ昨日会ったばかりの悠に、一緒の部屋で寝泊りして布団に潜り込むのかは分からないが、このままでは済し崩し的に不問にしてしまえば色々と拙いであろう。
そう思った悠はリリィを言い含めようとする。
511名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:41:34.73 ID:NjDWvofU
「いくら親しい仲であろうと男女七歳にして席を同じうせずという言葉がある。しかも昨日会った人間にこんなことをするなんて女性としての節度が問われるぞ?」
「そのような男女差別的な諺はもう古いですよ。見ず知らずの人間が集まる学校でさえ座席配置など、基本的に男女混合しています。私はトモさんのことは信頼してい
ますし、信頼している人同士ならこれくらい問題ありません。それにトモさんは信頼してくれている人は無碍に出来ませんし、その他大勢が何を感じようと所詮は無
関係の人間です。ほら、何も問題がありませんよね」
「……」
微笑みを浮かべながら説き伏せるようなリリィのマシンガントークに、悠は正しいかどうかは分からないが絶句してしまう。
悠は一瞬、自分が間違っていてリリィが正しいのではないかと考えてしまったが、気を持ち直す。
正直、男としてリリィのような美少女に懐かれるのは嬉しいが、昨日会ったばかりなので逆に不気味の悪さを感じてしまう。
だから悠はその疑問を聞くことにした。
「……ひとつだけ聞かせてくれないか。なんで昨日会った俺をこんなに信頼してくれるんだ?」
「それはトモさんが昨日も言った大好きな人に似ているからですよ」
悠はその言葉に昨日のリリィとの会話を思い出す。
リリィが兄のことを、沢山の親愛を込めて話していたことを。
「確かリリィのお兄さん、リョウさんだっけ。そんなに俺と似ているの?」
「……ええ。まるで本人ではないかと疑うぐらいですよ」
リリィは兄のことを思い出しているのか、目を細め、とても愛しそうに言った。
それを見て悠は、リリィは兄のことがブラコンと言っていいくらい好きなんだなと思うと同時に、自身を兄として重ねているのだと思った。
しかし、これで悠はリリィがなぜ自分を過剰なまでに信頼しているのかは分かった。
「リリィのお兄さんは『DLTB』をやってないの?」
「……ええ、やっていません。だからといっては何ですが、時々とでいいですか甘えても構いませんか?」
そう言って、リリィは少し潤んだ目で上目遣いに悠の顔を見る。
同じことを言うが、リリィのような美少女に懐かれて嬉しいと思わない男はまずいない。
だから、そんな絵に描いたようなお願いのポーズにあっさりと陥落し、つい反射的に了承を出してしまった悠を誰も責められないだろう。
「い、いいよ」
「本当ですか!ありがとうございますトモさん!」
パッと顔を輝かせ、満面の笑みでお礼を言うリリィ。
本当はよろしくないのだが、リリィがそんなに喜んでくれてるので、まあいいかと悠は考えた。
そうしてようやくリリィは悠から体を離し、ベッドの淵に腰掛けることで今回の騒動が鎮火した。
しかし悠は、これからは共寝しないように注意しようとしたのが、完全に言い負かされた事実に気づかなかったのである。

* * *

朝の騒動が終わった後、悠はラピスのギルドの会議に参加する約束をしたことを思い出す。
なので悠はリリィにこれからどうするかを聞いてみた。
「これからのことなんだけど、俺はこれから知り合いのギルドの会議に行って情報交換するつもりだけどリリィはどうする?」
「私もそのギルドの会議に行ってはいけないんですか?」
「……それは少し聞いてみないと分からないな。聞いてみるから少し待ってくれない?」
そう言って悠は情報端末を取り出し、ラピスに会議の開始時間と共に聞いて見ることにした。
そして連絡するためにラピスの情報端末に繋げて数秒後、慌てた様子のラピスに繋がった。
『お、おはよう!こんな朝早くからどうしたの?』
その言葉に悠は壁に掛けてあるデジタル時計を見ると、まだ8:00と表示されていることに気がついた。
512 忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2011/05/10(火) 23:45:09.15 ID:NjDWvofU
現実の世界で平日であるならば特に問題ない時間だが、これが『DLTB』の中であり、昨日の騒動で色々慌しかったことも考えると少々早すぎる時間だ。
しかし悠はリリィが共寝した問題で気づかなかったようである。
「あ〜、実は今日の会議のことで聞きたいことがあったんだけど、朝に色々とゴタゴタがあったからこんなに朝早かったなんて気づかなかった。本当にごめん」
『別に7時くらい起きていて、慌ててたのは私もトモに連絡しようかと考えていたら、そっちから掛かってきたから驚いただけ。ところで聞きたいことって何なの?』
まだ寝ていたところを起こしてしまったのではないかと思った悠は、そのラピスの言葉にホッとする。
しかし朝早い時間であることには変わりないので、早々に用件を切り出すことにした。
「まずは今日の会議の開始時間を聞きたいのと、俺の他に一人ばかし連れて行っても構わないかを聞きたいんだ」
『会議の時間は13:00からを予定してるけど、連れて来たい人って誰?アキラとジュンの二人?』
「いや、違うよ。最近『DLTB』をやり始めた人で、Lvが低いから一緒にパーティーを組んで保護することを決めた人」
『何、それ。『DLTB』に閉じ込められてから状況が分からないのに、知らない人を保護する何て軽率すぎない?とりあえず保護した人の性別は?』
その言葉を聞いた瞬間、ラピスの声がかなり低くなった。
どうやら悠が見ず知らずのリリィを保護したことに不満を感じているようだ。
「女性だけど……」
『ふ〜ん。どうせその子が可愛い子で釣られたんでしょ。そうじゃなきゃどんなに負担が掛かるか分からないのに、見ず知らずの人を保護なんてしないもんね』
その言葉に微妙に図星を指されて言葉が詰まってしまう。
保護した要因は短い会話ながらも、リリィの為人が誠実であると感じたのとレイプの件が大きかったとはいえ、リリィが女性だったことも要因として挙げられるだろう。
少なくても男性だったのならば、あそこまですんなりと保護まで至る事はなかっただろう悠は考える。
悲しきは男の性であった。
「た、確かにそういった面がなかったとはいえないが、保護に至ったのはその人の為人が信頼できると思ったのが決定打なんだぞ」
『本当の悪人は、最初は悪人に見えないものだと思うけどね。ただ保護した子がトモに依存しきって、最終的にトモの事を滅ぼす結果に繋がるんじゃないかと危惧した
だけで他意はないんだから……』
責めているかのように聞こえたが、どうやらラピスは悠のことを心配して言っていたようだ。
人一人を自立させるにはかなりの労力がいるのは確かであったため、悠はラピスに謝ることにした。
「確かに軽率だったことは認めるよ、ごめん。でも、もしそうだった容赦はしないから安心してくれ」
『本当にそう思っているのならいいけど……あ、それと会議に連れてくることは大丈夫だと思うけど一応ギルド長の聞いてみる。それに私も保護した子を見てみたいか
らダメでも無理矢理にでも了承させるから』
「了解。色々とありがとね」
互いに別れの挨拶を通信を切る。
513 忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2011/05/10(火) 23:46:37.19 ID:NjDWvofU
る。

そうして悠は顔を上げるとリリィがこちらをじっと見つめていることに気がついた。
「どうしたの?」
「いえ、トモさんが今連絡をしていた方はどちらなのかなと思いまして。トモさんが私のこと保護したことを咎めていた様子から鑑みますと、仲の良い女性の方だと思
うのですが」
悠はそのリリィの言葉に驚いた。
なぜなら情報端末でのやり取りは、周りに通信相手の声が聞こえないようにイヤホンのような端末を使ってやり取りをする。
だからこそリリィにはラピスの声が聞こえてないはずなのに、まるで聞いていたかのように話の内容やラピスが女性であることを推理したリリィに悠は驚いたのである。
「よく分かったな。リリィの言った通りだよ」
「そこまですごいことではありませんよ。トモさんの言葉を聞いていれば、私を保護したことを咎めていたことは分かります。後は女の勘です」
その言葉に理路整然とした推理を予想していた悠は、肩透かしを喰らうことになった。
「別に私を保護したことを咎められたことを悪く言うのではありません。私としても、自分の親しい人が見ず知らずの方を保護したら咎めると思いますし。ただ、トモ
さんは『DLTB』の中でも頼れる仲の良い方がいるのだなと思いまして」
リリィが顔を少し伏せながらそう言ってくる。
その言葉に悠はリリィがこの世界には頼れる人間がいないことを思い出し、だからこそ自分に保護されていることに思い当たる。
しんみりした空気を振り払うため、先ほどの会話の続きをすることにした
514名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:48:09.33 ID:NjDWvofU
「さっき話していた人はラピスと言うプレイヤー名の人で、リリィの言った通り仲がいい人だよ。しかもラピスさんは現実でも知り合いだから『DLTB』でも一番仲が良いと
言って過言ではないと思う」
「そうだったんですか?…………………………」
「ん?何か言った?」
最後の方は声が小さくてうまく聞き取れなかったので、悠は聞き返すことにした。
するとリリィ慌てた様子で取り繕う。
「な、何でもありません。それよりも私が会議に同席する件はどうなりましたか?」
「ああ、それならギルド長に聞いてみるけどおそらくは大丈夫だってさ。時間は13:00からで、同席が出来るか出来ないかは昼くらいに連絡してくると思う」
「分かりました。それではシャワーを浴びてきたいのですが、お先によろしいですか?」
宿屋には基本的にバスルームは存在しないのだが、高めの宿屋にバスルームが存在する。
そして今現在、悠たちが泊まっている宿屋もそれなりに高級なところなのでバスルームが存在あった。
以前、悠は現実と違ってインフラが整備されていない『DLTB』の中でどうやって電灯を点けたり、水道が通っているか疑問になり聞いてみたことがある。
すると帰ってきた返事はモンスターの宝玉を使用しているとのことらしい。
モンスターの宝玉とはボスモンスターや普通のモンスターが、極低確率で落とすモンスターの特性が封じられている宝玉のことだ。
その用途は色々とあり、プレイヤーの場合は武器や防具の性能アップに使うことが主である。
例えば無属性の武器に火属性のモンスターの宝玉を組み合わせると火属性の武器が出来上が、物理無効のモンスターの宝玉を防具に組み合わせると全ての物理耐性が上
がり、その反面魔法に対する耐性が下がる。
しかし、一度組み合わせた宝玉は取り外し不可能なので、武器や防具に宝玉を組み合わせるときは慎重に選ばなくてはならない。
そのモンスターの宝玉を使い、電灯には光属性のモンスターの宝玉を使い、水道関係は水属性のモンスターの宝玉を使っているそうだ。
だがこのモンスターの宝玉は上記に書いたとおり極低確率であり、ボスモンスターは宝玉を落とす確率は0.1%、通常のモンスターの場合は0.01%なので普通の
宿屋ではバスルームが存在しない。
正直、何でモンスターが宝玉を落とすのかなど突込みを入れると限がないので、ファンタジーだからと言うことで悠は納得している。
「ああ、構わないよ」
「ありがとうございます。では浴びてきますね」
そう言うとリリィはそそくさとバスルームに入っていく。
その様子を不思議に思いながらも悠はリリィがバスルーム入るのを見送った。
515名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:49:15.97 ID:NjDWvofU
* * *

リリィを見送った悠は自身のベッドに仰向けに転がり、昨日はアキラと話の途中だったことを思い出して、アキラ連絡を取るために情報端末を取り出した。
そこで初めて悠は情報端末の片隅にインフォメーションの更新のマークがあることに気がついた。
インフォメーションとはLvが上がったり、新しいアイテムを入手したりすると情報端末に特技の取得や、新たに入手したアイテム名などの更新内容を記載するものである。
そして更新のマークがある場合、新たな更新情報が記載されていると言うことだ。
更新される度にバイブで知らせてくれるのだが、昨日は動転していたため気づかなかったのだろう。
なので悠はインフォメーションを開くと次のような情報が記載されていた。
【多くのプレイヤーが居る中、この閉じ込められた世界であなたが最初にモンスターとの戦闘に勝利することに成功したことにより、以下のボーナスが与えられます】
【記念アイテム〈命の輝石〉を取得しました】
【特別ボーナス経験値を取得しました】
ボーナス経験値の詳細な数値は表示されていないので分からないが、Lvが70から75に上がっていたことを考えると少しではあるまい。
とりあえず悠は〈命の輝石〉を取り出し、アイテムの説明欄を見ることにした。
【アイテム名:命の輝石】
【このアイテムは所持していると死亡しても一度だけ復活することが出来る、閉じ込められた世界で最初にモンスターとの戦闘に勝利することに成功した、勇気ある人物
に与えられるアイテム】
そしてこれらの情報を見て悠はある事実に気がついて固まってしまう。
それは多くのプレイヤーが『DLTB』の中に閉じ込められている現状は偶発的なものではなく、誰かの人為的なものだという事実である。
516名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:50:21.50 ID:NjDWvofU
これが製作者側の起こしたものなのか、ハッカーなどによる第三者が起こしたものかは分からないが、こんな特典を付けているのだから間違いないであろう。
しかし逆に言ってしまえば分かるのはそれだけあり、閉じ込めた人物が誰なのかや、何の考えがあって閉じ込めたのかなどは一切分からない。
そんな現状も合ってか悠は閉じ込めた人物に対して怒りが込み上げて来るが、その怒りを当てられる人物も居ないので一先ず怒りを脳の片隅に追いやることにした。
そして悠は今の現状を考える。
「(とりあえず今現在、『DLTB』に閉じ込められていることは人為的であると分かっているのは、まだ閉じ込められてから14時間であることを踏まえると少数、もしか
したら俺だけかもしれない。それにこれが人為的であるならば現実に帰還する手段が用意されている可能性が高い。ただし閉じ込めたのが製作者側ではない第三者であっ
た場合、帰還する方法がない可能性がかなりあるが、その場合は製作者側に期待するしかないな)」
しかし、悠はこの事実を気軽には話せないことであると考えた。
なぜなら人為的に閉じ込められたことを信じて貰うには情報端末のインフォメーションの過去ログを見せる必要がある。
そうなればその情報と共に記念アイテムである〈命の輝石〉を悠が持っていることも周りに伝わってしまう。
すると様々なやっかみがあるだろうし、〈命の輝石〉を寄越せと言う者も出てくるだろう。
しかし、周りが人為的に閉じ込められていることが分かると、帰還する方法を探る人々も大量に現れる。
帰還する手段が有るかどうかも分からない状態よりも、帰還する手段がある可能性が高いと分かっている状態の方がやる気になるので当たり前であろう。
その為、悠が最善と考えたのはラピスやライトの所属するトップギルドの一つであるExtraにリーダーに相談することだ。
悠にとってはその人物に何度も世話になっていて、ある一点を除けば人柄も面倒見も良く信頼できる人物だ。
トップギルドであれば他のギルドや同じ都市での繋がりも豊富なので、もし悠以外に人為的に閉じ込められたことを知らない場合は、情報提供者を秘匿にして伝えて貰え
ば問題ないだろう。
とはいえ、Extraが情報発信源だと分かればある程度は特定されてしまうが、大都市カオミカに拠点を置いているプレイヤーの数は50万を超えているし、インターネット
などのネットワークが存在しないので白を切れば問題ない。


517名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:51:11.04 ID:NjDWvofU
なので、早速悠は情報端末をその人物の情報端末に繋げて、数秒後に少々芝居がかった男の声が聞こえてきた。
『やあやあ!トモ君から僕に連絡をくれるなんて珍しいこともあったものだね。僕に掘られる気にでもなったのかい?』
「なるか阿呆。ちょっとチトセさんに相談したいことがある」
『その声からするとよほど真剣な相談事なんだね。トモ君からの相談だ、不肖ながら誠心誠意を持って答えようではないか!』
いきなり悠に対して洒落にならないことを言ってきたこの人物こそ、ラピスやライトが所属するギルドのリーダーで、職業は魔術師のチトセ・キサラギだ。
どう考えてもその筋の人間に聞こえるが、Extraに所属するチトセと現実の友人である人から聞いたところ、彼は非常にまともな人間であるとのことだ。
では何でこのような口調で同性愛者みたいな口調で話しているかというと、理由は『DLTB』内でカップルが誕生した時まで遡る。
この『DLTB』はプレイヤーの性別が偽れないようになっているため、知り合ったプレイヤー同士が現実で会ってみないかと言う話がよく上がる。
顔の見えないチャットなどでもあることだが、『DLTB』内の男女比が6:4であり、異性間の出会いを求めるため比較にならないくらい頻繁にそう言った話がある。
余談だが、その背景もあってキャラクリする時は自身の容姿に合ってる容姿にすることがお約束になってしまった。
そして『DLTB』が稼動してから4ヶ月たった時、とある一つの男女のカップルが成立し、そのことでプレイヤー間で様々な波紋を呼んだ。
そしてチトセは大学1年の頃、稼動してから半年後に『DLTB』を始めたのだが、この男にはかなり美人の彼女が居るらしい。
しかも頻繁に互いの家に泊まっていて、大学卒業後に籍を入れる約束もしているバカップル状態とのことだ。
ただ、チトセの彼女は『DLTB』をやっていないらしく、『DLTB』をやるのは週に3日しかやらないとの約束をしている。
そのため、チトセは現実で会わないかと誘われないためにこのような演技をしているらしい。
そのことでチトセと彼女の仲に多少の亀裂が走るのではないかと思ったが、少し会えない状態がスパイスとなって大学内とかで、さらにイチャイチャしていると聞いた悠
は心の中でこのリア充がと罵ったりもしている。
『ああ、そういえばラピス君から聞いたよ。見ず知らずの女性を手篭めにして悦に浸っているらしいじゃないか。僕と言うものがありながら君は一体なんて事をしている
んだい』
518名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:54:45.42 ID:NjDWvofU
「まて!何を人聞きの悪いことを言ってやがる!ただ単に保護しただけだ!」
『うむ、そう言ったことにしておいてあげようではないか。ああ、因みに後でラピス君から聞くと思うけど、トモ君とお連れの方の会議の出席は歓迎だよ』
まるで聞いていないチトセの様子に悠はため息を吐いた。
先ほど上げた一点とはまさにことのことで、知り合いの男性プレイヤーには同性愛者のごとくこのような言葉を掛けてくる。
その尽力もあってか、彼に彼女が居るのを知っている人も知っていない人も、彼を現実で会おうと誘う人は皆無であった。
「会議の件は助かるよ、ありがとう」
『別に僕もトモ君に聞きたいことがあるからこれは相互扶助、若しくはGive and takeだから気にしなくても構わない』
悠はこの受け答えに元来の人の好さもあっていい人なのだが、あれが無ければ最高なのだが、と思う。
そして相談事をどう切り出そうかと暫く考え、とりあえず閉じ込められたのが人為的かを知っているかどうか聞いてみることにした。
「一つ聞きたいんだけど、チトセさんはこの『DLTB』に閉じ込められたのが人為的であるという情報は手に入れてる?」
『……いや、手に入れていない。少し詳しく聞かせてくれないか?』
悠が切り出した瞬間、一気にチトセの声が低くなった。
あまりの変わりぶりに恐怖を覚えながらも続きを話す。
「まず、昨日俺が五番街道で戦闘をしたことは知ってるか?」
『ああ、そのことならラピス君に聞いたよ。今日はそのことで聞きたいことがあったんだよ』
「実はな。その戦闘の後に記念アイテムと言う物を入手して、そのアイテムの説明文に『閉じ込められた世界で最初にモンスターとの戦闘に勝利することに成功
した、勇気ある人物に与えられるアイテム』といった説明文があった」
その後、少し待ってくれないかとチトセが言って暫く会話もなく沈黙が続く。
そして沈黙してから大体1分後位して、ようやくチトセが話を掛けてきた。
『それは本当かい?』
「ああ、間違いない。会議の前にそのアイテムを見せても構わない」
『……そこまで言うなら本当のことのようだね。それで相談事ということは会議に出す際に君の事は伏せて、僕の口から言って欲しいとのことかな?』
「ああ、それで合ってる。後は他の都市の大手のギルドとかに俺の名前は伏せて、このことを伝えて広めて欲しい」
『なるほど。人為的に閉じ込められたのだから脱出する方法があるかも知れないから、それを伝えて人海戦略で脱出の方法を探りたいので合ってるかい?』
「見事に言い当てられてるよ」
どうやらチトセは先ほどの悠の説明から悠と同じような結論に達したらしい。
しかもチトセのギルドはこの都市と同じくらいの規模を誇っている港都市マーコヨ、商業都市キサカワ、首都ヨキトなどに拠点を構えているトップギルドと知り合いなの
で、この情報は爆発的に広まっていくことが考えられる。
519名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:55:43.23 ID:NjDWvofU
チトセは機嫌が悪いのか、明らかに少し強めの口調で話してくる。
『それにしてもトモ君。君は本当にとても最高で最悪な情報をもたらしてくれたよ』
「確かに。だからと言って俺を責めるような口調で話さないで欲しいがな」
『ごめんごめん。確かにトモ君に当たるのはお門違いだね』
とはいえ、チトセがそう言って当たってしまうのは仕方がないだろう。
確かに何も分からず閉じ込められていた現状が、人為的に閉じ込められたものだと分かっただけでも大きな一歩に間違いない。
しかしそれは、これから閉じ込めた人物の思惑に乗ってその人物の要求に答えなければいけないと言う事実でもあり、脱出するために無理難題を吹っ掛けられる可能性が
あるため、少し苛立っても誰も責められないことだ。
『本当、こっちは企業の内定を貰えて、卒論も大半を書き上げて卒業まで後5ヶ月の結婚まで秒読み段階だったのに、こんな下らないことに付き合わされると思わなかっ
たよ、全く』
このリア充めと内心で罵る悠。
『ともあれ、トモ君のその依頼は全部受け入れるよ。この情報を出すときはトモ君の名前は一切出さないことを約束する。ただ、他のギルドのリーダーを納得させるために
そのアイテムを借りることになると思う』
「そこら辺は仕方が無いな。会議の後で渡すことにするよ」
『後、もう一つ聞きたいのだが五番街道で戦闘をしたらしいけど、その時はスキルを発動することが出来なかったのかい?』
チトセが昨日の戦闘のことを聞いてくる。
520名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:57:16.47 ID:NjDWvofU
しかしその口調は最初から発動できなかったことが前提なので、少々首を傾げながらも悠は否定の言葉を返す。
「いや、ガルム10体と戦闘になったけど囲まれた時にどうにか発動できた。それにしても何でそんな事を聞くんだ?」
『……それは驚いたな。もうトモ君は経験していると思うがスキルが発動しなかったり、攻撃がうまく当たらないといった現状に見舞われたことだろう。実は昨日の時点
でスキルを発動できたプレイヤーがいないんだ。だから戦闘のことも含めて会議の時に話して貰いたい』
悠はスキルが発動できたものが居ないという事実に大変驚く。
前にも述べたが『DLTB』のプレイヤー数は600万人を超える。
閉じ込められた人数がどれくらいか分からないが、3連休の初日だったことも踏まえると300万人は居ると考えていた為にその驚きは一塩だ。
しかし思い返して見れば、かなり切羽詰まった状況だったからこそ発動できたのかもしれないと悠は思った。
「なるほど、そういうことか。なら会議までに話すことを纏めておくよ」
『うむ、よろしく頼む!トモ君のお蔭で有意義な時間を過ごすことが出来た。御礼に今夜一発どうだい?』
「いるか!この阿呆!」
『その心意気や良し!ではさらばだ!』
ふはははと笑いながら情報端末の繋がりが切れる。
そして会話の始まりと同じような終わり方にどうやってもシリアスに終わらせるつもり無いようだと悠は頭を抱えた。
しかし、この下らない会話のお蔭で気を緩めることが出来たのでその点は感謝していた。

