【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合41

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@ピンキー
     _      ここは「ゼロの使い魔」「グリーングリーン」に代表される
    〃 ` ヽ    ヤマグチノボル氏の作品のエロパロを書くスレなのよ。
    l lf小从} l  / 荒らし、それに反応する輩はシ……あたしの虚無で一発なんだから!
   ノ=(*゚ヮ゚ノハ /  ご・・・ご主人様が好きならSSを書いてみなさいなのねー!
  ((/} )竜({つ′  あと、次スレは480KBか、970レスを過ぎたら立ててね。
   / '"/_jl〉` j    立てないとお仕置きだかんね!
.  ヽ_/ノヘ.)〜′   分かったら返事するのねーっ!きゅいきゅい!
前スレ
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合40
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266853935/
過去スレ
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合39
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263049943/
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合38
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1244386525/
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合37
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1236733145/
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合36
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230205708/
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合35
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1224087980/

これより古い過去スレ(34スレ以前)については、下記のまとめサイトを参照するといいのね!
まとめサイト ゼロの保管庫wiki
http://zerokan.g.ribbon.to/
2名無しさん@ピンキー:2010/09/23(木) 23:13:32 ID:9rmx73wp
          _人人人人人人人人人人人人人人人_
         >      ごらんの有様だよ!!!  <
           ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
_______  _____  _______    ___  _____  _______
ヽ、     _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、   ノ    | _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ  、  |
  ヽ  r ´           ヽ、ノ     'r ´           ヽ、ノ
   ´/==─-      -─==ヽ   /==─-      -─==ヽ
   /   /   /! i、 iヽ、 ヽ  ヽ / / /,人|  iヽヽ、   ヽ,  、i
  ノ / /   /__,.!/ ヽ|、!__ヽ ヽヽ i ( ! / i ゝ、ヽ、! /_ルヽ、  、 ヽ
/ / /| /(ヒ_]     ヒ_ン i、 Vヽ! ヽ\i (ヒ_]     ヒ_ン ) イヽ、ヽ、_` 、
 ̄/ /iヽ,! '"   ,___,  "' i ヽ|     /ii""  ,___,   "" レ\ ヽ ヽ、
  '´i | |  !    ヽ _ン    ,' |     / 人.   ヽ _ン    | |´/ヽ! ̄
   |/| | ||ヽ、       ,イ|| |    // レヽ、       ,イ| |'V` '
    '"  ''  `ー--一 ´'"  ''   ´    ル` ー--─ ´ レ" |
3名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 19:08:36 ID:jxGBhYRm
神の左手ガンダールヴ
勇猛果敢な神の盾

右手に長槍、左手に大剣持ちて、導きし>>1乙を守りけり
4名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 09:04:04 ID:DnGr3Djs
おはよう>>1たんの乙
5名無しさん@ピンキー:2010/09/25(土) 15:11:18 ID:I/lHNAGb
アホ竜乙
6名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 00:07:39 ID:fYauwxY/
>>1

褒美にマリコヌルを食する権利を(ry
7大人才人:2010/09/26(日) 22:59:52 ID:WZPLOkyF
イルククゥでシルフィードなのね〜
大いなる意思は、本日体調不良でゼリー飲料すら受け付けて無い位、消耗してるのね〜
リバースはキツイのねきゅい
其でも楽しみにしてる方が居るから更新更新なのね、きゅいきゅい
では注意事項なのね
・才人年齢上昇
・シエスタのターン
・8レス前後
・一話が長いので分割
では、反映次第投下開始なのね〜きゅい
8大人才人 シエスタの日記3-1:2010/09/26(日) 23:02:51 ID:WZPLOkyF
シエスタの日記
〇月×日
才人さんの見舞いと看病してた方々は、舞踏会キャンセルしちゃいました
今回の主役全員欠席ってのも、ちょっと以外です
でも、其よりも
ふ、伏兵〜〜!シエスタ迎撃せよ!
なんなんですか?
ミスモンモランシが参戦して来ました。こんなの想定外だぁ〜〜!!
ミスモンモランシには、ミスタグラモンが居るじゃないですかぁ!
才人さんの看病に私と一緒にしてたんですけど、ミスヴァリエールとか居ないと、明らかに態度違うんです!
才人さんに笑いかける態度が違うんです!
何か、才人さんに良くくっついてるんです
そりゃ、才人さんまだきちんと動けないから、しょうがないですけどね
倒れた翌日の日のミスモンモランシとミスヴァリエールの応酬も凄かった
「サ〜イ〜ト」
トスンと才人さんの上にミスヴァリエールが乗っかります。う、羨ましくなんかないやい
「何だ?ルイズ」
「何でもなぁい」
「じゃあ、何で乗っかってるんだ?」
「あたしは軽いから平気でしょ?」
「とっても重」
「重?」
「軽うございます」
「だよね」
「ねぇ、ルイズ」
「何よ?」
「才人を治す気あるの?」
「当たり前じゃない」
「多少は動ける様になったとは言え、ちょっと自重したら?」
「ううう動けないサイトに、そそそ添い寝してたのは誰かしら〜?」
「あら、私は治療疲れだから良いのよ」
「ササササイトはあたしの使い魔だから良いの」
「…ルイズが傍に居ると駄目ね。治る迄、私此処に泊まるわよ」
「何処で寝るのよ?」
「ベッドに決まってるでしょ」
「……へぇ」
二人共、笑いながら殺気出してます
私?勿論笑ってますよ
メイドは笑顔が基本なのです
笑ってなくても笑えるのは、長年の奉公生活の賜です
才人さん私達を見て、溜め息ついちゃいました
「あ〜ルイズ、モンモン」
「何?サイト」
「何よ?」
「モンモンの部屋に、二人で泊まってくれないか?」
「何でよ?」
「…非常に疲れる」
「それじゃあ、しょうがないか。ルイズ、私の部屋に来なさい。才人を疲れさせたら、治るモノも治らないわよ」
「……む〜、解ったわよ。でも、まだ良いでしょ」
「風呂入ったのか?ルイズ」
「…入ってくる。モンモランシー行きましょ」
「何で、私迄一緒に?」
「香水でごまかせる?」
「…行くわよ」
二人とも出て行きました
其処で私は才人さんの傍に座ります
「才人さん」
9大人才人 シエスタの日記3-2:2010/09/26(日) 23:04:49 ID:WZPLOkyF
「何だい?シエスタ」
「ミスモンモランシに、何かしました?」
「治療して貰ってるが?」
「そういう事じゃないです」
「シエスタ」
「はい」
「シエスタには、悩みってあるか?」
「勿論です」
「モンモンにもあるって事さ」
動く右手でくしゃりと撫でられました
「ぶぅ」
ついぶぅぶぅ言ってます
そしたら、才人さん
「シエスタ、ぶぅたれた顔は可愛くないぞ」
だって
ぶぅたれたくもなります
この女たらし〜〜〜!
ひいお爺ちゃん
才人さんのお嫁さんへの道は戦場ですか?
ううぅ、泣きたい

〇月×日
次の日以降の看病は、何か変だった
何で使い魔さんが、ミスヴァリエールの部屋の前の窓で陣取ってるんでしょう?
ミスモンモランシ、何かしてますね?
「あら、ロビンさん。才人さんの見舞いですか?」
「クエッ」
「中には入らないんですか?」
コクコク頷きます
「そうですか」
ガチャ
「才人さん〜具合はどうですかぁ?」
扉を開けて、私はピタリと止まります
な、何で才人さんとミスモンモランシが、キスしてるんですか?
明らかにミスモンモランシからしてますよ
えぇ、もう、にっこり笑いながら近付きます
「さ・い・と・さ・ん」
才人さん、動じずにミスモンモランシを離します。ムカムカ
「何でミスモンモランシとキスしてるんですか?」
「薬飲ましてたのよ」
「口移しでですか?」
「えぇ、そうよ」
「才人さん本当ですか?」
「そうだよ」
む〜。なら仕方ない
もう才人さんだけで飲めるだろうけど、多分私でもする
ムカムカムカムカ
「才人さん、トイレは大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫」
「あちらも大丈夫ですか」
「あちらって?」
10大人才人 シエスタの日記3-3:2010/09/26(日) 23:11:57 ID:WZPLOkyF
「えっと、その。あの、ですね。下の、ですね」
「あぁ、大丈夫だよ。其処までしなくて良いって」
あれ?ミスモンモランシが、何か余裕の表情浮かべてる
やっぱり、何かしてますね?
そうかそうかそうですか
其なら此方も、相応の態度に出させて頂きましょう
ふん、私は本気なんだ
私は才人さんに朝食を持って、ベッドの隣に座ります
ええ、卓に朝食を用意した状態です
「はい、才人さん、あ〜ん」
「えっと、もう大丈夫だけど」
「あ〜ん」
「シエスタさん?」
「あ〜ん」
「はい、あ〜ん」
才人さん、観念してパクつきます
ふっふっふっふっ、まだまだ序の口ですよ〜
「飲み物はどうですか?」
「じゃあ、頂けるかな?」
才人さんがカップに手を出す前に、私がカップの中を飲んで、そのまま才人さんに口移し
やった〜、才人さんとキスしちゃった
ミスモンモランシのポーカーフェイスが少し崩れてます
どうだ?
「才人さん、美味しいですか?」
「あぁ、美味しいね」
溜め息ついてますね
私だって才人さんから可愛いって言われたんだ。頑張れ私
「ねぇ、メイド。才人が困って無いかしら?」
「シエスタです、ミスモンモランシ。私はミスタバサの分迄、頑張る必要が有ります」
「何だいそれ?」
「タバサが急用で外出しちゃったのよ。メイドはタバサの代わりを頼まれちゃったの」
「そっか。だから見かけ無いんだな」
「嫌われたと思った?」
「タバサの誇りを傷付けちゃったかなって」
「そんな事無いわよ。あんたが気絶してた時、私以上に熱心に治癒唱えてたわ。水系統も使えるから、必死だったみたい。でもタバサって、治療関係は下手ね。あの娘、戦闘関係は強いんだけど」
「じゃあ、礼を言わないとなぁ」
「メイドはタバサの分だから、私も余り強く言えないのよね」
「シエスタです。ミスモンモランシ」
「モンモン」
「何?」
「名前で呼んであげてくれ。タバサの代わりなんだろう?」
「解ったわよ。シエスタ、此で良い?」
「有難うございます、ミスモンモランシ」
「ご馳走様、美味かったよ」
「はい、それじゃあ、身体拭いてしまいましょうね」
と、言って、私はあっさり才人さんを脱がせます
「いやん、えっち。もうお婿に行けない」
「そしたら、私が貰いますから、さっさと脱いで下さい」
11大人才人 シエスタの日記3-4:2010/09/26(日) 23:15:38 ID:WZPLOkyF
才人さんが全裸です
其処に私は手拭いを水で濡らして拭き始めようとしたんですが
「ちょっと、待ちなさい。此を使って」
「これって?」
「浄化の魔法を込めた魔法石鹸よ。綺麗になるわよ」
「あぁ、才人さんがお風呂で使ってる奴ですね?」
「そうよ。売り出す前の試供品なのよ。貴女も感想聞かせてくれないかしら?」
「はい、解りました」
改めて、手拭いに石鹸付けて、才人さんの身体を拭きます
拭いた所から垢が取れて綺麗になって、更に芳しい香り迄
う〜ん、一家に一台ミスモンモランシが欲しいかも
「凄く良いですね。綺麗になって尚且つ、芳しい香りがします。これ、平民用のサウナ風呂にも置いて貰えませんか?」
「あら、きちんと代金払ってくれるなら作るわよ」
「試供品はもう無いんですか?」
「貴女が持ってるので最後ね」
「マルトー料理長に相談してみます」
「毎度あり」
と、言いつつ、上半身を拭いて、手拭いは下半身へ、先ずは脚から拭いて、本命は最後にしましょ
「背中拭いてくれるのは助かるなぁ、すっきりしたよ」
「それじゃあ最後で〜す」
つつつって、さりげなく
「うっ」
こねこね、くにくに
はぁ、まさかマダムバタフライを実践する機会が来るなんて、もうドキドキ
「や、ちょっと、シエスタ」
「一番汚れる所ですから、念入りです」
えぇ、そりゃもう
マダムバタフライの著者様、シエスタは今、猛烈に感謝してます
「だから、ちょっ、やめ、うく」
やた〜才人さんがおっきくなった〜
私でも大丈夫だ〜
ツンツン
あれ?頭が何かでつつかれてる
ツンツン
五月蝿いなぁ
「私の前で何をしてるのかしら?」
あ、すっかり忘れてた
振り返るとミスモンモランシが、杖を構えて笑ってます
えぇ、あんな笑顔見た事無いです
ふ、旦那様の為なら私は平気なのです
負けない笑顔で応じます
「見ての通り身体を拭いてます」
「その割には随分と御執心ね」
「才人さんは、負傷してからお風呂に入ってません。念入りにやるべきだと思います」
「じゃあ、何で股間ばかり熱心なのかしら?」
「一番汚れてるからです」
「それも良いんじゃない」
「才人さんの股間の匂いを嗅いだんですね?」
「ちょっと、トイレの世話をしただけよ」
「へぇ、そうですか」
「そうよ。所で、さっさと離したら?また、泡吹いてるわよ」
12名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 23:19:38 ID:ff0gm8p4
シエンスタ
13大人才人 シエスタの日記3-5:2010/09/26(日) 23:21:36 ID:WZPLOkyF
へ?確か手は、才人さんの可愛いたまたまをギュッとしてて、才人さんを振り返ると、泡吹いて痙攣してました
「きゃ〜、才人さん」
また、やってしまった

ひいお爺ちゃん
熱中すると、周りが見えなくなる癖を、どうにかして下さい
才人さんが子作り出来なくなったら、私は絶望です
ぐすん

〇月×日
ミスタバサが才人さんが治ってから、帰って来ました
放課後、私はシルフィードさんを見付けた途端に声をかけます
「シルフィードさ〜ん」
「きゅい」
シルフィードさんが降りて来ます
「ミスタバサはどちらにいらっしゃいますか?お礼を言わないと」
「きゅい」
器用に前足の指で差し示します。ん〜と、彼方の広場のベンチ辺りかな?
此処からだと見えないです
「シルフィードさん、有難うございます」
スタスタ歩いて、ミスタバサを探しましょう
「きゅ、きゅいきゅいきゅい」
何故かシルフィードさんが騒いでますが、何ででしょう?
ま、良いや
シルフィードさんが通れない場所を歩いたので、シルフィードさんは騒ぐのを止めて、飛んで行ってしまいました
角を曲がり、ベンチが見えます
あれ?才人さんだ。隣の小さい青髪はミスタバサですね、あの長い杖なら直ぐに解ります
才人さん剣を二振り持ってます
堅い上着は、学院内じゃ着てないんですよね
一振りはミスタバサと同じくベンチに立掛け、もう一振りは腰に下げてます
後ろに出っ張ってるけど、後ろに行く人居ないから平気か
邪魔しちゃ悪いから、覗いて見て平気だったら声かけようかな
だから、覗きが趣味なんかじゃ無いですって
ミスタバサは、才人さんの隣に座って、本を読んでます
「タバサ、看病してくれて有難うな」
首をふるふる振るミスタバサ。か、可愛い
「そんな事無いって。モンモンに聞いたぞ。急用迄は懸命にやってくれてたんだろう?」
「…上手く出来なかった」
「その気持ちだけで充分だ。ありがとな」
才人さんがミスタバサの頭を撫でます
あ、ミスタバサがほんのり紅くなった
「…私のせいだから」
「何でだい?」
「才人の戦術、実行出来なかった」
14大人才人 シエスタの日記3-6:2010/09/26(日) 23:25:25 ID:WZPLOkyF
「ありゃ、いきなりは無理だって。コルベール先生とタバサのコンビで、コルベール先生がタバサに合わせて、初めて上手くいった位だからね」
「俺が提案したのが不味かったんだよ、気にするな。それに小さいゴーレムが大量に出てたら、それ以外で殲滅出来たろ?今回はたまたまだ」
ミスタバサはふるふる首を振ります
才人さんの意見、良く解らないけど、まともな気がするんだけどなぁ
「私、ガリアの騎士」
「タバサ、留学生だったのか?」
ミスタバサが頷きます
ミスタバサって、ガリアの貴族だったんですね
其よりも、シュヴァリエですか?
そちらの方が驚きです
「…騎士なのに、役に立たなかった」
「騎士って凄いのか?」
「騎士位は、実績でのみ叙勲される」
「そりゃ凄いな。タバサの事、シュヴァリエって呼ばないと駄目だな」
今迄で、一番強く首を振ります。えっと、扇ですか?
「タバサで良い」
「解ったよ、タバサ」
こくりと頷きます
「一個借り」
「気にしないで良いぞ」
「一個借り」
「解ったよ、じゃ貸しとくな。所で、今日は何の本読んでるんだ?」
ばっと、ミスタバサが後ろ手に本を隠します
見ちゃった、あれマダムバタフライの優雅な一日だ
「何で隠したのか
15大人才人 シエスタの日記3-7:2010/09/26(日) 23:33:41 ID:WZPLOkyF
のかなぁ?」
あ、才人さん意地悪な笑顔浮かべてます
ミスタバサがふるふる首を振って、後ずさります
才人さん、小柄なミスタバサを軽く抱き締めちゃいました
む〜、何でそんな事しますかね?
あ、ミスタバサが真っ赤になった
その隙に本を取り上げます
「えっと、何々。マダムバタフライの優雅な一日って所かな?」
「返して」
ミスタバサが真っ赤な顔で言ってます。いやん、可愛い
「まぁまぁ、此も文字の勉強って事で。どれどれ、ほう、タバサって、こういう本も読むんだな」
真っ赤な顔してうつ向くミスタバサ。そのまま、ベンチに座ってしまいました
「じゃあ、こうしよう。この貸しは、タバサが此を、俺に読んで聞かせてくれ。其で貸し借り無し」
ミスタバサがふるふる首を振ってます
確かに過激なんですよね、あれ。朗読しろだなんて並の仕置じゃないです
でも、ミスタバサの仕草可愛い過ぎます。此は、才人さんじゃなくても、見たくなりますね
「あれ、あんたタバサの代わりに看病したメイドでしょ?ダーリンとタバサ知らない?勉強会に来ないから、皆痺れ切らしてるから、探してるのよ」
「しっ。ミスツェルプストー」
「何?何か覗いてるの?」
私が人差し指で才人さん達を差し示します
「あ、居た居た。ムグッ」
「失礼します。今は静かにして下さい。面白い所なんですよ」
私が小声で話すとコクコク頷いたので、手を離します
「で、何があったの?」
「今ですね。マダムバタフライの朗読を、ミスタバサがやるように、才人さんが促してるんです」
「あぁ、あの過激な小説?あれだけは、タバサの部屋で読んでるわ。何でそんな事になってるの?」
「何かフーケ戦の怪我が、ミスタバサ自身のせいだと気にしてるらしくて、才人さんが、其なら此の朗読で貸し借り無しだって」
「あらあら、ダーリンったら、そういうプレイも趣味なのね」
「ミスタバサの仕草見たら、多分ミスツェルプストーも、そう思いますよ」
「どれどれ、うわぁ可愛い過ぎ。あの仕草は堪らないわね」
根負けしたミスタバサが諦めて、本を受け取り、読み始めます
「最初から?」
「ちょっと貸して。ん〜と、此処からで」
ミスタバサ、顔から湯気出てますよ
「うわぁ、本当にやるんだ」
「…其処で、バタフライは執事の服を一枚々々、見事な肢体を見せ付けながら脱がす…」
16大人才人 シエスタの日記3-8:2010/09/26(日) 23:35:27 ID:WZPLOkyF
「…執事のスラックスを撫で上げ、更にたっぷりと涎を付けた舌でスラックス事舐め上げる『うっ、あっ、マ、マダム』年若い執事からは官能のあえぎが漏れ、其に気を良くしたバタフライはスラックスを脱がし、執事の陽根をうっとり眺め、舌でねぶり始める」
「これ、最新刊だわ」
「ですね。帰り際に買ったんでしょうか?」
「バタフライは豊満な胸を使って、執事の陽根を挟み、そのままゆっくりと上下し、陽根の先が出ると舌先でちろりと舐め、また上下する『あ、マダム、限界です』」
「ミスタバサ、真っ赤ですね」
「此はちょっと良いかも」
「ちょっとあんた達、サイト達は見付かったの?」
「「しっ」」
見ると、ミスヴァリエール,ミスモンモランシ,ミスタグラモンと、面子が揃ってます
「何だい?何か面白い事でも、起きてるのかい?」
「静かにするのよ」
「何々?」
三人が更に覗きに参加し、ミスタバサの朗読が続きます
「…バタフライは一度精を出した陽根をたっぷりと舐め上げ、落ち着きそうになった執事の陽根に再び力を取り戻す」
「ち、ちょっと何よあれ?」
「あら、知らないの?マダムバタフライよ」
「うっわ、過激」
「才人も好きだねぇ」
「あれ、ミスタバサの本ですよ」
「「「えぇっ!?」」」
あ、皆して大声出しちゃった
其に気付いたミスタバサが、真っ赤な顔して振り向きます
あ、ぷるぷるしてる。凄い可愛い
そのミスタバサが杖を取り詠唱します
えっと、不味く無いですか、これ?
「吹っ飛べ!!」
「きゃあ!?」
「うわぁ!?」
「いやぁ!?」
「あ〜あ、見事に飛んで行ったなぁ」
才人さんの声を聞きながら、全員派手に吹き飛ばされましたとも

ひいお爺ちゃん
やっぱり出歯亀は良くないです
あいたたた
17大人才人 シエスタの日記3-9:2010/09/26(日) 23:38:20 ID:WZPLOkyF

〇月×日
今日は才人さんが厨房で何かしています
何でも、日本の家庭料理で、此方で出来そうなのを見繕うそうです
マルトー料理長や料理人の方々が、興味津々で見守ります
「豚は有るんだよな。豚ロースとパン粉に小麦粉、生卵と植物油無いですか?」
「植物油か?オリーブ油なら有るが」
「じゃ、其で行きましょ。海産の新鮮な魚って有りますか?後、岩塩じゃなく、海水塩としょうが辺り。それ以外にも海産物と氷等、冷やす物」
「いきなり注文レベル上がったな、おい。海産の新鮮な魚は、運搬で魔法使うから、偉い高いぞ」
「む〜、無理か」
「嫌、有るには有るが、量は無いぞ」
「魚種は?」
「俺は魚の種類は良く解らん。我らの剣が見てくれ。此方だ」
「どれどれ。おっと、こりゃ秋刀魚と鯵じゃないか」
「箱に掛ってる固定化と冷気魔法で保存されてる。出すと痛み始めるから注意しろ」
「じゃあ、木炭は?」
「おぅ、沢山有るぞ」
「ふむふむ。野菜とか、色々使って良いですかね?」
「おぅ。新メニューの研究用なら好きに使え」
才人さん、小さい鍋に水を張り、海草と干物入れて塩を入れてを火をかけながら、もう一つの鍋で油を温め、炭火を起こします
そして豚肉に溶いた生卵と小麦粉を付けパン粉をまぶし、油に投入しました
ジュー
もう一つの鍋には、野菜を大量に投入し、更に肉と貝類を入れます
あれ?タルブのヨシェナヴェですよね?作り方少し違うけど
鯵って言ってた魚の方を包丁数閃、生のまま切り身になってます
秋刀魚と言ってた方に塩をまぶし、炭火で焼き始めました
オーブン使わないんですかね?
そんなこんなで油に入れた豚肉が揚がり其を切り分け、傍には大量の刻み大根と、キャベツにマスタード
鍋も良い具合に仕上がり、秋刀魚も綺麗に焼き上がりました
其に野菜とハーブを添えて完了です
「こんなもんかな、それぞれ、トリステイン風のとんかつ,鯵の刺身,寄せ鍋,秋刀魚の塩焼って所だ。生魚苦手なら、鯵は食わなくて構わないぞ」
「我らの剣の国じゃ、生魚食うのか?」
「あぁ。専門の料理人が居る位だよ。さてと、こうやって食べて見てくれ」
才人さんが自ら食べ、食べ方を皆に教えます
「どれどれ」
皆がそれぞれ食べます
やっぱり刺身は人気無いですね。私も生じゃちょっと
「我らの剣よ。此が日本の料理か?」
「足りない物が3つ有るから、正確にはモドキだね」
「その3つとは?」
18大人才人 シエスタの日記3-10:2010/09/26(日) 23:40:32 ID:WZPLOkyF
「米,味噌,醤油」
「…其でも、この味か」
「どうかね?」
「俺ぁ、料理人やって数十年だが、まだまだ知らない料理が有るって、思い知らされたわ。正直に言おう。美味い」
「とんかつって、美味しいです」
「あぁ、それ鶏とか他の肉でも出来るよ。食い過ぎると、太るから注意な」
「それじゃ、次いきますか」
先程のとんかつで使ってた、小麦粉を卵で溶いた物に野菜を付けて、油で揚げます
ジャー
才人さんが見切り、一気に上げて油を切った野菜に塩を軽くまぶします
「ほい、天ぷらお待ち。此はそのまま塩か、大根おろしと併せて食べてみてくれ」
料理人の皆様が天ぷらに手を出し、サクりと食べます
「野菜って、こんなに美味かったか?」
私も食べてみました
「天ぷらは、海老とか魚とか山菜でもOKだよ」
「やだ、何これ。凄い美味しい」
「この天ぷらも、刺身と同じく専門の料理人が居るんだよね」
「こりゃ、凄いな。我らの剣よ。今のレシピ此方で改良して、使って構わないか?」
「勿論。但し、色々注意事項有るから気をつけてくれ」
「そりゃ何だ?」
「天ぷらは、揚げたてを食わせるべし。揚げる事自体難しいし、絶対に時間かけちゃ駄目。カツは冷えても大丈夫だけど、やっぱり其処ら辺は、気をつけてくれ」
「才人さん、これヨシェナヴェですよね?」
「シエスタ、知ってるのか?」
「タルブの名物料理です」
「成程、ひい爺さんが広めたのか」
「何で解っちゃうんですか?」
「日本人だから」
「ぶぅ〜。まるでひいお爺ちゃんと才人さんが、会話してるみたいです」
「ひい爺さん取っちゃって悪いな」
くしゃりと頭を撫でられます
「良いんです。才人さんの、ひいお爺ちゃんにもなるんですから」
にっこり返します
そしたら、ギラリとメイド仲間がぎらつきます
うっ、しまった
「「「才人さん」」」」
「私のお父さんも、才人さんのお父さんになりますよ」
「私のお母様だって」
「弟妹達が優しいお兄さんが欲しいって言ってるんです。才人さんならばっちりです」
「…え〜と」
才人さんが冷や汗かいてます
「あっはっはっは。此処で始めるなよ、お前ら。やるなら別の場所でやれ」
「「「は〜い」」」
「助かったよ、親父さん」
19大人才人 シエスタの日記3-11:2010/09/26(日) 23:41:28 ID:WZPLOkyF
「いんや、助かったのは俺達の方だ。レパートリー増えるのは大歓迎だ。おい手前ら、天ぷらととんかつと鍋、マスターすんぞ。修業開始だ」
「「「「ウィ、マルトー料理長」」」」
料理人達が一気に集まり、如何にトリステイン料理に合わせるか、試行錯誤を始めました
マルトー料理長が生き生きしてます

ひいお爺ちゃん
やっぱり才人さんは凄いです
才人さんが言ってた、味噌と醤油と米、どうやったら手に入るんでしょう?
才人さんの故郷の料理は、ひいお爺ちゃんの故郷の料理
私も作ってみたいです
20名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 23:50:48 ID:f9X70mk6
作者イキロ
21大人才人:2010/09/26(日) 23:51:14 ID:WZPLOkyF
投下終了なのね〜
3-6〜3-7の才人の台詞はコピペミスなので
「何で隠したのかなぁ?」
が正解ですのね、きゅい
大人才人タクティクスなのね〜
今回はシエスタなのね
「何か才人さんって、毎回変な事思い付くんですよね」
「ミスタバサにやった朗読なんか、何でそんな事させようと思い付くのか、解りません」
「才人さんに聞いたら、そういう羞恥プレイってのが、日本には有るのさ、だって」
「日本って才人さんが作る料理は美味しいのに、変態の国なんですか?」
「私、好きになる人、間違ったかなぁ?」

有難うなのね〜
きゅいきゅい
22名無しさん@ピンキー:2010/09/26(日) 23:53:40 ID:fYauwxY/
>>21
超乙!
病のときはさっさと寝れw
回復したらまたがんがれ!
23名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 00:19:14 ID:Pzi+htBt
>>21
GJ!
お体に気を付けて!
24名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 21:02:00 ID:0djUX5m1
>>21
お疲れさん!
吐き気は医者行って、吐き気止めの注射打てば楽になる
そしたら回復は早いぞ!
25名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 19:46:12 ID:H6uzv8Jm
トラサワサラ
タカマワカ
アサマハナ
カヤタカサナ
マタハラアサカ
26名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 23:19:39 ID:96JYdJbz
とりあえず、sageて保守
27名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 13:25:30 ID:jLma7EVE
急に秋が来たからなぁ
季節の変わり目は体調崩しやすいからねぇ
大人才人の中の人もスレの皆さん気をつけて
28名無しさん@ピンキー:2010/09/30(木) 21:47:21 ID:gNqAf6QS
前スレ>>553の埋めネタも大人才人の作者の方かな?
もしそうならまとめサイトに載せて欲しいな
29大人才人:2010/10/01(金) 10:14:49 ID:L4F06Y24
イルククゥでシルフィードなのね〜
ちょっと、21時間程働いて来た、大いなる意思はボロボロなのね、きゅい
今まで風呂沸くの待ってたら、意識飛んでたのね〜きゅい
其で、定期更新遅れたのね、ごめんなさいなのね〜きゅいきゅい
ったく、SUSラジエーターフルスクラッチさせたと思ったら、今度は雨の中3:45の出航に合わせて、船治せとか。しかも組み合わせた連中のちょんぼで、配管やり替えでギリギリ迄かかるしorz
>>28
大人才人の埋めネタだけど、推敲甘くて、意味不明度合いが高いのね。其でも良ければどうぞなのね〜。1024文字でネタ作るの結構難しいのね〜。一応本編連動はしてるのね、きゅい

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・キャラ改変,新キャラ(?)登場回
・シエスタのターン
・10レス前後

では、反映次第投下開始なのね〜きゅいきゅい
30大人才人 シエスタの日記4-1:2010/10/01(金) 10:16:04 ID:L4F06Y24
〇月×日
才人さんが怒った
は、初めて見た
何時も笑ってかわしてるのが才人さんなのに、その才人さんが怒った
事の起こりは午後、メイドのミミが学院生に悪戯されたんです
いえ、本当に悪戯で、性的な意味は有りません。メイド服がズタズタにされたんです
「あ〜!?私の服」
ミミは干してたメイド服の前で、へたりこんでしまいました
其処に、才人さんが洗濯物を取り込みに来た時に見たそうです
「替えの服は有る?」
「此だけなんです。ううぅ」
「そうか」
才人さんが赤い巻き毛の頭を撫でると、そのまま才人さんに寄りかかって泣き出したそうです
「使い魔達。誰か居るか」
ガサガサ
出てくる出てくる
「犯人探しだ。万が一お前達の主人が犯人でも、お仕置きするからな。自身の主人が同じ事されたと思え。解ったら全員に伝達。行け!」
ザッ
使い魔さん達が散ります
才人さん、メイジより使い魔さん達を使ってませんか?
「それじゃ、これ、直せるかな?」
「無理です、此処までズタズタじゃ。一から仕立てた方が早いです」
「そっか。仕立てるのにどれ位かかる?」
「私、家族に仕送してるから、そんなお金有りません」
「そっかぁ。こりゃ参ったな」
「才人さん、どうしたんですか?何でメイド服がズタズタに?」
「今、犯人探し中だ。其よりシエスタ。ミミのメイド服を仕立てたいんだが、金が無い。何か良い案無いかな?」
「なるべく安く済ませるなら、私達で仕立てるしか無いですね。但し、生地代だけはかかりますから、マルトー料理長に立て替えて貰うのが、一番かと」
「良し、其で行こう。仕立て出来るメイド達全員集めてくれ。俺で良ければ参加する」
「解りました。ほら立って、マルトー料理長にお願いした後、皆に協力して貰いましょ」
「はい。有難うございます才人さん。シエスタ」
「礼は俺にじゃない」
「え?」
「犯人にきっちりしないとな」
こ、怖い
その時の才人さんの顔、とてもじゃないけど見られなかった

マルトー料理長に説明すると快諾してくれました
「我らの剣が犯人探しか。一番学院で使い魔使えるから、案外早く見付かりそうだな。生地はきちんと、良いの買って来い」
料理長が金貨が詰まった袋を、渡してくれました
「有難うございます、マルトー料理長」
「良いって事よ。俺も久し振りに腸煮えくり返ってるわ。平民が何れだけ頑張っても、台無しにしやがって」
マ、マルトー料理長も怖い
31大人才人 シエスタの日記4-2:2010/10/01(金) 10:17:24 ID:L4F06Y24
二人が本気で怒ってる
「ほら、今からトリスタニアに馬で行けば、まだ間に合う。シエスタ、馬乗れたな?一走りしてこい」
「はい」
私が飛び出すと、シルフィードさんが降りて来ました
「乗せてくれるんですか?」
「きゅい」
「有難うございます、シルフィードさん。ミミ、一緒に行くわよ」
「はい。有難うございます、シルフィードさん」
私達二人は生地を買いに、シルフィードさんの背に乗り、飛び立ちました
マルトー料理長の厚意に甘え、其なりの生地を仕立て屋で仕入れた後、トンボ帰りで戻ると、才人さんが三人の貴族を連れてました
貴族は使い魔さん達によって抑えられ、身動き取れません
「もう見付かったんですか?」
「あぁ、珍しくモートソグニルが、あの時以来で協力してくれたからね、あっさり捕まったよ」
「さてと、一応言い分は聞こうか。やったのは間違い無いな?使い魔が見てるから、言い逃れは無理だぞ」
「喋れない連中の証言なんざ、意味ないだろ?」
「俺も使い魔だって事、忘れてんだろ?使い魔同士は、意思疎通出来るんだよ」
「うっ」
「さて、一応貴族の誇りが有るなら、決闘してやる。杖でも素手でも好きなの選べ。逃げるなら、この場で斬り捨てる」
才人さんが実際に腰の剣に触れ、一気に周りを威圧します
う、動けない
「「「ひっ」」」
「さぁ、どれだ?今更ごめんなさいで済むと思うなよ?ミミが今まで懸命に働いたモノを、テメーらは汚したんだ。貴族が名誉に死ぬなら、今がその時だ」
もう、歯の根が合わずガチガチ言ってます
才人さん、逃がす気無いですね
私もミミも、固唾を飲んで見守ります
とてもじゃないけど、口出せない
「つ、杖だ」
「良いだろう。全員離してやれ」
使い魔達が離れて様子を見守ります
私達も下がります
「さぁ、まとめて来い。お仕置きしちゃる」
「ふ、ふざけるな。たった一回メイジに勝った位で、いい気になるな」
炎と風と土の魔法を詠唱し、才人さんに向けます
ザッ
「何だ?このとろいフレイムボールは?」
ヒュカカッ
才人さんが腰の剣を振ったと思ったら、霧が舞って杖と服が斬り裂かれ、三人とも全裸になってしまいました
何て粗末なモノ持ってるんでしょ?
見て損した
「ウワッ」
その場で崩れ落ちます
「勝負有りだな。其とも名誉の為に死ぬか?介惜してやるぞ」
「わ、解った。負けを認める。だから頼む。剣を向けないでくれ」
32大人才人 シエスタの日記4-3:2010/10/01(金) 10:20:47 ID:L4F06Y24
「駄目だ。テメーらは肝を冷やす必要が有る。少しでも、おかしな真似したら斬る」
「ひっ」
「さて、何故あんな事をした」
「…魔法の標的だ」
「ふざけてたのは認める」
「でも平民の服だろ」
スパッ
「痛ッ」
「おい、おかしな真似してないじゃないか」
「今しただろうが。何が『でも平民の服』だと?もう一度言ってみろ」
貴族の首に刃を当て、怒りを発散する才人さん
「た、頼む離してくれ」
「もう一度言ってみろ」
「だから、止めッ」
「失神したら、次に会うのは生首だぞ。餓鬼」
「止めてくれ。許してくれ。ぼ、僕らが悪かった」
「反省したか、手前ら」
「「「し、した」」」
「なら、あの娘にこの場で土下座して謝れ」
「土下座って何だ?」
「正座した状態から、頭を地面にくっつけて、平伏すんだよ」
「そ、そんな真似平民に出来るか。僕らは貴族なんだぞ」
「なら、誇りを持って死ね。介惜してやる」
才人さんが刃を上段に構えます
本気だ。才人さんなら、一振りで首を落とせる
見てる私達も怖い
でも、才人さんならギリギリでやってくれる筈
其を信じられないなら、お嫁さんは務まらない
我慢だ私
そして、沈黙の恐怖に負けた貴族達は、私達に向け土下座し、謝りました
「「「すいませんでした」」」
「弁償しろよ」
「「「解りました」」」
「シエスタ、領収書を写して渡してやって」
「はい」
「ちょっ、何この値段?」
「手前らがした代償だ。理解したか?」
「「「わ、解った」」」
「良し、帰れ。後は此方で何とかするから、金の工面でもつけてろ。言っとくが、俺が回収すっからな。逃げられると思うなよ?」
「「「そんな怖い事出来るか!!」」」
見事な位、脱兎の如く走り去りました
マルトー料理長が言ってた、我らの剣は真実だった
「才人さん」
あ、抱きついちゃいました
まぁ、しょうがないです
「本当に、本当に私達の剣だ。才人さんは私達平民の剣だ!」
「きちんと、お礼出来たかな?」
「はい」
33大人才人 シエスタの日記4-4:2010/10/01(金) 10:24:38 ID:L4F06Y24
才人さんが頭を撫でてます
あぁ、ミミも転んだかなぁ?
でも、凄かったもんなぁ。しょうがないかぁ
才人さんは私がやられても、絶対に同じ事するもんなぁ
「さてと、気持ち切り替えて、メイド服を仕立てなきゃね、何処でやる?」
「結構場所が必要ですから、個人の部屋だと厳しいですよ。アルヴィーズ食堂なんかどうでしょうか?」
「じゃあ、夕食終わったら其処に集合だ、裁縫道具は?」
「全員持ってるから、大丈夫です」
「解った。皆協力してくれるから、ちゃっちゃと仕上げような」
才人さんを抱き締めてたミミが、にっこり微笑みます
「はい」

食堂で夕食を取るミスヴァリエールと才人さん
私達メイドは給仕です
「サイト。もう、何処に行ってたのよ?戻って来たのは夕食前じゃない。あんたは私の使い魔なんだから、私の傍に居なきゃ駄目じゃない」
「あぁ、ちょっとメイド達の仕事、手伝ってた」
「本当に手伝いだけでしょうね?」
「焼きもちか?ルイズ」
「ああああんたなんかに、焼きもちなんか妬かないもん」
素直じゃないですね
才人さん居ない時は、構って欲しい子犬の目をしてる癖に
「才人、ちょっと良いか」
「何だ?レイナール」
「ルイズ。悪いけど少し才人借りるぞ」
「長いの?」
「そんなに長くならんと思う」
「なら良いわよ」
才人さん達が廊下に出ます
私は給仕しながら聞耳です。大丈夫です、きちんと仕事してますよ
廊下側に立ったのは、間違い無いですけどね
「才人、お前一年坊に何をした?」
「何の事だ?」
「男子寮に一年が三人素っ裸で戻って来てさ。『使い魔怖い才人怖い』って、ガチガチ震えてんだわ」
「あぁ、あの三人か」
「何をやったんだ?」
「酷い悪戯したから、お仕置きしただけさ。きちんと貴族の作法に則り、決闘迄したんだが?」
「一体どういう事だ?」
「つまりこういう事だよ」
才人さんが説明します
「…成程ね。常に何人かは跳ねっ返りが居るもんだが、よりによって才人が居る時とは。運が無いな、一年坊も」
「あいつらが悪い」
「その通りなんだが、普通彼処迄怯えないぞ?どうやればそうなるんだ?」
「何、ちょっと名誉の為に死んでこいって、言っただけだ」
「…もしかして、けじめ付けなかったら、本気でやったかい?」
「此処は、そういうルールなんだろ?貴族なら、それに従わないとね」
「……君を怒らせる事は、絶対にしない事にするよ」
……本気だったんだ
34大人才人 シエスタの日記4-5:2010/10/01(金) 10:26:31 ID:L4F06Y24

ひいお爺ちゃん
才人さんは有言実行の人です
言動に表裏が有りません
才人さんが怒りを覚えたら、私達には止められません
でも、だからこそ、私達の剣なんですね
才人さんは滅多に怒らないけど、怒らせたら、私でもお仕置きされちゃうだろうなぁ
あはんうふんなお仕置きなら、大歓迎なんですけど
さてと、これ書いたら仕立てに行かなきゃ

〇月×日
は、反則です
才人さんは存在自体が反則です
何ですか、何々ですか?
何でちょっと教えただけで、私以上に仕立て出来るんですか?
私、此でもメイド内じゃ、一番の自負が有ったんですよ?
夕食が終わった後のアルヴィーズ食堂に、メイド達が集まります
「さてと、皆集まってくれて有難う。ミミのメイド服がズタズタにされてさ、犯人はきちんとお仕置きしたから大丈夫だ。其で皆には、大事な自由時間をミミの仕立てに使わせて欲しい」
「全部聞きました。才人さんが私達の剣として、決闘してくれたのも聞きました。才人さんに、協力しないメイドは居ません」
皆が頷きます
「じゃあ、この中で一番仕立てが上手い人は?」
「シエスタですね」
皆が頷きます
「じゃあ、シエスタ。指示してくれ」
「はい、解りました。人数居るから、交替制でやるわよ。根つめちゃ、明日の仕事に支障出るからね」
「「「了解」」」
「じゃあ、採寸と鋏は私がやるから。後は、各々分担決めてね。各部出来たら合わせて試着して、詰めるわね」
「「「はい」」」
「俺は?」
「見てて下さい。才人さんの場合、見てるだけで、仕立て出来る様になると思います」
「シエスタ、そうなの?」
「初めて持った針糸で、私より速くて綺麗よ」
「才人さんって、凄いのねぇ」
「じゃあ、採寸するわね」
「はい」
採寸した後、生地に下書きして、鋏を入れます
チョキチョキってより、シャーって直断ちです
うん、気合いが乗って良い断ち具合だ
「へぇ、生地って上手く切れるもんだなぁ」
「これ位やるのは、かなり難しいですよ」
「やってみて良い?」
「才人さんなら、私より出来そうで嫌だなぁ」
「じゃあ、まだ見てようか?」
「いえ、才人さんなら私より速いかも知れないから、やってみて下さい」
「解った」
才人さんに鋏を渡すと
あれ?左手が輝いてる
そういえば、包丁や縫い針握ってた時にも輝いてた様な?
私の予想は的中です
シャーシャッシャッ
「こんな感じで如何でしょうか?先生」
35大人才人 シエスタの日記4-6:2010/10/01(金) 10:30:17 ID:L4F06Y24
「…完璧です」
仕立て職人級じゃないですか
皆驚いてます。ふっ、才人さんの妻なら、こんな風に驚かされるのは、当たり前なのです
ぐすん
後は皆に各々を渡し、仮縫いしたモノを一度形にし、着せて各部の調整を行います
時間が無いから、着せたまま、調整です
「ふむふむ、成程ねぇ。やって良い?」
「…やってみて下さい」
ぷちっ、ちくちく、ぷち、ちくちく
「こんな感じでどうかな?」
姿見で見せてみました
か、可愛いです
「えっと、前着てたのより可愛いんですけど?」
「そりゃ、着てるコが可愛いからさ」
才人さんがさらりと言い、ミミが真っ赤になってます
「動き難くない?」
「はい、大丈夫です」
「先生の評価は?」
「私じゃ、此処まで出来ないです。何でですか?」
「鉄を縫うのと、同じ感覚でやっただけだよ」
「鉄って縫えるんですか?」
「あぁ、言葉の綾ね。実際には溶かしてくっつける。ミリ単位や更に小さい単位で加工すっから、感覚としては硬いか柔らかいかの違いだけだね」
「以前の職業の応用ですか?」
「そういう事」
ふわ、驚いた。一流の腕は、何にでも応用効くんだなぁ
「ミミも気に入ってくれたし、この後は?」
「本縫いです。一度バラしますね」
私がバラして皆に渡し、才人さんには私と同じく大変な所
ちくちくちくちく
「ほい、此で良い?」
「才人さんなら大丈夫です」
実際に、ちっとも乱れてない。プ、プレッシャーがぁ
「ふぅ、疲れた」
「じゃあ、交替するわ。休憩してなさい」
「ほい、お茶」
才人さんがお茶を運んでくれます
此は厨房に有った、ロバ・アル・カイリエ産の緑茶です
珍しいんですよ
「あ、美味しいです」
「そりゃ、良かった」
「私達が入れた奴より、美味しいですよ」
「緑茶は俺の国にも有るからね」
「今度煎れ方教えて下さい」
「私も」
「私もです」
「喜んで」
才人さんが参加したせいで、あり得ない位仕事が速いです
各部が出来たので、もう一度合わせて、最終確認
「どうかな?」
「はい、大丈夫です」
「それじゃ、仕上げかな?先生」
「そうですね。此処からは私が全部やります」
「え?それじゃ悪いって」
「良い悪いの問題じゃないです。此処からは、一人でしか出来ません」
「そうなの?皆」
皆が頷きます
「それじゃ、皆は上がって貰って大丈夫かな?」
「はい、朝迄かかるので、片付けお願いします。此でも、ずっと速いんですよ」
36大人才人 シエスタの日記4-7:2010/10/01(金) 10:31:18 ID:L4F06Y24
「そうですよ。才人さんが居なかったら、こんなに速く出来てないです」
「それじゃシエスタ、後は宜しくね。明日は休んで良いわよ。私達が全部やっておくわ」
「才人さんも上がって良いですよ」
「いやいや、たまには世話させてくれ」
「解りました」
私は集中して縫います
ちくちく、ちくちく

「……シエスタ、シエスタ」
……はっ、寝ちゃってた。あれ?此処は私の部屋?
「何?ミミ」
「シエスタ有難う。才人さんが、最後迄シエスタが頑張ってくれたって」
ミミが仕立てたメイド服を着ています
え?私、途中で寝てたよね?なんで、服が出来上がってるんだろう?
「何で私、部屋に居るの?」
「自分で戻ったんじゃないの?寝惚けてるんでしょ?」
「だって私、途中で寝ちゃって」
「才人さんが全部シエスタがやってたって、証言してるもの。寝ながらやってたんじゃない?」
う、朦朧状態だったとしたら、そうかも知れない
「ちょっと、良く見せて」
私は縫い目を確認する
あぁ、この縫い目は、そういう事か
才人さん、何でこういう事しますかね?
有り難く頂戴しましょう
「ちょっと大変だったわ。私も朦朧としてたみたい。記憶が曖昧なのよね」
「やっぱりか。本当に有難うねシエスタ。今日はシエスタと才人さんの分迄やるから、寝てて良いわよ」
「ありがと。才人さんは?」
「一晩帰らなかったから、ミスヴァリエールにお仕置きされて、ぼろ雑巾になってる」
「……何で説明しないのかなぁ?」
「何でだろうね?」
「ねぇ、ミミ」
「何?」
「才人さんの事、どう思う?」
「イーヴァルディみたい。私の憧れ。お嫁さんは難しいかなぁ。ああいうお兄さん欲しかった」
「この前言ってたじゃない。弟妹の兄になって欲しいって」
「私には振り向いてくれるか難しいもの。才人さん、私じゃなくても同じ事するし」
「其でも希望は捨てないのね?」
「頑張るのは、止めないよ」
「ミミのお菓子、美味しいもんね」
私達は笑います

ひいお爺ちゃん
才人さんは、自分自身の手柄をひけらかさない人です
本当に、ひいお爺ちゃんの教えみたいな人です
どんどん好きになっていきます
でも、せめて裁縫や料理は、私より下手でいて欲しかったぁ
才人さんのお嫁さんへの道は、険し過ぎます
其でも頑張るぞ、おー

〇月×日
やった〜
才人さんと、えっちな事出来た〜
よっしゃ〜、一歩前進
37大人才人 シエスタの日記3-8:2010/10/01(金) 10:35:00 ID:L4F06Y24
「本縫いです。一度バラしますね」
私がバラして皆に渡し、才人さんには私と同じく大変な所
ちくちくちくちく
「ほい、此で良い?」
「才人さんなら大丈夫です」
実際に、ちっとも乱れてない。プ、プレッシャーがぁ
「ふぅ、疲れた」
「じゃあ、交替するわ。休憩してなさい」
「ほい、お茶」
才人さんがお茶を運んでくれます
此は厨房に有った、ロバ・アル・カイリエ産の緑茶です
珍しいんですよ
「あ、美味しいです」
「そりゃ、良かった」
「私達が入れた奴より、美味しいですよ」
「緑茶は俺の国にも有るからね」
「今度煎れ方教えて下さい」
「私も」
「私もです」
「喜んで」
才人さんが参加したせいで、あり得ない位仕事が速いです
各部が出来たので、もう一度合わせて、最終確認
「どうかな?」
「はい、大丈夫です」
「それじゃ、仕上げかな?先生」
「そうですね。此処からは私が全部やります」
「え?それじゃ悪いって」
「良い悪いの問題じゃないです。此処からは、一人でしか出来ません」
「そうなの?皆」
皆が頷きます
「それじゃ、皆は上がって貰って大丈夫かな?」
「はい、朝迄かかるので、片付けお願いします。此でも、ずっと速いんですよ」
「そうですよ。才人さんが居なかったら、こんなに速く出来てないです」
「それじゃシエスタ、後は宜しくね。明日は休んで良いわよ。私達が全部やっておくわ」
「才人さんも上がって良いですよ」
「いやいや、たまには世話させてくれ」
「解りました」
私は集中して縫います
ちくちく、ちくちく

「……シエスタ、シエスタ」
……はっ、寝ちゃってた。あれ?此処は私の部屋?
「何?ミミ」
「シエスタ有難う。才人さんが、最後迄シエスタが頑張ってくれたって」
ミミが仕立てたメイド服を着ています
え?私、途中で寝てたよね?なんで、服が出来上がってるんだろう?
「何で私、部屋に居るの?」
「自分で戻ったんじゃないの?寝惚けてるんでしょ?」
「だって私、途中で寝ちゃって」
「才人さんが全部シエスタがやってたって、証言してるもの。寝ながらやってたんじゃない?」
う、朦朧状態だったとしたら、そうかも知れない
「ちょっと、良く見せて」
私は縫い目を確認する
あぁ、この縫い目は、そういう事か
才人さん、何でこういう事しますかね?
有り難く頂戴しましょう
「ちょっと大変だったわ。私も朦朧としてたみたい。記憶が曖昧なのよね」
38大人才人 シエスタの日記3-9:2010/10/01(金) 10:35:54 ID:L4F06Y24
「やっぱりか。本当に有難うねシエスタ。今日はシエスタと才人さんの分迄やるから、寝てて良いわよ」
「ありがと。才人さんは?」
「一晩帰らなかったから、ミスヴァリエールにお仕置きされて、ぼろ雑巾になってる」
「……何で説明しないのかなぁ?」
「何でだろうね?」
「ねぇ、ミミ」
「何?」
「才人さんの事、どう思う?」
「イーヴァルディみたい。私の憧れ。お嫁さんは難しいかなぁ。ああいうお兄さん欲しかった」
「この前言ってたじゃない。弟妹の兄になって欲しいって」
「私には振り向いてくれるか難しいもの。才人さん、私じゃなくても同じ事するし」
「其でも希望は捨てないのね?」
「頑張るのは、止めないよ」
「ミミのお菓子、美味しいもんね」
私達は笑います

ひいお爺ちゃん
才人さんは、自分自身の手柄をひけらかさない人です
本当に、ひいお爺ちゃんの教えみたいな人です
どんどん好きになっていきます
でも、せめて裁縫や料理は、私より下手でいて欲しかったぁ
才人さんのお嫁さんへの道は、険し過ぎます
其でも頑張るぞ、おー

〇月×日
やった〜
才人さんと、えっちな事出来た〜
よっしゃ〜、一歩前進
でも、まだきちんとは抱いて貰って無いです
でも、此で希望が持てました

私がサウナ風呂にトコトコ歩いて行くと、才人さんが、風呂に行くのを発見したんです

その瞬間、私は才人さんに向かって方向転換。多分、端から見たら気持ち悪かっただろうなぁ
才人さんがお風呂に入る前に薪割りして、松明で火を付けました
何で、薪割りにデルフさん使うんだろう?
「相棒、俺っちの事、斧と勘違いしてねぇか?」
「鮪包丁の間違いだろ?」
「鮪って何でぇ?」
「海に居る、全長3メイルは有る魚だな」
「…相棒。俺っちはな、此でも長い長い間、剣として生きて来たんだ」
「所詮人斬り包丁だろうが。魚斬るのも変わらねぇだろ」
「相棒相手じゃ、身も蓋もねぇな」
デルフさんと喋りながら、身体を洗って湯船に入りました
良し、此で才人さんは逃げられない。突撃だ
「才人さん。奇遇ですね」
「…シエスタ。奇遇なら、着替え持ってる筈無いよね」
「私も、お風呂に入ろうかと思ったんです」
「…そりゃ、奇遇だ」
信じてくれてない。い、良いもん
パパパって脱いで、身体を洗って、湯船にざぷん
「さ・い・と・さ・ん」
「はいはい」
「お風呂って、気持ち良いですよね」
39大人才人 シエスタの日記4-10:2010/10/01(金) 10:39:21 ID:L4F06Y24
「そだね。日本人に生まれて良かったって思える事の一つだよ」
「日本ってどんな国なんですか?」
「そうだなぁ。都市は夜でも消えない灯りが空を照らし、空には金属で出来た竜、飛行機が飛び、海には巨大な300メイル位の鉄の船が浮かび、物資を運ぶ」
「陸では馬車が連なる鉄道が列を連ね、道には馬が引かない馬車と鉄で出来た馬が走る」
「家では、水汲みせずとも水が四六時中使え、ランプに頼らない光が部屋を照らし、薪を使わずとも火を起こせる」
「星々の海を渡る為に、空より高く船を打ち上げ、光すら届かない海の底を探る為に、潜る船を作る」
「娯楽や遊びが溢れ、人々は自由を味わい、自分達が何かに守られてる事にすら気付かない」
「季節は春夏秋冬とあり、春には桜が咲き乱れ、夏には蝉が大合唱し、海に山に人々は繰り出し、秋は作物が実り、秋の虫が鳴き、冬には木枯らしが吹き、雪が降る」
「男達は夜を徹して働く事をいとわず、女達は着飾り、日々の噂に興じる」
「ま、こんな感じかなぁ」
「……夢みたいです」
「…そうだね」
「才人さんの家族は?」
「…ルイズかな?」
才人さん、はぐらかした
「日本での家族ですよ」
「……もう、夢だからな」
「どういう事ですか?」
「俺は事故に遇って、吹き飛ばされた時に召喚されてさ。どう見ても死亡事故だったからね。向こうじゃ、死体が出てこないだけで、死人扱いだよ」
「…そうなんですか」
才人さん、目を閉じてる。思い出してるんだなぁ
きゅんときた。アソコが熱い
私は、この人のモノになりたい。この人の家族になりたい
才人さんに身体を寄せます。胸が当たった瞬間にぴくんとした
「……シエスタ」
「今、才人さん泣いてましたよ」
「格好悪い所ばっか見せてるな」
「才人さん、何で家族の事、教えてくれないんですか?」
「…余計な心配かけさせるだけだからさ。それに、さっきも言ったろ?もう、俺は向こうでは死人なんだよ」
「嘘つき。なら、何で帰りたいんですか?」
「ゾンビは、生前に執着するものさ」
また、かわされた。駄目だ、才人さんのガードは堅い
私の想いをぶつけるしかない
「私が家族になります」
「シエスタ?」
「才人さんが何処に行こうと、何をしようと、私は才人さんの家族として、才人さんを信じます。才人さんの格好良い所も悪い所も、全て受け入れます」
40大人才人 シエスタの日記4-11:2010/10/01(金) 10:40:25 ID:L4F06Y24
「才人さんが出ていくなら、私も一緒に行きます。才人さんの子供は、私が産みます」
「才人さん、だからそういう顔しないで下さい。私は此処に居るんですよ?私じゃ、才人さんの家族にはなれないんですか?私は、やっぱり子供ですか?」
「…そんな事無いよ。凄く可愛いし、魅力的だよ」
「なら、証明して下さい。私は、才人さんのモノになりたいんです」
私から、才人さんの唇にキスをして、舌を入れます
チュッ
才人さんからも舌が絡んでくる
えっ、やだ、嘘、才人さんの舌、凄く気持ち良い
こんなの我慢出来ない、もっともっともっと、私の口を才人さんの舌でねぶって
私は才人さんに力一杯抱きつき、股間を才人さんに押し付けます
だって、気持ち良すぎて、身体が勝手に動くんです
何か来る
「ふぅぅぅぅぅ!?」
口から声が漏れて、身体が痙攣します
やだ、何か気持ち良い、身体が脱力する
私は口を離し、才人さんに身体を預けます
あ、才人さんがおっきくなってる
「シエスタが魅力的だから、勃っちまったよ」
「嬉しいです。才人さん、このまま抱いて下さい」
才人さんは首を振ります
「何でですか?」
「まだ、駄目」
「今は駄目でも、希望を持って良いんですね?」
「ああ」
「なら、我慢します。でも欲しいです、さっきからうずいて切ないです」
「じゃあ、サービスだ」
才人さんは私を釜の縁に寄りかからせ、腰を湯の中で浮かし、私の大事な所に顔を埋めました
ピチュ
「あひっ」
才人さんが舐めてる
「やっ。何これ、激しっ。もっと優しく、やあぁぁぁぁ」
才人さんの執拗な攻めで、また、いってしまった
何か、身体がビリビリする。身体から力が抜ける
才人さんが其を抱き止めてくれた
私の顔、今どんな顔かな?
才人さんから見て、どう写ってるのかな?
私、才人さんしか見えてない
才人さんは微笑んで、キスをしてくれた
其が風呂の終わりの合図
私達は、風呂から上がって各々の部屋に戻りました

ひいお爺ちゃん
才人さんが、少しだけ心を開いてくれました
才人さんの格好悪い所は、本人が言うよりずっと素敵です
私の身体が、キュウって、切なくなります
才人さんの日本の家族は、絶対に悲しんでます。だって、こんなに素敵なんだもの
せめて、私がハルケギニアの家族になるんだ
才人さんのお嫁さんの道は切ないです
こんな私に、力を貸して下さい
いくぞ、おー

〇月×日
41大人才人 シエスタの日記4-12:2010/10/01(金) 10:44:40 ID:L4F06Y24
才人さんが、ミスヴァリエールの外出に同行するらしいです
仕事の合間に作ってた、ハンカチを渡しました
「これ、使って下さい」
「有難う。シエスタは、本当に出来たコだね」
「嬉しいです。今度は、私と一緒にタルブの村にも来て下さいね」
「お邪魔じゃ無いかな?」
「そんな事無いです。だって、旦那様を連れて行くんですもの」
「……どういう事かしら?馬鹿犬」
「えっと、ルイズがどうして此処に?」
「あんたが何時まで待っても来ないから、迎えに来たのよ。で、覚悟は良いの?犬」
「何のでしょうか?」
ぼぐっ!!
「かはっ」
才人さんが、ミスヴァリエールの下からのパンチが顎を捉え、宙を飛びました
何処に、あんな膂力有るんでしょう?
あ、才人さんがズルズル引きずられて、行っちゃった

才人さんが居なくなってから、使い魔さん達の集まりが悪いです
シルフィードさんは付いて行きましたけど、ヴェルダンデさんは、何処に行ってしまったんでしょう?
才人さんが来る前の状態に戻ったと思えばそうなんですけど、こんなに静かでしたっけ?貴族達も、以前の状態に戻りつつ有るような?

ひいお爺ちゃん
才人さんの存在は大きいと、居なくなってから気付きました
才人さんの傍にずっと居たいです
早く帰って来て欲しいな

〇月×日
う〜ん、やる気が起きない
只今テンションだだ下がり中
才人さん、何処で何してるかなぁ?
私、このままじゃ怠け者になっちゃうよ
ガシャン
「くぉらシエスタ。此で何枚目だ!?しゃんとしやがれ」
「す、すいません」
タルブの村の家族が待ってるから、頑張らないと
私から才人さん分が抜けていく〜
早く帰って来て〜
ぐすん

〇月×日
やった〜
才人さんが帰って来た〜
シルフィードさんに乗って、皆で帰って来た〜
才人さんを見付けた途端、仕事放り出して駆けて行って才人さんに突貫
そのまま抱きついちゃいました。才人さん、軽く抱き止めてくれました
かなり勢い付けたのに、逞しくなってませんか?
「才人さん、お帰りなさい」
「只今、シエスタ」
才人さんが頭を撫でてくれる。気持ち良いなぁ
汗と男の才人さんの匂い。私が欲しかった匂いだぁ、全力全開で補給補給
「ちょっと、メイド」
「シエスタです。ミスヴァリエール」
「シエスタ。ああああたしの使い魔に何やってるの?」
「お帰りなさいの挨拶です」
ぞわり。冷気が辺りに漂います
あれ?冷気?何で?
42大人才人 シエスタの日記4-13:2010/10/01(金) 10:46:26 ID:L4F06Y24
見ると、ミスタバサから冷気が出てます
辛うじて我慢してる様で、いつ詠唱してもおかしくないですね
こ、此は危険だ。でも離れたくない。どうしよう?
すると、才人さんがそっと離してくれました
「どうしたんだい?シエスタ」
「だって、才人さんがずっと居なかったんです。学院の雰囲気も、以前みたいになってくるし。あの空気は堪りません」
「そっか。悪かったな」
「良いんです。きちんと、帰って来てくれました」
私は満面の笑みで答えます
才人さんは、いつかふらりと居なくなる
そんな気がするから、帰って来てくれるだけでも嬉しい
早く、才人さんが振り向いてくれる様に頑張らないと
「あ、才人さん」
たたたた、どん
「おっと、ミミもかい。只今」
「お帰りなさいです、才人さん」
「プッ、クッ、アハハハハハ」
ミスツェルプストーが爆笑を始めました。えっと何で?
ミスモンモランシは、ポーカーフェイスで何考えてるか解りません
ミスタバサは、また冷気出してます
ミスタグラモンは、苦笑してます
状況を打開(破壊?)するのはやっぱり
「…馬鹿犬」
「…わん」
「何で、ご主人様以外の女を抱き締めてるのかしらぁ?」
「抱きつかれたから、返してるだけですが。問題ですか?マイロード」
「えぇ、とっても」
「妬かない妬かない」
「あんたみたいな、盛りの付いた犬に妬く訳無いでしょうがぁ!!」
ボグッ
股間を強烈に蹴られた才人さんが、白眼を向いて気絶しちゃいました
「ルイズ、あんた才人を不能にする気?」
「いいい良いのよ。此位やらないと、懲りないもの」
「才人が子供作れなくなったら、あんたのせいね」
「うっ、モンモランシー。才人を治して」
「料金取って良い?」
「何で?」
「才人に全く否が無いからよ」
「うぐっ。お、お願いします」
「毎度あり」
「アハハハハハ。本当に寝取られの血筋は大変よねぇ、ヴァリエール」
「ツツツツェルプストーの血族が、寝取ったんでしょうが」
「あら、寝取られるのが悪いんじゃないかしら?」
「う〜。あんたは敵!絶対に敵!今、決着付ける!!」
「才人が居ないルイズに、何が出来るのよ?」
「…手足なら、何とかなるわよ」
「あんた、本当に貴族?拳闘士の間違いじゃないの?」
「で、やるの?」
「…上等」
私達の目の前で、キャットファイトが始まりました
貴族の喧嘩も魔法使わないんじゃ、平民の喧嘩と変わりませんね
43大人才人 シエスタの日記4-14:2010/10/01(金) 10:47:39 ID:L4F06Y24
二人共美人なのに、髪引っ張ったり、掴みかかったり、美人が台無しです
私達は、顔を見合わせ、
「…仕事に戻ろっか」
「…そうだね」
トコトコ仕事に戻りました

ひいお爺ちゃん
才人さんが帰って来ただけで、学院内が明るくなりました
私の気持ちが明るくなっただけかも知れませんけど、やっぱり明るいです
居るだけで、影響与えるんだから、やっぱり才人さんは凄い
才人さんのお嫁さんの道は、険しい道すら楽しいです
頑張るぞ、おー

*  *  *
44大人才人:2010/10/01(金) 11:09:07 ID:L4F06Y24
投下終了なのね〜きゅい
では大人才人タクティクスなのね〜
今回はオリキャラのミミなのね〜
「初めまして皆さん。って訳じゃ、ないんですよ。実はかなり前からモブキャラとして、登場してるんです」
「えっと、失敗したお菓子才人さんに差し入れしたり、シルフィードさんに涎だらけにされたり、舞姫の時にシエスタと一緒に給仕してたり、シエスタの発言に乗っかって、才人さんにお兄さんになってって、言ってたりしてます」
「私の名前は、きちんと人名辞典から拾ってきた、フランス語女性名です。語感が可愛いので、採用されました。名前が無いとシエスタとのやり取りが、不自然になってしまったんです」
「年齢は14歳、一年前にトリステイン魔法学院に奉公に来てます。病弱の母と幼い兄妹を支える為に、私の俸給は、ほぼ送金で無いです」
「身長は156サント、ミスヴァリエールより、ちょっと高い位。スリーサイズは成長中なんです!!絶対に教えません!!」
「それと、仕立て工程に付いては、大いなる意思の想像であり、プロのやり方とは一切関係無い事を、此処に名言させて頂きます。きちんと調べず、本職の皆様、始祖ブリミルの思し召しとは言え、ごめんなさいです」
ぺこり
有難うなのね〜

では、またの更新迄暫しのお別れなのね〜
きゅいきゅい
45名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 18:38:28 ID:p4MVCswd
>>44
GJ!
大事でなくてなにより
更新お疲れ様!
46名無しさん@ピンキー:2010/10/01(金) 23:25:07 ID:o0jXxJ0y
いやぁ、ここのチェックが楽しみでしようがない。
ときどきでいいから「エロバロ」の板名に負けないのを頼みます。
47大人才人:2010/10/03(日) 21:52:53 ID:+oHp5eep
イルククゥでシルフィードなのね〜
大いなる意思は、今やっと仕事から帰って来たのね〜
風呂待ちの間に更新するのね
エロは……ノーコメントなのね〜
楽しみを奪うのは気が引けるのね、きゅいきゅい

では注意事項なのね
・才人年齢上昇
・他キャラも改変有り
・12レス前後
・30分以上反応無い場合、恐らく寝落ち

では、反映後、投下開始なのね〜きゅい
48大人才人 ルイズの後悔:2010/10/03(日) 21:55:18 ID:+oHp5eep
ルイズの後悔

ガンガンガンガン!!
「ったく、貴様の飲み込みは異常だ、才人」
「師匠が上手いからでしょうが!!」
才人が右剣で払い、左剣で突く。其をアニエスは左剣で絡め右剣で斬ると、才人に胸にパシャリと当たる
「今、死んだぞ」
「そうそう上手くは行かないか」
「相手全体と足先を見ろ。そうすりゃ、間合いを計れる。ふむ、痛くないと身に染みないか。そろそろ木剣に切り替えるか?」
「そしたら、ルーンが発動しちゃうんだけど?」
「何を言ってる?私だけに決まっておろうが」
「…そうですよね」
木剣を握ったアニエスが、稽古を再開する
「ほらほらどうした?マンゴーシュとレイピアの使い方は、教えた筈だぞ?」
「糞ったれ〜〜〜!!」ガンガン、パシャッ
「技有り!!」
「見事だ。だがな」
ゴンッ
「痛ぇっ」
「敵が必ずしも一撃で倒れるとは限らん。しっかり、最後迄警戒しろ」
「はい」
才人とアニエスの稽古は所構わず苛烈を極め、時には組み打ち術での稽古迄やり、更に放課後は暇を持て余した学院生に、軽い魔法での攻撃回避訓練迄させられ、才人は常にボコボコになっているが、アニエス自体も相当消耗している
「良し、二人共避けろよ。攻撃開始!!」
タバサとキュルケのコンビで威力を調整された、連発の魔法回避訓練
タバサが威力を下げたウィンディアイシクルを大量に形成し、二人に連続して放つ
カカカッ
「く、中々キツイ」
「よっしゃ、全弾回避!!」
「あら、まだまだよ、ダーリン」
炎弾が降り注ぐ
「でぇっ!?」
「次は僕だ、おいでワルキューレ達」
「どわ〜!?」
「私は真剣使うぞ!!」才人とアニエスのコンビで、槍を持ったワルキューレを迎え撃つ
「多数対多数の場合は、味方の背に気を配れ。味方の背を守るのは、自身を守る事だ」
「イエッサ」
キイン、ガッ
「アニエスさん後ろ!!」
ガン
「中々のフォローだ、才人」
「其じゃ、オマケ行くぞ〜」
ここぞとばかりにマリコルヌ、ギムリ、レイナールが魔法を才人に放つ
「どわぁ〜〜〜!?」
才人は突っ伏す
「ふっ、ズタボロだな才人」
「…嬉しそうに言わないでくれ」
「二人共、此飲んで」
「モンモン助かるわ」
「有難うモンモランシー。さてと、仕上げの舞姫行くぞ」
「あいさ」

