古代・中世ファンタジー・オリジナルエロパロスレ5

このエントリーをはてなブックマークに追加
429名無しさん@ピンキー:2012/01/23(月) 19:35:31.61 ID:2Z4MMr7f
みんな結構いろんなスレにいるのな…
430名無しさん@ピンキー:2012/01/23(月) 20:30:40.82 ID:iE2UIg4f
そりゃまぁ上手い人とかって結局書くのが好きな人だからな
思いついたネタに当てはまるスレを探してうろつくんだろう
431名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 08:38:50.37 ID:KNn1jd82
>>430
いやお前らのこと。
色んな場所で読んでるのなーと思って。

常駐スレかぶってる住人(まぁ書き手読み手兼任あるだろうけど)は、趣味が似てるんだろうな。
432名無しさん@ピンキー:2012/01/24(火) 08:40:01.35 ID:KNn1jd82
ごめん、ageちまった…
433名無しさん@ピンキー:2012/02/11(土) 21:21:51.68 ID:nUyVG5d2
保守&復旧
434名無しさん@ピンキー:2012/02/17(金) 17:55:16.83 ID:VgNPd2dz
再度保守
435名無しさん@ピンキー:2012/02/29(水) 23:59:09.92 ID:71BDfRl5
世界一期待するスレ
436名無しさん@ピンキー:2012/03/05(月) 01:42:15.21 ID:MIv8Yf9T
きたい
437まえおき:2012/03/29(木) 08:50:23.98 ID:2gwib3/T
★見習い魔女とオッサンの叙事詩〜Hexe nina and erwachsener saga〜(ヘクセニーニャ アンド エアヴァクセナー サーガ)

投下させていただきます。
○レスです。
下記URLはヒロインのイメージイラストです。
イメージを壊したくない方はご遠慮ください。
passは「6210」です。
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2802501.jpg.html
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2802463.jpg.html
438ヘクセサーガ 一章 1と2:2012/03/29(木) 08:51:53.02 ID:2gwib3/T
 一章「過去より導かれし運命の少女」



 1

 ラドラクス大陸から魔物や魔法といった「混沌」が去ってちょうど五百年が経とうとしていた。
 「混沌」がなぜ去ったか、正確にはいつ消えたのか、そういったことはいまや人々の間では謎に包まれていることになっている。
 魔法はともかく魔物がいなくなったことで人々の生活は非常に安定したものとなった。
 もちろん人間同士の小競り合いや戦争は耐えないが、少なくとも五百年以前のような、人間の存在自体が危ぶまれるような事態はなかったからだ。
 ゆえに、大陸の人々は「混沌」に対しては色々な想像を巡らせるのみであった。
 シア・ラマ歴1689年をむかえるまでは…………



 2

 トーレの草原で、壮年の男は窮地に陥っていた。
 息は荒く、振りむいた顔はけわしく、足取りもあやうい。
 彼は五百年前にほろびたはずの魔物に襲われていたのだ。
 それも、まばゆい太陽が照りつける白昼堂々である。
 背には身の丈ほどもある大剣をたずさえ、たくましい長身体躯と身なりからすると傭兵稼業をして生計をたてる旅人のように見える。

 男は魔物をまこうと、今いる草原から森の中へと入ってゆく。
 だがこれが誤算だった。
 十歩ほど木々を分け入ってから後方を振り向いたものの、魔物の姿が見当たらない。
 そして、突如として視界の隅の大木から触手が殺到してきた。

 男は舌打ちをまじえながら両手大剣を抜き、魔物の硬化した触手をはじき返す。
 間一髪ですべてを受けながしたが、しくじったと思わざるをえない。
 魔物の姿が見えなくなって余計ピンチになってしまった。
 しかも、相手はああ見えて異様に動きがすばやい魔物だ。

 男は焦燥を募らせる。
「――っ?!」
 ドフッ、というにぶい音とともに、男の口から声にならないうめきがもれる。
 眼を下にむけて自分の腹部から突き抜けている何かを見やると、こみあげてきた鮮血がはき出され、地面を朱に染めた。

 何が起きているのかわからない。
 これが自分の最後だとしたら、あまりにも呆気なさ過ぎる。
 自らの生きる理由を見つける前に死にたくはない。
 そう思うと、総身に気力が染み渡るのを感じた。

 しかし、身体を動かすことはかなわなかった。
 気付けば触手に四肢を拘束されているという事実に気付く。
 眼前に漂よってくる幾多の触手刃。
 ゆらゆらと揺れるそれが自分のことをあざ笑っているように見え、男は微かな恐怖と大きな屈辱を感じ、わななく。

 触手刃はまるで死刑執行人の振り上げる斧のように上空へと伸ばされる。
 さしもの彼もこの時は一瞬死を覚悟した。
 まさにそんな時である。
 彼と触手の傍らで何者かがむくりと起き上がったのは。
439ヘクセサーガ 一章 3:2012/03/29(木) 08:52:48.63 ID:2gwib3/T
 3

 ようやく目覚めたとはいえ、少女の意識は未だまどろんでいた。
 彼女の寝覚めはよくないほうで、よくベッドで上半身を起こしたまましばらくぼーっとしていることがある。
 いつもと違うのは妙にまぶしいという点だった。
 それが太陽の光だと解り、道理でまぶしいわけだ、と思ったのもつかの間。

 なんとなしに右に眼を向けてみると……見知らぬ男が魔物に磔にされていた。
 魔物は背を向けていて、しかもまだ彼は生きている――そう感じとった彼女の身体に一気に活力がみなぎり、杖を手に魔物へと疾駆する。
 少女の姿をみとめた男の目が大きく見開かれる。
 彼女は人間離れした跳躍で魔物へと飛びかかり、その巨大な樫の木の杖を振るった。

 ドグシャァアアッ――!!

 もの凄い打戟音がひびきわたった。
 魔物の身体が大きくゆがみ、吹っ飛ぶ。
 磔から解放された男は驚愕の表情をあらわにしながらも、ふたたび両手大剣を持ち構える。
 自身を救ってくれたその少女は、跳躍力・スピード・武器さばき・膂力と、すべてにおいて十代前半の少女――いや、人間のそれを上回っているといってよかった。

「助太刀、感謝する!」
 男が朗々と叫ぶと、少女は無表情でかすかに頷いた……ように見えた。
 その後の彼の動きはまさに水を得た魚の如しであった。

 体勢を立て直した魔物は、今度は少女をねらって触手をビュゥンと放ってくる。
 かなりの速度で迫ってくる、それも無数の触手を、彼女は難なく杖ですべて弾き返す。
 その隙に男が魔物の横合いから襲い掛かる、が魔物も三本の触手を放って応戦した。
 しかし男は二の轍を踏まず、腕や脚にかすらせるに留める。
 上空に振りかぶった大剣が魔物の脳天へと振り下ろされ、魔物は見事に一刀両断――紫の鮮血が派手に噴き出した。
 こうして彼は、ようやく一匹めの魔物を仕留めたのである。
440ヘクセサーガ 一章 4−1:2012/03/29(木) 08:54:16.53 ID:2gwib3/T
 4

「【治癒〜cura〜(クーラ)】……」

 透明感のある綺麗な声で少女がなにかつぶやくと、ヴァッツの胸元に淡緑の光が収束してゆく。
 少女は瞑目し、口と指先を世話しなく動かしてゆくその内に、男は胸のキズがふさがってゆくのを感じていた。
(すごいな…………)
 それが正直な感想だろう。
 これが…………これが「魔法」というモノなのか。
 先刻の戦闘では行使っていなかったようだが、こうして明確な効果を見せられると魔法の凄さを実感せざるをえない。ならばなおさら何故この「魔法」という存在が世界から喪失(うし)なわれたのか気になる。どの文献にも直接的な原因は載っておらず、詳細不明なのである。

「……キミは一体、何者なんだ?」
 とすっかり完治した胸元をなでながら、男は当然の疑問を口にした。
「俺はヴァッツ=レージル。旅の傭兵だ。きみは一見したところ……」
 男――ヴァッツは言葉に詰まった。果たしてこれは訊いていいことなのだろうかと、少し迷ったのだ。

「…………魔女見習い」
 少女の声は小さかったが、ヴァッツには十分聞き取れた。
 半そでの上衣(チュニック)に短めの外套(マント)、これまた短い腰布きれ(スカート)に革の長靴(レザーブーツ)といった出で立ち。
 なるほど、彼女の格好はヴァッツに大昔の魔女見習いの容貌を連想させていたが、予感は的中していたのだ。

「……ど、どうしたら信じてもらえるの、だい?」
 ???
 ……ヴァッツはいま強烈な違和感を覚えた。
 見たところ十歳くらいな上、非常に可愛らしいお顔にまったく似つかわしくない口調だったからだ。

「や、別に疑ってかかってるわけじゃないんだが……」
「……あたしは過去から来たんだ。あ、あたしを妬んでる愚か者どもが未来に飛ばしやがったんだよ」
 ヴァッツは噴き出しそうになった。彼女は明らかにこの口調で話すのが不得手そうな上、少し恥ずかしそうにしている。

「ま、まぁそいつらは今ごろ牢獄に入れられてるだろうが、ね。……もしかしたら死んでる可能性だってあ、あるし」
「ふむ、そうか…………実は、この大陸はここ五百年ちかく、魔物や魔法といったものと無縁の歴史を紡いできたんだ」
「な、なんで…………だって?!」
 ヴァッツはついに噴き出した。
 それを見た少女が少し顔を赤くした。

「な、な、な…………何がおかしいの、だい?!」
「いや、あんまり似合ってないと感じたんでな、その口調。加えて、ところどころつっかえてるじゃないか」
「くぅ…………」
 少女は悔しげに呻いた。

「ま、それはともかく。未だ名前を訊いてなかったな?」
 ヴァッツはごく自然に話を逸らす。
 少女はハッとして、急にクールな表情になって口を開いた。
「わ、私は…………あたしの名前は…………」

 彼女の一人称が異なっていようが、ヴァッツとってはすでに瑣末な事項だった。
 これからいちいち反応していたらキリがないし、馬鹿らしくなるだけだと思ったからだ。
「……フェ、フェリラディ=エキドナ、だよ…………リディって呼んでよ…………」
 急にしおらしくなった彼女――リディに、やはり違和感を覚えてしまう。
 さっきまで姉御口調だったからだろう。
 こっちの方が似合っているような気がする。
441ヘクセサーガ 一章 4−2:2012/03/29(木) 08:55:28.11 ID:2gwib3/T
「リディ、か……可愛らしい名前だ」
 男のその言葉に少女は顔を赤くしてうつむく。
「ところで、出身は何処なんだ?」
 リディは「えっ……」という顔になった。
(この人、私の言うこと信じてない……失礼だな…………)
 実際には信じていないのではなく、過去彼女が住んでいた地域を知りたいだけである。