悠がチトセとの会話を終えてから10分後、バスルームの方からドアが開く音が聞こえてくる。
どうやらリリィが出てきたようだ。
足音が聞こえてきたので、リリィにお帰りと言おうと振り返った瞬間、悠は声を出すことが出来ず固まってしまった。
シャワーを浴びてきた影響か、リリィの上は肌着で頬や唇は上気して扇情的で、軽く濡れている髪や軽く火照っている素肌はどこか艶かしい。
リリィはいきなり振り返って呆然としている悠を怪訝に思いながらも声を掛ける。
「どうしたのですか一体?」
「い、いや、何でもないよ!」
悠は慌てて取り繕い、平静を装いながら視線を外すが、少し頬が赤くなるのを止められなかった。
怪訝に思っていたリリィはその様子に、なぜ呆然としていた理由に思い当たる。

521名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:58:14.26 ID:NjDWvofU
「正直に答えてくださいね。私の湯上りの姿を見て見惚れていたのですか?」
思いっきり図星を当てられてしまい、思わず狼狽してしまう悠。
やはり女性と同じ部屋で暮らすべきではなかったと思いながらも、リリィに謝って部屋を別々にする旨を伝えようとする。
しかしリリィはその様子を満足そうに眺めながらも、悠に対してしな垂れかかる様に寄り添った。
「トモさん。私は気にしていませんから、こちらを向いてくれませんか?」
「リ、リリィ!?」
あまりに予想外のリリィの行動に裏返った声を出す悠。
慌ててリリィから離れようとするが、それよりも早く悠は顔を両手で挟まれ、強引にリリィの方に向けられてしまう。
そしてそこには遠目からでも見惚れてしまった顔が目の前にあり、思わず悠は唾を飲み込んでしまった。
「私は怒っていませんよ。それに湯上りの姿を見られるくらい昨日の時点で分かっていましたし、これぐらい全く問題ありません」
「……」
悠は驚きの余りに口をパクパクさせてしまう。
しかしどうしても今のツインルームからシングル二つに変えて貰いたい悠は必死に反論する。
「いや、でもな。リリィが良くても俺が駄目なんだ。ここはシングル二つにして別々に泊まった方がいいと思う」
しかしその悠の提案はリリィに反対の言葉を掛けられた。
しかも悲しそうに目を伏せるというおまけ付きで。
「そんな……先ほどは甘えさせてくれると約束してもらえたのに、もう前言撤回をしてしまうのですか?確かにトモさんの言うとおりにした方が自分だけの空間が出来
て、プライバシーの為にもいいことは分かります。ですが今のような非常時にはやはり一人より二人の方が安心できるんです」
そのリリィの様子に声を詰まらせると同時に、なぜ自分は先ほど安請け合いをしてしまったのかと後悔する悠。
そして悠は約束をしてしまったこともあって自分から折れることにした。
522名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:58:47.08 ID:NjDWvofU
「……分かったよ。これからもツインのままにするからその顔はやめてくれ」
「本当ですか?ありがとうございます!」
その言葉にリリィは顔を輝かせる。
悠はその顔を見て、自分が我慢するだけでリリィが笑顔になれるのなら別に構わないかと思う。
しかし傍から見たら、保護する側が保護される側に主導権を握られている状況であった。

* * *

あの後、悠は自身もシャワーを浴びた後、時間が11時を回っていたので朝昼兼用の食事を取るため、リリィを伴って町に出かけた。
昼時が近いせいか街中には大勢の人が溢れており、真直ぐ歩くのも困難なくらいの賑わいを見せている。
しかし悠には、この『DLTB』は本当によく出来ており、今歩いている人たちのどれくらいがNPCなのか見分けが付かない。
もしかしたらNPCを好きになってしまう人が出てきてしまいそうだと悠は思った。
そんな考え事に耽っていた悠の右手に何か柔らかいものが触れる。
何事かと思い右手を見てみると、そこにはリリィの左手が目に映る、即ちリリィが悠の手を握ってきたのだ。
なぜ手を握っているのかを問いただそうとしたが、制するようにリリィが悠の疑問に答えてくる。
「これだけ人が多いと逸れかねませんので、手を繋いだのですが嫌でしたか?」
先ほど人が多いと思っていただけに悠はできず、手を握られて嫌なわけが無かったので、照れ隠しを含めてリリィを引っ張る形でどんどん歩みを進める。
そんな悠をリリィは微笑みながら眺めていた。
「あっ」
突然、隣からそんな声が聞こえてきたので悠はリリィに問いかける。
「どうしたんだ、いきなり」
「あ、いえ、その……」
リリィは突然しどろもどろになり、少し恥ずかしそうに眼を伏せている。
悠は初めて見せるリリィの姿を新鮮に思い、眺めつつもリリィが話しかけるのを待つ。
そして、しばしの間を置いてようやくリリィが話をかけてきた。
「あの、出来ればでよろしいのですが昼食はあそこで取りませんか?」
そう言ってリリィの指した先を見るとパスタ専門店があった。
「構わないけど」
「本当ですか!?なら早速行きましょう!『DLTB』の中ではどんな創作パスタがあるか楽しみです!」
先ほどとは打って代わってリリィが悠を引っ張りパスタ専門店に驀進する。
悠はそんなリリィの横顔を見ると、興奮した表情を浮かべているリリィ居たのであった。
523名無しさん@ピンキー:2011/05/10(火) 23:59:20.84 ID:NjDWvofU
「やはりここは『DLTB』にしかない創作パスタを選択するべきでしょうか?それとも様子見として王道なパスタの方がいいでしょうか?迷ってしまいますね」
メニューを真剣に見ながら何を頼むべきか悩んでいるリリィ。
まるで人生に数度しかない運命の選択をしているかのような真剣さは、すでにカルボナーラに決めている悠が引いてしまうくらいであった。
「……トモさん。相談なのですが、トモさんの頼むカルボナーラ少し食べさせて頂けないでしょうか?」
「か、構わないけど……」
「流石はトモさん、ありがとうございます!それでは私は和風仕立ての海鮮三昧パスタにしてみます!」
そう言ってメニューを決めたリリィは店員を呼び、悠の分のメニューも含めて頼んでいる。
そんなリリィを見ながら悠はよほどパスタが好きなんだなと眺めた。
それと同時にとあることを思い出してしまい顔を顰めてしまい、それを不思議に思ったリリィが顔を顰めた理由を聞いてくる。
「どうしたんですか?何か私、気に障ることをしてしまったのでしょうか……?」
「いや、何でもないよ。ただ、俺の妹もパスタが好きだったから色々と思い出しただけだよ」
悠の妹の百合も大のパスタ好きで、よく色々なパスタ専門店に行っていた。
家で真剣にパスタの情報誌を見ている姿を何度も目にしている。
今回、真剣にパスタを頼む姿が妹と重なってしまい思い出してしまったのである。
「……そうだったの、ですか…………話は変わりますけど、私達は『DLTB』の中では食事を必要としていないのに今は必要としている。とても不思議ですよね」
湿っぽくなった話を変えるように話題を変えてくるリリィに悠は乗ることにした。
「確かに。俺達は今、どんな状況に置かれているかもよく分かっていないからね」
524名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 00:00:10.84 ID:NjDWvofU
悠も食事の件は疑問に思っていた。
なぜなら『DLTB』をプレイしている時は食事や排泄行為が出来ないし空腹感も来ない。
一応、『DLTB』の中で食事を取ることは出来るが、勿論そんなことで実際の空腹が満たされることはない。
故にログインしてから5時間が経過すると食事を取るように情報端末から警告され、7時間が経過すると強制でログアウトされる。
これは余談だが、『DLTB』の中で食べても太ることがないので、様々な人達が食べ歩きをしている。
リリィは『DLTB』を始めたのが最近なため、こういったことを経験していないかもしれないが悠もラピスやライト、ジュンやアキラに連れまわされたり、逆に連れまわしたり
して食べ歩きをしたりしている。
だがしかし、今現在では空腹感を覚え食事をして、排泄行為をしなければならない。
だから悠は戦闘やアイテムなどはゲームチックなのに、食事とかは妙に生々しい今の現状に疑問を覚えているのだ。
そんなことを考えていると悠の情報端末がバイブして、誰かから連絡が届いたことを知らせる。
情報端末を取り出して画面を見ると、そこにはラピスの名前があった。
そこでようやく会議の前に、ラピスから連絡が来ることを思い出した悠は端末を繋げることにする。
「もしもし」
『私だけど会議の出席に関しての報告に来たよ』
「あ〜、非常に申し訳ないんだが、……あの後チトセさんに連絡しなきゃいけないことが出来て、ついでにリリィの出席の件も教えて貰ったんだ。ごめん」
せっかくのラピスの厚意を無駄してしまったこともあり、どこか恐る恐る告げる悠。
案の定、悠の言葉を聞いたラピスの声が僅かに低くなる。
『別に構わないけど、次からはそういったことは報告してね』
「本当にごめん。お詫びと言っては何だけど、近い内に全額こちら持ちで出掛けない」
全面的に自身が悪い悠は謝るしかない。
しかしさほど怒ってないこともあり、悠が出掛ける提案をしたことによりラピスの声の調子が普段に戻る。
『本当に?こんなことになっちゃって、明後日の出掛ける予定も流れになったから絶対だよ』
「了解です」

525名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 00:01:12.62 ID:NjDWvofU
その後、互いに他愛もないことを話し、会議で会う約束をして連絡を切る二人。
そして顔を上げると、すでにメニューが届いていたようで二人のパスタがあった。
リリィは手を付けていないようだが、ラピスとの話しが以外と長引いた為、少し冷めかけている。
「ごめん、少し話が長引いてね。それと先に食べても構わなかったんだけど」
「そうは言いますけど、こうして外食に来たのなら一緒に食べたいものですよ」
「うっ……本当にごめんなさい。……とりあえず食べないか?」
「そうですね。後、このことは軽い貸しにしておきますよ」
「……了解です」
ラピスの件に続き今回も自身に非がある悠はリリィに反論できない。
それにしてもと悠は思う。
普段の自分ならこういった面での心配りのミスは滅多にしないのに、今は連続でしてしまっている。
どうやら今回の騒動で、どこか冷静さを欠いていたようだと反省する悠。
悠がそんなことを思考した後、お互いに頂きますと声を出し、少し冷えたパスタを食べ始める。
「どう?味の方は?」
「とっても美味しいです。悠さんの方はどうですか?」
「俺はパスタなんて店で食べたことないから他との違いが分からないけど、これは美味しいと思うよ」
「これほどの味なら現実でもかなりの人気スポットになっていたと思いますよ。それにしても、これはこの店を含めたここら辺一帯のパスタを制覇した方がよさそうですね」
ふふふと少し怪しく笑いながらそんなことを言うリリィに、悠はそんなにパスタが好きなのかと少し引いてしまう。
その後お互いに食べ続けていたが、リリィが突然何かを思いついたといった感じで手を叩き、提案してくる。
526名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 00:02:00.18 ID:bk2PSilE
「先ほどのちょっとした貸しの件なのですが、トモさんのカルボナーラを少し頂く約束をしておりましたので、トモさんが私に食べさせてくれませんか。勿論、あ〜んの掛
け声つきでお願いします」
「……はい?」
「それと間接キスとかは気にしていませんので、トモさんも気にしないでくださいね。では、どうぞ」
そういってリリィ少し前のめりの体勢になり、少し口を開けて、目を瞑った状態で待つ。
とんとん拍子で進められていく現状に悠は慌てて待ったを掛ける。
「ちょっと待って。別なことにしない?」
「ダメです」
取り付く島のないリリィ。
その様子に、元来このような借りを作ってしまった場合の相手の要望は出来る限り聞く悠は、リリィの要求をしぶしぶながら了承する。
「あ、あ〜ん」
悠の差し出したフォークをから食べさせて貰ったリリィは、はにかみながら美味しいですと言う。
そのリリィの様子に少しドキッとしたが、リリィが自身のパスタをフォークに巻き付け、悠の口元に持っていこうとしたことにより正気に戻った
「……これは」
「食べさせて貰うだけでは申し訳ありませんから、今度は私が食べさせてあげますね」
「い、いや、別にいいから……」
「遠慮はしないでください。はい、あ〜ん」
「いやいや、遠慮とかじゃないから!」
「あ〜ん」
恥ずかしさもあり悠は必死に抵抗するものの、結局リリィに押し切られ食べさせて貰う。
その後、何度か食べさせ合いっこする二人は周りに害を与えるバカップルそのものであった。
527名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 00:03:05.88 ID:bk2PSilE
263 : ◆ YBm7PBq9q6 2011/05/10(火) 20:45:09 ID:TaoVpjpY
これで投下は終了です。
お手数ですが代理投下の方をお願いいたします。
この度はご迷惑かけて申し訳ありませんでした。

後、リアル友人に質問されたことを一応書いておきます。
妹は住民票から兄の住所を辿らなかったのかと言う質問なのですが、妹は住民票で辿りました。
しかし兄が小細工を施したため、辿りつけなかったというわけです。
具体的な方法はいづれ本編で出てきますが、実際にやってばれたら職権削除は確実です。
528名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 00:03:56.68 ID:bk2PSilE
転載完了
529名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 00:33:55.09 ID:d8dgUeYg
>>528
転載乙
530名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 00:37:22.82 ID:Nx6BvKfj
リアル?
531名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 01:06:53.87 ID:+E/woqVA
転載乙。なんか面白そうな事になりそうやな。
ただ話を創るのが大変そうだが…続編待ってる。
532名無しさん@ピンキー:2011/05/11(水) 07:02:18.94 ID:7sqbqsT1
Heartspeaks 疾病妹の疾走
今回も面白かった。おつおつ。

>>ついでに貴方も誰なのよサム!!
>>マジでころころしちゃうよ!?
このくだりはワロタ
533名無しさん@ピンキー:2011/05/12(木) 22:49:10.05 ID:EJsx51LI
キモ姉のパンツをクンカクンカしてる所を
キモ姉に見られたらどうなる?
534名無しさん@ピンキー:2011/05/13(金) 00:53:12.72 ID:Iami1J+B
テキサスチェンソービギニング見て
泥棒猫の顔を自分に移植するキモ姉思いついた

姉の失踪とともに若い女性の顔面が剥がされて持ち去られるという
連続猟奇殺人事件が起こり始める。

そして、彼女が事件の標的なり彼女は顔面を剥がされるが一命を取り留める。
一方犯人は謎の焼身自殺を・・・

病院に運ばれた彼女は剥がされた顔の皮を手術で縫い付けてもらい
元の顔に再生するのであった。
だが、その正体は彼女の皮をつけたキモ姉だった!!
姉は彼女の顔面を確実に自分に移植するために
他の女性で皮を剥ぐ練習を繰り返していたのだった。

これで愛されるNE!やったね姉ちゃん!
535名無しさん@ピンキー:2011/05/13(金) 02:38:11.31 ID:mQzFtyUe
>>534
怖いなそれ。普通にホラー映画になってしまう。

弟の親友のハーレム主人公キャラに
告白されたキモ姉。姉は勿論断ります。
短編でキモウトはあった。
536名無しさん@ピンキー:2011/05/13(金) 02:39:05.22 ID:oV+tkO5Y
>>534
何故か劇場版フランケンシュタインが脳内再生された。
燃えながら逃げる彼女
537名無しさん@ピンキー:2011/05/13(金) 13:24:20.52 ID:hPFJeh6t
>>533
レイプされる

おわり
538名無しさん@ピンキー:2011/05/13(金) 14:59:41.70 ID:RITJYshC
気がついたら事後だろうな

異常な速さで着床しているかもしれない
539名無しさん@ピンキー:2011/05/13(金) 20:38:31.46 ID:mQzFtyUe
車椅子キモ姉を一生介護したい。
それで介護の為に嫁も出来ない弟の子供を産んでくれる姉。
540名無しさん@ピンキー:2011/05/13(金) 22:06:15.56 ID:CSnMpQE6
>>539
実は半身不随そのものが嘘だったりして。
そんでもって妊娠してから真実を告げられる。
541 ◆hA93AQ5l82 :2011/05/13(金) 23:13:07.45 ID:cU53GoiO
test
542 ◆hA93AQ5l82 :2011/05/13(金) 23:14:03.30 ID:cU53GoiO
投稿します
543Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/13(金) 23:15:39.78 ID:cU53GoiO
4話 通りゃんせ 通りゃんせ

ルームシェアをするという話を切り出すと、両親は最初渋い顔をした。
だけど、尊が紹介してくれたアルバイトでお金を稼ぐと言うと了承してくれた。
姉は頑なに反対していたけれど、それは適当に流して、翌日から準備を始めた。
姉からの妨害はあったけど、一週間ぐらいで教科書や着る物などを尊の家に送った。
過去の日記帳は持っていくかどうか悩んだけれど、
どうせ誰も見ないし、嵩張るから家に置いていく事にした。
さてと、パソコンなどの貴重品も纏め終わった事だし、そろそろ出発しよう。
部屋を出て、玄関まで行くのに、姉からの妨害はなかった。流石に諦めたのだろう。
外に出た僕は、しばらく歩いてから振り返り、
「さようなら」
と、遠くなった我が家に告げた。



「佑、よく来たな。それで早速なんだけどさ、このサイト、見てどう思う?」
家に着いて早々、パソコンの前に座らされ、意見を求められた。
これが尊の言っていた同人サイトか。
「たちばなや……。うん、外観はシンプルで、
変に英語を使っていないから分かりやすいよ。……けど……」
「けど……なんだ?」
「この画面の右に描いてある絵はなに?」
「それは俺の好きな漫画のヒロインだ。佑も知ってるだろ」
そう言われて、画面に顔を近付けた。
確かに髪の色や服などは、そのヒロインの特徴と一致している。
けど、ずれて大きさもまちまちの顔のパーツ。
右と左で長さの違う両手足。これじゃあまるで、
「福笑いみたいだなぁ」
尊には絵の才能が無い。はっきりしてしまった。
「尊、こんな絵で同人誌を売り出したら、間違いなく苦情が来るよ」
「そんな、それは俺が五時間も掛けて描いた傑作だぞ」
「……それを言うなら大欠作じゃないかな、尊……」
のっけからの躓き。こんなんじゃ、同人誌でみんなに笑顔を、なんて到底無理だ。
サイトの方も、苦情ばかりで閉鎖してしまうのが目に見えている。
「……じゃあ、佑、お前が描いてみろよ」
散々に言われて怒っているのか、尊が顔を紅くしてそう言った。
夏休み中にデザインの本を読んで実践していたけど、この手の絵は描いた事がない。
でも、そんな事言っても通じなさそうな剣幕だ。
仕方ない、やってみるか。
僕は尊を外に追い出し、目の前に置かれている見本を見ながら筆を走らせた。
544Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/13(金) 23:16:08.43 ID:cU53GoiO
三時間ほどで絵は完成した。早速尊を呼び、それを見せた。
尊は食い入るように絵を見つめて、一言もしゃべらなかった。
どこか変だっただろうか、色ぐらい付ければよかっただろうか。
難しい顔をする尊を見ながら、そんな事を考えていた。
それにしても、自分の作品を他人に見られるのは、なんとも居心地が悪い。
下手と言われても、上手いと言われても、素直に喜べそうにない。
まぁ、別にどうでもいいのだけれど。
「佑」
さてと、なんて来るやら。
「同人誌の作画を担当してくれないか?」
「えっ?」
「佑の描いた絵、物凄く上手いよ。別に露出とか強調している訳でもないのに、
表情から……全体からエロスを感じるんだ。こんな絵、描ける奴なんて殆どいないよ」
「ちょっ……えぇ……」
なんだかとんでもない事になってきている。
同人誌の制作に携われ。そんなの無理に決まってる。
「ちょっと待ってよ。こっちは漫画なんて殆ど読んだ事もない素人なんだぞ」
「ストーリーの方は俺が考える。佑は作画に集中してくれればいいんだ」
「だけど」
「これでも、純文学もサブカルチャーも一通り読んでいるから、
ネタは湯水の如く湧いてくるんだぜ。だから安心しろ」
なんだかまた勝手に決められてしまっている。
「よっしゃ、これで準備は整った。今は十月でもう間に合わないけど、
来年こそは、イベントに参加するぞ!」
「いや、話を聞けって」
こうして僕は、尊の同人サークルに強制加入させられる事になった。
545Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/13(金) 23:16:37.65 ID:cU53GoiO
廃墟確定と思われたたちばなやに、
橘椛(たちばなもみじ)というハンドルネームで、僕は降り立つ事になった。
ちなみに尊のハンドルネームは橘文(たちばなあや)である。
尊はヤッホーとか言ってるけど、幾千幾万と同人サイトがある中、
ポッと出の新人が注目されるはずがない。認知度を上げる方法はないかと聞かれて、
インターネットのサイトに絵を上げようと提案したけど、
それに付くと思われる固定ユーザーは、精々二、三人が限度。世の中とはそんな物だ。
とりあえず、絵は全力で描こう。手抜きが出来るほど僕は器用ではない。
さてと、では絵を描こうか。で、なんの絵を描くの、尊。
あぁ、これね、はいはい、ポーズはこっちが決めていいの。
好きなようにやらせてもらうよ。
ところで尊、読書と勉強の時間はちゃんとあるんだよね。
546Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/13(金) 23:17:03.66 ID:cU53GoiO
人間とは、無理だと思っても、心の底では期待してしまう生き物だ。
僕はそんな事、するだけ無駄だと思ってしなかったけど。だけど、
「佑、やったぞ!ユーザー登録数が二ヶ月で五百を超えたぞ!」
なんでそう無駄に運をすり減らしてくれるかな、本当。
こうなるなら、イラスト投稿サイトとか動画サイトに、
漫画や絵を上げようなんて言わなければよかった。
予想通り、たちばなやのレスには、物凄い数のコメントが来ていた。
それに返事を書くのもなぜか僕の役目になっていた。
字を書くのは尊の担当なんだから、尊がやればいいのに。
『原作準拠のストーリーがとても面白かったです』
「ストーリーを書いているのは文さんです。僕ではありません」
『椛さんの絵、とても上手です。どうか上手くなる方法を教えてくださいm(_ _)m』
「努力です」
『椛さんが絵を描いていて一番好きなのはどんなのですか?』
「細かい模様や背景、それにフリルを描いている時が一番楽しいです」
『もっとおっぱいとかおしりとかを描いてくだちぃ』
「描くと蕁麻疹が出るので無理です」
『絵が下手糞、物語も最低。こんなクソサイト、とっとと畳んじまえよ』
「サイトは畳めるものではありません」
『対応が素っ気なさすぎです』
「味気もありませんよ」
ただ、こんなのはまだ序の口だ。本当に面倒なのは、
「佑、携帯鳴ってるぞ」
「…………」
尊の家に居候してからひっきりなしにかかってくる姉からのメール、電話。
内容は全て、家に帰ってきて、という内容だ。それだけでも疲れるのに、
大学でも授業中に耳元で囁かれるのだからたまったものではない。
最初の内は耐えていたけど、二ヶ月も続くと流石に限界だった。
「佑、また鳴ってるぞ」
「…………」
明日あたりにでも、携帯を買い替えに行こう。僕はそう決心した。
547Rescue me ◆hA93AQ5l82 :2011/05/13(金) 23:17:27.87 ID:cU53GoiO
大晦日、今年最後の投稿を終えると、僕と尊は都内の神宮に初詣する事にした。
かなり早めに出たつもりだったけど、既に行列が出来ていた。
本殿に着いた頃には、既に元日になり、僕も尊もふらふらだった。
お参りも終わり、やっと家に帰れるかと思ったら、
「この神宮の奥に、パワースポットで有名な井戸があるんだってさ。行ってみようぜ!」
尊が唐突にそんな事を言い出し、有無を言わさず手を引っ張られた。
本殿と同様、井戸の前には行列が出来ていて、更には拝観料も取られた。
パワースポットかなんだか知らないけど、
これでなんのご利益もなかったら時間とお金の無駄だ。
僕は井戸の前で、平穏な一年を願い、その場を去った。
初詣が終わったら漫画を描くつもりだったけど、余力など残っているはずもない。
今日はレスのコメントに返事をして止める事にした。
『新年明けましておめでとうございます。あなたの描く絵を毎日楽しみにしています!』
「ありがとうございます」
『椛さんは、今年のコミケや他のイベントには参加するつもりなんですか?』
「文さんはそのつもりです。僕は選考を突破できるか不安ですけど」
『死ね』
「死にません」
『今年の絵見たけど、バニーってなに?素敵過ぎるぞ、GJ!!!でもおっぱいが……』
「気を落とさないでください」
眠気に耐えながら適当に返事をしていくと、最後に変なコメントがあった。
『椛さん、会いたい。あなたに会いたい。あなたが絵を描いているところを直に見たい。
あなたがどの様な人なのかを見たい、知りたい、感じたい。
あぁ……椛さん、椛さん、椛さん、椛さん……』
最後の方は、椛さん、という文字が呪詛の様に書き連ねられていた。
なんとも返事に窮するコメントだった。
「こいつは気味が悪い。文体からするとたぶん女だと思うが、完全にイカれてるな」
「どうすればいいと思う?返事をすべきかな、これ?」
「こういうのには関わらないのがベストだ。不適切発言という事で、消去すればいい」
「分かった」
僕は尊の言う通り、そのコメントを削除した。
それ以降、変なコメントは来なくなった。
548 ◆hA93AQ5l82 :2011/05/13(金) 23:18:42.43 ID:cU53GoiO
投稿終了です。

