新スレを立て、そして自ら早々に投下する。素人にはオススメできない(しんどい)。
えー、このスレでは初めましてですが、投下させていただきます。
『世界樹の迷宮V』の♂金ファマ×♀金プリSS、初回はすみませんがエロ無しです。
少々長いので、お時間のあるときにごゆるりとお読みいただければと思います。
「それじゃあどうも、すみませんでした……」
ぺらぺらの帽子を脱いで、少年は目の前のどでかい門に深々と頭を下げた。
甲冑に身を包んだいかつい門番は、少年を一瞥もせず、黙って門を閉める。
無骨な鉄の門扉は、早く帰らんかいと言わんばかりに、ガチャン! と耳を引っぱたく
ような音を立てて閉じてしまった。
ぽつんと立ち尽くした少年は、がくりと頭を垂れて溜息をついた。
「やっとここまで来たっていうのに……」
しょぼくれた顔を上げ、少年は空を仰いだ。
目に映るのは澄んだ青空。そして、鮮やかな青葉を称えた大樹。
いや、それは「大樹」という言葉では少し物足りない。
天を貫かんばかりに大きくそびえるその幹と枝葉は、まるでこの地「アーモロード」を
覆う雨傘のようだった。
『世界樹』。人々は畏敬の念を込めて、この大樹をそう呼ぶ。
この世のものとは思えぬほど大きい、とは聞いていたが、本当に想像を絶するデカさだった。
その印象は、樹木というよりもほとんど山に近い。いつかこの土地を全て飲み込んで
しまうのではないか、そう思えるほどだ。
しばらくその大きさに見入っていた少年は我が身のちっぽけさを思い知らされて、また一つ溜息。
「やっぱり、僕なんかじゃ無理なのかな……」
色素の薄い髪の毛を揺らしてうな垂れるこの少年は、『世界樹』に挑みに来た若者の一人。
彼が今、肩を落として出てきたこの施設は『冒険者ギルド』。全ての冒険者の始まりの場所。
期待と緊張と希望を、胸に足を踏み入れたこの場所で、彼が発した言葉は次の通り。
「はあ」
「はあ」
「そうですか、失礼しました……」
「いやいやいや」
我ながらこれはひどい。最後なんて謝ってるし。
自分の情けなさを振り返り、彼はついに頭を抱えてしまった。
何日もかけて山を越えて。山育ちの身には慣れない船の中で、食道と胃が逆転する思いを
しながら海を越えて。遠路はるばるこうして海都『アーモロード』までやってきたというのに、
まさかセリフ3つでトンボ返りさせられるとは思わなかった。
一体なんのためにここまできたのやら。そしてこれからどうすればよいのやら。
「……駄目だ、やっぱりこのままじゃ帰れない」
少年は顔を上げ、意を決して冒険者ギルドのほうを振り返る。門番がこっちを睨んで
いた。怖い。
いや負けてはいけない。故郷の弟達に誓う。見ていて、兄ちゃんは異国の地で、小市民を
脱却するから。
すう、と大きく息を吸って、再び冒険者ギルドの門へと歩み寄る。
そうだ、やたら事務的な態度の案内員に、少年も思うところはいっぱいあった。それを
ぶつけてやればいいのだ。
そう……、例えば、
「お帰りくださいとは何だ! 世界樹の迷宮とは、誰にでも平等に開かれた試練と挑戦の
地ではなかったのか!」
そうだそうだ。
「年齢が足りない? 無謀な挑戦者の死傷数が増えて規制が厳しくなっている? 知った
ことか! 要は冒険者としての実力であろう!」
その通り! ……あんまり実力には自信ないけど。
「ではその実力を示せ、だと? ……ふん、ならば見せてやろう、妄の剣さば――うにゃっ!?
こら、離せぇ!」
――って、さっきから僕に代わっていろいろ言ってのけている女の子の声は一体誰なんだ?
その時、ガラガラと重い音を立てて、再び鉄の扉が開いた。
そこに現れた、屈強な門兵に首根っこ掴まれた猫と目が合った。いや、門兵が大きすぎる
せいでそう見えただけ。まるで人形のような顔をした、金髪の女の子だった。
「そら、一から出直し、な!」
「わあっ!?」
「へっ、うわあああっ!?」
軽々と放り投げられた少女の顔が一瞬にして迫り、ごんっ、と鈍い音が響いたかと思うと、
世界はくるっと一回りして、そのままぱたりと暗転した。
『Ricco Rocco 〜始まりの家@』
○ ● ○ ●
「ん……」
「! 起きたか!」
目を覚ますと、少年はいつの間にか、民家の陰で寝そべっていた。
眉間のあたりに鈍い痛みが走る。目の前には、先ほど少年に見事な空中ヘッドバットを
見舞ってくれた女の子の顔があった。あまりにも近くて少しどきっとする。
「あ……、ここは?」
「冒険者ギルドからそう離れてはいない。道端に捨て置くわけにもいかぬからな、運んで
きた。まったく、妄の頭突き一つで気絶するとは情けないぞ」
「返す言葉もないです……」
眉を下げながら、少年は硬い石畳から体を起こした。よく見ると、苦笑する彼女のおでこも
赤かった。
「ありがとう。僕はロコ。君は?」
「うむ、自ら名乗るとは心得ているな。妄の名はリコだ、リコ=……」
「ふふ」
「? なんだ、何かおかしい?」
「いや、僕たち名前が似ているなって思って。よろしくね、リコ」
屈託なく笑い、ロコはリコと名乗る少女に右手を差し出した。
「お、おお、よろしくな。ロコ」
少しぎこちない様子で、その手を握り返すリコ。なぜだか顔がほんのり赤い。
そんな彼女に笑顔を返し、ロコは改めてリコの姿を見つめ直した。
盛り髪というのだろうか、まるで咲き乱れる花弁のようにふわりと頭の上で広がる美しい
ブロンドの髪。端整に切り揃えられた前髪に、添えられた白銀のティアラがよく似合っている。
白を基調にした、フリルと宝石の彩りが美しいドレス。そこから伸びる細くたおやかな
腕と脚。ぱっちりと大きく結晶のように輝く青い瞳。
彼女の体を構成する何もかもが煌びやかで、自分と彼女との生まれの違いをいやという
ほど物語っていた。
「? どうした、呆けた顔をして」
「え、あっ、いや、キレイだなあと思って……」
「っ!?」
思わず口をついた言葉に、リコは顔を真っ赤にして、あ、とか、う、とか唸りながら
後ずさる。
「あ、い、いや、今のはその、うっ!?」
遅れてうろたえだすロコの胸を、リコはどんと押しのけた。
「お、おおお前は、あれだな! 知ってるぞ! ナンパ師という奴だな! 妄をたぶらか
そうとしたってそうはいかぬぞ!」
「ち、違うよ! その、今のはなんというか!」
ちょっと言葉が率直に出ちゃっただけというか。
「もしくはスケコマシか!」
「違うってば!」
うー、と訝しげな目で睨んでくるリコに、ロコは必死で弁明する。
「……まあよい。で、ロコはあんなところに突っ立って何をしておったのだ? 妄のおでこを
待ち伏せしておったのか?」
「そういう発想から離れてよ……。多分、君と同じ理由だよ」
「む?」
この地の中心にそびえる『世界樹』、その中には広く、長く、深い迷宮がある。
『世界樹の迷宮』――、そこは、この世の全てが眠る場所。
世界中の富をかき集めても敵わないほどの財宝。
化学、物理学、地質学、鉱物学。そのあらゆる常識を過去にする天然資源。
そして、それらを守護するように潜む、凶悪な怪物たち。
今日も何人もの冒険者たちが迷宮に挑み、ある者は栄光を掴み、またある者は樹海の
波の藻屑となり、消えていく。
ロコも夢追い人の一人として、この『世界樹の迷宮』に挑みに来た。
――のだが、ギルドを申請しようとしたところ、お前には無理、とばっさり断られた
ことをリコに伝えた。
「無理だろ」
「ばっさり!?」
再びの斬り捨て御免に、ロコはがっくりと肩を落とした。
「だって、お前……」
リコは、ロコの体を上から下までじろじろと眺める。
身長低め。細身。加えて言うなら、田舎者丸出しの民族衣装。
「なんと言うかこう、どこに出しても恥ずかしくない、平均に平凡な平民だな。うむ。
迷宮に入った途端、ウルフのお腹に収まっていそうだ」
「そんなに大きく頷かれると傷つくからやめて……」
わかっている。自分が迷宮で待ち受ける、数多のモンスターたちに敵うような、屈強な
人間じゃないことくらい。
それでも、やらなきゃいけないんだ。そのためにここまで来たのだから。
「それに、リコに言われたくないよ。君だって普通の女の子じゃないか」
改めて、目の前の少女の姿を見ながらロコは拗ねたように言う。
むしろ女の子の中でも華奢なほうで、とても戦いには参加できそうにない。田舎の
幼馴染の女の子の方が、よっぽど腕っ節がありそうだ。
「ほう、言ってくれたなロコ。妄をつかまえて普通と申すか」
ぴくっと眉を吊り上げ、リコは豪華な装飾のついた鞘を取り出す。
え、何? もしかして僕、斬られる?
ロコは思わず後ずさる。それにしても、このいちいち高そうな装飾品の数々、厳かな口調、
気品の良さ。確かに只者ではなさそうな――
訝しがるロコに、彼女は凛とした声で告げた。
「妄の名は、リコ=ウェブリッジ。西の大地にある『ウェブリッジ王国』、妄はその12代王女だ」
「………………は?」
ふん、と胸を張るリコだが、ロコは目が点になるばかり。
お、おうじょ? つまり、お姫様?
「…………えっと」
「信じておらぬな」
びしっと鞘を突きつけてつっこむリコ。鞘付きとはいえ危ないからやめて。
「えっと、その、いきなりそんなこと言われても」
信じろと言う方が無理がある。なんで一国のお姫様がこんなところにいるんだ。どう
考えたっておかしい。
口をぱくぱくさせるロコに、はぁ、とリコは露骨な溜め息を吐いて、
「まあ良い。そんなことは今はどうでもよいのだ。そもそも、妄は今、王女を名乗る資格は
ないからな」
「……?」
どこか引っかかる言い方だった。しかし、彼女はぷいとそっぽを向いて続ける。
「あいつらもそうだ、妄の話に全く耳を傾けようともせん……。なんだかムカついてきた……!」
シャリン、と冷たい音を立てて、リコはぎらりと光る剣を抜いた。
「うわっ、ちょ、ちょっと何するつもりなの!?」
「決まっておろう、もう一回抗議してくる!」
「だ、駄目だってば!」」
大股で石畳を踏みしめて冒険者ギルドの方へと駆け出そうとするリコの腕を慌てて掴む。
細くて柔らかい……、じゃなくて!
「何をする、離せ!」
「無理だよ、決まりなんだから! また楯突いたら、今度は放り出されるだけじゃすまないよ!」
「ふん、あいつは冒険者としての腕を見せろと言った! くくく、ならばお望みどおり、
この剣で首をはねてやろうじゃないか!」
ああっ、なんだか王女様っぽい! でもダメ!
ロコの必死の制止も振り切ろうと踏ん張るリコ。まるで暴れるイノシシを取り押さえて
いる気分だ。
「離せぇぇ……、っ!?」
その時、ぐう、と間の抜けた音がしたのは、息巻くリコのお腹のほうからだった。
「…………お腹減ってる?」
「……(こくん)」
赤くなった顔を縦に揺らす彼女に、ロコは思わず腕の力が抜けた。
○ ● ○ ●
「うまい! うまいなロコ! これは何の肉なのだ?」
「ただの豚の干し肉なんだけど……、気に入ってくれたのならよかった」
それをただパンで挟んだだけのお手軽なサンドをおいしそうに頬張るリコを見て、ロコは
嬉しそうに微笑んだ。
ここは、ギルドのある町の中心地から少し離れたところにある公園。冒険者ばかりの
物々しい雰囲気から遠ざかり、のどかで落ち着いた場所だった。爽やかな音を立てる噴水
にも目を引かれたので、ここで昼食をとることにした。
通りすがる人たちが奇妙なものを見る目を向けてくる。嫌でも目を引くリコの美しさ
(と釣り合わない自分の組み合わせ)のせいだろう。とりあえず気にしないふりをする。
「ところでリコ、さっきの件だけど」
「むお? ふぁんふぉおおわ?」
「あ、ごめん、飲み込んでからでいいよ。リコが、その……、王女様だっていうこと」
リコは、もぐもぐと口の中のサンドイッチを飲み込むと、
「それがどうしたというのだ」
「ごめん、僕は正直まだ信じることができない」
そうか、と言いながら足をぶらぶらさせるリコ。あ、スネてる。
「だいたい、国のお姫様がなんで一人でこんなところにいるのさ? それに、どうして
世界樹の迷宮なんて……」
そう、そこが一番気になるところだ。彼女は、見た目こそ十分お姫様に見えるものの、
その行動があまりにそういうイメージからかけ離れている。
「理由が、あるのだ……」
リコは、唇をきゅっと噛み、神妙な面持ちになる。ロコも、ぐっと表情を固め、
「僕なんかが聞ける身分なのかどうかわからないけど……、教えてくれるかな、リコ?」
ロコの問いかけに、口を尖らせたまましばらくの間黙ったリコは、ゆっくりと唇を開いた。
「……家出してきた」
「………………は?」
呆気に取られるロコに対し、リコは少し顔を赤くしながら叫んだ。
「だから、家出だ、い・え・で! 悪いか!」
「…………えー」
思わずリコを見る目が冷ややかになる。
「な、なんだその目は! 『嘘でも本当でもめちゃくちゃだよこの子どうしたらいいの』、
とか思ってるのではなかろうな!」
「一言一句合ってます……」
リコはぐぬぬぬと頬を膨らませると、バン! と石のベンチを叩いて立ち上がり、ロコに
向かって叫んだ。
「そこに直れ、ロコ!」
「は、はい!」
言われるままに、びしっと直立するロコ。ごめんよ弟達、兄ちゃんはやっぱり小市民。
「お前、まさか私を「自分探し」とか言ってふらふら家を飛び出した単なるワガママ娘だと
思っておるまいな?」
「…………」
「無言の肯定をするなっ!」
どうしろと。
「じゃあ、なんのために家出なんてしたのさ?」
リコはふふん、と誇らしげに笑うと、
「よいか、これはただの家出ではない! 妄は、自分の国を作るために家を出たのだ!」
「え……、え?」
国を、作る……? ものすごくシンプルな言葉なのに、ロコはその意味を理解するのに
時間がかかった。
「そうだ、ここには、一国を築くほどの財宝が眠っていると聞く。いや! それだけでない!
まずは私自身が、一国の王にふさわしい人間へと成長しなければならない。そのために、
世界樹の迷宮に挑みに来たのだ! 以上!」
拳を高く振り上げ堂々と言い切ると、リコは鼻をふんと鳴らしてふんぞり返った。着席し、
サンドをもう一つ引っ掴んでぱくり。
対してロコは、ぽかんと口を開けるしかなかった。
「ほ、本気なの? 国を作るなんて、そんな雲を掴むみたいな」
はっきり言って、何から始めたらいいのか見当もつかない。
「当たり前だ、私にもわからん。今はな」
サンドを手にとって、リコは白い歯を見せて笑い、
「それをこれから学ぶのだ。ワクワクするだろう?」
その目には、一点の曇りもない。太陽の光条のように輝いて、まっすぐだった。
普通なら一笑に伏せてしまうだろう、その荒唐無稽な野望。
なのに何故だろう、彼女を見ていると確かに胸が高鳴る。
「くっ……、あははは!」
「ほう、妄の言葉を冗談と笑うか。いい度胸だ。サンドイッチの侘びを刃で報いることに
なるとはな……」
「ち、違うってば! 君が言うと、冗談に聞こえないから面白かったの! ホント、変な
子だね、君は」
なんとでも言え、とそっぽを向くリコもつられて笑っていた。
「信じるよ、僕は。君が嘘をついたり、人を騙そうとしてるなんてとても思えない」
「当然だ! まったく」
ふてくされながら、リコは4つ目のサンドに手を伸ばした。パンで頬を膨らませながら
怒る顔がなんだか可愛くて、ロコはさらに吹き出してしまった。
ロコもサンドイッチを口に運ぶ。それを頬張りながら、きらきらと光を照り返す噴水を
見つめて、ぼんやりとリコの言葉を反芻する。
国を作る、か。
「すごいな、リコは……。僕とは大違いだ」
ぽつりと呟いたロコに、リコは問いかける。
「そう言えば、ロコは何のために世界樹に挑もうとしているのだ?」
理由……、理由か。
言ってもいいか。たぶん、どこにでもありふれているような、つまらない理由だし。
「……家族に、楽させたくて」
疑問符を浮かべるリコに、ロコは苦笑しながら続ける。
「僕の故郷は、北の大地にある小さな国の、小さな村。家もどこにでもあるような農家。
それでも平和にのんびりと暮らしてたんだけどね」
ロコは、いったん言葉を区切った。
「……3年前、かな。流行り病で兄さん達が死んじゃったんだ」
リコの表情が固くなった。
「僕はほら、見ての通り小柄であまり力もないんだけど、兄さん達は、村でも有名な力自慢
だったんだ。そんな二人が、ぱたりと亡くなって。父さんは物心つく前からいないし。
家の働き手が、ぱったりなくなっちゃったんだ」
できるだけ、雰囲気が重たくならないように声のトーンだけでも落とさないように気を
つける。
「弟たちはまだ小さいし、僕と母さんだけじゃ畑を切り盛りできるほどの体力も無い。
だから、この町に来た」
リコは、そうか、と呟いて黙ってしまった。まずい、と思ったロコは少し自嘲気味に笑って、
「でも、ちょっと考えが甘かったかな? 一攫千金なんて。……僕の目的なんて、リコの
野望に比べたら全然小さいし」
「そんなことはない!」
苦笑するロコに、凛とした声でリコは言った。
「そんなことはないぞロコ! お前の目は真剣だった。覚悟を決めた人間の目だ。不埒な
考えで決めたことではあるまい!」
リコは、ロコの目をまっすぐ見つめて言う。その視線の熱さに少したじろぐロコの手を、
強く掴んでリコは言った。小さくて、熱い手だった。
「愛する家族のためなのだろう? 恥じることない立派な理由だ。胸を張れ!」
「そう、かな?」
ああ、と底抜けの笑顔で頷くリコ。そうきっぱりと言われると、なんだか無性に心強く
なってくる。
ただ、
「む? どうした、何を赤くなっておる?」
「いや、その、ちょっと近いし、手……」
熱が入りすぎたリコの顔は、いつの間にかロコの目前に迫っていた。こんなに近くに
寄られると、リコの端正すぎる顔立ちはちょっと刺激が強すぎる。
「にゃっ、いやっ、す、すまん!」
リコも猫みたいな悲鳴を上げてぱっと離れた。なんだか周りの人たちがくすくす笑って
いる気がする。うわ、耳まで熱くなってきた。
「協力しよう、ロコ」
「……え?」
ベンチからすくっと立ち上がり、ロコに正対して、リコは言った。
「1人ではどうにもならないことも、2人ならなんとかなるかも知れないだろう? まずは、
2人であのいけすかない冒険者ギルドの連中の鼻をあかしてやろうじゃないか」
胸を張り、屈託無く笑うリコ。
空高く照らす太陽の光を背負う彼女の姿に、ロコは心の奥が静かにとくんと跳ねるのを
感じた。
なんだろうこの気持ちは。どきどきする。
ついさっき、いきなり壁にぶち当たったばかりなのに、そんな不安はなりを潜めてしまう。
この子と一緒なら、うまくいくかもしれない。そんな根拠のない自信が沸いてくるような――
「私は、お前が好きだ」
「ぶっ!?」
心臓が破裂するかと思った。い、いきなり何の告白!?
「私は旅の仲間として、ロコのような誠実な人間を探していたんだ。お前なら、信用できる」
「あ、そ、そういうこと……」
胸をなでおろす。まったく、心臓に悪い。
「お前は、私を信頼してくれるか、ロコ?」
リコは、その小さな手を差し出してくる。
本当に、滅茶苦茶な女の子だった。国の王女で、でも家出少女で、国を作るなんて無茶を
言う。
なのに、会ったばかりのこんな普通の人間に、仲間になろうだなんて。
まったくデタラメなのにもほどがある。
でも、そんな真剣な瞳で見つめられたら。
「――うん、僕も、リコなら信頼できると思う。それに……。王女様直々のご用命なんて、
身に余る光栄だよ」
「……もしかしなくても馬鹿にしているな?」
くすくす笑うロコに、こいつ! と拳を上げながら、リコも笑った。
「じゃあ、改めてよろしく。リコ」
「ああ、私のほうこそよろしくな、ロコ」
改めて、二人は固い握手を結んだ。
「……あれ、そういえば『私』? 『妄』じゃなくて?」
「ん? ああ、あんな呼び方は見栄だ、見栄。普段から『妄』などと堅苦しいこと言って
られぬわ」
「あ、そう……」
あっはっは、と高笑いするリコに、そういうもんですか、と若干ロコは呆れる。どうも
お姫様というものに対するイメージを色々壊されまくっている気がする。
「よし、こうして仲間が増えたところで!」
「うん」
「もう一度抗議にいくぞ! 続けロコ!」
「落ち着いて」
「にゃっ」
リコの肩を押さえて座らせる。まったくこのお姫様は。
「そんなことよりリコ、僕は君に言わなくちゃいけないことがあります」
「まったくもう……、一体なんだ?」
「君の財布の中身について、僕は驚きを隠せないんだけど……」
「うむ、そのことか。私もびっくりした。まさか船があんなに高いとは思わなかった」
聞けば、家を出るときにとりあえず適当に金を引っつかんできたらしい。
その金額自体はロコが目を剥くような額だったのだが、そこは世間知らずのお嬢様。
世間の物価や、宿や渡航にかかる料金の相場など知るわけがなかった。
たんまりあったはずの路銀は、無計画な旅路でみるみる磨り減り、この町に着いた頃には、
彼女の財布には安い宿にも泊まれないくらいのお金しか残っていなかったのだった。
ついでに言うと、これ財布じゃない。ただの封筒。無用心にも程がある。
「これからどうするつもりだったのさ? 泊まるところは?」
「う、うー……。の、野宿とか……」
目を泳がせて答えるリコに、堪えていた溜め息がついに漏れる。
「……あのね、野宿なんてそんな簡単にできるもんじゃないの。ここは暖かい土地だけど、
夜はとっても冷え込むんだよ?」
うう、とサンドを口に咥えたまま小さくなってしまうリコ。荷物を見るに、寝袋や毛布
なんてものも持っていないだろう。
「治安も決して良いとは言えないし……。それに、その格好」
「? 可愛いドレスだろう?」
「『金目のものならここにあるぜ!』って叫んでるようなものだよ! そんな格好で野宿
してたら、一晩と待たずに身包み剥がされちゃうよ!」
この常識の無さ、やはり本当にお姫様らしい。よく今までの旅の道中、無事だったものだ。
「無計画すぎる……」
「むうう! しかしロコ、お前はどうする気なのだ? お前だってギルドを作れなかった
以上、故郷に帰るしかないのではないのか? ふん!」
「なんで僕が怒られてるのさ……。それなら大丈夫。もともと、探検を始めてすぐに生活が
どうにかなるなんて考えてなかったし」
「どうせ私は無計画なお姫様だ。ふん」
「そ、そういうことを言ってるんじゃなくて」
まずい、相当むくれている。
しかし、どうしよう。世界樹に挑むうんぬんの前に、この子の生活が心配だ。
手立てなら、ある。あることにはあるのだが。
ロコが頭を悩ませている間に、拗ねたリコは最後のサンドに喰らいついた。さっきから
食いすぎだ。そんなにお腹がすいていたのだろうか。
口をもぐもぐさせるリコの横顔を見て、ロコは思った。放っておけない、よなあ……。
「……冒険者ギルドが斡旋してくれる宿場は、僕には家賃が高すぎて払えないからさ」
「む?」
「あるんだよ、リコ」
「? 何がだ?」
「家」
「……いえ?」
○ ● ○ ●
「叔父さんの家?」
「うん、そう」
噴水のあった公園から、町の外れに向かって歩く。仰ぎ見る世界樹を中心に、ぐるりと
アーモロードの西側に回るように。
だんだん建物がまばらになり、代わりに町の一片を取り囲む雑木林が見えてくる。
ロコの叔父は、若い頃からアーモロードに住んでいた。当初は出稼ぎの予定だったのだが、
こちらの女性と恋に落ち結婚、家まで立てていた。
事情が変わったのが、3年前にリコの村を襲った流行り病。この病気は、なぜか働き
盛りの若い男性ばかりが罹患した。リコの家以外にも、若い労働力を失って嘆く家は
たくさんあったのだ。
そして1年前、遠い地で難を逃れていた叔父にお呼びがかかった。ロコの他の親戚たちに、
どうか戻って村を助けてほしいとせがまれたのだ。
結局、叔父は渋々折れて、故郷に帰ってきた。しかしまだ未練があったらしく、アーモ
ロードの家はそのままにしていたのが、ロコにとって幸いした。
ロコが世界樹の迷宮を目指したいと話したとき、ついでに掃除しといてくれと、笑い
ながらあっさりとその家に住むことを了承してくれた。
「なるほど……。で、ロコ。そこはまだかかるのか……?」
「多分もうすぐだと思うんだけど……。荷物、持とうか?」
「よい! 自分で持つ!」
問題は、少し町から離れすぎていることか。
雑木林の涼しい木陰道を抜けると、景色が開ける。次の集落まで田畑が続く広い平地に
出た。
「着いたよ、ここだ」
「んー?」
少しヘトヘトになっているリコに声をかける。
「おお、これは……」
その家は、雑木林に並ぶように立っていた。
いや、雑木林と同化していた。
「……」
「……これは」
家の壁のほとんどを、緑色の蔦が覆い尽くしていた。さらに、ところどころ覗く材木は、
元の白い塗装がまだらに剥がれ、虫に食われたのか黒い孔を見せているところもある。
見事なまでにおどろおどろしい3色のコラボレーション。なんかこう、ゴゴゴゴという
擬音を背負っていそうなくらい。
「………………趣きがあるな!」
「言葉を選ばせてしまってすみません、お嬢様……」
「あ、でも中は……」
「わぁ……、はは!」
玄関を開けて中に入ると、外見の印象から一転、リコは顔を輝かせて奥へと駆けていった。
「リコ、窓を開けよう」
「うん!」
カーテンを引き、すすけた窓を開け放つ。うす暗かった部屋に光が差し込み、室内に
立ち込めていたじめっとしたカビ臭さを、爽やかな風が取っ払っていく。
改めて部屋の中を見渡す。小さな食卓が置かれたダイニングと台所。廊下を挟んだ
向こう側のリビングには、風に髪を揺らし、窓の外を眺めてはしゃぐリコがいた。
決して広い家ではないが、生活するには十分すぎる。
「よい家ではないか!」
「うん、僕もはじめて来たけど、叔父さんには感謝しないといけないね」
「うむ!」
リコはわくわくしてしょうがないのか、リビングを出ると、どたどたを階段を駆け上がって
「おおーっ」と歓声を上げた。ちょっと庶民的すぎやしませんかお嬢様。
「リコ、降りてきて」
おお、と返事し、またどたどたと階段を下りてくるリコ。
「なんだ?」
「はい、これ」
そう言ってロコは、長い柄の道具をリコに手渡す。
「? これは?」
「モップ。ここに住むからには、まず掃除をしないといけないからね」
「そうじ……」
雑巾が先端に取り付けられたモップをまじまじと見つめて、リコは呟く。
内心、ちょっとドキドキしていた。本当に王女様なら、掃除なんてしたこともないかも
しれない。
『妄にそんな下々の人間のようなことをやらせるとわ! とわ!』とか怒り出したら
どうしよう。ていうか、そろそろ腰に備えた剣を外してほしい。
少し冷や汗を垂らすロコに対し、リコは、
「……掃除かぁ! うむ、やり方ならメイドたちの仕事をいつも見ていたから知ってるぞ!