「……ふ、ふん、すぐに信じろとは言わないよ。けど、あたしは本当に過去から未来へ飛ばされたんだ。ここが何年後かは解らないけど、その様子だと今のこの大陸では魔術の存在は珍奇なものなんだね」
 リディは一息で言い終えた。
 しかもまったくつっかえることなく。
 どうやら感情が揺らいでいるとこの口調になるらしい、とヴァッツは推測する。
 もちろんその限りではないとおもうが。

「……わかった、信じよう」
「えっ…………」
 少女の愛らしいおもてに微かな喜色がさす。
 そもそも疑ってわけではないが、「疑われたと疑われた」のをいちいち吐露したところで何か意味を為すものでもない。

「ほ、本当、かい?」
「ああ、疑ってもしょうがないからな。俺だって人を見る目を多少は持ってるつもりだ、キミが虚言を弄しているようには見えない」
「あ、ありが……さんきゅ」
 面映そうに礼を述べるリディに、ヴァッツは一言付け加えざるをえない気持ちになった。

「余計なお世話かもしれないが、その口調はあまり似合ってないぞ」
「わ、分かってるよ」
 少女は慌てて言い返した。
 そのことには触れられたくないようだった。

「分かってるけど……あたしの憧れの人がこういう話し方だから」
 リディはそれだけ言って押し黙る。
「……そうか、なら良いんだ。だが、傍から見ると無理してそういう口調にしているように見えるんでな。や、好きでやっているならこれ以上口を出さんよ」
「あ、ありがとう」
 リディはまた早口で言った。
 ヴァッツは素の口調のほうがこの娘らしくて良いと思ったが、前言どおりこれ以上の突っ込みを入れるのは自重した。

「ところで、さっきの戦いについて訊きたいんだが……」
 ヴァッツは例によってごく自然に話題を変える。
「……なんだい?」
「さっきの魔物との戦闘時、いつ魔法を使ったのかと思ってな」

 ヴァッツの言葉にリディはかわいらしく首を傾げる。
「ずっと…………」
「うん?」
「最初から最後まで、ずっと……使いっぱなしだったけど?」
 リディの台詞はにわかに信じがたいものだった。
442ヘクセサーガ 一章 5:2012/03/29(木) 08:57:06.65 ID:2gwib3/T
 5

 トーレの村は「西の辺境国」とも云われる小国ギルヴェストのさらに辺境、南端に位置する農村である。
 およそ二十分もあゆめば海へたどり着くものの、ここの海は魚が取れないため夏に子供たちが遊びに来るだけの場所だったりする。

「さて、と…………」
 村についたヴァッツたちは大変な事態が起こっていることなど露とも知らずのんびりしていた。
 が、彼の顔を知っている男に見つけられると、
「あ、ヴァッツさん! ちょっと来てください、ヴァッツさん!」
 とすぐに呼び止められる。
 この村には顔見知りが多い。

「久しぶりに来たんだ、慌てることもないだろうに」
「火急の事態なんですよ! あなたならなんとかできそうだ……村長に力を貸してあげてください!」
 明らかに不機嫌な態度を示してみたが、そこまで乞われては仕方がないと、ヴァッツは男に案内されるままに村長宅に赴くことにした。
「ところで…………いや」
「彼女か? 魔女見習いだ」

 「いや」と言ったのに自分の疑問に対し正確な返答をよこされ、おもわず身構えてしまう。
「ん……魔法のない世界に一人、魔法をつかえる彼女がこうして未来にきたんだ。少しは親切にしろ……っておい、なに怖がってる」
 ヴァッツは後ずさりしている男にあきれつつも言った。
「彼女は悪い人間じゃない。おまえどころかおそらく俺さえ敵わない相手なんだ、その気がありそうだったら行動を共にはしないさ」
 それどころか俺自体いまごろあの世でくだを巻いていただろうしな、と心の中でつけ加える。

 簡単に認めるのはなんとなく悔しいので「おそらく」を付け加えておいた。
 男は驚愕の表情を隠しきれなかった。
「ヴァ、ヴァッツさんがこんな小娘に負けるわけないじゃないですか!」
「……俺も多少はそう思いたいところなんだが」

 ヴァッツはあくまで淡々と事実を述べる。
 リディは居辛そうに身体を縮こませていた。
 自分がなんだか化け物扱いされているようで複雑な気分なのである。
「おっと、悪いな。別におまえが化け物だって言ってるわけじゃないぞ。たとえるなら、俺たちが微生物並みでおまえが哺乳類……つまり人間並みの力の差があると言っているだけだ」
「…………あんまりフォローになってない」
「ふっ…………」

 ヴァッツは微かな笑声を洩らした
 なんとなしに人を惹きつけるような魅力がある。
「気にするな。だがなリディ、たぶん確実に、いずれおまえの力が必要となる時がくる」
 ヴァッツはどこか演技じみた口調でいう。

「たぶん確実にって…………どっちなんすか?」
 前を歩む男がリディの疑問を代弁してくれたが、ちっとも嬉しくない。
 私が訊きたかったのに。
 リディの煩悶とした気持ちをよそに、一行は村長宅についた。

「じゃ、ヴァッツさん、俺はこれで」
「ああ、悪いな」
「村長にうまく合わせてやってくださいよ。有事なんですから」
「ああ、おまえこそ細君に殺されんよう気をつけろよ」
「それは言わない約束ですよ」
 男は苦笑を浮かべながら立ち去った。
443ヘクセサーガ 一章 6:2012/03/29(木) 08:58:25.62 ID:2gwib3/T
 6

 村長宅は他の農家とは明らかに一線を画した造りで、良くいえば堅固、悪くいえば贅沢な印象を受ける木造の建物だった。
「む…………レージルか」
 トーレ村の長は、振り子椅子(振り子のように前へ後ろへ揺れるのでそう呼称される)にもたれかかって、壮年男性と幼い少女の二人連れを見つめた。
 自分でゆるやかに椅子を揺らしているのにどこか威厳を感じさせる容貌である。

「で、大変なことってのはなんだ、村長。俺達だってそこまで暇じゃあない。用件は手短に頼む」
「……おまえも娘を持つようになったのだ、同じく孫娘を持つわしの気持ちを慮ってはくれまいかね」
「大いなる誤解だ、村長。彼女は今日会ったばかりの迷子だ」
「……おまえも嘘が下手になったものだ」
「本題からずれていくのは勘弁してくれ、村長。それに、時間が経つほどクレミアの身も危ういんじゃないか?」
「……相変わらず食えぬ男よ」

 過去の‘例の事件’のせいでこのふたりは仲がよくない。
 村長の話をかいつまんで要約するとこうなる。
 孫娘のクレミアが一昨日の夜に消息を絶った。
 ほぼ間違いなく最近出没しはじめた魔物の仕業であろう。
 以上である。
 話すのは簡単だが、問題を解決するのは困難といえた。

「……魔物の仕業である根拠は?」
「手品のようにいなくなってしまったからな。魔法がない今そんな事ができるのは魔物だけじゃろう」
「……つまりなんとなくか」
 ヴァッツは呆れ顔になった。

「……この二日間でなにかしたのか?」
「実は魔物の仕業と解ったのが今日なのだ。……北の洞窟の入り口にこれが落ちていたんでな」
 言いながら老人はひとつの首飾りを差し出す。
 キラキラと煌めく銀細工の、黒水晶の首飾り。

「……あやつが……常に身につけておったものだ。孫娘をさらった輩はてっきりこれが目当てだとおもったんじゃがな…………」
 突如リディが幼顔を蒼ざめさせ、小さな身体をぶるぶる震わせた。
「……どうした?」
「そ、それ…………」
 リディは大きな黒水晶の珠を指差し、眼を背ける。
「歪んだ魔力…………この宝石から魔物を呼び寄せる力を感じるよ…………」
444ヘクセサーガ 一章 7−1:2012/03/29(木) 08:59:20.02 ID:2gwib3/T
 7

 それが突き入れられるたび、少女はえもいわれぬ感覚におそわれていた。
 十字架を模した寝台にあおむけに磔られ、精強な体つきの男と交わっている少女。
 トーレの洞窟の最深部で犯されている彼女こそ、行方不明となっている村長の孫娘クリミアであった。

 この地獄のような時間はいつまで続くのだろうか。
 身に覚えのないことを訊かれても答えようが無いのに。
 大昔の魔女狩りで捕まった女性の気持ちが、今のクレミアには痛いほどによく解る。

「ん? なんだよ、我慢してんのかよてめえ」
 自分の秘処に巨茎を突き入れてくる男がなじってくる。
 彼女は彼をよく知っていた。
 いや、知っているつもりだったというべきか。
 こんなことをしてくる男だったとは。

 ずぶ、ずぷっ、ずちゅ……
「んっ……! は…………うぅ……!」
 いくら催淫薬の所為とはいえど、犯されているにも関わらず性的快楽を感じ、あまつさえ甘声をもらす自分がいやになる。
「おら、どこなんだよ……吐けや!」
「ぐぁっ――!」

 男に固めた拳でなぐられ、クレミアは悲鳴を上げる。
 痛い。口の中を切ったらしく、血の味を感じた。
 悔しい。自らが置かれている理不尽な境遇に、少女は涙する。
 身動きできない自分を暴力によって辱める眼前の男――トーレ村の長の息子・ギラスに、村長の孫娘クレミアは根深い憎悪を抱いた。

 ギラスはふいにクレミアから己自身を抜き、ひどく憔悴したクレミアの様子を眺め回して愉しむ。
「はぁ…………はぁ…………はぁ…………」
 クレミアは荒く息を継ぐ。
 屈辱と消耗によってかなり眼つきが険しくなってしまっていた。

「はっ?! あくぅっ……!」
 下半身に感じた強烈な衝撃に、少女は思わず可愛い鳴き声を洩らしてしまう。
 ギラスが膣内に指を滑らせてきたのだ。
 くちゅくちゅくちゅ、ぬちゃぬちゃ、びちゃびちゃ――――
「ふあっ! ひゃぁああん!!」

 淫靡な水音と、それを否定したくともできない少女の切なげなあえぎ声が、洞窟内に反響する。
「あっ、くぅ……や、やめっ…………――あああぁぁッ!!!」
 脳天に直接ひびくような快感に、クレミアはあやうく意識を失いそうになった。
 ギラスが指で膣内をさぐりながら、少女のもっとも敏感な部位に吸い付いてきたのだ。
 ぴゅっ、ぴゅっ、と断続的に愛液を噴かしつつ、目からは涙が、口からは涎が垂れ流される。