549名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 00:12:19.34 ID:vSIkjPYl
兄or弟が病弱だと妹or姉が強硬手段に出た際、性差上どうしても腕っ節の強い男性に打ち勝てるな
美男子だが病弱で色白モヤシの兄or弟…なんかサナトリウム文学みたいだけどw
550名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 00:16:06.94 ID:vSIkjPYl
おっとリロードし忘れてたら変なタイミングでレスしちゃった…

乙です
しかし姉が怖いなw
551名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 01:38:31.26 ID:iszsFN1P
乙。
姉の日記が気になる。変な書き込みも気になる。
552名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 01:39:22.54 ID:wH4SttHX
乙で〜す

日記を置いたのがフラグにしか思えん…。だがそれがいい!
553名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 01:51:11.74 ID:iszsFN1P
車椅子の姉は弟に介護されながら二人暮らし。
姉はこの生活が続けば良いと思い弟は介護をしていては結婚できないと考えていた。
弟は同僚の女に告白されるが姉の介護を理由に断る。
しかし女は姉の事を知っていて覚悟してると言い恋人になる。
姉は弟の恋人に弟を取られると思うが自分は車椅子のお荷物だと悩む。
ある日姉は弟に夜這いをかけ捨てないでと泣きながら身体を差し出してくる。
554『きっと、壊れてる』第18話:2011/05/14(土) 10:55:22.51 ID:vqjfThIx
こんにちは
『きっと、壊れてる』第18話投下します
555『きっと、壊れてる』第18話(1/8):2011/05/14(土) 10:56:10.97 ID:vqjfThIx
彼には『薄幸の少年』という表現が一番適切だった。
齢13歳にして病魔を患い、余命は長くて5年と宣告された、と
血の繋がらない姉に優しそうな笑顔で話す彼は、
それでも自分の理不尽な運命を誰に当たり散らすわけでもなく、
とある病院の消毒の匂いがする小さな病室で、静かに余生を過ごしていた。

「美佐さん、こんにちは」
廊下側からスライド式の白いドアを開けると、決まって彼は儚げな笑顔でこちらを迎え入れる。
「さん付けはやめて」と注意しても一向に直す気配がないのは、
後数年で消え行く自分とこれ以上仲良くなっても仕方がない、という彼の意思表示だったのかもしれない。

適当な場所に面会者用の丸椅子を移動し、腰を掛ける。
ベッドの脇に取り付けてある戸棚に、数年前一度だけ撮った家族写真が飾られていた。
左上には私の母親、右上には彼の父親、そして手前には私と彼がそれぞれ実の親の前に立ち、ぎこちない笑顔を浮かべている。
もうこの写真から3年経ったにもかかわらず、彼の外見は写真とさほど変わりはない。
病気との闘いが辛い癖に愚痴の一つも言わない彼に、義理の姉という立場で接してきた私は、
いつの間にか、学校帰りに彼の待つ病院へ面会に来るのが日課になっていた。

「林檎食べる? おねーちゃんが剥いてあげる」
果物ナイフを片手に赤く熟れた林檎を掲げると、彼は嬉しそうに頷く。
最近では彼の痩せこけた頬がなぜだか可愛らしく見えてくる。
18年近くも生きてきて、自分以外の人間がこんなに愛おしいと思うのは初めてだった。

「美佐さんは家庭的だね。きっと良いお嫁さんになるよ」
林檎を剥いたぐらいで褒めてくれるのは、彼が実の母親と早くに死別したからだろうか。
しかしながら、お嫁さんというものになるためには相手というものが必要だ。
愛どころか、ほのかな恋心すら抱いた事がない私は申し訳なくなった。
もしそういう経験が豊富な女なら、色々な話をしてあげたい。
そうすればあなたの中にある生への執着心を、肥大化させる事ができるかもしれないのに、とありもしない妄想に身を焦がす。

今朝も下駄箱に交際して欲しい旨が綴られた手紙が入っていた。
手紙の相手には申し訳ないが、返事をする段階にすら私は進めない。
興味がなく、断るのも面倒だった。
そんな女に目を付けた自分を恨み、別の構ってくれる女性を見つけて欲しい、と今はそう願うしかない。

「君は好きな人とかいないの? ほら、担当の看護師さんとかムチムチな感じが良いじゃん。パフパフしたくならない?」
お世話になっている人に対してそんな感情は申し訳なくて抱けないよ、と彼は笑う。
その真っ白なキャンパスに、私の黒い絵の具で下劣な言葉でも書いてみたいと言うと、
「美佐さんは自分で黒いと思っているだけで、本当は僕よりも白いんだよ」と再び彼は笑った。

もう病院に通い始めてどのくらい経った頃だろうか。
病院の受付で顔馴染みの看護師と当たり障りのない世間話をしてから、
彼の待つ部屋へと駆け個室の前まで来ると同時に、部屋の中から微かな違和感を感じた。

虫の知らせとでも言うのか、扉を開けるのが酷く億劫だったが、構わず力任せにドアをスライドさせると、
芋虫のように身体を丸め、病の痛みにもがく彼の姿がそこにはあった。
ナースコールを数度押下し、苦しむ彼の手を握る。
人の熱を嫌というほど掌に感じて、どこか別の世界から来たような透明で儚い彼もまた同じ人間なのだ、と私は安堵した。

数日後、彼は落ち着きを取り戻し、前と同じように邪のない表情を振舞っていた。
軽い冗談を織り交ぜ話す私は、会話が一段落すると唐突に「死ぬ事で一番怖い事は何?」と質問を投げ掛けた。
自分でも空気の読めない質問である事を承知の上だったが、
さも当然の様に病気を受け入れる彼の心が、笑う事を使命付けられた人形のように感じていたからだった。

「うん、そうだね。僕は僕が生きた証が、微塵もこの世に残らない事が少しだけ悲しいかな」
そう言うと彼は吐息を吐き、窓の外に生える季節外れの桜の木を見つめる。
「ほとんどの人はそうじゃない? 私だって今死んでも殆ど何も残らないよ」
私の言葉と彼が言った言葉は噛み合っていない事は理解していたが、今はそれしか言えなかった。
座っていた丸椅子を部屋の隅に寄せると、「じゃあ明日ね」とお決まりとなっている別れの言葉を述べ、私は部屋を出た。
彼の生の証を残す方法を考えながら帰宅する私は、家に着くまで2回もすれ違う歩行者とぶつかった。
556『きっと、壊れてる』第18話(2/8):2011/05/14(土) 10:56:49.74 ID:vqjfThIx
彼の容態が急変したのは、私が昼休みに屋上で一人昼食を取っていた時の事だった。
顔なじみ程度のクラスメイトに声を掛けられ職員室へ行くと、担任教師に状況を伝えられる。
教師は緊迫した面持ちで私に「落ち着いて聞いて」と声を掛けてから話し始めたが、
既に私は、彼がこの世から何も残さずに消え行く運命である事は知っているのに、今更何だと言うのだろう。
この人はおそらく綺麗な音楽が流れる中で人が死ぬような、『ハリボテ感動物』が好きなタイプで、
自分が登場人物の一人にでもなった気分なのだろう、と心の中で蔑み、私は早退の手続きを取った。

病室まで駆けつけると、医師と無邪気に話す想定外な彼の姿がそこにはあった。
医師が去った後、「なんだ、まだ生きてるじゃん」と私なりの安堵の言葉を伝えると、
「看護師さんの身体触るまでは死ねないよ」と彼は本当に健康そうな笑顔を浮かべた。
念のため事情を聞くと、発作が起きただけで大事には至らなかったが、
病院側の判断で家族には連絡をした、という事がわかった。
彼の前では「人騒がせな病院」と嘲笑ったが、
おそらく真実は『次にこういう事があったら本当に命の灯が消える可能性が高い』という警告だった。

汗をかいたらしく、着替えをしたがる彼を手伝う。
定期的に看護師さんに身体を拭いてもらえるものの、綺麗好きな彼は我慢できないようだ。
悪戯のつもりで入院服を脱いだ彼のやせ細った背中に手を這わすと、「ひっ」と可愛らしい声が聞こえた。
「やめてよ美佐さん、その手つき」
彼は珍しく怒った顔をしているがまったく怖くない。
小動物にちょっかいを出したら、相手をしてもらえなかった時の様な意地と熱情を覚えた。
再度、彼の背中を撫で私はわざと息苦しい吐息を吐く。
「君はこういう事した事無いの? お姉さんが教えてあげようか?」
「あっ、ぼっ……僕初めてだから……」
暫しの沈黙の後、私と彼は我慢できずに吹き出し、声を上げて笑った。
「……よしよし、演技うまくなったね。仕込んだ甲斐があった」
「こんなところ、誰かに見られたらどうするのさ」
私が精一杯作った声で妖艶なAV女優を演じると、彼は照れながら芝居に付き合ってくれる。
その断れ切れない優しさも、私にとっては彼が愛おしい材料の一つだった。
彼の背中から僅かに漏れる鼓動が、私の掌に生の主張をする。
それは決して力強くはなかったけれど、命の重さを伝えるには十分過ぎる。
以前より考えていた彼への手向けを近日中に実行しよう、と私はこの時決心した。

さらにそれから数日が経った。
夜の帳が下り病院内に静けさを呼び込んだ頃、隠れて面会時間の終了をやり過ごした私は、
仰向けに寝ようとしていた彼の体に跨り、脅えた瞳を完全な捕食者として見下ろしていた。
「美佐さん、どうしたの? 帰ったのではなかったの?」
気丈に振舞ってはいるが、彼はここ数日体調が芳しくない。
もう時間が残されていない事は明白だった。
ならば彼の意思を汲む必要はない。
座っている私の尻の下辺りにある、何かが膨張している。
生まれて初めて、股間に女の柔らかさを感じてしまったからだろう。
恥ずかしそうに顔を背ける彼を一瞥すると、私は制服のスカートに手を入れ、下着を下ろした。
大丈夫。迷う事はない。彼自身が望んだ事だからだ。
「君は前に言ったよね。自分の生きた証が世の中に欲しいって」
彼の望みを口に出し、間を置いてくすりと笑う。
そもそも特別な才能も開花させていない人間が、死去するだけで世の中に浸透するほどの何かを残せるわけはない。
殆どの人間は同じ。
家族ですら時が経つ毎に記憶は薄れ、最終的には年忌という名の宴会の口実にされる。
ただそれだけが、1人の人間に与えられる『果て』だった。
「それはね、残念ながらほぼ不可能なんだよ。けどね」
世には残せない。
しかし、本人より少しだけ長生きする人間に傷を付けておけば、その人間が生きている限り軌跡は残る。
「おねーちゃんが君の生きた証を抱えて、この先過ごしてあげる」
彼が何かを叫ぶように言っている。
なぜか私の耳にそれは届かず、手は嘲笑うかのように彼の入院服と下着を器用に剥がすと、
まだ汚れていないその砲身を手で固定し、私の膣の中に押し込んだ。

痛い。しかし、これで良い。
この傷はもう二度と再生しない。
557『きっと、壊れてる』第18話(3/8):2011/05/14(土) 10:57:22.57 ID:vqjfThIx
いつか観たアダルトビデオを真似て、腰を上下に動かしてみる。
多少の恍惚感があるだけで基本的には女性器がヒリヒリと痛いだけの運動だ。
こんなものが、命を生み出す神秘的な行為なのだろうか。
ふと、彼と目が合う。
望み通り、世に自分が付けた痕を残せたというのにもかかわらず、
彼の瞳は今にも涙が溢れそうなほど真っ赤であり、口元は悔しそうに歪んでいた。
痛みを我慢して、腰をさらに激しく上下に動かす。
「うっ」と漏らした彼の呻き声が愛しくて、手を取り私の胸元へと導いた。

「触らないの? そこまで大きくないけど」
制服のブラウス越しというのが気に食わないのか、彼の手と指はほとんど動かない。
腰の動きは止めずに、器用にボタンを全て外すと彼に私の下着が良く見えるように、ブラウスをダラしなく、はだけさせた。
ピンク色をした下着が露わになり、これで清純そうな下着が好きそうな彼も喜ぶと思っていた私だったが、
それでも頑として手を動かさない彼に、少し不愉快になった。

「ナマチチが良いなら自分で脱がせてよ。大変なんだから、動きながら脱ぐの」
彼からの返事はなく、挙句には私の手を振り払い、自分の顔を隠す様に腕で覆った。
きっと、恥だと思っているのだろう。
大人しくても男は男、彼は自分が上位となり私を獣染みた乱暴さで蹂躙したかったのだ。
その隙を虎視眈々と窺っている内に、私の方から行為に移してしまったものだから、
彼は自分を情けない男と思い込み、悔し涙を流しているに違いない。
その純朴さを想い、彼の真一文字に結んだ唇を眺めていると、微かに私の膣が快感を奏でている事に気付いた。

「ちょっとだけ、気持ち良くなってきた。こういう時って嬌声を出した方が興奮する?」
アダルトビデオに出ていた女性は、豚の鳴き声のような声を上げ、男の興奮を誘っていたが、
男性はああいうワザとらしいのが好むのだろうか。
それならば彼の為にサービスしよう、と私は喉の調子を気付かれないよう整えた。

「あんっ! あんっ! 気持ち良いよ〜! おちんぽ入ってるよ〜!」
これは酷い。本物の阿保になったみたいだ。
顔を覆う彼の腕の隙間を見つけ、表情を覗き込む。
先程と何も変わらない。悔しそうに唇は歪み、私が腰を動かす振動で腕がずれ時折垣間見える瞳は、死んだように一点を見つめたままだった。
さすがに不快の限度を超えた私が、彼の腕を退かそうと手を伸ばすと、膣の中にあった彼の男性器がブルブルと震えている事に気付く。
何か体の中に吐き出されている感触がした。

「イったの? 中に出しちゃったね。妊娠したらまた一つ残せるものが出来たね?」
その言葉で、初めて彼は反応した。
首を左右に振り、何かを拒絶しているようだ。
「ん、大丈夫。わかってるから。今日はおねーちゃんのが壊れるまで突いて良いよ?」
まだ物足りないと主張する彼に、なぜか私の心は踊った。

こうして彼の望みを叶えた私は、夜間の見廻りに来た看護師に引き剥がされるまで、彼の上で延々と腰を振っていた。

それからの事は正直あまり良く憶えていない。
唯一、記憶の片隅に残っているのは、義父の気味の悪い虫を見るような目と、母の罵声を発する薄赤色の唇だけだった。
私は周囲にバレても別に気にしないと言ったのに、義父が世間体が悪化するのを危惧したのか、転校することを勧められた。
いくつかの候補の中から、都内にある適当な女子高を選んだ。
どうせ進学は東京の大学にしようと思っていたところだ。
特に断る理由はなく、受け入れられる。
異端は排除すべきだと私も思うし、進学費用も出してくれると言う親に怨恨もあるはずがない。
数日間で支度を終え、地方都市の中途半端に澄んだ風を肺一杯吸い込むと、私は軽い足取りで電車の中へと乗り込んだ。
走る電車の窓越しに見える彼が住む病院は、汚れを知らない聖域のように真っ白な壁で覆われていた。

暇を持て余す電車の中で、人生の中で性交渉など今回限りだろうとぼんやりと考えていた私は、
東京に来て数年経った頃、恋に落ちる。
それは決して偶然ではない。

彼の外見を大人っぽくした容姿、彼よりも寂寥の表情を見せる男。
運命、そんなありふれた言葉が私の空に舞った──。
558『きっと、壊れてる』第18話(4/8):2011/05/14(土) 10:58:01.43 ID:vqjfThIx
「何か反応してよ」
すべてを話し終えた美佐は、沈黙を守る浩介の瞳に急かす様に縋った。
自分が起こした行動に疑問を感じ始めたのは何時頃からだったか、
年齢を重ねるにつれ、人に打ち明けるにはそれなりの勇気が欲しかった事も事実だ。
「いや、美佐……そうか。なんて返せば良いのか、わからないけど」
美佐が茜と浩介の関係を知りながらも、以前通り接してくれた理由が今はっきりとわかった。
「でも4年前は本当にびっくりしたよ。私の上を行く猛者がいようとはね」
4年前、美佐に言われた「妹と変な事してる男なんて最低。気持ち悪いわ。サヨナラ」という言葉が頭の中で再生される。
当時の美佐の真意はわからないが、その頃既に葛藤があったのは確かだ。

「弟さんは?」
浩介はやっとの思いで、美佐に問いかけた。
「私が転校してからすぐ亡くなった、という連絡は受けた。お葬式とかは出席させてもらえなかったよ」
明言はしないが、おそらく勘当されたようなものなのだろう。
はにかむ美佐の表情が痛々しく映り、「彼はどんな思いで逝ったのか」と浩介は心の中で呟いた。
美佐の思惑通り、この世に自分の足跡を残せた事に満足していたのか、
取り返しがつかない義姉の行動を恨んだのか、今はもう知る由もない。
「ちなみに妊娠はしなかった。安全日だったしねぇ」
あまり聞きたくはない生々しい過去。
おそらく浩介が気になっている、と美佐は感付き、言葉を付け加えた。
浩介は軽い口調の中に美佐の気遣いを感じる。
しかしとても笑い話にはできず、浩介に複雑な過去がなければ即破談になるような内容だった。
沈黙が続き、その場にいた人間は微動だにできずにいた。

時間はどれ位経ったのだろうか、誰からともなくこの場を離れようとしていた時だった。
髪を振り乱し憎悪の呻き笑いを上げる女が、浩介の視界に入った。
「くくくっはははっ、聞いた兄さん? この女、義理とはいえ弟とセックスしたのよ。 『気持ち悪い』って言ってあげて? ねぇ? ほら早く」
鬼の首を取った様に楓が笑う。
もはや楓は、美佐の後ろめたい過去を煽る事でしか自分の存在を保てなくなっていた。
「これで、結婚も無くなるわよね? ほら、早く拒絶して! 私にしたみたいに」
自分の腰に抱きつく様に纏わり下方から顔を覗く楓に、浩介は生まれて初めて嫌悪感を抱く。
最早、楓は可愛い妹ではなく、自分を誑し込む鬼のように思えた。

「 ねぇ? 結婚なんてしないよね? この女と別れるって言ってよ! お兄ちゃん!」
夕暮れに染まる空を軽く見上げ、ため息をつく。
何かを手に入れる為には何かを捨てなければいけない、と学生の頃冗談で言っていた大人ぶった台詞。
それを現実で言う事になるとは、浩介自身想像もつかなかった。
「楓……少し黙れ。俺は美佐と結婚する。お前は実家に帰れ」
数秒の沈黙の後、楓の獣の咆哮のような奇声が辺りに響いた。
どこから取り出したのか、手にはカッターナイフがあり、キリキリと音を立てて刃が出される。
目は涙が流れ落ちながらも血走り、舌を誤って噛んだのか微少な血が口から垣間見えた。
足は力が入っておらず、楓はたどたどしく浩介と美佐に向かって歩き出したが、
カッターの刃が浩介と美佐に届く事はなかった。

しばらく沈黙を守っていた巧が後ろから抱き抱える様に楓の身体を包み、カッターを持つ楓の手を優しく制していた。

「もうやめよう。君だけはまだ出直す事ができる」
密着すると良く分る。細く薄い楓の背中は、誰かを憎むにはまだ頼りなかった。
巧は今回の話に自分が入り込む余地などないと自覚していた。
巧にとってある意味雲の上の人物であった黒髪の美女が、今は嫉妬と怨恨に狂う亡霊と化し、
お世辞にも美しいとは言えない形相になっている。
それでも、楓だけは自分が支えてあげたい対象である事に変わりはなかった。
「離せよてめぇ。 邪魔するなよ」
巧の腕の中で大声で叫び暴れる楓は、カッターを振りまわす。
巧の腕に掠ったのか、コンクリートの浅黒い色に、小さな赤い斑点が飛び散った。

「やめろ楓」
声を出し、楓を止めようとする浩介の腕を、美佐の掌が力強く握った。
振り向くと美佐は冷たい瞳で「また妹を苦しめたいの?」と小声で言い放った。
559『きっと、壊れてる』第18話(5/8):2011/05/14(土) 10:59:03.05 ID:vqjfThIx
「なんでその女を選ぶんだよ。 姉さんはどうするんだよ。 姉さんの人生をボロボロしたクセに」
楓の罵声が身体を突き抜ける。
思えば、この隅田川のテラスに通りかかった時は一緒にいたはずの茜は、何処へ行ったのだろうか。
目の前にいる楓よりも、この場所にはいない茜を案じた浩介は、自虐的な苦笑いをした。

「笑ってんじゃねえよ。何で私じゃ駄目なんだよ」
最早、楓の叫びは浩介に届いていなかった。
助けを求める様に振り返ると、美佐は小さく頷き浩介の腕を取って楓から逃げる様に歩き出した。

「じゃあポチ君。悪いけど、楓ちゃんお願いできる? 私達が居ると、治まらないと思うから」
美佐はそう言うと浩介の肩を叩き、バッグから取り出したメモ帳に何かを書かせる。
そのメモを1枚破り折り畳んだ後、巧達の右前方にあるベンチに置いた。
巧は頷くと、楓を包む腕に再度力を込めた。
徐々に遠ざかる二人の姿を、気狂いのような目付きで追う楓は、飽きる事無く叫んだ。
「逃げんなよ! ……待ってよ……お兄ちゃん」

数分後、浩介と美佐の姿が完全に見えなくなると、楓の体から力が抜け倒れ込むように二人は地面へと尻餅をついた。
顔を歪ませ泣きじゃくる楓は、呼吸するのが苦しそうにしゃくり上げ、手で顔を覆った。

「明日から、あの二人が別れるまで延々と追いかけようか?」
後ろから楓に声を掛ける。
返事はない。
巧は微笑むと、楓を包んでいた腕を外した。
先程も大して力は入れていない。
本当に斬りつける気があったのなら、巧を振り切る事も楓はできた筈だった。

「……私はどうすれば良いのよ」
やっとの事で絞り出したのか、嗄れた楓の声は巧に助けを求めているように聞こえた。
「少し、休もう。何年か経って、それでもまだあの二人が許せないのなら、俺がなんとかするよ」

「何の根拠のない自信ね。それに貴方は裏切るから駄目よ」
目の錯覚だと思い、頭が真っ白になる。
楓が少し微笑んだ様な気がした。
初めて向けられた好意のある顔に、巧はおもわず楓の顔を覗き込んだが、
それと同時に楓の体が巧の方へと倒れてきた。
楓は精根尽き果てたのか、寝息を立てていた。

「おっおい、大丈夫か?」
支える体は驚くほど軽かった。
この軽い体で、何重もの業を抱えて生きて来たのかと考えると、
少しだけ、浩介と美佐に憎しみの情が湧くのを覚える。
「……お兄ちゃん」
涙を流しなら眠る楓の顔は、泣き疲れた幼児だった。
楓を抱えたまま起こさないよう少しずつベンチまで近付き、先程美佐が置いた帰った紙を取る。