見ていろ!」
モップを振り回し、廊下の端へと駆けていくお嬢様。予想に反して、やる気満々だった。
「すぅ……、ぅおおおおおおおおおりゃああああああぁぁぁっっ!!」
きゅぴーんと眼光走ったかと思うと、リコは叫び声とともに、廊下を端から端へと駆け
抜けていった。つむじ風がロコの前髪を揺らす。
「……どうだ!?」
「うん、まあ拭けてるからいいんだけど……、リコの家のメイドさんって、普段どんな掃除
してるの?」
「我が家のメイドは優秀だぞ! 家中どこもピカピカだ!」
「……いや、うん、それならいいんだけど」
騒がしそうな家だ。ともあれ、掃除の戦力になってくれるならばありがたい。
「じゃあ、床掃除はよろしくね」
「うむ、まかせろ!」
威勢のいい返事を返すと、リコは掛け声とともに廊下を駆けていった。
「たぶん、隅っことかは拭けてないだろうな……」
そこはまた、別の機会にフォローしておこう。ロコはひとまず、棚や窓の桟などの拭き
掃除に取り掛かることにする。
今日は台所とリビング、寝室、トイレの掃除ができればいいだろう。旅の疲れがあるから
後回しだ。
「それにしても……」
本当に、よかったのだろうか? 彼女を連れてきて。
別に、リコ自身に問題があるわけじゃない。重要なのはそういうことではなく。
その時、ひょこっと顔を覗かせたリコが、あることに気づく。
「おお、食卓の椅子はちょうど2つあるのだな! ありがたい!」
「うん、ちょうど2つ、……だね」
リコはそれだけ言うと、また掛け声とともにぱたぱたぱたーと廊下を駆けていった。
「わかってないんだろう、なぁ……」
椅子が2つでちょうどいいという、その意味を。
ロコは、裏口から外に出た。
家の壁を覆う蔦の様子を確認するためと、もう一つ。
「後始末もしなかったのか叔父さん……。いや、仕方ないか」
雑木林とは反対側の土地には、家の面積と同じくらいの畑があった。
と言っても、1年間放置されたその畑は雑草だらけで荒れ放題。収穫されずに放置された
野菜が無残にしぼみ、添え木に巻きついた蔓もしおしおに枯れて、なんとも言えない退廃感を
漂わせていた。
「まずは雑草を取って、根を刈って……。土を耕す前に堆肥を買ってこないとな。そうだ、
叔父さんに何を育てればいいか聞いとくんだった。……いや、途中に市場が見えたな、
そこで聞くのも悪くないかも……」
ぶつぶつと呟くロコの顔には、本人は気づいていないがにんまりと笑みが浮かんでいる。
叔父の家を借りることができたのは本当に僥倖だった。生まれたときから、いや、先祖
代々農家育ちの彼にとって、土の匂いから離れるなんてことは考えられない。ギルドが
斡旋する宿ではこうはいかない。
「あっちと違って、ここは温暖だからな、育つ野菜も違うだろうし。温度よりも雨に気を
つけたほうがいいかも知れないな……」
「うわっ!」
ロコが畑への溢れる思いを充満させていたその時、道の方から声がした。
視線を移すと、大きな荷車を引いた赤毛の女の子がこちらを見て驚いていた。
「えっと……、こんにちわ!」
距離があるので、少し声を張って挨拶する。すると、女の子の方もにこっと笑って、
こんにちわ! と大きな声で挨拶を返してくれた。
ロコは裏口の階段を下りて彼女の元へ歩み寄る。
「いや、ごめんごめん! びっくりしたよ、あの幽霊屋敷に人がいる! と思ってさ!」
からからと笑いながら、女の子は手刀を顔の前にかざして謝る。そんな風に呼ばれて
いたのか。
年はロコより少し上くらいだろうか、とび職を思わせるだぼっとした道着と、三つ編みに
した赤毛、そして頬に張った絆創膏が、なんとも活発な印象を与える少女だった。
「君、カームフィールドさんの息子さん?」
「いえ、甥です。ロコ=カームフィールドと言います。今日、この家に越してきたばかり
なんです。よろしくお願いします」
ロコは、帽子を脱いで頭を下げる。
「はは、丁寧だね! 私はルゥ、ルゥ=アクアランド。ここに来る途中、市場があっただろ?
あの近くに住んでんの。あ、そうだ」
ルゥと名乗ったその少女は、引いてきた荷車をごそごそと探る。荷車には、この先の畑で
収穫したのだろう、たくさんの野菜が積まれていた。
「はい、引っ越し祝い!」
「わっ! いいんですか、こんなに?」
「いいのいいの。早摘みだけど、美味いはずだよ!」
腕からこぼれ落ちそうなほどのトウモロコシをもらい、ぺこりと頭を下げるロコを見て、
ルゥは満足そうに笑った。
と、そこへ。
「ロコ〜、どこへ行ったのだ〜?」
玄関のほうから間延びした声がする。
「リコ、こっちだよ!」
ロコの声に気づいたリコは、ぱたぱたとこちらへと駆け寄ってくる。
途中でルゥの存在に気づいたリコは、
「どうも、初めまして。私、リコ=ウェブリッジと申します」
スカートの裾をつまみ、ぺこりとお辞儀をした。
(ちょっと改まってるな……)
体の前で手を重ねてゆっくりとお辞儀をするリコを見て、ロコは苦笑する。
「私はルゥ。よろしくな、リコ!」
ええ、と柔らかなスマイルを浮かべるリコ。愛想よくするのはいいけどリコ、モップ
持ったまんまだよ。
「ん? それは何なのだロコ?」
「今ルゥさんに頂いたんだよ。トウモロコシ」
「トウモコロ……?」
「ほら、つぶつぶの……。コーンだよ、コーン」
「おお? ……おお!」
この状態のトウモロコシは初めて見るのか、びっしりと揃った黄金色の実を子どもの
ように興味津々で眺めている。
そんな二人の顔をまじまじと見比べると、ルゥは、
「二人は兄妹なのかい?」
「えっ、あ、いや、違います」
「でも、目も髪の色もそっくりじゃないか」
「違うぞ、私とロコは――」
ルゥの言葉を訂正しようと口を挟もうとするリコ。だが、
「えっ、なぁんだ、じゃあ恋人ってことかい?」
あやうく持っていたトウモロコシを全て落としそうになった。リコに至っては、顔が
ぽんと破裂したように真っ赤になっている。
「ちっ……、違ああああう!! わ、わわ、私とリコはそんな関係じゃなくて、その、あの」
「えー、でも2人で住んでるんだろ? じゃあ何なんだい? 人には言えないヒミツの関係?」
「そ、そんなっ、やややましいことなど何もないぞ! 全然! 決して! 断じて!」
リコ、事実だけど余計に怪しくなってるから。
「えっと、理由があって、しばらくここで一緒に暮らすことになったんです。たぶん、
ルゥさんが期待しているような関係じゃないので、その、できれば……」
「ふーん? ま、いいさ。これ以上は勘ぐらないし、変に言いまわったりはしないよ。
じゃあリコ、ロコ、これからよろしく! ……ねぇ、本当に兄妹じゃないの?」
「似てますけどね……名前」
そっか、と呟いて、大きな荷車を引いてルゥは雑木林の奥へと歩いていった。
「………………ロコ、私は一つ、気づいたことがある」
「……何でしょう?」
ルゥの姿が見えなくなってしばらくして、ぽつりとリコは口を開いた。
「こ、この、私たちの状況……、ど、どどっ、『同棲』というのではないか?」
「えーっと、文字の意味だけをストレートに捉えるなら、そう言えなくもないね……」
ロコからすれば、やっと気づいてくれたかという気分なのだが。
しばし沈黙。トウモロコシと空気が重い。
「で……」
「で?」
「電撃結婚か!!」
「で、でんげ……?」
いきなり顔を真っ赤にしてあわあわとはうろたえ出すリコ。
「だっ、駄目だぞロコ! いくらなんでも性急過ぎる! わら、妄たちはまだ出会って
1日も立っておらぬというのに……!」
「えーと、リコ、とりあえず落ち着こう。君は何かを勘違いしてる」
「うあう……」
「別に僕たち、恋人同士だから一緒に住むってわけじゃないでしょ?」
「こ、こいびと……」
いや、そこで赤くなられても。
「だから僕たちは、そうじゃなくて「仲間」なんでしょ? 一緒に世界樹の迷宮を目指す
ための」
「……! そうだ、そのために一緒に住むのだな! 『同じ釜の飯を食う』というやつだな!」
「うん、まあ合ってるし、落ち着いてくれるならこの際何でも」
急にリコは納得したようで、ほっと胸を撫で下ろした。
「いやあ、あせったあせった。男女が同じ屋根の下で一晩過ごすと、その2人は結婚する
運命にあるのだと、メイドたちから聞いていたものでな」
「過程と結果がこんがらがってるよ……」
一度そのメイドさんたちに、普段この子に何を教えているのか問いただしたい。
「よし、安心したところでもうひと頑張り……、あ」
「どうしたの、リコ?」
「思い出した。……すまぬ、ロコ。壁壊しちゃった……」
「……後で直すよ」
漏れ出そうになる溜め息を堪えながら、ロコはリコの背中を押して家に戻った。
そうか、リコの中では「同棲」だと気まずいのか。
普通は、会って間もない男女が同じ屋根の下で暮らすこと、それ自体がとても際どい
ことなのだが、
「わかってないだろうなあ……」
「む?」
○ ● ○ ●
「お先だ、ロコ!」
「うん、どうだったお風呂は?」
「うむ、いい湯だったが、まるで夕飯のポトフになったような気分だったな!」
「ははは……」
夕方いっぱいまでかけて、とりあえず生活空間の掃除はあらかた完了した。夕飯は手軽に
作れるもので済ませ、長旅の疲れを癒すべく風呂を入れ、今に至る。
ちなみに、お風呂の広さはロコの実家とあまり変わらない。少し膝を曲げる必要がある
程度。それでもロコの家では、兄弟3人で入る場合もあるのだが。
「ロコも冷めないうちに早く入ってくるとよい」
「うん、そうなんだけど……、その前にリコ」
「ん?」
「全然髪拭けてない。ほら座って」
「ん? んー」
言うとおりイスに座るリコの髪を、タオルでわしわしと吹く。ぴんと張りがあるのに
しなやかで、まるで上質の絹のような髪だった。何を食べればこうなるのだろうか。
「くっ、ふふっ」
「ほら、動かないで」
「くすぐったいのだから仕方ないだろう、ふふ」
後ろをちらりと振り返り、流し目のようにこちらを見ながらリコは微笑を浮かべる。
お風呂上りのリコは、少し肩口の開いた寝巻きを着ていて、肩越しに華奢な鎖骨のラインが
浮かんで見える。
たっぷり水分を含んだその肌は、ほんのりと桃色に染まり輝いている。奥に視線を
滑らせると、柔らかくなだらかな膨らみが――
「? どうしたロコ?」
「い、いやっ、何でもない! そうだ、ルゥさんにもらったトウモロコシも茹でたから、
よかったら食べて……」
「トウモロコシ……、おお、あれか!」
鍋に入った鮮やかな黄色の穀物を見つけると、リコはとたとたと駆け寄っていった。
「……なに動揺してるんだ僕は」
自分で言ったんじゃないか、リコは単なる旅の仲間だって。こうして二人で暮らすことに
なったのも、ただの成り行きでしかないんだ。
「? ロコ、これはどうやって実を外せばいいのだ?」
そんなロコの苦悩も露知らず、リコはトウモロコシを掴んで身をほぐそうとかりかり
爪を立てていた。
「ああ、そうじゃないよリコ。齧り付くの」
「かぶりつく……。がぶ?」
「そう、がぶ」
頷いて笑うロコに促され、リコは戸惑いながら大口を開けて、ぞろりと並ぶ実に齧り付いた。
「……んー! おいしい! なんとも粗野な食べ方だがこうして食べたほうが美味いのだな!」
「でしょ?」
よっぽどお気に召したのか、リコはがぶがぶと良いペースで残りの実に食らいついていく。
「そんなに慌てて食べなくても……。ほら、ほっぺたについてるよ」
「んう? どこだ?」
「右の、ほらここ」
口から少し離れたところで、本人からは少し見えづらいかもしれない。指で払おうと
しているが一向にヒットしない。
「むー、取ってくれロコ」
「はいはい……」
まるで弟の面倒を見ている気分だった。頬についたトウモロコシの粒をひょいとつまみ取る。
「ほら、……っ!?」
「あむ。ありがとう」
それは一瞬の出来事だった。ロコがつまんだトウモロコシの粒を、リコの口がぱくっと
咥えて、さらっていった。
指先に、柔らかいリコの唇の感触が、かすかに残る
「む? ああ、すまぬ。少々はしたなかったかな」
「い、いや別に……! ぼ、僕、その、お風呂入ってくるから……!」
「? いってらっしゃい……?」
ロコは逃げるようにして、風呂場へと向かった。
「……僕、そうとうマズいことをしてるんじゃ……?」
脱衣所のドアを閉めると、ロコは溜め込んだ息を吐いて呟いた。
リコを連れてきたのは、放っておけないから、という純粋な気持ちだった。
しかし、そんな心情はどうあれ客観的に見れば、会ったばかりの女の子を家に連れ込んで、
一緒に暮らしているわけだ。まさにナンパ師かスケコマシの所業。
しかも相手は(自称)王女様。合わせ技一本で打ち首もあり得る。
いや、そんなことより何より辛いのが、リコに今がそういう気まずい状況だという認識が
希薄だということだ。お嬢様育ちの賜物か、どうも世間一般の感覚とずれている。
さらにあの、溜め息が漏れるほどの容姿の美しさ。何かにつけてドギマギさせられてしまい、
心臓に悪いことこの上ない。
「はぁ……」
服を脱ぎ、浴槽に体をつける。長旅も疲れたけれど、今日一日で体も心もへとへとだ。
お風呂がこんなに気持ちいいと思ったのは久しぶりだった。
体中が温まり、頭の中が真っ白になる。
これからのこと。リコのこと。頭を悩ませる色々を忘れさせてくれる。
「……ん?」
その時、湯面に漂う何かが目に入った。
それは、細くて長い金色の糸。いや糸じゃない、つい先ほど目にした覚えが、というより
タオルで掴んでわしわしと――
「……っっ!」
それに気づいた瞬間ロコは、ぶんぶんと頭を振って、脳内に浮かんだ「残り湯」という
頭の悪い単語をかき消そうとした。
どうやらここも、安息の地ではないらしい。
「はぁ、本当に大丈夫なんだろうか……、僕」
色んな要因で顔を赤くしながら風呂を出ると、リビングにリコの姿がなかった。
2階に上がり寝室を覗くと、リコがきょろきょろ何かを探していた。
「どうしたのリコ?」
「おお、そろそろ寝ようかと思うのだが、ベッドが一つしかなくてな」
「え、ああ、そっか」
叔父さん夫婦は2人暮らしだったので、この家の寝床と言えば、この寝室のダブルベッド
くらいだった。
「このベッドも1人用だし」
「……ん?」
「ん?」
リコと顔を見合わせる。ええいこのブルジョアめ。
「……こほん。とにかく、今日は仕方ないね。僕は下で寝るから」
「下って……、寝床になるところなどないではないか」
「うん、まあそうだけど」
確かに、この家には余分な布団もないし、リビングのソファも肘掛が邪魔で、とても
じゃないが寝るには適していない。
となると、床で雑魚寝するしかないわけだが。
「ゆ、床? そんなの駄目に決まってるではないか!」
「大丈夫だよ、ここまでの船もそうだったから」
「で、でもでも、夜は冷え込むから危ないといったのはロコではないか!」
「大丈夫だよ、一日くらい。気にしなくていいから、リコはベッドで寝てよ。王女様
なんだしさ」
実際、それくらいのことなら慣れっこだ。なので、あまり気を使わせないように、ロコは
なだめたつもりだったが、
「今の私は王女ではない! ロコと私は仲間だ、だから私だけなんて不公平だろう!」
逆に火をつけてしまった。
「でも、じゃあどうすれば……」
「だっ、だから、その……」
もじもじと、何かを言おうとしてためらうリコ。
…………あ。
「こっ、こっちを見ては駄目だぞロコ!」
「み、見ないってば。そんなに恥ずかしがるなら最初から一人で寝れば……」
「っ!」
「うわ、シーツ引っ張らないでよ!」
結局、2人は同じベッドで寝ることになった。2人の間には枕ひとつ分のスペースが空き、
それぞれがベッドの端によって窮屈そうに寝ている。
しかしそれでも、相手の呼吸が聞こえてくるだけで妙な緊張感が体を硬直させる。
なんだこの状況。どうしてこうなった。
「ね、眠れそうかロコ?」
「うん、まあ暖かいし、疲れてるし」
精神的にも。ていうか、現在進行形で気を使ってますお嬢様。
「そ、そうか。私は、なんだか眠れそうにない……。うう、結婚するまで殿方と褥を共に
してはいけないと言われていたのに……」
「だから、それなら最初から、ごめん! もう言わないから引っ張らないで!」
剥ぎ取られそうになるシーツを必死に掴む。まったく、と息巻くと、リコはもぞもぞと
寝姿を正した。
暗い寝室に沈黙が訪れる。雑木林から、夜鳥のホゥホゥという鳴き声が聞こえてくる。
なんとなく、まだ寝てないな、と思っていると、リコの方から声をかけてきた。
「……なあ、ロコ。明日からどうするのだ?」
「そうだね……、まずは街で情報を集めよう。冒険者ギルドに認めてもらう方法とか、
協力してくれる人とか。すぐには見つからないかもしれないけど、慌てても仕方ないしね」
「そうか。……ロコは強いな」
「そう? これからのことを考えると、僕だって怖いよ。まさかあんな風に出鼻をくじか
れるとは思わなかったし」
「私もだ。……あの時は本当に、どうしようかと思った」
声のトーンが少し落ちたかと思うと、リコは、
「ありがとう、ロコ」
そう、一言呟いた。
(うわ……)
なんだか、心がくすぐったい。なんとも気苦労の耐えない一日だったが、そんな一言
だけで随分と救われた気分になるものだ。
いや、救われたといえば、
「お礼を言うのは僕もだよ、ありがとうね、リコ」
「な、何を言っているのだ。私は何もしていない。こうして家にまで住まわせてもらって、
本当に」
「うん、だからさ。リコに手がかかったおかげで、ギルドに登録できなかったこととか、
これからのこととか、今日一日忘れることができたんだ」
「そ、そうか……、って、おい!」
「うわっ!」
ついにシーツを完全に奪われるロコ。
「か、返してってば!」
「ふふふ、妄に無礼な口を聞く者は許さんのだ」
「ちょっとリコ、……!」
奪われたシーツを取り返そうと振り返ったロコは、同じく振り返ったリコとばったり
顔を合わせる。
「「あ……」」
お互いの方を見ずに寝る、という協定はあっさりと破れ、二人してしばらく硬直する。
が、
「ぷっ、あはははは!」
「な、何を笑っておるのだ、くっ、ふふ、はははは!」
堪えきれず、2人は声を出して笑い出す。
「ふふ、まったく、何をしているのだろうな私たちは」
ひとしきり笑い終えるとリコは、仰向けに枕に頭を静めて言った。
「ほんとに。忘れちゃ駄目だよリコ、僕たちの目的は」
「ああ、世界樹の迷宮。まだ私たちの冒険は始まってもいないのだ!」
「ふふっ、何だよそれ」
でも、リコの言うとおりだ。なんだかめちゃくちゃな一日だったけど、まだ始まりの
一部に過ぎないんだ。
「明日からも、よろしくな……、ロコ……」
「うん、僕のほうこそ、……リコ?」
尻すぼみな言葉にふとリコの方を見ると、彼女はまぶたを閉じて、静かな寝息を立てていた。
やはり、相当疲れていたのだろう。今日は彼女には慣れない掃除も手伝わせてしまったし。
「おやすみ、リコ」
彼女の寝顔にそっと呟く。
国の王女だと名乗る彼女。自らの国を建てると言う彼女。
疑うわけじゃない。でも、こうして安らかな寝顔を浮かべる彼女はただの、一人の可憐な
少女だった。
彼女が抱えているもの、目指しているものの大きさ。まだロコには、想像がちっとも
及ばない。
だからまずは、そんなことは気にせず、彼女とあの世界樹を目指すことだけを考えよう。
天井を見上げて、ロコは一人頷いた。
野鳥の声も、少し静かになってきた。
気持ちの整理がつくと、ロコにも眠気がやってきた。明日もいろいろと忙しい。できる
だけ早く寝て――
「んん……」
「! ちょ、リコ……!?」
その時、左手に伝わってきた感触にせっかくの眠気が吹き飛ばされた。
寝惚けているのか、もぞもぞとベッドの上を転がってきたリコが、ロコの左腕をぎゅうと
抱きしめてきた。
「ちょっと……! もう、ほんとは寂しくて一人で寝れなかったんじゃないの……?」
ロコは小声でリコを非難したが、彼女はすっかり離れる様子もなく静かに眠っている。
溜め息をついて、左腕から気をそらせるように、もう一度天井を仰ぐ。
否が応にも左腕に伝わってくる、熱い彼女の体温。柔らかさ。甘い吐息。
思い出す。あの時の感触を。
「……!」
浮かびあがる記憶のイメージを、頭を振って頭の中から振り払う。
「……やっぱり、慣れないな。女の人の温かさ……」
そう呟いたロコの顔には、露骨な苦渋の顔が浮かんでいた。
ロコの腕を抱くリコの体の感触は気持ちいい。男だから、当然だ。
でも、振り払いたい。どうしようもなく、心地悪い。
反目する2つの感情に、ロコは顔をしかめて右腕で目を覆った。
明日は、朝から畑をいじろう。やることはたくさんある。
そんなことを考え、心の奥で巻き起こる不穏な思いを追い出し、ロコはゆっくりと意識を
眠りの底に落としていった。
-to be continued-
以上です。読んでいただければ幸い。楽しんでいただければなお幸い。
なんかこう、こんな牧歌的なので大丈夫なのかと自分でも思うのですが……、
次回はエロありですので。それでは。
これはこの先に期待でGJ!
やっぱりハーレムルートなんですかねー。ですかねー。
プリの一人称が「妾(わらわ)」じゃなくて「妄(もう)」になってるぞー。
もう、プリったらあわてん坊なんだから
>>21 おう、すみません……。慌てて立てたもので。申し訳ないです。
>>23 はい、投下した後に気づきました……。辞書登録ミスです……。
筆者はアリアドネの糸で首吊って反省しておりますので、この後
読まれる方は脳内変換してやってください……。
>>1乙&GJ
無自覚なプリかわええ
というか一々照れる2人かわえええ
乙。
畜生!俺にとっては直球ド真ん中じゃねえか。
良いぞもっとやれ。と言うかやって下さいお願いします
>>26 >>27 感想ありがとうございます! 続きはできるだけ早く……!
ていうか発売日までに書かないとプレイに時間を取られるという罠が。
あと、保管庫に保管してくれた方。誤字の訂正、本当にありがとうございます!
29 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/20(土) 13:28:51 ID:IoUl++Ht
保守
保守。。。待ってるぜ!
捕手…次に期待して☆ュ
エロパロ書いてみるぜ
とか、いつぞやのスレで言ったけど全然進まずにエロなしの冒頭だけできてしまった
3発売が近づく中、話題が1と2になるけれども
続きが見たい作品を待ちながら保守するついで駄作を投下
<主な登場人物紹介>
ブシドー(姫子):主人公で大体の語り手、エトリアを制覇したギルドに所属する下っ端。
師匠(爺じゃない男のブシドー):主人公の道場の門下生で、またエトリアを制覇したギルドに所属する2軍。道場の師範の娘である主人公の師匠。
パラ子(ししょー):主人公の親友で、同ギルド内の下っ端。
アイツ(???):謎に包まれた人物、ハイ・ラガードに逃げた?
<注意>
ネタバレ的なモノは現段階ではないかも、書くとしたら1と2のおおまかな初期設定があるくらい?
エロなしです。
何となく書いてたけど現段階ではしばらくエロがくる予感がしない。
続くのかも分からない。
こんなのでもよろしければどうぞ。
乗合馬車の駅にギルドの仲間たちと待ち合わせをしていたあたしは、走って到着した時の顔をメンバーの全員に見られた瞬間、大そう心配された。
ギルドで一番の親友であるパラ子ちゃんは、あたしの顔を見て何があったのかしきりに聞いていた。
「ううん、何でもないの」と言いながら、パラ子ちゃんに預けていた荷物を受け取ったあたしは、その手が濡れていることに気付いた。
そうか――あたしは泣いてたんだった。
あたしは自分のお気に入りである花柄のハンカチで涙を拭った。
そして、パラ子ちゃんを見た。
まだ心配そうな顔をしているけどもう大丈夫だ。
ここまで走ってくるときに、もうこれ以上泣くことがないように泣いてきたのだから。
「もう、本当に大丈夫。もう……泣かないから」
とびっきりの笑顔を作ってそう言ってやるんだ。
腰には2本の刀(たましい)がある。あたしは1人じゃない、ここにも味方が2人いる。
だからきっと、大丈夫。
ふと見回すと、あたしとパラ子ちゃんを含めた総勢12名のラガード行きギルドメンバーが、力強く頷いた。
もしかして、みんなあたしの泣いた意味を知っているのだろうか?
するとギルマス代理が1人、唯一眼を反らしたことに気付いた。
あぁ――やっぱりバレてたのかな、あたしが1週間前になって急にラガード行きを決めた理由。
そうこうしているうちに馬車が到着した。
今回の馬車はあたしたちギルドの貸し切りだ。
エトリアに残ることになったギルドの1軍と2軍を統率するギルマスが特別に手配をしてくれたらしい。
あのギルマスにあんなことをする心遣いがあったことに少し驚いた。
「さぁ、行こ」
「うん」
先に馬車に乗ったパラ子ちゃんが、その手をあたしに差し伸べる。
父さん、母さん――そして師匠。
あたし、いってくるよ。
◆ ◆ ◆
「本当に行くのか?」
「はい」
師匠はあたしにそう尋ねた。
でもあたしは今更その気持ちを曲げるつもりはなかった。
「ハイ・ラガードで見つかった新たな世界樹…
このエトリアの世界樹を制したギルドに所属している下っ端構成員からしたら、
新しい世界樹で自分たちが今度は名を挙げようと思ったって不思議じゃないと思いますけど」
あたしの所属するギルドは今から4年前、このエトリアの世界樹を制覇した。
謎に満ちたこの世界樹の全てを知り尽くしたこのギルドは、文字通りの名声をその手にした。
そんなあたしは、このギルドが結成してそこそこに有名になりだした時に加入した下っ端構成員だ。
2軍どころかそれ以下にいる構成員で、ほとんど未開の地の開拓なんてしたことがなかった。
「それは、ただの表向きの理由じゃないのか?」
「……」
ただ、師匠は気が付いていた。
その鋭い眼があたしを逃さまいとしっかりと睨みつけてくる。
さすが、2軍とは言え修羅場をくぐってきたことだけはある人だ。
あたしは思わず、目を背けてしまいそうになる。
やっぱり、嘘は付けないみたいだ。
「ギルドのソードマンさんが、執政院に資料を返還に行っている時に聞いたらしいです。
執政院の捜査官たちが、“アイツ”が今から2週間前に北の大陸行きの夜行便馬車に乗っていた
っていう情報を話していたみたいで。
どうも兵士が目撃して、それで慌てて執政院に通報をしてきたみたいです」
正直、通報する暇があるならとっ捕まえろと言いたかった。
けれど、さすがに顔を知っていたということは、アイツがどういう奴なのかも分かっていたということだ。
多分、あたしが兵士だったとしても通報しかできなかっただろう。それは大いに想像がつく。
兵士たちが恐れる事の発端は今から遡ること1カ月ほど前のことだ。
執政院の特別な資料室に侵入者が現れたのだ。
ソイツは立ちふさがる警備の兵士や執政院の職員たちを瞬殺していった。
その犠牲者数は、執政院内で働く関係者たちおよそ20名にも及んだ。
その時の執政院内は狂気に包まれていたという。
血で染まった殺戮者はこう叫んでいたらしい。
「決して死なん! 不死身の呪いがかかっているのだからな!」と。
この事態に執政院ラーダのオレルスって情報室長は顔を真っ青にして非常事態宣言をエトリア全域に発令した。
後にも先にも、あたしが知る限りではどこかのお嬢さんが夢の中で予見した、
樹海の魔物共が群れをなして街へ襲撃してくる内容が現実となった信じられない事件と、
今回のこの事件しか、この平和な街に非常事態宣言が発令されたことはない。
「北の大陸行きか……だから、ハイ・ラガードなのか」
「こじつけすぎますか?」
「いや、それは俺にも分からん」
師匠はどうしたものかと空を仰いだ。
あたしだって、実際のところアイツがハイ・ラガードに行ったのかどうか確信は持てない。
けど、1つのよく分からない予感というモノがあった。
ハイ・ラガードの陥っている状況を聞いた時、どうにも嫌な予感しか頭をよぎらなかったのだ。
「それに人間、嫌な予感は大抵当たります」
「お前の予感は大抵当たるからな、俺としても信じたくはないがな」
あたしだって信じたくはない。
だが、これはあたしが決着をつけなければならないことだ。
「それに、“身内の始末は身内でつける”。それがあたしたちの家の決まりだから。」
「だからって、それでお前が死んだら俺の立場がなくなる。
お前のお父上と交わした“お前を守る”という使命がそんなカタチで破られるのは本望ではない。
それは当然、俺にとっても…お父上にとってもだ」
師匠は止めたいのだろう。
けどあたしは、決着をつけるためにもう決心をした。
父と母の墓にもそう言って誓いを立ててきた。これはあたしの中での闘いだ。
「止められないのは分かっている。お前はお父上と同じで決めたことは決して曲げないからな」
「大丈夫ですよ、あたしには父が遺してくれた刀(たましい)がありますから」
そう言ってあたしは鞘に納めた父の形見――“八葉七福”を握りしめた。
父はこの刀が持つ、幸福を呼ぶ力で何度も窮地を救われたという。
しかし、娘のあたしから言わせれば、本当に肝心なところで救われていないのだから意味がないじゃないと思った。
それでもあたしがこれを、父の死からずっと持ち続けているのには、何かそこに縋る想いがあるからじゃないかと思う。
「それでは、出発が迫ってますので…師匠、失礼します」
「ちょっと待て」
何とも出発のギリギリまで黙っていた罪悪感もあってか、あたしはすぐに師匠から離れてしまいたかった。
そんなあたしを、師匠が唯一残されている右腕で止めた。
「何ですか?」
「迷宮に実際に入るとなれば、魔物どもの血や肉を常に刀は浴びることとなる」
「手入れのことですか? 大丈夫ですよ」
だが師匠は、それでも心配そうな顔をしている。
もしかして、あたしもそんな顔をしているのだろうか?
