【あかほん・濱中】氏家ト全 30時間目【妹・生徒会】
【お願い】
作品の投下は以下のようにしてくれると助かります。
(1).投下します宣言
(2).本編投下
(3).ここまでです宣言
また、作品のタイトルは上記の(1)、(3)のどちらでも良いのですが、
1行独占で書いてくれると助かります。本文に紛れると見落としてしまうことがあるので。
↓こんな感じ
タイトル:「?????」
名前欄はこれまで通り作家さんのコテでよいです。
【氏家ト全作品】
・女子大生家庭教師濱中アイ(週刊少年マガジン連載、完結。単行本全6巻)
・妹は思春期(週刊ヤングマガジン連載、完結。単行本全10巻)
・アイドルのあかほん(週刊少年マガジン連載、完結。単行本全1巻)
・妹はひまわり組(別冊ヤングマガジン連載、完結。妹は思春期の二巻から収録)
・生徒会役員共(週刊少年マガジン連載中、単行本は現在第4巻まで)
・ハナとプチ(シリウス読み切り)
>>5 情報補足です。
・ハナとプチ(シリウス読み切り)
↓
・ハナとプチ(シリウス読み切り。生徒会役員共&オールキャラクターズに収録)
鳥テスト
こんばんは。それとお久しぶりです。三回目の投下になりますが、今回は
短編を落とします。
生徒会役員共からシノのお話です。
注意事項が二点ほどあります。
・陵辱注意
・夢オチ
それでは僭越ですが、新スレ一番手いかせてもらいます。
「ほう、またご両親が海外出張なのか。お父様の出張にお母様が世話するために着いていくと。夫婦仲がとて
もよくて結構なことだな」
「ええ、そうですね。そのぶんオレとコトミはほったらかしになるわけでもあるんで、複雑ですけどね」
いつもの活動を終えて帰宅する前にまったりと会話を交わしている生徒会長及びその部下である副会長。
ちなみに書記を務める七条アリアはお稽古が二本立てということもあって、今日は生徒会活動もそこそこに
して下校してしまった。
そして会計職の萩村スズは親戚の法事とのことで、今日は学校に来ることなくお休みである。
そのようなわけで生徒会室にはシノとタカトシのふたりきりであった。
数代前の役員たちが残していってくれたポットから手にしたマグカップにお湯を注ぎ、インスタントコーヒー
を淹れたタカトシ。
もちろんシノのぶんも淹れて彼女の前へと置く。目礼で返したシノはずずっと差し出されたコーヒーを飲むと
ほぅっと一息ついた。
「それはつまりあれだな。夫婦ゴムいらずというわけか」
「……は?」
「そのうち新しいきょうだいができるかもしれんぞ。津田としてはやはり妹がいいのか?」
「…………」
「可愛いものな、コトミは。あんな妹がもうひとりいれば妹萌えに本格的に目覚めてしまうんじゃないだろ
うか。ああ、双子の美人姉妹というのも大いにありだな。
ん? どうしたんだ、津田。急に押し黙ったりなんかして」
いつものようにぺらぺらと下方面に特化したトークを繰り出していたシノは、目の前にいる少年が沈黙してし
まっていることに気付いた。
俯いてしまっているタカトシがどのような表情をしているのか窺い知ることが出来ずいたシノ。
(んー、どうしたものか)
先日に読んだ「一流上司になれる本」を実践しているつもりのシノは、ここからどのようにしてさらに会話を
発展させるべきかと思案する。
――ガタンっ
そうこうしているうちにタカトシが席を立つ。トイレにでも行くのだろうかと考えていたシノの予想を反し、
つかつかとシノの目の前まできたタカトシ。
「津田?」
「会長。前から聞いてみたかったんですけど、どういうつもりでそういった下ネタを話してるんですか?」
「どうもなにも……。別に意識してやっているわけではない。私のデフォルトみたいなものだからな。……
津田?」
がしっとタカトシから両肩を捉えられたシノは、座っていたパイプ椅子から無理やり立たされる形となった。
そしてそのまま机に押し倒されてしまった。
その一連の流れが実に素早かったため、きょとんとするばかりであったシノはただただ困惑するばかりだった。
「つ、つだ――んんンっ!?」
動きを封じ続けられているシノの唇を強引に奪ったタカトシ。
「なっ、なっ、な……っ!?」
「ふぅっ。あれ、どうしたんですか。会長」
今まで頑なに守ってきた初めてのひとつを奪われてしまったシノは、まったくの想定外のことが続いてしまっ
ているため、反応が遅れてしまった。
「つ、津田っ、一体なんのつもりだ!?」
「あれ、もしかして会長初めてだったんですか? いつもいつも下ネタ連発してくれちゃってるから経験豊富
なもんだとばかり思ってたんだけど、悪いことしちゃったかな?」
「……っ」
自分を組み敷いてきているこの男は誰だ? 昨年スカウトして生徒会に引き入れた後輩の津田タカトシ――のは
ずだ。
悪びれた様子がないどころかニヤニヤしているタカトシに対して、シノは得体の知れない恐怖を抱いてしまった。
「今の今まで会長たちはオレのこと童貞だって思っていたようですけど。オレ、中学のころは結構遊んでたんで
すよね」
「えっ」
「桜才に入った本当の理由は、初心な女子高生を食い放題にできると思ったからなんですよ。オレ、自分にそれ
なりに自信があるもんですから。
予定よりだいぶ遅くなっちゃいましたけど、記念すべき第一号は会長に務めてもらいましょうか」
「なっ、なにをバカなことを言っているんだ! それはレイプという――ぁっ」
――パンッ
一瞬、自分がなにをされたのかシノはわからなかった。左の頬が熱い熱を帯び始めたことで平手打ちを食らわさ
れたのだということに気付いた。
「と、すみません。つい手が出ちゃいました。オレらしくないなー。あまり手間掛けさせないでくださいよ?
オレもできれば暴力とか振るいたくはないんで」
「…………」
「まあ、会長にも悪いところがあるんですよ。あれだけ下ネタ連発されると男を誘っているようなもんですから
ね。それにさっきはオレの家族に対して暴言吐いたわけですし」
さきほどの両親並びにコトミに対することをいっているわけだ。
身体の震えが止まらずかちかちと歯を音立てているシノの様子にはさほど感心を示さずに、手馴れているとばか
りにタカトシはリボンタイをシュルっと解くと、次いでブラウスのボタンも取り外していった。
お目見えしたシノの胸を見たタカトシは、ひゅーっと口笛を鳴らした。
「んー、気にしているだけあって確かに小さいですね。会長のムネって」
「な、なにを……っ」
初めて異性に見られてしまった乙女の柔肌。
小バカにしたタカトシのセリフにシノは羞恥心を覚え、また同時にコンプレックスであるバストサイズのことを
ことを揶揄されて怒りも覚えた。
プチンとフロントホックを外されてブラを左右へと押しやると、タカトシは両手で慎ましやかなそれを鷲づかみ
にした。
すっぽりと収まったそれを揉み込まれていく。
「んー、やっぱり小さいなー。今まででヤってきたなかで一番小さいかも」
「はっ、んんっ、ば、バカにするんじゃない……」
「えっ、そうですか。でも会長は嬉しそうじゃないですか、ほら」
きゅっとしこり立ってきたふたつの蕾を指先にて弄ばれる。
「オレに言葉責めされてこんなに乳首立てちゃってるじゃないですか。んっ」
「んんっ、ああっ、舐めるな、歯を立てるんじゃない……っ」
おかしい。これは間違いなく婦女暴行――レイプというものだ。
なのになぜなのだろう。目の前に男にバカにされ身体を自由に弄ばれているというのに、自らの肢体は熱く熱く
燃え盛ってしまっている。
ちゅぱちゅぱと乳首を舐めしゃぶっていたタカトシは、弄っていた胸元からすっと手を滑らせていきスカートを
ぺらりとめくると、ショーツ越しにシノの陰部へと触れていった。
「さっきから思ってたんですけど、会長って淫乱ですね。男に乱暴されているのに乳首は立てちゃうし、今弄っ
てるパンツはほら」
「はっぅぅんっ、触るな、そんなイヤらしい手つきで触るんじゃない!」
「もうこんなに濡れちゃってるし」
抵抗したい。しかし、タカトシの機嫌を損ねると先ほどのように殴られてしまうのではと思うと、行動を起こせ
なかった。
タカトシの行動にはまったく迷いというものがなかった。股間を覆っていた小さな布切れもあっさりと剥がされ
てしまい、シノの上半身は肌蹴られたブラウスのみとなり下半身は腰元に辛うじてスカートが引っかかっているだ
けと、あられもない姿となってしまった。
カチャカチャという金属の音が聞こえてきたため、逸らしていた視線を目の前の男に戻した。
「ひ……っ」
中学・高校の保健体育の授業で知っているはずだったそれ。しかし実際に初めて目にするそれは、赤黒く充血し
きって鎌首をもたげて獲物であるシノを前にして舌なめずりをしているように見受けられた。
想像していた以上に威容を誇る逸物に恐れおののくばかりだった。
タカトシと目が合う。変わらず笑顔を浮かべているタカトシがシノの細腰を掴んだ。
そして陰部同士を擦り合わせていく。
「ま、待てっ。そんなものが入るわけがないだろう!?」
「大丈夫ですって。女の子たちにはご好評いただいているんですよ、これでもね。こいつで会長も女にしてあげ
ますからね」
しとどに濡れそぼり淫らな液を分泌し続けている源泉に亀頭を合わせると、それ以上制止する間もなかった。
「あっ、ウウっ、ああっ、ああ……っ!?」
初めてであるシノを気遣うこともなく一気に貫いたタカトシ。
「んっ、やっぱ処女はきついよなぁ。さてと、どうですか、会長。女になった感想は」
「いっ、いたい、いたいんだ、お願いだ、もうちょっと優しく、んっ、してくれ」
「やだなぁ。さっき自分でレイプって言ってたでしょ。そんなことする男が優しくしてあげるなんて思っている
んですか? ほら、ほら!!」
身体を真っ二つにされるような幻覚から逃れることができない。
タカトシはただ自分の牡としての劣情を発散させるべく、しゃにむに腰を振り続けていく。
処女地から流れ出る破瓜の血は同時に溢れてくる淫らな蜜により洗い流されていく。
腰を前後させてこの牝は自分のものなのだという証を刻み込んでいくばかりだ。そこには処女を卒業したばかり
のシノを慮って気遣う素振りは一切見受けられなかった。
「ん、はぁぁんっ、ダメだ、津田、正気に戻れ。君はこんな男では、んンッ……ないはずだろう」
「いやいや、こんな男なんですよ、オレって」
相も変わらずにニヤニヤとしているタカトシは、シノの小ぶりな乳房を揉みこんでいき、以前特に敏感だと言って
いた乳首を執拗にかつ丹念にこねくり回していく。
それにより全身に総毛立つほどの快感が駆け巡っていく。
「しかし、会長ってビンカンですよねー。普通初めてでそれも無理やりに犯されてるのに、こんな感じたりなん
かしませんよ」
「ん、っ違う、ちがう……。ひゃああぁん、私はそんな淫らな女じゃ……」
「まあ、オレも久しぶりなもんでそろそろ出そうなんですけどね」
「えっ」
そうだった。ただ状況に押し流され続けて失念していたが、自分は避妊具を使用されずに犯されている。
そのことに気付いたシノはなんとかしてタカトシを押しのけようとするものの、男女の腕力の差は歴然だ。
「いや、だ、ダメだ……。初めてなのに膣内出しなんて、子供が赤ちゃんができてしまう……っ!?」
「今頃なに言っているんですか、あなたは。まあ、気付いていてもオレはナマで膣内出し派なんで、拒んでも
構わずにヤっちゃってましたけどね」
胎内深くに潜り込んできている亀頭部がヒクヒクとしてきているのが、感じられた。
子種を吐き散らしてシノの身体の奥深くまで染め上げていくつもり――いや、確実にそうするのだろう。
事実、タカトシの腰の動きは射精に向けてピッチが上がっていた。
「お願いだ、せめて外に……外に出してくれ!」
「ん、そうですね。これからオレの気が向いたときに会長のことを好きに犯していいなら、いいですよ」
「な、なにをバカなことを……。はんっ、私をこれ以上好き勝手に弄ぶだと、ふぁぁぁんっ」
「悪いようにはしませんよ。たっぷりと開発してオレと視線が合うだけでイケちゃうようにしてあげます。
と、やべ、そろそろマジで限界だ」
「わかった、キミのものになるから、だから、だから……っ」
「約束ですよ」
タカトシが耳元で囁いたことが引き金だった。強姦されたにも関わらずに絶頂を迎えてしまったシノの身体が
ビクビクと震えていく。
次いでシノの膣内から自らの肉棒を引き抜いたタカトシは、シノの滑らかな腹部へと白く濁った欲望の証をぶ
ちまけていった。
テーブル上にて身体を横たえたまま放心状態のシノを尻目に、身支度を整えたタカトシが鞄から取り出した
デジカメでシノの痴態を撮影していく。
「はい、一応撮らせてもらいました。誰かに相談なんかすれば……頭のいい会長は自分がどうなるかなんて
わかりますよね」
「…………」
虚ろな色を湛えたシノの双眸は決してタカトシと視線を合わせようとしなかった。
「会長。そんな反抗的な態度取られちゃうと困っちゃいますよ。まあ、別に会長じゃなくても七条先輩でも
いいですけどね……」
「ま、待てっ。アリアにも手を出すのか!?」
がばっと身を起こしたシノは両手で己の身体をかき抱くと、キッと鋭い目で自分を犯してきた少年を見据える。
「萩村もいいかもですね。あのタイプとはヤったことないんで。でもロリに目覚めちゃったらやばいよな」
「わかった、わかった! 私が私がキミの相手をするから、だからふたりには手を出さないでくれ!!」
「ははっ、ありがとうございます。オレに飽きられないようにせいぜい頑張ってオレ好みの肉便器になってく
ださいね」
そう言い残してタカトシは生徒会室を去っていった。
「私は……私は、これからどうなるんだ」
シノがぽつりと漏らしたその言葉に返してくれるものは誰もいなかった。
そして生徒会室には少女がすすり泣く声が次第に大きくなっていった。
「――という夢を見たんだ」
「あらまあ。津田くんって見かけによらずワイルドなのね。か弱い女の子を犯すだけ犯して肉便器宣告だなんて」
ここは桜才学園高校の生徒会室。夕方を過ぎたためうっすらと夜の帳が落ち始めてきたことにより、生徒会室
へと差し込んでくる太陽の光は大変弱弱しかった。
(またオレを置いてオレの話をしやがって、この人たちは……っ。いや、ここはクールに、そうあくまでも冷静に
なるんだぞ、オレ)
本日の業務を終えたメンバー一同は、帰宅前の他愛もないおしゃべりに興じていたのだが。
その席上にてシノが昨夜に見たという夢をありのままに語っていた。その夢にて自らを犯してきたタカトシに許可
などとることは一切なく。またその夢の中でのタカトシがした凶行をぼかすことなども全くなく。
「でもシノちゃん」
「ん、なんだ、アリア」
「Mな津田くんがレイプというのは、ちょっと無理があるんじゃないかしら」
おっとりと頬へと手をやりながら、アリアが頭に浮かんだ疑問を素直に口にする。
「いや、SとMはときとしてリバースするという。だから……」
「きゃっ♪ ということは、津田くんも……」
シノ&アリアからの好奇に満ち満ちた視線を懸命に耐え抜くタカトシ。
(ああ、萩村。おまえはこんなくだらないことなんかどうでもいいよな?)
そしてタカトシはすぐ隣にいるスズへと目を向けた。
……あれ、こんな離れていただろうか。
「は、はぎむら……?」
一歩近づいて伸ばした手をパンッと払われてしまった。
「ち、近寄るんじゃないわよ、この強姦魔! 私を妊娠させる気なの!?」
「ちょ、夢の話だろ、大体そんなキャラじゃないだろ、オレは!?」
桜才学園生徒会は今日も平和……もとい、平常運転であった。
(おしまい)
以上で投下完了です。お付き合いいただいた方、お疲れ様でした。
前スレの終盤にて陵辱ものがという話題がでてきていたので即興で書いてみた
のですが、なにぶんこれ系の話を書くのは初めてですので、ヌルイかもしれません。
暇つぶしになれば幸いです。
それとタイトルは特に思い浮かばなかったので無題でお願いします。
忘れてました。
>>1スレ立て乙です。
良い休日をお過ごしください。それでは、いずれまた。
乙です。全キャラ制覇期待してます。
アニメの幼女コトミが可愛すぎる件…はぁはぁ
勘違いしてるシノが痛いな
乙&GJ!
これからも期待してます
◆vLXBuC8goU氏乙です
相変わらず文章がうまいですね。尊敬します
>>14乙乙!!
この後夢から覚めて跳ねるように起きたシノがポツリと「夢か・・・・・」と呟いた後で
「夢というのは無意識下の願望の具現化だと聞いた事がある・・・・・
という事は私の中に"津田に犯されたい"という願望があるという事なのか・・・・・?」
なんてモノローグで呟いたりするのだろうか・・・・・・w
やっぱ昔からいる職人さんはうまいねぇ〜
◆vLXBuC8goU氏は今年の6月くらいのスレデビューじゃなかったっけ
でも確かに文章が凄く上手だと思う、
>>17と同じで尊敬します
乙でした!エースとしての活躍をご期待します
皆はやっぱり役員共のブルマ、じゃないブルーレイ(かDVD)を買ってるかい?
1巻目をとりあえず様子見で買ったんだけど、出来が思いのほかによかったんでそれ以降も購入してるよ
月に二回の楽しみになっている
それとアニメのブルーレイにしては値段が格段に安いというのもいいよね
通販だと四千円切っているしDVDならさらに千円ぐらい安いし、良心的だと思う
毎日寝る前に三巻全部見る俺がここにいる
発売が早いのはありがたいな
スズママとスズってなんて呼び合ってたっけ?
母ちゃんのほうは「スズ」じゃなかったっけか
半身浴の回にそう呼んでた記憶が…
スズから母へは記憶にない(ついでに手元にコミックスがない)
二巻の27p「美容一番」では「スズー、次お風呂いいわよ」とママンが言っているな
>>14 このタカトシは畑さんを助手にしてそうだ
続き期待
渋でも生徒会のイラストやマンガが増えてきたな
氏家の二次創作が活気づいて股間熱
アニメ2期、やってほしいよなあ…
結局新規らしい新規は現れなかったな
まぁここは昔からの職人さんがいるからいいが
マートン
猛打賞
記録見えてきた
誤爆スマソ
シノ「津田、猛打賞とは何だ?」
タカ「一試合にヒットを三本以上打つ事ですよ」
シノ「一度に三本以上か、それはすごいな」
タカ「何考えてるのか分かりませんけど、この話は終わりで〜す」
今週は神オリジナルだったな
バランスが良い
これで文句言う奴はワガママじゃないか?他のアニメとかレイプ度が酷いぜ
トッキー出てたよな?
柳本をカズヤ化して原作で再利用してほしい。あと横島先生と一緒に面接してた女先生を逆輸入してほしい。癒し系教師ポジションで
アイ先生赴任でも良いけど、時系列が…orz
原作のままで改変するな、一切のオリジナルは認めない……なんて原作絶対主義なファンはどのアニメでもおるさ
役員共アニメは原作をかなり大切にしてくれてると思うけどな、修学旅行やジョージも個人的にはあまり気にならんかった
むしろ想像していたよりキャラの声のテンションが高いことに最初は戸惑った、もちっと淡々としているイメージがあったんで(無論もう慣れた)
修学旅行でシノが暴走し過ぎた事以外は気にならないな
ぺすと
こんばんわ。夜遅くですが、投下します。
タイトル:副会長、御乱心A
カップリング:タカトシ×スズ
前回のシノプレイの続きになっており、スズ目線です。
でわでわ投下↓
戦いが繰り広げられていた。
人体を模した避妊戦士コンドムが、銀河を駆ける。
自○音軍の兵器を次々と撃ち落としていく。
「うりゃうりゃ……あ〜また負けちゃった」
○慰音軍を率いるプレイヤー・津田コトミは頭を抱える。
「アンタ弱いわね」
彼女に引導を渡したのは○丘連邦軍を率いた私だ。
IQ180かつ10桁の暗算なんて朝メシ前という常人外れた知能は、遊戯でさえ他を圧倒するのだ。
「べっ……別にいいもん。ゲームなんて子供がするもんだし」
「なにーッ!アンタがやりたいって言い出したんでしょうが!!」
子供というキーワードが、穏健な私に眠る地雷を爆発させた。
怒涛の連続ラッシュをコトミの胸に打ち付けるが、何故か微笑ましい表情をしていた。全く効いていなかったのだ。
私は最近、ちょくちょく津田家に足を運ぶことが多くなった。
コトミと遊んだり勉強を教えたりするのは、勿論楽しい。
だが私がここにくる本当の理由――それはまだ学校にいるらしい津田タカトシ。
「タカ……」
お互い名前で呼ぶようになったあの夜のことを、忘れることはないだろう。
二人の想いが繋がった、あの夜のことを――。
それは一カ月前のことだった。
時期は8月。夏休みで生徒会雑務を行っていたある日のことだ。
「おはようございます」
「ああ、おはよう萩村」
私はいつものように、通学して生徒会室の扉を開けた。
だが入った瞬間、違和感があった。会長以外、誰もいなかったのだ。
「七条先輩と津田は?」
「アリアはトイレ、津田はまだ来てないぞ」
「そうですか……」
会長の言葉を訊き、私の心はズシリと重くなった。
誤魔化そうと思っても無理だ。少しだが確実に――津田を意識してしまっていた。
座布団を確認し、いつもの場所へ着席する。
会長から貰ったレジュメに目を通すが、お互い言葉もなく重苦しい空気が張り詰める。
「萩村……」
レジュメに下線や補足を書いていると、突然会長が話しかけてきた。
「…はい」
「お前は津田のこと……どう思ってるんだ?」
そして会長が訊いたのは、心臓の音が瞬間的に静まるかのような質問だった。
突然のことに、私は本音を発する間もなかった。
「べっ別に……会長の方こそどう思ってるんですか?」
「副会長としては本当に頑張っている。だが交際禁止の校則がある以上、どう思おうが無意味なことだ」
会長が窓を向く。どこか寂しそうな顔をしており、答えを表しているようだった。
やっぱり会長は、津田のことが……。私はどうすればいいんだろう。
「おはようございます……」
そうこうしている間に、津田が登校してきた。
「おはよう津田」
会長は寂しげな表情を隠し、笑みを浮かべて津田に話しかける。
私も負けじにと口を開こうとするが、そこで彼の異変に気付く。
「津田……どうかしたの?」
津田はどこか蒼白としていた。
ぐったりとしているというか、精神的疲弊が強いようにも思える。
「ただの夏バテだよ、ハハ……」
私の左隣に座ると、そのままうつ伏せになってしまった。
昼休みの私と全く同じだった。
「ゴメンね、お手洗い長くなっちゃって」
七条先輩もいつの間にか到着していた。
「ハハハ、お手洗いというよりアナル洗いだったんだな」
「ふふふっ…やっぱりシノちゃんは鋭いわねー」
そして繰り返される下ネタトーク。
最早慣れ切った予定調和であるが、どこか物足りなさがあった。
ツッコミだ。
ボケた瞬間、二人の視線が津田へ向かったのを私は見逃さなかった。
だが津田はぐったりしたまま、ツッコミを放棄していたのだ。
「津田君、元気ないわね。昨夜は自家発電に勤しんでたのかしら」
「あり得るな。溜まってないのについついオナニー……といったところか」
再び二人の目は津田へと向かう。
だがやはり津田が応えてくれることはない。絶望の淵にいるような顔をしているのだ。
「なんで私を見るんですか。ツッコミませんよ」
急にバトンを渡されたって、易々とこなせるわけがなかった。
ここはボケの二人にも休んでいただくしか手段はなかった。
「しょうがないな。今日は静かに過ごさなければならないようだ」
「賢者モードと勘違いされちゃうわね」
すかさず七条先輩がボケを挿し込んでくる。目線は再度津田へ……。
言わなくても分かってる、次にフッてくるのは私だ。
「えと……ありえねーよ」
「スズちゃん、まだまだねー」
そのまま放課後へとなった。相変わらず津田の状態は戻らない。
今日の業務は終わり、まさに帰宅しようというところだったのだが。
「おかしいな……」
業務で使ったレジュメをファイリングしていく傍で、会長は冷や汗を垂らしカバンを漁っていた。
「どうしたんですか?会長」
「鍵がないんだ。なくしたのかもしれない」
完璧人間な会長らしくない。
だがここで華麗にフォローするのがIQ180の役目だ。
「津田と探しておきますので、会長達は先に帰っていいですよ」
私が言うと、会長は安心したようで荷物を肩にかける。
「じゃあそうするか」
「そうね。スズちゃん見つけたら報告してね」
「はい、お疲れ様でした」
時間ということもあり、七条先輩と会長は一足先に帰ることになった。
そして生徒会室には、私と津田が残された。
だが津田は相変わらずである。
ずっとぐったりしたまま、いつもらしくない。
「津田、何ボーッとしてんの。探すわよ」
全く動かない津田の背を叩き促すが、何の反応もしない。
あまりにもの異変に、苛立ちから胸元を掴み引っ張る。
「アンタたるんでんじゃないの?早く起き――」
だが瞬間、私は絶句してしまった。
今日初めて見た津田の表情は蒼白で、ずっと泣いていたのか目に痣が見えるのだ。
「どうしたの?」
「何でもない……今日はもう帰る」
彼の意気消沈した姿は、1年以上生徒会メンバーとして一緒にいて見たことがなかった。
だからこそ私の胸は、鋭い痛みを覚えた。このまま帰したらいけないのだと。
「待ちなさいよ……」
荷物を肩にかけ、ドアに触れようとした津田を制止する。
引きずるような鈍さをもった足が止まり、私と目を合わせる形になる。
「何だよ萩村。鍵のことなら先生に言えば――」
「そういうことじゃないわ!!津田、アンタどうしたの?今日は全然元気がないじゃない」
鍵の紛失など、私にとって然したる問題ではなかった。
大事なのは目の前に津田、そのことだけなのだ。
「辛いことがあるんなら言いなさいよ……仲間じゃない」
話していくにつれ、声音がぶるぶると振るえていくのが自分で分かる。
緊張している、おそらく今の時間が過ぎてしまえば2人の関係が変わってしまう気がしたのだ。
私が話し終えると、津田はドアを開き廊下を向いた。
「萩村に話すことは何もないよ。それじゃあ――」
「……待ってよ」
帰路を阻むように、私は津田の背後へと飛びついた。
背の著しい格差からか、腰元までしか及ばず制止への決定的な力とはならない。
それでも私は手を離すことはしない。
「萩村……」
「私は、アンタのそんな顔見たくない。」
目頭が熱くなり、津田のYシャツに雫が染みる。
一年以上津田と接してきた。そんな彼の知らない姿に、私は哀しみを懐いていたのだ。
喉から言葉が出そうになり、その度に噤む。
だがそれでも、私は言わなきゃいけないと直感が囁いた。
「津田のこと、ずっと好きだったんだから……」
抱擁の手を強め、気持ちを伝える。
暫しの間、沈黙が続く。
言ってしまった、そう思ってももう遅い。互いが互いの反応を窺っているのだ。
沈黙の中、どちらかともなく対面した。
彼の得体の知れない苦しみを、受け入れたかった。
それが友情からくるものなのか恋愛感情からくるものなのか、今更確認する必要もないだろう。
爪先立ちをして目を瞑ると、唇にそっと優しいものが触れる。
初めての感覚だった。
「津田……ドア閉めて」
照れ隠しに彼から目を逸らす。
何も言わなかった。それでも何が起こるのか、二人には分かっていた。
カーテンを閉め、明かりを一段階落とす。
テーブルがベッド代わりでは些か不安だが、今は気にしないでおこう。
「初めてなんだから、痛くしないでよ」
「わ……分かってる」
幾らかの粗雑な愛撫の後、私達は一糸纏わぬとなる。
テーブルをベッドに、座布団で腰を支える。
いつも見上げる形だった津田の肩が、いつもより大きいように感じられた。
この体に抱かれていればずっと護ってもらえる、そんなこと思ってしまう程に。
「―――ぁあ……んん」
津田が一歩、奥へと進んでいった。
未知の、他人が入ってくる感覚に怯えながらも必死でしがみつく。
「タカ…もっと、もっと私を愛して……」
気がつけば、私は津田を名前で呼んでしまっていた。
貫かれて彼と同化した私は、もっと彼に入ってほしかった。心からそう思っていたのだ。
「いいよ……凄く気持ちいいよ、スズ……」
彼も――タカも私を名前で呼び、ディープキスを交わす。
舌が腹を伝い、胸へと届く。全身が犯されている感覚が襲い、つい腰を大きく動かしてしまう。
どれだけの時間が経ったのか分からない。
体位が騎乗へと変わり、私は無心で腰を動かす。
「はあっ…はあっ……あっ」
疲労も忘れて、快楽と愛を求めていた。
タカも腰を動かし、互いが野獣となった気分だ。
そして徐々に、体の奥から別の感覚が湧き上がってきた。
「スズ……オレ、もうすぐで出そう」
「……そう」
タカを求める中で、時の終わりが聞こえる。
あまりの感覚に、私は頭が麻痺をしていた。
当然、今日はセックスする為に登校したのではない。
避妊具など一切つけずに、情事に浸っているのだ。
快楽という麻薬が、避妊という当たり前を遠ざける。
好きな人の全てを受け止めたかった。
「全部……出して」
そう言うと、私は更にペースを上げる。
腰や両の脹脛が痛みを訴えるが、そんなもの関係なかった。
「タカ……」
「……スズ」
もう一度深くキスをした。
深く繋がっていく中で、想いが爆発していくのを確かに感じていた。
そして現在に戻る。
結局あの日、タカがぐったりしていた理由を知ることは出来なかった。
だが私はそれでも構わない。あの日、私の想いは繋がったのだから。
学校や生徒会には内緒にしているが、場所を共有にする幸せは変わらないのだ。
そうこうしている間にインターホンが鳴る。
「タカ兄かも。先輩はここで待ってて」
リビングで横になっていたコトミが、走って玄関まで向かう。
ぐうたらなのか、元気なのか。よく分からない娘だと思ってしまう。
「ただいまー。あっスズも来てたのか」
やはりというべきなのか、帰ってきたのはタカだった。
学校で会った以来なのに、長い間離れていた感覚もある。
「わっ…私は今帰るとこだから」
「タカ兄、送ってやんなよ〜」
私が茶色の靴を履くと、コトミは邪悪な笑みを浮かべた。
「そういえば、今日は遅かったのね」
生徒会の仕事が終わってから、タカと会長は残っていた。
それを不審がることはないが、一応訊ねる。
「あの後、会長とスピーチの練習してたからさ」
「そう……」
そう言えば、明日の昼には緊急全校朝会の予定が入っていたような。
仕方ないと思いながらも、僅かな違和感があるような気がした。
そんな夜道で、人影が目の前に佇んでいた。
隻の眼光は鋭く、私達は歩を止めてしまっていた。
「どうも……」
目を真開きもう一度確認すると、現れたのが時さんことトッキーであることに気付く。
入学してから目立った問題は起こしていないものの、威圧感は相当なものである。
「こんばんは。時さん、あの……」
「コンビニ行くだけだから、心配とかなくていいスよ」
もう一度頭を下げ、彼女は消えていった。
それはあっという間の出来事だったが、私の頭にこびりつくこととなった。
そうやって歩いていると、家の前まで早くも辿り着く。
2人の時間は短くも、それでいて暖かさを感じていた。
「じゃあここで、また明日な」
「ん……」
立ち去ろうとするタカに、私は目を瞑って応戦する。
勿論その合図を、タカだって分かってる。
あの日のような甘い接吻を、もう一度交わした。
ここまでで、Aは終了です。
ベッドシーンを描くのがキツイと感じるこの頃です。
スズがかわいくて生きてくのが辛いくらいだぜ!
GJ!!
>>49
乙です。続き気になる展開ですね。
一体タカトシに何があったんだ?
>>828 お、新作ktkr
ここまでシノとスズを喰ったタカトシ、次はアリアを喰うのか?
そして畑&トッキー&横島先生の動きも気になる所。
こりゃ次回も全ラ待機だ!!
あ、専ブラに保存してた前スレのログ見ながら打ってたんでアンカーミスったorz
って事で改めて
>>49@宣氏乙ですた。
宣氏乙&GJっす!
宣氏乙です。そういえば昨日はすれ6周年だったね、今になって思い出したよ。
そうだったのか! 新参者だがおめこと叫ばせてもらう!
初代スレの住人たちはまさか氏家漫画がアニメ化されるなど思っていたであろうか…
淫行やの…もとい光陰矢の如しだな
6年かー6年前は思ってなかったなあw
まさかアニメになるとは・・・
59 :
スズ×タカトシ:2010/09/22(水) 02:22:08 ID:bv+VHS69
スズが可愛すぎて書いた。
前編だけ。後編はなるはやで書く。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
萩村スズは夢を見ている。
夢の中ですら頭脳明晰なスズは、これが夢であると気付いていた。
視点がいつもよりも高いから。
制服の胸がいつもよりもきつく、下をみるとしっかりとした胸のふくらみが視界の隅を覆っているから。
そして、スズのすぐ横にはタカトシがいる。
タカトシと腕を組みながら、スズは歩いている。
何度か夢に見たことがある光景。
胸も背もちゃんと成長した自分が、津田タカトシと一緒に下校しながらデートしている夢。
スズはそれが夢だとわかっている。
でも、しばらくその夢に浸っていたいと思っている。
タカトシの肩のちょっと下までの身長がある嬉しさ。
ほんのちょっとだけ首を上向きにするだけでタカトシの顔を見る事ができる幸せ。
夢の中で、スズは幸福だった。
自分が、ちょっとだけ背伸びをするだけで津田の肩に抱きつくことができていた。
「津田…」
びっくりするくらい甘い声でスズはタカトシに囁く。
「萩村」
そう口にするタカトシは、スズのあごを指先でつまむと、その唇を触れさせる。
暖かくて、優しくて、温かい。
スズには実際にはキスした経験がないからリアルかどうか判らない。
でも、そんな胸が甘くなるようなのがキスだとスズの夢は告げている。
スズの胸の中の心臓がドキドキと高鳴る。
タカトシの匂いを嗅いでいるだけでスズは気持ちよくなってしまう。
「津田…つだっ」
スズの視界にはタカトシの顔しか見えない。
タカトシの手のひらが、肩に食い込んでくる。
スズの腰の中が甘く熱を帯びていく。
タカトシの顔がスズの視界いっぱいに広がる。
「津田…」
60 :
スズ×タカトシ:2010/09/22(水) 02:22:31 ID:bv+VHS69
「津田…」
スズは目を開けた。
そこはスズの部屋。ベッドの上にいる自分。
カーテンの間から差し込んでいる朝日。
「…夢…」
萩村スズはそう独り言をいう。
「そうよね、夢よね」
まだ胸がドキドキしている。タカトシの腕の力強さ。タカトシの筋肉質な胸。タカトシの汗臭いけど不快じゃない匂い。
でもその頬は真っ赤に染まっている。
汗ばんだ首筋に色素の薄い髪が張り付いている。
「夢…だからっ」
スズは幸福そうなその笑みをムリに噛み殺すと、パジャマを脱いで制服に着替える。
黒のストッキングを履いている途中、すこしだけよろけたスズは机の上の本を落としてしまう。
「あ」
ちゃんと履いてからスズはその本を拾う。
表紙には
『高校生のための大学留学ガイド』
とある。
津田タカトシと出会うまでは決めていた自分の将来。
ソルボンヌかハーバードか。オクスブリッジというのもありかな。
海外の大学に進学し、外見や背丈で判断されないような世界に行こう。
そう考えていた。
津田タカトシという少年と出会い、彼のことをよく知るまでは。
スズは夢の内容を思い出してしまう。
「ナニよ…」
髪をゴムで留めながら、スズは頬が勝手にほころんでしまうのを止められない。
夢の中で自分の名前を囁いてくれたタカトシの声を思い出すと、いつだって完璧な天才少女の表情は不思議と柔らかくなってしまう。
スズは時々想像する。
タカトシが自分のことを好きだといってくれる情景を。
「萩村のことが好きなんだ」
と真剣な顔で、真っ直ぐに告白してくれるタカトシの顔を想像するだけで胸の奥がキュンとなってしまう。
早熟で天才の癖に、萩村スズは今まで生まれてきてから一度もこんな感情にとらわれたことがなかった。
タカトシに女の子として見られたい。
タカトシに、好きだって言ってほしい。
あの力強い腕にぎゅっと抱かれたい。
タカトシの筋肉質な胸板に顔を埋めながら、その鼓動を感じたい。
タカトシにキスされたい。
何度も何度もキスされながら、痛いくらいにきつく抱きしめられたい。
萩村スズはそういう願望を心の一番奥に感じていた。
61 :
スズ×タカトシ:2010/09/22(水) 02:23:10 ID:bv+VHS69
萩村スズはそういう願望を心の一番奥に感じていた。
しかしIQ180の天才であるだけに、萩村スズの現実認識は正確だ。
だから津田タカトシの性的嗜好対象がどのようなものか、よく知っている。
津田タカトシが、女性らしいふくよかな容姿に性的関心があるという事を。
アリア先輩の胸を良く見ていることを知っている。
シノ会長に声を掛けられたときに見せる嬉しそうな顔を良く覚えている。
スズはいつもタカトシを見ているから、判る。判ってしまった。
津田タカトシという少年は、スズの事を性的な目では全然見ていないってことを。
スズの表情が、一瞬で歪む。
まるで苦いものを無理矢理飲み込まされているような辛そうな表情を浮かべる。
パン、とスズはそんな自分の頬を叩くと、いつもの勝気で冷静な表情を取り戻す。
好きな相手に顧みられないという、少女にとってはなによりも辛い痛苦を意志の力で振り払うと、今日もスズは
タカトシと一緒に登校すべく早めの朝食へと向かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
後編もガンバル
GJGJ
期待せざるをえない
おおうスレ除いたら2本もSSが・・・両者ともGJ!
スズ人気すなぁ
>スズ人気
そりゃ正統派ツンデレだからな
アヤナの後継者はシノではなく実はスズかもしれない
・ツンデレ
・意地っ張り
・身体コンプレックス
連載開始時はスズ?誰ソレ状態だったのになw
連載進むうちに人気を上げてくる典型かも知れん
逆にアリアは…。
生徒会三人娘は満遍なく人気あると思うけど、スズは確かに伸びてそうだね
だってアニメのスズ確かに可愛いもんなぁ
アニメ化で一番株が上がったキャラだろうね、たぶん
津田と二人で登校してるときの「は〜…さぶい」が最高に可愛かった
今人気投票やったら一番順位上がるのは畑さんだろ
>>61 乙&GJ!
期待してます
畑さんは上がるだろうね、まさかあの声があのキャラにあんなにハマるとは
しかしネネは本当に最終回まで引っ張られたなw(知恵の輪の時にちらりといたっけか?)
71 :
名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 05:30:45 ID:YCgPZwSh
もし規制されてなけれ・・・
72 :
名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 05:32:50 ID:YCgPZwSh
あぁいつの間にか携帯のほうは解除か!
うp職人さん達いつもトンクス
というわけで初心者だがタカトシ×スズエロ無で頑張る
さてテス
75 :
72:2010/09/24(金) 18:43:50 ID:gpNmGt8K
おっとYBBも規制解除ktkr
今キタックしたから雑務が終わったら冬コミ用にいろいろ妄想してたネタを煮詰めてがんがる
SS初めてで遅くなるかもしれんが言い逃げはしないので期待せずに待っていてくれ
全裸待機
こんな感じか
本命:スズ
対抗:ムツミ
エロありでもエロなしでもカムカムチェケラッチョ
悶えさせてくれー
津田×スズ(非エロ)
「ふぅ〜さぶいわねぇまったく」
私が桜才学園に入学してからもう一年が経ち街行く人々はどこか慌しい雰囲気をしている。
地元の駅前、それほど栄えているわけではないが必要な物は大体手に入る
生徒会の活動に必要な物や欲しい参考書があったので寒い中こうして歩いてきた
いつも利用している書店、目当ての本が棚のかなり上にあり悪戦苦闘する
「どちらの書籍でしょうか?お取りいたしますよ。」
振り返るとこの書店の従業員だろう人が問いかける
「あの一番上の段の左端にある本です」
本を受け取り会計を済ませ先ほどより少し重い足取りで書店を後にする。
「あいつだったらどうしたんだろう・・・あの日みたいにしてくれたのかな」
言葉を紡いだ自身の口から白い息が出た
「寒いし帰ろう」
休日の駅前の雑踏を自宅へ向けて歩き出す。
大通りの信号で対面によく知った顔を見つける。
向こうはまだ自分には気づいてないようだ。
すれ違う時に声をかけてみようと思ったが止めた
別に気が変わったわけではない。
隣に並ぶもう一人のよく知った顔を見つけてしまったからだ
学校ではまず見ない私服姿で並ぶ二人
「津田と・・・会長」
なぜか咄嗟に隠れてしまう。
別に後ろめたいことがあるわけではない
なぜか今見た光景を認めたくなかった。
「何よ、二人とも私に嘘付いて・・・」
実は一人で休日の繁華街に行くのも面白みにかけると思い
生徒会の面々を誘ってみたのだ。
「ごめんねスズちゃん、明日は夕方まで親戚のお宅へお邪魔するのよ」
「すまんな〜萩村、私も明日はちょっと」
「俺もなんだ萩村」
「私が一緒に街に繰り出して若い体を!!!ジュル・・・」
前日の何気ない会話がよみがえる。
倒れそうな足取りで帰宅しすぐさま自室に逃げ込む
「なんで二人とも・・・嘘をついたのよ」
鞄の中から響く鈍い振動音
『新着メール1件 津田タカトシ』
私は内容を見ずにそっと携帯電話の電源を切った。
「私じゃ駄目なのか・・・
「スズ・・・ん・・よ」
「スズったら起きなさい」
気づくと帰宅した時窓から差し込んでいた光は消え部屋の中は暗闇が支配していた。
いつの間にか寝てしまっていたのだろうか
夕食の支度をした母親が起こしに来たようだ
「うん。」
短く返事をして洗面所へ寄りリビングへと行くが食欲はない
昼食をとらず寝てしまったので空腹のはずだが食べる気がおきない
しかし母親に心配をかけたくないと思い早々に食事を済ませ浴室へと行く
浴室の鏡に映る自分の姿は共に生徒会の活動を行っている人間
主に天草シノと七条アリアのそれとはまったくと言っていいほど違っていた
「私も二人みたいに背が高くて体型ももっと・・・」
すぐに叶うはずの無い願いだと気づき口に出すのを止めた
自室に戻ってからも昼間の事ばかり考えていた
いつからだろうか共に活動する同級生だったはずが特別な存在になっていた
いつからだろうかそれまで業務的に参加していた生徒会の活動が楽しくなったのは
もちろん二人との活動が面白みのないものだったわけではない
二人は私の知らない色々な事を教えてくれた
もちろん大半は役に立たない下世話な知識であったがそれは良しとしよう
しかし『彼』と行う生徒会の活動は違う意味での楽しさがあった
活動の内容ではなく共に過ごす時間・空間が楽しいというのが適切な言葉だろうか
「私じゃ駄目なんだ・・・会長の事を見てたんだ・・・」
綺麗に整理整頓された机の上に飾ってる写真ためを見つめつぶやく
七条家の別荘にお邪魔した際撮った何気ない一枚の写真
真っ赤に日焼けした二人が写る写真が唯一『二人だけ』で撮った写真だ
そっと写真たてを伏せると自分も瞼を閉じた
ピンポーン♪
静寂を切り裂くように呼び鈴が鳴る
昼間の事が気になって眠れずにいた私は時計を見る
「まだ0時じゃない・・・誰よ」
おそらく父親が鍵を持たずに仕事に行ったのだろうと思った。
母親が出たが何か玄関で話をしている
会話内容までは分からないが男性と会話をしているくらいは分かった
階段を登ってくる足音に違和感を覚える
二人分の足音が聞こえ不安になる
開けられた自室のドアの外に立つのは母親と
「津田?」
先ほどまで思考を占拠していた張本人の姿があった
「あら起きてたの?津田君が用があるけど携帯がつながらないって来たのよ」
ふと数時間前携帯電話の電源を切った自分の姿を思い出した。
「本当に夜分遅くにお休みのところ大変失礼しました」
「津田君だったらいいのよ♪御持て成しできないけどゆっくりしていってね」
テンプレートな会話を済ませると母親は出て行った
「どうしたのよ?何か用?」
「いや・・・あのさ」
いつもと違いはっきりしない態度にとまどいつつも続ける
「別に用があるなら明日学校で言えばよかったじゃない
まさか家まで来るとはね」
「今じゃなきゃ駄目なんだ」
「え?」
質問の意味がよく分からなかった
「萩村、今日は何日でしょうか?」
「今日は日付が変わったから4月・・・」
言われるまで忘れていた、今日は自分の誕生日である。
「萩村、誕生日おめでとう」
差し出された手には昼間二人を横断歩道の向こう側で見つけた時に
津田が持っていた袋そのものだった
「だってそれは会長と・・・」
「え?会長?あー萩村近くにいたのか〜」
「だってあんたは会長と付き合ってるんでしょ?違うの?
ただの友達にそこまでしないでよ。勘違いするでしょ」
言葉に出した時二人の関係を認めてしまったような感覚に陥り気づけば頬を涙がつたっていた
「ただの友達以上に思ってるからこうやってるんだよ
一番最初におめでとうって伝えたくて・・・。
顔を真っ赤にしながら彼がつぶやいた
「俺さ女の子にプレゼントとかしたこと無かったから会長に付き合ってもらったんだよ
それに一人で女性向けのお店に入るのもなんか抵抗あったしね。」
一呼吸おいて彼が言った
『萩村の事が・・・』
〜数年後〜
「えぇ私天草シノが二人に出会った頃新婦は背も低く新郎は大変なロリコンry」
会長は相変わらずの性格だ。
七条先輩は仕事で世界中を飛び回っているらしい。
そして彼の肩の辺りまで背が伸びた自分が隣にいた
あの日背伸びしても届かなかった彼の口に今はちゃんと届く
もう少し背が高ければ 終わり
http://imepita.jp/20100924/847970
初めて日々の妄想を文章でうpしてみたけど難しすぐる。
そもそも句読点ry
普段こんな具合で同人の原稿書く前にネタ作りして打ち合わせしてます
また気が向いたらうpさせていただけるとうれしいです。
その際は読んで感想なりアドバイス・文章回しなどアドバイスいただけると幸いです
何かじ〜んと来たよ
GJ!
次も期待してます
アニメスレでも言われてたが、スズとかムツミが柳本とかタカトシ以外とくっつくのは嫌だ
矢吹じゃないが美味しい展開はタカトシだけでいい
主人公でさえシングルで終わることも珍しくない漫画家の作品だよ
というか誰かとくっ付くことさえめったにないじゃないか
そんな心配は杞憂だろう
>>86 初投下乙でした
初投下後に会社帰りに引き換え券握って取り替えてきたBDを含め1巻から見てたぜww
5千円でお釣りがもらえて月2でくるのは底年収の俺にはちょうどいい
シノ「なんだ!私は月1でも大変なのに2回も来てお得?なにを言ってるんだね君は」
アリア「あらあらシノちゃん津田君は男の子だよ?日に二回発電の聞き間ry」
津田・スズ「会長早く会議を」
>>89>>90 アニメではちょいちょい津田×シノっぽいフラグを立てかけてはへし折ってるからなw
逆にくっついちゃったら脳内妄想するきっかけがなくなっちまう
文化祭でシノとフォークダンスする津田をみて悲しむスズ
白○稔に理科室でレイry
おっとスクイズになっちまう
>>92 スズも何だかんだで一緒に登校したりと見えないところでフラグ立ててると思う
このスレってヤンデレや凌辱系はないけど、誰か書いてみないかな
タカトシに彼女が出来て、病み出すヤンデレコトミとか
>>86です
レスくださった皆様ありがとうございます。
調子に乗ってトリまでつけてせっせと書いてみますた。
お暇潰し程度に読んでくれれば幸いです
津田×スズ(エロ無)これから冷え込むからとりあえずパンツは履いてください
せっかくの土日だし出来るなら毛布にくるまったり暖かく夜更かしください
土日仕事の方は休みまでしばしがんがれ
>>93 ヤンデレいいよ!!!
こんな単語はリアルヤンデレと付き合った俺にはタブーだぜw
ヤンデレは二次元だから許される専売特許
「へくしょん!!!」
「津田、鼻水出てる。汚いわよまったく」
「あーごめんごめん。それにしても寒いな今日は」
「しょうがないじゃない12月だもの」
駅前のロータリーまで行くとよく見知った間柄の二人が声をあげる
「おーい津田、萩村こっちだ」
手を振る二人の元へ駆け寄る
「すいませんお待たせしました」
「津田が支度に手間取って遅刻しました」
「あらぁ?スズちゃん今日はツインテしないの?」
「なんとなくですよ、これといって理由はないです」
「それじゃ立ち話してても寒いしどこか入りますか」
今日は12月25日
一年の苦労を労う会と称したクリスマスの集まりだ。
メンバーはいつもの4人である。
横島先生にも声はかけたが一人にさせてと力なく電話を切られてしまった。
「アリア忙しいのに強引に誘ってすまんな」
「いいのよ夕方までは空いてたし今年みんなに会えるのも最後だしね」
「会長は空いてますか?」
「空いてると言ったら空いてるんだがまだ枕元におく靴下を用意してないからな!」
「え?」
「こら津田!お前は知らないのか?枕元に使用済みニーソや紺ハイソをおいておけば代わりに現金がおいてあるんだぞ」
「いやぁどこから突っ込んでいいか分かりませんが色々間違ってます」
「という訳で私は忙しいからアリアと一緒に今日は早めにお暇させていただくよ」
「萩村は?」
「えっ?別に暇よ?特に予定もないし」
「ほほー津田これはチャンスだな!クリスマスのホテルは込むから早め行くんだぞ」
「津田君困ったら連絡してね?駅前のホテルはほとんどお父様の経営だから相談してあげるわよ」
『結構です』
「二人揃っていうところがまた怪しいですね奥さん」
「まったくよね!妥当少子高齢化よね」
「先輩たち先言っちゃいますよ?
「津田もう逝っちゃうのか?ずいぶん早漏なんだな」」
「・・・もう突っ込むのも面倒になってきたわ」
その後はまぁ一般的高校生の遊びという具合
ゲームセンター・カラオケ・ウィンドウショッピング
特に買い物中行く先々で七条先輩を呼び止めるお店の店長だろう人間の多さに驚いた
もっと驚いた事に前もってみんなで用意したプレゼント交換用の商品である
言わずもかな二人の用意した物がマフラー・手帳と普通すぎた
そうこうしてる間に時計の針は17時を回っていた
「津田君、スズちゃんそろそろ帰るね。また連絡するから初詣行きましょう」
「じゃあ二人とも私はアリアと途中まで帰るからがんばれよ色々な意味で」
「そうよ津田君ちゃんとあれは持ってるの?」
「いいから帰れ!!!」
「ところで津田これからどうする?」
「特にもうこれと行って行きたいところもないけど萩村は?」
「私も・・・あっ!そういえば七条先輩から聞いたけど○×駅の前に大きいクリスマスツリーがあるらしいのよ」
「じゃあ見に行こうか」
電車の中はとても混んでいた。
幸せそうなカップル、家族連れ、はたまた師走の忙しさに疲れた会社員
様々な顔ぶれの車内で私たち二人は他人からどう写ってるのだろうか。
「萩村、この駅だから降りよう」
「うん」
車内の暖かい空気と朝から歩き回った疲れで特に会話もなくお互いうとうとしてる間に目的地に着いたようだ
改札を出るとすぐに目的の物はあった
七条先輩の言うとおりはじめてみる大きなツリーであった
「うわぁすごい大きいね」
「本当初めて見たよこんな大きいの」
『あれ?ボケる人がいない・・・』
「すいませんシャッター押してもらえますか?」
振り返るとそこには携帯を差し出しながら尋ねる一組の男女がいた
「いいですよ」
きっとこの二人もただの友人じゃないだろう
そもそもこの空間にそんな間柄の人間がどれだけいるのだろう
そんな事を考えながらシャッターを切る
「ありがとうございます。よかったら撮りましょうか?」
「えっ?いいですよ」
「萩村せっかくだし撮ってもらおうよ。
すいませんここ押してもらえば撮影できますのでお願いします」
「しょうがないわね一枚だけよ」
照れ隠しか心にない言葉を出してしまった。
本当はもっと撮りたかったけど言えやしない。
「萩村そろそろ暗くなってきたし寒いから帰ろうか?」
「そうね帰りましょう」
本当はもっと一緒にいたかった、けど口が裂けても言えやしない。
電車の中で見た会長からのメールを思い出す
『私とアリアが空気と生○周期を読んで気を利かせて二人きりにしたんだからがんばれ』
とは言われても結局何も言えず。
そもそも二人に自分の心中が悟られていた事に驚いた。
「なぁ萩村」
「何?」
「ハイ、これ今年一年生徒会の事やテスト勉強に付き合ってくれたお礼です」
「開けていい?」
包みを開けると前から欲しかったペンダントが入っていた
「ほら、会長が持ってきた雑誌読んでるとき萩村がかわいいって言ってたからさ」
「覚えてくれてたの?ありがとう」
「気にいってくれたようで何より。それじゃ帰ろうか」
「やだ・・・」
「といわれてもなぁ」
「やだ・・・あんたともっと一緒にいたいの!」
「じゃあもう少しここで見てようか」
「うん、ありがとう」
街行く人ごみの中に先ほどより少し近づいてベンチに座る二人がそこにはいました。
終わり
〜所変わって横島邸〜
「ったく今年のクリスマスは中止って某巨大掲示板にも書いてるじゃない
それに緑のツインテボーかロイドも歌ってるじゃない
今日はのむぞおぉぉおおぉおぉ」
〜所変わって天草邸〜
「ア・・リア、私は正しいことをしたのかな?」
「シノちゃんしょうがないじゃない。気持ちは分かるけど諦める事も時には大事よ」
「諦めたくても諦められない。もう隣にいていいのは私じゃなくて萩村なんだから・・・。」
展開期待させつつ終わり
おっと黙々とやってたら4時かよ・・・。
帰りに買い込んだつまみと酒を飲食しつつ徹夜
新しいほうのSSまとめwikiの存在を今まで気づかずだったから一気読みしてくる
GJ!
何だかんだで新星職人が増えてきて嬉しい
スズはツンデレ可愛いな
VIPのスズSSも良かったから、wikiに載せてほしい
ニーソ氏乙&GJ!
これからも期待してます!
ニーソ氏GJ!
文章うまいですね。尊敬します
>>98 乙&GJです、次回も待ってます
しかしこのスレでは珍しい形のコテですなあw
| ∧
|Д゚) タカトシ×シノ始まるよ
|⊂)
| /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| サッ
|゚) 彡
|)
|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
昼休みのざわつく校内、学生にとっては息抜きと午後の充電時間である。
教室で机を囲む4人、4人といってもいつもの4人とは多少違っていた。
天草シノ、七条アリアに替わり轟 ネネと柳本ケンジがそこには座っていた。
「ねぇ津田、あんたが購買で買った昼食なんて珍しいじゃない」
「あぁ実は今日から両親が旅行に行ってね、明後日には帰ってくるらしいけど」
「生徒会役員としてお弁当くらい作れないでどうするの?」
「それはそうと津田!お前コトミちゃんに変な気起こすなよ」
「柳本お前は5回位氏ね」
「それじゃぁ今日はここらで終わりにするか」
「そうね、みんなお疲れ様」
「お疲れさまぁっす」
「お疲れ様です、それと先ほど頼まれた計算もう終わりました」
「それじゃあお先です」
いつもなら終了後は皆で雑談をして一緒に帰宅するのだが今日の津田はそそくさと帰宅してしまった
「津田君大丈夫かしら?」
「どうでしょうかねぇ意外と抜けてるところありますからね」
「そうだシノちゃん、たまには女三人でどっか寄っていかない?」
「七条先輩お供します」
「アリア、萩村すまんが私は用事があるんだ・・・今日は二人で行ってくれるとありがたい」
「そっかぁ残念、じゃあスズちゃん二人でいこっか?」
「今度は三人で行きましょう会長」
別れの挨拶もそこそこに会長である天草シノは颯爽と生徒会室から飛び出していた。
「なんだコトミはまだ学校か」
場所は変わって津田宅であり洗濯に勤しむ姿がそこにあった。
「家事ってこんなに大変だったのかよ」
ピンポーン♪ピンポーン♪
「ハーイただいま出ます」
コトミなら合鍵を持ってるはずだから来客だろうと思いドアを開けた
「よっ津田」
ドアの向こうには見慣れた制服を着た女生徒がスーパーの袋を片手に立っていた
「会長?どうしたんですか?」
「いや・・・その・・・晩御・・・晩御飯を作りに来てあげたんだが」
「晩御飯ですか?」
「うむ!生徒会の仲間を餓死させるわけにはいかないからな」
「ふぅ、食べ過ぎた・・・」
「タカ兄、おいしかったね」
「会長、ご馳走様です。」
「うむ!満足していただけたようでうれしいぞ」
キッチンで洗物をしながら笑顔で答えた
「会長、後は俺がやりますから夜も遅いし帰ったほうがいいんじゃないですか?」
時計の針は頂点を指しかけていた。
「そうだな、明日は休みだが夜遅くまでお邪魔するのはあれだしな」
「それじゃ駅までまで送りますから、コトミ戸締りして留守番な」
「帰りにアイス買ってきてね」
「まぁ母さんから潤沢な食費を預かったしな、会長も食べますよね?」
「いいのか?それではご馳走になろう」
「それじゃコトミ行ってくるから」
「行ってらっしゃーい」
♪ふぁみふぁみふぁみ〜まふぁみふぁみま〜♪
「おぉ津田、見てくれ」
「何ですか?」
「限定でファ○チキが30円引きだぞぉ」
「食べますか?」
「いやこれは私の血となり肉となり脂肪となるからな」
「おいしいけど脂が多いですからね」
「しかし、あの日も近いし鉄分は」
「あーはいはい。アイスはあそこのケースですよ」
「あざした〜またのいあhkdgは」
「会長、アイス選びにどんだけ悩むんですか」
「しょうがないだろ?新商品がたくさんあったんだから」
にっこり微笑みながらアイスを持った右手を振り回すシノ
「それにしてもこのアイスいいなぁ」
「そんなにおいしいんですか?」
「味もそうだが、この長さといい太さといい」
「黙って食べてください・・・」
「ほら津田も食べてみろ」
「ふごっ」
「いきなり何するんですか・・・でもおいしいですね」
「だろ?これからこのアイスはローテーション入りだな、ローションじゃないぞ」
「っ!」
「どうした津田?」
「いえ、なんでもないですよ」
「悩みがあるなら気にせずいってみろ、解決できなくても最大限の努力はするぞ」
「いや・・・そのさっきのって間接キスだなぁと」
「はぅ・・・」
街灯と月明かりだけが照らすシノの顔が真っ赤になっているが分かった
「急に変なことを言うな津田、小学生かお前は」
「ははは、すいません。行きましょうか」
「はぁ・・・なんてこったい」
「すまん津田、私が野良猫と戯れてたあまりに・・・」
所変わってここは駅前
昼間の人の往来は幻想の如く静まり返っている
「まさか終電を逃すなんて・・・」
「どうします?タクシーで帰るならお金だしますよ?」
「いやアリアの家なら歩いてすぐだから今日はアリアの家に・・・」
「どうしました会長?」
「そういえばアリアは連休を利用して旅行だった」
「萩村も親戚の家に行くとか行ってましたからね」
「・・・」
「・・・」
「会長・・・とりあえずうちいきましょうか」
「ごめんな色々迷惑かけて」
「ただいまぁ」
「おかえり、アイス!!じゃなくてタカ兄・・・あれ?」
「実はあれこれしかじかで」
「というわけでコトミの部屋で会長を寝かせてあげてくれ」
「タカ兄忘れてない?」
「ん?」
「私家族以外の人といると寝れないの忘れてるでしょ?」
「あぁそうだったな」
「なぁ津田」
「どうしました会長?」
「も・・・もしお前がよければお前の部屋で寝てもいいか?」
「か、会長それは・・・」
「いや別に深い意味はないし私はお前を信頼してるから大丈夫だ」
「そうよタカ兄はチキンだから手だし出来ないでしょ、それに」
「それに?」
「馬鹿なタカ兄でも手をだしたらこれからの学生生活がどうなるかくらい分かってるもんね」
「まったくです」
「私はそんな怖い女じゃないぞ二人とも」
「いや、会長じゃなくて天草シノFCの皆様が怖いんですよ」
「みんな良い奴ばかりだ安心しろ津田」
「じゃそういう事で私は冒険の旅に出てきます」
「あんな入れ込むなよ」
「コトミ今日は色々ありがとな、お休み」
「タカ兄が変な気起こしたらすぐ呼んでくださいね」
「じゃあ会長、俺はリビンで寝ますんで何かあったら呼んでくださいね」
「津田、お前は何を言ってるんだ?」
「といいますと?」
「一緒に寝るに決まってるだろ」
「なんですと!?」
「あれだ・・・その・・・」
「なんですか?」
「お、お、人形がベットにないと寝れないんだ」
「えっ?」
「笑いたければ笑えばいいさ」
「別におかしくはないですよ。会長のかわいい一面が見れてよかったです」
「会長、起きてますか?」
「起きてるぞ?どうした?」
「今日はありがとうございました」
「なんだ今更改まって」
「今日もそうだしいつも会長には助けてもらってばっかりですいません」
「気にするな、それに私は助けてやったなんて思ってないぞ」
「ありがとうございます。会長に生徒会に誘ってもらえて俺すごいうれしいです」
「楽しいか生徒会の活動は?」
「忙しい時もあるけどみんな良くしてくれて楽しいです
それに女の子ばかりの学校に入学して本当はすごい不安だったんです」
「そうだな、逆の立場なら私もそう思うだろう」
「でも会長に声をかけてもらえてうれしいです」
「じゃあ来年でも再来年でもいい、同じ境遇の生徒を見つけたらお前が助けてあげれろ」
「その時って・・・会長はもういないんですね」
「そうだな、アリアと私はもう卒業してる。
その時は津田、お前と萩村に任せるからな」
「俺は会長ともっと一緒にいたです・・・」
「無理を言うな、私に留年しろっていうのか?」
「無理だって事は分かってます、けど会長と一緒にいたいです
俺は会長が好きです。」
「・・・」
「・・・」
「津田・・・それは本音か?嬉しいぞ」
「もちろん嘘でこんなこといえませんよ」
「そっか私もお前の事はその・・・気になっていたというかなんというか」
「ありがとうございます会長」
「しかしだな津田、桜才は男女交際禁止だアリアと萩村はいいとして口外厳禁だ。それと・・・」
「それとなんですか?」
「ふ、二人でいるときは敬語はやめてくれ。それと・・・会長じゃなくて名前で呼んでくれるとう、嬉しい」
「分かったよシノ」
「異性に名前で呼ばれたのは初めてだがなんか恥ずかしいな・・・タ、タカトシ」
「そうですねなんか違和感があります」
「んっ・・・ちゅっ・・・ちゅっ」
静寂が支配する部屋に水音が響く
月明かりに照らされてるのは一組の男女であった
「シノ・・・好きだよ」
「私もだ」
「手をつないで寝るだけのはずだったけどシノがかわいいからいけないんだぞ」
「お前は意地悪なことを言うな」
一瞬むすっとした後シノの手はタカトシの下腹部へと運ばれて行った
「うっ」
「初めて触ったけどすごい大きいな」
シノは驚きつつもアリアと読んだ雑誌の知識でタカトシの下腹部になるそれを衣服の上から扱きあげる
「タカトシ痛くないか?大丈夫か?」
「大丈夫、とっても気持ちいよ」
「妹の部屋がすぐ隣なのにこんな事するなんてとってもエッチな気分だな」
「コトミなら多分ゲームに夢中だからだいじょ・・うっ」
「もっと・・・そのエッチな事したいか?私はお前が相手ならかまわないぞ・・・」
「シノ・・・脱がすよ」
「んっ・・・ちゅっ・・・ちゅっ」
ガチャ!!!!!!