中には、おそらく楓の実家であろう住所が書かれていた。
突然訪ねて、楓の両親にどういう顔をされるか想像すると、億劫になる。
それでも巧は楓を送り届けようと心に決め、2人分の重さを支える足を前に踏み出した──。
560名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 11:23:00.88 ID:vqjfThIx
すいません。
規制(?)されたようなので、(6/8)から(8/8)は避難所の方に投下させて頂きました。
どなたか転載して頂いてもよろしいでしょうか? よろしくお願いします。では。
561『きっと、壊れてる』第18話(6/8):2011/05/14(土) 12:09:18.56 ID:DRd48p9v
川の流れは、昼間よりも少しなだらかに思える。
おそらく全ては終わったのだ、と良い方向に解釈すると、かつてない心地良い風が美佐の心に吹いた。

「ごめんね、呼び出して」
待ち合わせ場所としてこの場所を指定した事に特に理由はない。
老兵が戦場を懐かしみ当時の思いを馳せるのと同じ様な事だ、と美佐は自分の中で解決し、
テラスの階段を降りてゆっくりとこちらに近付く人物を迎えた。
「茜ちゃん、こんばんは」
「……こんばんは」
意識的に電灯がある場所を避けた為、茜の表情は確認できない。
美佐は右手に身に付けた時計も暗がりでよく見えず、仕方なくバッグから携帯電話を取り出し時間を確認した。
茜が現れた時間は待ち合わせの時間に1分も狂いがなかった。
「悪いねぇ、こんな夜中に。変態さんとかに遭遇しなかった?」
「用件はなんですか? 美佐さん」
美佐の隣に陣取ると、茜は隅田川を直視したまま軽口を無視し、問いかける。
私と美佐さんは仲間ではないのよ、と言われている気がした。
「楓ちゃんの事。ちょっと酷かったんじゃない?」
美佐が二人の家に訪問した次の日の事だった。
前日に履いていたパンツを洗濯しようとした際に、何か名刺の様な物が入っている事に美佐は気付いた。

090-****-****
貴女と取引したい事があります。電話してください。
そのメッセージカードには丁寧な字でそう書かれていた。
嫌でも誰の仕業か気付く。
連絡を取ると茜は美佐が予想も付かなかった取引を持ちかけてきた。
美佐が受けている嫌がらせの犯人の素性。
その犯人と実行犯が落ち合う場所。
以上の2点を教えるという内容だった。
見返りは、美佐がある程度期日及び時間を絞り込む、そしてその現場へと乗り込んで犯人に嫌がらせをやめるよう説得する事、
その際には自分にも連絡が欲しい。茜が要求したのはその3項だった。
自分が何者かに嫌がらせを受けている事を茜が知っている事に関しては、さほど驚きは感じなかった。
理由は、『茜なら知っている気がする』という根拠も何もない、女の勘だ。
茜も気付かれているのは承知なのだろう、と美佐は思った。
その証拠に茜は特に断りも入れなければ、言い訳もしない。
それよりも、茜が今回の取引を持ちかけた理由を美佐は知りたかった。
双方ある程度のリスクを背負っている事から、嘘や罠という線は薄い。
つまり、現在美佐に嫌がらせをしている人物は茜にとっても目障りな人物である事が想像できた。

しかし美佐はそれでも疑問を持った。
茜はこの取引でどんなメリットを得るのか、という事だった。
犯人と犯人の拠点を知っており、犯人にそのような事をやめさせたいのならば、茜本人が行けば良い事だ。
ましてや自分は被害を受けている被害者であるため自分に得な事しかない、と美佐は怪訝に思い、茜の裏を読み取ろうとした。
目障りなだけではなく、相手にもしたくないというだろうか。
結局、茜の真意は読み取れず、美佐は取引に応じた。
今は鬱陶しい小蠅を潰してしまいたい気持ちが一番強かったからだった。
「まぁ、犯人が楓ちゃんというのはおおよそ検討はついていたけど、決定的な証拠がなかった。
ポチ……実行犯と落ち合う場所を教えてくれたのは、正直助かったよ」
「そうですか、それなら良かった。私も楓にはあんな事止めさせたかったから」
この女はあくまで妹を想っての行動だとアピールしたいのか、と美佐は皮肉った笑みを浮かべ、
茜と横並びに川の方へ体を向けた。

「でも、まさか浩介まで現れるとはね。茜ちんの目的は、浩介に楓ちゃんの醜い部分を見せて、
完全に拒絶させる事だったわけだ。茜ちんマジ悪魔」
気付かれぬよう、横目で茜の顔色を伺う。
変化はない。ただ目の前の川に視線を這わせるだけだ。
実の妹が壊れかけても知った事ではない、という事だろうか。
「まぁ、それはどうでも良いや。私が今日呼び出したのはね」
おそらく、これで動じなければこの女を攻略する術はない、と美佐は唾を飲み込む。
そして、闇夜に淡く光る高層マンションの窓を眺めながら少しずつ語り出した。
562『きっと、壊れてる』第18話(7/8):2011/05/14(土) 12:09:58.31 ID:DRd48p9v
「ずっと疑問だったの。なんで浩介と一緒に住んでいたわけでもない楓ちゃんが、私と浩介が再会したのを知っていたのか。
嫌がらせが始まったのはヨリを戻す前だから……これはほぼリアルタイムで知っていたという事だよね」
「……さぁ? 私も兄さんも教えていないと思うけど」
茜は淡々と答える。
感情のない人形のように美佐には感じられた。

「『教えていない』だよね? 楓ちゃんが察知できるように『仕向ける』事は可能だよ。
楓ちゃんが常に浩介の事を監視していた線も考えたけど、学校や予備校にはちゃんと通っていたみたいだし、
受験勉強もある。少し荷が重いかな」
いかに楓が執念深くとも、美佐と浩介が別れてからの約4年間、絶えず監視は非現実的だと美佐は判断した。
他には茜と楓の共謀説が美佐の中に浮かんだが、それならば茜が美佐に情報を与えた事を楓が責めないはずはない。
再度、茜の表情を覗き見る。表情に動揺は感じない。
喜怒哀楽が抜け落ちているような茜を前に、美佐はわざと大きくため息をついた。

「多分ね……茜ちゃん、貴女が誘き寄せたの。貴女が癇癪持ちの楓ちゃんを焚き付けたの。
何かしらの方法を使って。しかもそれを楓ちゃんには悟られないように」
さらに、楓の浩介に対する感情を茜は以前から知っていたのだ、と美佐は確信していた。
最終目標は浩介に楓を拒絶させ、絶望を味あわせるためだったに違いない。
ただし、楓が浩介に只ならぬ感情を持っていると知っていなければ、その目標も生まれない。
しかし美佐には茜がなぜ楓を絶望の淵に追いやる必要があったのか、いくら考えても答えは出なかった。
「楓ちゃんに恨みでも持っていたの?」
問いかけに茜は反応せず、ただジッと流れる隅田川の一点を見つめている。
目を逸らさない美佐を迎え撃つように体の向きを変えた茜は、無表情のままだった。
「美佐さん……私、美佐さんが何の事を言っているのか、わからないわ」
「そう。じゃあ質問を変えるよ。これであんたの望み通りに楓ちゃんはとりあえず戦線から退場したわけだけども、
私はどうするつもり?」
「ですから……私は楓に変な事をするのを止めさせたかっただけです。私が言ってもあの子聞かないから、美佐さんにお願いしただけです。
それと……私は、美佐さんと兄さんに結婚して欲しいと思ってる。本心ですよ」
嘘を言っているようには見えない。
どこから見ても、兄の幸せを願う献身的な妹だ。
この女はどこまで白々しいのか、と美佐は不快に思った。

「兄さんにも約束してもらったのだけど」
「何?」
「兄さんの事をちゃんと愛してくださいね? 二人が幸せになる事が……私の幸せにもなるから」
鳥肌が立ち、美佐は思わず身震いをした。
どこかの少女漫画のセリフでも引用したのか、悲劇のヒロイン気取りに反吐が出る。
美佐は嫌悪感を通り越し、畏怖の念すら感じた。
「……別に言われなくてもそうするよ。茜ちんは? どうすんの、これから」
まだ、浩介と籍を入れた後の生活は相談できていない。
ただ、もし浩介と新居を構える事になれば、茜の収入だけで今住んでいるマンションの家賃を支払うには厳しいと容易に想像できた。
実家にも戻り辛いであろう茜に、それでも美佐は情けはかけない。
「3人で暫く暮らそう」等と浩介が言った場合には頬でも叩こうと、決心している程だった。
「私が今の家を出ます。元々兄さんが働いたお金で借りていたようなものだし、二人が新生活を始めるにも何かと入り用でしょう?」
はなから決めていたのか、茜は饒舌にそう答えると「もう引っ越し先も決めてあります」と最後に付け加えた。
「……私に何か恨み言はないの? 今だけは聞いてあげる」
「義姉さんとなる人にそんな感情は持っていません」

そう言うと、茜は「他にないなら、失礼します」と踵を返しテラスの階段を上る。
そして階段を上りきり、美佐の表情を確認するように少しだけ振り向くと、そのまま茜は闇の中に消えた。
563『きっと、壊れてる』第18話(8/8):2011/05/14(土) 12:10:36.48 ID:DRd48p9v
一人取り残された美佐は、羽織った白いカーディガンのポケットから、
録音スイッチが押されたままのICレコーダーを取り出す。

「二人が幸せになる事が……私の幸せになるから」

清廉潔白な茜の言葉を一度だけ再生すると、美佐は左右の肘を抱え、上下に擦った。
「あぁ、気色悪かった。でも……それで正解だよ、茜ちゃん」
茜が目的を達成した喜びから、今回の裏事情をペラペラと喋れば、
今後美佐にとってきっと役に立つ音声が撮れるはずだった。
しかし茜は何も語らず、懐疑的な点は複数あるのにもかかわらず、証拠はない。

駄目で元々な賭けだったが、いざ失敗すると思った以上に気分が悪い。
美佐は舌打ちを1度だけすると、茜と同じように闇の中に消えた。
最後まで美佐は茜の奥底に眠る心情を、欠片も把握する事はできなかった。

どこかに潜む夏夜の虫の音だけが、出演者の居なくなった舞台に取り残されていた。

最終話へ続く
564名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 12:11:50.22 ID:DRd48p9v
268 :『きっと、壊れてる』第18話 [] :2011/05/14(土) 11:20:25 ID:zPamZIEM (5/5)
以上です。
お手数お掛けしますが、転載よろしくお願い致します。
565名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 12:13:42.24 ID:DRd48p9v
転載終了です

GJ
楓と茜の格の違いを見せつけられたな…
566名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 12:38:37.56 ID:iszsFN1P
Gj。
茜は正妻の余裕だな。
567 忍法帖【Lv=9,xxxP】 :2011/05/14(土) 12:49:49.34 ID:XnK6xIko
GJです
盛り上がって参りました 最終話楽しみにしています
568名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 17:20:06.27 ID:iszsFN1P
姉とセックスしたくない弟なんているの?
調べによると全国の弟は姉に夜這いをかけてる。
569名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 17:38:38.35 ID:tD3vPRYL
その世界の入り口を教えてください
570名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 17:44:55.48 ID:QGujHRBm
>>569
行く前にちょっとだけ考えろ。
よく見たら>>568がいるのは「キモオトの世界」だぞ
571名無しさん@ピンキー:2011/05/14(土) 22:39:00.84 ID:T5RWQ38p
>>570

>>569がキモ姉だと考えれば何もおかしくない
572名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 00:39:43.40 ID:Tg3xpUsa
夜のテンション投下で書いた


投下
573カオスワールド:2011/05/15(日) 00:42:08.11 ID:Tg3xpUsa

………これで、お兄ちゃんを………






むかしむかしのお話。


ある大陸に、強大な国がありました。
その国は次々戦争を起こし、大陸全土は愚か、海の向こうにある大陸の国々にまで侵略を広げました。

気付いた頃にはその国は世界の頂点にまで達してしまいました。


また、その国にある二人の兄妹がいました。

両親は戦争に巻き込まれ亡くなってしまい、兄妹は小さな村で裕福とはかけ離れた生活でしたが、仲良く幸せに暮らしてました。


そんな二人に悲劇が起こりました。

兄妹の暮らしている村の近くで、反乱軍と国の軍隊の抗争が始まりました。
兄妹だけでなく、村の人々は身を震わせながら自分たちの家の隅で、抗争が終わるのを待ち続けました。

陽が傾き、月の光が目立ち始めた頃、抗争による騒音が静まりました。
兄妹の兄が様子を見ると言い、それに猛反対する妹をあやし、兄は村の外の様子を窺いに行きました。


妹は兄が帰って来るのが遅いと思い、勇気を出して家の外から出てみました。

兄妹の住んでる家は村の奥にあり、場所が村で一番の高地だったため、村全体を一望することができました。

だから外に出た妹は驚愕し、絶望しました。

家から出た妹がまず最初に見た風景は、大好きだった兄と大好きだった村の人々と暮らしてた村の落ち着いた風景ではなく、あちこちから煙と炎が見える地獄だった。

妹は初めてこの高地を呪いました。
しかし、妹はそんなことより村の人たち、愛しき兄を心配し、村の中央まで駆けて行きました。

寂れた村の中でそれでも活気が一番あった中央は今では炎の海となっていました。

それだけでなく、自分に優しくしてくれた村の人たちの死体が辺り一面に倒れていました。

それでも、吐き気と涙を我慢しながら大好きな兄、たった一人の肉親である兄を探しました。

妹は村の出入口とも言える場所で、あるペンダントを見つけました。

血だらけで誰もが触りたくないと思うペンダントを妹は手に持ち確認してしまいました。

………自分と兄の写真が入ってることを………それが世界に二つしかないことを………それが兄の物であることを。

妹は泣き叫びました。
体内の水分を使い果たしてしまうぐらい涙を流し続けました。
574カオスワールド:2011/05/15(日) 00:46:55.07 ID:Tg3xpUsa


それから妹の姿を見た者はいませんでした。





閑話休題





ありとあらゆる国を征服し、世界の頂点に立った強大な国の天下も長くは続きませんでした。

突如現れた異形な化け物により、強大な国はあっという間に滅ぼされ、世界の悲劇が始まりました。


化け物たちの強さは異常で、強いやつだと十万の軍隊を一瞬にして塵にしてしまう化け物もいました。

そして、異形な化け物との戦いに敗れた兵士たちの話によると、異形な化け物たちの中心に華麗な女の子が気味の悪い、悲しい笑顔で立っていたとか………


世界は化け物たちの出現により、混沌化し、人間は新たに魔法という対抗術を身に付けました。


それにより、世界は化け物改め魔物たちと、人間と、魔法により突然変異の起きた人種たちのいる舞台に変わりました。



また、魔物たちの長がいると思われる城から、夜な夜なか弱い女の子の声が聞こえるとか……



575名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 00:48:40.90 ID:Tg3xpUsa
終わりです。




すみません、全然キモウトぶり発揮させれませんでした。



576名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 00:50:02.82 ID:YDF2vrPN
>>575
そんなことないぞ乙。

いわゆる「魔女」の誕生である
577名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 18:44:34.45 ID:kMj/jsyj
ラミアキモ姉に巻き付かれたい。
578名無しさん@ピンキー:2011/05/15(日) 18:49:31.79 ID:pNsu3N0j
>>575
後の時代に、この女の子はキモウトたちの信仰対象となるのですね。
579名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 01:36:02.58 ID:lM9P8ZWl
バカとビッチは使いよう・表って作品読んだけど、
裏が見たいので作者様どうか裏を書いて下さい
お願いします。
580名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 02:10:29.15 ID:QMlOJ8Tl
>>579
確かに続きを書いてくれると言ってたね。
嘘はいけないと思うんだ。
続き書いてください。お願いします。
581名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 02:52:27.02 ID:bebHTgrH
>>579
  /\___/\
/ /    ヽ ::: \
| (●), 、(●)、 |
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |
|   ,;‐=‐ヽ   .:::::|
\  `ニニ´  .:::/      NO THANK YOU  
/`ー‐--‐‐―´´\
       .n:n    nn
      nf|||    | | |^!n
      f|.| | ∩  ∩|..| |.|
      |: ::  ! }  {! ::: :|
      ヽ  ,イ   ヽ  :イ
582名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 21:03:57.42 ID:Tt+ExX66
周囲から距離を置かれている姉が
どんどん優しい弟に嵌りこんでいくのとかいいよね
583名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 21:57:02.34 ID:vGWsCzKf
素直になれないキモウト宅に
素直な義妹がやってくる……そんなシチュが好き
584名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 22:52:22.36 ID:uSi7lZLG
ラミアキモ姉にしっぽで巻き付かれてベロチューされるとかいいですね
585名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 22:55:26.78 ID:XEA1i9mU
>>583
すまん…挑戦しようと思ったが…キモウトとギモウトが仲良く手を取り合って
百合スレに立ち去る後ろ姿しか浮かばなかった…orz
586名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 23:25:53.94 ID:QMlOJ8Tl
>>585
キモ姉乙。邪魔な妹は消えましたね。
587名無しさん@ピンキー:2011/05/16(月) 23:58:53.14 ID:2SYEyCgp
素直なキモオトと素直になれないキモウトでお兄ちゃん争奪戦
漁夫の利を狙うキモ姉
588名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 00:59:52.95 ID:+lsTJLwv
兄とキモウトをくっつけて傷心の弟を食っちゃうキモ姉とか?
589名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 02:16:31.75 ID:TAjNmnz/
>>584
尻尾で巻かれてキモ姉の部屋にお持ち帰りされる弟。
蛇だから冬眠してその間弟に悪戯しても良いよて言ってく。
590名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 02:34:46.36 ID:mXzsM7JO
>>588
兄と妹がくっついてなんで弟が傷心するんだよw
591名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 03:52:41.88 ID:EaYRMrZz
>>590
家族みんなシスコンの前提でワラタ
592名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 07:19:57.35 ID:WaGaufEt
まとめからきたんだが、義理兄妹が面白いな。
年齢設定がすごいかけ離れているが、
2人で助け合って生活している雰囲気がよく出ていると思う。
593名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 17:52:13.04 ID:TAjNmnz/
蛇キモ姉の尻尾の先をを子供の頃にしゃぶってた事でからかわれたい。
594名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 19:19:32.11 ID:O8e6MpMY
>>593
はぁ?
595名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 19:36:11.07 ID:i/BtTn4Q
>>593
引くわぁ…
596名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 19:39:30.34 ID:TAjNmnz/
自分でも変態だったと思ってる
男は変態なんだ。
597名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 19:45:55.07 ID:qTC/FVyR
>>596
一緒にすんな
598名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 19:48:36.00 ID:BTUPjx2P
蛇妹ならともかく蛇姉なんてなぁ。
599名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 21:18:43.22 ID:fwCrkWNW
そうか? 保管庫のヘビお姉ちゃんは面白かった
600名無しさん@ピンキー:2011/05/17(火) 23:52:56.61 ID:S7eedWkO
>>593->>599この会話少し好きかも
601名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 00:31:57.03 ID:KwBPIT03
キモ姉が弟に惚れる時は何時?
@弟が欲しいと両親にせがむ。
A弟が産まれた時に惚れる。
B長く一緒にいて段々惚れてくる。
C弟の良い一面を見て惚れる。
602名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 01:07:10.71 ID:UJR7lHuU
蛇姉がいるならマングース妹がいてもいいはずだ
603名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 01:24:39.40 ID:dCb8YlLl
俺はむしろ蛇キモ姉の尻尾を無理矢理しゃぶらされたい
604名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 01:55:25.44 ID:5cmH8WBC
>>603
蛇キモ姉「性欲をもてあます。しゃぶれよ」
605名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 03:39:45.09 ID:z+shlzwu
>>602〜604
擬人化スレにでもいけば
606名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 08:03:06.64 ID:K0m1Yro2
>>605
スレの趣旨忘れてたわ スマソ
607名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 11:31:49.60 ID:HM4CUsS+
男―女―男のきょうだいで真ん中がキモ姉でありキモウトでもあるなんてどうだろ。
重度のブラコンがさらに倍に。
弟の風呂に凸したり兄のベッドに凸したり。
兄の入れ知恵で精通前の弟の寝込みを襲うとか。
いや、決してビッチではなく。
608名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 11:42:35.89 ID:KwBPIT03
>>607
兄弟で押し付けあうのか。
兄「どうぞどうぞ」
弟「遠慮しないでそちらこそどうぞ」
609名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 12:20:15.15 ID:fME7X349
男が複数ってのは無しだな。
わりと真剣に。
610名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 13:17:11.43 ID:fA3JVMyL
>>607
他行って下さいね^ ^
611名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 15:38:17.28 ID:zUoewnNt
何て言うか、それだとただの禁忌萌えの女性に成り兼ねなくないか?
自分の嗜好が過激なだけかも知れないが、兄弟に付く虫は排除しといて自分は兄弟両方独占したいってのはよっぽど上手く話を作らないと難しい気がする
612名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 16:05:59.20 ID:kOi+v1Ri
兄←双子姉
弟←同妹

で年齢は兄、双子、弟の順にすればいい
613名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 16:50:09.68 ID:uVTwIAjQ
>>612
    /\___/ヽ
   //~    ~\:::::\
  . |  (・)   (・)   .:|
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|   は?
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::|
   \  `ニニ´  .:::::/
   /`ー‐--‐‐―´\
614名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 17:17:32.49 ID:t5Jld5rs
>>612
なに言ってのコイツ?
615名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 17:42:50.16 ID:3cjoHQ+F
>>614

双子姉妹で

姉→兄
妹→弟

じゃね?
616名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 17:50:12.62 ID:Ktf/cCf1
>>612
女はひとりですよ。
617名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 17:50:18.31 ID:owBRY+3F
どっちにしろつまんねぇ
618名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 18:38:16.43 ID:NHxO06qB
何か昨日今日と急に殺気だってるのが増えたな
619名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 18:45:29.35 ID:jFpUI54T
>>618
現実で目標に逃げられて荒れてんだろ
察してやれ
620名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 19:42:52.20 ID:4vk4Olt9
>>619
現実で目標に逃げられて荒れてんだろ(キリッ)
察してやれ


621名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 20:49:43.05 ID:m+ELBnjI
煽ってもろくなことにならないんだからやめれ
622名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 21:08:57.42 ID:+ioM7c09
>>621
なんかすまんかった
623名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 21:51:16.09 ID:h/oYapM1
このスレ見た瞬間ヤンデレスレと間違えたかと思った
624名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 22:15:29.86 ID:h/oYapM1
ん?俺書き込みおかしいな。
ごめん無視して
625名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 23:58:24.95 ID:0uT1GiA1
そろそろ作品依頼してもいいのかな?
このスレは優しい人ばっかだし
sisterの時みたいにだれ書いてくれぬかね?
626名無しさん@ピンキー:2011/05/18(水) 23:59:59.43 ID:h/oYapM1
そろそろっていったい何を待ってたんだ?
627名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 02:59:11.35 ID:XyaBTeI9
また、調子乗りました。
まだ、キモウトぶり出せてません。

投下します
628カオスワールド:2011/05/19(木) 02:59:49.48 ID:XyaBTeI9

「ざ〜んね〜んしょ〜う!!!」


数多の死者が横たわっている戦場の地で、場違いなふざけた声が聴こえる。

「公国ミノウの大将軍も所詮はこんなもんか。」
「………っ。」

場違いな男は、唯一の生き残りであり、先程まで闘っていた男を見下しながら、また告げた。

「死ぬのは怖いか?
痛みは苦しいか?
俺が憎いか?
自分が憎いか?
この世界が憎いか?」
「……早く殺せよ……」
「ほう…死ぬのは怖くないのか?」
「戦場で死ねるなら本望だ…」
「ハハハハハハハハッ!」

突然笑い出す男。

「ならば、お前にはまだ屈辱的な生き方してもらう!」

男が右手を挙げると、天から禍々しい黒い空間が現れた。

「……何のつもりだ…」
「お前には、半永久的に俺の駒になってもらうよ。」

空間から無数の手が、横たわっている男を掴み、あっという間に大将軍と呼ばれる男は禍々しい黒い空間の中に引きずり込まれた。
そして、空間は最初からなかったかのように消えてしまった。


血生臭い戦地で一人ポツンと立つ男。
先程までのテンションは何処かに行ってしまい、その場で座り込む。

「…全てはハリマのために…か……」

この戦地でまた数千の尊い命が消えた…





629名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 03:00:50.94 ID:BzyEgn4Y
あと二ヶ月もすれば海開きか。キモウトの水着デビューは近い
630名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 03:03:28.43 ID:BzyEgn4Y
>>627
投下中か、大変申し訳ない
631カオスワールド:2011/05/19(木) 03:05:07.62 ID:XyaBTeI9
帝国ハリマ

今から600年前に世界を統一した超大国。
まだ魔法も存在せず、魔物やエルフなども存在しない時代に、人間が世界の歴史を造り上げていた最盛期に一番輝いた国が帝国ハリマでした。
しかし、所詮魔法も使えない人の集まり。突如現れた異形な化け物たち、今でいう魔物たちに惨敗し世界統一から、わずか5年で滅ぼされました。

魔物の出現により、人間は絶滅の危機まで追われましたが、魔物たちに対しての唯一の対抗法、魔法の獲得により絶滅の危機は免れました。
それから600年の年月が経ち、世界は混沌としています。

『カオスワールド』

これが今の世界の現状です。

〜〜〜〜〜

「燈(あかり)、依頼だぞ。」

久しぶりに歴史の書を読んでた最中に兄である、一(かず)兄さんから依頼の要請を伝えられた。

「Cランク以上の!?」
「Fランク依頼だ。」

ここで少し余談。
私こと燈、兄の一兄さんはギルドという何でも屋をやっています。
昨年開業したばかりなので、まだまだ赤字続き営業だけど頑張っています。
一兄さんは魔法にあまり恵まれず、仕事は大体雑務担当。
身体能力も並以下なので、まさに凡人。
私は逆に恵まれ、そんじょそこらの方たちよりは断然に勝る身体能力と魔法を持っています。
しかし、そんな力を持っていても依頼が低すぎるせいで全然活かしきれず。

私の両親についてですが、これは一兄さんが私に内緒にしているため生きているか死んでいるかもわかりません。

両親の顔も知らない私。だから物心がついた頃から一兄さんだけが頼りでした。だから私は一兄さん大好きです。

「今回も依頼内容は司(つかさ)さん家の猫探しだ。」
「またですか……」

今日も依頼頑張ります……

〜〜〜〜〜

依頼の猫探しも終わり、事務所兼我が家に戻る私と一兄さん。

「今日はいつも以上に疲れたな…」
「一兄さんが体力ないだけですよ。」
「酷い!」

家に着くと、今週は一兄さんが食事当番のため、台所へ。
私は体を洗うため、洗面所へ。

「まだまだ大きくならないな…」

風呂に浸りながら、自分の胸を揉んでみる。
愛しの一兄さんは巨乳好きのため、私は胸を大きくするために毎日毎日牛乳を飲み、たまにこうして揉んでいる。
632カオスワールド:2011/05/19(木) 03:06:20.94 ID:XyaBTeI9

本当は一兄さんに揉んでもらいたいが、流石に頼めないので、虚しく自分でやっています。
後、一兄さんには巨乳になった胸を揉んでほしいという、Hな希望もあります。

風呂から上がり、食卓には一兄さんの料理が並べられているので、二人で食事に。

「今日はシチューだ!!」
「たくさん食べろよ。」

夕食は私の好きなシチューが出ました。
流石一兄さん!大好きです!