「へっ、清純な女かと思ってたが、服を剥いだら淫乱なメス犬じゃねえか。失望したぜ」
「ひぐうぅ…………」
 花芯に吸い付いてくるギラスに対し何の言葉も返せない。返す気力がない。
 しかもこの男、ただ自らの欲望のままに淫戯に興じているだけではない。
 催淫薬で理性を乱れさせたうえ、感度が高まっているのに決して絶頂(イか)せないように責め立てているのだ。
 絶頂寸前で責め手をゆるめ、微かに回復してきたところをまた責める……しかも言葉による尋問も加わり、少女を精神的にも性的にも追いつめているのだ。
445ヘクセサーガ 一章 7−2:2012/03/29(木) 09:01:42.24 ID:2gwib3/T
「いい加減に吐く気になったろ? さあ、てめえの宝石コレクションの数々はどこにあんだ、ああ?」
「知ら、な……――うあぁあっ!! やだぁぁあぁぁ……!!」
 ぐちゃぐちゃぐちゃ。
 はげしい水音が鳴りわたり、クレミアのそこから快楽の証液が噴き出す。
 男の卑猥な指が少女の気持ちいい箇所を的確に突き上げ、気が狂いそうなほどの快感がずんずん突き上げてくるのだ。

「あはぁっ!! ひゃぅ、あんっ、あぁんっ――」
 少女の悲鳴のようなあえぎは途切れることがない。
 今まで性体験すら無かった彼女の理性を壊すほど、ギレスの指技は巧妙なのである。
 くちゅくちゅくちゅ――
「だ……めぇ……! イ……く……イっちゃ、うぅ、んあぁっ!! いやぁッ!――――」

 だが――まさに絶頂寸前というところで、ギレスは指を引き抜く。
「あぁぁ…………」
 ため息にも似た稚い嬌声。
 絶頂に至りたくて仕様がないのに、こうして何度となくおあずけをくらわされる。
 このまま続けていると精神に異常をきたすのは明白だった。

「おら、言ってみろよ。自分は凌辱されてるにも関わらず感じてる雌豚ですってよ」
「くっ……! ――んぁああんっ!!」
 ギラスをキッと睨みつけるも、秘穴を激しく責め立てられると壮絶な快感に甘いあえぎを洩らしてしまう。
「あ……あぁっ、はぁぁあっ!」

 くちゅくちゅといやらしい水音がもれ、少女は眼が開けられず、口を閉じることもかなわない。
 さりげなくたまに陰核を擦られるたび、電気を通されたかのようなもの凄い衝撃がクレミアの全身を震えたたせる。
(……もうこのまま気持ち良さに溺れてしまってもいい)
 クリミアの心が淫欲に染まりきろうとした、その時だった。

「あー、もう飽きたわ」

 ギラスの台詞は突然だった。
「え……――くあぁっ!」
 もう何度目だろうか、少女のそこに男の陰茎が容赦なく突きこまれる。
 挿入られた瞬間に少女は異変を感じとっていた。
 ギラスのそれはすでに激しく波打っていたからだ。

 どくどく、びゅくびゅく、びゅぷっ――――。

 ギラスの射精はすさまじいものだった。
 膣内出ししたかと思えば、引き抜いたペニスから出てくる精液は留まるところをしらず、クレミアの白い裸体、さらには顔にもぶっかけたのだ。
 美しい少女はいまや全身が精液まみれだった。
「あ…………ああ………ぁ………………」
 白濁に穢れきった少女は、こわれた人形のように呻き、光を失った碧い双眸を虚空に漂わせていた。





 続きは後日投下します
446名無しさん@ピンキー:2012/03/31(土) 21:51:23.57 ID:Oj0AjeAb
ヴァッツがリディの子孫まで読んだ。
447名無しさん@ピンキー:2012/04/03(火) 08:50:30.30 ID:MV6scfdl
おお、新しいのが投下されてる!
大作っぽいね期待。
448名無しさん@ピンキー:2012/04/04(水) 10:16:15.44 ID:hdydgXnz
おつおつ 期待してる

2、3人いた書き手たちはどこに……廃れるのは一瞬か
449 ◆DYW6d/nzvM :2012/04/07(土) 19:07:43.84 ID:017wMh5C
はーい、いますいまーす!
ちょっと実生活が忙しいだけですー!

というわけで、「神か悪魔の贈り物」第一章第十五話を投下させていただきます。
>>373の続きです。
……待ってる人がいるかどうか、分かりませんが。

なお、
・百合注意
・微スカ注意
・この俺様が貴様らの鼻水を飲み尽くしてくれるわ注意
です。

あと、>>256に簡単な登場人物紹介があります。
 イーシャさんはアキさんを抱えたまま、ゆっくりと湯船に浸かっていきます。
 まるで赤ちゃんをお風呂に入れる様です。
 ――まあ赤ちゃんにしては、この茶髪美少女は少々肢体が煽情的過ぎますが。
 そしてアキさんは斜め横向きに首まで沈められました。
 大きなお胸が、浮力でぷかりとお顔を出しています。
 その体勢のまま、右手でアキさんのおまたを、左手でお胸を愛撫し続けるイーシャさん。
 虚ろな目から涙を、半開きのお口から涎を垂れ流すアキさんに、
呻きとも吐息ともつかない、弱々しい音を上げさせます。
 その姿は、まるで繊細な楽器を爪弾く演奏家のようでもあります。
 女体楽士と化したイーシャさんは、慈愛に満ちた微笑みを浮かべながら、
その楽器に優しく語りかけ、あやします。
「うふふ、アキー? 今は何も考えなくて、良いんですよー? 
私に身を任せて、ただただ気持ち良くなっていれば良いんですからねー」
 答える代わりに「ぇぁ......ぉ......」と小さく声を上げ、体をびくびくっと
小さく痙攣させるアキさんを見て、イーシャさんは、嬉しそうに笑っています。
 隣に座ったクロエさんは、それを見て思いました。
(あ、れ……? ひょっとしてボク達、とんでもない人を覚醒めさせちゃったんじゃ……?)
 しかし、
「クロエ、ちゅーしましょう」
「……うん」
 イーシャさんに凛々しいお顔を寄せて囁かれ、濃厚なべろちゅーを施されたクロエさんは、
うっとりぼうっと、すっかり腰砕けにされ
(まあ、別にいっか)
 と、思考を放棄してしまいました。
 その間も、イーシャさんの指は休まずアキさんを奏で続けています。
 ……本当に、とんでもない人を覚醒めさせてしまったのかもしれませんね。

 一通り幼侍女さんの唇を楽しみ、口付けだけで二度絶頂に導いてから、
イーシャさんは洗い場の方に目を向けました。
 そこでは、責められ疲れた公女殿下が、責め疲れた前後の侍女さん二人と共に、
折り重なるように突っ伏していました。
 しばらく見ていると、シーリオさんが気だるそうに上半身を持ち上げ、ゆっくりと腰を引いていきました。
 ずるずるん……と、ドュリエス様のお尻の穴から張り型が抜けていきます。
 ドュリエス様は横たわったまま
「んぉぉ……」
 と小さく鳴いて、体をぶるっと震わせます。
 シーリオさんはそのまま革紐を解き、自分の中からも引き抜くと、ドュリエス様の中に入っていた方に
顔を近づけ、くんかくんかと鼻を鳴らして艶かしい微笑みを浮かべました。
 高貴な匂いを十分に堪能した後は、舌をぺろぺろと這わせ、そして小さなお口いっぱいに頬張って、
棒に纏わり付いた姫君の高貴な尻穴味を味わいます。
「クロエ、アキをお願いしますね」
 それを見ていたイーシャさんはそう言って、まだぼうっとしたままのクロエさんにアキさんの体を
預けると、湯船から出て、絡まりあう三つの女体に近づいていきました。
「……あ、イーシャ様……ふぇっ!?」
 そしてシーリオさんを、先ほどのアキさん同様にひょいっと抱え上げ、湯船に運ぶと、
クロエさんの隣に降ろし、腰掛けさせました。
 お湯に浸かったシーリオさんは、温かさがじんわりと手足に染み入るのを感じて初めて、
自分の体が激しい行為で疲れていた事を実感しました。
「あ、ありがとうございます、イーシャ様……はふぅ……あー、良いお湯……」
 そう溜息を吐きながら、アキさんを抱えたままのクロエさんの肩にもたれ掛かりました。
「ちょ……と、シーリオ、重い……」
「んー……重い……? それはぁ、アキさんを抱えているからだよぉ……。私は重くないもん……」
 シーリオさんはアキさんが聞いたら怒りそうな事を言いましたが、そのアキさんはまだ意識が
朦朧としたままですので、事なきを得ました。
 っていうか、先程の年増発言もそうですが、この銀髪少女、少々舌禍気質の様ですね。
 ……まあ、実はただの誘い受けなのかもしれませんけれど。

