【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合42

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1名無しさん@ピンキー
     _      ここは「ゼロの使い魔」「グリーングリーン」に代表される
    〃 ` ヽ    ヤマグチノボル氏の作品のエロパロを書くスレなのよ。
    l lf小从} l  / 荒らし、それに反応する輩はシ……あたしの虚無で一発なんだから!
   ノ=(*゚ヮ゚ノハ /  ご・・・ご主人様が好きならSSを書いてみなさいなのねー!
  ((/} )竜({つ′  あと、次スレは480KBか、970レスを過ぎたら立ててね。
   / '"/_jl〉` j    立てないとお仕置きだかんね!
.  ヽ_/ノヘ.)〜′   分かったら返事するのねーっ!きゅいきゅい!
前スレ
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合41
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1285249502/
過去スレ
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合40
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266853935/
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合39
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263049943/
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合38
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1244386525/
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合37
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1236733145/
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合36
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230205708/
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合35
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1224087980/

これより古い過去スレ(34スレ以前)については、下記のまとめサイトを参照するといいのね!
まとめサイト ゼロの保管庫wiki
http://zerokan.g.ribbon.to/
2名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 23:48:31 ID:FIVzveW9
2
3名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 23:59:26 ID:bZ3/W+xw
アホ竜乙
4名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 01:45:11 ID:lf/xj48+
淫竜乙!
5名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 02:01:26 ID:P/S4f0WV
>>1
6名無しさん@ピンキー:2010/11/23(火) 10:09:37 ID:7YojrNTl
>>1
乙〜
7名無しさん@ピンキー:2010/11/24(水) 22:18:39 ID:HAYvYQb3
>>1
8名無しさん@ピンキー:2010/11/24(水) 23:08:48 ID:6qaBwowe
>>1
ベアトリスと取り巻き一味には百合な関係あるのかな?
9名無しさん@ピンキー:2010/11/25(木) 18:33:06 ID:vVYiH07i
保守っておこう
10大人才人:2010/11/25(木) 20:01:41 ID:/aE7LI1S
イルククゥでシルフィードなのね〜
やっと、イルククゥが登場したのね〜きゅい
本編にはいつ出れるかしらなのね、きゅいきゅい

では注意事項なのね

・才人年齢上昇
・シエスタのターン
・10レス前後、30分以上開いたら用事落ち

では、反映次第投下開始なのね〜
11大人才人 シエスタの日記6-1:2010/11/25(木) 20:03:43 ID:/aE7LI1S
〇月×日
うわぁ、大変だぁ!!
貴族の親が学院に殴り込んで来たぁ!!
事の起こりは午前の授業中
私達が休憩でお茶をしていたら、一人の貴族がつかつかと、寄って来たんです
「メイド、聞きたい事が有る。人間の使い魔は何処に居る?」
「俺だけど?貴族様」
才人さんは、何時も自分自身の洗濯物以外も手伝ってくれるので、お茶の時間もご一緒させてるんですよね
メイド達も才人さんが居ないと詰まらないからと、除け者にする人は居ないんですよ?
ミミなんか毎回お菓子を懸命に焼いて、最初は失敗続きだったのに、最近は凄く上達してるんですよね
「来い」
顎をしゃくって踵を返します
その仕草にピンと来たのか、才人さんの雰囲気が変わっていきます
でも、笑ってるんですよ
「ハルケギニアは退屈しねぇな」
才人さん、退屈してないのは多分才人さんだけです
貴族の皆様は、退屈をどう過ごすかを絶対の課題としているのに
才人さんが出て行ったので、私達は慌てて付いて行きます
着いた場所は授業中の生徒からは見えない裏庭
其処で貴族は振り向きます
「使い魔、決闘だ」
「別に構わんけどさ、理由は?理由無しじゃ、流石にやる気は無いぞ?」
才人さんが肩をすくめます
「とぼけるな。息子にかなりな金を要求したろう?」
「あぁ、三人の親の内の一人か。親に泣き付いたって訳だ。うむ、他に迷惑かけないのは感心感心」
才人さんはうんうんと頷きます
「ふざけおって。良いから抜け、平民」
「何時でもどうぞ、デルフ」
「あいよ」
「お前さんで、居相出来るか試すか」
「俺っちだと、長すぎねぇか?」
「こんなん、遊びだ遊び」
完全に才人さん遊んでます。其を見た貴族は、相当怒ってます
ルーンを詠唱して、殺意の有る魔法攻撃
私には魔法が見えなかったんですが、才人さんはかわします
「ほぅ、良くウィンドカッターをかわしたな」
「はぁ?トロ過ぎだっての。お宅、スクウェアはおろか、トライアングルでもねぇだろ?もしくは、違う系統無理矢理使ったか?」
才人さんに図星刺されたか、貴族は激昂します
「ふざけるな、平民」
次に火球を発生させてぶつけて来ます
12名無しさん@ピンキー:2010/11/25(木) 20:04:45 ID:FTNOAAma
シエンスタ
13大人才人 シエスタの日記6-2:2010/11/25(木) 20:05:00 ID:/aE7LI1S
私達は固唾を飲んで見守ったんですけど、才人さんはひらりひらりとかわすばっかで、攻めません
もしかして、本当に遊んでるの?
「やっぱり、殺意持ちの魔法は、良い回避訓練にならぁな」
「一応生死のやり取り中に、失礼じゃねぇか?相棒」
その時、才人さんの至近で火球が爆発
手を掛けてたデルフさんを軽く伸ばし、背中を向けながら走ると、何故か魔法が、デルフさんに吸い込まれていきます
「ちんたらしてねぇでさっさと決めろや。メイドの嬢ちゃん達が、ハラハラしてんぞ」
「もうちょい遊んでからって、思ったんだがなぁ」
「ふざけおってふざけおって」
どんどん怒りを貯める貴族
何か揺らいでません?
「あぁ、なる。あんた炎使いか。魔力で回りが熱せられて、空気歪んでるわ」
才人さんが貴族の系統を当てます
まさか、わざと怒らせた?
「貴様、系統を知る為に、わざと怒らせたのか?」
「正解」
「その慢心、後悔させてやる」
更なる詠唱を始めた途端、一気に才人さんが間合いを詰めて、デルフさんを両手で掴んだと思ったら
両断された杖を手にした貴族が、詠唱をしたまんまポカンとしていて
その首筋に、才人さんがデルフさんを当ててニヤリとしてます
抜き手も剣筋も見えませんでしたよ?
「チェックメイト」
ガクリと膝を付く貴族
そして、才人さんが、あの気配を出し始めました
途端、見てる私達も震え始めます
こ、怖い
「いい加減にしろよ、屑野郎」
「ひっ」
才人さんの台詞で、ひっくり返ってしまいました
しかも失禁してる
うっわ〜恥ずかし
その後、起きた貴族に、懇切丁寧に事の起こりをデルフさん片手に説明し、きちんと納得させ、支払いを約束させてました
その代わり、失禁したのは内緒にして欲しいと
才人さんも私達も、二つ返事で頷きました

「お前さんでの居相はイマイチだな。間合いが広いから、大型相手なら有効か」
「まさか、俺っちでも出来るとはね」
「曲刀が条件なんだよ。後、長すぎない事。デルフは長いんで、全身使わないと無理だから、2テンポ遅れる。やっぱり使い辛いわ。使うのはちとあれだな、お前は抜いてた方が良い」
「相棒と一緒だと、マジでおもろいわ」
才人さんが貴族が居なくなった後、鞘から少し出たデルフさんと話してます
そんな才人さんを、私達メイド達が囲んで、才人さんがびっくりしてます
「凄い凄い凄い。本当に速くて、全然見えなかったです」
14大人才人 シエスタの日記6-3:2010/11/25(木) 20:07:43 ID:/aE7LI1S
「私達の剣って本当だったんだ」
「むう、シエスタの話なんかより、ずっと凄いじゃない。才人さん、私なんかどうですか?」
「あぁ、えっと」
困った才人さんが、腰の剣に触れると、その場から跳躍して逃げちゃいました
「あぁ!?逃げられた」
「きちんと、腕掴んでおけば良かったぁ」

あはははは
更に混沌としてきましたよ

ひいお爺ちゃん
この戦場は乱戦です
どうすれば良いんでしょう?
ぐすん

〇月×日
えっと、何で王宮から近衛隊長が来たんですか?
しかも、通達だと才人さんに剣技等を教える任務ですって
才人さん、一体何をして来たんでしょう?
其とも、ヴァリエールとの繋りかなぁ?
私程度じゃ、考えても解らないや
止め止め、仕事仕事
私が初めて見た、シュヴァリエと隊長職を示すマントに身を包み、長剣を下げ、短銃を下げた女性のシュヴァリエ
一目見た感想は、凛々しくて恰好良い
胸は私より小さいけど、才人さんと同じ背丈位で、女性としては長身で
あぁ、素敵だなぁ
そんなシュヴァリエが、才人さんにだけ微笑むんですよ?
「やっと、引き継ぎが終わったぞ、才人。此から稽古方法を考える。来い」
「あいよ」
洗濯物を私達と共に取り込んでた才人さんに声をかけ、微妙に接近した距離で、歩き去ったシュヴァリエ
むぅ、此は危険です。警報がなり響いてます
「私、ちょっと用事思い出した。行くね」
皆は肩をすくめて、見送ってました
ふぅふぅ、やっと追い付いた
あれ?何か笑いあってる。稽古じゃないんですか?
其処には既に、ミスヴァリエール、ミスモンモランシ、ミスタバサが居らっしゃっており、傍目から見ても、危険なオーラを出してます
「あの」
「シッ」
ミスヴァリエールが制し、その唇がわなわなと震え、ミスタバサが何時もの如く冷気を出し、ミスモンモランシのポーカーフェイスが崩れ、怒りの表情を呈してます
そして、シュヴァリエが連絡の為に去った後、徹底的な一言が、デルフさんから放たれました
「相棒」
「何だ?デルフ」
「今迄の娘っ子の中で、一番相性良くないか?」
「ボロ剣」
「デルフさん」
「「デルフ」」
「「「「どういう意味かしら?」」」」
私達の怒りは真骨頂です
えぇ、笑ってますよ。勿論
振り向いた才人さんが、すっかり青ざめてます
「え〜と、何時から居たのかな?」
「殿下も粋狂な命令を、辺りかしら?」
ミスモンモランシが答えます
15大人才人 シエスタの日記6-4:2010/11/25(木) 20:09:12 ID:/aE7LI1S
「で、覚悟は出来てるの?犬」
「何のでしょうか?マイロード」
「…地獄の一丁目の回覧」
ミスタバサが答えます
「ミスモンモランシが居るから、心配しないで下さい」
私がトドメを刺します
「え〜と、4倍?」
「「「「16倍」」」」
「……デルフ、全部てめぇのせいだ」
「相棒、済まねぇ」

その後は全員でフルボッコです
才人さんはボロ屑になって、転がってしまいました
「私、何だかミスヴァリエールに似てきたかも」
「誉めてくれて有り難う」
「誉めてません」

ひいお爺ちゃん
私、きちんとしたお嫁さんになれるんでしょうか?
段々不安になって来ました
はぁ

〇月×日
翌日から、才人さんとシュヴァリエの稽古が始まりました
才人さん強いのに何でだろう?
思い切って、二人の休憩中に手拭いとお茶を持って行って、聞いてみました
「才人さん、強いのに何で稽古してるんですか?」
「ん?ああ、俺は弱いんだよ」
「嘘!?」
「本当だよ、アニエスさんが一番知ってる。聞いてみ?」
「本当なんですか?シュヴァリエ」
「あぁ、素の才人は、本人が言ってる通り弱いぞ。筋力が有るのは、どういう事か解らんが」
「多分以前の職の影響だな。筋肉使わないと、駄目な仕事だったもんで」
「だ、そうだ。今現在の評価は、才人は筋力が多少ある、実戦を経験した素人って所だ」
「軍人から見ると、そんなに差が有るんだ・・・」
「まぁ、詳しくは私も言えないんだが、才人が強くなる為に、わざわざ王宮から来てるんだ。トリステインが期待出来る人材だと、思って構わんぞ」
そう言って、才人さんに微笑みかけました
むう、幾ら才人さんの頼みとは言え、シュヴァリエが自然に笑みを、周りに浮かべさせる様にするなんて、出来るんですかね?
この焼きもきを何とかして下さいよ、才人さん!!
我慢出来ないから、今夜の風呂の時間に突撃だ
才人さんが学院外に出掛けて戻って来ると、直ぐに風呂を沸かしますので、入るタイミングで突撃です
「才人さん」
私を見た瞬間に、溜め息ついちゃいました
「何でしょうか?シエスタさん」
「一緒に入って良いですか?」
「…お風呂だけなら」
「はいっ」
すぱぱって脱いで、身体を洗う時に、才人さんに背中を洗う様に頼みます
才人さんは無言でやってくれました
うん、相変わらず上手
代わりに、背中を流しましょう
「才人さん、背中を流しますね」
16大人才人 シエスタの日記6-5:2010/11/25(木) 20:13:53 ID:/aE7LI1S
「お、ありがと」
素直に背中を見せてくれるので、先ずは普通に洗って、背中を流した後に、抱きってします
「早く湯船に入ろうか」
「はい」
才人さんは、この程度じゃ動じないのは解ってるから、もう私も慌てません
一緒にちゃぽんと入り、才人さんの隣で身体をくっつけます
「やっぱり、才人さんとお風呂って良いですね」
「そうか?」
「だって、洗って貰うの気持ち良いです」
「長年の修練の賜です」
「一緒にお風呂入った人の背中を、流してたんですか?」
「ずっとね」
「その人、女の人?」
「何で?」
「女の人見ても、余り動じないから」
「ご想像にお任せします」
少し教えてくれたから、良いか。以前はもっと頑だったもの

ひいお爺ちゃん
ゆっくりだけど、才人さんも心を開いて来た様な感じがします
でも、心を開いてくれる時間より、ライバルが増える増殖時間のが早いのは、何とかならないのでしょうか?
心が折れそうだ、頑張れ私

〇月×日
大変だ、ミスヴァリエールが御禁制の薬を、知らずに飲んじゃった
才人さんが、異常な状態のミスヴァリエールのサポートを、お願いして来ました
でも、何でそんなの有るんだろ?
マルトー料理長に中味は伏せて、聞いてみました
「研究用なら有るだろうな。一応魔法学院は、研究もアカデミー程じゃないが行ってるし。新薬開発は、禁制品から開発される事の方が多いって、聞いた事があるぞ。だから、禁制だからと、レシピを消す訳にはいかないらしい」
「そういう理由なんですか」
はぁ、薬の開発も大変なんだなぁ
「そういうこった。だから、メイジに触れるなって言われた所は、触るんじゃねぇぞ。見て困る程度ならともかく、本当に危険な代物を、無造作に保管してる場合が有る。特に、教師連中に多い。周りで聞いてる連中も解ったな?」
「「「は、はい」」」
此は、思ったより大事な指示だ、きちんとメモしておこう、うん
「で、シエスタ。そんな事聞くって事は、禁制絡みで何かあったのか?」
「ええっと」
「有ったんだな?言わなくて良い。研究機関なら事故で済む。だから、口外しなくて良い」
「は、はい」
「この件に付いては、此で終りだ。全員何も聞くな。仕事に戻れ」
「「「「はい」」」」
やっぱり、マルトー料理長は尊敬出来る人だ
その後はお風呂に三人で入って、キャッキャッウフフって、しちゃいました
ミスヴァリエールが、大変な状態だからですよ
17大人才人 シエスタの日記6-6:2010/11/25(木) 20:15:22 ID:/aE7LI1S

わ、私の願望じゃないです
だって、私の願望は二人きりって、きゃあぁぁぁ恥ずかしい

ひいお爺ちゃん
社会は思ったより、ずっと複雑です
貴族は、ただ偉ぶってる訳じゃないんですね
才人さんはそういえば、魔法と其に関する技術には、称賛を惜しみなく注いでました
やっぱり、解る人には解るんだ
まだまだ及ばないなぁ
頑張れ私

〇月×日
今日は虚無の曜日
普段と違って、当番以外はお休みです
お食事だけは用意しないとですから、その分だけは、当番の方が出ます
学生の方々は虚無の曜日になると、遠出したり、トリスタニアに行ったりするので、普段より人は少ないです
そんな中で、才人さんは、今回は遠出するとの事でミスタグラモンが人数分のお弁当を、注文して来ました
私は今回は当番です
「料理人さん、ミスタグラモンの遠出に、才人さんが一緒に出るそうです」
「了解。我らの剣が出るなら、沢山用意しないとね」
腕によりをかけて、お弁当を使ってくれました
受け取りに来た、ミスタグラモンに渡します
「はいどうぞ」
「有り難う。って、凄い量だね」
「才人さんは、それ位食べますよ?剣士は、身体が資本だそうです」
「そっか、殆ど才人の分か。了解したよ」笑って受け取ったミスタグラモンは、私に手を振って、馬を用意した才人さん達に向かって行きました
上手く行く事を、私は此処で祈りましょう
私に出来るのは、それ位ですから
お昼で当番は交替で、私は午後からお休みです
今日はこの前買って来た、マダムバタフライを読もうっと
・・・うきゃあ
相変わらず過激です
も、あんな事とかそんな事とか、私が才人さんにする事を想像したら
イケない、よ、よだれが出ちゃう
つ、つい手が胸と股間に
でも、才人さんの手には適わないなぁ
ハァ、早く奪ってくれないかなぁ
生殺しはキツイですよ、才人さん
そんなこんなで時間が過ぎて、夜になり夕食の時間です
私達も夕食を済ませて、部屋に戻ると、当番だったメイドから、連絡が来ました
「才人さん、帰って来たみたいよ」
「え?本当に?早いじゃない」
「早く終わったんだって」
「そっか」
ミスヴァリエールのお世話が有るから、部屋に行かないと
才人さん一人だと、ミスヴァリエールが才人さんを奪っちゃう!?
そんなの絶対に許せません!!
すっくと立ち上がり、ミスヴァリエールの部屋にダッシュです
コンコン
あれ?まだ帰って来てないのかな?
コンコン
ん?声が聞こえる
18大人才人 シエスタの日記6-7:2010/11/25(木) 20:21:51 ID:/aE7LI1S
「サイト、サイト」
「や、止めルイズ」
「サイト大好き。赤ちゃん作ろ」
おっ始めてやがりますよ
薬のせいと言えど、ミスヴァリエール
ゆ る す ま じ
敢えて乱暴に扉に開けます
バタン
「サイトさん、来ましたよ」
見ると、ミスヴァリエールはスカートとニーソックスだけで、股間を才人さんの股間に押し付けてグリグリやりながら、才人さんの服を無理矢理脱がして、とろけた顔であちこちにキスしまくってます
何、この牝犬?
まんま、犬の盛りと一緒じゃないですか
惚れ薬恐るべし
「助かった。シエスタ、何とかしてくれ」
才人さんがキスマーク付けられた上半身を晒しながら、私に助けを求めて来ます
まぁ、薬、薬です。薬のせいだから、落ち着け、シエスタ
つかつか寄って、ミスヴァリエールを後ろから羽交い締めにして拘束します
「やぁ、離してぇ。サイトサイトサイト、一緒になるのぉ。家族になるのぉ」
すんごい甘い声
同性の私でも、くらりとしちゃいます
才人さんも、自分を落ち着かせるのに懸命みたいです
必死に深呼吸してます
「……だ、駄目だ。これ以上は本当に不味い。シエスタ、頼む。風呂入って来るわ」
そう言って、さっさとデルフさんと剣と着替え持って、素早く出ていってしまいました
この後が大変だなぁ
あ、羽交い締めにされたまま、ジロリとミスヴァリエールが私を睨みます
「メイド、何で邪魔するのよ?」
声がうって変わって、氷点下になってます
「才人さんの時と、随分違いますね?」
「サイトはトクベツだもん」
「出来れば、薬飲んで無い時に、言った方が良いですよ?」
「薬なんて知らないもん。あたしの一番はサイトだもん」
あぁそっか。薬飲んでる自覚も無いのか
此は参ったなぁ
「所で今、才人さんはお風呂に行きましたよね?」
「待ってるもん」
ブスッと答えました
どうして、そんな仕草も可愛いんでしょう?
「才人さんのお風呂は、火起こしからだから、時間かかりますよ?その間にお風呂に入って来て、とびっきりの恰好で、待ったらどうですか?」
少し考え始めた様です
そして、私の方を向いて呟きました
「お風呂入っくる。離して」
「はい」
離すと、着替えと、あれは普段使わない香水を手に取ってますね
あれ?着替えも何か透けてますよ?
「その香水は?」
19大人才人 シエスタの日記6-8:2010/11/25(木) 20:23:10 ID:/aE7LI1S
「ヴァリエールオリジナル。ヴァリエールの子女に合わせた、授かりのご利益があるの。先祖代々使われてる、由緒正しい逸品よ」
あちゃー。完全に本気だ
「それ、私でも効果有ります?」
「言ったでしょ?ヴァリエールの子女専用よ。体質が違うんだから無理。効くとしたら、血縁のある王族かしら?」
「そうなんですか」
「普通の香水だって、個人の体臭体質によって違うでしょ?」
「そうですね」
「もう、帰って良いわよ。これ以上邪魔したら、問答無用で吹き飛ばす。命の保障はしない」
杖を持って、ミスヴァリエールが私に殺意を向けます
才人さん、もう無理です!!ごめんなさい
私はお辞儀をして部屋を去り、その後を扉をパタンと閉めたミスヴァリエールが、パタパタとお風呂に向けて走って行き、追い越して行きました
その顔は喜びに溢れてました

才人さん、貴族の本気は、平民の私では止められません
本当にごめんなさい
上手く対処して下さい

〇月×日
才人さんとシュヴァリエの猛稽古は、すっかり見物と非難と避難の対象になりました
ミスタグランドプレが才人さん一人の時に抗議したんです
私は、たまたまお茶を差し入れに行ってたんですけどね
「おい、才人」
「どした?マリコルヌ」
「何時も何時も僕ばっかり巻き込みやがって、酷いじゃないか!!」
「そりゃ、お前さんがこうやって干渉するからだろう?ほら」
才人さんがミスタグランドプレの後ろを指すと、其処にはシュヴァリエが獲物を見付けた肉食獣の顔をしています
「丁度良い障害物だな。じゃ、始めるか」
「ひ、酷いぞ!?才人」
「俺じゃなくて、アニエスさんに言ってくれ」
才人さんは既に水の剣を構えて真剣な顔になり、挟んだ状態で稽古を始めたんです
当然二人の間合いに入ったミスタグランドプレはおろおろしちゃって、杖を抜いて詠唱したんですけど、才人さんが杖を叩き落として、後ろからシュヴァリエがミスタグランドプレ事才人さんに斬り掛って、あっさり撃墜されました
うん、確かに酷い
でも、気絶した顔が心無しか、喜んで見えるんですよね
…好きでやってません?
私は棒切れを拾って、ミスタグランドプレをしゃがんでツンツンしてみました
うん、生きてますね
「…メイド」
「あ、はい、何でしょうか?」
「…つつくの、酷くないか?」
「いえ、生死の確認をと思いまして」
「…そんなに酷い?」
「ちょっと、傍目には生きてるか解らない状態では有りますね」
20大人才人 シエスタの日記6-9:2010/11/25(木) 20:25:09 ID:/aE7LI1S
「…絶対復習してやる」
「復習するのは構いませんが、この場合復讐では?」
「…細かいぞ、メイド」
「申し訳ございません。ですが、稽古中に魔法攻撃を行うのは、シュヴァリエも歓迎してますので、そちらでやったら如何でしょう?ほら」
私が指した先で、暇を持て余した学生が、手加減した魔法を二人に炸裂させてます
学生にも、気分転換と暇つぶしが出来るらしいので、参加する人が結構居るんです
「…そういう事は、先に教えてくれよ」
「いえ、稽古初期からやってますので、てっきりご存知かと」
「…舞姫だけじゃ無かったのか」
そのまま、またガクリと気を失ってしまいました
放っておくのも悪いので、医務室に連絡しましょう
何処か抜けてるミスタグランドプレは、気持ち悪いんだけど憎めないですね
きっと、そういう所を見てくれる人も、出てくると思いますよ……多分……いやきっと……ま、ちょっとは覚悟しといてね。エヘッ

ミスタコルベールの例が有るのを、すっかり忘れてましたよ

ひいお爺ちゃん
才人さんの回りは、何時も騒動が起きてます
才人さんが、何かした訳じゃ無いんですけどねぇ
何でなんでしょう?

21大人才人:2010/11/25(木) 20:35:52 ID:/aE7LI1S
投下終了なのね〜
大人才人タクティクスなのね
今回はミミなのね〜
「はい、ちょい役なのに、出させて頂いて有り難うございます」
「えっとですね、ミスタグランドプレのえんがちょ状態は、メイド達には周知の事実でして、毎回何故か喰らいまくってるんです」
「あれ、わざとやってるんじゃないかって、専らの噂なんですよ」
「毎回ズタボロになったミスタグランドプレを、生死確認の為につつくのが、メイドのお仕事になってます」
「あの役割は皆嫌がってるんですよね。ちょっと、見られない状態ですし」

有り難うなのね〜

ではまたの機会迄さよならなのね
きゅい
22名無しさん@ピンキー:2010/11/26(金) 00:18:05 ID:DFffTwGi
乙。
本編も楽しいけど日記のゆるい感じも好きだ
23名無しさん@ピンキー:2010/11/26(金) 19:17:42 ID:8uyWYawV


次回はいよいよセクロス日記になるのかw
24名無しさん@ピンキー:2010/11/28(日) 00:12:19 ID:81fRfQ6w
>>21
いつも超乙
シエシエのエロ日記は妄想爆発の悪寒w
本編も姫様が雌豹になりそうでwktk
25大人才人:2010/11/28(日) 20:10:21 ID:4NPi5pSl
イルククゥでシルフィードなのね〜
中々次話が進まないのね〜きゅい
3年前園遊会エピは、はっきり言って邪魔だから、削除決定なのね〜
余りに書く事多すぎなのね
きゅいきゅい

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・シエスタのターン
・15レス前後。30分以上開いたら落ちてると思われ

では、反映次第投下開始なのね〜
26大人才人 シエスタの日記7-1:2010/11/28(日) 20:11:33 ID:4NPi5pSl
〇月×日
今、此を書いてるのはテントの中です
えっへっへっへ
念願の才人さんと冒険だ!!
私は非戦闘員として、戦いには出ない様に言われてますが、其でも楽しいです
野草を積んで、食べられそうな根っこを掘って、茸を選別して採集して
タルブでひいお爺ちゃん達に学んだ術が大活躍です
才人さんと貴族の皆様は、魔法で動物を狩る担当になりました
私が最初、罠を作ろうかとしたんですけど
才人さんが
「なら簡単に弓か、魔法で射撃した方が早いな」
って、言い出しまして
言われて見れば、その通りです
お言葉に甘えましょう
ミスタグラモンが、弓を錬金して才人さんに渡して
皆で狩りに出たら、あっさり獲物を仕留めて来ました
うむ、メイジ恐るべし
「ちょっとダーリン、私達の鹿はともかく、襲いかかって来たからって、熊なんてどうすんのよ?」
「シルフィード、フレイム、全部頼むわ」
「きゅい」
「…鹿の方が良いって」
「じゃあ皆で等分で分けて、余ったら宜しく。其でも余ったら、燻製か干し肉に出来ない?どうかな、シエスタ」
「燻製なら箱を作って、其用のチップを作れば、何とかなります」
「必要な材木は?」
ミスタグラモンが聞きます
「メープル辺りでどうでしょう?」
「成程ね、ちょっと探して来る。才人、斧持って付いて来てよ」
「あいよ」
「ちょっと待て、色っぺい兄ちゃん。斧なんざ無いだろうが」
才人さんとミスタグラモンが口を合わせて言いました
「「デルフに決まってる」」
その瞬間、私達は爆笑しちゃいました
あぁ、この冒険は本当に楽しい
燻製は、一晩ゆっくり燻らせましょう

って、しまったぁ!!
これ書いてたら、才人さんの隣が占領されてるぅぅぅぅぅ!!
早い、早いぞ貴族様
ミスタバサ、軽量活かして上に乗っかるのは反則です

ひいお爺ちゃん
やっぱり敵は多いです
ぐすん

〇月×日
ふっふっふ、冒険二日目です
日記が、あっさりミスタバサの読書対象として、捕獲されてしまいました
操りの魔法で私から強奪って、幾ら何でも酷いですよ!!
そしたら、何て言ってたと思います?
「面白そうな本が有る、だから読む。読書の邪魔は許さない」
「…ミスタバサ、ちょっと論点ずれてませんか?この場合は、人の物を貴族とは言え、勝手に」
「私にとっては、ずれてない」
「…わざとですね?」
コクリと頷き、パラパラ捲ってある場所から読み始めます
27大人才人 シエスタの日記7-2:2010/11/28(日) 20:13:27 ID:4NPi5pSl
彼処からは、私と才人さんのキャッキャッな部分がぁぁぁぁぁ!?
「ミスタバサ。何でそのページから?」
「…情報収集」
「あのですね。人に見せられる物じゃ、ないんですけど?」
あっ、赤くなってる
「……風呂」
「ミスタバサ、真似する積もりですか?」
私の胸を見て、少々考え込むミスタバサ
「大丈夫、真似にはならない。私にはそんなの無い」
杖で胸を、ぐりぐりされてしまいました
「あの、そろそろ解いて下さい」
「まだ」
才人さんとの日記部分を、全部読む積もりですね
はぁ、まさか、ミスタバサにこんな事されるとは、一番常識人かと思ったのに
人は見かけによらないです
読み終えたミスタバサは、パタンと閉じて私に日記を差し出して、魔法を解いてくれました
「面白かった」
「そうですか?」
「やっぱり、間違って無いのが解った」
「何のですか?」
私が聞くと、薄く笑みを浮かべました
まぁ、多分才人さんに対しての事でしょうね
「今回は許してあげます。次からはやらないで下さいね?」
「書き貯めたら、また見せて」
「だから、見せ物じゃ無いです!!」
誰か、この読書中毒何とかして下さい
と、思ったら才人さんがテントに入って来ました
「おんや、タバサとシエスタだけ?」
「ん」
あ、いきなり才人さんに引っ付いて、私に向けて舌出してる。ムカ
「どうした、タバサ?」
ミスタバサの行動に、頭を撫でて対応する才人さん
あぁ、ミスタバサの表情がみるみる崩れて行くかと思ったら、顔を才人さんに埋めてしまいました
「ミスツェルプストー達は狩りです。まだ慣れて無いので、集団でやるそうです。はい、昨日の燻製食べて下さい」
「おっ、有り難う。此でどれ位持つかな?」
才人さんが燻製をむしゃむしゃしつつ、聞いて来ます
あっ、ミスタバサ、才人さんの口にした所を、わざと喰らい付いてますね?
中々の策士ぶり、侮れぬ
「シルフィードさんにフレイムさん、ミスタバサに才人さんと、大食漢が揃ってますから、多分3日で無くなります」
「狩りが一番の仕事になりそうだね」
「はい」
私達は笑って、獲物を取って来るのを期待して待ちましょう
宝探し?
午前中30分で、外れが確定しちゃった上に、魔獣が出たので、序でに掃討したそうです
だから、後は皆だらけてます
「そういえば、魔獣の肉は駄目なんですか?」
「…食べられない種類だった」
詳しいミスタバサが答えます
「あら、残念」
28名無しさん@ピンキー:2010/11/28(日) 20:13:54 ID:x9tiLR2C
シエンスタ
29大人才人 シエスタの日記7-3:2010/11/28(日) 20:16:41 ID:4NPi5pSl
「熊肉取っておいて良かったな」
「はい」
「さて、オヤツも食ったし、植物採集付き合うよ」
「はい、じゃあ一緒に行きましょう」
才人さん達の護衛有りだから余裕です
私が二人に指示して、大量の野菜ゲットです
うん、何れも美味しそうだ
「さてと、食事の準備をしましょう」
私が腕捲りをすると、ミスタバサが水を出してくれました
メイジが居ると、水に困らないですね
「只今〜外れだったわぁ」
ミスツェルプストーを先頭に、ぞろぞろ戻って来ました
「そうなんですか?残念です」
「毎回上手くはいかないわよね」
ミスモンモランシがそう言って、あっさり失敗を認めます
そうしたら、上空から影が落ちて来て、それはシルフィードさんでした
「きゅい」
「おっ、シルフィードでかした」
1メイルはある、大きい魚が手から離れて、複数ビチビチ跳ねてます
「此なら全員分有りますね」
皆で協力して、今日も美味しい食事が取れました
夜になったらまた、才人さんの隣を争ってバトルです。今の内にペンを置きましょう

ひいお爺ちゃん
才人さんと一緒だと、貴族も平民も関係無いですね
学院居る時よりずっと充実してます
この時間が少しでも、長く続きますように

〇月×日
ふぅ、3日目です
昨日の夜のバトルは勝利です!!
見事に才人さんの添い寝ゲットでした。あれ、反則的に熟睡出来ますね。お陰で今日は快調です
ちなみに、後の勝者はミスツェルプストーとミスタバサです
ミスモンモランシが脱落してました
アレをミスヴァリエールは毎日ですか?羨ましいですよ、全く
ふぅ、今日のバトルも勝つぞ、おー

そして、今日はミスモンモランシに、興味を持たれてしまいました
「あら、貴女日記付けてるのね」
「はい、でも見せませんよ」
「あら、そんな事しないわよ。まさか誰かにやられた?才人?」
「才人さんは、見て見ぬフリしてくれてますよ。興味が無いのか、尊重してくれてるのか、ちょっと解りませんけど」
「才人って、意外と本は読むのよね。勉強会で文字覚えた途端、ルイズ名義で図書室で色々借りて読んでたし。稽古前は、授業に付き合う時以外は、勉強会終了後も、図書室で時間潰してたわ」
「へぇ、勉強家なんですねぇ」
「魔法技術とイーヴァルディにはまってたわ。後、ハルケギニアの生物に、関心を持ったみたい」
「平民なのに、何でですかね?」
「才人曰く、傾向と対策だって。才人の国との差異を埋める為に、必要なんですって」
30大人才人 シエスタの日記7-4:2010/11/28(日) 20:19:15 ID:4NPi5pSl
「私達は産まれてからずっとハルケギニアだから、逆に解りませんね」
「全くよ。私達が才人の国に行ったら、そうやって勉強しないと駄目かしら?」
「才人さん位の知識持つ為に、どれだけ勉強しないといけないんでしょう?」
「確か、義務で9年、その後に魔法学院レベルで3年、アカデミー等の研究機関レベルなら、更に4年だって」
「16年ですか?」
「才人は、その内12年で、後は仕事とネットだって言ってたっけ」
「ネット?」
「超巨大な図書館みたいなものって言ってたわ。詳しいのは私も解らないわ」
「はぁ、才人さんの国って、良く解りませんね」
「教えて貰えば貰う程、才人の国のがよっぽど魔法よね。さっぱり想像つかないもの」
「あはは、いつか行ってみたいですね」
「そうよね。…必ず行かなきゃ」
「必ず……ですか?」
「お義父様お義母様に、ご挨拶しなきゃならないじゃない」
澄ました顔のまま、さらりと凄い事言いましたよ
むぅ、ここは引けません
「そしたら、私もご挨拶に行かないと」
「あら、じゃあ一緒に行きましょうね。2号さん」
にっこりと、笑って言われてしまいました
ふっ、返さずにいられませんよ?
「その時は、宜しくお願い致しますね。3号さん」
あっ、ミスモンモランシ、笑いながら亀裂が入った
ふっふっふっ、今回は私の勝利〜!!

「よっし、習った植物採集してきたぞっと。…笑った顔のまんま固まって、どうしたんだよ二人共?」
才人さんがテントに入って来て、私達の硬直が解けます
「お帰りなさい、才人さん」
「お帰り、才人」
「あいよ、ただいま」
才人さんが、微笑み浮かべて挨拶してくれました
あっ、なんか家族っぽくて良いですね
ちょっと、機嫌が良くなりましたよ
「シエスタ、書き物終わったら、チェック入れてくれないか。毒草混じってるかも知れないし」
「あ、はい、解りました」
そう言って才人さんは、また外に出て行きました
才人さんは、フレイムさんやシルフィードさんと遊ぶのも良くやってますね
今はミスタバサが一人で狩りに出てまして、ミスタグラモンとミスツェルプストーが焚き火見ながら、適当に過ごしてます
何かミスタバサ、狩りに覚えが有るから一人で良いと言って、行ってしまったんです
う〜ん、大丈夫でしょうか?
ちなみに宝探しは、今日も外れでした
「…ねぇ、メイド」
「何でしょう、ミスモンモランシ」
「…才人がただいまって」
31大人才人 シエスタの日記7-5:2010/11/28(日) 20:23:21 ID:4NPi5pSl
「えぇ、言ってましたね」
「…どうしよう、何か心が暖かくなっちゃった」
「私もです」
「…才人とずっと一緒って、…こういう事よね?」
「…そうですね」
「…何で平民なのよ?あんの馬鹿たれ」
あ〜ぁ、私と一緒でミスモンモランシも、才人さんから脱け出せませんね
そこで、はたと気付きました
「こう考えてみたら、どうでしょうか?」
「何?」
「才人さんの国は、貴族が居ないんじゃなくて、全員貴族だとしたらどうでしょう?」
あれ?ミスモンモランシ、考え込んでしまいましたよ
「…そういえば、才人は自分は並だって、常に言ってたっけ。……でも、私達から見たら……誰よりも貴族だし。シエスタ、あんた冴えてるかもよ?」
「へ?」
「全員貴族だから、貴族が必要無いのよ。それって、凄い事じゃない?」
「はぁ?どう言う事ですか?」
「解らなくても良いわ。でも、凄い発見よ?」
「…はぁ」
自分で提案したものの、さっぱり解らなくなっちゃいました
う〜ん、やっぱり考えるのは苦手です
私は、才人さんの生活全般をお世話以外は、出来そうに有りません

ひいお爺ちゃん
貴族の皆様は高い教育を受けてるせいか、私よりずっと広い考えを持ってます
貴族が魔法だけで偉ぶってるって訳じゃないのを、才人さんと一緒だと、色々見せて頂けます
そんな貴族が才人さんに夢中になるんですから、才人さんってやっぱり凄いんだなぁと、再確認させられました
才人さんのお嫁さんの道は、ガクジュツ的でもあるみたいです
私、難しい事はさっぱりなんです
こっちの方は、落第決定です
ぐすん

〇月×日
冒険4日目です
今日は大興奮の一日でした
ちなみに昨日は、添い寝独占バトルはしてません
だって、ミスタバサがサイコロ2個と小さい杯用意して、こう言ったんです
「才人が困ってるから、此で賭ける。三回振って、一番数字の高い人二人が添い寝」
「まぁ、それなら公平かな?」
ミスツェルプストーがそう発言して
「細工してない?」
ミスモンモランシがそう言うので、ミスタバサがサイコロをミスタグラモンに渡して、チェックさせました
「土メイジなら解る」
「解ったよ。ディテクトマジックは反応無し。中味は………うん、大丈夫。重心のずれも無いね。ちゃんとした六面ダイスだよ」
ミスタグラモンが、お墨付きしました
「ちょっと、モンモランシー。失礼じゃない?」
32大人才人 シエスタの日記7-6:2010/11/28(日) 20:25:12 ID:4NPi5pSl
「あら、賭事にイカサマは常識じゃない。此は、お互いの為に必要よ。タバサもそう思わない?」
ミスタバサは、コクリと頷きました
「なる、私が甘かったのか。此はちょっと、気合い入れないと駄目ね」
「それじゃ、参加者はどうしましょう?」
私がそう言って、参加人数を確認しようとしたら
「あ〜、ちょっと良いか?」
「何ですか?才人さん」
「俺、野宿で良いや」
「「「「却下」」」」
声を揃えて、私達は即答です
「…何で?」
「私達が熟睡するのに、ダーリンが必要なのよ。ダーリンに拒否権は無いわね」
「以下同文」
ミスツェルプストーとミスタバサに言われて、才人さんは溜め息ついて、デルフさんの研ぎに戻りました
そんな才人さんをミスタグラモンが、おかしそうに見てます
同性として、羨ましく感じないんですかね?
やっぱり、バイなのかなぁ?
ちなみに結果は、ミスタバサ28、私が25、ミスツェルプストーが16、ミスモンモランシが10でした
うん、今回は運が良かった
何時も祈ってない神様、有り難うございます
だって、才人さんの添い寝は、暖かくて凄く安心するんですよ?それに、エッチな気分にもなれちゃいます。キャッ
あんなの味わったら、もう一人寝なんて味気ないです
おっと、そろそろ今日の出来事書かないと
今日は依頼代行の一つ、オーク退治でした
オークは大嫌いな上に、めちゃめちゃ怖いです
だって、男は餌確定だし、女は……日記でも書きたくない!!
捕まったら、そこで人生終了です。それからは……あぅ、気持ち悪くなってきた
止め止め
と、とにかく私の護衛でシルフィードさんとフレイムさんが付いてくれて、才人さん達が森の奥に行ってしまいました
暫くすると、シルフィードさんとフレイムさんが、小さく唸り声を上げたんです
「きゅい」
「きゅるるるる」
「あの、どうしたんですか?」
うっ、あの醜悪な臭いが、私にも解る感じで漂って来た
此は近いです、怖いです。だって私には、オークなんかに対抗出来る手段は、有りません
身体がガタガタ震え出して止まりません
「怖い、怖いよう。才人さん、帰って来て…………あ、いけない、才人さん達にあのオークが後ろから迫ったら、どうしよう?」
私の声で、フレイムさんとシルフィードさんが視線を合わせて、何かやり取り始めました
「きゅい、きゅい」
「きゅるるるるる」
「きゅい!!」
「きゅる!!」
33大人才人 シエスタの日記7-7:2010/11/28(日) 20:30:18 ID:4NPi5pSl
「…あの、何か決めたんですか?」
そうだ、私には才人さんが付けてくれた、頼もしい護衛が居るじゃないですか
でも、怖いものは怖いんです
身体はさっきから、震えが止まりません
そして、臭いが強くなり、オークの姿が見えると私は硬直しちゃいました
「ひぐっ」
もう涙目で、一杯一杯です
「って、えっ?あれ?シルフィードさんフレイムさん?何処に行ってしまったんですか?」
私が硬直してた時に、居なくなってました
「シルフィードさんフレイムさん、ひ、酷いです。後で才人さんに言いつけてやるぅ!!」
私が大声を上げたら、オークが私に気付いて接近して来ました
もう、やだ、足が動かない
「怖いよう、オークなんかにオークなんかに」
ガタガタ震えて、何も出来ません
あぁ、私の人生は、ここで終わりか。才人さんごめんなさい
そう思いながら、もう、オークなら後数歩で届く所に来た途端、其は起きました
「大地よ、我らに仇為す者に戒めを与えよ」
オークの足が突然止まり、動かなくなりました
「………何?」
私は、何が起きたか解りません
オーク達も走って来た形で固まって、ピギィピギィ騒いでます
そしたら、私とオーク2体の間に、空からシルフィードさんが降りて来て、フレイムさんを掴んでたのを離して着地
口をガパッて開けて、二体で全開のブレスを、オークにぶつけました
ブフォォォォォ!!
「……此が、シルフィードさんとフレイムさんの、……全力ブレス……」
私は、呆気に取られて見てるだけです
今迄の、ちょこっとお手伝いで使ってた、ブレスの比じゃ無いんですもの
一分位吐いていて、吐き終ったら、炭になったオークが2体転がってて、シルフィードさんが私の顔をべろりと、舐めてくれました
「きゅいきゅい」
「きゅるる」
「…もしかして、ごめんなさいですか?」
「きゅい」
「きゅる」
二体が、頷いてくれます
シルフィードさんが才人さんの行った方を指して、何とかバツの字を両手で作りました
「…もしかして、才人さん達の方に行かない様にする為に、私を囮にしたんですか?」
二体が頷きます
「……あ、私が言ったからか……二人共、有り難う」
シルフィードさんとフレイムさんが、身体を擦り付けて来てくれて
あぁ、使い魔持つのも良いなぁって、ちょっぴりメイジが羨ましくなっちゃいました
「…所で、さっきの声って何だったんでしょう?突然オークも動かなくなったし。不思議ですねぇ」
34大人才人 シエスタの日記7-8:2010/11/28(日) 20:31:37 ID:4NPi5pSl
そしたら、突然シルフィードさんが私の頭をがぷりとくわえて、軽く振り始めたんです
「きゃあ!?ちょっと!?シルフィードさん!?止めてぇぇぇぇ!?」
散々振られて目を回した後に、今度はやたらと舐められました
「はぇ、頭が回るぅぅぅ。一体、なんなんですかぁ?もぅ」
何か、どうでも良くなっちゃった
舐められた頭を拭ってシルフィードさんに抗議したら、更に舐められちゃいました
駄目だ、何かお茶を濁された。後は同じ事の繰り返しだ
「何か解らないですけど、解らない物は解らないって事ですか?」
「きゅい」
シルフィードさんが頷きました
…絶対、なんかやりましたね?
今度才人さんに聞いてみよう、うん

そんなこんなで待ってたら、一時間位ですかね?
皆が戻って来たので、手を振って歓迎しました
その後は合流して、話をしたら、才人さん達もギリギリで、ヤバかったって
其で、皆で宿に泊まるのを決めた後、飛び立つ前に私が此方の顛末を話したら、ミスツェルプストーがフレイムさんを褒めまくって
ミスタバサはシルフィードさんに、冷たく言い放ちました
…才人さんが来る前の、あの雪風の表情で
「…シルフィード」
「…きゅいぃぃぃ」
シルフィードさんは素直に頭を伏せてその頭を両手で押さえ、折檻に耐える姿勢になりました
えっと、何でですか?
ガンゴンガン
「……タバサ、何があったか知らんけど、その程度にしてやってくれ。他人事に思えねぇ」
皆がぽかんと見守る中、才人さんが、頭を抱えてひたすら耐えてるシルフィードさんに、助け舟を出しました
勿論、後ろから羽交い締めしてますよ
確かに、才人さんの立場だと、ミスヴァリエールに折檻される自分と同じに見えちゃいますよね
「ふー、ふー」
「タバサ落ち着け、な?」
「駄目。お仕置しなきゃ、駄目」
「タバサ、シルフィードが何か言いつけ破ったってのは解った。でもな、其はシエスタを、そして俺達を助ける為にやった事位、タバサも解ってるだろ?」
「其でも、駄目」
「つまり、タバサはシエスタが拐われても良かったんだな?」
才人さんに言われて、ミスタバサが硬直しちゃいました
「タバサ。確かにシルフィードは大事な言いつけを破ったかもしれない。でもな、今回は命が掛ってた。緊急避難だ。其位にしてやれ」
「…足らない」
「じゃ、俺が払う」
「…キスして」
「解った」
才人さんがミスタバサを振り向かせて、おでこにキスしました
35大人才人 シエスタの日記7-9:2010/11/28(日) 20:35:16 ID:4NPi5pSl
「…何で、おでこ?」
そのまま、ミスタバサの両肩に手を置いて、才人さんは視線をミスタバサの高さに合わせて、話始めました
「今のタバサは駄目だ。内情知らないけど、とにかく駄目。良いか、良く聞け。言いつけ破るなら、確かにお仕置きが必要だ。でもな、状況を省てやるべきだ。タバサが命落としても、守らないと駄目な言いつけか?」
ミスタバサは少し涙を溜めて、ふるふる首を振りました
「其が解ってるなら大丈夫。偶々感情的になったんだよな?そうだろ?タバサ」
暫くジッとして、ミスタバサは頷きました
「やり過ぎな部分は謝ろうな。使い魔だって、感情は有るんだぞ?」
暫く立ち止まったミスタバサが、そのままの姿勢で、シルフィードさんに声をかけました
「…シルフィード」
「…きゅい」
「少しやり過ぎた。ごめん」
「きゅい」
立ち上がった才人さんが、ミスタバサの頭に、ぽんと手を乗っけました
「此で終わり。じゃ、宿を捜そうぜ」
コクリと、ミスタバサが頷きます
息を詰めてた皆が、ホッとした雰囲気を出しました
はぁ、才人さんに掛かると、上手く治まるなぁ

ひいお爺ちゃん
才人さんは、多分教師にもなれちゃいます
ミスタバサの扱いなんて、まるで娘か妹ですよ
はぁ、私もあんなお兄ちゃん居たらなぁ
は、いけないいけない
私が欲しいのは、ああいう旦那様だった
さて、お風呂入ったら、ミスツェルプストーがお酒を宿の主人からせしめて来たので、其で宴会だって騒いでます
此でペンを置きますね

〇月×日
はい、5日目です
昨夜は雑魚寝になってしまった為に、賭けは行われてません
でも、大変びっくりな事件が起きました
な、なんと、ミスタグラモンが女性だったんです!!
しかも、自ら才人さんの愛人だって
うわきゃあ〜〜〜〜〜〜!?
いきなり、思い切り飛び越された気分ですよ
えぐえぐ
愛人って、その、勿論、そういう関係ですよね?って聞いたら、ミスグラモンはあっさりと
「そうだよ」
ですって
私が散々色仕掛けしても落ちなかった才人さんを、どうやって〜〜〜!!
勿論聞きました
「簡単だよ。僕の命を賭けた」
「は?」
「だから、僕の命を賭けた。本気だから、才人に女として見られないなら、もう生きる積もりなんかないって言って、実際に実行した」
「実行したなら、何で生きてるんですか?」
36大人才人 シエスタの日記7-10:2010/11/28(日) 20:37:15 ID:4NPi5pSl
「ん、才人がきちんと杖を取り上げてくれたよ。才人の真剣な顔と安堵した顔は、もう濡れた濡れた」
「…才人さんを騙してません?」
「…僕の気持ちを侮辱するなら、其なりの覚悟が有るんだろうね?」
「すいません、失言でした」
「解れば良いよ」
あっさりと許してくれました
「あの、要するに才人さんとそういう仲になるには?」
「命賭ければ、才人は観念するよ。才人はなんだかんだ言って、女のコに甘いからね」
「でも、紙一重ですね?」
「じゃあ聞くけどね、才人の居るハルケギニアと才人の居ないハルケギニア。どちらで生きたい?」
「勿論居る方です」
「ほら、答えなんか簡単に出る。後は実行に移すだけだ」
「…シンプルですね」
「そんなもんだよ、実際。今迄悩んでたのが、才人に抱かれてから、馬鹿みたいに思えたからね」
「あの、愛人って、はっきり言ってましたけど?」
「正妻は他の女らしい人に譲るよ。僕は才人と一緒に居られて、才人の子供を産めれば良いや。貴族の第四子は、お気楽なのさ」
「じゃあ、私が正妻になっても、構わないんですか?」
「その時は宜しくお願い致します。お姐様」
そう言って、ウィンクしてくれました
「ミスグラモンの秘密は、絶対に守ります」
才人さんを挟んだ状態で、意気投合しちゃいました
「お互いの未来に」
「「乾杯」」
才人さんは、そんな私達の会話を聞いてた筈なのに、何も言わずに飲んでました
只、ミスタバサを撫でるのは、ずっとやってましたね
ミスタバサは、才人さんに座りっぱなしで、ちっとも動かず、本の代わりにきちんとお酒を持って、両手でくいくい飲んでましたよ
ミスタバサの仕草、可愛い過ぎです
其所から先は、ちょっと覚えてません
酔うと酒乱になるから、飲むの控えてたのに、やってしまいましたよ
あはははは、はぁ
起きた後に、皆に聞いてみました
「私、途中から覚えてないんですけど、何かしませんでした?」
「えぇっと、私もモンモランシーも結構早く潰れたから、解らないわ」
ミスモンモランシもポーカーフェイスじゃなく、二日酔いの頭痛状態で頷いてましたので、多分本当ですね
ちょっと、詠唱するのも辛いみたい
「ミスグラモンはご存知ですか?」
「ん〜どうだったかなぁ?タバサは覚えてる?」
「…才人に襲いかかろうとしたから、後頭部殴って眠らせた」
…そういえば、なんか後頭部がズキズキします
37大人才人 シエスタの日記7-11:2010/11/28(日) 20:41:54 ID:4NPi5pSl
「この痛みが、ミスタバサの仕業ですね?」
「…才人が困ってたから、仕方ない」
「そう言えば才人さん、何で無言なんですか?」
「…俺が言うと、多分こじれると思ったもんで」
ちょっと、考えてみましょう…………うん、確かにこじれる
昨日の、魔法制裁レベル迄こじれたら大変だ
「あの、ミスタバサ。酒乱状態の私を制してくれて、有り難うございました」
「…ああいう止め方は好き。任せて」
「出来れば、もう少し穏便にお願いします」
「魔力切れで、杖で殴るしか無かった」
「それじゃ、仕方ないですね」
メイジが、常に魔法を使える訳じゃ無いって事を今更ながら痛覚、いえ、痛感しました

さて、今日は洞窟探検の日です
私達が雑談しながら向かう途中で土がボコって盛り上がると、其処にはヴェルダンデさんが居ました
えっと、どうやって探し当てたんでしょう?
そしたら、ロビンさん迄ピョンって飛び出て来て、びっくりです
才人さんが聞いたら、行動予定聞いて先回りですって
はは、使い魔さんのが、私より頭良いみたいです
がくり
もう、人間の威信もへったくれも有りません
才人さんが、知恵持つ獣達の使い魔達を、人と同じ様に接してる理由が、ちょっぴり理解出来た気がします

さて、更に私の護衛としてヴェルダンデさんが追加されました
才人さん曰く、洞窟内だし、シエスタの安全に気を使うのは、当然だそうです
貴族の皆様も賛成してました
どうやら、昨日みたいになるのは、とにかく回避出来るならやろうと言う方針で、一致したみたいです
「何か申し訳無いです」
そしたら、ミスグラモンが言ってくれました
「人には向き不向きが有る。出来ない事を嘆くより、出来る部分を誇るんだね。少なくとも僕達は全員、君程料理は出来ないし、野草の知識も無い」
「君が居なかったら、肉を取りすぎても保存も出来ず、料理も粗末で体調を崩したかも知れない。平民だから、戦闘が出来ないからと言って、馬鹿にする連中は、僕達の中には皆無だよ。君は僕達パーティーの補給の要だ。君が居るから戦える。誇って構わないよ」
そう言った後、あの薔薇の杖をくわえて、ポージングしちゃいました
「ミスグラモン」
「何だい?」
「せっかく良い事言ってたのに、そのポーズで全部台無しです」
見てた皆が、爆笑しちゃいました
「決まったと思ったんだけどなぁ」
38大人才人 シエスタの日記7-12:2010/11/28(日) 20:44:51 ID:4NPi5pSl
頭をカリカリ掻いてます
…絶対笑わせる為にやってませんか?
まあ、そんなこんなで皆が洞窟に向かうとフレイムさんとヴェルダンデさんが、シルフィードさん一体分の離陸スペースが開けた場所に私を誘導します
あぁ、上空警戒と緊急離陸兼ねてるんですね
やっぱり、私なんかより頭良いです
その後シルフィードさん達が私を抑え込みます
「あの、そんなに抑えられたら動けませんよ?」
「きゅい」
「動くなって事ですか?」
「きゅい」
コクコク頷いてくれました
そういえば、ヴェルダンデさんが見えてないですね
何処に行ったんでしょう?
暫くしたら、ヴェルダンデさんが地中から出て来て、地上を私達から等間隔で一周しました
なんのジェスチャーでしょう?
そしたら、フレイムさんが其に合わせて、尻尾で私達の周りに円を描きました
「此所から先には、出るなって事ですか?」
「きゅい」
シルフィードさんが頷いてくれました
ヴェルダンデさんは高速で穴堀りが得意でしたね
あ、まさか
「一周全部落とし穴ですか?」
「きゅい」
参った、此は動けない
「おトイレどうしよう?」
「きゅいきゅい」
「気にしちゃ負けですか。そうですね、安全には変えられないか。ヴェルダンデさん、有り難うです」
声に応えて鼻を持ち上げてふんふんした後、地中に潜って行きました
シルフィードさんに吊り下げられた荷物から、燻製を引っ張り出して、フレイムさんとシルフィードさんの口に運びます
「はいどうぞ、腹が減っては戦は出来ぬです」
二体はパクリと食べてくれて、私も座ってはむはむ食べて、後は皆を待ちましょう
のんびりぽかぽか良い陽気
ついウトウトして、シルフィードさんに寄りかかって、居眠りしちゃいました
あぁ、そよ風が気持ち良いなぁ
「きゅい」
シルフィードさんの警戒鳴きで、思わずびくりと跳ね起きちゃいました
距離が有るためか、私達には目もくれず一目散にコボルト達が、才人さん達が向かった洞窟に、向かって行くのが見えます
「彼処、コボルトの住処だったんだ。才人さん達なら大丈夫かなぁ?」
才人さんが本気なら、多分大丈夫でしょう
才人さんは私達が目を見張る位、急速に成長してましたし
あれも、使い魔のお陰だって、言ってましたっけ
シュヴァリエも、呆れてましたからねぇ
「それじゃ、シルフィードさんの布団で、もう一眠りです」
39大人才人 シエスタの日記7-13:2010/11/28(日) 20:47:03 ID:4NPi5pSl
こんなぽかぽか陽気じゃ、気持ち良くて気持ち良くて
「ふあぁぁ」
いつの間にか、寝ちゃってました
待ってる間は、私に取っては休憩時間ですからね
どれ位寝てたか解りませんが、シルフィードさんの声で目が覚めました
「きゅい」
「ふあぁぁっ。シルフィードさん有り難うございます。才人さん達帰って来ました?」
「きゅい」
「あ、本当だ」
私は立ち上がって埃を払い、才人さん達を手を振って迎えました
「皆さん、お帰りなさ〜い」
そしたら才人さん、私の警告聞く前に歩いて来てズドンと落とし穴に落ちちゃいました
あ〜あ
まぁ、才人さんなら平気かな?
其で私はシルフィードさんに落とし穴を飛んで貰って跨いだ後、皆で才人さんを置き去りにして、歩き始めちゃいました
「あの、さっきはああ言いましたけど、大丈夫ですか?」
「デルフ居るから平気だよ。さてと、ビバーク地点探さないと」
「ギーシュの言う通りよ。設営はモンモランシーとシエスタに任せるわ。後の三人は狩りね」
「僕、魔力切れなんだけど?」
「ワルキューレ7体使役で魔力切れか。ま、しょうがないわね。私もタバサも魔力たっぷり残ってるし、二人で行きましょ?ダーリンは、相変わらず働き過ぎだから、休ませて上げてね」
そう言って、ミスツェルプストーはミスタバサと共に、狩りに出て行きました
40大人才人 シエスタの日記7-14:2010/11/28(日) 20:49:06 ID:4NPi5pSl
何だかんだ言って、一番親身になってくれるんですよね
プロポーションしか見ない殿方が多すぎですよ
才人さんはそういう方々とは違うから、一緒に居て楽なんでしょうね
うん、美女も大変だ
「ミスモンモランシー、お水お願いしますね」
「はいはい」
う〜ん、水使いは本当に生活に欠かせませんね
そういえば私達、全員着たきり雀でした
流石に下着は変えて、洗濯して干してますよ
身体も例の魔法石鹸使って拭いてるから、ピカピカです
全員必死ですよ、もう。全部才人さんのせいだ〜!!
そんなこんなで洗濯して干してたら、才人さんが戻って来ました
「お帰りなさい。才人さん」
「ただいま。置いてけぼり、酷くね?」
「あぁ、キュルケが言ってたよ。ああしないと、才人が狩りにも出るから駄目だって」
ミスグラモン、ミスツェルプストーはそんな事言ってたんですか?
「…随分遠回しな、休め指示だな」
「ま、分担だよ、分担。だから休んでなよ」
才人さん、溜め息付いて腰を下しちゃいました
「ギーシュの言う通りね。あんた、気付いて無いけど、疲れとダメージ溜ってるわよ」
「ミスモンモランシ、本当ですか?」
「えぇ、だから私がキュルケに話したのよ」
「余計疲れさせたじゃねぇか」
「あんたの場合、あの程度は大した疲れじゃないでしょ?」
はわぁ、そんな裏事情があったんですか
本当に、ミスツェルプストーは誤解されがちな人ですよね
才人さんと、どっちが優しいんでしょう?
才人さん両手を上げて、降参しちゃいました
「降参、お言葉に甘えて少し寝てくる」
才人さんはテントに入って、横になってしまいました
今、私は才人さんの寝顔を見ながら、これを書いてます
居るだけで安心出来るって、凄いですよね?
多分、皆同じ気持ちなんだろうなぁ
さてと、植物採集と料理の準備に出ましょうか
「フレイムさん、護衛お願いします」
「きゅるるるる」
応えてくれたので、もう出ますね
今日は筆を置きましょう

ひいお爺ちゃん
才人さんの居ない生活なんて嫌だなって、つくづく思い知らされちゃいました
もっと頑張って、素敵な女性にならないと
頑張るぞ、おー

41大人才人:2010/11/28(日) 20:56:31 ID:4NPi5pSl
投下終了なのね〜
大人才人タクティクスなのね
今回はお姉さまなのね〜きゅい
「…賭け事は得意。サイコロ振りにもコツがある」
「…杖で殴るのも、実は得意。シルフィードで練習してる」
「…冒険だから、そんなに本持って行けなかった。実は、2〜3冊を回し読みしてる」
「新しい文章に飢えてる私。そんな時に、シエスタが日記を書いてるのが悪い」

お姉さま、実は結構我が侭なのね
きゅい
42名無しさん@ピンキー:2010/11/28(日) 23:00:15 ID:eMfYLKjB
>>41
おお、終了後1番目に投下だ

GJです。
43名無しさん@ピンキー:2010/11/28(日) 23:14:37 ID:oGb0jStA
乙です。今回も読み応えありました
イーヴァルディの勇者1週間以上読んでも問題ないタバサは活字中毒なのか?
44名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 00:50:16 ID:2QC3MMqQ
そろそろ本編が気になってむずむずしてきた
45名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 02:09:30 ID:fr6CUP1v
おばんです。遥か昔に、
「大人サイトの設定使って書いてもいいのかなぁ?」
と呟いていた者です。
書き上がったので、投稿させて頂きたいと思います。
これが初投稿なので、クオリティは残念なレベルです。エロはありません。
にもかかわらずなぜか長いです。
それでもよろしければ、読んで頂けると幸いです。
3分後から投稿致します。13レスほどかと。
タイトルは大人才人外伝「火の祭り」
ヒロインは俺の個人的な嗜好です。
46火、祭り:2010/11/29(月) 02:18:09 ID:fr6CUP1v
それはとある夜のことである。
場所は町郊外の小屋、距離にして10キロメイルほどである。
町の光は遠くに見える程度、魔法で灯された街灯の光がぼんやりと見える程度である。
「明日、町の金貸しを襲う」
隊長、いや元隊長は仲間たちに目をやって、そう言った。
その目にかつて澄んでいた色はなく、荒み切った凄みしかない。
「で、ですが隊長!」
「もう、俺は隊長ではない」
元隊長、ロイク=ドゥ=コルヴェは血走った目でこちらを睨みつけた。
「そして俺たちはもう、アルビオンの騎士ではない。ただの山賊だ」
「ですが! 無辜の市民を殺すのはあれが最後だと!」
「もう俺たちには仕える国も無い。かつて仕えた国は滅びた。そしてかつては勇猛と歌われた我らの友はすでに冥界に旅立っている」
スティーブは荒々しく酒瓶を煽った。ジェフ=ドゥ=ケイゼルは隣りに座っているバジルを見た。彼は下を向き、拳を握りしめている。他の連中も似たような者だった。
家族をすべて、レコンキスタに殺され、我が身一つになったアルビオンのかつての貴族騎士たち。
そしてレコンキスタとの戦いで死なず、むざむざと生き残った亡霊ども。
「俺たちは……本当はあの時に死ぬ筈だった。今や住むところも、金も、国も、愛する者さえ失った。もはや我々は堕ちるところまで堕ちたのだ」
彼らの心にはもう、虚無感しかなかった。
今まで忠誠を誓って愛していた国を、むざむざと失った。
愛した祖国の惨状は目を覆うばかりだった。
そして、このトリステインに逃げ延びるまで、何人もの追手を既に斬っている。
立ちふさがる者は容赦なく斬り捨てて来た。
そして路銀を稼ぐために、山賊や海賊の類を殺し、金を奪い取って来た。
そうして、トリステインの大きな街の近くまでやって来た。
だが、もう彼らにはわからなかった。山賊を殺して金を奪っている自分たちと、市民を虐げて殺し回っている山賊と。
そして何より、我々を追放したレコンキスタの連中と。
やってることに、なんの違いがある?
人を殺しまくっているだけじゃないか。
隊長は、そう絞り出すように言った。
そして三日前、我々はなんの関係もない、隊商を襲い、そして――
「いいか、明日、俺たちはトリスタニアの街で人を殺す。もう、そうやって生きてくしか無いんだ。嫌なら、去れ」
去る者は、いなかった。
47火、祭り:2010/11/29(月) 02:25:10 ID:fr6CUP1v
******



「でなんでサイトはトリスタニアに来たんだ?」
「いや、せっかくだからたまにはこういう虚無の日の過ごし方もいいかなと思ってさ。
アニエスこそ、別に無理してくる必要なかったんだぜ?」
「ふん、どうせおまえとの訓練がなけりゃ暇な身だしな。
それに、久しぶりに街に来るのも一興だしな」
「まぁ、アニエスさんとのデートだと思えば」
「お、お、おまえはまたそう言う冗談を」
サイトはアニエスに一瞥をくれると、優しく笑った。
それに対してほんの少しだけ頬を赤らめるアニエス。
サイトからしてみると、冗談半分だとしても、アニエスのこういう顔が楽しくて仕方が無いのである。

ちなみに今日のアニエスは普段着である。
いつものようなライトアーマも着けず、簡素な街娘のような格好である。
もっとも、その凛々しさは幾分も失われていないので、ただの街娘には見えないが。
「アニエスを可愛いと思ってるのはなんの冗談でもないんだけどね」
サイトとアニエスの二人はちょうど街の入り口に入ったところだった。

それにしても今日は人が多いようだった。
一度、剣を買いにきた時に比べて、明らかに人が増えているようだった。
道端には幟が立っている。文字には......
「アニエス、サーカスみたいだぞ」
「サーカス?」
アニエスもポスタに気付いたようだった。
「アニエス、こういうの好き?」
「いや、私はこういうものを見たことがないんだ」
アニエスはそのポスタから目を離すようにして言う。
サイトはその目の中にある暗い光に気付いていたが、何も言わなかった。
それはきっとアニエスの抱える闇なんだろう。
そしてそれはまだ、サイトの知るところではない。
どうして、アニエスがこの若さで銃士隊を率いるような女傑の道を進んでいるのか。
サイトはまだ、それを聞かされてはいなかった。
いつか、言いたくなった時に、彼女から言うだろうと信じて。
サイトはアニエスが本当に笑えるようになるためには、その闇を乗り越える必要があることに気付いていた。
だが、それを今言っても仕方が無い。
そしてアニエスは、まだこれからでももっと幸せになる道がある筈だ、
「なあ! 見に行こうぜ」
「え」
アニエスはサイトの方を少し驚いたように見た。
「俺も実はあんまり見たことなくってさ、アニエスも見たこと無いなら見に行こうぜ」
「わ、私は」
「いいだろ、ほら」
そういうとサイトはアニエスの手を掴んで、人ごみの中をずんずん進み始めた。
アニエスの手は温かかった。
48火、祭り 3/13:2010/11/29(月) 02:30:26 ID:fr6CUP1v
「うおおお、すげええええ」
「確かに……凄いな」
サーカスはちょうど街の広場でやっていた。
団員たちはその身軽な体術で人間離れした動きをしている。
バク転側転からトランポリンや縄を使って飛び上がり跳ね上がり、輪をくぐり、縄を操る。
全身のバネがいかに強靭か、わかるようだ。
「だけどサイトだって、剣を握ればあれくらいできるんじゃないか?」
「だからこそだ。俺だって生身じゃ到底無理なのをあいつらはやってるんだぜ」
サイトは目を輝かせている。
案外、子供っぽいところもあるんだな、とアニエスは小さく笑う。
そしてずっと握りっぱなしになっている自分の左手で、胸が熱くなる。

いつからだったろう。
サイトと一緒にいる時間が、自分にとってかけがえも無く気が楽になる時間だと気付いたのは。
サイトとのは稽古は、稽古という名の対話だった。
毎日繰り返される剣の交わりの中で、サイトは確実にアニエスに話しかけているようだった。
今では、サイトがどういう男か、わかる。
今まで会って来たどんな男とも違う。
貴族のようでもない。庶民のようでもない。商人でもない。まして、軍人でもない。
この男は私という血で塗れ、汚れた、庶民の、シュヴァリエの女を、ただの人間としてしか見ていない。
軽蔑でも、恐怖でもない、ただの人間として扱っている。
今日だって、本当はサイトが街に来るだけで、アニエスがついてくる必要などなかったのである。
断れば引き下がっただろう。それを知りつつ、こいつは私と街に来てサーカスに誘った。
きっと、私の心も、この不思議な男にはお見通しなのだ。
ただ、一緒にサーカスを見ているだけで。
いや、一緒にいるだけで、アニエスの心は癒されている。
――だが……私は……
「人殺しだああああああああ」
49火、祭り 4/13:2010/11/29(月) 02:33:35 ID:fr6CUP1v
悲鳴は広場からはちょっとだけ離れた、サイト達群衆の後ろで起こった。
そして続く女の衣を割くような悲鳴。
観衆の声援が止まる。
サーカスの団員も、その動きを止めた。
アニエスがはっとサイトを見た時には、彼は鋭く後ろを見つめていた。
アニエスも振り向く。
人々が邪魔でよく見えなかった。
「サイト!」
「……どうやら強盗か何かのようだ」
異世界人のサイトはこの時代の人間に比べて明らかに身長が高い。
背伸びをすれば、人ごみの向こうで起こっていることも見える筈だった。
「人死にが出てるのか?」
「よく……見えない。こういう時、いったい誰が犯罪人を取り締まるんだ?」
「たいていは街の警吏だな。手に負えぬ場合は街の衛士が来るが」
「静観……がいいか?」
「ああ、今日の私は丸腰だ」
「こんなことになるなら、アニエスも一応帯剣させておくんだったなぁ」
「お前が言ったんだろう」
そう、アニエスがサイトに同行するにあったって、丸腰になるという条件をつけたのだ。
「それも、そうだけどな」
そう言いながらちゃっかり自分はあのインテリジェンスソードを帯剣している。
周りの群衆もざわざわと騒いでいる。
遠くからは断続的に悲鳴が聞こえて、群衆は徐々にその騒ぎから遠のく方向に動き始めていた。
その流れの中でアニエスとサイトだけが棒立ちになって逆らっていた。
「……おい、あれ」
閃光、そして爆音。
「魔法だ!」
「メイジだと!?」
ことこの世界において犯罪にメイジが関わることは珍しいと言えた。
そもそも魔法を使えるのは貴族であり、そして貴族は余程でない限り、犯罪には関わらないからだ。
いまや広場は悲鳴の嵐だった。
魔法、というだけでこの世界の庶民のほとんどは恐れおののいてしまうのだ。
男も女も、一斉に騒ぎから逃げようとしている。
逆にサイトとアニエスはその騒ぎの元へ近づいて行く。
騒音の中、剣戟の音も聞こえる。
「サイト!」
いまや二人は走っていた。そして手は、いつの間にか離されていた。
50火、祭り 5/13:2010/11/29(月) 02:36:51 ID:fr6CUP1v
*** ***



「隊長! 警吏は退けましたが、急がないと衛士が……」
金貸し屋の、奥の部屋を覗き込んだジェフは言葉を失った。
それは絶句もするだろう。
「た、隊長、い、いったい何を!」
その男は、縛り上げていた店の者を全員切り刻んでいた。
始めに捉え、無力化していた彼らを。
「隊長!」
ジェフはその肩を掴む。
「ジェフか……、いやな、こんなとこにレコンキスタがいたんだよ」
振り返った隊長は、ジェフを見ながら、そう言う。
「は?」
こんなところにレコンキスタがいるはずがない。
ここはトルステインのど真ん中の首都で、しかも適当に選んで押し入った金貸し屋だ。
そう偶然アルビオンのレコンキスタどもがいるはずがない。
そして目が合った瞬間、ジェフは毛が逆立つのを感じた。
もう、隊長の目はジェフすら見ていなかった。

「剣を突きつけて聞いたんだ。『おまえはレコンキスタだろう』ってな。
すると『違う』と答えやがった。だから突き殺した。違う奴にも聞いたんだ。
『おまえは!』嘘をついたからまた殺した。三人目でな、『そうだ』って言ったんだ。
『全員レコンキスタか』って聞いたらな、『そうだ』って言ったんだ。
だから、全員殺した」
隊長は剣を振って血を払い、鞘に納めた。そして、血に濡れた手で杖を掴む。
「もうそろそろレコンキスタに尻尾を振った衛士どもが来るんだろ? なら俺が出る」
「た、隊長……」
「大丈夫だ、お前にも残しといてやる」
もう、隊長は正気を失っている。
「レコンキスタなんて!」
「大丈夫だ、仇を取ってやる。そうだろ、俺は騎士なんだ。レコンキスタから国を守らねばならない」
もう既に正常な判断を失っている。
「行くぞ、敵はそこにいる」
その男はかつてアルビオン騎士団で武勇を轟かせた炎のトアイアングルメイジだった。
そう、誇り高き騎士として。
「ウル・カーノ・ジルトル・フォーラ!」
そして、今はどうしようもなく、呪われた殺人鬼だった。
51火、祭り 6/13:2010/11/29(月) 02:40:43 ID:fr6CUP1v
*** ***



「アニエス! やばい!」
目の前に広がる惨状を見て、サイトが叫ぶ。
そこは既に戦場だった。
石造の建物こそ燃えていないが窓ガラスが割れ散って。
地面には小さなクレーターすら出来ていた。
そして何より、転がっている焼死体。
恐らく衛士隊だったのだろう。
燃え残った制服が、それを物語っていた。
人が焼ける、あの嫌な匂いが鼻につく。
――あの忌まわしい過去の。
――あの匂いだ。
――燃える。
――みんな燃えていく。
「アニエス!!!」
気がつくと、サイトがアニエスの肩を揺さぶっていた。
それも、そのクレータから離れた路地で、座りこんでいた。
サイトがアニエスを運んだのだろう。

「アニエス、しっかりしろ! おい!」
「あ、ああ、大丈夫だ。ちょっと昔のことを思い出して」
(馬鹿野郎。顔面蒼白で大丈夫なわけないだろ)
サイトはもう一度現場に目を向ける。
あそこで炭になっているのは恐らくかけつけた衛士だろう。
生き残った衛士が増援を呼ぶ声が聞こえる。
物見台では危急を知らせる金が打ち続けられ、辺りには人々がパニックを起こした時のあの独特の躁な空気が漂っている。
そこかに燃え移ったのかもうもうと煙が上がり、今度は火事を知らせる鐘まで鳴らされ始めた。
そんな中、一人佇んでいる男が見えた。
あいつが、杖を持っている!