私がシチューに夢中になってる時、ふと一兄さんが最近の出来事を語り始めました。

「そーいえば、公国ミノウの轟(とどろき)隊が全滅したってな。」
「轟ってミノウの大将軍ですよね!?」
「だから、オワリに救援要請をしてきたんだよ、ミノウが。」

公国ミノウは私達のいる共国オワリとの同盟国です。
そして公国の轟と言えば、魔物の中でも最上級のドラゴンを一人で倒した、人間界の中では英雄の中の英雄です。
他にも多くの戦歴の持ち主です。

「そんな強い魔物が現れたのですか……」
「多分な……

それで、だ!」

少し間が空き、再び話す一兄さん。

「公国ミノウへの救援部隊としての依頼がきたんだよ!」
「それって!?」
「いつものFランクじゃなく、ギルド開業以来のAランク依頼だ!」


そして今日の夕食はいつも以上に盛り上がりました。

もちろん、後で苦情は来ましたよ。
633名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 03:08:22.82 ID:XyaBTeI9
>>630
大丈夫です

終わりです。
読みづらい文章かもしれませんが、日々昇進していきたいです
634名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 13:55:21.16 ID:Lm0qgWgL

ファンタジー系とは新鮮だね期待
635名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 21:10:22.54 ID:mEA6KqFx
超有能な妹が凡人兄貴にメロメロなのって萌えるねぇ
ファンタジーだけど名古屋ですな
636名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 23:15:49.45 ID:+Fi3Smvz
双子姉の妹の方の胸だけ揉んで
胸の大きさに差異が出るのか実験したい
637名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 23:22:20.14 ID:W+n3dfdS
>>636
弟が揉んだら姉が我慢できずにレイプするから
揉まれると胸が大きくなる。
638名無しさん@ピンキー:2011/05/19(木) 23:44:15.14 ID:6DKyqPIn
胸が大きくなるのは揉まれたからではなく、弟のなにを挟んで上下するから…ん?挟むぐらいならすでに大きか
639 ◆wBXWEIFqSA :2011/05/20(金) 03:13:32.23 ID:Qja/8Qgz
こんばんは
>>469の続きを投下します。
エロ有りです
640狂依存 174:2011/05/20(金) 03:14:13.04 ID:Qja/8Qgz
「うっ……」
あれから、何度も麻由お姉ちゃんと交わった後気を失い、目を覚ますとまたあの屋根裏部屋に閉じ込められていた。
折角ここから出れたと思ったのに、やっぱりまだ出す気はないらしい。
枕元に置いてあった携帯電話で日付と時間を確認すると、既に日曜の早朝であった。
どうしよう?
とりあえず、この麻由お姉ちゃんに電話して呼び出してみるか。
トゥルルルル……
「あら、起きたの。待ってて。今、朝御飯作って持っていくから」
「あの、麻由お姉ちゃん……」
ブツ……
切れちゃった……。
その後も何度か発信ボタンを押したが、電源を切ってしまったのか繋がらなかった。
仕方ない、来るまで待とう。
それより沙耶さんだ。
どうして今になって、あんな事を言い出したんだろう……?
両親に怒られて目が覚めたって言ってたけど、あの人がそのぐらいの事で急に心変わりするだろうか?
今までの態度から考えてみると、どうも信じられない。
いや、それを言ったら、今でもあの人が僕の事をあそこまで好きだって言うのも信じられないんだけど……。
もしかして、何か悪い霊にでも憑りつかれたんじゃないかとすら思っている。
僕にとっては、それぐらい唐突な事だからだ。
「う〜〜ん……とりあえず、会ってもう一度話をしてみたいけど……」
もしかしたら、何かの罠かもしれないけど、何とかして沙耶さんの真意を確かめておきたい。
今まで散々、酷い事をしてきちゃったし、もし昨日の沙耶さんの謝罪が本当だったら、僕も何かお詫びをしなきゃいけない。
昨日はあんなに泣いていたし、もしかしたら……。

「待った?はい、御飯を持ってきたわよ」
沙耶さんの事をあれこれ、考えてると麻由お姉ちゃんが朝食を持ってきた。
そうだ、まずはこの状況を何とかしないと……。
「秋刀魚の塩焼きと納豆とわかめの味噌汁作ったけど、これで良かった?」
「うん……」
お盆に載せた朝食を床に置いて、僕の隣に座る。
そう言えば、昨日は一食しか食べてないんだっけか……。
「何か食べたいものがあったら、いつでも言ってね。何でもすぐ作って持っていってあげるから」
「ねえ……本当にこんな生活続ける気じゃないよね?麻由お姉ちゃんも僕も学校行かなきゃいけないんだし、僕だってこんな所にずっといたくないよ」
「私とするときは、私のベッドでやっても良いわ。でも、それとお風呂に入る時以外はここで過ごしなさい。そうでもしなきゃ、あの犯罪者からあなたを守れないわ」
「犯罪者って……沙耶さん、昨日あんなに謝ってたじゃないか。そりゃ、すぐには信じられないかもしれないけど……」
「いくら、謝ったって許す気は無いわ。それに、あんなの嘘泣き以外有り得ないじゃない。大丈夫。お姉ちゃんが守ってあげるから……」
体を擦り寄らせて、甘えるような声で迫ってくる。
冗談じゃない。こんな所でずっと過ごすなんて耐えられない。
「麻由お姉ちゃんもいい加減にしてよ。こんな暗いところでずっと過ごすなんて考えたら、気が狂いそうだし、学校にだって行きたいんだよ。もうすぐ卒業だし、受験だって控えてるんだから」
もしこのままずっと閉じ込められて学校にも行けないようになったら、一生を台無しにされてしまう。
「あら?良くそんな偉そうな事が言えるわね。あなたを自由にして、沙耶と会わせたら、またあの女を抱いちゃうじゃない」
「そ、それは悪かったと思ってるけど……」
「そう言っておいて、いつも会うたびにあの女とやってるわよね。本当にイケナイ子なんだから……お姉ちゃんの体だけで満足しなきゃ駄目じゃない……」
後ろから抱きつき、耳元をしゃぶりながら、囁く
「だから、沙耶さんもああ言ってるんだし、もう終わりにしても良いじゃない」
「駄目よ。あいつの言ってる事を信じてる内はここから、出ることは許さないわ。学校も休みなさい」
「無茶を言わないでくれ!何日も学校を休んだら、お父さん達にだって怒られるだろ。麻由お姉ちゃんだってずっと家にいられる訳じゃないだろ。お願いだから、学校には行かせて。家ではずっとここで過ごしても良いから……」
「あの女とはいつも学校帰りに会ってるわよね。それじゃあ、駄目ねよ。あなたの事だから、家に出したら沙耶の所に言って、昨日の事を聞きに行くつもりなんでしょ。そこであいつとまた抱かれたら、お姉ちゃんもう嫉妬でどうにかなりそうだわ」
「会って話しをするだけだよ。どうしても信用できなきゃ、一緒に行こう。一人では沙耶さんとは会いに行かないようにするから」
641狂依存 175:2011/05/20(金) 03:14:52.67 ID:Qja/8Qgz
「あの女から会いに来て、強引に引っ張ってこられたら、どうする気?どちらにしろ、一人で自由に外に出すのは許可できないわ」
「そ、それは……」
その後も何とかここから出してもらうよう、麻由お姉ちゃんを説得してみたが、一向に聞き入れて貰える気配は無かった。
確かにも沙耶さんと関係を何度も持っちゃった僕も悪いから、あまり強くは言えないけど、こんな生活いつまでも続く訳無い。
何より、麻由お姉ちゃんだって困るはずだ。
どうする?そうだ……。
ちょっと恥ずかしいけど、この手を使ってみるか。
「じゃあ、もう良いよ。出してくれないなら、麻由お姉ちゃんの事を抱かないから。沙耶さんとの事も好きにさせてもらうよ」
言ってて少し恥ずかしくなったが、本気だ。
言うことを聞いてもらえない以上、もう麻由お姉ちゃんを抱く気にはなれない。
「わかったら、これ下げてここから出てって。しばらく顔も見たくないから」
まだ少し残ってた朝食のお盆を麻由お姉ちゃんに差し出し、部屋から出るよう促す。
そう言うと、麻由お姉ちゃんは俯いたまま、しばらく黙っていた。
怒っちゃったかな……?いや、それでも構わない。
「早く出てってよ。しばらく一人になりたいんだから」
更に強い口調で退室する様に迫り、麻由お姉ちゃんに背を向けて机に向かう。

「生意気言ってんじゃないわよ……」
「え?うわっ……!」
麻由お姉ちゃんは低い声でぼそりと呟いた後、僕の腕を掴んで押し倒した。
「ちょっと、離してよ……!」
必死で腕を振って抵抗するも、麻由お姉ちゃんは力づくで押さえ込む。
「いい加減にしてくれ!ここから出してくれなきゃ、やらないって言ってるだろ。いいから、離れて……」
「大人しくしなさい!!」
ぱんっ!!
「なっ……」
それでも抵抗を続けると、麻由お姉ちゃんは鬼のような形相で怒鳴って、頬を平手打ちし跨ってキャミソールの肩紐を解いて、胸元を露にする。
「私がしたいんだから、あんたは黙ってなさい。これはお仕置きも兼ねてるって言ったでしょ。あなたの意思なんか関係ないわ」
「関係ないって……いくらなんでも、勝手すぎるだろ……!こんな扱いされて、我慢できるわけ……」
ブスッ
「え……?」
跨ってる麻由お姉ちゃんをどかすため、体を起こそうとしたら、ふいに肩に何か突き刺された痛みを感じた。
「え?な……」
痛みがした右肩を恐る恐る見てみると、カッターナイフが肩の付け根部分に突き刺さっていた。
「黙ってなさいって言ってるのがわからないの?でないと、もっと大変な目に遭わせるわよ」
「な、なっ……」
「くすくす……ちゅるっ、れろっ、んふっ……!」
何が起こったのかわからず、しばらく呆然としていると、麻由お姉ちゃんはカッターを抜き、肩の傷口に思いっきり吸い付いてきた。
「ふんっ……ちゅっ、んちゅっ、れろ……ん、んっ……ちゅっ、んちゅうっ……」
まるで血を吸い取るかの様に吸い付いたり、舐めたりして、肩の傷口を口で弄くり回す。
傷口の痛みと同時に、麻由お姉ちゃんに吸い付かれた時の心地良い感触が、何とも表現しがたい気分にさせる。
「むっ、んちゅ、むちゅうっ……はぁっ……ああ……これが愛する人の血の味なのね……」
「良い子だから、ちゃんとお姉ちゃんの言うことを聞かないと駄目よ……でないと、あなたの愛する麻由お姉ちゃんはもっと狂っておかしくなっちゃうんだから……ちゅっ……」
唇にこびり付いてた血を舐め取りながら、虚ろな目をして微笑み、顔を近づけて頬にキスをした。

「あ、あ……何でこんな……」
「ん?この前言ったでしょ。あなたがこの世で一番大好きな麻由お姉ちゃんは狂ってしまったの。あなたを愛して、あなたのち○ぽを嵌めて、ヨガリ狂う事でしか喜びを見出せない女になったのよ」
「……」
傷口に絆創膏を貼り付け、恍惚そうな声で頬を体に擦り寄らせながら、語りかける。
「ふふ……そんな顔をしたって、もう昔の私に戻りはしないから、安心して。さ、夕べの続き行くわよ……よっ、はむ……」
ズボンを引きずり下ろして、肉棒を手に取り口で咥えてしゃぶり始める。
もう何も言う気が起きず、ただ麻由お姉ちゃんにされるがままに身を委ねた。
「はふっ、ん、んちゅっ……ふっ、んん……ちゅるっ、んちゅっ、んく……」
642狂依存 176:2011/05/20(金) 03:16:00.56 ID:Qja/8Qgz
「ちゅっ、ちゅぷっ……れろっ、こんなに大きくビクビクさせちゃって……あんな目に遭わされたのに、本当に私とエッチな事するのが大好きなのね……ちゅ、むちゅ……」
「……こんな事して、本当に嬉しいの?」
気の無い声を出してそう語りかける。
「ええ、楽しいわ。あなたのおち○ぽを穴という穴にくわえて、しゃぶるのが今の私の最高の幸せよ。それ以外の事で麻由お姉ちゃんを満足させる事など出来はしないわ。ん、れろっ、ちゅっ、ちゅぷ……」
再びち○ぽを口にして、竿の部分をゆっくりと焦らす様に吸い、舌で玉をコロコロさせて弄ぶ。
こんな絶望的な気分の最中でも、麻由お姉ちゃんの口と舌で弄ばれた肉棒はどんどん勃起していき、絶頂寸前に追い込まれた。
「ん、ちゅっ、ちゅるっ、ちゅぷっ、じゅるっ、ん、んふっ……れろ、ん、んちゅっ、ほら……さっさと飲ませなさい……ちゅっ、ちゅる……」
麻由お姉ちゃんはスロートを一気に速めて、射精に追い込む。
その巧みな舌使いがもたらす快楽で、肉棒は爆発寸前になった。
「ん、ちゅるっ、ん、じゅるっ、ん、んん……ちゅるっ、ん……ちゅぷっ、ちゅるっ、じゅるっ、んぷ……」
びゅくっっ!!びゅくるるるっっっ!!!
「ん、んんっ……ん、んくっ……ん……はぁっ……思ったより少なかったわね……ちゅっ、ちゅぷ……」
口内で一気に吐き出された精液を満足そうな表情で飲み込み、こびりついていた残りカスを舐めとる。
「ん、ちゅっ、んちゅ……ほらあ……もっと、お姉ちゃんにち○ぽミルク飲ませてえ……」
「もう良いだろ……」
「ん?」
「麻由お姉ちゃんが僕の事、本当に玩具みたいにしか思ってないってのが良くわかった。こんな扱いされて、我慢できる訳がない。これで満足したなら、早く出てって」
麻由お姉ちゃんは肉棒を手で掴みながら、何を言ってるのかわからないと言うようなキョトンとした表情で僕を見つめる。
その目を見て、益々怒りが湧いてきた。
「早く出てけって言ってるだろ!いつも勝手な事ばかりしやがって!!もう、麻由お姉ちゃんの事なんか嫌いだ!」
「……そう」
麻由お姉ちゃんの体を突き飛ばして思いっきり怒鳴ると、俯いたまま掴んでいた肉棒を離し、服装を整えて部屋を出た。
「あ……」
その様子を見て少し罪悪感が湧き、しばらくその場から動けなかった。
言いすぎちゃったかな……?
でも、こんな所に監禁されて好き放題されるのは正直我慢出来ないし、これで少しは考えを改めてくれると良いんだけど……。

「はぁっ……」
あれから、何時間経ったのか。
気を紛らわす為に部屋に置いてあった漫画や本を読んだり、勉強したりしたが、一向に麻由お姉ちゃんの事が頭から離れなかった。
あんなに悲しそうな表情をした、麻由お姉ちゃんは久しぶりに見たかもしれない。
つい、カッとなって怒鳴っちゃったけど、あそこまで言う事はなかったかも……。
一応、僕を喜ばす為にやっていたんだよな……?
でも、こんな所に閉じ込めておいて僕を喜ばすも何もないか。
「うう……ここから、出してさえくれれば……」
そうすれば、麻由お姉ちゃんにあんな事言わずに済んだ訳だし、今頃部屋で……。
そうだ、携帯で呼び出して……いや、まだもう顔も見たくないみたいな事言っておいて、半日も経ってないのに、泣きつくような真似もちょっとな……。
「……」
一応、話をしてみるか。
携帯電話を手に取り、麻由お姉ちゃんを呼び出してみる。
「ん?出ないな……」
何処かに出かけたのかな?
床も叩いてみたが、反応は全く無いし、入口もしっかり金網が張られて出られないようにんっている。
まあ、買い物とかにもいかないといけない訳だし、家にずっといられる訳じゃないか……。

「お疲れ様でーす」
いつもの様にバイトを終え、家路に着く。
いや、その前に大輝の家に行って、麻由ちゃんの魔の手から解放してあげないと。
本当にずるいよ。お姉ちゃんだからって独り占めしようとするなんて。
私だって、自分だけの物にしたいのに……。
麻由ちゃんの監禁から救い出したら、きっと沙耶の事も……。
「へへ……ようやく、私が一番の女になるんだよね」
大輝の事を虐める麻由ちゃんなんか、二号さんで十分だ。今、行くからね……。
おっと、早速未来の二号さんが来たか……。
私が家に来ることを見越して、待ち伏せしてたみたいだね。
643狂依存 177:2011/05/20(金) 03:17:04.65 ID:Qja/8Qgz
「ま、麻由ちゃん……どうしたの……」
沙耶のバイト先の付近で待ち伏せして、鉢合わせる。
どうせバイトが終わった後、大輝を奪いに家に来ると思ってたが、一応逃げ出さない様に近くで待ち伏せしておいた。
いかにもわざとらしく、済まなそうな顔をしてるのを見て、余計に腸が煮えくり返る気分がした。
「ちょっと、話があるわ。ついてきて」
「うん……」

「お邪魔します……」
沙耶を自宅へ連れて行き、中に入れる。
家に連れてくる間、二人とも何の会話もせず、ただ黙って歩いていた。
「ねえ、大輝は……?」
「さあ……何処かに出かけたみたい」
「そう……」
辛そうな顔をして俯き、私から視線を逸らす。
「麻由ちゃん……本当に今までごめんね。麻由ちゃんにも大輝にも辛い思いをさせちゃって……許してもらえるとは思ってないけど、悪かったと思っているのは本当だから……」
「だから、大輝の事は許してあげて……私はどうなっても良いから……お願い……」
「いつまで、そんな下らない猿芝居を続ける気?そうやって反省する振りをして、大輝を油断させて、私から奪うつもりなんでしょうけど、そんな手が私に通用すると本気で思ってるわけ?」
「猿芝居なんて、酷い……。ううん、そう思われても仕方ないよね。でも、私の事はともかく、大輝の事は怒らないであげてよ……大輝は全然悪くない。私が全部悪いんだから……ね?」
と、涙を流しながら必死で反省してる振りをして、私に大輝を解放する様に訴える。
自分の猿芝居がバレてるのなんかとっくの昔に気づいている癖に、尚もこんな泣き真似を続ける糞女の神経に少し感心してしまう。
「ええ、別に大輝に怒ってなんかいない。全部、120%あんたが悪いと思ってる。でもあんたが余計な事をしたせいで、私と大輝の夫婦生活は滅茶苦茶になったわ」
「だったら……」
「そうね……あんたが本当に反省しているというなら、それを証明してみなさい。ほら」
そう言って、あらかじめソファーの後ろに置いてあった物を取り出し、沙耶に差し出す。
「これは……?」
「見てわからない?ロープとナイフよ。何でもするって言ったわよね?なら、それを使ってさっさと死になさい」
「ええ……!?」
「何、驚いているのよ?昨日、自分で殺されても構わないって言ったわよね。だから、その言葉を信じて、せめてもの慈悲で、あんたに自分で死ぬ権利を与えてやるわ」
「首吊りを選ぶか、ナイフで頚動脈を切るか……ああ、電車に飛び込んだり、屋上から飛び降りるとかでも良いわよ。苦痛が少ない死に方を選んで良いわ。ほら、早くなさい」
畳み掛けるように、沙耶に自害する様に促す。
もちろん、脅しなんかじゃない。本気だ。
こいつが自分で死んでくれれば、私と大輝は何の障害も無く、結ばれて永遠に幸せに暮らせる。
今頃、大輝は私が電話に出ないので、一人で胸が張り裂けそうなくらい寂しくて不安な思いをしている事だろう。
『麻由お姉ちゃん、さっきは怒鳴ったりしてごめんなさい。早く僕の所に来てエッチしよう』って思ってるに違いない。
待っててね……もうすぐ、行くから……。

「うっ……そっか……わかったよ」
少し考え込んだ後、机に置いたロープを手に取り、辺りを伺う。
そして、リビングのドアノブにロープをかけて、首に巻きつけた。
まさか、本当に死ぬ気か……?いや、それならそれで一向に構わない。
そのまま、早く死ね。
お前なんかに何の未練も無い。

「ねえ、死ぬ前に一つだけお願いがあるんだけど、いいかな?」
「何?一応、話だけは聞いてやるわ」
「もう一度、大輝と会わせて欲しいの……会って、ちゃんと謝りたいから……。信じてもらえないかもしれないけど、私が今でも大輝の事、愛してるの。だから、せめて最期に顔だけでも見させて……」
首にロープを巻きつけた所で涙を浮かべ、私にもう一度大輝と会わせろと訴えかけてきた。
「ふーん……わかったわ」
「それじゃあ……!」
「そんなに早く死にたいんだ。良いわよ、手伝ってあげる」
「え……?あっ!がはっ……!」
沙耶の所に近づき、首に巻きついてあったロープを一気に締め付ける。
この女、やっぱり本気で死ぬ気は無かったみたいね。
644狂依存 178:2011/05/20(金) 03:18:50.79 ID:Qja/8Qgz
「おら、早く死ねよ。あんたが死ねば全ては解決するんだ」
「あっ、がっ……はぐっ……」
沙耶は必死でロープを手に取り、歯を食いしばって抵抗する。
早く……早く、くたばれっ!!
「ぐっ……あっ、がっ……」
更に強く締め付けると次第に顔色が悪くなり、抵抗も弱まってきた。
ふふ……やっと、私達に安息の日々が……
バンっっ!!!
「っ!!??」
突然、足に強烈な電流の様な衝撃が走り、その場に倒れこむ。
一体何が……?
バンっっ!!
「あっ……!」

