キモ姉&キモウト小説を書こう!part34

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1名無しさん@ピンキー
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹殺するまでの

お兄ちゃん、どいてそいつ殺せない!! とハードなネタまで・・。

主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。

■関連サイト

キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
http://www7.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1.html

キモ姉&キモウト小説まとめサイト
http://matomeya.web.fc2.com/

■前スレ
キモ姉&キモウトの小説を書こう!part33
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1288981292/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません
2名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 17:50:50 ID:ESItFmGF
>>1
3名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 20:30:21 ID:ZYaImZmu
>>1
おつ。年変わってから人いなさすぎだろ
4名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 22:00:18 ID:JNzyFsff
>>3
姉妹と姫始めしてるんじゃない?
5名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 08:29:48 ID:p0h56MLl
>>3
ここだけじゃない
多分去年の規制ラッシュがまだ続いているか、そのせいで板自体から人が去ってる

俺は妹に監禁されてるから別だけど
6名無しさん@ピンキー:2011/01/05(水) 16:12:47 ID:GSVaf65b
ここは割とレスがあるんでむしろ自重してROMってるくらいなんだが…

まあ全年齢板がほとんど携帯規制されたんでその辺りが移動してくる可能性はあるかも
7翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:30:45 ID:Wzq3ITKE
あけましておめでとうございます、こんばんは
投下させていただきます
時間が開いてしまいました、すみません
・エロなし
お目障りな場合は、トリをNGにしてください
8翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:31:21 ID:Wzq3ITKE

 #2−1
「あ、あの……」
 使用人と思われる女性に導かれるまま、黙って屋敷の中をきょろきょろしながら歩いていた朝陽であったが、とうとう声をかけてしまった。
「はい、何でしょうか」
 女性は立ち止まり、朝陽の方を振り返った。
 あれから当然のように部屋まで付いて来ようとした夜空を使用人の一人が呼びとめ、何処かへと連れて行ってしまった。
 何でも、“旦那様”が呼んでいるらしい。その時の夜空の機嫌が悪くなったように見えた朝陽であるが、確かめる間もなかった。
 それから朝陽は、自分の荷物を持っている女性に連れられてここに至る。
 何となく、そう、何となくではあるが、夜空と別れてから朝陽に対する態度が険悪になったような気がする。
 ――気にしない、気にしない。
 朝陽は心の中で自分を励ましつつ、
「俺の部屋に案内してくれているんです、よね?」
「はい」
 即答、である。
「こっちで、あってるんですか?」
「はい」
 再び即答され、成程な、と朝陽はこっそり嘆息する。
 朝陽を連れた女性は庭に面した廊下を進み、その道中にあるどの部屋に入る事もなく屋敷の奥へ進み、庭を横切るように繋がった渡り廊下を渡ろうとしたのである。
 その先には小ぢんまりとした離れがある。こぢんまり、と言ってもそれさえ普通の家より若干大きくはあるが。
 その離れは屋敷とは異なり純和風ではなく、窓が多く、二階建てのアパートの様な外観であった。
 朝陽の立つ所から少し離れた場所にも渡り廊下があり、その先には矢張り少々小ぢんまりとした、けれどそちらは和風建築の平屋がある。
「向こうにありますのは道場です」
 朝陽の視線を察したのか、女性が簡潔に述べた。
「道場?」
「はい。御鏡家は、古くは武によって栄えた家でございますので。商業や政治へと宗旨替えしたのちも武道は御鏡家にとっての柱なのです」
「ふぅん。じゃあ、俺も武道やってたんだ……」
「はい。2年前まで、朝陽様も夜空様や夕陽様と同様、己を磨いてらっしゃいました」
「姉さんも……」
 朝陽は脳裏に夜空の姿を思い浮かべてみる。
 あの華奢で柔らかそうな体躯からは、とても武道をたしなんでいるようには見えない。
 武道といっても幾許かの護身術とか、精神を鍛えるためとかその辺りなのだろう。そう朝陽は推測する。
 自分も体を鍛えていたらしいが、既に2年ものブランクがあるし、何より覚えていない。
 以前の朝陽が恐らくコツコツ積み上げてきたものは、全くの無意味となり塵と消えているのだろう。そう考えると、朝陽は少しやるせない気持ちになるのだった。
 一つの溜息をこぼし、朝陽は自分の部屋があると言う離れと、今まで歩いてきた母屋の方を見比べてみる。
 ――気にしない、気にしない、気にしない。
 朝陽は首を二三度軽く振り、再度歩き出した女性の後をついていく。
9翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:32:26 ID:Wzq3ITKE

「こちらになります」
「あ、はい、ありがとうございます」
 離れの中は、そのままアパートの様であった。
 廊下を挟んで、部屋へ続く扉が並んでいる。
 それは二階へ上っても全く同じ光景で、そのうちの一つの扉の前。この扉の先が朝陽の部屋だという。
 女性から荷物を受け取ると、彼女は一度頭を下げた後、さっさと帰って行ってしまった。
 朝陽は小さく溜息をつきつつ、その扉を開いて――
「――よお」
 これから朝陽の私室となるはずの場所に、先客がいた。
 8畳ほどの、一人部屋には十分以上の広さのフローリングの部屋。
 大きな窓からベランダに出られるようになっていて、勉強机とベッド、そして本棚が一つずつあるだけの簡素で殺風景な部屋。
 その勉強机の椅子に座り、一人の青年が部屋に入って来たばかりの朝陽を眺めていた。
「……はあ」
 その姿を見て朝陽は、こいつはチャラい、という確信をもった。
 髪型はどこぞのホストの様な長髪。黒縁の眼鏡は、所謂おシャレメガネという奴だ。
 対人経験の少ない朝陽にとって、初めてといっていい人種との出会いであった。
 朝陽は、闖入者を窺うようにしながら部屋の中に入り、軽い鞄をベッドの上に下ろした。
 近づいてみて、青年だと思っていたが自分とそれほど変わらないように感じた。
 青年というよりは、少年。黒縁の眼鏡をかけた彼の顔には、まだあどけなさが残っているように見える。
 美少年。成程、彼の様な少年を人はそう呼ぶのであろう。
「そのバッグ、やけに軽そうだな」
「まあ、なんも入ってないし」
 何となく敬語を使うのが憚られた朝陽である。それは対面の少年の態度が原因であろう。
 尋ねる彼のその表情には、何となく人を食った様な成分が含まれているような気がした。
「で、アンタ誰?」
 その表情が癪に障った朝陽は、少しばかりつっけんどんな尋ね方になってしまう。
 対して少年は、少しばかり驚いたような顔して見せた後、くくくと笑い声をこぼし始めた。
 その態度からは、もはや朝陽をバカにしている事がありありと察せられる。
 更にムッとする朝陽であるが、少年の答えを待つ事にして堪える。
「そうか、やっぱ、忘れてんのか」
「やっぱり?」
「いや、話には聞いてたけど、実際に忘れていると分かると何つうかおかしくて……」
 そして再び、くくくと笑う。
 ここにきて漸く朝陽は、自分が挑発されているであろうことを悟った。
「……もしかして、俺、喧嘩売られてる?」
「俺?……くくく、そうか、俺、ね」
「……」
「とと、冗談だからそう睨むなよ。俺が知っていたアンタとは明らかに違ってたからさ」
 矢張り知り合いか、朝陽は少年を観察しながら推察する。知り合い、それもかなり近しい関係であるようにも思う。そうなれば……。
「成程、アンタが俺の弟って奴か?」
 朝陽の言葉に少年はにやりと笑って見せた。
 その所作はさぞ様になってはいたが、朝陽にとっては癪に障るもの以外の何物でもない。
「ご名答!つっても、ま、そのくらいバカでも分かるか。ご推察の通り、俺はアンタの弟だよ」
「……弟だというなら、それらしい態度をとったらどうだ?」
「ハッ、冗談だろ?俺は確かに弟だが、年が離れているわけでもなし、ちょっと生まれる時間が早いだけで兄貴面されてもな」
「ああ、そう……」
 傲岸不遜な少年の言葉に、朝陽はげんなりする。
 そう言えば、夜空が言っていた。朝陽には弟がいて、その弟というのは双子であると。
 一卵性ではなく二卵性という事だそうだが、確かに朝陽と彼はあまり似ていなかった。
 決して自分よりも向こうのほうがイケメンだとかそういうわけではないが。そう、決して。
 半ば自分に言い聞かせるようにしてうなずいた朝陽は、彼に呼びかけようとして名前を知らないことに気付いた。
「そういや、名前聞いてなかった。知りたくはないが、知らないといろいろ不便だし、一応聞いとくよ」
「ん?ああ、俺は夕陽。御鏡夕陽だ。どうだ、如何にもな名前だろ」
「……朝陽に、夕陽、か。確かにな」
 誰が名付け親か、朝陽には分からないが、確かにいかにも双子という感じの名前だと思う。
 それに、姉である夜空の名前も同一人物がつけたのだろう。そのセンスの是非はともかく、何らかの関係を意識しやすい名ではあった。
10翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:33:52 ID:Wzq3ITKE
「で、その夕陽が一体何の用だ?暇人じゃあるまいし、俺をおちょくりに来ただけってわけじゃないよな」
 いくばくかの皮肉を込めた朝陽の言葉に、
「いや、そのつもりだったんだけど」
 と、夕陽はあっさりと頷いた。
 へえ、と冷静を装って呟く朝陽ではあるが、怒りの感情は隠し切れていない。
 朝陽の額には漫画でよくあるような怒りマークが浮かんでいるようである。
「にしても、御鏡家の長兄がこんな使用人部屋に押し込められて。何ともまあ、哀れだねぇ」
 そんな朝陽の怒りを絶対に気付いていながら、夕陽はさらに燃料を投下する。
「……使用人部屋?」
「そうそう。ここはただでさえ田舎で、交通機関もあまり発達していないというのにこの立地だろ?だから、この家は住込みの使用人のほうが多いんだよ」
 ま、それでも最近は人手不足が深刻なんだけどな、と続く夕陽の言葉も今の朝陽の耳には入ってこない。
 ……使用人部屋。なるほど、ね。なるほど、なるほど。
 やはり、自分は歓迎されている存在ではないようだ。本当、一体何をしたんだ、前の自分。これからここで暮らす俺の身にもなってくれよ。
 朝陽はそうやって、過去の自分に呪詛の言葉を投げかけるが、その言葉は結局自分へのものだと気付き、はあ、と嘆息する。
 一年間眠りこけ、更には記憶を失うという普通では絶対にできない事を経験し、かなり楽観的な思考の朝陽ではあるが、やはりテンションは下がってしまう。
 これから毎日の様にこの態度の悪い弟と、まだ見ぬ、しかし自分を嫌っている事は確実の祖父と接していかなければならないというのか。
 途端に夕陽の相手をするのが面倒になった朝陽は、しっしと手を振りながら、
「もう充分俺をおちょくっただろ、満足したなら、もうこの部屋から出て行ってくれ」
 そう言ってベッドへごろりと横になる。
 既に朝陽の意識の中から、嫌味な双子の弟の事は抜け落ちていた。
 甘いものが食べたい。朝陽はそんな衝動に駆られる。
 今日一日色々あって、疲れ切った体や脳が糖分を欲しているという理由もあるが、朝陽は甘いものが大好きなのだった。
 記憶の中にある、朝陽が口にしたものと言えば殆どが味気ない病院食ばかりで、たまにデザートとして付いてくるフルーツやプリン、ゼリー等が朝陽の楽しみだった。
 それが転じて無類の甘いモノ好きになり、退院したらケーキだけを食べて一日を過ごしてみたいなどと考える始末であった。
 ――ま、それもこの家じゃ無理かもしれないな。
 そのことを少しだけ残念に思いながら、うとうとと眠気に意識をかすませていく。
 そんな朝陽の様子に、ち、と夕陽は舌打ちした。
 既に朝陽にとって自分は眼中にない存在になっているようだ。
 まるで子供だ、夕陽は毒づく。自分を前にしてこんな態度をとるなんて、以前の朝陽にはあり得なかったことである。
 どうやら朝陽は、記憶喪失を経て一人称だけでなく、性格まで代わってしまったようである。
 夕陽の前にいる少年は、以前の朝陽を知る夕陽にとって朝陽とは言えない存在と言えた。
 そこにいるのは、顔や声、名前が同じだけの夕陽が知らない誰か、だった。
「おい」
 夕陽は苛立ちの滲んだ声で呼びかけるも、やはり朝陽は応えない。
 仕舞いには、寝息までが聞こえてくる始末である。
 まるであの朝陽にバカにされているようで、夕陽の中の怒りが膨れ上がっていく。
 いっそ朝陽に飛び掛かり、マウントパンチの雨を降らせようかと考え、しかし行動に移すような事はしない。
 体を鍛えている夕陽にとって朝陽の反撃が怖いわけではない。もっと怖いもの、それが夕陽に行動を躊躇わせた。
 朝陽はもう一度舌打ちを残して朝陽の部屋を出た。
 やり場のない怒りに、肩で風を切るようにして使用人の部屋が集まっている離れの廊下をドカドカと大股で歩いていると、丁度離れへとやって来た少女と鉢合わせした。
 黒髪をなびかせ、柔らかい笑みを浮かべた大和撫子。御鏡夜空である。
「夜空!」
 瞬間、夕陽は先程まで感じていた苛立ちをすっかり忘れ、彼にとって姉であるはずの少女を呼び捨てにして駆け寄っていく。
 駆け寄ってくる夕陽に気付いた夜空の顔から笑みが消え、眉がひそめられるが夕陽の目には映らない。
 彼女の傍にたどり着いた夕陽は、尻尾を振る犬よろしく、全身で喜びのオーラを発しながら、
「学校から帰ってきてたのか。探したけど居なかったし、休日出勤でこんなに遅くなるほど忙しいのか?それなら、俺が手伝って――」
 夕陽は姉であるはずの夜空に対し、常日頃から同等かもしくは上からの目線で接している。
11翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:35:18 ID:Wzq3ITKE
 夜空も、今更そんな夕陽の態度を咎める事はせず、けれど夕陽の言葉を遮って、
「――今日は朝陽を迎えに行ったから遅くなっただけよ。それと、未だ入学していない貴方に手伝ってもらう様な事はないわ」
 ぴしゃりと言い放つ。
 これで話は終わりとばかりに夕陽の横を通り過ぎようとした夜空の手を夕陽は、はっしと掴んだ。
「ちょ、何処行くんだよ」
 そんな夕陽の答えが分かり切った質問に、夜空は首を傾げた。
「そんなの言わなきゃ分からないこと?」
「っ……」
 冷たい瞳。彼女の名前と同じように暗く。お前には興味がないと雄弁に語る。
 凍てつく視線は、彼女の類まれなる容貌と相まって氷の杭となり夕陽の心の臓に、深く、突き刺さる。
 夕陽がこの瞳を向けられるのは初めてではなく、もう何度目か、数える事こそ馬鹿らしくなるくらいだ。
 その度に、夕陽は全身全霊をもって恨みの炎を燃やす。
 と言っても、その炎が焦がすのは当事者たる夜空ではない。当然だ、どうして愛しい女を業火で焼くような事が出来ようか。
 ――朝陽。そう、全部アイツのせいだ。あんな奴、あのまま死ねばよかったのに。
 夕陽は先程まで顔を合わせていた、形ばかりの兄の姿を思い浮かべ、ぎり、と歯を噛みしめた。
「そろそろ、手、離してくれる?痛いんだけど」
「っ、あんな、あんな落ちこぼれのどこがいいんだよ!」
 夕陽は、思わず声を荒げた。
 夜空の手首を握る手にも、知らず力が入る。
 けれど夜空は痛みを表情に見せる事はせず、寧ろ愉悦の表情すらうかべて見せて、
「どこが?ふふ、そんなの簡単よ」
 言いながら、夜空は掴まれた方の手を引いた。体勢を崩した夕陽に追い打ちをかける様に、足をかけた。
 それから夜空の腕が複雑な動きをして、夕陽はいつの間にか廊下の床に叩きつけられていた。
 夕陽も、生まれた頃より御鏡の慣習に従い武道で研鑽を積んできた。
 しかしそんな彼が、今は受け身すらまともに取れず床へと放り出されていた。
 ふん、と夜空は一つ侮蔑とも呆れともとれる吐息を漏らして、夕陽を見下ろす格好で、
「全部、そう、私はあの子の全てを愛しているの」
 そう言って、投げられた拍子に緩んでいた夕陽の手を払うと朝陽の部屋へと向かう足を進める。
 そんな夜空の背中に向けて、夕陽は立ち上がり、しかし床に片膝をついた状態で言葉を投げつけた。
「だとしても!今のアイツは、2年前のアイツとは全くの別人だ!記憶をなくして、人格すら変わってるじゃないか!」
 その言葉に夜空はぴたりと立ち止まり、振り返った。
「あら、それに何か問題がある?」
「な――」
 夕陽は絶句してしまう。本気で何の問題も感じていないと言うかのように、夜空は首をかしげていた。
「言ったでしょ。私は朝陽の全てを愛していると。朝陽の顔も、体も、声も、そして魂すらも。全て、全て。ふふ、人格なんて些細なこと」
 夜空は恍惚とした表情を浮かべ、妖艶に嗤う。
 狂喜と狂気が併存した笑み。それすらも夜空を一際美しく彩る。
「それよりも、私はあの子が記憶を失ってくれて嬉しいの。そう、神様にでも感謝したい気持ち。否、そうね――」
 不意に夕陽を見下ろす夜空の視線が鋭さを増した。
 先程突き刺さった氷の杭すら生温い、それだけで人が殺せるような本物の刃の如き視線。
 視線を受けた夕陽は、ゾクリと総毛立つのを感じた。
 ごくり、と夕陽は唾を飲み込む。
「――夕陽、貴方にもありがとうと言っておいた方がいいかしら」
「……まさか、気付いて、」
「それ以上は言わない方がいいわよ。あなたを許したわけじゃないんだから。それこそ、ほんの拍子に殺しちゃうかも」
「……」
「ふふ、冗談よ。今や貴方は御鏡家次期当主筆頭。さすがにそんなことすれば、色々とややこしいもの」
 再び夜空が踵を返す。
「っ!あ、朝陽は当主にはなれないぞ。元々なれるはずもなかったが、今回の事で決定的だ。いずれ、間違いなくこの家から追い出される」
 再度、夜空の背中に投げかける夕陽の言葉は、力なく、何処か負け惜しみじみて。
 夜空も今度は振り返らず、立ち止まる事もなく、
「その時は、私が養ってあげるの。だって、私は、姉さんだもの」
 嬉しそうに笑いながら去っていく夜空の背中を、夕陽は今度こそただ見送ることしかできなかった。
 夜空は以前、そう2年前まで朝陽を当主にしようと、躍起になっていたはずだ。
 朝陽が記憶を失った事を切欠に、夜空も朝陽との接し方を変えたということか。夕陽は唇をかんだ。それこそ、唇が破れ、血が出てしまいそうなほどに。
12翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:35:59 ID:Wzq3ITKE

 夕陽をあしらった夜空は、朝陽の部屋の前で一度深呼吸した。
 夜空の心臓はドキドキと跳ね、気分の昂揚を伝えてくる。
 今日一日、ずっとこんな調子だ。無理もない、朝陽と2年ぶりに顔を合わせる事が出来たのだから。
 いや、一つだけ例外がある。あの老獪との対話の時ばかりは、事情が違った。
 先程の夕陽との会話も不愉快な部分こそあれど、正直どうでもいい、瑣末なことであった。
 しかし、あの、時代遅れの老害との会話では、殺意を抑えるのに一苦労した。
 朝陽への面会を許さなかった事もそうだが、御鏡家の人間である朝陽をこんな使用人部屋に押し込むなんて。
 威張り散らすしか能のないその男は、孫であるはずの夜空にとって不倶戴天の敵でしかなかった。
 ――まあ、そんな事今はどうでもいいか。
 そんな事よりも今は、朝陽である。2年も我慢をしたのだ、朝陽と過ごす時間は一秒でも無駄にしたくない夜空である。
 ふふ、人知れず夜空の頬がほころぶ。
 清潔で、無垢な、まるで花の咲くような笑み。
 これから朝陽と過ごす毎日に、心踊らずにはいられない。
 よし、と一つ気合を入れて。コンコンとドアをノックした。
「朝陽、夜空だけど、夕食までまだ時間があるようだから、家を案内しながらお話しよ?」
 しかし、朝陽の部屋から返答はない。
 あれ、夜空は首を傾げた。
 部屋は間違えていないはず、もしかして一人で家の中を探検しているのだろうか。
 今の朝陽はかなり好奇心旺盛の様だったから、あり得なくもない。
 でも、夕陽の後に擦れ違わなかったし。夜空は心の中で否定する。
 どうやら夕陽は朝陽と会っていたようなので、その後で探検に出かけたのならば擦れ違うはずだ。
「朝陽?」
 再び呼びかけながらドアノブをひねると、ドアが開いた。鍵は掛かっていないようだ。
 はいるよー?と一応の断りを入れながら、夜空は部屋の中に足を踏み入れた。
 朝陽の姿は簡単に見つける事が出来た。ベッドの上、うつ伏せになって寝転んでいる。
 耳を澄ますと規則正しい呼吸音。どうやら眠っているようだ。
 夜空は、そっと朝陽へと近づいていく。ベッドの脇に座り、朝陽の顔を覗きこんだ。
 あどけない寝顔。夜空は、それを眺めているだけで幸せな心地に包まれた。
 この寝顔を見ると言う行為ですら、夜空にとってどれだけ大切な事か。失いかけて、強く実感させられた。
 そ、と朝陽の元へと手を伸ばし、その頬に触れた。
 柔らかくて、そして何より、温かい。それは、朝陽が今ここに生きている証。
 無性に嬉しくなった夜空は、何となく朝陽の頬を、ぎゅ、とつねった。
「あ痛たたた?!」
 思いがけず力が入り過ぎていたのか、直ぐに朝陽が跳ねる様に起き上がった。
 その勢いに驚き、夜空は、ぱっと頬から手を離してしまった。
「???」
 頭の上に多くのクエスチョンマークを浮かべ、頬をさすりつつ、朝陽はきょろきょろとあたりを見渡した。
 そしてベッドの横に座る夜空を見つけ、
「……あれ、姉さん」
「ふふ、おはよ、朝陽」
「え、あ、ああ、おはよう」
 夜空が笑いかけると、照れたように頬を染める朝陽。
 その仕草がたまらなく愛おしくなって、思わず夜空は朝陽に抱きついた。
 彼女の突然な行動に、朝陽は目を白黒させる。
「ちょ、ちょ、姉さん!?」
「ぎゅうー」
 夜空は、態々声に出して朝陽を抱く腕に力を込めた。
 朝陽の匂い。それは、記憶を失っても尚、変わっていないように夜空には感じられた。
 朝陽が、今、こんなにも自分の近くにいる。その事を全身をもって実感する。
 抱きつき癖がついてしまいそうだと夜空は思った。
 朝陽の体、呼吸、気配、何もかも全てを近く出感じる事が出来るこの行為に、夜空は病みつきになってしまいそうだった。
「い、いきなり、どうしたのさ」
「見て分からない?朝陽分を補給してるの。さっきまで、立て続けに不愉快にさせられたから」
「へ?」
 不愉快とはどういう事だろう。そう言えば、夜空は当主であるという祖父に呼び出されたはずだ。
 ……あまり、祖父との仲は良くないのだろうか。
 寝起きのぼやけた頭で考える朝陽だが、そも、祖父がどんな人物か知らないのだ、答えも出しようがなかった。
13翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:36:59 ID:Wzq3ITKE
「って、それよりも、早く離れてくれ!」
 朝陽が夜空を引き剥がそうとすると、以外にも簡単に夜空は朝陽から離れた。
「んもう……まだ恥ずかしいの?いい加減になれなさい」
 こんなのまだ序の口なんだから、と妖艶に見つめてくる夜空に、朝陽はドキリとさせられながら、
「それで、どうしたのさ。何か用?」
「む、用事がないと来ちゃ駄目なの?」
「い、いや、そんな事はないけどさ……」
 可愛らしく頬を膨らませて不満を伝えてくる夜空に、朝陽は言葉を濁した。
 夜空の方は朝陽に対し、家族相応に馴れ馴れしく接してくるが、朝陽の夜空に対しての接し方は聊かぎこちない。
 今までの記憶がないので朝陽にとって、結局夜空は、今日初めて会ったきれいな女性でしかないのだ。
 呼称だけ姉さんと呼ぶようにしたところで、それ相応の距離感を掴むにはまだまだ時間がかかりそうだった。
「でも今回は用事がないってわけでもないの。朝陽に家の中を案内してあげようと思って。それと……」
 そこで夜空の端正な顔が悲しげに歪められた。
「ごめんね」
 唐突な謝罪の言葉。
 朝陽は何の事か分からず、
「へ、何が?」
「この部屋。朝陽だって御鏡家の一員なのに、こんな使用人部屋なんかに押し込んで……。態々ここまでする必要なんてないはずなのに」
 次第に夜空の表情が悲しみから憤怒へと移り変わっていく。
 朝陽は初めて夜空が怒っている所を見て、その迫力に、彼にとって情けない話ではあるが気圧されてしまった。
 美人が起こるとこれほどの迫力なのか。朝陽は、これからは出来るだけ夜空を怒らせないようにしようと、心に誓うのだった。
 ビクつく朝陽であったが、夜空の怒りは幾分早く冷めた様で、直ぐにまたあの温かい笑みが戻っていた。
 そして、何か明暗を思いついたとでも言うかのように、パンと手を打ち合わせ、
「そうだ、私の部屋で一緒に暮らそ?そこまで広い部屋じゃないけど、そっちの方が一杯一緒に居られるし、色々便利だし、ね?」
「いや、ね?って言われても……それは無理」
「えー」
 さすがにそれはまずいだろう、朝陽は夜空の提案に呆れかえってしまう。
 一緒の部屋という事は、毎日夜空と一緒の部屋で眠るという事。
 そんな事態になった日には、朝陽の思春期真っ盛りの性が暴走してしまう事は必至だろう。
 朝陽は夜空の体をそっと窺う。
 学校の制服は着替えたようで、白いワンピースを着ている。
 フリフリの可愛らしい装飾やリボンが付いていて、きっとかなり値が張るのだろう。
 その可愛らしい服は確かに夜空に似合ってはいたが、幾分子供っぽく、夜空のイメージとは少し違っていた。
 夕陽は家の外観や、使用人が着物を着ていたのを見て、夜空も普段着は着物なのだろうとぼんやりと思っていた事も手伝って、かなり意外に感じていた。
「というか、普段着、着物じゃないんだね」
「え?ああ、着物は私にはあまり似合わないから、普段は着ないようにしてるの」
「……あ、あぁ、な、成程」
 ちら、と朝陽が視線を下ろすと、そこには自己主張の激しい胸部。
 胸の大きい女性には着物が似合わないと言う迷信は本当だったのか、などと朝陽はぼんやりと思う。
 と言っても夜空がいつも洋服を着ているのではなく、御鏡家に客人が訪れた場合や社交の場などでは着物を着る事が多い。
 それでも夜空は自分に着物は似合わないと思っているし、着物を着るために腰にタオル何かをぐるぐると巻きつけないといけないので、あまり好きではなかった。
「そんな事よりも、家の中の案内。早くしないと夕飯の時間になっちゃうし、今のままだったら、きっと朝陽、家の中で迷っちゃうよ?」
「いや、さすがにそれは……」
 ない、とは言い切れない朝陽である。
 この家はかなり広いようであるし、普段使うような場所くらいは知っておいた方がいいだろう。
「というか、夕飯は一緒に食べるんだ……」
 朝陽の部屋には必要最低限という感じではあるが、台所も完備していて自炊しようと思えばできないわけでもないようだった。
 ……ただ、料理経験のない朝陽が果してまともな料理を出来るかというと、それは無謀と言わざるを得ないが。
「当たり前でしょ。そんなところまで使用人待遇にしやがったら、さすがの私も黙っていないもん」
 語尾は可愛らしく言って見せる夜空であるが、その言葉には妙な迫力が内包されていた。
 もしかして姉さんって、凄く怖い人?
 朝陽は、今日会ったばかりの温厚で綺麗な姉というイメージを少しばかり修正しなければならない可能性に背筋を震わせた。
14翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:37:45 ID:Wzq3ITKE
 #2−2
 夜空との自宅探検は、つつがなく終わった。
 少し気になっていた道場はそこそこに広く、所々古さはあったが、個人の所有とは思えないほどのものであった。
 朝陽がこれから自分も武道をしなければならないのかと夜空に聞いたところ、その必要はないということにほっとするのだった。
 ちなみに武道と一口に言っても剣道や柔道など節操無くかじるようで、夜空の一番得意なものは剣道だと言う。
 夜空の華奢な腕に竹刀は不釣り合いの様に思えたが、華の女剣士という感じで逆に似合っているかもしれないな、と朝陽は妙な納得をした。
 その他にも様々なところを回ったが、一番気になった所は、屋敷の外観に比べてその中はそれ程和風でもないと言う事だった。
 客室の幾つかの部屋はフローリングの床であったし、今現在朝陽がいる食堂にもテーブルとイスがある。
 豪奢なテーブル。その上にかけられたテーブルクロスも丁寧に刺繍がしてあり、椅子も含めて幾らするのか考えて朝陽は、ゾッとしてしまう。
 もし何かこぼしたりした日にはと思うと、目の前に並ぶこれまた豪勢な夕飯の味が分からなくなってしまいそうなので、考えないように自分に言い聞かせる。
 それにしても、この料理、かなり美味しい。それこそ病院食ばかりだった朝陽にとって、両者が同じ食べ物とは思えないほどである。
 だからこそ、そう。
 ――もっと、違う場所で、気楽に味わって食べたかったなあ。
 朝陽は鳥肉を咀嚼しながら、心中で愚痴をこぼした。
 そして、こっそりとそちらの方向を窺う。朝陽とテーブルを挟み、右前方。朝陽の対面に座る夕陽の隣。
 朝陽の祖父であり、御鏡家で今現在、最も発言権を持つ男がそこにいた。
 名は御鏡智(みかがみ さとる)。齢60を超えても尚、御鏡の企業グループを纏める傑物とも言うべき人物。
 小柄ではあるが、眼光鋭く厳めしい容貌はいかにもといったところだろうか。
 その深く刻まれた皺すらも朝陽には恐ろしく見えてしまうのは、智戸の初めての対面の時に睨まれてしまった事が原因だろう。
 睨まれる、といっても智は一瞥を朝陽にくれたのみで、その後は声をかける事も朝陽の方を向こうともしないのだった。
 夕陽は何故か先程からじっと朝陽を、此方はあからさまに睨んでくる。
 唯一の頼みの綱であるはずの夜空も、先程から一言も発することなく食事を続けている。
 しん、と静まり返った食堂にフォークやナイフの音が響き渡る。
 朝陽を除く3人はテーブルマナーも身に付いているようで、朝陽のそれがやけに大きく響き目立っていた。
 もしかしたら御鏡家の慣習として、食事の時は無駄な会話はしないようになっているのかもしれないが、今日は朝陽が2年ぶりにこの家に帰って来た日である。
 何か積もる話があってもおかしくはない。それこそ、朝陽が嫌われているのであるならば、恨み辛みの一言でもあってしかるべきだろう。
 しかし、それすらもなく、ただ時間と皿の上の料理だけが淡々と消化されていく。
 これが毎日2回ずつあるのだ。朝陽は、自炊を本格的に始めるべきではないかと本格的に考え始めていた。
 経験のない朝陽の作るものである、目の前の料理より格段に劣るのであろうが、それでもいいと思わせる状況であった。
「そういえば」
 地鳴りのような声が食堂に響いた。
 朝陽はびくりとして、声の主、智を見やるが、智は朝陽ではなく夕陽の方を見ていた。
「明日から、高校入学だったな」
「はい、おじい様」
 おじい様!?
 あの傲岸不遜な夕陽の口から出たとは思えない言葉に朝陽は、思わず口の中のモノを吹き出してしまいそうになった。
 笑いを堪えるが、肩が震えてしまう。
 そんな夕陽の様子に、智は不愉快そうに眉をひそめた。
 げ、と朝陽は肩をすくめ、縮こまった。
「入学式で入学生代表として意気込みを述べるよう頼まれましたし、まあ心配されるようなことはありませんよ」
 ふん、と心なしか夕陽は朝陽を蔑視しながら、智に述べた。
 いや、智にというよりも朝陽に、かもしれない。
 入学式で入学生代表に選ばれたと言うならば、それは夕陽が入学試験において首席合格を果たしたという事だろう。
 朝陽も特別に病院で受験したのだが、正直合格できるかどうか合格通知が来るまでハラハラしっぱなしだった。
 その事を夕陽が知っているはずもないが、彼が朝陽よりも成績が上位だった事は確実で、その事を朝陽に対して自慢しているという可能性もあった。
15翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:38:34 ID:Wzq3ITKE
「ふむ、そうか。これから3年間、精一杯励む事だ」
「はい、御鏡の名に恥じぬよう頑張ります」
 御鏡の名。21世紀のこの時代に、何とも時代錯誤な事だと朝陽は思う。
 そんな気持ちが態度に出ていたのか、智がぎろりと朝陽を睨んだ。
「貴様も、せめて名に泥を塗るような事はしないことだな」
「……」
 智は鼻で不快の念を表し、静かな食事を再開した。
 朝陽も何も言えず、ただ目の前の料理を消費する事に専念する。
 夕陽は朝陽の姿に嫌味な笑みを微かに浮かべて、自らの左前方、朝陽の隣に座る夜空に目を向けて、
「そうだ、夜空――」
「――ごちそうさまでした」
 しかし、夜空は聞こえていないか、まるで気にしていないかのように、すっくと立ち上がった。
 そんな夜空を、智は、
「夜空、行儀が悪いぞ」
 と、咎めるが、夜空は、
「あら、申し訳ありません」
 と、全くそう思っていない態度で、形ばかり頭を下げた。
 再びその態度を咎められる前に、夜空はさっと踵を返した。
 朝陽の後ろを横切る時、女性特有の甘い香りが朝陽の鼻腔をくすぐった。
 その香りに惹かれて、朝陽は思わずその後姿を目で追ってしまう。
 朝陽の視線を感じたわけではないだろうが、夜空は食堂を出る寸前で朝陽の方を見やり、朝陽と目が合うとウインクをひとつ。
 そのまま廊下へと消えて行った。

 胃の痛い食事を終えてすぐに、朝陽は使用人から風呂に入るよう勧められた。
 御鏡家の風呂は朝陽の想像通り大きく泳げそうな程であった。
 実際に泳いだ朝陽は、御満悦の表情で風呂を出た。
 この家で数少ない楽しみを見つける事ができた彼からは鼻歌さえも零れていた。
 上機嫌のまま離れへ続く渡り廊下を行き、使用人部屋が集まる別館へ。
 その事に付いて朝陽は既に気にしていない、というか感謝すらしていた。
 夕陽と智。朝陽の弟と祖父であるはずのあの二人、母屋の方に部屋があればばったりと出くわす確率も高くなるだろう。
 それならば、此方の離れの方がよほど気も楽というものだ。
 部屋に篭っていれば、向こうが訪ねてこない限り会う事はない。
「食事も自分で作れるしな」
 明日、学校帰りにレシピ本でも買ってみようか。夜空から暫くの間の小遣いは渡されている。
 ひと月一人暮らしするに少々心もとない額ではあるが、食費のみと考えれば十分であろう。
 そんな事を考えながら、朝陽は自室の扉を開いて――
「おかえりー」
 矢張りそこには先客がいたのだった。
「……ちゃんと鍵、かけておいたはずなんだけど」
 事実、今も朝陽は鍵を開いてドアを開けたばかりである。
「そんなの、合鍵があれば一発だよ?」
「……」
 朝陽の部屋、ベッドの上。
 ちょこんと座る夜空は、手に持った鍵を揺らして見せて可愛らしく小首を傾げた。
 その姿は彼女も風呂あがりなのだろう、髪はしっとりしているし、何よりも薄着だ。
 その姿を極力見ないようにしながら、朝陽は部屋の中に入った。
 合いかぎを作り、態々中から鍵をかけて待ち伏せとは。全く用意周到というものである。
「ほら、こっちにおいで」
 夜空がベッドをぽんぽんと叩き、隣へ座るよう催促してくる。
 そのはずみで彼女のふくよかな胸が薄着越しにぷるんと揺れる。……間違いない、ノーブラである。
「いや、さすがにそれは」
「なに、お姉ちゃんの隣が嫌なの?」
 理性が保てるか怪しい朝陽はもちろん断るが、夜空は途端に目を潤ませた
 嘘泣きの可能性が高いと踏んだ朝陽ではあったが、女性の涙を見せられて自分の意志を貫き通せるべくもない。
 それが例え、真実の輝きであろうと偽りであろうと、女性、とりわけ美しい人の涙というものは男に有無を言わせぬ魔力をもっている。
 嫌な予感しかしない朝陽であったが、夜空に誘われるようにふらふらと彼女の元へ歩み寄り、隣へと座った。
 そしてその嫌な予感は、見事的中する。
16翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:39:02 ID:Wzq3ITKE
「んー」
「ちょ、やっぱり!?」
 本日だけで3度目のハグ。朝陽は、風呂上がり特有の一際強い女性の香りにくらくらしてしまう。
 豊満な胸は、薄着、ノーブラで破壊力倍、更に倍。やわらかやわらかー、と朝陽の頭の中で誰かが叫んでいる。
 瞬間沸騰機よろしく朝陽の顔面は赤く、熱く煮えたぎる。
 そのうち血管が切れて死んでしまうんじゃないか、と朝陽はぼやけた意識の中で思う。
 絶世の美女に抱かれたまま死亡。まあ、わるくはない死に方ではある朝陽はまだ若い、しかも相手は姉。
 ある意味何とも最低な死に方ともとられる。少なくとも、世間的には。
 朝陽は、奔流に流されてしまいそうになってしまいそうな自分を叱咤し、後ろ髪をひかれまくりながら、べりべりっと夜空を引き剥がした。
 夜空の方に手を置いてグイっと押す。それだけの行為なのに、朝陽は既に青色吐息、いやむしろ桃色吐息とでも言うべきかもしれない。
「やん、もう、寝る前に朝陽分補給しないと、朝まで何時間もあるのに……」
「……いや、ほんと。勘弁して、つかーさい」
「つかーさい?……何か疲れてるみたいだね。まあ、今日は色々と大変だっただろうし、明日は入学式だし、早く寝た方がいいかな?」
 しょーがないね、と夜空は残念そうに息を吐いて、ベッドを立ち上がった。
 そしてドアのところまで歩き、朝陽の方を振り返った。
「それじゃあ、おやすみ。……あ、ちゃんと明日の準備しておくのよ?」
 悪戯っぽい笑みを残し去っていく。まるで、台風一過、朝陽は疲れの色濃い溜息を吐きだして、ベッドに倒れ込んだ。
「やべー」
 やべー、である。
 夜空の一連の行為が自覚的であるならば小悪魔、無意識であるならば悪魔。どちらにせよ女性の扱いに長けていない朝陽に防ぐ術などない。
 朝陽の頭の中にある明日からの学校生活を含めた未来への不安は隅に追いやられ、年相応のピンク一色である。
 悶々と、夜空の体の感触が蘇る。
 彼女の美しい顔、豊満な肉体、妖艶な吐息、甘い香り。
 全身の血が頭に上っているように顔が熱いが、ある一部にも確りと血が集まっている。
 朝陽は自らのテントを見て、苦笑した。
「姉さん、か」
 朝陽は、天井を見つめてぽつりと呟く。
 姉。血のつながった、綺麗なひと。そんな女性に興奮している自分は、正常ではないのだろうか。
 実姉に対する性欲。それは、世間からすれば十分気持ちの悪い感情なのだろう。
 朝陽はその感情を鎮めようと心掛けるが、上手くいかない。
 血の繋がり。朝陽はそれを実感できないのだ。
 当然だ、それは実体をもたないのだから。
 普通ならば日々を近くで過ごし、その過程において実感するものではないか。
 そうすることで、家族と異性の境界が引かれていく。朝陽はそんな風に考えている。
 しかし朝陽の中にその記憶はないのだ。
 今日会ったばかりの異性に対して、血の繋がりだとか遺伝だとかそんなモノ、どうやって感じろと言うのか。
「ああ、もう。やめやめ」
 朝陽は首を振って、答えの見えない問いを追い出した。
 朝陽の考えのように、血の繋がりというモノが日常の中で積み上げられるものならば、これから積み上げていけばいい。
 きっと、直ぐにどこにでもいるような仲のいい実の姉弟として日々を過ごせるようになる。朝陽はそう信じ込むことにした。
 夜空が言った通り、明日は入学式。
 これから朝佐陽は、自分と同世代の人間ばかりの空間で、1日の大半を過ごす事になる。
 明日はその重要な一歩、である。そこで地雷を踏もうものならば、高校3年間が灰色に煤けてしまいかねない。
 只でさえ朝陽には重大な問題があるのだから、せめて気力くらいは十分で挑まないといけないだろう。
 そんな事を考えていると、どっと眠気が朝陽に襲いかかって来た。
 きっと、肉体的にも精神的にも疲れ切っていたのだろう。朝陽はゆっくりを瞼を閉じた。
 すぐに泥の様に眠る朝陽の、規則的な呼吸音が聞こえ始めるのだった。
17翼をください 2  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/05(水) 21:40:01 ID:Wzq3ITKE
以上です
しつれいしました
18名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 01:34:06 ID:xZDFKfY3
今回もとても面白かったです!!
朝陽と夜空姉さんまじ最高っすb
続きも期待してます。
19名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 18:58:32 ID:9vWjo5/7
あけおめこ
とよろ

大規模規制が来そうなのでその前に投下しておくます
20名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:13:12 ID:9vWjo5/7
小説家を目指す姉が言い出した。

「セックスというものをしてみたい」

姉は物心ついた時から自分は将来小説家になるものだと半ば決めつけていて、
ことあるごとに弟であるところの俺に小説のモデルになれだのネタはないかだの警察官を父に持つ知り合いはいないか取材したいからナシをつけておいてくれだのと、
あれこれと種々様々な雑用や無理難題を立て続けに押し付け続けてきたから、
ちょっとした用事なら俺はもう動じることはない。

しかし今日の姉・京子の発言にはさすがのおれも面食らった。

「…ハッ?」
「セックスだ、知らないのか。英語で言えばエス、イー、エックス」

おれの部屋の扉を(いつも通り)ノックもなしに開け放った姉は、
腰に両手をあて、小さな胸を堂々とそらすようにして言い放った。
英語で言ってどうなるというのだ。

「知らなくはないけど」

なにを言ってるのだろうこの馬鹿ねーちゃんは。

「うむ、よろしい」

おれのあいまいな言葉に対して鷹揚に頷くと、姉のひっつめ髪に整えられたポニーテールが少し揺れた。
高校でバレー部に入っている俺よりもずっと小さな姉はもう大学2年生にもなるというのに、
胸も尻も実につつましい成長具合で、洗いざらしの綿を胸下で絞り、のこりは体のラインが流れるにまかせた、エプロンのようにシンプルなデザインのワンピースが嫌みなく似合ってしまう。
などとぼんやりかんがえながらこの威張った小動物のような姉を観察していると、おもむろにそのワンピースの胸元のボタンを開け始めた。

「では母さんが帰ってくる前に済ませてしまおう」
「はいストーップ、ストーップ、ハイストーップ。見えませーん、全然話が見えませーん」

胸元のボタンをはずそうとする両手を止めると、姉は眉根にしわを寄せ、冬眠中に起こされた熊のような怪訝な、凶暴な、少し残念そうな顔をした。

「いや、だから、セックスをするんだよ」
「誰が」
「私以外にだれがいる」
「誰と」
「お前以外にだれがいる」

姉は明朗に応えた。
21名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:14:21 ID:9vWjo5/7

んっ?

「えっなんて?」
「ええい勘の鈍い奴だなこの愚図でのろまな亀のオタンチンパレオロガスめ」

いつも舌ったらずなくせに悪口を言う時は必要以上によく回る口だ。
姉は眉間に作られた短い皺をやや深くしながら続けた。

「つまり私は悟ったのだ。古今東西、名作小説や名演劇には、おしなべて男女の情愛が描かれているものだと!」
「じょうあいですか」
「うむ。情愛とはつまるところ性欲が人間性や社会秩序によって穏当な形に昇華されたものだ。つまりは性欲だ。性欲」
「言い切りましたね」
「うむ。言い切りの口調が文章にリズムを生むのだ。と小説ハウツー本に書いてあったのだ」
「はぁ」
「ええい話の腰を折るサバ折り雷電為衛門だなお前は。つまり小説には男女の情愛が必要なのだ」
「それで」
「つまり名作を書くには男女の愛を知らねばならん。男女の愛を知るには――」

姉は人差し指を中空に向かって立て、芝居がかった口調で喋る途中に思いきり長い間を取った。
目をつむり明後日の方向を向いているが、薄目を開けたまぶたの下からちらちらと俺の様子をうかがっている。

「…セックスを知らないといけない、と」
「その通り!」

仕方なくおれが言葉を続けると、姉は音が立ちそうなほどの勢いで人差し指を俺の鼻先に突きつけた。
なぜこうも自信満々に人の顔に指を突きつけられるのだろうか。
人を指さしちゃいけませんとしつけられなかったのだろうか。
親の顔が見たい。
仕事が終わり次第帰ってくるだろうから。

「話はわかった。…まぁ落ちつこうか」

姉をベッドに座らせる。
狭い俺の部屋には来客用のソファやスツールを置くスペースなんてない。
あとは勉強机と小さな本棚があるくらいだ。

「なるほど! 部屋に椅子を置かないことで自然と女性をベッドに誘導する作戦か! これがリアリティというものだな。勉強になる」

俺が狭い部屋を使っているのは、
姉が資料用の本を山ほど、控え目に言って剱岳くらいの本を置かないといけないから広い部屋じゃないとダメだと言って独占してしまったからなのだが。
そんなことを洞察も推察も想像もできないのは、小説家志望としての前に、人間性に欠陥があると言わざるを得ないのではないだろうか。
22名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:14:52 ID:9vWjo5/7

「姉よ。俺が弟としてお前に言いたいことは山ほど、控え目に言って野口五郎岳ほどあるが、まずはこれだ」

姉はベッドに座って上目づかいに俺を見る。
俺は小さい子に諭すように言った。

「俺たちは姉弟だぞ」
「そうだな。それがどうかしたか」

んっ? おかしいな。
おれの持っている一般的な常識というやつでは、姉弟というやつは、仲良くなりこそはすれそこに肉体関係、性交渉を持ってはいけないというのがあるはずなのだが。
姉は細く黒い眉を白い額にきりりと上向けて、丸い目を見開いておれを見ている。

「どうかしたか、って。ダメでしょ。姉弟でセックス」
「なるほど。社会的タブーというやつだな」
「そうそう、それ」
「ちょっとこっちへ来い。もっとちこう寄れ」
「ねーちゃんあんたは殿様ですか」

姉がベッドの上で少し体をずらしスペースを空け、こいこいと手招きをしたので、その空いたスペースに座る。
袖のないワンピースからむき出しになった姉の二の腕が、おれの二の腕に触れて、熱が伝わってくる。
姉の肌は火照って熱を帯びている。
子供みたいに平常体温が高いのかな?
姉が高い声で話し始めた。

「社会的タブー、物語製作上では『枷』というやつだな」
「ああそれが…む゛っっ」

生返事の途中でむりやり遮られた。
頭を両手でむりやり抱えられ、むりやり姉の側に顔を向けられ(首の骨が鳴った)、
姉の顔が間近にあると思ったら、唇に柔らかな感触が触れていた。

「…んっ……むぅっ……ハァ…っちゅ……」

姉は目をつむったままで、俺の唇をもてあそんでいる。
唇で、唇を挟んだり、撫でたり、少し離して、またくっつけたり。
首から回した腕を後頭部の後ろで交差させている。
唇から少し突き出された舌が、たっぷりと唾液を持って、俺の唇をなぞっていった。

離れられない。
姉の両手がおれの顔をロックして離さない。
離れる気が毛頭ないようだ。
しばらくの間、好きなように俺の唇を味わいつくした後、
ゆっくりと姉は顔を離し、耳元でぼそぼそと囁いた。

「ん…はぁ……枷があってそれを乗り越えるところにドラマがあるなんてことは、小説書きの基本のきだ」

乱れた呼気と、少しかすれた声が耳を撫ぜて、背筋にぞくぞくとした快感が走った。
23名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:15:14 ID:9vWjo5/7

「ちょ、ちょっとまってくれ。ちょっと、ちょ」

さらに抗うおれの唇を、姉の唇が無遠慮にふさいだ。
む、むぅ。
姉の唇がおれの唇に当たる音が、当たって離れる音が、静かな部屋に響いている。
チューってホントにチュッチューいうからチューっていうんだな。

柔らかいものが口の中へ滑り込んできた。
舌だ。
最初はおずおずと、おれの様子を窺うように。
次第に大胆に、口中を動き始めた。
姉の舌が俺の舌を撫ぜている。
歯を舌先でなめ、歯の裏を舐めるように舌が伸ばされ、
軟体動物のような姉の舌は俺の口の中で別の生き物のように自在に動いている。
柔らかく、濡れていて、なまめかしい。
熱のこもった鼻息が鼻先にかかる。

姉の体が熱くほてっている。
首にまわされた腕から、密着されたからだから、何より口の中の舌から熱が伝わってきて、
伝わった熱が溜まっていくように、自分の体の底に熱を帯びてくるのを感じた。

「…どう?」

姉がすっかり上気した顔を離して聞いてきた。

「なにが…」
「キスの感想」
「感想って…」
「感想を言ってくれないと小説の取材にならないじゃないか」

あっ、そういうこと…。

「どうだった?」
「その…きもちよかったよ」
「どんな風に?」
「どんなって…なんていうか、柔らかくて」
「具体的には何が?」
「唇と、舌。…それになんていうか、お姉ちゃんの」

小さなメモ帳に何やら書きつけていた姉がこちらを見て小さく口角を上げた。

「お姉ちゃん、と久しぶりに言ってくれたな」

そう言えばそうだ。
いつからか、姉のことを“お姉ちゃん”と呼ぶのが恥ずかしくなって、
おいとか、なぁとか、お前とかと呼ぶようになっていた。

「昔は私の言うことをよく聞くかわいい弟だったのにな」

などと言ってふくれている。
今でも十分言うことを聞いていると思うのだが。
24名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:15:54 ID:9vWjo5/7

「ま、今でも聞いてくれているか。こうして」

姉はそうして、
俺の足の間に座り背中を預けてきた。
後ろで縛られたポニーテールが首のあたりに当たる。
広いでこすけと生え際の境が白く光っている。
ちょうどいい位置にあったので、
顎をその頭の上に置いた。

いいにおいがする。
立ち上ってくる汗のにおい。

「うりうり」

顎を動かして姉の頭をごりごりする。
柔らかい髪の感触。小さな姉の頭が顎の動きに合わせて揺れる。

「やめんか」

姉の体は小さく、
あぐらをかくようにして坐り後ろから腕を回すと、
その体がすっぽり収まってしまうくらいにこぢんまりしている。

「姉ちゃんの体、熱い」
「…お前こそ」

視線を落とすと、
軽くうつむいている姉の顔が見える。
その下に、
少し開いたワンピースの胸元。
肌が桜色に上気している。
その奥は陰で少し暗くなっていて、
肌と布の隙間に影が黒く谷を作っている。

姉のつつましい胸はなだらかな丘のように自らを主張している。
とても山とは言えない。
ましてロケットのような盛り上がりは望むべくもない。
せいぜい子供を連れてピクニックへいくのにちょうどいいわ、というような高台、
あるいはちょっとした坂道程度の盛り上がりだ。

その盛り上がりとも呼べないような丘陵の先端に、
肌の色よりわずかに濃い色が見えた。

「姉ちゃん――!」
「なんだ」
「ブラ、してないの…?」
「だって脱ぐだろう」

こともなげに言うのだ。
つい、視線を下ろしたままじっと見てしまう。
胸が小さいからか、服の間と隙間が大きく開いて、
さほど大きくない乳輪と、やはり小さな乳首が見え隠れしている。

(巨乳AVの人はみんな乳輪大きいもんな。おっぱいと乳輪の大きさには相関関係があるのだろうか)

などと考えていると姉がそっと両腕を胸元にやって、服を押さえた。
25名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:16:16 ID:9vWjo5/7

「何で隠すの」
「だって…お前、ちょっと、見すぎだろう」

恥ずかしがっているのか、姉なりに。
何を言っているんだ「セックスをするのだ」と鼻息荒くして意気揚々と部屋に乗り込んできたのに。

「ひょっとして、姉ちゃんおっぱい小さいの気にしてるの?」

腕の中の体がぴくんと反応した。
姉は口をへの字に結んでいる。

「ねぇねぇ、気にしてるの?」
「べっ、別にそんなことは…」
「気にしてるんでしょ」
「気にしてるわけじゃないけど…」
「ないけど?」
「…男はみんな大きいのが好きだろう」
「いやぁそれは…人それぞれじゃないかな」
「だって!」

姉が急に大きな声を出して、
上を向くようにして俺の方を見た。
こころなしか瞳がうるんでいる。

「だって…お前のDVDに出てる人みんな大きなおっぱいじゃないか…」

何の話だ。

「お前の部屋に置いてあるエッチなDVDも…いかがわしい本にも…みんなおっぱい大きい、スタイルのいい人ばかりじゃないか…」

ちょっと待て。
つまりなにか、
勝手に俺の部屋に入って家探しをして俺秘蔵のアレやコレやの本やらDVDやらを勝手に見ていたと、
つまりそういうことか。
それで女優やモデルのスタイルのよさやおっぱいの大きさにショックを受けているてのか。

「人のプライバシーをなんだと思ってるんだ」
「…小説のネタになりそうなら弟の部屋くらい土足で踏み荒らすわ」
「酷いことを言うな。それに、別に俺は巨乳好きってわけじゃない」
「だって…」
「あれくらい、ああいう仕事の人なら普通サイズなの! そりゃあ、姉ちゃんに比べたら巨乳だけど」

腕の中で体をこわばらせたのが伝わってくる。
姉は小刻みに腕を震わせながら、自らの胸に両手をあてた。

「わ、私だってないわけじゃないもん…」

自らの感触を確かめるようになんどか手を動かす。
なるほど姉の小さな手にしてみれば、柔らかさもちょうどぴったり収まるサイズといったところなのだろう。

「お、」

姉が胸に手をあてたままなにか言う。
片手ならなにか宣誓でもするのかと思うが、両手を胸にあてがっているからちょっと違う。
26名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:16:47 ID:9vWjo5/7

「お、おまえはこれくらいの、その…(小さな)…胸でも満足できるのか…?」

小さな、という言葉は全く小さな声で、そのまま消え入りそうな声だった。
姉が上を向くように俺を見る。
期待と不安が入り混じったような、表情をしている。
子供のような丸い瞳が怯えたように俺を見ていた。
そのとき、なんというか、心臓が5センチほど喉元に上がるような、
そんな気持ちになった。

「…満足できるかどうかは、試してみないとわからないかな」
「ひゃあっ!」

ワンピースの脇の部分から両手を差し込む。
覆いかぶせるように姉の胸に手を当て、何度かぱふぱふと大きさを確かめる。
小さい。
まな板とは言わないまでも、まな板の上に裏返した小皿を二枚並べて置いたような、
そんなさびしいボリューム感だ。

「こっ、こら、そんないきなり! 手を入れるな! 揉むな! まさぐるなぁ…!」
「あっでも柔らかいよ、やわらかい」

肉まんを裏側から食べて、
底面と中の肉をすっかり食べてしまって、
残った上の部分だけを揉んだらこんな感触だろうかというサイズだ。

「あの…なんていうか…無くはない、無くはないよ!」
「そんなのっ…慰めになるかっ……! こらっ…! そんな何度も…パタパタ…するなぁっ…」

掌に小さな突起の感触がある。
小さいながらも柔らかい土台に比べて、
確固とした固さを持ち合わせていながら、その突起は上下左右自由に動き回り、
掌の中でこそばゆいような感覚を生んでいる。

「この感触は…そうだ、ゲームキューブのCスティックに似てるな」
「なっ、なにがぁ…!」

友達の家にあった、古いゲーム機のことを思い出した。
掌の中のCスティックを動かすごとに姉の体がぴくんぴくんと小さく反応する。
そうかCスティックのCはCHIKUBIのCだったのか。

Cスティックを上に動かすと姉の体がのけぞるように、
下に動かすと我慢できないというように下を向き、
左右に動かすとそれぞれの方向を向くように顔を動かしている。

「ちょっ…ちょっと…それっ…ンッッ……」

切なそうに眉根を寄せ、歯を食いしばりながらCスティックの思い通りになる姉。
そんな姉の様子を見るのは面白い。

「こうするとどうなるのかな?」

ラジオのボリュームを回すように、小さな乳首をつまんで、コリコリと回してみた。

「馬鹿ぁっ…!」

おお、声が大きくなった。
すごいなCスティック。
27名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:17:12 ID:9vWjo5/7

そのまわりの乳輪に、触れるか触れないかというギリギリの距離で人差し指を回し優しく刺激すると、
姉の口からも出ているか出ていないかわからないほど細い吐息が甘く漏れだした。

「んっ…はぁっ…はっ……ぅ…ぁっ…」
「気持ちいいの?」

吐息が漏れるばかりで姉は応えない。
徐々に吐息が荒く、熱のこもったものになってきている。
気持ちいいんだろう。

親指と中指で乳首をつまみ、
人差し指で乳首のてっぺんをツンツンと刺激したりカサカサこちょがすように動かしながら聞いているから、
答えられないのかもしれない。

「気持ちいいんでしょ?」

乳首を責めながら、
薄く広がった小さな乳房を軽くマッサージするように叩いてやる。

姉のうなじが上気して、赤く染まっている。
肌が白いから赤くなるとすぐわかるんだな。
そっとうなじに細い息をかけると、姉の背中が総毛立つように小さく痙攣してくるのがわかった。

姉がこくりと小さくうなずき、それに合わせてポニーテールが揺れた。

「やっぱり気持ちいいんだ。それじゃあちょっと早く動かすよ」

掌ですばやく胸全体をこすったり、
乳首をつまんでぐりぐりうごかしたり、
脇から胸へと続くラインを人差し指でなぞったり、
とにかく姉のワンピースの中の両手を動かし続けた。

乳首をはじくように指で弄ぶと、
それに合わせて体が小さく震える。
姉は右手で俺の胸辺りの服を掴んで体を縮めている。
姉のうなじに玉のような汗がいくつか浮かんでいる。
じっとりと熱い。
からだ全体から汗と、蒸気を発しているような身の熱さだ。

「ぅ…んっ……ハァッ……ゥゥンっ……」

横顔を俺の胸に押し付けるようにしている姉は、目をつむり、
口を結んで声を出すまいと耐えているようだが、
それでも胸に刺激を与えると、
時折その口から吐息とも、声ともとれない切ない音が漏れだしてくる。

それまで、
意識して避けていたが、
これだけ気持ちよさそうなら多少乱暴にしても大丈夫だろう。
乳首を親指と人差し指で挟み、思い切ってつねりあげた。
28名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:17:34 ID:9vWjo5/7

「きゃ、んんっ……!! はっ、ああっ…んああっ……!」

その瞬間、
姉の身体がひときわ大きく震え、息が強く吹きだされた。
姉は眉間やまぶたの上にしわができるほど強く目をつむり、痙攣させるように全身を振るわせた。
痙攣は2〜3秒続き、身体の震えが収まったあと、姉はゆっくりと息を吸って、また吐いた。

「ひょっとして今のって……イッたの?」

姉はつむっていた目を大きく見開いた。

「いっ、イってない……」

しかし弱弱しく首を左右に振るその様子は、
どう見てもなにか絶頂を迎えた後のしびれの中にいる人間のそれだった。

「いや、だって」
「む、胸だけでイクわけ…ないし……」
「だって今痙攣してたし」
「わ、私が胸だけで行くような淫乱ドスケベ娘な……わけ…ないし……」
「現に息切れてるじゃん」

そこでハタと思いついた。

「あ、さては隠しておいたエロ漫画も読んだだろ」
「!」

姉の体がピクリと震える。

「確かにあれには『胸だけでイクなんてドスケベ淫乱女だなぁ』みたいなセリフがあったけど」
「!!」
「でもまぁ、たぶん普通の女の子でも、そういうこともあるんじゃないかな」
「ほ、本当かっ!?」

姉は目に光を取り戻しておれの目を見る。

「うん。たぶん」
「そうか、普通にあるのか…」

よかった、と小さな声で呟いて、姉はまた俺の胸に顔を寄せた。

「てことは、やっぱりイッてたんじゃん」
「うわ、うわああああああああ! 違うぞ! イッてなんか、イッてなんかないぞ!!」
「何を恥ずかしがってんの、姉ちゃんが『セックスする』って言ったのに」
「う、ううぅぁ……だって…」

顔をうずめるように隠してしまった。

「恥ずかしいし…」

ボツボツと俺の胸板に向かってしゃべる姉であった。
姉の羞恥心の線引きがよくわからない。
29名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:18:19 ID:9vWjo5/7

かと思うと、パッと顔を上げ、

「いやしかし、やはり自分で体験してみるものだ。他人に触られるのがこんなにすごいとは」

と言うなり先程のメモ帳に何やら書きつけている。

「なになに、『最初はこそばゆいだけだったが、次第に変な感じが腰のあたりにたまっていき、最後は全身が電流に貫かれるように――』?」
「馬鹿っ、まだ読むな!」

姉は体でメモをかばうようにして隠した。

「でもそれ小説のネタに使うんでしょう、できたら読むじゃん」
「今はまだメモだから他人に読ませるようなものじゃないんだ」

メモはだめで、小説にすればいいというのはやはりよくわからない。

「そういえば今、『他人に触られるのがこんなにすごいとは』って言ってたけど、じゃあ自分で触ったことはあるの?」

聞くと、姉はメモを取っていたペンを取り落とし、見る間に顔を赤くした。

「わたっ、私、そんなこと言ったか!?」
「言った」

耳まで赤くなった顔を隠すように、姉は再び俺の胸に顔をうずめてしまった。
その様子がなんだかかわいらしかったので、ほとんど無意識に姉の体を抱き寄せた。
小さいからだが俺の腕にすっぽりと収まる。
姉は俺に体重を預けて黙っている。

「…たっ、」
「た?」
「たまにその、ちょっとだけ、触って…しているだけだ」
「何を?」

腕の中の姉の体が小さくこわばるのを感じた。

「…ぃ」
「えっ? なに? なんて?」
「……にぃ」
「何だって?」

胸の中でもじょもじょとなにやら呟いている。
何を呟いているのかは文脈とその様子から判断できたが、
わざと聞き返してみる。
いま俺の顔にはニヤニヤといやらしい笑顔が張り付いているだろうが、
ニヤニヤと笑いたくなるようないやらしい話をしているのだからそれも仕方ないだろう。

「なにをしてるんだって? ホラ大きな声で元気よく言ってごらん?」
「……ぉ…おな…」
「ホラもうちょっと、ホレホレがんばれがんばれっ」

姉がうずめていた顔をきっと上げた。
興奮と羞恥で赤くした眼がうるうるとして、
ちょっと涙目になってる。

「私ももう大人なんだ! 大人がオナニーをしてたら悪いのか! 悪いのかええおう!?」
「やだなぁそんな大声でオナニーだなんてはしたない第一このおっぱいじゃとても大人に見えなイダブベシッ」

殴られた。
30名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:18:46 ID:9vWjo5/7

「この…馬鹿っ! 大体誰のせいで…」

姉は俯いて肩を震わせている。

「お前のいやらしい本を読んだせいで、その、身体が疼いたり、詳しいやり方を覚えたりしてしまったんじゃないかあ!」
「あっなに姉ちゃん俺のエロ本とか見てこっそりオナニーしてたわk」

また殴られた。
右こぶしで殴られたあと左こぶしで殴られた。
頭がクラクラする。

「ハァ…ハァ……ん、そうだ!」

姉が何かを思いついたような様子で顔を上げた。
瞳にはまた、涙とは別の輝きが宿っている。
いったい何を思いついたのであろう。

「男のオナニー見せてくれ!」

……ハァ?