「タカ兄!!!!そういえばアイスは?」
「うわっ・・・」
「はぅ・・・」
妹であるコトミは一糸纏わぬ二人をみて
「おっとこれはお二方、お取り込み中でしたか
私はコンビにへアイスを買いに行って立ち読みをしてきますのでごゆっくり」
「はぁ・・・」
「はぁ・・・」
「服着ましょうか」
「そうだな」
結局雰囲気をぶち壊しにされた二人はいそいそと着衣を整えた
「シノおやすみ」
「おやすみ」
「zzzz」
「続きは今度しようねタカトシ」
そう呟くとシノはタカトシの胸に頭をうずめ瞳を閉じるのでありました。
以上です。
普段絵描いて擬音でごまかしてるだけだったからエロシーンを文章だけで表現するのむずかしすぎワロタ
ニーソ氏お疲れ様です
文章うまいですね、プロの方ですか?尊敬します
初投下したいと思います。タカトシ×シノ……だと思う。
以下、諸注意。
・やたらと長い。
・視点がコロコロ変わるので、超注意。
・エロいけど本番はないよ。エロも短いよ。
「すみません!遅れま……あれ」
生徒会室の扉を乱暴に開けた津田は、長机に深々と頭を下げる。
その長机に腰掛けて黙々と雑務をこなす役員共の不在に気がつくのは、返事がない事を不審に思った津田が顔を上げた数瞬後であった。
役員共の鞄も室内には見当たらず、どうやら自分が一番乗りであるらしい。
鍵はかかっていなかった。掛け忘れだろうか。会長にしては珍しいな。
と、津田は深くは考えずに、取りあえず遅刻を免れていると言う事実に安堵した。
生徒会室の時計を見る限り、終業から既に二十分は経過している。
真面目な彼女達が遅れるとは、何か用事があるのだろうか。
ふと壁掛けのカレンダーに目をやり、漸く津田は役員共の不在の理由を知る。
「あ……今日活動日じゃねーんだ……」
活動日に赤丸が描いてあるその月別カレンダーの今日の欄は見事に空欄。
溜め息と同時に、一人長机の定位置に座り、両腕を枕に突っ伏する。
生徒会の激務、小テストの嵐、来週末からの定期テストへの備え。
寝る間を惜しんで勉強している理由は、学年トップ20以内に入らねばならぬと言う生徒会の伝統による。
そもそも、本日の遅刻の理由は疲労のあまり五限目に眠ってしまい、終業後までそのまま眠りこけていたせいである。厳密には遅刻ではないが。
よくよく確認していれば生徒会室に来てまで眠る必要もないのだが、生憎津田には余裕がなかった。
遅刻すれば叱られるのが当然。いくらM気質でも、会長の含蓄ある説教に耳を傾けつつ、時折唐突に放たれる下ネタを捌き切るのは、ツッコミ役と周知されている津田にとっても困難を極める。
叱られたくない一心でここまで必死にやってきた津田の努力は徒労だった訳だが、彼自身の心は平穏無事だった。
「なんだ……ラッキー」
家に帰って、部屋のベッドで眠るのが一番なのだが、恐らく家にはもう妹がいる。
よく言えば賑やか、愉快。悪く言えば騒がしい妹に睡眠を邪魔される可能性は大いにある。
この際体勢は問わない。時間さえ確保出来れば、どんな姿勢でも睡眠が取れる。津田はそう確信していた。
椅子に座って机に伏した、起きた時に体の節々が痛むような体勢で尚、彼は目を瞑る。
意識が遠のくまでものの数分とかからなかった。
あぁ、やっぱオレ、疲れてるんだなぁ。
津田は消え去る意識の片隅で、しみじみと思った。
………………………………………………………………………………
なんというハイペース、乙です
アニメも無事(と、言っていいのかわからん最終回のノリだったがw)終わって、
このスレもマターリかつ盛り上がってイコうぜ
「……ん?鍵が開いているな……」
生徒会長の天草が津田の眠る生徒会室を訪れたのは、津田が眠りについてほんの十分程後の事であった。
顧問の横島に頼まれて、生徒会室の過去のファイルを取りに来た天草は、ドアノブの軽い感触を不審に思う。
今日は活動休止日なので、誰かがここに来る事はない。そもそも鍵は自分が持っている。
もしかして、鍵のかけ忘れだろうか。だとしたら気が緩んでいる。いかんいかん、しっかりせねば。
天草が自戒の念と共に扉を開けると、中に人影が見えた。
一瞬驚く天草だったが、その人物を確認し、呆れて嘆息をする。
何もこんな所で眠る必要も無いだろうに、副会長の津田が眠りこけていた。
「おい、起きろ」
声をかけてみる。返事無し。
「津田、おい。津田」
近寄って、肩に手をかけて軽く揺さぶってみる。
赤ん坊の軟語のような、言語の体を為さぬ寝言が帰ってくるばかり。
随分と深い眠りに落ちているらしく、その体は少しも身じろぎしない。
うつ伏せで、静かな寝息を立てる津田は、よっぽど疲れている様子だった。
だったら少しの間くらいは寝かせてやってもいいかも知れないが……。
「いや、それはいかんな」
無理な体勢で眠る方がよっぽど体に負担がかかってしまう。
津田の体調を気遣う意味でも、ここは早めに起こして、家で寝かせてやった方がいいだろう。
しかし、起こすにしてもどうすればいいのやら。
肩を揺すっても起きないほど熟睡している彼を起こすには……。
と、ここで天草は(天草にとっては)神掛かった案を閃く。まさに天啓であった。
いつか海水浴に行った時の、帰りの車での事だった。
眠ってしまった津田のジャーキングに「夢精したのかと思った」とボケてみたら、すぐさま目を覚まし、彼はツッコミを入れた。
萩村は、寝ている間の周りの音をしっかりと聞いて理解出来る。
津田も彼女同様に、寝ていても会話を聞き取って、ツッコミを入れられる体質かもしれない。
彼のツッコミ気質は伊達ではない。幼少時より妹に鍛えられていると聞く。
ならば、あの時のように覚醒してツッコミを入れるのではないのだろうか。
天草は試す価値ありと思い、津田の耳元に静かに口を寄せていく。
でも静かな部屋で、眠る男の耳元で下ネタを吐く女って……。
一瞬自分を客観的に見てしまった天草だったが、自分の仮説を証明してみたくもあった。
どうせ誰も見ていないし、聞いちゃいない。……第一危険分子である畑の帰宅は既に教室で確認済みだ。
好奇心の代償に払わねばならないものがない以上は手を出したくなるのが人情というもの。
自分への言い訳を完了した思春期女子高生天草を止めるものは、もう何も無い。
しかしいざ下ネタを吐こうとしても、ネタになるものがなければボケる事も出来ない。
「……無修正、うらもの、右手の恋人、わかめ酒……」
暫し悩んだ結果として、天草は取りあえずエロい単語の連呼から始める事にした。
………………………………………………………………………………
津田は夢を見ていた。夢の中で冷静だった。
明晰夢、と言う奴だろうか。自分が夢の中に居る事は分かる。
何となく視界が少しぼやけたような、そんな世界に放り込まれた津田は今の状況を解析していた。
なんでこんな夢を見ているのか。それを考えるのに必死だった。
「タカトシ……その、あんまり見るな……」
目の前で恥ずかしげに身を捩らせる黒髪の少女。
毎日のように顔を合わせている天草に間違いはない。
その彼女が全裸に毛布を纏った状態で、顔をほんのり上気させて目を伏せている。
チラチラとこちらに向ける目からは、何か期待のようなものを視線に乗せて送って来ている。
あんまり見るな、と言われたので、津田は部屋の方に目を移す。
寸分違わず自分の部屋だ。机、ベッド、本棚、その他家具の位置は完全に今朝見た通りだ。
ついでに今の自分は、目の前の天草と碌に変わらない格好。つまりは裸だ。
ベッドの脇に投げ捨てられた衣服、津田と天草の二人分が山を作っている。
一番上が自分のボクサーパンツなのが、妙に生々しい。
「おい、タカトシ。何処を見ているんだ」
津田の正面……ベッドの反対側で天草が、拗ねたように頬を膨らませていた。
両手で顔を挟んで、鼻がくっつくような距離で津田を見つめている。
「その、なんだ。わ、私を見ろ」
「いや、さっき見るなって」
「うるさい!」
天草が大きくて釣り上がった目をギュッと瞑り、距離が更に、一気に近付いた。
津田の唇に何かが触れた。温かい、と言うのが彼の第一印象だった。
第二の印象を抱く前に感覚は薄れ、天草の顔が遠のいた。
間違いなく、キスされた。その事実だけがひたすら津田の脳髄を刺激し、思考を阻害する。夢とは言えども。
「か、会長……?」
「……二人っきりの時は名前で呼べ。
タカトシがそう言ったんだぞ」
「えっと……」
必死に絞り出した言葉さえも封殺され、津田は混乱を一層深くしつつも、夢の中の設定を考察し始める。
現状を考える限り、どうやらこの夢の中で自分は天草と付き合っているらしい。
そして付き合い始め……よりは幾分か進んでいる関係なのだろう。
ベッドの上で裸の男女がする事と言えば津田には一つしか思い浮かばないし、深い仲でなければこんな事はしない。
体だけの爛れた関係……なんて推測は最速で排除した。
目の前に、ちょこんと座り込む天草は、津田の言葉を待っているようで、ジッとこちらを見つめている。
津田は、睫毛長いな、なんてどうでもいい事を頭の片隅で考え、いい加減彼女の要求に応える事にした。
「シ、シノさん」
流石に面と向かってそうやって呼ぶのは初めての事だし、状況も状況なので照れる。非常に照れる。
しかし、満足げに笑みを浮かべる天草を見ていると、津田の頬も綻んだ。
特別行事ではしゃぐ会長の、普段は見せないその満面の笑みによく似ていた。
自分が作り出した幻像なのに、どうしてこうも細部まで綺麗で明確なのだろうか。
夢の中のもやがかった視界の中でも、その彼女の笑顔だけはまるで現実の物のように整った輪郭を露にしている。
津田自身にはよく分かっていなかったが、その笑みを見ているとどうでも良くなった。
まぁ、どうせ夢の中なんだし。このまま流れに身を任せてしまっても……。
「よ、よし……じゃあ、タカトシ。横になれ」
「……は?」
「いつもやってもらってばかりだから、今日は私が……と言う話だっただろう?」
天草が、興奮した様に鼻息荒くそう言った。何故かちょっと普段の天草の姿が重なった。
性に興味津々、と言った様子がまさに下ネタをぶちかます直前の天草の姿そのものであった。
しかも夢の中での自分は既に天草とは幾度となく身体を重ねているらしく、その上自分は中々の手練らしい。
……中二か。津田は自分の思春期男児学生的妄想のような設定に頭痛がする思いだった。
「いいから早く、早く」
「……何か会長、ノリノリですね」
「会長と呼ぶな……それにまぁ、非常に興味深いからな。
実際お前のセガレをちゃんと見る機会はなかった訳だし」
「……恥じらいねーなー」
「今更何を言うんだ。
骨の髄までしゃぶり尽くされ、穴と言う穴を犯され開発されているのだぞ、私は」
「自慢げに言うな」
嬉々として語る彼女に恥じらいを求めるオレのほうが間違ってた。
津田はそう思い直し、大人しく天草の言に従う。
ベッドの上に仰向けに寝転がると、天草は津田の脚を割って身を屈める。
彼女の身体を覆っていた毛布がずり落ちて、細い肢体が露となる。
腕も脚も細く引き締まり、無駄な肉は一切ついていない。
胴も腰も同じように細いが、決して弱々しくない、健康的な美しさだった。
天草自身が気にかけている胸に関しても、確かに大きくはないが、津田にとっては割と真剣にどうでもいい事柄であった。
他の女性の胸なんて見た事はない(無論、妹は例外)ので、比べる事も不可能だし、そんなつもりもなかった。
……妙にじっくりと眺めていたからだろうか。ムクリ、と津田の陰茎が起き上がる。
その一挙手一投足を見逃すまいと、津田の陰部を珍獣でも見るようにマジマジと熱い視線を送る天草。
恐る恐る手を伸ばし、陰部に触れる。白魚のような細い指が触れる感触に、津田は敏感に反応する。
見る見る内に肥大していくその局部を見て、天草は悲鳴とも歓声とも取れる黄色い声を上げる。
「おおぉぉぉ……凄い……の、伸びていくぞ!」
「……あの、あんまり見ないでくれませんか恥ずかしい」
「見なきゃしてやれんぞ。しかしタカトシは被ってなかったのか、それに驚いた」
「勝手な想像すんな」
「……でもなんか、思ったより大きくないな」
「やる前になんで心折れそうな事言うかな」
それに今は精々半勃ちが良い所だ。流石に視線と軽い刺激だけで臨戦態勢にはならない。
津田がそれを告げると、天草は意を決したように一つ頷き、おもむろに津田の陰茎をギュッと握り締めた。
ギュッと、握り、締めた。
「……!」
「あ、す、すまん!」
スポーツ万能の彼女の握力は、女子の平均よりもかなり高い。その力で握りつぶされる痛みたるや如何なるものか。
彼女としては鋼のような硬度を期待していたのだろう。痛みに悶えつつも津田はそう憶測するが、すぐに意味のない事だと気がつく。
そう、これは明晰夢。津田自身、これが夢だと知っている。目の前の天草も、所詮は津田が作り出した架空である。
その会長に虐められるって……津田は自身の性癖が段々妙な方向へ偏っていくのが不安になってきた。
痛み以前に己の受け入れ難い性癖に顔が少し青ざめた津田に、天草は心配そうに声をかける。
「だ、大丈夫か?痛くないか?」
「痛いけど、まぁ、平気です。このくらいなら」
「そうか、流石M男だな」
「反論出来ない自分が憎い……!」
「気を取り直して……取りあえずは手で上下に擦ればいいのか?
それとも、口がいいか?いや、タカトシの場合はやはり足の方が……」
「最後以外がいいです……残念そうな顔すんな」
「よし、では……いざ」
津田の陰茎に天草が顔を寄せて、今度は優しくそれを握る。
少しの躊躇の後、天草はカプリと亀頭の先をくわえ、なめ回し始めた。
………………………………………………………………………………
「……マグロ野郎、手コキ、亀頭、ローション……ダメだ、起きんな」
津田の耳元で天草が下半身方面のネタを吐き続けて早五分。そろそろ語彙も尽きかけている。
寝ていても下ネタには反応してくれる事を期待したのだが、この様子では仮説は否定されたと言えるだろう。
やはり、少々強引にでも身体を揺すって起こすしかないようだ。
目的のファイルは資料室を探るまでもなく、生徒会室の棚に置いてあった。
横島先生とは言え、あまり軽く扱うのも可哀想だ。さっさと仕事を遂行してあげたい。
天草が諦めて肩に手を乗せた、丁度その時だった。
「あ、あ……!」
津田が身体を大きく跳ねさせた。パイプ椅子が音を立てて床を擦り、長机が少し浮き上がる。
天草は咄嗟に手を引っ込めて、一歩後ずさる。割と本気でビビっていた。
「……津田?おい、起きたのか?」
津田の方を窺うが、返事はない。起床には至らなかったようだ。
しかし、確実に眠りは浅くなっている。その証拠に、寝言は聞き取れる程度に鮮明になって来ている。
「ふ……んむぅ……シノ、さん」
「……ん?私か?」
名前を呼ばれた気がするが、津田は未だに眠ったまま。
夢の中で私が出ているのだろうか、と考えると、天草は少々気恥ずかしくなり、津田から目を逸らす。
しかも一度も下の名前で呼ばれた記憶はないのに、何故津田は今シノ、と呟いたのか。
津田は夢の中で、より私と親しい間柄だったりするのだろうか。例えば……こ、恋人とか。
「何を考えてるんだ私は!」
自分の顔が少しにやけてしまった事の戒めとして、両頬を張る。
目の前で星が弾ける程痛かった上に、先程の雑念が飛び去ってくれた訳ではなかった。
夢に見ていて、下の名前を使って呼ぶと言う事はつまり、そこそこ自分の事を好いてくれている証拠。
夢は自分の脳内の情報から構成される映像である。
もしも夢の中での私が津田の恋人ならば、それは津田自身がそれを望む所だとしている……とも考えられる。
いや、待て。それは功を焦り過ぎではないか。そもそも彼の夢中の自分が恋人と仮定してよいのか。
もしかしたら津田の姉とか、従姉妹役とかで出演しているだけかもしれん。浮かれるな自分。
でも……万が一にでも恋人として登場していたら、どうだろう。
それを現実とするのは……別に吝かには思わない。いや、ダメだ、校則の問題がある。校内恋愛は禁止なのだ。
だが最近は目安箱にも『どの程度まで許容されているのか』と言う質問も多い。
同校の生徒と交際する事自体がダメなのか、場所さえ選べば問題無いのか、と言う線引きも含めてだ。
個人的には場所を弁えた交際は許容の範囲内だ。校内でも、ある程度までは黙認している。
だったら津田と付き合って自らがその規範を示す存在として校内の風紀を正していけばいいのでは……。
と、尽きぬ乙女の妄想を延々と膨らませる天草の背後から、再び声がする。
「……や、めろ……っつってん……だろ」
津田の声に一気に現実に引き戻された天草。振り返った先には、未だに熟睡中の津田。単なる寝言だ。
一体何を遠慮しているのか、何に激しくツッコミをかましているのかは天草には分からない。
しかし言葉の意味は天草には関係ない。
妄想の興が削がれ、天草は一つ大きく溜め息をつく。
所詮妄想は妄想。津田が自分の夢を見ていても、それは彼にとって悪夢かもしれない。
一人で浮かれて盛り上がっている己の姿は、客観的に見れば生徒会長にふさわしくない程に阿呆である。
天草は誰かいる訳でもないのに咳払いを一つ、己の心を整理した。
自分は津田の上司。津田は自分の右腕的存在。それ以外の関係ではないし、それ以外は有り得ない。
認識を新たにし、天草は眠りこける津田で遊ぶのを止めて、ちゃんと起こそうと決めた。
間もなく日も暮れようとしている。町に沈んでいく夕陽が眩しい。早く帰ろう。
「おい!津田!起きろ!早く行くぞ!」
天草は津田の背中目がけて張り手を打ち付ける為に、思いっきり平手を振りかぶった。
………………………………………………………………………………
陰茎にむしゃぶりつく天草を見つめつつ、津田は明晰夢ならではの冷静さで夢の考察を続けていた。
そもそも、どうして自分は会長の夢を見ているのか。
ナントカ、と言う心理学者曰く、夢は性的事象と深い繋がりがあるのだとかなんとか。
性的事象と言うか性行為まんまな夢中に出て来たのは、素敵とは思うが交際対象として見た事はない女性。
会長と付き合ったら、と考えた事が全く無い訳ではなかった。
しかし本気で会長に恋焦がれている訳では無く、ふとした瞬間に何となく軽く妄想した程度である。
そんな彼女と、何故今裸になって絡み合う夢を見ているのだろうか。
もしかして本当は、自分は心の何処かで会長に異性として好意を抱いているのではないか。
そうやって思うと、目の前の架空の会長ですら愛おしい存在に見えてくるのだから不思議だ。
自然と手が伸びて、初めて弄ぶ陰茎に四苦八苦している天草の髪を優しく撫でる。
それに反応を返すように、天草がモゾモゾと肩を揺らす。
「……ん、タカトシ、くすぐったい」
「いいじゃないですか、別に」
天草の舌使いは決して上手とは言えないし、茎を擦る手つきもぎこちない。
そもそも童貞で、誰かにフェラチオをされた経験なんてある筈ない津田が夢の中でその感覚を再現する事は不可能だ。
かつて中学時代の友達が、実はあまり気持ちよくない、と言っていた事を鑑みてか、津田にとっても天草の行為は少々刺激が足りなかった。
舐められれば気分が盛り上がるし、しごかれればそこそこ気持ちがいい。
しかし力加減の分からない天草のテクニックでは、津田は今一歩快感を覚える事ができない。
自分の快楽の為に自分が憧れている人が尽力している、と言う目の前の光景そのものには、何か言い知れない感慨が込み上げてくるのだが。
暫く手と口で肉棒と格闘していた天草が、涎を垂らしながら陰茎を手放す。
顎の辺りを擦って、少し荒くなった息を整えているようだ。
「はぁ、はぁ……これは案外疲れるな。顎が痛い……」
「別に無理しなくてもいいですよ」
「しかし、どうも硬くならんな。やはり君には足コキの方が」
「止めろっつってんだろ」
どうしても足でやりたいらしい会長の気を逸らすため、語尾を少々強める津田。
天草はその津田の答えに口を尖らせて不満をアピールしているが、津田は無視を決め込んだ。
「やってみたいんだがなぁ……」
「勘弁して下さいよ」
「何でもかんでも頭ごなしに否定するのはいかんな、タカトシ。
食わず嫌いは良くない。やられてみれば案外気持ちが良いものかも知れんぞ」
「……じゃ、せめてまたの機会にして下さい」
どうせこの夢に『また』なんてない。今この場さえやり過ごせればいい。
と言うかなんでこんな時にまでツッコミ役なんだオレは。夢の中でくらいは好き勝手させろよ。
そんな彼の願いが功を奏したのだろうか、天草は首を傾げてならした後に、再び陰茎に顔を近づける。
「分かった。次は必ず足だからな」
「……はいはい」
「まぁ、折角バナナで練習したんだし。
こっちの方もちゃんとやってみなければ」
「食べ物で遊ぶんじゃありません」
雰囲気もへったくれもねぇ。津田は心の奥で毒づいた。
自分の中の天草という人間像そもそもが、下ネタ好きの変人であるせいだろうか。
夢の見始めの頃はあれだけ見違えるような別人だった彼女が、段々と現実に於ける彼女に近付いて来ている気がする。
夢の終わりも近い、と言う事だろうか。
「では、第二ラウンドを……いや、出してないな。
そう言う場合はどう言えばいいのだろうか?」
「オレに聞かないで」
さっさと終わっちまえ、と考えつつ津田は仰向けに寝転ぶ。
どうせ夢だ。現実とは何の関係もない、幻の会長を相手にするのも何だか虚しい気分になってきた。
と言うよりも会長の事を性的な目で見ていたつもりがなかった自分が今見ている夢に、彼は軽く自己嫌悪に陥っていた。
ツッコミ役のオレも変態化してしまうとは。いや、毒されたんだろうな、多分。
早く醒めてしまえば良いのだが、半分勃起している下半身の方からNGサインが飛んできている。
ついでに目の前の天草から冷めたような視線が突き刺さる。
理性は覚醒を求めているが、本能の部分が性欲の発散を求めているのだ。
そう言えばここ最近、碌に自分で性欲処理をする事もなかった。忙しいし、何より疲れているからだ。
有り体に言えば、溜まっていた。
せめて夢の中だけでも、と懇願する己の下半身が、自分自身の事でありながら津田は哀れになった。
「……シノさん、お願いします」
「あぁ、任せておけ」
天草がそう言って、再び津田の一物に手をかける。
本当に嬉しそうで、楽しそうな彼女の笑顔は、普段見れるSで不敵な微笑みではなく、子供のような純粋な喜びからくる笑顔だった。
その微笑みに、津田の心臓は大きく跳ねた。性的な期待を抱いた……と言うよりは、何処か胸の奥が切なくなるような、不思議な感覚だった。
一方、津田の心境等おかまい無しの天草は、竿の部分を細い指で撫で回しながら、唇で亀頭を覆いかぶせるようにくわえこむ。
先程とは別で、妙に気持ちがいい。発散したいと言う願望がより強くなったから、だろうか。
陰茎が先程とは違い、見る見る内に硬度を増していく。
「おぉ、さっきより大きいな……気持ちいいか?」
「はい」
津田は素直に答えた。もうさっさとこの夢を終わらせてしまおう。
そうやって決意を固めてしまえば、ゴールまではほぼ一直線だ。
目の前の会長も彼の決意に同調したのか、先程とはまるで別人のようなテクニックを発揮し始める。
唾を鈴口に垂らし、それを舌で広げていく。舌の細かな襞の一つ一つが、敏感になった亀頭を艶かしく撫で回す。
その間も手は休む事なく、竿を擦り続ける。
津田のツボを心得ているかのようなその絶妙な力加減に、津田はすぐにでも達してしまいそうだった。
背筋に電撃でも走っているかのような快感。まさか夢の中でそんな快楽を経験するとは、文字通り夢にも思っていなかった。
「あ……あ……!」
「ん?なんだ津田、もうイキそうなのか?」
津田の口から思わず喘ぎ声があがる。天草はそれを聞き逃さなかった。
目の前で舌なめずりし、挑発的に津田に微笑みかける天草。
なにくそ負けるか、と津田は思うが、何か行動を起こす事はなかった。
否、出来なかった。少しでも気を緩めれば、天草の激しい手淫で昇天してしまいそうだった。
ただ必死に耐える……と言う行為も、無論そう長続きするものではない。
天草もトドメと言わんばかりに、唾と先走りの汁で濡れた陰茎を、わざとらしく粘着質な音を立ててしごく。
「早くイけ!」
耳元で叫ばれたかのようなその天草の大声に、津田の身体から力が抜ける。
そして、下腹部から猛烈な勢いで精液が迸って来るのを、津田は感じていた。
白濁が文字通り噴出する。自分でも信じ難い量の精液が自身の陰茎を、天草の顔を、手を汚していく。
「おま、ちょっ……どれだけ溜めてたんだ」
「す、すみません」
長い髪や、薄い胸にまで跳ね飛び散った精液の量に、天草も困惑しているようであった。
首だけを起こして生返事をした津田は、すぐにまた仰向けに寝転ぶ。
三十秒程も掛かった長い射精の後に、津田は全身の力が入らない状態で、一つ溜め息を吐いた。
未だに目の前で火花が散っている。今までで未体験の快楽であったと、津田はうっすら感じていた。
夢の中なのにな、妙な感じだ。本当に射精したような快感だった。
津田は目を瞑る。恐らく次に目を開けた時目の前に広がる光景は、無人の生徒会室だ。
……意識が薄れていく。本能が満足した以上、理性に従って、津田は現実へと帰りはじめていた。
何故か会長の顔が、瞼の裏に垣間見えた。
つい今しがたの精液まみれの妖艶な彼女の笑顔ではなく、たまに垣間見える彼女の満面の笑みの方だ。
普段の凛々しい彼女の裏に隠された、子供のように純粋な心を体現したようなその顔を津田に向けている。
釣り目が綻んで、一文字に引き絞られた唇が緩んだ、その可愛らしい微笑み。
夢の中でも幾度か現れたその微笑みだけは、まるで幻想の物とは思えなかった。
どうしてそんなにオレは彼女の、この笑顔を細部まで明確に覚えているのだろうか。
津田は思考を巡らし、瞬く間に答えを導き出す。深い理由なんて、どこにもなかった。
退行萌えとかくだらん事をほざいた妹に「お前は終わってしまった」等とツッコんだ自分が言うのも妙だが。
きっと自分は彼女のギャップに……惹かれているのだろう。
あぁ、まさか夢の中でそんな事を思い知ってしまうとは。
津田は意識を一旦沈ませる。
次に目を覚ました時彼が夢の内容をどこまで覚えているかは、神のみぞ知る所であった。
………………………………………………………………………………
まるで鞭を打つような、鋭く小気味よい破裂音が生徒会室に響き渡った。
天草渾身の張り手によって一時、津田の背中は打楽器と化す。
厚いブレザー越しにでも、恐らくは綺麗な紅葉が背中にプリントされているだろう。
「……う……う」
張り手を打たれた津田が、苦しそうな呻き声を上げた。
身じろぎ、呻き、震え上がり、津田がゆっくりと机から顔を上げていく。
暫く辺りを茫洋と眺めた後、うっすら開いている眼が天草を向く。
「あ……あれ?会長……」
津田も漸く目が覚めたらしい。天草は内心で安堵しているが、それを態度には出していない。
目が半開きのまま状態を起き上がらせた津田と、机を挟んで正面で向き合う。
腕を組んで背筋を伸ばし、天草は目を一層釣り上げて、津田を睨みつけた。
視線を向けられている津田は未だに惚けているように口の周りの涎をブレザーの袖で拭っていた。
「津田。君はここで何をしている」
「な、何って……寝てましたケド」
「見れば分かる。何故生徒会室で寝ているかと、聞いているんだ」
「えっと……何故って……眠かったから……」
「もういい。分かった」
「会長が修学旅行の時に萩村の家に行った事があったなぁ」
「そうね、確かあの時はお母さんに変な勘違いされた事があったわね」
…………
「つだぁ、私、もぉイっちゃう!」
「私も、親子でイかされちゃうわぁ!」
「二人共たっぷり中にそそいで、オレの子を孕んでもらいますよ!」
…………
「ねぇよ!そんなシーン!
何でオレ、鬼畜キャラになってんだよ!
それに萩村はボケ担当じゃ無いだろ!」
「いいじゃない!
私だってたまにはボケに回りたいわよ!」
「津田、お前そんな奴だとは思わなかったぞ」
「あらあら、どんな可愛い子供が産まれるのかしら」
「だから違ぁーーう!!」
未だに寝惚けているのか、津田の解答は要領を得ない。
天草は暖簾に腕押すような叱りがいのなさを悟り、話を切り上げた。
生徒会の仕事に慣れてきたとは言え、まだまだ彼は未熟な身。
それに女子ばかりに囲まれて、男の彼には気苦労だって多いに違いない。ツッコミ役だって疲れるのだ。
「しかし、ここで眠るのは感心せんな。
無理な体勢で眠れば、逆に身体は疲れてしまう」
「……ごもっともです」
「早く家に帰って休め。体育祭までは生徒会の仕事も減る。
テストが近いとは言え、体調を崩しては元も子もないからな。
疲れが溜まっている時は、しっかり休んだ方が良いぞ」
「え、はい。ありがとうございます」
津田は意外そうに目を丸くして、天草を見つめた。
説教を喰らうとばかり考えていた彼は、天草がいたわりの言葉をかけてくれるとは想像もしていなかった。
天草としてはそんな津田の態度が少し気に入らず、身を乗り出して津田に顔を近づけた。
「何だその意外そうな顔は。私が君を労るのがそんなにおかしいか」
「そんなつもりじゃ……って言うか会長、か、顔が近いです」
長机を挟んでいる以上そんなに近付く事は出来ないのだが、津田は少し慌てたような表情で身を引いている。
そんな態度も妙に距離を感じさせるので天草は尚の事気に喰わなかったが、あまり細かく言及しても詮無い事だと思い直す。
天草は、これで話は終わりだ、と席を立った。
「私にはまだ仕事がある。君は先に帰っててくれ」
「……いや、会長、オレも手伝いますよ」
やっと眠気が晴れてきたのか、津田が今度はハッキリとした口調で言う。
普段から彼はそうやって手伝いを申し出る事が多いが、今日は些か様子が違う。
妙に真剣というか、真面目というか、真っ直ぐと天草に向ける視線に、力強さを感じる。
天草は軽い動揺を覚えるが、彼女は普段通りの振る舞いを変える事はない。
「ファイルを横島先生に届けるだけだ、一人で十分だろう?
生徒会の活動の時に居眠りされては困るからな。早く帰って、ゆっくり休んで疲れを取れ。
それが君の仕事だ。そろそろ外も暗くなりはじめる頃だしな」
「だったら尚更です。そんな簡単な仕事なら、オレにだって出来ます。
オレだけ先に帰って、暗い中を会長一人で帰らせる訳にはいきません」
津田から、妙な必死さを感じる。少なくとも、天草にはそう感じられた。
ファイルを届けるのだけの五分もあれば足りる仕事に、何故そんなムキになる必要があるのか。
天草はこの際津田に任せても良いか、とも考えるが、頑固な彼女の性分がそれを許さない。
レスくれた方トンクスです。
新しいのが投下されてるktkr
というわけで出かけてて今帰宅したから最終回を全裸で見てくる
↑
最終回を見て思い付いた即興ネタですわ
「これは私が頼まれた仕事だ。私がやるのが当然だろう。
仕事熱心なのは買ってやるが、やる気は他の仕事に回してくれ」
「じゃ、じゃあ、会長の仕事が終わるまで待ってます。だから、その……」
何故か顔を赤らめたり、目をあちらこちらに泳がせたりと、津田は挙動不審であった。
やがて何かを決心したように顔を上げ、天草に向かって叫ぶ。
「一緒に帰りましょう!」
「……へ?あ、あぁ。別に構わんが」
天草は不審に思い、眉を顰める。
別に津田と二人で家路に着くのは珍しい事でも何でもないのに、彼は何をそんなにいきり立っているのだろう。
顔まで赤くして、好きな女子に告白するかのような言い方を……。
天草はここまで考えて、大いに慌てた。そして、彼の顔の火照りが伝染したかのように顔を朱に染め上げる。
いやまさかそんな馬鹿な話があるか都合よく考えるな私落ち着け落ち着け深呼吸だ。
なまじ頭の回転が速いばかりに、彼女は高速で巡る思考に振り回され、口が上手く動かなくなる。
息が苦しい。顔が熱い。津田の顔が急に見れなくなる。
返事はさっき返してしまった。これから自分は、ファイルを横島先生に届けた後……津田と、共に下校するのだ。
何て事のない日常の一コマとなる筈だったそのごく近くの未来は、何をどう間違えたか急に青春の甘酸っぱい一ページへと姿を変える。
しかし、同時にどうしようもなく幸せな光景でもある。
帰宅の最中にもしかして……こ、ここ、告白とかをされてしまうのだろうか。
夕暮れ過ぎ、街灯が灯り始めた住宅街のど真ん中、隣を歩く少し背の高い津田が、急に自分の両肩を掴み「好きです」と言い、そのまま唇を寄せて……。
いや、津田は紳士で安全な男。いきなりそうがっついて来る事はないだろう。「好きです」の後はきっとジッとこちらの返事を待つに決まっている。
それとも或いは津田の中の狼が目を覚まし、文字通り送り狼と化すのだろうか。
いやしかし家には親がいる。だがバレるかバレないかの緊張感を味わうのも中々乙な物かも知れない。
ダメだダメだ、そもそも告白されると決まった訳では無い。
自分一人盛り上がっては危険だ。落胆が態度に出てしまうのは好ましくない。
そもそもだ、これからどうすればいいんだろう。この状況で、自分はどう振る舞うべきだろうか。
決まっているだろう、なるようになれ、だ。普段は頼りない津田も、今日は妙に男らしい。
たまには頼ってやってもいいんじゃなかろうか。よし、是非そうしよう。
自分は理屈が先行してしまって、恋愛沙汰にどうこう口を差し込める性格ではないのだから。
……脳内の会議を一通り終えた天草は、背筋を伸ばして深く息を吸い込み、同じ要領で吐き出す。
横島先生を待たすのも忍びない。それに、早く津田と二人で帰りたい。
天草は瞬く間に赤らんだ顔色を戻し、再び気を引き締めた。
「よし、では職員室に行ってくる」
「じゃ、オレは玄関で待ってますね。絶対来て下さいよ!」
「当たり前だろう。玄関を通らずにどうやって帰るんだ」
「あ……はは、それもそうですね」
珍しくボケに回った津田に、天草はツッコミを入れてやった。照れたように津田が笑う。
132 :
127:2010/09/26(日) 03:31:55 ID:mcn0HK2B
>>114さん本当にゴメン!!
投下してるのを確認しなかったオレを許して下さい
おぉ!?
アニメ最終回の裏で怒濤の投下ラッシュが
両氏とも乙です
天草はこの瞬間までは、幸せの絶頂の中に居るような心地であった。この瞬間までは。
津田が椅子から立ち上がる。
なにげなしに、本当にやましい心の欠片も無い状態でなにげなしに、天草は彼の下半身を見た。
見てしまった。
それが彼ら二人の、悲劇への序章となるのだ。
傍目にはどう見ても喜劇なのだが、二人にとっては見ればこの事態は偽りなく悲劇であった。
「…………あ……え?」
天草は凍り付く。
視線の先にあるものの存在を、天草は理解したくなかった。
津田の下半身の、股間の辺りに広がるそれが一体なんなのか。
何となくだが分かってはいる。ただ、脳が理解を拒むのだ。
確かに、下ネタを吐きまくっているし、ことあるごとに露出したがるし、いかがわしい本も親友のアリア経由で入手したりしている。
BLだって官能だって二次元だって袋とじ付きの写真集だって何でもござれな生活を送ってきた。
しかし、今の彼女は紛れもなく一人の普通の少女だった。
津田の真摯な態度、二人きりと言うシチュエーション、ロマンティックな夕暮れ時。
それらの要因が彼女の中から、親父臭い下ネタ成分の一切合切を排除してしまっていた。
いや、普段の彼女ですら平常でいられた保証はない。
想い人のあんまりと言えばあんまりな醜態を間近で目撃して、受け流す事が出来るほど天草は異性慣れをしていない。
「……つ、津田の……変態!」
平時の彼女からは想像もできないような初心で純な言葉を吐き捨て、天草は生徒会室を飛び出す。
もう仕事も帰宅の約束も知らない。天草は大粒の涙を流しながら、全速力で家路に着く。
網膜にこべりつき、脳裏に刻まれた忌々しい記憶を振り払うかのように。
………………………………………………………………………………
残された津田は、呆然と天草の去った後の生徒会室で立ち尽くしていた。
己の恋心に気がつき、決意が揺らがぬうちに胸の内を伝えるつもりだったのに。
机の上には、彼女が横島に届けると言っていたファイルが残されている。
あの様子では、家に帰ってしまったのだろう。
つまり、自分の申し出も断られてしまった訳になり、それ即ち。
「……フラれたって事、なのかな……」
想いを伝える事すら許されなかった津田の目から自然と涙がこぼれ落ちる。
四人しかいない生徒会で、会長との関係に亀裂が生じてしまった。
生徒会を辞めさせられるかもしれない。一昔前なら喜んだだろうが、今となっては事情が違う。
告白してフラれたのなら、まだマシだった。
その上で副会長を罷免されたとしても、それくらいは既に覚悟の上だ。その上で告白しようと考えていたのだ。
しかしこの体たらくは何だ。変態扱いされた理由も分からぬままフラれるのか。
何も知らされぬまま、産声を上げたばかりの会長への恋慕の情を殺せと言うのか。
この世の理不尽を痛感した津田は、少しだけ冷静さを取り戻した頭で考える。
どうして急に泣き出したんだ。なんで走り去ったんだ。何故に変態呼ばわりされたんだ。
全くもって、心当たりなぞない。……いや、一つだけ気がかりがある。
そう言えば会長は、少し目線を下にやった時に急に顔色を変えたような気がする。
津田がその考えに行き着いたとき、生徒会室の入り口が開いた。
「おい天草!いつまでかかって……あれ、津田?」
「何だ、横島先生か……」
まさか会長が帰って来たのでは、と言う津田の儚い夢を打ち砕くように、横島が顔を覗かせる。
出会い頭に露骨に顔をしかめられた横島としては勿論心外だった。
残念なものを見るような視線で少し興奮したのは秘密だ。
「何だって……まぁいいや。津田、天草知らないか?」
「さっきまで居ましたよ。……多分、もう帰りましたケド」
「あ、頼んでたファイル!サンキュー、津田。
ったく、仕事ほっぽらかして勝手に帰るとは、私もいい加減舐められ過ぎてるな」
「そう言う訳じゃないんだケドね」
津田は机の上に置いてけぼりにされていたファイルを横島に手渡した。
礼を言った横島は、津田の顔を見て、顔を強張らせる。
「……津田、何があった?泣いてるぞ」
「え、あ、これは……その」
何とか必死で涙を拭いて、誤魔化そうとする津田。
横島は普段のだらけぶりを投げ出して、真剣で、優しく津田に話しかけた。
そして横島は、先程の天草同様に、殆ど無意識で彼の下半身、股間に目をやり、更に声色を優しくする。
「本当に、津田、お前に何があったんだ?」
「……えっと、あの、何でそんな必死なんですか」
「いや、だってお前、それ」
横島が下半身を、津田の股間を少し顔を赤くして指差す。津田はその指に従って視線を落とす。
数秒後、桜才学園の校舎が、一人の男子生徒の悲痛な叫びによって、生徒会室を中心に大きく震えた。
※夢精(むせい)とは、男性が睡眠中に射精に至る現象をいう。
一説として疲労やストレスが溜まっている際にも、筋肉の硬直から引き起こされやすいと言われる。
(Wikipediaより抜粋、一部改変)
以上です。長々顔面シャワーもとい、お目汚し失礼致しました。
137 :
116:2010/09/26(日) 03:40:54 ID:COhPC9iv
こちらもすまない、確認を怠って投下中に割り込む形にレスしてしまった
ゴメン
両者乙ですた
投下終了宣言みずに横レスつけてしまいごめん。
最終回見たけどメタフィクすぎてワロタ。
中盤スタッフロールのところ製作者本気出しすぎだろ
製作会社に二期やってくださいメールを出そうと思う
ニーソ氏&114氏お疲れ様です
深夜に起きてて良かった
140 :
114:2010/09/26(日) 03:59:48 ID:7jDwtGm4
新参者だけど、書き溜めていた内容が投稿されていたものと微妙に被っててワロタ。
ちょっと逝ってきます。
>>142 十分おっきしました
ありがとう
ふぅ……
>>143 賢者になったところでまたーり))141氏の投下を待とうじゃないか
スレがめちゃくちゃ進んでてビックリしたw
職人諸氏、乙&GJでした!これからもよろしくお願いします!
つうかニーソ氏、絵が上手でうらやましい
これでアカボシ氏と名無しの職人氏に続いて三人目のイラスト投下になるのかな
皆さんこんにちわ。俺の名は城島シンジ。小笠原高校の3年生だ。
突然だが俺には悩みがある。
『え〜と、初めまして。私は城島カナミと言います。趣味はお料理です。
あ、それと、二つ上の三年生には城島シンジというお兄ちゃんがいます。おっちょこちょいで、私がいないと何もできないの♪
だから昔からいつも一緒でした♪おフロも…もちろん寝る時だって…でも、今どうしているかはヒ・ミ・ツ♪』
「クラスでの自己紹介でこう言おうと思ってるんだけど、どうかな?」
「やめてくれ。頼むから」
それは俺の妹、城島カナミが、とてつもなく思春期だと言う事だ。
こいつは所構わず、こういうギリギリなシモネタを飛ばす。
それと、実は悩み事はもう一つある。
「え〜どうして〜?嘘は言ってないよ?う・そ・は♪」
「少しは世間体ってものを気にしてくれ!」
「今更お兄ちゃんが言う?昨日だって、私の体をあれだけ好き放題してたのに」
「うっ…」
「そもそも、最初に手を出してきたのはお兄ちゃんじゃない。私の卒業式の翌日に、お酒に酔って私を襲ってさ。初めてだったからすっごく痛かったんだよ?」
「ぐぅ…」
今年の2月、カナミは俺のいる高校を受験し、見事合格した。そして卒業式当日、めったに帰ってこない両親と一緒に家族で食事をし、ひとしきりカナミを祝うと、アレな親父とお袋はまたどこかへ飛び出して行ってしまった。
ここまではいい。問題はその後。翌日の夕飯時、食卓にワインが並んでいた。家事担当であるカナミ(俺も一応はできるんだぞ?一応は)に訊ねると、
「家族でのお祝いはしたから、今度は兄妹でお祝いしようよ!」
とのことだった。
義務教育を修了して浮かれているのかと思ったが、俺も2年前に通った道。少しは気持ちも解る。
「じゃあ少しだけな」
そう言って俺もワインに口を付けた。
…正直その後の記憶がない。
「しかも、せっかくの初体験を覚えてないって…せっかくの初体験だったのに。一生に一度の初体験だったのに」
「3回も繰り返すな!」
気が付くと朝になっていて、俺は裸で、俺の部屋のベッドで寝ていた。
しかも、隣には素っ裸のカナミが、
「…兄ちゃ…めぇ…こわれ…ちゃう…」
なんて寝言を言っていたのだ。
「何度も止めてって言ったのに、全然手加減してくれないしさ。おまけに最後は中に出しちゃうし…妊娠しちゃってたらどうするつもりだったの?」
「…………」
「ま、幸い外れてくれてたみたいだけど♪」
「正直もう勘弁してください」
気分は orz を通り越して「へんじ が ない ただ の しかばね の よう」だ
「…私はそれでもよかったんだけどな(小声)」
「ん?何か言ったか?」
「え?あはは、何でもないよ♪じゃ、また今夜お願いね♪」
「ああ…っておい!」
「何よ、1度シちゃたら2度目も3度目も同じでしょ?それに、春休みの間中、ずっと私を可愛がってくれてたじゃない」
「ぐはぁっ!?」
そこ!引かないでくれ!俺だって好きで妹を抱いてたわけじゃない!だが言う事を聞かなければ親にバラすって言われて仕方なく…
「と言うわけで、お父さんとお母さんに報告されたくなかったら言う事を聞いてね♪」
「何が『聞いてね♪』だ。お前それ脅迫って言うんだぞ」
「まぁまぁ。お兄ちゃんも、今さらエロ本なんかで抜いたって虚しいだけでしょ?」
「それは…いや、けど!」
「バラすよ」
「イエス!マム!」
ささやかな反撃は芽を出す前に摘み取られてしまった。orz
「じゃ、私は夕飯の材料買って帰るから♪もうすぐアノ日も近いし、お兄ちゃんには今のうちに発散してもらわないとね♪」
「…………」
「それとも、そろそろ後ろの穴にも挑戦してみる?お兄ちゃん好きでしょ?アナルセックス」
「ぶほっ!?」
「今ビーズとかディルドーで広げてるんだ♪もう少ししたらお兄ちゃんのサイズのも入ると思うから楽しみにしててね♪」
「往来のド真ん中でシモネタを飛ばすな!!」
誰か、俺をこの地獄から助けてください…
以上終わり
この期に及んで妹ネタでした
妹は思春期が大好きな俺には最高でしたGJ!
やっぱカナミにはシンジが必要なんや・・・
>>142 消えてる…orz
ニーソ氏がよろしければ再うpしていただけないでしょうか?
>142からのダイレクトリンクだとダメみたいだ
別のIEにURLをコピーすると見られたよ?
>>136 初投下、乙でした。
一文辺りが長い個所があるので、適度に改行してくれると見やすくなって
もっといい感じになるのではないかなと思われます。
>>148 投下乙です。
明るい雰囲気が氏家作品らしくて素敵です。
お疲れ様です。
小ネタですけど投下します。
生徒会役員共で、スルー対象キーワードは、「エロ無し」「エロ系会話はあり」です。
タイトルはとりあえず無題でお願いします。
私立桜才学園高等部の生徒会は忙しい。
まず朝は普通の生徒よりも早く登校し、校門前で服装のチェック。
日中の授業こそはさすがに一般生徒と変わらぬものの、昼食後は昼休み終了まで生徒会室に詰め、
放課後は校内の見回りや、諸会議、雑務等々に追われ、
学校を出るのは、クラブ活動も終わった規定の下校時間ギリギリ、というのがおおよその一日の流れになる。
そして、これがほぼ毎日続くのだから、たまらない。
基本、桜才学園は生徒による自治活動が活発で、特に共学化して以後は、
風紀・校規に一部改正が加わったことや、クラブの数が増えたこと、
目安箱を設置したこと等から、生徒会の仕事がかなり増えたのだ。
ついでに言っておけば、生徒会の顧問の教師が碌に手伝ってくれないという理由もあったりするのだが。
今日も、生徒会は働いている。
これからの桜才学園の為に、学園の生徒の為に。
◆ ◆ ◆
「ふう」
「何だ津田、疲れているのか? 溜め息なんぞついて」
「いえ、各クラブの後期予算案をまとめるのが結構、骨が折れて」
「そうか、私はてっきり昨晩自家発電し過ぎたのかと思った。それこそ十連発くらい」
「会長の頭の中で俺がどういう人物扱いになっているのか、小一時間程問い質したいですがやめておきます」
現在、桜才の生徒会には、四人のメンバーがいる。
まず三年生の会長、天草シノ。
学力が高いこの桜才学園でも抜き出て秀才であり、中間・期末、その他のテストにおいて、学年一位を今まで譲ったことがない。
さらにスポーツも得意、家事も万能、容姿端麗と、まさに『文武両道』『才色兼備』の四文字熟語が服を着て歩いているような存在で、
同性からの人気も高く、会長としての支持率も98%と、生徒会長としてはケチのつけようが何処にもない才女である。
支持率の高さについては、「自分じゃなきゃ誰でもいい」という答が過半を占めたという新聞部調べのデータもあるが、
逆に言えば積極的に批判・批難するだけの理由が彼女に無いという証拠でもある。
「でも本当に骨が折れるくらいに頑張り過ぎても駄目よ? 何事もほどほどにね、津田君」
「そう、ですね」
「骨と言ったら私、子供の頃、男の人のアレにも骨があると思って」
「その後の話はいいです、七条先輩」
続いて、同じ三年生の七条アリア。
所謂『良いトコのお嬢様』で、実家の広さは文字通りのお屋敷レベル、さらにはエスカレーターや自動ドアまで完備されており、
トドメに本物のメイドがいるという、超がつく程のお金持ちの生まれである。
勉強も非常に良く出来て、テストでは常にシノに次いで二位のポジションを確保、
習い事も華道に茶道、書道その他とこなし、修めた技能は高校生離れしている。
挙げ句に美人、爆弾ボディという、二物も三物も天から与えられまくってたりする。
「アンタ、普段から鍛えてるとか何とか言ってる割には根性無いわね」
「鍛えてると言っても、別にトレーニングジムとかに通ってるわけじゃないし……せいぜい腕立てとか腹筋とか、そんなんだよ」
「とりあえずしゃきっとしなさいよ、溜め息ばっかりつかれると、こっちも何だか暗くなってくるわ」
「わかったよ、気をつけるよ、萩村」
そして、会計の萩村スズ。
IQ180の帰国子女、五カ国語を話せ、十桁の暗算も朝飯前、運動神経もそこそこ良いと、能力面で非の打ちどころはほとんど無い。
ただ身長が小学生レベルで、本人もそれを強烈に意識している節があり、
容姿で他者に舐められないよう、態度だけは意識的に大きくとるように心がけている。
実家もそれなりに裕福で、桜才を卒業後は海外留学を視野に入れている。
怖い話に弱い、身体の生活リズムが幼い、という弱点を持っているが、生徒会の活動において、大きくマイナスになってはいない。
「しゃきっとすると言っても、アッチのことじゃないぞ津田」
「わかってます」
「アッチがしゃきっとした状態で、腕立て伏せって出来るのかしら」
「わかりません」
「ふむ、三点保持というやつだな」
「まさか津田君、腕立て伏せをやって鍛えているって、そっちの……」
「んなわけないでしょうが」
「鍛え方次第では、一点で保持出来るようになるのか」
「まあ、軸にして回転出来たりするのかしら」
「上手くすればまさに自家発電が可能になるな」
「俺にこれ以上溜め息をつかせないように、そろそろ終わりにしてもらっていいですかこの話」
最後に、副会長の津田タカトシ。
家から近いから、という理由で桜才を選び、一年生早々にして、シノによって無理矢理スカウトされた、生徒会唯一の男子。
学業面はどの科目もそこそこ、運動も不得意ではないが得意というわけでもない。
シノ曰く、「私の右腕」ということだが、何分他の三人が相当に秀でている者ばかりな為、生徒会活動においてはどうしても目立ってこない。
副会長就任直後はシノのファン(女子生徒)から敵視されていたこともあったようだが、今ではあまりそういう話は聞かなくなっている。
新聞部の部長によると、「まあ噂は操作出来ますんで」とのことだが、はてさて。
「津田君、何なら出島さんに頼んでマッサージしてもらう? 出島さん、上手なのよ」
「違うマッサージをされそうなので遠慮しておきます」
「何でも、特殊なマッサージがあって、そこを揉んでもらうと腰がスッキリ」
「いや、だからいいですってば」
「じゃあ萩村にまた踏んでもらったらどうだ。いい感じにヨガれると思うぞ」
「それじゃダメでしょ」
「ヨガって言えば、特殊なヨガがあって―――」
「もういいです、ホント」
能力的には、シノとアリアは高校生としては完璧に近い。
が、性格的にはそうではない。
この二人、下ネタ方面のボケがとにかく激しいのだ。
それさえなければ今以上に尊敬出来るのだが、とは、タカトシとスズの共通した意見である。
「疲れてるのならちゃっちゃと予算のまとめをやって、家に帰ってゆっくりお風呂にでも入ったらいいじゃない」
「結構面倒なんだよ。萩村ならすぐに終わるんだろうけど」
「そうだな、風呂は良い。ぬるめのお湯に浸かってリラックスすれば、疲れなんてすぐに取れるぞ」
「出来たらコトミちゃんにも一緒に入ってもらったら? 出島さんから聞いたんだけど、男の人は女の人と一緒にお風呂に入ると―――」
「いや待てアリア、ただ単に一緒に入るだけなら悶々としたモノを溜めるだけで逆に疲れ―――」
「はいじゃあ、今から集中してやりますんで勘弁してもらえますか」
「……私の仕事ももう終わるから、手伝ってあげるわよ、津田」
タカトシのツッコミ技術は、桜才に入学してから格段に上がった。
元々、思春期過ぎる妹を相手にしていたのでそれなりにエロボケには一定の耐性もあったのだが、
さすがにシノとアリアの二人を相手にするのはかなりのツッコミパワーが必要になる。
さらに、シノとアリアだけではなく、時には生徒会顧問の英語教師横島ナルコや、
ロボット研究会の轟ネネ、新聞部部長の畑ランコと、そちら方面では相当なレベルのツワモノが揃っているのだ。
タカトシの高校生活の半分以上は、ツッコミによって構成されていると言っても過言ではない。
もっとも、いくらツッコミのテクニックが上がっても、タカトシにしてみれば全く嬉しくないわけだが。
「頼むよ、萩村」
「これからはちゃんとやんなさいよ」
スズは数字に強い。
だからこそ、会計を任されているとも言える。
今回、タカトシがクラブの予算関係を任されたのは、スズが他にやるべき生徒会の仕事があったからである。
「もう、スズちゃんはツンデレなんだから」
「……どういう意味ですか、七条先輩」
「津田君と一緒の仕事、したかったんじゃない?」
「は!? な、なな、何を言ってるんですか?」
「『私がいないとアンタはダメなんだからあ』って言葉を続けるつもりだったんじゃないの?」
「そんなわけないでしょう!」
「待てアリア、微Mの津田にはツンデレは効果は薄いぞ」
「じゃあ、『ほらほらさっさと仕事しなさいよ、遅い男は早い男と同じくらい嫌われるぞ』かな」
「どっちも言いません!」
生徒会において、スズはツッコミ役をタカトシとともに担っている。
だが惜しいかな、強気な性格が災いして、シノとアリアのペースに流されてしまうことがよくある。
今回のように。
「ふむ、ならば私も手伝おう。私の方も、もう少しで終わる」
「会長まで、いいんですか」
「将来会長になるべき津田に仕事を覚えて貰おうと思って振ったのだが、なに、ゆっくり学べばいい」
「ありがとうございます」
「……なら、そっちに椅子を持っていっていいか?」
「え?」
「いや、ここからだと資料が横になって……隣にならないと、ちゃんと読めない」
生徒会室において、それぞれの位置というか、席は決まっている。
ホワイトボードの前が会長のシノ、
シノから見て左手にアリア、右手にタカトシと、その向こう側にスズ。
こういう『並び』になっている。
「狭いですよ?」
「構わない」
元がお嬢様校の桜才だからと言って、備品が極端に贅沢であるということはない。
長机もパイプイスも、何処の学校にもあるようなありふれた品である。
スズ、タカトシ、シノと三人座れば、やはり窮屈になってしまう。
肩と肩が自然と触れ合ってしまうくらいに。
「あらあら、うふふ」
「何ですか、七条先輩」
「ううん、だったら私は、津田君の後ろに行けばいいのかしら?」
「え、何でです」
「私ももうちょっとでこの書類の整理が終わるもの。お手伝いするわ」
「でも、もう席が」
「だから、後ろで」
「いや、どうやって手伝うつもりなんですかそれは」
「それは、こうやって背中から手を伸ばして」
「いいです、いいですってば」
桜才は元が女子校だっただけに、共学化してからも、男女の比率はかなり極端である。
男が少なく、女が多い。
生徒会においても、また。
「背後から……。くっ、アリアだと胸が当たって津田的においしいイベントだが、私では……ッ」
「でもシノちゃん、男の人にとって背中に当たるのに大きさは関係ない、って出島さんが」
「言っておきますけど、席が足りないからって、わ、私は津田の膝の上にはもう乗りませんよ。子供じゃないんだし」
「おおそうだ、ならば津田が机の上に寝転がるというのはどうだろうか。そして女体盛りならぬ男体の書類盛りと」
「シノちゃん、それは服を脱ぐの、脱がないの?」
「ほらあ津田、もうちょっと寄りなさいよ。書類が見えないじゃない」
「あのー、書類を分けますから、席にそれぞれ戻って下さいお願いしますほんとお願いします」
◆ ◆ ◆
私立桜才学園高等部の生徒会は忙しい。
特に放課後は忙しい。
やるべきことが、とても多い。
「む、津田よ、ここの数字が間違っているぞ」
「え、そうですか?」
「ああ、96ではない。逆だ、シックスナインだ」
「何故英語で読む」
「ここもおかしいわ、800じゃなくてやおいよ」
「何故普通に読まない」
「津田、アンタ、ちゃんと読めるように書きなさいよ」
「何故俺が怒られる!?」
タカトシを囲んで女子三人、いつものように、いつもの如くの生徒会。
なお、この後生徒会室には、畑ランコ、五十嵐カエデ、横島ナルコの訪問による、
「あらあ密着、これはシャッターチャンス」
「だっ、だだだ男女席を同じゅうせず! 津田副会長、不届き者!」
「オナじゅうせず? ははーん、これだけ女に囲まれてオナらないなんて、オトコノコじゃないね津田は!」
というイベントが待っている。
「む、セクロス部は大会で良い成績だし、これくらいの増額は認めてもいいかもしれんな」
「ラクロス部です」
「あらあら、ブラパン部は楽器が壊れちゃったのね、何とかしてあげないと」
「ブラバンです。ブラスバンドです」
「ほら津田、次の書類! ちんたらせずにちゃっちゃとしなさい!」
「はいはいはいはい!」
無論、現在のタカトシがそれを知る由もない。
今日も、生徒会は働いている。
「津田、次の書類をくれないか」
「津田君、次のをいただける?」
「ほらほら、次々! 津田、次!」
「……はい」
これからの桜才学園の為に、学園の生徒の為に。
そして、自分の為に。
F I N
ここまでです。
私の地域では最終回はまだですが、生徒会のアニメ、楽しんで視聴してます。
タカトシとスズで艶っぽい話を考えてますが、まだまとめきれてません。
出来あがり次第投下出来れば、と思っています。
では、また。
原作をブーストするとこんな感じになるな、確かにw
>>161 タカトシ×スズも楽しみに待ってます
163 :
名無しさん@ピンキー:2010/09/27(月) 05:23:33 ID:OvXpaH+F
風邪ひいて寝込んでる間にピンキリさんの投下ある!
投下乙です
スズネタ楽しみにしてますスズのかいだんはキュンキュンさせていただきましたよ。
指摘していただいた方、画像いめぴた投下なの書き忘れてますたすまん
ここの職人連がアニメのオリジナル部分書いたほうが良かったんでねえかw
おそらく最多投下であろうピンキリ氏、さすがの安定感GJです
タカスズ全裸待機でお待ちしてます
さすがピンキリ氏だな
こんなこと言うのはなんだけど
他のとはレベルが違うわw
本スレ、アニメスレ、キャラスレ、VIP等に立つ単発スレ全体を見て気付いたがカエデのエロ妄想され率は異常
しかも妄想の内容が過激なのばっか
一体彼女の何がそうさせるのか
>>167 風紀委員長・男性恐怖症・潔癖・(おそらく)処女
これで過激な妄想をするなって方が無理だろ
轟さんはその真逆を行くわけだな
知的な理系メガネ少女、と見た目は
実に妄想されるタイプなのに
>>169 中身は腐女子とビッチの中間って感じだしな
ピンキリ氏GJ
古参ながら活発なのは驚き
さて、アニメラストにはあんぐりしましたが、投下します。
タイトル:副会長、御乱心B
カップリング:タカトシ×コトミ
スズキスの続きで、タカトシ視点となっております。
↓それでわ
涼風の流れる夜、オレ達は蕩け合う。
スズの華奢で幼気な体を抱擁し、唇を重ねる。
唇を離し見つめ合うと、彼女の紅潮が一目で分かる。
「また明日……学校でな」
「うん、お休み」
明日は別の仕事がスズにあるため、一緒に登校することは出来ない。
だからこそ、彼女は別れが惜しいのだろう。
「ただいま」と家に戻っていくスズの姿を確認し、オレは帰路に着いた。
あることを決意してから一カ月が経ち、3人の女性と体を重ねてきた。
スズもその一人だ。
だが未だにオレの欲が満たされることはない。当然だ。
放課後に犯したシノ会長も、一カ月前から付き合うことになったスズも、オレが求める女ではないのだ。
全ては妥協なのだ。
会長やスズはオレを想っていてくれた、好きでいてくれた。だから相手をしただけ。
初体験に知った満たされる感覚はどこにもない。
通りすがるコンビニで、先程すれ違ったトッキーこと時さんが漫画を立ち読みしていた。
裏表紙から察するに、週刊少年マガジンであろうか。
そんなことを考えるうちにオレは自分の家へと戻ってきた。
インターホンを鳴らし、扉を開ける。
「ただいまー」
「おかえりータカ兄。お母さん達は今日泊まってくって」
ドアを閉めると同時に、コトミが迎えに来る。
両親のいつもの外出にため息をつきながらあがり、ふと気付く。
ウチの親ってどんな顔してたっけ……?