 イーシャさんは続いてドュリエス様とナオミさんに近づくと、器用にお二人纏めて抱き上げました。
 繋がったままで。
「きゅあ……」
「んふぅ……」
 持ち上げられた勢いで張り型が中で擦れ、重なり合う公女殿下とその侍女頭さんは
弱々しくも悩ましい声を上げてしまいます。
 それにしてもイーシャさん、中々の力持ちさんですね。
 身じろぐお二人に、彼女はそっと囁きます。
「しっかり抱き合ってて下さいね。姿勢が安定しないと、運びづらいですから」
「ひ……ちょっと……い、イーシャ……っ」
「お、落とさないで下さいませぇ……」
 力の入らない腕に必死に力を入れて、ぎゅーっとお互いを抱き締め合うお二人。
 お大事にも思わず力が入り、中のモノを締め上げてしまいます。
 そんな状態ですから、イーシャさんが歩く度に密着したお二人の体が揺れて擦れ合い、
締め上げられたままの張り型が膣内をぎしぎしと苛みます。
「あふっ、んっ……ひっ……ひうっ、い、イーシャぁ……っ!」
「ああ、も、もっと、ゆっくり、歩いて、ふぅぅ……くださ、い、ませ……ふああ……っ!」
「この速さでも大丈夫ですよ。愛しい愛しいお二人を落としたりなど、絶対にしませんから」
 ドュリエス様とナオミさんの訴えにそう答えるイーシャさんは、真っ直ぐ湯船に向かわず、
浴室内をぐるっと巡る様に遠回りをします。
 さらに、良く見ると腕を小刻みに動かし、抱えた二つの女体を意図的に揺らしているのが分かります。
 その絶妙な動きによって、散々絶頂を迎えたお二人の肉体に、またもや快楽が蓄積していきます。
「あっ、あっ、あっ……だめよ……もう、もう……ううううううう……っ!!」
「いーしゃさまぁ……いーしゃさまぁ……あああああああああああ……っ!!」
 ようやく湯船に到着する頃には、お二人とも強制的にイかされてしまうのでした。
 抱き合いながらびくびくと痙攣するお二人を湯船の縁にそっと横たえると、イーシャさんは
お大事同士を繋ぐ男性器状の架け橋をそっと掴み、抽迭させ始めました。
「ふあおぉぉぉ……い、いーしゃぁ……ぁぁぁぁぁ……ゃぁぁぁぁ……っ!!」
「ぉぁぁ、もぉ……ゃ、ゃぁ、でしゅわぁ……ぁぁぁ……んぉぉぉ……っ!!」
 イーシャさんの巧みな抽迭に、達している最中にもかかわらず無理矢理次の絶頂を押し付けられ、
お二人は抱き合ったまま白目をむいて仰け反り、全身をがくんがくんと震わせてしまいます。
 ようやくイーシャさんが攻め手を休め、張り型を引き抜くと、お二人ともぷしゃっと小さく
お潮を吹き、今度こそ力を失って床に伸びてしまいました。
「ぁ……ぁ……ぉぉ……」
「はーー……はーー……」
 湯船の中からその様子を見つめていたシーリオさんとクロエさんの目の前で、張り型の形を
覚えて大きくお口を開けたままだったドュリエス様のお大事が、戦慄きながら閉じていきます。
 それを追う様に、やはりはしたなく開きっぱなしだったナオミさんのお大事も、
ひくひくと震えながらゆっくりゆっくりと塞がっていきました。
「ふふ、二人とも、凄くいやらしい穴だね」
「ドュリエス様、さっき私が抜いたばかりの時は、お尻の穴もこんな感じでしたよ?」
「そうなのですか? 両方が広がった所も、今度是非拝見したいですね」
 シーリオさんの言葉を受け、イーシャさんはそう言って手元の張り型を、
ドュリエス様に見せ付ける様に目の前で官能的に舐めあげます。
「ねえ、ドュリエス様? うふふふ……」
「……ぁ……ぃ、ゃ……」
 もう満足に声も出せないドュリエス様は、力なく首を横に振るのが精一杯です。
 そんなドュリエス様をお姫様抱っこでもう一度持ち上げると、
イーシャさんはそのまま再び湯船に浸かりました。
「シーリオ、動けますか? ナオミの方をお願いしますね」
「あ、はい……ん、よい、しょ……」
 言われたシーリオさんは、疲れた体を動かしてゆっくりと湯船から上がります。
 その、四つん這いでのろのろと這い出るような動きが妙になまめかしく、
クロエさんは思わず彼女の濡れたお尻に目を奪われてしまいます。
「あ、シーリオ、色っぽい……」
「ふふ。クロエ、あなたも色っぽいですよ」
 その呟きを聞いたイーシャさんは、ドュリエス様を抱えたまま、クロエさんの頬に口付けます。
「んぅ……」
「クロエは幼い中に妖艶さがあって、妙な背徳感を煽りますね。ぞくぞくしてしまいます」
「ん……えへへ、ありがとう、イーシャ様……」
 シーリオさんはそんなやり取りを聞きながらナオミさんを持ち上げようとしたのですが、
ただでさえ疲れている上に普通の女の子の力しかない彼女では流石にイーシャさんのようにはいかず、
諦めてナオミさんを背後から羽交い絞めにすると、ずるずると湯船に引きずり込みました。
「ふぅ……まったく、貧乳のくせに重い年増ですねぇ」
 ――まったく、懲りない舌禍侍女さんですねぇ。
 ナオミさん、今は特に反応しませんでしたが、後で体力が回復したら絶対何かされますよ?

 まあそれはともかく、これでようやく全員湯船に浸かることが出来ました。
 湯船の中で壁に寄りかかったイーシャさんは、ドュリエス様を自分の足の間に座らせると、
背中からそっと抱き締めました。
「ああ、お湯の中で温まりながらこうしてドュリエス様を感じられるというのは、
とても幸せで良い気分です。ドュリエス様は、私とこうしているのは、どうですか?」
 耳元で囁く少女騎士に、公女殿下は荒く息を吐きながら、
自分を抱き締める腕にそっと手を重ね、答えます。
「はぁ……はぁ……ぁぁ……ええ、イーシャ……わたくしも、幸せよ……」
「ああ……ドュリエス様……愛しい方……」
「ん……イーシャ……か、可愛い子……って、ちょ、ちょっと……何を……っ!?」
 イーシャさんは、ドュリエス様の前に回した右手をお大事へ、
左手をお胸へと伸ばしてまさぐり始めました。
「うあっ、も、もうっ、ね、ねえ、今は、もう、ダメよっ! お、おやめなさあひっ! ひぃぃっ!!」
「ああ、素敵です……もっとお声をお聞かせ下さい……」
「んひっあおぉ……っ!! こんなっ!! すごいぃぃっ!! んおぉぉぉぉぉっ!!」
 習得したばかりの高度な性の技巧を全力で施し、ドュリエス様を
またもや快楽地獄に陥れるイーシャさん。
 お仕えする麗しの姫君の鳴き声を堪能しながら、仰け反るその首筋に舌を這わせ、
高貴なお味を味わいます。
「んおぉぉぉぉぉ……っ!! おーーーーーっ!! お゛お゛お゛お゛……っ!!」
「ああ、ドュリエス様、大好き……」
「あ゛ーーーっ!! もぉやべてぇーーっ!! 今日は、も、もお……お゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」

 その様子を隣で見ていたクロエさんは、今は自分が抱いているアキさんを見下ろし、
同じ様に愛撫し始めました。
 イーシャさん程の脅威的な飲み込みの速さこそないものの、クロエさんだって毎日の様に
この面子で愛を交し合ってきた実績があります。
 たとえ幼くとも、そこらの初心な行かず後家なんかより、よっぽどこの手の技には長けているのです。
 ――しかし。
「……ぅぇぇ……ぇぇ……」
 イーシャさんに覚えたての舌技、指技を試すようにさんざん責め抜かれ、意識が朦朧とするまで
何度も何度も絶頂を強いられ、何度も何度も失神と覚醒を繰り返させられたアキさんは、
虚ろな目を半開きにしたまま、だらしなく開いた口から小さく音を出す程度で、
もうたいした反応を示してはくれませんでした。
「はぁ……そりゃ、そうだよねぇ。ほらアキ、もういいから、こうして少しお休みしてようね」
 クロエさんは諦めて、アキさんの頭を梳く様に撫で、あやす事にしました。
(こうしていると、アキも可愛いもんだなぁ)

 一方シーリオさんも、抱き抱えたナオミさんに指を這わせ喘がせようとしましたが。
「あひゃああっ!? な、ナオミさんっ!、もうっ!?」
 既に復活していたその絶倫侍女頭さんによって、対面座位で正面から抱きしめ返されてしまいました。
 さっきまで責め疲れてぐったりしていたシーリオさん自身、ちょっと弱っていましたしね。
 そして背中に回した右手を下に伸ばし、侍女頭さんは舌禍侍女さんのお尻を撫で回します。
「うふふ、ダメよシーリオ、私をどうこうしようなんて十年早いわ」
「そ、そんな……じゅ、十年もたっちゃったら、ナオミさん本当に年増になっふあおーーっ!?」
 ナオミさんは撫で回していた右手の指を、まだほぐれたままのシーリオさんのお尻の穴に
二本いっぺんに奥まで突っ込みました
「あらぁ、何かしらシーリオぉ? さっきも何か言っていたみたいだけどぉ?」
 ナオミさんはそう言いながら、二本の指をぐいぐい押し込み交互に動かし、激しく責め立てます。
「にゃ、うひっ! にゃんでもないれしゅぅーーっ!! ふあっ! しゅごいぃぃっ!!
ふあおぉっ!! おひりぃっ!! もっろぉ!! もっろおひりいじめれくあしゃいぃーーっ!!」
 ……やはりシーリオさん、ただの誘い受けだったようですね。
 それからどの位経ったでしょうか。
 悩ましい嬌声が鳴り止まなかったお風呂場にも、ようやく静寂が戻って参りました。
 皆さんすっかり満足なされて、ゆったりとした後戯のお時間を迎えたのです。
 イーシャさんは、虚ろな目でぐったり弛緩しているドュリエス様を、クロエさんは、少し回復してきて
緩慢ながらも少しずつ反応を返すようになったアキさんを、後ろから優しく抱きしめ、頭を撫でたり、
耳朶をそっと甘噛んだりしてあげています。
 ナオミさんとシーリオさんは、向かい合わせで抱き合い、お互いの唇を味わう様な
緩やかかつ濃厚な口付けを交わしながら、相手の背中を撫で、お胸同士をゆっくり擦り合わせています。
 公女殿下や巨乳侍女さん程ではないものの、侍女頭さんの巧みな指使いにお尻を責め抜かれて、
銀髪侍女さんはやはり少々お疲れ気味のご様子ですが、先程とは違うこの慈しむ様な愛撫を受けながら
嬉しそうに微笑んでいます。
「んん、あむ……んぅ……ナオミしゃぁん……だいしゅきぃ……」
「んむぅ……ちゅぅ……ちゅば……ふぅ……あらぁシーリオぉ……
んちゅ……こんな年増貧乳の私にも、そう言って、んむっ……くれるの?」
 シーリオさんの言葉に、拗ねた口調で返すナオミさん。
 もちろん、そうでなければこんな風に体を重ねて求め合ったりはしない、
という事を踏まえた上での発言です。
 シーリオさんもそこは分かっていますので、ナオミさんと目を合わせてそっと微笑むだけで
そのままねっとりとした接吻を続けました。
 そこへ、ドュリエス様を抱えたイーシャさんと、アキさんを抱えたクロエさんが、
左右からずりずりとにじり寄って来ました。
 そしてイーシャさんはシーリオさんの頬を、クロエさんはナオミさんの首筋を
横からぺろぺろと、猫が毛繕いするかのように舌で愛撫します。
 ナオミさんとシーリオさんは糸を引かせながら唇を離すと、それに応えて横を向き、
舌を差し込む濃厚な接吻を交わして、口中に溜まって混じり合った二人の唾液を
相手の口中に流し込みます。
 シーリオさんはイーシャさんへ。
 ナオミさんはクロエさんへ。