「お前の部屋にあったエロ…つまりその、資料には女の描写や絵はあるんだが、男のオナニーしている様子が描かれているものが一つもないから、
 よくわからないんだ。この機会にぜひ見ておきたい」

また何を言ってるんだこのバカ。

「いやだよそんなの。恥ずかしいし」

姉は作家志望とはばからずいうだけあってどこか常人離れした性格であるが、
おれは至ってノーマルだ。
他人にオナニーを見せつける趣味は持ち合わせていないし、
代わりにまともな羞恥心は持ち合わせていると自負している。
俺のまっこうからの否定に、姉が不満げな様子で口を開いた。

「『チキチキ! 24時間耐久制服美少女ハメドリ大作戦』というDVDを買うのは恥ずかしくないのにか?」

俺の秘蔵ビデオのタイトルである。

「どこで見た」
「10巻までコンプリートするのは恥ずかしくないのにか?」
「俺の机を開けたのか」
「お前なぁ、誕生日を鍵の番号なんかにしたら、家族には開けられるに決まってるじゃないか」

姉は阿呆を見下すような口調で言う。
確かに俺は阿呆であった。

「他にも色々あっただろう。『忍者ハメドリくん』だの『パイパニック』だの…」
「やめろ。やめてくれ。やめてください」
「ご町内のみなさーん! この男は

部屋の窓を開け大声をだそうとする姉の口をあわててふさいだ。
この女は本当にやりかねない。おれの秘蔵DVDタイトルをご町内にむかって喧伝するなんてことを。
しゃくではあるが、言うとおりにした方が得策なようだ。
31名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:19:59 ID:9vWjo5/7

「わかった。…だけど、見てもそんなに面白いものじゃないと思うけど」
「面白いか面白くないかはこちらが決める。お前はお前にできる最高のパフォーマンスを行えばいいのだ」
「パフォーマンスて」
「毎日やっていることだろう。いまさら何を恥ずかしがる」
「決めつけるなよ」
「やってるだろ?」
「……やってるけど」
「ウム、それでこそ若い健康的な男子と言えよう」

姉は妙に満足げにうなずいた。

「あ〜…、う〜…」
「何をウンウン唸っているのだ。まるで○○○○みたいに見えるぞ」
「えっなんて?」
「小説家なれば問題のある表現は避けてならないからな。ええいまだるっこしい。お前がやらないなら私が手伝ってやろうか」

姉が機敏な動きでおれのベルトに手をかける。
素早い。

「馬鹿っ! この変質者! 痴女!! そんなもの、他人に見せられるか!!」
「なんだ、恥ずかしいのか」
「さっきからそう言ってるだろ! このっ…」
「わかった。ではお前が恥ずかしくないようにまず私のをみせてやろう」
「はっ?」

言うが早いか、
すっくと立ち上がった姉はおもむろにワンピースの裾をめくり上げ、
さっと下着を脱ぎ捨てた。

「ふむ」

素早く脱ぐとベットの端に放り投げた。
胸の前で、両手を払うようにはたく。
今、姉のワンピースの下は、ノーブラで、ノーパンだ。
あの布一枚下に、一糸まとわぬ姉の体があるのか。
鼓動が変に高鳴る。

姉はおれが見ているのを意に介さないように、
スカートの裾に右手を滑り込ませた。
左手で右ひじを支えるようにして、少し前かがみになっている。

「あ……」

姉の口から熱い吐息が漏れた。
目に怪しい光が灯り、ねっとりと潤んでいる。
触って、いるのだろうか。

「ちょ、ちょっと」
「ん…ふぅ……、どうした……?」
「俺はまだ、なにも、するとは」

姉がスカートから右手を引き抜いた。
右手の人差し指と中指が、うっすらと光っているように見える。
32名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:20:26 ID:9vWjo5/7
まさか、
本当に触っていたのだろうか。
だとすれば、光っているのは、濡れているのだろうか。
おれがさっきからおっぱいをいっぱいいじっていたせいで、
姉は濡れたのか。

姉はゆっくりと俺に向かって手を伸ばし、
その次に顔を近づけてきた。
唇が触れ合う。
舌を入れられる。
軟体動物のような姉の舌先が、俺の口の中をしばらくさまよう。


「んっ……つまらないことを…言うな……」

姉が唇を離した代わり、
人差し指を突っ込んできた。
条件反射的に姉の指を嘗め取ってしまう。味わってしまう。

「ん…お前の舌、気持ちいいな。指でも」

姉が熱っぽい瞳でこちらを見ている。
自分の体の血管が膨張しているように感じる。
血圧が上がっている。
心拍数も上がっている。
つまるところおれは――

「興奮している、のか? お前も」

姉が表情を変えずに尋ねた。
その通りだと思った。

「もう一度言うが、お前のオナニーを見せてほしいんだ」

実のところさっきから、おれの股間は膨らんでいた。
屹立していた。
すごく硬くなっているのが、見ないでもわかる。
触りたい、刺激を送りたいと思っていた。

「……これっきりだぞ」

観念して下着を脱ぐことにした。
33名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:21:04 ID:9vWjo5/7

ベッドから立ち上がり、意を決してジーンズとトランクスをいっしょくたに脱ぎ捨てる。
少し迷って、
着ていたTシャツも脱ぐことにした。
下半身だけ素っ裸になるというのはやはりなんだかまぬけな気がするから。

姉相手とはいえ、
やはり、銭湯でもないのに全裸を見せつけるのは、気恥ずかしいものがある。

「おお……これが、勃起時のペニスか。通常時から3倍くらいの体積になっているんじゃないか? すごい膨張率だ」
「ボッキ時て。いや、たしかにそうだけど。っていうか、通常時のモノをみたことあんのかよ」
「あっ」

姉の表情は「口を滑らせた!」と明朗に語っていた。
34名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 19:24:29 ID:9vWjo5/7
すみません。
途中ですがいったんここまでです。

続きは早いうちに…書き込めれば…いいなと…。
35名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 23:51:41 ID:EStd2XSi
生殺しかっ!
ひたすらエロくて良かったけど、あまりキモくなってないから普通の姉スレでも良かったかも
後半戦に期待
36名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 00:28:12 ID:W4Zp0wAV
うむ、久しぶりに良い姉分を補給できた
続きをおまちしておりやす
37 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/07(金) 02:29:02 ID:JQIBRS1d
埋めネタが途中容量オーバーで切れちゃったんで再投下します。
38キモ姉は二度死ぬ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/07(金) 02:30:14 ID:JQIBRS1d
「お、お、おねえちゃん…」
「カイくん…なかないで…」
「だ、だって。うぇ‥ひっく、うぇえ…おねえちゃん…しんじゃいやだ…」
「カイくん…わたしのこと好き?」
「あたりまえだよ!ぼくのしょうらいのおよめさんはおねえちゃんなんだーー!!」

 号泣してすがりつく僕の頭をおねえちゃんの手がゆっくりと撫でる。この優しい手を失いたくない。

「ありがとう。カイくん…よく聞いて。
 わたしは必ずもどってくるから。
 そのときは…おねえちゃん‥を…およめさんに…もらって……ね。」
「うん!ぜったいやくそくする。
 だから…だから…」

「ご臨終です。」

 僕の姉さんが逝った。享年七歳。もう十六年も前の話だ。
****

「ふーーう。白昼夢か‥」

 僕は今大学四年だが、今のご時世優秀でも無い自分はご多分に漏れず就職が決まって無く、幼い頃姉とよくあそんだ公園で途方に暮れていたというわけだ。
 こういうとき彼女でもいれば、気も紛れるんだろうが…生憎と彼女どころか女性とつきあった経験すらない。 

「しかも二十歳を過ぎて、いまだに童貞で…くそっ!いっそのこと景気づけに風俗にでも行ってくるかな。アハハ」

 自嘲的な乾いた笑いしか出てこない。

「あんた!ばかぁああーー!?」

 罵声と共に、いきなり頭をコツンと叩かれる感触。我に返ってみると目の前に小学校低学年くらいの長い黒髪の美少女。 
 それにしても可愛い。色白でぱっちりとした眼に紅い小さい唇。まるで人形か少女漫画から抜け出してきたような現実離れした可愛さだ。

「お嬢ちゃん何処の子かな?」
「自分の姉にお嬢ちゃんはないでしょ!」
「ごめんね…今は遊んであげる気にならなくてさ。」

 就職浪人が決まっており、美少女とはいえ、とても子供と遊ぶ気になれない心境である。

「ーーったく。せっかく霊界から虫がつかないようにコントロールしてたのに。今更風俗なんかに行かれたりしたら、たまったもんじゃないわよ。」
「(もしかして知恵遅れの子かな?)」
「な、なによ!その眼は…
 まあ、いいわ。帰るわよカイくん。」
「カイくんって…ま、まま、まさか…お姉‥ちゃん?」

 僕のことをカイくんと呼ぶのは姉しかいないが…我ながら途方もないことを。お姉ちゃんはもう十六年前に亡くなったはずだ。

「ふぅ。やっと気づいたのね。ただまだ半信半疑のようだけど‥‥‥カイくん輪廻って言葉知ってる?」
39キモ姉は二度死ぬ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/07(金) 02:32:43 ID:JQIBRS1d
「輪廻。生まれ変わりのこと?」
「正解よ。」
「じゃ、じゃあ。本当に…お姉ちゃん。」
「ただいまカイくん。」
「お、おかえり。お姉ちゃん‥‥‥」

 僕は懐かしさのあまり自分の半分くらいの少女…もとい姉を強く抱きしめていた。昔と変わらない優しい手で僕の頭を撫でる。間違いなくお姉ちゃんだ。

 姉は死後キモアネノテンショウオオミノカミという長ったらしい名前の女神様に大層気にいられたらしく、前世と霊界の記憶を持って転生したらしい。

「さて。早く帰るよ。」
「はあ!帰るってどこに?」
「私達の家に決まってるじゃない。」
「えーー!!今の両親は?」
「あ‥わたしの今の親は織田夢聖ね。」
「織田夢聖って霊能者で臨済宗寺の?」
「生まれ変わる時ちゃんと両親を選んで転生したからね。当然輪廻も理解してるし、寺を継ぐ代わりに前世の実家に住んでいいってことになってるのよ。」
「いや、いや。ウチの両親が納得しないだろう。」
「カイくん。ウチの菩提寺は?」
「臨済宗寺だけど…」
「もう分かったでしょう。
 今日からまた一緒よ。」
「‥‥‥」

 ウチの家は臨済宗寺の一番大きい檀家で代々寺の後継者を預かる風習があるとのこと。なんという用意周到さだ。 

 でも、もう一つ問題が… 

「あ‥お姉ちゃん。
 小百合が…」
「小百合って赤ちゃんでしょう。」
「何言ってんだよ!もう高校生だよ!」

 小百合というのは我が家の末の妹のことである。 

「なに!キモウトにでも成ったの?」
「ち、違うよ。僕なんか全く無視されて…というか真正のレズでロリコンなんだよ!」 
「知ってるわよ。
 所であんたの幼馴染みの彩花はまだアイドルとつきあってるの?」
「な、なんで、そんなことまで‥‥‥」
「(ふふふ。勿論邪魔だからに決まってるじゃない。小百合はレズ化。彩花はアイドルが恋人。わたしとカイくんの間には誰も入れないわよ。)」

 姉は不敵な笑みを浮かべている。なんか恐ろしくなってきた。

「お姉ちゃん。何を考えているんだよ!」
「うるさーーい!!
 弟は黙って姉の言うことを聞いていればいいの!それ有史以来の世間の常識よ!」
「はあ…」

 いくら前世が姉とはいえ、小学生に言い負かされる大学生って…
 姉は強し……か。

****

 自宅に到着した。一応お姉ちゃんのことは家族には内緒ということになっている。
40キモ姉は二度死ぬ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/07(金) 02:36:07 ID:JQIBRS1d
 何故ならば僕が精神病院に入院させられない為。だって普通なら誰もバカバカしくて信用しないだろう。十六年前に亡くなった長女が生まれ変わって蘇ったなんて。
 そういえば帰る途中に芸能レポーターが沢山いたな。なにせ幼馴染みの彩花がつきあってるのが人気アイドルグループ風の大野聡だからな。どうでもいいことだが…

「ただいま。」

 玄関のドアを開けると親父とお袋の靴がない。
 どうやら妹の小百合しかいないようだ。

「なんだアニキか…」

 居間の方まで行くと小百合は素っ気ない返事でこちらの方にめんどくさそうに顔を向ける。基本ガチレズの小百合は、男にはいつも無愛想だが。

「小百合。今日親父とお袋は?」
「寺。今日は帰りが遅いって。」
「そうか…その臨済宗寺の娘さんを連れてきたんだが…」

 僕の言葉に小百合は、ん?とばかりに少女=お姉ちゃんの方に視線を移す。
 案の定小百合の眼の色が変わった。

「きゃーー!!きゃーー!!
 なに!この可愛い生き物。
 きゃーー!!!」

 レズ&ロリの小百合には今のお姉ちゃんはどストライクだ。ソファーからダイブしていきなり飛びつく。お姉ちゃんは勿論どん引きだが。

「私がこの子をもらったーー!!」
「離せ!この変態くそガキがーー!!」
「まあ、可愛い。照れてるのね。
 私の部屋に行きましょう♪」 

 お姉ちゃんは大暴れしているが、いかんせ高校生と小学生では体格が違う。小百合にぎゅうぎゅうと抱き締められて動きを封じられている。愚妹は興奮して息づかいが荒くなって…

「はあはあ。先ずは可愛い唇ゲットだよ♪」
「くく…わたしのファーストキスはカイくん…って…決めてるのよ。」
「うふふ。男なんてくだらないわ。
 私が女の良さを教えて・あ・げ・る♪」
「妹の分際で姉に逆らうとは森羅万象の理に反する行為だわーー!!」
「わけの分からないこと言って。
 照れてるのね。」

 小百合の顔がどんどんお姉ちゃんに迫ってくる。僕はこのキャットファイトに身体が固まってしまっていた。

 後十センチ、五センチ。三センチ。
 残りお姉ちゃんのファーストキスゲットまで二センチの所で小百合の動きがピタリと止まる。身体がゆらゆらとしたと想ったら、ドサリとその場に崩れ落ちた。

「さ、小百合どうした。」

 僕が心配になって小百合に駆け寄ると、お姉ちゃんは額の汗を拭いながら僕を制す。


41キモ姉は二度死ぬ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/07(金) 02:40:21 ID:JQIBRS1d
「大丈夫。死んじゃいないわ。
 頸動脈締めて落としただけだから。」
「そう…」

「それに百合はスレチだからね。」
「はあ?」
「こちらの話し。
 所でお姉ちゃん汗掻いちゃったから、カイくん一緒にお風呂にはいろ♪」
「嫌だよ。大学生にもなって恥ずかしい…」
「う…うう…せっかくカイくんの為に生まれ変わったのに…
 カイくん…お姉ちゃんのことが嫌いになったのね…」

 姉さんは両手で顔を覆い、俯いて肩を震わせている。オロオロしたヘタレな僕は、ただなだめるだけだ。
 
「何言ってんだよ。お姉ちゃんにまた再会できて嬉しいに決まってるじゃないか。」 
「本当に…」
「本当だよ。」
「本当の本当?」
「ああ…」
「良い子ね。」

 僕の頭を撫でるお姉ちゃんの顔は満面の笑顔だった。嘘泣きか‥どうやら姉に逆らうなどヘタレな僕には無理のようだ。
****
 風呂場に姉と入る。何十年振りか。当時は子供で裸など気にならなかっが今は別だ。
 なんせ僕は童貞で女性に免疫が無い。いくら小学生とはいえ、全裸の美少女が一緒では下半身がやばい。しかしお姉ちゃんには通用しないようだ。

「はい♪お姉ちゃんが綺麗にしてあげるからね。前を向いて。」
「いや…そ、それは…」
「サッサと前を向く!」
「……はい。」

 お姉ちゃんは僕のそそり立つ肉棒を見て嬉しそうに笑う。 

「うれしい‥お姉ちゃんの身体で興奮してるのね。」

 お姉ちゃんの泡まみれの白い小さい手が僕の肉棒をニチャニチャと擦ると、もう快感の波に呑まれてしまう。

「お姉ちゃん…気持ちいい…ああ…」
「まあ、敏感なのね。
 女の子みたいに声を出して♪」
「あ‥ああ…もう出ちゃうよ…」

 僕の射精が近いことを悟ったのかお姉ちゃんは肉棒の根元をギュッと抑える。

「だーめ。先ずはマーキングをしないと…」
「ま、マーキング?」
「だってカイくんは、わたしをお嫁さんにするんでしょ?だったらカイくんもわたしのもの。」
「……」

 快楽の虜に成っているヘタレ童貞に逆らうすべなど無い。お姉ちゃんは上から腰を下ろして僕の肉棒を自分の性器に挿入しょうとするが…

「あたっ!いたた…
 今の身体では挿入は無理ね。
 仕方ないわ。今回は仮のマーキングということで…」

 流石に小学生の性器に僕の肉棒は挿入出来ないようで、お姉ちゃんは自分の性器を僕の肉棒に擦りつける。
42キモ姉は二度死ぬ ◆WXGiSVZK0w :2011/01/07(金) 02:43:16 ID:JQIBRS1d
 ようはスマタだが。性器同士が絡み合う、ちゅぷ、ちゅぷと湿っぽい音が風呂場に響く。

「あ‥ああ…カイくん…」
「お姉ちゃん…ああ!で、でる。」

 どぴゅ!どぷ!童貞の僕は僅か三擦り半で昇天してしまったが、お姉ちゃんは幸せそうな顔をしていた。

****
 天上界
「ふふふ…それで良い。常に姉は勝たねばならない。」
「ふっ。卑怯な手を使うキモアネノオオカミ。」
「お、お前はキモウトノミコト。」
「ワタシを忘れてもらっては困るな。」
「な!オサナナジミドロウボウネコノミヤまで…」
「スレでもキモウトの人気が高いのを知らんのか?」
「いや…近親相姦など邪道。幼馴染みが至高よ。」
「ならば決着をつけてくれるわーー!!」

 天上界でも女神達の大バトルが発生した。


 Fin
43 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/07(金) 02:45:13 ID:JQIBRS1d
容量の計算が出来なくてご迷惑をおかけしました。
44名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 05:01:36 ID:4p0N8Eoq
おもしろかった。
いいうめねたでした。
45名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 11:13:06 ID:ojFc5orP
GJ!
46 ◆dRwnnMDWyQ :2011/01/07(金) 21:46:11 ID:h2bjNTas
GJ!!

47名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 22:32:47 ID:bU57yNSc
>>17>>34>>43
GJ!
48名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 22:33:25 ID:bU57yNSc
あげちまったスマン
49幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:41:41 ID:QQ14Ja4/
今晩は。
表題について投下します。
50幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:42:17 ID:QQ14Ja4/
「その髪、きれいだね」
「ありがとうございます」
心の中ではうんざりしていた。
ここも一緒だ。
心にも無い事を言う人しかいない。
少女はもう、誰も彼もが嫌いになっていた。
少年は白い髪の少女の顔を見て、悲しそうな顔をした。
それからちょっと悩んだ後、少女に手を伸ばした。
もふもふと少女の頭を撫でる。
少年が何を考えているのかは少女には分からなかった。
撫でられた頭は暖かくて、不快じゃなかった。
でも、誰かに触れられるのも触るのも大嫌いだった。
「やめて」
ぱちり、と少女が少年の手を叩く。
少年は戸惑う様に自分の手を眺めた。
けれど、また笑いながら頭を撫でる。
「やめて」
ぱちり。
もふもふ。
「やめて」
ぱちり。
もふもふ。
「やめて」
ぱちり。
もふもふ。
「やめて」
そんな繰り返しを何回やったか覚えていない。
また懲りずに彼は赤くなった手を伸ばす。
それをまた少女が叩こうとした時、手がさっと引かれる。
手の代わりに彼の体全部が前に進んだ。
「つっかまえた〜」
少女をぎゅう、っと抱き留めた少年が笑う。
抱き留められた体が暖かかった。
懐かしさや驚きや、安らぎや戸惑いが湧き上がる。
自分の中で死んでいた感情が一気に蘇って、訳が分からなくなった。
だから、とりあえず少年の鳩尾に全力で膝を入れた。
少年が崩れるように地面に這いつくばる。
これでまた追い出されるけど、別に良いかと少女は思った。
どうせ居場所なんて無いのだから。
ちょっと残念かもしれないけど。
51幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:42:39 ID:QQ14Ja4/
「あぅぅ、せつかぁ〜」
けれど、少年は予想と違って怒ったり泣き喚いたりせず、
涙目で後ろを振り向いただけだった。
少し、コミカルな口調で。
「あのねぇ〜、にいさん。
 それってセ・ク・ハ・ラっていうのよ?
 知らないのかなっ!?」
綺麗な黒髪の子が笑顔で、少年のお尻を思いっきり蹴り上げる。
ふぎゃ、と猫が尾っぽを踏まれたような声を少年が上げる。
賑やかな人達だと少女は思った。
でも、多分、この人は嫌いな人じゃない。
「だれ?」
「えっと、だれって?」
「あなたはだれなの?」
「ああ、おれか、おれはあきら。
 今日から君のお兄ちゃんだ。
 はじめまして、よろしくな!!」
よろよろと立ち上がる、……片手でお尻を押えながら。
元気いっぱいの笑顔で少女にもう一つの手を伸ばす。
今度は彼女の手の前に。
「よろしくおねがいします、あきら、お兄ちゃん。
 わたしのなまえはシルフです」
型通りの挨拶をして、少女は彼の手を握った。
少年の手はやっぱり暖かかった。
今度こそ大丈夫かもしれないって、少女は少しだけ思った。
52幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:43:10 ID:QQ14Ja4/
*****************************************

お兄ちゃんが帰ってきてから1時間くらいは経った。 
左手も右手と同じように壊したら、お兄ちゃんは痛みで気絶してしまった。
私は床に横になりながら、お兄ちゃんの体を人形みたいに抱っこしている。
こうやってお兄ちゃんを抱いていると、たくさんの思い出が溢れ出してくる。
お兄ちゃんは私の全てだった。
お兄ちゃんの側に居られる事が何よりも嬉しくて、
お兄ちゃんと出会ってから私はずっと幸せだった。
これで、全部終わりなのかな。
私の居場所も、あとちょっとで叶うのかもって信じていた未来も。
私は、それでも良い。
お兄ちゃんに見捨てられる位だったら、自分の手で全部壊してしまった方がずっと良い。
それに、私は後悔なんて全くしていない。
こうやって今、夢の続きが見られているのだから。
53幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:43:39 ID:QQ14Ja4/
トントンと軽い足音がして、姉さんが部屋に入ってきた。
力なく、虚ろな目を開いたまま気を失うお兄ちゃん。
そして、お兄ちゃんをしっかりと抱きとめる私。
なのに姉さんは驚きもせず私に尋ねる。
「兄さんの腕、もう動かなくなっちゃったのかな?」
「うん、指の一本だって二度と使い物にならないよ。
 それに、一生喋る事もできないと思う。
 私には分かるよ、こういう事は……得意だから」
気のせいかもしれないけど、姉さんが一瞬嬉しそうに笑った気がする。 
「う〜ん、姉さんはどうしようか?
 ここはやっぱり逃げた方がいいの、かな?」
そういう事は犯人に聞くべきじゃないと私は思う、姉さんらしいけど。
「……姉さんはそんな事を私に聞いてどうするつもりなの?
 それに、姉さんをもう傷つけたりなんてしないから安心して。
 警察を呼んだり、お母さんたちに言いつけたりすればいいと思う。
 それで構わないよ、私は、私の邪魔をする人達を捻じ伏せるだけから」
「本当はそんな事ができるなんて思っていないでしょ?
 シルフちゃんがいくら力の強い子だからって、それは無理だよ」
「分かってる、そんなの。
 でも、今は何も聞きたくないから、だから、ちょっとの間だけ喋らないで。
 今、私は、とても幸せなの」
「シルフちゃんは、今幸せなんだね?」
姉さんが念を押すように私に尋ねる。
「……うん」
お兄ちゃんを抱き締める腕に力を込めた。
私は幸せだ、例えそれがあと僅かの幸せであっても。
お兄ちゃんがここに居る、それだけでこんなに私は満たされている。
今はこの幸せを噛み締めていたい。
54幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:44:02 ID:QQ14Ja4/

姉さんがくすりと笑って言った。


  じゃあ、その幸せがずっと続くよって言ったら、
  シルフちゃんはお姉ちゃんの話を聞いてくれるのかな?


振り向くと姉さんは優しく私に笑いかけていた。
55幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:44:41 ID:QQ14Ja4/
*********************************************

ぴちゃ、ぴちゃ……。

静かな部屋に水音だけが響く。
さっきまで何回も体を重ねていたから、部屋にはじっとりとした湿気が充満している。
そんな空気の中で私は、裸のままでお兄ちゃんのそれを何度も何度も舐める。
お兄ちゃんは手を全く動かせない、だから後始末も全部私達がしてあげないといけない。
いつもは姉さんも一緒なんだけど、今日は用事があるから居ない。
だから、今日は私がお兄ちゃんを独り占め、ふふ。
周りを綺麗にしたら、お兄ちゃんのそれを口に含んで、中に溜まっているものも吸い出す。
……やっぱり苦いし、それにとっても生臭い。
姉さんはこれをいつもおいしそうに飲み込んでいるけど、姉さんが変なだけだと思う。
でもこの前、姉さんにこれは飲み込む物じゃないと思うって言ったら、好き嫌いはダメってすごく怒られた。
ううん、姉さんがあんなに怒るって事は、きっと私が間違っている。
だって、姉さんは正しいのだから。
だから今は残さずに全部ちゃんと飲み込むようにしている。
……苦い。
ふふ、でもこんなに臭くて苦いんだもの。
いくら大好きなお兄ちゃんの物だからってこんな事ができるのは私と、それに姉さんだけ。
そう思うと、自然と笑みがこぼれて、体が熱くなる。
とろり、と私の下腹部から白いものがシーツの上に垂れた、それも指で掬い上げて舐め取る。
「はい、お兄ちゃん、綺麗になったよ」
「……」
お兄ちゃんは何も言ってくれない、でもそれは仕方ない、だって喋れないんだから。
それでも私には分かる、お兄ちゃんはちゃんと気持ち良くなってくれたって。
「くす、お兄ちゃん、大好き」
そう言って、私は横になっているお兄ちゃんにぎゅうって抱きついた。
こうやってお兄ちゃんの温もりを感じたまま、うとうとまどろむのが私の一番のお気に入り。
姉さんにやり方を教えてもらったセックスも気持ち良いけど、
今でも私にとってはこうする方が遥かに気持ちが良い。
56幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:45:27 ID:QQ14Ja4/
姉さん。
そう、今こうしてお兄ちゃんと一緒に居られるのは全部、姉さんのおかげ。
私がお兄ちゃんにひどい事をした後、全てを諦めた私を姉さんが救ってくれた。
約束の日に、母さんに返事をする時も姉さんがお兄ちゃんが声と手の自由を失った理由を誤魔化してくれた。
姉さんの話を側で聞いていると私でさえその嘘を信じてしまいそうになった。
大きな障害を抱えてしまったお兄ちゃんを支える決心をして本当にありがとう、
電話越しに母さんは何度も泣きながら私にお礼を言ってくれた。
そして、私達の生活の為にはどんな援助でもしてくれるって喜んで約束してくれた、少しだけ胸が痛かった。
それから、婚姻の手続きをする為の行政書士さんも姉さんが探してくれた。
実はこの時の為に母さんから貰ったお金をこっそり貯めてくれていたんだって言ってた。
その人はお兄ちゃんの姿を見ても何も言わないでニコニコしているだけだった。
そして、私はお兄ちゃんのお嫁さんになった、式は挙げられなかったけど。
ウェディングドレスが着られないのがちょっとだけ残念だったかなって思う。
でも、そんなのは些細な事、だって私は幸せだから。
57幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:45:50 ID:QQ14Ja4/
まるで魔法のようだった。
私は理由も分からないまま姉さんに救われ、全てを取り戻せた。
でも、理由が分からないから、また全部無くなりそうで怖かった。
だからこの前、怖かったけど勇気を出して姉さんに聞いてみた。
嫌いな私の為にどうしてこんなことをしてくれるの、って。
そうしたら姉さんはちゃんと教えてくれた。

―――ごめんなさい。
私、あの時はシルフちゃんの不安な気持ちなんて考えないで酷い事言っちゃったね。
多分、兄さんとシルフちゃんの仲が良いのに嫉妬してたんだと思うわ。
あの後、すごく後悔したんだ。
だってお姉ちゃんはシルフちゃんの事が本当に大好きなんだもの。
シルフちゃんは大切な家族だから、嫌いになれる筈なんてないよ。

そう言って姉さんは目に涙を浮かべながら私に言ってくれた。
やっぱり、姉さんはとっても優しいんだ。
私なんかの事を大好きって言ってくれるんだ。
そう思ったら、自然と私は泣き出してしまった。
姉さんはぎゅ〜っと抱きしめて頭を撫でてくれた、とっても暖かくて、嬉しかった。
そして、その時に私達は一つの約束をした。
将来、私とお兄ちゃんの子供が生まれる時にはその子は双子になる事。
一人は私の子、それから姉さんの子も私の子として育てる、だから双子。
姉さんとお兄ちゃんの子は認められないからって、姉さんは寂しそうに言ってた。
そのお願いを私は喜んで受け入れた。
だって、大好きなお兄ちゃんと姉さんの子なんだもの。
もちろん、私の本当の子と同じくらいに愛してあげる。
そう言ったら、姉さんはとっても嬉しそうな笑顔をしてくれた、私も嬉しかった。
58幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:46:19 ID:QQ14Ja4/
あと、姉さんともう一つ約束した事がある。
これからはお兄ちゃんの気持ちを大事にするという事。
これは、私と姉さんのせめてもの罪滅ぼし、だって私達の我侭でお兄ちゃんを縛り付けちゃったから。
さっき、お兄ちゃんはずっと部屋に居るといったけど、別に監禁されている訳じゃない。
扉に鍵なんて掛かっていないから、いつでも望むならばお兄ちゃんは外に出る事が出来る。
ただ、錆びたドアノブに手が掛からないからちょっと大変かもしれないけれど、そう姉さんは言っていた。
それだけじゃない、ただ一言、要らないって言ってくれれば私も姉さんもいつでもお兄ちゃんの前から消えるつもりだ。
もちろんさっきのセックスだってお兄ちゃんが嫌ならば止める。
ただ、喉がつぶれているから何て言っているのか分からない時もあるけれど、そう姉さんは言っていた。
でも大丈夫、姉さんに聞けばお兄ちゃんのことは全部分かるのだから。
それに、今の私ならお兄ちゃんの事が少しは分かる。
お兄ちゃんは私達の事がずうっと必要だって思ってくれている。
あの時からお兄ちゃんは私達を否定した事なんて無い。
それは、お兄ちゃんが今の生活に満足していてくれているという意味だ。
だから、私も姉さんもお兄ちゃんに必要とされているんだってちゃんと分かっている。
59幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:47:23 ID:QQ14Ja4/
私はお兄ちゃんの体をぎゅっと抱きしめて囁いた。
「大好きだよ、お兄ちゃん」
あの時、家族と共に全てを失った私がまた幸せになれる。
それはまるで都合の良い夢のようだって思う。
でも、もうただの夢なんかじゃないんだ。
お兄ちゃんはちゃんとこうして抱きしめられる、ここにいる。
本当に、良かった。
だって、やっと私が本当に望んでいた場所を手に入れたのだから。
ここには誰よりも大好きなお兄ちゃんがいて、とても優しい姉さんがいる。
一番欲しかったのに、ずっと手が届かなかった物を手に入れられた。
私はもうそれを失わない、失ったりするわけがない。

私は幸せだ。

そして、この幸せはこれからもずっと続く、永遠に。
60幸せな2人の話 21:2011/01/08(土) 01:47:46 ID:QQ14Ja4/
以上です、ありがとうございました。
61名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 01:51:21 ID:CZjgbEdl
>>60
リアルタイムで背筋が凍った
GJ
62名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 12:41:50 ID:R8pIYD3q
GJ!
すげー! なんというヤンデレキモウト達…
タイトルの幸せな2人は単にキモウト二人に焦点を合わせてるのか、それとも兄に幸せはないと言ってるのか…
63名無しさん@ピンキー:2011/01/08(土) 17:27:01 ID:ZD35yglO
意思表示機能を奪ったうえで拒否されれば云々ってwwwwww
64名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 10:54:12 ID:7FLHIQFT
イイネ

まぁ腕の骨などどうにかなっても義手という手段だとか色々解決策はあるからお兄ちゃんガンバ
65三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 16:52:52 ID:a+y96avJ
三つの鎖 30 後篇です。

※以下注意
エロ無し
血のつながらない自称姉あり

投下します
66三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 16:53:18 ID:a+y96avJ
 今のような日差しの強い季節でも中庭に人は多い。
 中庭は緑が多いせいか涼しげで日差しを遮る物にも不足しないせいや。
 俺と幸一と美奈子ちゃんは木の下のベンチに座った。
 木漏れ日が眩しい。
 「ささ。どうぞ召し上がってください!」
 美奈子ちゃんが得意げに大きな弁当を開いた。
 いや、弁当箱って言うか重箱。
 中にはうまそうな惣菜がたくさん入っていた。
 「おいしい物をでお腹いっぱいになれば、悩みなんて吹き飛びますよ!」
 おい。悩みがあるって言ったんなや。
 幸一は少し困ったように俺を見た。
 「せっかくやし、いただこうや」
 「そうだね。よかったら僕の弁当もどうぞ」
 そう言って幸一も弁当を開いた。
 鳥の照り焼きが入った弁当。これもうまそうや。
 「自分、魚が好きやなのに、弁当は鳥が多いな。何でなん?」
 「…お魚だと、おかずが単調になるから」
 幸一の顔に微かに影が差す。あかん。この話題は失敗や。
 話を逸らそう。
 「美奈子ちゃんのお弁当、すごいな」
 「そうでしょう。けっこう時間かかりましたよ」
 偉そうに胸を張る美奈子ちゃん。ぺっちゃんこやな。
 てか美奈子ちゃん、料理できるんや。以外っちゃ以外や。料理できるような子に見えへんし。
 「一口もらうで」
 俺は行儀悪く鳥の唐揚げを手でつまんで食べた。
 うまい。
 「あー。田中先輩、行儀悪いですよ。お箸ありますから使ってください」
 美奈子ちゃんはそう言って俺に箸を差し出した。
 ありがたく受け取る。
 「めっちゃうまいやん。自分、料理得意やねんな」
 「作ったのは弟です」
 おい!さも自分が作ったような事言ったやろ!
 俺は重箱に視線を落とした。結構な量。
 「弟さんが可哀そうやろ」
 「大丈夫です。弟は私の事大好きですから、何でも言う事聞いてくれます」
 そうかいな。ええ弟さん持ったな。
 「このお弁当も昨日、一時間ぐらいお願いしたら快く承諾してくれました」
 「めっちゃ嫌がってるやん!」
 あかん。突っ込まずにはいられへん。
 「美奈子ちゃん、弟さんが少し可哀そうやろ」
 「加原先輩。一口いただきますね」
 スルーかよ!
 俺の心の叫びを無視して(そりゃそうや)美奈子ちゃんは幸一の弁当から鳥の照り焼きを食べた。
 「うんめー!めっちゃおいしいですね!」
 「ありがとう」
 「弟の次ぐらいにおいしいです!」
 「…ありがとう」
 微かに困った表情で俺を見る幸一。俺に振るなや。
 「加原先輩もどうぞ召し上がってください!」
 幸一は困った表情で食べ始めた。
 「どうです?」
 「とてもおいしいよ。ありがとう」
 美奈子ちゃんはニッコリ笑った。
 「たくさんありますし、遠慮せずにどうぞ!」
 俺と幸一は顔を合わせて苦笑した。
 この子、空気読まれへんし、突っ込まずにはいられへん言動も多いけど、根は悪い子やない。
 悪気も悪意も無い。だからこそ厄介やけど。
 他愛もない事を話しながら、のんびりと食事を続けた。
 幸一に村田の事を聞きたかったけど、聞かなかった。
 それは幸一と村田の問題。
67三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 16:53:45 ID:a+y96avJ
 俺が出しゃばってええ問題やない。
 「報告することがある」
 食事を食べ終えて、幸一は真剣な表情で口を開いた。
 「あの、私、席はずしましょうか」
 遠慮がちに口を開く美奈子ちゃん。
 「別にいいよ。でも、他の人には黙っていてほしい」
 頷く美奈子ちゃん。
 報告すること。一体なんや。
 「夏美ちゃんにプロポーズした」
 幸一の言葉をすぐには理解できなかった。
 「夏美ちゃんは承諾してくれた。もちろん、正式な結婚は当分先だ。今は婚約という形だ」
 幸一は真剣な表情で冗談を言っているような雰囲気ではない。
 美奈子ちゃんは呆然としている。
 疑問が解け新たな疑問が生まれる。
 幸一と村田がショッピングセンターに行ってたのはプロポーズの指輪を選ぶために違いない。
 村田が誘ったにしろ幸一が誘ったにしろ、幸一は直前まで村田に指輪の事を言わなかったんやろう。
 だから今日の村田はあんなに元気が無かった。
 幸一が夏美ちゃんにプロポーズしたなら村田に結果を報告するはず。いや、プロポーズすること自体を報告するやろう。
 多分、村田は幸一のプロポーズの話を聞いて結果を聞くのを拒否したんやろう。
 だから幸一は今日のお昼に教室で村田に報告しようとした。
 それで村田は教室を出ていった。それがさっきの事や。
 疑問は解けた。けど新たな疑問が生まれる。
 いや、疑問というより違和感。
 何で幸一は夏美ちゃんにプロポーズした?
 幸一は常識も良識もある真面目な男や。高校生の分際でプロポーズするなんて幸一の発想やない。
 それなのにプロポーズした。何でや。
 幸一がプロポーズすることが他の者にためになるから。
 なら誰や?
 村田か?
 考えられない事やない。
 もしかしたら、村田が幸一に告白して、幸一はそれを断った。
 それやのに村田が諦めなかったとしたら、村田に分かってもらうためにプロポーズした。
 いや、あかん。これやと夏美ちゃんに迷惑がかかる。
 幸一は自分のごたごたに他の者を巻き込む男やない。
 ならば誰のためにプロポーズした?
 夏美ちゃんか?
 何故?
 普通ならプロポーズする理由は何や?
 一生傍にいると誓う?
 あるいは一生傍にいて欲しいと頼む?
 いや、どちらにしてもおかしい。
 幸一が夏美ちゃんにべた惚れなんはどんな奴でも見たら分かる。
 恋人の夏美ちゃんが分からへんはずがない。
 あかん。分からへん。理由が思いつかへん。
 …いや、違う。
 もしかしたら夏美ちゃんは俺が知らへん状況で相当追い詰められてたとしたら?
 それならば幸一がプロポーズした理由も分かる。
 父親を殺され、教師に迫られ、濡れ衣を着せられかけ、恋人と釣り合わないと噂を流されて精神的に追い詰められていた夏美ちゃんが不安になっていたとしたら?
 幸一がどれだけ夏美ちゃんを好きかを伝えるためにプロポーズしたとしたら?
 一応筋は通る。だからってプロポーズってのは行き過ぎやけど。
 いや、ある意味幸一らしいかもしれない。どこまでも真面目でその癖どこか抜けた発想を持つ男。
 どこまでも一途でまっすぐな俺の親友。
 その親友が決意した事なら俺は幸一の味方をする。
 「幸一。おめでとう。夏美ちゃんをしっかりと守りや。幸せにしたり」
 「ありがとう」
 幸一はそう言ってほほ笑んだ。
 その笑顔を見て俺の推測は間違っていない事を確信した。
 美奈子ちゃんも慌ててお祝いを述べた。
 「あ、ええと、おめでとう?ございます」
 何で疑問形やねん。まあ気持ちは分かるわ。
68三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 16:54:09 ID:a+y96avJ
 「ええと、私、何も聞かなかった事にします」
 変に気を遣う美奈子ちゃん。これが普段通りやったらええのに。
 村田はどんな気持ちやったんやろう。
 好きな男とデートしていると思っていたのに、その男がプロポーズのための指輪を選んでほしいと頼む。
 眼中にないとこれ以上ない形でつきつけられる。
 俺ならきっと耐えられない。
 それぐらい失恋は辛い。
 自分の気持ちが相手に届かない悲しみ。
 好きな相手が自分を必要としてくれない悲しみ。
 耐えがたい痛み。
 俺は美奈子ちゃんがいたから今もこうして何とか元気にいられる。
 村田にとっての美奈子ちゃんはいない。
 俺は時計を見た。昼休みはまだ少し余裕がある。
 「幸一。俺、用事があるから先に失礼するわ」
 「ああ。また後で」
 「美奈子ちゃん。お弁当うまかったわ。弟さんによろしく伝えといて」
 「え?はい」
 不思議そうに俺を見上げる美奈子ちゃん。
 俺はその頭をポンポンと軽く叩いた。
 「え?ええ?」
 焦ったように俺を見上げる美奈子ちゃん。ちょっと可愛いかも。
 「耕平。年頃の女の子の頭を撫でるのは良くないよ」
 「そら失礼」
 俺は中庭を後にした。
 村田はどこにおるやろう。
 多分、生徒会準備室。
 村田と幸一はここでよく飯を食っていた。
 生徒会準備室に行くにつれて人が少なくなってくる。
 こっちの校舎には使われる教室がほとんどない。
 俺は生徒会準備室の扉をノックした。
 返事は無い。
 でも中から微かに泣き声が聞こえる。
 胸が痛い。
 惚れた女が泣いている。それだけで胸が張り裂けそうになる。
 「村田。田中や。入るで」
 返事は無い。俺は扉を開けた。
 村田はベッドに突っ伏して泣いていた。
 枕に顔を押しあて押し殺した声で泣いていた。
 顔をあげる村田。その顔は涙でぐちゃぐちゃやった。
 「幸一くんは?」
 胸が痛い。
 村田の眼には幸一しか映っていない。
 形のええ綺麗な唇が呼ぶのは、俺の名前やない。
 「あいつは来うへん。分かっているやろ」
 村田の顔が歪む。
 幸一は誠実な男や。
 例え自分の事を好きと言ってくれる女でも必要以上に優しくはしない。
 優しさが偽りの希望を与えてしまうかもしれないから。
 まだ可能性があると勘違いさせるから。
 だから幸一は来ない。
 自分の姉ともいえる親しい幼馴染が泣いていても、幸一は来ない。
 一見、冷たいように見えるかもしれへん。
 自分で振っといて、自分で泣かせて、それなのに傍にいない。慰めない。
 でも俺は分かる。
 失恋できる事はまだ幸せな事や。
 だって、失恋すれば次に進める。
 幸一はその事を分かっている。
 だから幸一は来ない。
 村田に表面上だけでも優しくできるのに、そうしない。
 それが幸一の優しさ。
69三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 16:55:00 ID:a+y96avJ
 村田は幸一の気持ちを分かっているはず。
 きっと俺なんかよりも幸一の事を知っている。
 「幸一くんが田中くんに来るように頼んだの?」
 「ちゃう。幸一は何も言ってへん。俺が勝手に来ただけや」
 村田の目尻からとめどなく涙がこぼれる。
 こんな村田は見た事ない。
 いつも村田はニコニコと笑っていた。
 幸一をからかうときだけ村田はいつもの笑顔やなくて、嬉しそうな、楽しそうな、幸せそうな笑顔をしていた。
 その笑顔に魅かれた。
 その村田が泣いている。
 声をあげ肩を震わし涙を流している。
 でも俺には何も言えない。
 村田が望んでいるのは俺やない。
 「何でなの!?何で幸一くんは来てくれないの!?」
 村田の問いに俺は答えなかった。
 だって村田はその答えを知っている。
 その答えを認められへんだけ。
 「私の方がずっと傍にいた!!ずっと一緒だった!!ずっと好きだった!!」
 知っている。村田ほどの付き合いやないけど俺も幸一の幼馴染や。
 俺もずっと村田を見てきた。幸一の事を好きな村田を見てきた。
 「なのに何でなの!?何で夏美ちゃんなの!?何で私じゃないの」
 俺もずっと思っていた。
 何で俺やなくて幸一なんやと。
 俺の方が村田の事を好きやのに。
 それなのに何で村田は幸一を好きなんや。
 幸一は村田の事を女の子として好きやない。
 俺は村田の事を女の子として好きや。
 せやのに何でや。
 何で俺やなくて幸一なんや。
 「ずっと、ずっと好きだったのに!!何で私じゃないの!?」
 俺もそうや。
 ずっと好きやった。
 せやのに何で俺やないんや。
 恋は甘酸っぱいなんて言うけど俺はそんな風に思った事は一度もない。
 俺にとって恋は残酷なだけやった。
 それは村田にとっても同じ。
 「分かってるやろ」
 俺はハンカチを取り出して村田に差し出した。
 村田は俺の手を乱暴に振り払った。
 ハンカチが地面に落ちる。
 「何で幸一くんは私を好きになってくれないの!?」
 村田の拳が俺の胸をたたく。
 悲しいぐらいに非力。それなのに心に響く。
 「何で!?何でなの!?何で私を好きになってくれないの!!私は好きなのに!!ずっと好きなのに!!何でなの!?」
 村田の拳が何度も俺の胸を叩く。
 痛くもかゆくもないのに心に亀裂が入りそうな苦しみが生まれる。
 村田の白くてほっそりとして手。
 いつかその手を握りたいと思っていた。
 それやのに今はその手で叩かれている。
 俺は何も言わなかった。
 何を言っても村田には届かへん。
 村田が納得する答えなんて無い。
 人が人を好きになるのってそういうことやと俺は知っている。
 嫌になるほど知っている。
 今の俺に出来る事は受け止めることだけ。
 「何でなの」
 村田は崩れ落ちた。膝をついてうつむく。
 「何で、私じゃないの」
 俺は膝をついて村田と視線を合わせた。
 あれだけ激しく泣いていたのが嘘のように虚ろで疲れきった瞳。
70三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 16:55:47 ID:a+y96avJ
 「好きになる人間は選べへん」
 好きになる人間を選べたらどれだけいいのだろう。
 「幸一は夏美ちゃんを選んで好きになったんやない。惚れる人間は選べへん。分かっているやろ」
 村田の表情が歪む。
 「だからって諦めろって言うの。ずっと好きだった幸一くんが、他の女の子のものになるのを、指をくわえてみろって言うの」
 「そうや」
 俺は即答した。
 「そんなこと、できないよ」
 「難しいのは分かる」
 「勝手な事言わないで!!」
 悲鳴じみた村田の声がこだまする。
 「耕平君に何が分かるの!?私の気持ちなんて分からないでしょ!?」
 俺を睨みつける村田の瞳から涙がこぼれる。
 「好きな人が振り向いてくれないのがどれだけつらいかなんて、耕平君に分かるの!?分からないでしょ!?」
 「分かる」
 「嘘言わないで」
 「嘘やない。俺は村田が好きやから、よく分かる」
 びっくりしたように俺を見上げる村田。
 「ずっと好きやった。今でも好きや。べた惚れしてる。誰よりも村田を好きな自信がある」
 「わ、わたし、その」
 面白いぐらいに慌てている村田。いつものんびりとしている村田がここまで慌てているのは初めて見た。
 「誰よりも村田を大切にする。幸一の事を忘れるぐらい愛する。だから、俺の恋人になってくれ」
 ずっと秘めていた気持ちを伝えているのに信じられないぐらい落ち着いていた。
 多分、結果が分かっているからや。
 村田は見ていて可哀そうなぐらい慌てている。落ち着きなくきょろきょろし、うつむく。
 何となくやけど想像つく。きっと村田は告白された経験が少ないんやろう。
 少なくとも俺が知る限り村田に告白した男って言うのは聞かない。
 村田はもてる。美人やし、愛想もええ。せやけど、いつも幸一にべったりやった。せやから誰も告白せんかったんやろう。
 男は根性無しや。手が届かないと思ったら手を出せない。気持ちを伝える事すらできない。
 俺もそうやから、嫌なほど分かる。
 「そ、その、私、耕平君の気持ちは嬉しいけど、あ、えっと、嬉しいって言うのはOKって事じゃなくて、その」
 村田はうつむいたまま早口に喋る。
 「わ、私、好きな人がいるの。だから、その、ご、ごめんなさい」
 「な?分かったやろう?」
 「え?」
 不思議そうに俺を見上げる村田。
 「どれだけ好きでも、相手も応えてくれるわけやない。自分が好きな分だけ、相手も好きになってくれるわけやない。自分が好きやから、相手も同じぐらい好きになってなんて、そんな風になるとは限らへん」
 きょとんとする村田。
 「幸一を責めたんな。幸一は村田に惚れてないかもしれへん。でも、それは幸一が悪いからやない。好きになる人間は選べへん」
 村田の顔が険しくなる。
 「何なの。そんな事を言うために私の事を好きって言ったの」
 怒ったように俺を見上げる村田。
 「私がどれだけびっくりしたと思っているの。そんな事を言うために嘘の告白をするなんて、最低だよ」
 村田の言葉に胸が痛くなる。
 俺の気持ちは何も届いていない。
 村田は何も分かっていない。
 何も。何も分かっていない。
 「きゃっ!?」
 村田の悲鳴が聞こえた気がする。
 「え?ええ?こ、耕平君?」
 俺の腕の中で村田がもがく。
 気がつけば俺は村田を抱きしめていた。
 思ったより華奢で小さな背中。
 それなのに温かくて柔らかい。
 鼻をくすぐる村田の匂い。
 今まで抱きしめたどんな女よりも甘い香り。
 「こ、耕平君。お願い。離して」
 村田の声はか細く震えていた。
 「嘘やない」
 「え?」
71三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 16:56:13 ID:a+y96avJ
 「告白は嘘やない」
 村田は驚いたように俺を見上げる。
 顔が近い。
 綺麗なまつ毛。大きな瞳。柔らかそうな白いほっぺた。紅い唇。
 「好きや。誰よりも村田を愛してる」
 村田の白い頬が朱に染まる。
 「じょ、冗談はやめてよ」
 「冗談やない」
 俺は村田を抱きしめる腕に力を込めた。微かに身じろぎする村田を押さえつける。
 「何度でも言う。好きや」
 「や、やめて。離して」
 「幸一の事を忘れるぐらい大切にする。愛する。だから俺の恋人になってくれ」
 うつむき震える村田。
 その顎に手を添え、上を向かせる。
 うるんだ瞳が目の前にある。
 恥ずかしそうに眼を逸らす村田。
 「こ、耕平君。その、お願い。は、離して」
 「答えを聞かせて」
 顔をそむける村田。微かに朱に染まった白くて柔らかそうな頬。
 俺はその頬に口づけした。
 「ひゃひっ!?」
 変な声をあげて飛び上がる村田。
 信じられないように俺を見る。
 「い、いま、わわ、私に」
 「好きやからキスした。それだけや」
 顔を真っ赤に染める村田。
 顎に手を添え俺の方を向かせる。
 「答えを」
 村田は恥ずかしそうに視線を逸らした。
 「そ、その、私、突然だし、すごく困ってるし、その、でも」
 早口で話す村田。
 「で、でも、耕平君の気持ちは嬉しいけど、その、やっぱり、私、幸一くんが好きなの」
 村田ははっきりとそう言った。
 胸に微かな痛みが走る。
 俺は村田を離した。
 村田は申し訳なさそうに口を開いた。
 「ごめんなさい」
 「気にせんといて」
 一方的な片想い。俺の気持ちをぶつけただけ。村田は正直に応えた。それだけの話。
 気まずそうにうつむく村田。
 予鈴がなる。もうすぐ授業が始まる。
 「俺、先に行くわ」
 「う、うん」
 「じゃあな」
 さよなら。俺の好きな人。
 俺は村田を置いて生徒会準備室を出た。
 微かに胸に走る痛みを除けば信じられないぐらい穏やかな気持ち。失恋したとは思えない。
 きっとこれ以上悩む必要が無いからや。
 それなのにどこか落ち着かない。
 胸に大きな穴が開いた様な感触。
 俺は屋上に向かった。途中で授業開始を知らせるベルが鳴る。
 授業を受ける気にはなれなかった。屋上でさぼろう。
 屋上には誰もいない。ただでさえ夏が近づき日差しがきつい上に暑い。
 俺はベンチに腰をおろした。ぼろくて塗装のはげかけたベンチ。
 ふとショッピングセンターでの事を思い出す。あの時の休憩所もしけたベンチやった。
 あの時は美奈子ちゃんが慰めてくれた。
 あかん。無意識のうちに誰かに傍にいて欲しいと思っている。情けない。
 俺は空を見上げた。うざいぐらいに晴れ渡った蒼穹。
 「…あー」
 思わず声が漏れる。
72三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 16:56:37 ID:a+y96avJ
 雨が降る様子は全くない。気がきかない空や。盛大に振られたんやから空ぐらい泣いてくれてもええやろ。
 そんなあほな事を考えていると出入り口に足音が聞こえてくる。
 まずい。見周りの教師か。
 ただでさえ教頭に目をつけられている。これ以上、問題になるような事はしたくない。
 かといってこの屋上に隠れられる場所は無い。
 しゃあない。逃げることも隠れることもできないならせめて寝ておこう。
 チャイムに気がつかず寝過してしまいました。うわっ。しょうもない言い訳。
 まあええ。今の俺にはぴったりや。
 俺はベンチに横になった。太陽がまぶしい。顔にハンカチを被せる。少しは眩しさがましになる。
 錆びたドアが開く音と共に足音が近づいてくる。ぱたぱたと軽い足音。
 「田中先輩」
 俺は思わず起き上った。
 そこには美奈子ちゃんがいた。心配そうに俺を見下ろしていた。
 信じられない。
 幻覚か?俺の願望の生み出した幻か?
 「大丈夫ですか?」
 美奈子ちゃんはそう言って俺の頬にそっと触れた。
 温かくて柔らかい手が俺の頬をゆっくりなでる。
 夢でも幻でもない。確かな感触。
 来てくれた。
 あかん。これ以上甘えたらあかん。
 みっともない姿を見られたくない。
 「あほ。もう授業はじまっとるやろ。はよ教室に戻り」
 「嫌です」
 そう言って美奈子ちゃんは両手で俺の頬を包んだ。
 「先輩をほっておけません」
 「俺は大丈夫や」
 「嘘です。ふられたんでしょ?」
 胸に鈍い痛みが走る。
 「うっさい。俺が失恋しようが美奈子ちゃんには関係ないやろ」
 「はい。関係ないです。でも、放っておけません」
 「何でやねん」
 美奈子ちゃんの瞳が俺をとらえる。憂いを湛えた澄んだ瞳が俺を射抜く。
 「だって、先輩、泣きそうな顔してます」
 「うっさいわ」
 俺の声は嫌になるぐらい震えていた。
 「一つ言うけどな、俺はふられて良かったと思ってるねん。だってやで、もう苦しまんでええねんで。わずかな可能性に縋って、苦しい希望を見ないでええ」
 「そんな泣きそうな声で言っても説得力無いです」
 「うっさいわ」
 俺の声はどうしようもなく震えていた。
 視界がにじむ。
 「頼むからどっか行ってえな。お願いやから。俺、これ以上自分に泣いているとこを見られたくないねん」
 「一人で泣いている先輩をほっておく事なんてできません」
 そう言って美奈子ちゃんは俺の頭をそっと抱きしめた。
 俺は拒めなかった。
 美奈子ちゃんの心臓の鼓動が微かに聞こえる。
 温かくて柔らかい感触。
 その感触に信じられないほど安心してしまう。
 「泣ける時に泣けないとだめです」
 「お願いやからどっか行って。このままやと美奈子ちゃんに甘えてまう」
 「別にいいです。それぐらい受け止めてあげます」
 「もうええやろ!!」
 俺は美奈子ちゃんを振り払って立ち上がった。
 「お願いやから一人にしてえな!!今は何も考えたくないねん!!」
 目頭が熱い。涙が頬を伝う。
 辛い。悲しい。苦しい。痛い。
 村田の答えが頭に何度もこだまする。
 俺はふられた。
 村田は俺を拒絶した。
 それが、こんなに苦しいなんて。
73三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 16:59:51 ID:a+y96avJ
 「言いたい事があるなら、ため込まずに言ってください」
 美奈子ちゃんはそっと俺の両手を握った。
 小さな子供みたいな手。それなのに温かくて柔らかい。
 「何で村田は俺を見てくれへんのや!?」
 気持ちが言葉となって溢れ出す。
 「ずっと村田を好きやった!!幸一よりも村田を見ていた!!好きやった!!せやのに何でや!?何で俺を見てくれへん!?何で俺を好きになってくれへん!?」
 こんなこと美奈子ちゃんが答えられるはずがない。
 それなのに言葉は止まらない。涙も止まらない。
 「今やってそうや!!幸一には夏美ちゃんがおる!!幸一も村田をふった!!せやのに何で村田は諦めへん!?おかしいやろ!!あれだけ夏美ちゃんにべた惚れな幸一を見て、何で好きって言えるんや!?」
 俺も村田と同じって分かっている。
 好きな相手には好きな異性がおる。
 それなのに諦められへん。
 美奈子ちゃんは何も言わない。
 黙って俺の言葉に耳を傾けるだけ。
 「何で俺は村田の幼馴染やないんや。何で幸一のポジションに俺はおらんかったんや。何で今まで村田と同じ教室になる事が無かったんや」
 せめてもう少し近くにいれば少しは違った結末だったかもしれへん。
 くだらなくて情けない言い訳。
 「変やねん。ふられたのに、諦めがつくと思ったのに、ぜんぜんそんな事ない。もう可能性は無いって分かっているのに、村田に振り向いて欲しいって思っている俺がおる。意味が分からへん。ふられたのに、無理やのに、それでも好きや。村田に惚れてる」
 はっきりとふられたのに、今でも村田に惚れている。
 「もう嫌や。この苦しみから解放されたい。村田の事を忘れたい。村田に惚れてなかった頃に戻りたい。せやのにできへん。どうしたらええか、分からへん」
 村田の姿が脳裏に浮かぶ。
 艶のある黒い髪。白い肌。子供みたいに輝く瞳。美人やのに笑うとびっくりするぐらい子供っぽい笑顔。
 好きや。惚れとる。忘れたいのに、忘れられへん。
 はっきりとふられた今でも好きや。
 これだけ好きでも村田は振り向いてくれへん。
 村田が見ているのは幸一だけ。
 涙がとめどなく溢れて頬を伝う。
 俺は膝をついて泣き続けた。立つ気力すらなかった。
 そんな俺を美奈子ちゃんは抱きしめてくれた。
 「美奈子ちゃん。教えてえな。俺、どうしたらええんや」
 「知りません。自分で考えてください」
 美奈子ちゃんの言葉が胸に突き刺さる。
 びっくりするぐらい、ドライな言葉。
 「私、先輩みたいに人を好きになった事ないですから、ふられる辛さが分からないです。だから何も言えないです。ごめんなさい」
 美奈子ちゃんは真剣な瞳で俺を見つめる。
 俺は自分を恥じた。
 美奈子ちゃんは誠実に俺の疑問に答えてくれた。
 一途に思っていたら振り向いてくれるみたいな、薄っぺらい事を言わへんかった。
 当たり前といえば当たり前。
 俺の事は俺の事。俺自身がどうにかするしかない。
 他の人間にできるのは助ける事やない。
 見守ることと受け止めること。
 俺は美奈子ちゃんの腕から抜け出した。袖で乱暴に涙をふく。
 「ごめんな」
 「いいえ。私、これぐらいしかできませんから」
 小さな声で答える美奈子ちゃん。
 「いや、ほんまに感謝しとる。ありがとう」
 美奈子ちゃんは俺を見上げた。綺麗で澄んだ瞳。
 その瞳が潤んだかと思ったら、突然涙があふれ出した。
 美奈子ちゃんは俺を見上げたままぽろぽろ涙を流す。
 「ど、どないしたん?」
 俺は慌ててハンカチを取り出した。
 美奈子ちゃんは何も言わない。顔をくしゃくしゃにして涙を流す。
 「美奈子ちゃん。どないしたん?俺、なんか言ったらアカン事言った?」
 「ひっく、違いますっ、ぐすっ」
 美奈子ちゃんは泣きながら口を開いた。
 「わたひっ、先輩がこんなに苦しんでいてっ、泣いていてっ、悲しんでいるのにっ、何もできなくてっ、それが申し訳なくてっ」
 うつむいたまま泣き続ける美奈子ちゃん。
 涙が頬を伝い地面に落ちる。
 「ごめんなさいっ、ひっくっ、私、何もできないですっ、ごめんなさいっ」
74三つの鎖 30 後編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/01/09(日) 17:00:59 ID:a+y96avJ
 俺はほんまもんのアホや。
 こんなええ子を泣かせて。
 年下の女の子に縋って。甘えて。
 俺は美奈子ちゃんをそっと抱きしめた。
 美奈子ちゃんは泣きながら俺の背中を抱きしめる。
 信じられないぐらい非力な力。それでも精いっぱい抱きしめているのが分かった。
 俺も美奈子ちゃんの背中をそっと抱きしめた。
 小さい背中は震えていた。
 こんなに小さかったんや。
 「ひっくっ、ごめんなさいっ」
 「美奈子ちゃんは何も悪くない」
 美奈子ちゃんの髪をそっとなでる。
 何も言わずに泣き続ける美奈子ちゃん。
 強くなろう。
 美奈子ちゃんが心配しなくてもええぐらいの、強くて立派な男になろう。
 失恋ぐらいで泣いてられへん。
 いつまでもうだうだ言ってられへん。
 美奈子ちゃんは俺の胸に顔をうずめた。
 そのまま体を震わせて泣き続ける。
 俺は美奈子ちゃんを抱きしめた。
 温かい美奈子ちゃんの体温が、どこか頼りなく感じた。


投下終わりです。読んでくださった方に感謝いたします。
ありがとうございました。
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75名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 17:04:56 ID:u704VYuZ
リアルタイムGJ
76名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 19:28:49 ID:1vUJ2WJN
投下乙
春子…もう耕平にしとけよ。お前じゃもう幸一は無理だよ、さっさと舞台から降りろ
でも多分まだあのビデオ持っていそうなんだよなーうz(ry
77名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 19:41:58 ID:9v+AJAxs
GJ
春子はもう関わってこないかな
キモ成分も和らいできたし…
78名無しさん@ピンキー:2011/01/09(日) 20:17:27 ID:sXxxf+dJ
GJ
ようやく一人片付いたかな?…と思いたいが、さて

そして、美奈子ちゃんに初期夏美ちゃんの影を見た

改めて物語を読み返してみると、
普通の元気娘である夏美ちゃんが愛の悟りを開くまでに至った過程がヘビーすぎるな…
79名無しさん@ピンキー:2011/01/10(月) 03:01:13 ID:HejM/8dH
個人的には男性キャラ
では幸一より耕平の方が
感情移入出来る
耕平は春子より
健気な美奈子と結ばれて欲しい
80名無しさん@ピンキー:2011/01/10(月) 03:01:36 ID:VMcfZ9Ic
春子はまだまだやれるさ
81名無しさん@ピンキー:2011/01/10(月) 17:47:39 ID:moyLCIxn
てきとーに買った漫画に重度のキモウトがいたでござる
82名無しさん@ピンキー:2011/01/10(月) 18:21:59 ID:jtGOeQS5
いいからタイトルをだな
83名無しさん@ピンキー:2011/01/10(月) 19:08:29 ID:moyLCIxn
>>82
サバクタニ/吉影悠  
なんか表紙はBL臭が少しするが、ヤンデレやキモウトがいた 多少鬱ではあったが
84名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 11:01:54 ID:WttseX6b
三つの鎖がきてたか乙!
ふむ。今回は耕平と美奈子の
カップリングフラグか‥
まあ、主要キャラに暗黒面が有る当作品はまだまだ一波乱も二波乱も有るだろう。
幸一はのように意思表示のハッキリした男主人公は運命に逆らい、あがきながらやがて呑み込まれて行くのがよく似合う気がする…

85名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 14:56:29 ID:rVf1kHho
最近どうも没ネタが増えたきがする・・・
日常話が温いせいでキモ成分が薄いのだ
そこでみんなが想うさりげないキモ仕草や行動とはどんな所か聞きたい?
86名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 20:14:55 ID:yrzc+yTq
答えはお前の中にある
87名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 23:41:43 ID:yRFi/CP9
俺の妹を見てくれ、こいつをどう思う?
88名無しさん@ピンキー:2011/01/11(火) 23:45:26 ID:Z72Uvqte
>>87
おやおや、とても可愛らしい妹さんじゃないか!
将来、きっといいお嫁さんになるぞ! HAHAHA
89 ◆wBXWEIFqSA :2011/01/12(水) 01:27:24 ID:HSLetNK2
こんばんは。
前スレ423の続きを投下します。
エロ有りです。
90狂依存 63:2011/01/12(水) 01:27:48 ID:HSLetNK2
「はあ……」
今日から新学期が始まり、学校帰りに思わず溜め息をつく。
今朝も麻由お姉ちゃんは機嫌が悪いままだった。
昨日は夕飯の後、部屋に篭って顔を合わすこともなかったし。
どうすれば機嫌を直してくれるんだろう?
まさか、本当に子供なんか作る訳にいかないし……
「どうしよう……」
でもただ止めろ、止めろと言うだけじゃ駄目だよな。
考えてみればずっとそれしかしていない。
麻由お姉ちゃんがああなっちゃったのは、僕のせいなんだし……
「僕が子供の頃に、麻由お姉ちゃんにつきまっとたりしなければ……」
だから、あそこまで怒っちゃったんだし……
それが、麻由お姉ちゃんに取り返しがつかない程の心の傷を負わせてしまったんだよね。
本当にどうすれば……
「そうだ……」
麻由お姉ちゃんに何かプレゼントをあげよう。
もう何年も誕生日プレゼントもあげてなかったし、今までの事のお詫びや、家事とかやってくれてるお礼に。
そうだよな。
こんなにお世話になっているのだから、僕も何かお返ししてあげないと。
あまり、高い物は買えないけど……
「じゃあ、早速買いに行くか。」
とりあえず、駅前のデパートに行ってみよう。

「ううん……何が良いだろう?」
麻由お姉ちゃんが喜びそうな物……すぐには思い浮かばないな。
服とかがいいかな?
でも、女物の服って結構高いんだよな……
「何かアクセサリーとかにしようかな?」
そう思いながら何となく小物売り場へと足を運んだ。
何にしようかな……
ドンっ
「あっ……」
よそ見をしながら歩いていたら、店員さんにぶつかってしまった。
「す、すみませんっ!」
「あ、いえ。私の方こそ……あれ?」
「あっ……」
この人は確かこの前、家に来た……
「えっと……麻由ちゃんの弟さんだよね?」
「あ、はいっ。どうも……えっと……」
沙耶さんだっけ。
ここでバイトしてたのか。
「沙耶だよ。一条沙耶。」
「あ、どうも。姉がいつもお世話になってます。」
「あ、いえ……こちらこそ。今日はここでお買い物?」
「あ、はい。姉に何かプレゼントしてあげようと思って……」
「麻由ちゃんに?へえ、偉いね。でも何で?」
「え?あ、えっと……いつもお世話になってるお礼にと思って。」
考えてみれば、誕生日はとっくに過ぎてるし、クリスマスみたいな何か記念日って訳でも無いんだよな……
「ふうん……本当は彼女へのプレゼントとかなんでしょ?」
「ち、違いますよ!」
いや、間違いでもないけど。
「へへ……まあ、いいや。それで、何をプレゼントするの?」
「いえ、まだ決めていなくて。何をあげれば喜ぶのかなって、ちょっと考えてて。」
「何をあげればって、弟さんなんだから、麻由ちゃんの好きな物とか良く知ってるんじゃないの?」
「え?あ、それは……」
麻由お姉ちゃんの好きな物か。
うっ……すぐには、思い浮かばないな……
弟だってのに、姉の好きな物もすぐに思い浮かばないなんて……
「(本当、何見てたんたんだろう……)」
91狂依存 64:2011/01/12(水) 01:28:29 ID:HSLetNK2
これじゃ、僕の方こそ弟失格じゃないか。
それだけ気にもかけていなかったって事なんだよな……
本当にごめんなさい。
「うーん……あっ、これなんかどうかな?」
「え?」
「ほら。麻由ちゃん、こういうの集めるの結構好きみたいだし。」
沙耶さんが手に取ったのは、ガラスのアクセサリーだった。
そう言えば部屋に結構あった気がするな。
ガラス……
「(もしかして、あの時の事……)」
「どうかな?」
「え……ああ、良いですね。じゃあ……」
どれにするか?
「あ……」
この、ガラスの置物。
あの時の奴に良く似てるな……
「……」
どうしよう?
これをあげたら、喜ぶかな?
それとも、返って傷口を広げてしまう結果になってしまわないだろうか?
でも……
もう一度、今までのお詫びをちゃんとしたい。
だから……
「あの、これ下さい。」
「え?あ、はい。」

「…円のお返しです。ありがとうございました。」
「あの、一条さん。今日は本当にありがとうございました。」
レジに持っていって会計を済ました後、一条さんにお礼を言う。
「あ、いえ。どういたしまして。へへ、別に大したことはしてないけどね。」
「いえ、本当に助かりました。姉さんもきっと喜んでくれると思います。」
正直、確信はないけど……
「そっか。何かあったら、いつでも来てね。」
「はい。」
「大輝君……だったよね。」
「え?あ、はい。」
「頑張ってね。」
「……はい。」
そう頷き、店を後にする。
後は麻由お姉ちゃんが喜んでくれると良いんだけど。

「ただいま……」
「おかえり。大輝。ちょっと遅かったね。」
「あ、うん……」
麻由お姉ちゃんはリビングでくつろいでいた。
今の所普通だな。
どうしよう?
いや、迷う必要なんか無いか。
「あの!麻由お姉ちゃん……」
「ん?何?」
「これ……受け取ってくれるかな?」
「え?」
意を決してプレゼントを渡す。
「どうしたの?急に……」
「あの、今まで本当にごめんなさい。後、ずっと家事とかやって面倒見てくれてありがとう。その……今までのお礼とお詫びを兼ねて、お返ししようと思って……」
「……」
「あの……受け取ってくれるかな?」
「……」
92狂依存 65:2011/01/12(水) 01:29:18 ID:HSLetNK2
麻由お姉ちゃんは突然の事で驚いたのか呆然とした表情をし、中々動かない。
「あ……嫌だったら、無理に受け取らなくてもいいよ。気に入らなかったら捨ててくれても構わないから。だから……」
「馬鹿ね……」
「え?」
「嫌な訳無いじゃない……気に入らない訳……無いじゃない……」
そう言って、俯きながら受け取り、僕の胸に顔を埋める。
「ありがとう……本当にありがとう……」
「麻由お姉ちゃん……」
「へへ……開けてもいい?」
「え?うん。」
問題はここからだ。
果たして喜んでくれるかどうか……
「これ……」
「ど、どうかな……?」
「……」
「あ、あの……やっぱり……」
「ありがとう……絶対に一生大切にするから……宝物にするから……」
「麻由お姉ちゃん……」
良かった。
こんなに喜んでくれて、本当に嬉しい。
どうして、あれ以来プレゼントをあげようとしなかったんだろう……
怖がることなんて何もなかったのに。
「えへへ……今日はご馳走を作ってあげるからね。」
「うん。ありがとう。あの……麻由お姉ちゃん。」
「ん?」
「その……今まで本当にごめんね。ずっと誕生日プレゼントもあげないで。その……これからもずっと……」
ずっと、姉弟で仲良く……
「ええ。ずっと、夫婦仲良く暮らしましょう。」
「え?」
「……んっ、んん、んふっ……!ん、んちゅっ……ん、んちゅっ…ちゅっ……」
不意に僕の顔を押さえつけ、ディープキスを始める。
「ん、んん……ん、んちゅっ……ん、れろっ……はぁっ……ふふっ……今日は人生で一番幸せな日だわ。こうやって、愛する夫からプレゼントまで貰えたんだから。」
「夫って……僕達は姉弟なんだから……」
「姉弟?誰が?」
「は?」
「もう……変な冗談言わないの。私たちは夫婦でしょ。こうやって愛し合ってるんだから……」
「い、いや……冗談って……」
何言ってるんだ?
「さ、早速昨日の続きをしましょう。昨日は途中でお預け食らったから、今日はガンガン行かせてもらうわよ。」
「え、あの……?」
がばっ
僕をソファーに押し倒し、身に着けてる衣服を淫らに脱ぐ。
「ほら、私のおま○こ、あなたからプレゼント貰った嬉しさでもうこんなにぐちょぐちょになっちゃった。ちゃんと鎮めてもらうからね。」
「ちょっと、止めて……」
「ふふ……さあ、おち○ちん元気にしてあげるからね……ん……」
麻由お姉ちゃんは肉棒を引きずり出し、パイズリを始める。
「ね、ねえ、麻由お姉ちゃん。僕はそういうつもりでプレゼントをあげた訳じゃ……」
「ん、ちゅっ……ちゅぷっ、うるさいわね。じっとしてないと噛み切るわよ……ん、んちゅっ……」
「な……!?」
今まで言ったことの無い様な脅しを口にし、一瞬言葉を失う。
「ん、んちゅっ……んふっ……ちゅぱっ……ちゅっ、ちゅぷっ……」
「ちょっと、どうしたの?もしかして、怒ってるの?」
「ん、んふっ……んん……」
僕の問いを無視して、ひたすらパイズリを続ける・
「あのプレゼントが気に入らなかったら、捨てるなり返すなり、好きにしてくれて良いから、だから……いたっ!」
僕が尚も渋ると麻由お姉ちゃんは竿の部分を軽く歯を立てて噛んだ。
「いちいち、うるさいわね……私がしたいんだから、私を押し倒して犯す気がないなら黙ってじっとしてなさい。でないと今度はもっと痛くするからね。」
「ま、麻由お姉ちゃん……」
93狂依存 66:2011/01/12(水) 01:30:10 ID:HSLetNK2
こんなに乱暴な麻由お姉ちゃんは初めてだ。
今までも強引に迫ってきた事はあったけど、僕が強く拒否すれば黙って引き下がっていたのに……
「ん……ちゅっ、ちゅっ……ちゅるっ……ん、んふ、ちゅっ……」
麻由お姉ちゃんは噛んだ部分を優しくキスをし、痛みを和らげようとしている。
柔らかい乳肉と竿の部分が唇に触れる時の心地よい感触で、肉棒はどんどん膨張していく。
「ん、んちゅっ……んん……そろそろ、入れるわよ……」
「ま、まって……」
「んっ……んっ、ああああっっ!はぁっ……あんっ!はっ!あんっ……!」
僕の制止など全く聞かず、膣の中にち○ぽを入れ、腰を振り中で締め付ける。
「ああんっ!いいわっ……あんっ!はっ、あっ……はっ!あんっ、はふっ……」
麻由お姉ちゃんは腰をいつも以上にガンガン押し当て、淫らに悶え狂う。
その様子を見るだけで興奮してきてしまう。
でも……
「麻由お姉ちゃん、そろそろ……」
「あんっ!いいわよ、いつ出しても……はっ、ああんっ!中に……私の子宮に思い切りぶちまけて、孕ませてぇ……」
「だ、だめだよ!早く抜いて!」
「無駄口叩いてる暇があったら、さっさと腰を突き上げなさい。はんっ……!あっ、やっ……あんっ!」
「お願いだから、止め……んっ……!」
僕が起き上がって止めようとすると、麻由お姉ちゃんが顔を抑えてキスをしながら、再び押し倒してきた。
「うふっ……ん、んちゅっ……ん、んんっ……ん、むふっ……ん、んちゅっ……ちゅっ、れろっ……」
口の中を舌で思いっきり貪り尽し、激しく吸い付く。
そのキスがもたらす快楽で、肉棒は更に膨張してしまった。
「ん、んんっ…んふっ……ちゅっ…はぁっ……」
「……麻由お姉ちゃん、お願いだから早く……」
もうイキそうだ……
「じゃあ、このままあと1時間耐えて御覧なさい。そしたら抜いてあげるわ。」
「ちょっと!無茶言わないで……」
「ほらっ……お姉ちゃんのおっぱいでちゅよ……あんっ……」
麻由お姉ちゃんは僕の手をおっぱいに押し当て、無理矢理揉ませる。
豊満な胸の感触と膣壁の柔らかい感触でどんどん絶頂に追い込まれていく。
「あんっ……はっ!本当に私を孕ませるのが嫌なら何時間だって、耐えられる筈よね……ほらっ……」
更に肉棒をぎゅっと締め付け、腰を激しく揺すってくる。
膣壁が擦れ合う感触と麻由お姉ちゃんの淫らな動きで、肉棒は早くも爆発寸前に陥った。
「あんっ!はあっ……あっ!あんっ……どんどん大きくなって……あっ、はっ、あああっっ!!」
「麻由お姉ちゃん、もう……」
「さあ……早く出してぇ……お姉ちゃんのおま○こにいっぱいぶちまけてえ……あんっ、はっ……」
絶対に出しちゃ駄目だ……
でももう……
「あんっ!はあっ……あっ!あっ、ああんっ!イクっ……もう……あっ!はっ、イクぅ……!あっ、ああっ!」
「早く、どい……」
「あっ!はっ……あっ、ああああああぁぁぁぁっっっ!!!」
どぴゅっ!どぴゅるるるるっっっ!!!
1時間も我慢できるはずも無く、麻由お姉ちゃんの膣に思いっきり吐き出す。
麻由お姉ちゃんは射精している間も肉棒をがっちりと締め付け、一滴も残さず受け止めようとする。
「はあああんっ……あなたの子種が子宮にいっぱい……ふふ……これで元気な赤ちゃんを産めるかもね……」
「ちょっと、麻由お姉ちゃん!今日は本当にどうしたの?怒っているのなら素直に言ってくれ!」
「ええ、怒ってるわよ。昨日はお預け食らって私のアソコも疼いて、疼いて仕方なかったんだから。だから、まだまだ終わらせないわよ。」
「あ、あの……プレゼントは……」
「あれはとっても嬉しかったわよ。当然じゃない。でも私のおま○この疼きはあなたのち○ぽじゃないと鎮めることは出来ないのよ……」
「麻由お姉ちゃん……」
プレゼントをあげれば、機嫌も直って昔みたいな姉弟に戻れるかと少しは期待してたんだけど……
やっぱり駄目だったか……
「くすくす……残念でした……私の気持ちは何をしても変わらないって言ったでしょ。さあ、早く二回戦を始めるわよ。」
悪戯っぽく微笑みながら、繋がったまま腰をふりふりと動かし、また締め付け始める。
「ねえ、麻由お姉ちゃんは僕をどうしたいの?何を望んでるの?こんな関係が本当に幸せだと思ってるの?」
「幸せに決まってるじゃない。愛する人の望む事を叶える事は女としての一番の喜びなのよ。ん……んん…だから、早く続きをしましょう……」
「いい加減にしろよ……」
「……何?」
94狂依存 67:2011/01/12(水) 01:30:49 ID:HSLetNK2
「いつも、いつも何かある度に体ばかり……嫌だって言っても全然聞きもしないで強引に迫ってきて……何様のつもりなんだ!俺はあんたの玩具じゃないんだぞ!」
もう我慢の限界だ。
こんなに好き勝手されていつまでも黙ってられない。
「何が俺の望む事を叶えるだよ!いつも人の意志なんか無視して自分勝手にやってばかりじゃないか!人を性欲処理の道具か何かしか見ていないのかよ!」
「大輝……」
「最近は嫌だって言っているのに子供、子供って……本当にそんなものが出来たら大変な事になるってわからないはずがないだろ?一体何がしたいんだよ!?俺を困らせてそんなに楽しいのか!?馬鹿にするのもいい加減にしろ!」
今まで溜まっていた不満を一気に吐き出す様に怒鳴り散らす。
こんなに怒鳴ったの生まれて初めてかもしれない。
「もうどいてくれ……しばらく一人になりたいから、部屋に入ってこないで。夕飯もいらないから。」
起き上がって麻由お姉ちゃんを強引に突き飛ばし、立ち上がる。
しばらく一人になって、頭を冷やそう……
ガシッ
「?」
「大輝……」
部屋に行こうとすると麻由お姉ちゃんが俯きながら僕の腕を掴んだ。
「な、何?」
「言いたい事はそれだけ?」
何事もなかったかの様な平然とした顔をして、そう呟く。
「……え?」
「そう……じゃあ、続きをしましょうか……」
ガバッ!
「ちょっ……」
そのまま強引に押し倒し、再び僕に跨る。
「ちょっと、止め……ん……!」
両手で強引に肩を押さえつけ、また口付けをする。
「んん……ん、んふっ……ん、むちゅっ……ん、むふっ……ちゅっ、れろっ……んじゅっ、ちゅるっ、んちゅっ……」
何とか引き離さそうとするけど、それ以上に麻由お姉ちゃんの力が強くて離すことが出来ない。
すっかり忘れていた。
そういえば麻由お姉ちゃん、並みの男子よりも握力とか強かったんだっけ……
「(でも、女子に力づくで押さえ込まれるなんて……)」
男としてはかなり屈辱的だぞ……
「ん、んちゅっ……むふぅっ……ん、んくっ……はぁっ……さあ、早く勃起させなさい……ほら。」
股間に僕の肉棒を押し当てて、擦りつけ始める。
柔らかい太股と膣肉に刺激されて、再び膨張してきてしまった。
「ん、んんっ……口では強がったけど体は嘘をつけないみたいね……ほら、もっと気持ち良くしてあげるから……」
「ちょっと、止めろって言ってるだろ。どうして……」
「今まで散々私とのセックスを楽しんでいたくせに、何が嫌よ。さっきだって私の中でいっぱい出しちゃって……本当は私としたくて仕方ないんでしょ?」
「そ、それは……」
「ねえ……私の事好き?」
「え?」
麻由お姉ちゃんが顔を目の前に近づけ、ふいに尋ねる。
もちろん姉弟としてではなく、女として好きかと聞いてるのだろう。
「えと……それは……」
「好きなんでしょう、私の事。私もあなたの事好きよ。だったら何も遠慮する事ないじゃない……ん、ちゅっ……」
答えあぐねていると、顔をあちこちキスし始め、挑発してくる。
「麻由お姉ちゃん、あの……」
「今、目の前にいるこの女をどうしたいのかしら?……んっ、ちゅ……正直に言いなさい……」
僕は麻由お姉ちゃんの事……
「好きなのよ。私の事をこの世で一番愛しているの。それがあなたの本当の気持ちなのよ。」
勝手に決め付けないでくれ。
そう言いたいんだけど、何故か口に出せない。
「(やっぱり、麻由お姉ちゃんの事……)」
「あらあら……こんなに顔を赤くしてドキドキしちゃって……ふふ、可愛い……そんなに好きなのね。嬉しいわ。」
「ち、ちが……」
「ん、んくっ……んふっ……」
否定しようとすると、またキスして口を塞ぐ。
今度はさっきと違って優しく丁寧にしてくる。
「ん、んふっ……ん、んちゅっ……さあ……早く続きをしましょう……私の事好きにしていいんだからね……」
頬を少し赤らめながら色っぽい瞳でじっと僕を見つめて、誘ってくる。
95狂依存 68:2011/01/12(水) 01:31:30 ID:HSLetNK2
どうしよう?
僕もまた興奮してきちゃったし、このまま……
「……」
いや。
もうこれ以上、麻由お姉ちゃんの好きにはさせない。
このまま、流されたらどう考えても二人の為にはならないのは明らかじゃないか。
その為には僕の方がしっかりしないと……
「麻由お姉ちゃん。今までのことは本当に謝るよ。ごめんね。でも、もうこれ以上この関係を続ける気は無いん……んっ……!」
そう言いかけた時、麻由お姉ちゃんが急に頭を強く押さえつけて来た。
ちょっ……この態勢は……
「ん……!ちょっと、やめ……」
「あら……女の子に押さえつけられちゃうなんて、か弱い子なのね。でも大丈夫。お姉ちゃんが一生守ってあげるから。」
手で頭をグリグリとソファーに押し付けながら、小馬鹿にした様な事を口にする。
いくら麻由お姉ちゃんでもこんな扱いは酷すぎる。
「痛いよ!いい加減に……」
「ふふ……言っとくけど、私以上の女はこの世にいないわよ。あなたをここまで愛して尽くしてくれる女は他にいないわ。」
「だから、私と愛し合う事が一番の幸せなの。あなたの幸せを願って言ってるのよ。大輝を一番幸せにしてあげられるのは私以外にいないんだから……」
頭を押さえつけながら、耳たぶをしゃぶり、囁く。
「そんなの勝手に決めつけないでくれ!そんな事は僕が決めることなんだから!」
あまりの身勝手な言い分に堪らず声を張り上げる。
どうしてこんな横暴な態度を……
思い起こせば最近は、僕が麻由お姉ちゃんを拒否するような態度を取ったら、それを押し切るように強引に迫ってきていた。
時には脅すような口調で威嚇したり……
「とにかく、今日はもう終わりにしよう。これからの事は二人でゆっくり話し合えば良いじゃないか。」
「そう……」
押さえつけていた手を放し、ようやく僕から離れる。
良かった……
とりあえず納得してくれたか。
「あの……さっきは怒鳴ったりしてごめんね。でも、やっぱり良くないと思うから……」
麻由お姉ちゃんは黙って、僕のプレゼントを持ちこの場から立ち去る。
やっぱりちょっと言い過ぎたかな……
麻由お姉ちゃんは、麻由お姉ちゃんなりに僕の事を想ってくれてやってたんだろうけど……
「後でもう一度謝らないとな……」
そう思い僕も自室に戻る。