「はぁ……はぁ……げほっ……!」
ギリギリ間に合ったか……。
麻由ちゃんが気絶したのを確認し、手に持っていたスタンガンをポケットにしまう。
もう少し出すのが遅かったら、本当に死ぬところだった。
「くすくす……まさか、こんな物を持っていたとは思わなかったみたいだね」
予定ではバイトが終わったら大輝の家に行き、もし中に入れてくれなかったら、これで威嚇して強引に入るつもりだったのだが、ちょうど麻由ちゃんがわざわざ迎えに来て中にまで入れてくれたのでその必要もなくなった。
「くっ……」
おっと、モタモタしている暇は無い。早く大輝を探しに行かないと。
違法ギリギリの強力なスタンガンとは言え、そう長く気を失っていられる訳ではない。
念のため、倒れている麻由ちゃんを体育座りの様な態勢にし、ロープで手首と足首を繋げて縛って動けなくしてから、リビングを出て大輝を探しに出る。
「えっと、まずは二階を探してみるか」
大輝の部屋には……いない。麻由ちゃんの部屋も見てみたが、いないな……。
「うーん……何処だろう?家にはいないのかな?……っ?」
麻由ちゃんの部屋で考え事をしていると、何か音楽が聞こえたので机の上を見たら、携帯の着信音が鳴っていた。
何だ麻由ちゃんのか……。
一応携帯を開いて見てみたが、私の知らない人からの電話だったのでそのまま置いて無視した。
ちょっと、1階も見てみるか……。
どんっ!!
「っ!?」
1階を探そうと部屋を出ようとしたら、突然天井から何か叩いた様な物音がした。
な、何かいるの……?
どんっ!!どんっ!!
また物音がしたので、ふいに天井を見つめる。
「見−つけた」
ああ……ダーリン……こんな所に閉じ込められてたんだね。
そうか、さっきの電話やっぱり大輝からだったのか。
可哀想に……今、未来の妻である私が助けてあげるからね。
さて、何処から入るのかな……ここかな?
押入れを開けるとダンボールがびっしりと詰まっていた。
なるほど、こうやって入口を塞いで中から出られないようにしていた訳か。
ダンボールを一つ、一つどけて中を見ると、押入れの天井に金網の様な物が取り付けられていた。
ずいぶんと厳重に塞いであるんだな……。
金網を引いて外し、取っ手を回して押すと扉が開いた。
ああ……やっと、大輝に会える……。
そう胸を躍らせながら、天井裏に入り込んだ。

「麻由お姉ちゃん?良かった……何処かに出かけてたの?」
「大輝……ここにいたんだね……」
「へっ!?その声は……?」
私が声をかけると、大輝は驚いて懐中電灯を私に照らす。
その光が眩しくて一瞬手で目を遮ったが、すぐに私である事を確認させる為、手をどけて大輝に目を向けた。
「ええっ!?な、何でこんな所に……?」
蝋燭とデスクライトで薄暗く照らされた部屋でも良くわかるぐらい目を丸くし、固まった表情をして驚いている。
645狂依存 179:2011/05/20(金) 03:19:59.04 ID:Qja/8Qgz
「そんな事は良いから、早くここを出よう。ね?」
「えっ、あっ……いや……」
状況が飲み込めず固まっている大輝の手を引き、強引にこの屋根裏部屋から一緒に出て、大輝の部屋へと連れて行く。
「い、一体どうしたんですか?ま……ね、姉さんはどうしたんです?」
「どうしたも何も、大輝に謝りに来たんだよ。どうしてももう一度今までの事を直接謝りたくて……」
「うっ……えぐっ……本当にごめんなさい……私のせいでこんな目に遭わせちゃって……」
「い、いや……それはもう良いですから、何で家にいるんですか?姉さんも家に居るんですよね?」
「ん……麻由ちゃんは今、下に居るよ。どうしても謝りたくて、無理言ってここの場所を教えて貰ったんだ。本当にごめんね……」
「沙耶さん……」
嘘泣きしながら大輝に抱きつき、頬をスリスリさせながら、今までの事を謝る。
ああ……久しぶりの大輝の温もり……これだけでイっちゃいそう……。
もし、これが嘘泣きだって知ったら大輝はどう反応するだろうか?
怒って、沙耶を押し倒して滅茶苦茶に犯しちゃうかもしれないね。
ああん……想像しただけで濡れてきちゃう……今すぐ嘘って言っちゃおうかな……。
「うっ……えぐっ……本当にごめんね……ごめんね……」
「あ、あの……本当にもう良いですから……僕の方こそ、今まで沙耶さんに酷い事しちゃって本当にごめんなさい……お詫びに僕が出来る事なら何でもしますから……だから、本当にごめんなさい……」
大輝も本当に済まなそうな顔をして、私に今までの事を謝る。
何でもか……じゃあ、沙耶と一緒に婚前旅行にでも連れてってもらおうかな。
いや、いっそ麻由ちゃんの目の前でセックスして私達が愛し合ってる所を見せ付けてやるのもいいかも……。
「うっ……謝らなくても良いよ……大輝は全然悪くないんだから……」
「何、やってんの……!」
む?もう、来ちゃったか。
もう少しこうしていたかったのにな……。

「え……?」
地獄の底から出てきた様な低い怨念を篭った声が聞こえてきたので、顔をあげたら、麻由お姉ちゃんが鬼の様な形相をして僕達を睨み付けて、迫ってきた。
「ちょっ……どうしたの、一体……?」
「早く、大輝から離れて……」
「ま、麻由ちゃん……」
その異様な様子に恐れおののいたのか、沙耶さんが僕の腕にしがみ付き、後ろに隠れる。
「いいから、落ち着いて……ね?」
「待っててね、あなた……今、そこにいる害虫をお姉ちゃんが始末してあげるから……」
「害虫って……沙耶さん、こんなに謝ってるんだから、もういい加減許してあげてよ。僕も悪かったんだし、沙耶さんだけが悪いわけじゃないんだから…」
「離れろって言ってるのが聞こえないのっ!!殺してやる……殺してやる……!」
「……!」
麻由お姉ちゃんがナイフを手に持って、沙耶さんに迫ってきた。
「あなたあ……早くどいてえ……その女をこの世から、葬り去らないと私達に幸せは来ないの……だから、そこをどいて……」
「いいから、そのナイフを置いてっ!!」
ど、どうする……?何とか沙耶さんを逃がさないと……。
「こんなに謝ってるんだから、もう終わりにしたって良いだろ。とにかく、そのナイフを置いてくれ」
「殺す……絶対に殺す……殺す……!」
「ナイフを置けって言ってるだろ!」
「あんっ!」
そう叫んだ後、とっさに麻由お姉ちゃんの手を掴み、ナイフを振り落とす。
「お願い……離して……!もう我慢できないの……そんな、泣いてる振りして私達をおちょくって面白がってるその女がもう許せないの!」
「だからって、こんな真似して何になるんだよ!とにかく、そんな物騒な物を振り回すのは止めてくれっ!!」
「もう、止めてっ!!」
僕と麻由お姉ちゃんが取っ組み合いをしている最中に沙耶さんが前に出てきて、僕達の間に割って入った。
「今回の事は全部私が悪いの……だから、大輝も麻由ちゃんも悪くない……だから、こんな事はもう止めて……」
沙耶さん……。
「この女、まだ……!」
「沙耶さん。もうわかりましたから、今日は帰って下さい。何があったか知らないですけど、これじゃ話が進みません。姉さんも少し頭を冷やして……ね?」
こんな状態では沙耶さんがいると、麻由お姉ちゃんから話を聞くことも出来ない。
とにかく、沙耶さんをここから逃がして麻由お姉ちゃんから遠ざけないと……。
646狂依存 180:2011/05/20(金) 03:21:11.02 ID:Qja/8Qgz
「うん、わかった……今日はこれで帰るね。でも、一つだけお願い。麻由ちゃん、大輝はもう許して自由にしてあげて。それが約束出来ない様なら、私も引き下がれないから」
「消えろよ……」
「麻由ちゃん!」
「いいから、さっさと消えろっっ!!私達の前から永遠に消えうせろっ!!」
「……」
僕にしがみつきながら、麻由お姉ちゃんがそう叫ぶと沙耶さんは黙って部屋から出てそのまま家を出た。
とりあえず、最悪の状況は脱したか……。

「麻由お姉ちゃん……」
「うっ……うっ……」
沙耶さんが家を出た後も麻由お姉ちゃんは、しばらく何も言わず僕にしがみついて泣いたままだった。
落ち着くまでもう少しこのままにしとくか。
それにしても二人の間に何かあったのだろうか?
いきなり、沙耶さんがあの部屋に入ってきた時は心臓が飛び出るぐらい驚いた。
沙耶さんは麻由お姉ちゃんに場所を教えてもらったとか言ってたけど……。
麻由お姉ちゃんのこの様子では少なくともそれは嘘だろう。
これではしばらく何があったのか、二人から聞き出すのは無理だろうし、知らないほうが良いのかもしれない。
「ううっ……うっ……」
「落ち着いた……?」
「うん……ごめんね……」
「別に僕に謝る事はないよ」
ようやく泣き止み、僕から離れる。
何から話そう……?
「あなた……酷い事しちゃってごめんなさい……お姉ちゃん、どうかしてたわ……」
「僕の方こそ、さっきは怒鳴ったりしてごめんね。麻由お姉ちゃんは、僕の事考えてやってくれてたのに、あんな言い方しちゃって……」
「ううん……良いの。あんな事をされたら怒るのは当たり前なんだし、そんな事気にしなくて良いわ」
「ねえ、麻由お姉ちゃん……沙耶さんの事なんだけど、何かあったの?明らかに普通じゃなかったけど……」
「許せないのよ……あんな嘘泣きして、私から大輝を奪おうとしているあの女が……気持ちわかるでしょ……?あなたがあんな変質者に付きまとわれてるってだけで気が狂いそうになるのよ……!」
「それは……」
僕と麻由お姉ちゃんの立場を逆にして見れば、気持ちは痛いほど良くわかる。
麻由お姉ちゃんが変な男に付きまとわれて、無理矢理いやらしい事されたりしたら、僕だってその男の事を許せないし、下手したら殺してるかもしれない。
だから、一方的に責めるつもりはないし、僕だって沙耶さんと何度も関係を持ってしまったんだから僕だって麻由お姉ちゃんに恨まれても仕方はない。
わかってはいるんだけど、目の前でナイフ振り回して殺すなんて言われて黙っている訳にも行かない訳だし……。
「ねえ……」
「ん?何……んっ!んん……」
麻由お姉ちゃんは僕に声をかけると突然、僕に抱きついてキスしてきた
「ん、んちゅっ、ちゅっ……ん、んふっ……ねえ、お姉ちゃんの事、思いっきり抱いて安心させて……お願い……」
体を密着させて胸を押し付け、
「え……?でも……」
正直、そんな事する気分じゃないんだけどな……。
「じゃあ、私が気持ち良くさせてあげる。ほら……」
そう言うと、屈んで僕のズボンを引きずり下し、肉棒を露出させて乳房で挟み込みパイズリを始める。
「ん、んん……んちゅっ、ちゅっ……ん、ちゅっ、ん……」
すがりつく様な表情で、乳房を擦り、先端をキスして必死で僕を気持ち良くさせようと頑張っている。
元々こんな事されて喜ぶような気分ではなかったが、それでも豊満なおっぱいで持ち上げられるように擦られて、刺激されたち○ぽは段々と勃起してきた。
「ん、んん……ちゅっ、ん、んん……いっぱい、気持ちよくなってね……ん、ちゅっ、んん……」
毎度のことながら麻由お姉ちゃんのおっぱいがもたらす快楽に抗える事が出来ず、どんどん膨張していって、射精寸前にまで追い込まれていった。
そこまで必死にならなくても良いのに……。
「ん、ちゅっ、んちゅっ……ちゅっ、はむっ……ほら……早く出してえ……むちゅっ、ん、んん……」
麻由お姉ちゃんの舌使いと乳房の動きを激しくして、更に肉棒に快感を与えて行く。
段々と気分が乗ってきたのか、美味しそうに口で咥えてコロコロと舌でカリを刺激し、挑発する様な目線で僕を見つめ、それが更に欲情を刺激していった。
「ん、ぺろっ、ん、ちゅっ……ちゅっ、ん……ほら、早くう……ん、ちゅっ……」
「麻由お姉ちゃん、もう……」
もうイキそうだ……。
647狂依存 181:2011/05/20(金) 03:39:15.89 ID:/KyV8eff
「んくっ……良いわよ……さあ、早く出してえ……はむっ、
「ん、ちゅっ、ちゅぷっ……ん、んちゅっ、ちゅう……ん、んぷ……ちゅっ、んちゅっ…ん、んくっ……」
出る……!
どぴゅっっ!!どぴゅるるるるっっ!!
「ん、んふっ……むふっ、ん、んくっ……ん、んん……」
麻由お姉ちゃんの口内で一気に射精し、喉の奥にまで精液を流し込む。
麻由お姉ちゃんもしっかりと竿を押さえて、精液を飲み干している。
「ん、ん……はぁっ……ちろっ、ちゅっ……ほうら、まだまだ行けるでしょう……ちゅっ、ちゅるっ……」
残りカスを綺麗に舐め取り、亀頭をキスして色っぽい上目遣いで再び挑発する。
その舌使いと色っぽい視線で再び欲情を駆り立てられてしまった。

「ん、んふっ……ちゅっ、ひゃんっ!」
堪らず麻由お姉ちゃんを押し倒し、股を開いて既に勃起した肉棒を押し当てる。
「ああんっ……早く入れてえ……悪い事いっぱいしたお姉ちゃんのおま○こを好きなだけ犯しまくってえ……はっ、はあああああぁぁぁっっ!!」
リクエストに応えて、一気に挿入し腰を動かす。
最近は麻由お姉ちゃんが上になって入れて来たから、自分からやったのはしばらくぶりな気がした。
「はんっ!!ああっ、はんっ……良いわ……もっと…もっと突いてえ……!はんっ、やっ、はっ、ああああんっっ!!」
淫猥な声を上げて、腰を振り中を締め付ける麻由お姉ちゃんにますます興奮し、がむしゃらに子宮を突きまくる。
「はんっっ……あっ、凄い……!はんっ、気持ち良い……そこっ、あんっ、はっ……あっ、はんっ!!あっ、はあああんっっ!!」
「あんっ、もっとよ……もっと犯してえ……!お姉ちゃん、滅茶苦茶に犯しまくってえっ!!はんっ、やっ……あんっ!!」
腰を使って、ピストンを速めて中をひたすら責める。
麻由お姉ちゃんもそれに応じて、締め付けをきつくして腰を振るスピードを上げてきた。
「あんっ!!良いわっ!もう、あんっ!!駄目……!あんっ、あっ……あんっ!!はっ……はぐっ……あっ、あああっっ!!」
肉棒を突くたびに、結合部から愛液が飛び散り、それが堪らなくいやらしく感じてもっと欲情を刺激した。
そろそろイキそうだ……。
腰を手で抑えてラストスパートをかける。
「はんっ!!あんっ!!良いわ……早く出してえっ!あんっ……はっ、やんっ……あっ、あんっ!!はあっ!!あああぁぁぁっっ!!」
 
648狂依存 182:2011/05/20(金) 03:41:44.68 ID:60CBdz5G
「はんっ!!あんっ!!良いわ……早く出してえっ!あんっ……はっ、やんっ……あっ、あんっ!!はあっ!!あああぁぁぁっっ!!」
びゅっ!!びゅくるるるるっっ!!!
ほぼ同時に絶頂に達し、一気に膣中で精液を吐き出す。
麻由お姉ちゃんも足を僕の体に絡めて、逃がさないと言わんばかりに受け止めている。
「はっ、やんっ……はああああぁぁぁぁぁっっ……」

「はぁっ……はぁ……」
射精し終わった後、麻由お姉ちゃんの体に倒れ込み、しばらくの間お互い余韻に浸った。
「ねえ、大輝……」
「うん?」
「今日はごめんね……酷い事一杯して……痛かったでしょう?お姉ちゃん、どうかしてたわ……」
「い、いやそれは良いよ。大した怪我じゃなかったんだし。それよりも……」
「あの女の事なら、謝らないわ。あの女はどうしても許す事は出来ないの。わかってくれるわよね?」
「うん、気持ちはわかるよ。でももう終わりにしよう。沙耶さんだって、あんなに反省してるんだし」
「お願い……私の言うことを信じて。あいつは反省なんかしていない。私からあなたを奪って、私達の人生は滅茶苦茶にするつもりなのよ。だから……」
「麻由お姉ちゃん……」
確かに、急にあんな態度を取り始めたのはおかしいとは思う。
でも、嘘をついてるようにも見えなかったし……。
「大輝……お願い……私のそばから、離れないで……もうお姉ちゃんあなたなしじゃ、生きられないの……ずっとそばにいて……」
僕にしがみつき、すがるような声でそばにいてくれとお願いする麻由お姉ちゃん。
その様子を見て胸が締め付けられる様な気分が湧いてきた。
「大丈夫だよ……ずっとそばにいるから……」
麻由お姉ちゃんをそっと抱き寄せて、そう呟く。
こんな弱々しい麻由お姉ちゃんは初めて見たかもしれない。
それだけ、沙耶さんに取られるんじゃないかと不安に思ってたという事なんだろう。
こんな気持ちに二度とさせちゃいけないよな……。
「うん、ありがとう……」
麻由お姉ちゃんは嬉しそうに微笑み、僕の胸に頬ずりして甘えてくる。
その仕草が思わず見とれてしまうくらい、とても可愛らしい。
649狂依存 183:2011/05/20(金) 03:44:24.07 ID:KBnFab1T
「ほらっ……また、続きしよう……」
「うん……」
そうしてそのまま、二人が力尽きて寝込むまで抱き合った。
こんなに心地良く、麻由お姉ちゃんを感じたのは久しぶりかもしれない。
後は……沙耶さんだよな……。

「すー……」
寝ちゃったか……。
あれから思う存分愛し合った後、大輝はそのまま寝込んでしまった。
本当に可愛い寝顔……。
この寝顔を見てるだけで、おまんこが疼いて来ちゃうわ……。
あんなに酷い事したのに、私がちょっと泣いた振りしただけでこんなに懐いちゃうなんて……。
「ふふ……そんなにお姉ちゃんの事好きなのね……」
この子は私の事をこの世で一番愛してる。
私がいなかったら、すぐに泣き出して自殺しちゃうぐらいに。
もう、身も心も私無しでは生きられない体になっているのよね。
「大丈夫よ……麻由お姉ちゃんはずっとあなたのそばにいるからね……」
可愛い寝顔にキスして毛布を掛け、ベッドから出て着替える。
「後は、あの泥棒猫ね」
今日は仕留め損なったけど、近い内に必ず殺してやる。
そうでなければ、私達に幸せは来ないのだから。

翌朝―――
「じゃあ、いってきまーす」
大輝が家の門を出て、麻由ちゃんに見送られながら学校に行くのを物陰から見届ける。
ああ、良かった……無事監禁を解いてくれたんだね……。
これも沙耶のおかげだよね。
何か、ご褒美が欲しいな……。
今度デートして……ホテル直行で沙耶の事一日中犯して欲しいなあ……。
「やだ♪想像しただけで、あそこが疼いちゃう……」
こんな事考えるなんて、本当に私って変態になっちゃった。
「へへ……今日にでも誘っちゃおうかな……」

「いつまで、そこに隠れてる気?」
声がしたので見てみると、麻由ちゃんが門の前で私に背を向けたまま、私に話しかけていた。
おっと、流石麻由ちゃん。隠れているのに気づいていたか。
まあ、バレたんなら仕方ないか。

「ま、麻由ちゃん……おはよう……」
またわざとらしく、バツが悪そうな顔をして私に挨拶する。
「何しに来たの?死ぬ決心でもついた?」
「えっと、今日大学あるよね?良かったら一緒に行こうかなって……」
650狂依存 184:2011/05/20(金) 03:46:13.22 ID:EKHqgMOa
「遠慮しておくわ。あんたなんか友達でも何でもないし、もう死んでも許す気は無いから」
昨日あれだけの事をしたのに、まだこんな演技続けて、何考えてるのよこの女は。
「あ、昨日の事なら本当にごめんね……あのスタンガンはいつも護身用に持ち歩いてる奴なんだ……つい、反射的に手が出ちゃって……」
「ふーん……つい私が気絶した時、手と足首を縛り付けて動けなくしたね……」
本当に私を怒らせるのだけは上手いわね。
そんなに死にたいのかしら?
「あ、あれは……そ、そうだ……!大輝の事はもう許してくれたんだね!ありがとう。それがわかっただけでも安心したよ」
「大輝の事なら、自由にしてあげたわ。どうせ、この後もあの子に付きまとうつもりなんでしょうけど、もうあんたの思い通りにはさせないわよ。昨日は仕留め損なったけど次は覚悟しておきなさい」
今度は絶対に逃げられない機会を作って、必ずこの醜いメス豚を始末してやる。
「そんな……うん……でも、仕方ないよね……私の事はどうでもいい。大輝の事を自由にしてあげただけでも私は満足だよ」
「あら、麻由ちゃん。おはよう」
「あ……お早うございます」
通りがかった隣のおばさんがごみ捨てから帰ってきたのか、挨拶してきた。
「あ、じゃあもう行くね……」
「あ、うん……じゃあね」
沙耶はおばさんが挨拶したら、軽く会釈してそそくさとその場から立ち去った。
「今の子、麻由ちゃんのお友達?」
「ええ……大学の……」
「そう、可愛らしい娘ねえ……」
もう友達などとは微塵も思っていないのだが、世間体もあるので必死で作り笑いを浮かべてそう答えた。
嘘でもあの女が友達と言うのは本当に辛い。
でも近いうちに必ず殺してやる。
必ず……。
651 ◆wBXWEIFqSA :2011/05/20(金) 03:46:59.36 ID:EKHqgMOa
以上です。
ありがとうございました
652名無しさん@ピンキー:2011/05/20(金) 15:18:24.76 ID:8DJXZOEQ
>>651
GJです!
いよいよ血生臭くなってきた
653名無しさん@ピンキー:2011/05/20(金) 17:14:06.56 ID:Gguvy1Hw
GJーーッ!!!
狂乱キモ姉VS二枚舌泥棒猫
血戦開始…生き残るのはどちらだ!?
そして天然?大輝の運命は…
654名無しさん@ピンキー:2011/05/20(金) 20:47:47.57 ID:QqQMugg+
狂依存おもしろーい
655名無しさん@ピンキー:2011/05/20(金) 20:57:46.10 ID:GLNz+Wu6
>>653
寿命切れww
656名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 00:37:25.72 ID:N2zjxtSu
GJ!!!