 イーシャさんはシーリオさんから与えられたその混合媚液で口の中をくちゅくちゅと漱ぎ、
味と香りを堪能すると、こくん……と可愛らしく喉を鳴らして飲み込みました。
「ああ……」
 目の焦点の合ってない恍惚とした表情で艶かしく溜息を吐き、小さく体を震わせた少女騎士さんは、
銀髪侍女さんと唇を重ねながら、腕の中の公女殿下をさらに強くぎゅっと抱きしめます。

 一方クロエさんは、同じ様にナオミさんから流し込んでもらったそれを、やはり口中にしばらく溜めて
いましたが、しっかり嗜んだ後は、自分の唾液をたっぷり混ぜ込んでから、右手でアキさんの顎を掴んで
お口を開かせ、そこへ舌伝いに流し込みました。
 嬉しそうな顔で受け取ったアキさんもまた、三人分のお味をクロエさんと同じ様にお口の中に溜め、
転がし、漱ぎ、たっぷりと味わいます。
 そしてそのまま気だるげにゆっくりと体を起こすと、横を向いてシーリオさんに抱き着き、
唇を重ねると、アキさんの味も加わったその媚粘液を中へ送ります。
 シーリオさんもやはり飲み込まずに口中で溜め、自分のお味も追加してお隣のイーシャさんへ
彼女の唇にむしゃぶりつくように受け渡しました。
 シーリオさんはさらに、イーシャさんの口中へ舌を挿入し、注ぎ込んだ甘露を攪拌します。
 イーシャさんも、もう既に貫禄さえ感じさせる巧みな舌使いでそれに応えました。
 侵入してきた味覚器官に、自らのそれを絡め、擦る少女騎士の絶妙な責めに、銀髪侍女さんは
それだけで今日何度目になるか分からない絶頂を迎えさせられます。
 かくんと、腰が抜けたように崩れ落ち、離れる二つの唇の間に糸を引きながらアキさんの方へと
倒れこんだシーリオさん。
 支えきれずに一緒に倒れそうになるアキさんを、クロエさんが支えます。
 イーシャさんは自分の味も加わったそれ、二本の舌でかき混ぜられて粘度が上がったそれを、
今度は飲み込まずにドュリエス様に差し上げようと思いましたが、腕の中の公女殿下は未だ
絶頂疲れから回復されておらず、弛緩させた四肢を投げ出し、呆けた様な半眼で涎を垂れ流して
らっしゃいましたので、それはもうしばらく待つ事にして、代わりにナオミさんの方へと
顔を突き出しました。
 ナオミさんもそれを迎えるように首を伸ばし、イーシャさんの口唇愛撫を受け入れます。
 しかし、あまり本気で責め立ててナオミさんを絶頂させてしまうと、その拍子に飲み込んで
しまいかねません。
 イーシャさんはナオミさんが達してしまわない様、抑え気味に舌を使いながら口中の芳しい液を
流し込み、そっと口を離しました。
 体はひどく疲れているのに、イーシャさんによって無理矢理に高ぶらされ、しかも最後まで
与えてもらえず、ひどくもどかしい気分で放り出されたナオミさんは、一周して自分に戻ってきた
淫唾液をすぐに目の前のシーリオさんへと渡すと、またイーシャさんの方へと向き直り、
舌を突き出して、続きをはしたなくおねだりしました。
「ふふふ……」
 イーシャさんは、ほんの数刻前まで性的な知識どころか自慰の仕方さえ満足に知らなかった少女とは
思えない程に淫蕩な笑みを浮かべると、ナオミさんの舌を咥える様に再び口中へと迎え入れ、今度こそ
本気で絶頂へと導きました。
「んう゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛……っ!!」
 絶頂寸前の状態から勢いをつけたように一気に高みへと持ち上げられたナオミさんは、
涙を流しながら、口を塞がれたままのくぐもった呻き声を上げました。
 脱力し、後ろへ倒れそうになるナオミさんの頭を、イーシャさんは片手で抱え込み、引き寄せると、
そのまま本気の口唇愛撫を続けました。
「んぐぅーっ!? う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ!? う゛ーーーっ!!」
 強制的に舌絶頂を繰り返させられるナオミさん。
 逃れようと体を捻りましたが、武術の達人たるイーシャさんに頭をがっちりと押さえられては、
それもかないません。
 全身をびくんびくんと震わせながら、何度も何度も視界を白く染め上げられてしまうのでした。

 お隣では、ナオミさんから受け取った粘っこい汁を、シーリオさん、アキさん、クロエさんの
三人がナオミさんの痴態を横目で見ながら渡し合っていました。
 シーリオさんからアキさんへ、アキさんからクロエさんへ、クロエさんからシーリオさんへ、
シーリオさんからクロエさんへ、クロエさんからアキさんへ、アキさんからまたクロエさんへ、
クロエさんからシーリオさんへ、シーリオさんからアキさんへ、アキさんからまたシーリオさんへ……。
 イーシャさんがナオミさんを解放する頃には、五人分の唾液はすっかり嵩を増していました。
 侍女頭さんの体を銀髪侍女さんに預けると、少女騎士さんは頬を膨らませてそれを含む黒髪侍女さんに
向かって口を開き、促します。
 クロエさんは、飲み込まない様に気を付けながら身を乗り出すと、イーシャさんのお口の中に
こぼさない様ゆっくりと流し入れていきました。
 その頃にはドュリエス様も大分回復されていて、まだ少しぼうっとしてはいらっしゃいますが
意識もお戻りになり、今は弱々しくも微笑みを浮かべながらイーシャさんを見上げ、両の御手々で
自分を支える彼女の腕をきゅっとお掴みになられておいでです。
 そして、自分の可愛い騎士さんがお口の中いっぱいに含んだものが何なのかに気が付いた公女殿下は、
上目遣いで口を開け、舌を突き出して催促なさいました。
 その淫らな表情を見て、イーシャさんは唇の端をにぃっと持ち上げる昏い笑みを浮かべると、
溜まりに溜まった五人分の涎を、ドュリエス様の麗しい御尊顔めがけてばしゃばしゃと垂れこぼしました。
 わざとお口を外して、です。
「ん……あぷ……ぷふぁ……」
 お仕えする姫君のお顔全体を汚していくこの行為に、イーシャさんは背徳的な嗜虐の喜びを覚え、
ぞくぞくと背筋を震わせます。
 被虐者たるドュリエス様もまた、頬や鼻を垂れ流れる愛しい少女達の口腔愛液を、舌を伸ばして
舐め取りながら、ぬらぬらと妖しく濡れた御尊顔を倒錯的な悦楽に歪めてらっしゃいます。
 そんなドュリエス様に、イーシャさんは恍惚の表情を浮かべながら侮蔑の言葉を浴びせかけます。
「はぁ、はぁ……うふふ、ドュリエス様、とっても嬉しそうですね。お顔中べとべとにされるのが
そんなに良いのですか? 虐められて喜ぶなんて、変態ではありませんか。なんて恥ずかしいお姫様でしょう」
 ドュリエス様はこの言葉責めにうっとりとしながら、愉悦にまみれた声で答えます。
「ああ……イーシャぁ……そうなのぉ……。好きな娘を虐めるのも、好きな娘に虐められるのも、
どっちも大好きぃ……。だから、お願ぁい……もっと虐めてぇ……。もっと、罵ってちょうだぁい……」
「うふ、ふふふ……。良いですよ。いっぱいいっぱい、虐めて差し上げます」
 イーシャさんはドュリエス様のお顔に舌を這わせて唾液を拭い取り、囁きます。
「もちろん、後で私の事も虐めさせてあげますよ。嬉しいですか? 変態公女殿下」
「……ええっ! ええっ! 嬉しいのぉ! わたくしを、いっぱいいっぱい虐めてぇ……っ!
そして、あなたをいっぱいいっぱい、虐めさせて頂戴……ああっ!!」