「まだ意地を張るんだ。」
「え?」
部屋に入ろうとした瞬間、背後から麻由お姉ちゃんの声が聞こえた。
かちゃっ。
「え?」
あ、あれ?手に何か……?
がばっ!
突然押し倒され、後ろ手に何かかけられる。
これって……手錠!?
「ちょっと!いきなり何を!?」
「私もちょっと甘やかせ過ぎちゃったみたいね……」
「え?」
「これから、たっぷりとわからせてあげるわ。私があなたにとって一番の女だと、私と一緒にいる事が一番の幸せだという事をね……」
僕を仰向けにし、再び跨って僕をみつめる。
「ねえ……このプレゼント駅前のデパートで買ったんでしょ?」
「え?う、うん……」
急に何を……
「包装でわかったわ。沙耶があそこでバイトしてるのよね。あの近所に住んでいるから。あの子に会った?」
「うん……」
一体何が言いたいんだ?
「あの子の事どう思う?」
「は?」
「可愛いでしょ、あの子。大学でも人気あるのよね。ミスコンにも出ないかって誘われたくらいだし。明るくて裏表の無い良い子だから私も好きよ。」
「それが、どうしたの……?」
96狂依存 69:2011/01/12(水) 01:32:18 ID:HSLetNK2
「あの子とセックスしたいって思った?」
「……はあ?」
唐突に変な質問をされ、一瞬言葉を失う。
「あの子に欲情したかって聞いてるのよ。どうなの……?」
「ちょっと!いきなり、何言ってるの?」
「さっさと答えなさいって言ってるでしょ!」
「……!!」
麻由お姉ちゃんは今まで見たことも無いような形相で怒鳴る。
こんなに怖い麻由お姉ちゃんは初めて見たかも……
「そんな事思うわけ無いだろ!何変な事聞いてんだよ!?」
いくらなんでもほとんど話をした事もないような女性にそんな感情を抱くわけが無い。
「そう……あんなに可愛い子を見てもそういう感情を抱かないのに姉であるはずの私には欲情しちゃうんだ……」
「そ、それは……」
「じゃあ今まで私以外の女性を好きになった事があった?」
「え?えっと……」
麻由お姉ちゃん以外の人を好きになった事……
あったか?
「ないわよね。ずっと私の事が一番好きだったんでしょ。」
どうだったろう……
子供の頃は間違いなく本気で好きだった。
他の女子なんて目にもくれなかった。
「(というか相手にされてなかった気も……)」
小学の頃は重度のシスコンだったのは知られていたから結構気持ち悪がれていた。
今思い起こすと本当に恥ずかしい……
中学の時も特に好きな子はいなかったし、今は男子校に通ってるから異性の出会いも何もない。
仲の良い女子もいなかったし、彼女が欲しいと思ったことも無かった。
「うん……一番好きなのは確かだよ。でもそれは……」
「女性として好きなのよね。そうなんでしょ?」
「ち、ちが……」
違うと言えるのか?
今だってこんなに見つめらてドキドキしてるし……
「ねえ……自分の気持ちに正直になりましょう……私の事を好きな様に犯してくれて良いのよ……それがあなたの一番望んでいる事なんだから……」
「麻由お姉ちゃん……」
胸を露にし、体を密着させ顔をあちこち舐めまわしながら囁く。
抱きたい……
麻由お姉ちゃんの全てが欲しい……
「さあ、早く……理性なんか吹っ飛ばして獣みたいに私を食い尽くしてえ……ちゅっ……ん……」
麻由お姉ちゃん……
「これからは私としたくなったら一切我慢なんかしないで、いつでも犯すって約束してくれたら手錠を外してあげるわ……だから、早くう……ちゅっ……」
「う……く……」
ここまで言ってくれてるんだ。
変な意地張らないでもう好きな様にしても良いんじゃないか?
麻由お姉ちゃんもそれを望んでるみたいだし……
「そうよ……私も望んでいるの。だから、早く正直になって楽になって……」
「麻由お姉ちゃん……」
僕の顔を抑え、キスしようとしてくる。

……
「……ごめん。」
「……!!」
唇が触れる寸前に顔を逸らし、拒否する。
やっぱり駄目だ。
このまま欲望に流されたらどう考えても良い結果にならない。
もうこんな関係は終わりにしないと。
「本当にごめんね。麻由お姉ちゃんがそこまで僕の事を想ってくれてるのは本当に嬉しいよ。だけど僕達は姉弟なんだから、それは大切にしたいんだ。」
「……姉弟だから……」
「うん……麻由お姉ちゃんの為を思って言ってるんだよ。このままじゃ二人とも不幸になっちゃう。麻由お姉ちゃんにそんな思いをさせたくないんだよ。」
「そう……」
97狂依存 70:2011/01/12(水) 01:33:14 ID:HSLetNK2
本当にごめん。
ここまで想ってくれてるなら、全てを捨てでも麻由お姉ちゃんと結ばれる道を選ぶべきなのかもしれない。
でも、どうしてもその覚悟が出来ないんだ。
意気地が無い弟で本当にごめん。
「わかったわ……」
「麻由お姉ちゃん……」
やっとわかってくれたかな……
「だったら、姉弟の縁を切りましょう。これならいいわね。」
「……な!?」
「だって姉弟だから、私の事愛せないんでしょう。だったら、姉弟の縁を切って赤の他人になれば良いわ。私の事はこれからは姉と思わないでただの女だと思って。」
「ふざけるのもいい加減にしろよ!」
「本気よ。ふざけてこんな事言うわけないでしょ。私の事はもう姉だと思わないで。性欲処理の便器だとでも思ってくれてもいいわ。」
「どうして、わかってくれないの……?こんなのどう考えてもおかしいでしょう。」
「何がおかしいのよ……」
「ん、んふっ……!ん、んん……ん、んちゅっ……ん、むふっ……、ん、んちゅっ、んふっ、ん、んんっ……ん、むちゅっ……!」
僕の顔を押さえつけ、強引に唇を奪う。
これでもかというくらい強引に舌に吸い付き、しゃぶり尽くす。
「(ちょっ!苦しい……)」
「ん、んん……ん、んっ……ふ……はぁっ……ん、んちゅっ、ん……」
キスを止めるとすぐにズボンを脱がして肉棒を露にし、しゃぶりだす。
「むっ……じゅるっ……ん、ちゅる、じゅっ、じゅるっ、ちゅっ、んちゅっ……ちゅるっ、ん、んちゅっ……」
「ちょっと、止め……」
拒否しても姉の口の中の粘液や舌使いがもたらす快楽には抵抗できず瞬く間に勃起してしまう。
「ん、じゅるっ、ん、んちゅっ……じゅるっ。ちゅっ……さあ……入れるわよ……」
「ま、待って……」
「……ん。ん、んあああぁぁぁっっ!!はっ、あんっ……はっ、ああんっ!!」
十分に勃起した肉棒を膣穴に当て、一気に腰を落とし挿入する。
そして、きつく締め付けこれでもかというくらい腰を激しく揺り動かし乱れ狂う。
「はあっ…!あっ、やんっ……いいわっ……あんっ!はっ……はふっ!あっ、あああっっ!!」
「ねえ……お願いだから、もう……」
「何が姉弟よ……」
「姉弟なんてただのオスとメスじゃない。私たちはこうして愛し合える……子供だって作れる……!」
麻由お姉ちゃん……
「子供の頃は本当にごめんね……だからこれからそのお詫びに何でもしてあげる……ご飯もお風呂も着替えも何もかも……」
そう呟いた麻由お姉ちゃんの目は完全に狂気に染まってるかの様だった。
「麻由お姉ちゃん……お願いだから目を覚まして……」
「嫌よ……あなたと愛し合えない世界になんか絶対に戻らない……これが夢だというなら永遠に覚めなくて良い……!」
そう言いながら腰を動かすスピードを更に速め、一気に絶頂に達しようとする。
もう、どうしたら良いのかわからない。
病院にでも連れてった方が良いのだろうか……
「はんっ!あっ……あんっ!はっ……あっ、ああっ!はんっ……そろそろイっちゃう……!あんっ……」
98狂依存 71:2011/01/12(水) 01:33:45 ID:HSLetNK2
思い悩みながらも麻由お姉ちゃんの膣の中で締め付けられ、激しい振動に刺激された肉棒は早くも射精寸前に追い込まれていた。
「麻由お姉ちゃん……どいて……」
「あんっ!いいわよっ……早く中に出してぇ……お姉ちゃんの子宮に思いっきりぶちまけてえっ……!」
力なく拒否しても最早聞く耳などもたず、ひたすら腰を動かし達しようとする。
もう、イキそうだ……
「はんっ……!もう、イクっ……あっ!イっちゃう……はっ、あんっ……やあっ!はんっ、あっ、ああああぁぁぁぁぁっっっ!!」
びゅっ!びゅくるるるるっっっ!!どぴゅっっ!!
遂に耐えられなくなり、一気に子宮に叩き込む。
こんなに中に出したら本当にまずいんじゃ……
「はあああぁぁぁっ……あんっ……こんなに出しちゃって……ふふ、ちゃんと姉弟でも愛し合えるじゃない……姉だろうが何だろうが関係ないわ。所詮男と女なんだから……」
「麻由お姉ちゃん……」
どうすれば良いんだろう……
これからの事を考えるともう目の前が真っ暗な気分になる。
「さあ……まだまだやるわよ……お姉ちゃんの愛をたっぷりと味あわせてあげるから……」
「あ、あの麻由お姉ちゃん……もう……」
「駄目よ。今日はこのまま私が満足させるまでやらせてもらうわよ。どれだけあなたの事を愛しているかわからせる為にね……」
「はんっ……あっ、ああっっ!!あんっ……!」
再び腰を動かし、肉棒を締め付け膨張させる。
もう、抵抗する気力もなくそのまま麻由お姉ちゃんのされるがままに夜遅くまで続いた。

「あんっ……はっ、ああん……!」
「う……!」
「ふふっ……もう終わりかしら……?」
あれから何時間経っただろう。
既に何度も私の中で出した大輝は完全に放心状態で虚ろな目をしてる。
流石にもう精液もほとんど出なくなってしまった。
「今日はこのぐらいにしておいてあげるわ……でもわかったでしょう。私たちがどれだけ愛し合ってるか。」
そう言うと少し悲しそうな目で私を見つめる。
可哀想に……
まだわかってないみたいね。
あなたの為を思ってやっているのに……
手錠を外し、ぐったりとした大輝をベッドに寝かせる。
お腹も空いたしちょっと遅くなっちゃたけど夕飯の仕度をしないと
今日はこの子がプレゼントをくれたお礼に豪華な食事を作ってあげるからね。
精の尽く料理をたっぷりと作って食べさせてあげるわ。
「したくなったら、またいつでも下に降りてきてね……」
頬にキスして台所に降り、夕飯の準備に取り掛かった。
今日はここで引いてあげるけど……
明日からもたっぷりとお姉ちゃんの愛を味あわせてあげるから。
だから覚悟しておいてね。
99 ◆wBXWEIFqSA :2011/01/12(水) 01:34:15 ID:HSLetNK2
以上です
ありがとうございました
100名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 02:37:01 ID:62KruNgS
gj
101名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 02:54:34 ID:5LR3MuK1
GJ!そしてエロ
102名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 07:31:01 ID:0Ss0L4lw
なんという狂気・・・

これからどうなるかwktk
103名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 16:43:59 ID:7Sa2qqwe
狂ってやがる…… キモすぎたんだ……!

↑誉め言葉。続き待ってます
104名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:17:55 ID:rrqat9XK
>>20-33の続きを投下しますです。

>>35
あっ、普通の姉スレもあるん…
「姉」で検索したらこのスレが一番最初に出てきたんよホントなんよ

いま検索したら「お姉さん大好き PART8」てのがキモクない方の姉SSを投下するべきスレだったのかもしれないだったですね
すみません。
そんなにキモくないですが後半戦もお付き合いいただけたら幸いです
105名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:19:27 ID:rrqat9XK
姉の表情は「口を滑らせた!」と明朗に語っていた。

「あっ?」
「……いやなに、うん、お前、眠りが深いんだな。うん」
「……どういうこと」
「いやなに、うん、ただちょっと、資料としてな、実地取材というか」
「見たの」
「……。」
「俺の」
「……。」
「俺が寝てる間に」
「……。」
「お前は俺が寝てる間に俺のコレを見たっていうんだなズボンとパンツを下げて」
「先端の皮は着脱可能になってるのか? なんだかグロテスクだな…」

と、姉はおれの股間に顔を近づける。
鼻息がかかりそうだ。
物珍しいものを観察するようにマジマジと眺めまわす。

「大きくなると剥けるというのは凄いな。
 寝ている時のお前のコレは、半分くらい皮がかむっていたんだけれど。
 普段はデリケートな秘部を防御していて、使用時には自動的に戦闘態勢になると。
 便利なものだなあ。仮性包茎って言うんだろう?」
「知るか!」
「なに恥ずかしがることはない。日本人男性の7割はそうだというし
 ダビデ像を見るに西欧人だって普段はそれが普通のようじゃないか。
 それに重要なのは普段より実際に使用するタイミング、つまり今の状態だろう。
 なかなか立派なものだと思うぞ。と言っても私は他に知らないが。
 ほれコンプレックスに浸ってないでさっさと始めないか」

慰められた。
その上でせかされた。
姉はホレホレと手を振っている。

仕方ない。
あきらめていきり立った自分のものにそっと手を添える。
熱い…。
愚息は熱を持ち破裂しそうなほど膨れ上がっていた。

「ん……」

ゆっくりと撫でさするように手を上下する。
右手を円筒状にして、触れるか触れないか、ぎりぎりのところで止めて優しく摩擦する。
こそばゆいような甘美な快感が下半身全体を包む。
その感覚に身を委ねようとすると――

「おお…これが男の自慰行為か。
 なかなかその、うん、すごいものだな」

姉がつぶやいた。
106名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:20:01 ID:rrqat9XK

ベッドの上で四つん這いになるようにして、小さなメモになにやら熱心に書き込んでいる。
ふと手を止めてこちらを見上げる。

「気持ちいい……のか?」

姉は小首をかしげた。
うなずいて答える。

「ちょっと私にもやらせてくれないか」

おれの返事を待たずに姉は手を伸ばしてきた。
姉の手がそっとおれ自身に触れる。

「う」

冷たい姉の手が触れ
思わず声が漏れてしまった。

「だ、大丈夫か?」
「うん…。そんなに強く握らないで、優しく、上下にこすって」

おずおずと姉の手が動き出す。
姉の小さな手からは、おれのペニスがだいぶんはみ出ている。
ぎこちない上下運動が滾ったモノを刺激する。

「硬いものだな…。それに、熱い。こんなものが本当に入るのか」

こうして背中からお尻までを見渡すように眺めてみると
姉の体は本当に小さい。
たしかに現実の男性器を見て
この小学生のようなサイズの姉が不安がるのも仕方がないかもしれない。

「気持ちいいのか? これでいいのか?」
「うん…もっと速く。強く握らないで…」

姉に促すと素直に手の動きが速くなる。
初めてやられるものだけど
他人の手でこすられるのはなかなか気もちがいい。
自分の予測を超えた動き、刺激が与えられて、予想外の快感がある。
107名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:20:22 ID:rrqat9XK

「どうだ? イキそうか?」
「うん、もうちょっと…」

手の動きが速くなる。
リズムよく上下運動をする。
ポニーテールを結んだ姉のうなじが汗ばんでいるのが見えた。
姉の白い肌が紅潮している。
背中の中央には背骨がコツコツと小さく隆起している。
視線を奥へと下らせていくと小さくて丸い、形のいいお尻が揺れている。

姉はこすっているモノにそっと顔を近づけると
音をたてないように唇をふれた。

「うあっ」

情けない声を出してしまった。

「ん? これが気持ちいいのか?」

姉は何度も亀頭に口づけをし俺の反応を楽しんだ。

「ヤバイ、もう…」
「イクのか? いいぞ! イケイケぇ! ホラッ! そらイケっ!」

姉の手の動きが一層速くなる。
快感が高まっていく。
股間が熱くなる。
再び姉が亀頭に口づけをした瞬間――

「…ッ! ウッ……」

快感は臨界点を迎え、意思とは関係なく腰が何度も波打った。
姉の顔に勢い良くザーメンが飛び散り
ペニスは爆発するように何度も膨張を繰り返した。

荒い息が出る。
速くなった心臓の鼓動に合わせペニスも上下する。

「イった ――のか?」
108名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:21:05 ID:rrqat9XK
髪や顔、胸のあたりに出たばかりの精液をベッタリとつけた姉が訊いた。
そうだと言う。

「そうかこれが男性のオルガズムか。
 …すごいな、すごい勢いだった。
 破裂するかと思うほどに膨張した次の瞬間、先端の小さな穴から音を立てて
 …その、出てきた」

顔中についた精液をぬぐいながらブツブツと言っている。
猫が顔を洗うようにして右手を顔に押し付けぬぐっているが
なかなかとれずに難儀しているようだ。

「うう、すごい粘度だ。ネバネバとしてなかなか離れない。
 においは…あるが、そんなに悪臭というほどでもない。少し生臭いが」

俺は呆然としたままその様子を眺めていた。
姉の手によってイカされてしまった。
巨大な快感と少しの後悔が身を包んでいる。
姉は顔からぬぐった精液を人差し指に集めたかと思うと、おもむろにそれを口に含んだ。

「お、おい」

姉は指を口に突っ込んだまま
もごもごと舌を動かしてなめとっているようだ。
姉の表情が変わった。
眉間にしわがより、眉毛がハの字になる。

「……マズイ」

うべえ、と舌を出して言った。

「味があるようでないようで、苦いようで臭いようでそれでいて口の中にまとわりついてベチョベチョして飲み込めない。鼻水みたい」

マズイ。
と再び言って、枕元のティッシュを何枚も取り出し口元をぬぐった。

「そりゃ、うまいことはないだろうよ」
「だって、お前の漫画には精液をハチミツでも舐めるようにいかにも美味しそうに飲み込むシーンが…」
「エロ漫画の知識を信用するんじゃありません!」

アホだこいつ。
109名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:21:29 ID:rrqat9XK

そういえば小さいころは庭の木の樹液を舐めて苦い苦いと泣いていた。
言うには「だってカブトムシはうまそうに舐めているから甘いのだと思った」。
むかしからこのようなヤツであった。
三つ子の魂百までと言うな。
馬鹿は死ななきゃ治らないとも言う。

「ありがとう」

姉がペコリと頭を下げた。
普段聞くことのない姉の礼に、少し面食らう。

「おかげで参考になった。
 男の自慰行為がどのようなものであるか
 いかにして行うものか、またその際の注意点や気をつけるべきことがよくわかった」
「ほほう」
「たとえばあまりペニス自身を強く握ってはならない」
「うん」
「たとえば竿の部分と亀頭の部分に違う刺激を与えるときもちがよい」
「…うん」
「動きを速くすればするほどに快感は増して、快感が蓄積されるとオルガズムを得る。
 ふむ、こうして考えてみると女性のそれと共通点も多いな。
 性別は違えどやはり同じ生き物、同じ性行為ということか」
「そうだな」
「じゃ、これで…」

と言って姉は手刀をつくり
電車を降りるサラリーマンがそうするように
それを上下させて部屋から出ていこうとする。

「お、オイ、待てよ」
「なんだ弟よ。ありがとう参考になったぞ」
「いやその…」

セックスをするんじゃなかったのかよ俺たちは。
という事を言おうかと思ったが少し迷った。
最初は姉とセックスなんて考えたくもなかったのに
いつの間にかおれは
それをするものだと覚悟して思いこんでしまっている。
いや、より正確に言うと
おれはこの姉といまセックスがしたくてたまらなくなっていた。

うるんだ姉の目、
上気した白い肌、赤く染まったうなじ、
柔らかな唇、ぬっとりとよく動く舌、
小さな手、広いおでこ、柔らかく丸いお尻、
つつましいサイズながらそれに触ると敏感な反応を返す胸、
そういったものが、
姉の体が
姉がいつの間にか愛おしくてたまらなくなっている。

性的興奮を得た一時の気の迷いだという気もするし
ずっと思っていたものをようやく自分で認めたのだという気もしている。
110名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:21:50 ID:rrqat9XK

「…さては、怖気づいたんだろう。姉ちゃん」
「な、なんのことだ」
「処女で何も知らないからこそ意気揚々と『セックスをするぞー』なんて乗りこんできてみたものの
 いざ実際に男のペニスを見たり、それが動くところを見たら、
 とてもじゃないけどこんなもの入れられないという気分になって怖くなったんだろ処女だから」

姉の体がビクンと震える。
図星か。

「ハイハイ、昔から姉ちゃんはそうだったもんな。
 言うことだけは威勢が良くて実際にやる段になってビビっちゃうっての。
 覚えてる? 小学校の木に登って降りられなくなって、俺が助けに行ったの。
 あの時も姉ちゃん『こんな木くらい楽勝だ!』つってガンガン登って行ったよな。
 降りるときのことなんて考えもせずに」
「古いことを…!」
「ビビってないって言うんなら、その証拠を見せてもらわなきゃなあ」
「おっ怖気づいてなんていないぞ!」
「じゃあ、そうだね…。そうだ、舐めてきれいにしてよ、コレ」

おれは股間を指さす。
精液にまみれたペニスがそこにある。

「な、なんだと…」
「お掃除フェラっていうの。フェラチオやったことないでしょ? 処女だし」
「フェッ、フェラチョーぐらいあるさ! あああるよ!」
「ウソでしょ」
「…ぐ」

やはり図星か。

「処女処女うるせいや! ええい何だ、そんなものを舐めるくらい! 処女にだってできるさ!」

部屋から出ていこうとしていた姉は引き返し、ベッドに飛び乗った。

「見てろ!」

あぐらをかくおれの前にふたたび四つん這いになり、
ややしおれたペニスを手に取った。
111名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:22:15 ID:rrqat9XK

「うわっ、ちょっと柔らかくなってる…」

精液のせいで手とペニスがぬるりと滑る。
姉はおそるおそるそれに顔を近づけていく。
すぐそばまで顔を持ってきたところで動きが止まる。
やはり躊躇しているのだろう。

「においが……」
「どうしたの、早く。それともやっぱり怖いの?」
「わかっている!」

姉は意を決したように目をつむり、
大きな口をあけておれのペニスに――かじりついた。

ガリッ。

「!!!!!!!!」

くぁwせdfrtgyふじこlp;@!”!!
声にならない音が漏れた。
驚いて口を離した姉の額を掌底で引き起こし
ベッドの上でおれは丸まった。

「お、おう。すまんな。噛んじゃった」

頭上から姉の戸惑ったような声が聞こえる。
噛んじゃった(テヘ じゃねえよ。
これがどれだけ重要な機関か全くわかっていないのだ。
命にかかわる。
股間を押さえてベッドの上を転げ回った。

「…プッ、ハハ、アハハ」

なにがおかしい。
命の危機にもだえる男の姿がそんなに面白いか。
という事を言いたかったがうめき声にしかならなかった。
ちくしょう、思い切り噛みやがって。
歯形がついたらどうしてくれる。
112名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:22:40 ID:rrqat9XK

「だってお前、そんなに丸まって震えていると、まるでハリネズミかアルマジロみたいだぞ」

アハハ、と高笑いをしているのが聞こえる。
誰のせいだと思っていやがる。

「ごめんごめん」

と、背中に姉の手が乗せられた。

「そんなに痛いのか? 大丈夫か?」

背中を撫でさする。

「…もう、大分おさまったよ」
「そうか。悪かったな」
「ううん、俺もつい調子に乗って意地悪言っちゃった」
「なに、お互い様だ」

姉は優しくおれの太ももを広げ
ゆっくりとその間に顔をうずめていった。

「すっかり小さくなっちゃったな」

今度は優しく、凄く気をつけているのが見てわかるほどゆっくりと
口でペニスを包んだ。

「ん……」

温かい。
温かくて柔らかい。
姉の口内の感触がペニスを通じて伝わってくる。
ぬるぬるとして滑らかな頬袋や
生き物のように動きまわる舌
ペニスを吸い上げる唇がそれぞれに動き回っている。

姉は柔らかく小さくなったペニスを撫でしゃぶるように舌を動かし
ゆっくりと上下動を始めた。

「ん……んっ……んっ……」

口いっぱいにペニスをほおばっている姉から少しずつ声が漏れる。
113名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:23:39 ID:rrqat9XK

むくむくと、姉の口の中でペニスが固く大きくなっていくのがわかる。
快感で復活していく。

「ん……ぷぁっ、すごいな、どんどん大きくなっていく」

一度姉が口を離し、唾液でてらてらと光るソレを改めて眺めた。
やはり少しこわごわと眺めているが
フ、と息をもらすように笑うと

「こいつめ」

と軽くデコピンをした。
オゥフ。

「な、なんだよ」
「なんでもない。なんていうか…」

姉はそっとペニスに唇を寄せ
チュ、と音を立てた。

「バカみたいなヤツだなと思って。
 ちょっと強い刺激を与えれば、大の大人が転げ回るほど痛がって
 優しく撫でたり舐めたり、気持ちよくしてやれば、
 バカみたいに素直に反応してあっという間に反応して大きく固く変身する。
 なんだかお前そのままみたいじゃないか」
「…ひどいことを言われている気がする」
「そうか? 誰もお前のことを歩く生殖器とか言ってないぞ」
「…やはりひどいことを言われている気がする」

このっ。
おれは四つん這いになっていた姉の胴体をもち、一気に体を持ち上げる。

「ひゃあ! 何をする!」

空中で姉の体を半回転させ
上下さかさまに抱いたまま、ベッドに寝転がる。
姉の股間が目前にある。
姉の目の前にはおれの股間がある。
姉の股間にはうっすらと産毛のような陰毛がごくわずかに茂り
その奥がなめらかに光っている。
濡れている。
114名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:27:29 ID:rrqat9XK

おれは思い切り舌を伸ばし
思い切りなめとった。

「ひゃあ…あんっ……!」

姉の背中がぞくぞくと震え
口からは切ない鳴き声のような声が漏れた。

「ちょ、ちょっとお前…! そんなところ……!」

姉の異議を気にせず舌を動かし、赤く充血したそれを刺激し続ける。
ぬる、んぐ、ちゅぱ、ぺろ、むに。
下から上に大きく舐めたり
左右に細かく振ったり
すこし唇でつまむようにしたり
舌先でツンツンと割れ目をつついたり。
舌を動かすたびに姉の体が細かく動き、声が漏れる。

「んあっ…ああッ……イヤっ…」
「嫌なの?」

顔を上げて聞くと
股間のあたりで首を左右に振る姉が見えた。

「俺のも舐めてよ」

姉はゆっくりと顔を下げ
再び俺のペニスを口に含んだ。
俺もまた姉を舐める。

姉は与えられた快感をやり返すように
口と舌を動かしてペニスに刺激を与えてくる。
俺も快感に負けじと舌と口を激しく動かす。

「んっ……むっ……んんんっ……」

口をふさがれている姉の口から声が漏れる。
のどが震えるたびに細かい振動がペニスを包み快感の波が起きる。
先に音を上げたのは姉だった。

「ちょっと、コラ、ストップ、ほんとに、このままじゃ、ダメッそんなの…!」

舌先に触れる感触が少し変わった。
そのものがひくひくと震えている。
最初は一本の筋のようだったものが、肉が割けるように開いて
淫靡な匂いのする汁とともに濡れ光って全く別の様相を見せている。
薔薇の花弁が花開くようにじんわりと緩んでいったそれは
赤く染まって充血し、呼吸をするように小さく震え何かを待ち受けている。
そこだけが別の生き物のようだ。

(女のコレも十分ものすごいよな…)

そんなことを思いながら口と舌を規則的に動かし続ける。

「あああっ…ん……んんっ……! ね、ホントにぃ……!」

姉の喘ぎ声が大きくなる。
115名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:31:11 ID:rrqat9XK

快感が十分に蓄積されたところを見計らって
舌をと尖らせるようにして
できるだけ深く濡れた穴に滑り込ませた。

「ッハ、ハァン…! ァアア…アアアア………あ……!!」

瞬間
姉の体が跳ねるように振動し
どこから出るのかわからないほど高く大きな声が出た。

姉はとても支えていられないというように身を落とし、
俺の体にかぶさるようになった。

「イッた?」

俺の問いにも姉は息を荒げるだけで答えない。
呼吸に合わせ、肩と背中が大きく脈打っている。

「ねぇイッたの?」
「うる…さい…。そんなこと…言えるか…バカ…」

姉がすっかりうるんだ瞳をこちらに向けた。
汗ばんだ体はじっとりと熱く、俺の身に押しつけられている。
姉の頭の向こうに、高く屹立したマイサンがある。

「姉ちゃん、俺まだイッてないよ」

一度射精したからまだ余裕がある。
腰を振ってペチペチと姉の頭にソレをぶつける。

「やめろ…馬鹿……」

まだ息の荒い姉はろくな反抗もできない。
俺の体に乗っかったままで息を荒げている。

「セックス、しようか」

姉はすこし目を見開いたかと思うと
コクリ、と小さなあごで頷いた。
116名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:31:41 ID:rrqat9XK

横になり、仰向けに寝転がった。
薄暗い部屋の天井が見える。
ぬっ、と、視界に姉が顔を出した。

下から仰ぎ見る姉の顔は
やはり童顔で幼さを残しながらも
幾分か年を経たように見えて
大人の女性の顔に見えた。

「じゃ、じゃあ、その……入れる、ぞ」

騎乗位でコトを行おうというのは姉の提案だった。
彼女が手をもじもじさせて言うには「だって…初めてはそれが入りやすいって…」。
俺が持っているエロ漫画に書いてあった知識だった。
どうも姉の性知識は俺の部屋から盗み見たもので占められている気がする。

そういったわけで俺はベッドに仰向けになり
姉はその俺をまたぐようにしている。
下からは姉のつつましいこぶりな胸がよく見えている。

「おいお前」
「ハイ」
「い、今どこを見ていた」
「姉ちゃんのおっぱい」
「! み、見るんじゃない…」
「無茶言わないでよ。この態勢じゃどうしたって丸見えだよ」
「だって…」
「ハイハイ小さくない小さくない。姉ちゃんのおっぱいは小さくないから。
 いや小さくなくはないけど別にそれでどうというコトはないから。
 柔らかかったし、乳輪も大きくないし、乳首の感度よかったしでぶッ」

真上から手のひらを叩きおろされた。
これで姉は照れているのだ。
いつまでたっても感情表現が幼い姉である。

「う、うるさい…。それより、いく、ぞ」

姉の身体の影に隠れて
股間がよく見えない。
姉はおれのペニスを右手で添えるようにして持ち
そっと自分の股間にあてがう。
くちゅ、と、ペニスの先端に姉が当たっている感触がある。
熱い…。

ぐ、と姉が腰を落とした。
117名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:32:23 ID:rrqat9XK
ペニスが固く狭い隙間をグイと押し開き、すこし結合が深くなる。

「んはっ……」

上に乗った姉の口から熱い吐息が漏れる。
姉は目をつむり顔をしかめている。
尻を持ち姉の身体を支えた。
柔らかい。
小さな尻に指が食い込むようになる。

「大丈夫?」
「だい…じょうぶ…だ、こんなもの…、どうということは……」

言葉とは裏腹に
中腰になっている姉の身体は細かく震え
苦渋の表情はますます深まり
両手を俺の胸についてこれ以上結合を深めまいとしている。

「無理しなくても今日はここまでにしても……」

優しい言葉を掛けたつもりだったが
姉は悲しそうな表情を見せた。

「お前は、私と…したくないのか?」
胸に置かれた両手から力が抜ける。
額や眉間や口元、顔中にしわが寄るほど力んでいたのに
それが溶けて今にも泣き出しそうな表情に変わっている。
悲しいのだろうか。
途中でやめるようなことを言われて。

「んなことねーよ」

姉の手に再び力が入る。

「俺だって…ここまでしたんだから、最後までしたいし
 途中で辞めたくなんかない」
「だったら…黙って、最後まで、見てろ…。ほら、入るぞ……」

ううんん…!
と苦しそうな声を上げて
姉は膝をベッドに付けるようにして腰を落とした。 

ペニスが最後まで飲み込まれた。
ちいさな姉の股間の中に全部入っている。
すごい圧迫感だ。
上下左右からペニス全体を押し付けるようにぎゅうぎゅうと絞めつけられている。
痛いくらいだ。

「ちょ、ちょっと…」
「このまま…」

声はどちらともなく出た。
118名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:33:49 ID:rrqat9XK

姉が精根尽き果てたように倒れこんでくる。
背中に腕を回す。
熱い。
背中から熱と汗、蒸気が立ち上っている。

「…ッハァ、ハァ、ハァッハァ……」

姉は苦しそうに小さく呼吸を繰り返す。
そっと抱きしめてやると、緊張をほどいたように
少し呼吸を楽にした。

「……ッフゥ…」
「姉ちゃんの中に、全部入った、ね」
「…ああ…」

それ以上のことは言えないようだった。
しばらく落ち着くのを待っていると姉が口を開いた。

「…すごいな。頭が真っ白になりそうだ」
「やっぱり痛い?」
「痛みもあるが……でも」

姉はまぶたを閉じ、コツン、と広い額をぶつけてきた。

「うれしいな。こうしてお前とひとつになれて」

満足気な表情の姉を見ていると
なんだか胸の奥から込み上げてくるものがあった。
姉の身体に回してた腕をぎゅっと抱きしめる。

「なんだ」

姉がなにか言おうとしたようだが
無視する。
姉の身体を抱き締めたまま
腹筋を使って起き上がる。

「うう…んっ……」

態勢を変えて姉が少し苦しそうな声を出す。
あぐらをかくようにして姉の身体を落ち着ける場所を作る。
姉の足は腰に回されている。
下敷きになっていたさっきまでとは違い
姉の顔を正面から見ることができる。

「痛くない?」
「うん…。痛いは痛いがっ……、大丈夫、だ。
 さっきまでより…奥までぇ…あ……きている」
119名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:35:13 ID:rrqat9XK

姉の腰に手を回すと、姉は俺の首に抱きつくように腕を回してきた。
唇をとがらせるようにして
姉の額、頬、耳、口元にキスをする。
チュ、チュ、と小さな音がする。
姉の身体は熱を持って汗ばんでいる。
肩や鎖骨を甘噛みすると
気持いいのか悪いのか
姉は身体をうねるように動かした。
鎖骨のくぼみから首を通って顎の下まで
一気に舐め上げる。

「うぁあ……」 

くぐもった声姉の声がその喉から漏れた。
姉の味がする。少し塩気がある。
体臭と、膣から出る分泌液を薄く希釈して混ぜ込んだような、そのものの味。
「姉ちゃんの味がする」
「へ、変態っ……!」

ぎゅう、と首に回された腕に力が込められた。
応えるようにして、腰を突き上げ、小さく動かす。

「アッ…アアッ……!」

驚いたような姉の声が耳元をかすめた。
続けて腰を動かしていくと
それに合わせて姉の口から声が漏れでてくる。

「大丈夫?」
「痛い…が、さっきとは違って…」

姉が身をよじりながら応える。

「痛…気持ち…いい……」

のどを鳴らすような声。
腕を首に回したまま、身をあずけるようにしてため息を吐いた。
ペタリ、と身体をくっつけてもたれかかる。
普段の態度からはとても想像がつかないような声と
甘えきったような態度に
ほとんどなくなっていた理性の残滓も
どうやら吹き飛ばされていった。

「姉ちゃんっ!」
「きゃあっ!」

押し倒した。
120名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:35:55 ID:rrqat9XK

勢い余ってベッドで跳ね返った姉の頭がおれの鼻頭を打つ。

「うっ」
「ゴ、ごめん。でもお前がいきなり押し倒すから……ヤぁッ!」

もう止まらない。
姉の様子をうかがっている余裕もない。
とにかく自分の腰を、姉の腰に、打ち付けるようにして動かす。
ペニスがうまく出たり入ったりするように
腰だけが動くように集中して。

腰を動かすたびに
姉は身悶えし
身体をうねらせ
喉の奥から甘い声を漏らす。

その動きが膣内にも刺激を与えて
ペニスがさらに怒張していく。

「うんっ……あっあっあっあっ……おっき…おっきぃよぉ……!」
「姉ちゃん、姉ちゃん、姉ちゃん、姉ちゃん……!」

気づけば何度も姉を呼んでいた。
これではまるで姉を求めているようではないか。渇望しているようではないか。
元はといえば姉の突拍子も無いセリフから始まったはずだったのに
気がつけば姉のペースに巻き込まれ
いつの間にか、俺が、姉を求めている。
いつだってこうなのだ。
姉は俺を巻き込んで、俺をその気にさせる。
それでいて用事が済んでしまえば何事もなかったかのように
どこかへ行ってしまうのだ。

「くそっ……このっ……」
「いや……んんッ……っはあっ……」

姉はゆっくりと目を見開いた。
うるみきった瞳が俺を見据える。
目尻には何度も涙がこぼれたあとがある。

「どうしたの…? 落ち着いて……」

優しい瞳が俺を見ている。
そうなのだ。
このひとはいつも気丈で強いふりをしているが
昔から俺にはただひたすら――優しい姉だった。

胸の奥深くに降り積もっていた姉への思いをすべて吐き出すように
全力で身体を動かした。腰の動きが一層速くなる。
そのたびに姉はうごめき、苦しんでいるような表情を見せる。
唐突に、
腰から熱い快感が背筋を駆け上った。

「あっ、ヤバ」
121名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:36:33 ID:rrqat9XK

イッてしまいそうだ。
慌てて腰を離し、姉からペニスを引き抜こうとする。
すると

「ダメ」

下になっている姉が、俺の腰に両足を回した。
少し困ったような表情の、姉の目が俺をまっすぐに見つめている。

「ダメ、つったって…!」

俺の異議に対する返事はなかった。
代わりに姉は、ぎゅう、と腰に回した足に力を込め
おれの腰と自分の腰を密着させた。
膣の中は一層温かく、ペニスを締め付ける。

姉は俺の耳元に唇を近づけると
少しかすれたような声でそっとささやいた。

「そのまま、なかでだして」

耳から電流を流されたようだった。
電流は背骨を通り全身へ行き渡り
手足の末端をしびれさせた。
強烈な電撃が腰を中心に爆発したようで
尾てい骨から身体を貫くようにして快感がペニスを襲った。
あっ、ちょっ、だめっ。
姉が腕と足にぐっと力を込め、
俺の身体が1ミリも離れないようにしているのかと思われるほどの力で抱き締めた。

「んんっ……んぁっ……はあぁんんッ……!」

全身が何度も痙攣し、ペニスが脈動した。
俺は、姉の中に何度も射精した。
姉も体を震わせ息を荒くしている。
何度も荒い呼気を俺に吹きつけ、抱き締めたままで、身を固くしている。
姉の体が熱い。

「お前……」

姉が言った。

「熱いな。お前の精液は」

聞こえるか聞こえないかというほどの小さな声でささやいた。
潤んだ瞳が満足気に微笑んでいる。
俺が何も言えないでいると
姉は俺の頭を引き寄せ、息が止まるくらいの深い口づけをした。
姉の舌や唇は、乱暴で無遠慮に暴れまわった。

「む…むちゅっ……んぐっ……ぷはっ」

じゅ、蹂躙された。
長いキスをしたあと
唾液でベチョベチョになった口の周りを
風呂上りの牛乳を飲み干した後のような爽やかさでぬぐい
姉はいたずらっぽく笑った。
122名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:37:58 ID:rrqat9XK


「ほらセックスの後はピロートークというものをするんだろう。してみろ」

姉にせがまれて腕枕をしている。
ふたりとも裸のまま布団にくるまっている。
姉の顔が至近距離にある。
やはりセックスの後にも、世の恋人たちがするような行為を求めてきたのだ。

「してみろったって…」
「甘い言葉と共にセックスの感想を言うんだろう。
 すごく良かったよ…。とか、素敵だった…。とか、愛してる…とか。
 歯の浮くような甘い言葉を囁いてみなさい」
「言えるか!」
「何だ言えないのか。だったら私から言おう。
 痛かったー。話には聞いていたが本当に痛かったな。
 あんな太くて大きな物を入れたり出したりするんだから当然といえば当然だが。
 それでも途中から気持ちよくなってきたし、最後にはオルガズムを得られたからまぁ許してやろう」
「オルガズム…って、イッたってこと?」
「そんなこと聞くな馬鹿!」
「うぐっ」

布団の中で腹を殴られた。
さっきまでのしおらしい態度は一体どこへいったんだ。

「…そうだね、俺の感想としては…」
「お、なんだなんだ?」

再びメモを取り出した姉の目が輝き出す。

「姉ちゃんすごく可愛かった。
 普段じゃとてもみらんないような、表情とか、
 声とか、すごくエロくて可愛かったよ」

姉は握り締めたペンをメモに走らせることなく
ワナワナとうつむいて震えている。

「…? どしたの、姉ちゃん。ほらメモしなよ
 ねえちゃんが、かわいかった、って。…ほらほら」
「うるさぁい! 書けるかそんな恥ずかしいこと!」
「へぇ、恥ずかしいんだ一応。あっ顔赤くなってるよ。耳まで真っ赤だ。ワーイワーイ」
「ワーイじゃないわ! 馬鹿! デカチン! 早漏!」
「そっ、早漏!? デカチンはともかく早漏は…!」
「うるさい馬鹿! バカバカばーか!!」
「語彙無いのかよ! 小学生か!」
「……ばか」

姉はそのまま頭をあずけてきた。
123名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:38:19 ID:rrqat9XK

セックスの後の汗の匂いが濃厚に立ち上る。
どぎまぎしてしまう。

「あっあのさ…」
「なんだ」
「その、なんで最後、足、あんなにきつく…絡めたの」
「お前がイキそうだとわかったからな。中でピクピク膨れてきて」
「いやだから、なんでその…。…妊娠しちゃうかもしれないじゃん」
「ああ、そういう……」

姉はそういうと考えこむようにして黙りこみ
しばらく後に言った。

「うん、お前が丁寧に愛撫してくれたり
 必死になって私を求めてくれているのを見ていたらな、
 なんだかお前がすごく愛しく感じて……おもむろに受精したくなった」

じゅ、受精ですか。

「そうか! わかったぞ!」

姉がはじけたように叫んだ。

「何がですか」
「男女の情愛ということについてだ!」

姉はキラキラした瞳で明日の方向を見て拳を握りしめた。

「つまり受精したくなる・させたくなるのが男女の情愛ということか!」

姉は我が意を得たりというような澄み切った表情で握りこぶしを震わせている。
自らの結論に感動しているというに見える。

「姉ちゃん……」

なんかあんた小説家には向いてないわ。

「えっ」

姉は面食らったような表情で俺を見る。

「なんてひどいことを言うんだ。あんなに激しく…私を求めておいて」
「は、恥ずかしい言い方をするなよ、求めたのは姉ちゃんじゃないか」
「ふむ、では正確に言いなおそう。“私たちは互いに激しく求めあった”のだな」
「そ、そんなことは……ある、けど……」

反論したいところだったが
性行為中の我が身を振り返ってみるに
反論できなかった。
124名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:38:39 ID:rrqat9XK

「そうだろうそうだろう、私達は互いに熱く、激しく、獣のように求め合った」
「ケダモノのように……」
「違うまい。いや姉弟で肉体を求め合うなど、犬畜生にも劣る所業だと言わざるをえない」
「なんだよそれ、姉ちゃんがっ……!!」

自分で「セックスしよ♪」などと90年代トレンディドラマのような気軽さで言い出しておいて
事が終われば「犬畜生にも劣る」とはなんという言い様だろう。
この広いおでこの中の脳みそは若年性健忘症でも患っているのだろうか。

「だがそれでも」

姉は言葉を続けた。

「悪くなかった、な」

へへ、と姉は子供のような顔をして笑った。
この人にこういう表情をされると
何故か俺は何も言えなくなってしまう。

姉が満足できたのなら
それはそれでいいと思ってしまえる。
タブーを超えた向こう側に
この笑顔があったのならば
超えた甲斐もあったというものだ。

ただひとつ、腑に落ちないことがある。

「で、なんで相手が俺だったんだよ」

姉だって大学生だ。
男友達が居ないということはないだろう。
あるいは友人の友人を紹介してもらうとか
とにかくただ1度セックスをして
後腐れなく別れるということであれば
なにも肉親に頼らなくたっていい方法がありそうなものだ。

「――…だって」

腕の中の姉は消え入りそうなか細い声で言った。

「セックスは一番好きな相手だけとすることです…って、保健だよりに書いてあったんだもん……」

姉の顔がゆでダコのように真っ赤に染まっていくのが見て取れる。
ほどかれた髪の間から覗く耳も、風呂上がりのように赤く染まっている。
湯気が立ち上がってきそうだ。

「ばーか……」

ボソッと呟いた姉の声をかき消すように俺は強く姉の身体を抱き締めた。

「またしような、姉ちゃん」
「……。」

しばらく返事はなかったが
姉はほんの少し、顎を揺らして頷いた。
姉はそのまま俺の胸に顔をうずめ、ぐりぐりと額を押し付けた。
125名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 22:43:25 ID:rrqat9XK
おわりー。です。
なんだかダラダラと長くなってしまいましたがなにとぞご容赦。
しかもキモくなかった。
すみません。
途中まで投下して後半部分をまた別スレに投下するというのもとうかと思って…いやどうかと思って…

生でダラダラいった弟の名前を考えてなかった。

お付き合いしていただけた方ありがとうございました。
ご縁があればまたどこかのスレで会いましょう ノシ
126名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 23:48:29 ID:k8eXRZgY
投下GJ!
姉ちゃん可愛い
127名無しさん@ピンキー:2011/01/13(木) 22:01:40 ID:1ErUr+Ue
GJ!
面白かったです!
128名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 00:02:30 ID:7gsZnO+H
俺もロリ姉の貧乳を視姦したりコリコリしたり擦りつけたりしたい!
129名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 03:02:57 ID:0d/Vcubr
>>99>>125
GJ!
130幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 20:55:36 ID:iFoMMq3I
今晩は。
22話目を投下します。
131幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 20:56:13 ID:iFoMMq3I
「そういう訳で一年間あちらでじっくりと学んで欲しいと僕は思っている」
先生が緊張した面持ちで語りかける。
「折角ですが、お断りします」
けれど、兄さんは思った通り、何も迷わずに拒否した。
 信じられないお誘いではありますけど、俺はここから離れたくないんです」
「私の推薦っていうのは、要は画家としての将来を約束するっていう意味と同じなんだよ?
 この業界では才能以上に人脈というのが重要なんだ」
尚も先生は食い下がるが、私には分かる、
兄さんはちっともその話に心を動かされていない。
「それでも、俺はフランスに行っても無駄です。
 俺が描きたい物は海外じゃなくて、ここにしかないんですから」
「描きたい物を描くか、そうだったね」
その答えを聞いて、残念そうに先生が留学届けを取り上げた。
「すいません」
「いや、良いんだよ。
 私が変な欲をかこうとしてしまったのが悪わるかった。
 この歳になると、どうしても自分の後を継いでくれる人が欲しくなっちゃうものだ。
 私も生涯現役とは言っているんだけどね」
先生は恥ずかしそうに苦笑する。
くす、いつもの気難しそうな顔しか知らない学生が見たらなんて思うかな?
「でも、陽君はまだ絵は描き続けるんだろ?」
「ええ、俺は絵を描くのが好きですから。
 っと、すいません。
 実は圭達を待たせてるんです、すいませんけど失礼します」
「そうだったね、悪かったよ。
 早く行ってあげなさい。
 こんな話は初めから無かった、忘れてくれ」 
そして、兄さんは教授室から駆け出して行った。
132幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 20:56:59 ID:iFoMMq3I
暫らく私と先生は黙っていた。
それから、沈黙を嫌がった先生がぽつりと私に尋ねる。
「しかし、困ったな。
 実は留学枠を無理やり奪ってきたから、誰かしら推薦しないと拙いんだ。
 雪風君、行く?」
「いいえ、私も兄さんの居る所にしか居たくないですから。
 でも一応この書類は貰って行きますね?
 ふふ、兄さんは気まぐれですから」
「ははは、まあ期待しないで待っておくよ。
 いや、君にも悪かったな。
 彼にちゃんと絵を描くように勧めて貰って、
留学の相談まで事前に聞いて貰ったのに。
ああ、そう言えば賞への応募も君のアイディアだったね。
 本当にあと一歩だったんだけどね。
 だというのに、全くもって私の力不足だったよ」
「いえ、良いんです。
 だって大切な兄さんのためですから。
 それでは、私も今夜の準備があるので失礼しますね」
つい私は少しだけ秘密を漏らしてしまった。
「うん、何か今日はあるのかい?」
「ええっと、実は」
私はとっさに思いついた嘘を言う。
「実は、念の為にお祝いの食材をたくさん買っちゃたんです。
 だから、早く帰って作らないと夕飯に間に合わなくって、失礼しますね」
そう伝えて、私も部屋を出た。
あはは、いけない、いけない。
急いじゃダメなのに、つい気持ちが焦っちゃった。
でも仕方ないよね、やっと待ち続けた瞬間が来るんだよ?

さあ、最後のカードを開けようか。
そこには絶対に私の望む一枚しかありえないのだから。
133幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 20:58:12 ID:iFoMMq3I
**************************************************

白い髪の幸せな少女が退出した部屋。
部屋に残された一人が幸せかは分からない。
何も喋れないし、何も描けないから。
暫くしてから、ぎぃ、と扉が開いた。
黒い髪の幸せな少女が入室した。


「ふふ、一昨日も楽しかったわ。
 本当に、無力な兄さんを犯すのって楽しい」

「うん、どうしてこうなっちゃったか分からないよね?
 ちゃんと今から教えてあげる」
 
「ふふ、簡単だよ?
 私じゃ兄さんには勝てないから、シルフを狙ったの」

「兄さん、シルフと付き合ってからいつも悩んだいたよね。
 どうして、シルフが辛そうだったり、泣いたりしているのかって。
 あれはね、全部私がシルフをゆっくり追い詰めていたからなんだよ〜。
 だから、私なんて頼っても無駄だったの。
 くすくす、残念でした〜」

「あの子は、本当に単純だったからね〜。
 ちょっとだけ幸せな夢を見させてあげて、
 その後に揺さぶったら簡単に思い通りになったわ。
 くすくす、それにシルフって他人の事を信じないくせに、
 私と兄さんの言う事なら何でも信じるんだもの。
 少し兄さんに見捨てられるかもって不安を与えて、
 その後に兄さんがあの時留学を選んだ、
 って言ったら呆れるほど簡単に信じちゃったんだよ、馬鹿だよね〜」
134幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 20:58:45 ID:iFoMMq3I
「ふふ、でもそれだけじゃ兄さんが帰ってくるまで、
 シルフが心を閉しておしまいだからね。
 だから、少しだけヒントをあげたの、
 シルフちゃんにできる事はな〜に、てね。
 くす、あの子って困ったら、結局暴力に頼るしかできないでしょ?
 いつもなら兄さんや私が居るのにね〜。
 それで、兄さんは手も声も失って、
 一生ここから出られなくなったっていう事」

「あははは、シルフって本当に素直な子だよね〜。
 そんなに小さな頃の孤独が怖かったのかな?」

「それに、やっぱり兄さんのことが本当に大好きだったんだね〜。
 うんうん、姉さんにも良く分かるよ。
 絶対に兄さんから離れたくないものね、どんなに汚い手を使っても」

「あ〜あ、本当にシルフには困らされっぱなしだったな〜。
 シルフは強くて兄さんに盲従するから、
 家族としては最低でも、番犬としては最高過ぎだわ。
 あの子が兄さんの側に居る所為で、
 こんな回りくどい事をしないといけなかったもの」

「でも、あの子じゃないと兄さんを傷付ける事なんてできなかったから、
 本当に大切な駒でもあったけどね。
 それに、これから私の邪魔をする人が居ればあの子が誰でも排除してくれるわ。
 ふふ、もう例え沙紀でも無理ね、きっと。
 くすくす、やっぱり大切な子だね、雪風にとってのシルフは」

「あれ、シルフの気持ちを踏みにじってどうしてこんな事ができるの?
 そう聞きたいのかな?」

「あはははは、ごめんね〜。
 兄さんと違って、私にとってのシルフは初めから、
 不愉快だけど便利な、ただの道具だったんだよ〜。
 だから、シルフの気持ちなんて全然分からないし、
 興味無いからそんなのどうでも良いの。
 兄さんさえ私のモノになればそれだけで十二分だから」
135幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 20:59:11 ID:iFoMMq3I
「それに、兄さんが今までしてきた事と一緒だよ?
 シルフに兄さんの事を教えるだけはして手を差し伸べずに、
 全部あの子に押し付けた。
 そして、あの子が苦しむのを見て、にこにこ笑ってたの。
 まあ、私の場合は兄さんと違って本当に楽しかったけどね」

「ね、雪風の言ったとおりでしょ。
 シルフは幸せになれました。
 私は兄さんを傷つけなかった、傷つけたのはシルフ。
 兄さんは自由を失って、永遠にここから出られない。
 どう、これが雪風の最後の賭けだよ。
 頭の良い兄さんには馬鹿らし過ぎるかな?
 でも、これで私の勝ちだよね、くすくす」

「くすくす、兄さんから見れば悪いのはきっと私なんだろうね?
 けど、私から見れば一番悪かったのは兄さんなんだよ?
 私はあの日、兄さんに想いを曝け出してから、
 ううん、もっとずっと前から準備をしていたの。
 こうやって兄さんを私のモノにするために、
 母さんから信頼を得て、シルフの我侭に付き合って、優等生になって、
 それに兄さんから頼られるために兄さんの気持ちを理解している振りもして」

「だけど、ひょっとしたら私には予想できないような答えを、
 用意してくれるんじゃないかなって兄さんに期待もしてたんだよ」

「でも、最後にあんな物を答えだなんて言っちゃうなんて、
 やっぱり兄さんは雪風の事を全然分かってくれてなかったんだね」

「兄さんはどれだけ私があの時失望したか分かる?
 ずっと私に夢を見させた癖に、あんなに期待させた癖に、
 最後の最後には何にも有りませんでした〜って意地悪したんだよ?」

「兄さん、私は、」
 
「くす、何でもないわ」

「あははは、でも兄さんには感謝しないとね。
 だって、もしあそこで我慢していたら、
 兄さんから全部を奪って嬲る楽しみなんて永遠に分からなかったもの」

「こんなに素晴らしい事を知っちゃったらもう昔の雪風には戻れないわ。
 シルフが居場所を見つけてから独りになれなくなっちゃったみたいにね。
 兄さんっていつもそうだよね。
 何でもくれるのに、一番欲しいものは絶対にくれない」
  
「そういえば、私がここに来た時に何を隠そうとしたのかな?
 ふふ、雪風はそんな事に騙されたりしないからね。
 私は兄さんから声や手を奪ったくらいで安心なんてしてないよ。
 そうやって全部投げ出した振りをして本当は諦めてないんでしょ?
 そこに隠してる物、出しましょ〜ね〜」
136幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 21:00:21 ID:iFoMMq3I
「くすくす、足の指先に絵の具が付いてたものね。
 え〜と、ぐちゃぐちゃで読めないけど、これはフで、こっちはセ?
 それからイとマ、ここはイにシ……それから、これがノ、レ、かな?」

「兄さん、今更何を、誰に、何のために、書こうとしていたの?
 ねぇ、教えてくれないかな?」

「くす、あれ、もう喋れないんだったけ、ごめんなさい、くすくす」
 
「もう、兄さんは本当に器用だね。
 次は足の指も一本ずつ潰さないとダメかしら?
 ふふ、冗談、そんな事しても無駄だもの。
 手を奪えば足、足を奪えば、……口でも使うの?
 そんな事をしていたら兄さんの体が無くなっちゃうわ」

「だから兄さん、その代わり、
 こんな事をもう一度しようとしたら、
 シルフに素敵なお話をしてあげるからね?」

「あ、今、兄さんの顔が引きつったよ。
 ふふ、今更表情を隠しても無駄なんだから」

「あ〜あ、もし私のお話を聞いちゃったら、
 兄さんの大切なシルフはどうなっちゃうかな〜?
 兄さんの本当の気持ちとか、あったはずの本当の幸せとか。
 それを兄さんの体と一緒に自分の手で全部壊しちゃった事とか。
 必要も無く兄さんを傷つけた事知っちゃったら、
 あの子は自分自身だって許せなくなるよね。
 そうしたら、きっとあの子は壊れちゃうよ、
 シルフはと〜っても弱い子だもの」

「自分さえ信じる事が出来なくなって。
 大事な人はもう慰めてくれる事ができなくて。
 それでも、兄さんの側にしかあんな奴の居場所なんて無いから、
 ここに死んだように居続けるしか出来なくなるの。
 それから、兄さんに触れる度に、自分のした事を後悔する。
 それに兄さんが心の中で自分を憎んでいるんだって怯えるんだよ。
 きっと、初めて出会ったときよりももっと酷い顔をしてくれるんだわ。
 くすくす、だめね、想像するだけでも気持ち良くなっちゃう」
137幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 21:01:07 ID:iFoMMq3I
「くすくす、本当に見てみたいわ、絶望したシルフの顔。
 でも、兄さんさえ言う事を聞いてくれれば我慢してあげる。
 ね、兄さん、シルフには黙っていて欲しいでしょ?」

「うん、良いよ、黙ってあげる、とっても残念だけど。
 それにこれからもあの気持ち悪くて無神経で不愉快なシルフの、
と〜っても優しい雪風お姉ちゃんでいてあげるよ。
 もちろん、その分だけ兄さんに癒してもらうけど、良いよね。
 だから兄さんは私のお願いを聞いてくれるよね?」
 
「くすくす、じゃあお願いを言うね。
 兄さんには一生、雪風の大切な玩具になって貰うわ。
 もう二度と兄さんは自分の気持ちを誰かに伝えるなんて、
 絶対に許さない。
 私に対してだって許さないわ、私はそんなの望んでいないもの。
 もちろん、ここから出る事だって認めないわ。
 少しでもそんな素振りをみせたら、シルフとお話だよ?」

「あははは、うん、やっと諦めてくれたんだね〜。
 そう、その顔をずっと見たかったの、兄さんはそれで良いの」

「兄さんは考える必要なんて無い、
 動いたりしてはいけない、感情だってもう要らない。
 大丈夫だよ、ぜーんぶ雪風がしてあげるからね」
 
「兄さんは雪風の教えるとおりに考えて、雪風に体を玩ばれて、
 雪風が兄さんは泣いてるのか、笑ってるのか、怒ってるのか理解してあげて、
 兄さんは雪風に飼われていれば良いんだよ、この狭い部屋の中で一生。
 だって、雪風の玩具なんだもの」

「あははは、うん、良いわ。
 今までずうっと兄さんにこう言ってみたかったの。
 雪風の玩具って、くすくす、最高」

「ふふふ、兄さんにいつ見破られるか、いつも気が気じゃなかったわ。
 だっていつもの兄さんならシルフの悩み事とか、
 私の隠し事なんて簡単に見抜いちゃうでしょ?
 くすくす、けど兄さんでも幸せになると油断しちゃうものなんだね〜。
 まさか、シルフがああやって毎日追い詰められて、
 私が毎日こそこそ動き回っていたのに、
 あんなに暢気にシルフの為の絵なんて描いていたんだもの、くすくす」

「そうそう、それから私の大っ嫌いあの絵だけど、
 シルフには見せていないから安心して。
 もちろん、これからもずうっとシルフは見れないよ」
138幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 21:01:29 ID:iFoMMq3I
「ふふ、じゃあね、兄さん。
 好き、大好き、愛してる。
 もう抑え切れないくらい、好きで好きでしょうがないよ。
 兄さんの全部を愛してる!!」

「ああもう、言葉なんかじゃ全然伝えられないよ〜!!」

「だから、これからも兄さんの全てを奪い続けるわ。
 だから、ずっとここに居てね、くすくす」

「くすくす、兄さんは、ずっと私だけの兄さんだよ」

ぎい、ばたん、扉が閉まった。
139幸せな2人の話 22:2011/01/14(金) 21:04:05 ID:iFoMMq3I
以上です、ありがとうございました。
予定ではあと3回分くらいで終わると思います。
内容はさて置き、
なんとか完結はできそうで良かったというのが今の所です。
残り少ないですが、よろしくお願いします。
140名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 23:48:32 ID:RIeWxzhK
雪風こええ
141名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 03:14:12 ID:B7K3MJe9
>>99>>125>>139
おいおいなんだよこの名作ラッシュは・・・
とりあえずみんなにGJを捧げるぜ!!
142名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 05:14:34 ID:mJhzsgXn
何でだろ雪風が嫌いになった。
143名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 10:18:22 ID:Qc65lHhJ
なんというか
すげえ悪女だよな
144名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 14:16:42 ID:J+2wHCoJ
>>99>>125>>139
まとめてですまんが、GJ
面白過ぎる

本当に職人の層が厚いスレだな
作品にこれだけ名作が多いのは奇跡だと思う
145名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 21:30:39 ID:9ydu1//K
みんな妹がすきなんだね
146名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 23:14:51 ID:1FeP0z5Q
俺はお姉ちゃんのほうが好きだよ!
だから手に持った刃物は置いてからお話しよう。頼むから。頼むから。
147名無しさん@ピンキー:2011/01/16(日) 03:50:26 ID:cxor7Gwx
え?部屋に小型カメラ?あはは、ばれちゃった?
まあ、その…姉としての義務よ義務!
……それは企業秘密よ

掃除や洗濯してる時に息が荒くて目が怖いって?
こっちはねぇ、集中してるの。これがプロの仕事ってもん。分かった!?
別にハァハァしてる訳じゃないんだから!

はぁ?何でご飯が生臭いのか?
愛情をたーーっぷりと込めて作ってるんだから、当たり前でしょ!まったくもー!

まだあるの?これで最後だからね!…何で血まみれなのかって?
うーん。これも姉としての義務かな?………それも企業秘密
148名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 14:31:34 ID:HCM+QIDM
強烈なのがどんどんくるな・・・

もっとやれ
149名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 20:03:53 ID:0UoVsVWa
194 :普通の兄妹のあり方 [] :2011/01/15(土) 00:51:07 ID:vx0OA8UI (1/7)
どうあがいても規制中ですのでこちらに投下します…。
以前こちらに「普通の兄妹でありたい!」を書いた者です。
これに関連するものができたのでカキコします。
題名は「普通の兄妹のあり方」です。
時期は少し早いですが、時系列は「普通の兄妹でありたい!」の前です。
150普通の兄妹のあり方:2011/01/17(月) 20:04:55 ID:0UoVsVWa
普通の兄妹のあり方



おかしい

最近の妹の様子がおかしい

面白いじゃなくて、変なほうのおかしい。

兎に角おかしいんだ。
何がおかしいかといえば…何ちゅーの?
距離感?みたいな?
例えばさ、やたらとくっついてきやがる。
高校生(今度短大生)にもなってさ。
普通、兄貴なんてキモくて離れるだろ?