「見知らぬ樹海へ潜ろうと言うのに、刀が父上の形見1本では心細いだろう。これを持っていけ」
「え…でもこれは、師匠の」
「いい、持っていけ」
その手に渡された刀は、“氷雨丸”。
師匠が常に肌身離さず持ち、しかし決して使うことのない刀。
いや、正確にはこの刀――4年前に一度だけあたしの目の前で抜かれたことがある。
その時、あの地下に広がる遺跡群に突如として現れた霧雨の光景をあたしは忘れない。
「身内の始末は身内でつける。ならば、何かあった時はこの刀を使え」
「けど、それは師匠がずっと昔から持っていた刀じゃ…」
「使わないと決めた刀だ。俺が使うとこれはただの“人斬り刀”になる。こいつは俺の心を支配する妖刀だ、俺が持っていても不幸しか生まん」
そう言って師匠は古びた道場へと歩き出す。
あたしは未だ、その氷雨丸をどうしたらいいのか分からず茫然としていた。
「だが、あの刀と対峙することがあるなら…この人の血に塗られた刀も役に立つ時はあるかもしれん」
「なに物騒なこと言ってるんですか」
「だが、お前がこれからハイ・ラガードで少なくともしようとしていることはそういうことじゃないのか?」
道場の入り口で足をとめた師匠は重々しい口調でそう言っていた。
そうだ、そしてあたしには――その覚悟があるつもりだ。
「別に、無理することはないんだぞ」
「分かってます…それに無理なんてしていないです」
「そうか、だがまぁ持っていけ。そうでなくともこれは師匠が弟子であるお前にやる餞別だ」
あたしは一体、どんな声でその覚悟を今、口にしたのだろうか。
だけど、あたししかもう残されていない。
父の仇を打てるのは――全てをとめることが出来るのは。
「さぁ行け。仲間が待っているんじゃないのか?」
「……はい。では、行ってきます」
あたしは生まれ育った道場を一瞥する。
父と母、そして父に憧れて弟子となって師匠、たまにやってくる父の弟子で師匠と同じ頃に入門した妹弟子だという長髪の女性。
そして――あたしより1つ年上で一番真面目でもあり、大の親友でもあった弟子のアイツ。
あたしが生まれたころから、あたしは刀とかブシドーとかそういう世界に接して暮らしてきた。その原点がこの道場だ。
今ではあの事件をきっかけにすっかりエトリアの道場の中では没落してしまったけど。
あたしは変わった、嘆いた、悲観した――でも、それとももうお別れだ。
ブシドーとして父の仇を討ち、そして母の仇も打たねばならない。
やらねばならないことが多すぎる。
意を決して道場に背を向けて歩き出す。
「自分自身を強く持て」
師匠の声が聞こえた。
その声は、あたしの心にあった覚悟を揺らした。
「いいな?」
あたしは振り向かずに、師匠から貰った氷雨丸を腰につけた。
もうあたしは、後戻りできない。
「妖刀はお前の心に闇があれば、その隙に意図も簡単に入ってくる。
それを肝に銘じておけ。俺に言えることはそれだけだ」
心を強く――早速くじけそうになっているあたしにできるだろうか?
実を言うと、正直怖い。
足が震える。
「さぁ行け!! 馬鹿弟子がぁ!!」
師匠が叫んだ。
その言葉は、あたしにもう後戻りできないことを告げている。
「行ってまいります!! 師匠!! そして、父さん!! 母さん!!」
あたしは道場の砂利を蹴って走り出した。
走らなければいけないような気がした。
そうでないと、いつまでもまた――ここに立ち止まるあたしがいるような気がしたからだ。
後ろを見るな――ただ走れ!!
「あなたの娘さんは強くなられたようです、師匠」
その走る後ろ姿を見守りながら、男はつぶやいた。
「死ぬなよ……生きて必ず帰ってこい」
◆ ◆ ◆
何か重いものが突然、あたしの肩に乗っかってきて目が覚めた。
隣を見ると、パラ子ちゃんがあたしの肩に頭を預けていた。
どうやらパラ子ちゃんも疲れて寝てしまったらしい。
馬車内を見ると、あたし以外のギルドメンバーもほとんどが眠っている。
さすがに5日もずっと馬車に揺られていたら、体力も消耗していくもんだろう。
あたしもどれだけの距離を進んできたのかよく分かっていない。
ただ、あたしは馬車に乗って早速、泣き疲れて寝てしまったようで、それ以来何故か全然眠くならない。不思議なもんだなぁ――とか思う。
「それにしても寒いなぁ」
ふと肌寒くなった気がする。
この寒さはエトリアで経験したことはない。
北の大陸へとやってきた証拠だろうか。
ふと馬車の窓から外を見る。
「…わぁ」
広大な大地が広がっていた。
こんな世界は見たことがなかった。
道場とたまにエトリアの樹海に入ったくらいしか世界を知らないあたしは、その景色にただ圧倒された。
そしてその広大な大地の先に、本当にうっすらと見える1本の大樹――それは遥か天まで届きそうな存在感をそこからでも感じさせている。
あたしの知る限り、このような樹がある場所を今は2か所しか知らない。
ジェイルロックとハイ・ラガード――いずれも世界樹と呼ばれる大樹を有する土地だ。
そしてエトリアから遥か北の大陸にある世界樹は、ハイ・ラガードしかない。
「遂に到着……か」
あたしのハイ・ラガードでの物語が、始まろうとしていた。
つづく(?)
何だか色々と問題点がありそうな文章で申し訳ないと思いつつ投下終了です
そんなわけで他の読みたい作品の続きを待ちながら退散します
41 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 08:41:34 ID:csWOdVBC
全然問題なしっす!まだ序盤なので今後の展開に期待!
これは続編に期待。
保守る。
世界樹3は今週……ならば少しは賑やかになるか?
今週いっぱいは皆ゲーム進めるのに夢中で
SS書いてる暇なんて無いんじゃなかろうか。
世界の雰囲気さえ掴めたらすぐにでもウォリ子とモン子をいちゃいちゃさせたい
脳内で
>>39の続きを3を待ちながら書いていたら
いつの間にか容量が49,4KBになっていて困る自分がいたりする
しかもまだエロ無しで、やっと登場人物を出し終えた段階というありさま
エロパロ的には無意味すぎてもう首を吊ってくる…ついでに保守
ここはエロなしには寛容だよ
>>39の続きを投下です
ただ、長すぎるうえにやっと人物がそろった段階でエロがないです
次くらいから入るような予感なのですが…そんなわけで許して下さい
何ならスルーでお願いします
<主な登場人物紹介>
ブシドー(姫子):主人公で大体の語り手。エトリアを制覇したギルドに所属する下っ端でハイ・ラガードにやってきた。
奴(白髪色黒のダークハンター):自称万屋ギルドを営む男。裏稼業にも精通しているらしい。
諜報部員(青年ガンナー):エトリア執政院の諜報部員で事件を追う。
パラ子(ししょー):主人公の親友でギルドでツートップを組む1人。
メディックさん(眼鏡の男):エトリアで名医と呼ばれるギルドメンバー。
ガンナーちゃん(眼鏡の女の子):おっちょこちょいだが素質はあるらしい。
カースメーカーくん(茶髪カスメ):普段は無口だが相当な力を持つ少年。
師匠(爺じゃない男のブシドー):主人公の道場の門下生で、またエトリアを制覇したギルドに所属する2軍。道場の師範の娘である主人公の師匠。
アイツ(???):謎に包まれた人物、ハイ・ラガードに逃げた?
ハイ・ラガード樹海。
その第1階層――古跡ノ樹海。
ここはその3階に位置するひとつの小部屋。
扉を開けたあたしたちは、思わずその咽かえるような臭気に嫌悪した。
この臭いが何かをあたしは知っている。
死臭だ――それも人間の。
「うっ…これ、もしかして衛士隊なの?」
パラ子ちゃんが部屋の中央に折り重なる鎧の山を見つけて、思わず目を背けた。
あの辺りから死臭はしているし、さっきから地面を染めている血の発生源もあの山だ。
多分――間違いないと思う。こりゃ全滅だ。
「酷いな、こりゃ。この山に生存者はゼロだ」
「そりゃあまぁ、鎧がボロボロだしね」
屍の山に真っ先に駆け寄ったギルドのメディックが、開きかけた医療バッグを閉じた。
こりゃ、いくら名医と呼ばれている彼でも匙を投げるに決まってる。
それにしても、小部屋の辺りを見回す。
「何だかゾワゾワするな…」
何だろう、この何かが吸い寄せられているような予感。
狂気がこの部屋には充満している。
「うぅ…生き残りをこれから探さなきゃいけないんですか?」
「それが私たちギルドの仕事よ、とりあえずこの小部屋を徹底的に調べないことには…うぷっ」
「パラ子ちゃん、無理して死体を見るのはやめたら?」
眼鏡をかけたガンナーちゃんが、早くも勘弁してくれと言わんばかりに涙目だ。
あたしだって、死体処理に来るくらいだったらお断りだ。
とりあえずあたしに今できることは――気分を悪そうにしているパラ子ちゃんの背中を鎧の上からさすってあげることかな。
『!!?』
その時、部屋中におぞましい咆哮が響き渡った。
それに呼応するかのように、部屋中から凶悪な殺気が溢れだした。
「魔物共がボクたちに気付いた」
「え?」
ギルドの少年カースメーカーがポツリと呟いた。
彼はあたし以上に魔物の気配などに関しては鋭い察知能力を持っている。
メディックさんが鞄を持ちなおして、背中に背負っている戦闘用の杖を握る。
医術に長けたメディックさんが杖を握る時、それはいよいよ持って危ない証拠って相場が決まってる。
「パラ子ちゃん、どうも気分悪くしてる場合じゃないみたい」
「うぷっ…そうなの?」
対するパラ子ちゃんは盾を持ちなおすと周囲を窺う。
ガンナちゃんはふるふる震えながらも銃を構える。
あたしも父の形見である八葉七福をいつでも抜けるように構えた。
「何かがおかしい」
カースメーカの少年がそう言ったけど、何がおかしいのかあたしたちにはよく分からなかった。
むしろこの緊迫した状況は何もおかしいとは思わないけど。
「そうじゃない、普段はボクたち人間が何かしない限り自ら襲ってくるはずがないんだ」
「襲ってくるわけがない?」
その言葉の意味を察知するのにそう時間はかからなかった。
彼の眼の先には、普段は大人しいはず鹿――“狂乱の角鹿”がいた。
それも、相当に怒り狂った状態でだ。
ついでに言えば、最悪なことに数は1頭だけじゃない――2頭、3頭。
早速、宿で書いてきた遺書を使う日がやってきそうね。
それはそれで、師匠に殺されるかもしれないけどさ。
◆ ◆ ◆
「ここが、ラガード公宮か」
一応、仮にもエトリアを制覇したギルドが2軍以下の下っ端構成とは言えども。
ハイ・ラガードの迷宮攻略のために10名規模の部隊を送り込んできたということで、冒険者ギルドでの冒険者登録などはすんなりと言った。
ここは、一応エトリアにいるあたしたちのギルマスが手配を色々としてくれたおかげらしい。
ついでに言えば、いくらあたしたちのギルドと言えども、基本的にはエトリア樹海の知識しか知らないわけで、もっと言ってしまえばこの北方の大陸自体が未知の経験である。
そんなあたしたちが、最初からハイ・ラガードの樹海を知り尽くす冒険者たちとの間にある技量の差は埋まるはずがない。
「まぁ、何だかんだ言ってギルマスも心配してるんじゃないかしら?」
「確かにパラ子ちゃんみたいに、エトリアじゃバリバリの前線で戦ってきた猛者が、手塩にかけて育ててきた弟子たちもいるからねぇ」
「何かその言い方、嫌味っぽいわね」
「そう?」
早い話が、あたしたちはハイ・ラガードに数ヶ月前から結成している、超弱小ギルドに吸収されるというカタチで派遣されることとなったのだ。
「超弱小って…いくらなんでもそれはないんじゃ」
「いやでもさ、話を聞いたところじゃ1階の地図作成ミッションを30回もやりなおしてるってのはどうなのよ?」
「そ、それは…」
「挙げ句の果てには2階以上には進めてないわけだし」
「ぐぅ…」
パラ子ちゃんもフォローは諦めた。
しかも進めない理由は2階の広間を闊歩しているらしい鹿に怯えてのこと。
いや、鹿くらい巡回ルート見極めればあいつらから襲ってすらこないのにさ。
「いやはや、遥か遠くの地からよくきてくださった。話は前々から伺っておりましたぞ、冒険者どの」
あたしとパラ子ちゃん、そしてエトリアギルドで一番の敏腕医師として名高い眼鏡のメディックさんに、ハイ・ラガードに派遣されたあたしたちギルドのギルマス代理の4人が代表して、ラガード公宮で按察大臣だとかいうお爺さんの前で膝をついて謁見をしていた。
「まぁ、そう固くならずにしてだされ。そなたらが合流する予定であるギルドのほうからも連絡はもらっておる。今回はよくぞ来て下さった。さぞ長旅ゆえに苦労なさったであろう」
どうもこういう堅苦しい話は苦手だ。
あたしはこれでも年相応の女の子のつもりだ。
ジジイの話は長くてはいかん――そんなことを心の中で思うあたしがいる。
話の内容はざっくりとしか聞いていなかったが、とりあえず冒険のためには公国民になる必要があるとか、樹海で得た拾得物は全て冒険者の者となり、税はかからないとか。そんな話を聞かされた。
いやまぁ、あたしにそんな話をされてもさっぱりだし、そこはギルマス代理やエトリアに残っているギルマスがうまく話をまとめてくれるだろうって信じてるんだけど。
「では、これから長い付き合いになるかもしれぬ。よろしくお願いいたしますぞ、冒険者どのよ」
そんなことを言われて、あたしたちはラガード公宮をあとにする。
やっぱりああいう長話は聞いてるだけで眠くなる。
「退屈だったの?」
「まぁね」
パラ子ちゃんがあたしの欠伸する姿を見て苦笑いする。
大体のことは親友であるパラ子ちゃんにはまるわかりだ。ってかパラ子ちゃんは真面目すぎだ。
「ところで、話によればこの国……それなりに強くふるまってはいるけど、状況はよくなさそうだね」
頭をポリポリと掻きながらギルマス代理は、予想どおりな声で言っていた。
まぁ、そのことはあたしも知っていた。
ハイ・ラガード公国――その国のトップに立つ、国の象徴とも呼べる大公様とやらが今、死の淵に居るらしい。原因も分からない重い不治の病。
それでいてこの国は、今この樹海が発見されたことで莫大な富を得ている。だけどその裏で他国からの冒険者たちの流入や、その管理や急激な人口の増加による国の整備や治安維持などが重要な課題となっている。
とりわけ、このただでさえ謎の多い世界樹の迷宮を内用する国は、迷宮がもたらす富と旧世界の技術で、世界でも有数な先進国となる。当然これを狙い近隣諸国はゴマをすってきたり、時には戦争をもしかけてくることもある。
世界樹を持つ国は、自国の管理だけでなくそれ相応の外交手腕を身につけないといけない。
そうなった時、やっぱり外交カードとして有能な力を持つのが迷宮の存在だ。なので国は自ずと、自国の力が迷宮の深部すみずみまで行きわたり、それを支配しているということを力で示さなければならない。
要は、貧弱国家が世界樹を持っていても、周辺国家に淘汰されるだけなのだ。
「天空の城……そんなものが本当にあるんだか。そこに病気を治す手段があると考えるのは突飛過ぎだと思うけどなぁ」
「でもさ、医者としてみればそんな技術が旧世界にあったなら見てみたくはなるかな」
さすが研究熱心なメディックさんだ。
実のところ、彼がこの国に派遣された理由は、大公様の病気を治す手掛かりを見つけるための人材としてらしい。いかにもギルマスが交渉上手というかギルメンをカードとして使うことが巧みなのが分かるかな。
「しかし、例のエトリアでの事件に関する手掛かりはなかったなぁ」
ギルマス代理があたしの顔を覗き込みながら言ってきた。
やっぱりこの人、あたしがこの国に来た理由を察してたか――そして、確かにその手掛かりはなかった。
「一応ウチのギルドっていうか、エトリアの執政院の方から別方向で情報提供とかの協力は求めてる話だけども、どうなんだか」
「執政院の事件の特務捜査官が、外交部を通じて協力は求めてる…って言ってましたけど、ないんなら本当じゃないですか?」
パラ子ちゃん基本的に疑わない――まぁ、あたしも疑いたくはないけれど。
迷宮に入るには冒険者登録が必要らしくて、ギルドにはそのアイツが登録した記録は残っておらず、迷宮に入ったという情報もなかったらしい。
一応、迷宮入り口には衛士が見張りをしているらしいので確かな情報ではあるみたい――というのが、この国の上っ面の主張なんだけど。
「エトリアもあれはあれで国の威信が関わった事件だから逃すつもりはないらしいけどね。ただ、この国にも威信はあるからねぇ……腐っても迷宮でさらにデカくなろうとしている国みたいだし」
ギルマス代理の言葉は、妙に意味深だ。
あたしはただ、アイツの存在を追う上で、国の威信とやらが変にその行為の邪魔をしてくれなきゃいいんだけどと祈るしかなかった。
「…さて、どうしたもんかなぁ」
◆ ◆ ◆
突如あたしたちを襲ってきた3体の“狂乱の角鹿”たち。
その角は血で染まっている――これに衛士たちは刺されて死んでいったのかな。
「2人は逃げて!!」
「言われなくともそうするさ!」
パラ子ちゃんの指示で後衛のカースメーカー君とメディックさんが逃げる。
対するもう1人の後衛であるガンナーちゃんは、襲いくる鹿たちに何発か銃を撃ってから、「うわーん」と泣き叫んで逃げていく――メディックさんに担がれながら。
「ったく、何でアレで冒険者なんだか…」
「でも、昔よりかはマシだと思うけど?」
盾を構えたパラ子ちゃんが鹿たちの攻撃を受け流す体勢に入る。
確かに、完璧とは言えないけど2頭の鹿が足に鉛を撃ち込まれて体勢を崩してる。
「レッグスナイプ……成功率がちょっとはマシになったってわけか」
「そういうことね!」
さて、問題は1発弾を外した鹿のほうだ。
ということは、あたしの仕事はアレを片付けること――か。
“八葉七福”を抜く、そしてそれを一度に中段に構える――のが基本だが、どうやらそんなことをしている暇はないらしい。
さっさと上段に刀を構えたあたしは、怒り狂う鹿を見据える。
「その角で……刺せるもんなら」
大地を蹴る。
あたしの上段の構えは誰よりも防御を完全に捨てている。
けれどあたしは、負けん気と速さだけなら――誰にも負けない!!
「刺してみやがれえぇぇっっっ!!!!」
突進してくる鹿の一撃をくぐって避け、あたしはその腹に強烈な斬撃を撃ち込む。
上段の構えからくる基本技、“斬馬”。
あたしのこの構えからの斬馬へと移る速さに敵うやつはいない、少なくとも人間には――だ。
同時に、あたしが避けたことで後ろにいたパラ子ちゃんにその角の強烈な一撃がくる。
だが、パラ子ちゃんの盾がその角の一撃を弾く。弾いたついでにパラ子ちゃんはそのまま盾で鹿の頭をぶん殴った。
出た、パラ子ちゃんの師匠直伝――伝家の宝刀“シールドスマイト”。
「さて、いっちょ剥製の出来上がり…か。これ、貴族街の連中に売れないかな?」
「そんなことより残り2体が先でしょ!」
前衛ツートップのいつものこのやり取りが、好調な証。
気付けば体勢を崩された残りの2頭の鹿どもが、起き上がってこっちに向かってきていた。
チッ、足を封じられてるけどやっぱり速い!! あたしもそのまま刀を構えて再び走る。
知ってる? 上段の構えは相手を焼き尽くすほどとまでと言われてる攻撃的な構えなの。
「畏れよ……」
小部屋全域に鈴の音が響き渡った。
鹿たちが一瞬、その鈴の音の発信源を見やった、その瞬間だ。
「我をっ!!!!」
遥か後方から強烈な殺意を放ちながら、カースメーカー君が奴らの意思に潜りこむ。
鹿たちの動きが突然止まり、動かなくなった。
――テラーだ。正直助かった。
「焼け死ねええぇっっ!!!!」
あたしの持つ刀に炎が宿る。
これがあたしの持つ、ブシドーとしての“気”――亡き父曰く、“オーラ(?)”だ。実のところ、父もその力を発現させたブシドーの持つ、単純な斬や突とは違うこの力を、どう表現したらいいか分からずにいた。
まぁ、あたしにはそんなこと知ったこっちゃない。要は倒せばいい、それだけだ。
「ふぅ…終わりね」
内臓を焼かれた2頭の鹿は、そのまま不気味な咆哮をあげ倒れた。
――“鬼炎斬” これが、上段の構えが持つ圧倒的な攻撃力――焼き尽くすほどの力を文字通り具現化した技なわけ。
「ありがとね」
「別に構わない」
お礼を言ったあたしにそう答えるカースメーカー君。
相変わらずだけど、これも最近見られるようになった連携技だ。
「お疲れ様です、怪我はないかい?」
腰を抜かしたガンナーちゃんを担いだままのメディックさんが、あたしたち前衛2人のところにやってきた。
大丈夫ですけどメディックさん、いつもこんな戦闘のたびに彼女を担いで疲れないんですか?
「はは…もうさすがに慣れたよ。それに、怪我人やら病人やらを担いだりで慣れてるからね」
「うっ…、す、すいません」
いや、彼女は怪我人でもなければ病人でもないんだけど――もういいや。
とりあえずイチイチ涙目になってちゃ、体の水分なくなると思うけど。
「それにしても、これでやっと生存者探しが楽にできそうな感じですね」
パラ子ちゃんがそう言ったから思い出した。
そうだ、あたしたちの仕事は生存者を見つけることも含まれたんだっけ。
まぁ、この調子ならあとは付近の捜索をするくらいで終わりだろうけ――
『っっっ!!!??』
カースメーカー君が目の前で跳んだ――鼓膜を打ち破る咆哮とともに。
ガンナーちゃんが悲鳴をあげ、メディックさんは慌ててカースメーカー君のところへと駆け寄った。
パラ子ちゃんは「しまった!」と言い剣を再び抜きなおて、あたしは言うと、そのカースメーカー君を突き飛ばした“何か”に、持っていた刀を弾き飛ばされた。
安心しきっていた。これは完全なあたしたちの油断だった。
「コイツ…!!」
弾き飛ばされた父の形見が、小部屋の東の通路へと突き刺さる。
何よ、やっぱりこの刀を持ってたって、窮地から救われないじゃない!
「この鹿…ちょっとさっきのまでとは違う!」
「ふぇぇ、まだいるのー!?」
パラ子ちゃんが明らかにさっきの雑魚たちとは違う鹿の角を見て叫んだ。
なるほど、あの立派な角に気性の荒さ――間違いない。コイツがこの群れのボスで、衛士隊を壊滅させた元凶に違いない!
「マズイな、カース君が意識を失ってる!」
メディックさんが焦る。確かにこれはマズイ。
刀が弾き飛ばされた東の通路から、あたしたち目がけて突進してきた鹿たちのボス――“激情の鹿王”。
奴は、鼻息荒く地面に倒れたまま動かないカース君に再び突撃をしかける仕草を取る。しかし現状では、突き飛ばされてあたしたちから遠くへと離れたカース君と、
彼を突き飛ばした鹿王の場所へ走っていっても距離的に追いつけない。だからこのままでは、カース君はあの角に突き刺されて――
「足を撃て! ガンナー!」
「えっ…あっ、は、はい!!」
この状況の全員が最悪な結末を想像しているであろう中、メディックさんがガンナーちゃんに叫んだ。
そうか、銃ならとどく。最悪足止めくらいなら可能なはずだ。さすがメディックさん。
だが、この娘は肝心なところでトチることをあたしたちは忘れていた。
ガンナーちゃんが撃った弾は外れて鹿王の顔をかすった。よりにもよってそんな怒らせるようなところをよく狙えるもんだ――とか感心している場合じゃない!
「ひえぇぇ!!」
鹿王が狙いをガンナーちゃんに変更する。
とりあえず結果オーライか? いやしかし、ガンナーちゃんに突撃がきてもマズイ。
あたしはどうだ? 刀は取りに行けるか? いや、その暇がないか――なら!
「くそっ!!」
パラ子ちゃんが口笛を吹いて、鹿王の注意を逸らす――“挑発”だ。
鹿王の眼がパラ子ちゃんへと向けられる。そして、パラ子ちゃんに向かって血に染まった角を振りながら突進しだした。
けど、これは作戦のはず――パラ子ちゃんはパリングの体勢を取りながらあたしに眼で合図を送る。りょーかい! あたしは腰に刺さっている師匠がくれた刀を抜くことにする。
“氷雨丸”――実践で使うのは初めてだけど、せめて一太刀くらいなら浴びせられるはず!
「どりゃああああああああああ!!!!」
パラ子ちゃんと鹿王が激突する――その背後であたしが、鹿王目掛けて飛びかかった。
◆ ◆ ◆
公宮から出たあたしたちギルド代表4人は、とりあえず宿へと向かうことにした。
ギルマスや吸収先ギルドのギルマスが、色々と寝場所や食事に関することも手配をしてくれていて、ギルドで身分確認が必要な面倒な登録を済ませた後、公宮へと挨拶へ向かうあたしたち以外の8名のメンバーは、先にその宿へと足を運んで行ったわけだ。
「ふわぁ〜、もうクタクタ。早くふかふかのベッドで寝たいわ」
「馬車の中で散々寝てたじゃない」
「…やっぱり嫌味っぽいわね?」
そんなやり取りをしつつ、えーっと――なんて宿だっけ?
「フロースの宿。もう、全然聞いてなさすぎだってば、人の話を」
そうだそれ、フロースの宿だ。
とりあえずそこへ皆と向かうことにするんだけど、さっきからどうにも気配を感じる。
この気配は何だろうか? ハイ・ラガードの街並みってのは、基本的にエトリアと違って石畳の通路が多いみたいなんだけど、歩く時に発する足音を殺してるような気配を感じるんだよね。
「ねぇ、みんな……先に宿に行っててくれない?」
皆が足を止めてあたしを見る。まぁ、当然だよね。
「どうしたの?」って不思議そうな顔でパラ子ちゃんが聞いきた。けど、気配が感じるとは言えないかも。
とりあえず適当に理由を作って誤魔化さないと。多分ギルマス代理あたりでも納得させられれば十分だろう。
「いや、ちょっと散策してみたくってさ」
「だったら宿に着いてからでいいじゃない。先に宿に行っとかないと1人じゃ迷っちゃうよ?」
「あ…いやぁ、そのねぇ」
鋭いなぁ、パラ子ちゃんは。
とりあえず皆を適当に巻く理由――あー、そうだ。
「いやね、さっき刀を売ってる武器屋があってさ。ほら、この国にはどんな刀があるのか見てみたいなーって」
「だからって、1人じゃ迷うってば」
…うっ。
「しょうがないな…ほら、宿への地図だよ。ちゃんと夜までには宿に戻ってこいよ。一応予定があるわけだしさ」
「え…で、でもギルマス代理。地図はさすがにあたしに渡したら迷うんじゃ…」
「いいよ、ボクは道順覚えてるから何とかなるよ。それより覚えてもない君に迷われても困るしさ」
何というかこの辺は妙にしっかりしているのがギルマス代理だ。
この手回しの良さはギルマスと同じくらいかな。というかどうしてウチのギルドはバードがこんなにしっかりしているのだろうか?