 その様子を見て、クロエさんはシーリオさんに言いました。
「……イーシャ様、なんか一足飛びにお上手になってない? もうあんな言葉責めを覚えて……。
それにさっきだって、ボクやナオミを口付けだけで、何度も何度も……」
「え? 別に良いじゃない。ほら、ドュリエス様もイーシャ様も、あんなに嬉しそうにしているし。
私達だって、もうイーシャ様にめろめろにされちゃってるでしょう?」
「うん、それは、そうなんだけど……。でも、だからこそ、ちょっと……怖い、かな……」
「怖い? なんで?」
「だって……」
 クロエさんは、自分の体を抱き締め、体を震わせます。
「……ボク、この一年でドュリエス様や君達にしっかり躾けられちゃって、もう、一日でも気持ち良い事
してもらえないと、気が狂いそうになるくらいの淫乱にされちゃったっていうのに……。なのに、これで
さらにイーシャ様にも躾けられちゃって、イーシャ様無しではいられない体にされちゃったりしたら、
ボク、もう……もう……」
「もう?」
「もう……いやらしいこと以外考えられない、ただの色情狂の変態になっちゃうよ……」
 そう言って、「はぁ……っ」と伏目がちに物憂く溜息を吐く幼い黒髪少女の、あまりにも切ない
色気を孕んだその様子に、彼女より少しお姉さんの銀髪少女は頭を見えない矢で射抜かれたような
衝撃を受け、一瞬固まってしまいます。
 そして次の瞬間、その可愛い妹分を抱き締めていました。
「やぁんもうクロエちゃんったらぁ!」
「ふぇっ!?」
「まったく……まったくもう! 何なの!? 毎回毎回、クロエちゃんの誘い受けは威力大きすぎるよぉ! 
本当に無意識にやってるのっ!? それともわざとっ!? わざとなのっ!? ねえっ! もう、私達こそ
クロエちゃん無しにはいられなくなっちゃってるってばぁ!」
 すりすりすりすり。
 抱き締めながら、思いっきり頬擦ります。
「うにゃあ……シーリオぉ……」
 クロエさんも、シーリオさんにしっかりと抱き着きます。
「本当にそうね。私達も、もうすっかりクロエの虜にされてしまったわ」
 ものすごい回復力でもう復活したナオミさんが、シーリオさんと同じ様にクロエさんに抱き着くと、
そう耳元で囁きました。
「ん……ナオミぃ……」
「それに、こんなに可愛いらしいのに、自覚無く周囲を誘ってしまうなんて、危なっかしくって
私達の手元から離す訳にはいかないでしょう? 安心なさい、クロエ。あなたの身は今後もずっと、
ドュリエス様と私達が責任を持って預かってあげる。言っている意味、分かるかしら? ねえ、クロエ……」
「ふあぁ……っ!」
 ナオミさんはクロエさんの耳をぺろりと舐めると、笑みを浮かべ、蕩ける様な声で続けます。
「……構わないから、色情狂の変態になっておしまいなさい。私達が、一生飼ってあげる」
「〜〜っ!」
 クロエさんは目をぎゅっとつむると、両足をぴんっと伸ばして硬直しました。
 シーリオさんを抱く腕にも力が入り、体を小さく震わせながら仰け反ります。
 ナオミさんの言葉だけで、軽く絶頂してしまったのです。
「あら、今のでイったの? うふふ、色情狂になるも何も、あなたもうとっくに淫乱発情女じゃない。
まだ子供だというのに、なんていやらしい体なのかしら。生まれついての好き者ね。だから、背も低くて顔も
幼いくせに、胸ばかりこんなに育っているのね。羨ましい」
 本音が出ました。
「っていうかクロエちゃん、あたし達に初めて手ほどき受けた時、既に何度も何度もおねだりする、
快楽依存少女だったじゃない。今さら何言っちゃってるのさー」
 ナオミさんに後ろから抱き着き、肩口から顔をのぞかせながらそう言ったのは、イーシャさんに導かれた
忘我の境地から先程ようやく帰還したアキさんでした。
 赤髪の巨乳侍女さんは、侍女頭さんの前に手を回してその貧乳をさわさわと撫でつつ、大きなお胸を
厭味ったらしく背中へ押し付けます。
「ナオミさんも、その頃にはもう、おっぱいの成長止まってたよねー」
「な……なん……っ!?」
「あ、違うか」
 アキさんは悪戯っぽい笑みを浮かべ、何か言おうとするナオミさんを遮って続けます。
「生まれてこの方、成長期だった事なんかなかったもんね! クロエちゃんが生まれついての淫乱なら、
ナオミさんは生まれついての絶壁胸!」
 ナオミさんは、まだドュリエス様と見つめ合っているイーシャさんに声を掛けました。
「イーシャ様、アキってばまだまだ物足りないそうですわ。もっともっと、朝まで
快楽責めをしてやって下さいませんこと?」
「っ!? ちょ、ま……っ」
 イーシャさんはゆっくりとナオミさんさんに目を向け、ついでアキさんに目を向けると、
ひどく優しげな笑みを浮かべました。
「アキ、そんな水くさい……。言ってくれれば朝までと言わず、私の体力が続く限り責め続けてあげますのに」
「ひ……っ!」
 アキさんは顔を青くして怯えます。
 さらにイーシャさんは小さく胸を張り、ちょっとした自慢をしました。
「私、体力には自信あるんです。丸二日間休まず戦闘した事もあるんですよ」
「二日っ!? し、死んじゃう! そんなにされたらあたし死んじゃいます!!」
「何を言ってるんですか。アキは死んだりしませんよ。私がアキを死なす訳がないでしょう? 
死なない様に、逝かない様に注意しますから。達する寸前の状態で、二日間だらだらと過ごしましょうね」
 アキさんはナオミさんにしがみつきながら、首をぶんぶんと振ります。
「は……はは……や、やだなあイーシャ様ってば、冗談、きっついですよぉ……」
 頬を引き攣らせるアキさんに、イーシャさんはきょとんとした顔をします。
「冗談? 何のことですか?」
「え?」
「え?」
「……っ!」
 アキさんはナオミさんを盾にする様にイーシャさんの方へ押し出し、自分はその後ろに隠れました。
「本当、無理ですから……っ!! あたし壊れちゃいますから……っ!!」
 しかしナオミさんはそんなアキさんの腕を掴むと、イーシャさんの前へと突き出しました。
 そもそもアキさんを責めるようイーシャさんを焚きつけたのはこの人なんですから、まあ当然ですよね。
「なななナオミさんっ!?」
「さ、お願い致しますわ」
「はい。喜んで」
「ああっ! やぁっ! ねえイーシャ様っ! お願いですから許しんむーーっ!!」
 イーシャさんは左腕でドュリエス様を抱えたまま右腕でアキさんを素早く抱き寄せると、
唇で唇を塞ぎ、無理矢理黙らせました。
「んっんんっ、んふぅ……」
 散々嫌がっていたアキさんでしたが、イーシャさんの巧みな唇使い、舌使いに、
すぐに両目をとろんとさせ、脱力してしまいました。
 唇が離れた頃には、もうすっかり抵抗の意志を失ってしまっていたアキさん。
 涙目で手足を投げ出し、「もうどうにでもして……」といった風情です。
 そんなアキさんの耳に、イーシャさんは軽く歯を立てると、息を吹き掛けるように囁きます。
「冗談ですよ」
「ん……ふ、ふえ……?」 
 赤髪侍女さんの面食らった顔の前で、少女騎士さんはぺろっと舌を出してはにかんだ笑みを浮かべました。
「ふふ、アキは怯えた顔も可愛いですね」
「ええ、可愛いでしょう? 虐め甲斐がありますわ」
「アキさん可愛い変態だから、虐められて嬉しいんですよね」
 ナオミさん、シーリオさんもアキさんを覗き込んで言います。
 どうでも良いですが、シーリオさんにだけは変態って言われたくないですよね。
 アキさんは、脱力した状態からさらにずるずると体を滑らせ、顔の半ばまでお湯に浸かって
ぶくぶくと口から泡を吐き出しました。
 顔は真っ赤です。
「あら、アキったら、皆に可愛いと言われて照れてるのね。本当に可愛い子」
 ドュリエス様も、イーシャさんにもたれ掛かってアキさんをからかいます。
 イーシャさんはドュリエス様の方に向き直ると、再びそのお顔をぺろぺろと舐め回しました。
 クロエさんも、アキさんを褒め弄ぼうと思い、ゆっくり起き上がりました。
 が。
「……へくちっ」
 と、歳相応な、なんともあどけないクシャミをしてしまいました。
 鼻水が、少し出てしまいます。
「あ、やば」
 クロエさんは慌てて手を伸ばし鼻を拭おうとしましたが、それより早くシーリオさんがその腕を掴んで
押さえ込むと、クロエさんの鼻に吸い付きました。
 そして、ずずずずず……と音を立てて吸い上げます。
「んご……っ!?」
 鼻の中身を抜き取られる異様な感覚に、黒髪幼女の背筋が震えます。
 ずずっ、ずずっ。
 ぢゅるるるる……。
 変態銀髪少女は一気呵成に吸引すると、愛液とも唾液とも違うその塩気のある粘液を、くちゃくちゃと
音を立てて咀嚼し、口を開けて糸を引く様子を見せつけ、そしてごっくんと飲み込みました。
「ぷふぅ……えふっ」
 小さく溜息と、それから可愛らしくゲップを吐くと、シーリオさんはクロエさんに向かって
満面の笑みを浮かべました。
「えへへー、クロエちゃんの鼻水、すっごく美味しいでぶっ!」
 別にシーリオさんが語尾に特徴を付けようとした訳ではありません。
 クロエさんが、顔面に拳を叩き込んだのです。
 ……何か既視感を覚えますね。
「ふっ、ふおえひゃんっ、いひゃい」
 両手で赤くなった鼻を押さえ、やはり既視感のある台詞を吐くシーリオさん。
 クロエさんもやはり鼻を押さえながら、怒りを露わにします。
「もう……鼻水吸うのはやめてって、いつも言ってるじゃないか……っ!」
 いつもの事のようですね。
 流石、変態侍女さんです。
「えー……何でなのー? 良いじゃない別にぃ……。おしっこや唾は、一緒に楽しんでくれるのにぃ……」
「何でって……なんとなく嫌だからだよ!」
「けど、鼻はすっきりしたでしょう?」
 確かに、鼻水が除去され、クロエさんの鼻はすっかり通りが良くなっています。
「う……そ、それは、まあ……。で、でも、本当にもう、やめてよね! さもないと……」
「さ……さもないと?」
 ちょっと凄んでみせるクロエさんに少し怯みながら、答えを促すシーリオさん。
「さもないと……もうシーリオにちゅーしてあげない」
 シーリオさんは即座に湯船のお湯を口に含み、くちゅくちゅと口内を漱ぎました。
 そして、それを湯船の外に吐き出すかと思いきや、ごくんと飲み込んでしまいます。
「うふふ、皆の煮汁、美味しいですぅ……。ほらクロエちゃん、お口の中、綺麗になったよ! 
これでどう? これでちゅーしてくれる?」
「……いや、な、なんか違うんだけど……。けど、もう、他人の鼻、啜ったりしない?」
「ええー。良いでしょう啜ったってぇ。ちゃんと口濯ぐからぁ」
「啜られるのが嫌なんだよ!」
 話が平行線です。
 すると、ナオミさんがシーリオさんに近づくと、何かをそっと耳打ちしました。
 変態少女は、青灰髪お姉さんの言葉を聞きながら、ちらっちらっと黒髪幼女に目をやります。
 そして、にっこりと微笑みました。
「うん、わかったよ。もうクロエちゃんの鼻を無理矢理啜ったりしないって約束する。だからちゅーして」
「ナオミ、シーリオに何を吹き込んだの」
 シーリオさんを無視して、クロエさんはナオミさんに尋ねました。
「別にたいした事ではないわ。クロエがダメなら、私やアキのを吸えばいいじゃないって言っただけよ。
ドュリエス様やイーシャ様も、吸わせて下さるでしょうし」
 その言葉に、ドュリエス様は肯定の笑みを浮かべました。
 イーシャさんも
「え? えっと……鼻、ですか……。ええ、そうですね。シーリオがそれを望むと言うなら……」
 と、流石に少々躊躇いながらも、こくんと頷き承諾します。
 クロエさんはちょっと疑わしく思いましたが、とりあえず言質は取ったので一先ず納得し、
ふぅっと溜息を一つ吐くと、シーリオさんにぎゅっと抱き着き、接吻を交わしました。
 そして慣れた様子でシーリオさんの舌を舌でねっとりと絡め取り、巧みに愛撫します。
 シーリオさんも負けじと舌を蠢かして応えます。
 やがて達しやすい体質のクロエさんが体をぷるぷると震わせ始めました。
 手足にぐぐーっと力が入ります。
 そしてそのまましばらく震えながら硬直した後、かくんと脱力して後ろに倒れました。
 ナオミさんがその背中に手を伸ばし、支えます。
「ああ、私、まだだよう……っ!」
 一方、イきかけで解放されてしまったシーリオさんは足の間に指を這わせ、最後の一押しを
自らの手で行いました。
 湯船の水面が、小刻みな激しい動きに揺れ、ばしゃばしゃと波打ちます。
「ああ、ああ……っ! イくっ! イくっ! イきますぅ……っ! ふぅぅぅぅっっ!!」
 びくびくびく……。
 瘧の様に体を震わせながら仰け反るシーリオさんを、こちらはイーシャさんが後ろから
肩を抱くように支えました。
「ふー……ふはぁ、はぁ……ああ、イーシャ様ぁ……」
 イーシャさんは、絶頂したシーリオさんの肩をゆっくりゆっくりと撫で擦り、髪に口付けし、
快楽の下降線を穏やかに辿らせてやります。
 もうそんな事まで出来るようになったのです。
 本当に、末恐ろしい十四歳ですね。
 ナオミさんも、腕の中で荒く息をするクロエさんをきゅっと抱き締め、あやすようにお腹を撫でてやります。
「はー、はー……」
「ふふふ、こうしていると本当に子供……いいえ、まるで赤ちゃんね。おーよしよし、クロエちゃーん、
かわいーでちゅねー。だっこでちゅよー」
「な、ナオミ……はー、はー……やめてよ……。ボク、もう、十二歳になるんだからね……。そ、それに、
そういう事言ってると……はー、はー……自分に、返ってくるからね」
「? どう言う意味かしら?」
 意味を図りかね首を捻るナオミさんに、クロエさんは言いました。
「はー、はー……な、ナオミお母さん、ボクお母さんのおっぱい欲しいな」
「う、ぐ……」
 年齢と貧乳へ同時に攻撃を受け、思わず絶句してしまうナオミさん。
 自分で振った話の流れなので、何も言えません。
「……私が悪かったわ」
 素直に負けを認める青灰髪のお母さんに、黒髪赤ちゃんは得意げに微笑みます。
「えへへへへ……はー、はー……はくちゅっ」
 そしてもう一度クシャミをしました。
 クロエさんは慌てて手で鼻を塞ぎましたが、さっき全部吸われたばかりでしたし、
もう鼻水が垂れてしまう事はありませんでした。
 それにいくらシーリオさんと言えど、流石に約束を取り付けたばかりで襲い掛かってくる事はないでしょう。
 ……まあ、多分。
 そんなクロエさんを、ドュリエス様が心配そうに見ます。
「あら、大丈夫? 湯冷めしてしまったのかしら。そろそろお風呂を上がった方が良い様ね」
「そうですわね。もう十分に温まりましたし」
「十分楽しみましたしね!」
「ええ、そうですね」
 ナオミさんとシーリオさん、イーシャさんがそう応じると、クロエさん、アキさんも
「それに、そろそろ食事の時間」
「いやあ、お腹空いちゃいましたよー」
 と同意します。