気が付くとコトミはいなかった。
リビングの向こうで笑い声が聞こえる。ソファーに横たわり、ポテチを食べながらテレビを見ているのだろう。
オレは階段を戻り、部屋でネクタイを外す。
シャツに蒸せた匂いを感じる。原因は分かってる、会長と体を重ねたことだ。
「ふうっ……」
窓を開けて、ベッドに座る。
情事の匂いを孕んだシャツを投げ捨て、自分の欲を知る。
おそらくスズのように、会長とも今までの関係ではいられない。
もしかしたら、2人とも失う事態に陥るかもしれない。
「構うもんか」
それでもオレは困らない。本命でもない女だ、心が痛むことなどない、ありえないのだ。
携帯電話を手に取り、スズのメールが来ていたことを知る。
時刻では会長とまさに情事に浸っている頃であろうか、廊下に忘れてしまっていたが誰にも見られてはいなかったようだった。
もし会長に見られていたら、彼女を失うことになる。
そう考えると、このメールも決して嬉しきものではない。寧ろ煩わしいものだと表しざるをえない。
スズはIQ180に不相応な、幼児体型をしている。それにもれず、精神にも幼い部分が多々見えている。
一カ月前の告白には惰性で受けてしまったものの、今となっては後悔している。
彼女の裸体はまさに幼児に近いもので、罪悪感すら抱いてしまう程だ。胸など論外で、とても満足できるものではない。
果物で譬えるなら蒼色のバナナ。早熟にて固いだけで味もない、食後に後悔してしまう。まさにそのものなのだ。
やはり充足を知るには、柔の肌に豊の胸。当たり前のことだ。
「タカ兄」
そんな混沌とした脳内を曝け出していると、突如コトミが部屋に入ってきた。
「どうした、勉強か?」
「タカ兄最近、変わったよね」
いきなり入ってきたコトミは、いつにない険しい表情でオレを問い詰める。
自分がある事件を切欠に変わったことは自覚している。オレは頷き、コトミに答える。
「変わったって……何が?」
「なんか最近、冷たくなったというか。色んなことに冷めてるみたい」
勉強はイマイチなくせに、どうもこういったことには鋭い。コトミの言うことは、大部分が当たりだったのだ。
コイツには、オレがスズや会長と関係を持ったことは伝えていない。
飾りなく話せる唯一の相手がコトミだった。
真面目なトコもなく、ぐうたら自適に過ごしているコイツと、とても波長が合うのだ。
「フラレたんだよ」
だからオレは、一切の隠蔽もない事実をコトミに伝える。
「……そっか」
コトミが返したのは一言だけ。
だがオレにとっては、それで充分だった。全てが救われる気がしたのだ。
「まあ女の子なんてイッパイいるんだから、次の人探しなよ」
背に目掛けて飛びついてくる。
コイツなりの励ましなのだろうか。相手は妹のため、流石に動揺することは無い。
「ああ……ありがとな」
オレからはコトミの表情は見えない。
でもきっと、いつものように笑っている筈だ。それがオレの好きなコトミだからだ。
華奢ながらも柔らかな温もりが背に届く。無論、成熟した胸も……。
腹や腕とは異なる、性を想わせる双のものは、オレの欲情を嗅ぎ立てるのに十二分だった。
下着の固さや、奥に秘めた柔らかさ、それを感じるにつれて大きくなっていくのを感じていた。
「コトミ……」
「ん?なに、タカに――」
立ちあがった瞬間、オレはコトミの唇を奪っていた。
スズの時とは違う、自分から奪いに行った唇だ。
昂った欲情が髪を撫でる、項を撫でる、そして胸へと到達する。
柔らかく、それでいて弾力のある胸。
「――っあ」
唇を離した一瞬、コトミが切なそうに声を漏らす。
「先に……シャワー浴びよ」
コトミはオレから離れて視線を下に落とすが、拒絶は見られなかった。
焦る必要はない、ゆっくりと堕ちていこう。オレはそう思っていた。
先にコトミが入り、次にオレが入る。
一緒に入ればいいのに、恥ずかしいのか一人でシャワーを浴びている。
お湯を出し、風呂場のタオルを使って、体を洗っていく。
そういえば、帰る前に会長とセックスしていたんだ。
渇いた汗でざらつく肌に触れ、嘗ての情事を思い出す。
弾切れの心配は杞憂なようで、オレは顔を洗って戦いに挑む。
「出たぞ」
体を拭き、下にタオルを巻く。
コトミが待っていたのはリビングだ。カーテンは開けっ放しで、
庭や道路が見えてしまっている。
「閉めなくていいのか?」
「だって、見られた方が興奮するじゃん」
ツインの髪を下ろし、タオル一枚のコトミは、とても扇情的に映っていた。
「タカ兄……」
自らタオルを掴み、結び目を解いた。裸体が目の前に飛び込んでくる。
一緒に入浴していたときとは全く違う、性を感じさせる胸や腰、そして秘所。
当然のように、己が猛ってしまう。それを見たか知らないが、コトミは間髪いれず明かりを消す。
暗闇が訪れ目が慣れない中、最初に感じたのは柔らかい口唇。
マシュマロのように柔らかく、唇の向こう側から微かに息を感じられた。
ようやく目が慣れると、そこには目を瞑り愛に浸るコトミがいた。
下ネタばかり言うマセた高校生ではない、当たり前に恋をする乙女だった。
オレは夢中でキスを続けていた。
コトミの右手がオレの腹を這う。タオルを外そうとしているのだ。
そして湿ったタオルが外れた瞬間、ソファーに押し倒していた。
「コトミ……」
彼女の名前を改めて言うことで、自分が妹を犯そうとしている事実に気付く。
背信的かつ背徳的で、鬼畜とも非道理とも捉えられる。だがそんなことどうでもいいと思える程に、彼女は魅力的だったのだ。
自分の分身に手が這い握られる感覚を覚え、コトミを見詰める。
「私、タカ兄が感じてるとこ……見たいな」
それが攻めの合図だった。
コトミは起き上がり、オレをソファーに横たわらせた。
電気が消えているため、月光だけが頼りだった。
寝ていても天井を捉えることは出来ないが、滾りを自覚することは出来た。
向こう側にはコトミがいる。『それ』をじいっと見つめ、時々握ってみる。その度にふるふると悦が押し寄せる。
「えと……それじゃあ舐めるね」
「あっああ……」
恐る恐る口を開き、分身を銜える。
唾液の滑りや口の暖かさが強い快楽を与え続ける。ゆっくりと上下に動かしていく。
たどたどしく、物足りないところもあった。だが幸せであることには変わりない。
「うっ……くっ……」
ゆっくりと、それでも確実に気持ちよくなりつつあった。男の喘ぎなど見苦しいと、声を抑えるのに精一杯だった。
次は口を離し、袋へと攻めの対象を切り替えた。
次なる快感がそこにはあった。左手で分身の茎を扱きながら、口で別を攻めていく。
自分を抑えることが出来なくなりつつあった。
ソファーの手すりを手で持つことに全神経を注いでいたのだ。
このままでは負けてしまう。
オレはすかさず次の手を打とうと、コトミに告げる。
「コトミ……お尻こっちに向けて」
背を撫でる。どうやら彼女は攻めることにだけ夢中だったようだ。
コトミが後ろを向き、ヒップをオレの顔に近づける。所謂『シックスナイン』と呼ばれるものだ。
茎への口撃に堪えながら、攻めに転じる。
興奮からか僅かに滑る陰唇を口に含み、下で撫でる。
「……ぁん!そんなっ……急にぃっ!!」
明らかに唾液ではない、別の液体が溢れてくる。
形勢は逆転していた。オレは支配される立場から、する立場へと変わったのだ。
兄妹というのは類似点が非常に多い。
顔も髪型も、だらしない性格も。マゾヒストいう性癖もそうだ。
電気を消しているといえど、カーテンを開けていれば傍目につくリスクが伴う。
そんなことでも、彼女は快楽に変えてしまう。
肉質のある柔らかな足を抱えながら、オーラルを続ける。
いつの間にかコトミは口淫を止めてしまい、オレの右足にしがみ付きながら悦楽に堪えていた。
「タ……タカにぃっ……もうガマン……できない」
かき消されそうなくらい掠れた小さな声が、重なりを求めていた。
我慢が出来ないのはオレも同じだ。口撃を止め、ソファーから起き上がる。
本能が早く爆発させたいと唸っている。対面する彼女もそうだ。
今、オレは実の妹を犯そうとしている。傍から見れば鬼畜同然、当たり前だ。
だがそんな目ですら、コトミの前では無に帰すのだ。
「コトミ……」
繋がる相手の名を呼び、唇を重ねる。
勿論、唇だけで触れ合うのではない。舌が絡まり、側から唾液が垂れる。
線のついた頬を、舌で丁寧に撫でていく。可愛げな顔が愛おしかった。
コトミの腰が微かに浮き、左手が分身を捉える。
腰を掴み、誘導していく。そして……。
「んんんん――ッ!!」
オレとコトミは、対面座位で繋がる。
目の前の彼女は目を強く瞑り、何かに堪えているようにも思えた。
「痛くないか?」
「大丈夫。すっごく……気持ちいいよ」
月夜に照らされた彼女の頬を知ることは無い。だが触れると熱を帯びていた。
彼女と同じく、オレも強い悦を得ていた。
ぬめりと共に締め付けられる感覚。僅かに痛く、快楽は数十倍だ。
どちらかとなく、無意識に腰を動かしていた。
お互いが抱き合い、しがみついていた。
「タカ兄……タカ兄……どこにも…行かないでよ」
「分かってる。オレはずっと……お前から離れない」
長いオーラルからの繋がり。それだけに気持ちよさも、今までの比にならない。
初めて心から快楽を求めていた。
だからこそ悲しいかな、終わりが近づくのも早かった。
「コトミ……もうオレ……」
「うん……いっぱい来て」
これ以上語ることはなく、お互いが意思を疎通していた。
更にオレはスピードを上げていき、膣が吸い上げるかのごとくキツくなっていくのを感じる。
瞬間、頭に脳内麻薬が届き、体が反動を起こす。
そして快楽はピークに達し、濃い液体がコトミへと何度も発砲していく。
その一つ一つを彼女は目を瞑って受け止めていた。その愛らしさにオレはもう一度、深い接吻を交わした。
眩しい明くる日の朝、オレは目を擦り起き上がる。
絨毯に横たわり、コトミは涎を垂らしていた。一糸纏わぬの姿であったが、再度オレが反応することはなかった。
妹との一線を超えてしまった、この事実はオレを苛ませる要因となっていくだろう。
オレは寝室から毛布を取り出し、コトミへとかけた。
「昨日は……ありがとな」
わだかまりがとけたような気がした。それと同じく、自分が進むべき道も。
オレは全てを背負って生きていく。会長もスズも、コトミも。
傍から見れば最低であるかもしれない、まさに優柔不断の極みだ。それでも構わない、何も捨てない、皆手に入れるのだ。
「行ってくる」
新たな決意を胸に、オレは家を後にした。
生まれ変わった日は、晴天だった。
ハーレムルート一直線に相応しい朝に、明るい声が背後から聞こえる
「おはよっ、タカトシ君!」
「三葉」
曇り一つ無い爽快な声を出す彼女は、三葉ムツミだった。
「朝練はいいの?」
「今日は休みだからさ、たまにはってことでね」
そういえば三葉と登校するなんて、滅多にないことだ。
オレはふと、彼女の顔を覘いてみる。
「ん?どうしたの?」
「いや……今日も元気だなって」
「あったりまえじゃん、今度こそ全国制覇狙ってるんだから!」
そう言って三葉は右腕に力コブを作ってみせる。
屈託のない笑顔を見ていると、秘めた自らのえぐい決意が恥ずかしくなってしまった。
学校へとつき、靴箱を開ける。
上履きの上には、一枚の手紙があった。
「なんだコレ?」
茶封筒に仕舞われた手紙。古風なものである。
何が書かれているのかと開けてみると、『話があるので、屋上に来て下さい。待ってます』と書かれていた。
「タカトシ君、それってラブレター?」
どこか残念そうな顔で三葉が覗きこんでいた。
「まさか……」
オレにはこんな手紙を貰う相手などいない。
生徒会のメンバー以外とは関わりはない、あるとすれば五十嵐先輩か轟くらいだ。
だがあの2人から好意を持たれているかと問えば……たぶんNOだ。
「とりあえず行ってみたら?」
「う〜ん……そうする」
相手が誰か分からないということに不安はあるが、興味もある。
いざとなれば力づくで逃げてくればいいんだ。そう強く決意を決め、階段を上っていく。
他に人がいないことを確認し、屋上の扉を開く。
屋上に上がった瞬間、秋風が吹き、微かな寒さが感じられた。
目を凝らすと、網に手をひっかけて空を見つめる少女がいた。
ここからでは誰なのか分からない。
オレは一歩ずつ歩き、彼女の背後へと立つ。
「手紙をくれたのは……キミ?」
以上でBは終了です。
Eくらいまで続きそうですが
乙乙
6まで続くのか……胸と股間が熱くなるな……
役員共最終回見たけど、メタりすぎワロタwwww
投下ラッシュやべー
職人諸氏乙&GJ!!
最終回のB,CパートにTBが触れられるの期待してたんだが…
逆に曲だけねじ込んで貰うために卑猥な営業が行われたと妄想出来るな
宣氏乙&GJ
これかもよろしくお願いします
職人の皆さんに最敬礼!
宣銅烈乙!
やっぱ新規者なんていらなかったんや!
>>61の続きー。後編のつもりが中編になってしまった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「津田。また間違えたわね。ここはさっきの式で解けるのよ」
「あ、そうか」
眉間にシワを寄せながら、津田タカトシは問題集のページを睨みながら言う。
「…ここに…こうすればいいのか」
「そうよ」
ここはスズの部屋。
生徒会活動終了後に津田タカトシが
「IQ180の萩村! 中間テストの数学、ヤバそうなんで教えてください」
と懇願してきたので、自然と溢れてきそうな微笑を必死に噛み殺しながら
「いいわよ。ウチで教えるけどいいわね?」
と答えたのが三十分前のこと。
スズは自分のワードローブのなかで一番可愛いと思っているわりとミニなワンピに着替えて津田タカトシに数学を教えている。
下に履いているのは黒ストッキングではなく、青と白のストライプのオーバーニーソックス。
生徒会で没収した男性誌に『絶対領域』がどうとか書いてあったからというのは関係ないのよ!とスズは心の中で叫んでいるが、
偶然タカトシがそのページを眺めていたのを目撃したスズはそれ以来いろんなニーソックスとミニスカートの組み合わせを
こっそり自室の鏡の前で試してみているのをタカトシは当然知る由はない。
津田タカトシという少年は、決してバカなわけではない。
スズはそれを見抜いている。
何かに関連させて記憶する能力は同年代の中では秀でている。地理や歴史などという記憶力がモノを言う科目の成績が
決して悪くないというのがそれを証明している。
足りないのは応用力で、公式を知っていながらそれを上手く適用できていないから肝心なところで得点できてないだけ。
IQ180の天才少女はそこまでお見通しなのでこうして不得手な部分をビシビシと鍛えてるわけで。
そんな勉強会の最中、スズの部屋のドアを開けて入ってくるのはスズの母親。
「スズ。津田クン。お茶が入ったわよ」
「そこに置いといて。キリのいいところで休憩するから」
「あらあら。頑張ってるのね津田クン。あんまり根詰めすぎちゃダメよ?」
「あ、ありがとうございます。もう萩村には世話になりっぱなしで」
「スズったらいつもウチでは津田クンの「あー!! もう勉強の邪魔だからあっちいってて!」」
スズの母親がdでもないことをバラそうとしたので慌ててスズは母親を追い出す。
気にするんじゃないわよ、というような目でスズはタカトシを睨む。
わかってるよ、と目で答えながらタカトシは問題集に視線を落とす。
「…あんた図形の問題がイマイチなのね」
「どの式を使ったらいいのかちょっとわかんなくて」
ちょっと考えてスズは思いつく。
「この問題は、たしかあの問題集にあったわね」
スズはそう言うと、椅子を本棚の前に持ってきて、それの上に立って本棚の上段を探している。
タカトシは何も言わず椅子を押さえてくれている。
椅子の上に立ち上がってるこの体勢では、タカトシからパンツは丸見えだ、とスズは気付いた。
タカトシがもし自分の下着を見ていてくれたら嬉しいと思う。
自分の身体がタカトシにとって魅力的だとしたら、そんな嬉しい事はない。
自分の身体がタカトシにとって魅力的だとしたら、そんな嬉しい事はない。
でも、そうではない。
その想いがスズの胸の奥にズキンとした痛みを生じさせる。
津田タカトシは、自分みたいな幼い体形には興味を抱かない。
鼻の奥がツンとなりそうで、スズは息を止めながら問題集を本棚から引き抜く。
椅子から降りようと、でも津田にお尻を向けて降りるのはちょっと恥ずかしいのでスズは椅子の上で回れ右をする。
椅子を押さえてるタカトシは、スズの下着を見ないようにあさっての方向を向いていてくれてる。
たとえ見えるとしても、見ないようにしてくれるのが津田タカトシという男なのだ。
スズはそれが嬉しくて、悲しい。
そんなスズの心境が影響したのか、それとも下ろしたてのオーバーニーソックスの足裏は滑りやすかったのか。
椅子から降りようとしたスズは、足を滑らせてしまった。
慌ててスズの身体を受け止めようとしたタカトシ。必死に後ろ手で本棚につかまろうとするスズ。
そんな二人の力加減のせいか、気がつくとスズは、椅子に座った状態からズリ落ちたような体勢で、
その両足の間のタカトシの顔をオーバーニーソックスではさむような状況になっている。
しかも椅子の背もたれがスズの背中とワンピースの間に入り込み、ただでさえ短いワンピが完全にまくれ上がり、
スズは下半身を可愛いおへそまですっかり晒してしまっている。
しかも一番ショックだったのは、津田タカトシが自分のそんな姿をしっかりと見ているという事。
「な、ちょっ、つ、津田っ!!」
淡いピンクの、フリルフリフリの可愛いパンツが、タカトシに見られてしまう。
タカトシが息を吸い込めばその匂いですら感じられてしまうくらいの距離で。
「……見たわね?!」
永遠にも思える数十秒ののち、スズはタカトシを正座させて叱責している。
「その、ゴメン萩村。その、可愛いと思っちゃって」
タカトシの言葉にスズの胸の中がざわめく。
胸の奥に抱えていた傷口が、甘い蜜みたいな温かさで覆われるような感覚。
無上の幸福感。
ただ、賢くて聡い少女はそんな甘い幸福感だってすぐには信じない。
「こ、この、ロリコン!」
嬉しいのに、スズの口はそう勝手に動いてしまう。
「ペドフィリア! 幼児性愛者!!! わ、わが桜才学園生徒会に、こ、こんな異常性欲者がいるとはね!」
顔を真っ赤に染めながらどことなく嬉しそうなスズ。
嬉しいスズだが、その甘さを振り払うべく口にする言葉が突き刺さるのは自分自身の胸なわけで。
スズは自分のその体形から、ロリコンという性嗜好を心底忌み嫌っていた。
大人の女性に劣等感を抱いている未熟な性的変質者の趣味だ、とまで思っていた。
だから自分が思いを寄せる津田タカトシが、そんな変態であるわけがないと思っている。
もしタカトシが自分に性的関心を寄せるような人間ならば、スズは最初からそんな男を好きになるはずがない。
つまり最初からスズの想いは詰んでいた。
そんなスズの心を縛っていた鎖を、タカトシの声が引きちぎる。
「いや、そうじゃなくって、子供っぽい子のパンツとかには全然興味ないんだけど、萩村のだったからつい見ちゃった」
「子供っぽいからじゃなくて、萩村のだから」
その言葉でスズの心の壁にヒビが入る。
身体の奥から湧き出てくる嬉しさ。
「ウソばっかり!!」
スズはこの感情がなんなのか、自分でもよくわからない。
ただ、嬉しくて、でもその嬉しさが信じられなくて。
視界がぐんにゃりと歪む。
暖かい液体が頬を伝っている感覚に初めて、自分が泣いているのだと気づいた。
スズは今まで、自分はどんな事でも正確に理解できると思っていた。
自分はどんな情報も、的確に区別し判断し記憶する事ができる。
いかに複雑な方程式も、どれほど難解な文法問題も、精緻極まる論理命題だってお手の物だ。
そう思っていた。
今までは。
スズには判らない。
自分の胸に溢れてくる感情がなんなのか。
どうして自分がこんなに嬉しくて苦しいのか。
なぜ自分の目からこんなに涙が湧き出てくるのか。
スズは混乱していた。
わからない。なにもわからない。
まるで迷子になった幼児のように、ただ泣きながら救いを求める。
目から涙の川を頬に作って、歪められた口元からは言葉にならない
ぽす。
暖かい何かが目の前に広がってる。
それがタカトシのシャツだと気づくのに数秒。
自分がタカトシに抱きしめられているのだと気づくまでにはさらに十数秒の時間が必要だった。
子供みたいに抱きしめられて、後頭部を撫で撫でされている。
子供みたいに抱きしめられて、後頭部を撫で撫でされている。
「な、な、なっ――」
スズの声は言葉にならない。
スズの脳の理性の部分はタカトシの無礼な行いに悪罵を投げつけようとする。
でも、スズの脳のもっと奥深くの、動物的な本能の部分がそれを邪魔していた。
頬に触れる、シャツ越しのタカトシの肌の暖かさにスズのその部分は感動していたから。
スズの秀でた脳の奥深い女の子の部分が、肩に回されたタカトシの腕の筋肉の固さに酔いしれていたから。
呼吸をするたびに胸いっぱいに広がる、タカトシの体臭。
手。指。声。タカトシの全てが、いまや萩村スズという少女の全てだった。
生徒会も、桜才学園も、両親も、クラスメイトもない。スズの脳裏に占める全てはタカトシしかなかった。
そんなタカトシの掌が泣いているスズの頭を優しく撫でている。
「…ゴメン。俺、萩村にそんな辛い思いさせてたなんて気付かなかった」
タカトシは誤解している。
その誤解を解かないといけない。
でも、スズの想いは言葉にならない。
なんて言ったらいいのか、わからない。
五ヶ国語を話せる天才少女のスズは、しかし今は胸の中の感情を言葉にすることすらできなかった。
だから、その細い腕をタカトシの腰に回しながら、そのシャツの胸というより腹の部分に顔を押し付けながら泣く事しかできない。
「帰るよ。もう来ない。萩村がイヤだっていうなら、生徒会だってやめ――「…ホント?」」
「え?」
「………………………………………」
「はぎむ――「わ、私のパンツ、見たいって、ホント?」」
タカトシの言葉を遮るようにスズの言葉が響く。
その問いに息を呑むタカトシ。
「うん」
と、震える声で答える。
「わ……わたしの、体…が、ち、ちっちゃいから…じゃ、なくっ…て?」
腰の奥、体の一番奥底から沸いてくる感情に流されないように必死にこらえながら、スズは尋ねる。
「あ、そ、その、俺、ちっちゃい子には興味がないけど……萩村のだったら、見たい」
どことなく上ずったタカトシの答えに、スズは震えた。
外見で差別されない世界。
スズがずっと行きたかった世界がそこにあった。
「小さい子供」や「生意気なちびっ子」としてではなく、萩村スズを萩村スズとして見てくれる世界が、実はスズのすぐ傍にあった。
「小さい子供」や「生意気なちびっ子」としてではなく、萩村スズを萩村スズとして見てくれる世界が、実はスズのすぐ傍にあった。
スズの胸のドキドキは全身に広がっている。
顔も赤くなってるし、耳だって真っ赤だ。
ドキン、ドキン、と胸が高鳴るたびに女の子座りしている腰の奥が熱くなる。
床に下着越しで触れている女の子の部分がジクジクと熱を持ってきてしまう。
「じゃ、じゃあ、もっと、見たい…の?」
スズは震える膝で立ち上がると、真っ赤になりながらワンピースの裾をたくし上げる。
「……」
恥ずかしい。恥ずかしくて、死んじゃいそう。
でも、それ以上に、嬉しい。
崇拝対象を見つめるかのようなタカトシの視線。
それが下着越しにスズの下半身を焼く。
毛も生え揃ってないスズの陰部は、ピンクの下着のなかで充血し、胸の鼓動にあわせてひく、ひく、と脈動をはじめる。
生まれたての子馬みたいに震える膝をこすり合わせながら、スズはタカトシに自分の下着を晒している。
タカトシの視線がレーザーのように、スズの肌の内側を焼いていく。
その視線を浴びただけで、スズの皮膚の中から甘い幸せな蜜がわいてきてしまう。
筋肉は震え、ミニなワンピの裾を持った手に握力がなくなる。
手のひらにかいた汗がワンピの裾を滑りやすくし、オーバーニーソックスに包まれた膝は笑ってしまい力を失っていく。
そしてその震えが限界に達して床に転びそうになるのをタカトシが受け止める。
タカトシの腕の感覚。ワンピースの布地越しに感じるその肌と筋肉に再び、スズは恍惚に全身を貫かれる。
生まれて初めて感じる体験。好きな男の子に抱きしめられるという喜びを、スズは全身で感じている。
スズはもうどうにも止まれなかった。
うまくものが考えられない。IQ180の頭脳も、大好きな男の子に抱かれている状態ではまったくうまく働かない。
「……つだ!! キス、して!」
「え?」
「わ、私のこと、ホントに、スキなんだったら、キス、しなさいよっ!!」
タカトシはスズの事を好きだなんて一言も言っていない。まだ。
でもそれを指摘したら恥ずかしさのあまり自殺してしまいそうなスズにタカトシはそんな無粋なツッコミはしない。
タカトシの腕。タカトシの胸。力強くて、逞しくて、大きくて、でも優しい。
そんなものに包まれたスズは、世界で一番幸せな16歳の少女になっていた。
そんなタカトシの手のひらが、スズのあごをつまむように上向きにさせる。
そしてスズが感じるのはタカトシの唇の熱さ。
頬に添えられてるタカトシの掌の感触。
ガサガサで、荒れてるけど、でも、しっとりとして優しい。
触れられてる肌から身体の芯に向けて蕩けそうな熱が伝わる。
火照ってくる頬を優しく包むタカトシの掌が、スズを酩酊のようなまどろみのなかに連れて行ってしまう。
全身を桜色に火照らせた天才少女はもう、身体のどこにも力が入らない。
タカトシの背中に腕を回そうとするが、握力のない掌は制服のブレザーの上を滑ってしまうだけで。
床にずり落ちそうになるスズを、タカトシの片手が抱きとめる。
身長差を打ち消すために膝立ちのままのタカトシは立ってるスズにキスをしている。
心細い。不安。切ない。ドキドキする。落ち着かない。でも幸せ。
生まれて初めて感じているそんなものに、スズはうまく対応できない。
タカトシに全てをゆだねて、安心しきっている天才少女は顔を真っ赤にしながら興奮で小さく震えている。
スズの小さな唇は、タカトシのそれで塞がれてしまっている。
耳まで真っ赤に染めているスズだが、なんだか様子がおかしい。
それを悟ったタカトシは唇を離し、スズに尋ねる。
「ゴメン。…イヤだった?」
声から伝わってくるタカトシの優しさに、スズは全身の骨の芯が甘く溶けてしまう。
「ち、ちがうわよ、い、息、できなかっただけ」
「……鼻ですればいいのに」
というタカトシの声に、スズは激昂する。
「い、今、笑ったでしょ! 私は初めてなんだから!」
そんなスズの間近で、タカトシは微笑む。
「…天才の萩村にも苦手なものあるんだな」
その微笑はスズの怒りを一瞬で中和する。
優しい唇がスズの口元に降ってくる。
頬に。鼻の頭に。上唇の上に。唇のすぐ横に。
スズの呼吸を妨げない気遣いをしながら。
ついばむように。触れるだけの。むさぼるみたいな。
タイプの違うキスをされながら、スズは身体の芯が蕩けていくのを感じていた。
全身の筋肉が喜んでしまっている。
身体が脳のいうことを聞かない。
タカトシに抱きついているつもりの腕はふるふると力なく震えてタカトシの腰の辺りに触れてるだけで。
ぎゅっときつく抱きとめられている腰の中がとろとろと溶けていってしまう。
身体の芯が甘くほどけていくような感覚。
足が地に付いていない。まるで雲の上にいるかのような無重力感。
ジェットコースターの最初の落下のときみたいな、足の裏が痒くなってしまうような、恐怖と愉悦。
嫌悪と思慕。
敵対と愛情。
スズがタカトシに覚えていた全ての感情が明らかになる。
見られたい。
見てほしい。
触られたい。
頭を撫でてほしい。
匂いを嗅ぎたい。
あの腕に抱かれたい。
「萩村、すっごい可愛い」
後頭部を抱きかかえられながらタカトシにそう囁かれると、スズは軽い絶頂に至ってしまう。
反ってしまう首筋を優しく抱かれながら、顔中にキスの雨を降らされる。
まるで人形みたいに、タカトシにされるがままのスズ。
それはスズには全然不快ではなかった。
涙をぬぐうように降ってくるタカトシの唇。その柔らかさ。それに込められた優しさ。
スズはそれを肌で実感してしまう。
そして額に触れるタカトシの唇の感触にスズは多幸感に酔ってしまっている。
スズの下着の中の、柔らかな粘膜。
そこは度重なるタカトシのキスと抱擁で、しとどに濡れきっている。
無毛の陰部のなかで、包皮を半ば自ずから剥きながら自己主張する女の子の芯。
それがズキズキと甘い熱を帯びながらスズを苛む。
下着が愛液で湿り、重くなりそうなくらいになった頃、タカトシは焦ったようにスズに言った。
「…あ、そ、その、お、お茶、冷めちゃうから!」
キスが終わると、スズはとたんに寂しくなる。
あって当たり前のものがなくなってしまったみたいな、とてつもない喪失感。
生まれてからずっとそこにあったものが失われてしまったような、とても寂しい感情。
「は、萩村、可愛いからさ…」
タカトシの焦ったような声にスズはなんだか頬がほころぶのを止められない。
「…あ、そ、その、あんまりああいう萩村見てると、ガマンできなくなりそうで…」
ちょっとだけ頬を染めながらそう言う津田タカトシに、スズは嬉しさが止まらない。
自分の大好きな男の子が、自分のことを欲しいと思ってくれるという喜び。
生まれて初めて感じるそんな恍惚の中で、スズはすっかり理性を失ってしまっていた。
女の子だけが酔う事のできる、愛しくて切なすぎる恋の酩酊に蕩けたスズは、その小さな身体をタカトシの胸の中に飛び込ませる。
「つだ…つだっ」
キスをする。半ばタカトシを押し倒すような体勢でキスの雨を降らせている。
薄桜色のちいさな唇で、タカトシの顔中にキスをする。
汗っぽいにおいも、意外に固い男の肌触りも、全てはスズの女の子の芯をふにゃふにゃにしてしまう。
だからそんなスズはドアのノックの音なんかに気がつくはずはなく。
「津田クン、晩御飯食べて行くでしょ?」
と、スズママがドアを開けながら尋ねた声に初めて我に帰るスズ。
スズの身体の小ささと柔らかさ、その皮膚の温かさに抵抗できずにキスを受け入れていた
スズママは、一瞬だけびっくりした表情をすると、すぐに元の顔に戻り。
「まあ……スズ……津田クン…今晩はお赤飯ね!!」
踵を返してキッチンに駆け戻る足音を聞いてやっと自分のとってる体勢に気がつくスズなのであった。
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今日はここまでー
後篇もなるはやで頑張る
GJ!
読みながらニヤニヤしてしまったぜい
これはやヴぁいくらいにGJ
後編まで全裸待機せざるを得ない
乙&GJです
これが本命…ゴクリ
乙&GJせざるを得ない
ここしばらくの投下ラッシュは実に嬉しい限り、黄金期の到来か
スズの身体の小ささと柔らかさ、その皮膚の温かさに抵抗できずにキスを受け入れていた
タカトシも、ようやくそのヤバさに気付くが、反応したのはスズママのほうが早かった。
スズママは、一瞬だけびっくりした表情をすると、すぐに元の顔に戻り。
「まあ……スズ……津田クン…今晩はお赤飯ね!!」
踵を返してキッチンに駆け戻る足音を聞いてやっと自分のとってる体勢に気がつくスズなのであった。
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↑
ラス近く一行なぜか抜けてた
職人さん方乙!
最近盛り上がってて嬉しいなあ
アニメ終わるちょっと前から急に流れがきたなw
規制でも解けたのかね
しかし新旧職人入り乱れてのラッシュ
これは俺の股間が大丈夫かと言わざるをえない、乙そしてGJ
203 :
名無しさん@ピンキー:2010/09/29(水) 17:11:11 ID:ZLDeVXEp
>>202 規制関係はあるね
自分も今まで携帯とPC規制で読み専だったが解除されて二作ほど投下させてもらった
そして投下乙&GJです。
さすがまとめに収録されるほどの職人さんです。
電車の中で興奮したのと軽くおっきした
自分もクオリティが追い付けるように精進いたします
最近このスレも加速気味でいいよー
なかなかツボを押さえたSSでGJ
生徒会アニメ化でスレ加速(・∀・)イイ
濱中か思春期もアニメ化しないかな( ゚∀゚)
思春期はさすがに下ネタの度合いが一枚上なんでキビシイw
スズは可愛いなあ
もろちんです
ここはロリコンどものすくつ(なぜかry だなw
>>209 おまえはひとつ勘違いしている……
ここにいるのはロリコンどもだけではない!
ロリコンでもある者はたくさんいるだろうがな
生徒会役員共の同人誌ラス1で見つかった!!
良かったな
アニメ化で同人ゼロじゃさすがにちょっとアレだもんなw
教えるのはいいけど
名前を出すのはOKなんだろうか
インド人と一緒になってたスズ本は見たな
保管庫の中の人、更新乙です
以前ちょっと内容が被っているかもということで渋ったのを投下してみます。
ただまあいかんせん未熟もいいとこなもんで誤字、脱字など多々あると思います。
内容に関してはどうしても最初に注意事項が。
まずシノがかなり可愛そうです。
もしかしたらシノファン的には見るのも辛いし、シノはこんなことしねーよとか思われるかも。
あとそれなりに恋愛要素も多いんですけど、キャラの心情が一致してねーよとか、言う事コロコロ変わり過ぎとか思われるかも。
ちなみに普段は陵辱物ばかり書いているので、こういうのはかえって難しいですわ。
割と長いので幾つか分割して投稿します。
「会長、ちょっと相談があるんですけど、今日時間大丈夫ですか?」
「ん?」
生徒会メンバーの黒一点、津田タカトシに声をかけられ、天草シノは顔を向ける。
生徒会の本日の業務は大方片付いた。
他のメンバーであるアリアとスズは用があると言うことで、二人の好意に甘え責務を任せ先に帰宅した。
今この生徒会室には二人しかいない、その状況で相談を持ちかけられるということはそれなりに深い相談なのだろうか。
多少考えを巡らせるが、この段階で考えても仕方がない。
「私でよければ相談に乗るが?」
「本当ですか?ありがとうございます」
津田は眼を輝かせながら礼を言う。
そこまで感謝されるとは思わなかったシノはちょっと探りを入れる。
「何だ〜?ひょっとして恋の相談だったりするのか?」
シノは冗談半分で冷やかすように言ってみた。
きっといつものように「違いますよ!!何で、すぐそっち方面にすり替えるんですか!!」
と突っ込みがあるだろう、そうタカを食っていた。
「あれ、バレちゃいました?」
思いも寄らない返事が返ってきた。
しかもそれほど臆することもなく、ナチュラルに返事が来たことにシノは少し動揺した。
恋愛の相談、おそらくそれは誰かが誰かを好きなのだろう。
というよりこの場合まず津田本人のことだろう。
それを異性である自分に持ちかけられるとは。
「れ、恋愛って・・・
それは私で答えられるものなのか?」
シノは軽い動揺を悟られないよう平静を装い質問を返す。
「勿論ですよ、というか会長にしか聞けないことですから」
津田の言葉にシノはさらに鼓動を強くする。
(まさか、まさか津田が私のことを・・・?
いやまさかな・・・でももししそうだったら・・・
というか津田の分際でこの私と付き合えるとでも思っているのか?
もしそうなら思い上がりを正さなければ・・・)
「あの、会長?」
シノは一人で勝手に思いを巡らせている中、津田の言葉でこの場に意識を戻した。
「あの会長・・・それでやっぱりこの学園的に恋愛とかはまずいんでしょうか?
共学になったばかりで、そんな風に交際するようになったら風紀が乱れて
この学園の評判が悪くなったり、他の男子が肩身の狭い思いをしたりとかしないのかとか」
「・・・えらい、自信だな。
まるでもう君が告白されていて、後は君の返事待ちという状況のようにも聞こえるが」
「ああ、いえそれは違います。
すみません、そうですよね。
まず俺の告白が断られるかも、いやその可能性のほうが高いんでしょうし」
「けどまあ、私個人の意見としては男女交際自体を否定する気はないぞ。
それは健全な男女として当然のことだし、一般常識を踏まえての交際に何も口を挟むつもりはない」
「本当ですか?
じゃあ本人たちの同意の上、やましい事がなければ交際はOKだと?」
シノの言葉に津田は笑顔を見せる。
どうやら恋愛を否定しないということが彼の気持ちを安心させたのだ。
それに気づいたシノではあったが、シノ自身は別に津田のことを気遣ってなどというような思惑は一切なかった。
ただ単純にこの学園の生徒会長として、一人の年頃な女子生徒としての意見を述べているのだ。
「まあ、他の女子生徒に急に理解しろと言うのは難しいだろうが、
少なくとも私は許可する、というか本人たちの問題である以上他人が口を出すこと自体が無粋だろう。
盲目的に校内恋愛禁止としてしまっては、男子に限らず一部の女子にとっても抑圧になってしまうからな」
シノの言葉に津田は安堵の表情を浮かべる。
「やっぱり会長に相談してよかったです。
また色々厳しく説教されると思いましたし」
津田の安堵の表情と裏腹に、シノは少し複雑な表情を浮かべる。
(なんだ・・・
私では、なかったのか・・・
っは!わ、私は何を・・・
別に私は残念に思ってなんか・・・)
「じゃあついでにもう一つ質問したいんですけど・・・」
「え?」
津田の言葉にシノは驚いたような返事をする。
(もしかたしたらやっぱり私のことを?
って・・・さっきから私は何を一人で・・・)
津田の一言一言で勝手に一喜一憂している自分に気づいたシノはとにかく平静を装うと、津田の言葉に返事を返す。
「まだああるのか?」
「はい、実はその・・・
かなり具体的な話なんで特に他言無用でお願いしたいんですが・・・」
津田の言葉にシノは再び鼓動を強くする。
恋愛の話でここまで深く相談されるとは、予想外な出来事の連続。
その一つ一つの言葉がシノの心にプレッシャーをかける。
「ひょっとして、その相手のことについてか?」
「はい・・・」
シノの鼓動は更に強くなった、まさか本当に自分のことを?
「ということは、私の知っている人物ということだな?」
「・・・はい」
津田は照れたように、しかし真剣な表所でこちらを見据え返事をする。
もうこれ以上生殺しのような質疑応答はいやだ、シノはたまらず遂に核心に突いた質問をする。
「・・・まさか、この生徒会の中の・・・」
「・・・そうなんです」
シノの鼓動は最高に高く、そして強くなった。
期待にも似た疑問が核心の物になった。
そう感じたシノは平静を保つのも限界に来ていた。
しかしここで悟られてはいけない、そう強く心に決め平静を装う。
「その・・・駄目だった場合色々気まずいじゃないですか。
だからその、その後もあまりその辺を意識しないで今まで通りでいるのって・・・
やっぱ無理ですかね?調子が良すぎでしょうか」
津田の言葉を理解したシノは、高鳴る鼓動を抑え、この短い間で何度も何度も平静を装いながら返事をする。
「わ、私としては、なるべく意識はしないでいるつもりかな。
完全に今までどうりのようには無理だろうが、それも本人たち次第だろ。
君の頑張り次第ではないか?」
「本当ですか?
いやー、本当に会長に質問して良かったなあ」
シノの動揺など気づきもせず、津田は満面の笑みを浮かべる。
「じゃあ最後の質問なんですけど」
「な、なんだ?」
「会長的には、俺の告白、応援してくれます?」
その言葉にシノの鼓動は最高潮に達した。
もし、もし津田が告白しようとしている人間が自分なのだとしたら・・・
ここでの返事は実質的な告白に等しい。
シノは慎重に返事を考える。
「わ、私でよければいつでも君を応援するぞ!
無論嫌がる相手の気持ちを無視して強引なことをしたり、付きまとうなどストーカー行為などを
するのであれば言語道断だがな!」
言った、言ってしまった。
もしこれで津田の好きな相手が自分なのなら・・・シノは無意識のうちに彼の好意を寄せている相手が勝手に自分だと既にすり替えていた。
「やったー!ありがとうございます。
じゃあ今日は帰りましょうか?」
「え?」
思わぬ言葉にシノは思わずきょとんとする。
「あの、それで告白は?」
「そうですね、早ければ明日でしょうが。
まだどう言うのか、タイミングをどうするのかとか決めてませんし」
津田の言葉にシノの中で何かが崩れた、ひょっとして・・・
「べ、別に今日でもいいんじゃないか?
善は急げって・・・」
「ええ、でもわざわざ家に押しかけるんですか?
それは迷惑でしょうし、電話もちょっとですねえ」
この言葉にシノは目には見えない何かが崩れていくのを確かに感じた。
(私じゃ、なかったのか・・・)
その事実を知った途端、見えない何かは加速度的に崩れていく。
「その・・・津田?
今更なんだが、その告白したい相手は・・・」
「ああ、すみません。
もったいぶって言ってなかったですね、七条先輩です」
「ア、アリア!?」
驚いたようにシノは声を出してしまった。
「そうですけど・・・
まさか萩村だと思ったんですか?
それはないですよ」
シノの中に声には出せない感情が蠢き、言葉を失った。
それと同時に、今まで気づかなかった津田への特別な思いの存在に今更ながらに気づいてしまった。
「そ、そうかアリアか!!
まあ彼女はボーっとしているようだが、いいところのお嬢様なのだからな!!
上手くやるんだぞ!!
それに、もし断られてもおかしなことをしようものなら、親友である私が許さんからな!!」
シノは笑顔で津田に言い放った。
「あはは、分かってますって。
じゃあ帰りましょうか」
津田が帰る支度をしようとしたその時、シノは動揺したように立ち上がるとすぐさま鞄を持ちドアへと駆け寄った。
「・・・すまん、今日は用事があるのを忘れていた。
だからその、私は急いで帰るから・・・」
ドアに手をかけたシノは表情が見えないように津田に言い放った。
「そ、そうですか。
お疲れ様でした」
「・・・お疲れ、告白上手くいくといいな・・・」
「はい!!」
津田の晴れた爽やかな表情とは裏腹に、その場を後にしたシノの表情は曇っていたことを彼は知る由もなかった。
廊下に出たシノは、下駄箱に一目散にかけていった。
いついかなるときでも廊下は走らない彼女が、そのことすら忘れ下駄箱に急いだ。
校外に出たシノは走った。
こみ上げてくる何かを吹っ切らんとするために。
だが彼女の意思とは反し、こみ上げてきた感情は涙となり少しずつ、だが確実に抑えきれなくなっていた。
(何だ私は・・・
津田が誰を好きだろうと、誰に告白して付き合おうと、私には関係ないじゃないか!!)
シノの葛藤は自分に言い聞かせるように必死な物だった。
しかし、それ自体が何の意味もないことを。
そして虚しく儚い抵抗であったことを、誰より分かっていたのはシノ自身だった。
それから数日後、シノにとって残酷な日がやってきた。
それは、数日前にもほぼ同じような始まり方をした会話からだった。
「シノちゃん、ちょっと相談があるんだけど」
「・・・私でよければ、相談に乗るよ」
昼の休み時間、屋上でお弁当を食べ終えたアリアはシノにある相談を持ちかけていた。
その内容は言うまでもなく、津田からされた告白にどう答えるかだった。
アリアの口ぶりからして、どうやら津田がシノに相談し、応援を受けたこともあっての告白だと言うことは知らないようだ。
そしてあの日津田から相談を受けた後、シノはあることに気づいた。
例え津田がアリアを好きでも、アリア自身がその思いに応えなければ何も意味がないではないか。
シノもいつの間にか、既に津田とアリアが付き合うこと前提のように勝手に考えていたことに後から気づいていた。
それに一時付き合えても、それが長続きする保証もない。
そこで告白を断られた、もしくは破局して落ち込む津田を自分が救済する形で付き合う。
そうすれば自分の中の津田への強い思いを悟られることなく、悪い言い方をすれば恩着せがましく付き合うことが出来る。
その後で自分も津田を好きになっていった、彼や周囲にはそう言えばいい。
決して格好の良い話ではないし、津田からの本当の好意を得れるかは微妙なところだ。
それどころか津田自身が断る可能性も十分ある。
それすらも忘れてそんな淡いストーリーを勝手に思い描いていたのだ。
それでも、シノにとってはそれでも決して構わなかった。
「それで、アリア自身はどう思っているんだ?」
「んー、私としては構わないのだけどね。
津田君可愛いし、絶対浮気なんてしないだろうし」
「まあ、そんな度胸も相手も甲斐性もないだろうな」
「シノちゃん的にどう?
生徒会の少ない人数、というか四人のうち二人が付き合う状況って嫌じゃないかしら?」
表情は平静を装いながらも、シノの心は強く葛藤していた。
今、ここで上手く言えばアリアに告白を断らせ自分が津田と上手く付き合えるかもしれない。
しかし、天然な彼女にどう入れ知恵をすればいいのか、満更でもない彼女に何を言えば良いのか。
試行錯誤しながらも、そんなことを考える自分にも嫌気がさしてくる。
「わ、私は別にどうとも思わないぞ。
節度のある健全な交際なら何も文句を言う気はないし、言える権利もないだろう。
・・・アリアが良いなら、OKしてやってもいいんじゃないか?
あんな男だ、こんな学校に通っているとはいえ、女っ気などこれからまず縁がないだろう。
それに、あんなヘタレが勇気を出して告白したんだ。
嫌だと感じたらその時フレばいいんだし、まあボランティアだと思って・・・」
「シノちゃん!!」
おっとりしたアリアとは思えない彼女の言葉にシノは驚いてしまう。
そしてアリアも、思わず大声を出してしまったことに気づき、
いくら屋上とはいえ誰が聞いているか分からない状況であることを認識し耳打ちする形にする。
「いくら相手が津田君のような一生チェリーボーイでも、言っていいことと悪いことがあるよ!
それに、もし付き合うのなら私は本気で付き合うわ。
哀れみや同情なんて、いくら相手が津田君のようなチェ・・・」
「分かった!!私が悪かった!!」
アリアの言葉にシノは降参する。
「アリアがよければ、それでいいだろう。
私は応援するぞ、なかなかお似合いじゃないか・・・」
そう言いながらシノの表情には曇りが見えた。
言葉とは裏腹に、アリアには断ってもらうか、破局してもらうかを願っている自分が嫌だったのだ。
だがそれと相反するように、アリアは満面の笑みを浮かべる。
「ありがとうシノちゃん!!
実は私、どうやら津田君が好きだったの!!
でも告白されてやっと気づいちゃって!!」
「・・・え」
思わぬアリアの言葉にシノは動揺する。
「自分でもこの気持ちに自信がなかったの!!
校内の彼の立場もあるしね。
でも、シノちゃんも応援してくれるって言うし!!
会長であるあなたのお許しがあれば何も問題ない。
私彼と付き合うわ!!」
シノの計算は見事に狂った。
アリアと津田が仮に付き合ったとしても、きっとそこまでアリアは津田と真剣に向き合わないだろうと考えていた。
決してシノはアリアを見下しているわけではないのだが、一人の一般人としてアリアを見てきた上で、
やはりどうしても浮世絵離れしている、価値観も一般の人とのそれとは異質なことは否めない。
そんなことでは例えその場はOKの返事をしたところで近いうちに二人は破局する、そうタカをくくっていた。
だが、アリアも津田が好きだったとは・・・
いや、むしろ自分の言葉で自信を持たせてしまった・・・
最悪。
自分の行動や結果も含めてシノにはその言葉しか頭にはなかった。
シノの甘い、そして淡い希望は呆気なく打ち砕かれた。
その日、生徒会の仕事が終わった後、萩村の目を盗み二人は正式に付き合う
ことになったことをシノに伝えた。
津田の腕を幸せそうに抱くアリアの表情は、今まで友達として苦楽を共にしてきたシノも知らない笑顔だった。
津田は照れたように頭をかいている。
「津田、アリア、良かったな・・・
津田、アリアを泣かせたら承知しないぞ」
「はは、分かってますよ会長」
「宜しくねー、タカ君」
「宜しくお願いします、七条先輩」
「ああもう、アリアって呼んでー」
アリアは甘えるような声で津田に哀願する。
「ええ、でもお」
「呼んで〜」
「じゃじゃあ、アリア先輩」
「ええ〜呼び捨てじゃなきゃやだ〜」
そんな二人のやり取りをシノは祝福するように、だが心の中ではこれ以上ないほどの苦痛を感じながら見つめていた。
「じゃあ二人とも、私はこれで・・・」
「え、一緒に帰らないの?」
「せっかく付き合うことになったんだ、せめて今日くらいは二人が良いだろう。
萩村には、私から上手く言っておくから」
「そっか、ありがとうねシノちゃん」
「色々ありがとうございます、会長」
「いや、私も友人の助けになれて嬉しいよ。
じゃあ二人とも、イチャイチャするのがいいが人目には気をつけてな」
シノは早々にその場を立ち去り萩村に二人は先に帰ったことを伝えると、自分も一人で帰路に着いた。
とても人と顔を合わせれる状態ではなかった。
シノは自宅に着くなり部屋にこもった。
そしてこれまでなかったほどの涙を流し、喉が嗄れるかと思うくらい叫んだ。
泣いても泣いても溢れ出る涙は止まらず、一生の涙を今この時だけで流すのではと思うほど。
泣くこと以外に彼女には何も出来なかった・・・
付き合い始めた二人ではあったが、生徒会の雰囲気はこれまでとさして変わる物ではなかった。
いつものように業務をこなし、四人で帰る。
アリアも津田もお互い名前で呼ぶことはなく、いつも通り。
二人は学校では隠れて空いた時間に携帯で連絡を取りあい人気のない場所で密会したり、
休日には主に津田の部屋で遊んだり、なるべく人目に付かないようにデートをしたりしていた。
そのあった出来事や感想などを、シノはいつも聞かされることとなった。
同じ出来事でも二人からは違う話のように、でも幸せそうであることは伝わってくるその内容。
あまりにも屈託なく話してくる二人に、シノは複雑な感情を抱かずにはいられなかった。
二人はシノを相談に乗ってくれる、頼れる人物だと信じて相談してくれているのだ。
だがシノ自身にはそんな二人を祝福できる余裕はなく、二人の話を聞いた後、自室では涙を流さずにはいられなかった。
二人の幸せを望む一方、愚かな自分に嫌気が刺さずにはいられなかった。
今日はここまでっす。
ちなみに題名は考えたけどいいのが浮かばなかったので、今のところ無題です。
コレは重いながらもこの先が楽しみだ
続き待ってるぜ
あ、でも一言だけ。浮世絵離れじゃなく浮世離れだ。
乙です
続きwktk
乙&GJ
文章がすごく上手だと思います
228 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/04(月) 03:22:17 ID:MCX5maB9
投下乙&GJです
まとめwiki職人さんも更新乙です
更新していただけて嬉しいですが
「染みる程に沢山の」
は自分の投下じゃないです。
自分で修正しようとしましたがwiki編集した事がないのでお時間ある時にでも修正いただけるとありがたく思います
重たい話もいいよね、グッとくる
乙そしてGJでした、これからも期待しています
エロパロへの投下なのだから
1回の投下でせめて1シーンはエロを入れろよ
皆様お疲れ様です。
投下された皆さまには遅ればせながら乙&GJを。
Wiki管理人様更新お疲れ様です。
自分の作品のタイトルに幾つか(仮)がついてますが、そのままタイトルにしてしまってください。
タイトルを考えるのが苦手な人間としては助かります。
何かタイトルがある場合は自分から申告しますので、今後も是非お願いします。
今回は、Wiki管理人様への感謝及び、お願いのみで失礼します。
仕事やら、趣味やら忙しい(嬉しい悲鳴)ので、投下はもうちょっとお待ちください。
具体的には日本シリーズが終わるくらいまで苦笑
スズ・アリアも良いがそろそろ王道のシノSS読みたい
>>232 リアル優先は大前提、投下される余裕が出来るまで気長にお待ちしてます
最近プッシュされてる感のあるトッキーのssがそろそろ来ると希望的観測
続きいきますぜ。
しかしこれでも何度もチェックしたのに早くも誤字が・・・
こんな出来でも見てもらえると幸いです。
こっからはエロ分多めですが、文が稚拙なもんで表現がおかしいところも多いと思います。
そしてシノは本当に可愛そうなので、ファンのかたすんません。
(こ、このまままじゃ・・・
このままだと私、おかしくなる・・・)
放課後の廊下で、シノはとぼとぼと生徒会室に向かっていた。
このまま自分が卒業するまでの残すところ約1年半、この状態が続くのか。
好きな男を前にし、その男が違う女との仲睦まじい姿を見せられる。
しかも二人とも近しい人間であり、これからも必然的に行動を共にすることも多い。
(自業自得、なんだよな・・・
これは私が悪いんだ、私があの時素直にならなかったから・・・)
シノは二人が付き合うことを聞いたその日からずっと同じことを思い、まるで思考そのものが袋小路に閉じ込められた様だった。
(そうだ・・・初恋なんて・・・
実らないのが大多数なんだ、私が特別不幸なんじゃない・・・
たまたま二人が幸運だったんだ・・・)
シノは必死に自分に言い聞かせた。
いや、言い聞かせなければこの先の学業はおろか、私生活にすら影響を及ぼすかもしれない。
まさか津田を今更アリアから奪うわけにもいかない。
無論津田が自分になびかないといけないという大前提があるのだが、そんなことを考える余裕は今のシノにはない。
こうするしか、もう自分にはないと。
(ああ、でもあの時・・・
あの時に少しでも違う行動や言動をしていれば、津田の横にいたのは私だったのかもしれないのに・・・)
また同じことの繰り返しだ、自分でも理解しているがやはりこの思考のループを繰り返さずにはいられなかった。
シノも年頃な女子である、素敵な恋愛をして、いつかはお嫁さんになるという憧れを持たないわけがなかった。
だがその恋心が、今や自分の心を冷たい鎖で締め付けているような感覚にまで陥ってしまう。
不意に来てしまった自分の初恋、なぜこうなってしまったのか。
それを知るタイミングが悪かったのも事実だが、やはり自分の気持ちに素直になれなかったのが一番の原因である。
(恋って・・・素敵なんだとずっと思っていたけど・・・
こんなにも、辛くて苦しくなる場合もあるんだな・・・
早く、忘れよう・・・
そう努力しよう・・・)
シノを捕えては離さない失恋による黒い感情、だがシノはその黒い感情に飲み込まれないようにと心を強くした。
せめて、せめて二人には自分の気持ちを悟られず、笑顔でずっと最後まで祝福し続けよう。
そして自分も、また新しい恋を探そう。
シノは必死に自制心を保つために自戒する。
だが本人が願ってのことなのかこの三人の関係は、そして覚悟を決めたシノの決意はこの日を境に脆くも崩れ去った。
それがシノにとって幸運だったのか不運だったのかは誰にも、そして本人にも分からなかった。
いつものようにシノはドアを開け生徒会室に入ってくる、するとそこには津田が座っていた。
「やあ津田、今日は早いな」
シノの言葉に津田は反応がなかった。
「ん?」
シノは津田の側まで接近し、津田は座った状態で上体を起こしたまま眠ってしまっていることに気づいた。
首をガクッとおとし、手は膝の上に置かれている。
「何だ、寝ているのか。
全く、生徒会役員ともあろう者が、こんな場所で居眠りするなど・・・」
津田を起こそうと、シノは体に触れようとする。
だがそれより早く、シノは津田の唇に目を向けてしまった。
無防備な唇、もうアリアとキスはしたのだろうか。
そう思うとシノは自らの唇に指を当て、高鳴る鼓動を感じた。
(わ、私は何を考えているんだ・・・)
津田とキスをしたい、いやそれだけではない。
自分も腕を組んで、手を繋いで歩いたり、人目を盗んで一緒にお弁当を食べたり、別れ際にはキスをしたり。
自分のことをシノと呼んでほしい、彼をタカトシと呼びたい。
二人のしているであろうことを考えると胸が切なく、そして痛くなる。
これまで意図的ではないにしろ、二人によって与えられてきた苦痛。
それを思い返すと、道徳観や友情、罪悪感は次第に薄れていく。
(寝ているよな・・・だったらせめて・・・)
シノは体を屈ませ、膝の上に置かれている津田の手をそっと握った。
津田の体温を感じシノの鼓動は加速度的に上がる一方、今日の今日まで蝕み続けられてきた心が一気に癒されていくのを感じた。
(津田の手暖かいな・・・)
津田と触れ合う、ただそれだけで自分の気持ちがここまで変化を及ばされるとは。
いつの間にかシノは津田の手を両手で握っていた。
自分でも不思議と思えるほどに感じる津田の暖かさにシノの鼓動は、そしてその欲求は次第に高まっていく。
ふと津田の顔を見る。
不意にこれほどの近い距離で見てしまった津田の顔。
シノの鼓動は強くなり、思わず息を呑んでしまう。
(いいよな、別に・・・
そもそも二人が付き合えているのは私のおかげなんだ。
このヘタレが勇気を出して自分の意思で告白なんて絶対に出来なかっただろう。
あの時私が背中を押さなかったら、こんな風にはならなかったんだぞ。
もうキスくらいしているだろうし、今更私とするくらい・・・)
シノは思いを巡らせながら、体を屈ませたまま顔を少しずつ近づけていく。
(うん、もう半月くらい経っているんだ、きっとしているさ。
それに津田は今寝ているし、もししていなかったとしても今ならノーカウントだろ。
私のファーストキスが津田だった、その事実が残るだけ・・・)
シノは意を決し、寝ている津田に顔を近づけた。
自分が津田の前に回り込まなければいけないので、多少体勢としてはおかしくなってしまうのだが贅沢は言ってられない。
俯いていては上手くできない、そっと優しく頬を両手で掴み、キスの出来る体勢に持って行く。
(津田・・・私は君が好きだ・・・)
そして、二人はキスをした。
優しく触れる甘いキス。
シノはその感触と罪悪感に胸を痛ませ、惜しみながら唇を離した。
顔を真っ赤にしながらも、シノはここ数日の欝を一気に晴らしたように軽い笑顔を見せた。
「津田、大好・・・」
「シノちゃん・・・?」
大好きと言いかけたシノに、今自分が一番いて欲しくない人物の声が響いた。
振り向くとそこには、ドアの前で驚愕したアリアが立っていた。
「ア、アリア・・・」
シノも言葉を返せない、どう考えても今自分のしたことはアリアに見られたことは明白だった。
「シノちゃん、今何していたの・・・?」
アリアは怒りを表情に浮かべながら、問い詰めるようにシノに迫った
「ねえ!!何していたのよ!!」
恫喝するようなアリアの声に、シノは目を背ける。
それが彼女の答えだったのは明らかだったが、それで納得できるアリアではない。
「答えてよ!!答えなさいよ!!」
「う、うーん・・・」
いつものアリアからは想像できないような声に、津田は寝ぼけ眼で起きてしまった。
「あれ、かいちょ・・・」
「来て、シノちゃん!」
津田が気付く前に、アリアはシノの腕を引き部屋を出て行った。
今の会話を彼に聞かれてはまずいのだ。
「あれ、今会長とアリア先輩がいたような・・・
ああーねみー。
もう、誰も来ないなら寝ちまうぞっと」
一度起きかけた津田だったが、今度は机に突っ伏して寝始めてしまった。
こんな形で寝ているのを見られては間違いなく叱りを受けるだろう。
そう思い座った状態で耐えていたのだが、先ほどはその状態で寝てしまった。
なかなか来ないメンバーに業を煮やし、今度は本格的に寝始めてしまう。
自分が原因で、今二人の女子の友情が壊れてしまいそうだというのに・・・
パァン!!
甲高い音がとある教室で響いた。
基本的に使われることが少ない、ましてや放課後ではまず人の来ないとある教室に二人はいた。
頬を引っ叩かれたシノは、痛みを伴う頬を手で庇い視線をアリアに向ける。
「ひどい・・・ひどいよシノちゃん。
シノちゃんが、そんなことする人だったなんて・・・」
アリアは鋭く、そして悲しみを含んだ視線を向ける。
今のアリアを支配しているのは怒りだけではない、友人に裏切られた悲しさが何より大きいのだ。
シノもそれが分かっている、だから何も言えないのだ。
「ねえ、どうしてあんなことしたの?
友達の彼氏のキスを奪うことが、シノちゃんのしたいことだったの!!?
答えて!!答えなさいよ!!」
肩を揺さぶり問い詰めるが、シノはやはり何一つ答えない。
自分が愚かだったことを、どう考えても自分だけが悪いことを理解しているからである。
「酷いよ・・・タカ君のファーストキスを・・・
私のファーストキスと一緒に、二人の記念にしようと思っていたのに・・・」
「!!?
まだ、していなかったのか!?」
アリアの言葉にシノは思わず声を荒げる、そしてやっと口を開いたシノにも、アリアは驚愕の表情を浮かべる。
そしてすぐさま、その表情は怒りに変わる。
「そうよ・・・でもそれが何?
もうしているなら、自分もしていいと思ったの?
友達の彼氏の唇を奪うことを!!」
シノの言葉はアリアを怒らせるだけだった。
(私が、津田のファーストキスの相手・・・
私にとってだけでなく、彼にとっても私が・・・)
シノは自分のした行為の大きさを思い知った。
「すまないアリア・・・
本当にすまない・・・
言葉でなんと言ったとところで、許されるとは思っていないが・・・
だが、一つだけ分かって欲しい・・・
私は決して、悪意や悪戯心などでやったわけではない。
私は・・・」
シノは津田が自分に恋の相談をしたことを打ち明けた。
そして自分が津田のことを好きだと自覚しているのにも関わらずアリアのことを推したことも。
「・・・何それ?
じゃあ自分のおかげで私たちが付き合うことにあったのだから、その仲を引き裂くのも、
邪魔するのも、後から横槍を入れる権利があるとでも言うの?」
事情を知ったアリアだったが、それで納得できるはずもない。
シノがどう思っていたにしろ、二人に付き合うことを推していたのは紛れもない彼女なのだ。
「・・・分かっている・・・さ。
でも、もう何を言っても言い訳にしからないな。
私にはもう何も言えない・・・
だから私を気が済むまで罵ってくれ、先ほどのように叩いてくれても・・・」
「甘えないで!!」
アリアの言葉にシノはビクッとする。
「何それ!?
カッコつけているつもり!?
そんなことで、私が、私たちが許すとでも・・・」
言いかけたアリアだったが、シノの涙を見てハッとする。
小刻みに震え、言いし得ぬ感情とどうやっても謝罪出来ない咎に身を焦がす。
その様子にアリアも理性が戻り始め、シノを軽く抱きしめる。
「ごめんねシノちゃん・・・
私も言い過ぎた・・・」
「いや、悪いのは私だ・・・」
「シノちゃんの気持ちも知らないで私、酷いこと言ってしまったわね。
・・・私たち、友達に戻れるかな?」
「そんな!!