ルイズはラグドリアン湖から帰って来た後、才人を露骨に避け、部屋に閉じ込もり、アンリエッタの結婚式用の祝詞を考えている
49大人才人 ルイズの後悔1-2:2010/10/03(日) 21:56:11 ID:+oHp5eep
のは建前で、才人にしたあれやこれが恥ずかし過ぎて、顔を合わせてる事が出来ないだけである
「どどどどうしよ?ああああたし、サイトにあんな事しちゃった。サイトの子供欲しいって、言っちゃった」
「サイトに凄くえっちな格好で誘っちゃった。あたし、今迫られたら……だ、駄目、始祖と神に御許しを請わないと駄目なの。結婚しても、三ヶ月は許しちゃ駄目なの」
「ででででも、今御許しを請えば良いんじゃないかしら?そそそ其にサイトは始祖より上だから、べべべ別に良いかな?」
「ななな何言ってるのよ、ルイズ。サイトは使い魔なの!平民なの!あたしはヴァリエールなの!」
「それに、あれは惚れ薬のせいであって、私の本心じゃないの!……多分。じゃあ、どうするの?才人に迫られたらどうするの?ゆゆゆ許しちゃうの?」
「ううう、ちい姉さまは嘘ついちゃ駄目とか言って来るし、どどどどうすれば。あたし、サイトの添い寝止める?そんなの駄目だもん。サイトの温もり無いの、もう駄目だもん」
「其も此も皆サイトがイケナイんだ。サイトがあたしだけ見てれば、こんな思いしなくて済むのに、馬鹿馬鹿馬鹿。こんなんじゃ、祝詞なんて考えられないもん。ううう、サイトに顔合わせるの恥ずかしいよぅ。でも、サイト居ないと駄目だもん」
「ううう、気分転換に始祖の祈祷書でも見よう。何これ?白紙じゃない。オールドオスマンなら、何か知ってるかしら?」
ルイズは祈祷書と水のルビーを抱えて寮を出、学院長室に向かう
コンコン
「誰かな?」
「ラ=ヴァリエールです。オールドオスマン」
「入りたまえ」
ガチャ
「失礼します」
「おや、今日は才人君が一緒じゃないのかね?」
「サイトは稽古に励んでます」
「あぁ、学生迄巻き込んで、派手に稽古してる様だのぅ」
「あの、注意しないんですか?」
「何、メイジが暴れるより、余程地味じゃよ」
50大人才人 ルイズの後悔1-3:2010/10/03(日) 22:00:45 ID:+oHp5eep
「其はそうですけど」
「メイジが暴れた時より楽じゃからな。止める理由が無いのじゃよ。一応殿下の命令じゃろう?そもそも、別に用事が有ったのではないのかね?」
「そうでした。あの、この始祖の祈祷書なんですが、白紙なんですけど。もしかして、偽書ですか?」
「さて、儂も詳しくは解らぬ。只、必要な時になると、読める様になると言われておる様じゃの」
「じゃあ、今白紙なのは?」
「まだ、その時では無いと言う事じゃろう」
「じゃあ、この水のルビーは?」
「其は巫女に必要な物じゃからな。身に付けておきなさい」
「解りました」
ルイズは左手の中指にルビーを填めると、ピタリと収まる
「で、祝詞の進行具合はどうかね?」
「実は、全くなんです」
「ふむ、確か詩作の成績は悪かったの」
「う、ご存知なんですか?」
「一応学院長なのでな。学生の成績は全員把握しておるよ」
「…失礼致しました(学院長って、伊達じゃないんだ)」
「では、疑問は此で全部かね?」
「はい」
「では、殿下の結婚式迄に、素晴らしい祝詞を出来る事を祈っておるよ」
「プレッシャーかけないで下さい」
「何、そなたの使い魔に協力して貰えば、すぐではないかね?」
「サイトに詩作の才があるなんて、聞いて無いです」
「別に作って貰う必要は無いじゃろう。そなたの重荷を支えてくれる存在じゃろ?こういう時こそ、頼ったらどうかね?」
「でも、今はサイトは稽古で」
「何、そなたの詩作も重要じゃろ?銃士隊隊長殿も、其処まで融通が効かないとも思えんのじゃがね。其とも、顔を合わせるのが辛いのかね?」
ルイズは顔を紅くする
「ふむふむ、何かあった様じゃの。若い内は、体当たりで悩みをぶつけるのも良い事じゃよ。特にそなたの使い魔は、そういう時こそ、大事にしてくれるじゃろ?」
「あの、サイトの事、何かご存知なんですか?」
「まぁ、学院で起きた出来事は、報告が入るからの」
「サイトが何をしているか。ご存知なのですか?」
「平民においたをした連中に、お仕置きしたりしてる様じゃな」
「私に内緒で?」
「そなたに、迷惑をかけぬ為じゃろう。事実、親元から苦情と引き渡し請求が来ておっての、乗り込んで来た親も居たでな」
「何で、そんな事になってるのに、私に相談しないんですか?ヴァリエールの名前出せば、直ぐに」
51大人才人 ルイズの後悔1-4:2010/10/03(日) 22:02:07 ID:+oHp5eep
「決闘した上で、あっさり退けてしまったからの。しかも、理由をきちんと説明して、親に納得させておったわ。親に生徒がどやされておったのぉ」
「…知らなかった」
「そなたに、余計な心労をかけぬ為じゃろう。実に出来た男では無いかね?」
「…はい」
「そうそう、此は儂が言ったと言わないでくれるかね?儂も、才人君には睨まれたくないのでな」
オスマンは悪戯っぽく、ウィンクをする
「解りました。失礼します」
パタン
「ほっほっほ。面白いのぉ」
ルイズはシエスタを探して厨房に向かう
「失礼します」
「ミスヴァリエール。どうしたんですか、こんな所に?」
「シエスタ知らない?」
「今は洗濯物をしまいに行ってると思いますが」
「ありがと」
洗濯物が干してある場所に移動し、シエスタを探す
「あ、居た。シエスタ、ちょっと良い?」
「どうしたんですか?ミスヴァリエール」
「ちょっと、聞きたい事が有るのよ」
「シエスタ、行って良いわよ」
「ごめん、宜しくね」
二人揃ってベンチに座る
「あの、どんなお話でしょうか?」
「サイトが平民においたした生徒に、お仕置きしたって聞いたんだけど、本当?」
「誰から聞いたんですか?才人さんも私達も、誰にも言ってないですよ?」
「……本当なのね。いつの話?」
「ミスヴァリエール達が暫く外出した時より前ですね。その後、親が来て才人さん見付けて潰そうとしたんですけど、あっさり撃退しちゃいました」
「何でそんな事になったのよ?」
「私達メイドの服を、ズタズタにした貴族が居たんですけど、才人さんが其に怒って、使い魔さん達使って犯人見付けて、決闘して叩きのめしちゃいました」
「何で、親迄出てきたのよ?」
「仕立て用の生地代を請求したからですね。学生じゃ、払える金額じゃ無かったです。きちんと才人さんが説明したら、貴族も納得して下さって、支払って頂きました」
「何で私に言わないのよ?」
「才人さんの怒った顔、見た事有りますか?」
「…無いわ」
「あれ見たら、話す気無くなりますよ。絶対に、才人さんは怒らせちゃ駄目です。はっきり言って、貴族なんかより怖いです」
「そんなに怖いの?」
「学生の親が決闘した際、余りの恐怖に失神してました。ミスヴァリエール、才人さんは滅多に怒りませんが、怒りを買う様な事はしない方が良いです」
「そんなに?」
「私に向けられたら、失神所か死んじゃうかも」
52大人才人 ルイズの後悔1-5:2010/10/03(日) 22:06:31 ID:+oHp5eep
ルイズは青くなる
『そういえば、キュルケもタバサも怖がってた様な?』
「何か怒らせる様な事、したんですか?」
「してないわよ、多分」
「どうせ、惚れ薬の時のデレデレ度合いを恥ずかしがって、ボコボコにしまくってるんでしょう?」
「うぐっ」
「そんな事ばかりしてるなら、才人さん貰いますからね」
「な、何言ってるのよ?才人はあたしの使い魔で、あたしのモノなのよ」
「才人さんの隣に立てるなら、関係ないです。私は才人さん以外、欲しくないですから。では、仕事に戻ります」
シエスタは立ち上がり、洗濯物をしまいに戻って行く
「ううぅ、モンモランシーに続いてシエスタ迄。サイト、あたしどうすれば良いの?」
ルイズは肩を落とし、部屋に戻って行った

*  *  *
「ちょっと、発動時間を下げて見るぞ」
「あら、どうしたの?」
「使える時間を試す。一応準備してくれ」
「解ったわ」
「了解した」
「デルフ、時間の目安を覚えててくれ」
「あいよ」
「行くぞ」
才人が発動レベルを下げ、発動させる
才人の姿が消え、霧が舞う
ガガ、ザッ
村雨とデルフを構えた状態で、静止する才人
「相棒、ガンダールヴの状態を解け」
「ああ」
チン
村雨を収め、デルフを地面に刺す
「どうでぃ?」
「ふぅ。全力疾走を、暫く続けた程度の消耗だな。発動と距離はどん位だ?」
「せいぜい5メイル、1/10秒って所だろ?」
「本当に使えねぇスペルだな、これ」
才人は苦笑する
「才人、此方向け」
「何?アニエスさん、むぐ」
コクンコクン
「ぷあっ。今回は大丈夫みたいだけど?」
「駄目だ。お前の場合、自身の消耗を無視して行動するのが、嫌と言う程解った。しかも、女の目の前じゃ、当たり前にそうする」
「私もアニエスさんに同意見ね、サイト」
そう言い、モンモランシーは治癒をかける
「あんた、本当は倒れるの、我慢してたでしょ?」
「えっと、バレバレ?」
「私は水メイジよ。あんたの状態なら、もう見ただけで解るわよ」
「降参だ」
才人は両手を上げる
「でもよ、やっと目処ついたじゃねぇか、相棒」
「あぁ、漸くか。アニエスさんから見て、どう思う?」
「本当に瞬間しか動けないが、決定機に使われたら、メイジはおろか、竜だろうとやれるだろうな」
「デルフは?」
「おぅ、エルフでも相手に出来るかもな」
「エルフって強いのか?」
「大体、人間対エルフでの戦場での交換比率は10対1だな」
53大人才人 ルイズの後悔1-6:2010/10/03(日) 22:08:15 ID:+oHp5eep
「…メイジ含めて?」
「メイジだけでそうだし、どの兵科でも一般兵相手なら、更に交換比率は跳ね上がる。10倍の戦力用意して、物量ぶつけるしか方法が無い。竜騎士でせいぜい3対1位だ」
「恐ろしいな、それ」
「貴様は、そのエルフに勝てると、デルフは言ってるんだよ」
「えっと、俺って凄いの?」
「ハハハ。気付いて無かったのか?才人は、自身に付いては本当に無頓着だな」
「全くよ」
「さいですか」
「ねぇ、才人」
「何だ?」
「スペルの名前、どうするの?」
「そういや、考えて無かったな」
「名前付けて良い?」
「何かアイデア出たのか?」
「えぇ。瞬間で動くから、瞬動って、どうかしら?」
「良いね、瞬動で決まりだ」

「…ようやく、魔法を使える小人だぁね」
デルフは誰にも気付かれない様、独り呟いた

*  *  *
才人が部屋に戻ると、ルイズが机に突っ伏している
「どうした、ルイズ?」
ルイズからの返事は無い
「寝てるのか、よっと」
才人はルイズを抱き上げベッドに運ぼうとした時、ルイズが眼を開ける
「……サイト?」
「済まん、起こしちまったか?」
かぁぁぁと、ルイズは真っ赤にになる
「は、離して」
「どうした、ルイズ?最近変だぞ?」
「そそそ其も此も、全部あんたが悪いんだもん。ご主人様が悩んでるのに、放っておくのが悪いんだもん」
ふぅと才人は溜め息を付き、ルイズをベッドに座らせる
「悪かった。悩みは何だ?惚れ薬の件か?」
コクリ
「他にも有るか?」
コクリ
「じゃあ、一個ずつやるか。惚れ薬の件は事故だ。あの時の言動及び行動は憶えてない。殴りたいなら好きにしろ」
「何で、そんなにあっさりしてるの?」
「普通に接しないと、ルイズが困るだろ?」
才人は優しく撫でる
「う〜、ごごごご主人様にされて、ううう嬉しくないの?」
「薬でされても嬉しくないね。ルイズならどうだ?」
ルイズは才人が自分だけを向いて、常に自分に愛を囁く様を想像し、完全にのぼせ上がる
「わわわ悪くないわね」
「はぁ、薬切れた時点の苦しみは、俺よりルイズのが知ってるだろう?其でも良いのか?其とも、俺ならそうなっても構わないのか?」
「つつつ使い魔なら、ご主人様だけ見るのが当然よ」
「……そうか。他の悩みは何だ?」
「祝詞が思い浮かばないの」
「祝詞って姫様の結婚式のか?」
コクリ
「どんな事しないと駄目なんだ?」
54大人才人 ルイズの後悔1-7:2010/10/03(日) 22:11:07 ID:+oHp5eep
「あたし、詩作苦手で、さっぱり解んない」
「参ったな。俺も詩はさっぱりだ。ギーシュ辺りが得意じゃないのか?ギーシュに相談したら、どうだ?」
「サイトが良いの」
「って言ってもな、せいぜい川柳位だぞ、俺は」
「勉強会で言ってた、俳句や短歌とは違うの?」
「俳句の五七五と変わらないんだが、俳句に入れる為の季語が無い奴でね」
「例えば?」
「ふむ。ちっぱいの、今日の主人も、胸は無し」
ドゲシッ!!
「ぐはっ」
「むむむ胸か?胸が良いんか?ちょっと、死後の世界行ってみる?」
「あたたた……即興で詠むの、大変なんだけどなぁ」
「いいい今、絶対に馬鹿にした。ご主人様に喧嘩売ったでしょ?」
「お、落ち着け。川柳ってのはな、日々感じた事を五七五に乗せて、韻を含めて詠う物なんだよ。突然言われたから、目の前にルイズが居たから、そうなっただけだ」
「絶対に馬鹿にしてる〜!この馬鹿犬〜!!」
「わ、解った解った。其では、コホン。桃髪の、主人の笑顔、我が癒し」
「……本当?」
「本当だよ。にしても、やっぱり下手糞だな」
「そんな事ない」
「誉められたから、そう思っただけだって。やっぱり詩は苦手だわ」
「でも、即興で出来てる」
「感じた事を表すだけだからな」
55大人才人 ルイズの後悔1-8:2010/10/03(日) 22:14:58 ID:+oHp5eep
「感じた事をどうやって表現するの?」
「川柳の場合は、五七五にまとめる為に、余計なモノを一切排除して、哀愁や喜びを表現するんだが、ルイズの作らないといけない祝詞はどうなんだ?」
「んっと、始祖と神と土水火風に定型文で感謝を捧げた後に、思った事を綴るの。書式は自由」
「あぁ、自由は難しいなぁ。なら、自身で制限してみたらどうだ?」
「例えば?」
「俺の国の隣の国には漢詩って、昔作らた詩が有るんだが、5文字10行で、全てを表現したりする」
「そんな事出来るの?」
「文字の形態が違うからね、単語に複数の意味が入るから、出来る形態だよ」
「そんなの、ハルケギニア文字じゃ、無理じゃない」
「でも、似た発音とか、同音意義語は有るんだろ?其を組むと、複数の意味を表現出来るから、意味合いが広がるんじゃないか?」
「聞き様によって変わるって事?」
「そゆこと」
「…更に難しくしてどうすんのよ」
「あ、そうだな」
才人は笑う
「先ずは、姫様の事を思い出してごらん。小さい頃からの友達なんだろう?」
「ん〜姫様ったら、小さい頃はあたしの人形を取り上げて、一通り遊んだらぽいって放り投げて……むぅ、思い出したら、腹立ってきた」
「クックックッ、良い思い出じゃないか」
「何よ?其で、毎回の様に喧嘩してたんだから」
「なら、その思いをぶつければ良い」
「せっかくの結婚式で、そんな事出来る訳無いでしょ?」
「完全無欠なんざ、人間として面白くないだろ?だから、ユーモアたっぷりに仕上げたれ」
「…其で良いの?」
「自由なんだろ?」
「そっか、そうよね」
『あぁ、やっぱり、サイトは頼りになるなぁ。サイトを使い魔に出来たのって、あたしの最高の幸運よね』
「これで大丈夫か?」
「ヒントにはなったかな」
「そっか」
くしゃりと撫で、ルイズは気持ち良さそうにする
「他には有るか?」
「サイトは伝説の使い魔、ガンダールヴだよね?」
「何でか知らんが、そうなっちまったな」
「何で、あたしはゼロなのかな?」
才人の顔から、笑顔が消える
「誰がゼロだって?言った奴誰だ?」
ビクッ
ルイズは怯える
「だ、大丈夫、誰かから言われた訳じゃないから、そんな顔しないでよ」
『あれがサイトの怒りの片鱗。私に向けた訳じゃないのに、こ、怖い』
「そっか」
才人の顔に笑顔が戻り、ふぅとルイズは溜め息をつく
56大人才人 ルイズの後悔1-9:2010/10/03(日) 22:17:05 ID:+oHp5eep
「あたしの使い魔は伝説の使い魔なのに、あたしは何時まで経っても、魔法は一つも成功しないの」
「今迄の練習した魔法は何の系統だ?」
「四系統とコモンマジック」
「コモンマジックは最高の成功しただろ?」
「嘘」
「ルイズの目の前に、ガンダールヴが居るじゃないか」
はっと、才人を見上げる
「あ」
「ほら、伝説なんか呼び出せたルイズは、誰より凄い。自信持て」
かあぁと紅くなる
才人はルイズを軽く抱き締め、撫でる
「4系統なんざ、使えなくたって良いだろ?」
「だって」
「俺が全部、蹴散らせば良いだけだ」
「うん」
「魔法が使えるだけの貴族なんざ屑だ。ルイズは誰より努力してる。俺が認める。魔法を使える様になる為に、誰より一生懸命な、俺の可愛いご主人様だ」
「うん」
「その勉強は、きっと無駄にならない。俺が保証する。社会に出れば魔法なんかじゃ解決しない問題が、腐る程有る。そして、魔法じゃ出来ない事をルイズがやれば良い。逆に魔法しか出来ない連中を、こき使ってやれ」
「うん」
「ルイズはヴァリエールなんだろ?」
「そうよ、私は公爵家三女、ルイズ=フランソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=ヴァリエール。私に並び立てるのは、殆ど居ないの」
「なら大丈夫。今は下を向かずに前を向け。自分の足で誇りを持って歩ける様に。馬鹿にされた連中より、更に高く飛べる様に」
「サイトも一緒だよね?」
「あぁ」
「私の隣に立って良いのは、サイトだけだよ?」
「そりゃ、光栄だ。旦那が見つかる迄、立たせて貰うよ」
ズキン
「私の隣はサイトだけだよ?」
「あぁ、未来の旦那が来る迄な」
「違うの!!サイトだけなの!!何で解ってくれないの?この、馬鹿馬鹿馬鹿犬!!駄犬!!鈍感!!女たらし!!あんた、どっか行っちゃう積もりなんでしょ?」
「…ルイズが一人前になる迄は居るよ」
「やっぱり、出て行くんだ?あたしが大丈夫と思ったら、出て行くんだ?そんなの許さない。あんたは、ずっとあたしの隣に立つの。あたしと一緒に死ぬ迄立つの」
「サイトが出て行くなら、あたしは一人前になんかならない。結婚なんかしない。ずっとサイトの腕の中に居るの」
「…ルイズ」
57大人才人 ルイズの後悔1-10:2010/10/03(日) 22:21:02 ID:+oHp5eep
「あたしをこんな気持ちにさせといて、出て行くなんて許さない。あんたはあたしのなの。使い魔の生涯は、主人のあたしのモノなの。例え、日本に子供や奥さん居たって渡さない。どんなに家族が待ってたって渡さない。サイトはあたしのなの!!」
こつん
抱擁を解かれ、ルイズのおでこに触れるだけの拳が入る
「ルイズは、家族から引き離されても、平気なんだな?」
「あたしより、家族を取るの?」
「そういう事じゃない」
ルイズは涙を一杯に溜め
「出てくの?出て行っちゃうの?なら、今直ぐ出てけ〜〜〜〜〜!!」
「…イエス。ミスヴァリエール」
才人は必要最低限の着替えだけ持ち、ジャケットを着、村雨とデルフを抱え部屋を出る
パタン
ルイズは放心した状態で、扉を見つめる
「…………やっちゃった。あたし、やっちゃった。ミスヴァリエールって・・・呼ばれちゃった」
「終わりだもん。ミスヴァリエールって呼ばれたら、もう終わりだもん。サイトは呼び方で、大体解るもん。あたし・・・サイトが居ないと」
「あたし、本当にゼロになっちゃった。もう、戻れない?謝れば許してくれるかな?」
「……サイトサイトサイト、うぅぅぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ルイズの苦鳴が、寮に木霊した

「び、びっくりした。な、何よ?ルイズの絶叫?」
隣の部屋のキュルケがびくつく
「ダーリンが無理矢理したのかしら?ちょっと確かめにっと」
キュルケは部屋を出、ルイズの部屋を覗く
「あれ?独りじゃない。でも、只事じゃ無いわね。ルイズ、入るわよ」
キィ
「うわぁぁぁぁ!!」
「ちょっと、どうしたのよ?」
「あぁぁぁぁ!!」
「泣いてばっかりいちゃ、解んないじゃない」
「ああぁぁぁぁ!!」
「もう、本当にどうしたのよ?ダーリンは?」
ビクン
「ザイドザイドザイド」
「喧嘩でもしたの?」
「ザイドが、出で行っぢゃっだ。あだじが悪いの〜」
「ああ、もう。先ずは落ち着きなさい」
キュルケが抱き締めようとするが、ルイズに払われる
「ザイドじゃないど嫌」
「全く。なら、そのまま落ち着きなさい。周りに迷惑だから、サイレンスかけるわよ」
「ヒッグヒッグ、ザイドザイド〜」
結局、ルイズは一晩中泣き続け、キュルケは待ってる途中で、そのまま寝てしまった

*  *  *
「ふぁ、いつの間にか寝てたわ」
「サイトヒック、サイトサイト〜ヒックヒック」
「おはようルイズ。もしかして、一晩中泣いてたの?」
こくり
58大人才人 ルイズの後悔1-11:2010/10/03(日) 22:22:30 ID:+oHp5eep
「凄い体力ね」
キュルケは呆れる
「そんなになる位なら、謝れば良いじゃない」
「言われたの」
「何を?」
「ミスヴァリエールって、言われたの」
「あちゃあ。ダーリンに言われた中じゃ、最悪ね」
こくり
「ダーリンがそんな事言うなんて余っ程よ。何言ったのよ?」
「ヒック、奥さんや子供が居ても家族なんかに渡さない、サイトはあたしの傍にずっと居るのって」
「……あんた、最低ね」
「あたしが悪いの」
「本当にあんたが全面的に悪いわね。見付けて謝りなさい」
「サイトが何処に行ったか解らない」
「ダーリン生活力有るからなぁ、学院出てたら、お手上げだわ。何処でも生きて行けちゃうし。逆に言えば、学院に居ればまだ大丈夫よ。ルイズが反省する迄、待ってくれてる証拠になるわね」
「本当?」
「本当よ。あんたの使い魔は、ハルケギニアで最高の使い魔なんでしょ?その特徴は?」
「…とっても優しい」
「良く出来ました。あ、でも、学院に居てもヤバいかな?」
「…何で?」
「ほら、ダーリン欲しがってるの、あんただけじゃ無いじゃない。私もダーリンに言い寄られたら、喜んで捧げちゃうもの」
「さぁ、泥棒猫に取られる前に、反省しきれるかしら、ヴァリエール?今日は寝なさい、食事もメイドに運んで貰うし、皆に捜索願い出しとくわ。授業は欠席伝えとく」
キュルケは手を振り部屋を出る
パタン
「………あたしの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿」
ルイズは一晩中泣き続けた、疲労と睡魔に負け、眠りについた
机の上の祈祷書が窓からの風でぱらりと捲れ、文字が浮き立ったのは、ルイズが夢の中での時である

*  *  *
59大人才人:2010/10/03(日) 22:31:28 ID:+oHp5eep
投下終了なのね〜
では大人才人タクティクスなのね
今回はお姉様なのね〜
「…ルイズの絶叫が聞こえた。才人と喧嘩?」
「…来ないかな?」
「シルフィード、全力で捜して来なさい。人間型取るのも許す」
お、お姉様、タクティクスの司会は?
ぼかっ!!
い、痛いのね、酷いのね、韻竜虐待反対なのね〜
「ラグース・ウォータル…」
は、はいなのね。シルフィード二等兵、只今才人を捜索するのね
きゅいきゅい

って事で、逃げるのね〜
きゅいきゅいきゅいきゅい
60名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 22:51:50 ID:+oHp5eep
忘れてた。長いので、今回も一話分割で有ります
61名無しさん@ピンキー:2010/10/03(日) 23:34:12 ID:rFehy5WS
いや〜、面白かった。いつもありがとうございます
これからどうなるだろ?展開が楽しみ。

ちょっと疑問、大人才人は日本では何の職業をしてたのか
大抵のことはできるからね。うp主がこんな人なのか?
62名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 00:37:12 ID:heqiYWRt
>>60
GGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
63名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 01:24:26 ID:Q503eg1N
>>59
乙!
毎回ホントに楽しみにしてます。
お体に気をつけて頑張って下さい。

>>61
自衛隊習志野駐屯地特殊作戦群所属……とか?
64名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 01:32:59 ID:hktXMljE
国を守るお仕事と言う意味ではどちらの世界でも変わってないとも言える
65名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 05:04:49 ID:m3mgXMjS
>>61
世界を救う仕事のため、四国八十八ヵ所を駆ける二匹の(以下略
66名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 00:23:27 ID:Phzk+V60
裁縫料理工学が一通りできるなら、ま、軍人だわな
67名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 19:24:07 ID:PDCJxJJz
ガンダールブの力で、針、包丁の扱い強化じゃ?
工学は元職業だと判断したが
68名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 00:01:19 ID:/ZD6j5Po
>>63
とっさに「グリンベレーでした――」を思い出した。
69名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 02:24:17 ID:cp2tEaMl
防衛大学校で理工学専攻して、それから特戦に入ったなら、いい感じじゃね?

ってか、ウィキったら習志野の特殊作戦群ヤバ過ぎw
「イラク派遣前に普通科部隊と合流して訓練した際には、
生身の隊員を的の両わきに立たせて10メートル以上離れた場所を移動しながら
拳銃の弾を的に命中させるなど、一般部隊ではありえない訓練を行っていたという証言もある」
70名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 08:17:08 ID:wUNI3SI+
>>67
包丁捌きのスキルがアップしてもそれは具材を切るのに役立つだけで
美味しい料理は作れんだろう
71名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 08:34:23 ID:T6/7ZOfH
いまんとこSOFって発表されてるのって特殊作戦群だけだっけ?
72名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 14:03:02 ID:StalehTZ
大穴→石川島播磨重工に派遣で入ってる溶接工
73名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 15:33:50 ID:cp2tEaMl
>>71
日本では確かそうだったと思うけど......まぁきっと非公表のSOFはあるだろうね、きっと。

そういえばこの人の書くフーケめちゃくちゃ好きなんだよなぁ。
子供のサイトとフーケより、大人サイトがフーケを虜にするのが好きだな。
74名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 16:40:15 ID:ZcnatB8u
冬戦教なんかは違うんかなあ
75名無しさん@ピンキー:2010/10/06(水) 23:26:11 ID:Lxsd0wfR
才人の中の人がマジンカイザーSKLに出演するみたいですけど、キャラが才人とかけ離すぎてます
銃を使う方です

http://www.youtube.com/watch?v=F7bhhjFASuk&feature=related
76名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 02:08:03 ID:gIePccat
>>72
×石川島播磨重工
○IHI(平成19年〜)
と保守
77大人才人:2010/10/07(木) 20:04:11 ID:hvPEb6P7
イルククゥでシルフィードなのね〜
大人な才人がどういう人か皆、興味津々で大いなる意思は喜んでるのね
wikiも、もうすぐ25000hit
来訪して下さる皆様、有難うございますなのね

では注意事項なのね
・才人年齢上昇
・ルイズの後悔の続き
・12レス前後
・泥棒猫?
・30分以上開いたら、多分寝落ち

では反映次第投下開始なのね〜
78大人才人 ルイズの後悔2-1:2010/10/07(木) 20:06:38 ID:hvPEb6P7
時間を少し遡る
「追い出されちゃったなぁ、相棒」
「そうだな、デルフ」
「何でぇ、落ち込んで無いのか」
「寮中に響き渡る絶叫聞いて、落ち込んでいられるか」
「何でぇ、今直ぐ戻りたいのか」
「当たり前だ。でもそれじゃ、ルイズの為にならねぇんだよ。俺が甘やかし過ぎた」
「でも、嬢ちゃんにとって、相棒が居ないと、壊れるかもしれねぇなぁ」
「其処まで、ルイズは弱くない」
「嬢ちゃん弱いじゃねぇか」
「…察しろ」
「…信じたいんだな」
「あぁ」
「所でよ、何処向かってんだ?」
「男子寮」
「何でぇ何でぇ。他の娘っ子の部屋行って、子作りしねぇのか」
「お前はちょっと黙れ」
「嫌だねぇ。そうだ、此処で俺っちが大声上げれば、ちっこい嬢ちゃんか香水の嬢ちゃんが、泊めてくれるだろ。其で待望の相棒のガキゲット。よぉし、あ」
カチン
「俺が手で封印したから、もう勝手に出られないぞ、デルフ」
序でに一気に走り、男子寮に行く
「あ、そういや、男子寮来るの初めてだった。適当に聞いて回るか」
コンコン
「誰?」
「才人だよ。ちょっと聞きたい事あって」
アンロックがかかり、扉から出て来るのはギムリ
「ありゃ、ギムリの部屋だったのか」
「才人、一体何の用だよ。こちとら、第5次キュルケ夜這い計画の、真っ最中だっての」
「そりゃ済まん。ギムリの部屋だと知らなかったんだよ。男子寮初めてなもんで」
「そういや使い魔だから、女子寮住まいだったな。羨ましい奴め」
「何もしてないっつの。仮にしてみろ、吊されるわ」
「違いねぇ。で、用って何だ?」
「ギーシュの部屋知らないか?」
「あぁ、もう一階上の一番奥だな。ギーシュに用あんのか?」
「そういう事。ありがとな」
「おぅ。礼はキュルケに顔繋いでくれよ」
「稽古に付き合ってくれるから、結構顔合わせてるじゃないか」
「君かタバサかコルベール先生しか見てないんだよ。僕なんざ、完全にモブ扱いだ」
「そりゃ、俺が言っても駄目な気がするぞ」
「だよなぁ。って訳で、俺は頑張らないとならん」
「おぅ、邪魔したな」
「たまには、稽古抜きで遊ぼうぜ」
「どういう遊びが好きなんだ?」
「酒と覗きと女の話」
「クックックック、ギムリも好きモノだな」
「いやいや、年長者の意見も聞きたいのだよ、先輩」
「おぅ、じゃ今度な」
「あぁ」
パタン
「さてと」
ギーシュの部屋に着き、扉を叩く
コンコン
「お〜い、ギーシュ開けてくれ、才人だよ」
79名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 20:07:52 ID:p/0Rn7SF
リアルタイムで初見記念!
支援!!
80大人才人 ルイズの後悔2-2:2010/10/07(木) 20:08:09 ID:hvPEb6P7
コンコン
「駄目だな相棒。サイレンスかけてやがるから、届いてねぇ」
「じゃあ、どうすっかね?」
「村雨使って、アンロックしてみりゃ良いんじゃね?」
「ああ、成程。アンロック………効かねえ」
「もっと、心を震わせろ」
「成程。ならこうだな」
右手で村雨の柄を握り、左手を握り正面にガッツポーズを作るとルーンの輝きが増す
「俺のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!砕けっ!必殺っ!……開けゴマ」
「…相棒、其処まで言ったなら、最後迄決めろよ」
「シャイニングフィンガーってやったら、扉壊しちまう。アンロック」
ガチャ
「お、開いた開いた。ギーシュ〜悪い泊めてくれって、……誰?」
其処に居たのは一人の女性
ギーシュと同じ短い金髪、ショーツのみ身に付け、才人と同じ位の長身の身体で、比較的肩幅があるが腰はくびれている。胸はルイズより、申し訳程度有る位
その女性が、ワインを片手に呆然としている
「才人?」
「あ、ギーシュの彼女?悪い、取り込み中だとは知らなくて、じゃ」
ガチャガチャ
「え?あれ?開かない?」
「無駄だよ、才人。今ロックした」
「あれ、その声。まさか」
「そうだよ。僕だよ、ギーシュだ」
「えぇえ〜〜〜〜〜!?」
才人は大声を上げた
「ちょっと待て、ギーシュは男だろ?」
「僕は才人に向かって、男だって言ったかい?」
「…俺に向かっては無いな…でもワルドの時は」
「あれは対外用の挨拶だよ。グラモンと名乗ったろう?」
「あぁ、成程。とにかく服着ろ服」
「此処は僕の部屋だ。僕の部屋で、僕がどんな格好しようとも、僕の自由だ」
「そりゃ、そうだな。でも俺が居るのに」
「そうだ、どうやって部屋に入ったんだい?僕は日課で、必ずロックとサイレンスはするんだけど」
「こうガチャって、捻ったら開いたぞ?偶々ロックし忘れたんじゃ?」
「…何か隠して無いか才人?」
「実は村雨使ってこじった。ほら使い魔の能力使えば楽だったよ」
「…全く、君は無謀な事するんだな。不法侵入じゃないか」
「ギーシュなら良いかなって」
「他の女にしてないだろうね?」
81大人才人 ルイズの後悔2-3:2010/10/07(木) 20:13:29 ID:hvPEb6P7
「する訳無いだろ?そもそもギーシュが女だってのも、今初めて知ったんだ。親しい男相手じゃなきゃ、やらねぇよ」
「僕は女だよ、才人」
「そうだ、何で男装してるんだよ?きちんと、女性で受ければ良いじゃないか?」
「そうだね。何時もの如く、きちんと此方を向いて、ワインを交してくれるなら、答えてあげるよ。さっきから此方見ないで、随分失礼じゃないか。僕は、見るに値しないのかい?」
「値するから、向けないんだ」
「僕は才人に隠すモノなんか、一つも無いよ。堂々と見てくれないか?寧ろ、決闘後の続きをお願いしたいんだが?」
「続きって?」
つかつか歩み寄ったギーシュは、才人を無理矢理振り向かせ、口移しでワインを飲ませる
コクンコクン
「ふぅ、だから、此方向いて、ワインを交してくれと言ってるだろう?僕を怒らせたいのか?」
「わ、解った」
才人は観念し、ジャケットを脱ぎ、村雨とデルフを立掛け、ギーシュの対面に座る
「なぁ、ギーシュ」
「何だい才人?」
「一人部屋なのに、椅子が2脚有るのは何でだ?」
「才人と決闘後に増やした」
クイッとグラスを傾け、ギーシュは事もなげに言う
「つまり、此処に連れてくる積もりだったと」
「手間が省けて助かったよ。才人なら、ずっと泊まってくれて構わない」
「はぁ、で、さっきの質問なんだが」
「あぁ、どうして僕が男装してるのかだっけ?」
「そうそれ」
「グラモン家の家風だね」
「マジ?」
「正確にはちょっと違うけど」
「ちょっとって、何だよ?」
ワインを飲みながら才人は聞く
「僕の父上が元帥だって話は知ってるよね?」
「あぁ」
「その父上の趣味だよ」
「……本当?」
「本当。産まれた時から、男として教育されてきたさ。其でさ、12の時だね。兄上達が居る前で、思い切って父上に疑問をぶつけて見たのさ。何で僕だけ他の子女と違って、男の格好と教育されてるのって。なんて答えたと思う?」
「さぁ?」
「面白いから、だとさ」
「……マジか」
「マジ。いやぁ、あん時は切れた切れた。屋敷全壊させたっけ。あの時以上の魔力は、出せて無いなあ。其でさ、全壊した屋敷の瓦礫の山で父上は語ったんだよ」
「『気は済んだか、ギーシュ。お前の憧れは烈風カリンなんだろう?良い事教えてやる。カリンが女だって表明したのは、隊長就任時だ。其まで男で通してたんだよ』」
82大人才人 ルイズの後悔2-4:2010/10/07(木) 20:14:37 ID:hvPEb6P7
「『そしたら、最高の男掴みやがった。俺じゃ逆立ちしても、敵わない奴に拐われたのさ。俺が絶対に敵わない男が、当時二人居てな。その二人に見初められたのが、カリンなのさ。一人は戦場で殿務めて消えちまったがな』」
「『良いか、お前の本質を見抜く男が必ず現れる。だからその男が表れたら、全力で掴め。そいつは絶対に良い男だ』」
「良い話じゃないか」
「瓦礫の山じゃ無ければね」
「違いない」
笑いながら、才人はワインを傾ける
「グラモンって、貧乏だって言ってたけど」
「屋敷の再建で、随分借金したからなぁ。半分は僕のせいだね。半分は父上のせいだ」
「なんつう事してんだ」
「どちらに対してだい?」
「見てた兄貴達はどうした?」
「全員吹き飛ばした。一番上の兄上はトライアングルだったんだけどね。父上と4人がかりで、抑え込めなかったって言ってたよ。何か、スクウェアクラス出てたとか」
「ギーシュって、ドットだろ?」
「うん、あれ以来、ずっとドットだよ」
「…感情で其処まで変わるのか」
「才人も気をつけるんだね。メイジの女のコは、それ位出来るのさ。そう、恋なんかしたら、魔力切れすら覆して、クラス以上軽く出すだろうね」
「えっと、俺生きていけるかな?」
「さぁ、今の内に次代の種蒔いた方が良いと思うよ。才人の場合は、本当に必要だと思う。僕は、才人相手なら大歓迎だ」
「…何で俺?」
「僕のサイン受け取ったのは、才人だけだからさ」
「それって何?」
「僕のワルキューレを見て、賞賛する事」
「まさか、ゴーレムに過剰に装飾してたのは?」
「そう、僕は女でこんな繊細な事が出来る。だから、皆僕を見て欲しい。僕の本質を見抜いて欲しい。そのサインだったのさ」
「じゃあ、俺は知らずに踏んだのか」
「そうだよ才人。僕はグラモン家の第4子で、父上や兄上達にも、好きにして構わないし、好きな男が出来て、その男が平民なら、平民になっても構わないと言われてる」
「そうか」
「だから今、はっきり言おう。僕は君の事が大好きだ、君に抱かれたい」
「えらい、直接的だなおい」
「男として教育されたせいだね。返事は?」
「ちょっと待て、混乱してる」
「モンモランシーは抱いたのに、僕は駄目なのかい?モンモランシーに自慢された時は、口惜しくて口惜しくて、暫く睡眠不足だったよ」
「あ、まさか、モンモンは知ってたのか?」
「そうだよ才人。モンモランシーは、幼馴染みだからね」
83大人才人 ルイズの後悔2-5:2010/10/07(木) 20:19:56 ID:hvPEb6P7
今までのギーシュの言動行動が、才人の頭でカチリとハマる
「じゃあ、アルビオン行く時のモンモンが抱かれたいってのは」
「うん、僕が君に抱かれたかった」
「何かとつるみたがったのは」
「うん、男と勘違いしてくれたお陰で、隣に立つ特権を、享受させて貰った」
「ラグドリアン湖での視線は」
「うん、僕に愛を誓って欲しかった」
「服装がいつもかっちりしてて、肌の露出が無かったのは」
「うん、バレない為」
「常に芳しい香水振り撒いてたのは」
「うん、女だから」
「えっと、生えて無いの?」
「勿論、きちんと水魔法処理は完璧だよ。恥ずかしい所も、ばっちり見せられるから、安心して」
「はぁ、参ったなこりゃ」
才人は頭をガシガシかく
「さあ、才人。泊まるんだろ?僕に女の喜びを教えてくれ」
ギーシュは才人にしなだれかかる
「ちょっと、待て」
「待つ必要なんて無いよ、才人。ルイズと喧嘩したから来たんだろ?」
「解りますか」
「当然。僕はこのチャンスを、逃す積もりは無い。その為に、勇気を出す為にワインを飲んだんだ」
ギーシュの身体が軽く震えている
「…無理するな」
「嫌だ。僕を楽にしてくれるのは、才人だけだ。才人の隣は、本当に居心地良いんだ。此を誰かに譲るだって?冗談じゃない」
「才人の隣に立つのは僕だ。才人の背中を守るのがタバサで、キュルケが援護して、モンモランシーが癒し、ルイズが守られるなら、僕は隣で槍と杖持って並ぶ。其は僕の特権だ。才人の隣にシュヴァリエアニエスが並ぼうとも、僕は絶対に反対側に立つ」
「…ギーシュ」
「だから、僕の事も受け入れてくれよ。辛いんだよ。もう楽になりたいんだよ。僕が女だって、才人から見ても抱きたい位の女だって、証明してくれよ。もう男の格好で、女のコ寄って来るのは疲れたんだよ」
「…俺で良いのか?」
「…愚問だよ、才人。才人が良い、才人じゃないと嫌だ。才人なら、何人の女のコに言われたかな?僕も、やっと言えた」
何時も見慣れたギーシュの顔が、今は完全に女の顔になっている
「…やっぱり、僕じゃ駄目なのか?」
ギーシュはすっくと立ち上がり、杖を持つ
「ギーシュ、何を」
「才人に受け入れられないなら、もういい。才人以外に身体なんか晒したくない。さよなら」
「待て、ギーシュ!!」
詠唱を始めたギーシュから杖を奪う
「ふぅ、間に合った」
84大人才人 ルイズの後悔2-6:2010/10/07(木) 20:21:43 ID:hvPEb6P7
「まだ手段は有るよ、ねぇデルフ」
「止めとけ、色っぺい兄ちゃん。いや、姉ちゃんか。相棒、解ってんだろ?」
「解った、俺の負けだ。ギーシュ」
ギーシュを抱き締め、キスをし、舌をねじ込む
ちゅっ、ちゅぐ、にゅる
「んふっ、ぷはっ。此が才人とのキスか。本当に夢中になるな、モンモランシーばかりずるいや」
「そんな事迄、話してんのか」
「僕にとっては、女として振る舞う事が出来るのは、憧れなのさ」
「今からでも遅くないだろ?」
「入学前に試したんだけど、駄目だった。スカートやニーソックス穿くと違和感出まくりでね。さっぱり動けなくなった」
「今裸なのは?」
「自分の部屋で迄、男装したくない」
「やっぱり、女なんだな」
「そうだよ。苦しくなったのは決闘後だ。君がサインを受け取ってしまった。もう駄目だ、素直になりたいって」
「…悪かった」
「ふふふ、才人は悪く無いよ。全部父上が悪いんだ。娘で遊ぶんだからね」
「一発殴りに行ってやる」
「へぇ、嬉しいね。僕の旦那様として来てくれるんだ」
「そんな事言って無いぞ?」
「父上は娘で遊ぶ様な不良親父だし、未だに女遊びするスケベだけどね。僕の事、本当に大事にしてくれてるのさ。多分、自分の所業省みて、こんな男に娘はやれんと、思ったんじゃないかな?」
「だから男装させたと」
「うん、兄上からそう聞いた」
「…良い、家族だな」
「そんな事無いよ。兄上達も父上に劣らずのスケベ揃いでさ。常に女絡みの騒ぎ起こしてるよ」
「女好きは、グラモンの血筋と」
「だね」
ギーシュはふふっと笑う
「そして僕は男好き。才人の前なら、幾らでもスケベになれる」
ギーシュからキスを求め、才人は応じる
「才人、どうすれば良い?どうすれば、才人は喜ぶんだ?兄上達も父上も、そういう事は教えてくれなかった。相手の男に染めて貰えって」
「…至れり尽せりだな」
「そうなのかい?」
「あぁ」
「どういう所が嬉しいのかい?」
「真っ更なキャンバスに絵を塗るとか、新雪に自分だけ足跡付けるとか、そんな感じだな」
「僕はキャンバスかい?」
「其も極上な」
「じゃあ、絵師様は僕に、どんな絵を描いてくれるのかな?」
才人はギーシュを抱っこし、ベッドに運ぶ
「うわっ、凄い。僕の体格を軽々と」
「アニエスさんより軽いぞ」
85大人才人 ルイズの後悔2-7:2010/10/07(木) 20:25:28 ID:hvPEb6P7
「む〜、何で他の女を出すかな?」
抱っこされたまま、才人の頬をつねる
「ほへんほへん」
とさっ
ギーシュをベッドに横たえる
「さてと」
才人は服を脱ぎ全裸になり、ギーシュのショーツを脱がせる
「才人、どうすれば良い?」
「じゃあ、眼を瞑って」
「解った」
ギーシュは眼を瞑る
「眼開けちゃ駄目だぞ。その代わり、どう感じたか言ってくれ」
「うん」
才人は瞼にキスをする
チュッ
「うわっ、これ気持ち良い」
舌を使って瞼を舐めつつ、耳にキスをする
「はっ、あっ、耳、駄目ぇ」
耳の周辺から耳の穴迄丹念になぶりながら、手で乳首を撫でつけ、刺激する
「や、乳首、ぞくぞくする」
才人はそのまま首筋に舌を這わせ、片手で胸を刺激しつつ、片手で太ももを擦る
「あぁ、3つ同時、す、凄い」
才人はそのまま舌を刺激した胸と反対の胸に沿わせ、チロチロと舐めつつ、太ももを擦る手を女に触れ、ゆっくりなぞり、刺激する
「あぁ、何かジンジンする。熱くなってくる」
「どうだ?」
「僕って、感じ易いの?」
「良い声で鳴いてくれるね」
「興奮する?」
「ああ」
才人は自身にギーシュの手を触れさせる
「ほら、堅くなってるだろ?ギーシュが佳い女だって、証だよ」
「見ても良い?」
「良いぞ」
才人自身を見て、驚くギーシュ
「凄い、堅い。此が僕に入るんだね」
「あぁ」
「何か更にジンジンする。此、僕が才人を欲しいんだよね?」
86大人才人 ルイズの後悔2-8:2010/10/07(木) 20:29:06 ID:hvPEb6P7
「そうだな。だけど、もうちょい準備しないとな」
「え?」
才人はギーシュの脚を広げ、少し開き始めた花弁に口を付ける
チュッ
「あひ!?」
そのままぬるりと舐め上げ、陰核の皮を向き其に舌を這わせる
「あっ、何これ!?才人、強っ、止め、ああぁぁぁぁ!!」
才人はギーシュの懇願を無視し、引く腰をがしりと固定しながら、手と口を使い、無理矢理刺激を与え続ける
「ああああ!?」
ビクンビクンビクン
痙攣を確認した後、ゆっくり離れる
「気持ち良かった?」
「ひ、酷いよ、才人。…頭の中、真っ白だ」
「初めてかな?」
「…こんなの初めてだ」
「此処で止めても良いぞ」
「嫌だ。才人、やっぱり僕じゃ嫌なんだろ?」
「そうじゃない」
「僕と云うキャンバスは、まだ才人の色で描ききって無いよ。絵師なら、きちんと最後迄描いてくれよ。じゃなきゃ、僕は自分で破くからね」
「…解ったよ。痛かったら言えよ」
才人は脱力したギーシュの花弁に自身を当て、ゆっくり腰を進める
ぬるるる
「ふぅ、入ったぞ」
「あ゛あ゛あ゛あ゛」
「ギーシュ、痛いのか?」
首を必死に振り、才人に抱きつき、背中にガリっと爪を立てる
「いっ」
「駄目、才人動いちゃ駄目。今、気持ち良すぎて、ああああ」
ビクビクとギーシュは痙攣が止まらない
そのまま、脚迄才人の腰に絡め、必死に耐える
「そんなに吸い付くな」
「ふーっ、ふーっ、ふっふっふっ」
「収まったか?」
「何でぇ?僕初めてなのに、痛くないよぅ」
「身体が大きいせいか?」
「らっきぃだぁ。初めてから、気持ち良いだなんてぇ。其ともグラモンの血筋かなぁ?」
「人より気持ち良くなるから、色好きになると。一理有るなぁ」
「じゃぁ、僕は父上に感謝しないとぉ。才人、好きに動いて良いよぉ。沢山気持ち良くなってねぇ。僕はもう、気持ち良すぎて駄目だよぉ」
「凄い可愛いぞ、ギーシュ。もう我慢出来ねえ」
「うん、来て来てぇ」
才人が腰を動かし始める
「やぁ、ひっ、凄いよぉ。才人ぉ才人ぉ才人ぉ。また来るの来る、あああぁぁ」
「此方も限界、脚離して」
「駄目、離れちゃ駄目ぇ」
脚をがっしり組み、ギーシュは離さない
「ちょ、ま、出る、うっ」
ドクン
「あひっんんんんん!!」
「…ふぅふぅふぅ、全部、中に出しちまった」
「ふふふ、中があっついよぉ。才人ので凄いあっついよぉ。此で僕は、才人色だよねぇ。もう、才人以外じゃ駄目だよぅ」
87大人才人 ルイズの後悔2-9:2010/10/07(木) 20:30:20 ID:hvPEb6P7
才人に向ける眼は、完全にとろけた牝の眼
自分の牡に、種を付けられる悦びに奮える牝の眼
そして、自ら腰を動かし始める
「才人、全部出してぇ。僕は才人の女だよぉ。才人の種は、全部出して良いんだよぉ」
「ちょっと、そんなに動かしたら、また、止め」
「やめなあぃ。だって才人もやめなかったからぁ。だから、全部出してぇ」
「う、あ、ちょ、出したばっかは敏感で」
「じゃあ、連続発射だねぇ。もう僕も来るのぉ」
「やめ、うぐぅぅぅ」
「あはぁぁぁぁ」

官能の夜は更けていく

二人はベッドの上で裸で絡みついている
ギーシュの花弁からは、大量の精液が垂れている
「…や、やられた」
「才人ぉ、気持ち良かったぁ?」
「ギーシュは、俺をやり殺す積もりか?」
「だってぇ、気持ち良かったからねぇ」
「絶対に血筋だ」
「今ぁ、グラモン家に産まれてぇ、心底感謝してるよぉ。才人が凄く気持ち良いからねぇ」
「だからって、抜かずの10発はやり過ぎだ。もう何も出ねえ」
「ふふふ。此で他の女にぃ、色目使う余裕無いよねぇ」
「俺は使ってねぇ」
「才人は普通にしてるだけでぇ、女のコ来るからねぇ」
「何か間延びした口調になってるぞ、ギーシュ」
「リラックスし過ぎてるんだよねぇ。才人大好きぃ」
「本当に直接的だなおい。正直照れる。そういえば、避妊してるか?」
「うん、してなぁい」
「…ちょっと待て」
「別に良いよぉ。だって才人は10歳上だからぁ、もう作らないとねぇ」
「嫌、だからってな」
「僕が産んじゃ駄目なのぉ?」
「今は不味いって」
「だってぇ、旦那様だよぉ」
「頼むから、な」
「む〜。じゃあ約束ぅ」
「何だ?」
「二人きりの時はぁ、名前で呼んでぇ」
「ギーシュって、本名じゃないのか?」
「本名だけどぉ、父上が付けた男の名前なんだぁ。母上が付けた名前もぉ、有るんだよぉ」
「そういえば母ちゃんは?」
「うん、もう死んじゃったぁ」
「…済まん」
「気にしなくて良いよぉ。気にするならぁ、子供作ってぇ、母上に報告させてぇ」
「…気にしない事にする」
「つまんなぁい。それでねぇ、母上が付けた名前はねぇ、カトリーヌ=シャルロットなんだぁ」
「カトリーヌ=シャルロットか。じゃあ、カトリーヌだな」
「約束だよぅ。避妊薬はぁ、机の一番下の引き出しだよぅ。モンモランシーに貰った奴ぅ」
「解った」
「やっぱりぃ、才人離れちゃ駄目ぇ」
「待て、おい」
88大人才人 ルイズの後悔2-10:2010/10/07(木) 20:34:08 ID:hvPEb6P7
「ふふふ。だってぇ、女のコに産まれてぇ、良かったって思うんだぁ」
「解ったから、な」
「む〜」
才人がギーシュの額にキスすると、ギーシュがしぶしぶ離れる
才人が避妊薬を取り出し、ギーシュに渡すが無反応
「飲みたく無いのか?」
「…うん」
「…頼むよ」
「じゃあ、才人が口移ししてくれるなら飲む」
「解った」
才人は薬を口に含み、ギーシュに口移しで飲ませる
コクンコクン
「有難うな、カトリーヌ」
「うん……才人」
「何だ?」
「僕さ…」
「うん」
「…お嫁さんにしなくても良いよ」
「は?」
「…その代わり、お妾さんで傍に居させて」
「えっと」
「だって、ルイズが壊れる」
「…解るのか?」
「解るよ。多分、今大泣きしてる。喧嘩の原因に後悔してる。ルイズは、才人居ないと駄目なんだ」
「…」
「才人は、何だかんだで、ルイズを捨てる事なんて出来ないからね。だから僕は、妾で良いや」
「……お前、本当に凄いな」
「でも、子供は産ませてくれよ、才人。此だけは、譲らないんだからね」
「…考えとく」
「帰り道を探す為に、出て行く積もりなら、種置いてからにしてくれよ。僕は、やっぱりグラモンなんだ」
「…解った」
89大人才人 ルイズの後悔2-11:2010/10/07(木) 20:35:06 ID:hvPEb6P7
「でも一番はね、君がずっと此処に居る事さ」
ギーシュは才人を押し倒しキスし、そのまま眼を閉じた
「おやすみ、カトリーヌ」

*  *  *
「ふぁあ、短い時間なのに良く寝た」
「おはよう、才人」
「おはよう。起きてたのか、ギーシュ」
「カトリーヌ」
ギーシュはぎゅっとつねる
「あだだ、ごめんごめんカトリーヌ」
「才人の腕枕って、凄く良いねぇ」
「そうか?」
「うん、そう。ルイズに添い寝してる?」
「あぁ」
「こんなのされたら、依存するのも解るなぁ」
「俺にはさっぱり解らんぞ?」
「解んなくて良いよ。解ってやられたら、取り分減っちゃうよ」
「俺は商品か?」
「そうだよ。現品限りの極上品。独占禁止法を作らないと」
「そりゃまた凄い事で」
才人は苦笑する
「今日も泊まってくれるんだろ?」
「…やり殺されるから遠慮する」
「む〜」
「カトリーヌって、素の顔で、凄い綺麗だな」
「密かに自慢なんだ。化粧無しでもこの顔だもん」
「ドレス着たら凄い似合うだろうに」
「僕が着るのは軍服だからね」
「其も綺麗だろうな」
「そうだ、ずっと聞こうと思ってたんだけどさ、決闘時に気絶する前に言ってた宝塚みたいって、何?」
「あぁ、あれは俺の国に有る、女性だけで構成された、男装して演劇する歌劇団でね。カトリーヌの第一印象だよ」
「ふふふ。何だ、才人は最初から見抜いてたんだ。此でも男装歴長いし、男の中でずっと行動してたから、上手く対処してたんだけどなぁ」
「風呂とかどうしてんだよ?」
「ずっと個室」
「軍に入ったら、そうもいかんだろ?」
「色々、誤魔化す方法は有るよ。結構苦労してたからね」
「だろうな」
「さてと、そろそろ着替えるか」
ギーシュは立ち上がり、自身から精液が垂れて来るのを、困った感じで見ている
「ん〜困ったなぁ。浄化したく無いし」
「しないのか?」
「才人の大事な証だもの」
「ったく。ハンカチ有るか」
「はい、これ」
「これ、俺のじゃねぇか」
「ははは〜ごめん」
「もしかして」
「才人の匂い嗅ぐと、安らぐんだ」
「全く、困ったもんだ」
才人はギーシュから垂れてくる精液を拭き、ショーツを穿かせ、ハンカチを挟む
「こんなもんか」
「うん、ふふふ。才人が中で、まだまだたぷたぷしてるよ」
「そりゃ参ったな」
「さてと、僕の男装見せてあげる」
90大人才人 ルイズの後悔2-12:2010/10/07(木) 20:35:57 ID:hvPEb6P7
ギーシュは胸に更を巻き、裸が透けないシャツを着、スラックスは上手く曲線を隠した物を穿く
首元にタイを巻き、ブローチを付け
薄手のジャケットを纏い、マントを羽織る
髪の毛を少々乱雑にし、顔に不敵な表情を浮かべる
「これで良しっと」
「ほぅ、見事に男になったな」
「今日の僕は絶好調。何時もよりポーズもキレる」
「……そのポージングだけは、止めた方が良いぞ」
「良いじゃないか。馬鹿をやるのも楽しいんだよ」
「……だな」
才人は苦笑した

*  *  *
91大人才人:2010/10/07(木) 20:49:13 ID:hvPEb6P7
投下終了なのね〜
2-12誤字発見なのね
裸の透けない×
肌の透けない〇
なのね
大人才人タクティクスなのね、今回は勿論、泥棒猫ギーシュなのね
「泥棒猫だなんて酷いな、シルフィード」
「さて、僕の事をきちんと見抜けた皆は、おめでとう。見抜けなかった人が居たら、してやったりかな?一応ずっと伏線は張ってたんだよ。僕が女のコと云う前提で、もう一度読んでみて」
「さて、気付いたら僕っ娘になってしまった僕だけど、まぁ、一応理由があってね。父上の面白いからってのも、理由としては充分なんだけど」
「大いなる意思がギーシュ=ド=グラモンを調べてたら、僕はバイセクシャルで妹が居て、妹の名前がカトリーヌ=シャルロットでルイ14世の愛妾だったと」
「そうです、ルイズのライバルだったんだね。でも、キャラを増やすのは頂けない。ならどうしよう。そうだ、全部ギーシュに背負わせてしまえって、なってしまった訳だ」
「と、言う訳で、屋敷を全壊させたのは、男の僕の魂の叫びな訳です」
「はぁ、どうしてこうなった?」
「気付いたら、貴重な男キャラを削って、落ち込んでる大いなる意思は馬鹿だね」
「此ぞ始祖ブリミルの罰だろう。良い気味だ」

有難うなのね〜

では、賛否両論有りそうだけど、先の更新迄さよならなのね
きゅいきゅい
92名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 21:12:09 ID:pOFlLXWr
やられた、ギーシュが女だったとは…
ただイメージがどうしてもわかないw
93名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 21:19:48 ID:166ABw60
TSネタは頼むから先に告知してくれ
投下は非常にありがたいんだが…頼む

94名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 22:00:52 ID:JUc81IZ5
TSは衝撃度が大きいからなぁ
でもこれはオレにとっては読めるTSだった
普段は受け付けないんだけど

GJ
95名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 23:02:56 ID:6pBlFqKj
乙です。ベルバラなギーシュに吹いたw
96名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 23:52:18 ID:p/0Rn7SF
>>91
GJ!
97名無しさん@ピンキー:2010/10/07(木) 23:56:55 ID:/RI9Fm2a
まさかのギーシュ女化で驚いた
でもイメージがわかないなw

GJ
98名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 18:17:04 ID:jBpWi16L
大人才人の作者です
『ルイズの後悔』後の次話を、現在書いておりますが、想定以上に長くなっている為、明日の更新予定に間に合わないかも知れません
こりゃ、『再会、覚醒』より長くなりそ
明日の午前中に投下が無かった場合、ほぼ間に合わなかったと判断して下さい
午後からは仕事で、更新出来ないとです
触りだけ投下ってのは、一話完成後に推敲等、調整かけてやるので無理なんです

にしても、エロ回のカウンターの回り具合は正直だ
99名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 19:47:29 ID:w/7ZJ020
楽しんでやるものなので、お気楽にどうぞ
でも楽しみにしてますねw
100名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 00:15:54 ID:viqKTKVd
ん。ワクテカしながらまってるよ
101名無しさん@ピンキー:2010/10/10(日) 17:54:14 ID:QTHrdRjN
102大人才人:2010/10/12(火) 19:14:36 ID:6kQYXMtg
イルククゥでシルフィードなのね〜
やっと次話が出来たのね
総文字数、約63000文字
な、長かったなのねorz
では注意事項なのね

・才人年齢上昇
・キャラ改変有り
・今回投下は政治情勢分、ちょっと退屈かも?
・15レス位?作話の都合で、ちと計算してない。30分以上切れたら、要支援
・日曜投下分の為、木曜も投下予定有り

では反映次第投下開始なのね〜
レコンキスタの思惑、ゼロと呼ばれし翼

ルイズ達が、アルビオンから脱出した時点迄遡る
兵士達が隅々迄捜索した王党派の拠点を、男女二人が歩く
「ちっ、奴らの遺体が無いな」
「どうやって、逃げおおせたんだろうねぇ。にしても、良かったじゃないか、腕くっついて。直ぐに冷気魔法で、保存して正解だったね」
「治療担当の水使いが驚いていたな。切口が鋭利過ぎて、逆に接合出来たと。普通は繋がらないって、呆れて言ってたからな」
「才人の腕に感謝するんだね。此でアタイの言った事は、真実だと証明された訳だ」
「ふん、次はやられん」
「無理だよ。才人は以前遭遇した時より強くなってた。また遭遇した時は、スクウェアだろうと鴨にされかねないね」
「そんなに人間が急成長するものか」
「アタイは良く知らないが、伝説の使い魔なんだろ?なら、能力の使い方知れば、どんどん強くなるんじゃないか?」
「…確かにそうだな」
「もうアタイは才人とはやらないよ。良いね?」
「契約はそういう条文無いだろう?」
「何言ってるんだい?もう傭兵契約は一旦終了している。さっさと払ってくれないか?支払いしてから、更新するかどうか決めるよ」
「ぐっ、確かにそうだった」
フーケは手を出す
「支払いは?」
「ちょっと待ってくれ」
「嫌なこった」
「今回ので、トリステインの子爵領も剥奪されてしまうから。レコンキスタから支払い出る迄待ってくれ」
「そんなの、アタイの知った事じゃないよ」
「ならば、兵達と一緒に此処から取れば良かろう」
「…ワルド、アタイを馬鹿にしてるのかい?アタイは、まともな仕事と聞いたから承けたんだ。略奪がまともな仕事ってのは、初耳だねぇ。貴族の誇りと言っても、そんなもんか。軽蔑して良いかい?」
ワルドに言葉の槍が痛烈に刺さる
「ぐっ」
「早く払っておくれ。冗談抜きで、おさらばしたいんでね。たかが一敗まみれた程度で、其処まで堕ちる奴なんかと、付き合って居られるか」
「これはこれは、ワルド子爵では有りませんか。こちらに居る、美しい女性を私に紹介して頂けないかね?一応僧籍なので、声をかけられぬのだよ」
「クロムウェル閣下。こちらがトリステインで、その名を知られた盗賊、土くれのフーケでごさいます」
「元盗賊さ。もう廃業したんでね」
「成程、此方がミスサウスゴータですね。御見知り置きを。私はオリヴァー=クロムウェル。レコンキスタの総指令をしています」
「何で知っているんだい?その姓は、捨てたんだけどねぇ。アンタがワルドに、あたいを繋げたのかい」
「えぇ、私はアルビオンの貴族は全て把握してますからな」
「そうだ、アンタはワルドの上司だろ?」
「上司ではなく同志ですよ、ミス」
「どっちでも良いさ。ワルドが契約を不履行してるんだ。アンタが代わりに支払ってくれないかい?同志なら、同志の不始末にケリ付けてくれないかい?」
「金額は如何程でしょうか、ミス」
フーケが答えると、クロムウェルが眉をしかめる
「其は本当でしょうか?ミス」
「ほい、契約書」
クロムウェルは目を通し、溜め息をつく
「本当の様ですな。財務官を呼んでくれ」
「かしこまりました」
取り巻きに指示を下し、暫くすると金貨の袋を持って、財務官が現れる
「ミス、確認をお願いする」
「はいよ。ひうふうみい……確かに受け取った」
「では、ツケはワルド子爵に付けさせて頂きましょう。宜しいですね?子爵」
「……分割払いで頼む」
「ではミスサウスゴータ。改めて、我々レコンキスタの同志になって頂けませんか?」
「お断り。興味ないね」
「我々の敵に回るのですか?」
「敵にも味方にもならない。アタイはまともな仕事探して、地味に生きるだけさ。今回は、偶々雇われただけだよ」
「では、我々が雇う分には、問題有りませんね?」
「ま、そうなるね」
「では、レコンキスタが雇用主になりましょう。改めて、傭兵として働いて頂けますか?」
「条件が一つある」
「何でしょう?」
「才人と遭遇したら、逃げても良しとする」
「才人とは誰でしょう?」
「ワルドの腕を叩き斬った、凄腕の剣士だよ」
「遭遇したら勝てぬと?」
「アタイじゃ、勝てない所か、玩具にされるね」
「本当かね?ワルド子爵」
「事実です、クロムウェル閣下。実際に玩具にされました」
「土くれと言えば、音に聞こえたメイジでしょう?其を玩具とは。解りました。その条件で良いでしょう」
「支払い条件は?」
「月極めで宜しいか?で、半年更新、支払いはこんな物で」
「奮発したねぇ。良いね、此で良いや」
「では書記官、契約書を」
「かしこまりました」
「閣下、気前が良いですな」
「貴方が値段を吊り上げたせいですよ。閃光殿」
「私は疫病神か」
「報告致します」
兵士が一人割って入る
「申せ」
「はっ。ウェールズ王子の遺体を収容しました。それと、大陸外に繋がる人間一人分が通れる穴を発見致しました」
「物資と捕虜は?」
「宝物庫と武器資材庫は確保しました。硫黄と硝石を発見、但し、それ以外は兵の略奪で」
「それ位は構わないでしょう」
「寛大な処置、感謝致します。捕虜は王党派の婦女子やお付きのメイド。男性は全滅してました」
「それはワルド子爵の手柄ですね。この件で、先程のツケを帳消しにてもお釣りが来ます。報奨を出しましょう」
「有り難い御言葉、感謝致します閣下」
ワルドが答える
「では、私の友人を増やさなくはなりませんね。ウェールズ王子の遺体を此方に」
「ははっ」
ウェールズ王子の遺体を持って来させ、クロムウェルは語る
「さて、ミスサウスゴータ。失われた虚無をご存知ですかな?」
「あんなの伝説だろう?」
「そんな事は有りませんよ、ミス。虚無とは生命すら覆す、素晴らしい物なのです。では、御見せ致しましょう」
杖を持ち、何やら不可解な言葉を詠唱するクロムウェル。僅かに指輪がきらりと光る
そしてウェールズ王子の遺体の傷口が修復され、むくりと起き上がった
「な!?」
「ご機嫌は如何かな?ウェールズ王子」
「すこぶるご機嫌だよ。我が友、クロムウェル」
「此からは、レコンキスタの為に働いて頂けますか?」
「勿論だとも」
「では、友人達の列に加わって頂けますかな?」
「良いとも、我が友の願いは聞き届けよう」
ウェールズは付き従った者達の列に加わる
「……あれ、まさか」
「そうですともミス。敵や味方で素晴らしい活躍をしたモノの、志半ばで絶えた者達ですよ。全員素晴らしい使い手達です」
「……此が、虚無」
「伝説を信じる気になりましたかな?」
フーケは頷く
「此が、アンタ達の切札かい」
「私は心成らずとも、この始祖の力、虚無に目覚めてしまいました。ならば、聖地を奪還する為に、また、始祖の力を後世に伝える義務が有ると、確信したのです」
「ではミス、不躾なお願いなのですが、始祖の力を後世に伝える為に、協力をお願いしたいのですが?」
「……ふん、とんだ生臭坊主だね。そんな事は契約書には書いてないからお断りだ。どうしてもってなら、アタイもアンタのお友達にしてからするんだね」
「おっと、此は嫌われてしまいました。まぁ、良いでしょう。ではワルド子爵、副官として、ミスサウスゴータを付けますので、委細任せます」
「…アタイはこいつ嫌いなんだけど?」
「此は契約に添ってますよ?」
「…確かにな。承知したよ」
「そんなに私の事嫌いか?」
「アンタはアタイの神経逆撫ですんだよ。別に嫌いたくて嫌ってんじゃない」
「…気を付けよう。で閣下、今後の方針は?」
「先ずは地上の拠点を築かないといけませんね。其はトリステインのラ・ロシェール以外有り得ません。ですが、今の時点では大陸が移動してしまった為、無理が有りますね。外交はパンと杖。先ずはパンをくれてやりましょう」
「和平を持ち掛けると?」
「取り敢えずと、言って置きましょうか」
「ほう、その時が楽しみですな」
「では、私はまだまだ用事が有りますので」
クロムウェルは去って行く
「…成程、伝説をこの眼で見たから、伝説の使い魔の主人が欲しかったんだね?」
「そうだ。何れ目覚める。今は時じゃないだけだ」
「ふん、そんなんだから女がなびかないのさ」
「私は力が欲しいんだよ。今よりももっとだ」
「既に、スクウェアの癖にかい?」
「まだだ、聖地に繋がるモノが見付かれば、まだまだ力が手に入る」
「アハハハ。才人の言った通りだ。アンタじゃ、伝説の力は手に入らない。才人一人に負けた位で、立場すら危うくした癖に、どの路で手に入れる積もりだい?」
「くっ、奴一人で何が出来る?」
「多分、アタイ達には出来ない事さ。…所で、あの女の事、愛してたのかい?」
「……忘れたよ」
「そうかい」

*  *  *
クロムウェルが向かった先は寝室、一際大きい寝台が有る王子の部屋で、取り巻きは二人、全身を黒の装束で隠し、顔にヴェールをし、全容が解らない女と、ウェールズ王子
兵士が二人、見張りで立って居る
「ご苦労。首尾は?」
「はっ。選りすぐりの者を、5人用意して有ります。勿論、全員貴族です」
「杖は?」
「取り上げて有ります。また自害せぬ様、魔法の轡もはめております」
「宜しい。残りは兵士達で楽しむが良い。最後は何時も通り、オークやトロルに回せ。奴らを使う上での、契約だからな」
「流石閣下。話が解る。貴族を楽しめるなんざ、滅多に有りませんからな」
「傷付けたり殺すなよ。必ず最後迄、有効利用しろ。殺した者は斬首にしろ。オークやトロルが暴れだしたら厄介だ」
「解ってまさあ。では楽しんで来て下せい」
ギィ、パタン
「ほぅ、これはこれは。本当に選りすぐりを選んだ様ですね」
ベッドの上で震える5人
「安心して下さい、殺しはしませんよ。其に、その轡は喋る事が出来た筈です」
「…ウェールズ王子。生きて居たんですね?」
「私は、サークロムウェルによって蘇ったのさ。今は彼の親友だよ。君達には、大事な仕事をお願いしに来たんだ」
「仕事とは?」
「実はサークロムウェルは伝説の虚無の使い手でね。その気高き始祖ブリミルの御使いの血を、後世に伝えないといけない。君達には、其を手助けして欲しいんだ」
「つまり、この男の子を身籠れと。王子が蘇ったのも?」
「そう、虚無のお陰だよ。だから私は、レコンキスタに与する事にした」
「い、嫌です」
「嫌ならしょうがない。オークに引き渡そう。サークロムウェル、宜しいか?」
「まぁ、そうなりますな」
「ひぃぃぃぃ」
「さて、返答は行動で願おうかな。イエスなら、服を脱いで貰えないかな?其と、一つ教えようか。一番安全なのは、サークロムウェルのお膝元だよ。少なくとも、兵士達の慰みモノよりずっと良い」
その言葉で、女達は自身の身が、此でもマシなのだと理解する
「わ、解りました」
一番年長の女が答え、全員が服を脱ぎ始める
全裸になった女達が、胸と股間を隠しながら、クロムウェルに向いている。
「実に素晴らしい。さて、最初は只の行為にしましょうか。お互いに楽しむのは次からで。では全員、獣の様に、此方に尻を向けなさい」
全員ベッドの上で従う。丸い尻が五つ並び、クロムウェルを誘う
クロムウェルはいそいそと全裸になり、少々小さい自身のモノを、端の尻にそのまま突き立てた
「いっ、ぎっ、痛」
女と繋がると指輪がほんの僅かに光る
その瞬間、女はとろけだした
「あ、あぁぁぁ。閣下、素敵ぃ」
腰を打ち付けるクロムウェルに合わせ、女も腰を振る
「ふっふっふ。最初はそのまま出しますよ。後がつかえてますからね」
「はいぃ、閣下早く出してぇ」
「ふっふっふ、さぁ出しますよ」
「あああぁぁぁぁ」
女が絶頂し、その間はクロムウェルは射精で腰をきっちり掴み、離さない
暫くしたら抜き出すと、クロムウェルのモノはきちんと勃っていて、精液で濡れている
「さて、次ですね」
隣の女に、また無造作に挿入する
「い、いきなり。酷い。あ、ああぁぁぁぁ」
パンパンパン
「ふっ、いきなりでも、皆喜ぶので、敢えてしないんですよ?理解しましたか?」
「はいぃぃ。もっとぉ」
「ふぅふぅ。では出しますよ」
「あはぁぁぁ」

その後、他の三人にも同じ様に挿入し、三人とも絶頂させ、今は5人が、クロムウェルに奉仕している。クロムウェルのモノは、ずっと勃起したままである
「さて、もう轡は要りませんね。外しましょう」
クロムウェルが合図をすると、全員の轡が外れ、女達は我先にクロムウェルにキスを求め、あぶれた女はイチモツに奉仕する
「ふふふ、では次々とやりますか。楽しみましょう皆さん」
「「「はい」」」
奴隷の笑みを浮かべ、女達は我先にと、クロムウェルのイチモツを挿入し、快楽の波に溺れていった

女達が失神するまでクロムウェルは抱き、其でもイチモツは上を向いている
「やはり、足らないか。おい」
「はい」
黒装束の女が脱ぎ、見事な金髪が覗き、耳が尖っている。そして胸は規格外の大きさで有りながら、形が崩れず、正に奇跡の形状を保っている
「エ、エルフ。いやぁああああ」
「君達、落ち着きなさい。あれも私の友達だよ。君達はこれ以上無理だからね。解るだろう?」
「閣下を満足させる事が出来ない私達を、どうかお許し下さい。そして、見捨てないで下さいまし」
「勿論だとも。だから彼女とも、仲良くなってくれるかね?」
「閣下の仰せとあらば」
悲鳴で起きた女達が頷く
「では良いね。来なさい」
「はい」
エルフの女はクロムウェルに寄ると、無造作にクロムウェルのモノを飲み込む
その瞬間、クロムウェルの顔に今までとは違う、快楽に歪み、快楽に耐える表情に切り替わる
「おっおっ、流石にお前は具合が良い」
「嬉しいですわ、クロムウェル様。私を思う存分味わって下さい」
「出すぞ」
「はい」
ドクンドクン
クロムウェルは座位のまま、エルフの女に出す
「ふぅ、まだだ」
「はい」
エルフの女は一度離れ、尻を見せ、顎をベッドに付け、腰を軽く振り、クロムウェルを誘う
「来て下さい」
「うむ」
ぬる
109名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 19:36:17 ID:XUcYPXYU
支援
110名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 19:38:38 ID:XUcYPXYU
>胸は規格外の大きさ

なんだか嫌な予感がするぞ……
「おおお、お前のこの姿勢は本当に堪らないな、もう出そうだ」
「我慢しないで下さい」
「出る」
ドクンドクン
クロムウェルは散々射精したにも関わらず、勢いが衰えない
「ふぅふぅふぅ。このままだ、このままでまだ出すぞ」
「はい」
エルフの女が締め付け
クロムウェルはまた悲鳴を上げる
「うぉっ、強い」
「もっと下さい」
「うぁぁぁぁ」
クロムウェルが射精し、流石に疲れたか、エルフの女に上から覆い被さる
まだイチモツは、勃起したままだ
「駄目ですよ。まだまだ元気じゃないですか。更に出して下さい」
「うぁ」
エルフの女が膣を動かし、動けないクロムウェルから、更に射精させる
クロムウェルは快楽から逃げず、腰を密着したまま、射精を繰り返す
「ふぅふぅふぅ、流石に疲れた、最後はお前の胸で」
「解りました、何時も通りに」
結合を解かず、体位を変え、正常位でクロムウェルはエルフの女の胸を枕にし、眠り始めた
「あら、寝ながら出してらっしゃる。可愛いお方。貴女達も体力回復させる為に寝なさい。食事も取るのよ」
「あの、貴女は食事は?」
「私は大丈夫よ」
エルフはそんなモノかと勝手に解釈し、見張りに食事を要求した後、食事が来る迄、まどろみ始めた

*  *  *
翌日、クロムウェルは起床した後湯編みをし、女の匂いを落としてから会議に出る
女達には移動を告げた
会議は特に問題無く進行し、不可侵条約締結の使者を送る事を決定し、会議を解散した
秘書がクロムウェルに付いて行き、書斎に入る
「では、閣下。委細閣下の望み通りに」
「シェフィールド殿。うむ、宜しく頼みますよ。彼方の方にもね」
「えぇ、ですが」
ダン!!
「あがっ」
足の甲を強かに踏まれ苦悶する
「……ちょっと、使い過ぎじゃない?この豚!!」
「も、申し訳有りません。あれは、虚無の力を後世に伝える手段と云う、カモフラージュでして」
「ふん、アンドリバリの指輪をあんな風に使うとは、ゲスのやる事は本当に感心するわ。私じゃ、思い付かないもの。第一、誰の血統と言う事にする訳?一応、聞いておきたいんだけど?」
「ロマリアのフォルサテです」
「成程。司祭のアンタがやるなら、一番格好つくわね。にしても、あの女達も哀れね。虚無の血統かと思ったら。只の生臭坊主にやられてるなんてね」
「私は」
「お黙り!豚はさっさと腰でも振ってなさい。あのエルフの死体に随分執心だけど、情報は手に入ったの?」
「いえ、アンドリバリの指輪でも、名前一つ教えて貰えず」
「流石、エルフと言った所かしら?先住に対する耐性が高いわね。良いサンプルになるわ」
「其と、今の様な絶倫と快楽洗脳程度なら問題無いけど、完全洗脳は止めるのね。あっという間に尽きるわよ」
「心得ております。最初の3度程度で、身体の方が馴らされ、勝手にその状態になるみたいです」
「つまり、洗脳為なくても、勝手に反応しちゃう訳ね?」
「はい」
「貴重なデータ提供は感謝するわ。でも、くれぐれも使い過ぎは止めるのよ」
「解っております」
「じゃあ、女達が待ってるんでしょ?さっさと腰でも振ってなさい!」
尻を蹴られ、部屋を追い出されるクロムウェル