「アニエス、相手はトライアングルレベルだ。丸腰のアニエスさんには何も出来ない!」
「だが!」
「俺はデルフを持っている。そして今新たに衛士がかけつけても、消し炭にされるだけだ。
あいつは一般兵の手に終える奴じゃない」
「私も手伝う!」
「無理だ。銃も剣も持たないアニエスはただの女の子だ!」
ただの女の子……あの時と同じ。私は何もできずに見ているだけ……!
「嫌だ、そんなのは嫌だ! 忘れたのか私は銃士隊隊長だ! ただの小娘と――」
アニエスの抗弁は、サイトによって止められた。
口づけという方法で。
52火、祭り 7/13:2010/11/29(月) 02:44:05 ID:fr6CUP1v
サイトはまるでアニエスから何かを奪い取るように、激しい口づけをする。
周りが炎と煙で揺らぐ中、今までしたことのないような乱暴なキスを。
ゆっくりと唇を離した二人の間に、銀色の橋がかかる。
アニエスは、驚きを隠せないまま、サイトを見つめている。
「アニエス」
サイトは優しく右手でアニエスの頬を撫でる。
「俺に任せろ」
静かな……、キスとは対照的なくらい静かな、口調だった。
「もうお前は一人じゃない。俺が、俺がいる」
サイトは右手でアニエスを抱えて、一気に抱きしめた。
なす術なく抱きしめられるアニエス。
「今日だけでいい。アニエスの過去は知らない。何があったか、俺は聞かない。
だが、一つだけ言っておく。今日という今には、俺がいる」
サイトは耳元で囁く。
――だから、俺に任せろ。
それだけ言うと立ち上がった。
アニエスは座ったまま、それを見上げる。
「どうしてだ……? 私みたいな女を……」
「アニエスはまぎれも無く、トリステイン最高の誇り高い騎士だ。
だけどな、女を守りたいというのは、男の願望なんだよ」
サイトはアニエスを見ないまま、そう言って男に近づいて行った。

「デルフ」
「おう、相棒」
サイトはデルフリンガーを抜き放った。
「事情はわかるか」
「ああ、わかってるぜ。だが、ずいぶんと”心が震えてる”じゃねぇか。どうしたってんだ、相棒」
サイトは苦笑いをしてその右手の剣を見た。
「アニエスがな、あのアニエスが泣いてたんだ」
「ほぉ、あの姉ちゃんがか」
「ああ、ほんの一粒。それも一瞬だっけどな」
「それで?」
「アニエスの過去を俺は知らないんだよ。いつか教えてくれるかもって、俺は思ってるがな。だが、あいつは何かを思い出して、恐れている。そしてあいつはそれに立ち向かおうって、一人で走り込もうとする奴なんだ」
「よくわかってんな」
「そりゃああれだけ剣を交えれば、わかるっての。そしてそれだけの度胸も力もあるんだ。それがよいことかは別にして。だけど、俺はそんなことして欲しくはねぇんだ」
敵まであと50メイル。
「なんでだよ」
「さぁ、なんでだろうなぁ。女だから、っていうわけでもないんだ」
「惚れたか?」
「馬鹿言え」
「俺っちとしては使い手が子供ぽんぽん作ってくれた方が嬉しいんだぜ」
「たぶん、辛い顔が見たくないんだろうなぁ」
サイトは上を向く。
灰色の煙の向こうに青空が見えた。
「今まで辛いことしかなかったんだろうって、そうやって思うと、俺はアニエスに笑って欲しくなるんだ。泣きながら人を斬って欲しくないんだ」
「余計なお世話って言われるぜ」
「ああ、だから俺が代わりに出る。代わりになれなくても、一緒にいてやる。それくらい、師匠のためにして当然だろう?」
デルフはカクカクと笑った。
「さあ、トライアングルだぜ、デルフ」
「いいぜ、ガンダールヴ!」
サイトは残りを一気に駆けた。
左手のルーンが、光る。
53火、祭り 8/13:2010/11/29(月) 02:48:34 ID:fr6CUP1v

「む、新手か?」
元隊長、ロイクはこちらに来る姿を視認した。
衛士隊は一気に彼が焼き払ったところだ。増援にしては来るのが早すぎる。
そして、何より。
「騎士、だと?」
その瞬間、まるで体の中に氷柱が生じたかのような感覚が彼を襲った。
迷いすらなく、彼はその騎士――異様に速くこちらに駆け込む影にフレイムボールを放つ。
地を這う炎の玉。
騎士はそれを避けるどころか
「薙ぎ払っただと!」
ロイクは素早く杖と持った左手ではなく、右手で剣を抜く。
その影はフレイムボールを打ち消したまま、こちらに斬り込んでくる。
ロイクはそれを受け止めた。
凄まじい剣圧。
ロイクはそれを絶え切った。にもかかわらず、2メイルは後ろに押されていた。
「貴様! 何者だ!」
「俺は、ヒラガサイトだ!」
言うや否や彼は鍔迫り合いだった剣を流し、ロイクの体勢を崩そうとする。
ロイクは逆に間合いを外す。
サイトは追随。
左下から右脇腹を狙う胴薙ぎを放つ。
それを横に払うロイク。
すると払われた瞬間にサイトはそのまま体を回転させた。
吹き飛ばすような後ろ回し蹴り。
辛うじてロイクは左手で受ける。
だが、それでも体勢を崩さざるを得ない。
左手が痺れるような痛み。
骨にヒビが入ったか。
それでも杖を離さない。
この男、強い。
「ハハハハハハハハハ」
ロイクは思わず笑い出す。
「これだ! これが俺の求めていた戦場だ!」
54火、祭り 9/13:2010/11/29(月) 02:51:18 ID:fr6CUP1v
鋭くスペルを呟く。
左手を突き出す。
杖から一直線に炎が伸びる。
ファイアソード。
断続的に炎を出すため、長くは持たない技だ。
だがその効果範囲を剣状に凝縮させるため、凄まじい威力の剣となる。
今やロイクは両剣使いだった。
サイトはその炎の剣が体に届く寸前で地面を蹴り上げる。
ガンダールヴの脚力で一気にロイクの上を飛び越える。
だが着地地点に滑り込むよう迫る敵。
サイトが地面に着いた瞬間、
ロイクがその胴を両手の剣で薙ぎる。
サイトは敢えて退かなかった。
敵の右手に、
姿勢を低くして斬り込む。
そして右手を一瞬で斬り飛ばす。
そうやって生じた隙に、
敵の右手を駆け抜ける。
振り向きざま、足を薙ぐ。
だが敵は右手を飛ばされても顔色一つ変えない。
左手の炎剣を地面に叩き付けた。
その大きなエネルギーが爆発。
思わぬ爆発にサイトは慌てて間合いを外した。
敵も体勢を整える。
サイトはもう一度、ゆっくりと剣を正眼に構える。
敵もまた、その杖から炎剣を消した。
杖をすらりと構える。
右手を肘から先失ったにもかかわらず、
そこには騎士としての気品が見えるようだった。
まるで誇り高い騎士のように。

「おまえ、いったい何者だ」
サイトは唸るように敵に尋ねる。
「我が名はロイド=ドゥ=コルヴェ。アルビオン王国騎士団西部薔薇騎士団団長」
「アルビオン……だと?」
「そうだ。我はアルビオンの騎士だ」
「ならば名乗ろう。俺はヒラガ=サイト。トルステイン王国のシュヴァリエだ」
「なるほど、シュヴァリエか」
ロイドは頬に歪んだ笑みを浮かべる。
「ロイド、なぜお前はこのトルスタニアで暴れる! お前の敵はレコンキスタだろう!」
「レコンキスタ? なんだそれは?」
ロイドは爛々とした目をしている。
もう、狂っている目だった。
「我はアルビオンのために戦う! だから私の前に立ちはだかるお前はアルビオンの敵だ。そうだとも! 私はお前を殺す!」
ロイドは既に右手から血をどんどん失っている筈だった。
だが、まったくその剣気は消えず、殺気も増すばかりだった。
「ならば、仕方が無い。俺……ヒラガ=サイトは、お前を殺す」
サイトは静かに剣を握り直す。
どこからかアニエスの視線を感じながら。
55火、祭り 10/13:2010/11/29(月) 02:56:03 ID:fr6CUP1v
デルフも既に口を噤んでいた。
ロイクが口を小さく動かす。
――ルーンだ!
サイトは身を投げるように姿勢を低く、
そして矢のように走る。
そして下からの突如とした殺気。
サイトはまるでデタラメのような機動で宙に飛ぶ。
一瞬までサイトが足をつけていた地面からファイアフォールが吹き上がる。
刹那でも回避が遅れていたら、火に巻かれていたに違いない。
サイトは空中にいた。
ロイクは下から突き上げるように、
杖をサイトに向ける。
落下地点にはロイク。
このまま行けば回避運動もとれないまま串刺しだ。
だからサイトは、デルフの重みを使った。
西洋剣、というのは日本刀に比べてさらにその重さがある。
だからサイトは、
そのデルフを空中で振ることによって、
単純落下している軌道を
無理矢理に
変えた。
下から突き上がるファイアソードを
ぎりぎりで避ける。
頬を炎剣が擦る。
そしてそのままロイクに
デルフを突き立てた。

左肩口から差し込まれたデルフはそのまま体内の心臓を両断していた。
サイト自身の体重と落下の勢いで、深く突き刺さったのだろう。
ロイクの杖から出ていた炎も一瞬で消える。
即死だった。
痛みを感じる間すらない、
一撃だった。

足から力を失った男が膝をつく。サイトは右手で勢い良くデルフを引き抜いた。
間を置いて吹き出る血。サイトはデルフを引き抜いた姿勢のまま、それを頭から浴びる。
支えがなくなった男の体が、地面に音を立てて倒れた。
サイトはそのまま、静かに倒れ伏した男の顔を見る。
男は、なぜか嬉しそうに笑っていた。
サイトはゆっくり顔を上げる。
敵は、まだいたはずだった。
だが、周りに人の気配は感じられなかった。
ともすれば力を失いそうな右手で、剣を握りしめ、金貸し屋の中に入る。
だが、そこには死体しか無かった。
仲間割れだろうか。
ロイクと似たような格好の男どもが、背中からやられたように全員死んでいた。
そして一人だけ、自らの心臓に剣を突き立てた男の死体があった。
サイトは知るまでもなかったが、それをやったのはジェフだった。
もう引き返すことが出来ぬことを悟った彼が、仲間を全員斬り、自殺したのだった。
サイトは膝をついて、その服のポケットを調べる。
出て来たのは、アルビオン王国の肩章。
「……こいつらも、アルビオンの連中だったのか」
サイトは一人、どうしてあれほどの腕をもった騎士が、こんな犯罪に堕ちたのかと、考えていた。
死体しかない店の中で、一人。
増援の衛士隊が駆けつけるまで……。
56火、祭り 11/13 fin:2010/11/29(月) 02:59:27 ID:fr6CUP1v
*** ***



サイトは、一人シャワーを浴びていた。
血を流すために借りた宿の、個室についている風呂である。

事件は結局あれで終末だったのだ。
駆けつけた衛士隊は、結局銃士隊隊長の証明書を持っていたアニエスが事情を説明することでその場を収まった。
衛士隊にその場の事後処理を任せることになり、サイトは王国のシュヴァリエとして衛士隊の支援をした、という形式になった。
事実、現場に最初に到着した警吏や衛士隊が壊滅したこと、敵がかなり腕利きのメイジであったことから、正当な判断だったろうとされた。
最低限の犠牲に留められた、と言えるだろう。
そしてアニエスはともかく、全身から血を被ったサイトはそのまま学院に戻るわけにも行かない。
サイトは宿をとって、湯を浴びることにしたのだ。

頭からシャワーを浴びる。
湯が全身を流れる。
足下を流れる湯から、血の色が徐々に薄れて来た。
あの男の血だ。
俺はこの世界に来て、いったい何人の人間を殺めたのだろう。
だが一つだけ言える。
これが最後ではないということ。
これからも、きっと自分は人を殺めるということ。
いつまで経っても、人の命を奪う感触は、慣れることが無かった。
まざまざと思い出す、最後の一撃。
肉を断ち、命を断つあの感覚。
だが、俺は――
「――後悔はしない」
「サイト!」
シャワー室の外から声がかけられた。
シャワーが長かったのだろうか。
そういえば、かなり長くシャワーを浴びていた気もする。
「どうした? アニエス?」
「いや、ずいぶん長く出てこないから、ちょっと不安になってな」
声は浴室のすぐ外から聞こえる。
そもそもそんな大きな浴室でもない。
シャワーしかない、浴槽のない浴室だった。
「大丈夫だ。ちょっと考え事してたから」
「……そうか、いや、ならいいんだ。服、適当に買って来た。
前の服は、幸い『らいだーすじゃけっと』、とかいうのでなく、こちらで買って来た服だったろう? 
あれは捨てた。さすがに、あれは落とせないと思ってな。
あと、帰りの馬も一応手配して来たが――」
サイトは無言で浴室のドアを空けた。
目の前には喋っている途中のアニエス。
驚いて、目を丸くしていた。
「サ、サイト! お、おま――」
サイトはシャワーに浴びたまま、アニエスを抱き寄せた。
むろんアニエスは服を着たまま。
「サ、サイト!?」
サイトはアニエスを抱きしめる力を大きくした。
アニエスは黙って、サイトと一緒に濡れて行く。
「ちょっとだけ」
サイトは小さく、区切るように言う。
抱きしめられたアニエスにはサイトの顔は見えない。
「このままで」
もう、疲れていた。
二人とも、考えることに。
「このままで」
そして胸の底から、何か違う熱が上がったことに、二人とも気付いていた。
獣のような、欲求が。
57名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 03:02:10 ID:fr6CUP1v
以上でした。
タイトルはすみません、「火、祭り」に変更に。
また13レス予想が投稿してみると11レスですみました。
あと、9レス目、名前訂正します↓


「おまえ、いったい何者だ」
サイトは唸るように敵に尋ねる。
「我が名はロイク=ドゥ=コルヴェ。アルビオン王国騎士団西部薔薇騎士団団長」
「アルビオン……だと?」
「そうだ。我はアルビオンの騎士だ」
「ならば名乗ろう。俺はヒラガ=サイト。トルステイン王国のシュヴァリエだ」
「なるほど、シュヴァリエか」
ロイクは頬に歪んだ笑みを浮かべる。
「ロイク、なぜお前はこのトルスタニアで暴れる! お前の敵はレコンキスタだろう!」
「レコンキスタ? なんだそれは?」
ロイドは爛々とした目をしている。
もう、狂っている目だった。
「我はアルビオンのために戦う! だから私の前に立ちはだかるお前はアルビオンの敵だ。
そうだとも! 私はお前を殺す!」
ロイクは既に右手から血をどんどん失っている筈だった。
だが、まったくその剣気は消えず、殺気も増すばかりだった。
「ならば、仕方が無い。俺……ヒラガ=サイトは、お前を殺す」
サイトは静かに剣を握り直す。
どこからかアニエスの視線を感じながら。


うーん、改めて筆力の無さを痛感です。
では、ありがとうございました。
58名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 08:09:51 ID:rEiekfdA
ごめん、どこに大人設定が入ってるのか分からなかった
59名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 17:46:02 ID:6hbFQPrB
アルビオン人の名前に違和感がある。間の「ドゥ」とか。
あとガリアの花壇騎士とごっちゃになってないか?
6057:2010/11/29(月) 18:33:01 ID:fr6CUP1v
なんだか本当に申し訳なくなって来た。
お目汚しをしたこと、平に謝ります。
またROMに戻ります。もう戻ってくるのは控えます。
どうもすみませんでした。
61名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 19:39:10 ID:52QCXG3V
>>57>>60
今読んだ〜乙乙
先ず、投下した事そのものがGJです
失敗は誰にでもあります。一度や二度の批判で、めげちゃ駄目ですよ
現実の仕事もそうですが、失敗からの方が、得るモノが沢山有ります
大人才人の才人君も言ってるじゃないですか
「俺は間違いばかりしている」って
失敗自体は恥じゃ有りません。成長出来る余地が有ると思って下さい
其が作者様の糧になります
設定でがんじがらめになってる自分には、逆に新鮮でした
@どうやら作者
PS.大人才人的添削も出来るけどする?
また使ってみようって、意欲が有るならやるよ
2スレもほぼ独占状態が続いてるので、自分以外の作者様にも頑張って欲しいのです
62名無しさん@ピンキー:2010/11/29(月) 19:45:31 ID:/ShvjDv0
名前なんかどうでもよかろう。いちいち重箱のすみをつつくな。
海野土佐衛門とかルンルンとかボボボーボ・ボーボボとかスリル・サスペンスとかとんでもない名前は山ほどある。
63名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 20:06:46 ID:bz/ocQjQ
念のため、保守っておこう
64大人才人:2010/12/02(木) 21:27:17 ID:iXXuZKCW
イルククゥでシルフィードなのね〜
現在次話難航中なのね
だから、20レス投下止めて、分割するのね〜きゅい

では注意事項なのね
・才人年齢上昇
・シエスタのターン
・本編の冒険時には、出てない内幕が有るらしい
・10レス前後、30分以上切れたら多分寝落ち
では、反映次第投下開始なのね〜
65大人才人 シエスタの日記8-1:2010/12/02(木) 21:29:34 ID:iXXuZKCW
〇月×日
6日目です
昨日の夕食は、私お得意のヨシェナヴェでした
夕食に出たお肉は蛇ですよ。デッかい大蛇を、仕留めて来てました
淡白で美味しかったです
そして昨日の賭けは、ミスタバサ33、ミスグラモン27、ミスモンモランシ25、ミスツェルプストー15、私……6です
ひ、酷い、まさかピンゾロ三連発なんて……神様のバカ〜〜〜えぐえぐ
まぁ、そんなこんなで、今、木の上で書いてます
何でこんな所に居るかと言うと、翼人に招待されちゃいました
も、びっくりです
一体、何がどうなったやら
それじゃ、今から出来事を書きますね
「んっと、次のは此処等辺を縄張りにしてる狩人達の噂の、森の奥に潜む宝って訳ね」
「ふ〜ん、眉唾もんか?」
ミスツェルプストーが確認し、才人さんが信憑度を尋ねます
「まぁ、狩人が何かに襲われて気を失った後に、森の入口付近に移動してたって事が、頻発してるみたいね」
「何がしかの、マジックアイテムの可能性って事か?」
「そういう事みたい」
ふむ、と皆が考え込んでます
私はさっぱり解らないので、後ろから付いて行くだけです
暫く森の中を進んでたら声がしました
「風よ、我と契約せし「相棒、今直ぐ俺を抜いて上に掲げろ!!」
デルフさんが切迫した声で鯉口切って警戒したので、才人さんが反応して、直ぐに抜刀したんです
そしたら、皆眠気が来たと思ったら、暫くしたら何も起きなくなりました
「今、一瞬眠くなったな」
才人さんがデルフさんに尋ねます
私達も眠気で膝を付いたんですけど、頭を振ってます
「今のは先住の眠りの魔法だ。全員警戒しろ」
デルフさんがそう言ったので、皆の顔に緊張が走ります
「人間よ、何故眠らない?」
声をかけられた先には、翼をはためかせた人が数人、宙に浮いてました
「翼人ね」
ミスツェルプストーが杖を構えます
「キュルケ、ちょっと待て。いきなり攻撃しなかったんだから、何か理由が有りそうだ。俺らが縄張りに入っただけかもしれん。ちと、聞きたい。最近頻発してる狩人の睡眠中の移動ってのは、あんた達の仕業かい?」
「その通りだ。人間」
「何か理由でも有るのかい?」
「我々の子育ての季節だ。人間に邪魔されては困る。この先に我らの巣が有るからな」
「それじゃ、しょうがないな。邪魔して悪かった。獣の狩り位は認めてくれないかね?」
「此所から先に、近寄らねば構わぬ」
翼人さんって、話が判るんだ
「話が判るね」
66大人才人 シエスタの日記8-2:2010/12/02(木) 21:32:39 ID:iXXuZKCW
「ねぇ、ダーリン。本当に良いの?」
「別に彼らに恨みが有る訳じゃないし、オークみたいに害が有る訳じゃないんだろ?」
「其もそうね。邪魔して悪かったわ、翼人さん」
ミスツェルプストーを筆頭に、全員謝って立ち去ろうとしたんです
「…待て、人間」
「へ、俺らに用?」
才人さんが振り返って、話かけました
「青髪の娘。お前に聞きたい事がある」
「…何?」
ミスタバサが振り返り、皆も倣いました。何か用なのでしょうか?
「アイーシャと言う名に、聞き覚えは無いか?」
「……ガリアの翼人の娘?」
「やはりそうか。聞いた風体とそっくりだったものでな」
翼人さんが一人、降りて来て、ミスタバサの手を取りました
「我が姪の結婚に尽力してくれたと、この前訪れた時に聞いている。ささやかながら、礼をさせて欲しい」
「あらん、タバサ。貴女、翼人に知り合い居たの?」
ミスツェルプストーがびっくりしてます。私達もびっくりです
「…皆居るし、使い魔も居る。子育ての迷惑になる」
「客人となれば話は別だ。其所の男、アヌビスに縁の者では無いのか?」
「アヌビス?」
ミスタバサが、思わず問い返しました
「エルフの6000年前の聖人だ。我等もエルフと同様、大いなる意思に基で生きて居る。多少は交流がある」
「なぁ、アヌビスってのは何だ?俺の国だと、異国の神様になっちまうんだが?」
思わず才人さんが聞いてます
「お前の左手だ。輝く左手を、アヌビスも持っていた」
「はぁ?」
才人さんがまじまじと、使い魔のルーンを覗き込んでます
「つまり、エルフの聖人は、人間の可能性が有るって事か?」
「6000年前だからな。何が有っても、不思議ではあるまい」
私はさっぱり解らないんですけど、貴族の皆様はどうなんでしょう?
「ミスモンモランシ。解りますか?」
「解る訳ないじゃない。エルフの聖人なんて、今初めて聞いたのよ?」
皆も頷いてしまいました
才人さんだけ、何か考え込んでます
顔を上げると、翼人に話かけました
「タバサのついでで悪いけど、お邪魔するよ。後、うちらには、大食漢の肉食の使い魔が2体居るんだが、大丈夫か?」
「ふむ、では我等が用意しよう。ではお客人。我等の巣に招待させて頂こう」
あっさり、才人さんがまとめてしまいました
「あの、才人さん。良いんですか?」
67大人才人 シエスタの日記8-3:2010/12/02(木) 21:38:59 ID:iXXuZKCW
「人間と違う知的種族は、俺の国には居なかったからね。凄い興味有るんだわ。反対は居る?」
才人さんの目が、好奇心で一杯です
ミスグラモンが、肩をすくめて言いました
「ほっとくと、才人とタバサだけで行っちゃうし、僕らも行くよ」
そう言って、まとめてしまいました
私も翼人さんの生活に興味深々です。何か、私に知らない野草知ってるかも

で、木ノ上に翼人さんに上げて貰ったんですけど、立派な家が幾つか建ってました
通されたのは、族長さんの家みたいです
「客人。急な招待に応じてくれて感謝する」
ミスタバサが応えました
「私は任務でやっただけ」
「其でも、人間と翼人の婚姻は、我の知る限り、例が無い。人間と歩み寄れる路を示した事に、感謝しておるのだよ。だから、森に狩りに来る狩人達にも、傷を負わせず帰そうという事になった」
「人間と翼人が……結婚!?」
ミスツェルプストーが驚いてます
私達もびっくりです
「うむ、我が姪は、きちんと身篭る事が出来た。人間と翼人は歩み寄れる」
今度は族長さんじゃなく、アイーシャさんの叔父さんが、話してくれました
「つまり、翼人と人間は近縁種って訳か」
才人さんが、また考え込んでます
そんな才人さんを、興味深そうに族長さんが話します
「そなたの物言い、まるでエルフだな」
「そうか?」
「うむ。やはり、アヌビスの縁では無いのか?」
「いや、此は使い魔の刻印だ。俺は何処にも縁は無い」
「ならば、どうやって産まれて来た?まさか、木の股からではあるまい?」
「似た様なもんさ。使い魔召喚で呼ばれて来た。此方には本当に縁が無いんだ」
「…難儀しておる様だな」
「まぁね。此処に居る皆には助けられてるよ」
「我等としても、アヌビスに縁の者とは、縁を結びたいのだが?」
「いやいや、だからアヌビスとは関係無いって」
「其は大いなる意思が定める事だ。其所の娘が我等と人間を結びつける縁となったのも、大いなる意思の思し召しだろう。全ては必然だ」
「へぇ、そういう考えか」
才人さん、随分と楽しそう
私達は、会話に付いて行けません
ってか、何か縁を結ぶって古風に言ってますけど、どういう事でしょう?
「必然を、必然として結びつけるのは我等の務め。我等の中には血縁の関係で、つがえぬ者が居てな。そなたが血縁が居ないので有れば、まさに我等にはうってつけだ」
へ?まさか?
68大人才人 シエスタの日記8-4:2010/12/02(木) 21:42:11 ID:iXXuZKCW
そう思った途端、叔父さんが才人さんをがしりと掴んで引きずります
「ちょっと待て、いきなり何すんだ〜〜〜!?」
あ〜あ、別の家に飛んで行っちゃった
「…才人を何処にやったの?」
「何、我等の娘達とつがって貰うだけだ。この季節を過ぎると、暫く無理なのでな」
「知り合って間もないのに?」
「そなた達は、あの男の雌だろう?」
皆、ぎくりとします
「ええと、解りますか?」
ミスグラモンが聞いてます
「無論だ。我も伊達に齢を重ねておらぬ。済まぬが、本当に困っておってな。他の巣と交流する時間も無いので、承知して欲しい」
「嫌だと言ったら?」
ミスツェルプストーが剣呑そのもので聞いてます
「我等の子を産むか?。此処は我等の契約の場所。そなた等では、我等には敵わぬよ」
「才人以外の子なんてお断り」
ミスモンモランシが杖を構えて睨み付けます
すると、私達に枝が絡み付いて、身動き取れなくなってしまいました
「もう一度言う。我等は時間が無い。次の季節迄、娘達を放ってはおけぬ。済まぬが、一晩だけ貸してくれ」
「…一晩で出来るの?」
ミスタバサが聞きました
「言ったであろう。子育ての季節だと。今なら子を作れる。次は5年後だ」
5年……ですか
皆、黙ってしまいました
ミスタバサが、続けて聞きます
「貴方達の繁殖の都合は解った。でも、何故才人?」
「其が大いなる意思に叶うからだ。アヌビスに、縁の者だと言ったろう?」
「貴方達がそう考えるのは構わない。でも、才人自身が否定している」
69大人才人 シエスタの日記8-5:2010/12/02(木) 21:46:39 ID:iXXuZKCW
「其はきっかけに過ぎない。此方に縁が無いと言って居たのでな、新しい血を入れるのに最適だと判断した。娘達には、アヌビス縁の者と言えば、嫌がる娘は居るまい」
最早私達には、どうする事も出来ません
「相手の娘達の人数は?」
「二人だ。どちらも初季節だ。群れにつがえる相手が居なかったので、酷く落胆していた。先程の男の従姉妹はな、私の娘をあちらの族長の嫁にやった娘だ」
「息子さん、ですか?」
私が聞きます
「そうだ。其に、つがえぬ娘達の親でもある」
「はぁ」
「娘の婿探しに必死なのかぁ。何か、他人事に思えない話よね?」
ミスツェルプストーが言って、私達も頷いてしまいました
「私達に手を出さないって誓える?」
ミスモンモランシが確認します
「無論だ。歳若い男達は、つがい相手が皆居る。他に手を出す暇なぞ無い」
そう言って、私達を解放してくれました
「其に我等は、翼が美しい娘が好みだ。残念ながら、趣味に外れておる」
「失礼しちゃうわね」
ミスツェルプストーが、ぷんぷん怒ってしまいました
「さて、客人。ささやかながらもてなそう。我等、翼人の文化を味わって頂きたい」
そう言って、軽く微笑んでくれました
料理は木の実がメインで、私達が知らない果実と果実酒や、多少のお肉も提供してくれました
焼いたり蒸したりしたモノで、生もありましたけど、結構美味しかったですよ?
「あの、この木の実ってどれから採るんですか?」
私が聞くと
「あぁ、其は断崖絶壁に生える樹木の実でな、我等翼人で無ければ取れぬ。中々に美味であろう?」
「本当に美味しいわ。此、人間に売っても儲かるわよ?」
「我等に、人間の貨幣は必要無いのでな」
「そう言えばそうね。残念だわ」
ミスモンモランシが、本当に残念そうに言ってます
「実は沢山採れる。土産に持って行け。栄養豊富で我等に取って、不可欠な物だ。特に男の種作りに効果が高いので、子育ての季節には欠かせぬ」
「有り難うございます」
此で才人さんを絶倫にしちゃいましょう
あ、イケナイ、涎がって思ったら、ミスモンモランシとミスグラモンからも、涎が出てます
皆、考える事は一緒ですね
はぁ

ひいお爺ちゃん
才人さんが翼人さんのお婿さんに、強制的になってしまいました
実は、取り返そうとミスタバサがフライで飛んだんですけど、件の家の前で、弾かれてしまったんです
先住魔法は強力です
70大人才人 シエスタの日記8-6:2010/12/02(木) 21:47:56 ID:iXXuZKCW
私達は諦めて、才人さんが帰って来るのを待ちましょう
翼人さん、最初から才人さんが狙いだったんじゃないんですか?
グスン

〇月×日
7日目です
才人さんが翼人の娘さん二人に両側から抱かれて、族長さんの家に戻って来ました
「有り難うな」
「いえ、妻として当然ですわ。アナタ」
「私達、あなたの子を頑張って産みますから、季節でなくても来て下さいね。出来れば、会いに行っても構いませんか?」
「あぁ、まぁ」
「クス。昨晩だけでは足りませんわ。アナタ」
「カチュア、ラクチェ。余り困らせないでくれ」
「「嫌ですわ」」
えぇ、私達の前でそりゃもう睦ましく、金色の髪の毛の娘さん達は艶を出してますよ
ムカムカムカムカ
「貴女達、名前は?」
「私はラクチェ」
「わたしはカチュア、貴女は?」
「私はモンモランシー=マルガリタ=ラ=フェール=ド=モンモランシ。モンモランシ伯爵家が一女。そして平賀才人の女。才人はあんた達の男じゃない。才人は私のよ」
完全に努気を発したミスモンモランシ
彼処迄怒ったミスモンモランシは、初めて見ました
そんなミスモンモランシに近付いて、クンクン匂いを嗅いでます
「あら、貴女からは、余り旦那様の匂いがしないわね」
「そうね。余り、可愛いがって貰ってないみたい」
「そういうあんた達は?」
「私は10回」
「わたしは11回。見る?」
そう言ってたくし上げて、股間から才人さんの精が垂れてるのを、私達に見せます
むう、回数もそうですが、人間の女の人より身体が細いですよ
羨ましいなぁ
「ちょっと、待ちなさいよ。何で男の限界超えてるのよ?変じゃない?」
「お爺様に聞かなった?あの赤い実の事」
「即効性なの?」
「そうよ。私、憶えて無い位イカされちゃった」
「わたしは途中で失神何回もしちゃった。でも初めての時は凄い興奮しちゃった。私達翼人には無い、逞しい身体の旦那様を精霊の力で組み伏せて、上から乗って。はぁ、さ・い・こ・う」
二人共、うっとりしちゃってます
「…つまり、無理矢理なのね?」
「最初だけよ〜。赤い実を大量に食べて貰ってからは、ノリノリだったもの。ねぇカチュア」
「そうね、ラクチェ。わたし達はもう、身も心も旦那様のモノよね」
「私達は此処で子供産むから付いては行けないけど、才人様の事宜しくね。お妾さん」
「いい加減にしなさい!!あんた達が妾なのよ!!本妻は私!!」
71大人才人 シエスタの日記8-7:2010/12/02(木) 21:50:59 ID:iXXuZKCW
「じゃあ、私達より先に子供産めば良いのにね」
「人間にはタイミングってのが有るのよ。あんた達も5年に一度なんでしょ?」
「あら、何か勘違いしてらっしゃるみたいだけど、私達に子供が出来るのが5年に一度なだけで、可愛いがってくれるのは、貴女達人間と同じで、殿方次第よ?」
そう言って、クスクス笑ってます
あはは、参った
才人さんは堅いから、中々可愛いがってくれないのに
「才人」
「……イエッサ」
「…翼人って、良かった?」
「赤い実の効果があったから、ノーコメントで」
「私より良かった?」
「どっちも魅力的。日本じゃ有り得ねぇ。此だけは断言するわ」
バシーン!!
あ〜あ、思い切り叩かれてます
「此で許してアゲル。ラクチェ、カチュア」
「なぁに?」
「旦那様叩かないでよ」
「才人は使い魔で、非常に嫉妬深い女の主人が居るの。逢い引きする時は、気をつけるのね。私達はトリステイン魔法学院の生徒よ。才人はその生徒の使い魔。桃髪の女子生徒に気をつけるのね」
「逢い引きしても良いの?」
「私はね、許すと決めてるの。でも翼人は想定外よ」
「有り難う。ええっと、モンモン?」
「モンモランシーよ。モンモンは才人だけよ。間違っても呼ばないで」
「そう、宜しくね。モンモン」
「カチュア!!呼ばないでって、言ってるでしょ!!」
「余裕無い女は嫌われるわよ。モンモン」
「ラクチェ迄」
ミスモンモランシはがっくりしてます。二人共からかってますね
才人さんは、完全に頭抱えてます
でも、先住魔法と赤い実の組み合わせじゃ、才人さんでも抵抗出来ないですもんね
仕方ないです
「ねぇ、ダーリン」
「何?」
「何でデルフで、魔法吸わなかったの?」
「デルフは色事に付いては、完全に敵なんだよ。吸う訳がねぇ」
「へぇ、良い事聞いちゃった」
ミスツェルプストーも、無理矢理やる積もりでしょうか?
「じゃあ、次行くか。悪いけど下に降ろしてくれ」
「はい、アナタ」
「名残惜しいですわ、あなた」
「はぁ、まぁ今度な」
「「はい!!」」
あ〜あ、才人さんにお嫁さんが出来ちゃった
よ、翼人だからノーカウントです
ぜ、絶対にノーカウントなんです
先住魔法なんてずる過ぎる〜〜〜〜〜!!

ははは、え?今日の移動後ですか?
外れでしたよ
魔獣が出たけど皆やる気無し状態で、才人さん一人で掃討しちゃったそうです
72大人才人 シエスタの日記8-8:2010/12/02(木) 21:54:07 ID:iXXuZKCW
才人さんの剣技は荒れてて、死体を斬り刻んでたらしいです
それ見て怯えた他の魔獣は、逃走しちゃったとか
本日は、夕食にあの赤い実を擦り潰して火を通して、あげちゃいました
此で準備万端かと思ってたら
「この色はもしかして」
「はい、栄養豊富だって、お土産に持たせてくれました。たっぷり食べて下さいね」
「…頂きます」
才人さんは覚悟して口にしたみたいですけど、食べ終わっても、普通にしてました
「あれ?才人さん、何かこう、ぐわって来るって、翼人さんに聞いたんですけど?」
「多分、火を通したせいじゃないかな?美味かったけど、昨日みたいな気分にはならないな」
し、しまったぁぁぁぁぁ!?
生食限定ですかぁぁぁぁ!?
あ、期待してた皆が、あからさまに落ち込んでます
「ちょっと、シエスタ。何失敗してんのよ?」
「私だって、初めての食材なんです。ごめんなさい」
ミスモンモランシから責められてしまいました
この一夜の為に、お土産全部使ってしまったから、もう出来ないです
ぐすん

ひいお爺ちゃん
翼人は敵ですよね?
絶対そうですよね?
まさか、空から鳥にお肉浚われるとは思わなかったぁ〜〜〜
あの二人とは、いつかケリ付けさせて頂きます
待ってなさい、鳥女

〇月×日
8日目ですよ
本日も宝探しは外れでした
才人さんは黄昏てます
本日も、魔獣狩りは才人さん無双だったそうです
翼人さんに、無理矢理されたのがショックなのかなぁ?
女のコ好きって言ってるのに、何故か他の男性みたいには動かないんですよね
本当に不思議な人です
「あら、また日記書いてるのね」
「ミスツェルプストー。他の皆様は?」
「才人は、フレイムに寄りかかって寝てるわ。狩りには、三人で行って貰ってる」
「あ、そうなんですか。才人さんは狩りに出さないんですか?」
「シエスタも解ってるでしょ?少々荒れてるのよ。動物相手じゃ察知されちゃうわ。其に、なんだかんだ言って、一番働いてるのよ?」
「魔獣狩りって凄かったんですか?」
「ヘルハウンドだったんだけど、交叉した瞬間に、相手の首一撃で落とすのよ?後はその繰り返しで、あっという間に、10体居た魔獣が全滅。逃げた連中を魔法でやろうとしてたら、そんな事する必要無かったもの」
「ヘルハウンドって、馬より速い狼より強い魔獣じゃないですか」
「一斉に襲いかかった連中を2刀を数閃したら、終わってたわ。詠唱してる時間も無かったもの」
73大人才人 シエスタの日記8-9:2010/12/02(木) 21:59:10 ID:iXXuZKCW
「何か、更に強くなってませんか?」
「なってるわよ。信じられない位。翼人が種欲しがるのも解るわ」
ミスツェルプストーが、肩をすくめてます
「ミスツェルプストーは、才人さんが翼人さんのお嫁さんを貰った事に付いて、どう思います?」
「私達が迂濶だったのよ。貴女は先住に対抗出来る?」
「無理に決まってるじゃないですか」
「じゃあ、才人の事を責めるのは、お門違いなのは解るわね?」
「はい、でも」
「彼らには彼らの理由が有るのよ。族長に聞いたんだけど、初季節か2回目迄に相手を見つけられないと、行かず後家になるらしいわ。男はそんな事無いらしいんだけど」
「2回目に見つけるのは、相当大変みたい。アイーシャさんの話は聞いたでしょ?」
「はい」
「アイーシャさんの人間との結婚が認められたのは、その2回目だからなのよ」
「あっ」
「解った?人間と結婚でもしないと、子供も出来ず、ずっと一人なの」
「何か、私達よりシビアですね」
「数が元々少ないし、近隣の氏族とは、血縁殆ど結んでしまってたんですって。二人の婿探しに遠征するには、他の夫婦の子育てを放棄する事になる。本当に苦渋の選択だったみたい」
「はぁ、翼人さんも、大変なんですね」
「エルフの聖人云々は、本当にきっかけに過ぎないみたいね。要は、後押し出来る相手かどうかだったみたい」
「少し、話しただけじゃないですか」
「ダーリンの事、凄い気に入ってたわよ。本当にしつこく聞かれたもの。アヌビスに縁ってのも、半ば本気なんじゃないかしら?」
「でも私達、才人さんの事なんて」
「そう、才人の国や技術はともかく、才人個人の事は、私達は何も知らない。ハルケギニアを、どう思ってるのかすらね。ただ、腐った貴族が大嫌いって事しか、知らないわ」
「ミスツェルプストーは、腐った貴族ですか?」
「ダーリンが傍に居てくれてるから、そうじゃないと思いたいわね。私がどう思われてるか解らないわよ。私も知りたいモノ。只、ダーリンが言い寄って来たら、喜んで捧げるのは間違いないわ」
「ミスツェルプストーにそうされたら、とても困ってしまうんですが?」
「あら、貴女メイド服に隠してるけど、スタイル抜群じゃない。肌なんて私も敵わないし。あの赤毛のメイドみたいな、メイド服着たら?一番人気になれるわよ?」
「才人さん以外に、近付かれても嫌ですから」
「一途ねぇ」
74大人才人 シエスタの日記8-10:2010/12/02(木) 22:00:34 ID:iXXuZKCW
ミスツェルプストーは気だるく髪を掻き上げました
うぅ、凄い色っぽい
「まぁ、ダーリン攻める方法を、教えてくれたのは感謝よね」
「攻める方法ですか?」
「袋小路に追い込む」
「…成程」
「シエスタ、貴女も何回もかわされてるんでしょ?」
「はい」
「なら、絡め手で行ってご覧なさい。ダーリン仕留めるのは、其しか無いわね」
アドバイスしてくれてますけど、構わないんでしょうか?聞いてみました
「はい。その、良いんですか?」
「貴族に愛妾はつきものよ。そんなの一々気になんかならないわ」
「寛大なんですね」
「ヴァリエールが狭量なのよ。勘違いしないで欲しいのは、私でも嫉妬位はするわよ?」
「翼人さんとの事は?」
「そりゃ、もう。彼らの家じゃ無かったら、燃やしてたわ。全く、私の様な美女を置いておいて、他の女ばっかり」
「あの、まさかわざと、寝相悪くしてるんですか?ミスグラモンが女性だと知れてから、胸はだけっぱなしですよね?」
「下も穿いてないわ」
「へ?」
「汚れるのよ、すんごく。替えが中々洗濯出来ないじゃない」
あぁ、つまり、濡れちゃうんですか
ミスツェルプストーは顔真っ赤にしてます
「でも、何時も男性が声かけてますよね?」
「他の男達とダーリンは違うわ。ダーリンの傍だと安心出来るし、落ち着くのよ。欲望にぎらついた男は、もう飽々してるの」
「美女も大変ですね」
「あら、有り難う」
「もしかして、本当に才人さんを、貴族にする積もりですか?」
「えぇ、そうよ。ダーリンが一番貴族らしいもの」
「じゃあ、今回の報酬出たら、貯めるんですか?」
「勿論。タバサとそう決めちゃった。モンモランシーは、薬代に充てるから使うって言ってたわ。ダーリンに薬は必須だしね。ギーシュは、実家の借金返済だって。貴女はどうする?」
「特に考えて無いです」
「実家に幾ばくか送金して、後は私達に協力しない?」
「ですが、ゲルマニア貴族になってしまったら、トリステインから離れてしまうじゃ無いですか」
「あ〜そっか。じゃあ問題、タバサはガリア、私はゲルマニア、二つの国に丁度良い距離の場所は何処でしょう?」
「…トリステインです」
「正解、どう?」
「私は頭が良くないですが、少し考えさせて下さい」
「ん〜そっか。別に封建貴族は領地に篭ったまんまじゃないのよ?領地は代官に任せて、国に奉公する貴族が居るのも知ってるでしょ?」
「はい」
75大人才人 シエスタの日記8-11:2010/12/02(木) 22:03:54 ID:iXXuZKCW
「だからね、ダーリンにやって貰うのは、その代官を選任して、トリステインにずっと居れば良いのよ」
「はぁ」
「良い返事、期待してるわ」
ミスツェルプストーが、テントから去ろうとしてます
「あの、どちらに?」
「ダーリンと添い寝。私、賭事弱いんだもの。実は、さっき迄してたのよ」
「あぁ、ズルイ!!」
「だったら、さっさと日記終らせるのね」
クスって笑って、出て行ってしまいました
こ、こうしてはいられません!!

ひいお爺ちゃん
私はお嫁さんになれるんでしょうか?
貴族の皆様の陰謀が始まってます
あぁ、何をどうすれば良いのでしょう?
私は、お世話しか出来ません
それでも、頑張れ私

76名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 22:09:16 ID:bz/ocQjQ
支援
77名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 22:13:36 ID:2/yh8E4+
支援
78大人才人:2010/12/02(木) 22:29:26 ID:iXXuZKCW
投下終了なのね〜
大人才人タクティクスなのね
今回はラクチェなのね
「皆さん初めまして。翼人種のラクチェです。実は、私の名前は最初パオラで、更に下にエストが居たらしいです。勿論必殺技は、トライアングルアタックだったとか」
「あ、話がずれてしまいました。えっと、大人才人のハルケギニアの翼人種の生態に付いて、説明させて頂きますね」
「私達には繁殖期があり、基本的には一夫一婦の卵性補乳類。カモノハシと一緒ですね」
「性器形状は男性器は一緒、女性器は少々違い、卵巣に精子が向かうと完全形成前の卵に受精し、其から卵になって産卵します。産卵は性交から2週間が目安、産卵数は一回一個。季節中に、2個迄は産卵出来ます」
「子宮は卵形成に使われ、膣は亀頭溜まりとして亀頭の部分辺りに肉の返りが付いて、すぽりとハマり、挿入の維持を促します」
「翼人種女性の生涯季節数は、たったの3〜4回。初季節は14歳です。季節を外すと殆どチャンスが無くなるのは、その為です」
「寿命は男女共に300歳前後。老化は寿命残り30年で発生し、老化が始まると群れから脱落しはじめる為、老いた個体は殆ど居ません」
「精霊の力により長寿化していると言われてますが、実際そうなのかは解りません」
「人口はハルケギニア全土で1万人位。大体20〜50の部族単位で、移動しながら生活してます」
「エルフとは、たまに顔を合わせる位です。ヘルハウンドは猟犬型の魔獣で、狼なんかより遥かに厄介です」

有り難うなのね〜
では、今日は眠いから、お先に失礼するのね〜きゅい
79名無しさん@ピンキー:2010/12/02(木) 22:38:36 ID:2/yh8E4+
乙!
80名無しさん@ピンキー:2010/12/03(金) 23:23:36 ID:QJNj5YIF
GJ‼
81大人才人:2010/12/05(日) 20:52:24 ID:VlpaCZNK
イルククゥでシルフィードなのね〜
師走になってから、微妙に仕事が増えだしたかもなのね〜

では注意事項なのね

・才人年齢上昇
・シエスタのターン。今回分の日記は、此で最後
・12レス前後、30分以上開いたら寝落ち

では反映次第、投下開始なのね〜
きゅいきゅい
82大人才人 シエスタの日記9-1:2010/12/05(日) 20:53:30 ID:VlpaCZNK
〇月×日
今日は9日目
とうとう、才人さんがやってしまいました
何と、ヒュドラを討伐しちゃったんです!!
ヒュドラって、軍隊出さないと絶対無理ですよ?
一体、どうすればそんな事出来るんですか?
準備段階から書くと、昨日の夜迄戻ります
先ずは恒例のサイコロ賭け
ミスタバサ29,ミスモンモランシ28,ミスツェルプストー23,私16,ミスグラモン11
あはは、昼間に添い寝して活力を補給しといて良かったです
起きた才人さんは、私達見てどう思ったんでしょう?
苦笑してましたけど
フレイムさんは、身じろぎもしないで、ずっと枕になってくれてましたよ
食事して寝る前に、才人さんがデルフさんの手入れをミスモンモランシとミスタバサにお願いして、その時にヒュドラの話になって
ミスモンモランシがそのまま徹夜でマジックアイテムを作るって事になったんです
私達は明日の本番に備えて、付き合わないで良いって言って、一人でやってました
いざ始めた途端、凄い真剣にしてました。フレイムさんとシルフィードさんが護衛です
はぁ、私もああやって仕事してるのかなぁ?
仕事中の顔は、ずっと笑顔で固定されてるから、解らないや
其で私達が起きたら、目を真っ赤にして、隈を作ったミスモンモランシが、皆に護符を渡してくれて、そのままテントに寝ちゃってしまいました
才人さん達はヒュドラの森に向かって歩いて行ったんです
テント位置が変わって無いのは、この位置が、昨日出たヘルハウンドの距離から近いせいですよ
私はフレイムさんとシルフィードさんと待って、ミスモンモランシが起きた時の為に、お食事の用意です
ミスモンモランシ、本当にお疲れさまです
暖かい食事を直ぐにあげられますから、何時でも起きて下さいね
そんなこんなで待ってたら2時間位したら、ミスグラモンが才人さんをレビテーションして運んで来ました
「ただいま、モンモランシーは起きた?」
「お帰りなさい。まだ寝てますよ。才人さんは、どうしたんですか?」
「あぁ、ヒュドラを倒すのに、全力を出しきったのさ。だから動けなくなった。モンモランシーを、悪いけど起こしてくれないか?」
「あ、はい只今」
私がテントに入って、ミスモンモランシを揺すって起こします
「あのミスモンモランシ、起きて下さい。才人さんが、倒れてしまいました」
目をパチリと開いた瞬間、ガバッと起きました
83大人才人 シエスタの日記9-2:2010/12/05(日) 20:55:35 ID:VlpaCZNK
ちょっとびっくりです。ってか、非常に恐かった
「あの、魔力は大丈夫ですか?」
「ん〜全快じゃないけど、治癒の3回位なら何とかなりそう」
そのまま外に出て、才人さんを浮かせたミスグラモンに話しかけました
「状態は?」
「怪我はしてない。デルフをしまった時に、後宜しくって」
「おっけ」
そのまま治癒を使える分詠唱して、才人さんをテントに寝かせて一緒に寝ようとしてたので、私が声をかけます
「待って下さい、ミスモンモランシ。寝る前に食べて下さい」
「あ、そういえば食べて無いわ。有り難う頂くわ」
才人さんに教わった両手を合わせたお祈りをしてから、ミスモンモランシは大事そうに食べてくれました
「ご馳走様。うん、やっぱりこの祈りよね。それじゃ、また寝るわ。悪いけど宜しく」
ミスモンモランシは、才人さんを抱えて寝てしまいました
二人共沢山働きましたからね。ご苦労様でした
「あの、ミスグラモン。どうしたんですか?」
「フレイム、シエスタも一緒に来てくれ、見張りが必要なんだ。ヒュドラ相手は警戒を解けない。デルフ、シルフィードと一緒にこっちは頼むよ」
「おぅ、任された」
「きゅい」
テントの中からデルフさんが答えて、シルフィードさんが頷いてました
そして、私達は駆け足で、戦場に向かいます
着いた途端、私は呆気にとられました
だって、もの凄く大きなヒュドラなんですもの
「護符は絶対離さないで。こいつは毒ヒュドラだ、体液全てが毒。回りに飛び散った物も無闇に触らない、頭にとにかく警戒して」
「は、はい」
「ギーシュ、やっと戻って来たのね」
「ごめん、待たせた」
「良いのよ。ワルキューレを出して、武器はアックス持たせてくれないかしら?タバサのブレイドをワルキューレに纏わせて、回収しましょ」
ミスツェルプストーが指示します
「了解。おいで、ワルキューレ達」
ミスグラモンが薔薇の杖を振って、ゴーレムを出しました
その手には、大きな両刃のポールアックスを構えてます
うわぁ、あれで刈り取るんですか
そしたら、ミスタバサが近寄って来て、一体に詠唱して、ポールアックスに風が纏い、空気が歪みます
う〜ん
私でも見える位の歪みって、かなり凄いんじゃないでしょうか?
気になったので、聞いてみました
「あの、ブレイドって魔法は、どういう魔法なんですか?」
84大人才人 シエスタの日記9-3:2010/12/05(日) 20:59:56 ID:VlpaCZNK
「そっか、シエスタは平民だから知らなくて当然ね。タバサは集中解けないから、私が説明するわ」
「ブレイドは、4系統に同名の魔法が存在するスペルで、系統による刃を形成するの。火なら炎の刃、水なら水の刃、風なら風の刃、土なら鉄すら両断する、鉱物の刃ね」
「その刃を普通は杖に纏わせて使うのよ。でも相手はヒュドラでしょ?だから、近付かないで出来る、ゴーレムの武器に纏わせた。でも普通はそんな事しないから、制御に多少コツが要るの」
ザシュッ
傍でヒュドラの頭部回収の為、ワルキューレが斧を振るってます
更に周りには警護のワルキューレが円陣を組、フレイムさんが目を光らせてます
「其が出来るのは、私達の様に、ダーリンと一緒に勉強してた、メイジ位じゃないかしら?」
「はぁ、才人さんって凄いんですね」
「応用範囲は凄い広がったのよね。其で今回の最大の特徴は、なんて言っても、ギーシュのワルキューレなのよ」
「どういう事ですか?」
「才人に教えて貰ったんだけど、銅ってのは、金銀と同じ系統の貴金属の一種で、腐蝕に非常に強いって言ってたのよね」
「段々、理解が及ばなくなって来ました」
「もう少しだから頑張りなさい。つまりヒュドラの毒にも耐性が高いって事なのよ。更にね、才人に言われてから、ギーシュは銅の精錬に熱心になってるの」
「ん〜と、ヒュドラの解体に最適なのは理解出来ました。銅の精錬ってのは、なんですか?」
「要は、銅の不純物を出来るだけ減らすって事ね。才人の国だと、銅は非常に重要な金属だから、其を手軽に精錬出来る、ハルケギニアの土メイジの価値は、洒落にならないって言ってたわ」
「其って、ミスグラモンはドットでも、非常に価値が有るって事なんですか?」
「その通りよ。私の錬金でも多少は出来るけど、やっぱり土メイジには敵わないわ」
「才人さんが一番、メイジの価値を解ってそうですね」
「そうね、攻撃ばかりに目を向きがちな私達とは、完全に一線を画してるもの。しかもね、才人の場合知識を応用して、更に破壊力のある、攻撃方法迄作ったのよ」
「まさか、魔法を開発しちゃったんですか?」
「その通り。正確には、魔法同士を組み合わせた技ね。単一の魔法同士を組み合わせて、タイミングを合わせると更に破壊力を発揮する訳。此で私達は、魔力の消耗を抑えながら、行動出来る様になったのよ」
「はわわわわ」
85大人才人 シエスタの日記9-4:2010/12/05(日) 21:03:24 ID:VlpaCZNK
「何で私達メイジが、ダーリンに惹かれたか解ったかしら。私達の4系統を、誰よりも理解して実践せしめる、伝説の使い魔よ?」
「…言葉が、出て来ないです」
「メイジに取って、自身の系統を最高に称賛して、更に伸ばしてくれる相手に、惹かれないなんて事は無いわね。貴女のライバルは手強いわよ?」
悪戯っぽく、ウィンクされちゃいました
メイジが惹かれる理由を、さらりと語ってくれました
此は、大変な人を好きになってしまった気がする
「でも、負けません」
「えぇ、頑張りなさいな。才人がずっと居てくれる様に」
少し、哀しげにミスツェルプストーが言いました。…しかも、才人って名前で呼んで
あぁ、ミスツェルプストーも解ってるんだ
才人さんが、いつか居なくなるって事を
だから、貴族として、責任有る立場に追い込みたいんだ。才人さんは義理堅いから…
自分自身を餌にして迄、才人さんを留めたいんだ
恋愛以外の感情から、才人さんに居て欲しいんだ
はぁ、どうして才人さんは、ああいう人なんですかね?
「其でも、才人さんは、自身を並だって言ってるんですよね」
「並なら並で良いじゃない。ダーリンの国なら、ダーリンの代わりは沢山居るって証明よ。でも、私達にはダーリンだけ。だからダーリンは、ハルケギニアに居なきゃ駄目」
「そっか、その通りですよね。才人さんは、ハルケギニアに居なきゃ駄目ですよね?」
「私達に出来るのは、色仕掛け位じゃない。だから其をするしか無いわ。だってダーリンは大人で、私達はまだまだ未熟な学生なんだもの」
「お互い頑張りましょう」
「えぇ」
「よし、回収終了。最後に一本動いて噛みつかれたよ。ワルキューレで回収して良かった」
「お疲れ様、ギーシュ。麻袋に入れて、固定化と周囲浄化宜しくね」
「大丈夫、昨晩の内にに用意してるよ」
「其じゃ、レビテーションね。えっと、誰か出来る?私は無理よ」
86大人才人 シエスタの日記9-5:2010/12/05(日) 21:05:42 ID:VlpaCZNK
「大丈夫、まだ唱えられる」
ミスタバサがそう言って、レビテーションを唱えて、ヒュドラの頭が入った麻袋を運んでしまいました
「ヒュウ、流石私達の中じゃ、一番の魔力持ち」
「あの、魔力ってクラスによって、決まってるんじゃないんですか?」
疑問に思ったので、聞きました
ミスツェルプストーが、歩きながら説明してくれます
「違うわよ。クラスってのは、系統を乗算出来る量で、単純な強さを示すのよ。でも実際は其を更に出力制御、効果範囲を決めて、精神力で行使するの。つまり同じスペルでも、魔力の注ぎ込み具合を変えるのよ」
「魔力ってのは、要は使用出来る魔法の総量ね。つまりスクウェアだけど、あっさり魔力切れを起こすメイジも居れば、ドットだけど、回数を沢山唱えられるメイジも居る」
「でも、クラスが上がる度に魔力消費が半分になるから、見かけの使用量は増加するの。つまり魔力は水瓶に入った水で、クラスは其を掬う杓と例えても良いわ」
「クラスが上がると杓の容積が半分になるから2倍の回数が唱えられる。自身の系統が一番消費が少なくて、それ以外の系統を使うと、効果が落ちる上に、魔力消費も上がるの。つまり杓が大きくなる。また系統の高いスペルを使うと、掬う杓も大きくなる」
「はぁ、成程。つまり、水瓶の容積が一番大きいのが、ミスタバサって事ですか?」
「そういう事。更にタバサは器用だから、少ない杓で大量の魔法が使える訳。だから、私達の中で、一番の使い手なのよ。そして必要なら、その魔力を一気に使い切る事も出来る」
「へぇ、解り易い説明有り難うございます」
「でもね、違う系統だと、系統のドットと別系統のトライアングルじゃ、系統のドットのが上なのよ。コルベール先生の凄い所は、風と土も系統のラインクラス程度の掛け合わせが出来る器用さと、自身の系統の炎制御に絶対な所よ」
「コルベール先生って凄いんですね」
「魔法を使ってるのを見た事無い、オールドオスマンを除外するとしたら、先ず間違いなく、学院最強のメイジよ」
「本当ですか?」
87大人才人 シエスタの日記9-6:2010/12/05(日) 21:07:45 ID:VlpaCZNK
「えぇ。皆変人扱いしてる上に馬鹿にしてるけど、勉強会での講義聞いたら、そら恐ろしくなったもの。普段の授業なんて、変テコ発明見せて、遊んでるだけなんだけどね」
「何で、普段の授業でやらないんですかね?」
「ダーリンと一緒で、何か隠してるわね。ダーリンの報酬に目がくらんで、サービスした感じよ。お互いに、意気投合しちゃったもの」
「大人って、隠し事抱えてるんですね」
「重ねた年輪が、男に渋味を出してるのね。学生が、がきんちょに見えちゃうわ」
うっとりと、言ってしまいました
「あぁそれ、私も解ります。才人さんとマルトー料理長も、意気投合してますよ」
「出来る男は、出来る男を見抜くのね」
「そうですね。殿方同士の、職を通じたやり取りって、凄く眩しく見えます」
「女同士は、基本嫉妬での、足の引っ張り合いだもんねぇ」
「このパーティーでもですか?」
「あら、誰が可愛いがって貰えるか、駆け引きしまくってるじゃない」
「あっ、そうでした」
私は自分の頭をこつんと叩いちゃいました

てくてく歩いて着いたその後は、才人さん達を起こして、宿屋に向かってシルフィードさんが飛び立ちました

ひいお爺ちゃん
メイジの育成に、平民が指導して役に立つなんて初めて聞きました
そして、メイジの皆が才人さんに惹かれる、真の理由の一端に、触れる事が出来ました
使い魔の能力に、惹かれてる訳じゃないんですね
この冒険は、私にも色々収穫が有りました
今は宿屋で、風呂上がりに書いてて、此から宴会です
才人さんのお嫁さんの路は楽しいなぁ
負けるな私
いくぞ、おー

〇月×日
10日目です
何故かタルブの村に帰って来ちゃいました
竜の羽衣を見に行くとかで
其よりも、昨晩のミスタバサはなんなんだぁ!?
途中迄は憶えてますけど、ギャンブル無茶苦茶強いじゃないですかぁ!!
ブラックジャック20連敗した迄は憶えてます
あの後ポーカーに切り替えて、更に20連敗したとか
「ショウダウン」
「21」
「くっ、19です」
「2戦目」
シャッシャッ
ミスグラモンがカードを配ります
「コール」
手札は伏2と表4で計6。私がカードを呼びます
シャッ
むう、9が来て15か
あれ?ミスタバサの手札はキング。呼ばないって事は20辺りですね、むむむ
「コール」
シャッ
「ガビン!?」
10が来ちゃいました
「あぁ、やっちゃったわねぇ」
ミスツェルプストーが楽しそうに見てます
88大人才人 シエスタの日記9-7:2010/12/05(日) 21:15:38 ID:VlpaCZNK
「ショウダウン」
「14」
「25、バースト。あわわわわ。何で14でぇぇぇ!?」
ミスタバサの眼鏡がキランと光ります
「3戦目行くよ」
シャシャッ
うむ、伏10表クィーンで20ですか。ミスタバサはジャック。今回は良い手札です
「カードは要らない?」
私達は頷きます
「ショウダウン」
「此なら勝つる、20です」
「21。ブラックジャック」
「エースとジャック…最強手じゃないですか」
私はへなへなになります。ま、まだ始まったばかりですよ
「其じゃ4戦目」
シャシャッ
うむ、9が2枚18ですか
此はコール出来ないです
「このままで」
ミスタバサは出てるカードは2ですよ
「コール」
ミスタバサがカードを呼びます、シャッ
6ですか
「コール」
シャッ、更に7
「コール」
シャッ、更に2
表が合計17。ミスタバサが頷きます
「ショウダウン」
「18です」
「20」
「う、嘘」
私は、すっかりミスタバサの無表情にやられていきます
「うわぁ、タバサの無表情って、ギャンブルだと凶悪ね」
ミスモンモランシが、すっかり感心して見てます
私は、すっかり翻弄されました
「ミスタバサの手札は2、良しコール!!」
「コール」
シャシャッ
「ウムム」
89大人才人 シエスタの日記9-8:2010/12/05(日) 21:16:46 ID:VlpaCZNK
ミスタバサの手札は計7
私は伏2表2,8で計12
「良し、もう一度、コール」
シャッ
キングが来ちゃいました
冷や汗たらたら
「ど、どうですか、ミスタバサ。降りません事?」
「大丈夫。貴女はバーストしてる」
みえみえなんですね
「ショウダウン」
「15」
「22です。バ、バースト」
「あらあら、完全に手玉に取られちゃって」
ミスツェルプストーは、楽しそうに見てます
「はい、其じゃ次」
ミスグラモンのディーラーが板に付いてます
シャシャッ
ふむふむ、伏5表エースです。此は中々
ミスタバサは表2ですか
「コール」
「コール」
シャシャッ
私は3
ミスタバサはジャック
私は此で良し
「コール」
シャッ
む、2ですか
「コール」
シャッ
5が来ました。此で19
ミスタバサの口の端が吊り上がります
此は、21来ちゃいましたね?
だらだら、汗が流れます
「サ、サレンダー」
「へ?降りるの?」
ミスグラモンが聞くので頷きます
「まぁ良いか、ショウダウン」
「19です」
「バースト」
「えええぇ!?」
や、やられたぁぁぁ!!
「うわぁ、凄い糞度胸」
ミスグラモンが感嘆します
ミスツェルプストーとミスモンモランシが拍手しちゃいました
90名無しさん@ピンキー:2010/12/05(日) 21:17:44 ID:c9OdDQ1O
シエンスタ
91大人才人 シエスタの日記9-9:2010/12/05(日) 21:18:04 ID:VlpaCZNK
えぇ、一切抵抗出来ませんでしたよ
ギャンブラーって、ミスタバサの事ですね
私じゃ絶対に勝てません
ははは、はぁ
さてと、気を取り直して、本日の出来事って事で

才人さん、竜の羽衣見た瞬間、変な作法をしてました
そしてですね、何かガタガタ触り出したんです
「此は零式艦上戦闘機五二型。金属で出来た竜、飛行機だ」
「此が、飛行機?」
才人さんが言ってた、才人さんの国の飛行機!!
私達の家族が、ひいお爺ちゃんから託された、ちょっと迷惑な代物が飛行機!?
才人さんが飛ぶって
竜より高く、竜より速く!?
凄い凄い凄い
才人さんならやってくれる、才人さんなら何とかしてくれる
私達のひいお爺ちゃんは優しく、時には厳しく、働き者だったけど、唯一の欠点として、竜の羽衣から飛んで来たって、ずっと嘘吐き呼ばわりされてたんです
小さい頃は私はそう言われた度に、喧嘩しまくってたんだ
弟のジュリアンも、嘘吐きって呼ばれて帰って来る度に泣いてた
絶対嘘吐きなんかじゃない、飛ぶとは思えないけど、ひいお爺ちゃんが嘘吐く訳ないって、小さい頃は信じてたんです
ひいお爺ちゃんが亡くなって、もうやり方が解らないから飛ばない代物だって、皆諦めてたのに
だから、ひいお爺ちゃんは嘘吐きなんだって、皆寂しい顔してたのに
才人さんが飛ぶって、其だけで私はびっくりしちゃいました
「ひい爺さんが残した物って、他に無いかな?」
「あ、はい」
もう、ひいお爺ちゃんの残した物を全部見せないと
あのお墓の文字も読めるかな?
墓地に案内してみましょう
「才人さん。この墓の文字を読めた者に、竜の羽衣を譲るって、ひいお爺ちゃんの遺言です」
「大日本帝国海軍少尉佐々木武雄 異界ニ眠ル」
「読めるんですか?才人さん」
「あぁ、日本人だからな。他には?」
「あの、遺言がもう一つあって」
「何?」
「竜の羽衣を、陛下にお返しして欲しいって。どの陛下なんですかね?」
才人さんがお墓に敬礼を
「俺は、軍人じゃないけど、少尉の気持ち受け取った。佐々木少尉、探すさ、必ず。俺は、あんたと同じ日本人だ」
「……才人さん」
「俺なりの、ひい爺さんへの手向けだよ。他には?」
「はい、家に来て下さい」
ズキンと来た。駄目だ、このままじゃ才人さん居なくなっちゃう
私なんか放って、どっか行っちゃう
だから、心を開いてくれないんだ
だから、我慢して私に手を出そうとしないんだ
92大人才人 シエスタの日記9-10:2010/12/05(日) 21:23:03 ID:VlpaCZNK
だから、翼人さんに無理矢理しちゃったのも嫌なんだ
此処は、才人さんに取って、通りすがりの異郷の地なんだ
もう、ぐちゃぐちゃだ。私には才人さんしか考えられないのに、何で何で何で!?
とにかく、何とかしないと
そうだ、ミスツェルプストーが袋小路に追い込めって言ってました。良し、私の家族に相談だ
「ただいま〜」
「お帰り、シエスタ」
「お母さん、後で話有るけど良い?」
「えぇ、大事な話?」
「うん」
「解ったわ、お客さんにお茶の用意してくるわね」
「そのお客の才人さんがね、ひいお爺ちゃんのお墓の文字読めたの」
「あらま、本当に?」
「本当よ」
「其じゃ、譲る人が出て来たのね」
「それでね、才人さんも、竜の羽衣は飛ぶって言ってたの」
「……本当に?」
「姉さん、それ本当?」
「本当よ、ジュリアン」
「僕、挨拶してくる!!」
お母さんもジュリアンも、びっくりしてました
私は遺品の有る部屋に入って、遺品を探します
えっと、ひいお爺ちゃんの遺品は、あった、此だ
てくてく歩いて行くと、声が聞こえてきますね
「あ、ごめん。お邪魔するね」
「あの、ひいお爺ちゃんの墓碑、読めたんですか?」
「ああ」
「竜の羽衣って、飛ぶんですか?」
「勿論」
「僕たちのひいお爺ちゃん、嘘つきなんかじゃないですよね?」
「勿論だ。俺が飛べる様にしてやる」
「本当ですか?」
「ああ」
「あの、僕、ジュリアンって言うんです。シエスタ姉さんの弟です!!」
才人さんお得意の、頭なでなでをジュリアンにしてる。男女関係無いんだなぁ
「俺に任せとけ。オジサンはな、不可能を可能にする男だ」
「はいっ!!」
うわぁ、才人さん、自分でオジサンって言っちゃった
「才人さん、自分でオジサンはどうかと思います。ずっと若いじゃないですか?」
「いやいや、別に構わないだろ?」
「はい、此です。ひいお爺ちゃんは、大した物遺さない人でしたので」
私が遺品を手渡すと、才人さん、なんかしんみりしてました
私の一番幼い妹が才人さんの堅いズボンをくいくい摘んだら
才人さんは満面の笑みでしゃがみました
93大人才人 シエスタの日記9-11:2010/12/05(日) 21:25:15 ID:VlpaCZNK
本当に子供好きなんだぁ
「どうしたかな?」
「お兄ちゃんは、シエスタお姉ちゃんのお婿さん?」
「えっと、どう答えっかな」
「そうよ」
「本当?シエスタお姉ちゃん」
「えぇ。だからね、才人さんの事は、才人お兄ちゃんって呼んでね」
「うん!!サイトお兄ちゃん」
「はははは」
「お父さんお母さん、シエスタお姉ちゃんが、お婿さん連れて来たよ〜」
ガクリと崩れる才人さん
「まさか、家族使って外堀埋めて来るとは」
「相棒、本当におもれえわ」
良し、作戦成功
次に行きますよ〜
お父さんとお母さんを説得しないとね
「ジュリアン、父さん呼んで来て」
「ん、解った」
ジュリアンが外に飛び出しました
一番下の妹は、父さん居ない事に、気付かなかったみたい
「才人さん、お母さんがお茶を持って来るんで、少し待っていて貰えますか?」
「あぁ、解ったよ」
そう言って、弟妹達にちょっかい出してます
あ〜あ、キャッキャッ言い始めちゃった
私は着替えて私服になって、母さん達が来るのを待ちます
ガチャ
「おぅ、シエスタ。随分速い帰りだな」
「ただいま、父さん」
「シエスタ、其で何の話?さっき、お婿さんって言ってたけど」
「どういう事だ?」
「えっと、お父さんお母さん。今来てる人が私の好きな人で、私が結婚したい人です」
あ、お父さん、固まっちゃった
「ち、ちょっと待て、お前に結婚はまだ」
「あなたが私を拐ったのは、あなたが20で、私が14でしたっけ」
あ、お父さん黙っちゃった
「…あ、あれはだな」
「結婚を両親が認めてくれないなら拐いますって言って、私の事無理矢理馬で、かっさらってくれたじゃない。あの時、本当に格好良かったわぁ」
「お父さんそんな事したの?」
94大人才人 シエスタの日記9-12:2010/12/05(日) 21:28:44 ID:VlpaCZNK
「えぇ、私が隣の村出身なのは知ってるでしょ?あれから5年は、実家に挨拶も出来なかったのよ?シエスタが4才になって、初めてタルブの村に来てくれたの」
「お父さんって、情熱的なんだ」
「…あんときゃ、俺も若かったんだよ」
頭ぼりぼりかいてます
「じゃあ、シエスタの話に戻しましょ。本気なのね?」
私はこくりと頷きます
「でも、今のままじゃ駄目なの」
「…一体、どういう事だ?」
「才人さんはね、ひいお爺ちゃんと同じ国の人なの」
二人とも驚きます
「…だから、お爺様と同じ黒髪で、似た雰囲気がしたのね」
「…あぁ、本当に似てたな。ちび共と遊んでるの見た時、思わず固まっちまったわ」
「才人さんはね、オークやヒュドラも倒せるの」
「な!?」
お父さんが絶句して、お母さんが口に手を当てて、目をまんまるにして驚いてます
「…こりゃまた、えらい男見付けたもんだな」
「…そんな人と一緒になりたいって……駄目?」
「…いや、正直何も言えん」
「シエスタ、大当たり引いたじゃない」
「…でもね、駄目なの」
「どういう事だ?」
私は、うつ向いてしまいます
「才人さんね、話してくれないの」
二人共、私が話す迄、じっと待ってくれます
「…才人さんね、口には出さないけど、帰りたがってるの」
私は、涙がぽろぽろ流れ落ちます
「……才人さんね、心を開いてくれないの。……このままじゃね、才人さんどっか行っちゃうの。……帰る路を探す為に、……ひいお爺ちゃんの悲願でもある、自分の国に帰るために」
私は声が震え、それでも話します。だって、お父さんとお母さんに、真剣に話さないといけない事だから
「私、才人さんじゃなきゃ、やだよう。才人さんと一緒になりたいよう。お母さんみたいに、大好きな人の子供……産みたいよう。ひ、ひく、うわぁぁぁぁぁ」
「……シエスタ、本気なんだな」
泣きながら、私は頷きます
「なら、私達のやる事は一つかしらね、あなた」
「…あぁ、俺の娘を泣かすたぁ、ふてぇ野郎だ。とっちめてやらぁ」
「さてと、ベッド余ってる所から、借りて来ないとね。シエスタ、ジュリアン達呼んで来て、離れを掃除させるから。貴女は才人さんと、ちょっと出掛けて来なさい。夕食に招待するから、絶対に来て貰いなさい。解った?」
「……ベッド?」
「好きな人の子供、欲しいんでしょ?」
お母さんが悪戯っぽく、ウィンクしてくれました
「……良いの?」
95大人才人 シエスタの日記9-13:2010/12/05(日) 21:31:26 ID:VlpaCZNK
「くすっ。シエスタはね、私達自慢の器量良しよ。変な貴族に引っ掛かる位なら、ヒュドラを狩る勇者で、お爺様に似た雰囲気を持つ人の方が、ずっと良いわね」
「…お父さんは?」
「お前は、良くも悪くも俺の娘ってこった。きっちり、型にはめて来い」
お父さんも、ニヤリってしてくれました
「有り難う。お父さんお母さん」
「いや、あの男なら多分大丈夫だ。爺さん似の男なんざ、初めて見たわ」
「あら、貴方がそうじゃない」
「いや、俺は爺さんの国の人間じゃないからな。容姿はともかく、雰囲気だ。多分あれが、爺さんの国の人間の、共通の特徴なんじゃないか?」
「そうかしらね?」
「シエスタ、ぼやぼやしてると、妹達にかっさらわれるぞ?」
「ちょっと、お父さんそれ酷い!!」
「ワハハハハハ」
そう言って、お父さんは出て行きました
多分ベッドを借りに行ったかな?
私もジュリアンを呼びに行くと、別の部屋から盛大に歓声が聞こえて来て、見てみると才人さんに、弟妹達が遊ばれてました
「うわきゃあぁぁぁ」
「わはははは」
「…才人さんって、子供好きなんですね」
「お、話終わった?」
「サイトお兄ちゃんもっと遊んで〜〜!」
「ジュリアンは?」
「えっと、確か其処ら辺」
才人さんが指した所で、ひっくり返ってました
「なんで伸びてるんですか?」
「いやぁ、プロレスごっこでKOしちゃってさ」
「才人さんからやったんですか?」
「いんや、腕試ししたいってから、軽く遊んだんだけどね。バックドロップしたら気を失っちゃって」
「もう、才人さんやり過ぎ」
「ごめんごめん」
「ジュリアンジュリアン」
ぺしぺし叩くと目を開けて、暫くするとガバッって起きました
「え、あれ?」
「才人さんに、腕試しを申込んだですって?馬鹿ね、近衛隊隊長ですら勝つの難しいのに、何やってるの?」
「…近衛隊隊長が勝てない?才人兄さんに?」
「そうよ」
その瞬間、完全に憧れの対象になってしまいました
「決めた。僕の目標は、才人兄さんだ」
「才人さんに挑もうなんて、10年早いわよ。スクウェアメイジでも勝てないんだから」
「なら、僕もスクウェアメイジに勝てる位に、強くなってやる」
「無理しちゃだめよ。お母さんが呼んでるから行って来なさい」
「うん、解ったよ」
ジュリアンが出た後、再度才人さんに声をかけます
「才人さん、ちょっと外に出ましょう。此から家の中、てんてこまいになるんで」
96大人才人 シエスタの日記9-14:2010/12/05(日) 21:34:07 ID:VlpaCZNK
「手伝おうか?」
「お客様にそんな事させたら、恥になります!!」
「あ、そうか。じゃ、出よう。おちびさん達、ちょっと、おぢさんは外に出てくる」
「え〜、もっと遊んでぇ」
「後でな」
「ぜったいだよ〜」
手を振って出て来たら、ミスタバサがやって来て、手紙を渡してくれました
「ん」
「学院からですか?」
コクリと頷きます
中身を見たら
あれ、そのまま殿下の結婚式の休み取って良し?
やった、丸儲け
ん?何々、人より長い休み分は、きっちり給金からさっ引くと
ぐすん
そうそう、上手くはいかないですね
仕方ないか
ミスタバサに挨拶すると、今回は私達に付いて来ませんね
一応、私の家族に気を使ってくれてるみたいです
草原に着いたら、また私、泣いちゃいました
才人さんは、優しく撫でてくれて、こんなの離れたくないですよ
「お母さんただいま」
「お帰り、シエスタ。準備は万端よ。結構ロマンチックに出来たと思うわ。たっぷり、可愛いがって貰いなさい」
「有り難うお母さん」
ひっしと、お母さんに抱きついてしまいました
「其じゃ、風呂に入って来なさい。念入りに洗うのよ」
「はい!!」
そして今、夕食前にこれ書いてます
お父さんお母さん
私は今夜、女になります
念願の、大好きな人の女になります