 と言う訳で、もう一度お顔を洗い(特にドュリエス様)、体をお湯で流し、布で拭ってから
皆さんはようやくお風呂場を後にするのでした。


続く
462 ◆DYW6d/nzvM :2012/04/07(土) 19:22:45.24 ID:017wMh5C
以上です。
なんか半年に一話ペースで本当にごめんなさい。
あと、もうタイトル関係なくなっててごめんなさい。
第二章に入れば……(入るのかこれ?)

では、また。
463名無しさん@ピンキー:2012/04/08(日) 01:00:54.33 ID:5bPgIMun
おおーお久しぶり!&お帰り そして乙
百合百合すなぁ
464名無しさん@ピンキー:2012/04/08(日) 02:57:16.76 ID:W5qOtz7I
お久GJ!
記念にあげておこう
465名無しさん@ピンキー:2012/04/08(日) 23:08:38.29 ID:5bPgIMun
スレ容量480KB超えたけどそろそろ次スレたてる?
今ペース遅いし490超えてからでいいかな
466名無しさん@ピンキー:2012/04/12(木) 15:59:18.58 ID:C8es3X5W
ペース遅いしかなりギリになってからでもいいんでない?
今立ててもすぐ落ちちゃいそう
467 ◆RAN/ur62O. :2012/04/16(月) 00:56:23.32 ID:VrWXP73l
投下します。『騎士と水蛇(ハイドラ)の娘』のタイトルで3レス。
ですが容量オーバーしそうなため、一部キリのいい所までで投下してます。
全文はアップローダーにうpしました。読んでみて続き見てもいいなーと
思ったときに落としてもらえたら幸い。

http://www1.axfc.net/uploader/File/so/77877
pass:chusei
txtファイルなんですが、ダウンロード後に拡張子をhtmlに変えて
ブラウザで読んでください。そのままだと読みづらいと思います。

※注意※
女→男片思い。貫通未遂でエロが大変薄いです。
468騎士と水蛇の娘(1/3) ◆RAN/ur62O. :2012/04/16(月) 00:58:09.70 ID:VrWXP73l
 エドレットは街道をただひたすらに歩いていた。
 前を向き大股で歩みを進める彼が腰に佩く剣は、柄に典雅な彫りがあり、
身につけた服もくたびれてはいるが上等なものだ。
 それに何より、媚びぬ光を帯びたその瞳が彼が貴人か、その階級に準ずる
人間であることを示していた。そのような貴人が供も連れずに旅路を
急いでいることは奇妙といえば奇妙と言えた。

「お待ちください、お待ちくださいませ!」
 愛らしい声が彼の後ろから響いてくる。供もおらずというのは正しくはなく、
彼には連れがいたのだ。遅れること数歩後ろ、小柄な姿が見えた。
 その体つきから少女であることが見て取れる。
少女は立ち止まり前のめりになると、膝に手をそえてエドレットに向かって顔を上げた。

「……そんなに早く歩かれては付いていけませんわ!」
 美しい少女だ。巡礼をする婦人のようなフードをかぶっており、その中にみえる瞳は
つぶらでまるで黒曜石のようだった。フードからこぼれた髪は白金の色で
陽光の下ではさらに色素が薄く見えた。
 わずかに疲れの色を瞳に浮かべ、長いまつげをしばたかせながら少女は
エドレットを睨んだ。だがその訴えに構わず、彼は歩みを進め続ける。

「……付いてこられぬなら結構。姉君たちの元へお帰りなさい」
 振り向きもせずにそんなことを言う。
 とりつく島もない態度に少女は頬をぷうっと膨らませた。

 エドレットがどんどん先に行ってしまうので仕方なく小走りで追いかけた少女だが、
少し先で彼が立ち止まっているのを見てぱっと顔を明るくさせた。
「エドレットさま……っ」
「メリルジーヌ、さがって」

 そう言って彼は左手を斜めに伸ばした。彼の目はずっと前へと据えられている。
「よう兄ちゃん」
 するとそれまで隠れていたのか、木と木の間から数人の男たちが姿を現した。
 身に着けているものはぼろぼろで薄汚く、見るからに柄の悪い男たちだった。
 にやにやと笑いながら手にした刃物をこちらへと見せ付けている。
 おそらくは、賊の一味。この街道を渡る旅人を襲っては、その持ち物や金を奪っているのだ。

 エドレットは剣の柄に手をかけたまま彼らを見やっていた。まだ抜く気配はない。
 そして強い口調で言った。
「やめておいた方がいい。怪我をしたくないのなら」
 その言葉に賊の男たちは吹き出した。わざわざ嫌な調子をつけて彼の言葉を復唱する。
「格好いいねぇ、色男」
「彼女の前で良いところ見せちゃうぞってか」
「エドレットさま!!」
「いいから君は下がっていろ」
 そうメリルジーヌを背後にしながら、エドレットは男たちと間合いを取った。
 短剣を構えながらじりじりと近づいてくる男とにらみ合い、一瞬の間に放たれた
刃の旋回を見切って避けた。そのまま柄からは手を離し、拳を握ると男の首の後ろに
強く落とした。
「がっ……!」
 たまらずガクリと膝を落とす男。そして次の男が顔をいびつに歪めて手斧を
振りかぶったのを見て懐に飛び込み、その胴体へ当て身を食らわせる。
「エドレットさま!」
469騎士と水蛇の娘(2/3) ◆RAN/ur62O. :2012/04/16(月) 00:58:48.90 ID:VrWXP73l
 一人、一人確実にのしていたエドレットだったが、悲鳴じみた呼び声に顔をあげた。
 すると禿頭の大男がメリルジーヌを羽交い締めにするようにしてとらえているのが見えた。
「メリル」
「へへ、大人しくしなお姫さま。いい子にしてりゃあんたの細っこい首を折らずにすむからよ」
 男はメリルジーヌの首の前に回した腕にぐっと力を込めた。だがメリルジーヌは全くおびえた様子も
なく、ひるむこともなく男の腕を掴んでもぎ離そうと爪を立てていた。
「いてぇ! なんだこいつ、猫みたいな女だな……」
「猫、なんかじゃ、ありませんことよ!」

 エドレットは大男を見据えて言った。
「彼女を離せ」
 彼から殺気が消えたのを見て、男は態度を大きくして笑った。
 女を人質にしたのは正解だ、と思いながら。
「それは兄ちゃん、あんたの態度次第だよ。俺らの兄弟にした暴力行為を謝罪して
同じだけの傷を負ってくれるってんならあんたを許してやるし、詫びの品を寄越すってんなら
女の事を考えてやってもいい」
「この玉子頭、びっくりするくらい馬鹿ですわね」
 するとメリルジーヌが軽蔑しきった声をあげた。
 つるりとした禿頭に玉子頭という表現があまりに的を射ており、
エドレットは思わず吹き出しそうになったがこらえて、あえて厳めしい顔をつくっていった。
「……メリル、刺激するんじゃない」
「玉子が割れるからですの?」
 そこで賊の男たちの何人かが噴いた。
 そのやり取りに大男は禿げた頭を真っ赤にして叫ぶ。
「て、てめえら、なめてんのか!! ……おい、あの男やっちまえ」
 そう言いながら男は顎で仲間にエドレットを襲えと促すが、一度崩れた戦いの空気と
いうのは元には戻しづらい。にやにやと笑いながらお互いを見ている。
 だが、禿頭は慣れているようで仲間に発破をかけ始めた。
「おいおい、お前らお坊っちゃんの剣の柄を見てみろよ。ずいぶん年代物って
感じじゃねぇか。きっと良家のお坊っちゃんが広い世界を見てみたい、だなんて
ぬかして旅してるんだろ? きっとたんまり金持ってるぜ。
もしかしたら身代金も取れるかもなぁ」

 金、の言葉に男たちの間にまた欲望の揺らめきが見えはじめた。
 そうなるとエドレットも対峙せざるを得ない。
 だが、睨みつけるだけで相手はすでにのまれた様子があった。エドレットはすでに
二人も一瞬で気絶させている。それに今も複数人に囲まれても脅えた様子ひとつ見せない。
 男たちはその雰囲気に飲まれ始めていた。エドレットは目を細めて言う。
「もう一度警告する。怪我をしたくなかったら彼女を離した方がいい」