何かさここんとこやたらと俺の部屋に居るんだよな、コイツ。

漫画、参考書、CD…自分で調達すれば良い物を、わざわざ借りに来る。
しかも気づけば俺のベッドで横になって漫画読んでたり、CD聴いてやがる。
自分の部屋でやれば良いのによ。
前はそんな事無かったし、彼氏も居るし何なんだ?
大体俺の部屋に来ても面白いことなんか何にも無いのに。
こないだなんかマスかいてるとこ見られたしよ、ついてないぜ。
部屋に鍵付けてーよ。
…で、付けたら早速アイツに見つかり親にチクられた。
何なんだよいいじゃんか、鍵ぐらいさ。
んで外された。
アイツに強引なところがあるのをその時はじめて知った。
他にも俺の部屋にはテレビがあるが、俺が見てたらいつの間にか妹も隣に座って見てるし。
放っておいたら俺の体半分にぴったり寄り添ってるし。
これも放っておいたら今度は俺の体を触り始めた。
俺の考えすぎなのかもしれないが、俺に触れてくるコイツの手付が何かヤラシイんだ。
大体、太腿に触れてくる意味が判らねぇ…。
やべぇ、起っちまうじゃねーかよ。
できれば止めてもらいたい。
「おい、止めろ。」
「離れろ。」
「出てけ。」
どれだけ言おうが出て行く気配、止める気配が無くて。
で、俺の太腿の付け根付近に手が伸びてきた時、俺は危機感と怒りを感じて妹に手を挙げてしまったんだ。
「おまっ、おい、離れろ!」

ガッ

やってしまった。
だが、どれだけ言っても離れないコイツが悪いんだ。
それに、コイツには彼氏が居る。
そいつを触ればいいんだ。
俺がそう思っていると妹は俯いたまま立ち上がり、そのまま俺の部屋を出て行った。
151普通の兄妹のあり方:2011/01/17(月) 20:05:33 ID:0UoVsVWa
「あれ?俺の飯は?」
その日の夕食時、いつものように食卓へ行くと、俺の茶碗及びおかずが用意されていなかった。
これは何かの罠か?
俺は自分が置かれた立場が理解できなかった。
親父、お袋並びに妹は定席で箸を進めている。
呆然としているとお袋がまま口を開いた。
「ああ、あんたにご飯無いから。
 妹と喧嘩して叩いたんだって?」
お袋はそれだけ言うと俺を睨み、食べ終えたのか自分の茶碗を片付けるために席を立った。
俺はその様子を呆然と眺めた。
俺と親は仲が悪い。
妹と親の仲は非常に良好で、よく一緒に買い物へ行ったりしている。
信頼度も妹の方が高い。
というより、親は俺の言うことなんぞ聞かないし、信じない。
俺が高校出て就職して一年ちょっとで辞めてから酷くなった。
「妹と仲良くしたらどうなんだ。」
後ろから親父の声がした。
なんだよ、何なんだよこの仕打ち。
確かにアイツを打っちまったよ?
俺が悪い。
だからって、夕飯抜きかよ…俺のこと何だと思ってんだ。
俺は仕事を辞めたフリーターだが、それでもバイトして月に数万はこの家に入れてる。
…一体親にどうチクッてんだ。
アイツの目的が何なのか全くわかんねぇ。
俺は涼しい顔してご飯を口に運ぶアイツを忌々しげに見た。
「…」
(考えても無駄だ)
俺は夕食を諦め、踵を返し、自室へ戻ることにした。
唯、言えるのはアイツのお陰で、もともと悪かった親との仲がさらに悪化した気がする。
特にお袋の俺を見る目は憎悪のそれだった。
何か、この家で俺の居場所は無いような気さえする。
そいで不貞寝を決め込んで自分のベッドにダイブしたが、空腹感はどうにも抑えられなかった。
「ハラ、減った…。」
寝返りを打ちながら眠ろうとするのだが、眠ろうと思えば思うほど眠れない。
クッソ、むしゃくしゃするぜ。
こんな時は自分を慰める。
我ながら馬鹿な方法だと思っている。
俺はベッド横にある棚からオカズ用の雑誌を乱暴に取り出した。
雑誌を捲りながらふと、俺は先日起こった事を思い出した。
先日、アイツにマス見られてせめてもと思ってオナホ買ったんだ。通販で。
ぱっと見、ソレ用には見えない例の人気商品。
デザインが良いから、見つからないだろうと高を括ってた。
それがある日無くなってたんだ。
まだ二回しか使ってねーのに…。
でまたある日たまたまアイツの部屋へ用があって入った時見つけてしまったんだ。
かつて俺が使っていたオナホらしき破片の一部を。
色と材質で判断した。
自室の引き出しにしまって置いたソレが、妹の部屋のゴミ箱で見つかるなんて。
それも細切れ状態で。
アイツに聞いたら白を切りやがった。
俺も終いには私物を勝手に持ってくな、としか言えなかった。
152普通の兄妹のあり方:2011/01/17(月) 20:06:01 ID:0UoVsVWa
ある日の晩、風呂から上がってリビングに行くと、妹がソファで転寝していた。
(自分の部屋で寝ればいいものを…)
そう思いつつ俺は妹に近づいて、その寝顔を覗いてみた。
白い肌に、整った顔のパーツ。少し開いた唇がやけに艶っぽく思わずごくりと息を飲んでしまった。
寝ている妹があまりにも無防備で綺麗で――
おっと、いかんいかん、いくら美人系でも妹だ。
俺は邪念を払い、妹を起こすことにした。
「おーい、起きろよ、風邪引くぞー。
明日学校だろー?」
妹は生返事のような感じで呻るばかりで一向に起きる気配が無い。
「…しょうがねーな。」
俺は、妹の膝裏と肩と背中の間に腕を通して抱え上げ、そのまま妹の部屋へ向かった。
抱え上げたとき俺の首に妹が両腕を回すあたり起きてんじゃねーかと思ったが、あえて無視した。
両腕が塞がっていたから部屋のドアを開けるのに苦労したが、何とか妹をベットに寝かせ、布団を掛けた。
「ったく。
 …ま、俺がしてやれることはこれ位しか無ーしな。」
目を閉じている妹の顔を見て、同じ親から生まれた兄妹なのにどうしてこうも、顔のつくりが違うんだろうと思った。
妹の額に手で触れようとして、はたと思いとどまった。
(もてるんだろうな、きっと)
今はまだ高校生だがいつかは結婚して、子どもを産んで…幸せになるんだろうな。
そう思った途端、一抹の寂しさが胸を過ったが、俺は気づかないことにした。
「…オヤスミ。」
俺も寝よ、そう思いながら妹の傍から離れるために立ち上がった。
がその瞬間、来ていた服の裾を捉まれ思わず前方へつんのめった。
(ったく、マジかよ…。コイツ起きてんじゃねーか…。)
「おい、離せよ。
 起きてんだろ?なあ。」
俺は妹の行動に若干呆れつつ思わず妹へと顔を向けた時、俺はぎょっとした。
瞬きもせずじっと俺を見つめている妹がそこにいたからだ。
「…。」
妹は俺から視線を逸らそうとしない。
(一体、妹は何がしたいんだ?)
俺は若干気まずい思いを抱えながらこの状況からの脱出方法を考えつつも、ふと連日の仕打ちを思い出しそのことを口にした。
「俺に何か恨みでもあるのかよ。」
それから俺は一つため息をついて掴まれた手を離そうとした。
離そうと伸ばした手は逆に妹に捕まれ、ますます逃げ場を失ってしまった。
「…ここに、居て?」
目を潤ませた妹は何かを訴えかけるようにしていた。
「はぁ?何でだよ。」
俺の手を掴む力が一段と強くなった。
「眠れないから。」
艶めく唇に心臓の音が高鳴った。
「お前、さっきまでがーがー鼾かいて寝てたじゃねーかよ。」
暗闇に怪しげに光る瞳が俺を捉えて離さない。
そんな、目で俺を見つめるな。
「ねぇ…。」
妹だぞ?ちくしょ、治まれ動悸、疼くな下半身!
「は、早く寝ろよ!」
とは言っても手を離す気配は全くなくて…
「居て?」
キュっとまた手に力が篭った。
「〜〜―…」

結局妹が眠るまで居たわけだが、気づけば俺も寝てしまっていてその隣に妹が寄り添うように寝ていたのにはびっくりしたがな。
(何のためにベッドがあるんだかわかんねーな)
自分の寝巻きがやけに乱れてたのが気にかかった。
(俺、そんな寝相悪くないんだけどなぁ)
まあ、気のせいだろう。
改めて妹をベッドに移し布団を整えてやってから俺は自室へと戻った。
153普通の兄妹のあり方:2011/01/17(月) 20:06:24 ID:0UoVsVWa
その数日後、いつものように俺はバイトを終えて、家に帰ってきたら、キッチンで妹がなにやら作業をしていた。
甘ったるい匂い…そう、これはチョコだ。
そんな妹を横目に俺は冷蔵庫からお茶を出しコップに注いでいると、妹に声を掛けられた。
「お帰り。
 ねぇ、兄ちゃん。」
「あ?」
俺は顔だけを妹に向けた。
「ねぇ、兄ちゃん、今日バレンタインでしょ?
 で、作ってみたんだけどちょっと味見してくれない?」
妹の手元の皿の上には一口サイズのチョコがあった。
そして妹の顔を見れば笑顔が。
バレンタイン…もう、そんな日が来ていたのか…。
はっ、どうせ俺はモテネーよ。
身内のよしみダローが、妹からしかもらったことねーよ。
「うまく出来ているか知りたいの。」
俺は毒見係か…。
「あー…良いよ。」
何が悲しくて…
俺は一つため息をして俺は妹の傍まで行った。
「あ、そうだ、食べさせてあげる。…目、閉じて、ね?」
味も何もただのチョコだろ?
つーか何か今年は注文が多いな。大体目を閉じる意味あんのか。
ま、いいか。
俺は何の疑いもなく目を閉じ、それからチョコが入るくらいに口を開けた。
だが、俺はここで気づくべきだった。
最近の妹の言動から簡単にチョコを食べさせてくれるはずもない事を。
「ん?」
唇に柔らかくて暖かい感触の違和感を感じた時には既に遅かった。
思わず目を開けると目を閉じた妹の顔のアップがそこにあってビビった。
???!!!
騙された、妹にキスされた。
続いて開けていた口の中が急にチョコの甘い風味が広がり、さらに俺は混乱した。
「ん?!(え?!)」
俺は慌てて妹を引き離そうとしたが、できなかった。
離そうにも妹は俺の首をガシっと絶対に外れないようにして抱きついていたからだ。
俺の口にチョコが入っても妹が離れる気配はなかった。
逆にチョコと一緒に入ってきた妹の舌が俺の舌を蹂躙した。

ちゅ…ぴちゅ…ちゅぽ

どこか卑猥な音が鼓膜に響いた。

首に回された腕と手
キスをする上気した頬
時折うっすらと開かれる瞼
頬に押し付けらている鼻柱
胸板に感じる肉感的で柔らかな胸と強く速打ちする鼓動…
クッソ、理性が…
だが、そもそも何でこんな目に遭っているのだろうか…。

首に回されていたはずの妹の両手が俺の頬を挟むように捕らえた時、コイツは何を考えているのだろうかと思った。
同じころ固体だったチョコが段々と溶けてきて、それが俺と妹の唾液でかさを増していた。
このままだと口から溢れると思っていると、ゴクンと音がした。
妹がかさの増えたチョコを飲み込んだようだった。
飲み込んでも飲み込んでもかさを増すチョコに耐え切れなくなり俺も溶けたチョコを飲み込んでいた。

何度も
何度も
154普通の兄妹のあり方:2011/01/17(月) 20:06:58 ID:0UoVsVWa
妹はチョコと俺の舌を転がしながら自分の唾液も送り込んでいるようで…。
ねっとりいや違うな…何つーかネッチョリ?という言葉がぴったりのキスだった。
結局、口の中のチョコが溶けきってチョコの風味が全く無くなるまでキスは続いた。
俺も途中から妹を引き離すことを諦めてた。つーか理性がヤバかった…マジで。
その一方で一連の行為を客観的に見ていた自分もいたわけで…
ある意味、その客観性がなかったら本当にヤバかった。
「っ」
最後に妹は上下の歯で俺の舌を軽くかんで離れた。はずが、糸引いてた…。
「…おいしかった?」
妹の目は見れませんでした。
「ねぇ…もう、ひとつ、どう?」
ドクン
やけに艶っぽい声色で尋ねてくる妹が怖かった
ドクン、ドクン
顔が熱い。
動悸が凄まじい。
クッソ、どう答えりゃ良い?
「…〜〜〜」

結局俺は何も言えず、お茶を注いだコップをそのままにして逃げるようにキッチンを出た。


はぁぁぁぁぁぁー…
自室に戻り落ち着きを取り戻しかけた所で盛大にため息を吐いた。
つーか、俺のファーストキスは妹かい、マジ死にてー。
さっきのことは夢だと思い込もうとしたが、口の中に残るチョコの香りが現実であることを実感させた。
はぁぁぁぁぁー。
もう、ため息しか出なかった。

マジでアイツ、最近どうしちまったんだろう。
一応俺も兄貴だから少し気がかりだった。
一緒に居てとか、そのキスとか。
…そういや思い返せば、マス見られてからだよな、酷くなったのは。
「酷くなった」って言い方悪いけど。
それまでは特にあんなにべったりしてくることは無かった。
アイツ確かに綺麗だし可愛いよ。
身内の贔屓目かも知れねーけど。
そりゃ昔は本当に俺の妹なのかと疑問に思った時もあったけどさ?

でも「妹」だぜ?



考えても仕方が無い、アイツの問題だし。
ま、高校卒業すればいずれ離れてくだろう。
今は長い目で見とくか。

俺はそう願いながらベットにダイブした。
155普通の兄妹のあり方:2011/01/17(月) 20:07:27 ID:0UoVsVWa
200 :普通の兄妹のあり方 [sage] :2011/01/15(土) 01:07:10 ID:vx0OA8UI (7/7)
以上です。
実はあと一つ妹視点のプロットはあるのですが本スレへの投下は今後も不可能な気がするのでこれで打ち止めにしたいと思います。
代理の方にこれ以上迷惑は掛けられませんので…。
では。
156名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 20:08:48 ID:0UoVsVWa
避難所からの転載終了
開始宣言忘れてすみません
157名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 22:15:40 ID:7fZbcgej
おおー!いいね!妹視点が見たいなあ・・・
158名無しさん@ピンキー:2011/01/17(月) 23:11:21 ID:cX+J6F2V
俺が転載してやる!
大丈夫、俺が見たいだけだから!
ここまできたらあと一つ位別にどうってことない。まかせろ!!

いや、まかせさせてください。というか、投下してください。
妹視点ないといみないでしょ?
159名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 00:19:54 ID:1PO/ycY9
意味ないは言い過ぎだが、とても楽しみではある
160名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 01:32:09 ID:Xf0ca7FM
SS読んでていつも思うんだが、「」内の文末に『。』は付けないのが正しい文法だよ
よく間違ったまま覚えてつけてる人いるけどさ
161名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 02:03:49 ID:9WQmUmha
>>160
それソースあんの?
162名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 02:13:10 ID:0Chow/bT
初心者がよく文法ネタで他人にSEKKYOUしたがるけど
正しい文法なんてものじゃなく
単なる大手出版社の慣習・取り決めだよ
3点リーダを2連で使うなんてのも同様

賞に応募するんでもなきゃそんな厳密に気にする必要はないよ!
こういう風に知ったかが五月蠅いから
拘りがなきゃ、それに沿っておくのも手だけどね
163名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 08:53:56 ID:C2X2VR8v
個人的に文法はどうでも良いけど、「妹視点もあるんだぜ?読みたいだろ?」ってニュアンス発言が疑問
投下したきゃすればいいじゃない
164名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 10:42:00 ID:BsRiVRWn
>>163ったらツンデレなのねぇぇぇええええ!!
んほぉぉおおぉおぉぉぉお!!!!
165名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 15:17:39 ID:31QoLyda
エロ漫画家の姉に近親相姦物のネタをせがまれて「不良妹×優等生兄の逆レイプモノ」はどうかと提言したらキレられた。
姉曰わく「妹ネタは甘え。次世代は姉ネタが主流」らしい。
そんなの知らないし俺はオカズなら妹系のが好きなんだと言ったらまたまたキレられた。
つか実姉の前で姉弟モノの話なんて気まずくて出来ないだろ? と言ったら私は構わない、とのこと。
暫く考えて取りあえず思いつきで「下半身が繋がったまま24時間密着生活」なる物をプレゼンしたところこれが大ウケ。
しかもクオリティアップの為だとかで俺と実際に体験しようとまで宣いやがった。
いや、断ったよ? 断りましたとも。
でも漫画家の前はグラドルやってた姉の色仕掛け百選の前では童貞彼女無しの俺のムスコなぞ赤子同然。
何とかなけなしの理性で部屋に逃げ込み籠城し、現在に至るというわけさ。
このレスを見ているディスプレイ前もしくは携帯画面前もしくはPSP画面前の友たちよ。
助けて下さい。
このスレ的にはハッピーエンドかもしれないけども、俺はこんな結末を望んじゃいない。
姉は遂に手斧で扉の破壊を始めた。おれにはその姿がジェイソンにしか見えない。
ああ、もう駄目だ。鍵がはずれてとびらかひらいたkないddddd
166名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 16:18:27 ID:o367Ovp3
俺のシャツクンカクンカしてくれる妹が欲しいよ!ドラえもん!
167名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 19:34:10 ID:Zt+S4J1F
ドラえもん「>>166に顔と体型がクリソツな妹〜〜」
168名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 20:07:54 ID:o367Ovp3
うわぁん!ひどいよドラえもん!俺の顔なんてもう事故みたいなもんだよ!
可愛い子がいいよう!
169名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 20:35:50 ID:e1ro+5W+
兄好・・・・・・
170名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 08:46:32 ID:dn8wNao8
>>169
それでニーハオと読むのか?
171名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 09:21:28 ID:ZDQArycP
我好兄
172名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 09:46:12 ID:WN54r5XN
>>170
「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」
略して兄好(おにすき)。
現在アニメ放映中。
173名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 11:42:10 ID:n4UnBUY1
おちんこは今期なかなかの出来
174名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 11:46:45 ID:2qYmGLSn
おち、兄好はギリギリキモウトかな
病み要素はないが「キモい妹」、ただし義妹
175名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 16:47:12 ID:NEhlX+0G
ついでに幼馴染もキモイ
176名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 17:38:02 ID:7x306D8W
委員長が一番かわいいよ!
177名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 20:40:22 ID:SvKY4HVU
ここで見たと思うんだけど
主人公に義理の妹だか姉だか両方だか覚えてないんだけどいて
その姉妹に主人公はずっといじめられてて
なんやかんやで姉妹が主人公のことを好きになって
姉妹が主人公に抱きついた時いじめられていた影響で
主人公が怯えながら謝る姿にショックを受ける姉だか妹

wiki探してみたが見当たらない
誰か作品名わかりませんか?
178名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 21:34:28 ID:G6uh1GJC
>>177
多分だけど修羅場スレのまとめにある「転帰予報」っていう作品じゃないか?
過去に姉妹はとある理由から散々主人公を虐待(作った料理を捨てる、触れた
服をすぐに洗濯する、家から閉め出す、階段から突き落として殺そうとするetc)
していたんだけど、とあるきっかけで和解・その後は姉妹揃って主人公に惚れていく
という内容だった。
179名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 21:35:33 ID:WpTA1A6T
>>177
嫉妬スレの転帰予報?
180名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 21:40:12 ID:SvKY4HVU
>>178-179
転帰予報だった!
ずっと探してたんだ
本当にありがとう
181名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 21:50:00 ID:WpTA1A6T
あの作品好きだな
住人かぶってたし需要すっごいあると思うのに
覚えてた人いるみたいで嬉しくなった…
182名無しさん@ピンキー:2011/01/19(水) 23:04:33 ID:9La49GHg
あれも気になるところで止まってるからな…
そういうのあげだしたらキリがないけど
183名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 00:01:18 ID:laTCoP/e
転機予報の文章量が凄いな
やっと読み終わったぜと思ったら後16ページも残されているだと…?
184 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:13:14 ID:xDssdlWm
人外ものです。
約20000文字程に
成ると思います。
185人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:14:41 ID:xDssdlWm
 俺の家は山間部標高二千メートルの山奥にある。 
 学校までは四十キロ。隣家までは八キロ。バス停までは10キロも離れている不便な場所に住んでいる。
 何故そんな人里離れた場所に隠遁者のような生活をおくってるかというと、ある事情からだ‥‥

****

「ふう。やはりこんな山奥に住んでいると、風呂の時間が一番落ち着くな…」

 家は人里離れた山の中に住んでいるお陰で風呂はだだっ広い岩風呂の天然温泉である。娯楽が少ないので風呂と食事が唯一の楽しみといっていいだろう。
 学校まで登校するのがひと苦労だが、温泉に入っていると日頃の疲れが吹っ飛ぶ。  
 俺がくつろいでいると大きな魚影が静かに近付いてくる。勿論山奥の岩風呂なので猿や狐や狸、また時々熊なども入りに来たりするが、彼らは刺激さえしなければ別に問題は無い。
 しかし温泉に人間大の巨大魚が居るとなると有り得ないことだし、普通なら慌てるところだろうが、俺にとっては日常の風景である。

「おい!勝手に忍び込むんじゃない」

 魚影に向かって俺が怒鳴るとザバーッと激しい水しぶきを上げて顔を出す。

「む〜バレないと思ったのにぃ〜」

 現れたのは両頬を膨らませたひとりの美少女。髪は綺麗なウェーブの掛かったロングで色はエメラルドグリーン、眼はマリーンブルー、肌は白く透き通るようだ。
 そして下半身に煌めく鱗と長い尾鰭。
 コスプレ?違うよ。ガチでマーメイドだ。しかも実妹ときている。
 名前は水森メル。高一だ。俺?俺のことなど、どうでも良いだろう。名前は水森卓也高二で凡人である以上。
 人魚がどうやって学校に通えるかって? 
 それは単純なこと。普段は人間の脚で濡れると魚の下半身になるというわけだ。髪は人前では黒いおかっぱのカツラを被ってる。アニメじゃあるまいし緑色の頭髪などありえないだろう。 
 学校では親衛隊が居るほどの人気だが‥‥
 
「バレバレだ。それと年頃の女の子が素っ裸で男の居る風呂場に入るな!」
「‥‥‥‥」

 メルは眼の辺りだけ水面から顔を出し。不満そうな表情でブクブクと泡を立てている。表情がコロコロ変わって見てて飽きないが‥‥

「お兄ちゃん。人魚って普段は裸なのよ。貝殻のブラジャーとかしているのは童話の世界の創作なの!」
「屁理屈はいい!」
「‥‥‥‥」
「とにかく早く風呂場から出なさい!」

 
186人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:17:46 ID:xDssdlWm
 ムキに成って反論するメルを無視して、俺が後ろを向き手をヒラヒラと出て行くように促すと、妹は水しぶきを上げていきなり抱きついてくる。

「お兄ちゃん♪」
「こ、こら〜!」

 小振りだが形の良いオッパイが背中に押し付けられ、長いエメラルドグリーンの髪から甘い潮の香りが漂ってくる。それから水面から出た尾鰭を激しく振って子犬のようにあまえてくるメル。

「お兄ちゃんが欲しいのぉ〜」
「あ、アホか!」

 アホ人魚‥もとい妹は俺の肉棒に手をのばしてくる。

「うわぁ〜妹で固くなってる♪」
「せ、生理現象だ!」

 実兄の肉棒を擦ろうとする変態妹のメルと必死に貞操を守ろうとその手を押しとどめる俺。
 メルは面倒だとばかりに尾鰭を勢いよく振り上げて派手な水音と共に水中に潜り俺の股間に迫る。その時、突然ひんやりとした冷気が伝わり水面がいきなりスケート場のように凍りついた。

「やはり所詮魚。学習能力が無いようですね。直接行動をおこして引かれたのでは何にも成りません。ここは裸体を瞼に焼き付けてハアハアするのが正しい選択」
「ね、姉さん?」

 声の主は和服の女性。水森雪音。僕の実姉でしかも人外雪女だ。現在姉さんは高三で、長い黒髪と雪のような色白の肌と紅い唇が印象的で、お淑やかで妖艶な雰囲気に学校ではファンクラブまである。
 何故俺の姉妹が人外かというと、クソ親父のせいだろう。親父は大学の考古学者で研究の為に世界中を飛び回っている。しかし行く先々で人外を孕ませて、その子供を引き取ってくるいい加減な男だ。
 俺の母親は物心つく頃には、この人外マニアに呆れて逃げ出したらしい。現在は二人の異母姉妹と生活しているわけだが…

「姉さん。いきなり氷漬けにされたら心臓麻痺をおこすんだけど‥‥」
「大丈夫ですよ。たっくんの貞操が無事であるならば」
「何が大丈夫だか‥‥
 それとメルはどうなったの?」
「半魚人が水の中でどうにかなる訳ないでしょう。温泉の地熱で氷が溶けるから、後三十分位で動けるようになりますよ」
「この冷血女!ボクは人魚だよぉ〜」
「ねっ」

 姉さんはニコニコ笑い、氷の中でメルが大声で喚く。本当に懲りない連中だ。俺は上半身だけ氷面から出ているけど、寒いから早く出して欲しいのだが。

「あっ。たっくん、ごめんなさい」

187人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:20:51 ID:xDssdlWm
 やっと気付いた姉さんに氷の中から引っ張り出してもらった。せっかく温まっていた身体が底冷えする。しかしいきなり氷漬けにされるとは‥‥
 ふと姉さんの方を見ると視線が一点に集中し頬が紅い。

「たっくん」
「なに?」
「たっくんの逞しい下半身を見れて、わたくしとしては嬉しいんですけど‥‥」
「ーー!!」

 姉さんの潤んだ眼と赤く染まった顔に背筋に寒気と股間に危機感をおぼえた俺は、前をタオルで隠すと、急いで脱衣所に向かった。まあ姉も妹と同類ということなのだろう。

****

 午前五時。うちは山奥にあるので朝が早いのだ。朝食は当番制だが、姉さんはこのクソ寒い中朝からかき氷、メルは生魚で、俺だけ食パンと目玉焼きだ。
 いつものように姉さんが微笑みながら、べったりと横にくっついてくる。

「はい。たっくん、あーん」
「あら。お口が汚れてますわ。
 きれい、きれいにしましょうね」

 食事ぐらい自分でたべられるのに、高校生になる弟を保育園児扱いとは如何なものだろうか。
 パンをちぎって俺の口元に運んだり、ちょっとでも汚れると布巾で汚れを拭ってニコニコしている。
 当然メルの方も黙って見ていることはなく‥‥

「お兄ちゃん♪」

 といいながら首に抱きついてきたりする。朝っぱらから怒鳴るのも何なので黙ってはいるが、いい加減うんざりしながら何気なくカレンダーを見てみると今日の日付に赤丸が記されている。

「今日は紅い月の日だね。
 俺はばあちゃんの家か‥‥」
「たっくん。忘れ物しないようにしてくださいよ」
「いいなぁ〜ボクもおばあちゃんの家に一緒に行きたいよぉ〜」
「ははは‥また今度な」

 そう。今日は数ヶ月に一回俺一人ばあちゃんの家にお泊まりをする日だ。姉さんは細々と俺に注意をし、メルは羨ましそうにジト眼をこちらに向けた。

「姉さんとメルは地下に?」
「そうなるでしょうね」
「ぶ〜〜〜」

 姉さんはいつものように落ちついて、メルは両頬を膨らませてぶ〜たれている。

「たっくん。今日は家に戻って来ては駄目ですよ」
「わ、分かってるよ」

 過保護で心配性の姉さんは眉を寄せて、くどいように忠告してくる。するとメルが何食わぬ顔で口を挟む。

「ボクはお兄ちゃんと一緒の方がいいなぁ〜」
「あなたはまだ懲りないのですか!」
「ふ〜〜んだぁ」
「メル。なるべく早く帰ってくるから」
「ふぅ〜」

 
188人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:26:14 ID:xDssdlWm
 駄々をこねるメルの頭を優しく撫でてやると子猫のように頭を擦り寄せてくる。
 姉さんは腰に手を当てて大きい溜め息を一つ吐く。我が家の日常の光景である。

 まあ、おばあちゃんの家は街中にあるので便利だし、人外マニアの親父の母親とは想えない常識人なので気は楽だ。
 介護に行くのかって?違う、違う。おばあちゃんは七十を超しているが、まだ元気いっぱいだ。
 これこそが我が家が山奥に住んでいる最大の理由だ。実は以前人里に住んでいたのだが、紅い月の日に有る大事件が起こり、うちの家族は逃げるように山奥に引っ越してきたのだ。
 しかし親父の奴は肝心な日に家にいない。姉さんによれば今はエジプトだそうだが、ミイラの妹とかマジで嫌なんですけど‥‥

****

 三年前我が水森家は郊外の住宅街に住んでいた。南は海岸線に面しており海風が心地よく、北は山に囲まれて冬でも過ごしやすい良好な環境だった。
 姉妹は今と変わらずブラコンで、俺に異常なまでに過保護で世話を焼きたがる姉雪音と子犬のように俺に甘えてくる妹メルはキモかったが特に問題は無く平和にすごしていた。
 しかし俺達家族の運命を狂わせた事件。それは、紅い満月が夜空を輝かせていた日の事だ。

「へ〜え。紅い月っていうのも綺麗なもんだなぁ」

 窓から外を眺めていると部屋の入り口の方から親父の声がする。

「た、卓也逃げろ‥‥」
「親父!どうした!」

 親父は足元がふらつき、顔は青ざめて全身から脂汗を流して、明らかに普通の状態ではない。 

「紅い月の影響で雪音とメルが‥‥‥」

 ガゴッ!親父が言い終わらない内に打撃音と共に氷の欠片が飛び散ったかと思うと、バッタリと親父が倒れた。

「親父!」 

 流石に実父なので心配に成って駆け寄ろうとすると、いきなり背後から何かが俺に抱きついてきた。

「お兄ちゃん♪ うふふ‥‥」

 そう。俺に抱きついて来たのは妹のメル。しかし陸に上がってるのに脚は魚化してるし、マリーンブルーの瞳が妖しく光っていてまともではない。

「め、メル離せ!親父が‥」
「だ〜めぇ〜うふふ‥お兄ちゃんはボクのもの‥‥」
 
 絡みついてくるメルを引き剥がそうともみ合ってるうちに、親父の倒れている直ぐ後ろの方から人の気配がする。 

「たっくん‥‥」
「ね、姉さん!?」

 親父の後ろに居るのは姉さん。手には固そうな氷で出来たツララを握っている。
189人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:29:17 ID:xDssdlWm
姉さんが親父を襲ったのか‥‥ 
 何故?よく見ると姉さんもメル同様に様子がおかしい。黒い直毛の髪の毛は水色に染まっており、眼は赤く爛々と輝いて異様な姿に成っている。

「御父様はたっくんに余計なことを喋ろうとしたので眠ってもらいました」
「なっ‥‥‥」

 余計なこと?何のことだ。俺が混乱して頭を抱えていると、姉さんの視線は俺に抱きついているメルに移った。

「所でメル、たっくんから離れなさい」
「嫌よ」
「殴り殺しますよ。この害虫魚」
「上等だよ糞女。ちょっと先に産まれたからといって調子に乗りやがって!ほら、さっさと遺書かけ。それぐらいは待ってやる」
「それはこっちの台詞です。陸上でわたくしに勝てるとでも?
 さっさと始末してたっくんはいただきますから、あは、ははははははっ。ちょっと待っててくださいね」
「痴呆女はここが海岸線ということを忘れてるようね。三分待ってねお兄ちゃん♪
 ちょっと床が汚れちゃうかもしれないけど‥‥ふふ、ふ‥お兄ちゃんは‥ボクが‥守るから」
「二人とも‥やめ、止めろぉおおーー!!」

 暗いオーラを放ちながら対峙する姉妹を見て叫ぶ俺。それから先の記憶は暗転したかのようにすっぽりと抜けている。気付いたら病院のベッドに寝ており一ヶ月も経っていたこと。
 そして住宅街が雪崩と大津波で全壊して大ニュースに成ったことを後から知らされた。
 その後うちの家族は今の山奥に逃げるように引っ越して来たわけだが‥‥
 結局人魚や雪女という存在は地上の生物と違い、精霊界の住人なわけで、元々精気や生気などを吸って生きているのだが、紅い満月は本能を呼び覚まし、抑えが利かなくなるらしい。
 そこで紅い満月の日俺はおばあちゃんの家に退避して、姉さんとメルは今の家の地下にある倉庫に閉じこもる。
 夜明けに戻って地下室の鍵を開けて更に学校へ登校するなどかなりめんどくさいのだが、家族が離ればなれに成ったり、三年前のように大災害を引き起こすよりマシというもの。
 
「水森。聞いているのか!?」



 やべぇ。今は国語の時間。担任の松子殿の授業中だった。
 松子殿は女教師でその巨漢からつけられたらあだ名だが、普段生徒にあまり干渉しない分、怒らせると恐いのだ。

「聞いてるなら良いが‥‥‥
 課題提出は明日までなので忘れないように」

 明日まで?まあ。おばあちゃんの家でやってしまえばいいか‥‥‥

****

190人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:31:54 ID:xDssdlWm
 久方振りにいつも纏わり付くストーカー姉妹がいない平穏な学校での一日を終えた。とにかく休み時間毎に俺の教室に来るのは切に止めてもらいたいと思う。
 しかし日常の愚痴をこぼすなんて、今日の俺、余裕あるじゃん。平和な一日に感謝しながらニヤついていると、いつの間にかおばあちゃんの家に着いた。

「おばあちゃん。今日はお世話になりま〜す」
「おぉ。卓也か。よう来たのぅ〜」

 玄関先でおばあちゃんはいつもの柔和な笑顔で出迎えてくれる。

「俺、早速だけど明日提出の国語の課題をやってしまうよ」
「そうしたらええ。
 晩飯出来たら呼ぶからのぅ〜」

 明日期限の課題を処理する為に早速部屋に入って机の前で鞄を開ける。
 な、無い!中身を全部ひっくり返しても、どこにも見あたらない。どうやら家に忘れてきたようだ。ショック‥‥松子殿は提出期限にはうるさい。他の教科と違って期限延長は難しいのだ。
 時間を確認すると現在午後の四時半。俺の足なら日没まで家に戻れるだろう。それに姉さんとメルは地下倉庫に籠もって鍵もかけてるし問題は無いはずだ。
 一応おばあちゃんに一声かけないとな。 
 案の定おばあちゃんは台所に居た。

「おばあちゃん。明日提出の国語の課題を家に忘れちゃって。ひとっ走り取ってくるよ」

 おばあちゃんは怪訝な顔をする。

「今から行っても間に合わんよ。止めた方がええ」
「何言ってるの。これでも学校の陸上部にしょっちゅう勧誘されている脚だょ。
 心配ないよ」
「‥‥‥‥」
 
 おばあちゃんはまだ納得してない顔をしているが、これでも脚には自信が有る。
 大丈夫さ。俺はおばあちゃんの制止も聞かず駆け足で自宅に向かった。

****

191人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:37:35 ID:xDssdlWm
「ハアハア‥‥」

 山頂付近の自宅の前まで到着した。荒い息を整えて時間を確認すると現在六時前十五分。み、見ろ間に合ったじゃないか。
 ‥ハアハア‥走りすぎて息が切れたが。 
 気を取り直して家に入り、自分の部屋にあった課題を鞄に入れ早足で玄関から出ようとすると‥
 ランラン。ランラン。ラララララン。  
 ランランランラン。ラララララン〜♪
 歌声? 子守唄のような――――まるで天使が歌ってるみたいな、唄が。
 届く。響く。癒す。玄関のドアを開けると辺り一面が濃霧に覆われてる。人魚の歌声は天候を変化させて船を難波させたという伝説があるが‥メルか。
 とにかく今外に出ると遭難は必至だ。かといって家に居ても地下からメルや姉さんが出てくるかも知れないし‥
 そうだ。霧がはれるまで岩風呂に隠れていよう。幸い風呂場までは目を瞑っても行ける。良い考えだ。そうしょう。

****

 視界が悪い中なんとか風呂場の入り口まで来ると、濃霧プラス雪まで降ってきて、ますます脱出が困難に成ってくる。雪は姉さんか‥‥まあ、仕方ない。寒いので中で休むとするか。
 風呂場は流石に暖かい。しかしどうしたものか‥‥
 とりあえず座りたいので、お湯がはる浴槽部分の縁に当たる外側の岩に腰掛けて途方に暮れていると、白い手が静かに伸びてきて俺の足を掴む。 
 ズルッ‥‥
 白い手は俺を水中に有無をいわさずに引きずり込む。

「うわーーっ!!」

 ドボンと大きな水飛沫が上がると俺の体は水中に‥‥ゴボゴボ‥‥水泡が無数に浮かぶ。死んだな俺。水中での溺死はかなりきつい死に方だが‥‥
 ゴプ‥ゴポ‥息が出来無‥‥?出来る!?
 目の前に魚影。水中でも呼吸できる。もう分かっちゃったな正体。メルか‥‥しかし人魚の力か水中でも呼吸が出来るのは妙な気分だ。まるで無重力空間に居るような‥‥

「お兄ちゃん♪」
「め、メル‥‥
 どうしてここに?」
「うふ♪ 山間部は月が出るのが早いのよぉ〜
 お兄ちゃん知らなかった?ふふふ…」
「でもお前何で?それに‥‥」
「お兄ちゃん。ごめんねぇ〜」

 ちなみに水中でも会話が出来てるのは思念波のようなもの。実際変な感覚だが‥‥
 メルは俺の話も聞かず鋭い爪で俺の服を引き裂く。貝や甲殻類を容易く切り裂けるほどの硬度を持った人魚の爪には、人間の服など紙よりも薄い。俺はあっという間にほぼ全裸状態に。

192人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:40:24 ID:xDssdlWm
「何を‥‥!」
「お兄ちゃん。ボクもう我慢できない」
 
メルの尾鰭の部分が、しゅるりと俺の股間をくぐった。股の間へと、ぬるぬるの魚尾を割って入らせたのだ。さらに尻尾は俺のお尻の方へと抜け、しゅるりと腰のくびれの部分に絡んできた。

 股間からお尻、腰の部分に尻尾が絡み込み、腰が引けないようにされてしまったのだ。

「つっかまえた〜♪ えへっ、これでもう離れられないね」
        
 そのままメルは、ぎゅっと俺の上半身を抱き締める。碧い瞳が妖しく光り、吸い込まれるような感覚に襲われてしまう。
 不意に、眼前にメルの上気した顔が接近してきて柔らかく暖かい唇の感触が、伝わる。

「ん、ふ……」
 
 メルの舌が口内へと侵入し、貪るように舐め回してきた。

「お兄ちゃん‥‥んんん‥‥」

 正直いくら美少女とはいえ脳内では妹とのキスなどキモいだけなのだが、身体の芯は何故か熱い。確か以前人魚の碧眼は催淫効果があると聞いたことがあるが、その影響か‥
 どの道水中で捕らわれている身なのでやることは一つ。俺は基本的に無駄なことが嫌いな合理主義者なのだ。別に妹とエッチする為の言い訳を探しているのではない。 
 なんだその眼は‥‥兎に角そう言う事だ!
 胸の方に手を伸ばすと小振りながら形の良い乳房の感触を確かめる。張りは、なかなか良い。

「ひぁ!」

 メルは可愛らしい声をあげる。

「あ、あんまり大きな胸じゃなくてごめんね…」

 メルがすまなそうな顔をした。

「なに‥大きければ良いという訳ではない。手のひらサイズでも弾力性や張りが‥‥って何を言わせるんだ!」
「ありがとうお兄ちゃん。いっぱい触って♪」
 
 顔を紅潮させて上目遣で俺を見詰めるメル。女の子のお願いは極力聞くことにしてる?俺はその乳房を揉み出した。指に力が入り、乳房の形が変わる。柔らかで暖かな感触に手が包まれた。

「ああ‥あ。お兄ちゃん。ああぁッ…」

 乳房を揉みしだきソプラノボイスの喘ぎ声に興奮した俺は、下の方に手を伸ばす。ウロコ部分を弄りながら蜜壺を探す。人体と構造が違うので、さっぱり分からないが‥‥

「あん♪ そろそろ‥‥お兄ちゃんと一つになりたいなぁ」

 俺の意図を察したのかメルは俺の手を自分の蜜壺に導く。メルのヘソから下は、魚の半身と化している。そしてウロコに隠れた股間部分には、女性器のような縦スジが入っていた。     
193人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:43:30 ID:xDssdlWm
 そこは微かに膨らみ、そしてぴっちりと口が閉ざされている。いかにも控え目で、慎み深い器官だった。ただ妹に挿入となると流石に迷いが生じるが‥‥

 しかし例えるなら今はタコに捕獲された小魚。状況を打開するには他に手はないんだ!俺は自分にそういい聞かせて膣口に自分の肉棒を添えると慎重に押し込んだ。

「あぁ、あ、ああッ!」

 メルの身体がブルッと震える。人魚の内はきつく、全体的に筋肉が緊張しているようだ。ヌルヌルのぬめり、そしてざわめくヒダが肉棒を優しく歓迎していた。

 だから、挿入を終えただけで俺は搾り取られるような感覚に陥った。
 ぐっ!だが直ぐに果ててしまうわけにはいかない‥‥俺は‥へその下に力を入れて‥耐える、耐える。そのうちにメルの膣内の締め付けが落ち着いたので、意を決して腰を突き上げた。
 
「ふぅ、うぁあ‥あぁぁ‥んんッ‥」

 メルは俺の肩に顔を埋めて声を漏らす。ふふふ‥何とでも言え。今の我に迷いは無い!目の前の女をいかせるのみだ!連打、連打、連打。脱出するには先に絶頂させねば‥‥

「ひああッ! き、きもちい、よ‥‥もっと、んッ、して、お兄ちゃん‥‥ッ!」
「俺も気持ちいいぞ‥‥」
「はあぁ! うれしい‥‥ああぁッ!」

 メルはガクガクと震え涎を垂らして大きな声で喘ぐが、ビギナーに高速ピストン運動は無謀だったようで、あっという間に射精感が高まる。

「うう‥‥出ちまう‥」
「いやぁッ! 中にちょうだいッ!お兄ちゃんの、せーしッ! ああぁッ!」
「っく、もう、だめッ!」

 蜜壺がギュッと収縮しその感触に耐えきれなくなった俺はメルの膣内に大量の精液を注いだ。

「あはッ♪ おにいちゃんの、あつい、よ‥‥」

 メルはエビ反りになりピクピクと痙攣して脱力した。メルが俺の身体から離れると当然呼吸が出来なくなるわけで‥‥

「ゴポ‥ゴプ!」 

 く、苦しい。俺も今は身体が上手く動かせない。ハマった!終わりかな‥‥
 俺が諦めかけた瞬間、何かに手を掴まれて、もの凄い力で水上に引き上げられた。

「んん‥‥」

 目を開けるとそこには全裸で仁王立ちしている姉さんの姿が‥

「姉さん‥」
「あれだけ忠告したんですけどねぇ」

 姉さんの目は赤く妖しく光っている。身体がピクリとも動かない所をみると、赤い目は麻痺効果があるのか。
194人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:46:24 ID:xDssdlWm
「紅い満月の日は私達姉妹は、たっくんへの気持ちが抑えられなくなります。
 だけど姉妹で争ったり、他人を巻き添えにする事を貴方は許さない。
 だから自ら地下に籠もるという選択したのです。」
「‥‥‥‥」
「貴方が悪いのですよ」

 姉さんの紅潮した顔が迫り、唇を重ねてくる。

「ちゅっ、んっ‥むぅ‥んんっ」
 舌が口内で絡み合い唾が混じり合う。

「久々にたっくんと‥‥やっぱり、貴方も水神の因子があるようですね。普通の人ならわたくしとキスを交わすと凍死します。あはは‥それに三年前と比べると耐性も増してるようなので今から楽しみです」

 姉さんは薄笑いを浮かべながら俺を見下ろす。俺にも人外の血がながれていると?しかも三年前は結局この姉妹に搾り取られていたと?‥‥

「たっくんは何もしなくても良いんですよ。この姉が気持ちよくしてあげますからね」

 姉さんが大きな乳房で俺の肉棒を挟み亀頭をチロチロと舐める。

「ぢゅっ‥‥ぢゅっ‥ずずっ」
「あう‥ね、姉さん」

 思考が吹っ飛ぶ。き、気持ち良すぎる。大きくて柔らかい乳房の感触と亀頭の刺激がたまらない。

「たっくん‥‥こんなに逞しくなって‥‥わたくし‥もう我慢できません」

 口元に涎の雫を溜めながら姉さんは俺の肉棒を自分の膣口に当てると、一気に腰を下ろす。膣内のひんやりとした感触が心地良い。

「ひっ――ああああっ!!」

 一瞬息を詰まらせ、次の瞬間に叫ぶ。完全に肉棒が膣内に納まると、姉さんは仰け反り、絶叫した。
 肉壁の収縮に俺も夢中で下から腰を突き上げる。

「あぁぁああっ!! っく、くはぁぅっ!! す、すご‥‥い‥‥っ!
っくぅうううううっ!!!!」
「姉さん‥やばい‥‥出る!」
「中に‥‥出して。たっくんの好きにして‥くだ‥さ‥い‥」
「!!」

 姉さんのイキ顔に理性の一部が消し飛ぶ。お互いの腰の動きが今までに無く激しく、 強いものになってくると俺は一気に溜め込んだ全てを流し込む。

「イくぅううっ!!! あっはぁあああぁぁああああっ!!!!」

 どぷ、どぷっ。二回目とは思えない大量の白濁液を姉さんの膣内に解き放った。

「あぁぁ!!‥あ‥たっ‥くんとのがいっぱい‥あたたかい‥‥」

 姉さんのその身体は小さく痙攣し、その身を仰け反らせたかと思うと俺へともたれ掛かった。

「お兄ちゃん♪ ボクも、もう一回」
「ええーー!!」

 
195人外姉妹 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:49:12 ID:xDssdlWm
 耳元で声がして、ビックリして横をみると、いつの間にか目の前にかメルがいる‥‥

「メルもたっくんを気持ちよくしないと駄目ですよ」
「わ、分かってるわよ!」

 俺は朝まで姉妹に搾り取られ続けることになった。

****

 翌日流石に学校を休んだ。まあ、記憶が飛んだりしてないし明日は登校出来るだろう。しかし、このまま自分自身がキモ化して家庭内ハーレムを形成するわけには行かない。
 必ず普通の恋愛をしてみせる。俺は決意を新たにした。

「よお。卓也。」
「親父! 今エジプトでは?」
「ちょっと野暮用でなぁ」
「まさか‥‥」

「おにーたまぁ〜♪」

 親父の後ろから顔を出すのは可愛らしい幼女。

「てめぇ〜またか‥‥」
「ははは‥この子は座敷童でなぁ〜」
「しかもまた人外‥‥」
「じゃあ卓也。お前の妹に成るんだし、後は頼むよ。」
「うるせぇ〜まて! このやろおぉ−−!!」


 Fin
196 ◆WXGiSVZK0w :2011/01/20(木) 00:52:58 ID:xDssdlWm
人外スレにしょうかなとも思ったんですが
姉妹成分を考慮に入れて当スレに投下しました。
もしスレ違いと思われる方がいらっしゃるのであれば、お詫びいたします。
197名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 08:59:34 ID:TgriQ3wU
>>196
GJ
過去にも人外モノはあったしスレ違いではないと思うよ

つか人魚の妹は魚類的に卵で産まれたのか……?
198名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 13:20:25 ID:dRVBAudL
これはいい人外キモ姉妹
文章も上手いしキャラも出来てていい
199名無しさん@ピンキー:2011/01/20(木) 16:01:13 ID:n0YVxiXI
俺好きだなこれwww

関係ないがここの住人っていい人達だよな
なんか暖かいwww 
200名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 03:10:09 ID:6lxO8TJV
人魚とか雪女ときたら
久々にロボキモ姉妹とか幽霊キモ姉妹とかも読みたくなるなぁ


後保管庫に有った短編で人外姉妹物のキモシスタープリンセスだったかああ言うのも良い

201名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 15:11:38 ID:uL7cspnj
有名処では「白の処刑」かな?
202名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 19:06:48 ID:BuwmdsVi
さすがキモウトキモ姉に調教されてるだけあって懐が半端なく広いぜ!

人外スレも見てる身としてはこれだけ人外モノとして完成されてるとあっちに投下するべきでもあったとは思うぜ。けどたしかに結構なキモ姉妹だし…ぐぬぬ
203名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 21:43:47 ID:OGRXQWc+
せっせと料理している妹に後ろから抱き着いたらどうなるの?
204名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 22:48:59 ID:VVD3FW7z
今更だけどキモ姉とキモウトって怖いな
同じ家に住んでるとか怖い
205名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 22:56:33 ID:2lnmI4Cv
対立するパターンと結託するパターンがあるな
挟まれる男はどちらにせよ休まらないが
206名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 23:37:42 ID:WWRiorgm
姉より優れた妹など存在しない!
と姉が言ってた
207『きっと、壊れてる』第15話:2011/01/21(金) 23:52:56 ID:wt9N695S
こんばんは
『きっと、壊れてる』第15話を投下します
注意:すいません、エロなしです
208『きっと、壊れてる』第15話(1/7):2011/01/21(金) 23:53:32 ID:wt9N695S
「私さぁ、言わなかったっけ? 『次はないよ』って」
街灯に照らされる位置ではないのに、その冷たく無機質な瞳が黒く光った気がした。
お互いの距離感が少しは縮まり、交渉の余地があるのではないかと考えていた巧は、
自分の甘さを呪い、辟易とした。震えが抑まらない。巧は自分の太股の裏側を左手で強く抓った。
疲労しているであろう仕事帰りというタイミングが悪かったのか、
美佐は隠すつもりがないその敵意で巧を覆っていた。

病院から駅まで1本道である事を利用して、途中に開かれているファーストフード店の窓際の席に夕方から陣取った。
美佐が通り過ぎるのを待ち声を掛けた瞬間、巧は今回が最後である事を歓喜し、
逃げ出そうとしていた自分の足を拳で殴った。

「俺にも目的があるんです。これで最後ですから」

水分が枯渇しているのか、枯れた声に自分でも驚く。
人間と対峙しているだけでここまで畏怖する事が出来るのであれば、
例えば熊や虎等の猛獣と一緒の檻に入れられた際には、どこまで人は恐怖に慄く事が可能なのか。

「目的ねぇ……マーライオン君は……」
「名前、白石巧です」
「そうだっけ? じゃあお詫びにその主人への忠誠心を讃えて『ハチ君』って呼んであげる」
口調は軽いが目がまったく笑っていない美佐は、口角だけを少し上げた。
「……なんでもいいです。もうこれで二度と会わない」
「ふうん……じゃあ近付き過ぎないように私について来て」
ヒールをコツコツと鳴らし、美佐は駅の方向へと歩き出した。
病院の近くのため、同僚や患者に目撃されるのを防ぐためだろう。
特に渡す場所の指定は受けていない。巧は見失わない程度に距離を取り、美佐の後を追った。

電車に乗り、4つ先の駅で降りた。
駅の北口から繁華街を抜け、7分程歩いた住宅街の中にある比較的狭い公園で二人は対峙していた。
首を横へ向けると、遠目には犬の散歩をしている者や、
ベンチでお喋りをしている学生風のカップル等が視界に入る。
さらに周りはマンションが立ち並び、窓が公園側へと向いている。

密談する事が可能で、もし巧が何かしらの理由で美佐に危害を加えようとした場合は、
大声を出せばすぐに人が気付き、助けに入れる場所。
すべての可能性を見逃さず対処する美佐に、巧は複雑な心境で苦笑いをした。

「ここら辺でいいかな。で? ハチ君はまた、ご主人たまのお使い?」
「そうです。これを渡すように言われました」
巧は持参したクリアケースからA3サイズの封筒を取り出し、美佐の前に差し出した。

「何が入ってんの? これ」
「知りません。 俺は中を見ていないので。さぁ、どうぞ」
当然だが全く信用されていない。
差し出した封筒を手には取らず、美佐は眉間に皺を寄せて封筒の表面を凝視していた。
「爆弾入ってる?」
「入ってませんよ……多分。重くはないし、封筒の厚み的にも無理でしょう?」
封筒は風で飛んで行ってしまいそうな程軽く、薄さも紙が数枚入っているだけのようだ。
「じゃあ、カミソリでしょ? 少女漫画で見た事あるもん」
「知らないですよ。俺はこれをただ届けるようにと言われただけですから」
発言だけ見ればとても機嫌が悪い人間とは思えない。
その心と分離させた二つ目の脳でもあるのではないか、と巧は思った。

「開けろ」
「は?」
「開けてみてよ。それで大丈夫そうなら受け取るから」
なぜか勝ち誇った顔をしている美佐は腕を組み、巧から半歩離れた。
「い、嫌ですよ。何で俺が……」
黒髪の美女はできれば手荒な事はしたくない、と言っていた。
そこから推察すると物理的な危害は加えようとしないはずだが、『できれば』というのが引っかかっていた。
209『きっと、壊れてる』第15話(2/7):2011/01/21(金) 23:54:13 ID:wt9N695S
「じゃあ、受け取らない。持って帰って」
「困りますよ」
「でしょ? じゃあ開けて。ほら……男らしくパパッと」

先日の黒髪の美女の顔を思い出す。
今、自分の目の前にいる変な女が何をしでかしたのかは知らない。
ただ一つ言える事、それは黒髪の美女にとってこの女が邪魔で仕方ないという事だ。
自分の姉の恋人を取られたぐらいで、普通の人間がここまでするだろうか。
やはり自分が抱いた印象通り嘘の可能性が高い、他に大層な理由があるのだろう。
そして、爆弾は冗談としても、カミソリ程度ではそれは埋められない、か。

「……わかりましたよ。じゃあ、開けます……ちょっと! なんでそんなに離れるんですか!」
「気にしないでぇ!」

巧が封筒の開け口に手を掛けると、美佐は小走りにその場を離れ、手に持っているバッグで顔を覆った。
背筋も凍る程の目を見せたかと思えば、小学生のような行動を取る美佐に、巧は心底ため息をついた。

封筒に手を掛ける。
警察の爆発物処理班が実務で爆弾を解除する際、全身から血が抜けるような緊張を伴う事が容易に想像できた。
たかが、封筒ごときでこれほどの冷や汗をかくと思っていなかった巧は、
封筒の開け口の辺りを軽く指でなぞり、固形物がない事を確認すると、少しずつ封筒を開封口ののりを剥がした。

「……ほら、何も入ってませんよ。紙が数枚入っているだけです」
「ん、御苦労」
美佐は土を踏みしめ、ゆっくりと巧に近付くと、封筒を巧の手から奪い取った。

「何が出るかな〜何が出るかな〜」
どこかで聞いた事のある歌を歌いながら、
美佐は中に入っていた紙を取り出し、真剣な顔つきで目を通し始めている。
白い紙が2枚入っていたようだ。
向かい合って立っているので、巧の位置からは紙に書いてある文字は読めない。

以前自分が玉置美佐へと伝えた内容と同じような事を、文字にしただけだろうか。
いや、違う。そんな事をしてもあまり意味がないし、この人には通じない。
巧はおそらく美佐以上にその内容が気になっていた。

封筒を開封してから、時間にして3分程度だろうか。
美佐は紙から目を離し、巧の目を見つめた。
その目は冷たく無機質な瞳から、いつか居酒屋で見た気さくな美佐の瞳にいつの間にか戻っていた。

「……プッ」
「プ?」
「ハハハハハハハハハッ!」

何が可笑しいのか。
腹を抱えて転げまわる様な笑いを見せる美佐に、巧はどう反応して良いのかわからず、その場を微動だにしなかった。
「ハハハッ……あぁ、面白かった」
「何がそんなに面白いんですか?」
紙に4コマ漫画でも描いてあったのか。
そんなわけはない、この状況で笑える玉置美佐はやはり異常だと巧は思った。
「ハチ君は、ご主人様の事ほとんど何も知らないんだっけ?」
顔を上げた美佐は、まだ笑みを浮かべていた。

「えぇ、知らないです」
「知りたい?」
首を傾げ、わざと可愛らしい顔を見せる美佐に異質な物を感じ、巧は嫌悪感を抱いた。
210『きっと、壊れてる』第15話(3/7):2011/01/21(金) 23:54:40 ID:wt9N695S
「いいですよ。いずれ本人から聞きますから……って、誰かわかったんですか?」
「うん。特定したと言うか、消去法と言う方が正しいけど」
今渡した紙に、黒髪の美女なる人物を特定付ける要素があったという事か。
玉置美佐はある程度予想できていたらしい。
「ある程度絞り込めていたという事ですか?」
「そりゃそうでしょ。前にも言ったけど、こんな事するのは浩介にある程度近い人物だし。
それに君と最初に話した時、容姿を聞いておいたでしょ?」
言われてみればそうだ。
黒髪のロングで若い女性という情報を以前伝えたような気もする。
一つ理解できないのは、黒髪の美女は容姿を玉置美佐に知られる事を嫌がっていなかった。
なぜか。

「この子ね……」
「はい?」
美佐はいつの間にか巧から背を向け、集中していなければ聞き取れない声で呟いた。

「きっと、根は良い子。私と違って」
「良い子?」
「そう、一生懸命なんだけど空回りするタイプ」
気のせいか、美佐の肩が少し震えている気がする。
嫌がらせをしている犯人を良い子と言える。
そんな内容があの数枚の紙に書いてあったのか。

「だって、考えた事ない? その気になればこの子は私の職場に来て暴れまわるとか、
私の生活をめちゃくちゃにする事って容易でしょ?」
確かに、職場を知っているという事はその人間の生活基盤をいつでも崩せるという事だった。
いち職員の個人的な問題から守ってくれるほど、組織は温くない。

「……そうかもしれないですね」
「うん、それなのにこの子はあくまで私のプライベート内で、今回の要求を飲ませようとしている。
それを意識的にやっているのかは知らないけどね」

黒髪の美女が激昂した時の事を思い出した。
自分が姉の話を嘘ではないのか、と問い詰めた時の反応。
最初に会った時とは大分印象が違った。
あの時の黒髪の美女は、感情はどうあれ何かを守る為に必死になっている人間。
曲がってしまっている純粋で素直な人間だった。

「ハチ君って、ご主人様の事は好き?」
「は?」
「嫌いなわけはないよね? ここまでしてあげといて」
やはり周りから見れば自分は滑稽な男なのだろう。
しかし、当初の目的と違い今は黒髪の美女の望みを叶えてあげたい一心で動いている巧にとって、
周りからどう思われようとも気にはならなかった。
「はい、恋愛の『好き』なのかはよくわからないけど……いや、恋愛の好きかな、
誰かの為にここまで何かしてあげたいと思った事はこれまで一度もない」

綺麗だと思っている事は事実だ。
ただそれ以上に何か保護欲を掻き立てる魅力が黒髪の美女にはあった。

「ひゅぅ! 青春してるねぇ。じゃあそんな恋する青年にお姉さんからアドバイス」
「いや、いいです」
「なんでよ! 有り難く聞けばいいじゃん!」
「あの……1つ聞いてもいいですか?」
恋のアドバイス等どうでもいいが、巧にはどうしても玉置美佐に聞いてみたい事があった。
「何? 3サイズはオール100だけど?」
「……あなたは……怖くなかったんですか? 今まで」
「何が? 体重計に乗るのは今でも怖いぜ」
美佐はわざと肩を震わせ、凍えるような素振りをしてみせた。
濁さず、正々堂々と質問しろという意思表示だった。
211『きっと、壊れてる』第15話(4/7):2011/01/21(金) 23:55:41 ID:wt9N695S
「その……確かに俺の依頼主は、現状あなたに判断の余地を残しておいてくれているし、直接的な危害は加えていない」
黒髪の美女は、この封筒を渡しても効果がないなら別の手を考える、と言っていた。
自分はこれで最後だが、また別の誰かを雇うという意味合いにも取れる。
黒髪の美女に玉置美佐への嫌がらせをやめさせ、
あわよくば自分との距離を縮めるという目的で説得を試みようと考えてはいるが、
必ず成功するとは限らない。

「うん」
「でも、あなたを良く思っていない事は確かですよね?」
「そうだね」
「怖くはないんですか? 次は実際に危害を加えてくるかもしれない」
あまり考えたくはない。
しかし、彼女が自分の説得にどう答えるかがわからない。
黒髪の美女の事をあまり理解できていないような気がした巧は、足元の砂を強く踏みしめた。

「いいの? ご主人たまをそんな風に言って? あっ一度『おやび〜ん』って言ってみて? そんな麻雀ゲームあったよね」
あの麻雀ゲームは脱衣麻雀だったような気がするが、なぜそんな事を知っているのか。
美佐についてはあまり深く考えても意味がない事を知っていた巧は、自然と後半部分を流した。
「……もう仕事は終わりましたから。それに……本当はこんな事俺だってしたくない」
何時頃からだろうか。
玉置美佐への嫌がらせに疑問を感じ始めたのは。

「ふぅん、じゃあ答えてあげる。『問題ない』よ」
美佐はハッキリとした口調で言い切った。
「怖くない、と?」
「あぁ、ごめん。質問の答えになっていなかったね、『怖いか』どうかなら怖いに決まってるじゃん。
私はか弱い乙女だし。おしっこちびっちゃう」
全くと言っていいほど、怖がっているようには見えなかった。
自分にとってはあなたの方が怖い、と言いそうになったが巧は思い止まった。
「……それでも自分達は引き裂けない、愛し愛されている、と?」
「愛かぁ……『そうよ! 愛よ!』と言いたいところだけど、少し違うかもね、私と浩介は」
何かを悟っているよな美佐の表情に、巧は引きつけられた。
男女の関係など、恋や愛、最終的には情しかないものだと思っていた巧は、美佐の発言が妙に気になった。

「あのね、私達ってお互いが『居場所』なの」
「居場所?」
「そう、『居場所』。恋とか愛ってさ、一般論で言えばお互いがお互いの事を思いやってホニャララ、とかでしょ?
そんな事まったく考えていないもの、私達」
確かに無償の心という言葉を、男女の到達点に挙げる人間は多い。
相手の立場に立って考え、相手が最良の人生を歩めるようにするのが、愛と言われている物のような気がした。
「どういう事ですか?」
「ただ自分が楽だから、自分が楽しいから、自分が気持ち良いから」
「はい……えっ、それだけですか?」
「うん、それだけ。ただね、そういう相手って意外に少ないのよ?」
考えてみれば、確かにそうかもしれない。
今までの人生で自分が心を許した人間は何人いるのか、その内同性を省けば僅少になるのは明白だった。
「……そうかもしれないですね。男女なんて結局それだけなのかもしれない」
「まぁ、他にも利害が一致したとか、理由は人それぞれだと思うけどね」

利害。
黒髪の美女にとって、自分は道具にしか過ぎない。
道具から人間への昇格は巧にとって雲を掴むような話だった。
「あっ、今の話誰にも話しちゃ駄目だよ? もし喋ったら君のお墓にアニソンの歌詞彫って歌碑にしてやる」
掴み所のない捨てゼリフを残した美佐は「じゃあね」と一言発すると、街灯の灯る少し明るめの道へと消えていった。

公園のベンチに腰を下ろし缶コーヒーの蓋を開けると、ほのかな甘い香りが鼻をくすぐる。
男と女。黒髪の美女と自分の関係。
考えれば考える程、底なしの沼に引きずり込まれ、思考の迷路に突き落とされる気がする。
「自分が何したいのか、よくわからなくなってきた」
巧は黒い雲に覆われている空を見上げ、砂上に置いてあった空き缶を蹴飛ばした。
212『きっと、壊れてる』第15話(5/7):2011/01/21(金) 23:56:29 ID:wt9N695S
廊下を小走りする音に振り向くと、スーパーの袋を持った茜が目をぱちぱちとさせリビングへ姿を現した。
時刻は20時。
定時に仕事を終えた浩介が帰宅してから1時間が過ぎようとしていた。

「ごめんなさい。遅くなってしまって」
浩介は食事が遅れても茜を叱った事など一度もない。
寧ろ、仕事をしながら家事もこなしてくれている茜に感謝し、
そろそろ自分で料理を作るようにする、と提言した事すらあった。
しかし、何か自分の中でプライドがあるのか、
茜はそれを良しとせず「私が作るのが一番美味しい」と一言呟いただけだった。

「別に良いよ。仕事だろ? それよりも焦って帰ってきたら危ないから気を付けろよ」
自宅から駅まではそれなりに歩く。
道中には横断歩道が少ない割に、交通量が多い。
茜にもしもの事がある方が浩介にとっては断食を超える苦行だった。

「ふふっ、優しいのね兄さんは。さすが婚約者がいるだけの事はあるわ」
「……あっ、あぁ」
茜の嫌味とも取れる発言を流し、浩介はテレビのリモコンを手に取り、スイッチを点けた。

「そういえば、楓は?」
今朝から姿を見ない。
夏期講習というのはこんなにも多忙だったか。
浩介の記憶には講義の合間に食べた茜の手作り弁当の味しか残っていなかった。

「忙しいみたいよ? お友達と食べながら勉強するからいらないって」
楓は遺伝学を学びたいと言っていた。
それから推測すると志望学部は医学部を除外したとして、理工学部になるのか。
「そっか」
簡単な受験ではない事を悟った浩介は、妹に夕食を作らせテレビを見ているだけの自分が少し恥ずかしくなった。
美佐がこの家で結婚の報告をした時の、楓の表情を思い出す。
般若の仮面を被り、もう太陽の欠片さえ見せないその濁った瞳は、
自分がそうさせてしまったのかと思えば思うほど、嘔吐物が浩介の喉元にまで上ってきた。
徐々に自分の中の不安や葛藤が肥大化していってるような気がする。

「どうしたの? 真剣な顔をして」
いつの間にかエプロンを纏い、スーパの袋から野菜を取り出すと、
茜はソファに座っている浩介の真向かいに立った。
「何でもないよ。少し考え事をしていただけだ」
「具合でも悪いの? 熱はないみたいだけど」
浩介の額に当てられた茜の手は、夏だというのに少し冷たかった。
「大丈夫。本当に何でもないんだ」
楓の自分への想いで悩んでいる等と、言えるはずがない。
献身的に良気妹を貫き通そうとしてくれている茜に、
これ以上精神的な負担を掛けるわけにもいかない。
茜の優しさが、今の浩介にとっては苦痛だった。

「そう、ならいいけど。もう一人の体ではないのだから、健康には気を付けてよ?」
美佐の事を言っているのだろうか、茜は注意を終えると台所へ姿を消した。
思えば、茜の表情が最近豊かになった気がする。
それでも人並みには遠く及ばないが、10代の頃に比べ飛躍的な進歩を遂げた妹を喜び、
逆に自分の前では冷ややかな笑いしかしなくなった妹を悲しんだ。
自分が結婚する事で、楓があれだけ悲しみ、憎しみを募らせるのなら、いっその事やめてしまおうか。
そんな考えが浩介の脳裏に過ぎる。
だが、やめたところで楓の気持ちには答えられず、結局同じ事の繰り返しになる事だけは避けなければいけない。
限りなく近い将来、自分の判断に村上兄弟の命運が掛っている事を感じた浩介は、茜に気付かれないようにため息をついた。
テレビに視線を送り、お笑い芸人が自分の嫁との馴れ初めを面白おかしく喋っている。
すぐさまテレビを消し、晩御飯が出来ればどうせ茜が起こしてくれると、ソファに横になった。
耳に届く茜が生み出す生活の音を聞いていなければ発狂しそうな音。
浩介の胃の中に急に巨大な腫瘍が出来上がり、粗暴に喚き始めていた。
213『きっと、壊れてる』第15話(6/7):2011/01/21(金) 23:56:57 ID:wt9N695S
茜が作ってくれたハンバーグは不思議と何の味もしなかった。
浩介は自室に戻ると、普段はまったく触らないゲーム機を取り出し、
適当に選んだソフトを夢中でプレイしていた。

瞳に眩い閃光が走る。
必殺技を使い、数十体のモンスターを同時に倒せた証だ。
次のエリアは確か雑魚が同時に何百体も襲いかかってくる。
装備の準備を整え、いざ行かん──。

「まだ、起きているの?」
画面には6本の手が生えたモンスターがテレビ画面の中を所狭しと動き回っている。
「兄さん?」
銃で捉えるには相手の動きが早い。
しかし、剣で切ろうにもスキがあまりない。
ゲームの中ですら自分の考えた通りに動けない浩介は、苛立ちをボタンを押す力に込めた。
「兄さん、聞こえているなら返事をして」

どいつもこいつも蠅みたいに鬱陶しい。
この大剣で全員斬る。
自分以外は全員敵だ。
敵は倒さなければ自分がやられる。
弱肉強食。
社会も弱肉強食。会社も弱肉強食。
恋愛も弱肉強食。友情も弱肉強食。
すべてが俺の敵だ。
敵は倒さねばならない。

やっつけろ。やっつけろ。
顔には仮面を。
体には鎧を。
心に鎖を。

穴を掘り、そいつらの亡骸をそこへ埋めれば誰も俺がやったとは気付くまい。
穴を掘ろう。
しかし、穴を掘るにはシャベルがいる。
シャベルを得るには、金がいる。
金を得る為に、働こう。
働くには、健康な体がいる。
健康な体には栄養のある食事が必要だ。

こいつらを食えば良い。
モンスターの肉はうまいのか。
倒してから考えばいい。
俺がいつまでも温厚だと思っていたら大間違いだ。
少し力を込めればチビで筋肉の衰えた老人達など一網打尽にできる。
まだ成長しきれていない子供達など片手で十分だ。
元々筋力差がある女達など数人掛かりでも俺は止められない。
問題は若い男達だが、知恵を絞れば有効な戦い方はあるはずだ。
それを考えるのも後でいい。

楓はどうする。
考えるのが面倒だ。
やっつけろ。今はとにかくやっつけろ。
美佐との結婚の準備を進めなくては。
考えるのが面倒だ。
やっつけろ。今はとにかくやっつけろ。
何もかもが面倒だ。
やっつけろ。今はとにかくやっつけろ。

やっつけろ。今はとにかくやっつけろ。
214『きっと、壊れてる』第15話(7/7):2011/01/21(金) 23:58:21 ID:wt9N695S
コントローラーが奏でるカチャカチャという音しか聞こえなくなって、もうどれくらい過ぎたのか。
画面にはモンスターの死体の山。
奥には角を生やした大型の鬼を模したモンスターが立っている。
そして中央には、英語で書かれた『GAMEOVER』の文字が浮かび上がっていた。
瞼の重さからしておそらく夜中の2時頃だろうと予測を立てた浩介は、
渇ききった喉を潤す為に台所へ行こうと立ち上がり、そして振り向いた。

「少しは気が済んだ?」
ドアに近い、部屋の隅っこ。
茜は文庫に栞を挟むとそれを閉じ、正座した柔らかそうな膝の上に置いた。
「まだいたのかよ? ストーカーかお前」
こんな言い方で人に悪態をつくのは何年振りか、浩介はわざと大きくため息をつきながらその場に座り直し、
そしてクッションを枕に寝そべった。
「えぇ、いたの。でも驚いた。最初に声を掛けてからもう3時間よ?」
浩介には数年に一度陰に籠り、何か一つの事に集中し外界から自分を隔離する癖があった。
きっかけは大抵の場合対人関係のストレスであり、過去には電話帳に登録されている友人のメモリを片っ端から削除した事もあった。
誰にも知られたくないと願う浩介の傍にはいつ頃からか、茜が付き添うのが習わしになっていた。
「……治ったと思ってたのにな、この癖。今回はゲームか」
「気にする事はないと思うわ。滅多に見られるものでもないし、知っているのはこの世で私一人」
「そういう問題じゃないんだよ」
「ふふっ、そうかしら? 兄さんはここ1,2ヵ月で一気に色んな事があったから、疲れてただけよ」
思えば、美佐との再会からか。
自分を取り巻く環境が目まぐるしく変化する。
再会、別離、復縁、結婚。
何か大きな力が陰で動いているように、物語はこの夏にすべてが始まっていた。
「今、何時だ?」
時計を見るのも億劫な浩介は傍に転がっていたクッションを枕に寝そべり、呟いた。
「夜中の3時」
「お前、寝なくていいのか? 明日も仕事だろ?」
「兄さんもじゃない。……さぁ、いらっしゃい」
茜は正座したまま、距離にして半歩分浩介に近付くと、自分の膝の上を手で軽く叩いた。
「……楓は?」
「もうとっくに帰ってるし、今は寝てる。夜遅くまで勉強するだろうからコーヒーを入れてあげたのに、
飲んだらあっという間に寝てしまったわ」
楓は確か寝付きが悪かったはずだが余程疲れていたのか、隣の部屋とを隔てる壁に耳をあてると微かに寝息が聞こえた。
「だから心配しないでも大丈夫。誰にも見られない。私だけ」
もう半歩分近付いた茜は、そっぽを向く浩介の頭を優しく撫でた。
「……物好きな奴」
体を反転させ、頭をクッションの上から茜の膝の上に移動させた。
丁度食べ頃の果実を彷彿とさせる柔らかい茜の膝の上は、今は何も考たくない浩介にとって最高の居場所だった。
「俺さ」
月明かりで部屋にできた一筋の線を指でなぞる。
頭上にあるはずの茜の顔は気恥ずかしくて直視できなかった。
「どうしたの?」
「美佐との結婚の話、進めるよ」
「……そうね、それがいいわ」
茜の手は優しさが溢れたままだ。
横を向いていたのをさらに反転し茜の太股に顔を埋め、手は腰に回した。
「それと」
「なに?」
「俺……ロクな死に方しないよな」
楓の事、美佐の事、茜の事。全ての事を考えた上で、美佐との結婚を選んだ。
今もその結論に間違いはないと確信しているし、変える予定もない。
それでも、茜は誰にも渡したくないと思った。