ひいお爺ちゃん
やっと、此処まで来れました
色々有りましたけど、私ひいお爺ちゃんのひ孫で、お父さんお母さんの子供で、本当に良かった
次は、お父さんお母さんに初孫見せますからね
ひいお爺ちゃんも、期待してて下さい

*  *  *
97大人才人:2010/12/05(日) 21:49:44 ID:VlpaCZNK
投下終了なのね〜
大人才人タクティクスなのね
今回はコルベールなのね〜
「うむ、何故私にしたのかね?まぁ、良いか」
「劇中にて私を学院最強のメイジと言ってるが、実はキュルケ君は、私よりクラスの高い教師を、完全に無視しているんだ」
「誰かと言うと、ミスタギトーだ。彼は風のスクウェアである事を、全員失念してると思われる」
「原作を読んでみよう。偏在を唱える描写が有るのだよ」
「まぁ、其でも私の方が強いと言う、認識なのかもしれない」
「さて、次にブラックジャックの、ディーラー付きの今回ルールの説明だ」
「先ずタイマンで勝負を降りる必要など、基本的には無い」
「だが、降りた場合、勝負不成立として、ディーラーの勝利になる。チップを賭ける場合、チップの半分を取られたりする」
「つまり、20戦やって11戦不成立だと、ディーラーの勝利確定になるわけだ。シエスタ君は此を利用して、何とかタバサ君の勝利数を減らすべく、努力している訳だ」
「まぁ、正面から完全撃破したタバサ君が凄い訳だがね」

ありがとうなのね〜

大いなる意思はまだまだ、次話を執筆中
次回更新迄に間に合うか?
なのね、きゅいきゅい
98名無しさん@ピンキー:2010/12/05(日) 21:52:13 ID:T3JQyq2e
>>97
超乙!
相変わらず引き込まれてしまう。

しかし、エロ日記直前の寸止めのせいで
全裸待機の俺はどうすれバインダー
99名無しさん@ピンキー:2010/12/05(日) 21:52:20 ID:i7ByAJ3E
激しく乙
次も期待してる
でも、無理しないでね
100名無しさん@ピンキー:2010/12/05(日) 21:54:48 ID:4SeBY6x5
>>97
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ!!!!!!!!!!!!
101名無しさん@ピンキー:2010/12/06(月) 00:33:07 ID:9EtXn7HL
>>98
たしかに、次の日記こそエロ炸裂だったのだろうが
次回から本編再開らしいし、みごとにお預けをくらってしまったな。
102名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 00:36:18 ID:oNE2FTwJ
ゼロの使淫魔の人が帰ってきてくれたら最高のクリスマスになるんだけどなあ
でも作者の人、いつまでも応援してるんでいつでも帰ってきてください
103名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 02:00:11 ID:xEUKoaQU
ブログで書き直してんぞ、タイトルでググれ
104大人才人:2010/12/09(木) 22:01:57 ID:g4gmw7G2
イルククゥでシルフィードなのね〜
投下準備してたら、そのままうとうとしてた大いなる意思なのね

では注意事項なのね
・才人年齢上昇
・アルビオン情勢
・15レス前後、抜き出し投下の為、幅有り
・30分以上開いたら多分寝落ち

では、投下開始なのね〜きゅい
105大人才人 拒絶1-1:2010/12/09(木) 22:04:10 ID:g4gmw7G2
拒絶
トリステイン魔法学院に早馬で知らせが届いたのは、降伏した日の夕方であった
門衛が槍を交叉し、馬を止める
「推何!!」
「トリステイン王軍の伝令だ。学院長に取り次ぎ願う」
命令書を見せ、そのまま学院長室に案内され、ノックをする
「開いとるよ」
伝令が入室すると、学院長の他に、コルベールとシュヴルーズが鏡を見ている
その鏡は、丁度戦場を映していた
「トリステイン王軍です。アンリエッタ姫殿下の御威光により、アルビオン艦隊を撃退。タルブ降下戦は勝利しました」
「ご苦労。全て見させて頂いたよ。ほっほっほ」
「遠見の鏡ですか」
「うむ」
「では、詳細は不要ですな」
「一応、伺いたいのじゃが?」
「近衛副長、サイトーン=ヒリガルの活躍により、戦況が一変、全近衛の突撃により地上部隊を撃破後、アンリエッタ妃殿下の御威光『奇跡の光』により、アルビオン艦隊が不時着。降伏しました」
「成程のぅ。では、次の伝令は、ぴちぴちの姉ちゃんで頼むぞい」
「では、発砲許可を携えて、銃士を寄越しましょう。報告は三連射撃で宜しいか?」
「其は勘弁じゃな」
伝令と共にオスマンは笑い、伝令は退出する
「ふむ、どうやら才人君は上手くやったみたいですな」
コルベールが呟くと
「……いえ、死んでるかも知れません」
「ミセスシュヴルーズ?」
「あの零戦を見て下さい」
コクピットが血だらけの零戦が、衛士隊によりレビテーションで運搬され、網を用意した竜により、運ばされる様が映っていた
「あの出血量じゃ、水のスクウェアじゃないと」
「……何て事だ。才人君には沢山教わる事が有って、此れからが火の真骨頂を見せてくれると言うのに」
コルベールは頭を抱える
「此で、研究も打ち止めですわね。私も才人さんには期待してたのに、残念です」
二人は気落ちする
教師たるメイジですら悲鳴を上げる位厳しく、其でも出来た時の達成感を味わい、才人が絶賛する様を見て、二人共あの2週間が楽しかった事だけは確かだ
「まだ、死んだと決まった訳ではあるまいよ」
「学院長?」
「あの男なら、瀕死になっても、そう簡単には死なぬ。嫌、死なせて貰えぬじゃろう」
「…本当ですか?オスマン学院長」
コルベールが尋ねる
「まぁ、我ら以外にも、価値を考えてる者も居るじゃろうて。じゃなければ、近衛隊長が来る訳無かろう?」
「それもそうですわね」
106大人才人 拒絶1-2:2010/12/09(木) 22:05:31 ID:g4gmw7G2
「まぁ、治ったら、ひょっこりと帰って来るじゃろうて。其迄は、二人共授業に専念しなさい。では緊急の全校集会を開くとするかの。勝利を皆に伝えねばのぅ」
「「ウィ」」

*  *  *
ワルドが眼を覚ますと、ベッドの上だった
「確か、あの変な竜騎兵に撃墜されて……左腕が無いな。夢じゃない」
自身の左腕が無い事を確認し、現実に引き戻される
ガチャ
「お、やっと起きたかい」
フーケが義手を持って部屋に入って来る
「フーケが助けてくれたのか?」
「きちんとボーウッド提督の許可入りだ。此処はロサイスの士官室。あんたは3日寝てたのさ。その間中、水メイジが交代で治癒掛けっぱなしだったんだよ。身体はどうだい?」
「ん、あぁ、まだ痛むが何とか動けそうだ」
「じゃ、こいつを付けな。アタイが作った義手型のマジックアイテムだ。魔力で動く様にしてある。扱いに多少コツは要るが、アンタなら直ぐに馴れるだろうよ」
「随分親切だな」
「ふん。礼すら言えないのかい?墜落していったアンタを、風竜で救出した後、そのままアルビオンに来たってのに」
「済まん。礼が遅れた」
「ま、アンタはそういう奴だったね。どれ、付けてみな」
渡された義手の精巧さに驚き、そのまま左腕の残った上腕にはめると、魔力が浸透し、暫くすると指先が動くのが解るが、如何せんまだ馴れない
107大人才人 拒絶1-3:2010/12/09(木) 22:09:01 ID:g4gmw7G2
「ほう、確かに訓練は要るが大したモノだ。しかも右手とのバランスも良いし、格好も以前の左腕の様だ」
「アンタの右手を参考に作った。えらい苦労したよ」
「此は助かる。改めて礼を言おう」
「上手く動く様になったら、左手で杖持っても魔法使えるか、確認して貰えるかい?」
「承知した。しかし、この肉に近い感触はなんだ?」
「ゴムを利用して錬金した。関節は人間を参考に、全く同じ動きになる様に、リンクには気を使ったよ」
「成程、堅い芯が有るゴムと言う訳か」
ワルドはフーケの技師としての腕前に感心する
「盗賊以外でも、食えるではないか」
「そうだよ。だからアンタが雇わなきゃ、アタイはまともな仕事やってたんだ」
「悪かったな」
ワルドは苦笑する
ガチャ
「此は此は、ワルド子爵。具合はどうかね?」
「クロムウェル陛下」
「伝令から報告は受けてはいるが、やはり実際に戦った者の意見を聞きたくてね」
「はっ。私が指揮していた竜騎士隊は、ほぼ単騎の見慣れぬ竜騎兵にやられました。レキシントンを中破させ、戦局を一変させたのもその竜騎兵です」
「その後の光は?」
「光ですと?」
「成程、ワルド子爵はその時には気絶していたのですな」
「副官として、アタイが報告するよ。ワルドが撃墜された後、戦場全体が光に包まれ、光が消え去った後、空艦全部が風石をやられて着陸。降伏したのさ」
「…そんな事があったのか」
「あぁ、アンタを救出する際の、隠れ箕にもなった」
「何があったか解りますか?陛下」
「魔法ではないのかね?」
「残念ながら、その様な魔法は、私も知りません。陛下が虚無を使える様に、トリステインにも虚無が居るのでは?」
「……その可能性も有るかも知れませんね。只、前線に落ち度は有りません。その竜騎兵もトリステイン国内ですら、存在自体が知られてないのでしょう?」
「えぇ、その通りです」
「では仕方ないですね。ご苦労様でした。二人には傷病休暇を命じます。2週間程休みなさい」
「直ぐに、次の対策に赴くのでしょう?でしたら、私が」
「なら、今直ぐ立ち上がりなさい、ワルド子爵」
「はっ」
立ち上がった所で、クロムウェルがワルドの胸をとんと押し、ワルドはそのままベッドに座ってしまう
「解りましたか?今の子爵に必要なのは休息です。貴殿は自身の価値をご存知無いと見える。スクウェアメイジは、使い捨て出来るモノでは無い」
「……寛大な処置、有り難き幸せ」
108大人才人 拒絶1-4:2010/12/09(木) 22:10:14 ID:g4gmw7G2
「では、私のお友達に出て貰いますので、安心して下さい。ミスサウスゴータ、すいませんが席を外して頂けますか?」
「あぁ、了解だ」
フーケが退出すると、クロムウェルが声を潜め話しかける
「ワルド子爵」
「はっ、ですが宜しいのですか?私は最前線での生き残りの最高責任者です。私が責任取らないで、誰が取るのでしょうか?」
「今回のは、予想出来なかった我々作戦司令部の責任と言う事で、会議で決定した。あれは、誰が指揮しても予期出来まい」
「…確かに」
「だが其でも責任を取りたいのであれば、慰安所に最低3日程詰めて貰おうか。少し溜ったモノを抜いて、すっきりしてから復帰して頂きたい」
「…ですが、私は」
「此は命令だよ、子爵」
「拝命致しました」
「あぁ、それと」
「はっ」
「慰安所管理の水メイジに検査させるので、行っただけは通じぬよ」
「…御意」

*  *  *
クロムウェルはワルドの報告を受け、ロサイスでの執務室に戻る
執務室に入るとシェフィールドが待機しており、其を確認し、直ぐに執務机の椅子に座る
すると大きい机の下から、目と耳を魔法の当て具で塞がれたクロムウェルの女の一人が全裸の状態で這い出し、クロムウェルの股間に埋まり、直ぐにクロムウェルのイチモツを口に含み勃起させると、身体を入れ替え、尻を向け、クロムウェルをあてがい、一気に挿入する
そのまま、クロムウェルの股間に尻を振りながら押し付ける
執務中は、一切喋る事を禁じられており、ひたすら呼吸音と潜もったあえぎ声が響き、クロムウェルはそのまま書類に目を通し、サインをし始める
「シェフィールド嬢」
「はい、閣下」
「この度の敗戦、どう思う?」
「予期出来なかったと思われます」
「余もそう思う」
そう言いながらも書類に目を通し、サインをし、射精する
射精すると、女が絶頂し、痙攣をするが、クロムウェルが少し動かすと、また腰と膣をうねらせ、更なる射精を促す
「だから会議では、前線指揮官に非は非ずで一致した」
「妥当と思われます」
「うむ、戦を決着した光。虚無だと思うかね?」
「可能性は有るかと思われます」
109大人才人 拒絶1-5:2010/12/09(木) 22:13:34 ID:g4gmw7G2
「にしても忌々しい。レキシントンは、我らレコンキスタの始まりの艦だぞ」
怒りが勃起を強くし、女がその刺激にまた絶頂し、痙攣すると、その刺激でクロムウェルは射精する
決して抜こうとはしないクロムウェル
絶倫をアンドリバリの指輪で自身に仕込んでしまったが為、女抜きでの行動が極端に辛くなって来ている
女と交わってる状態が普通になりだしたのを、クロムウェル自身も自覚しながら、既にどうにもならない
ならばと、執務にも移動にも連れ回し、執務をしながらもまぐわう態勢を選択した
まぐわいが何故か執務の効率を上げた為、眉を潜めつつ、会議のメンバーも何も言わない
トップは激務で、必ず何処かに歪みが出ると云うのを、全員が承知してるからだ
ただ、機密を聞かれたり見られたりすると殺すしかない為、女達も納得し、目隠しと耳栓により、機密情報を一切目に入らないようにしている
ひたすらクロムウェルを慰め、自身に仕込まれた快楽に身を委ね、耳と目を塞がれた為に余計快楽に集中し、ベッドの上より乱れる
執務中はずっと挿入してくれるので、たっぷり味わえるのだ
奥に当たる様に腰を突き上げ、射精を促す為にひたすら締め付ける
クロムウェルは一切遠慮なく無造作に射精する
「あっ、ひぅ」
アエギ声を両手で口を塞いで押し殺し、腰を持ち上げ、クロムウェルの股間にぴたりと収める
有るのは、ひたすら肉の悦楽のみ
それ以外の事を考えるのは、3日目で放棄した
ただひたすらに他の女と寵を競い、何回出されたかで序列が決まる
そして、互いを傷付けるのだけは許されない
其をした最年長の女が、兵が連れて来たオークがその場で犯し、そのまま運ばれて行くのを、皆で見送ったからである
クロムウェルの薄い笑いの酷薄さを見てとり、そんな男の寵を競わないと、生きて行けなくなった自分達の運命に泣き腫らし、何時しか乾いた笑いしか出なくなった
今は、肉の悦楽に溺れるのが、全てを忘れさせてくれる
もう、身も心も奴隷であった
「どうなさるおつもりで?」
「何、余のお友達を使おうと思う。あの今回即位した女王なら、何か知ってるだろう」
「それが、よろしゅうございますかと」
「彼方は何か言っておるかね?」
「特に何も。何時も通り、貿易の扱いでやるそうです」
「うむ、了解した」
今サインしてるのは、艦艇再整備計画書
110大人才人 拒絶1-6:2010/12/09(木) 22:15:23 ID:g4gmw7G2
レキシントンには載せられたが、通常型戦列艦では長すぎる為、新型砲を切り詰めた射程1.25倍の長口径砲だ
此で従来型の戦列艦でも、アウトレンジ攻撃が出来、防衛並びに侵攻に威力を発揮するだろう
次の書類は竜騎士補充並びに部隊再編報告書
失った竜騎士隊の代わりに、育成中の竜騎士の早期登用で補充する
各部隊に分散配備させ、実地で鍛えて貰う事にすると報告は結ばれていた
此にもサインし、次は貿易報告書
空港の港町であるハルケギニアの各港と、アルビオン大陸を結ぶ貿易統計の過不足を確認
一番大きく、山地に展開するラ=ロシェールからの貿易が一番多いが、他港からの貿易も勿論ある
以前より風石や硫黄,硝石の状態が改善した事が解る
シェフィールドの後ろの人間の根回しだ
アルビオンでも風石は採掘出来るが、鉱脈成長との兼ね合いと、大陸の浮遊高度の維持に割かざるを得ない為、大量発掘が出来ず、輸入に頼ってるのが実情である
国内3割、国外7割である
硫黄はガリアにある火竜山脈からの輸入だ
一番質が良く、安価で大量に購入出来るのが利点である
硝石は、ハルケギニア各地で現地生産が行われている
各地で家畜小屋の土壌から抽出したり、糞尿と生物の遺体を利用して発酵させたりする(人間含む)
戦乱が続くと硝石の生産の為、遺体は身元確認後、墓地に向かうのは貴族や名だたる将帥等極一部で、後は適当に埋められ、次の戦乱の肥やしとして再利用される
その後、戦場後での採掘が、2年後を目処に行われる
だが、火竜山脈南方のガリア南部では硝石鉱床があり、此処からの大量輸入が一番手っ取り早い
小競り合いはともかく、全面戦争になると、やはり国内生産では限りがある為、輸入に頼ってしまう
こうして見ると、貿易統計的にも赤字であり、トリステイン侵略は、アルビオンに取っても必要な現実的な政策だ
聖地奪還という、理想を掲げてるだけでは無いのである
ラ=ロシェールを押さえるだけで、アルビオンの各国に対する赤字削減に、大いに貢献する
つまり、レコンキスタとは、王室の怠慢による、ハルケギニアに対する慢性赤字体質を嫌った貴族達と、理想を掲げたクロムウェルが旗頭になった、貴族連合なのだ
シェフィールドの後ろの人間は更に貿易に纏わり、重要な物資も回してくれる
金(Au)である
アルビオンでの貨幣鋳造に金(Au)は欠かせない
111名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 22:19:19 ID:nU1H9I2w
シエン
112大人才人 拒絶1-7:2010/12/09(木) 22:19:26 ID:g4gmw7G2
此が有るから、アルビオンは資金に事欠かないのである
貨幣其のものには大して価値は無い。流通をきちんと促す事が良い事であり、その点からすると、変動に対する多少の蓄財は必要だが、過剰な蓄財は、景気を悪化させる権化である
少なくとも、政権を運営する立場の人間なら、少なからず承知していなければならない事実である
日本の江戸時代の格言にある『金は天下の回り者』なのだ
生きて行く為の小麦と水、それに羊には困っていない
貿易では質の良さで小麦は輸出品の一つとなっている
大量に産出される小麦を利用して、麦酒の生産も盛んである
こちらも各種の蒸留酒と合わせて輸出品目の一つだ
後、有名なのが馬である
地上3000メイルの薄い空気で育成された馬は、非常にスタミナが高く、運動性に優れている
その為、各国から引く手あまたの輸出品目の一つだ
その馬が地上で繁殖しても、地上の空気ではその様には育たないので、完全に一代限りであり、安定して輸出される売れ筋商品である
そして、最重要輸出品目は風竜並びに火竜と、羊毛生地である

高度の関係で他国で居る様な空陸型の小型幻獣が居ない反面、竜だけは大量に繁殖している
其を人間に操れる様に飼い馴らし、各国に輸出する
各国で現地育成生産も行われているが、やはり質量共にアルビオンでの生産がトップであり、竜籠等の民生から軍事用途迄、幅広く扱われている
アルビオンの竜騎兵が充実してるのは、その安定した生産態勢が、確立しているからである
餌は大量に飼育されてる羊がある為、一切困らないのだ
更に羊毛生地。各地での羊毛生地の生産を壊滅に追い込むレベルで、独占していると言っても過言ではない
地上3000メイルで育成された羊から取れた羊毛は質が高く、竜の餌や人間の食事にすらごく普通に出される量が確保されて居る
その大量の羊毛から生地を生産している為、大衆向けの生地から封建貴族の纏う高級生地迄、全てを揃えられると言っても過言ではない
細々と対抗してるのはロマリアのみであり、其も市場シェアにすると、10%以下に過ぎない
他国では、質の高い国内産と質の低いアルビオン産で、アルビオン産の質に敵わない為、羊毛産業に対抗する意識は完全に無い
細々と国内の需要を満たす程度で、貿易の主要産品にはならない
その代わり、綿花や麻生産が出来ない為、こちらは輸入に頼っている
113大人才人 拒絶1-8:2010/12/09(木) 22:20:53 ID:g4gmw7G2
其でもやはり、戦時のせいも有り、統計的には赤字が上回る
「…やはり、ラ=ロシェールを押さえないと厳しいな」
全ての書類に目を通し、サインをする
シェフィールドはその書類を関係各所に伝達する為、退出した
仕事が終わったクロムウェルは女の腰に両手を回し、腰を振り始める
女は遠慮なく声を上げる
両手を使う事が執務終了の合図なのだ
「あっあっひっ、またイク、イってしまいますぅ、あ゛〜〜〜〜〜〜!?」
ビクビクと痙攣した女を繋りながら引っ張り出し、机に寄りかからせ、更に突き上げ射精する
花弁からは、収まりきれないクロムウェルの精が垂れてくる
女の向きを変え座位にすると、女がクロムウェルに抱きつく
イカされっぱなしで、四肢に力が入らない
そんな女の耳栓と目隠しを取り、クロムウェルは囁いた
「移動だ」
「はい、いっいっあっあぁぁぁぁぁぁ!?」

他の女達は、エルフの女により待機させられている
先に馬車で待ち、中で淫らな格好で待ってるだろう
更なる狂宴に期待と絶望を浮かべ、女は必死にクロムウェルに腰を振った

*  *  *
慰安所、レコンキスタの兵達に開放されてる無料の売春宿である
反乱開始の2年前より、王党派の貴族や平民の子女を捕まえ次第放り込み、総人数は1000を越えるのが、主要各所に点在している
避妊は一切していない
赤ん坊は人食いの亜人の餌になる
ワルドはその慰安所の一つ、ロサイスの慰安所を訪れて居た
きちんと書類での通達であり、命令違反は軍属のワルドには許されない
「失礼する。この命令書を見せろと言われたのだが」
「はい、ワルド子爵ですね。用意は出来ております。此方に」
ワルドが案内に連れられ廊下を歩くと、扉が開け放たれた状態で、非番の兵士達が大量にうろうろしており、中では女一人に対し、複数の男達が相対し、下卑た笑い声を上げている
「おら、後つかえてんだからさっさとやれよ」
「ちょっと待て、もう少し、うっ出る」
兵士の力で押さえられており、口と尻、更に膣と3つ同時に犯される
女達が休めるのは、士官以上の役職の相手の場合のみであり、一対一での応対が、士官の希望により許される
中には腹を膨らませた妊婦も見え、妊婦も容赦なく犯されている
「腹ボテも良いなぁ、おい」
「出すぞ出すぞ〜おら!?」
ワルドは眉をひそめるが、特には何も言わない
通されたのは五階の個室だ
114名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 22:23:24 ID:a0OLNbdp
C
115大人才人 拒絶1-9:2010/12/09(木) 22:24:58 ID:g4gmw7G2
此処は5階建てであり、階級により使える部屋が決まっている
壊滅したとは言え、トリステイン侵攻軍竜騎士隊隊長である
高級士官の扱いは当然だ
扉が開くと、3人の女が立っていた
「では、この中から、二人お選び下さい」
女達は微笑み、際どい衣装を翻しアピールする
慣れた手付きの女は長いのであろう
不慣れな手付きの者も居る
恐らくワルドが壊滅させた時に入って来た女だろう
「で、命令ではどうなっている?」
「はい、ワルド子爵は杖を預かり、3日間滞在頂き、存分に満足させる事となっております。また、毎日検査を行い、精をきちんと女に出したか確認致します。気に入った場合、子爵に囲わせて構わないと」
「……どういう事だ?」
「此処に居るのは全員メイジです。スクウェアメイジの子爵の子は、アルビオンに利益を生むと、クロムウェル陛下の御意向です」
「……そうか、つまり種馬か」
「はい、全員ライン以上で、容姿に優れた者を用意しました」
「全員でも構わぬのか?」
「子爵が望むなら構いません」
「聞いてみただけだ。流石に陛下の真似は出来ん。命令は二人以上だな?」
「はい」
「…では二人だな。お前とお前だ」
ワルドが指名した相手は、一人はスタイル抜群な金髪の女であり、一人は同じく金髪の年若い少女である
指名された女達は感激し、外れた女は落胆する
高級士官のお気に入りなら出ていける
116大人才人 拒絶1-10:2010/12/09(木) 22:27:24 ID:g4gmw7G2
千載一遇のチャンスを逃したのだ
高級士官は数える程であり、そもそも兵士と違い、殆ど利用しない
つまりまた、輪姦の只中に放り込まれると言う事である
特に貴族の女達は人気であり、まず意識を失っても、誰も休ませて貰えないのである
後は駄目元で泣き付くしかない
「お願い致します、子爵様。私にもどうか御慈悲を下さいまし」
「…どういう事だ?」
「子爵に選ばれ無かった女を、遊ばせる訳にはいきません。下の階に戻して相手をさせます。器量良しなので、下士官クラスの相手ですが、其でも一日20人以上の相手はさせられますな。一番下の階なら50人以上ですか」
ワルドは溜め息を付く
「解った。全員だ」
全員の顔が華やぐ
「かしこまりました。では堪能して下さい。食事は時間になったら運ばせます。其では杖を預かります」
ワルドがレイピアを鞘事抜き、管理人に渡すと、管理人が恭しく受け取り、更にディテクトマジックをかけ、ワルドの左手を感知し確認する
「あの、その左手は?」
「侵攻の時に失ってね、副官が作ってくれた義手だ。魔力で動く。まだ慣れて無いが、中々の仕上がりだろう?」
「では、少し確認させて頂きます。ふむ、確かに只の義手ですね。後、股間の確認も……大丈夫ですね。ですが、お身体の方がまだ全快では無いですね」
そう言うと治癒を何度か詠唱し、ワルドの身体を癒す
「楽になった。礼を言う」
「私は此所の管理人ですので、当然の行為です。レディス、ワルド子爵のお気に入りになる様に、祈ってますよ」
そう言ってから礼をした後、パタンと扉を閉め、ロックがかかる
此でワルドも女達も、出て行けなくなった
そしてその瞬間、女達は脱ぎ始める
「あの管理人、祈るとはどういう事だ?」
「子爵様。管理人は私達に同情して下さってますの」
「…そうか」
「まだ片手が上手く使え無いでいらっしゃいますね?」
「あぁ」
「では私達が脱がさせて頂きますわ。私達の身体で、存分に練習して下さいまし」
ワルドは表情を消し、女達のやるに任せる
ワルドの身体は、衛士隊時代から鍛えに鍛えた偉丈夫だ。しかも顔も良い
その均整の取れた肉体に、女達はほぅっと溜め息を付く
「素敵な身体ですわ。子爵様」
そのままキスを交わし、他の女がワルドのイチモツを含み、更に乳首を丹念に舐め、睾丸を含む
117大人才人 拒絶1-11:2010/12/09(木) 22:30:41 ID:g4gmw7G2
3人の愛撫により、あっさりワルドは勃起し、そんなワルドを女達がベッドに押し倒し、指名された女が一番先に跨り、一気に挿入する
「子爵様。先ずは全員に、お情けを下さいまし。私はローザと申します」
「…解った」
ワルドは下から突き上げ、女が腰を振りつつあえぐ
「やぁ、素敵ぃ」
女の腰振りは兵達によって鍛えられている
普段余り興味の無いワルドは利用しなかった為、その刺激にあっさり射精した
「うくっ、出る」
ワルドが言うと、しっかりと奥に入れた状態で腰を押し付けつつ、ゆっくり動かす
「ちょっと早いですけど、素敵ですわ。子爵様」
「…悪かったな」
「いえ、気に入って下さって、嬉しいですわ」
そのまま、ワルドが硬さを失わない様に、腰と膣を蠕動させる
ワルドのイチモツが再び硬さを取り戻すと、女がどき、指名した少女が跨り挿入する
今度はキツイ
「うっ、キツイ」
「ふっふっ、存分に、味わって、下さいまし」
「…歳は?」
「13です」
「若いな」
ワルドが聞くと起き上がり、少女を抱き抱え、更に奥に行く様に腰を振る
「私で何人目だ?」
「子爵様が、初めてでございます」
「…何?」
「私、子爵様のお顔を、ウェールズ王子と一緒に見させて頂いております」
「あの時の捕虜か」
「はい。管理人様が私には早すぎると、小間使いを命じて下さってたのです」
「痛く無いか?」
「痛くは有りませぬ。水魔法で準備をきっちり行ってから、相手をする様にしてますので」
「そうか、何故私に?」
「…子爵様のお気に入りになれば、他の男の相手をしないで済むと」
「…そうか」
管理人の根回しにワルドは苦笑する
自身の権限で、出来る事をやろうとしている管理人に、ワルドは感心してしまった
「お前は、囲う事にする」
「有り難うございます、子爵様」
「名は?」
「レイチェルです。子爵様」
そう言い、両手両足をしっかりとワルドに絡め、座位から正常位に移行し、突き上げる
「あっあっあっ、子爵様子爵様」
「ワルドで良い」
「ワルドさま、ワルドさま」
「出すぞ」
「はい」
ドクン
しっかりと腰を打ち据えたワルドから、子宮に向かってたっぷりと射精する
『愛等無い。有るのは憐憫と性欲、利害の一致だ。其でも構わぬ、愛を忘れてしまったからな』
ワルドはそう考えつつ、締まりの非常に強い少女の膣を楽しむ
118大人才人 拒絶1-12:2010/12/09(木) 22:36:42 ID:g4gmw7G2
そのままゆっくりと動き、次に向けてイチモツを準備する
少女の膣なら締まりが良く、あっさり力を取り戻した
「良し、次だ。全員に出さないと、検査に引っ掛かるのだろう?」
女は頷き、尻を向け、ワルドは少女から抜いたイチモツを直ぐに次の女に挿入し、腰を振り始めた
「うっく、中々だ」
「ソフィーですわ、ワルド様」
パンパンパン
ソフィーを一突きする事に、ワルドは一気に高まっていく
右手でソフィーの腰を掴み尻に打ち付け、10度目で射精してしまう
「うっく、出る」
「あはぁ。ビクビクしてる」
ソフィーは少々早いが、大きさで満足出来る為、ワルドの股間に尻を押し付ける
女達を一巡し、ワルドはベッドで仰向けになり、女達の好きにさせている
女達は射精の度に交代し、ワルドに囲って貰う為、必死に腰を振る
ワルドがまだ完治しておらず、激しい動きが出来ない為、必然的にこうなった
少女は囲って貰える安堵からか、参加は他の女達に譲ろうとしたが、ワルドが締まりの良さから望む為、たっぷり精を放って貰いながら、休憩時に左腕の義手を抱き、自身の身体を使ってリハビリをさせようと頑張っている
「ワルドさま、指先を動かして下さいまし」
「ふうふう。こうか」
「はい、少し動きました。私のアソコをくちゅりって。感覚はございませんの?」
「さて、感覚迄繋るとは流石に思えぬ」
「本物そっくりですのに」
「望み過ぎは、野望だけで充分だ」
「一生、お慕い申し上げます。野望が有るなら、其に付いて行きますわ」
「此処から、脱け出したいだけだろう?うくっ、出る」
ワルドが射精すると跨ったソフィーが奥に当たる様に調節し、自身の身体でワルドにアピールする
正直休みなく射精させられ、ワルドは女達に骨抜きにされそうな感覚に陥っている
射精が終わるとまた動き出し、完全に勃起するまでゆっくり動かす
レイチェルは逞しいワルドの胸を擦りながら話す
「正直に言います。兄を殺したワルドさまは、殺したい程憎いです」
「…」
「ですがこうも思います。私は、まだまだレディとしては未熟ですが、ワルドさまより素晴らしい方が、そう居ないと言うのは、理解出来ますわ。売春宿に連れて来られたお陰で、解りますの」
「…」
「兄はワルドさまに殺され、両親も死に、親族は全てレコンキスタとの戦で亡くなり、家名も無くなりました。今の私には、ワルドさま以外、頼る方もおりませぬ。どうか、末永くお側に」
「…そうか」
119大人才人 拒絶1-13:2010/12/09(木) 22:39:20 ID:g4gmw7G2
ワルドはそう言い、何とか左手を動かし、レイチェルの膣をかきまわす
「あっ、ひっ。ワルドさま、左手が動く様に」
「まだ上手くは動かせぬ。済まないが、リハビリを手伝ってくれぬか?」
「はい、喜んで」

昼食をワゴンで運んで来たメイドと共に、管理人が部屋に入ると、中ではワルドがベッドに大の字で転がっており、女達がずっと全身を愛撫し、時折ワルドがビクビクと痙攣している
「ふむ、上手く行きましたかな?皆様、食事ですぞ」
女達がワルドを起こす
「どうですかな?ワルド子爵」
「……此を、3日間か?」
「どうやら、満足頂けた様ですな」
「幾ら何でも身体が持たぬ」
「ですがやって頂けないと、彼女達に塁が及びましょう。最悪の罰は、トロルかオークですな」
「…解った。努力しよう」
「ワルド子爵用に、スタミナ食を用意して有ります。存分に補給して下さい。蛎が良いとか」
メインディッシュは蛎と羊肉であり、ボリュームもある
「頂こう。レイチェル、済まぬが頼む」
「はい、ワルドさま」
既に囲いが決定されてる為、レイチェルが進んで左腕の動かないワルドの補助をする
「どうやら、レイチェルは決定したようですな。他の娘達も負けぬ様に頑張りなさい」
「「はい」」
食事と一緒にトリステイン人であるワルド向けにワインも用意し、管理人はメイドと共に退出する
次に来るのは夕食で、ワゴンはその時に入れ替える
「ふう、流石に汗だくだ。風呂に入らないか?」
「はい、ワルドさま」
ワルドは3日3晩、寝てる時にすら相手をさせられ、根負けした後、全員を囲う事を約束させられ、ワルドの官舎に三人が居ついた
更に休暇中は慰安所と似た感じで相手をさせられ、リハビリと訓練の合間は、ずっとベッドであり、家名を失った女達が自主的に働いた
休暇中は、ワルドはフーケを全く見なかったが、そんな余裕は寵を競う女達により、ワルドには与えられなかった
「ワルドさま、お稽古は済みまして?」
「あぁ」
「では、ローザとソフィーも待っております」
「…少しは休ませてくれ」
「まかりません」
そう言って、にっこり微笑んだレイチェルは、ワルドにレビテーションをかけ、無理矢理運搬する
囲って貰った時点で、三人は杖を返して貰っている
「そう言えば、ローザとソフィーは、私の前に懐妊していなかったのか?」
「おりませぬ。管理人が、見逃す筈が無いでしょう」
「…其もそうだな」
120大人才人 拒絶1-14:2010/12/09(木) 22:44:36 ID:g4gmw7G2
「ですから三人共、身篭ればワルドさまの子に、間違い有りませぬ。自衛の為にも、杖を返して貰ったのですよ?」
「出て行っても構わぬぞ?」
「酷いひと。私達の様に、兵に顔を知られ、世間を知らぬ元貴族が逃走すれば、直ぐに足が付く事位、おわかりでしょうに」
「…悪かった」
部屋に付くと扉が開き、パタンと閉め、ロックとサイレンスをかける
ワルドの杖は取り上げられ、箱の中に放り込まれ、ロックされた
「ではワルドさま。密月の続きですわ」
三人はにっこり微笑み、ワルドは諦めて三人をベッドに押し倒した

*  *  *
クロムウェルは報告書を見て、満足そうに頷いた
「此でワルド子爵はアルビオンはともかく、囲った女に義理は果たすでしょうな」
「いざとなったら捨てるのでは?」
シェフィールドがそう聞くので答える
「えぇ、ワルド子爵の場合、捨てるでしょうね。ですが、子供を得られるだけでも収穫です」
「確かに、スクウェアの子は、将来有望ですね」
「メイジの強さは、血が強く影響しますからな」
「ですが、杖迄返して良かったのでしょうか?」
「残念ながら女側が兵に顔が知られております。売春宿に居たのが知れた場合、強姦されてもおかしくないですな。ワルド子爵以外の子を宿す真似は、極力避けたい所です」
「考えておられるのですね」
「えぇまぁ。其に兵に顔が知られてるが故に、出歩く気が無いみたいですね。報告には、そう書いてあります。所で休暇中のミスサウスゴータの行方は?」
「尾行した者達、全員初日で撒かれました。流石は元盗賊です」
「何か知ってるかと思ったのですがね。何せ、モード大公の元臣下の娘でしたし」
「自白剤で尋問致しますか?」
「嫌、止めましょう。傭兵とは言え、何の落ち度も無い配下に、そんな事出来ません」
「かしこまりました」
*  *  *
此所は、シティ・オブ・サウスゴータの外れにある、ウェストウッド村
「ただいま、テファ」
「お帰り。マチルダ姉さん」
マチルダの抱擁をテファは受ける
「テファ、また大きくなってないかい?」
「そうかな?」
自身の胸を見て、首を傾げるテファ
「はい、今回の仕送分ね」
ドンと、テーブルに金貨がたっぷり入った袋が載せられる
「重いから、小切手で構わないのに」
「なるべくテファの容姿がバレない様にしないとね。後々面倒だろ?」
121大人才人 拒絶1-15:2010/12/09(木) 22:48:58 ID:g4gmw7G2
「ありがとう、マチルダ姉さん。でも良いの?こんなに沢山」
「あぁ、良い仕事にありつけたからね。其にね、良い男も見つけたのさ。アタイは運が良い」
「マチルダ姉さんもやっとなのね」
「そういうテファはどうなんだい?」
「ウェストウッド村の中に引っ込んでるんだから、男の子なんか、知り合いになんかならないもの」
「ゴメン、其もそうだね」
「良いの。マチルダ姉さんの知り合った良い男って、どんな人?」
テファが紅茶を出し、マチルダは其をくゆらせ、一口飲んでから語り始めた
「そうだねぇ。まず黒髪」
「嘘っ、黒髪?そんな人見た事無い」
黒髪はハルケギニアでは滅多に見ない。シエスタの血縁者の黒髪の方が、遥かに珍しいのである。その為、ブリジット(黒髪)は、男女問わず人気だ。黒髪だけで、魅力3割増と言われている
更に輝く黒髪だと、言わずもがなである
「其に異国の装束」
「異人さん?」
テファは異人の証である自身の両耳を、思わずつまむ
其はエルフの特徴である尖った耳だ
「肌の色が黄色っぽくて、凄く滑らか」
「想像つかないな」
腕を胸の下で組み、規格外のたわわな胸が溢れつつ、首を傾ける
「顔立ちは鼻が低いけど、見れる顔」
「良く判らないわ」
鼻筋が通ってる男女しか見た事無い為、テファには想像が出来ない
「其でもって、軍のスクウェアメイジより強い剣士」
「えぇ〜〜〜!?」
122大人才人 拒絶1-16:2010/12/09(木) 22:52:43 ID:g4gmw7G2
ガタっとテーブルが音を立て、テファが思わず腰を浮かせる
「……あの時に居てくれたらって、思ったよ」
「……姉さん」
二人共しゅんとする
思い出すのは、2年前の脱出行
モード大公がエルフを囲った事により粛正され、母はテファに何とか手紙を託した後、司教のクロムウェルに異端審問にかけられた後、行方不明
恐らく刑死してるだろう
そして、其が貴族の不満に火を付け、クロムウェルが旗頭となり、レコンキスタの反乱が始まった
「実はね、そいつとは仕事の関係で敵対してるんだけど、何度もアタイを助けてくれたんだ」
「……敵なのに?」
「味方にバレない様にやってくれてさ、その仕送りだって、そいつのお陰なんだよ?感謝しなさいよ、テファ」
「うん。名前は?」
「内緒。仕事終わったら、逢おうって約束してるんだ。此所にも連れて来るよ。きっと、テファも気に入ると思うよ」
「解ったわ。楽しみにしてるね、マチルダ姉さん。今日はどうするの?」
「実は2週間程休暇貰ったのよ。のんびりさせてくれない?」
「解ったわ。私もマチルダ姉さんが帰って来てくれて嬉しいし、ずっと泊まっていってね」
『此で良し。全く、随分尾行付けてくれちゃって。モードの関係者、探してるんじゃないでしょうね?村の中に居れば平気ね。ロサイスで撒いたし』
フーケは、自身の予想が当たっている事を知らない

テファは孤児の子供達をマチルダと共に寝かしつけ、マチルダが寝た後、自分の部屋で母が残した手紙を引き出し、ランプの明かりで見る
「わたしにはやっぱり読めないな。エルフ語なのかなぁ?」
封も切らず、そのままである手紙はこう書いてあった
『親愛なる我が娘と、この手紙を読める方へ』

テファは、いつか聞いた、オルゴールの歌を歌い出す
「神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大太刀と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる」
「神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。自ら獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空」
「神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。知識を操り道具を用い、導きし我に助言を呈す」
「そして最後にもう一人……。記す事さえはばかれる……。四人の僕を従えて、我はこの地にやってきた…」
「……そして……神の力を継ぎし者、導きし我の代弁者。導きし我に逆らいて、神に刃を突き立てん……」

*  *  *
123名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 22:58:23 ID:hdUCkm3U
支援
124大人才人:2010/12/09(木) 23:10:53 ID:g4gmw7G2
投下終了なのね〜
誤字発見1-6
戦場後×
戦場跡〇
では大人才人タクティクスなのね〜
今回は無能王ジョゼフなのね〜
「あっはっはっは。まさかこの無能王に教えを請いたいとか、言うのでは無かろうな?このゴミ竜」
「だが、この無能王は寛大である。仕方が無いから説明してやろう」
「アルビオンの後ろを回ってる人物は、中々の大物だな。経済を熟知している。恐らくガリアの政商か、其に近い人物だろう」
「金(Au)をわざわざ輸出してるのは何でだと思う?アレは貿易の代金として、手元に帰って来るのだよ。つまり、産業振興をやりながら、国内の収入も上がる。更に代金として入って来たアルビオン金貨をガリア金貨に改鋳したと仮定してみよ」
「実は何も失わずに、国内経済を活性化出来ておるのだよ。正に曲者だな」
「実は無能王たる余は、大いなる意思に取って、最高のお気に入りらしい。クックックック、早く暴れさせてくれぬモノかね?」

ゴミだなんて酷いのね
この超絶美形ガチムチ王
………書いてて思ったけど、政戦に欠点が無いのね〜
125名無しさん@ピンキー:2010/12/09(木) 23:40:06 ID:3JTUhzNl


今回は護国卿無双の回かと思ってたら、最後で護国「胸」のフライング登場でワラタ
126名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 12:09:38 ID:UG6ML7gE
初めは楽しめてが、いいかげん会話だけで地の文がなくて秋田
127名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 14:54:30 ID:QIAZfDND
うーん
128名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 19:25:59 ID:mdUHInDU
>>126
貴重な意見ども
こういうの待ってた

流石に限界感じ始めてるんで、以前はやらなかった、2レス(約2000文字)丸々地の文とかやってますが、まだ台詞多い?
以前に比べて、少しずつ台詞減らして、地の文増やしてるんだけど、基本的に本編は第三者視点なので、心理描写をキャラ全部に増やすのもね
読者には心理も筒抜けの方が良いのかな?
伏線も有るから、一概に出来ないんだよね
シエスタの日記は、見ての通りシエスタの自分視点
台詞と一緒の動作の描写が少ないから、そう思うのかな?
地の文にて描写出来る所を、キャラの思考描写や喋らせてるだけだから、減らそうと思えば幾らでも減らせるんだけど
それはそれで、〇〇は〇〇と思った(〜した)連発の無味乾燥になってしまう様な?
バランスって、どう取れば良いのかねぇ?
書けば書く程、思考の迷路っす
129名無しさん@ピンキー:2010/12/10(金) 21:52:40 ID:tm76mAMK
≫128
だがそれが良い。
それが作者の文体=個性だと思うから。
少なくとも、俺は好きだな。
130名無しさん@ピンキー:2010/12/11(土) 13:25:01 ID:Yg3VdRcH
>>128
気になるところがある場合は、あとで「完全版」に改稿して、まとめの掲載内容を
差し替えるといいとおもう。

俺にも経験があるが、書いてるうちに、多々気になるところや、以前書いた部分で
直したい箇所がたくさん出てくるものなんだが、途中でそれをやりはじめると
収拾がつかなくなるんだよな。

まず、自分が現在一番フィットするスタイルで、書きたいところまで書いたほうがいいよ。
俺のケースだと、最初のほうと最後のほうで自分の文体に変化が出てたりしたから、
書き終わった後からかなり調整を入れた。
131名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 14:02:36 ID:QkdKdUTK
ベアトリスはあんま人気ないのかな?ツインテールがけっこう好みなんだが
132大人才人:2010/12/12(日) 16:42:25 ID:IfqOmqB9
イルククゥでシルフィードなのね〜
今回はある部分を独立しておくため、レス数が少ないのね
wiki掲載時にも注意願いますのね
でも作品中必要な表現なので、一回は読んで欲しいのね

では注意事項なのね〜
・警告!!
・以下に該当した方は即刻ブラウザを閉じるか、携帯の電源を切るか、バックして下さい
・18歳未満の方
・心臓の弱い方、過激な表現が苦手な方
・飲食中の方、体調の優れない方
・今回投下分に対し、作者氏ねはGJと同義語になるのでご注意
・此を守らず、気分が悪くなった、リバースしたと言われても、表現に寄って体調に影響を与えた文章を誇りかねません
・wikiコメントにて語った部分なので、深呼吸し、覚悟を決めてから、読んで下さい
・5レス前後

では、闇の部分たる大人才人の始まりなのね〜
きゅいきゅい
133大人才人 拒絶2-1:2010/12/12(日) 16:44:20 ID:IfqOmqB9
慰安所では、兵士達が女を複数で犯している
聞こえて来るのは下卑た笑い声と獣の様な唸りや叫び、時折聞こえる女の泣き声と、逆にずっと笑い続ける声
兵士達は一旦射精すると、別の女を味わう為に移動したり、そのまま一人の女にずっと居座ったり、多様だ
「うぅおぉぉ、出る!!」
「おぅ俺もだ。全部飲めよ」
二人に射精させられ、女は潜もった声を出す
「んぐ、ん゛〜〜〜〜!?」
「おぅ、きっちり出したら交替だぞ?ルール無視すんなよ?」
「解ってんよ。次は士官候補生様の番だろ?坊っちゃん、女は初めてか?」
「あっ、はい」
「此所に居る女はな、元王党派の女共だよ。我々レコンキスタによって、こうやって再教育してんのさ。士官候補生殿。レコンキスタの精神を、このマンコにしっかりと教育なさって下せい」
「…ですが、僕は」
兵は士官候補生の少年の股間をがしりと掴む
「なんだ、しっかり勃起してんじゃないですか?安心して下さい。初めてだと直ぐに出しちまうかも知れませんが。出してないって言えば良いんです。士官候補生殿が出してないって言ったら、出して無いよな。お前ら」
「おぅ、その通りだ」
回りの兵士達がやんやと冷やかす
「では、候補生殿。僭越ですが、お手伝いさせて頂くであります」
そう言って、別の兵士が候補生を後ろからズボンのベルトを外し、下着事ずり下ろす
「ありゃ、剥けてないのか。大丈夫ですよ。全部やらせます、おい」
交替して女にくわえ込ませてた兵士が離れ、女を候補生の股間に誘導させる
「候補生殿を、御立派にして差し上げろ。その後、候補生殿の全てを受け止めて差し上げろ」
女は素直に候補生の包茎をくわえ込み、口の中で包茎をずるりと剥き、敏感な亀頭を露出させる
「あ、やだ、気持良い。駄目」
「我慢です、候補生殿。候補生殿が持たぬ。さっさと尻を向けろ」
くわえたイチモツを離すと、剥けたばかりの亀頭が赤く反り上がって、候補生の腹にピタンと当たる
すると女が丸い尻を向け、その女隠から精液が垂れるのを見て、候補生がゴクリと息を飲む
「さあ、良いですか?ここの穴に当てがって、一気に挿入して下さい。躊躇すると上手く行きませんよ。後は好きなだけ出すんです」
「は、はい」
心臓をばくばくさせながら、陰茎の角度を手を当てがって調節し、丸い尻の中央にある膣口に触れると射精したくなるのを我慢し、一気に挿入する
ぬるり
134大人才人 拒絶2-2:2010/12/12(日) 16:46:12 ID:IfqOmqB9
「う、あっあっ、うわぁぁぁぁぁ!!」
初めての挿入で剥き立ての陰茎はあっさり射精し、後は本能に任せて腰をがしりと掴み、ひたすら腰を振りまくる
「うわぁ、気持良すぎる、駄目。止まらないよぅ。あぐっ」
腰を奥に打ち付けた状態で直ぐにまた射精し、痙攣する
「出してませんよね?候補生殿」
「……も、勿論だ。ぼくはまだ、出してない。まだ、出来る」
腰が動き出すと、回りから口笛がピューピュー吹かれる
「では、存分に味わって下さい。良いですか?限界迄やるんですよ?遠慮なくやって下さい」
「…わ、解った」
候補生は全てを射精するべく、腰を振っては痙攣を繰り返し、兵士達は女の口にイチモツをくわえ込ませ、初めての候補生が全て出しきる迄、やんやの喝采で応援した
「全部出しましたか?」
候補生は全てを出しきり、女に突っ込んだまま頷いた
「満足ですか?」
「また、したい」
「では候補生殿。しかと訓練致しましょう。非番になったら、また皆で来ましょうや。今度は、沢山の女で遊びましょう」
候補生は頷いて、所属兵士達と共に館を後にし、別の男達が直ぐに女に取り付いた
慰安所では日常である

*  *  *
亜人達の拠点は、一般兵とは距離を充分に取られている
何故かと言うと、新兵には刺激が強すぎる所か脱走しかねず、古参には良い顔されないからである

此所はトロルの駐屯地。陰惨な光景が、篝によって、映し出されている
トロルの身長は成体で約5メイル
そのトロルが人間の男を掴み、ニヤニヤしながら力を入れ始めた
「ひ、嫌だ。助けてくれ。誰か、ぎゃぶ!?」
プチン
一人の男がトロルにより潰される
両手によって、徐々に力を入れられ、肉がプチっと、ある時点で弾けたのだ
そのまま口で噛み千切り、食べてしまった

「やだやだ離して、助けて、誰かお願い!?嫌ぁぁぁぁぁ!?」
「ゲラゲラゲラゲラ」
トロルは人間の女を笑いながら服を千切り、勃起したモノを見せ付ける
体格の割には然程大きいとは思えない
せいぜい長さ50サント太さ4サント程度で、長い円錐状になっている
「ひ、嫌。誰か、いやいやいやぁぁぁぁ!!」
ズブリ
「あがっ、ぐっ」
女は目を見開き、痙攣している
すると、収まりきらない部分が部分的に膨らみ、女の中に、脈動を伴って、押し出された
「あがっ、いぎっ、何っ、これ?」
135大人才人 拒絶2-3:2010/12/12(日) 16:49:19 ID:IfqOmqB9
女の子宮に何かを産み付けられると、別のトロルが女に対して勃起したモノを見せ付ける
其は人間と同じ形の男性器である
只、直径4サント、長さ50サントと、人間には大き過ぎる
先程挿入したトロルが膣から抜き出し、別のトロルに女を渡し、勃起したモノを股間に当てがうと、無造作に挿入する
「いぎぃぃぃぃぃ!?」
女はまた痙攣するが、そのままトロルは射精すると、大量の精が子宮に直撃し、収まりきらない分が結合部から吹き出す
「ごれぇぇ、たまご?」
人間の女を使った産卵
別に人間で無くても構わないが、人間を使うのがトロルは好きである

傍らには、腹を大きくした複数の女が転がっている

更に奥には、はち切れんばかりに腹をでかくした女が痙攣を始めた
「ぐっ、ぎゃっ、あぎゃぁぁぁぁぁ!!」
ブチブチブチブチ
腹を食い破って、トロルの赤ん坊が顔と手を出し、そのまま産卵床になってた女を食い始める
ブチ、クチャクチャクチャクチャ
二体のトロルの赤ん坊は、まだ息の有る女を、生きたまま食い始め、女は断末魔の叫びと共に、無茶苦茶に手足を振り回す
「あぎゃぎゃぎゃぎゃ、ぎゃっ!!」
ブチ
トロルの赤ん坊が心臓に噛みつき、心臓が潰れ、事切れた
真っ赤に染まったトロルの赤ん坊は臍の尾が胎盤に繋っており、子宮で孵化後、子宮内で栄養を貰ってたのが解る
女達は堕胎しようにも、子宮口を孵化した赤子が塞ぐ為、許されず、口には腐りかけた人間の肉を食わせられ、全員目が虚ろになっている
待つのは緩慢な死で、最期はひたすら苦しむ事になる
トロルが嫌われるには充分な理由だ

*  *  *
オークの拠点は更に悪臭が伴っている
そんなオークの拠点に、メイジ兵達がレビテーションで女と子供と赤ん坊を運んで来た
「ほらよ、約束のもんだ」
ドサッ
女は臨月であり、いつ産まれてもおかしくない
オーク達がピギィピギィ鳴きながら、子供と赤子を持ち上げる
「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ、おぎっ」
がぷりと一口で赤ん坊の頭を噛み砕くと、そのまま胴体も噛み砕き、飲み込む
其を見た子供と女は蒼白だ
「やだぁ、やだやだやだ。助けて、お父さんお母さん、いやぁぁぁぁ、ぎゃあああああ!!」
ブチブチブチブチ
足に噛みつかれ、股から先を噛み千切られる
オーク達は笑いながら、その子供に群がり、四肢を各々腕力で引き千切り、食い始める
ブチブチブチ
「ぎゃぁああああああ!!」
136大人才人 拒絶2-4:2010/12/12(日) 16:52:01 ID:IfqOmqB9
どんなに悲鳴を上げてもオーク達が笑うだけで、誰の助けも来ない
胴体と頭だけになった子供から、手足の付け根から大量出血し、その子供の腹にオークは指先を突き入れ、臓物を掻き回し、子供が痙攣する
その子供の臓物を手に絡めながら引き出し、ずずずと吸いながら生かしたまま食べる
アルビオンのオークにとっては通の食べ方で、現在流行っている踊り食いである
どれだけ、生かしたまま食べられるかで、競い合うのだ
腰を上手くねじ切り、また食う
激痛が激し過ぎて既に麻痺し、子供は自身が食われて行く様を目の前で見せ付けられ、絶望で既に声すら出せない
目をつむると瞼を千切られ、無理矢理食われる様を見させられた
「い、ひ、や」
オーク達は盛り上がって、ぐちゃぐちゃと食べる
「ピギィ、ピギィ」
獲物が恐怖に狂えば狂う程、オーク達は盛り上がる
そのカニバルを目の前で見させられ、後ずさって逃げようと妊婦に、オークが腹を踏み、絶妙な力を入れる
パシャン
無理矢理破水させられ、口にある植物の葉を突っ込まれ、無理矢理飲み込ませられる
すると、陣痛が始まり、出産が始まった
「え、やだ。産まれちゃう!?」
飲み込まされた葉の効果で、特に苦もなく、あっさりと出産させられる
ぬるり、ぼと
「ふぁ、おぎゃぁ、おぎゃぁ、おぎゃぁ」
137名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 16:52:56 ID:QkdKdUTK
あんま残酷表現が強いのもどうかと思うが
138大人才人 拒絶2-5:2010/12/12(日) 16:54:14 ID:IfqOmqB9
産まれたばかりの赤ん坊をオークが掴み上げ、そのままがぶっと噛みついた
「おぎゃぁ、おピッ!?」
あっさりと胸迄噛み千切り、ぐちゃぐちゃやり、飲み込むと下半身も続けて食べる
「嫌ぁぁぁぁぁぁあぁ!?赤ちゃん赤ちゃん!?止めてぇぇぇぇぇぇ!!」
産まれたての赤ん坊は、オークの大好物だ。止める訳が無い
その為、妊婦をオークは歓迎する
「いやぁいやぁ。こんなのいやぁあああぁぁぁぁ!?」
続けて胎盤が排出されると、オークは女をひっくり返し、尻を抱え、イチモツをズブリと差し込んだ
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
そのまま腰を軽く振ると、直ぐに射精するが、決して抜かず、そのまま女を持ち上げ、女達とまぐわっているオーク達の元に歩く
オーク達がまぐわってる女には、手足が無い者が多く、また腹が膨らみ、妊娠してる者も多数居る
そんな女達は全員気が触れており、けたけた笑っている
「きゃはははははは」
「ピギィ」
パンパンパン
そこかしこでオークが女達に継続的に射精し、女は只ひたすら受け止める
最早、女にもオークの悪臭がこびり付き、例えオークの元から逃げ出しても、その臭いは取れないだろう
「きゃはははは。おや、あんた見ない顔だねぇ、今日来たのかい?」
「いぎ、うぐ。そうです。兵士達に輪姦されて妊娠した挙句、此所で出産させられ、今、赤ちゃんを食べられました。こんなのいやぁ」
「きゃはははは。安心しなよ。私も同じさぁ。赤ん坊なら、年に3回は産めるさ。あのオーク様のね」
「………ウソ」
「嘘じゃないさ〜。今私を犯してるオーク様はさ、私が一年前に産んだオーク様さ。アンタもオーク様の牝として、がんがん産むんだね。逆らうと、あの娘共みたいに手足千切られた上に、自分の肉をオーク様に食わせられるよ」
「そんなの、いやぁぁぁぁぁ!!」
「じゃあ、踊り食いして貰いなよ。死ぬ気で逆らえば、食べて貰えるさぁ」
先程踊り食いを見せられた為、震える
「其もいやぁ」
「きゃはははは。私達の飯は、獣の肉か人の肉さぁ。アンタも私もオークだよ。あはははははは」
完全に壊れた笑いで、オーク相手に腰を振る
此所で五体満足で生きるには、オークに媚を売るのが賢いやり方だ
オークは、暇なら四六時中交尾をしてるので、オークに尻を振り、アピールするのが可愛いがって貰う秘訣である
オークは気に入らない場合、あっさり手足を千切り、喰らうのだ
今日、連れて来られた女は生き残るだろうか?
139大人才人 拒絶2-6:2010/12/12(日) 16:55:31 ID:IfqOmqB9
それは誰にも解らない

*  *  *
140大人才人:2010/12/12(日) 17:04:22 ID:IfqOmqB9
投下終了なのね〜

大人才人タクティクスなのね
今回はコルベールなのね〜
「……まぁ、見ての通り。大人才人のハルケギニアは、決して楽園ではないって言う事だ」
「だからこそ、オーク討伐は、称賛される行為でもある訳だ」
「人間側からすると、確かに残酷なのだが、実は人間も踊り食いとかしている為、立場を変えれば五十歩百歩なのかも知れない」
「何故なら、彼らオークやトロルに取っては繁殖と言う必要な行為だからだ」
「彼らと人間は決して相要れない相手だと言う事が、お解り頂ければ、嬉しく思う」

有り難うなのね〜
では、次からはそういう部分は無くなるから、安心して下さいなのね
きゅい
141名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 17:07:12 ID:QkdKdUTK
了解しました。でもグロがだめな人もいるから加減お願いします
今回は腹がムカムカして興奮もなにもなかった
142名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 18:33:20 ID:MSa/+yzb
作者の勇気に心からのGJ。

143名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 20:39:56 ID:BFjCAwMR
最初に注意書きをしっかりしている時点でダメな人は回避しようぜ。
まぁこういう描写があるぶん、サイトの本気が増すんだろうから、
今後の展開に心より期待!
144名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 21:05:15 ID:/H7R8sfm
アレだけ警告したのに愚痴言われるとか堪らんだろうけど気にしないで頑張ってくだちい
145名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 22:22:18 ID:lPQkN0q8
ちょっとオーク討伐してくる
146名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 22:31:53 ID:Erxb5Q6r
注意書き、心臓が弱い人は〜みたいな婉曲な言い方じゃなくて
グロ注意、食人有りで良かったんじゃね
過激表現なんて個々人でハードルが違うし、スカはOKでも切断はダメとかそういうのだってあるでしょ?
147名無しさん@ピンキー:2010/12/12(日) 23:58:52 ID:BIyvDABL
スカは過激表現とは言わないだろアホか
注意書きを読まずに文句を言ってる馬鹿がいるからダメなんだろ
148名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 01:59:28 ID:nc1Udzpa
ここは大人才人さんのスレなんだから気に入らない奴は出て行けばいいだけのこと。

>>140
超GJでした!
荒らしに負けずに頑張ってください!!
149名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 02:35:49 ID:tBLAvGup
子供が来るところになったのか
150名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 06:11:25 ID:PjMeum9Z
>>148
それは違うが••••••まぁ他に人がいないのも仕方ないもんなぁ。
151名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 06:58:51 ID:Z+lOGHtR
>>146
うむ。俺も切断は平気だが肉食はあまり好かんな。
食べるなら脳味噌だけ啜って原型保ったままレイプ目でアウアウ言っているのが好みだ。
グロでも人間がやるのは0Kで獣や触手はダメと言う人もいるし
ある程度予測(モンスター姦)がつくとはいえ、親切とは言えない注意書きだったかももな
152名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 07:15:10 ID:YTjYldR1
グロ注意などの注意書きが欲しかったな・・・

使淫魔やボルボ氏せんたいさん他作者さんが戻ってくるのを待ってる人もいるんだぜ

大人才人作者さん、いつも読ませてもらっているので次を楽しみにしています
153名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 09:55:55 ID:e5XtQQmc
自演乙
いい加減ガキは出て行けよ
154名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 12:35:42 ID:3Rde1vlM
wikiのコメント〜と書いてありそのコメントにもこのような内容が示唆されていた以上
自分でできる事を惜しんだ馬鹿が存在しているというだけだ
しかも割り込んだ馬鹿がだらだら言ってるわけだしそういうのと同レベルの人しか居ないのかい?
155名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 13:47:58 ID:OgxwccV2
WIKIを全員が前もって見てる訳じゃないと思うよ
変態紳士なら煽るようなことはせず落ち着こう
156名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 18:10:48 ID:Xd0j08xC
>>152
>使淫魔やボルボ氏せんたいさん他作者さんが戻ってくるのを待ってる人もいるんだぜ
まったく同感。ところで>>103の言うとおりググってみたがそんなブログは見つからなかった。やっぱ釣りだったかな?
157名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 20:13:59 ID:KocaJoU1
零の使淫魔でググるとでてきたぞ?
158名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 21:37:40 ID:DSAcwF38
満足にググることもできないガキは一生ROMってろ
159名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 22:31:50 ID:3Rde1vlM
これ思い出した

           YES → 【ヒットした?】 ─ YES → なら聞くなよ。死ね。
         /                \  
【検索した?】                     NO → なら、ねぇよ。死ね。
         \                   
            NO → 死ね。
160名無しさん@ピンキー:2010/12/13(月) 22:39:48 ID:8hnOx2Gm
驚いた。結構住人居るんだねぇ
グロ云々に付いては皆意見有ると思うけど、兵士の輪姦すら、人に因っては『過激な表現』になるって事です
だから、今回投下分は、全てが過激な表現になる訳です
後、作品を投下する姿勢として、良い意味でも悪い意味でも『読者を裏切る』事が肝要かと存じます
つまり、ああ、やられた。この手で来たかって言わせたら、作者冥利に尽きるかなと
だから、敢えてぼかしてます。ある意味、不案内も作品の内なのです
初めて読む文章を、読み解く楽しみを提供出来れば良いなぁと、思ってます

>>130
それやると、絶対収拾付かなくなる自信があるw
恥も作品の内って開き直ってますw

>>148
違うよ。せんたいさんのタバサルートの続きとか、バレット氏の青から始まる物語の続きとか、X42氏の続きとか、ボルボ氏の白い百合の元での続きとか、205氏の作品とか、アトピック氏の作品とかも待ってるよ
勿論新しい作者の作品もね

>>157>>158
母さん上手くググレなくてごめんね
同人誌しか引っかからくて、ごめんね

外燃式1ストロークピストンエンジンと機械式可変ピッチプロペラと蒸気式エレベーターと蒸気式船体開閉機構とチェーンプーリー駆動式操舵の設計で手一杯っす
ボイラー作るのは、えらい簡単だったんだよなぁ

もう、こんな設計フィクションと言えど二度とやらんw
161名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 00:59:19 ID:OACMivTD
毎回期待していますが、悪い意味で裏切られるのは困りますw
162名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 01:42:31 ID:A285Qm8x
ブログがあるらしいし
これで少しはガキも減りそうだな

大人才人作者さんはガキや荒らしに負けずにがんばってくれ
163名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 03:18:42 ID:/bIOI+re
>157
>零の使淫魔でググるとでてきたぞ?

エロ同人誌が出てきたじゃねーかよ!!