「ありがと。絶対夜までには戻ってくるから」
3人に少しの別れを告げた。
パラ子ちゃんはあたしの単独行動に異議があるのかギルマス代理に文句を言っていたみたいだけど、適当にあしらわれていたみたい。
さて、問題はあたしを追っている奴の正体だ――夕方で大分空が暗くなってきているとはいえ、まだ通りの人通りは多い。ここで何か問題を起こすのは得策じゃないよねぇ。
とりあえず裏路地らしきところへの入り口がそこにあるから、あたしはそこに入って確かめてみることにする。
まぁ、裏路地ってのはエトリアもそうだけど、冒険者崩れの無法者共がのさばってることに定評がある。
あたしの強さなら、冒険者崩れくらいなら問題ないと信じてるけどね。裏路地に突如、うごめく毒樹が出てきたなら話は別だけどさ。
「誰なの? ストーカーは女の子に嫌われると思うけど?」
けれど返答はない。
意を決してあたしは振り返る。路地裏の薄暗い無機質な石に囲まれた空間。
あたしだけがぽっかりとそこに残されたように立っていた。
しかし人の気配は相変わらず感じる、刀を握る手が久しぶりに汗で濡れていることに気付いた。
「それで、今度は誰なの?」
刀を抜いて刃を向けた先はあたしの背後。
抜いてからそいつの喉元に正確に、だけど斬らずに皮膚寸前のところでピタリと刃を止めるまでにようする時間は1秒もない。
「ひゅー、姉ちゃん凄腕のブシドーだね。こりゃ」
「言っとくけど、あたしの抜刀の速さは並みの人間じゃ見切れないのよ。補足しとくと、何かしたらアンタの首はすぐにポロリするけど?」
「おー、怖い怖い。そりゃごめんよー」
そう言うと男はひょいと身軽に後ずさった。
振り返ったあたしが見たのは、肌が黒くて白髪の突剣を持った若い男だった。
言っとくとこーいうタイプ嫌いなのよ、あたしは。
「まぁ、そう睨むなって。姉ちゃんがいきなり俺たちの庭に入ってきたからビビっただけだっての」
「庭? どうみてもただの裏路地じゃない?」
「あー、つまり縄張りみたいなやつ。あ、そこから動くなよ」
前へ歩き出そうとしたあたしをコイツはとめた。何だってのよ?
「いやぁ、一応姉ちゃんがこっちに攻撃してきた瞬間に罠が作動するように仕掛けてたからさ。ちょっと待って、回収するから」
「罠ですって?」
気付かなかった。こりゃ追いつめられていたのはあたしのほうだったと言うことになる。
危なかった――激昂して斬り捨てようとしたら逆にしっぺ返しを食らうところだったわけか。
「トラッピングね」
「ご名答。一応俺の罠は一級品なんだよ」
「アンタ、どっかのギルドのダークハンター?」
「うーん、ギルドの人間と言えばそうなるな」
刀を鞘に納めたあたしに、ソイツも警戒するのをやめたのか気安く話し出す。ってか馴れ馴れしい。
「姉ちゃんが言えたクチかよ…あー、俺は万屋ギルドのリーダーにして唯一の社員。よく冒険者ギルドで臨時のギルメンとして雇われたりしてるダークハンターさ」
「唯一ってことは、アンタ1人だけ?」
「そう、傭兵みたいなこともたまにやってるけどね」
「どうせ裏の仕事とかもでしょ?」
「おー、詳しいね。でも最近じゃその仕事じゃ食ってけなくてさ。最近じゃ鈴鉄を集めて鈴職人に高く売りつけてんだ。アレはレアでさ、でもよく採れる穴場があるのさ」
鈴鉄? 何を言っているんだろう、この男。
「でもよ、最近あの辺はイカれた鹿共が溜まりだしててよ、危険なんだよ。おかげで商売あがったり」
「一応あたし、ここに来たのは今日が初めてだからよく知らないんだけど」
「あ? そうなの? ってことは新人さん? へぇー」
マジマジとあたしの顔を見てくる。見るなり、こんな凄腕が敏腕とかねぇー。とか、一攫千金でも狙ってきたの? とか聞いてくる。
ウザいことこのうえない。
「何なら樹海の良い穴場教えようか? 俺はこれでも情報屋でもあるわけよ。今ならその情報を手ごろな価格で売ってやんぜ」
「言っとくけど、用がないなら帰るわよ」
あたしはこんな奴を相手にしている場合じゃないのだ。あたしを付けてきている謎の人物を突き止めるためにこんな路地裏にまで来たってのに――これじゃ何してんだか。
「待ってよ姉ちゃん」
「気安く呼ぶな! あと姉ちゃんって言うな!」
「じゃあ姫さん」
「何でよ!?」
「いや、そのピンクの服装が」
ダメだ、話にならない。とっととここを去ろう。
「だから待てって!」
「うわっ!!」
急に腕を後ろから掴まれたかと思えば、奴はあたしをそのまま後ろへと放り投げた
完全に油断していたあたしはそのまま路地の奥へと吹っ飛ばされる。めちゃくちゃだ。
「俺の縄張りに入ってくんのは勝手だけどさ。着物美女の後をコソコソ付けてる怪しい奴を見かけたら、とりあえずそいつに挨拶すんのが俺のポリシーでね!」
奴はあたしを放り投げた勢いのまま加速して、路地裏の建物と建物の間に隠れている男を、あたしを放り投げた腕とは反対の腕でそのまま路地に引きずり出す。
「しかもそいつが物騒なモノ持ってんなら尚更でねぇ!!」
「チッ!」
奴は持っていた細い刀身の突剣を、加速したその勢いのままに刺そうとする。――思い出した、あの長い突剣は、貫通力と瞬発力に特化している“エストック”だ。
だが、対するあたしをつけていた男も戦闘には慣れているみたいだ。華麗にその突攻撃をかわすと、背負っていたバックラーで奴の第2波を受け止め、そのまま信じられないことにバックラーごとエストックを空へと弾き飛ばした。
いや、あれは荒々しいがシールドスマイトだ。奴が直撃寸前にバックステップでかわしたけれど、完全には避けきれず、持っていたエストックが弾かれるかたちになっただけだ。
それにしても、盾ごとすっ飛ばすシールドスマイトなんて荒すぎで初めてだ。パラ子ちゃんなら発狂するね。
「このヤロウ…めんどくせぇことしやがって!」
「それはお互いさまだとボクは思うんだがさぁ…あんましハデなドンパチさせないでくれよ」
袖に隠していた小型銃を取りだした男は立て続けに6発発砲した。
いや、ハデにやってんのはアンタだろ。
「おいおい、アンタはガンナーかよ!?」
弾をかわすために飛び跳ねた奴は、壁に張り付いたままどんどん上へと逃げていく。
ついでに逃げながら携帯しているらしい予備の鞭を取りだすと、そのまま男の腕へと鞭をからめて動きを封じる。あれはダークハンターの鞭技“アームボンテージ”だろう。
「んー、ガンナーじゃないんだよねぇ」
「あ?」
「ガンナーだったら、腕封じられたら終わりじゃん?」
そう言うと男は、封じられた右腕の代わりに左腕を奴に向かってかざした――って、何よあれ!?
「はぁっ!?」
「ボクはねぇ、何でもできるのさね」
左腕にセットされているのは、アルケミストがつける術式用の籠手だ。
そしてそのまま、そこから爆炎が噴きあがる。というかムチャクチャだ! あたしをさっきからつけていたやつは、誰がどう見ても全身武器人間――いや、武器マニア?
「アンタそれじゃあ完全に公宮とか出入り禁止になるだろうぜ!!」
爆炎はかわしたけれど、爆風に煽られたせいであたしのところへと吹っ飛ばされる奴。
いやはや、アレは言っとくけど1人で一個師団の役割でも果たすつもりなんだろうか?
「イテテテ…姫さん、変な奴にストーキングされてるけど、そんなに恨みかってんのかよ?」
「あたしだって知らないわよ!!」
互いにしりもちをついているわけだが、あたしもさすがにこれには腰がひけて動けない。
大概、迷宮ってところで不可思議なものを見続けていると驚かなくなるもんだけど、これはこれで久々に驚くことになったかも。
「まったく、ハイ・ラガードの治安部隊に見つかったらどうしてくれる気なのかと問いたいわけさ」
「その割にはハデにやりすぎだろ、アンタ」
男は緑の帽子に緑の服をきた若い青年だった。
そしてそのまましゃがみこんで、あたしたちと同じ目線に顔をやると、小声であたしに呟いた。
「アンタの監視役としてやってきた。エトリア執政院の諜報部員だ」
「エトリア諜報部ですって?」
あたしを監視するエトリアの諜報部。何となく想像がついた。
執政院め! あたしをダシにしてあの事件の犯人である“アイツ”をとっ捕まえようとしているわけだ。
「んー、半分は正解だねぇ」
「半分は?」
「そう、普通諜報部は自ら名乗らないよー。まぁ、見つかった見つからないは別としてさぁ」
確かに。
「ボクはね。恩人でもある君の師匠から監視を頼まれたからこうしてわざわざ挨拶してるわけ。あー、でも執政院からは君に話すのはまだいいけど、
ボクという諜報部がハイ・ラガードに入国していること自体については、この国には隠しててくれって話だから内緒にしてね」
「ややこしいわね」
「いやさぁ、だってラガード側はあの事件の犯人探しに対して協力するとは言ってるけどさ、実際は隠してることがあるみたいでさー。さすがに特務捜査官が痺れを切らして諜報部を送り込んだのさ。迷惑な話だけど」
そういうと彼は、あたしに1枚の封筒を差し出した。
「これは?」
「あー、師匠さんがアンタにって。執政院襲撃の時に資料室から奪われたとみられている資料の写しの写しさ」
「…見ていいの?」
「どうぞ。ただ、執政院側からはこの資料の中身については一切喋るなと言われてるから、ご質問には答えられないけどねー」
そう言うと彼はそのまま路地裏から去ろうとする。
渡す物は渡したし、仕事は終わりましたと言わんばかりの態度だ。
「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
「待たない。言っとくけど、用事は終わったしもうボクはこれ以上は君とは必要以上に接しはしない。するとしたら、犯人が君の前に出てきた時くらいかねぇ。ボクはさっき、確かに監視役とは言ったけどそれはあくまで“ついで”。
表向きの任務はあくまでこの国が体裁ゆえに隠している、犯人に関する情報を収集することなんでねー」
そのまま彼は路地裏から消えていく。
戦闘時とそうでない時のギャップに戸惑い、しばし動けずにいるあたしたちだったが、やがて奴が口を開いた。
「アンタ何者なのさ?」
「……あたしは、ただのブシドーよ。」
――沈黙。どうしろってのよ。
「一応、そのつもりなんだけど」
「……そうなんだろうなぁ、その顔見ると」
◆ ◆ ◆
吹っ飛ぶパラ子ちゃんと鹿王に飛びかかるあたし。
この対照的な構図はともかく、あたしは渾身の一撃で鹿王の首を落とす勢いで突っ込んだ。
あたしは首討ちのスキルは持っちゃいないけど、この速さで振り下ろされる斬馬なら鹿王の首を落とすことも容易じゃない!
「ウオオオォォォォォッッッ!!!!」
「嘘っ!?」
そう思っていた。けど実際はパラ子ちゃんを弾き飛ばすと同時に鹿王は、次はその角を背後を取ったあたしに向ける。
――刺されるっ!! 瞬間的にその光景が脳裏をよぎる。
「くそったれが!!」
首を狙った刀身の標的を、素早くその角に切り替える。刹那、氷雨丸の刃と鹿王の角が交差する。
「オオオォォォッ!!!!」
「ぐっ…せめて、弾けえぇぇ!!」
パキパキという音とともに、氷雨丸の持つ全てを凍てつかせる冷気が、鹿王の角に直撃した。鹿王の角は徐々に凍っていく。
イケる!!――このまま力で押し勝つことが出来るならば!!
「その角、へし折ってやらああああぁぁぁっ!!!!」
凄まじい音が小部屋に響く。やった、角を砕いた!!
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「しまった!!」
けれど、飛びかかったあたしは完全なる無防備状態。角を砕かれた鹿王は怒りのあまり、あたしをその巨体で無理やり体ごと吹っ飛ばした。
マズい!! しかも持っていた刀まで弾かれた!! 視界の隅で師匠の氷雨丸が小部屋の中央で宙を舞っているのが見えた。こりゃ怒られるな。
そんなことを思っていたあたしの体は、世界樹の大地に鈍い音共に激突する。こりゃ骨をイッたか?
地面に激突して動けないでいるあたしは、ふと視界の先に逆さまの大地に突き刺さった“八葉七福”を見つけた。
――そうか、あたしが今倒れているのは、さっき刀を最初に弾き飛ばされた東の通路か。
だんだんと意識が回復していく。激突の衝撃で強烈に能を揺さぶられてたあたしの全てが戦闘態勢に戻っていく。
ガンナーちゃんの発砲音、そしてそれを止めるメディックさんとパラ子ちゃんの声が聞こえる。これは混乱?
「ぐっ…、立ちなさいよ!! あたしの体っ!!」
こりゃ本格的に衛士隊の二の舞になる可能性が出てきたみたいだ。とりあえず銃を持つガンナーちゃんが混乱とか冗談じゃない! 本当に問題児すぎるじゃない!
そんなあたしの目の前に見えるのは、鹿王の突然の襲撃により投げ出された荷物。そこにあたしは確かに見た。これを使うタイミングは今しかない! うかうかしていると混乱している隊列に奴が突っ込んで全滅だ!
――そうそう…、あとこれを渡しておく。
軋む体に鞭を打つ。あたししかできないからやるんだ! 這いつくばって手を伸ばせ! そして掴め!
――公国の衛士たちに自衛の為に持たせておる“引き寄せの鈴”じゃ。魔物に使えば動きを止めたり、引き寄せることができる便利な鈴なのじゃ。
よし、あとはこれをどう使えばいいの!? こう? あたしは掴んだ“引き寄せの鈴”を、通路の奥に投げ飛ばした。
すると、投げ飛ばされた鈴は、周囲のすべてを引き寄せるような不思議な音を響かせた。
小部屋を見る。ガンナーちゃんとメディックさん、そしてパラ子ちゃんの目の前で鹿王が止まった。良かった――間に合った!
けれど、そう思ったのも束の間、鹿王が鈴の音が響いた通路奥に向かってゆっくりと――そして次第に走り出した。そして、その直線上には鈴を投げた張本人であるあたしがいる。
なんてこった、また誤算じゃない! この鈴の性能をよく理解していなかったあたしに問題があったんだろうけど、今はこう言ってる場合じゃない。
「父さん、幸福を呼ぶっての……信じるからねっ!!」
鹿王があたしに迫る。
あたしはバキバキと軋み、折れるような音を体から感じつつも、目の前に突き刺さる最後の希望を掴みに動く。動け、本当にこれで最後だから! あたしの体!!
突き刺さった“八葉七福”――それに必死に手を伸ばし倒れこむ“あたし”、そのあたしに迫る“猛る鹿王”。
このすべてが一直線上に並ぶ東の小道。届く!! あと少しなのっ!!
「危ないっ!!」
あともう少しで届くその時、パラ子ちゃんの叫びと同時に、あたしの眼に見える景色すべてが暗くなる。この影は鹿王!!
「っっ!! あともう少しって時に…!!」
すぐ背後に迫る鹿王が、完全にあたしを捉えていた。足を大きく振り上げ、そのままあたしの頭を脳髄ごと蹄で打ち砕く気満々だ! 畜生、舐めやがって!!
「刀がないからって……ブシドー舐めんじゃねぇえええぇえぇぇ!!」
腰に差していた鞘を抜くとあたしは、強烈な一撃を鹿王の顔面にぶち当てる。
鹿王は呻きをあげながら体勢を一瞬だけ崩す。“鞘撃”を習得しておいてこれほど助かったと思う日はない。無理やり習得させた師匠に感謝をすべきかもしれない。
その隙を狙ってあたしは、遂に掴む――父の魂“八葉七福”を!!
そのまま一気に体を捩じる。体はもう悲鳴すらあげない。おそらく興奮しきって感覚がマヒしているんだろう。目の前には、再度あたしをその蹄で打ち砕こうと鹿王が脚を高々と上げている。
馬鹿が――お前の脚はもう終わりなんだよ!!
無理な体勢から仕掛けた、あたし渾身の斬馬が鹿王の前脚――その2本を綺麗に斬り落とした。
その一瞬すぎる斬撃に、何が起きたのか分からないままでいる鹿王は、突如として前脚を失ったことで倒れ伏す。
だが、そんな死が決定づけられた鹿王は、まだ抗うかのように砕けた角をあたしの腹に頭ごと突っ込ませようと、残り2本の後脚で最後の抵抗を試みる。これは危険だ、あたしはもう動けない――そして、この骨がイッていて出血もし出した状況で腹部にそれはマズすぎる!!
あたしは死を覚悟し目を閉じた。そしてしばらくの沈黙――何かが顔にかかった。
◆ ◆ ◆
いつもの朝稽古。
それは樹海の第1階層――翠緑ノ樹海と呼ばれる場所でしている。
ここの地下1階には、比較的大きな広間が存在する。
その大地は、幾多の希望に満ちた冒険者たちによって踏み固められ、樹海内部でも比較的安全なところとして一般人にも知られている。
「ただいまー、母さん」
いつものように道場兼実家に帰ったあたしは、ごつすぎる門をくぐって帰宅する。
良い感じに汗をかき、今日も剣の腕は絶好調だった。
「あれ? 返事がない」
ただいつもと違ったのは、あたしのその声を聞くと大きく返事をしてくれた母が、今日は何も言ってこないことだった。
不思議に思い玄関へと入ったあたしは、そこで異様な臭いが鼻を突くことに気付く。
「うっ…何これ?」
そして廊下を進んで何事かと道場の稽古場へと向かう。するとそこは、血の海と化していた。
今更ながら、血の臭いと言うことに気づいたあたしは、道場の奥に倒れる父の姿を見つけた。
「父さん!?」
「…おぉ、帰って……きたのか?」
「何があったの!?」
父は息絶え絶えで、すでにいつ死んでもおかしくない状況だった。
体中には斬り刻まれた痕――新手の道場破りの仕業にしては惨過ぎだ。
「これを……持って、母さ…んを…まも……れ…」
「父さん!?」
父はそのまま動かなくなった。
あたしの手には、父から握られた魂――“八葉七福”があった。
ハッとする。そうだ。母さんだ。
そのまま実家の家屋へと走る。母さんが危ない――!!
「母さん!!」
台所でやっと見つけた。けど…遅かった。
そこには同じく、父と比べると傷は少ないが、同じく血まみれで倒れる母がいた。
道場破りじゃない、これは何? 何なの?
すがるように泣きじゃくるあたしの頭に、母が手を置いた。
「こらこら……泣かないの…」
「でも、でも!!」
「いい娘だから…ね?」
こんな時でも母としての務めを果たそうとする母を見て、さらに泣きそうになった。
父と母には、長い間子供が出来なかった。
そんな2人が結婚して20年目にしてようやく授かった命があたしだった。
高齢出産と言うことで危険が伴うと、医者に止められ父もどうするか悩んでいたけど、母は決して堕ろそうとしなかった。
頑としてあたしを産むと言って聞かなかったらしい。
こうして母の固い決意により、無事に自我を持つ前に死ぬこともなく生まれたあたし。
出産日はそれ相応の危機が母を待ち受けており、難産だったということを聞かされた。
しかしそれでも、子供の誕生が嬉しかったのか父と母は、あたしに溢れんばかりの愛情を注いでくれた。
そんな2人が、今日の朝――突如として死ぬ。何者かの手によって。
「一体、誰が…!?」
「それは……言え……ない」
「どうして!?」
しかし母は犯人の名を教えてくれなかった。
そしてそのまま、あたしを最後まで撫でながら息絶えた。
その時、同じく稽古に行っており、朝の牛乳を買うために街で別れた師匠が帰ってきた。
「これは?」
「…分からない」
「稽古場の師匠には何があったんだ!?」
「…分からない!」
「じゃあ、母上殿には何があったんだっ!!?」
「分からないよっ!!」
状況が分からなかった。
そしてそれは、師匠も同じだった。
「ケケケケケケケケケケケケ」
台所の窓から聞こえた不気味な声。
あたしと師匠は我に返り、窓から外を見た。
禍々しい――それこそ邪気を纏った人間が立っていた。血に染めた刀、服、そして顔。
「…嘘でしょ」
あたしの放った第一声はそれだった。
師匠はすぐさま台所の窓を、たった1本しかない腕で思いっきり開けると庭へ飛び出した。
あたしもすぐさま後を追う。
「お前……何をやってんだ?」
「…もう敵はいない」
「は?」
師匠は刀に手を添える。斬り捨てる準備は万端だった。
あたしはあたしで言葉を失っていた。その光景が信じ難かったから。
「最強なのさ……教えてくれたんだ」
「何をだ?」
「お前には敵がいないとね」
アイツは信じ難いことに、持っていた刀を師匠に向けた。
その刀をあたしは忘れない。黒い――物理的な意味じゃない、心に直接黒さを見せている。
「敵はいないのか?」
「…そう、もう怖れることは何もない。不死身の呪いが体中に降り注いでいるんだ!」
「減らず口はもう要らん!!」
師匠が走り出す。
抜刀して弟子のあたしにも見えない速さでいつの間にかアイツに刀を振り下ろしていた。
それはいつもの青眼の構えから見せる動きではなかった。
いつかに師匠が封印したという居合の構えから見せる動き――それも、首討ちの動作だった。
「なにっ!?」
「…だから言ったんだ、不死身の呪いがかかってるって」
だがそれをあたしが理解するのは、基本的に相手の首が飛んでからだったはずだった。
なのに、アイツの首はまだ繋がっている。あれほどの速度の刹那の領域の攻撃を止めていた。その黒い刀で。
「人には勝てんさ。人の子である限りな!!」
「しまっ…!!」
師匠の刀が弾かれ、無情にも斬撃が降りかかる。
あたしは瞬間的に目を閉じた。
「そう予言されたのさ!! “お前たちが――――――な!!”」
その時にかかった感触は今も忘れない。
そう、あれは血だ。
◆ ◆ ◆
血だ――けどこの血は?
おそるおそる目を開ける。そこには、鹿王が全身から血を噴出させ死に絶えていく姿があった。
助かった? けど一体何が?
「…ペイン、トレード」
よく見ると、広間で突き飛ばされたまま気絶していたカースメーカー君が、メディックさんに支えながら術を放っていた。
“ペイントレード”――自身に蓄積した痛み、つまりはダメージを相手にそのまま与える術。しかし基本的には術者の生命に関わるため、このような強烈な一撃は使用されることがまずない。
彼は再びあたしに目を合わせると再び気絶した。けど、その表情は穏やかだった。メディックさん、彼に早く応急手当てをお願い。
「助かった…」
そのまま倒れ込もうとするあたしに、足音が聞こえた。
ふとその音がした方向を見た。それは――絶望だった。
「…シカ!?」
東の小道は、一度奥で北側へと折れ曲がっていた。
その通路から、新たな鹿が現れた。けれども、誰もその存在に気付かない。それもそのはず、この鹿が現れた通路の折れ曲がった先は、小部屋にいる他の4名のギルメンには見えない死角だ。
もう体の限界を超えて動けないあたしは、小部屋にいるパラ子ちゃんたちに助けを求めようと声を出す――が、出ない。頭の中が強烈に色々なことで渦巻いていて訳が分からない! 声を出すという動作を忘れてしまったの如く、口をパクパクさせるだけで叫びが出ない!!
目の前で鹿が不思議な足音を鳴らしている。その時に気付いた、これは“困惑のステップ”だと。だとすれば、さっきのガンナーちゃんも同じことをやられたのか。
鹿があたしにゆっくりと近づく、よく考えれば気付くべきだった――鹿王の咆哮。アレは仲間を呼ぶための合図だったのだと言うことに!!
混乱して何もできないあたしに、絶望が近づく。今度こそ終わりだ。
「今夜の晩飯は、これを酒場に持って行って鹿鍋だな」
あたしの目の前で、鹿が強烈な音と共に体中を鋭い何かで斬り刻まれる。
気付けば、あたしの目の前に無数のトラップが仕掛けられていた。このトラップをあたしは、以前見た覚えがあった。
「姫さんはさ、実力はあるけど詰めが甘いよな」
突然のことに何が起きたか分からず悲鳴をあげる鹿に、空からいきなり落ちてきた人影は、そのまままっすぐ垂直に、持っていたエストックを鹿の頭に突き刺した。
「酒場で言ったことを忠実に果たす俺。裏稼業もやる人間は義理堅くなくちゃいけねぇんだ。ま、俺はクリーンな万屋なんだけどよ」
エストックを抜いた奴は、そう言ってあたしにテリアカβを投げてよこした。
◆ ◆ ◆
エトリアの諜報部員とやらに貰った封筒の中身には、一枚の“笛の絵”が描かれた資料のページの写しがあった。
詳しい説明文やらは、どうも執政院側の意向により黒塗りにされていたけど。
「それにしてもその笛は何なんだ?」
「あたしが知るわけないでしょ?」
それと勝手に人の資料を覗き込むな。
なおも笛の絵が描かれた資料に興味深々な奴を、あたしは片手で何とか押しやると封筒に戻した。
これはいつか機会があれば調べておこう。
「にしても姫さんさ、エトリアから来たんだ」
「まぁ、そうなるけどね」
ったく、面倒なことをあの諜報部員は言ってくれたわね。
しかも事件のことを言うもんだから更に首を突っ込む気満々だ。
「エトリアで起きた事件ねぇ…執政院襲撃って言ったっけ? そんなにヤバイ事件なの?」
「一応ね」
「ふーん、話によれば犯人はラガードに逃げたみたいな言い方だったな」
「かもね」
「かもね…って。あのスパイ野郎の言い方からして、姫さんも追ってるような言い方だったじゃん」
本当に変なことまで覚えてる――さすが万屋、もとい裏稼業の男。
一度鞘撃で記憶を飛ばしとこうかな。
「犯人ってどんな奴なのさ? もしかしたら俺、何か情報持ってるかもよ」
「かもね」
「……姫さん、ツレないね」
さすがに冷たい反応にはそろそろ応えてきたみたいだ。
仕方ない、さすがに可哀想だし少しぐらいなら話してやるか。
「あたしやエトリア、あの諜報部員が追ってる犯人はね、刀を持った大量殺人犯なの」
「刀を持った?」
「そう、しかも凄腕ブシドーね」
皮肉をこめて言ってやったあたし。
けど、奴の顔が何故か険しい。もしかして、本当に思い当たる節でもあったのだろうか?
「姫さんさ…」
「その呼び方はいい加減…」
「公宮が情報を隠してるってのは、あながち間違いじゃないかもしれねぇよ」
「……どういうこと?」
嘘でしょ――本当にあったわけ?
「1週間前だったかなぁ…樹海入り口を見張るラガードの衛士が何者かに殺害されたんだよ。公宮はあえて情報を伏せてるけどな」
「どうしてなの?」
「いやだってさ、登録してないような不審者とか一般人を樹海には通せねぇじゃん。そのために衛士がいるのに、その衛士が見張り出来てねぇんじゃ衛士のレベルが知れるってもんよ。
普通、樹海の入り口には相当な冒険者が通るわけだし、それ相応の衛士を配置させるべきでもあるじゃん」
「まぁそうだけど」
「それが殺されたとなると国力が大したことないって他国にバレる。それは大問題なわけよ。特に今のこの国じゃさ。だから伏せてんの。犯人は単独って噂だから尚更な」
「単独……か」
どうも執政院の捜査官がたちが言っていた情報に、大きな信憑性が出てきたみたいだ。
裏路地から微かに見えるラガードの世界樹をあたしは見た。
ということは、アイツは迷宮の中に入ったのだろうか?
気がつけば空は暗くなっている――マズイな、こりゃもう夜になってるよ。
「もう帰るから」
「え、帰っちまうの?」
「うん…もう暗いし」
あたしは封筒を片手に路地から出るために歩き出す。
奴は慌ててあたしを追いかける。
「姫さんもう暗いぜ、俺が送ってやるよ」
「別にいいわ。一応絡まれても撃退できる自信はあるの」
「いや、その腕だったらそうかもしれねぇけどさ」
「分かってるならもうあたしに構わないで」
追ってきた奴に抜刀した刀の切っ先を突き付ける。
これ以上、付きまとわれるのはごめんだ。奴は両手を挙げると「分かった分かったよ」と言い、退散していく。
はぁ――まったく変な人間によく会うわ。ここに来てから。
◆ ◆ ◆
その後のことはよく覚えていない。
気が付いたらあたしは、いつも泊っているフロースの宿とは違った天井を見ていた。
あたりを見回す、病室みたいだ――そうか、ここは公国薬泉院か。
体に包帯が巻かれている。そういえば最後に、テリアカβを投げつけられたような記憶があるけど、本当にその後はどうなったんだろう?