「主様。はい、全ては順調に進んでます」
シェフィールドは、恍惚とした表情を浮かべ、宙に視線を泳がせた

*  *  *
トリステイン王宮。アニエスが、学院に来る前である
「殿下」
「何ですか?マザリーニ」
「アルビオンからの使者が、不可侵条約の締結を求めて来ました。国号をアルビオン神聖帝国と改称し、クロムウェルを初代神聖皇帝と称しました。殿下の結婚式にも、艦を出し、参列すると」
「締結する益と、袖を振る益は?」
「現在のトリステインでは、一国でアルビオンには対抗出来ません。其が故に、殿下がゲルマニアに嫁ぎ、同盟を締結する必要が有ります」
「…その通りですね」
「袖にした場合、常にアルビオンと戦をする覚悟が要ります。現時点では、得策ではないでしょう」
「選択肢は無い訳ですね」
「さようで」
「小国とは辛いモノですね。締結しましょう。使者を丁重にもてなして下さい」
「かしこまりました」
「アニエスは?」
「現在、諸任務の引き継ぎを行ってる最中ですな。副隊長のミシェルが、現在隊を取り仕切っております」
「解りました。衛士隊は?」
「グリフォン隊の隊長代理に、マンティコア隊隊長のド=ゼッザールを採用しました。彼なら、2隊を束ねてくれるでしょう。何せ、スクウェアメイジは少ないので、隊長の替えは中々効きませんので」
「ヒポグリフ隊の様に、トライアングルでは駄目なのですか?」
「ヒポグリフ隊は、幻獣の扱いがグリフォンやマンティコアと違い、比較的優しい為に、トライアングルでも仕切れるのです」
「隊長のド=グラモンの力量を、2隊より下に見てる訳では有りません。気性の荒いマンティコアやグリフォンでは、隊長がトライアングルでは、難しいでしょうな」
「中々、上手く行きませんね」
「人材も不足気味ですな」
「銃士隊を編成して正解でしたね」
「殿下の慧眼、恐れ入ります」
「私が輿入れすれば、少しは楽になるでしょうか?」
「殿下がド=ミランに命じた、使い魔はどうですかな?」
「あらゆる布石を惜しまず。としか、まだ言えません。其に、私のルイズに悪い事してますね」
「今は国難の時です。殿下」
「ラ=ヴァリエールと烈風カリンの協力が得られれば、随分と楽なんですが」
「烈風カリンは退役した後、現在の消息は親しい者にしか教えておらず、その者達も口が堅く、知られておりません」
114名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 19:50:39 ID:psp6/V8x
支援
115名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 19:50:40 ID:XUcYPXYU
もしかして真珠さんか? クロムウェル俺と替われこのやろう支援。
「ラ=ヴァリエールに於ては、後継者の問題が有り、積極的には関わらないでしょうな」
「長女は毎回婚約を失敗してますし、次女は持病で子供を産む事すら怪しいかと。三女はワルドの離反で、婚約が解消されましたし、下手すればヴァリエール自体、存続が怪しいかも知れません」
「ヴァリエールが無くなると、非常に困ります。あの領地一体を治める事の出来る貴族は、国内にはヴァリエールのみです。モンモランシも、湿地干拓失敗の後遺症から、まだ抜け出ていないのですよ?クルデンホルフは?」
「今度、娘をトリステイン魔法学院に留学さる手続きをしており、好き勝手してますな。国内貴族の主だった者で、クルデンホルフに金策をしてない者は、無いに等しいかと。一応独立国で有るので、余り強い態度に出るのは無理でしょう」
「ガリアとゲルマニア、ロマリアは?」
「ガリアは大国で有り、その外交姿勢は国王ジョゼフの気まぐれも有り、余り真剣には付き合えませんな。ですが、それ故に警戒を解けません」
「世間では、無能王とけなされておりますが、此方と外交を交した反応は、なるべくしてなった器かと。態度で推し量る愚は、すべきでは有りませんな」
「ゲルマニアは今回の結婚で、同盟を結べば産業と兵力を、多少は融通してくれるやも知れません。但し、ゲルマニアは地方領主の寄せ集めの側面が非常に強い為、不透明な部分が大きいですな」
「其に、ゲルマニアで一番産業の強いツェルプストーは、ヴァリエールの宿敵ですので、軋轢が予想され、難しいでしょうな」
「ロマリアは、新教皇聖エイジス32世は今の所、目立った動きはしておりません。ですが、此方の情報網に入っていないだけの可能性も、否定出来ないかと」
「此処でも人材不足ですか」
「はっ」
「貴族だけでは、もう無理なのではないのでしょうか?」
「極潰しなら、沢山居るのですがね」
「困ったものです。高等法院のリッシュモンにも、まだまだ働いて頂かないと困りますね」
「そうですな」
「いっそのこと、サハラのエルフやロバ・アル・カイリエと国交を開くと言うのは、どうでしょう?エルフ達は、非常に洗練された技術を持ってるのでしょう?」
「我々の宗教上の敵がエルフで、エルフの敵が我々で有る以上、非常に難しいかと」
「戦争より、交易の方が宜しいのに」
「全面的に賛成ですな」
「シルクが中々手に入らないので、市場で高騰してます。此だけでも、交易の価値が有るのですが」
「ロバ・アル・カイリエ産でしたな」
「えぇ、只でさえ交易自体が少なく、殆どがガリアで消費されてしまう為、トリステインには殆ど来ないですし」
「まぁ、駄目で元々で、サハラに使者でも出しますか?」
「ガリアを出し抜く方法が、無いですね」
「広大な国土は、それだけで脅威ですな」
「長駆出来る空船が有れば、随分楽になるのですがね」
「風石が持ちませんね」
「風石も、サハラに大量に埋蔵されてるとか」
「ふぅ、八方塞がりですね。何とか、歩み寄る機会は無いモノでしょうか?」
「やってみる価値は、確かに有りますな。ですが、まだその時では無いでしょうな。一つずつ、課題を克服すべきかと」
「結局の所、一番の問題は」
「「金」」
「…ですね」
「…ですな」
「そういえば、旧金貨の回収と、改鋳の状況は?」
「財務卿に一任してますが、芳しくないと報告が入っております。純度が下がる為、商人達が出し渋ってる模様ですな」
「本当に、内憂外患」
「心労、御察し致します」
「貴方が頼りですわ。マザリーニ」
「この鳥の骨で良ければ、喜んでトリステインの礎になりましょう」
「貴方には、苦労ばかりかけますね」
「殿下、勿体無うお言葉。このマザリーニ、トリステインの為に、命を惜しまぬ所存ですぞ」

*  *  *
「お母様、お呼びですか?」
「此方にいらっしゃい、アンリエッタ」
「はい」
アンリエッタを呼んだのは母親のマリアンヌ
其所に居るのは中年の女性、年齢を重ねても美しく、若さの代わりに円熟した色気を持っている
アンリエッタと同じく栗色の髪、アンリエッタ以上の出る所は出て腰はくびれ、清楚の中に魔性の魅力を放っている
若い時はおろか、今でも男が放っておかないだろう
「貴女には、苦労掛けてばかりでごめんね」
「なら、お母様が戴冠なされば宜しいのに」
「私は、喪に服しておるのですよ?アンリエッタ」
「嘘ばっかり。お父様の事は愛してたかも知れませんけど、他の殿方の事を想っていたのでしょう?」
「あら、どうしてそう思うのかしら」
「お母様、葬儀の時またって言ってたじゃないですか?」
「その人は、私達を守って、消えてしまったの」
「誰なんですか?」
「内緒」
「ずるいですわ」
「だって、約束ですもの。きちんと守れば、必ず再会出来るって。大人になれば、こういう楽しみも有るのよ?」
「私にも、そういう相手出来るかしら?」
「えぇ、絶対に出来るわ」
「…私、ゲルマニアに嫁ぎたくない。あんな脂ぎった男、嫌」
「ごめんなさいね、アンリエッタ。でも、仕方ないのよ。トリステインでは身を守るのが難しいの。軍事強国のゲルマニアなら、貴女の身を守ってくれるわ。こんな事しか出来ない、無力な母を許して」
「申し訳ありません、お母様。私は幸せです。だって、生きて結婚出来るんですもの」
「アンリエッタ」
「女の幸せは、結婚して子供を産む事だと、お母様が言っておられたじゃないですか」
アンリエッタは微笑む
「想った人と結ばれるのは非常に難しい。ならば、子供を産んで愛情を注ぐ方が、ずっと良いって。お母様の体験なんですね?」
「貴女のお父様は、私を沢山愛して下さりましたよ?」
「ド=オリニエール」
ぴくりとする、マリアンヌ
「私、もう子供じゃないんです。国内各地の状況を調べてたら、痕跡が有りました」
「…お父様の事、軽蔑した?」
「いいえ、人間らしくて良いと思います。私、お父様の事、完全無欠かと思ってました」
「なら、安心ね。殿方はそういうモノよ。どんなに最愛の人が居ても、他の花にも興味を示してしまうのよ。其を含めて、愛してあげなさい」
「はい」
「貴女には恋した方は居て?」
「…もう、戦火で」
「なら、此からすれば良いじゃない」
「結婚するのにですか?」
「心は自由よ、アンリエッタ」
「それ、不倫のすすめですか?お母様」
「さあ?」
くすくすと、二人は笑った

*  *  *
119大人才人:2010/10/12(火) 20:07:06 ID:6kQYXMtg
投下終了なのね〜
抜き出しでやったから、完全に読み違えたのねorz
では、大人才人タクティクスなのね
今回はフーケなのね
「全く、あのクロムウェルって奴は何だい?えらい不気味じゃないか」
「オマケにさ、アタイ達がせっかく捕虜にした女達を、兵士共に投げやがった」
「アイツラの親戚筋から身代金取れば、其なりの収入になるってのに、何考えてんだ?」
「戦争やってんのに、資金源に絶対の自信持ってんのかい?本当に気持ち悪いよ」
「オマケにアタイの事舐める様に見やがる、あぁ嫌だ嫌だ。ワルドはシャクに障るし、何でこいつらに雇われてんだろ?」
「はぁ、負けても気持ちが良い奴も居れば、鳥肌が立つ味方も居る。人生中々上手く行かないねぇ」

有難うなのね〜

では次の更新迄お別れなのね〜
きゅいきゅい
120名無しさん@ピンキー:2010/10/12(火) 20:19:55 ID:XUcYPXYU
投下乙!
巨乳エルフさんがテファではなさそうだったんで一安心だ。
121名無しさん@ピンキー:2010/10/13(水) 04:30:35 ID:ssipHKvp

今回はかなり読み応えがありますな
122名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:22:59 ID:WxssLk7X
GJ面白かったわ
123名無しさん@ピンキー:2010/10/14(木) 01:57:00 ID:YJalS7Gb
GJでした。

>「戦争やってんのに、資金源に絶対の自信持ってんのかい?本当に気持ち悪いよ」

確かに戦争やってりゃいくら金があっても足りないくらいなのに、
懐具合に余裕があれば不審に思うよなあw
124大人才人:2010/10/15(金) 00:29:32 ID:oKBm70KL
イルククゥでシルフィードなのね〜
ちょっと遅くなってしまったのね
気が付いたら寝てたなのね
きゅいきゅい

では注意事項なのね

・才人年齢上昇
・キャラ改変有り
・レコンキスタの思惑、ゼロと呼ばれし翼の続き
・11レス前後

では反映次第投下開始なのね〜
きゅい
才人は今、風呂場の隣にテントを張っている
朝から厨房に赴くと、マルトー料理長やメイド達が驚く
「早いじゃねぇか、我らの剣」
「おはようございます。ちょっと、ルイズと喧嘩しちゃいまして」「なんでぇ、使い魔クビになったのか」
「一応、休職扱いって事で」
「貴族に其処まで付き合うお前さんも、随分物好きだな。何ならバイトすっか?」
「アニエスさんは知りませんからね。稽古は待ってくれませんよ」
「其もそうか。あのシュヴァリエもスゲーな。流石剣だけで、栄達しただけはあらぁ」
「アニエスさん好み?」
「おっかねぇのは、嫁だけで充分だ」
「クックックック。違いない」
賄いを食べ、序でに使ってないテントを分けて貰い、風呂場に向かい、今に至る
「才人さん」
「お、何だシエスタ?仕事は良いのか?」
「才人さんが心配で」
「俺よりルイズを心配してくれ。身体壊されちゃ堪らん」
「…喧嘩した時でも、ルイズルイズって。ちょっとは、私も見て下さい」
「…ごめん」
「其で、質問なんですけど」
「何?」
「何で、ミスタグラモンの香水が、匂って来るんですか?」
「昨日は、ギーシュの部屋に泊めて貰ったのさ。その時に悪戯された」
「どんな悪戯ですか?」
「寝てる時に、香水振り撒かれたらしくてね」
「本当ですか?」
「何で?」
「だってこれ、残り香程度ですよ」
「軽くかけられたんだろ?」
冷や汗を垂らしながら答える
「ミスタグラモンってバイの噂が絶えないんですよね?もしかして、襲われてませんか?」
「そ、そんな事無いって」
「本当にぃ?」
「本当本当。ギーシュは至ってノーマルだよ。只、馬鹿な事が好きなだけさ」
ギーシュは、確かにノーマルである
「確かに、ミスタグラモンって、馬鹿な事好きですもんね」
うんうんと、シエスタは頷いた
「で、才人さん。此からどうなさるんですか?」
「ん〜取り敢えずテント張ったら、アニエスさんと一日稽古だな。呑みたい気分だけど、アニエスさんは容赦しないしね」
「じゃあ、シュヴァリエも混ぜて、呑んじゃいましょう」
「…そういう方法も有るか」
「はい、たまには酔っ払って騒ぐのも、必要だと思います」
「アニエスさん来たら、検討しようか」
「はい」

竜騎士の後ろに乗ったアニエスが、広場に降りた途端、木剣が投げられ、アニエスが其を掴むと、既に才人が間合いに入っていた
ガッ
「いきなり斬りつけるとは、中々やるな才人」
「今日は趣向を変えようかと思って」
「貴様はそういう所が良いな。いくぞ」
目前の竜騎士が驚き、呆れるレベルでの稽古が始まった
ガッガッガッガッ
剣劇と共に、一気に移動する
「今日の剣筋は、随分と荒々しいな」
「そういうアニエスさんこそ。今日は香水付けて来たでしょ?」
ピク
アニエスの反応が少し遅れ、才人はその隙を見逃さず、左の剣でアニエスの顔を突く
パシャ
「一本」
「…今のは卑怯だろう?」
「あれ位で乱れるとは、思わなかったなぁ」
「貴様だから有効な手だ。全く、この天然たらしめ」
「今度のは、良く似合ってるよ。凄い魅力的だ」
「モンモランシーに感謝しないとな」
アニエスは、明らかにテンションがあがっている
「さて、続きだ。行くぞ!!」
アニエスの喜びは剣に乗り、その後才人は一本も取れず、ボコボコになった
「あたたたた。流石に痛ぇ」
「ふん、いい気味だ」
「俺が何をした?」
「…言えるか、馬鹿」
アニエスはそっぽを向きつつ、赤面する
「…で、何があった?」
「何で?」
「貴様の調子なぞ、剣を交えれば解る」
「…俺って、解り易いのかね?」
「嫌、非常に解り難いから、そういう所で推測するしかない。剣には迷いが出るんだよ」
「流石達人、降参だ。ルイズと喧嘩して、追い出された」
「……また、ミスヴァリエールの我が侭か」
「俺が悪いって事は、考えないのかね?」
「貴様は残酷な程優しく、貴様が思う正論しか言わん。正直言って麻薬だ」
「…麻薬…か」
「そうだ。掛けて欲しい時に、掛けて欲しい言葉をかけ、時に行動で示すんだろう?そんな事、毎回やられて見ろ。居心地良すぎて、ずっと傍に居たくなる。特に悩みを抱えた女には、正に麻薬だ」
「アニエスさんでもかい?」
「……そうだ」
「…全部、俺が悪いのか」
「そうだ。だから貴様は、トリステインから出て行く事は、私と殿下が赦さん。出て行くなら、大逆罪で投獄だ。一生幽閉してやる」
「何でそうなる?」
「今の殿下の楽しみが、何か知ってるか?」
「何?」
「私から、貴様の話を聞く事だ」
「…あれは言って無いよね?」
「安心しろ、約束は違えん。私は、貴様に嫌われるのが怖いんだよ」
「…」
「貴様がどういう事に怒りを向けるか、メイド達に聞いた。私は、そんな事したくない」
「…そうか」
127名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 00:36:41 ID:bkDjDnvK
支援!
「貴様はもう、トリステインに囚われてる。望むと望まざるともだ。近衛隊長が懇意にするとは、そういう事だ。何か有ったら、私の名前を使え。貴様の役に立つなら、こんな粉引きの姓、幾らでも使い倒してくれ。少なくとも、軍事に於いては役に立つ」
「粉引き?」
「ミランとは、粉引き屋って意味なのさ。私程度には、過ぎた姓だよ」
「良い姓じゃないか」
「常に侮蔑され、陰口叩かれる、この姓の何処がだ?」
「粉引きって事は、小麦粉を作るって事だろ?」
「その通りだが?」
「つまり、皆の命を支える、栄えある姓じゃないか。この程度なんかじゃない。トリステインの民を守るアニエスさんには、ふさわしい姓だ」
「…」
アニエスは言葉を詰まらせる
「…私は、そんな女じゃない。私の原動力は、憎悪だ」
「そんな事無いよ」
「違う」
「違わないよ。少なくとも、今この時だけは違う」
「……貴様は何も知らんから……だから貴様は……麻薬だと」
アニエスは才人の胸に顔を埋め、暫く嗚咽し、才人は軽く抱き締め、落ち着く迄撫で続けた

「…本当に、たらしなんですから。あんなの、入れません」
シエスタは、手拭いを持ってお茶を差し入れに来たは良いが、アニエスを見て、溜め息を付いた

アニエスが落ち着いた頃を見計らい、シエスタは声をかける
「才人さん、シュヴァリエ、お茶にしましょう」

才人とアニエス、シエスタの三人でベンチに座る
「で、今日からどうするんだ?私の任務は、ミスヴァリエールが関係無いから、才人の行く所に行かねばならん」
「シュヴァリエ、関係無いんですか?」
「才人の主人に対しては、何の命令も受けて無いのでな」
「軍人って、あっさりしてるんですね」
「私が此処に居るのは、任務だぞ?楽しんでるのは、否定せんがね」
アニエスはニヤリと笑う
「やっと、笑ってくれました」
「…どういう事だ?」
「才人さんの陰謀です。シュヴァリエが、自然に笑みを出せる様にしたいって」
キョトンとした後、アニエスは笑いだす
「クククク、あっはっはっはっはっ。まさか、そんな事考えられてたとはな。参った、完敗だ。クックックック」
アニエスは笑いが止まらない
「才人さん。協力するの、もう良いですよね?」
「ん〜?何か、有るのかな?」
「勿論です。シュヴァリエ、才人さんの事、どう思ってるんですか?」
「クックックック。そうだな、多分シエスタの考えに近いんじゃないか?」
「ライバル宣言と受け取りますが?」
「その積もりは無いぞ。私は付き合いが出来れば其で良い」
「え?」
「私は今でも、充分楽しんでるからな。今以上を望むと、バチが当たる」
「シュヴァリエ?」
才人がシエスタの頭をぽんと手の平で軽く抑え、ウィンクしながら口の前に人差し指を立てる
「ぶ〜」
「ハハハ。やはり才人が居ると面白い。さて、今日は何処に泊まるんだ?」
「テントだね」
「なら、私の宿舎に泊まるか?隊員と違って、一応隊長なのでな、一人増える程度は問題無いぞ。銃士隊は全員女性のお陰か、衛士隊と違って、全員寮住まいだ。その分給料安いがな」
アニエスは笑いながら言う
「絶対に駄目です!!そんな事する位なら、私の部屋に泊まって下さい!!」
シエスタが才人の腕を抱き寄せ主張する
「…テントで良いや」
「遠慮するな、才人」
「そうです。才人さんは遠慮しなくて良いです!!」
「はははは」
冷や汗を足らし、乾いた笑いをしながら、村雨に手をかけ一気に跳躍し、その場から走り出す
「あ〜!?」
「逃げるな!!才人!!」
アニエスは喜々として追いかけ、シエスタはぽつんと残された


*  *  *
「おはよう、僕のモンモランシー」
「おはよう、ギーシュ。何か今日は違うわね。何時も以上に怪しいわよ」
「今日の僕は絶好調だからね」
「ふうん、ちょっと此方に来なさい」
廊下の端に連れ出され、壁に立たされるギーシュ
「何であんたから、才人の匂いがするのよ?」
「するかな?」
くんくんと、自身の匂いを臭ぐ、ギーシュ
「とっても。才人の精の匂いがする」
「そ、そうかな?」
「残念、私は香水調合が得意だから、匂いには敏感よ。香水なんかで誤魔化されないわよ。……したのね?」
「……うん」
パン
平手打ちがギーシュに入る
「痛た」
「此で許してアゲル。で、正直に言いなさい。どうだった?」
「すんごく良かった。もう、才人しか見えないや」
「本当に?」
「グラモン家が、色好きな理由が解ったよ」
「ふん。幼い頃からあんたが隣に居たせいで、私には男が寄って来なかったってのに」
「悪いね」
「良いのよ。席に戻りましょう」
「あぁ、居た居た、二人共おはよう。ダーリン見なかった?」
「どうかしたの?」
「ルイズとダーリンが喧嘩して、ダーリン出て行っちゃったのよ。学院外に出てたら、お手上げなのよね。二人共知らない?」
「そうなの?」
「寮中に響き渡る絶叫してたじゃない。サイレンスしてたの?」
「難しい調合やってたから、してたわ」
「才人なら僕の部屋に泊まったよ」
「良かった。ギーシュの所に行ってたのね、此で一安心だわ」
「どうかしらね」
「どういう事よ?モンモランシー」
「ほら、ギーシュって、そっちも大丈夫じゃない」
「まさか、襲ったの?」
「二人共酷くないか?」
「僕はノーマルだって」
「本当かしら?」
「モンモランシーが言うなら、怪しいわよね」
「酷いよ、僕のモンモランシー」
クスリと笑うモンモランシー
「今夜、才人は野宿?」
「どうかな、タバサ。今日は自分で何とかするって言ってたし」
タバサは立ち上がり、すたすたと歩きだす
「タバサ、何処行くの?」
「…」
「今から授業じゃない」
「ダーリン探しに行く積もりね?」
タバサはコクリと頷き、教室を出ようとするが、ギーシュに止められる
「まぁまぁ、昼休みや放課後でも構わないだろ?才人は逃げたりしないって」
「シュヴァリエが居るし、メイドも居るから、今すぐが良いんですって」
「何で毎回解るのよ?」
「何で解らないの?簡単じゃない」
「私には無理よ」
「僕にも無理だね」
「タバサ待って、才人は大丈夫だから。授業サボると、才人が良い顔しないぞ」
ギーシュがそう言うと、タバサは教室に戻り、席に着く
その様子を見た後
「ルイズは?」
「今日は休み。一晩中泣いてたから、動けないわよ」
「キュルケって、何だかんだ言って、世話焼きよね」
「全くだ」
「そ、そんな事無いわよ。ヴァリエールが元気ないと、からかい甲斐が無いじゃない」
「そういう事にしときましょ」
モンモランシーに言われ、珍しく赤面したキュルケである

*  *  *
「全く、才人さんも酷いですよね。遠慮しなくて構わないのに」
少々ご機嫌斜めなシエスタは、仕事しながら才人を探す
才人が本気で逃げるとアニエスはおろか、メイジですら見付からない
モートソグニルが居れば一発で見付かるだろうが、モートソグニルは、滅多に遭遇しないのである
食べ物も自前で何とかなってしまう為、滅多に相手をしてくれないのだ
「才人さぁん。やっと見付けた」
才人は、茂みの中でワインを片手に呑んでいた。片手には、ヴェルダンデを抱えている
「あれ?ヴェルダンデさん迄」
ヴェルダンデは諦めた眼をしている
何時もの才人はともかく、酒呑んだ才人は嫌なのだろう
「あの、才人さん。こんな所で何してるんですか?」
「酒。此はツマミ」
抱えたヴェルダンデを指して言う才人
「ヴェルダンデさんを、食べる積もりですか?」
「もぐらは食った事無いからね。楽しみだ」
ヴェルダンデが其を聞き、暴れだす
「大丈夫ですよ、ヴェルダンデさん。才人さんの何時もの冗談です」
本当に?と、眼で問いかけるヴェルダンデ
「ミスタグラモンの使い魔を、才人さんが食べる訳ないじゃないですか」
ようやく納得したのだろう、ヴェルダンデは大人しくなった
「シュヴァリエからも、逃げたまんまですか?」
「いんや、使い魔達の飯作る迄は、移動稽古やってたよ。今はアニエスさんが鬼で、俺に不意打ち仕掛ける側」
「まだ稽古中じゃないですか、呑んでて大丈夫なんですか?」
「良いの良いの。此位やらないと、アニエスさん襲って来ないんだもの」
ザッ
木の上からアニエスが木剣を下に向け、落ちて来る
キィン
才人は瓶で受け流し、着地したアニエスの頭に、そのまま瓶で寸止めで打つ
「一本」
「ちっ、擬態か。何時から気付いてた?」
「呑む前から。中々襲って来なかったからね」
「もうちょい酔いが回る迄、待てば良かったな」
二人のやり取りに、シエスタは唖然とする
「才人さん、いつの間にそんなに強く?」
「師匠の腕が良いせいだね」
「其だけで、此処までなるモノか。使い魔の能力を、自身の経験に還元してるだろう?」
「否定はしない。日本に居た時と比べて、嘘みたいに身体動くし、五感が鋭いモノ。その分えらい腹減るけどね」
才人は酒の手を止めず、話す
「何時まで呑むんだ、才人?」
「あ、ごめん、はい」
アニエスに、口付けた酒瓶を向ける
呑めと言う合図だ
「ん、私は勤務中だからな」
「呑むのも任務だよ」
「成程、確かにそうだな」
アニエスは瓶を受け取り、そのまま飲み干す
「さてと、今日の稽古はどうする?」
「今日は此処までにしておくか」
「話が解るね。シエスタ、親父さんに頼んで、ワイン追加。テントの所に行こう。茂みの中よりましだろうし、大人二人が昼間から呑んだくれるのを見るのは、学生の教育上宜しくない」
「ハハハ。お前とだと、何処でも酒盛出来そうだ」
「あの、才人さん」
「シエスタも一緒に呑む?」
「いえ、私、お酒はちょっと」
「それじゃ、しょうがない。仕事終わったら、テントの所に居るから、暇なら来てね」
「も、勿論です!!暇無くても作ります!!」
『や、やった〜!!は、初めて誘って貰えた』
シエスタは舞い上がり、ダッシュで戻って、残った仕事を一気に片付け、足りない分は他のメイドに押し付け、テントにダッシュした
「シエスタって、いい娘だな」
「でしょ?俺なんかには、勿体無さすぎる」
「其を決めるのは、お前じゃないな。シエスタだ」
「何で皆して、俺の意見は却下するんでしょ?」
133名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 00:52:40 ID:EtRUzM4M BE:1752525874-2BP(0)
支援!
「全て才人が悪い」
「ひでぇなぁ」
二人は会話しながら、テントの場所迄歩きだした

放課後
「ダーリン見付かった?」
「此方には居ないね」
「広場にも居ないわよ。何処で稽古してるのかしら?」
「ピー」
タバサが口笛を吹きシルフィードを呼び、空中から捜索し、降下する
「タバサ一人で、行っちゃったわよ」
「彼処ら辺って、何かあったかしら?」
「才人が作った風呂が有るね」
「其だ」
三人は才人を探しに向かった
三人が寄ると、才人とアニエスが地ベタに敷物を敷いてワインを交わし談笑してる。特に下品に騒いでる訳では無さそうだ
シエスタが甲斐がいしく二人(主に才人)に酒を注いでいる
タバサは才人の背中に背を預けて、本を読んでいる
そして側にはフレイムとヴェルダンデが、ぐてんと寝そべってた
「才人、何で酒盛してるんだい?」
「たまには呑みたくなるんだよ。ね、アニエスさん」
「そういう事だ、ミスタグラモン。放課後なら、お前達も呑むか?」
「シュヴァリエって、もっとお堅いかと思ってたわ」
「何を言ってる?今日の稽古は散々だったぞ?お互いボロボロだ」
「魔法無しでも、やり方次第で、えらい酷ぇもんねぇ。アニエスさん杯が空だね。ほい」
才人が注ぐ
「済まんな、才人」
アニエスがぐいっと呑み、返杯する
「おっとっと」
「ねぇダーリン、フレイムとヴェルダンデが潰れてるんだけど?」
「呑むかって聞いたら頷いたから、呑ませた」
「良い呑みっぷりだったぞ、なぁ才人」
才人も頷き、アニエスと二人して笑っている
「ルイズの状態聞きたくない?」
「…ずっと泣きっぱなしって、所じゃないか?」
「ダーリンには、お見通しって訳ね」
「いんや、あの絶叫で気付いた程度だ。じゃないと俺には解らん」
「このまま喧嘩しっぱなし?」
「……さぁ、決めるのはルイズだ」
「…冷たいのね」
「否定はしない。だが今の状態にしたのは俺のせいだ。甘やかし過ぎたんだよ」
更に言おうとした、言外の意味を酒と共に飲み込み、シエスタが注ぐ
「ルイズから、きちんと動く迄、待つ積もり?」
「…あぁ」
「ダーリンがやけ酒する時って、ルイズと喧嘩した時だって気付いてた?」
「…そうか?」
「そうだね、才人」
「全く、主人ってのは羨ましいわ」
「私もそう思います。才人さん」
「俺も随分解り易くなったもんだ」
才人は苦笑する
「でも、私にとってはチャンスかなぁ。ねぇダーリン、貴族にならない?」
その言葉に全員が凍り付く
「…どういう事だ?」
「ゲルマニアではね、爵位は金で買えるのよ。成功した人間なら、例え平民でも貴族になれるのよ」
「成程ね。ゲルマニアが広大な領土と権勢誇ってる訳だ」
「金だなんで、ゲルマニアは下品ね」
「そんな事無いぞ。モンモン」
「どういう事?」
「領地経営ってのは、地方政府と同じものだろう?」
「言われて見ればそうね」
「つまり金を稼ぐ事が出来たって事は、経営手腕が有るって事だ。領地を持てる連中ならば、一番必要な素質だよ。魔法なんざ、糞の役にも立たない」
「そして金ってのは、武功や名誉なんかと違って、全ての人間に等価値だ。金に囚われるのは最低だけどな、金自体は経済を回す為に必須な要素だ。要は使い方さ」
「才人って、ゲルマニアの考えに近いのね」
「何を持って尊しとするかの違いさ。優劣じゃない。唯一の正解は、その国が繁栄し、其処に住む民が笑顔になる事さ」
「じゃあ、私が笑顔になる為に、ゲルマニアで貴族になって、私にプロポーズしてよ」
「えっ?」
「私ね、自分で何かを成し遂げる人が好き。そういう人の側なら、例え貧乏でも構わない。ダーリンなら、絶対に何かを成し遂げる。私はそう思うの。今から、身体に予約の証を刻んでも良いのよ?」
「別に貴族になるのに、ゲルマニアにこだわる必要は無いだろう?此処に実例が有る」
あっと、全員が振り向く
「シュヴァリエ?」
「ミランの姓を、トリステインを支える剣だと褒めたくれたのは才人だしな。此を剣の名門に高める迄、やるのも悪くない。才人が夫になるなら、武門の名門グラモン家に匹敵出来るだろうな」
「何言ってるんですか!?平民だって良いんです!!才人さんは、タルブの村で私と一緒に小さな宿屋と葡萄畑を買って経営するんです!!新しい銘柄はサイトシエスタ。絶対に、トリステイン一番の名物ワインになるんです!!」
「才人が居るなら、モンモランシ家の干拓失敗も何とかなりそうよね。モンモランシに婿養子に来れば良いのよ」
「グラモン家に来て養子になれば、グラモンの名がヴァリエールを抑えて一番になりそうだ。才人、僕の家においでよ」
辺りに冷気が漂う
何時も以上の冷気で、バチバチと電気が疾る
「放電って、なんつう冷気だ」
才人が酔いを醒めさせられ、いつの間にか、タバサが才人の膝の上に乗っている
雪風の様子に皆ビビるが、其でも会話を止めない
「で、ダーリン、誰にする?全部でも良いわよ?」
「そうね、独り占めするから、問題なのよね」
モンモランシーが頷く
「じゃあ、独占禁止協定やる?」
「……あの、俺の意見は?」
「「「「却下」」」」
全員に言われ、頭をがしがし掻く才人
「此って、どう見ても女難だよなぁ」
「相棒、喜べ。此は面白ぇ」
デルフはカタカタ笑った
「お金は使い方だって言ってたし、ダーリン資金稼ぎに冒険しましょうよ?此を見て」
ズラリと、トリステイン各地の噂が書かれた代物が才人に出される
「ちょっと見せてくれ、おいおい、此殆ど眉唾じゃないか。って、何だ?オーク討伐にヒュドラ討伐?王政府や封建貴族の仕事じゃないか」
アニエスは顔をしかめる
「役人が動いてくれないみたいなのよ。オークはともかく、ヒュドラはヤバいわよね。竜の羽衣ってのも、面白そうじゃない?」
「もしかして、オークやヒュドラを狩る積もりか?」
「オークなら、メイジが居れば比較的難しい標的じゃないわよ。ヒュドラは、軍が欲しいわよねぇ」
「ちょっと待て、竜騎士に依頼来てるか確認させる。もし依頼来てるに関わらず、政府が動いてないなら、此を王政府の代わりにやるなら、討伐の証拠持って来い。報酬を王政府から出させる様にする」
アニエスは走り出し、待機中の竜騎士に向かった
「はい。報酬出るから、出る理由が出来たわよ」
「こりゃ参ったな。モンモン、薬の軍資金はどうした?」
「あんた達が遠慮なく使うから、厳しいわよ」
「俺が渡したのも?」
「全部、材料代で飛んだわ」
「俺も手持ち殆ど無いや。こりゃ決まりかな」
「私も行きます!!」
「駄目よ。危ないわ。メイジですら危ないのよ?」
「戦闘には参加しませんから、それじゃ駄目ですか?」
「何が出来るのよ?」
「料理が出来ます!!」
「「知ってるよ」」
周りに突っ込まれても、シエスタは怯まない
「才人さんも料理出来ますけど、此方の食べられる野草とか、詳しくは無いですよね?私なら大丈夫ですよ」
「ふむ、其もそうだな。皆は区別出来る?」
「…少し」
「「「無理」」」
タバサ以外は即答する
「仕事はどうすんの?」
「才人さんのお手伝いって言えば、マルトー料理長は幾らでもお暇くれます!!」
「確かに」
才人は苦笑する
「才人、その討伐依頼本当だ。今確認した」
「え、もう?」
「トリスタニアに喋れる使い魔置いてて、使って貰ったからな。通信のみなら、こういう使い方も出来るのさ」
「ほう。通信機能は限定でも、リアルタイム出来るのか。こりゃ為になった」
「良し、じゃあ決まりねダーリン。目指すは一獲千金。そしてダーリンのお嫁さんだ」
「「「「おー」」」」
ガクリと傾く才人
「アニエスさんはどうする?」
「付いて行くと、銃士隊の緊急任務に対応出来んからな」
「じゃあ、俺からお願い」
「何だ?」
「ルイズを頼む」
「解った」

*  *  *
またまた休みを申請する4人、理由は王政府の討伐依頼の代行、失敗前提となっている
アニエスが依頼が来てる事を口添えした為、許可がおりた
降りなくてもサボる気満々だった為、教師側が折れた結果である
また、代行の随伴でシエスタにも許可が降りた。きちんと仕事の延長として、認められたのだ
使い魔の才人の行動に付いては、ルイズ以外誰も言えない為、放任されている

「さてと、才人が居ないと暇だな。お前達、ちょっと付き合え」
アニエスがむんずと、マリコルヌ、レイナール、ギムリを捕まえる
「な、何でしょう?シュヴァリエ」
「暇潰しに稽古してやる、喜べ」
「い、いえ。間に合ってます」
「まぁ、そう言うな」
「此から授業ですから」
「そんな事は気にしないぞ」
「僕達は気にするんです!!」
「たまには汗を流して励め、な?」
「「「誰か、た、助けてくれ」」」
皆して首を振り、生暖かい笑顔で三人に手を振り見送った。その中に、教師が居たのは事実である
「あの、ミスタギトー」
「何だね?」
「良いんですか?」
「シュヴァリエを教室内に置いたまま授業するのと、どちらが良い?」
「勿論、外に居る方です」
「ならば忘れろ」
「了解です」
外から悲鳴が聞こえる中、授業が始まった

「何だ詰らん。この程度で根を上げたか」
杖を取り上げ、ちょっと走らせただけで、三人共突っ伏していた
「あ、あの、シュヴァリエ」
「何だ?」
「才人は何時もこんな感じですか?」
「こんなの序の口だ。才人なら再起不能レベル迄、何時も身体動かしてぶっ倒れてる。メイジが居なきゃ、とっくに死んでる内容だ」
「なぁ、ギムリ」
「口を開くのも面倒いんだが、レイナール」
「才人って、本当に凄いんだな」
「其に付いて行く、アニエスさんもね」
「近衛隊長って」
「伊達じゃないな」
二人は失神してるマリコルヌの横で、同じく失神した

*  *  *
その晩、王宮
「アニエス、今日は使い魔さんが居なかったのでしょう?何をしていたのですか?」
「生徒を適当に見繕って、稽古しておりました」
「あらあら、アニエスに目を付けられた生徒は気の毒に」
クスクスとアンリエッタは笑う
「で、使い魔さんと比べてどうですか?」
「問題外ですね。才人が才能有り過ぎな面は、否定しないのですが」
「仲良くなって良かったでしょう?」
「其に付いては感謝しております」
「後は使い魔さんが武功を立てて下されば、アニエスとの障害も無くなりますね」
「本気なのですか?殿下」
「あら、使い魔さんがトリステインにずっと居て貰う為には、最高の方法でしょう?其とも、使い魔さんじゃ嫌ですか?」
「……あ、いやその、ほら、嫁の立候補なら、既に複数の女性が立っております」
「なら、まとめて面倒見る甲斐性を見せて頂きましょう」
「本気ですか?」
「あら、貴族が愛妾を側に置くのは普通でしょう?一人の女性で無理なら、複数の女性で対応すれば宜しいのでなくて?」
「おっしゃる事は解りますが、其処までの価値が有るのでしょうか?」
「カガク」
「何と?」
「アニエスには解らないと言った、カガク。現在は、学院の教師一人しか理解出来ないと言うカガク。あれがトリステインの未来に必要だと、私は思います。恐らく、ゲルマニアすら越える産業基盤を作れるかも知れません」
「その為なら、女で縛ると?」
「使い魔さんは優し過ぎる方です。恋人を亡くし、ゲルマニアに嫁ごうとしている私にすら、安らぎと楽しみを与えて下さります」
「皆の願望なのでしょう?ならば使い魔さんが納得して、此方に居る理由を作ってしまえば良いのです。アニエスは、使い魔さんとの時間を楽しんで下さい」
「殿下」
「はい」
「こう言っては何ですが、才人をモノ扱いはどうかと」
「…私は、大事な友達すら、道具として使わないといけない立場です。私は、既に罪深い女です。トリステインの為を思いつつ、トリステインから愛してもいない男の待つ、他国に嫁ごうする女です。きっと、地獄が口を開けて待っているでしょう」
「…殿下」
「全ての罪は私が背負います。貴女は今ある時間を大切にして下さい」
「殿下、そんな事する必要は有りません」
「何故ですか?」
「背負わせれば良いんですよ」
「誰にです?」
「我らの、イーヴァルディに」
139名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 01:18:27 ID:Feu5yg9l
支援
140大人才人:2010/10/15(金) 01:29:57 ID:oKBm70KL
投下終了なのね〜きゅい
2-11最後場面切り替えの

*  *  *
が入るのね
無くても問題ないのね
後、2-1のマルトー料理長と才人の会話で一個改行抜けてたのね、きゅい

大人才人タクティクスなのね
今回はアニエスなのね〜
「ふむ、才人の背後に眼が付いてる様か?」
「余りに反応良すぎるんで、どうしてなのか才人に聞いたんだ」
「そしたらさ、ガンダールヴの状態ってスピードが上がるだけじゃなく、金属を両断し相当重い代物でも振り回せ、金属を両断する腕力、スピードに対応出来るだけの反射神経、その他の感覚も鋭敏になってる事に気付いたらしい」
「皮膚感覚すら上がって、当然痛覚も増したらしいんだが、何故か痛みは感じるんだが、行動に支障が出ない様に無視出来るんだと。使い魔が行動出来ないと意味が無いから、ルーンが制御してるんだろうな」
「だからダメージ負った時は、解いた瞬間に全部襲いかかるから、ひっくり返ってしまうらしい」
「便利なのか不便なのか、良く解らんな」

有難うなのね〜

では皆さんおやすみなさいなのね
きゅいきゅい
141名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 01:38:45 ID:Feu5yg9l
>>140
GJ!
マジでお疲れさまでした。待ってた甲斐があったわヽ(● ´ ー ` ●)/
次回も頑張って下さいな

ってか考えれば考えるほど、大人サイトっていい設定だよな。
この設定借りてSS書きたくなるもの........。
142名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 09:42:05 ID:LOBJpvFY
弱点なしの厨二キャラだからな・・・
143名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 15:05:04 ID:Vu3EWn3B
投下乙〜
段々と囲い込みが始まってきたな。
144名無しさん@ピンキー:2010/10/15(金) 17:58:32 ID:oKBm70KL
>>141
出してる部分で良ければ、どうぞどうぞ
是非とも読ませて下さい

>>142
弱点有るよ。致命的な弱点が
原作のフーケ戦とワルド戦と読み比べて下さい
これ以上は、言うのは止めとこう。うん
145名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 16:54:12 ID:yOnLSW+m
あのエルフはテファの母親だと思ってる俺がいる。
146名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 20:18:13 ID:xlYM38iB
>>145
そう考えるとムズムズしてきた
147名無しさん@ピンキー:2010/10/16(土) 23:38:30 ID:7SK/xSRe
>>140
GJ!
148名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 13:03:30 ID:B6e4zh43
GJです!!
149大人才人:2010/10/17(日) 16:03:59 ID:8lDSPcLk
イルククゥでシルフィードなのね〜
大いなる意思は、何処で区切ろうか迷ってたら一時間過ぎてたのね
きゅいきゅい

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・冒険!冒険!
・他キャラ改変有り
・レコンキスタの思惑、ゼロと呼ばれし翼の続き
・10レス前後
・30分以上空いたら、恐らく用事落ち

では、反映次第投下開始なのね〜
きゅいきゅい
才人達は場所を確認し、なるべく効率的に動く様に計画を立て、移動する
移動自体はシルフィード、今回は、フレイムをシエスタの護衛に投入している
資金も少ない為、宿に泊まる時は木賃宿、食料は狩りと採集にて現地調達
宿が無い時はテントである
「駄目だ、今回もハズレだよ」
「此で3連続だな」
「中々上手く行かないわよね」
「今日の狩り担当はタバサだっけ?」
「…取って来た」
タバサが猪をレビテーションで運んで来る
「デかい獲物だな」
「フレイム達の分、私達は兎」
「うわぁ、ミスタバサ流石です。野草は摘んで有るんで、今から食事の用意しますね。才人さん、解体手伝って下さい。フレイムさん、火をお願いします」
「あいよ」
フレイムは火を吹き薪に火を付ける
「う〜ん、シエスタとダーリンのコンビは凄いわね。サバイバルでも食事が美味しいわ」
「本当、来てくれて助かったわね。シエスタ有難う」
モンモランシーが答える
「こういうのも楽しいですから」
「まさか、デルフがこういう事に役立つとはなぁ。やっぱりお前、剣じゃなくて包丁だろ?」
「…獣を斬る時も有るから黙ってんだが、俺っちは剣だぞ。相棒」
「皆はどう思う?」
「デルフさんは包丁です」
「私もそう思うわ」
「僕もだ」
「包丁の方が役に立ってるじゃない」
「……しくしくしく。俺っちは伝説だぞ。凄いんだぞ。魔法吸い込めるんだぞ」
「今は包丁やってろ。伝説の仕事も、その内あんだろ。お前はナビゲーターとして非常に優秀だ。こんな便利な管制他にねぇぞ」
「ナビゲーター?管制?才人、何だいそれ?」
「戦闘や行動する際に周辺情報を把握して、使用者に逐一教える役割さ。参謀と伝令兼ねてるって思ってくれて良い」
「それって凄いの?」
「例えば誰かを相手取る。後ろから誰かが来ているのを、俺は気付かないのに、デルフは気付く。デルフが一番凄いのは此処だ。魔法吸い込める事なんざ、オマケに過ぎないんだよ」
「へ〜そうなのか」
「相棒、伝説の力より、俺っちの意思のが重要だってのかい?」
「其を含めて伝説さ」
「かぁ〜、良い事言うねぇ、相棒。俺様伝説。俺凄い」
デルフは機嫌が良くなり、上機嫌で喋り出す
「ま、今は包丁やってろ」
「だから、俺っちは剣だって」
「これ終わったら研いでやる」
「おぅ」
「良し、こんなもんかな。シエスタ、後頼んで良い?」
「はい、デルフさんの手入れも大切ですもんね。やっぱり、包丁は切れ味良くないと」
「……しくしくしく」

テントは全員が雑魚寝出来る広さのテントであり、今サイコロを振り賭けが行われてる
賭けの内容は、誰が才人の隣に寝るかである
理由は初日での出来事
「大きいテントね」
「此しか借りられなかったよ」
「じゃあ、皆で雑魚寝ね。ギーシュ、あんたは此方来たら灰にするからね」
「大丈夫じゃないかしら?ギーシュが襲うなら、才人だと思うし」
「其もそうね」
「酷いよ、僕のモンモランシー」
軽く無視されるギーシュ
「じゃあ、才人寝ましょ」
「ま、雑魚寝じゃしょうがないな。村雨には気を付けてくれ。シエスタも、触っちゃ駄目だぞ?」
「は〜い」

翌朝、才人が重みで目覚める
右隣がキュルケ、左隣がモンモランシー、上にはタバサが乗っかって居る
「…こう密着されたら暑くて堪らんな。皆起きろ」
「くぅすぅ」
「何で熟睡してるんだ?」
「其は才人の添い寝だからだよ」
「ギーシュ、起きてたのか」
「此方は、隙間風が酷くて寒くて寒くて」
「シエスタは?」
「ずっと隙間見つけようと、頑張ってたけど挫折したみたいだね。モンモランシーの隣に寝てる」
「あらま」

そんなこんなで才人の意見は無視される為、才人は黙々とデルフを研いでいる
才人の添い寝が、翌日に快調になるのを経験した皆が、才人の隣と言うか、寝ながら身体の上に迄乗って来る為、賭けにしようとされたのである
才人は
「じゃ、俺野宿で良いや」
「「「「却下」」」」
「…デルフ、俺、何かしたかな?」
「全部やっちまわないのが、いけないんじゃね?」
「この件に付いては、本当に敵だな」
「だってよ、面白ぇんだもんよ。で、何で久し振りに研いでんだ?」
「明日はマジだからな」
「オークか」
「あぁ。オークってどんな連中だ」
「豚面で、人間の1.5倍の身長、5倍の体重を持ってる亜人だぁね。頭はあんま良くねぇが、怪力で人を簡単に潰して食う」
「強さ以外は、まんまRPGのオークかよ」
「RPGって何でぇ?」
「ゲームだよ」
「そんなゲームがあんのか」
「まんま、ハルケギニアの世界みたいなゲームもあるぞ」
「面白ぇ共通点だねぇ、相棒」
其処で才人は固まる
「どうした、相棒?」
「い、嫌、何でもない。まさかな」


「…私の勝ち」
「はい、2抜けです」
「…私って、博打には弱いみたい」
「ギーシュ、あんたは一番寒い所ね」
「せめて暖は取らせてくれよ、僕のモンモランシー」
「フレイム、シルフィード、外の見張り宜しくね」
「きゅい」
「才人さん、今日の隣は、私とミスタバサですね。一緒に寝ましょう」
「…はいはい」
才人はデルフの研ぎを終らせ、立ち上がった
「そういや相棒」
「何だ?」
「村雨は研がねえのか?」
「見てみろ」
スラリと抜く
「結構使ったよな?」
「ああ、歯こぼれ所か、研ぐ必要すら無い程鋭い」
「こいつも謎の刀だぁね」
「村雨は架空の刀なんだよ」
「架空?って事は、実在しない代物が何で有るんでぇ?」
「だから、こいつの謎は日本に繋がる。そんな気がするんだよ」
「だから持った時、首傾げてたのか」
「そういうこった。さて寝るか」

*  *  *
才人は、両端からシエスタとタバサにくっつかれた状態で目を覚ます
二人共、ぐっすりと眠っている
他の皆も寝てる様だ
「こんなに地面凸凹なのに、良く眠れるな」
才人は感心しつつ、二振りを持って外に出る
モンモランシーが水を出してたお陰で、水には困らない
水を使って顔を洗い、歯を磨き、伸びた髭をナイフで剃る
「フレイム、シルフィード。見張りご苦労様。眠れたか?」
二体の使い魔は頷く

「さてと、朝の準備運動しますかね」
村雨とデルフを抜き、広い所に向かう
「相棒、おはようだな」
「おはようだ、デルフ。さて、朝練行くぞ」
「おぅ」
才人の音楽無しでの舞姫が、ガンダールヴの速さを使って、木々を観客に舞い始めた

「ふぅ」
「随分速度上げて舞ったなぁ」
「今の内に手に馴染ませないとな」
「俺っちはガンダールヴの左腕だぞ?毎回左腕で持ってるのは、馴染んでるからじゃねぇのか?」
「嫌、偶々だ。気が付いたら持ってた。こう右側で背負ったお前を抜いてよ、そのまま左に握り返してから、村雨抜くからな」
「…てっきり、知らずに伝説をなぞってるかと思ってたのによ」
「どんな伝説だよ」
「憶えてねぇ。ただ左腕に持たれた記憶がある」
「デルフは左腕なのか」
「おはよう才人」
「おはようギーシュ。良く眠れたか?」
「ばっちり…じゃないね、ちょっと」
「ん?…あぁ」
ギーシュが木陰に誘導するので、剣を収め、付いて行くと、いきなりキスされる
クチュ、ヌル
「ふぅ、補給完了」
「俺は燃料か」
「僕のやる気を出すには、必須な要素だよ」
「あらあら、随分積極的になったみたいね」
振り向くと、モンモランシーが、あの笑顔で笑っている
才人は冷や汗を垂らす
「おはよう、僕のモンモランシー。モンモランシーもかい?」
「まさか、ギーシュに先越されるとは思わなかったわ。才人お願い」
ギーシュが離れ、モンモランシーがキスを求め、才人は応じる
「ん、元気出た」
「あんま、他の連中にバレそうな所でしないでくれ。使い魔だって見てるんだぞ」
「「イヤ」」
はぁ〜と、深い溜め息を才人は付いた
「皆さ〜ん。朝食の準備出来ましたよ〜。起きて下さ〜い」
「お、シエスタも起きてたのか。飯だ、行こう」
「才人さんおはようございます。何処行ってたんですか?」
「おはよう、ちょっと朝練だ」
「おはよう、私達は見物ね」
「おはよう。才人の稽古は、見てて飽きないからね」
「キュルケとタバサは?」
「まだ寝てるみたいです」
「解った。起こしてくる」
才人はテントに入る
「キュルケ、タバサ。朝だぞ、起きろ」
タバサは毛布を掴んで抱いている。才人が寝てた時は、才人を掴んでいたので、代わりだろう
ゆさゆさ揺するとタバサは眼を開け、少し不機嫌になる
「おはようタバサ。寝起きは不機嫌なのかな?」
「…居なかった」
「へ?」
「居なかった」
才人が居た場所を差し示す
『ルイズと同じ事するとはね』
「あ〜悪かった、此で良いか?」
タバサを抱き、そのまま撫でる
「ん」
タバサは、気持ち良さそうに身体を預ける
「じゃあ、ご飯出来てるから先に出て、な」
「ん」
タバサは眼をこすりながら、眼鏡をかけ、杖を持ち、外に出た
「さてと、一番手強そうなのが残ったな。キュルケ、朝だぞ」
寝乱れた姿は艶を含んでおり、正視に困る状態になっている
タバサと同じく身体を揺するが起きない
「お〜い、キュルケ朝だぞ?」
耳元で声をかけるが、起きない
「キュルケ〜」
「キュルケは寝てます」
「…おい」
「眠り姫を起こすには、王子様のキスと相場が決まっております」
「あのなぁ」
「キスしてくれないなら、起きない」
「ふぅ」
才人は額にキスをする
「ほら、起きろお姫様」
キュルケは眼をぱちくりさせて起きる
「ちぇっ、かわされた」
「キュルケは何処まで本気か解らん」
「本気になったら、相手してくれるのかしら?」
キュルケは才人に両腕を回す
「キュルケは、俺じゃなくても平気だろ?」
「もう、イケズ」
才人の口に軽く口付けし、キュルケは伸びをする
「さて、今日は本命の一つオーク退治だ。頑張るわよ」
「キスは必要なのか?」
「元気の素よ。私達メイジは感情が魔力に呼応するでしょ?おまじないじゃなくて、強さに直結するの」
「全然気付かなかったわ」
「そういう事。だから大事な場面で、メイジの女のコに求められたら、拒否っちゃ駄目よ」
「りょうかい」
才人は苦笑し、キュルケと共にテントを出た

*  *  *
「大体この辺りよね」
「そうだね、キュルケ。シルフィード、降下して」
ギーシュが言い、タバサが頷き、シルフィードが低空飛行に移る
「デルフ、索敵だ」
「あいよ。オークで良いんだな?」
「食えそうな獣も追加で、こっちはついでで良い」
「おぅ」
暫く低空で、全員で索敵する
「う、何この臭い?」
「この臭い、多分オークね。アイツラ酷い臭いするもの」
モンモランシーが言い、ギーシュが頷く
「それじゃ、臭いの強い場所捜せば良いのか、タバサ」
コクリと頷き、シルフィードに指示を出す
「ここら辺」
「デルフ、どうだ?」
「木々が邪魔で見えねえ、少し離れた場所に降りた方が良いな」
「タバサ、頼む」
コクリと頷き、着陸するとテントを置き、シルフィードとフレイムとシエスタを置いて、才人達は歩きだす
「シルフィード、フレイム。シエスタを頼んだぞ」
「きゅい」
「皆さん。怪我しないで下さいね」
「行って来る」

「さてと、タバサ。気配読めるか?」
「まだ遠い」
「しゃあない、偵察行くか」
「行ってらっしゃい」
「お前ら、行かないのかよ」
「一番速い」
「其もそうか」
才人が一人デルフを握り、一気に駆ける
「臭いの先は此方だな。デルフ」
「そのまま行け」
「ラジャ」
ザザザザ
下草を踏まない様に、土の上を走る
ザッ
「良し、居た。ひうふうみい、7体って所か。でけえ上に臭ぇ。周りはどうだ、デルフ?」
「今の所居ねぇな。遠出した連中も居るかも知れねえが、考えても仕方ねぇ。其処は臨機応変だ」
「良し、一旦戻るか」

「7体か、キツイわね」
「そうなのか?」
「えぇ、オーク一体で、一個小隊に匹敵するわ」
「そりゃ、堪らんな」
「周りに女のコ居なかった?」
「嫌、居なかったぞ。奴ら全員牡だったし」
「じゃ、まだ其処に居座る積もりね。全滅させなきゃ駄目だわ」
タバサはコクリと頷く
「へ?」
才人は、はてなマークを連発させる
「作戦は、フーケ戦の応用で良いわね。ダーリンが前衛、ギーシュがワルキューレを展開して、私達が後ろから魔法をぶつける」
「そうだな、指揮は?」
「モンモランシー、出来る?」
「無理、怖いわ」
「じゃあ、ギーシュ頼む」
「ぼ、僕かい?」
「戦況を逐一読んで指示を下す役目だ。非常に重要だぞ。グラモンなら、きっちりやってこい」
「僕より才人のが」
「俺の隣に、立つんじゃなかったのか?」
「わ、解った」
「ギーシュ、今からお前が指揮官だ。指示を下せ」
「うん、では。トリステイン魔法学院部隊、前進」
「ヤー」
「「ウィ」」
「ラジャ」
5人は静かに移動する
先頭の才人が手を上げ、全員が停止する
「良し発見。数の変動無し」
「ギーシュ、指示」
「うん、モンモランシーは後方警戒。才人が飛び出したと同時にコンボランスを射出準備、僕の指示で目標攻撃、僕はワルキューレを才人と共に飛び出しさせる」
「デルフ、どうだ?」
「上出来だ。色っぺい兄ちゃん」
「良し、ギーシュ。突撃タイミングは任せる」
「うん、解った。おいでワルキューレ達」
ギーシュがワルキューレを作り出し、一体を直衛にし、残りを突撃させる為に準備する
「突撃準備………突撃!!」
才人とワルキューレが飛び出し、一気にオークに向けて走り出す
才人は比較的離れた右手のオークを目標に走る
相手が気付き、構える前に膝を狙って斬り、傾いたオークの首を跳ねる
「一つ、デルフ」
「そのまま左前方だ、ワルキューレが左翼の密集連中を抑えてる、彼処にコンボ行くぞ」
「ラジャ」
更に才人は駆け、才人に向かい二体同時にオークが鎚を振り下ろす
一撃で人間が潰れる威力だ
ギィン
「くぅ〜、両手で受け流しするので手一杯かよ、マジ怖ぇ」
「良くまぁ、流したもんだ。舞姫だ」
「おぅ」
村雨を抜き、二刀でオークの懐で暴風が起きる
巻き込まれたオークの両腕、腹が無くなるが、才人はそのまま隣のオークに向かい、数歩で懐に入り、デルフで心臓を貫き、村雨で鎚を持った腕を断つ
「良し今だ、目標左から2番、撃て」
ヒュッ、ドカン!!
ワルキューレ事、残り4体のオークが粉々に吹き飛ぶ
「作戦成功、かな?」才人が確認するとデルフが叫ぶ
「嫌、まだだ、全員後ろだ!!」
「何だって?モンモランシー、どうして警告しない!?」
見ると、モンモランシーはガチガチ震えている
「……イヤ、怖い。来ないで、助けて才人」
「駄目か、僕のワルキューレは此だけだ、行け。キュルケ、タバサ」
「えぇ、ちょっと間に合わないかなぁ」
二人とも、得意のスペルを詠唱するが、その間にワルキューレがモンモランシーを突き飛ばし、オークに潰される
先にタバサのウィンディアイシクルが完成し、オークの頭部を串刺しにし、キュルケのフレイムボールがトドメとばかりに顔を焼く
モンモランシーが顔を上げると、杖が手元になく、また別のオークがおり、モンモランシーに向けて、勃起させたモノを見せ付け、その豚面から酷薄な笑みを浮かべ、そのままモンモランシーの身体を持ち上げる
「ヤバい」
「間に合わない」
「ヤだぁ!!才人才人才人!!」
モンモランシーが泣きながら抵抗し、正に犯される瞬間、霧が辺りを包み、拘束が解け、誰かの腕に抱っこされる
「え?あれ?」
霧が晴れると、オークの両腕、イチモツが落とされ、心臓に一突きされて、倒れてる最中だ
「ふぅ、間に合った」
「さ、才人ぉ」
モンモランシーは才人の首にかじり付いた
「相棒、使いすぎだ」
「あの状況で何言ってやがる」
「確かにな、まだ一体居るぞ」
「それはお任せ、タバサ、仕留めるわよ」
コクリと頷き、残り一体を仕留める
「今度こそ終了…かな?」
「ギーシュ、聞きたい事がある」
「何だい?」
「オークってのは、人間の女に手を出すのか?」
「オークは牡だけでね、人間の女を拐って子供を産ませる」
「皆、知ってたのか?」
コクリと頷く
「何故、教えない」
「女としては、言い辛いわ」
「次から、そういうのは無しで頼む。対処方が変わるからな」
モンモランシーを降ろし、村雨とデルフを収めると、才人はそのまま倒れた
「あぁ、才人!?私の杖何処?早く!」
モンモランシーは、完全に恐慌をきたしている
「ちょっと、落ち着きなさいモンモランシー、はい杖」
モンモランシーは才人の顔を向け、腰のポーチから薬を取り出し、必死に口移しで飲ませ、一気に治癒を詠唱する
「ごめんなさいごめんなさい。私が足引っ張ったから、才人に無理させちゃった。才人ごめんなさい」
才人の胸で泣き出すモンモランシー
才人は手をモンモランシーの頭に乗せ、撫でる
「怪我、なかったか?」
「…うん」
「なら、良い」
「…うん」
「ちょっと、一体どういう事?」
「才人が使い魔の能力越えて、行使したの。」
「限界越えたの?」
「此でもましになってんだぜ。剣士の姉ちゃんとの稽古のお陰だな」
「才人の猛稽古って、こういう事?」
「そういうこった」
「モンモランシー、貴女知ってたのね?」
「…えぇ、私は才人の主治医だもの」
「まさか、水使いに羨望を抱くとは思わなかったわ」
キュルケは呆れて言い、タバサも頷いた
「さてと、才人はモンモランシーに任せて、僕達は討伐の証拠を回収しよう、やっぱり首かな?」
二人は頷いた

「皆さ〜ん、大丈夫でしたかぁ?」
シエスタが手を振り、周りにオークが2体、炭になっている
「あぁ、何とかなったよ。って、そっちにもオーク行ってたの?」
「はい、フレイムさんとシルフィードさんが、ブレスで撃退してくれました」
「上出来だ、フレイム、シルフィード」
「きゅい」
才人が言うと2体が胸を張る
「やっぱり私のフレイムってば、良い子よねぇ」
キュルケが頭を撫で、活躍の場を与えられた為、フレイムが上機嫌である
「そういえば、オークは食べるか?」
二体共、首を横に振る
「不味いのか?」
二体共、縦に振る
「不味いんじゃ仕方ないな。食って貰って、始末して貰おうかと思ったんだけど」
その言葉を聞き怒ったシルフィードは、才人の頭をくわえ、ぶんぶん振り始めた
「ちょっ、シルフィード、や、止め〜〜」

「あははは」
ギーシュ達はその様子を見、笑う
「あの、才人さん、少し辛そうですけど大丈夫ですか?それに、ちょっと臭いです」
「オークの返り血浴びたからなぁ」
才人を改めて見ると、頭から血糊がべったり付いている
「あ、そっか。今浄化するわね」
全員臭いに麻痺してた為、気付かなかったらしい
「此で報酬は山分けね、シエスタにも配るわよ。異論ある?」
全員首を振る
「え、ですが。私戦ってませんよ?身がすくんで、動けなかっただけです」
「貴女が居なかったら、私達は戦えてないの。シエスタは受け取る権利と義務が有る。ダーリンでもそう思うでしょ?」
「完全に同意だ。シエスタは受け取らないと駄目。シエスタは凄い手柄を立てたのさ」
「そうなんですか?」
「あぁ、本来上空に逃げても良かったんだ。シルフィードなら、硬直してても、無理矢理出来る。でも其処で2体を撃退してくれた。だから、俺達は生還出来た。此は、シエスタとシルフィード、フレイムの手柄だ」
皆が頷く
「…本当ですか?」
「シエスタを、メイドと呼ぶのは此処には居ないよ」
「そうね、シエスタ」
「…シエスタ、助かった」
「私なんかより、ずっと凄いわよシエスタ」
「僕達もギリギリだった。シエスタが2体引き止めたから、誰も死なずに済んだんだ。有難うシエスタ」
「あ、あの」
「何だい?」
「私、今凄く感動してて。えっと、私、何言ってるんだろ?」
「魔法だけが全てじゃないって事さ。俺達を助けてくれた。今シエスタは、俺達のパーティーの要だ」
「…本当…ですか?」
「勿論」
「ご飯も美味しいしね」
「皆、貴女に感謝してるわ」
「あ、有難うございます。凄く嬉しいです」
シエスタは、にっこり笑った
「さてと、今日はどうする?」
「絶対に宿、風呂付きで」
「そうだね、魔力が怪しいから、全員宿だ」
「首は?」
「袋に入れて、固定化しちゃいましょ。臭いも封じてしまえば、良いわね」
「それじゃシルフィード、また仕事頼むな」
「きゅい」

*  *  *
コンコン
「……誰?」
「私だ、アニエスだ。入るぞ」
ガチャリ
「……」
「随分酷い状態だな。才人が言伝残す訳だ」
159名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 16:40:26 ID:i8ZzIRMG
シエンスタ
ルイズは睡眠不足から来る隈が出来、肌もぱさついている。髪の毛の艶も落ちており、全体的に落ち目の感じがにじみ出ている
「此で3日授業出てないらしいな。大丈夫か?」
「…才人は?」
「宝探しと、王政府の依頼代行をしている」
「才人が居ないのに、何でアニエスが居るの?」
「任務だからな」
「…そう」
「祝詞は出来たか?」
「……」
「まだか」
ふぅと、アニエスは溜め息をつく
「ミスヴァリエールは、もっと快活なイメージがあったんだが。才人が居ないと、こうも変わるのか」
「…私、ゼロだもん」
「えっ?」
「サイトが居ない私は、ゼロだもん」
「才人はそんな事言わないだろう?」
「サイトだけだもん。あたしの事認めてくれて、ありのままを褒めてくれるの、サイトだけだもん。私、そんなサイトに酷い事しちゃったもん。サイトは、自分の都合を常に後回しにしてくれてるのに、私はサイトの事、何一つ知らないもん」
「ミスヴァリエール?」
「サイトは、自分の国の事や、技術や使い方は、色々教えてくれたの。あたしは、さっぱり出来なかった」
「理解したのはコルベール先生で、実践出来たのはキュルケとタバサで、ギーシュは数少ない使える魔法を、効果的に使える様になってた。モンモランシーは、あたしすら知らないサイトを知ってた」
「ねぇ、サイトの家族って、何人居るか知ってる?結婚してるか知ってる?子供居るかどうか知ってる?」
「親は?兄妹は?あたし、サイトから家族や生活、仕事を奪ったのに、サイトは一度も其に怒った事無いんだよ?」
「サイトは其が使い魔の仕事だろうと、笑って受け入れてくれたの。私、そんなサイトに何が出来た?」
「サイトは怒りを知らない訳じゃない。事実、メイドから理不尽に対する怒りは、誰にも止められないって聞いた。私の事をゼロって言おうモノなら、才人はその人を絶対に許さないだろうって、断言出来る」
「私はね、そのサイトに対する一番の理不尽なんだよ?サイトが生きてた所から、無理矢理ハルケギニアに喚び寄せたの」
「でもね、サイトはこう言ったの『伝説を喚び出せたルイズは誰よりも凄い。自信持て』って」
「サイトならね、この先、あたしが色々な事で悩んだり、苦しんだりしても、きっと道筋を見付けて誘導してくれる。背中を押してくれる。そして其は物凄く大変だけど、やり甲斐が有るの。そしてサイトは出来たら沢山褒めてくれる、沢山撫でてくれる」
「あたし、サイトの居ない人生なんて、考えられなくなっちゃった。ヴァリエールとサイトをどっちを取るって聞かれたら、迷わずサイトを取っちゃうかも」
「でもね、そんな事したらね、サイトは絶対にこう言うの『俺の代わりなんざ幾らでも居る。だからルイズは家族を大事にしろ。俺なんざ、どうでもいい』って」
「嘘つき嘘つき嘘つき。サイトの代わりなんか居ないもん。あたし、サイトが居ないと、寝れなくなっちゃったもん。サイトの居ない所は、あたしにとってゼロだもん」
「サイトが居ないなら、あたしもう、全部駄目だもん」
「…其所迄にしておけ。才人はそんなブツブツ言ってたら、帰って来ないぞ」
「…才人は帰って来る?…あたし、サイトに一度も謝ってない」
「なら、今度こそ謝るんだな。才人は待ってくれてるぞ。才人が本気なら、既に学院を去っている」
「…うん」
「才人が今迄やってた努力はな、全て主人たる、ルイズ=フランソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=ヴァリエールの為にある。其以外は、ついでだよ」
「ついでの事なのに、何で皆才人に惚れるの?あたしの使い魔なのに?」
「其は自分自身が一番解ってるだろう?才人は余人を以って、換える事は無理な存在だ」
「…うん」
「だからな、怒るなとは言わん、妬くなとも言わん。ただ素直に、自分の気持ちに正直になれ。其と魅了された女達を、出来れば赦してやれ」
「アニエスも含めて?」
アニエスは微笑みを浮かべる
「そうしてくれると、有難いな」
「…アニエスもなのね」
「才人は麻薬だからな」
「麻薬?」
「あぁ、一番重度に汚染されてるのは、ミスヴァリエールだよ。一度ハマったら、そう簡単には抜け出せない」
「……(確かに)」
「汚染されるのも気持ちが良いからな。私は、今の状態を楽しむ事にした」
「楽しむ?」
「そうだ、楽しめ。喧嘩すら楽しめ、サイトと真面目に向き合う以外にも、やり方はある。サイトはな、中々面白い奴だぞ。稽古の時の話、聞きたくないか?」
「…聞きたい」
「良し、長くなるぞ。覚悟しろよ。アイツの稽古は、面白過ぎるからな」
ルイズは少し、眼に輝きを乗せ、頷いた
そして後悔する事になったのは、深夜迄酒を片手に、アニエスが語りっぱなしになってからである
「…でな、この時は奇襲をかける稽古でな…」
「アニエス、そろそろ帰らないと不味いんじゃ?」
「此からが良い所なんだよ。竜騎士なんざ待たせとけ。でな…」
「……この語り上戸。誰か何とかして……」

竜騎士が配置転換願いを出し、却下されたのは、翌日の事である

*  *  *
163大人才人:2010/10/17(日) 16:58:13 ID:8lDSPcLk
投下終了なのね〜
大人才人タクティクスなのね
今回はコルベール先生なのね〜きゅい
「ふむ、久し振りに私の登場か。才人君が実戦で舞姫を試した様だが、そんな事はする必要が無い事なぞ、デルフ君も才人君も承知している」
「つまり、今迄身に付けたモノが、きちんと通用するかの確認の意味合いが強いね。やはり、稽古が役に立ってるか気になるのは、仕方ないと言えるだろうね」
「そして才人君が怪力のオークの一撃を受け流しているが、刃を角度を付けて構えて、ベクトルを変えて流してる。映像表現なら、ベルセルク青年編のグリフィスが、ガッツの一太刀を流してるのと同じだな」
「オークの生態は、大人才人オリジナルでいじらせて頂いた。オーク語でピギィより、語尾に『〜だオーク』って、表現しそうだったので、敢えて声を付けてない」
「さてと、私は今、才人君に教わったノギスが、どうしても上手くいかなくて悩んでてね。何とか上手く加工出来ないものかね?」

有難うなのね〜

では、またの更新迄さよならなのね〜
きゅいきゅい
164名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 17:11:44 ID:xj4Y8mrx
>>163
来ていることに気付いた時、俺はリアルに叫んでいた。
GGGGJ‼
キュルケの本気惚れまだかなぁw
頑張れ作者!
165名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 17:19:41 ID:fiuJGRgQ
おかげで楽しい週末になった
166名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 19:46:23 ID:gsYhXjY7
しかし筆が早いなぁ。堪能してますよ
167名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 21:58:19 ID:6faLOQOJ
投下乙です。ルイズ・・・病む手前じゃねか!しかし、いい子だw
168名無しさん@ピンキー:2010/10/17(日) 22:16:15 ID:wE9oD62B
>>163
GGGGGGGGGGgHGGGGgHgHGgHGGgGHGGghHGGGGGGghGGHGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGgGGGhhGGGGGHJJJJJJJJJJjKjJKJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJKJJJJKJJJJJJJJKJ#!#
169名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 03:27:33 ID:oxhxAvqc
使淫魔‥‥‥
170名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 09:28:32 ID:zZ7bxerE
>169
理想郷でオリキャラ召喚で書こうと思ったら、既に使われてるんだよなぁ。
171名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 13:08:01 ID:VE6HdWB/
もしかしてタイトルのことを言ってるのか
172名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 13:24:51 ID:oxhxAvqc
そうだよ
173名無しさん@ピンキー:2010/10/19(火) 22:11:43 ID:q1B/aXgZ
使淫魔って保管庫にない?
174名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 02:52:27 ID:XZ/LbK49
大人サイト面白いんだけど、サイトがあまりに立派すぎて周りの登場人物が成長できてない気がする。特にルイズね。そこはいずれ書いてくれるんだろうけど。
175名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 09:07:00 ID:UEFgL8t1
>>172
昔同人でも見たぞ、わざわざ気にする様な個性レベルのタイトルでは無いと思う
176名無しさん@ピンキー:2010/10/20(水) 22:09:09 ID:bb1ONV1q
ああ、ルイズが召還でたくさんばけもん呼び出しちゃって
その場で出演女性キャラとばけもん集団で大乱交になる奴だな
177名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 01:01:19 ID:YLlUTZo5
零の使淫魔マダー?
178大人才人:2010/10/21(木) 21:07:04 ID:d04Dygey
イルククゥでシルフィードなのね〜
エロ分少なめなので、使淫魔じゃなくてごめんなさいなのね
きゅいきゅい