早速保存した、ありがとうございます。
164名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 04:09:39 ID:rnhhVybN
何だ割れ厨か
通報しとく
165名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 17:00:44 ID:WbMsIHA1
今このスレは大人才人さん一人で支えられてるようなものだからいなくなられると困る
166名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 21:37:58 ID:rnhhVybN
さすがにそれは気持ち悪い
167名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 21:55:58 ID:u0N8lSIe
事実を気持ち悪がるガキは去れ。
168名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 23:15:18 ID:Z2TE1SWH
>>160
>ボイラー作るのは、えらい簡単
ここで思い至ったのだけど、ボイラー=高圧力のガスに耐えられる容器だから、
これの応用で圧力鍋が作れそう。時間の掛かる煮込み料理がごく短時間で片付いて
大喜びしてるマルトーさんたちとか、未来のヒラガ領の主力製品として
販売されている光景を幻視したw

あとゼロ戦の改修時に計算した時、サイトって算盤を作らなかったのかな?
慣れてないと使いにくいだろうけど。もしハルケギニアに算盤が無かったら、
珠算とともに伝えたらよい商売が出来そう……。
169名無しさん@ピンキー:2010/12/14(火) 23:25:06 ID:6NUgxKnC
>>168
算盤は13巻で聖堂騎士隊との一戦で壊された店主が弾いていた。キュルケが「ちょっとお高いんじゃなくて」とか言っていた。
15巻でもレイナールがサイトの賞金数えながら使ってた。
170名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 21:00:21 ID:fO2+ENQm
油揚げ
171名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 21:40:51 ID:wRA+8RHx
>>170
ageんなsageろ
172大人才人:2010/12/16(木) 23:46:53 ID:nVbiwafM
イルククゥでシルフィードなのね〜
徹夜後翌日に残業と、ズタボロな大いなる意思なのね
現在更新中の話が投下終了次第、2月中旬迄、投下は控えさせて頂くのね
理由は1月2月で、国家資格試験とJIS試験が6つ重なってるので、試験勉強に費やす必要が有るそうなのね
国家資格のは前回落ちた奴なので、真面目に勉強に費やす必要があるのね、きゅい

>>168
圧力釜は無理なのね〜
理由は冶金技術が低いからなのね〜
最低でもプレスと金型、又はへら絞りが必要なのね
そして加工に耐えうる輾性と、強靭な強さが必要なのね
軟鋼すらまともに作れないハルケギニアじゃ、絶対に無理なのね
銅では、連続開閉使用により、歪んで使い物にならなくなるのね
ニッケルとクロムが発見されてない世界だから、諦めるのね〜
何気に圧力釜はハイテク製品なのね、きゅいきゅい

では注意事項なのね

・才人年齢上昇
・トリステイン情勢
・10レス前後、30分以上開いたら多分寝落ち
では、反映後、投下開始なのね〜きゅい
173大人才人 拒絶3-1:2010/12/16(木) 23:49:56 ID:nVbiwafM
『此は……夢だ。だって、俺の家に居やがる』
才人は夢の中で、ベッドに寝ており、誰かを添い寝している
才人と同じく艶やかな黒髪が腰迄あり、非常に小柄な少女だ
少女はすらりとしており、背格好は恐らくタバサと同じ位だろう、身体の線の細さ、優美な曲線は、ルイズ並に魅力的だ
下着だけであり、下着は可愛いショーツとお揃いのブラ。但し、ブラを付ける必要は疑問である
顔立ちは、愛嬌と可憐さが同居し、非常に愛らしい。才人に多少似ている
その少女が才人に覆いかぶさり、キスをし、才人を揺さぶり起こす
『〇〇〇ちゃん、起きて、今日は仕事早く終わるの?〇〇〇つまんない』
『ん?あぁ、朝か。おはよう〇〇〇』
『〇〇〇ちゃん。ちょっとは、仕事休んでよ。〇〇〇にバイク教えてくれるって、言ったじゃない』
『そうだな。でもNSRの調子見ないとな。今日、親方に聞いてみるわ』
『ふんだ。〇〇〇をほっぽる〇〇〇ちゃんなんか嫌いだ』
『そりゃ良かった。さっさと独り立ちしやがれ。未だに風呂も寝るのも、独りじゃ無理の癖に』
『良いんだもん。〇〇〇はずっと〇〇〇ちゃんと一緒だもん。お嫁なんかに行かないもん』
『そりゃ駄目だ。俺は、お前の花嫁姿を見るって、お前と約束してるからな』
『〇〇〇ちゃんが〇〇〇を花嫁にすれば、万事解決だよね?』
『何言ってんだ。〇〇〇は俺の〇だろ?』
『ふんだ。〇〇〇は橋の下で拾われて来たって、〇〇〇ちゃん言ってたもん。だから大丈夫だもん』
『……10年以上前の事、未だに憶えてんのか』
『〇〇〇ちゃんだって、憶えてるじゃん』
『ありゃ、一本取られてしもた』
才人は苦笑しながら起き上がり、着替えると、さっさと降りる
『お前も着替えろ、〇〇〇』
『は〜い』
パタン
『……〇〇〇はね、〇〇〇ちゃんの言った事は全部憶えてるんだよ。あの時に失ったモノをね、〇〇〇ちゃんが取り戻してくれた時から、〇〇〇にはね、〇〇〇ちゃんだけなんだよ……』

『才人、おはよう』
『おはよう、母さん。手伝うよ』
『あら、有り難うね。〇〇〇は才人のご飯しか食べないからねぇ』
『母さんの味噌汁だけは飲むじゃん』
『あら、5年も掛ったわよ』
『もう少しだからさ、頑張ろうよ。母さん』
『本当に、才人が居なかったら、どうなってたか』
『……俺は、間に合わなかったんだよ』
『…そんな事無いわよ』
174大人才人 拒絶3-2:2010/12/16(木) 23:51:39 ID:nVbiwafM
『……俺は、アイツが一人前になるまで、女は作らない』
『困るわぁ。私に早く孫見せなさい』
『第一相手が居ねぇよ』
『……そりゃ、〇〇〇があれだけやればねぇ』
『はぁ?』

トントントントン
階段を軽やかに降りてくる〇〇〇
その格好はセーラー服だ
髪を結い上げ、ポニーテールにしており、艶やかな髪がふりふりと揺れる
『今日から私も高校生だ。感想は?』
『ん、可愛い可愛い』
才人が頭を撫でると〇〇〇は目を細め、嬉しそうにする
『ここに居るのは世界一の美少女だよ。もっと誉めなさい』
『〇〇〇様の腰はドラム缶の様にくびれ、その胸は神々しい洗濯板の様であり、その尻は差し詰め座布団の如くで有りましょう』
ドゲシ!!
『朝からお約束するなぁぁぁぁぁぁ!!』
『あたたた、じゃあ行って来る』
才人は先に飯を食べており、出勤の為に玄関に行くと〇〇〇が付いて来る
『〇〇〇ちゃん、行ってらっしゃい』
『行って来る。今度の日曜と来週の日曜は、休みになるように、お願いしてくるよ。今度の日曜はNSRの調子見る為に出掛けるからさ、来週は二人で行こうな』
『本当に?』
『あぁ。その為に、今日からバリバリやって来る』
『うん、解った。行ってらっしゃい』
チュッ
〇〇〇は背伸びをして才人の口に軽くキスし、紅くなる
『そういうのは、大好きな男にやれよ』
『じゃあ、問題ないもん』
『さよか』
パタン
『あぁ、そうか、事故の数日前だこれ。アイツ、飯食えてるかな?また、喋れなくなってないかな?泣き腫らしてないかな?こんな所で、時間潰してる訳にはいかねぇ!!早く帰らないと』
『〇〇〇!!』
夢の中で手を伸ばし、其所で目が覚める
眼を瞬かせ、独りごちる
「……夢か」
「随分うなされてたな、才人」
「はい?」
身体の上には、アニエスが全裸で乗っており、その鍛えた肉体に女の魅力を醸し出し、体臭は才人にとって蠱惑的で、身体が勝手に反応する
「うむ、また大きくなったな」
「ええと、何でこんな状態に?」
「覚えて無いのか。貴様は死にかけたんだよ」
才人のモノを股間に挟み、軽く腰を動かしながら話すアニエス
「そうか。有り難うアニエスさん、退いてくれるか?」
「断る。陛下の診断だと、まだ貴様は大して動けぬそうだ。体温維持も、明け方から出来る様になった位だ。試しに、身体を動かしてみろ」
「ん?あぁ………力が入らねぇ」
「ほれ見ろ。血を流し過ぎたんだよ」
175大人才人 拒絶3-3:2010/12/16(木) 23:54:58 ID:nVbiwafM
「ふん、貴様のお陰でトリステインは救われた。改めて礼を言う」
「竜騎士達は?」
「貴様の要請受けて、喜んで働いたよ。全員ヴァルハラだ」
「……後で墓を教えてくれ」
「あぁ、その時には、一緒に行かせてくれ」
「俺が居なくても何とかなったか?」
「お互いの戦力差からの分析結果だと、勝つ確率は2割切った。先ず間違いなく負けて、トリスタニアは陥落していた。陛下も私も、生きては居ないだろう」
「…偶々だ」
「偶々で、竜騎士26騎撃墜、レキシントン中破出来るのは、貴様だけだ」
「俺は、何人殺した?」
「レキシントン47名、竜騎士5名だ。貴様の様に、今瀕死で生死の境をさ迷ってるのが30名程。更に増えるだろうな」
「……」
「戦争だ」
「解ってる」
「私の手も血に塗れた。私も、お前と同じ人殺しだ。貴様の業に、地獄迄付き合ってやる」
「…アニエスさん」
アニエスからキスし、舌を絡める
チュッ、チュッ
「うふ、また大きくなったな。凄い堅いぞ」
「身体は動かないってのに、本体を裏切りやがって」
「クククク、正直だな」
そう言うと、アニエスは才人の刀に手を添え、自身の密壺に挿入した
「あっは。くう、堅い。……こんなの、初めて」
「…アニエスさん」
「済まん。貴様が初めてでは無い」
アニエスから、涙が一筋落ちる
「只の平民が近衛になるまで栄達するには、時には身体を差し出す必要もあったのさ」
「言わなくて良い。言わなくて良いよ」
「駄目だ。言わせてくれ。私は薄汚い売女だ。己の復讐の為に、身体すら差し出して、ひたすら上を目指して来たんだ」
グチュ、グチュ
アニエスは腰をねっとりと振り、才人を高まらせる
「アニエスさん締まり凄。出る」
アニエスはしっかりと腰を打ち付け、才人の射精を子宮口で受け取り、精を存分に吸い上げる
ビクンビクン
「……まぐわいが、こんなに良いものだとは知らなかった。才人、どうしてくれる。更に気持ち良くなりたくなったぞ?」
「……俺は、まだ身体が動かねぇ」
「そうだ、此はレイプだ。貴様の心に傷を負わせてやる。私を絶対に忘れないようにな」
「…アニエスさん」
「何だ?」
「アニエスさんには悪ぶるのは似合わないね。素直に言ってくれ」
ビクンと身体を震わせるアニエス
「…まだ、私に夢を見させてくれるのか?」
「夢も何も、俺は思った事しか言わないさ」
「……こんな、私でも…大丈夫なのか?」
176大人才人 拒絶3-4:2010/12/16(木) 23:55:56 ID:nVbiwafM
「アニエスさんは美人だよ。自信持って」
「本当に…お前は…」
才人の胸に涙をぽたぽたと足らし、アニエスは更に腰を振り始める
「良いか、才人。私はもう、お前にしか抱かれん。お前が好きな時に、好きなだけ犯せ。私は、お前以外欲しくない」
「アニエスさん、ちょ、激し、俺まだ完治してない」
「ハッハッハッ。駄目だ。こんな時でないと、好きに出来ないではないか。はっ、あ、何か来る?何これ?あ、あひ、ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ビクンビクンと才人の上で痙攣し、才人はまた射精する
そのままくたりとアニエスは才人の胸に身体を預け、膣と子宮は才人を求め、腰が勝手に動く
「駄目だ、腰が止まらない。何これ?やぁ、どんどん変になる」
「もしかして、初イキ?」
「あんなの初めて。もっと………欲しい」
グチュグチュ
アニエスは鍛えられた身体がタフネスを与え、間断なく才人を攻め立てる
才人は抵抗出来ないのでなすがままだ
「ハッハッハッ。本当だ。こんなの溺れる、溺れちゃう。才人の堅いのが良い。才人の最強の武器が良い。ハッハッ、もっと、もっと欲しいの。幾らでも出して。あはぁぁぁぁぁ」
アニエスはまた絶頂し、絶頂と同時にキスをねだり才人は射精しながら応える
「才人、もっと、もっと頂戴。もっと沢山犯して良いから、もっとぉ」
「……お願いだから、勘弁してくれ」
「駄目、止まらない。止まらないんだ」
アニエスが存分に才人を味わい、何度も絶頂し、才人を見下ろすと、才人の意識が無くなっていた
「…あっ、夢中でやり過ぎた。才人、才人」
パチパチ頬を叩くが、才人は気絶したままだ
アニエスは心臓を確認する
鼓動は確かだ
「…良かった、腹上死させる所だった」
「あら、其は流石にやり過ぎじゃございません?」
ビクッとしたアニエスが振り返ると、其処には王冠を被ったアンリエッタが、にこにこしながらアニエスを見ている
勿論、アニエスは繋がったままだ
アニエスは興奮とフェロモンを振り撒く才人の好む汗から、一旦して冷や汗をダラダラ流す
「あ、あの、陛下?此は、その」
「あら、良いのですよ。きちんと命令通りじゃないですか」
「はっ」
177名無しさん@ピンキー:2010/12/16(木) 23:56:06 ID:ZOBDCnRQ
シエンスタ
178大人才人 拒絶3-5:2010/12/16(木) 23:58:20 ID:nVbiwafM
「ですけど、まさか私のベッドでやるとは、思いませんでしたけどね」
「……大変な失礼を」
「いいえぇ、でも、私も混ぜてくれないなんて、酷いですわ。一緒に、使い魔さんの身体を暖めた仲では有りませんか」
「あの、陛下は純潔を保たないと駄目なのでは?」
「結婚するなら構わないでしょう?」
『うっわ、さらりと出来ない事を口にしやがったよ、このアマ』
「今の私は女王ですので、国内法をちょいちょいって、いじれば良いのですわ」
「…陛下」
「はい」
「私をからかってますね?」
「えぇ、勿論。だって、何時まで経っても離れようとしないんですもの。ルイズが起きて見たら、どうなる事やら」
その可能性に気が付いた瞬間、アニエスは抜き、中からどろりと精液が垂れる
「あらあら、随分と激しくなさったみたいね。ちょっと検分させて下さいな」
アニエスから精液を指で掬い上げ、確認する
「ん、大丈夫です。子種はちゃんと機能してますね。女性側に問題無ければ、孕めますね」
「陛下?」
「妊娠を望みますか?アニエス」
「いえ、まだ其処までは」
「では、痕跡を消します。証を消しますので、覚悟して下さい」
アニエスは幾分落胆しながらも、頷いた
「ははっ」
アンリエッタが浄化をかけ、アニエスとベッド、才人に付着してた情事の後を全て綺麗にする
「ふう、此で良し。使い魔さんの容態は………アニエス、搾り過ぎです。回復が遅れてしまいましたわ」
「も、申し訳ございません」
「仕方有りませんね」
そう言ってアンリエッタは全部服を脱ぎ、王冠を適当に投げ、治癒を詠唱してから、才人の隣に身体を絡めて悦に入る
「あの、陛下」
「はい」
「王冠の扱いが、ぞんざいではございませんか?」
「あら、あんなのの何処が良いのです?使い魔さんの肉体のが、余程素敵ですわ」
「…あの、陛下」
「何でしょう?」
「何処迄本気なのです?」
「其は、私も知りたいと、思っておるのです」
「…はっ」
二人は、そのまま才人が起きるか、交替が来る迄、左右から才人を抱きしめた

*  *  *
「んあ、あれ?」
才人が起きるとアンリエッタとアニエスが全裸で密着してる
「あれ?姫様?」
「起きましたか?使い魔さん」
むにゅり
アンリエッタが身じろぎすると、豊かな胸が才人を刺激する
『さっき大量に射精したから取り敢えず大丈夫だ……て、程じゃねぇ。何この感触、生は反則レベルじゃねぇか』
179大人才人 拒絶3-6:2010/12/16(木) 23:59:43 ID:nVbiwafM
内心焦るが、アニエスに振り返るとアニエスは寝息を立てており、才人は安らかな寝顔を見て微笑む
「あら、アニエスと何か有りまして?」
『ええと、どうすっかな』
「あのままじゃ大変でしたので、浄化させて頂きましたの」
「…すいません、お手数をおかけしました」
「次は、私も混ぜて下さいまし」
「……考えさせて下さい」
「こんなに御立派なのに」
アンリエッタは、アニエス曰く最強の武器の柄をがしりと掴み、その刀身に指先を這わせる
「姫様、はしたないですよ」
「あら、殿方のを見るのは、初めてですのに」
顔を赤らめつつ、刺激を止めない
「だぁめ」
「なら、身体使って拒否すれば宜しくて?」
「姫様。解ってて言ってますね?」
「今なら、使い魔さんに色々出来ますわね」
「いや、まじ勘弁して」
「嫌ですわ」
「あっ、ルイズが来た」
「丁度良いですわね。使い魔さんを貰い受ける相談が、したかったものですし」
「ひ〜め〜さ〜ま〜?何の相談でしょう?」
アンリエッタの背後に幽鬼の如くゆらりと立ち、虚無の魔力がうねり、髪の毛が逆立って行く
その後ろには、メイド服を王宮で借りたシエスタが、笑顔で控えている
アンリエッタはそのまま、毛布の中で才人の最強の武器をこねくり回す手を止めない
「あら、ルイズ。ちょっと使い魔さんを貸して頂けないかしら?50年位で宜しくて?」
「こここの犬はこんなのでも、あたしのです。姫様に貸す訳には参りません」
アンリエッタは手を止めず、振り向きもせずに言う
「だって、殿方に裸を見せてしまいました。もう、責任取って頂くしか無いじゃないですか」
頬を染め、初々しい仕草をするアンリエッタ
『こんの、クソアマ。純情ぶりは本当に板に付いてるわね』
ルイズはひくつく。ルイズは幼なじみで本性を知ってる為、騙されない
「姫様。この犬は平民の屑の駄犬でございます。姫様の様なお立場で、この卑しい犬に施しをするのは、主人として嬉しく思います」
「ですが、これ以上は御世話になる訳には参りません。この犬を連れて帰りますわ。馬鹿犬、帰るわよ」
サイトは苦笑しつつ答える
「悪い、冗談抜きで動けねぇ」
「……サイト、本当に?」
「本当」
「じゃじゃじゃあ、さっきから股間の辺りが動いてるのは何で?」
「姫様に聞いてくれ」
「姫様?」
「はい、私の手ですの」
ぽっとしながらも、やはり手は止めない
180大人才人 拒絶3-7:2010/12/17(金) 00:03:43 ID:nVbiwafM
「ルイズ,シエスタ、悪いけど姫様引き剥がして」
シエスタがつかつか寄り、アンリエッタをべりっと引き剥がす
「女王陛下。才人さんの頼みですので、失礼致します」
「あん」
毛布の中から全裸でアンリエッタが出て、その豊かな胸がぷるんと揺れ、そのカタチの良い乳首迄才人に晒す
先程迄才人に密着してたのだが、其でも才人は見てしまう
其を見たアンリエッタは軽く唇を舐め、怪しい視線を才人に送った
『既成事実作って縛る積もりか。マジ、油断出来ねぇ姫様だな』
才人は冷や汗を足らすが、その才人に足が振って来た
ズン
「クハッ」
「…犬」
「……わん」
「今、何を見てたの?正直におっしゃい、多分怒るから」
「良いのか?」
「そそそそうね、正直に言えば、4倍増を3倍増に抑えても良いわ」
「解った。ルイズのかぼちゃパンツだな」
「えっ?」
ルイズは唖然とするが、才人を踏ん付ける為にベッドに飛び乗り、足を顔に対して縦に踏んでいる
当然視界が収まる訳では無く、そのおみあしから伸びて股間に続く迄、スカートの中は丸見えである
そして、才人の手当てで体温を奪われた分を保温する為、パンツを厚手にしていたのを、すっかり失念してたのである
才人にだけは見せられない、見せてはイケナヒパンツを見せてしまった
「い・い・い・いやぁぁぁぁぁぁ!?今見たの全部無し〜〜〜〜〜〜!!」
大きく脚を振りかぶり、才人を全体重で踏ん付けようとした所で、ガシリと脚が掴まれる
「何時もの調子でやるな、馬鹿。才人は重傷だぞ?」
「あれ?アニエスさん起きたの?」
「こう五月蝿くちゃ、おちおち寝てもいられん。やっと、暖かい状態になったってのに」
アニエスが身を起こした為、小ぶりだが形の良い胸が毛布からまろび出、引き締まった身体に女の丸みを乗せた優美な曲線が現れる
「馬鹿犬〜!!見ちゃ駄目ぇぇぇぇ!!」
「って、言われても」
「お互い、今更だしな」
才人とアニエスが恥ずかしがらずに応対した為、ルイズの気が抜ける
「もう踏まないから、いい加減離して」
「解ればいい」
アニエスが脚を離し、ルイズがベッドに腰掛けた
アニエスはそのまま、才人に添い寝してしまう
「アニエス、才人起きたから平気でしょ?」
「私の今の任務は才人の看病でね。陛下に完治と言われない限り、やる義務がある」
「うぐっ。ちょちょちょっと、姫様。もう良いでしょ?」
「専門家としての意見で、構いませんか?」
「はい」
181大人才人 拒絶3-8:2010/12/17(金) 00:04:38 ID:nVbiwafM
「必要です。全身の血がまだ回復してません。だから、身体が動かないのです。ちょっと冷えたら、また大変な事になります」
とうとう、ルイズも黙った
「では、納得して頂いた様なので」
剥がされた時のまま全裸で、そのままベッドに潜りこんでしまうアンリエッタ
「姫様?」
「交替時間はまだ先です。メイド、使い魔さん用の食事を貰って来て下さい」
「かしこまりました」
シエスタは部屋を出、厨房に向かって歩きだした

「さて、では秘密の話をしましょう。ルイズ=フランソワーズ。貴女、魔法に目覚めましたね?」
才人に身体を当てつつ、アンリエッタは真剣に話す
看病も兼ねてる事を全員自覚してる為、滑稽には映らない
「はい」
「虚無ですね?」
「あの、解るんですか?」
「アニエス。使い魔さんの左手を出して下さい」
「はっ」
左隣のアニエスが、才人の左手を出し、ルーンを見せる
「私共も馬鹿では有りません。使い魔さんの能力を知った後、ルーンを文献で調べた結果、ガンダールヴと言う事が、早期に判明しました」
「ガンダールヴは、始祖ブリミルが自分の呪文詠唱を守る為に創り出した使い魔です。当然主人のルイズにも、虚無の発現があるだろうと、予測はしていました」
「…あの、何処迄ご存知なのですか?」
「今話したのが全てです。ですが、近衛隊長とマザリーニ、其に私は知ってます」
「近衛隊長もですか?」
「軍事的に、戦果を確認して行った所、使い魔さんのガンダールヴのルーンのお陰で、始祖ブリミルの文献に該当しました。文献の拠述と一致した為、確定したのです」
「私も、自身が虚無とは、思いませんでした」
「どうやって、解ったのですか?」
「水のルビーをはめて、始祖の祈梼書を読む事により、出来ました。4王家に伝わる、4つのルビーを有資格者が填める事により、祈梼書が読める様になります」
「では、あの風のルビーもですか」
「はい」
「ルイズ、自身の虚無の喧伝は禁止します。また、近衛並びにマザリーニにも口にしない様に命令して有ります」
「虚無の力は大きい為、其に頼ってしまっては、国が立ち行かなくなってしまいます。また、狙う方が居ても厄介ですし。矢面に立つのは、私だけで充分です」
182大人才人 拒絶3-9:2010/12/17(金) 00:09:43 ID:QMbxwNQm
「私、この力はトリステイン国王たる、アンリエッタ陛下の為に授けられたのだと思います」
ルイズはそう言うと、才人は口を挟んだ
「違うな。俺と一緒で偶々だ。仮に有るなら、始祖ブリミルって奴だっけ?奴の呪いだ」
「サイト、始祖ブリミルの侮辱は、許されないのよ?」
「知らねぇな。俺はブリミル教徒じゃねぇ。俺からすりゃ、八百万の中の一柱だ」
「やおよろず?何それ?」
「神様が八百万も居るって事。トリステインの人口より多いんじゃね?」
「ガリアやゲルマニアに、匹敵出来ますわね」
アンリエッタが沢山の神が連なる様を想像して、呆気に取られる
「ルイズ、祈梼書の中に、それとない文章、無かったか?」
「あああ有るわけ無いじゃない。何で、そう思うのよ?」
「詠唱だ」
「詠唱?」
「そう、詠唱だ。あの時、ガンダールヴ以上の力を、無理矢理出させられた。ありゃ、使い魔としての『呪い』以外の何物でもない」
「虚無を呪いだなんて、不敬よ!!」
「敢えて言う。呪いだよ。血縁者に、自分の力を分け与えたんだろ?」
「そうよ」
「考えても見ろ。あれが強力なのは解った。だが、あんな使い難いモノを何で継承させる?代用手段なんて、幾らでもあるじゃないか」
「虚無の代用なんて」
「出来るだろ?今回の攻撃に使う手段としても、飛行不能にするだけなら、風石格納庫を破壊すれば良い」
「…でも」
「虚無の詠唱すれば、俺は今回みたいに、半死でも動けるぞ?ルイズはどう思う?良く考えろ」
ルイズは才人に完全に批判され、しかも言い返せない
「其でも、此はあたしが使える初めての…」
「その通りだ。だから、強力過ぎる自身の魔法の使い方を考えろ。むやみに使うな。其が力を持った者の責任だ」
「良いか、力を他の人間に預けるのも、手段としてはある。だがな、ルイズは其をやっちゃ駄目だ。自分なりに考え、自身の判断で用いろ」
「例え姫様でも俺でも信用するな。疑って疑って疑って、疑う余地が無くなってから、初めて信用しろ。其が、強すぎる力を持った人間の宿命だ」
「…才人は、喜んでくれないの?」
「憐憫はする。だが、喜べん」
「…何で?」
「多分、ルイズが不幸になる。そんな感じがする。今考えると、ワルドが何で、ルイズに固執したか理解したわ。つまり、ルイズはずっと、ワルドみたいな連中に狙われ続ける事になる」
「…守って……くれないの?」
「何人ガンダールヴを使い潰す積もりだい?ミスヴァリエール」
183大人才人 拒絶3-10:2010/12/17(金) 00:10:57 ID:QMbxwNQm
そう言われた途端、ルイズは椅子に座ったまま平衡感覚を無くし、床に崩れた
アンリエッタもアニエスも黙る
其なりに鍛え、其でも瀕死の重傷を負った才人の今回の状況から考えると、才人の非情な意見が正論だからだ


我は、歓喜と絶望を与えん
ブリミル=ヴァルトリ

*  *  *
交替後、シエスタとルイズは才人に引っ付いて居る
才人は久しぶりに食事を取り、滋養たっぷりのスープを、シエスタに飲ませて貰った
シエスタは才人の温もりに包まれると、あっさりと寝付いてしまっている
だが、ルイズは寝付けない
「嫌なら交替して良いぞ。アニエスさんなら、飛んで来る」
「……嫌よ」
「…そうか」
「ねぇ、呪いって、本気?」
「ルイズは、契約を強制する立場だから解らないんだよ。此は呪いだ。ギアスって、知ってるだろ?」
「うん、相手に強制を強いる禁術」
「其より、遥かに強力なのが使い魔契約だ。メイジには必要だとしても、実は、使い魔側には必要じゃない」
「…続けて」
「使い魔には契約と同時に、使い魔足るべく、最初から持ってる知識経験の上に、更に上書きされる。望んでもいないのに、無理矢理だ」
「…続けて」
「俺が、ガンダールヴなんざ望んでやった訳じゃないのは、解るな?」
「…うん」
「其でも、主人の使い魔足るべく、ガンダールヴにされるんだ。そして使い魔になってしまった生物は、反乱を防ぐ為、強制的に主人に好意を寄せる様になる。精神を使い魔契約によって、揉躙されるんだ」
「…才人もそうなの?」
「いんや、変わった感じはしない。親和性が高かったせいか、人間という、種族のせいかは解らん。でも俺は、人間平賀才人だと言って良いぞ」
「精神は侵されてないの?」
「俺は、元々こう言う人間だ」
「…そう。実はね、始祖ブリミルはね、歓喜と絶望を与えるって、書いてたの」
「そうか。今のルイズは?」
「始祖ブリミルの言う通りだった。両方よ」
「俺のせいか?」
「そうよ。歓喜も絶望も、希望すら、全部サイトのせい。姫様に滅多に使うなと厳命されて、サイトには全てを疑ってかかれと言われた。あんなに欲しかった、自身の系統が解ったのに、制約ばかり増えて行く。此じゃ、ゼロのままが良かった」
「……なら、杖なんざ捨てちまえ」
184大人才人 拒絶3-11:2010/12/17(金) 00:13:34 ID:QMbxwNQm
「嫌よ。絶対嫌。やっと立派なメイジになれる端を掴んだのに。この力が巨大過ぎるなら、使いこなしてみせるもん。サイトが居れば、使いこなせるもん」
「…俺すら疑えって、言っただろ」
「関係無いもん。サイトはサイトだもん」
「ま、実際虚無なんざ要らないけどな」
「……あたしを否定するの?」
才人に裸で密着しつつ、身じろぎするルイズ
「違う、ちと質問。時計が有るから、時計職人は居るか?」
「勿論。トリステインに取って、ワインに並ぶ名産品よ」
「水車と鍛冶職人は?」
「勿論両方有るわよ。トリステインは水の国よ?水車使わないで、どうするの?」
「そうか。なら、ガンダールヴすら要らないな」
「……嘘」
ルイズは驚嘆する。だが、才人はルイズ自身では絶対に計れないのは、ルイズ自身自覚している
「本当だ。俺の行動が完全にフリーハンドと仮定するなら、だけどね。ルイズを守る事を最優先するなら、5年、いや3年だ。3年でトリステインをハルケギニア最強国にして、エルフと対等の関係を結べる迄は、多分何とかなる」
「……そんな事出来るの?」
「竜騎士居れば余裕さ。後は俺が機械文明を、トリステインに興せばいい。ま、やる気は無いがね」
「……何で?」
「やる理由が無い」
「サイトは色々知ってるけど、皆に伝えようとはしないの?」
「ルイズ、トリステインが最強国になる意味が、どういう事か解るか?」
「…どういう事?」
「現在の貿易,物流体制と軍事バランスが崩れるんだ。先ず間違い無く、ハルケギニア全土を巻き込んだ戦争になる」
「……嘘」
「本当。既得権益を受けてた連中には、歓迎出来ないからな。あの手この手で潰しにかかるだろうよ」
「……」
「よしんば勝ったとしても、ハルケギニア中の物流の大半を押さえた場合、富がトリステインに集中する。つまり、他国から富を収奪するんだ」
「どうなるの?」
「極論すると、他国の民が餓死する」
「……」
「解ったか?全部は絶対に救えない。経済に組み込まれてる場合、富を得る者が出ると、必ず損をする者が出る。全ての富と全ての損は、合計するとイコールなんだ」
「でも、他国の事は、他国の事じゃない」
「その通り。そして俺には、トリステインも『他国』なんだ」
ルイズはハッとする
そう、才人は異邦人だった
『忘れてた。サイトには、トリステインも異境の地だったんだ』
「もう寝るぞ」
「……うん」
185大人才人 拒絶3-12:2010/12/17(金) 00:16:35 ID:QMbxwNQm
『キュルケの言う通りだ。サイトは、此所に居れば、私達を豊かにしてくれる。サイトを貴族にしないと、頑に首を縦に振らないんだ。どうしよう、キュルケの案に乗った方が、良い気がしてきた』

*  *  *
「あら、やはり素敵な方ですわ」
アンリエッタは自身の寝室にて、聞耳を立てている
才人達が使ってた寝室は王女時代ので、現在の寝室は先王が使ってる寝室である
王女の部屋を盗聴するのが女王である
この盲点は、外部や不穏分子に強いが、中での行為、特に王族に対して非常に緩いのを利用したのである
「やっぱり、貴族に為さらないと駄目ですわ。まぁ、最初はシュヴァリエにですわ。大公にしても足りないですわね。私自身を差し上げる位でも、ちっとも足らないかも……」

*  *  *
186名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 00:21:02 ID:h0AKdVVR
支援
187大人才人:2010/12/17(金) 00:27:23 ID:QMbxwNQm
投下終了なのね〜
では大人才人タクティクスなのね
今回はジェラールなのね
「ん?俺?まぁ良いや。ド=グラモン家次男のジェラールだ。兄貴が伯爵家を継いでるよ」
「時計が有るのが不思議だって?きちんと原作で、軍人が懐中時計持ってるよ。それにアルヴィーズ食堂にも無かったっけ?」
「水車の存在は小麦粉が有る=パンが存在する時点で、絶対に存在する。水が豊富な国なら、先ず間違いない。何故なら、水車で糞重い石臼を動かして、粉引きをするからね」
「時計は各国で鎬を削ってる製品なので、トリステインが一番って訳じゃないんだよね。残念だけど。やはり時刻の重要性は、各国共通なんだ。まぁ、ロマリア気質に通じるかは甚だ疑問だけどね」

有り難うなのね〜
ちなみに原作ではグラモン家の兄弟は名前が出て来ないので、こちらで付けさせて頂いたのね、きゅいきゅい
188名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 00:36:47 ID:OZ/Xif6V
2月中までお休みとは寂しい限り。

願わくば、それまでの分の投下量を減らして
週一、隔週くらいのペースで2月まで
つなげてほしいっす。
189名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 00:46:51 ID:a+iS9/Za
>>187
超乙!
やっぱりアン様は腹黒くなくちゃw
アニエスが化け過ぎでエロい。

大いなる意思は謎の試験三昧のようで、月並みな物言いだが、
無理せず目の前の目標をクリアできるようがんばってくれ。

2月までお別れは名残惜しいが、暇になったらまた戻ってきてくれ!
190大人才人抜け落ち分 3-2.5:2010/12/17(金) 01:14:09 ID:QMbxwNQm
>>174続き
「……此所は?」
「王宮の陛下の寝室だ」
「…何で、医務室じゃないんだよ?」
「陛下が直接治療すると宣言したからな。今は陛下は政務中だ」
「陛下?」
「アンリエッタ女王陛下だ。タルブ戦後、翌日に即位された。あれから、3日経っている」
「結婚は?」
「破談になった。ゲルマニアとの同盟は更なる強化で一致した。貴様の任も、其に連れて解かれた。だが、私を含めて近衛全隊長は反対したんだがな。何分前例が無さすぎだと、却下された」
「そうか。ルイズの苦労も水泡だなぁ。そう言えばルイズは?」
「あぁ、私と陛下と共に貴様の体温維持の為、シエスタ……だったかな?あのメイドと、交替で身体を暖めてるぞ。貴様の身体が冷た過ぎてな、ずっと抱き付いてると、身体が冷えて消耗するからな。今はシエスタと共に、別室で休んでる」
「…本当にヤバかったのか」
「あぁ、貴様が勃起したのを見て、歓喜したぞ。やっと、意識が戻りそうだって」
「…あの、其で、股間の刺激はいつ止めて下さるんでしょう?」
「足らないなら、足らないで、そう言え。心配させおって……本当に、お前が死ぬんじゃないかと」
アニエスが顔を伏せ、少し身体を震わせる
「……心配かけてゴメン」
>>175続く


抜け落ち分追加です
191名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 12:18:17 ID:efJxexF9
なあに、二ヶ月なんてあっという間さ。それまでスレが無人化しなきゃいいんだが…
192名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 12:52:59 ID:9C69iFYG
しばらくまってろ。
今書いてる短編が出来上がったら投下するから。
193名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 16:00:44 ID:OZ/Xif6V
おぉ、大人才人に続いて新たなクリエイター降臨の予感!
194名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 20:02:20 ID:g0mfxNaU
トリスティン王国において革命が発生し先日王国は滅亡しました。
暴政をアンリエッタ王女及び平民の憎しみを受けたルイズ嬢らは戦犯とされ、平民により拘束。
裁判により死刑判決を受けたが革命に活躍した才人氏による温情の結果、国民の家畜に堕とされることになったそうである。
195名無しさん@ピンキー:2010/12/17(金) 23:45:49 ID:DCdgME9Z
それ、なんて「ゼロから始める犬の躾け方(けんろー工房)」?
196名無しさん@ピンキー:2010/12/18(土) 21:52:56 ID:F9Xo+N3k
どんなストーリーなの?
同人絶版みたいだしネット上にも無い
197名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 19:26:45 ID:dFFPi6IJ
イザベラの裸踊りのときのネタで誰か書いてくれないかな
198大人才人:2010/12/19(日) 20:11:34 ID:CB7fdvCZ
イルククゥでシルフィードなのね〜
お休み前の投下は、後2回ですのね、きゅいきゅい
では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・拒絶の続き
・10レス前後、30分以上開いた場合、恐らく用事落ち

では反映次第、投下開始なのね〜
きゅいきゅい
199大人才人 拒絶4-1:2010/12/19(日) 20:12:45 ID:CB7fdvCZ
才人が目覚めてから翌日、才人はベッドに身体を起こしている
食事の後に治癒を掛けて貰う事により、食べた物を急速に栄養として取り込む
此により、現代日本では有り得ない増血効果を伴い、多少は動ける様になっていた
アニエスは才人が動ける様になった為、通常任務と戦後処理に戻っている
「ルイズ、耳貸して」
「何?」
ルイズが耳を寄せると、才人はふぅっと息を吹き掛ける
「いやぁ〜〜〜!?何するのよ、馬鹿犬〜〜〜!?」
ぽかぽか才人を叩くルイズ
「いやいや、ごめんごめん、次は真面目にやるから」
「本当に?」
「本当に本当」
ルイズは怪訝な顔をしながらも、再度耳を貸す
「始祖の祈梼書に何が書いてあったか、教えてくれないか?」
ルイズはハッとする
シエスタがこめかみをヒクヒクさせつつにこにこしながら見てるが、此は確かにシエスタには言えない内容だ
「シエスタ、席を外してくれない?」
「私は才人さんの看病で居るんです。聞けません」
「違うのよ。えっと……」
「シエスタ、真面目な話なんだ。頼む」
「才人さん、本当に?」
「本当」
「解りました。では外で待機してますので、終わったら呼鈴でお願いします」
「済まないね」
「いえ」
シエスタは退出していった
パタン
「じゃあ、ルイズ。教えてくれ」
「うん、解った」
ルイズは祈梼書を持ってきて開くと、命を削る部分以外を才人に教え、才人は唸り出した
「……サイト、どうしたの?」
「参ったな。魔法は素粒子物理学かよ」
「どういう事?」
「魔法すら、科学で説明出来るんだ」
「本当に?」
「本当だ。しかも、ルイズの操る虚無は、素粒子に影響させる、ふざけた魔法だ」
「サイトのカガクで虚無が解るの?」
「あぁ。此で解った。ルイズの放ったのは、初歩の初歩の初歩。エクスプロージョンだな?」
「うん」
「多分、核融合か反物質。核融合だと発動条件が厳しいから、多分反物質か?」
「はんぶっしつ?」
「あぁ、俺達の身体から、全ての形有るもの。空気や風ですら、小さい粒で出来ている。例外は、エネルギー状態の光だ」
「祈梼書にも書いてあったけど、どういう事?」
「つまり、たったの3種類の粒の組み合わせで、全ては出来ている」
「嘘」
「本当だ。そして、虚無に一番近いのはな、土系統の錬金だ」
「本当に?錬金は、一番基本的な魔法じゃない」
「基本こそ、奥義である。全ての仕事の常識さ」
「……どういう事?」
200大人才人 拒絶4-2:2010/12/19(日) 20:14:39 ID:CB7fdvCZ
「錬金ってのは、粒の組み合わせを変える事により、望みの物質を創り出す。日本じゃ、未だに研究段階の代物だ」
「うん、それで?」
「恐らく、虚無は粒を取ったり外したりする系統で、粒の組み合わせを変える事迄が、四系統の限界なんだ。加えたり消したりは出来ない」
「うん」
「虚無の系統は、粒同士を衝突させて、新しい粒を作り出したり、性質を変えて、全てを力に変換したりするんだ。日本でも研究段階だけど、作り出す事自体は出来る。ルイズは、其を長い詠唱と魔力により、可能としてるんだ。魔力が、どんな感じで身体を巡るか解るか?」
「んっと、詠唱と共にね、魔力が身体の中をぐるぐる回って、杖と思考で目標の場所に向けたら、発動したの」
其を聞き、才人は顔を青くする
「ルイズ、良く聞け。多分其は、ルイズ自身の粒を使って行う、粒子加速だ。出来るだけ、エクスプロージョンは使うな」
「どういう事?」
「命を削ってるって事だ。効果等を検証する時や実戦以外は、絶対に遊びで使うな。其と使ったら、必ず栄養補給を充分に行うんだ。絶対だぞ?」
「……何で解るの?」
「俺が日本人だから」
『何で……解っちゃうの?才人には、何でもお見通しなんだ……』
「やらないと駄目?」
「駄目だ。そうしないと、胸も成長しないぞ?」
「かかか関係無いじゃない」
「関係有るぞ。ルイズ自身の粒を使うって言っただろ?生命維持の余剰分の粒を使うと仮定した場合、脂肪を構成する粒から使われるだろうな。つまり、使えば使う程、胸が小さくなるとしたらどうする?」
「うぐっ、それはイヤ……もしかして、今迄の失敗魔法が、あたしの背が小さいのと痩せっぽちの原因?」
「かもな。きちんと守りなさい。解った?」
「……解ったわよ」
「良し、良い子だ」
才人はルイズを撫でる
ルイズはほにゃあとなり、そのまま才人に身体を預ける
「……ねぇ、サイト」
「何だ?」
「……トリステイン人になって」
「……考えとく」
ルイズはその言葉に一歩前進を感じとり、取り敢えず満足する事にした

「呼鈴やるぞ」
「やだ」
「何で?」
「ご主人様の言う事聞きなさい」
「デルフと村雨は?」
「持って来てるわよ。私達が使ってる寝室に、置いてある」
「両方持って来てくれ。今の体調だからこそ、試したい事が有る。其と適当な的」
「解ったわ」
ルイズは呼鈴を鳴らし、シエスタを招き入れる
201大人才人 拒絶4-3:2010/12/19(日) 20:18:51 ID:CB7fdvCZ
「ミスヴァリエール。何で抱き付いてるんです?お話は終わりましたか?」
「まだ続きが有るの。本当よ。ボロ剣と刀を持って来るから手伝って。刀はあたしが触ると危険だから、シエスタが持って来るの」
「解りました。では行きましょう」
パタン
二人が出て行くと才人は呟く
「……今のまんまじゃ、俺は、何もかも中途半端に終わっちまいそうだ。〇〇〇」
最後の呟きは、ごく小さく言われ、盗聴してるアンリエッタにも聞こえなかった

二人が、デルフと村雨と木の板を持って来、入室する
「有り難う二人共。悪いけどシエスタ、また外に……嫌、違うな、何かつまむ物持って来て。ルイズが好きな奴が良い」
「あたしの好きな物?」
「あぁ」
其で、才人が虚無の検証がしたい事が、ルイズに伝わる
「んとね、クックベリーパイが良い。其と持って来ても、良いと言う迄、入って来ちゃ駄目よ。真面目な話だから、お願い」
「かしこまりました。ミスヴァリエール、才人さん」
シエスタが退出すると、才人がデルフを握り、抜く
「よう相棒。5日振りだあね。すっかり、忘れられてるかと思ったわ」
「実はその通りだ」
「かぁ、冷たいねぇ、相棒………何だ?魔力を感じるぞ?」
「ルイズの魔力じゃないのか?」
「ちげぇな。相棒、俺っちを持って周辺探れ」
「ボロ剣、サイトはまだ完治してないじゃない。あたしがやるわよ」
「嬢ちゃんじゃ駄目だ。魔力が混線して、上手く探れねぇ。だから近付くな」
デルフにそう言われ、ルイズはしぶしぶ部屋の中央に位置し、立つ
才人はデルフを持って立ち上がり、周辺を歩きながら、デルフの言うがまま魔力探知を行う
「おっ、見っけた。こりゃ、盗聴の魔法だな」
「へぇ、盗聴ねぇ」
202大人才人 拒絶4-4:2010/12/19(日) 20:20:56 ID:CB7fdvCZ
「ちょっと、盗聴なんて姫様の寝室に誰がやるの?まさかスパイ?」
「何時から掛ってるか解るか?デルフ」
「流石に其処までは解らねぇよ。どうする?」
「吸ってくれ」
「あいよ」
デルフは魔法を吸い、無効化する
「誰がやったのかな?」
「さぁね、流石に解らん」
才人がそう言うと、デルフが小さく、ルイズに聞こえないレベルで喋る
「本当は解ってんだろ?相棒」
「ルイズの前では言えねぇよ」
才人の返事にデルフは沈黙する。自身の相棒は、ガンダールヴとしては欠陥品だが、知力と器用さだけは並じゃない
『この相棒は、まぁた何か企んでやがんな?おもれぇ事なら良いけどねぇ』
「さてと、取り敢えず覗き魔は退治したから、検証やるか」
更に村雨を握り、抜くと、部屋の中央に立ち、舞姫を舞い始めた
「サイト、そんな身体で無理しないで!!」
ルイズが声を掛けるが無視し、小さく詠唱し、身体がぶれ、ルイズには駒が突然一気に送られ、呆然とする
「今の、ワルドの時の?」
「ガンダールヴの加速装置だよ。ふむ、成程ね」
才人は一度武装を解き、膝を付き、肩で息をする
「ふぅ、次だ。ルイズ、最小威力で的にエクスプロージョン。但し、また舞姫舞うから、舞ってる時に詠唱してくれ」
「サイト!?そんな身体で?」
「駄目だ。今だからこそなんだ。頼むよ」
「馬鹿犬!!あんたなんか知らない!!」
ルイズは涙目になりながら、才人の注文に応える為、杖を構える
『サイトに頼られた!こんな時じゃなかったら、飛び上がって大はしゃぎするのに……』
才人はまた抜き、先程よりゆっくりと、玉の汗をかいたまま、舞い始める
ルイズはルーンを唱え出した瞬間、精神力も魔力が足りないのを自覚し、苦しくなり始めた
「エオルー・スーヌ」
才人は舞いに力が入り、足腰にも安定した運びになるのを自覚するが、その瞬間、ルイズが的に向かって杖を振り下ろし、そのままばたりと倒れる
ボン!!
的が爆発し、才人はデルフを床に刺し、慌ててルイズをベッドに運び、村雨をしまうと、ベッド脇に立掛け、自身もベッドに倒れる
ドサッ
暫くすると、ルイズがむくりと起き出した
「…あれ?気絶しちゃった。サイト!?」
「…ルイズ、大丈夫か?」
「あたしよりサイトのが」
「良いんだよ、俺は。自業自得だ。ルイズはどうして気絶したんだ?」
203名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 20:24:42 ID:J+ngkwCo
シエンスタ
204大人才人 拒絶4-5:2010/12/19(日) 20:25:00 ID:CB7fdvCZ
「魔力も精神力も全然足りなかった。でも、詠唱途中でも、弱くても発動したみたい」
「決まりだ。粒子加速による衝突により、反物質を精製して、対消滅反応を引き出してる。詠唱途中で発動するのは、多分加速が足りないか、加速させる粒子の数が少ないかだ」
「粒子加速には莫大ななエネルギーが必要だ。だから精神力と魔力を大量に消費するんだ。爆発はエネルギーが熱と光に変換される事から起きる、副次的な現象だ」
「……そんな事迄、解っちゃうの?」
「ま、ね。核融合の点も捨てがたいんだけど。デルフ、空気の組成が変わったか解るか?」
「幾ら何でも無理言うな、あほう」
「ま、核融合は多分無い。核融合に必要な温度を、発生させて無いからね。一瞬でも振動させるには、プラズマ電界が必要なのに、発生した場合のオゾン臭がしない」
「…それって、どれ位?」
「お日様有るだろ?」
「うん」
「あれを魔法で作るの」
「……絶対に無理」
「解れば宜しい。つまり、ルイズはエクスプロージョンを撃つ度に、無い乳に拍車がかかる事が、証明されました。以上、虚乳のルイズの検証終わり」
ズン
「ウグッ」
「ちっと死んどけ、この駄犬」
ルイズに踏まれて、才人は気絶し、ルイズが呼鈴を鳴らすと、シエスタがクックベリーパイとお茶を持って入って来た
「絶対、ぜぇったい、見返してやる。ぜぇったいなんだからぁ!!」
ルイズの絶叫が、寝室に木霊し、才人を見返すべく、クックベリーパイに噛みついた

*  *  *
205大人才人 拒絶4-6:2010/12/19(日) 20:26:59 ID:CB7fdvCZ
才人が完治したのは起きてから3日経った後である
政務の殆どを、マザリーニに押し付けたアンリエッタは、重要書類にサインするのみで、後は才人の基に頻繁に訪れた
と、言うより、当初の宣言通りの治療行為の継続である為、マザリーニも何も言ってはいない
通常のトライアングルより優れた治療行為を行えるのは、王家の杖の助力の賜である為、忙しいスクウェアを呼ぶ必要が無かった為である
スクウェアは、戦後の瀕死の重病人を何人も抱えてる為、才人一人に出すと、助かる命が大分失われてしまう
其に国家機密級の重要人物と見なしてしまった為、必要以上に他者に触れさせ得ないと云う事情も有る
最後の一つは、恐らくルイズをからかう為であろう事は、その場に居た全員に筒抜けである
当て馬にされた才人には、堪った物では無い
「……あの、何で昨日より悪化してるのですか?ルイズ、使い魔さんに酷い事しましたね?」
「其は違いますわ、姫様。この駄犬が勝手に動いて、症状を悪化させたのです」
「まぁ、なんて酷い主人なんでしょう。使い魔さん、ルイズから私に、主人替え致しましょう。私なら毎日裸同士で寝ても、構いませんわ。其に胸も女王ですの。きっと、使い魔さんを満足させられると思いますの」
「………犬、覚悟は出来てるんでしょうね?」
「…俺は何も言ってねぇ」
才人は毛布を引っ被ると、アンリエッタはその様を見て、慌てて言葉を紡ぐ
「あら、寒気がしたんなら、そうおっしゃって下さいまし。まだ身体が全快では無いのですから、暖めて差し上げますわ」
言うやいなや、さっさとベッドに潜り込むアンリエッタ
「な、犬。あんたもう大丈夫でしょ?姫様を出して差し上げて」
「だから、俺じゃなくて、姫様に言ってくれって」
「あら、やっぱりルイズじゃ、使い魔さんをきちんと看病出来ませんのね」
アンリエッタが頭を出して、ルイズに向けて舌を出す
「ひひひ姫様、ちっとお出になられて下さらない?ってか、出て来なさい!!このアマ!?」
「あら、殿方の居る前で、何とはしたない」
ちっとも出ようとしないアンリエッタ
「あ〜姫様」
「はい、何でしょうか?使い魔さん」
そう言うや、才人に身体を密着させる
「楽しいですか?」
206大人才人 拒絶4-7:2010/12/19(日) 20:31:01 ID:CB7fdvCZ
「えぇ、とっても。子供時代に戻ったみたいですわ」
「まぁ、程々にお願いします」
「あら、許して下さいますの?」
「息抜きは必要ですから」
「……そう言って下さるのは、使い魔さんだけですわ」
そう言うと、アンリエッタはルイズに勝利の笑みを浮かべる
「先ずは一勝……ですわね」
「意味……解って言ってるんですよね?」
「あら、どういう意味か教えて下さらないかしら?ルイズ=フランソワーズ」
「うっ」
ルイズは黙ってしまう
『い、言える訳無いじゃない。其って、あたしがサイトの事をすすす好きって言う事よ?』
「あら、教えて下さらないのかしら?ルイズ=フランソワーズ?」
アンリエッタは、にまにましている
ルイズの性格を知ってるからこそ、行える遊びである
「うぅ〜、とにかく離れて下さい!!」
そう言うと杖を引き抜き、詠唱を始めようとする
「虚乳」
才人がぽつりと呟くと、ビクッとして、ルイズは固まる
『使えば使う程、胸が小さくなるぞ』
才人の言い分を信じると、エクスプロージョンの無駄使いは、痩せっぽちを更に進行させる
自身のコンプレックスに拍車を掛ける事を思い出し、躊躇する
焼きもちを妬いてるのは恐らく才人にも伝わってる。でも、其以上に、ルイズの命の心配もしてるのが、伝わって来る
どうにも、ムカつく伝え方では有るが
「あら、唱えないのですか?ルイズ?」
「う、此は、その」
「なら、杖をしまいなさい。簡単に抜いてはいけませんよ?」
ルイズは杖をしまい、実力行使に出る事にした
「こここ此はあたしの使い魔です。あたしが看病しますから、姫様は治療魔法のみお願い致しますわ」
そう言うと、ルイズは才人の反対側に潜り込み、才人越しにアンリエッタを睨む
「まぁ、怖いですわ、使い魔さん」
アンリエッタは怯えて見せ、才人に絡み付く
「馬鹿犬、ああああんた解ってんでしょうね?」
「嫌、何をだ?」
「ひひひひ姫様に手を出したら、どうなるかって事よ?」
「どちらかと言うと、俺が手を出されそうなんだが?ってか、姫様の遊びなんだから、付き合ってやれよ」
207大人才人 拒絶4-8:2010/12/19(日) 20:34:14 ID:CB7fdvCZ
「許せるモノと許せないモノがあるのよ。姫様の常套手段なのよ、それ。子供時代はそのせいで、あたしがいっつも悪者扱いされてたんだからぁ!!」
「クックックック、あっはははははは!?そっか、子供時代からか。クックックック」
才人は笑いが止まらない
「姫様」
「何でしょうか?使い魔さん」
「存分に遊んで下さい」
「喜んで」
「ああああたしはどうなるのよ?」
「たっぷり遊んで差し上げろ。友達なんだろ?」
「………友達、辞めたくなって来た」
「姫様、どうも俺の主人は薄情で申し訳ない」
「本当に薄情ですわね。ルイズから私に主人を変えません事?」
「検討の価値は有りますね」
「あら、では本日より新しい主人の寝室で、寝泊まり致しましょう」
「不肖、この犬。犬の如く舐め回させて頂きます」
ガスッ!!
才人の顔面に拳が入り、才人はまたKOされる
「……全く、才人さんの冗談は際どいから」
一部始終をシエスタは見ており、二人が居なくなる隙を伺ってたのだが、どうやら今日も駄目そうだと、溜め息をついた

*  *  *
才人がやっと普通に動ける様になると、謁見の間にルイズと才人は通された
謁見の間には女王アンリエッタと宰相マザリーニ、其にゼッザールとアニエスのみである
「おんや?近衛隊長が居る?」
「グラモンは遅番だ」
アニエスが答える
「使い魔さん、やっと完治して下さいましたね。では、シュヴァリエ叙勲の儀を行いたいと思います」
「シュヴァリエ?誰が?」
「あんたに決まってるじゃないの」
「はぁ?何で?」
其を見て、ゼッザールは親しげに語りかける。お互いに空の上で顔を合わせてる為、才人も気付く
「おいおい、冗談は止めてくれ、副長殿。嫌、今は解任されてるから使い魔殿だな。そなたの戦果は竜騎士26騎撃墜、ロイヤルソブリン級戦列艦レキシントン中破だ。そなたに騎士位を授けずに誰に授ける?」
「ん?姫様、じゃなかった、女王陛下でしょ?陛下が指揮を下したんだから、陛下がシュヴァリエになるべきだ」
その瞬間、謁見の間に笑いが巻き起こる
「俺、何か間違い言ったか?」
「い、いえ。その発想は有りませんでした」
アンリエッタは笑いながら答え、アニエスが後を繋げる
「陛下のみシュヴァリエを叙勲出来る。陛下自身には出来ぬのだよ」
「ちょっと、恥かいたじゃない?」
208大人才人 拒絶4-9:2010/12/19(日) 20:37:12 ID:CB7fdvCZ
「恥?何が?指揮を執った最高責任者を称える事の何が悪い?」
才人の言葉に裏は無い
だからこそ、全員が好意的に捉えた
「使い魔殿。宰相のマザリーニと申します。良く聞いて下され」
「ん、ああ」
「陛下に対しては、即位と云う叙勲を行っております。また、論功行賞の観点から、貴殿に叙勲せねば、軍部の不満を抑える事が出来ぬのですよ」
「どういう事だい?」
「貴様一人で戦局を一変させた。全員が目撃しており、其を何も賞しないのでは、誰もやる気を出さなくなる」
「ちっ、余計な事しちまったか」
才人は舌打ちする
「サイト……嫌なの?」
「興味無いな」
才人のモノ言いに、皆が唖然とする
「使い魔殿。騎士位は欲して手に入るモノでは無いぞ?考え直せ」
「そうだぞ、才人。騎士位になれば、生活も楽になるぞ?年金が出るからな」
「全員何か勘違いしてないか?俺は稼ぐだけなら、別に誰にも頼らずに生きていけるんだが?其こそ、ルイズに頼る必要すらない」
「なっ」
マザリーニは絶句し、ルイズは沈黙する
完全に事実だからだ
確かに才人は、職人として腕を振るえば食うに困らない
しかも、ツェルプストーも雇うと言ってるし、流浪の剣士としてもやっていける
とにかく、生きて行く為に此方の知識を詰め込んだのだ
学院に召喚されたのは、ある意味幸運だった訳である
「あの、使い魔さん。既に触れを出してしまいました。私に、恥をかけとおっしゃるのですか?」
「俺に承諾無しで勝手にやるのは、近衛副長任命迄にして下さい。はっきり言って迷惑だ」
明確なる拒絶。そして、王権に対する明確な否定
当然、王家に忠誠を誓ってる者には、痛烈な侮辱だ
「き、貴様、陛下に対してなんたる侮辱。王権と国法に逆らう気か、使い魔?」
30年以上トリステイン王家に奉公してたゼッザールには、たまらない侮辱である。当然激昂する
「侮辱も何も、俺は異邦人だ。トリステイン人でも何でも無い。王家の忠誠なんざ、どうでも良いね。異邦人で有りながら、勝手にそちらのシステムに組み込もうとしてるんじゃないか。あんた達も、使い魔召喚されてみろ」
才人の物言いに、全員押し黙る
「解ったか?俺が此所に居るのは偶々だ。あんた達からすると、俺は異端なんだよ。だから、国に干渉する気は無い」
「……サイト」
209大人才人 拒絶4-10:2010/12/19(日) 20:39:52 ID:CB7fdvCZ
才人はつかつかアンリエッタに歩み始めるとゼッザールが杖を構える為、アニエスにデルフと村雨を放り投げ、アニエスが受け取り、害意が無い事をアピールする
「害意は無い。杖を下げてくれ。姫様に話だ」
そう言って、玉座に座るアンリエッタに歩み寄り、耳元に囁く
「謀をするのも構いませんが、覗きの趣味はどうかと思いますよ」
アンリエッタは青醒めると、才人はアニエスからデルフと村雨を受け取り、謁見の間から出ようとするが立ち止まる
「あ、そうだ。これ返すわ」
パーカーのポケットに入ってた武装許可証を、丸めてアンリエッタに放り投げる
「俺は帰るけど、ルイズはどうする?姫様に話有るなら、先に行くぞ」
「……待て、使い魔」
「ん?何?」
「決闘だ」
「は?何で?そもそも近衛隊長が幾ら平民相手と言えども、禁を破るのはどうかと思うよ?さっき、国法云々言ってたじゃないか」
「なら、訓練なら構うまい」
「嫌だと言ったら?」
「今、この場で殺す」
「何でさ?」
「彼処迄侮辱されて、黙って居られると思うのか?」
「じゃ、どうぞ。此処で殺してくれ。既に二回死んでるんだ。三度目の正直って奴だな」
才人はデルフと村雨を放り投げ、両手を広げる
本当にやる気が無い事をアピールしてる
「馬鹿野郎ふざけんな!!俺っちは認めねぇぞ!!今直ぐ俺を抜きやがれ!!」
デルフが騒ぐが才人は言う
「短い付き合いだったが楽しかったぜ、デルフ」
「潔いな。せめて、苦しまない様にしてやる」
ゼッザールが杖を構えると、ルイズが杖を構えてゼッザールに言う
「サイトを殺すなら、あたしはあんたを殺す。あたしの使い魔に手を出すと言うなら、覚悟するのね」
虚無の魔力が立ち上がり、髪が逆立ち、魔力が空間に浸透して行き、発動に充分な魔力が満ちるのが解る
「おやめなさい!!」
「……陛下」
「この方は私達トリステインの発展をさせる事の出来る、唯一のお方です。我々より、遥かに優れた知識と技術を持っております。其こそエルフよりです。此処で死ぬ選択を取ったのは、自身の知識が持つ危険性を熟知しているが為、自ら死ぬ事で封印する積もりです」
「で、ですが、陛下」
「この方に礼を尽さねばならぬのは、我々の方なのです。ゼッザール、控えなさい!!」
「ははっ」
「ですが、ゼッザールの忠誠にも報いねばなりません。使い魔さん、シュヴァリエにはなって頂けませんの?」
「だから言ったでしょう。興味ない」
210大人才人 拒絶4-11:2010/12/19(日) 20:42:15 ID:CB7fdvCZ
「仕方有りません。訓練に、付き合って頂けませんか?」
「何で?わざと、やられるかも知れませんよ?」
「アニエス、ルイズを拘束しなさい」
「はっ」
アニエスは一気にルイズに近寄り、杖を取り上げ、あっさり拘束する
「ちょっと、アニエス。離して!!」
「済まんが命令だ」
「流石だね、姫様。王の貫禄充分だ」
才人の目に剣呑な光が宿る
一番の弱点を突かれた
「付き合って‥‥頂けますわね?」
「姫様、ルイズは友達ですよね?」
「勿論、今でも一番のお友達ですわ」
「御立派。マジで尊敬出来るわ」
才人は肩をすくめた

*  *  *
211名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 20:48:59 ID:J+ngkwCo
再シエン
212大人才人:2010/12/19(日) 20:54:54 ID:CB7fdvCZ
投下終了なのね〜
では大人才人タクティクスなのね〜
今回はド=ゼッザールなのね
「マンティコア隊々長並びにグリフォン隊々長代理のド=ゼッザールだ」
「私は先代隊長カリンの後継として、マンティコア隊々長に就任してるので、かれこれ30年は隊長職を勤めているな。その前は一般隊員として在籍してる。年齢は48だ」
「隊長職に必要なのは、先ずはスクウェアでね。グリフォンやマンティコアでは、クリア出来ないと、群れが統率出来ないのだよ」
「スクウェア自体は、少ないながらも居るには居るんだが、軍人向きだと、途端に居なくなってしまう。ワルドは久し振りに見る、私の後継者だったんだがね。何が奴をレコンキスタに走らせたんだか、私が知りたい位だ」
「メイジの平均クラスは衛士隊は2.5。竜騎士隊は1.5だ。竜騎士の方はドットでも採用されるんだが、衛士隊は個人戦闘力も重要なので、ライン以上が採用基準になっている」
「その我々が、使い魔殿を推している事を理解して頂けると、非常に嬉しい」

有り難うなのね〜
では、次の更新迄さよならなのね
きゅいきゅい
213名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 21:22:20 ID:J+ngkwCo
>>212
今回もGJ!!
次でしばらくのお別れか‥寂しいな‥
214名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 22:45:21 ID:JDdwi1RM
>>212
超乙
次でしばらくお別れか・・・
全裸待機で待ち続けていいよね?
215名無しさん@ピンキー:2010/12/19(日) 22:57:19 ID:lSRVFNcZ
>>212
GJ!!&乙!!
試験に合格して戻って来られるのを楽しみにしてますね
俺も全裸(靴下だけは履いてる)待機してますよ


>>214
せめて靴下くらいは履こうぜ
お互い紳士なんだから
216名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 03:25:53 ID:/n4TLMXw
こ、これは>212乙じゃなくて
桜通線なんだから
変な勘違いしないでよね!

         久
     名  屋
     古  大
     _屋__通___
   /:○: : : ○ : : : :ヽ
    ̄ 今池フ ○ : /
       /: : : :/
 御器所/: :○: :/
     /: : : : : /
    ,': : : : : :/   鳴  相  神  徳
新瑞橋: ○ : { 野 子  生
    {: : : : : :丶並__北_山_沢_重
     '.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
     \: : : : :○: :□: : :□: : □: : :□ )
       \ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :イ
217名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 11:08:45 ID:2DFX6dId
ん?ロイヤルソブリン級戦列艦レキシントン?
ロイヤルソブリンが改名したのがレキシントンだよな。ロイヤルソブリンはなかったことにされてるからレキシントン級戦列艦ではあるまいか
218名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 19:20:13 ID:h2Z5jW5Y
>>217
違うよ、無かった事になって無いよ
無かった事にしたら、誰から奪ったか、解らなくなってしまうもの
つまり、自身の戦果の否定になってしまう
そんな事したら、軍人からクーデター起こされても文句言えない
基本的には艦の改名は、所属が変更された場合、改名するのが一般的なので、王軍→レコンキスタに所属が変わったので、ごく普通の行為なのよ
原作ウェールズが忌々しく言ってるのは、改名を許す所属変更の失態を王軍がしたからだよ。つまり、自虐も入ってるの
商船に於いても所属変更による改名は一般的なんだ。珍しくも何とも無いよ
無かった事=船の履歴を消す行為なんざ、絶対にしないの
艦齢から何からの、データが全部吹っ飛んでしまう
〇〇級ってのは、国によって違うけど、最初に〇〇級と固有名称を付けるか、進水した一番艦のネームをそのまま使うのが慣例なので、ロイヤルソブリンが一番艦なので、ロイヤルソブリン級になります
一応知ってる限りの知識で補足させて頂きます
間違ってたらごめんね
ちなみにネーミングにも、国事に法則有るんだけど、レコンキスタは戦列艦に地名付けてるみたいだね
ロイヤルソブリン(王権)とかよりずっと趣味は良さそう
そう言えば戦列艦と巡洋艦とスループ船と揚陸艦と輸送艦以外出て無いな
主力が戦列艦と輸送艦だけと言う笑い話
しかも、巡洋艦なんざたった一隻
ハルケギニアは随分歪な艦隊編成なんだよな
駆逐艦もコルベットもフリゲートもありゃしない
砲列減らして安定翼付けて、高起動で攻める巡洋艦隊や駆逐艦隊があっても良いのにねぇ
219名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 22:51:06 ID:jgPTB7c7
>>218
>砲列減らして安定翼付けて、高起動で攻める巡洋艦隊や駆逐艦隊があっても良いのにねぇ〜

板違になるが、あの様なガレオン、戦列艦みたいな帆船時代は、小型・中型艦は戦力的に、あまり意味無い
火力の元の前装砲の火力・能力・攻撃手段がほぼ一緒なので結果的に「如何に相手より大きく、多く砲を持った艦」を多く揃えるかが
重要ポイントになる。
(お互い「砲撃」が唯一の攻撃手段だから必然的に「でかくて砲が一杯」が勝つよね?
小・中型艦が「魚雷・ASM」でも使えりゃ話は別だか…)

まぁ駆逐艦(ガンボート?、ケッチ?スループ?)やコルベット、フリゲートとかを
陸の軽騎兵偵察見たいに使う事も出切るからあながち無意味…って訳ではないが…

クルーザーや駆逐艦が有効になるのは魚雷の開発を待ってからってことになる
220名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 23:03:13 ID:inu9ftz3
大人才人は一度堕ちたらトコトンまで駄々甘になって行く希ガス
221名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 23:13:14 ID:sbEG1AVu
高機動な船か…海皇記みたいな影船でも有ればだが。
まあ、これからはオストラント号が高機動でホーミングミサイルをぶっぱなし
その後、ゼロ戦を艦載して88ミリ砲で鬼武装するんだろうから。

あと6巻を読み直したらコルベールの元部下の『白炎』メンビルは砲丸(モデル通りなら12インチ砲)
の大きさの鋼鉄を簡単に溶かしてなお余力が有るってどんな出力なんだ?
さらにそれ以上のコルベールってどの位の火力なんだ?
222名無しさん@ピンキー:2010/12/20(月) 23:56:47 ID:4bGFJ1us
竜騎士とかが機動兵器のポジションに居るからな…
そういうやつらを収容できる移動拠点ってのが大型船に求められるポジションっぽいな。
FF3の飛空挺インビンシブルとか。
223名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 01:44:47 ID:yskebtRR
ツルベール謹製のオストラント号の上部構造物をフラットにしたら飛行空母完成の悪寒
224名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 09:06:51 ID:NrOFGeAx
保管庫死んでない?
225名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 17:21:19 ID:bBqHsCb1
保管庫、なんの問題もないが。

竜は長大な飛行甲板やカタパルトがいらないのが利点だな。
特性としては戦闘機よりヘリに近いかもしれん。

>>218
クロムウェルは「もうアルビオンに王権(ロイヤルソブリン)はないのだ」と言っていたからロイヤルソブリン級という名前は抹殺されている可能性もありますよ。
226名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 21:39:32 ID:I5R57jik
>>221
作中だとトロルの鉄の棍棒だね
仮に12インチ砲弾相当として(φ304.8mm)数秒で溶かすと仮定した場合
周辺温度6000℃、中心温度7000〜10000℃(太陽のプロミネンスより高温)が『最低』必要
ちなみに有機物は瞬時に蒸発します
何でそんな事知ってかって?溶接中に蜂がダイブして来た事あるもんで、0.5秒もかからず蒸発しますた
半自動溶接の反応点が、7000〜10000℃なのです
メンヌヴィル、あれでトライアングルなら、火のスクウェアは正に戦術級破壊兵器
一人で連隊相当になる
奴がトライアングルかスクウェアかだけでも知りたいけど、無理か。もう故人だし
227名無しさん@ピンキー:2010/12/21(火) 22:25:49 ID:t4FFUDll
7000〜10000℃?
なんて無茶苦茶な高温なんだ!
ボイラー内の石炭なんか楽勝で着火出来る訳だ。
あとオストラント号の両翼の水蒸気機関は常に風石発動状態なのだろうか?
そうでもしないと鉄パイプなんて簡単に折れるだろうな。
228名無しさん@ピンキー:2010/12/22(水) 17:40:03 ID:LxB7C9pP
ゲルマニア製だから限界まで固定化はかけてあるだろうけどね。
どこでもそうだけど、銃士隊って隊長がアレだから副長以下は苦労してるだろうな。
戦死以前に過労死が心配だ。
229名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 12:44:04 ID:q9Rvx5Wf
>>219
>小・中型艦が「魚雷・ASM」でも使えりゃ話は別だか
つ【空飛ぶ蛇くん】

「零戦搭載させてた奴を大型化」は大して苦にならない、いやその逆、楽かも知れん
そいつを小型艦に搭載、昔の帝国海軍水雷戦隊な運用すれば良い
そういやコイツ、ホーミングありだったな?、上にあるオストラント号空母化でなく
ミサイル艦にすればイクね?
230名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 19:38:57 ID:XKxK9PpH
竜騎士の雷撃機化ですね。

龍巣母艦……
231大人才人:2010/12/23(木) 21:10:52 ID:SiYX89ty
イルククゥでシルフィードなのね〜
大人才人、今年最後の更新なのね〜
大いなる意思より、読者に2日早いクリスマスプレゼントとなれば嬉しいのね、きゅいきゅい
では注意事項なのね
・才人年齢上昇
・拒絶の最終更新
・決闘………いえ、訓練です(アンリエッタ談)
・10レス前後、30分以上開いたら恐らく寝落ち

では反映次第、投下開始なのね〜きゅい
232大人才人 拒絶5-1:2010/12/23(木) 21:12:49 ID:SiYX89ty
王宮の練兵場に勤務中の衛士隊全隊が壁や建物の前に立ち、円陣を組む
此は逃走の阻止ではなく、被害を抑える為の防御陣である
建物のバルコニーからはアンリエッタ、ルイズ、アニエス、マザリーニが眺め、円陣中央に5メイルの距離を置いてゼッザールと才人が立つ
ルイズは杖を取り上げられ、傍にはアニエスがおり、アンリエッタとマザリーニも杖を持つ
此方に魔法が飛んで来た時を考慮し、防御魔法を即座に張る為だ
ゼッザールが訓練を行う場合、スクウェアの固定化や硬化事、吹き飛ばす可能性が有るからである
「随分物騒な陣型だねぇ」
「何でぇ何でぇ、あっさり死のうとしやがって。俺ぁ怒ってんだぞ?相棒」
「姫様の魂胆が読めたんでね、死ぬのが一番の選択なんだから、仕方無かろう」
「…おめえ、干渉する気本当に無いんだな」
「デルフ、お前にも解らんと思うだろうけどな、王の権限で俺がやれる所迄やると、都市を廃墟に出来るんだよ。そんなのやる気なんざ起きねぇ」
「平和的には使えないのかよ?相棒」
「所詮力は力だ。人を殺せる力こそが、人を豊かに出来るんだよ。俺が使ってた道具の中にはな、毒物や危険物も結構含まれてたんだぞ?デルフなら解るだろ?道具そのものに、善悪なんざ無い」
「確かになぁ。でも、上手く使えば良いんじゃね?」
「出来ないね」
「何でさ?」
「ブリミル教が有るからな」
「どういう事でぇ?」
「キーワードは聖戦と異端だ」
「はぁ?訳解らんぞ?相棒」
「解らんで良いぞ」
そう言って、才人はデルフを抜く
「……使い魔、考え直せ。今からでも、シュヴァリエになれ」
「嫌なこった」
「私はな、貴様に味方になって欲しい。息子と呼びたいのだよ」
「だったら、叩き伏せてから説得するんだな」
「…仕方あるまい、そうするか」
「にしてもよ、相棒。あんだけタンカ切ったってのに、ちっとも心が震えないってのはどうなんだよ?」
「心が擦り切れた人間に期待すんな」
ゼッザールが詠唱を行い、一気に才人との間合いを詰め、サーベルの飛び込み斬りを才人に行い、才人は慌てて刃を受け流す
キィン!!
「なっ、俺より速ぇ!?ウィンドブレイクで身体動かしやがった」
「かぁ、ありゃ化物だ。あのガタイも、激しい魔法に耐える為だな、ありゃ」
233大人才人 拒絶5-2:2010/12/23(木) 21:16:08 ID:SiYX89ty
「ほぅ、ガンダールヴより速いか、光栄だ」
更に次の詠唱を行いながらの刺突
才人はかわしつつ横薙ぎにデルフを払い、ゼッザールがそのまま飛び退き、追撃のエアハンマー
才人はデルフを使って吸い込みながら、かわせる範囲を作り出し、かわすが、肩に触れ、身体が弾かれる
「くぁっ!?ワルドなんかより、強ぇ!?」
「流石スクウェアだぁね」
「まだまだだ、行くぞ!」
「デルフ、点火2段階だ。放出方法は足場」
「あいよ」
才人は走りながら間合いを開け、跳躍する
「点火」
デルフが足元にエアハンマーを一旦開放。其を足場に更に身体を捻りながら跳躍
「何!?」
「点火」
身体が上下逆になった所で上部に足場を発生させ、其を踏み台にして、一気にゼッザールに急降下斬撃
ゼッザールは詠唱が間に合わず、回避する
ドガン!!
才人の斬撃が地面を断ち、ゼッザールが青くなる
「化物か貴様!?」
「あんたに言われたかねぇ!!」
デルフを地面から引き抜き、そのまま斬撃を繰り出す
突きを使わないのは危険だからだ
幾らスクウェアでも、タイミングを逃すと致命的なダメージになりかねない
斬撃そのものも、並のメイジならかわせないが、衛士隊隊長ゼッザールは勿論並じゃない
お互いに技量が有るからこそ、信頼での必殺の技の応酬
いつしか、ゼッザールに笑みが浮かんでくる
「クックック、ハッハッハ。良いぞ良いぞ、使い魔。こんなにギリギリなのは、前隊長のカリンとの稽古以来だ」
「知るか!?俺の力は借り物だ!!」
キィン
ブレイドを展開したゼッザールと鍔競り、デルフが魔法を吸う
すると、そのままライトニングの詠唱を始め、デルフが気付いて警告を出す
「マズイ、ライトニングだ」
才人はバックステップをしながら、デルフを地面にさすと、そのまま飛び退く
「此はかわせるか?使い魔!!」
杖であるサーベルを才人に向けて、その先からライトニングが疾る
カッ、ドーン!!
「何!?」
ゼッザール、デルフ、才人と一直線上に刺さったデルフに落雷し、魔法を吸い込み、余剰分は全て大地に流れる
「でぇ!?おでれーた!?」
234名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 21:20:08 ID:Exw3KE0Y
支援!
235大人才人 拒絶5-3:2010/12/23(木) 21:21:43 ID:SiYX89ty
「ナイス避雷針だ、デルフ」
ライトニングの発動で硬直したゼッザールに、才人はそのまま村雨に手を掛け、間合いを詰める
アニエスは其を見て、大声を上げた
「ゼッザール殿退がれ!!居相は避けられん!!」
ゼッザールはエアシールドを展開し、受け止め様とするが、才人が間合いに入った瞬間、嫌なモノを感じ、跳び退がる
ザン!!
霧が舞い、反応が僅かに遅れ、エアシールド事、ゼッザールの服が袈裟掛けに切り上げられる
「「何!?」」
ゼッザールはともかく、才人も驚いた
「何故貴様が驚く?」
「俺にだって想定外は有るんだよ!!」
ババッ
二人が一度間合いを離れ、その隙に才人はデルフを抜き、村雨と二刀になる
右手に村雨、左手にデルフ
散々やって来た構えだ
二人が仕切り直しをした瞬間、周りからどよめきが起きる
「ゼッザール隊長と互角だと?」
「烈風カリンと同格だって、隊長が」
「……何て奴だ」
「あれが元副長殿だとよ」
「何で元なんだ?隊長で通じるじゃないか」
ざわめきは収まらない
「貴様の腕前を皆が認めてるぞ?使い魔」
「借り物を褒められても嬉しかないね」