「よっ? 気がついた?」
「……窓から何の用?」
「んー、月見?」
「今日は新月みたいだけど?」
「ありゃ、本当だ」
窓のサッシに奴が座っていた。どうも外から無断で侵入してきたみたいだ。
確かに身軽ではあるみたいだけど――本当に馬鹿みたい。
「アンタよね? 助けてくれたの?」
「おー、覚えててくれたの? 嬉しいねぇ」
「助けてくれなんて言った覚えはないけど?」
「……はぁ、相変わらず姫さんはツレねぇな。素直に助けてもらったんだから感謝くらいしてくれよ」
奴は窓からひょいと体を動かすと、あたしのベッドへと近づく。
そして持っていたエストックをくるくると回しながら話し出した。曲芸師じゃあるまいし。
「姫さんも女の子なんだし、あんまし体に傷が残るようなことはしないほうがいいんじゃね?」
「あたしの勝手よ。それよりアンタ、何であたしを助けたのよ?」
奴に助けられたことが納得ならないあたしがいる。いや、ホントに。
奴は病室の椅子に腰かけると、どこから取りだしたのか林檎を齧りだす。それがあたしのお見舞いだったら、アンタぶっ殺すから。
「俺のだよ。あと、あそこにいたのはたまたまさ。初めて会った時に言ったかもしれねぇけど、最近は鈴鉄を集めて鈴職人に売り付けて生計を立ててるって言ったろ? その時に穴場があるって言ったと俺は思うんだが……樹海3階の小部屋、あそこの西側に穴場があったわけ」
「あ、これ内緒な」と言いつつも、奴は話を続ける。
とりあえず今の話は覚えておいて、退院したらギルドの採取メンバーに伝えておこう。
「で、あの日も鈴鉄を集めに来てたわけ。まぁ、あの辺は最近は魔物共のせいで物騒になってると言ったはずなんだけどよ、そこでアンタらが鹿王たちと戦闘に入ってるのを見つけたわけさ。いやぁ…腕はあるけど慣れちゃねぇな、アンタたち」
「余計なお世話よ」
とりあえずこれで、あの場にいた理由は納得したけれど、もう1つ気にかかることがあった。
酒場で言ったことを忠実に果たす――あの時、記憶がぷっつりと途切れる前に聞いた言葉の意味だ。
「あぁ、あれね。忘れたの?」
「いや、酒場で心当たりだけはあるかも」
「じゃあその時さ」
「でも、本気だとは思わなかった」
実際のところ、あたしは気にも留めてなかった。
冗談めかして言う奴ならエトリアの酒場で何度も会ったけど、実際に本気で実行したのは奴が初めてだった。いや、それかエトリアであたしに声をかけた男共がみんな、腑抜けだったという可能性もあるか。
「…入るよ」
誰かが病室のドアをノックしたかと思うと、パラ子ちゃんの声がした。
あたしはまだ寝ているかもしれないと言うのに、それでも律儀にそう一声病室の前で言うのがいかにもパラ子ちゃんらしかった。
「っと、仲間が来たみたいだな。俺は失礼するぜ」
「あっ、そ」
奴はそそくさと病室の窓へと移動すると、そこから飛び降りる体勢をとった。
そして去り際に一言。
「ま、姫さんがいいんだったら、また助けてやってもいいぜ」
何を言ってんだか、この男は。
「…あっ、そ」
病室のドアが開けられ、パラ子ちゃんが入ってきた。
そこで目を覚ましたあたしを見たパラ子ちゃんは、開口一番「…良かった」と言ってベッドの横に駆けてきた。
あぁ、そういえばカースメーカー君とかは無事なんだろうか? あと、途中で混乱して銃を暴発させていたガンナーちゃんとか。
そんな色々なことが、同時にあたしの頭の中を駆け巡り始めた。
◆ ◆ ◆
地図を頼りにフロースの宿へと何とか帰りついたあたしは、そのままギルマス代理に連れられて酒場へと向かった。
冒険者たち御用達で、そこそこに評判の良い酒場らしいのだけど、扉を潜るとあたしより先に酒場へと連れてこられたギルメンたちがいた。
「遅いじゃない! だから一緒に宿に帰ろうと言ったのにさ!」
「ごめんごめん」
パラ子ちゃんがあたしを見つけるやいなや、いきなりそう言ってきた。
確かに遅く宿に帰りすぎた。あたしはパラ子ちゃんに謝りながらも隣の席に座る。まぁ、何だかんだ言っても許してくれるのがパラ子ちゃんだ。その辺は親友と呼べるだけあるよね。
「これは何なの?」
「懇親会みたいだね」
「懇親会?」
「そう、あたしたちギルドと向こうのギルドのね」
なるほど、一応あたしたちギルドは吸収されるわけだったことを思い出した。
となれば、挨拶ってのも必要か――さすがギルマス代理。宴が好きなバードだけあってこういうのだけは準備が早い。いや、向こうのギルマスもそれは同じだったっけ。
やがて懇親会が始まり、向こうのギルドの1軍さんと話す機会を得た。パラ子ちゃんとあたしは、眼鏡をかけた女の子と、真っ直ぐな瞳を持った少年2人と挨拶を交わす。
「あ、あたしハイ・ラガードで駆け出しのガンナーをやってます。よ、よろしくお願いしますっ!!」
「…………初めまして。あと、よろしく」
女の子の方はガンナーらしい。話によると、砲撃主らしい。
エトリアじゃそれほどに普及していない銃を扱う専門らしくて、あたしとは対照的に遠方からの支援が得意だとか。
少年の方は、女の子の話によるとカースメーカーらしい。
いやまぁ、見た目のローブとかで一応それっぽいのは分かったんだけどさ。ガンナーの女の子の話によれば、実力はかなりあるらしいのだけど、基本的に大人数のいる場所ではそんなに喋らないらしい。
ただ、迷宮内で誰よりも先に異変に気付く少年らしく、その時だけは饒舌になるとかならないとか。
そんなこんなで懇親会はそこそこに成功を収めていった。
何時間飲み続けたのだろうか? あたしは少し飲み過ぎて気分が悪くなり、みんなが騒いでいる席から離れてカウンター席で水をもらうことにした。
「マスター……水もらっていい?」
「おぅ、嬢ちゃん。飲みすぎたか?」
「…まぁね」
「はははっ! アレだけ派手に騒いでちゃ飲みすぎるわな! 俺もアレだけ騒ぐ奴らは久しぶりだ。ま、そっちのほうが店が盛り上がって景気がよくなるって話だがな!」
何とも豪快な喋り方をするマスターは、あたしに水の入ったコップをくれた。
いや、マスターも十分派手に騒いでる方だと思うけどさ。客たちとの会話で。
「いや全く、姫さんのギルドは楽しそうなところだよな」
「は!?」
とここで、聞き覚えのある声がマスターの台詞に対してそう言い返したのを耳にする。
いや、聞き覚えと言うか数時間前に聞いたばかりの声なんだから間違いない。
「ア、アンタなんでここにっ!?」
「え? いやさ、酒場ってのは情報収集には持ってこいの場所なわけ。俺みたいな人種にとっては」
「いや…だからって!!」
ここまで来ると偶然を恨むべきなのだろうか?
あたしは頭痛が何故か更に酷くなったような気がした。
「まさかアンタ…あたしをつけてきたわけじゃないでしょうね?」
「はっ、んなバカな」
じゃあ何故目を逸らす?
あたしは斬り捨ててやろうかと思ったけど、場所が場所なだけにさすがに我慢することにする。いや、ここがあの路地裏だったら、マジで殺していたかもしれない。
「にしても姫さん、良い刀持ってるよなぁ」
「話を逸らすな」
目に続いて話までも、本当にムカつく男だ。
「お、確かに兄ちゃんの言うように嬢ちゃん、立派な刀持ってんな。こりゃもしかして正真正銘の“本家名物”じゃねぇのか?」
「!! 分かるんですか? マスター?」
「おぅ、一応これでも俺は目利きは鋭いんだよ」
驚いた――まさか酒場で“本家名物”の存在を知っていて、しかも見抜ける人間がいるとは思いもしなかった。
というか、あたしの持っている“八葉七福”と“氷雨丸”を本家名物だと見抜けるのはブシドーか刀を扱う職業の人間でもそんなにいないというのに。
「本家名物? マスター、そりゃどういう意味なのさ?」
「兄ちゃん知らねぇのか? んー、兄ちゃんは武器屋で刀は見ねぇか?」
「いや、たまーに興味本位で見るけど?」
「その中にはたまーに、高価だが立派な刀あるだろ? しかも曰くつきのやつが」
「あぁ、なんか交易所の娘さんから聞いた覚えがあるな。“物の怪を討つ”とか“鬼が作った”とかいう“伝説がある”やつのことなのか?」
「そう、でもまぁアレは、そんな伝説はあるが作ってんのは工房の職人たちだ。あくまで職人たちはそういう言い伝えのある刀を昔の残されている資料を参考に模して、
威力とかを忠実を再現してるだけなのさ。それでも切れ味はあるし技術の結晶でもあるわけだからな。ブシドーたちが愛用するに変わりはねぇのさ」
「ふーん。まぁ、そりゃそうかもしれないけどよぉ」
「その伝承の元となった本物の刀……それが“本家名物”なのよ」
あたしは気付いたら口に出していた。
そう、あたしの持っている“これら”は――正真正銘の伝承の元だ。
「マジかよ!?」
「マジね」
実家にあった資料を昔だけど読んだことがある。
この世界には少なくとも、“本家名物”と言われる伝説の残された刀が実際に“19”実存するらしい。
エトリア図書館で更に調べたら、それらはエトリアに遥か昔から伝わるものもあるけど――何故か“ある曰く付きの本家名物たち”だけに限って言えば、伝承地が“遥か北方”と言われているものが多かったりする。
「にしても、嬢ちゃんといい最近は凄いブシドーがいるんだな」
「? マスター…それってどういう意味なの?」
引っかかった――直感的にだけど。
「いやよ、いつだったか前も見たんだよ。嬢ちゃんと同じ“本家名物”を持った奴をよぉ。でもそいつ、全身を隠すような布切れを纏っててよく分からなかったんだけどよ。でもあれは間違いねぇ、あの見た目は嬢ちゃんのと同じ“本家”の雰囲気がしてたな」
「…………ふふっ」
思わず笑ってしまった。
どうやら、本格的に当たりを引いたらしい。
北の大陸行きの夜行便馬車の件、衛士殺害の件、エトリア図書館で見た“本家名物”の伝承地の件、そしてマスターのさっきの話。
アイツはまさに今、この国に居る。
「ありがと。マスター」
これは、運命なのかもしれない。
あたしはカウンター席から立つ。気がつけば皆、酔い潰れていたり帰りの準備をしていた。
「姫さん! ちょっと待てよ!」
「…何?」
あたしも帰ろうとしたら、奴があたしをとめた。
ったく、これだとあの諜報部員とどっちが怪しいか分かったもんじゃない。
「俺の勘だけど、姫さん…相当ヤバい事件に首突っ込んでじゃねえのか?」
「あなたには関係ないんじゃない?」
あたしはそのまま歩くのをやめない。パラ子ちゃんはまだいるだろうか?
「いや、そうかもしれねぇけどさぁ……」
「じゃあそれでいいんじゃない?」
あたしの目的は仇打ち――この地には誰かと慣れ合うために来たわけじゃない。
「そうかもしれねぇな。けど、和服美女をみすみす危険な目に合わせるのは趣味じゃねぇんだよ。俺的に」
「……じゃあ何? あたしを守ってみる? あいにく、あたしは守られるほどか弱くはないつもりだけど」
少し笑いながらあたしは言った。きっと酔っていたんだろう。正気ならこんなこと言うわけがないのだから。奴みたいな人間には絶対に。
「言っとくが、俺の中じゃ女はみんなか弱い生き物なんでね」
「あっ、そ」
素っ気なく返したあたし。そしたら奴も素っ気なく――というか、本当にさり気なくこう言いやがった。
「だからまぁ、ヤバい時は助けてやんよ」
「…………・」
「ま、今日はカッコ悪いとこ見せちまったしよ。挽回したいって意味でもさ」
「………………………好きにしたら?」
「あぁ、そうするつもりさ」
「…・…あっ、そ」
◆ ◆ ◆
パラ子ちゃんが帰った後、あたしは1人病室のベッドで外を見ていた。
このハイ・ラガードという国に来て、色々な人に出会った。
ドジでどうして冒険者をやってるのか分からないガンナーの女の子や、大人数が苦手だけどいざという時には頼りになるカースメーカーの少年。全身に武器を仕込んだ諜報部員に、どうも好きになれないダークハンターの奴。
何故だろう? この地でのあたしの目的を、少しだけ忘れそうになった。
微かだけど、本当にそんな気がした。
その理由は、どんなに考えても今は分からなかった。
つづく(?)
投下終了です
長いうえに見にくく、さらにエロがまだない
もう首吊ってきます…すいません
乙。生きろ
>長いうえに見にくく
もしかして携帯?で打ってるの?
空白改行使い過ぎかもね。意図はわかるんだけど、必ずしも読みやすさには繋がらないと思う。
印象を強めたい一文とかにだけ絞った方が良いんじゃない?
乙乙。これくらいの長さならまだまだ余裕なんだぜ。
ただ、ちょっと文章が横に長くて読みにくいんで、
できれば適当な文節とか句読点とかで行を変えてもらえるとモア嬉しい。
世界樹3、宿屋の子がかわいい…
あの満面の笑みでフェラチオさせたい!
とか思ってたら男の子だったことがわかってショックだった
ショタはこのスレだとNG?
>>76 最初に注意書きさえつけてればいいと思うよ
ダメな人はそれでスルーするし読みたい人は読むだろうしね
>76
待て、待ってくれ。
あの子が男だなんて、嘘だろ…?
あの子のせいで新しい道に進んでしまいそうだ…ゴクリ
>>78 (以下一応ネタバレ注意)
宿での会話で
ボクとおねえちゃんが一緒に歩いてるとよく姉妹に“間違われる”んです、失礼しちゃいますよね?
とかいう話が出てくる。
クエストやってればそれより早くカタコトおっぱいさんが宿屋の息子って言うからそこで判明するけど。
まったく関係ないが重装備に定評のあるおかっぱファラ子さんが突然鎧を脱ぎ捨ててその肉体美をさらしながら海に飛び込んだんだけど
やっぱり南の海は解放的になっちゃうものなのかしら。
>>80 つまり「男の子」ではなく「男の娘」だったのか
プリンセスとシノビでの妄想が止まりませんね、従者萌…いやこの場合君主萌え?
クエストで宿屋に息子なんていたか?と看板娘に話かけたら看板息子だった…な、何を言って(略
まぁ預かり代金を半額にしてくれたから許す
てか男ってわかってからのほうがムラムラしてきた
サービスで性欲処理をしてくれとお願いしたい
このスレはもうだめだ(いい意味で)
宿屋の息子が酒場の片言お姉さんに顔をパイズリされて商店の中華に前立腺を指責めされてるかと思うと生きるのが辛い
大人気だな
クリアしてから、とも思ったけど久々にうずうずしている自分がいる…。
>>85 チャイナ?和服だぜあの娘
いや呉服は元々中国の流れだけども
孫の手ヘアー
>>88 キミは
>>85との印象の違いについて考察を進めてもよいし、とりあえずゲームを進めてみてもよい
オランピア可愛いよぅ
すごく陵辱したいんだけど何なのこの子
宿屋の子が女性に弄ばれるよりも
男が宿屋の子を性的に弄ぶ話がいいな
僕は今、姫とファマ子の百合妄想中です
王族と農民の身分違いの、しかもそれが禁断の恋だなんて最高じゃないですか……
イカ腹モン子と白ウォリ子は汗まみれの体をくんかくんかし合うし、
穴金姫はおかっぱファラにドSぶってるけど精神的にねちねちいじめられるドMだし、
商会の店主と酒場のお姉さんはベッドの中でだけ仲良しのカップルだし、
こいつら全員で宿屋のむすめこを輪姦するし、
もう駄目だこの海都。
ようやくサブクラスにたどり着いたが…これはエロパロの夢が広がるな
プリンセスやファーマーがシノビやパイレーツを縛り上げるとか
大王ペンギン可愛い、しかし殺す必要あるのか?
>>92-93 同士よ、百合いいよな
もっとゆりんゆりんなSSを所望するぜ
世界樹にまでヘテロ持ち込むのはお願いだから自重してくれ
>>95 ヘテロ持ち込むな言ったら、百合持ち込むなと言われても文句言えないぞ。
てかなんで百合OKでそれはダメなんだよwwwwwwww
ヘテロとは?
>>97 ツスクルの目の前でレンにちんこ突っ込んで陵辱したり
アーテリンデの目の前でスキュレーにちんこ突っ込んでみたり
宿屋の息子の目の前で双子の姉にちんこ突っ込んだりすることだよ
つまりホモやレズで言うならノーマルってとこかな
パイレーツの若いのが毎日アタックしては、ネイピアさんがはいはいって受け流すのがいつもの風景になってる話とかいいよね…
割とまんざらでもないネイピアさんだけど、ある日その風景が途切れて
心配になったネイピアさんがお客さんに聞くと怪我して宿屋で治療受けてるってんで
お店ほっぽり出してパイレーツのところにすっ飛んで行くエピソードだとか
迷宮を踏破したあとの直球なプロポーズを受けて顔を真っ赤に初めて頷いたりだとか
ああかわいいなあネイピアさん
ゼニの話は照れ隠しなんだよね
あんなところで商売してたら死んで行く冒険者もいっぱい見てきたんだろうし
本気で帰ってきて欲しいとか思ってそう
結婚したら冒険なんかに行かせてくれなさそうだ
ああかわいいなあネイピアさん
ああかわいいなあネイピアさん
>>97 宿屋の息子が店主にペニバンでガンガン突かれるのがヘテロ
>>99 何か書いてみたくなった…帰ってから土台を練ってみるか。
真ルートの深いとこの王がモテモテすぎて憎い
やることなくなって悲しいスク水さんとオリンピアさんを性的に慰めたい
アガタとカナエってどうなん?
カナエさんは積極的に教えてあげる系でも、受け身でもいける気がする
単にお姉さんとショタの組み合わせが好きなだけかな…
みんなプレイに忙しいんだろうか
ゾディになってオランピアに電流流して調教したいよ!
投下ー。
注記
・ネイピア商会店主×宿屋の糸目ちゃん
・ソフトMプレイ注意
・男の娘の尻穴に抵抗感のある方はご遠慮願います
・筆者が第2階層到達程度の進捗なのでそれ以降の情報と食い違いが出る可能性があります
・クエストで店主娘も酒場のお姉さんのことを小娘って呼んでた気がするが気のせいだったかもしれない
・続き物の予定です
・イザユケ! ショタコンジャー!
海都アーモロードの夜は明るい。
その日の探索を終えた冒険者達を相手とする各商店が夜通し明かりを掲げているからだ。
普段はそれに加え、酔った、あるいは素面でも騒がしい冒険者で溢れ、さながら歓楽街の様相を見せる。
幸いにして、警備で日銭を稼ぐギルドなどもいるため治安はそこまで悪くはないが、
子供の教育にいいかと言われれば万人がノーと答えるだろう。
そんな夜のアーモロードを、一人の少年――その容姿はどちらかと言えば少女だが――がゆっくり歩いていた。
この街一番の宿屋、アーマンの宿の息子である。
彼女は、もとい、彼は道行く冒険者達ににこやかに挨拶しながら街の中心を目指していた。
挨拶が丁寧過ぎていつもはなかなか目的地に辿り着けないのだが、今夜はそれほどでもない。
往来を歩く冒険者が少ないのだ。
各商店の方に押し寄せているわけでもないらしく、今夜のアーモロードは珍しく静かなものだった。
宿の息子が軽く首を傾げていると、いつもの半分の時間で目的地に着いていた。
冒険者御用達の万屋・ネイピア商会だ。
『この扉を通る者、一切のゼニを捨てよ』という文句の書かれた扉を苦笑混じりに開ける。
「何じゃ? 今日はもう店じまいゆえ明日また出直してくるが……おおすまん、宿屋の倅じゃったか」
店の奥から姿を見せたのは、東洋風の着物に身を包み、整った顔に皮肉げな表情を浮かべた女性――この店の店主だった。
互いの親の代からの付き合いである彼女に、少年は目をさらに細めて一礼した。
「あ、はい。これ、姉からいつものです」
そう言って後生大事に抱えていた籠をカウンターに乗せた。
医者である彼の姉がネイピア商会に分けている薬草である。
宿では治療にのみ使う薬草を、ここでは対魔物用の毒や店主の美容のための薬品など様々な用途に使っている。
「ありがたく頂こう。クックッ、これでまた冒険者からぼったく……いやいや、金をむしり取れるわい」
「今の言い直した意味あるんですか!?」
少年の突っ込みをきっぱり無視し、店主は薬草を倉庫にしまった。
戻ってきた彼女に、彼は先程からの疑問を尋ねた。
「ところでこんな早くに閉めるなんて、今日は何かあったんですか? 外にも冒険者さんが少なかったし」
「知らぬのか? おぬし、それでも商売人か」
情報も立派な商品だと公言している店主は、呆れたように言った。
店主が言うにはこうだ。
アーモロード近海に勇魚の群が来た。
高値で売れる勇魚は冒険者のいい標的だが、今回は更に酒場が一枚噛んだ。
薬用に勇魚の肝臓を欲する貴族と冒険者を仲介し、上質の肝は高額で買い取るというクエストを公布したのだ。
「要は仲介料でボロ儲けというやつじゃな。あの女、やることがえげつないわ」
ふん、と店主は鼻を鳴らす。
「ははぁ、それで冒険者さん達は競って漁に出掛けたと」
そういえば昨日あたりに宿の客が鯨がどうのと騒いでいたことを思い出す。
「うむ。大航海時代でもあるまいにあの単純馬鹿めら、迷宮などそっちのけじゃ」
「それでは商売あがったりですね」
「いや、一晩で作った大漁祈願グッズがバカ売れで笑いが止まらぬ。あんな木片で魚が捕れれば苦労せんというに」
「あ、あはは……」
さすがだなぁと苦笑する少年に、店主は幾分柔らかい笑みを向けた。
「ま、商売できんならできんでゆっくり次の戦略でも練ろうかとの。どうじゃ、奥で茶でも飲んでゆかぬか」
「はい、それではお言葉に甘えて」
知らぬ仲でもないし、彼女が茶とはいえ無償で何か提供するなど稀有なことだ。
だから少年はここで怪しむべきだったのだ。
店主がタダで茶を出すという珍事を。
表を片付け、戸を閉める彼女が浮かべていた邪悪な笑みを。
ネイピア商会奥の居住スペース。
畳にちゃぶ台という徹底した東洋風の居間で、二人は向かいあって茶をすすっていた。
「しかしおぬし、最近ますます健やかに育っておるのう」
「あはは、そうですか? 身長はあんまり伸びてないんですけどね」
少年の体格は華奢で、身長も同年代の中では小さな方だ。
姉は「男の子なんだからこれから大きくなるわよ」と言うが、その姉とバスト以外完全に一致してるのが悲しい。
姉が中性的な服装を好むこともあって、彼の服はほとんど姉のお下がりであり、サイズで困ったことはない。
社交辞令だろうと苦笑する彼に、店主は重々しく頷いた。
「うむ、見惚れるほど女らしくなったぞ」
「……あの、ボク男なんですが」
「そういう説もあるのう」
「説じゃなくて事実で…す…?」
反論しようとしたときだ。
突然、額が熱っぽくなった。
「え……?」
同時に、股間が激しく疼き始め、元々魅力的に思っていた店主の黒髪や唇がひどく性的に見えてきた。
「効いてきたようじゃの」
店主のその唇がにやりと歪んだ。
「効いて……?」
不自然なほど急に固くなり始めた男の象徴に戸惑い、荒い息を吐きながら何度も座り直す。
店主は澄ました顔で茶を一口飲み、事も無げに言った。
「まぁ、ぶっちゃけ毒じゃ」
「どっ……!?」
「安心せい。体に害を為すものではない。いわゆる媚薬じゃな」
言いながら立ち上がった店主が、少年の傍ですっと屈む。
その胸元に、ほのかに漂う香水の匂いに、股間が反応してしまう。
身体中に広がる疼きは確かに不快感や苦しさとは無縁だが、
気を抜くと目の前の彼女に何かしてしまいそうだという危うさがある。
「何故、という顔じゃの」
顔が、吐息を感じられるほど近づき、少年の細く白い首筋を店主のしなやかな指が這う。
「んっ……!」
くすぐったさより得体の知れない感覚が勝り、声が漏れた。
「ファーマーの小娘がギルド内奴隷化計画とやらで媚薬の精製を頼んで来ての。ちぃと実験台になってもらうぞ」
指が鎖骨を伝い、薄手の服の上から、当然膨らみなどない少年の胸の中心をまさぐる。
「や…やめ……ひゃぅ!」
指先が乳首を探り当てた瞬間、甘い感覚が体を貫いた。
「酒場の馬鹿女も『趣味もナイ人生トカださカッコ悪イゾ!』などと抜かしおるし、我も最近性欲を持て余し気味での」
抵抗しようとするが、合気か何かなのか軽く力を受け流される。
乳首を指で転がされ、切なげな吐息を漏らす少年の耳に、店主の囁きが注がれる。
「たまの休日に、前から狙っていた果実を収穫したからと誰が責められようか。なぁ?」
唇は頬を撫で、少年の唇に至った。
怯える少年の目と、にやつく店主の目が合い、唇が重なった。
初めてのキスだった。
柔らかい唇が押し付けられる感触は想像以上に気持ちよく、媚薬のことも忘れて目を細めた。
しかし店主はそれだけでは満足しない。舌で少年の唇を割り、口腔への道を開いた。
戸惑う間もなく、口内へ大量の唾液が注がれた。
「んぅ!?」
「全部飲むのじゃぞ」
そう言って口を手でふさがれる。
他人の唾液という異物が口内にたゆたっている。
味はないが、生っぽい感触と温かさは感じる。
何とか飲み込むと、店主の唾液は喉から食道まで粘っこく絡み付きながら体内に消えた。
「上出来じゃ。よく味わったか?」
言って頭を撫でてくる店主は、楽しそうな笑みをもはや隠そうともしなかった。
「やめてくださ…こんなこと……」
胸元を腕で隠しながら、何とかそれだけ言葉を絞り出した。
だが、店主は笑みを崩さない。
「可愛い可愛いおぬしの頼みとあらばやめるにやぶさかでないがの。じゃが良いのか?」
ズボンの上からでもはっきり分かる勃起を、指先でくすぐられる。
「やっ……!」
下着の内側が、じわりと先走りで濡れるのを感じた。
店主はそんな少年と頬を擦り合わせ、甘えるようないたぶるような声で囁く。
「可哀想にのう。こんなに固くして、さぞ苦しかろう? 今すぐ子種を排泄せねばおかしくなってしまうのではないか?」
再びキス、そして飲まされる粘性の高い唾液。
店主がいなければその場で自慰を始めるだろうほどに、少年の性欲は高まりに高まっていた。
白い肌を興奮の朱に染め、全身をじっとりとした汗で湿らせ、少年は呻いた。
「ボク……ハァ、ハァ……ボク、どうすれば……」
「その股ぐらのモノを見せてみよ。我が責任を持って鎮めてやるでな」
選択の余地などなかった。
いや、あったとしても目の前に突き付けられた選択肢はあまりに魅力的だった。
迷宮の浅層で花畑を見つけて休まない冒険者がいないように、少年はその言葉に「はい」と答えることしかできなかった。
残った理性と羞恥に苛まれながらズボンを脱ぐ。
既に先走りで前面に大きな染みが出来たブリーフも脱ぐ。
露になったモノを見て、体を離した店主は感心したような声を漏らした。
「女体そのものと思っていたが、なかなかどうして立派なものを持っておるのう」
透明な体液を垂らす男根は、薬での興奮状態とはいえ、平均を上回る程度のサイズだった。
少年の華奢な体格にはいささか不釣り合いなほどだ。
座布団に裸の尻を乗せたまま、少年はすがるように店主を見る。
「分かった分かった。まず一度抜いてやらぬことには遊んでやるのもままならぬようじゃしの」
そう言って、正面のちゃぶ台に座り、少年を見下ろす。
その体勢で何をするのかと少年が困惑する暇はなかった。
店主の着物の裾から伸びる、白い足袋に包まれた脚。
それが少年の股間を踏みつけた。
「あぅっ……! うあぁっ!」
その行為への屈辱より、それで爆発的に込み上げた快楽に少年は喘いだ。
「ほれほれ、我の足はどうじゃ? まぁ、聞くまでもないが」
右足全体で竿を撫で回し、左足の爪先で亀頭に溢れる先走りを塗ったくり、店主は笑う。
「や、やめて……! あん! や、やぁぁっ!」
「ははっ、踏みにじり甲斐のある巨根のくせにまるっきりおぼこ娘の声じゃのう!」
白い足袋はたちまち濡れ汚れ
、湿った水音を居間に響かせる。
触る前から爆発寸前だったのだ、そう長くは持たない。
少年は込み上げる射精感に声を上げることしかできない。
「もう限界かの?」
「う、うぅ…は、はいっ……!」
肯定の返事に、店主の邪悪な笑みがますます嗜虐の色を帯びる。
「ならばよく覚えておくがよい。おぬしの初めての相手は我のこの汚れた足じゃ。みっともないのう」
「んっ…ぷ……!」
竿を撫でていた右足を顔面に押し付けられ、自身の性器と店主の一日の汗の混じり合った臭気を嗅がされる。
それは射精を止めるどころか、興奮状態にあっては性欲をさらに昂らせた。
そして左足は尚も五指で先端を器用に捏ね回している。
「や、やだ、出る、出るぅ!」
頭の中が真っ白になるほどの快楽と臭いに包まれ、少年は高い喘ぎと共に射精した。
「あ……ふぁ……」
店主の温かい足の裏に、信じられない量と濃さの精子を吐き出し終え、少年は脱力した。
「薬のせいかの、若さのせいかの。繁殖力も高いようじゃな」
脱いだ足袋をまじまじと見ながら店主は微笑んだ。
少なからず興奮していたのか汗の珠が浮かんでいるが、先ほどまでのサディスティックさは鳴りを潜めている。