「ふふっ、そうね。兄さんはロクな死に方しないわね」
茜は微笑み、浩介の頭を一晩中愛で続けた。

第16話へ続く
215『きっと、壊れてる』第15話:2011/01/21(金) 23:59:08 ID:wt9N695S
以上です。ありがとうございました。
216名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 00:19:39 ID:Hm/zt+fm
GJ!
正妻の余裕っぷりが凄いです
217名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 00:22:42 ID:sQOA1csw
GJ
やっぱ茜だな
218名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 01:26:05 ID:j+/5jzIG
GJ 次が読みたーい エロありでww
219名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 01:44:03 ID:L8g8LeLN
>>182
3年前の大晦日から止まってんだよな…>転帰
もうあきらめた方がええかも…(´・ω・)

>>215
GJっす
相変わらずのクオリティさすがですねw
220名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 03:00:00 ID:ROmmv3xZ
>>215 gj


>>219向こうのスレは廃虚で
投下出来る状態では無いし
新作を待つのが吉だろう
なあに…このスレならアレを超える作品も出てくるさ
221名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 12:50:46 ID:NVWxqKsL
確かに廃墟なんだけどまとめサイトの人が未だに更新してることに涙が出る
222名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 17:31:19 ID:sQOA1csw
>>221
中心?のエロゲ板の方は平常運航だからね
223名無しさん@ピンキー:2011/01/22(土) 19:12:26 ID:R6i62RRZ
>>222
多分、SSのまとめだと思う。つい最近更新されたし
224名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 01:57:40 ID:aymP1RlI
狂依存の作者様と保管庫に有る
狂モウトの作者って
文章やヒロインの名前も似てるし
同じ人かな?
もし同じ人なら向こうの方も
是非続きを書いて欲しいものだ

225 ◆wBXWEIFqSA :2011/01/23(日) 03:39:54 ID:imFSj0ea
こんばんは。
>>98の続きを投下します。エロ有りです。
226狂依存 72:2011/01/23(日) 03:40:30 ID:imFSj0ea
「……」
学校からの帰り、家の玄関の前でしばらく立ち尽くす。
出来るだけゆっくり歩いていたが、もう着いてしまった。
家には麻由お姉ちゃんがいる。
昨日の事を思い出すと憂鬱な気分にしかならない。
あれだけ出されたら、本当に子供が出来てしまったんじゃないか。
このまま拒否し続ければいずれもっと酷い目に遭うんじゃないか。
下手したら監禁されてしまうかもしれない。
正直、今の麻由お姉ちゃんは怖い。
「(もしそうなったら、どうしよう……)」
考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。
でもそうなった場合どうするか考えないとな……。
誰かに相談しようにもこんな事、誰にも相談のしようが無いし……。
ここでボーっとしてても仕方が無いか。
「ただいま……」
「あ、おかえり。」
麻由お姉ちゃんはいつも通り僕を出迎え、僕の部屋まで鞄を持ってくれる。
「ねえ、大輝」
「な、何?」
「もう、そんなに怖がらないで。昨日はごめんなさい。私もやり過ぎちゃったわ。まだ怒ってる?」
「え、いや……」
怒ってはいないけど……。
「昨日の事だったら、僕も怒鳴ったりしてごめんね。つい、カッとなっちゃって……」
「ふふ……別に気にしてないわよ。あんな事されたら、誰だって怒るわ。私の方こそごめんなさい。」
僕に後ろから抱きついて、胸を押し付けながら昨日の事を謝る。
鈍感な僕でもわかる。
麻由お姉ちゃんは昨日の事を全然悪かったなんて思っていないし、謝罪だって本気で言ってる訳じゃない。
今だって明らかに誘っている。
「昨日の事はもういいから。だから、もう……」
この部屋から出てってくれ。
と、はっきりとは言えないよな……。
「ねえ……キスして」
「え?」
「キスしてよ。昨日いっぱいしたから、今日はそれだけでいいわ。そのぐらいなら良いでしょ。」
どうしよう?
キスぐらいだったらいいかな?
いや、姉とキスするなんて普通じゃないんだけど……
「キスだけじゃ、足りない?それなら、昨日みたいに……」
「わ、わかった。うん、良いよ」
「じゃあ……はい。」
麻由お姉ちゃんは目を瞑って、待ち構える。
そういえば、こんな感じで僕からキスするの初めてかも……
ほとんど麻由お姉ちゃんの方からやってきてるし、初めてのキスも勢いでやっちゃってたからな。
ちょっと緊張してきた。
「いくよ……」
麻由お姉ちゃんの肩に手をかけ、顔を近づける。
「ん……」
そっと唇に触れ、そのまま口付けをする。
麻由お姉ちゃんもじっとして、僕に身を任せている。
本当に柔らかい唇だな……。
くちゃくちゃと唇を押し付け合い、その柔らかい感触を味わう。
段々気持ち良くなってきたぞ。
「(このまま、押し倒して……)」
って、何考えてんだ!
そんな事したら、麻由お姉ちゃんの思う壺じゃないか。
「……ん。これで、良い?」
「うん。ありがとう。」
麻由お姉ちゃんも満足そうな顔をして御礼を言う。
227狂依存 73:2011/01/23(日) 03:41:08 ID:imFSj0ea
「ねえ……私の事好き?」
「え?……うん。好きだよ」
「えへへ……うん!じゃあ、もう行くね。」
「あ、あの……!」
慌てて、部屋を出ようとした麻由お姉ちゃんの腕を掴む。
「何?」
「え、えっと……」
いや、何をしようとしたんだ?
「どうしたの……?」
「う、ううん……!やっぱり、何でも無い。ごめんね、変な事して」
「そう。もう行って良い?洗濯物畳まないと行けないから」
「うん……本当にごめんね。」
麻由お姉ちゃんもやや不可解そうな顔をしながら、部屋を出て下に降りる。
本当に何をしようとしていたんだろう?
何だか良くわからないけど、急に麻由お姉ちゃんを引き留めたくなって……
「やっぱり、麻由お姉ちゃんの事……」
本気で好きなのかな……?
でも、血の繋がった姉弟だし……。
昨日、麻由お姉ちゃんは「姉弟だから、愛し合えないなら、縁を切れば良い」なんて言っていたけど、仮に縁を切っても僕達が血の繋がりのある姉弟であるという事実は何も変わらないのだから、意味が全く無い。
「でも、麻由お姉ちゃんと僕が姉弟でなかったら……」
どうなっていただろう?やっぱり、麻由お姉ちゃんの事好きになっていたのかな?
姉弟でなく赤の他人だったら、好きになることに何の障害も無い。
夫婦だって元は赤の他人だ。
麻由お姉ちゃんに告白されていたら、何の遠慮も無く付き合っていただろう。
そしたら、こんな事で悩まなくても済んだのに。
「やっぱり、僕も麻由お姉ちゃんの事好きだよ……」
姉としてはもちろん、女性としても。
あれだけ、想ってくれていて嬉しくないはずがない。
でも、姉弟だから……。
周囲にバレた時の事を考えると、どうしても踏み出す事が出来ない。
二人の関係が祝福される事など常識的に考えても有り得ない。
ましてや、子供なんて出来たら……
その時は親も何もかも、全てを捨てて本当に二人で知り合いのいない何処か遠い所にでも、行かないといけないだろう。
だから、生半可な覚悟では付き合えない。
麻由お姉ちゃんはその覚悟が出来ているんだろうけど……。
「ごめんなさい……」
やっぱり、僕には重過ぎる。
少なくとも今すぐには、そんな覚悟は出来ない。

「(せめて、血が繋がっていなければ……)」
そう思いながら、部屋の押入れにあるアルバムを何冊か引っ張り出す。
これを見るのも何年ぶりだろう?
アルバムなんて普段滅多に見るものでもないからな。
ページをめくると、お父さんとお母さんの結婚する前の若い頃の写真が出てくる。
というか、若い頃のお母さんって……。
「麻由お姉ちゃんに良く似てるな……」
目つきとかもほとんどそのまんまだ。
お父さんも僕に何となく似ている。
これを見ても僕達がお父さんとお母さんの子供であることは、間違いない。
更にページをめくると結婚式の写真が出てきた。
ウェディングドレス姿のお母さん、本当に綺麗だな……。
お祖父ちゃんとかお祖母ちゃん、親戚の叔父さん、叔母さん、お父さん、お母さんの友達とかもいっぱい出席していて皆に祝福されている。
ちなみに家の両親は全くの赤の他人という訳でなく親戚、はとこ同士だそうだ。
でも、はとこなんて法的にも世間的にも何の問題も無く結婚できる。
こうやって、皆に祝福されながら結婚式だって挙げられる。
姉弟だと結婚も出来なければ、祝福だってされることはない。
更にページをめくると、お腹を大きくしたお母さんの写真が出てきた。
そして、19×1年6月3日。長女三船麻由誕生。
228狂依存 74:2011/01/23(日) 03:42:03 ID:imFSj0ea
小さい頃の麻由お姉ちゃん、本当に可愛いなあ……。
こんな娘がいたら、溺愛しちゃうよ……じゃなくって!
しばらくするとまたお腹を大きくしたお母さんの写真が出てくる。
そのお腹に抱きついてる麻由お姉ちゃんも可愛らしい。
そして次のページには、19×4年5月7日。長男三船大輝誕生。
その後のページには僕と麻由お姉ちゃんの思い出の数々が出てくる。
本当に麻由お姉ちゃんといつも一緒に写っているな……。
それだけ好きだったんだろう。
「でも……」
これで確定した。
僕と麻由お姉ちゃんが正真正銘の実の姉弟だということが。
僕達は姉弟にしては、外見も正確もあまり似ていないと良く言われていたのでもしかしたら……と思ったが。
「そんな事ある訳無いよな……」
お父さん、お母さん、変な疑いをしてごめん。
今まで実の姉弟であることを疑った事などなかったし、疑わせるような素振りなど何もなかったというのに……
似ていないのは、ただ単に僕はお父さん似、麻由お姉ちゃんはお母さん似というだけの話だ。
実の姉弟という事は当然結婚など出来ないし、公然と付き合う事も出来ない。
周囲から二人の関係が認められる事などまず有り得ない。
「駄目だ……」
どう考えても暗い未来しか思い浮かばない。
やっぱり、すぐに麻由お姉ちゃんを説得して終わらせないと。
「何見てるの?」
突然麻由お姉ちゃんが背後から声をかけて、抱きついて来た。
「あ、えっと……アルバムを見てたんだけど……」
「ふーん……」
麻由お姉ちゃんは汚いものを見るような目でアルバムを見る。
「あ……これ懐かしいね。家族で海に旅行に行ったときの写真だよ」
「ふーん……」
「……」
あからさまにつまらなそうな顔をして気の無い返事をする。
「あ、この麻由お姉ちゃん可愛いね。本当この服良く似合ってるよ。」
「そう……これがあなたのお姉さんなのね。あんまり可愛いとは思わないけど。」
また変な事言って……
「そんな事無いよ。麻由お姉ちゃんは小さい頃からずっと可愛いよ。今でも一番可愛いって思ってるよ。」
って、実の姉に対して何言ってるんだ。
これじゃ、本当にシスコンじゃないか……
「そうは思えないわ。心の中は本当に醜くて不細工なお姉ちゃんじゃない。弟の事なんか何も構わないで、邪険に扱って……最悪のお姉ちゃんだわ」
「頼むから自分を卑下するような事を言わないでよ……」
「この女は私とは別人よ。心も体も何もかも……私とは違うわ」
どうして、そこまで過去の自分を嫌悪するんだろう?
いくらあの時の事を悔やんでいるとしても。これは異常としか思えない。
「そんな事を言っても、麻由お姉ちゃんは僕のお姉ちゃんである事に何も変わりはないんだよ。僕は昔の麻由お姉ちゃんも今と同じくらい大好きなんだから……」
「優しいのね……プレゼントを平気で壊したりするようなお姉ちゃんも好きでいるなんて……でも、そんなお姉ちゃんにいつまでも囚われていたら不幸になっちゃうわ。だから、早く忘れなさい。」
「ねえ……もう止めよう。そんな事言っても意味がないんだよ。わかってるんでしょう?昔の事を忘れたってどうにもならないんだよ」
忘れたって二人が姉弟であることは何も変わらないんだから。
「だから、ね……このままじゃ二人とも不幸になるのは目に見えてるんだから。ちゃんと考えよう」
「不幸になるって?」
「わかってるのに聞かないでよ。姉弟だからどうやったって結婚も出来ないし、皆に二人の関係が認められる事だって無いんだよ。」
お父さんとお母さんの結婚式の写真をもう一度見る。
写真を見た限りでは、特に豪華でもないごく普通の結婚式だが、僕と麻由お姉ちゃんはこんな普通の結婚式だって挙げる事は出来ない。
そう思うと本当に悲しくなってくる。
年齢差とか身分の差とか色々な立場の違いとかなら、本人次第でどうにでもなるが、血の繋がりだけはどうにも出来ない。
同性同士の結婚が認められてる国はあるらしいが、実の姉弟で結婚出来る国など聞いた事もない。
子供の頃、どうにかして麻由お姉ちゃんと結婚出来る方法は無いかと、手を尽くして調べてみたが結局見つける事は出来なかった。
世界中何処へ行っても二人の関係は祝福される事はないのだ。
中には理解してくれる人もいるかもしれないが、それでも内心はかなり複雑な心境である事は間違いないだろう。
遠くへ引っ越して、二人で暮らしても当然周囲には姉弟であることは隠さねばならない。
子供なんか出来たら尚更だ。
229狂依存 75:2011/01/23(日) 03:42:41 ID:imFSj0ea
僕達に子供が出来て、その子供が自分の親が実の姉弟だなんて知ったら、どう思う?
絶対に相当なショックを受ける。
血の繋がりのある実の姉弟というだけで何故……とも思う。
でも、それが絶対的なルールなんだ。
「う……うっ…」
涙がアルバムに滴り落ちる。
駄目だ……。
この現実はあまりにも重過ぎる……。
「ねえ、あなた……」
「ん?」
「実は最近、生理が来ないの……」
「……!!」
「なーんて、言ったらどうする?」
「お、驚かせないでよ……」
心臓が止まるかと思った。
実際何度も中で出しちゃってるから、もう出来ていてもおかしくはないんだし……
「もう手遅れだと思うけどね。あれだけ出してもらったんだから、本当に出来ているかもしれないわ」
「お願いだから……二人の為なんだよ。誰からも認められない関係なんて幸せになんかなれないよ。」
「関係ないわ。愛し合う者同士が結ばれなければ一生後悔するだけよ。お互いの気持ちに素直になる事が二人の一番の幸せなの。」
「周りに僕達の関係をどう説明するの?反対を押し切って付き合ったって、どう頑張っても結婚なんか出来ないんだよ。どうしようもないんだよ」
僕だって、麻由お姉ちゃんと堂々と付き合いたい。結婚だってしたい。
皆に祝福されながら、結婚式だって挙げたい。
でも、姉弟だからそれは許されないんだ。
「何がどうしようないのよ。私達はもう夫婦なのよ。いいえ、生まれた時から私達は夫婦なの。そういう運命の下で生まれたのよ。」
「わかってよ……何を言っても現実は変えようがないんだよ……」
「現実?私たちが愛し合ってる。これが現実じゃない。これを変える必要が何処にあるのよ?」
「でも姉弟だから……」
「姉弟で愛し合ってはいけないなんて誰が決めたの?結婚は出来ないかもしれないけどキスしたり、セックスしてはいけないなんて法律は無いわ。子供だって作れるし、事実上の夫婦として生活していけば良いじゃない」
「そ、それは……」
麻由お姉ちゃんは一歩も引く姿勢を見せず、畳かけるようにしゃべる。
いや、例えそうでもやっぱり周囲から白い目で見られてしまうのは確実な訳だし……
「それより、見て欲しい物があるんだけど。」
「え、何?」
突然麻由お姉ちゃんがビデオカメラを取り出し、テレビに繋げる。
何だろう?
何だか、嫌な予感がするけど……。
一体、何を……!!?

「いくよ。」
「ん……」

「あ……あ…」
これは……
さっき、僕の部屋でキスした時の映像……!?
「ちょっと!どういう事!?」
「ふふ……あなたの部屋にこっそりカメラを仕掛けさせてもらったわ。私たちがどんなに愛し合っているか記録に残す為にね。」
「……な!」
いつの間にそんな事……
どうりで変だと思った。
いつもは簡単に引き下がらない、麻由お姉ちゃんがキスだけで満足するなんて……

「ねえ……私の事好き?」
「え?……うん。好きだよ」

「ふふ……キスして私の事好きって、はっきりと言ってるじゃない。あなたが私の事を愛しているという動かぬ証拠よ。」
迂闊だった……
まさか、隠し撮りされてるとは思わなかったから
230狂依存 76:2011/01/23(日) 03:43:25 ID:imFSj0ea
「酷いよ……!勝手にこんな事して……」
「何が酷いのよ。今まで散々私を抱いておきながら今更止めようなんて言うのは、酷くないとでも言うつもり?」
「そ、それは……!」
確かに言い訳できないけど……
「だから、それはちゃんと謝るよ。謝っただけで済まないなら、許してくれるまでどんな事でもするから。」
「なら、責任を取って私の生涯の伴侶になりなさい。大丈夫……絶対にお姉ちゃんが幸せにしてみせるから……」
ああ、もう!
どうすれば、諦めてくれるんだ!
「この動画どうしようかなあ……」
「え?どうしようって……」
「何処かの動画サイトに流して、世界中の皆に見てもらうのもいいかもね……実の姉弟の禁断の愛なんてタイトルで……」
「ちょっと!冗談は止めてくれよ!そんなことしたら……」
「あら……良いじゃない。皆に見せ付けてやりましょう。あなたが実の姉である私をこんなにも愛してるってっ所を……」
「どうして、そんな意地悪な事をするの……?そんな事したら、麻由お姉ちゃんだって困るでしょう。」
「私は何も困らないわ。周囲に何と言われ様が関係ない。むしろ街中で堂々と公言しても良いと思ってるわ」
そんな恐ろしい事を平然とした顔で言い放つ。
本気で思ってるわけじゃないよな……?
「ねえ、どうしてそこまでして僕にこだわるの?麻由お姉ちゃんだったら他に良い人はいくらでも見つかるでしょ?」
そう言うと麻由お姉ちゃんは立ち上がって、部屋を出る。
「ちょっと何処へ……?」
何も言わずズカズカと歩きながら、自分の部屋に入り、机に座ってパソコンを起動し始める。
まさか……。
「………この動画、動画サイトに流すわね。何処にしようかな……」
「ちょっと、麻由お姉ちゃん!急にどうしたの?」
慌てて麻由お姉ちゃんの腕を掴んで制止しようとするが、掴んだ瞬間に強引に払いのけられる。
「出来るだけ多くの人に見てもらいたいから……やっぱり、ここに……」
「一体どうしたの?何を怒ってるんだよ!?」
再び麻由お姉ちゃんの手を掴んで制止する。
「二度と言わないで……」
「え……?」
「私にはあなたしかいないの。他の誰かを好きになるなんて絶対に無いの……だから、さっきみたいな事は二度と言わないで……」
さっきみたいな事って……。
他に良い人はいくらでも見つかるでしょ?って言った事か?
「わかった。もう二度と言わないから……怒らせるような事言って本当にごめんね。だから……」
「そう……なら、どうすれば良いかわかるわよね……?」
麻由お姉ちゃんは僕の手を自分の胸に押し当てて、揉み始める。
「お姉ちゃんにいっぱい甘えて、いっぱいエッチな事したいんでしょう?いい加減に素直になりなさい」
「素直になれって……さっき僕の言ってた事聞いてなかったの?怖いんだよ……このまま関係を続けるのが……」
どう考えてもお先真っ暗な未来しか思い浮かばないんだし。
「じゃあ、言うわよ。この動画をネットに流して欲しくなかったら、私の男になりなさい。3秒以内にイエスと答えて」
「お願いだから……どうして、そんな追い詰めるような事を言うの?」
「追い詰める?私はあなたの望む事をしてあげようとしてるだけよ。……ん」
そう言うと、僕の顔を手で押さえて口付けをしてきた。
「んふっ……ん、んちゅっ……くちゅっ……ちゅっ、むちゅっ……ん、んちゅっ、ちゅっ…ん、んん……」
唇を強く押し付け、舌を強引に僕の口の中に入れて、絡ませてくる。
口の周りはすぐに唾液でぐちょぐちょになってしまった。
「ん、んん……お姉ちゃんとセックスしたい……それがあなたの心から望んでいる事でしょう……」
「私が姉弟だからどうとか言う、あなたを縛り付けている下らないものから解放してあげる……本能の赴くままに私とセックスして良いのよ……」
衣服を淫らに脱いで、胸を露にして抱きつき、耳元で囁く。
麻由お姉ちゃんの甘い言葉と柔らかい体の感触、程よい香水の匂いで徐々に頭がボーっとしていき、体が火照ってくる。
でも、ここで踏ん張らないと……。
「大丈夫……あなたが心配している事はお姉ちゃんに全部任せてくれていいから……本当よ。親への説得も何もかも全部私に任せて……」
「でも、子供何か出来たら大変だし……」
「もう手遅れよ。あれだけ中に出してもらったんだから、きっと出来ているわ。だから、もう気にしないで早くやりましょう……」
もう手遅れって……。
それじゃ、心配でかえって出来なくなるよ……。
「駄目だよ……子供何か出来たら取り返しがつかなくなるよ……」
でも、もう出来ていてもおかしくない。
231狂依存 77:2011/01/23(日) 03:44:10 ID:imFSj0ea
そうなったら、どうしよう?
最悪堕ろしてもらうしかないか……。
「いやよ。中絶なんかしないわ。誰が何と言おうと産んでみせる」
本気で気が狂いそうになってきた……。
もうこの家を出てしまいたいくらいだ
「今までのことは本当に悪かったと思ってるから……だから、もう許して……これ以上僕を困らせないでくれ……」
麻由お姉ちゃんに抱きつき、必死の思いで懇願する。
「泣いてるの?可哀想に……でも大丈夫。お姉ちゃんが慰めてあげるからね……」
僕の頬に滴り落ちてる涙を舐め取りながら、股間を手で弄る。
違う……。
そんな事して欲しいんじゃない……。
「ほら……お姉ちゃんのおっぱいで気持ちよくしてあげるから、元気を出して。」
胸を顔に押し付け、挟むように擦り付ける。
「麻由お姉ちゃん、もう……」
口では拒否しようとしても、この豊満な胸の感触を間近で感じたら、どうしても欲情が湧いてきてしまう。
「子供の頃は本当にごめんね……おっぱい見たいって言っても、いじわるな事言って見せてあげなくて……」
「……っ!!」
な、何を言ってるんだ……?
あんなのどう考えても、僕が無茶苦茶な要求をしてただけのに……。

「ただいまー」
「お帰り、麻由。お風呂沸いてるけど、先に入っちゃう?」
「うーん……軽くシャワーで汗流すわ」
「そう。じゃあ……」
お、愛するマイハニーが部活から帰ってきたな。
ああ……部活で汗を流して、ちょっと疲れた表情をしている麻由お姉ちゃんもかわいい……。
シャワーを浴びるとか言ってたな。
浴室の前に行き、こっそり中の様子を伺おうとする。
今頃、麻由お姉ちゃんは服を脱いでる真っ最中。
「(これは、またとないチャンス)」
最近、お風呂に入ってるときは手錠かけられてるから、今なら愛するハニーの成長ぶりを観察できるチャンスだ。
偶然を装いさりげなく入って、一瞬でもいいから麻由お姉ちゃんの裸を拝んでやる。
どうせ、将来は見放題になるけど今の麻由お姉ちゃんの裸は今しか見れないからな。
「では早速……」
がらっ。
ドスっ!
「うおっ!」
何かにぶつかって……って?
「……」
目の前にはまだ体操服を着ていた麻由お姉ちゃんが仁王立ちして待ち構えていた。
「……一応聞くけど、ここに何の用だ?」
さっすが、麻由お姉ちゃん。僕の考えていた事わかっちゃうんだね。
「もちろん、麻由お姉ちゃんの胸がちゃんと成長しているか見に来たんだよ。これは未来の旦那としての義務だからね。」
僕は嘘なんか付かずに堂々と白状しちゃうよ。
「お前さあ……前から思ってたんだけど、私をコケにしてそんなに楽しいのか?ええ?」
何やら鬼の様な形相をして、僕の胸倉を掴む。
「麻由お姉ちゃん、素直になろうよ……僕達は運命の赤い糸で結ばれてるんだよ。どうせ添い遂げる運命なら、早い方が良いって」
「本当に感心するわ……そういうふざけた事を堂々と言えるあんたの神経にね……」
「えへへ……だから、一緒にシャワー浴びよう。もちろんバスタオルなんて無粋な物はまかないで……」
「……いつもいつも、私を馬鹿にするのもいい加減にしろや!!このゴミ虫がっ!!」
ドスッ!バキっ!ゴンっ!
「そこで、死ぬまで反省してろ!!」
うう……ボコボコに殴られた上に、僕の部屋に鍵をかけられて閉じ込められてしまった……
どうして素直になれないのかな……?
僕達は将来結ばれる運命にあるのは確実なのに……
「でも中学生ぐらいじゃ、まだエッチするのはまだ早いよね」
それに僕も精通がまだだし。
ちょっと焦りすぎちゃったかな。
ごめんね、麻由お姉ちゃん。あと何年か我慢するからね。
232狂依存 78:2011/01/23(日) 03:46:49 ID:imFSj0ea
「何で麻由お姉ちゃんが謝るの……?あんなふざけた事されたら、怒るのは当たり前じゃないか……」
僕の方こそ謝っても謝りきれないぐらいだ。
しかも、ああいうことが一度や二度じゃなかったし……。
「大輝が私の胸を見たいって頼んでいるのに、見せてあげない上に暴力まで振るうなんて……あの時の私は本当にどうかしていたわ……何か悪いものにでも憑りつかれていたとしか思えない……」
「本当にごめんね……あの時のおっぱいはもう見せられないけど、その分今の私のおっぱいを……ううん、私の体の全部好きにしていいから……」
「もう止めてくれ……悪いのは全部僕なんだよ……僕の方こそご……」
「んちゅっ……ん、んくっ……むちゅっ……ん、んんっ……ん、むふぅっ……ん、んくっ……」
僕が謝ろうとするとそれを阻止するかの様にキスをして口を塞ぐ。
「ん、んんっ……はぁっ……本当にごめんさい……これからは私も素直になるから……だから……」
あの時の事は本当に言い訳の仕様がない。
いつも麻由お姉ちゃんの気持ちなんか考えずに好き勝手な事ばかりやって、傷つけていた。
今にして、思うとからかって遊んでいただけんじゃないかとさえ思えてきた。
本当に好きなら、麻由お姉ちゃんの嫌がる事なんてやるはずないのに……
いや、今の麻由お姉ちゃんは昔の僕が望んでいる事をやってくれてるだけだ。
それなのに、今になって嫌がるなんて筋が通らない事なのかもしれない。
だけど……。
「あの……昔の事は本当に……」
「あんっ……おちん○ん萎えちゃってるじゃない……お姉ちゃんがおっぱいで気持ちよくしてあげるからね……」

僕がまた謝ろうとすると、ジーンズのファスナーを下ろして、肉棒を露にし乳房で挟み込む。
「ん…んふっ……ほら……いっぱい、気持ち良くなってね……そうだ……」
パイズリを始めたと思ったら、すぐに止めて立ち上がり机の上に置いてあったビデオカメラを持ってくる。
「はい。これでお姉ちゃんがパイズリしてる所を撮影してね」
「え?何でそんな事を……」
「昔、あなたにいっぱい酷い事をしちゃったお詫びにお姉ちゃんの恥ずかしい所を撮影させてあげる。はいこれ持って」
「え!?い、嫌だよ……そんなの……」
「何が嫌なの?この位置ならあなたの顔は映らないから、この映像が何処かに流れても恥ずかしい思いをするのは私だけで済むじゃない。あなたに損は何もないわ。」
損は無いって……
そんな事になったら、弟の僕だって恥ずかしい思いをするに決まってるじゃないか……
「あら……だったら、さっきのキスしてる映像ネットに流しちゃおうかな……」
僕が拒否すると麻由お姉ちゃんがパソコンのマウスを手に取り脅してくる。
「わ、わかったよ!やれば良いんでしょう?」

何で僕がこんな事を……。
「ふふ……ほら、ちゃんとカメラ持って。ちゃんと撮影できてなかったらどうなるか……わかるわよね?……んっ」
僕に強引にカメラを持たせると再び肉棒を乳房に挟み、擦り始める。
「ん……ん、んふっ……ほらっ……弟のち○ぽをおっぱいでしごいて喜んでる変態お姉ちゃんの姿をしっかりと記録に残しなさい……」
乳房を優しく押し付け、上下左右にと巧みに擦りながら、肉棒を刺激して膨張させる。
もう何度もやってもらってるけど、その度にどんどん上手になってきている気がする。
「ん、んちゅっ……ん、ちゅっ、ちゅるっ……ちゅっ……れろっ……ちゅっ、ちゅるっ……ちゅっ……」
亀頭にキスして、更なる刺激を与える。
麻由お姉ちゃんの乳房と口でもたらす快楽で頭の中がチカチカして何も考えられなくなってくる。
「(くっ……上手すぎるよ……)」
「ん、んちゅっ……ちゅるっ……ん、んふっ……ああんっ……こんなに固くしちゃって……ほらっ……もっと気持ちよくしてあげるからね……」
頬を少し赤らめ、悪戯っぽく微笑みながらがっちりとち○ぽを挟みこみ、更にスピードをあげてきた。
その様子を見てるだけでどんどん快楽が頭を支配していき、理性を奪っていく……。
「あんっ……ちゅっ、んちゅっ……いいわよ……出したくなったら、いつでも出して……したくなったら、いつでも私を押し倒して犯していいのよ……」
麻由お姉ちゃんの挑発的な言葉とおっぱいがもたらす快楽で頭が半ばパニックに陥ってきた。
くっ……麻由お姉ちゃん、もう止めて……」
何とか理性を振り絞って、口にするがそんな事を聞く筈も無くどんどん乳房の動きを強め、先端にキスしてくる。
あまりの快楽にカメラを持つ手も自然に震えてきてしまう。
233狂依存 79:2011/01/23(日) 03:48:03 ID:imFSj0ea
「ん、ちゅっ、ちゅるっ、ちゅっ……んちゅっ、ちゅっ、ちゅるっ……ほら……頑張って……変な理性に負けないで私を犯してぇ……ん、ちゅるっ……」
麻由お姉ちゃん……
もう、我慢出来ない……。欲しい……
「そうよ……そのまま自分の気持ちに正直になって……私の全てを犯し尽くしてえ……ん、ちゅるっ……」
でも、これ以上は本当にまずい……。

「麻由お姉ちゃん、このまま……」
「あんっ……!ふふっ……いいわよ、このままイッても……ん、ちゅっ、んちゅっ……ちゅるっ……ちゅっ、ちゅうっ……ちゅるっ、んちゅっ……」
ち○ぽを麻由お姉ちゃんの口に突き出すと、先端の部分にキスの雨を降らせ吸いつく。
竿を挟んでる乳房もラストスパートをかけ、一気にイカせようとする。
「あんっ……ん、んちゅっ……んふっ……ちゅっ、ちゅっ。ちゅるっ、れろれろっ。んちゅっ……ちゅっ、んちゅっ……」
「麻由お姉ちゃん、もう……」
我慢の限界……
「いいわよっ……好きな時に出して……ん、んちゅっ、ちゅるっ、んちゅっ……ちゅっ……んちゅっ…」
「(うっ……!出るっ……)」
「ん、んふっ……ちゅっ、ちゅるっ、ちゅっ……ん……はむっ……ん、んんんっっっ!!」
びゅくっ、びゅくるるるっっっ!!!びゅくっっ!!
僕が射精しようすると、すかさず口にがっちりと咥え精液を口に受け止める。
麻由お姉ちゃんのパイズリでもたらした快楽で溜め込まれた精液は口の中にどんどん吐き出される。
「ん、んんっ……ん、ごくっ……んっ……ねえ、ちゃんと撮れてる?」
ザーメンを飲み終わったら、僕が持っていたビデオカメラを手に取る。
「……うん。見て……実の弟にパイズリして喜んでいるお姉ちゃんの恥ずかしい姿よ。本当に変態だわ」
「その映像をどうするつもりなの……?」
「ん?これはあなたが好きにしていいのよ。私のPCに保存したら後は自由にしていいわ。さっきはキスしてる所を隠し撮りしたから、これでおあいこね。」
「おあいこって……」
こんな映像持たされて、どうしろというのか?
「何よその不満そうな顔は?もっと恥ずかしい所を隠し撮りしたいのかしら?何ならトイレを盗撮してくれても構わないけど」
「そんな事する訳無いだろ……」
間違ってもそんな所は見たくない。
「そう……じゃあ、ちょっと待っててね。さっさとPCに保存しちゃうから」
「ま、待って……!」
慌てて麻由お姉ちゃんの腕を掴む。
「何?」
「え、えっと……」
まだし足りない……。
さっき、あんなに出したばかりだというのに、あの快楽を思い起こしたら、また麻由お姉ちゃんの体が欲しくなってきた。
「(最近は落ち着いてきていたのに……)」
少し前までは、麻由お姉ちゃんの体を見るだけで体が疼いて止められなくなってしまっていたが、最近は姉弟でこの様な淫らな関係を続ける事への色々な恐怖心が芽生えてきたせいで、以前程は欲情しなくなってきていた。
でも、やっぱり麻由お姉ちゃんの体は最高に気持ち良い……。
あの体を思いっきり抱いて好きなだけ味わいたい……。
「(でも、姉弟で子供なんか出来たら……)」
だったらコンドームでもつければ良いのだろうが、今は持ってない。
いや、麻由お姉ちゃんの事だから買ってもすぐ穴を開けるぐらいの事はしかねないし……
何より、あの快楽を生で味わいたい……。
麻由お姉ちゃんはそんな僕の心境を見透かしているのか、目を細めながらニヤニヤしている。
明らかに早く襲えと顔に出ている。
「また前みたいに、一日中私と淫らな生活を送りましょう……遠慮なんてしなくて良いんだから……」
「……」
麻由お姉ちゃんをベッドに押し倒し、ショートパンツを乱暴に脱がす。
本当に綺麗な体だ……
「(でも、やっぱり……)」
「理性に負けないで……愛し合う者同士が結ばれる事に何の問題も無いんだから……今一番望んでいる事をやれば良いのよ……」
僕が今一番望んでいる事……
「私が一番望んでいる事でもあるのよ。だから早くぅ……お姉ちゃんが喜ぶ事なら、何でもしてくれるんでしょ……?」
麻由お姉ちゃんが……僕が一番望んでいる事……。
234狂依存 80:2011/01/23(日) 03:49:19 ID:imFSj0ea
「……」
「あんっ……!」
遂に抑えきれなくなり、麻由お姉ちゃんの乳首に吸い付く。
麻由お姉ちゃんの柔らかくて大きなおっぱいを手で揉みしだきながら、たこみたいに乳首に思いっきり吸い付き、しゃぶり尽くす。
「あっ!あああんっっ!!やっ……あっ!そこっ……あっ、ああっっ!!」
「そうよ……それで、良いの……お姉ちゃんのおっぱいも何もかも好きなだけ、したい時に犯せば良いのよ……あっ、イタっ!やあああっっ!!」
何か言ったみたいだが、もうそんな事はどうでも良く乳首に吸い付く。
少し、歯を立ててしまったが関係ない。

今は目の前の体を思いっきり犯して、体の渇きを癒したい。
「はんっ!ああんっ!……いいわよ……もっと……もっと滅茶苦茶にして……えっちなお姉ちゃんの体をぶっ壊してえっ……やっ!はああっっ!!」
割れ目に右手の指を突っ込み、ぐちゃぐちゃにかき回す。
上下左右に乱暴に弄くり回し、思いのままに動かす。
「はっ!ああっ!!はんっ……そこっ!あっ、あああっっ!!やんっ……はふっ……やっ!ああんっ……!」
こんな乱暴にやられても感じているのか、どんどん濡れていき愛液を撒き散らしながら悶え狂う。
そろそろ入れてやるか……。
「はあっ……あんっ!早くちょうだいっ……あっ!は、はあああああっっっ!!」
麻由お姉ちゃんの股を開いて、肉棒を膣穴に押し付け一気に挿入する。
もうかなり濡れていたのか、スムーズに入った。
「はっ!あんっ……!あっ、やんっ……あっ、ああっ!!あんっ……もっと……もっと激しくぅ……やんっ!あ、あああんっっ!!」
あまりの快楽で頭の中は何も考えられない。
ただ目の前の欲望を満たす為にひたすら腰を動かす。
「ああっっ!!はふっ……あっ、あああっっ!!やんっ……あっ、あああっっ!!」
麻由お姉ちゃんは膣の中に咥えている物をがっちりと締め付け、僕の手の握り腰を振り乱れ狂う。
もう二人とも完全に発情しきった猿のごとく腰を振って、快楽に溺れている。
「はっ……!あっ!もうイクっ……はっ!イクっ……!あっ、あんっ!はっ、はあああっっ!!」
麻由お姉ちゃんの嬌声と膣の締め付けが最高に心地よくて、どんどん頭の中も真っ白になっていく。
「はあんっ!そこっ……やんっ、もっと……もっと突いてえっ……あんっ!はっ、あああっっ!!」
もう出そうだ……。
「はふっ……いいわよ……中に出してえっ…はんっ!お姉ちゃんのおまんこに思いっきり出してえ……はんっ!あっ……あっっ!!」
胸を掴みながら、子宮をガンガン突き、一気にスパートをかける。
麻由お姉ちゃんの膣も限界まで締め付けをきつくして、受け入れる態勢を整える。
「はんっ!もうイクっ……!イクっ……中に思いっきりぶちまけてえっ……!あっ、はっ……あっ、ああああっっ!!」
「麻由お姉ちゃん……」
「あっ、はんっ……いくっ……はぅ、あっ!あああああああぁぁぁっっ!!」
びゅくっ!!びゅくるるるっっ!!
麻由お姉ちゃんが絶頂に達した同時に射精し、精液を子宮に流し込む。
「はあっ……私の中でいっぱい……あっ、はあああぁぁっっ……」
膣壁でがっちりと締め付け、一滴も残らず受け止めようとする。
さっき出たばかりだと言うのに、流し込まれた精液は膣の中を満たし結合部から溢れ出てきた。
「はんっ……こんなにいっぱい……とっても良かったわよ……」
麻由お姉ちゃんは頬を赤らめて満足そうに微笑む。
その姿が妙に色っぽくて、僕の欲情を更に刺激してしまった。
「(……まだ足りない)」
こんな事しちゃ駄目なのわかってるのに……。
「はあっ……はあっ……あんっ!」
ち○ぽを抜き、余韻に浸っている麻由お姉ちゃんをひっくり返して四つん這いにする。
まだまだ収まりそうにない……。
「やん♪またやるの……?いいわよ……もっと、もっと私の体で楽しんでえっ……」
麻由お姉ちゃんも目を細めながら、嬉しそうに腰をふりふりと動かし誘ってくる。
その様子を見て、怒りにも似た欲情が湧き、出したばかりの肉棒も一気に膨張してきた。
「ふふっ……早く、早くっ……やっ!え?そ、そこは……!?」
後ろから入れようとすると麻由お姉ちゃんも少しびっくりした様な声を出す。
何だろう……?
まあ、どうでもいいか……。
「ちょっと……!そこは、ちがっ、あっ!ああああああぁぁぁっっ!!あぐっ……」
ん?おかしいな……
なかなか、挿入できないし、麻由お姉ちゃんも苦しそうな声を出してる。
でも関係ないか。このまま一気に押し込んでやろう……
235狂依存 81:2011/01/23(日) 03:50:18 ID:imFSj0ea
「はぐっ……!あんっ……あっ、はあああああぁぁぁっっ……あぐっ、はんっっ!!」
ようやく挿入し終わり、腰を動かす。
何かいつもよりやたらときつい気がするけど、構わずピストンを開始する。
「あんっ!あぐっ……あんっ!はっ、はんっ……あ、あがっ……あんっ、やああぁぁっっ……」
さっきより明らかに苦しそうな喘ぎ声を出して、腰を振ってくる。
それでも構わずお尻をがっちり掴んで、麻由お姉ちゃんの中を突きまくる。
「あっ!やんっ……お尻の……あっ……はぐっ、あんっ……はっ、ああんっ!!あぐっ……あっ、ああっっ、あああっっ!!」
お尻をもっと弄って欲しいのかな?

「ひぐっ……!あんっ、はっ、あああっっ!あがっ……いたっ……!あんっ……」
お尻を掴んでる指をぎゅっと押し込み、中を突くスピードも速める。
麻由お姉ちゃんも少し泣きそうな声を出して、悶えている。
「あんっ……はっ……あんっ、やっ……あぐっ……あっ、はっ、あああっっ!!」
いつも以上にきつく締め付けらて、少し苦しいがそれでも中で擦れ合う快楽で絶頂寸前に達する。
また中で出してやるか……
「あんっ、あっ、あぐっ……は、あんっ……!あっ、イクっ……!あんっ、はっ、はあああっっ……」
麻由お姉ちゃんの腰を掴んでラストスパートをかける。
どうせもう手遅れなら、ここは中にだしてやろう……
「あっ、はぐっ、あっ……あんっ……はっ、やああああぁぁぁっっ!!!」
どぴゅっっ!!どぴゅるるるるるっっ!!
またもや麻由お姉ちゃんの中で達し、一気に精液を流し込む。
三回目だっていうのに、まだこんなに出るなんて……
「あんっ、はあああぁぁぁんっっ……はぁっ……はぁっ……」
出し終わった肉棒を引き抜いた所でようやく気がついた……。
「(これ麻由お姉ちゃんのお尻の穴……)」
夢中で入れたので気がつかなかった……。

「もう……やっと気がついたの……?ちょっとびっくりしたわよ……」
どうりでいつもより挿入し辛かったし、やけに苦しそうな声を出していると思った……
「ふふふ……でも気にしなくて良いわよ。いずれやらせてもらうつもりでいたからね」
麻由お姉ちゃんも嬉しそうな顔をして僕の手を掴み指を舐める。
「ん……むちゅっ……ちゅっ……ほらっ……まだまだ足りないんじゃないの……?ちゅっ……んちゅっ……」
「うっ……」
その挑発に負け、麻由お姉ちゃんを押し倒して再び四つん這いにする。
「あんっ……♪ふふっ……そうよ……自分の気持ちに正直になれば良いの……さあ、今度はちゃんと私のおま○こに入れてね……」
麻由お姉ちゃんはお尻を上げて、陰唇を広げながらおねだりする。
「ほら、ほら早くぅ……大好きなお姉ちゃんのおま○こを気の済むまで目一杯犯してえっ……」
「……」
「ほらあっ……あんっ!あっ、ああああぁぁんっっ……」
麻由お姉ちゃんの広げたおま○こに肉棒を挿入し、腰を動かす。
がっちりと膣壁でがっちりと締め付け、腰を振り始める。
「はんっ!そうよ……もっと、突いて……あなたのしたいままに思いっきり突いて、お姉ちゃんを犯しまくってぇ……はんっ!」
あれだけ出したというのに、麻由お姉ちゃんの中の締め付けや喘ぎ声で何日もしてなかったかのように一気に膨張してしまった。
まだ足りない……
麻由お姉ちゃんの体が欲しい……
「あんっ……!いいわあっ……あっ、ああっ、やんっ……はっ、ああああっっ!!」
今のもう姉弟だからどうとかいう事は頭に無い。
ただひたすら目の前の女を犯してしまいたい。
だって気持ち良いし、相手も喜んでるんだから……。
「あんっ……やんっっ!!そこっ……あっ、ああんっ、はああああぁぁぁっっ!!」
「いいわよ、イクっ!また……イっちゃう……あっ、ああああっっ!!!」

このまま二人は僕の体力が尽きて眠るまで続いた。
僕が意識を失う瞬間―――
麻由お姉ちゃんは本当に嬉しそうに微笑んでいる様に見えた。
236 ◆wBXWEIFqSA :2011/01/23(日) 03:51:37 ID:imFSj0ea
以上です。
ありがとうございました。
>>224
すみません、別人です。
237名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 17:30:03 ID:lsxOrN41
GJ!!
238名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 20:08:25 ID:vEQAHYCr
239名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 21:40:40 ID:5fUGL/Kp
Gjでした
理性に負けないでに笑ってしまった
240名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 21:43:47 ID:dgz2Mssz
GJ!エロかった
名言だよなw
「理性に負けないで…」
241名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 00:15:12 ID:h6YnH5EW
GJ
うむ。やきもちラブコメも良いが、こういう業の深い病んだ女に捕食される話の方が好きだったりする。
キモ姉よ永遠に‥‥
242名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 02:28:40 ID:dnSZvwHL
キモ姉GJ!
243名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 04:28:34 ID:ygWO4TnP
GJ 理性を超えたーww
244 ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/25(火) 00:27:59 ID:9LnjT3lS
>>224
狂モウトは多分僕ですね。
たしか気持ち悪いってレスが多かったのでスレ違いなのか?と思ってやめた記憶が…。

てゆうか何処のスレに書き込んだか忘れてそのままだった…本当に申し訳ないです。
長い間放置状態だったので続き書こうか迷ってましたが、完結せずに終わらせるのは申し訳ないので続き書きます。
なるべく早く投下するので、その時はよろしくお願いします。
245名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 00:29:33 ID:9LnjT3lS
>>236毎回楽しみに見てます超GJです。
246名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 01:21:15 ID:1CpMALlI
狂モウトってどこにあるんだ?
wikiない検索でも見つからないが
247名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 01:35:14 ID:+70Eq6kt
カタカナじゃなくてひらがなだよ
狂もうとで探してみて
248名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 02:11:07 ID:niYGNKlc
>>244
頑張ってください。
楽しみにしています。
249名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 02:51:10 ID:tClGSKhN
>>244気持ち悪い?
キモスレだから最上級のほめ言葉です。
是非続きをお願いします。
狂依存もそうだけど
ヤンデレキモ姉妹が
ヘタレ兄弟を捕食する話は大好物です!!
250名無しさん@ピンキー:2011/01/25(火) 18:39:59 ID:chC5fZHf
>>244
スレ違いだなんてとんでもないw
是非是非続きをお願いしますよ〜(^q^)

>>219
転帰予報、俺も好きな作品だったわ…
あの職人さん生きてて、なおかつここ覗いてたらここで続き書けんものかな〜
ジャンル的には一緒だと思うから…

やっぱスレ違いになるんかな〜まあ、所詮一個人の願望に過ぎんけど…
251名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 10:05:08 ID:mkDqENFe
未来のあなたへ
桔梗の剣

ずっと待ってます……
252名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 11:48:19 ID:659TzbXB
転帰予報を読んでみた。
義理は受け付けないと思ってスルーしていたが、ギモ姉妹もアリだったわ。
未完なのがマジ惜しまれる。
253狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/26(水) 12:12:07 ID:f4lI9zbR
では、久しぶりに狂もうと投下させていただきます。
254狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/26(水) 12:12:37 ID:f4lI9zbR


「……」

「拗ねるなよ…しょうがないだろ?」
妹である由奈がリビングの窓から悲しそうに空を見上げている。
由奈が見上げる空からは大粒の水の玉が降り注ぎ、雷光が空を何度となく染めている。
別に雷や雨ぐらい家の中だから問題無いのだが……由奈の気合いの入った服装を見てそんなことは言えなかった。
由奈だけでは無く俺も外出する為にある程度のオシャレはしたつもりだが、由奈は俺と違って女の子……いや、二十歳を迎えた女性に女の子は失礼か…。
とにかく、由奈の化粧やら服やらで時間を食ってる間に天候が悪くなり、買い物は中止となった。
車があるのだから別に濡れる心配は無いのだが、俺が「これは無理だな…」と言う言葉を真に受けてショックのあまり車の存在を忘れているのだろう。
絶望にうちひしがれた表情を浮かべ、未だ空を睨み付けている。
もう、この辺で許してやるか…。

「由奈……車があるから雨や雷ぐらいなら問題ないんじゃないか?」
ため息を吐き、後ろから由奈へ話しかけた。
昨日の出来事の仕返しのつもりだったのだが、まさかここまで表情を崩すとは思ってもみなかった…。

「はぇ?…………あぁーーー!!!車あるじゃッ、痛ッ!?」
255狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/26(水) 12:13:23 ID:f4lI9zbR
青天の霹靂のようなリアクションを見せ、空を見上げていた顔を勢いよく此方へ振り向いた。
その為、無理な首振りで首筋を痛めたようだ…。

「どうする?行くのか行かないのか?」
痛めた首筋を押さえ座り込む由奈の頭に軽くチョップする。

「う〜……行く!」
首と頭を両手で押さえ、涙目になりながら立ち上がる。
床に転がっているカバンを雑に拾い俺の腕を強引に掴み玄関へと歩き出した。
仕事上いつもキリッとしたスーツを着ているので、由奈の普段着もそちら寄りに傾く事が多いのだが今日は珍しくスカートを履いている。
細く綺麗な生足が悩ましい…

「実の妹になに考えてんだ俺は…」

「え?何が?」
ブーツを履き終えた由奈が、玄関のドアノブに手を掛けキョトンとした表情で首を傾げてきた。

「なんでも無い…早く行こう」
靴を履き、ポケットに財布があるか確かめると(携帯は由奈にへし折られたのでリビングにあるゴミ箱の中だ…)由奈が今か今かと待つ玄関ドアまで歩み寄った。






「……ん?おい、誰か来たんじゃないか?」
ふと、硝子ばりの玄関扉に薄くぼんやりと人影のような陰が写っていることに気がついた。
256狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/26(水) 12:14:33 ID:f4lI9zbR
由奈も気がついたようで、ドアノブに引っ掛けていた指をスッと後ろへ引っ込めた。
此方から開けてもいいのだが、いきなり開けて驚かすのも悪いので人影の動向を見る事にした。
数秒後、ピンポーンと聞き慣れたインターホンの音が家の中に響いた。
お客なら当たり前の行動なのだが、由奈と俺は何故か肩をビクつかせた。
居留守を使ってるような気持ちと言えば分かりやすいだろうか…。
使ってるような気持ちと言ったが、別に居留守を使うつもりなど無いので、すぐにまた由奈が客であろう人影を出迎えるべくドアノブへ手を掛けた。
そしてゆっくりとドアを開けた。




「はい、どちら様でし…ょ…」
――本来ならリビングにあるモニターで顔を確認して、ドアを開けるべきか開けないべきか判断するのだが、二人とも靴を履き終え、出掛ける寸前だったのでわざわざリビングに戻らなかった。
多分…いや、絶対に俺はモニター越しにこの人影を見ていたならドアを開けなかっただろう……。


「由奈?誰が来たんだよ」
人影と対面した由奈が何故か固まっているので人影が誰か確認するべく由奈の肩上から顔を覗かせた。
257狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/26(水) 12:16:05 ID:f4lI9zbR
腰まで届く程の長くて黒い髪にすべてを見透かすような狐のような細い目……由奈と違って足を見せない白いロングスカートを履き、首には薄いピンクのストールを巻いている。
身長も百七十センチほどと、女性では高いほうだろう…。
たしか雑誌のモデルをやっていると親戚から聞いた気がする…。
だからだろうか…雨を背景に立つその女性は、一枚の絵そのものだった。


「久しぶりね?由奈…優哉」
小さく呟いたはずなのに、その言葉は強い雨の音でもかき消せなかった。
懐かしそうに俺達の顔を眺めると、ストールを人差し指でクイッと引っ掛け笑ってみせた。
その表情に背筋が凍りつくのが分かった。

「なにしてるんですか……零菜さん」
零菜…二年ぶりに聞く名前。

「ふふっ…あら?会いに来ちゃダメだったかしら?可愛い妹と……」
由奈から目を反らし俺の顔に…いや、俺の心に目を向けた。

「半身である兄に」
クスクスと笑い細い目をより細めた。

久しぶりに見る歪んだ笑顔…その笑顔はまさしく俺の…


「…零菜」


――妹のモノだった。
258狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/26(水) 12:18:24 ID:f4lI9zbR
今回は短いですが投下終了です。
長い間放置して申し訳無かったです。
次から書き溜めして20レスぐらい使わせて頂きますので、よろしくお願いします。
259名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 12:52:47 ID:XiUYuxK9
由奈の暴走展開が続く思いきや
ライバル登場!?急展開gj!
半身ということは兄の双子の妹か?
修羅場の予感‥‥
260名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 13:20:03 ID:lVhonLGh
久しぶり過ぎて忘れたw
261名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 13:24:20 ID:f4lI9zbR
>>260
まぁ、そんなに話も進んでない所で放置してたから覚えてる人の方が少ないかもw
保管庫みてください
262名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 18:30:23 ID:CK1Ywjfk
>>258

お帰りなさい&GJ!
いきなり修羅場とは…楽しみです
263名無しさん@ピンキー:2011/01/27(木) 00:18:44 ID:J9IasLHQ
保管庫で読み返してみた。

兄が意志薄弱で流されそうな

キャラなところは好感がもてますねぇ

後は由奈の過激なキモさを薄れさせずに

如何に新キャラを絡めさせるか

お手並み拝見です。

264名無しさん@ピンキー:2011/01/27(木) 23:20:08 ID:xFcDYGDO
狂もうとは好きな作品だから復活してくれてうれしいです
265名無しさん@ピンキー:2011/01/28(金) 02:09:44 ID:pAdcdRCJ
個人的にカムバックを望む作品

聖のお兄さま‥‥確か今回の狂もうと同じライバル登場の段階で止まっている。

妹ーIー妹‥‥双子のヤンデレキモウト。台詞回しのアイデアはびっくりするほど秀逸!復活を望む
後沢山w
266翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:27:37 ID:vLX1Uc3s
こんばんわ
また間隔が開きましたが、投下します
エロなしです
267翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:28:24 ID:vLX1Uc3s

 #3−1
 御鏡夜空の朝は早い。朝の陽射しが登りきっていないころに目を覚まし、道着に着替える。
 まず1時間ほどの軽いジョギングの後、家の道場に戻り、竹刀を持ち鍛練を行う。
 ほぼいつものようにそこには夕陽もいるが、ほとんど共に鍛練を行うことはない。
 勿論夕陽は誘って来るのだが、他の武道ならともかく、剣道において夜空と夕陽では格が違いすぎて練習にもならないのである。
 かといって、護身術と剣道以外は、夜空もほぼ素人の域であり、今更それらを底上げするよりも得意なものを伸ばすほうが効率がいい。
 そう夜空は考えて、最近は剣道の素振り等をひたすら1時間ほど行っている。
 気分が苛々しているような時は、あえて夕陽と試合を行い憂さ晴らししているが、今日の夜空にその必要はない。
 練習を終え、シャワーで汗を流した夜空がいの一番に向うのは、離れに建つ使用人棟。目的地は、朝陽の部屋、である。
「――♪」
 その足取りは軽く。濡れ羽色の髪が朝の光を受けて艶々と。小鳥のようにささやかな、けれど耳触りのよい鼻歌を零しながら。
 朝日の部屋まで来た夜空は、おもむろにドアをつかみひねる――
「――む?」
 ドアには鍵がかかっている。
 当然何度ひねってもドアが開く手ごたえはない。
「むむむっ、私と朝陽の間を阻むなんて身の程知らずね」
 若干弾む声でおどけたように呟いて、夜空はポケットの中から銀色のカギを取り出した。
 こういうときのために作っておいた合鍵、である。
 夜空はさも当然といった様子で、鍵を差し込み、くるり。
 あっという間に、夜空を阻む扉は道を明け渡した。
 夜空は何の躊躇もなく部屋に踏み込み、朝陽の元へ近寄っていく。
 ベッドの上で、朝日はぐっすりと眠っている。どうやら寝相は良いようで、乱れた様子はない。
 そのことを少々残念に思いながらも、夜空は朝日に声をかける。
「朝陽ー。もう朝だよ、起きないといけないよー」
 しかし、朝陽が起きる様子はない。
 今度は朝陽の体を軽くゆすりながら呼びかけてみるが、むずがるだけである。
 以前の朝陽はここまで眠りが深い様子はなかった。というよりも、夜空や夕陽同様の生活を送っていた。
 これもあの事故の影響であろうか。このままにしておけば、朝陽はずっと眠り続けてしまいそうな――
 かすかな焦燥感に駆られて、夜空は朝陽の上に飛び乗るように自らの体を放り出した。
「っどーん!!」
「ぎゃん!?」
 これには朝陽もたまらず少々間の抜けた悲鳴とともに、目を覚まさざるを得ない。
 唐突な痛みと覚醒に混乱していた朝陽であったが、自分の上に夜空が乗っているのを見つけ、ぎょっとした顔ののち、呆れ顔に変わる。
「姉さん、痛いんだけど……というか重、痛っ」
 不穏な言葉を言おうとした朝陽の機先を制し、夜空が朝陽のほおをつねった。
「朝陽、デリカシーがないよ」
「デリカシーって……」
 最もなことを言っているような夜空ではあるが、いきなり人の部屋に忍び込み、フライングボディプレスをかます人には言われたくない、と朝陽は思う。
 しかし朝陽のじとっとした視線に気付きながら、夜空は自らも身を倒し、朝陽に絡みつく。
「姉さん!?」
268翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:28:59 ID:vLX1Uc3s
 またか。朝陽は心の中で呟く。
 隙があれば抱きついて来る夜空に、朝陽は自分がすでに慣れ始めていることに気づく。
 といっても胸の動悸は依然変わらず、湧きあがろうとする沸々とした感情からは目をそらして、ただ、耐える。
 耐えろ、耐えろ。
 これはどこにでもいるような、ごく普通の姉弟のスキンシップなんだ。
 そう念じながら数秒、しかし朝陽にとっては数分にも等しい間の後、
「ほら、もう満足しただろ。早く離れてくれ」
「はーい」
 夜空は満足したのかするりと朝陽から離れ、ベッドから降りた。
 彼女の反省の色など欠片もない能天気な声に朝陽は頭をかきながら、
「で、どうしたのさ、いきなり」
「ん?だって朝だから、朝陽を起こしてあげようかなーって」
「それなら普通に起こしてくれよ……」
「む、普通に起こそうとしても起きなかったのは、朝陽だもん。何度呼びかけても起きないから、だから、仕方なく」
「フライングボディプレス、というわけね」
「そそ」
 無邪気にうなずく夜空に対して、げんなりとした表情の朝陽である。
 もう何を言っても無駄なのであろう。
 それにしても、夜空に呼びかけられていた記憶はない。
 入院していたころから自分が朝に弱いことは気づいていたが、まさかここまでとは。
 もしかしたらこのベッドがふかふかだったから、余計に眠りが深かったのかもしれない。
 使用人部屋に押し込められた朝陽であったが、ベッドやテーブルといった調度品はかなり値の張るようなものばかりである。
 おそらく夜空が手をまわしてくれたのだろう。あの祖父がそのような事をするとは思えない朝陽であった。
 朝陽が祖父に会ったのはまだ一度であるが、それくらいは推察できた。
「さ、それじゃあ、朝ごはんももう出来てる頃だし、制服に着替えてきなさい。あ、荷物もちゃんと持ってくるのよ?」
「あー、うん」
 確かに此処と食堂を往復するのは時間がもったいない。いろいろと準備を済ませてからのほうがいいだろう。
 朝陽は着替えようとして、はたとある事に気付いた。
 脱ごうとした服に手をかけたまま、夜空をじっと見つめた。
 その視線の真意に気付かないのか、そうでないのかは朝陽には分からないが、夜空は、ん?と首を傾げて、
「ほら早く朝陽着替えないと、時間無くなっちゃうよ?」
「いや、姉さんがいるのに着替えられるわけないって……」
「もう、なに恥ずかしがってるの。あ、そうだ、私が着替え手伝ってあげ――」
「――いいから、もうさっさと出って行ってくれ!」
 朝陽は夜空の言葉をさえぎり、背中を押して部屋の外へと追い払った。
 もう、と不満げな様子の夜空であったが、大した抵抗もなく、朝陽のされるがまま部屋を出た。
「全く、恥ずかしがり屋さんなんだから。それじゃあ、私、先に行ってるからね」
 そう言って去っていく夜空の背中を見届け、朝陽は部屋のドアを閉めた。
 そして無駄だとわかってはいるが、鍵をかけて、はあ、と一息。
 全く、朝から騒々しい。
「もしかして、これから毎朝、これ?」
 朝陽の絶望にも似た呟きは、朝の涼しい空気と小鳥の囀りにかき消えた。
269翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:29:35 ID:vLX1Uc3s
 私立尚学院。
 御鏡家も理事の中に名を連ねているその学院は、全国においても有数の進学校である。
 設備は私立なだけあり、そこそこ整っているが、スポーツ推薦を行っていないためスポーツはそこまで強くはない。
 近隣の学生からはガリ勉ばかりだと揶揄される事も少なくない。
 しかしこのご時世、すこしでもいい学校に行かせたいと思う親は少なくなく、毎年入学試験の倍率はかなり高いというのが現状である。
 学院は御鏡家の邸宅がある町の隣町に存在し、徒歩で行けるような距離でない。
 その隣町は県庁所在地でありそれなりに栄えていて、学院の他にも学校も多く存在する。
 そんな町の隣でありながら、山に囲まれたその立地のせいか田舎の域を抜け出せない朝陽の生まれ故郷に住む学生が高校に行こうとするならば、電車等で通うしかない。
 そこで朝陽も電車で通うのだろうと思っていたのだが、その予想は外れてしまった。
 漆黒の車体を春の陽光に輝かせ、朝陽を乗せたベンツは学院への道をなぞる。
「こんな車で登校とか、初日から絶対浮きまくるだろ……」
 学校に高級車で送り迎えをしてもらう高校生。
 自分だったらそんな奴とは余りお近づきになりたくないな、と朝陽は思う。
「でも、電車かバスで通学となると本数少ないし、不便だよ?」
 朝陽の呟きに同情している夜空が答えた。
 彼女は昨日朝陽が見た制服に身を包んでいる。
「いや、そうかも知らないけど、せめて違う車でとかさ……」
「大丈夫だってば。私もこの車でもう3年も通学してるんだよ。それでも特に問題はないし」
「んー、それなら何とかなるかなあ」
 夜空に言われ楽観的な朝陽のことである、直ぐに、別に気にするようなことではないか、と思い直してしまう。
 うんうん、何とかなるよー、と夜空は頷いて、そう言えば、と話題を変える。
「今日は入学式だから、新入生たちは午前で放課だけど、私達は授業があるの。朝陽、お昼御飯はどうする?」
「そんなの帰り道で適当に食べるって」
「適当にって、むう、やっぱりお弁当作ってくれば良かったかしら」
「いや、学院周辺も色々回ってみたいから。これから3年通う事になるんだし」
「そう?でも、明日からはちゃんとお弁当作ってあげるからね、私が」
「姉さんって、料理できるの?」
 朝陽は少々驚いたような顔をする。
 見た目は深窓の令嬢然としていて、実際料理人や使用人がいる御鏡家において夜空が、料理をはじめとする家事に触れる機会があるとは思えなかった。
 朝陽の驚きに、夜空は不満げに頬を膨らませ、
「それはどういう意味かな?料理くらい出来るもん。これでも花嫁修業はバッチリなんだから」
「へぇ……」
 凄いでしょう、とそのふくよかな胸を張る夜空。
 そんな子供っぽいしぐさを見せる夜空に苦笑しつつ、朝陽は夜空の隣に座る人物を窺う。
 学院へと向かう車。
 そこには当然、朝陽と同様、今日から学院生となる夕陽も同乗している。
 その夕陽であるが、車に乗ってから暫くは夜空に話しかけていたが、素っ気ない反応しかもらえず、今は不貞腐れた様に窓の外を眺めている。
 その様子に、朝陽は若干の違和感を覚えた。
 昨日の夕陽との接触において、朝陽が抱いた夕陽への印象と若干のぶれがあったのだ。
 傲岸不遜な夕陽が、少しばかり相手に素っ気ない態度をとられたくらいで子供の様に拗ねてしまうとは。
 そう言えば昨日の夕飯の時もそうだった。
 夜空に話しかけようとして、一度無視された形となった夕陽は再び声をかけようとはせず、不機嫌そうに食事を再開していた。……時折、朝陽を睨みつけながら。
 この車内でも、夜空と会話している朝陽を何度か横目で睨んでいた。
 昨日の夕飯の時は何故自分が睨まれるのか理解できなかった朝陽であるが、今は何となく推測できる。
 ――詰まる所、夕陽は自分に嫉妬しているのではないだろうか。
 全く推測の域を出ない結論であるが、かなり正答に近いような気もする。
 と、そこで朝陽の視線に気づいた夕陽が振り向いた。
「何だよ」
 ぎろりと睨みつけてくる。
 その視線を浴びながらも朝陽は怯むことなく、肩をすくめた。
 その態度が癪に障ったのか、
「おい、お前」
 夕陽が朝陽に何かを言おうとしたところで車が停まった。
「到着ー。ほら、朝陽降りて降りて」
 剣呑な雰囲気にも夜空はマイペースを崩さず、能天気な声を上げた。
 夜空に急かされながら車を降りると、朝陽の目の前には立派な校門があった。
270翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:30:06 ID:vLX1Uc3s
「へえ……」
 朝陽の口から思わず感嘆の吐息が漏れた。
 学院の外観などはパンフレットなどで見た事があるが、実物を実際この目で見るとまた違う。
 白亜の校舎は美しく、校舎へ続く坂道の両脇に咲く桜のトンネルが趣深い。
 この学院に入学するための病院での猛勉強を思い出した朝陽は、より感慨深い気持ちになった。
「入学おめでとう、朝陽」
 後ろから夜空に声を掛けられて、朝陽は思わず涙ぐんでしまう。
 夜空はくすりと笑って、
「私、色々用事があるから先に行くね。入学式、頑張って」
 と、朝陽に手を振りながら、坂道を急ぎ足で登って行った。
 朝陽も手を振り返しながら、坂道を登る。
「ふん、頑張るっつっても、お前は座ってるだけだけどな」
 朝陽の隣には、何故か夕陽が足並みをそろえていた。
 夕陽は不機嫌さを隠す事なく、はん、と朝陽を鼻で笑った。
 朝陽は相手をせず無視しようかとも考えたが、先程浮かんでいた推測をこの機会に口にする事にした。
「お前ってさ、もしかして、シスコン?」
「あ?」
 夕陽が激昂して掴みかかってくるかと身構えていた朝陽であったが、予想に反し夕陽は、はっ、と嘲笑するだけであった。
「シスコン?あり得ねーな。俺は夜空を愛してるからな」
「は?」
 思わず目が点になってしまう朝陽である。
「愛してるって、お前……。もしかして姉さんと血が繋がっていないのか?」
「は?繋がってないわけないだろ。俺にとってもお前にとっても、夜空は実の姉だよ」
「いや、それで愛してるって……」
「何か問題があるか?血のつながり?はっ、そんなの枷にすらならねえな」
 堂々と言ってのける夕陽に、朝陽は奇妙なものを見る視線を向ける。
 その視線をものともせず、夕陽は続ける。
「俺は夜空を愛しているし、夜空は俺と一つになる運命なんだよ。血の繋がりとか倫理だとか、知った事かよ」
 トチ狂っているとしか思えない、と朝陽は思う。
 記憶を失っている朝陽はともかく、これまで十何年一緒に過ごしてきたはずの夕陽が、夜空に恋慕の情を抱くとは。
 全く、常軌を逸しているとしか思えなかった。
 それにその自信はどこから来るのか。朝陽の見る限り、夜空が夕陽を思っている可能性は万に一つもない様に思えた。
 むしろ嫌われているか、歯牙にもかけられていないかのどちらかではないだろうか。
「アホだろ、お前……」
 朝陽は、それら諸々の感情をこめて呟く。
「言ってろ。そうやって上から物を言えるのも今のうちだけだからな」
 そう言い残して夕陽は足を速めた。
 朝陽はその背中を目で追いながら、
「やっぱり嫉妬、か?」
 朝陽と夕陽とでは夜空の対応が全く違っている。
 夜空が何を考えているのかは朝陽には知る由もないが、どちらも彼女にとっては弟であるのに、それこそ如実にその差は表れている。
 夜空から可愛がられている朝陽に対して、夕陽は面白く思っていないのだろう。
 ふう、と朝陽は一つ息をついて、空を仰いだ。
 視界には桜の花と突き抜けるような空がある。
 美しい景色。
 それがはたして朝陽の門出を祝しているのか、それとも。
271翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:31:42 ID:vLX1Uc3s
 #3−2
 入学式は特筆すべきこともなく、つつがなく終わった。
 朝陽は夕陽のスピーチを失敗すれば面白いのに、などと思いながら聞いていたのだが、夕陽は堂々とした風でスピーチを終えた。
 その姿が妙に堂に入っていて、おそらくこのような場に慣れているのだろうと思わせた。
 全体的に退屈な入学式であったが、夜空が上級生代表として壇上に登った時は、朝陽も目を丸くした。
 どうやら夜空は、学院の生徒会長を務めているようだ。
 彼女も夕陽と同様、堂々と、そして凛として音吐朗々と挨拶を述べていた。
 その姿からは、普段朝陽と接している夜空の様をかけらも見いだせず、朝陽には全くの別人に見えたほどである。
 何と言えばいいのか、そう、二人とも自分を相手に如何によく見せるか、その術を体得していた。
 そのあたりは矢張り、御鏡家、古くより栄えてきた名家の令嬢子息というべきか。
 二人の姿に朝陽は、すべてを失くした偽物の自分との違いをまざまざと見せつけられたような気がした。
 入学式の後は自分たちがこれから一年間を過ごすことになる教室に向かう。
 当然というべきか、クラスメイトの中に朝陽の知る人物はいない。
 それぞれ知り合い同士が固まって会話に花を咲かせる中、朝陽はひとり、ポツンと座っている。
 やがて担任となる教師が教室へ入ってくると、皆各々の席へ戻る。
 それを確認した担任教師は軽い自己紹介の後、生徒へと自己紹介をするようにと告げた。
 その言葉に従って、クラスメイト達は一人ずつ出身中学校や趣味などを述べていく。
 中には笑いを取りに走り盛大に滑るものもいて、この辺りはいかに名門校といえども普通の学校と変わらないと言えるのかもしれない。
 朝陽のひとつ前の順番まで来て、朝陽は自分の出身中学を知らないことに気付いた。
 朝陽はどう説明しようか悩むが、それは結果として杞憂と終わる。
 朝陽の順番が回ってくると担任が、
「あー、次の御鏡君だが、皆も知っている通り、不幸な事故に遭い記憶を失ってしまっている」
 という前置きの後に、朝陽の出身中学校を告げた。
 教室は色めき立ち、クラスメイト達は朝陽をちらちらと見ながら、なにやら近くの席の者同士ひそひそと言い合っている。
 そんな好奇の視線に晒されながら朝陽は立ち上がり、
「えっと、まあ、そういうことで分かんないことだらけなんで、色々教えてもらえると助かります。これから一年間、よろしくお願いします」
 順番が回ってくるまで何か面白いことを言ってクラスをドッカンドッカンわかせようかと考えていた朝陽だったが、ネタが思い浮かばず、結局無難なものに落ち着いた。
 そのことを残念に思いながら、椅子に座り、はあ、と小さく息を吐いた。
 その後も自己紹介はすすむが、クラスメイト達の関心は朝陽に向けられたままである。
 その様子を見て、色々と噂が飛びかっているんだろうか、と朝陽は若干の不安に駆られた。
 朝陽自身、自分がどのような経緯で1年も眠りこけ、挙句記憶を失ってしまったのか理解していない。
 真実は闇の中、しかも朝陽は全国でも有名な企業家のお坊ちゃんである。周囲の関心は高く、それに比例して根も葉もない噂が流れている可能性は否定できない。
 この環境の中、朝陽は一から、いやゼロから円滑な人間関係というものを築いていかなければならない。
 前途多難な船出に朝陽は再びため息をつきそうになり、寸でのところで堪えた。
 ため息をつくと幸せが逃げる。そんな言葉を信じているわけではないが、気分が沈んでしまうことは事実である。
 クサクサしていても何も始まらない、きっと、何とかなるだろう。
 朝陽は依然向けられる視線を受け止めながら、半ば口癖と化している言葉を心の中で呟いた。
 