「アニエス」
「はっ」
「あんなに激しい稽古をしていたのですか?」
バルコニーは離れている為、一部始終を余す事無く見る事が出来る
訓練自体は時折見ている、アンリエッタ
初めてみる才人の動きが人間離れしており、ゼッザールと互角にやれる人間を初めて見た
前隊長のワルドは、経験の差で、僅かに及ばなかったと記憶している
ゼッザールは、何れ自分を越える逸材と太鼓判を押してたのだ
だからこそ、裏切りは許せなかった
ショックは、今でも衛士隊含め皆が引きずっている
「いえ、私がやってたのは使い魔の能力を出さずに、才人自身の基礎能力を上げる稽古です」
「其だけで、彼処迄の動きが出来るのですか?」
「才人の頭が並では無いのは解りますね?」
「はい、私程度の謀位、軽くお見通しになってしまいます」
「才人は今有る道具の特性、其に使い魔としての能力を組み合わせて、最大限のパフォーマンスを発揮させる事が出来るのです。私は、ライトニングが地面に流れる所を初めて見ました。恐らく才人は狙ってやってます」
「私も初めて見ました」
「才人の持つインテリジェンスソードの特性を最大限に使うからこそ、通常では有り得ない跳躍や急降下を行ってますね」
236大人才人 拒絶5-4:2010/12/23(木) 21:24:11 ID:SiYX89ty
「そして、才人の国の武器、日本刀。才人に聞いたのですが、あれの居相抜きは、演劇の役者ですら、観客に見えないレベルでやったそうです。其をガンダールヴの能力で更に加速させてます。人間では、回避は無理です」
「‥本当に、凄い方ですのね」
「……ですが、ガンダールヴとしては、欠陥品なんだそうです」
「あれで‥‥‥ですか?」
「はい。デルフのみと話す機会があったので聞いたのですが、ガンダールヴの力を発揮する為には、心が震えないと駄目だとか。心の震えとは言わば感情、喜怒哀楽そのものです」
「才人は、徹底的に心が震えないのだとか。デルフが才人に聞いた所、心が擦り切れ、摩滅してるそうです。ガンダールヴとしては、最低レベルだそうです」
「シエスタ、ちょっと来てくれる?」
「はい」
其を黙って聞いてたルイズは、後ろに控えてたシエスタに先程の顛末を話すと、シエスタが返す
「解るでしょ?」
「勿論です」
「シエスタの発言の全責任は私が取るわ。あの腹黒陛下にぶつけましょ」
「宜しいのですか?」
「サイトが居なくなって良いの?」
「嫌に決まってます」
「では、言いましょうか?」
「はい」
「「女王陛下」」
「何ですか?」
「「御恨み申し上げます」」
「‥‥何故でしょう?」
「あんたがやったのはね、サイトがハルケギニアから出ていく口実を作ったのよ」
「女王陛下、あんまりです。才人さんはそんな性急に事を運ぼうとしても、絶対に頷きません」
「サイトはね、私達に遠慮して遠慮して遠慮して、ずっと自分の事を後回しにして、私達が自分の足で立てる様になる迄、気長に付き合ってくれようとしてくれてたのよ?」
「才人さんはですね、待ってる誰かの為に、今直ぐに帰りたいんですよ?解ってます?」
「あんたが」
「貴女が」
「「あたし(私)達からサイトを取り上げようとしてるんだ!!」」
「あたしはね、サイトにお願いしたの。トリステイン人になってって。サイトはね、考えるって、言ってくれたのよ?解る?あのサイトがよ?」
「本当ですか?ミスヴァリエール?」
「本当よ」
「凄いじゃないですか」
「そうよ。其を、姫様は全部ひっくり返したんだ。アニエスなら解るんじゃない?サイトが考えるって、答える事の意味が」
アニエスは少し考え込み、答える
「あぁ、アイツは嫌なら、やんわりでも絶対に拒絶する。考えるって事は、選択肢に入るって事だ」
237名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 21:28:23 ID:bdKe0sE0
sien
238名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 21:28:24 ID:2uGU1a8X
シエンスタ
239大人才人 拒絶5-5:2010/12/23(木) 21:29:18 ID:SiYX89ty
「其を、姫様は国に必要だからって言って、強引に進めようとした。サイトは一回二回なら苦笑して受け入れた。でも、サイトは三度同じ事は受け入れない。何故か解る?進歩が無いからよ」
「才人さんは心が震えないって、言ってましたよね?逆に言えば、何時でも冷静かつ冷徹なんです。どんな時でもです。だから才人さんは強いんです」
「この後サイトが出て行く事になったらね、あたし、ヴァリエールを捨ててサイトに付いて行く。使い魔と主人は、生涯一緒なの」
「私も才人さんに付いて行きます」
「サイトの居ないハルケギニアなんか、要らない」
「私の家は、才人さんが住む所です」
「「何とか言ったらどうだ?腹黒女王!!」」
「‥‥私が悪いのですか?トリステインの為を思ってやったのですが」
「時間を掛けなきゃいけない所を、性急にやろうとしたのがいけないのよ。子供の頃から変わって無いじゃない」
「欲しいとなると、周りを省る事無く欲しがって、飽きたらぽいですか?サイトから必要な情報仕入れたら、漏れを防ぐ為に暗殺しそうですよね?」
「‥‥幾ら何でもそんな事」
「必要ならしますよね?だって、女王陛下ですもの」
「‥」
「ミスヴァリエール、其位に」
「じゃあ、アニエスは、サイト居なくなっても良いの?」
「……」
「此が終わったら、サイトに謝るのね。サイトは非を認めれば、きちんと許してくれるモノ。其と今回はシュヴァリエ叙勲は諦めて。サイトはあぁなったら、絶対に頷かない」
「サイトは異邦人なの。サイトは自分自身で言ってる様に、異端なの。そして異端だからこそ、サイトなの。サイトは異端審問されたって、絶対に鼻で笑ってこう言うよ『異端そのものに、異端審問って馬鹿じゃね?』って」
「サイトは正義に囚われない。サイトは国に囚われない。サイトは宗教に囚われない。サイトは名誉に囚われない。サイトを縛るのは、約束だけ。だから、合意の元に行うべき約束を、きちんと行わない姫様の行為に腹を立てた」
「‥‥流石は主人って、所ですね」
「違う。あたしはサイトに教えて貰ってばっかり。あたしはサイトの事は、何にも知らない。サイトが話してくれる迄、ずっと待つ。あたしには、それしか出来ないもん」

バルコニーの下では、ゼッザールと才人が激しくやりあっている

*  *  *
「サイトーン?」
240大人才人 拒絶5-6:2010/12/23(木) 21:31:19 ID:SiYX89ty
「才人だよ、居るんだろ?面会させてくれって、言ってるだろう。ギーシュ=ド=グラモンの名前じゃ駄目なのかい?」
ギーシュは受け付けににじり寄っている
傍に居るのはモンモランシー
「そう言われても、王宮勤めの名簿には無いんですよ。登録されてない人間に面会求められても、出来ないとしか言えません」
「こんのお役所仕事!!もう良い、押し通る!!」
「ギーシュ、幾ら何でもヤバいでしょ?」
「見て解らないのかい?何故か衛士隊が居ない。メイジが無理を通せば、今なら通る」
「才人見たさに、牢獄もちょっとなぁ……」
「なら此処で待ってるんだね。僕が探して来る」
スコーン!!
「あいたっ!?」
「なぁに、やってんだお前は?グラモン家に恥かかす積もりか?ギーシュ」
ギーシュが振り返ると、女を抱き寄せた状態のジェラールが居る
さっき、投げられたのは落ちてた石だ
「ジェラール兄さん!?兄さんに言われたくないや。女連れで出勤なんざ、そっちのが恥じゃないか?」
「まぁ、グラモンですから」
受け付けの役人も最早気にして居ないし、周りで整理してた役人も、其に受付で待ってる者達すら頷いた
「…兄さん何やってんの?」
「グラモン家の男として、誰にも後ろ指を指されない様に、女を口説きまくってんだが?」
ギーシュもモンモランシーもがくりと崩れる
「やっぱり、グラモンの男は駄目駄目ね」
「其にな、この娘も今から出勤なんだよ、ね?」
「ねー」
人前で恥ずかしがらずにいちゃつく
王宮ではグラモンだから許される。普通は絶対に許されない
「で、お前は何の用で来たんだ?学生なんだから、きちんと勉強して来い」
「才人だよ。居るんだろ?会わせてくれよ。もう6日も見て無いんだ!!」
ジェラールは苦笑する
「ったく、お前は一途だな。受付、面会者は俺だ。なら構わないだろ?」
「えぇ、其なら」
「付いて来い」
「うん」
ギーシュとモンモランシーはジェラールの後ろに付いて行く
「あらやだアメリー。貴女グラモンに口説かれちゃったの?」
「良いじゃない。ちゃんと、将軍仕留めちゃったんだもの」
「此は失礼マドモアゼル。貴女と言う花が有りながら、他に目移りしてしまう俺の不忠を責めてくれ」
「せめて隣に女が居る時位は控えろ!!この馬鹿!!」
ギリギリ首を締められるジェラール
「ちょっ、まっ、ギブギブ」
ブン、ドカ!!
そのまま床に叩き付けられるジェラール
「ふん!!」
241名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 21:35:36 ID:5xO7ki6c
シエンスタ
242大人才人 拒絶5-7:2010/12/23(木) 21:38:42 ID:SiYX89ty
ツカツカとアメリーは立ち去る
「あたたた、もう、余裕が無いなぁ」
「…全部兄さんが悪いと思う」
「…私もそう思う」
「違うよ。衛士隊が何で居ないのか、聞こうとしただけだっての。近衛の銃士なら知ってるだろ?」
「あぁ、成程。でも兄さんの場合、前科有りすぎなんじゃ?」
「私もそう思いますわ、ミスタグラモン」
チャキ
短銃をジェラールに構えながら、にっこりと銃士は話しかける
「本当だって。全く、俺はこんなに仕事熱心なのに」
全員カクンと口をあんぐり開ける
「ヒポグリフ隊隊長としての質問だ。きっちり答えてくれ。陛下の客人と衛士隊が居ない理由を知ってるか?」
「はい、隊長殿。陛下の客人とゼッザール隊長殿が決闘……いえ訓練をしております。衛士隊は防御の為に駈り出されました」
その瞬間、ジェラールは真顔になる
「場所は?」
「練兵場です」
「解った。付いて来い」
ジェラールは歩き出すと二人に話し始める
「ちっ、あの使い魔。調子に乗りすぎだ」
「どういう事だい、兄さん?」
「ゼッザール隊長が、何で30年も隊長やってるか解るか?ギーシュ」
「突然聞かれても…」
「代わりが居ないんだよ。カリン退役後、最強なのがゼッザール隊長だ。隊長職に求められるのはな、先ず強さだ。何故か解るか?じゃないと幻獣が従わない」
「あっ」
「群れの頭が最強じゃないと、集団として統率出来ないんだよ。だから頭脳が欲しい場合は参謀を付ける。サンドリオンが在籍してた時は、ゼッザール隊長もサンドリオンに頼りっぱなしだったみたいだな」
「そしてゼッザール隊長は温厚だ。先ず怒らない。なのにお前の使い魔は隊長を怒らせた。洒落にならん。言っとくが、俺がタイマン張っても、ゼッザール隊長に一発食らわせられれば良い程度だ。大抵防戦一方だ」
「騎乗なら負けんがね。ゼッザール隊長は、徒歩の地上戦のが圧倒的に強い」
「何でだい?」
「風のスクウェアだからだ。余計な装備は他の三系統と違って、逆に枷になるんだよ。風は、最大の能力を発揮させるなら、個人単位が一番使い易い」
「…そんな事無いよ。ね、モンモランシー」
「そうね、ギーシュ」
「「才人なら、コンビネーションで更に強く出来るもの」」
「おいおい、平民だろ?何で出来るんだよ?」
「兄さんは、才人と肩を並べて戦って無いから解らないんだよ」
「その通りですわ、お兄様」
243大人才人 拒絶5-8:2010/12/23(木) 21:44:22 ID:SiYX89ty
歩きながら練兵場に着くと、どよめきが起きている
「何だ?済まん通してくれ」
「グラモン隊長?」
ジェラールが見たモノは、ゼッザールが風を纏わせて高速戦闘をするのに対し、才人が其に少々劣るが似たスピードで応戦しながら二刀を繰り出し、ゼッザールも迂濶に近寄れない、正に熱戦が繰り広げられていた
更にウィンディアイシクル、ウィンドカッター、ジャベリン、マジックミサイルはかわされるかデルフが吸い込み、逆にゼッザールに斬撃と共に放たれる
「…何なんだ?此は?」
「元副長殿、強すぎです。魔法使えないのに、インテリジェンスソード使って、ゼッザール隊長の魔法を利用してます」
「お、やってるやってる。才人の剣技の集大成だね」
「あら、本当だわ。へぇ、いつの間にか衛士隊隊長と互角迄行ったのか」
「二人共、知ってたのか?」
「「勿論」」
剣技と魔法の高速の応酬を見ながら、ジェラールは呟く
「だが、ゼッザール隊長は奥の手出して無いな」
「偏在でしょ?」
「…まぁな」
「多分才人には通じないよ。一度戦ってるしね」
「そうね。才人も奥の手出してないし」
ジェラールは二人の発言に唖然とする
「使い魔にも奥の手が有るのか?」
「そうよ」
ギィン!!
ザッ
互いに一気に飛び退き、また仕切り直す二人
「いや、正直驚いた。此処までやるとはな」
244大人才人 拒絶5-9:2010/12/23(木) 21:48:02 ID:SiYX89ty
「そりゃ、どうも。アンタの強さの方が化物だ」
「全くでぇ。相棒が軽口見せられねぇなんざ驚きだ」
「こうなったら、奥の手を出させて貰う。ユビキタス・デル・ウィンデ」
分身が発生し、都合5人のゼッザールが現れる
「イヤァね、奥さん。また偏在ですって。どうしましょうかしらん?」
「あぁら、奥様。全部ぶった斬るしか無いのではなくって?」
「其しか無いわよね?奥さん。本当に参ってしまいますわ」
才人の漫才にゼッザールは肩を震わせる
「ククク、本当に面白い男だ。此は受けきれるか?」
わざと本体の帽子を取り、分身は帽子を被ったまま
「何で本体の帽子を取る?」
「あぁ、此処まで来れないからな。サービスだ」
才人は一度村雨をしまう
「デルフ、警戒しろ。ありゃ、ワルドの分身とは違うぞ」
「…だな」
分身のゼッザールがサーベルを二人ずつ重ねて掲げ、同時詠唱を始める
風,風,風、風,風,風
本人同士だから出来る、完全な調律の風の六乗
「大判振る舞いだ。たっぷり馳走してやる」
竜巻が発生し、竜巻内に電光が疾る
「……何だありゃ?」
「ヘキサゴンスペル!?マズイ相棒、ありゃ戦術級魔法だ。周り事吹き飛ばす積もりだぞ!!」
「……マジかよ」
其に気付いた衛士隊が才人の背後に集結し、全員で防御魔法を詠唱し、構える
「総員上に流せ!!絶対に受け止めるな!!」
ジェラールがその場で指揮をする
「受け取れ!!」
サーベルを振り下ろし、二つの雷を纏った竜巻が、才人に向かって向きを変えて襲いかかる
ゴオォッ!!
「くっ、二段構えだ。デルフ、雷は地面に流して竜巻吸え!!」
「おぅ!!」
片方の竜巻に対峙し、デルフを突き立てると退き、更に村雨を地面に突き立てると竜巻に呑まれた
「後は俺の運と、ジャケットの電気抵抗に期待するっきゃねぇ!!」
ゴオォォ!!
竜巻に呑まれ、風に飛ばされそうになりながら、突き立てた村雨を足掛かりに身体を縮めて才人は耐える
デルフが前面で竜巻を吸い込んでいる為、かろうじて耐えられる
バシンバシン
雷により空気が弾け、雷の殆どは二振りのアースにより地面に流れる
だが、疾った雷が才人の顔や手の傍を通過し、才人に少なくないダメージを与える
後方で障壁を重ね掛けした衛士隊は、その巨大な威力を上に流す為、斜めに障壁を張る
其でも圧力は相当な物で、一人、また一人と精神力が尽き、倒れていく
245大人才人 拒絶5-10:2010/12/23(木) 21:51:09 ID:SiYX89ty
射程は砲撃や射撃に較べると短く、150メイル程度とは言え、その周辺の形有る物全てを吹き飛ばす、凶悪な魔法だ
「ぐうぅぅぅぅ」
「耐えろ!!相棒!!」
二つの雷を帯びた竜巻が終わり、衛士隊は集合してた100人の内1/3が精神力切れで倒れる
「ったく、ゼッザール殿。ヘキサゴンスペルなんざ使わないで下さい……何!?」
ジェラールは、信じられないモノを目にする
才人は蹲りながら、とうとう耐えた
顔には裂傷が出来、爪が幾つか剥がれ、足腰は弱まったとは言え誘導雷を多少喰らい、ガタガタだ
「良し、耐えたぞ。デルフ、流石伝説の仕事だ。はなまるくれてやらぁ」
「あったり前よ!!俺っちは相棒の左腕、デルフリンガー様だぜ!!」
デルフは高々と自らの口上を唄う
「……手加減したとは言え、あれを耐えるかよ」
ゼッザールは驚愕する
「あれだけの大技だ。スクウェアと言えどもネタ切れだ。行け、相棒!!」
「おうよ!!」
ダッ!!
村雨を引き抜き、デルフを抜きながら走り
分身二人にデルフを突き付け
「返すぞ」
その瞬間、膨大な竜巻がデルフから発生し、二体の分身は遠く吹き飛ばされる
「「うおぉぉぉぉ!?」」
「まず二つ」
直ぐに残り二体に対し、流れる様に対峙しながら小さく詠唱し、発動
サーベルを突いて来るが、今度は才人が受け流しながらの二刀の斬撃、舞姫の暴風になる
「更に二つ!!」
「相棒、正面飛び込んで来るぞ!!」
デルフの警告にデルフと村雨を交叉し、高速の刺突を正面で受け止め、巻き込みながら身体を倒し、蹴り飛ばす
剣を用いた巴投げ。そのままゼッザールは背中から叩き付けられた
ダァン!!
「グアッ!?」
「一本!!だぁね」
「……ぶい」
才人は立ち上がり、村雨とデルフを収め、バルコニーに向かってVサインを出すと、そのまま倒れた
ダッ
モンモランシーが駆け寄り、ポーチから薬を取り出し、口移しで飲ませながら、治癒の詠唱を行う
「ゼッザール殿、大丈夫ですか?」
ジェラールがゼッザールに近寄り、身体を起こす
「ふぅ、効いた………クククク、アッハハハハハ!!気に入った。絶対に使い魔殿をシュヴァリエにするぞ!!異論は有るか?ジェラール」
「有る訳無いでしょう。あれだけのモノを見せられたんだ」
246名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 21:54:58 ID:bdKe0sE0
支援
247大人才人 拒絶5-11:2010/12/23(木) 21:55:00 ID:SiYX89ty
「何故決闘、いや訓練だな。訓練をしたかと言うとだな、使い魔殿がシュヴァリエを拒否したからだ。そして奴は見ての通り、押し通した。クックックック、こんな痛快な奴、久し振りだ」
「決…いえ、訓練して迄拒否ですか。筋金入りですな」
「使い魔殿には、最高の礼を以って相対せよ。ゼッザールから、全近衛に訓辞だ」
「了解。聞こえるか、アニエス殿!!」
ジェラールが大声を上げる
「聞こえてる!!」
「ゼッザール殿からの訓辞だ。全近衛は、使い魔殿に対し、最高の礼を以って相対せよ!!」
「承知!!」
最後迄静かに観戦してたアンリエッタは、感動しつつ言葉を紡ぐ
「‥‥何と素晴らしいお方なのでしょう。ゼッザールが惚れてしまいました」
其を聞き、ルイズは胸を張りつつ答えた
「此で、サイトのシュヴァリエ就任は撤回ですね」
「仕方有りません。見事に押し通してしまいましたからね。きちんと、私から打診したが明確に断られたと記します。ですが戦果は文書に残し、機会が有れば何度でも打診すると追記します。妥協点としてはこんな所です。宜しいですか?ルイズ」
「はい」
「其でルイズ、貴女は使い魔さんのシュヴァリエ就任が、嫌なのですか?」
ルイズはピタリと身体を止めると、身体を小刻みに震わせ、身体の奥から声を出す
「そんなの………大歓迎に決まってるじゃないですか!!あんの馬鹿犬〜〜〜〜〜〜!!帰ったらお仕置きなんだからぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

練兵場にルイズの絶叫が木霊し、ゼッザールの号令の元、叩き起こされた衛士隊が整列
モンモランシーの膝枕で介抱されながら気絶している才人の隣にギーシュが立ち、その才人に対して礼をする
「衛士隊総員、杖抜け〜〜〜!!」
ザシャッ
「無冠のシュヴァリエに、捧げ〜〜〜杖!!」
シャッ

*  *  *
248名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 22:12:14 ID:dLGYf7dq
支援
249大人才人:2010/12/23(木) 22:17:18 ID:SiYX89ty
投下終了なのね〜
めちゃめちゃ重かったのね、きゅい
では大人才人タクティクスなのね
今回はカリンなのね〜
「やっほ〜。皆元気〜?あのね、偏在使った合わせ技はね、私がゼッザールに伝授したの」
「ヒントはね、パラディンの聖歌斉唱ね。本人同士なら、血吐く程訓練しなくても大丈夫なんじゃないかって事なのよ」
「本人同士でも、やっぱり多少のズレは生じるから、呼吸を合わせる呼び動作が、杖を交叉して振り上げ、振り下ろす必要があるの」
「その為、騎乗や機動中では、バランス崩して使えない訳ね。単騎で地上又は大型空船搭乗時にしか使えないの」
「だからタルブ戦で使えなかった訳。本人は指揮しながら攻撃しきゃいけなかったし、別に出し惜しみじゃないわよ」

有り難うなのね〜
では、2月中旬迄お休みですが、勉強の合間に執筆してますのね
きゅいきゅい
250名無しさん@ピンキー:2010/12/23(木) 22:43:06 ID:I6jWaVMu
おつかれさま、いいプレゼントだったよ。
来年の再開を楽しみまってますぜ!
251名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 01:16:06 ID:wzJWgzFd
乙。突然の井戸端会議噴いたwwwww

試験がんばってくださいね。
252名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 03:36:17 ID:VSOb92vU
>>249


しかし、タルブ戦の戦果と負傷とで、こんな大騒ぎになる大人版才人。
7万人斬り&Missing in Actionの時はいったいどうなるのかね。

ティファニアの元での生存が確認されるまでの合間に、ヒロイン陣が揃って
後追い自決しかねないな。
253名無しさん@ピンキー:2010/12/24(金) 04:27:28 ID:ITfOAnUY
大人サイトに魅力がありすぎて他キャラの魅力が完全に失われてしまっているように感じた。本当にアルビオンでの訃報を聞いた女性陣が自殺しかねんぞ。
254名無しさん@ピンキー:2010/12/25(土) 23:13:49 ID:qjz6x+Km
帰ってくるまで落とさないようにしないと
255名無しさん@ピンキー:2010/12/26(日) 15:43:02 ID:qJifZVhz
なら話題を
おおかたのヒロインは出たけどまだいないのはどんなのかな
真珠さんが出てきたときはびっくりした
256名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 01:31:20 ID:COZmI6P2
借金苦で使い魔を手放すメイジとか普通に居そうなんだがねぇ。
裏相場で高値で売られる使い間達・・・
あるいは依頼で使い魔を拉致る専門の闇業者が・・・

とか言う妄想が・・・
257名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 08:16:05 ID:Qsp/b1qk
地方には生活苦で娘を売りに出す貴族とかいるかもしれない。
でも返品されて自分で狩りをして食料を稼ぎあげくに食いぶち減らしで学院に送られる。
258名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 21:04:34 ID:yp4OrgWZ
>>257
なんと言うメイルスティア。
そしてものすごくでっかいムカデを召喚するんですねわかります。
259名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 23:10:09 ID:24sGNiLE
名門だけど貧乏な貴族が裕福な下級貴族に娘を嫁にだす
色々あって娘は出産した息子の片目を抉ろうとする、と
260名無しさん@ピンキー:2010/12/28(火) 23:25:46 ID:7ZsZuV1L
あれ息子じゃなくて娘だったら割とツボ。
261名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 10:25:13 ID:RE4fTlpI
>259
息子は長じてバイクを乗り回すのか。
262名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 15:26:27 ID:ivofPjxB
>>258
あれ買取失敗する理由がわからん。俺なら買う。熟女趣味の人買いだったとか?
>>259
今では漢女もやってますな
263名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 21:38:28 ID:oinqKWy1
誰も気付いてないようだが、259はオスカー・フォン・ロイエンタールだからなw
264名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 21:53:14 ID:doHdQwIH
いやだから俺はロイが娘だったらツボだと。
265名無しさん@ピンキー:2010/12/29(水) 23:21:00 ID:2M9eZVMa
幸福な、の三次がここで書かれるなら読みたい
266名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 17:14:08 ID:RmQQT/eh
>>259
日本でも天皇家が零落してた時期、親王を摂関家に養子に出したりとか
してるよな。
あとは、デカイ寺の門跡級は、みんな皇族出身だったり。
267名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 17:41:04 ID:2uUdeUv6
一休さんも皇族出身だっけか
もうすぐ正月だが、年が明ければガイコツにみんな一歩近づいていく。ご用心、ご用心。
268名無しさん@ピンキー:2010/12/30(木) 17:56:45 ID:QHumv5Tw
摂関家は下級貴族じゃないし、藤原摂家は元々朝廷の共同運営者みたいなもんだからなぁ
寺に親王送るのは既得利権として普通のことだし。後々の南北朝なんかは僧兵の兵力あればこそだしさ
室町将軍なんかは意外なほど将軍家と守護大名の間に縁戚関係ないしなー
269名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 13:17:52 ID:F8X0IqGu
シュヴァリエってすごそうに見えるけど、貴族としては最下級の称号じゃなかったっけ?
まあトリステインで平民がとればすごいんだろうが、ガリアやゲルマニアじゃたいしたことないんだろうな
270名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 14:34:00 ID:5qS9BDCP
>>269
「グローリー」って映画で奴隷は将校にはなれないが、下士官の最高階級を用意した、
と聡明な将校が優秀な奴隷兵士を昇進させるエピソードがあったけど、あんな感じなのかもね。
271名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 14:56:41 ID:292+hLB5
テレビ二期まで観たがルイズとサイトは毎晩一緒に寝るようになってるのに
セックスはしてないのか?
272名無しさん@ピンキー:2010/12/31(金) 16:00:55 ID:dz5fh74z
ルイズ……、お前、可愛かったんだな……。
が、頑張ればできるじゃねえか

なにそれ。可愛くなんかないもん

か、可愛いって。
まるでレモンちゃんだ

レ、レモンちゃんじゃないわ。
というかレモンちゃんてなによ

肌がすべすべで、レレレ、レモンちゃんだ

夢中になって、ルイズの首筋に唇を這わせながら、才人は呟く。
脳内は既に花畑なので、自分が何を言ってるのか、
才人自身が理解していなかった。


ばかぁ……。こんなことするサイトなんてキライなんだから……。
ちょ、や、やめ……

わ。 ここはもっとレモンちゃんじゃないか。
こ、ここなんかどうしようもないほどにレモンちゃんだ

はう。 ……わ、わたし、よくわかんないんだけど、
ほんとにレモンちゃんなの?

そうだよ。 とりあえず、
レモンちゃん恥ずかしいって言ってごらん

沸いている、というレベルを光年の単位で超えている才人の茹だったセリフだが、
ルイズも根は相当なアレなので、なんだかそれがロマンチックな響きに聞こえた。 
というか一旦こうなったら、結局ルイズはなんでもいいのだった。その辺の趣味は、才人よりある意味ひどい。

レ、レモンちゃん恥ずかしい……
273名無しさん@ピンキー:2011/01/01(土) 22:31:43 ID:P6wsQdSv
キュルケとコルベールはどうなのか?
マリコルヌとブリジッタはどうなのか?
274名無しさん@ピンキー:2011/01/04(火) 13:30:52 ID:RTkcmvFy
保守っておくか
275名無しさん@ピンキー:2011/01/06(木) 10:09:17 ID:q1dRBtku
久しぶりにボルボX氏のSS読んだらルイズ編が読みたくなった
きっとドロドロに重たい独白をかましてくれるんだろうなあ
276名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 07:26:15 ID:aeOJrsJL
久々に来てみたが女王陵辱の後編は来てないのか・・・
277名無しさん@ピンキー:2011/01/07(金) 17:55:49 ID:UwSE2V4C
予想はしてたがやっぱり過疎ったな
最新刊が2月に出るが、アニエス以外の銃士隊メンバーでないものかなあ
278名無しさん@ピンキー:2011/01/10(月) 22:46:21 ID:YKBhhL5d
2年ぶりくらいに来た、保守っておく。
しかし.…せんたいさんマンセー時代から変わったなぁ…
病気じゃなけりゃスレ欠かさず読めたのに… くそっ…
279名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 11:37:03 ID:TM53R9b2
全盛期を支えてたSS職人達にも見放されたしもう終わりだろ。
つか、無駄に保守ってないでいっそ落してしまった方がいいと思うな。
今のゼロ魔スレは正直見てて忍びないわ…
280名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 11:38:04 ID:TM53R9b2
言ってる自分がageてどうする…_| ̄|○
281名無しさん@ピンキー:2011/01/12(水) 20:34:34 ID:0q111Vr9
基本sage進行で問題ないでしょ。ROMの人も結構いると思うよ。
保守してれば、また楽しめる作品に巡り会えるさ。

ん? おれ? シエシエがメインキャラじゃない貴族女子たちにいじめられて、
マリコルヌとセックルさせられるってダークな話なら過去に思いついたが、
作製したテキストも原作でサイトがタイガーにのった辺りに削除したさ。

…という保守だったのさ。
個人的にはイルククゥなシルフィードさんの続編を、心待ちにしてる。
試験がうまく行くよう、祈ってるよ。
282乙女は虚無(ゼロ)に恋してる:2011/01/13(木) 16:28:13 ID:hfgA6eul
前に短編書いたら来るって言ってたやつがやっと来たぞ!
かなり一般受けしないと思うが保守代わりに思っておいてくれ。

ふたなり・近親注意。あとキャラの何かがおかしい。以上!
283乙女は虚無(ゼロ)に恋してる:2011/01/13(木) 16:30:08 ID:hfgA6eul
『乙女は虚無(ゼロ)に恋してる』エレオノール編

 ────魔法学院の夏休みが終わり、アルビオン侵攻のための遠征軍が編成される中、
ルイズは彼女の従軍に反対するエレオノールによって才人、シエスタ共々学院からしょっぴかれ、
ヴァリエール領へ向かう馬車の中にいた。
「私の話は終わってなくってよ? ちびルイズ」
「ひぃ! あねさまやめて、いたいいたい……」
 前方を走る馬車の中で、人目もはばからず才人へちょっかいをかけるシエスタへと、
文字通り怒りとともに馬車の屋根を爆発させたルイズは、話の途中で勝手な行動をとったことに
腹を立てたエレオノールによって、キツイおしおきをされてしまう。
 父譲りの金髪と、気の強さを如実に表す三角眼鏡を光らせた彼女は、ルイズを押さえつけるや
そのスカートの中へ手を伸ばし、女性には有り得ざるモノを掴み出し、力を込めて乱暴に扱き出したのだ。
 どうにかショーツの中へ押し込まれていたソレは、本体の意思を無視して刺激に反応し、
ムクムクとその硬さと大きさを増してゆく。
「まったく……わがままなのはコッチだけになさい。
 まったく、体はおちびなくせにコッチだけは無駄に立派なんだから……」
 ルイズの股間にそそり立つ、色白かつ華奢で可憐な彼女には到底似つかわしくないほど
凶悪で黒々とした長杖へ、熱のこもった視線を向けるエレオノールは、
舌なめずりしてそれにかぶりつくと、端正な顔が下品に歪むのも厭わずに
じゅるじゅると激しい音を立てて吸い始める。
 しかし、こんなものが付いているからといってルイズが男性だというわけではない。
その肉棒の根元には、ちゃんと女の子の証が息づいている。彼女の胸が洗濯板だからといっても
決してそれはやおい穴などではないのだ。
「おねえさまぁ! そんな乱暴にしたらとれちゃうよぉ!!」
 暴力的なまでの性行為に悲鳴を上げるルイズは、まことエレオノールの嗜虐心を刺激する。
そしてこの姉にとって、いじり甲斐のある両性具有の末妹は昔から格好のおもちゃであった。
 久しぶりにありついた獲物を飲み下さんとする食道と、エラの張った亀頭へ絡みつく舌の猛攻に加え、
幾度と無く妹の種を搾り取ってきた彼女のしなやかな指がルイズの秘裂へと伸びる。
「やめて姉さま! そこは嫌ぁ!!」
 ルイズの懇願も空しく肉穴へ潜り込んだエレオノールの指が、前立腺をぐりりと抉って
強制的に射精を促し、無慈悲な絶頂をもたらした。
「おほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 強引に搾り取られた種汁はずびゅずびゅと勢い良く迸ってエレオノールの胃の腑を満たし、
反対にルイズの体温を奪ってゆく。
「……ふう。お次は私のほうも満足させてもらうわよ」
「…………はい」
 キスするようにして尿道から最後の一滴まで吸い出した残り汁を、舌の上で転がした後に飲み下し、
その瞳へ野獣の如き肉欲の炎を点したエレオノールは高級なシルクの下着を脱ぎ捨てると、
いまだ元気な息子とは裏腹に息も絶え絶えな様子で横たわる妹を見下ろした。
284乙女は虚無(ゼロ)に恋してる:2011/01/13(木) 16:31:10 ID:hfgA6eul
 彼女は硬度を損なわずに屹立するルイズ自身の上へ跨ると、先程の興奮で潤った秘裂へ
ゆっくりといざなってゆく。
「ん……んっ!」
 特に前戯を行ったわけではないため、一気に迎え入れるにはいささか潤滑液が足りないが、
その引っ掛かりがまた心地よい快感を与えてくれるとエレオノールは気に入っていた。
 ややあってルイズの全てが飲みこまれ、敏感な先端が久方ぶりに姉の最奥へと触れた途端、
夫を抱擁する妻のように柔らかな肉襞が絡みつき、子宮口から尿道へと熱烈なキスの嵐が降り注ぐ。
 その懐かしくも強烈な刺激に、ルイズの雄は今しがた出したばかりだというのにも関わらず、
すっかり手綱を握られてしまった。
「お姉さまの中、すごく温かいですぅ……」
「久しぶりの私の膣(なか)がいくら気持ちよくても、先にイッてはだめよおちび」
「そんなぁ……」
 彼女の調子は姉にしっかり把握されているようで、イキそうになるたびに締め付けが強くなり、
射精を封じられてしまう。焦らす様に何度も行われる無慈悲な寸止めに、ルイズはすっかり涙目だ。
「ふふ……やっぱりおちびのじゃないと物足りないわ。いっその事、貴女の種で産んじゃおうかしら」
「そんな! いくらなんでも伯爵に失礼です!!」
 近頃婚約したエレオノールによる、腰をくねらせながらの爆弾発言に狼狽るルイズ。
しかし当の本人は気にする風でもなくしれっと言ってのける。
「だってあの方、おちびと比べたら全然なんですもの。私にはご執心でいらっしゃるようだけど、
 あれじゃあねえ……」
 貴族が結婚前にこういうことをするのはいかがなものかと思うが、気位の高さにさえ目をつむれば、
ほどよい大きさのバストと美しく均整の取れた肉体を持ち、ひとたび寝所の中へ入れば
たちまち男を天国へ誘ってしまえる姉の味を一度知ってしまえばおいそれと別れるのは
流石に抵抗が生まれるだろう、という感想をルイズは自らを棚に上げて抱いた。
 しかし婚約者であるパーガンディ伯爵へのあんまりな言い草に、ルイズは当事者ながら大変申し訳なくなった。
もっとも、彼女が姉の要求を拒否することなどは逆立ちしても不可能だったのだが。
 そんなルイズの心情を余所に、エレオノールがこね回す程度の動きに抑えていたピストン運動を再開する。
吸い付くような締め付けを保ったまま、入り口から抜け出てしまいそうなほどにゆっくりと
腰を引いたかと思いきや、子宮口を貫かんばかりに深々と打ち付ける長いストロークで
散々焦らされていた肉棒を攻め立てる強烈な往復だ。
「ひゃうっ!? おね、お姉さまっ! もっとゆっくり!!」
「激しく、動かさなきゃっ、私がイケないでしょう?」
 はあはあと言葉に混じる息も荒く、ルイズを先に絶頂させぬよう細心の注意を持って
打ち付けられる腰がパンパンと小気味良い音を立てて弾む。
「びくびくしてきたわ、そろそろイキそうなのね? イクときは私の一番奥へくっつけて、
 赤ちゃんのお部屋の中へ一滴残らずびゅーびゅー出すのよ!!」
 今まで心地よい雌肉の中で散々お預けを食らい続け我慢の限界に来ていた剛直が痙攣を始め、
溜まりに溜まった欲望を解き放とうとするのを感じ取ったエレオノールは、
娼婦のように淫蕩な笑みと貴族にあるまじき卑猥な言葉でルイズを煽り、その動きを早めてゆく。
285乙女は虚無(ゼロ)に恋してる:2011/01/13(木) 16:31:39 ID:hfgA6eul
「あねさまっ! だめです、もう出ますうううううううううう!!」
「もう少し、もう少しっ! ────ん、あああああああああああああああああっ!!」
 亀頭の先端が子宮口へ突き刺さり、度重なる寸止めで濃縮されていた子種を一気に解き放った。
びゅーびゅー音を立てそうな勢いで吐き出された、火竜山脈のマグマのような灼熱の奔流が
子供を生み出す神聖な器官を快楽で焼き、エレオノールを久方ぶりに絶頂させる。
 それは他の誰にももたらすことは出来ないと思えるほどの、極上の快感だった。
一度この天上の美味を知ってしまえば、もはや血の繋がった実の姉妹が吐き出した
禁忌の子種によってしか、彼女の飢えを満たすことなど出来はしないのだ。
「はぁ……はぁ……本当に久しぶりだわ……いいこと?
 戦争になんて絶対行かせないわよ、ちびルイズ」
 頬を桜色に染め、寸止めからの絶頂で気を失った妹へと接吻する彼女の顔には、
日頃の険しさからは想像もつかないほどの慈愛に満ちた笑みが浮かんでいた。

 E N D
286乙女は虚無(ゼロ)に恋してる:2011/01/13(木) 16:36:57 ID:hfgA6eul
投下終了。
短いね。あとエレ姉描写の一部が文字化けしちゃったみたいだ(超棒読み)
注意書きはしたけどそれでも問題あるんなら次から他のスレに書くことにします。
287名無しさん@ピンキー:2011/01/13(木) 23:48:47 ID:M+tRwZvg
GJ。描写が濃ゆい分、短いのは気にならなかった。

注意書きが最初にあるしその点も問題ないと思う。
288名無しさん@ピンキー:2011/01/14(金) 17:09:15 ID:JXPgfIUl
ここのサイトはルイズの着替えのときどういう気分なんだろうか
289名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 08:03:57 ID:T+hbDW6w
GJ!エレ姉編ってことはそれ以外もあるのかな?
あるならぜひお願いしたい
290名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 12:34:02 ID:MwrwoGGR
>>288
そりゃ朝の生理現象でバッキバキなのを見て…
シエスタのちょっかいを怒るくらいなら、喜んでいるのかもしれん。
291名無しさん@ピンキー:2011/01/15(土) 12:41:36 ID:dPPbcYHP
サイトの自制っぷりの理由はルイズ達が秘薬で深く眠らせたサイトの朝立ちをローテーション処理して発散しているから、的なSSだれか書いてください
292名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 16:38:41 ID:ds/H7eGj
確かに、このスレの歴代サイトたちのオープンさに比べたら、原作サイトの自制力は神がかってるからなあ
293名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 22:06:39 ID:ibewW5Wl
まぁだからこそ逆にここで、ってことなんだろう
294名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 22:15:37 ID:Lg/bRZ1K
原作ではじけっちまったらこっちでは撲殺大会でもおきそうだ
295名無しさん@ピンキー:2011/01/18(火) 22:35:30 ID:XNh4jxst
フラグ体質で女にだらしない割に
ここぞというときには男らしく、かつヘタレで馬鹿な童貞野郎
まさに愛すべき漢というか
それなりに人気が出るタイプのエロゲ主人公だからな、才人は
296名無しさん@ピンキー:2011/01/21(金) 18:22:39 ID:UBw3XUOJ
ハーレム持ちだがそんなとんでもない数でもない。
297名無しさん@ピンキー:2011/01/23(日) 21:36:33 ID:TS7YzLKc
保守しておこう
298名無しさん@ピンキー:2011/01/24(月) 17:23:18 ID:1TCzNm+O
大人才人の帰還を待ちつつ保守
しかしグロ系はやっぱりいらんと思う
299名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 02:33:17 ID:hW8amg2H
保守
300名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 17:30:56 ID:cp1CxbWA
>>286

でもエレ姉は原作じゃあの歳でまだなんだよな
301名無しさん@ピンキー:2011/01/26(水) 23:44:11 ID:d6fQcUZb
そういや、姫様の使い魔ってなんだろ?
302名無しさん@ピンキー:2011/01/27(木) 00:02:52 ID:0F4lSZMd
マザリーニじゃね?
303名無しさん@ピンキー:2011/01/27(木) 00:16:30 ID:TjDeZq/c
>>302
あいつアニメ見るまで女かと思ってたw
304名無しさん@ピンキー:2011/01/28(金) 18:09:14 ID:bVhcmiL2
姫様と濃厚な夜を過ごしたいぜ…
305名無しさん@ピンキー:2011/01/28(金) 18:11:12 ID:H4mKQT+B
銃士隊が毎夜とっかえひっかえ
基本だなこりゃ
306名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 13:23:11 ID:5nXVpVxZ
規制のときのために代理投下スレ立てておいた。

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7927/1295422299/
307名無しさん@ピンキー:2011/01/30(日) 19:25:25 ID:ozgaJkhU

いろんな人に利用してほしいものだ
308名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 01:16:32 ID:OHpMHaJD
今月はもう大人才人さん復活か、楽しみだな。
合格祈願しとこ。
309おとゼロ:2011/02/01(火) 16:59:06 ID:sVuHQbT9
時間を巻き戻した第一話ができたので投下します。

ふたなり注意。
310おとゼロ:2011/02/01(火) 17:02:57 ID:sVuHQbT9
『乙女は虚無(ゼロ)に恋してる〜第一話:微熱と使い魔〜』

 時は春。二年生への進級試験を兼ねた“使い魔召喚の儀式”を翌日に控えた
トリステイン魔法学院は女子学生寮の一室に、粘つくようなかすかな水音と
睦みあう少女たちの押し殺した喘ぎ声が響いていた。
 もしカーテンに閉ざされた窓からその内を除き見ることが出来たなら、
燃えるように波打つ赤毛と褐色の肌を持つ少女が、癖のあるピンクブロンドの少女に組み敷かれ、
蕩けるような恍惚の表情を浮かべているのがわかっただろう。
「キュルケ、キュルケぇ!」
「ルイズ、ルイズゥ!」
 互いの名を呼び、求め合う少女たち。同年代と比べて二つも三つも年下に見られることが
多いほど小柄で華奢な体つきのルイズは、自身とは対照的に豊満なキュルケの胸に顔を埋め、
母に甘える赤子のようにその先端をしゃぶり、必死にしがみついて腰を振る。
 改めて言うがルイズは少女である。それもすこぶるつきの美少女だ。その証拠に彼女の股間には、
初々しい桃色をした可憐な一筋の割れ目が愛液を漏らしながら息づいている。
しかし、今現在キュルケの濡れそぼった秘所を貫き巧みに弱点を攻め立てているものは、
まごう事無くルイズから生える男性自身であった。

 ────両性具有という重大な秘密を抱えたまま学院へ入学したルイズは、
ある日男癖の悪さで名を馳せる隣室のキュルケが、防音魔法サイレントを掛け忘れたまま
ことに及ぶ事態に遭遇し、悶々と眠れぬ夜を過ごす破目となった。
「こんの色ボケツェルプストォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
 翌朝、その苛立ちをぶつけるかのように殴り込みをかけたルイズは、魔法で施錠された鍵を
自身の魔法で吹き飛ばし、その勢いのまま寝ぼけまなこのキュルケに飛び掛るや、
先祖代々の恨みも込めて思う侭彼女の肉体へ猛る肉杭を打ち込んだ。
 その逞しさたるや、キュルケの使い込まれた肉壷をまるで生娘のように押し広げ、
苦痛と悦楽の入り混じる悲鳴を上げさせた程だった。
「ヴァ、ヴァリエール……!? なによソレぇ!? やめてよしてイヤァァァァァァァ!!」
「ほらほらほらっ、アンタが今まで咥え込んできた男と比べて御覧なさいよ!」
「全然違うわ! 大きくて硬くて熱くって、学院の男なんかとは比べ物にならないわよぉ!!」
「うわー、可哀そー。アンタの取り巻きがソレ聞いたら自殺しちゃうんじゃないの?」
「そろそろイクわよっ、ご先祖様の代わりにっ、アンタをツェルプストーから
 寝取ってやるんだから! アンタらに泣かされてきたヴァリエールの子種を、
 思う存分味わいなさい!!」
「おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 最初のほうこそ必死に抵抗していたキュルケだったが、今まで味わったことの無いほどの
逞しさとテクニックを誇るルイズの威力にたちまち陥落し、膣内から溢れるほどの中出しを
キメられた頃にはすっかりルイズの虜となってしまったのである。
「まさか私がヴァリエールに落とされるなんて思わなかったわ……でも素敵だったわよ、ルイズ」
(勢いでとんでもないことしちゃった……お母様たちにバレたらどうしよう……)
 かつてない満足感を味わったキュルケとは反対に、すっきりして我に返ったルイズは
寝不足による苛立ちに任せてしでかした一大事に一人顔色を無からしめ、その小さな肩を
不安に震わせるのだった。
311おとゼロ:2011/02/01(火) 17:04:01 ID:sVuHQbT9
 こうしてそれぞれ余韻に浸る二人の間にはその日の朝食と引き換えに、
先祖代々の確執を乗り越えた肉体関係が結ばれた。
 無論、その関係はともかくとして、ルイズの体のことは周囲には絶対ばれぬよう秘密にしていたが。

 そして視点は現在のキュルケの部屋へ戻る。あれからというもの、二人が体を重ねるのは
決まって彼女の部屋となっていた。
 自慰の後始末を夜にこっそりと行っていた頃ならいざ知らず、流石にお堅いルイズの部屋から
事後の汚れたシーツやらイカ臭いちり紙が出てきては誤魔化しきれないだろう。
 この点ばかりはそんな噂に事欠かないキュルケ様々である。
「ねえルイズ、ちゃんと進級できたら……あなたの赤ちゃん産んであげましょうか?」
「え!? ちょっとキュルケ……私が出来ないと思ってそんなこと言うんだから……」
 事後の満ち足りた疲労感の中、ふわふわのピンクブロンドを弄りながら投げかけられた
キュルケの言葉に、ルイズは一瞬火照った顔へ喜色を浮かべるものの、
すぐ不貞腐れたようにそっぽを向いてしまう。
 ルイズはこのトリステインで一、二を争う大貴族のヴァリエール公爵家の三女でありながら、
初歩のドットはおろか基礎中の基礎たるコモンマジックに至るまで一切の魔法が使えない
“ゼロ”だ。
 今まで馬鹿にしてきた相手のことごとくを、強力な爆発を伴う失敗魔法で黙らせてきた
彼女であったが、そんな自身の肉体にも勝るコンプレックスを持つ彼女にとって、
誰もが問題なく終えられるはずの使い魔召喚の儀式は、途方もなく高いハードルだったのだ。
「あ〜ら、そんなことないわよ?」
 だがキュルケはそれがなんでもないことのように茶化すと、ぷーっと膨れたルイズの頬を
彼女のふわふわな髪でこちょこちょとくすぐり、へそを曲げた子猫をあっさりと元に戻してしまう。
「ぷ! こら、やめなさいったら!」
 じたばたと暴れる彼女を背中から抱きしめたキュルケは、むずがる子供をあやす母親のように
優しくルイズを励ました。
「私はルイズのこと、いつか必ず大きなことを成し遂げる子だって信じてるもの」
「……一つしか違わないくせに、アンタ私のお母様かっての」
「おほほ、公爵様をたらし込めばそうなるかもね」
「やめときなさい、そんなことしたらカッタートルネードでバラバラにされるのがオチよ」
「冗談よ。あなたのお母様、音に聞こえた“烈風”ですものね。流石のツェルプストーも
 そんな人から寝取るのは勘弁願いたいわ」
 いつしか枕を並べる二人の間にどちらともなく笑い声が漏れ、
すっかりルイズの不安は吹き飛んでしまった。
「ありがとう、なんだか楽になっちゃった」
「どういたしまして」
 ルイズはそうするのが当然とばかりに豊かな膨らみへ顔を埋め、安らかな寝息を立てて
眠りについた。

 そして翌日の使い魔召喚の儀、会場として選ばれた広場に立つルイズは勇んで
よどみなく唱えた呪文とともに杖を振り下ろすと、普段の失敗魔法同様の、いやそれよりも
ひと際大きな爆発を起こし、広がる青空へ彼女の存在を高らかに宣言した。
「────失敗かしら」
「いや、煙の中に何か居る」
 蒼い短髪に赤いフレームの眼鏡をかけた、ルイズ以上に小柄な友人。
風竜の幼生を召喚したタバサの指摘するとおり、しばらくして土煙の晴れるころには
召喚された使い魔の姿がルイズにも確認できるようになった。
「これが……私の使い魔……?」
 これが、このハルケギニアにはありえない服装の少年────青いナイロンパーカー姿の
男子高校生、平賀才人と、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの
初めての出会いだった。

312おとゼロ:2011/02/01(火) 17:05:23 ID:sVuHQbT9
 翌朝、彼を召喚したルイズからこのハルケギニアがどういった場所なのか、
使い魔の何たるかを教授された才人は、異世界での目覚めに戸惑いつつも、
申し渡されたとおり主を起こすべく、眠い目をこすりながら彼女が横たわる
天蓋付の豪華なベッドへ顔を向けた。
「あー、起こさなきゃいけないんだっけ……?」
 しかし、彼の目は鎮座するものすごい違和感にとらわれ、その意識を一気に覚醒する。
 なんというか、盛り上がっていた。
 正確に言うなら、ネグリジェに身を包んだルイズの股間が、くるまったシーツを
こんもりと押し上げていた。
 好奇心に後押しされた才人は、一抹の不安を抱えつつも彼女のシーツを慎重にめくり上げてゆく。
果たして、そこに存在していたのは予想通りの男性自身。朝の生理現象でバッキバキに
そそり立つ、なんともご立派なTNTNであった。
 その光景に自然と生唾を飲み込む才人。だが彼にとって重要なのはそこではない。
もっとも大切なものを確認するべく、その手がTNTNに押しのけられた彼女のショーツへ掛かる。
 爆弾処理班のように慎重な手つきで高級そうな絹のショーツが腿の中ほどまでずり下げられ、
才人は真実を目の当たりにした。
 早鐘を打つ心臓が爆発しそうなほどの極限の緊張の中、遂に成し遂げられた偉業。
しかしその達成とともにルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは目を覚まし、
努めて爽やかな笑みを浮かべて朝の挨拶を行う使い魔の所業に気が付くや、
そのカモシカのように引き締まった美脚から渾身の膝蹴りを繰り出すと、
狼藉を働こうとした平民のこめかみへ痛烈な一撃をお見舞いした。
 才人が意識を手放す刹那、彼の脳裏にはルイズの秘密の花園──
絶対に彼女が男の娘ではないと断言できる確かな証拠、逸物の下に息づく桃色のクレヴァスが
ありありと焼き付けられていた。

「……このことを誰かに話したら、冗談抜きで殺すわよ」
 一人で制服に着替えたルイズから底冷えのする声でそう告げられ、置き去りにされた才人は、
空腹に悩まされ寮の周辺を行く当てもなくさまよっていた。
「腹減った……夕べからなんも食ってないんだもんなぁ……」
 だが神は彼を見放していなかった。幸運にもたまたま才人と出会い、その境遇に同情してくれた、
黒髪のメイド、シエスタの計らいで、厨房の賄いを食べさせてもらえるようになったのだ。

「こんなところにいたのね、ほら行くわよ。ついて来なさい」
 そんなこんなで空腹を満たした才人だったが、厨房へとやってきたルイズによって
召喚に成功した使い魔のお披露目として授業へ参加するために、連れて行かれることとなった。
 それから起きた事は、彼女の魔法の腕前を考えれば簡単に想像できるだろう。
召喚に成功したからきっと成功するはずだと、自信満々に錬金の魔法を使った直後
ルイズの危険性を知る生徒たちが我先に退避行動をとる中、教室は爆発に包まれ
土の授業担当の教師ミセス・シュヴルーズは昏倒。以降の授業は自習となり、
その罰としてルイズは魔法抜きでの後始末を命じられることとなった。
 手伝いを買って出てくれたキュルケ、タバサとともに砕けた机や窓ガラスを取り替えるルイズは、
文句を言うでもなく黙々と片付けを行う才人に業を煮やし、つい声を荒げてしまう。
「……なんで何も言わないのよ」
「なにが?」
「アンタも私のことを女の癖にアレが付いてて、おまけに魔法も使えない駄目貴族だって
 心の中で馬鹿にしてるんでしょう!?」
 身体の事こそ一部の人間以外には隠し通してきたものの、目に見える劣等感の象徴として
今まで散々嘲笑われ続け、自らの心の底へ澱となって溜まり続けてきたそれを、
八つ当たり同然に使い魔へぶつけるルイズ。しかし彼の反応は心底意外なものだった。
313おとゼロ:2011/02/01(火) 17:06:39 ID:sVuHQbT9
「……お前何言ってんの?」
 才人は持っていた雑巾とバケツを下ろすと、呆れるように深々とため息をつきながら
主のほうへ向き直り、何が起こるのか身構える三人の少女たちを前にしてとてつもなく
真剣な表情で高らかに宣言してのけた。

「────ちんちん付いてなきゃ女じゃねーよ!」

 その瞬間、世界が凍りつき、永遠とも思える硬直の後に再び動き出す。
「な、ななななななななななな何言ってるのよ!? あんた馬鹿じゃないの!?」
 発言から数秒遅れて理解が追いついたころ、ようやく反応を見せたルイズが爆発した。
「まさかあなた、男に興味があるんじゃ……」
「は? てめえもういっぺん言ってみろ」

「男のちんこなんてキショイだけだっつーの! いいか?
 俺は“女”にちんちん付いてるのが好きなの。ちんちんとまんまん両方付いてるのがいいの。
 ホモとは違うんじゃこのボケおっぱい!!」

 キュルケによって恐る恐る投げかけられた問いに、才人は竜すらもチビらせかねない剣幕で
激昂し、三人をドン引きさせるほどにふたなりのなんたるかを熱く語るのだった。
 まさかこのような奇特な男が世界に居ようとは……!!
 キュルケ、タバサはあまりの事態に唖然として声も出ない。
「……彼は紛れも無く勇者」
 いつもと変わらぬ無表情ながら内心ひどく動揺していたのだろう。
辛うじて言葉をひねり出したタバサだったが、その言葉はどこかずれていた。

□□□□

 どうにか昼前に片づけが終わり、食後の昼休みに入ろうかという頃に事件は起きた。
『青銅』のギーシュが二股がばれた腹いせに原因となった才人と決闘するというのだ。
 それを知ったルイズたちはヴェストリの広場へ急ぎ、彼らの間に割って入った。
しかし才人は、平民はメイジに敵わない、早くギーシュに謝れとの忠告にも耳を貸さず、
頑として首を縦に振ろうとしない。
「……なら仕方ないわね」
「キュルケ!?」
「ルイズ。男ってのにはね、負けると判っていてもやらなくちゃいけない時が有るものなのよ
 もう彼の好きにさせてあげたら?」
 相手がギーシュなら、さすがに殺されることはないでしょ。との彼女の言葉に
ルイズもようやく諦めがつき、一言ギーシュへ要求しただけで引き下がった。
「……わかったわ。でもギーシュ、素手の平民を相手に杖を振るうのは
 誇りある行為とは言えないんじゃなくて? 仮にも決闘というのなら、
 彼に武器の一つも与えたらどうなの?」
 かくしてその要求は受け入れられ、貴族対平民の決闘という公開処刑が始まった。

 ────結論から言うと、平賀才人は圧倒的な力でギーシュ・ド・グラモンに勝利を収め、
学院の使用人たちから『我らの剣』と称えられるほどの歓迎を受けることとなった。

 E N D

 投下終了。ウチの才人はこんなんなりました。
 ちなみにエロと重要な部分以外はガンガン端折るのでよろしく。
あと一応謝っとく。今回サイ×ルイ描写が入れられなかった。
いつになるかはわからんが次回を気長に待っててくれ。
314名無しさん@ピンキー:2011/02/01(火) 22:22:20 ID:apgqdpDt
期待して待ってるよ!
315名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 11:08:10 ID:POjAgyjN
ちょ、ハッタリかよwwwwwwwwwwww

後、タバサも知ってるんだ。
316名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 22:26:28 ID:vqDxWNFB
>>309
フタなりルイズって珍しいw


生存報告です
4日で試験マラソン終了予定
最終日は、神奈川と千葉のダブルブッキングですorz
午前と午後で、移動と試験時間ギリギリ、泣きてえ
317名無しさん@ピンキー:2011/02/02(水) 22:33:52 ID:kapWesyP
>>316
い`
道は開ける
318名無しさん@ピンキー:2011/02/03(木) 23:54:55 ID:d6urLf6W
乙、こいつは珍味

そして>>316も負けるな
319名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 00:06:26 ID:d8rslKrQ
>>309
この才人にとってふたなり美少女にこき使われるなんてのは夢みたいな状況なんだろうな。
320名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 17:45:35 ID:PhRClG7f

フタナリなのはルイズだけなのか。今後も期待。
321名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 21:59:35 ID:SDeSN7M1
もし虚無の使い手が両性具有だったら
ティファはともかくあとの二人(無論美化とか女体化なし)では・・・・
322名無しさん@ピンキー:2011/02/04(金) 22:36:06 ID:sHGNDCA5
>>321
修道院でのジョゼット無双が楽しめるな。
323名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 01:41:52 ID:KSi2ixiR
>>322
ジュリオが危ない。
324名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 18:15:51 ID:OdM1lL+a
ヴィンダの力でジョゼットの象さんを従えればいい
325名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 19:00:19 ID:7LJePyvf
ジュリオが通い始めたのがいつ頃か知らんが、もし彼女の精通が終わってたら
ジョゼットと出会ったときには既に子持ちになってる恐れがあるぞ。
326名無しさん@ピンキー:2011/02/05(土) 19:57:13 ID:HAt3+pTc
何、ジュリオのお腹にはジョゼットの子がいるだと!?

それはいかん、ジュリオは教皇のモノだ。
327大人才人:2011/02/06(日) 21:52:13 ID:hAGftDWo
イルククゥでシルフィードなのねぇ

試験勉強の合間にちょくちょく書いてたら、一話完成したので、一週早く投下するのね
今回試験は前日に洒落にならない位働かせられたので、実技も学科も相当ヤバいのね
きゅいきゅい

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・本編再開
・13レス前後、コピペがバックアップからなので、時間かかる場合あり

では反映後、投下開始なのね〜
きゅいきゅい
328大人才人 涙1-1:2011/02/06(日) 21:53:53 ID:hAGftDWo


王立共同墓地。此処は、トリステインの為に働きつつ殉職し、身寄りの無い者達が埋葬されている墓地である
才人は一つの墓の前に立ち、周りにはアニエスとルイズが立っている
墓の名前はアベル=ガイドと刻まれていた
「やっと…名前教えてくれたな。アベルさんよ」
才人はしゃがみ、両手を合わせて拝む
その様子を、ルイズは黙って見ている
「ガイド殿はな、貴様の連れになりたいって、良く言ってたよ」
「……遅ぇよ、馬鹿」
才人は立ち上がると村雨を抜き、墓石に日本語で文字を刻み始める
ガッガッ
「才人、何て彫ったんだ?」
「…我が友」
「最高の送り名だな」
「……喜んでくれると……良いけどな」
才人が二人を促して去ろうとすると、墓石の陰から痩せた黒猫が現れ、ナァオと鳴き、才人達を呼び止める
「オマエ達、アベルの何だ?」
「猫が喋った!?」
才人が驚くと、ルイズが答える
「使い魔よ……多分ミスタガイドの」
才人は黒猫の前にしゃがみ、話始める
「俺か?俺はアベルの友達だ。そして、俺がアベルを殺した」
「オマエが、アベルを殺したのカ?」
黒猫が才人を見上げ、首を傾げる
アニエスが反論しようとするのを、才人が手で制し、言葉を繋げる
「あぁ、俺が仕事を頼んだせいで、アベルが死んだ。だから、俺が殺した」
「フゥゥゥゥ。シャアァァァァ!!」
黒猫が毛を逆立て、怒りの様を見せると、才人が手を出し、黒猫が思い切り噛みつく
手加減抜きの噛みつきで、血が滲み始めるが、才人は黙って耐える
暫くすると、抵抗しない才人に黒猫が躊躇しだし、血が出た部分を舐め始める
「オマエ、抵抗しなイ。アベルは勇敢だったカ?」
「あぁ。最期は31騎相手に、単騎で大立ち回りしたんだと」
「オマエ、アベルは自慢カ?」
「あぁ。アベルは自慢の友達だ」
「なら、良イ。アベルと一緒は楽しかっタ。もう、戻って来なイ」
黒猫は眼を細め、満足そうに鳴く。そして才人は気付く。黒猫は異常に痩せている
「…一緒に逝く積もりか?」
「使い魔の仕事、もう無イ。アベルの使い魔、ボクで二体目。今度はサイゴも一緒。オマエ達、もう帰レ」
「…ルイズ」
「…駄目よ。使い魔の気持ちは、使い魔のモノよ」
「…アニエスさん」
「好きに…させてやれ」
才人は黒猫を撫でると立ち上がり、一人踵を返し、歩いて行く
アニエスとルイズは慌てて追いかけ、その背中を見る
329大人才人 涙1-2:2011/02/06(日) 22:00:13 ID:hAGftDWo
二人から見た才人は、穴の開いたジャケットに、デルフを背負った背中は哀愁と毅然が同居し、顔を手で覆った才人からは、涙が溢れた様な気がした
ルイズは、そんな才人の腕を取ろうと手を伸ばすが、躊躇する
『今のサイト、近いのに、凄く遠い』
隣のアニエスを見ると、鉄の表情で鎧っている
『アニエスも解らない。やっぱり、あたしはまだまだだ。サイトがいつも子供扱いしてるのは、あたしが本当の意味で子供だからだ。早く成長して、サイトの隣に立っても見劣りしない女にならないと』
だが、追い付く時は、別れの時が近付く時である
『でも、隣に立っても見劣りしなくなった時には、サイトは出て行っちゃう。あんの腹黒姫様。元の木阿弥じゃない。何とか引き留める方法は』
ルイズはう〜むと唸る
『サイトが子供達を相手したのを見て、サイトなら最高の父親になれるって、シエスタも言ってたし。やっぱり、サイトの赤ちゃんかな?あたしが、サイトの赤ちゃん沢山産めば良いのよね。きっと、黒髪の可愛い子と、あたしみたいな桃髪と二通りになるわね』
更に赤面する
『でも、サイトは貴族の誇りも名誉も、武勲ですら何処吹く風なのに、あたしはヴァリエールの家名のせいで、何にも出来ない。何とかサイトをヴァリエールに出来ないかなぁ?……あたしにお父さまとお母さまを、説得なんて出来ないし。諦めちゃ駄目よ、ルイズ』
小さく、うしとガッツポーズを作るルイズ
『先ずは、既成事実を重ねるんだ。サイトをシュヴァリエにしなきゃ。サイトをトリステインの民にすれば、サイトは帰らなくて良くなる』
隣で歩いていたアニエスの袖を引っ張り、才人と少々距離を置く
「アニエス、ちょっと」
「何だ?」
「サイトをシュヴァリエにしたいの」
「私もだ」
「サイトに謀は通じないの。裏まで読んで、逆に臍曲げちゃう」
「…そうだな」
アニエスは苦虫を噛み潰した様な表情をする
情が完全に才人に移ったアニエスには、その事実は非常に面白くない
「どうすれば良い?」
「才人に聞くのが一番だ」
「其が出来れば…」
「だな」
330大人才人 涙1-3:2011/02/06(日) 22:05:38 ID:hAGftDWo
二人は難問に頭を悩ませる
この後、政務の間にアンリエッタに呼ばれてる為、才人と共に王宮に向かう

*  *  *
ギーシュとモンモランシーは才人に会うと、口移しで避妊薬を飲ませて貰い、先に歓楽街街の噴水前で、才人達を待っている
二人がわざわざ王宮迄来た理由は、期限日が近付いていたからだ
そうしないと、運次第で身篭る事になる。例えそうなっても、二人共に歓迎したであろう事は想像に難くない
「お待たせしました。ミスタグラモン、ミスモンモランシ」
シエスタが駆け寄り、声を二人に掛けた
「いやいや、どうだった?」
「シュヴァリエに渡された小切手換金したら、びっくりしてしまいました。3割を送金にして、後は自分の口座に入れてしまいましたよ。私の一年の給金に匹敵してましたもん」
「でも才人と一緒だと、その資金が薬代で数ヶ月で全部消えるのよ?」
「ミスモンモランシ、何時も大変なんですね」
「才人に今回もコルベール先生の立て替え分除いた殆ど全部、経費だってポンと渡されたからね。才人も気前良いわ」
ギーシュが考え込みつつ、疑問を呈する
「ちょっと違うと思うよ。才人は多分、お金に興味ないんだ」
「…あ〜そうかも」
「如何に使うかが問題だって、冒険前に言ってたからね。活きた使い途なら、幾ら出費しても惜しく無いんだろうね」
「それじゃ、私もお財布任されたんだから、頑張らないと。シエスタ、値切り交渉きばるわよ」
「えぇ、やりましょう。ミスモンモランシ」
二人でガシリと右腕同士を交叉し、ニコリと微笑む
「まだ合流時刻迄時間はあるし、いざ、秘薬の材料を買い込みに、出発!!」
「「おー!!」」
問屋街を歩き、モンモランシーが材料の目星を付けるとシエスタがモンモランシーに聞く
「材料で効果が出るギリギリの奴はどれですか?」
「そうね、あれとそれは期限ギリギリ。調合した後は、固定化掛けた薬品棚で保管するから、ずっと持つわよ」
「じゃあ、捨て値で仕入れましょう」
シエスタが期限と値段と他店との差を指摘し、主人との値段交渉が白熱し、シエスタの言い値に近い値段で仕入る

シエスタを動員したせいで、何時もより値切りに拍車が掛り、材料の仕入れを3割増で行い、モンモランシーを感激させた
「ヒュ〜、流石シエスタね。こういうのは本当に強いわ」
「えへへ、買い物は任せて下さい」
「次からは、一緒にお願いね。多分教師からも重宝されるわよ」
331大人才人 涙1-4:2011/02/06(日) 22:07:28 ID:hAGftDWo
「そ、そろそろ良いかい?流石に重いよ」
「ギーシュ、レビテーションでも掛けてなさい」
「あ、そうか」
ポンと手をうつと、どさどさ買った品々が地面に落ちる
「もっと丁寧に扱え、この馬鹿!!砂が混じったらどうすんのよ!?」
「あ、ごめんごめん」
そんなやり取りをしつつ、大量の仕入れを行った三人は、次に来た時、問屋街の商店全てに黒髪メイドお断りの文字に愕然とするのだが、まだ先の話である

*  *  *
予定時刻30分前に王宮に着き、門を通過する際、近衛兵が全員敬礼していき、才人は驚く
「アニエスさんに敬礼かね?」
「違う、貴様にだ」
「はぁ?」
「もう、近衛で貴様を軽んじる奴は居ない」
「…はぁ」
才人は首を傾げつつ、王宮内に入るとアニエスが先頭に立って歩くのに付いて行く
「あれ?何で俺は武器を取り上げられないんだ?武装許可証返したろ?」
「何でだろうなぁ?」
アニエスはニヤニヤしながら歩くと、謁見の間に着いた
「サイト=ヒラガ殿とミスヴァリエールを御連れした。陛下に取り次いで欲しい」
「はっ」
「ちょっと待て、何で俺の名前がフルネームで、しかもルイズより先に出るんだよ?俺は使い魔だぞ?」
「何でだろうなぁ?」
やはり、アニエスはニヤニヤしている
ルイズは理由を知ってるので、特に何も言わない
「陛下の用意が出来ました。では、無冠の騎士殿、陛下にお目通り願います」
「はぁ?」
ギィ
扉が開くと才人達が歩き謁見場所迄進み、待機すると、ゼッザールが横から才人に近寄り、手を取る
「やぁ、待ってたぞ。息子よ」
「いや、俺、あんたの子供じゃないんだが?」
「まぁ、堅い事言うな。呼ばせてくれ」
「才人、ゼッザール殿は、息子を既に亡くされてる。生きてれば、貴様と同じ年齢だったとか」
「…そうか」
「ミラン殿。余りそういう事は、言ってくれるな」
「ゼッザール殿、失礼した」
「其で息子よ、呼ばせてくれんか?」
「まぁ、其で隊長殿の気が済むんなら」
「おぉ、済まんな息子よ。では早速だが、私の息子にならんか?私には年頃の娘がおっての、親バカを差し引いても、中々の器量だと自負していてな。どうだね?」
「ゼッザール殿!!」
「駄目です!!」
ルイズより早く、アニエスが反応する
「おやおや、ルイズ嬢はともかく、ミラン殿迄」
ゼッザールはニヤニヤしながら、二人の反応を見る
「…一体全体、何が起きてんだ?」
332大人才人 涙1-5:2011/02/06(日) 22:13:43 ID:hAGftDWo
「あれだけの押し通しをしといて、知らぬは本人ばかりか。クックックック。やはり息子は面白い」
ゼッザールは、笑いの発作が止まらない
「そろそろ宜しいですか?ゼッザール」
「あっ、はい、失礼致しました。陛下」
ゼッザールは下がり、アンリエッタの側に立つ
「いえ、良いのですよ」
アンリエッタは玉座から降り、才人の前に立ち、才人の手を取る
「無冠の騎士殿」
「…俺は騎士じゃない」
「そう呼ばせて下さいまし」
「はぁ」
「この度の戦の助力。命を掛けてトリステインを救って下さり、誠に感謝しております。また、私の独断専行を戒めて下さりまして、誠に申し訳ありませんでした」
「仕事をしただけさ」
「いえ、我々貴族より高潔な魂の持ち主であらせられるサイト殿に対し、私が間違って応対してしまいましたの。本当に幾ら感謝しても、しきれない位ですわ」
「…今度は誉め殺し?」
「…やはりそう見えてしまいますか。私の不徳の致す所で、誠に残念です。本当にどうやれば、サイト殿に誠意が通じるのでしょう?」
「…何で俺なんかに?」
「サイト殿は、自身の価値をご存知ないのですか?」
「そんなもん、このルーンだろ?俺の力じゃない。只の借り物だ」
才人はそう言って、アンリエッタから手を離し、左手のルーンを誇示する
「隊長殿」
「父と呼んでくれぬか?」
「一応親父が居るんでね。裏切れんよ」
「む、済まん」
「良いさ。隊長殿はその力、天性の才能を努力に寄って、開花させたモノじゃないのか?」
「勿論だ」
「ルイズもとうとう目覚めたな。でも、やはり其は、ルイズの才能だろ?」
「うん」
「俺は違う。この力は使い魔契約によって、無理矢理付与された力だ。俺本来の力じゃない。本来の俺は、飛行機の操縦なんざ出来ないし、剣も握れない」
「でもな、全員その力に敬意を払うんだよ。こんなの喜べる訳ねぇ。ガンダールヴの俺は………偽物だ」
「ガンダールヴ含めて、息子じゃないのか?」
「違うな。隊長殿、努力の末に手にした力と、無理矢理降って湧いた力。誇りとするならどちらだい?」
「勿論、努力の末に手にした力だ」
「そういう事だよ」
才人の簡潔な主張に、誰もが納得する
「……だが、ガンダールヴの力の後で、相当に努力したのだろう?」
「其ですら、ガンダールヴのお陰なんだ。本当に、偽物なんだよ」
才人の主張に全員押し黙る
333大人才人 涙1-6:2011/02/06(日) 22:15:37 ID:hAGftDWo
「俺はこの先、ずっとガンダールヴで居なきゃならん。ずっと、偽物の力に頼らないとならん。俺は、ずっと偽物なんだ。シュヴァリエの資格なんざ……無い」
「サイト…」
「だから、俺はカタチ有る夢だ。そう思ってくれ。所詮、伝説の彼方に葬りさられた、異物だよ」
「サイト殿、ではどうしても、シュヴァリエには頷けないと?」
「今はね。この先どう心変わりするか、流石に断言出来ないからね」
「では、心変わりする迄、何度も説得させて頂くぞ?息子よ」
「ゼッザールの言う通りです。何度でも、えぇ、何度でも説得させて頂きますわ」
「ま、お手柔らかに」
才人はそう言うと、礼をし、踵を返して去ろうとするが、アニエスが肩を掴む
「待て、まだ終わってない」
「ん?何?」
「流石にトリステインを救って下さった方を、手ぶらで返す無能振りを、私達王政府にさせないで下さいまし」
「全くだ。息子は其処ら辺の機敏に無頓着だな」
「…はぁ」
「マザリーニ、入りなさい」
マザリーニが金貨を持って入って来る
「私達王政府に出来る、無冠の騎士殿に対する精一杯の誠意です。無冠の騎士殿は、勲章すら喜ばないと思いましたので。本当はお金では計れないのですが、此以外にやりようも有りませぬ。どうか、受け取って下さいまし」
そう言って、アンリエッタは頭を下げると、王冠が地面に落ちる
才人は王冠を拾い上げ、アンリエッタに話かける
「姫様。ほら、頭を上げて下さい」
「なりませぬ。せめて、受け取って下さる迄は、なりませぬ」
アンリエッタも、頑に顔を上げようとしない。その身体は震えてる。今迄の言動から、才人なら拒否してもおかしくないからだ
拒否されたら、才人がトリステインに全く興味無い事の証である
次に会う時は、下手すれば敵対かも知れない。才人の力の脅威は存分に見せ付けられた
アンリエッタも真剣なのである
才人は溜め息を付き、金貨を受け取り、ルイズに持たせると、再度アンリエッタに話かける
「姫様、有難く受け取りました。ですから、顔を上げて下さい」
「‥本当、ですか?」
「本当です。ルイズに持たせました」
身体を起こし、不安な表情を見せたアンリエッタは、ルイズが金貨の袋を持ってる事に、安堵の溜め息を付く
334大人才人 涙1-7:2011/02/06(日) 22:21:21 ID:hAGftDWo
そんなアンリエッタに、才人は王冠を被せて上げる
「ほら、姫様。俺なんかに頭下げちゃ駄目ですよ。姫様は王陛下なんでしょう?」
「サイト殿一人説得する術を持たない、か弱い女王です。どうか、トリステインに益をもたらせて下さいまし」
「……ちょっと言えないです。俺は、異邦人ですから。トリステインは、トリステインの方々が、力を合わせるべきです。並外れた技術体系の外部の人間が手を出すと、歪みが生じます。其も、洒落にならない歪みをね」
「ならば、トリステインの民になって下さいまし」
「……ノーコメントで」
才人の口調にルイズは落胆する
『あぁ、本当に去る気なんだ。姫様の馬鹿』
「私は諦めません。宜しくお願い致しますわ。サイト殿」
そう言うとアンリエッタは才人に接近し、接吻する
才人は驚き硬直していると、身体を離したアンリエッタの顔は女王ではなく、悪戯好きの少女の顔だった
「私の悪戯を笑って受け入れて下さる、素敵な殿方。諦める訳がありませんわ」
そう言って、アンリエッタはにっこりと笑う
才人は頭をぼりぼり掻いて、困った顔をする
「逃げられそうもねぇな、相棒」
「全くだ」
デルフに締められ、才人は頭上を仰いだ