私のほうこそ・・・許してくれるのか!?」
「ええ・・・」
「ありがとう・・・本当にありがとう・・・」
泣くシノをアリアは一頻り抱きしめ、自然に二人は離れ距離をとる。
「じゃあ戻ろうか・・・
タカ君も、スズちゃんも待っているわ」
「そうだ・・・」
ブーン
「・・・あ」
携帯電話のバイブ音がシノの衣服から聞こえた。
ポケットから携帯電話をシノが取り出す。
「萩村だ・・・」
アリアに目を配ると彼女は笑顔を向けた。
出てもいいという合図だ。
「もしもし、ああ私だ」
シノに伝えられたメッセージ。
それは生徒会の仕事が溜まっているというのに、
二人とも一向に来ないことでまるではかどらないということだった。
「ああ、ちょっとした野暮用だ。
すまない、すまない」
シノは萩村に謝罪し、苦笑しながらアリアに表情を向ける。
アリアも天使のような笑顔を見せる。
シノはひとしきり会話すると携帯をしまう。
「戻ろうか、萩村が悲鳴を上げている」
「ええそうね」
アリアは笑顔でシノと共に部屋を出て行く。
「すまないアリア。
先に行っててもらえないか、教室に忘れ物があることを思い出してな」
「ええ、分かったわ」
シノの言葉に最後までいつもの笑顔で答えるアリア。
それが図らずともシノには厳しくのしかかった。
(すまないアリア・・・
私は本当に最低な女なんだな・・・)
アリアを見送ったシノの心に押しかかる罪悪感。
シノには先ほどの電話の内容から一つの妙案があったのだ。
(おそらく、この辺のはずだが・・・)
シノは誰もいない校舎を徘徊する。
先ほどの萩村の会話の中。
「会長聞いてくださいよ、津田ったらですね。
何か眠くてたまらないからって、寝て来いって言ったら本当に30分ほど仮眠するとか言ってどっか言っちゃいました。
前、会長に校内を紹介されたときにあまり人が来ないところを
教えてもらったから、そこを使うとかで・・・」
あまりに眠そうだった津田を疎ましく思った萩村は、一度しっかり寝てこいと言って彼を送り出したのだった。
無論それはシノとアリアがきてくれれば多少彼が不在でも大丈夫だろうと言う予測があったからであるが、
結局二人とも萩村の期待を裏切ったのは言うまでもない。
津田は今、どこかの教室にいる。
まず確実に一人で。
このことを知ったシノは、罪悪感を抱きながらも煮え切らない自分の感情を優先してしまった。
(今なら・・・)
と思い彼女は津田を求めたのだ。
決して何か間違いを起こそうと、津田を奪おうなどと思ったのではない。
だが最後に、踏ん切りをつけるために最後に彼と二人で話したかったのだ。
それが何か具体的なことなど何もない。
しかしそれでも、シノは今、津田と二人で会いたくて仕方なかったのだ。
以前彼に教えた無人の教室。
シノの予想通り、津田は確かにそこにいた。
津田は机を寄せて簡単なベッドをつくり、そこに仰向けで堂々と寝ていた。
津田を見つけたシノは安堵の表情を浮かべる。
「まったく・・・机をこんな風に使って・・・
教育的指導が必要だな」
シノは苦笑しながら津田の下へ近づいてゆき、彼の真上にまでやってきた。
再び見る彼の寝顔、先ほどのキスの感触が甦り、シノの鼓動はみるみる早くなっていく。
「津田・・・津田・・・」
シノは泣きそうな顔で、津田の腹部の上に置いてある両手を握り、彼の胸板に頬を寄せた。
津田の鼓動と体温を感じると、シノの胸は言いし得ぬ安心感と高揚感を覚え、その心地よさに酔いしれていった。
「津田、私は君が好きだ・・・
自分勝手なのは分かっているし、君にもアリアにも本当に申し訳ないと思っている・・・
でもすまない、もう抑えきれないんだ・・・
だから・・・あと少し・・・
あと少しだけこのままで、このままでいさせて・・・
そしたらもう・・・」
シノはこれを最後に吹っ切ろうと考えていた。
これ以上、二人に迷惑をかけるわけにはいかない。
アリアに真実を吐露した今日この日が、初恋の相手を諦めようと踏ん切りをつける日だと。
「あれ・・・会長?」
津田は意識が朦朧としながらも、寝ぼけ眼でうっすら見える会長の姿を口にした。
津田の声にシノも顔をハッと起こす。
「津田、起こしてしまったか・・・っあ!」
シノは友人同士では決してありえない距離感を持っていたこと気づき、慌てて距離をとる。
「会長、今何を・・・
それにさっきのこと・・・」
「津田聞こえていたか・・・?」
津田はゆっくりと首を降ろした。
聞かれてしまった、そう思ったシノだったがそれが彼女の感情を爆発させた。
言い訳も考えたが上手く思い浮かばない。
ここで本心を告げては津田を苦しめるだけ。
そんなことは、そんなことはシノ自身が重々承知していた。
しかし・・・
「驚いてしまったか津田・・・
まあ無理もないか・・・
でもすまない、私はもう抑えきれないんだ。
君のことが好きだ、こんなにも、どうしようもないほどに好きなんだ・・・
こんなこと今更言われても迷惑なのは分かっている、
でも、でも・・・」
一瞬沈黙が流れた。
シノの精一杯で、これ以上ないほどの愛の告白。
今更こんなこと言われたところで津田は困るだけだろう。
それは分かっていた。
だがこのまま気持ちは嬉しいと断られても構わない、シノにはそう言われるだけの覚悟があった。
いや、むしろそう本人の口から断ってくれたほうが良かった。
「津田、すまなかった・・・
私が馬鹿なだけなんだ、君は気にせずこれからもアリアと・・・」
「・・・なーんだ、俺また変にリアルな夢見ているのか・・・」
「・・・え?」
思わぬ言葉にシノはきょとんとする。
「だって有り得ないもんなあ、俺の告白を応援してくれた会長が俺のこと好きなんて。
まあそれでなくても、会長みたいな凄い人が俺なんかをね」
津田の言葉がシノには何気に深く突き刺さっていた。
そう、確かに津田のアリアへの告白を応援したのは紛れもないシノ本人なのだ。
だが、これはある意味好都合なのでは?
シノにある一つの妙案が浮かび始める。
これを利用すれば、先ほどの接触も言葉も嘘に出来る。
「しかし、俺アリア先輩と付き合っているのに酷いなあ。
会長が俺のこと好きなんて言う夢を見るなんて。
こんなこと、アリア先輩は勿論会長に聞かれでもしたら大説教だろうな」
「そ、そんなことないぞ!」
「え?」
思わぬ言葉に、津田は不思議そうに返事を返す。
「君は健康的な高校生だ。
いくら付き合っているからって、まだキスもしてないのでは欲求が溜まるのも無理ないだろう」
「・・・」
シノは精一杯笑顔を作り彼を説得した。
本当にこんな言い方でいいのか、これで彼を納得させれるのか。
それだけでも不安だった。
しかし彼はある勘違いをしている。
いくら夢と思っていることとはいえ、このままでは津田は本人の言うように酷い男になってしまう。
ここでおかしな勘違いをさせては彼に申し訳ない。
シノは必死に取り繕うとする。
「はは、やっぱこれ夢だ。
いくら下ネタばかりの会長でも、アリア先輩と付き合っている俺にそんなこと言うはずないし。
それに俺たちがまだキスしてないこと知っているはずないもんな」
何も事情を知らない津田のストレートな言葉。
悪意の決してないその言葉に、シノは先ほどから少しずつだが罪悪感を覚える。
何も知らない彼の言葉にはシノを締め付ける痛みが伴っていた。
その罪悪感と苦しみが徐々にシノにある感情を抱かせる。
(アリア、私は・・・私は・・・!)
「津田、どうだろうか?
私でよければ、君の欲求を解消してあげるが」
言ってしまった。
(すまないアリア・・・
でも私は、もう耐えれない!!)
夢の中と本人は思っている、これはあくまで夢の中の話だ。
だからこの場でシノと何をしようと津田本人が責を感じる必要はない。
シノだけが満足するだけで誰も損はしない。
シノは先ほどのキスのときと同じように、またも自分の気持ちを優先的に考えていた。
今さっき、アリアと和解をしたというのに・・・
「ええ!!
でもいくら夢だからって、そんなアリア先輩を裏切るようなこと・・・」
「夢なのだから問題ない!
それに一度してしまえば、もう二度とこんな夢を見ることはないぞ。
何度も同じような夢を見ては、君も目覚めが良くあるまい」
「・・・」
津田は起きているのか寝ているのか分からない微妙な表情で沈黙を続けた。
「・・・いや、やっぱ駄目だ・・・
ここでそんなことになったら、いくら夢の中だからってアリア先輩だけでなく会長にもやっぱ大目玉だもんな」
あくまで潔癖な彼の姿に、シノは苛立ちを覚える。
その反面、予想以上に誠実だった彼の真面目さに悲しさを覚える。
(津田、君はそこまで真面目な男だったのか・・・
やはり、アリアの応援をすべきではなかったな)
夢の中で彼と結ばれる。
それなら津田にとってはあくまで夢幻。
自分だけが満足できて誰も不幸にならないと考えていた。
だがこんなくだらないことを考えた自分が愚かだった、そう諦めかけたシノだったが、遂に強硬な手段を思いついた。
(待てよ・・・今彼はこの状況を夢だと思っている・・・
なら、今彼の意識をコントロールするのはたやすいのでは・・・)
諦めかけていたシノの意識は徐々に変化を生じさせた。
そしてシノのアリアと津田本人への罪悪感は次第に薄れていく。
シノは考えを巡らせる間にも、体は自然に机の上へと動いていた。
「あーもう!!
早く起きろよ俺!!
こんな夢、さっさと覚めないとアリア先輩や会長に・・・」
瞳を閉じながら必死に自戒する彼の口は強制的に塞がれた。
いつの間にか机の上に乗り、津田の体をまたぐ体制になっていたシノが彼の唇を強引に塞いだのだ。
「んん!?」
突然のことに津田は眼を見開くが、彼の目にはやはり思わぬ人物の顔のアップが映る。
(ちょ!!?何これ!?)
さしもの津田も意識的に手や顔を動かすが、顔はシノが両手で封じる。
手は腕をシノが膝で押さえ込み、まるで動けない。
(俺の体!何で動かないんだ!!
やっぱ夢の中だと、上手く動けないのか・・・)
津田の腕には確かに圧迫感がある、しかし夢の中だと思い込んでいる津田にとってそれは夢の中における独特な窮屈間と誤解していた。
成すがままにされた津田は抵抗をやめ、シノとのキスに身を委ねた。
気持ちよいのは否定できない、しかしそれでも何とかそれを悟られないように強張る。
抵抗を諦めたことを感じたシノは、舌を津田の口内へ侵入させ、津田の舌を求めた。
「んんん!!」
思わぬことに津田は困惑しながらもうめき声を上げる。
(う、嘘だろ!?
でも、夢なのに何でこんなリアルに・・・)
唇から伝わるシノの柔らかく暖かい肌触り。
舌を支配する滑りを帯びた感触。
シノの息遣いまで伝わってくる。
とても夢とは思えない、リアルな衝撃に混乱する。
(アリア、津田・・・すまない・・・
でも、気持ちいい・・・
何て気持ちいいんだ・・・
さっきとはまるで別物だ・・・
止まらない、止まらない!!)
シノは津田とここまで大胆なキスをできた喜びと悦楽に浸り、罪悪感を感じながらも欲望のままに彼の舌を貪る。
(ヤバイ・・・夢のはずなのにメッチャたまんねえ・・・
もうこれ、完全に下半身が反応してるよ・・・)
津田はその快感に負け、素直に反応してしまっている下半身に情けなさを感じる。
そしてきっとそれを見られ、何を言われるのかと次なる不安を考えていた。
ひとしきり終えた後、シノは口惜しそうに口を離した。
その深みを現す透明の糸が、二人を最後まで繋げた。
「フフ、美味しかったぞ津田」
「・・・」
津田は顔を背け、必死にシノに対し抵抗の意思を見せた。
本音を言えば、今のキスは彼にとっては極上の快楽だった。
今のは彼にとってのファーストキス、とはいえ現実世界で既にシノに奪われていた上に、今彼は夢の中と思っているのでそれは色々と間違いなのだが。
自然と津田の股間は膨らみを見せ、出来ることなら自分からも舌を絡ませ初のキスの味を堪能したかったのが本音だった。
それが夢でも。
しかし、そのことを認めてはアリアに示しがつかない。
何を言われようと、津田はシノの行為を受け入れないようにと心を強くした。
「ほう、そうか。
随分と満足いったようだな津田よ。
そんなに良かったかな?」
「な、何を!
俺は、別に・・・」
そんな津田に対し、シノは下半身を指差した。
「ではそのズボンの膨らみはなんなのかな?
「・・・」
やはり痛いところを突かれた。
おそらく指摘されるであろうことは予測していたが、それでも彼にとっては痛いところだった。
「気持ちよかったんだろ?
ん?もっとして欲しいんだろ?
この、私にな」
シノは津田を問い詰めるように顔を迫らせる。
普段なら決して有り得ない顔の距離だ。
今自分には彼女がいるとはいえ、いくら親しくても異性がここまで顔を接近するなんてことは有り得ない。
津田はやはりこれは夢だと確信し、そう自分にも言い聞かせていた。
必死に抵抗の意思を見せる津田に対し、シノはだんだん別の愉しみを覚えていた。
ここで彼女は、知らず知らずのうちに自分が加虐の愉しみを感じる人間だと感じていた。
「・・・」
対する津田は断固としてシノの言葉に耳を貸さず、顔を背け少しでも興奮が鎮まるように必死だった。
「フフ、あくまで意地をはるか。
それじゃあ・・・」
津田の腰に腰をかけていたシノは後ろを振り向く。
「ちょ、ちょっと!!」
津田は思わず動揺する。
シノが躊躇なく津田のズボンのジッパーを開けたのだ。
トランクスの穴を掻き分け、待ってましたと言わんばかりに津田の男の性が反り立った。
「ヒ!い、嫌だ!!
見ないで!!見ないでください会長!!」
津田はまるで女性のような悲鳴を上げシノに哀願した。
これは夢であり、今のシノには何一つ抵抗できない。
そう勝手に思い込んでいた津田には、シノに哀願する以外何も出来なかった。
本来ならシノはその女性のような悲鳴に突っ込むところだったが、それはなかった。
シノの耳に津田の声は聞こえていなかったのだ。
物心ついて始めて見る男性の部位に、シノは思わず圧倒され息を呑む。
「これが男の・・・
これが津田の・・・」
「会長!!
それはマズイですって!!
ちょっと落ち着いて!!」
津田は必死に叫んだ。
もしこれからされるであろうことを考えると、最早シノの思い通りにならない自信はなかった。
津田はこれが夢だと思っているが、それだけに理性が効かないと思っているのだ。
またシノにこんなことをさせる夢を見ていたこと自体が罪悪感で一杯だったのだ。
一方のシノは津田の言葉を一切無視し、ただ津田のモノを凝視していた。
本来なら先ほどのように「こんなにも興奮しているじゃないか」
と津田を弄ぶところだったが、そんな余裕は彼女になかった。
男性器なら子供の頃父親や、いれば異性の兄弟との入浴中に複数回見ているのが当たり前だ。
しかし思春期真っ只中である彼女が今目にするにはあまりに衝撃的だった。
間近で見ると言いようのない迫力に圧倒される。
そして鼻につく独特な匂い。
これは臭いと言ってしまえばそれまでなのだが、シノは何ともいえない気分を味わっていた。
好きな男の部位だからなのか、それは彼女には分からなかった。
ひょっとしたらガソリンやオイルのような、臭いのだけどどこかクセになるような匂いなのか。
シノは何ともいえない緊張感を胸に、体の位置を変えながら津田のモノを凝視する。
「会長、いい加減に・・・って
っぶ!!」
津田の妙な声を聞いたシノは後ろを振り向く。
すると津田はまたも顔を背けていたが、何やら様子がおかしい。
「津田、今の声は何だ?
何があった?」
「・・・別に何でも」
「何でもということはないだろう。
話せ」
「・・・」
津田はあくまで返答を拒んだ。
しかしシノには途中で分かった。
少なくとも津田のモノは先ほどよりも反り立ちを見せた。
ということは興奮する何かがあったのだ。
そしてシノは自分の体勢を改めて見て、彼が何を見たのか理解した。
それはシノのスカートの中だった。
シノが前屈みになり、津田のモノを真上からではなく真正面で見る位置になるため体を津田の顔の方に向ける必要があった。
少しずつシノの下半身は津田の顔の上部に移動していき、津田は男子にとっての神の領域を目撃してしまったのだ。
最終的には津田の顔の上部にシノの股間が接近するようになっていたのだ。
もしその状態でシノが腰を下げていたらシックスナインの状態になっている。
それでなくとも彼女のスカートの丈は女子高生としてはそれなりに普通だが、短いと言えば十分短い。
そんな彼女が多少気を緩めれば、その中身が容易に見えてしまうのは必然だった。
パンチラどころではなくパンモロを、しかもこの距離で見てしまっては津田の中の男の性が反応するのは必然だった。
「フフフ、そうか津田。
私のパンツを見て興奮したんだな」
「な、何で・・・」
「これは君の夢だ、その夢の中の
君が作った私に、この世界で分からないことはない」
無論これはハッタリである。
しかしこれは夢であることを彼に思い知らせるにはいい機会だった。
彼女の思惑通り、津田は自分の心が見透かされたような錯覚を植えつけられた。
さすがに下着を丸見えにさせるのは気が引ける、というかまるで露出狂の変質者のようで嫌だったシノは、腰を津田の腰に下ろし振り向きざまに彼に言い放つ。
「フフ津田。
別にいいんだぞ、君が望むなら私の下着を見ても。
あんな風に見るのは初めてだったんだろ?」
「・・・」
「津田、いい加減素直になれ。
パンチラ程度ならともかく、こんな間近に下着を見れるなんてそうそうないぞ?
何なら今度同じ体制になったら顔を近づけてみると良い。
私だってこうして君のをガン見して、ちょっと匂いを嗅いでしまった。
同じことをする権利くらいはあるぞ」
(早く目を覚ませ俺!!早く目を覚ませ俺!!!)
津田はとにかくこの夢から目覚めようと必死だった。
津田も勿論健康的な男子高校生。
意志の弱い男ならとっくに堕ちていてもおかしくない、そう考えれば彼はよく耐えていた。
(津田め、あくまで抵抗しようと言うのだな・・・
まあいい、これはこれで楽しいからな。
・・・って、これじゃあまるで嫌がるのを無理やりして楽しむレイプ魔のようだな・・・)
シノは今更ながらに自分のしている行為を考え直した。
これは普通に逆レイプも同然である。
シノ自身は純粋に津田が好きだったことは事実だが、彼のアリアに対する思いを頑なに
守ろうとする姿に、多少の寂しさを感じながらも好きな相手を辱め弄ぶ快感に目覚めつつあった。
「津田、正直に答えてみろ。
君は生徒会室、いや自分のクラスでも言い。
制服の女の子を見るたび、スカートの中のパンツを見てみたいとは思わなかったのかな?」
「・・・思ってません」
「本当かな?」
「・・・」
「ふむ、まあいい。
私は君の深層心理が生んだ存在だからな。
君の事は手に取るように分かる。
・・・なるほど、アリアより私の方のスカートばかり狙っていたな。
このムッツリめ」
「な、何を!!」
「違うのかな?
アリアはどうしても胸に目がいってしまうからな。
その分貧相な私は、スカートの中が見えないのかと思っていたのか。
やれやれ、男と言うのは直ぐ女をそういう目でみるのだな」
「そ、そんなこと」
「ない、と言い切れるのか?」
「そ、それは・・・」
確かに津田はどうしてもアリアの胸に目がいくことは多かった。
そしてシノのスカートの中を意識したことも一回や二回ではない。
これが夢だと勘違いしている津田にとって、シノの言葉は本当に真実のように聞こえた。
「さて、これ以上やっただのやっていないだの水掛け論をしてもしょうがないし」
言いながらシノは再び津田のモノに目を配る。
「ちょ、かいちょ・・・う!!」
それに感づいた津田だが今度は真正面にシノの尻が直撃する。
先ほどは位置関係上腰を浮かせていたシノだったが、今度は津田のモノを上から見下ろす形になっている。
そのため先ほどよりシノの腰の位置は津田の肩幅辺りに当たるようになった。
シノの尻がパンツ越しに丸見えという状態だった。
今度はシノがわざとスカートを捲れさせ、津田の真正面に見えるように仕向けたのだ。
(大サービスだぞ津田・・・)
シノは多少の羞恥心を感じながらも、自らの体を使って津田を落とそうと画策する。
シノのスカートの中はこちら側に突き出され下着が尻肉に食い込み、これ以上ないほど官能的な光景に津田はもう正面は見れない。
シノは必死に理性と戦っている津田を無視し、何も言わず恐る恐る舌を這わせる。
「うう!!」
思わぬ刺激に津田は敏感に反応する。
津田は思わず両手を挙げ、そのとき自分の手が普通に動くことに気づいた
(あれ?俺の手動いてるぞ)
だが今の彼にはそのことを考える余裕はなかった。
手が動くとはいえ、シノを無理に引き離して良いのか。
むやみに女性の体を触ること自体恐れ多くて出来ない彼にとって、手が動かせることは何の意味もなかった。
津田の手はパントマイムのように無駄な動きしか出来ない。
そんな何も出来ずもがき必死に耐える津田の様子が、逆にシノは楽しく感じさらに嘗め回し刺激を与え続けた。
「会長!!
お願いです、もう止めてください!!
これ以上されたら俺!!」
容赦なく襲い来る官能の波。
キスから始まり、間近で女子高生のパンモロを直視し、遂にはフェラをされる。
自分一人で性欲の処理をしたことはあっても、他人にされることなどなかった津田はあっという間にリミットを迎えそうであった。
「も、もう駄目・・・」
津田の声を聞いていたシノは止めとばかりに一心不乱に津田のモノを頬張った。
舌だけではなく、口全体を駆使し彼の全てを搾り取るように吸い上げた。
思わぬ快感に津田は一気に限界を迎え始める。
「うう!!」
津田が吼えると溜めに溜めた性の本流が解き放たれ、シノの口元を覆った。
シノはこぼれないよう口を広げ、手の平でこぼれた精液を取り逃さないようにし、全てを舐め取った。
「美味しかったよ、津田・・・」
本音を言えば決して好んで味わいたいと思う味ではない、だが好きな男の物であれば彼女にとって何も不満はなかった。
それは極上の味になる。
笑顔のシノと相反し、津田は右腕を正面を向いた顔の上に乗せ、その腕の下でいたたまれない表情でいた。
「何で・・・何でこんな、酷いことを・・・」
津田はショックを隠せないようにボソボソと言葉を発する。
まるでレイプされた後の女性のようだ。
いや、無理に射精させられた彼はレイプされたと言っても過言ではないが。
「おやおや、まるで私が君を襲ったとでも言いたげだな」
「違うって言うんですか!?」
津田は怒りを交えながらシノを問い詰めるが、シノは涼しい顔で返答する。
「ああ違うな」
「え?一体何を・・・言って」
「フフ、じゃあ何で早く起きないんだ?」
「え?」
シノの言葉に津田は言葉を失った。
「先さきほど言ったことと重複することだが・・・
もう一度考えてみたまえ、今の私は君の夢の中の私だ。
つまり、今私がしていることは君の欲望そのもの。
今私としたこと、それは君が望んでいることなんだぞ」
シノはいやらしい笑みを浮かべ、津田を逆に追い詰める。
「そんな、俺・・・
これ、俺が望んだことなのか・・・
アリア先輩がいるのに、俺は・・・」
シノの言葉に津田は自己嫌悪に陥っていく。
自らが好きだった女性と付き合っているのに、本当の自分は他の女性との肉体的な関係を望んでいる。
あまりに不純なことに、津田はショックを受け顔色までも変わっていく。
ここまで彼が思い込むとは、これはシノの計算違いだった。
「待て津田。
そう悲観的に考えることではないぞ。
ではなぜ君はこんな夢を見ている?
それを考えてみろ」
「え?」
「だってそうだろう。
夢の中の君は、アリアではなく私との関係を望んでいる。
別に君が浮気性なのではない、君の本当に好きなのはこの私だったんだ」
「俺が、本当は会長のこと?」
「そうだ、最初はアリアが好きだったのかも知れない。
でも実際付き合ってみてどうだったんだ?
恋愛感情における好きと、彼女のお嬢様としての憧れや魅力の眩しさを混合していたのではないか?」
「お、俺は・・・」
シノの言葉に津田は言葉を失った。
「しかし津田よ、それは恥ずべきことではない。
男は年上の女性と言うものに潜在的に好意を寄せてしまうものなのだ。
それが特にアリアのようなお嬢様、それも高貴な魅力を兼ね備えた女性なら尚更な。
無論それが恋愛としての好意な場合もあるし、その感情で恋人になることもあるだろう。
しかし君の場合はどうなんだ?
現に夢の中でこんなはしたないことをしたいと願っている今の君の相手は誰なんだ?
私は誰なんだ?」
「天草、シノ会長です・・・」
津田は困惑しながらも、とりあえず顔色は先ほどより良くなり始めた。
自分の本当の気持ちはなんなのかという混乱は生じたが、先ほどのような申し訳なさが無くなり始めたのだ。
(よし、もう一押しだ・・・)
シノの先導、それにより津田の意識がぶれ始めた。
まさかこのような茶番がここまで功を称すとは、シノは順調にいっている今の状況が自身で少し怖くなるほどだった。
「津田タカトシ、君が本当に好きなのは会長である天草シノだ。
この私、即ち現実世界の天草シノ。
彼女は尊大な人間だ、君が誠意を持って自分の気持ちに素直になれば、きっと彼女は気持ちを汲んでくれるぞ」
「俺・・・は・・・」
シノの言葉に津田は促されるようになっていく。
困惑はしているが、先ほどより顔色は変わっていく。
(おおー、怖いほど順調にいっているな・・・
言葉だけでここまで揺さぶれるなら、次は・・・)
その間にもシノは、シャツを脱ぎブラジャーをずらすと自らの乳房を露にする。
自ら衣服を脱ぎ他人に肌を晒すなどというようなはしたないことを、彼女は本来する人間ではない。
下ネタは言うがそこは別問題である。
しかし今までの苦痛の日々から抜けれるかもしれない、彼の正式な彼女になれるかもしれない。
そんな強い希望が彼女を大胆にする。
「どうだ?私の胸は・・・」
シノは大胆に自分のあられもない姿を津田に見せた。
津田は先ほどまでと違いそのシノの成長過程でありながらも形の良い乳房に目が釘付けになる。
「その・・・何て言ったらいいか分からないですけど・・・
綺麗な形で、十分魅力的だと思います・・・」
津田は素直な感想を述べる。
先ほどまではアリアへの申し訳なさで必死に理性と戦った。
しかし、シノの言葉で潜在的な感情を揺さぶられたことにより、彼の意識が変わったのだ。
もし本来の彼ならば、理性に打ち勝ち絶対に目を合わせないようにしていたはずである。
一度射精したにも関わらず、津田のモノはまた硬さを取り戻していった。
その言葉にシノは満面の笑みを浮かべ、気分が一気に高揚する。
「やっと素直になり始めたようだな・・・
じゃあ、大サービスだ」
津田に自分の体が見られている。
自分の体で、津田が興奮してくれている。
そう感じたシノは快感を味わい、彼女をもっと大胆にしていく。
先ほどはスカートの中を丸見えにさせるのは多少気が引けていたが、今や津田のためだったら何でも出来る勢いだった。
膝で立ちながら遂には下着を脱ぎ、スカートを少しずつずらし、きわどい所でストップする。
「見たいか?私の全て・・・」
シノは妖艶な表情で津田を挑発するように言い放つ。
続きが見たいのなら、哀願してみろということだった。
津田は餌を与えられる前の動物のようにいても経ってもいられない状態に追い込まれる。
「お願い・・・します」
津田はそれほど間を置くことなく、シノの言葉に流され欲望の虜になってしまう。
(本当に素直になったな・・・
本当はもう少し楽しみたいところだがその素直さに免じてやる・・・)
シノはもっと津田にみっともない言葉を要求し、それを楽しんでやろうと画策していた。
だが津田の意外なほど素直な反応に嬉しくなり、悪戯心が薄れていった。
そして自分の大事な部分を津田に見てもらいたいと強く思い始めていたのだ。
欲望に負けていたのは津田だけではなかった。
シノは遂に誰にも見せたことのない秘所を顕にした。
津田は思わず息を呑んだ。
この年になって女性の乳房、そして性器を生で見たことに圧倒されたのだ。
津田は夢の中であることを忘れ、その光景から目を離せなくっていた。
そしてシノは彼のモノを秘所にあてがうギリギリのところまで持っていく。
津田のモノは完全に再び勢いを取り戻した。
このまま本番にまで今にもいけそうな勢いである。
そのことにシノは悦楽に浸り、津田の心にとどめを刺すために言葉を続ける。
「津田タカトシ、君は本当は私とこの続きをしたいと思っているのだ。
君が自分の気持ちに素直になれば、きっと君の願いも叶う。
この続きが現実に出来るぞ」
津田はただただシノの言葉に耳を傾けていた。
始めて生で見る女性の秘所、そこに興奮しながらも、自らの気持ちを必死に整理していた。
「ただし、今ここで見た夢は絶対に他言無用だ。
分かるな?」
「・・・はい」
ここだけは絶対に釘を刺しておかなければならない。
無論このようないやらしい夢を見たことなど、他人に言うわけはないくらいのことは理解していたが。
だが万が一このような夢を見たことをアリアに伝わられたら、アリアはシノが何かしら津田に吹き込んだと確実に感づくだろう。
しかしこの後津田と別れ、津田がシノと一切会っていないと津田に証言させれば、津田一人で
アリアとシノへの感情を考え直したことになる。
津田のいた場所をシノが探し当てれた証拠は何もない。
それに津田自身がシノと会っていなかったと言い切れば、アリアがいかに勘ぐろうとそれ以上のことは分からないだろう。
津田一人で考えを改めた以上、アリアがどう不信に思おうとそれはただの憶測に過ぎない。
津田は誠実な男だ、夢の中でのことはアリアには絶対に言わず胸に秘めておくだろう。
そう講じていた一方で、シノはある一つの考えを抱き迷っていた。
(どうしよう、そうは言ったものの。
いっそのことこのまま彼と既成事実を作ってしまう方が良いのではないか?
彼が現実世界で本当に私に振り向いてくれるか、そんな保証はない。
ならいっそ、このまましてしまっても・・・)
シノは葛藤する。
だがやはり自分の始めてを、好きな男相手とはいえ相手が夢だと思っている状況でささげるのはさすがに気が進まなかった。
状況は非常に不確定要素が多く、どうにも踏ん切りがつかない。
そんな葛藤をしている中。
ブーン
携帯電話のバイブ音が鳴った。
その音にシノはハッとして、慌てて取り出すと動作を止めた。
一瞬沈黙が続く。
だが耳を澄ますとどこからか、駆けてくる足音が聞こえる。
そしてもう一度携帯が鳴った。
「そこね!!」
それと同時にアリアが教室へ入ってきた。
片手には携帯電話を持っており、彼女が鳴らしたのは明白だった。
「・・・やっぱり
そういうことしてたのね!!」
二人の状況を見てアリアは今の今まで二人が何を、シノが津田に何をしようとしていたのか十二分に察することが出来た。
「キスの次は寝取り!!?
シノちゃん、随分と姑息なことをするようになったものね。
とても生徒会長としての気品さを持ったあなたとは思えないわ。
いえそれ以前に、さっきあんなこと言っておいて、ものの数分も経たないうちに裏切られるとは予想外だったわ!!」
アリアは怒れる感情を抑え、少しでも理性的にシノに言い寄った。
シノは言葉を返せずひたすら呆然としていた。
「アリア、何故ここが・・・」
「スズちゃんと生徒会室にいてもちっともシノちゃんが来ないから。
でも私は信じていたんだよ!?
さっきあんなことを言っていた人がまさかそんなことするなんて予想だにしていなかった!!
でもさっきスズちゃんが、タカ君がどこかの教室に行ったっきり帰ってこないことを
シノちゃんに伝えてたことを聞いて、直ぐ分かったわ!!
この卑怯者!!」
シノにとって計算違いでもあった。
直ぐに帰れなければアリアが自分のことを疑うという可能性は考えてはいた。
しかし、シノと津田が会っていたという事実が残らなければ後はどうとでも言い訳が出来る。
彼女に決定的な場面さえ見つからなければ・・・
そう考えていたのだ。
そしてお世辞にも行動力がそこまであるとはいえない彼女が、ここまで早く居場所を見つけ出すとは。
携帯電話を使うことまでは計算外だったとはいえ、考えの甘さを痛感する。
余談だが二人の携帯のバイブ音は二人で共にお気に入りのパターンを吟味しあい、互いに気に入ったものを選んだのだ。
なのでアリアは静かな校内とはいえ、音量の小さいバイブ音を辿ることが出来たのだ。
やはりこの二人にとってバイブの音というのは拘らずにはいられない物であり、皮肉にも二人で決めたこのバイブ音が決定的瞬間を目撃させるきっかけになったのだ。
「とにかく離れて!!」
さすがに机の上から突き通しては危ないということもあり、アリアは突き飛ばさない程度にシノを津田から引き離した。
「タカ君!起きて!!
大丈夫!?シノちゃんに何されたの!?」
アリアは夢と現実の区別のつかないままの津田に必死に呼びかける。
「アリア・・・先輩・・・」
「もう!
こんな時まで先輩つけなくて良いのに!!」
寝ぼけながらも彼らしく律儀な津田に苦笑しながら、アリアは津田の体を起こす。
「俺・・・今まで何を・・・」
「タカ君・・・あなたはシノちゃんにね・・・」
その直後津田の視界には服をはだけ、思いっきり胸の見えているシノが写りこむ。
パンツもずれている状態だが、そこまで気づく余裕はなかった。
「わわわ!!
か、会長!!何しているんですか!!
って、俺も何でチャックが!?」
起き上がった津田は素早く後ろを向くものの、自分のモノがそそり出ていることにも気づき津田はパニックを起こす。
「タカ君、落ち着いて聞いてね。
彼女はね、あなたが寝ているのをいいことに寝取ろうとしたのよ」
「・・・え?」
「話すと長くなるのだけどね」
アリアは全ての顛末を津田には話した。
「じゃあ・・・
さっきまでの俺が夢だと思っていたのは・・・」
「そう、彼女の自分勝手な戯言よ、あなたを惑わしていたのよ。
まるで子供みたいな手だけど、よくもまあ恥ずかしげもなくこんな茶番をしたものね」
「アリア先輩・・・
でも俺・・・」
「タカ君は気にしなくていいの!!
タカ君は優しいから、彼女の言葉に惑わされたんでしょ!!」
「それは・・・」
沈黙が流れる。
夢だと思ってのことはいえ、彼はアリアを裏切ることをしてしまった。
いや、夢と言う本人の願望が強く現れる設定を、それを受け入れたことが彼の感じる責任だった。
「フフフ・・・」
シノは含み笑いを始めた。
津田とアリアはシノに視線を向ける。
「そうだぞ、アリア。
確かに彼の抵抗は立派だったよ。
私のキスにも、フェラにも最後まで抵抗した。
でもな、どんなに抵抗しても所詮彼も男だ。
私のテクニックで彼は見事にイッんだぞ」
シノの言葉にアリアはショックを受ける、まさかシノがここで開き直るとは。
怒りがこみ上げる前にショックでたまらなかった、そしてその反面津田は顔が険しくなっていく。
だがそのことにシノは気づいていなかった。
「そして私は言ったんだ、これは君の夢。
つまり君は私にこうして欲しいと潜在的に思っていたのだと。
そしたら彼は本気で悩んでな、本当に私のことを本心では好きと
思っているのか真剣に考えていた。
その後の彼はそれはもう素直だったぞ。
それからは自分から私の胸などを見て興奮していたんだ。
それに私がパンツをスカートを履いたまま下ろしてな、その中を見たいかと聞いたら彼は素直に見たいと答えたぞ。
そして彼のモノはそれはもう立派な立ち具合だった。
挿入される寸前ではビンビンで・・・」
シノはそのまま言葉を続ける、だがそこに、
「もう止めろ!!」
津田の怒号にシノはビクッとし、言葉を止めた。
「もう止めろ・・・
俺が不甲斐なくて、アンタにイカされたのは事実だよ。
アンタの言葉で自分の気持ちを揺るがされたのも事実だよ。
不覚にもアンタの体に興奮して、見たいって言ってしまったのも事実だよ!!
言われなくたって認めるよ。
けどな、やっぱアンタのことを好きとは到底言えない!!」
津田は鋭い眼でシノをにらんだ。
その射るような視線、そして優越感から叩き落とされたシノは絶望的な表情になっていく。
「俺が好きなのはアリアだ。
それは間違いない、どう言われようとそれは変わらないさ。
アンタが姑息なことをしようと、俺の気持ちを汚すことは出来ない!!」
津田はアリアの方に手を回し、自分の胸板に引き寄せる。
「タカ君・・・」
初めて呼び捨てで呼んでくれた津田に、アリアは彼の胸に身を委ね津田も彼女の肩を更に強く抱く。
そして自然と二人は手をつなぎ、その結束の強さを見せ付けた。
「アンタに全ての責任があるわけではないかもしれない。
けどな、やっぱりアンタのしたことは最低だ!!」
「・・・うう」
シノは立っていられる力を失い、その場に座り込んだ。
これで全ては決まった、たとえどうなろうとこの三人の関係は変わらない。
誰もがそう確信していた。
シノすすり泣きだけが聞こえる。
短い沈黙の後、最初に口を開いたのはアリアだった。
「タカ君・・・
もう大丈夫だとは思うけど、念のためにもお願いがあるの」
「・・・何?」
「私を抱いて・・・今この場で、
私を本当にタカ君の物にして欲しいの・・・」
「・・・」
津田は沈黙を続けた。
「気持ちは分かるけど、本当にいいのかい?
もっとちゃんとした場所で、きちんとした段階を踏まえたほうが・・・」
「だって!!
もうこれ以上タカ君の初めてを奪われたくないもの!!
私たち、恋人同士なんでしょ?!
だったら、遅いか早いかより、その関係を守りたいの!!」
「分かった・・・」
津田の同意に、これから二人が何をするか理解したシノは去ろうとする。
「す、すまなかったな二人とも・・・
じゃあ、私は・・・」
服を調えたシノはそのまま去ろうとする。
「待ちなさい、天草シノ!!」
初めて呼び捨てにされ、シノは怯えたたように振り向いた。
「あなたはここで、一部始終を見ていなさい。
目を背けず、今これから起きることをその眼で漏らさず見ていなさい。
それが、私たちの関係を踏みにじったあなたの贖罪よ!!」
アリアの言葉に、シノは何も言えなかった。
アリアが津田に視線を配ると、
「・・・あまり良い趣味とは言えないと思うが・・・
本当にいいのかい?
初めてなのに人に見られてなんて・・・」
「いいのよ!
あの子に見せ付けてあげて!!
私たちの、ありのままの姿を・・・」
「分かった・・・でも・・・」
津田は多少言いよどんだ。
「何?」
「その・・・
さっき見たとは思うんだけど、会長にされかけたことで俺、
寸止めだったからかなりキテるんだよね・・・
二回目とは言え。
だから、もしアリアが途中で嫌になっても俺、自分を制御できるかどうか・・・」
津田はあくまでアリアの心配をしていた。
もしアリアが嫌がっているのに、自分の欲望を優先して彼女を傷つけてしまったら。
そう考えると津田も不安なのだ。
「フフ、優しいのねタカ君。
でも大丈夫よ、勿論ちょっと怖い気持ちもあるけど、
タカ君と一つになれるのなら、私は平気よ。
例え痛くて途中で嫌になったとしても、私から言い出したんだもの。
絶対に後から文句を言ったりはしないわ」
「分かった」
言うが早いか津田はアリアの腰に手を回し、もう片方の手で顎を引き寄せ、彼女に勢いよく口づけをした。
「ん!!」
いきなりのことに驚いたアリアではあったが、直ぐにそれは悦びに変わり津田の腰と背中に手を回す。
それが彼女のOKサインだった。
必然的に舌を含ませ、アリアもそれを受け入れる。
シノのときとは違い、津田とアリアは互いに荒々しく舌を絡ませ、互いにその感触を味わう。
「・・・あ・・・あ・・・」
その光景をシノは呆然と見つめていた。
そして、自然と涙が溢れてきていた。
(津田、君は私の・・・)
そう思いたかった、例えそれが友人を裏切ることになっても。
だがその願いは完膚なきまでに叩きのめされ、打ちのめされた。
その現実を今眼前で見せ付けられる。
「んん・・・あむぅ」
まるで獣のように互いを求め合う二人を見る、それはシノにとって残酷な拷問に近いものだった。
津田にはそういった気持ちはなかったのだが、アリアはシノに見せ付けるように情熱を燃やした。
二人は互いの唾液を送りあい、自然と二人の口からは溢れ出た。
一頻り時が経つ、二人は自然に口を離した。
「どうだったかな・・・?
アリア」
「最高だったわタカ君・・・
ガムシャラなキスって、こんなに気持ちよいものなのね」
「嬉しいね、それは・・・」
とりあえずここまででごんす。
いくら夢だと思ったからってこの展開はねーよとか思われたかと思いますが、その辺は勘弁してください。
次で終わります。
多分ラストは割りとカオスだと思います。
乙です
シノ、スクイズの世界並みのクズだな。柳本にレイプ・妊娠される展開希望
おつさん。親戚の綺麗なねーちゃんが似た感じの境遇でぶっ壊れたのを思い出したよ。
髪がハゲてしまったりしてもう10年かな、トラウマになってしまって今でもどこかおかしい。
心配で色々似たような境遇の人探してみたら、この手のトラウマは誰も幸せにしないもんかね。悲しいかな。
小さいコミュニティの中だからこそ人間素直が一番。じゃないと往々にしてこんな事起こるね。オソロシヤ、
乙!こういうドロドロものが好きな自分には最高でした。
ラストも楽しみにしてます。
一人蚊帳の外、生徒会室で仕事に追われるスズは俺がもらっていくしかあるまい?
GJ
こういうのがずっと読みたかった
こーゆーの何か新鮮だな……
乙!
>>263 スズなら俺の隣で寝てるよ
「同僚が居眠りしてるので追いやった次の日職場に来たら縮みそうなくらい空気が重くなっているでござるの巻」
シノが個人的に渡したクリスマスプレゼントは、バイブじゃなくてシノの電話番号だけが登録された携帯電話
ってアニメスレの書き込みがツボ過ぎたから頑張ってみる
518氏ので似たようなネタがあった気がする
軽妙なタッチかつ原作再現力高い氏の新作も読みたいところ
長くなりましたがラストいきます。
こんなの投下してよくもこんな酷いシノを!とか罵倒されるかと不安でしたが、コメントありがとうございます。
スクイズみたいだというのは書いている途中で普通に思ってましたわ。
さてラストですがもしこのシノが可哀想というよりムカつくというイメージのほうが強い方にはちょっと気に入らない展開かも・・・
まあよろしく。
アリアは先ほどまで使われていた例の机の上に乗ると、自然にシャツを脱ぎ始める。
アリアの女子高生としては最上級のサイズの胸が津田の眼に飛び込む。
ブラジャーを着けたままであるが、これを目にして男として興奮せずにいられる男子はこの世にまずはいないだろう。
「タカ君、きて・・・」
顔を恍惚の表情にしながらアリアは寝そべり、津田を求めた。
男ならまず間違いなく誰でも彼女にダイブしているだろう。
それでも津田は理性に則り、机の上に乗ると彼女の胸に手をそっと触れる。
出来ることなら今すぐにでも揉みしだきたい、しかし優しい彼はどうしても遠慮をしてしまった。
「いいのよ、タカ君・・・
遠慮なく、あなたの好きにして・・・」
「アリア・・・」
「もう、さっき一度し始めたら止まれないかもとか言っていたじゃない・・・
こんな時くらい、もう素直になさい」
「フ、その通りだね」
津田はアリアの言葉に静かに頷いた。
津田はアリアのブラジャーを乱暴に上部にずらすと、そのものを顕にする。
そのボリュームに、その迫力に津田は息を呑む。
「フフ、どうタカ君。
あの子と比べてのご感想は・・・?」
「いや、そういう比較するようなこと俺は・・・」
「いいから、答えて」
アリアの真剣な視線に津田は負けてしまう。
「凄いよ・・・
きっと会長だけじゃない、この学園にいる誰よりも、アリアのが最高さ」
「嬉しいわ・・・
でも、やっぱタカ君は優しいのね、
私はあの子と比べてって聞いたのに、その答えを少しはぐらかしているじゃない・・・」
「・・・」
「まあいいわ・・・
今日は記念すべき日なんだし、タカ君の優しさに免じて野暮なこと言いっこなしにしてあげる・・・」
「どうも・・・」
言いうが早いか、津田は先ほどより荒々しくアリアの胸を堪能する。
言葉で応対するより、こうした方がずっと早い。
津田もそのことを理解したのだ。
その感覚にアリアは身を捩じらせる。
「凄い・・・凄いよアリア・・・
アリアの体最高だ、こんなにもエッチな体だったなんて・・・」
「ちょっと最後の言葉が気になるけど・・・
いいわ、嬉しい!!
だからもっと続けて!!」
津田はそのまま今度は唇を落とす。
「ん!!
っああ!!」
さすがに声が漏れる。
津田は片方の突起を口で吸い、もう片方を指で優しく、時に強くつまみあげる。
「タカ君いいわ!!
もっと強くして、もっともっと!!」
アリアのそのボリュームに津田は圧倒されながらもじっくりと堪能した。
きっと自分ほど幸せな男子高校生は他にはいないだろう、津田はそんなことを考えていた。
「ああ・・・
他の人に、いえ好きな人にされるのってこんなにいいものなのね・・・
タカ君はどう?気持ちいい?」
「当たり前さ・・
俺ほど幸せな高校生なんて、きっと他にはいないさ・・・」
二人は恍惚の表情を浮かべながらも、恋人同士の幸福そうな笑顔を見せる。
そこからシノは不思議と視線を外せなかった。
もともと津田にはそういった意図はなかったのだが、アリアもシノに見せつけようという気持ちは完全に無くなっていた。
大好きな人間と営むこと、それがこれほどまでに幸福であるということを実感していたのだ。
「ねえ、タカ君・・・
そろそろ、・・・ね?」
アリアはスカートの中から下着を取り外し、津田に自分の願いを告げる。
それが意味することは、この状況で分からない人間はいない。
そして、津田のジッパーを下ろし始めた。
「アリア、そんなこと自分で・・・」
「いいの、私があなたの全てを明かしたいのよ」
ジッパーから津田のモノが勢いよく飛び出した。
先ほども多少同じ物を目撃していたアリアではあったが、至近距離で見るとまた違う感慨があった。
「アリア・・・いいんだね?
今度こそ俺は、さっき言ったとおり我慢の限界だ・・・
アリアの全てを俺は欲しい、アリアを俺だけの物にしたい、そして俺もアリアだけの物にして欲しい・・・」
アリアは無言で津田に自然にキスをした。
「嬉しいわタカ君・・・
貴方がそう言ってくれるだけで、私は何だって耐えれる。
だから・・・」
そういうと再び寝転び、膝を左右にスライドさせる。
スカートを捲り上げ、津田と一つになることを夢にまで見ているアリアの秘所が姿を見せる。
アリアの部位は直接触れてもいないのに準備万端であった。
それほど彼女は津田とこの瞬間を迎えることを夢見ていたのだ。
その反面津田の反応は少々異なるものだった。
始めて見るアリアの秘所、だがやはりさきほどシノのを見た時ほどの興奮はない。
既に興奮しているからというのもあるのだが、やはり始めてをシノに奪われてしまったことの大きさを今更ながらに思い知る。
しかし沈んではいられない、記念すべき彼女との初めてなのだ。
気分を盛り上げるために津田はアリアをからかってみる。
「もうこんなになっているなんて・・・
アリアはエッチな子だね、俺はまだ一回も直接触ってないよ」
「もう、タカ君はいじわるね」
「褒めているんだよ・・・
エッチな体で、エッチな性格で、エッチな性感をしている。
最高じゃないか。
アリアの彼氏で、俺は最高に幸せだよ。
俺もエッチだからね、大好きさ。
アリアの全てが」
「タカ君ったら・・・
好きって言ってくれるのはいいけど、もっと言葉は選んで欲しいものね」
津田の言葉にアリアはむくれながらも笑顔を見せた。
他愛もない恋人同士の幸せな会話。
しかしそれはアリアの表情が覚悟を決めた真剣な物になることで終わりを告げる。
「来て・・・タカ君・・・」
アリアは腕を前に広げ津田を求める。
男ならばもはや理性は吹っ飛んでいてもおかしくないシチュエーションだ。
ここに来て相手を思いやるなどという自己満足な優しさは最早罪だ、津田は今自分が何をすべきかを改めて再認識する。
もう言葉はいらないだろう、津田は体を寝かせると、腰をアリアの下腹部に接近させる。
アリアは目を閉じ、静かに津田の背中に手を回した。
津田は的確にアリアの秘所にモノをあてがう、準備は整った。
津田が顔を向けると、アリアは静かに深く首を降ろした。
そして遂に、津田はアリアへの進入を開始する。
「んっ!!」
さすがに恐怖を感じたアリアは声を漏らす。
だが津田が反応する前にアリアが早かった。
「駄目!!そのまま続けて!!
さっき自分で言ったじゃない!!
もう理性が抑えられないって!!
この期に及んで加減なんか、ましてや中断なんかしたら許さないんだから!!」
アリアは絡めた腕の拘束を強くし、絶対に中断させないと言う意思を見せた。
(敵わないな・・・)
津田は彼女の強さを実感すると、そのまま腰を沈めていく。
「タカ君のが・・・私の中に・・・」
アリアの肉壁を津田の欲望が開拓していく。
「ああ!!タカ君!!」
アリアの肉壁は津田を歓迎するように、待っていたと言わんばかりに津田のモノを締め付ける。
「アリアの中・・・さすがにキツイな・・・」
「ごめんなさいタカ君、あなたと一つになれたことが私嬉しくて・・・
はしたないくらいに・・・あなたを歓迎しすぎている・・・わね・・・」
痛みに耐えたアリアの言葉、口ではどう言っても破瓜の痛みは底知れない。
こればかりは本人たちの意思ではどうにもならない。
津田はアリアの意思を汲む意味でも懸命にアリアの中を進み、遂に腰を完全に下腹部まで入れ込んだ。
「アリア・・・どうだい俺のは・・・?」
「いい・・・だから・・・動かして」
「OK・・・」
津田はアリアの中で自分の欲望を活発化させる。
初めてと言うこともありなかなか上手くは動けないが、それでも力の限り動かす。
見る人間からすれば下手かもしれないが、初心者なりにも懸命なその姿にアリアは嬉しさを感じる。
津田も始めてのその快感に酔いしれ、自然と腰の振り打ちを強くし、もっと快感を欲する。
「アリアの中・・・凄い・・・
ヤバイ、俺おかしくなるかも・・・」
「私もよタカ君・・・
嬉しくて、気持ちよくて・・・
どうにかなりそう・・・」
アリアは手の平を津田の頬に寄せ優しく撫でた。
実際のところ今のアリアは痛みばかり感じている。
手が多少震えていることから、それは津田にも伝わった。
痛みをこらえている彼女に敬意を感じながら、津田は自分の愛を見せるために腰を振った。
津田の動きに呼応するように、アリアの体も揺さぶられる。
「いいわタカ君!!
私の中でタカ君が、タカ君が脈打ってる!!
熱い!!熱いー!!!」
「アリアの中、凄いよ!!
暖かくて俺に纏わりついて離さない!!
俺のがアリアに引き千切られそうだ!!
最高だ!!最高だよ!!」
二人は一心不乱に乱れ始め、次第に津田だけでなくアリアも大分快感を感じるようになっていた。
彼女から溢れる蜜が、痛みを伴った出血の色を奪ってく。
二人は誰が聞いてしまうか分からない校内でありながら、それを忘れるかのように声を上げる。
「タカ君!!
私のこと好きって言って!!
大好きだって、愛しているって!!」
「アリア、俺は君が大好きだ!!
好きだ!!好きだ!!大好きだ!!
愛してる!!愛してる!!心の底から!!」
「嬉しい!!」
津田の言葉にアリアは胸が満たされていき、さらに痛みが薄れ快感を味わいやすくなっていく。
その一方で、二人の言葉はシノにとっては拷問のような響きだった。
だが二人に完全に忘れられたシノは、拷問のような二人の愛を見せ付けられながらも二人の性交から目を離せず、ただただ凝視していた。
しかし自然にシノは女性としての快感を感じ始め、その手は自然に秘所へと向かっていく。
「ああ・・・ああああ!!」
シノは無意識のうちに、友人の性交で自慰行為を始めていた。
シノもやはり自慰行為をしたことは数回ある。
その中でも格別な快感であった。
そんなシノに気づくこともなく、一心不乱に交わり続けていた二人に変化が訪れた。
津田の表情に余裕が無くなり始めたのだ。
津田がそれを悟られる前に引き抜こうとすると一瞬早くアリアが先手を打った。
「駄目よタカ君!!
このまま、このままでいて!!」
アリアは再び津田の背中に手を回し、足も絡め津田を逃がさないように固定する。
「アリア!!
でも!!」
「いいのよ!!
私は大丈夫!!
私をタカ君の物にするんでしょ!?
だったら、迷わず私の中で思う存分吐き出して!!
私もあと少しでイケそうなの!!
だから一緒にイカせて!!」
アリアは動きの止まった津田に刺激を与え続けるため、歪ながらも自ら腰を動かし彼に後戻りできない状況を作る。
「アリア分かったよ・・・
じゃあ、遠慮なくいかせてもらう!!」
「嬉しいわタカ君!!」
津田は再び腰を打ちつけ始め、アリアも最後の快楽を味わう。
残るは津田の本流を受け止めるだけだ。
「アリア!!アリアーーー!!
「タカ君!!」
だが一瞬早くアリアから津田のモノが引き抜けられ、アリアへの膣内射精は行われなかった。
「え!?」
思わぬことにアリアは驚きの声を上げる。
津田の精液はアリアの下腹部を白く染め上げた。
津田はアリアの絶頂する瞬間を狙い、了承したと思い込ませ彼女の拘束が緩んだ瞬間に抜け出したのだ。
「タカ君・・・酷い・・・
私をだますなんて・・・」
「アリア・・・今日は危険な日だったんだろ・・・」
「っ!何で分かったの!?」
「やはりそうか・・・」
「あ・・・」
「それくらい分かるさ。
もし安全なのならまず最初に言っている。
言わないってことは言えないってことだ。
別に推理でも洞察力でもない、普通に分かることさ。
アリアは嘘はつけないだろうしね」
二人の間に何ともいえない沈黙が流れる。
アリアは下腹部に付着した津田の精液を指で取ると、惜しそうに嘗め回した。
「まあいいわ・・・
当初の目的は果たしているみたいだしね」
思い出したように視線をシノに向ける。
シノも二人の性交で絶頂して座り込んでしまい、秘所と瞳から悲しさと欲望の雫を作っていた。
最早惨め以外の何者でもない。
「じゃあ戻りましょうか。
誰が来るかも分からないし、スズちゃんカンカンでしょうね」
その後一番体や衣服が汚れていない津田がトイレよりトイレットペーパーを確保し、二人はそれで体を綺麗にした。
一連の舞台となった教室も絶対に誰にも痕跡が見つからないよう清掃し、全ての証拠を隠滅すると何事もなかったように生徒会室に戻った。
やっとメンバーが揃った生徒会室。
三人はスズのブーイングを受けながら、業務をこなす。
アリアのいつも通りの姿に津田とシノは安堵しながらもちょっとした恐怖を味わいつつ、そのままいつも通りのペースでいつもの生徒会の空気になる。
これで全ては終わった。
その後も数日間平穏な時は過ぎていった。
アリアとシノは別段変わることない友人関係を維持している。
無論今までのように津田とのことを語ることはほぼ無くなった。
ただ津田とアリアの関係は、ただのデートをするだけでなく一気に進展した。
どちらかの自室、やはり色々と秘密にするには手間のかかるアリアの部屋ではなく津田の部屋に招かれては愛の営みに精を出した。
もう二度と後悔のないよう。
さすがに校内では出来ないが、それでも人目につかない場所でキスをしたり、数分間抱擁するなど出来うる限り恋人同士の繋がりを大事にした。
津田、アリア共に恋人として繋がりを持てることの嬉しさを胸に充実した生活を満喫していた。
二人は言われなくてもここまで自分たちと大胆にしたのはシノだということを理解していた。
決して感謝するなどそんなことは微塵も思っていない。
しかしあのことがなければここまで深く濃い繋がりを持つことは難しかっただろう。
皮肉なことだが、シノの横槍が二人の関係をより親密にしたのだ。
津田のファーストキスを奪われたことだけが気がかりではあったが、もうそれも忘れよう。
何も邪魔するものはないのだ。
三人のいざこざは消え、後は津田とアリアが愛を実らせていくだけ。
津田とアリア、そしてシノもそう思っていた。
しかし、津田の願いも虚しくその関係は脆くも崩壊してしまった。
それは例によって二人しかいない生徒会室内でのシノのとんでもない一言から始まった。
「おい津田。
私をレイプしろ」
「はい!?」
思わぬ言葉に津田は素っ頓狂な返事をしてしまう。
「会長一体何を・・・」
「なんだ言い方が悪かったか?
じゃあ、私を犯せ、強姦しろ、陵辱しろ、手篭めにしろ、辱めろ、慰み者にしろ、汚し尽くせ、
あとは・・・」
「そ、そうじゃなくて!!
会長分かっているんでしょ!?
遊んでないでどういうことか説明してください」
「フム、まあそうだな」
済ました顔でとんでもない言葉を連発するシノに振り回され、津田はため息をつく。
「では改めて、津田私をレイプしろ。
これは要求でもなければ命令でもない、脅迫だ」
「きょ、脅迫!?」
思わぬ言葉に津田は言葉を失った。
まさかそのような言葉が出てくるとは思わなかった。
「脅迫って、じゃあ従わない場合は・・・」
「君とアリアのことを全校生徒、教師に暴露する。
勿論校内でしたこともな」
「な!!」
これは思わぬことだった。
津田もただ驚愕するだけで、何も言い返せない。
「君も知っての通り、私は君が好きだ。
残念だが今でもそれは変わらない」
「はあ・・・」
「しかしだ、私は考えたのだ。
この校内においての恋愛の不自由さ、それを考えればむしろ君とアリアの関係は
隠すべき事柄。
それを知っている私は、君たちを脅迫することなど容易いとな。
恋愛では負けたと言わざるを得ないが、切り札のカードは私が握っている」
嬉々としてとんでもないことを口走るシノ。
津田は呆れる以前に、あれだけのことがあって懲りないシノに怒りが沸いてくる。
「会長アンタって人は・・・
そんな、脅迫してまで自分に愛を向けさせて楽しいんですか!?
いやこんなのは愛でもなんでもない!!
そんなことで俺を自由に出来て、アンタはそれでいいんですか!
満足なんですか!?」
「ああ満足だな」
「な・・・」
ストレートに返事をされ、津田は言葉に詰まった。
「このまま初恋の男を毎日目の前にしながら、友人の女といちゃついている様を卒業まで見せ付けられ。
一生実らなかった初恋を悔やむくらいなら、私はどんな手を使ってでも初恋の男との関係を望むさ。
何度も諦めようと努力したさ。
何度も何度もな。
でもあの時の君との僅かな繋がりから、私の体は疼いて仕方ないんだ。
あれから毎晩、あの時の夢を見ては目覚めて落胆する毎日を過ごすのはもう限界だ」
「会長・・・」
シノのこの言葉に津田は怒りを募らせながらも、やはり多少の同情はしていた。
彼女のしたこと、そして今しようとしていることは人として恥ずべきことだと言い切っても良い。
その渦中にいる津田にとっては怒らずにはいられない。
だが、それでも初恋の相手との関係が悲恋に終わってしまったこと。
そこに100%同情しないことは出来なかった。
自分は初めての告白が成功したから良かったものの、シノに限らず初恋が実らないことなど、それこそ実ることより多いだろう。
それにシノの言葉がなければ告白もしないで終わっていたかもしれない。
そう考えれば、シノのことを多少同情しなくもなかった。
だが・・・
「会長・・・
俺はアンタのこと、あの時まではそこまで否定するつもりはなかったですよ・・・
だからもう、これ以上馬鹿な真似は止めてください。
俺、これ以上アンタを軽蔑したくない・・・」
「言いたいことはそれだけか?
で、どうするんだ?
私の脅迫には応じないのか?
まあそうなれば間違いなく君は退学だな。
運が良くても停学。
まあどちらにしてもこの学園では一生後ろ指指されるわけだからもうこの学園にはいられないだろう。
事実上退学と同様か。
アリアがどう庇おうと、この学園はやはり女子の勢力が圧倒しているからな。
君など一たまりもないだろう」
「・・・」
「まあそう睨むな。
立場が逆で女性が男性に性行為を強要しているわけではない。
君にとってはそう悪い話ではあるまい、まさに両手に花だろう。
確かにスタイルではアリアには歯が立たんが、スレンダーさならそれなりに自信があるぞ」
「もういい!!」
津田の怒号がシノの言葉をさえぎった。
さすがのシノもビクッとし、瞬間目が泳ぐ。
「会長の言うとおりにしますよ・・・」
「そ、そうか・・・
よし、じゃあ君のご家族がいない時間を教えてくれ。
私の家とどちらにするか、検討して場所と時間は追って知らせる。
無論アリアにも絶対に知られてはまずいから、アリアとのデートのスケジュールなども忘れずにな・・・」
「はい・・・」
もうどうしようもない。
津田はアリアに申し訳ないと思いながらもシノの脅迫に屈した。
彼の受難はまだ終わらない。
「ようこそ、津田」
数日後、津田はシノに招かれ天草家にと足を運んでいた。
諸々の条件を鑑みた結果、この日が最適だと二人で合意したのだ。
「お邪魔します・・・」
津田は低い声で渋々と室内へと招かれていく。
「言うまでもないと思うが、今は誰もいない。
関白主義の旦那のように横柄にしてくれていいぞ」
「しませんよ・・・」
津田はどうしてもげんなりしたままシノに招かれ、二階のシノの部屋へと入っていく。
女子の部屋に入る、しかも他に家には誰もいない状況で。
男子としてはこの上なく緊張するシチュエーションであるのは間違いないのだが、ここに一人、女難に巻き込まれどうしても楽しめない稀有な例の男子がいた。
「じゃあ適当に腰をかけて待っててくれ。
くれぐれも周りの物を探ったりするなよ」
「・・・は〜い」
楽しそうなシノの笑顔と裏腹に津田はどうしても明るくは反応できなかった。
これからすることを思うと、アリアに申し訳がない。
そしてこれからも続くとなると、良心の呵責に耐えかねるのは至極当然のことだった。
そんな心持の中、津田はふとシノの部屋を簡単に見回した。
あからさまに本棚や机の上に、いかがわしい本やグッズ、18歳未満の立場でどう購入したのか本来なら突っ込んでいたものが目に入るが、今はそんな気分ではない。
テーブルの近くに腰を降ろすと、ただただこれからのことを考えていた。
数分後階段を上ってくる音がする。
「津田、お待たせだ」
シノはお盆に麦茶とお菓子類などを乗せて戻ってきた。
しかしまるで探られた形跡のない自室に残念そうな顔をする。
「って、本当に何も探っていないのか?
せっかく君のために色々用意したと言うのに」
「・・・」
津田は返事をせず、シノを一度鋭く睨むとまたそっぽを向く。
(津田・・・)
部屋の中に険悪な雰囲気が流れる。
津田の気持ちを思えば当然なのだが。
「さて、じゃあお待ちかねのティータイムだ。
君はコーヒーや紅茶よりお茶が良かったのだよな」
シノは自分も腰をかけると、彼を歓迎する準備をする。
「ええ、まあ別に何でも構わないですよ・・・」
シノが手厚く歓迎しているのはわかる、でも津田はどうしても笑顔にはなれない。
「津田、これは美味しいぞ。
昨日母さんが買ってきてくれたのだが・・・」
「会長・・・」
「何だ?
もう私としたいのか?
やれやれ、アリアと何度もしているだろうに旺盛なことだ」
「あのですねえ・・・」
津田は呆れたように言い放った。
「会長、俺はアンタと恋人ごっこしにきたんじゃないですよ。
アンタの目的は俺の体なんでしょ?