HRエンドだと俺得MAX!!
657名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 02:29:47.19 ID:vGeGhzQB
>>651
ドロドロ感が堪らんw
投下GJです!
658名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 05:20:04.96 ID:ZhPVBzTr
GJ。
女二人マジキチですね(褒め言葉です)。
はたしてどちらが死ぬのか。
659名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 15:30:23.04 ID:ysgJ4EDs
>>653
GJーーーッwww

毎回でてくるけどなんだお前www
ナレーション口調とかも無いわwwwwwwww
660名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 16:18:55.67 ID:XknAqg1v
キモウトに対して、冷たくあしらったり、距離をとったりしたらどうなるの?っと
661名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 16:43:49.93 ID:ZhPVBzTr
>>660
母に叱られます。母は元キモ姉でした。
662名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 19:03:04.10 ID:8Vp/Aqzq
>>660
そのシチュ好きだわ
663名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 20:19:37.80 ID:a8m7TVlN
>>660
兄が一切、妹に興味も関心も無いというのが良い
664名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 23:25:47.61 ID:eANTgANF
じわじわと…
665名無しさん@ピンキー:2011/05/21(土) 23:47:59.85 ID:WyilflTp
弟(イケメン)好きと言いながら、実は兄(ブサ…)に嫉妬してもらうために言ってる兄を死ぬほど愛してるキモウト万歳!
666名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 02:04:19.91 ID:iZNg0iu+
>>653
>>655
>>659
荒らしスレの方々はお引き取りくださいw
667名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 02:38:23.68 ID:aSm/TaC7
>>666
スルーにご協力ください
668名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 02:45:59.60 ID:+BaX0jUE
>>667
…全力でスルーするんだ。
669名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 04:03:30.59 ID:BIFZqaFO
会社の先輩(既婚)の姉がキモ姉っぽい。
隣のビルの歯医者に就職し、弟を窓越しに監視。昼食に出るなど、彼女の視界を外れたら電話される。飲み会には必ず同伴。住むところも近い。
当事には悪いがこのシチュは羨ましい
670名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 09:19:26.01 ID:hDIHn6s2
それガチじゃんww
671名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 10:50:00.03 ID:m2xvi3Fo
三次のキモ姉妹はちょっと……
672名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 13:15:21.36 ID:YV3wrTq8
でも住むところは一緒じゃないんだな…
673名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 13:36:16.57 ID:OWM5LnYI
既婚者だろ


ないわ
674名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 13:42:50.30 ID:UIkqrD1V
>>673

弟が結婚してるて事でしょ。
姉は未婚処女なんだよ。
675名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 14:28:49.05 ID:DVq3Ifs6
小姑キモ姉
676名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 14:30:52.97 ID:RK2SFe+A
>>669
ガチの話?
677名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 14:37:05.31 ID:48y5qHIR
会社の先輩(既婚)まで読んだ



と言うかここで読むのやめた
678名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 16:11:20.06 ID:I3E8SCc8
(既婚)

解散
679名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 16:14:05.38 ID:v+DhRsgd
三次だとネタじゃなくてマジでキモイからな
680名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 23:21:18.36 ID:L2h4nzZu
三次だってだけでそこまで引いてしまうお前らは
二次元でも行き過ぎとか萌え要素薄めのキモ姉妹には内心ほんとに気持ち悪いと思ってそうだな
681名無しさん@ピンキー:2011/05/22(日) 23:54:16.02 ID:cRe00u+K
まぁ、それはそれ。これはこれ。別物さ。一緒にしないでもらいたい。

しかし二次でも三次でも当事者にはなりたくないな。見ているのが楽しいもんだ。
しかしこれ現実だったら…怖いな。(´・ω・`)
682名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 00:10:39.13 ID:Fn867VSS
少なくとも、ここにいる奴らはみんな平気ってわけだろ



ある意味だけど
683名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 02:05:20.96 ID:Ly9pcKYX
三次は惨事、二次は虹だろ
684名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 02:19:14.56 ID:zS+Ztg+3
>>681
二次でも当事者になりたくないってどういう意味だよwww
お前さんは次元を超えてキモ姉妹を追い掛けることができるのかwww
685名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 04:00:39.33 ID:7kM0emVr
キモ姉対キモ姉

これは新鮮なパターン?
686名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 04:50:48.46 ID:mFaHj9FI
許嫁のキモ実姉が欲しい。
687名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 10:03:12.84 ID:mXBT4nlN
>>686が妹と結婚したと聞いて
688名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 20:57:27.32 ID:ciUgwyoz
>>685
つまり、2人の姉が一人の弟を奪い合う?
689三つの鎖 32 後編  ◆tgTIsAaCTij7 :2011/05/23(月) 22:07:54.34 ID:aDetRqKV
三つの鎖 32 後篇です

※以下注意
  血のつながらない自称姉あり

投下します
690三つの鎖 32 後編  ◆tgTIsAaCTij7 :2011/05/23(月) 22:11:14.19 ID:aDetRqKV
 僕は梓を探さなかった。
 向かう先は警察署。父の勤務先。
 父に、話すつもりだ。
 梓が、夏美ちゃんのお父さんを殺したこと。
 証拠は何も無い。父が信じてくれる保証も無い。
 でも、これ以外に方法は無い。
 もう、僕では梓を止められない。
 放っておけば、いずれ梓は同じ過ちを犯す。
 その時に犠牲になるのは誰だ。
 春子?夏美ちゃん?
 それとも、それ以外の誰か?
 どちらにしても、絶対に避けなければならない。
 僕は、結局何もできなかった。
 自首してほしいという僕の言葉を、梓は鼻で笑うだけだった。
 それでも、いつか分かってくれると信じていた。
 その結果が、今日の春子。
 もし僕が行かなければ、春子はどうなっていただろう。
 殺されたかもしれない。
 もう、迷ってはいられない。
691三つの鎖 32 後編  ◆tgTIsAaCTij7 :2011/05/23(月) 22:13:37.60 ID:aDetRqKV
 父は悲しむだろう。失職するに違いない。僕も、学校にはいられない。人殺しの兄として、一生をすごさなければならない。
 夏美ちゃんとの関係も、終わりだろう。
 きっと僕を憎む。恨む。
 それは仕方がない。それだけのことを、僕はした。
 梓が夏美ちゃんを階段から突き落としたのを黙っていた。
 梓が夏美ちゃんのお父さんの命を奪ったのを知っていて、プロポーズした。
 もしかしたら、春子との関係も知られるかもしれない。警察に捕まった梓がしゃべる可能性はある。
 それでも、もう迷ってはいられない。
 僕では梓を止められない。いずれ、梓は僕の大切な人を傷つける。
 それだけは避けなくてはいけない。
 例え、失い難いものを失っても。
 警察署の受付で、父を呼んでもらう。
 待合室のソファーで父が来るのをぼんやりと待っていた。
 父さんは信じてくれるだろうか。
692三つの鎖 32 後編  ◆tgTIsAaCTij7 :2011/05/23(月) 22:15:46.46 ID:aDetRqKV
 証拠は何も無い。
 昔、父も柔道をしていたらしい。その父が信じられるだろうか。
 梓のような華奢な少女が、大の男を素手で殺傷したなんて。
 「幸一」
 物思いにふけっている僕に父が声をかけた。
 「何かあったのか」
 父はいつものように無表情に僕を見つめている。その双眸だけが鋭い光を放っている。
 「父さん。話したいことがある」
 何も言わずに僕の前に座る父。
 「信じられない事かもしれないけど、聞いて欲しい」
 僕の声が震えているの、嫌でも自覚した。
 父は手に持った缶ジュースを僕に差し出した。冷たい緑茶。
 僕は礼を言って受け取り、一口飲んだ。
 冷たくておいしい。
 「落ち着いて話せ」
 父の言葉に、僕は頷いた。
 胸が痛む。父に、どのように話せばいいのだろう。
 娘が、父の同僚を殺傷し、息子の婚約者の父親を殺害したなんて。
693三つの鎖 32 後編  ◆tgTIsAaCTij7 :2011/05/23(月) 22:18:06.01 ID:aDetRqKV
 父はずっと真面目に勤務してきた。
 柔道の稽古で同僚の人から父の事をよく聞いた。
 真面目で優秀な警察官だと。
 その父の娘が、犯罪者に、それも人殺しになった。
 「幸一?」
 父の言葉に僕は顔を上げた。
 脳裏に夏美ちゃんと春子が浮かんだ。
 もう、迷ってはいられない。
 「梓が、人を殺した」
 僕の言葉に父は何の動揺も見せなかった。
 「夏美ちゃんのお父さんを殺したと僕に言った。言ってはいないけど、警察官も殺傷したと思う」
 父は黙って話を聞いてくれた。
 「お父さんは信じられないかもしれないけど、梓は武道の天才だ。僕なんて、足元にも及ばない。今でも意識不明で入院している警察官も強いけど、梓なら簡単に勝てる」
 梓が合気道を始めたきっかけは、おばさんから聞いた。塞ぎ込む様になった梓を見かねて、春子の通っていた合気道の教室に連れて行ったらしい。
694三つの鎖 32 後編  ◆tgTIsAaCTij7 :2011/05/23(月) 22:20:25.66 ID:aDetRqKV
 塞ぎ込んでいた原因は、きっと僕だ。
 僕が柔道にのめりこんで、梓を放置していたから。
 今なら思い出せる。柔道の練習を終えて帰ってきたとき、梓はいつも玄関で迎えてくれた。
 両親がいなくても、梓はいてくれた。梓が作ったご飯を食べ、梓が入れたお風呂に入り、梓が干してくれた布団で寝た。
 食事中、梓は一生懸命僕に話しかけてくれた。
それなのに、僕は何も言わなかった。ご飯を食べてお風呂に入ったら、すぐに寝ていた。
 春子も僕に言っていた。梓を心配だと。注意して見守って欲しいって僕に言った。
 僕は、何もしなかった。
 結局、僕が招いた事なのか。
 「幸一」
 何も言わなかった父が口を開いた。
 相変わらずの無表情。動揺しているようには見えない。
 「証拠はあるのか」
 「無い。梓がそう言った」
695三つの鎖 32 後編  ◆tgTIsAaCTij7 :2011/05/23(月) 22:22:29.49 ID:aDetRqKV
 父の表情が微かに変化した気がした。どんな表情なのか、僕には分からなかった。
 「結論から言う。あの事件に関係する限り、梓が人を殺した可能性は無い」
 父の言葉が、どこか遠い。
 「梓の言葉に惑わされるな」
 父は、信じてくれなかった。
 当然といえば当然なのかもしれない。
 実の娘が、それも華奢な少女である梓が、大の男たちを素手で殺傷するなど、信じられないほうが当たり前なのかもしれない。
 「加原さん!」
 振り向くと、岡田さんがいた。
 父と何か話している岡田さん。
 「幸一。このことについてはまた今度話そう」
 それだけ言って父は岡田さんと去って行った。
 僕は、立ち上がることができなかった。

 公園で私はぼんやりとしていた。
 太陽が沈み、公園は暗かった。
 誰もいない公園。人通りの少ない公園は、何の物音もしない。
696三つの鎖 32 後編  ◆tgTIsAaCTij7 :2011/05/23(月) 22:24:38.25 ID:aDetRqKV
 今、兄さんはどうしているのだろう。
 兄さんが柔道に夢中になっていた頃、私は兄さんを追っていた。
 そして、兄さんを幻の鎖で縛り付けてからは、兄さんが私を追ってくれた。
 兄さんが夏美と付き合うようになってからは、私が兄さんを追っていた。
 そして今、再び兄さんは私を追っている。
 なんて皮肉。
 兄さん、遅いわね。どうしているのかしら。
 やっぱり、夏美のあの伝言だけじゃ分かってくれないかしら。
 そんな事を考えていると、公園の入り口から一人の男が入ってきた。
 兄さん。
 私は手を振った。兄さんは気がついたのか、まっすぐに近づいてくる。
 兄さんは無表情だけど、悲愴な雰囲気を漂わせていた。
 微かに胸が痛む。兄さんをそこまで苦しめているのは、紛れも無く私。
 「遅かったわね」
 私の言葉に兄さんは一瞬だけ悲しそうな表情をした。
 「梓」
697三つの鎖 32 後編  ◆tgTIsAaCTij7 :2011/05/23(月) 22:26:39.59 ID:aDetRqKV
 兄さんは私の名前を呼んだ。
 それきり無言で私を見つめる。
 無表情な兄さん。それなのに、瞳だけが悲しそうな光をたたえている。
 やがて兄さんは静かに話し始めた。
 「お願いだ。これ以上、誰も殺さないで欲しい。僕と夏美ちゃんの仲を、認めて欲しい」
 いつもと違う。
 自首して欲しいとは言わない。なぜか。
 「もしかして、警察によっていた?」
 私の言葉に兄さんの瞳の色が微かに変化した気がした。
 そうなんだ。だから来るのが遅かったんだ。
 胸が痛む。
 結局、兄さんは私を信じてくれなかった。
 「お父さん、信じてくれなかったのでしょう」
 兄さんは何も言わない。でも、兄さんの状況は理解した。
 そして私の状況も理解した。私は今、兄さんに対して絶対的に優位に立っている。
 でも、私が説得されるはずがない事も兄さんは理解している。
698名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 23:16:05.35 ID:Hk80ejAs
規制かね? 支援
699名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 23:33:09.56 ID:281yvxMP
269 :三つの鎖 32 後編 [] :2011/05/23(月) 22:30:07 ID:W3j4L4SY (1/4)
途中で規制に引っ掛かってしまったので、こちらに投稿します。
お手数おかけしますが、どなたか転載をお願いします。
700名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 23:33:48.62 ID:281yvxMP
 「兄さんは分かっているでしょ?だったら私の言う事を聞いて」
 微かにうつむく兄さん。
 私は自分の優位を確信した。
 「夏美と別れて。私以外の女に近づかないで。一緒にいてくれるだけでいい。そうしてくれたら、他の人を傷つけない」
 私にとって相当な譲歩。それなのに、兄さんは辛そうにうつむくだけ。
 「断ったら、分かっているでしょ?」
 「夏美ちゃんや春子を、傷つけるのか」
 「うんうん。違うわ。傷つけるんじゃない。殺すの」
 兄さんは顔を上げた。
 血走った目で、私を見つめている。
 兄さんは一歩私に近づいた。
 「本当なのか」
 「何が」
 兄さんはもう一歩近づいた。
 「本当に二人を殺すのか」
 「二人だけじゃないわ。兄さんに近づく女は全員殺す」
 さらに兄さんは近づいた。
 私の目の前で、兄さんは私を見下ろした。歯を食いしばり血走った目で私を見下ろす。
 兄さんは震える両手を私の両肩に置いた。
 私に向けられる敵意と害意。兄さんの両手は震えていた。
 「私を殺すの?」
 びくりと兄さんは震えた。
 「兄さんになら殺されてもいい」
 「梓」
 「だって、兄さんが私を殺したら、兄さんは私を忘れない。兄さんの心の中で、私はずっと生きていける。兄さんがどの女と一緒にいても、私のことを忘れることができない」
 兄さんは震える両手で私の首を覆った。
 「そのまま思い切り力を入れれば、私を殺せるわ」
 血走った目。荒い息。震える両手。
 「どうしたの?夏美や春子が大切じゃないの?警察は動かない。だったら、兄さんがけりをつけるしかないのよ?」
 私は本気だった。兄さんにだったら殺されてもいい。
 そして分かっていた。兄さんに、人を殺せるはずないと。
 兄さんは私の首から両手を離した。崩れ落ち、膝を突く。
 むせながら、涙を流す兄さん。
 「兄さん。無理しないで」
 私は兄さんの背中をさすった。
 「兄さんに人殺しなんて無理よ」
 口元を押さえ、震える兄さん。
 私は勝利を確信した。勝ったと思った。
 「立てる?」
 兄さんは立ち上がった。微かに震える足元。
 「私のものになってくれる?」
 兄さんは視線を逸らさなかった。
 「断る」
 私は驚いた。
 「断れば、どうなるか分かっている?」
 「止める」
 兄さんはそう言って私を見下ろした。
 迷いの無い、力強い視線が私を射抜く。
 「僕が梓を、止める」
 私は間違っていた。
 結局、どんな事をしても兄さんは私のものにならなかった。
 兄さんは追い詰められていた。
 大切な人を人質にとられ、お父さんに本当のことを告げても信じてもらえない。
 家族を大切にする兄さんにとって、お父さんに私のことを報告するのはどれだけ辛かったのだろう。そして、そのことを信じてもらえなかったのはどれだけ辛かったのだろう。
 そして、兄さんは私を殺そうとしてできなかった。
 それぐらい兄さんは追い詰められていた。
 それでも、兄さんは屈しなかった。
 私を止めると言う。
 ここまで辛くても屈しない理由。
 夏美。
701名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 23:34:26.13 ID:281yvxMP
 全身に悪寒にも似た熱が走る。
 許せない。
 思い知らせてやる。
 この場を去ろうとする私の前に、兄さんは立ちはだかった。
 「どいて」
 「どこに行く」
 「分かっているでしょ。夏見と春子の場所によ」
 「・・・殺しに行くのか」
 私は何も言わなかった。兄さんは私の沈黙を肯定と捕らえたようだ。
 兄さんは軽く両足を開き、両手を胸の前に構えた。拳は握らず、手は軽く開いている。
 「行かせない」
 兄さんは私を睨み付けた。
 血を分けた妹を見る視線じゃない。
 胸が、痛い。
 兄さんにそんな風に見られるのが、辛い。
 分かっている。悪いのは私。
 兄さんは一歩踏み出し私の両手を掴もうとした。
 私はそれは避け、兄さんの襟を掴み投げた。
 公園の地面に叩きつける。兄さんは受身を取り、すばやく立ち上がり私と距離を置いた。
 鋭い瞳で私を見つめる兄さん。
 胸が、痛い。

 荒れた部屋の中で、私は泣き続けていた。
 梓ちゃんに殺されるかもしれないという恐怖。
 そんな状況で身を挺して私を守ってくれた幸一くん。
 いったい、何がいけなかったのだろう。
 少しでも耕平君に心惹かれた罰なのだろうか。
 幸一くん、大丈夫かな。
 大丈夫なはずがない。きっと、梓ちゃんともめている。
 助けてあげないと。
 そう思うのに、足が動かない。
 もし幸一くんが来てくれなかったら、私、どうなっていただろう。
 どれだけ一緒にいた時間が長くても、私と梓ちゃんは所詮他人なのを私は思い知らされた。
 だって、梓ちゃんは本当に私を殺そうとしていた。
 私は、何があっても梓ちゃんを殺せないと思う。
 梓ちゃんは違った。
 私は信じていなかった。梓ちゃんが夏美ちゃんのお父さんを殺したなんて。
 何の証拠も無いし、直接夏美ちゃんを狙わなかった理由も漠然としている。
 でも、今なら信じられる。
 梓ちゃんが、殺したと。
 幸一くんの姿が脳裏に浮かぶ。
 お願い。無事でいて。
 死なないで。

 腰をかけ、兄さんを投げ飛ばす。
 受身も取れずに兄さんはしたたかに地面に叩きつけられた。
 どれだけ投げられても、兄さんは立ち向かってきた。
 でも、これで終わり。
 兄さんは荒い息をつくだけで立ち上がってこない。
 あれだけ叩きつけられたら、どんな人間でももう立てない。
 兄さんだって分かっていたはず。兄さんでは私に勝てないって。
 それなのに、兄さんは私に立ち向かった。
 絶対に不可能と分かっていても、諦められない。
 愚かだとは思わない。だって、私も同じ。私も兄さんを諦められない。
 結局、私と兄さんは同じ。
 同じ血を分けた兄妹。
 人間としての根本は異なるのに、どうでもいいところばかり似る。
 私は笑った。笑うしかなかった。
 兄さんは立ち上がってこない。立ち上がれない。
 私は地面に横たわる兄さんに背を向けた。
702名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 23:34:54.99 ID:281yvxMP
 歩こうとした私の足に、何かが引っかかる。
 兄さんが私の足を掴んでいた。震える手で、私の足を必死に掴んでいる。
 痛くもかゆくも無い。私は振り払おうとして、止めた。
 兄さんは乱れる息で必死に喋ろうとしていた。
 「・・・従う・・・」
 泥と汚れた顔を上げて、兄さんは言った。
 「梓に、従う」
 今にも泣きそうで、疲れ切った表情の兄さん。
 「だから、殺さないで」
 かすれた声で兄さんは必死に懇願した。
 「これ以上、殺さないで」
 兄さんの頬を涙が伝って落ちた。

 お兄さんから電話があってから、ずいぶん時間が過ぎた。
 私は携帯電話を前にぼんやりとしていた。
 お兄さん、梓と何があったのだろう。
 梓は電話で泣いていた。
 何で私から兄さんを奪うのと。
 何で私じゃなくて夏美なのと。
 私は、何も言えなかった。
 言う資格は無かった。
 だって、私が梓からお兄さんを奪ったのは、紛れも無い事実。
 そして、お兄さんと別れるつもりも無かった。
 お兄さんを好きだから。
 お兄さんを愛したいから。
 結局、梓はお兄さんへの伝言を託して電話を切った。
 梓、お兄さんといるのかな。
 何を話しているのだろう。
 二人は仲直りして欲しい。
 梓は私の大切な友達で、お兄さんは私の愛しい人だから。



以上です。よろしくお願いいたします。
703名無しさん@ピンキー:2011/05/23(月) 23:36:00.81 ID:281yvxMP
転載終了

GJ
兄さんついに陥落…
704名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 00:20:45.54 ID:SX+tB+Sd
どうしてキモウトは幸せになれないのか・・・

ハッピーエンドにしたら物語が壊れてしまうだろうが
そう願わずにはいられない
705名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 00:44:31.34 ID:8J6syDJb
あれだよ
キモウト含めてハーレムエンドばっちこいな程器は大きくなかったんだよ
706名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 01:04:27.40 ID:4e5wof/O
おつおつ。ふーむ梓アリバイありか…
707名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 01:55:16.68 ID:fz7h9BfS
>>684

まさかwwww出来たら良いよな。
708名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 02:11:49.95 ID:HmtS4brm
春子がどうなるか気になってしょうがないな
709名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 02:46:03.07 ID:67zLRJsk
拳で語り合う兄妹乙。結果はどうあれ、誰かが笑えばそれで良い。
710名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 06:01:52.20 ID:l4okYeng
おお…作者氏ご無事でしたかgj!
梓は基本的にキモウトなのだから
幸一が簡単に陥落するのは有り得ないのだろう
監禁や精神的に追い詰めて譲歩を引き出す
それでも頑なな兄
簡単に妹に靡いてしまったら単なる近親バカップル
やはりキモくて病んでて、ちょっぴり悲しい‥‥それがキモウトssの魅力か

711名無しさん@ピンキー:2011/05/24(火) 10:36:02.92 ID:Jj3HD6BU
おつー。
この公園通りかかったら恐怖だろうなあ
712名無しさん@ピンキー:2011/05/25(水) 00:14:11.94 ID:UPck3qo8
三つの鎖乙
忍法帖か。きっと壊れてるもこの前引っ掛かってたよな
職人への嫌がらせかよ
713名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 18:14:08.87 ID:RTV3OZWC
なんか突然人いなくなるなぁ
714名無しさん@ピンキー:2011/05/26(木) 19:45:18.67 ID:F4md8T/9
>>713
1:単なる偶然、若しくは平日だから仕事だの何だの
2:お前とスレで二人っきりになりたい姉or妹による陰謀
3:スレ住人全員自身の姉or妹に監禁
好きなの選んどけ
715名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 13:46:05.30 ID:lIKtNWgZ
>>713
正解は2
つまり>>714はお前の姉か妹
716名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 14:41:19.20 ID:5oCGOD3K
>>715
いや、3も結構ロマンがあると思うけどな。
717名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 16:07:43.48 ID:lIKtNWgZ
ロマンか
俺の姉は既に個人だがそう言われると3も捨てがたい…ゴクリ
718名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 18:17:36.27 ID:RtyAkpA3
作者さっさと書け
719名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 19:16:05.12 ID:p3St4itp
>>718
お前は黙れ
720名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 19:53:44.42 ID:RtyAkpA3
黙って書いてます
だから早く作者書け
721名無しさん@ピンキー:2011/05/27(金) 22:53:32.11 ID:lIKtNWgZ
あと残り23KBだからきっと皆容量の調整に時間がかかってるに違いない
次スレと梅ネタの準備を
722名無しさん@ピンキー:2011/05/28(土) 01:26:14.87 ID:1UFH3xZe
今の状態で新スレを立てると埋めるのに苦労するはず
立てるのは490KBに成ってからで十分
723名無しさん@ピンキー:2011/05/28(土) 12:31:42.55 ID:qgICDmvO
ソウカンジャー!
はやく来てくれー!!
724名無しさん@ピンキー:2011/05/28(土) 13:22:38.79 ID:TV1zYZV4
そういえばドラゴンボールって姉妹でてこないよな。
725名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 00:04:17.36 ID:GZ9QgFcZ
誰か三つの鎖の作者のHPのURL知らない?
726名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 00:27:28.14 ID:1twl9Bgl
投下後に人気投票のURL載せるから
そこからいける、たぶん
727名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 02:32:12.03 ID:JvXLUvyc
狂いもうとこいっ・・・
728名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 19:21:16.98 ID:s9nfnPGb
埋め用小ネタを投下したいけども文字数制限に引っかかりそう
もし無理なら避難所の方に投下するです
729守れ! 近親戦隊ソウカンジャー:前編:2011/05/29(日) 19:22:29.79 ID:s9nfnPGb
★これまでのあらすじ★
ソウカンジャーのニューフェイスこと牛山金美です。
カナ達はTC(シーフ・キャット、直訳で泥棒猫です)軍団から大にぃを守る愛と正義のヒーローなのです。
でもぶっちゃけた話、戦闘はあの3人に任せてカナは大にぃとずっとイチャイチャしていたいってのが本音です。
だってカナはまだ(100−91)歳です。労働基準法違反です。ついでに(お赤飯的なアレ)もまだです。
今しか(なかたうじ)し放題のチャンスはないです。だからもっとカナの(じぇいえす)漫漫を味わって……(省略されました。続k(ry)