*  *  *
才人とルイズは王宮から去り際、才人に武装許可証が返却された
発行と発布を取り消していない為、才人が持とうが持つまいが関係無いし、容姿迄追加してる為、軍関係者なら直ぐに通じるとの事で、才人も大人しく受け取った
流石に過去の分迄、才人の主張が一方的に通る訳が無いのである
てくてく合流地点に歩いて行く迄、手持ち無沙汰なルイズが話しかけた
「…何でシュヴァリエにならなかったのよ?」
「王宮で主張した通りだ」
「そんなにガンダールヴが嫌なの?」
「好き嫌いじゃない。俺の力じゃないってのが、ネックなんだ」
「あたしに取っては、才人はガンダールヴなのに」
「俺にはそうじゃない。俺は只の日本人だ。何時までも……な」
「日本に、何が有るのよ?」
「知りたいか?」
「教えて………くれるの?」
才人はポンとルイズの頭に手を乗せる
「ルイズが今よりずっと、佳い女になったらな」
「……ふん、絶対に見返してやるんだから」
「楽しみにしてるよ」
戦後の市が一週間続けて立っており、皆が戦勝のお祭り気分に沸いている
才人からすると、幅5メイルのメインストリートは只の小路に過ぎないのだが、其を言う積もりも無い
335大人才人 涙1-8:2011/02/06(日) 22:23:58 ID:hAGftDWo
才人に肩を預けようとした所、通りすがりの男にルイズがぶつかる
ドン
「おい、姉ちゃん。ぶつかったってのに、挨拶も無しかい?」
「離れなさい、下郎」
「んだぁ?貴族様ってのは、俺等最前線で戦った兵士に下げる頭は無いってのか?今、トリステインが有るのは、俺等が前線で命掛けて働いたお陰だろうが!?」
「ふん、あんた達を救ったのは、あたしの使い魔よ。あんた達こそ感謝するのね」
「止めろよ、ルイズ」
「い〜や。あたしはどう言われても構わないけど、サイトの侮辱は絶対に許さない。あんた達、覚悟は良いの?」
ルイズが杖を抜き、魔力が立ち上がるのを見ると、才人が割って入る
「済まん、代わりに俺が謝る」
「サイト、何でよ?」
「ルイズ、最前線で働いたって事は、この人達の仲間が死んだって事位察しろ」
「うっ」
才人の物言いに兵士は感心する
「話が解るな兄ちゃん」
「…おい、ちょっと待て、この黒髪、どっかで見た様な?」
「ん?黒髪?」
「ほら、レキシントン潰して竜騎士隊を単騎で撃墜してのけた、変な鳳に乗った」
兵士達があの時、自分達を激励する為に、わざわざ戦闘中に離脱してきた黒髪の騎士を思い出し、眼前の装束と一致した事に思い当たる
「………ああ!?」
その瞬間、兵士達は直立不動になる
「あの時は救って頂き、有り難うございましたぁ!!」
才人は困った顔をする
336大人才人 涙1-9:2011/02/06(日) 22:29:29 ID:hAGftDWo
「只でさえ、異国の装束で目立つから勘弁してくれ」
「御連れの方にも大変な失礼を」
「いや、こちらが悪いんだ。此で気分転換に、一杯やって来てくれ」
才人は金貨を2枚出すと兵士に握らせる
「宜しいのですか?」
「ヴァルハラに向かった仲間達に、捧げてくれ」
「では、騎士殿の健康とヴァルハラに向かった戦友の為に、有難く頂きます」
兵士達はそそくさと去って行く
「もう、何であんな連中なんかに」
「その連中のお陰なのは事実だ。少なくとも、命掛けで働いた連中が、多少ハメを外す事位は眼を瞑れ。貴族なら、其位の度量は持って然るべきだろ?」
「…うん」
露店を覗きながら歩く、ルイズと才人
ルイズは露店を一件一件物色し、眼を輝かせる
「ふわぁ、此良いなぁ。あ、あれも素敵」
次から次に物色してたルイズに才人は苦笑する
『貴族貴族って、肩肘張っても、やっぱり女のコだな』
そして、とうとうある細工物の露店で、完全に立ち止まってしまい、ペンダントを食い入る様に見つめる
『あぁ、そういやルイズ自身の小遣いは、俺の治療費で随分飛んだっけ』
才人は思い出す
「へい、いらっしゃい。うちのは、錬金で作ったまがい物じゃ有りませんで」
「へぇ、どういう事だい?主人」
才人が興味を示し、聞く
「ちゃんと玉を磨いたり、金属を彫金したりしてるんでさぁ。玉の質は折り紙付けますぜ」
「ルイズが気に入ったのは何れだい?」
ルイズはおずおずと、一つのペンダントを指し示す
「小遣いは?」
「…使っちゃった」
「やっぱりか。主人、玉は何だい?」
「金剛石でさぁ」
その瞬間、才人は真顔になる
「ちょっと、見せて貰うぞ?」
「へぇ」
才人は息を吹きかけ、曇りの取れ方、質感を確認し、主人に顔を寄せ、話しかける
「嘘付け、硝子じゃ無いが、水晶だろう?周りの銀細工も綺麗だ。嘘付かなくても、充分良い代物じゃないか」
「かぁ、旦那の目利きは脱帽でさぁ。確かに水晶で」
「金剛石には簡単な目利き法が有るんだよ。だが水晶を磨くのだって大したもんだ。此くれ、幾らだ?」
「此位でさぁ」
主人は指を4本立てる
「足りるか?」
才人は金貨を一掴み渡し、主人は驚く
ルイズは才人の行動を見て驚く
『才人が、あたしに?』
「いえ、こんなには頂けませんぜ。ひうふうみい……新金貨なんで此で大丈夫ですな。しかし一発で見抜かれるとは、商人でもやってるので?」
337大人才人 涙1-10:2011/02/06(日) 22:30:41 ID:hAGftDWo
「金剛石には、仕事の都合でお世話になってたのさ」
「あちゃー、こりゃ大変な旦那に見付かってしまいました」
細工師の主人は額をぴしりと叩く
「良いもの買わせて貰った」
「へい、こちらこそ。水晶だと馬鹿にする客が多くて。旦那みたいな客に買われて、あっしも嬉しいです」
露店の主人がにこにこ笑って手を振る
「ルイズ、流石大貴族」
そう言って、才人はルイズの首にペンダントを掛ける
「……良いの?」
「似合ってますよ、マイロード」
小ぶりながらもきちんとした細工であり、銀細工の中央には水晶が煌めき、ルイズの清楚さを引き立て、幾らも損なわない
正に定位置に置かれるべくして置かれたペンダントに、露店の主人も頷く
「似合ってますよ、お嬢さん」
ルイズは一気に顔が華やぐ
「ありがと、サイト」
最早遠慮無しにルイズは才人の腕を取り、うっとりし始めた

才人達が歩くと、今度は才人が立ち止まる
「何だ?錯覚か?」
才人がそう言って振り向いた所には、水兵のセーラー服が飾られている
『糞ったれ。デザインや色使い迄似てるじゃねぇか』
「サイト、どうしたの?」
「へい、らっしゃい。こちらはアルビオン水兵のセーラー服ですな。お客さんもお目が高い」
『くっ、あれをシエスタ辺りに着せたら。俺は何かを失うかも知れん。ルイズには…絶対駄目だ。あいつを思い出しちまう。でも誰かを贔屓すると、後が怖い。だが、着せてみたい』
才人が苦悶しながら考え込む姿を、ルイズは怪訝に見る
「親父、何着ある?」
「10着ありまさぁ」
「古着屋みたいだが、こちらの婦人が穿いてる様なスカートは?」
「へい、何着かは」
「じゃあ、セーラーを7着、スカートを3着くれ」
「へい、毎度あり」
「…サイト、アルビオンのセーラーなんてどうすんのよ?」
「ちょっと、日本を思い出してた」
「本当?」
「本当だ」
才人の行為に怪訝な顔をしつつ、ルイズは黙って才人が受け取るのを見ると、合流地点迄一緒に歩き出した

「やっと来た。才人遅いぞ」
「やぁ、ごめんごめん。…随分買い込んだな」
モンモランシー達の側には、秘薬の素材が積まれている
「クスクス。シエスタが居てくれて、大量に安く仕入れられたのよ」
「シエスタ、お手柄だな」
「はい!!」
「馬車の時間は?」
才人が聞くとギーシュが答える
「ん〜、後30分位かな?あれ?」
338大人才人 涙1-11:2011/02/06(日) 22:36:28 ID:hAGftDWo
ギーシュがルイズの胸元に輝くペンダントに気付く
「ちょっとルイズ、そのペンダント見せて」
「何よ、ギーシュ」
「へぇ、中々良い出来だね。高かったんじゃないか?」
「ギーシュには関係無いじゃない」
「僕は彫金もやるんだよ、ルイズ。興味出て当然じゃないか」
言外の意味に才人が気付き、冷や汗を垂らす
「本当に良い品ね。玉は金剛石?」
「水晶よ」
「何だ、水晶か」
モンモランシーが鼻で笑う
「才人が言ってたもん。水晶でも良いって。細工師の人も丹精込めた品だからって、才人が指摘した事に喜んでたもん」
そう言ってルイズは、あっかんべとモンモランシーに舌を出す
「才人、本当に?」
「金剛石の硬さを10とすると、水晶は7、鉄が4.5。水晶加工でも十分難しい。美しさなら質の良い水晶なら十二分に匹敵する。石の種類だけで価値を分けるのは、ナンセンスだよ」
そんな才人にギーシュも同調し、答える
「僕もそう思うよ。僕のモンモランシー」
「…う、む」
「嫉妬炸裂失敗ですね?ミスモンモランシ」
シエスタが小声で言うと
ダン!!
「あいた!?」
「ふん」
強かに足を踏まれたシエスタ
「ひ、酷いです。才人さん、ミスモンモランシが苛めるんですぅ」
よよよと泣き崩れつつ、才人に寄りかかろうとするシエスタに、ルイズが威嚇
「ちょちょちょちょっと、どさくさにサイトに引っ付こうなんてしないでよ」
「良いじゃないですか」
「此はあたしのよ!!」
乗り合い馬車が来る迄、女達の合戦に才人は頭上を仰ぎ見た

*  *  *
馬車の中で、才人はシエスタに話かける。隣にはルイズが聞耳を立ててるが、才人は構わない
「なぁ、シエスタ」
「はい、何でしょう?才人さん」
「此をさ、仕立て直して欲しいんだ」
「はい……水兵の軍服じゃないですか?こんなのどうするんですか?」
「実はさ、俺の国だと、此を着て女のコが学校に通うんだよ。皆が着たら凄く似合うだろうなぁ」
才人はそういって手を額に当てる
「皆って、何人分あるんです?」
「シエスタ、耳貸して」
「はい」
シエスタが耳を寄せると才人が囁く
「シエスタ,ルイズ,モンモン,ギーシュ,キュルケ,タバサ,アニエス」
其を聞くと、シエスタが耳打ちで返す
「む〜、私が入ってるから、許してあげます」
「で、問題は」
「はい、サイズですね」
「何々?才人、何の話?」
ギーシュがモンモランシーとの話を切り上げ、入り込んで来る
339大人才人 涙1-12:2011/02/06(日) 22:38:05 ID:hAGftDWo
「あぁ、此を仕立て直して、皆にプレゼントしようかと思ったんだけど、サイズが解らなくてね」
「……何で水兵服なんだい?」
「俺の国じゃ、此着て女のコが学校に通うの。女のコが着ると、先住並の魅了の魔法が掛かるんだよ」
「…本当かい?」
「本当」
その言い方にギーシュは含みを感じ
「……もしかして」
才人が耳打ちする
「勿論カトリーヌの分も、上下有る」
「……協力しようじゃないか。シエスタ、メモ帳とペンかなんかある?」
「はい」
シエスタが日記帳を差し出すと、空いてるページにすらすら書き始めた
「メンバーは?」
才人が耳打ちで返すと、ギーシュは全員分のサイズを書き出す
「……良く解るな」
「才人のサイズだって、一発で当ててみせるよ」
「お見事」
ルイズはそんな才人に対し、怪訝な顔を崩さない
「セーラーなんて着せて、軍人にでもする積もり?」
「ままま、出来てからのお楽しみって事で」
ルイズが不機嫌に言うと、才人は適当にあしらった
ルイズの胸元では、才人にプレゼントされたペンダントが光っている
ルイズは無意識に、ずっといじくっていた

*  *  *
才人達が学院に着くと日が暮れ始めていたが、門衛に通して貰うと、生徒より先にメイドが、その独特のシルエットに気付く
ライディングジャケットにデルフを背負い、ジャケットを開いた中からはパーカーが覗き、左腰に村雨を差した黒髪の男に、桃色がかったブロンドに学院のマントと制服に身を包んだ小柄な少女の取り合わせは、たった一つしか無い
すっかり学院の名物になってしまった、桃色の嫉妬主人と黒髪の剣士の使い魔のコンビだ
「才人さんだ。皆、才人さんが戻って来た!マルトー料理長に伝えてあげて!」
赤毛のメイドがこう言い、自身は才人に向けて駆け出した
たたたた、ドン!!
「おっと、只今、ミミ」
「才人さん、お帰りなさいです」
ルイズは其を見てう〜と唸るが、今回は行動に出ない
「あらルイズ、今回はやらないの?」
「…モンモランシーに払う治療費無いもの」
「あらやだ、切実」
クスクスと笑うモンモランシー
すると、空から何かが降って来て、才人ががばりと拐われていった
「えっえっえっ、何?一体どうしたぁぁぁぁ!?」
才人の声が木霊し、そのシルエットは翼人が二人、才人を抱えて飛んで行くのを、皆が呆気に取られながら見送る
340大人才人 涙1-13:2011/02/06(日) 22:41:13 ID:hAGftDWo
「…一体、何が起きたの?」
ルイズがポカンと呟くと、ギーシュとモンモランシー、シエスタはそそくさと去って行くのをルイズが呼び止めた
「ちょっとあんた達、何か知ってるんじゃない?」
「え?知らないわよ」
モンモランシーがポーカーフェイスで答える
「「うん、知らない知らない」」
カクカクしながらギーシュとシエスタが追随し、さっさと去ろうとする
「私、マルトー料理長に帰着の挨拶と、仕立て直ししないとなりませんので、失礼します」
「私は調合を一気にしないと駄目なのよ。悪いけど先行くね」
「モンモランシー、僕も手伝うよ」
「助かるわ。お願い」
取り付くしまも与えられず、ルイズはぽつんと残された
「そうだ、タバサに相談すれば」
「…その前に、帰着の挨拶を学院長にお願い出来んかね?」
ミスタギトーがいつの間にか立っており、ルイズをレビテーションで浮かせる
「あ、あの、ミスタギトー。あたしの使い魔が拐われてしまったので、追跡に行かないと」
「あの使い魔なら平気だろう?何せ戦争で勝利をもたらしたのだからな。治療で休んでたのは仕方ないとしても、学院長に挨拶して然るべきだ。君は生徒なのだよ。学生の本分を忘れてしまっては困る」
すたすた歩くミスタギトーに連れられ、ルイズは連行されていく
「ちょっと待って。今追跡しないと駄目なの。サイト、サイト〜〜〜!!」

ルイズが連行されて行くのを、上空からキュルケとタバサが眺めている
「あちゃあ、カチュアとラクチェ、堂々と拐って行っちゃった。追う?」
シルフィードの上でキュルケとタバサは、才人を探しに来たカチュアとラクチェと談笑してたのだが、才人を見付けた途端、急降下して拐って行ってしまった
タバサは首をふるふる振る
「翼人の繁殖に必要」
「嫉妬しないの?」
「…キュルケ」
「…ごめん」
『私も馬鹿ね。タバサが嫉妬しない訳、ないじゃない』

*  *  *
341名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 22:50:29 ID:Rv8C5J5X
お帰りなさい!
342名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 22:51:00 ID:nCb6JMDr
お帰りー!
343大人才人:2011/02/06(日) 22:54:42 ID:hAGftDWo
投下終了なのね〜
拒絶1誤字発見
ブリジット×
ブルネット〇
久し振りの大人才人タクティクスなのね
今回はコルベールなのね〜
「皆、久し振りだ。さて今回気になる部分は、金剛石の目利きかと思われる」
「実は本当に金剛石の目利きは簡単でね、息を吐きかければ良い。金剛石は熱伝導率が3000位有るので、あっさり曇りが取れるのだよ」
「実は結構昔から、金剛石以外は鉱物の玉を磨く術自体は有るので、特に目くじら立てる代物では無いので、念の為」
「メイジの地位が高いが為に、職人がないがしろにされてる描写だと、理解して頂けると助かる」

有り難うなのね〜
では、次回更新迄さよならなのね

きゅいきゅい
344名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 23:01:01 ID:Xj2Lmdgr
お帰り〜〜!!
乙です。

それはさておき、鉄ってそんなに堅かったっけ?
345名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 23:23:27 ID:ZlvJNO1b
鉄の城がアレだけの装甲を誇るんだからきっと硬いと思われる
346名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 23:30:06 ID:npr3iYtM
GJ
ところで、ブリジットがついにここまでww
347名無しさん@ピンキー:2011/02/06(日) 23:30:51 ID:XnyT1fuf
純度の高い鉄の硬度は4.0(wikiより)
ただ炭素などの不純物(添加物)などにより硬度がかなり変わる。
348大人才人 涙1-2訂正分:2011/02/06(日) 23:54:21 ID:hAGftDWo
「サイトに謀は通用しないの〜云々」
「そうだな」
「情に訴えるのも、あまり通用しないの。サイトは、故郷に気持ちを残してる」
「…そうだな」

が正規です。二文程抜け落ちてますた

硬度はブリミル硬度です
純鉄は使い物にならないので、通常使う炭素鋼(軟鋼)ベースです

鉄の城は超合金Zじゃ?
349名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 10:35:22 ID:9PpUoAXb
硬度と強度は違うって言うよね。
硬くても脆いものってあるし。

大人サイトの人、心の底よりおかえりなさいませ!
そうか......もうそんなに時間が経ったのか......。
350名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 17:48:56 ID:+WZLYRVG
>349
> 硬くても脆いもの
大人サイトの心ですね。
351名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 20:58:57 ID:2Qvg1g4g
マジンガーの事を適当に振ったのにマジレスされると困る
352名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 21:19:28 ID:VizQbSsG
金属ではないが最硬に近いダイヤモンドだって簡単に壊れるからな
353名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 21:29:26 ID:eK7r6edr
ダイヤは衝撃に弱いからな。
ちなみにルビーやサファイアの主成分は酸化アルミニウムだ。
354名無しさん@ピンキー:2011/02/07(月) 23:20:05 ID:zMLSNnZq
大人サイトの人、おかえり!
待ってたよ!
355名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 00:11:36 ID:MbGsFnoM
>>352
まぁそうじゃないとどうやってあんな形にカットしてるんだって話だよね
356名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 18:49:16 ID:ivVELoLa
理論上は鉄は今の何倍もの硬度をもてるらしい。
宇宙実験もそのためにやってるらしいが、いいかげんスレ違いだな。

大人才人、これからどんなキャラが参加してくるのか期待。
357名無しさん@ピンキー:2011/02/08(火) 20:06:21 ID:kTdTtLSD
>356
そこを何とかしたのが、“STM(スーパー・チタン・モリブデン)鋼”か。
358名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 05:05:06 ID:OpsRkO9T
カガクゴーしか思い出せん
359名無しさん@ピンキー:2011/02/09(水) 20:22:56 ID:CpVOwd+y
>358
他にあるの?
360名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 12:55:35 ID:1zLYRJX8
SAMONが作るしょーもない兵器はたいていSTM鋼製
あれに固定化とかつけたらすげーかもね
361名無しさん@ピンキー:2011/02/10(木) 18:12:34 ID:mNQopt1z
かつての大人才人の人は、日・木更新だったから、今日だけでもう4回はこのスレをチェックしてる俺がいる。
マジで楽しみなんだわなぁw
362大人才人:2011/02/11(金) 05:11:54 ID:iPc9GaEb
イルククゥでシルフィードなのね〜

昨日の6:00勤務開始で、今やっと仕事終わって帰宅して来た、大いなる意思なのね
加山雄三が海は良いとか言ってるけど、海上船下30mの暗闇で、仕事の何処が良いのか良く解らないのね
ご飯も水も出さない&無休憩23時間勤務とかざけんななのね、きゅいきゅい

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・才人がむばる!
・12レス前後、30分以上レスが無い場合、確実に寝落ち

では反映次第、投下開始なのね〜、きゅい
363大人才人 涙2-1:2011/02/11(金) 05:13:07 ID:iPc9GaEb
「……ラクチェ,カチュア」
「「はい、あなた(アナタ)」」
「ルイズの前は流石に困るんだけど?」
「だって、やっと卵産めたので、次のを早くお願いしたかったのですもの。人間との間だと、多少難産になるみたいです」
「そうですわ、アナタ」
「時間が無いのか?」
「「はい」」
「そっか、なら仕方ないか」
三人は空の上で話ながら、降下を始める
学院に程近い森の中で一際大きいライカ欅の樹上に、小さい家が建っていた
「…いつの間に」
「この森の精霊の力と契約して、一日で出来ましたの」
ラクチェが答える
二人に家の中を案内されると、簡素だが三人が寝るには充分な広さのベッドと、あの赤い実が積まれている
中には精霊の力を利用した淡い光に包まれていて、視界には問題無い
「ベッドは?」
「はい、精霊の力で、元の巣から運搬して来ました」
「卵は?」
「お爺様に見て貰ってますの。あなたの子なら、黒髪の可愛い子だと嬉しいです」
「お爺様も楽しみにしてます。わたし達も楽しみです。出来れば、アナタがずっとわたし達と一緒に居てくれたら…只でさえ、人は私達より寿命が短いのに…」
ラクチェが答えた後、カチュアが言葉を繋げる
「…済まない」
「いえ、元々私達が、無理にお願いしてるのですから」
「ただ、これからは、こうして逢いに来ますから、お願いしますね」
「ああ」
二人にキスを交互に交わし、そのまま二人を片手ずつで抱え上げる
「本当に軽いな。子供みたい」
「やん。こんなに軽々抱える殿方は、翼人には居ません」
二人は真っ赤になりながら、才人の為すがままになり、ベッドに乗せられると、四つ足になり衣装を捲り、尻を出し突き上げる
「本当に細い。腰周りなんか、俺の両手で収まるもんなぁ」
「は〜や〜く、は〜や〜く」
先にカチュアの腰を掴むと、カチュアが尻を向ける角度を跳ね上げ、才人に無垢な割れ目を突き付け、催促する
翼人の花弁は二人共しみ一つ無く、白い肌にピンク色の中身を開いて才人を誘惑し、陰核はやや大きく、爪位の大きさのがクリクリ露出していて、才人に対し完全に欲情してる様を主張する
才人はジーンズを脱ぎ、パンツを脱ぐと、既に準備万端な息子をカチュアにゆっくりと入れて行く
「ア、アナタ。あっ、はっ、入って来る。硬い、熱い」
ニュルン
最奥に才人が届いた瞬間、二人共に唸る
亀頭のカリ首に翼人特有の膣の反りがフィットし、お互いの性感を一気に高めらせる
364大人才人 涙2-2:2011/02/11(金) 05:14:41 ID:iPc9GaEb
「ぐうぅぅ、ハマった」
「あっあっあっひっ、あぁぁぁぁぁぁ!?」
カチュアが痙攣するが、そのまま才人は腰を突き上げつつ左手を胸に回しつつ、右手で翼の付け根をさする
「やぁ、イッテる最中に付け根、擦っちゃダメ。止まらないのぉ」
カチュアが更に痙攣し、膣が射精を求めてうねり、才人は刺激に耐えられない
「カチュア、そんなに締めたら、うく、出る」
ドクン
カチュアの子宮口に密着させたまま、漏れない様に、腰を動かさず精を出す
種付けである。きちんと射精出来ねば、翼人種が減る事になる
だが、カチュアの顔は自らの男に種付けされる快楽に完全に酔いしれており、才人の射精が終わる迄、ずっと絶頂の痙攣を繰り返している。白い翼は小刻みに揺れ、羽を撒き散らす
「あはっ、あ゛〜あ゛〜」
「カチュア、次ラクチェな」
カチュアはこくりと頷き、才人が抜くと、糸が切れた人形の様に、くてりと突っ伏す
ラクチェの割れ目からは、しとどに愛液が垂れ、今か今かと待っている
才人は翼人の膣を知ってる自分の息子が、ちっとも萎えない様を見て苦笑する
「翼人のアソコは凄すぎだな。人間の男なら、夢中になっちまう」
「そんな事より、あなた。早く私にも。気が狂いそう」
翼を伏せ尻を振り、必死にアピールし、呼吸も本当に荒い
才人はそんなラクチェの腰を掴み、一気に挿入する
にゅるん
奥に到達すると、またすっぽりとハマる
「うっく。凄」
「あはぁぁぁぁぁ!!来たの来たの、あなたが来たのぉぉぉ!!」
そのままガシリと腰を掴んだ才人は軽く往復させると、反りで隙間無く密着した膣が一緒に動く
ラクチェは最早、意味不明の言葉と声を出すだけだ
「あっ、はっ、いっ、い゛い゛」
才人はストローク幅を縮め、腰をなるべく小刻みに揺らせる
「ひっ、い゛い゛い゛い゛」
痙攣を始めるラクチェに二回目だがたっぷりと射精し、奥に出す
ラクチェは息も絶えだえ、唸りながら絶頂の痙攣を繰り返す
ちゅぽん
才人が多少萎えた息子を抜くと、音を立てて抜ける
「アナタ、…もっと、もっと可愛がって」
「待て、カチュア。流石に何発も連続じゃ無理だ。お前達は良すぎて、一回に出す量が多いんだよ」
服を脱ぎ、全裸になったカチュアが、更にしなだれかかってくると、口移しで何かを才人に食べさせる
「沢山食べて下さい、アナタ」
365大人才人 涙2-3:2011/02/11(金) 05:20:50 ID:iPc9GaEb
才人は赤い実を食べさせられ、身体に火が灯るのを感じるが、まだ我慢する
「先に腹ごしらえだな」
「「はい」」
才人の服を全裸になったラクチェが脱がせ、ジャケットとパーカーの穴に気付く
「あなた……この穴は?」
「あぁ、戦争で死にかけた」
「……何で?」
「使い魔の仕事だよ」
聞いた瞬間、二人は涙を遠慮なく流す
「何で、何でぇ?何で人間は殺し合いするのぉ?」
カチュアは才人に寄りかかり、遠慮なく泣く
「あなたを殺し合いに連れたのは、あなたの主人ですね?私達があなたを解放します。私達の旦那様を、死なせてたまるモノですか」
「ラクチェ、やらなくて良い」
「そんな」
泣きながらラクチェは抗弁しようとするが、才人は更に言う
「人間は同族で生存競争する連中なのさ。自分達以外の群れは全て敵。又は敵対しかねない油断ならない相手って事。そして俺も、そんな人間の一人だ。人としての業だよ。主人が居ようが居まいが関係無い」
「…主人が居なくても、変わらないんですか?」
カチュアが慎重に尋ねる
「あぁ」
「…人間って、悲しい生き物です。私達より数も多くて発展してるのに」
ラクチェが寂しそうに言う
「二人とも14だっけ?まだまだ若いから難しいかもしれないけど、争いが人を進歩させ、堕落させたのさ。競争が無くなれば、人間は進歩と進化を止め、滅亡に向かうだろうな。そしたら翼人が乗り出せば良い」
「…争いばかりの世界なんか、乗り出したくないです」
「そうだな。のんびり出来るのが一番だ」
才人は明るく言う
「なら、私達と一緒に…」
「…俺は、翼人の中でも異邦人だ。そもそも飛べない。移動に付いていけないよ」
「私達が運びます」
「…俺は、君達よりずっと先に老いる。第一線で動けるなんざ、後20年か其処らだ。その後は、只の老人だよ。翼人のタイムスパンじゃ生きられないし、迷惑しかかけない」
二人共、何も言えなくなってしまう。寿命の差を、伴侶に厳然と指摘されてしまった
自分達は子育ての役目も終わり、若さ絶好調を味わう時が、才人の寿命なのだ
「なら、今の時間を私達に沢山使って下さい!!」
ラクチェは泣きながら叫び、才人に抱きつき嗚咽する
「…ごめんな」
二人共首を振り才人に口付けを交わす
赤い実を腹一杯になるよう才人が食べてると、二人は才人の息子に奉仕している
366大人才人 涙2-4:2011/02/11(金) 05:22:28 ID:iPc9GaEb
二人でタイミングを合わせ、両側から舌と唇を使ってつつつと舐めながら往復し、手はやわやわと玉袋を揉みしだく
「あはっ、ドンドン硬く反り返ってくる」
「あなた、出しちゃ駄目ですよ?出すのは、私達の中ですからね?」
「何処でこんなの憶えて来るんだ?うく、勃ち過ぎて痛ぇ」
ギンギンに勃起し、才人は苦しくなる
「「お母様より教わりました」」
ピチャ、ピチャ、ピチャ
「あぁ、成程。うく、出そう」
「あん、駄目。出すのはこっち」
ラクチェが才人の上に翼を軽くバサリとはためかせ、手を使わずにそのままはためくのを止め、一気に挿入する
「うわっ」
「ああん」
ズブリと軽いとは言え全体重がかかり、一気に返りの部分にハマると、ラクチェは手足と翼迄使って、才人に抱きつく
ドクン
才人が射精すると痙攣するラクチェ
才人はそのまま射精が終わると、ラクチェの身体を揺すり始める
「あっひっ、ハゲシ、いひっ」
腰を掴まれた状態で身体を小刻みに揺らされ、陰核が才人にピトピト当たる度に無理矢理昇らされ、膣は才人をちっとも離さない
腕に力が入らなくなり身体が離れると、胸に才人が吸い付き、その刺激で才人の頭をギュッとする
「母乳が出る?」
「はい、出るんです。母乳の殆どは赤ちゃんより……番の殿方の飲み物なんです。美味しいですか?」
カチュアが、乱れまくるラクチェに代わって話す
才人は聞くと、両の乳首を丹念に舐め吸いながら身体を軽く揺すり、ラクチェが必死に才人に母乳を飲ませようと、頭を抱きながら絶頂を繰り返す
チュッチュッと才人は音を立てて吸い付き
「淡白だけど、癖になりそう。うく」
ドクン
「また来るのぉ!!」
才人が射精しラクチェは才人の上で頭を抱き、痙攣するとぱたりと気絶してしまった
「ふうぅぅ。やり過ぎた」
才人はラクチェからチュポンと抜き、ラクチェをベッドに翼を痛めない様に、うつ伏せで横たえる
カチュアが翼をはためかせ、才人がベッドに座るのを見ると、ラクチェみたいに才人の上に降下し、ヌルリと合体する
「あはぁ。アナタが良いの。翼人では味わえないの」
「そうなのか?」
カチュアから腰を振り、カチュアの胸からも母乳を吸う
「はぁはぁ。一族の女性陣と話したの。アナタのが一番硬くて強いって」
「あらま、お宝自慢やってるのか」
367大人才人 涙2-5:2011/02/11(金) 05:29:23 ID:iPc9GaEb
「だって、皆人間なんかって言うんだもの。羽ばたけない位可愛がって貰える?って聞いたら皆黙ったの。そしたら、生唾飲み込みながら『旦那様ちょっと貸して』だって。ワタシの旦那様は一番なの!!あひっ!!」
ビクンビクン
カチュアはそのまま絶頂し、才人の頭を抱き締めると、才人も合わせて射精する
「ふぅぅ。翼人はスワッピングするのか?」
「……季節が残ってる番はしないけど、季節が終わった番はするよ。子作りの血の縛りが無くなるモノ」
「そっか。番は緩いんだな」
「ワタシはしない。ずっとアナタ一筋だよ」
「…無理するな。子育て終わった頃には、俺は老人だ。寧ろやってくれ」
「する訳無いじゃない。あなた以上の殿方なんて、居ないもの」
背後からラクチェが才人に抱きつく
「ラクチェ迄」
「お慕いしてますわアナタ」
才人は無言で身体を揺すらせ、カチュアを揺さぶる
「やぁ、敏感な所がピトピト当たるの。ひっあっあっああ゛〜〜〜〜」
カチュアの胸に吸い付き、母乳を吸いながら、中にたっぷり射精する
カチュアは才人に為すがまま、脚を絡め、翼をバサバサ小刻みに動かし、果てる
座位の姿勢でくてりとなったカチュアを、ベッドにうつ伏せに横たえると、ラクチェも並び、二人して尻だけ膝立ちして持ち上げる
スタミナの限界で、それでもまぐわいたい為の姿勢
翼人の場合、交わりながら寝る場合、この姿勢を取る
体重が軽く、翼を痛めない姿勢の為、翼人達の基本体位だ
「ん、二人共限界か」
「まだ欲しいですけど、身体が付いて行かないんです」
ラクチェが言うと才人はラクチェの中にヌルリと挿入しつつ、カチュアの陰核をこねくり回す
二人が意味の無いあえぎ声を上げながら、夜の帳が黒くなり、空には沢山の星が瞬く
双月が明かり取りから、その様を白銀の月光を降り注ぎながら、優しく見つめて居た

*  *  *
朝日がラクチェとカチュアが作った家の明かり取りから差し込む
「ふあぁ。良く寝た。そろそろ帰らないとな」
368大人才人 涙2-6:2011/02/11(金) 05:30:43 ID:iPc9GaEb
才人は朝日で目覚め、二人は才人の上で安らかな寝顔で寝ている
股間からは才人の証が大量に垂れており、二人は陰核を才人に完全に押し付けた状態だ
「ラクチェ、カチュア、起きて」
身体を軽く揺すると、ビクンとして二人は眼を覚ます
「あん」
「ひぅ」
「悪いけど帰らないと」
「……はい」
ラクチェが返事をしながら陰りの有る表情をし、カチュアが涙を一筋流す
「俺は、人の世界に行かないと」
「……はい」
カチュアが涙を拭くと、笑顔を向ける
ラクチェも負けずに笑顔だ
「ですけど、おっきくなってるから、後一回ずつですね」
言った途端、ラクチェはヌルリと才人を受け入れ、才人の射精を促す
「ちょっ、これ朝勃ち。只の生理現象、うっく」
「はっはっ。駄目です。あなたは勃ったら、私達に使わないとイケナイんです」
グチュッグチュッ
才人に馬乗りになりながら、才人の精液と自身の愛液で派手に音を立て、返りがハマり、才人が射精する
「あ゛〜〜来たのぉ〜〜」
才人が尻をガシリと掴み、最奥に固定し、ラクチェも負けずに押し付ける
ラクチェが暫くしてどくと、カチュアがすかさずヌルリと才人を受け入れる
ラクチェに負けず最奥に誘導し、ハマると腰をうねらせ、才人の性感以上に自身の性感を一気に高めらせる
「あっあっ、イク、イクのあ゛ぁ〜〜〜〜」
ドクン
才人が立て続けの刺激に負けて、カチュアをしっかり抱き締めて射精する
「ふぅふぅ。二人共、満足したか?」
「出来れば、後2週間はお願いしたいのですけど」
「……マジ?」
「はい、私達の群れの季節の番は卵を産む迄、一日中子作りするのが普通です。食事は、季節が終わった仲間達が用意してくれます」
「…だから赤い実なのか。それとも、赤い実が有るからなのか?」
「トリステイン近郊でしか取れないらしいので、他の群れは解りません」
「……ドスケベな群れだな」
「はいっ」
二人はニコリと笑い、才人の服を手に取る
「あなた、この服の穴、直せるか試して良いですか?硬い服は身を守る物ですよね?」
「その通りだけど、出来るのか?」
「材質が解らないので、何とも言えませんが、どうやら生地と中に入ってる、ふかふかの素材自体は欠けておらず、裂けてるだけですので。こちらの不思議な服も裂けてるだけですし。精霊の力で繋ぎ直せれば」
369大人才人 涙2-7:2011/02/11(金) 05:40:25 ID:iPc9GaEb
「へぇ、錬金みたいな事出来るのか。素材は、石油と云う古代の微生物や植物の化石から作られた繊維だよ」
「石油……ですか?」
カチュアが首を傾げながら聞く
「あぁ、大地の下に眠ってる。つまり、大地の精霊の力の一部って言えるかもな」
「あら、なら契約下なら、直せるかも知れないです」
カチュアとラクチェは、真剣に精霊との交渉に使う口語の詠唱を行い、みるみる内に繊維同士が繋がり、修復されていく
「ふぅ、確かに精霊の力が通りました。ちょっと、修復部分の色が変わってしまいましたけど」
カチュアが言い、才人が渡された物をチェックする
肌触り的に少し違うが、穴開きよりずっと良い
「此は助かる。有り難うな、二人共」
「いえ、夫の手助けをするのは妻の務めです」
ラクチェとカチュアはニコリと笑い、才人が服を着ると、二人は服を着て才人を学院の正門前に届ける為に、才人を抱えて飛び立った

*  *  *
才人が二人と別れ門衛に挨拶してから学院に入り、ルイズの部屋に赴く
「怒ってんだろうなぁ、ルイズ」
「いやいやいやいや、まさか初めての相棒のガキが、翼人との間とはねぇ」
「てめぇが最初に魔法吸わなかったせいじゃねぇか」
「おぅ。俺っちの作戦は成功って訳だな。この調子で他のガキも見せてくれや」
「……最後に絶対に引導渡してやる」
「あら、何て凄み出してるのかしら、お姉様」
「貴女が使い手を裏切るからよ。妹」
イマイチだった為、笑おうかどうしようか、微妙な雰囲気を一人と一振りは出しつつ、廊下を歩き、遂にルイズの部屋に着く
ガチャ
「只今」
才人は顔面を片手でガードしながら部屋に入ると、予想と裏腹に物は飛んで来ない
只、制服姿で胸のペンダントをいじくり回しながら、眼の下に隈を作り、こちらを睨みつけるルイズが居た
「う゛ぅ゛〜〜〜〜〜」
「ルイズ、ごめん今まで時間かかったよ」
「う゛〜〜〜〜〜」
「ルイズ?」
才人がベッドに近寄り、ルイズに手を出すとがぶりと噛みつかれる
「っつ」
「う゛〜〜〜〜」
噛みつきながら引っかかれる
ガリ
「って」
才人はルイズの気が済む迄、黙って耐える
噛みつかれた左手からは血が垂れるがルイズはお構い無しだ
たっぷりと10分、ルイズは才人に噛みついたのをやっと離す
「なんなのよ、あの翼人」
「ルイズ、あの」なんなのよ!!」
才人の言葉を遮り、ルイズは怒鳴る
「…友達だ。最近出来た」
370大人才人 涙2-8:2011/02/11(金) 05:42:31 ID:iPc9GaEb
流石に本当の事が言えないので、ぼかす才人
「…本当に?」
「タバサがさ、翼人の結婚に尽力しててさ、その子の親戚なんだよ。タバサに聞いてみ?」
「じゃあ、何でサイトだけ?」
「俺らが王宮でくたばってた時に、遊びに来てたんだと」
ルイズは唸りながら問い詰める
「…何で泊まりがけなのよ?」
「翼人の家は高い木の上にあってな、俺には翼人が運んでくれないと帰れないんだよ。ほら、ジャケットの穴も補修して貰った」
一応筋は通っている
「む〜、モンモランシーとかは知ってるの?」
「…何か言ってたのか?」
「ううん、知らないって」
「そっか、タバサの個人的な知り合いだからな。俺もそのツテだ。だからタバサに聞いてくれ」
「…解ったわよ(何か、かわされた感じがする)」
とうとう、ルイズは追求を諦めた
「所で、きちんと寝てたのか?」
ルイズは首をふるふる振る
『参った。俺がいつ帰って来るか解らないから、ずっと待ってたのか……アイツみてぇだな、ホント』
「風呂は?」
かぁっと、紅くなるルイズ
「今からじゃ、風呂は無理だけど、一時間は寝られるな」
そういうと才人はデルフと村雨を立掛け、ジャケットを脱ぎ、ルイズを抱き寄せ、ベッドに寝かせる
「少しでも寝るぞ」
「うん」
返事をして才人が添い寝をした途端、ルイズはストンと寝入る
『全く、行動が似てるんだよ、お前は』
才人は溜め息をついた

*  *  *
一時間経つと、才人はぺしぺしとルイズの頬を叩き、起こす
「ほら、ルイズ起きて。今日から学校の授業だ」
「……ん」
ルイズは一旦眼を開けると、睡魔に負け、また閉じる
「あぁ、もうしょうがないなぁ」
才人はルイズを抱き起こすと、そのまま抱えて洗面器の所に持って行き、パシャパシャと顔を洗い、手拭いで拭くと、更に下着と靴下とブラウスはサッと脱がせ、新しいブラウス、ショーツとニーソックスにする
ルイズは寝惚け眼で為すがままだ
「ほら、ご主人様。朝でございます」
「う〜、まだ寝るの〜」
まだ眼を擦りながら、惚けてるルイズ
「復帰一日目からサボりは良くないな。俺は、そんなルイズは嫌いだなぁ」
ルイズはぱちくりと眼を覚まし、才人を睨みつける
「そそそんな事する訳無いでしょ?馬鹿犬。あああたしが授業をサボるなんて、有り得ないわ」
「流石はマイロード。では、朝食に参りましょう」
「えぇ、良くってよ」

*  *  *
食堂に二人が入ると、周りからざわめきが起きる
371大人才人 涙2-9:2011/02/11(金) 06:08:23 ID:iPc9GaEb
「ん、何だ?」
「何かしらね?」
二人共きょとんとしながらも席に着く
戦争が常態のハルケギニアでも、やはり身近に勝利の立役者が居ると、注目を浴びるのは当然である
二人の何時も座る席にには、ワイングラスが置かれている
「何で朝からワイン?」
ルイズがきょとんとすると、マルトー料理長が入って来る
メイドに連絡を受けたのだろう
「勝利の帰還、誠にお慶び申しあげます。ささやかながら、勝利の美酒を用意させて頂きました。倉より出した秘蔵の一品、6035年の赤です」
才人がキョトンとすると、ルイズが真っ青になる
「ちょちょちょっと、そんなシロモノ出さないでよ。私達は、そんな大それた事してないわよ」
「…話から推測するに、とんでもない値打ちモンのヴィンテージみたいだが?」
「……6035年モノのワインは、一本で城が買えると言われてるわ」
流石に才人も真っ青になる
「や、止めてくれ、親父さん。そりゃ、幾ら何でもやり過ぎだ。俺もルイズも望んでない」
マルトーが胸をばんと叩いて、何時もの調子で喋りだす
「いやいや、学院長から許可も得てるんだよ。国賓の歓待用なんだが、寝かせとくより使ってしまえってな。まだ2本あっから、飲んでくれ」
「いや、駄目だ。受け取れん。普通のワインにしてくれ、頼む。ルイズは酒に弱いんだ」
マルトーは面白そうに目を細める
「まぁ、我らの剣なら、多分そう言うと思ったわ。普通のも用意してる。おい」
シエスタが氷を入ったバケツに入れたワインを持って来て、ヴィンテージと取り換える
「此なら、気軽に飲めるだろ?去年の奴だ」
ラベルを見せて、二人を安心させる
「ルイズ、どうだ?」
「うん、去年の白ね」
「それじゃ、そっちで頼むよ」
「あいよ」
キュッキュッキュッ、ポン
二人のグラスに注がれる
二人は朝からワインを飲むハメになり、マルトーが自らワインを注ぐ
「俺は嬉しいぜ、我らの剣よ。やっぱ、お前はスゲーわ」
「偶々だ、偶々」
才人がグラスを傾けながら、ルイズの様子を伺う
「もう無理か?」
ルイズがちびちびやりながら、こくんと頷く
「後は俺が全部頂くわ。残すのも勿体無い」
「おぅ」
才人が全部ワインを飲み、二人して改めて手を合わせてから、朝食を食べる
二人して食べ終わって席を立つ迄、生徒の視線に、ルイズは寝不足とアルコールで気付かなかった

*  *  *
372大人才人 涙2-10:2011/02/11(金) 06:10:06 ID:iPc9GaEb
才人が何時も通り洗濯に離れ、ルイズは一人教室に入ると、クラスメイトから話しかけられる
「ねぇ、ルイズ。貴女の使い魔、凄いのね」
「ありがと。でもあたしは、相変わらずゼロよ」
「……珍しく謙虚ね」
女性徒達がルイズの意地っぱりが出ない事に驚く
何時もなら、自慢してもおかしくない
良く見ると、何か顔が紅い
「あぁ、反応変なのは、ワイン飲んで酔ってるからか」
皆が納得し、席に付く
ルイズは何とか睡魔と酔いに抵抗しながら、タバサに近寄る
「タバサ、聞きたい事あるんだけど?」
タバサは読んでた本から眼を離し、ルイズに顔を向ける
隣のキュルケが興味津々だ
「…何?」
「昨日の翼人、タバサの友達って本当?」
コクリ
「才人が、タバサのつてで友達になったって」
『あぁ、成程ねぇ』
キュルケがにやつく
「えぇ、その通りよ、ルイズ。私も保証するわ」
「モンモランシーが知らないのも?」
モンモランシーが、キュルケにウィンクを送る
「えぇ、そうね。タバサ、今度モンモランシーにも紹介しましょ」
コクリと頷くタバサ
『今度会った時に、話通しておかないとだわ』
キュルケがそう結論付け、日常の授業が始まる
そして、授業が始まった途端ルイズは居眠りをする事になり、教師に呆れられる事になる

*  *  *
「ふぅ、洗濯終了っと」
才人とメイド達が洗濯物を干した後、休憩を行う
彼氏が居るメイドはともかく、彼氏が居ないメイド達の視線が更に熱く才人に注がれる
「…何か、前より視線が痛い感じがする」
「そんな事無いですよ。今や才人さんは、救国の英雄です」
そう言って微笑むメイド達
「…何時も通り接してくれよ。何か痛いわ」
「何言ってるんですか?何時も通りですよ。ちょっと、才人さんを彼氏か旦那様にしようとしてるのが、前より増えただけです」
才人は溜め息を付く
「……アニエスさんが戦後処理終らせて来る迄、こんな感じかよ……」
クスクスメイド達は笑う
『隣にシエスタでも居ればな。牽制してくれるのに』
才人は朝食で見た後、何故かシエスタの姿を見ていない
「あれ、もう皆休憩してたの?才人さん、これシエスタから」
歩いて来たミミが才人にメモを渡す
「あぁ、ありがと……ミミ、中見た?」
「いえ、失礼ですから、そんな事しませんよ?」
「ごめん、ちょっと用事が出来た。皆は休憩しててくれ」
373大人才人 涙2-11:2011/02/11(金) 06:14:38 ID:iPc9GaEb
そう言うと立ち上がり、才人は村雨に手をかけ、一気に走り出す
そんな才人をメイド達は見送った
才人がガンダールヴの力を使って、誰かが追跡してても振りきり、更にフェイクを噛まして別の場所に向かう様にしながら迂回
ヴェストリの広場に面する火の塔の階段の入口にやって来ると、シエスタがセーラー服を着て待っている
「やあ、待たせたね。ごめん」
「い、いえ。あの、言われた通り、仕立て直ししましたけど、どうですか?」
才人が皆にプレゼントする前に、自身で確認して貰う為に、シエスタは自分の分の上下を、先に仕立て直している
セーラー服はちょっとした動きで臍がちらりと見える丈で、スカートは膝上15サント
才人はシエスタを見た瞬間、思わず抱き締めてしまった
「え?あれ?才人さん?」
「俺の我が侭に付き合ってくれて、有り難う。凄く似合ってるよ」
「本当ですか?」
「あぁ、シエスタの顔立ちと黒髪のお陰で、日本に帰って来たみたいだ」
才人は抱擁を解き、シエスタを褒める
シエスタは気分を良くし、その場でくるりと一回転する
「セーラー服が、才人さんの国の学生服なんですね。でも、ちょっと恥ずかしいです」
「恥ずかしい?」
「えぇ。だって、才人さんの国の学生は、下着付けないんですか?皆さん平民ですよね?」
「はい?」
374大人才人 涙2-12:2011/02/11(金) 06:16:02 ID:iPc9GaEb
「貴族の様な下着なんて、私持って無いんですよ?」
「…まさか」
シエスタは頬を染めつつ、壁に身体を預け、才人に尻を向ける
「才人先輩、いけない後輩の検査をお願いします。勿論先輩の伝説の剣で、お仕置きして下さい」
シエスタの催促である
シエスタはスカートをゆっくり巻き上げると、シエスタの丸くて白い尻が才人の前にでんと出る
勿論花弁は才人に向かって牝の主張をしている
「……穿いて無いの?」
「シエスタはイケナイ子です。才人先輩の剣で、お仕置きして下さい」
シエスタが更に尻を突き出し、更に軽く尻を振る
セーラーの隙間からは、シエスタの胸がちらりと見え、全裸以上の破壊力を才人に与える
シエスタが才人を求めている
『だ、駄目だ。想像以上の破壊力』
才人がジーンズを下げると、股間の分身が怒髪天を突いている
『朝食った赤い実の効果、まだ残っているのか』
才人はそのまま、シエスタの腰を両手で掴むと、シエスタはピクンとする
手を使わずに、上手く入口に当てると一気に挿入する
ヌル
「あはぁぁぁぁぁ」
「う、シエスタ」
「あっあっあっ。私、良く、出来まし、た?」
シエスタは奥を突かれ、更に才人が被さって来ると才人に尻を突き上げる
「良く………出来ました」
「ご褒美、ご褒美〜〜〜〜!!」
シエスタは呼吸を荒らげ、才人を更に高ぶらせる
「うっ、出る」
「イクのっ」
ドクン
シエスタの膣は暴力的に才人を貪る訳ではなく、優しく包み、優しく迎え、鼓動を合わせて才人の精を受け入れる
とにかく才人の精を貪欲に貪る女性ばかりな為、シエスタとの行為は、才人に安らぎを与える
ピクピクと動く才人の分身は、その柔らかな中にまだまだ放ちたいと、才人に苛烈に要求する
シエスタの顔を振り向かせると、完全にとろけており、才人にキスを要求してくる
才人はキスをしながら舌を絡め、更に胸を揉みしだく
シエスタは才人が離れない様に、尻を才人に押し付け、やわやわと締め、戦闘体制を再び取らせる
「…シエスタ、まだ?」
「はぁ、ん。だってだって、あれから三週間ですよ?」
「…はい、頑張ります」
シエスタの締め付けは柔らかく、それでいて中に誘導する為、才人に中で暴れる悦びを与える
才人は更に腰を動かし、シエスタのおねだりに応える
「ふぅ、そういえば、シエスタいつの間にか下の毛も剃ったの?」
「あっあっあっ、はぁ。タルブで………ミスモンモランシに……してもらいました」
「…納得」
375大人才人 涙2-13:2011/02/11(金) 06:18:45 ID:iPc9GaEb
才人はシエスタを持ち上げ、正面にし、片足を上げて挿入し直すと、そのままシエスタを持ち上げ、駅弁の姿勢にする
シエスタは全体重で才人に繋がり、身体が離れない様、必死に才人にしがみつく
「あっ、才人さん好き、大好き!!あっあ〜〜〜〜〜!!むぐっ」
シエスタのあえぎ声を塞ぐ為、才人は口付けを交わし、舌を絡める
先にシエスタが絶頂の痙攣をし、才人が射精し、シエスタを抱えたまま壁に預ける
暫くすると、才人がシエスタの唇を離した
「あまり大声上げちゃ駄目だよ、シエスタ」
才人がシエスタの耳をくすぐる様に言うと
「だって、キモチイイんです。才人さんだからですか?それとも、まぐわいって、誰とやっても良いんですか?」
「個人差が有るから何とも。男だって、誰が相手でも良いって連中と、相手を選ぶ連中と居るからね」
「才人さんは?」
「…ノーコメントじゃ駄目?」
「駄目です」
「じゃあ、ハルケギニアの女のコには、ハズレ無しって答えじゃ駄目?」
「それって、日本だとハズレが居たって事ですか?」
「そう受け取って良いよ」
「じゃあ、許してアゲマス。だって、私は日本で才人さんが相手した女性より、上って事ですもんね」
そう言うと、シエスタは妖艶な顔をして才人を誘う
「これ以上は駄目。授業に行かないと」
「クスクス。才人さん、もっともっと可愛がって下さいね。あんな翼人なんかに、負けないんだから」
「…お手柔らかに」

*  *  *
376大人才人:2011/02/11(金) 06:38:19 ID:iPc9GaEb
投下終了なのね〜
大人才人タクティクスなのね
今回はカチュアなのね
「はい、私の旦那様の妻、カチュアです」
「私とラクチェの口調が解り辛いですか?えっと、カタカナとひらがなで区別してますよ。良く読んで見て下さいね」
「旦那様ったら、翼人がどんな生き物か興味津々で、色々触られまくってしまいました。アハハハハハ、まさか翼の付け根が性感帯だなんて、旦那様にいじられる迄、知りませんでしたよ」
「翼人同士の最高難度の体位は、飛行しながらのえっちです。旦那様相手にしようかと思って、何度か挑戦したんだけど、あっという間に飛行不能レベル迄可愛いがって貰っちゃう為、部屋で少し帯空して試した時点で諦めちゃいました。てへ」
「さて、この先私達は、一体どうなってしまうのでしょう?本当に解りません。幸せな未来が待ってると良いな」

有り難うなのね〜
大いなる意思の基に生きてる者同士、幸せな未来が掴めると思えるのね
きゅいきゅい
377名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 14:25:50 ID:bMgjpPfx
GJ
378名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 18:11:13 ID:abfg674N

明け方に更新くるとは思わなんだ
379名無しさん@ピンキー:2011/02/11(金) 22:00:39 ID:OdwoG7+l
来てた!そして貴重なエロ回。
にしても最初期に比べて格段に上手く、面白くなってるなぁ。
ってか、男としてこっちのサイトの方が好感持てるもの……。
だって、原作サイトはレモンちゃんだぜ……orz
まぁ原作も大好きなんだがな!

というわけでお仕事大変でしょうが、お体に気をつけて!
次回も楽しみに待ってます!
GJ!
380大人才人:2011/02/13(日) 20:46:15 ID:Yx/9skwb
イルククゥでシルフィードなのね〜

今日は特にコメント無しらしいのね

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・涙の続き
・私とて、教師としての自負が有る(ギトー談
・13レス前後、30分以上開いたら多分寝落ち

では、反映次第、投下開始なのね、きゅいきゅい
381大人才人 涙3-1:2011/02/13(日) 20:48:28 ID:Yx/9skwb
才人が教室に入ると、ルイズが寝ている
才人が溜め息を付きながら、ルイズの傍によると、クラスメイトが心配そうに話しかけて来る
「ねぇ、ルイズどうしたの?復帰一日目で居眠りだなんて。居眠りなんて初めて見るわ」
「あぁ、ちょっと心配事で眠れなかったみたいでね。何とか起こすから、今日は勘弁してくれないか」
「才人がそういうなら大丈夫か。何か才人が来てから、只の生真面目から変わってしまったから心配なのよ」
「有り難うな。ルイズが聞いたら喜ぶよ。本人に起きたら言ってくれないか?」
「えぇ」
その様子を見てたキュルケはくすりとし、タバサの髪いじりをしてる
『ダーリンのお陰ね。あんな風に心配されるだなんて』
ルイズが良い方向に向かってる事に、キュルケは満足そうにする
そんなキュルケや他の視線を感じつつ、才人はルイズを揺り起こす
「ルイズ、ルイズ」
才人の声色は優しく、見てる者につい微笑みを浮かべる
そう、幼子を優しく揺り起こす様な仕草
「ん、ふに」
ルイズが寝惚け眼で眼を擦りながら、身体を起こす
天下の美少女は、寝起きの姿すら魅力的だ
「ルイズ、居眠りしてたろう?」
「し、してないもん」
「言い訳は聞かないよ。事実だろ?」
「うっ」
「昼休みになったら木陰で休もうな。もう少し頑張れ、な?」
「うん」
才人がルイズをしゃきりとさせ、ルイズはぼけぼけしつつ、何とか起きる
「まるで親子だな」
レイナールが言うと、周りからクスクスと笑い声が起きると、ルイズがキッと睨む
「親子じゃないもん。使い魔と主人だもん」
「どっちかってと、才人が主人だよな」
ギムリがからかうと、ルイズがしどろもどろになる
「うっ、そんな事……才人は大人なんだから、あたしより出来て当然じゃない。出来る使い魔は、主人の誉よ」
「確かにそうだね。ルイズの言う通りだ」
レイナールが頷くと、クラスメイトもその点に付いては頷く
認める部分は認める気風が、使い魔を持つ事により、生徒にも芽生えだしている
『へぇ、皆成長してるんだな。成長してないのは俺だけか』
才人は生徒達を眩しそうに見る
次の授業で午前は最後だ
今度の授業はミスタギトーによる、ルーン文字の基礎の反復授業だ
非常に退屈だが、重要な授業である
「では授業を始める。二年生になってる君達には非常に退屈だと思うが、基礎をきちんと出来るか出来ないかで、この先の君達メイジとしての成長に関わる」
382大人才人 涙3-2:2011/02/13(日) 20:49:28 ID:Yx/9skwb
「だからこそ、基礎の授業は重要だ。トリステイン魔法学院では、基礎の反復を重視している。全員丸々言える位になって欲しい。成績に一番影響する部分だ」
「「「「はい」」」」
「では、ルーンの特徴を講義して貰おうか………眠そうなのが居るな。ミスヴァリエール、答えたまえ」
ガタッと音を立て、ルイズが立つ
「は、はい。ルーンは私達が現在使ってる文字の原型で、特徴は左右どちらからでも読める事。また、発音記号としてだけでなく、一文字で意味を有している表意文字です」
「メイジとしての使途は、表意文字を利用して、四系統スペルの詠唱に使います。また、効果を永続させたい場合、魔力によりルーンを対象に印字したりします。但し、ルーンの意味のみで収まらない部分は、発音記号として用い、単語を補足します」
「うむ、宜しい。着席しなさい。捕捉出来る者は居るかね?」
ルイズが着席すると、何人かが手を上げる
「はい」
「ほう、珍しいな。ミスタグランドプレ。答えたまえ」
マリコルヌが起立して答える
「はい。ルーン文字は昔の文字ですので、始祖ブリミル以来の古い文献を読む場合に必要です」
「うむ、その通りだ。着席しなさい。他には居るかね?」
マリコルヌが着席すると、また複数の手が挙がる。成績に重要な授業は、全員真剣だ
魔法学院での成績は、卒業後の評価と家名に影響するし、当然進路にも影響するからである
「はい」
「ミスタグラモン。答えたまえ」
「はい。ルーン文字は全部で25文字。他にも派生ルーンが有り、16文字の時代も有りました」
「意味は解ってるだけでも、一つの文字に複数。また、正位置と逆位置で意味が正反対に変わる文字もあります。発音も、一つの文字で複数の表記が有ります」
「うむ、宜しい。着席したまえ。他には有るかね?」
更に複数の手が上がる
「ふむ、ミスモンモランシ、答えたまえ」
「はい。ルーン文字は、まだまだ現在では解読出来ていない意味合いも含まれており、それが始祖ブリミルが用いたと言われてる、虚無に関係するのではと、言われております」
「うむ、宜しい。着席したまえ。皆が良く勉強してくれている姿勢が見えて、私は嬉しい。では、次は単語の発音と意味合いをお願いしようか」
カカッ
一本の縦線に右斜め上に二本線の文字を書くギトー、Fを崩した感じだ
「此が解る者」
「「「はい」」」
ほとんど、全員の手が上がる
「では、全員で答えたまえ」
383大人才人 涙3-3:2011/02/13(日) 20:55:50 ID:Yx/9skwb
「「「「フェイヒュー、又はフェオ。意味は家畜や富。逆位置は散財」」」」
「うむ、その通りだ。まぁ、逆位置で呪いたい場合に使うな。次は此だ」
カカッ
二本の縦線を間を右下方向に横線を引く、変型コの字
「「「はい」」」
「答えたまえ」
「「「ウルズ、又はウル。意味は野牛、勇気。逆位置は優柔不断」」」
「宜しい。火系統の着火から始まるスペルで非常に有名だな。では次は此」
カカッ
縦線一本に右側中央に三角の旗を書く
「「「スリサーズ、又はソーン。意味は巨人、棘、門、又は雷も有り。逆位置は後の祭」」
「うむ、逆位置の要約が素晴らしい。アースハンドやライトニング系が有名だな。次は此」
カカッ
縦線一本に、Fを崩して二本の横線を右下に向けて書く
「「「アンサズ、又はアンスール。意味は神、口、情報。逆位置は偽情報」」」
「うむ、撹乱したい場合に逆位置に頼るな。次は此だ」
カカッ
直線の繋りでRを書く
「「「ラグーズ、又はラド。意味は乗り物、騎乗。逆位置は交通事故」」
「うむ。良く勉強しているな。次は此」
カカッ
くの字を書く
「「「カーノ、又はケーン。意味は松明、明かり、開始。逆位置は停滞」」」
「うむ、火系統のルーンに不可欠だ。一番有名ではなかろうか。次は此だ」
カカッ
Xを書く
「「「ゲーボ、又はギョーフ。意味は贈り物、結合、出会い。逆位置は無し」」」
「宜しい、攻撃を相手に贈答すると、皮肉を込めて唱えているな。ファイアランスとかでは顕著だ。では次だ」
カカッ
上を突き出さない三角旗を書く。スリサーズの縦線が上に出ている文字と、非常に似ている
「「「ウンジョー、又はウィン。意味は喜び、成功、愛情。逆位置は不運の連鎖」」」
「うむ。悪い時は連続して悪い時が来ると、人生ではつきものだ。次は此」
カカッ
Hの横線が右下に斜めに書かれている
「「「ハガラース、又はハガル。意味は嵐、雹、災難。機会と言う意味も有り。逆位置は無し」」」
「宜しい。ジャベリンで使われているな。次は此だ」
384大人才人 涙3-4:2011/02/13(日) 20:57:20 ID:Yx/9skwb
十字の横線が右下に向かって斜めに書かれている
「「「ナウシズ、又はニイド。意味は欠乏、必要性、忍耐、束縛。逆位置は間違い」」」
「うむ、忍耐しなきゃならない時には使うべきだな。人生に忍耐は付き物だ。君達にもナウシズの加護が有るように。次は此」
◇を書く
「「「イング、又はイングワズ。意味は豊穣、多産、幸運、完成、男性器。逆位置は無し」」」
「うむ。将来を誓った男女には不可欠なルーンだな。次だ」
縦線一本、正にIだ
「「「イーサ、又はイス。意味は氷、凍結、停止、槍。逆位置は無し」」」
「うむ、ウィンディアイシクルではイスとイーサで二単語重ねて氷の矢としているな。同じルーンを重ねるのも有りと言う好例だ。次は此」
カカッ
くの字と逆くの字の組み合わせで、右下に逆くの字がある
「「「ジュラ、又はヤラ。意味は一年、収穫、更に法則、契約と意味も有り。逆位置は無し」」」
「うむ。やはり作物の収穫には欠かせないルーンだな。皆も食物に、ジュラの加護と感謝を捧げる様に。次は此」
カカッ
Zを反転させ、長い部分を縦線にした状態だ
「「「エイワズ、又はユル。意味はイチイの木、防御、更に弓。逆位置は無し」」」
「うむ、各種シールド系の詠唱や、射撃系のスペルに有用だな。防御陣地に使う場合は強固になるだろう。次は此だ」
カカッ
壷の底を左側にした様な、文字だ。内側にくの字を描いたのを上下にし、縦線を左側に書いている
「「「パース、又はペオース。意味はギャンブル、秘密、死後、性。逆位置は秘密の暴露、異性耽溺、死の誘惑」」」
「うむ、諸君には大変馴染み深いルーンだな。特にミスツェルプストー、色恋も程々にする事。他の皆もカジノでのギャンブルも程々にする様に。まぁ、一番オールドオスマンに言うべきだがね」
教室に笑いが巻き起こる
「ルーンの中では、特に意味が解って無い部類に入るルーンなので、スペルに組み込む時は正にイチかバチかになる。君達も気をつけたまえ。次は此」
カカッ
縦線に二本の斜め線を上に加える。差し詰め、トライデントの簡略化か、鳥の足跡みたいである
「「「アルジズ、又はエオルー。意味はヘラ鹿、保護、支援。逆位置は犠牲」」」
「うむ。エイワズと組み合わせると非常に強固な防御陣になる。但し、その分高位スペルになるので、実力と相談して決めなさい。次は此だ」
カカッ
S字を直線で構成したモノを書く
385名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 20:59:41 ID:ISS6TbWT
支援。
にしてもこのルーンが今後の物語に絡んでくる伏線になるんだろうな。
じゃないとこんな綿密に説明しないもの。
wktk
386大人才人 涙3-5:2011/02/13(日) 21:04:18 ID:Yx/9skwb
「「「ソウイル、又はシゲル。意味は太陽、光、尊厳、生命力。逆位置は無し」」」
「うむ。ソウイルは非常に強い力を持つルーンだ。余り強いと自身に効果が望まず返って来てしまう。使用には気をつけなさい。更に強い力を発生させたい場合はこうする」
カカッ
ソウイルに更に横向きのソウイルを書き足す
其を見た瞬間、才人は思わず呟いてしまった
「……ハーケンクロイツ……あれ、逆さ卍じゃ無かったのかよ……だから、ヒトラーは……」
「ハーケンクロイツ?ゲルマニア訛り?」
ルイズがきょとんと才人を見上げる
「ん?どうしたかね使い魔君。何か問題でも?」
ギトーが風使い特有の、音に敏感な所で反応し、才人に聞く
「いえいえ、構わずに続けて下さい。俺も勉強になります」
「平民の癖に、変な男だな。では続ける」
カカッ
上向きの矢印↑を書く
「「「テイワズ、又はティール。意味は神、勝利、戦い、公正。逆位置は敗北、不公正」」」
「うむ、正々堂々。正に君達貴族の為に有るルーンだ。貴族たるべく、精進を行えば勝利はおのずと付いてくる。皆も精進を怠らぬ様に、次は此だ」
カカッ
直線で構成されたBを書く
「「「ベルカナ、又はベオーク。意味は白樺、誕生、成長。逆位置は計画不備、頓挫、不健康」」」
「うむ。子供達の健やかな成長、其に君達の様な学生の成長にも寄与するルーンだ。実は、寮内の各部屋には君達の成長を祈って刻まれている。部屋の何処に有るか探索してみたまえ」
そこで一人の生徒が手を挙げる
「先生」
「何だね?ギムリ君」
「ルイズの胸には効いて無いみたいですが?」
ガタリと音を立てて立ち上がり、ルイズが猛然と噛みつく
「ちょちょちょっとあんた、今回とは関係無いでしょ!!」
「ミスヴァリエール、少し黙りたまえ。本当に良い質問だ」
「え?そうなんですか?」
ルイズが聞くとギトーは頷く
「うむ。魔力を込めて無いので、只の祈願だ。残念ながら、個々人の身体的成長迄には関与しない。三年間も、成長の魔力を込めた部屋に寝泊まりした場合、トロル並の巨人になったりする可能性も、否定出来ない。異常成長の基になるから、基本的にやらないのだよ」
へ〜とかほ〜とか、周りから発せられる
「だが、横には関与されてるみたいだな。マリコルヌ君を見たまえ。明らかに入学時より成長している」
途端に爆笑の渦に包まれる
「先生、幾ら何でも酷いです」
387大人才人 涙3-6:2011/02/13(日) 21:06:27 ID:Yx/9skwb
マリコルヌが堪らず、抗議の声を上げる
「ならば、きちんと節制したまえ。さすれば、念願の彼女も出来よう」
「うぐっ。頑張ります」
図星を指されて、何も言えなくなってしまうマリコルヌ
「では次だ」
カカッ
Mを書く、Mの中心が縦線の半分の位置に有る
「「「エワズ、又はエオー。意味は馬、移動変化、移動手段そのもの。逆位置は移動時のトラブル、突発事件」」」
「うむ。主に使う場合は行楽だろう。ラグーズは仕事関係なので、混同には気をつけたまえ。では、次だ」
カカッ
二本線の間の上側に×が付いている。形としては門の形状だ
「「「マンナーズ、又はマン。意味は人、自分自身、人間関係。逆位置は人間関係の不調和」」」
「うむ、何時でも人間の最大の敵は人間だ。だからこそ、人間同士調和を保てる様にするべきだな。次は此だ」
カカッ
縦線の上端から右下に斜め線が書かれているΓの字に近い
「「「ラグース、又はラグ。意味は水、感性、女性。逆位置は勘違い、不運の前兆、女難」」」
「うむ、自然に有る水を使う場合の水系統の始動キーとして、余りにも有名だな。確かタバサ君が得意だった筈だ。そして、この逆位置にはふさわしい人物が居そうだが。なぁ、使い魔君」
「返す言葉もございません」
才人が肩をすくめると、皆が爆笑する
「では次だ」
カカッ
×を二つ縦に並べて繋がっている
「「「イングワズ、又はイング。意味は神、豊穣、完成。逆位置は無し」」」
「うむ。閉じた結界を作る場合に非常に有効だ。アルジズやエイワズと組み合わせれば、トライアングル以上なら、非常に強固な防御スペルを唱えられる」
「又、君達の学業が無事、喜びと共に無事完結する事を祈っている。卒業式にふさわしいルーンだ。では次だ」
カカッ
×の上に山形のヘの字を乗っける
「「「オシラ、又はオセル。意味は世襲、領土、遺産。逆位置は土地問題」」」
「うむ。封建貴族には馴染み深いルーンだな。君達の中にも跡継ぎは居るだろう。財産管理には注意したまえ。次だ」
カカッ
×に両側に縦線を書いた文字を書く
「「「ダガズ、又はダエグ。意味は一日、日常、光、順調。逆位置は無し」」」
388大人才人 涙3-7:2011/02/13(日) 21:13:06 ID:Yx/9skwb
「うむ。揉め事大好きな君達とは対極のルーンだな。たまには、一日を穏やかに過ごしてみたまえ」
皆から苦笑が漏れる
「さて、最後に此だ」
カッ
何も書いていない場所にチョークを当てる
「あの、先生」
「何かね?」
「25文字やりましたよ。26文字目が有るんですか?」
「うむ。実はある。2年生になって少し慣れてから、教授する部分だ。知ってる者は居るかね?」
すると、二つの声が重なる
「「ウィアド、又はブランク。空白のルーン。意味は運命、宿命、潜在能力。逆位置は無し。まず使わない」」
「…見事だ。他の2クラスでは、誰も答えられなかったぞ。タバサ君は勉強家だからともかくとして……」
杖を向け、ある人物を指す。瞳には警戒だ
「使い魔君、何故君が知っている?」
「……俺もこちらに来てから、勉強してたもんで。教師はコルベール先生さ」
才人の返答を聞き、ルイズは首を傾げる
「嘘、空白のルーンなんて、コルベール先生やらなかったわよ?」
「ふん、二ヶ月か其処らで、良くもまぁ気付くモノだ。ミスタコルベールが教授しなかったとして、タバサ君に教えて貰ったのかね?」
「そうだよ、な、タバサ」
タバサは首を傾げてから、コクリと頷いた
才人がウィンクしてるのが見えたからだ
「まぁ、そういう事なら納得だ。聞いての通り、スペルに組み込めないルーンなので、皆が知らないのも無理は無い。知っておいた方が良い程度だ」
「まだ時間は半分位だな、では次だ。ルーンにはそれ以外にも使い途がある。何か解るかね?」
「「「暦」」」
「正解だ。我々の暦は、全てルーンから成り立っている。平民では知らない者も多数だが、我々メイジなら、直ぐに解るだろうな」
「では次だ。メイジとしては、唱えたルーンの意味合いを知ると知らぬでは、威力と消耗度合いが格段に違う。意味合いを知れば、イメージに直結するからな」
「だから次はスペルの翻訳と始動キー、つまり始動手順の法則から、メイジとしての基礎能力の向上に向けよう」
「では此だ」
カカッ
ウルとカーノを書く
「発音は?」
「「「ウル・カーノ」」」
「その通りだ。翻訳すると?」
「「「勇ましい火を起こす」」」
「正解。火の始動キーとして、ドットスペルで有り、尚且つライン以降の火のスペルに使われる。次は此だ」
カッカッカッカカ
エイワズと綴りが二語
「解るかね?ちょっと変則だ」
「「「イル・ウォータル・デル」」」
389大人才人 涙3-8:2011/02/13(日) 21:15:53 ID:Yx/9skwb
「うむ正解。此処ではユルをイルと読んでいる。発音は融通が効くからな。意味は?」
「「「水を変化させます」」」
「その通りだ。イル・ウォータルは人の肉体、精神に影響する始動キーだ。つまり、変化は治療を意味する」
「次は此だ」
カカッ
ウォータルの部分が違う単語に置き換わっている
「「「イル・アース・デル」」」
「正解、意味は?」
「「「土を変化させます」」」
「その通りだ、つまり錬金になる。次は長くなるぞ?」
カッカッカッカカ
「「「ラグース・ウォータル・イス・イーサ・ウィンデ」」」
「正解。意味は?」
此処で皆が頭を捻る。同じ意味を指す単語が、二つも有るのだ
「水よ、水から氷の矢となりて、風に乗れ」
「正解だ、ミスヴァリエール。きちんと勉強してないと難しいな。ウィンディアイシクルのスペルだな、では此だ」
カッカッカッカカ
「「「ウル・カーノ・イーサ・ティール・ギョーフ」」」
「うむ、正解。意味は?」
途端に全員唸りだす
流石に長くなればなる程、意味合いを前後して計らないと駄目だからだ
「勝利の火の槍を起こし、貴方に贈りますわ」
「うむ、ミスツェルプストー。流石に火の使い手だな。ファイアランスのスペルだ。火の使い手としてはどうかね?」
「最近は良く使ってますの。でも、形成が非常に面倒ですわね」
「確かに、球形にするフレイムボールに比べれば面倒だろうな。私も火使いなら、同じ感想を抱くかもしれん………っと、もう時間だな。今日は此処まで」
「起立」
ガタタッ
「礼」
全員でギトーに礼をし、午前の授業が終わった

「…サイト」
「何?」
「何でウィアドなんて知ってるのよ?あたしだって、知らなかったのに。タバサに教えて貰ったって、嘘でしょ?」
「稽古以前は勉強会で図書館に通い詰めだっただろ?その時に見っけた」
「そっか。あたしより勉強出来るだなんて」
ガックリとルイズは落ち込む
「ルイズには種明かし。実は、タバサの読んでた本を後で借りた」
ルイズは眼をぱちくりさせる
「……目聡いと言うか、小ずるいと言うか」
「何でもそうだけど、一番出来る人相手からが、一番多くのテクニックが盗めるのさ」
「…納得」
『だから才人は、一番成績が良い人から学びたかったんだ。こんな所で差が付くんだなぁ。あたしも見習わないと』
「タバサと仲良くなって良かったろ?」
390大人才人 涙3-9:2011/02/13(日) 21:20:53 ID:Yx/9skwb
ルイズはコクリと頷く
「昼飯食ったら昼寝しようぜ。まだ眠いだろ?」
「うん」
ルイズと才人は、キュルケ達が一緒に食堂行こうと待ってるのに対し、歩き始める
『まさか、ウィアドをスペルに組み込んでるなんて、誰にも言えんわな』