ちゃぶ台から降り、少年の頭を優しく撫でながら店主は尋ねた。
「気持ちよかったじゃろう?」
「……はい」
それは認めざるを得ない。
足で踏みつけられるという屈辱的な行為にも関わらず、天にも昇る心地だった。
が、こうして落ち着くと色々納得できない気持ちが湧いてくるのもまた事実だ。
「ひ、酷いじゃないですか! 何であんなこと……」
「さっきも言うたが趣味の開拓じゃ」
「う、うぅー……」
急に気恥ずかしくなり、両手で顔を覆う。もう店主の顔をまともに見られない。
「ところで、非常に言いづらいのじゃが」
「……何ですか?」
指の隙間から覗くと、店主はとてもいい笑顔で指を立てた。
「これもさっき言うたが、今のはおぬしが限界ゆえ一発抜いただけで、本番はこれからじゃ」
少年の顔がさっと青ざめた。
「む、無理ですよ! その、あれだけ出したらもう出ませんから!」
「ほう?」
店主が、射精し終えてなおそそり立つ陰茎を軽く握った。
「あぅっ……! う、嘘……!?」
ショックと羞恥に気を取られていたが、下半身に疲労や倦怠感は一切なく、
それどころか、触られるだけでまた強烈な性欲が全身を蝕み始めていた。
「では今度はじっくりたっぷり時間をかけて達してもらうとするかの」
気づけば店主の端正な顔が間近に迫り、唇が強く触れ合った。
「ん、んん……!」
今度のキスは長い。
やはり長い舌をねじ入れられ、口内の粘膜を、舌を、歯を舐め回される。
(気持ちいい……)
犯されているかのような激しいキスを、敏感な粘膜が快感として受け入れる。
次々流し込まれる唾液を美味しいとすら感じた。
「ん……ふぅ、足臭い顔じゃ」
からかうように呟き、店主は少年の体を畳の上に寝かせた。
火照った背中にひんやりとした感触が心地よい。
「乳首は」
「え? ひゃぅ!」
再び服越しに乳首を撫でられ、背中が跳ねた。
「乳首は普段の自慰の時に弄っておるのか? 随分と反応が良いが」
「そ、そんなことしませんよ! 女の人じゃないんだから……ふぁっ!」
位置を特定されると、親指と人差し指で優しく摘ままれ、やわやわと力を加えられる。
それだけで性器の根元にひどく淫らな感覚が湧く。
「さすが女体に性質が近いのかの。良い感度じゃ。これから開発すれば人生が二倍楽しめるぞ」
「や、やめて、くださいっ! ボク男なのに、そんなとこ、気持ちいいわけ……あっ、あっ!」
「ならばその愛らしい嬌声は何じゃ?」
言い返せずにいると、服を一気に捲られ、胸元の素肌を露出させられた。
「ふむ、綺麗なピンク色じゃ」
慎ましやかに勃つ乳首を店主の唇が咥え、ぬめる舌先を絡める。
「んっ…ふぅ……!」
喉の奥からの震えを噛み殺そうとしても、漏れ出る。
未経験の乳首の性感は、痒みや痺れに似た、しかし少しの苦痛もない感覚として全身を支配した。
「んっ……股ぐらの棒切れを弄るのとはまた違った快楽じゃろう? ほれほれ」
「やっ…あ…ああっ……!」
唾液で濡れた乳首をぬるぬると指で擦られると、男根から先走りが元気良く噴き出た。
宿屋の息子の身体は、再び狂おしいほどの性欲で満たされていた。
ただ先ほどと違うのは、店主のねちっこいキスで、乳首への愛撫で、足での責めで、
性器だけでなく全身が均等に疼いているということだ。
自分の体が自分のものではなくなったかのようだった。
絶え間ない責めに、少年は力なく喘ぐことしかできない。
抵抗を止めてされるがままになった彼を見て、店主はふむ、と頷いた。
「頃合いかの」
言って、密着していた体を離す。
「あ……」
ようやく解放されるのかという気持ちと、これだけ性欲を煽られて止められるのかという不安が混じる。
そんな気持ちをよそに、店主は先ほどまで座っていた座布団を二枚、仰向けに寝る少年の腰の下に押し込んだ。
尻の持ち上がる不安定さはあるが、性器を責められるわけでも踏まれるわけでもない。
ただ両脚を持ち上げられ、膝を曲げたまま開くよう言われただけだ。
従うと、ガチガチに勃起した自分の性器がよく見えた。
店主はその開いた脚の間をじっと見ている。
気恥ずかしいが、今更性器を観察されるというのも妙に思える。
「ふむ……やはり綺麗なものじゃな。毛も生えておらぬ」
「え……?」
何のことかと少年が呆けていると、店主が股に顔を近づけた。
口でされるのかと、そんな期待はまったく甘いものでしかなかった。
店主の唇が触れた。
少年の、小さく窄まった肛門にである。
「え……や、やぁぁっ! そんなとこ、汚いですよっ!」
「なら綺麗にしてやろうではないか、ん?」
肛門の皺を舌が這う。
知覚神経の集中した粘膜であるそこは、舌の動きを逐一拾って知らせてくる。
ひくひくと蠢く穴に、唾液がたっぷり塗り込まれ、撫でられる。
「あ……あ……」
恥ずかしさより、汚辱感より、得体の知れない強い性感が勝った。
「や……あぁぁぁっ!」
亀頭は先走りを次々と垂れ流し、濡れた乳首は触れてもいないのにじわりと快感を訴えてくる。
「んふ……我もそれなりに女の尻を舐めたが、これはまた飛び抜けて雌臭い尻穴じゃのう」
自分の見えない位置で、一番恥ずかしい箇所を舐め回されている。
あまりに非日常的な状況で、しかし少年が上げるのは快楽への喘ぎだった。
「ほれ、締めねば奥まで舐めるぞ?」
尖らせた舌先が、窄まりを割って奥へとねじ込まれていく。
「はぁ……! はぁ……! か、体が……体が、変っ……!」
「おお、可哀想にのう。こんな変態的な身体に生まれては生きるのも辛かろうに」
より激しく、音を立てて肛門を舐め回しながら、店主は男根まで手で握り締めた。
「――っ!!」
もう声にならない。
性器を扱かれる既知の快感と、肛門から全身を覆う未知の快感とが混ざり、体内を蹂躙する。
「いい表情でよがるものじゃな。この汚らしい棒がなければ女そのものじゃぞ」
少年の体勢からは、たまにこちらを覗き嘲笑う目と、ぺニスを激しく扱くしなやかな手だけが見える。
身悶えしても、叫んでも、一方的に与えられる性感が止まることはない。
「お尻、お尻がっ……! 変になっちゃったよぉ……! 誰か、助けっ……ふわぁぁっ!」
「ならば自分で乳首を弄ってみよ。多少気が紛れるかもしれぬぞ?」
こんなことになっている元凶の言葉だというのに、前後不覚になっている少年は疑うこともできない。
言葉どおりに唾液に濡れ光る両の乳首を摘まみ、擦った。
「や、何これ、何これ……! あぁっ……!」
上半身の快感が加わることで下半身の快感も共鳴するように強まり、
もはや少年の身体は快楽へ反射的に震え、喜悦を漏らすだけのただの人形のようだった。
「そろそろイきそうかの? 尻穴が蠢いて別の生き物のようじゃぞ、っと」
そして肛門への激しいキスと、陰茎への摩擦。
これまで生きて、これほど暴力的な快感があることを知らなかった。
知ってしまったら戻れなくなるような快感の海に投げ出され、涎すら垂らしながら、少年は絶頂の叫びを上げた。
「っ……もう駄目、駄目ぇぇぇっ!!」
「ははは! そうじゃ、雌声を上げてイってしまえ!」
精液が滝のように噴き出、腹から、弄っていた乳首、顔にまで飛び散る。
快感が止まらない。
射精している間も、店主は肛門への舐め回しと手での扱きを止めることはなかった。
「はぁ……はぁ……」
今度こそ精根尽き果て、宿屋の息子はぐったりと畳に身を投げ出した。
「ふぅ……大した逸材じゃ。趣味は開拓してみるものじゃな」
店主は爽やかな表情で額の汗を拭っている。
それをぼんやり見ながら、少年は裸身に近い自分の身体を抱いた。
(ボクの身体……壊れちゃった……)
乳首で、肛門で、ぺニス並に性感を覚え、女のような淫らな喘ぎも散々出してしまった。
しかも、思い出すだけで蕩けてしまいそうになるほど強烈な快感だった。
射精後特有の喪失感もなく、ただ余韻が身体を包んでいる。
これから自分で射精する度に物足りなさに狂いそうになってしまうかもしれない。
まるで麻薬だ。
「さて……」
精液にまみれた少年を見下ろし、店主がニヤリと笑う。
それだけで体が震えた。
「安心せい。初日から玩具を壊すような真似はせぬわ。それより、な」
少年の頭の横に座った店主が、顔についた精液を塗り広げる。
「我は、おぬしの身体での遊戯が気に入った。じゃが無理強いはせぬ」
そう言って、目の前に足袋を脱いだ足を差し出す。
「もう懲り懲りだというならこれで終いじゃ。じゃがこれからも我と遊ぶつもりがあるなら……我の足裏に口づけよ」
最初から答えなど分かっているという風に、その声は楽しそうに弾んでいる。
「それで、おぬしの淫乱な肉体は我の所有物じゃ」
これからも、気持ちよくしてくれる。
もっと色んなところを触って、舐めてもらえる。
その誘惑はまさに麻薬的だった。
覚めやらぬ余韻の中、少年は熱に浮かされたように顔をもたげた。
目の前にある白く美しい足の裏。
その中心に、桜色の唇を当てた。
「いい子じゃ」
汗に湿る足の裏で、顔や頭を撫で回される。
「あは……」
それを嬉しいと感じた時点で、既に精神的にも彼は店主の玩具に成り果てていた。
いじょ。
男の娘という生き物と婆口調という生命体を初めて書いた。
117 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/06(火) 01:36:55 ID:7o5vsHmz
うおおおおおgj!
あ、sage忘れスマソ。。
数時間前に初めてみた。初心者にわかるキャラなのに初心者に優しくないプレイGJ!
マーベラスかつパーフェクト、まさしくこれ!っていう感じの二人の関係っした!GJ!
しかも続く…、だと…!
ショタの巻き返しとか想像すると、興奮がとまらんっすわー。
エロで巻き返しをしたショタはすっかりお気に入りにされちゃって
深みにはまって大変な事になるってばっちゃが言ってた
122 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/06(火) 11:59:03 ID:XoF68OaH
旧シリーズの施薬院と薬泉院はオブジェとかからみても明らかに国営だが(てか大組織)、主人公たちの使う宿はおそらく民営
どっこい、海都では子供(せいぜい16くらい)が看板で接客をするような(商店を除くと歴代初)宿で
回復が行えてしまい医療行為を行うのも看板息子と同年代の子供……
海都の医療レベルが著しく高いのかもしれないが大量の冒険者すなわち怪我人を家族で捌き切れるとも思いがたい
つまり(中央に大病院があるのかもしれないが)、見かけによらずあの宿は今までのシリーズの物より大規模なのだ!1!!
だからいくらかの従業員もおり、姉の存在に気付かない冒険者もでてくると
いやまあ、ようするに看板息子は多分自由時間も沢山あって、
気まぐれのふりして憧れたお姉さんの部屋の掃除に入ってハァハァしてる展開もあるのではないかと
とかきこもうとしたら既に来ていたこの感動
GJ
アンドロイドかわいい・・・あの身体を抱きしめたい
>>123 「こんな身体を好むとは、とんだ変態だな」
てな感じに淡々と罵られたい
>>104 辛抱たまらなくなったカナエさんがアガタを襲って
分身やダークエーテルや肉弾などを駆使した結果
カナエ「できちゃった」
ということで急遽里に戻って結納したりして色々合って
「昔は迷宮に挑戦したりもしたのう婆さん」
「そうですねえ爺さん」
という夢を見た某イベント後のカナエさん
にしむかいさんの描いたアガタとカナエの漫画にハァハァした…。
同い年な上にアガタのために金髪にしてみちゃうカナエかわいいよカナエ(´д`*)
しかしアガタ、背が低いなぁ。
アンドロイドも恋をするのか?
アンドロイドだって米食うし、学ラン着るし、自転車にだって乗る
恋くらい飯炊くより簡単だ
オランピアたんにおまんまんはついてるの?
ついてたよ
俺のROMの真ルートじゃ最後は俺とオランピアたんが挙式あげるエンドだったよ
海で女性連中か突然海水浴とかし始めた時男はどうしてるの?
着衣泳なの?
>>130 え、お前のDSそこまでなの?
俺のはオリンピアたんと子供5人作ってたよ
あー宿屋の少年に深都からのお土産だと称してスク水着せてー
店主が宿子を膝枕するようなほのぼの展開はあるのだろうか
〉店主が
この時点でない
そうか……宿子ならあれだけやられても、むしろやられたことで店主に依存していって以下略とか思ったんだが
そうだよな 店主はアレだった
むしろ俺が宿子を膝の上に乗せたい
男の娘ハァハア
>>131 ウチのシノビは女性方の脱ぎ散らかした服を丁寧に畳んだ後
タオルと飲み物を用意して待機してるよ
シノビのポニテお姉さんをどうこうしてやりたい
ああいうストイック一辺倒の人が頬を染めたりしてるの見たいなあ見たいなあ
プリンセスで百合するなら、ファランクスで騎士と姫な王道的コンビにするか、シノビで主従百合にするか、ファーマーで身分違いの恋にするか・・・
どれも良さそうで悩む
プリ×プリ政略結婚百合
プリ/ファラとシノ/ファーの姫騎士と忍者農民の王道的かつ主従的なコンビの身分違いの恋
該当スレでやれ精神異常者
>>126 8Fイベント見た後にそれを見ると精神的リョナられ度が半端ない
夜な夜なトラウマでうなされているカナエを、アガタが(性的な意味で)癒している可能性はあるのかもしれない。
世界樹で百合スレってないんだな
需要があれば作られるけどな
フィリピンパブみたいなよつばみたいな感じのママさんを攻略するために潜ってると言っても過言ではない
がまだ2階層
百合厨多いから隔離のために作るのはいいんじゃないか?
みんな大航海クエストNPCに萌えようぜ!
キリカゼさんを赤面させたい
ザビィ様に搾り取られたい
フィリピーナあいつ絶対ついてる
金髪高飛車お姫様と黒髪ポニテ将軍様に板挟みなシノビ…たまらないな
キリカゼさんも不憫だよな
クエスト出したら装備なしの裸農民1人送られてきたり
でも頑張って分身しちゃうキリカゼさん
ある日突然姿を消した金プリ子の双子の姉
身分を偽った彼女は敵国のショーグンとして戦場で再会
様々な紆余曲折を経てお互いの一番大切な存在に気づいた二人はもう離れないと誓って国を捨てる
流れ着いた先は海都アーモロード
っていう設定でプレイしてます
宿屋の息子は街の皆に花を配るのが恒例
花を配る…ゴクリ
もちろん隠語だな
FFTで今でも議論になるアレのことだな
綺麗な栗の花を咲かせるに違いない
百合スレ立てるべき?
161 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 02:17:32 ID:nlc8rWsT
ダムなどの公共事業に血税が無駄使いされているという話がありますが、
他の国のダムの値段と比較してみればいいのです。
カナダだとダムはいくらで建設されているか。
オーストラリアだとダムはいくらで建設されているか。
ドイツだとダムはいくらで建設されているか。
イギリスだとダムはいくらで建設されているか。
アメリカだとダムはいくらで建設されているか。
フランスだとダムはいくらで建設されているか。
女の子のダムを決壊させるべきとの主張ですね
わかります
すぐに過疎スレが2つになるだけ
現にVが出てからも、SSの投下は1つしかない
2〜3ヶ月もすれば飽きて別のゲームで萌え語りしてるのは明白なんだから
無駄スレを立てるべきじゃないと思う
そんなに勢いあるスレじゃないんだからスレ分担させる必要ないだろ
なんでこっちでやっちゃ駄目なんだ
ペルソナスレと同じ流れになりそうだなw
百合がいやな人はNGすればいいだけの話しだしな
百合スレたててくれ
ヘテロと一緒に扱うのは俺は嫌だ
死姦獣姦触手姦ありのスレでこんな目くじら立てることでもあるまい
最初に一言入れてくれたらしっかり透明に出来るんだから
NGにするのに十秒もかかるわけではあるまい
と思わなくもない
ここって百合駄目だったのか
長くいるけど、はじめて知ったわ
来るものは拒まずの、アットホームで和気藹々としたまったり系スレだと思ってた。
だけど、自分も百合嫌いだけど、別にここに投下してもいいんじゃね?
最初に注意つけて、嫌なら見ないでおけばいいんだし。
いちいちスレ立てなんてしてたら、過疎化進んで共倒れしそう。
こういうスレじゃよくある流れだな
新しく立てても過疎化するのは今までに何度も見てきたから
投下するほうは最初に注意書いといて見るほうは黙ってNGしとけばいい
まあ投下されたら俺が荒らすけどな
むしろ百合嫌いが出てくべき
過去ログみても百合のほうが勢いもクオリティも盛んなのは明白
青パイを男装した海賊幹部♀として使用中
脱ぐときょぬーなんだぜハァハァ
ベッドの上だとしおらしいんだぜハァハァ
百合もBLも一緒くたにして最初に警告入ればそれでいいと思うけど
狭量なやつが騒ぐんかね
百合嫌いが騒いでるだけ
皆で叩き潰せばOK
もといBLと一緒にするな糞腐女子
百合はさておきBLは専用板あるからな。
あぁ、BLはあるのかw 通りで話題にあがらんと思った
ぶっちゃけノーマル好きからすれば百合もBLも同性愛って同列なんだがな、百合厨こわいわ・・・
まぁ俺はなんでもオッケーだけどな
アトラス系はキティちゃんに好かれる傾向でもあるのかねw
実質、NGするのと新たに百合スレ立てるのじゃ何も変わらない件
というかここまで議論の種になっちゃったら、この先どうやっても百合とノーマルで共存なんて無理。尾を引いた荒らしが出てくるから
結果スレが廃れて分散しようがしまいが関係なくなる。相容れないことが浮き彫りになった時点で共存は終わりと思え
うるせえ早くグートルーネ輪姦投下しろ風邪引く
規制が解けるとすぐにこれだぜ
声がでかいキティちゃんが騒いでるだけで紳士なら自分で分けるよ
誰かに言われないと分けられない18歳以上なんか居る訳ないじゃない
あんな下らねえことで盛り上がれるくらい人がたくさんいたのになあって
懐かしく思い出す日がじきに来るよ。
なんかようわからんがお前ら本当に大人か?
大人になれば自然と理性や分別は身につく・・・そう思っていた時期が俺にもありました
そんなことないのが現実ですな
スレが一週間のうち2個も3個も立つ勢いで
かつ投下されるのが百合ばかりで始めに注意書きも無い
その上でスレの空気が悪くなったとかなら百合スレたてるのも分かるけど
このスレ過疎気味っていうか…
そもそも百合は出てけ!って突然わめいて
こんな騒ぎになるなら百合は出て行くべきとか意味不
シノビって一人輪姦とか余裕だよな
なんかアトラス系いっしょくたに荒らしてる気がする
荒らしてる理由もPスレに居る人と同じだし
同意
ヘテロはこのスレから出てくべき
うざいは正直
なんでもいいからみんなエロ妄想投下しろよ
このスレって人外はどうなの?
フカビト♀とか真祖とかかなり可愛いし下着貰えちゃったりするから色々ネタになりそうだけど
195 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/11(日) 22:48:01 ID:GxYJn780
>>194 過去ログを見るとアルルンとかロリピコは大人気だったぞ
あとスキュレー様も
隠し職業とかの話題はいいのか?
シノビと隠し職、主従関係でのエロは王道だよな
最近は処女を主に捧げることになったシノビの妄想で生きてる
それらも注意書きしてたらいいんじゃないかな
シノビ×隠し職とか書いてNGは〜〜(タイトルかコテ鳥)ってすりゃ見たくない人は見ないで済むっしょ
まだ言うカッ!まだ言うカッ!がツボ過ぎて困る
カナエとアガタで何か書きたいと思ってんだけど、まだ6Fなんだよな…。
勢い任せに書くか、先進めてから書くかで迷ってる。
とりあえず8F目指して頑張るわ。
シノビとゾディの二人組が途中から現れなくなったけど何かイベントを間違えたんだろうか…
あの二人で何か書きたかったのに
それとなんで「ヘテロうぜぇ」とか言う板やスレのことを把握していない馬鹿が迷い込んでいるんだ?
俺もまだ8Fだから何がどうなってるのかよく解らんよ
構うと居つくのはペルソナスレが一時期廃墟になってたのがいい例だから何コイツと思ったら速攻NGにいれるんだ
ヘテロって単語使う人は完全にペルソナスレに居ついてるキチガイと同じ人のだとおもうよ。
構うだけ時間とレスの無駄
俺、このゲームと規制が終わったらバリスタ×プリンセス書くんだ。絶対書くんだ
故国から婚約者が追ってくるって話なんだ
だけどその前に、ちょっと田んぼの様子を見てこないとな
ああそういえば風も強くなってきたから堤防も見てこないと…
海の様子も気になるし…船の様子も見なきゃ…それに屋根の修理もまだだっけ…
そこまで大量にフラグ立てるとむしろ助かる
あーオランピアちゃんの口マンコにちんぽ突っ込みたい
目の前で深王ボコしてレイプ目にしたい
注記
・ネイピア商会店主(姉)×宿屋の糸目ちゃん(弟)その2(前)
・ショタいじりに抵抗感のある方はご遠慮願います
・お姉さんの足とか唾液の匂いフェチに抵抗感のある方はマジでご遠慮願います
・筆者が第3階層到達程度の進捗なのでそれ以降の情報と食い違いが出る可能性があります
・携帯のメモ帳の容量がいっぱいになりそうなので、不本意ながら前後編です
宿屋の息子が汚されてから2日が経過した。
件の勇魚ブームは海都住人にまで波及しており、ネイピア商会に置いてあるW.C.ニコレット著の『勇魚』も売り切れた。
しかしやはりメインの客である冒険者達の不在は痛く、店主はカウンターに頬杖を突いて暇そうに窓から夕陽を眺めていた。
そんな時だった。
「あの……」
2日前手に入れた玩具がやって来たのは。
意を決してネイピア商会を再訪した宿屋の息子は、2日前に比べて少しやつれていた。
トラウマものの凌辱を思えば無理なからぬことだが、しかし顔色は相変わらず赤みが差している。
頬杖を突いたまま、店主はニヤリと笑う。
「ふむ、何か用かの?」
「その……我慢できなくなって」
少し言い淀んだ後、何とか口を開いた。
股間を押さえ、もじもじとする姿はあらゆる男を魅了するだろう愛らしさがある。
「ふん、意外に堪え性がないの」
つまらなそうな口ぶりだが、目は明らかに笑っていた。この色情狂め、と。
だが少年は慌ててそれを否定する。
「あの、そうじゃなくて、一昨日帰ってからずっと……」
手をどかし、ゆったりとした股まで隠す上着の裾を少し持ち上げる。
そこには、2日前と同じく見事なテントが張っていた。
目尻に若干涙さえ浮かべ、少年は恥ずかしそうに言葉を紡ぐ。
「むずむずが止まらないし、仕事の合間にその、トイレで出しても少しの間しか収まらないし、この薬いつ切れるんですか?」
頬杖を突いたまま、店主はさっと視線を逸らした。
頬に一筋汗が伝う。
「分からぬ」
「え?」
「作って即日おぬしに一服盛ったゆえ前例がない。よって分からぬ」
「そ、そんな無責任な!」
両手をぶんぶん振って文句を言うが、店主は「怒っても可愛いのうおぬし……」と苦笑するだけだった。
「まぁ材料的に副作用もないはずじゃしそのうち切れるじゃろ、多分」
「現状が既に副作用ですよ! お客さんが出掛けてるからまだいいようなものの!」
「ええい黙れ黙れ」
扇をビシッと突きつけ、店主は凛とした声で制止した。
世間一般ではこれを開き直りと言う。
「おぬしが性欲に溺れようと我には1enの損もないし、むしろ楽しい上、今は営業時間じゃ」
少年としては社会的立場の危機なのだが、ここまで堂々とされては返す言葉もない。
じゃが、と店主は続ける。
「我も鬼ではない。この世はギブアンドテイクじゃ。おぬしが相応の対価を払えば何とかしてやろう」
世間一般ではこれを鬼と言う。
「と言っても、ボク、あまり持ち合わせは……」
しゅんとする少年に、店主は陶酔と嗜虐心のこもった表情を一瞬向けたが、すぐに澄まし顔になり、余裕ありげに時計を見た。
「まぁ、今日も散々な客入りじゃし、あと一時間というとこかの……」
呟き、少年に手招きする。
首を傾げてトコトコと近寄ると、カウンターの裏に回るよう言われた。
店番でもさせられるのかと思うと、その場で屈めと言う。
「……?」
カウンターの下、店主がいつも座っている椅子の前だ。
地震に備えるかのような体勢の少年をよそに、店主は椅子に座り直す。
下駄から引き抜かれた脚が、目の前でぶらぶらと揺れる。
「足袋を脱がせよ。こう暑くては蒸れてたまらぬ」
突然そう言われ戸惑う少年だったが、逆らって機嫌を損ねるのもまずいと思い、
「失礼します」と恥ずかしそうに呟いて白足袋に手をかけた。
湿度も気温も高い今日、たしかに足袋はじっとりと濡れて汚れ、露になった生足も汗がまとわりついていた。
一昨日、契約として口づけた足。
射精に導かれ、そのまま顔を踏まれた足。
――よく覚えておくがよい。おぬしの初めての相手は我のこの汚れた足じゃ。
快楽と共に脳に刻まれた言葉が蘇り、股間の疼きが痛いほどに強まる。
「店じまいまであと一時間じゃ」
少年の胸中を知ってか知らずか、店主がいやに優しい声をかけた。
「それまで、この足を丁寧に舐めて掃除せよ。それがおぬしの棒切れを鎮める対価じゃ」
「足を……舐める……」
喉が鳴った。
恐怖と喜びと好奇心と、複数の感情が一度に沸き上がって息が詰まる。
だが迷う暇すら与えられはしなかった。
ぐいと足が押し付けられる。
「両足じゃぞ。ほれ、早くせぬか」
「は、はい……それじゃ……」
右足を捧げ持つように支え、まず匂いを嗅いでみた。
「んっ……!」
一昨日より強い、濃密な汗の臭気が鼻を突いた。
店主は楽しそうに見下ろしている。
「昨日は面倒で湯浴みもサボったのじゃが、これぐらいでなければ労働とは言えぬじゃろう?」
容赦のない言葉に打ち震え、しかしこれ以外に解決の手立てを持たない少年は、足の甲に舌を当てた。
(しょっぱくて……匂いがすごい……)
素直にそんな感想が浮かぶ。
汗を舐め取り、唾と混ぜて嚥下すると、拒否するように喉が震えた。
少しずつ、少しずつ、店主の足がまとう汗を舌で拭っていく。
屈辱的な行為にも、やはりと言うべきか少年の勃起は収まることはなかった。
「そうそう。そのまま掃除を続けるのじゃぞ」
店主の甘ったるい声が頭上から響き、少年は震えながらこっくりうなずいた。
が、次の瞬間背筋が凍りつく。
「ヨオ小娘ー!」
バーン、と勢いよく入口の開く音がし、妙な発音の女性の声が聴こえた。
カウンターの裏からは見えないが、確認するまでもない。
酒場・羽ばたく蝶亭の女主人の声だ。
「なんじゃ小娘か」
舌を止めた少年の顔面に足を擦り付け催促しながらも、至って平静な声で店主は応じた。
慌てて音を立てないよう慎重に舌を這わせるが、気が気ではない。
こんなところに隠れて店主の足を舐めしゃぶっていることなど知られては、もう海都には住んでいられない。
「なんダ、相変わらず無愛想でおっぱいチッチャイ小娘だナ! アタシが来たんだから喜びナサイ!」
「やかましいわ小娘。これはさらしを巻いとるだけじゃと言うに」
頭上での会話を聞くともなしに聞きながら、足の裏に舌を伸ばす。
体臭はさらに強まり、嗅ぐたびに舐めるたびに涙や声が漏れそうになる。
酒場の主人はフライパンを買いに来たらしく、いくつか店主と言葉を交わした後、
店の棚をガシャンガシャンと鳴らしている。
「大事な商品を粗末に扱うでない。大体、先月買ったばかりのフライパンが何故壊れる」
「アノナー、お客サマに刺身を作ってやってたら穴が開いてオナクナリになったんだヨー」
「ああ?」
酒場の主人の奇言に素で苛立ったのか、店主は唾液まみれの足裏で少年の頭を踏むという行為で八つ当たりした。
店主の匂いに混じる自分の唾の匂いにも苛まれながら、踏むのを止めた足を少年は引き続き掃除する。
「……まぁいい。ではそっちの右の棚のフライパンなどどうじゃ」
「オオ? コイツはまた禍々しいプレッシャーをハナっているフライパンであることダナ」
「我が商会秘蔵、緋緋色金のフライパンじゃ。いかなる熱も通さず、いくら炒めても材料が変質しない優れものじゃぞ」
「ソイツはスゲーナ! まさにアタシのためにあるヨウダ!」
「うむうむ、5万でどうじゃ」
「買ッタ! ツリはイラネー!」
「おうおういい子じゃ。酒場の経営破綻が5年遅まったの」
「ここで買ワネバこの店明日潰れてソウダカラナー」
「死にさらせ」
(やっ……!)