 夜空が朝言っていた通り、その後は担任による伝達事項があり、すぐに放課となった。
 学院生初日の下校をどう楽しむか、各々が話し合いをしている中、朝陽はスクールバッグに配られたプリント類を詰めながら、これからの計画を練っていた。
 まずは昼食。朝、車の中から見た感じでは、学院周辺にはかなり商店が立ち並んでいた。コンビニもあったし、最悪、食いっぱぐれるという事態はないだろう。
 それよりも昼食の後、である。
 学院から駅までの道のりは基本的に一本道で、事前に把握はしていたが、実際に歩いたことはなく、ルートを外れてしまうと迷ってしまいかねない。
 今後のためにも探検しておきたい朝陽であるが、まずは正規のルートになれる方が先決であろうと思いなおす。
 つまり、ここから駅までのルートを外れることなく昼食を摂らないといけない。
272翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:32:11 ID:vLX1Uc3s
 ちなみに朝陽の中に自宅で食べるという選択肢はない。
 すでに空腹である、というのも大きな理由であるが、あの家での食事に気が進まないのも事実であった。
 それに、昨夜から考えていた自炊のためにレシピ本やある程度の調味料や雑貨なども買っておきたい朝陽である。
 自宅周辺には小さなスーパーしかなく、そこで目当てのものをそろえるには少々心もとない。
 書店や雑貨屋が駅までの道のりにあるかどうかは分からないが、とにかく歩いてみるしかない。
 バッグにすべてを詰め込み、立ち上がろうとした朝陽の肩が後ろからポンポンと叩かれた。
 朝陽が振り向くと、男子生徒がにかっと笑った。
 夕陽のような美少年ではないが、笑顔が印象的な少年。まだ春先だというのに、若干の日焼けが見て取れるのは体質か、常に陽の下にいるからか。
 朝陽が戸惑いの表情を浮かべると、少年は、
「あー、もしかして自己紹介聞いてなかった?俺は小野淳平、よろしくな、朝陽」
 差し出された手を、朝陽は戸惑いながらも握り返した。
 その手はごつごつして、マメのようなものができている。何らかの運動をしているのは事実のようだ。
「って、そうかいきなり下の名前で呼ぶのはなれなれしすぎたか。でも一応御鏡とは、同じ中学出身でさ」
 クラスも違って、あまり親しいわけじゃなかったけどな、と小野は苦笑した。
 そこに来てようやく朝陽も戸惑いの色を消した。
「いや、同じ学年に弟がいるから、朝陽でいいよ。色々とややこしいだろうし」
「あーそうだったな。あいつがいたか」
「あいつ?」
「あ、悪い、気を悪くしたか?でも、俺あいつ苦手なんだよな。だって、ずるいだろ?イケメンで頭もよくて、運動もできてって。完璧すぎて話しかけ辛いんだよ」
 それなら双子である自分にはどうして話しかけたのか、理由を聞いてみたい気にもなった朝陽だが、愛想笑いを浮かべるにとどめた。
 無闇に藪をつつくのは、朝陽の趣味ではない。
 せっかくの友人候補である、ここでの対応は大切にしたい。
「わかるよ。兄である俺でも、そう思うからな」
 そう言うと、おや、という表情を小野は浮かべた。
 どうした、と朝陽が尋ねると、
「いや、何か中学の時と印象が違うなー、と思ってさ。いや、中学の時も接したことがないから勝手なイメージだけど、もうちょっと大人しい奴かと思ってたんだよ」
 なるほど、と朝陽は思う。
 昨日も夕陽から以前とは印象が変わったというような趣旨の言葉を言われた。
 どうやら以前の朝陽は、今の朝陽と違い消極的であったようだ。
 小野は理由を述べた後に、朝陽の記憶喪失云々に思い当ったらしく、しまったという顔をした。
 朝陽は、気まずい空気が流れそうになるのを感じ、
「ま、高校デビューってやつだよ」
 と軽い調子で、髪をかき上げる仕草、小野も朝陽の意図を察したのか、
「何だよそれ、今時流行んねー。っていうか、地味すぎるし。どうせなら金髪にするくらいしないとな」
 と茶化すように笑った。
 その小野の対応に、朝陽は、こいつとならいい友人になれるかもしれない、と嬉しくなるのだった。
 
 野球部の見学のため、学内で時間を潰すという小野と教室で別れ、朝陽は一人校舎を出た。
 友人と一緒に寄り道という、如何にも青春な初体験を果たせなかった事は残念ではあるが、中々幸先のいいスタートをきれた事に朝陽は満足していた。
 ホクホク顔で駅までの道のりをなぞりながら、何処か昼食のとれるような場所を探す。
 喫茶店や定食屋、ファミレス等を幾つか見つける事が出来たが、朝陽の意識は大手ファストフード店に引き寄せられた。
 格安でハンバーガーを販売しているその店に、引き寄せられるように歩いていく。
 朝陽は、入院していた頃にその店のテレビCMを何度も目にしており、退院したら行ってみたいと思っていたのだった。
273翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:33:34 ID:vLX1Uc3s
 朝陽が店内に入ると、いらっしゃいませ、という溌剌な声と笑顔に迎えられた。
 朝陽は気圧される様に会釈を返しつつ、カウンターへと向かい注文を済ませた。
 ハンバーガー一つとシェイクを頼むと、テイクアウトか店内で食べるのかを尋ねられた。
 朝陽が店内をざっと窺うと、満席状態で座れるような場所はない。この時間帯である、仕方がないだろう。
 取りあえず待つのは面倒だったので、テイクアウトにして直ぐに出てきた注文の品をもって朝陽は店を出た。
 何処か座れる所を探しながら歩く。最悪、駅の構内ならば座る場所の一つや二つあるだろう。
 朝陽はそう思っていたのだが、幸運にもすぐ傍に公園を見つける事が出来た。
 都市緑化という事なのだろうか、やたらと木が植えられた公園。その端の方に設置されているベンチへと座る。
 木漏れ日が春風に合わせてゆらゆらと揺れる。
 朝陽は、わくわくしながらハンバーガーを取り出し、一口ぱくり。
 んー?と首を傾げた。期待が大きすぎたせいもあるのか、感想は、こんなもんか、といったところ。
 次はシェイクに手をつけた。
 バニラの甘さが程良く、冷たい喉越しが心地よい。こっちは朝陽のお気に入りになりそうだった。
 全てを食べ終えた朝陽は、電車の時刻表を取り出し、これからの計画を立てることにする。
 電車の時間は一時間に2本程度はあるので、余り気にする必要はないようだ。
 ここに来るまでに一つ本屋を見つけていて、そこに行こうかと立ち上がりかけた朝陽の耳が何かの音を拾った。
 何かの鳴き声のような音。それは木が多く植えられた林の様な場所から聞こえた。
 朝陽が近づいていくと、その音の正体がはっきりとした。
 猫である。小さな猫が箱に入れられて、か細い鳴き声を漏らしていた。
 真っ白な体の猫。ペットに詳しくない朝陽は、当然その猫がどういう種類なのかは分からない。
 朝陽が近づくと更に声をあげる。餌をねだっているのかもしれない。
 朝陽は箱の前に屈み、何やら思案顔で猫を見つめる。
 やがて考えがまとまったのか、徐に立ち上がると猫の傍を離れ、公園を出た。
 行き先は当初の予定通り、本屋。店内に入ると、朝陽はペットの飼い方などの本が置いてある場所を探し、一冊の本を手に取った。
 そしてもう一冊、料理のレシピ本も適当に一冊選び、レジにて清算を済ませた。
 猫の飼い方について書いてある本によると、普通のミルクは子猫には好ましくないらしく、朝陽はペットショップを探して辺りをうろつく。
 運よく十分ほどで目当ての店を見つけ、そこで猫を飼うために必要な物をそろえ、再び公園へと戻った。
 猫のもとに駆け付けた朝陽は、哺乳瓶にミルクを入れ猫の前に差し出した。
「ほら、飲め飲め」
 猫は暫し哺乳瓶をじっと見つめるだけであったが、目の前で小さく揺らしてやるとおずおずと手を伸ばし、哺乳瓶に口をつけた。
「おー」
 朝陽は思わず感嘆の声を漏らした。
 小さな猫が一生懸命になって哺乳瓶を吸う姿は、感動的に見えた。
「美味しいか?」
 朝陽は問いかけながら、子猫の頭を撫でた。
 少々うざったそうにしながら、子猫はそれでも哺乳瓶を離さない。
 それだけお腹がすいていたのだろう。
 一体誰がこの猫を捨てたのだろう。こんなに可愛くて、力強い命を。
 ある程度満足したのか、子猫は哺乳瓶から口を離し、朝陽をじっと見上げてくる。
 朝陽もその目を覗きこむように見下ろした。
「お前も、居場所がないんだな」
 そ、と朝陽は子猫を抱きあげた。
 訴える術も、生きる術も持たない子猫は、ただ流されるまま、緩やかに死を待つばかりなのだろうか。
「――お前、ウチに来るか?」
 同情、という面も否めない。というより、7割方同情である。
 けれど、このまま放置しておくことなんて朝陽には出来なかった。情が移ってしまった、という事なのだろう。
「まあ、俺も居場所がある訳じゃないけどな」
 朝陽は猫に語りかける様に呟き、苦笑した。
 夜空は朝陽に良くしてくれるが、それでも朝陽は居心地の悪さを感じていた。
 どうしても、夜空も以前の朝陽が戻ってきてくれるのを望んでいるのではないか、今の朝陽が消え去る事を待っているのではないかと邪推してしまうのだった。
 卑屈な考えだと言う事は、朝陽も分かっている。
 まるで、世界中で自分が一番不幸だと信じて疑わない人間みたいだ、と朝陽は思う。
 思うが、しかし、この事ばかりは、如何に楽観的を自負する朝陽といえど自制する事が出来なかった。
274翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:34:43 ID:vLX1Uc3s
「あー、俺、何こんな所で、一人で鬱に入ってるんだ……」
 今の自分を傍から見れば、さぞかし痛い奴に見える事だろう。
「帰るか……」
 本当はもっと色々と町中を回ってみたかったが、気付くと結構いい時間になっていた。
 電車の中に猫を堂々と連れて行くのはさすがにどうかと思い、スクールバッグの中にタオルを敷いて、その上に猫を下ろした。
「頼むから、少しの間静かにしててくれよー」
 きょとんとした顔で朝陽を見上げてくる子猫。
 電車に乗っている時間は30分程で、その間に窒息したりする事はないだろうが、一応、若干チャックを開けたままにしておく。
 そして極力バッグを揺らさないように注意を払いながら、朝陽は、ゆっくりと駅へ向かい歩き始めた。

 #3−3
 家に帰りついた朝陽は、始めに子猫が過ごすスペースを作る事にした。
 作る、といっても使用人に段ボールを貰い、その中にタオルやトイレ用の砂を入れたトレイを入れるくらいの簡単なものだ。
 あっという間に準備を済ませた朝陽は、子猫と戯れる。
 そこでふと、ある重大な事に気付いた。まだ名前を付けていない。
 朝陽は猫を抱きあげて、下から覗きこんだ。
 ……ついていない。雌である。
 朝陽のされるがままの猫だが、そのくりっとした目に咎められているように見えて、
「悪い悪い、レディに失礼だったなー?」
 朝陽は優しく猫を下ろしてやり、そっと体を撫でる。
 猫は心地よさそうに目を細め、にゃーと鳴き声を上げた。
 その様子に朝陽も嬉しくなりながら、猫の名前を考える。
 女の子の名前を思い浮かべて、朝陽は直ぐに一つの名前に行きついた。
「ヒカリ!ヒカリにしよう!」
 なーと猫が鳴く。
 まるでヒカリという名に応えてくれた様に感じて、朝陽はうんと頷いた。
「気に入ったか?よし、今日からお前は、ヒカリに決定だ」
 朝陽はヒカリを最後にひと撫でして、段ボールハウスの中に戻してやる。
 その中に一つボールを入れてやると、ヒカリはボールと戯れ始めた。
 その姿を朝陽はニコニコしながら眺めていたが、はたとある事に気づいて今日購入したばかりのレシピ本を手に取った。
 今日は食材はおろか、調理器具すら整っていないので料理は出来ないが、何が必要なのか本を眺めるだけでも十分だろう。
 朝陽は流し読みしながら、ペラペラとページをめくっていく。
 暫く真剣な表情の朝陽だったが、次第に顔が曇っていき、最後まで見終わると、ぽいと本をベッドの上に放り投げた。
「あー、なんかかなり面倒くさそうだな……」
 朝陽は床に大の字になって、天井を見上げたまま呟く。
 食べられるようなご飯くらいなら簡単に作れるだろう、と朝陽は軽く考えていたのだが、本を見た限りそうは問屋がおろさないらしい。
 一から調理器具や調味料をそろえるとなるとかなりの出費になるし、毎回毎回食材を買うとなると、今渡されている小遣いでは心もとなくなってくる。
 こうなると、ヒカリを飼うための道具による出費がかなり痛くなってくる。勿論、朝陽はそのことを後悔していないけれど。
 見通しが甘かったと言わざるを得ない。
 それに、もともと自炊しようと思った切欠は、食事の場で夕陽や智と顔を合わせる事が嫌だと言う理由だけだということも朝陽の熱を冷ますのに拍車をかけている。
 それさえ我慢すれば、準備や後片付けの面倒もなく、美味しい食事が食べられるという、まさに至れり尽くせりといったところなのである。
275翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:36:28 ID:vLX1Uc3s
「どーすっかなあ……」
 そう言葉にはするものの、既にほぼ答えは出ていると言ってもよい。
 一度冷めてしまった熱は、もう戻る事はない。朝陽は自炊する気力を完全に失ってしまった。
 朝陽はずりずりと床を這って、段ボールハウスを上から覗きこんだ。
 ヒカリはボール遊びに疲れたのか、体を丸めて眠っている。
「なあ、どうすりゃいいと思う?」
 朝陽の言葉は、一体何を指してのものなのか。
 当然、ヒカリからの返答はない。
 しかし元からそんな事期待していない朝陽は、ヒカリをただじっと見つめる。
 壊れてしまいそうな小さな体。これ程小さいのに、きっとそれなりに、壮絶な過去があるのだろう。
 けれどきっとヒカリはそれを忘れて、或いは深く考える事なく生きている。
 それは幸運なことなのだろうか。ヒカリは失った過去を惜しむ事はないのだろうか。
 ただ流されるだけの、抗う術を待たない己の無力を呪う事はないのだろうか。
 朝陽は取り留めもない事を何の脈略もなく考えている自分に気付き、苦笑した。
 さっきから思考が変な方向に飛んでいる。もしかしたら、初めての学校生活などで精神的に疲れているのかもしれない。
「一緒に、頑張って生きて行こうな」
 何の疑心もなく、ヒカリだけは自分を裏切ったりしないと朝陽は信じる事が出来た。
 それは、相手が人間ではなく猫だからという事もあるが、それ以上に何か、そう信じさせるものがあった。
 ヒカリを見つめる朝陽の表情は、慈愛に満ちていて。
 満たされた気持ちに気をとられている朝陽は、先程から都度都度胸に去来する微かな痛みに、気付かない。

「―――」
 夜空は扉を開け、手をドアノブにかけたまま、硬直していた。
 視線の先には、朝陽がダンボールの中を見つめる姿がある。
 ダンボールの中には何故か猫がいて、その事についても夜空は戸惑ったが、問題は朝陽の表情であった。
 慈愛と優しさに溢れた表情。それは何かを愛おしむ表情だ。
 そんな満ち足りた朝陽の表情を、夜空は見た事がなかった。
 否、見た事がない、というと語弊があるかもしれない。
 朝陽が記憶を失う以前ならば、この類の表情をした朝陽を何度か見た事があった。
 人格を失い、今の朝陽になってからは、という言葉が正しい表記であろう。
 そして今の朝陽も、愛しいものを見る表情で、それは矢張り夜空には向けられていない。
「あ――」
 朝陽。そう呼ぼうとして、夜空は一度躊躇した。
 それは、朝陽との時間を一秒も無駄にしたくないと考える彼女にとって、珍しい事であった。
 ぶるり、と夜空は体を小さく震わせた。
 予感。そんな形をもたない不確かなものが、彼女を恐怖させた。
 声になれなかった細い息を吐き出して、もう一度息を吸った。
「朝陽」
 漸く言葉にした呼びかけも、朝陽には届かなかったのか、彼は微動だにしない。
 視線は変わらず、小さな猫を愛でている。
 夜空の存在に気付く事なく、それはまるで、あの時の――
「――朝陽!!」
276翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:37:01 ID:vLX1Uc3s
 一瞬浮かびかけた考えと、誰かの顔を頭の中から掻き消すかのように、夜空は声を荒げた。
 さすがに今度は朝陽も気付き、びくりと体を跳ねさせて、夜空の方を見た。
「……姉さん?」
 困惑した声をあげる朝陽であるが、夜空は自分の声に朝陽が気付いた事を安堵した。
 夜空は普段よりも不出来な笑みを浮かべて、
「ただいま」
「え、あ、ああ、おかえり……」
 その笑みが朝陽には何故か恐ろしいもののようにみえ、朝陽は更に戸惑いの色を濃くした。
 不機嫌なのだろうか、朝陽は心の中で呟いた。
「それ、何?」
 夜空は顎で猫を指して問う。
「何って、猫、だけど」
「そうじゃなくて。何で、猫が朝陽の部屋にいるの?」
「あ、ああ、実はさ駅近くの公園に捨てられててさ、拾って来たんだ」
「拾って?」
 そう、と頷きながら、朝陽は猫をその腕に抱いて見せた。
 眠っていた猫は目を覚まし、朝陽の方を見上げて、にゃあ、と小さく不満げに鳴いた。
 ごめんなー、と朝陽は謝りながら、猫の体を軽くゆする。
「ほら、こんなに小さくて可愛いのに、そのままにしておくわけにはいかなくてさ。それで、ここまで連れてきたんだ」
 説明する朝陽の声には、善い事をした満足感からくる誇らしげな声色が混じっていた。
 それは、朝陽は意識していないが、まるで自分の善行を褒めて貰いたくて親に自慢する子供の様で。
 そう、偉いわね、と夜空は流されるように呟いた。
 朝陽も満更ではないといった様子で、照れくさそうに笑った。
「ほら、ヒカリ、あの人が俺の姉さんだぞー」
 朝陽は腕を小さく揺らしながら、子猫に語りかける。
 朝陽の言葉に、え、と夜空は声を漏らした。
「今、何て言った?」
「へ?」
「その猫の名前、何?」
 尋ねる夜空から、何か鬼気迫る迫力の様なものを感じ、朝陽は怯えながら、
「ヒカリ、だけど……」
「――ヒカリ」
 呆然と鸚鵡返しに呟いて、夜空は朝陽の元へ歩み寄った。
 ごっそりと表情が抜け落ちたまま近づいてくる夜空に、朝陽は思わず後ろに一歩下がろうとして、けれど床に足が張り付いたかのように動けない。
 ゆるゆると夜空が、朝陽の腕に抱かれたヒカリへと手を伸ばす。
 その腕をじっと見つめていたヒカリだが、突然夜空の手を引っ掻いた。
「おっ、おい」
 突然の事に朝陽はワンテンポ遅れて、夜空から一歩分、距離をとった。
 朝陽に対しては最初の方こそ警戒していたが、それ以降は直ぐになついたヒカリの行動に朝陽は目を丸くした
277翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:37:22 ID:vLX1Uc3s
「こら、ダメだろ人を引っ掻いちゃ。……だ、大丈夫?姉さん」
 夜空は引っ掻かれた手を抑えて、ええ、と頷いた。
 ふー、とヒカリは依然夜空を威嚇している。
 その行動に朝陽は戸惑うばかりである。
 もしかしてヒカリは人嫌いの傾向にあるのだろうか、と疑うが、自分には直ぐにな懐いたことから、朝陽はヒカリの突飛な行動に首を傾げる。
 夜空は無表情のまますっと目を細め、ヒカリの視線を受け止めている。
 朝陽には、夜空が果して怒っているのか窺う事が出来ない。
 そのまま数秒の時が流れ、
「そう、また、邪魔をするの」
 やがて夜空がぽつりと呟いた。
「え?」
 上手く聞き取れず、聞き返す朝陽に夜空は、何でもないわ、と首を振った。
「それよりも、その子の名前の由来は何?」
「由来?んー」
 夜空に問われ、朝陽は思案するもハッキリとした答えは出てこない。
「……何となく、かな」
 そう、正に何となくであった。
 名前を考えるときに、一番初めに浮かんできた名前がそれで、別の言葉にするならば、ピンと来た、というべきだろうか。
 しかしよく考えてみると、ヒカリという名前を猫に付けるのは珍しいのかもしれない。
 何でだろう、と朝陽も改めて首をひねった。
「もっといい名前があるんじゃない?タマとかシロとか、ヨゾラとか」
「ヨゾラって、姉さんの名前じゃないか……。でも、うーん、やっぱりヒカリが一番いいよ。コイツも気に入ってるみたいだし、今さら変えられないって」
「そう……」
「それよりお腹減った。もう夕飯出来てるかな?」
「え、ええ。多分、もうそろそろじゃないかな」
 既に窓の外はどっぷりと暗くなっていた。
 朝陽は抱いていたヒカリをダンボールに下ろす。
 ヒカリの視線は今も夜空に向けられたまま、まるで招かれざる侵入者を咎めているかのようである。
 睨み返している夜空を、その奇妙な緊張感を打破しようと朝陽は、
「ほら、早く行こう、姉さん」
 そう急かし、夜空の背中を押しながら、廊下に出た。
 食堂に向かうまでの間、夜空は何か考え込むようにして、朝陽も声をかけられず、二人無言のまま。
278翼をください 3  ◆.MTsbg/HDo :2011/01/28(金) 22:38:00 ID:vLX1Uc3s
以上です
しつれいしました
279名無しさん@ピンキー:2011/01/28(金) 23:30:52 ID:y9jx9vbt
みんなキャラ立ってて面白いね
夕陽もいい感じ
グッジョブ
280名無しさん@ピンキー:2011/01/28(金) 23:36:54 ID:v5xCpmPS
GJ
朝陽の中学時代が気になるな
夕陽はどんな嫌がらせしてくるか
281名無しさん@ピンキー:2011/01/28(金) 23:56:26 ID:CVnO6qjS
gj!
282 ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 00:32:23 ID:lvpi+VMi
>>278
乙&GJです。

ちょっと聞きたいのですが、前の投下からどれぐらい間を空けたら次投下していいのでしょうか?
スレによって違うみたいで……数時間?半日?一日?
283名無しさん@ピンキー:2011/01/29(土) 02:24:45 ID:be5nICtL
投下後にレスがまだ無い作品の後の場合
それなりに時間は開けるべきだが、既に三レスぐらい感想が付いている作品の後の場合一時間後でも良いと想う。
284 ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 20:54:38 ID:lvpi+VMi
>>283
ありがとうございます。
それじゃ次からそんな感じで間をあけます。

狂もうとの続き投下します。
20レスと書きましたが、今回は10レスほど。
285狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 20:55:48 ID:lvpi+VMi

――俺には一卵性の双子になる妹が存在する。

勉学やスポーツは優秀で、周りの人間に期待され産まれてきた主人公のような妹だ。
普通一卵性というものは少なからず性格が似るそうなのだが、俺は似てるとは思わない。
周りから顔が似ていると言われる事は多々あったのだが…それも俺にはピンとこなかった。

別に零菜に対して嫌悪感を抱いている訳では無い…しっかりとした妹をもって兄として誇らしい。
嫌悪感を感じているのは零菜にでは無く自分自身。
零菜と違って何をするにも行動力がなく、勉学も中の中と平凡な才能しか見いだせなかった。
別に俺はそれでも構わなかったのだ…。
俺と零菜は別々の身体を持った人間。

しかし、周りの目はそれを許さなかった。
ある日、親戚の集まりで零菜の話がでた時、一人の酔った親戚が口にした言葉で俺の何かが砕けた。

――零菜ちゃんは良く育ったのに優哉はダメだったな。

酔っぱらいの戯言………そう、酔っぱらいの戯言に気づかされたのだ。
その戯言に対して零菜が放った言葉…。

――私は普通に生活しているだけです。

零菜の“普通”が俺の“越えられない壁”なのだと思い知らされた…。
286狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 20:58:38 ID:lvpi+VMi
だから俺は高校卒業後、すぐに家を出た。
零菜の傍に居ると俺があまりにも惨めだから…。
家を出る時、零菜から「一人暮らしをして何をするの?」と言われたが、それに対してちゃんとした答えを導き出せなかった。
何故ならただ零菜から離れたかったからだ…。
黙る俺に向かって零菜が「逃げるだけなら楽なものね」と背中越しに呟き、自分の部屋へと姿を消したのだが、零菜が部屋へ入るまで、言い返す事もその場から動く事もできず、ただ「あいつの事を妹と思うのはもうやめよう……絶対に邪魔になるだけだ」
そうひねくれた考えを頭の中で浮かべることしかできなかった。
実際アイツは間違いなく俺を兄として見ていないはず……さっき俺に向かって言った「半身である兄」と言うのも嫌味なのだろう。

それほど俺を毛嫌いしている零菜が、何故か俺の家で……目の前で微笑みながら紅茶の入ったコップに口をつけている。
いろいろな疑問が頭に浮かんだが、真っ先に頭に浮かんだ疑問を零菜に聞いてみた。

「なぁ…なんで俺達の家を知ってるんだ?」
この家は親戚はおろか家族にすら教えていないのだ。
何故教えていないかと言うと、ちゃんと自立するまで親類とは距離を取りたかったから。
287狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 21:01:19 ID:lvpi+VMi
実際は由奈の存在でメチャクチャになってしまっているのだが…。
しかし、由奈に大きなかりがあるので強く出ることも儘ならない…一人暮らしを始めた頃、洗濯やら夕食やら学生の由奈にすべて任せっきりだったのだ。
自分の事で精一杯だったとはいえ、学校帰りに一時間かけて俺の家に来て、二時間かけて実家に帰るのは大変だっただろう…。
しかし、そんな負い目を省いても由奈は可愛らしい妹だと俺は思っている。
少し?無茶をする所があるけど、由奈が結婚するまでは俺が守ってやりたい。
まずは彼氏を作ってもらうと有難いのだが…。

「ちょっと……何よその目?」
俺の視線に気がついたのか、由奈が此方へ視線を向けてきた。
ジトーっとした目付きで軽く睨んでいる。

「ふふ……優哉は貴女の男事情が気になるそうよ?」
零菜が飲み干した紅茶のカップをテーブルにゆっくりと置いた。

「お兄ちゃん………どういう事よ?」
今度は目力を強めて此方を睨み付けてきた。

「いや…べつy「由奈に早く彼氏作って結婚してほしい…そんな所かしら?」
零菜は自分自身の考えを口に出すように俺の考えている事を軽く話した。
288狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 21:02:07 ID:lvpi+VMi
何故だろうか?俺は零菜の考えてる事なんて想像すらできないのに、零菜は俺の頭を透かして見てるんじゃないかってぐらい俺の考えを読むのが上手い。
これも才能の一種なのだろうか?
だとしたら嫌な才能だが…。

「私は自分が必要と思ったモノしか執着しません。零菜さんこそ早く結婚すれば?てゆうかお兄ちゃんの考えを読むのやめてもらえませんか?」
テーブル下で由奈が俺の膝へと手を乗せると、突然爪を立てて強く食い込ませてきた。

左太ももに潰されるような痛みが走り、眉を潜め由奈に視線を流した。
無表情…に見えるが零菜には聞こえない音量で小さな歯をギリギリと擦り合わせる音が聴こえてくる。
目も少し虚ろで何処を見ているか分からない……まさか零菜が見ている前で変な行動に出る事は無いと思うのだが…。

「私は仕事上難しいのよ。まぁ、結婚できる機会があればするけどね…それと、別に優哉の考えを読んでる訳ではないのよ?……ただ」
由奈から目を反らし吸い込まれるような真っ黒な瞳を此方へ向けてきた。
本当に何を考えているか分からない…。



「ただ、考えてる事がたまに一緒なの……たまにだけど…ね」
289狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 21:05:27 ID:lvpi+VMi
小さな笑みを浮かべると、椅子から中腰で立ち上がり、俺の唇に人差し指をピトッとつけてきた。
零菜の意味の分からない行動に固まっていると、ふと足の痛みが薄れている事に気がついた。
いつの間にか由奈の手が、太ももから消えている…。

「ちょっと……お兄ちゃんにあまりベタベタしないでもらえますか、零菜さん?」
足に食い込んでいた由奈の手は零菜の手首をしっかりと掴んでいた。
由奈も笑顔で…ギリギリの笑顔で零菜の手を掴むと、俺の口についていた零菜の指を遠ざけた。
沈黙と共に険悪な雰囲気がリビングを包み込む。
何が起きているのか今一分からないが、ここは早く話を戻したほうがよさそうだ。

「由奈もういいから……それで?なぜ家を?」
由奈の手を零菜の手首から引き剥がし、再度零菜に問いかけた。

「家は貴方の仕事場の社長さんと少し繋がりがあるから社長さんに聞いたのよ。それと此処に来た理由…それは優哉が仕事を辞めてしまったと聞いてね……叔父様が優哉に仕事を紹介して下さるそうよ」

「はぁ!?なんで仕事辞めたの知ってるんだよ!」
驚きの声と共に机を強く叩き立ち上がる。
290狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 21:06:34 ID:lvpi+VMi
仕事を辞めた事は大学時代から続いてる友達と隣にいる由奈しか知らないはず。
それに叔父だって?
また親戚に零菜と比べられるのは真っ平ごめんだ。

「さっきも言ったけど、社長さんと知り合いだから聞いたの」

「気持ちはありがたいけど、仕事は自分で探すよ。叔父さんにも丁重に断っといてくれないか?」
わざわざ実家を出てまで離れたのに、戻る訳が無い。
零菜もそれは分かっているはずだ……ただ、頼まれたから来ただけだろう。
やはり零菜も俺の返答を予測できたようで、顔色一つ変えず「そう」とだけ呟き携帯を鞄から取り出すと、何も言わずどこかへ電話をかけた。


「………もしもし?叔父様?私です、零菜です」
零菜が発した言葉に胸が大きく脈打った。

「おまっ」
椅子から立ち上がり慌てて零菜に詰め寄る。
別に零菜に対してなにかしようとかそんなこと考えていなかったが、勝手に身体が動いてしまった。

「えぇ……はい……申し訳ありません……はい、それでは」
此方へ一切視線を向ける事なく電話を終えると、何も言わずに立ち上がり玄関へと歩いていった。
それを慌てて追いかける。




「これ…私の電話番号よ」
291狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 21:11:05 ID:lvpi+VMi
玄関で靴を履いている零菜の後ろに立つと、ブランド鞄から小さな紙切れを取り出し、目先に差し出された。
それを手に取り、書いてる数列に視線を落とす。
手渡された時、零菜の細い指が中指の先に触れ、何故かドキッとしてしまった。
それを見た零菜は表情を変える事なく玄関扉のほうへと歩いていく。

「もし…優哉が本当に自立する気があるなら電話してきなさい。
貴方が由奈にもたれ掛かってる間は、由奈も自立できないのよ?いい大人なんだから自覚して行動しなさい。」
此方へ振り返り、しっかりと俺の目を見据え言いたいことを言い終えると「またね」と呟き黒い髪をなびかせ風のように家を出ていった。

「なんなんだ、アイツは…」
微かに残る甘い香水の匂い…昔から零菜が好む香水の匂いだ。
その甘い匂いが零菜の存在を強くこの家に残している。

「俺だって分かってるんだよ…俺だって…」
このままじゃダメな事ぐらい…。





「……何が分かってるの?」
突然後ろから聞こえた声に勢いよく振り返る。
勿論この家に居るのは俺と由奈の二人だけなのだから由奈だろう……だけど、由奈の声とは思えなかったのだ。

そう“普段の由奈”の声とは――。
292狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 21:12:39 ID:lvpi+VMi
「ゆッぐむぅ!?」
片手で口を塞がれると、先ほど零菜が出ていったばかりの扉へ背中から叩きつけられた。
ガラスが割れそうなほどの衝撃だったので身体より扉を心配したぐらいだ。
背中を強打した痛みで咳き込みたかったのだが、由奈の手が口を塞ぎ、息を吸う事すら儘ならない。

「あの人、おかしくない?私達は仲良く暮らしてるだけでお互いの為にならないみたいな?ねぇ?おかしいでしょ?」
ギリギリと頬に食い込む由奈のツメが痛くて両手で引き剥がそうとする。
が、それを察した由奈のもう片方の腕が背中に回り込むと、小さく舌打ちをした後、勢いよく引っ張られた。
由奈と正面から密着する形になり、上手く手が動かせなくなってしまった。

「私が仕事してお兄ちゃんが家で待てば、お互いの為になってるじゃない!お兄ちゃんもなんで言い返さないの?!」

「ぐっッ、ぷはぁっ!」
なんとか口から手を押し退け、息を大きく吸う。
背中に回っていた手を振りほどき由奈を軽く突き飛ばすと、きゃっと小さな悲鳴をあげた後、段差に躓きその場に座り込んでしまった。

「はぁっはぁ、はぁ…はぁ……由奈、大丈夫か?」
なんとか息を調え、座り込んだ由奈に手を差し出す。
293狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 21:14:22 ID:lvpi+VMi
軽く突き放した程度なので怪我は無いと思うのだが、由奈は下を向いたまま微動だにしない…。
どこか怪我したのかと、自分も膝座りになり由奈の顔を覗き込んだ。



「なに……今、私を突き飛ばしたの?それとも偶然手が当たっただけ?ねぇ」
鬱陶しそうに此方を睨み付け俺の手を掴まず自力で立ち上がると、俺の頭上から手を伸ばし、玄関の扉に鍵を掛けた。
頭の後ろでガチャッと鳴った鍵の音に、やっと我に返ったのは俺のほうだった――。

普通の由奈じゃない由奈がいる…。


「ほら、買い物行くんだろ?早く行かないと雨も強まるかも知れないし」
今、家の中に居ると何をされるか分からない。
焦る気持ちを表に出さず、由奈が閉めた玄関の鍵を素早く外しドアを開ける…しかし、扉は半開きのままガチャッと止まってしまった。

「…」
――由奈がドアノブごと俺の手を掴み、開けないように踏ん張っているからだ。

「お兄ちゃん……あまり私を怒らせないほうがいいわ。
一番大切なお兄ちゃんだからこそ、許せない事だってあるの……突き飛ばされた事に対して怒ってる訳じゃないからね?

ただ、お兄ちゃんの事を一番想ってる人間が誰かちゃんと理解したほうがいいと思うの」
294狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 21:16:32 ID:lvpi+VMi
背中越しに聞こえる声に全神経を傾ける。
由奈の柔らかい胸が背中に当たっていたが、それが気にならないぐらい俺の意識は耳に集中していた。それと同時に由奈の甘く冷たい吐息が耳に吹きかかる。

「だからもう一度だけ言うからね?」
濡れた由奈の唇はすでに耳に触れている。





「お兄ちゃんを大切に想ってるのは他の誰でも無く、妹の私……だから、私をあまり怒らせないで―――分かったの?聞こえたならちゃんと返事しなさいよ」
耳元で聞こえた声にただコクッと頷く事しかできなかった…。

「ふふっ…お兄ちゃん大好き!それじゃ早く買い物行こっ!」
耳から離れた唇を少し下げて軽く首筋にキスすると、一度後ろからギュッと抱き締められた。
数秒後、何事も無く俺の前に回り込み、手を掴んで家から俺を引っ張りだした。

由奈とは長年一緒に過ごしているが、未だに普段の由奈から狂った由奈に変わる切っ掛けが掴めない。
兄としてどうかと思うが、そんな俺でも一つ言える事がある。
いや、張本人の俺でしか言えない事かも知れない。


それは…。



――狂った由奈から普段の由奈へ変わる瞬間の安心感は、人生経験上もっとも安堵する瞬間だと言うことだ。
295狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/01/29(土) 21:17:13 ID:lvpi+VMi
ありがとうございました、投下終了します。

次もなるべく早く投下します。
296名無しさん@ピンキー:2011/01/29(土) 21:22:19 ID:3/FafJ9P
>>295
面白かったよー
ドロドロっぷりがぱねぇw
297名無しさん@ピンキー:2011/01/29(土) 23:55:05 ID:be5nICtL
GJ!まだジャブ程度でしょうが
零菜のキャラが薄気味悪くgood
由奈のキモさを損なわず上手く絡んでる印象です。
これからもドロキモの世界に期待!

298名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 00:00:35 ID:HPpXbUOp
GJ
零菜がどうキモくなるのか楽しみです
299幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:37:03 ID:hRMTM8Cj
今晩は。
表題について投下いたします。
300幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:37:40 ID:hRMTM8Cj

私はいつも笑っていた。

「私、お兄ちゃんに見捨てられちゃうのかな?
「そんな事ないよ、兄さんは絶対にシルフちゃんを見捨てたりしないもの」
本当に、どうして兄さんはコイツを見捨ててくれないのだろう?

「私は、お兄ちゃんの側に居れれば、それだけで良いから」
「大丈夫、兄さんはいつまでも側に居てくれるよ」
”それだけ”で良い? どれだけ図々しいんだろう、コイツ?

「姉さんはお兄ちゃんの本当の妹だから、……」
「ふふ、シルフちゃんだって大事な私達の妹だよ」
本当にむかつくなぁ、コイツ、邪魔者の癖に。

いつも笑う振りをしていた、馬鹿みたい。
301幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:38:05 ID:hRMTM8Cj
****************************************

黄色い落ち葉をさっさ、さっさと小気味良い音を立ながら箒で掃く。
偶に吹く風を受けて、針が刺さる様な寒さに小さく震える。
晴れやかな空の底深くに少しの雲。
はあ、ついこの間まではあんなに暑かったのに、もうすっかり秋なんだな〜。
「さてと、それじゃあ、そろそろ焼きますか〜」
アルミホイルに包んだ芋を3本取り出す。
それを落ち葉の山に混ぜて、火をつける。
「やっぱり秋と言えばこれだよね〜。
 あ、そうそうこれを入れるのを忘れていたわ」

そう呟いて、火の上に私は一枚の布を載せた。
それは一瞬で燃え上がってしまった。
うん、やっぱり油絵って良く燃えるんだね。
302幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:38:45 ID:hRMTM8Cj
ぱちぱちと燃え上がるそれを見ていたら、気が付いた時には笑っていた。
「くすくす、あははは、ははははは。
 私の勝ちね、兄さん。
 30戦29敗、1勝かな?
 やっと勝てたよ、とっても無様で偶然の勝ち。
 でもこれで私には十分、もう兄さんは私のものだよ。
 だって兄さんはもう二度と元に戻れないもの」
笑いが止まらない、仕方がないじゃない。
だってこんなに幸せなのは初めてなんだもん。
やっと兄さんが手に入ったんだよ。
「兄さんは私だけのモノ」
兄さんを手に入れると決心してから今日までの全てを思い出す。
それらは今日までは一つ一つが苦痛の積み重ねだった。
でも、今日からはそれが幸せを彩る味付けになる。
なんて、気分が良いんだろう。

あはははは

本当に面白い。
私がちょっと力を加えてしまっただけで、
兄さんの大切なものが簡単に滅茶苦茶になるだなんて。
私のした事は家族としての雪風の役割を捨てただけなのに。
303幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:39:42 ID:hRMTM8Cj
私達は仲の良い兄妹だと思われていた。
お互いが兄妹として思いやり、支え合っている、
そんな理想的な関係。
両親もアイツや兄さんだって多分本気でそう思ってた。
全然、違うのに。
本当の三人の関係はいつだって歪んでて何一つ噛み合っていなかったじゃない。
私もアイツも兄さんというただ一つの共通点で何とか繋がっているだけ。
もし、兄さんが存在していなかったら私達は同じ場所に居る他人でしかなかった。
私はアイツの事が誰よりも嫌いだったし、憎んですらいた。
それでもアイツは兄さんを囲い込む道具として便利だった。
アイツが居るだけで兄さんは周りの人間から距離を置かれるし、
兄さん自身はアイツに掛かりっきりでその事に気付けない。
そうやって兄さんを狭い世界の中に繋ぎ留める事ができた。
だから、私は馬鹿みたいに笑いながらアイツの姉の振りをしていた。
もっとも、アイツだって私の事を心から信頼しているわけじゃない。
というよりも、アイツは兄さん以外の全てを信じていない。
姉である私だって兄さんの血の繋がった妹だから敵じゃないだけ、
そういう考えがいつも見え透いていて、私はイラつかされた。
アイツが私をどう思おうと知った事じゃない。
けど、まるで自分が兄さんの妹みたいな態度をするのが許せなかった。
アイツは、兄さんの兄妹なんかじゃないのに。
304幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:40:18 ID:hRMTM8Cj
それに私とアイツだけじゃなく、アイツと兄さんの関係だって歪んでいた。
アイツは兄さんに依存していないと何も出来ない。
でも、兄さんは何でも出来る人で本当は他人なんて必要としていない。
だから、兄さんはそういうアイツの歪なあり方をどうしても理解できていなかった。
そのせいで二人はあんなに一緒だったのに、
アイツの望む兄さんと兄さんの思うアイツの姿はずっと噛み合っていなかった。
もしも私が何もしなければ、
そのすれ違いに耐えられなくなったアイツが、
兄さんを力ずくで自分のモノにしようとして失敗する。
そして、私達の関係はとっくに崩壊していたはずだ。
けれど、私が優しい姉としてアイツの不安を抑えて、
兄さんには信頼できる妹としてアイツの気持ちに答える方法を教える事で、
何とかアイツは兄さんの側に居られた。
そういう危うい関係で私達三人は成り立っていた。
けっして、アイツの為にそんな事していた訳じゃない。
私達の歪な関係を私の手で終わらせる為だ。
それが兄さんを手に入れるための切り札になるって私は直観的に感じ取っていた。
そして、母さんからあの電話を貰った時に、
私が積み重ねてきた全てがカチリ、って噛み合った。
305名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 01:41:05 ID:waym7O3r
いいドロドロです。次も楽しみ
306幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:41:14 ID:hRMTM8Cj
私は二人に知らされる半年前に、母さんから二人について相談されていた。
笑える話だけれど彼女の目から見た私は、
兄妹思いの信頼できる次女に写っていたようだ。
二人の関係を尋ねる母の質問に、
私は二人は無理にでも早く結ばれるべきだと迷わずに答えた。
本当は兄さんが正しくて、アイツ自身の告白を待つべきだったのだけれど。
だって、アイツと兄さんの距離は確実に近づいていたのだから。
アイツの中には初めから兄さん以外なんて存在していなくて、
認めたくないけど、兄さんだってアイツに惹かれていた。
だから、いつかはアイツは自分の想いを兄さんに自分で告白し、
兄さんに受け入れられて結ばれていたはずだっただろう。
そして、それはゆっくりと時間を掛けないといけなかった。
そうしなければアイツの中の不安や葛藤を消す事が出来ない。
けれど、私は二人の距離を無理やり縮めた。
そのせいでアイツは突然の幸せに対応できず、より不安定になった。
その幸せの後で、アイツの心にいつも沈んでいた兄さんから見捨てられる事への恐怖を思い出させた。
だから、アイツは兄さんにより依存するようになった。
それからのアイツは兄さんに必要とされようと今まで以上に必死になった。
そうすればする程に兄さんに必要な物なんて無いんだと気付いて、焦る。
兄さんはそのアイツの焦りに気付けなかった。
307幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:41:44 ID:hRMTM8Cj
一方で、私は兄さんにはそんな事は教えずに当たり障りの無いアドバイスをした。
私の言った事はどれも一般的には間違ってはいないし、兄さんは私を信用している。
だから、兄さんは私の嘘に気付かなかった。
本当のアイツは兄さんに側に居てほしいとしか思っていない。
それから、自分以外の事になんて興味を持って欲しくないし、
兄さんは何もできない人でいて欲しいと本気で思っている。
……不愉快だけど、アイツと私の理想の兄さんはとても似ていた。
だから、兄さんが何かをする度にアイツの心は逆に不安定になる。
そして、そんなアイツを見て兄さんは、
アイツを喜ばせるためにもっと何かをしようとする。
しっかりと歯車の噛み合った悪循環だ。
最後にアイツが壊れるタイミングを計ってやれば良い。
一つは私という家族に嫌われる事で、
家族を失うっていうアイツのトラウマを思い出させてやる。
その後で兄さんに見捨てられるという、
アイツがいつも怯えていた最悪の結果を垣間見せてやる。
308幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:42:11 ID:hRMTM8Cj
その為に私は兄さんの才能を利用した。
以前から先生には兄さんに本気で絵を描かせて欲しいと相談されていたから、
その通りに兄さんを仕向けた。
そして、やっぱり兄さんは私の信じていた通りの成果を出してくれた。
兄さんがアイツ以外の物に興味を惹かれている姿を見せた後で、
もう一つ前々から先生に相談されていた留学の話をアイツに伝えた。
いつもだったら、優しい姉が慰めて落ち着かせてくれるだろう。
でも、そんな都合の良い家族なんてアイツには居ない。
もちろん、何よりも大事な兄さんも側に寄り添ってくれるだろう。
でも、今回居なくなるのはその兄さんだ。
そしたら私の目論見通り、つまらない位にあっさりとアイツは壊れた。
後は壊れたアイツが勝手に始末を付けてくれる。
もちろん、どうするかはアイツ次第だった。
もしも、兄さんと恋人になる前のアイツだったら何も言わずに、
兄さん以外の全てから心を閉ざしてお終いだっただろう。
そして兄さんはアイツの為に無理にでも側に居ようとするだろう。
309幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:42:52 ID:hRMTM8Cj
それでは今までと何も変わらない。
それでは私の願う結末は待っていない。
だから、私はアイツに自分の気持ちを兄さんに伝える事の大切さを教えてあげた。
そうしたらアイツは不器用だけれども、
自分から兄さんに近づくことや、自分のしたい事を言葉に出すようになった。
そして、兄さんがちゃんと応えてくれるという事を実感できるようになった。
そういう事を学んだから、アイツは自分から離れる兄さんを黙って見送る事が出来なくなった。
けれど、アイツのする事なんて単純だ。
アイツは信じられない位に暴力を振うのが上手い。
もし自分の思い通りにならなくなれば、結局それに頼らざるを得なくなる。
まあ、それでも躊躇っているようだったら、
もう2、3言付け足してやれば良かっただけの話だ。
アイツのお膳立てはこれでお終い。
310幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:44:01 ID:hRMTM8Cj
けれど、もう一つ、兄さんという最大の問題が残っていた。
そして、それはアイツに私が止めを刺さなかった、いや、刺せなかった理由だ。
私がアイツを庇ったのは奇妙に見えるだろう。
アイツが兄さんにした事をバラせば、アイツは兄さんの側から引き離される。
後には私と体の自由を失った兄さんだけが残り、私は兄さんを独占できる。
当然、それが叶うならば私は喜んでそうしただろう。
けれど、それは御空路 陽を誰よりも知っている私には無謀すぎる判断としか言えない。
兄さんは腕を失って、声を失ったくらいでは簡単に立ち直れる人だ。
少なくとも私の力ではどうやっても兄さんの心を折る事も繋ぎ留め続ける事も出来ない。
悔しいけれど、私には分かる。
アイツを追放すれば兄さんは絶対にアイツを迎えに行く。
そして、私は兄さんを失う。
それは私が絶対に避けなければならない最悪の結果だ。
だから、最後にアイツをもう一度利用する事にした。
どれだけ兄さんが強くても、アイツの心は弱い。
それは兄さんだって知っている事だ。
そして、もしも兄さんが何か余分な事をすれば、私はアイツを完全に壊せる。
ただ一言、そう兄さんに脅迫しただけで兄さんは何もできなくなった。
もう兄さんはアイツが側に居る限り私の手から離れる事は出来ない。
あんな事をされた今でも兄さんはアイツの幸せを心から願っているのだから。
311幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:44:39 ID:hRMTM8Cj
これで私の勝ち。
こうやって思い返して見るとまるで手品みたいに見えるから不思議ね。
けど、実際は私の計画なんてその場しのぎの取り繕いと、
子供騙しな思いつきの積み重ねだったんだから。

もし、兄さんが天才でなかったら
もし、私が兄さんの為にずっと尽くしていなかったら
もし、兄さんがアイツを受け入れていなかったら
もし、兄さんがアイツのことを本当に大事に思っていなければ
もし、母さんがアイツを本当の娘のように思っていなければ
もし、アイツが壊れた人間でなかったら
もし、アイツが、自分で言った通りに本当に兄さんを信じていたならば

もし、兄さんが、最後の最後に決心が揺らいでしまった私の背中を押してくれなかったら。

一つの要素でも欠けていたら、いや、ほんの僅かでもタイミングがずれていたら、
兄さんはきっとアイツだけのモノになって、私は兄さんを永遠に失っていた。
そうだ、これは初めから可能性なんてない賭けだったんだ。
賭けのチップは今まで積み上げてきた兄さんからの信頼。
それを失えば私の全ては破滅する。
そして、こんな下らない賭けは絶対に兄さんに見抜かれたはず。
私には一本の道しか初めから無くて、その先にはきっと破滅が待っていた。
可能性の無い賭け、それは狂気。
けれど、私は狂っていた。
可能性が無くても、それでも兄さんを自分のモノにしたかった。
だから私は、その狂った駒に私の持つすべてのチップを賭けた。
私は狂っていた、だから私は勝てた。
私の全ては兄さんに狂わされていた、だから私は幸せになれた。
312幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:45:12 ID:hRMTM8Cj
ちらちらと火が落ち葉を舐める。
その中でぱちぱちと布切れが楽しげな音を奏でる。
兄さんはこれを私への答えだと言っていた。

「兄さんは、ずっと私達と普通の家族でいられるって本気で思っていたんだね?」

その答えを受け取った時、私はやっと心から兄さんを壊す決心が出来た。

「違うよ、兄さんは私の玩具、だよ」

あの時言った言葉をもう一度、声に出してみる。
背筋にぞくりとした感覚が這い伝う。
それが言葉では表せられない位に、気持ち良い。

「くす、感謝しているわ。
 あの時、私の背中を押してくれてありがとう、兄さん」

あはははは。

私は笑う、何もかもが面白い。
今までは何一つ思い通りになってくれなかったのが、
手の平を返した用に何もかもが思いのままになってしまうのだから。
313幸せな2人の話 23:2011/01/30(日) 01:49:08 ID:hRMTM8Cj
以上です、ありがとうございました。
投下の間隔が短かったかもしれません。
前の方には失礼しました。
314名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 18:54:14 ID:U7Az9aar
GJ!
雪風ヤバ過ぎるだろ…
兄さんがこのままだとカワイソすぎる
315名無しさん@ピンキー:2011/01/31(月) 16:27:10 ID:lc2uAJ5O
むしろ兄さんが羨ましいと思ってしまう俺は末期だろうか
316名無しさん@ピンキー:2011/01/31(月) 16:43:41 ID:+xM0EwsY
なんか前より人が少なくなった気がする。
317名無しさん@ピンキー:2011/01/31(月) 18:02:33 ID:8MmXcsGJ
俺も雪風ちゃんみたいな娘に堕とされたい
318名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 07:12:37 ID:xwUPpqIK
キモウト&キモ姉にそんなに好きなら寝込みを襲ってみろと挑発して赤面させた夢をみた…一応常識あるんだな
319名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 20:08:04 ID:DHDz8csi
>>318
お前は常識ないけどなぁ!!
320名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 01:16:44 ID:zGGvqlx7
>>318にあった事を投下。
321名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 01:18:07 ID:zGGvqlx7
一応常識あるんだな。
これは今起きて思った事。

昨日の夜、俺(>>318)は実の姉と妹の喧しさに切れた。
姉と妹の目の前で繰り広げられる口喧嘩(たまに取っ組み合い)は日常茶飯事ではあるのだが
虫の居所の悪かった俺はそれに耐えられなかった。
「2人とも、やめろ!」
「ちょっと待っててね、お兄ちゃん。この豚を向うに閉まってくるから!!」
「物言うまな板を閉まったら、お姉ちゃんとお茶にしましょっか!!」
2人とも静止の声を聞く耳はある様だが手四つの状態から離れる気はないらしい。
こっちに向ける笑顔は思わずくらっときてしまう魅力的ぐらいだが
腕やこめかみとかに浮ぶ血管にどん引きだ。
「とりあえず止めろよ!」
「もう少し、もう少しで屠殺場に送り出せるから!!」
「平らなだけで役に立たない板は焼却場逝きね!!」
妹は綺麗な顔立ちにスレンダーな体型、そう悲しいぐらいのぺったんな胸。
兄としては第3次性徴を期待する。
姉は可愛い顔立ちにグラマーな体型、特に目立つ胸。
弟としてはただのロリ巨乳。
「死ね!!お兄ちゃんが好きなのは私だ!!」
「逝け!!お姉ちゃんと結婚するって言ってるんだ!!」
あぁどんどん酷くなってる、言葉も顔つきも。
毎度毎度ながら呆れてしまう。
構っていても仕方ないのでそろそろ寝るか。
「ったく、そんなに好きなら寝込みでも襲ってみろよ」
思いがけず、何気なく、そう、何気なく言った台詞だった。それも小声で。
しかし、その言葉で2人はぴたっと止まった。
そして手四つのまま油の切れた軸の様に首を回しこっちを見つめる。
「お、お兄ちゃん、それって…」
「お、お姉ちゃん、本気にしちゃうよ?」
2人とも顔が真っ赤だ。
これぐらいで赤面するならもう一押ししたら大人しくなるかな?
「あぁ、やれるものならやってみな?じゃ、俺、寝るから」
部屋に向う途中の階段から2人を見てみると
双方うな垂れたまま立ち竦んでいる。効果は絶大だったようだ。
さぁ、寝よ寝よ。

そして、起床し爽やかな朝を迎えた俺だったはずなのに
部屋の扉を開けた廊下には姉と妹の組みあったまま寝姿を見つける。
「・・・」
とりあえず2人を各々の部屋に運んでから廊下の汚れを拭いたりと片付け始めた。
何があったかわからない、否、解りたくもない。
常識なく2人して忍びこもうとしたなんて
扉を開ける前にもう一方が捕まえたなんて
取っ組み合いが殴り合いになったなんて
結局気を失ったまま寝てしまったなんて
解りたくもない、これは夢なんだから。
322名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 01:20:53 ID:zGGvqlx7
以上で。
323名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 04:17:18 ID:5Oj1QZ3b
gj
324三つの鎖 31 前編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/02/02(水) 22:01:12 ID:o6sBa/R4
三つの鎖 31 前編です。

※以下注意
血のつながらない自称姉あり

投下します
325三つの鎖 31 前編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/02/02(水) 22:02:58 ID:o6sBa/R4
三つの鎖 31

 お昼休みが終わり、午後の授業が始まっても耕平君は帰って来なかった。
 耕平君に告白された後、気がつけば私は教室に戻っていた。どうやって戻ってきたのか、全然覚えていない。
 それぐらいに私は動揺していた。
 思えば、 告白されたのはこれで二回目だ。
 一回目は中学一年生のとき、幸一くんに。
 それ以外に告白された事は一度もない。
 周りのみんなは、私はモテると思っているけど、実際にはそんな事は無い。実際、今までの人生の中で私に交際を申し込んだのは幸一くんと耕平君だけ。
 私がモテない理由は、冷たい人間だからだと思う。幸一くんと梓ちゃん以外の同世代の親しい友達はいないし欲しいとも思わない。他は広く浅い交遊関係しかない。
 それだけに、耕平君に好きと言われて自分でも信じられないぐらい動揺している。
 幸一くんに好きと言われた時は、全く動揺しなかった。幸一くんが本気じゃないのは分かっていたし、幸一くんは私に恋していたのではなくて恋に恋していただけ。
 耕平君は違う。胸が痛くなるほどの気持ちが伝わってきた。
 私を好きって。愛しているって。
 ここまで男の人に求められたのは、生まれて初めて。
 耕平君がそんな風に想っているのを、私は全く気がつかなかった。
 そんな素振りは全く無かった。それに耕平君にはいつも恋人がいた。すぐに恋人が変わるとよく噂になっていた。それに耕平君は女子に人気がある。見た目はけっこう格好いいし、話も上手いけど、妙な所で紳士的な男の子。成績も運動神経もいい。
 私、耕平君にひどい事をした。耕平君の前で、幸一くんにべたべたしていた。
 今なら分かる。好きな人が、他の人にべったりなのが、どれだけ辛いか。
 「村田さん?」
 クラスメイトに声を掛けられて私は顔をあげた。
 気がつけば授業もホームルームも終わっていた。放課後のお掃除のために掃除当番の人たちが机を動かしている。
 私は慌てて荷物をまとめて席を立った。クラスメイトは机を運んでいった。
 一体どうしたのだろう。私はどうかしている。
 耕平君も幸一くんもいない。
 私は家に向かって歩き始めた。
 耕平君は私のどこを見て好きになってくれたのだろう。
 分からない。私に男の人から好きになるようなポイントはあるのだろうか。
 私に交際を申し込んできた人は幸一くんと耕平君だけだけど、手を出そうとしてきた人はいた。
 中学校や高校での先輩や教師。
 みんな立場をかさに迫ってくるような、下劣な男ばかりだった。
 もちろん、丁重にお断りした。場合によっては脅迫に近い事もした。
 男の人ってなんてつまらないのだろうと思っていた。
 相手より上の立場じゃないと、女の子にアタックできない人ばかり。
 でも、耕平君は違った。
 他にも大勢の女の子がいて、その中には耕平君を好きと言ってくれる女の子もいるに違いないのに、私を好きと言ってくれた。
 分からない。何で私なんかを好きになってくれたのだろう。
 私が幸一くんの好きになったのは、気がつけばだった。理由なんて分からない。ずっと一緒にいて、それで好きになっていた。
 そんな事を考えていると、家に着いた。誰もいない。
 自分の部屋に戻り、制服を脱いで私服に着替える。
 鏡に映る自分の顔。微かに頬が赤くなっている。
 ふいにお昼の事が脳裏によみがえる。
 私を抱きしめ、頬にキスする耕平君。
 顔が熱くなる。
 信じられない。
 私は幸一くんを好きなのに、他の男の人に抱きしめられて、頬にキスされて、その事を嫌だと思っていない私がいる。
 訳が分からない。私は幸一くんを好きなのに。
 今まで、私に似たような事をしてきた男の人はいる。その時は嫌というより、怒りを感じた。付き合ってもいないし、交際を申し込んでもいないのに、
 自分の立場をかさにきてそんな事をしてくる男の人に腹が立って仕方が無かった。それ相応の報復をしたけど、心は全く痛まなかった。
 耕平君の表情が脳裏に浮かぶ。真剣な瞳で私を見つめ、好きと言う耕平君。
 他の人に好きと言われるのが、こんなに恥ずかしく、そして嬉しいなんて。
 私の足元に黒い何かが微かに動く。
 気がつけばシロが私の傍にいた。つぶらな瞳で私を見上げている。
 「シロ。私の事好き?」
 わうっと頷くシロ。
326三つの鎖 31 前編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/02/02(水) 22:04:27 ID:o6sBa/R4
 「私っておかしいのかな。私ね、幸一くんを好きなのにね、他の男の人に好きって言われて嬉しいと思う自分がいるの。これって変だよね」
 わうっと首を横に振るシロ。
 「どうして?だって私は幸一くんを好きなんだよ?それなのに他の男の人から好きって言われて嬉しく感じるなんて、おかしいでしょ?」
 シロはしばらく私を見つめた後、部屋を出ていった。
 少しして階段を上る足音が聞こえてくる。
 シロの足音じゃない。人の足音。
 「春子。入るわよ」
 お母さんが部屋に入ってきた。いつ帰って来たのだろう。時計を見ると、もう遅い時間。
 いけない。やっぱりおかしい。
 「どうしたの。変な顔して」
 お母さんはそう言って私の隣に座った。
 「シロが私を引っ張るから、春子に何かあったのかと思ったけど。何があったの?」
 そう言ってお母さんは心配そうに私を見た。
 お母さんは綺麗だ。きっと昔は男の人に人気があったに違いない。
 相談したら、今の私が変な理由も分かるかもしれない。
 「お母さん。相談したい事があるけどいい?」
 「あら。珍しいわね。もちろんいいわよ」
 お母さんはそう言って微笑んだ。確かに、私がお母さんに相談した事は数えるほどかもしれない。自分で言うのも変だけど、私は何でもそつなくこなす方だ。私に迫るろくでもない男の人も、全部自分で処理した。
 「で。何を相談したいの?」
 ええと。何から言えばいいのだろう。
 「あのね、今日、告白されたの」
 「あら。交際を申し込まれたの?」
 「うん。断ったけど。告白してきたのはクラスメイトの男の子。私ね、その男の子が私を好きって知らなかった。そんな素振りも全く無かったし。だから、すごくびっくりした」
 思い出すだけで頬が熱くなる。
 「私、その男の子の事は好きでも何でもなかった。意識した事も無かったし、ただのクラスメイトだった。それなのに、好きって言われて、何だか変な気分なの」
 お母さんは不思議そうに私を見つめる。
 「変な気分って?気持ち悪いってこと?」
 「ええと、そう見える?」
 「全然。むしろ嬉しそうに見える」
 微かに胸に痛みが走る。
 幸一くんを好きなのに、他の男の人から好きと言われて嬉しく感じている自分。
 「これって変だよね?好きでもない人から好きって言われて嬉しく感じるなんて」
 お母さんは呆れたように私を見つめた。
 「この子は何を言っているの。そんなの普通でしょ?好きって言われたら、ろくでもない男でもない限り嬉しいに決まっているじゃない」
 「だって、私、その男の子の事、好きでも何でもないんだよ?」
 お母さんは額を押さえてため息をついた。
 「春子。あなた今まで告白された事はある?」
 「一応、あるよ」
 「幸一君を除いて」
 「…無い」
 「じゃあ告白した事は?」
 私から告白。
 幸一くんのあれは、カウントしていいのだろうか。
 「一応、あると思う」
 お母さんは呆れたように私を見つめた。
 「手間のかからない出来た子だと思っていたけど、やっぱりまだ子供ね」
 お母さんの言い方に私は少しムッときた。
 「そんな事ないよ」
 「おおありよ。あのね、好きな人に気持ちを伝えるってね、すごく勇気がいる事なの。それは分かる?」
 どうなのだろう。
 「春子が幸一君を好きって言うのとは訳が違うわ。好きって気持ちを伝えるのはね、今までの関係が別の関係になるの。より良い関係になるとは限らないわ。相手に拒絶されるかもしれないし。
 だから告白するのってすごく勇気がいるの。それだけの勇気をふるって好きって言ってくれるのよ?ろくでもない男でもない限り、嬉しくないわけないじゃない。
 私に言わせてみれば、その男の子は結構見どころあるわ。少なくとも、自分の気持ちを伝える勇気がある子だもの。断るなんてもったいない事したわね。付き合ってもよかったのに」
 「でも、私、その男の子の事、好きってわけじゃないよ。それなのにお付き合いするなんて、不誠実だよ」
 「あのね、春子は男女交際を勘違いしているわ」
 私はムッときた。
 「何でよ。好きでもない人と付き合うなんて、不誠実だよ」
 「そんな事言っていたら、相思相愛じゃないと恋人になれないでしょ。世の中、最初から相思相愛の恋人なんていないわよ」
 …確かに、そうかもしれない。
 お母さんは諭すように言った。
327三つの鎖 31 前編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/02/02(水) 22:05:53 ID:o6sBa/R4
 「男女交際ってね、お互いの事を知ってもらって、お互いの気持ちを伝えあうの。最初は片想いでも、付き合っていたら両想いになるかもしれない」
 「…分からないよ」
 私には分からない。好きって言ってもらったのが、今日が初めてだから。
 「例えばね、お父さんいるでしょ?私も最初はお父さんの事、男の人として意識した事は全く無かったわ」
 そう言えば、お父さんとお母さんの馴れ初めは余り知らない。
 「確か大学で同じ部活だったっけ?」
 「そう。体育会の合気道部だった。部活は上下関係がすごく厳しかったわ。お父さんとは同じ学年だった。
 お母さんね、かなりモテたの。でもね、全然嬉しくなかった。私の先輩は根性無しが多くて、女の子をデートに誘うのも先輩の立場でしか言えない人ばかりだったから。
 本当にひどいわよ。お酒に酔わせてホテルに連れて行こうとする人もいたわ。交際を申し込んでもいないのに
 あの頃は男の人が大嫌いだった。高嶺の花って言葉があるでしょ?高嶺の花だから止めておけって男の人はいうじゃない。全員とは言わないけど、男の人には努力して女の人に合わせるっていう発想が無いの。
 少なくとも大学時代の部活の先輩はそんな男の人ばかりだった。自分じゃ手が届かないと勝手に勘違いして、上下関係を使うの。本当に腹が立ったわ」
 すごく親近感を感じる。お母さんも私と同じ苦労をしていたんだ。
 「もちろんそんな先輩ばかりじゃなかったわ。私に助け船を出してくれた先輩もいた。素敵な男の人だったわ。でもね、素敵な男の人って希少価値が高いから、そういう人に限って彼女がいたわ。
 私、すごく残念だったわ。私が素敵と思う人は恋人がいるのに、魅力を感じない人ばかりにろくでもないアプローチされるし。
 でもね、お父さんは違ったの。まっすぐに私に交際を申し込んできたわ。
 はっきり言って全然スマートじゃなかったわ。すごく緊張していたし。でも、そこまで勇気を振り絞って気持ちを伝えてくれたのが嬉しかった。
 だから、お父さんの気持ちに応えたいって思ったの」
 気持ちに応える?
 一体どういう事だろう。
 「気持ちに応えるってどういう事?付き合うって事?」
 「それもあるけど、本質は違うわ。
 気持ちに応えるって言うのは、その人を好きになるって事よ。この人を好きになりたいって思ったの。
 男女交際ってのはそういうものよ。交際を申し込んだ側からしたら相手を好きにさせる期間で、交際を申し込まれた側からしたら相手を好きになる期間」
 「でも、付き合ってはみたけど相手の事を好きになれなかったらどうするの?」
 「別れたらいいじゃない」
 「そんなのひどくない?好きでもないのに付き合って好きになれないから別れるなんて」
 「あのね、何も交際を申し込まれた人間すべてと付き合えって言っているわけじゃないわ。この人なら好きになってもいい、そう思える人とだけ付き合えばいいじゃない。
 それにね、付き合うってことは相手にチャンスを与えるってことなの。交際するから私を惚れさせてみろって事よ。チャンスを活かしきれず惚れさせることができなかったら、それは相手の責任よ」
 「なにそれ。すごく上から目線じゃない」
 「恋愛ってそういうものよ。惚れたら負けって言う言葉もあるぐらいだし」
 「…やっぱり納得いかない」
 お母さんは呆れたように私を見た。
 「春子ってすごくピュアね」
 「だってお母さんの言っている事は分からないよ。好きって言われただけでその人を好きになるなんて、やっぱり変だよ」
 「あのね、幸一君を見てもそう思う?」
 胸に微かな痛みが走る。
 「幸一君って一つ下の後輩と付き合っているんでしょ。梓ちゃんと同じクラスの」
 「…うん」
 「あの幸一君が妹のクラスメイトに手を出すような男の子だと思う?」
 「幸一くんはそんな男の子じゃないよ。幸一くんは紳士的だもん」
 「でしょ?仮に幸一君がその子に惚れていても、幸一君はその気持ちを秘めると思うわ。だって幸一君は優しすぎるもの。妹やその友達に迷惑をかけたり困らせたりしたくない。そう思う子だわ。
 だからね、きっと梓ちゃんのクラスメイトから告白したんだと思う。春子は知っているの?」
 知っている。だって、夏美ちゃんに惚れていく幸一くんを傍で見続けたから。
 「知っているなら分かるでしょ?」
 分からない。分かりたくもない。
 お母さんはため息をついた。
 「まだ納得してないわね」
 「だって、分からないもん」
 「そうね。幸一君の恋人ってどんな子なの?勘だけど、どちらかと言えば見た目は子供っぽい女の子じゃない?」
 「…何でそう思うの?」
328三つの鎖 31 前編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/02/02(水) 22:07:32 ID:o6sBa/R4
 「幸一君の後輩になるわけだから年下でしょ?それに幸一君はどちらかと言えば落ち着いた父性溢れる男の子だから、年上に甘えたい女の子から人気がありそうな気がするの。となれば子供っぽい女の子かと思って」
 お母さんの言う事は当たっている。
 夏美ちゃんは芯はしっかりしたいい子だけど、普段の言動は子供っぽい。
 「幸一君の好みってどちらかと言えば年上のリードしてくれる女の子だと思うわ。だって女の子に対しては奥手だし。それなのに恋人は年下の子供っぽい女の子。何でか分かる?」
 分からない。
 そんなの、分からない。
 幸一くんが夏美ちゃんを好きになった理由なんて、分かりたくもない。
 「その女の子が幸一君を好きって言えたからよ。人に好きと言われるのはそれぐらい破壊力があるの」
 そんな理由で?
 好きって言った。ただそれだけの事で、幸一くんは夏美ちゃんを好きになったの?
 だったら私はどうなの?
 私は毎日好きって言っていた。
 それなのに幸一くんは私を好きになってくれなかった。
 「真剣に好きって言ってくれる人と一緒にいたら全部とは言わないけど好きになる可能性はあるわ。好きなタイプに関係なくね」
 だったら、何で私を好きになってくれなかったの。
 そんなの、おかしいよ。
 「春子も分かっているでしょ。今日、男の子に真剣に好きって言われて動揺しているじゃない」
 「違うよ」
 「違わないわ。相手にもよるけど、求められたら応えたいって思うのが普通よ」
 「変だよ。じゃあお母さんはお父さん以外の人から好きって言われたら、応えたいと思うの?」
 「お父さんより先に言われたらそう思ったかもしれないわ。でも、お父さんの方が先だった。それに今はお父さんを愛している。お父さんも私の好きって気持ちに応えてくれる。もしお父さんが私の気持ちに応えてくれない人なら、他の人を好きになるかもしれないけど」
 「なにそれ。順番なんかで決まるの。そんなのへんだよ」
 「何言っているの。恋は早い者勝ちよ」
 私はその言葉に頭を殴られたような衝撃を受けた。
 恋は早い者勝ち。
 私に、チャンスはあった。
 幸一くんが好きって言ってくれた中学生の時。
 あの時、幸一くんと付き合っていれば違った結果になったかもしれない。
 幸一くんは私に恋していなかった。恋に恋していただけだった。
 私も幸一くんに恋していなかった。あの頃の私にとって、幸一くんは弟でしかなかった。
 でも、付き合っていたらその過程でお互いに好きになっていたかもしれない。
 私にチャンスはあった。
 でも、私はそのチャンスを活かしていなかった。
 だから夏美ちゃんに奪われた。
 私に幸一くんを好きにさせるチャンスはあった。
 あったのに私は何もしなかった。
 ただ、幸一くんのお姉ちゃんとしての立場が心地よくて、そのままでいた。
 お母さんの言っている事が分かった気がする。
 好きって気持ちを伝えるのってすごく勇気がいる。
 今の心地よい関係が壊れるリスクを冒してまで自分の気持ちを伝えるなんて、私にはできない。
 私にできたのは、子供のように好きって言う事だけ。脅迫して傍に縛り付けただけ。
 夏美ちゃんも耕平君は違った。
 自分の気持ちをまっすぐに伝えた。
 それがどれだけ勇気を必要として、尊い行為なのか。
 「春子?」
 お母さんは心配そうに私を見つめていた。
 「どうしたの。もしかしたら、交際を申し込んできた男の子に変なことされたの」
 「うんうん。ちょっと考え事」
 「そう」
 お母さんはそれ以上何も言わなかった。
 心配そうに私を見つめるだけだった。
329三つの鎖 31 前編 ◆tgTIsAaCTij7 :2011/02/02(水) 22:08:29 ID:o6sBa/R4
投下終わりです。
読んでくださった方に感謝いたします。ありがとうございました。
HPで登場人物の人気投票を行っていますので、よろしければご協力ください。

ttp://threechain.x.fc2.com/index.html
330名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 23:03:36 ID:BsZdQZJ5
乙!恋は早い者勝ちね‥‥
春子には転機が訪れそうだな。耕平とくつっきフェードアウトか再燃か分からんけど‥ただ幸一は夏美云々ではなく元々梓春の肉食振りに嫌気がさしていたのではないか?
331名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 23:55:01 ID:wl4kZqHn
投下乙!