だったらこんな茶番は止めて、することをさっさと済ませましょうよ」
その言葉にシノは悲しげな表情をうする。
「ちょっとくらいいいじゃないか・・・
私だって乙女だ、ちょっとこういう雰囲気も楽しみたかっただけなのに・・・」
シノは悲しげな表情で本音を告げる。
「会長、それは心が通じ合っていない状態でこんなことしても意味ないですよ。
俺はあくまで脅迫されてここにいるんですから」
津田の言葉にシノは軽くショックを受けた。
無論自分とてそんなこと理解していた、津田がここに来るのは秘密を守りたいだけなのだと。
どうやらこれ以上の会話は無意味、シノはそう悟る。
「・・・分かっている」
そう言うとシノは立ち上がり、上着を脱いだ。
「こう見えても、その・・・
私は初めてなのだし、こう見えても緊張しているんだ・・・
だから、少しは気遣ってくれよ。
これも脅迫だからな、強引なことをしたら許さないぞ!!」
シノの強気な態度に、津田はため息をつくと自分も立ち上がる。
脅迫している人間が強引にするなとか、最初にレイプしろと言ったくせにと津田は突っ込みたいのを我慢しつつ覚悟を決める。
「じゃあ、まずはどうすれば?」
「決まっている」
そういうとシノは目を瞑り、口元を前に向けた。
「二回とも私から、しかも君の寝ている時だったからな。
君からのキスが欲しい」
津田は何も言わずシノの肩を抱いた。
「分かっていると思うが・・・
ただのキスでは許さんからな。
私はレイプしろと言ったんだ、生ぬるい・・・
ん!!」
シノが言い終える前に津田はすばやく唇を奪った。
津田ももう心得ている、シノは自分と熱い結びつきが欲しいのだ。
不本意ではあるが、遅いか早いかでいうなら早く済ませたほうが良いのは明白だった。
「ん・・んん・・・」
津田はアリアの時と同じように懸命にシノに舌を絡めさせた。
シノはその嬉しさで、津田の肩に手を回す。
あの時自分からキスをして舌を絡めたときも気持ちよかったが、他人からされるのは、ましてや好きな男からされるのとは段違いであることを感じていた。
(嬉しい・・・津田からキスしてくれるなんて・・・
本意でなくても私は幸せだ・・・)
アリアのときと同様、一頻りすると津田は口を離す。
シノは恍惚の表情を浮かべながらも、自然に笑みがこぼれていた。
「フフ、やれば出来るじゃないか津田・・・」
「だって、会長の機嫌を損ねたらばらすんでしょ・・・
だったら、本気でやるしか・・・」
「ほほう、まあその意気だ」
シノは笑みを浮かべ、ベッドに寝そべった。
「来てくれ・・・津田・・・」
嬉しそうなシノに対し、どうしても怪訝な表情しか浮かべない津田。
心の中ではアリアへの申し訳なさで一杯だった。
(アリア先輩、ゴメン・・・)
二人の奇妙な関係は、三人の非常に危うい三角関係は今始まった。
「タカトシィ!!タカトシィ!!
いい!!いい!!もっともっと!!」
津田の上でシノは懸命に動き、騎上位の状態で津田との性交に酔いしれた。
津田はシノの乳房に手を伸ばし、乳頭を指でつまみ刺激を与える。
あれからまた数日。
さすがにシノにとって初めての時は痛みもありあまり愉しむ余裕はなかったが、これでもう5度目。
彼女もこなれてきて、今では津田の上にまたがり自らが腰を振る状態だった。
津田も半分ヤケになり、どうせなら早く終わらせるためにと自分からシノの体に刺激と快感を与えていた。
しかし心の中では否定していながらも、結局はその行動も自分の限界を早めることになる。
「うう、会長!!」
「馬鹿!!シノと呼べと言っているだろう!!
そんな口はこうだ!!」
シノは自分の中指などを口に押し付け口内の唾液をたっぷり塗りつけると、津田の口内に侵入させる。
「んん!」
唾液を付着させた指を舌に押し付け、彼に唾液の味を押し付ける。
津田はヤケクソになり、逆にシノの指を舐め始めた。
ただでさえ興奮し気分が高揚していた津田は犬のようにしゃぶり始める。
そしてシノの腕をとり口から出させると、中指周辺だけでなく親指や小指など全ての指をしゃぶり始めた。
シノは満足すると、唾液の付いた自分の指を一本ずつ味わい始める。
「いいぞ、タカトシ!!
その意気だ!!」
シノの満足した笑顔、そんな彼女に津田は先ほど伝えたかったことを発する。
「かい・・・シノ!!
俺もう限界!!」
名前で呼ばれたことでシノはさらに笑みを浮かべる。
「タカトシ!私もあと少しだ!!
だから、もう少し!!」
そう言うとシノはラストスパートをかける。
「ああ!!タカトシ!!」
「シ、シノ!!」
二人は同時に叫び、同時に絶頂に達した。
シノは津田の溢れんばかりの精液を受け止め終えると津田の体に持たれかかり、彼の胸板に顔をうずめる。
彼女が絶頂した後はいつもこのパターンだった。
津田の肌、体温、鼓動の音、汗、全てが彼女にとっての最高の居場所だった。
シノは津田の汗を舌でなめ取る、時にはキスも含めさせ。
何度も何度も、広く広く。
舌に広がる塩味は、彼女にとって非常に淫靡な味だった。
そんな満ち足りた表情のシノを、津田は複雑な表情で見つめていた。
数分後、二人は裸のままで布団を被り一つのベッドで横になっていた。
シノは津田の体に密着し、いつまでも幸福な表情だった。
温泉の時のあの何とも言えない抱擁感、寝ぼけていたとはいえ彼女は既にあの時知らず知らずのうちに彼の魅力の虜になっていたのかもしれない。
「タカトシ・・・大好き」
「・・・」
シノの言葉に、津田はあくまで無反応だった。
彼女はこの状態で数分おき程度に同じ言葉をずっと言っているのだ。
そして体をずっと密着させ、津田の体温と匂いで自分の胸の中を満たしていく。
だが状況が状況なだけに津田の苦悩は深まるばかりだった。
こんなことをしていることがアリアに知られたら、きっと彼女はシノだけでなく津田にも激怒するだろう。
自分を脅迫の材料にされ、その負担が全て津田に押し付けられている。
一人で抱えている津田に、それが彼の優しさだと分かってもそれでも怒るだろう。
なぜ何も言ってくれなかったのかと。
シノもそれが分かっていた、だからこそ津田は絶対にアリアに知られないよう最大限努力すると。
しかし・・・
「かい・・・
シノ、一体いつまでこんなことを続けるんだ?」
その言葉にシノは津田の顔を見る。
「今は良いかもしれないが、こんなこと続けられるわけがない。
もしアリア先輩に知られたら、いくら脅迫するネタがあるといってもどうなるか・・・」
「まあ、その時はその時だ」
「か、会長!!」
何ともいい加減な返事に津田は思わず名前で呼ぶことを忘れてしまう。
さすがに今回ばかりはシノの突っ込みはなかった。
だがこの期に及んでもまだ自分のことをそう呼ぶとは・・・
彼にとって自分はやはり彼女としての女にはなれないのか・・・
彼にとっては敬語で会長と呼ぶのが素であり、呼び捨てで敬語無しで話すことの方が気を使っているのだ。
大抵の人間は敬語より普通の話し方を望むものだ、しかしそれが逆とは。
そんな悲しさがシノによぎる。
「私はアリアにばれることより、君との関係を少しでも長く、多く愉しみたいだけだ。
どうあっても私たちは君より早く卒業してしまう。
そうなればこれまでのように一緒にいられる時間が減るのは明白だ。
それに君もアリアとはそんなにしてないんだろ?」
「な、何で、そのことを・・・」
「フフ、やはりそうか」
またしても簡単なカマにかかってしまった。
今は夢を見ていると言う設定などないというのに。
相変わらず自分の無警戒さを痛感する。
「どうも最近君の勢いがやたら良いからな。
もしアリアとしているならここまでにはならないだろう。
いくら年頃で体力に満ち溢れているとはいえな。
無論君の精力など私は知る由もないから、結局はカマをかけたのだがな」
シノの言葉に津田は顔を背ける。
やはりどうあっても、この関係を止めるつもりはシノにはないのだ。
「しかし当てておいて聞くのもなんだが・・・
どうしてなんだ?
あのアリアの様子からして、それこそプライベートで会う度にしてるんじゃないのか?
てっきり隙あらばくらいの勢いかと思ったが」
「・・・何でも、あの出島さんという使用人の人が原因らしいです。
アリア先輩の服の匂いが嗅ぎ別けれる人みたいで、それで他人の、しかも男の匂いでも混じっていた日には隠し通せないみたいなんです。
今までも、例えば電車とかでも多少男性と密着してしまうこともあったわけじゃないですか。
その度に色々追求されたり、怪しまれていたりしたみたいで」
「ほほお」
「一度や二度なら偶然とも言い切れますし、さすがに見ず知らずの男の匂いを逐一覚えていることは無理みたいです。
でも毎度アリア先輩の服に独特な男の匂いが付いていれば、それだけで感づかれる危険があるって。
だから、なるべく服を触れ合わないようにはしてるんですが・・・
でもした後ってどうしても体に互いの匂いが残りやすいじゃないですか、特に男の俺の匂いは。
自分ではよく分からないんですが、俺の年齢って独特な匂いを発してるみたいなんです。
そんな俺と裸で触れ合って、その後服を着たら服に匂いがついちゃうだろうって。
だからあまり迂闊にできないんです。
そりゃシャワーでも浴びれば体の匂いは消せても、する時はいつも俺の部屋なんですよ。
そこでその間俺の部屋で脱いでいた時に付いた独特な匂いが服に染み付いたらそれまでは消せないって」
「なるほど。
やはりあの人にも君たちの関係は隠し通すことにしているのか?」
「まあ・・・
あの人もあくまで使用人なんで知ったとしてもあまり無下に他言したりはしないでしょうが、それでも妙に愛されているみたいで今までのようにはいかないみたいですね。
それに感づかれてご両親に知られたら・・・
というのを恐れているみたいです。
ご両親はアクティブな方なんでそれほど問題ではないらしいんですが、多くの人が出入りする場所なんでどう外部に漏れるかが分からないとか。
やはり未成年ですしね。
疑われる前に気づいたんで、多分感づかれてはないだろ言うことみたいですが・・・」
津田の言葉にシノはいやらしい笑みを浮かべた。
この状況はどう見ても自分にとって非常に有利だ。
津田とアリアは積極的に出来ない、それに二人の関係もやはり知られてはまずい。
切り札の優位性は高く、今現在ターゲットである彼の自分による占有率も低くない。
それにこれまでは自分があまりに津田の精力を奪っては、アリアに悟られてしまうのではという可能性も考えていた。
なのでシノはシノなりに津田の精力を鑑み、ペース配分を調整していたのだ。
しかしアリアと思うように出来ないのなら、自分への配分を増やしてもさほど問題はない。
良いことずくめである。
シノは続けて質問をする。
「中出しセックスはしたのか?」
「な、何を聞いているんですか!!
しましたよ、一応二回ほど・・・」
唐突にとんでもない質問をするシノに動揺する津田、それに相反しその言葉にシノはニヤっとする。
シノとタカトシは今まで何度も最後は中出しフィニッシュをしている。
脅迫された内容の条件として、シノが指示した時のフィニッシュは必ずアリアの時のように抜き出すのは禁止と言う条件だったのだ。
ただしその対象は必ず最低条件として危険な日は絶対に避けてという約束だけは交わしていた。
さしものシノも、いくら安全日だからと言って絶対に大丈夫だろうなどという安易な考えはしていない。
いや、それでもこれだけの回数をしてしまえば妊娠しない保証はない。
だがそこは彼女の中のルールが緩く、結局脅迫による関係に過ぎない以上、愉しめる時に愉しんでしまおうという欲望が強かった。
津田はなんとか自分はイカないよう何とか努力するのだが、アリアとしていない以上、健康的な彼が耐えるのは酷という物だった。
それに結局一度に一回ではなく、どうしても複数回させられては最後まで持ちこたえることなど不可能だった。
繋がったまま津田とフィニッシュを迎えた回数、俗に言えば中出しされた回数で言えばシノが完全に上回っているのだ。
「なるほどなるほど。
フフフ、どうやら神様は私の味方のようだな。
これならアリアの奴も、仮にこの状況を知っても迂闊に口は出せないだろうしな」
「卑怯ですね・・・」
そう言いながら津田はシノに冷淡な視線を向ける。
「タカトシ・・・
今こうしていることを容認してくれとまでは言わないが・・・
とりあえず、そんなに深く考えなくてもいいんじゃないか?
君はアリアとの関係を守るため、私は君と繋がっていたいからこうしているんだ。
君が気に病む必要はない。
むしろ同年代の男子高校生なら願ってもない状況じゃないのか?」
「アンタに、何がわかるんですか・・・」
津田はさらにムスっとし、シノもその状況に困惑する。
そんなことで彼が納得するはずはない、津田とて初恋の相手と結ばれたのにずっと裏切り続けているのだ。
肉体的には快感かもしれない、しかし後ろめたさが支配する以上それも意味はない。
それは分かっていたのだが。
「今は先ほど言ったように互いの利害が一致していると言う事実だけで私は十分だと思うが・・・
まあ心配するな、彼女は決して勘が鋭いわけじゃない。
私もフォローするし・・・
アリアと出来ない分を、私で発散すればいいじゃないか。
・・・と言っても、君はどうあっても私との関係を愉しむ気分ではないのだな?」
「出来るわけないでしょ・・・
罪悪感でいっぱいですよ」
「フフ、でも最近はここに来て直ぐくらいにも元気だったりするじゃないか」
「そ、それは・・・
・・・ん」
言いかけた津田の口をシノが塞いだ。
シノは津田がこちらを向く瞬間を狙い定めており、向いたその時にしてしまおうと狙っていたのだ。
シノの軽いキスが津田の言葉を遮り、口を離すと今度はシノから言葉を発した。
「まあ何も聞かないでおいてやる。
さて、じゃあそろそろネクストステージにいくか」
シノから放たれた言葉に津田は驚愕する。
「え!?
まだやるんですか!?」
「当然だ」
そう言うとシノは布団を退け、再び津田にまたがった。
「おお?
ちょっとだがもう元気じゃないか、今の簡単なキスで興奮したか?
それともだんだん私とのセックスが楽しくなってきたんじゃないか?」
「ノーコメントで・・・」
「まあいい、人間素直が一番だ」
シノは嬉しそうに津田のモノを頬張る。
「うう・・・」
津田のモノは本人の意思に反して、あっという間に硬質化する。
シノは毎度二度目の時はこうやって津田のモノを強制的に次のラウンドにいける状態にしていた。
それもこなれてきて、津田が興奮するポイントをかなりマスターしていたのだ。
「よし、もういいかな。
それで、タカトシ・・・」
「はい?」
「私は君に何と蔑まれようと、軽蔑されようと、憎まれようと・・・
君が・・・君のことが大好きだ・・・
そして今、二人でこうしていることが最高に幸せだ・・・」
シノは頬を蒸気させながら、乙女の笑顔で津田に告げる。
その表情は恋をしている可憐な乙女そのものだった。
こんないきさつがなければ、彼女は誰もが認める純粋無垢な恋する乙女だった。
「だけど、俺は・・・」
「いいんだ・・・
私は君が好き、そのことだけ君にはずっと理解しておいて欲しい。
もう聞き飽きたかもしれないが、それでも私には何度言っても足りないんだ。
タカトシ、大好き・・・愛してる・・・
心の底から・・・」
この気持ちだけ、シノは何度も津田に告げた。
津田を脅迫して肉体関係を強要したシノだが、津田の口から自分のことを好きだと言わせることはしなかった。
彼女の中で今の自分は肉体だけを求め、津田はそれに応えているだけというのをはっきりさせていたのだ。
だから今はこれだけでいい、シノは再び津田との性交を開始した。
「・・・シノ。
俺は・・・う!!」
再び始まった快感に津田の言葉は遮られた。
津田の言いたいことも耳に蛸が出来るほどシノは理解している。
今はこうすることが一番手っ取り早かった。
緩やかな動きは次第に速度を増していく。
二人の快楽に溺れた喘ぎ声が聞こえる中、その途中その不協和音は変化を開始した。
「フフフ・・・」
「え?」
再び快感を得ていた津田の耳に含み笑いが聞こえた。
シノに視線を向けると、俯いていた彼女からその笑い声は聞こえた。
「フフフフ!!アハハハハ!!
タカトシよ、私は君のキスを二度も先に奪った。
そして中出しセックスの回数も私の方が多い。
更にこれからも差は開いていくだろう!!
まだまだ私の優位性は揺るがないぞ。
アリア、申し訳ないなあ!!
フフ、ハハハ!!
アハハハッハハーー!」
シノは狂気をはらんだ笑いを含めながら、自ら腰を一目散に上下運動させた。
「アリアー!!
見ているかアリア!!
タカトシとのセックスは最高だぞ!!
君とタカトシのを見せてもらったが、あの時よりタカトシはもっと情熱的だぞ!!
君としていたときよりもなー!!
アハハハハ!!」
「シ、シノ・・・」
まるでアリアが既にこの世にいないかのような口振り。
そんなシノに津田は戦慄を覚えるが、悲しいかな既に臨戦態勢に入っている津田のモノは快感を欲するだけの性具に成り果てていた。
このままではまたも良いようにされてしまうのは明白だった、ふと不安がよぎった津田はシノに確認をする。
「シノ、今日はもう中には出さないよな・・・」
「ん〜?どうしようかな〜」
「ちょ、ちょっと!!
さすがにこれ以上は・・・」
小悪魔のようなシノの表情。
津田は思わぬ返事に困惑する。
不安にかられれるが、悲しいかなやはり津田のモノは勢いを萎えさせない。
だが津田を無駄に不安にさせてしまったことに気づいたシノは腰の動きを緩め、会話に集中する。
「おっと、タカトシ安心しろ。
今のは冗談だ。
最後はちゃんと外してやる。
さっき君にいい事を聞いたからな」
「い、いい事って・・・・?」
「これまでの私はいつこの関係が崩れるか分からない不安感でガムシャラだった。
しかしどうやら君と一番繋がっているのはこの私だ。
その関係も安定している、なら焦ることはないからなあ」
「だ、だから?」
シノはさらに笑顔を浮かべ、舌なめずりをしながら津田の顔の正面ぎりぎりまで迫る。
シノの麗しくも怪しい表情が迫り、このような関係を持っていながら津田は赤面する。
「これからはジックリ、ジ〜〜ックリ君との関係を愉しんでいこう。
知っていると思うが私は知識が豊富で、色々なアイテムを持っていて、その使い方も熟知している。
今までは後悔のないようとにかく感情的で自分が愉しむだけだったが、今は余裕が出来た。
私の知識で君を骨の髄まで愉しませてやる、最初はちょっと痛いこともあるかもしれないがまあ心配するな。
直ぐに慣れさせてやる、私の可愛い可愛いペットのようにな・・・
これからが楽しみだなあ。
ハハハハハ!!!」
シノは上体を起こすと再び狂喜し、腰の動きに専念し始めた。
津田はシノの真意、そしてその笑い声に言いし得ぬ寒気を感じた。
もうどうしようもないのか、自分はこの人にあと一年半もの間弄ばれるのか。
この様子では、受験のために時間を割くなどということはしないつもりだろう。
「タカトシ、最高だ!!
あの時私の耳を劈いた言葉を君に聞かせてやろう!!
何度でもな!!
タカトシ大好きだ!!愛している!!心の底から!!」
「シ、シノ・・・」
シノは先ほども言った、以前津田とアリアが校内でした始めての時に交わしていた言葉を逆に言い聞かせた。
この二人の会話は、あの時のシノにとって拷問のようだった。
だがそれを今自分の言葉で言い返した、勿論皮肉のために。
そんなシノを津田は哀れむような眼で見つめる。
「タカトシ、君は一生私のものだ!
在学中とは言わない。
私が大学生になっても、社会人になっても!!
もし君がアリア以外の女性と付き合おうとしても、脅迫することが出来なくなっても!!
私は君の元から離れない!!一生を君と終えて見せるぞ!!」
シノの恐るべき宣言。
津田は戦慄や寒気だけでなく確実に恐怖を覚えた。
(ダ、ダメだ、もうこの人は・・・
そして俺自身の人生も終わったのかもしれない・・・)
この人は壊れている、津田はハッキリとそれを悟った。
そして津田の気持ちも何かがハッキリと折れた。
もう彼女に何を言っても、何が起きても無駄だ。
彼女は自分を諦めない。
そしてそんなシノに目染められた自分も、もう終わってしまったんだと。
シノは一度は失恋した男とこうして関係を持ち、その彼が付き合っているはずの彼女よりも優位な立場にいる。
津田の心は奪えていないことを考えれば非常に虚しいことなのだが、そんなことシノにとって何も関係なかった。
この秘密の関係がいつまで維持できるのか、それすらも彼女にとっては関係ない。
今愛すべき男と私とが結ばれている、その事実だけが彼女にとって大事なのだ。
悲恋、友への裏切り、寝取り未遂、そして友をダシにした脅迫の末に得たこの結果。
何と奇妙な愛憎劇だろうか、そんな果ての結果に、満たされて充足していく自分に、止められない、いや止めようとも思わない劣情が支配する今の自分の状況。
シノは津田に悟られるまでもなく、自分の中で何かが壊れた感覚を覚えた。
しかし、それすらも今の彼女にとって些細なこと。
この淫らな快感を貪れるだけ貪り、それを続けられるだけ続ける。
シノの頭にはもうそれしかなかった。
生徒会役員4人のうち、3人の危うい関係。
その真っ只中にいる津田タカトシ。
シノに恋の相談をしてしまったことから始まったこの受難はまだ続く。
以上です。
長くなりましたがお付き合いありがとうござんした。
ここでこういうのを書くのは良くないかもとは思うんですが、もう一つの案としてキレた津田が演技でシノを恫喝するようにレイプして、シノの恋心も全てをぶち壊すと言うのもあったんですが、
それは可愛そうだと思い没にしました。
こんなのを書いておいてアレですが、自分は断然シノタカ好きです。
本当はこれもシノがタカトシを好きすぎて、というのを題材にしてこういう形になったものなので。
もしこのSSを保管庫に入れてもらえるなら、ジャンルはその他でお願いします。
次回は既に案が出来ているので、終始シノとタカトシがイチャイチャするようなのを計画中です。
エロが入るかはまだ決めてません、だってパターン一緒になってしまいますもん。
実際こんな感じの話を体験した事がある身としては恐ろしいとしかいいようがなかったデス
救いの手を合えて登場させない、登場しないというのが黒い物を生み出すのに拍車をかけてた
や、シノが気の毒だった。次回は王道的なものを是非
ヤンデレシノの重すぎる愛、これもまた(・∀・)イイ!!
乙でした、次回投下まで全裸待機
単純に読みづらい
改行しないわ…使わないわ糞過ぎるだろ
内容以前の問題だしこんなのダラダラと投下されても迷惑なんだが
>>286 乙&GJ
こういう話もドキドキしていいもんですな
>>289はシノ厨か荒らし
GJ!
アリアエロ可愛いよアリア
このシノはもう心が壊れちゃったんだな
ただ、諸悪の根元はタカトシな気がするw
>>286 出来ればコテ付けてもらえると助かります
ヤンデレや凌辱は解禁されてるから全然大丈夫ですよ
ただ、心配なら前書きを書いたらいかがですか?
ヤンデレ好きなんでたまらんです
出来たらヤンデレスズが見てみたい
乙
原作の雰囲気が大切という意見もあるけど、
こういうのがエロパロだと思うんだ
gj
やはりヤンデレは恐ろしいな……
まぁ、ヤンデレ、NTR、レイプ等マイナス思考な作品は最初や名前欄にその事記載しとけば苦手な人も回避できるから付けとくといいかもね。
こういうの苦手な人はとことん苦手だろうし……
>>286乙。
この後シノはアリアも手篭めにした上でタカトシとアリアに対して
「学校全体に関係バラされたくなかったら自分も混ぜろ」とか言い出しそうだな。
んで3Pやら強制百合やらあれこれ要求したり?
ちなみに俺的にはシノがランコを買収してタカトシとアリアの情事を隠し撮りさせた上で
その画像をダシに揺すりをかけるって展開を予想しておりました・・・・・・
>>286 乙
まあ確かに読みにくいことは読みにくい
でも量からしてもすごい頑張ってるのは伝わってきたから新作も期待してます!
このスレには一人?変なのがいるから、酷い暴言吐かれても気にしないようになー
ん、俺のことか?
そんなつもりはないのだが・・・
まあ何れにせよ次の職人の投下がくるまでマターリ待機
実際レイプやヤンデレってどれくらい需要あるんだろ
俺は大好物だけど
普通にあるでしょ、単純に氏家漫画の世界観、キャラに合わないから投下も要求も少なかったというだけだし、嗜好はそれぞれ。
巷の同人誌が世界観無視キャラ崩壊お構い無しな、そちら傾向のが多いのを考えれば、
本来ヌキ目的のためのエロパロスレとしたら、ここは原作の雰囲気を重視する余り、エロの可能性を薄くしてしまった、ある意味「臆病」だったとも言える。
まあ個人的には読みたいような読みたくないような、複雑な気持ちは確かにあるけどなw
まあNG用にコテつけろって話だ
みなさんこんにちわ。小笠原高校3年、城嶋シンジです。
突然ですが質問です。俺は今思春期の妹に、保健体育の教科書を突き出されながら
「だってコレ、普通のことしか書いてないんだもん!!」
と八つ当たりされています。こんな時、俺は一体どんな顔をすればいいのでしょうか?笑ってる場合じゃないというのはわかりますが。
「お前チェックはえーなー」
「健全な高校一年生として当然だよ!」
「いや、そんな高一は多分お前だけだ」
とりあえず突っ込みを入れたりして。
「大体、お前が保健に興味あるなんて初耳だぞ。将来は看護師にでもなるつもりか?」
昔、こいつの夢を何度か聞いたことがあるが、『人妻』だの『子持ち妻』だの『団地妻』だの、まともな返事を聞いたことがなかった。今考えれば、『おにいちゃんのおよめさん』というのが一番まともだったなぁ…orz
「そんなんじゃないよ。でも残念だなぁ。参考になるかと思ったのに…」
「何の参考だよ」
「セックス」
「ぶほぁっ!?」
いや、わかってたけどね。こいつがまともな女子高生じゃないってことは。ちょっぴりド忘れしてただけで。
「カナミ、あのな…」
「バラすよ」
「すいませんでしたぁっ!!」
即効で土下座。こういうのを『尻に敷かれてる』っていうんだろか?orz
「最近ちょっとマンネリ気味だからさ。何か新しいプレイの参考になればって思ったんだけど」
「ちょ、おま」
「お兄ちゃんは、何かしてみたいプレイってある?裸エプロンもやったし、ソーププレイもやったし、そろそろコスプレに手を伸ばす時期なのかな?」
「頼むからその口を閉じてくださいお願いします!」
「ん〜とりあえず、今夜はブルマでシテみよっか?シチュエーションは『好きな先輩に処女をささげる覚悟で体育倉庫に呼び出した後輩』でいい?私もう処女じゃないけど」
「もう好きにしてください…」
この暴走妹を止める手立てを、俺は何一つ持っていないわけで…
「やったぁ♪あ、コホン。か、勘違いしないでよね!別におにいちゃんが好きってわけじゃないんだから!」
「いやツンデレられても」
「ただお兄ちゃんの赤ちゃんが欲しいってだけなんだからね!」
「それはもっとまずいだろぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
全国の思春期の妹を持つお兄さん、誰かいいアドバイスを俺にください。orz
以上、空気を読まずに妹ネタでした
>>300 津田…M男だから無理
シノ…Mだけど和姦前提っぽい。二次でならOK
アリア…興味あり
スズ…アブノーマルは嫌い。むしろ白馬の王子様待ち
横島先生…レイプにならない
主要メンツではこんな感じじゃね?
カナミはもう....となッ!
さりげなくカムアウトか
誰かカエデネタ書いてくれないかな
保管庫の方、更新ありがとうございます。
ハマナカのエロいマサヒコ@とAが投下されてませんでしたが…追加していただけると助かります。
それとヤンデレ職人さんも乙です。
さて、こちらはまったりと投下します。
タイトル:副会長、御乱心C
カップリング:投下終了後に表記します
前回の続きで畑さん視点です。
エロは薄めで
↓でわでわ
私は畑ランコ。
好きな曜日は金曜日、趣味は脚色。
そんな私は今日に限って、早く登校して新聞部にて作業を行っている。
「こんな内容じゃ……新聞にはならないわね」
改めて、昨日撮った写真を確認する。
津田副会長と、会長が性を交わす場面。表現を緩めればよいかもしれないが、それは私のプライドが許さない。
そしてもう一つ気になったことがある。
「萩村さんからのメール……」
行為の最中に彼の携帯電話に届いた一通のEメール。証拠画像はバッチリ収めている。
もし彼女と事前に行為をしていたのであれば、会長との行為は浮気になる。
どちらに対してもの、深刻な裏切り。
私が告白シーンを収めることが出来たのは、生徒会顧問である横島先生のリークがあったからだ。
だとすれば、横島先生は事前に副会長が告白することを知っていたということになる。もしかしたら、浮気してることも……。
それだけじゃない。もし、彼が2人に留まらない行為を展開させているとすれば、そしてそれを先生が承知していたとしたら。
「私が調べるべきなのは、彼だけじゃない」
横島先生だって調べなければならない。
なぜ副会長が乱心をしているのか、どこまで進んでいくのか。そしてなぜ、先生は知っていながら傍観に徹するのか。
「時間は、まだ早いわね」
そう思って時計を見るも、時刻は8時前だ。今の時間は職員会議などで忙しく、とても隙がない。
行くならば生徒の側。私は津田副会長を引き続き追跡することに決め、昇降口へと向かった。
昇降口へ行くと、丁度よいタイミングで彼の姿を見ることが出来た。
左隣に、ポニーテールの凛とした女性を連れている。
「隣にいるのは……柔道部部長の三葉ムツミさんね」
彼女については以前取材したことがある。
彼に好意を抱いている感じはあった。だが見る限りでは、性を交わした様子ではない。
それより気になるのは、手紙だ。
双眼鏡で確認してみると、靴箱の中からラブレターらしき封筒が現れたのだ。
2人の口の動きを見てみる、『イッテミタラ』『ソウスル』と言っているように見える。
ズーム調節をし、手紙に記された文字を読み取る。『屋上』というキーワードがそこにはあった。
ここは先回りをすべきだと判断し、2人から離れて階段を上る。
「でも、本当に来るのかしら」
無意味な不安が頭を過る。いや、彼の性格なら行かないわけがない。
そう思い私は屋上のドア前に着く。ドア窓から外が見える。網に手をひっかける女子生徒がそこにいた。
幸いにも私の存在は知れていない、確信し音が鳴らないよう扉を開く。
扉を開くと同時に、秋風が吹き声が出そうになる。
私の位置からでは彼女の顔を知ることは出来ない。だが、いずれ知ることになる。
これは戦い、何度も脳裏に過らせて武器を握る。
事前に用意していたパチンコ玉サイズのカメラ&盗聴器だ。これを彼女の近くにまで転がせば、音を拾うことは容易だ。
彼女がこちらを振り向く前にと、死角に隠れてカメラ&盗聴器を転がせる。
振り向くなと願いながら即座に隠れる。だがその瞬間だった。
「誰だ!!」
大声と共に彼女は振り向いた。ドアの反対側で死角となっている私は見つからないが、カメラ&盗聴器はそのままだった。
沈黙の中で私は見つからないことを祈る。それと同じく、盗聴器とリンクしたイヤホンを装着する。
「……チッ、気のせいか」
それはイヤホンから聞こえていた。どうやら存在に気付くことはなかったのだ。
良かったと胸を撫でおろすと同時に、疑問をもってしまう。
「もしかして彼女が、告白を?」
だがあの威圧感は、恋する乙女の類ではない。
そう思っているとドアの開く音が突如響いた。
「副会長!?来るの早かったわね」
できればゆっくりと準備をしたかったが、仕方がない。
私はカバンからポータブルテレビを取り出し、盗撮カメラとリンクさせた。
そこにいたのは、やはり津田だった。
彼は一歩ずつ歩き、女性の背後へと立つ。
「手紙をくれたのは……キミ?」
彼女は何も答えずに、ゆっくりと振り向いた。
長い前髪に隠れた右眼、鋭い眼光をもつ左眼。お嬢様学校に不相応な乱れた服装。
こんな格好をしている女性は、学園広しど一人しかいない。
「時さん?」
トッキーこと時さんだ。
もし彼女が告白をするのだとすれば大穴だ。ワクワクが止まらない。
だがカメラ越しに見る彼女の表情は、恋する乙女ではなかった。敵と対峙するかのような。
「そう、アンタを呼んだのは私だ」
両手で網を掴み、彼女は答えた。
時さんの頬には紅潮が見えず、声にも振るえが見られなかった。おそらく告白ではない、別のことを話すために呼んだのだろう。
回りくどいことではない、確信し。
私は彼女の声を聞き逃すことのないよう、イヤホンの音量を一段階上げる。
「昨日一緒に歩いてた、萩村先輩とは付き合ってんのか?」
時さんの質問は、私の想像を超えるものであった。
メールでしか知ることのできなかったこと、知らなかった場面を彼女は知っているのか。
「ああ、付き合ってる」
返す津田も、また意外であった。
ここに私が立てた二股説は、事実だということが判明した。
だが喜ばしいことではない。時さんがタイルを見てふと笑った。
「そーか、それならよかった――」
彼女の笑みと共に、津田の表情が緩んだその瞬間だった。
私も――おそらく津田すらも思い描くことのない事態が起こったのだ。
盗聴器が鈍い音を微かに捉えた。
その音は、時さんと津田の間から聞こえていた。
信じられない状況が、私にはスローモーションで見えていた。
時さんの拳が津田の鳩尾へと突き刺さっていた。ブローを食らっていたのだ。
「ぐっ……!!」
悲鳴にならない声を出し、津田は膝をつく。
唐突なる攻撃に体が対応できていない。息すらも整えられなかった。
「それなら何の抵抗もなく、アンタを潰すことが出来る」
津田は息を整えるのに精一杯で前が見えていない。
だからこそ時さんは追撃した。腰に目掛けて踵落としを放ったのだ。
声も無く、津田は横たわる。
いかに危険であろうが、理解する意識がなかった。苦痛に耐えるだけで、逃げる余裕が無いのだ。
突如現れた状況を知るには、私の情報ではあまりにも少なすぎる。
瞬間、津田がゆっくりと立ち上がり時さんと対峙する。
「な……んで、こん……――」
返事を待たずに、追撃が襲いかかる。
顎に右ストレートが直撃し、仰向けに倒れた。
「心当たりが無いなんて言わせねーぞ、テメエが昨晩何したか頭捻って思い出せ!!」
そこで、初めて時さんは自らの感情を顕わにする。
カメラ越しだと分かっていても、鳥膚がたってしまう。恐怖を感じてしまう。
彼女の怒りの矛先が、津田の暴走する先にあった。
時さんの指す『昨晩』を、私は知る由がない。2人だけが知る真実がそこにあったのだ。
津田の襟を掴み、無理矢理立たせて顔を近づける。
「まさかテメエが妹に手を出すクソ野郎とは思わなかった」
前髪に隠れた右目から涙が流れていた。
盗聴器から聞こえた事実を、私は聞き逃さず捉える。
全ての怒りは、『友情』だったのだ。
時さんの話が事実だとすれば、津田は萩村さんと付き合っている上で、会長に告白・セックスをし、その晩に妹を犯したことになる。
その行動は常識を超えたものであり、沸点を超越する事件であると容易に納得できる。
「アンタも所詮、他の男と一緒かよ」
放たれた拳は、強いタメをもったものだった。攻撃は鼻にあたり、双穴は多量の血を垂れ流す。
凄惨な現場は見るに堪えないものへと変化していた。
「コトミに手を出すクソッタレは私が潰す」
あらゆる場所から流血し反撃すら出来ない津田を、時さんは決して許すことはしなかった。
そして彼女の攻撃は、最もの生死に関わる頸へと移る。
彼女はそのまま、頸を締め出したのだ。
「あっ……があっ……」
津田は抵抗しようとするが無駄だった。
時さんは馬乗りとなり右腕を抑えているため、四肢が全く機能しないのだ。
これは盗撮どころでない。最低限度の常識を弁える私は、この所業を止めようと立ち上がった。
バレたって構わない。こんな場所で、事件が起きてはならないのだ。
「やめてェッ!!」
だが時さんの暴走を止めたのは、私ではなかった。
純黒のツインテール、呆れるまでに実直な瞳。それは先程に昇降口で見た彼女だった。
「みつ……ば?」
そこにいたのは柔道部部長の三葉ムツミ。
津田とはクラスメイト、時さんとは柔道部での先・後輩関係にあたる。
「トッキー、何してんの!?」
穢れを知らない底抜けまでにピュアな彼女を、ここまで頼もしく思ったことは無かった。
ゆっくりと歩を踏みしめながら、時さんのもとへと迫っていく。
「チッ……部外者は下がれ――」
感情のままに拳を突き出す。だがそれは衝撃を起こすことはなかった。
本来なら胸に当たる筈の攻撃を三葉は避け、視界から姿を消したのだ。
時さんの動きが止まる。正拳を外した疑念からか、それとも消失したことから来る隙なのか。
兎に角も、彼女には大きな隙が出来ていた。喧嘩と格闘技の違いか、対象を見失うことがここまで影響するのか。
三葉は、時さんの左側へと回っていた。
彼女の目は芯が宿っていた。決して私闘を行う目ではない、正義なる格闘家――否、柔道家の目だ。
「破アッ!!」
時さんの左手にふと触れた、その瞬間だった。
三葉は右で袖を掴み、自らの肩へと引っ掛ける。そして時さんの足が宙へと浮かぶ。
「グッ……」
まさに一瞬の出来事だった。
時さんの攻撃をかわし、あっという間に反撃の一本背負いを極めてしまったのだ。
インターハイ二回戦出場の経歴は伊達じゃなかった。
勝負は決した。
投げられた後、時さんは立ち上がろうとしなかった。
負けを認めたのだろうか。
「タカトシ君、大丈夫?」
三葉は彼女が動かなくなったのを確認すると、ボロ布と化した津田の頬を叩いて意識を確認する。
当然ながら息はあるらしく、彼女はふと微笑みかけると肩を使って起き上がらせた。
「保健室……行こっか?」
こうして2人は屋上から離れて、階段を下りて行った。
哀しみの感情を伝える手段も持たずに、タイルを叩く時さんを残して……。
そして私も、気付いたら保健室の前にいた。
津田がいなくなった以上、時さんを観察し続ける理由などない。
だが彼女の存在も無駄ではなかった。津田の所業を知ることが出来たのは何よりも大きかった。
「それを考えると、彼女も危ないわね」
自分で言っていて冗談とは思えなくなる。
保健室という密室で、思春期男女が二人きり。何も無いことなどありえるだろうか、いやない。
三葉は自分から彼を押し倒したりはしないだろう、だが津田はどうだ。
人間、瀕死状態であると性欲が滾るという話は聞いたことがある。
まさに今の津田は瀕死状態だと言える。だとしたら、三葉は拒むであろうか……。
私はもう一度深呼吸をし、保健室を覗くことにした。
「あれ……ここは?」
起き上がった津田は上半身裸だった。彼女が脱がせたのだろうか?
殴られた痕なのか、体のあちこちに内出血や脹れが目立つ。
「保健室。ケガ酷いから寝てていいよ」
そんな津田の額に、濡れタオルをあてているのは三葉ムツミだ。
怪我の介抱をしていてとても立派に見えるが、彼の裏の顔を知ってしまえばそんなことは到底出来ないであろう。
暫し2人の間に、沈黙が流れた。
彼女の頬が微かに桃色がついていたが、あまり気にしないことにしよう。
「三葉……」
その沈黙を打ち破ったのは、津田だった。
三葉は体を以前として拭きながら答える。
「なあに?タカトシ君」
「訊かないんだな、オレが殴られてたこと」
確かに彼女の行動は狂気じみていた。だがスイッチを入れたのは間違いなく津田なのだ。
それでも三葉は表情を変えることはしない。
「言いたくないんなら言わなくていいよ。それより私、謝りたいの」
「えっ……なんで?」
彼女の言葉に驚いたのは、私も津田も同じだった。
いつにもない笑顔で、三葉は答える。
「何も考えずに、『行ってみたら?』なんて言っちゃって……タカトシ君も傷ついちゃったし」
私も津田も、三葉の性格は承知している。
天真爛漫で、恋愛を前面に押し出さないことも。ラブレターを見つけたからといって嫉妬に狂うこともないということを。
「謝りたいのはオレだよ。それより……助けてくれてありがと――な」
津田はゆっくりと起き上がり、三葉の項を掴んで引き寄せた。
それは目を疑う光景だった。なんとキスを交わしたのだ。
「タカトシ…君……」
唇が離れると、三葉は現状を飲み込んだのか紅潮する。
2人の光景はさながらラブストーリーのよう。勿論、津田のしてきたことを知らなければだ。
「ムツミ、愛してる……」
2人を止めるものはなかった。
時さんから受けた傷跡は未だ引かず、脹れたままである。
だがそれすらも、彼の膨張を促進させるものだったのだ。
抱擁しながら、ディープキスをしながら。
様々な方法を用いて、二人の愛は固いものになっていく。
いつの間にか2人は全裸になり、攻勢も逆転していた。
津田が攻め、三葉が毛布を銜えながら襲ってくる快楽に耐えているのだ。
「ムツミ、我慢しなくたっていいよ」
「だって……恥ずかしいもん」
声がしなくたって、私は分かってる。
彼女が充分すぎるほどの快楽を受けているということ、そしてもう限界が近付いているということも。
秘所を舐める力が、徐々に変わっていく。
それに応えるかのごとく、気持ちも抗えなくなっていく。
「――っあ……んん――っ!!」
そして津田がもう一段階と舌を進めた瞬間、三葉は津田の頭を掴み奥へと押しやる。
歯型が残りそうな程に毛布を噛んだかと思ったら、背をピンとして痙攣を起こしたのだ。
ピュアの代名詞のような三葉ムツミが、一番エロから遠かった彼女が。
誰よりも官能的な表情を晒していた。自らの深淵を知ってしまったのだ。
「タカトシ君……はや……く」
そして今や、自ら悦楽を求めて捩るようになったのだ。
私が知る、誰よりも艶やかだった。自分に正直なところは、濡れ場と呼ばれるものでは変わりはしなかった。
「じゃあ……力抜いてな」
三葉が求め、津田は自らの凶器を示した。
これを見るのは二回目だが、恋愛対象でない異性のモノを見るのはやはり慣れない。
やはり避妊具の類を装着することはしない。
どこまでも自分に正直なのは、彼も同じなのだ。
「うんっ、でも……タカトシ君がするなら痛くても平気だよ」
その言葉は肯定を示していた。
どこまでも彼女はピュアで、だからこそ扇情的だった。
津田は彼女の示す言葉通り、分身を一気に挿し入れたのだ。
「痛いか……ムツミ?」
「平気って――言ったじゃん。気持ちよくして……」
三葉は、既に私の知る彼女像を超える別人へと成り果てていた。
だが決して堕ちた女ではない、清純と艶の混じった特有の――大人の女性になっていたのだ。
彼女の笑顔が、津田を狂気に変える。
津田は無心で腰を打ち続ける。それが彼女の望んでいることなのだと知っていたから。
だがその一方で、保健室外から覗きこむのはあまりよい気分ではなかった。
津田の人間像が、悪い意味で大きく変わってしまったのだから。
幾多の浮気、重ねていく情欲。
無論ここまで知った彼のことを放り出すわけにはいかない。
津田の進む先、堕ちる先を見届けなければならない。私には微かに、でも確かに感情が揺らめいているのだ。
「ごきげんよう、畑さん」
私が考え事をしながら情事を覗く横側から、突如女生徒が話しかけてくる。
彼女は私が知る人物であった。
「あら五十嵐さん。会うの久々ですね」
栗色の三つ網ヘアーに、風紀委員の腕章。
風紀委員長の五十嵐カエデさんだ。
男性恐怖症を除けば、まあまあのスタイルに博識と、意外とセールスポイントの高い女性だ。
「まあね。何を見ているの?」
だが彼女は私が覗いていた保健室に、興味津々の御様子だった。
ここでどうたら垂れて罪を見逃してもらおうとは思わない。彼女の検視を容認したのだ。
えっ…五十嵐さんの反応を見る為にわざと見せているのかって?
何をふざけたことを言っているのか。
「いっ…淫猥!風紀が乱れてるわあーっ!!」
当然だ。当たり前に決まってる。
異性恐怖の典型的マジメ人間が、情事の場面を見て正常でいられるわけがなかった。
「期待通りの反応……88点だわ」
津田の暴走を頭の隅におき、私は彼女の反応の清純さに心を落ち着けていた。
それが現実逃避であることを知りながらも……。
以上でCは終了です。
見ての通りカップリングはムツミ×タカトシとなりました。
9KB→11KB→12KB→14KBと作る度に容量が増えてますが気にせず……
ハッピーエンドになるよう、かりかりしてきます。
コトミの為にキレるトッキーかっけー。ピュアで優しいムツミかわええ
しかしここからハッピーエンドに進むのは難易度高そうですなw
乙&GJでした
>>319 乙&GJ!
ここからどうハッピーエンドにするのか期待
カエデは実は巨乳
>>322 ジャッジ……新聞部です。その話詳しく……
303氏、宣氏、乙&GJ
今週号の話から、欲情したアリアがタカトシのことを思ってトイレでオナヌーするお話キボンヌ
>>324 よしきた。ひらめいたんでちょっと書いてくる。
目標は今夜中。
>>323 以前扉絵で水着カエデがあってだな
男嫌いなのに豊満な身体…ゴクリ
鳥テスト。
こんばんは。
>>325こと ◆vLXBuC8goU です。出来上がったので投下にきました。
約三時間で書き上げたので短いですが、ご了承ください。
あと、原作と微妙に違っているのも気にしないでください。
タイトルはお嬢様の秘め事です。
では、次レスから投下開始です。
運動部・文化部ともに活動に精を出している放課の時間帯のことだった。生徒たちによる学園自治組織である生徒会もまたその
例外に漏れることなどなく、メンバーがそれぞれ仕事に励んでいた。
長である生徒会長の天草シノは各クラブから上がってきている要望書へと目を通していっていた(大半が予算を上げてといういつも
ながらの内容)。
ナンバーツーである副会長・津田タカトシはシノが読んでいった書類を、自分だったらどういうふうにしてその要望に応えるのかを
レポートにしてみろという、シノから出された課題をこなしている最中だった。
つい先日に行われた部活動活動報告会に参加した際の議事録を、ノートからパソコンへと清書していた書記を務める七条アリアの
身体がビクンっと震えたのに、また自分の仕事をしていた萩村スズが気づいた。
「先輩、どうしたんですか? 顔、真っ赤になってますけど……」
ひとまず手を止めたスズが心配げにアリアへと視線を送る。
ほうっと気だるげに息をついたアリアの姿を、ふたりのやり取りに気づいたタカトシもまた見やる。
瞬間、アリアと視線が合った。
朱に染めた頬。濡れた瞳。少し落ち着きなくもじもじとしているところが、思春期まっただ中の青少年を直撃した。
(なんか、色っぽくないか……? それもかなり)
アリアと見つめ合っている状況も忘れ、思わずごくりと生唾を呑み込んでしまったタカトシ。
どことなくピンク色な空気が漂ってきている生徒会室。そしてそれの主因であるアリアが立ち上がる。
「シノちゃん」
「ん? ああ、アリア。確かに顔が赤いな。どうしたんだ風邪でも引いてしまったか? 確かに今は季節の変わり目であることだし、
そうなりやすいときでもあるし……」
「そうじゃないの。ちょっと欲情しちゃって……。これ鎮めないと仕事できそうにないから、少しトイレ行ってきていいかな?」
そしてお嬢様が投下してきた爆弾に、シノ・タカトシ・スズは言葉を失った。
「「…………」」
絶句してしまっている後輩ふたりよりも先に再起動できたシノが、はあっと盛大なため息をつくと出入り口のドアを指差した。
「そういうことはいちいち許可をとらなくてもいい。さっさといってこい」
次いで我に返ったタカトシ&スズが互いの顔を見合わせると、これまた同時に嘆息した。
「あはは、やだなー、冗談だよ。ホントはただ催してきちゃっただけ。ちょっと紅茶を飲みすぎちゃったみたい」
手元に置いている魔法瓶を指差したアリアが、ご令嬢らしく品よく笑った。
「だから、ちょっといってくるね?」
座していたパイプ椅子から腰を上げたアリアとタカトシは目が合った。
(まだ顔赤いみたいだ……。ホントに風邪でも引いちゃってるんじゃないのか)
もはや熟練の域に達しつつあるツッコミスキルとは対照的に、女性の機微を察することに関してはまだまだ未熟なタカトシは気づけ
なかった。
自身が情欲の対象としてアリアから見られているということを。
「ん……っ」
席を立ち生徒会室から出てきたアリアから悩ましげな吐息が漏れる。身体が熱い。湧き上がってくる性に対する衝動が、アリアの
肉体を苛む。
生徒会室がある二年生教室が主に入っているフロア。ここに据えられたトイレが一番近いのだが、そこで発散するのはいささか気が
引けた。
この間も火照り続ける身体を叱咤して三階――三年生教室のトイレへと入った。そして人気がないことを確認すると一番奥の個室の
ドアを開けて鍵を掛けた。
「はぁっ、はぁっ、はン……っ」
ビクンっと身体が小さく震えた。目的地へとたどり着いたことで安心したのか、少女は軽い絶頂へと至ったようだ。
便座へと腰を下ろして荒い呼吸を繰り返していった。
ブレザーのボタンを震える手つきで外していく。そのため普段なら難なくできることであるはずのことなのに、その動きのスピード
は実に緩慢なものだった。
やっとのことでそれを終えるとブラウスは上部のボタンだけを外していった。
言うまでもなく、これ以上は我慢できそうになかったからだ。
そして高校生としてというよりも日本人離れしているという表現でも、決して過言ではないバストがお目見えした。うっすらと汗ば
む胸の谷間。
フロントホックを外して下着の拘束から逃れることができた双つの果実が、喜び勇んで飛び出してくる。
高まっている性感によりぷっくりと膨らんだ乳輪、そして頂点を飾る乳首はともに薄い桜色だ。
そろそろ秋本番に突入という時期でもあるためどこかヒンヤリとした空気が漂っている個室内。その外気に触れたことで可憐なサイ
ズであった乳首が、次第に存在感を増していく。
「んっ、うぅっ、はぁっ」
ご自慢の巨乳へと両手をもってきて揉みこんでいく。勝手知ったる己の身体だ。もとより遠慮の必要などあるはずなく、昂ぶり
続ける肉欲へと躊躇うことなく浸っていった。
「津田くぅん……っ」
アリアの紅唇よりやや鼻にかかった喘ぎが漏れた。一学年下の後輩の名前を呼んだアリアは、乳房への愛撫を更に加速化する。
絶賛発情中であるお嬢様。
早熟であったアリアがこの淫らなひとり遊びを覚えたのは、小学校高学年のことだった。
そのきっかけとなったのは、両親の睦みごとを偶然見てしまったためというわりとありがちなものだった。
母の股間に父が普段とは桁違いに大きくなった男性器を突き刺していく。それにより母の口から溢れてくる艶やかな声。
なかなか寝付けなかったため大好きな両親とお話ししようとやってきたアリアを、その睦み合いは少女を性の入り口へと誘ってい
った。
結局、話などできるわけなくて自室へと引き返してきたアリアは、モヤモヤとした気分を晴らすことができずにいた。
それと同時に下腹部から熱い衝動が沸き起こってくることに、まだ幼い肢体が気づいた。
両親が互いの股間をぶつけ合っていたことを思い出したアリアは、震える手で自身の股間へと手を這わせていき――そして新世界
が広がっていったのだった。
その日を境にしてオナニーを嗜むようになったアリア。想像の中での彼女の相手を務めている人物のことを、行為中の間はしっか
りと覚えている。
だが、肉欲に満たされた後始末をするときになると、それが誰だったのかを思い出すことはできなかった。
初めは不思議に思っていたことなのだが、次第に性戯にのめり込むようになると気にならなくなっていった。
その不思議な現象がなくなったのは、一年半前――津田タカトシが生徒会へと加入したときのころだった。
ある晩にて。
いつものように自らの肉体をまさぐっていたアリアの脳内にて、彼女の相手を務めたのは出会ってまだ間もないタカトシだった。
全てを終えたあと、まだよく知りもしない少年をオナペットにするだなんてなどとへこんだりしたものの、その後も決まって夢想
でのお相手役はタカトシ。
今までのひとり遊びよりも遥かに強い快楽を、アリアへともらしてくれるようになっていた。
恒例化したことで半ば吹っ切れて気にしなくなったアリアは、家に帰ると日々のタカトシとの会話を脳裏に描いてオナニーに耽っ
ていく。
タカトシは時に恋人のように、またあるときは自分勝手な傲慢極まりない肉欲をアリアへとぶつけてくる。
「あんっ、そんな津田くん……。オレの前でオナニーして見せろだなんてそんな……」
そして今のアリアの脳内でのタカトシは、アリアが自慰行為をすることを強要してきているようだ。
「わかり、ました……。アリアのエッチなおっぱいを見てください……」
露出していた乳房がぶるりと大きく揺れた。手のひらで特大バストを弄んでいく。タカトシが醜いものでも見るような侮蔑的な目
を送ってくる。
「ああっ、はあっ、ダメ、気持ちいいのが、止まらないの……っ。手が、てが止まらない」
両方の手のひらにより、もみくちゃにされ続けている双丘。少しばかり痛いほうが最近のお気に入りであるご令嬢は、指先にて
乱暴に屹立した乳首をぎゅっと摘まんでいく。
瞬間、脳内にて電流がはじけ飛んだ。おとがいをそらして身体を震わせるアリア。
呼吸を乱らせながら目の前へと視線を移す。
「おっぱいアクメは気持ちよかったかって……。はい、気持ちよかったです。えっ、そんな……」
口ごもってしまったアリア。しかし、脳内での少年が命じてきた酷薄な指示に逆らう術はない。
「そんな、そんな……牝豚マ○コを見せろだなんて……。牝豚だなんて酷いよ。ああっ、わかりました。うん、そうだもんね。
津田くんに前の穴だけでなくてアナルもレイプされちゃった私は、逆らうことなんて、できないんだもんね……」
哀しげにそう漏らしたアリア。
閉じていた股をそろそろと開いていく。開脚された股の間から濃厚な女の匂いが立ち込めてくる。
「できました……。はい、パンツも下ろさせてもらいます」
腰へと両手を当てて豪奢な白いレース地が美しいショーツを下ろしていった。トロトロと分泌され続けている愛液でベトベトに
なっていためか、股間のショーツが離れる際に銀糸の橋を架けた。
無言で先を促してくるタカトシに従い、再び両足は開脚してスカートをたくし上げる。
「わ、私のオマ○コ……どうですか?」
右手の人差し指と中指で大陰唇をくぱぁっと割り開いていく。勃起したことで包皮を脱いだクリトリス。とくとくと愛液を漏らし
続ける膣口が現れた。
発情しきった女の陰部そのものだった。
「これで、これで許して……。えっ、オレがレイプしてやる気になるぐらいの本気オナニーをしろって……」
視線を彷徨わせアリアは逡巡する。しかし、決断まで時間を掛けることは許されていない。
「はい、ここ、んっ、が見えますか? 津田くんのおっきなオチ○チンでバージンを奪われちゃった、あっ、アリアのオマ○コ
です……」
陰唇を開く役目は左手へと譲り、空いた右手で恥丘を撫でさすっていく。
妄想内のタカトシがいきり立った陰茎を取り出してきた。こくんと口内に溜まった唾液をアリアは嚥下した。
むき出しとなっているクリトリスへと指を這わせたことで、ビクっと大きく便座に腰かけている少女の肢体が揺れた。
アリアの脳内にいるタカトシが、パンパンに膨らんだ肉棒をしゅっしゅっと前後に動かしていた。
目の前にいる可憐な少女を犯す準備のためのその行為。それによりとぷっと溢れてくる先走り汁。恐る恐るアリアが源泉たる膣
口へと指を触れさせていく。
そして人差し指を狭穴へと差し入れていく。
しかし、侵入は第一関節までで留められていた。これより先に進むことへの躊躇いが生じたためだ。
処女の本能が働いたことにより、膣内オナニーから媚粘膜全体を愛撫するものへと移行していった。
「はぁんっ、そう、エッチなの。私はエッチなことばかり考えてしまう牝豚なのぉ……。津田くんからレイプされることばかり
考えてお股を濡らしちゃうの!」
ビンビンになっていたクリトリスを押しつぶしたことが引き金だった。
「はんっ、ダメ、津田くんに精液ぶっかけられてイっちゃう……っ!!」
妄想のタカトシは白く濁った欲望の証を浴びせかけてきたことで、アリアは公共の場といってもいい学園内のトイレにて禁断の
絶頂へと上り詰めたのだった。
自慰後のため大きく気だるげに、しかしながら蠱惑的に震える魅惑の乳房。そっとそれへと手を伸ばしたアリアは、呟いた。
「ダメ……。オナニーだけじゃ満足できなくなってきてる」
小さく息をついて後始末するためにトイレットペーパーへと手を掛けていった。
「もっと強い刺激――本物の津田くんに満たしてもらわないと……」
汚してしまった個室を掃除しつつ、アリアはタカトシをどうやって墜とすかの算段を練り始めていくのだった。
翌日の生徒会室。
「えっ、七条先輩休みなんですか?」
「ああ。今朝方にお家の方から連絡があってな。風邪を引いてしまったそうだ」
昼休みを迎えたことでいつものように昼食をメンバーで共にすべく、生徒会室へとやってきたタカトシとスズへと先に到着して
いたシノが説明した。
「季節の変わり目だからな。朝晩はかなり冷えるようになってきた。昨日からすでにどうも熱っぽかったみたいだしな」
「そうですね。皆で気を付けましょう」
弁当箱を開いたスズが大きく頷いた。
「…………」
弁当に箸をつけずに黙考しているタカトシ。
(まさかホントにトイレでオナニーして身体を冷やしちゃって、それで風邪引いたなんてことはないよな……?)
いつもの重量感たっぷりな下ネタだったと思いたいタカトシ。
トイレに行く折にアリアが見せてくれた艶っぽい姿をネタにして、昨晩は自家発電に勤しんでしまったタカトシの表情はどこか
複雑なものだった。
この日より一か月後の今年の桜才祭にて。
アリアが仕掛けてきた誘惑にまんまとハメられたタカトシが、彼女をハメてしまったことで付き合うことになるとは、まだこの
ときのタカトシが知る由もなかった。
(おしまい)
以上で投下完了です。お付き合いいただいた方、お疲れ様でした。
投下されている職人の方々、本当にお疲れ様です。
私も負けないように精進していきます。
それではまた、次の機会にて。
>>333 エローイ!!
GJだ
しかし一ヵ月後の出来事も書いてくれたらGODJOBだぜ!
いいわぁ。いいわぁ。眠れなくなってしもうた…
台詞回しの暴走っぷりが、良い塩梅でアリアが言いそうな範疇にあるのが素晴らしい
で、1ヵ月後はいつですか
>>335 そこまでしてくれたら神だよな
まさにGODJOBだなwwwん?つまらんって?
超乙!
エロいよ、良いよ!
ベテランはどちらかというと無難にラブコメ下ギャグ>エロだが、
新しい職人はラブコメ下ギャグ<エロだな、評価したい
>>334 324だが、まさか本当に投下してくれるとは
ありがとう、そして乙、さらにGJ!
当方全職人を応援しています、これからもよろしく
二作目なんで、鳥つけてみる。
なんか内容被りまくってる気がするけど、出来上がっちゃったんで気にせず投下させて。
タイトル:写真の向こうに君はいる
以下、諸注意。
・とりあえず長い。約40行×17レス程度消費する予定。
・長いけど今回もエロは少々。しかもただの自慰。
・キャラが違う。超違う。
・登場キャラは三葉、畑、津田。
こんなんでよければどうぞ。
三葉ムツミは、ピュアである。
ピュアであると周知されているし、彼女自身そう周りに言われ、ああ自分はピュアなんだ、と信じ込む程度には純粋な少女である。
しかし彼女のそのピュアな心を下ネタで蹂躙する少女達もまた、存在する。
同級生、先輩、後輩を問わず変人の多い桜才学園の中に二年通い続け、三葉の頭にもマニアックな下ネタこそ植え付けられているが、肝心の彼女がその意味をあまり理解出来ていなかった。
だからこそ、彼女は今日この日までピュアなままでいられた。
ピュアである事は変人の多い桜才学園において異彩であり、彼女の個性の一つとして認知されていた。
だが、彼女自身はその事に矜持を感じていた訳では無い。
むしろ時折周りの会話に付いていけなくなる自分の無知を悔やむことすらあった。
誰かに意味を尋ねても『ムツミはそのままでいて』と溜め息混じりに返されるばかり。
別にいいや、興味ないし。負け惜しみでもなんでもなく、彼女の真剣な答えだった。
彼女の純粋無垢と言う名の牙城は、一見すれば難攻不落の要塞にも見えたのだった。
………………………………………………………………………………
桜才学園は厳しい校則で知られている。
買い食いやジャージ下校、果ては恋愛に関してまで校則が定められている。
勿論、それらの厳しい校則をかいくぐって学生生活に励む生徒も少なくない。
現代っ子の女子高生(一部男子)達が真面目にそれら全ての校則を遵守できる筈もないのだ。
それこそ生徒会役員等の極一部以外の生徒は。
むしろ強過ぎる軋轢が、反発をより大きなものにする場合すらある。
新聞部部長、畑ランコはその例として取り上げられても仕方のないような女生徒であった。
「……ふむ、これは記事用ね。……ううん、こっちも記事用かしら」
新聞部部室にて、先週一週間分の写真を厳選しながら、畑は一人言を呟く。
彼女は新聞部員達が撮影してきた写真の山を、大きく二つに分けていた。
一つは校内新聞の記事として利用する、いわば健全な表の写真。
もう一つは記事として利用するには際どいカットの写真で、こちらは畑が全て引き取っている、いわば裏の写真。
新聞部部長の権限を利用して、記事として不要な写真を回収し、売り捌くのだ。
顧客は桜才の生徒、外部の人間を問わない。収入の一部は新聞部の部費に還元、多くは畑の懐へ。
勿論盗撮と半ば変わりのない犯罪行為であるのだが、現在の所、その実態は掴まれていない。
写真の厳選を終えた畑は、裏の写真の種類の少なさに溜め息をつく。
まともに売れそうなのは精々、偶然写った女生徒のパンチラくらいだった。
「最近はイベントもないし……」
せめて夏場ならプールがコンスタントにあるのに、と思いつつ畑は四枚しかない裏の写真を手に取った。
太もものアップ、体操着のブラ透け、強風によるパンチラ。
そして最後の一枚は、思わず眉をひそめるようなものだった。
「津田君ねぇ……」
新聞部内に密かに彼を慕う女子がいるらしく、何故か部員から提出された写真に津田の写真が普通に交じっていた。
教室で一人、昼休みに机に伏して昼寝をしている時に撮られたのであろうその一枚。
結構近い距離で撮られているが、当の本人から新聞部に何も苦情がない以上は感づかれていないと考えるのが自然だろう。
腕枕から覗く幸せそうで無防備な表情は、なんとなく母性をくすぐる可愛らしい写真であると、畑も若干は感じる。
しかし、畑はイマイチそれの利用価値を見いだせずにいた。
記事としては勿論使う事は出来ないので、一応こちら側に入れてはいるが……。
どの部員が献上した写真かは分からないので返却する事も出来ない。だが、捨てるのも勿体ない。
畑自身が津田に特別な好意を持っている訳でもないので、畑自身が所持するにも手に余ってしまう。
津田もそこそこ人気があるので多少の需要もあるにはあるが、天草会長の写真の売り上げには及ばない。
せめてここで眠っているのが天草会長なら、焼き増しを約束された優良商品となっていたのに。
畑は叶わぬ願望にさっさと見切りをつけ、今ある写真の有効利用を考える事にした。
「差し当たっては……あそこかしらね」
津田の隠し撮り写真を懐にしまい、畑は席を立った。
あの子自身は隠しているつもりだろうけど、傍目に見ればあの子が津田に好意を持っているのは明白。
会長あたりに売ってもいいけど、公明正大な彼女が買い取る訳なぞある筈もない。
だからピュアなあの子に、ちょっとおませなプレゼント(有料)としゃれこもう。
畑の足は、体育館……柔道部の練習場へと向かっていた。
………………………………………………………………………………
その日の夜中。
パジャマ姿の柔道部主将三葉ムツミは、自室の机の上にある二枚の紙切れを眺めつつ、唸りを上げていた。
帰り際、制服に着替えている時に、柔道部の部室の自分のロッカーに放り込まれていた物だ。
「『練習中のようでしたので、こちらにお邪魔しました。お代は後ほど』
……って言われてもなぁ」
一枚は写真。同級生の男子生徒、津田タカトシの寝顔の写真だった。
もう一枚は、上記の言葉が書かれた簡素なメモ。一体差出人は誰かと思ってメモを裏返せば、畑ランコと言う署名がされていた。
三葉は不思議だった。何故畑先輩が、私にこんな写真をくれたのだろうか、と。
そして『お代は後ほど』と言う事はつまり……お金をとるのだろうか。勝手に写真を押し付けてきたのに。
畑に文句を言う権利くらいはあるだろうと携帯電話を取り出すが、生憎彼女は畑の電話番号を知らない。
「……明日返せばいいや」
三葉は早々に思考を、目の前の写真に切り替える事にした。
写真の向こうの津田は無垢な寝顔を惜しげなく三葉に披露してくれている。
思わず写真を凝視してしているうちに、三葉の頭に一つ疑念が湧いた。
「そもそも、タカトシ君は撮られた事知ってるのかな?」
ふと、三葉の頭にそんな疑問が浮かび上がってくる。
もしもタカトシ君が知らないままなら、これは確か、なんだっけ、そう、盗撮だ。盗撮じゃないか。
本当に盗撮だったら、タカトシ君はこんな写真があるのを知らない。
いつのまにか寝顔の写真が人の手に渡ってると知れば、どう思うだろう。
自分に重ねてみれば分かる。見ず知らずの誰かが自分の恥ずかしい写真を見ているのだとしたら……。
「……ちょっと、やだな」
背筋が少し寒くなる。それと同時に、彼女に津田の写真を所持している事への罪悪感が沸き上がってきた。
タカトシ君は今、こんな気分を味わっているんだ……だとしたら、可哀想だ。
彼にそんな思いをさせるくらいなら、こんな写真はない方が良いに決まっている。
畑さんに返すより、今処分して、私がお金を払った方が円満解決するよね。
心優しい三葉は写真を捨てようと、机の上のそれを取り上げて、脇のゴミ箱の上まで運ぶ。
そして、そこで動きが止まってしまった。
捨てなきゃいけないのに、指が離れようとしない。
ダメだよ、早く捨てなきゃ、タカトシ君が可哀想だよ。と心の中は叫んでいる。
でも、一方で、ゴミ箱に写真を捨てる、と言う行為に思わず手が止まってしまう。
「……人の写真をゴミ箱に捨てるのって、なんか気分悪い」
捨てる決意は、己の独り言のせいで急速にしなびていった。
でも、だ。これを所持している訳にはいかない。別の案は何かないだろうか。
「……タカトシ君に言えばいいか」
三葉は閃く。そもそも、この写真が盗撮によって撮られた写真であるのが問題なのだ。
本人から許可が降りれば別に捨てる必要もない。せっかくよく撮れてるんだし、勿体ない。
三葉は携帯電話を開いて、津田の電話番号を呼び出し、コール。
プルルルル……と、無機質な音をバックに、津田に言うべき事をおさらいして……そして慌てふためいた。
考えるより先に手が動いてしまった自分の浅はかさを、三葉は後悔する。
電話をかけて、なんて言えば良い?