店主の苛立ちは、爪先で少年の口内を蹂躙するという八つ当たりで発散された。
(ん……指の股、まだ綺麗にしないと……)
舌に汗の味を感じ取り、軽く口をすぼめ、親指と人差し指の間を舐める。
緊張と下半身の興奮のせいで五感が敏感になり、味や匂いに慣れることはまったくない。
常に最大限の屈辱を受ける少年の頭上で、商品を包む店主と酒場の主人の会話が続く。
「そういえばの。おぬしに言われたとおり我も趣味を持ったぞ。ペットの飼育じゃ」
「ワハハ似合わないナ! 何を飼ってるか見せてミナサイ!」
「ま、それはまだ秘密じゃ。とんだじゃじゃ馬での」
ズルリと足が引き抜かれ、両足で押さえ付けられて「待て」と命じられる。
ようやくの休憩を得て少年が安堵していると、店主の足がすっと胸元に伸びた。
そのまま、両親指が少年の両乳首を服越しに圧迫した。
「――!」
ビリビリした刺激に思わず声を上げそうになる。
「もっとちゃんと躾ねば人前には出せんのじゃよ」
楽しそうに言いながら、足の指を器用に動かし乳首を捏ね回してくる。
(あっ、あっ、あっ、声、声出ちゃう……!)
酒場の主人の「ナルホドナー」という呟き声が聞こえるほどの近距離。
そこで少年は身をくねらせ、必死に歯を食いしばる。
(何これ……胸、甘くて痺れて、切ない……!)
男根が痛いほど張り詰め、下着に擦れる感覚だけで性感が生まれる。
男なのに、乳首で感じる体にされてしまった。
体をわななかせるほどの心地よさに、彼はそれを認めざるを得なかった。
「ほれ、持って帰れ。それで刺身でもサラダでも作るがよい」
「ナニヲイッテイルノデスカ? フライパンでサラダなんて作るわけないデショー。アンタ頭悪いナー」
すぅ、と店主が長く息を吸う音が聞こえた。
「二度と来るなー!!」
「ふぁっ……!」
足の指で強く乳首をつねられた。
幸いと言うべきか、少年の引き絞るような切なげな吐息は店主の怒号に紛れ、
スキップして出ていく酒場の主人に聞こえることはなかった。
「ったく。……で、思いの外頑張ったの。どんな感じじゃ……と、おやおや」
店主の顔にいやらしい笑みが戻る。
少年の顔は、快感による涎と涙に彩られ、雄を誘う雌さながらに身をくねらせていた。
店主はクックッと袖で口を隠して笑う。
「まだ時間はあるぞ。今度は左足じゃ」
足袋を脱いだときのままの濃密な匂いをまとった左足を鼻先に突きつけられた。
少年の尊厳の一角が、脆くも崩れた。
「んっ……ちゅ……はぁ、はぁ……!」
「熱心になってきたのう。まったく、また客が来たらどうするつもりじゃ」
宿屋の息子は、先程までと打って変わり、積極的に店主の裸足にむしゃぶりついている。
その右手は自身のズボンの中に伸び、先走りまみれのペニスを激しく扱いている。
我慢できなかった。
ただでさえ性欲で狂いそうになっているところに乳首への性感を与えられ、理性のタガが完全に外れた。
店主にいじめられたい。射精の快感に溺れたい。
そんな想いが、粘液のようにどろどろと鼻腔へ流れ込む足の匂いさえ甘美なものに感じさせる。
(美味しい……)
そんな自分の気持ちにぞくりとし、しかし足を舐めるたびに快感が増す事実が、少年を突き動かす。
(んっ……臭い足、美味しい……)
陶酔しきった表情で、心の底からそう思った。
「あっ、ん……」
うめき声と共に、粘ついた体液が尿道を走った。
ブリーフの内側が熱い。下半身が快感に満たされる。
「っ……はぁ……」
宿を出る前からの欲望が充たされ、一時的にだが体が落ち着く。
「ケダモノめ。ひとまず落ち着いたかの?」
「は、はい。ごめんなさい……ボク、こんな……」
「まぁよいまぁよい。これで顔を拭け」
足を下ろされ、ハンカチを放られる。
射精後の気だるさを感じながら、素直にハンカチで顔を拭く。
その程度で顔に染み付いた臭気は完全には落ちないが、少しはましになった。
とはいえ、射精して尚、足の匂いに不快感が湧かなかったのだが。
気がつくと店主が体を曲げ、顔を覗き込んでいた。
「我の蒸れた足にすら興奮したのかえ?」
ハンカチを返し、少年は少し迷った後、こくりと頷いた。
「そうか……」
店主は呆れたように苦笑した。
あまりに常軌を逸していて、見捨てられるかもしれない。
それが薬の効果を鎮めてくれなくなることへの恐怖なのか、いじめてくれなくなることへの恐怖なのか。
自分でも分からなかったが、いずれにせよそれは杞憂に終わった。
「ならばこんなのはどうじゃ?」
店主の艶っぽい唇がすぼめられ、唾の塊が少年の顔に浴びせられた。
「やっ、何……!?」
何をされたのか理解する前に二度三度と吐きかけられ、手で顔中に塗ったくられる。
汗とはまた違う、唾液の臭気が嗅覚を犯す。
「や、やめて、臭い……!」
脳にまで匂いが行き渡り、そして。
精液まみれのペニスが、持ち上がった。
程なく、少年の顔は細かく泡立ち白濁した唾液に覆われた。
「可愛い顔が台無しよの。いや、ますます可愛くなったと言うべきか? ほれ、ほれ」
さらに唾を吐かれ、細い指が鼻の奥にまで塗り広げてくる。
それに伴い、少し落ち着いていた性欲が、油を注がれたように燃え上がる。
「うぁぁ……!」
染みのできたズボンが膨らみ、震えている様子さえはっきり見える。
それをまじまじと見つめ、店主は残虐な笑みを浮かべた。
「はははは! 何が「やめて」じゃ。本当に見下げ果てた変態じゃのうおぬしは!」
「ち、違……あぁ……」
我慢できない。射精したい。もっと匂いを嗅ぎたい。
手をズボンの中に突っ込むのを辛うじて我慢していると、「掃除」の途中の左足で顔を踏まれた。
「さぁ後20分じゃ。存分に味わってその薄汚い欲望を満たすがよい」
唾液の匂いに、再び足の匂いが混じり、思考を奪う。
言い訳も躊躇いもなく、少年は再び自分のモノを扱き始めた。
「さて、今日はこれでしまいにするかの」
約束の時間になり、店主は「んーっ」と伸びをした。
その足元で宿屋の息子は足をくわえ、まさに今また射精していた。
「あれから何回出したかの?」
「に、二回……です」
どろどろに汚れた顔のまま、少年は消え入るような声で呟いた。
「落ち着いたか?」
尋ねながら顔を足で撫でる。少年の股間は果てなどないように膨張した。
「ふむ……我が薬ながら効きすぎじゃな。相性もあるのじゃろうが困ったもんじゃ」
そう言われ、少年は下半身とは別人格のようにしおれる。
「本当に何とかしないとボク、普通の生活もできません……」
「じゃのう」
のんびりと呟き、裸足のまま下駄を突っ掛けると、入り口を閉め簡単に店を畳んだ。
「ま、ここじゃ何もできんでな。奥へ行くぞ」
「はい……」
ふらふらと立ち上がる少年の股間は、既に染み出た精液でべっとり汚れていた。
居間には薄い敷き布団が敷かれ、その直上の梁から首吊りでもするかのように縄が垂らされていた。
シュールな光景に宿屋の息子が戸惑っていると、店主はまさにその縄のあたりに立つよう命じた。
「あの……解毒、というか薬を何とかしてくれるんじゃ?」
「無論じゃ。ほれ早くせんか。我とておぬしの人生を滅茶苦茶にしたいわけではない」
さらりと嘘くさいことを言いながら少年に手を挙げることを促す。
素直に従うと、店主は当然のように手首を頭上で縛った。
半端なとこで申し訳ないがとりあえずいじょ。
できるだけ早く後編に行きたいところですが未完成のため、他の職人の方は気にせず投下どうぞ。
冴え渡る変態っぷりにリアルタイム遭遇。
GJです。続きも期待してます。
海都の宿はお手伝いさんもいるらしいな。さらに宿子とそれなりにしたしい
宿子の『お花を配ってるんですよ』の台詞に遠回しなエロスを感じる。
宿屋の子は、治療院にいる姉にそっくりで姉妹に間違えられるほどだという。
実は時々入れ替わって冒険者の相手をしている、というのはどうだろう……宿、というのはたまにそれ系の意味で運用される時がありそうだ。何しろ世界樹の迷宮に潜る冒険者相手の宿ですし、ある意味刹那的になっている荒くれたちの無聊のため、とかいって。
深海ルートでクリアしたけど、グッドエンドルートだとショーグンも手に入るのかな?
はやく女の子ショーグンを見たい!
このフライパンを盾にすれば属性攻撃全部防げる気がするGJ
名前の扱いに悩む
プレイヤーキャラはまだしも、店員の名前とか本当困る
瞬く恒星亭の娘とらぶいちゃしたい
……プレイヤーキャラ×NPCはあまり歓迎されないかしら?
俺なんか毎日蝶のママとあんなことやこんなことする夢見てるよ
まさに胡蝶の夢ってか
瞬く恒星亭はカドゥケスからのゲストキャラだからちょっと違うんでね?
>>223 今回のカドゥケ枠はあのスク水さんだったのか!?
今知ったわ・・・
髪型は似てるな
海都ルートで六層突入後のスク水さんの態度が……ウッ
というかマント状のもの以外は服装含めてカドケ2のアンジュそのもの
5層の商会絡みのクエストやったせいで、店主への印象が少しだけ変わった気がする。
いや、そんな事はないか。
可愛いから許してきたがいい加減オランピアさんには堪忍袋の緒が切れそうだぜ
もう改造して陵辱の限りをつくしたくなるじゃないか、畜生
※ただし深王に限る
オランピアさんならシノビ♂と仲良く平和に暮らしてるぜ
アンドr・・・なんでもない
全てのパーツをうしなった状態のオランピアさんが
海都に連行されてあんなこともこんなことも!!
って考えたけど全てのパーツ失ってたら首もなかった
やっとサブクラスを手にいれたところだが一気に新キャラが増えて妄想が広がりんぐ
というかwikiがまたなんか改竄?(隠し職が隠されていない)されてるな
オランピアさんとラブラブになって、これぐらいしかできないからとフェラしてほしい。
ロケットフェラか……夢が溢れるな
フカレディとか異なんたらの巫女とかアンドロとかみて
4層あたりで全滅して人外に集団逆レイプされるとか
海都ルートで全滅してオリンピアたんとかに集団逆レイプされる妄想ばっかしてる
深都の技術なら洗脳調教もいけるで!
>>234 公式で名前とグラフィックの一部が公開されたから、
それを受けてwikiも解禁にしたんだと思う
>>238 世界樹に洗脳調教される深王を想像しちまったじゃねえかorz
深王って実は女なんじゃね?
世界樹3はOP時の文章からしてクトゥルーの色があるじゃないですか。
フカビトはインスマンス、ラスボスにいたっては……というわけで、触手洗脳系エログロなSSが生まれてくる……かも。
オランピア:
「深王さまと合体したい。ロボットアニメ的な意味で」
実問題として、この人ら脳直結でバーチャルセックルとかできるんじゃないのかな
>243
攻殻機動隊の原作コミックで、少佐たちが回線を繋いで百合プレイを楽しんでいるところに接続した男が『女性のみが感じられる感覚』を感じて悲鳴を上げていたな……
ナメクジの交尾だっけ?
けしてイメ検しないように
第四層でうちのモン子が電撃→瀕死→回復→電撃→瀕死……なんて事になった。
度重なる電撃責めで満身創痍になり、失禁しているモン子を想像したら興奮したよ。
深王「冒険者たちのおかげで妹のことも思い出し世界も救われた、何か褒美を…」
冒険者「ならばお義父さん、オランピアさんを僕にください!(結婚的な意味で)」
オランピア「!?」
深王「なん…だと…!?」
たぶんアンドロには戦闘用ボディの他に人間に近いボディも用意してあるのかな
フカビトとの戦いに備えてるから使ってないだけで
>>242 でも読むとSAN値が下がるんですね、わかります
いあいあ
うちのゾディ子は六層の蛸足がお気に入りだよ
ときどき飛南瓜とらぶらぶしてるよ
ファラ子「姫様危ない!」(ディバイドガード→瀕死)
グン子(元プリ)「おー」
ファラ子「命に代えても!」(ディバイドガード→パリイ)
グン子「守ってくれてありがとう! ……でも弱ってるね。楽にしてあげる^^」(介錯ザクゥ)
ウォリ「うおおファラ子ー! よくもー!」(アベンジャー)
グン子「よくもー♪」(サブウォリアベンジャー)
姫様が天真爛漫過ぎて生きるのが辛い
10Fで幽閉中のフカビトの真祖が自分のことを『僕は王じゃない、人間の言葉で言えば王子か王女になる』というような発言をしていた。つまり性別はどちらでも有る……?
いかん、やはりSAN値が削られるようなエロ世界が現出しそうだ。
>>252 雑魚フカビト自体には性別あるっぽいのにな
雑魚同士では繁殖出来るんだろうかね?
そんなものフカレディだったら男の冒険者捕まえてきてチョメチョメして
フカ夫だったら女の子捕まえてきてチョメチョメするんだろ
雌雄同体で環境で性変化とか
もしくは元は人間だったとか
神や天使が雌雄同体なのはよくある事だ
群れの一人だけがオスになる
チョウチンアンコウ的生殖方法を考えたけど誰得すぎた
つい先日幽閉中の真祖さんの前でフカレディ&フカ夫に全滅させられたが
そうかあれはレイプと逆レイプフラグだったんだな
それにしても入るなり戦闘仕掛けてくるような相手の部屋に放り込むオランピアさん半端ないです
深王に言いつけてエロいお仕置きしてもらう
>>253 作ったのは世界樹から知識もらった王様だし父親扱いにはなるんじゃないか?
そう考えると娘(息子)達の作り方を教えてくれるとか太っ腹だ
>>260 第二階層のワニに続いて二度目だもんな
絶対殺る気だと思ったよ、でもそんな容赦ないオランピアさんが好き
クジュラさんあたりにねちねち拷問されるオランピアさんたまりません
クリア記念にオランピアさんとの思い出を振り返ってみた
オランピア「あっちに秘密の階段があるんですよー、…かかったなアホがッ!!」
オランピア「追い詰められちゃいましたね、…ワニの餌になれや!」
オランピア「ここがフカビトを捕らえている場所…、死んだら事故責任!」ガチャ
オランピア「この手で始末したいんだがな、キリン!やっちまいな!」
オランピア「深王様との合体攻撃をくらえ!」
オランピア「あんた誰?」
やべぇな、アンドロの技術学んでAIが快感で崩壊するまで陵辱したい
265 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/16(金) 18:08:46 ID:dL9/LPzw
設計図もらえよ
アンドロ1or3にオランピアって名前つけちゃえよ
ゴミみたいなレスでageてしまった
すまぬ…すまぬ…
何でピンクだけ規制なんだ…
ハーレムパーティで航海してるとエロすぎて困る
たぶんオランピアさんみたいな潜在的ドSは純情少年ファーマーに告白されたら落ちるとみた
アガタ…
クリア後、街のみんなが「ずっと海都にいろよ!」って言ってくれている中
宿屋の息子だけすごく良い笑顔で
「皆さんが出て行くと寂しくなりますね…エッ?まだ出て行かないんですか!?」
「皆さんはまだやり残した事があるんですか…それが終わったら出て行くんですね!」
「新しい冒険者の方々がいらっしゃったので寂しくありません、それでいつ出て行くんですか?」
なんなのこの子…憎しみすら感じるんですけど
深都ルートならまだしも俺がクリアしたの海都ルートだよ?
そんなにエロい目で見ていたのが気に障ったの?
それともウチのギルドのメンバーにレイプでもされたの?
>>270 糸目族の血が悪さしただけなんです。
本当はいい子なんです。
港の主が食われたときも「その大魔王イカを釣ればいいじゃないか」とかジョジョ発言してたな
港のおっさんとも仲が良いらしいし、将来はかなり面白い人生を歩むに違いない
港のおっさん「私の釣竿の具合はどうだね?」
宿子「もう、ダメになりそう……」
>>272 そしてイカに襲われるわけですね。タコがどうとかいう話もしてたな…
>>273 俺と同じこと考えるなよw
最近夢の中でもプリを陵辱している
プリンセスは女王様プレイを覚えるとクイーンになれるらしい。
海都の宿屋の子とちゅっちゅしたい
あれはダクタァトゥキモリィのものです。
>>278 衆道などと非生産的な道に失踪したら目にも止まラヌ速さでキル・ユー!されマース
>>211から直接の続き投下。
注記
・ネイピア商会店主(姉)×宿屋の糸目ちゃん(弟)その2(後)
・ショタの肛門や乳首に抵抗感のある方はご遠慮願います
・筆者が第3階層ふかふかhage程度の進捗なのでそれ以降の情報と食い違いが出る可能性があります
・続きます
「あの……なら何でボク、縛られてるんですか?」
「それはもちろん我が遊びやすいようにじゃ」
お菓子を貰った童女のような、とても嬉しそうな笑顔でそう言ってのけた。
この部屋でのトラウマが蘇り、少年の顔が引きつる。
「だ、騙したんですか!? いくらなんでも……」
「何を人聞きの悪い。我はおぬしの性欲を何とかすると言っただけじゃ。薬効はどうにもならぬ」
唇を尖らせ拗ねてみせながら、てきぱきと少年のズボンを脱がせる。
べとべとに汚れた下着も下ろすと、店主は口の端を歪めた。
「ま、どうやっても子種が出なくなるほど搾り尽くせば性欲の湧きようもなくなるじゃろ」
「ほ、解いて! これ解いてください!」
縄を引っ張るが、結び目が弛むことはない。
首の後ろで縛られており、多少は余裕がありきつくはないのだが、逃げ出せそうにはない。
「我は何とかしてやりたいのじゃ。あれだけ変態じみた自慰をしてもこんな有り様のおぬしの男としての箇所をな」
相変わらず天を仰いでいるペニスを指差し、棒読みそのものの抑揚でそう言った。
「……本音でお願いします」
「同意済みの玩具で遊んで何が悪い」
「うぅ……」
俯こうとすると、目の前に立つ店主に顎をくいっと持ち上げられた。
小柄な少年より頭一つは背の高い店主が完全に見下ろす形だ。
目を逸らすこともできない至近距離で瞳を覗き込まれ、唇を重ねられた。
「ん……」
柔らかい感触をたっぷり与えられてから顔を離される。
頬が熱くなり、体の緊張がいくらかほぐれていた。
「その気になったかえ?」
「その気……にならなくてもやめてくれないんでしょう?」
諦めと共に呟く。
うむ、とあっさり頷かれた。
「分かっておるなら楽しんだ方が得じゃぞ」
店主が膝を折る。
衣擦れの音がし、そそり立つ男根の前に彼女の顔が来た。
根元に指先が添えられ、背中が粟立つ。
「やはりここだけは立派じゃの。男としての栄養がここにだけ行っているかのようじゃ」
誉められているのか馬鹿にされているのか、何とも言えず黙っていると、さらに顔が近づき、すんすんと鼻を鳴らされた。
精液にまみれたそこを嗅がれるのが恥ずかしく腰を引くが、逃げ場などない。
「ひどく臭うな。我の足と唾で盛って噴き出た汚汁の臭いか」
上目遣いに見上げる店主の鼻に白濁した液が付着しているのを見て、芯がさらに固くなるのを感じた。
精液を潤滑液に、店主の頬がぬるぬると擦れる。
「ん……固くて熱いのう。まるで焼けた鉄のようじゃ」
軽く触られるだけで感じるそこを擦られると、もう達してしまったかのような性感が走る。
頬の柔らかさと、吐息のぬくもり、支えるだけの手指、どれもが気持ちいい。
されるがままに股間を震わせる少年を見上げ、店主は意地悪く笑った。
「さて……何発出るかの」
亀頭への軽いキス。その直後、ぺニスは根元まで店主の口に飲み込まれた。
「ひぁっ……!」
口の中は狭く、内側の粘膜が握り締めるように張り付いてくる。
その間には潤沢な唾液が満たされ、くぐもった水音が唇から漏れる。
「んっ……んん……」
精液で汚れ、汗にもまみれたそこを店主は嫌そうな顔ひとつせず丹念にねぶる。
夢かと思うほどに淫靡な姿を見るに至り、犯されるのが嫌だという想いは性欲に駆逐された。
「あっ……! 気持ち、いい……」
掠れる声でそう漏らすと、店主はフフンと満足げに鼻を鳴らす。
そして根元を軽く扱いていた手を縮まった陰嚢に持っていくと、やわやわと揉み始めた。
竿を吸い上げてくる粘膜と陰嚢を揉みしだく手の腹。
体の奥から搾り出すような動きは、すぐに効果を発揮した。
「んっ、やぁぁ……!」
呼吸が速まり、本能的に腰を突き出す。
既に三度出したというのに、自分でするより快感が深い。
元々細い目を痛いほどに瞑り、その快楽に浸りながら、店主の口内に粘液を注ぎ込んだ。
「んっ、う……」
一方の店主は少し驚いたように目を開いたが、最後の一滴まで舌で受け止める。
そして最後に尿道口を舌で拭ってからようやく口を離した。
「……ふぅ、まだまだ濃いの」
息苦しさからか多少上気した顔で、ゆっくり立ち上がった。
射精の余韻に浸る少年に、再び店主の唇が迫る。
どうせ逃れる手段はないと少年は受け入れ、舌で催促されるがままに唇を開く。
「ん……んぅ……!?」
そこに注がれたのは、いつもの唾液ではなく先程出した自分の精液だった。
咄嗟に吐き出そうとしても、にやついた店主に手で塞がれる。
「我がこんな汚らしいものを飲んでやると思うたか。ちゃんと自分で始末するがよい」
「ん……ん……!」
反射的に喉がそれを通してしまった。
生臭くて粘つく液体が、喉に絡み付きながら流れ込んでくる。
少年は、生まれて初めて自身の精液の味を知った。
(飲んじゃった……)
何か喪失感のようなものを感じ呆然とする少年だったが、店主がそれで手を止めるわけもなかった。
中腰になり、両人差し指を両乳首へ正確に突き立てる。
カウンター下で足で弄られ、既に高められていたこともあって、すぐに性感のスイッチが入った。
「む、胸…ダメ……」
「何故じゃ? 女でもあるまいに」
固くなったそこは、シャツ同然の薄い上着の上からでははっきりとわかる。
それを、店主はくりくりと転がした。
「やぁぅぅ……」
全身の末端にまで鈍い快感が伝わる。
当然性器も例外ではなく、たちまち固さが最大まで回復させられてしまう。
それだけが目的だったのか、店主はあっさり指をどかす。
「あ……」
急に快感を止められ、少年の口から惜しむような吐息が漏れる。
「何じゃ? もっと胸を嬲ってほしかったかえ?」
「そ、そんなわけ!」
再び屈みながらふん、と鼻で笑う。
「まあよい。我の体臭でよがり狂っておいて今更何を恥じているかは分からんがな」
「うっ……」
それを言われては何も言い返せない。
少年が赤面している間に店主はさっさと咥え込んで愛撫を始めた。
(口の中、あったかくて気持ちいい……)
性器をぬるぬるした粘膜に包まれ、少年の表情が弛緩する。
唇が音を立てて表面を撫で回す。
舌先が尖って尿道口をほじる。
「うぁっ!」
出したばかりで敏感になった箇所への責めに体が反応し、縄が軋む。
腰をしっかり押さえられ、身をよじることもままならぬままに強制的に性感が高められる。
「ひっ……ま、また出る……!」
衰えることない至福の感覚が走り、店主の口内にまた大量の白濁が注がれる。
それをまた口移しで飲まされることを想像し、少年の蕩けた表情に僅かな怯えが混じる。
が、今度は口を離されることさえなかった。
精液を口に溜めたまま、まだ脈動している男根へ舌を絡めてくる。
「も、もう無理! 無理ですってば!」
さらに感度を増したところへの責めは、既に快感というより痺れに近い。
しかし尚も伝わる店主の口の温かさ、挑発的に見上げながらペニスを口に含むその表情、
それらは媚薬など関係なしに、純朴な少年を勃起に導くのに十分な代物だった。
「はぁ、うっ、うぅ……」
性欲が高められているとはいえ、射精には疲労が伴う。
短時間に何度も搾り出され、少年は立つのがやっとという風情でうなだれている。
滑らかな髪も頬や額に張り付き、涎や汗がきらめきながら滴る。
それらを浴びても一向に動じず、店主は目を細めて少年を口で弄んでいる。
粘膜にぐいと押し付け、浮き出た亀頭を頬肉越しに指で撫でる。
口を窄め、首を前後に振って激しく竿を責め立てる。
行為の一つ一つに少年が艶かしく喘ぐのが楽しいのか、頬は紅潮し、目尻は笑みの形を作っている。
「あっ、ふぇ……もうイキたくな……あっ!」
その泣き言を絶頂の前触れと見たのだろう、先端だけを咥えたまま、店主は唾液漬けの竿を両手で思い切り扱いた。
「やっ……あっ!」
力なく痙攣していたペニスの先端から、どこに溜まっていたのかというほど濃い精液が迸る。
それをしっかりと受け止め終え、店主は立ち上がる。
溜まった精子を少年の顔の間近でこれ見よがしにぐちゅぐちゅと鳴らし、軽いキスを繰り返す。
(飲めって言ってるんだ……)
理解し、少年は恐る恐る口を開けた。
たちまち店主の唇が押し当てられ、溜めていたものを飲まされる。
大量の唾液に混ざって尚、雄の臭気を振り撒く二回分の精液だ。
体にこんなものを溜め込む自分がひどく汚ならしい生き物に思えてくる。
そして、それを今から自分の意思で飲むという事実に、男としての尊厳はさらにズタズタに傷つけられる。
それより何より少年の心に暗い影を落としているのは、彼自身の感情だった。
(ボク、喜んでる……)
憧れの感情さえ抱いていた女性に蒸れた足と唾での自慰へと導かれたこと。
恥ずかしい姿で縛られ、休む暇もなく口淫で搾られた精液を、彼女の前で飲まされること。
それらは、少年が本気で嫌だと言って抵抗すれば避けられたかもしれないことだ。
だが、彼はそうしなかった。
嬉しかったからだ。
「吐いても布団に染みた分を舐めさせるゆえ、素直に飲むがよいぞ」
唇を手の甲で拭いながらそう言う店主に少年は頷き、三回に分けて精液を嚥下した。
嫌な味と喉越しに吐きそうになりながら飲み干し、空になった口を見せた。
「良い子じゃ」
皮肉っぽい笑顔と共に、今度は唇を擦り付ける長いキスをされた。
「ん……」
店主の顔の火照りを肌で感じながら、少年はこれで今日は終わりだと信じていた。
「さて……」
少年にしなだれかかった体勢のまま、店主はようやく勃起が収まりだらりと垂れたペニスを揉んだ。
熱烈なキスをされても、さすがにもう固くはならない。
「出し尽くしたかの?」
「……あれだけされたら、さすがに」
拗ねるように呟く。
それを笑いながら、店主は少年の背後に回った。
縄を解いてくれるのだと思った少年の背中側から、店主は彼の胸へ手を伸ばした。
乳房に相当する薄い胸板をやわやわと揉まれ、そこに意識が集中したところで乳首を擦られる。
「いやぁ!」
いつもよりさらに高い悲鳴を上げ、少年の体が仰け反る。
店主は更に体を密着させ、丁寧に細やかに乳首の表面を擦る。
勃起はしない。
勃起はしないのだが、心地よいむず痒さが男性器の裏辺りから肛門のあたりを撫で回してくる。
(う、嘘……もう空っぽなのに、気持ちいい……!)