―――ここはTC軍団本部―――
「ついに私が行かなくてはならないようですね」
「総帥……」
「大悟様、今参ります。そして忌まわしきソウカンジャーから解放して差し上げますわ……」

  一枚の写真を取り出す彼女。そこには幼い男女が腕を組みながら笑っている姿が写し出されていた。
  男の子は日焼けで若干肌が焼けており、膝には絆創膏が幾つも貼られている。
  対する女の子は日傘で日光を避け、フリルが施された白いワンピースに身を包んでいた。
  一見、田舎の悪ガキと麗しの令嬢に見える彼らは絵面的にひどく噛み合っていないように見える。
  しかし、満面の笑顔で腕を組んでいるその二人に絵面など関係なく、心と心が通じ合っているかのように互いの存在を認め合っていた。
  そう、それはまるで……――――――


「っ! ……夢、か?」

おはよう、良い子の諸君。俺の名前は牛山大悟。
この物語の主人公にして正義のヒーロー(ヒロイン?)・ソウカンジャーの兄であったりする。
さて、何かと久しぶりなので俺と妹達の事について御新規さんにもわかりやすいように説明を付け加えておきたい。
コホン……まずは、だ。俺は常人とは少し違う体質の持ち主だったりするわけで。
俺の精子には未知のパワー「ZP(ザーメンパワー)」というものが宿っている。なんで精子なのかは知らない。恐らくエロパロ板だからだろう。
そして、このZPを狙う悪の集団というものも存在する。上の「★これまでのあらすじ★」にもある「TC(シーフ・キャット)軍団」である。
このTC軍団は美女揃いの為(まぁ顔は見たこと無いんだが)一見、俺の操を取り合うハーレム系SSなのかと思ったことだろう。
しかしそれじゃあスレチになってしまう、と俺を守る為に立ち上がる女の子達がいたんだ。
三つ子の妹、紅音(あかね)・栖桃(すもも)・真白(ましろ)、そして従妹の金美(かなみ)。
彼女らは俺のZPを膣内に取り込むことで正義の使者「ソウカンジャー」に変身する事が出来る。
その力を使って、襲ってくるTC軍団から俺を守ってくれているのだ。
勿論俺のZPを取り込むということは俺が彼女らと×××して△△△して……。はい、もうスレチじゃないね。
つか今更伏字なんて意味ないよね。うん、ぶっちゃけるとね、10歳と9歳の妹達に種付けしようぜってお話なの。


懐かしい夢を見た。
あれはまだ妹達が生まれる前、俺が前に住んでいたとある田舎町で、4、5歳の頃の記憶だ。
隣に住む同じ年頃のお嬢様と何故かウマが合い、毎日のように一緒に遊んでいたときに撮った写真。
結局、俺はそのすぐ後にここに引っ越してしまうわけなのだが、俺が引っ越す前日に交わした約束は今も覚えている。

『だいごさま……おっきくなったらゆずきとけっこんしてください!』
『んー……? あー、うん、いいよ』
『ほんとですか! じゃあおっきくなったらかならずむかえにいきます! ゆずき、ぜったいむかえにいきますから!』
730守れ! 近親戦隊ソウカンジャー:前編:2011/05/29(日) 19:23:44.87 ID:s9nfnPGb
「はうううううぅぅぅん!!」
夢の感傷に浸っている場合ではない。俺は今、現在進行形で妹とセックルをしているのだから。
「え、へへ……。いいよ、お、兄ちゃんっ! もっと、私を、か、んじてッ!!」
現時刻は日曜朝の8時。昨晩は夜明け過ぎまで5Pとしゃれ込んでいたのだが、皆が疲れ果て眠っているというのに紅音だけは一足早く起きてきたのだ。
『早起きは三文の徳、とはよく言ったものだよね! これでしばらくお兄ちゃんを独り占めできるぞー!!』
こっちだって激しく眠いのに、悪魔の笑顔で俺に跨る紅音。そしてそのまま延長戦へ突入したのだ。
「あっ、はぁ、あっ……いいよ、中でドクドク出てるよぉ……」
全身で俺に絡み付きながら中出しを堪能する紅音。これでまだ10歳だってんだから日本は終わっている。

結局延長戦は皆が起き出した10時頃まで続き、紅音と3人が口論を交わす中俺はシャワーを浴びてベッドに横たわった。
「うう……このままずっと眠りにつきたい……」
しかし、そんなことを思うとお約束なのだろう。玄関のチャイムが鳴り響き「敵」の襲来を俺達に告げる。
「エマージェンシーコール! TC軍団!!」
「へっ、来やがったか!」
「ZPは満タンですわ!」
「カナは大にぃを付きっきりで守るポジションで」
「ちょ、バーロー! テメェも行くんだよ!」
紅音、栖桃、真白、金美が口うるさく会話をしながら玄関へ飛び出す。無論俺も飛び出す。
え、何故かって? 実況のいないサッカーは盛り上がらないだろ?

一足遅く玄関に到着した俺だったが、扉の前で4人が立ち往生をしているのが目に入った。
普段ならパパッと変身して戦いを始めているはずなのに……。
「おい、どうしたんだよみんな」
「あ、お兄様。それが……」
「普通の女の人です……」
むむむ、成程。チャイムを鳴らしたのはTC軍団幹部ではなく、白いフリルのついたワンピースを身に纏った女性であった。
栗色の長い長髪、綺麗に整った顔、ボンキュッボンのナイスバディ。そして溢れんばかりの上品なオーラ。
間違いなくいいところのお嬢様であった。しかもその瞳は完全に俺をロックオンしている。
「大悟……様?」
「え?」
可憐な声だ……じゃなくて、何故こんな場違いな人が俺の名を知っているのだろう。俺にお嬢様の知り合いなんて―――。
「!! ……もしかして柚姫(ゆずき)、か?」
「はい! 御無沙汰しておりました、大悟様!!」
夢の中に出てきた女の子・藤乃宮柚姫。
超がつくほどのお金持ちの息女であり、俺の初めての友達、と記憶している。
確かにあの頃から可愛らしい女の子であったけれど、まさかこんなにも素敵なレディに変貌しているとは。
正直テレビに出ているアイドルなんざ凡人に思えるほどの美貌である。
女性と見ればすぐに牙をむく妹達がじっと見とれていることからも、彼女の異常な美しさをは並みのものでないと分かる。
「ああ、ああ! やっと、やっと会うことができました! 私はこの日を12年も待ちわびて―――」
「ちょ、ちょっと! 倒れる、倒れるからっ!!」
731守れ! 近親戦隊ソウカンジャー:前編:2011/05/29(日) 19:25:25.94 ID:s9nfnPGb
そんな絶世の美女が全身を俺に投げ出して抱きついてきたとする。
さて、ここで問題。正常な男子高校生の俺はこの状況をどう捉えるべきだろうか?
シンキングタイムなぞ必要ない。答えはヘブン状態である。が……

「「「「 この泥棒猫ッッッッ!!!!! 」」」」

我らが妹達はそれが激しくお気に召さなかった模様。鬼の形相で俺達を取り囲んだ。

『絶頂変身!!』
 
赤ブルマの紅音、ピンクスパッツの栖桃、白スク水の真白、金オムツの金美。おいおい、僕らのソウカンジャーが見参しちまったよ!?

「愛する兄に、捧げる純血ッ!! ソウカンブラッドレッド!!」
「蒸れる股間に、魅惑のワレメッ!! ソウカンサーモンピンク!!」
「腿に滴る、卑猥な粘液ッ!! ソウカンジェルホワイト!!」
「一筋流れる、黄金(こがね)の聖水ッ!! ソウカンゴールドジュース!!」

『四つの心に八つの乳首ッ!! 近親戦隊! ソウカンジャー!!』(ドカーーン)

「ま、待てお前ら! ストップストップ! この子はTC軍団なんかじゃなくて……」
「お兄ちゃんはすっこんでて!」
「ぶっちゃけるとなぁ、兄貴に手を出す女はみんな敵なんだよな」
「ふふふ、相手がTC軍団だろうが一般人だろうが……お兄様に近づく者は容赦しません」
「グチャ味噌にしてやるです」
待て待て待て待て!! 正義の味方! はいこれ重要! キミら正義の味方なの! 一般人に手を出しちゃ駄目!!
そんな俺の願いも空しく、4人はそれぞれの獲物を取り出し素振りを始める。
「振動剣・バイブレード!」
「突起棒・クリトリスティック!」
「水笛・潮吹!」
「尿弓・アンモニアロー!」
こんな状況でも俺にピッタリとくっつく柚姫に余計腹が立ったのだろう、いつもとは気迫が段違いだ。
そして柚姫……と俺に狙いを定め、ゆっくりと近づいてくる。絶体絶命というやつだ。いや俺まで攻撃対象なのはどうなんだろう……!?

「……任せて下さい、大悟様」

俺の耳元約1センチの近距離で囁く柚姫。甘い吐息がくすぐり鳥肌が立つ。うん、い、色っぽい……。
ソウカンジャーが攻撃を仕掛けるその刹那、すっくと立ち上がり両手をパンッと叩く柚姫。そして―――

≪◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆≫

日本語ではない異質な言葉を発した途端、4人が突然動きを止めた。そしてそのまま変身が解除され、普通の姿に戻っていく。
「……!? これは……」
「ふぅ。お怪我はありませんか? 大悟様」
まるで何事もなかったかのようにこちらを振り向く柚姫。心配そうに見つめるその顔もまた一段と美しかった。
732守れ! 近親戦隊ソウカンジャー:前編:2011/05/29(日) 19:27:08.55 ID:s9nfnPGb
「ヤンデーレランド……? あの先月開園した遊園地のことか?」
「はい。実は私の父が運営している遊園地なんです。再開の記念に二人で一緒に行こうかと」
出したお茶をすすりながら柚姫は俺にチケットを差し出す。ペアチケットらしく2枚セット、しかも全アトラクションフリーパスと来たもんだ。
「今は丁度夏休みですし……。大悟様さえよろしければ今日の午後からでも―――」
「「「「はいはいはいはいッ!! 6人!! 6人で行くからねッ!!」」」」
勿論黙っていないのがこの4人。ペアチケットだっつうのが聞こえなかったのだろうか。
「いつTC軍団の襲撃があるかわからないじゃない! お兄ちゃんを一人になんかできないよ!」
「おねーさんさぁ、父親に頼んでもう4枚手配とかできねぇの?」
「どうしても無理というなら仕方ありませんわ。この話は無かったということに・・・・・・」
「てか外に出るよりも家の中でニャンニャンしてるほうが有意義だと思うのですよカナは」
などと供述しており。というかその考え方は間違っていると思うぞ金美よ。
「ふふ、勿論みんなには何も無いというわけじゃありませんよ?」
と、柚姫が懐から更に4枚のチケットを取り出した。が、それはどうも遊園地のものではなく・・・・・・。
「今夏一押しの超大作特撮映画『仮面ライダー姉鬼・最期の大決戦<守れ! 弟のotinpo!>』の特別試写会vipチケットです」
4人の歓声が聞こえ、数秒後には食いつくようにチケットをマジマジと見つめていた。そういやこれ、CMでバンバン予告打ってたよなぁ。
「こんなものしかなくて御免なさいね? それも今日の午後からだから、早く行かないと見そびれちゃいますよ」
「「「「お兄ちゃん(兄貴)(お兄様)(大にぃ)!! 行ってきますッ!!!」」」」
アイルトン・セナも真っ青の速さで家を飛び出す4人。このスピード展開は流石小ネタSSといったところだろう。
「さて、私達も行きましょうか大悟様」
「あ? ああ、そうだな」
いつもなら日がな一日中セックル三昧の休日が、まさか女の子とデートをすることになるとは。(しかもコブ無し!)
しかも、しかもだよ? こんなアイドル顔負けのルックスの美少女と休日デート。
男冥利に尽きるとはこのことだろう。俺明日死ぬんじゃね?


「大悟様は遠くの地へ旅行などといったことはお好きなのですか?」
「へ? い、いきなりどうした!?」
ヤンデーレランドへ向かう電車の中、不意に柚姫から質問を受けた。
というか今の現状が凄い。周りの男共がみんな柚姫をガン見しとるんだもの。まるでドラマのようだ。
「特に好きってわけでもないけど・・・・・・。なんで?」
「いえ、新婚旅行の参考に、と思いまして」
なん・・・だと・・・? 今とても気になるワードが出てきたような気がするけど。
「妻たる者、未来の夫の嗜好ぐらいは把握していませんと」
突っ込もうとしたその瞬間、電車のドアが開いた。ヤンデーレランドに到着である。
グイッと俺の手を引き、足早に遊園地へ歩を進める。
「藤乃宮柚姫、もといTC軍団総帥・イイナズケ。今日は心行くまで私と楽しみましょうね?」
周りの騒音で柚姫が何と言ったかは分からなかったが、その顔はさっきまでと違いとても歪んだ微笑を浮かべているのを俺は見た。


                                         とりあえずつづく
733名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 19:29:09.14 ID:s9nfnPGb
以上。無事投下できてよかった。
734名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 19:33:05.03 ID:suZjo2YD
GJ
>>723
良かったな、望んでた物が来てんぞ
735名無しさん@ピンキー:2011/05/29(日) 20:48:50.80 ID:LjqVvCop

つづきまってる!
736名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 00:35:37.31 ID:et5964BA
また夜なので書いてみました。投下します。
737カオスワールド:2011/05/30(月) 00:36:57.88 ID:et5964BA

共国オワリ。

今から500年も前、建国された人口ニ十万ちょっとの小国です。
しかしオワリは他の国に比べると、意外と歴史が深く、昔からの習わし事も豊富です。

例えば、七の月上旬に行われている七夕祭。これは、古来に魔物の大軍が押し寄せて来た時、とある巫女様がその日に一枚の御札に祈りを念じ、神木にそれを貼りました。

すると祈りは通じたのか、魔物の大軍はオワリを襲わずに跡形もなく消えてしまいました。
それから巫女は国中に讃えられ、巫女亡き後には、竹に願をかけた紙を吊るすという、今でいう七夕祭という形でオワリの人々から親しまれて行われています。

ちなみに『七夕』の由来はその巫女の名前が七夕(たなばた)だったからみたいです。

他にも多くの習わし事があります。それらは他国でも実施されているぐらいに。




「やっぱりここにいたか。」
「あら、一兄さん、今日は早いですね。」

まだまだ寝坊助さんが寝てる時間に、寝坊助さん代表の一兄さんが珍しく起きて来て、書斎と言うにはおこがましいけど、それでも三百冊の本があるこの場所は私達にとっては充分な書斎です。

「…一兄さんにとっては王室内大図書館かしら。」
「?」

運動、魔法だけでなく、頭も弱い一兄さん。いや、この場合は鈍感なだけなのかな?
でも、そんな一兄さんも大好きです。

「たく、燈は本当に本が好きだな〜」
「正しくは歴史ね。」
「どちらにせよ、俺にはさっぱりだ。」
「馬鹿ですもんね、一兄さんは。」
「率直すぎるから!」

図星で真っ赤になる一兄さん。可愛すぎます!今すぐ抱き付きたいくらいに!

そんな淫らな衝動を抑え、私はわかりきってはいるけど、さっきからうずうずしてる一兄さんに敢えて質問してみました。

「今日は早いだけでなく、落ち着きも欠いてるよ?どうしたの?」
「おいおい、今日は待ちに待ったAランク依頼の初仕事だぞ!
これが落ち着いていられるもんか。逆に燈の落ち着き具合にビックリだよ。」

「気持ちを落ち着かせるためにここに来たんですが。」
「今日は何を?」
「オワリの歴史を。」
「せっかくならミノウの歴史の方が良くないか?」
「ミノウの歴史も面白いですからね。次回そうします。」

738カオスワールド:2011/05/30(月) 00:39:31.05 ID:et5964BA

「おう。それより武器とかの準備は大丈夫か?」
「一兄さんと違って昨日の内に準備万端です。」
「おいおい、まるで俺がまだ準備してないとでも?」
「そうね………あっ!依頼書持ってますよね?」

ニヤニヤしながら意地悪に聞いてみました。

「…………ちょっと部屋に戻る。」

やっぱり肝心な依頼書は忘れてたんだ…
私がいないと本当に駄目な兄なこと。

私もオワリの歴史書を本棚に戻し、自分の部屋に荷物をとりに行きました。

「少し早いが行くか。」
「一時間も早いですけど。」

事務所兼自宅に鍵を閉め、私と一兄さんは、集合場所の大広場に向かいました。

「あら、一君に燈ちゃんじゃない。」
「司さん!」

先日の猫探しの依頼をしてきた近所のお姉さんである司さんにばったり遭遇しました。

「依頼かしら?」
「はい。」
「なんと、初Aランク依頼です。」

司さんのたゆんたゆんの胸をチラチラ見ながら喋る一兄さん。鼻の下を伸ばして、まったく!

「っ痛い!?」
「ほら、集合場所に遅れるから早くしますよ。」
「え?いや、まだまだ時k「じゃあ、私達急いでいるので失礼します。」
「うふふ…気をつけてね。」
「はい。また帰って来たらよろしくお願いします。」
「こちらこそね。」

一兄さんのつま先を踏み、耳を引っ張りながら私達は司さんを後にしました。

「まったく、司さんに鼻の下伸ばしすぎでしたよ。」
「悪かったよ。悪かった。」

あまり反省してなさそうな一兄さん。
そんな一兄さんが私のとある一部を一瞬凝視しました。勿論、見逃さず、

「一兄さん、今私の胸見たでしょ?」
「ぐ………あはははは。
燈も頑張れよ。」

流石にカチンときた。年頃な乙女に何て無慈悲な言葉を!
せっかく一兄さんのために頑張ってる最中なのに!

739カオスワールド:2011/05/30(月) 00:40:51.86 ID:et5964BA
数歩前を歩いている一兄さんに手を向けて少しお仕置きをすることにしました。

バチッ

「っ痛!?」
「一兄さんのばーか!」

バチッ……バチバチッ

「ぎゃひん!?
ちょっと燈さん?タイムタイム!本当に悪かった!」

一兄さんに弱い雷系の魔法をちびちび与えながら、私達はゆっくり大広場に向かいました。
しかし、ゆっくり歩いてたことを後悔しました。


〜〜〜

「………一兄さん?」
「………本当に申し訳ない…」

大広場に着いた私と一兄さん。しかし、その大広場はいつもの大広場らしき風景でしかなかった。

本当なら千にも上る軍隊と、私達以外に依頼されたギルドの人達が集まっているはずの集団が全くいなくて、それどころか、それっぽい人達もいません。

「…紙をしっかり読んでくださいよ…」
「ごめんなさい…」

公国ミノウの要請で、国の兵だけでなく、多くのギルドにも援軍の依頼をした今回の共国オワリからの依頼。

Aランクにしては依頼金は少ないですが、傭兵として雇ってもらえるようになるかもしれませんし、何よりも名誉も付きます。
私達の場合はどちらかと言うと後者で、名誉を少しでももらい、今後の仕事がたくさん来るようにするために依頼を受けました。

戦に関わる大変な仕事かと思いましたが、一兄さんが言うには全然違うらしく、一時的な兵の埋め合わせをさせられるそうです。
雑用はあるかもしれませんが、戦には全く関わらないようです。

そんな一兄さんは重要なところを見落としてました。

「昼前に集合じゃなくて、出発じゃないですか。」
「反省してます…」

昼前集合かと思ってたら、昼前出発予定と書かれている依頼書を握りしめる一兄さん。

「本当に愚図な兄でごめんな…」
「え…一兄さん……」
740カオスワールド:2011/05/30(月) 00:41:33.72 ID:et5964BA

たちまち表情が暗くなり、とても申し訳なさそうな顔で謝ってくる一兄さん。
いや、やめて。私はそんな顔なんて見たくない。いつもの一兄さんの顔を見たいのに。

「元気出して、一兄さん。
まだ昼前だから早く出発しただけです。
それに一時間も早く出れたからまだまだ追い付けるはずです。」
「燈……」

いきなり、私に抱きつく一兄さん。

「ひゃ!?一兄さん?」
らしくない声が出てしまいました。恥ずかしい!

「ありがとう。俺はそんな優しい燈が本当に好きだよ。」
「!!!」

一兄さんが好き!?私を!?
え?…え!?

「もう!、こんなことしてないで早く行きましょう。」
「そ・そうだな。」

顔が赤い一兄さん。うふふ、多分私の方が真っ赤だろうな。
一兄さんに触れた場所全部が疼く。もっと抱かれていたかったです。
あ、そうだ。

「…ミノウに着いたら、抱きついていいですか?」
「え?」
「……さあ、急ぎましょう。これ以上遅れたら本当に間に合わなくなりますよ。」
「お・おう!」

わざと一兄さんの問いかけを無視して、そのまま早足で門まで向かいました。

公国ミノウに着くのが凄く楽しみになりました。
それは何で?それは着いたらのお楽しみです。私にとって、一兄さんにとっても。

まだまだ私達の道はこれからです。………胸はいい加減成長してほしいですが…



741名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 00:45:56.49 ID:et5964BA
終わりです。埋めネタ程度なれてたら幸いです。

今さら思ったけどカオスワールドって題名ダサすぎる…
742名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 00:48:36.27 ID:IIPOdoX+
>>741
いや、いいんじゃないかな
乙。
743名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 03:01:50.04 ID:P8cLXtQl
遊戯王かなんかでありそうだな<カオスワールド
744名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 10:31:52.41 ID:QYm2q7PV
もういろいろと限界だな…
745名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 15:44:05.94 ID:+67sEu01
このレスで埋まったら俺にキモウトができるはず!
746名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 17:55:27.07 ID:9dz9pRRz
>>745
お前の姉さんが、涙目でお前のこと見てるぞ
747名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 22:59:31.81 ID:ypIkj0hi
新しいスレはどこじゃ
748名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 23:12:59.66 ID:jlxrEuOs
まだない。俺は忍法帖リセットの影響で立てられない
749名無しさん@ピンキー:2011/05/30(月) 23:24:39.04 ID:aM7Nr0Rh
●餅がいない限り、最低10日はかかる
750名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 01:34:03.20 ID:gF2mtSwn
此処の板じゃ初体験だがやってみるわ
一度挑戦して二分待てこのクズとか言われたんでちと怪しいが
失敗したらスマン
751名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 01:36:23.15 ID:gF2mtSwn
スマン失敗こいたorz やってみるとか言って失敗して挙句2レスも消費してマジ申し訳ねぇ
なんだよレベル足んねぇって
752名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 16:51:20.86 ID:NtT+9i8q
753名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 16:52:23.23 ID:NtT+9i8q
あ、建てたの俺じゃねえよ。ありがとなお兄ちゃん



埋め
754名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 16:53:34.03 ID:NtT+9i8q
うまく500KBちょっきりいかんな。もう一度埋め。
                                                  
                                                  
                                                  //
755名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 16:53:38.63 ID:/gzbz22X
756名無しさん@ピンキー:2011/05/31(火) 16:54:54.02 ID:/gzbz22X
松竹梅
757名無しさん@ピンキー
埋め
                                                  
                                                  
                                                  
                                                  
                                                  
                                                  
                                                  
                                                  
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1306819709/