タカトシ君の寝顔の写真があるんだけど、どうすればいいかな?
などと言えば、津田は当然、何故そんな写真を持っているか疑問に思うだろう。
『もしかして、三葉が撮ったの?……それって、盗撮だろ』
津田の冷徹なドン引き声が、まるで本当に聞こえてきた気がした。
慌てて電話を切って携帯電話を閉じて、ベッドの上に放り投げる。
ダメだ、タカトシ君に言うのは止めだ。嫌われるのは何が何でもゴメンだ。
……この際、仕方ない。秘密にしてれば、多分バレない。やっぱり明日畑さんに返そう。
畑先輩が渡してきた写真なんだし、彼女からタカトシ君に告げ口されることはまずないだろうし。
三葉はそう考え、心の中で津田に謝りつつ、改めて彼の写真を見つめる。
「……ふふ」
三葉は思わず笑みを零した。
さっき見た時はあまり考えていなかったのだが、よくよく見れば津田の寝顔が全面に写った、三葉にとって至高の一枚であった。
三葉ムツミは津田タカトシに想いを寄せていた。
いつの頃かははっきりせず、初対面の頃か、それより後か、最近になってかは分からない。
しかし今では三葉自身も、津田への好意を明確に自覚していた。
その大好きな津田の寝顔を、こうして好きな時に眺められるのであれば、別に良いか。
写真を捨てる、もしくは返すと言う選択肢は、段々と三葉の中から消滅し始めていた。
「可愛いなぁ、タカトシ君」
そうやってぼうっと津田の写真を眺めているうちに、ムツミは我に返る。
確かに言わなければバレはしないだろうが、だからってこうやって穴が空く程写真を見るのはタカトシ君に申し訳ない。
気を紛らわそう。そういえば、今まで忘れていたが今日は宿題があった筈だ。三葉は鞄を漁り、ノートと筆記用具を取り出す。
……だが、三葉の集中力は十分も続いてくれない。
気がつけばシャーペンもノートの上に打ち捨てられている。教科書は支えを失って閉じっぱなし。
手は無意識的に、机の上の津田の写真に向かっていた。
「…………はっ!」
自分の手を引っ込めて、ニヤつく自分の微笑みに気がつき、三葉は頭を振る。
消えよ煩悩とは思ってはみるものの身体は正直で、油断すれば津田の写真に意識が向いてしまう。
苦手な勉強では煩悩は払えぬと痛感した三葉は、本棚に溜め込んである柔道の雑誌を読む事にした。
柔道家達が熱く戦う写真を見つめれば、自然と心も身体も熱く滾ってくる。煩悩なんていちころだと、三葉は安堵しつつ雑誌を捲る。
確かに熱くなってくる。くるのだが……。
「……あれ、この人なんかタカトシ君に似て」
自分の独り言の意味する所を察知した三葉は、読んでいた雑誌を素早く閉じて本棚に強引に突っ込んだ。
どうしても頭は今日偶然自分の手に転がり込んだ、想い人の寝顔の写真の方に向いてしまう。
このままでは負けちゃう、もう今日は早めに寝よう。宿題は……明日誰かに写させてもらおう。
一体彼女は何と戦っているのかも分からないまま、しかし目の前の敗北から逃げる為に電気を消して、頭から布団を被る。
……言うまでもなく、彼女が就寝する事は叶わない。
頭の中を駆け巡る津田への想いは、布団で押さえつけられるような生易しい物ではなかった。
「………………」
数分後、無言で布団をはぐり、三葉は灯りをつける。手を伸ばした先には津田の写真。
恋する乙女の我慢の限界であった。
「えへへ……」
津田の写真を眺めて、三葉は少し頬を赤くしながらも、嬉しそうに微笑む。
間近で見ると、津田の顔の思わぬ特徴をも知る事が出来た。
ほくろの発見、案外高い鼻、今まで気がつかなかったが奥二重……etc。
仲の良い『友人』の三葉は、ここまで至近距離から津田の顔を見る機会はなかった。
こんなに寄る事なんて、それこそキスでもするんでなければ有り得ない。
「……キスかぁ」
未知の感覚である接吻について想いを馳せた事は過去に何度もある。
柔らかいのにはきっと間違いないんだろうけど、どんな感覚なのだろう。
初キッスはレモンの味がする、と言う迷信を未だに信じている純情な三葉は、自分と津田のキスを妄想してみた。
………………………………………………………………………………
理想のシチュエーションは、やっぱり学校からの帰り道。
自分の部活が終わるまで待っていてくれたタカトシ君と肩を並べて下校する。
帰りに寄り道して遊ぶのは校則違反だけど、公園に寄るくらいならば生徒会のタカトシ君も許容するだろう。
二人でベンチに座って、他愛もない会話を繰り広げ、ふとした瞬間に見つめ合って、タカトシ君が言うのだ。
『三葉、キスしても、いいか?』
そして私も彼の目を見つめ返して、少しはにかみながら答える。
『……うん、私も、したい』
『じゃ、目、閉じてて』
『う、うん……』
………………………………………………………………………………
ここでレモン味。なにがなんでも、レモン味。少なくとも三葉の中では、それはもはや確定事項だった。
ほんの少し前のように相手もいないのにキスの感覚を想っていた頃とは違い、今は具体的にキスしたい人がいる。
しかし、その想いは果たして成就するものなのか。
愛しの彼の周りは才色兼備な女の子だらけ。柔道一直線で頭も悪い自分なんかに、彼は振り向いてくれるのか。
そう考えると苦しくなる、不安を何かにぶつけたくなって、どうしようもなくなってしまう。
いつもは腹筋背筋腕立て伏せで心を無に帰すのだが、今の彼女の手の中には例の愛しの彼の写真。
三葉の心臓が大きく跳ね上がった。
……写真の彼にキスをしてみる、と言うアイデアが頭に浮かんでしまった。
不安は多少紛れるかも知れない、でも、いくらなんでもそんなの……。
まるで変態みたいじゃないか、と三葉は誰に見られている訳でもないのに躊躇していた。
躊躇はしていたが、否定はしなかった。キスへの興味、津田への恋が三葉の背中を後押しする。
踏みとどまるのは、自分の中の初心な心がブレーキをかけるからだ。
はしたないから、やってはいけない。それが彼女の好奇心の唯一の障害だった。
「……でも、やっぱり」
ものの数十秒程で、彼女のブレーキは陥落した。
別に誰かに見られる訳じゃない。だったら、大丈夫だよね……。
と、三葉の唇は、ゆっくりと、しかし確実に写真へと向かい、進む。
3cm、2cm、1……そして、0。
口をつけた。三葉は目を瞑り、写真の中の津田と唇を合わせた。
ラミネート加工のツルツルしたフィルムの感触が三葉の唇に返ってきていた。
それは当然だ。瞑っていた目をゆっくりとあける。
目の前にあるのは単なる写真だ。決して生身の津田タカトシではないのだ。
「……やっぱり、違うんだろうなぁ」
三葉は唇を写真から離して、溜め息を吐く。
イメージが湧かない、と言うのが三葉の正直な感想であった。
実際の経験がないのに、キスなんて感触の想像ができない。
三葉は改めて写真を見る。こんなに近いのに、彼がさっきよりも益々遠い存在に思えてきた。
馬鹿らしい。気分も冷めてきた。三葉は欠伸を一つ、部屋の電気を消そうと立ち上がった、その時。
「〜〜♪〜♪」
携帯電話が、着信を知らせていた。
時間は十一時過ぎ。夜分遅いかどうか、高校生にとってはギリギリのラインだ。
ベッドの端に投げ出されていた携帯電話を取り上げ、発信者を確認する。
……津田タカトシ。そう表示されていた。
「え」
当然三葉は平静を保てない。何故、今、よりにもよってこのタイミングで。
眠ろうとしていた頭が、まるでカンフル剤でも投与したように覚醒する。
先程写真が相手とは言え津田に口づけをしていた訳で、頭の中身はタカトシ君一色状態に逆戻りしていた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう!
慌てた状態で出て、変に思われたくない。でも早く出ないと切れちゃうかもしれない。
混乱に混乱が重なった三葉だが、なにより大事な電話に出るという事だけはできた。
「も、もしもし!?」
微妙に声がうわずってしまったが、電話口の津田が気にした様子はない。
「あ、三葉。さっき電話くれたろ?
時間も遅いからかけ直そかどうか迷ったんだケド……もしかして、今寝てた?」
「え?……あ!い、いや。起きてたよ……」
先程津田に電話をかけかけた事を、三葉はようやく思い出す。
わざわざ電話をかけ直してきたらしい。
その時ばかりは三葉も、タカトシ君も余計な気遣いをしてくれた、と彼を心の中で非難した。
「悪いね、今まで風呂入ってたんだ。で、三葉、何か用?」
「あ、そ、それはね……ええっと……」
口籠る三葉を、津田は不思議には思うが、不審に思う事はなかった。
今度は三葉の都合が悪かったのだろうか、と津田が心の中で申し訳なく思っているなんて、三葉は毛程も知る事はない。
その一方の三葉は頭の中で言葉を必死に探していた。
電話した理由、理由……まさかさっき電話で言おうとした事を喋る訳にもいかない。
なにか丁度良い用事はないか、と三葉が必死で取り出した案は。
「あの、今日、宿題出たじゃない?」
「宿題……あぁ、英語の」
「私、あんまり英語得意じゃなくって……タカトシ君は、出来た?」
三葉としてはよくやった自分、と褒めたいくらい明確で妥当な用事であった。
自分でやるつもりなんて先程完全に失せてしまったのだが、そこは少し見栄を張る。
三葉が勉強のことで電話してくるなんて、珍しいな……と、津田は相変わらず不思議には思っていたが、一応明確な理由が示された事で納得する事にした。
「出来たよ。量は多いし時間かかるけど、教科書見れば全部分かる」
「そっか。うん、ごめんね、遅い時間に」
「いや、オレこそ。……もしかして、まだ出来てない?」
「……う、うん。まだ、やってないんだ」
貴方の寝顔の写真が気がかりで集中出来ませんでした、なんて口が裂けても言えない。
三葉は津田の、非難と言うよりは心配そうな声に、申し訳なさそうに返した。
呆れられてしまっただろうか……と不安になる三葉に、津田は優しい声をかける。
「まぁ、三葉は毎日柔道部で忙しいしな。仕方ないさ。
もし分かんない所があったら、また電話してくれ。オレ、まだ寝ないし」
「え、でも……」
三葉は部屋の時計を確認する。十一時過ぎ。遅い時間だ。
明日の朝練を考えれば、三葉はそろそろ眠るべきなのだが、それは津田にも言える事だ。
「タカトシ君、明日朝早いんじゃないの?
明日は校門で朝、服装チェックするって、教室でスズちゃんと話してなかった?」
「早いけど、それは三葉だって同じだろ?オレは平気だよ」
タカトシ君は優しい人だ。三葉は初めて会った日から今までで一度だってその認識を変えた事はない。
柔道部設立の手伝い、合宿のマネージャー、少しだけ勉強を教えてもらう事もある。
いやな顔一つせずにいつも三葉を助けてくれる。
彼には感謝している。でも、感謝している以上に、彼に恋をしている。だからこそ彼の事も心配だった。
「で、でも、やっぱり早く寝て。
わざわざ私の都合でタカトシ君に迷惑かけたくないよ」
「……ありがとう。優しいな、三葉は。でも、オレの心配はいいって。
それより、早く宿題始めろよ?
人に写させてもらうってのは、オレの立場上、認めちゃいけないし」
津田が笑いながらそう言った。三葉は受話器の向こうの彼が微笑んでいるのが見えるようだった。
津田の一言一言が、三葉の心に染み渡っていく。津田の言葉に暖められ、三葉は思う。
この人を好きになって良かったと、心の底からそう思う。
三葉は自然と満面の笑みを伴って、明朗快活な普段の彼女らしい言葉を返した。
「ありがとう、タカトシ君。私、頑張るよ!」
「その意気だ……でも、あんまり無理するなよ。
分からない所があったら、遠慮なく電話してくれ。
終わった時にメールか電話か、くれるとありがたいケド」
「……終わるまで待ってなくてもいいよ。先に寝て」
「それじゃ分からない所があった時、三葉が困るだろ」
津田は何でもない事のように、平然とそう言ってのける。
三葉は感激のあまり涙が出そうであったが、堪える。
「私、結構時間かかっちゃうかもだよ?」
「そうならないように、オレも手伝うからさ」
「……本当に、ありがとう!今すぐやるね!また後で!」
「あぁ」
別れを告げて電話を切って、三葉は一つ大きく深呼吸する。
また一段と彼を好きになって、三葉はすぐさま勉強机に座る。
思えば、こうやって津田と二人っきりで長々会話した事はあまりなかったのではないか、と三葉は回想する。
教室で会う時は、周りにはクラスメイトのみんながいる訳だし、二人で遊んだりする事も当然ない。
夜中に電話で話をするなんて、まるで恋人同士みたいだな。
三葉は照れつつも、津田との約束を果たす為に、机に投げ出されたやりかけの宿題に目を移す。
「よし……やるぞ!」
頬を叩いて気合注入。出来れば一時間くらいで終わらせたい。これは最早自分だけの戦いではないのだ。
明日の朝練のためにも、なによりわざわざ起きていてくれると言ってくれたタカトシ君のためにも。
ベッドから飛び降りた三葉は、シャーペンを握りしめて、苦手な英語の宿題に、正面から勝負を挑んだ。
………………………………………………………………………………
正面から挑んで、敗北を喫した。
厳密には三葉は負けていない。問題そのものが分からない訳ではない。
ただ、宿題をするには彼女の集中力が足りないだけで。
「……ううぅ」
頭を掻いてみた所で、英単語が記憶出来る訳でもない。
集中できぬ原因ははっきりしていた。津田だ。津田の写真だ。電話越しの津田の声だ。
彼の事を想う時間が長く濃密だったのが、最大の要因なのだ。
頭の中が津田タカトシに支配されていて、三葉自身それを嫌だと思っていないのが問題だった。
英単語の一つをノートに書き写す余力すら失った三葉は遂にペンを机に置いてしまう。
そして手が伸びるのは携帯電話。だが、すんでのところで思い留まる。
「ダメだ。分からない所がある訳じゃないのに……」
今電話をかけても、タカトシ君に迷惑をかけるだけだ。
彼の為にも頑張ると誓った筈なのに、どうして私は宿題に集中出来ないのだ。
三葉は苦悩しつつ、再び教科書を覗く。頭から読み始める。三行目で沈む。
津田の顔が思い浮かんでくる。顔がニヤける。頭を抱え、掻きむしる。
これじゃダメだと教科書を読み始める。そして沈む。
そんなサイクルを繰り返しているうちに、三葉は遂に教科書を閉じた。
「タカトシ君……」
口が自然と、彼の名前を紡ぐ。それだけで、頬が綻ぶ。胸の奥が熱くなる。
気分が盛り上がり過ぎていた。
もしも今彼と面と向かってしまえば、三葉は一も二もなく胸の内の想いを曝け出してしまうかもしれなかった。
返事も待たずに自分から抱きついて、キスしてしまうかもしれなかった。
それぐらい今の彼女は、津田を求めていた。
彼と一緒に居たい、彼と話がしたい、彼と触れ合いたい、彼と一緒に……。
トクン、と彼女の身体の中で、彼女自身気づかぬ何かが動き始めていた。
「……なんか、暑い」
運動後の火照りや、夏に感じるような灼熱とは別種の、彼女にとって未知の上気であった。
身体の芯から仄かに広がるような熱は、瞬く間に全身に伝播し、彼女を戸惑わせる。
パタパタと手で顔を仰ぐが、そんなもので身体は冷めてはくれない。
三葉は、誰がいる訳でもないのに、周りを見回す。
……仕方ない。自分の部屋の中なら、別にどんな格好をしても問題はない。
はしたないとは思うけど、別に誰かが見ている訳ではないのだし。
三葉は長袖パジャマの上をボタンを外し、前をはだけて風通しを良くする。
しかし熱は一向に冷める気配を見せない。いや、むしろもっと熱くなっている。
なんで、どうして、と三葉は、熱に浮かされ思考力の低下し始めた頭で考えようとする。
もっと脱げば涼しくなるのかな、と三葉は立ち上がって、下のパジャマも脱ぎ、上に羽織っていたパジャマも脱ぎ捨てた。
上下白の下着を纏うのみとなってすら、低下しない体温を不思議に思う。
別に辛い訳では無い。心の奥は、津田への愛で溢れていて、幸せな気分ですらあった。
なのに胸がキリキリと痛む。身体が切ない悲鳴を上げている。
そのサインの意味する所を、彼女は知らない。
身体が言う事を聞かない。いったいどうすれば収まるのか、ピュアな三葉には分からない。
蕩け始める頭の中に垣間見えるのは、愛しい愛しい津田の顔。
それを頼りに、三葉は机の片隅に伏せてあった津田の写真を手にとった。
「タカトシ……君……」
写真の向こうに呼びかける。津田は何も答えない。
心の中は既に彼の事でいっぱい。足りないと訴えるのは、三葉の身体の方だった。
ほぼ無意識のうちに、写真に唇を寄せてしまう。
先程とは違い、躊躇はなかった。そうするのが自然と言わんばかりに、彼女は写真に口づける。
だが、やはりフェルトの無機質的な感触しか返ってこない。
「タカ……トシ……君……」
足りない。身体が渇望する。もっともっとと、三葉の知らない何かを貪欲に求め続ける。
どれだけ写真にキスをしても、そんなのは自己満足にも足らない虚しい行為だと、頭で分かっている。
自分の身体が一体何に疼いているのかも把握出来ず、三葉の息は徐々に上がっていく。
身体が変になっちゃった、と三葉は本気で不安になり始めていた。
「分かんないよぅ……誰か……」
藁にも縋る思いで助けを求める三葉の頭に浮かぶのは、やはり津田の顔だった。
いつも自分を助けてくれる、優しくて頼れる意中の男子を思い浮かべ、三葉の身体は一層激しく再燃する。
その時。
クチュ、と静かに、粘着質な水音が、どこからともなく三葉の耳に幽かに、しかし確かに届いた。
「……なに?」
今聞こえた音は何か。
自室に音のする物は何も無い。携帯電話も鳴っていない。部屋を見渡そうと、三葉は立ち上がる。
クチュ。また聞こえた。僅かに耳に聞こえた音の発生源は、下の方。
音の導くままに三葉は首を下に向ける。そして、見る。
自分の下着の股に、水染みが広がっているのを見てしまった。
「あ、あ……」
三葉は慌てふためく。しかし、仕方のないことだった。彼女には初めての事だった。
性的な興奮に応じて性器から愛液が溢れ出した経験なんて、彼女にはなかったのだ。
知らない間に小の方を漏らしてしまったのだろうか。見当違いな懸念が彼女の脳裏をよぎる。
状況を確認するように、三葉は自分の性器に手をやる。
「ん!」
短い悲鳴とともに、身体が跳ねる。
痺れた足に触れたような鋭敏な触覚に、三葉は己の身体の事ながら驚愕する。
しかし三葉はそこに……性器に触れるのを止めなかった。
明確にそこを触ろうとする意志はない。しかし、触るのを止める意志もない。殆ど無意識的に、彼女は手を伸ばす。
今度はもっとゆっくりと、優しく触れてみる。
指に粘つく液が絡み付いた。下着と指の間に透明な糸を引く。どうやら尿ではないらしい。
それに安堵しつつ、指の方は液の噴出源を撫で回す。
「う……ん」
理由はともかくとして、癖になるような感覚だった。
凝った肩を揉むような、蚊に食われた部分を掻くような、数百倍に痛みを薄めたような不思議な快感。
癖になるが故に止まらない。三葉の指は、段々と動きの調子を良くしていく。
意味も分からず指を動かす事に不安を覚えつつも、彼女の理性のタガはとうの昔に外れてしまっている。
下着が汚れる事を気にする余裕は既に無く、三葉は布一枚を挟んで自分の性器を優しく撫でる。
「あ……は、ぁ……」
喉の奥から、自然と甘い溜め息が漏れ始める。
触れれば触れる程に増していく感度。未知の快感に抗える訳もなく、彼女はますます深みにはまる。
「タカトシ君、タカ、トシ、く、ん!」
津田の名前を噛み締めるように呟く。名前を口に出して、頭に思い浮かべて、声を思い出す。
白かった筈の下着は既に透け始め、自己主張するように陰唇がうっすらと下着に輪郭を現し始める。
広がり始めた陰唇に沿って指を動かす。優しい刺激では足りなくなってきて、三葉は指に力を込める。
「ふ、あ、あ……あああ!」
思わず声が漏れた。軽く達してしまった。
身体の内奥で火花が散り、全身の皮膚が軽く弾けたような感覚を覚える。
いつの間にか白んでいた視界が戻り、身体の熱の上昇が止まった。三葉は溜め息をつきつつ、驚愕する。
今のは一体、なんだったのか。決して不快ではなく、むしろ良い気持ちだったけど……。
ふと身体を少し捻った時、腕がブラジャーを擦る。
「うわ!」
上ずった声を上げて、三葉は自分の胸を見る。
ブラジャーの向こうの自分の乳首が、鋭く尖り上がっている事に、今更気がつく。
そして今少し腕が触れただけだったのに……何故か先程と似たような刺激を身体に感じた。
後ろのホックを外して、ブラジャーを外す。
胸の形が綺麗だ、と同級生が評する通り、歪みのない半球状の乳房を露にする。
どうしてブラを外したのか。三葉は自分の行為すら把握出来ぬまま、乳首に左手を伸ばす。
摘むに丁度良いその場所を、を人差し指と親指で挟み込む。
性器に手を伸ばした時程ではなかったが、こちらも心地よかった。
不安を覚えるような、勢いのある激しい快楽ではなく、包み込むような優しい刺激。
その刺激に慣れてくると、もっと強い刺激が欲しくなる。
少し力を入れてつまみ上げると、ドクン、と心臓が再び大きく動悸を始める。
「ん……う、ん……う、あぁ、あ」
止まった筈の体温上昇はまたも加速を始め、先程以上に三葉の身体は火照っていた。
乳首を弄っていた右手は、再び下半身の、女性器の方へと向かって行く。
下着越しに陰唇と陰核を、爪で優しく引っ掻くように擦り始める。
指の運動は加速していくが、段々と感覚に慣れが出始める。
だめだ、もうこれじゃ足りない。下着が邪魔だ。
三葉は何の躊躇もなくショーツを脱ぎ捨てて、再び没頭する。
「う、うぅ……ぁ……うぅぅぅ……」
三葉は低い唸りを上げる。
直接触れると、先程とは桁の違う快楽が襲いかかってきた。
グチャグチャと水音を立てて陰核を掻き回す。そこを中心に全身が痺れるような、初めての衝撃を彼女にもたらす。
でもまだだ、もう一押しが足りない。何が足りない、何が足りない。
三葉は指を止めずに、部屋を見回す。足りないものをひたすら求め、三葉は定まらぬ視点を必死で動かす。
そして一点で目が止まる。机の上に投げ出された津田の写真。
その写真はパズルの欠けたピースのように、三葉の心の隙間にぴったりと収まった。
「タカトシ、君……!」
足りないのは津田だった。津田が欲しかった。
写真を見ながら津田の事を思い浮かべると、三葉の身体は尚も感度を増していく。
あぁ、もしもタカトシ君が触ってくれていたら、と三葉は妄想する。
こうして私の身体を嬲り、弄び、弄り倒すこの指がもしもタカトシ君のものだったら。
「あ、あ!う!ぅ、あ!」
具体性を増した妄想が、段々現実との境を失っていく。
今三葉の身体に触れているのは、少なくとも彼女にとっては、紛れもなく津田の指だった。
猛烈に恥ずかしいが、それ以上に三葉は嬉しかった。
タカトシ君が触れてくれている。こんな恥ずかしい私を見て、微笑んでくれる。
行為を肯定されている喜びに、三葉の指は完全に遠慮を失って、三葉の身体に暴力的な快感を巻き起こす。
「ひ!あ!あ、ぁ!」
それが逆に彼女を不安にさせる。この未知の快楽に身を任せ続けても、大丈夫なのだろうか。
身体の歯止めが利かなくなってしまうのではないか、自分は元に戻れるのだろうか。
不安だから、彼女は叫ぶ。
タカトシ君、タカトシ君、タカトシ君、と心の中で三葉は何度も津田を呼ぶ。
その魔法の言葉は彼女の心を高ぶらせ、身体を尚も快楽で塗りつぶす。
止まらない衝動に身を任せるうちに、視界が段々と霞んでいく。
意識が白と黒に塗りつぶされる。今自分の身体が何処にあるのか分からない。
空を飛ぶような浮遊感を覚える。
何か、とんでもなく大きな何かが身体の内から飛び出ようとしている。
さっき全身に走った刺激とは全くレベルの違う何かが、目前まで迫ってきている。
あぁ、もうすぐなんだ。と、三葉は本能的に絶頂の前触れを感じ取っていた。
このまま先に進んでも、先にいってもいいものか。三葉は最後に自分に問う。
いってもいいよ。津田が、優しく三葉にそう答えた。
「タカ、トシ、君!」
絶頂は、三葉自身の予想とは違い、あっさりと、そして静かに訪れた。
最後に彼の名前を、一際大きく叫び、三葉は全身の快楽に打ち震える。
「あ……は、ああ……か……はぁ」
喉の奥から言葉にならない断末魔がまろび出てきた。
あまりに強烈な刺激に思わず目を瞑ったのに、眩しさを感じる。
身体がガクガクと痙攣する。
脚に、腕に、胸に腹に腰に首に頭に、まるで電流を流したかのような衝撃が駆け巡る。
電流の後には、身体の芯から魂が抜けていくような心地よい気怠さが身体を包み込む。
身体の奥で燻っていた何かが、嘘のように引いていく。
胸の空くような清々しさを最後に、彼女は緊張状態にあった身体から力を抜いた。
「はぁ!……はぁ、はぁ……」
起きていられず、三葉は身体を床のカーペットに横たえる。
呼吸を整える力もなく、ただただ三葉は意識を漂わせる。
自慰行為の余韻を感じる前に、全ての行為を終えた三葉は冷静に今の行為に疑問を抱いていた。
一体自分はなにをしているんだろう、と。
いくら三葉とて、高校二年生。保健体育の授業はちゃんと受けている。
だが、保健の授業の内容が、彼女の所持する性知識の全てであった。
月一の生理だってある。男女の身体の違いは知っている。子供の作り方だって習っている。
だが、授業で自慰行為の方法を詳しく教えたりはしない。
性行為の際の、具体的な手順を教えたりもしない。
好きな人を思い浮かべて、自分の女性器を弄んで、自分はどうして悦んでいるのか。
もしかして、とんでもなく異常な行為をしているのではないか、と彼女は危惧していた。
しかし同時に、そのとんでもないと感じるその行為から生じる背徳感を、彼女は受け入れつつあった。
初めて経験する、巨大で抗えぬ快感に、彼女の中の羞恥で幼稚な心は押しつぶされてしまっていた。
未だに力の入らない身体を何とか起こして、ティッシュで濡れた性器を拭いてから、先程自分が脱ぎ去った下着達を探す。
目的の物どちらも、ベッドの上に裏返しで打ち捨てられていた。
拾い上げてみると、ブラはともかく、下の下着の方が酷い目に遭っていた。
股に当たる部分が冷たく濡れている。少し匂いもする。当然履く訳には行かない。
ブラの方も汗で濡れているし、そのまま身につければ風邪を引いてしまうかもしれない。
こちらも取り替える方がいいだろう。
「……どうすればいいのかな」
三葉は下着の処分法を模索する。
当然洗濯しなければならないが、今は深夜。洗濯機を回せば、親が起きてしまうかもしれない。
黙って明日、他の洗濯物と一緒に出すのが一番いいが、一日分で二枚組の下着だけがあれば、親も不思議に思うかもしれない。
しかし、他に案はない。何か聞かれても、言い訳くらい思いつく。
心配事が一つ消え、三葉はふと机の上の携帯電話に目をやった。
携帯電話が光っている。着信ではなく、メールが届いているのを知らせている。
「タカトシ君だ……」
携帯電話を拾い上げて開く。メールの内容は以下の通りだった。
『ごめん、流石に眠くなってきたから、先に寝る。
連絡なかったし、宿題終わってもう寝たのかな?
もしこのメールで起こしちゃったら、本当にごめんな』
時計を確認すると、既に深夜午前一時。
メールの着信はついさっき。つまり彼はこの時間まで、三葉の為に起きていてくれたのだ。
電話の最後に津田が『終わったら連絡するように』と言っていたのを、三葉は思い出す。
三葉は目を剥く。そして慌てて身体を起こす。
「こんな事してる場合じゃなかった……!」
三葉は快楽に身を任せ、こんな時間まで結局宿題に一切手をつけていない事を激しく後悔する。
慌ててタンスから取り出した下着と、部屋の片隅に投げ出されていたパジャマを身に着けて、三葉は机に向かう。
ふと、机の片隅に、津田の寝顔の写真があるのを見た。それを見てしまった。
表面が唾液で少し濡れていた。
妙に官能的で色っぽく感じてしまうのは、彼を好いている三葉ならではの感想であった。
必然的に先程の絶頂が想起される。心臓がまたしても脈を早める。
股間から液が分泌されているのが、自分でもよく分かる。
身体の中の、消えかけていた情欲の炎に、再び油が注がれていく。
いけない、ダメだ。もう見ちゃダメなんだ。タカトシ君に申し訳ないと思わないのか、私!
自分の両頬を抓り上げる。無我夢中で抓り上げる。
あまりの痛みに涙が出始めた頃、三葉は両頬を解放してやった。
……そして肝心の煩悩は、性欲は、解放されないままだった。
「……ごめん、タカトシ君!」
机の上の教科書を閉じ、三葉は再び服を脱ぐ。
頭の中で津田に謝りながら、わざわざ自分の為に睡眠時間を削ってくれた優しい優しい彼を想いながら、三葉は夜遅くまで自慰に耽っていった。
………………………………………………………………………………
それから暫く後の話。ある日の昼休みの事であった。
新聞部の部室に二つの影があった。
新聞部部長の畑ランコ。そしてもう一人は柔道部部長、三葉ムツミ。
二人は黙って相対する。暫しの間を開けて、畑が三葉の方に一枚の紙を差し出す。
裏返した三葉は写真の向こうで弁当を笑顔で食す津田の姿に、少し頬を緩めた後、畑に向き直った。
「私、もう今月、あんまりお金ないんですケド……」
「あら、大変ね……でも、気にする事はありません。
そもそも津田君の写真は」
席を立ち上がって、畑の口を三葉が手で塞いだ。もう片方の手は人差し指を立てて自分の口に持っていく。
別に周りに誰かいる訳でも聞いている訳でもないのだし、口を塞ぐ必要なんてないのに。
もうそろそろ慣れてほしいものだが、彼女がその境地に到達するのはまだまだ先の事なんだろう。
畑はそう思い、呆れながらも三葉の要求に応える事にした。
「失礼……そもそもその類いの写真は、あまり買い手がいないから。
今日の分は……このくらいかしらね」
領収書と呼ぶにはあまりにチンケなメモの切れ端を三葉に差し出す。
三葉はそれを受け取って頷き、財布を取り出した。
畑は満足げに鼻から息を抜いて、差し出された硬貨を数える。
支払いを確認した畑は、写真を懐にしまって早々に部室を去ろうとする三葉の背中に声をかけた。
「でも、意外だったわ。
最初の津田君の寝顔の写真も、貴方なら突き返してくると思ってたのに」
三葉は新聞部の部室の入り口で立ち止まり、振り向く事なく、しかし声を低くして言う。
「…………何が言いたいんですか?」
「いえ、別に」
殺気を感じ取った畑は、慌てて取り繕う。
ピュアで純情な貴方が、まさか常連さんになるなんてね。
畑は心の中ではそう言いながら、こちらに一瞥もくれない三葉の背中を黙って見送る。
初めて彼女に写真を押し付けたあの日から既に一月余りが経過しようとしている。
今までに彼女に売った津田の写真は何枚だったか、畑には興味が無いので数えてはいないが、数十枚に上っているのは確かだ。
期待せずに押し付けた写真は、思わぬ金づるを畑の元に招き寄せてくれた。
毎度毎度写真を買いにくるたびに、津田への罪悪感で顔を暗くする三葉なのだが、未だに購入を止める気配はない。
「桜才一のピュア少女三葉ムツミ、遂に陥落す……か」
新聞の見出しとしては面白そうだが、無論表に出せるないようではないので、畑はさっさと頭から仮想の新聞を消去する。
一体どうしてこうなってしまったのか。あのピュアな娘が、どうしてこう、堕ちてしまったのか。
畑は少しだけ残念に思う。自分のせいだというのに、だ。
畑にとって重要なのは三葉の清純さではなく、あの困った常連のための仕入れだ。
この一月で需要がうなぎ上りになった、津田の新たな写真が必要なのだ。
畑はカメラを手に立ち上がる。生徒会室に赴くために。
記事用の写真、と言えば生徒会役員共の写真を手に入れるのは、実に容易い事である。
「かわいそうね、津田君も」
自分が元凶である事を棚に上げて、畑は今頃生徒会室で昼食を摂っているであろう副会長に同情した。
以上で終わり。長々と、失礼しました。
キャラ違うという前置きでしたが、
むしろ、もしムツミが堕ちる過程があればこんなだろうなと納得の心理描写と流れでしたよ
前作の時も思ったが実に見事な完成度、力の限りGJです
GJ!
黄金期再びの予感!
天使も快楽を知り堕ちるか……
gj!
やっぱり役員共アニメ化は大きな燃料になるね
よく使ってる同人誌のサイトでもとうとう生徒会役員共のが出てきたし。まさか氏家作品の同人誌を読める日がこようとは……
どーじんキスハ゜って携帯用サイトでなら今日アップで来たな
よろしければURL教えていただけないでしょうか?
>>358 GJ過ぎる
ムツミのキャラをよく掴んでるからこその作品だと思う
本当に上手い
次回も頑張ってください
>114氏
乙&GJ
文章が最高に上手すぎる……
携帯からは書けるのだろうか
>>59-61 >>187-193 の続きー
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「…津田にしてはよくできたわね。一問しか間違ってないわ」
と、どことなく嬉しそうに萩村スズは津田タカトシに答案用紙を返す。
「あ、ここ間違ったか。くっそー。九問目までは出来てたのにー!」
悔しそうなタカトシ。
そんなタカトシにスズは、別の問題を差し出す。
「しょうがないわね。ほら、この問題で追試したげるから」
タカトシは無言で問題に食い入るように取り組んでいる。
そんなタカトシをスズは優しい瞳で見つめている。
それはいつものIQ180の天才少女の鋭い視線ではなく、歳相応の恋する女の子の瞳だった。
「できた…!」
「…正解」
「やった!」
「…全問正解ね」
「うん」
嬉しそうに頷くタカトシ。
全問正解したらご褒美、という約束での小テスト。
そんな勉強会を続けて一ヶ月。タカトシは驚くほどの吸収力でメキメキ学力を上げてきた。
さっき出した問題も難関私大向けの問題集から出したものだったのだが、それでも10問中9問を
正解してしまうくらいの成長ぶりだった。
「……や、約束どおり、ご、ご褒美をあげるわ」
「うん」
「……」
「おいで」
タカトシは腕を開いて小柄な恋人を招く。
スズは顔を真っ赤にしながらあぐらをかいているタカトシの足の中に小さなお尻を座らせる。
後ろから抱きかかえてくるタカトシの腕の力強さに思わず陶然としてしまうスズ。
筋肉質な腕の感触や、男らしい胸板の厚さ、その肌の下の肉の硬さにスズはドキドキと鼓動を高まらせてしまう。
大好きな男の子の腕の中にいる、というのはそれだけで生まれて初めて恋をしている女の子を興奮させるのに十分だった。
「はむっ」
タカトシの口が、スズの可愛らしい耳たぶを軽く甘噛みしてくる。
タカトシの唇が触れるだけで、スズは全身の細胞が甘く疼くのを止められない。
軽く耳たぶをくわえられたまま、その耳の穴に鼻息を吹き込まれると腰の裏が熱くなってきてしまう。
「…」
あの日の告白の後でタカトシは知った。萩村スズという女の子が、実はものすごく甘えん坊であるということを。
学校で「萩村は可愛いな」なんて言っても、ぷいとそっぽを向いて「バカなこと言ってんじゃないわよ」
としか言ってくれないスズだが、いったん二人きりになって、キスをしはじめると豹変する。
キスをやめようと顔を引きかけても、やめちゃヤだとでも言うかのようにスズは唇を離さない。
毎週恒例になった火曜と金曜の勉強会も、タカトシが他の都合で取りやめにしたりすると途端に不機嫌になる。
ごめんねと謝っても「べつに何も怒ってなんかないわよ!」と、しかし明らかに機嫌の悪い口調で答えてくるわけで。
そんなスズだが、タカトシがぎゅっと抱きしめてその耳元に「ゴメン萩村」と囁くだけで身体をひくひくと震わせながら
瞳を潤ませてしまうのだった。
今日ももちろんそんなスズはふにゃっと子猫みたいにタカトシの腕の中で溶けてしまっていた。
何度もキスをされながら、スズがタカトシの背中に回した手は必死にそのシャツの背中を掴もうとするけれど
キスの唇の感触と、熱さと、匂いに酩酊している天才少女にはその手のひらから握力がなくなってきてしまう。
ミニなワンピースの上から腰とお尻の境い目あたりを撫でられると、その瞳の淵に涙を盛り上げながら、切なそうな囁きでスズは
津田の名を呼ぶことしかできない。
そんなスズの姿を見ると興奮が高まるタカトシは、「ねえ萩村、俺の事好き?」と尋ねたいという欲求を抑えきれない。
一度下校途中にそんな質問をしたときには「ば、ば、バッカじゃないの!?」と顔を真っ赤にして怒られた質問だが
タカトシにその淡い桜色のちいさな唇を割られ、内側の弾力のある可愛い舌を舐められ、絡められ、唇で咥えられ、
そして唾液を散々吸い取られ、逆に流し込まれ、飲み込まされたあとの萩村スズの態度はまるで違った。
「好き…っ…だいすきっ」
涙の浮かんだ熱い瞳で見つめられながらそう告白されるとタカトシは胸の一番奥が暖かくなる。
「つだ、わたしのこと、すきって、いって」
呂律の回らない舌っ足らずな哀訴にタカトシは答える。
「萩村は可愛いなあ。キスすると途端に可愛くなっちゃうよね。
俺、そんな萩村のことが大好きなんだ」
大好き、との囁きが耳に入っただけで、スズの腰の奥で白い喜びが爆発する。
その爆発はスズの全身の骨の芯を甘く蕩かしていく。
真っ白な多幸感の奔流がスズの小さな身体を押し流していくみたいで、清楚な下着の奥を熱くしてしまっていた。
「津田クン、ご飯食べていけばいいのに」
とスズママが年齢に不相応な可愛らしい声で言うのを、タカトシは恐縮しながら辞退する。
「すみません、妹が腹減らせて待ってるんで」
「まあ。津田クンたらお料理もできるの? いよいよもっていいお婿さんになりそ「もう!ママったら!」」
スズママの可愛らしい声をスズが遮る。
「あ、ちょっと待っててね津田クン」
スズママはパタパタとこれまた可愛らしくスリッパの音をさせながら台所に走っていく。
「はい、これ、スズちゃんが津田クンのために作ったのよ」
と、タッパーを手渡すスズママ。
「…それっ「スズちゃんったら、津田クンにお弁当作ってあげたいから練習してるのよ」」
スズの声を遮ってスズママ。
タッパーの中身はきんぴらごぼう。
「萩村。ありがとう」
母親に文句を言おうとしていたスズだが、タカトシのそんな笑顔を見たらキュンとなって何も言えなくなってしまう。
「じゃあ、お邪魔しました」
と丁寧にお辞儀をしてから玄関ドアの向こうに消えようとしたタカトシの手を、スズが掴む。
タカトシと一緒にドアの外に出たスズは、精一杯ジャンプしてタカトシの首にしがみつく。
そしてその、世界で一番好きな男の子の唇に熱いキスを繰り返すのだった。
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今日はここまでー
次回完結予定
乙!
スズが可愛すぎて思わず食堂で奇声を発してしまた
タカトシを求めるスズぅぅぃぅぅん!
test
スズ可愛い過ぎだろjk
基本ツンデレ嫌いの自分を萌えさせるとは恐るべしw
267です。ここは皆上手で恐縮ですが2レス分書いたので
「あれ?」
赤いラッピングに包まれた箱を開けて、津田タカトシは驚いた。先入観から箱
の中身は『大人のおもちゃ』だと信じて疑わなかったが、現実は携帯電話が一
台。それと小さな便箋が一枚。
「?俺のアドレス知ってる筈だけど…」
添えられた封筒には丁寧な字で津田宛てだと記してあった。
〜津田へ。恐らく箱を開けて混乱している事だろう。文面での説明は冗長な上
分かりづらいことになると思ったので、ここでは省かせてもらう。初詣の時に
直接説明しようと思う〜
シノは文面でおおよそこのような事を語った。唯一分かったのは、プレゼント
の品が手違いでなかったことぐらいか。
「使ったらマズいか…?」
他のものとは違い、携帯電話は料金が発生する。シノのことだから、杜撰な契
約は結んでいないであろうが、誰が支払うのかが全く分からぬままに使うほど
津田は浅慮ではない。
(…まぁ初詣の時で良いか)
今年は妹の受験もある。必要以上に騒ぐのは迷惑になるだろうと案じたのも事
実である。
−コンコン…がちゃ…−
「タカ兄、『らめぇ』を英語だと何て言えば良いの?R・a・m・e?」
「俺って馬鹿でぇ!」
妹のことがなくても、シノに電話するのは気が引けた。電話でのシノはひたす
らに生真面目で下ネタを言わない。別に津田自身言ってほしい訳ではないが、
冗談を言わないシノはひどく威厳があり緊張するのだ。
もう中身を見ただろうか。シノは机に向かいながらも落ち着きない。一向に仕
事も終わらない。それも全て津田に関わることだ。
「津田」
自分からのプレゼントにどんな顔になり、どんな声音で驚きの声を出したのだ
ろうか。どこまでも想像しようと本物なわけがなく、シノは歯痒さすら感じて
いた。
似合っていると言ってくれた津田からのプレゼントを手にとって感触を確かめ
る。
あの時、明かりを付けて津田のプレゼントを手にしているのを確認したときは
笑みを隠しきれなかったほど嬉しかった。察したアリアに後から弄られもした。
「津田…」
もう一度名前を呟くと、体が熱くなった。
あの顔、あの声、あの匂い。年が明ければ会えるというのに、耐えられる自信
がない。
「…っん…い…」
少しだけだ。そう言い聞かせて、右手をパジャマの中に忍び込ませる。
普段、下ネタを言う割に実際に行為を行うことは少ない。不実な気がしてしま
い、躊躇ってしまうのだった。それでも時々抑えられないときが来る。
「…っくぅ。津田ぁ…」
ぎゅっと目を暝り、自分の手を津田のものだと刷り込もうとする。もしも本当
に津田にしてもらえたら−
シノの望むままに愛撫し、慈しみを持ち合わせながら繋がり、二人は一つにな
る。そんな妄想を広げながら、自慰のペースは上がっていく。
「っは!…ん…!」
がたがたと椅子が揺れる。机に突っ伏すと、体を起こせない。それほどまでに
快感が全身に回り、痺れていた。
「…タカ…トシィ…!」
ガタンっ−
一つ、大きく揺れてシノは果てた。肩で息をしながら、手を衣服から抜き出す。
右手に残った愛液を、呆けたように眺める。
これが本当の自分なのだろうか。生徒会の長として皆の手本となるべき人間が
同じ組織内の後輩と交わる妄想で浅ましくも果てている。
「駄目だ…考えられん…」
溢れ出るような疲れに、シノは這うようにベッドに向かい、潜り込むや否や寝
息を立てた。
夢の中にも出て来てほしい。少女は無意識のうちにぎゅっとぬいぐるみを抱き
しめた。
続く…?
乙です
シノかわいいよシノ
続き待ってます
待望のシノSS楽しみにしてます
シノだけ家庭事情不明だけど、ネタに使えないかな?
オリジナリティの欠片もなく
未来日記の由乃の劣化コピーとかがあふれかえるのが目に見えてるから
そっち方面の掘り下げはイラネ
だいたい親から虐待されてたパターンで
それが性的虐待を含んでいたかどうかで分岐するくらいだろうな
どっちにしても使い古されてるのは確かだ
未来日記とか言われてもわからんのだが
スイーツ映画でそんなんあった気がするが
「もしお兄ちゃんが負けたら、私の言うこと何でも聞くのね?そして私が負けたら、お兄ちゃんの言うコト何でも聞いてあげる♪」
みなさんこんにちは。城嶋シンジです。
ある晴れた日の昼下がり。別に市場へと続く道を、子牛を乗せた荷馬車がゴトゴト進んでいるわけではなく、ココ城嶋家のリビングでは、相も変わらず思春期真っ盛りな妹が、ギリギリのネタを飛ばしていたりします。
コトのきっかけは、休日昼のバラエティ番組でやっていたトランプのマジック。
それに感化された妹が、どこからともなくトランプを1ケース持ってきたところから始まった。
番組内で紹介されていた簡単なマジックをいくつか試した後、突然「トランプをやろうよ」と言い出したのだ。
「二人でやっても面白くない」と指摘したところ、「じゃあ罰ゲームでもつけようか?」という振りに乗ってしまったのが運の尽き。
そして話は冒頭へと戻るのでありました。
「何か、結局どっちに転んでも、俺がリスク背負うようなことになる気がするのは気のせいか?」
「え〜?やらないの?せっかく私が、何でも言うこと聞いてあげるって言ってるのに」
「罰ゲームとしてはありきたりだけど、お前の場合負けたらとんでもないこと要求されそうだから二の足踏んでるんだよ!」
つい先週、暇つぶしのオセロで勝負をしたところ、
『じゃあ、今日の残りの時間は全てお兄ちゃんのナニを私のアソコに挿れたまま過ごすこと!』
なんていう罰ゲームを喰らったのだ。
食事のときも、宿題のときも、風呂も布団の中まで全部挿れたまま。さすがにトイレは断固として拒否した。
結局、その日は何度カナミの中に出したのか覚えていない。次の日は一日中ナニの痛みが取れなかったくらいだ。orz
「そんなにトンデモな要求は出さないよ。せいぜい『次の危険日に中だししてもらう』くらいだよ♪」
「それマズイから!メッチャマズイから!今更とか言われそうだけどそれでもマズイから!!」
兄妹でインセストかましておいてなんだが、さすがにこの年で子供は作りたくない。俺はともかく、カナミが後ろ指指されるのは絶対にごめんだ。
「大体そこまでしたら親にバレるだろうが!もしバレたら…母さんは別として俺が親父に殺される!」
常々『30代でおばあちゃんと呼ばれるのが夢!』と口にしていたお袋はともかく、親父からは半殺しにされるだろう。
「とにかく!俺はやらない!」
「本当に?」
「くどい!」
「残念だなぁ…せっかく後ろでシてあげようと思ってたのに」
…ナヌ?
「私のお尻もだいぶ開いてきたし、お兄ちゃんが好きなアナルセックスを試させてあげようと思ってたんだけどなぁ〜?」
「…………」
「ほんと〜にいいの?お・に・い・ちゃ・ん?」
「…くっ!」
結局どうなったかって?フッ…
『潰されるかと思った』
これで察してくれ。orz
以上、保守
乙
生徒会もいいが妹や濱中の新作も是非投下して欲しいところだ
いい感じで投下数が増えてきたので
職人&住人のみなさんで盛り上がっていきましょう。
昔から居た職人の投下も待ってます
「お兄ちゃん!お風呂空いたよーっ!」
「ぅーい!」
皆さんこんばんわ。城嶋シンジです。自室で本(マンガ本ですよ?18歳未満閲覧禁止の書物ではないですよ?)を読んでいると、妹から入浴の催促がかかりました。
「…よし、入るか」
ここ最近妙なアプローチの仕方(女体盛りだったりハイテナイ攻撃だったり)をされていたため、無意識のうちに警戒感を持ってしまっていたようだ。
「♪〜」
タンスから着替えを取り出し、鼻歌交じりに脱衣所へ。
「今日は宿題もないし、襲われる前にさっさと寝よう」
カナミも学校で友達ができたらしく、『一緒に帰る→商店街で買い物→玄関で一発』のコンボが発動する頻度も少なくなってきた。
その分夜這いされたり、入浴中に乱入されたりと言うことは多くなったがな! orz
「ま、カナミはもう(入浴を)済ませてるわけだし、今日は乱入ってのはないよなw」
なんて油断してたのが運の尽き。
ガラッ!
「あ、お兄ちゃん?」
ピシャッ!
「????」
今、何か、いた?
ガラッ!
「やほ〜」
ピシャッ!
「す〜は〜、す〜は〜」
うん、認めよう。認めた上で対処しよう。
ガラッ!
「お客さ〜ん、いらっしゃ「あいてねーじゃん!!」
渾身のツッコミ。
「湯船が空いたということで〜」
「そんなとんちは要らんわ!!」
今更一度脱いだ服を身につける気にはなれない。今日は気温が高く、また体育の授業もあったので、結構汗を掻いた。
「ったく…」
「何だかんだで入るんだね?お兄ちゃん」
「汗だくのシャツをもう一度着る気になれないだけだ」
「お兄ちゃんの脱ぎたてシャツ!?」
「何でそこに反応するんだよ!?」
「いや、実の兄と肉体関係を持つ妹としては一応反応しとくべきかな〜と」
「それじゃブラコンじゃなくてキモウトだぞ」
「…そーだねー。お兄ちゃんの匂いでハァハァするのはキモウトだよねー。」
「何で棒読みなんだよ。何で視線を外すんだよ。こっちむけコラ」
こいつ…まさか…
「さてと…」
カナミは体についていた泡を流すと、俺が先に入っている浴槽に無理やり割り込んできた。
「…おい妹さんや」
「何でしょうお兄様」
「アナタは何をしているのかね?」
「ナニを弄っております」
…こいつ…
「…うりゃ」
「ぁんっ♪」
人のムスコを断りもせず弄っているカナミに対抗し、俺もカナミの胸を揉んでみる。ぅ〜む…
「相変わらず小さいな…ぎゃっ!」
つ、爪を立てるな!
「何すんだ!?」
「それはこっちの台詞だよ!人が気にしていることを!」
「ぅぬぅ…うりゃっ!」
「きゃんっ♪…このっ!」
「くっ!…ならば!」
「あんっ♪…ぅぅ…えいっ!」
「ぐはっ!…やるな!」
何をしてるかって?想像にお任せします。
「えぇい!埒が明かん!こうなりゃ実力行使だ!」
「受けて立ってあげるよ!胸の大きさが戦力の決定的な差じゃないってことを証明してあげる!」
城嶋シンジ VS 城嶋カナミ 第○○次お風呂の乱の火蓋が気って落とされた瞬間だった。
え?勝敗?フッ…第3の要因により、両者K.O.とだけ言っておこう。ぁぁ気持ち悪…
以上、保守ネタでした
乙乙
>>59-61 >>187-193 >>370-371 の続きー
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萩村スズは知らなかった。
人を好きになるというのがどういうことかを。
萩村スズは今まで自分は何でも知っている、と思っていた。
自分に知らないことなんかない。そう信じていた。
津田タカトシの告白を受け入れてから、それは間違いだったと知った。
萩村スズは知らなかった。
恋人にキスされるということがどんな事なのか。
好きな人に手を握られたり、頭を撫でられたりするとどれほど幸せになれるかという事を知らなかった。
愛しい人が自分の目を真っ直ぐに見ながら微笑んでくれることの喜びを知らずにいた。
胸の中から溢れてくる、甘くて切なくて苦しくなる気持ちが全身に広がる感覚があるということを想像すらしたことがなかった。
夜中にタカトシから「おやすみ」のメールを貰っただけで立っていられない位の幸福に浸れるという事を考えたこともなかった。
萩村スズは知った。
大好きな男の子に抱きしめられながら耳元で名前を呼ばれる嬉しさを。
津田タカトシの腕の中で、その胸元に顔を埋めながら深く息を吸い込む悦びを。
抱き合ったままタカトシに名前を呼ばれると、その声が触れた身体に直接響いてくるという事を。
そしてそれがたまらなく心地よいということも。
世界で一番大切な男の子が、自分の唇を奪ってくれることの幸せを、唇を捧げることができることの喜びを、生まれて初めて知った。
萩村スズは恋の歌の本当の意味を知った。
「逢ひみての 後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり」
権中納言藤原敦忠の百人一首の歌。天才のスズは苦もなくそれを暗記し現代語訳も意味も知っていた。
否。知っている、と思いこんでいた。
恋がどんなものかを本当に知った今、その歌の意味はとてつもない立体感を持ってスズの心に響く。
「出会って二人きりになって契りを結んだ後の、今のこの恋心に比べたら
以前の好きだと思っていた心なんて何も思ってないのと同じことだ」
試験の解答に書いた事のあるその言葉の意味を、スズは得点はしたが本当の意味を判っていなかった。
古今東西の詩人や歌人や文学者が、なぜかくも多くの恋の詩や歌や物語を紡いできたのかを理解した。
なぜプラトンがアンドロギュヌスを創造したのかを知った。
ハイネがなぜ恋と狂気を同一視したのかが判った。
与謝野晶子がやわ肌の熱さに触れなければ判らない、と詠った意味が腑に落ちた。
教室や生徒会室で津田タカトシのことをつい目で追ってしまうのが恋。
津田タカトシが他の女子と仲良く話している光景を見ると胸が締め付けられるように苦しくなるのが恋。
津田タカトシが遠くで気づいて微笑んでくれるだけでその苦しさが泡のように消え去ってしまうのが恋。
津田タカトシに後ろから抱かれながらその力強い腕の中で漂うときの無上の感覚が恋。
夜ベッドの中で目を閉じて浮かんでくるタカトシの顔を思うときの幸福感。
朝早起きしても、タカトシと一緒に登校できるという興奮だけで眠気なんかどこかに行ってしまう。
授業中でも、休み時間でもふと気づくとタカトシのことを考えている。
教師に当てられて上手く回答したとき、タカトシが自分のほうをちらっと見て微笑んでくれると
嬉しくて口元が勝手に緩んでしまう。
数学の複雑な応用問題を教えているときに「萩村はすごいな」と尊敬の目で見られるときの恍惚。
帰るときに「おやすみ、萩村」そう言ってキスをしてくれて、キスのあとで頭をくしゃっと撫でられるときの多幸感。
生まれついての天才だったスズは、その早熟さゆえに人の体の柔らかさを知らない。
物心ついて以来、家族にもあまり抱きついたりしたことのないスズは、津田タカトシに抱きしめられた瞬間にそれを知った。
人の肌に触れるのはとても気持ちのよいものだということを。
心を許した相手の暖かい肌で触れられ、その熱を伝えられることの悦びを初めて知った。
そんな萩村スズは今、桜才学園指定の体育ジャージにその小さくて可愛い鼻を埋めている。
「んっ……ふんっ……すんっ…」
スズが顔を埋めているのは、今日の勉強会をしたときに津田タカトシが忘れていった体育着。
体操着を入れたサブバッグを忘れていったことに気づいたスズだが、届けるのではなくて洗濯して
明日渡してあげようと考えたのはさすがにIQ180なことはある。
でも実際に洗濯しようとバッグから体操服を取り出した瞬間、その匂いに囚われてしまったのも恋する少女らしいと
言えるだろう。
さっきまであれほど全問正解のご褒美でベタベタいちゃいちゃしていたのに、それはそれで胃袋が別なのか
スズはタカトシの汗のにおいのする体操着を嗅ぎながら、頬を薄桃色に染めている。
胸いっぱいに息を吸い込むと、そのタカトシの匂いが胸いっぱいに広がる。
まるでマタタビの粉末を吸い込んだネコみたいに、スズは腰に力が入らなくなり、膝から部屋のじゅうたんの床に崩れ落ちる。
もう一呼吸。もう一回。もっと。
鼻から息を吸うたびに、胸の中にタカトシの匂いが充満する。
タカトシの匂いだけでいっぱいになってしまう。
スズは17歳の今まで、自慰の習慣を持たなかった。
そういう性欲の解消法をする人もいる、と知識では知っていた。
自分にはそういう欲求はない、そう思っていた。
大間違いだった。
タカトシと最初のキスをした日の晩、スズは身体が熱くて眠れなかった。
ベッドに入って目を閉じても、瞼の裏にタカトシの顔が浮かぶ。
いくら頭を振ってもその顔は消えない。
むしろより大きくなってしまう。
やたら腰がふわふわと落ち着かず、丸めた布団を両足ではさみ両手両足で抱きつき、パジャマと下着越しに腰を摩擦してその
どうしようもない熱を紛らわそうとした。
その熱がそうした行為で昇華すると気づいたスズだが、それはだんだんエスカレートしていった。
手がパジャマの上着の裾から薄い胸を這うようになり。
スズの可愛い手がパジャマのズボンの中に入り込み、下着の上からそこをやわやわと刺激するようになり。
携帯の待ち受け画面のタカトシを見ながら。
畑ランコから買った隠し撮り写真のタカトシを見ながら。
徐々にIQ180の天才少女の一人遊びはエスカレートしていった。
そして今はタカトシの汗臭い体操服に鼻を埋めながら天才少女はその秘裂を愛撫している。
直接触るには敏感すぎる突起。
下着のパンツのクロッチ越しにスズはその細い指を這わせる。
脳内でその指はタカトシのものに変換される。
この指はタカトシの指。
胸いっぱいに広がるタカトシの匂いにその幻想は甘く煙っていく。
優しい恋人が抱きしめてくれる夢。
裸の自分をタカトシは優しく抱いてくれるという妄想。
その間にもスズの指は自らの唇に触れ、下の粘膜にも下着越しに刺激を与えていく。
そして、スズは甘い罪の匂いのする絶頂へと至ってしまう。
声を殺すためにスズは枕に口元を埋める。
枕カバーを噛み、爆発しそうな昂ぶりを必死に抑える。
そしてそれは、堤防が決壊するかのようにスズの全身を襲う。
白い爆発がスズの全身の神経を駆け巡る。
腰の中が、胸の奥が、体中の骨の芯が甘く心地いい。
最後のひと触りが、スズの腰を無意識のうちに跳ねさせる。
まるで熱病に罹ったみたいに、スズは全身の皮膚を桃色に染めながらその快楽に押し流されていく。
唇が白くなるまで枕カバーを強く噛みながら、その形のいい眉毛の間に皺を刻み、萩村スズは快楽の坂の頂点を超える。
じっとりと塗れて重くなってしまったパンツの上から、陰部をまさぐっていた指が止まる。
背筋を駆け上がってくる快美感の波に漂っているスズ。
その表情は少女のそれというよりも女のものだった。
眉根を寄せながら、快楽に甘くほどけた口元。耳まで真っ赤に火照った頬。
汗で頬に張り付く数本の髪の毛。
もしタカトシが見ていたら、間違いなく抑制が効かなくなるくらいの色っぽいスズがそこにはいた。
そしてスズの妄想は消える。
心地よいだるさと、罪悪感。
そして、スズは自分ではなるべく気がつかないようにしていた絶望感。
IQ180の天才少女は気づいてしまっていた。
津田タカトシと付き合い始めてから萩村スズはいろいろな資料を調べた。
キンゼイ報告から少女向け雑誌のえっち特集まで。
インターネットのアダルトサイトから厚生労働省の若年の性問題ページまでそれこそくまなく。
タカトシの妹のコトミが「タカ兄はかなり巨根だよ」と言っていたことから勘案すると、それこそ成人男性の平均値を上回るサイズ。
そんなサイズの男性器が、自分の膣に入るはずがない。
当たり前の結論は容赦なく萩村スズの薄い胸に突き刺さる。
スズは調べた資料を思い出す。天才だから一度読んだら忘れない。
『高校生男子が付き合い始めてからセックスするまでの期間
一週間以内が23%
一ヶ月以内が24%(累積47%)
二ヶ月以内が 9%(累積56%)
三ヶ月以内が12%(累積68%)』
スズは津田タカトシと付き合い始めて来週で三ヶ月。
普通の男女ならもうセックスを経験しているカップルのほうが多い期間だ。
……スズはタカトシを信じている。
たとえセックスができなくても、自分のことを好きだといってくれたタカトシの真摯な瞳を信じている。
スズは優しくて、思いやりがある最愛の男を信じたい。
……信じたい。
…
しかしスズは一片の疑念が心の底から沸きあがってくるのを止められない。
少女雑誌の性体験特集の読者投稿が思い出されてしまう。
「えっちを拒んでいたので彼氏に浮気されて捨てられた私」
「彼とするのが怖くて、彼を失ってしまった初恋」
その「彼」の姿にタカトシがかぶってしまうのを止められない。
スズは津田タカトシがそんな男だとは思わない。
思わないが、それでも生まれて初めて恋を知ってそれを失うことに臆病になってしまっている少女は
疑念を捨て去れないでいる。
シノ会長を見ているときのタカトシの嬉しそうな目を思い出してしまう。
アリア先輩と話しているときのタカトシの視線の先を見て辛くなる。
タカトシが自分から去っていってしまうという想像。
至福の抱擁も、雲の上にいるみたいな幸せなキスも。
優しい瞳も、ステキな声も。
あのいい匂いも、固い胸板や腕も。
すべてなくなり、だれか他の女の子のところに行ってしまう。
それは想像であっても息が出来なくなるくらい、苦しい。
去年までは当たり前だった日常。
津田タカトシがいない生活。
それは今のスズにはとても考えられない。
灰色の、無味無臭な毎日。
鉛色の暗い雲に覆われたどんよりとした日常。
それは間違いなく、自分の心を壊してしまうだろう。
スズにはそれが実感できた。
タカトシが、他の女の子と幸せそうな笑顔で歩いている光景。
誰か自分ではない、他の女の子とベッドの中で抱き合っている情景。
タカトシの硬くて巨大な男根が、破瓜の血に染まりながら睦言を囁いている状況。
魔法みたいにスズを気持ちよくさせてくれるタカトシの大きな手のひらが。
知らないどこかの女の手のひらと繋がれている。
それは想像であってさえもスズの心を切なくさいなんでいく。
――泣いちゃダメ。
泣きはらした目をみて、恋人がどう反応するかということをスズはたやすく思い浮かべることができる。
――泣いたら、明日アイツは心配するから。
泣かないように努力をしても、その想像はスズの鼻の奥を刺激し、タカトシの体操着に涙のしみを作る。
――津田っ
スズは胸の中で大好きな男の子の名前を呼ぶ。
――わたし、つだのこと、だいすきだからっ
届くはずもない告白をしてしまう。
――なんでも、してあげるから……わたしのこと、きらいにならないでっ………
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今日はここまでー
次回(5)で完結予定
なにこのスズ……
抱き締めてあげたいくらい可愛いじゃまいか……
gj
スズは氏家にしては珍しく「狙った」感のあるキャラクターだよな
ロリ体型、天才、金髪、ツインテ、強気とテンプレキャラだ
ただテンプレキャラに収まらないのはやはり氏家の氏家たるところか
乙です。実にいい作品だ…
l
魔女っ娘シノだと…!?