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・レコンキスタの思惑、ゼロと呼ばれし翼の続き
・冒険!冒険!その2
・他キャラ改変有り
・10レス前後、30分以上開いたら多分寝落ち
では反映次第、投下開始なのね〜きゅい
オーク退治した日の宿
繁忙期で無い為か、宿には才人達だけである
「くぁ〜、やっぱり風呂は良いねぇ」
「風呂に入ると上機嫌だぁね、相棒」
「あったり前のこんこんちきだぞ、ちきしょうめぇ」
「そりゃ一体何でぇ?」
「江戸っ子の粋って奴だよ」
「さっぱり解んねぇぞ、相棒」
ガラッ
「あ、才人も入ってたんだね」
「え?ギーシュ、此処は男湯だぞ?」
「今は、宿は僕達だけじゃないか。だから必然的に、こうなるんだけど」
「……そっか」
「才人、背中流して上げるよ」
「あぁ、助かるよ」
「フフッ。才人の背中って広いよねぇ。惚れ惚れしちゃうよ」
才人の背中を洗い、そのまま後ろから抱き締める
「ギーシュ?」
「な・ま・え」
「カトリーヌ?」
「宜しい。だって、テントじゃ僕だけ除け者だったじゃないか。今は独占させてくれよ」
「ん、あぁ」
「才人」
「何だ?」
「僕さ」
「うん?」
「こうしてるだけで、幸せになっちゃうんだけど」
「そうか」
「そうだよ。才人はやっぱり良いよねぇ。ふふっ」
そのままギーシュからキスを求め、才人は応じる
「ん、あはぁ、才人ぉ、好きぃ」
「カトリーヌ」
「なぁにぃ?」
「きちんと洗おうぜ、オークの臭いが落ちて無い」
「…本当?」
「本当」
「嘘っ、大変だ。ラブシーンはお預けだ。隅々迄洗わないと」
「だね」
才人は苦笑した

夕食後、各自部屋に戻ると、ギーシュはきっちりロックをかけ、才人の隣に座る
「ふふふ。今の時間は才人は僕のモノ〜」
「あ〜さっさと寝ない?」
「勿論寝るよぉ。才人の腕枕でねぇ」
ギーシュは、全裸で才人に寄りかかっている
「今日はさ、無茶したから、疲れてんだけど?」
「僕の指揮はどうだったぁ?」
「はなまるです」
「じゃぁ、ご褒美ぃ頂戴」
ギーシュは才人を押し倒し、そのままキスをする
ギーシュは忘れていた
そう、自身よりクラスが上の女性が二人居る事を
「あれ?ロック掛かってるわ」
「アンロック」
カチャ
「タバサ、ありがと。ダーリン、私の美貌で主人からお酒貰って来たわよ。此でぱぁっと、打ち上げやりましょ」
部屋に入ったキュルケ、タバサ、シエスタは硬直し、モンモランシーは頭を抱える
「あちゃー」
「ふうん、ロック掛けたって事はメイジね。何処の雌猫か知らないけど、この微熱、キュルケ=アウグスタ=フレデリカ=フォン=アンハルツ=ツェルプストーが目を付けた男を寝取るだなんて、良い度胸じゃない」
「ツェルプストーの赤き血に誓って、寝取る事は有っても、寝取られる事は無いのよ?この微熱の炎で灰にしてあげるわ。覚悟は宜しくって?」
周りが制止する前に一気に詠唱し、爆炎を放つ
「やば、デルフ」
「おう」
才人はギーシュを突き飛ばし、側に立掛けてたデルフを抜き、爆炎を吸い込む
「あぢぢぢぢぢぢ」
ザパァ
「才人、大丈夫?」
モンモランシーが才人に水を掛け、残り火を一気に消火する
「ちょっとダーリン、何で邪魔するのよ?そいつ、灰に出来ないじゃない」
「良いから落ち着け。そして良く顔を見ろ」
「顔?」
三人が女性の顔を覗き込み、驚きの声をあげる
「「ギーシュ?」」
「ミスタグラモン?」
「そうだよ、僕だ」

3人はギーシュを取り囲む
「さて、説明して貰いましょうか?事によっては、灰にしてあげるわよ」
「僕の家、グラモン家の家風だよ」
「本当ですか、ミスタグラモン?い、いえ、ミスグラモン」
「…モンモランシー」
「本当よ。ギーシュは、小さい頃から男として教育されてるわ」
「何で、学院でも男で通してるのよ?」
「グラモン家の家風だから」
「それ、本当?」
「残念ながら、本当だ」
「武門とは言え、変なしきたりね」
「全くだ。気が付いたら、女装出来なくなってたよ」
「そうなの?」
「うん、スカートとか穿けない。硬直しちゃうんだ」
「難儀ね」
「全くだ」
「で、何時まで逃げてる積もり?」
「やっぱり駄目か」
「良いから答えなさい」
「簡単だよ。僕も才人の事が好き。其だけさ」
「全く、ダーリンの周りは女しか居ないの?」
「あれ?言われてみれば確かに。日本に居た時は、女っ気なんざ無かったってのに。あ、そうだ、コルベール先生が居るじゃないか」
「ミスタは、一緒に行動はあんまりしないじゃない」
「ん〜と、じゃあヴェルダンデ」
「もぐらじゃない」
「フレイム」
「サラマンダーでしょ?」
「シルフィード」
「…女のコ」
「へ、そうだったのか。じゃ、ロビン」
「ロビンも雌よ」
「ギムリ、マリコルヌ、レイナール」
「えっと、誰だっけ?」
「キュルケ、クラスメイト位、憶えておきなよ」
才人は溜め息をつく

「全く、で、何時まで全裸なのよ?ギーシュ」
「此処は僕と才人の部屋だからね」
「タバサ」
こくりと頷き、キュルケとタバサが同時に詠唱を始め、ジャベリンとファイアランスが出現する
「はい、其処まで」
才人がデルフを突き出し、二本の槍を吸い込む
「ギーシュ服着ろ、皆で打ち上げだ」
「才人がそう言うなら諦めるよ」
「ギーシュ、あんた迄才人の言う事しか聞かないの?」
「才人の言葉を最重要にしてるだけだよ」
「全く、困ったもんね」
「キュルケに言われるとはなぁ。あ、そうそう。僕が女だって他の連中には言わないでくれよ。僕が女でいるのは、才人の前だけだ」
ギーシュの眼は剣呑を示しており、キュルケもタバサも息を飲む
とてもドットとは思えない魔力を二人は感知し、頷いた
「解ったわよ。あんたは瞬間魔力は洒落にならないタイプみたいね。そんなの相手じゃ、力が読めないからやりたくないわ」
「僕自身じゃ解らないけど、そんなに出た?」
「…ライン、いやトライアングル」
「へぇ、そんなに出たの5年振りだ」
「5年前にはどれだけ出たのよ?」
「父上の話じゃ、スクウェアらしいよ」
「…絶対に言わない事を、ツェルプストーの赤き血に賭けて誓うわ」
皆も頷いた
「武門の名門グラモン家の血筋は、伊達じゃないのね」
「只の女好きな家系だよ」
「ギーシュの場合は?」
「才人専用で男好きになる」
「モンモランシーはどう思うの?」
「私以外も、ギーシュを知ってくれて、助かったって所かしら?」
「あぁ、そういえば、ギーシュが隣に居たせいで、男が寄って来なかったもんねぇ」
キュルケは笑い始めた
「さてと、気を取り直して、打ち上げだ」
「あ〜ら、まだ尋問は終わって無いわよ。ダーリン」
「その通りですね。ミスツェルプストー」
タバサがこくりと頷く
「ギーシュとは、何処までやったのかしらぁ?」
「そうですね。私も聞きたいです」
「え〜と」
「僕は才人の愛人だよ」
「ミスグラモン?」
「其で良いでしょ?才人は悪くないから、あまり責めないで」
「でも、いきなり愛人って」
「才人の恋人の席は他に譲るよ。僕は愛人で充分だ」
「吹っ切れたみたいね、ギーシュ」
「そうかな?…うん、そうだね」
「ふぅ、やれやれだ」
才人はベッドに腰掛け、酒瓶を一本取るとラッパ飲みを始めた
その才人の膝の上にタバサが乗り、頬を膨らませている
「タバサ?」
「ダーリン、タバサがヘソ曲げちゃったわよ〜。此はもう、朝迄離れないわね」
「ヘソ曲げたのは私もです!!」
シエスタが左に座り、才人の手から酒瓶をブン取り、一気に飲む
「私だって私だって私だって」
その後、やけ酒大会になり、自分達がどれだけ才人に迫ったかの暴露大会になり、才人は針のむしろに座らせられた気分に陥った

「でねでね、私は良く才人さんのお風呂にですね」
「ちょっとシエスタ、そんな事してたの?」
「私なんか、ダーリンを良く部屋に誘うんだけど、中々してくれないのよねぇ。ジグソーパズルやりには来てくれるんだけど。結構楽しいけどね」
「私の所には、本を読みに来てくれる」
「タバサの本って、マダムバタフライの件から?」
「ん」
「私の所は薬と日用品関係ばっかだわ。ベッドでしな作っても、普通にかわすのよ?」
「何だ、皆結構誘ってるんじゃないか。僕が最遅参じゃないか」
「あんたが一番羨ましいわよ、馬鹿」
「「「そうだそうだ」」」

「……俺、何したんだよ…」
「相棒は本当に女難だぁね〜」
デルフはカタカタ笑い、自身の相棒のモテっぷりを楽しんだ

*  *  *
「ふぅ、皆呑んだなぁ」
才人が目覚めると、タバサがガッチリ掴んで才人の上で寝ており、シエスタが左隣で寝て、ギーシュが右隣で寝息を立てている
キュルケとモンモランシーは、床で潰れていた
「本当にキュルケの言う通り、片時も離れなかったな」
タバサの行動に苦笑しつつ、皆を起こすかどうか迷う才人
「ちっこい嬢ちゃんが、一番想い強そうだな」
「俺が知らないもん、背負ってんだろうな」
「相棒、解るのか?」
「いんや、只の憶測。ガリアの騎士って事は、半端じゃない仕事して来たんだろうなって、思っただけさ」
「そんだけ解れば、上等だと思うがね」
見るとタバサが目を覚まし、才人を見ている
「済まない、起こしちゃったか」
ふるふる首を振るタバサ
「良く寝れたか?」
コクリ
「…ルイズが、羨ましい」
「そうか?」
「才人と、一緒に寝られる」
「そんなに良いのか?」
コクリ
「…暖かくて、安心する」
「じゃ、今の内にたっぷり味わえ」
「大丈夫、サイコロは得意」
「ほぅ、皆をハメたな?タバサ」
タバサは才人の胸に顔を伏せ、表情を隠そうとするが、含み笑いを才人に見られる
才人は指でタバサをツンツンとつつき、タバサは身体を震わせ、笑いを噛み殺した

*  *  *
「ったく、外れでも魔獣や亜人は出るんだから、参っちゃうわよね」
「ま、お陰で良い練習にはなってるよな。あんまり殺すのはしたく無いけど」
「才人、一度相対した相手は敬意を持って、全力でやらないと。生死は結果だよ」
「ギーシュは流石武門だな。俺はまだ、其処まで達観出来ないや」
ぼこり
突然土が盛り上がり、全員が身構える
「あれ?ヴェルダンデじゃないか?」
ひくひく鼻をひくつかせ、才人を見付けると才人に大い被さる
「相変わらず、主人の僕より才人優先なのかい?僕はとっても悲しいよ」
「何だ?仲間に入れて欲しいのか?」
コクコク頷き、更に毛皮の中から、蛙が飛び出し才人の顔に引っ付く
「おわっ!?ロビン迄」
「しっかし、良く見付けたわねぇ」
モンモランシーが言うと
「クエッ」
ロビンが何かジェスチャーを始める
「ちっと解り難いな、イエスノーでやるか?」
ロビンが頷く
「匂いで追ったのか?」
首振り
「およ?ならどうやって?」
「まさかロビン、計画を話したのを憶えてて、検討付けて来たの?」
頷く
「其でこちらの移動と考慮して、先回りした後、大体近く迄来たら、後は匂いか?」
頷く
「……大したもんだ」
「私もびっくりだわ」
「ロビンさん、凄いです」
「私のフレイムも良いけど、ロビンって頭良いのねぇ」
「シルフィード、負けてる」
「きゅいきゅいきゅいきゅい!?」
「こりゃ、置いて行けないな。ロビンはモンモランシーの薬入れポーチに専用席があったっけ?」
「勿論有るわよ。来なさいな、ロビン」
ロビンがモンモランシーに飛び上がり、モンモランシーが受け止め、ポーチに入れる
「ヴェルダンデはどうすっかな?」
才人が言うと、ギーシュが思案した後、答える
「空中移動時以外は、地中移動で良いかな?ヴェルダンデ」
ヴェルダンデは頷く
「良し、2体参加でパーティー強化だ。行くぞ」
「「「「おー!!」」」」

洞窟に前に立つ5人
シエスタ達は外で待機である
「今回は何が出るかね?」
「獣臭だね」
「どういう魔獣やら」
「…コボルト」
「私もそう思うわ、ダーリン」
「どういう連中だ?」
「犬型の亜人ね。頭は犬並。コボルトシャーマンが居たら要注意よ。先住魔法を使ってくるわ」
「わんころ相手か。集団戦が得意そうだな」
「解るの?ダーリン」
「犬と言えば群れだからね」
「当たりよ」
「そうか」
「気配消すぞ、サイレンス頼む。封鎖解除の合図はこのサインね。今回は俺が指揮する」
コクリと全員頷き、タバサがサイレンスをかけ、歩き出す
才人が先頭をきり、他のメンバーと多少距離を取る
折れ曲がった角を曲がった瞬間、コボルト二体と相対し、才人は村雨に手をかけ抜刀、霧を撒きつつ二体を瞬時に斬り伏せる
その抜刀の速さに、皆が度肝を抜かれる
才人が先に行く合図をし、更に奥に進む
稽古により、五感を研ぎ澄ませた才人には、警戒した連中が息を潜めて待機してるのを感じ、封鎖解除の合図を出す
タバサが解くと直ぐに才人は怒鳴った
「封鎖解除!!ライト頼む!!破壊力を調整!!火炎系は酸欠に気を付けて使え。出来るだけ使うな!!」
「解った。私がライトする。ギーシュ、タバサ頼むわよ」
キュルケがライトを唱え、洞窟に明かりが灯されると、数十体のコボルトがひしめきあい、警戒の唸り声を上げている
「ギーシュ、ワルキューレで戦線を支えろ!!タバサ援護!!モンモン、ロビン全方位警戒、行くぞ、デルフ!!」
「おぅ!!」
才人はデルフを抜き、襲いかかって来たコボルトの群れに、単身飛込み、出会い頭の一体を斬り伏せ、隣のコボルトを横に薙払う
「ぎゃわん!?」
悲鳴を上げつつ倒れるコボルトを無視し、次の獲物を捕捉し、既にデルフを叩き付ける
「タバサ、才人の背中を!!僕のワルキューレじゃ遅い!!」
ギーシュがワルキューレを展開しつつ、タバサに言い、タバサは頷きブレイドを展開、身体に風を纏わせ、一気に才人の背中に詰め、才人の背後に回り込もうとしたコボルトを斬り伏せる
「デルフ、何で警告しねぇ?」
才人が前方のコボルトを斬り伏せつつ尋ねる
「ちっこい嬢ちゃん来てたからな」
ザッ
才人が前方にデルフを構えた姿勢でコボルトを威嚇し、その背中にタバサが背中を預け、ブレイドを構える
「ワルキューレは?」
「もう少しかかる」
「しゃあねぇ。二人で暴れるぞ。俺の間合いに入るなよ?」
村雨を抜きつつ才人は言い、タバサは頷く
この日のコボルト達には、正に災厄の型をした人間が、襲い掛って来た
ダッ
才人が先行し、二刀で複数のコボルトを斬り伏せ、タバサがその他のコボルトを斬り、付いて行く為に駆ける
その頃、ワルキューレ達がやっと到着し、討ち漏らしを仕留めつつ、戦線を押し上げる
才人に比べ、与しやすいと判断されたか、タバサに一気にコボルトが殺到する
タバサが反撃する前に才人が間合いに入り、コボルト達を斬り、タバサは才人の横を迂回し、コボルト達を横撃する
そして相手が引いたら今度は二人で逆方向に飛び、左右から圧力を掛け、一気に斬り伏せる
二人の攻撃は、音楽が其処で流れているかの様に流麗で、舞踊と見まごうばかりだ
但し、舞う度にコボルトの悲鳴が付く訳だが
「うわぁ、二人で踊ってるわよ」
「こういう時は、風使いが羨ましいって思うわよねぇ」
「……僕も頑張ってるのに」
「大丈夫よ、ギーシュ。あんたが討ち漏らしを仕留めてくれてるから、私達は此処でのんびり出来るのよ。今回は洞窟内のせいで、私、使用制限されちゃったし」
「そうよね、才人の指示も的確だし、其をきちんと実行してるんだから、誇って良いわよ。ロビン、後ろは大丈夫?」
コクコク頷くロビン
「あの二人のリズム。舞姫だわ」
「あぁ、だからあんなに呼吸合ってるのか。シュヴァリエの稽古って、本当に役に立つんだねぇ。僕も稽古して貰おうかな?」
「ギーシュじゃ、死ぬんじゃない?」
「…否定出来ない所が嫌だ」
「でも、あいつら、逃げ出さないわね」
「出入口を、私達が押さえてるからじゃない?」
「狩りに出てる連中が、居たらどうかしら?私達に聞こえない声、持ってた様な?」
「可能性は有るわね。かなり大きい群れだし」
「ロビン、後方警戒厳にして」
ロビンはコクコク頷く
「クエッ」
モンモランシーは振り返る
「…ビンゴ」
「参ったわね。ダーリン、挟撃よ」
「何!?タバサ、戻るぞ!!」
「礫よっ!!」
石礫がタバサと才人を襲い、とっさに才人がタバサをかばい、背中で受けつつ身体を丸める
ビシビシビシ、ゴン
「あだ、頭の分が痛ぇ」
「嬢ちゃん、悪いがブレイド吸わせて貰った。相棒が傷ついちまう」
「…才人」
「大丈夫だ。ライディングジャケットは軽鎧だ。此位は屁でもない」
「でも、脚と頭。血が出てる」
「伝説の使い魔は、この程度じゃやられないさ。ギーシュ、ワルキューレ二手に分けられるか?」
「解った、此方に2体残して、後衛に回す。才人、頼むよ」
「駄目ね、向こうも取り込み中よ。私達でやるしかないわ」
「私、攻撃嫌なんだけど?」
「そんな事言ってたら、全滅よ」
「そうよね。仕方ないわ。思い切って引き付ける。討ち漏らし宜しくね」
モンモランシーが詠唱を始め、完成するとコボルトの死体から、血液が無数の水滴となり中に浮く
吠えながら突撃してきたコボルトの群れをぎりぎり迄引き付ける為、機を図る
「キュルケ、タイミングお願い」
「任せなさい。まだよ、まだ、もう少し。今だ、ファイエル!!」
洞窟と云う閉鎖空間内では、回避出来る場所が無い
モンモランシーのウォーターバレットはドットで有りながら、最大の効果を発揮し、一気にコボルトの群れを撃ち抜き、悲鳴が上がる
「ヒュ〜ッ。ブラッディレイン見れちゃった」
「それ、水使いには不評なんだけど?」
「炎使いからの賛辞よ。受け取りなさい」

「邪悪な人間共め。我が眷族を屠りおって」
骸骨を頭に乗せたコボルトが2体、姿を現す
「親玉御登場か」
「我等の巣に何の用だ?」
「あ、ごめん、荒らしちゃった?此方は、宝探しで入っただけなんよ」
「宝探しで他種族を屠るか。傲慢な人間共め」
「うっわ、その通りだから、何とも言えんわ」
「差詰め我等の秘宝土精魂が目当てだな?」
「お宝も有るのかい」
才人は苦笑すると、タバサが首を振る
「違うのか?タバサ」
「コボルトは人間の敵。奴らの神は人間の犠を要求する」
「へ〜。そうなのかい?シャーマン様」
「その通りだ。我が眷族の魂に報いる為にも、お前の肝を捧げさせて貰おう」「まぁ、肝臓だったら、1/3位ならくれてやっても良いけど。再生するし、水メイジ居るし。此で手打ちって事で」
「…」
タバサが無言で才人をぽかぽか叩く
「シャーマン様、却下されちゃいました。残念だけど、どちらかの死で決着だぁね」
「…変な人間だな」
毒気を抜かれた体で、コボルトシャーマン達は答え、構える
「良く言われるよ」
才人は村雨とデルフを収め、自然体になり、左手のみ村雨に触れる
「人間、精霊の力を舐めてるのか?」
「いんや、舐めてないよ。口語詠唱なんだろ?だから、最速の構えになってるんだが?」
「ふん、なら死ね。我と契約せし…」
コボルトシャーマンが唱え始めた時には、才人が一気に間合いを詰め、抜刀
霧が舞い、才人の左手のシャーマンが袈裟掛けに斬り上げられ、真っ二つになり、返す刀で、そのまま右手のシャーマンの首が跳ねられた
「…ハヤスギル」
左手のシャーマンが斬られながら喋り、血を吐き動かなくなった
ぶんっ、チン
血を払い、村雨を収める
「何か、悪い事したなぁ」
才人はコボルト達に片手で拝む
「才人は優しいね」
ギーシュが答える
「いんや、ちょっと偽善入ってる。仏になった奴は、皆平等さ」
「其が日本の死生観かい?」
「そういう事」
「ダーリン、此方も掃討完了よ」
「良し、お宝が有るらしいから捜そうぜ」

更に奥に祭壇が有り、其処を中心に探す
「ギーシュ、どうだ?」
「多分此だ、土石だね」
「お宝か?」
「精霊石の一つで、土メイジにはお宝だね。ゴーレムや錬金の材料になる」
「それじゃ、頂きましょ。俺ら、完全に押し込み強盗だなぁ」
「コボルト相手に同情するの?」
「自分達がやられたら嫌だろ?」
「確かに」
「どうしても…な」
才人の言葉に全員思い思いに祈りを捧げ、洞窟を後にした

「皆さんお帰りなさ〜い」
「ただ今、シエスタ。此方は大丈夫だった?」
「あ、駄目です、才人さん」
「おわっ!?」
ズドン
「あたたた」
「ヴェルダンデさんが、落とし穴掘ってたんですよ。私達の周り全部」
「あらま、どうやって渡るの?」
「シルフィードさん、お願いします」
「きゅい」
シルフィードがフレイムとシエスタを乗せ、軽く羽ばたきキュルケ達の側に来る
すると、ヴェルダンデが土から顔を出した
「流石、僕のヴェルダンデ。偉いぞ」
ギーシュがヴェルダンデにキスをすると、皆が引くつく
「お〜い、そろそろ引き上げてくれ〜、上がれん程深いわ」
「じゃ、行きましょうか皆」
「そうですね。ミスモンモランシ」
皆で、スタスタ歩き出す
「え、ちょっと、待ってくれ〜」
「ダーリンなら大丈夫よね」
「僕もそう思う」

「…相棒、置いていかれたぞ?」
「どうやって上がるよ?此?」
「俺っちは知らん」
「なら、お前使ってやるよ」
デルフで壁面を掘り、取っ掛かりを作り、登り出す
「俺はシャベルじゃねぇ!!」
「うるせぇ!!黙れ、万能工具!!」
才人が皆に追い付くのに、少々時間が掛った

*  *  *
188大人才人:2010/10/21(木) 21:56:28 ID:d04Dygey
投下終了なのね〜
4-8コボルトシャーマンと才人の会話で、改行一個足りないのね
きゅい
大人才人タクティクスなのね〜
今回はダブル出演
先ずはギーシュなのね
「あ〜、びっくりした。殺されるかと思った」
「キュルケに聞いたら、この私が居るのに、他に手を出すなんて信じられない!!だってさ」
「うん、確かに僕らの中で一番の美貌を誇ってるんだよね。でも、本気にならないと、才人は相手してくれないよ。残念でした」

中々黒いのね、きゅいきゅい
では次は、コルベール先生なのね〜
「うむ。どうやら戦闘パートを、私に解説しろと言う事かな?」
「大いなる意思によると、才人君と背中合わせのタバサ君を書きたかっただけ……なのは否定しないらしいが」
「実は、原作サイト君との戦力比較に於いて、重要な示唆も含まれていたりする」
「そういった比較対象文は、実は早期から組み込んで有るので、気になる方が居たら、読み直しも一興だろう」
「だからといって、どうだと言う訳では無いので、気付いた人はニヤニヤしてね、程度なのだけどね」
「まぁ、其でも気になる方が居るなら、埋めネタ辺りで、サイトVS才人をやるのも一興かな?」
「シルフィのちっちゃい冒険と、どちらが良いか希望が有れば言って欲しいそうだ」

有難うなのね〜
勿論皆はシルフィが主人公のが良いよね?
きゅいきゅい
189名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 23:52:43 ID:+YRqvTwO
乙ー
190名無しさん@ピンキー:2010/10/22(金) 09:20:48 ID:FjmeNNko

ギーシュのバレ、意外に早かった
191大人才人:2010/10/24(日) 20:09:28 ID:JuajV41D
イルククゥでシルフィードなのね〜
大いなる意思は本日仕事終了後、風邪でダウン中なのね
ギーシュのバレが早かったのは、ギーシュが勝手に動くからなのね〜
もっと引っ張りたかったけど、大いなる意思には、キャラの暴走は止められないのね
きゅいきゅい

では注意事項なのね
・才人年齢上昇
・他キャラ改変有り
・冒険!冒険!その3
・11レス前後、30分以上開いたら多分寝落ち

では反映後、投下開始なのね〜
テントを張り、焚き火を皆で囲む
「お〜い、モンモン」
「才人、何?」
「悪いんだけど、デルフの手入れ手伝ってくれ」
「どうかしたの?」
「其がさぁ、血糊付きで収める時が最近多くてさ、鞘の中に溜ってデルフが気持ち悪いって。幾らデルフが魔法掛ってるからといっても、なるべく刃物の状態悪くしたくないんだよ。その点村雨は便利だわ、一振りするだけで、血糊が全て落ちる」
「そういう事なら了解よ。鞘貸して、洗って上げる」
デルフを抜きモンモランシに鞘を渡す
「済まねぇな。香水の嬢ちゃん」
「あんたは才人の相棒だからね。あんたの状態は、才人の生存に直結するの」
「かぁ〜、佳い女だねぇ、嬢ちゃん」
「もっと褒めなさい。称賛は宜しくってよ」
とりわけ済ましてモンモランシーは答えつつ、鞘に水の洗浄と浄化を交互に掛け、丹念に洗う
刀身は、才人に点検を受けている
「流石伝説。オークの怪力受けたにも関わらず、刃溢れも歪みも無いな。研ぐ必要も今回は無しっと」
「俺っち潰すには、エルフか虚無か溶鉱炉辺りじゃないと無理だぞ?」
「やっぱり、掘り出しもんだわ。でもよ、研ぐと減るだろ?今までどうしてたんだ?」
「錆び付いた状態あっただろ?」
「ああ」
「あの状態から、今の状態にする時によ、リフレッシュしてるんだわ」
「つまり、新品同様になるって事か?」
「おう」
「やっぱり、魔法は便利だな」
「鞘の洗浄終わりっと。あら、中から水がまだ出てくるわ。タバサ、お願い」
こくりと頷き、タバサはウィンドを唱え、鞘の中から水を吹き出す
「はい、才人」
「有難うな二人共。さてとチェックだ、デルフ」
才人が鞘を受け取りデルフを収め、また出す
「どうだ?」
「おでれーた。スゲー綺麗になってたぜ。長年の埃迄無くなってたわ。こりゃ、住み心地良いねぇ」
デルフはカタカタと笑い、喜ぶ
「お前さんの今迄の所有者は、随分ぞんざいなんだな」
「魔法掛ってるインテリジェンス系の武器に、其処まで手入れする奴なんざ居ねぇからな。自己修復当たり前だしよ。折れたら其迄だし」
「道具は手入れをして、大事に使うもんだぞ?持ちが違うからな」
「自己修復するんじゃ、意味無しじゃねぇのか?」
「馬鹿だな、手入れするってのはな、いざという時の踏ん張り感が違うんだよ。道具の状態が解るから、何処までが大丈夫か、必然的に身に付くもんだ。俺はお前に命預けてんだぞ?」
「かぁ、やっぱり相棒は違うやぁね。俺っちの事、こんなに気を使ってくれてるなんざ、初代でも無かったってのによ」
「多分にお前の口調が、原因だと思うぞ」
様子を見てた皆が頷く
「ちぇっ、娘っ子共も酷えなぁ」
「さてと、明日はヒュドラか。キュルケ、ヒュドラってどんな奴だ?」
「頭が複数有る大蛇ね。馬程度なら丸のみするし、人間なんか言わずもがな。しかも再生力が洒落にならないから、首落としても再生するの。種類によって、毒を使うタイプ、毒の他に炎ブレスも使うタイプ、毒のブレスを使うタイプって、色々居るわ」
「馬を丸のみって事は、相当でかいのか」
「そうね、成体で10〜15メイル位は普通よ」
「俺達で勝てるか?」
「正直お手上げ。ダーリンお得意の近接戦は、ヒュドラ相手じゃ致命的なの。ヒュドラの血は毒なのよ」
「つまり、キュルケの炎とギーシュのワルキューレが一番有効と?」
「ギーシュのワルキューレじゃ、吹き飛ばされて終わり。フーケのゴーレム位あれば別よ。私の炎も再生力の前に、多分ネタ切れになるわね」
「コンボランスは?」
「同じ理由で却下。鱗自体硬いし、地面に伏せられたら、多分威力の半分は吸収されて終わり」
「弱点は?」
「…心臓」
「タバサ、どうやって狙うんだ?」
「…腹側なら多少は通用する」
「つまり、懐に飛び込んで一突きか。心臓の場所は?」
「首が分岐する直下に有る。でも、其所は大抵、地面に接触している」
「ひっくり返す必要有るのか。本当にお手上げだな」
才人は肩をすくめる
「軍が必要って理由が、解ったでしょ?」
「全くだ。せめて毒の対処法を、何とかしないと」
「あ、其なら任せて」
「モンモン、何か有るのか?」
「えぇ、浄化の簡易マジックアイテムを作るわ。其で何とかならない?」
「出来るのか?」
「魔法石鹸あったでしょ?原理はあれと一緒だもの。但し、一回の防御で多分壊れるわね。其を人数分と才人には複数。多分徹夜になるから、私は翌日参加出来ないわ」
「ギーシュ、意見は?」
「特に無いよ。今回は、僕とは相性悪そうだ」
「そうだ、ギーシュ。耳貸せ」
才人が耳打ちする
「戦闘中に出来るか?」
「どうだろ?難しいと思う」
「出来るだけやってくれ。今回は撤退も考えよう」
皆が頷く
「さて、明日の為に寝るか」
「二番手私だったけど、徹夜するから、三番の人に譲るわよ」
「それじゃ私ね。ダーリン寝ましょ」
「そういえば、ミスタバサ。毎回一番ですね」
「そういえばそうだね。サイコロの賭け言い出したのもタバサだし」
皆がタバサを見ると、タバサは本を読んでいる
「「「「ハメたね?」」」」
タバサは無表情を装い、本を読んでいた

*  *  *
「さてと、この森ね」
「気配は解るか?タバサ」
「無理」
「しゃあねえ、踏み込むか」
キュルケ、タバサ、ギーシュが頷く
モンモランシーは宣言通り、浄化付きマジックアイテムを徹夜で複数製作し、シエスタと共に居て、シルフィードとフレイムの護衛の元、睡眠している
「全員に2個ずつ、シルフィード,フレイム,シエスタ,ヴェルダンデの分も有るわ。貴方達、護符にしといたから、首からぶら下げておきなさい。才人は最前線だから10個ね」
「有難うな、モンモン」
「危なくなったら逃げなさい。恥なんかじゃ無いわよ」
「助かるわ、モンモランシー」
「魔力も切れたし、もう寝るわ。ギーシュ、これ渡しとく」
「ポーションかい?」
「えぇ、此方が治療、此方が解毒。治癒や浄化と一緒に使えば効果倍増よ。必ず組み合わせて使ってね」
「解ったよ。僕のモンモランシー」
「シエスタ、後は宜しくね。オヤスミ」
「はい、任せて下さい。ミスモンモランシ、おやすみなさい」

「デルフ、握らんが周辺探れ」
「おぅ。しかし相棒は俺っちの事、使い倒すねぇ」
「道具は最大限に使うのが、俺のモットーだ」
「お陰で退屈はしないがね」
「ま、相手が蛇なら、多分向こうから見付けてくれるわ」
「才人、どういう事?」
「俺の国での蛇全般はな、相手を温度で見る事が出来るのさ。だから、獲物の体温を追跡して捕える」
「へぇ、凄い機能ね。ハルケギニアでもそうかしら?」
「さぁねえ。何せテレビの受け売りだからなぁ」
「テレビって何だい?才人」
「受信専用の通信機器さ。映像が送れるから、遠隔地から現場を見たり出来る」
「そんなのが有るんだ。本当に便利だな、才人の国は」
「俺は見る暇、あんま無かったけどな」
「へぇ」
「静かにしろ、何か音がする」
デルフが言い、全員黙る
ずり、ずり、シュルルルルル
「来たか」
「思ったより早かったぁね」
「ここら辺の獲物、全部食ったんじゃ?」
「そうかも知れねぇな、相棒」
ずり、ずり

森の中とは言え、ヒュドラが這い回るには、其なりのスペースが必要で、木々の間はそこそこ間隔が空いている
ヒュドラが全体を現すと、皆が息を飲む
「なんつう胴の太さだ。ありゃ、確かに馬呑めるわ。首は9つか、八俣大蛇より1本多いな」
「相棒、八俣大蛇って何でぇ?」
「俺の国の伝説のヒュドラだ。国を滅ぼしかけた」
「かぁ、そいつは強ぇな。こいつは其に匹敵するかね?」
「さてね。俺はスサノオじゃないもんで」
「んじゃ、今からそのスサノオって奴に挑戦だな。相棒」
「気楽に言うな」
デルフを抜き、戦闘体制を取る
「コンボランス、準備。指揮は今からギーシュが取れ、俺が機を作る」
「解った。才人、危なくなったら逃げろよ」
「あぁ、デルフ頼むぞ」
「おう」
「タバサ、私達でダーリンを援護よ。気合い入れるわよ」
こくりと頷き、二人同時に詠唱を始める
ダッ
才人が駆け出し、ヒュドラの首の射程に入った途端、其は起こった
ドドドドドドドドド!!
「嘘だろっ!?才人より速い9連撃だって!?」
キュルケとタバサはスペルにかかりきりで、発言迄は出来ないが、呆然としている
「安心しろ、相棒は無事だ!!」
「デルフっ!!本当かい!?」
「ヤ、ヤバかった。まさか、こんなに速いとは。アニエスさんとの稽古前じゃ、絶対に死んでた。こりゃ、確かに軍要るわ」
「相棒、護符1枚イカレタぞ」
「おいおい、直撃はデルフ使って流したじゃねぇか」
「どうやら、毒のブレスタイプだな。只の呼気でやられやがった。長期戦は無理だな」
「ちっ。こりゃ本気出さないと無理か。瞬動使うぞ」
「先ずは、剣が鱗に通じるか、試してからじゃねぇとな」
「しゃあねぇ。居相と組み合わせて使うからな」
「おう」
ヒュドラは土に埋まった頭達を出し、ゆらりと構える
「さってと、俺がスサノオに何処まで迫れるか、行くぜ!!」
才人はまた駆け出すと跳躍し、木に横付けになり其所から一気に飛び、デルフを首の一つに斬り付ける
虚を付かれたヒュドラは、そのまま受けるが、僅かに鱗を切り裂いただけに終わり、着地する
「糞、切り裂いただけか」
「左に跳べ!!」
才人が跳躍すると、今迄居た場所に別の頭が毒のブレスを吐き、周辺の木が腐る
「おいおい。木を腐蝕させるだと!?」
「こりゃ、厄介だぁね」
「デルフ、お前さん切れ味低いんじゃね?」
「んな訳あるかい!!」
「良し、村雨使って首落とせたら、負け認めろよ?」
喋りながら駆け、再度機を伺いながら、的を絞らせない様に動く
最初の連撃とは違い、散発的な頭の攻撃は速くても、一度見た才人は予測し、デルフを使って受け流しながら、上手く身体を回転させいなすと、そのまま村雨を抜刀
ズバッ!!
首を綺麗に落とすと、血を避ける為、跳躍する
「ほい、デルフの負け」
「嘘だぁ!!俺っちは伝説だぞ?凄いんだぞ?こんなの絶対に認めねぇ!!」
「才人、コンボランス行くぞ!!撃て!!」
ヒュッ、ドカン!!
首の切断面にファイアランスとジャベリンが同箇所に突き刺さり、水蒸気爆発を起こし、周りに水蒸気が立ち込める
「こら、ギーシュ!?せめて、もうちょい退避時間くれよ!!」
「駄目だよ、才人!!ヒュドラは時間かけると再生するんだ!!」
お互いに距離が有る為、怒鳴りあう
「ったく。どした?デルフ?」
「しくしくしくしく。俺っちの剣としての誇りがぁ。絶対に嘘だぁ」
「あぁ。種明かしするとだな、ヒュドラの突撃の威力を、回転させた俺自身を使って、ヒュドラにそのまま返したんだよ。村雨単体の威力じゃねぇよ」
「本当か?相棒?」
「本当だ。村雨の切れ味だけじゃねぇ。多分デルフなら、重さ使って同じ事出来た」
「そういう事はきちんと言えよ、相棒」
「今言ったろうが。で、ヒュドラの状態は?」
「まだ死んでねぇな。動きは鈍ったみたいだが、こりゃ、まだまだ叩かないと駄目だな」
「タフだねぇ、どうも。護符は?」
「後7枚」
「そういや、デルフ」
「何でぇ?」
「いつも吸い込んだ魔法、どうしてんだ?」
「許容量越えない様に、徐々に散らしてらぁね」
「発散方法は、一気に放出出来るのか?」
「そんな事、考えた事ねぇな。忘れてるだけかも知れんが」
「じゃ、試すか。デルフ、吸い込め。ウル・カーノ」
村雨に手を掛け、発火した小さな炎を吸い込むデルフ
「そのまま、放出しろ」
ポンと炎が現れ、直ぐに消える
「へぇ、成程ねぇ」
「何か思い付いたのか?相棒」
「まぁな、キュルケ!!」
「なぁに、ダーリン?」
「最大火力で爆炎を圧縮して撃てるか?」
「有る程度は出来るわよ!!範囲どれ位?」
「人間一人分!!」
「何とかする!!」
「オッケーだ、デルフに向かって撃て!!」
「ヤー!!」
デルフを上に突き出すと、デルフに向かって爆炎が起き、デルフが其を全て吸い込む
「良し、準備完了」
「何する気だ、相棒?」
「面白い事さ。俺が点火って言う迄、出すなよ?」
「了解だ、相棒」
「才人!!コンボランス撃てなくなったぞ!!どうするんだ?」
「タバサにライトニングクラウド頼め!!仕込みはどうした!?」
「今、必死にやってる!!」
「解った、突っ込むぞ!!デルフ!!」
「おぅ!!」
ヒュドラがダメージから、のそりとやっと起き上がる。コンボランスの爆発から、時間にして2分。才人が会話しながら待ってたのは、ヒュドラの力を利用しないと、その身体を貫くのが難しいからだ
「さてと、最後迄付き合えよ。ヒュドラ殿!!」
ヒュドラの首の内、一本が分岐の根本迄破壊され、傷からの再生が遅れている
198名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 20:35:54 ID:A2JjHskX
支援・・・
>>195
居合?
残りの8本の内、2本の色が違う
恐らく、水蒸気爆発に巻き込まれて吹き飛ばされ、再生したのだろう
「こういう時は、再生直後のを狙うのがセオリーだな」
「相棒、そんなセオリー誰が決めた?」
「甲殻類や昆虫類とかの脱皮直後は、弱いのが定説」
「相棒の知識にゃ脱帽だ。其でいけ」
「おう」
右肩にデルフを乗せ、一気に走り出す
才人の読み通り、再生された首はまだ動きがトロく、前からの首のみ攻撃してくる
都合六本の頭からの毒のブレス
周りの木々や草が腐り、その中を才人は護符を信じて走る
「やべーぞ相棒、6、5、4、3、2。良し抜けた」
跳躍し、才人に向けてブレスを吐いた頭を踏み台にし、更に跳躍。
高い位置にあった再生首を、デルフで一刀両断し、別の頭に着地すると跳躍し、返す刀でまた落とす
「ほら、柔らけぇだろうが?」
「本当に相棒はスゲーわ」
「才人避けて!!」
才人はその声でヒュドラから走り、退避すると、
カッ、ドーン!!
切断された首にライトニングクラウドが炸裂し、ヒュドラが痙攣すると、何故かそのまま地面にのめり込む
「チャンス!!」
村雨を抜き、根元迄破壊された再生中の首の切断面に一気に駆け、残り数歩で詠唱、発動
才人の姿がブレ、村雨とデルフが胴体に深く突き刺さる
「デルフ点火だ」
「おぅ!!」
ボン!!
一気に体液が沸騰し、肉が焼け、四散する
才人は村雨を払い、鞘に収めつつ、デルフ片手に仲間の元に歩く
「剣の舞姫その変型、剣の焔姫って所かな?」
「おでれーた。本当におでれーた。相棒は一体、どんだけネタ有るんだよ?」
「デルフ、護符は?」
「トドメで全部イカレタさ」
「ぎりぎりだったなぁ」
「凄い凄い凄いわダーリン。やっぱりダーリンは最高ね!!」
キュルケが飛び出し、才人を豊満な胸に埋める
「うわっ、ちょっ、キュルケ?」
「本当に凄かったよ、才人。ねぇ、タバサ」
タバサもこくりと頷く
「キュルケ、離してくれ」
「もう、イケズ」
そのまま頬にキスをし、才人を離す
「此は皆の勝利だ。俺はトドメ刺しただけ。モンモンが護符を用意して、キュルケやタバサが魔法で援護して、ギーシュがタイミングを全て読み切った。完全に作戦勝ちだ」
ボコッ
ヴェルダンデが顔を出す
「ヴェルダンデもナイスアシスト。ぎりぎり間に合ったな」
才人がヴェルダンデの頭を撫で、気持ち良さそうにするヴェルダンデ
「さてと、後宜しくな」
デルフを収めると、そのまま才人はぶっ倒れた
「「才人!?」」
「ダーリン!?」
「ギーシュ、薬」
タバサが手で薬を要求し、ギーシュが渡すと、タバサが薬を仰向けにした才人に口移しで飲ませ、治癒を詠唱する
「私じゃ、此で精一杯。早くモンモランシーに」
「じゃあ、僕がレビテーションで運ぶよ。タバサは討伐証拠を回収出来る?」
こくりと頷くタバサ
「私はどうしよっか?」
「タバサ一人じゃ危ないから、一応見張りで残ってて。ヴェルダンデも残すよ。良いね?ヴェルダンデ」
ヴェルダンデが頷く
「才人が心臓を完全に潰したから大丈夫だろうけど、気を付けて。なんせ相手はヒュドラだ。フレイムを応援に寄越すよ」
「解ったわ。もう少し待った方が良いかもね。まだ別の頭動きそうじゃない?」
確かに断末魔の痙攣を繰り返してるが、目は光を失ってない
「フレイム来る迄待つ」
「其が良いわね」

*  *  *
才人達は今回の成功で気を良くし、宿に泊まって打ち上げをすると決め、現在は宿である
一応安宿では有るが、風呂だけはきちんと指定した
なんせ毒血と毒息を浴びたのだ。魔法で防げたとしても、気分はそうも行かないのである
「ふぅ、極楽極楽。働いた上の風呂は格別だねぇ、デルフも洗うぞ」
「あぁ、こうやって洗われるのも良いねぇ」
「にしても、今回大部屋しか取れなかったな」
「まぁ、テントの時と変わらないんじゃね?」
「其もそうだな」
才人が風呂から上がると、女性陣は全員上がっていた
「あれま、俺が一番最後か」
「一番の立役者なんだから、気にしないで良いわよ」
「ミスモンモランシの言う通りです。も、びっくりです。あんなに大きいヒュドラを、才人さんが仕留めただなんて。普通、軍を使いますよ?」
「ギリギリだったって。モンモンが用意した護符が一枚足りないだけで、結果が逆だった」
「じゃあ、役に立ったのね?」
「証拠取る時にも役に立ったわよ。ねぇ、タバサ」
タバサがこくりと頷く
「皆、無事で良かったわ」
「それじゃ、皆揃ったから、打ち上げだ。乾杯!!」
ギーシュが音頭を取り、カチンとジョッキが合わさる
「ふぅ、中々収穫があったわよねぇ」
「まさか、ヒュドラ狩れるとは思わなかったわ。ダーリン最後に何やったの?」
「あれか?デルフに爆炎吸い込ませて、ヒュドラに突き刺した時点で、吸い込んだ爆炎を開放したのさ。体内で発動させた威力はあの通り」
「ダーリンの発想力には完敗ね」
食事も全て部屋に持ち込んでおり、周りの目を気にせずに楽しむ
シエスタが給仕をしようとしたのだが、才人に止められ、皆と一緒に食事を取り緊張している
貴族と同席する事は、まず平民には無いのだ
「あ、あの、私、一緒に良いんですか?」
「良いんだよ」
「才人が言うから大丈夫だよ。その為に、部屋に食事持って来たんだしね」
「は、はい」
「次で最後ね。ん〜と、竜の羽衣?」
ぶっ
シエスタが吹き出す
「どうしたの、シエスタ?」
モンモランシーが聞き、咳き込むシエスタを覗き込む
「あの、次は戦闘とか、一切有りません」
「シエスタ、解るのか?」
「はい。私の故郷、タルブの村の宝ですね」
「そっか。じゃあ、のんびり出来るな」
才人は伸びをする
「あ、あの、そんなに良いモノじゃないですよ?」
「見てから判断するよ」
「そうよね。意外なお宝かもしれないし」
「そんなんじゃ、無いんだけどなぁ」
今回、一番最初に潰れたのは才人である
やはりダメージの蓄積は、酒が回ると表面に出るのだろう
限界を感じると、寝ると言い、先に寝てしまった
「ま、ダーリン一番働いてるし、構わないよね、皆?」
皆が頷く
「報酬もヒュドラ狩れたから、期待出来そうね。楽しみよ」
「いいえ〜、違いますよぉ〜。楽しみなのは此からです〜」
「シエスタ?」
「ミスタバサ、よくも私達をハメてくれましたね〜?」
シエスタは完全に出来上がってる
酔っ払いの対処法は只一つ、適当に話を合わせる事
皆で目線で確認し、ギーシュが話かける
「ちょっと、シエスタ落ち着いて」
「大体ですねぇ、洗濯板の癖に才人さんにくっつくなんて、有り得ませんねぇ」
タバサが怒りの様相を呈する
「此から成長する。母様だってある」
「ふん、どうだか。ミスタバサは小さいから良いですよね。まるで妹みたいに、可愛がって貰えますもんね〜」
「喧嘩、売ってるの?」
「喧嘩なんてしませんよ〜。才人さんが怒りますから〜。只、本当の事言っただけです〜」
「…上等」
「ちょっと待って、タバサ。相手は酔っ払いよ?」
「大丈夫、素手」
「まぁまぁ。何ならサイコロ以外で賭ければ、ね。シエスタも其で収めて、な?」
ギーシュがとりなすと、タバサの眼鏡がキランと光る
「其で良い」
「良いですよ〜」
「暇潰しと思って、カード持って来てたんだ」
「…ゲームは?」
「ブラックジャックとポーカー。どちらにする?」

「ブラックジャックで〜」
「其で良い」
「じゃあ、言い出しっぺだから、僕がディーラーやるよ」
ギーシュがカードを切り、タイマンでのブラックジャックが始まった
「ショウダウン」
「21」
「くっ、19です」
この後、シエスタは20連敗し、ポーカーに切り替える
「此なら勝つるです!!フルハウス!!」
「ストレートフラッシュ」
「つ、強い」
ポーカーで更に20連敗し、ガクリと倒れ、そのまま寝てしまった
「タバサって、ギャンブル全般強いのね」
「此は駄目だ。勝てそうにないや」
「ダーリン寝てるけど、タバサなら大丈夫か。勝利者の権利よ。譲るわ」
タバサは頷き、とことこ歩き、才人の上にぽふっと倒れ、そのまま寝てしまった

*  *  *
「ふあぁ、良く寝た。あれ?」
見るとタバサが身体の上で一緒に寝ている
「寝てから記憶無いからなぁ。何でこうなってんだ?」
タバサを起こすかどうか迷う才人
何せ、一人で起きると、後のご機嫌取りが大変である
「タバサ、タバサ」
タバサを揺り起こす
「ん…」
タバサは目を開けると、才人の顔を確認し、また目を閉じる
「おはよう。タバサ、朝だよ」
「…まだ早い」
「タバサ」
「嫌」
「全く、随分我が侭になって来たな」
「才人が悪い」
「何でだ?」
「たっぷり味わえって言った」
「ありゃま。確かにそうだな」
才人は苦笑し、タバサの気の済む迄、起きるのを止め、そのままで居た

*  *  *
203名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 20:59:29 ID:099AKplf
支援
204大人才人:2010/10/24(日) 21:03:58 ID:JuajV41D
投下終了なのね〜
誤字発見
居合×
居相〇
ちょくちょく間違えてるのね

では大人才人タクティクスなのね
今回三連戦の解説はコッパゲ事コルベールなのね〜
「頭のテカり具合を言われた位で、私は怒りはしないよ」
「さて、才人君がヒュドラの初撃を回避出来た後は、首の下、ヒュドラの懐に弾き飛ばされて転がってる」
「その時に受け身を取って、身体を転がしながら、衝撃を吸収している。才人君のバイク乗りの経験が、活きた受け身方法だね」
「此を柔道の様に受けた場合、受けた手足にダメージ、下手すれば折れただろう。なんせ、受けるエネルギーが桁違いの為、人間相手の受け身じゃ意味が無い」
「才人君が瞬動使ったのは、使わないと、筋肉の塊のヒュドラの肉を、貫通出来ないからだね。初撃で通用しなかったので、使うしか無かったんだろう」
「今回のヒュドラの体長は15メイルオーバー、鎌首をもたげた状態で全高約8メイル、胴回りは直径約2メイル。強大な筋肉を利用して、鞭の如く頭を振るう。潰れた獲物でも、丸のみするから関係無いのだろう」
「後は基本的には伝承通りだ。ヒュドラって、実は竜並に厄介なんじゃなかろうか?」

有難うなのね〜
では、又の更新迄さよならなのね
きゅい
205名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 21:07:00 ID:099AKplf
リアルタイムGJ
いつも楽しませてもらってる
ありがとー
206名無しさん@ピンキー:2010/10/24(日) 21:11:07 ID:6ZHmMvLU
タバサギャンブル強えw
GJです
207名無しさん@ピンキー:2010/10/25(月) 19:21:04 ID:zCHjOwYF
>>204
GGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
208名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 01:20:04 ID:CnS6Y3Y1
>>204
GJ!
読み応え十分だ!
209大人才人:2010/10/28(木) 21:27:37 ID:ool2ipL7
イルククゥでシルフィードなのね〜
最近徹夜仕事多くて、大いなる意思は風邪とお疲れモードなのね
きゅい〜

では、注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・レコンキスタの思惑、ゼロと呼ばれし翼の続き
・シエシエの包囲作戦
・12レス前後、30分以上開いたら多分寝落ち

では反映後、投下開始なのね〜
きゅいきゅい
「此処が、タルブの村の上空です」
「へ〜でかい草原が広がってるな」
「着陸位置」
「はい、彼処が村の入り口です。彼処にお願いしますね」
「解った」
タバサがシルフィードを降下させ、着陸すると、村人達が驚く
「あの、どちらの貴族様で?」
「皆〜ただいま〜」
「あれま、シエスタかい?」

シエスタの予定より2週間も早い帰宅に皆が驚き、貴族を連れて来た為、村長迄挨拶におっかなびっくりで来る事になり、宴が催される事になった
更に才人達がオークやコボルト、更にヒュドラ迄仕留めて来た話をシエスタが自慢気に話し、村人達は歓声を上げ、その中心人物が剣士の青年と言う事に、更に驚く
「此ぞ、貴族の鑑ですな。本当に有難い事ですじゃ」
「才人さんは平民ですよ」
「えぇ〜〜〜!?」
「姉さん、本当?」
「本当よ、ジュリアン。きちんと証拠も有るのよ?見る?」
「何か悪いな、シエスタ」
「良いんですよ。地方領主や軍がやらない事を、才人さん達がやって来たんです。私達平民にとって、安全に暮らせる様にしてくれた事に、感謝してるんですよ」
「まぁ、そういう事なら」
「正に、イーヴァルディみたいなお方じゃ」
「そんな事無いですよ。皆の力があってこその成果です。特にシエスタには助けられましたし、なぁ皆」
才人が話を振り、皆頷く
「シエスタのお陰で出来ましたのよ。素晴らしい娘でしたわ。皆を代表し、キュルケ=アウグスタ=フレデリカ=フォン=ツェルプストーが、シエスタを育んだ、タルブの村に感謝を」
キュルケが皆を代表し、村長に貴族の礼で応える
村長は感極まり、ひっくり返ってしまった
艶然と微笑んだキュルケの美貌で完璧な礼を魅せられ、許容量を越えてしまったのだろう
「こういう時のキュルケは反則だな」
才人は苦笑する
「良いことでしょ?」
「いや、全く」
「其で此方にはどういった御用で?」
「あぁ、竜の羽衣ってのを見に来まして」
「其でしたら、シエスタに案内させます。所有者は、シエスタの家族でしてな」
「其でシエスタは詳しかったのか」
「はい。じゃあ、これ終わったら案内しますね。此、タルブの名物ワインです。皆さん味わって下さい」
シエスタが、かいがいしく給仕をし、皆は貴族として振る舞った
才人は一人、置いてきぼりである
「俺は平民だからな」
「才人さんは座ってないと駄目です!!」
皆が頷く為、才人は席に残った

*  *  *
才人は、竜の羽衣が安置されてる前の鳥居に立ち尽くす
「此は、鳥居?」
「才人さん?」
「この先には、御神体を奉ってるのか?あぁ、行こう」
小屋は日本の建築様式で建てられ、両開きの小屋の扉を開ける
中から出て来たのを見た時、才人は思わず2礼2拍手1礼をしてしまった
「あ、あの。今のは何です?」
「俺の国の宗教の礼作法だ。此は確かに、御神体として奉る」
才人はそのまま竜の羽衣に手を触れ、ルーンが輝き、此が飛ぶ事を教えてくれる
「才人さん?竜の羽衣って大した事無いですよね?ひいお爺ちゃんが此に乗って、飛んで来たって、皆に嘘吐き呼ばわりされてたんですよ?」
「何処から飛んで来たんだ?」
「東からだって」
「…そうか、東か…」
「あの、才人さん?さっきから変ですよ?」
「シエスタ、此は飛ぶよ、竜より高く、竜より速く」
「本当ですか?」
「あぁ、此の名称は竜の羽衣なんかじゃない。零式艦上戦闘機五二型。通称零戦、又はゼロ戦。金属で出来た竜、飛行機だ」
「此が飛行機?」
才人はコックピットに風防を開け乗り込む
「ちっ、俺にはちっと狭いか。だが、飛ぶ。まさか子供の時にプラモ作ってたのが、今活きるとはな。爆装と増槽は無いが、弾は…満載。7.7mm機銃と20mm機関砲はオッケーと」
「才人、どうしたんだい?」
「あぁ、ちょっと待ってくれ、今点検中だ。確か席の下にパラシュートが、ん?此は?」
紙が一枚ぱらりと落ち、才人が拾い上げると、こう書いてある

目標 岩本徹三
   西澤広義
   坂井三郎
   100機撃墜

現在撃墜数 15機
ラバウル以来、大シテ撃墜出来テナイ
今ハ硫黄島、ヘルキャットハ此方ヨリ優勢
此処マデカ

「……エースかよ」
「あの、才人さん?」
「ひい爺さんが残した物って、他に無いかな?」
「あ、はい」
他の皆は、ポカンと才人を見送った
「これ、飛ぶって言ってたよね?」
「こんなので、どうやって?」

「才人さん。この墓の文字を読めた者に、竜の羽衣を譲るって、ひいお爺ちゃんの遺言です」
「大日本帝国海軍少尉佐々木武雄 異界ニ眠ル」
212名無しさん@ピンキー:2010/10/28(木) 21:35:12 ID:r89MRfIZ
シエンスタ
「読めるんですか?才人さん」
「あぁ、日本人だからな。他には?」
「あの、遺言がもう一つあって」
「何?」
「竜の羽衣を、陛下にお返しして欲しいって。どの陛下なんですかね?」
才人は墓に向かい、敬礼する
「俺は、軍人じゃないけど、少尉の気持ち受け取った。佐々木少尉、探すさ、必ず。俺は、あんたと同じ日本人だ」
「……才人さん」
「俺なりの、ひい爺さんへの手向けだよ。他には?」
「はい、家に来て下さい」
シエスタに連れられ家に入ると、シエスタの弟妹達が、才人を眩しそうに見る
「あ、ごめん。お邪魔するね」
「あの、ひいお爺ちゃんの墓碑、読めたんですか?」
「ああ」
「竜の羽衣って、飛ぶんですか?」
「勿論」
「僕たちのひいお爺ちゃん、嘘つきなんかじゃないですよね?」
「勿論だ。俺が飛べる様にしてやる」
「本当ですか?」
「ああ」
「あの、僕、ジュリアンって言うんです。シエスタ姉さんの弟です!!」
くしゃりと頭を撫で、才人は答える
「俺に任せとけ。オジサンはな、不可能を可能にする男だ」
「はいっ!!」
完全に憧れの目を向けられ、才人は敢えて強気に答える
「才人さん、自分でオジサンはどうかと思います。ずっと若いじゃないですか?」
「いやいや、別に構わないだろ?」
「はい、此です。ひいお爺ちゃんは、大した物遺さない人でしたので」
渡されたのはゴーグルと飛行帽
『此だけは、残したかったか』
才人は、亡き佐々木少尉に思いを馳せる
一番幼い妹が才人のジーンズをくいくい摘むと、才人は満面の笑みで答え、しゃがむ
「どうしたかな?」
才人が言うと、はにかみながら、少女は言う
「お兄ちゃんは、シエスタお姉ちゃんのお婿さん?」
「えっと、どう答えっかな」
「そうよ」
「本当?シエスタお姉ちゃん」
「えぇ。だからね、才人さんの事は、才人お兄ちゃんって呼んでね」
「うん!!サイトお兄ちゃん」
「はははは」
才人は笑いながら受け流した
「お父さんお母さん、シエスタお姉ちゃんが、お婿さん連れて来たよ〜」
ガクリと崩れる才人
「まさか、家族使って外堀埋めて来るとは」
「相棒、本当におもれえわ」
シエスタはにんまりと、してやったりの笑顔で応じた

*  *  *
「この草原を、才人さんに見せたかったんですよ」
シエスタはメイド服を脱ぎ、私服になっている
「あぁ、綺麗な草原だね。気に入ったよ(此なら、着陸し易いだろうな)」
「才人さん。お婿さんの話は、私、本気ですよ?父と母にも、そう話しちゃいました」
「えっと」
「其でですね。今日は私達二人だけで、離れに泊まりなさいって、言ってくれたんです」
「あ〜」
「その前にですね。父と母が是非とも夕食にと、良いですよね?」
「…はい」
どんどん八方塞がりになっていく感覚を、才人は味わう
「其とですね。学院から手紙が届きました。一応依頼代行とは言え、休み過ぎだって。戦果の報告返しましたけどね。多分驚いてますよ?其で、私は殿下の結婚式の休みを、このまま取って構わないって」
「そっか」
「才人さん、帰る所はタルブにしませんか?才人さんがひいお爺ちゃんと一緒の国の人だって言ったら、父も母も驚いて。だから、ひいお爺ちゃんと、似た感じがしたのねって言ってくれて」
「凄く喜んでくれて。そんな人が、ヒュドラすら倒せる人だって言ったら、驚いてくれて。私、凄く自慢で…」
「…ひいお爺ちゃんの、お墓の才人さん見たら…やだよ。才人さんが居なくなるの、私やだよぅ」
才人の胸に抱きつき泣き始めるシエスタ
才人はそんなシエスタを優しく抱きとめ、頭を撫で続けた

*  *  *
「貴方が才人さんですね?」
才人をシエスタの父がギロリと睨む
娘を嫁にくれてやるのは、俺を殴り飛ばせる奴だけだと、はっきり顔に書いている
「では、先ずは乾杯の前に、ちょっと運動しませんかね?」
肩をぽんと叩かれ、才人は肩を落とす
「…はい」
隣の部屋は既に片付けられ、乱闘出来る様になっている
子供達も興味津々で覗き、母親は呆れながら見物している
「あんた、ヒュドラを倒す勇者に、どうやって勝つ積もり?」
「うるせぇ、こりゃ父親としての意地だ。俺の娘をやる奴はなぁ、俺より強い奴だけだ!!」
「シエスタ、愛されてるなぁ」
才人は本気で感心する
「喰らえ!!」
大きく振りかぶった拳を敢えて才人は受け、吹っ飛ばされる
「あたた、中々痛ぇ」
「てめぇ、わざと受けやがったな?」
「殴られる必要を感じたもので」
「そういう所が爺さんそっくりでムカつく。本気出せ、こらぁ!!」
「えっと」
母親の方を見ると、やっちゃえとサインを送ってくる
「まあ、そういう事なら」
アニエスに鍛えられ、生死の境を見、更に冒険での実戦を重ねた才人の動きは、素人には対応出来る隙を与えない
一気に間合いを詰め、腹に一発放ち、一撃で沈める
ガッ
「ごふっ」
「すいません、親父さん」
「…ふぅ、へへへ、良いって事よ。娘やる奴ぁ、これ位出来ないとな。わっはっはっはっは」
父親は笑いだし、才人の肩をばんばん叩く
「お前ら、喜べ、新しい兄さんだ」
「「「「はい、サイトお兄ちゃん!!」」」」
「……何か、色々やっちまった感じがする」
「こいつはおもれぇ。本気でおもれぇ」
「それじゃお前達、新しい家族に乾杯!!」
「「「「かんぱ〜い!!」」」」
「…シエスタの家族のペースに、完全に巻き込まれてるな」
「まあ呑め」
「…頂きます」
「いやぁ、娘やる時の父親の役を、一度やりたかったんだよ。悪りぃな」
「い、いえ」
「流石、ヒュドラを倒す勇者だな。ちっとも見えなかったわ」
「有難うございます」
「学院でのシエスタはどうだね?」
「凄く良く働いてますよ。本当に良い娘です」
「そりゃそうだ。俺達の娘だぜ。なぁ、お前」
「そうですね、あなた」
二人とも笑みを浮かべる
シエスタは才人の隣で家族に囲まれ、非常に安らいでいる
今、シエスタの理想が、この場に全て有るのが才人にも解る
どうしたもんかと、溜め息をつく才人
「浮かない顔をしてんな」
「いえ」
慌てて笑顔を作る
「その調子だと、結婚考えてる訳じゃなさそうだな」
「えっと」
「俺達はもう決めたぞ?なあ、お前」
「はい、あなた」
「シエスタをお前にやる。シエスタは自身の望みで、お前の傍に居たがってる。カタチは問わない。シエスタを幸せにしてやってくれ」
「ですが」
「下手な貴族の妾になるよりずっと良いわ。少なくとも、爺さん似のあんたは、絶対に大事にするって断言出来るわ」
「そんなに似てますか?」
「顔だちって訳じゃないんだがな。そう、雰囲気だ。大事なモノの為に、自身の身を危険に晒す事をいとわない。お前さんは、そういう爺さんと全く同じ空気を纏っている」
「爺さんは、何かあると必ず先頭切って、皆を守る為に働いたもんだ。爺さんの事、人一倍好きだったシエスタが、お前さんに惚れるのは、ま、必然だな」
「あなたもそうですよ」
「あらま、のろけられちゃいました」
才人は笑うと、父が照れ隠しに酒を煽る
「だからな、シエスタの事、大事にしてやってくれ。あいつはな、ああ見えて男の審美眼厳しいぞ。村でも一番人気だってのに、全部袖にした位だしな」
「はぁ」
「今夜はシエスタと、一夜を過して欲しい。アイツな、泣いてたんだよ」
「え?」
「このままじゃ、才人さんどっか行っちゃう。私、まだ才人さんに心開いて貰ってない。私、才人さんじゃなきゃいやってな」
「俺ぁな。娘を泣かせる奴は、絶対に許さないと決めてんだ。俺に殺されたくなければ、言う通りにしろ」
「…はい」
「お父さん、何話してるの?」
「男同士の話だよ、な」
「そうだよ、シエスタ」
「ふうん」
「其でよ。あの竜の羽衣が飛ぶってのは本当かい?俺も其だけは、信じられなくてなぁ」
「えぇ、飛びますよ。今は、足りない物が有るから、飛べないだけです。其さえ用意出来れば、何とかなります」
「ほう、そうなのか。そりゃ一体何かね?」
「少し特殊な油って所ですね」
「当ては有るんかい?」
「えぇ、魔法学院に少し」
「成程ねぇ。爺さんの固定化の費用分位は、飛べばお釣り来るだろうなぁ」
「えぇ、そう思います。あれはもう一度、空に帰さないといけません」
「空に帰す?」
「えぇ、『帰す』です。あれは、俺とひい爺さんの国の空を、守ってた翼です。まさか完動品に会えるとは、思いませんでしたよ」
「そんなに凄いのか?」
「えぇ、正にゼロの使い魔にふさわしい、ね」
才人は酒を傾けた

*  *  *
「才人、戻って来ないわね」
「僕が聞いたら、今日は、シエスタの家族の所に泊まって貰うって、村長が」
「ちっ、まさか貴族と平民が、こんな所で障害になるなんてね。ダーリン居ないと、何かつまんないわね」
「冒険中は、関係無かったもんなぁ」
ギーシュは溜め息をつく
「私達、良くも悪くも、才人に染まってしまったわね」
「シエスタの家族に、才人が付き合うのって、ねぇ」
「…才人って、子供好きだって言ってたし。直ぐに、打ち解けるんじゃないかしら?」
「そしたら、才人お兄ちゃんか……マズイな」
「マズイわね」
「タバサ、何処行くの?」
「シエスタの家」
「今日は我慢しなさい。シエスタの家族水入らずを、邪魔しちゃ駄目よ」
キュルケに言われ、すとんと腰を降ろし、本を開き読む
その本は、上下逆だった

*  *  *
「才人お兄ちゃ〜〜ん。もっとあそんで〜〜〜!!」
「はいはい、どんな遊びが良いかな?」
「んとね〜んとね〜。イーヴァルディごっこ」
「お、ちっちゃいイーヴァルディだな。ウワッハッハッハッハ。ワレコソハ、リュウオウ。ドウダ?ワレニシタガエバ、セカイノ、ハンブンヲ、オマエニヤロウ」
「え〜い。おまえなんかにやられるかぁ!!くらえ〜!!」
ぽかぽか
「グァァァァ」
「ちょっとよわいぞ!りゅうおう」
「ト、ミセカケテェ」
こちょこちょこちょこちょ
「きゃはははははは!?やめてぇ〜〜!?」

「…子供あしらいうめぇな。相棒」
「才人さん、良いお父さんになりますね」
すっかり、子供達の人気者になっている才人
「シエスタ、本当に良い男だな」
「でしょ?お父さん」
シエスタの両親は、ご満悦である
「ユニコーンさんユニコーンさん、キャハハハハハ」
「ぶるる、ひひ〜ん」
才人が子供達を乗せて、四つん這いで部屋を疾走してる
「…相棒、子守が天職か?」
「否定はしない。デルフ相手にすんのと変わらんわ」
才人が疲れて座ると、子供達がめいめいに才人の上に乗っかったり、登ったりしている
「幾らなんでも酷くねぇか?」
「本質は同じって事さ」
「はぁ?訳解らんぞ?相棒」
「修業が足りんな、デルフ」
「俺っちは、剣だもんよ」
「才人兄さん。あの、ヒュドラ退治の話、聞かせてくれませんか?」
ジュリアンが話しかけてくる
「だめ〜。才人お兄ちゃんは、あたしたちとあそぶのぉ!!」
年少組が反発する
「ん〜、そうだな。つい昨日出来た、イーヴァディの勇者のおとぎ話をするかい?」
「ほんとう?ききた〜い」
「それじゃいくぞ〜。イーヴァルディは仲間達と…」

子供達を相手に才人のヒュドラ退治の話が始まった。才人の話をデルフが要所要所で混ぜっ返し、シエスタの家族は多いに楽しんだ

遊び疲れて寝た子供達を、才人はベッドの寝室にシエスタの親達と一緒に運ぶ
「才人さん、有難うございます。子供達もすっかり喜んでしまって」
「いえ、良いんですよ。子供は好きなんで」
「すっかり皆、才人お兄ちゃん才人お兄ちゃんって、なついてしまって。大変だったでしょう?」
「女のコの気まぐれの方が大変です」
「まぁ」
母はコロコロと笑う
「只、シエスタがちょっと不機嫌だったかしら?」
「え?ずっと笑ってましたが?」
「私は、此でもあの娘の母親です。きっと、才人さんが構ってくれなかったせいですわね」
「全然気付きませんでした。母は凄いですね」
「えぇ。ですから、この後は、たっぷり可愛がって下さいね。此処からが、本番ですよ?」
「ええっと」
「私達は、完全に納得してますよ。シエスタは、本当に良い人を見付けたものね。早く、初孫見せて下さいな」
「はぁ」
才人は曖昧な笑顔で応じた

*  *  *
才人とシエスタは、ランプを手に、離れに向かう
才人がランプを持ち、シエスタは才人の腕に腕を絡め、身体を預け、満足そうにしている
離れは、シエスタが家に帰って来た後、家族で一気に掃除し、空いてるベッドを近所に借りて来て、急いで用意したものである
亜人魔獣退治の勇者であり、シエスタの想い人である才人への、シエスタの想いを真摯に受け止めた両親の後押しにより、すっかり才人はハメられた
才人達が離れに入ると、ランプの炎を部屋のランプにも分け、部屋全体がランプにより、適度な明るさになる