*  *  *
ルイズ達は昼食を取った後、外に移動し、木陰で休んでいる
ルイズは才人の肩に身体を預け、すやすや寝ている
キュルケ達は其を見て苦笑する
「本当に兄妹か親子みたいねぇ」
キュルケがニヤニヤ笑うと
「全くだよ。使い魔と主人ってより、飼い主とペットだね」
ギーシュが深く頷き
「才人が飼い主よね」
モンモランシーがトドメをさす
更にルイズの寝姿を目に納めようと、男子生徒が大量に近付いて来たのだが、才人に一睨みされて、何も言わずに退散する
「全く、ルイズの寝姿は人気だな」
「黙ってれば、確かに美少女だからね」
「タバサだって可愛いのにな。な、タバサ」
タバサはルイズが才人の右隣で寝てるのに対し、左隣で本を読んでいる
呼びかけられて、タバサは才人を見上げる。疑問の目だ
「ん?ああ、さっきの空白のルーンの件か?タバサの読んでた本を、後で読んでたんだよ。だから、タバサに教えて貰ったのさ」
「…其だけじゃない。ハーケンクロイツ」
「ダーリン、あたしも気になったわ。ゲルマニア訛りじゃない。何で知ってるの?」
391大人才人 涙3-10:2011/02/13(日) 21:24:29 ID:Yx/9skwb
「俺の国で、昔同盟組んでた国の国旗に、ハーケンクロイツがあった。ソウイルの強さにやられて、国家元首は戦争終盤で自殺して、結局負けたよ」
「…そうなんだ。その国って、強かったのかい?」
「あぁ、非常に強かった。竜騎兵達の撃墜数が、一人100騎を越えるのが、数百人以上居たからね。しかも最高が300騎撃墜が数人。60年以上経った今も、記録は誰にも破られてない」
「…僕達の戦争とは、桁が違うね」
「しかも俺が撃墜した記録とは違って、相手も零戦みたいな戦闘機だからね。あのトップエース達に比べれば、俺なんか雑魚だよ雑魚」
「才人が自慢しない理由が、理解出来たよ。そんな化物達が、才人の住んでた国の周りには居るんだね」
「今は音より速く飛ぶからね。零戦みたいな旧式じゃ、相手にもならない」
「ダーリン、音より速くって、何れくらいなの?」
キュルケは興味津々だ。タバサは本を読むのを止め、才人の話に聞き入っている
「ん〜と、温度で音速は変化するけど、大体音速は時速1200リーグ位かな?単位はマッハ、音速を一単位で後はマッハ1.5とか表記する。大体マッハ2位は出るんじゃないか?装備されてる武器は、もっと速く出る」
全員唖然とする
「私達の魔法なんか、一つも役に立たないじゃない」
モンモランシーが溜め息をつく
「魔法には魔法の利点が有るよ。要は使い方だよ。俺は魔法と科学技術を組み合わせたら、俺の国以上の事が出来ると、確信してんだがね」
「才人はやらないのかい?」
「……ギーシュ、俺に大量虐殺者になれと言うのか?」
「何でそう受け取るのさ?」
才人の物言いに、ギーシュが憤慨する
「…事実だからだよ」
「ギーシュ、追求は止めなさい。ダーリンがそう言うって事は、本当にそうなる可能性が高いって事よ?」
「…僕は、才人が英雄と呼ばれる人になって欲しくて…」
「気持ちだけ受け取るよ。ギーシュ」
ギーシュはしゅんとする
「俺は、出来ればのんびり過ごす方が良い。今迄、性急に生き過ぎた。何も起きないなら、それが一番だ」
才人の目が遠くを捉え、才人が自分が産まれた国に思いを馳るのが皆に伝わる
「才人、帰りたい?」
モンモランシーが聞き、いつの間にかルイズも起きて、才人を見つめている
「今は、……まだな」
才人が何を考えているかは、誰にも解らなかった

*  *  *
「コルベール先生。話って何ですか?」
392大人才人 涙3-11:2011/02/13(日) 21:28:56 ID:Yx/9skwb
放課後、コルベールに呼ばれて才人は研究室に来ている
「うむ、零戦の対艦ロケット弾を発展させて、新兵器を取り付けたので見てくれないかね?」
「解りました。物はどれです?」
「此だ」
才人の前に鉄パイプで安定翼が付いた弾頭を示す
「此は?」
「空飛ぶ蛇君だ。弾頭部分にディテクトマジックを採用して、火薬噴出口を変化させて魔力追跡機能を付加した」
「同士討ちを避ける為射出後50メイルの範囲では、ディテクトマジックは発振されない。又、対象付近で自動爆発する機能も付けた」
「……近接信管付き対空ミサイルじゃないですか。先生化物っすね。射程は?」
「500メイルが精々だ。黒色火薬の限界だよ。大型化すると、重量増と相談するハメになってしまうから、20+60ロケット弾の方が良いだろう。対空対地の軽量攻撃兵装としては、充分かと思うのだが?」
「充分です。竜騎兵の射程外からの、アウトレンジが可能な時点で充分過ぎる。搭載数は?」
「翼下に兵装ラック付きで10発。胴体下20発は可能だ。向きは前向き後ろ向きどちらも出来る」
「ほう、とんでもない搭載数だな」
「何、此でもロケット弾と増槽に比べれば、充分に軽量だ。他には」
ゴロンと増槽型の武装を示す
「こいつは?」
「火薬による加速装置だ。主に胴体下搭載だ」
「ロケットモーターっすか。オプション増えたなぁ」
才人は感心する
「うむ。才人君が居ない間にも、何とか出来る所をやろうと頑張ってみた。ミセスシュヴルーズにも協力して貰ったよ。ロケット弾頭と増槽も生産中だ」
「はぁ。有り難うございます」
「いやいや、私は才人君には死んで欲しくないからね。それと、今回の空飛ぶ蛇君の搭載に合わせて、投下レバーを増設した。一斉投下と単発投下が出来る様に改造してある」
「御見事」
「それでだね。才人君」
「何でしょう?」
「エンジンをばらさせて貰えないかね?内部構造を知りたいのだよ」
才人は暫く考え込む
「確かにオーバーホールしないと駄目かもしれないけど、コンパウンドが無いのに開けるのは問題がデかいな。今の部品の当たりが狂ってしまう」
才人の意見にコルベールが問い正す
「コンパウンドとは何かね?」
「擦り合わせに使う、非常に細かい研磨剤ですよ。開けるなら、擦り合わせする場合も考えて、やらないと駄目です」
「つまり、コンパウンドを作ってからじゃないと駄目だと」
「そういう事です」
「ふむ、才人君の候補は?」
393大人才人 涙3-12:2011/02/13(日) 21:32:00 ID:Yx/9skwb
「そうですね……粒子が一番細かいのは粘土だから、粘土を粉々に砕いて、軽油に混ぜてザラザラにした後、粒子に硬化を掛ければ、代用品になるかな?」
「解った、其で行こう。ミセスシュヴルーズに頼もう。彼女は粘土に対しては非常に強い。でも、今日は製作に魔力を使い切ってしまったから、明日だ」
才人は改めて感想を述べる
「先生の技術者としての技能はバケモノっすね」
「才人君の技能の方が、私にはバケモノだ。まだまだ出してないモノが、有るのでは無いかね?」
「其はお互い様でしょう?」
才人がニヤリとすると、コルベールはふっと笑う
「過去は、お互いに詮索無しで」
「大人の対応ですね」
才人がそう言うと、コルベールがワインを持って来る
空いているビーカー二つにワインを注ぎ
「私の研究促進と才人君の勝利に」
「俺の命の恩人と、コルベール先生の努力の結実に」
「「乾杯」」
二人はカチンと杯を交わし、一気に飲む
「先生、マルトーの親父さんが宴会やるって張り切ってるんですよ。一緒に行きましょう」
「そうだな。私もお呼ばれしようか」
二人は瓶の中身を飲み干すと、肩を組んで一路アルヴィーズ食堂に向かって行った

*  *  *
アルヴィーズ食堂では、通常の夕食が終わった後、マルトー達が才人を囲んで宴会を始めてる
学院長に内輪の戦勝会を提案して、許可が下りたのだ
参加してるのは、酒目当ての男子生徒とその彼女に、才人目当てのミーハー女生徒、才人達のレギュラーメンバーにコルベールにシュヴルーズ、マルトーと料理人達とメイド達の殆どだ
シエスタは用事有りと言って、参加してない
料理人達は先に料理を一気に作り、酒と料理を楽しんでいる
「ぶわっはっはっは。流石、我らの剣。俺の言った通りになったじゃねぇか」
バンバン才人の背中をぶったたいて、マルトーは既に出来上がっている
メイド達は貴族に対し杓をしながら、自身も料理と酒を楽しむ
勿論隙あらば才人に杓をしようと寄るのだが、才人に寄るとルイズが威嚇の唸り声を上げる為、中々面白いやり取りになっている
そんな宴会の最中、アルヴィー達がくるくると才人の前で踊り、笑いを提供する
タバサは大量に料理を平らげ、皆を唖然とさせ、キュルケは酔っ払ってケタケタ笑いながら、コルベールの頭をぺしぺし叩く
あちこちで酔いにより勢いが増し、段々無茶苦茶になっていく
「ねぇ、さいろー」
「なんだ?ルイズ」
「楽しいれー」
394大人才人 涙3-13:2011/02/13(日) 21:36:58 ID:Yx/9skwb
「ああ、そうだな」
「さいろー、飲んれる?」
「勿論」
「さいろが酔っれるの、見たころらい」
「ルイズは相変わらず弱いな。ワイン一口で駄目だもんな」
「さいろが飲まらいからいけらいの〜」
「そっか、じゃあ飲むか。ルイズが杓しても良いってさ」
「「「本当ですか〜?」」」
メイド達やら女子学生やらが集まって、次々に才人に杓をし始める
才人は全てに付き合い、飲み干す
流石に10杯目当たりで酔いを自覚し、一旦お預けし、水を飲む
才人がにこにこしながら杓を受けるのを見て、ルイズは酔いながらも面白くない
「あらしの使い魔らから、あらしが杓するの〜」
ルイズがワインを持って、才人に杓をする
「ころ、大貴族たるヴァリエールの杓なんらから、感謝しらさいよ」
どぼどぼ才人の杯からワインが溢れ、テーブルを汚す
「ちょっ、ルイズ、手元狂ってる狂ってる」
「狂ってらんかいらいわよ〜。あんらは犬らんらから、舐めればいいれしょう?」
自身にもワインが溢れて濡れてるルイズ
「ほおら、ご主人様ろ溢れた部分ろ舐めろりなさい」
首筋を才人に見せ、ふふんとするルイズ
「あぁ、もう」
ぺろり
才人がルイズの顔に付いたワインを舐めとる
ルイズはわざと、ワインを自身に溢している
「きゃん」
ぺろり
「ふ、ん〜〜〜〜ん」
才人が舐める度に艶の有る声を出し、ご機嫌になるルイズ
そして才人の頭を抱き締めると、周囲できゃあきゃあ見てた女達に威嚇する
「これはあらしの。あんら達なんかにあげらい」
「へぇ、良い度胸じゃない、ルイズ」
モンモランシーがにこりとしながらルイズを見る
「なあによ〜?モンモランヒーでもあげらいわよ」
「其よりも良いの?才人寝ちゃってるわよ?」
「へ?」
才人は飲みすぎで潰れていた
「はれ?さいろ?」
「才人も大して強く無いわよ。飲み方知ってるだけよ。でも、皆の杓受けたから、コントロール出来なかったみたいね」
「さいろ、起きれ〜」
ルイズがゆさゆさ揺するが才人は起きない
「で、どうするの、ルイズ。才人と此処で雑魚寝?服に付いた酒どうするの?」
「モンモランヒー浄化しれぇ」
「しょうがないわね」
モンモランシーが浄化し、服の汚れが落ちるがルイズは酔ったままだ
「はれ?なんれあたひ酔っれるろ?」
「服だけよ。じゃ、報酬って事で、才人貰っていくわね」
レビテーションを唱え、才人を運んで行くモンモランシー
395大人才人 涙3-14:2011/02/13(日) 21:39:05 ID:Yx/9skwb
「や、やられらぁ。モンモン、さいろ返しれ〜」
よたよたしながら、ルイズはモンモランシーを追い掛ける
そんな二人を見送りつつ、タバサは天ぷらをかじりながら呟いた
「…しまった、料理に集中し過ぎた」

*  *  *
才人を自身の部屋に運び込み、ドアを閉めるとロックするモンモランシー
「ふう、此で良しっと。ルイズはアンロック使えないから、大丈夫」
そう言い、才人を揺り起こす
「才人、才人、起きて」
「すぅすぅ」
「んもう、付き合い良すぎよ。才人、二日酔いになるから起きて。浄化するわ」
水差しから水を口を含み、才人に口移しで飲ませ、浄化をかける
再度、モンモランシーは揺り起こす
「才人、才人」
「ん、んあ!?あれ?…確か酔って潰れた筈?」
「今浄化したのよ」
「モンモン?この部屋はモンモンの部屋か」
「そうよ〜。ルイズから貰って来たの」
クスクス笑うモンモランシー
「…何でその場で介抱しなかったんだ?検討は付くけど」
「当たりです」
そういうとモンモランシーは才人の上にのしかかり、濃厚なキスをする
ピチュ、ちゅっ、じゅる
互いの唾液を吸い、舌を絡め、才人の股間を刺激しつつ身体を密着させる
才人を露出させ、股に挟み更に刺激するガチャッ
モンモランシーがびくりとし、振り返る
「ギーシュ?」
だが、居たのは桃髪の悪魔だった
魔力が浸透する証の髪がぶわりと逆立ち、わなわな震えている
「…やべ」
「ちょっとルイズ、いつの間にアンロック出来る様になったのよ?」
「いいい今よ。ゆゆゆ遺言はそれで終わり?」
才人は素早く息子をしまうと、モンモランシーをついとどけ、ルイズに駆け寄る
「ルイズ、落ち着け」
「おおお落ち着いてるわよ。酔いも吹っ飛んだもの。ああああたしの使い魔に手を出すんだから、遺言したためてるんでしょ?」
「ちょっと、どういう事よ?なんか、今のルイズ怖いわ」
モンモランシーがガタガタ震えだす
「祈りの時間はあげたわよ。覚悟は良い?」
ルイズが詠唱しようとすると、才人が素早く口を塞ぐ
「ん、ん〜〜〜!?」
じたばたもがくが、才人のキスで段々ぽや〜として、杖を構えた手がだらんとする
暫くしてから離すと、ルイズはくてりとなり、才人に寄りかかる
「……ずるい」
「ああしないと止まらないからな。そういう事に使うなと言ったろ?」
「う゛ぅ゛〜〜〜」
涙目で睨むルイズ
「解った解った、帰るから、機嫌直せ、な?」
396大人才人 涙3-15:2011/02/13(日) 21:41:14 ID:Yx/9skwb
ルイズを抱き締め、頭を撫でる
「う゛ぅ゛〜〜〜」
才人に顔を埋め、まだ唸るルイズ
そんな二人にモンモランシーは近寄り、疑問の声をかけた
「才人?」
「悪い、ルイズが暴走する。帰るよ」
「ふう、解ったわよ」
パタンと扉が閉まり、一人モンモランシーが残された
「ん〜もう、中々上手く行かないわね」

*  *  *
ガチャッ
才人達が部屋に戻ると、ルイズが怒鳴り始める
「なんでいつもいつもいつもいつもいつも他の女に尻尾振って盛ってんのよ?この節操無し!駄犬!鈍感!天然たらし!…………ご主人様は、そんなに魅力無い?」
「…手を出して欲しいのか?ルイズ」
「ププププライドの問題よ」
「大丈夫、ルイズは魅力有るよ。昼休みなんか、他の男子生徒追い払うのが大変だったんだぜ?」
「ああああたしはあんたに聞いてんのよ!!他の男なんざどうでも良いの!!」
「今言ったろ?魅力有るって」
「嘘!?」
「何でそう思う?」
途端にモジモジし始めるルイズ
「だだだってあんた、一緒に寝てるのに、その、あの……」
「…俺には添い寝は昔から普通の事なんだ。慣れてるんだよ」
「それ……奥さん?恋人?」
「内緒」
「教えて!!」
「……教えてどうする?帰る方法が見付かるのか?なら教えるがね」
才人の声色には、明確な拒否が含まれている
『しまった!?サイトの傷をえぐっちゃった』
途端に涙目になるルイズ
「う゛〜」
「無理に謝らなくて良い。余計惨めになる」
「……」
ルイズはしゅんとする
「さあ、風呂入って寝ようぜ。流石に酒臭い」
「あの、サイト」
「何だ?」
「いつか、帰るの?」
「手段が無いから、今の所無理だな」
「違うの、サイトの気持ちは?」
「俺の気持ちか?擦り切れた心じゃ、良く解らん。ルイズは、俺の様にはなるな。俺は、最低の人間だ」
そう言うと、才人は着替えを持って、風呂に入る為部屋を出た
パタン
「……サイト自身が、サイトを一番解って無いんだ。あんなに凄いのに、こんなに優しいのに。自分を壊れた道具扱いしてる」

*  *  *
397名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 21:47:26 ID:jZI2A13o
支援
398名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 21:53:34 ID:xTM8b24Q
isen
399大人才人:2011/02/13(日) 21:57:50 ID:Yx/9skwb
投下終了なのね〜
大人才人タクティクスなのね
では今回は教師なのでコルベールなのね
「ミスタギトーはきちんと授業してる様だ。まぁ、じゃないとトリステイン魔法学院に、在籍し続ける訳にも行かないだろう」
「なんだかんだでオールドオスマンは曲者でね。きちんと教師の査定も、我々の知らない内に行っている。モートソグニル恐るべしだ」
「ルーンに付いては更に補足が有る。バインドルーンと呼ばれるモノなんだが、漢字の部首と作りの構成と似た様なモノだ。まぁ、本編中のバインドルーンはハーケンクロイツが出ている」
「ルーンを刻む行為をネットスラング的に言うと、天上天下唯我独尊とか俺最強とかの、厨二病と全く変わらない。ノルドのバイキングの皆様、ごめんなさい」
「ルーンは北欧神話体系に依存しており、読みが二通り有るのは、アングロサクソンルーンとゲルマンルーンの読み方が有るからだ。他にも有るので、ご注意」
「ちなみに各ルーンには、北欧神話に登場する神々に因んだルーンが有るのだが、ブリミル教は他神か一神か不明の為、ぼかしてある」
「つまり要約すると、漢字機能を持つアルファベットと、解釈して欲しい」
「さて、暇なら問題を出そうか。瞬動のスペルを当ててみてくれ。正解しても何もしてあげられないが、暇つぶしになるだろう」


有り難うなのね〜

ではまた次の更新迄さよならなのね
きゅいきゅい
400名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 22:11:30 ID:ISS6TbWT
GJ!
乙でした!これからもどうやら日・木周期で行くのかな……。
楽しみにしてます!
そしてモンモランシー('A`)
401名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 23:07:04 ID:kTtW4+Nl
GJGJGJ!

ところで大人サイトっていくつくらいなんだろ
402名無しさん@ピンキー:2011/02/13(日) 23:46:06 ID:ISS6TbWT
あれ、27くらいって言ってなかったっけ?
あの裏切り者の騎士隊長と同じくらいの年だったから。
403名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 00:37:34 ID:M55xnIC6


>空いているビーカー二つにワインを注ぎ

俺のような理系出身は、ここにすごく感動するw
404名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 00:38:15 ID:8JFBrSBX
アルコールランプで湯を沸かしてビーカーでコーヒーですね
405名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 01:16:50 ID:CiEV+MlD
>>404
ハイスクール奇面組の睦先生思い出すわ
406名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 09:19:57 ID:2voxbr9G
>>403
理系でも扱ってる物によってはビーカーなんぞ使うなと言いたいが
コンタミがどうのとか
407名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 13:45:44 ID:a0pXfkec
>>404
実験と称してキスする女子高生を思い出した
408名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 17:22:03 ID:4qlxCLhh
27であんなに大人なのか………俺27になっても大人サイトになれないわ
409名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 17:42:57 ID:+9yXa1HO
別に大人に決まりきった形があるわけじゃないだろう
300歳で老いてなおさかんはあやかりたいものであるが
410名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 19:02:09 ID:TLzvELTD
>>404
俺の先輩はビーカーでラーメン作ってた。
411名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 20:25:30 ID:7j+xd2cD
>410
随分デカいビーカーだな。
412名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 20:41:33 ID:rJEXxRKj
>>411
マグヌードルってのがあってだな
413名無しさん@ピンキー:2011/02/14(月) 21:05:46 ID:Tw76HqS2
>>411

500ccビーカーは、ちょうどカップ麺にいいくらいの容積だぞ。
414名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 13:03:15 ID:Au9VH35b
モンモランシー「ねぇケティ?
 ちょっと処女のお小水が欲しいの。このビーカーにお願い」
ケティ「ご免なさい」

モンモランシー「ギーシュ、表へ出ろ」
415名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 16:31:50 ID:wvULFzAp
モンモンは違うっていうのかーッ!
416名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 17:06:11 ID:SMX74Env
ギーシュはこの間モンモンに童貞の精液を渡していたじゃないか。
417名無しさん@ピンキー:2011/02/15(火) 18:29:09 ID:UIBEL4Kc
ベアトリスに頼め
418名無しさん@ピンキー:2011/02/16(水) 17:27:19 ID:HDiWHjJ8
>414
モンモランシー「ねぇケティ?
 ちょっと処女のお小水が欲しいの。このビーカーにお願い」
ケティ「ご免なさい、レモンちゃん恥ずかしいの」

ルイズ「バカ犬、表へ出ろ」
419名無しさん@ピンキー:2011/02/16(水) 20:58:21 ID:aaNLymO5
>418
モンモランシー「ねぇルイズ?
 ちょっと処女のお小水が欲しいの。このビーカーにお願い」
ルイズ「いいわよ?」
モンモランシー「…………(あの甲斐性無し!)」
ルイズ「…………?」
420名無しさん@ピンキー:2011/02/16(水) 21:30:47 ID:wjnHV8q6
「ねえタバサ?(ry」
「…間違いだったの?」

「いいぬうううううっ!!」
421名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 11:13:14 ID:0IxFTHjh
よく考えたらそこで素直に渡すルイズ凄いなw
さてはて、今日中に大人才人が来るとにらんでいるが……。
待ち遠しいwktk
422名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 18:07:15 ID:VTcmythd
ルイズやそのまわりは食傷ぎみだから、その他のキャラも扱ってほしい
でもモンモンは好きよ
423大人才人:2011/02/17(木) 19:54:30 ID:OJp3R3va
イルククゥでシルフィードなのね〜
>>422
ある程度進むと、一気に登場人物増える予定なのね〜
まだ、活動が学院内がメインなので、我慢して欲しいのね
中味は内緒なのね、きゅいきゅい

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・コルベール、頭髪が薄くなる要因追加
・たまにはこんなアニエス如何?
・14レス前後、30分以上開いたら、多分体調不良落ち

では、反映次第投下開始なのね〜
424大人才人 涙4-1:2011/02/17(木) 19:56:20 ID:OJp3R3va
翌日、アニエスが学院にまたやって来る
才人は何時もの如く、洗濯物を干している
「来たぞ、才人」
「やあ、アニエスさん」
「済まんが、先ずは王軍から依頼だ」
「依頼?」
「ああ、零戦に載っけてた武装を、竜騎兵用に搭載可能に出来ないかと」
「……出来るけど、軍用だと量産するハメになる。言っておくけど、材料選定が並じゃない。鉄に強い土メイジか、軟鋼レベルの製鉄が出来る高炉持ちのメーカーと取引する必要が有る。量産するなら断然後者」
「更に言うと、ハルケギニアの冶金技術は非常に低い。長口径砲ですら、鋳鉄だった。軟鋼が作れるとはとても思えん」
「な、あれだけで、そんなに技術レベルが違うのか?」
「あぁ、ついでに言うと度量衡も足りない。新しく単位を重力単位系で構わないから、大量に作る必要も有る」
「単位が足りない?」
「そう、サントじゃ大雑把。リーブルは使い勝手が悪い。熱量単位も圧力単位も温度も無い、何もかにも足らないんだ」
「おまけに単位を覚え込ませて図面通りに鍛冶師に作らせ、錬金で融合する必要がある。とてもじゃないが、其だけのバックボーンが、トリステインに有るとは思えない」
アニエスはガクリと落ち込む
「そんなに大変なのか」
「俺は全部単位を自分の中に持ってるから加工出来る。でも他の連中じゃ戸惑うだけだな。一から教育しないと駄目。当然、読み書き出来ないなら論外だ」
「つまり、魔法だけじゃ無理だと?」
「そもそも貴族が何人居るかも知らないんだが?」
「大体人口の5%って言われてるが、正確な数は不明だ」
「じゃ、無理。断言しちゃる。たった5%で国を維持しようと考えてる時点で、無謀極まりない。貴族ってどれだけ有能なのよ?たかが魔法使えるだけじゃねぇか」
アニエスは呆れる
「貴様だけだぞ?そう言うの…」
「一番必要なのは、底辺からの底上げだ。技術的な事はともかく、普遍的な事迄、一部の連中が独占しても意味が無い。だから進歩が低い。ま、為政者側には都合が良いだろうな」
「…貴様はピンポイントに問題点を指摘するな」
「ま、戯言と思ってくれ。で、量産はともかく、試作で良いのか?」
「あぁ、テスト用だからな」
「ふむ、じゃあコルベール先生に聞いてくれ。次弾を製作中だ」
「解った」
アニエスが研究室に行き、首をすくめて追い出される所に、洗濯物が干し終った才人は遭遇する
「どうしたの?」
「軍には協力しないとさ」
「ふぅん」
425大人才人 涙4-2:2011/02/17(木) 19:57:38 ID:OJp3R3va
「才人はどうなんだ?シュヴァリエ拒否の件で、否定的なのは解るんだが」
「俺は、ハルケギニアの人間が開発して発展するなら、構わないと思ってる。進歩する道も閉ざす道も、自ら選択するなら、どちらでも構わない」
「なら、手を貸せ」
「反則技だと、言ってるだろう?アニエスさんは行き着く先が見えないから、気軽に言えるんだ。選択権を持ってるのは、コルベール先生だ」
「…貴様は一体何を見てるんだ?」
「多分、アニエスさんには解らん事だよ」
「……ふぅ、何とかもう一度説得する。付き合ってくれ」
「見てるだけだぞ?」
「構わない」
ガチャッ
二人して入ると、コルベールは才人に挨拶し、アニエスには厳しく接する
「やあ才人君、おはよう。シュヴァリエ、先程お断り申し上げた筈だが?」
「おはよう先生。俺は見物だ。好きに議論してくれ」
「才人もこう言ってるし、続けさせて貰う。女王陛下の御下命だぞ?女王陛下に盾付く気か?」
「さて、私は只の教師でしてね。王軍に提供出来るモノなど、持ち合わせておらぬのだが?」
「有るでは無いか?」
アニエスが製作途中のロケット弾頭を指す
「此は才人君が譲り受けた竜の羽衣、いや零戦ですな。その武装なので、才人君に許可なく渡す訳にはいきません。公式文書以外にも、噂は此方迄来てますよ。才人君はわざわざ決闘して迄、シュヴァリエ拒否してますね?協力する気が無い事の証では?」
「その才人の言い分だ。ハルケギニアの人間同士が頭を捻り開発、発展するなら、口を出す積もりは無いと。つまり、今回の件は才人は口を出さない。ミスタコルベール、どうか協力してくれ!!」
「…本当かね?才人君」
才人は頷き、先を促す
「では、私が決定権を持ってるのですか。何故ですか?才人君」
聞かれたので、才人は口を開く
「…俺は、ハルケギニアの人間じゃない。ハルケギニアの発展をさせるのは、ハルケギニアの人間じゃないと駄目だ。そして、発展の道を拓くも閉ざすも、酸いも甘いも経験した人間がするべきだ」
「……じゃあ才人君、更に質問だ。私がウィと言えばどうなる?」
「航空戦術に一大転機が訪れる。戦列艦が無力化するね。更に死と破壊を撒き散らしつつ、文明が一歩進歩するだろうね」
「……ノンと言えば?」
426名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 20:01:47 ID:TP05Eklm
支援スタ?
427大人才人 涙4-3:2011/02/17(木) 20:03:05 ID:OJp3R3va
「この零戦と同じく、一過性の物で終わり、進歩の道を自ら閉ざす事になる。どちらを取るのも自由だ。俺は強制しない」
コルベールは才人の言い分に、青くなりながら更に問う
「……才人君、君は悪魔かね?」
「メフィストフェレスと呼んでくれ。コルベール先生の夢は?」
「火の力で、人々を幸せにする事だ。決して、破壊を撒き散らしたい訳じゃない」
才人は壁に寄りかかりながら、腕を組み目を閉じて言う
「俺に取っちゃ、発展と破壊は同義だよ。何故なら、破壊出来る力が、人々を幸せに出来るからだ。先生が知らないとは思えない。ベクトルが違うだけだ」
「……そ、それは」
とうとう、ガクリとコルベールは膝を付く
「先生は、何でガンダールヴのルーンが武器として製作されて無い物に迄、反応するか解るかい?」
「そりゃ勿論、使うと人を殺傷出来るからだろう?」
「今のが答えだよ」
「「あっ!?」」
コルベールはおろか、アニエスも気付く
そう、人を殺傷出来る道具こそが、人を幸せに出来る
何故なら、其を体現してしまうのが、使い魔ガンダールヴのルーンだからだ
「縫い針、包丁、ハンマー、鋏に鉈に錐に鐫、鍬に鎌に鋤、更に鋸。無くて生活出来るかい?全部、人殺せるぜ?」
「……」
「ま、ゆっくり考えてくれ。アニエスさん、行こう」
「あ、ああ」
パタン
才人とアニエスが去ると、コルベールは苦悩する
「才人君。君は本当に………悪魔だ。私の原罪を………知らずにえぐり出す」

ザッザッ
二人は稽古の為、広場に向かう
「…良かったのか?」
「きちんと考える時間が必要だ。アニエスさんは、国所か歴史にすら残すレベルの、重圧の選択に耐えられるかい?」
「…勘弁願いたい所だ」
「コルベール先生がやってるのは、正にそれ。即決で決められる訳が無い」
「本当に悪魔だな、貴様」
「異端だもの。悪魔扱いは誉め言葉にしかならん」
「……全くお前は。さて、久し振りに稽古と行くか。持って来てるな?」
「ごめん、忘れた」
聞いた瞬間、アニエスは才人に踏み込み、抜剣する
「ふん!!」
ザン!!キィン!?
「でぇ!?おっかねぇ!?」
何とか村雨で受けきる才人
「糞、直刀じゃ確かに無理が有るな」
「居相コピったな?」
「何度も見せて貰ったからな。運足が独特だから、苦労したよ」
「……嫌過ぎる」
「速く持って来い」
428大人才人 涙4-4:2011/02/17(木) 20:05:19 ID:OJp3R3va
「イエッサー」

*  *  *
稽古をしながら午後になると、シエスタが才人に走り寄って来たので、慌ててアニエスの木剣を叩き落とそうとし、逆にしこたま叩かれる
ブン、ガン!?
「あだっ!?」
「いきなり大振りするからだ、馬鹿」
「ててて」
たたた
「才人さん、大丈夫ですか?」
「シエスタ、才人の自業自得だから放っておけ」
「ですけど」
「良いの良いの、アニエスさんが正しい」
「はぁ、所で出来ましたよ。昨日と今日休んで、仕上げました!!」
「お、有り難う。アニエスさんの分はある?」
「はい、持って来てます」
上下一着分のセーラー服を受け取り、アニエスに渡す
「はい、プレゼント」
「水兵服?私は水兵じゃないぞ?」
「いやいやいやいや。それはね、俺の国の魅了の魔法が掛ってる品物なんよ」
「…本当か?」
胡散臭げにアニエスはセーラー服を見る
「まままま、ちょっと着てみてくれない?」
「シュヴァリエ、騙されたと思って、着てみて下さい。ちょっと、私の部屋迄行きましょう」
シエスタに手を引っ張られ、アニエスは引きずられて行く
「な、ちょっと待て、私はまだ着るとは一言も」
才人は引きずられて行くアニエスに軽く手を振り、ニヤニヤしながら見送った

アニエスはシエスタの部屋に連れて来られ、シエスタに強引に脱がされようとしている
「あ〜、シュヴァリエ、制服に穴空いてますよ?こんなので才人さんの前に出てたんですか?」
アニエスはどもる
「私は繕い物が苦手で」
「じゃあ、私がやりますから、ちゃっちゃと脱いで下さい。代わりにセーラー服着れば良いです」
問答無用なので、アニエスは仕方なく制服を脱ぎ、セーラー服を着る
「ちょっと、スカートがひらひらして動き辛い」
429大人才人 涙4-5:2011/02/17(木) 20:09:45 ID:OJp3R3va
「うん、サイズぴったり」
姿見で確認して顔を赤らめるアニエス
「……ちょっと待て、何か色々際どくないか?」
「才人さんの国の魅了の魔法ですよ?」
「…才人は、こういうのが好きなのか?」
鏡の前で、後ろを振り向くアニエス。すると裾が広がり、臍がチラリと見え、更に赤面する
「えぇ、大好きですよ。もしかしたら、ご褒美貰えちゃうかも」
「ご褒美って?」
「勿論キャッキャッな奴です」
「……解った。少し恥ずかしいが行ってみるか」
アニエスは決意して部屋を出ると、シエスタはアニエスの制服を繕いに掛った
「えっへっへ〜。私の旦那様はモテモテの旦那様〜。私は旦那様のお世話が、生き甲斐の女のコ〜♪」
才人に受け入れられ、気分が良いシエスタは、鼻歌を歌いながら針糸をリズムに乗せて、動かし始めた

才人がベンチに座ってのんびり空を眺めて待っている
傍らには、デルフを立掛けている
「相棒」
「何だよ、デルフ」
「最近シリアス続いたから出るの躊躇してたんだけどよ、俺っちとも遊んでくれよ」
「お前はガキかよ?」
「だってよ〜、鞘に居っぱなしってのも、辛いんだもんよ。バトルの時しか相手してくれねぇんじゃ、つまんねぇじゃねぇか」
「大事な時に裏切る癖に良く言うわ」
「色事嫌いなんかよ?相棒」
「いんや、大好きだ」
「なら良いじゃねぇか?」
「メイジ相手は命がけなんだよ」
「相棒なら上手く渡れるさね」
「ったく、お前は無責任に炊き付けやがる」
ふぅと溜め息を付く、才人
「そんなに暇なら、毎日包丁として使ってやろうか?」
「あ、いや、勘弁です。はい」
「今度、丸々牛一頭仕入れるらしいからな、マジでマルトーの親父さんに頼まれてんだが?」
「俺っち使って解体か?」
「そういう事」
「村雨使えよ」
「村雨だと、水気が付くから駄目なんだよ」
「俺っちは剣であって包丁じゃねぇって」
「どっちも変わんねぇよ」
「勘弁してくれよ、相棒」
「道具の癖に仕事選ぶな。使われるだけ幸せだと思え。また武器屋の片隅で、何百年と過ごしたいか?」
「そいつはご免被る。俺っちの行く末は、相棒のガキんちょ共の遊び相手って、決めてんだ」
「勝手に決めんな」
「いいや、決めたね。俺っちは相棒の血筋を見て行くのが、楽しみでしょうがねぇんだ」
「血統の語り部兼守護剣か。剣ならではの楽しみだな」
「おうよ。面白れぇだろ?」
「まあ、無限に近い寿命じゃ、それ位しか楽しみねぇもんな」
430大人才人 涙4-6:2011/02/17(木) 20:12:17 ID:OJp3R3va
「相棒だからおもれぇんだよ。つまんねえ連中は、腐る程見てきたわ」
「お前は何が面白いんだ?」
「相棒そのものだぁね」
「……変な剣だな」
「だって、こんなにメロメロにされたのに、いつ結婚してくれるの?」
図太い声を裏返してデルフは喋る
「ふ、将来なんざ誓った覚えは無いな」
「ひ、酷い。何言われても付いて行っちゃうからね、覚悟してよ!!」
「……何をやってるんだ?」
アニエスが近寄って来たのを、全く気付かなかったらしい
「何時もの漫才だけど……」
才人はアニエスを見て絶句する
鍛えぬいた太ももは眩しくすらりと伸び、ミニスカートの上は臍がチラリと見えそうで見えない、魅惑的なゾーンを形成し、胸がセーラーを押し上げ、先端のぽっちが微かに盛り上がっている
アニエスの髪は短いながら綺麗な金髪で、才人はぐうの音も出ない
「ど、どうだ?似合ってるか?」
こくこく頷く才人
「相棒が見惚れて、声も出ないってよ」
アニエスは気分を良くし、くるりと回ってから喋り出す
「嫌、最初は才人の頭が沸いたかと思ったんだが。そうか、似合ってるか」
「「「おおお〜〜〜〜!?」」」
いつの間にか放課後になり、マリコルヌ、レイナール、ギムリ他、男子生徒が駆け寄りアニエスを凝視する
「ななななんだ?」
「「「「ななななんたるけしからん衣装なんだぁぁぁぁぁ!!」」」」
「はぁ?」
アニエスが怪訝な顔をする
「アアアアニエスさん。あの、前から良いなって思ってました。つつつ付き合って下さい!!」
ベンチに置いてた木剣で、レイナールの脳天に叩き込む
ボグッ!!
「こんなのも避けられないガキは趣味じゃない」
「じょ、女王様と呼ばせて下さいいぃぃぃぃ!?」
マリコルヌが飛び込み
ボグッ!!
「一昨日来な」
「あの、シュヴァリエ僕も一緒に訓練…」
ボグッ!!
「一撃でやられるな、アホウ」
そんなこんなで、男子生徒の屍が、アニエスの周りに高く積まれていく
才人は其を見て笑い転げる
「ぷっ、くっ、あっはははははは!?想像以上の破壊力。クククク。駄目だ、腹痛ぇ」
「才人……一体なんなんだ?」
「俺の国の魅了の魔法の威力は凄いだろ?」
「全く、こんな事やらせてからに」
アニエスは赤面する
「んじゃ、そのまんま稽古しますか」
「ちょっと待て、こんなひらひらな格好でか?」
「敵は待ってくれないんでしょ?アニエスさん」
431大人才人 涙4-7:2011/02/17(木) 20:15:46 ID:OJp3R3va
笑いながら才人が立ち上がり、構える
「くぅぅぅぅ、私で遊ぶな!?」
真っ赤なまんま、アニエスも構える
「「はぁっ!!」」
ガキッ!!
剣を交えた瞬間、お互いに笑みが凄惨な物になる
「貴様、今日は足腰立たなくしてやる!!」
「そりゃ、別の意味でかい?」
「言ってろ!!」
木剣を振る度にセーラーがふわりと舞い、スカートがひらりと舞う
そして、お互い構わずに斬撃の応酬
季節は初夏だ。当然激しい運動をすると大量に汗をかく
一気にアニエスの身体から汗が吹き出し、セーラーが身体に張り付いて行く
胸から何から、くっきりと形を主張し、非常にエロティックだ
才人はそのままアニエスを茂み近くに攻めたて、茂み前でわざと鍔競り、一気に足を引っ掛け茂みの中に押し倒す
ドサッ
「くそっ」
才人はそのままアニエスの両手を掴み、話かける
「アニエスさん、今自分がどんな格好してるか見てみ?」
アニエスが下を見ると、乳房から乳首から身体のラインから全て汗でくっきりと出ている
「あっあっ、いや」
アニエスは赤面し、女の顔になる
「今のアニエスさん、エロすぎ」
才人はそのままアニエスの股に膝を入れ、股を割り、アニエスの両手を頭上で片手で押さえ直し、片手でズボンを下ろし、最後の武器を露出させる
そのままアニエスのスカートを捲り上げ、ショーツを見ると際どいレースがあしらわれた下着が現れる
「もしかして、勝負下着?」
アニエスは更に顔を赤くし、そっぽを向く
「声出しちゃ駄目だからね〜」
そのショーツをずらし、一気に挿入する
「ん、ひっ!?」
ズッチュズッチュ
才人が動く度に腰を自ら打ち付け脚を絡める
才人は手の束縛をしたまま、アニエスにキスをすると、アニエスは首を必死に才人に合わせる為、持ち上げる
ズチュズチュ
汗と愛液で音がなり、アニエスの身体からそろそろ来そうな所で才人は離れる
「あ…何で?」
アニエスをゴロンとうつ伏せにし、アニエスの尻を持ち上げるとショーツをずり下ろし、また挿入する
「ひっ!?」
アニエスが必死に口を手で押さえ、才人が覆い被さり、胸と腰を掴む
「出すよ」
才人がアニエスの耳に囁き、アニエスが頷き、才人が射精すると、アニエスも絶頂し、痙攣する
ビクッビクッ
暫くそのままで居ると、アニエスから腰をうねらせる、催促だ
「後一回だけな」
432大人才人 涙4-8:2011/02/17(木) 20:18:08 ID:OJp3R3va
囁かれたアニエスは頷き、そのまま腰を振り始め、あっさり二回目の絶頂を迎える
「ん゛〜〜〜!?」
才人は絶頂中のアニエスに構わず腰を振る
ズチュズチュズチュ
「ん゛ん゛ん゛〜〜〜!!」
ドクン
才人が二回目の射精をきっちり奥に繋げた状態でやり、アニエスは絶頂のし過ぎで暫く動けない
「ごめん、アニエスさんエロすぎで、我慢出来なかった」
「はぁ……何時からこちらの稽古も入ったんだ?」
「良かった?」
「………最高だ。無理矢理されるのも良いな」
お互い後背位のままのピロートーク
才人はゆっくり腰を動かし、アニエスも応じている
「お前はセーラー服に欲情するのか?」
「そんな訳無いじゃん。アニエスさんが余りにもエロかったから欲情したんだよ」
「お陰で埃だらけだ」
「プレゼント気に入った?」
「あぁ。けど、稽古じゃもう着ない。お前以外に、あんな格好見せられるか」
「めちゃめちゃエロいもんな」
「ふふ。お前の趣味もあれだな。この変態」
「誉めてくれて有り難う」
アニエスからキスを要求し、才人は唇を重ねた

*  *  *
アニエスは手拭いで汗を拭き取り、着替えると乗馬訓練に切り替え
一足先に森に向かったモンモランシーを追い掛け、徒歩で森に入り訓練を行った後、モンモランシーをアニエスに任せ先に戻り、シエスタからセーラーを受け取り、皆に渡す事にする
ベンチに座ってまったりしている
「キュルケ、タバサも居るのか」
「なぁに?ダーリン」
キュルケは才人から声を掛けるとしなだれ掛って来る
「おいおい」
「別に構わないじゃなぁい……さっき、シュヴァリエとしてたでしょ?」
耳打ちされて、才人は冷や汗をかく
「……見てた?」
「私だけよ。黙っててあげるわ」
「助かる」
お互いに耳打ちで話す
「でも、見返りが欲しいかなぁ?」
キュルケはにまにましながら才人に催促する
「そうだ、二人にプレゼントあったんだ。はいこれ」
才人はセーラー服を二人に渡す
「あら、さっきシュヴァリエが着てた水兵服?」
「魅了の魔法の威力は、さっきの通り」
「ダーリンが思わずしちゃう位?」
「…場合によっては」
「タバサ……着る?」
キュルケがタバサに問いかけると、タバサはこくんと頷く
「二人が着ると、違った魅力が出るだろうなぁ」
「ダーリン……本気?」
キュルケはやや渋面をしている
433大人才人 涙4-9:2011/02/17(木) 20:23:08 ID:OJp3R3va
「本気本気、俺の国での学生の衣装なんよ、これ。つい懐かしくてさ」
才人が説明すると、やや不機嫌だったキュルケも納得する
「だから皆に同じ物なのか。ちょっとムカついたけど、そういう理由じゃ仕方ないわね。着てあげるわ」
キュルケは受け取ると、ひらひら手を振る
「明日を楽しみにしててね、ダーリン」
「ああ、楽しみにしてるよ」

モンモランシーが、そんな三人に近付いて来る
「あら、才人。セーラー出来たのね」
「お、モンモンにも渡すよ。はい」
「そんなに良いのかしら?これ」
モンモランシーはセーラーを受け取ると、怪訝な表情をする
「ダーリンが暴走しかねない効果有るわよ」
「キュルケ、本当?」
「本当」
「じゃ、着る」
「そう言えば、アニエスさんとギーシュは?」
「アニエスさんはもう帰るって、ギーシュは見てないわね。部屋かしら?」
「そっか、研究室に顔出してから寄ってみるわ」

*  *  *
「先生失礼します」
ガチャッ
才人が部屋に入ると、コルベールは渋面である
「才人君」
「なんすか?」
「何で私に、あんな選択をさせるんだ?」
「科学を知り、ハルケギニアの社会を知る人物は、コルベール先生だけだからです」
「才人君じゃ駄目なのかい?」
「駄目です。私意的判断が多分に入る。政治体制すら、ひっくり返しかねない。本当の意味で、俺はハルケギニアの根本が解ってない。所詮、間借りの知識です」
「……だからか。私には正直、荷が重い」
ギシ
コルベールの椅子が軋み、机の上で肘を付き、両手を組む
「じゃあ、今までの研究成果、全部捨てて下さい。出来ますか?」
「出来る訳無かろう」
コルベールは即答し、今まで考えてたモノを語り出した
「政治とは、時に何の罪も無い人間を虐殺するものだ。新しい玩具を与えた場合、使う誘惑にかられない訳が無い」
「その通りですね」
「だが、普遍的に広がれば、結局大砲となんら変わらない手段になるのだろう?」
「その通りです」
「だが、だからこそ、進歩すると、才人君は言うのだな?」
「はい。技術開発と軍事を完全に切り離すのは難しいです。切り離す事が出来るのは、他国にやられない保証が有る程度出来た時のみです。俺の国の様にね」
「才人君の国では切り離す事が出来たのか?」
「同盟国に軍事を丸投げしました。結局変わらない事になります」
「つまり、完全には不可能と」
434大人才人 涙4-10:2011/02/17(木) 20:25:48 ID:OJp3R3va
「そうです。完全に民生でも、敵対国に出した場合、軍事転用出来る物が大量に有りました。輸出規制掛った一般品は、大量に有ったんですよ」
「結局、死の匂いは付きまとうのか……」
「零戦にしたって、兵器ですからね」
「……そうだな。技術は使い方か。使う側が自覚せねばならないんだな」
「ま、貴族の誇りで、頑張って貰えば良いのでは?」
「……ふむ、では聞こう才人君」
才人に向き直し、コルベールは語り出す
「貴族の誇りでやった事が全て間違いで、しかも誰かに踊らされた結果、罪も無い民を殺したとしたら、どうする?」
才人は即答する
「そんなの簡単だ。自分をそんな風に駆り立てた相手にきっちり引導を渡す迄、死ねないね。自分がどれだけ汚れても、やらざるを得ない」
「才人君ならするのかね?」
「……似たような事は」
「……そうか」
コルベールは更に聞く
「後悔……したかね?」
「……いんや、代償に心を捧げたよ」
「そうか……」
コルベールは思考に耽る
『結局、誰も彼も、汚れていると云う事か』
「所で先生、コンパウンドの件は?」
「あぁ、出来ている。確認してもらえないか?」

*  *  *
「ギーシュ、開けてくれ、ギーシュ」
ドンドン叩いて知らせるが、ギーシュの部屋は開かない
「くっそ、ドアをガタガタするしかないか」
435大人才人 涙4-11:2011/02/17(木) 20:29:27 ID:OJp3R3va
ドアを暫く叩きガタガタさせると、揺れに気付いたのだろう、カチャリと音がして、ギーシュが出てくる
「才人か。早く入ってくれ」
「解った」
パタン
ギーシュは以前の如く、ショーツ一枚で、タオルを肌掛け、上手く胸を隠している
「俺以外が出て来たらどうすんだよ?って、かつら?」
ばさりと金髪のかつらを外してギーシュは微笑む
「今の調子で、取り込み中を演じるのさ。女のコ来る時、大抵今ので怒って帰る」
「……大したもんだ。男の場合は?」
「魔法ぶつけて退散させるのさ」
「はは、そりゃ凄い」
「実はこのかつら、僕の地毛なんだ」
才人は感心する
「大した凝り様で」
「で、わざわざ来たのは、抱きに来てくれたんだよね?」
才人にふわりと身体を預け、才人の答えを聞く前に、自ら唇を合わせる
「ちゅ、うく、ちょっと待てカトリーヌ。今日は夕飯迄に帰る。プレゼントを届けに来たんだよ」
「嫌だと言ったら?」
「悪いが、扉切り裂いて行く。ルイズが不安定なんだ」
「むぅ」
才人がそう言った場合、本当にやるのをギーシュも熟知している
「しょうがないなぁ。やっぱり翼人の件?」
「だけじゃない感じだな。良く解んね、悪い」
「良いよ。プレゼントって、何?」
「はい、此」
才人はギーシュにセーラー服の上下を見せる
「あぁ、セーラーか。出来たんだね………スカート?」
「あぁ。カトリーヌがきちんと女装した姿が見たくてね」
「……僕が、女装出来ないの知ってるよね?」
「うん。だから、俺の前だけならどう?」
「……才人がそう言うなら」
才人から身体を離し、タオルを放り、セーラーをトサッと被り、才人に魅せる
「どう?」
「かつらも」
「解った」
かつらをしたギーシュを、姿見の前に立たせ、見せる
「ほら、見てみな。こんなに美人が此所に居るよ」
「此が……僕?」
ギーシュは自身の姿に驚く
「ふわぁ、どっから見ても女のコになってるよ」
ギーシュは顔を赤らめる
「良し、その調子。片足上げて」
「うん」
片足を上げるとスカートを通される
「はい、もう片方」
「うん」
スカートが通り、才人が腰迄引き上げ、ボタンを留める
「うん、ぴったり。流石美人だな」
「うわぁうわぁうわぁ。何これ?本当に……僕?」
鏡に映ったのは、肩迄伸ばしたブロンドがさらりと揺れ、すらりと伸びた手足が非常に美しい、セーラー服の美少女が居た
436大人才人 涙4-12:2011/02/17(木) 20:30:43 ID:OJp3R3va
胸の膨らみは多少ある程度だが、そんな事は魅力に減衰を感じさせない
才人による変身で、顔が真っ赤になっている
「かつら取っても良いよ」
「うん」
かつらを取っても、ショートカットの美少女の魅力は損なわれない
「うわぁぁぁぁぁ」
ギーシュは姿見に両手を起き、びっくりしている
「カトリーヌなら映えると思ったんだ」
ギーシュの両肩に背後から手を置き、才人はにまにましてる
「有り難う才人。何か僕、自信が持てそうだ」
「そりゃ良かった」
「ねぇ才人。その……して欲しいんだけど?もう、すんごく無茶苦茶に」
「……悪い。本当に戻らないと」
「じゃあ、今度の虚無の曜日開けておいて」
「ははは、お手柔らかに」
「一日吸い取ってあげる。僕は才人の牝だからね」
「おいおい、牝って」
「だって、そっちの方が、興奮するんだもの」
そう言うと、ギーシュは才人に唇を舐めた
「才人…早く僕を傍に置いて。気が………狂いそう」
「……」
「良いよ、返事しなくて。僕は、才人の邪魔はしたくない」
「佳い女だよ。カトリーヌ」
「才人の前だけさ」
そう言うとギーシュは才人の両手を自身に巻き付け、ほぅと溜め息をついた

*  *  *
ガチャッ
「只今」
サッ
ルイズは何かを机の下に隠す
「今日は早かったじゃない」
「あぁ、ルイズが寂しがってるかと思って」
才人は歩いて、村雨とデルフを立掛ける
「寂しくなんかないわよ?何勘違いしてんの?」
「そういう事にしときましょ」
「寂しくなんかないって、言ってるでしょ!!」
「はいはい、解りました」
才人はキリが無いので、適当にあしらう
「ルイズ、はい、プレゼント」
才人が近寄り、ルイズにセーラーを手渡す
「あぁ、この前のセーラー?こんなの着ないわよ。あたし、軍人じゃないもの」
ルイズは不機嫌だ
才人にしてみれば、何時もの通りである
「でも、ルイズのサイズに仕立て直しちゃったから、クローゼットの肥やしにでもしといてくれ」
「しょしょしょしょうがないわね。べべべ別に欲しくないけど、特別に貰ってあげなくもないわ」
「寛大な処置。この犬めには、感涙を流さずにはおられません」
そう言うと、才人は腕に顔を伏せ、泣き真似をする
スコン
「あいた!?」
「馬鹿やってないで、夕食行きましょ」
ルイズのチョップを頭に軽く喰らい、才人は頷いた
「あい、マム」
「誰がマムだ!!」
ゲシっ!!
蹴りのオマケが付いた

*  *  *
437大人才人:2011/02/17(木) 20:38:08 ID:OJp3R3va
投下終了なのね〜
大人才人タクティクスなのね
今回はアニエスなのね〜
「まぁ、第二次大戦記録をある程度読んでる方々には我々王軍が何を考えてるか予想出来るだろう」
「問題は、才人の言う通り冶金技術だ。果たしてきちんと量産製作が出来る様になるか、ちょっと難しいかな?」
「まぁ、石灰とコークスと鉄鋼石が有るから、何とかなると良いんだが、何分鋼鉄はともかく、きちんとした軟鋼と言うのが解らなくてね。才人が言うには炭素量0.3%未満の鉄鋼材料との事だが、炭素って何なのだ?」

有り難うなのね〜
さて、少しずつ、先に進むのか後戻りしてるのか解らない大人才人
登場人物達の明日はどっちだ?なのね
きゅいきゅい
438名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 21:47:09 ID:0IxFTHjh
乙でした!
まぁかのキシリア=ザビも度量衡を統一させたことによって公国の国力を増したし、
かつての秦の始皇帝も度量衡統一が功績として上げられてるくらいだしねぇ。
そしてアニエススキーには最高でした。
もっとかわいがって欲しいわw
GJ!
439名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 21:58:19 ID:a0EIxCKH
毎度毎度本当にGJ!

次のギーシュのために日曜日まで全裸か…………
440名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 22:01:15 ID:+ivGGwgA
大人の人、乙彼様。

>438
キシリア閣下の度量衡ってあれか、統合整備計画か。
441名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 22:05:55 ID:pLuM1XP4
>>437
GJです。
大人才人なら現代の製鉄法知っているのかな?
トリステインのレベルで使えるかどうかだが、フロートスメルター法を使えば
製鉄能力かなり上がるだろうな。他は巨大な高炉他が必要だし…
442名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 22:50:44 ID:a0EIxCKH
理系マンばっかりすぎて何が何やら
443438:2011/02/17(木) 23:17:16 ID:0IxFTHjh
438だが間違った。キシリア閣下がやったのは兵器の規格統一だったっけ。
あれのお陰で合理化がかなり進んだとか……。
度量衡であと思い出すのは、銀河帝国のルドルフ大帝が自分の身長を目安にしようとした話だな。
444名無しさん@ピンキー:2011/02/17(木) 23:46:16 ID:+ivGGwgA
>442
理系でも化学系はまだしも電子系の人は怪しいかも。まあ、電子系はググるんだが。
>443
大丈夫、大意は伝わった。

昔の単位系は人体基本だよね。フィートとか。
445名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 00:11:00 ID:jRkxtrxD
単位の統一は大切だよね
446名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 00:33:50 ID:0tUnMAD8
>>437
 乙です。まさか連続でエロが読めるとはw 可愛いアニエスって、よい。

 コルベールの心情はなぁ……実験小隊の元隊長としての過去から来る部分は
この際置いておくにしても、悩んで当然ですね。この世界を外から見ている
私たちからすれば、彼が死ぬまでに残す功罪全てを評価したとしても、
ノーベル止まりでしょうけど、中に今生きている人たちからすれば、
オッペンハイマーが生まれつつあるわけですから。

 >何でガンダールヴのルーンが武器として……
 今回、一番感心したのがここ。殺傷能力を僅かでも持っていれば
『武器』と判断するという事を、今回言葉にされて初めて理解。
一般的に武器に定義される物ならなんでもOK、という感覚で居たので
衝撃的でした。
 とすると、下手しなくても木串一本でもルーンは発動するわけか。
パチンコ玉だって指弾として使えるわけだし……携帯投下で文字制限なければ、
キワモノ武器を使用した戦闘などをリクエストしたいところだwww

>>444
 人体基準ではないけど、面白い所だと重量単位のトンも。
なんでも大型運搬用タルを叩いた音から来てるらしい。
そのタルの容量がおよそ水1000リットルだった事から、
1トン=1000kgになったとさ。
 他にはカラットの単位の元がケシの実の重さとか、
真珠の取引単位が世界共通で『匁』というは有名か……。

 重量で思い出したのだけど、乳房ってCカップサイズくらいまでなら
両方あわせても500g無いと昔読んだ事があるけれど、
どうやって求めたんだろうな、この数値。水基準で半球の体積からかな。
 ……いかん、もし計算してキリの良い数値が出た場合、その胸を持つ女の名前が
一つの重量基準として後世に残ってしまう所を想像してしまった。

主婦「牛肉、1ティファニア下さい」
肉屋「おお、毎度! 今日は何かのお祝いかい?」

とか……www
447名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 00:36:03 ID:RG5raLiG
>>446
大人サイトの人は前にも武器の判断云々の描写は前にも書いてたはず
復習推奨
448名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 18:39:39 ID:tQRCUozt
単発だったら木でも大砲は作れるんだよな
449名無しさん@ピンキー:2011/02/18(金) 21:03:12 ID:0/hJ1fuN
それどころか紙筒で作る話もあったり無かったり。

具体的に言うと『サタスペ』というTRPGで密造銃を作る追加ルールなんだが、それ以前にも聞いた気はする。
450名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 12:16:27 ID:VzZr6TvO
アニエスがサイトのとこへ出張ばかりで、銃士隊はほとんどミシェルがきりもりしてるようなものだな
451名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 14:28:15 ID:DG+5TLKc
>>449
「雲盗り暫平」に紙の大砲作る話あったな。
452449:2011/02/19(土) 16:02:22 ID:hnLDI6dd
>451
ああ、あの作品ならやりそうだ。
因みに『サタスペ』のはトイレットペーパーの芯と洗濯バサミで作れるので玩具みたいなものだが、業務用ラップの芯なら立派な使い捨てロケットランチャーの砲身になると思います。
453名無しさん@ピンキー:2011/02/19(土) 23:20:46.92 ID:y1TUnSiP
パイナップルアーミーで、鉄パイプから銃作ったりしてた。
454名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 09:17:06.83 ID:hw+FczFT
>453
紙で作る話の後に鉄パイプで作ってもねぇ?

そう言えば大戦中のレジスタンスは、一丁の銃のバレルを半分にして二丁の銃を作ったそうだよ。
455名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 10:46:48.01 ID:vDT72dK1
紙で大砲っていうとでんじろう先生のアレしか浮かばんwwww
456名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 14:42:09.32 ID:UlIs6/va
>>450
「ダメだこの隊長、わたしがなんとかしないと」
457大人才人:2011/02/20(日) 17:09:12.59 ID:654hVVFz
イルククゥでシルフィードなのね〜
大いなる意思によると、>>450のお陰で、小ネタが出来てしまったらしいのね
きゅいきゅい

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・涙の最後更新
・すれ違い………涙
・13レス前後、30分以上開いたら用事落ち

では、反映次第投下開始なのね〜きゅい
458大人才人 涙5-1:2011/02/20(日) 17:11:10.46 ID:654hVVFz
翌日、ルイズが何時も通り、教室の席に付くと、何時も早いキュルケやタバサが来ていなかった
「あれ?珍しい事も有るのね?ま、良いか」
そう言うと、持って来た毛糸と編み棒を取り出し、ひたすらに編みだす
本人は真剣そのものなのだが、如何せん生来の不器用が災いし、何を編んでるかは本人しか解らない
クラスのほぼ全員が着席し、授業開始を待ってると、ガラリと扉を開けて三人が入って来る
セーラー服を着た、キュルケ、タバサ、モンモランシーだ
セーラー服が臍ギリギリの丈であり、動く度に、チラリと見えそうで見えない
キュルケは胸のボリュームが圧倒的で有り、その下が空隙になり、余計魅力的になっている
モンモランシーはそのままでも美しさを損なわず、正に正統派美少女として周りが呆然とする
そして、ダークホースがタバサである
タバサが着ると、とにかく可愛らしい
ギリギリの丈すら、愛らしい
男子生徒は歓声を上げ
女子生徒は注目を一身に集めた三人に嫉妬する
「やぁね、ダーリンったら。こんなにセクシーな格好させちゃって」
「キュルケは胸が反則なのよ。私だって捨てたもんじゃ無いでしょ?タバサだって、凄い可愛らしいじゃない」
「ダーリンの国って、本当に魅力的よねぇ………あらルイズ。あんた、着なかったの?」
「ななな何よ?その格好?」
キュルケ達が席に付き、ルイズに話しかける「ダーリンの国の学生服ですって。セクシーにも可愛らしくもなるだなんて、素敵よねぇ」
ルイズは指を差し、硬直する
「なっなっなっな」
「ダーリンのやる事、信じてあげないから乗り遅れるのよね」
キュルケにからかわれ、ルイズはムッとする
「きょきょきょ今日は、偶々だもん」
「あらあら、旬は今日で終わりよ?明日からは、普通になってしまうもの」
モンモランシーがそう言い、クスクス笑う
「うぅ〜〜〜〜(まさか、こんなに似合うだなんて)」
ガラッ
教室にシュヴルーズが入室し、三人を見ると問い正した
「はい、お早うございます。出欠を……貴女達、何時から水兵になったのですか?」
「はい、ミセスシュヴルーズ。才人の国の学生服との事で、着てみました。似合わないでしょうか?」
「水兵服が異国の学生服なのですか……面白い文化ですね。異国の文化を学ぶと云う意味で、大変意義は有るとは思います。ですが、なるべく学院指定の学生服を着て下さいね。感想ですが、とても似合ってますよ、三人共」
459大人才人 涙5-2:2011/02/20(日) 17:13:15.54 ID:654hVVFz
「有り難うございます、ミセスシュヴルーズ」
代表してモンモランシーが答え、三人がスカートを軽く持ち上げて礼をした
「では、授業を始めます。着席して下さい」

*  *  *
「才人」
「はい?」
何時もの如く才人が洗濯物を干してると、何時もの如くアニエスが来る
「そう言えば、今の送迎は?」
「地方に回ってた竜騎士を、中央に戻した」
「成程、欠員分は?」
「早期登用だが、まだ編成が終えてないな」
「成程ね。所で今日も、コルベール先生の所に行くのかい?」

「いや、すぐに結論は出ないだろう。暫くお前の稽古を重点的にやる」
「はいさ。今日のメニューは?」
「チャージによる馬上試合だ。落馬をすると、大怪我するぞ」
「へぇへぇ。気をつけます」
アニエスはそのまま才人の腕に腕を絡め、馬小屋に向けて歩き出した

*  *  *
放課後になると、馬上試合を行なってる二人の傍にセーラーを着た三人がやって来る
「ダーリン休憩にしない?」
ダカラッダカラッ
ガキッ!!
ダカラッダカラッ
ダカダカダカダカ
水の槍をお互いに交錯させて走り抜け、並足で構えながら才人は聞く
「どうどう、アニエスさん!!どうする!?」
「ふむ、良かろう!!流石に水が欲しいしな、休憩だ!!」
お互いに大声で話し、馬に乗ったまま三人の傍に才人は寄り、飛び降りる
「お〜、三人共良く似合ってるよ」
「もぅ、ダーリンったらこういうの好きなの?おへそが見えちゃうわ」
そう言って、才人にしなだれかかるキュルケ
「おっと。キュルケは何着ても色っぽいな」
「ダーリンが独り占めしても良いのよ?」
キュルケは艶のある笑みを浮かべ、アニエスが渋面を浮かべる
「何だ、他にも渡してたのか」
「へぇ、アニエスさんでも嫉妬するのね?」
モンモランシーがそう言いながら、ふっと笑みを浮かべる
若さによる勝利の笑みだ
才人はキュルケをそっと離すと、ずっと黙ってるタバサの前にしゃがみ、目線を合わせる
「タバサ、凄く可愛いぞ」
「…本当に?」
「本当だ。やっぱりタバサは可愛いな。うん、俺の目に狂いは無かった」
そう言って、タバサの頭をくしゃりと撫でると、タバサは初めて微笑みを浮かべる
「…気に入った」
「そりゃ、良かった」
「才人、私には何か無いの?」
モンモランシーが抗議の声を上げる
「良く似合ってるぞ、モンモン。やっぱり美女や美少女ばかりだと、良く映えるよ」
460大人才人 涙5-3:2011/02/20(日) 17:17:32.26 ID:654hVVFz
「あ、そうそう。聞いてよ。ルイズったら着て来ないで、私達見て絶句してたのよ?本当に傑作だったわぁ」
キュルケが、からから笑いながら才人に話す
「そういや、ルイズは?」
「授業終わり次第無理矢理私を連れて、秘薬を一個、強奪してったわ」
「…モンモン、ヤバい代物じゃないだろうな?」
「大丈夫大丈夫。パーティーとかのお遊び用のアイテムよ」
「…そうか」
アニエスはメイドからお茶を貰いながら話を聞き、才人の様子に気が付く
「どうした、才人?」
「……最近、ルイズが不安定なんだよ。何か変なんだ」
皆が唖然として才人を見つめる
「才人、あんた解って無いの?」
「はぁ?」
才人が首を傾げ、ハテナマークを連発すると、モンモランシーががくりと肩を落とす
「忘れてた。そういや、こいつはこういう奴だった」
「アッハッハッハ。ダーリンって、本当に面白いわよねぇ。肝心な所は、本当に駄目なんだから」
キュルケが腹を抱えて笑い、才人が頭をがりがり掻き、ぼやく
「どうせ、おりゃ鈍感だってぇの」

*  *  *
「ふんふんふ〜ん。どう?天下の美少女なら、一番魅力的でなくって?」
「いんや、魅力下がってるわ。特に胸」
ルイズがさっと杖を構えると、デルフが意見を180度ひっくり返す
「いやぁ、もう最高だね。相棒もイチコロだぁね。きっとその美貌の前に、ぴょんと跳ねて、娘っ子を押し倒しちまうわね」
何故デルフが部屋に居るかと云うと、才人が持って行くのを、忘れてたからである
村雨は持って行ってる為、呪いのせいとはいえ、デルフは内心面白くない
そんな時にからかい甲斐のある相手がわざわざ抜いて、意見を求め始めたので、ここぞとばかりに遊ぶ事にした
「そうでしょそうでしょ?やっぱりあたしが一番よね?でも今回は、これだけじゃないのよ。ジャア〜〜〜ン!?」
「…嬢ちゃん、何だそりゃ?」
ルイズが手に持った物を聞くデルフ
「ふっふっふ。此は魔法の髪染めよ。お遊び用で効果は丸一日だけだけど。この秘薬を使えば、あたしは黒髪になれる!!」
「そう、才人の国を完全に再現するのはこのあたし!!ルイズ=フワンソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=ヴァリエール以外に有り得ない!!」
ルイズは大声をあげ、デルフは鍔をカタリと鳴らす。人間なら、ポカンとなってるだろう
「何言ってんだ?メイドの嬢ちゃんだって、黒髪じゃねぇか?」
461大人才人 涙5-4:2011/02/20(日) 17:20:18.68 ID:654hVVFz
「なぁに言ってるのよ?この滲み出る高貴なオーラが違うのよ?」
「…滲み出るのは暴力じゃね?」
ルイズが杖を構えると、またもや意見を翻すデルフ
「はい、その通りです。もう高貴なオーラ出まくり。デルフ、高貴なオーラで困っちゃう」
「そうよねそうよね?やっぱり公爵家ヴァリエールよね?やっぱり、あたしが一番なんじゃない」
『相棒は、良く嬢ちゃんをコントロール出来てるな。俺じゃ無理だわ』
「よっし、気合いは充分。それっ!!」
パシャッ
髪に秘薬をかけると、黒い艶が髪の毛全体に、じんわりと広がり始め、鏡で確認する
「えっと、瞳の色も変わるって言ってたけど、うん、黒の瞳だ。へぇ、流石あたし、黒髪も似合うじゃない」
「う〜ん、相棒の黒髪には叶わねえなぁ。相棒の黒髪、艶やかで虹が出るもんな」
「ああああれと比べないでよ。サイトの黒髪なんて、反則じゃない」
サイトの名前を出され、杖を持ち出すのは止めにした様だ
「で、どうすんのかね?このまま部屋で待つのかね?」
「う〜ん、どうしよっかなぁ?このまま待つのも良いかなぁ。でも、迎えに行くのも良いかなぁ。呼び方もどうしようかなぁ」
一人、ウキウキになりだすルイズ
「呼び方は……そうだ、おにいちゃんにしよう。おにいちゃんって、一度呼んでみたかったのよね。あたしはサイト=ヒラガの妹ですって。うん、名案名案」
『それってよ、相棒に家族居たら、思い出させる事になるんじゃねぇか?相棒あれでも、時々故郷思い出してんだぞ?解ってんのかねぇ?』
だが、口に出すのは別の言葉だ
「でよ、おにいちゃんって呼ぶのは構わないけどよ?他の娘っ子が聞いたら、眼中外ってならね?だってよ、相棒の事は、兄としてしか見てませんって、事になんぜ?」
その瞬間、ルイズは硬直する
「ママママズイわね。じゃあ、部屋で待つ事にする。そして、おにいちゃんにたっぷり甘えるの!!妹は兄に、甘える義務があるの!!」
「…何時もと何が違うんだか」
杖を構えたルイズを見た瞬間、デルフは鞘に引っ込んだ

*  *  *
ガチャッ
才人が本日の訓練を終了して部屋に戻ると、黒髪セーラー服の少女の背中が見えた
「えっ!?」
少女は振り返り、にっこりと微笑み、言葉を発する
「お帰りなさい、おにいちゃん」
才人は呆然としたまま、立っている
『あれ?失敗したかな?』
ルイズは後ろで手を組みながら才人にそろそろと近寄り、才人の顔を下から覗き込む
462大人才人 涙5-5:2011/02/20(日) 17:26:00.90 ID:654hVVFz
すると、才人の身体が震えている
「おにいちゃん、どうしたの?何か変だよ?」
ガバッ
才人は突然ルイズをきつく抱き締め、身体を震わせる
「きゃっ(え?何?威力有り過ぎだったの?)」
「………済まなかった」
「…うん」
「……飯、食えてるか?」
「?…大丈夫だよ?」
「…そうか…また、喋れなくなってないか?」
「…?何で?あたし、ずっと喋れるよ?どうしたの?おにいちゃん?」
「あぁ、俺が居なくなってから、少し背が伸びたんだな。良かった、ちょっと遅れたけど成長したんだな」
「…何を言ってるの?あたしは、ずっとちびだよ?」
「俺は、悪い男だな。あんだけ約束したのに、事故で遠い所に飛ばされちゃってさ。やっと………ルイズ?」
才人が抱擁を解き、両肩に手を乗せて、顔を覗き込むと、やっと気付く
「サイト?」
ダン!!
後ろに思い切り跳躍し、扉にぶつかる才人
「あっ!?」
才人の顔が歪んでいる
ガチャガチャ
才人が扉から出ようとするが、扉が開かない
ルイズがロックしたからだ
「ねぇ、どうしたの?おにいちゃん、勝手に出て行っちゃ駄目だよ?」
才人は村雨を抜刀し、扉を切り裂いた
シュババッ
そのまま廊下に飛び出すと、窓を突き破り、飛び出す
ダッ、ガシャン!!
「ちょっと、ここ三階よ!?」
才人はそのまま木に引っ掛かり、木を使って一気に跳ね回りながら降りて、広場を走り去って行く
ルイズは呆然と見送る
「……とうとう、やっちまった。あんなに心が震えた相棒、初めて見らぁ」
自身の相棒がガンダールヴとしての能力を完全に発揮させたのが、主人の好意で、しかも震えたのは、明らかにマイナスの感情だ
デルフは手が有ったなら、頭を抱えてるだろう
「ちょっと、ぼろ剣。サイトを追うわよ」
「止めとけ、今の相棒は、明らかに嬢ちゃんの容姿に反応してた。ありゃ、嬢ちゃんの前に居たら、ヤバい事になる。せめて、黒髪落ちる迄、近付くのは止めるんだな」
「…あたし、何をしたの?」
「多分、相当深い所をえぐったみたいだな」
「…扉、どうしよう?」
「使い魔の不始末は、主人の不始末じゃねぇのか?」
「うぐっ」
ルイズはとりあえずカーテンを掛け、扉の残骸を組み合わせてると、キュルケが戻って来て出くわす
「あらん、フレイムから連絡来たから寄ってみたけど、何やったの?って、黒髪?へぇ、セーラーも着たんだぁ」
「…何でも無いわよ」
463名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 17:26:45.96 ID:hw+FczFT
何処ぞの黒猫がアップを始めました。支援。


くぎゅが“お兄ちゃん”とかもうっ!
464大人才人 涙5-6:2011/02/20(日) 17:30:18.54 ID:654hVVFz
「ふん、有りましたって顔じゃない。ダーリンの太刀筋だけは解るわよ?困った事になってるでしょ?」
「…サイトが、あたしの格好見て逃げ出した」
「成程ねぇ。あんた、知らずに傷えぐったでしょ?」
「解んないわよ。あたしは、サイトに喜んで欲しくて、この格好になったのに」
「サイトは硬直したかと思ったら、いきなり訳解んない事言い出して、あたしの顔を覗き込んで、初めてあたしに気付いて、そしたら逃げ出して。何でこうなるの?何で何で何で?」
ルイズは、涙をぽろぽろ流しながら、キュルケに訴える
「さぁ、ダーリンの優しさは残酷だからねぇ。多分、ルイズには言えない事なんでしょうね」
「サイトサイトサイト」
ルイズは涙を溢しながら、サイトを求める声を切実に出す
「まるで、親から引き離された子供よね。ま、あんたの代わりに探してあげるわ。扉と窓も新しいの頼んでおいてあげる」
「本当?」
ルイズは涙目のまま、キュルケを見上げる
「本当よ、だけど一つ言っておくわね?」
「…何?」
「記録更新しても、恨まないでよ?」
「…心の底から恨むわよ」