スズ話乙&GJ!
BLACK OUT打ち切りが残念ですが、投下します
タイトル:副会長、御乱心D
カップリング:横島×タカトシ
↓でわでわ
私は五十嵐カエデ。元女子高である桜才学園の風紀委員長。
日課は見守り。男は怖いけど、乱暴された過去はない。
「コトミさん、服装がだらしないわよ」
「はーい」
取り締まる相手は、女性である限り選ばない。
それが副会長の妹であろうと同じこと。
服装の善し悪しから、不良行為を起こしていないかどうか。
校舎の隅々まで見逃さないのが、風紀を仕切る私の仕事なのだ。
そんなことを考えながら一階廊下を歩いていると、保健室の前にてこそこそと中を覗く女生徒を発見する。
注意のため声をかけようと近づく。そこで彼女が見知った人であることに気付く。
「ごきげんよう、畑さん」
そう、彼女の名は畑ランコ。
新聞部の部長で、会議などで顔を合わせることが多い。私が苦手とする、数少ない女性だ。
「あら五十嵐さん。会うの久々ですね」
畑さんの表情は、微動だにしなかった。人間臭さを全く感じないのだ。
自らの感情に流されないのが報道の鑑と云われるかもしれないが、個人的に彼女の輝きを失った瞳は、怖れの対象となる。
だが私は動じない。男性恐怖症というアイデンティティーを護るためには、女性に恐怖の念を抱いてはならないのだ。
「まあね。何を見ているの?」
そこで私は気になっていた彼女の挙動を探ろうと動く。
畑さんが佇んでいたのは、保健室の前。この教室で何かが起こっているのか、私はゆっくりと扉を開き、中を観察していく。
最初に見えたのは肌色だった。
次に見えたのはバサバサと乱れた髪の女性。
「ああっタカトシ君!もっと、激しくしてェッ!!」
「ム……ムツミッ!!」
絶句した。
所謂お取り込み中というやつだ。異性との関わりが薄い私でも、何をしているかくらい分かる。
そしてこの2人が誰なのかも分かっている。
「副会長の津田君に……柔道部の三葉さん?」
誰なのかは分かっている。だが、今ここで腰を打ちつけ合っている表情を、私は知らない。
営みにほど遠い健全な二人が、なぜこんな間違いを起こしているのか、信じられなかった。
「いっ…淫猥……」
口から出たのはその言葉だけ。
私はゆっくりと後退りするのが精一杯だった。
「風紀が乱れてるわあーっ!!」
この状況を示すその一言を咆哮し、私は両手を広げながら駆け抜けていった。
ギャグ漫画の如き反応で。
「ハァッ……ハァッ……」
未だに昂る感情。
落ち着けようにも鼓動は収まらなかった。
原因は分かっている。決して久々に走ったことではない。
「津田君……」
津田君と三葉さんが保健室で事に及んでいたこと。
彼女の艶やかな表情が、彼の野性的な息遣いが、脳裏にやきつき動悸となるのだ。
ショックだった。
私は委員会の仕事上、昨年の2学期を境に生徒会に顔を出すことが多くなった。そこで津田君に初めて会ったのだ。
最初は硬直しそうになるも、現在までの間なんとか距離を保つことに成功している。
未だ振るえは止まないが、彼のことは一人の人間として評価している。否、していた。
だがあの光景を見てしまえば、過去の評価など砂上と化してしまう。
彼は男性で思春期、異性に対して強い感情をもっていても不思議ではない。
それでも学校の保健室で弄り合う光景は、年相応のものではない。断じて許し難いものだったのだ。
「私……行かなきゃ」
津田君の行為を記憶から切り離すことなど出来ない。ならば進むしかない。
私は一つの覚悟を決め、とある場所へと向かった。
「失礼します」
ゆっくりとしたノックの後、私が入ったのは職員室だった。
ざわざわと先生が入り混じっていたが、目的の人物を見つけて胸を撫で下ろす。
「あら、五十嵐さんどうしたのかな?」
「いえ……ちょっと」
最初に声をかけてくれたのは、メガネをかけた世界史担当の女性教師だった。
名前は忘れてしまったが、今日の用事は彼女ではない。よって、ここは愛想笑いと会釈程度に留めておいた。
そして私は目標の人物の所へと向かう。
ボールペンを銜えながら沢山の書類と睨めっこしている若い先生へと声をかける。
「お時間いただけないでしょうか……?横島先生」
先生の名は、横島ナルコ。
生徒会の顧問である彼女こそ、津田君を知る最大の手掛かりになると思ったのだ。
「なあに、風紀委員長の五十嵐カエデさん」
声をかけられた横島先生は、むくれた顔でこちらを向く。
仕事の邪魔になっていたのか、そんなことお構いなしにこちらから直球で伝える。
「副会長の津田君が、三葉さんに手を出しています」
セックスとは、恐れ多くて口に出せない。
オブラートに包んだところで相手が理解してくれるのなら、それで充分だ。
「ふーん……それで?」
「『それで?』って……注意しないんですか?」
だが先生の言葉は素気なかった。
熱を出していたときのような冷淡だが、今日は熱など出ていないだろう。
「なんで私が注意すんの?」
生徒会メンバーによると、横島先生はあまり良い評価を受けていないようだ。
しかし、それは性的な暴走やルーズな性格が原因となっているわけで、生徒に対して無関心なわけではない。少なくとも私はそう信じている。
「なんでって……先生は彼の顧問なんでしょう?」
そう、いくら形だけでとはいえ彼女は生徒会の顧問。知らなかったじゃ済まされないのだ。
そんな先生の反応はどこか不審じみていた。というか、視線を唐突に避けだしたのだ。
「そもそも、アイツが猿になってんのは私に原因あるわけだし」
そして告げられた意味深なワード。
無論ながら見逃すわけにはいかず、追及の姿勢を取る。
「どういうことですか?」
横島先生の発言は、聞き捨てならなかった。
彼女の動揺具合から、その言葉は虚言でもなければ誇張でもない。ありのままの真実。
「ちょっと場所変えようか」
私の追及を逃れるかのごとく、横島先生は立ち上がり職員室から一緒に出るよう誘導した。
連れられてやってきたのは相談室。
鍵つきの小さな棚に書類が束ねられているくらいで、白色のテーブル一つに椅子二つというシンプルな部屋だった。
「とりあえず座りな」
「は……はい」
横島先生の顔色を窺いながら、先に座る。
先程よりは動揺していないらしく、覚悟がちらりと垣間見える。
「誰にも言わないって……約束出来る?」
彼女の言葉に、無言で頷く。
『内容による』と本音を溢してしまえば、真実を知ることは出来ないと踏んだからだ。
先生はもう一度深呼吸をして、席に座る。
対面だと難しいのか、椅子を本棚へとくっつけて、足を組む。
私にとっても対面でないことは、話の訊き易さからでもプラスだ。
そして横島先生は語り始める。
誰にも話していない、先生と津田君だけが知る『秘密』を――。
「夏休みが始まる前のことなんだけどね……」
全ての始まりは七月。蝉の発情に風流を知るなかで、生徒会には4人が揃っていた。
「よおっす、生徒会役員共。頑張ってるかぁ?」
扉を開いたのは、横島先生。
聞くところによると、彼女はあまり生徒会室に姿を現さないらしい。
表向きには『自主性に委ねる』という趣旨らしいが、その実は周知のものとなっている。
「現在会議中です」
だからこそ、天草会長も手厳しい視線を送るのだ。
まるで、聞き分けの悪い子供を見るような目である。
「そっかそっか」
彼らが滞りなく活動していることを確認し、先生は七条さんの横にあるパイプ椅子をドアの近くに寄せて座る。
会長は「またか……」といった感情で見ている。
「ちょっと見るくらい良いじゃない」
横島先生の言うことは一理ある。言動に垣間見える幼稚さを除けば。
腕を組み、足を組んで動こうとはしない。
普段は生徒会活動に興味を持っていないというのに、自分の決めたことを変えようとしないというのはまさに性格が出ているものだった。
「……邪魔はしないで下さいね」
「私は顧問だぞ……」
多少呆れ気味の会長から、なんとかお許しを得ることができた。
無論、先生としては納得できるものではなかったが……。
「だから――そうなって……」
それから暫く、先生は会長率いる生徒会役員の会議を見学していた。
特に下ネタを飛ばすこともなく、ホワイトボードを利用しながら話していく。
「シノちゃん、そこ間違ってるわよ」
七条さんの指摘も、特に目立った点もない。
「つまんねえなあ」と欠伸をしつつ、先生は他の2人の観察を行う。
奥に座っているのは、眠気を必死で堪える萩村さん。
彼女が昼になると睡眠欲を催すのは最早恒例で、特に変わった点ではない。
それ以上に先生が気になったのは、手前に座っている副会長の津田君だった。
キョロキョロとしており、視点が定まっていないのだ。
両隣に異性が座ってはいるが、どちらとも見慣れた人物であり動揺する筈がない。
「津田君どうしたの、私の顔になにかついてる?」
「いえ、なにも……」
七条さんとの会話の中にも、どこかおかしいと感じる部分があった。
それは横島先生の心根に残るものだった。
「――以上で今日の会議は終了だ。みんな御苦労だった」
「はーい」
それから間もなく、会議は無事に終了した。
ノートやプリントをまとめた七条さんが最初に教室を後にする。
会長は、完全に夢の中へと堕ちてしまった萩村さんに声をかけている。
その隙を見逃さず、横島先生は動いた。
「津田、ついてこい」
「……はい?」
そうして先生が連れてきたのは相談室。
扉の鍵をかけて、津田君を座らせる。
「なんなんですか横島先生、こんなとこまで連れてきて」
しかし肝心の津田君は、どうして自分をここに呼んだのか理解しきれていない様子だった。
「津田……あんた悩んでることがあるでしょ?」
だからこそ、横島先生がする質問は一文だ。
それは疑問ではない、確信を問う言葉。
本来なら悪態をついて煙に巻くであろう津田君も、この時ばかりは否定しない。
目を合わせて話すのが辛いのか、目線を落として話す。
「実は、気になる人がいるんです」
悩みの種は、年相応の高校生なら誰でもあるものだった。
『気になる』とは、異性に対しての感情で間違いない。ここで先生は一歩踏み込む。
「……七条か?」
真を突いたのか、津田君は無言で頷く。
先生は気付いていたのだ。
七条さんに対してだけの対応が違っていたこと、視線が彼女の胸に留まることが多かったこと。
彼女への対応が、他のメンバーと異なっていたことが。
「告白は?」
「できませんよ。もしフラレたら、生徒会にも差し支えるし……」
津田君は、恋に対して臆病になっていた。
どちらかというと、彼は年齢の割に落ち着いているという印象を受けていた。
だが『恋』という未知の存在に対しては、年相応の高校生と何ら変わらないのだ。
「七条はたとえ断ったとしても今まで通り接してくれる。そういう奴だろ?」
だからこそ、横島先生も『教師』として津田君に道を示す。
告白を恐れてはならないということを、喩え願いが叶わなくともリスクは大きくはないということを。
「男だったらいつまでも悩んでないで、腹くくりなさい」
「……勇気が出ないというか」
彼女の押しも、童貞高校生である津田君には足りないものであった。
津田君は、まだ『異性としての女』に慣れていない。告白という場において、全てをぶつける覚悟を持っていなかったのだ。
「しょうがない。じゃあ私が……一押ししてやるよ」
瞬間、横島先生の表情が変わる。
教師から、再び『女』へと戻ったのだ。
「それってどう――むぐっ」
津田君の返事は、柔らかいものに塞がれる。
瞬間、彼の口に獣の匂いが立ち込めた。獲物を前にした、女豹の匂いだ。
「勇気つけさすってことだ。女を知れば気も楽になるだろ」
教師という仮面を剥がした真の貌。
欲を滾らせ、それでいて女らしさをもっていて。
「ただ先生がやりたいだけなんじゃ……」
「そうとも言う――が」
豹が獲物を鷲掴みにする。
高密度で、熱い。彼の戸惑いの感情を体現しているようだった。
「お前もその気みたいじゃん?」
横島先生の含んだ笑いが、津田君を紅潮させる。
普段女子と関わるときには絶対あり得ない、どうしたらいいのか分からないといった顔。
未知を前にした時、誰もが知らない顔になる。彼も同じだ。
「ほーら服脱げ。じっくりと、女を教えてやるよ」
獲物は逃げることが出来ない。
豹に魅せられ、動くことが出来ない。そして心の底は、食われることを望んでいる。
津田君は静かに頷き、ネクタイを解いた。
それから間もなく、侵蝕は始まる。
唇に軽く触れたかと思うと、舌が深くにまで忍び、絡まっていく。
「んくっ……」
奇襲に、津田君は驚きを見せることしか出来ない。
青春の一頁にある触れ合う口づけではない、互いが快楽を求めて貪り合うディープキス。
ムードに浸る度量もなく、瞳孔を開いて立ちつくすのみだった。
「ふふっ……さすがに童貞じゃこんなもんか」
舌の絡みが終わり、先生は笑う。
動揺すらも楽しんでいる。津田君は、初めて彼女が大人であると知っただろう。
もう一度二人はキスを交わす。
横島先生が歩を進め、彼をソファーに押し倒した。
そして右手でボタンを外し、左手でズボン越しに摩る。
「うっ……あの、すみません」
「いいんだよ、緊張してんだろ?」
湧き上がる感情とは裏腹に、主張が強く出ることはない。
だが先生にとっては慣れていることだった。彼女は、今までで一番「先生」になっていた。
いつの間にか津田君はひん剥かれていた。
全裸にはなっていないものの、胸元と局部が顕わとなっている。
それは横島先生も同じ。違うとするならば、彼女は自分で脱いだというところか。
「んっんっんっ……」
彼女の攻撃は、依然として続く。
女性の躰を見て初めて反応したそれを、多量の唾液を絡めて咥えこむ。
自分で弄る分には決してありえない快楽に、津田君は捩れていた。
「はぁっ…せん……せい。はや……く」
ゆっくりと深く這う舌に、包みこまれるような温さに、彼は限界を示していた。
横島先生も分かっていた。だからこそそれから口を離し、脱ぎ捨てていたスラックスのポケットから化粧ケースを取り出す。
「ホントにせっかちな子供だな。まあいいや」
化粧ケースとは、本来メイク道具を入れるものである。横島先生であろうと例外はない。
だが今の状況で取り出したと見ると、別の物が入っているのだと知る。所謂避妊具、コンドームだ。
「やっぱ……つけるんですか?」
「当たり前。童貞の子供は産みたくないしね」
軽く悪態をつき、あっという間に被せてしまう。
避妊具の被せられた分身を見ると、生の拒絶による哀しみよりいよいよ始まるのだという期待感が津田君に湧き上がっていた。
「じゃあ行くぞ。力抜けよ」
横島先生が仰向けの津田君と重なる。
2人の大事な部分が触れ合ったかと思えば、ゆっくりと沈んでいく。繋がったのだ。
「童卒オメデト。どうだ気分は?」
「わ、わわ……わかんな……」
満たされた笑みを浮かべる彼女を余所に、津田君は自我を保つのが精一杯だった。
排泄としてしか機能していなかった自分のモノが、女性を貫いているのだ。前後不覚になって当然。
唾液と先走りとコンドームのローション、そして女の液が混じり、特有のぬめりと匂いが襲う。
今の津田君に、悦楽を追及しようなどという思考は無い。だからこそ、横島先生は笑うのだ。
そして彼女の両手が彼の側面へとつく。
横島先生は腰をゆっくりと上下に動かす。粘ついた音を下から出しながら、息の切れそうな嬌声を上から出しながら。
営みにも限界というものはある。
緊張のあまり使い物にならなくなるか、感情を抑えきれずに爆発させてしまうのか。
津田君は後者のようであり、横島先生を抱きしめる力も強くなってしまう。
「いいんだぞ津田。思いっきり出して」
「はぁっ……はぁっ」
感情は異様に昂っており、返事すら出来ずに何度も頷く。
腰を雑に何度も打ち付け、両腕で先生を抱き込み、両胸の感触を腹部で受け止める。
瞬間、体の奥からどくんと強く流れるのを彼は感じた。
限界の合図と共に、感情がゴム越しに爆発していく。類を見ない快楽が、下から脳へとあっという間に回っていく。
お互いに声を出すことはしない。
野獣のように貪った2人は、人間に戻るなど野暮な真似はしないのだ。
ただ感謝し合うかのように口づけを交わす。
深くも、恋人同士を想わせるに甘いキスだった。
「津田……告白する勇気は出来た?」
「……はい」
津田君は女を知った。
会議のときとは大きく異なる表情で、笑って見せる。
何も恐れることはない、誰も恐れることはない。
一度の性行為が彼を大きく変えたのだ。
「先生……オレ、七条先輩に好きだって伝えます」
気持ちに余裕が出来たのか、横島先生の髪を撫でながら自分の気持ちを吐き出していく。
「ああ、頑張れよ」
童貞を卒業して一皮剥けた彼にエールを送る。
自分の叶えられなかった初恋を託すかのように、最後の口づけを交わした。
そして現在に戻る。
相談室にての私、五十嵐カエデと横島ナルコ先生。
「以上が私と津田の秘密よ」
赤面モノの話をあっけらかんと言い、横島先生は清涼飲料水を口に含む。
全部の話を聞かされた私は、赤面を誤魔化そうと必死で顔を擦る。
「津田君の告白は成功したんですか?」
官能の話からなんとか逸らそうと、津田君の告白へと話題を転換させる。
だが先生の口から出た真実は、決してプラスではないものだった。
「たぶん失敗したわ。2人が付き合ってる様子はないし、津田もヤケになってるみたいだしね」
ここでようやく私の中で話が繋がった。
彼は七条さんに気持ちを伝えたが付き合うに至らなかった。だから自分を慕っている三葉さんの性愛に浸っていると。
私は彼のことを知ってしまった。それもマイナスの意味でだ。
卑下することも許すことも出来ない。傍観でしかない。
「話してくれてありがとうございました」
「おぅ、またいつでも来なよ」
彼から離れることを私は決意した。
悲しさが込み上げてくる。それでも決断を揺るがすことは出来ない。
「失礼します」
教室に戻ろうと扉を開けた。
瞬間、私は絶句してしまう。
そこに。彼女はいた。
会わなければならない、会ってはいけない人が。
「天草……会長……」
以上でDは終了です。
ちなみに五十嵐カエデ目線になっております。
次回は、Dまでに出なかったキャラ総動員させてハッピーエンドを考えています。
以上
417 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/21(木) 03:00:35 ID:zwrEz8ZI
>>415 乙です&GJ!ハッピーエンドがんばって!!!
話は大幅に変わるけど津田×五十嵐ってのは全くと言っていいほどないけど
やっぱ関連がないからむずかしいのかな?
>>415 乙&gjです、最後も期待しています
メインキャラでない(出番自体少ない)から絡ませにくいというのと
男性恐怖症ってのもあるしね
話を膨らませるのが難しいキャラだと思う
まあ職人各々方の味付け次第だと思うが
津田×五十嵐であり得るシチュか……
・男性恐怖症を直す為の相手
・暴漢に襲われかけたとこを偶然通りかかった津田が助ける
とりあえず入りとしてこんだけ考えてみた
カエデは人気出そうなキャラなんだがなぁ…ミサキチの後釜になれそうだし
中の人がえみりんってのもポイントなんだけどねー・・・・・<風紀委員長
>・男性恐怖症を直す為の相手
ショック療法ということでヤっちゃうんですね、逃げられないor反撃防止用に両手両足緊縛して
犬なら大丈夫だから犬の着ぐるみ着てヤるんだな
そのシチュエーション、ちょっと前にリサイズの広告でアリスのエロマンガ紹介があったなぁ…
ハロウィンで何故か魔"女"コスプレさせられたタカトシとカエデが仲良くなって、
勿論カエデは気づかなくて、それを面白く思ったシノ達が、度々タカトシを女装させて、2人で遊ばせる。
勿論タカトシは元々男だから、カエデを女として意識して、シノ達爆死。
で、見た目女中身タカトシの仕種にドキドキしてしまうカエデ。
2人は…
みたいな。
すいません、最近やったエロゲに感化されすぎました。
実によろしい
ところでいつ文章化されますか?
某ファミレスの2人の名前を変換すれば…
ダメだ、設定は似てるがキャラの性格が違う…
尻いじるの好きなアリアってシンジにとって理想の女性じゃないか?
シンジ×アリア(アナルフェチ繋がり)
タカトシ×ミサキ(シノのボケに振り回された繋がり)
>>428 >タカトシ×ミサキ
マサヒコがマジでEDで、性欲を持て余してるミサキがタカトシとやっちゃうんですね
なんだか夢がふくらむなあ、おらワクワクしてきたぞ!
今日のサンクリでタカトシ×スズのエロ同人1冊ゲット
kwsk
タカトシ×スズは至高
・・・・・役員共の同人自体少ないよな・・・・・?
434 :
431:2010/10/24(日) 23:01:35 ID:nHrcSbC5
こういう所でどの程度まで書いていいのかわからんので、サークル名と誌名は伏せるけど、
スズ宅で二人で勉強→タカトシが告白→そのまま初H
って流れ
それとは別に非エロの役員共同人誌出してるサークルも1箇所見かけた
うp
さすがに出たばかりの同人誌のうpりくは控えようじゃないか
在庫捌く時間もなくうpされたら、作り手がいなくなる
それに我らは変態であると同時に紳士だろ?
>>436 紳士で賢者になるためにとら行って探してくるわ
デレたらムツミが一番破壊力ありそう。
ピュア故に加減が分からず、って感じで。
ムツミ「にゃ…にゃあ」
タカトシ「……」
ムツミ「あ、あれ?…こうするとタカトシくん喜ぶって、コトミちゃんが言ってたけど…」
氏家はさりげに破壊力抜群なデレを入れてくるからな
あかほんくらいか、女性キャラクターのデレがなかったのは
ユーリちゃんのインセストを忘れちゃいかん
test
カエデ×タカトシの導入部だけ書いてみた
ランコ「というわけで、今日の『いったれ畑さん』は、『ドキッ!カエデちゃんの男性恐怖症克服大作戦!ポロリもあるかも』をお送りします」
カエデ「どういうわけですか!?というか、人をいきなり呼び出してどういうつもりです!?」
放課後人気のない教室、カエデはランコに呼び出されていた。
ランコ「いえ、仮にも風紀委員長ともあろうものが、漢字の書き取りをからかわれた程度で男性恐怖症というのもどうかと思いまして」
カエデ「ほっといてください!というか、後ろでガタガタいってる妙に大きなダンボールは何なんですか?」
ランコ「(無視)そんなわけでここは彼の出番ですね」
カエデ「彼!?」
ランコ「ご開帳〜」
タカトシ「ムガー!!」(離せぇぇぇぇぇぇっ!!)
ダンボールをひょいと取り外すと、中には椅子に縛り付けられているタカトシが。
カエデ「ふ、副会長!?」
ランコ「聞くところによると、五十嵐さんは犬のオスは平気だとか。そこで副会長に犬耳をつけてもらいました」
タカトシ「ガムー!ムガガー!!」(離せ!そして外せぇぇぇぇぇっ!!)
カエデ「…………」
ランコ「さて、五十嵐さんも気に入っていただけたようですので私はこれで。後は二人でお楽しみください」
カエデ「ちょっと!?」
タカトシ「ムガムガー!!」(何言ってんですかあんたは!?)
ランコ「ああ、この部屋は外からは鍵がかけられますが、中から開けられないよう細工しました。そうですね…一戦終わった後くらいにきますのでどうぞ存分に」
カエデ「何をー!?」
タカトシ「フガー!?」(待てぇぇぇぇぇっ!!)
ランコ「じゃ」
『いったれ畑さん』コーナーであるにも拘らず、当の本人が退場という暴挙を成しながら、ランコは教室から出て行った。当然そのすぐ後に『ガチャ』という音がしたのは言うまでもない。
カエデ「…………」
タカトシ「…………」
カエデ「と、とりあえず猿轡を解くわね?」
タカトシ「ウガ…ムガガ」(お願いします…先輩)
カエデ「…………」
タカトシ「ムガムガ?」(どうしました?)
カエデ「…考えてみれば私、男の人に触れることもできないのよね…」
タカトシ「…(しまった。盲点だった)…」
カエデ「…………」
タカトシ「ムガ?」(先輩?)
カエデ「…この人は犬。この人は犬。男の人じゃなくて犬…」
タカトシ「ムムガ?」(せ、先輩?)
カエデ「この子はワンコちゃん。かわいいワンコちゃん。カワイイオスのワンコちゃん…」
タカトシ「ムガ?ムガムガムーガ?」(先輩?なんか目がぐるぐる目玉になってませんか?)
カエデ「ハァハァハァ…だ、大丈夫よワンコちゃん〜?怖くないからね〜?」
タカトシ「ムガム!ムガムガ!ムムガムガー!!」(怖い!怖いっスよ先輩!特にその目がー!!)
カエデ「ハァハァハァ」
タカトシ「ムガー!!」(いやー!!)
以上丸投げ
疑似獣姦か…
レベル高いな
カエデでエロい話考えようにも、最終的に全部単なるラブコメ止まりなんだけど
男性恐怖症ってのがネックだよなぁ…
『こまけぇこたぁ(ry』の代名詞、催眠術でも使わせるか?
・目隠しをして秘密裏に事に及ぶ(要協力者)
・女装する
・快楽漬けにする
・例外にする
・オナニーだけは別である
カエデさん依存しそうでいいよね
タカトシにだけ触れるけど他はダメでしたみたいな感じで
MだMだと言われているが、さすがに何発も殴られるのを喜ぶような男ではない。
「いや…いやあああ!!…あぁ!!だ、誰か誰かぁああ!!」
五十嵐カエデは完全にパニックに陥り、狭い空間の中で狂ったように暴れた。
原因の半分は津田であり、もう半分はあの霞のような新聞部のゴシップ記者だ。
どういうわけか体育倉庫に呼ばれ、赴いたもののラン子の姿はなく、代わりに
男性恐怖症の風紀委員長が一人でいた。
今にして思えば、この時に嵌められているのだと気づくべきだった。
「ひぃぃぃぃ…いああぁあああ!!」
「っぐぅ」
カエデの手は津田の顔やら体、壁や床を何度も殴り、真っ赤になっていた。
津田が痛がっている理由はそれだけではない。背中には崩れた跳び箱がのしか
っている。津田は今、崩れた跳び箱からカエデを守るために、結果としてカエ
デを押し倒したような姿勢をとっていた。
だがカエデには事故と共に津田が押し倒してきたようにしか思えず、落ち着き
を失っているのだ。
正解に言えば事故ではない。ゴシップのために組まれた罠だ。足に何かがひっ
かかったかと思うと、跳び箱が崩れたのだからまず間違いない。
「落ち着いて!」
「やだ!!やだぁぁぁぁぁ!!」
一発、カエデの右拳が見事に津田の顔に入った。と同時に、津田の中で抑えて
いた怒りが爆発し、後先を忘れさせた。
「いい加減にしろよ!!」
「ひっ…!」
前例のない津田の怒号にカエデは身を竦めた。
「さっきからふざけんなよ…あぁもう!!」
めちゃくちゃな力で跳び箱を払いのけた。怒りのせいか不思議と今は痛みもな
い。
「ご…ごめんなさい…」
「なんなんだよ!?俺がなんかしたのかよ!!?」
「ひっ…ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
怯える姿が、魅力的に見えた。泣かしてやりたい。出来ることなら、生きるこ
ことに絶望するような凌辱を加えてやりたい。津田の中で怒りが浅ましい欲望
へ変わっていく。
「いいよ…じゃあマジでやってやるよ…!!」
こんなことをしてないで
>>377の続きを書かないと
衝動的にやってしまった…引き続きシノのを書いてきます
>>448 某よっ○ーのごとくヤンデレ化したカエデが見えた…気がする
>>448 だからこそ、最近やったエロゲの感化kされてしまったんす。
俺のカエデは伊波と違ってヒステリック暴力女じゃねぇ
カエデとムツミはヤンデレが似合うよね
よっ◯ーって何のことだ?
455 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 05:54:48 ID:Y+9EtQcH
>>454 きゃん○ぃそふとが出してたエロゲのキャラな。
クラス委員長で生徒会書記だったっけ?かなり独占欲と性欲が強い娘でヤンデレタイプ。
結構俺は好きなタイプだなよっ○ー。そういやカエデと根本は反対だけど設定似てるなwww
カエデは学業も優秀だし、性格は固いが排他的という程ではない
男性恐怖症も最初が漢字練習のアレなんだから、やり方次第では克服も十分可能だろう
逆に「女」って漢字を書き取りさせて
「レズビアンなの?」って聞かれれば
完全な人間不信に
タカトシ×カエデ書きました。
生まれて初めてのSSで緊張です。
エロ無しです。次から投下します
「やんでないか…」
寒さを伴って振り続ける雨は未だ止む気配を一向に見せていない。朝からずっとこの調子だ。いい加減止めばいいのに、とカエデは思う。
玄関の前で傘も持たずに立ち尽くす。朝の登校中に彼女の身を守ってくれた心強い傘は心ない誰かによって盗まれてしまった。
この学校で盗難なんて…、とカエデは怒りを覚えながら思う。彼女がそう思ってしまうのもこの桜才学園が県内屈指の進学校で、素行不良の生徒なんていないと思っていたからだ。
そして彼女はその桜才学園の規律を守る風紀委員長なのである。彼女はこの学園の生徒であることに誇りを持っている。その誇りは盗難を受けた後も揺るがない。
だからなおさら彼女の帰宅を邪魔し、また学校の規律を乱した犯人に怒りを覚えるのだった。
「明日生徒会に報告しとかなきゃ…」
「何をですか?」
ふいに声をかけられて振り向く。校舎の玄関でビニール傘を片手に立つ男子生徒が一名。彼の名前は津田タカトシ、この学園の生徒会副会長だ。
「私の傘が盗まれていたんです。だから明日生徒会に報告しとかなくては、と」
「それは本当ですか?なら俺が会長に言っておきます」
「そうですか、それはありがとうございます。」
会話だけみれば至極真っ当である。だが、この状況でおかしいのは2人の距離間だ。少なくとも5メートルは空いている。普通なら1メートルもない距離で話すような内容の会話だろう。もしくは話しながら距離を詰めて行くか。
何故こんなにも距離間が?答えはカエデが男性恐怖症だからだ。彼女が何故男性恐怖症なのかはここでは(めんどうなので)省く。だから安易に男性に近付くことができないのだ。
男性が近付くと彼女は冷や汗がだらだらと流れ、身ぶるいが始まり、呂律が上手く回らなくなってしまう。
そのことをタカトシはこれまでの経験より重々承知しているので必要以上にカエデに近付かない。これが彼が紳士たるゆえんだ。
「じゃぁ五十嵐さんはこのままじゃ帰れないじゃないですか」
「えぇ…そうですね、どうしましょう」
カエデは思案する。このまま家まで濡れながら突っ走るなんて荒っぽい事はしたくない。風邪をひいてしまう。かといってこれ以上待ちたくない。どんどん寒さは増していく。風邪をひいてしまう。学業に、委員会の活動に支障が出てしまう。
完全に八方ふさがりの状況だ。カエデは困っていた。
「あ」
タカトシが何かを思いついた。しかし距離が離れていたのでその閃きを表す感嘆はカエデには届かなかった。困惑した様子で視線を下に下げみつあみを揺らしているカエデに近付いていく。
困惑し、考えの堂々巡りの中カエデがふと視線を上げたとき、タカトシの姿がすぐ目の前にあった。
「ひっ」
カエデは一瞬のうちに青ざめた。瞬間、冷や汗が流れだしてくる。どうして近づいてくるのよ!と胸中で咆哮する。
「これ、ここに置いていきますから」
タカトシが視界から消える。そしてカエデの傍を駆け抜ける風。振り向いたときにはもう彼は雨の中を茶色のブレザーを濃く染めてながら走っていた。
そして足元に置かれたビニール傘。聡明なカエデはそれを理解した。
男性の手に触れたものを使うなんて…と思う自分をカエデは抑えた。そしてその新品同様のビニール傘を手に取る。
多分、今朝コンビニかどこかで買ってきたものなのだろう。何の変哲もないただの傘である。
そしてその傘を雨に向かって開く。
カエデは思った。
ありがとうと。
18年間生きてきて、親族以外の男性に初めて感じた感謝の気持ちだった。
おしまいです。短くてすみません。
カエデのSSが増えることを願っています。
初投下乙
やっぱカエデはこの手の切欠の話を経ないとエロ有りは難しそうだ
と言う事でエロ有り続編を全裸待機でお待ちしてます
>>456 アヤナがデレたら、多分なご○んみたいになるんだろうと考えた。
いや、無理か。。。
個人的に、ypは変貌っぷりにビビりまくった記憶がある。
>>459 乙。
恋人は無理でも良き友人とかにはなれそうに思えた。
463 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/27(水) 23:52:54 ID:Y+9EtQcH
>>459 乙です。やはり切欠の話から長く見ないと急には展開は進みませんよね。
なんか下手したら男性恐怖症が克服されてもタカトシ依存症になっちゃったりしてwww
そういえば幼なじみってミサキチだけか?
マナカも一応は
「今日は朝からいい天気だね〜」
「そうだな〜」
みなさん、おはようございます。城嶋家長男のシンジです。
俺は今色ボケ妹と一緒に登校しています。
「お洗濯もよく乾きそうだね〜」
「そうだな〜」
「青姦にはもってこいの陽気だね〜」
「そう…れはダウトだ!」
危ねぇ!危うく肯定しちまうところだった!
「え〜?そうかな〜?たまには外でヤるのもいいんじゃない?観衆に見られながらの結合!あぁ、考えるだけで興奮しちゃう!」
「猥褻物陳列罪で捕まるぞ」
「さすがにそれは冗談だよ。私の裸を見ていいのはお兄ちゃんだけだもん!それに、どうせ外でするなら草むらとか路地裏とかだよね?」
「いい加減口閉じないと禁止令1ヶ月の刑に処すぞ」
「っ!…そ、そうだよね!こんな天気のいい日は、日光を浴びながらフェラチオだよね!」
「とりあえず1週間禁止な」
「くぅっ!…ま、まぁ1週間くらいなら我慢してみせようじゃないの!」
「いい心がけだ。ついでにこの1週間は後ろも禁止だからな」
「なんで!?」
「あいにく俺には流血プレイの趣味はないんでね」
「?」
「お前そろそろだろ?」
「何が?」
「生理」
「っ!?!?!?!?」
おお、カナミが真っ赤だ。
「なんてこと言うのよお兄ちゃん!」
「何で怒るんだよ?普段あれだけ(下ネタ)飛ばしておいて」
「それとこれとは別なの!もう!デリカシーがないんだから!」
「お前にだけは言われたくないぞその台詞!!」
カナミにデリカシー云々を説かれるとは何たる屈辱!
「大体…痛っ!」
「どうした?」
「…目にゴミが入ったみたい」
「掻くなよ?下手すると眼球を傷つけるからな。ちょっと見せてみろ」
「ん…」
じーっと見詰め合う俺達。
「(左目…異常なし。右目…)ん?」
「んー」
と、突然カナミが両目を閉じた。
「…何の真似だ?」
「んー」
質問には答えず唇を突き出す妹。
「…まさかキス待ちのつもりか?」
「(こくん)」
体勢はそのままで頷く。そんなベタな…
「んー、んー」
「…………」
いい度胸だ妹よ。俺がいつもヤられてばかりだと思うなよ。
ガシッ!
「へ?」
ぶっちゅ〜〜〜っ!!
「んんんんんんっ!?!?!?!?」
カナミの両頬を掴み、思いっきり口付ける。しかもただのキスじゃない。ディ〜〜〜〜〜プなキスだ。
ぐちゅ…くちゅ…
「ん…んぁ…はんっ…」
ちなみにディープキスとは英語ではなく日本語だ。あっちではディープキスのことをフレンチキスという。ただ唇を合わせるキスはソフトキスだ。よい子のみんな、覚えておくように。
「ぷはぁ…」
時間にして十数秒。口を離すと、銀色の橋がつつ〜っと…いや、それより
「お…にぃ…ちゃ…」
焦点のぶれた目で、熱に浮かされたような妹の顔。実は俺は、カナミのこの顔を見るのが好きだったりする。
「さて、お遊びはこれで終わり。学校行くぞ」
「えっ!?」
突然素に戻った俺に、文字通り目を白黒させる愚妹。
「ちょ、ちょっと待ってよお兄ちゃん!これで終わり!?」
「当たり前だ。俺達は今登校中なんだぞ。時間に余裕があるとはいえ、寄り道するわけには行かないだろ」
「そ、それは…」
「早く行くぞ。これも罰の一環だ」
「ぅぅ〜っ!」
恨めしそうな唸りを聞きながらさっさと道を行く。たまには兄としての威厳を見せなきゃなw
その夜、俺の晩飯はご飯と味噌汁、そしてエロ本だけでした。orz
以上、保守ネタでした
乙!
やっぱカナミ×シンジはいいな
472 :
>>458:2010/10/28(木) 21:32:27 ID:jzB8xnfR
>>458です。タカトシ×カエデの続編ができあがりました。
エロ無しです。次から投下します。
473 :
>>458:2010/10/28(木) 21:37:51 ID:jzB8xnfR
「津田副会長」
昼休み、廊下を歩いていると呼び止められた。声の主は――
「五十嵐さんじゃないですか。どうしたんですか?」
風紀委員長五十嵐カエデであった。風紀委員会繋がりで何か連絡でもあるのだろうか?いやそれなら会長に直接言うだろう。そもそもここは二年生のフロアである。ついでに彼女は男性恐怖症である。なんなんだろう。
「えっと、いや…その…」
らしくない、歯切れの悪い返事である。もじもじと顔を赤らめながらタカトシの前に立つカエデは傍から見れば告白前の初心な女子高生だ。男性恐怖症なんて微塵も感じさせないような。
タカトシはそこで気が付いた。――この前の傘の件か
「あぁ、あのことですね、別に構いませんよ」
そう言うと、カエデはホッとした気持ちになった。彼女にとって男性と相対して話すこと、しかも感謝の意を表す内容ではどうも決まりが悪かったのだろう。普段はあんなにも毛嫌いしている男性に対してありがとうと言うことが彼女自身に信じられなかったのだ。
「あ、あのときはありがとうございました…」
両手を前で重ね、ちょこんとおじぎする。その姿は普段は厳めしく巡回しているカエデの印象とは異なる愛らしいものであった。
「傘は一応家にあるんですが…晴れた日に持ってきても手荷物になるだけかと思って…でも傘が無いと雨が降ったら困るし…」
そして視線を戸惑わせつつ、カエデはポツポツと話す。ただのビニール傘なんだからそんなこと全然気にしなくていいのに、とタカトシは内心苦笑した。
この相手を気遣う優しさと生真面目さとがカエデが風紀「委員長」たらしめているのだろうとタカトシは思った。同時にそんな彼女を、可愛らしいとも思った。
「そうですね、じゃぁその傘、俺からのプレゼントってことで」
微笑みながらタカトシは会話の潤滑油になるような、そんな冗談を言った。つもりだった。
この一言が世界の距離間を変えることになろうとは、タカトシもカエデも知らなかった。
474 :
>>458:2010/10/28(木) 21:39:11 ID:jzB8xnfR
「――という訳で今後は風紀委員会とも協力して校内巡回を強化していくことにする。歴史ある桜才学園でこんな事が二度と起こらないようにな」
そういって一息つき会長は生徒会の面々を見まわした。各々真剣なまなざしで会長の言葉に耳を傾けている。
「津田、君は生徒会唯一の男子生徒だ。だから風紀委員が校内巡回をするとき、君も行動を共にしてもらいたい。まぁその方法は風紀委員会に委ねるが。行動を共にするということはお持ち帰りもOKだな」
「行動は風紀委員会に委ねるんじゃないんですか…」
「そうよシノちゃん、和姦は相手の合意がないと成立しないんだから」
「そういうこと言ってんじゃねーよ!」
真面目な内容の話だったのにいつの間にか下ネタ、という具合にいつもの生徒会役員共の活動は進んでいく。異常なし、であった。
「よくわからん…」
タカトシは呟く。誰にも拾われないため息の具現。彼女達と彼女では何が違うのだろう…?
――コンコン
ドアを叩く音が聞こえた。シノが中に入るよう促すと風紀委員長のカエデが入ってきた。
「今から校内の巡回を行おうと思います。それで一緒に巡回してくれるという方は…?」
「それは津田だ。唯一の男子生徒だしな。頼りになるだろう」
「!…ままままままぁ仕方ないですね…じゃぁ生徒会室の外で待ってるんで…」
「何、津田では不服か。なら次に頼りになりそうな横島先生にd「それはお断りします」」
――バタン
ドアが閉じられた。タカトシが役員共の面々をぐるりと眺めてみるとやれやれ、という顔で息をつくシノと真意を掴めない微笑みを浮かべているアリアと何の感想も抱いていないように黙々と会計の仕事を続けるスズがいた。
「五十嵐の男性恐怖症はなんとかならないものか。このままでは百合ってしまうぞ」
「心配はそこですか」
「まぁ、今回の巡回は五十嵐の恐怖症治療も兼ねていると思って行ってこい。校内の安全も守られるし、一発双子だな」
「それを言うなら一石二鳥だろ!全然違うじゃん!」
「てゆーか津田、早く行った方がいいんじゃない?」
スズに急かされて突っ込みもそこそこに、タカトシは席を立って生徒会室を出る。
ひんやりとした廊下。もう秋も半ばにさしかかった。そろそろ制服の下に何かを着込むことも考えなくてはならないだろう。
そして目の前には窓枠のついた壁にもたれかかっているカエデがいた。伏し目がちに何かを考えてるような仕草から、タカトシを見た瞬間ハッとして姿勢を正した。
「じゃぁ五十嵐さん、巡回の方法は…」
「そそそそそうね、ふ、ふたりで回るのは非効率だから二手に分かれましょう!そうだそれがいい!私はこっち!あなたはむこう!それじゃ頑張って!」
ピューという擬音がぴったりとくるような速さで行ってしまった。そこは走るのではなく速歩きでいくのが流石、風紀委員長だった。
「前よりも避けられている…」
タカトシは誰に言うとなく零した。――原因はアレなんだろうなぁ、ちょっとしたジョークのつもりだったんだけどなぁ…
タカトシは昼休みの己の発言を再び後悔した。
475 :
>>458:2010/10/28(木) 21:40:12 ID:jzB8xnfR
「は!?」
廊下を歩く生徒たちが一斉に立ち止り、声の発生源を振り返った。刹那、静寂が訪れる。
そこには目を丸くしてタカトシを見つめるカエデ、本気で驚いているタカトシがいた。平穏な昼休みを突き破る霹靂が彼女たちに落ちた。
「え…いやあの、ちょっとした冗談ですよ」
「えええええ、まままそうでしょうね!そのくらい私にもわかってるわ!じゃぁ津田副会長!私はこれで!」
そう言って韋駄天の如く歩いていくカエデ、後に残されるタカトシ。静寂は終焉を迎えた。
タカトシは驚いた。カエデが驚き様に。あの程度の冗談なら大丈夫ではないかと踏んでの発言だった。それに、冗談によって引き出される彼女の新たな一面が見られるかもしれないという好奇心からの発言でもあった。
男性恐怖症というものがタカトシには分からない。でも――、と軽く見た結果がこれだった。カエデを怯えさせてしまった。
自分は生徒会で一癖も二癖もある女性を相手に会話をしているので女性とのコミュニケーションのいろは位は知っていると思っていた。それは傲慢でしかなかったのか。
次会ったら謝ろう。そして今までの距離を取り戻そう。そう思ってタカトシはその場を後にした。
ななななななに今の?ふふふ副会長ってもっもっもしかしてタラシとかいうやつ?
カエデは顔を赤く染めながら廊下を、両腕をブンブン振り歩いて行く。
カエデにとってあんなことを言われたのは生まれてこのかた初めてだった。親戚のおじさん、お兄さんでさえ少し距離を置いていたカエデにとって、互いを身近に感じさせるような冗談を異性から言われたのは初めてだった。
頭が沸騰しそうに熱くなる。心臓がドキドキする。私の恐怖症が最大限にまでキテいる。もう、最悪!
カエデが男性恐怖症になってからというもの、彼女の世界に存在する男性は教師、父親等の年が離れた友達にもなりえない存在だけであった。
ましてや恋愛など、おぞましいものとしか思ったことがない。現代文の小説に恋愛物が出てくると、いつも点数が悪かった。登場人物の心情が理解できなかったからだ。
そんな彼女が女子校である桜才学園を志したのは当然の帰結であった。自分の世界を守り抜くための選択だった。
ところがどっこい、桜才は共学化してしまった。大嫌いな男性が入学してきた。しかも彼女は風紀委員長として嫌でも彼らと接触しなくてはならない。
そんな中、接触の機会が一番多かったのは男性はタカトシであった。彼が生徒会副会長だったからだ。役職上、多く会話せざるを得なかった。
そしてこの前の雨の日のこと。彼女は初めて心の奥から湧き上がる嫌悪感を抑えた。そして素直にありがとうと思うことができた。
タカトシは彼女の中である意味特別な存在となっていた。でもそれは恋愛感情とかではなく、「ちょっと接する機会の多い男性」という位のものだった。
しかし、今日のジョークでタカトシの、その地位も揺るいでしまった。それは彼女が今感じているのは恐怖症からくるものではなく、「照れ」という乙女が歩む恋の第一歩だからだ。
476 :
>>458:2010/10/28(木) 21:41:37 ID:jzB8xnfR
夕刻、オレンジ色の光が校舎を染めていく。ふと、外を見ると校庭に根付く木々が赤く色づいていることに気づく。もう秋も半ば。
日々の仕事に追われて、周囲を見る余裕さえなかった。そういう意味ではこの巡回はタカトシにとっての気分転換になった。
気分転換という心持で望んではいけない仕事なのはもちろんなのだが、タカトシはカエデのこともあって生徒会室でじっと座っているよりはいくらかマシだと思った。
「あら、津田君どうしたの一人で」
一階の一年生フロアの廊下の突き当りを曲がるとばったりとランコと遭遇した。今日も彼女は片手に愛用のカメラを提げている。
「こんにちは。今校内巡回を五十嵐さんと一緒にやってるんですよ。この前盗難事件があって、それで見回りを強化しようと」
「あぁ、そういう話があったわね。犯人の姿撮れてたら良かったんだけどね…今度こそ逃さないわ」
「はは、頼もしいですね。でも危険なことはしないでくださいよ」
目を光らせてカメラを構え周囲をぐるりとシャッターチャンスを窺うように見回すランコ。それに一後輩として気軽に接するタカトシ。
写真部、生徒会という枠組みを超えて2人は仲の良い間柄にあるように思えた。
「じゃ、俺はこれで」
「津田君も気をつけてね、津田君のお尻の童貞盗まれる可能性もなきにしもあらず…」
「怖いこといわないでください!」
そして手をひらひらと振りながらタカトシの来た方向へと歩いていくランコを見送って、タカトシは校舎の玄関の方へと歩いていく。
もう見回るべき所はないはず。多分カエデも最後には玄関にやってくるだろう。
その時に、謝ろう。
タカトシはカエデにとっての一後輩に戻るべく強く思った。
一方カエデはというと、校内巡回どころではなかった。
胸の高鳴りは止まらないし顔もなんだか熱い。熱でも出たのかと本気で思い始めていた。
津田君のせいだわ絶対、あの人があんなことを言うから…
カエデが平常じゃないのはそうなのだがカエデはこれを男性恐怖症の発症だと思っている。実際は照れであることに彼女は気付いていない。しかし彼女の永久凍土は徐々に溶け始めていた。
そして気が付くと玄関前に来ていた。彼女がいつも見回るルートのゴール地点である。でも全く巡回した気にならない。教室内に残っている生徒はいないか確認したか?戸締りはチェックしたか?…ということはロクに見回りもせずに巡回を終えてしまったということだ。
「はぁ…なんということ…」
肩を落とし、思わず呟いてしまった。誰にも見られていないとしても、これは風紀委員長としての怠慢だ。
よし、もう一度見回ろう。てゆーか津田君に会いたくない!まともに対応できないわ!カエデがそう決心し来た道を戻ろうとすると――
「五十嵐さん!」
いつかは会わなくてはならなかったけど今はできるだけ会いたくない人物に声をかけられた。
477 :
>>458:2010/10/28(木) 21:42:41 ID:jzB8xnfR
「五十嵐さん!」
タカトシは歩きだそうとしているカエデに声をかけた。彼が角を曲がり玄関に来た時、彼女は玄関から立ち去ろうとしていた。
多分、俺に会うのが嫌だったんだ。タカトシはそう思い、声をかけるのを一瞬躊躇したがここしかチャンスはないと思い、大声で叫んだ。
「こっち向いて貰わなくてもかまいません!あの…昼休みのことなんですけど、すみませんでした」
タカトシは頭を下げる。カエデがこっちを向いていなくても。
「ほんの冗談のつもりだったんです…でも先輩の気持ちを害してしまったみたいで…すみませんでした!俺、男性恐怖症ってのがよくわからなくて…少し軽率でした…
あの傘は捨てて貰っても構いません。どうせただのビニール傘ですし。そして良かったらまたいつもの先輩後輩の関係に戻ってもらえないですか?」
慎重に言葉を選んで述べた謝罪は果たして伝わっただろうか、タカトシは頭を下げているのでカエデがどうしているのかはわからない。
もしかしたらとっくに行ってしまっていてこの言葉を聞いていないかもしれない。もしくはただの自己満足だと罵られてしまうかもしれない。
でもカエデには謝っておきたかった。このままでは彼女は男性不信をますます深めてしまうかもしれない。彼女は学校で今までのように堂々としていられなくなるかもしれない。
それを謝ることによって少しでも緩和したかった。謝罪以外に方法はなかったかなんてわからない。
でも彼女がありのままで過ごせなくなることがタカトシには嫌だったのだ。
「か、顔を…あげてください…」
頭上から声がかけられた。タカトシは嬉しさのこみ上げと一緒に勢いよく顔を上げた。
夕陽によって染められた端正な顔と、チャームポイントのみつあみ、カエデがタカトシの目の前に立っていた。
478 :
>>458:2010/10/28(木) 21:43:47 ID:jzB8xnfR
「しょ、正直そこまで考えてるくれてるなんて…おもわ…なかった
わ、わつぃ、わたしは、嬉しい…です、というか許すも何も怒ってないです…」
途切れ途切れ視線をうろうろさせながら話すカエデ。カエデ自身何を喋ってるか分かっていない状況だ。
心臓は爆発してしまいそうにビートを激しく刻んでいるし、頭の中は真っ白、顔は夕陽でごまかせないくらい真っ赤だ。
それでもタカトシは真剣にカエデの言葉を心に刻んでいく。男性不信を押してまでカエデが自分の目の前に立っていてくれることが嬉しいから。カエデがこれからも威風堂々としてくれるから。
「ありがとうございます。良かった、先輩はこれからも変わらないでいてくれるんですね」
「え、それどういう…」
「俺のせいで男性不信深めちゃったんじゃないか、って思ってたんですよ。それで学校で堂々としていてくれる五十嵐さんが見られなるのは嫌だなって…でも良かったです」
タカトシがそう言った瞬間、カエデは何かが体の中から抜けるのを感じた。今まで自分の中で邪魔でしかなかったもの、でもそれが自分のアイデンティティにも少なからずなっていたものがスッと抜けるのを感じた。
まだ胸の高鳴りは止まらない、顔の表面も冷めてこない。でもあの感じは――もうない
「津田君」
「はい?」
「握手しましょう」
「はい?ってえ?」
ぎゅ――
タカトシの右手がカエデに取られる。秋の空気で冷やされた手が、同じく冷やされた手に包み込まれる。でも心の中はすぐに暖かくなる。
カエデが少し背の高いタカトシを見上げるような形でみつめてくる。その凛々しくも綺麗な顔立ちに、タカトシはドキッとした。
「あの…これってどういう…?」
「私、男性恐怖症を克服します。風紀委員の仕事にも支障が出るし、このままではよくありません。だから、治します。」
そこでカエデは一息ついて
「この握手は、その第一歩です」
そういってカエデは手を離した。あまりの出来事にタカトシは呆気にとられる。
「じゃ、じゃぁこれで!私は見回り残した所があるから!」
カエデはさっきの自分の行動を隠すようにさっと後ろを振り向いて歩きだそうとした。いわゆる照れ隠しと言う奴だ。
自分を置いてすぐにでも行ってしまいそうなカエデにタカトシは思わず声をかけた。
「五十嵐さん!」
「ひっ」
「男性恐怖症を治すんなら…一緒に見回りしましょうよ」
永久凍土から溶けだした恋は、ほんのりと色を付け始めた。
479 :
>>458:2010/10/28(木) 21:45:59 ID:jzB8xnfR
以上です。
タイトルは「染まりゆく手のひら」でお願いします。
書けば書くほど楽しくなってきてめちゃくちゃ長くなってきてます。
とりあえずエロまで頑張って書いてみます。よろしくお願いします。
>>479 乙です
アドバイスというかお願いというか一つだけ
一文辺りが長いところは改行してみたほうがいいと思います
そのほうが見栄えがいいですし
>>479 カエデが実に可愛くて辛抱たまらんですな
エロの有無に関係なく続編投下が楽しみすぎる
乙&GJでした
タカトシ×カエデがこんなに萌えるCPだったなんて…Gj!
こんにちは。
>>478の続きができましたので投下します。エロ無しです。
>>480 ご指摘ありがとうございます。本当ですね、凄く読みづらい…
一行にどれくらい文字が入るのか分からないのでなるだけ改行を多くしていこうと思います。
では次から投下です。
「失礼します。津田君、見回りの時間です」
「あ、分かりました。ではいってきます」
「あぁ。そのまま終わったら帰宅してもいい。見回り、頼んだぞ」
そういってカエデと連れだって生徒会室から出て行くタカトシ。
盗難事件から1ヶ月過ぎたがまだ生徒会と風紀委員会と共同の見回りは続いていた。
というのも誰も止めようと言いださなかったからだ。
風紀委員会側はこれまで一人で行っていた校内巡回が二人になって効率が良くなるのはありがたかったし
生徒会側もタカトシという仕事の上での駒が無くなるものの、
風紀委員会の活動が円滑になるのならば厭わないと思い何も言わなかったのだ。
「さて、我々はあと少しで終わるとしようか。…どうしたアリア?」
「いや…変わったなーって」
「何がだ?生理の周期がか?」
「違うよ。五十嵐さんよ。前ほど男性…って言っても津田君にだけど、に対して過敏に反応しなくなったじゃない」
「そういえばそうだな。まぁ1ヶ月も一緒に回ってれば嫌でも慣れるのだろう。強制イラマ○オもそんな感じだろう」
「そうかなー?んー…まぁ、いいことだねー。校内の安全も守られて、五十嵐のさんの男性不信も直って」
「私は良くないです…ツッコミ的な意味で…」
スズにタカトシの仕事(主にツッコミ)が投げられっぱなしなのであった。頑張れスズちゃん。
「五十嵐さん、こっち側の見回り終わりました」
「こちらも終わりました。お疲れ様です」
「はい、お疲れ様です」
玄関で見回りの報告をし合うカエデとタカトシ、この1ヶ月間ずっとこうやって風紀委員会の活動を共にしてきた。
月、水、金の週3回、カエデとタカトシはこうして校内の見回りをする。ちなみに今日は金曜日である。
タカトシは校舎の東側を、カエデは校舎の西側を。そしてゴール地点は玄関。そこで報告をし合って終わる。
問題点は風紀委員会と生徒会の両方に持ち上げられることになるが、それによって緻密な対策が練られるようになった。
問題の違う側面をそれぞれが見つけることができるからだ。
カエデはこのシステムに非常に満足していた。今まで一人、もしくは風紀委員会単独でで行っていた時よりも成果が表れるからだ。
委員長として、この学校の規律を守るものとして、今までよりもカエデは胸を張って学園生活を過ごしていた。
タカトシもまた、別の意味で満足していた。カエデと一緒に何かできる、ということが嬉しかったからだ。
一緒に、と言っても生徒会で会い、その後校舎の玄関で報告し合って別れる、という位のことでしかないのだが。
それでも今までよりもカエデと多く接するようになってタカトシはいくつかの発見をすることができた。
見回りが終わって異常なし、と報告する時に見せる顔は普段見られないような凛々しさを含んでることや
何かしらの問題点を報告するときの顔は心底悲しそうな顔をすることなど
今まであまり知らなかった彼女の表情を知ることができた。
タカトシは生徒会役員として学校の安全を守れる事よりもカエデと一緒に行動できること、そのことに満足していた。
「ところで五十嵐さん」
「なんですか?」
「男性恐怖症の方はどうですか?」
「うっ…ま、まぁなんとか順調よ」
こうやって、ちょっと取り乱したりすると敬語じゃなくなったりするのもこの1ヶ月で知ったことの一つだ。
委員会の活動が終わった後も敬語じゃなくなったりする。使い分けることによって彼女なりのけじめをつけているのだろう。
そしてこの言い方からしてあまり順調でないのだろう。この人はすぐ表情に出る。
「まぁ、どんな病気でもいきなり治る訳ありませんし、ゆっくりしていきましょう」
「うん、そうね。あなたとはこうして喋れてるからね。私は着実に進歩しているのよ」
未だカエデはタカトシとしかまともに会話をすることができないでいた。
基本的に男子に喋りかけることはないので受け身の会話がほとんどでハードルが低いはずなのだが
今まで蓄積されてきた「恐怖」の壁はそれよりもはるかに高かった。
「じゃ、そういうことで私は帰ります。津田君も気を付けて」
「あ、今日は一緒に帰らないですか?もう暗いですし」
「んー…そうね、変質者が出るかもしれないですしね。お願いします」
人差し指を顎につけて思案する様子を見せた後、カエデは少し微笑んでぺこりと頭を下げる。
最近、辺りが暗くなるのが早くなったということでカエデとタカトシは下校を共にすることも多くなった。
以前のカエデなら全力で拒否していただろう。それがどんなに危険であっても。
今は「お願いします」とまで言えるようになった。これだけでも大きな進歩だ。
玄関を出てから一緒に歩いていく。空は紺色で、星も瞬き始めている。
西の空はまだかすかにオレンジ色を残しているところがなんとも郷愁を誘う。
肩を並べてカエデとタカトシは家路を行く。タカトシの身長はカエデより少し高いくらい。
カエデは鞄を両手で前にして歩いている。そういう所も生真面目さや清楚を感じる一因だ。
「ところで、あの傘はまだ家に置いてるんですか?」
「ええ。捨てるなんてもったいない」
「はは、ありがとうございます。」
他愛のない会話を続けながら歩いていく。いつもタカトシはカエデの家の近くまで一緒に帰る。
家の方向は反対だが、女の子を一人にする訳にはいかない。
タカトシとカエデは他に色んなことを話した。授業のこと、お互いの機関の活動のこと、テストのこと…
学校関係の話になるとカエデが年輩なので、自然とタカトシは相談に乗ってもらう形になっていく。
「最近数学がわからないんですよ…等差数列とかは分かるんですが階差数列とかになるとめっきり…」
「応用が分からないのね、数列の形を覚えて行けばいいと思うわ。まずはそこからよ」
「そうなんですか、覚えるんじゃなくて理解しろだなんて言われてましたけど…」
「理解も必要だけど覚えることも必要よ。数学は暗記だって誰かが言ってたわ」
という風に良い具合に打ち解けてきた感じでカエデの家の近くに到着する。校舎からここまで大体20分。
とても楽しいけどすぐに過ぎ去ってしまう20分。
――名残惜しいな、とそれは二人が二人とも思うことであった。
「今日はありがとう」
丁寧におじぎするカエデ。タカトシもつられて少しおじぎする。
「いえいえ、お話しできて楽しかったです。ではまた来週の月曜日の見回りで」
タカトシがそう言って振り向こうとしたときに
「あ、津田君」
呼び止められた。
「家にある傘、今返すわ。だから家まできてくれない?」
距離がまた1歩縮んだ気がした。
カエデの家はどこにでもあるような一戸建てだった。アリアみたいな豪邸に住む人間がそう何人も居るわけがない。
カエデは平凡な、でも穏やかな家庭で歪むことなく真っ直ぐ育ってきたのだろう。この家はタカトシにそう感じさせた。
「はい。遅くなっちゃってごめんなさい。傘ありがとう」
「わざわざありがとうございます」
玄関前で待っていたタカトシに、カエデは傘を渡した。何も変わっていない。あの日の傘のままだ。
「ところで明日は土曜日だったわね」
「えぇそうですよ。それが何か」
「なら一緒に参考書を買いに行きましょう」
「え」
突然の提案だった。
午後12時45分、タカトシは桜才学園前駅の前にいた。なんのために?カエデと参考書を買いに行くためであった。
「ほら、数学分からなくなってるって言ったじゃない。そういうのは早めに無くしておいた方がいいわ」
「え、でもそれって大丈夫なんですか?」
「何が?」
「風紀委員的に…」
「学校外のことじゃない。それに困ってる後輩を助けるためという大義名分もある。問題はないわ」
「はぁ…じゃぁお言葉に甘えて」
「じゃぁ決まり。詳しいことはまた連絡するわ。アドレスと電話番号教えてね」
その後、互いに携帯のアドレスと電話番号を交換して別れた。
あの男性恐怖症だったカエデが、休日に一緒に買い物に行こうと誘ってくるなんて!