デルフと村雨をベッド脇に立掛け、ジャケットをハンガーに掛け、ベッドに座る才人
シエスタは隣に座り、緊張している
「才人さん、嬉しいです」
「シエスタの家族は、良い家族だね」
「弟妹達は、すっかり才人お兄ちゃんを気に入ってしまいましたよ?ジュリアンなんて、才人兄さんみたいになりたいって、すっかり憧れてしまって」
「子供は良いねぇ」
「才人さん。子供、居るんですか?」
「いや、ちょっと子守りする機会が、学生時代からあってね」
「ちょっと、安心しました。なら、大丈夫ですよね?才人さんに、子供居たらどうしようかと、ずっと思ってました。凄い上手なんですもの」
「シエスタの母さんが言ってたぞ?シエスタが、子供達の相手してる間、不機嫌だったって」
「ぶ〜。お母さんには、敵わないなぁ。今からは、私をたっぷり可愛がって下さいね?」
此処までお膳立てされたら、才人としてはやるしかない。じゃないと、翌日に才人は父により、もの言わぬ身体になるだろう
才人からシエスタを抱き寄せ、唇を合わせ、舌を絡める
ちゅっ、ぬる、ぴちゃ
舌を絡める度に、シエスタは身体を預けつつ、両手で抱きつき度合いを増し、才人はシエスタの身体をまさぐる
胸を撫で、太ももを撫で、股間を優しく撫でる
その度にシエスタはピクピクと身体を反応させ、唇を離すと唾液が繋り、とろんとした眼で才人を見る
才人は自分の服を脱ぎ、シエスタの服も脱がせ、シエスタは、なすがままの状態になっている
初めて見た時より、シエスタは綺麗になっている
しっとりとしたきめ細かい肌、以前はあった産毛が今は無い
其だけ、見えない部分で努力してる姿が才人には解る
シエスタのライバルは貴族なのだ。貴族に負けない肌の手入れを行っている姿を想像し、才人はくすりと笑みを浮かべる
「どうしたんですか?才人さん」
「いんや、シエスタがね、凄く努力して綺麗になってるなって、思ってさ。ちょっと嬉しいかな?」
「凄く頑張りました。褒めて下さい」
「はなまるです。大変良く出来ました」
才人はシエスタにキスし、乳首に舌を這わせつつ、手を花弁ともう片方の乳房を愛撫する
「はっ、あっ、さい、と、さん、すきぃ、だい、すきぃ」
才人はそのままシエスタをひっくり返し、膝だけ立たせ、尻を突き出させる
「きゃっ、何?」
ピチュ
「あは、や、こんな格好、恥ずか、し、いっ」
才人がシエスタの花弁を丹念に舐めると、語尾がうわずり、尻が跳ねる
才人はそのまま突起を舐め、指を挿入し、中をほぐす
「あ、指、ゆびが入ってくるの、才人さん、なんか、足りないの、やぁ!?」
びくびくしながら、シエスタは才人に懇願すると、才人が自身をシエスタにあてがい、ゆっくりと挿入をする
「あ、入ってくる、才人さん、入ってくる。いた、痛い痛い痛い!!」
「あ、シエスタごめん。抜くよ」
「駄目、才人さん抜いちゃ駄目。やっとなの!!やっとだから絶対に駄目!!私が痛がっても止めちゃっ、駄目!!」
「解ったよ、シエスタ。ゆっくりと続けるからな。我慢しなよ」
「はい〜」
シエスタは涙を流しながら頷き、才人はそのまま挿入を続け、シエスタに根元迄埋める
「全部入ったよ、シエスタ。ほら、奥に当たってる」
「才人、さん。暫く、そのままで」
「あぁ」
才人は腰を掴んだ状態から、身体を覆い被せ、シエスタの胸を揉みつつ、クリを攻める
「やぁ、痛いのと気持ち良いのが、一緒に来るのぉ!!こんなのおかしいの〜!!」
シエスタの膣が初めて受け入れた男をやわやわ締め、子宮が蠕動し子宮口が才人を吸引する
「シエスタ、動いてないのに、そんなに吸い付いたら。キツイって」
「やぁ、痛いけど気持ち良いの〜。才人さん才人さん才人さん、なんかおかしくなるの〜」
「駄目だ、シエスタ。もう我慢出来ない。動くぞ」
「はい〜」
才人はゆっくりと腰を動かし、腰をグラインドさせる
「あ、ひい、才人さん、駄目、痛いけど、気持ち良いの」
今度は腰をゆっくりとピストンさせる
「や、痛い、これなら奥にいて欲しいです」
「ん、解った」
深く挿入したまま、腰をぐりぐりゆっくり動かすと、シエスタの呼吸が荒くなる
「や、もう駄目。来るの、来ちゃうの。痛いのに来ちゃうの」
「シエスタ、もう駄目、出る」
「あはぁぁ」
才人はシエスタの腰をがっしり掴み、最奥でたっぷり射精する
トクントクントクン
二人の鼓動がシンクロし、射精のタイミングが、そのまま吸引のタイミングになる
二人共放心し、暫くそのままの姿勢で固まる
其から、ゆっくりと繋がったまま、才人がシエスタの身体を回転させ、正常位にし、前から抱き締める
「ごめんな、シエスタ。痛かったろ?」
「へ、平気です。ばっちこいです。それに、気持ち良かったですよ?」
シエスタは腰をゆっくり動かし始め、才人の刀が収まらない様に、ゆっくり動く
「もう、強くなければ大丈夫です。沢山愛して下さいね」
「ああ、痛かったら言えよ」
「はい」
そのままキスをし、手足を絡め、お互いにゆっくりと動き出す
部屋に満ちる音は、互いの唇をまさぐる音、結合部から時折漏れる音、そして、才人が射精する度に、矯声を上げるシエスタの声
軟体動物の様に二人はずっと絡み付き、そのまま、まどろみに任せて寝る迄、お互いを貪りあった

*  *  *
にゅぷ、にゅる
才人が快楽で目を覚ます
昨日は挿入したまま寝てしまった
寝る前に身体を入れ替え、女性上位になっている
「おはようございます、才人さん」
見ると、シエスタが腰を動かしている
「おはよ、シエスタ」
「朝方に才人さんが凄く硬くなって、目が覚めちゃいました」
「それ、朝立ち。生理現象ね」
「どっちでも良いです。才人さんが大きくなったら、私の中に全部入れるんです」
シエスタはゆっくりした腰の動きを止めない
「あ、また来る」
「シエスタ。うく」
ドクンドクン
昨日から、射精の時の鼓動が、シンクロしてしまっている
シエスタは痙攣しつつ、うっとりと身体を才人に被せ、才人はシエスタの尻を掴み、しっかりと最奥に当てる様に離さない
「ふぅふぅふぅ。朝にするのも良いですね、才人さん」
「すっかり、スキモノになっちゃって」
「才人さんがこうしたんです。才人さんが中にいると、凄く満たされるんです」
シエスタの中は、やんわりと才人を包み込み、柔々と才人を引き込み、吸い付く
才人はその吸い付きに刺激され、何時まで経っても、萎えさせて貰えない
『ハルケギニアの女は名器揃いだな。此は参った』
才人がシエスタを繋ったまま、身体を回転させる
「あん」
「シエスタ、初めての時の体勢で」
「あの格好、恥ずかしいです」
「だから、お願い」
「はい」
シエスタはそのまま才人の足元に身体を伏せ、才人が腰を持ち上げると、抜けない様に合わせ、尻だけ持ち上げる
才人はそのままシエスタに覆い被さり、きっちり奥に当てたまま、腰をゆっくり動かす
「どうだ?痛いか?」
「あは、気持ち、良いです。大丈夫、そのままで」
「行くよ」
「はい。あっあっあっあっ」
才人の腰の律動に合わせ、シエスタの口からあえぎが漏れる
「駄目。もう来るの。来ちゃうの、あああぁぁぁ!?」
「出る」
先にシエスタが絶頂し、ビクビクしてる中に才人が精液を注ぎ込む
ビクンビクンと射精とシエスタの吸引が合わさり、二人にこの行為が、互いに大事な相手だと、心の底迄刻み込む
その悦楽にシエスタはすっかり虜になり、動く気を無くす
「才人さん、このままお休み中、ずっと居ましょうよ。私、才人さんと、ずっとこうして居たいです」
「やる事が有るからな」
「竜の羽衣ですか?」
「あぁ。約束したからな」
「絶対に、私置いて行っちゃ駄目ですよ?約束してくれないなら、お父さんにお願いして、このままずっと此処に幽閉しちゃいます」
「約束するよ」
「はい。なら許してあげます」
シエスタからは動かない為、才人が動き、ちゅぽんと抜く
シエスタは才人が抜けると振り返り、そのまま才人の刀を口に含み、丹念に情事の後を舐めとる
「シエスタ、こんなの何処で覚えて来るんだ?」
「マダムバタフライです」
「シエスタも読んでたのか」
「はいっ」
何時まで経っても、くわえて離そうとしない為、才人がシエスタの頭を軽く掴んで引き離す
にゅぽん
「あん」
「また、したくなっちゃうから駄目」
「別に良いですよ」
「そろそろ朝食だろ?」
「は〜い」
お互いの身体を水に浸した手拭いで拭き、着替えた才人とシエスタは、母屋に向かって歩き出した

*  *  *
「おはよう才人、それにシエスタ。やっと来たか。もう竜騎士と網の用意出来てるよ」
「おはようギーシュ、キュルケ、タバサ、モンモン。悪いな、朝飯迄、シエスタの家族にご馳走になってたんだよ」
「おはようございます、皆さん」
シエスタの声に、シエスタに視線を合わせた皆が驚く
其処に居たシエスタは、キュルケもかくやと言える艶を放っている。男女問わず、振り向かずにはいられないだろう
黒髪は何時にも増して輝き、只でさえ貴族も凌ぐきめ細かい肌からは、匂い立つ色気が香り、質素な服に収まらない色気を、全身から発している
その表情は非常に柔らかで、才人に向ける微笑は、正に連れだったそれ
一晩での変貌で、何があったか、一発で解る状態である
「シエスタ、ちょっと、こっち来なさい」
モンモランシーが、がしりとシエスタを掴み、木陰に誘導する
「あぁ、まぁしょうがないから敢えて聞かないけど、一つ確認ね。避妊してる?」
「避妊って、何ですか?」
「知らないの?」
「はい」
「才人の種を、赤ちゃん出来ない様にする薬よ」
「そんなの嫌です」
「ふぅ、あんたの顔見れば解るわよ。でもね、才人はまだハルケギニアに地歩を固めてないの。才人の重荷になる積もり?」
「そんな事有りません。私の家族は、全員才人さんを歓迎しました。才人さんは、才人お兄ちゃんです」
「やっぱりそうなったのね。でもね、ヒラガ伯爵夫人に、なってみたくない?」
「ヒラガ伯爵夫人?」
「才人がね、貴女を見捨てると思う?」
「思えません」
「シュヴァリエアニエスは、知ってるでしょ?」
「はい、平民から剣のみで栄達した、私達平民代表の貴族で……あ!?」
「才人なら、なれるのよ?」
「…私が、貴族の夫人に?」
「貴女は平民だから、正式には愛妾扱いだろうけど、其でも才人は、区別したりしないわよ。どう、ヤル気出ない?」
「なんか、凄くヤル気出ました」
「じゃあね、今はまだ、子供は我慢しなさい。其が才人の為よ。解った?」
「交換条件です」
「何?」
「貴族の皆様の、お肌のお手入れ方法教えて下さい。皆スベスベで、羨ましいです」
「そっか、貴女は全部お手入れしてるのね。解ったわ、私がしてあげる。其で良い?」
「はい」
「じゃ、そのまま立ってて」
モンモランシーが詠唱し完成すると、シエスタに杖を向ける
シエスタは首から下の全身がむず痒い様な感覚に襲われ、三角地帯の毛が、はらりと抜けるのを感じる
「えっえっ、嘘?何これ?」
「水魔法処理よ。身体中の体毛、全部処理したわ。此で貴女も苦労しないで、スベスベ肌ね」
「び、びっくりです。メイジって、羨ましいなぁ」
「あら、今の貴女の方が、私達には羨ましいわよ。はいこれ」
モンモランシーは腰のポーチから、薬を出し渡す
「何ですか?」
「避妊薬よ。永久に効く訳じゃないから安心して。大体一週間位」
「はい、それなら」
シエスタは蓋を開け、中味を飲む
「えぇ。今回は良いけど、次からは材料代位は払ってね。一応才人から経費貰ってるけど、回復薬に突っ込む量が多いから、大変なのよ」
「解りました。才人さんの稽古、もの凄いですものね」
「ったく、あの馬鹿。次は絶対に、相手してもらうんだから。きちんと愛されると、こんなになるんなら、我慢する必要無いじゃない」
「あの、ミスモンモランシ?」
「あんたに、私を止める権利は無いわよ?そんなに、幸せそうにしちゃって。全く」
ブツブツ言ってるモンモランシーに、シエスタは冷や汗を垂らす

モンモランシーとシエスタが戻ると、才人がKOされている
「…何人がかり?」
「全員」
タバサが冷たい声で言う
「で、シエスタ。ダーリンってどうだった?」
「えっと、凄く優しくて、気持ち良くて、恥ずかしいのすら良くって。って、私、何言ってるんだろ?」
頬に手を当て、ぶんぶん首を振るシエスタ
「…本当に本気になろうかしら?」
「キュルケに本気になられると困るわね」
「ヴァリエールの寝取られ記録が更新だね」
「別に寝取りたくて、寝取ってる訳じゃないのよ。只、ヴァリエールが連れてるのが、毎回良い男や良い女だったから、ついついアプローチ掛けて、モノにしちゃったのよ。ご先祖様の記録に、そう残ってたわ」
「大貴族ヴァリエールも、ツェルプストーにかかると形無しだなぁ」
ギーシュが宣い、モンモランシーが才人を気付けし、才人がむくりと起きる
「皆、酷ぇよ」
「9倍と16倍、どちらが良いかしら?」
「…さっきの9倍で結構です」
「宜しい」
「さてと、才人、竜騎士達の報酬はどうする?父上のコネ使った依頼だから、仕事代払わないと駄目だよ?」
「じゃあ、竜騎士集めてくれ」
「解ったよ」
ギーシュが竜騎士達を呼びに行く
「お呼びですか?坊っちゃん」
才人が前に出て話す
「今回集まって貰って申し訳ない。此を、トリステイン魔法学院迄運搬お願いします」
「了解だ。パワーの有る火竜を連れて来てるから大丈夫だ」
「其で報酬の話なんですけど。ギーシュ、討伐証明」
「解った」
ギーシュとタバサがレビテーションで討伐証明を持って来る
「ほう、オークにコボルト…此はシャーマン2体、其にヒュドラだと!?」
「おい、この大きさと顔付き、炎ヒュドラとは違う意味で厄介な、毒ヒュドラじゃないか。しかも、今迄で見た事ない大きさだ。この大きさだと、下手な竜より厄介だぞ?」
竜騎士達がざわめく
「一応王政府の依頼代行と言う形で討伐しており、銃士隊隊長シュヴァリエアニエスからのお墨付きも貰って有ります。代金は、此を換金出来る迄用意するのは難しいですが、お支払いはきちんと出来ますので、安心して下さい」
最後にトリステイン王政府発行の武装許可証を見せる。アンリエッタのサイン入り、武人なら、此が近衛待遇を示す事を、瞬時に理解する
王宮で武装出来るのは、近衛兵と王族のみである
「此は、殿下のお墨付き迄。了解した。傷一つ付けずに運ぶ事を、杖に掛けて誓おう」
全員才人に向かい敬礼する
才人は其に敬礼を真似し、答礼した

*  *  *
225名無しさん@ピンキー:2010/10/28(木) 22:46:14 ID:XHQpiJVC
シエンティーヌ
226大人才人:2010/10/28(木) 22:54:38 ID:ool2ipL7
投下終了なのね〜
きゅい

では大人才人タクティクスなのね
今回は本編未登場の、佐々木武雄海軍少尉なのね〜きゅい
「読者に対し、敬礼。小官は、大日本帝国海軍少尉 佐々木武雄であります」
「先ず私の戦歴ですが、内地でパイロットの養成を受けた後、台南空に配属、その後ラバウル航空隊に転属、ラバウル防空戦を経験後、ガダルカナル、レイテと続き、最後に硫黄島上空で定時警戒飛行中に、気が付いたら、異界に紛れこんでおりました」
「その為、追加増槽や爆装等が装備されておらず、標準装備のみとなっております」
「尚、本来はラバウル戦時の二一型を大いなる意思は召喚させたかったらしいのですが、20mm装弾数が60発しか無い為、諦めたそうです。五二型は120発。三二型は美しくないから、却下だそうです」
「ラバウル防空戦はアメリカの投入機数1000余を以って、ラバウル航空隊30数機で完全迎撃せしめた、史上稀にみる防空戦だったらしく、小官の撃墜スコアも殆どがラバウルでの撃墜になります」
「目標パイロットの名前は全て実在の人物です。簡単に説明しますと、岩本徹三は対爆撃機爆撃を遂行出来た、最強の零戦パイロット」
「西澤広義と坂井三郎は、米軍基地で三回転宙返りをやって、始末書書かされたお馬鹿さん。坂井三郎は大空の侍の異名を持つ、史上只一人の寮機無撃墜の大記録を打ち立てた、空戦敗北無しのエースパイロットになります」
「エースパイロットの定義は5機以上撃墜出来たパイロットをエースと呼称し、ジェット機時代の現在も、エース呼称は継続しておりますが、現代戦では3機撃墜がせいぜいであり、エースはベトナム以降は出てないと調べた結果だそうです」
「其と原作では、一次大戦時のエースを、登場させてる事に気付いたとか」

有難うなのね〜

では次更新からは、別話になるのね
一気に戦争モードに突入なるか?なのね〜きゅいきゅい
227名無しさん@ピンキー:2010/10/28(木) 23:08:00 ID:mpJ4PSKD
乙であります。
巡回中に投下が始まったので
わくわくの一時間半だったであります。
228名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 01:13:25 ID:WmYy62dE
お疲れ様です
こういうのって実在の人物はいいんだっけ?
229名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 01:53:23 ID:eTXms9oP
問題ないんじゃね?
別に故人を貶めているわけでもないし。
230名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 10:13:12 ID:rsm/sRdf
別に板適には問題ないでしょ。
書き手は嫌なら書かないし、読み手は嫌なら読まなければいいだけ。
戦国物とかにそんな文句言う奴居ないでしょ。
231名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 13:53:25 ID:O1WeJriY
というかパンツじゃないアニメのモデルにされてる人達が
今更実名で文句言う姿が想像できんのだが
232名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 16:45:54 ID:jGMJoGKf
>>228
名前だけなんで〜
故人と言えば、ゼロ魔の登場人物、色々該当しちゃうがな
調べると、出てくる出てくる
おまけに元ネタのダルタニヤン物語自体、当時で既に、実在人物を使ってるフィクションですぞ?
インターネットって怖い(´・ω・`)
坂井三郎は、実際に本人の著書読んでますた、お陰で零戦の表現が多少細かくなってまつ
正に本編の台詞で才人が呆れてる通り、まさかこんな所で役立つとはなぁw
更に今回書く為に、詳しいスペックや当時の関係動画や画像迄浚って見ますた。零戦のレバー投下操作や、爆装での空母出撃、空港着陸、増槽分離、バンキング飛行、コクピット画像、副座練習機の存在等、見れたのは収穫であります(`・ω・´)
只の飛行状態は結構有るのよね。現物は五二型は見てるし
比較対象で、現在のジェット機による対地攻撃演習も見ますた

>>231
本人が額縁にして、パンツじゃない自分を航空機の写真と一緒に、飾ってる画像なら見た事あるw
パイロットは、とってもジョークが大好きな連中だw

さてと、次はティーガー調べないとorz
233名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 18:30:53 ID:4+pxZTXW
原作中の重量表記からするとティーガー1っぽいけど
でも挿絵の砲塔はティーガー2のヘンシェル砲塔っぽいんだよな
234名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 19:14:45 ID:/GtptV6F
>>233
あれは挿し絵師の間違いらしいよ。まあ2の方が見栄えが良いからね。
徹甲弾は間違いなく誤変換だし。
235名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 19:46:53 ID:jGMJoGKf
>>233
>>234
まだ触りだけど、調べてみたら、ティーガー2は絶対に出せねぇ
何この故障続出兵器
幾ら才人とコルベールでも、こんなので機動戦車戦無理w
試しに頭で模擬戦したら、猛攻を原型留めたまんま、故障放棄で終了しますたw
旋回性能低いから、対応出来ないんですもの
その後、二度と使えない様に、踏まれてあちこちバキバキになって埋もれてたw

ティーガー1じゃないと、絶対無理ジャマイカ。あっちも相当怪しいけど
自動拳銃はモーゼル辺りと踏んでるんだけど、どうなんだろ
AKは説明する必要すらないw
236名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 20:12:17 ID:CwbeC/op
軍オタ多いなゼロ魔スレw
前も見たような気がするぞw
237名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 21:00:53 ID:4+pxZTXW
ティーガー2は防御戦闘では無敵状態だけど・・・
ティーガー1も劣勢時の火消し役であることにはかわらない
アニメみたいにアハト・アハト使うのが一番手っ取り早いのかも
238名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 21:20:17 ID:5LC/7veW
此処は紳士の社交場だからな
以前大真面目に物理学的にみたハルケギニアの魔法理論とかも話してたぞ
239名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 21:46:53 ID:4+pxZTXW
紳士の方々には
大変失礼をしました
サイトの股間の88mm砲ということでお許しください
240名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 22:19:31 ID:31EX7z7u
誰がうまいことを言えと。
241名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 12:34:40 ID:SlV+xxV+
>>232
ああ、アメリカのあの人か
確かパンツでない自分のフィギュアも貰ってた写真どっかでみかけたよ
242名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 17:41:34 ID:92ZElmlS
>>226
重箱の隅
台南空はそのままラバウル行っただけなので転属無しでおk
所謂"ラバウル航空隊"は現地に進出した陸海のいくらかの航空部隊の
総称というかのか俗称というのかそんなものなので。

>>232
さあ、「豚の虎」「ハンスの帰還」を読むんだ。
(あえて「泥まみれの虎」を推さない)
あと稼働率で考えると花が無くなる予感。
シャーマン系やらバレンタインが幾多の敵を薙ぎ倒す展開でも俺はよいけど。
243名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 20:01:53 ID:UZjbY5PF
>>242
ありがと、探してみるわ
才人「……誰だよ、チハなんて喚んだの……」

後、一般メイジの硬化で、木材を最低でも粗鋼レベル迄、強化出来る描写が有るんで、エルフのカウンターを、それ以下で貫通出来る様な、主砲レベルにする訳にはいかんのですよ
IS-122とかでも良いかも試練
比較対象が有る部分は、定義付けに苦労してるもんで
アルミや銅の強化レベルだと、木材ひん曲がるし、チタンやインコネルレベルだと、ハイパー強化になってしまうw
一番やり辛いのは、エクスプロージョンとカリンなんだよね。非常に安定しねぇし、カリンはチートすぐるw
244名無しさん@ピンキー:2010/10/30(土) 23:30:39 ID:rCQEaCAJ
宮崎駿の雑想ノートと妄想ノートだな

あと別にチハでもハルケギニアなら充分無双状態だろと思います
でもサイトのウタマロ無双のほうがここの紳士諸兄には好まれるかと
245名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 02:41:34 ID:Kz4xcn31
エイブラハムだったら積めなかっただろな・・・
246名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 05:28:16 ID:RHJPxaby
チハは、開発された1930年代後半の戦車としては、ドイツやソ連の戦車と
それほど性能は変わらないんだがな。
中国国民党相手の戦闘では普通に活躍してるし、ノモンハン事件でも、
ソ連の装甲車やBTは撃破できてる。

その後、ドイツやソ連を筆頭に各国の戦車開発競争が加速していったのに遅れを
とったほか、仕様的にもともと対戦車戦闘を想定していなかったのが問題点か。
アメリカのM4とやりあえというのがそもそも無茶。
でも他に機材がなかったからなぁ。
247名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 08:49:58 ID:D0IAHaPY
あとは、猫のスピリットを憑依させれば…
248名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 15:29:40 ID:NX3T3Cb+
>>247
エルフを狩るものたちとか懐かしすぎるわww
249名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 19:40:23 ID:x4/IyPa7
そういえばハルケギニアにカレーってあるのか?
250名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 19:49:46 ID:SNQzkYYn
香辛料は少なそうだから、無いかもしれない。
ティファがドラクエとのクロスで作っていたけど、
アルビオンでどうやって香辛料を揃えたか考えてないんだろうな
251名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 21:58:57 ID:/r4s7KoS
そもそもカレー発祥の地たるインドが
ハルケギニアではどういう設定なのかさっぱり分からんからな
絹や紅茶の茶葉もどこ産なのかわからない
ハルケギニア産なのか東方との交易で手に入れれてるのか
あるいは両方あるが品質に違いがとかそういったことはわからない
硝石どうしてるのかとかコーヒーはどうなのかとかそういうのもわからん
252大人才人:2010/10/31(日) 22:07:14 ID:4I7PXcWU
イルククゥでシルフィードなのね〜
大いなる意思は、最近日曜に仕事が多いのね
お陰でこんな時間になったのね

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・キャラ改変有り
・だめっ子グラモン家&ルイズたん
・11レス前後、30分以上開いたら寝落ち

では反映次第、投下開始なのね〜きゅい
253大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-1:2010/10/31(日) 22:11:23 ID:4I7PXcWU
平賀才人謹製ト式改修
トリステイン魔法学院に、4体の竜騎士が妙な品を網を用いて、吊り下げて降り立つ
降り立った竜騎士は同僚が一騎、待機してるのを見て話かける
「よお、お前か。喋れる使い魔持ってるせいで、災難だな」
「お前達の誰かに押し付けようと転属願い出したんだが、却下されちまったよ。シュヴァリエアニエスのお守りはマジ勘弁」
「俺達だって願い下げだっての。今日は非番だから、グラモン元帥からバイト紹介されたんで、小遣い稼ぎだ」
「何だか、けったいな物運んで来たな」
「学院の研究用じゃないのか?依頼者は聞いて驚け。近衛待遇の平民だ」
「それ、サイトって呼ばれてなかったか?」
「あぁ、そういえば坊っちゃんが、そんな風に呼んでたな」
「アイツには訓練と言えど、喧嘩売るのはやめとけよ?はっきり言って、竜騎士が空から攻めても勝てるか解らん。シュヴァリエアニエスが、剣のみで勝つのが難しい相手だぞ?しかも、本気出したらそのシュヴァリエすら雑魚扱いって、シュヴァリエ自身が言ってたからな」
「奴らの支払い保証の証拠見せて貰ったからな。絶対にそんな事するかっての。なんと、学生とその平民で、毒ヒュドラの特大物を、狩って来やがった」
「…化け物って、居る所には居るもんだな」
「違えねぇ」
竜騎士達は、お互いに肩をすくめる
「下手すりゃ俺達迄、奴さんの稽古に駈り出されっかもな」
「幾ら何でも、騎乗した竜騎士を稽古に出すなんざ……」
「シュヴァリエが呟いてたんだよ。もう私じゃ手に余り始めたな、そろそろ騎兵相手も始めるかって」
「……その時は、お前に任せる」
「苦労は分かち合うもんだぜ、兄弟」
「縁は切る為に有る」
「冷てぇなぁ。空で生きる兄弟じゃねぇか」
「クックックック。随分と面白い事になってるね」
竜騎士達が、ばっと振り向くと、例の男が立っている
「やぁ、何時もご苦労様」
「聞いてたのかい?人が悪いねぇ」
「いやいや、今着いたばっかだよ。学院の様子は?」
「シュヴァリエが暇つぶしに、学生捕まえて苛めてる位だな」
「俺の代わり?」
「10人単位で、やっとこさお前さん一人分らしいぞ」
「そいつは気の毒に」
才人の背後を見つつ
「そう思うんなら、代わってやれ」
ヒュッ
才人に背後からの奇襲攻撃
ギィン!!
254大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-2:2010/10/31(日) 22:13:43 ID:4I7PXcWU
「ちっ、随分反応が良くなったな」
「まぁ、随分実戦で鍛えたもんで」
才人はデルフを軽く抜き、袈裟掛けに斬りつけたアニエスの剣を受け止めた
「どうやって気付いたんだ?デルフは警告しなかっただろ?」
「此方の騎士様の視線だね。後はアニエスさんの癖と、真剣なら多分、受け易い様に攻めるだろうなって、予想。まかり間違っても、殺す事だけはしないかなって」
「参った。もう剣技は教える事はなさそうだ。次は騎兵相手にするか、なぁ、竜騎士殿」
「いきなり竜騎兵は壁が高くないですかね?先ずは、騎兵と幻獣騎兵からで」
「勿論用意はするさ、だが、今の内にお願いしとこうかとね。そちらの対地訓練にもなるだろう?」
「だ、そうだぞ?皆」
話を振られ、全員苦笑で答える
「アニエスさんは、俺をどうする積もりなんだ?」
「全ての兵科に対応出来る様にしてやる。勿論銃兵も対象だ」
「はぁ〜先は長いな」
「ふ、一通り終わればな、貴様はトリステイン軍全てに関係が持てる様になる」
「コネ作りって奴か」
「一石二鳥だろ?」
「確かに」
才人は肩をすくめる
「其で、お前達と一緒に出た連中は?」
「説明しに、討伐証明を持って学院長室に怒られに行ってるよ。シエスタは、タルブで休暇だと」
「討伐は成功したか?」
「あぁ、問題無くね」
「ヒュドラもか?」
「そだよ」
「随分化け物ばりに働いたもんだな。貴様だけで、一個中隊か?」
「ヒュドラ狩るのに一個中隊?」
「其に竜騎士の航空支援、一個小隊3騎含めてやっとだ。銃兵なんざ役立たずだ」
竜騎士が答える
才人の視界に桃髪が横切るが、才人は会話を優先する
「確かにえらい鱗硬かったもんな。切り裂いても、肉に跳ね返されたし。いやぁ、首落とすのにカウンター使わないと無理だったわ」
「…毒ヒュドラに近接戦仕掛けたのか?」
「そだよ」
「何で生きてるんだ?」
「対毒用に水メイジに、大量に簡易マジックアイテム作って貰った。一回限りでぶっ壊れる奴」
「何とも、行き当たりばったりな作戦だな」
「ま、結果オーライだよ」
「そうだな」
竜騎士達は感心しつつ呆れる
「坊っちゃんの討伐での様子はどうだった?元帥に土産話したいんでな」
また桃髪がひょこりと出るが、才人は会話を優先する
255大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-3:2010/10/31(日) 22:18:22 ID:4I7PXcWU
「オーク戦とヒュドラ戦は、指揮官務めて貰ったぞ。オーク戦の指揮は見事だった。味方の失策もきちんとカバーしてな。ヒュドラ戦は再生を始める前に攻撃を畳みかける様に指揮してさ、正にグラモンって感じだよ」
「コボルト戦は洞窟に4〜50位のコボルトが居てさ、洞窟に入ったら挟撃喰らったんだが、ギーシュは無難に戦線維持してくれて助かったわ。土メイジって安定してるのな」
「ほ〜、坊っちゃんも中々やるな。其ともお前さんの影響か?」
「元々グラモンで教育されてたから、素質は有ったんじゃないか?以前はいい加減だったみたいだが、最近は授業も真面目に受けつつ、俺の稽古にも付き合ってくれてるよ」
「其はいつ位からって聞いてるか?」
「俺が使い魔として召喚されて、俺と決闘してからみたいだな」
「決闘って禁止だろう?」
「ほら、俺は平民、ギーシュは貴族」
「あ、そいつは盲点だな」
竜騎士達は笑う
「何にせよ、お前さんがどうやら坊っちゃんに、良い影響与えてるみたいだな。此からも宜しく頼むわ」
「グラモンは指揮官としては、本当にどいつも外れが少なくてね。死にたくないならグラモンに従えってのが、一兵卒の決まりみたいなもんさ」
「女関係は?」
才人が聞くと
「もう酷ぇのなんの。多分戦傷より、色恋沙汰の刃物傷のが多いんじゃないか?」
竜騎士達が爆笑し、アニエス,才人も一緒に爆笑する
「アハハハハ。グラモンの女癖の悪さは知っては居たが、まさか其処までとはな」
「なんだ。シュヴァリエにも手を出そうとしてたのか?」
「銃士隊の隊則にはな、グラモンが寄って来たら発砲を許可するって、きちんと殿下の署名付きで名文化されてるのさ」
「ぶわっはっはっはっは。は、腹痛ぇぇぇぇ」
全員で腹を抱えて悶える
「ギーシュの家族って、何やってんだよ?」
「1に女探しで、2に口説きで、34が無くて、5が酒を片手に口説くだな」
「軍は?」
「んなもん、グラモンには女遊びの間の暇つぶしだって」
「どうしようもねぇな、おい」
「違えねぇ」
クックックックと全員発作が収まらない
才人の視界にさっきから、桃髪が隠れた積もりで、ちらりとして居るが才人は気にせず、会話を楽しむ
「で、銃士隊に実際に来た事あんの?」
「あ〜来た来た。学院に居るギーシュ以外は全員来てな、元帥含めて全員に鉛玉で歓迎したっけ」
「…撃ったのかよ」
256大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-4:2010/10/31(日) 22:21:28 ID:4I7PXcWU
「其がさ、平気な顔して受けるんだよ。レディの熱烈な歓迎嬉しく思うとか言い始めてさ。グラモンは全員土メイジでね、硬化使って銃弾無効化するんだ」
「なんつうか、筋金入りだな」
「全くだ、でも近付いた時に杖ぶった斬って、再装填した銃構えると、やっと逃げ出す」
「あっはっはっはっは。其でこそグラモンだな」
竜騎士達は笑いの発作が止まらない
「いやぁ、其がだな。結構良い射撃訓練になるから、隊員達には評判良いのよ。今度はいついらして下さるかしらってな」
「ぶわっはっはっはっはっは」
またまた全員で腹を抱えて笑う
「み、見てぇ。グラモンって、天然の芸人かよ」
「隊員達がグラモンを追っ払う時にまた来て下さいねって叫ぶんだよ。そうするとまた来る」
「馬鹿やるのも血筋かよ」
「だろうな。しかも奴らは真剣にやっている」
「だから、グラモンは憎めないのさ」
クックックックと、笑いの発作を止めずに竜騎士が答える
「ギーシュって、グラモンにしてはまともだったのか?」
「もうちょいはっちゃけないと、グラモンらしくねぇな」
「だな」
「才人君」
「あれ?コルベール先生」
「ここ此は何だね?」
「丁度良かった。実はコルベール先生に、相談があったんですよ」
「才人君、質問に答えてくれたまえ」
「あぁ、すいません。科学の一部。此は金属で出来た竜、飛行機です。その中での戦闘機と呼ばれる兵器」
「此が、飛ぶのかね?」
「才人、本当か?」
「えぇ。ですが足りない物が有りまして、先生に相談しようかと」
「あぁ、済まねえ。ちと相談なんだが」
「はい、何でしょう?」
「俺達はまた明日から任務なんだよ。今日支払って貰えないと、次の休暇にこちらに来れるか解らないんだ。だから悪いんだが、何とか支払って貰えないかね?」
才人はぽんと手を叩く
「コルベール先生。悪いけど一時的に立て替えて貰えません?こちらの換金迄、まだかかるんですよ」
257大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-5:2010/10/31(日) 22:24:52 ID:4I7PXcWU
「うむ。この飛行機とやら、この炎蛇の脳髄に直撃するモノがある。喜んで出させて頂こう」
コルベールが金を取りに研究室に戻る
「良い先生で助かったな」
「此を持って来たのも、コルベール先生に見せる為みたいなもんだしね」
「今度は何する積もりだ?お前さんの稽古やら行動やらは、確かに飽きないんだよな」
「多分面白い事さ」
才人はニヤリとする
「で、アニエスさん。相談なんだけど?」
「ん?何だ?」
「暫くこの零戦にかかりきりってなりそうなんで、稽古時間を短縮して欲しいんだけど?」
「其は大事な事か?」
「作業の進展具合によるから、何とも言えないなぁ。只、絶対に損はしないと思う。こいつが飛ぶの、見たくない?」
「其は、飛ぶなら是非とも見たいな。やっと、この目で見れる科学だろう?」
「じゃあ決まりって事で、時間が空いたら稽古に傾注ってカタチで良いかな?」
「其で良い。明日から騎兵相手による稽古するぞ、馬は学院の使って、私が騎乗しよう」
「軍馬じゃなくて良いの?俺は?」
「足りない分は魔法で対応して貰う。騎馬と徒歩。両方だ」
「相変わらず激しそうだな」
「あの剣水含ませると伸ばせるからな。槍にも対応出来るぞ?」
「消費した分を補給以外にも、使い途有ったのか」
「そういう事だ。最初はランスの代わりに使う。いきなり突撃喰らって、死なれたら敵わんからな」
「才人君、持って来たぞ」
コルベールが走って戻って来る
「ああ、すいませんコルベール先生。はい、確認お願いします」
「はいよ……良し、確かに貰った」
「あれ、最初に言ってた費用より安いんじゃ?」
「さっき随分笑わせて貰ったし、近衛待遇の隊非所属の平民なんざ居ないからな。先行投資させて貰う」
竜騎士達はニヤリと笑う
「改めて名前を伺いたい」
「才人、平賀才人だよ」
「俺達は、トリステイン竜騎士隊だ。何か有ったら呼べ。其所のシュヴァリエアニエスと同じく、力になる」
「宜しく」
才人は一人々々に握手を交わす
「グラモンの坊っちゃんを宜しく頼むぜ。未来の士官を育ててくれ」
「俺で良いのか?」
「アンタが多分一番だ。知ってるんだろ?」
「…まさか」
「そういうこった」
竜騎士達は才人の肩を叩き、竜に騎乗し才人に向かって敬礼すると、一気に上昇。魔法学院から去って行った

「お宅の同僚、気持ち良い連中だな」
258大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-6:2010/10/31(日) 22:27:34 ID:4I7PXcWU
「まぁな、空を飛ぶ奴に貴族平民の別は無いからな。空軍の階級に、貴族と平民の区別なんざ無いぞ?」
「良いことじゃないか」
「陸軍が硬直してんだよ。俺達は銃士隊出来た時は、やっとかよって思った位だからな」
「だとさ、アニエスさん。空軍には評価されてるみたいだよ?」
アニエスはそっぽを向き、紅くなりながら、ブツブツ言っている
「……何か、今のシュヴァリエ見てると、今迄の堅物イメージがガラガラ崩れるな」
「佳い女でしょ?」
「今のシュヴァリエなら有りだな」
シュッ
竜騎士の喉元に剣が突き付けられる
「ちょっ、シュヴァリエ?」
「私を口説いて良いのはな、一人だけだ」
「り、了解、だから剣下げて」
「ふん」
チン
「アニエスさん、照れ隠しとは言え、酷いね」
「ふん」
アニエスは赤面しながらそっぽを向く
「才人君、そろそろ良いかね?」
「はい」
「此が空を飛ぶには何が必要かね?」
「此処の給油口開いて貰えますか?」
「解った」
コルベールが給油口をアンロックで開き、才人が中を確認する
「良かった。少し残ってた。この油、ガソリンを錬金して欲しいんです」
「ふむ」
コルベールが風魔法で、残ってたガソリンを指に触れさせ、臭いを嗅ぐ
「随分揮発性の高い油だな。原料は何かね?」
「原料は太古の植物や微生物の化石、石油を用います。その石油に熱を加え、蒸発温度別に精製します。軽い側から、ナフサ,ガソリン,灯油,軽油,重油となり、重油は更にABCと分別されます」
「組成的には全て炭化水素の混合物です。ハルケギニアでは、石油は産出されてますか?」
「ちょっと私にも解らないな。と言うより、炭化水素とは何だね?」
「そうですね。例えば木炭は解りますか?」
「勿論だ」
「あれが炭素です」
「ふむ」
「で、水素ってのは、海水に金属の棒を二本指して、棒同士に雷を流すと、泡が出ます」
「ふむふむ」
「量の多い方が水素で、少ない方が酸素です」
「そんな実験は、した事無かったな」
「で、この水素が燃えると、先程の酸素と結合し水が出来ます」
「ほうほう」
「炭素も燃えると酸素と結合し、二酸化炭素になります」
「二酸化炭素とは何かね?」
「炎を出した後に発生する空気ですよ。窒息の元です」
「ほう、そうなのか」
259名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 22:28:21 ID:1/3f9UBt
とりあえず支援・・・
260大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-7:2010/10/31(日) 22:32:53 ID:4I7PXcWU
「で、炭化水素とは、今言った炭素と水素が結合した物で、燃料としては最高の素材に近いですね。空気中の酸素と燃焼しながら結合し、二酸化炭素と水を発生させます」
「成程、理屈は解った。石油が無いなら、何か錬金で代用出来る物を探さねばならないね。才人君、何か知らないかね?」
「そうですね。石炭、松、ミドリムシって所ですか。石炭は粉末微細化して、石油状にする技術が有りまして、松、ミドリムシは、体内に精製する油が石油に酷似してます。錬金で取るなら、此処等がやり易いと思いますよ?」
「石炭は有る。松はどんな植物だい?ミドリムシは?」
「松は針葉樹の一種で杉等と近いですね。ミドリムシは、ミジンコはご存知で?」
「ミジンコと言うと、湖沼や池に居る小さい生物の事かい?」
「正解。それらの小動物を総称して、プランクトンと呼ぶんですが、ミドリムシはそのプランクトンの一種ですね。動物の特徴と、植物の特徴を合わせ持った生物です。全体に葉緑素を持ち、緑色をして自立行動が出来ます」
コルベールは熱心に速記でメモを取りながら、話に聞きいる
「ふむふむ、ちょっと松は無理そうだな。トリステインに松みたいな樹木は余り見ない。ミドリムシは、量の確保が難しいだろう。となると、石炭だね。所で才人君」
「何でしょう?」
「何でそんな事を知ってるのかね?」
「俺の国じゃ高校生レベル、つまり魔法学院生レベルの知識です。後は、石油関係の知識は、乙4類危険物取扱い者だったもので」
「危険物取扱い者?」
「俺の国の国家資格ですよ。石油系の危険物を、取り扱う為のお墨付きです」
「ふむ、危険な代物だから、扱いにお墨付きが要るのだね?」
「そういう事です」
「此処までヒントが有れば、多分何とかなるだろう。石炭は燃料の研究用としてストックがあるし、ちょっとやってみよう。魔法はイメージだ。さっきの臭いをイメージすれば」
「あ、あの臭いって着色で、本来のガソリンは無色無臭です」
「何?」
「あれ、漏れたら感知出来る様にしてるんですよ」
「本当かね?」
「残念ながら」
コルベールは肩を落とす
「ならば、先程の石炭からの石油精製法をイメージすれば、何とかなるだろう。良し、やってみる」
「頑張って下さい」
「……相変わらず、さっぱり解らんな」
261大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-8:2010/10/31(日) 22:34:16 ID:4I7PXcWU
「体系立てて学習しないとね。理解出来る、コルベール先生が凄いのさ」
さっきから、何とか才人の視界に収まりつつ、隠れようとしている桃髪を、敢えて無視する才人
「所で才人」
「何?」
「あ〜、良いのか?」
「その内、話かけて来るでしょ?」
「視界に収まりつつ隠れようとか、矛盾した行動取ってるな」
「精一杯の自己主張なんでしょ?」
「クックック。しょうがない、ちょっと手伝ってやるか。才人」
「何?ムグッ」
アニエスから才人にキスをし、舌を入れ、抱き締める
ピチュ、ピチャ
敢えてアニエスが音を立て、たっぷりと才人をねぶる
「ばばば馬鹿犬〜〜〜〜!!」
ドゴッ
「グハッ」
才人にドロップキックが命中し、アニエスの腕から才人が吹っ飛ぶ
「ふ〜、ふ〜、よよよよりにも寄って、ここここのああああたしの目の前で、すすすす凄くねっとりとしたキキキキキスするなんて。アニエスがううう羨ましいとかそんなんじゃ無いんだから、かかか勘違いしないでよね?あああああんたご主人様の事、なななな何て思ってんの?」
「一体どうしたんだい?ミスヴァリエール?」
才人が言うと、ルイズが硬直する
「う〜」
「言いたい事が有るのかい?ミスヴァリエール」
「う〜」
「無いなら、ちょっと後で良いかな?俺は忙しくなるんで。零戦を改修せにゃならん」
「…そんなのより、あたしを見て」
「約束してきたんだよ。約束は果たさないとならん」
「…何で、あたしを見てくれないの?」
才人は視線をルイズに合わせない
「ミスヴァリエールは、俺に言いたい事が有るのかい」
「……ばないで」
「何を?」
「ミスヴァリエールって、呼ばないで!!」
「何で?」
「酷い酷い酷い。其はあたしが酷い事言ったけど、こんなのサイトじゃない!!あたしのサイトは何時も優しくて、どんな時でも包んでくれて!!どんな時でも……」
「出てけって言ったのは、そっちだろ?」
「ひぐっ」
「言いたい事は?きちんと言えないと、ずっとミスヴァリエールだぞ?」
『平民に謝るの?そんなの駄目。あたしはヴァリエールなの。でも謝らないと、サイトはずっとミスヴァリエールだって。そんなのヤダヤダヤダ。サイトの居ないベッドはヤダ。サイトの温もり無いのヤダ。サイトが他の女に取られるの絶対にヤダヤダヤダ』
262大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-9:2010/10/31(日) 22:37:48 ID:4I7PXcWU
『サイトは、あたしにきちんと自分の非を認めろって言ってるの。それが出来ないルイズは嫌いだって言ってるの。あたしはあたしはサイトに嫌われたくないの!!』
『あたしのプライドって何?考えてみなさいルイズ、あたしのプライドで、事態は好転した?一度もしてない!!』
『何これ?あたしのプライドって謝る事すら出来ないの?何か変だよ。非を認める事が何がイケナイの?サイトに謝る事すら出来ないんじゃ、あたしは本当にゼロよ。謝りなさい』
おろおろし、う〜と唸り、ルイズが思考をまとめる迄、才人は待つ
そして、ルイズがきっと顔を上げると、才人の顔が目の前に有り、一気に紅くなるが、才人の眼は真剣そのもの
ルイズは此処を間違えたら、本当にサイトは許してくれないと理解する
「……さい」
「聞こえない」
「……なさい」
「もう一度」
「ごめんなさい」
「何に対して?」
「……サイトに、無神経な事言った」
「反省した?」
「うん」
「もうしない?」
「うん」
「家族と引き離されて、ルイズは平気か?」
ルイズは首を振る
「解れば宜しい。良く頑張ったな」
才人がルイズを撫で、一気に涙を溜め、ルイズは才人に抱きつき泣き出す
「ルイズ、良く頑張って謝れた。プライドをねじ伏せるの、大変だったろ?」
「ヒックヒック…うん」
才人に抱き締められ、頭を撫でられ、ルイズは欲しかったモノを味わう
「今、して欲しいのは何だ?ルイズ」
「……一緒に寝て」
ルイズが顔を上げると、目の下に隈が出来ている
睡眠不足が相当来てるのだろう
「ちょっと待てるか?」
「なら、隣に居て」
263大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-10:2010/10/31(日) 22:40:37 ID:4I7PXcWU
「解った」
才人はルイズの肩を寄せる
アニエスと竜騎士は其を見て
「どうやら振られたみたいだな、シュヴァリエ」
「あぁ、別に才人が一人にこだわる必要無いだろう?」
「割り込む気満々だな」
「あれ以上の男が居ないもんでね」
「俺なんかどうかね?」
「論外」
「ちぇっ」
特に落胆するでもなく肩をすくめる

「才人君、取りあえず出来た。此で試してみないか?」
「じゃあ、揮発燃焼テストやるんで、もう一つ容器用意して下さい」
「解った」
コルベールが研究室に戻り、容器を用意する
「良し、此にコイツを少し垂らして、気化させて。コルベール先生、着火」
「うむ。ウル・カーノ」
ポン
「ふむ、良い感じだ。じゃあ、此を燃料タンクに」
トポトポと出来たガソリンをタンクに注ぐ
「ルイズ悪い、ちょっと離れてくれ。アニエスさん達も、コルベール先生。このプロペラをこちらの回転方法に、風魔法で回して下さい」
「何でそんな事するのかね?」
「最初の点火は外部から回す必要が有るんですよ。愉快な蛇君と一緒です」
「成程、了解した」
才人が乗り込むとコルベールに合図を送り、コルベールがプロペラを、風魔法で回転させる
ゴロゴロ、プス、プス
才人がタイミング良く点火スイッチを押す
ブ、ブブブロロロロ!!
「ウワッ、五月蝿い!!だから離れてろと言ったのか」
「何か下品」
「良し計器類も異常無し。エンジンの調子も異常無し」
「才人君!!此で飛べるかね!?」
ブロロロロ、プスプスプスン
「コルベール先生、ガソリンの精製成功です。エンジンも調子良いですし、後は、ガソリンの量を用意する必要が有ります」
「了解した。どれ位必要かね?」
「5樽分以上ですね」
「以上?」
「はい、此からちょっと、色々やらないとならない事が」
「其は何だね?」
才人が飛び降り、コルベールと話始める
「コイツには対艦用の爆装と、航続距離延伸用の増槽が追加装備で有るんですよ。其を製作します」
「此は、ただ飛ぶだけの代物では無いのか?」
「簡単に言うと、竜騎士と同じ仕事する武器ですね」
「でも、どうやって作るかね?」
「錬金で材料を用意して、其を俺が加工します。ハルケギニアの艦は木造船のみですか?」
「才人君の国では、木造では無いのかね?」
「えぇ、基本的に鉄鋼船ですね」
「頑丈さが俄然違うな」
コルベールは驚嘆する
264大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-11:2010/10/31(日) 22:41:37 ID:4I7PXcWU
「では、木造船用の兵装にしないと。やっぱり破壊力と一緒に、延焼出来る性能が重要ですよね?」
「ふむ、確かにそうだな」
「なら火薬と一緒に部屋仕切って、ガソリンとかの油を入れちゃいましょう」
「成程、だから以上を用意と言う訳だね?」
「そういう事です。一人じゃ無理なら、ギーシュとかにも手伝わせちゃいましょう」
「ふむ、面白くなって来たな。全面的に協力しよう。こう兵器が好きと言う訳では無いのだが、何か目的をもって物を作ると云うのは、楽しくてね」
「やっぱり先生は職人だ」
「才人君は?」
「俺ですか?恐らく、生粋の職人魂を受け継ぐ、日本人ですよ」
才人はニヤリとする
「今日は、後は樽を用意して、私が錬金してガソリンを用意しよう。1樽程度は何とかなるかな?明日以降は才人君と私で、やり方を検討して、協力してくれる人材を学生含めて募集しよう」
「学院長にも話してみるか。研究用だと言えば、結構融通してくれるものでね。アカデミーに対する対抗心を、学院長は持っててね。私が自由に出来るのは、学院長のお陰さ」
「研究機関に対してですか?」
「実用的な研究は、余りしない、くだらない機関だって、良い印象持って無いのだよ」
「そうなんですか?」
「始祖ブリミルの彫像の研究なぞ、何の意味が有る?」
「……確かに」
其処に4人が通り掛かる
「お疲れ。どうだった?」
「賞賛半分。叱責半分って所かな。これ見てよ」
全員バケツと雑巾を持っている
「此から罰掃除さ」
ギーシュが肩をすくめる
「明日から皆、ちょっと手伝ってくれ」
「稽古かい?」
「いんや、物作りさ」
才人が不敵に笑う
その笑顔の先に有るものを、コルベール含めて非常に後悔する事になるのは、実際に作業を始めた時である

「あらあら、ルイズ。きちんと仲直りしたのね。つまんない」
「キュルケ、どう言う意味?」
「だって、ダーリン誘惑する機会が減るじゃない?」
「ああああんたなんかに、サイトはあげないもん」
「冒険してた時のダーリン、凄くカッコ良かったわぁ。ヴァリエールだけ見れなくて、残念ね」
「……そんなに?」
「カッコ良かったわよね?タバサ」
コクリとタバサが頷く
「ヒュドラ仕留めた時は、イーヴァルディが目の前に居るかと思った」
「タバサの言う通りよね。あれは、惚れ惚れしちゃうもの。私は、ヒュドラの時は見れなかったけど」
265名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 22:42:16 ID:Mlfp5MeN
あんた旋盤もないのにどうやって加工する気ですか。
266大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-12:2010/10/31(日) 22:45:09 ID:4I7PXcWU
「本当だよ。コボルトの時なんか、タバサとデュオでコボルト相手にダンスするし」
「お前ら、褒めすぎ。俺よりサポートのが偉いって」
「そんな事ないわよ。自慢話になるわね〜。もう、明日からの授業が楽しみだわ。暫く、話題は独り占めね」
「……ずるい」
ルイズが涙目で、才人を睨む
「あ〜、まぁ。ルイズとは今度な」
「絶対だからね。馬鹿犬」
「わん」
ギーシュ達が首を置いて、罰掃除に去ると、才人はアニエスに声をかける
「アニエスさん、討伐の証拠持って行って、政府から代わりに報酬受け取って貰える?」
「了解だ。全員の代理として行くが、何人だ?」
「6人」
「解った。ヒュドラには、色付ける用に交渉しよう」
剣に触れ、ニヤリと笑う
「宜しく」
アニエスは役所が開いてる内に向かう為、少々早く学院を去って行った

*  *  *
ルイズがとにかく一緒に寝たいと言うので、部屋に戻る
ルイズの足元はふらふらしており、才人が肩を寄せると、素直に身体を預ける。相当寝不足なのだろう
ガチャ
部屋に入ると、食器やら着替えやらが、散乱している
『随分、生活感溢れる部屋になっちまったな』
「掃除すっか?」
ふるふる首を振る
「明日で良い」
「そうか」
才人をギュッと掴み、離そうとしない
才人はそんなルイズを抱っこすると、ルイズはされるがままなので、そのままベッドに運ぶ
トスン
ベッドに横たえると、才人はデルフと村雨を立掛け、ジャケットと服を脱ぐ
「あ、しまった、風呂入ってねぇ」
ルイズが首を振る
「そのままが良い」
「は?一体どうした?」
「どうしてもなの。ご主人様の言う事、聞きなさい」
「はいはい」
ルイズを着替えさせると、紅くなりながらもそのまま応じ、更に紐パンを付けるのを要求するので、身につけさせると、才人に抱きつき、ゴロリと一緒に横になる
「ずっと、休んでたんだってな」
「うん」
「堪えたか?」
「うん」
「今日は、存分に甘えて良いぞ」
「…良いの?」
「ご主人様の機嫌が治るなら、喜んで」
「…アニエスとキスした」
「あれはアニエスさんからで」
「ご主人様にキスする前に、キスした」
「焼きもちか?」
「あんたなんかに、焼きもちなんか妬かないもん。ご主人様に、言う事は無いの?馬鹿犬」
「寂しかったか?」
「寂しくなんかないもん」
「辛かったか?」
「辛くなんかないもん」
「じゃ、ごめんなさいの意味を込めて」
267大人才人 平賀才人謹製ト式改修1-13:2010/10/31(日) 22:47:41 ID:4I7PXcWU
才人から、ルイズにキスをすると、ルイズはきっちり応じ、舌をルイズから絡める
ピチュ、ヌル
口を離すと、ルイズはぼんやりしている
眠気が限界なのだろう
「もう、寝な」
「うん」
才人をそのまま抱き締め、ルイズはストンと眠りについた

*  *  *
268大人才人:2010/10/31(日) 23:02:26 ID:4I7PXcWU
投下終了なのね〜
大人才人タクティクスなのね
今回はコルベールなのね〜
「え〜と。疑問に思ってる方々も居るかも知れないが、別に才人君は、無垢材から削り出しをしようとしてる訳では無いのだよ。其処までの加工レベルを求めていない」
「職人による加工方法には、色々有ると言う事だ。どうやらお墨付きも、其の必要に応じて取ったとの事だ」
「詳しく言うと楽しみが減るので、此処迄にしておこうか。一応大いなる意思の頭の中には、ざっと加工方法含めて設計図が入って居る。実際に作れと言われれば、雷管以外は旋盤無しで製作可能だ」
「火薬の取り扱いしくじって、多分爆発させるとは思う、との事らしいがね」

有難うなのね〜
貫通させないなら以外と強度は必要無い・・・・らしいのね
シルフィにはさっぱり解らないのね

きゅいきゅい
269名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 23:07:36 ID:/r4s7KoS
量産じゃないから手加工である程度やれるかもわからんし
まぁハルケギニアにそんな職人がいるとは思えないが・・・
最悪ある程度精度を犠牲にして機能や性能を落とすしかないな

あと錬金による精度がどれだけなのかわからんが
日本の一部の職人みたいに指先で千分の一ミリ単位の違いが分かるような奴なら
そういう錬金が可能だったりするんだろうか・・・
270名無しさん@ピンキー:2010/10/31(日) 23:14:30 ID:/r4s7KoS
あ、肝心のGJ入れるの忘れてんじゃねーか
ルイズが非常に美味しそうでイイ!
271名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 01:43:55 ID:NtyR7cfJ
ガソリンは着色してるだけで、においは付けてないはず
プロパンガスはつけてるけど
272名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 06:08:04 ID:LAZUjACA
臭いが付いてるのは…灯油じゃなかったか…
273名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 12:58:48 ID:70jrPjSd
ここに出入りしてると、いろんな雑学が身につくな、最近。
274名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 13:41:11 ID:hOhHH+uI
こまけぇこたぁいいんだよ
GJ
275名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 14:28:32 ID:fR7B0OOY
旋盤が無ければ錬金すればいいじゃない
276名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 16:05:49 ID:t7JPLv2W
ある程度の厚さの金属板なら打ち出し加工で曲げることも可能だけど…
さらにそれを溶接もできなきゃ駄目だしなぁ
ともかく続きも期待してるので頑張ってください
277名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 18:19:35 ID:TgZIFL1h
壷型に銅板を加工する職人さんはいるがな
急須とかを一枚板で作るやつ

厚さが1mm程度の鉄板なら治具とテコで曲げ加工はできるけど
底が作れないし、難しいか
278名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 20:23:42 ID:MBiX0MQd
誰かwikiのリンクでも貼った?
いきなり、訪問者激増してるんだけど?
カウンター見るに、wikiのフロントページ飛ばして、直接大人才人ページに飛ばしてるね

いきなり激増するのは、喜んで良いのかしらん?
279名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 20:33:00 ID:wLbHPpAb
溶接は錬金でうまくごまかせるんじゃね?強度がどうなるかはわからんが
280名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 23:11:46 ID:vXisYCQz
原作のコルベール先生、サイトから指示された訳でもないのに
発動機の部品の摺り合わせをしてたからなぁ……
増槽やら弾体の加工方法なんて多分気にするだけ野暮なんだよ

空飛ぶヘビくんが兵装パイロンからちゃんと投弾できるのも何気に凄い
281名無しさん@ピンキー:2010/11/02(火) 00:21:39 ID:FHG7BTez
そういう細かい部分を取り上げて話のタネにするのは二次創作SSの楽しみだけど、だからと言って必ず細かい部分まで全部網羅して整合性を保つ必要はないわな。
282名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 01:03:29 ID:U4oRcNUQ
そういえば、公差とか嵌め合いとかの概念があるとも思えないからな。

職人さんは【万年時計】を手作業で作っちゃうから。
知らない人は検索して驚いてください。もうすごい時計です。
283名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 12:26:37 ID:NZsz7NwX
まぁ一品物作る分にはなんとでもごまかし効くわな
コルベールは東芝の創始者やワット、エジソンとならぶ基地外レベルだで済むから
でも工業製品の量産品の整備体制とかはそういうのとはまたベツモンだからなぁ
284名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 13:10:05 ID:+LQCTDo7
凡人の俺達じゃ思いつかないような凄い脳みそしてるんだよ
>>283がオールドタイプならコルベールはニュータイプとかそんなん
285名無しさん@ピンキー:2010/11/03(水) 22:53:44 ID:U4oRcNUQ
>>283
部品の互換性が保証出来るレベルになってきたのなんて19世紀以降だし。
286名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 01:04:07 ID:oj9LocJA
工業規格、いやそれ以前に大量生産という発想自体がない世界だしな
日本で言えば工芸品しか存在しない
287名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 18:51:55 ID:ViccsLLy BE:1126624436-2BP(0)
「種子島」みたいな銃は大量生産されたと考えちゃダメ?
288大人才人:2010/11/04(木) 19:37:49 ID:fDSi0Vvs
イルククゥでシルフィードなのね〜

今回は切りが悪いので、一気に投下するのね〜
では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・キャラ改変有り
・平賀才人謹製ト式改修の続き
・14レス前後、30分以上切れたら多分寝落ち
・場面切り替え少々多し

では、反映次第投下開始なのね〜
きゅいきゅい
289大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-1:2010/11/04(木) 19:39:02 ID:fDSi0Vvs
「艤装主任。新しい艦砲の進行具合はどうかね?」
此処はアルビオンロサイスの軍港
現在、旧名ロイヤルソブリン、今はレキシントンと改名された、戦列艦の改修が行われている
「予定通り進行してますな。サークロムウェル」
「うむ、素晴らしいだろう。今度の艦砲はな、このシェフィールド嬢の知識を用いて、錬金の得意なメイジを総動員して鋳造して造られた物でね。従来の1.5倍の長射程を誇るのだよ。トリステインやゲルマニアの艦砲なぞ、物の数にもならないだろうな」
「成程。ではこのロイヤルソブリンは、ハルケギニア最強の艦ですな。結婚式に向かう割には、物騒な物を積んでますな」
「レキシントンだよ、艤装主任」
「そう言われれば、そうでしたな」
艤装主任ボーウッドはさらりと皮肉を言いつつ、漂々としている
「中々骨が有るようだな、艤装主任。では、かつての主ならどうかね?」
クロムウェルの背後に立つ人物を見ると驚愕し、直ぐに膝をつく
「ウェールズ殿下」
「やぁ、ボーウッド。僕もレコンキスタに加わる事にしたよ」
ウェールズが手を出した為、臣下の口付けをするが驚愕する
生きてる感じがしないが、水の流れはウェールズ王子のそれである
ボーウッドは水メイジの為、全て感じ、それ故に驚愕する
「此は、尋常な状態じゃない」
噂が有った事を思い出す
クロムウェルは虚無の使い手だと
「まさか、虚無?」
クロムウェルは満足そうに頷いた

*  *  *
才人が眼を覚ますと、ルイズはまだ寝ている
しっかりと才人を掴み、脚は絡め、頭は才人の腕枕
ルイズにとっての、添い寝完全スタイル
才人は完全に諦め、ルイズが起きる迄待つ
今日は目覚め迄、きちんと付き合うと決めている
暫く待っていると、もぞもぞ動き出し、ルイズは目を開ける
「ルイズ、おはよう」
「サイト?おはよう」
ルイズの目の下の隈が取れ、髪にも艶が少し戻る。肌も少し艶が戻る。天下の美少女復活迄、もう少しだろう
「良く眠れたか?」
コクリと頷く
「サイト居ないと、眠れない」
「前は平気だったろ?」
ルイズは首を振る
「もう、無理だもん」
「…そうか。さて、着替えて今日は朝から掃除だ。良いな?ルイズ」
二人で荒れきった部屋を見回し、くすりと笑う
「さぁ、片付けるわよ?犬」
「わん」
二人は顔を洗い、箒と雑巾を片手に片付け始めた

*  *  *
290大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-2:2010/11/04(木) 19:40:34 ID:fDSi0Vvs
授業を休んだコルベールとシュヴルーズ。シュヴルーズは、学院長の指示で手伝いを命じられている
土のトライアングルメイジなら、製作に向くだろうと言う理由だ
後は興味津々な学生とルイズ、其に冒険時のメンバー
アニエスと竜騎士
学院長も見物に来ている
一番広い広場の端で才人はジャケットとゴーグルをし、デルフと村雨を機内に置く
操縦席に座ると、ルーンが離陸距離が少々足りない事を教えてくれる
「滑走距離が足りないな。空母みたいに、風上なら大丈夫なんだがな」
「相棒、ならちっこい嬢ちゃんに、風送って貰えば良いんじゃね?」
「そうだな。タバサ、此方来てくれ」
タバサがとことこ駆けて来る
「俺が合図したらさ、機首に向かって、強めにウィンドを頼む、発動時間は離陸する迄。合図はこれな。場所は彼処で頼むわ」
こくりと頷き、タバサが駆けていき、配置につく
「良し、コルベール先生。お願いします」
「解った。行くぞ、才人君」
ゴロゴロ、プス、ブロロロロ!!
「お〜、こりゃ、おもろぇ」
「良し、プロペラピッチ良し、タバサに合図、ウィンド良し。ブレーキ解除、行くぞ」
零戦が滑走を始め離陸速度に少し足りないが、向かい風でカバーする
「今だ、相棒」
操縦捍を操作し、フラップを離陸位置にし、ふわりと浮かび離陸する
「お〜浮いた浮いた。こりゃ、おもれぇ」
「良くデルフが解るな」
「此だって、武器だろ?大体解らぁな」
「お前は最高のナビゲーターだな」

「凄い、本当に、飛んだ?」
見物した全員からどよめきが起きる
竜騎士が離陸し、零戦を追いかける
上空で竜騎士と零戦がランデブーし、才人が親指を立て、竜騎士に見せると竜騎士も同じく、親指を立てる
その後、同じ広場に着陸体制を取るが、大事な事を忘れてる事に気付く
「しまった、着陸の合図決めてねぇ!!」
「何とかきばれ、相棒」
着陸体制を取る零戦に、竜騎士が追随し、様子を見守る
33kt(約61km/h)で着陸ギアが地面を擦り、ランディング
「やべ、やっぱり滑走距離足りねぇ!!ぶつかる!!」
ブレーキをかけるが間に合わず、前方から強風が叩き付けられ、更に竜が脚で機体の胴体を掴み、翼で風を受け急制動
壁ギリギリで停止する
291大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-3:2010/11/04(木) 19:46:21 ID:fDSi0Vvs
「危ねぇ、せっかくの零戦壊す所だった」
「ガンダールヴの癖に失敗か?相棒。停止距離、余裕有ったろ?」
「ガンダールヴでも、着陸操作は難しいんだよ。お〜い、助かったわ」
竜騎士に声をかけ、竜騎士が親指を立てる
「せっかくの玩具、壊れなくて良かったな」
「全くだ」
才人が苦笑を浮かべ、お互いに降りて竜騎士と握手を交わす
「タバサも有難うな。助かった」
コクリと頷くタバサ
「ほう、此が竜の羽衣かね」
「そうですよ。オスマンの爺さん。ちょっと改修に、人材貸して下さい」
「良いとも良いとも。此なら魔法学院の力を示す、良い機会だ。コルベールの他は、土メイジが良いじゃろ?ミセスシュヴルーズ」
「はい」
「才人君に手を貸したまえ。君の、土メイジとしての技量が必要だ」
「了解ですわ。オールドオスマン。才人さん宜しくお願いしますね」
「はい、早速ですが、機体全体に硬化を永続で掛けて頂けませんか?但し、中に操舵用のワイヤーが入ってるので、其にはかけないで下さい。あれは柔らかい必要が有ります」
「中身を見せて頂けませんか?」
「えぇ、此処に足掛けて登って下さい。フラップ踏んじゃ駄目ですよ?」
シュヴルーズは中を覗き込み
「へ〜成程。先程言ったワイヤーは此ですね?解りました。では」
シュヴルーズが機体全体に硬化をかけ、機体の装甲が上がる
「良し。懸案の防御問題が改善だな。タバサ、ちょっと来てくれ」
タバサが才人にエンジンと排気管を指し示す
「この排気管の出口とエンジンに、ちょっとサイレンスかけてくれないか?サイレンスの強さは弱めで」
タバサがこくりと頷き、サイレンスをかけると、才人が操縦席に搭乗し、コルベールに合図する
「コルベール先生、点火」
「解った」
一度かかったエンジンは、すんなりかかる
ブロロロロ
「やっぱり元の音がでかいせいで、サイレンスが丁度良いミュートになってるな。竜騎士殿、ちょっと機体を竜で押さえて」
「了解だ」
才人がエンジンの回転を上げる
ブオオオォォ!!
「良し、良い感じのミュートだな」
才人がエンジンを切る
「タバサ、サイレンスを永続でかけてくれないか?」
「条件変わると切れる」
「例えば?」
「破壊」
「成程ね。って事は、分解整備とかすると、かけ直しか。了解した。其で頼むよ」
コクリと頷き、サイレンスを一度解き、永続効果のサイレンスをかけ直す
292大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-4:2010/11/04(木) 19:47:35 ID:fDSi0Vvs
「此で、機体そのものはオッケーだな。じゃ、次はオプションだ。ギーシュにシュヴルーズ先生」
「はい」
「僕もかい?」
「あぁ、ちょっと二人に、鉄の剣を錬金で出して欲しい」
「何をする気だい?才人」
「破壊試験だよ」
「はぁ?」
「私達が考えても、才人さんの考えは解りませんね。ミスタグラモン、言う通りにしましょう」
二人が錬金で鉄の剣を出す
「良し。アニエスさん、ギーシュの剣を横に持って」
「解った。こうか?」
アニエスが近寄り、ギーシュの剣を横手に出すと、才人は無造作にシュヴルーズの剣を振り下ろし、刃同士を衝突させる
ギィン!!
一際高い音が鳴り、周りの連中が思わず耳を塞ぐ
すると、才人が持っている剣が折れている
「ふむ、成程ね。ギーシュ、鉄の材料を指示するから錬金してくれ」
「何で、トライアングルが作った剣が、ドットが作った剣に負けたんだ?」
全員が、不可解な出来事に、首を傾げる
「コルベール先生。魔法はイメージでしたよね?」
「その通りだ」
「つまりギーシュのが、シュヴルーズ先生より、鉄に馴染んだ環境だったって事だよ。武門の影響だろう。良い武器は、良い鉄使われてるからね」
「あ、成程」
ギーシュ自身が一番驚いているが、才人の説明に納得する
「凄いですわね、ミスタグラモン。そんな所を見出す才人さんも、素晴らしいですわ」
「シュヴルーズ先生は、ガソリンの錬金をお願いします。揮発燃焼テストは、コルベール先生に教えてるんで、一度少量を錬金したら、試して下さい」
「解りました。量は?」
「取りあえず5樽。樽保管だと危ないので、成功したら、零戦に燃料入れて下さい」
「はい」
「キュルケ、コルベール先生」
「なぁに?ダーリン」
「何かな?」
「二人共、魔法制御試験。フレイムボールを詠唱して、杖の先端に、全ての炎を圧縮させて発動させて」
「また、無茶な注文を」
「ダーリンの注文は、無謀って言うのよ?」
二人共勉強会以上の注文に、こめかみをひくつかせる
「何だ。炎蛇も微熱も大した事ないな。日本なら、魔法使わないで普通に出来るってのに」
「才人君。二つ名の侮辱は、メイジに取ってタブーに近いのを知ってて、言ってるんだろうね?」
「幾らダーリンでも、許せない事も有るのよ?フォン=ツェルプストーを馬鹿にする気?」
「そうだね。ルイズをゼロって言ったら、俺がそいつを半殺しにするのを躊躇わない位は、理解してる」
293名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 19:52:30 ID:I/szLTkj
シエンスタ
294大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-5:2010/11/04(木) 19:54:33 ID:fDSi0Vvs
「…ほぅ」
「…上等ね」
ルイズは才人の発言を聞き赤面するが、コルベールとキュルケは、剣呑をちらつかせる
一触即発
「私は闘うのは嫌いだが、出来ないって訳では無いのだよ?」
「ダーリン。お仕置き位は構わないわよね?きちんとお尻に敷いてあげるわ」
「二人共、勿論出来るよね?」
才人はニヤリと笑う
「当然だ」
「馬鹿にしないで頂戴」
二人共フレイムボールを詠唱し、可能な限り炎を圧縮させ、効果範囲を狭め始めると、二人共驚く
「何だ?炎の色が変わっていく?」
「ちょっと、何これ?どういう事?」
コルベールの炎は青を通り越し青紫
キュルケの炎は青くなる
「炎の色が変わったのは、炎の温度が変わったからだよ。通常は範囲の広いスペルを効果範囲を狭めて使う事により、エネルギーを一点に集束させて、より高い温度を実現させたのさ」
「キュルケの炎で3000〜3500℃位。コルベール先生ので4000〜5000℃位かな?二人共合格。流石、炎蛇と微熱だ」
「才人君、凄く疲れるんだが?」
「私も。もう止めて良い?」
「良いよ」
二人共、スペルを解除し、ため息をつく
「で、才人君、さっき言った、エネルギーとか温度の単位とかは何かね?」
「エネルギーってのは、簡単に言うと力です」
「力?」
「そう、例えば剣で何かを斬る。此は運動エネルギーが発生して起きた結果。炎で何かを焼く、此は熱エネルギーが起こした結果。つまり、物に対して何がしかの影響を与える力を指します」
「ふむふむ」
「エネルギーは大別すると5つ、光,運動,雷,熱,化学。メイジは魔力により、エネルギーを無理矢理生む、理不尽な存在です」
「メイジが理不尽と?考えた事無かったな」
「其に先住といった、違った系統でもやっぱりエネルギーを無理矢理生んでます。俺には、この力がどっから来てるか、不思議でしょうがないんですよ」
「才人君に解らないモノは、私達にも解らないだろうな。さっきの単位は?」
「通常大気圧下で、水が氷になる温度を0℃沸騰する温度を100℃と決め、それに対応した温度を指します。氷点下はマイナス表記で一番低い温度は-273.15度。空気すら凍りつきます。上限は有りません」
「ふむふむ」
「鉄の融点は1500℃位、熱を加え加工するには、炎は3000℃は必要です」
「成程、だからさっきの試験は合格と。何かやらせる積もりだね?」
「ダーリンの講義は、さっぱり解らないわ」
295大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-6:2010/11/04(木) 19:58:26 ID:fDSi0Vvs
コルベールは才人の講義になるとメモを取り、熱心に聞きいるが、キュルケは炎の圧縮での話で、理解をするのを放棄した
「ギーシュ、鉄の錬金で、どれ位薄く出来る?」
「才人の希望は?」
「0.8/1000メイルから、1.2/1000メイル位」
「サントで言ってよ」
「0.08サントから、0.12サント」
「無茶だよ、才人」
「0.15サント越えると、堅くなりすぎて、面倒いんだよ」
「難しいなぁ」
「試しに、15サント四方で頼むよ。コルベール先生、ノギス出来ました?」
「実はまだだ。ストレート出すのが難しくてね」
「ヤスリは有るかな?」
「一応、持ってるが。全て魔法でやれる訳では無いからね」
「それじゃ、コルベール先生の研究室に。オスマン爺さん有難うな。此から呼ばれる人以外は戻って良いよ。後は試作しながらだから、時間かかると思う」
「あたしは?」
「ルイズは祝詞出来たか?」
「う、まだよ」
「じゃあ、そっちだ。出来たり、相談したかったら、顔出して」
「…うん」
才人に呼ばれた人達が、コルベールと共に研究室に向かう
「帰って来たんだから、相手してくれても構わないじゃない。馬鹿犬」