春子は所詮は血の繋がらない自称姉だったのだよ!
332名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 00:06:14 ID:1BKXGR7r
投下乙。

私的には春子が戦線離脱するのは嫌ですね。春子の愛情はその程度なのかと思ってしまいます。
自称姉は大好物です!春子最高ですね!
333名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 00:33:24 ID:UmJOQ7Md
投稿乙。
春子離脱は嫌だな。
幸一オンリーでいてほしい…
耕平には後輩ちゃんがついている!!
334名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 01:22:56 ID:gjkHVyf6
姉ルートは、失いたくない  3P とかww
335名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 05:42:15 ID:4jnRft41
投稿乙です。
自分も春子には幸一の事を想い続けて欲しいですねぇ
春子好きですので。
336名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 09:54:33 ID:w9CY2L1W
おいおい春子派いるんじゃねーか。今までどこにいたんだよ
337名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 10:44:43 ID:O9D4WTd9
俺も春子派だけど独占厨だから黙ってた
独占厨が口出すとろくなことにならないのは分かってるし
338名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 13:30:25 ID:xJNfs09N
GJですよ

各方いろいろな願望があるようだけど、作者さんにはご自身の考えたとおりのお話を書いて頂きたい

ただ…耕平くんは美奈子ちゃんとくっついたほうが幸せだろうなぁ
想い人の本性や所行を知ったら百年の恋も冷めるぞw
339名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 16:58:36 ID:EJY/d2NY
春子「幸一×夏美のセクロス盗撮して幸一脅してセクロスしてますたサーセンwwwww」
耕平「通報しますた」
340名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 18:08:20 ID:cljMP+vy
これだけレスが付くということは

このスレの看板の一つで有ることは
間違いないようだ

まあ‥この作者様の事だから
もう一捻りは有るだろう
ただ最近は読んでいて苦労してることは想像出来るなぁ‥‥

341名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 19:25:43 ID:lby16Lnb
長く続いてるからだろ?w
翼をくださいだの狂もうとだのいなくなっても気がつきもしねーだろ。
そんなもんだ
342名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 20:34:38 ID:8bMufhkI
そんなもんだ(笑)
343名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 23:38:43 ID:jqaphcxw
>>339
春子は出るとこ出たらガチで犯罪歴が付くレベルのことやらかしてるからな。
いや、それ言ったら夏美は幸一を刺してるし梓に至っては人を殺してるわけだけど。
三つの鎖の恋愛事情はホント地獄だぜ。
耕平には美奈子ちゃんと付き合うことをわりと真剣にすすめたい。
344 ◆wBXWEIFqSA :2011/02/04(金) 00:18:39 ID:mcoauNNq
こんばんは。
>>235の続きを投下します。
エロ有りです。
345狂依存 82:2011/02/04(金) 00:19:03 ID:mcoauNNq
「……うっ」
寝てしまったのか……
あれから、何回も麻由お姉ちゃんと肌を重ねあって、抱き合ったまま疲れて寝てしまったようだ。
「麻由お姉ちゃんは……?」
この部屋にはいない。
あれだけやったので流石に疲れてしまった。
喉も渇いたし、お腹も空いた。
今何時だ……?って、夜の9時過ぎてるじゃないか。
「ちょっと何か飲んでくるか……」
起き上がって服を着、下に降りる。
もう晩御飯は作ってあるのだろうか……?
台所に行くと既に夕飯がラップにかけて用意されていた。
僕が寝ている間に作っていたようだ。
あれだけ、エッチな事して体動かしていたのにちゃんと夕飯の準備も家事も済ませるなんて本当にタフな姉だと感心する。
「あ、やっと起きたんだ?」
「え?ああ、うん……」
麻由お姉ちゃんの声がしたので振り返って見ると、そこには一糸纏わぬ姿でバスタオルで髪の毛を拭いている麻由お姉ちゃんの姿があった。
「ちょっと、その格好は……」
「あら……今更隠す必要なんて何処にも無いでしょう?」
「そ、それはそうだけど……」
そんな姿見せられたらまた……。
「私の裸見てまたエッチな気分になっちゃった……?いいわよ……さあ、続きをしましょう……」
「ま、待って……もう……うっ……」
「んんっ……んふっ……ちゅっ、ちゅぅっ……」
麻由お姉ちゃんは裸のまま抱きつき、太股で股間を擦りながらキスしてきた。
柔らかい太股の感触とシャンプーの香りに刺激され、肉棒がまた膨らんできてしまった。
「(もう何度も出して、ちょっと痛いのに……)」
それでも、積極的に舌を絡めて唾液を口内に送り込んでキスしてくるせいで体が火照ってきてきた。
「ちゅっ……んっ、ちゅっ……んちゅっ、はぁっ……ねえ、あなた……ご飯にする?お風呂にする?それとも……私を食べちゃう?」
「今日はもうお腹も空いたし、ご飯にするよ……」
「ふふ、本当かしら?ご飯より私を食べたいんじゃないの……?」
胸を押し当て、太股を擦りつけるスピードを速めてくる。
これ以上やられたら、もう体力がもたない。けど……。
「あらあら、こんなに大きくしちゃって……どうやら、食欲より性欲を満たさないといけないみたいね。……そうだ。お風呂でしちゃいましょうか。ついでに体も洗ってあげるから」
「え、あの……」
「ほら、行くわよ。お姉ちゃんが汗を流してあげるからね」
麻由お姉ちゃんは僕の手をひっぱり、浴室へと引っ張っていく。

「まずは頭を洗ってあげるからね……」
僕の髪の毛にシャンプーをかけ、丁寧に洗う。
「どう?痛くない?」
「うん、大丈夫だよ」
「そう。ん……」
鼻歌でも歌いそうな顔をしながら、嬉しそうに僕の頭を洗い、さりげなくおっぱいを胸に押し当ててくる。
「流すわよ……」
シャワーでざっと流して、タオルで拭く。
今の所普通に洗ってくれてるな。
「さあ、お姉ちゃんが全身全霊を込めて綺麗にしてあげるからね」
マットを敷き、ボディーソープを体にたくさんかけて泡立てせ、抱きついて僕の体に擦りつけて来る。
泡でヌルヌルした麻由お姉ちゃんの肌が直に触れ合う感触が、とても心地良い快感を与える。
「(というかいつの間にマットなんか……)」
こんなもの家には無かった筈だが……。
「んっ……さあ、お姉ちゃんをスポンジ代わりに自由に使ってえ……ん、んふっ……」
「あの……自分で洗うから……」
「わかったわ。私が全部洗ってあげるからね……あんっ……」
人の話など全く聞かず、麻由お姉ちゃんは後ろから僕のペニスを握って手でシゴキ始める。
ヌルヌルとした柔らかい指を優しく擦り、どんどん刺激を与え膨張させる。
「あんっ♪こんなに大きくなっちゃって……中に溜まってる物をいっぱい出して綺麗にしてあげるからね」
玉をくりくりと弄ったり、乳房を背中に押し当てたりして思いのままに弄ぶ。
346狂依存 83:2011/02/04(金) 00:20:01 ID:mcoauNNq
もう疲れて抵抗する気力も無く、じわりじわりと来る快楽に体を委ねる。
「あら、顔にシミが……綺麗にしてあげるからね……ちゅっ……んちゅっ、れろれろっ……ちゅるっ……」
何やら変な理由を付けて僕の顔を舐め回す。
「ん、んちゅっ……さあ、そこで仰向けになって。前を洗ってあげるから……」
僕をマットに仰向けに寝かせ、麻由お姉ちゃんが跨って体を押し倒してきた。
「さあ、これからが本番よ……ん、んんっ……」
十分に泡立てたおっぱいを存分に押し付け、上半身を左右上下に擦り付ける。
麻由お姉ちゃんの豊満な乳房を体に直に感じて、肉棒はどんどん勃起していった。
「ん、んふっ……お口も綺麗にしてあげるね……んちゅっ、ちゅっ……むちゅっ、んふっ……」
唇を押し付け、舐め回す様に丹念にキスをする。
時折舌を入れて、口内も洗うよう様に舌で舐め回してくる。
「ん……ん、んふっ……むちゅぅ……はぁっ…さあ、今度はおち○ぽを洗ってあげるからね……」
キスを止めると、肉棒をたっぷりと泡立てた胸で挟み込み、またパイズリを始める。
「ここは特に丁寧に洗ってあげないといけないわね……ん、んふっ……ちゅっ、んっ……」
泡でヌルヌルと滑りやすくなった乳房に挟み、優しく擦り合わせ、更に亀頭をキスして丁寧に綺麗にする。
姉の胸によってもたらされる快楽で、もう何度も射精した肉棒は瞬く間に爆発寸前にまで陥ってしまった。
「んっ……んちゅっ、ちゅるっ、んんっ……本当にお姉ちゃんのおっぱいが大好きなのね……ん、んふっ、ちゅっ……」
乳房を巧みに揺り動かしながら、舌で先端にキスしてどんどん刺激を与える。
「(気持ち良すぎるよ……)」
お湯で温められたせいなのか、お風呂場でやられると普段より快楽が増してくる気がするんだよな……
「ん、んちゅっ……ん、んふっ……もちろんこれから毎日私がこうして洗ってあげるからね……ん、んちゅっ……」
「さあ……私のおま○この中で磨いて綺麗にしてあげるからね……ん、んああああぁぁぁっっ!!」
僕に跨って勃起したち○ぽを掴み、膣穴に当てて体を一気に沈みこませ挿入する。
泡で濡れていたおかげで実にスムーズに入った。
「あんっ!あ、あああっっ!!やんっ……お姉ちゃんが汚れを全部落としてあげるからね……あっ、あ、はっ、ああっ……」
麻由お姉ちゃんは中で思いっきり締め付けながら、ガンガン腰を落とし、絶頂へと導こうとする。
「はんっ!いいわ……もっと突き上げてえっ……!あっ、はんっ!やあああっっ!!」
言われるがままに腰を突き上げると、更に悶えて腰を激しく動かす。
麻由お姉ちゃんとのセックス……本当に気持ち良い……。
「あっ!やんっ……そこっ……はああっっ!!あん、はああっっ!!」
麻由お姉ちゃんの胸に手を伸ばし、乳首を指でいじくる。
感じているのか、弄られる度に体を震わせて嬌声を上げる。
「はあっ!やんっ……イっちゃああっっ……!あんっ、はふんっ!あっ、はぐうっ……あっ、はああっ!」
「(もう、出る……)」
中で更に締め付けられ、激しく膣壁で擦られたせいでもう絶頂寸前に陥ってしまった。
「いいわよ……早く出してえっ……おち○ちんの中に溜まってる物全部私の中にい……あっ、ああっっ!!」
泡でヌルヌルとした体の感触と麻由お姉ちゃんの締め付けが本当に心地良い……。
もっと、もっと抱きたい……。
「あんっ……イクッ!あんっ!もう……イっちゃうっ……!!あんっ、はっ、はあああああああぁぁぁっっっ!!!」
びゅくっっ!!びゅるるるるるるっっ!!!
麻由お姉ちゃんがイクと同時に絶頂に達し、子宮に精液を流し込む。
今日だけで何度出したろう……。
「はあっ……あんっ!やっ、はああああぁぁぁんんっっ……」
「ふふっ……こんなにいっぱい出しちゃって……さあ、お湯で流してあげるからね……」
射精の余韻に浸って間もなく、麻由お姉ちゃんはシャワーで泡を洗い流す。
まだ……まだ足りない……
「(こんな事しちゃ駄目なのに……)」
「ふふふ、全然駄目じゃないわ……お姉ちゃんの体を好きな時に好きなだけ味わって良いって言ってるでしょう……さあ、一緒に湯船につかりましょう」
洗い終わったら、僕の手を引いて一緒に湯船に入る。
麻由お姉ちゃんの体がこんなに密着している……
「さあ、ゆっくりと体を温めましょう……きゃんっ♪」
湯船に入ったら、すぐ麻由お姉ちゃんに抱きついて、胸を揉みしだく。
麻由お姉ちゃんも待ってましたと言わんばかりに嬉しそうな悲鳴を上げる。
今は頭も体も麻由お姉ちゃんを求める事しか出来ない……。
347狂依存 84:2011/02/04(金) 00:20:47 ID:mcoauNNq
「ああんっ……良い子よ……そうやって目の前の欲望に身を任せて、お姉ちゃんを犯してくれるようになって、本当に嬉しいわ……はっ、やあんっ……」
餌にありついた魚みたいに夢中で麻由お姉ちゃんの体を貪り尽くす。
胸、顔、お尻、太股と体のあらゆる場所を弄くり、舐め回して味合う。
「はふっ……ん、んん……ちゅっ、んふっ……ん、んちゅぅ……はんっ……やああんっ……」
「麻由お姉ちゃん……麻由お姉ちゃん……ん、んん……」
「あんっ!もうこんなの大きくしちゃって……早く私のおま○こに入れてえぇ……」
麻由お姉ちゃんは太股でグリグリとち○ぽを擦り合わせて、いやらしく催促する。
それに応えて、麻由お姉ちゃんの体を少し持ち上げ、膣穴に当てて一気に挿入する。
「はああんっっ!!やっ、あああんっ!はふっ……いいわよっ、あんっ!……ん、ちゅっ……むちゅっ、んふうっ……」
僕に抱きつき、夢中でキスをして肉棒を締め付け、腰を動かしまくる。
浴槽は二人の動きでばしゃばしゃと水しぶきを上げ、音を立てる。
「はんっ!やああっ!もっと子宮を突いてええ……あんっ!はっ……ああああぁぁぁっっ!!」
麻由お姉ちゃんの体を押し付け、乱暴に腰を振り、とにかく絶頂に達しようとする。
「あんっ!嬉しいわ……お姉ちゃんの体をこんなに好きになってくれて……もっと、もっと私の中で気持ち良くなってええっ……はあああん!!」
おっぱいをわし掴みして、揉みしだき、乳首に吸い付く。
もっと……もっと麻由お姉ちゃんの体を味わいたい……。
「はあああんっっ!!またイクっ……弟のち○ぽでイっちゃうううっっ!!!」
こうして僕と麻由お姉ちゃんとのお風呂場での情事は体が延々と続いた。
出る頃には二人ともぐったりとしてのぼせ上がっていたが麻由お姉ちゃんは何処か満足そうな笑みを浮かべていた。

「はあっ……」
昨日やり過ぎたせいか、腰も痛く体も少しだるい。
おかげで授業にも碌に集中できない。
いや、全部自分のせいなんだろうけど……。
もうすぐ文化祭なので放課後はその準備に色々追われていた。
ただでさえ疲れているのに、しんどいな……。
「おい、そこにあるテープ持って来てくれ」
「え?ああ、うん」
「はあ……いよいよ最後の文化祭か……今年こそは彼女ゲットしねえと」
隣にいたクラスメイトが溜め息をつきながらそう呟く。
「まっ、お前はどうせ今年も無理だろうけどな。去年だって見学にきた女子に片っ端から声かけたけど相手にされなかったじゃん」
「うるせー。今年はビシっと決めてやらあ。これも買った事だしな」
財布から何やら取り出した。見てみるとそれは……。
「それって、もしかして……」
「彼女もいねえのに、無駄な事を……」
僕も傍にいた友人も財布から取り出した物を見て、少し呆れて声を出す。
「何が無駄だよ。これは紳士の嗜みだろうが。ほら、お前らにも一個分けてやるよ。感謝せい」
「い、いいよ……」
と断ったが、二人とも強引に渡せされてしまった。そうだ……
「なあ、それって何処で売ってるの……?」
さりげなく聞いてみた。
「ああ、薬局とかコンビニで普通に買えるぞ。お前らも常時携帯しとけよ。何があるかわからないしな」
「え、ああ……考えとくよ……」
適当に生返事して、お茶を濁す。
正直もう手遅れかもしれないけど、一応帰りに買っておくか。

「ただいま……」
「おかえり、今日は遅かったじゃない」
「ああ、文化祭の準備があったから……」
「ふーん……」
何やら少し不審そうな目をして頷く。
嘘はついてないんだけど……。
「ほ、本当だって。別に変な事はしてないよ……」
「そう……あ、鞄持ってあげるね……」
「あ!ちょっと!」
強引に取り上げられ、中身を見られる。
ちょっと、中には……!
348狂依存 85:2011/02/04(金) 00:21:44 ID:mcoauNNq
「あら……鞄の中にこんな物が……一体どういう風の吹き回しから?」
鞄の中から、今日買ってきたコンドームのパックを取り出される。
「え、だってさ……やっぱり、子供とか出来たらまずいから……」
「今更手遅れよ。それに私たちの間にこんなものは不要じゃない。生身で愛し合ってこそ夫婦なんだから……」
「で、でも……」
「これ、いくらした?」
「え、1000円だけど……」
「そう……ちょっと待っててね」
そう言うと、麻由お姉ちゃんはコンドームを持って居間に行く。

「はい。1000円」
「え?ちょっと何を……?」
僕に1000円を手渡し、手には取り出したコンドームと針をもっている。まさか……
「ふふふ……そのまさかよ……」
「ちょっと、待って……!」
ブスッ!
制止も聞かず、手に持った針を束ねたコンドームに一気に突き刺す。
予想はしていたけど、本当にやるとは……。
「私達の愛は誰にも邪魔はさせないわ。ましてや、こんなゴムごときにね……」
「さあ、もうすぐ晩御飯できるから、着替えたら下に降りてきてね。ちゅっ……」
呆然としている僕に軽くキスをし、台所へと向かい晩御飯の仕度に取り掛かった。

「はあ……」
夕食を食べ終わった後、自室で溜め息をつく。
毎日セックスしろ、でも避妊は駄目。
麻由お姉ちゃんは本当にそれでいいのだろうか?
子供何か出来たら大変な事になるってわからないはずはないのに……。
財布から今日貰ったコンドームを取り出す。
これには気づかなかったのか、没収されずに済んだ。
「でも一個だけじゃなあ……」
使い回しても何回も使える物でもあるまい。
そう言えば今日は何もしてこないな……。
お風呂にも入って来なかったし、誘うような仕草もしてこない。
帰って来た時、キスしただけだ。
「流石に昨日ので疲れたのかな……?」
家に帰った時にされたキスの事を思い出す。
うっ……。
思い出したら、また勃ってきてしまった……。
麻由お姉ちゃんの体。
抱いていると本当に気持ち良くて、何も考えられなくなる。
また抱きたい。
毎日抱きたい。
瞬く間に頭の事はそれで一杯になってしまい、部屋を出て麻由お姉ちゃんを探しにいく。

ぎいっ
ノックもせずに麻由お姉ちゃんの部屋に入って見てみると、麻由お姉ちゃんは机に向かって勉強しているようだった。
「……何してるの?」
「……ああ、ゼミの課題のレポートをやってるの」
僕の方を振り返らず、一心不乱に資料を見ながら机のパソコンに向かい、キーボードを打っている。
大事なレポートなのか本当に真剣にやっている。やっぱり、邪魔しちゃ悪いな……。
麻由お姉ちゃんの真剣な姿を見て、頭も少し冷えたので止める事にした。
「私の都合なんてどうでもいいわ」
「え?」
部屋を出ようとすると、机に向かったまま麻由お姉ちゃんが呟く。
「私が何をしていようが関係無い。あなたがしたくなったら、いつでも襲って犯して良いのよ。それが私の望んでいる事でもあるんだから……」
「で、でも……」
「私を見てセックスしたくなったら、我慢なんかしないですれば良いの。トイレに行きたくなったら、用がある時以外はトイレの都合なんか考えないで我慢しないで行くでしょ。それと同じ感覚でやれば良いわ」
机に向かい、レポートを作成しながら恐ろしい事を平気で口にする。
349狂依存 86:2011/02/04(金) 00:22:26 ID:mcoauNNq
でもその言葉で一瞬冷めかかった欲情がまた盛り返してきた。
恐る恐る近づき、麻由お姉ちゃんの体に近づく。
麻由お姉ちゃんは気づいているのだろうが、全く動く気配を見せず、黙々とレポートを書いている。
「……」
麻由お姉ちゃんの体に手を伸ばし、胸を鷲掴みにする。
「……くすくす。良い子ね。それで良いのよ……ん、んふっ……」
胸を鷲掴みにした瞬間、こちらを嬉しそうにこちらを振り返りキスをする。
「ん、んんっ、ちゅっ……お帰りのキスを思い出しただけで欲情しちゃうなんて……やっぱり、お姉ちゃんの事大好きなのね……」
僕の顔をさすりながら、艶しく囁く。
溜まらずベッドに押し倒し、胸元を露にしてしゃぶりつく。
麻由お姉ちゃんのおっぱいは何度揉んでも飽きない……。
「ああんっ……!そこっ!いいわ……やんっ……ん、んんっ……」
麻由お姉ちゃんが嬉しそうに悶える姿を見て、溜まらず唇を押し付けディープキスをする。
「ん……んちゅっ……ん、んん!ん、むふっ……はあっ……はんっ!やああんっっ!!」
キスを終えたら股間に手を伸ばし、麻由お姉ちゃんの陰茎を指でいじくり回す。
指でつまんだり、軽く引っかいたりして思いのままに弄ぶ。
「ああんっ!!そこっ……駄目っ……あっ、あああっっ!!」
麻由お姉ちゃんも相当感じているのか、体をビクつかせながら喘ぎ声をあげる。
徐々にあそこから愛液もにじみ出てき、指も濡れてきた。
「ああっ!はああんっ!!あっ、やんっ……そこっ!あっ、はあああんっっ!!」
今度は膣穴に指を突っ込み、中を引っ掻き回す。
麻由お姉ちゃんも愛液を飛び散らせながら、更に悶え狂う。
指を引っこ抜いたら、また胸に手を伸ばし正面から胸を揉みしだく。
「はあんっ……またおっぱい……やんっ!はふっ……あああっ……」
指についた愛液を染み込ませるように胸を撫で回すように揉みまくる。
本当に柔らかくて最高のおっぱいだ……。
「はんっ♪ねえ…おっぱいもいいけど、そろそろ私のおま○こにぶちこんでえ……」
麻由お姉ちゃんが股を開き、早く挿入するようおねだりしてくる。
僕も興奮してきたし、そろそろ入れてやるか。
「(そうだ……)」
ポケットの中に閉まってあったコンドームを取り出し、封を開ける。
今更かもしれないけど、やっぱり使った方が……。
「あら……まだ持ってたんだ」
「うん。今日はこれ付けて……」
「本当にそれがあなたの望んでいる事なのかしら……?」
麻由お姉ちゃんは目を細め、かすかに笑みを浮かべながら僕を見つめ囁く。
「本当はそんな物使わず、お姉ちゃんのおま○こを思いっきり犯したいんでしょう……だから、早く……」
「うっ……」
その言葉でコンドームの装着を躊躇する。
僕が本当に望んでいる事……。
これをつけて入れても、本当に今までと同じくらいの快楽を味わえるのだろうか?
「……」
コンドームを放り投げて、麻由お姉ちゃんの割れ目に肉棒を当てる。
「あんっ……そうよ。自分の気持ちに正直になれば良いの……さあ、入れてえ……はふっ……あっ!はあああああぁぁぁっっ!!」
麻由お姉ちゃんの太股を押さえつけ、一気に挿入し腰を動かす。
やっぱり何度やっても、この膣の中で擦れ合う感触は溜まらない……。
「はんっ!あっ……やあああっっ!あんっ!はっ、はあっ……あっ、やんっ!もっと……あんっ!もっとお姉ちゃんのおま○こ突きまくってえ……あんっ!」
麻由お姉ちゃんも中で思いっきり締め付け、腰を振る。
肉棒が膣壁に絡み付いて、締め付けられる感触が本当に気持ち良すぎる……。
「あんっ!やっ!いいわよ……もっと激しく……あんっ!感じすぎちゃう……はんっ!あああっっ!!」
「あふっ!早く出してえ……お姉ちゃんのおま○この中に熱い精液どぴゅどぴゅって出してえ……」
麻由お姉ちゃんは僕を話さないように両手をがっちり握り、更に腰を振る。
僕も負けじとパンパンと腰を押し付け、子宮を叩く。
もうイキそうだ……。
「あんっ!もうイクっ……あっ、はんっ!イクぅっ……!あ、はんっ!やっ、はふっ!あっ、あああっ!!」
ラストスパートをかけ、麻由お姉ちゃんも締め付けをきつくし待ち構える。
「あんっ!イっちゃう……!はっ、やんっ……はっ!あっ、あああああぁぁぁぁぁっっっ!!!」
どぴゅっっ!!どぴゅるるるるっっっ!!!
麻由お姉ちゃんの中に思いっきり、精液を子宮に流し込む。
結局今日も中で出しちゃった……。
350狂依存 87:2011/02/04(金) 00:23:10 ID:mcoauNNq
「はんっ……私の中でどぴゅどぴゅって流れてくうっ……あんっ、はぁっ……はぁ……」
射精が終わった後、体を倒し麻由お姉ちゃんに抱きつき、キスをして余韻に浸る。
やっぱり、麻由お姉ちゃんの体は最高に気持ち良い……。
「ん、んふっ……ちゅっ、むちゅぅ……良かったわ……ふふっ……ねえ、もう終わりかしら……?」
「うっ……」
正直、麻由お姉ちゃんの体は一回や二回の射精で収まりそうに無い。
そのぐらい気持ち良い……。
「ほら、どうしたの……?出したばかりだってのに、私の中に入ってる物はまだまだ元気みたいだけど……」
「……」
「あん♪また犯るのね……いいわよ。好きなだけやってえ……はっ!あんっ!」
麻由お姉ちゃんの中で再び大きくなった肉棒を揺り動かし、再びピストンを開始する。
何度やっても、やり足りない……。
「はああっっ!あんっ!もっとお……やんっ♪もっと激しくう……はんっ!やあああぁぁっっ……!」
麻由お姉ちゃんも再びがっちりと中で締め付け、ヨガリ狂う。
この快楽は一度味わったら、中々抜け出す事は出来ない。
頭の中はそれを求めるのにいっぱいで何も考えられなくなって……。
「はんっ!それで良いの……何も考えないで気持ちよくなる事だけ考えてえっ……はんっ!やっ……!」
そこまで言うなら
僕と麻由お姉ちゃんはこのまま今日も夜遅くまで抱き合った。
この快楽が永遠に続くかのように……。

体がだるい。
昨日も一昨日も力尽きるまで麻由お姉ちゃんとセックスに耽っていたので、当然と言えば当然だ。
でもどんなに体がだるくても麻由お姉ちゃんを一度抱くとその快楽で止められなくなってしまう。
「(こんな生活が続いたら体がもたない)」
駄目だとわかっていても止められない。
こんな事をしていては駄目なのに……。
何より今は受験だ。だるいからと言って気を抜く訳にはいかない。
昨日も一昨日勉強をやっていないのだから、今日はしっかりやらないと……。
この前の模試の成績も芳しくなかったし……。
トントン
「!?」
「頑張ってるみたいね」
麻由お姉ちゃんがお茶を持って部屋に入ってきた。
「はい、ハーブティー。頭がすっきりするわよ」
「ありがとう……」
何か変なもの入ってないよな……?
昨日レポートの邪魔しちゃったから、今日はそのお返しに僕を……
いや、麻由お姉ちゃんがそんな事する訳ないよね。うん。
今まで僕の勉強の邪魔をするような真似はしなかったんだし。
持って来てくれたハーブティーを早速口にする。
「……」
「えっと……何か……?」
お茶を置いてから僕の後ろに立って、少し笑みを浮かべながらじっと見つめている。
「何かわからない事があったら、教えてあげようと思って」
「そ、そう……」
麻由お姉ちゃんに部屋に居られるだけで意識しちゃうから、できれば出てって欲しいんだけど……。
すっ……
「……!?」
麻由お姉ちゃんが突然僕に近づき、身を乗り出してきた。
「ここ、間違ってるわよ」
「……え?」
麻由お姉ちゃんが問題を指差す。
「え?……あ、本当だ」
「ここの問題はね……」
間違った問題をわかりやすく解説してくれる。
香水の匂いが心地良い……
351狂依存 88:2011/02/04(金) 00:23:46 ID:mcoauNNq
「わかった?」
「え?ああ、うん。ありがとう」
そうだ、折角麻由お姉ちゃんが教えてくれてるんだから頑張らないと……。
だけど……
麻由お姉ちゃんが近づいただけで、頭がチカチカしてエッチな気分になって……。
いや、しっかりしないと!
「あ、あの……ここがわからないんだけど……」
「うん?ああ、そこはね……」
麻由お姉ちゃんが僕がわからない問題を教えてくれる。
結構難しい問題なのに、良くスラスラと解説できるな……。
僕よりずっと勉強も出来るんだよな。
「この文の解釈はわかりにくいから、単語力をしっかり身につけないとね。私が使ってた単語集貸してあげようか?」
「うん、お願い……」
麻由お姉ちゃんは勉強の邪魔をしてる訳じゃない。
わからない問題は教えてくれるし、受験の為のアドバイスもしてくれる。
体を必要以上にくっつけたり、いやらしい格好をして誘惑してる訳でも無い。
それなのに、ちょっと近づいただけで胸がドキドキしてきて……。
麻由お姉ちゃんを抱きたい……。
でも、ちゃんとやらないと悪いし……
麻由お姉ちゃんを見ると、そんな僕の気持ちは完全にお見通しなのか、愉快そうな顔をして僕を見つめている。
明らかに心の中では誘ってきている……。
「あ、あの……」
「ふふ……なあに?」
麻由お姉ちゃんが僕に近づく。
身を乗り出した瞬間、とっさに手を握ってしまった。
「……ん?どうしたのかしら?」
「……」
ドサッ
とうとう堪え切れず、煩悩の赴くままに麻由お姉ちゃんをベッドに押し倒す。
「くすくす……急にお姉ちゃんを押し倒したりして、一体何の問題がわからないのかしら?」
「だって、麻由お姉ちゃんが……」
「私が何だって?」
何も変な事はしてない。
ただ勉強を教えてくれてただけだ。
それなのにそばにいただけで、襲いたくなって……。
「ふふ……私が何をしたのかしら?ただ勉強を見てただけなのに……あんっ♪やああんっ……」
キャミソールの肩紐を乱暴に外して胸を露にし、顔を押し当て揉みまくる。
麻由お姉ちゃんも嬉しそうに悲鳴を上げ、体をくねらせる。

麻由お姉ちゃんのおっぱい、柔らかくて良い匂い……
「ああんっ……どうやら、エッチなお勉強を教えて欲しいみたいね。いいわよ……満足するまで見てあげるわ……」
その一言で頭の中が一気に爆発し、顔を押さえて強引にディープキスをする。
麻由お姉ちゃんの体がとにかく欲しい……。
「あふっ……ん、んふっ、ちゅっ……ん、んちゅっ……ちゅっ、ちゅっ……」
麻由お姉ちゃんも負けじと僕の顔を押さえて舌を入れ、唇を押し付ける。
「はふっ……ん、むふぅ……ん、んん……やんっ……そんなにがっついちゃって……嬉しいわ。もっと好きなだけがっついてえ……あんっ!」
麻由お姉ちゃんの体を引っ繰り返し、股間に顔を埋めてシックスナインの体位を取る。
こんな間近でアソコを見るのは初めてかも……。
「やあん……ふふっ……そんなに顔を押し付けちゃって……ほらあっ……もっと私のおま○こ味わってえ……」
麻由お姉ちゃんは股間を僕の顔にぐいぐい押し付けながら、僕の肉棒を露にし、舌先で亀頭をちろちろと舐め始める。
「ん、んちゅっ……ちゅるっ、ちゅっ……んふっ……やんっ!そこっ……!はんっ!やあああっっ!!」
割れ目の部分に指を当てて弄くり回すと体をビクつかせて、震えだす。
それでも竿を握り、先端をしゃぶり続ける。
「あんっ……ちゅっ、んちゅっ……ちゅっ、ちゅるっ……んんっ……はんっ!そんな……はああんっっ!!」
おま○こを舌で舐めまわし、膣穴に舌を入れると余程感じるのか更に喘ぎ声を上げてヨガる。
「ああんっ!そこ、もっと……はんっ!ん、んちゅっ……ちゅるっ、ちゅっ……んちゅっ、ちゅっ、んちゅっ……」
麻由お姉ちゃんも負けじと僕の肉棒を咥え、しゃぶり始める。
口の中で舌と粘液が絡みつく感触で、どんどん熱く勃起していく。
352狂依存 89:2011/02/04(金) 00:24:53 ID:mcoauNNq
「ん、むふっ……ん、んちゅっ……じゅるっ、ちゅっ……んんっ……んふっ!ん、んんっ……」
僕も麻由お姉ちゃんのクリトリスを舌先で舐め回す。
麻由お姉ちゃんの巧みな舌使いに比べればかなり稚拙なものだが、それでもそれなりに感じているのか体をビクつかせている。
「ん!んんふっ……ちゅ、じゅるっ、ちゅっ……じゅるっ、ちゅっ……んちゅう……」
しゃぶるスピードを速めたり、吸い付いたりしてじらしながら、徐々に肉棒を口内で絶頂に導こうとする。
姉がもたらす魔の快楽で早くもちん○は爆発寸前に陥る。
もうイキそうだ……。
「ん、んちゅっ……じゅるっ、ちゅっ……ん、んん……ちゅっ……んちゅっ、ちゅるっ、じゅるっ……」
麻由お姉ちゃんはそんな僕の気持ちを見透かしたのか、スロートを一気に速める。
その口内でまとわりついている舌が激しく擦れ合う感触がもたらす快楽で頭の中は何も考えられなくなってしまった。
「ん、んんっ……ちゅっ、じゅるっ、ちゅっ……じゅるっ、ちゅっ……むちゅっ、じゅるっ、ちゅぅ…んん……」
「(うっ……もう……)」
どぴゅっっ!!どぴゅるるるるっっっ!!!
麻由お姉ちゃんの口内で達し、精液を喉の奥にまで叩き込む。
麻由お姉ちゃんは肉棒をがっちりと咥え、口内に出た精液を飲み干す。
「ん……んんっ……ん、んくっ……ん……」
「またこんなにいっぱい出しちゃって……お姉ちゃんの口でしゃぶられるのが本当に好きなのね……ちゅっ…」

飲み干した後も嬉しそうに竿を掴んで、先端にある残りカスを舐め取る。
「ん、ちゅるっ、ちゅうっ……ふふふ……まだこんなに元気……まだまだエッチのお勉強を見て欲しいんじゃないかしら?ちゅっ……」
先端部分をキスを何度もされたお陰で射精したばかりのち○ぽはまた膨張してきた。
まだやりたい……。
「ふふ……まだ見て欲しいみたいね……さあ、早くお姉ちゃんのおまんこに入れてえ……」
麻由お姉ちゃんは横向けに寝て足を広げ、ヒダを手で広げながらいやらしい声で催促する。
その誘惑に負け、足を掴み一気に肉棒を押し付け挿入する。
「はああああんっっ!!やんっ……そんないきなり……あんっ!ああああっっ……!!
足を押さえながら測位の態勢でピストンを始める。
いきなり入れたので少し驚いたようだったが、すぐに膣の中で締め付けを始め僕のされるがままに腰を振り、快楽に浸っている。
「ああんっ!はっ、あんっ……いいわよ……もっと腰振ってえ……はんっ!やんっ……はっ、やあああっっ!!」
右手を麻由お姉ちゃんの胸に当て、揉みしだくと更に甲高い声を挙げて悶える。
腰を動かす度に肉棒が柔らかい膣肉に絡みつき、包み込まれるような感触でどんどん頭は快楽でいっぱいになってしまう。
「やあんっ!!こんなの……!あんっ、はげしすぎ……あんっ!はああぁぁっっ!!」
膣の中を乱暴に掻き回し、子宮にガンガン突きまくると麻由お姉ちゃんも更に嬌声を激しくし、ヨガり狂う。
その淫らな様が更に欲情を掻き立て、子宮を突くスピードを激しくする。
麻由お姉ちゃんも結合部から、愛液を撒き散らしながら、肉棒を締め付け腰の振りを激しくする。
「はふっ……あんっっ!!はふんっ!!やっ……イっちゃう……あんっ!はあああぁぁんっっ!!」
麻由お姉ちゃんとのセックスは本当に気持ち良い……。
今はこの快楽を貪る事しか頭に無い。
「(もうイク……)」
「あああんっっ!!いいわよ……早く中に……あんっ!また中に……はっ!はああっっ!!」
「やんっ!イクっ……!あんっ!はんっ!!イっ……はっ、あああああぁぁぁぁんっっっ!!!」
どぴゅっっ!!びゅくるるるるっっっ!!!
麻由お姉ちゃんの中でまたもや果て、精液を思いっきり中に叩き込む。
麻由お姉ちゃんもがっちり締め付け、流し込まれる精液を受け止めている。
「はあああっっ……私の中にいっぱい……あんっ……」
膣の中で締め付けられながら、射精するときの心地良さが何とも溜まらない。
もっと、もっとやりたい……
「はんっ……まだまだ物足りそうな顔……いいわよ……お姉ちゃんが満足するまでしっかりとセックスのお勉強見てあげるわ……」
「ほら……好きな所に入れていいわよ……気の済むまで私の穴をちんぽでハメまくってえ……」
一旦繋がっている物を抜いて、四つん這いになり、お尻をふりふりしながらまたおねだりをする。
「……」
「はあんっ……や、はあああぁぁぁぁっっ!!んくっ……そうよ、あんっ……それで良いのよ……あんっ!」
お望み通り麻由お姉ちゃんが差し出した穴に本能の赴くままにち○ぽをぶちこんでやった。
アナルかま○このどちらに入れたかは覚えていない。
353狂依存 90:2011/02/04(金) 00:25:35 ID:mcoauNNq
ただ目の前のこの女を犯したかった。
「はあっ……!いい……あんっ!はふんっ……もっと突いてえ……やんっ!乳首、そんな……あんっ!はあああんっ!!」
二人とも腰を振ってひたすらこの快楽を楽しむ。
麻由お姉ちゃんとのセックスのお勉強は二人が疲れて寝るまで続いた。

結局昨日も同じ事を繰り返してしまった。
麻由お姉ちゃんとのセックスは本当に気持ち良い。
だけど、こうして麻由お姉ちゃんと離れていると、その罪悪感で心に押し潰されそうになる。
あの快楽を楽しんだ事への代償であるかのように。
「はあ……」
自室の机で肩を落として溜め息をつく。
麻由お姉ちゃんは今、買い物に出かけていない。
でも帰ってきたらまた同じ事をやってしまうかも……。
最近は体も心もだるくて、何もやる気が起きない。
あれだけ激しくセックスすれば、当たり前か……。
バスケ部だったから、体力には多少自信はあったつもりだが、それでもきつい。
引退してから碌に運動していないので、体もなまってきてはいるけど……。
でも麻由お姉ちゃんは今朝もピンピンしていて顔色も良かった。
あの体力は何処から出てくるのだろう……。
ずっとソフト部のレギュラーだったし、元々基礎体力は半端じゃなかったけど、まるで僕の精気を吸い取られてるみたいな感じがした。
その様子を見て、また襲いたくなったが流石に朝からそんな事はしていられないので自重した。
麻由お姉ちゃんは心なしか残念そうな顔をしてた気もするけど、今日は文化祭もあったから遅れる訳にはいかなかったので仕方ない。
「こんな生活送ってたら、駄目になっちゃう……」
ただでさえ、受験の大事な時期なのにこんな事をしてたら勉強所では無い。
早く何とかしないと……。
「あら?何かお悩みかしら?」
ふに
「え!?」
「えへへ……ただいま」
突然頬を抓られたので振り返ってみたら、麻由お姉ちゃんがいた。
「あ……帰ってきてたんだ」
呼び鈴なったけ?
「いるのはわかってたけど、驚かせようと思って黙って入っちゃった。驚いた?」
「うん、少し……」
「何か悩んでいる様だけど、今日の文化祭で何かあった?」
「いや、別に変わった事は無かったよ」
僕が何に悩んでいるなんて麻由お姉ちゃんならわかってるだろうに……
「そう……なら、何に悩んでいるのかしら……」
麻由お姉ちゃんが僕に擦り寄ってきて、体を密着させる。
そんな事されたら、また……
「ん?ほらあ……何に悩んでいるのか話してみなさい。お姉ちゃんが力になってあげるから……」
指で体をゆっくりと撫でながら、耳元で艶かしい声を出す。
「別に何も……今日は疲れたから、もう休もうと思うんだ。だから……」
「嘘ね。私に体を密着されただけで、おち○ちんこんなに勃起させちゃって……ちゅっ、ちゅ……」
股間に手を添えて、勃起しかかってた肉棒をさすり、頬にキスして誘ってくる。
「ちょっと、止めて……ん……」
力なく拒否するとすぐに唇で口を塞ぐ。
「ん、んん……何が止めてよ。私を犯したくて頭がいっぱいの癖に。我慢は体に良くないわ。遠慮なく私を犯して楽になりなさい……ちゅっ…」
麻由お姉ちゃんの甘い誘惑と匂いと体が触れ合う感触で、頭がボーっとして何も考えられなくなる。
このまま押し倒して楽になりたいけど……
「早くう……昨日みたいに私を押し倒して、好きな様に嬲って犯してえ……」
「昨日も一昨日もごめんね。一昨日は邪魔しちゃったし、昨日はせっかく勉強みてくれたのに、あんな事……ん、んふっ……」
「ん、んちゅぅ、ん、、んん……!ちゅっ、むちゅっ、れろ、れろっ……むちゅぅ……」
僕が昨日の事を謝ろうとまたキスして口を塞ぎ、阻止する。
まるで怒ってるみたいに口の中に舌を入れて絡ませあい、僕の舌に強く吸い付いたりして激しいキスを繰り返す。
「ん、んんふっ……ちゅっ、むちゅっ……ん、んふう……ん、れろ、ちゅっ、んちゅっ……」
「はぁ……まだ変な事を言ってるお口があるわね……でも大丈夫。お姉ちゃんがあなたの邪魔をしてるものを退治してあげるからね」
ようやく離れた頃には口の中もべとべとになってしまった。
354狂依存 91:2011/02/04(金) 00:26:10 ID:mcoauNNq
「もっと、もっと悪化させてあげる……ん、れろ……」
看病して悪化させるって……日本語ちょっとおかしい気が……。
「こうやって私とのセックスを躊躇ってる間はまだまだ症状は重くは無いわ。これからもっと重くして末期状態に持っていってあげる」
「『麻由お姉ちゃんの邪魔しちゃよくない』『姉弟だから』『麻由お姉ちゃんの体が心配』『妊娠したらどうしよう』こんな事下らない事を考えては駄目。私を見てムラムラきたら、すぐに襲い掛かる様じゃないと……」
「そんなの嫌だよ……第一、麻由お姉ちゃんはそんな関係で本当に幸せなの?」
「当たり前じゃない。私の体で喜んでくれるなんてこんなに嬉しい事は無いわ。だから、早くう……」
麻由お姉ちゃんは股間を肉棒に押し付け、ぐりぐりさせながら催促する。
「ごめん……今日は本当に疲れているんだ。だから、一人にして休ませて。お願いだから……」
「あら……本当にいいのかしら?そんな状態で体が休まるとは思えないけど……」
「休んで体の調子が良くなったら、また来るからさ……だから……」
「わかったわ。じゃあ、私としたくなったらいつでも来なさい。待ってるから」
「ありがとう……」
麻由お姉ちゃんにしては珍しく素直に僕の説得に応じ、部屋を出た。
本当はしたくてしたくて仕方ないけど、このまま流されたら体が壊れてしまう。

「でも、体の疼きを止めないと……」
そう思い、手に股間を当て自慰を開始する。
「(麻由お姉ちゃん……)」
でも考えても浮かんでくるのは麻由お姉ちゃんの事だけ。
携帯電話を取り出し、アダルトサイトでエロ画像や動画を見ても全く満足出来ない……。
何より麻由お姉ちゃん以上の女性がいない。
本当に麻由お姉ちゃんを抱かないと、満足出来ない体になってしまったのか……。
「麻由お姉ちゃん……」
やっぱり、抱きたい……
ベッドにうつ伏せになってシーツを押し付けながらもんもんとする。
「お困りの様ね……」
「!?」
顔を上げると、麻由お姉ちゃんがいつの間にか僕の目の前に立っていた。
「私がオナニーの手助けをしてあげるわ。ほら……このオナホールにち○ぽを入れて気持ち良くなりなさい……」
僕のベッドの上に座ると股を開き、ヴァギナを手で開いて誘ってくる。
「言ったでしょ?あなたはお姉ちゃんとセックスしないと満足出来ない病気になってるのよ。そんなエロサイトの画像ごときで満足出来る訳無いわ」
「その体の疼きは私を抱かないと止められないわよ……何なら他の女を何人か試しに抱いて見てもいいわ。私以上の満足など得られる筈も無いんだから……あんっ……!」
さりげなくとんでもない事を口にしてた気もするが、もうそんな事はどうでも良く麻由お姉ちゃんを押し倒して上着をひんむいて胸を貪る。
「ああんっ……!それで良いの。何も考えないで私を犯してえ……あんっ!」
半分意識が朦朧とした状態で麻由お姉ちゃんの体をあちこち貪り、この快楽に浸る。
「さあ……早くこのオナホールにおち○ぽ入れてえ……あっ、あああああぁぁぁっっ!!」
お望みどおり、麻由お姉ちゃんの中にち○ぽを挿入し、突き上げる。
この肉棒を柔らかく包み込む様な膣壁の感触……。
これがないともう満足出来ない。
「はんっ、やんっ!いいわよっ!もっと……もっと突いてええ……あんっ!!」
こうして今日も麻由お姉ちゃんと疲れ果てるまでセックスに耽って終わった。
既に一度やりだすと本当に気持ち良くて、止められなくなる体になってしまっていた。
こんな事が一生続く筈は無いのに……。

「ふう……」
もう寝ちゃったか……。
既に何時間も続けて私を犯し、疲れ果てた主人はそのまま気を失う様に寝てしまった。
ようやく身も心も私の虜になってきたみたいね。
でも、まだまだよ。
まだ私とのセックスに躊躇いを持つ邪魔な理性があの子の中にあるわ。
もっと私の虜にしてそんな下らない考え、頭に思い浮かばないくらいにしてあげる。
私があなたにとって最高の女である事を認識させる必要があるわね。
「もう少し待っててね……」
愛しい人の頬にキスをし、部屋を出る。
今日もスタミナがつく食事を作ってあげるからね。
355 ◆wBXWEIFqSA :2011/02/04(金) 00:26:36 ID:mcoauNNq
以上です。
ありがとうございました
356名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 00:46:44 ID:+GxrVRlX
GJーー!!!!!
もしかしたら一条沙耶が泥棒猫?と思ったけど、個人的には今のキモヤンの狂麻由姉ちゃんに捕食される弟という話をしっかりと掘り下げる展開はドツボで好みですね


>>341他作品を貶める発言をしたら次は通報します。作品のフアンに失礼だしルール違反


357名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 01:24:12 ID:i7ZDd7b/
翼をくださいとか狂もうととか作品自体は普通に良作なのにな

きっと壊れてるなどもそうだが良い書き手がいるのになんだか素っ気ないなここ
358名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 01:45:03 ID:H8YoPsoG
GJ
皆規制なんじゃないのちょっと前まで俺も規制されてたし
359名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 14:40:29 ID:T77Vct1K
長編が多いからよっぽど急展開じゃないかぎり瞬間的な反応が薄くなるのは仕方ないかな

でもほんとの過疎スレはこんなもんじゃないぜ…
毎回ROMってても他の誰かがGJしてる今は個人的には幸せな状態
360名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 15:22:33 ID:728xyB/0
弟は姉の所有物
弟の童貞も姉が奪うのが当然
弟が結婚していいのも姉だけ
弟の精子も姉にしか出してはいけない
つまり妹は姉の出来損ない
361名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 15:32:27 ID:NEHUqByI
>>360
ふとイチローのコピペが浮かんだ
362HとIの隙間(提唱者:キモウト) 1/4:2011/02/04(金) 16:35:52 ID:DU/UUyqN
「おに〜ちゃ〜ん、入るよ〜?」

「あれ? どうしたのお兄ちゃん? 何かびっくりしてるみたいだけど」

「あ、もしかして、ちょうど今オナニーするところだった?」

「ごめんね〜? 邪魔しちゃった?」ニヤニヤ

「『だったら出てけ』? だが断る! 私の一番好きなことは、恥ずかしがるお兄ちゃんを眺めてニヤニヤすることだー!! …あぁん嘘々! だから鍵閉めないでよおにーちゃーん!! ふぅ…まさか締め出されるとは思ってなかった…」

「へ? ううん別に? 用はないよ。ただお兄ちゃん何してるかな〜っと思って」

「あ、女の人の写真はっけーん! わー可愛い人だねー? …ちょっとお兄ちゃん! そこは『お前の方がずっと可愛いよ。フッ』とか言うところでしょ常識的に考えて!? …引くなー!!」

「まったくぅ…それよりお兄ちゃんこの人? 何がって…」



「『新しい』彼女さん」



「何でってそりゃ解るよ。だってこの写真立て、お兄ちゃんのお気に入りでしょ? 確か、最初の彼女さんが、お兄ちゃんの誕生日にプレゼントしてくれたやつだよねー?」



「いつまでも過去にしがみついててみっともな〜い♪」



「うわぁ…盛大に『orz』ってる…ねえお兄ちゃん、頭踏んづけていい? ボケとは何よボケとは!?」

「ま、お兄ちゃんも耳が痛いだろうし、今日のところは弄るのはこれくらいにしとこうかな? …何? 何 か 文 句 で も? …よろしい」

「あ、そうだ。お兄ちゃん、お兄ちゃんに一つ聞きたいことがあるんだけど、いい? …ありがとー!」

「えっとね、あのね、お兄ちゃんはね…」



「この女(ヒト)とエッチして気持ちよかった?」



「どうしたの?」

363HとIの隙間(提唱者:キモウト) 2/4:2011/02/04(金) 16:36:22 ID:DU/UUyqN

「何をって…だから、『この女とエッチして気持ちよかったか?』って聞いてるんだけど?」

「ああ、何でエッチしたのが解ったのかってこと? そりゃ解るよ〜♪ だって私は、お兄ちゃんの妹なんだから♪ ぷー!」

「えっとね、3日前、お兄ちゃんのパンツが2つ乾してあったから、それを見た私の『女の勘』が『ピキーン! 見えた! そこっ!』だったんだよ。 フッ、兄上も意外とお甘い様で」

「ううん。別に彼女さんとエッチしたことをどうこう言うつもりはないよ? 前にも言ったけど、私は別におにいちゃんを縛るつもりはないから」

「で、話は戻るんだけどさ、お兄ちゃん…」



「この女とエッチして気持ちよかった?」



「どうしたのお兄ちゃん? どうして答えてくれないの? ま、まさかお兄ちゃん…EDになっ…いったーい!」

「イタタタ…もう! いきなり妹を殴るなんて何考えてるの!? 『お前に言われたくない』? なによそれー」

「まあいっか。で、どうなのお兄ちゃん? 気持ちよかった? この子おっぱいおっきいし、パイズリとかし放題だね〜? 『まだそこまではヤってない』? それは失礼…でも『まだ』ってことは、いつかはヤる気なんだね。わかります」

「ところでお兄ちゃん、気付いてる? さっきからお兄ちゃんの目…



「すっっっっっごくヤらしいよ?」



「ま、これからオナニーしようってところに、こ〜んな超☆極上!の美・少・女♪が来たんだから、ハァハァするのも仕方ないよね? うん」

「さて、このまま何事もなかったかのように部屋に戻るのもいいんだけど…」

「ねぇお兄ちゃん。せっかくだからエッチ…ううん」



「セックスしよっか♪」


364HとIの隙間(提唱者:キモウト) 3/4:2011/02/04(金) 16:36:55 ID:DU/UUyqN

「同じこと? ううん。エッチとセックスは、似てるけど全然違うものなんだよ?」

「エッチは、男と女なら誰でも出来るの。男の人のオチンチンが勃起して、女の人のオマンコが濡れれば誰でも出来る。そう、好きな人じゃなくても。別に相手のことをどう思っていようと、相手のことが好きでも嫌いでもできる。それがエッチなんだよ?」

「でもセックスは違う。セックスはね? 本当に好きな相手とじゃないとできないの。互いに心が通じ合っていて、お互いの存在、温もり、心が溶け合うくらい想い合っていないとできない。決して気持ちよくなれない」

「お互いが絶頂した後も、心と身体が満たされたまま、『幸せ』という気持ちで一杯になる。『幸せ』が体中を駆け巡って、触れ合った肌から自分の『幸せ』があふれ出ていく」

「触れ合った所から、相手の『シアワセ』が流れ込んでくる。自分の『幸せ』と相手の『シアワセ』とが交じり合って、もっともっと『シアワセ』になれる」

「それがセックスなんだよ?」

「え?『だったら尚更彼女の方がいい?』…クスクス、何言ってるのお兄ちゃん?」



「お兄ちゃん、『シアワセ』になれた?」



「私知ってるんだよ?私が部活で汗を流していた頃、お兄ちゃん彼女さんとエッチしてたでしょ?」

「言ったはずだよ? 女の勘が『キュンキュン唸った』って♪」

「そんなことより、どう?『シアワセ』になれた? 繋がったとき、心と身体が満たされた? 私とセックスしたときより『シアワセ』になれた?」



「…違うでしょ?」



「当然だよ。だって、あのオンナはお兄ちゃんを愛してないんだもん」

「セックスが出来るのは、互いに通じ合った相手とだけ。互いに『愛しい』と思える相手とだけ。『愛し』合う二人だからこそ出来るのが、セックスなんだよ?」

「だから、あの女とどれだけエッチしても、それはセックスにはならないの。お兄ちゃんがどれだけ気持ちよくなろうと、どれだけ気持ちよくしてあげようともエッチ止まり。セックスのセの字程度にしかならないんだよ」

「でも私は違う。私ならセックスできる。私だからセックスにできる。私しか、お兄ちゃんのココロとカラダを満たしてあげることはできないの。他の誰にもできない。私にしかできないことなんだよ?」

365HとIの隙間(提唱者:キモウト) 4/4:2011/02/04(金) 16:37:18 ID:DU/UUyqN
「『何が望みだ』って? 別に脅迫してるわけじゃないよ? お兄ちゃんの弱みを握ってるわけでもないし、お兄ちゃんに何かしてほしいわけでもないの。言ったでしょ? 『お兄ちゃんが彼女を作ろうとも構わない』って。まぁ、」



「お兄ちゃん『が』私『を』欲しいっていうのなら別だけど」



「私も結構モテるからね〜? 3組の○○さんほどじゃあないけどw」

「どうするお兄ちゃん? 私が他の男と付き合ったら? 私が他の男を好きになって、彼も私のことを愛してくれて、私とその人がセックスしちゃったらどうする?」

「今はお兄ちゃんだけの心と身体を満たしてあげられる私が、その人だけを満たしてあげられるようになったらどうする?」クスクス

「お兄ちゃんとセックスしてくれる人がいなくなっちゃうかもね〜? お兄ちゃんの全てを埋めてあげられる人間が、私以外に本当にいるのかな〜?」ニヤニヤ

「ま、まだ時間はあるし、よ〜っく考えるといいよ? お兄ちゃんは一体誰を選ぶべきなのか、ね?」

「とりあえず、今は私が満たしてあげる♪ この女(ヒト)じゃ埋められなかった、この女では埋まらなかったお兄ちゃんの隙間を、私の愛と欲望と快楽で満たしてあげるね?」クスクス



「お兄ちゃん、だ〜い好き♪」
366名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 16:37:47 ID:DU/UUyqN
以上、規制解除記念
367名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 17:57:18 ID:sHGNDCA5
大GJ!! こんなキモウト欲しい!!
368名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 18:52:25 ID:VaAuddlZ
てst
369名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 21:39:03 ID:Y5vedEOY
>>355
GJ!
370幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:48:10 ID:7XtHd9Fs
今晩は。
表題について投下いたします。
371幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:48:51 ID:7XtHd9Fs

だれなのだろう、こいつ。
しせんがきもちがわるい。
まるでゆうれいみたい。

なんでにいさんはこんなやつにさわれるんだろう?
え、いまあいつおにいちゃんっていったの?
きょうからこいつといっしょにくらす?
かぞく?

まあいいや。
にいさんはわたしだけのにいさんなのだから。
こんなじゃまものがいたからって、
なにもかわらない。
372幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:49:13 ID:7XtHd9Fs
*********************************

本当に面白い、何もかもが思い通りだなんて。

「あははははは」
「何か、面白い事があったの?」
「は、はわひゃっ!!」
「姉さん、私。
 そんなに驚かないで」
慌てて振り向くと、後ろでアイツが顔に"?"を浮かべながら首を傾げていた。
「え、え〜っと、シルフちゃん、どの辺りから聞いてたのかな〜?」
「どの辺りって、何の事?」
うん、良かった、さっきの独り言は聞かれてないみたい。
兄さんにはコイツに全部話すって脅したけど、
本当はコイツにそんな事をしたら何をするか分からないもの。
はぁ、結局、コイツは厄介者のままなんだね……。
「? どうしたの?」
「ううん、何でもないよ。
 ちょっと庭を掃除していただけ」
「私も手伝う」
「ありがと〜、でも、もう終わる所だからお姉ちゃんだけで大丈夫だよ」
「でも……」
「ふふ、もっとシルフちゃんが必要ながいるでしょ?
 シルフちゃんは兄さんのお嫁さんなんだから」
自分で言っていて反吐が出そうになる。
兄さんは私だけのモノだ。
偽物の恋人のオマエが入る隙なんて無いんだ。
373幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:49:40 ID:7XtHd9Fs
「うん、分かった」
短くそれだけ答えてアイツは私の横をすり抜けて玄関へ向かう。
もう私の事なんて全く見ていない。
「ねえ、シルフちゃん?」
「何、姉さん?」
アイツはドアノブに手を掛けながら振り返る。
「シルフちゃんは今、幸せかな?」
「うん、私は誰よりも幸せだよ、まるで夢の中みたいに。
 ありがとう、姉さん、私を救ってくれて」
そう言ってアイツは笑っていた。
陰気臭くて、ぎこちない笑顔は相変わらずだ。
アイツの背中が扉の中に消える。
「くすくす、本当に馬鹿な奴」
もしも兄さんの事を本当に信じていられれば、もっと幸せになれただろうにね。
あれだけ兄さんに愛されているんだから。
ああもう、イラつくなぁ。
私がアイツだったら絶対に兄さんを信じていられるのに……。
本当に、何で兄さんはアイツなんかを好きになったのだろう?
まあ、いいや、そんなの考えるだけ無駄だよね。
後で私だけの兄さんにいっぱい慰めてもらえば良いだけなんだから。
374幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:50:08 ID:7XtHd9Fs
兄さんの事をたくさん考えて何とか感情を抑え込めた時には、
火はもうすっかり全てを燃やし尽くしていた。
残っているのは真っ黒な灰だけ。

「これでお終い、だね。
 勝ったのは雪風、負けたのは兄さん。
 優勝賞品は兄さんを一生分、くすくす」

これで良い。
これでもう、兄さんを失うことを恐れなくていい。
私は兄さんがずっと欲しかった。
それが何時からかなんてもう覚えてもいないくらいに。
いつも、兄さんと居ると心地良かった。
初めはただそれだけで満足できた。
幼心に兄さんとずっと一緒に居たいと思っていた。
でも、それだけじゃ満足できなくなった。
兄さんの一番になりたいと思った。
それでも満足できない。
兄さんを私の物にしたい。
兄さんから私以外の物がなくなれば良いのにって思った。
だから兄さんから、体も心も奪ってしまいたい。
そう渇望するようになった。
それが、御空路 雪風という兄さんの妹の本当の姿。
なのに、兄さんはどんなに手を尽くしても私のものにならなかった。
気付けば少しずつ兄さんは私の側から離れていった。
そうやって兄さんがいなくなるのが、怖かった。
375幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:50:50 ID:7XtHd9Fs
「本当に、怖かったなあ、今まで」

ずうっと、兄さんの前では心が通じている妹の振りをして。
アイツの前では、明るくて家族思いの優しいお姉ちゃんを演じて。
ははは、本当に怖かった。
だって、そんなの全部嘘なんだもん!!
あははははは
アイツなんて大嫌いだし、兄さんの事なんて全然分からない。
分かるわけないじゃない、兄さんの心の中なんて。
あの人が何を思っているのか、
それを知る事ができるならどんな代償だって喜んで支払うわ。

「くすくす、そういえばシルフちゃんはよく言ってたよね〜。
 私と兄さんは本当の兄妹だから、お互いの事が分かるんだって。
 ひょっとして私と兄さんの心が繋がっているって本当に思っているのかな?」

何回も見たあのアイツの不愉快な目線が頭に浮かぶ。

「ふざけないでよね、そんな訳ないじゃない」

アイツはいつも何かあると私を羨ましがった。
ただ兄妹というだけで兄さんの事が何でも分かるんだって言って、
いつもいじけた陰気臭い目で私を妬んでいた。
アイツがそうやって無神経な事を喚く度に何度も神経を逆撫でされた。

「ふざけないでよ、幽霊女。
 私がどれだけ兄さんの事を知り続けていたのか、何も知らないくせに」

アイツがくだらない事でいつも落ち込んでいる時にもだって、
兄さんは何を喜んでくれるのか、
兄さんは何を私に求めているのかの答えを必死に探していた。
なのに、アイツは何もしない癖に私と同じ妹として扱われていた。
私以上に兄さんから愛された。
兄さんの事なんて何も分からない癖に。
兄さんに好かれるような理由なんて無いはずなのに。
アイツはただ妹というだけで兄さんから大切にされた。
ただ血が繋がっていないというだけで兄さんに求められた。
妬む資格があるのは私の方だ。
376幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:51:20 ID:7XtHd9Fs
私だって本当はアイツと何も違いなんて無い。
どれだけ頑張っても兄さんを理解できなかった。
兄さんが今まで何をしていたのかは全部知っている。
でも、兄さんがどうしてそれをしたいのか、
何を思ってそれをするのかなんて全く分からない。
だから、兄さんがちょっとでも変わればすぐに兄さんの事が分からなくなる。
私には兄さんが分からない、分からないから怖い。

「兄さん、本当に怖かったんだよ?
 兄さんがいつか私の前から消えてしまうんじゃないかって、
 ずっとその事に怯えてたんだよ?
 だって、兄さんにとって私はかけがえのない存在なんかじゃないんだもの。」

私にとって兄さんはずっと特別な存在だった。
兄さんもにとっても特別な存在だと思っていた。
兄さんは私だけには特別に優しかった。
私の気持ちだけは特別に理解してくれた。
私の為ならば特別に自分自身を犠牲にしてくれた。
そして、特別に私に笑いかけてくれた。
兄さんは私だけのモノなんだ。
それが当然なんだと思って、何も疑わなかった。
でも、アイツが家族に加わって、
私と兄さんの関係はアイツの所為で大きく変わってしまった。
兄さんは心の閉じたアイツの為に色々なことをした。
アイツにはそんな事をする価値なんて無いのに。
兄さんの献身、それは私にだけ与えられた特権のはずなのに。
あの廃墟だってアイツに"特別"に教えていた。
あの場所は兄さんの特別な雪風と2人だけの秘密だった。
私は新しく来たアイツに兄さんが盗られてしまうのだと焦った。
そして、アイツを追い出せば兄さんは取り返せるのだとも考えて安心した。
だから、あの日わざとアイツを怒らせて、兄さんの前で私を殴らせた。
アイツの心は不安定だったから拍子抜けするほど簡単だった。
これで簡単に、兄さんを取り戻せると思った。
兄さんは絶対に大切な雪風の敵は許さない。
だから、兄さんは私の為にアイツを追い出してくれて、
私はまた兄さんの特別に戻れると信じていた。
けれど、兄さんはあの時、私を見捨ててアイツを追いかけた。
377幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:52:32 ID:7XtHd9Fs
アイツが家出をした夜の事はよく覚えている。
残された私は訳が分からなかった。
どうして兄さんが私の隣に居ないのか。
アイツをどうして追いかけるのか、私には何も理解できなかった。
夜遅くになって、やっと帰ってきた兄さんの背中は血で真っ赤だった。
ガラスの破片だってきらきらと光っていた。
なのに、兄さんはアイツの頭を撫でながら笑っていた。
アイツの心と体を傷つけないために。
兄さんの笑顔はずっと私を守ってくれていた笑顔と同じだった。
アイツはまだ出会ってから3ヶ月の他人なのにどうしてあんな顔が出来るのだろう?
あの時はただもやもやとした違和感を感じるだけだった。
でも、そういう疑問を持ちながら兄さんを見ていると少しずつ分かってきた。
兄さんは家族であれば私でなくてもきっと誰でも良いんだって。
兄さんにとっての私はアイツと何も違わない"唯の"大切な妹で、
私は兄さんにとって大切な存在なんかじゃないんだって分かった。
378幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:57:13 ID:7XtHd9Fs
そう理解してから、私は変わった。
兄さんを自分だけのモノにする為に、
兄さんにとって本当の特別な存在になろうと必死に努力した。
兄さんに気に入られるように兄さんの好きな事を覚えた。
兄さん好みの外見を研究した。
それに、兄さんが望むように、大嫌いだったアイツの優しいお姉ちゃんにもなった。
あの能天気で明るい性格だって初めは兄さんに気に入られる為の演技だった。
もっとも、今では私の本当の性格なんて分からなくなっちゃったけど。
それだけじゃない、勉強も、運動も、遊びも、
兄さんが興味を引くだろうあらゆるものは先んじて学んだ。
チェスだって絵画だってそう、兄さんの好みを必死に分析して、
兄さんが興味を持つずっと前から死に物狂いで努力した結果。
そうやって兄さんの先を行けば、兄さんは私を追いかけるだけしか出来なくなる。
そうすれば、兄さんは私だけに心を奪われる。
そうなれば、兄さんは私だけのモノになるって私は信じていた、なのに
379幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:58:11 ID:7XtHd9Fs
「 なのに、何?
 チェスはルールも知らない位の初めてで何年も勉強してきた私を倒せて、
 絵はたった1年ちょっと描いていたらプロへの道?」

歯を食いしばる、ぎり、と軋む音がした。

「……ふざけてるよね。
 なんでそうやって、いつも私を追い抜くの?
 私なんてすぐに要らなくなるの?
 兄さんは何なの?
 私は兄さんが欲しいんだよ、その為に必死に努力したのに!?
 なのに、どうしてそうやって私の手の届かない場所にいつも行くの!?」

いつもそうだった。
私は兄さんの先を歩いていたはずなのに、
気付けば兄さんの遠い背中を追わされていた。
今までこれだけ兄さんに尽くしてきたのに。
あんなに兄さんを楽しませてきたのに、
私のモノになってくれない。
兄さんはいつも楽しむだけ楽しんで、私を置いていく。

「私は兄さんの玩具じゃないんだよ?
 逆じゃない、兄さんが私のモノなんだよ?」

そして、私を散々遊び尽くした後に兄さんから帰ってくる言葉は、
いつも”ありがとう”だった。

380幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 01:58:37 ID:7XtHd9Fs
「ありがとうってどういう意味?
 あははは、兄さんはどうして私がこんな事を続けていたって思っていたの?
 まさか、本当に兄妹で通じ合っているなんて、馬鹿なアイツみたいに?
 それとも無償の愛? 
 この前だって私に言ったよね、
 何回も、何回もしつこいくらいに、ありがとうって。
 あれ、どういうつもりだったのかな〜?」

ふざけないでよ、兄さんを私のモノにする為に決まっているじゃない。
全部、その目的があったから出来たんだよ?
とても苦しかった、辛かった、怖かった。
それでも、兄さんの特別な存在になる為に必死で努力をした。
そうすれば兄さんの心を、体を、私だけのモノにできる。
それだけを望みにここまで来たのに、
そんなの欠片も見えなかったじゃない。
ただ残った僅かな報いがありがとうだけ?