タカトシはなかなか信じられず、携帯のアドレス帳に刻まれた「五十嵐カエデ」を何度も見返してしまうのだった。
そして徐々に、楽しみにする気持ちが込みあがってくるのだった。
その後、家についてから待ち合わせの時間やら場所やらが指定されたメールが送られてきた。
From 五十嵐さん
To 津田タカトシ
Sub 明日のことだけど
明日は学園前駅に1時集合で。遅刻は許さないからね。エコバッグみたいなのがあるといいと思うわ。
じゃぁお休み。
彼女の性格を顕著に表す、事務的なメールだった。
しかしタカトシはその夜、このメールを何度も何度も読み返してしまうのであった。そしてこう思うのだった。
「案外姉御肌体質なのかもしれない…」
日が明けた。本日は晴天なり。デートにはもってこいの日だ。
デートは待たせてたはいけないと何かの雑誌で読んだのでタカトシは15分前に集合場所に来ていた。
駅前は人でごった返している。ちゃんと見つかるかな、もしくは見つけてくれるかな?タカトシは少少不安になった。
今日は、普段は服に頓着しないタカトシでも一張羅を着てきた。つもりだ。
出かける前コトミに
「ありゃ珍しい、そんなKoolな恰好して。謎解きにでもいくの?」
と言われたのだからそれなりの格好にはなっているのだろう。後半部分については何を言っているかよくわからなかった。
時計を見ると時間は12時55分、カエデのことだからもうそろそろこの辺に居るに違いないが…
「あ、津田君」
後ろから声をかけられた。声に反応して振り向くとそこには私服姿のカエデがいた。
いつものみつあみに花柄の紫色のワンピースの上に赤色ツインニットをボタンを羽織っていている。
落ち着きを印象付けるその上半身とそして彼女の足を包んでいる黒いタイツが上手くマッチしていて、
なんともいえない艶やかさを出していた。
学校とは全然違う印象を与えるその格好にタカトシは思わず見とれてしまった。
「こ、こんにちは」
「こんにちは。集合時間を守って偉いわね。さ、行きましょ」
カエデの後についていく。どこに行くということは聞いていない。でもその辺の大型書店にでも行くのだろう。
普段は気にせずカエデの後ろを歩いていたが、今日は何故か彼女のうなじに視線が行ってしまう。
タカトシはドキドキしながら歩みを進めていった。
そうして着いた所は駅から約5分くらいのところにある大型書店だった。
確かにこういう所なら様々な種類の参考書も置いてあるだろう。
「私はいつもここで参考書や小説なんかを買ったりしているのよ」
「そうなんですか。俺はあんまり来たことがありません。たまに来ても漫画買うくらいですかね」
「本読まないの?ダメよそんなんじゃ。読書は人を豊かにしてくれるんだから」
半ば説教じみたことを言われるがタカトシは自分を心配してくれていることが分かってそれが嬉しかった。
参考書選びは早くに終了した。
カエデが事前に調べていた本があったのか、店内の参考書コーナーに行くやいなやパッと一冊の参考書を手に取り
「これがいいわ」
と差し出されてしまったのだ。タカトシとしては自分の意見は何も持ってないのでそれに反論する理由なんてない。
二つ返事でOKし、これにて一件落着と相成ったのだった。するとカエデがこんなことを言い始めた。
「じゃぁこれは私が奢ってあげる」
まさかの奢り発言である。流石のタカトシもこれには何か言わざるを得ない。
「え、なんでですか」
「この前の傘のお返しよ。いいから。それにこの参考書がもしあなたに合わなかったりしたら申し訳ないしね」
こう言われては言い返す余地がない。素直にカエデに従うのだった。しかし、レジへ向かおうとしたときカエデの体が固まる。
どうしたんですか、と声をかけようとしたときタカトシは気付いた。レジ係が男性だったのだ。
しかしそれでもカエデは歩いていく。さっき彼女が纏っていた雰囲気とは明らかに違う、緊張が彼女の体を蝕んでいた。
タカトシは声をかけようか迷った。やっぱり俺がと、無理しないでくださいと、しかし声をかけるのはやめておいた。
「こ、これお願いします」
「はい、1200円になります」
「ここここれどぇ」
「はい、お釣り300円になります」
「ああああああ、ありがとうござ…ひゃっ」
店員のお釣りを渡そうとする手がカエデの手に触れた。
昔のカエデなら反射反応のように手をひいてしまっただろう。でも今は違った。
引っ込もうとする手をなんとか自制し、お釣りを受け取った。
彼女の背中には大量の汗がに流れていた、足も少々震えていた、それでもなんとか、受け取った。
そして足早にレジ前を去りタカトシの元へ。顔は青ざめているが、どこか達成感が感じられた
「五十嵐さん」
「なに?」
「ありがとうございました。そして…よく頑張りました」
「なっ…」
微笑みながらそう言いタカトシはカエデから参考書を受け取る。カエデは一転、顔が紅潮していく。
「あ、当り前よ。治すんだって決めたんだから。そ、そろそろ行きましょうか」
タカトシと正面から向かいあうことが恥ずかしいのかカエデはくるりと向きを変え出口へとスタスタ歩いていく。
それを見て可愛いなぁなんて思ってしまうタカトシだった。
「早く行くわよ!」
「あ、はーい。待ってくださーい」
デートはまだまだ続く。
カエデとタカトシは喫茶店にいた。書店を出たのがだいたい午後1時30分だった。
このまま別れるのはいくらなんでも早すぎる、誘ったのに申し訳ないとカエデが喫茶店に行くことを提案したのだ。
帰っても何もすることのないタカトシは喜んで了承した。まだカエデと一緒に居れることが嬉しかった。
「で、昔はああやってレジ係が男の人だと買い物ができなかったのよ」
「そうだったんですか。色々と大変ですね」
「でも今日でそれはもう無くなったわ。これで買い物の幅が広がる」
「それは良かったです。それだけでも今日来た甲斐がありましたね」
「そうね。これも津田君のおかげかもしれないわね」
「はは、ありがとうございます」
飲み物を片手に2人は語り合う。カエデもほとんどタカトシに恐怖心を抱かなくなっていた。
談笑し合う2人は周りから見れば仲睦まじいカップルだった。
そうして1時間ほど喋りあった2人はそろそろ店を出ることにした。この先の予定はもう、ない。今日はこれで解散だ。
店を出て、2人は駅前まで歩いていく。さっきまで順調に交わされていた会話が続かない。
2人とも別れが惜しいと感じる。でもこれ以上踏み込んではいけないような、そんな気がしていたのだ。
「あ、雨だ」
急に雨が降ってきた。さっきまで快晴だったのに、いきなり空が表情を曇らせ、泣きだしたのだった。
女心と秋の空…か。タカトシはどこかで聞いたようなことわざを思い浮かべた。
「濡れると風邪ひきます、とりあえずどこか雨宿りしましょう」
「ええ、そうね」
駅まではまだちょっと遠い。2人はシャッターの下りている眼鏡屋らしきところへ飛び込んだ。
近くにコンビニがあればいいのだが、えてしてそういうものは駅前に集まっているものだ。
雨が降りだすとともに気温も急激に下がってきた。それに今日は晴れだったためそんなに厚着をしてきていない。
タカトシ自身も寒さを感じるのだがカエデの方が心配だった。ワンピースではなおさら寒いだろう。
「困ったわね…さぶ…」
案の定、カエデは寒がっていた。肩をすくめ、熱を逃さまいとしているカエデの姿は庇護欲をそそらせるものがあった。
その様子にタカトシはなんだかデジャヴを感じた。
そうだ、彼女とこんな風になるきっかけになった日も雨だった。あの時は傘はあったけど、今はない。
なら、今日は俺が傘になったらいいじゃないか――
タカトシは、カエデの両手を取った。
「え?」
「ほら、こうすればちょっとは暖かくなりませんか?」
タカトシはカエデの両手を包み込んだ。まだそれほど冷気には冒されていない、
ほんのりと温かいその両手を甲からそっと包み込む。
もう手を取られても震えはしない。タカトシは踏み込むならここしかないと、そう思った。
呆気にとられてなすがままにされているカエデにタカトシは――
「そして五十嵐さん、多分俺はあなたのことが好きです」
急に雨が降ってきた。タカトシに促されてシャッターの下りた眼鏡屋に飛び込む。
ここならなんとか雨は凌げるが、寒さは凌げない。
せっかくいい感じだったのに…、カエデは苛立ちを覚えた。どうして雨なんて降ってくるのだろう。
でも…まぁそれもいいか、なんてことをちょっと思ってしまった。
それはなぜか?それを認めるのは恥ずかしいし、なんだか嫌だった。
今日タカトシを買い物に誘ったのは自分でも信じられなかった。昨日、本当に、自然にそう言葉がでてしまった。
そのことでカエデは自分自身タカトシに少なからず好意を抱いていることがはっきりとわかった。
でもそれが恋なのかどうかは分からない。何しろ今までそんな経験なかったのだから。
今日だって、「よく頑張りました」と褒めてもらった時、
顔が熱くなったがそれは恋から起因するものなのかただの照れなのか、自分にはよくわからなかった。
でも一つだけ言えることは、今日はタカトシといて楽しかったということだ。
時間にして大体2時間くらい。けれど、とても充実していたと思う。
いやしかしそれにしても…
「困ったわね…さぶ…」
この服装も実はかなり気合を入れてきた方なのだ。普段は人の目なんて気にすることがなかったから服なんて適当だったけど
ネットで調べていい組み合わせを探したのだ。しかしそれがこんな形で裏目に出るとは…
と、急に手が取られた。失いかけていた体温に温かさが与えられる。こんなことを言われた
「ほら、こうすればちょっとは暖かくなりませんか?そして五十嵐さん、多分俺はあなたのことが好きです」
先の手を取られたときから状況を掴めていないカエデに、タカトシは喋り続ける。
言葉にすることによって実感したこの気持ち。余すことなく伝えたい。
「一緒に見回りして、五十嵐さんの新しい表情とかをどんどん知って、知るたびに俺はあなたに惹かれてたんだと思います。
五十嵐さんとこうするきっかけは些細なことでしたけど、俺にとってはかけがえのない思い出になってます。
あなたは、凄く魅力的です。学校で凛々しくしている姿も、こうやって凍えている姿も、俺にとって全てが魅力的です。
俺はあなたが好きです。だからもっと…もっと俺と距離を縮めてくれませんか?」
目を見つめて、一気に話す。自然とカエデの手を握る両手に力がこもる。汗ばんでいるかもしれない。
でも離しちゃいけない。このときはそう感じた。けれど意思だけではどうにもならなかった。
手が、すり抜けたのだった。
絶望へと落ちる瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。更に、胸に彼女の吐息の温かさを感じた。
「え…」
「つ、津田君。わわ私って男性恐怖症じゃない。」
「は、はい…」
「でででもお、こっここやって抱きしめるのなぜだと思う?」
「え?あ、そ、それは…」
「た多分私も、あなたのことが好き…なんだわ…うん。だっだから…抱きしめるのよ!
わ、私は恋なんてしたことがなかった…だから…顔が赤くなったり、
胸がドキドキ…なる…のはきょ、きょふしょうのせい…だと思ってた…
それは、今この時もなってる。そして震え…てもいる。でもでも!わ…わたしは!あなたをだだっ抱きしめたい!
…だっ…から今気付いたのよ…あぁこれが恋…なんだ…って」
タカトシの胸に顔を埋めていたカエデがゆでダコのように真っ赤になった顔を上げた。
視線は定まっていない。そしてこう言った。
「ふふ、風紀委員長としてはね!だ、だめよ…でででも校外なら!
…よよよ、よろしくお願い…します…こ、これからも私っしを…」
最後の方は雨の音にかき消され何を言っているのかわからなかった。でもそれでもよかった。
タカトシも宙に浮いた手をカエデの背中にまわした。細かく震えている。きっと彼女は発症している。
好きなタカトシ相手でさえ抱きしめるなんて行為、レベルが高すぎるのだ。
か細い体がその事実によって一層頼りなく思えた。だからなおさらのこと、愛おしい。
タカトシはより近くなったカエデを見つめる。カエデの視線はタカトシを見ているようで定まっていない。
こらえきれず、タカトシはカエデの唇を奪った。
カエデの震えが、徐々に、おさまっていった。
秋も半ばの雨の降りしきる中、2人は結ばれた。
おしまいです。
次投下する時はエロ有りならいいなぁと思います。
>>493 カエデちゃんが可愛すぎて生きるのが辛い
GJでした
>>493 おおっ、ちょうどいい具合かと思われます
>改行
続きも期待しております
なんだこの王道的なラブストーリーは。
思わず萌え転がっちまったじゃねぇかどうしてくれるw
カエデかわいいよカエデ
( ゚∀゚)o彡゚かっぷるかっぷる
間違えた
( ゚∀゚)o彡゚わっふるわっふる
カエデって隠れ巨乳だよな
499 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 23:25:11 ID:e/eqgqZY
hosyu
500 :
名無しさん@ピンキー:2010/10/29(金) 23:25:58 ID:u52kPT/C
>>493 乙です。カエデの破壊力がすさまじすぎる。
できればエロよりも先にカエデがやきもち焼く話とかみたいな
ワンクッション入れていただけると嬉しいです。
たまんねー!まじたまんねー!カエデかわいい!!
シノ萌えなオレだったが、こんなカエデなら許す!
乙乙乙
なんだかんだでスレの勢いも戻ってきたね
やっぱり生徒会がアニメ化されて新しい職人・住人が来たことが大きい
旧来のままで勢いが落ちてきたところに、実にいいタイミングのアニメ化だった
こんにちは。カエデSSの続きが出来上がりました。
たくさんの乙&GJの声ありがとうございます!凄い嬉しいです!
やきもち焼く話は入れられませんでした…すみません。
一応終わりまで書いたんですが
最後まで投下するかはスレの容量次第です…
とりあえず今回投下するパートはエロ無しです。では次から投下します。
季節は冬。桜才学園の放課後はゆっくりとした時間が流れていた。
外には午後過ぎから降りだした雪のせいで地面が徐々に白くなりつつある。
「ふーむ、このまま降り続けば明日はホワイトクリ○リスだな」
「やめて聖なる夜を汚さないで」
「ナニ、性なる夜とな?よーし、津田もノッてくれたことだし一句詠んであげよう
ラブホテル 満員御礼 セイなる夜 どうだ。季語もちゃんと入ってる。いいだろう」
「もうだめだこの人は…」
今日は12月24日金曜日。クリスマスイブ、である。一年に一度の恋人たちのお祭りが今日から開かれるのである。
クリスマスはどんな人にも影響を与える。カップルであっても、独り身であっても。
それが良い影響かどうかは分からないが…
「シノちゃん絶好調ねー。クリスマスだからうきうきしてるのね。分からなくもないよ。
私だって冬なのにノーパンで登校しちゃったもの」
「それはいつものことなんじゃ…」
「そうだ!今年もクリスマスパーティをしようじゃないか!
それだ!それがいい!受験勉強の中にもヌキヌキは必要だ!」
「それは良い案ね。今年も私の別荘でしましょう。私も最近勉強ばかりで疲れちゃったし」
「じゃぁ決定だな。明日明後日でいいか?」
「私は多分大丈夫です。去年も普通にOKだったし」
タカトシは困ってしまった。というのもタカトシはもう独り身ではなく、恋人がいるからである。
その恋人の名前は五十嵐カエデ。先日、雨の中告白して結ばれたばかりだ。
今年のクリスマスはカエデと一緒に過ごしたい、とタカトシは思っていた。
だから先週あたりからデートの計画を綿密に立てていた。ちゃんとプレゼントも考えていた。
というかもう買ってしまっている。このままパーティに行くと言えば全てが水の泡だ。
しかし断れば生徒会役員共のことだ。
どんな手を使ってでもタカトシのクリスマスを暴きにかかるだろう。どうすべきか…
と、そこへ扉を叩く音が飛び込んできた。
「失礼します。風紀委員会です。見回り終わったので報告にきました」
「おお、そうか入ってくれ。」
会長に促され風紀委員長であるカエデが部屋の中に入ってくる。一瞬、タカトシと視線が交錯する。
生徒会と風紀委員会との合同の見回りは終了していた。それは先週のことだった。
もう校内における見回りの改善すべき点は出尽くしたのではないか、
との生徒会が申し入れてきたので風紀委員会もそれに納得し、
校内巡回強化期間は終了した。
しかし、カエデは生徒会が見回りの改善にも大きな役割を担っていたことを知っていたので
今後とも改善点を探す手伝いはしてくれないかと頼んだところ、了承の二文字が出されたのだ。
と言う訳で今の校内巡回はカエデが一人で見回り、
生徒会と風紀委員会どちらにも報告、という形で進められている。
「今日は特に異常ありませんでした」
「そうか。ご苦労様」
「か、会長!」
「なんだ津田?」
「五十嵐さんもクリスマスパーティに誘ってみてはいかがでしょう?」
「は?」
タカトシは一か八かの勝負に出た。生徒会のクリスマスパーティにカエデも呼ぼうというのだ。
カエデは当然、驚いた。生徒会のメンバーも驚いた。
しかし、タカトシにとって何の憂いもなくカエデとクリスマスを過ごす方法はこれしかないのだ。
カエデも来れば2人は一緒には居られるのだしプレゼントも当日に渡せる。
カエデも一緒にパーティをする。この選択が今の状況で考え得る最小公約数的な選択だった。
カエデはタカトシの真意を測りかねて視線を向ける。
タカトシは事前にクリスマスは一緒に過ごしましょうとの連絡を入れておいた。
だが今はこうすることが一番良い。タカトシはお願いします、とアイコンタクトを送った。
「そうだな、あまりない面子と親睦を深めあうのもいいかもしれん。どうだアリア、大丈夫か?」
「全然オッケーだよー」
「五十嵐も大丈夫か?」
「えぇ、じゃぁ参加させていただきます」
こうして、タカトシの目論見は上手くいった。
「すみません、急にあんなこと言っちゃって…」
帰り道、タカトシとカエデは一緒に下校する。もうすっかりお馴染みだ。
雪が降っているので2人とも傘を差して歩く。カエデは花柄の女の子っぽい、タカトシはあのビニール傘だ。
カエデと付き合うようになって以来、雨の日は絶対この傘を使うようにしている。
「ホント、びっくりしたわよ。どうしたのいきなり」
タカトシは自分の考えを説明する。
クリスマスパーティに行くのを断ると勘ぐられて関係が露見するかもしれないこと
2人が一緒に過ごすということでは、この方法が一番安全だと思うこと、など。
「あの一瞬でよくそこまで考えられるわね」
「はは、普段頭使ってないですから」
「もう、そんなこと言って。しっかりしなさい。でも楽しみだな、パーティ」
タカトシとカエデが付き合っていることはみんなには秘密である。
桜才学園の校則には学外での交際までは規律していないものの
公言するのは憚られた。何といっても風紀委員長と生徒会副会長の大物カップルだからである。
変に解釈されると、最悪の場合2人とも解任、という事態もありうる。
「来年は、2人きりで過ごしましょう」
「私もそれを望んでるわ」
そしてカエデの家の前に到着する。降りしきる雪と家の中から漏れる光が良い具合にマッチしていた。
「それじゃ、また明日。楽しみにしてるわ」
「ええ、楽しみにしててください。絶対に楽しいですから。それじゃ――」
そういって2人はキスを交わす。別れ際のキスはもはや習慣的なものになっていた。
カエデの家から帰る途中、タカトシは小物屋で明日のクリスマスパーティ用のプレゼントを一つ買って行った。
「着いたー!」
コトミが車から飛び出す。空は晴れ渡り、辺りは一面の銀世界。そして目の前に鎮座まします豪邸。
まるでおとぎ話の世界にでも入り込んだかのような錯覚を受けてしまう。
冬にここに訪れるのは何回かあったが今でも慣れない。言葉を無くしてしまう。
「うわぁ…」
初めて来たカエデも同じように言葉を失っていた。
目をキラキラと輝かせてファンタジーのような世界を眺めるその姿は、優美だった。
タカトシはカエデの傍に行った。
「どうですか五十嵐さん、綺麗でしょ?って言ってもこれは本来七条先輩の台詞なんですけどね」
「とっても…キレイ…来てよかったわ…誘ってくれてありがとう」
「いえいえ」
「よーし、じゃぁみんな一旦荷物を置いてくるぞー」
シノの一声で一同、荷物をまとめて別荘へと向かって行くのだった。
昼間はソリや雪合戦、かまくらを作ったりして遊んだりした。
カエデも、コトミや出島さんとすぐに打ち解けることができた。
打ち解けると言っても…
「うわっぷ!あちゃー、五十嵐さんに顔射されちゃったー♪」
「その表現はやめてー!!」
「顔射…最近ご無沙汰ですね。私にもしてくださいませんか」
「全力でお断りします!」
ツッコミ役として相性がいいということなのかもしれなかったが。
「なぁ萩村」
「なぁに、津田」
「今日は楽だな」
「そうね、新戦力が加入したから」
いつもつっこみ役を任されている2人にとって今日は安息の日だった。
夜。出島さん手作りの豪勢料理に舌鼓を打った後、プレゼント交換が行われることになった。
「お次はお待ちかねのプレゼント交換です!!」
サンタのコスプレをしたコトミが大はしゃぎで音頭をとった。
去年のように明かりを落とした部屋でプレゼントを回すという方法で行うようだ。
タカトシはこの時のために準備しておいたプレゼントをとりだした。カエデのためのプレゼントは別にある。
後で渡せばいい――そう思っていたのだが。
「またこれだった…」
去年に引き続き、タカトシはまたバ○ブを貰ってしまった。今度はアリアからのプレゼントだった。
「津田」
スズに呼びかけられた。手にはタカトシのプレゼントがある。
どうやら津田のプレゼントはスズの手に渡ったようだ。
今年、タカトシが準備したのは犬をモチーフにした可愛らしい筆箱だった。
「俺のプレゼントを貰ったのは萩村だったか」
「ええ、ありがたく使わせてもらうわ」
ふとカエデがいる方に視線を向けると、カエデも楽しそうにコトミと談笑していた。
どうやらカエデはぬいぐるみを貰ったらしい。…変なラッピングがされていたが。
「あー忘れてた!」
と、いきなりコトミが大声で周囲の空気をストップさせた
「さっき、こんなの拾ったんだったー。なんかプレゼントっぽいんだけど…」
――!
コトミが頭上に掲げている小箱、それはタカトシがカエデのために用意したプレゼントだった。
鞄に入れておいたのを、何らかの拍子に落としてしまったのに違いない。タカトシは冷や汗が流れるのを感じた。
「ふむ、誰のだ?」
「分かりませーん」
誰もが困惑した表情で周囲を見回す。もちろん誰も名乗らない。そりゃそうだ。それはタカトシのなのだから。
ここで安易に自分のだと名乗り出ればどうなるだろう。自然、誰に渡すつもりだったんだ?という質問が飛んでくる。
それは避けたい。いやしかし言わなければ…
タカトシがどうするかどうするかと焦っているうちにコトミがとんでもないことを良いだした。
「っと言う訳でー、このはみ毛しちゃってるプレゼントも、マワしたいと思いまーす!」
そしてコトミの痛烈な宣告。
最後の最後で大失敗をしてしまった…
タカトシは自分を恨んだ。
「やったー♪あたったー♪」
結局タカトシのプレゼントはコトミのものになってしまった。ちなみに中身はネックレスである。
「カエデ」という名にちなんで、赤い楓のネックレスをチョイスしたのだったが…
タカトシはカエデに申し訳なく思った。カエデだって何かを期待しているはず。
それを「すみません、それ妹が持ってます」なんて言えるわけがない。でも、謝らないといけない。
嘘をつくよりもカエデはタカトシに素直に堂々と生きることを望んでいるに違いなから。
タカトシが意気消沈する中、ポケットで携帯が震えた。
From五十嵐さん
To津田タカトシ
Sub(non title)
みんなが寝たら、外で。
「うぉ、さぶっ」
その後、カラオケ大会やら罰ゲームあり人生ゲームなんかを経て宴はお開きとなった。
そして各自風呂に入って就寝。その二つが本日最後のプログラムだ。独り身にとっては。
タカトシは別荘内の電灯が全て落ちるのを見て、部屋から居間から外へと抜けだしてきた。ただ今午前1時。
外は当たり前に寒い。雪が降っていないのが不幸中の幸いか。
タカトシは寝巻のスウェットの下にも何枚か下着を着ていたがあまり効果がないように思えた。
ガチャ――
ドアが開く音に振り返ると、カエデがいた。
いつものみつあみじゃなく、ストレートに下ろした美しい金髪に灰色のパーカーを着ていた。
「津田君」
「あ、五十嵐さん…」
「どうしたのそんなにこっち見て」
「いや、髪を下ろしても綺麗だなって…」
「ばっ…あ、ありがとう」
2人で向かい合う。こんなことは何回もしているのにでも、慣れることがない。
恥ずかしさで視線を固められない。
するとカエデがタカトシに何か差しだした。
「あの…クリスマスプレゼント…マフラー作ってみたの。初めてだから、上手く出来てるかどうかわかんないけど…」
サンタとトナカイが賑やかに飾る、クリスマスを醸し出した包装のプレゼントを受け取る。
タカトシは自分にこんなにも尽くしてくれるカエデを抱きしめたくなった…が、今はやらなくてはならないことがある。
「あの…俺もプレゼント用意してたんですけど…諸事情により渡せません!すみません!」
「それって、アレでしょ?今日コトミちゃんが拾ったって言ってたの」
「あれ?なんで分かったんですか?」
「あのとき津田君チラっと見たら顔から血の気引いてたからね。あーって…」
「本当にすみません…せっかくのクリスマスなのに俺だけプレゼント貰っちゃって…」
「いいのよ、あなたは私をこんな素晴らしいパーティに紹介してくれたじゃない。それが一番のプレゼントよ。…でもね」
カエデはタカトシに寄りかかってきた。体の体重をタカトシに預けてくる。カエデの温かさ、しなやかさを十分に感じる。
不意にそんなことをされたのでタカトシの胸の鼓動は高くなる。
そして手をタカトシの胸に置き、消え入りそうな声で言った。
「でもやっぱり悔しいな…あなたのプレゼント、他の女性がつけるなんて…ねぇ、津田、いやタカトシ君」
「は、はい?なんですか?」
「私、プレゼント要らないって言ったけど…や、やっぱり欲しくなっちゃった」
カエデの顔が赤くなる。何を言い出すんだろう、
でもどんなプレゼントを求められても買ってあげようとタカトシは思った。
「あ、あああああなたが…ほ、ほしい…かも」
「 」
タカトシは爆発したかと思った。
「ね…ねぇ!なんとか言ってよ!は、ははは恥ずかしいじゃない!」
「あ、あぁすみません!意識が飛んでました」
「で…でで、どうなの…?」
タカトシは視線を下げて胸の中にあるカエデを見た。顔はいつか見たときのよう、
それは告白した時のように真っ赤で視線はあやふやでふわふわしていた。
これも一種の告白だ――本来なら男がするべきであるはずの。
それをカエデにさせてしまった。自分の不注意のせいで…
でもそれほど自分を想っていてくれることが、嬉しい。
タカトシはカエデをギュッと抱きしめた。それが答えだと言わんばかりに。
「俺も、カエデさんが…欲しいです」
カエデは壊れかけた人形のようにぶんぶんと頭を縦に振った。
2人はタカトシの部屋に来ていた。部屋は暖房が効いていて暖かい。ベッドの上で2人は向かい合う。
「ねねねねねぇ、わ、私のこといやらしい…とかって…お、おおもってない?」
タカトシはきょとんとした。どうしてそんなことを言いだすのかわからなかった。
タカトシはカエデが言葉を続けるのを待った。
「わ、わたしはもうあなたの手を握っても、あ、あなたを抱きしめても怖くないわ。
で、っでもそうなったのもつ、つい最近のことじゃない?
そんなわたしが、そ、そ、そそその…セッ…だ、だなんて…そ、そそ…」
最後は恥ずかしすぎて言葉にならなかったようだ。
カエデは自分の変化に戸惑いを覚え、素直になれないのである。
18年間の男性不信、そして数か月でのタカトシへの反応、そしてこみ上げる愛おしさ。
その変化がカエデを不安にさせていた。自分が分からなくなっていた。
でもその戸惑いを不安を、タカトシの愛で断ち切ってもらおうと、カエデは願ったのだ。
自分勝手な愛かもしれない、カエデは思う。でも、でもでも!私はこの人が好きなのだ!
好きな人を欲しくなって…欲しくなって!欲しくなって…悪いの…だろうか…
カエデはそう考えて涙が出てきた。訳のわからない衝動とともに恋の涙をカエデは流すのだった。
「カエデさん…」
タカトシは言葉に詰まり涙を流すカエデをずっと黙って見ていた。
手を膝をついて握り締め、流れる涙を拭わずずっと、下を向いている彼女を。
こうなったら、男であるタカトシが女であるカエデにできることはただ一つだった。
ただ――
「あ…」
「カエデさん、俺はあなたのこといやらしいなんてこれっぽっちも思いません。
というか、もっと、あなたのことが好きになりました」
――抱きしめた。
――そしてそっと唇を重ねた。
そっと、唇を合わせた後、タカトシは舌をカエデの口腔に侵入させていく。
カエデも体をビクッと震わせた後、目を閉じてそれを受け入れる。
「ん…ふぅ…はぁ…んぅ…」
タカトシはカエデをその力強い両腕に抱きしめ、固定し、その舌を注いでいく。
カエデはタカトシの口から流れ出てくる唾液を嚥下していく。唾液がまるで媚薬のようにカエデの体を火照らせていく。
随分長い時間キスしていたように感じた。けれど時間にすれば5分もないかもしれない。
2人はお互いの唇を離す。細い唾液の線がお互いを結んでいた。
タカトシはカエデの着ているパーカーのファスナーを下ろしていく。
中にはもう一枚、薄いピンク色のキャミソールが着られていた。形の良い胸が一枚を隔てていてもはっきりと分かる。
生唾を飲み、タカトシは、ゆっくりとした手つきでパーカーを脱がせ、キャミソールにも手をかけた。
すると、今までじっとしていたカエデが
「ま、まって!こ、これは…じ、自分で脱ぐ…から」
とタカトシを制し、おずおずと自分でその一枚を脱いだ。
カエデの体を覆うものはそれで、最後だった。目の前に現れたのは、暗闇でも薄く光る美しい裸体。
ほどよく膨らんだ女性の象徴。まるで真珠のようで、あってとても魅力的でいやらしかった。
カエデはキャミソールを脱ぎ終えた後、胸を隠そうとした。だが、何かを思い直し、止めた。
「ど、どどうぞ、タ、カトシ君…す、すすきに…してください」
目を瞑って声を振り絞るように告げるカエデ。タカトシの興奮は最高潮だった。
しかし、最後の理性が彼をまだ獣にさせていなかった。
タカトシはもう一度カエデに唇を寄せて行き、左手で彼女を抱擁し、そしてそっと右手で彼女の胸に触れた。
優しく、いたわるように。
「んっ…」
人差し指、中指、薬指、と一本ずつ丁寧に着陸していき、そして表面を撫でまわす。
幼い子供が貰った風船を割らないようにとするように、タカトシもゆっくりと右手に力を入れる。
治まっていたカエデの吐息が再び荒くなっていく。感じてくれているのか?タカトシには分からない。
タカトシも童貞だ。何をすれば良いかなんて全然分からない。AVやら何やらの知識を総動員してのペッティングだ。
それでも彼女に気持ち良くなって貰いたくて、愛撫を続ける。
「タカ、トシ君…はぁっ…な、なんか…く、くすぐったい…んっ…で、でもあっ…気持ち、いい、よ…」
だからこう言われたとき、救われた気分になった。もっと気持ちよくさせてあげたいと、そう思った。
カエデから唇を離し、それをまたカエデに近付ける。今度は、耳たぶに。耳たぶを啄ばむように愛撫する。
そして、手も胸だけでなく体全体を愛でるように動きをシフトさせていった。
「やっ…そんなっ…!こそばゆ…あっ…んんっ」
「…」
「て、ても…な、なんだかぁ…えっちだよぉ…あんっ…」
カエデは未知の感覚に身を蕩けさせていた。好きな人に直に触られることがこんなにもくすぐったくて気持ちよかったなんて!
タカトシのゴツゴツした男らしい手のひらが自分の体を撫でるたびにそこに全神経が行ってしまったかのように敏感になる。
タカトシが自分の体の一部を舐めたり食んだりする度に体の奥から熱くなってくる。
カエデは普段抑えているものが霧散していくような、そんな感じがしていた。
「カエデさん…下、脱がしてもいいですか…?」
「(こくこく)」
タカトシはズボンを脱がしていく。晒されていく真っ白なカエデの両足、純白のカエデの大切な部分を守る布。
そして、手をその純白の布に触れさせる。
「…んんっ!?」
「あっ、すみません!大丈夫ですか!?痛かったですか!?」
「う…うん、だ、大丈夫よ…なんか…電気が走ったみたい…だった…痛くないから…うん…続けて…ね?」
そっと、触れたときカエデの腰が痙攣したのを見てタカトシは慌てた。
しかし、それは痛みのせいではなかったようだ。
続きを促されたタカトシはホッとして股間への愛撫を再開する。そしてカエデを不安にさせないよう、キスも。
「ん…ふぅっ…んぁ…んぅ…はぁ…」
普段聞くことのできないカエデの声がタカトシの耳に飛び込んでくる…
それはまだ小さいけど、タカトシをもっと興奮させた。
股間に指を滑らすうちに、ある変化に気付く。触れている所がだんだんと湿ってきたのだ。
「カエデさん…脱がして…構いませんか…?」
「はぁ…ぁ…うん…いいよ…」
体全体に朱色が差し、目もトロンとしてきたカエデは妖艶な笑顔を浮かべそう言った。
普段の姿と大きなギャップを感じさせるその微笑みにますますタカトシはときめいていった。
パンツを脱がし、その秘部に目をやる。薄く生え揃った恥毛と、艶めかしい割れ目が目に映る。
カエデは恥ずかしそうにもじもじと足を擦り合わせている。
「カエデさん…綺麗だ…」
「えええ、そそんなこと…は、はじかしい…」
「触りますよ…」
「う、うん…ひゃっ!?んぁ…っ!?あんっ…あっ」
布越しに触れるのと、直接触るのではやはり感触が違った。その逆もまた然り、だった。
タカトシはその独特の手触りに、カエデはさらに強まった快感に、身を悶えさせていた。
タカトシは人差し指を一本、カエデの割れ目に中に入れた。
「あッ!?」
異物の侵入にカエデは驚きの声をあげる、が止めはしない。タカトシの行為をそのまま受ける。
タカトシもカエデから抗議の声を受けなかったのでそのまま彼女の中へと指を進ませた。
「あっ、あん…ゃ…ん…あ…んんっ!」
中の温かな肉壁をこするたびにカエデが矯正をあげる。もうずいぶんと慣れてきたのだろうか?
タカトシはそろそろ自分の猛りを我慢できなくっていた。
「そろそろ…いいですか…?」
「へっ…あ、あぁ、う、うん…いい、よ」
タカトシが服を脱ぐのを待つ間、カエデは考えていた。自分が男性の性器を見ても大丈夫だろうかと。
…中に入っても大丈夫だろうかと。
これまでの行為は触れることの延長線上にあった。でも今度はそれとは、違う。
でも、これを乗り切らなければタカトシとは結ばれない。
女の初めては、痛いという。私は男性恐怖症だという。それが、なんだ。
私は、この人の先輩であり、彼女なのだ!
こ、こんなときこそ、お姉さんらしさを見せなければ!
タカトシが全裸になる。いきり立ったそれがカエデの目に入り込んでくる。
初めて見るそれは目を逸らしてしまいたくなるほどにグロテスクだった。
こ、これが…私の…中に…
「あの…大丈夫ですか…?」
「え?ええええだ、だだいじょうぶよ!あはは、いやいやこのくらいうん!っそっそうだいじょうぶだいじょうぶ!」
カエデはそう言うものの声は上擦って、明らかに大丈夫でなさそうである。
タカトシはそんなとき、いつもするようにカエデをそっと抱き寄せた。
「無理なら、無理しなくてもいいんですよ。カエデさんが、大丈夫になるまで俺、待ちますから。
それが今夜中じゃなくても」
裸で抱き合う2人。でもそこに漂う雰囲気はエロチックなものではなく、むしろ清純に近いものがあった。
互いが互いのことを思う。そのことの再認識、それはカエデにとって大きな安らぎになった。
これからの行為の成功を思わせる、優しさがあった。
「うん…ありがとう…でも私は今日がいい…だから…このまま…きて…」
タカトシは頷くとそのままカエデを押し倒す。そしてペニスをカエデの秘部に合わせ、腰を進める。
「くぅっ…」
さっきよりも大きい異物感にカエデは痛みと軽い吐き気を覚える。でもじっと耐える。
「大丈夫ですか?本当に無理しないでくださいね??」
タカトシが念入りにカエデの様子を伺う。カエデは声を発する余裕はないものの頭を横にぶんぶんと振って、続けるように促す。
女の子がここまで言うのならいくしかあるまい、タカトシは腹を決めて一気に挿入した。
「いっ…つっ…」
カエデの処女膜が裂ける。破瓜の証がベッドのシーツを汚していく。
せめて痛みを和らげるようにと藁をもつかむ思いでカエデが背中を強く抱きしめてくる。
無意識のうちに爪までたててしまう程強く。
タカトシはカエデの処女貫通の痛みがせめて少しでも自分の痛みになるよう願いながらその傷を甘受した。
そしてそのまま動かず、じっとしていた。カエデの痛みがひくまで待っていようと思ったのだ。
「タカ…トシ君…?」
「もう…痛みは治まりましたか?」
「うん…だいたい…は…」
「カエデさんの中、あったかくて…包まれてる感じがします…」
「え…そ、そうなの…?それって褒めてるの…?」
「そうですよ。幸せだなぁ…」
「私も…幸せだよ…好きな人と、こうやってすることが…こんなに優しい気持ちになれるなんて…
タカトシ君…動いて…いいよ…」
「じゃぁ…動きます。痛くしないように頑張ります…」
「う、うん、んっ…いっ…あっ」
タカトシはゆっくりと腰を動かし始める。なるべく痛くならないようにしながら。
カエデが痛みに集中しないようにキスや、胸への愛撫も交えながら行為を続けていく。
タカトシにテクニックなどあるはずがない。あるのは純情な愛だけだった。愛だけがテクニックだった。
「はぁっ…!ふぅっ…!んっ…っああっ…」
カエデの目尻に涙が浮かぶ。痛々しいとは思いながらも、タカトシは自らの劣情を止めることができなかった。
そうして、終わりの時を迎える。
「カ、カエデさん…!お、俺もう…」
「あ…イ、イクってやつ…?い…あっ…ふっ…いいよ…!い、イッていいよ…!」
「くっ…!」
タカトシは絶頂の瞬間、腔内から肉棒を引きぬき、カエデの下腹部で射精した。
体を何度も震わせ、荒い息をしながら達するその姿にカエデはエロチシズムを感じた。
「はぁっ…はぁ…すみません…俺ばっかり気持ちよくなっちゃって…」
「ううん…いいのよ…」
カエデは自分のお腹に振りかかった精液を人差し指ですくい、一舐めして
「こ、これから…ど、どんどん上手くなってくれればいいんだから…」
ウインクしてみせた。精いっぱいの強がりとともに。
――お姉さんらしいけど中途半端なのが、この人の可愛さなのかもなぁ
倦怠感の襲われる頭の中でぼんやりとタカトシはそう思った。
「おはよう諸君、みんな揃っているか」
朝食の席でシノが全員着席しているか確認する。
終わった後、2人はいそいそと片づけをすませ各自の部屋で睡眠をとった。否、とれるわけがなかった。
興奮で寝付くことができなかったのだ。おかげで2人は徹夜明けである。
しかしそこはカエデ、全くの平常を装っている。徹夜明けなど微塵も感じさせない。
一方タカトシは眠くて仕方がなかった。今もあくびを必死に噛み殺しながら着席している。
「ん?なんだ津田。眠そうだな。昨日寝付けなかったのか。全く子どもだな」
「すみません…」
「あらシノちゃん違うわ。津田君は全く大人なんだよ。」
え?マジ?タカトシの目が一気に冴える。アリアの言葉の言外に含まれる意味はもしかして――
カエデも目の色を何か含みのある言い方に勘づく。まさかそれって――
「おかげで私も寝不足だわ。うふふ」
「ん?アリアどういう意味だ?」
「んーとね、それはねー今日の朝一時ごろ――」
「し、ししし七条先輩!あ、朝ご飯、朝ご飯はまだなんですか!?俺腹減っちゃって!」
「七条さん!わ、私お腹がすいちゃったな!で、出島さんのおいしい手料理が早く食べたいですます!」
2人一斉に立ち上がって話題を逸らしにかかる。
あ――
立ち上がった2人、目が合う。着席する。静寂に包まれる。
「なるほど。では今からここで生徒会緊急会議を行うと思う。議題は五十嵐と津田の関係についてだ。異論は認めない。
さぁまずは証人喚問といこうじゃないか。さぁ君たちしゃぶりたまえ。あ、もう五十嵐はしゃぶってるのか」
結局こうなって…いや待てよ。
タカトシはおもむろに立ち上がり、隣で目を輝かせて事の成り行きを見守っているコトミに話しかけた。
「なぁコトミ」
「なぁにタカ兄?はっ、もしかして早速乗り換えるの!?しかも実妹に!?」
「その首からかけてるネックレス、ちょっと見せて貰えないか」
「スルーですか…って、これ?うん、いいよ」
「サンキュ」
コトミからネックレスを受け取とるとタカトシは席を立ち、
アリアとシノの両方からすでに質問攻めに合って何も答えられずブルブル震えているカエデの元に歩みよっていった。
「カエデさん」
「はわわわわ…え?な、なに…?まさかタカトシ君まで私を…!?」
「そうじゃないですって…はいコレ、渡し損ねたプレゼントです。…メリー、クリスマス」
振り向いたカエデそっとネックレスをかけてあげるタカトシ。ほう、やぁん♪、キザねー、なんて感嘆の声が周囲から漏れるが気にしない。
もうバレちゃってるのだから、思いっきり見せつけてやる。
「ほぇ!?あ、ああありがとう…うん…」
少し勇気を出して、タカトシの手を握った、あの夕暮れの玄関のこと。
それを物語るかのように赤い楓はカエデの胸元で静かに揺れるのだった。
〜あふたー〜
「そうか…もうそんなだったのか…2人ともイカ臭いぞ」
「それを言うなら水臭い」
「いや、実際イカ臭いぞ」
「「え」」
〜終わり〜
終わりです。全部投下できました!よかったよかった!
書き物自体、初めてなのでgdgdになってると思います。
特にエロシーンに関しては、過去の職人様方の参考にしつつ…書いてみたつもりです。
全く参考にできてない気もしますが…orz
でもROM専だった自分が書き手になるなんて夢にも思ってませんでした。なんだか変に嬉しいです。
みなさんありがとうございました!
もっと精進します!
おつかれ〜
何か気合が伝わってきました
>>518 乙&GJでした
カエデの可愛さもさることながら、役員共の言動もそれっぽくて(・∀・)イイ!!
次作投下もお待ちしてます
( ゜д゜)・∴ガハァッ!
_□/○_
へんじ が ない もえ しんだ ようだ
したい の そば に もじ が のこされて いる
GJ
うーん、いい話だ…
>>518 乙でした、これからも期待しています
ところで480KB超えてきたので、そろそろ次スレの季節だと思うんだ
テンプレは今回は特に変更点はないかな
二時ぐらいに立てようかと思うので、なにかあればいってくれ
>>518 読ませていただいた。よかった。すげーよかったよ。
ROM専で憧れてたというお前の気持ちに少しウルッときた。
オレも初期からこのスレのROM専でさ、
いつか常連さんの隣に自分のSS投下できたらいいな、とか思ってた。
でも自信なんてなくて、そんで他のエロパロ過疎スレでたまにSSを投下してみてたんだ。
それはそれで楽しかったけど、やっぱ目標は氏家スレでさ。ああ氏家スレっていいよな〜(;´д`)
オレもいつかお前みたいに憧れのこのスレにSSを投下したいな、と思ってる。
クサイけど、なんか勇気をくれてありがとな。
…自分語りしてスマンかった。
>>518 乙でした
自分も住人で書き手になった一人だけどここのスレは本当にそういう人が多いねこれからも投稿まってるよ
>>523 アニメに関してはまあいいだろうからテンプレ変更
>>6いじるぐらいだね
>>526 乙、スレ立て今更ながら早いかと思ったけどまあ勢いも多少戻ってきたしすぐ埋まるか
480超えたら職人さんも投下に二の足を踏むだろうから埋め用にAAでも一つ
__
,..-ニ ̄  ̄ニ=-..._
,.ィ'´ -ニ三三ミヽ.
,.' _ニニ二三三三ム __,;
,' _二二 三三ヤニ=:゙、 .,.'´ l!
,' __二二三__二三ニム _.ヾ ,.ィ l!
__,,,.......ヒニ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭オョョム、 ヽ!/___/
..,.-‐''" ̄ ___________  ̄ ̄¨¨'''ーニァ´ ヽヽ.
:.ヽ..__  ̄三三三! |! | :i !: :|:「l¨l:i'''i=lーr-...__ `''ー-、!
 ̄¨''ー--.._,.ィ'| | ::li |V :l、.|V .l lノ__lLノ__i_|! l:!゙lミぇ、 ヽ、
,..ィ'´ ! .| :::!,j-V‐==ヽ-' ´_ニニミ lj! l:l !三三ミt、 ∨
,. '´ l .l ::l ,イjミヽ ゙ iナム.ヽ!! l:i| lー-ニ_ ヽ }
,. '´ .,.ィ'´∨i :゙、! l::::::} ヽノ i:! :::l!,'  ̄¨´
.,.ィ'´ V、 ム::ゝ'' i '"゙./ _,,.ィ'゙l'
,.ィ'´ 'ーt-ニゝ ゙ !'´,'ヾ' /
,.ィ'゙ r'7ヽ. _ .,:{ ゙; }、
./ >{_ノ ヽ、 ´ ` .,.ィ'゙ `{ ヽ}_
`'''ー-.....__ (、.゙ソ lミぇ、__,..ィ' ! ゙7ヽ.}
`¨''''ー--‐'''''゙ーミ、 lヾ三三;' .! ゝハヽ
`vァ7゙ Vニ/ ヽri_ ゝ、'、
ー-....__ ,';'ヽ、. ヾ マt'ー-ゝ....リ_
` ー-..._ ,';'  ̄` '" ̄ ゙̄ミ,´ `ヽ
`ヽ、 .,;;' ゙ミ, ∨
`ヾヽ、 ;;; ゙ミ, |
f´,ハ ヽ. .,;; ゙ミ, ,:: :l
>、r'゙ V ,イ:ム jム :;' l
{ リ l:/=l=::ム 、 ,.ィ'、レ}ヽ! .l
,:'゙ノヾ ,'、'゙lj゙::tノヽ、 ∨ ,.イt:::'_}ノ:::::V l
ゝ .ノ ;:::::゙''";、';;::::jミt、 ∨ ,.イ;::゙ツ:::::::::::::::l .l
{ .) ;:::::::::::::::::l:iソ、;゙::ム、.l! ,'イホ;:リ::::::::::::::::::::! .l
.ソtヽ l::::::::::::::::::ヾtェェrzム,'/、:}=''゙.::::::::::::::::::::l! l!
{ 、リ ヽ:::::::::::::::::::::::::::ゞァ1}=''゙.:::::::::::::::::::::::::;' !
ヾメ、 iヽ:::__;;: ,ィ'゙.lソ|il.|iヽ、:::::::::::::;;:ィ! |
(` リ ! ヾチ! iルノ  ̄ ̄ l .l
529 :
名無しさん@ピンキー:2010/11/01(月) 18:57:49 ID:ONL1Lzge
なんという王道オーラの持ち主なんだ。カエデは…
男性恐怖症、真面目、風紀委員長、学業優秀
物語が違えば十分本ヒロイン務まる属性だしね
鳥テスト。
こんにちは。スレ埋立も兼ねてこちらに一本投下します。
おそらく容量的にもちょうどいいぐらいになってくれると思うのですが。
以前に投下した凌辱もの(だけど夢オチ)の、アリア編となります。注意事項が何点かあります。
・前に投下したシノの話と繋がっています。
・今回は前編のみの投下(前編・後編で完結予定)
・ピュア風味のアリア
タイトルは特に思いつかなかったので、とりあえず前編とだけ記入しておきます。
それでは次レスから投下開始です。
饐えたかび臭い匂いが漂っているとある空き教室にて、一組の男女がいた。
男のほうは漆黒の髪を腰元まで伸ばしている少女を、イスへと腰かけた自らの股の間へ――床へと直接座ら
せて、露出している自らの男性器へと口唇奉仕をさせている。
実に傲慢極まりないその姿。
少女を傅かせその姿を見下ろすままである少年の顔からは、彼がなにを考えているのかそのことを窺うこと
はできなかった。
「はむンっ、ちゅるる、ぴちゅっるる」
やや硬度を失ってしまった男根へと舌を這わせ続ける少女、天草シノ。
ほんの一か月余り前に彼女は自分が奉仕している津田タカトシの手により、貞操を強引に奪われそして今の
今まで身体をタカトシの気が向くままに弄ばれてきた。
なぜ抵抗することもなくシノはタカトシの言うがままに自由にされてきたのか。
自らが犯されたおりに撮られてしまった写真をタカトシが握っている。
タカトシに逆らえばシノがどうなってしまうのか。
それは火を見るよりも明らかなことだった。
ましてや桜才学園は共学化したといえど、未だ極端に女子生徒の比率が高い。
全校生徒憧れのアイドルといっても差し支えない存在であるシノのスキャンダル。
噂話というものは生き物だという話がある。
おしゃべり好きな女子高生たちは、こぞってそれを話のネタにすることだろう。
無責任なねつ造および脚色を繰り返しながら、それは際限なく成長していく。
当事者たちをも置いて果てしなく。
そうなってしまったら、シノが桜才にいられようはずがない。それどころか最悪、他県への転居すら強いら
れる。
そしてシノは生涯にわたってその噂の陰に怯え続けなければならない。
どこへ行こうとも。
もっとも、今のシノ本人がそれを気にしているようには見受けられなかった。
タカトシへと跪いて性的なサービスを強いられているはずなのに、当初は嫌々ながらやらされていたことだ
ったはずなのに。
今のシノの姿からは到底そう察することができなかった。
「……ずいぶん上手くなりましたね、会長」
すっと目を細め相好を崩したタカトシが、自らに奉仕してくれているシノの頭部を撫でていく。それは実に
優しげなものだった。
「んんっ、き、きみが、ちゅるるん……、そう私を仕込んだのだろう」
フェラチオは続けつつ、シノが上目づかいにタカトシを見上げる。目元を桜色に染めたシノ。
それは決して憎き凌辱者を見るものではなかった。
初めは憎んでいた。それもそのはずだろう。女の尊厳などまったく考慮することなく、ただ男としての欲望
の限り赴くままに犯されたのだ。
しかも一生の思い出となるはずだった初体験においてだ。
それは年頃の少女にとって死にも等しい拷問の時間だった。
事実、その晩は到底寝付くことなどできずに、シノはただただ枕を涙で濡らし続けていた。
その日を境にしてタカトシはシノを自らの気の向くままに弄んできた。
放課後だけに限らず、あるいは授業中に呼び出して人気のない場所にて。あるいは早朝の自分たち以外誰も
いない生徒会室にて。
そして当然のごとく休日もシノを呼び出して、昂ぶりを彼女めがけて放出してきた。
しかし、シノはあるときに気づいた。
自分が抵抗をしなければ、タカトシが自身を丁寧に扱ってくれているということに。決して自分勝手なもの
ではなくてシノに眠っていた女の部分を満足させてくれるということを。
最初は実にバカバカしいことだと思った。強姦をするような男が女を優しく扱うはずなどない埒もないこと
だと、そう即座に否定した。
だが、タカトシが女慣れしているということは事実で、その技巧も実に堂に入ったものであるということも
また事実であった。
タカトシはシノのそれ――急速に開花した性に対する欲求――を満たす。
数えきれないほど犯されたと同時に、絶頂もそれに比例して極めさせられてきた。
そうなれば、若い身体は実に素直で貪欲だ。
更なる快楽をもたらしてくれるようにと、男へと気分をよくしてもらうべく熱心に奉仕を重ねていく。
そうすれば目の前の男が、甘い甘いご褒美を下賜してくれるのだから。
つまり、シノにとっては無理矢理に犯されたことによって始まった関係なのだということは、もはやどうで
もよくなっていたのだった。
一方、津田タカトシは現状を冷静に分析していた。
そしてひとつの結論に至った。
おそらく、天草シノはもう身も心も自分のものにすることができたのだということを。
一戦交えたあとの後始末であるフェラを、タカトシがなにも言わずともシノ自らが進んでするようになった
こと。
抱いているときに見せるその艶めかしいまでの表情。そして憎い凌辱者であったタカトシへと晒してくる女
として満足しきっている顔をみれば、それは造作もなく理解できた。
つい今しがたもお掃除口唇奉仕を終えて、自らの秘所から溢れてくるタカトシが放った精液とそして愛液の
混合したものを始末しているシノの姿は、実に蕩けきったものだった。
タカトシは切り出すことにした。
自分が次に欲しているターゲットをものにすべく、その計画へとシノの助力を頼んでいった。
「…………」
自分より少し離れて佇むシノの顔からは、彼女がなにをどう考えているのか察することができなかった。
(大丈夫、この人は断れない。オレの頼みを断れっこない)
「…………」
しかしながら沈黙を守るシノという現実を見て、タカトシの背筋に冷たい汗が伝っていく。
だが、もう話してしまった以上引き返すことなどできない。
「津田、いくつか確認したいことがある。答えろ」
有無を言わせないその姿。さきほどまでの情欲に満たされ蕩けきっていた牝ではなく、シノ本来の姿――桜
才生徒会長としての凛とした姿がそこにはあった。
「ええ、どうぞ。オレが答えられることならなんでも聞いてください」
決して視線を逸らすことなく、シノの顔をまっすぐに見据えてタカトシは続きを促す。
「なぜアリアを欲する? 私の身体を差し出すことで、アリアと萩村には手を出さないと約束したはずだが」
「ええ、そうでしたね。それについては謝らせてもらいます。すみません」
「……?」
姿勢を正してすっと頭を下げてきたタカトシに、その真意が読めずシノは訝しげにタカトシを見つめる。
「なぜ頭を下げる? き、きみは私のことを肉便器だといった。そう見下している女になぜ頭を下げる?」
そして頭を上げたタカトシはシノへと微笑んでみせた。
「オレが会長のことを大事に思っているからですよ」
「……っ!?」
動揺を見せないようにとシノは懸命に自己を取り繕う。
「だからきみは私のことを肉便器だといった! それを……それを大事に思っているだと? ふざけるのも大
概にしろ!!」
「肉便器云々は言葉の綾というかノリでいったというか。そもそもオレ専用の女といった意味合いで使ったと
いいますか」
一歩、タカトシはシノへと足を踏み出す。元よりそう離れていなかったふたりの距離はすぐさま縮まり、タカ
トシは目の前にいる少女へと両の腕を伸ばして抱き寄せた。
「好きでもない人を抱きたい犯したいと思うような酔狂じゃないですよ、オレは」
「つ、つまり……?」
「ええ、会長のことが好きってことですよ」
「……っ!!」
嘘ではなく真実だった。
シノにより半ば以上強制的に入らされた生徒会。本当にイヤであれば適当に理由をつけてさっさとやめてしま
っていたはずだ。
だが、タカトシはそうしなかった。
シノあるいはアリアの下で働くことが不快に思うことではなく、どこか面白いところがあるということを早々
と気づくことができた。
そして彼女らと触れ合ううちに、学園においてトップとナンバーツーの才女であるふたりを欲っするようにな
るまで、さほど時間は掛からなかった。
「以前のオレなら好き勝手に行動していました。それこそ欲望の赴くままにってとこですかね。断りを入れる
のが会長への誠意だと感じたから。それと謝らせてもらいました」
初めは強引に犯すという形となってしまったが、だからこそそれ以降は今に至るまでシノの身体だけでなく心
も手に入れようと苦心し、心を砕いてきたつもりだ。
タカトシと関係を持つ以前のシノであれば、そんなバカなことが信じられるか下らん詭弁など弄するなと一刀
両断に切り捨てていたことだろう。
だが、あなたはオレが今まで相手してきた女とは違う特別な存在なのだということを示唆された少女から、頑
なに被り続けていた最後の仮面が徐々に剥がれていく。
「仮にですよ。オレが七条先輩以外の女の子に手を出したとしたら、会長はどうです?」
「そ、それは……。いや、アリアだろうが私が知らない誰であろうが、きみの毒牙に掛かるのを黙って見過ご
すなどと……」
「七条先輩となら会長は上手くやっていけるはずだと思っているからです。ふたりは親友同士ですからね。
オレが会長がまったく知らない女の子を会長の目が届かないところで抱いているとしたら、会長、イヤでしょ
う?」
「…………」
確かにタカトシが他の女を犯すなど愉快なことではない。
それどころか、その女へと関心が移ってシノ自身は捨てられるという結末が待っているかもしれない。
ここにきてシノは自らの肉体が、タカトシから逃れることができないのだということに気づかされた。そして
また心も同じく。
タカトシを失うことがどうしようもなく恐怖に感じられてならなかった。
本来、男という生き物はひとりの女では満足することができないという、以前どこかで聞きかじったことを思
い出した。
まったく知らない女たちにタカトシを奪われるという危険性を孕むぐらいであれば、自分がよく知るアリアと
タカトシをシェアする形とするのが最良であると頭がそう告げる。
巻き込む形となってしまうが、親友は自分とどこか似通った面が少なからずあるのをシノはわかっている。
となれば、アリアもまたタカトシの虜となることだろう。
ならばなにも問題はあるまい。
僅かばかり逡巡したあと、シノが切り出した。
「……いくつか条件がある」
「オレにできることであればなんでも」
タカトシの胸を軽く押してシノは離れる。
「私のことを特別扱いしろとは言わない。だがアリアにもまたそうしないでくれ。その、つまり、アリアにば
かり夢中にならないでほしい……」
「ええ、もちろんです。自分の女には平等に接します」
「……ああ、それならいい。それと」
タカトシは無言で先を促す。
「ふ、ふたりきりのときと、これから先アリアと私を一緒に抱くときは……その、私のことは名前で呼んでほ
しい。会長では……んっ!?」
顔を薔薇色に染めて俯いていたシノの顎を上げさせ、唇同士を合わせたタカトシ。
互いの唾液を交換するなどして口づけを堪能したタカトシが、シノを抱きしめたまま耳元で囁く。
「シノさん、それじゃオレのことも名前で呼んでもらっていいですか?」
「あ、ああ、わかった。……タカトシ」
自身の胸へと顔を寄せて甘えてくるシノを優しく抱きしめ、タカトシは確信した。
これで天草シノは身も心も自分のものにすることができたのだと。
憂鬱そうな面持ちにて指定された場所へと向かう少女がいた。桜才生徒会書記を務める七条アリアだ。
昨日のことだった。いつもの生徒会活動を終えて、さああとは帰宅するばかりとなった夕刻。
一学年下で後輩の津田タカトシから声を掛けられた。
いわゆる天然なところがあり、また人の感情の機微にやや疎いところがあるアリアにも、タカトシが極度の緊
張状態であることを察することができた。
それくらいタカトシの表情は硬かった。
タカトシからの要件は実に簡潔なものだった。
『相談に乗ってほしいことがあるので、少しお時間をいただけますか』と。
『あなたのことが好きです』
と、まっすぐなまでの告白だった。
なにを言われたのかすぐさま理解できずにフリーズしてしまったアリアを、タカトシは忍耐強く待った。
衝撃的だった。
数瞬置いて我に返ったアリアは思わず『えっ、私?』と、タカトシ以外は自分しかいない室内を動揺の余りき
ょろきょろと見回してしまったほどに衝撃的だった。
『先輩はお金持ちのお嬢様でオレはしがない中流家庭の息子ですから、つり合いが取れていないことは十分に
理解しています。でももうじき先輩と会長は生徒会から引退していなくなってしまう。そう考えると我慢でき
なくて……。
だからそのつまり、オレの彼女……いや、オレを先輩の彼氏にしてください』
顔面にびっしりと脂汗を浮かべて、まったく余裕のなさそうな様子で告白してくれたタカトシ。
その彼の姿は、ただただ可愛くて可愛くてしょうがなかった。異性から愛を告げられて気をよくしない人間な
どいない。
もちろん、アリアもまたそうだった。
どこか甘酸っぱい空気が立ち込めてきた生徒会室にて、電子メロディー音が流れてきた。自分のものだと気づ
いたアリアは、タカトシへとごめんねと告げて確認する。
バッグから取り出して端末を開いてみれば、液晶画面に出島さんと表示されていた。
次いで時刻を確認したところ、出島が校門へと迎えにきている時間であった。
そろそろ出ないとお稽古に間に合わなくなってしまう。そのため、タカトシに返事は明日まで待ってほしいと
告げて、アリアは慌ただしく生徒会室をあとにした。
そのため、どこか暗い色の笑みを湛えたタカトシの姿に気づくことはなかった。
その日の晩。
お稽古を終えて屋敷に帰ったアリアは悩んでいた。
タカトシからの告白にどう返事をすればいいのだろうかと。
女子だけでなく男子をも引いてしまう重量感たっぷりの下ネタを繰り出すアリアではあるが、そういった純粋
な恋愛経験はまったくゼロの状態であった。
地元だけでなくて全国的にも顔の利く名家のご令嬢。
しかしながらありがちな箱入り育ちではなく、両親の教育方針もあり小学校・中学校はともに公立校と、それ
なりに異性と接する機会があった。
だがそれでも、男子生徒および同性が好きな女子生徒がアプローチを掛けてくることは皆無だった。
迂闊に手を出そうものならアリア本人ではなくて、彼女の実家より裏からどのようなことをされるのかわかっ
たものではないのだから。
つまり、アリアは人生初の告白を受けてしまったわけで。
どのようにすればいいのかと煩悶するばかりであった。
とてもじゃないが冷静ではいられなかった。天蓋付の豪奢なベッドの中央にてふかふかの枕を抱えたアリアは、
タカトシのことを考えてみる。
タカトシのことをどう思っているのか。
すみません。一部コピーをミスしてしまいました。
新スレで3レスほどお借りします。
身も心も虜になったシノがエロカワイすぎる
地の文章の完成度の高さといい実にGJ、御馳走様でした
GJ!!!
いい仕事をする殿みたいだ
二ヶ月未満で容量オーバー。全盛期を思い出すなあ。
新しい職人のおかげだ
GJ!
シノかわいいよシノ
最後の埋めを
ぱ
__ ぱ l ♪
ぱ , ィ'" : : : : : : `丶、 ん. │
け ん. r-、 /.::///:/:∧.:.:j| .:.:.:.:.:ヽ つ ん
ん つ /て ) ///.:l//:/://∨| .:j.:.:.:.:.ハ つ
. こ ( _ノ フ /:;'::|l>ト' l/ 「じ丁!/:|:::::::::!:|
| ゝ、 〈 レ!:j::「|じ| ゝー''│::|:::::::::!:|
ほ / ハ Y:|::|:! ゙ー' xx |::::l:::::l::j::|
♪ l /〃 ヘ ヽ|:八xx. l> ,': /:::/:/:;'
| i ! \ !:!:::|>:‐ -┐ r:/::/:::/:/:/
丶丶 _ >'´ ̄`ー' `'ー<:_:/
ゝ'´- 、_ y-、 \
〈  ̄ う ゚ y-、 ヽ
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