「う、う、うるせえ!! お前らまとめてたたんじまえ」
「お、おう……」
 エドレットは襲撃にそなえ身構えたが、大男に押さえつけられていた
メリルジーヌが暴れて叫ぶ。
「卑怯もの! 大勢で一人を襲うなど、男の風上にもおけぬ卑怯ものです」
「うるせえ、あの男が悪いんだぜ。いつもなら金目のものさえ出しゃ道を
通してやるのに、妙に逆らうから。死んだらお前はみんなで可愛がってやるからよ」
「エドレットさまぁ!」

 メリルジーヌが叫ぶ。
 するとその叫び声とともに彼女の足下から、ぶちぶちぶち、と綱がきれるような音がした。
「な、なんだあぁ……」
 ぎょっとして男はメリルジーヌの体を離す。エドレットの元に殺到しようとしていた
男たちも後ろを振り向き、事の成り行きに息をのんだ。
 その一連の流れに、エドレットは苦い表情を浮かべた。
470騎士と水蛇の娘(3/3) ◆RAN/ur62O. :2012/04/16(月) 00:59:55.09 ID:VrWXP73l
 急に解放され、反動で転びそうになったメリルジーヌだが、踏みだそうとした足は
人のものではなくなっていた。二つの足はくっついて一つになり、みるみるうちに
 銀の輝きを放つ鱗もつ蛇のそれになっていった。
 上半身から上は美しいメリルジーヌのままだ。だがその下半身は大蛇のもの。
 ぬらぬら鱗を輝かせながら、メリルジーヌはとぐろを巻いた。
「よくも、エドレットさまにひどい事をしようとしましたわね!」
 くわっと開いた口は人間のものではあったが、男たちはすっかり腰を抜かし、
大蛇ににらまれた蛙のように動けなくなっていた。
 だが、そのうちの一人が身の内の恐怖に耐えかね叫ぶ。
「ば、ば、化け物ー!!」
 その言葉にメリルジーヌは顔色を変えた。
「ひどい……」
 わなわなと体を震わせながら蛇の下半身をのたうたせる。そして涙目で叫んだ。
 胸から上だけ見ればすっかり同情して慰めてやりたくなるような憐れむべき
 美少女という風情ではあったが、いかんせんその下半身は大蛇。
 ずるずる、ずるずるっとメリルジーヌの感情の揺らぎとともに滑らかに動く。
「もう、失礼ですわよ!!あなたのご面相の方がよっぽど化け物じゃありませんか!!」

 すると、びゅんと音をたてて蛇の尾が鞭のように飛んだ。
 そして失礼な事を言った男をはじき飛ばす。木にびたんと叩きつけられ、
男はきゅうと気を失った。そして別の男は癇癪をおこしたメリルジーヌに
指をつきつけられ、突如何もない場所から発生した水球に閉じこめられ
ごぼごぼと苦しんだあげくその場にばしゃりと投げ出される。
 怒ったメリルジーヌには見境というものが全くなかった。
 エドレットはといえば自分も被害を受ける前に早々に脇へと避けていた。
 そこで木に寄りかかったまま、大騒ぎを見て一言呟く。

「……だから警告しただろう」

* * *ここまで* * *
471名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 21:05:06.53 ID:/xE54B2L
>>470
乙です。

ところで、もう限界のようですので、スレ立ててきますね。
472名無しさん@ピンキー:2012/04/17(火) 21:07:55.27 ID:/xE54B2L
立てました。
古代・中世ファンタジー・オリジナルエロパロスレ6
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1334664342/l50
473 ◆DYW6d/nzvM :2012/04/17(火) 21:11:20.91 ID:/xE54B2L
以下埋めネタ。

勇者くんだってオトコノコ

1.
 それは突然の出来事でした。
 大国フランシア王国の辺境、北の山岳地帯に魔王が突如降臨、全世界への侵攻を宣言したのです。
 この事態に激しい衝撃を受けた世界各国は、一斉に驚愕の声を上げました。
「イマドキ世界征服て!(笑)」

 というわけで、ほとんどの国は華麗にスルーしました(「しっ、目を合わせちゃダメよ!」)。
 フランシアとしてもできれば係わり合いたくはなかったのですが、自称魔王に国の土地を不法占拠
された挙句、「魔王城」などというひねりも何もない違法建造物を建てられてしまった上、周辺住民
にも被害が出てるときては、対処しない訳にはいきません。
「あーくそめんどくせーなぁ。地元の警察でなんとか出来ないのー?」
「それが」
 ぼやく国王陛下(48)に、艶やかな黒髪をアップにした、縁無しのメガネの似合うキリッとした
極上美人の秘書官さん(23)が、手元のバインダーをめくって確認し、報告します。
「先日の賃上げ交渉が決裂、現在長期ストライキ中とのことです」
「……それってまずいんじゃね? 主に治安的な意味で」
「いえ、もともと犯罪らしい犯罪が起きない平和な土地でしたので、今までは特に問題無かったよう
です。警官も、殆どが農家や地元の商店との兼業ですし」
「ちっ、これだから地方は……」
 しかしそうなると国軍を投入しなければなりません。
 ですが、魔王が占拠した土地があるのは秘書さんの言葉からも判る通り、はっきり言ってド田舎で
す。特筆するような資源も無く、国境に面している訳でもないので、当然常駐軍など置かれていませ
ん。しかも、急峻な山々の連なる山岳地帯の奥。一番近い所から軍を派遣するとしても、そのために
は結構な経費が必要になってしまいます。兵站だって馬鹿にできないのです。こういう時、広大な国
土がかえって足枷になってしまいますね。
 この不景気の中、軍事、しかも訳の分からない『魔王退治』なんぞに予算を割いたりしようものな
ら、普段から「財・政・難! 財・政・難!」とうるさい元老院やら経済担当大臣やらから突き上げ
を喰らうのは目に見えています。
 かといって、下手に税金の臨時徴収などすれば、今度は地方貴族や民衆が反乱を起こしかねません。
 どちらも、魔王なんかよりよっぽど憂慮すべき事態です。
 仕方なく緊急予算会議なんぞを召集してみましたが、予算とも魔王とも全く関係ない政治家同士の
誹謗中傷合戦に終始し、結局何も決められないまま解散してしまいました。
「うがあーっ!! もう、もう本気でめんどくせぇぇっ!! 魔王も一度、こういう為政者の重圧っ
てのを経験してみろっつーの! そうすりゃ能天気に『世界征服じゃ〜♪』とか、ぜってえ言えなく
なるぜ!! ったくよぉ……」
 だいたい、重要案件は他にも沢山あるのです。いつまでも魔王なんぞにかかずらわっている訳には
いかないのです。と言って、放置するわけにもいきません。
 国王の苛立ちは、もう最高潮です。

 勇者の血を引くと言う者が王様に謁見を求めてきたのは、そんな時でした。


次スレの終わりごろに続く
474名無しさん@ピンキー:2012/04/19(木) 08:32:03.73 ID:6hh3fSDO
うめ
475名無しさん@ピンキー:2012/04/21(土) 06:41:50.25 ID:VOJbyMLb
>>473
続きが1年半後だと?
476名無しさん@ピンキー:2012/04/21(土) 10:02:30.92 ID:0D48YadY
>>475
次スレに続き来てる
477名無しさん@ピンキー:2012/04/21(土) 20:41:32.79 ID:5Ov9+2Qa
うめ
478名無しさん@ピンキー
埋め用小ネタ* * *

「教授……これって、これってほんとに必要なことなんですか?」
少女がけげんな声で傍らの男にそう尋ねた。さまざまな本やら書類やらが
雑然とした部屋の中で少女は両手をロープで拘束され、天井から吊るされていた。
波打つ金髪の人形のように愛らしい少女だが、体の自由の利かない状態に
され、そのかんばせに不安の色をのぼらせていた。

「もちろんだとも、レイチェルくん」
男は少女の不安を断ち切るようにそう断言する。眼鏡をかけた男は
“教授(プロフェッサー)”の称号を持っているにしてはずいぶんと
若いように見えたが実際は年がいっているのか、見た目からは
分かりづらい男であった。
「これは実験だからね」
男はペーパーナイフを取り出すと、自分の指先をぴっと傷つけた。
みるみるうちに赤い雫が指先に盛り上がっていく。
するとそれまで不安そうに身じろぎしていたレイチェルだが、
それを見たとたんきっと男に強い視線を向けた。

「せ……っかく……がまん、してたのに……」
そう言ったレイチェルの、小さく開いた口の端に尖った牙がのぞいている。
彼女は人間ではない。吸血鬼であった。
だが、レイチェルは吸血鬼としての本能を抑えようと努力して生きてきた。
人の血を吸わないように、と。だが、本能を抑えるのは容易ではない。

今目の前にいる男が吸血鬼のことを研究していると知り、何か良い
方法を知ってはいないかと頼ってやってきたのだ。それなのに
自分の目の前で血を見せて、吸血衝動を煽るような真似をするなど
ひどいとレイチェルは男を責めたくなった。
だが、男はレイチェルの恨みがましい視線を気にもせず笑う。

「大丈夫、私にまかせなさい。平気だからこれを舐めて」
「いや……」
レイチェルはそういって顔を背けたが男はその口に指を差し入れてしまう。
「ん……、う……」
「血の味がするだろう、君たちには甘美に感じる生命の雫……」
久方ぶりの血の味にレイチェルは思わず恍惚とする。駄目だと思いつつも
男の指を舐め、さらに味わおうとしたが男はその指を抜いてしまった。
「あっ」
「これ以上は駄目だ。だが、どうだね血を吸いたいという欲求は高まったかい?」
「はい……」
レイチェルは恥じ入りながらそう呟いた。今もこの両手が自由なら目の前の
男につかみ掛かり、その首筋に牙を立てていたかもしれなかった。
ここから衝動を抑えるには強い意志の力が必要だ。レイチェルはぎゅうっと
目をつむった。
「教授……お願いですから、おさまるまでこの部屋から出て行ってもらえませんか?
あなたがいると、さっきの血の味を思い出してしまう……」
「いや、出て行くつもりはないよ」
すると男はレイチェルの服のスカートを掴み、おもむろにたくし上げた。
「なっ、何するんですか!?」
「吸血鬼は吸血衝動と共に強い性衝動を覚える。……だからそちらを
満たせばおのずと吸血衝動は収まるよ」

低くそう言って男は狼狽するレイチェルの下半身に手を伸ばした……。

* * *
やっつけでごめん。これで容量全部埋まるかな。