「さてと、まさか土石を売る事なく、使う事になるとはなぁ」
296大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-7:2010/11/04(木) 20:00:35 ID:fDSi0Vvs
「土石使えば、集中出来るかも」
「試してみてくれ」
「解ったよ」
「あの、才人さん。ガソリンって、こんな感じですか?」
コルベールに説明を受けたシュヴルーズが、錬金した物を持って来る。才人が見ると少々粘度がある
「ちょっとテストしましょうか。揮発…しない。先生着火」
「はい。ウル・カーノ」
中々点火せず、暫くすると燃焼を始め、煤が出る
「此は、軽油だ。しっかり、硫黄が不純物で混じってやがる」
「違うのですか?」
「えぇ、コルベール先生。試しに錬金して下さい」
「解った」
コルベールが錬金した物を持って来て、シュヴルーズに渡す
「こんな感じですよ。ミセスシュヴルーズ」
「あら、凄い蒸発しますわね。点火しても宜しいですか?」
「えぇ」
「ウル・カーノ」
ボン!!
シュヴルーズの前髪が、炎に巻き込まれて縮れ、呆然としている
「び、びっくりした」
「あちゃー、火を付ける量が多すぎた」
才人が言い、周りから笑い声が起きる
「イメージとして、理解出来ました?」
「はい、凄い爆発でしたね。良いイメージになりました」
シュヴルーズはまた錬金する為、石炭の山に挑む
「コルベール先生、ノギスの試作品は?」
「此だよ」
コルベールがノギスを渡す
「ふむ」
才人が各部を点検し、歪みを確認する
「成程、ボディが刀みたいに反った上に捻れがあるな。万力有ります?」
「万力?」
「こうやって挟んで、物を固定する奴」
「此だな」
「ヤスリ、平面の奴。それとギーシュ、鉄でこんな感じの棒を30サント位の長さで錬金」
「解った」
ギーシュが錬金した先端がコの字型をした、棒を万力に挟んだノギスにかけ、捻れと逆方向にくいくいっと捻る
「良し、次はっと、ギーシュ、2サント四方位の鉄の駒、3個」
「解った」
錬金した物を受け取り、万力からノギスを外し、駒を三点に置いてまた挟む
「キュルケ、青い炎。出力範囲は杖一本」
「解ったわ」
キュルケが青い炎を出すと、才人はキュルケの杖を持った手を、むんずと掴む
「やだ、ダーリンったら、こんな所で」
「俺の手の動きに合わせて。炎の維持に集中してくれ」
「もう。解ったわよ」
才人が炎でノギスを焙り、ノギスが熱を帯びた頃を見計らい、万力を締め付けると、ノギスがストレートになる
「良しオッケー」
「ふぅ。これ、疲れるわよ」
「ほう、そんな風に加工するのか」
才人の手つきをみて、コルベールは感心する
297名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 20:00:37 ID:tTSjZHpO
化学科学はええのう しえんこ
298大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-8:2010/11/04(木) 20:07:51 ID:fDSi0Vvs
「急冷すると歪むから、自然冷却ね。ギーシュ、試験用の鉄板は?」
「一応錬金した。どうかな?」
才人に鉄板を渡す
「ふうむ、ちと厚いな」
「見て解るのかい?」
「あぁ、これで大体1.6mmって所かな?」
「これ以上は無理だよ」
「そうか、じゃあしょうがない。なるべく薄くなる様に努力してくれ」
「解ったよ」
「次、タバサ、コルベール先生。今のキュルケがやった青い炎の真ん中に、タバサが其より細い風を起こせない?」
「才人君、幾らなんでも無理だ。僕達が青い炎を出す事すら重労働なのに、更に其の真ん中に風だって?無謀も極まる」
「タバサもそう思うか?」
「…試してみる」
「だとさ、先生」
「まあ、試すのは構わないか」
コルベールが青い炎を出し、汗を垂らしながら維持する
「良しタバサ、吹かせて」
シュー、ポン
「駄目か、消えてしまった。諦めよう」
「随分あっさり諦めるんだな」
「他の方法を取る」
「代案有るのかい?」
「まぁね」
ギーシュが用意した鉄板を万力に挟み、其にペンでケガキ、才人は村雨をすらりと抜く
「全員太刀筋の範囲から退避」
皆が退避すると
「食らえ、人間シャーリング!!」
才人は一気に村雨を振る
ジャギィン!!
火花が跳ね、印通りに切断された事を確認し、切断面を見る
「ん〜さっきの火花と破断状態から察するに、加工にはちょい難儀だな。炭素量が高そうだ。こりゃバーナーが要るな」
「才人君。さっきのは切断用かい?」
「そうですよ。でも此方のが加工速いですわ。使い魔って、便利だなぁ」
才人は、ガンダールヴで有る事を感謝した
「才人さん、此でどうでしょう?」
持って来た油を確認すると、さっきより粘度が落ち、サラサラしている
「お、良い感じになってきたかな?では揮発……しない。先生着火」
「はい、ウル・カーノ」
今度は先程より早く火が付くが、爆発は起きないし、まだ煤が出る
「一段階上昇しました。此は灯油ですね。ガソリンは、もう一段階上です」
「えっと、改善してますか?」
「勿論です。流石シュヴルーズ先生ですね。赤土は伊達じゃない」
「まぁ。おだてても何も出ませんよ?」
笑いながら石炭の山に戻り、また集中し始めるシュヴルーズ
「そろそろ、ノギスが冷えたかな?」
才人がノギスを触ると少々熱い
グローブをはめ、そのまま点検する
「ふむ、ストレートは大体オッケー。じゃ、バリを削るか」
299名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 20:08:00 ID:dQFzMHXC
支援
300大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-9:2010/11/04(木) 20:13:08 ID:fDSi0Vvs
才人がヤスリを手に、万力にノギスを固定して、出っ張った所を削り始める
ジャッジャッ
「良しこんなもんか、此で部品はまらないかな?コルベール先生」
「部品の加工精度も良く無いんだが。才人君」
「じゃあ、削りますよ。物は?」
「此だね」
グリップを渡されると才人はヤスリを使って削り始め、擦り合わせを行い、はめて確認する
「はい、完了。後は目盛りをきちんと付けて下さい」
「うむ、了解した」

渡されたノギスを確認し、ご満悦なコルベール。後はきちんと目盛りを振れば、使用出来るだろう。簡易型の為、深さを測る部品は無しとなっている
「才人君。随分加工が上手いんだな」
「此が本職です。武器持つより、ハンマー握ってた方が良いですね」
「ダーリンって、職人なの?」
「日本なら、何処にでも居る職人さ」
特に感慨に耽るでもなく、あっさり言う才人
「ツェルプストーで働かない?給料たっぷり払うわよ?」
「食いぶちに困ったら、お願いするよ」
「楽しみにしているわ」
「才人さん、此でどうでしょう?」
シュヴルーズが錬金した物を持って来る
「はい、今度は揮発。ばっちりしてますね。では着火」
「はい。ウル・カーノ」
ボン!!
炎が才人の顔を舐め、才人の髪が縮れる
「あらま。凄い爆発力。此で大丈夫ですね」
顔を真っ黒にしつつ才人が答える
そんな才人を指して、皆で爆笑した

*  *  *
「随分と彼方に時間取られたな。騎乗しろ」
「あいさ」
二人共馬に騎乗し、手には稽古剣を延長し、槍形状にしている
「此が騎兵のチャージだ、良く見ておけ」
アニエスが馬の腹に蹴りを入れ、才人に向かって突進
ダカラッダカラッ
槍を腰溜めに構えて才人の左脇を通過しつつ、才人を槍で突き、そのまま離脱する
「へぇ、一撃離脱か」
「そうだ、突破力を利用して、一撃離脱がチャージの特徴だ。メイジや銃兵相手だと、一列目が被弾担当になるからな。中々辛い役目だぞ」
「味方が喰らってる間に、蹴散らすって訳か」
「そういう事だ」
「銃士隊は?」
「基本は銃兵だ。剣はサブウェポン。騎乗突撃はしない。馬は輸送用途がメインだな。何分、武装に予算注ぎ込んでる。メイジに比べて重装だからな」
「一番重装な竜騎士隊と魔法衛士隊でも、ランスと自前の杖と隊制服だけだ。銃士隊はチェインメイルに短銃2丁,マスケット銃,長剣が基本装備だ」
「メイジって、安上がりだね」
301名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 20:16:54 ID:dQFzMHXC
支援
302大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-10:2010/11/04(木) 20:18:49 ID:fDSi0Vvs
「何を言ってる?竜や、幻獣の維持費のが馬鹿にならん。騎兵は傭兵に頼む事が多いぞ。馬は金食うからな」
「幻獣騎兵は?」
「幻獣騎兵は、竜騎士と同様にメイジ専門の兵科だ。竜騎士に対して、破壊力,速度は劣るがその分小回りが利いてな。竜騎士のブレスの一撃を軽く回避する。集団戦やらせると相当強い。竜騎士でも、集団でやられると、良く食われる」
「竜騎士に比べて、メイジの平均クラスが高いのも特徴だ。先代のマンティコア隊隊長の烈風カリンなんざ、強烈でな。空でも陸でも敵無しで、出陣の噂が出ただけで、敵が逃げ出す程だったと、きちんと記録に残っている」
「おっそろしいな」
「ま、最早伝説の域だな」
「竜騎士は?」
「騎兵における最強の兵科だ。所属は他の騎兵が陸軍に対し、竜騎士は空軍だ。最大の特徴は、速度とブレスだな。火竜のブレスは強烈で、スクウェアメイジでも、防御不能だ」
「他に速度に徹する場合、風竜で編制する場合もある。風竜は非常に速いのが特徴だが、その分ブレスが劣る」
「ハルケギニアで此より速い乗り物は、存在しない。風竜だと、火竜に比べて破壊力がいまいちなので、ロングランスを携行して、魔力切れ時に攻撃手段の足しにしてるが、余り役に立った事が無いと、言われてるな」
「何で?」
「爪や牙でも充分強力だし、逃げ足使って離脱した方が楽だからだ」
「確かに」
「それじゃあ、やってみろ」
「俺、乗馬下手くそなんだよなぁ」
「なら、良い訓練になるだろう」
才人は覚悟を決め、アニエスの馬と距離を取り、思い切って馬の腹に蹴りを入れた

「……貴様、騎兵は諦めろ」
「…俺もそう思う」
その後、チャージの度にバランスを崩し、落馬も二桁を越え、流石にダメージを抱えた才人に、アニエスは溜め息をつく
「最初は、きちんと乗馬からだな」
「最初から、そうしてくれよ」
「貴様なら、大丈夫かと思ったんだが」
「俺は万能じゃねぇ」
「ふむ、意外な発見だな」
アニエスはクックと笑った

*  *  *
「ううう、思いつかない」
ルイズは祝詞を考えて記しては、上手く行かないと丸めて放り投げ、部屋の中には紙が散乱している
303大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-11:2010/11/04(木) 20:21:16 ID:fDSi0Vvs

「本当に思いつかないもん。もうすぐ結婚式なのに。どうしよう?」
「サイトが部屋に居れば何か閃くのに。ううぅ、帰って来ても放りっぱなしなんて、馬鹿馬鹿馬鹿。早く戻って来なさいよ、馬鹿犬」
ガチャ
「ふぅ、疲れた。こりゃ凄い状態だな」
ルイズは才人をキッと睨み、立ち上がる
「馬鹿犬〜!!何時までご主人様を放っておくのよ!?」
「あぁ、済まん済まん。零戦改修と騎兵訓練が長引いてね」
「あたしの事は、どうでも良いの?」
「そんな訳無いだろ?今日は初日だから、色々手間取ったんだって」
「明日から、もっと早く帰って来なさい!!」
眼を吊り上げ、ビシッと指を突き付け、片手を腰にふんぞり返るルイズ
身長と容姿のせいで、そんな仕草も可愛いらしい
「ん、可愛い可愛い」
才人はついルイズを撫でる
「子供扱いするなぁ〜〜!!」
才人は胸に視線に移し、はぁっとため息を付く
「その胸じゃなぁ」
ドゲシッ!!
「グハッ」
「ああああんたは帰って来て早々、ごごごご主人様を怒らせる事がしたいのね?ちちちちょっとは甘い顔しようかと、思ったあたしが間違ってたわ。かかか覚悟は良いかしら?馬鹿犬」
蹴りを入れ、倒れた才人に馬乗りになり、ルイズはにっこり微笑む
「ご随意に、マイロード」
「宜しい」
ルイズの久し振りのお仕置きを、才人は黙って受け入れた

「ふぅ、すっとした」
ボロ屑になった才人の上で、満足のため息を洩らすルイズ
「ん、何か閃きそうだわ」
そのまま机に向かい、ルイズは祝詞の草稿を、考えながら書き始める
「……此で日常だな」
ぼろぼろになりながら、才人は床の上で呟いた

*  *  *
ロサイスの軍港。ボーウッドは艤装主任から艦隊司令へと、アルビオンの慣例通りに拝命している
「今、なんと言いました?もう一度言って下さい」
「接触したら、艦を自沈させ、其を理由に戦端を開けと言ったのだが?艦隊司令」
「本気で言っておるのですか?」
「勿論だ」
「冗談では有りません。このアルビオンの歴史上、条約破りなど、只の一度も無いのですよ?貴方はアルビオンの信用を地に落とし、他国から嘲笑を浴びる積もりですか?」
「勝てば良い。会議での決定事項だ。君は、何時から政治家になったのかな?ボーウッド。軍人が抗命して良いのかね?」
「……謹んで拝命致します。サークロムウェル」
敬礼を返すボーウッド
304大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-12:2010/11/04(木) 20:25:38 ID:fDSi0Vvs
「参謀に会議の者を連れよう。ワルド子爵」
「此処に」
「竜は操れるかね?」
「私は、ハルケギニアに住まう幻獣は、全て操れると自負しております」
「宜しい、貴君には竜騎士隊の隊長として、指揮して頂こう。宜しいか?」
「拝命、謹んでお受け致します」
ワルドも敬礼する
「君達なら、トリスタニア迄あっさり落とすだろうな」
「そんな事は有りません。長引く戦乱のせいで、熟達した者達が次々戦死し、今の兵達は新兵が多数。錬度では、弱体化してるトリステイン軍と、大して変わりません」
「その為の新型砲だ。其に竜騎士に於いては、まだまだ精強だ。トリステイン王女アンリエッタを捕縛してきなさい。委細は任せる」
「イエス・サー」
ボーウッドは表情を消し、敬礼する

クロムウェルが去ると、溜め息を付く
「こんな命令、陛下なら絶対にしなかったのだが」
王党派でありながら、上官がレコンキスタに与した為、そのままレコンキスタの士官として働いている。その上官は、王党派との戦いで、既に亡い
自身の顛末に皮肉を感じ、今夜は酒を浴びるしかなさそうだと、ボーウッドは心に決めた

「あのボーウッドと言う男、信用出来ますかな?クロムウェル陛下」
「あぁ、大丈夫だよ、ワルド子爵。あれは根っからの軍人だ。自身の領分に於いては実に忠実な男だよ。どんなに不服な命令でも、いざとなれば実行するだろう。ああいう男だからこそ、信用出来るのだよ」
「成程」
「其よりも君の方だ。せっかく付けたミスサウスゴータに、手を出していないと聞いてるが?きちんと上官の命令には、絶対服従と契約させた筈だが?」
「残念ながら、私は嫌われてましてね。必要な時意外は、全く側におりません。仕事に付いては、完璧にこなしてる為、文句も言えないのですよ」
「ふむ、中々上手く行かない様ですな」
「陛下の様にはべらす事等、とてもとても」
「あれは、虚無の血統を後世に残す為ですからな。聖なる行為です」
「聖職ですから、勿論そうでしょうな」
「君は私から見ると無欲に感じるのだが?もう少し、欲を見せて頂かないと、安心出来ないのですがね?」
「そんな事は有りませんよ。私は、誰よりも強欲です」
「グリードですか。7つの大罪の一つですな」
「陛下はラストですな」
お互いにニヤリとする
「では陛下、お互いの欲の為に」
「うむ、期待してますよ。閃光殿」

305大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-13:2010/11/04(木) 20:26:52 ID:fDSi0Vvs
クロムウェルが執務室に戻ると、黒装束のエルフの女のみ。シェフィールドは別室で待機させている
執務室は机と椅子。其に接客用のソファーが二つ、間にテーブルが置いてあり、軍港として、一切の虚飾を廃している
クロムウェルが椅子に腰掛けると、女はヴェールを上げ、そのままクロムウェルの股間にうずくまる
ピチャ、ピチャ、ヌル
「うぉ、おっおっおっ。出る!!」
ドクン
クロムウェルの、勢いある射精をエルフの女は、苦もなく飲み込む
射精が終わると、服の胸を開き、クロムウェルの顔を柔らかく巨大な胸で挟みつつ、クロムウェルのモノを飲み込む
スカートの下には、何も穿いてない
「うおぉぉぉ。本当に堪らん。もう出すぞ」
「はい、クロムウェル様」
「オリヴァーと呼べ。うく」
「はい、クロムウェル様」
ドクンドクン
クロムウェルは、女の中に射精する
「く、やはり呼ばぬか。名は何という?」
「始祖ブリミルに敵対する、私如き卑しきエルフの女なぞ、端女で充分でございます。クロムウェル様」
そのまま膣を締め上げ、クロムウェルに次弾を発射させるべく、うねうねと締め付け、腰を捻り、巨乳好きでなくても極楽な、胸の谷間でクロムウェルの顔を埋め、その細い身体に、抱き心地の良さを全て詰め込み、クロムウェルを誘う
「くっ。やはり名乗らぬか。しかし、滑稽だな。2年前の異端審問を思い出すぞ?なぁ、あの時は、貫いた時点で自害したものなぁ。クックックックッ。ハッハッハッハッ。おぅ」
クロムウェルはまた射精する
306名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 20:27:19 ID:cgidruSj
支援!
307大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-14:2010/11/04(木) 20:30:06 ID:fDSi0Vvs
「あの時は、私が愚かだったのです。もっと早くクロムウェル様の教えに帰依してれば、モードの妾等にならなかったでしょうに」
「今はどうだ?」
「クロムウェル様の子を宿す事が出来ぬのが。口惜しく思います。あぁ、あの人間の女共。孕めるだけの価値しか無い癖に、私のクロムウェル様の寵を受けるとは。クロムウェル様を、一番満足させる事が出来るのは、私なのに!!」
「随分と嫉妬深いんだな。以前の女達を、知らぬ間にオークとトロルに引き渡したな?」
「えぇ、引き渡しましたとも。妾で有り続ける苦しみなぞ、同じ立場で無ければ解りませぬ」
「クックックックッ。モードへの愚痴か。此は面白い。其に子を産めぬ事なぞ案ずるな」
「宜しいのですか?」
「そなたの子に、代わりに果たして貰おう。娘の場所は知らぬか?」
「残念ながら。其に、2年も経ってしまえば、どちらに行ったも解りませぬ」
会話をしながら、腰と膣は休めず、ずっとクロムウェルを攻めたてる
「其もそうだな。やっとアルビオン全土を征服したからな。此からじっくりと探してやる。居なければトリステインだ。子供に会いたかろう?うぉっ」
ドクンドクン
「勿論ですわ。クロムウェル様」
「そしたらお前の娘に私の子を産んで貰おう。そうすれば、名実共に、余はアルビオンの王だ」
「娘もきっと喜ぶでしょう」
「そうだとも、そして次は、トリステインのアンリエッタだ」
「素敵ですわ」
「トリステインとアルビオンを征服すれば、次はガリアのイザベラだ。此で始祖の血統全てが我が手に、真の王になれる!!」
「この身果てる迄、愛し、お仕え致しますわ」
「そうだ、先住の力で余を守れ」
「勿論ですわ。愛しいクロムウェル様。愛の証を、沢山注いで下さいまし」
「勿論だ。行くぞ」
「はい」
クロムウェルが射精する度にエルフの女の胸に顔を埋め、表情は伺えない
女の顔は笑顔も快楽も浮かべず、自身を犯す生物を、汚物を見る眼で見ていた

*  *  *
才人はハンマーを握ると、突然笑い出す
「クックックックッ。アッハッハッハッハッハ。そっか、そうだよなぁ。ハンマーは 撲殺出来る道具 だもんなぁ。クックックックッ、こりゃ良い」
「…才人君?」
「人間プレスになれと、ルーンが語ってるんですよ」
才人の明らかにおかしい様子に、コルベールが汗を垂らす
「才人君?」
「さてと、ケガキだな。円錐台展開はh=al÷(a−b)で板厚センターで………」
308大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-15:2010/11/04(木) 20:32:27 ID:fDSi0Vvs
「才人君?」
「五月蝿ぇ。今話かけんな」
「はい?」
「職人の仕事中に話かけんなってんだ。計算とか、関数電卓ねぇから、しちめんどいんだよ。話は後でまとめて聞いてやる。だから邪魔すんな。解ったな?」
「才人君?」
「返事はどうしたぁ!!コッパゲェ!!」
「サ、サー!!イエス・サー!!」
思わず、アルビオン式で答礼するコルベール
「ミスタコルベール?才人さん、どうしちゃったんですか?」
「わ、私にも解らないよ、ミセスシュヴルーズ。只、今の才人君には、近寄っては駄目だな。完全に仕事人の顔だ。あれが、仕事中の才人君なんだろう」
「今迄見た中で、一番素敵な顔ですわね」
ギーシュが錬金した鉄板の上で、紙に計算を記しながら、ぶつぶつ喋る才人
「あ〜いぼ〜」
「60kg爆弾を搭載するとして、比重1と仮定して計算すると、容積が60リットルだから…」
「あ〜いぼ〜」
「大体胴体部と円錐2本として…」
「あ〜いぼ〜よ〜」
「黙れデルフ」
「何でおめぇ、戦ってる時より、心が震えてんだよ?」
「知るか、んなもん。計算の邪魔すんな!!」
「相棒、俺っちは悲しいねぇ」
「だからこうなって、おっと、前方と後方で円錐の高さ変えないと。先端はティアドロップにしなきゃだから、叩いて成型した奴で」
ぶつぶつ計算しながら紙に書き、寸法が決まると、ペンで鉄板にケガキを入れ、村雨を握る
「クックックックッ。俺がガンダールヴなのは、こういう理由か?存分に使わせて貰う」
村雨をスラリと抜き鉄板を刻み始める
ギィン!!ギィン!!ギィン!!
「クックックックッ。シャーリング使うより速ぇ。コルベール、台座と三本ローラー」
「何だね、それは?」
「ち、無いのか、なら」
ハンマーを構え、鉄板を叩き出す。その振りは、人間の目に追う事は出来ない
ガガガガガ
テーブルの縁を利用して、鉄板が曲がっていき、ドンドン形成されて行く
その様を見て、騒音に顔をしかめながらも二人は感心する
「へぇ、ああやって形成するんですねぇ」
「私も、初めて見た時は驚いた。あれで、非常に正確に加工するからね」
「どれ位出来るんですか?」
「才人君が言うには、自分は並だから、0.01サントがせいぜいだって。熟達した本物は、0.0001サント迄、感知して加工出来ると言ってたね」
「細工職人でも、其処まで出来るかしら?」
309大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-16:2010/11/04(木) 20:36:16 ID:fDSi0Vvs
「私は職人じゃないから、解らないね」

*  *  *
キュルケ達は放課後に研究室に向かう。メンバーはキュルケ,タバサ,ギーシュ、そして、呼ばれていないがルイズである
モンモランシーは、溜った調合を片付けると言って、さっさと部屋に戻ってしまっている
「研究室に行くのは良いけど、この人数じゃ狭いのよね〜。其にごちゃごちゃしてるし」
「才人が何を作ろうとしてるかは解らないけど、やってる事は参考になるよ」
「ギーシュは、彫金とかもするんだっけ?」
「うん、するよ。僕からすると、あの手つき見たら、僕のは完全に趣味レベル」
「サイトって、鉄を加工する職人だったんだ。そういえば、以前にデルフを研いでた時に、ちらりと言ってたっけ」
「で、呼ばれてないのに、何でルイズ迄来てるのよ?彼処狭いから、冗談抜きで困るんだけど?ダーリンが刀振るってたら、大変よ?」
「使い魔の仕事振り見るのも、主人の務めだもん」
「ま、一応正論ね。でも、頼まれた人達の邪魔はしないでよ?ダーリン、何時もと様子違うし」
「違うの?」
「昨日で気付かなかったの?眼付きからして、違ってたじゃない。あの顔つきは痺れるわぁ」
「…ややややっぱり、監視が必要ね」
「今のダーリンは、女なんか見てないわよ。色恋ばっかで見ない事ね」
「うぐ」
「さてと、着いた。コルベール先生に才人、入るよ」
扉を開けると、製作途中の代物が形成された状態でごろりとしていて、シュヴルーズが部屋の隅でぶつぶつ言っており、コルベールが机で突っ伏していた
才人は残りの鉄板の上に座り頬杖を付き、退屈そうにしている
「何?この惨状?」
キュルケ達がポカンとして見渡し、ルイズがシュヴルーズに近寄り、話しかける
「ミセスシュヴルーズ?」
「もう駄目です許して下さいそんなキツイ錬金なんて無茶です鉄板同士組成変えずに一部だけ錬金で融合なんてそんな無茶止めて下さい私もう魔力もちません怒鳴らないでごめんなさいごめんなさいトライアングルですいませんスクウェアじゃなくてごめんなさい」
「…サイト、何やったの?」
「……皆、逃げろ。今の才人君は……鬼だ」
コルベールは、精神力の許容を越えた魔力の行使により、気絶した
「……やっと来たな。溶接機とバーナー共」
才人がキュルケ達の背後に周り込み、ガシリとキュルケとギーシュの肩を組む
「ちょっと、ダーリン?」
「才人、何か変だよ?」
「良いから良いから。さぁ、楽しい物作りだ」
310名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 20:37:24 ID:HC4ERYlM
初めて投下時間に合った

応援しとります
311大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-17:2010/11/04(木) 20:37:43 ID:fDSi0Vvs
その顔は凄絶な形相を呈しており、皆が息を飲む
「…また今度と言う事で」
「まぁまぁ、乗り掛かった船なんだ。最後迄付き合え。な?」
「…タバサ、一人で逃げようなんて、許さないわよ」
キュルケが逃げようとしたタバサを、がしりと掴む
タバサは怯えた顔で、ぷるぷる首を振る
「それじゃ、ちゃっちゃか、魔力を全部出せ。メイジの使用率なんざ、溶接機の使用率より低い、10%以下なんだ。ちったぁ、気合い入れろ」
「い、いやあああああ!?」
全員の絶叫が木霊し、才人に使い倒された皆が、魔力切れで気絶するのに、そう時間はかからなかった

「ねぇ、ボロ剣」
「なんでぇ?」
「今日のサイト、ずっとこんな感じ?」
「…物作り中のハンマー持った相棒には、絶対に逆らうな。俺っち握ってる時より、遥かに強ぇぇぞ?」
「…ワルドの時より?」
「あんなん、今の相棒からすりゃ、雑魚だっての。心の震え方がさっぱり違うわぁ」
「何なのよ?それ?」
「知らん」

死々累々となった研究室に一人頬杖を付いた才人を見て、ルイズは唖然と見渡した
「ちっ、メイジの仕事じゃ、ちっとも進まねぇ」

*  *  *
「才人君、提案なんだが」
「なんでしょう、コルベール先生」
「うむ、こう爆弾に火薬を使った推進機関を搭載するのはどうかね?原理としては、銃と一緒だな」
「構いませんけど、出来るんですか?」
「うむ、火の使い方は色々研究してたモノでね。大体の部分は解る」
「へ〜流石ですね。それじゃ、爆弾じゃなくて、ロケット弾になるや」
「だが火薬は衝撃に弱くてね、弾頭に詰めると欲しい所に到達前に、爆発してしまうだろうね」
「黒色火薬の特性ですか?俺は、火薬は良く解らないんですよね」
「其処ら辺は任せて頂こう、つまりだね…」
「…ふむふむ、成程。それでいきましょう。重量オーバーは、500kg積める仕様も有ったから、大丈夫かな?」
「大丈夫かね?」
「多分大丈夫でしょう。いざとなったら、レビテーションで重量軽減させましょう。重量問題は此で対応出来るでしょう。余り不格好だと、空気抵抗増えるから、宜しくないですけど」
「ふむ、流石才人君。魔法を応用させたら、ピカイチだな」
「問題は」
「…我々の魔力切れだな」
「こればっかりは、どうにもなりませんね」
「才人君のやり方は合理的なんだが、とにかく制御が大変でね。あっという間に尽きてしまうんだよ。ミセスシュヴルーズも、そう思うだろう?」
312大人才人 平賀才人謹製ト式改修2-18:2010/11/04(木) 20:38:28 ID:fDSi0Vvs
「えぇ、余りにも大変なんで、初めての時は取り乱してしまいました。でも、慣れて来ると、応用部分は授業にも還元出来ますわね。大変やりがいが有りますわ」
「では、もう一段の改造と言う事で」
「解りました。でも此って、鉄が薄すぎませんか?」
「最初は対艦爆弾だったんで、わざと破壊され易くして、雷管付けて対象物表面で爆発する様にしたんですけど、対艦ロケット弾だと、弾速が半端無いから、目標物深部に突っ込む前に、粉々になりますね。どうすっかな?」
「じゃあ、不味そうな部分に、硬化処理を施すのは如何でしょう?」
「流石、赤土。其で行きましょう」
「ドンドン、大変になっていきますわね」
シュヴルーズはクスっと笑う
「職人の仕事の大半は、どうしてこうなった?が、基本ですよ」
「まぁ」
「それはそれは」
コルベールとシュヴルーズは、笑いあった

*  *  *
313名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 20:52:45 ID:cgidruSj
支援
314大人才人:2010/11/04(木) 21:19:18 ID:fDSi0Vvs
投下終了なのね〜きゅい
今回のタクティクスは一番の被害者、シュヴルーズなのね、きゅいきゅい
「聞いて下さい。才人さんが私達に魔法で要求した数々を」
「ライトニングを出しながらウィンドブレイクを行う。エアハンマーを強烈に圧縮させて、空気の無い層を作り上げ、其処にライトニングを行う」
「只でさえ大変なのに、ライトニング自体制御不可能と言われてる、厄介なトライアングルスペルなのに、ミスタバサがあっさりひっくり返ってしまいました」
「型を作るとかで、ミスタグラモンに鉄球作れとか、円錐上の品物作れとか、しかも炭素量上げろとか言われてもさっぱりです!!やっぱり、ミスタグラモンもひっくり返ってしまいました」
「何とか作った型を見て、油を貰って来たと思ったら、ミスツェルプストーを見て、にっこりと青い炎全開って言うんですよ?あっという間に、ひっくり返ってしまいました」
「何か、触ってはいけない部分を触れてしまった気がします。教師辞めたくなっちゃった・・・」

お気の毒様なのね、きゅいきゅい
続いてコッパゲなのね〜
「ふむ、では弾体並びに増槽加工の種明かしだ。本編上で才人君がぶつぶつ呟いている公式が円錐台展開公式の一部で、更に円筒部はl=2πrで板厚センターが求められる」
「其処に円錐台の周長部を合わせれば、同一単位なら合わせるのが可能だ。そして加工方法自体は、バイクから一般構造物迄広く使われる手法であり、珍しくも何ともない」

「後は錬金の出番である。錬金に於ては不純物が混じり、其が性能に左右するのは原作に於ても明らかであり、周知の通りである」
「つまり、性能に関わる元素が混入する事が、錬金で出来た物質を左右すると、表現し直す事も出来る」
「其がガソリンに対する硫黄であり、鉄に対する炭素である」
「鉄鋼加工の職人は火花だけで炭素量の混入具合を判断出来る。炭素量は、焼き入れに対しても重要だ」
「これ等の事を総合的に判断して、弾体加工はハルケギニアに於ても出来ると結論付けた。大いなる意思は、根拠無しでは導入はしないそうだ」
「高校生の才人君では、こうは行かないだろうね」

有り難うなのね
工学並びに科学ばりばりな大人才人
果たして明日はどっちだ?
なのね〜きゅいきゅい
315大人才人:2010/11/04(木) 21:24:25 ID:fDSi0Vvs
追記なのね〜
コルベールカモン!!
「うむ、ネジに付いてはハルケギニアにも有る。理由はマスケット銃だ」
「銃の部品にネジが使われているので、確定事項である」

だ、そうなのね〜
きゅいきゅい
316名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 21:36:57 ID:sfrsFa+x
GJ
読み応えあるな
317名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 22:06:54 ID:oj9LocJA
GJ!
でもさー機体に硬化かけたら剛性変わって
操縦性が多少変わるくらいで済めばいいけど
下手したら失速特性とか致命的なトコに影響でてこないかな?
本来A7075で設計したものを設計そのまんまで
より硬い特殊なアルミ合金で作っちゃったようなもんでしょ?
爆装するからある程度強度は必要なんだろうけどさ・・・
318名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 22:46:39 ID:fDSi0Vvs
>>317
おぅ、今屁理屈こねこね中
回答
多分大丈夫、強度に関して重要なのは共振現象による空中分解だよね
此を考えた時点で、共振は考えたけど、共鳴周波数が硬化で変わるかどうかは不明なんで、原材料と同じと判断してる
理由としては硬化しつも木材がきちんと悲鳴上げてる描写(14巻)が有るから
つまり物質の性質自体はそのままで、強度が上がるという魔可不思議かつ、必要に応じて硬質化(17巻)も可能と言う、応用範囲が広いスペル
果たして、無銘の日本刀に掛ってる硬化は如何にw
失速特性とかは、基本的に翼面積と操舵の面積と角度範囲で左右されるので、余り気にしないで良いと思われる
翼面積の都合でも、三二型はペケだったのよ
格闘戦能力が落ちるもの
其でも二一型より強かったらしいが
319名無しさん@ピンキー:2010/11/04(木) 23:27:54 ID:N5bKs7+Z
>>287
遅レスだけど、アレは部品に互換性がない=銃同士で同じ部分の部品を交換出来ないから、
大量生産とは言わない。
320名無しさん@ピンキー:2010/11/05(金) 21:19:20 ID:lsdjxQRa
なるほど。つまり一点ものをたくさん作ってるって感じだったのか
321名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 00:54:10 ID:H82bxbGA
なにせ弾ですら自作だしな
322名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 02:52:31 ID:g1obP0vD
俺のカノン砲が火を吹くぜ!
323名無しさん@ピンキー:2010/11/06(土) 09:09:01 ID:/JYZGlpk
>>318
GJ!
って、ちょっ、おまw
大人才人はあくまでも原作知識チートが前提かw
なんかこの才人は、空中で何かあったらガンダールヴで
緊急脱出するつもりで機体に手を加えている気がするぜ……
324名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 10:40:26 ID:o8v0k7Q0
ライトニングを出しながらウィンドブレイクがよくわからないかな…
エアハンマーを強烈に圧縮させて真空+ライトニングはプラズマ放電加工?
325大人才人:2010/11/07(日) 18:34:59 ID:PZE00Ove
イルククゥでシルフィードなのね〜
忘れてる人も居るみたいだけど、才人は勉強会で『周りを呆れさせる位の要求』して、魔法効果を一々検証してたのね〜
やっぱり、勉強会エピ削ったの、不味かったかしらん?
ちなみに、才人が要求した魔法は、現代加工方法によるとこうなるのね
青い炎の真ん中に空気→ガス切断,ガスガウジング
ライトニング+ウィンドブレイク→アークエアガウジング,プラズマカット
エアハンマーで真空+ライトニング→TIG溶接,電子ビーム溶接,プラズマ溶接,高周波焼き入れ,プラズマ加工等
高周波焼き入れ自体は、エアハンマー要らないし、真空さえ作り出せれば、溶接のシールドガスは要らないらしいのね

でも、大いなる意思の言って事はやっぱり、ちんぷんかんぷんなのね〜
きゅいきゅい

先程やっと、次話が仕上がったのね〜

では注意事項なのね
・才人年齢上昇
・開戦!
・他キャラ改変有り
・10レス前後、アルビオンサイドとトリステインサイドを固めた文章を、時系列に沿って抜き出しでやる為、レス量の読み間違え有り
・30分以上空いたら、所用落ち

では反映次第、投下開始なのね〜
きゅいきゅい
326大人才人 タルブ降下戦1-1:2010/11/07(日) 18:37:19 ID:PZE00Ove
タルブ降下戦
才人とコルベールの製作は、魔力切れの関係でゆっくりとしか進まず、一日の内大半が空いてしまう為、アニエスが剣と乗馬の稽古に当てる時間が増えた
ルイズは放課後になると乗馬と魔法回避訓練に付き合い、気分転換をしている
「ルイズ、乗馬に付き合うのは構わないが、祝詞はどうした?」
「気分転換よ。部屋は、没ネタで小山になってるもん」
「なら、しょうがないな」
「では、ミスヴァリエールも居る事だし、ちょっと競走するか。あの丘迄ギャロップ。トップはビリに、何か一つ言う事訊かせる事が出来るってのは、どうだ?」
「…ふうん。アニエスは、あたしに勝つと?」
「近衛たるもの、乗馬なんざ必須技能なんだが?」
「ヴァリエールの領内は非常に広いのよ?乗馬出来ないと、回れないんだから。其に、軽いあたしのが有利じゃない」
「…俺が勝つってのは、考えないのか」
「貴様は落馬しない様に気を使え」
「その通りよ。犬」
「……はい」
「で、乗るか?」
「かか勝てば問題無いわね」
「その通りだ。才人、デルフに合図して貰え」
「だとよ、デルフ」
「おいよ〜。では位置に付いたな、用意…スタート」
ダダダッ
三騎が一気に走り出す
不整地路面での走行と、馬との呼吸が全く合わない才人は、一気に置いて行かれる
「くっそ、オフロードは走り慣れて無い上に、何でバイクと馬はこう違うんだ?」
「あっという間に置いて行かれたな。相棒」
327大人才人 タルブ降下戦:2010/11/07(日) 18:39:50 ID:PZE00Ove
「無茶な注文、されなきゃ良いけど」
ダカラッダカラッダカラッ
ルイズが軽量を活かし、アニエスに一馬身程リードを広げる
「ふん。馬鹿犬に言う事訊かせるですって?絶対阻止よ。ハイッ!!」
ルイズは鞭を取り出し、馬をぴしりと叩き、ペースを更に上げる
「ほぅ、本当に速いな。だが、まだまだだ」
アニエスも鞭を取り、残り3ハロンで鞭を叩き、一気に加速させる
「ハァッ!!ハァッ!!」
掛け声を掛け、鞭をしならせ、呼吸を馬と合わせて末脚を爆発させる
丘の上迄残り1ハロンで横に並び、鼻差でアニエスが勝ちを拾う
「さ、刺された」
ルイズは、アニエスと共に並足にしてから落ち込む
「中々速かったぞ。正直きつかった」
アニエスは額に汗を浮かべ、述べる
才人は二人に20馬身以上も差を付けられ、ゴールした
「二人共、スゲー速えぇ。全然追い付けねぇ」
「サイトは、馬との呼吸が全く合って無いのよ。馬も走り難いわ」
「んな事言われてもなぁ」
「じゃ、勝利者の権利だな」
「お手柔らかに」
「そうだな、今直ぐはちと思いつかんから、保留で頼む」
「はいよ」
「其れじゃ、戻るか」
アニエスが手綱をぴしりと叩き走り出すと、ルイズと才人も合わせて走り出した

*  *  *
コルベールの研究室
「ふぅ、やっと火薬が届いたか」
「コルベール先生。これ、重心ヤバいんじゃ?」
「飛ばす際に、風魔法で整流させるから、気にしないで構わないよ」
「強引っすね。ま、安定翼付けますか」
「頼むよ」
「才人さん。ガソリンの錬金は終了しましたよ」
「シュヴルーズ先生。有難うございます。此でやっと中身が積めますね」
「入口に入れた後は、入口はどうなさるのですか?」
「此が蓋なんですが、此を錬金で融合します」
「成程、此で密封出来ますね。ですが、何故増槽に迄、推進部を取り付けたのでしょう?」
「此も燃料をぶつける、弾扱いなんですよ」
「はぁ?」
「其より、今からちょっと、板を切り出ししますから、其を錬金で融合お願いします」
「解りました」

2週間もかけ、才人達の製作も大詰めを迎えた。そして皮肉にも、洒落と粋狂で作った代物が、実戦使用されてしまうのは、この時点では、誰も気付いていない

*  *  *
結婚式に向かう為、アルビオン艦隊はトリステイン艦隊との合流ポイントに向かう、場所はラ=ロシェール近郊
「艦長、ランデブーポイントに着きました」
328大人才人 タルブ降下戦1-3:2010/11/07(日) 18:45:46 ID:PZE00Ove
「宜しい、艦隊はそのまま待機。信号送れ」
「は、艦隊はそのまま待機。信号送ります」
レキシントンの艦上で、ボーウッドは指示を下す
「奴らは随分遅いですな」
艦隊参謀にして作戦の総指令たる、ジョンストンがボーウッドに語りかける。最も、本人は会議の政治家であり、軍人ではないので、現場の指揮は全てボーウッドに任されている
「予定時刻に到達出来ないのであれば、錬度を推し量る良い機会ですな。ジョンストン卿」
「成程。そういう考えも有りますな。全艦、帆は畳んでおりませぬな?」
「勿論。直ぐに行動出来る様に旋回中です」
艦隊をゆっくり旋回させ、足を落とさぬ様にトリステイン艦隊を待つ
予定時刻より30分遅れで、トリステイン艦隊が到着する

「報告。艦影発見、トリステイン艦隊と思われます」
「射程は?」
「レキシントン射程ギリギリ。他艦の射程外です」
「左砲戦準備。並びに作戦準備。行き足を付けるぞ。艦隊前進」
「復唱、左砲戦準備。並びに作戦準備。艦隊前進。信号送ります」
「良し」
ボーウッドは部下の答礼に、満足の笑みを浮かべる
作戦自体は不服だが、軍人に命令違反は許されない。ならば、作戦を忠実に実行するのみ
「ボーウッド殿、射程ギリギリならば、無理に近付かなくても宜しいのでは?」
「そんな事は有りませんよ、ジョンストン卿。命中率を上げるには、近付くのが一番ですし、他艦の攻撃が命中するのにも、前進が必要です。作戦開始、礼砲撃て」
「イエス・サー。作戦開始、礼砲撃て!!」
レキシントンの艦砲が火を放って空砲を撃つ。トリステイン艦隊の射程範囲外でも、トリステイン艦隊の肝を冷やすには充分な轟音で有る
「始まりましたな、ボーウッド提督」
「ワルド卿。竜騎士隊の出撃準備はどうかね?」
「フーケが行っており、準備完了と連絡が来ております」
「では、配置に付いて頂きたい」
「始まりを見る時間位は、有るでしょう?」
トリステイン艦隊から、答砲が応える。数は7発。此方への、敬意を表していない。最上級なら11発が慣例である
最も、ボーウッドはその答砲が真なりと確信し、苦笑する。今から行うのは、条約破りだからだ
「開始」
「復唱、開始。送ります」
最後尾に付いていた老朽艦から火を吹き、炎上しつつ、ボートから乗組員が脱出するのを確かめる
「トリステイン艦隊に信号送れ。貴艦ノ攻撃ニヨリ、当艦隊ガ撃沈サレリ。当艦隊ハ此ニ応戦セントス」
329大人才人 タルブ降下戦:2010/11/07(日) 18:47:17 ID:PZE00Ove
「復唱、貴艦ノ攻撃ニヨリ、当艦隊ガ撃沈サレリ。当艦隊ハ、此ニ応戦セントス。送ります」
手旗信号で信号手がトリステイン艦隊に信号を送る
「返信来ました。当艦隊ニ攻撃ノ意図アラズ。当艦ノ砲撃ハ空砲ナリ」
「砲撃開始」
「砲撃開始!!」
命令が次々と伝達され、レキシントンの左舷砲列甲板の砲が、一斉に火を噴く
行き足も付き、しかも射程外からの一方的な攻撃。旗艦を潰せば、指揮系統が乱れ、単艦で対処しなければならなくなる。もう、決したも同然だろう
錬度が落ちたとは言うものの、自身の砲兵達は、より長射程の砲をきちんと使いこなしている
射程が長くなる程、風や角度調整を修正する必要が有るからだ
トリステイン艦隊旗艦撃沈迄、間もないだろう。中破してから、慌てて砲戦を行っているが、既に遅いし、遠い
満足に頷くボーウッド
「新しい時代の幕開けですな。提督」
ワルドがまだ準備せずに、ボーウッドに話しかける
「何、戦争が始まっただけさ。ワルド卿、出撃命令だ。配下の30騎で、砲撃終了後に全てを焼き尽せ。降伏は無視しろ」
「承知した。竜騎士隊、出撃する」
ワルドが竜騎士隊に向かう為に去る
「さてと、トリスタニア迄、上手く迫れるか?」
ボーウッドは他艦の射程内に入ると、全艦での全力射撃を命じ、混乱の途上に有るトリステイン艦隊を無傷で蹂躙し、タルブに進路を命じる
ジョンストンは初めての戦場で高揚し、意味不明な羅列を繰り返しているが、全員で無視する
「第一段階は成功、次は降下作戦。本当に大変なのは、此からだ」

*  *  *
タルブの村人達は、空から船が落ちて来るのを見、不安に駆られる
「何だい、戦争かい?」
「そんな事有る訳ねぇ。領主様から、アルビオンとは不可侵条約を結んだって、話が来てたじゃないか」
村人達が空の異変に気付き、シエスタとジュリアンも其に目を向ける
「ねぇ、シエスタ姉さん。あれ、アルビオンの軍艦じゃないかな?」
「本当だ、錨を下ろして降下してる。父さん!?」
シエスタ達は家に駆け寄り家族の安否を確認し、誰も欠けて居ない事を確認し、ほっとする
「シエスタ、ジュリアン。お前達は母さんと兄妹を森に逃がせ」
「父さんは?」
「他の連中に声を掛けて来る。良いか、絶対に言う事聞けよ?保存食と水も忘れるな。行け」
「父さんも一緒に」
シエスタが言うも、父親に怒鳴り付けられる
330大人才人 タルブ降下戦1-5:2010/11/07(日) 18:53:39 ID:PZE00Ove
「うるせぇ!!こういう時は、親父に格好付けさせろ!!ジュリアン、俺が倒れたら、お前が家族での一番年長の男だ。頼むぞ」
「解った。母さん、姉さん、皆、行くよ、準備して」
「父さん、無事で居てね」
「おうよ。ひょっとしたら、来るかも知れんしな」
「来る?」
「竜の羽衣がな」
父親はニヤリと笑みを浮かべ、他家の安否の確認と脱出指示の為に飛び出した
「父さん。無事で居て。才人さん。幾ら何でも、期待はいけないですよね?でも私、私……」
シエスタは無駄な願いと解りつつ、才人に祈りつつ、準備をし、脱出する
シエスタ達の他にも村人達が三々五々に脱出した後、タルブ領主アストン伯が手勢数十騎で駆け付け、魔法で迎撃するが、竜騎士のブレスで、あっさり焼き付くされる
その後、進路の邪魔になると判断し、竜騎士達がタルブの村に火を掛け、次々に村の建物が炎上する
「あっあっ、私の村が、私達の村がぁ」
シエスタは焼かれる村を見、号泣する。そして、まだ父親が森に来てない事に気付き、取り乱す
「父さんが、まだ来てない。迎えに行かないと」
「駄目だよ、姉さん。落ち着いて。今行っちゃ駄目だ。父さんを信じるんだ」
今にも飛び出しそうなシエスタを、ジュリアンが羽交い締め、抑え付ける
「離して、ジュリアン!!」
「駄目だ。父さんを信じるんだ」
「ジュリアンの言う通りよ。シエスタ」
「母さんは、平気なの!?」
「平気な訳無いでしょ?でも、此処でバラバラになったら、誰が一番悲しむのか解る?父さんよ!!」
シエスタははっとし、大人しくなる
「其にね。父さんはきちんと仕事して来るわ、ほら、見なさい」
村人全員が脱出する迄、避難の指揮を執り行い、火傷を負った村長を肩車しつつ、此方に向かって駆ける父親の姿があった
「私の惚れた男が、仕事しない訳無いじゃない」

*  *  *
331大人才人 タルブ降下戦1-6:2010/11/07(日) 18:54:56 ID:PZE00Ove
「艦長、定刻より30分程遅れています」
「ふん、王の居ないアルビオンに、其処までする必要は無い」
「了解」
副官は艦長ラ=ラメーに言いたい事を黙り、そのまま対応する
確かに、向かい風で切り返しばかりしてる為、遅れてるのは理解出来るからだ。帆船としての欠点である
其に錬度の問題も有る。無理に対応させて、兵に消耗を強いる必要も無いだろう
何せ今回は結婚式である。戦闘ではない
「間もなく予定ポイントです。アルビオン艦隊発見」
「あれが、旗艦のロイヤルソブリン級か。周りの戦列艦が玩具に見えるな」
「そうですな、艦長。ロイヤルソブリン級一隻、通常戦列艦6隻、あれは?揚陸艦7隻。こちらの戦列艦6隻の倍ですな」
「何故、揚陸艦が?」
「さぁ?儀杖兵でも乗せてるのでしょうか?」
「あの規模だと、3000は入るぞ。殿下の結婚式に、其処までの礼をするとはな。余程自身の王を滅ぼした、負い目を感じてるらしいな」
ラ=ラメーは満足気に頷く。あの忌々しい三色旗を、ラ=ラメーはとにかく気に入らない
「信号出せ、答砲用意」
「了解。信号出せ、答砲用意」
定形通りに応対し、アルビオンのレキシントンから礼砲が火を噴く
数は11発
射程外でありながら、その轟音に思わず肩をすくめる
「もの凄い音だな」
「戦場で無くて良かったですな、艦長」
「うむ。答砲撃て」
「何発にしますか?最上級は11発ですが」
「レコンキスタ如き、7発で良い」
「ウィ。答砲用意、7発。撃て」
次々命令が伝達され、礼砲が空を響かせる
すると、最後尾の揚陸艦から火を吹き、乗員が次々に脱出し、爆発しながら墜落していく
「何があった?」
「さぁ、事故でしょうか?運悪く、火薬庫に引火したみたいですな」
「レキシントンから信号有り」
「読め」
ラ=ラメーが答える
「はっ。貴艦ノ攻撃ニヨリ、当艦隊ガ撃沈サレリ。当艦隊ハ此ニ応戦セントス」
「何?返答送れ。当艦隊ニ攻撃ノ意図アラズ。当艦ノ砲撃ハ空砲ナリ」
「復唱します。当艦隊ニ攻撃ノ意図アラズ。当艦ノ砲撃ハ空砲ナリ。送ります」
信号手が送るが、返事はレキシントンの砲撃で、アルビオン艦隊が答える
ドドドーン!!
旗艦エルトゥールル号に着弾し、乗員が仰天する
「な、届くのか?信号手、とにかく送れ、当艦は攻撃してないと。攻撃中止の要請をしろ」
「はっ、送ります」
332大人才人 タルブ降下戦1-7:2010/11/07(日) 18:59:44 ID:PZE00Ove
「艦長、何を言っているのですか?既にアルビオンは行き足を付けております。此は完全に攻撃です。早く応戦を!!」
「此は不幸な事故だ。信号手、送っているな?」
「はっ、返答有りました。我、トリステインに宣戦ヲ布告ス」
「何だと?不可侵条約はどうした?」
言い合ってる内に、またレキシントンが火を噴き、エルトゥールルに着弾、甲板員に被害が出る
「艦長ぉ!!応戦を!!」
「黙れ!!攻撃中止を要請し続けろ。此は事故だ!!」
副官は舌打ちをする
『艦長の判断自体は、確かに間違ってない。だが、しくじった。アルビオンは最初から、その気だったんだ。アイツなら、ジェラールなら、艦隊編制を見た時点で気付いただろうに。奴なら、艦長を殴り倒して指揮を取るかもしれん』
以前の艦隊副官のジェラール=ド=グラモンを思い出す
ジェラールが居る時、艦隊を取り仕切って居たのは、ジェラールだった
艦長なぞ、お飾りだったのである
だが、人手不足の魔法衛士隊に引き抜かれてしまった
ジェラール自身も、父が所属していた衛士隊に、格別の思いが有ったらしく、二つ返事で承諾してしまった
近衛隊隊長は元帥位と同格。友の栄達に祝福こそすれ、嫉妬の感情なぞ無い
333名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 19:00:28 ID:cCqauOxl
シエンスタ
334大人才人 タルブ降下戦1-8:2010/11/07(日) 19:01:54 ID:PZE00Ove
だが、今必要なのは、その友の技量である
こうなれば、艦長には名誉の負傷をして頂こう。そう決め、密かエアハンマーをラ=ラメーの後頭部に一発喰らわせるべく、小さく詠唱する
その時、砲弾が傍を通り過ぎ、艦長の居た場所に着弾
艦長だったモノが其処に転がっていた
「ラ=ラメー艦長戦死!!此より私が指揮を取る!!各艦左砲戦準備!!回避ジグザグ行動!!行け!!」
「ウィ!!」
命令を伝達する為に、伝令が走る。だが、遅すぎた
現場は混乱を重ね、命令が上手く伝わらず、勝手に砲をぶっ放し、其が各艦に伝播し、艦隊全艦で、射程外なのに砲を撃つ
「くそっ、醜態だ」
ジグザグ回避をしようとすると、そのまま他艦の回避軌道と重なり、衝突する艦が出る
艦隊の統率が完全に乱れた所に、アルビオンが整然と戦列艦の射程内に進入し、全力射撃をすると同時に、竜騎士がレキシントンと揚陸艦から飛び立つ
一斉射撃はトリステイン艦隊を完全に捕らえ、少なく無い被害をもたらす
完全に決まってしまった
だが、無傷で行かせる訳には行かない
そう副官は覚悟を決める
「全艦、隊列を立て直せ。こちらの射程に入ってるぞ!!一斉射撃準備!!被害は覚悟しろ!!竜騎士は……今回連れて来て無かったな」
335大人才人 タルブ降下戦1-9:2010/11/07(日) 19:03:47 ID:PZE00Ove

竜騎士のエアカバーが望め無いのは、非常に痛いが仕方ない
先にアルビオン艦隊からの一斉射撃が撃たれ、トリステイン艦隊から火を噴き、誘爆し始めた艦が出る
「艦長代理!!もう駄目です!!退艦命令を!!」
「無傷で行かせる積もりか!?殿下とトリスタニアが落ちて良いのか、貴様!?親兄妹に恋人が死んでも、構わないんだな!?」
怒鳴り付けると、直立不動になり敬礼する
「失礼致しましたぁ!!」
「解ったら、配置に付け!!」
「ウィ!!」
恐慌を来たし始めた兵を叱咤し、配置に付かせ、やっと射撃命令を下す
「撃て!!」
ドーン!!
既に使える砲自体が、3割以下に減少し、測距もまともにして居なかった為、当たらない
何より向かい風
全てがトリステイン艦隊の不利に作用し、更に上空から火竜の編隊が近距離で焼く為に、ブレスを一斉に浴びせる
副官は、エルトゥールル号と共に爆散した

*  *  *
王宮にて、トリステイン,アルビオン連合艦隊を花嫁衣裳で待つ、アンリエッタ
「報告致します」
「申しなさい」
「はっ、先程アルビオン艦隊を迎えに行った当艦隊とアルビオン艦隊が交戦。トリステイン艦隊が全滅しました」
「‥‥どう言う事ですか?」
「はっ、当艦隊が礼砲を撃った所、アルビオン艦隊の一艦から火を噴き沈没。其をトリステイン艦隊の攻撃と判断したアルビオン艦隊は条約を無視し、宣戦を布告」
「当艦隊が応戦するも、ラ=ラメー艦長が戦死、副官が指揮を受け継ぎましたが、敢えなく全滅しました」
「緊急閣議を開きます、召集しなさい。遅れた者に、用は有りません。30分以内に集結させなさい」
「ハハッ。緊急閣議を発動、30分以内に集結出来ぬ者に、発言権無し。伝えます」
伝令が一気に駆け出し、閣僚に命令を伝える為に走る
遅刻した者は、一人も居なかった

会議室に重苦しい雰囲気が漂う
入って来る報告は芳しく無い報告ばかりである
「そもそもの事の起こりは、不幸な事故だと聞いているが」
「ならば特使を派遣して、事情を説明すべきでは」
「ですが、既に艦隊は全滅させられておりますし、宣戦布告をされております」
「ゲルマニアの援軍は?」
「同盟に基づき、要請しましたが、まだ返事は有りません」
「不可侵条約はどうした?」
「とにかく、事故と言う事で片付ければ、体裁は整うかと」
「では、その様に」
「報告致します」
「申せ」
336大人才人 タルブ降下戦1-10:2010/11/07(日) 19:08:31 ID:PZE00Ove
「は、アルビオン艦隊タルブの村に降下中。タルブ領主、アストン伯戦死」
「竜騎士隊から報告。近衛隊副長より、時間稼ぎを要請されり。此を実行する」
「は?近衛隊副長?どういう事だ?衛士隊や銃士隊が、勝手に動いて居るのか?」
マザリーニが首を傾げる
「殿下?」
デムリ財務卿やリッシュモンが、アンリエッタを見る
「いえ、私も命令しておりません」
「魔法学院より、シュヴァリエアニエスが到着。殿下に面会を求めています」
「粉引き風情が何の用だ?」
あからさまに、閣僚から吐き捨てられる
「通しなさい」
「はっ」
アンリエッタが応じ
アニエスが姿を表し、膝を付く
「アンリエッタ殿下に閣僚の皆様。お目汚し失礼致します」
「形式は不要です。今は、一刻を争います。報告が有るなら申しなさい」
「はっ。現在近衛副長サイト=ヒラガから、一日の防御戦を要請されています。一日有れば、科学の成果をお見せ出来ると」
「‥本当ですか?」
「サイトーン?知らぬ名だ」
閣僚がざわつく中、マザリーニだけが眼を光らせる
「銃士隊隊長殿。説明を」
マザリーニが促し、アニエスが続ける
「はっ。サイト=ヒラガはヒュドラ狩りの勇者にして、元グリフォン隊隊長ワルドを退けた実績を持つ剣士です。今回、殿下の最身辺警護をする為、臨時で編入しております」
「何だと!?」
衛士隊隊長は洒落で出来る職では無く、ヒュドラも軍を出さねば討伐するのは非常に難しい
その二つを実行出来た人物が、非常に腕が立つ事だけは、全員理解する
「成程、確かにやる様だな。だが、たかが剣士一人に何が出来る」
全員が頷き、閣議は特使を派遣する方向でまとまりつつある
「報告します」
「申しなさい」
「はっ。タルブの村、炎上中。村人に死傷者が居る模様。竜騎士防戦中、アルビオンの足留めに奮戦してます」
アンリエッタが硬直し、気を落ち着かせる為、深呼吸する
「貴殿方に問います。民が傷付きました。今、何をしていますか?特使なんて、何の意味が有るのです」
「ですが、不可侵条約を結んでいるのですぞ?」
マザリーニが宰相として、皆を代表し答える
337大人才人 タルブ降下戦1-11:2010/11/07(日) 19:10:11 ID:PZE00Ove
「不可侵条約。確かに結びましたね。どうもアルビオンには、只の紙切れだった様ですね」
全員押し黙る
「もう一度聞きます。今、貴殿方は何をしていますか?民を守るのが、貴族なのでは無いのですか?こういう時に、先頭に立って民を守るから、君臨を許されるのでは無いのですか?」
「もう既に、宣戦布告はされたのですよ?アルビオンは大国、確かにトリステインでは、勝つのは難しいでしょう」
「ですが、民を守れない貴族に、存在価値等有りません。貴殿方が、義務を放棄するなら構いません。そのまま会議を続行してなさい」
「民を守る為に戦死した者に、報えない貴族なぞ、私に用は有りません。私が前に出ましょう。アニエス!!」
「はっ、お供します」
アンリエッタがすっくと立ち上がり、衣裳のまま歩き出そうとするが、裾がまとわりつく
「ええい、歩き難い」
ビリっと破き、歩き出す
「殿下、興し入れ前の大事な身体ですぞ?」
マザリーニが止めようとするが、破れた布をアンリエッタに投げつけられる
「貴方が結婚しなさい!!伝令!!戦時命令です!!」
「はっ。此処に」
「王宮内のメイジ全てに武装命令。各々に守備を命じます。近衛各隊、中庭に集めなさい。私の杖を持て!!ユニコーンを出しなさい。私が直接指揮します」
「ハハッ」
伝令が各所に命令を伝える為、駆け出す
アンリエッタとアニエスは、そのまま会議室を出ていった
「宰相、特使の準備が整いましたが」
「要らぬ」
「はっ?」
「各々方、殿下を一人で行かせるな。末代迄の恥ですぞ!!」
マザリーニに言われて、慌てて席を立つ。今はメイジと言うだけで戦力だ。一人でも多い方が良い
閣僚は全員アンリエッタに付いて行く為、駆け出した

中庭に着いたアンリエッタは近衛を見渡す
「欠員は?」
「おりませぬ」
ゼッザールが代表して答える
「銃士隊副長ミシェル、謹んでアニエス隊長に指揮権を返上致します」
「留守中済まなかった。皆、頼む」
ガシャ
一番多い銃士隊の隊員が長銃を捧げ、アニエスに礼をする
「銃士隊隊長ド=ミラン。302名欠員有りません」
「ヒポグリフ隊隊長ド=グラモン。51名欠員有りません」
「マンティコア隊隊長並びに、グリフォン隊隊長代理ド=ゼッザール。マンティコア隊51名、グリフォン隊50名欠員有りません」
338大人才人 タルブ降下戦1-12:2010/11/07(日) 19:12:46 ID:PZE00Ove
此処で最年長のゼッザールが、代表して答える
「我ら近衛隊総員454名。全て殿下の御意のままに。総員第一種装備完了です」
銃士隊はチェインメイルを着込み、短銃2丁に長銃一丁。レイピアを腰に差した状態
衛士隊は軍杖を腰に差し、幻獣の鞍にランスを携え、全員隊の名称たる幻獣に騎乗し、マントと隊制服に身を包み、伊達っぷりを周囲に示す
小姓がユニコーンを引いて来たので、アンリエッタは其に騎乗し、王家の証たる水の精霊の力を込めた、王錫状の水晶の杖を掲げ、路を差す
「タルブの村へ、全軍我に続け!!」
「ハハッ」
「銃士隊。輸送馬車の準備は出来てるな?それぞれ第一分隊から第六分隊迄、分隊事に馬車に乗れ。かかれ!!」
アニエスが号令を掛け、銃士が一斉に4頭立ての馬車に走る
「ミシェルは私と共に馬だ」
「はっ」
「各連隊に声を掛けろ!!急げ、殿下に遅れるな!!」
アニエスが怒鳴り上げ、一足先に走り出したアンリエッタと衛士隊を追い掛け、銃士隊の都合12台の馬車は、全速力で走り出した

*  *  *
339大人才人:2010/11/07(日) 19:33:59 ID:PZE00Ove
投下終了なのね〜

では大人才人タクティクスなのね〜
今回はアニエスなのね〜
「ふむ、では大人才人の近衛隊の人数と、各自の装備に付いて語ろうか」
「先ず、何故銃士隊と衛士隊の人数で、差が有るかと言うと、メイジと平民の差に加え、兵科の特性による」
「銃士がマスケット銃を完全に運用するには、最低でも三人は必要だ。つまりこの時点で三倍の兵数が必要。其に幻獣騎兵と言う特性に顧み、メイジと言えど、中々数が揃えられないのが、衛士隊の欠点としてある」
「其がそのまま数の差になっている。其でも、銃士隊より衛士隊の方が遥かに強い」
「では次に各自の武装に付いてだ。マスケット銃とは、先込め式長銃の事で有り、点火方式により、マッチロック式(火縄式)とフリントロック式(火打ち石式)に分けられる」
「つまり、火縄銃もマスケット銃の一種で有り、フリントロック式マスケット銃と区別するのは間違いである」
「銃士隊は、その最新のフリントロック式銃を、短銃長銃共に採用しており、発射の誤作動防止と雨対策を、不十分ながら行っている」
「チェインメイルは、イラストから採用されている。多分銃弾位は貫通しないで止められるだろう、細かさである」
「では、次に衛士隊だ。原作と違い、此方の衛士隊は直接攻撃用装備として、ランスを装備している」
「此は、先代衛士隊のサンドリヨンによる、軍政改革の賜らしい。メイジ騎兵の癖に、ランス装備を行うのは、トリステインのみである。やはり、他の国では魔法が強力過ぎて、馬鹿にされてる装備になっているが、トリステインでは必須装備となっている」
「まぁ、この先は楽しみにしていてくれ」

有り難うなのね〜

ではまたの更新迄さよならなのね
きゅいきゅい
340名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 19:42:44 ID:+6nIGcB9
GJ!
341名無しさん@ピンキー:2010/11/07(日) 21:35:45 ID:JWB6Iyyh
GJ
次はいよいよタルブ戦だな
楽しみだ
342名無しさん@ピンキー:2010/11/09(火) 23:19:58 ID:yRogSUgz
そろそろロイヤルビッチ分が・・・・
343大人才人:2010/11/11(木) 21:24:45 ID:fB9OkJoK
イルククゥでシルフィードなのね〜
シリアスで重め書いた後にシエスタの日記を綴ると、ちょっと救われた感じがする大いなる意思なのね〜

バランスって大事なのね、きゅいきゅい

では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・タルブ降下戦の続き
・やっぱりダメっこルイズたん
・その他改変有り
・10レス前後、30分以上開いたら多分寝落ち
では、反映次第投下開始なのね〜
きゅい
344大人才人 タルブ降下戦2-1:2010/11/11(木) 21:26:10 ID:fB9OkJoK
昼過ぎにタルブに降下し、約3000の部隊を徐々に編制しつつあるアルビオン軍を、アルビオン竜騎士隊が進路を確保する為、村に火を放つ
焼き付くされる迄、進軍は無理だろう
「平民を逃がしたか、まぁ良い。進路の邪魔しなければ問題は無い」
ワルドはそう呟き、追撃の要求をした騎士を押し留め、空を差す
騎士達は真なる獲物が現れた事に興奮し、逃がした平民の事なぞ、直ぐに忘れる
其処には、トリステインの竜騎士隊が2個小隊6騎が飛び、漸く自身に取って不足無しの相手に沸き立ち、攻撃命令を要求する
村を焼くなぞ、竜騎士に取っては退屈な命令だ。やはり、空戦出来る相手の方が良い
「ふむ、良かろう。損害は無しで完封してみせろ」
ワルドは風魔法で、各騎士に命令を伝達し、竜騎士達は我先にと上昇を始めた
アルビオンの竜騎士は強い
特に火竜の火力と数に任せた一斉ブレスの前では、例え相手が竜騎士と言えど、早々遅れは取らない
だが、今回の相手は変だ
偵察目的で風竜に乗って居る。其はまだ良い、理解出来る
だが、離脱もしないで回避と牽制攻撃に終始し、アルビオンの竜騎士達に苛立ちが募り始める
一番先に気付いたのはワルドだ
「ちっ、奴ら時間稼ぎだ。さっさと撃ち落とせ、援軍が来るぞ!!」
ワルドの命令に竜騎士達は本気になり、隊列を組み、編隊飛行で魔法攻撃も含めた攻撃を浴びせる
数には勝るので、着実に一騎ずつ、高空から落とせば良い
一つの隊が格闘戦を行ってる間に、別の隊が上昇し、高空からブレスを浴びせる
流石に回避が困難になったのだろう。少しずつ、トリステインの竜騎士達が削られ、遂に撃墜される者が出る
だが、何時まで経っても援軍は来ない
「どういう事だ?」
ワルドが怪訝な顔をして考え込む間に、竜騎士達がトリステイン竜騎士達を、着実に一騎ずつ撃墜していく

既に空戦を始めて数時間、トリステイン竜騎士達は防御に努める
時間稼ぎなのは明らかなのに、攻めきれないし、時間ばかり過ぎる
流石に竜騎士達にも疲労の色が出始めた。此は潮時かと思い始めると、トリステイン国軍が地響きを立て、タルブの村の前に展開する、数は約2000
その内、騎兵が先に到着し、歩兵が列を連ね、編制中だ
配下の騎士に攻撃を指示すると、首を振る
ブレスを使い過ぎて、もう放てないと
345大人才人 タルブ降下戦2-2:2010/11/11(木) 21:28:24 ID:fB9OkJoK
空にはまだ一騎トリステイン竜騎士が残って居るが、損害無しでこの戦果なら先ず先ずだと思い直し、全隊に退却を命じる
「後は艦砲だな、全隊退却」
ワルドが命令し、全隊を先導する為、先にアルビオン艦隊に戻ると、竜騎士達が続く
次の出撃は明日だ
竜騎士達が離脱すると、レキシントンは容赦なく艦砲を放つ
通常では有り得ない射程にトリステイン軍はパニックを起こしながら後退し、混乱が生じ被害が出るが、何とか後退に成功し、布陣を敷き直す
が、制空権が奪われた為、為す術が無い
アルビオン軍は布陣と進路確保の為、トリステイン軍は艦砲の射程の為、睨み合いのまま、翌日に持ち越しとなった

*  *  *
「整列!!陣を構え〜!!」
ド=ゼッザールが号令を出し、付いて来た衛士隊と騎馬が先に整列し、その後を銃士隊が馬車から降り、次々に整列を始める
歩兵連隊はまだ後続に続いており、補給部隊も砲兵と共にやや遅れている
そして本陣に百合の旗を掲げ、アンリエッタが陣を構えた事を誇示する
恐らく、近くの森に避難してる平民達にも、目立つだろう
王族は、決して平民を見捨て無かったのだと
彼らに、一抹の希望を見せられるならと、アンリエッタは身体を震わせつつ、ユニコーンの馬上で毅然と振る舞う
「戦場は初めてですかな?殿下」
「はい、マザリーニ。タルブの村が燃えてしまってます」
「上空では竜騎士が時間稼ぎしておりますな。来ますかな?例の平民は?」
「現物を見たのはアニエスですね。どう思いますか?アニエス」
「来ます。必ず。才人が、約束を違える訳が無い」
「カガクとは、強力なのでしょうか?」
「竜より速いのは本当です。この眼でしかと見ました」
「ならば、我らの副長殿が来る迄、醜態を晒さぬ様にせねば。ド=ゼッザール。竜騎士の迎撃は出来ますか?」
346大人才人 タルブ降下戦2-3:2010/11/11(木) 21:32:07 ID:fB9OkJoK
「駄目ですな。2500〜3000メイル辺りで戦っております。せめて、2000メイル迄降りてくれなければ、迎撃出来ません」
「では、敵戦列艦を制圧は?」
「距離が有りすぎますな。せめて、後1リーグは縮めないと、近付く前に艦砲の餌食です。同じく、集結中の敵揚陸部隊も艦砲の支援範囲におり、攻めいるのは得策では有りません」
「つまり、今は指を加えて見ていろと」
「その代わり、こちらの陣容が整うとお考え下さい。集まらねば、力を発揮出来ませぬ」
「その通りですね。流石はド=ゼッザール。私が逸り過ぎた様です」
素直にアンリエッタは、ド=ゼッザールに頭を下げる
「有り難きお言葉。ですが、頭をお上げ下さい。殿下は考える事が多すぎるのです。戦うのは、我らにお任せ下され」
「ド=ゼッザール殿の言う通りですな、殿下。殿下はこの後の戦勝の宴会で、選りすぐりの花を用意して下さる事に、頭を悩ませて頂きたい」
グラモンの言い分に、皆から笑いが起きる
「我らでは花が足りぬか?ジェラール殿」
アニエスが言い、そうだそうだと、銃士隊から不満の声が出る
「アニエス殿。銃士隊の花は、棘が沢山飛んで来てしまってね」
思わず首をすくめるジェラールに、皆がまた笑う
「クスクス。貴方達が配下に居る事を、頼もしく思いますわ」
アンリエッタは笑い、こんな時でもユーモアを忘れない部下達に感謝する
『やはり、グラモンを衛士隊に引き抜いて正解でした。其に、アニエスも以前と違って、柔らかくなりました。使い魔さんのお陰ですね。その代わり、艦隊には悪い事をしましたが』
艦隊指揮官としても非常に優秀であり、空軍が非常に渋ったのを、無理を通してしまったのを悼む。グラモンが居たなら、まだ艦隊は無事だったかも知れない
彼らにも、報いなければ
アンリエッタは決意し、歩兵が整列しつつ有るのを見ていると、上空のアルビオン竜騎士が撤退していく
「どうしたのでしょうか?」
「稼働限界に達したのでしょう。艦隊を焼き、村を焼き、更に空戦で無駄にブレスを撒き散らしておりました。あれでは、火竜と言えども限界を迎えます」
ド=ゼッザールが冷静に評する
「成程。では、我が竜騎士隊は、防御戦を達成したのですね?」
「その通りです、殿下。並大抵の働きでは有りません。一騎だけに、なってしまいましたが」
「充分に報いましょう。撤退指示を」
「了解です。殿下」
347名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 21:33:12 ID:UcLdDuOW
シエンスタ
348大人才人 タルブ降下戦2-4:2010/11/11(木) 21:33:33 ID:fB9OkJoK
マザリーニが指示を下し、発光信号で撤退指示を伝えると、竜騎士が降下を始める
ドドーン!!
その時、一番前のレキシントンから火を噴き、整列中の歩兵に着弾する
「な!?」
「届くのか!?」
近衛隊長達が全員驚く
「殿下、後退指示を。此処ではやられます!!」
ド=ゼッザールが具申する
「逃げるのは」
「落ち着いて下さい、殿下。逃げるのでは有りません。攻撃を行う為に、助走距離を取るって考えれば、楽ですよ」
ジェラールが、敢えてお気楽に言い放つ
「そ、そうですね。では、攻撃をする力を温存する為に、後退!!」
「ウィ!!総員後退だ」
次々に命令が伝達され、近衛は整然と、集結中の連隊は少々慌てて後退し、ラ=ロシェールに陣を敷き直す
日が傾き、本日はお互い睨み合いで終わった