*  *  *
「さあってと、安承けあいしちゃったけど、何処に居るのかしらね。ダーリンの本気って、捜索効かないのよねぇ」
キュルケは一人、才人を捜索する。タバサに頼もうかとも思ったのだが、今の才人は通常でない可能性が高い
才人を理想の男性と求めてるタバサには、ちょっと重いだろう
「タバサは自分自身で手一杯だから、ダーリンの弱い部分迄は受け止めるのは、まだまだ無理よねぇ」
そうして、茂みの中、講堂、厨房と探し回り、暗い中探してたら、足元の地面がなくなり、キュルケは一気に転げ落ちる
ズザー
「あたたた、何でこんな所に穴が有るのよ?」
ライトを唱え、穴を見渡すと、才人が体育座りで蹲っていた
隣にヴェルダンデが鎮座している
「ダーリン?」
「…」
「ねぇ、どうしたの?」
「…」
「ルイズから逃げ出したって聞いたんだけど」
ビクン
才人は身体を震わせるが、何も言わない
「…もう、何か言ってよ」
「…帰ってくれ」
「嫌よ」
「じゃあ、森に行くわ」
才人はすっくと立ち上がると、村雨に手をかけ一気に出ようとするが、キュルケが後ろから抱き止める
「許さない。何でもかんでも、一人で決めないでよ」
「……キュルケには関係「有るに決まってるでしょ?いい加減にしなさい!!」
465大人才人 涙5-7:2011/02/20(日) 17:35:13.62 ID:654hVVFz
キュルケの心からの訴えに、才人は応じる
「…思い出したんだよ。俺は、こんな所でのんびりしてる訳には行かねぇ。一刻も早く、東に………そうだ!!零戦に増槽をフルで入れれば、5000km飛べるじゃねぇか!?」
才人はそう言うや穴から飛び出し、キュルケは慌てて才人を追う
コルベールの研究室に才人は飛び込み、コルベールに声を掛ける
「コルベール先生。今直ぐ増槽とメインタンク満タンで、出ます」
「無理だよ才人君」
コルベールの手元には、栄エンジンがバラされ、コルベールが各部品事にメモを取りながら、検品している
「な、何やってんだ!?あんたはぁ!!」
コルベールの襟首を両手で掴み、ガックンガックン揺さぶる才人
「く、苦し。な、何って、バラして整備序でに原理の確認するなら構わないって、才人君は言ってたじゃないか?」
才人ははたと気付き、コルベールの襟首から両手を離すと、とぼとぼ歩き出し、出ていく
「ミスツェルプストー。才人君は一体どうしたのかね?」
「あぁ、ちょっと今、正常じゃないんです。先生、グッジョブ!」
そう言って親指を立て、キュルケも慌てて出ていく
「何だったんだ、一体?さてと、今回は間に合わなくても、何時でも出せる様に整備しないと」

「ダーリン、ちょっと落ち着いて」
拳で壁を叩き始め、声にならない声を出す才人
キュルケは思わず後ろから羽交い締めで才人を抑え様とするが、才人の力が圧倒的に強く、そのまま振り切られる
「もぅ」
レビテーションを唱え、才人を無理矢理浮かせて止めるキュルケ
「一体何なのよ?私にも話せないの?何でこんなになってるの?日本に一体何があるの?」
「……待ってんだよ」
「誰が?」
「待ってんだよ。俺が居ないと死にかねない奴が一人。高校生になれたんだ。もう少しで……もう少しで回復するんだ。今は、何より優先しなきゃならないのに……何で俺は、こんな所に居るんだよ?」
『ダーリンの……大事な人?』
「待ってろよ。何が何でも帰ってやる。理不尽だらけなアイツの人生から、俺迄欠ける訳には行くか!!」
「その人……恋人?」
「……」
「答えて……くれないの?」
「…恋人じゃない」
才人は顔を手で隠し、表情を見せない様にしている
「ダーリンって、向こうじゃ、事故死になってるんでしょ?」
「…アイツは信じねぇ。死体が出て来ない限り、絶対に信じねぇ」
466大人才人 涙5-8:2011/02/20(日) 17:39:00.45 ID:654hVVFz
「そうなの?」
「あぁ、そういう奴だってのは、俺が一番知っている。絶対に待ってんだよ。しかも、体調を崩した状態で、だ」
「…そんなに?」
キュルケは嘆息する
『ダーリンの帰郷の念に、火が付いちゃった。泣きたいのは私の方よ、バカルイズ』
「ルイズに似てるの?」
「……言動や行動はそっくりだ。ルイズより小さいがね」
「長い黒髪とセーラーって……」
「……あぁ、勘違いしちまった」
ふぅ、と溜め息を付くキュルケ
「ダーリン、今は戻りましょう」
「…嫌だ」
「ルイズの所じゃないわよ。私の部屋」
「…嫌だ、一人にしてくれ」
「駄目よ、今のダーリン、自分自身を壊しかねないわ。ダーリンの力、凄い上がってるのよ?拳は皮剥けちゃってるじゃない」
「こんなの屁でもねぇ」
「駄目ね、強制執行するわ」
そのまま、キュルケは才人を浮かせ、自分自身の部屋に運び込む

カタン
ルイズは物音に反応し、壊れた扉を飛び出しキュルケを確認する
「キュルケ!!サイトは?」
「先に部屋…あれ?まだセーラー着てたの?」
「キュルケも着てるでしょ?」
「あんたが問題なのよ。ん〜、言い辛いんだけど、髪の毛の色が元に戻る迄、ヴァリエールはダーリンに接触禁止」
「……何で?」
「何でも。其とダーリンは泊めるわよ。一人にすると駄目だから」
467大人才人 涙5-9:2011/02/20(日) 17:42:52.14 ID:654hVVFz
「一人じゃ駄目って…」
「ダーリン、自分自身を傷つけるのに、何の躊躇いも感じてない」
「サイトは前からそうよ?」
「その理由が、少しだけ解ったわ。とにかく、さっきの言いつけを守りなさい。解ったわね?」
パタン、ガチャ
ロックの施錠がかかり、物音もしなくなる
サイレンスもかけたのだろう
ルイズは、キュルケの言う通り、黒髪を見つめ、溜め息を付いた
「黒髪、嫌いなのかな?」
才人の居ないベッドの前に、ルイズは風呂に向かった

*  *  *
「ダーリン」
「……何で連れて来た?」
「だって、見てられないわ」
「なら…捨て置けよ」
キュルケは泣きたくなる
「ほ、ほら、私の部屋なら、酒もあるし、暇つぶしのジグソーパズルもあるし、フレイムも居るし……私も居るし」
最後に付け加えた言葉は、非常に小さい
「…悪い。気を使わせちまった」
才人がそう言って、背を向ける
キュルケはそのまま、才人の背後から豊かな胸をぶつけながら、抱き締める
「ダーリン。さっきみたいに、気持ちぶつけて良いのよ?」
「もう、大丈夫」
実際に、声は何時もの調子に戻っている
『あぁ、もう閉ざしちゃった』
「夕飯、食べた?」
「いや、食ってない」
「ちょっと待ってて」
キュルケは自身の夜食用とフレイムの夜食用の干し肉とパンとチーズを取り出し、ワインを添え、才人に差し出す
「フレイムの分じゃねぇか」
フレイムは火炎を吹き出し、反応する
「あげるって」
「良いのか?」
フレイムはこくりと頷く
才人は手を合わせ、食べ始める
キュルケはにこにこしながら、テーブルに両肘を付き、顎を両手に乗せ才人の食事を見守る
「ふぅ、ご馳走様」
「足りた?」
「あぁ、フレイムが食いしん坊で助かった」
「ふふっ」
キュルケは自分の事の様に嬉しくなる
「ねぇ、ダーリン」
「何だ?」
「私、まだお風呂に入って無いの」
「俺も入ってねぇな。入って来れば良いだろ?」
「ダーリン一緒に入ってくれる?」
「…入らない」
「シエスタにはやってるじゃない」
「…」
「まぁ、そう言うと思ったわ」
キュルケはゴソゴソと魔法石鹸を取り出し、才人に見せる
「此で身体を拭いて」
「ふぅ、了解」
キュルケはセーラーを脱ぎ、スカートを脱ぎ、靴下をショーツを脱ぐ
褐色の美の化身が才人の前に立つ
「お願い」
才人は水桶から水を別の器に入れ、手拭いを浸し、石鹸を付けて、キュルケの身体を拭き始める
468大人才人 涙5-10:2011/02/20(日) 17:45:32.66 ID:654hVVFz
顔を拭くと化粧が取れ、年相応の顔になる
背後に回り、腕、背中と拭いて行くと、キュルケから悩まし気な息が漏れる
「ん、ふぅ」
次に胸を拭き始めると、才人に身体を預け、手を添える
「ん、あ、上手。これも、待ってる人にやってたの?」
「…あぁ。アイツは、一人で風呂にも入れない。と言うより、一人で居るのを異常に怖がった」
「…そう」
「俺が仕事で遅いと、いっつも涙目で俺を待っていた」
「…そう」
「一人で寝られ無かった。一人だと、思い出すから嫌だと、いっつも泣いていた」
「…そう」
「俺以外の男には、一切近寄れなかった。男を見ると、完全に脅えて、常に逃げる様にしてたから、女子校に通ってた」
「…そう」
「俺に時間が出来て、学校に迎えに行くと、一目散に走りよって来て、俺の事を周りに自慢していた。何時も何処で見張ってるか解らない位の、即応振りだった」
「…そう」
「今は、俺はアイツの傍に居てやれない」
ポタ、ポタ
キュルケの身体に水が落ちる
キュルケが才人の顔を見ると、涙が垂れている
「ダーリン…」
「俺は…こんな所で使い魔なんて、やってる暇なんざ……無い」
「…」
「俺は、女のコに言い寄られる資格も無い」
「…何で、そんな風に決めるの?」
「事実だからだ」
そう言うと、才人はキュルケの下半身を拭き出し、キュルケは才人の指が花弁に触れるとビクンと跳ねる
「ひぅ!?」
「悪い、強過ぎた」
キュルケは首を振る
「違うの、良かったの。お願い、遠慮しないで」
才人はそのまま尻を拭き、両足を拭き取り終える
「はい、終わり」
キュルケは熱っぽい目で才人を見るが、才人は表情を消している
『駄目だ、後一押しね』
「ダーリン、次は私がやってあげる」
そう言うと、キュルケは才人の服を脱がし出す
才人は為すがままだ
才人を全裸にすると、汗をかいた猛烈な男の匂いが、キュルケを刺激する
『凄い匂い。でも、何か癖になりそ。モンモランシーがダーリンの匂いが好きってのも、頷けるわ』
今度はキュルケが手拭いを取り、才人を拭き出す
才人にやって貰った通りの順番でやる
顔を拭き、腕を拭き、背中を拭く
背中を拭く時に、思わず嘆息する
「改めて見ると、広い背中。惚れ惚れしちゃうわ」
才人とキュルケは背丈は変わらないが、やはり男女の違いは如実に出る
特に才人はしなやかに鍛えてるせいで、筋肉隆々ではなく、瞬間的に出す筋肉で、見た目以上の筋力を誇っている
469大人才人 涙5-11:2011/02/20(日) 17:49:41.11 ID:654hVVFz
一瞬に賭けるガンダールヴに取って、ゴテゴテしたパワー重視の筋肉は邪魔なのだ
才人にキュルケは密着し、胸から拭き、股間を念入りに拭くと、尻を拭き、両足を拭き取り終える
そのまま、才人の背中に引っ付いている
「ねぇ、ダーリン」
「何だ」
「…して」
「俺の息子に聞いてくれ」
才人の股間は反応してない
キュルケは才人の前に周り込み、才人をそのままベッドに押し倒す
トサッ
キュルケは妖艶な笑みを浮かべ、才人に聞く
「もし勃ったら、朝迄してくれる?」
「あぁ」
「約束よ」
キュルケから才人にキスをし、胸を密着させる
才人は胸が好きなのを存分に武器にし、また股間も密着させる
だが、キュルケは自分が高ぶるばかりで、才人がちっとも反応しない
「何でぇ?私、魅力無いの?」
「違う。俺が駄目だからだ。男は、精神状態に左右するんだよ」
「ふん、意地でもして貰うんだから」
キュルケは才人の顔に花弁を当て、自身は才人の股間に顔を埋める
「元気になってね」
キュルケは才人の息子に話しかけ、口に含む
ヌルリと口腔に迎え入れ、何とか立たせようと、舌と粘膜に絡める
ぴちゃっ
「っ!?」
思わずキュルケの身体がビクンとなり、危うく才人を噛みそうになる
「ふ〜、ふ〜」
才人がキュルケの花弁を愛撫し始め、キュルケは自分が一気に高ぶるのが解る
才人は陰核を丹念に指で刺激し、膣と陰唇をたっぷり舌でねぶる
「ん、ん、ん゛〜〜!?」
才人を口に含んだまま、先にキュルケは痙攣を繰り返す
「ふ〜、ふ〜、ふ〜(まだ、半分位?)」
キュルケは、丹念に才人の息子を舐め、とにかく勃起させるべく頑張るが、才人の攻めが更に続き、キュルケは上に乗ってるのに、ペースを完全に握られる
「ん゛ああ、もう駄目!!我慢出来ない!?」
キュルケはまた痙攣し、とうとう口を離してしまう
「……はぁ、素敵」
「キュルケのここ、凄い綺麗だな」
「本当に?嬉しい」
最早完全に脱力し、キュルケは諦める
才人が身体を起こし、キュルケの尻を持ち上げ、攻め始める
「え、やだ、ダーリン。恥ずかしいわ」
「ああ、恥ずかしがってる女のコの方が萌えるね」
ちゅぴ、ちゅぴ
才人がわざと音を立て、キュルケを攻める
「やぁ、音、立てないでぇ!?」
「綺麗だよ。キュルケ」
言葉とは裏腹に、尻は持ち上がり、才人を誘う
「はっはっはっ、駄目。またきちゃう!?」
ビクンビクン
470大人才人 涙5-12:2011/02/20(日) 17:51:18.17 ID:654hVVFz
キュルケが痙攣し、才人がキュルケの尻を膝立ちの位置迄降ろす
「はっはっはっ、あっ、やだ、イッたばかりなのに!?」
キュルケが痙攣してる最中に、才人は無言で息子をあてがい、一気に挿入する
ぬる
「あひっ!?」
いきなり挿入された感覚と絶頂の余韻で、キュルケは自身の平衡感覚が崩れ、何をしてるか解らなくなる
グチュグチュ
「キュルケが綺麗だったから、勃っちまった。約束通り、朝迄だ。恨むなら、自分の言葉を恨め」
「私、初めてだから」
「聞かない。痛いか?」
キュルケは首を振る
「じゃあ、覚悟しろ」
才人が動き出し、キュルケは自身の身体から、今迄感じた事の無い部分から、才人に花開き、強引に開発されて行くのを実感する
「やぁ、ダーリン少し休ませて。またきちゃう!?」
ビクンビクンと痙攣しても、才人は腰を振るのを止めない
「あっあっ、凄いのダーリン凄いの!!ひっ、いっ!?」
「出すぞ」
ドクン
才人の射精と絶頂が同時になり、キュルケは自身に才人の精が送られる感覚を、絶対の快楽と刷り込ませられる
「あっ、やだ。こんなの仕込むの?私、ダーリンの牝になっちゃう!?」
才人の射精を受け入れ、歓喜に打ち震える
才人は勃起が萎えない様に、射精が終わると覆い被さり、ゆっくりと動く
「良いか、キュルケ」
「はい」
「イク時は、必ず言うんだ、誰のでイクのか、誰のが欲しいのか。そして誰の牝なのか。自分が誰を誘惑したか、しっかり心に刻み込め」
キュルケは頭からの命令には受けた事は無いし、受けたら反発するだろう
だが、今は才人の言う事に従うのが、快楽だと仕込まされ始めている
「はい、私は才人のちんぽでイって、才人のちんぽが欲しい、淫乱な才人のメスです。才人の事を遊び半分で誘惑したら、逆に才人の虜になっちゃった、胸ばっかりの、お馬鹿さんです」
「どうされたい?」
「次は正面から、抱き締められたいです」
「いい子だ」
才人は一度抜きキュルケをひっくり返し、正常位で挿入する
「あぁ、良いの、いいのぉ!!」
才人を正面から抱き締め、脚を絡め、キスをねだる
才人は腰をゆっくり動かすが、キュルケがガンガンに押し付け、才人を貪欲に味わう
才人は胸を吸おうと考えたが、キュルケが決して抱擁を解かず、キスも止めない為、そのままの姿勢でフィニッシュ迄持っていく
キュルケは何度か痙攣すると、一際強く才人を抱き締め、才人の射精を感じる
ドクンドクン
471名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 17:51:30.50 ID:hw+FczFT
何処ぞの黒猫が撤退を開始しました。支援。
472大人才人 涙5-13:2011/02/20(日) 17:56:11.75 ID:654hVVFz
キュルケの身体が脱力し、ようやく才人は解放されると、胸の愛撫をやり始めた
ピチャピチャ
「やぁ、今、ダーリンのちんぽでイッたばかりなの。おっぱい弱いの、入ってる状態でやられたら、あっあっ駄目、だめだめだめ!?おっぱいでイっちゃう!?」
キュルケはまだビクンビクンと痙攣し、涙を溜める
「ごめんなさい、ダーリン誘惑してごめんなさい。だから、少し休ませて、お願い」
「駄目。俺がしたい様にする。キュルケが俺の獣性を解き放ったんだ。責任取れ」
また、かぷりと豊満な胸を食わえる才人。その眼は何時もの優しさではなく、暴力的な攻撃の眼、熟れた女を食い尽す、牡の眼をしている
「いやあぁぁぁ。ごめんなさいぃぃぃぃ」
キュルケは、歓喜の悲鳴を上げる
結局、キュルケは約束通り、朝迄たっぷりと愛され、自身の言葉をたっぷり後悔する事になった

*  *  *
朝日が差し込み、才人は眼を開ける
「ふあぁぁ、すっきりした。キュルケ?」
才人の腕枕で、完全に寝ている
才人がゆさゆさ揺すると、キュルケは眼を開け、才人の顔を恐る恐る覗き込む
昨夜の獣の様な才人ではなく、何時もの優しい瞳の才人だった
「……酷い」
「ごめん」
「初めてだって、言ったのに。優しくしてって、言ったのに。休ませてって、言ったのに」
息を吸い込み、涙を溜めて、更に言う
「ちっとも優しくしてくれないし、休ませてくれないし、私、10回イった以降は憶えてないわ」
「ああ、それ大体やってる時間の1/3だな」
「私、その三倍イってたの?」
「うん、もう凄かった。ずっとちんぽちんぽ言ってて、俺が抜けるとおねだりして、射精のたんびに矯声あげて。私はダーリンのまんこなのぉって」
キュルケは顔が真っ赤になる
身体を確認すると、確かに証が大量に注がれてるのを実感し、実際に精が足れて、才人を受け入れた実感が湧いて来る
「もう、あんなはしたない言葉、貴族に言わせないでよ?」
「ちょっと待て、俺はちんぽとかまんことか、言えと言ってねぇ」
キュルケは自爆し、更に赤くなる
「つ、次は優しくしてよ?」
才人は済まして言う
「手加減しちゃ駄目って、叫んでたの誰だっけ?」
キュルケは才人の下の枕を抜くと、才人にボフボフと叩き付ける
「この、この、一晩で私の誇りを、ひっくり返しちゃってからに!!私はセクシーだけど淫乱じゃない!!」
473大人才人 涙5-14:2011/02/20(日) 17:57:32.32 ID:654hVVFz
「あたた、ごめんごめん……キュルケ」
枕を振りかぶったまま、ぶっすぅとしながらキュルケは応じる
「何よ?」
「慰めてくれて……ありがとな」
キュルケは叩き付けてた枕を抱き抱えながら、ぽつりとらしくない言葉を言い出した
「……責任」
「へ?」
「責任取って!!」
才人は寝てた状態のまま、何故かがくりとベッドに沈む
「あ、いや、その」
「責任取れ、この馬鹿ぁ!!灼熱の相手見付けたんだから、責任取れ〜〜〜〜!!」
キュルケはわんわんわめきだす
「私の余裕も何もかにも、あんたの前じゃちっぽけで、お子様扱いするわ、妹扱いするわ、挙句の果てに、実際ベッドじゃ撃沈された。あんた以外考えられなくなった、責任取れ〜〜〜!!」
「ごめん」
「謝るな、この馬鹿ぁ!!あんたを知らなかった頃の私に戻せ〜〜〜!!」
その後、ベッドの上で手足を放り投げて暴れ始めたキュルケをなだめるのに、才人はたっぷり時間を使わされる事になった

*  *  *
474大人才人:2011/02/20(日) 18:07:40.79 ID:654hVVFz
投下終了なのね〜
大いなる意思は、俺妹は知らないのね〜きゅいきゅい
では、大人才人タクティクスなのね
今回はキュルケなのね
「……やられたわ。何あれ何あれ?本当にスタミナ無尽蔵なの?もう無茶苦茶にされちゃったわ」
「散々稽古したせいって言ってたけど、一人占めしたら、私のがやり殺されちゃうわ」
「だめだめ、一人占めなんか無理。毎日愛されちゃったら、私が持たないわ」
「全くヴァリエールったら解ってるのかしら?独り占めしたら後悔するのは自分よ?あの娘、対して体力無いじゃない」
「でも、一番心配なのは、結局、私達には本気で向いてくれそうにない事よね。あぁもう、何とかならないかしら?」

有り難うなのね〜

では、またの更新迄さよならなのね、きゅいきゅい
475名無しさん@ピンキー:2011/02/20(日) 19:10:22.73 ID:CW7PSGJR
毎度毎度本当にGJ!
476名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 00:16:29.67 ID:26CpFPMQ


キュルケも落城
これで残りは、タバサ、テファ、アンリエッタ、ルイズの姉二人かw
477名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 11:28:32.10 ID:OL5M44Vo
毎度ながらGJ!
待ちに待ったキュルケ来た!
ありがとう!

>>476
待て、アンリエッタの母上様を忘れてるぞw
478名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 12:54:00.02 ID:h0/2pEYA
>>474
毎度毎度乙&GJでございます

>>477
それを言ったらカリーヌさんとタバサ母も忘れてないか?
479名無しさん@ピンキー:2011/02/21(月) 15:28:59.04 ID:BRjTe4IW

ジル……故人はムリか
小ネタとやらに期待して、じっくり待ってます
480名無しさん@ピンキー:2011/02/22(火) 18:18:39.06 ID:OXDwUy9S
乙女は虚無にの人も期待してますよ
481名無しさん@ピンキー:2011/02/23(水) 23:05:26 ID:JG4iqjC4
ペ・ディ・キュ・ア!
482大人才人:2011/02/24(木) 18:46:02 ID:XQQhzWpy
イルククゥでシルフィードなのね〜
移転に暫く気付かなかったのね
きゅいきゅい

では、注意事項なのね〜
・大人才人番外編
・主要キャラ、一人も出ません
・とある、トリスタニアの酒場のお話
・6レス前後

では、反映次第投下開始なのね〜きゅい
483大人才人番外編 副長ミシェルのぼやき0-1:2011/02/24(木) 18:48:25 ID:XQQhzWpy
副長ミシェルのぼやき
(プライバシー保護の為、音声を変えてお送り致します)
ええとですね、私の店には、何処ぞの副長さんが最近良く来るんですよ
トレビアン!
はっ、つい口癖が、いけないいけない
で、何故か私を指名するんしちゃうのよ。出来れば店のようせ……ゲフンゲフンを指名して欲しいのですけど、職場と変わらないから嫌だとか
まぁ、売上に貢献して下さるので文句も言えません
で、何かと言うと、その、隊長に対して大量に愚痴って帰るんですよね
中味を聞くと、はぁ、大変なのねとしか言えませんが。では、どんな愚痴か聞きたいですか?
なら、どうぞ。気をつけて下さい、酔っ払いの戯言ですから、真に受けちゃ駄目ですよ?
「だぁぁ、ムカつく〜〜〜あんの糞隊長〜〜〜!!」
ダン!!
ジョッキを荒々しく、テーブルに叩き付けちゃってます
「あぁ〜ら、どうしたの?ミシェルちゃん。今日も荒れてるわねぇ」
「もう、聞いてよマダム〜〜〜!!あんの糞隊長、人に面倒な仕事押し付けて、何やってるか知ってる?」
グビッグビップハァ
ちょっと、100年の恋も醒めちゃう様な呑みっぷりだわねぇ
彼氏居ないのかしらん?
「あらあら、穏やかじゃないわね、どんな仕事?」
「逢い引きよ、あ・い・び・き。私に指揮権ぶん投げて、自分は男の所に、国の金使って日参してるのよ!!」
あらあら、何処迄本当なのかしら?
「あらあら、穏やかじゃないわねぇ」
「でしょでしょ?あ、串焼き追加」
「毎度あり。で、どんな男なの?」
「黒髪の黄色い肌した、異国の変な男よ」
「あらま、異人さんなの?」
あらあら、彼氏居ないとしたら、悔しいのかしら?
「私は、ちょろっとしか見てないから、解らないんだけどさ、何かあの糞隊長が言うには、スクウェアメイジより強いとかって、もう夢中なのよ。な・に・が『恋なんざしない』よ!?バレバレだってぇの!!」
ダン!!
だから、ジョッキでテーブル叩かないで。一応頑丈に作って有るけど、ちょっと心配になっちゃうわ
「まぁまぁ、落ち着いて。で、具体的には何が変わったの?」
「信じられる?あの馬鹿隊長、何と香水付け始めたのよ!?香水!!」
「香水の何処が悪いのかしら?」
香水位、女性なら付けるんじゃないかしら?
「何言ってんの?オリジナルよ、オ・リ・ジ・ナ・ル。あんな匂い嗅いだ事無いわ」
「…オリジナルは高いわよねぇ」
484大人才人番外編 副長ミシェルのぼやき:2011/02/24(木) 18:50:13 ID:XQQhzWpy
「そうなのよそうなのよ。あんの男なんざ興味有りません!!っで、通してたにも関わらず。何、今の状態?あり得る?絶対に有り得な〜〜〜〜い!!あ、スパークリングワインと揚げ物追加」
「毎度あり。えぇと、でも良い事じゃないの?」
「良い事な………もんかぁ!!あれほど誓ったのに、二人で究明して、誓いを果たそうと、お互いに汚れたのに………こんなの、こんなの〜〜〜〜!!」
「まぁまぁ落ち着いて、ね」
泣き出したミシェルちゃんにハンカチを渡すと涙を拭いたと思ったら、チーンって鼻迄かんじゃった
やだ、洗濯しないと使えないじゃない
「汚れたって、何したの?」
「アイツが容姿使って床仕事してる背後から、私が暗殺」
「アッハッハッハ、またまた冗談上手いわね、ミシェルちゃん」
「そうやって笑ってくれるの、マダムだけよ〜〜!!」
ひっしと抱き締められちゃった
何時もの事だけど、酔っ払いにも困ったモノね
「で、その隊長は今はどうなってるの?」
「以前より仕事がキレてるわ。私なんかが半日位かかる書類仕事を、帰って来てからたった30分で仕上げるのよ?信じられる?前から出来てたから、アイツを隊長にして私は副長で行こうって決めてたけど、最近半端無いわ。口っ惜しい〜〜〜〜!!」
「あらあら、恋する乙女のテンションは、仕事にダイレクトなのね」
「アイツは乙女じゃなあぁぁぁぁい!!あ、ありがと」
スパークリングワインをジョッキで貰って、グビグビやっちゃってるわ
「しかもね、その後に全部指示出してから退城すんのよ。何アイツ?ちっとも淀み無いなんて、信じられないわ」
グビグビ、プハァ
いやんもう酒臭い
何とかならないかしら?
「ん〜と、ミシェルちゃんは兵隊でしょ?肝心の腕の方はどうなの?」
「……私に恥を言えと?まぁ良いわ。この前逢い引きに行く前に久し振りに剣を合わせたんだけど、たった一合で叩き落とされたわ。その後、何て言ったと思う?」
「さぁ?」
「『才人相手とは違うな。楽すぎる』だって。私とアイツの剣技は、そんなに差は付いて無かった筈だぁ!!」
あらやだ。またグシグシと泣き始めちゃった
「まぁまぁ、なら、ミシェルちゃんも一緒に稽古したら?」
「私、男嫌い。女のコがイイ」
485大人才人番外編 副長ミシェルのぼやき0-3:2011/02/24(木) 18:54:56 ID:XQQhzWpy
ちょっと、どん引きだわ。まさかこの娘、そっちの趣味なの?
「えっと、彼氏は欲しくないの?」
「欲しい……けど欲しくない。ジェラールみたいな男なんか、お断りだ」
「あぁ、グラモンの隊長さんじゃ、仕方ないんじゃない?」
「あんの、糞蝿。ウチの可愛い娘ちゃん達を毒牙に掛けようと、四六時中狙ってんのよ?何発銃弾ぶち込んだと思ってんのよ?」
「さぁ?何発位?」
「軽く100発はぶち込んでるわね」
「アッハッハッハ。そんなにやられたら、幾らメイジでも駄目でしょ?」
「グラモンの連中は、銃士隊の集中砲火食らっても平気な化物よ?」
まさかぁ、幾ら何でも無理有るわよねぇ?
「そうそう、ウチの馬鹿隊長の話に戻るんだけどさ、あの馬鹿隊長、虚無の曜日にランジェリーショップに付き合わされるのよ」
「あらあら、それって」
「勝負下着よ勝負下着!!もう、見るからにエロエロの選んで、こんなのどうだって聞いてくんのよ?やってらんないわ」
ケッて、やさぐれるミシェルちゃん
「もしかして……」
「気付いた?毎日備えてんのよ!!で、帰って来た時に溜め息付くののよ?そして小さく言ってんのよ?何て言ってると思う?」
「…さぁ」
「『今日も……駄目だった』……ですって。何それ何それ?ふざけんじゃ無いわよね。全部筒抜けだコンチキショー。聞こえない振りしてんだ!!」
バリバリ揚げ物を噛じるミシェルちゃん
あぁあぁ、どうしようも無いわ
「でねでね、アイツってば、シュヴァリエになったでしょ?殿下直々に、貴族の子女限定の処置を受けたんですって」
「そんなの有るの?」
「有るらしいのよ。どんなのか聞いたらさ、日々の手入れの手間が省けるだけだとか何とか」
「結構便利じゃないかしら?」
「そうよね、無駄毛処理とか面倒じゃん。本当女って面倒よね。男なんざ毛ボーボーじゃん」
まぁ、確かに女のコから見たらそう見えるわよねぇ
「髭を整えるのは大変よ?綺麗に伸ばすのも難しいみたいね」
「あ、そうなんだ。髪型を維持するのと同じで大変なのね」
あらあら、一応納得したみたい
「でねでね、あんの糞隊長。部屋が隣なんだけどさ、最近夜中に五月蝿いのよ」
「あら、どうしたの?」
「いや、どうも、一人でしちゃってるのよね。才人っ才人って、男の名前呼ぶのが聞こえて来ちゃうのよ?」
「あらあらまぁまぁ」
「馬鹿隊長〜〜〜〜!!アンタのオナニー筒抜けだぁ〜〜〜〜〜!!」
486大人才人番外編 副長ミシェルのぼやき0-4:2011/02/24(木) 18:56:26 ID:XQQhzWpy
ちょっと、大声出さないでよ
皆、こっち見て笑ってるじゃない
「まぁまぁミシェルちゃん、落ち着いて、ね?一杯奢るわ」
パチン
私が指を鳴らすと、妖精さんがジョッキを持って来てくれて、空のジョッキと交換すると、がばりと掴んでゴックンゴックン飲んでる
水も用意しないと駄目ねぇ
パチン
水を持って来て、隣に置きましょ
それもゴキュゴキュ飲んでるわ
「ミシェルちゃん。そろそろ限界でしょ?」
「やら、まら飲む〜〜〜」
ガチャ
「すいません、ウチの副長来てませんか?」
「あらあら、妖精さん達いらっしゃい」
「あ、やっぱり居た。行きますよ、ほら。ウチラの寮には、門限が有るんですから」
「うぃ〜〜おまえらも飲め〜〜〜奢ってやるろ〜〜〜」
「はいはい、解りました。今度にしましょ、今度に。今帰らないと閉まっちゃいますよ?私達は竜騎士で出迎えしてくれる訳じゃないんですよ?」
「ジェラールれも連れれ来い。奴らら喜んで奢ってくれるお」
「その後前後不覚のまんま、頂かれちゃいますけど、良いんですか?」
「やら、もっろやさひいおとろがいい」
「なら、行きますよ。すいません、お代は?」
「きちんと最初に受け取ってるわ。ミシェルちゃんは律義なのよ。足りなかったら付けるし、余ったら返してるから、安心して」
「はい、解りました。失礼します」
ぺこりと会釈して、妖精さん達がミシェルちゃんを両肩で支えて、出て行きました
「……一番苦労してるのは、あの娘達じゃないかしら?」
私はそう思ったんだけど、どうかしらね?
皆はどう思う?

*  *  *
487大人才人:2011/02/24(木) 19:12:31 ID:XQQhzWpy
投下終了なのね〜
思ったより短かったのねきゅい
多分……続かないのね、きゅい

では大人才人タクティクスなのね〜
今回はまだ未登場のカトレアなのね
「あらあらまあまあ、私を出すのですか?照れてしまいますわ」
「酒場で供されてるスパークリングワインは、ワインを炭酸水で割ったもので、炭酸水は私のフォンティーヌ領の特産品になります」
「お父様ったら、私の事心配して下さってるので、特産品が産出する領地を私に与えて下さってるんです」
「それでも、ヴァリエールからすれば、大したモノじゃないんですよ」
「日本に於いては、炭酸水は圧縮した二酸化炭素を水に溶かして製造するのが一般的ですが、実は自然産出する事もある品物なんです。火山等の造山地帯を中心に、ちょっと離れた場所から産出されるらしいです」
「ですから、あんまり驚かないで下さいね」

有り難うなのね〜
たまには、いんたぁみっしょんを挟みたくなった大いなる意思なのね

では、次の更新迄さよならなのね
きゅいきゅい
488名無しさん@ピンキー:2011/02/24(木) 20:38:10 ID:K9fVpZr8

作中に登場してるのはスプリッツァーか

上司が色ボケするのは、部下には痛いよな、確かにw
489名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 00:04:20.60 ID:DgllsEU0
>>487
GJでした
個人的にはこの副隊長さんのも続けてほしいw
490名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 21:23:19.97 ID:xsqCtAMr
こくまろ
491大人才人:2011/02/27(日) 21:52:49.80 ID:8A/pVeu8
イルククゥでシルフィードなのね〜

では今回も頑張って更新するのね
きゅいきゅい

では、注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・謀略、本当の少女
・10レス前後、30分以上開いたら用事落ち

では、反映次第投下開始なのね〜
492大人才人 カタチ有る悪夢1-1:2011/02/27(日) 21:54:14.36 ID:8A/pVeu8
カタチ有る悪夢
深夜のトリステイン西部の海岸に複数の竜騎士が舞い降り、背中から複数の人物が降り立つと、そのまま移動を開始する
既に馬と馬車は用意されており、当人達が乗るだけだ
次のアルビオン大陸最接近日前に、タイミングを見て行動するために、竜騎士を用いている
アルビオン竜騎士は見習い時点から、常時訓練で夜間飛行と海水の大陸への運搬を行い、塩の供給を行っている為、お手のモノである
降りた人物達は一言も話さず、一糸乱れぬ行動で去って行った

*  *  *
「シェフィールド嬢」
「何でしょうか?サークロムウェル」
「私のお友達は、無事に降下出来ましたか?」
「勿論です。アルビオン竜騎士の技量なら、何の問題も無く夜間着陸に成功しました。ですが、良かったのでしょうか?」
「何がだね?」
「エルフの事です」
書類に目を通しながら、クロムウェルは応じる
「君なら解るだろう、シェフィールド嬢。情報が手に入らないのであれば、戦力として使う以外、無いではないか」
「確かにその通りですが、護衛としても優秀でしたでしょうに」
「今は、戦力の出し惜しみをする時ではない。何せ、女王の誘拐だ。個人単位で、最強の戦力を向けるべきだ」
そう言いながら、書類にサインをする
ロイヤルソブリン級新造艦艇の承認書である
流石に費用が掛かる為、会議でも中々ゴーサインが出なかったのだが、今回の艦隊壊滅で、失った艦の補充の必要が出来た為、ようやく承認されたのだ
通常型戦列艦では、トリステインに対抗が難しいと、結論が出た為である
最初から、長口径砲搭載の改修型である
「再編が済む迄の、謀略の一手に過ぎん」
「ふん、随分言う様になったものね。酒場で飲んだくれてたアンタからすると、別人じゃない。立場が今のアンタを作ったのかしら?」
平素の言葉遣いでシェフィールドは応じ、クロムウェルは特に感慨も感じずに応じる
「余の夢を叶えてくれたのはシェフィールド嬢だが、夢をこの手で掴み取る努力位、只の平民出身の司教風情でも、怠る積もりは無い」
「ま、勉強だけは出来てたみたいだから、政治も似た様な感じで、勉強したって訳ね」
「言いたい事は其だけかね?」
「えぇ、まぁ精々頑張りなさいな」
「無論だ。先ずは虚無の血統と王家の血を一つ手に入れる。アルビオンでもトリステインでも、どちらでも、だ。其で、シェフィールド嬢の後ろの人物と互して見せよう」
493大人才人 カタチ有る悪夢1-2:2011/02/27(日) 21:55:48.17 ID:8A/pVeu8
「我が主も、聞いたら喜ぶでしょう。新しい玩具がやっと噛み付いて来たと」
「……悪趣味め」
「机の下の女を退かしてから言うのね。この俗物。今回なんか、10歳位の子供じゃない。このペド親父」
二人して相手を嘲笑う
その笑みはどちらもどちらを取って喰らう、蛇が互いの尻尾を飲み込む様に、非常に似通っていた
シェフィールドが退室すると、少女を引っ張り出し、腰を打ち付ける
パンパンパン
少女は子供の敏感な感覚でアンドリバリの指輪で快楽を植え付けられ、既に涎を垂らしながら為すがままだ
獣の如く、唸り声しか出ない
「クククク、まだまだだ。聖地とハルケギニアを手に入れる路はまだまだ此からだ。そして、エルフもこうやって、組敷いて犯してやる。クククク、アハハハハハ」

*  *  *
「…と、言う訳なのです」
ノイズが少し混ざるが、明晰に反応が返って来る
「ほぅ、そうか。流石、我がミューズ。そのまま行うが良い」
「はい、ですが、最近の奴の女遊びは度が過ぎます。今回なんか、10歳位の子供ですよ?」
「其がどうかしたか?余もやるぞ?」
「主様?」
「欲求不満が溜っておる様だな。任務が終わった後、暫く余の寝室に寝所を定めたくば、捨て置け」
「は、はい!!喜んで」
ブツッ
ノイズが入り、通信が切れる
シェフィールドは欲求の溜め息をつく
「勿論でございます、主様。私は貴方様の、忠実なる使い魔でございます」

*  *  *
「ふぅ、飲み過ぎました」
アンリエッタは寝室で一人、手酌でワインを飲んでいる
政治は上手く行かない事だらけ、誰も彼もが好き勝手に動き、結果国の要らぬ混乱を招く様を呈する
あの、黒髪の使い魔にしてもそうだ
あれだけの能力、識見が有るにも関わらず、異邦人だからと明確に関与を否定した
だが、仲良くなったアニエスは、明らかに才人の肩を持っている
全てを報告する様にと命令を下しているのだが、どうも報告内容が薄いと言うか、抜け落ちな感じがする
特に決闘を見た後では、強く感じる様になった
アニエスは、才人が求婚すれば、二つ返事でウィと言うだろう。そのまま、銃士も辞める事も想像出来る
アニエス自体有能だ。餌を仕掛けた釣りで、餌だけかすめ取られた感じである
「アニエスの件は、策士、策に溺れると言った感じでしょうか?まさか、トリステインよりサイト殿を優先する様になるとは。アニエスも女だったのですね」
494大人才人 カタチ有る悪夢1-3:2011/02/27(日) 22:00:13.41 ID:8A/pVeu8
だが、肝心の才人がトリステインに振り向いてくれないのだ
なまじ頭が切れるせいで、何が出来るか予想出来る為、回避する傾向が高いのだろう
ハルケギニアに、足跡を残したくないのかも知れないと、アンリエッタは思い始めている
ああいう人材こそ、政策に必要なのに、マザリーニも頭を抱えてしまった
「あの御仁は、我等とは違う論理で動いております。我々の名誉や金など、本当に必要無いのでしょう。説得には、一番難儀なお方ですな」
「ですが、あのカガクは、更に上の事が出来ると、言ってるのですよ?」
「やはり、女以外では無理ですかな?」
アンリエッタは少し考えてから答える
「女でも難しいです。アニエスは篭落されてしまいました。次の一手だと、私の寝所位ですか?私も篭落されそうですが‥‥」
「…陛下、自身を使う事はお止め下され」
「あの方ならば、大切に扱って下さると思えるのですが。どうせ、政略結婚しか出来ぬ身です。せめて、初体験は優しい方に捧げたいですわ」
「陛下。本気で考えておるのですか?陛下は純潔を守らねば、実際の結婚が出来ぬのですよ?」
マザリーニが苦言を呈すると、アンリエッタはにこりと微笑み
「あら、ならば問題有りませんわね。そのまま王配になって頂きましょう」
「…陛下、幾ら何でも、要らぬ反感を買う行動を行いなさるな」
「では聞きますが、私に癒しを与えて下さる殿方が、他におられて?」
「まぁ、おりますまい。野心高き者や凡庸、愚鈍な男なら、数はおります。だが、あの御仁は、優し過ぎる。其でいて、理知を持ち冷徹だ。どうやれば、只の平民で彼処迄の男になるやら」
自分達には未知の科学、更に男性としての魅力、常に驕らず知を求め、鍛錬を重ねる姿勢、そして今回立てた武勲に、盗賊捕縛の手腕にヒュドラ退治の実績
彼が何気なく動くだけで、更に他のメイジにすら、真似出来ぬ勲功を重ねるだろう
貴族で有れば、どれだけの縁談が舞い込むか解ったモノではない
事実、気付いた女子学生やメイドには、将来を一方的に誓う発言迄出始めてると、アニエスからの報告が届いている
マザリーニとの回想を止め、一人ごちる
「まだ、三年前のが良かった。自分自身の恋だけ追ってれば良かったのに‥‥ウェールズ様‥‥う、う、うぅぅぅぅ」
形見の風のルビーをはめた手を愛おしく胸に抱き締め、泣く
495大人才人 カタチ有る悪夢1-4:2011/02/27(日) 22:03:43.12 ID:8A/pVeu8
表面上は立ち直った様に振る舞ってはいるが、一人になると思い出し、毎日泣いている
「私には、王位なんか重すぎます‥‥誰か‥‥私を‥‥それすら‥‥望め無いの?」
17歳の少女の苦悩を受け止めてくれる者は、王宮には居ない
母たるマリアンヌも、敢えて接触してこない。王位の苦労を押し付けた負い目かも知れない
一人の少女として接してくれたのは、亡きウェールズと、倒れた時に遊んでくれた、黒髪の使い魔だけである
他の者は全員、王族として一歩離れて接している
友人として、一番近いルイズですら、王位の重圧の苦悩は理解出来ないだろう
アンリエッタは、王宮と云う立派な鳥籠の中で、孤独だった
「ルイズが‥‥羨ましい」
アンリエッタの使い魔は、召喚に成功はしたのだが、短命種だった為、既に亡くなっている
召喚に成功した時は、はしゃいでルイズやウェールズに、手紙を書きまくったものだ
だからこそ、亡くした時のショックが酷くて、再度の召喚をする気が失せている
そのアンリエッタには無い、人の使い魔
優しく包み込んでくれる大人の男
何をやっても受け止め、全開で甘えても感情をぶつけても、肩をすくめ、微笑んで受け止めてくれる、自分だけの使い魔
間違った事をすれば、叱ってくれる良き導き手
そして、アンリエッタから見たルイズは、魔法が使えなくても前を見、何時も毅然としていたと記憶している
今のアンリエッタが欲しいモノ全てを備えた、唯一の親友
羨望と同時に嫉妬と、更に黒い感情が湧いて来るのを、首を振って誤魔化し、酒を流し込んで忘れようとする
何時しか、酒と涙の中で眠りにつくのが、アンリエッタの毎日だった

*  *  *
ルイズは起きた時、才人が居ない事に酷く落胆する
才人の居ないベッドは、なんて広くて寒々しい
嫌、実際に寒いのだ。初夏とはいえ、朝晩は冷える
才人の体温は高く、ルイズは安心感を得る
今はその、天然の暖房器具兼発情相手兼元気発生装置が無い
「良く………眠れなかった」
キョロキョロと辺りを見回し、溜め息をつく
才人が居ないと眠りが非常に浅い。喧嘩してた時に確信してたのだが、更に深めるハメになってしまった
「才人が来る前に戻っただけなのに……なんで?」
あの匂いと温もりが欲しい
早くキュルケの部屋から帰って来ないかとウズウズするが、自身の黒髪を見て一息つく
「……黒髪抜ける迄、駄目なんだっけ……朝食も会えないな……放課後迄我慢よね、サイト」
496大人才人 カタチ有る悪夢1-5:2011/02/27(日) 22:07:14.40 ID:8A/pVeu8
才人は居なくても、前日の分で水はまだある
準備をして朝食に出掛けた

*  *  *
サイトはキュルケの部屋から出ると、厨房で朝食を食べ、厩舎から馬を出し、馬に慣れる為、並足でかっぽかっぽ広場を回る
暫くすると、アニエスが竜騎士に乗って降りて来る
ザッ
「おはよう才人。今日は早いんだな」
「おはよう、アニエスさんと竜騎士殿。竜騎士殿は昨日と違う人みたいだけど?」
「初めまして、無冠の騎士殿。僕はルネ=フォンク。今回の補充で、早期登用された竜騎士の一人だよ」
少々太めの少年騎士が降りて来て、才人に挨拶を交わすと、才人は下馬し、ルネと握手を交わす
「俺は才人だ。宜しく、フォンク殿。無冠の騎士は止めてくれ」
「だって、此方に飛んで来る時に、シュヴァリエが才人に礼を欠いたら手討ちにしてくれるって、剣を後ろから喉元に当ててさ、マジで生きた心地しなかったよ」
思い出したのだろう、身震いするルネ
才人は聞いてアニエスに振り向く
「やり過ぎ」
「ふん」
アニエスはそっぽを向いている
「前の竜騎士はどうしたんだ?」
「逃げ出したんだと思うよ。配置転換願いが、受理されたんだと思う」
「……って事は」
「多分僕にやったみたいに、やったんだろうねぇ」
二人してアニエスを見、どちらともなく笑い始めた
「アハハハハハ、良し、賭けるか。フォンク殿が何日持つか、3日でどうだ?」
「ルネで良い、じゃ僕4日」
497大人才人 カタチ有る悪夢1-6:2011/02/27(日) 22:09:20.40 ID:8A/pVeu8
「負けた方は酒代奢りな」
「乗った。巻き上げてあげるよ、才人」
二人して腹を抱えて笑い続けると、アニエスが真剣で斬り掛り、才人が村雨で受け止める
キィン!!
「笑い過ぎだ二人共。新人、貴様の鍛錬もついでにやれと辞令が来ている」
「ちょっと、それ本当に?」
ルネが思わず問い返し、アニエスは書類を見せ、ルネは青くなる
「新人、貴様に休む暇は無い。いっちょ揉んでやる。そこの木剣を取れ、私と才人の両方の相手だ。言っておくが、才人の二刀は私なんかより変幻自在だぞ?才人、新型だ。受け取れ」
ひょいと新型の水剣を才人に放り、才人は受け取る
「何だいこれ?」
「肉体に触れた場合、打撃力に応じ、痺れを与える様にした改良型だ。あくまでマジックアイテムだからな。どうだ?」
才人は試しに素振りをして確かめる
「ん、大丈夫。何でだ?」
「致命傷与える事が出来ないからだろう。確認出来たから、旧型は回収するぞ」
「了解。しかし、上手く作るもんだな」
才人は感心する
「此で私も、お前の攻撃が怖くなった訳だ。やっと、フェアに出来るな」
アニエスは嬉しそうに言う
「そうなん?」
「貴様の素の実力を知りたいんだよ。あんなの見せられたからな」
「そういうもんかねぇ?」
才人は首を傾げてると、ルネが口を挟む
「あの」
「命令だ、返事は?」
「ウィ、隊長殿」
反論すら許されず、姿勢を正し、敬礼を返すルネ
そして、ルネは開始5分も経たずに気絶するハメになった

ガッ、ガガッ
才人がアニエスと剣劇を繰り返す
アニエスの額には戦慄の汗、才人は汗を流しながらも涼しい顔
「全く、お前はいつの間に・・・」
「師匠のお陰っしょ」
アニエスは木剣を両手で構え、才人は水剣を両手で十字に構え、ギリギリと鍔競りあう
才人が力をわざと抜き、均衡を崩したアニエスがガクンと才人に寄ると、才人が脚を跳ね上げ、アニエスの手を蹴り飛ばし、アニエスが両手を跳ね上げられ、木剣を飛ばすと、そのまま水剣を小手に叩き込む
ビシッ!!
「あぅっ!?」
アニエスが痺れた手を抱え、崩れ落ちる
「大丈夫?アニエスさん」
才人が慌てて近寄り、水剣を放り出しアニエスを抱える
「くっ、やはり男には敵わないか……悔しいな」
アニエスの顔には、自らの限界を知った悲痛の表情が浮かんでいる
「アニエスさん…」
「だが、越えたのがお前で良かった」
アニエスの顔には納得の表情が浮かんでいる
「で、アニエスさんの分析は?」
498大人才人 カタチ有る悪夢1-7:2011/02/27(日) 22:13:00.88 ID:8A/pVeu8
「そうだな、力,体力,瞬発力はお前の方が上だ。斬撃や体捌きで一々上をいかれる。だから、私が余計に体力を消耗するんだ。今みたいに、わざと鍔競り合われたりすると、完全に翻弄される」
「おまけに、斬撃が片手でも重い。正直受け止めるだけで態勢が崩される。しかも二刀だ。受けたと思ったら逆から斬撃が来る。正直、間合いに入りたくない」
「成程ね。剣技はもう良いかい?」
アニエスは眼を閉じ
「あぁ、此からは、私が学ぶ番だな」
「お手柔らかに」
「さてと」
アニエスは才人の腕の中で感触を楽しむのを止め、すっくと立ち上がり、ツカツカ歩くと、ズシンと死体を踏み付けた
「グヘッ!?」
「何時まで寝ている?貴様の稽古再開だ」
「ウ、ウィ」
ルネはガバリと立ち上がり、頭を振りながら、木剣を構える
「才人、一刀で揉んでやれ」
「あいよ。いくぞ〜ルネ。よいさぁ!!」
ブン
敢えて大振りで両手で上段から振り下ろし、ルネが受けやすい様にする
ガッ
ルネは両手で才人の斬撃を肩口辺りで受け止め、膂力で押し込められる
触れればビリビリ来るので、必死だ
「ウググググ、お、重いぃぃ〜〜」
才人は受け止めさせたまま、スッと引くと突きを放つ
パシャッ
「ギャン!?」
またルネはひっくり返ってしまった
「ん〜、やっぱり貴族は体力と反射神経が低いなぁ。衛士隊が半端無いんだな」
「衛士隊は、定時訓練も半端無いぞ?特にお前の訓練見てから、更に力が入ってる」
「…何か、余計な事してる気がする」
「まぁ喜べ。にしても、新人はまだまだ訓練が必要だな」
アニエスがツカツカ寄り、今度は用意してあった水をぶっかける
「ブハッ!?」
「頭は冷えたか?竜騎士なら騎乗が本領だろう?水剣持って騎馬で馬上試合だ。才人は騎馬は弱いから安心しろ」
「は、はい!!やっと……騎兵らしく出来る」
だが、チャージの最初の一合で、ランス形状にした水剣を払い様首筋に叩き込まれ、またひっくり返されるルネ
「何やってんだ、新人!!チャージで負けてどうする!!」
「す、すいません!!」
「トリステイン騎兵はチャージ出来ないと意味無いぞ?貴様の前任アベル=ガイドは、タルブ戦で陛下の前で立派なチャージを決めてみせた。後任の貴様も出来る様になれ!!」
「は、はいっ!!」
先輩竜騎士が出来た事が出来ないのは、後輩竜騎士の恥
ルネにもイッパシの貴族としての誇りと、竜騎士としての自負がある
才人に向かって真剣な眼を向ける
499大人才人 カタチ有る悪夢1-8:2011/02/27(日) 22:13:43.52 ID:8A/pVeu8
「悪いけど、騎乗で僕が負ける訳にはいかないんだ。叩き伏せさせて貰うよ、才人」
「おっし、頼むわ」
ダカラッダカラッ
お互い馬を走らせ槍が交叉し、騎士が馬上でひっくり返る
今度は才人だった

*  *  *
ルイズが朝、教室に顔を出すと、黒髪に皆が驚くが、魔法の染料で遊びで染めたと告白した為、特に騒ぎにはならなかった
セーラー服を着ていたのだが、やはり初日と違って、威力が下がっている
特に、タバサと被ってしまってるのが、非常に痛い
タバサも才人から貰ったセーラー服を纏っている
どうやら、相当お気に召したらしい
そんな中、キュルケが何時もの格好で、ギクシャクしながら入って来る
才人の精の匂いに人一倍敏感なモンモランシーがピクリと反応し、無言でキュルケの手を引っ張り、教室外に連れ出す
「ちょっとキュルケ、どういう事よ?」
「やっぱり、モンモランシーにはバレちゃうかぁ。結構香水で誤魔化したんだけどなぁ」
悪びれもせず、キュルケは答える
「だから、どうして?」
「ルイズの髪見たでしょ?」
「えぇ」
「あれのせいで、ダーリン思い切り落ち込んだの。捕まえてなかったら、学院飛び出してたわ」
「…本当に?」
「本当よ。だから私が慰めようとして、逆に虜になっちゃった」
モンモランシーはこめかみを押さえ、眉間にしわを寄せる
「ふぅ、何で私に振らないのよ?」
「ごめん、チャンスと思った」
「で、どうだった?」
「最っ高。モンモランシーが、首ったけになった理由が解っちゃった」
「あんたもか」
がくりと肩を落とすモンモランシー
「まぁ、私はガチで取り合いする積もりは無いわよ。でも、私にも回してね」
キュルケはウィンクをし、モンモランシーは溜め息で応じる
「解ったわよ。でも、今度の虚無の曜日は私に回してよ。冗談抜きで、我慢出来ないのよ」
「はいはい。でも、才人が他に約束してたらどうするの?才人って、虚無の曜日は私達が趣味に誘う為に、大抵連れ回してるじゃない?タバサは、才人だけは読書中でも部屋に入れるし。ルイズも乗馬訓練と称して、才人を独り占めする気満々よ?」
「才人には会ってから聞くわ。だからお願いね」
「はいはい」
両手を広げて肩をすくめ、キュルケは教室に戻り、モンモランシーが後に続く
教師が教室に入り授業が始まった

*  *  *
500大人才人 カタチ有る悪夢1-9:2011/02/27(日) 22:16:17.65 ID:8A/pVeu8
昼過ぎにアニエスと才人がベンチに座ってると、シエスタがやって来た
ルネは馬上試合で才人に余裕で勝ち越したのだが、休憩無しでぶっ続けた為、昼飯を食った後、バタリと倒れた
アニエスは、そのまま医務室にルネを才人を使って放り込み、邪魔者が消えたと内心喜び、気絶させたままにしている
もう一つの理由は、スタミナ切れで動かすと、帰りの足に竜騎士が使えなくなるせいもある
馬で帰るのは、才人との稽古後はアニエスでさえ、ご免被るのである
「あら、才人さんにシュヴァリエ、長い休憩ですね」
「そうでも無いぞ?才人が使い魔の飯作った後、新人とずっと稽古して、今しがた昼にした所だ」
「今日は才人さん、ミスヴァリエールの傍に行かないんですか?」
「あぁ、ちょっとな」
「そうですか」
そう言うと、シエスタは才人の左隣に座る
アニエスは、才人の右隣だ
アニエスのこめかみが一瞬だけピクリとしたのをシエスタは見逃さない
だが、シエスタは構わずに才人に話かける
勿論、しっかり密着しながらだ
「才人さん。プレゼントです!!」
「ん?何?」
「じゃあ〜ん」
シエスタが両手に出したのは、長い長い手編みのマフラーだ
「へぇ、シエスタ器用だねぇ」
「才人さんには負けちゃいます。ちょっと、巻いてみて下さい」
才人が受け取り、マフラーを首に巻く
アニエスはこめかみがぴくぴくしてるが、才人は気付かず、シエスタはちらりと視線を流し、アニエスだけに解る様に、ふっと表情を変える
「へぇ、こりゃ暖かいや。空の上は寒いからなぁ、助かるよ。シエスタ、有り難う」
「そんな……妻として当然の行為です」
頬をぽっと染めて、はにかむシエスタ
ギリ
奥歯をかしめる音が聞こえた様な気がするが、才人はマフラーの長さに気を取られ、無視する
「シエスタ、このマフラー長くないか?」
「そんな事無いですよ。これはこうするんです!!」
余った分を自身に巻き、そのまま才人にもたれかかる
「どうですか?」
「あぁ、成程ねぇ………ウ、ウグッ」
ギリギリとマフラーが絞め上げられ、血管が絞まり、才人が落ちる
「ちょっと、シュヴァリエ!!何するんですか!!」
「あ、いやぁ、つい」
501大人才人 カタチ有る悪夢1-10:2011/02/27(日) 22:17:00.88 ID:8A/pVeu8
アニエスは悪びれない
「ついで、才人さんを落とさないで下さい!!」
「……私は、不器用だからな」
「私は、才人さんに押し倒して貰った事なんか無いです!!」
アニエスは眼を見張る
「……知ってたのか?」
「貴族の皆様の行為の目撃なんて、私達メイドは日常茶飯事です。口が堅くなきゃ、メイドは出来ません」
「…悪かった」
シエスタはふぅと溜め息をつき、告白する
「私では、才人さんの背中は守れないんです」
「お互い、無いものねだりだな」
「ですね」
ぷっと二人は吹き出した

*  *  *
キュルケは授業の合間に、熱心に編み物をしてるルイズに近寄る
「あぁら、ルイズ。何やってるの?」
何時もより、キュルケの香水がキツイ
ルイズは露骨に顔をしかめる
「移るから近寄らないでよ。今日は香水キツ過ぎよ?」
「ちょっと、失敗しちゃったのよ。ご免して」
ルイズは黒髪を揺らしながら、一度編み物を机に置き、キュルケを睨む
「其より、ツェルプストー。あんた、昨日何も無かったでしょうね?」
「何が?」
「何がって、その、あの」
「きちんと聞いてくれないと、解らないわぁ。おーほほほほ!?」
手を口に添え、敢えて高笑いするキュルケ
明らかに遊んでいる
「ななな何がって、そそそその、ああああたしの使い魔と、ええええ」
ガチン
舌を噛むルイズ
「いひゃい」
「何、やってんのよ?ちょっと、編み物見せて………これ、前衛芸術?」
キュルケの眼には、編み物の様なモノが映っている
傍で、成り行きを見守っていたクラスメイトも、クスクス笑っている
どう見ても、オブジェにしか見えないのだ
モンモランシーが見て、呆れて口を挟む
「ねぇ、もしかして、才人にプレゼント?」
「ち、違うもん。使い魔には関係無いもん」
「そういう事にしてあげるわ。一々面倒いし。でも、努力は買うけど、使い物にならないわよ?それ」
「だ、大丈夫だもん。犬なら着てくれるもん」
「語るに落ちたわねぇ、ヴァリエール」
キュルケがからかい、墓穴を掘ったルイズが赤面する
ぷっ、くすくすくす
「わ、悪いよ。本人一生懸命なんだから」
必死に笑いを噛み殺そうと努力をし、失敗するクラスメイト達
そんなクラスメイト達に、水がぶちまけられる
バシャア
「うわっ!?」
「きゃあっ!?」
杖を振るった犯人を皆が睨むが、逆に睨み返される
「理由は解るでしょ?少なくとも、私は笑えないわね」
モンモランシーが言い
502大人才人 カタチ有る悪夢1-11:2011/02/27(日) 22:20:19.92 ID:8A/pVeu8
皆も引き下がる
少なくとも、真剣にやってる人間を茶化すのは良くない。しかも、後ろに居るのは、絶対に怒らせてはいけない使い魔だ
男子生徒は容赦無く吊され、女子生徒でも公衆の面前でお尻ぺんぺん位は、平気でするだろう
更に魔法衛士隊のド=ゼッザール隊長に決闘で勝利した様を、ギーシュが興奮冷めやらぬ体で、散々に吹聴してしまった
彼の前では、メイジと言えど、学生風情じゃ太刀打ち出来ないのだ
恥に、更に上塗りをされかねない
ルイズは居なくても、自身を守る絶対の守護者の存在を、こうやって実感する
以前なら、この後は馬鹿にされっぱなしだった
「ねぇ、ルイズ」
「何よ?礼なら言わないわよ?」
「別に要らないわよ。でもさ、才人にプレゼントしたいなら、もっとしっかりしたの、プレゼントしたいと思わない?」
「サイトの好みなんて知らないもん」
「そうじゃないわよ。才人は手作りでも喜ぶわよ。でもね、実際に着て貰いたいって、思わない?」
「やっぱり……着れないかな……」
ルイズはしゅんとする
「幾らダーリンでも、ちょおっと無理有るわねぇ」
キュルケが穏やかに否定する。やはり、現実は現実である
才人なら、多分穴を無理矢理開けて着るかもしれない
でも、サイズが合わないオブジェに首を絞められる様を、ありありとキュルケは思い浮かべる
「ほら、顔を上げてルイズ。私もお母様に、編み物や裁縫は、一通り仕込まれてるのよ。自分の赤ちゃんに、手編みを作るのは、淑女のたしなみだって。私がチェック入れるから、最初からやりましょ?」
「教えて……くれるの?」
ルイズは顔を上げ、モンモランシーを見る
「シエスタには、教わりたく無いんでしょ?あんたの気持ち、痛い位解っちゃうのよね。いやぁね、全く。ほら、毛糸なら何度でも出来るから、一旦解きましょ」
「う、うん。有り難う、モンモランシー」
「礼はきちんと出来上がってから言って欲しいわ。だって、ルイズは多分泣き入るもの」
モンモランシーが編み物の様なモノを受け取り、毛糸を解いていく。ルイズから見ると、するする解いていく
「ほわぁ、凄く簡単に解けるんだ」
「何言ってんのよ?あんたきちんと編み目やって無いでしょ?結ばれちゃってるじゃない。このっこのっ、ふぅ取れた」
するすると解くが、全て解くのに、昼休みを全て使うハメになった

*  *  *
才人が部屋に戻って来たのは、夕食前だった
503大人才人 カタチ有る悪夢1-12:2011/02/27(日) 22:21:35.62 ID:8A/pVeu8
扉の残骸を見て、幾分反省したのだろう
ルイズの顔を見るなり両手を合わせ、謝る
「ただいま。あ〜、ルイズごめん、昨日はどうかしてたわ。扉弁償する?」
「扉の交換費は経費で注文するから要らないって話よ。何で昨日あんな事したの?」
「どうかしてたんだよ」
「…そう(あたしには、まだ喋ってくれないんだ)」
「ルイズ、昨日は言わなかったけど、セーラー似合ってるぞ」
「そ、ありがと」
ルイズはそっけない
昨日あれだけの事が有ったのだから、素直に喜べないのだ
才人も承知している為、特に反応を返さない
「じゃ、飯に行こうか」
「そ〜の〜ま〜え〜に〜」
ゆらりと魔力を立ち上げ、ルイズはギロリと才人を睨み、才人は肩をすくめる
「うへっ」
「ツェルプストーとは、何も無かったでしょうねぇ?」
「具体的には?」
「まさか、ヴァリエールの記録更新をしてないかと聞いてるのよ」
「其なら大丈夫。なって無いよ」
「本当に?」
「本当本当。だって俺、ルイズの恋人でも旦那でも無いしね」
サッと杖を抜いたルイズは、何も言わずに才人にエクスプロージョンをお見舞いし、才人は扉の残骸事、吹き飛ばされた
ドゴン!!
その後、ルイズがズタボロになった才人を食堂迄引きずり、周りは何時もの事と気にせず、二人(?)で夕食を食べ、風呂上がりで部屋で寛いでいると、才人がライディングジャケットを抱え、ごそごそやり始める
ルイズは椅子の背もたれを前にして腰掛け、そんな才人を眺めている
「サイト、何やってるの?」
「あぁ、インナー外して、ベンチレーション開けてる。そろそろ暑いからね、夏仕様だ」
ジー
インナーのファスナーを外し、各部のベンチ部分を開放し、通気性を確保する
ルイズはそれを見て、びっくりする
「服に穴が開くの?」
「元々こういうデザインなのさ」
「誰が作ってるの?」
こんな機能を持った服なぞ見た事が無く、しかもジャケットの前を閉めると才人の逆三角形体型が強調され、ルイズは惚れ惚れするのだが、才人には言ってない
「elFだな」
「エルフ!?」
思わずびくりとして、椅子の背もたれに組んでた腕事、ずり落ちる
「ななななんで、サイトの国にエルフが居るのよ?エルフが、その硬い服を作ったの?」
「elFって名前のメーカーだよ。ハルケギニアのエルフとは関係無いよ……多分」
「多分って、どういう事?」
504大人才人 カタチ有る悪夢1-13:2011/02/27(日) 22:26:26.01 ID:8A/pVeu8
「最近、自信を持って言えないんだわ。あちこちに繋がりが繋がってそうでな。例えば、コイツには気付いたか?」
煤けてて、糸も解れて今まで気付かなかったのだが、腹脇の所に僅かに青白赤のトリコロールが残っている
そう、レコンキスタの旗だ
「レ、レコンキスタぁ!?」
ルイズは指をつきつけ、わなわな震えている
「サ、サイトって、レコンキスタだったの!?」
「嫌、違う。此はこのジャケットを製造したメーカーの本拠地の国の国旗だ。な、びっくりしたろ?」
ルイズはぶんぶん頷く
「だから、何か関係ありそうなんだよな。変な所で繋がり感じるんだわ」
そう言った才人の眼は、違う所を見ている
こういう時、ルイズから見た才人は、とても遠く見える
「じゃあ、サイトは謎を解くの?」
「いや、解らん。繋がりを示す物が多数出るなら、誰も知らないだけで、行き来が比較的容易なのかも知れない。今はまだ推測段階だ。一方通行かも知れないしね」
『行き来が……容易かも!?そしたら、何も気にしなくて良くなるじゃない!!』
「どうして、そう思うの?」
「例えば、ソウイルのバインドルーン。破壊の杖。零戦、そして村雨。更に俺。ルーン自体も、俺の方の世界にも有った気がする。ちょっと、詳しくないけどな」
「ふんふん」
「始祖ブリミルは降臨したんだよな?」
「うん、そう伝えられてるわ」
「つまり、何処からかやって来たって訳だ。なら、始祖ブリミルは、俺の様に俺の世界からやって来たとしたら、どうだ?」
ルイズは才人の顔を真剣に見る
「そっか、降臨したんだから、ハルケギニアとは違う何処かから、来た可能性が高いのよね」
「ま、過去の話だから、幾らでも装飾出来る所が、歴史の浪漫だな」
ルイズはくすりと微笑む
「何だか、過去の話がいきなり面白くなって来ちゃった」
「だろ?」
二人してクスクス笑う
才人はジャケットをハンガーを通し、壁のハンガーかけにかける
才人は、ハンガーをルイズから譲って貰い、日曜大工でハンガーかけを自ら壁に増設している
クローゼットに押し込むのは、当初ルイズが当たり前に反対し、こうなった
ただ、最近は何故かクローゼットに押し込まれてる時が多々あり、しかも、ルイズの香迄使われて、匂い付けされる時が良くある
505大人才人 カタチ有る悪夢1-14:2011/02/27(日) 22:28:05.63 ID:8A/pVeu8
ルイズによる、この男(≠使い魔)は自分のモノだと言う自己主張、マーキングである
才人は貴族のたしなみのせいかと、そこまで考えていない
「さて、寝るか」
「うん」
ルイズはクローゼットからネグリジェを取り出し、才人に渡す
「今日はこれ」
「解った………パンツは?」
「…い」
「い?」
「…要らない」
非常に小さい声でルイズは喋る
『何考えてんだろうねぇ、コイツは?』
才人は何も考えず、ルイズを脱がせ、ネグリジェを着させ、抱っこしてベッドの定位置にふわりと置く
才人からするとルイズは軽い
元の仕事で数十kgの物体を扱う為、全身に筋肉が付いており、稽古で筋力を更に付けてしまった為、女性は本当に軽く扱える
そんな才人にふわりと扱われ、ルイズはぽーっとなる
『あぁ、何でこんなに軽く扱えるのかなぁ。あたし、軽いとは言っても、一応一人分の体重有るのよ?』
才人が下着姿になり、ルイズの隣に来ると、ルイズは定位置から才人に腕枕をして貰い、身体を絡める
才人の動じない姿勢にはもう慣れたが、それでも、やはり心は軋む
『あたしを女のコとして、見て欲しいなぁ。何時まで、使い魔のまんまなのかなぁ』
そんな事を考えつつ、脚を意識的に才人に絡め、ストンと眠りに落ちて行く
そして王宮では事件が起きていた事を、この時点で、二人は知らない

*  *  *
506大人才人:2011/02/27(日) 22:35:34.69 ID:8A/pVeu8
投下終了なのね〜
抜き出しのせいで完全に読み違えたのね
きゅいきゅい
では、大人才人タクティクスなのね

今回は誰にしよう
ギーシュにするのね
「うわ、なんか僕が出るのすんごい久し振りだね」
「じゃあ先ずはエルフってメーカーは、バイク用品のフランスメーカーだよ。最初はラフ&ロードを設定してたんだけど、フランス繋がりでエルフに変更したんだって」
「まぁ、気になる人は調べてみてね。多分才人がどんな格好か理解出来ると思うよ」
「さて、段々きな臭くなって来た本編。僕は活躍の場が有るのかなぁ?」

有り難うなのね〜
では、またの更新迄さよならなのね
きゅい
507名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 22:38:25.46 ID:8A/pVeu8
あ、容量もうない
気付かなかったわorz
508名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 23:25:16.09 ID:QlP7zhjh

アニエス……ミシェルの苦労も知らないで。
509名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 23:35:30.21 ID:E+BU6/Ie
510名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 23:48:34.92 ID:9nUfyAOd
>>509乙なのね
511名無しさん@ピンキー:2011/02/27(日) 23:52:47.76 ID:JyLvEE8o
>>509
苦しゅうない
512名無しさん@ピンキー:2011/02/28(月) 01:52:48.58 ID:xeV8BTf1
元住吉マジ地元www
乙です!
513名無しさん@ピンキー:2011/02/28(月) 17:08:29.03 ID:3w0RtLTi
乙です
アニエスはもう隊長やめてフリーになれ
514名無しさん@ピンキー:2011/02/28(月) 19:31:01.33 ID:cAq/hEJX
いや、フリーになるくらいなら嫁になるんじゃないか?
515埋めねた
シルフィのちっちゃい冒険2
「…良し、新作が出来たのね〜」
とんとん
タバサの部屋で原稿を整理して、にこにこしてるシルフィード
「さてと、感想を誰かに聞かせて貰いたいのね〜」
何故かキュルケのセーラー服とスカートを纏い、寮を出てキョロキョロしながら適当に物色すると、一年女子の一団が通りがかり、シルフィードを興味津々に見ている
「水兵さん……ですか?」
「あ、丁度良いのね。え〜と、けちなろってりあ?」
「ケティ=ラ=ロッタです!!」
「そうそう。お姉様と同じ無い乳とお仲間達。ちょっと、感想聞かせるのね」
「胸が有るからって、馬鹿にしないで下さい!!」
プンプン怒るケティ
「まぁまぁ、良いから見るのね」
原稿をぱさりと渡し、促す
「もう、何なんですか?一体」
ケティは読み進める内に、段々赤面し、読み終わると黄色い悲鳴をあげる
「い、イケマセンわ!イケマセンわ!殿方同士だなんて、不純です!不潔です!汚れてます!………続きはありませんの?」
原稿を友人に渡すと、友人達も読み始め、同じ様に黄色い悲鳴をあげ始める
シルフィードは胸を張り、指を振り子の様にちっちっと振り、力説を始める
「ふ、これだから、下等な人間は困るのね。イルククゥみたいな古代種達にとって、作品とは自分で作りあげるモノなのね。ようこそ、創作の世界へなのね〜」
「…例えばどうしますの?」
ケティが聞くと、鼻息を荒くしたシルフィードが、ぐっと拳を握り掲げながら興奮しながら喋り出す
「妄想をかきたてペンに乗せて、あらん限りの欲望を文章にするのね!!作品とはエロにあり!!なのね!!」
何故か感動した面持ちでシルフィードを見てた一年女子達
ケティががっしとシルフィードの手を掴み、目から大粒の涙を足らして喋り出した
「目から大量の鱗が落ちました!!お姉さま、いえ、師匠と呼ばせて下さい!!」
「そうと決まれば善は急げなのね。さぁ、創作の世界にいざ出発!!なのね!!」
「「「「はい!!師匠!!」」」」

*  *  *
ガチャ
タバサが部屋に帰ると、何故か一年女子が4人とシルフィードが何処からか運んで来た机の上で、皆でかりかり書いている
鬼気迫る姿に開いた瞬間後退り、思わず杖を握り直す
「…何、してるの?」
「あ、お姉様お帰りなさいなのね。皆で創作活動なのね」
聞こえて来る音はペンの走る音と、不気味に呟く声

パタン
扉を閉め、タバサはキュルケの部屋に避難する事にした