「どうしてそんな事が言えるの?
 兄さんは私の想いを踏みにじったんだよ?
 ありがとうって、それがどれだけ酷い言葉か分からないの?
 兄さんには私がどんな気持ちだったか分からないの?」

ありがとう、と言われる度に見せられる、
私の大好きな兄さんが見せる大っ嫌いな笑顔は、
必死に兄さんの背中を追う私を嘲笑う様にしか見えなかった。
兄さんの優しさなんて私には残酷な仕打ちにしかならなかった。

「兄さんは酷い人だよ。
 だから、こんなのを私に答えだなんて言えるんだ……」
381幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 02:00:42 ID:7XtHd9Fs
私は燃え尽きて細かな灰になったそれを睨め付けた。
それは風に吹かれてぱらぱらと宙に舞っている。
何が描かれていたのかもう分からない。
それはほんのちょっと前まではとても綺麗な絵だった。
劇場跡で遊んでいる小さな少年が一人と少女が二人。
白い髪の少女と少年が手を繋いでいて、黒い髪の少女は少年の肩へ抱きついている。
三人ともみんな笑っている。
それは懐かしいようで決して有り得なかった光景、
だって小さな頃の私が壊したんだもの。
だからそんなのは、とても綺麗なだけの絵だった。
それを見た時に私は兄さんの言う答えの意味が分かった。
その3人のいる劇場が全てを物語っている。
そこは私が私だけの兄さんを失った場所、
アイツが私から兄さんを2回奪った場所。
兄さんは綺麗事にまた私を引きずり込む積りなんだ。
兄さんの求める答えっていうのは、アイツと兄さんは恋人で、
私と兄さんは兄妹、どちらも兄さんにとって大切な二人。
そういう、誰もが笑いあえる綺麗な世界があって、
私たちが出会った時からそれが私たちの理想だった。
そういう事にしてしまいたいんだよね?
私がずっと兄さんに抱いていた想いも、
兄さんが手に入らない苦しみも無かった事にして。
382幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 02:01:07 ID:7XtHd9Fs
兄さんは全然知らないないんだね?
私がどれだけ兄さんの為に苦悩して、呻いて、壊れそうになったか。
そして、どれだけ兄さんの事を私が愛しているのかも。
最後まで兄さんは結局、私の事を分かってくれないんだ?
私はずっと迷ってたんだよ?
私の願いが叶えば兄さんはもう笑えなくなるし、永遠に閉じ込められる。
本当にそれで私は良いのかなって、
兄さんも私も幸せになる方法もないのかなって、何度も考えたのに。

兄さんの嬉しそうな笑顔に胸が熱くなった。
それが私でなくアイツに向けらているのは分かっていたのにずっと見ていたくなった。
兄さんとキスをした瞬間は今でもはっきりと思い出せる。
ほんのちょっとの間唇を重ねただけだったけど。
私を妹としか見ていないはずの兄さんのプレゼントに息が出来なくなるほどときめいた。
アイツにやっていることのただの真似事なのに胸の鼓動が抑えられなかった。
兄さんに頭を撫でられた時の私は言葉も出せないくらい幸せな気持ちになれた。
あの時、私の告白を否定しないでくれた兄さんの答えに涙が出そうだった。

「そして、俺は雪風もアイツも幸せになれる答えを出して見せるよ」

兄さんは私の気持ちを理解なんてしていていないって分かっていたのに、
兄さんの口先だけの言葉に希望を持った。
兄さんがいつか私に答えを与えてくれて、私は救われると思っていた。
私は兄さんを信じていなかったけど、心から兄さんを信じていた。
383幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 02:01:54 ID:7XtHd9Fs
でも、裏切られた。
あんなに期待していたのに、兄さんから帰ってくる言葉は最後まで感謝だけ。
そんなのいらない、私は兄さんにありがとうなんて言って欲しくない。
私は兄さんに求めて貰いたかった。
側に居て欲しいとか、必要とか、そんな綺麗な言葉を掛けるのじゃなくて。
誰よりも愛している、って言って欲しかった。
兄さんがアイツへ告白する時みたいに。
そうしたら私は兄さんに騙され続けてあげても良かった。
だから、私は兄さんにその手掛かりを教えてあげたし、
何度も兄さんに問い掛けた。
それを兄さんは私のゲームと取り違えてたみたいだけど実際は逆。
もし、私の誘惑に兄さんが負けてくれたら。
私に妹以上の欲望を抱いてくれたら。
少しだけも、私の為にアイツを裏切ってくれたら。
私も愛してくれるっていうのなら。
私は今までみたいに兄さんの思うままにしてあげる積りだった。
兄さんの望む便利な妹の立場でずっと我慢してあげようと思った。
それが私の出せる最愛の兄さんへの最大限の譲歩。
なのに、兄さんは一度も受け入れようとはしなかった。
アイツなんかを求めた癖に。
384幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 02:02:22 ID:7XtHd9Fs
アイツと兄さんが付き合ってから、何度も考えた。
どうして抱き合っているのは私じゃなくてアイツなんだろう。
私じゃなくてアイツがどうして、兄さんに告白をされているのだろう。
兄さんに愛される資格があるのはアイツじゃなくて私のはずなのに。
確かに兄さんとアイツの距離を縮めたのは私だ。
でも、私はアイツが兄さんに愛されるように仕組んでなんて無い。
それに、アイツに付き合うのに疲れた兄さんが、
私の所に戻ってくるかもしれないとだって期待していた。

何でアイツなの?
アイツは兄さんの気持ちなんて分からずに喚き散らしてるだけじゃない。

何でアイツじゃないといけないの?
アイツが兄さんの為に出来る事なら、全部、私の方が上じゃない。

何がアイツにあるっていうの?
豊かな体? 綺麗な顔? 硝子みたいに澄んだ赤い目? 雪みたいに白い髪?  
くす、兄さんが外見で惑わされるなら、私は兄さんの理想そのものなんだよ。

何で私じゃないの?
私は誰よりも兄さんに相応しい女の子なんだよ。
385幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 02:02:56 ID:7XtHd9Fs
あははは、分からないよ。
誰より兄さんの事を知ってる雪風には、兄さんの事が全然分からないよ。
アイツを愛する兄さんなんておかしいよ?
血の繋がりなんて関係無い、私を求めない兄さんなんて有り得ないんだよ?


 じゃあ、もうそんな兄さんの自由なんて、必要ない。
 だったら大好きなアイツに壊されて、私のモノになっちゃえば良い。


それが兄さんの残酷な答えへの、残酷な私の答えだ。
兄さんが全部悪いんだ。
私を兄さんだけしか見られなくしたから。
兄さんが私以外を見るから。
私を兄さんが見捨てるから。
兄さんが私の事を理解してくれないから。
私が信じていた答えを出してくれなかったから。
386幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 02:03:17 ID:7XtHd9Fs
なんだ、本当は兄さんに勝つどころか勝負にすらなっていないじゃない。
結局、私は兄さんに振り回されていただけなんだから。
それって今までと何も変わってなかったって事だよね?
なら、全部兄さんの自業自得なんじゃない。

「そうだよ、兄さんが全部悪いんだよ。
 生まれてからずっと雪風に酷い仕打ちをしてきたんだから。
 でも、だから天罰が当たっちゃったんだよね〜」

今の兄さんは、無能だ。
一番大事だった物も失って、夢見たはずの日々はもう取り戻せない。
そして、もう兄さんの理想は手に入らない。
最後に残されたもの、私やアイツを振り払う力すら無い。
これからの兄さんは永遠に私の玩具だ。
そう、あの日までの私と全く同じように。
387幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 02:03:57 ID:7XtHd9Fs
「あははははは、どんな気分か、兄さんには分かるかな〜。
 ねえ、いっぱい素敵な夢を見せてもらって、素敵なお話を何度も聞かせてもらって。
 たくさん、たくさん、期待させて。
 でも、最後に何にもあげな〜いって意地悪されるんだよ?
 辛いでしょ、隣にいる最愛の人に想いが届かないのって。
 苦しいでしょ、体一つだって自分の思い通りにならないのって。
 これで、兄さんは雪風にどれだけ酷い事をしたのか少しは分かってくれたかな〜?」

兄さんの事をずっと愛していたわ。
でも、それと同じくらいに残酷な兄さんを憎んでいたんだよ。
どうして、本当の雪風の心を理解してくれないのって、ずっと叫んでいたんだよ!!
あははは、でもいいよ、もう全部許してあげるね。
だって、雪風の一番欲しかった兄さんはもう雪風のモノなんだから。
大丈夫だよ、兄さん。
兄さんは、兄さんにとってのアイツや雪風みたいに、
どうでもいい何かなんかじゃないんだよ。
だから、ずっと、もう二度とどこにも行けないように、
誰かに盗られてしまわないように、
私の手元からいなくなったりしないように、
暗くて狭い箱の中に大事に仕舞ってあげるからね。
それから、シルフっていう重い鎖で縛ってあげる。
388幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 02:04:32 ID:7XtHd9Fs
私は目を閉じて、兄さんの姿を思い浮かべる。
目蓋の裏にはっきりと、優しく笑いかける兄さんの顔が写る。
いつかは兄さんだってまたそうやって笑える日が来る。
ううん、絶対に来させてみせる、だよね。

「兄さんは私のモノ、愛してるよ、兄さん」

一番欲しかったのに、ずっと手が届かなかった物を手に入れられた。
私はもう絶対に逃がさない、逃がしたりなんてするものか。

私は幸せだ。

そして、この幸せをこれからもずっと閉じ込める、永遠に。


389幸せな2人の話 24:2011/02/05(土) 02:07:59 ID:7XtHd9Fs
以上です、ありがとうございました。
次回で終了ですが、最後の1話分は補足編です。
実質的には今回でお終いです。
ただ、もしマルチエンドが大丈夫でしたら、
グッドエンドも作ってみたいとは思っています。
今までありがとうございました、失礼いたします。
390名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 02:25:10 ID:dNNKhsYs
GJ!!!
ついに次で最終回ですか・・・・
391名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 03:24:27 ID:R5KQKPxJ
GJ

俺は出来ればグッドエンドもみたいです
392名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 09:29:19 ID:VHMoNDlD
兄の体が元に戻るの期待
393名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 14:10:12 ID:QalNCLSV
投下乙!
兄貴に救いはないんですか!?
394名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 15:53:49 ID:l7JfJTpf
救いはないね!?
395 ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:43:40 ID:VSwEIp7P
狂もうと投下させてもらいます。
今回は15レスほど使わさせてもらいます。
396狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:44:25 ID:VSwEIp7P
「ねぇ…どっちが可愛い?」
目の前に、可愛らしい花柄ピンクと淡い水色のロングスカートが揺れている。

「う〜ん…どっちも可愛いけど、由奈はスカートよりデニムのほうがいいんじゃないか?」
近くにあったジーンズを手に取り、由奈の腰に当ててみた。
やはりスタイルがいいのだから、腰のラインがはっきりと見えるモノのほうが見栄えするし似合う気がする。

「でも、お兄ちゃんはこんな感じのスカートのほうが好きなんでしょ?よく、雑誌見て可愛いって言ってるじゃない…」
頬を膨らまし此方を睨むと、ジーンズを元のあった場所に戻せと言わんばかりに、俺が由奈の腰に当てているジーンズの上から花柄のスカートを合わせて見せた。

確かに俺はふわっとした雰囲気を好む…それは身近に居た妹二人が可愛いと言うより美人の部類に入るからだと俺は思っている。
簡単な話、身内とはいえ美人を見慣れている俺は、自然と可愛いおっとりとした子に目が向いてしまうのだ。
だからといって美人が嫌いな訳では無い。
やはり綺麗な人には視線を奪われる事だって多々あ……。

「ちょっと……今、私と買い物してるんでしょ?どこ見てんのよ?」
由奈に頬をつねられ、引き寄せられた。
397狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:45:12 ID:VSwEIp7P
「い、痛いって!ただ、ボーってしてただけだろ!」
由奈の手を頬から引き剥がし、頬をさする。

「…本当に?」
下から覗き込むように顔を近づけてきた。


「本当だって…だから早く服選べよ」
まぁ、ぼーっとしていたのは嘘で本当は店の外を歩く綺麗な人に見とれていたのだが…それぐらい男として許してほしい。


「しかし…本当に大きな所だな」
店の外に目を向け呟いた。
由奈と買い物に出掛け、由奈に連れられて来た場所は最近出来た市内にある大型ショッピングモールだった。
雑貨から洋服和服までなんでも揃っているらしく、一昨日オープンしたばかりなので言葉は悪いが人が蟻のようにごった返している。
その中に俺達も混ざっているのだが、そんな人間達が足を止めてまでも見ようする一際目立つ存在が俺の目の前にあった――。



「可愛いよね〜、こんな綺麗な身体私も欲しい〜!」

「スタイルも良いし顔も小さいし、それに雰囲気が高嶺の花って感じで近寄りがたい所がまた憧れるよねぇ〜!」
隣に居る女子高生二人が俺と同じものを見て目を輝かせている。



「はぁ、私も零菜みたいになりたいなぁ…」
そう…目の前にあるのは妹、零菜の特大ポスター。
398狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:45:51 ID:VSwEIp7P
店の外ガラスに大きく貼られており、誰もが目につく所を零菜が独占している。
この店をアピールする為にこの店のブランド服を着ているのだろう……だからだろうか、ポスターを見た女性達は当たり前の様に次々とその店の中へと吸い寄せられていく。
トップモデルという肩書きは女性の憧れを一身に受けるのだろう……これなら親も鼻が高いはずだ。
旧家だの掟だの世間体に拘っていた親類達は最初猛反発したそうだが、一度成功するとやっぱり零菜は高杉家の華だと懐に入ろうとする。

自分自身の事では無いのに、何故かイライラする…。

「お兄ちゃん、どうしたの…顔、恐いよ?」
由奈に肩を掴まれ、はっと我に返った。

「いや、なんでも無い…。それより買いたいモノは買ったのか?」

「うん…一応お兄ちゃんが持ってたジーンズと水色のスカート買ったよ」
手に持っている紙袋を嬉しそうに持ち上げ中を開いて見せてくれた。
中を確認すると、確かに紙袋の中には俺が手に取ったジーンズが入っていた。

「なんだ…結局買ったんじゃないか」

「ふふ…お兄ちゃんが似合うって言うから仕方なくね」
仕方なくって…別に俺の意見に合わさなくてもいいのだが…。
399狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:47:49 ID:VSwEIp7P
「んで、これからどうするんだ?まだ買いたいモノあるのか?」
時計に目を向ける。
7時30分…この店に来たのが6時だから、すでに1時間30分も服選びに付き合わされた事になる。
女の買い物は男に苦痛と言うが、まさにその通りだ。
俺としては、歩きっぱなしだったので少し休みたいのだが…。

「そうねぇ……後はCDショップと本屋に行って終わりね。お兄ちゃんのお箸とコップも買いたかったけど、それはまた明日にしよっか」

「明日も来るのか!?」

「えっ?当たり前じゃない。模様替えの為のカーテンも欲しいし、あとは小物類も――」
次々に由奈の口からでてくる言葉に明日だけでは終わらない事を悟った。

「あとはパジャマもy分かった、分かったから。はぁ…だから早く今日買いたいモノを買ってしまおう」
ため息を吐き由奈が話続ける言葉を遮ると、由奈の手から先ほど買った衣服が入っている袋を手に取り人混みの中へと入っていった。

「ちょ、ちょっと待ってよ!」
後ろから慌てたような声と共に俺の空いている腕に手が巻き付いた。
勿論由奈の手だと思っていた俺は、人前で腕を組むなという訴える目を隣に落とした。


「ふふ、優くんビックリした?」
400狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:52:27 ID:VSwEIp7P
――隣に居たのは由奈では無く、小柄な女性。
くりっとした目に母性をくすぐる(母性など持ち合わせていないが、何故かその言葉がしっくりくる)あどけない表情。

「あれ?薫ちゃん?」
顔を確認すると、自然とその子の名前が口から出た。
――俺の腕を取っていたのは大学時代からの女友達である杉原 薫だった。

「何してるの?一人で買い物?」
俺の手にある紙袋の中身を確認しようと、手を伸ばしてきた。

「ちょ、恥ずかしいから勘弁してくれ…」
苦笑いを浮かべながら紙袋を薫ちゃんの手から遠ざけた。
中には由奈のスカートが入っているのだ……流石に見られるのは抵抗がある。
それに万が一変な趣味だと思われたら…。

「えぇ〜?いいじゃん、見せて見せて〜」
人混みの中、薫ちゃんは俺の袋を奪おうと必死になって紙袋に手を伸ばしてきた。
此方も何とか手から逃れようと右へ左へと薫ちゃんの手が届かないように袋を動かした。

そんな事をしているうちに薫ちゃんも夢中になったのか、俺の身体へ自分の身体を押し付けてくるようになった。
小柄なのだが出ている所はちゃんと出ているので感触が…。

「ちょっ、薫ちゃん身体が」
401狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:53:01 ID:VSwEIp7P
流石に人前で、しかも人々が行き交う中でこんなことをしていたら周りの迷惑になるし、自分自身困惑してしまう。
それに周りの人だって変な目付きで俺達を見ながら通り過ぎていく。
中には立ち止まって此方を睨み付けている人だっ……て…。





「ちょっと……私のモノにベタベタと触らないでもらえますか?」
睨み付けていたのは我が妹の由奈だった。
そう言えば由奈も居たんだ…。
人混みの中、此方へツカツカと歩み寄ってくると、俺の手にぶら下がっている紙袋を強引に引き剥がした。

「由奈…お前またそんな言い方を」
由奈を咎めようと眉を潜めた。
しかし、由奈は俺に見向きもしない。

由奈が見ているのは……。

「な、なんですか…?」
由奈の視線を感じたのか、薫ちゃんはおどおどと後退り俺の後ろへと隠れた。

「また―たない手で――ちゃんを―――ねよ―がッ―」
雑音で由奈の声が途切れ途切れしか聞こえない。
ブツブツと呟くように話しているので余計聞こえにくいが、由奈の顔を見る限り何となくあまり良い言葉を呟いているようには見えなかった。

昨日の出来事を思い出す…。
お互いに良い出会い方をしたとは言えないだろう…。
402狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:55:19 ID:VSwEIp7P
ファミレス前での一件……それに俺はよく薫ちゃんに由奈の事で相談をしていた。
お互い二十歳を越えているのだから、そろそろ恋人や好きな人ができてもおかしくない年頃。
いや、中には結婚して子供が居る人だって山ほど存在するのだ。
それなのに由奈の口からはこれと言った特定の男性名が出た事が一度も無い。
由奈なら選び放題とまではいかないが、間違いなく良い男を捕まえれるだろう。
目利きもいいので悪い男に引っ掛かる心配も少ないはずなのだが……。


――ふと由奈に視線を向けてみた。

「お兄ちゃん、早く行こうよ」
薫ちゃんから視線を外し、いつの間にか此方に目を向けていた。
その目は明らかな苛立ち色を含んでいる。

「そうだな。それじゃ薫ちゃん、買い物楽しんでね」
ここは由奈の言うことを聞いていたほうが無難だろう。
薫ちゃんに軽く手を振り、人混みに紛れようと由奈の背中を軽く押して歩き出した。



「待って、優くん!」
歩き出した直後、後ろから薫ちゃんに呼び止められた。
再度、後ろを振り返り薫ちゃんに目を向ける。
何故か頬を赤らめ、上目遣いで此方を見つめもじもじと身体をくねらせている。
403狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:56:06 ID:VSwEIp7P
正直、この仕草に俺は滅法弱い。
恥ずかしがる女の子と言うのは誰でも心揺すられるモノだが、俺は人一倍揺すられるのだ。
それに見た目が伴うと尚更…。


「あの、あのね…今日…一緒y「すいませんが、先を急ぐので失礼します」
薫ちゃんの言葉を遮る由奈の声が聞こえたかと思うと、後ろから腕を力強く引っ張られ一瞬で人混みの中に吸い込まれた。
人混みに飲まれる間際、薫ちゃんの表情が酷く歪んだのは気のせいだろうか…。


※※※※※※


「はぁ……上手くいかないなぁ…」
空を見上げながらため息を吐く。
小さな星が数個見えるだけだ。少し曇っているのかも知れない…市内の方にいくと曇ってようが無かろうが星は常に見えづらいのだが、今私が居る場所の周りには古家しか無い。

昔から変わらない風景だが、私はこの風景が気に入っている。
今私が居る場所は実家の近所にある小さな橋の上…昔から悩み事があると私はこの場所に来ていた。
橋の下を流れる川水の音に虫が鳴く音…夏になるとカエルの鳴き声も聞こえてくる。
実家に居る時もそうだが、カエルの鳴き声や虫の音は小さい時から聞き慣れているので私の子守唄となっている。
404狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 22:58:11 ID:VSwEIp7P
それを周りの友達や知人に話すと決まって驚いた表情を見せてくれた。
しかし、一人だけ私に共感してくれる友達が居たのだ。

それが優くんだった…。
初めは別になんとも思わなかったのだが、色々な優くんとの共通点を見つけていくにつれていつの間にか優くんの事が好きになっていた。
まぁ、察しが悪い人でも分かると思うが、私が悩んでる事…それは優くんのこと。
優くんの事と言うより、優くんの家庭事情と言ったほうがいいかも知れない。

優くんに相談されたのは一年ほど前だった。

仕事場が突然倒産して、仕事が無くなったらしい…。
そんな事はなんら問題では無い、若いのだから次の仕事を探せばいいだけだ。
この御時世すぐに見つかるとは思えないが、優くんならまた良い仕事が見つかるだろう…。
だから私は軽い気持ちで相談に乗っていたのだが……半年ほど前に突然優くんから優くんの妹に対する相談を受けたのだ。
相談窓口じゃないんだからと少しムッとしてしまったが、優くんから頼られる事に優越感を覚え相談に乗る事にした。
優くんには3つ年の離れた妹がいるのだが、優くんから話を聞く限り、その妹が優くんの行動を制限しているようなのだ。
405狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 23:00:04 ID:VSwEIp7P
確か名前は由奈ちゃん…だった気がする。

始めは「兄になついている妹なんだなぁ…」ぐらいにしか思っていなかったのだが、ある日由奈ちゃんから頻繁に送られてくるメールが気になり、一通だけ優くんにお願いして見せてもらった事があるのだが……見た瞬間、背筋がゾッとした。

兄に送るメールの内容では無いのだ。
なんと言えば伝わるだろうか……妻が愛する旦那に送るメール…と言えば分かりやすいだろうか…。

とにかく兄妹のメール交換では無かった。
もしかして優くんも…気になり優くんのメールも確認したが、優くんは割りと普通のメールで返していたのでホッとした。
だから由奈ちゃんと会うのは正直恐かった。
由奈ちゃんがどんな人間か分からなかったから。
そして昨日…初めて由奈ちゃんと対面した。

結果…やはり私の考えていた通りの子だった。
あの子は優くんに依存している…それもかなり重度に。
他人の私が引き剥がそうとすれば由奈ちゃんは躊躇する事なく私に攻撃してくるだろう…。
それは昨日由奈ちゃんの行動を見てはっきりと感じた。
あの時、優くんが助手席に向かわなければ間違いなく何らかの攻撃を仕掛けられたに違いない。
406狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 23:01:14 ID:VSwEIp7P

「う〜ん…どうすればいいんだろ…」
優くんと由奈ちゃんを普通の兄妹に戻さない限り優くんと遊ぶ事すら儘ならない…。
そうなると付き合うなんて夢のまた夢のような話になってしまう。
私に対する優くんの印象は多分良いほうだと私は思っている。
家族の悩みを打ち明けてくれたのだから、少なからず好意も寄せられていると思いたい…。

「あぁー、誰か助けてよ〜!」
暗闇の中、近所迷惑にならない程の声で叫んだ。





――「どうしたの?」
後ろから聞こえてきた声に思わず小さな悲鳴をあげ、頭を抱えてしゃがみこんだ。
私が座り込んでいるアスファルトのすぐ隣に人影が写っている。
真後ろに誰か居るようだ。

声から察するに女性の声だったけど…。
やはり近所迷惑だったのだろうか?

恐る恐る腕の隙間から後ろを確認した。

「あら…ごめんなさい。驚かせるつもりなんてなかったのよ?」
外灯の明かりに照らされたシルエットが私に手を差し出している。

差し出された手に戸惑いを隠せなかったが、女性なので痴漢の類いでは無いと勝手に判断し、差し出された手を取らせてもらった。
407狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 23:09:14 ID:VSwEIp7P
「す、すいません…ッ…ありがとうございます」
触れた瞬間、心臓が跳ね上がるほどの冷たい手だったが、顔には出さず立ち上がり頭を下げた。

「くすくす……何か悩み事でもあったの?声がお腹から出てたわよ?」
女性は小さく上品に微笑むと、私のお腹を軽くポンポンと叩いて見せた。

普通なら「他人になんでそんな事言われなきゃならないのよ!」と文句の一つでも言うところなのだが、何故か言えなかった。
多分この人の容姿のせいだと思う…。

顔が化け物みたいとか、おかしな場所があるとかでは無い。




……ただ、綺麗過ぎるのだ。
同性の私が見ても純粋に綺麗だと言える程に――。

腰できっちり揃えられた艶のある黒髪に、細い目……日本人形の様な不思議な雰囲気をもっている。
身長も私より10センチ以上高い。
女性の後ろにはいかにも高そうな車が橋の真ん中で停まっている。多分この女性の車だろう…運転している姿を頭で想像する……似合い過ぎるぐらい絵になっていた。

恥ずかしい事に目の前に立つ同性に見とれている自分が居た。

「……あっ、すいません!大声だしちゃって!」
我に返った私は、またも響くような声をだしてしまった。
408狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 23:10:35 ID:VSwEIp7P
慌てて口を押さえて、目だけで女性の顔を確認する。
表情変えず、まだクスクスと微笑んでいる。

「ごめんなさいね?貴女あまりにも元気だから」
私の顔がおかしかったのだろうか?
口元を隠して笑いを堪えている…が目が笑っている。

「はは、あはは…は…」
彼女につられて私も笑う。
まぁ、私の場合は苦笑いなのだけど…。

「ふぅ……で、貴女は何をしていたの?」
お互いに意味の分からない事で数分笑った後、息を落ち着かせた女性が私に問いかけてきた。

「いや、別になにもないです…」
流石に見知らぬ人に相談していいことでは無いだろう…。
まぁ、友達になれば相談もアリかも知れない…けど…。


「……あれ?お姉さんどっかで会いませんでしたか?」
ふと、女性の顔に見覚えがあることに気がついた。マフラーで口が隠れているので見え辛いが、最近どっかで見た様な気がする…。


「ふふ……会った事は無いわね。多分今日が初めてよ。
ただ、私は人の目につきやすいお仕事をしているから」
意味深な発言と共に首に巻いてある黒いマフラーを外して見せた。


「え……ウソ…な、なんで!!?」
多分今日一番デカイ声を出したんじゃないだろか。
409狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 23:11:24 ID:VSwEIp7P
勢いよく女性から距離を取り再度失礼の無いように顔を確認する。

「あの…すいませんけど」
絶対に間違いない。
今さっきコンビニで買った雑誌の表紙に大きく写っていたので鮮明に覚えている。

ドキドキする胸を両手で押さえ、恐る恐る聞いてみた。




――「モデルの篠崎零菜さん…ですよね?」



「……あら、私の事を知ってくれてるのね。ありがとう」
ニコッと微笑み手を差し出される。
なんの躊躇もせず私はその手を両手で握りしめた。

「キャー!本当に凄い!なんでこんな場所に居るんですかぁ!?」
私の興奮が一気に爆発した。
女性の憧れであり、誰もが認めるトップモデルの篠崎零菜が私の前にいるのだ。
雑誌やテレビでしか見れなかった人が私の目の前にいる。
それだけで気絶しそうだった。


「弟と妹に会いにね…。その帰りに貴女を見かけて、珍しいモノを見せてくれたから声を掛けさせてもらったの」

「珍しい……ですよね…はは…」
自分でも分かるぐらい顔が真っ赤になっている…。
まさか零菜さんがこんな田舎に居るなんて想像すらしていなかった。

今日私は誰よりも幸福者なのだろう…。
いや、運を使い果たしたかも知れない。
410狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 23:21:08 ID:VSwEIp7P

申し訳ないのだが、この時ばかりは優くんの相談事が頭から抜けていた…。
一時間の零菜さんとの雑談は緊張しっぱなしだったけど本当に楽しかった。
私の知らない世界を数多く教えてくれたし、コンビニのロールケーキが好きと、小さな庶民性も見せてくれた。
多分一般人では私が一番零菜さんの話を聞けたかも知れない。

帰り際そんな零菜さんから、迷惑じゃなければ電話番号を交換しようと言ってくれた。

「本当ですか!?私で良ければ喜んで!!」
断る理由なんて一ミリも無いので、快くOKさせてもらった。
お互いに手を振り颯爽と車で走り去る零菜さんを見送り、再度携帯の画面を確認する。

零菜さんと書かれた文字の下に11桁の数字が並んでいる。
間違いなく零菜さんの電話番号だ。

「わぁ…私本当に零菜さんと話てたんだ……それに電話番号まで……」
携帯を頬に当て空を見上げる。
夢のような時間だったけど、本当に楽しかった。

これで優くんの悩み事も解決できそうな気がしてきた。
411狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 23:21:44 ID:VSwEIp7P

「あれ?そう言えば優くんの名字も確か…」
ふと頭の中で優くんと零菜さんの顔を同時に浮かべてみた。

「……まぁ、同じ名字の人なんていっぱい居るしね…よし!明日から頑張るぞ〜!」
二人の重なり合う顔を頭から無理矢理消すと、携帯をポケットに突っ込み、零菜さんの余韻がまだ残る橋の上から自宅へと走りだした。
412狂もうと ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/05(土) 23:22:23 ID:VSwEIp7P
ありがとうございました、投下終了します。
413名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 23:45:32 ID:MThNLiHJ
GJ
登場人物が一気に増えましたね

ヤンキモの由奈に泥棒猫ポジの薫
多分話のミソとしては今の所謎キャラのモデルの妹零菜‥‥
話が動くのは次話か?次の展開に期待!

414名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 00:17:38 ID:p0Nz99rk
GJ
前話で主人公のが双子の兄ってあったけど、零菜が弟って言ったのは思うとこがあるのか
415名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 00:26:25 ID:L5IYTmpZ
>>414
ごめんなさい!
素で間違えました…兄でお願いします
416名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 01:10:12 ID:wUMtw2IX
人の少なさ異常。
規制か…
417名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 01:47:38 ID:+GjxTLuY
>>416
このスレは良い方でしょ
キモイ姉妹思いつく作者さんばかりで嬉しいよ。
418名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 02:17:40 ID:kKp34uzA
gj!次回も期待してるよ
419名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 22:22:36 ID:+GjxTLuY
純粋な姉を見て知恵遅れのキモ姉を思いついた
弟とは結婚出来ないと言われて大泣きまで想像した。
420名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 22:32:17 ID:dYL9CP36
翼をくださいの続き来ないかなぁ(0゜・∀・)ワクワクテカテカ
421名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 23:18:59 ID:wUMtw2IX
>>419
その設定は俺の心がもたない…。
てゆうか障害者をヒロインにもってくると、ヤンデレというカテゴリーより障害者ってほうが印象強いからどうしても萌えより罪悪感が勝る。
422名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 23:19:53 ID:wUMtw2IX
ヤンデレじゃないな…キモ姉だ
423名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 23:26:38 ID:hziqxg0r
Yスレが荒れている
対岸の火事じゃ無い気がする
424名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 23:39:03 ID:I8vMkFU1
そんな事言われてもどうしようもないんだぜ
俺は全裸に毛布を纏い投下を待つのみ。さぁ次は何が来るんだ
425名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 23:58:07 ID:+GjxTLuY
>>421
ヤッパリ人によってはキツイのか。
純姉そのままだけど赤ちゃんはどう出来るのか姉に聞かれ
シドロモドロに何で知りたいか返す弟
姉は弟の赤ちゃんが欲しいと言い出す。
426名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 00:05:44 ID:wUMtw2IX
>>425
いや、ほのぼの系なら大丈夫かも知れないけど……まぁ、見てみないとわからないw
ただ、ちょっとした鬱展開でも寝取られに近い胸糞悪さが残るんじゃないかなぁ〜って…まぁ、自分の意見なんですけどね。
だけど内容は濃くなりそうだよね。
短編でもいいからちょっと見てみたい気もするかな
427名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 00:10:19 ID:2c7KiKvF
ここで言うキモさがあるなら注意書きすれば投稿しても問題ないと思う
428名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 02:00:43 ID:GA1KlZ1c
逆にこのスレで無条件にアウトなものって何?
429名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 03:03:12 ID:mzXH4R8P
>>428
キモ姉妹でないこと
430名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 09:54:15 ID:AfkJhIZX
>>428
幼馴染√
431名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 10:11:03 ID:BysJUEjU
キモ姉妹ルート行かなくてもいいんじゃない?
幼馴染ルート行ってキモ姉妹に惨殺されるルートとかさ
432名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 11:29:21 ID:aaM1XdOO
>>431
そこは惨殺より監禁洗脳のほうがいいなぁ
四肢切断とかまではいいけど殺しちゃうのはちょっと


達磨にされて精神崩壊してあーあー言ってる兄or弟に口移しでご飯あげたり、交尾してる様をビデオに撮って泥棒猫に送りつけるとか見たいかも
433名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 12:18:56 ID:upNM1D7A
>>432
子供が出来て兄や弟が凄く可愛いがって
良い夫婦してるのを幼馴染に見せつけるのも追加して。
434名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 13:28:51 ID:YlO//8Br
幼馴染ルートに行っても実は血の繋がった姉妹でしたとかいうツイストがありそうだよねこのスレの場合
435名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 13:54:58 ID:B8gbyjb5
>>434
それを幼馴染みが知っていたか知ってなかったか、ってのも大事な要素だ

知ってたならキモ姉妹と言えるが、知らなかったならただの幼馴染みモノだし
436名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 16:53:33 ID:tdgUFs6R
逆に兄弟が普通に結婚しちゃって嫁さんと子供連れてこられて本気でぐぬる姉妹とかは?
437名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 17:17:34 ID:K5wPhXnB
ぐぬる?
どこの言葉?
438名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 18:14:42 ID:ywbwKug6
「ぐぬぬ」を動詞にしたんじゃね
439名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 23:21:19 ID:A1vrWL3T
敗北する姉妹も案外いるスレなのでキモければだいたいおkなのかもしれない
440名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 23:28:31 ID:+ydz4YFS
>>432
そんなss何処かにない?
このスレじゃなくてもいいから
441名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 23:40:51 ID:YlO//8Br
>>435
知らなくても発覚してからレッツ背徳すればいいじゃない
442名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 01:58:35 ID:yQRlA7PO
>>421
逆に兄か弟が知恵遅れはどうだ?
そのハンデゆえに天使みたいに純真で
母性本能をMAXまで刺激されたキモ姉妹がどんだけ修羅場こさえても、

(・∀・)アハ

みたいな
443名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 02:11:40 ID:6HQo/YeD
>>442
何故そんなに知恵遅れに拘るの?

やっぱり理由も同じで萌えより罪悪感や嫌悪感が勝るかなぁと俺は思うけど、一度書いてみないことにはね…。

短編でいいなら、ちょっとだけ書いてみようか?
444442:2011/02/09(水) 03:05:08 ID:yQRlA7PO
ああ、俺>>419とは別人だよ
レス読んでてそういうのも面白そうだな、と思ったから

書いてくれるんなら喜んで全裸待機させてもらうよ
445名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 10:38:31 ID:Kk+j6Awk
>>440
>>432だがすまん
そういうシチュ好きで探してるんだがまだ見つかってない

ああ、妹に監禁されたいなぁ
あ、リアル妹はカンベンねw
446名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 13:15:48 ID:MaCe0UNs
主人公にしろ姉妹にしろ、知恵遅れキャラが出るならきちんとSS投下時に警告しろよな。

創作だってわかってても、身近に『そういう人』がいる読者からしたら不謹慎なんだから。
それと、ここはあくまでキモ姉妹スレなのでキモ姉妹のキモい思想・行動をメインにすること。
447名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 13:59:18 ID:+cucw3PE
やっぱそうか、警告文はいるよな。
あと注意書きが必要そうなのはホモレズネタとNTRぐらい?
448名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 15:28:05 ID:sQ/uVAiT
グロも必要じゃね
449名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 17:18:00 ID:+ZuVZ5C3
一般的に人を選ぶジャンルは全部警告あったじょうがいいんじゃない?
450名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 17:18:57 ID:+ZuVZ5C3
ミスったww
あったほうがいいんじゃない?だね。
すまん
451名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 19:17:22 ID:nE7xpysW
  ∩  ∩
  | | | |
  | |__| |      人人人人人人人人人人
 / 一 ー\   <人を選ぶジャンルって >
/  (・) (・)  |  <    どんなの?    >
|    ○     |  <              >
\__  ─  __ノ    YYYYYYYYYYYYYY
452名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 19:40:42 ID:fVVuFjr6
>>451
キモ姉とかキモウトとかの事だと思うよ。
453名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 20:45:17 ID:+cucw3PE
グロ、ホモレズ、スカトロ、寝取り寝取られ・・・・・・。
大体このあたりは注意が必要かな。まだ何かある?
454名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 20:51:30 ID:zmEh/MBR
泥棒猫勝利?とか
455名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 20:52:35 ID:WsLLfGuE
あっちのスレは荒れてるね
456名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 21:11:07 ID:6HQo/YeD
いやあっちとか言われても…てゆうか他スレの話をすんなよ
457名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 22:48:11 ID:+cucw3PE
>>454
それだと綾もアウトになるんじゃね?
458名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 23:07:38 ID:OuoYBlO3
人外? 幽霊とか
厳し過ぎる気もするけど
459名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 23:48:52 ID:fyEhEQGl
ガチでホラーって意味ならあった方がいいかな
心臓の弱い方はご注意、みたいな

470KB越えたね
あと長編1話分とちょっと
460名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 23:56:45 ID:zmEh/MBR
>>454
綾は泥棒猫勝利なのかセックスもしていて最後は兄に見取られて死んだし
461名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 00:42:31 ID:akFXI5Sp
綾シリーズは確かにキモウト死亡&泥棒猫勝利ENDだが、最初から最後まで(それこそ綾が死んだ後まで)キモウトのキモさに焦点をあてた作品だったからアリなんじゃないか?
462名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 01:10:23 ID:/OF9w1NQ
ツンデレ幼馴染とキモ姉の組み合わせで
幼馴染のツンで嫌われたと思った弟が落ち込んでる時に
姉が掠め取っていき幼馴染は今までの態度に
後悔するが姉弟はラブラブになり手遅れだった
という妄想して寝る。
463名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 03:05:50 ID:hX9F7wcE
最近出てきた新作がおもしろすぎる
464名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 11:12:26 ID:/T1RXjxL
>>462
君はその妄想を文章化してもいいんだよ
465名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 12:08:25 ID:ZWfYgQ0D
>>463
新作?
466名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 15:43:07 ID:3I+q1niJ
ひょんな事から惚れ薬を手に入れたキモウトが大好きなお兄ちゃんを縛り上げお兄ちゃんに惚れ薬を飲ませていくという電波がきた

あくまで少しずつ
家族として大事に思っていた妹をゆっくりと自分の意志に関係なく好きに「され」ていくというとびっきりの絶望と無力感を感じながら妹の操り人形にされると思うともうね
467名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 20:59:17 ID:W4SoorDw
MCか…兄弟視点だとキモ姉妹が段々キモくなくなってしまうんだな
キモ姉妹をMCで真人間に調教しようと企む兄弟あるいは泥棒猫(多分失敗する)とかはどうかな
468私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:00:47 ID:ZWfYgQ0D
>>419とは少し違いますが、短編を書くと言ってしまいましたので書いてみました。

注意:身体障害者が出てくるので嫌悪感を抱く人ご注意を。
と言ってもそんなキツイ話では無いので普通に見れるとは思いますが、一応。
では投下させていただきます。
469私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:01:46 ID:ZWfYgQ0D

「お〜い、お迎え来てるよ〜!」
窓際の席に座るクラスメートが窓の外に目を向け突然声をあげた。
クラスメートの声に皆が一斉に此方へ視線を向ける。
何時もの事だから気にしないが、正直めんどくさい。


「…あぁ、ありがとう」
声をかけてくれたクラスメートに軽く手を上げ、カバンを雑に掴み教室を後にすると、だるい足を引き摺り待ち人が居る校門へと向かった。
ロッカーで靴を履き替え、校門に向かって歩いていくと門の前で座っている女性が視界に入ってきた。
長い髪をサイドテールで纏め、フリルのついたピンクのワンピースを着た見知った女性…。
門の端っこにオドオドと隠れて一人一人通り過ぎる生徒の顔を一生懸命見ている。

いや、探しているのだ…。


「………あっ!」
キョロキョロと周りを見渡していた女性は、俺に気がつくなり不安な顔から一転満面の笑みで此方へ手を大きく広げ、一生懸命振りだした。

「見えてるって…」
小さく手を振り替えし、駆け足気味で女性に近づいた。

「たーくん、遅かったね!はい、雨振るから沙理が傘持ってきたよ!」
ピンクの傘を俺に手渡すと、なんの躊躇もなく隣に並んで腕に手を回してきた。
470私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:02:45 ID:ZWfYgQ0D
沙理とはこの女性の名前。沙理は自分自信の事を名前で呼ぶのだ。

「ねぇ、たーくんなんで遅かったの?いっばい待ったんだよ?」
腕にしがみつき大きな目で上目遣いでジーッと見つめて来た。

本来なら校門前で何やってんだと教師に怒鳴られるかもしれないが、教師達は皆事情を知っているので誰も何も言ってくる事は無い。

それどころか、微笑ましいモノでも見るような生暖かい目で見てくる。

「いや…まぁ、帰るか」
早くこの居心地悪い場から立ち去りたい。

「うん!あっ、たーくんちょっと待って!」
何かを思い出したように俺の腕から手を放すと、先ほど沙理が居た場所にまた戻っていった。

「ピーちゃんもたーくんを迎えにきたんだよ!ほらっ!」
沙理の手の中には真っ白なウサギの人形が顔を覗かせていた。
ピーちゃんと言うのはこのウサギの名前だ。
数年前にゲームセンターであまりにも欲しがるので俺がUFOキャッチャーで取ってやった人形。
所々汚れているが、沙理の宝物らしい…。

なぜピーちゃんかと言うと、ウサギの人形が夢でピーピー泣いたからだそうだ。
471私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:03:40 ID:ZWfYgQ0D
数多くの生徒に見られて居るので、殆どの生徒は素通りするのだが中にはやはり変なモノでも見るような視線を投げ掛けてくるヤツも居る。

「なに、あれぇ?頭おかしいんじゃない?」

「顔は可愛いのにねぇ…彼氏の趣味?」

「シッ 、あんまり見ちゃ可哀想だって」
ワザと俺達に聞こえるように呟いているのだろう…後ろを振り返り睨み付けると慌てて目を反らし歩いていった。

「たーくん、どうしたの?」
きょとんとした表情を浮かべ首を傾げている。

「いや、なんでも無い…帰ろう」
ため息を吐き捨て、歩き出す。
沙理も慌てたように俺の腕を再度抱き締め、一緒に歩き出した。

周りから見たらちょっと痛いバカップルにでも見えるのだろうか?だとしたら本当に頭が痛い話だ。

だって俺達は…。



「なぁ、沙理…。別に毎日迎えにこなくても一人で帰れるぞ?」

「ダメ!沙理が迎えに行くの!たーくん一人じゃ危ないもん…それに沙理じゃなくておねーちゃんて呼ばなきゃダメでしょ!?」

そう、沙理は俺の二つ上…今年19になる実の姉なのだ。
沙理は小さい時に車の事故が原因で能に障害を持っているのだが、俺が物心ついた時にはすでに今の沙理だった。
472私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:04:33 ID:ZWfYgQ0D
子供のような純粋な心を持ち、複数の物事を同時進行でこなす事を苦手とする。
だけど何事にも一生懸命で、多少の料理や買い物は一人でできるまでに成長した。
周りにいる女の子と差ほど変わらないのだが……一つ厄介な事がある。



――それは沙理の執着心と独占欲だ。

俺が赤ちゃんの時から沙理は俺を放そうとしなかったらしい。
小さい時からいつも近くに沙理が居た。
小学生の時だって、休み時間になれば何時も俺が居る教室まで足を運び、昼休みには一緒に給食を共にした。
そのせいで小学生の時は軽くイジメにもあった事がある。
俺の反抗期は多分小学生の時に始まり終わりを迎えているのだろう…。
小学生の時、一時期沙理を遠ざける行為を繰り返していた事があったのだが、沙理の行動が悪化しただけで改善などされなかった。

だから沙理が小学校を卒業した時はホッとした…やっと自分の時間が持てると…。




――だけど、甘かった…。
沙理は中学校を抜け出し、何度も俺に会いに来たのだ。
無論学校終わりには教室まで迎えに来た。

そんな事が親の不安を大きく煽り、仕方なく俺は沙理と同じ中学校に入学する事になった…。
473私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:05:23 ID:ZWfYgQ0D
まぁ、その時には既に小さいながらに運命だからと達観していたのを今でも覚えている。

そんな感じで勿論高校も同じ。
今年沙理が卒業したのだが、現状は変わらず沙理は俺から目を放そうとしない。

沙理の目にはいつも俺が写り10数年俺から興味が反れないらしい…。


家に到着すると、まず洗面所へと向かった。
鏡の隣には沙理が書いた、「かえったらうがいてあらいをしましょう」という文字がカラフルに書かれている。数年前に書かれたものなので漢字も使えていない。
と言っても19になった今でも日常的に使う数少ない漢字しか覚えていないのだが…。

「たーくん、おててだして」
沙理が隣に並ぶとニコッと笑い手を前に差し出すよう指示してきた。
沙理の言う通り、洗面器に手を差し出す。

「はぁ〜い、手をぱーにしてぐたさぁ〜い」
鼻歌混じりに石鹸を泡立てると、俺の指の間に自分の指を絡ませてきた。
沙理の指と俺の指がぬるぬると絡み合う…。
イヤらしく聞こえるが、小さい時からの習慣で俺の手は姉である沙理が洗う事になっているのだ。

「はぁい、今度はうがいで〜す」
手を洗い終えると、今度はうがいをするために手の中に水を溜めた。
474私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:07:33 ID:ZWfYgQ0D
……無論、沙理の手の中に水が溜まっている。
無言のまま沙理の手に溜まる水に口をつけ、口に含む。
その様子をジーっと見つめる沙理。
視線に気がつきながらも、反応することなく口に含んだ水を洗面器に吐き出した。

「えらいね!それじゃあ、ご褒美にお姉ちゃんチューしてあげる!」
今日一番の笑顔を見せると、此方の許可なく顔を近づけてきた。

「大丈夫だから」
沙理の頭に手を置き、近づいてくる事を阻止する。
いつもなら適当に頬にキスをさせて機嫌よくさせるのだが、今日は疲れているのだ…笑ってキスできるほど余裕がなかった。

「……なんで?たーくん早くこっちにきて」
それが沙理には気に食わなかったらしい…笑顔が消え失せ下から睨み付けている。

「はぁ…夕食までちょっと寝るから…」
手を広げ俺を待つ沙理の隣を通り過ぎ、階段を上る。

「たーくんお姉ちゃんの言うこと聞けないの?!」
突然怒鳴り声が聞こえたかと思うと、襟首を捕まれ後ろに引っ張られた。

「ちょ、あぶなっ!?」
階段を上っていた俺は勢いよく後ろに転がりこんだ。
頭をぶつけなかったからよかったが、今のはかなり危なかった。

「おい、危ないだろバカ!」
475私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:08:26 ID:ZWfYgQ0D
文句を言いながら沙理を睨み付ける。

「たーくんお姉ちゃんに向かってッ!謝って!お姉ちゃんに謝ってよ!」
俺の上に馬乗りになると、首に噛みついてきた。

「痛ッ!?」
流石にこれは痛かった…身体の間に腕を差し込むとむりやり沙理を引き剥がした。
弾き飛ばされたように廊下に転ぶ沙理と距離を取る。

「はぁ…はぁ……あっ、大丈夫か沙理!?」
動かない沙理を見て我に返ると、慌てて沙理に近づき抱き寄せた。もしかしてどこかぶつけたのかもしれない…そう考えると背筋が凍りついた。


「たーくん殴った…」

「え……沙理?」

「たーくんお姉ちゃん殴ったあぁぁぁあ!うわぁぁぁぁぁん!」
突然子供のように大声で泣き出した。
抱き寄せる俺から逃れようと手と足をブンブンと振り回し暴れる。

「ご、ごめんごめん!俺が悪かったから…泣き止んでくれ沙理」
こうなると沙理は手がつけられなくなる…。

「もうたーくんなんか嫌い!!お姉ちゃんのたーくんそんなことしないもん!あっちいってよ!うわぁぁぁぁぁん!!」
顔を背けるとまた泣き出した。
こんな時はどうすればいいのか……長年一緒に暮らしてきたから分かってる。
476私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:09:19 ID:ZWfYgQ0D


「そっか…なら仕方ないな…バイバイ」

「うわぁぁぁっ、え?…たーくんどこいくの?」
おもむろに立ち上がり玄関に向かう俺に泣き叫んでいた姉が問いかけてきた。

「俺が嫌いなら家出しなyだめぇぇぇぇぇえ!!!」
瞬間移動の如く廊下にへたり込んでいた沙理が俺の背中にへばりつく。

「たーくん出ていっちゃやだぁ!」
玄関にある俺の靴を遠くに蹴飛ばすと、俺の身体を玄関から遠ざけるため、グイグイと引っ張り出した。

「たーくん迷子になると危ないからね?ね?お姉ちゃんもう泣かないからお姉ちゃんの部屋で一緒に寝よ?ね?」

「え…いや、一緒には寝なy「わ、分かった!お姉ちゃんは寝ないから!たーくんが寝るまでお姉ちゃんが子守唄歌ってあげる」
そう言う事では無いのだが……そんなことをしているうちにいつの間にか沙理の部屋に来ていた。
数多くのぬいぐるみと、ピンクでまとめられた可愛らしい部屋だ。
机の上には俺と沙理の写真が数多く飾られている。
何故か両親のものは一つも無い…。

「ほらっ、たーくん早く横になって!」
ベッドの上に座り自分の膝の上をポンポン叩いている……膝の上に頭を置けという意味だろう…。
477私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:10:12 ID:ZWfYgQ0D
拒否してまた泣かれたらたまらないので、仕方なく沙理のベッドに横になり膝の上に頭を乗せた。
柔らかい太ももと甘い匂いが身体を包む。


「ねんね〜ん…ころりよ〜……ふふ〜ん〜ん〜…」

「知らないなら歌うなよ……本当に寝るからな?」

「うん…お姉ちゃんがたーくんの枕になってあげる……よしよし」
沙理の細い指が俺の頭を撫でる……不思議とすぐに意識が遠退いていった―――。




◆◇◆◇◆

たーくん、可愛い…私のたーくん…大好きなたーくん。
綺麗な髪…小さな口…ちゅーしちゃおっと…。

「ん……むにゃむにゃ」
くすぐったそうにしてる……ふふ…かわいい。


「もうすぐ…たーくんが学校卒業したら……ずっと一緒だからね…お姉ちゃんが守って上げる…」
たーくんの頬っぺたをベロッと舐めてみた…ちょっと酸っぱい…でも美味しい。

「はぁ、たーくん…大好き…たーくんたーくんたーくん」
何度も顔を舐めてべとべとにする。

「たーくんお口あ〜んして……はむっ」
たーくんの口を少しあけると、その隙間から舌を差し込だ。

「ちゅっ…はむ…あはぁ…ッん」
たーくんの歯に舌を擦り付けてみる…。
478私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:11:01 ID:ZWfYgQ0D
ちょっと苦しそうにたーくんが顔を動かした…。
慌てて顔をあげる。

「………」
まだ寝てる…でももうすぐ起きるかも知れない。
また口を…今度はもう少し大きく口を開いてみる。

「たーくん…お姉ちゃんのほしい…?」

「……」
返事は無い…でも欲しいって言ってるみたい。

「ん…たーくん…むっ」
口にいっぱい溜めた唾をたーくんの口に垂らす。
それと同時にたーくんの口の中にお姉ちゃんの舌を押し込んだ。

「たーくん、たーくんッはぁ、はぁ、お姉ちゃん美味しい?お姉ちゃんたーくん美味しいよ?」
たーくんの口がべとべとになっちゃった…。
それを舐めて綺麗にする…。

「こんなにべとべとにして…もう……たーくんはお姉ちゃんが居ないとダメだもんねー?」
たーくんはいつまでたってもたーくん…私のたーくん。




「沙理ちゃん…何してたの?」
沙理の部屋の中にいつの間にかお母さんが立ってた。


「……なに?たーくん寝てるから出ていってよ。起きたらどうする?それにお母さん、たーくんに近づかないでって言ったでしょ?」

「でも…沙理ちゃん…今たかしに…」

「お母さん、お父さんの所に……行きたいの?」
479私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:11:51 ID:ZWfYgQ0D
「ヒッ!?」
お母さんがその場に座り込んだ。
たーくん起きたらどうするの…本当に辞めてほしい…勝手にたーくんに近づくの。



「んっ……あれ…今何時?」
お母さんの声でたーくんが起きちゃった……

「……たーくん起きたじゃない…どうするのよ…」
だからお母さん嫌い…いっつも邪魔して…沙理とたーくんの邪魔…そう…邪魔…。


「あれ…母さん帰ってたの?てゆうかなにしてんの?」
たーくんが立ち上がりお母さんに近づく。
たーくんがお母さんの肩を掴んだ。

たーくんがお母さん触った。

たーくんがお姉ちゃん以外の人触った!!!


「お母さん今から用事があるんでしょ…?沙理とたーくんは二人で…ずっと二人で大丈夫だからお母さんもう行っていいよ…」

「はぁ?沙理なにいってんだ?母さんは今帰っy「そ、そうね!おかっ、お母さん出張にいかな、なきゃ!二人で、仲良くしなさいよ?じゃ、じゃあ!」

「え?あ、母さん!……なんだよ…久しぶりに母さんの手料理食べれると思ったのに…」残念そうな顔…そんな顔しないで?
たーくんはお姉ちゃんがずっと一緒にいてあげるから…。
480私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:13:03 ID:ZWfYgQ0D
「たーくん、お姉ちゃんが料理作ってあげる!」
たーくんの腕を掴んでリビングにかけ降りた。


たーくんの料理はいつも私が作ってる…お母さんがいなくてもたーくんは生きていける……だけどたーくんはお姉ちゃんが居ないとダメ。

料理もお風呂も……おトイレも…赤ちゃんの時からたーくんは私だけ。

私もたーくんだけ。


「たーくん、ずっと一緒だからね!」

「ははっ、なんだいきなり?」
この笑顔だけは誰にも渡さない…誰にも絶対に…。
481私はお姉ちゃん ◆ou.3Y1vhqc :2011/02/10(木) 22:15:48 ID:ZWfYgQ0D
投下終了します。
ちょっと弱かったかな?w
もっとキツイ内容にしようと思いましたが、そうなると短編では終わらないのでこんな感じになりました。
近いうちに狂もうとも投下しますのでよろしくお願いします。
482名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 22:21:06 ID:/OF9w1NQ
Gj!
419をレスしたら文章にしてくれて嬉しいです。
狂妹も応援してます。
483名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 23:00:16 ID:ehDnMOkW
>>481
これはGJだ
ほのぼの系キモ姉妹好きなんだよな〜、なんて思いながら読み進めたら、ちゃんと黒かったなw
484名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 00:16:11 ID:0MNn8UEg
test
!ninja
冒険の書(Lv=1,xxxP)
485名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 00:27:26 ID:21zhtHcY
これは良いほのぼのキモ姉
486名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 02:21:36 ID:yxxEsV3z
いいキモ姉でした。
487名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 12:26:53 ID:dbU4Ienq
どストライクだ

尊敬するよ
488名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 23:54:34 ID:bqn8T5Yz
一級身障者の俺がいう
こ れ は あ り
489名無しさん@ピンキー:2011/02/12(土) 03:45:38 ID:rhvtT6cM
test
!ninja
490名無しさん@ピンキー:2011/02/12(土) 08:13:41 ID:t/wTIic6
乙!
上手く姉のキモさと依存っぷりと
痴適将街故の天然ぶりを出しています
なんか‥‥ダステイン・ホフマンの
レインマンを想い出しましたね
491名無しさん@ピンキー:2011/02/12(土) 19:44:39 ID:wCu7g7IB
みーちゃんとまーくんのみーちゃんで再生された
492名無しさん@ピンキー:2011/02/12(土) 22:31:40 ID:IBSQd0Kc
ええぞ!ええぞ!
493代行:2011/02/13(日) 03:18:09 ID:y5Q5tFo0
◆ wBXWEIFqSA 2011/02/10(木) 01:16:20 ID:uwAXgwXI

こんばんは。
規制中なので、こちらに『狂依存』12話を投下します。
エロ有りです。
494狂依存 92 :2011/02/13(日) 03:19:32 ID:mMJZ5het
帰りたくない……。
それが正直な気持ちだった。
まだ昼過ぎだが今日は文化祭の片付けだけで学校も早く終わり、早々に家路に着く。
学校から家までは少し遠いので電車とバスを使って1時間近くかかるが、それでもその間は短く感じた。
今日も麻由お姉ちゃんが家に居るので、帰ったらまた発情した猿みたいになってしまうだろう……。
あの快楽を思い出すと、それだけで興奮して何も考えられなくなりそうになる。
麻由お姉ちゃんがそばにいたら、すぐにでも襲い掛かってしまいたいぐらいに……。
少し時間潰しでもして無駄な抵抗を続けるか。
駅前にあるコンビニにふらりと足を運び、何か雑誌でも立ち読みして……。

「あっ」
コンビニに行こうとしたら、見覚えのある女性にバッタリと出会った。
麻由お姉ちゃんの友達の一条さんだ。
「あ、こんにちは」
そのままお互い軽く挨拶する。
「学校の帰り?」
「はい。今日は文化祭の準備だけで早く終わってたんで」
「そっかあ……私は今バイトの昼休み中なんだ。大輝君は文化祭で何やったのかな?」
「ウチのクラスはお好み焼き屋をやったんです。あんまり売れなかったんですけどね」
自分で言うのも何だが、ウチの文化祭はイマイチ盛り上がらないんだよなあ。
周りは田んぼしかない田舎で不便だし……。
「へえ、そうだったんだ。文化祭かあ……私が高校生の頃はメイド喫茶とかやったなあ」
「はは…本当ですか?あ、隣のクラスは女装喫茶みたいなのやってましたけど……」
一条さんと他愛も無い話で少し話し込む。
つか、麻由お姉ちゃん以外の女の人とこんな何気ない会話するの久しぶりかも……。
前に会った時は、お店の中でじっくりとは出来なかったし。
「あ、そう言えばこの間のプレゼント、麻由ちゃんは喜んでくれたかな?」
「え?ああ、とっても喜んでましたよ。あの時は本当にお世話になりました」
あの後変な展開になったけど、一応喜んではくれたみたいなので、それはそれで嬉しかったな。
「本当?良かったあ。変な物勧めたりしたらどうしようとか思っちゃたんだけど……」
「いやあ、そんな事ないですよ。本当にありがとうございました。また……」
「何やってるの?」
「!?」
「あ、麻由ちゃん」
後ろから声がしたので、振り返ってみると麻由お姉ちゃんがいた。
「ふふ……二人とも随分と楽しそうに話してたわね。いつの間に仲良くなったの?」
「え?いや、あの……」
「麻由ちゃんこそ、どうしたの?お買い物?」
「ええ。ああ、そう言えばこの前、弟がお世話になったみたいだったけど……」
「え?あ、いや大したことはしてないよ。ただこんなのどうかなって勧めたただけで……」
麻由お姉ちゃんが僕に近寄り、さりげなく体をくっつくけてくる。
一条さんと喋りながら、僕の横に体を擦り寄らせ、胸を腕に擦り付ける。
そんなに近づかれたら、また……。
「(襲いたくなっちゃうじゃないか……)」
「大輝君……大丈夫?何か顔色が余り良くないみたいだけど……」
「えっ!?ああ、いや……」
「本当、顔が赤いわよ。どれ……」
「……!」
麻由お姉ちゃんが顔を近づけて、額と額とくっつける。
吐息が僕に直に触れただけで心臓がバクバクして、理性を失いそうになる……。
「……ちょっと、熱っぽいわね……すぐに帰って休んだ方が良いわ」
「う、うん……」
「そっかあ、お大事にね……」
「じゃあ、またね。ほら、行くよ」
麻由お姉ちゃんが僕の手を引っ張り、半ば強引にこの場から連れ出す。
このまま家に行ったら、また気が失うまで麻由お姉ちゃんを抱いてしまう。
誰でもいい。今のこの苦しみから解放してくれ……。
「……」
495狂依存 93 :2011/02/13(日) 03:20:21 ID:y5Q5tFo0
「ほら……そこの路地裏にあるホテルまで行くわよ。早く楽にしてあげるからね……」
「麻由お姉ちゃん、買い物は……」
「そんなのどうでもいいわ。あなたの欲情を解消する事が一番の優先事項よ。お姉ちゃんが今日もつきっきりで看病してあげるからね……」
路地裏に入ると、麻由お姉ちゃんは僕の腕を組み、体を密着させてぐいぐい胸を押し付けて、ホテルへと引っ張る。
とにかく今は早く楽になりたい……。

「きゃんっ……もう……あっ!あああん……」
部屋に入ったらすぐ麻由お姉ちゃんを押し倒し、服をひん剥いておっぱいを揉みしだく。
麻由お姉ちゃんの乳房の豊満で柔らかくて滑々した感触……
何度貪っても、飽きない。
味わえば、味わう程病み付きになる。
「はんっ……胸ばっかり……はんっっ!やっ、はああんっ!」
乳首に思いっきり吸い付いたり、指で押し付けたり、引っ張ったりと本能の赴くままに麻由お姉ちゃんのおっぱいを嬲る。
この豊満な乳房の心地良さは、本当に何も考えられなくなるくらい堪らない……。
「はあんっ!やんっ……!そうよ……それで良いのよ……好きなだけ私のおっぱいなぶって、味わってえ……あんっ!」
麻由お姉ちゃんは体をくねらせながら、僕のされるがままにおっぱいを弄られ、悶える。
その様子を見て更に欲情を掻き立てられ、既に勃起していた肉棒を取り出し、麻由お姉ちゃんに跨り、胸の間に挟む。
「ふふ……今日はおっぱいでイキたいのね……さあ、私のおっぱいで好きなだけイってえ……」
僕も麻由お姉ちゃんも乳房に手をかけ二人でパイズリをし、胸でち○ぽをしごく。
二人の手で揉みしくだれた乳房で挟まれ、強く擦られた肉棒はその刺激でどんどん膨張する。
「ん、んふっ……ん、ん……もっと……もっと、滅茶苦茶に揉んでえ……あんっ!」
お望みどおり、乳房を肉棒にグリグリ押し込むように動かし、更に腰も動かす。
麻由お姉ちゃんは少し辛そうな顔をしているが、そんなのはもう関係無い。
今はとにかく、この胸がもたらす快楽を堪能したいし、麻由お姉ちゃんも止める事など望んでいないだろう。
「あんっ……ん、んくっ……ちゅっ、ちゅるっ……んちゅっ……んちゅ……」
あごを引いて、先端を舌でちろちろと舐めたり、キスする。
柔らかい、舌先と唇が亀頭に優しく触れる感触と懸命に奉仕する麻由お姉ちゃんの姿を見て、頭の中は欲情に完全に支配されてしまった。
「ん、んちゅっ……ちゅう……いいわよ……好きな時に、好きな所にぶっかけて……お姉ちゃんを汚しまくってえ……あんっ……」
その淫猥な言葉で肉棒は一気に爆発寸前に陥り、乳房を揉しだくスピードを速める。
麻由お姉ちゃんも自分の胸を揉んでいる僕の手に手を添えて僕の手助けをするように強く揉みしだき、先端にキスの雨を降らす。
「ん、んん……ちゅっ、んちゅっ……ん、んん……ちゅっ、ちゅっ……ん、んん……」
このまま顔に……
「ん、んちゅう……ちゅっ、いいわ……いっぱいかけてえ……ん、あんっ……」
びゅくっ!!びゅくるるるるっっ!!!
麻由お姉ちゃんの顔を目掛けて、思いっきり射精する。
瞬く間に美しい顔は肉棒から発射された白濁液で染まっていく。
「ん、んん……こんなにたくさん、かけちゃって……嬉しいわ……んちゅっ……」
嫌な顔一つせず、精液を顔で受け止め、嬉しそうに手で拭って舐め取る。
その仕草が妙に色っぽくて、あんなに出したばかりのち○ぽはまた勃起してきてしまった。
まだだ……まだ足りない……。
「ん、ちゅっ……ふふ、まだまだ満足出来ないんでしょう……?今度はお風呂でやりましょうか……」
麻由お姉ちゃんは僕の手を引き、バスルームへと連れてく。

じゃあああ……。
「きゃんっ♪そんなに、がっついてえ……ん、んふっ……ちゅっ……」
シャワーからお湯を出し、顔を洗ったら、すぐに抱きついてキスをする。
シャワーを浴びての麻由お姉ちゃんとの濃厚なキス。
お互い無我夢中で唇を押し付け、舌を絡ませ合う。
「ん、んちゅっ、ん、んふっ……ん、んんっ……れろ、れろ……ん、んちゅっ……」
「ん、んん……はあ……最高よ……もっと、お姉ちゃんで楽しんでえ……あんっ!今日は私の体を洗ってくれるのね……」
麻由お姉ちゃんを座らせ、ボディーソープをたっぷり染み込ませたスポンジで背中をゴシゴシ洗う。
いつも洗ってばかりだから、たまには僕が洗ってやろう。
「あん……気持ち良いわ……もっとやってえ……あああんっっ……」
496狂依存 94 :2011/02/13(日) 03:21:14 ID:y5Q5tFo0
背後からおっぱいを鷲づかみにし、スポンジで乱暴に擦る。
泡でヌルヌルした麻由お姉ちゃんのおっぱいの触り心地は最高で、引っ張ったり、スポンジでゴシゴシしたり、乳首を擦ったりして好きなだけ嬲る。
最近、少し胸が大きくなったような気がするな……。
「ああんっっ!もう……本当におっぱいが好きなのね……ん、んあああっっ!あん、はああんっ……」
麻由お姉ちゃんも胸を揉まれる度に嬉しそうに体をくねらせ、艶かしい嬌声をあげる。
そろそろ、胸以外も洗ってやるか……。
「あんっ、はっ……あっ!はああああんっっ!!いやんっ、そんな所……あああんっっ……」
股間にスポンジを当て、思いっきりゴシゴシ擦ってやる。
それこそ、麻由お姉ちゃんのおまんこが壊れてしまうぐらいに激しく。
「はふっ……やんっ!そんなに強く……ああんっ!は、あああああぁぁぁぁんっっ!!」
少し痛そうな顔をして声を挙げるが、そんな声はもう欲情を駆り立てる物でしかない。
とにかく、この体を思いっきりぶっ壊してしまいたいぐらいの欲情でもう頭がいっぱいになってしまった。
「はああんっっ!!いいわよ……あんっ!お姉ちゃんの体、思いっきりぶっ壊してえ……もっと滅茶苦茶にしてえ……はんっ!あ、やあああぁぁぁっっ!!」
そのいやらしく喘ぐ姿で、もう肉棒はビンビンにいきり立ってきた。
早く中に入れて気持ちよくなりたい……

「やんっ!あああんっっ!!は、ああんっ……お姉ちゃんのおまんこの中洗ってくれるのね……いいわよ、ぐちゅぐちゅに濡れたいやらしいおまんこの綺麗に洗ってえ……」
麻由お姉ちゃんを四つん這いにし、割れ目にいきり立った肉棒をあてがう。
もう今はここで早く気持ち良くなりたい。
「早くう……あんっ!はあああああぁぁぁぁっっっ!!あんっ、やああんっっ!!」
一気に挿入し、腰を抑えてバンバンと子宮を突く。
麻由お姉ちゃんもいつも以上に思いっきり締め付け、子宮を突かれる度に大きく嬌声を上げ、悶え狂う。
「あんっ!はっ、やんっ……もっとお……あんっ!はあああんっっ!!やんっ、はっ、はんっ……あっ、ああああぁぁぁっっ!!」
この肉棒が膣壁に優しく締め付けられ、絡み合う時の快楽は本当に頭をおかしくする。
もっと、もっと味わいたい……。
「はふっ……あんっ!いいわあ……あんっ!はっ、はああっっ!!あんっ、はんっ!あっ、はあっ!あああっっ!!」
「麻由お姉ちゃん……もう……」
「いいわよ……いつでも好きな時に出してえ……お姉ちゃんのおまんこに思いっきり流し込んでえ……」
腰を手でぐっと抑え、ピストンを速める。
麻由お姉ちゃんもがっちりと締め付けて、受け入れ態勢を整え、腰を振る。
既に肉棒はいつでも射精できる様になっており、頭の中は快楽で腰を振る事しか考えられなくなった。
特に後ろから麻由お姉ちゃんを支配している様な感覚が堪らない……。
「あんっ!はああっっ……イっちゃう……もう……あんっ……イクっ……あんっ!はっ、はあっ……はあああああぁぁぁぁっっ!!!」
びゅくっっ!!!びゅくうううっっっ!!!
麻由お姉ちゃんの中で思いっきり果てて、子宮に精液を叩き込む。
もう妊娠かどうかなんてのは、頭に無い。
麻由お姉ちゃんの中で果てる時の快楽にもう病みつきになっていた……。
「はあっ……あんっ、はああああぁぁぁっっ……ふふ……またいっぱい出しちゃって……そんなに私の子供が欲しいのね……」
「……!!」
その一言で一瞬我に返り、頭の中が凍りつく。
やっぱり、このままじゃ……。
「ん、んんっ……んちゅっ……もう、手遅れよ。だから、難しい事は考える必要なんか無いわ。今を楽しみましょう……」
「でも……」
「ほら……今度は私が体を洗ってあげるから……」
麻由お姉ちゃんはボディーソープを体にかけて泡立たせ、僕に抱きつきキスしながら体を擦り付ける。
生暖かいお風呂の中というせいか、出したばかりの肉棒はすぐに勃起してきた。
「ん、んんっ……ちゅっ……ん、んふう……ちゅっ……ちゅう……ん、んん…」
「さあ、体を気持ち良く、綺麗に洗ってあげるからね……ん、んん……」
麻由お姉ちゃんは正面から体を擦りつけ、僕の上半身を洗う。
豊満なおっぱいが体に直に擦りつけられ、その度に性欲が体と頭を支配していく。
497狂依存 95
「あん……んっ…んふっ……やっ……!あああんっっ……もうこんなに勃起させちゃって……」
「私から入れてあげるからね……ん、んん……はっ、はあああああぁぁぁぁっっっ!!!
麻由お姉ちゃんは膣穴に肉棒を当てて、体を一気に沈みこませて挿入させる。
「はんっ……あっ、やああっっ!!はんっ!あああんっっ!!」
僕と麻由お姉ちゃんの宴はまだまだ終わらない。
僕の精が尽き果てるまで二人は繋がり合いながら、腰を揺らした。

「そっかあ、お大事にね……」
「じゃあ、またね。ほら、行くよ」
麻由ちゃんが弟さんを連れて、家に帰る。
結構辛そうな表情してたけど大丈夫かな……。
私もそろそろ戻るか。
バイト先に戻ろうと瞬間、大輝君が一瞬私の方を振り返った。
「?」
何だろう……?
何だか、凄く深刻そうな目をしてたけど……。
それはまるで私に助けを求めてるみたいな視線だった。
「……」
何だか妙に気になる。
「まだ少し時間はあるな……」
何故か異様な雰囲気を感じたので、二人の後をちょっとつけてみる事にした。

あそこの路地裏に入ったみたいね……。
「……え!?」
そこで私が見た光景は二人が恋人同士みたいに腕を組んで歩いている物だった。
見た限りでは麻由ちゃんの方から、腕を組んでいるみたいだけど……。
いや、余程弟さんの体調が悪いから支えてあげてるだけなのかもしれない。
そう思い込もうと瞬間、更に信じられない光景を目にした。
「嘘……」
それは二人がある建物に入っていく所だった。
あそこって確か……
慌てて二人が入った建物にかけよる。
「た、確かにここに入ったよね……」
信じられない……。
あ、あの二人って姉弟だよね?
なのに何でこんな所に……。
まさか、あの二人って……。
「そ、そういう関係なの……?」
しばらく呆然としてその場から動く事が出来なかった。

「はあ……」
バイトが終わり、自室でベッドに座り込んで思わず溜め息をつく。
とんでもない光景を目にしちゃった……。
おかげで、バイト中もずっと上の空で集中できなかったし。
「どうしよう……」
まさか、姉弟でラブホテルに入る様な仲だったなんて……。
自分の見た光景が未だに信じられない。
私は一人っ子だけど、実の姉弟であんな関係になるなんて普通じゃないってのはわかる。
確か今は弟さんと二人っきりなんだよね……。
という事は毎日あんな事やこんな事を……。
「って、そういう問題じゃ無いか!」
そう言えば、以前麻由ちゃんの家に行った時、弟さんに彼女がいるのかと聞いたら、いるとか答えてたっけ……。
初めて会った時、ちょっと良いなって思ったから少し残念だったけど……。
まさか、麻由ちゃんがその彼女だったなんてね……。
後を付けなきゃ良かったかな……。
でなければ、こんな複雑な気持ちにならずに済んだのに。
でも、本当にどうしよう?
実の姉弟とは言え、二人が本当に愛し合ってるのなら、私がどうこう言う問題ではないのかもしれない。