「夜襲を警戒。総員交代で休息しろ」
指示をグラモン,ゼッザール、アニエスが下し、アンリエッタの天幕で会議が開かれる
「ミラン殿」
「何でしょう、ゼッザール殿」
「ヒュドラの勇者は来られますか?」
「主役は遅れて来ると、相場が決まっているんですよ」
「其もそうですな」
あっさり、才人の事を思考の外に捨てる。今居ない人間に、期待するのは間違いだ
「しかし、参ったな。あのレキシントンに近付くにはどうすれば。アルビオンの国情を表した、完全空戦仕様の艦だぞ?艦底に迄、砲が有る」
ジェラールが唸る
「上しか無かろう」
アニエスが答える
「その上には、竜騎士がな。高高度からブレス吐かれたら、逃げるしか無い」
グラモンが応じ
「全くだ。此方の空戦高度迄、先ず下がって来ないだろうな。来れば、竜騎士とて怖くないのだが」
ゼッザールが評する
「ゼッザール殿。カッタートルネードで何とかならぬか?」
「せいぜい一個小隊だ。大勢には余り影響せん」
グラモンとゼッザールが、何とか打開策を打とうと議論を交わす
「なら、俺が上空から支援しよう。ジェラール、引き付けてる内に、錐で揉んでくれ」
天幕に竜騎士が入って来る
「アベル。お前単騎じゃないか」
「良いのか?ガイド殿」
ジェラールがしかめ、アニエスが確認する
「俺はよ、まだ奴に名乗って無いんだわ。だから、死ぬ気は無いんでね。じゃないと、奴の要請承けて張り切って出ていった連中に、顔向け出来ないんだよ」
「竜の羽衣、運んで来た連中か?」
「…全員、撃墜された」
「そうか」
アニエスは口をつぐむ
「宜しいのか?ガイド殿」
349名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 21:41:19 ID:v7XI44p5
¥4
350大人才人 タルブ降下戦2-5:2010/11/11(木) 21:41:46 ID:fB9OkJoK
ゼッザールが確認する
「まだ奴が来てない。俺の承けた要請は、まだ達成されてない」
「徒に死を選ぶのは許しません。貴方は貴重な竜騎士なのです。解っていますね?アベル=ガイド」
「勿論です、殿下。持ってるロングランスを、使う機会が欲しくてね」
学院にアニエスを送迎してた竜騎士、アベル=ガイドはニヤリと笑った

*  *  *
「ほぅ、本陣にアンリエッタがな」
ボーウッドは報告を受け、考え込む
命令はトリスタニアを落とす事、アンリエッタを生きて確保する事
今回は、死体では駄目だと念を押されてる
「ワルド卿。サークロムウェルの命令を、どう解釈する?」
「私が思うに、始祖の血統かと思われます」
「ふむ。自身が虚無でも、やはり欲しいか」
「更に強力な力が、得られる可能性が有るのでは?」
「成程な。ならば始祖の血統であれば、多少は問題は無いと解釈しても構わぬか」
「生け捕りを放棄するのですかな?サーボーウッド」
「サージョンストン卿。戦場に出た相手を生け捕りするのは、非常に難しいです。だから、保険を考えるべきかと」
「成程。では、アンリエッタの母マリアンヌとヴァリエール家の子女。それにクルデンホルフの子女が該当しますな」
「では、兵を勢い付かせる為にも、手加減抜きでやりますぞ?」
「委細はサーボーウッドに任せると、陛下の申し出である」
「イエス・サー」
ボーウッドは敬礼し、会議を終了させ、各自の部屋に戻る
ワルドが部屋に戻ると、フーケが部屋で待っていた
「珍しいな」
351大人才人 タルブ降下戦2-6:2010/11/11(木) 21:43:28 ID:fB9OkJoK
「報告が有るからね。竜の休息は、夜明け迄休息させれば大丈夫だと。その代わり、栄養補給に大量の肉が必要なので、普段の1.5倍食わせてる」
「了解した。騎士にも、夜明け迄休息取らせろ。飲酒も泥酔しなければ許可する」
「あいよ」
フーケはそのまま出ようとするが、ワルドが押し留め様として、フーケが杖を向ける
「言ったろ?アタイは、あんたが嫌いだ」
「…悪かった。もう少し、居てくれないか」
「何だい?珍しいね。アタイに触れないってなら、付き合ってやるよ」
「其で良い」
「で、何だい?」
「自分の目的と、今の頭の目的がかち合ったら、フーケならどうする?」
「アタイはアタイの考えで生きている。アタイの目的を邪魔する奴は、全部土くれにしてやるよ」
「フーケらしい答えだな」
「まぁね。だからアンタも、アタイの邪魔すんじゃないよ」
「頭の隅に入れておこう。で、今のフーケの目的は?」
「ある相手に借りを返す」
「フーケに、貸しを作る相手が居たのか」
「失礼しちゃうね。此でも、アタイはモテるんだよ?レキシントンに乗ってから、声かけられっぱなしさね」
「ほぅ、初耳だ」
「一々言う必要無いからね。仕事にゃ、関係無い」
「かっちりしてるな」
「仕事をやる上じゃ、大事な事さね」
「そうだな、楽になった。私も酒飲んで寝る」
「きちんと飯食ってから寝なよ。おやすみ」
「あぁ」
パタン
「…まぁ、アンリエッタを捕縛出来れば、問題無いか」

*  *  *
352名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 21:43:34 ID:Naqiv0Mx
支援
353大人才人 タルブ降下戦2-7:2010/11/11(木) 21:47:22 ID:fB9OkJoK
ルイズは明後日に迎える結婚式の為、一人部屋に篭り、祝詞を考える
未だに祝詞が出来ない為、授業は此方を優先させ、今日は許可を取り、休んでいる
でも、浮かんで来るのは自身の使い魔の事ばかり
アンリエッタのアの字も出ない
「なななな何で馬鹿犬のこここ事ばかり思い浮かぶのよ?ああああたしって、こんなにサイトの事、すすす好き?」
「ち、違うもん、使い魔だから好きなんだもん。こここ恋とかしてないもん。だから関係無いもん。だから早く姫様の祝詞………頭の中が真っ白。どどどどうすれば?」
完全にテンパり、最早ルイズ自身も何をしてるか理解してない
「だから、姫様の事……姫様とキスするサイト………うがああぁぁああ!!」
アンリエッタに間違えてキスした事を思い出し、頭をわしゃわしゃ掻くルイズ
「……サイト……モンモランシーと、一夜を過ごしたサイト………むきぃぃいいぃぃ!!」
天井を仰ぎ、叫ぶルイズ
「あたしとの喧嘩中に、皆でサイトにそそそ添い寝……ゆゆゆ許せなぁぁぁぁい!!添い寝はあたしのなのぉぉぉぉぉ!!」
更に雄叫びを上げるルイズ
「ぜぇ、ぜぇ、アニエスとディープキスするサイト。い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
遂にベッドに飛び込み手足をバタバタさせるルイズ。端から見ると、どう見ても頭の可哀想な娘である
一応、公爵家三女。桃色がかった金髪と鳶色の瞳。少々胸が足りないが、其すらも魅力として通用する(極一部に於いて)自称他称問わず、天下の美少女………の筈
才人の影響か、はたまた頑だった部分が剥げ落ち、地が出始めたのかは、恐らくルイズ自身にも解らない
だが、どんなに考えようとしても、全てが才人に行き着いてしまう
「ななな何これ?色々考えても、全部サイトに行ってしまうって何?あたし、何時からこうなったの?ちょっと、検証の必要有りね」ルイズはベッドにうつ伏せになり、考える
「えっと、喧嘩中は……サイトの事しか考えてない」
ズンと落ち込む
「喧嘩の前は………サイトの事しか考えてない」
ズズンと落ち込む
「惚れ薬の時は……サイトと結婚する事しか考えてない」
ズズズンと落ち込む
「ワルドの後は………サイトと星になる事しか考えてない」
ズズズズンと落ち込む
「アルビオンの時は……サイトに嫉妬して貰う事しか考えてない」
ズズズズズンと落ち込む
「フーケの後は……サイトに、あたし自身を見て貰う事しか、考えてない」
ズズズズズズンと落ち込む
354大人才人 タルブ降下戦2-8:2010/11/11(木) 21:49:27 ID:fB9OkJoK
「だだだ駄目だもん。あたしの頭から、サイトを取ったら、何も残って無いもん」
改めて、自身の頭の空っぽぶりに呆れるルイズ
「あたし、沢山勉強したよね?サイトは、テストで良い成績見せると、褒めてくれたよね?だから、勉強も出来たもん。絶対に空っぽじゃないもん……多分」
「で、でも、サイトに褒められる迄は、勉強嫌いだったな。だって、幾らやってもゼロだったし、魔法は一個も成功しなかったし。其でも、皆を見返したかっただけだし」
ゴロンと仰向けになる
「でも、サイトが来てから、本当に楽しくて。こんな見方はどうだって、あたしに教えてくれて。そんなサイトの発想が大好きで。サイトが来てから、更に成績上がったなぁ」
えへへへと、にんまり笑いを浮かべるルイズ
「サイトにテストの点数見せると、良く頑張ったって、頭をくしゃりと撫でてくれて。あれが有るから、あたしは次も頑張れる」
「サイトがはなまるくれる時は、滅多に無いけど、はなまる欲しくて頑張れる。だって、サイトがはなまるくれたのは、ワルドの時だけだもん」
「はなまるは、本当に出来た時だけくれるんだもん。貴族の誇りを間違えず、最高の選択出来た時だけ。タバサもギーシュもまだ一個だって。聞いた時は頭来たけど、あたしが更に貰えば良いんだもん」
「サイトの私達への見方って、本当に先生かお兄ちゃんみたい。でも、あんな先生居ないもん。あたし、やっぱりサイト居ないと駄目だなぁ」
「サイトが来てから、魔法を使えない事にも、あんまり気にならなくなったなぁ。サイトが言うには、失敗魔法も魔法には違いないって。だって、俺には出来ないだろ?だって」
「言われてみればそうよね。サイトが伝説の使い魔なんだから、あたしはもしかして四系統じゃなくて、失われた伝説の系統、虚無かも知れないじゃない?」
「ま、幾ら何でも、其は都合良すぎよね?サイトがガンダールヴなだけで、あたしは充分に幸せ。だって、あたしの使い魔は、ハルケギニアで最高の使い魔なんだもの」
「あぁ、此でサイトが伯爵ならなぁ。何も問題無いのに」
自身の妄想にイヤンイヤンと頬に両手を当て、首を振る
ギィ
ガバッとベッドから飛び起き、扉を見ると、キュルケが生暖かい目でルイズを見ている
「どどどどうしてキュルケが居るのよ?授業中でしょ?」
355大人才人 タルブ降下戦2-9:2010/11/11(木) 21:53:47 ID:fB9OkJoK
「……忘れ物を取りに戻って来たのよ。ほら、これ。きちんと許可貰ってるわ。フライ使って、時間短縮してるもの」
「いいい何時から其処に?」
「うがぁぁぁ辺りかしら?」
殆ど可哀想な所、全部である
「ななな何で黙って見てたのよ?」
「一応祝詞考えてるんでしょ?ゲルマニア人としちゃ、邪魔しちゃ悪いじゃない。ウチの皇帝との結婚祝いと、同盟締結祝いなんだもの」
正論を、棒読みで読み上げるキュルケ
「ああ、其とね。ルイズの妄想、実現する方法有るわよ?」
「……嘘?」
「本当よ。ダーリンがゲルマニアで爵位を持つ。其で障害が無くなるわね」
「ゲルマニアなら、爵位持てるの?」
「平民でも、金払えば持てるわよ。此で、問題無くなるんじゃなくて?ヴァリエールなら出せるでしょ?何なら、ツェルプストーも協力するわよ」
「ななな、何か裏が無い?」
「別に、条件が有るだけよ」
「…何?」
「ダーリンの浮気を許す事。其だけよ」
「ままままた、ツェルプストーの記録更新する積もり?」
「其も有るけど、言っておくけど、ダーリン凄すぎるわ。あんた、ヒュドラとタイマンはれる人間に心当たり有る?」
「…有る。身内に一人」
「…ヴァリエールは相変わらず、化物の家系ね。先代や先々代との戦話は、ツェルプストーじゃ、恐怖の対象よ?」
「ツェルプストーの戦話も相当よ。其に寝取りは、ヴァリエールじゃ、恐怖の対象ね」
「ヴァリエールには政治や経済にも一通り通じて、技術者としても相当な人材って居る?」
「父さまが近い…かな?」
「他には?」
「…考えつかない」
「ウチは技術者は沢山居るけど、政治経済はあんたの所と似たりよったりね。父様におんぶに抱っこ。私のは、お遊びレベル」
「でもね、ルイズ。どちらの問題も、ダーリンが居るだけで解決しちゃうのよ?ダーリンは人に教えるのが上手いし、伸ばす術も心得てる。其は、私達が一番知ってると思わない?」
ルイズは深く頷く
「ねぇ、先代達迄の遺恨も、私達の代で水に流せるかも知れないのよ?やる価値有ると思えない?」
「其が、サイト?」
「そうよ。私ね、本気になっても良いかなって、思い始めてる。でもね、タバサの本気相手に本気になりたくないの。此も本当」
「…タバサも?」
356大人才人 タルブ降下戦2-10:2010/11/11(木) 21:55:10 ID:fB9OkJoK
「あんたとは違った境遇だけど、やっぱりダーリンが、タバサの心を変えてる。あんな事出来るのは、ダーリンだけよ。だから私は、タバサの本気相手には、本気になるのは躊躇してる」
「タバサも、何か抱えてるの?」
「脳天気なのは、私だけよ」
「珍しく、おちゃらけるのね」
「事実だから、しょうがないわね」
キュルケは肩をすくめる
「ま、今のはあくまで一案だけど、トリステインにこだわる必要は無いんじゃない?私が言うのも何だけど、男が、一人の女にこだわる必要も無いと思うわ。私の父様も妾居るし、全然気にならないわね。ヴァリエールには妾居ないの?大貴族じゃない」
少し考えて、ルイズは答える
「少なくとも、あたしは知らない。母さまがあれだから、隠してるだけかも知れないし。…サイトはどう思うかな?」
「価値有りと認めた訳だ?」
「かかか可能性は、常に考慮すべきよね」
「前向きで宜しい。多分、ダーリンは嫌がるわね。地位が大嫌いなタイプよ、あれ」
「じゃあ、意味無いじゃない」
「そういう方向に、追い詰めれば良いのよ」
「……酷くない?」
「ダーリンの帰る場所を作るって、考えてみたら?」
「……成程、発想の転換ね」
「後これ、ダーリンには内緒ね。感知すると逃げるわよ?」
「わわわ解ったわよ」
「じゃ、授業に戻るわ。祝詞、期待してるわよ」
キュルケは手をひらひらとし、廊下の窓からフライを詠唱し、飛び去る
「サイトが伯爵………伯爵!うぇへへへへへ」
口から涎を足らし、その後は妄想に突入するルイズ
目の前に有るのは才人が使ってる枕、才人の匂いがたっぷり染み付いている
以前は自分で使ってた物だが、才人の腕枕より良いものが無い為、才人に明け渡してしまっている
才人は香水とか一切付けない為、素の男の匂いで、汗と混じり、ルイズの鼻腔を常に刺激する
『この匂いを嗅ぐと、どうしようも無くアソコがウズいて、安心するのよね。どうも、サイトの匂いはあたしには禁断の匂いみたい』
枕に抱きつき、くんかくんか匂いを嗅ぎながら、股間を擦り付ける
『ワルドには感じなかった。父さまにも感じない。執事にも感じない。学院の男子学生達には、感じない所か、気持ち悪くなる』
「あたしは、何時でも良いのに、ずっと刺激してるのに。サイトの馬鹿馬鹿馬鹿」
357大人才人 タルブ降下戦2-11:2010/11/11(木) 21:58:48 ID:fB9OkJoK
ルイズは自身の陰核が明確に勃起し、皮が剥けて、ぐしょ濡れなショーツに当たり、その刺激に枕が追撃をかけ、腰の動きが止まらない
「はっはっはっ、サイト、サイト、んんん〜〜〜〜!?」
軽く絶頂するが、物足りない気分をルイズは味わう
「あの時、惚れ薬飲んでた時の、あの刺激が欲しいの。サイトじゃないと出来ないの。あれ以来、何か敏感な所が直ぐに剥けるの。サイトにイジって欲しいの。サイトに、恥ずかしい格好で交わって欲しいのぉ」
ルイズは切ない声を出し、涙を溜め、才人が要求した時の格好になる。頭をベッドに付け尻を持ち上げ、才人が来るのを今か今かと待ち構える
ルイズにとっては、才人が興奮を覚える格好は、自身にとっても興奮する格好になっている
「もっと酷い事してよぉ。あたしを星にしてぇ」
そのままの姿勢で手を伸ばし、自身で慰め始めた
陰核に手を伸ばし、布ごしに触れる
「あん、あっあっあっあっ」
でも、才人のもたらす刺激には、遠く及ばない
才人の猛り狂ったイチモツを思い出す
硬くて、何かグロテスクで、其でも目を離せなかった、とにかく欲しいモノ
あれが、自分の中にゆっくり入り、蹂躙する様を想像すると、猛烈に子宮と膣がウズき、つい手を入れてしまいそうになるが、入口でぴたりと止める
「ふぅ、危ない。サイトが入る時迄は駄目。とにかく、駄目」
もう、完全に祝詞を忘れ、自慰に没頭するルイズ
「サイト、今戻って来て。そしたらあたし、そのまま星になっちゃう」
才人に四つん這いのまま、獣の如く犯される様を想像し、その想像だけで、心臓がはち切れん程に高まり、ひたすら陰核をこね、尻を振る
「あたし、子供じゃないよ?こんなにえっちだよ?サイトが欲しくて、こんなになっちゃったよ?サイトサイトサイト、ああぁぁぁ」
また絶頂し、才人の匂いに顔を埋める
「サイト、早く来てよ」
ルイズは、また枕を抱き締め、腰を振り始める
「はっはっ、サ・イ・ト、んく」


ずっと自慰に没頭し、気が付いたら日が傾いている
昼食を取るのすら忘れてたらしい
「あれ?」
幾ら何でもおかしい
「サイトがいつ来ても、良い様にしてたのに」
洗濯物を取り込んで来た才人の前で、恥ずかしい様を見せ付けて星になる作戦が、不発に終わった事で、異変を感じる
才人は、日課をサボる事は、先ず無い
コンコン
「誰?」
358大人才人 タルブ降下戦2-12:2010/11/11(木) 21:59:40 ID:fB9OkJoK
「メイドです。才人さんの代わりに、洗濯物をお届けに参りました」
服装を直し、慌てて机の椅子に座る
「入って」
「失礼します」
ガチャ
赤毛で巻き毛の、自分より、ちょっとだけ背の高い、年下のメイドが洗濯物を届ける
「何でサイトがやらないの?」
「サイトさんは、出撃準備だそうです」
「出撃準備?」
「アルビオンが攻めて来ました」

*  *  *
359名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 22:07:29 ID:vvFBsNOu
しえん
360大人才人:2010/11/11(木) 22:24:55 ID:fB9OkJoK
投下終了なのね〜
では大人才人タクティクスなのね
今回はアルビオン提督、サー=ヘンリー=ボーウッドなのね
「ふむ、私を出したと言う事は、ハルケギニアに於ける空艦による、艦隊戦の説明で良いのかな?」
「先ず水上帆船と空中帆船の最大の違いは何かと言うと、『水』にある」
「何を当たり前の事をと思ったかも知れないが、画面の前の紳士諸君には気付いた方も居るだろう。答えは水の抵抗だ」
「此が帆船を操る際には非常に重要なファクターで、機動の殆どに水の抵抗が必要。特にブレーキやテールスライド等の機動には欠かせない」
「空中帆船で此をやった場合、まず間違い無く慣性に引っ張られて、そのまま吹っ飛ぶ。飛行機みたいに、各種操舵が付いてる訳では無いのだよ。帆は水の抵抗があって、始めて最大のパフォーマンスを発揮する」
「それに、戦列艦級は砲列甲板のせいで、安定翼もオミットされてる為、機動に付いては、本当に役立たずの鈍亀である」
「また、風石による三次元機動を期待する人も居るかも知れないが、遠征する立場では行えない。何故なら、上空遷移は位置エネルギーを維持する為、風石の消耗を招き、急激なアップダウンはやはり消耗を招く」
「つまり、往復が出来ない可能性が出てくる」
「其と、ハルケギニアの地図を見れば解るが、基本的に風は西から東に吹いてる為、帰りの工程のが、時間がかかるのだよ。つまり、其だけ風石を消耗する」
「以上の事を総合すると、地上付近で弱い風を受けて走るのが、一番効率の良い運航方法になる。上空のが風が強いが、バランスを取るのが水上帆船より難しいのだよ」

有り難うなのね〜

確かに翼も操舵も戦列艦にないのね〜
きゅいきゅい
舵って、ある程度大きくないと駄目なのに、イラストにはさっぱり付いてないから謎なのね
きゅいきゅい
361名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 22:32:12 ID:vvFBsNOu
おつ
リアルタイムGJ
362名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 22:41:01 ID:RQHCanHJ





ルイズがオナニーしている間に、戦争はどんどん激化していく……。(AA略
363名無しさん@ピンキー:2010/11/11(木) 22:43:08 ID:KXUMlPGU
乙きゅいきゅい
364名無しさん@ピンキー:2010/11/12(金) 12:23:11 ID:jabIjHU/
GJ!
オナルイズまんせー
ルイズはやっぱエロいのが似合う
365名無しさん@ピンキー:2010/11/12(金) 23:11:34 ID:L6QnuQDI
うわ、ここで中断か!
366大人才人:2010/11/14(日) 16:50:03 ID:4G2Yg0SH
イルククゥでシルフィードなのね〜
艦船の名前追加する為に、網の海を泳いでたら疲れたと、大いなる意思は言ってたのね
まさか、オスマントルコ式ネーミングとは恐れ入ったと頭抱えてるのね
使えそうな名前が少ないのね〜きゅいきゅい
サムソンなんて艦名付けるのは、ちょっとあれなのね〜
アドンも一緒に付けないといけなくなっちゃうのね、きゅい
全く、名前一つ探す為に、偉い時間食うのね
では注意事項なのね〜
・才人年齢上昇
・タルブ降下戦の続き
・才人サイド
・18レス前後、ちょっぴり長め
・流石に連投規制喰う可能性有り

では、反映次第投下開始なのね〜
367大人才人 タルブ降下戦3-1:2010/11/14(日) 16:52:43 ID:4G2Yg0SH
「さってと、今日の整備はどうすっかな?通信機外すか、此方じゃ通信相手居ないし、少しでも軽量化しないとなぁ」
才人はアニエスが来る前に、今日の予定を考えつつ、洗濯物を洗う
「才人さん、おはようございます。早いですね」
「お、おはようさん。ミミも早いやね」
「はい。シエスタが居ない分働かないと。そうすれば、後は休みです」
「実家に久し振りに帰れるか」
「はい、このメイド服で帰ろうかな?私服より、可愛いんだもん」
「良く似合ってるよ」
「実は、足りないモノが有るんですけど」
「おんや?補修?やるよ、どこどこ?」
「……言って、良いんですか?」
「勿論」
「わたしの弟妹達の、新しいお兄ちゃんです!!」
ビシッと、才人に指を突き付ける
「え゛?」
「言っちゃいましたからね〜。もう知りませんよ〜」
クスクス笑い、洗濯に参加する
「あ〜、えっと」
「知〜らない」
「歳上を、からかうもんじゃ、有りません」
「アハハハハ」
才人が先に洗濯を終了させると、次々にやって来るメイド達を手伝い、皆で干して居ると、アニエスがやって来る
「おはよう才人、其にメイド達」
「おはよう、アニエスさん」
「「「おはようございます、シュヴァリエ」」」
「さて、干すのにまだ時間掛りそうだな。そのまま聞け」
「あいよ、何?」
「明日馬車で、ミスヴァリエールと才人の二人に迎えが来る」
「ふむふむ」
「そのままトリスタニアの上空でトリステイン,アルビオン連合艦隊に合流して、一路、殿下と私と貴様達で、ゲルマニアの首都に向かう」
洗濯物を干しつつ才人は尋ねる
「近衛隊は?」
「周辺警護がマンティコア隊とグリフォン隊が担当、ヒポグリフ隊は留守番。銃士隊と貴様が身辺担当だ。殿下とミスヴァリエールは敢えて同室。友人同士、積もる話も有るだろうしな」
パンパン、生地を伸ばし皺を取ってから干す
「身辺担当って?」
「何時も通り、寝食を共にしろ。一応言っておくが、殿下の命令は絶対だ。違反は許さん」
「…俺には、違う意味が含まれた様な気がするんだが?」
「そうだな、別にきちんと機密保持すれば構わぬだろう」
「何考えてやがる?」
「さてね。王太后殿下の考えも有ってな。冗談抜きで解らん」
『まさか、適当に男当てがって、娘の不遇を慰めさせる積もりじゃなかろうな?』
才人は洗濯物を干しながら考え込む
368名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 16:55:02 ID:eyZYuaDE
シエンスタ
369大人才人 タルブ降下戦3-2:2010/11/14(日) 16:57:23 ID:4G2Yg0SH
「其と貴様の待遇は、今回は近衛兵副長クラスだ。身辺警護する人間に、命令権無いと不便だからな。やりようによっては、美味しい役割だぞ?」
「どう、美味しいんだよ?」
「銃士隊は女ばかりでな。命令を盾に、好き放題やるのも乙だな。貴様の毒牙にかけても構わんぞ?一応、隊長から受け付けよう」
「そういう事は止めてくれ。今でも頭痛いってのに」
「ククク、だから貴様が身辺警護に回されたのさ。グラモンが聞いたら、拳叩き付けて悔しがるぞ」
「あ〜成程ね。恐れ入ったわ。でもよ、俺軍人じゃないぞ?」
「武装許可証は軍属を表しててな。貴様は準軍人だ。直接命令出来るのは殿下のみ。中間管理職の悲哀と関係無しな、素晴らしい役職だぞ」
「給料出ねぇから、命令に従う意味がねぇな」
「其もそうか」
二人して笑い出し、洗濯干しが終わった才人と共に歩き出す
「今回はきちんとした警護だし、給料出す様に交渉しよう。ヒュドラ狩りの時の渉外担当はぶったまげてたぞ。余りに強力なんで、討伐諦めてたって言ってたからな。報酬良かったろ?」
「まあね。でも衛士隊と竜騎士出せば狩れるだろ?」
「一度やってた。炎のスクウェア要ると判断して、撤退したんだと。現在、炎のスクウェアが衛士隊に居ないんだよ。竜騎士も衛士隊も毒ブレス撒かれたせいで、近付け無かったらしい」
「本気のブレスだと、火竜のブレスと同射程だって言ってたな。其が四方八方に撒き散らされちゃ堪らん」
「相性悪かったんだな」
「貴様の戦法聞いて、皆呆れてたからな。毒はともかく、何であの頭突き噛みつき攻撃をいなせるんだって、首捻ってたぞ?」
「結構噂になってるんだ?」
「あのヒュドラ討伐に出掛けた連中では、討伐した人間の事が噂になってる。つまり、実績を貴様は叩き出してるんだよ。殿下の最身辺警護は、ヒュドラ狩りの勇者で、ワルドを下した剣士です、で皆納得したからな」
「只の資金稼ぎだったんだけどなぁ」
「ま、何がどう転ぶか解らんってこった。ちなみに、銃士隊での貴様の評価も鰻登りだ」
「私を派遣する事に渋ってた連中も、今回のでがらりと変わったからな。色々やり易くなってる。もっと、積極的に交流しようと言う動きも出始めたな」
「はぁ」
「私も鼻が高い。貴様の剣の師は私だと、堂々と言える。軍人やってて、此だけ痛快に感じたのは初めてだ」
370大人才人 タルブ降下戦3-3:2010/11/14(日) 17:04:02 ID:4G2Yg0SH
「アニエスさんの気晴らしになったなら、やって良かったよ」
「もっと、気晴らしになる方法が有るんだがな」
「何か嫌な予感がする」
「何、大した事じゃない」
才人の腕を、胸に接触する様に組む
「さて、先に研究室だろ?」
「あぁ」
そのまま、アニエスは歩き、ぽつりと呟く
「もう少し、もう少し、このままで。いつか、話せる様になるまで、もう少し。私に夢を」
「良いよ」
アニエスは、才人が小さく答えてくれた事に満足し、研究室迄才人に寄りかかったまま、一緒に歩んだ
だが、事態はトリステインには微笑んでくれない

「おはようございます、コルベール先生、シュヴルーズ先生」
「おはよう。才人君にシュヴァリエ」
「おはようございます。才人さん、シュヴァリエ」
「おはよう。ミスタコルベール、ミセスシュヴルーズ」
「今日は、シュヴァリエが一緒ですのね?」
「才人の科学を見学するのも任務でね。なるべく、理解出来る様に説明して頂けると助かる」
「そういう事なら私が説明しましょう。才人君と私達がやってるのは、才人君の科学の内の工学技術と、私達の魔法技術を組み合わせた、魔法工学と呼ぶべき代物ですな」
「魔法だけじゃなく、科学だけでも無いと?」
「そういう事です。魔法の利点と科学の利点を組み合わせた物。魔法で難しい部分を科学で、科学で難しい部分を魔法で補うと言う代物です」
「今回は武装だったのですが、そもそも竜の羽衣の追加武装の再現が主眼に置かれた為、こうなりました」
「成程。産業に転化も可能か?」
「其に付いては俺が説明するよ。可能ですよ。先ずは、外燃機関か内燃機関を作る事から始めます」
「外燃?内燃?」
「零戦飛ぶ時にプロペラ回したでしょ?」
「あぁ」
「あれが内燃機関。エンジンです。あれを、作る必要があります」
「どうやって作る?」
「先ずはボイラー作りますか。外燃機関の基本格子にして、現代日本では、最高出力を出せる代物です」
「ボイラー?」
「簡単に言うと、湯沸かし器ですよ」
「湯沸かしだけで出来るのか?」
「圧力さえきちんとコントロール出来れば出来ますよ」
「ほう、やはり殿下は慧眼だな」
アニエスは一人頷く
「詳しい部分は理解出来ないので省くとしても、十二分に重要な情報だ。予算が必要なら、何とか工面する様に頼むか。此は、アカデミーでは研究出来ない」
「錬金得意な働いてないメイジ動員して、無理矢理作るのも有りかな。後、金属パイプ作れる所」
371大人才人 タルブ降下戦3-4:2010/11/14(日) 17:07:50 ID:4G2Yg0SH
「武者震いって事にしといてくれ。出撃は明日の早朝。気合い入れて最後の仕上げだ、魔力切れなんて言い訳聞かねぇぞ、良いな?」
才人の言葉に二人は頷き、コルベールは学院長室に走り、シュヴルーズはアタッチメントをコピーする為のイメージを集中させる為、零戦に走った

突貫の作業でアタッチメントとワイヤーを増設し、投下レバーとリンクテストを行い、作動の微調整を確認し、放課後に学生迄動員して、何とか日没迄には形になった
後は出撃前にレビテーションをかけながら搭載し、離陸し、戦場に飛ぶだけだ
搭載用弾頭には、既に複数の魔法を条件付けで掛けており、実際に稼動するのを待つのみである
「ふぅ、何とか零戦52型トリステイン改修機略して、零戦ト式完了だな」
「才人」
「何だ?ギーシュ」
「大事な事忘れてるよ」
「何だそれ?」
「敵味方識別表記」
「あっ」
その盲点に、コルベールもシュヴルーズも苦笑し、手伝ってた学生達も笑いだす
「確かに、味方に撃墜されちゃ目も当てられないな」
才人は頭を抱える
「ギーシュ、トリステインの識別表記は?」
「白百合の紋章だね。ねぇ、僕が書いても良い?」
「ああ、絵心有るのか?」
「任せてよ。才人にふさわしい紋章に、仕上げて上げる」
「出来るだけ、赤丸は消さないでくれ」
「何で?」
「俺の国の識別表記」「じゃあ、それ以外なら良いね?」
白の塗料を錬金で作り出すと、一気に塗り始めるギーシュ
胴体赤丸の前方に一個ずつ、尾翼に一個ずつ塗った塗料を一気に魔法で乾燥させ、更に仕上げに曲刀を上に重ね塗りする
「ふぅ、出来た」
「白百合に、刀?」
「あぁ、才人の国の武器だろ?だから、此がふさわしいと思ったのさ」
「良い出来だ、ギーシュ」
「有難う。細工物の趣味持っておいて良かったよ。明日、出るんだろ?」
「あぁ」
「出撃前の慣例って、知ってる?」
「いいや」
「女のコと一緒に居る事さ」
「まさか」
「うん、全員に挨拶して行くのが礼儀だよ」
「出来れば勘弁」
「させないわよ、才人」
振り返ると、モンモランシーが立っている
「モンモン」
「ギーシュ、あんたも一緒ね。渡したい物あるから、二人共私の部屋に来なさい」
くるりと振り向き寮に向かうモンモランシーに、ギーシュと才人は付いて行く

*  *  *
ガチャ
部屋に入るなり、モンモランシーはサイレンスとロックを異常な迄に集中してかける
372大人才人 タルブ降下戦3-5:2010/11/14(日) 17:10:20 ID:4G2Yg0SH
「さて、出ないでとも言えない。逃げてとも言えない。でも、此だけは言わせて」
目に一杯涙を溜めるモンモランシー
「死なないで、大好きなの。あんたじゃないと駄目なの……愛してるの」
才人の胸に飛び込み嗚咽する
「……きちんと、愛して」
「モンモン」
「僕も呼んだって事は?」
「二人一緒よ。才人は時間が無いの。きちんと、寝ないといけないもの」
「じゃあ、モンモランシー、少し退いてくれる?」
モンモランシーが離れるとギーシュが才人を抱き締める
「モンモランシーが先に言ってしまったね。才人、愛してる。だから死なないで。僕の元に戻って来ておくれよ」
「カトリーヌは武門だろ?死は隣合わせじゃ?」
「僕は今、凄く怖い。解るだろ?僕の身体が震えている。才人が死ぬのは嫌なんだ。こんなの、兄上達が出撃した時には感じなかった。才人を失うのが怖い。其だけで腰が砕けそうになる」
二人共、服を脱ぎ始める
才人も脱ぐと二人からキスをねだられ、二人を抱き抱えつつ、交互に唇を交す
二人共、準備もそこそこに股を開き、才人を誘う
才人が困惑してると、モンモランシーがクスっと笑う
「何時でも良いって言ったでしょ?私の中は、あんたの傍に居ると準備完了しちゃうのよ。来て」
「僕も大丈夫だよ。ほら、ケダモノになって良いよ」
373大人才人 タルブ降下戦3-6:2010/11/14(日) 17:11:16 ID:4G2Yg0SH
「んじゃ、モンモン、カトリーヌの上に、抱き合う様に重なって」
「ん、こうかしら」
ベッドにギーシュが仰向けに開脚し、その上にモンモランシーが重なり、小ぶりで丸い尻を重ね、花弁がパクリと開き、うねり、才人を誘う
二つの花弁が、才人を今か今かとぱくぱくさせながら待つ
「うぉ、絶景」
「早く来て。いきなりで良いから」
モンモランシーの要求に才人は腰をむんずと掴み、臨戦態勢の息子をずぷっと挿入する
「ひぁっ!?」
「モンモランシー、気持ち良い?」
カクカク頷き、ひたすら腰を才人に押し付ける
「やば、モンモン相変わらず凄いうねり」
「ひっひっ、いひっ!?」
腰をゆっくり振ると、モンモランシーの尻が腰に付いて来る
「や、駄目、おくぅ、良いのぉ」
「解った、でもキツイ」
「遠慮しちゃ、駄目ぇ」
「解った、出すぞ」
「あっあっあっ」
ドクッドクッドクッ
射精に合わせ、絶頂するモンモランシー
「全部出す迄、交代、だめ」
震える声でモンモランシーは要求し、才人はしっかり腰を奥に繋げる
「才人、早くぅ。僕も愛してぇ」
ギーシュの花弁からしとどに溢れ、才人が来るのを待ち受ける
モンモランシーの中に居ると、膣が吸い付き勝手に勃たされる為、しっかり射精した後、次弾を放つ為、抜いて直ぐに、ギーシュに挿入する
「あっ、あ゛あ゛あ゛」
「また、入れただけでイクのか」
才人は、ギーシュが収まるのを無視し、更なる刺激を与える為に腰を振る
「あ゛〜〜〜〜〜」
ガクガクするギーシュに伴い、中も才人が射精しやすい様に、やんわりと包みながら吸い付く
「ふうふう、ギーシュ。イキっぱなしじゃ?」
モンモランシーの下で、ギーシュが声にならない声を上げ、脚を才人に完全に絡め、才人が逃げない様にがっちり掴む
「うくっ、出すぞカトリーヌ」
「あ゛〜〜〜〜〜」
才人の射精で更に高みに登らされ、完全に前後不覚に陥るギーシュ
「あ゛〜、あ゛〜、あ゛〜」
「ギーシュ、大丈夫?」
「ふっふっふっふっ、前もこんなだったから大丈夫。快楽に弱いんだ」
「む〜、ちょっと羨ましいかも」
意識が朦朧としたギーシュから、息子を抜くと
チュポンとなって抜ける
まだ元気だ
「それじゃモンモン」
「キャッ」
モンモランシーを抱え上げ、何時かのオークが犯そうとした態勢にワザとする
「怖いか?」
「馬鹿ね、あんた相手なら、最高に興奮するのよ」
374大人才人 タルブ降下戦3-7:2010/11/14(日) 17:14:18 ID:4G2Yg0SH
「行くぞ」
「うん、あはぁ」
駅弁の態勢で挿入し、ベッドにそのまま優しく倒し、腰を振る
パンパンパンパン
「さい、と、やっと、きちんと、抱い、て、くれた。嬉し、い!?」
「ふっふ、待たせて、悪かった」
「良いの、だから、愛して!!あ、あ゛〜〜〜」
ビクンビクン
モンモランシーの絶頂に合わせ、才人も射精する
モンモランシーはしっかり才人を手足を使って抱き締め、離さない
「…モンモン、カトリーヌにも、もう一回してあげないと」
「離れるの…嫌」
「全く」
「こんな時でも、平等に扱うのね?」
「後で、陰湿な喧嘩されちゃ、堪らんからな」
「しないわよ、多分ね」
モンモランシーが抱擁を解き、才人はギーシュをひっくり返し、後背位の態勢にする
「カトリーヌは、この態勢した事無いだろ?行くぞ」
ギーシュは朦朧としながら頷き、才人を迎え入れた瞬間、また終わらない絶頂に身を任せる
「あ゛〜〜〜〜、あ゛〜〜〜〜」
グチュグチュ
才人は腰をゆっくり突き上げる。そうでなくても、ギーシュはさっきから登りっぱなし
息継ぎを確認しながら腰を振る
「ふっふっふっ、もう駄目。出る」
ドクン
流石に4回目なので濃さは薄まってるが、其でもギーシュは感じ、その満たされ具合にまた登らされる
流石に才人も堪え、射精を保持した後、ギーシュにしなだれた

*  *  *
「もぅ、終わりぃ〜?」
「どんだけイケば気が済むんだよ」
「才人のぉ、種がぁ、無くなる迄ぇ」
「ギーシュって、凄い貪欲ね」
「此だから怖いんだよ。マジで干からびるわ」
「それじゃ、はいこれ、通常の倍の効果を持つ治療薬よ。材料費4倍だから大変だけど。風穴空いても、止血位なら出来るわよ。穴は塞がらないけど」
「助かるわモンモン。有難く貰っておく」
「さて、重要なお知らせです。私達は避妊薬を飲んでません」
「えっ?」
「才人が生還出来なかった場合、妊娠誘導薬を飲みます」
「…精の生存期間知ってるのか?」
「3日でしょ?」
「良く知ってる事で」
「初めての時に、才人の精で調べたもの」
「用意周到だなぁ」
「まだ早いと思うなら、生還して、私達に口移しで避妊薬を飲ませるのね」
クスクスと笑うモンモランシーに一緒に笑うギーシュ
「俺は、本当に女のコには勝てねぇ」
着替えた才人は二人に手を振り、アンロックして貰って部屋を出る
パタン
375大人才人 タルブ降下戦3-8:2010/11/14(日) 17:15:52 ID:4G2Yg0SH
「さて、ギーシュはどうする?」
「才人の匂いがするから、此処に泊まるよ」
「偽装恋人ね」
「才人以外が近付かない様にしてるんだから、感謝して欲しいな」
「言われて見ればそうね、一緒に寝ましょ」

*  *  *
才人はモンモランシーの部屋を出た後、厨房に向かう
「親父さん」
「どうした?我らの剣よ」
「戦争始まったの知ってますか」
「あぁ」
「明日出撃します」
「あのヒコーキって奴でか?」
「えぇ。ですから、俺に何か有ったら、後の仕事は全部お願いします」
「馬鹿野郎。やるのは戦勝の宴会だ。楽しみにしとけ」
「えぇ」
才人とマルトー料理長が握手を交すと、料理人達が声を出す
「「「「我らの剣に、勝利の栄光を」」」」
「毎回凄いけど、練習してるの?」
「「「「いえ、違います」」」」
「ならどうやって?」
「「「「気が付いたら、こうなってました」」」」
「シンクロ率400%だな」
才人は笑いつつ、料理をご馳走になった後、メイド達に手を振り、厨房を後にした

*  *  *
次に向かったのはタバサの部屋
コンコン、コン、コンコンコン
タバサに教わった、サイレンスを貫通設定した暗号ノック
常に変な要求しかしない才人のお陰で、魔法の条件設定をいじる事により、色々出来る様になったらしい
最も、トライアングルでないと使えない、欠陥魔法との事だが
カチャ
「入って」
タバサが才人を招き入れる
「ありがと」
パタン
タバサが、サイレンスとロックをきっちり掛ける
村雨とデルフを持ってたしても、才人には扉を破壊しない限り、出る事が出来ない
つまり、タバサと破局か、満足させない限り、出る事が出来ないのである
当然、破局は選択肢に無い。才人は覚悟を決める
二人共、立った状態で話を始める
「何の用?」
「明日出撃する」
「…其で?」
「借りを返せなくなる前に、謝っ「そんなの聞きたく無い」
タバサが才人の言葉を遮り、強く言う
「…ごめん」
「今、返して」
「どうやって?」
「キスで良い」
「本音は?」
「…もっと強くなった時に、助けて欲しかった」
「じゃ、借りたままにしとくよ。待ってろよ、アルビオンなんか軽く畳んで戻って来るわ」
タバサの頭を撫でながら、才人は言う
「もっと時間掛けて、相手してやりたかったな」
ふるふる首を振るタバサ
「人を好きになっちゃ、いけないと思ってた」
「何でそう思う?」
376大人才人 タルブ降下戦3-9:2010/11/14(日) 17:20:13 ID:4G2Yg0SH
「人と関係持つのは、いけないと思ってた」
「…」
「私は、人形だから」
「…タバサを苛めてる奴は誰だ?」
「私の敵は、アルビオンより強大」
「俺じゃ、役者不足か?」
「そんな事無い」
「今迄助けて貰った礼だ。約束だ。必ず戻って来て、タバサを苛めてる連中を、俺が蹴散らしてやる。だから安心して、悩みを全部吐き出せ。アルビオンなんざ片付けて、手伝ってやる」
「良いの?」
「勿論だ。今から約束の儀式するぞ」
才人は身体を屈め、拳から小指を出した状態で話す
「ほら、俺と同じ様に出して小指を絡める。うんそう。今から俺が唄うから、其を後で一緒に唄うぞ?」
コクリと頷くタバサ
「指切りげんまん嘘付いたら針千本の〜ます、指切った♪で、指切ったでこう手を振り下ろして、小指を切るのな?行くぞ?」
コクリ
「せ〜の」
「「指切りげんまん嘘付いたら針千本の〜ます、指切った♪」」
二人の小指が離れる
「此で、この約束は絶対だ」
「必ず守るの?」
「勿論だ。針千本飲まされたくないからな」
才人はニヤリと笑う
「…只の約束なのに?」
「そんな事無いぞ。俺はな、約束守る為だけに、命を捨てる逸話を持った、馬鹿な日本人達の末裔だ。平賀才人は、約束を守る事に掛けては、絶対の制約を掛けている。俺はな、今迄の全ての約束を破った事はねぇ。そして、此からもだ」
「禁術のギアスでも無いのに?」
「日本人には、そんな魔法は必要無い。日本人舐めるなよ?」
才人は、努めて不敵に笑う
「貸し、一個だけ返して。一個は貸したままにしておく」
「どんなキスが御所望かな?姫」
「恋人の」
「了解」
才人はタバサを抱き寄せ、身体を屈めると、タバサの顎を上げ、キスをし、舌を絡めつつ、腰を抱く
タバサは精一杯、腕を才人の背中に回し、無意識の舌使いで、才人を腰砕けにする
ちゅっ、ぴちゃっ、ぬる
才人は立てなくなった身体をベッドに腰掛けつつ、タバサが止めないので、キスに応じる
『マズ、キスだけで暴発しかねねぇ』
流石に我慢の限界となりそうとなった所で、タバサが唾液を繋げつつ、離れる
「何で、座ったの?」
「タバサが巧すぎて、立てなくなりました」
「…キス、初めて」
「俺で良かったのか?」
コクリ
「気に入った」
「予習し過ぎだろ?」
「マダムバタフライは、才人が来てから」
377大人才人 タルブ降下戦3-10:2010/11/14(日) 17:22:32 ID:4G2Yg0SH
「そっか。あの薄い同人誌みたいな、しかも俺の総受け本は、誰の趣味だよ?」
ギクリとするタバサ
「…読んだの?」
「まさか、腐属性がタバサに有ったとはなぁ」
「……友達の」
「無垢なタバサを腐らせた友達には、鉄槌を喰らわせないとな」
「…そういうの、嫌い?」
「きちんと区別出来るなら、構わんよ。俺の国じゃ、腐った連中が男女問わず居るからな」
才人は苦笑する
「鉄槌下すのは許す。今度紹介する」
「タバサに、他にも趣味の友達居て良かったよ」
才人は立ち上がろうとするが、タバサが抵抗する
「まだ、行っちゃ駄目」
「まだ、し足りない?」
コクリ
「…私、魅力有る?」
「勿論だ。ほら、眼鏡してても可愛いし、眼鏡取っても可愛い。小柄な身体も、俺には反則だな」
「周りの学生は、私にダンス申し込まない」
「皆、目が曇ってるんだよ。こんなに可愛いのに。狼さんは、食べたいのを我慢してるんだが」
「貴方に魅力的なら、其で良い」
そのままタバサが才人をベッドに押し倒し、再度キスをする
タバサが満足する迄、才人はキスに付き合った

*  *  *
「ふう、タバサって、情熱的だったな。しかしキス巧すぎ。ありゃ、恋人になった奴はメロメロになるな」
自身が最有力候補なのに棚に上げ、やっと解放された才人はルイズの部屋に戻る
378大人才人 タルブ降下戦3-11:2010/11/14(日) 17:26:35 ID:4G2Yg0SH
ルイズの部屋に戻ろうとすると、ルイズの部屋の前にフレイムが陣取り、睨みを効かす
視線が、俺の主人を素通りするのは許さんと語っている
「解ってるよ、フレイム」
フレイムの頭にポンと手を乗せ、キュルケの部屋の扉をノックする
「開いてるわ」
「入るぞ」
カチャッ、パタン
キュルケが部屋の扉をロックし、サイレンスをかける
「珍しいな。ロックするなんて」
「今回ばかりは、邪魔者に入って欲しくない」
「何時も男達で、騒動起こしてんのにな」
「ふん、私の身体が目当ての男なんか、吐いて捨てる程居るわ。其こそ教師迄ね。ギトーなんか、目線見ただけでぞっとする。ちょこっと、身体当てただけで勘違いする馬鹿ばっか。ワザとロックしないで、かち合う姿を笑ってるのよ」
キュルケの姿は、スケスケのベビードールに際どいショーツを纏った状態
その魅力的な胸がシースルーの上からも、ツンと自己主張を晒しており、才人は目のやり場に苦労する
「キュルケ、何か羽織る物」
「嫌よ。きちんと素通りしないで来たのは、褒めて上げる」
「そりゃ、どうも」
「ねぇ、ダーリン。私の事どう思う?死んでからじゃ聞けないから、今答えて。そりゃ、私の事スルーする男も居るわ」
「でもね、そういうのは、妻帯者とか、老いた男だってのが殆どよ。でも、ダーリンは其に当てはまらない」
「…私、魅力無い?」
明らかにしゅんとするキュルケに、才人は肩に手を置き、話す
「そんな事無いぞ、キュルケ。俺が見てきた中で、一番の美女だ」
「本当に?」
才人の瞳を正面に捉え、真剣に見る
「本当だ。でもさ、キュルケの魅力って、外見だけだと思ってる連中多すぎだよな」
「どういう事?」
「何時もつるんでる連中の中じゃ、一番頭が良いのはキュルケだな。タバサより上だ」
「嘘、タバサより?」
「本当だ。ただ、むらっ気が多いってだけさ。そして、誰より思いやりがある。タバサの一番の親友は伊達じゃない。タバサの深い所迄、知ってるんだろ?」
「えぇ」
「俺には、やっと泣き言を、ちょこっとだけ言ってくれただけさ」
「其は、ダーリンが特別だから」
「そんな事無いぞ。俺がハルケギニアに来る前に、一番ルイズの相手をしてくれてたのも、キュルケなんだろ?」
「敵が居ればそうなるわ」
「本当に素直じゃないな。領地が隣でやりあってると、そういう所も似てくるのか」
「失礼ね」
キュルケはむくれ、才人は微笑む
379大人才人 タルブ降下戦3-12:2010/11/14(日) 17:28:32 ID:4G2Yg0SH
「何となく解るよ。ルイズは、俺が来る前は、いっつも唇噛み締めてたろ?」
「そうね」
「でも、そういう時に、キュルケは気分転換を促す為に、ルイズをからかってたんじゃないか?」
「そんな事ないわよ」
キュルケの顔が雄弁に物語り、才人は笑みを深める
「キュルケは優しい娘さ。激情を持ちながら、全てを暖かく包み、柔らかい炎で氷を溶かし、暖めてくれる。微熱とは、良く言ったもんだ。タバサが、信頼を寄せるのが良く解る」
「私の二つ名は、移ろい易さを表してるのよ。そんなの間違ってる」
「そんな事無い。大丈夫、そんなキュルケにふさわしい男が必ず現れる」
「…リンが良い」
「え?」
「ダーリンが良いな」
「でもな」
「私の事を、そういう風に見てくれる男が他に居る?」
「居ると思うぞ」
「ダーリン以外に見た事無い」
「其はな、周りが子供なのさ。キュルケは魅力が有りすぎて、そういう部分迄、皆気が回らないんだ」
「ダーリンから見ても?」
「あぁ、視線を下に向けない様に、努力するので精一杯だ」
「見ても良いし、触っても良いのに」
「…キュルケには言っておく。俺はな、女を愛する余裕が無いんだ。心が擦り減ってる。ガンダールヴとしては、欠陥品だ」
「欠陥品?」
「そうだ。心があんまり震えない。だから、あの手この手で補ってるだけさ。デルフに聞いたらよ、本来のガンダールヴは、初見の武器でもミスしない。身体がイカレない限り、適切に動ける。力も速さも、もっと高い」
「俺はどうだ?どんな時でも傷だらけ。心が震えず限界が低いから、直ぐに越えてひっくり返る。今回出ても、大事な所でヘマしかねない」
「…其でも、行くの?」
「あぁ、其でもガンダールヴだからな。だからな、何か有ったら、ルイズを頼む。此は、キュルケにしか頼めない。誰より暖かく、優しいキュルケにしかね」
「嫌よ」
「頼むよ」
「絶対嫌。ダーリン死んだら、ルイズは壊れるもの。私は、廃人の世話なんか絶対嫌。そんなの押し付けないで。ダーリンが勝って、帰ってくれば良いのよ」
「そうだな」
くすりと才人は笑う
「そうよ。其とね、ゲルマニアの女は多情なの。一人の男に縛られる積もりなんか無いわ。だから、遠慮は止めてくれない?本当に失礼しちゃうわ」
「ごめん」
「だからね」
380大人才人 タルブ降下戦3-13:2010/11/14(日) 17:32:42 ID:4G2Yg0SH
キュルケから才人に抱きつき、唇を重ね舌を絡める
ヌル、チュ、チュッ
「ぷはっ、キス巧すぎよ、ダーリン」
「そうか?」
「えぇ。もっと味わいたいから、きちんと帰って来てよ。此は迷惑料ね」
「何の?」
「ルイズの世話を託されたから………よ」
「支払い足りるか?」
「まだ足りないわね」
「じゃあ、料金に見合う迄払わないとな」
今度は才人からキスし、キュルケは才人の背中を抱き締めた

*  *  *
パタン
才人が出てくるのを確認すると、入れ替わりにフレイムがキュルケの部屋に入る
才人はそのままルイズの部屋に入る
ガチャ
「只今」
「遅い!!」
ガン!!
辞書を投げつけられ、才人の頭に直撃する
「あたたたた」
「今迄、何処行ってたのよ?」
憤怒の形相を浮かべ、仁王立ちになるルイズ
でも、身長と容姿のせいで、大変可愛いらしい
「相変わらず、可愛い可愛い」
つい撫でてしまう才人
「子供扱いするなあああ!!」
ムキーッ!!と両手を振り回すも、才人とのリーチ差で届かない
「落ち着け、な。きちんと話すから」
ふー、ふー、となりながらも才人の言う通り、気を落ち着かせるべく、呼吸を整えるルイズ
「もしかして、ずっと探してたのか?」
「さ、探してなんか居ないもん」
「そっか、悪かったな」
「だから、探してなんか居ないもん」
「そうだな」
くすりと笑う才人
「で、話すんでしょ?アルビオンが戦争仕掛けて来たのに、何で才人が出るの?こう言っちゃ何だけど、あたし達には関係無いじゃない」
「本気か?」
「何で、王軍の仕事でしょ?」
「そりゃそうだな。じゃあ言うとだな、俺も期間限定で、今、王軍なんだ」
「嘘!?」
「本当、姫様の結婚式終了迄、勝手に編入されてた」
「サイトの承諾無しで?」
「近衛隊長が懇意にするってのは、其だけしがらみになるんだよ。近衛隊長って、閑職か?」
「そんな訳無いでしょ?トリステインで、席は4つしか無いのよ?」
「その貴重な席を、俺と遊ばせる為に、トリステイン政府は動かした。それは、こういう時に最大限利用する為だ。武装許可証は軍属を意味する。つまり、姫様に最初からハメられてたのさ」
「あっ!?」
「ルイズは姫様付きの女官だよな?」
「うん」
「それって公職か?」
「勿論そうよ」
「じゃ、諦めろ。俺達は、トリステインの命運に責任が有る立場だ。個人の意思は二の次だな」
「…でも、死ぬかも知れないじゃない」
381大人才人 タルブ降下戦3-14:2010/11/14(日) 17:34:52 ID:4G2Yg0SH
「何だ?おかしいな。ルイズならこう言う時は、こう言わないか?『流石、あたしの使い魔ね。王軍に抜擢されるなんて大変な名誉よ?姫様を守る名誉の為に、命捨てて来なさい』って」
ぱぁん!!
思い切り強い平手が、才人の頬を叩き、ルイズが涙目になりながら睨む
「ばばば馬鹿にしないで。いいい幾らサイトが感情を表に出さないからといっても、今のはあたしにも解る。貴族なんか屑って言ってる時と、同じ調子じゃない」
「……悪かった」
「サイトには、名誉は下らない事なの?」
「下らんね。非常にどうでも良い」
「…なら、何で出撃するの?名誉じゃないんでしょ?其に、サイトは戦争した事無いでしょ?死んじゃうよ?あんな、ヒコーキなんかで勝てる訳無いじゃない」
「そうだな。だから世話になった連中に、挨拶してきた。見付からなかったのは、その為だ」
「死にに行くの?」
「いいや、約束を守りに行く為だ」
「約束?」
「ああ。約束だ」
「約束って命より大切なの?」
「少し違うな。約束を守れない自分が許せないから、守りに行く」
「……それ、貴族の振る舞いだよ?」
「知らんよ。俺は日本の価値基準と、俺の良心と悪意に基づいてしか動かない」
「悪意でも…動くの?」
「ルイズ、勘違いするな。俺は正義の味方じゃない。俺は聖人君子じゃない。俺は万能じゃない。出来ない事の方が遥かに多い。間違いなんざ、しょっちゅうだ。ルイズの理想的な男でも無ければ、理想の使い魔でもない」
「ただ、俺を眩しそうに見る連中に、肩肘張って、カッコ悪い姿を見せない様に、心の中で悪態付きながら精一杯あがく、卑小な男だ」
「サイト…」
「ルイズ、俺の手を取って見ろ」
言われた通り、ルイズが才人の手を取ると、かすかに震えているのが解る
「震えてる」
「解ったか、此が俺だ。出ると決めた時から、ずっと止まってない」
「こんなになってるのに、行くの?」
「あぁ、タルブにはシエスタが居る。アニエスさんが出た。竜騎士達にも時間稼ぎ頼んじまった。下手すりゃ、姫様迄戦場に居るかも知れない。俺が出れば、皆少しだけ楽になる」
「でも、サイトが死んだら、あたし…」
「大丈夫、帰って来るよ。ルイズの使い魔は、ハルケギニアで最高の使い魔なんだろ?ちょっと、証明してくるわ」
ポンと、ルイズの頭に手を乗せ、軽くウィンクをする
ルイズはまだ不安な表情だ
382大人才人 タルブ降下戦3-15:2010/11/14(日) 17:40:11 ID:4G2Yg0SH
「ほら、笑ってくれよ、俺の可愛いご主人様。自分の使い魔が信じられないのかい?俺はな、ルイズが笑顔を見せてくれた方が、力が出せるんだ。だからな、頼むよ」
「本当に?」
「あぁ」
「帰って来る?」
「勿論だ」
「サイトの震え、どうやったら止まるの?」
「…解らない」
「じゃじゃじゃじゃあね、震えが止まる様に、ごごご主人様を抱き締めながら寝なさい」
「ルイズがされたいのか?」
「ちちち違うもん。ななな軟弱な使い魔が、勇気出せる様にするんだもん。あたしがされたいんじゃ無いんだもん」
真っ赤になりながら、ルイズは答える
「いえす、マイロード」
「こここ今夜はととと特別だから、ととと取っておきにしてね」
「いえす、マイロード」
ルイズの下着類から取っておきの勝負下着を出し、ルイズを脱がせ、スケスケを穿かせ、スケスケのネグリジェを着せる
胸は確かに少ないが、身体の細さと尻の丸みは絶妙なラインを描いており、更に花弁から男を誘うべく露が垂れる
天下の美少女は、その身体付きと匂いで才人を蠱惑する
「早く脱いで一緒に寝よう。明日、早いんでしょ?」
「あぁ、そうだな」
才人は下着だけになり、ベッドに寝ると、ルイズが背中を預ける様に、才人に密着し、片手で腕枕しながら、才人は言われた様に、背後から抱き締める
ルイズは尻を丁度才人の股間に擦り付ける様に動かす。何がしたいか才人にも明らかだ
でも才人は無視し、寝に入る
すぅ
「え、サイト?もう寝ちゃったの?」
才人の身体と匂いに包まれ、昼間の自慰で完全にイカレた身体は、才人を欲して止まない
でも、才人から漂う複数の香水の匂いに、眉をしかめる
「むぅ、挨拶って、何やってたのかしら?」
尻を更にぐりぐり押し付け、才人が勃起するのを確認すると、どうでも良くなる
「ほら、やっぱりあたしが一番よね。このまま……」
才人の身体から完全に力が抜け、寝入ってしまった才人を前に、ルイズは困った事になる
アソコは完全に準備完了、才人も大丈夫。でも肝心の意識が無い
身体は熱って静まらない。なら、とルイズは一大決心
才人の股間に手を伸ばし、勃起したままの才人を外に出し、自身のショーツをズラシ、才人を挟み擦り始める
才人の身体を使うだけで、昼間より断然気持ち良さが違う
何とか陰核に当たる様に手を使って擦り付け、一気に登り詰める
「ん゛〜〜〜!?」
383大人才人 タルブ降下戦3-16:2010/11/14(日) 17:42:05 ID:4G2Yg0SH
すると、才人からどぴゅっと射精され、ルイズはびくりとする
「え!?何これ?」
手に付いた精の匂いを嗅ぐ
「何か変な匂いだけど、癖になりそ」
クンクン臭いだ後、少々考え込む
『良く解らないけど、サイトのだったら、平気かな?』
試しにぺろりと舐めてみる
「うっ、不味い」
思わず顔をしかめるルイズ
『でも、あたしがサイトの事考えると、アソコが濡れるのと一緒かな?とすると、サイトがあたしで興奮した証だよね?』
そう考えた途端、顔がふにゃりとふやける
「ほほほ惚れ薬の時、サイトはあたしのをたっぷり舐めて、飲み込んでくれたんだから、ああああたしもするの!!」
そのまま、ぴちゃりぴちゃりと、精と知らず、猫の様に舐めとるルイズ
一通り舐め終わると、ほうっと溜め息をつく
『…此で最後なのかな?…サイトの居ない人生か………やだなぁ……修道院入ろうかな………使い魔をもう一度召喚?………もう嫌よ……例えガンダールヴが来ても、それは才人じゃないのよ?』
『起こして才人にきちんと………駄目よ。才人はきちんと寝ないと駄目なの。そうしないと、明日の戦いでミスしちゃう!!なら、どうすれば………そうだ!!』
自身の案にくふふふと忍び笑いを漏らし、ルイズは目を閉じた
ルイズから寝息が聞こえ始めてから、才人が眼を開け、小さく溜め息を付く
384大人才人 タルブ降下戦3-17:2010/11/14(日) 17:45:40 ID:4G2Yg0SH
『随分と大っぴらにやりやがって、我慢出来なかったじゃねぇか』
全くと、口の中で呟き、再び眼を閉じた

*  *  *
翌朝、夜明けと共に才人が起きるとルイズが居なかった
「何処に行ったんだ、アイツ?デルフ」
「おはようだな、相棒。嬢ちゃんなら、ちっと前に出ていっちまったぞ?」
デルフが答え、才人は考え込む
「最後の挨拶になるかもだから、嫌がったかね?まぁ、しょうがない」
自身の手を見る。震えは収まっている
「流石、ご主人様だな」
ニヤリとし、デルフと村雨、ゴーグルを用意し、パーカーとジーンズを着、ジャケットを羽織って部屋を出る

広場に向かい零戦に寄ると、既にコルベール達は、準備する為に集まって居た
「おはよう才人君。操縦席に座ってくれたまえ。接続する」
「了解。レビテーション継続は各2時間。重量をあくまで武装分を0にする分で頼むよ。投下と同時に切れる様に調整してくれ」
「ふむ。毎回注文が厳しいな。ミセスシュヴルーズ、ミスタバサ。同時にやるぞ」
「解りましたわ」
シュヴルーズが答え、タバサが頷く
三人が同時に詠唱し、浮いた投下武装をアタッチメントに押さえると、才人が操縦席左下の投下レバーを前に押し、接続する
「才人君、接続はOKだ」
「こちらも完了ですわ」
「問題無し」
「左右間違え無いね?」
「大丈夫、印で確認してるよ」
才人が聞き、コルベールが答える
「サスペンションチェック」
「青線だ」
「重量超過無し、回せ」
「ウィ」
コルベールが答え、風魔法でプロペラを回す
ゴロゴロ、ブロロロ!!
エンジンに火が入り、才人が全ての計器を確認、問題が無い事を確認
エンジンのカウルフラップを開き、主槽,増槽切り替えは主槽のままを確認、プロペラピッチを離陸状態にし、各操舵が問題無く動く事を確認し、初めてブレーキを解除
零戦がそのまま、離陸位置に向かい、一度停止
タバサが配置位置迄駆け、配置に付いたらウィンドを詠唱
風が吹き始めると才人はブレーキを解除、スロットルを上げ、一気に加速
見送りに来た生徒達や料理人、メイド達が手を振り、零戦は学院の壁スレスレを飛び越し、一路空に向かって飛び立った

「相棒、嬢ちゃん居なかったな」
「そうだな」
「気落ちしないのか?」
「帰って来れば良い」
「…確かにそうだな、相棒」
385大人才人 タルブ降下戦3-18:2010/11/14(日) 17:46:33 ID:4G2Yg0SH
「このまま、高度5000メイル迄上昇する。高高度から、急降下で一気に敵旗艦に叩き付けるぞ。デルフ、全包囲警戒。伝説の仕事振り、見せてみろ」
「ったりめぇよ、任せろ。俺っちはガンダールヴの左腕、デルフリンガー様だぜ」
『さてと、おもれぇ事になりそうだ。なぁ、嬢ちゃん』
デルフは敢えて、ある事を才人に伝えていない

*  *  *
386大人才人:2010/11/14(日) 18:09:09 ID:4G2Yg0SH
投下終了なのね〜
今回はコピペが楽だったのね、きゅいきゅい
では、大人才人タクティクスなのね
今回は改修主任ジャン=コルベールなのね
「うむ、まず我々はアルミニウムと言う金属元素が有る事自体を知らないので、現物を見た感じと才人君に特性を聞いてからイメージを集中し、錬金した物を、更に錬金で融合すると言う魔法でしか出来ない反則技を行っている。ちなみに材料は、同じ大きさの鉄塊だ」
「ちなみに現在のJIS表記に直すと、零戦のアルミはA7075系材料であり、溶接が出来ない。錬金による、分子間引力を発生させ、融合させる荒業ありきである」
「ちなみに錬金で精製した材料的には52S系を劣化させた一般材と言った所だ。更に硬化処理を加えてなければ数回の出撃で、アタッチメントが死ぬだろう」
「ワイヤーに付いては零戦に実物が有り、更に芯線に麻紐が使われ、より方迄才人君に指導されてからイメージを行い、錬金している。当然失敗が多かった為に、学生にお出まし願うハメになった訳だ」
「さて、今回はそのワイヤーを投下レバーとリンクし、一斉投下出来る様にしてある。相乗効果が前提の為、こうせざるを得ない訳だ。ちなみに増槽が120リットル以上入って居る為、一番重いので、ロケット部分容積が約60kg+20リットルロケット弾頭の凡そ3倍になっている」
「赤く塗らなくて、失敗だったかもしれない」
「後は設計した我々すら知らない相乗効果が、この弾頭に詰まってるのは、実は設計した後に調べてたら気付いたと、大いなる意思は言っている」
「お陰で、破壊力が増えてしまったらしい」
有り難うなのね〜
調べて言ったらそうなった
まさにどうしてこうなったが詰まってる大人才人
明日はどっちだ?
なのね〜きゅい
387名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 18:23:51 ID:us/Sg6AS
リアルタイム遭遇GJ! いよいよルイズの虚無覚醒とゼロ戦無双かぁ。
それに何より、前半の技術系話が最高。ファンタジーに持ち込まれた
現代技術系の話は大好物です。

ところで、3−3と3−4の間って、少し抜けがありませんか?

>「錬金得意な働いてないメイジ動員して、〜
>371 :大人才人 タルブ降下戦3-4:2010/11/14(日) 17:07:50 ID:4G2Yg0SH
>「武者震いって事にしといてくれ。〜

となっており、繋がりが悪いかと。
388大人才人抜け部分 タルブ降下戦3-3.5:2010/11/14(日) 18:33:30 ID:4G2Yg0SH
>>370続き
「ツェルプストーが、一番性能良いパイプ作れるな」
「あらま、キュルケとの繋がりが役に立ちそだね」
「貴様は、運が良いのかもしれんぞ?」
「そうかね?」
「私は才人君が居てくれて、研究が大幅に進んで嬉しい。炎が破壊以外に使い途が有るのを確信出来た。このまま、一緒に研究したいものだよ」
「ミセスシュヴルーズは?」
「魔法制御に於いて、非常に難しい所があるのですが、其をクリア出来ると応用範囲がぐっと広がるので、授業にも役に立ちますわ」
「つまり、メイジの育成にも有効と、ふむ」
アニエスは考え込む
「やはり貴様、トリステインから出奔は駄目だな」
「へ?」
「国興しを手伝え」
「はい?」
ガンガンガン!!
「シュヴァリエ、居るか?」
「開いてるぞ」
ガチャ
「緊急事態だ。アルビオンがトリステインに宣戦布告した。合流したトリステイン艦隊が壊滅、現在タルブにアルビオンが、降下行動に入ってる最中だ。急いでトリスタニアに戻るぞ、俺も迎撃に出なきゃならん」
その言葉に、皆の動きがぴたりと止まる
「不可侵条約は?」
コルベールが聞く
「容易く破られた」
「タルブは、今シエスタが」
「あのメイドだな」
アニエスが呟く
アニエスが呟く
「アニエスさん、今の俺の階級は?」
「既に発動されてる。貴様の発言は結婚式終了後帰還迄、近衛隊副長の権限持ちだ」
「竜騎士殿、俺の権限通じる?」
「勿論だ。副長殿」
「竜騎士隊に時間稼ぎを要請、迎撃より牽制を重視してくれ。零戦を爆装して出す迄耐えてくれ」
「時間は?」
「コルベール先生、フル爆装にどれだけ時間かかる?」
「実は、アタッチメントの問題で胴体下一発だ。レビテーション前提なら、翼下に増設出来るから都合3発出来る。改装に全力でも夜だな。なんせ才人君の加工技術じゃないと、上手く出来ない」
「了解した。一日持たせてくれ。死ぬなよ」
「ウィ、副長殿。シュヴァリエ、戻るぞ」
「解った。才人も無事で。では戦場で。学院には禁足強いてくれ。安全に関わるから、命令だ」
竜騎士とアニエスが走り出し、コルベールと才人、シュヴルーズが顔を引き締める
「俺が零戦で出る。じゃないとシエスタが死ぬ。その先に有るのは、トリスタニアの陥落だ。俺が出ても変わらないかも知れないが、やらないよりか、ずっと良い」
「才人君」
コルベール達が才人を見ると、手が震えている
>>371続く
389名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 18:34:54 ID:4G2Yg0SH
>>387
サンキュー、今気付いた
丸々1レス抜けてたので、上手く読み直して下されorz
390名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 18:36:17 ID:UTti5XIJ
おお、GJ!
ところで王太后は殿下でなくて陛下では?
原作がどうだったかは覚えてないが原作もその辺いい加減だった覚えが・・・
391名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 18:42:51 ID:4G2Yg0SH
>>390
原作では殿下なんだよね
きちんと陛下には反応しないって、書かれてるんだ

しかも慌ててて、上げちまったし、コピペが一文2重になってるorz
392名無しさん@ピンキー:2010/11/14(日) 21:09:34 ID:uDD4D0pl


原作3巻の終盤あたりまで来ましたな。
一見、展開が遅いように見えないこともないが、作者の描写が細かく盛りだくさんなので、
オリジナル要素が多い割には話を引っ張られてる感が無いのは、秀逸。

>「アニエスさん、今の俺の階級は?」
>「既に発動されてる。

人事絡みであれば、「発令」のほうが、より正確な気がします。
393名無しさん@ピンキー:2010/11/16(火) 23:04:42 ID:xKf/nZeo
今更ながら誤字発見
3-19
×全包囲警戒
〇全方位警戒

>>392
確かに発動じゃなくて、発令か発布だね
それじゃ、発令と言う事で
見落としてたわ

wiki管理人様、申し訳ないですが、その2単語だけ訂正お願いします。参った参った
@作者

キャラ発言の定義と逸脱してる単語も以前投下分のには結構有るけど、キリが無いから止めとこう、うん
394名無しさん@ピンキー:2010/11/17(水) 18:37:37 ID:58uck9B+
どーでもいいことだがハリセンボンには針は千本もない
395大人才人:2010/11/18(木) 22:13:29 ID:F1aUWq5B
イルククゥでシルフィードなのね〜
大いなる意思は、オストラント号製作に関わる件で、資料と知識と経験からにらめっこ中なのね〜
どう考えても、機関乾燥重量で最小クラスと仮定しても、最低でも1〜2tになるって言ってるのね
蒸気機関に一般的に使われてた煙管ボイラーだと、水と石炭搭載したら、更に500kg程度は増量するし、即応性ゼロなのね(起動に1〜2時間必要)
あんなの翼に搭載なんて、魔法抜きじゃ絶対無理と言ってるのね〜
鉄パイプトラス+木造ボディの翼じゃ、どうあがいても無理、もげるか曲がるのね
原作者は何も考えて無いのねorz
どうやら、大幅に設計変更が必要なのね〜
竜骨迄ぶった切る無茶苦茶設計に、大いなる意思はひっくり返ったのね、きゅい
木造船の常識を逸脱し過ぎなコッパゲに、脱帽らしいのね
って事で、オストラント設計は、大人才人オリジナルになるのね、きゅい
その代わり、絶対製作可能にするらしいのね〜
駆動システム含めて製作図面の全ては、大いなる意思の思し召し、なのね〜きゅいきゅい
では注意事項なのね

・才人年齢上昇
・タルブ降下戦、決戦!!
・他キャラ改変有り
・4サイド視点変更有り、ちと注意
・クライマックスの為、切らずに全投下、20レス前後、要支援

では、反映次第投下開始なのね〜
396大人才人 タルブ降下戦4-1:2010/11/18(木) 22:14:33 ID:F1aUWq5B
「うぉっ、やっぱり5000メイルは寒いな」
高度を上昇すると、気温が一気に下がり、4000メイル越えた辺りで氷点下になり、才人は身震いする
クシュン
「え?誰か居るのか?」
くしゃみを聞いた才人が後ろを振り返ると、其所には始祖の祈梼書を持ったルイズが震えている
サイレンスのお陰で、操縦席内は乗用車より多少五月蝿い程度で有り、会話に支障は無い
才人とルイズが眼を合わせた瞬間、ルイズは気まずそうにする
才人は溜め息を付いた後、深呼吸してルイズを怒鳴り付けた
「こんの馬鹿たれ〜〜〜〜!!密航なんざすんなぁ〜〜〜〜!!」
「そそそそんなに怒鳴らないでよ」
ガチガチ震えながら、ルイズは答える
「あぁもう、此着ろ」
才人はジャケットを脱ぎ、ルイズに被せる
「きゃん」
才人が今迄着ていた為、ジャケットは暖かい。ルイズは才人の匂い包まれ、ほぅっと溜め息を付く
「サイトは平気?」
「気にすんな。寒いのはバイクで慣れてる」
「でも」
「何で密航した?返答に寄っちゃ、今から降ろす」
「そんな事、出来る訳無いじゃない」
「出来るぞ。パラシュートをルイズに着せるから、使い方教えて叩き落とす」
ルイズはゾッとする。サイトは多分やるだろう
そして才人が本気になったら、ルイズ自身じゃ抵抗出来ない
才人が何時も手加減してくれてるのは、ルイズも解っている
だからこそ、全力で甘えていられる訳だが
「…怒らない?」
「内容次第だな」
「約束して」
「解った。約束だ」
「…待ってるのは、もう嫌だもん」
喧嘩中が相当に堪えたんだろう。才人は、ルイズの答えに溜め息を付く。どうやら、寧ろ悪化させてしまったらしい
「はぁ、解ったよ。操縦の邪魔すんなよ?死ぬぞ?」
「うん」
そういうと、何を考えたか、身体を巧く潜らせ、才人の膝の上に乗る
「邪魔すんなって、言ったろう?」
「はい、これ着なさい」
ルイズがジャケットを脱ぎ才人に渡すと、渋々とジャケットを着る
ルイズは背中を才人に密着させ、ご機嫌になる
才人はルイズを抱える様に、右手で操縦捍を握り、左手の射撃レバーに添えてた手でルイズを抱え、ルイズはその手に自身の手を重ね、才人の手を暖める為に直接腹に当てる
「こうすれば、二人共暖かいでしょ?」
「そうだな」
『少々窮屈だけど仕方ないか。俺も寒かったし』
「相棒、見えたぞ?雲の切れ間だ」
「どれどれ?う〜む、小さくて解り辛いな。竜騎士も交戦中か?ルイズ、解るか?」
397大人才人 タルブ降下戦4-2:2010/11/18(木) 22:19:06 ID:F1aUWq5B
「あんまり詳しく無いわよ?えっと、砲撃してるのが戦列艦って奴。一番大きいのが、多分新型艦かな?」
「ほうほう。今はそいつが砲撃してるだけだな?何でだ?デルフ」
「多分、射程の問題だぁね。彼処迄届く砲撃出来るのが、あのデカイ艦だけなんだろ?」
「良し決まり。奴に落とす。デルフ、雲を潜って、艦尾に突入するコースを指示しろ。奇襲を仕掛ける。大体零戦の性能は解るな?」
「おうよ、任せろ」
デルフが指示を下し、才人はそのコースに向け、機首を廻らす
「ルイズ。今から俺は、人殺しになる」
「サイト…」
「だから、お前には居て欲しく無かった」
「ふ、ふん。震えてた使い魔がご主人様に説教?100年早いわよ?其にあたしも一緒だから、あたしも人殺しよ」
「ルイズ」
「使い魔の行動には、主人のあたしに責任が有るの!!あんたが人殺しなら、あたしも人殺しなの!!」
そして力強く、ルイズは話し始める
「我が、臆病だからこそ勇敢なる使い魔、平賀才人に問う!!答えよ、汝の主の名は?」
才人はその問にニヤリとする
「御身が使い魔、平賀才人が答え申す。我が淫美にして清楚で可憐、そして我より勇敢なる主の名は、ルイズ=フランソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=ヴァリエール。我が忠誠を捧ぐ主也」
「良くぞ申した。ならば主として命じる。存分に戦働きをせよ!!」
「イエス!!マイロード!!」
そして才人は、はたと気付く
「ルイズ、祝詞出来たか?」
「………実は、まだ」
「なら、今の内に考えとけ。此終わったら、そっちだ。だから、祈梼書持って来たんだろ?」
「うん」
零戦は、雲に突入した

*  *  *
夜明けと共に、アルビオンの竜騎士が飛び出し、レキシントンが砲撃を始め、戦列艦と地上部隊が前進を始める
「くっそ、流石に多勢に無勢だ」
単騎飛び出したアベルは、速度を利用し本格的な攻撃を始めるが、数に任せた編隊行動の前に、回避に専念せざるを得なくなる
「ち、せめて指揮官を仕留められれば」
指揮官を探し、一頭だけ風竜に乗った竜騎士を見かけ、其だと決めるが、竜騎士の風体に見覚えがある
「あれは……ワルドか!?裏切り者め!!」
ワルドを見て感情が高まり、魔力が増す
ワルド目がけてマジックミサイルを放つが、普通にかわされる
「くっそ、なら」
398大人才人 タルブ降下戦4-3:2010/11/18(木) 22:23:43 ID:F1aUWq5B
ワルドに向かって風竜を操る
背後に付いた火竜のブレスをかわす為に、風竜の飛行能力の高さを利用した、頭から尻尾を軸に回転しながら横にかわすバレルロールを行い、更に急旋回で一気に背後を取り、ロングランスを一閃しながら、隣の騎兵にブレスを浴びせ、翼を焼く
「先ずは二つ」
竜騎士を串刺しにした後、そのまま自重で落とすに任せる
「やっぱり、ランス持ってて正解だな」
トリステイン騎兵は他国のメイジ騎兵と違い、ランスを標準装備としている
杖だけが戦いではないと、前マンティコア隊サンドリヨンの軍政改革による物で、魔力切れを起こしても、騎兵突撃が出来る為、攻撃力の低下を防ぎ、生存率の向上も計られた
銃士隊の創設も、そういった路線を、アンリエッタが踏襲した物である
「ふん、アルビオンに行ったせいで、ランスの使い方も忘れたらしいな、ワルド!!」
更に向かって来る竜騎士をかわし、指揮官を狙い、自分自身に敵を引き付ける
「そうだ、もっと来い。もっとだ」
グラモンが突撃すれば、後は奴に任せられる
アベルはそう確信している
「奴の能力と衛士隊の集団戦能力を組み合わせれば、艦なぞ軽く制圧出来る。火薬庫吹っ飛ばせば終わりだ」
その時、騎乗した風竜が警戒の叫び声を上げ、その方向を見る
「あれは………来たか!!」
だが、その歓喜の一瞬が不味かった
アルビオン騎士のマジックミサイルを喰らい、手綱を握りつつ持ってた左手の杖を、腕事取り落とす
騎竜はブレスで翼を焼かれ、悲鳴を上げながら錐揉み墜落を始め、アベルは空に投げ出された
そして、墜落中にレキシントンに轟音と火柱が立ち上がり、自身の任務が完全に終了した事を確認し、笑みを浮かべる
「やるじゃねぇか。なぁ、俺もお前の連れに、入れて欲しかったぜ。悪いが、先に行ってるわ」
アベルは満足気に眼を瞑り、2500メイルの高さから、騎竜と共に地上に激突した

*  *  *
399大人才人 タルブ降下戦4-4:2010/11/18(木) 22:25:53 ID:F1aUWq5B
「今の所順調だな」
「このまま一気に進撃しないのですかな?サーボーウッド」
「サージョンストン卿。一気に進撃すると、艦首を前に向ける為、左砲右砲共に使えなくなります。それに歩兵が付いて来れません」
「成程、では仕方有りませんか」
「報告、竜騎兵発見。およそ5000メイル」
「本当か?」
「彼処をご覧下さい」
「何だ、あれは?」
雲の切れ間に目撃したそれは、直ぐに雲に隠れる
「総員、対空警戒厳にしろ」
「イエス・サー」
甲板に水兵が出、見張りが増える
「敵……ですかな?」
「解りません。ですが、敵だと判断して行動した方が楽です。味方なら、きちんと姿を表した時、説明があるでしょう」
「成程」
そのまま砲撃を続けるレキシントン
「報告〜!!艦尾高度3000メイル。距離3000。竜騎兵発見、非常に速い速度で向かって来ます」
「敵ですな」
一気に向かって来た竜騎兵が何か物体を三個切り離し、切り離した物体は、火を噴いて加速、真ん中の物体が先に甲板に直撃し、甲板を破壊しながら砕け散り、中の液体を撒き散らす
両脇の物体は其に遅れて着弾。一弾は甲板を突き抜け左舷砲列甲板に突っ込み、もう一弾はマストに直撃。数秒の時間差を置いて爆発、更に撒き散らされた液体に引火し、一気に爆発炎上、そして砲列甲板の火薬に誘爆
偶々ボーウッドの前に居たジョンストンが炎に完全に呑まれ、ボーウッドはジョンストンが盾になったお陰で命拾いをする
一気に左舷中心に阿鼻叫喚だ
「消火急げ〜〜!!」
「衛生兵〜!!水メイジまだか!!」
ボーウッド自身がジョンストンを見て取り、全身が黒焦げになり、関節が屈曲し、既に手遅れなのを確認する
「トドメが必要か?サージョンストン卿」
ジョンストンは何とか頷き、ボーウッドは心臓に水の刃を付き立て、トドメを刺し敬礼する
「被害状況知らせ」
「は、現在確認中。メインマスト三本の内二本全損、更に折れたマストが砲列にかかり、砲撃不能。左舷砲列甲板第2甲板迄破損、砲が大分誘爆しました。現在消火作業中」
「鎮火可能か?」
「はっ。可能との事です」
「人的被害は?」
「現在確認中、凡そ30名程死亡、100名程負傷かと。サージョンストン卿は?」
「戦死なされた。あれがそうだ」
「は、指示を」
400大人才人 タルブ降下戦4-5:2010/11/18(木) 22:29:39 ID:F1aUWq5B
「鎮火次第、左舷砲列甲板放棄。180度回頭、右砲戦準備。並びに、折れたマストを切り離せ。風石の魔力解放。上昇して、上空の風を利用して反転しろ」
「イエス・サー!!」
指示を受けた伝令が、艦を走る
「中破か、やってくれたな、トリステイン」
艦に大ダメージを与えた竜騎兵が味方竜騎士と格闘戦を開始したのを睨み付け、ボーウッドは嘆息する
「まさか、防空網の上から来るとはな」

*  *  *
夜明けと共にワルドは竜騎士達を出撃させ、上空警戒と支援を始め、支援下の元でレキシントンが左砲戦を開始する
レキシントン単艦なら、三次元機動で上空から砲弾を落とす事も可能だが、風石の消耗を招き、他艦との連携の方が威力を発揮出来る為、ボーウッドは単艦機動を行っていない
じりじりと、100メイルの高さに浮き、風に任せて縦帆で横進する
戦列艦も、縦帆で左砲をトリステイン軍に向けたまま、ゆっくり移動を始め、地上部隊が其に合わせて並足前進
最後尾に揚陸艦が付いて行く
整然とした行進は、トリステイン軍の肝を冷やすには充分だ
レキシントンの新型砲でも、トリステインが距離を取ってしまったが為に、散発的に着弾し、思う様に効果が表れてない

「参りましたな、殿下」
「そうですね、マザリーニ」
前衛の一般兵に着弾し始め、被害が出、統率が乱れる
砲兵も、この射程ではレキシントンには当たらない
「頼みは、衛士隊と単騎の竜騎士ですか」
衛士隊の幻獣中最速を誇るヒポグリフ隊が、単騎飛び立った竜騎士の支援で防空網に穴が出来るのを待つ
レキシントンの艦首又は艦尾から、突撃するのを今か今かと待つ
「アベルの奴、無理しなきゃ良いけど」
401大人才人 タルブ降下戦4-6:2010/11/18(木) 22:30:45 ID:F1aUWq5B
ジェラールが呟き、空戦の始まった空を見る
2500メイル上空じゃ、幻獣達では上がれず、竜騎士に任せるしかない。其処で雲の切れ間に何かを見る
「竜騎兵発見、凡そ5000メイル」
「馬鹿な?竜すら上がれん高度だぞ?」
ゼッザールが驚き、其を見、驚愕する
「本当だ。何だ、あれは?」
「才人です。来ましたよ、殿下」
「本当ですか?アニエス」
「我らに出来ない事をするのが奴です。間違い無い」
そのまま、雲にまた隠れてしまう
「何をするか解りますか?アニエス」
「其処までは。空戦の基本に詳しいのは、私よりジェラール殿の筈」
「基本は地上と変わらないよ。背後からの一発。つまり奇襲だ」
「ふむ、ジェラール殿なら、迎撃不能の高高度から、どうやって奇襲する?」
「勿論、高さを利用して、急降下で速度上げて、竜のブレス全開と魔法全開で一気に攻める」
「だ、そうですよ。殿下」
「では、こうして来たと言う事は、その時に備えて、我慢する必要が有るのですね?」
「その通りで有りましょう、殿下。突撃準備と各連隊の防御を」
ゼッザールが進言し、アンリエッタは頷く
「被害の受けた所に水魔法の治療と部隊再編。今は防御に専念。全衛士隊突撃準備」
「「「ウィ!!」」」
マザリーニが各部隊に通達を出し、水メイジが現場に走り、部隊再編と防御の為に、やや散開する
もうすぐ逆撃が出来るから耐えろと指示が飛ぶが、イマイチ効果は出てない
やはり、前線では前方のレキシントンのが怖いのだ

*  *  *
「隊長に報告、竜騎兵発見。高度5000メイル」
「何?5000だと?」
風魔法で報告を受けたワルドが見ると、5000メイルに確かに居るが、直ぐに雲に隠れる
「一体何が来た?おっと」
トリステイン竜騎士からのマジックミサイルをかわし、思考に専念する
「アイツは部下に任せれば良い。竜の飛行高度を越える竜騎兵だと?」
そうこうしてる内に、部下が2騎撃墜される
「あれはバレルロール。風竜であんな機動するのは、アベル=ガイドか!?ち、単騎になってから、本気出し始めたな?」
トリステイン空軍の風竜の使い手として高名な騎士を差し、流石に考えを改める
「総員。奴を数の力で囲い込め。あれは厄介な騎士だぞ?」

騎士達が囲い込み、其をガイドがかわし、一気に突き抜け様とするが、つい脇見をするのをワルドは見逃さず、すかさずマジックミサイルを詠唱し、ガイドに向けて放つ
402名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 22:33:47 ID:tIWZqByU
支援
403名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 22:34:45 ID:tIWZqByU
しえん
404大人才人 タルブ降下戦4-7:2010/11/18(木) 22:36:04 ID:F1aUWq5B
ミサイルはガイドの左手を落とし、更にその隙を背後で追った火竜がブレスで翼を焼き、ガイドは墜落していった
杖を落としたから、確実に戦死だろう
ドドーン!!
砲撃と違う轟音が起き、ワルド含めた竜騎士達が振り向くと、レキシントンから火を噴いていた
「一体、何が起きた?」
「敵竜騎兵の攻撃です。あれを」
ワルドが指された方向を見ると、見慣れない形をした竜騎兵が居る。何か音も立てているが、とにかく妙だ
翼がはためいていない
だが、そんな事言ってる場合ではない。旗艦が攻撃を受けたのだ
あの百合と曲剣の紋章が、何を意味してるかは解らないが、百合はトリステインの識別マーク
迎撃するしかない
「総員、敵竜騎兵を迎撃」
新たに現れた竜騎兵を迎撃するべく、竜騎士達は降下を始めた

*  *  *
「竜騎士ガイド殿、2騎撃墜するも、撃墜されました」
「…そうですか」
アンリエッタは爪を噛む
『まだ、来ないのでしょうか?』
レキシントンの艦尾に零戦が現れるのを、アニエスがいち早く見付ける
「殿下、あれを」
「はい」
皆が振り向いた先で、降下しながら竜に出せない速度で弾を分離し、一気に上昇離脱する零戦
弾は自らを火を放ちながら加速し、そのままレキシントンに突き刺さり、轟音と共にレキシントンが火を噴く
暫く皆が呆然とし、砲撃が止まった事を確認し、兵も将も震える
そして、一気に歓声が爆発した
「うぉおおおおおお!!」
手を突き上げ、レキシントンが悲鳴を上げたのを見、其を与えた味方の竜騎兵を眼で追い、見付けた者が周りに教え、更に歓声が上がる
今や、先程迄の弱気は何処へやらだ
「……此が、副長殿の力か」
ゼッザールが息を飲む
「流石、カトリーヌが見初めた男だねぇ」
ジェラールがうんうん頷く
「カトリーヌとは誰かね?ジェラール殿」
アニエスが女の名前に反応すると、ジェラールが答える
「俺の妹」
「…才人め、いつの間に口説いてるんだ」
アニエスが渋面をすると
「あぁ、カトリーヌが口説いたんだと。手紙にそう書いてた」
405大人才人 タルブ降下戦4-8:2010/11/18(木) 22:38:05 ID:F1aUWq5B
「ちっ。次の稽古は真剣だな」
「まぁ、程々にね」
ジェラールは楽しそうに笑う。今はとにかく気分が良い
あの厄介な戦列艦がダメージを負い、勝ち目が見えて来た
後はタイミングを見計らい、後の戦列艦を仕留める為に、空中突撃するだけである
衛士隊には其だけの力があると、衛士隊の誰もが疑ってない
格闘戦を始めた零戦は、何を思ったか失速して垂直降下し、上昇を始めたレキシントンに突っ込む
皆が騎士がやられたと思い、落胆の思いで見つめるがダダダっと火を噴き、またレキシントンから小さいが炎を出すとそのままレキシントンの艦底を通過
一気にトリステイン軍の上空僅か30メイルを飛び、窓を開けた状態で操縦席から二人敬礼するのが見える
其を見た軍は、一気に士気が上がり歓声が上がる
そのまま旋回し、どうやら何かジェスチャーを始める
親指を立てた状態で手を上下させ、その後にガッツポーズを決めると窓を閉め、インメルマンターンを連続させ、一気に上昇していき、火竜騎士達に向かって行った

*  *  *
「良し抜けた、ちょい左だな」
舵を切り水兵にした後降下をレキシントンの角度に合わせ、突っ込む
「デルフ、投下指示」
「あいよ。3・2・1・投下」
声と共に才人が操縦席左側の投下レバーを引き倒し、増槽とロケット弾を切り離すと、そのまま急速上昇し、レキシントンから離脱する
弾は予定と違い、少々ずれたが全弾命中し、火柱が上がるのを確認する
「命中。だけど300メイルで中央に被弾にセットしたのに、上手く行ってねぇな」
「おいおい、大戦果じゃねぇのか?相棒」
「予定性能出なかったのが、不満なんだよ」
「かぁ、どうでも良くね?」
「それじゃ、次に繋がらないから却下」
「物作りになると、本当に容赦ねぇな、相棒」
「職人ってのはそんなもんだ。どうした?ルイズ」
ルイズは呆然としている
「ヒコーキって、凄いんだ」
「ばっか、本当に凄いのは此からだ。荷物落としたから、格闘戦に移行する。きばれよ、デルフ」
「おう、右上方3騎」
才人は機首を向けつつデルフに聞く
「火竜の射程教えろ」
「約15メイル」
「余裕」
零戦の射程は、300mで中央に集束する様にセットされている
才人は敢えて直線上に乗り、7.7mmを火竜の編隊の右から左に掛けて、水平移動しながら射撃し、バレルロールでかわしながら交錯すると、火竜が口を開けた状態で爆発を起こし、墜落していく
「うわきゃぁぁぁぁ!!」
406大人才人 タルブ降下戦4-9:2010/11/18(木) 22:41:27 ID:F1aUWq5B
ルイズが回転した機内で悲鳴を上げるが、才人は無視し、デルフが次の目標を指示する
「次、後方3騎」
才人はそのまま宙返りの直上で機首をロールするインメルマンターンを行い、火竜と違う方向に射撃した後さっさと離脱、火線に回避機動を取った火竜達が吸い込まれ、墜落していく
「何?今の」
「予測偏差射撃。ルフトバッフェの得意技。デルフ、次」
ルイズは才人が行う空中ショーに、すっかり魅入られる
つまり、才人の膝の上は、ハルケギニアで一番安全だ
もう怖い物は無しである
「いけいけ、サイト。アルビオンぶっとばせ〜!!」
「操縦しないのは気楽で良いな」
才人は苦笑する
「だって凄いんだもん。アルビオンの竜騎士って、最強の呼び声高いのよ?」
「相棒、左右から3騎ずつだ」
才人はそのまま急上昇を行うと、竜騎士は其に追随しようとするが、元々の速力と加速力に差が有りすぎる為、追いつけない
すると、零戦はそのまま失速し、墜落軌道を取るかと思ったら、竜に火線を向けつつ垂直降下を始め、上昇しながら回頭するレキシントンに迫る
火竜はブレスを吹く前に尽く撃墜され、零戦の前に墜落していく
才人はそのままレキシントンの被害状況を確認し、剥き出しの破壊された砲塔の断面を見て、ニヤリとする
「鋳物かよ。右舷には、コイツをくれてやる」
左手の射撃レバーを7.7mmから20mmに触れ、射撃しながら右舷を通過し、背後で爆発が轟いた
そのまま艦底を通過し、味方の陣に向け低空飛行しルイズに話しかける
「ルイズ、士気を上げる為に敬礼するぞ。窓開いて」
「解った」
ルイズが窓を開け、陣に向け敬礼すると、歓声が上がるのが聞こえ、本陣にアンリエッタ達が見える
そのまま後方で旋回すると、才人は左手で親指を立て上下させ、ガッツポーズを作ると、窓を閉め、連続インメルマンターンで高度を取るために、一気に上昇していく
何れも此も、火竜との速度差がある為に出来る機動であり、その利点を才人は最大限に利用した
「……姫様、居たね。才人、さっきの合図は何?」
「衛士隊が騎乗状態で居たからね。空戦手伝ってくれって言ったのさ。ルイズは祝詞考えてろ」
「こんな無茶苦茶な中で、どうやって?」
「普段考えられないなら、普段と違う状態なら大丈夫じゃないか?」
「…そうかな?」
ジトっと、才人を睨む
「物は試しだ。駄目元でな」
「うん」
407大人才人 タルブ降下戦4-10:2010/11/18(木) 22:43:24 ID:F1aUWq5B
言われてルイズは祈梼書を開く
デルフと才人がやり取りしながら、激しい機動を行うのも忘れてしまう
才人の腕の中は一番安全だし、何しろ、祈梼書に文字が浮かんだからである
「こ、此は?」
古代ルーン文字で書かれた文は、きちんと勉強してたルイズには読める
そして中身に驚愕する
ルイズが祈梼書を熱心に読み始めた時、才人は竜騎士を粗方撃墜し終えた
「何騎仕留めた?」
「25騎だぁね」
「異世界じゃ、エースも名乗れねぇな」
「何でだよ?相棒」
「条件が違い過ぎる。完全にワンサイドゲームだ」
「妙に潔癖だぁね、相棒」
「自慢にもならん」
そんな才人達の後方直下から最期の火竜小隊が侵入してきたのを、デルフも才人も気付かない
何故なら零戦の死角だからだ
一応気を配っているのだが、速度も落とし巡航レベルで、火竜達でも追い付ける
射程に入った火竜達が口を開きブレスを吐こうとすると、小隊全てが竜巻に巻き込まれ、ズタズタにされて墜落していく
「何だ?」
「やられた、死角から近付くたぁ、気付かなかったわ。迎撃したのはカッタートルネードだな。スクウェアスペルだぞ?」
「ヒュ〜、助かったわ。迎撃してくれたのは誰だ?」
マンティコアに乗った騎士を先頭に、グリフォンに乗った騎士が、雁行陣を敷いている
「あのマンティコアに乗った騎士だぁね」
「助かったわ」
零戦から手を振ると、マンティコアに乗った騎士が応える
「さてと、ルイズ?」
ルイズは熱心に、白紙の祈梼書を読んでいる様に見えるが、才人はレキシントンを落とす為の弾がまだ残っている事を思い出すと、レキシントンに機首を廻らす
「20mm炸裂弾。全部ご馳走してやるよ」

*  *  *
「何と、空戦しながらも、私達の士気の回復迄して下さるとは」
アンリエッタは感激する
アニエスは才人が送って来たサインの意味を考え、敵戦列艦が艦隊を前に向け前進を始め、地上部隊の行軍も速くなるのを確認し、レキシントンが上空で回頭を始めるのを見、確信する
「殿下、近衛隊に突撃命令を!!」
「衛士隊はともかく、銃士隊もですか?」
「はい、才人のサインは空戦援護の要請です。そして周りがレキシントンの不利を悟って、他の戦列艦が無事な内に、勝負を仕掛けて来ました。艦首が此方に向いてる今が、チャンスです」
その言葉に、ゼッザールとジェラールも頷く
「今なら砲撃が無い」
「同感」
「ですが、どうやって銃士隊を?」
408名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 22:45:36 ID:tIWZqByU
sien
409大人才人 タルブ降下戦4-11:2010/11/18(木) 22:46:25 ID:F1aUWq5B
「衛士隊に空輸して貰います。2往復すれば、最前線に集結出来ます」
「ふむ、承知した。ミラン殿」
「解りました。近衛全隊、突撃せよ」
「「「ウィ」」」
「先に第一分隊から第三分隊迄空輸して貰う。ミシェル、第四から第六の指揮頼む」
「ウィ」
「第一から第三、伊達男に送って貰え!!」
「「「ウィ!!」」」
銃士隊の半分が衛士隊に騎乗し、アニエスはゼッザールの騎獣に騎乗する
「宜しく頼む」
「承知!!」
幻獣達が羽ばたき、一気に上昇し、前線に向かって飛び出す
ジェラールの後ろに乗った銃士に、早速ジェラールは声を掛ける
「君の様な花を、戦場で乗せる事が出来るなんて、何たる幸運。どうだい?戦が終わったら、御近づきの印にデートでも?」
「あら、銃士は棘が飛んで来るのでは無くって?」
「そんな事言うジェラール=ド=グラモンは、先程戦死したよ。今の僕は、新しく産まれ変わったジェラール=ド=グラモンさ」
「じゃあ、将軍の首級上げたら、考えても良くってよ?」
「その言葉、間違い無いね?」
「えぇ」
「決まりだ」
ジェラールはニヤリとする。顔だけは、やたらに良いのがグラモン家の男達である

「良し、此処で良い」
「まだ200メイル有るが?」
「長銃なら届く」
「了解した」
「レビテーション頼む」
アニエスはそう言い残し、さっさと飛び降りる
其を見た銃士達も飛び降り、衛士隊は慌ててレビテーションを掛け、彼女達が地面に激突しない様に着陸させると、踵を返して本陣に戻る
「第一から第三、三列横陣!!」
410名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 22:51:01 ID:tIWZqByU
支援?
411大人才人 タルブ降下戦4-12:2010/11/18(木) 22:51:22 ID:F1aUWq5B
アニエスが号令を掛け、銃士達が一気に整列敵陣の真ん中で、フリントロック式長銃を構える
「長銃撃ち方用意!!第一分隊撃て!!」
ダダーン!!
「第一分隊弾込め!!第二分隊前へ、撃て!!」
ダダーン!!
「第二分隊弾込め!!第三分隊前へ、撃て!!」
ダダーン!!
一気に射程内に入られた敵部隊は驚き、連続射撃の餌食になり、中央が崩れ出す
アニエスは後続が来る迄、交代射撃を連発し、敵部隊を完全に崩す
その間に、衛士隊が更に銃士を降下させ、後続の銃士がアニエスと合流、一気に一個中隊半の勢力になる
威力倍の交代射撃で更に崩す
「マドモアゼルにばかり任せるな、陣型、錐。突撃体制」
ジェラールが上空で、自身を先頭に5騎を鏃型に並べ、後ろを3騎縦隊にする
流石にアルビオンの軍勢も立て直し、銃を構えるのが見えた時、上空からヒポグリフに乗った衛士隊が降下しながら、突撃を開始する
衛士隊独自の三次元チャージ、通称錐である
特にグラモンの指揮するチャージ方法は、トライアングル土メイジを5人先鋒に据えて、人獣共に硬化を行い、銃弾も剣槍も通さず、魔法は防御魔法で全ていなし、騎兵の突破力を馬の倍の速度で実現させる
通常兵もメイジ兵にも災厄と言われる物で、特にグラモンの錐と呼称され、衛士隊の象徴にもなっている
仕留めるには、より破壊力と目前で行われる三次元の高機動に、対応出来る攻撃をぶつけるしかない。大抵、どちらかが足りないのである
右手にランスを構え、左手で手綱を握りつつ軍杖を逆手に握り
ジェラールが穴の空いた敵陣に突っ込むと、スパァっと、綺麗に切り裂かれる
そのまま一度上空に上がると、ランスの先に貫かれた兵が刺さり
其を他の兵をランスの先に差した衛士達と共に振り落とし、将軍を射程に捉え、上空から急降下で一気に仕掛ける
流石に近衛のメイジ達が攻撃魔法を連発するが、炎をウォーターシールド、風をエアシールド、水をフレイムウォール、ブレッドを複合防御魔法に、先鋒の硬化で叩き落とし
そのまま降下威力迄槍に乗せ、敵将軍を一撃で貫き、ヒポグリフの嘴と爪で周辺兵を蹂躙し、そのまま跳ね上がると、後続も同じ様に叩き付けながら跳ね上がる
412大人才人 タルブ降下戦4-13:2010/11/18(木) 22:54:35 ID:F1aUWq5B
そして、将軍を貫いたまま、上空で大声を上げる
「アルビオンの将軍。ヒポグリフ隊のジェラール=ド=グラモンが獲ったぁ!!」
ヒポグリフ隊の衛士達が更に歓声を上げ、更なる蹂躙を行う為、敵陣に踊り込む

「3000相手に、あっさり決めてしまったな」
アニエスはすっかり感心する
「流石グラモンって所ですかな?隊長」
「全くだ。あれが味方で、本当に良かったよ。ミシェル」
「敵が浮足立ちました。更なる追撃を」
「良し、陣型切り替え。2個方陣」
アニエスが指示し、角を先頭にした4角形が二つ、横に並ぶ
「敵両翼を狙うぞ。ミシェル、右方陣の指揮を任せる」
「ウィ」

*  *  *
「‥‥あれが、グラモンの錐」
アンリエッタは初めて衛士隊のチャージを見て、呆気に取られる
「殿下が、グラモンを衛士隊に引き抜いたのは、間違っておりませぬな」
「相手は3000ですよ?何で、50騎程度であんなにあっさり」
「馬の倍の速度で魔法も銃弾もいなしながら、地上所か空中迄踊り上がるのです。一般兵もメイジ兵も対応するのは、並大抵の事では有りません」
「衛士隊全隊が出来るのですか?」
「防御の強固さに於て、ド=グラモンが一番ですな。ですから被害が少なくて済みます。他の隊でも出来ますが、攻撃に偏重してしまい、グラモン程安定して叩き出せませぬ」
「トリステインは、弱いと思ってたのですが」
「先代衛士隊の軍政改革の賜です。殿下の銃士隊も活躍してます。お陰で、連隊の再編も出来ました。何時でも突撃可能ですぞ?」
「あの、戦列艦に向かった2隊は?」
「マンティコア隊が順調に制圧中ですな。ご覧あれ」
指を差した戦列艦から火を噴き、艦が傾くのが見える
「何をしたのでしょうか?」
「乗り込んで、マンティコアと共に水兵達を蹴散らし、火薬庫に炎魔法をぶつけたのでしょう。三隊の内、一番攻撃力の高い幻獣ですからな」
「グリフォン隊は?」
「さて?あぁ、今臨時副長殿を支援しましたな。カッタートルネードで竜騎士を3騎、撃墜しました」
「何と頼もしい」
「トリステイン最高の武人達ですぞ?」
「なるべく、被害が出ないで欲しい物です。替えが効きそうに有りません」
「次世代の育成は、きちんとやっておる筈ですが?」
「其でもです」
413大人才人 タルブ降下戦3-14:2010/11/18(木) 22:56:18 ID:F1aUWq5B
「そうですな。今グリフォン隊も戦列艦制圧に乗り出しました。ヒポグリフ隊も、制圧に出さないとキツイですな。殿下、全軍突撃を」
「宜しいのですか?」
「勿論です。突撃すれば、砲を気にする必要が無くなります」
「解りました。全軍突撃!!」
命令が次々に伝達され、士気が最高に高まったトリステイン軍が、一気に突撃する
大勢が決したかに見えるが、戦列艦とレキシントンがまだ動いている限り、油断は出来ない
何故なら最悪、艦で兵を押し潰す事も有り得るからだ
其を全艦でやられたら、ひとたまりも無い
あっさり勝負はひっくり返るだろう
「其でも、地上部隊を殲滅出来ねば、意味が無い」
マザリーニは覚悟を決め、アンリエッタを守る為にユニコーンの前に馬を進め、共に突撃した

*  *  *
「報告します」
「申せ」
「はっ、竜騎士隊30騎全滅。但し、隊長ワルドの撃墜は未確認。行方不明です」
「火竜で落とせないから、策を練ってるのだろう。放っておけ」
「はっ。敵竜騎兵、本艦に対する攻撃再開。初弾程では有りませんが、確実にダメージを与え始めてます。既に、右舷砲列第一甲板の砲が三門使用不能」
「奴が急降下したタイミングで、至近距離で散弾をぶつけろ」
「やってますが、タイミングが合いません」
「なら、早すぎる位で撃ってみろ」
「イエス・サー。伝えます」
伝令が去り、新たに報告が入る
「サー。報告致します」
「申せ」
「は。シャーウッド将軍、敵衛士隊隊長ジェラール=ド=グラモンに討たれました」
「くっ、此だから幻獣騎兵は厄介だと。指揮の引き継ぎはしているな?」
「近衛メイジ共々壊滅しました。現在各部隊で個別に対応中。戦列艦部隊、援護に前進するも、衛士隊の制圧に対応出来てません」
「艦隊の海兵は?」
「騎獣と衛士隊の攻撃でやられました」
「流石、トリステイン最強部隊と言った所か」
「ちょっと、ボーウッド。一体何があったんだい?何でレキシントンが、攻撃を受けている?」
フーケが船室から飛び出て、ボーウッドに詰め寄る
「ミスフーケ。生きて居たのか。見ての通りだ」
「居住区画に居たから無事だったのさ。質問に答えてくれ」
「あれだよ」
丁度零戦が、レキシントンを急降下攻撃を始めたのを、ボーウッドが指す
「何だいあれは?」
「トリステインの竜騎兵だ」
ダダダッ
右舷甲板が砕け散り、更に下の砲に直撃。砲が破壊され、通過直後に砲が発射され、まだタイミングが合わない
414大人才人 タルブ降下戦4-15:2010/11/18(木) 23:01:40 ID:F1aUWq5B
「もう少し早く撃て」
「イエス・サー。伝えます」
「あれは…まさか」
通過直後に見たコクピットには、珍しい黒髪と、桃髪が見える
このコンビから思い出すのは、一つしか無い
「本当に、アイツか?」
フーケは思い切って、右舷に寄る
「ミス、危険だ、死ぬ積もりか?」
ボーウッドが止めるが無視し、また急降下攻撃をしようとしてきた零戦を睨むと、パイロットと視線が合う
そのまま、零戦は何もせずに通過し、砲が零戦に当たり、散弾が炸裂し、機体が散弾で軌道がずれ、よろめいたが、そのまま通過して行った
「命中しましたが、ダメージは不明」
「そうみたいだな。しかしどういう事だ?ミスフーケ?」
「さぁ、アタイにも解らない。何か問題出たんじゃないか?」
「ふむ、そうかもしれんな。攻撃行動を取らなくなった」
上空で旋回を始めた零戦を見て、ボーウッドは呟く
『間違い無い。あれは才人だ。アタイが居たから、攻撃しなかったのかい?本当に甘チャンだね。全く、また助けられたじゃないか』
*  *  *
「どうした相棒、何故攻撃しねぇ?」
「やられた。糞、まさかフーケが居るとは」
「其で被弾してちゃ世話ねぇな。アホウ」
「全くだ」
散弾が一発だけ貫通し、座席に血が広がり始める
「俺は、どうしようもねぇ甘チャンだ。くっそ、シュヴルーズ先生、硬化のイメージ固めて無かったな?薄い所あったか」
「魔法だって万能じゃねぇよ。どうする?」
「さぁて、どうすっかね?」
とりあえず、レキシントンの上空を旋回しつつ、思考を廻らす
「相棒、あの炸裂する弾使いきっても、あの船は落とせねぇぞ?」「んなこたぁ、解ってる。其でもだ。衛士隊が今、戦列艦一艦ずつ仕留めてんだろ?奴らが侵入する経路を、確保出来れば良い」
「単騎で落とす気は、更々ねぇのか」
「其処まで俺は考えてねぇ。ガンダールヴが無敵でも何でもねぇのは、デルフが一番知ってるじゃねぇか」
「此処まで変なガンダールヴも、見た事ねぇがな」
「初代以外にも居たのか?」
「忘れた」
「いつか追求しちゃる」
その時、ルイズは熱心に祈梼書を読んでいた

序文
これより我が知りし真理をこの書に記す。この世の全ての物質は、小さな粒より為る。四の系統はその小さな粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり
その四つの系統は『火』『水』『風』『土』と為す
415大人才人 タルブ降下戦4-16:2010/11/18(木) 23:02:50 ID:F1aUWq5B
神は我に更なる力を与えられた。四の系統が影響を与えし小さな粒は、更に小さな粒より為る。神が我に与えしその系統は、四の何れにも属せず。我が系統は更なる小さき粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり
四にあらざれば零。零則ち此『虚無』。我は神が我に与えし零を『虚無の系統』と名付けん

此を読みし者は、我の行いと理想と目標、歓喜と絶望を受け継ぐものなり。またその為の力を担いし者なり
『虚無』を扱う者は心せよ。志半ばで倒れし我とその同胞のため、異教に奪われし『聖地』を取り戻すべく努力せよ。『虚無』は強力なり
また、その詠唱は永きにわたり、多大な精神力を消耗する。詠唱者は注意せよ。時として『虚無』はその強力により命を削る
従って我はこの書の読み手を選ぶ。例え資格無き者が指輪をはめても、この書は開かれぬ。選ばれし読み手は『四の系統』の指輪をはめよ。されば、この書は開かれん
聖地を取り戻す努力をせし者に、我は歓喜と絶望を与えん

ブリミル=ル=ルミル=ユル=ヴィリ=ヴェー=ヴァルトリ

「何…これ?歓喜と………絶望?一体、始祖ブリミルに何があったの?」

以下に、我が扱いし『虚無』の呪文を記す
初歩の初歩の初歩『エクスプロージョン(爆発)』

才人がレキシントンの上空で考え事をしていると、ルイズが才人に話しかける
「サイト」
「何だ?」
「もしあたしが、伝説の担い手だったら、どうする?」
「どうもしない。ルイズはルイズだ。只、その力を今迄馬鹿にされた仕返しに使うなら、お仕置きしちゃる」
クスッとルイズは笑う
416大人才人 タルブ降下戦4-17:2010/11/18(木) 23:05:50 ID:F1aUWq5B
「やっぱり、サイトはサイトだ。あたしね、始祖の祈梼書読めちゃった」
「そっか。良かったな」
「始祖の系統、使えるかも」
「試してみるか?」
「うん。窓開けるよ」
ガラッと開けて、風が入り込み、風切り音で一気に聞こえ無くなる
ルイズは才人に肩車された状態で祈梼書を片手に、杖を持ち、ルーンを唱え出す
「エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ・オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド」
何故か風切り音の中なのに、才人の耳にははっきり聞こえ、身体から力が湧いてくるのが解る
「マズイ、相棒、後ろだ、速すぎる!!」

「先程の急降下、見事だった。真似させて貰う」
ワルドは単騎、風竜の限界高度4500メイル迄上昇すると、其処から急降下を始め、雲を突き抜けた時に零戦の背後に偶然付く
急降下して十二分に加速した風竜から、渾身のエアスピアーが放たれる
低速で旋回してた零戦の背後から、800km/h以上で加速して来たエアスピアーは、ホーミングしながら後方にずらしてた風防を2枚貫き、才人の背中に突き刺さると、形状が解ける
ガガッ!!
「コフッ!?」
「相棒!!」
才人は口に溜めた血を吐き出し、袖で拭う
「大丈夫、片肺潰されただけだ。死にはしねぇ」
ヒューヒュー言いながら答える、才人
「だが、やべぇ、やべぇよ、相棒」
背中から大量に出血し始め、座席が赤黒く染まり始める
「今は、あの風竜潰さないと」
才人は蒼白になったまま回転を上げ、風竜に対して格闘戦を始めるが、速度の付いた風竜に、あっさり背後を取られる
「マズイ」
才人は急上昇をし、風竜が其を追随した時、ルーンが光り、才人はルーンの命じるままそのままブレーキ、失速させた途端左側に捻りながら宙返り半径を短縮し離脱、急旋回でそのまま風竜の宙返り軌道に7.7mmを射撃する
才人は無意識に、実戦ですら使われ無かった左捻り込みを行う
ワルドはエアシールドを自身に展開するが、風竜の全身と自身、其に左腕に当たり、左腕が吹き飛び、墜落して行った
「やべ、ルイズ忘れてた。ルイズ?」
見るとルイズは肩車したまま、詠唱している
「大丈夫か」
才人は血の気が失せ、意識が朦朧しながら、ルイズの詠唱による力により、零戦をそのまま空中待機させる中、レキシントンではフーケが騒いでいた
「ワルドが撃墜された!!救出する!!許可を!!」
417大人才人 タルブ降下戦4-18:2010/11/18(木) 23:07:08 ID:F1aUWq5B
「許可する。スクウェアメイジ且つ、衛士隊の戦術継承者は貴重だ。使える幻獣でも舟でも好きなの使え。そのまま本国に送還しろ」
フーケは頷くと、予備の風竜が収めてある格納庫に向けて、走り出した

「ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ」
ルイズは、零戦の機動が激しかった事すら、そのまま肩車で対処してしまった
『才人の傍なら何でも平気。身体から力が湧いて来る、この行き先は…』
才人に脚で合図を送り、才人はレキシントンに向けて降下を始める
「ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル……」
呪文が完成した途端、ルイズは呆気に取られる
『敵味方全部巻き込む。どうしよう?地上戦は有利に展開してる。なら』
ルイズは杖を振るい自身の気持ちが命じるまま下す
『歓喜と絶望。味方すら巻き込みかねないから、絶望なのかな?』
ルイズはそんな事を考えつつ、艦を飛行不能になる事だけを考え、発動させた
瞬間、戦場が光りに包まれる
あっという間に包まれ、光りの中に呑まれた者達は敵味方含めて、一旦戦闘を停止する
「何だ?」
光が収まった後は、アルビオンの艦が全て風石を破壊され、煙を吹きつつ、ゆっくりと降下をし始める
降下位置に居た部隊は敵味方全員戦闘を投げ出し、そのまま散々になる
一番高空に居たレキシントンが着陸し、白旗を掲げ、トリステイン軍から歓声が上がり、決着した

零戦の機内に降りたルイズは才人の膝の上に座り、窓を閉めた後、惚けている
「……あたし、出来ちゃった」
「…あぁ」
「褒めてくれないの?」
「…後でな、着陸する」
「もぅ。馬鹿犬、絶対だからね」
ルイズはむくれて才人の顔を睨む
自分自身がどういう状態の才人の上に乗って居るのか、ルイズはまだ気付かない
そして、何故かデルフも無言である
草原に着陸すると、着陸体制を見てた一人の黒髪の少女が、いち早く駆けて来て、零戦に傍に駆け寄ると声を掛ける
「才人さん!!才人さん!!才人さん!!本当に来てくれた!!才人さん、開けて下さい!!私です、シエスタです!!」
シエスタが零戦の胴体を叩き、才人に催促する
「んもう、何よメイド。あたしのサイトに何か用?」
ルイズがガラリと風防を開けて、乗り出して答える
「ミスヴァリエール、負傷したんですか?」
シエスタが、真っ青になりながら聞く

「この通りピンピンしてるわよ?何で?」
418大人才人 タルブ降下戦4-19:2010/11/18(木) 23:10:12 ID:F1aUWq5B
改めて自身の服を確認すると、身体のあちこちに血がべったり付いている
「あたし…傷なんか一つもしてない。…サイト?」
改めて操縦席を見た途端、ルイズは真っ青になる
其処は、才人の血にまみれ、赤黒くなっており、才人は青醒めた顔で気絶している
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!何これ?何でこうなってるの?」
「……嬢ちゃんの詠唱中に、被弾したんだよ。相棒は、使い魔の役割を優先しやがった」
「ボロ剣!!何で教えないのよ?あんた溶かすわよ!?」
「相棒が、嬢ちゃんの一世一代の大博打に挑む時に、……邪魔なんざ出来るかよ」
「デルフさん。其より才人さんの傷は?止血しないと、死んじゃいます!!」
「左太ももに一発。背中に風穴。右肺潰れてる」
「何か薬とか無いの?ボロ剣」
「相棒は薬はって、思い出した。香水の嬢ちゃんが薬持たせてた。パーカーって奴の、ポケットに入ってねぇか?」
ルイズがポケットをまさぐると、小瓶が出てくる
「飲み薬?」
「そだよ」
ルイズは無言のまま、薬を口に含み、才人に飲みこませる
喉が飲み込むのを確認し、ルイズは続けてデルフに確認する
「どう?」
「おぅ、何とか血は止まった。だが、危ねぇ状態には変わりねぇ。動かすのも止めとけ。メイジに応援頼むんだな」
其を聞くと、空中に居た衛士隊に、ルイズは飛び降り、シエスタと共に大きな動作で注目を浴びる様に手を振り、気付いた衛士隊が降下を始めた

機内に残されたデルフは一人呟く
「幾ら何でも、あんな嬢ちゃんに歓喜と絶望背負わせんのは、宜しくねぇだろ?本当にムカつく野郎だな、えぇ?ブリミル=ヴァリトリよ」

*  *  *
「何とか、勝てましたね」
「本当にギリギリでしたな。あの光は一体何だったのでしょう?あれのお陰でトドメになりましたな」
「詳しいのは後です、マザリーニ。今は降伏したアルビオン軍の扱いを頼みます」
「承知しました、陛下」
「陛下?」
「はい、今からアンリエッタ=ド=トリステインは、国王にございます」
「あの、結婚は?」
「先程、やっと返事が来ましたな。援軍は2週間後ですと。そんな所と結婚なぞ、せずとも構わないでしょう」
「クス、そうですわね。では、此が終わり次第、戴冠式を行います。同盟は堅持で構いませんね?」
「御意」
「報告致します」
一人の衛士隊員が降下し、アンリエッタに膝を付く
419名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 23:10:30 ID:9mTKexVv
支援〜
420大人才人 タルブ降下戦4-19:2010/11/18(木) 23:12:54 ID:F1aUWq5B
「何でしょう?」
「はっ、近衛副長サイト=ヒラガ負傷。重体であり、即時の治療が必要。現在ゼッザール隊長他、三騎で空送中」
アンリエッタは青くなり、マザリーニも唸る
「…絶対に、死なせてはなりません。私自身で治療を行います。私はスクウェアでは有りませんが、王家の杖の助力が有ります。他の者より出来るでしょう。此所に誘導しなさい」
「ははっ」
衛士隊員はそのままグリフォンに飛び乗り、一気に上昇し、誘導する為に去って行く
「陛下」
「絶対に死なせません。カガクが何をもたらすか、マザリーニも理解致しましたね?」
「勿論です、陛下」
「彼の者の治療を最優先させます。些事は全てマザリーニ、貴方が指揮しなさい」
「ははっ」
マザリーニが指揮を取るために場を離れると、騎兵が5騎降りてくる
負傷者を抱えて居る為、ゆっくりと柔らかく着地すると、ゼッザールがレビテーションで才人をアンリエッタの前に、空中固定して差し出した
後にはデルフを抱えたルイズと、村雨を抱えたシエスタが後続の騎兵から降り、アンリエッタの前に跪く
「殿下」
「世辞は後です。負傷部位と状態を教えなさい」
「はい、デルフお願い」
ルイズは自身の声で伝える自信が無い為、デルフに頼む
さっきから、シエスタと共に震えっぱなしだ
「おうよ。左太ももに散弾喰らってる、多分弾残っているな。後、背中に風穴開いてるわ、エアスピアー喰らって右肺が潰れてる。出血の大半は背中からだな。薬使って何とか止血したが、やべぇ事には変わりねぇ」
「薬の種類は解りますか?」
「此です」
ルイズが小瓶をアンリエッタに渡す
「あら、この成分は、調合した人は本当に必死でやったのね。此、戦時でも限りが有るから、部隊に配備するのは無理の有る薬よ?」
アンリエッタは分析すると感心する
「先ずは傷の状態を見ないと。使い魔さんの服が邪魔ですわね。切り裂いて「駄目ぇぇぇぇぇ!!」
突然ルイズは大声を上げ、アンリエッタの声を遮断し、アンリエッタは驚く
「ルイズ=フランソワーズ?」
「駄目ったら、駄目なの。サイトは其を軽鎧って言ってたの。サイトがその程度の怪我で済んでるのは、その堅い服のお陰なの!!無くしちゃったら、次に闘いあった時に、サイトが死んじゃう!!」
シエスタも横で必死に頷く
「そうなのですか…これは、困りましたね」
「あたしが脱がせます」
「私もやります」
421大人才人 タルブ降下戦4-20:2010/11/18(木) 23:16:46 ID:F1aUWq5B
二人がレビテーションで浮いた才人からズボンとジャケット、パーカーを脱がせ、更にシャツ迄脱がせる
才人の服は血に濡れ、ルイズとシエスタは血まみれになるが、一切構わずに行動する
「此は、酷い」
ゼッザールが傷口を確認すると、顔をしかめる
もう時間が経っている為に、細胞が壊死を始めてる。本当に治療出来るかギリギリだ
「風使い、前に」
「私がやります」
ゼッザールが前に出る
「上手く黒ずんだ部分を切り取りなさい」
「はっ」
レビテーションを他の衛士隊に任せ
ウィンドカッターを上手く使い、黒ずんだ部分を切り取る
額には大量の汗が垂れる
「後は私が塞ぎます。太ももから、弾をえぐり出しなさい」
「はっ」
此また細心の注意でウィンドカッターで弾をえぐり出す中、アンリエッタが尋常ならざる集中で、治癒を連続詠唱し、徐々に傷が塞がっていく
其を血まみれになった二人が、祈りを込めて見守る
「良し、取れた。私は此で魔力切れだ。最小出力ってのは、中々に難しい」
「此方も塞がりました。傷が残ってしまうのは、私の技量では精一杯です。後は太ももですね」
アンリエッタが治癒を更に唱え、太ももの傷も塞がる
「施術…終了です」
「我らの副長殿は助かったぞ!!」
ゼッザールが声を上げ、周りから歓声が上がる
「では、貴方達も。大義でした」
アンリエッタが浄化を唱え、ルイズとシエスタ、其に血まみれの服が洗われ、血の痕跡が綺麗になる
「あの、出来ればヒコーキの中も。サイトの血で血まみれなんです」
「其は、我々に任せて貰おうか。あのヒコーキとやらは、学院に戻せば宜しいかね?ルイズ嬢」
「はい、お願いします、ド=ゼッザール。只、サイト無しだと触ってはイケない所とか解らないので、なるべく触らない様にして頂けますか?」
「了解した。母君と父君に宜しく頼む。衛士隊、出るぞ」
衛士隊は更なる任務を受け、去って行った
「さて、ルイズ。使い魔さんが助かったとは言っても、実はまだ、予断を許さない状態です」
「本当……ですか?」
「はい。血を流し過ぎました。このままでは体温も維持出来ず、夜を越えられないかも知れません」
「じゃあ」
「使い魔さんを人肌で四六時中暖める必要が有ります。勿論裸です。服を着ていては駄目です」
「えっ!?」
ルイズは真っ赤になるが、シエスタが答える
「私がやります。殿下」
422大人才人 タルブ降下戦4-21:2010/11/18(木) 23:18:08 ID:F1aUWq5B
「助かりますわ。一人では無理なので、交代でお願い致します。アニエスは戻りまして?」
「今、グラモン隊長と共に戻られました」
「通しなさい」
「はっ」
伝令が駆けて行き、アニエスとジェラールを連れて来る
「ジェラール、アニエス、ご苦労様でした。ジェラールは引き続き戦後処理を、アニエスは銃士隊を三分隊と共に、私と先に王宮に戻りなさい。使い魔さんの治療です。直ぐに戻りますよ」
「了解です、殿下」
ジェラールは才人を一瞥すると、任務に戻る
アニエスは才人の状態を見て、表向きは平然としているが、内心は誰にも解らない
「銃士隊の馬車に、使い魔さんとルイズと平民の娘さんを乗せなさい。私はユニコーンに乗り、戻ります」
「ははっ。では準備をしてきます」
アニエスは準備をする為に去って行った
「さてと、使い魔さんを暖めないと。レビテーションは私がやるから交代です。其とアニエスが来るまで、天幕に居ますので、誰も入れない様に」
「ははっ」
アルビオンが降伏した時点で陣を敷き、既に小さいながらも天幕がある
アンリエッタはその一つに才人を伴って入り、才人を絨毯に寝かせると、そのまま才人を抱き締める
続いて入ったルイズとシエスタは、その様を見て、呆然とする
「ひひひひ姫様?」
「何をしているのです?予断を許さないと言った筈ですよ?直ぐに出ますから、服は脱げませんが、其でもやらなければ駄目です。早く空いてる場所から暖めなさい」
「失礼致しました」
ルイズが答え、シエスタが直ぐに才人の隣に寝転がり、才人を抱き締め、ルイズは躊躇する
「あの、二人で隣同士だと、あたしは?」
「早く毛布でも探すか、其処で見てなさいな、ぺったんこ」
「は、はい!!……今、さらりと酷い事言いませんでした?姫様?」
「さぁ?」
アンリエッタが澄まして答え、シエスタは感心し、ルイズは喧嘩も出来ず、他の天幕から毛布を探し出して才人達に掛け、アンリエッタをジトッと睨むが、毛布の中でアンリエッタは舌を出し、そんな様をシエスタは感激しつつ見る
アニエスが準備を整えて来る迄、更に30分程掛った

*  *  *
423名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 23:20:10 ID:yJh9CrL9
支援
424名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 23:23:06 ID:n7yJouqa
支援
425名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 23:23:30 ID:tIWZqByU
支援
426大人才人:2010/11/18(木) 23:46:44 ID:F1aUWq5B
投下終了なのね〜

大人才人タクティクスなのね〜
今回は三本立てなのね
先ずは佐々木少尉なのね〜
「読者に対し、敬礼!」
「小官が航空機動、マニューバに並びに才人氏,アベル氏の戦闘行動に付いて説明させて頂きます」
「急旋回,ブレイクとも言われております。編隊を散開する場合もブレイクと呼ばれるであります」
「バレルロール,飛行機で行う側転であります。片翼を支点にしてひっくり返った後、更に胴体を軸に一回転すれば、飛行機の全幅分回避出来るであります。風竜では出来ますが、火竜では出来ないであります」
「インメルマンターン,飛行機の宙返りの頂点で180゜ロールを行う、又は宙返りとロール行動を一緒に行う機動であります。風竜は出来ますが、火竜は出来ないであります」
「運動エネルギーを位置エネルギーに変換する最も効率的な機動であり、垂直上昇より有効な、空戦機動の大事なマニューバで、ジェット機でも行われております」
「スプリットS,インメルマンターンの降下バージョンであります」
「スリップ,飛行機のドリフトであります。才人氏は予測偏差射撃を行う際に、機体を横に振って行っております」
「木の葉落とし,零戦特有の失速落下マニューバであります。実戦で使われたか、議論が交されている状態であります」
「左捻込み。零戦特有マニューバであります。坂井三郎中尉が得意としており、宙返り軌道のショートカットが可能で回避に最適であります。機動操作が難しく、実戦では一度も使われておりません」
「尚、大いなる意思によると、ワルド氏の出撃パターンは4パターンあり、左右側面と正面も考慮されておりました」
「左右側面では、それぞれ才人氏とルイズ氏双方が被弾、それぞれ片手片足をもがれたそうであります」
「正面の場合、急降下回避でルイズ氏戦死。バレルロール回避で、ルイズ氏落下。才人氏がスプリットSで救出するも才人氏又はルイズ氏被弾。やはり戦死との事でした」
「何故そうなるかと言うと、風竜の瞬間速度は零戦に匹敵とされてる為、零戦の急降下速度を出せる為、運動エネルギーが桁違いに跳ね上がり、防御をスクウェアの能力含めて貫通してしまうからであります」

「正に偶然でのギリギリ勝利。ルイズ氏は本当に、乗り込むべきで無かったであります」
有り難うなのね〜
427名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 23:50:13 ID:n7yJouqa
GJ
これからもよろしく
428名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 23:51:53 ID:ceISKeeC


原作でも序盤の山場のタルブ戦ですね。
今回も読み応えあり。
429名無しさん@ピンキー:2010/11/18(木) 23:55:07 ID:tIWZqByU
430名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 00:08:40 ID:yNVA1xxm
シエンスタ
431大人才人:2010/11/19(金) 00:17:33 ID:n6tOoM2W
続いてアニエスなのね〜
「解った、地上戦での銃兵の用兵に付いて説明する」
「先ずは三段撃ち。一番数が少なくても連続射撃が出来る体勢だ。他に小姓に弾込めさせて、銃兵一名で連続射撃する形態もある」
「次に横陣。此は銃の攻撃力を正面に対し最大限に発揮する陣型だ。その分防御力に劣る」
「その次は方陣。正方形の角を正面に据える。此は防御に適した陣型で、全方位から攻撃を受けても対処出来る」
「本編では2個の方陣を横並べで並べており、正面並びに45゜方向に対し、全力射撃が出来る、機能的な陣型である」
「尚、ジェラールが、此方の盾になるために、わざわざ私達の前に降下突撃している。全く、余計な事をしてくれた」
有り難うなのね〜
では次に、サンドリオンなのね〜
「ちょっと待て、何で俺を出す?此処は、ジェラールだろうが?」
「良いからやりなよ。サンドリオン」
「こらカリン、またお前は勝手に動きやがって」
「いいい良いじゃない。私達の出番は、この先1〜2年は後だから、サービスだって言ってるもの」
「ち、仕方あるまい。先ずは、衛士隊のチャージ方法は、地球に於いては同じ行動が出来る兵科が無い。実は巡航ミサイルのみである」
「さて、ヒポグリフの最高速度は、馬の倍と明確に規定されており、馬の最高速度は60km/h位。重装騎兵なら50km/h以下か?」
「衛士隊は軽騎兵であるから、ヒポグリフは最大速度を存分に出せる訳だ。120km/hの100m通過時間は、僅か30秒。迎撃相手は詠唱一発しくじったら、其処で終了だ」
「いやぁ、此に気付いた時は狂喜したね。演習で確認してから、そのまま即採用されたよ。で、何故錐かと言うと、槍には騎兵の数が足りねぇ、錐が精々だって自虐による訳だ、これが」
「あ〜、聞いて聞いてよ〜。サンドリオンったらね、わたしの演習参加を禁止したんだよ?酷いと思わない?ねぇ、皆」
「当たり前だ。せっかくの錐の戦術確認の場所なのに、三隊の全衛士をトルネードで空に打ち上げやがって。評価なんざ出来ないじゃないか」
「ひっど〜い」

何か色々大変なのね

きゅいきゅい
432名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 00:21:33 ID:rV8Q1ILz
乙〜
433名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 00:26:03 ID:3tr3bNaP
>>431
乙!
アン様が限りなく腹黒くなってwktkが止まらないんですが!
434名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 00:27:17 ID:afCiNqJy
ぺったんこてw
435名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 05:54:10 ID:n6tOoM2W
>>431
100m×
1000m〇
436名無しさん@ピンキー:2010/11/19(金) 22:44:25 ID:afCiNqJy
容量いつの間にか一杯だな
437名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 12:40:25 ID:lBWt22k1
次スレ?
438名無しさん@ピンキー:2010/11/20(土) 23:35:49 ID:1+AMTRbN


マックス・インメルマン中尉は若くして戦死したのでしたな。
日本海軍の横山保中佐は大戦に生き残って、後の空自の立ち上げにも参加したが。
この物語でのサイトの運命はどうなるのか。
439名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 01:05:09 ID:tSKhjtQ3
おれ、アニメから入ったくちなんだけど。
ココ読むと、原作読んでるともっとおもしろそうだね。
(まぁ、なんでもそうなんだろうが)

原作スレのテンプレのぞいたけどいまいちわかんない。
アニメの三作って原作通り(?)通巻で進んでるの?
それともショートエピソードとかはさむのに各巻とりまぜてるの?
440名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 02:57:45 ID:wKPqrlhI
>>439
読めば分かる
1〜3期の話は原作の1〜10巻がベースだが8巻が丸々抜けてる
441大人才人:2010/11/21(日) 22:12:57 ID:sqssYuoI
イルククゥでシルフィードなのね〜
大いなる意思による、オストラント再設計終了なのね
原作コッパゲ、どうやってシリンダーとピストンとクランクシャフト製作したのね?
ふざけんななのね〜
タービンは不可能と判断したけど、クランクシャフトも同じ位無謀なのね
まぁ、低圧蒸気が精々なのは、描写で直ぐに解ると言ってるのね
あれ、熱効率5%以下と、大いなる意思は語ってるのね
機械損失も多大だから、更にスポイルされると言ってるのね
其でも時速50リーグ出してるんだから、大した発明品なのね〜きゅいきゅい
では注意事項なのね

・才人年齢上昇
・シエスタのターン
・残り容量分迄投下、多分5レス位
・携帯厨の為、スレ立て宜しく

では反映次第、投下開始なのね〜きゅい
442大人才人 シエスタの日記5-1:2010/11/21(日) 22:14:25 ID:sqssYuoI
シエスタの日記
○月×日
才人さんが帰って来てから、一気にやる気120%
シエスタは今、猛烈にやる気が出てます!!
例えば、無駄毛の処理とか・・・貴族の皆様、皆ツルツルなんですよね。羨ましいなぁ
私も負けないように、お手入れお手入れ
下の毛はどうしよう?
形を整えるだけで良いかな?
才人さんに、いつ見せても大丈夫な様にしないとね
次こそは奪われちゃう様にしないとね
頑張るぞ、おー
でも才人さん、居たと思ったら、突然ふらりと居なくなるなぁ
何時も何処に行ってるんだろう?

ひいお爺ちゃん、才人さんは、謎が増えていってます
いつか、教えてくれるかな?

○月×日
失敗しました
才人さんが気になるから、居なくなる時間帯に森迄尾行をしたんですけど
突然、ふっと居なくなってしまいました
後ろに目が付いてるみたい
ん、待てよ?デルフさんが教えてるのかな?
そしたら、私じゃ尾行出来ない
困ったなぁと思ってたら、ミスタバサと遭遇してしまいました
「ミスタバサ。どうして、こんな所に居るんですか?」
「…」
相変わらず、才人さんの前以外は無口ですね
困った
「…尾行」
「才人さんのですか?」
ミスタバサが、私を見上げます
「居るの?」
「私は、才人さんを追ってみたんですけど、違うんですか?」
コクリと、ミスタバサは頷きます
「モンモランシー」
「ミスモンモランシもこの森に?」
コクリとまた頷きます
「昨日は、才人を尾行して撒かれた」
「成程、ミスモンモランシも来たから気になったと」
コクリと頷きます
「ミスタバサ程のメイジでも、撒かれるんですか?」
コクリとまた頷きます
此は、何だろう?
嫌な予感がムクムクと
「…まさか、密会?」
その瞬間、ブワッとミスタバサから膨大な冷気が
「おおお落ち着いて下さい、ミスタバサ。ミスモンモランシは水のメイジでしたよね?私は魔法は解りませんが、誰にも言えない魔法を使う可能性も、有るんじゃないですか?」
一気に冷気が収まりました
こ、恐かった
「…その可能性も高い。寧ろ才人の場合、確実にそっち」
ミスタバサはくるりと向きを変え、魔法学院に向かって歩き出し、私に声をかけます
「才人なら、内緒なのは理由が有る。貴女も帰る」
「は、はい」
何でしょう?
ミスタバサ、才人さんに絶大な信頼を寄せてます
「あ、あの」
ミスタバサが顔を上げます
443大人才人 シエスタの日記5-2:2010/11/21(日) 22:15:29 ID:sqssYuoI
「才人さんを、凄く信頼してませんか?」
「…一緒に、冒険すれば解る」
「才人さんの話になると、会話が弾みますね?」
ミスタバサ、少し照れてるのかな?
「…才人は、メイジじゃないのに、メイジより魔法を使える」
「それって、凄いんですか?」
「…スクウェアでも、才人には勝てない」
スクウェアって、メイジの最高峰ですよね?
「スクウェアメイジと才人さん、戦ったんですか?」
ミスタバサがコクリと頷きます
「まさか、勝っちゃったんですか?」
コクリ
「才人さんって、本当に『我らの剣』なんだ」
「違う、私の勇者」
「…へぇ、宣戦布告ですね?」
「…上等」
「選ぶのは、才人さんですからね?」
「解ってる」
「それじゃ、お互いの健闘を祈って、握手です」
私が手を差し出すと、ミスタバサも握手してくれます
「アプローチを邪魔しない。守れる?」
「良いですよ。フェアに行きましょう」

私達はそのまま帰りました
ひいお爺ちゃん
才人さんのお嫁さんの道は、ライバルが次々登場します
私、最後迄生き残れるかしら
ひいお爺ちゃんの力を貸して下さい

〇月×日
参った
変な人が私のメイド服を着てた。一体誰だろう?
私が洗濯物をしまいに行ったら、確かに干してたメイド服が、無くなってたんです
「あっれ〜?」
「どうしたの、シエスタ?」
「此所に干してたメイド服は?」
「風で飛んで行ったとかじゃない?才人さんの居る前で、悪戯する貴族様が居るとは思えないし」
「それもそうよね。ちょっと、周辺探してくる」
才人さんの影響力は影ながら絶大だ。どうやら、男性貴族達には噂が流れていて、才人さんの怒りを買う悪戯は、絶対にするなと周知徹底されてるらしいです
メイドを口説こうとする貴族様もいらっしゃるので、口を滑らせて貰ったメイド仲間が言ってました
最もタイプじゃないとかで、軽く踏んじゃったみたいです
どうやら、あのミスタグランドプレらしいのですが
体型はまぁしょうがないとして、あの踏まれて喜ぶ趣味、どうにかなりませんかね?
う〜、考えただけで鳥肌が
おっと、続き続き
それでですね、何処にも見付からないから、厨房で夕食準備中のメイドで、誰か拾ったかなって思ったから、行ってみたんです
ガチャ
「失礼しま〜す。誰か、干してたメイド服を拾ってない?」
「きゅい?」
444大人才人 シエスタの日記5-3:2010/11/21(日) 22:19:26 ID:sqssYuoI
口をもっきゅもっきゅしながら、両手にとんかつを刺したナイフとフォークを持って、メイド服を着た青髪の女性が、テーブルからこちらを振り向きました
「えっと、初めまして?新しい奉公人の方ですか?」
「何だ?シエスタも知らねぇのか。シエスタのメイド服着てるから、てっきり知り合いかと思ったんだが」
マルトー料理長がそう言うので、メイド服を良く見てみると
「あ〜〜〜!?私のメイド服〜〜〜!?何で着てるの〜〜〜?」
思わず指を指してしまいました
もっきゅもっきゅしてた口の食べ物を飲み込むと、その女性は話します
「着る服無かったから借りたのね。きゅいきゅい」
ナイフとフォークに付いた肉を口に放り込み、もっきゅもっきゅと、幸せそうにしてます
「返して下さい!!所でお名前は?」
もっきゅもっきゅ、ごくん
「ん、イルククゥなのね、きゅいきゅい」
何で語尾が、きゅいきゅいなのだろう?
深く考えたら負けの気がする
「それじゃ、次はマトンとラムと牛と鶏でお願いするのね、きゅい」
「おぅ。試作品だからたんと食え。姉ちゃんの食いっぷりのお陰で、やる気が皆出てるわ」
次々と皿に各種揚げ物の試作品が乗っかり、イルククゥと名乗った女性はあっさりと食べていきます
ミスタバサと同等以上の食べっぷりですね
「えっと、何でイルククゥさんは厨房に居るんですか?」
もっきゅもっきゅ、ゴクン
「才人と遊ぼうかと思ったんだけど、才人がイルククゥがお腹空いたの知ったら、此所に連れて来られたのね、きゅいきゅい」
「才人さんと知り合いなんですか?」
「いつも才人を上に乗っけてるのね〜。才人のいい子いい子は気持ち良いのね、きゅいきゅい」
周りがドヨって騒ぎます
マルトー料理長も唖然としてます
私も唖然です。だって、見るからに妙齢のスタイル抜群な美女なんですもの
やっぱり、才人さんは大人の女が好きなんだ
メラメラと嫉妬と羨望が
「ん、ご馳走様なのね」
「それ、才人さんと同じ」
「才人に習ったのね〜」
確定です。判決、死刑
「それじゃ、服を返すのね」
へ?今ですか?
イルククゥさんは一気に服を脱ぎ、その場で全裸になって、私にぽふって、メイド服を渡しました
抜群のスタイルを見た料理人達から、歓声が上がります
「お〜肉お肉〜美味しかったのね〜る〜るる〜♪」
445大人才人 シエスタの日記5-4:2010/11/21(日) 22:20:53 ID:sqssYuoI
歌いながら全裸でステップを踏みつつ、ガチャリと外の扉を開けて出ていきました
「あっ、裸で外出たら大変な事にってか、風邪引いちゃいます!!」
慌てて私が出ると、外には誰も居なくなってて、シルフィードさんが低空を飛んでました
「あれ?何処に行っちゃったの?」
ポカンと立ってると、マルトー料理長が出て来て、ポツンと呟きました
「まぁ、魔法学院には、たま〜に変なの来るからな。どういう訳か、全員警備かい潜って来やがる」
「…ザルなんですね」
「きちんとやってる教師なんざ、皆無だからな。さてと、夕飯の準備の続きすっか」
一つ伸びをしたマルトー料理長は、厨房に戻りました
私も本来の仕事に戻ろうかとしたら、才人さんが茂みからガサガサ出て来ました
「あ〜参った。まさか萎えてても無理矢理可能とか、完全に逆レイプじゃねぇか。本物の蛸みてぇに烏口じゃなくって良かったわ。本当にちょん切れるかと。お、シエスタ。ぶぅたれた顔してどうした?」
才人さんが此方に気付き、声を掛けます
「才人さん、顔とかに痕付いてますよ?」
「あぁ、これ?スキュラに思い切りもてあそばれた。上半身は美女でも下半身は蛸だから、思い切り絡まれてこうなった」
「へぇ、流石才人さん。使い魔でも、女性には人気有るんですねぇ」
「…何か棘ない?」
「イイエ〜。つかぬ事をお聞きしますが、イルククゥって名前に、心当たり有りませんか?」
「あぁ、そういやそんな名前のメイド、厨房に放り込んだっけ」
良し、アリバイ成立
行け!シエスタ!!
一気に間合いを詰めて足を思い切りダン!!って踏んで、そのまま押し倒して、喰らえっ!!怒りの拳を才人さんに乗っかったまま、ボコボコにしちゃいました
「……俺が何をした?」
ボロボロになった才人さんが、そのまま気絶しちゃいました
「あれ?そう言えば、知り合いとは言って無かったよね?まさか?」
さぁっと、血の気が引きます
「私、早とちりしちゃった?」
慌てて才人さんを起こして聞いたら、初対面だって
やっぱり誤解でした
やってしまったぁぁぁぁぁ!?

ひいお爺ちゃん
穴が入ったら入りたいです
ぐすん

446大人才人:2010/11/21(日) 22:35:19 ID:sqssYuoI
投下終了なのね〜
もう一日分投下しようとしたら、容量オーバー確定だから控えるのね、きゅい
大人才人タクティクスなのね〜
今回はシエスタなのね〜
「はい、日記は丸々私が主人公です。毎日書いてる訳では無いんですよ。実はそこまでマメじゃないです」
「ただ、こう特徴的な出来事があった時や、塞いだ時の気晴らしに書いてます」
「そもそも日記を始めたのは、文字の習熟を目的として、奉公を始めた3年前に、適当に書き始めたのが始まりです」
「才人さんが来る迄の日記は、仕事の愚痴と貴族様への行き場の無い怒りとか、どうもマイナス面ばっかです」
「才人さんが来てから、ピンク色になってしまいました。てへっ」
「才人さんが来てからは、何故か書く機会が増えました。何で才人さんは、トラブルに巻き込まれるんでしょうね?」
「でも、才人さんのお陰で、貴族達にも苦労や悩み、出来ない事への渇望がある事が、解って来ました」
「魔法が使えるってだけで、やっぱり人間なんですね。ちょっと考えさせられます」
「でも、私は頭良くないから、考えても中々結論が出ないんです。はぁ、困ったなぁ」

有り難うなのね〜

きゅい
では、またの機会迄さよならなのね

きゅいきゅい
447名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 22:44:48 ID:92PZKVCJ

496K だな
もうすぐ次?
448名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 22:46:25 ID:pq5RNf2p
次スレまだだよな?
立ててくる
449名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 22:51:10 ID:pq5RNf2p
立った
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合42
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1290347331/

あと忘れてたので
>>446
GJ
450名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 22:57:42 ID:cRGUY+ct
>>446
GJ

そして次スレ立てサンクス
451名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 23:05:38 ID:o8hnj7aD
GJ!
内燃機関用のクランクシャフトやタービン軸に使うような
精度と耐久性が要求される軸受けはどう考えてもハルケギニアじゃ作れないよな
452名無しさん@ピンキー:2010/11/21(日) 23:10:16 ID:CopOpX03
>>451
コッパゲの残り少ない毛髪と引き換えに精度を出して(ry
453名無しさん@ピンキー:2010/11/22(月) 02:02:08 ID:P/S4f0WV
>>446
乙!
シエスタは苦労人だねぇ・・・
454名無しさん@ピンキー
うめ