男根の快感の延長線上と思っていた感覚が、急に得体の知れないものに思えてきた。
「ふむ、乳首の感度に男としての性欲は関係ないようじゃの」
肩に顎を乗せ、店主が楽しげに呟く。
その指先はくりくりと乳首を弄んでいる。
「そんな……っ、今日は、もう終わりなんじゃ……あん!」
「我が終わりと言ったか? もうちょっとだけ続くんじゃ」
爪で弾かれ、ボタンのように押し込まれ、そして指の腹で転がされる。
それぞれが違った感覚を少年の体に蓄積させるが、共通しているのはどれもが快感でしかないということだった。
射精欲とは別の性感に戸惑いながらも、少年の身体は目に見えて昂らされていく。
「あっ…ん……! 胸、変……!」
「クク、甘い声を出しおる。射精もせぬまま快感を高めたらどうなるのかのう? 興味は尽きぬが」
意外にも、それだけ言い残して指が離される。
代わりに、首筋を痕が残るほど強く吸われて。
「つっ!」
痛みすれすれの気持ちよさに呻いたときには、背中を覆っていた店主の体温は離れていた。
快感は粘液のように体内に絡み付き、なかなか引かない。
その感覚に酔っていると、さらに強い快感が少年を襲った。
「ひぁっ!」
肛門だ。
初めての時と同じく、少年の肛門を店主の舌が舐め上げていた。
「やはり良い尻穴じゃな。色も感度も申し分ない」
感嘆の声が、やはり低い位置から聞こえた。
追撃は来ず、周辺の尻の肉を左右それぞれの手で掴まれた。
「尻も柔らかいのう。後ろからではそれこそ姉と見分けられそうにないわ」
最近そこだけ少し太ったのではと気にするほど肉付きの良くなった尻が、舐められては揉みしだかれる。
「い、嫌……お尻は、嫌……!」
ただでさえ乳首責めで体がおかしくなっている。
前回最後の射精の前に少し舐められただけで狂いそうになった肛門を触られたら、どうなるか想像もできない。
「前回は弄り足りなかったからの。今日はたっぷりと遊んでやろう」
無慈悲にも店主の顔は尻に埋まり、唇が慈しむように肛門に触れた。
しばし、そのまま感触を楽しむように店主の息遣いだけが感じられる。
「んふ……こっちは雌の臭いしかせぬな」
店主の呟きに頬を熱くした瞬間、鋭く伸びた舌が肛門にねじ込まれた。
「やぁぁっ!」
感度過剰な穴は舌の先端だけの侵入を根元まで突っ込まれたように錯覚させてくる。
唾液たっぷりの舌が前後して、閉じようと試みている肛門を少しずつほぐしてきていた。
「あぁ……! やっぱりお尻、変っ……!」
乳首で生まれた快感がそのまま強まり、腸壁を伝って上ってくる。
「ん…ちゅ……どうした? 息が荒いようじゃぞ?」
「ち、違……恥ずかしくて……うくっ」
店主の舌はよく動き、快感の波が引く暇というものを与えない。
尻の谷間に糸が引くほどに唾液を塗りつけ、穴の中心を舌先で責め立ててくる。
「いい具合にほぐれておるな」舌の合間に、指が肛門を弄る。
二本指で割れ目を軽く開かれると、空気の冷たささえ粘膜を刺激してくる。
「はぁ、はぁ……!」
何より、身体の一番恥ずかしい部分を拡げられ見られているという意識が、さらに触覚を過敏にしていた。
だから、舌でほぐされた肛門に指が沈んできた時は腰が抜けそうになった。
「あ、ふぁぁぁ!?」
舌の侵入を水際で食い止めていた肛門を、店主の指がゆっくりとこじ開けていく。
本来出口であるはずの器官に、異物が入り込んでくる。
ほんの指先だけだというのに、根元まで挿入されたような衝撃だった。
「ぬ、抜いてください! 抜いてぇ!」
「ふむ……ま、いいじゃろう」
意外にあっさりと、店主は指を抜いた。
肛門が反射的に強く収縮する感覚に、溜まった快感がざわめく。
「あ……ふぅ……」
一息つく、そんな暇さえなく。
店主はもう一度指をねじ込んだ。
「あぐ……! や、やめ……」
今度はさらに深く奥へと指は侵入してくる。
舌でのマッサージと、唾液の潤滑のせいか痛みはなく、違和感と圧迫感だけが尻に広がっていた。
「おうおう、よく締まるのう。さすが処女といったところか」
第二関節ほどまでに入った指が曲げられ、自分でも触ったことのない箇所を撫でてくる。
「やだ、やだぁ! 体の中、触らないでぇ!」
「盛り上がってくれて何よりじゃ」
店主はクックッと笑うだけで一向に取り合わず、水音を立てながら肛門へ指を抽送する。
異物を押し出そうと蠕動する直腸を撫でられ、閉まろうとする穴を指の太さで固定され、得体の知れない快感が増していく。
負荷のかかった括約筋がヒクヒクと震え、それが店主の指に自ら肛門を押し当てる形になる。
もはや店主が動かずとも、身体の反射が快感を高めてくる。
「あっ! うぁ、あぁん!」
心臓が激しく脈打ち、頭が痺れ意識が白濁し、しかし肛門の感覚だけははっきりと感じる。
「どんな顔をしておるのかの。少し姿見を向いてみるがよい」
店主が指を挿れたまま立ち上がり、身体を右にぐいと回される。
右手にあった大きな鏡に、自分が映っていた。
萎えた男根から透明な汁を垂らし、脚をがくがくと震わせている。
その顔は紅潮し、汗と涎と涙と鼻水でどろどろだ。
ただ、表情は宿の客に見せられた卑猥な本の、快楽に喘ぐ女のそれにそっくりだった。
「気持ちいいか?」
口をつぐんでいると、空いた手で乳首まで擦られた。
乳首の快感と肛門の快感が体内で繋がり、身体が震え、それが肛門を震わせ刺激する。
「うぁぁぁ! き、気持ちいい! 気持ちいいです!」
「ほう? 陰茎をだらしなく垂らしておいてどこが気持ちいいと言うのじゃ?」
耳元で振り向けと囁かれ従うと、唇を重ねられ、次いで顔中を舐められる。
舐め取られた体液は店主の口内で混ぜられ、「不味い」と唾液として少年の顔面に吐き戻される。
(唾……嬉しい……)
意識が朦朧としているところに嗅覚まで犯され、いつもの明るく真面目な少年からは考えられないほど、思考が淫欲に染まっていた。
「さぁどこが気持ちいいのじゃ?」
だからその質問にも、恥じることもできずに答えてしまう。
「あっ! ち、乳首とぉ……お尻、お尻の穴が、気持ちよくって……唾も……あんっ!」
「よく言えたの。そんな変態には褒美と仕置きをくれてやらんとな」
粘ついた快感の渦巻く尻の中で、店主の指が前に、少年の性器の側へ曲げられた。
指先が腸壁の一ヶ所をぐいと押し込む。
「え? あ、あ……! 何これ……!」
その一ヶ所に快感が集約すると同時、完全に萎えた男性器が再び持ち上がった。
前立腺への刺激により、強制的に勃起へ導かれたのだ。
「おやおや、まだ出し足りぬか。大した淫乱ぶりよの」
乳首をまさぐっていた手が、嘘のように固くなった性器を握り締める。
「ち、違っ……もう本当に無理……うわぁぁ!」
前立腺をぐいぐいと押されながら、竿を扱かれる。
溜まった快感が性器に流れ込み、次々と先走りが噴き出す。
もう快感などという生ぬるいものではないそれは、少年に悲鳴すら上げさせて最後の一滴まで精液を搾り尽くそうとする。
「あぁぁぁっ! 苦しい! 死んじゃいますぅ!」
「ちゃんと子種を排泄せねばこの感覚が死ぬまで続くぞ?」
その脅しにぞくりとした。
こんな状態が一時間も続けば、それだけで本当に死にそうだった。
が、そんなのお構いなしに全身の筋肉が少年の意思を離れて蠢き、勝手に絶頂へ向かっていく。
「くぅ、さすがに指が痛くなってきたでな。少し強くいくぞ」
握力が強まり、扱く速さが増す。
本来なら痛いくらいだろうが、そんな些細な感覚は圧倒的な性感の前には無いも同然だった。
「あぁぁぁ! 出ちゃう、出ますぅ!」
「よいぞ、とどめじゃ」
前立腺が一際強く押され、快感が全て尿道から押し出された。
「ふぁ、ふぁぁぁぁっ!!」
指を食いちぎってしまいそうなほどに肛門をきつく締め、性器を震わせる。
射精とは思えない強い絶頂感が足指から脳天まで貫き、絶叫することしかできない。
そんな荒れ狂う感覚の中、何もない空間に大量の精液が吐き出される。
文字通りに搾り出された精液は、足元の布団に落ちて長い染みとなった。
「うぁ……うぁぁぁ……」
出し終えて尚体をくねらせる少年から指を抜き、店主はいとも簡単に縄を解いた。
体重がかかったせいで多少の痕は残ったが、鬱血まではしていない。
戒めがなくなると、少年はすぐさま崩れ落ちた。
汗やら何やらで出来た足元の染みの上に、ぺたんと尻餅を着く。
店主はそれを追って座り込むと、背後から少年をそっと抱き締めた。
顎を少年のつむじに乗せ、茫然自失の少年を姿見越しに眺めながら呟く。
「乳首は感じたか?」
「……はい」
「尻穴は気持ち良かったか?」
「……はい」
「ククク、おぬしは全くもって度し難い淫乱じゃな」
「……はい……」
その通りだった。
薬などもう関係ない。
店主の指が、足が、唇が、表情が、体臭が、声が、少年の性欲を完全に支配していた。
呼吸を整えていると、頭上からふと思いついたような店主の声が聞こえた。
「ふむ、乙女の布団を汚汁で穢したな。舐め取るがよい」
一も二もなく、弾かれたように少年は四つん這いになり、布団の上で尚粘液の体裁を保つ精液に舌を伸ばした。
(んっ……臭い……)
唾液で薄まっていない精子を飲むのは初めてだが、もはや抵抗感もない。
舐め終え振り替えると、店主が両腕を広げて待っていた。
「ほれ、素晴らしい絶頂を見せてくれた褒美じゃ。三分だけ甘えてよいぞ」
今までされたことがされたことだ。
恐る恐る、膝で近づく。
何もされない。
膝同士が触れた。
何もされない。
抱き着いた。
抱き返された。
体格差で胸に顔が埋まる形になり、未知の柔らかさとほのかな良い匂いを感じた。
急に先程までの自分が恥ずかしくなり、涙が出てきた。
「ひ、酷いです! ボクの体、こんな滅茶苦茶にして……!」
よしよし、と頭を撫でられる。
「ま、我も責任を感じないでもないでな。約束は守っておぬしの肉体で遊んでやろう」
「……はい」
遊ばれたい。
心から思い、素直に頷いた。
殊更に優しく頭が撫でられ、見上げると店主が優しく微笑んでいた。
照れながら少年も微笑み返す。
「帰りに着物と布団とハンカチの洗濯代の100enは置いていくようにな」
「えっ」
じわりと涙を浮かべる少年にも店主は引かない。
「疲れたならメディカも売るぞ?」
「……あの、遊びの必要経費扱いとか」
少年が冷や汗を垂らしながら言った時、三分経った。
「甘えるな」
「ひぁぁぁ!」
尻に指を突っ込まれ、少年は甘い悲鳴を上げた。
いじょ。
ひむかいさんとこのトップ絵の二人の身長差に萌える。
アデル乙
お疲れ様です、アデル先生
今回もGJでした
GJ!
>後ろからではそれこそ姉と見分けられそうにないわ
>後ろからではそれこそ姉と見分けられそうにないわ
大2。続編に期待が高まります。
GJ
やっと世界樹を入手したのでやってたらファーマー残して全滅
慌てて逃げたらオオヤマネコに殺害された………
どうしてもこの後虫の息のファマ子がオオヤマネコに犯されるようなイメージしかできない俺は末期
>>293 hageたら陵辱はデフォだろ、このスレ的に考えて…
hageたら陵辱……1〜3・5階層は獣姦で、4・6階層はSAN値が削られるエロ。
隙が無いですな。
後姿で姉と間違えられて冒険者に犯される宿子希望
下脱がせた時点で気づきそうだが逆にそれで目覚めるのか
アナル専門レイパーとか
なんだ男じゃねえか…まぁいい的展開はお約束
二階層には獣姦要因がいないと思ったらイソギンチャクさんがいたです
>>301 お前ワニさんタコさんディスってんのかぁ?
まてよ…
五層クリア後やけに宿子が出てけ出てけ言ってくるのは
実は弟がゾッコンな主人公ギルドに嫉妬した姉が入れ替わっているという妄想も出来るな…
それなら最近宿子が心を抉ってきてマジムカつく
という流れでエロ、百合近親相姦なんでもござれだな
宿屋の子のせいでBLネタが多いよな
百合ネタも多いけど・・・
宿子の場合はBLじゃなくてショタというか男の娘ネタに近いか
とりあえずSSは注意文さえついてりゃなんでもどんと来いだ
宿子もいいがオランピアさんとらぶらぶえっちしたい
この身体ではあなたの望むことは何一つしてあげられない・・・
としょんぼりするオランピアさんを優しく慰めて抱きしめたい
いいからアガタとカナエを
アガタとカナエはなぁ…。
死にネタ&キャラ的にエロ向きじゃないところが何とも。
ナルメルの前でHするネタとか考えてたんだけど、エロに積極的なキャラじゃないから難しいなぁ。
アガタが死んで自傷に走りそうになったカナエを慰めたい
あの二人の生存した方がクジュラと一緒に行動してくれれば良かったのに
深都ルートの鬱っぷりに拍車がかかる
三周目だけどやり方が悪いのか、第二層に入ってから一度もアガタ達に出会えていない…
>>307 やばい萌えるシチュだ
てかアンドロは純愛シチュが似合いそう
恋愛を通じてだんだんと感情が生まれてくるような
プレイヤーアンドロはもーちょい可愛くならなかったのか
せめて頭身をですね・・・
そのアンドロはオランピアさんの姉妹機なんだ。
途中だった。
俺の眼鏡アンドロは、先輩であり、姉であるオランピアさんを大変慕っていたりする。
ドロ子「えっと、オランピアお姉様・・・・・・よろしければ今度一緒に買い物に・・・・・・」
オランピア「(なんで赤くなってるんだ、熱暴走でも起こしたのか?)お前がそういうのなら別に構わないな」
>>313 人と機械の壁に悩みながらも愛を深めていくとか素敵だよね
深都の超技術によりオランピアさんに生殖機能が付いて
初めて結ばれた嬉しさに感極まって泣いちゃうオランピアさんを優しく愛してあげたい
何しろ世界樹3はクトゥルフ世界観が混じっている以上、我々の常識を打ち破る異常な常識がまかり通る世界である可能性が高い。
よって性的な処理機能をつけられたアンドロがいたり、『魔』に汚染されて怪物の仔を孕んだアンドロが居ても、……暴走状態に陥って、本来仲間であるはずの冒険者を襲うアンドロが居ても……性欲処理用にメカ触手装備アンドロが居ても……驚く必要は無いのかもしれない。
ウェアルフさんっていいよね!!
俺の脳内では瀕死で主人公に助けられ、一人突っ走った罰としてごにょごにょされてるんだ!!
っていうかウェアルフさんまじ好きだったのにありゃないよ本当、、、お酒奢ってくれるんじゃなかったのかよ、、、
だってどう見ても女体化フロなんとかさんだもん
外見から既にフラグは立ってたのさ…
海都ルートでクリアした後、スク水さんが敵意むき出しだったのがショックだったけど
真エンディングルートでも同じセリフなのね…王様カリスマ性高すぎだろ
王の代わりにスク水さんとオランピアの心の支えになりたい
オランピアさんはたぶんショタコン
フカビトって元ネタ的に人間と交配可能だよね
まぁ生まれた子は最初は普通だが将来半魚人化するけど
>>323 フカビトだから、女の子の場合はふつくしい人外娘になりそうだがな
>>264 俺もオランピアさんとの思い出を振り返ってみた
オランピア「あっちに秘密の階段があるんですよー、…かかったなアホがッ!!」
オランピア「追い詰められちゃいましたね、…ワニの餌になれや!」
オランピア「ここがフカビトを捕らえている場所…、死んだら事故責任!」ガチャ
オランピア「これから祭祀殿の碑文に案内する。 勘違いするなよ、これも深王様の命令なんだからな」
オランピア「(クジュラに対して)ここは私に任せて先に行け!」
オランピア「私の大切なもの(鍵)をあげます」
オランピア「今までありがとうございます。 そういえば深王様が呼んでいましたよ」
やべぇ、途中から敬語に戻るオランピアさんに萌える
青の6g
フカビト王はロリ(ショタ)体型でもつるぺた長身体型でも(性的な意味で)美味しくいただけそうだから困る
てか人とフカビトが仲良くなれるかって問いをかけられた時点で抱きしめて告白したかったぜ
「トモダチどころか人と恋愛関係になるとはな…」って言いながら微笑してくれるに違いない
>>319 個人的には素人はすっこんでいた方が良い(キリッっとか言っちゃうウェアウルフちゃんの前で
氷竜を一方的にボコボコにしたい!アイデンティティやら自信やら先祖の誇りやらをボロクソにしてあげたい!
その後たっぷりイロエロしたいね!マジで!
泣きながら犯されるウェアウルフちゃん!
…なんで今回氷竜こんな強いの?三竜では残念キャラだっただろお前
あいつのサブクラスは絶対にメディック
海都ルートで青年ショーグンとオランピアを妄想してみた
深王討伐後、記憶を無くしたオランピアと次第に惹かれあっていくが
自分の信じるもののためとはいえ、彼女と彼女の信頼する王を殺してしまったことに苦悩する青年。
オランピアも宿の娘から話を聞き、薄々は過去のことに気づき始めたがなかなか言い出せず…みたいな
ここからどう解決していくかはまったく思いつかないけどな!
てかSSとか書けないし、誰かこの妄想貰ってくれ!
>>323 フカフカのイクラのような子になるんだろうな
>>328 氷竜ってそんな強かったっけ? 雷竜の方が個人的には強かった気がするなあ
まあ赤竜のはいてないコンビが最強だけどなっ
3の氷竜は強いというよりウザイ
リセットないとやってられんわ
>>330 そういう葛藤の多い話大好きだ
てかキュンキュンした!!
>>330 その手のは大好物である。
しかし氷竜は確かにうざったい……
ブレスくるか!→アイスシールド!氷河の再生!→解除→アイスシールド!……だからなぁ
というかぶっちゃけ1の頃から氷竜が一番苦手
個人的に雷竜が圧倒的に楽だな。
エトリア
赤竜>氷竜>雷竜
ハイラガ
氷竜>雷竜>赤竜
アモロ
氷竜>雷竜>赤竜
俺の中ではこんな感じ
氷竜さんはサブウェポンのうち一個でいいから赤竜さんにわけてあげて
>>320 まだそこまで進んでいないけど女体化フロなんとかさんと聞いて
Uでフロなんとかさんがお亡くなりになった際に
赤毛ソド子にフロなんとかさんと付けて
フロなんとかさんは瀕死の色々で女の子になっちゃったけど
生き残ったよ的な妄想をしていたのを思い出した
>>335 チャージのあとの大技ぶっぱのターンにアイスシールドされるとビキビキくる。
ていうかリセットウェポン遅すぎ。シノビに使わせろとでも言うのか……。
みんな ここは エロパロ板よ
>>330 ショーグン1は真面目人間な雰囲気だから恋路に関してもウブなんだろうな。
姫王姫王でPT組んで旅してたんだが、唐突に無邪気な子供の皮を被ったショタ王子にいいようにされちゃう犬属性な金姫様と、ドSな紫姫様に逆rapeされちゃう優しいお兄さん系イケプリを受信して盛大に萌えた
SS書けるほど文章力無いが…
オランピアさんは惚れたら尽くすタイプと見た
いいお嫁さんになりそうだ
夜の相手はフェラしかできないけど
その分いろんなテクを鍛えて毎晩搾り取ってくれるはず
オランピアさんは出来るアンドロだからな。
頭とかすちゃっとはずして、首のジョイント部を指差し
「さあ遠慮なく挿れろ」とかオトコマエなこと言うよ。
躊躇したら、首ないままジリジリにじり寄ってくる。
結局、世界樹シリーズでいちばん可愛いNPキャラって誰なんですかね?
>>344 自分はレンが好きだなー
キリカゼさんも好きだねー
柊も好きだよー
フルベも好きかなー
ウェアウルフさんも好きかもー
宿屋の息子
>>344 オランピアさん
嫁にしたい
次点でヒイラギちゃん
キリカゼさん結婚してくれ
ちょっと失踪医の助手とちゅっちゅしてくる
エルダードラゴンが自分で全身を縛り上げて戦闘準備万端!とかやっちゃうドMだった
これはエロパロで活用…出来る気がしない
タイトル【聞きかじりの経験】
・カップリングは邪気眼ゾディ♂×紫プリンセス
・逆レイプ的な関係描写有り。
・3層終了程度の進捗なので、以降の設定と矛盾があったりなかったりすると思います。
アーマンの宿の一室で、二人の冒険者が向かいあっていた。
一人は星術師の少年。
いつもは書物に向けられる斜視気味の赤い瞳が、
今はいっそう剣呑に細められて刺すような視線を放っている。
少年の血の気の失せた白い唇がボソリと呟く。
「……この、強姦魔」
言葉と瞳、両方で射抜かれたのは、豊かな紫の髪を巻き上げたプリンセス。
気位の高そうなそのかんばせが、今はどこかバツが悪そうに歪められ、少年から顔を背けていた。
「あんなの……物の弾みじゃございませんの。男が何時までもぎゃぁぎゃぁと情けない」
物言いこそ厳しいものの、いつもは声に含まれている高慢な響きが、今はない。
「どんな弾みだよ! いっとくけどな、僕は初めてだったんだぞ!」
「ありがたいと思って欲しいところですわね。貴方のようなひきこもり、
わたくしがお相手して差し上げなかったら生涯女性に縁がなかったんじゃございませんの?」
「人の事言えた義理かよ、この高慢ちき。
そっちこそ、その性格でまともに男ができると思ってんのか?
ふん、それこそレイプでもしなきゃ、そのまま一生処女だったんじゃないの」
「ではこちらも言わせていただきますけど、その処女がもう痛い止めてとお願いしたのに
それでもわたくしの身体から降りてくれなかったのは、どこのどちら様?」
痛いところをつかれたのか、此処で初めてゾディアックの声がくぐもった。
「お、男が入れたら出すまで止まる訳ないだろ……」
「これだから殿方は……」
「だいたいそっちだってはじめてだった癖にあんなのどこで覚えたんだよ。
こーんな自分で開いちゃったりしてさァ!」
「チョキを開いたり閉じたりしないでくださいますっ?!」
星術師がそのまま無言で二本の指の開閉を続けると、少女の顔が赤く染まり――
「やめろと言っていますの!」
少年へと向かって飛びかかり、その勢いで押し倒す形となった。
だがゾディアックも慣れているのか、組み敷かれたままの姿勢で平然と言葉を返す。
「ふん、なんかあったらすぐ腕力に訴えやがる。
へぇへぇ、どうせ僕は本の虫のヒキコモリですともよ。
……で、このままさっきのレイプの続きとしゃれ込もうってか?」
「そ、そんなつもりじゃ……」
「だったら降りろよ。重い」
もう何もかもめんどくさくなったと言う風情で、少年は吐き捨てる。
「その……アモロは食べ物が美味しいですから、
確かに自制が足りない所もありましたけど……失礼ですわ」
「鎧だ、よ・ろ・い……ふん、まあ肥えてるせいか、
たしかに触りごこちは悪くないけどよ。今も、な」
言われて気づけば、たしかに姫君は肉付きのいい腿や尻を、自重のままに少年に押し付けていた。
「か、か、か、重ね重ね失敬な!!」
プリンセスは髪を振り乱しつつ少年からあわてて飛び降りた。
押し倒されたダメージはそれなりにあったらしく、ゾディアックは痛みに顔をしかめ、
ふらつきながらその場に胡座をかき、、行きがけの駄賃とばかりに憎まれ口を叩いた。
「デブは事実なんだろ。本当のこと言って何が失敬だか」
「デ、デ、デブですってぇえ?!」
少女は怒りにわなわなと震えながら絶叫した。
「じゃあなんだ? ふくよかな体型とでも言って欲しいのか」
「言葉を変えれば良いと言うものではございませんわ!」
「デブじゃないんってんなら証明してみせろよ。だれにでも分かる方法でな!」
売り言葉に買い言葉。ぽんぽんと罵声が飛び交っていたのだが、少年の最後の一言で空気が変わった。
「では貴方は……脱げ、とおっしゃいますの?」
プリンセスの声が艶を帯びたものへと変化して行く。
「いや、僕は、そんなつもりじゃ……」
ゾディアックは言葉を後悔するも、もう遅い。
「先程は確かに、必要なだけしか……脱衣しませんでしたものね?」
先刻の一事を少年は思い出す。
例になく酒の進んだ姫君が酔いつぶれ、しかたなく、一人だけシラフだった星術師がいやいやながらも
彼女の身体を部屋へと引きずっていったのだ。床に捨て置こうとも思ったのだが、
ベッドで寝たいとうわ言をいうので、これまた気が進まぬながらも身をまとう鎧を外してるうちに、
半寝だったプリンセスの瞳がパチリと開いて――狼藉を働こうとしたと勘違いしたのだろう。
無礼者、責任を取れ、などと詰め寄ってきたのだ。
これだから嫌だったのだと頭を抱え『わかったわかった』と、安請け合いしたのが悪かった。
そのまま押し倒されて、犯された。
「まだ……酔ってんのかよ?」
星術師は呆然となって、恐れのためか本能的にじり、じりと床上を逃げるように後ずさっていく。
「フフッ……身体を動かしたおかげかしら? アルコールでしたら、ほとんど抜けましたわ」
しかしそんな少年の動きを阻むように、貴族の少女は優雅に歩みドア前に立ちふさがる。
その表情には男を誘う媚態が浮かび始めていた。
――あの時の顔だ。
先程は犯されながらもその顔とその声に惹かれるうちに興が乗り、
何時の間にやら今度は少年からのしかかって腰をふっていた。
ごくり。
口内のにじんだ唾液を喉が飲みくだす。だが乾く。水気が、たりない。
思い出す。犯し、犯されながら感じた先刻のあの強烈な性感を。
「……ねぇ?」
「うぉっ?!」
飛び上がらんばかりに驚いた。いつの間にか少女も床にひざまずき、自分へと顔を近づけてきた。
「な、なんだよ……」
しどろもどろになりながらも、どうにかそれだけを口にした。
「キスして……よろしいかしら?」
眼前の赤い唇がその言葉を紡ぐのを見ているだけで鼓動が跳ね上がるが、少年は流されまいとこらえる。
「ざっ……けんな! まだ犯りたりないのかよ、この淫乱お嬢!」
「そんな、酷い……口づけは、さっき交わさなかったでしょう? それだけ。それだけでいいの」
アメジストのような瞳から、悩ましげな秋波を送られて流石にゾディアックの心もぐらりと動きかけたが、
「この状況でキスしてそこで終わる訳ないだろ?!」
「だって……だって、わたくし達の初めての口づけは……貴方からだったじゃございませんの」
「あれこそ不可抗力じゃんよ、物の弾みじゃんよ……もー」
つまりはそれが、きっかけだった。
数ヶ月前の航海で後先を考えずに海水浴に興じていた姫君が足をつって溺れかけ、星術師がどうにか救助して
人工呼吸を行った所――勘違いした彼女がなにくれとゾディアックに構ってくるようになったというわけだ。
「ただの弾みでも、きっかけでも、あの時貴方へ感じた感謝の気持ちは本物ですわよ。
それが想いへと昇華して何が悪いと言いますの……それとも、御迷惑?」
「そりゃお前さァ……」
彼女につきまとわれるようになってから、まずなにより読書の時間が激減した。知は力なり。アーモロードの
星術師にとって、学ぶ機会を奪われるのは苦痛でしかない。それに、星詠みの時もアレはなんですの
コレはなんですのと機材をいじくり回して邪魔してきて、おかげで航路を間違えたことすらあった。
「………………ま、いいんだけどよ」
だが、たっぷりと悩んだ末に、ゾディアックは彼女の言葉を否定しなかった。
彼も木石ではない。迷惑に思いながらも見目麗しい年頃の少女に好意を向けられ、いつの間にか自分の心も
その好意を必要としはじめてることに気づき、愕然とし……やがてはそれを受け入れるようになっていたのだ。
「――でしたら!」
姫君の顔がぱあっとあかるく輝くのだが、
「いや、それとこれとは話が別だろ!」
ゾディアックは慌ててそれを押しとどめる。
「だけどわたくしもう我慢が……」
「なんの我慢だよ!!」
そのまま二人とも、まるで相手の殺気を図り合うかのように剣呑な視線を交わしていたのだが――
「よろしいですわ。勝手に脱がせていただきます」
プリンセスは唐突に立ち上がって服に手をかけ始めた。
「おっ、おいっ! なに考えっ……!」
「着替えですわ。貴方がいろんな体液で汚してくださいましたから、どの道このまま居られませんもの」
「う、うっ……」
先程は――どうにか、と言うタイミングで膣外へと射精した。最悪の事態はまぬがれたわけだが、
結果として姫君の衣類へと精液はまき散らされ、シミへと変化しつつあった。
床で行為に及んだこともあって埃も塗れている。
「手伝ってくださいません? この服ひとりじゃ脱ぎづらくって」
「手伝わなかったら……どうなるってんだよ?」
「そうね、自分で無理やり引き裂くように脱ぎ散らかしたあげく『貴方に乱暴された』と、
宿の廊下で叫んでみましょうか……ふふっ、動かぬ証拠もついておりますし」
「お前、なぁっ!」
事実はほとんど逆なのだが、そうまで言われて逆らえるわけも無い。本気で実行されたら身の破滅だ。
ゾディアックは言われるままに姫君の身体を部分的によろう金属板を取り、服の留め具をはずし、
「……ほれ、バンザイしろ」
着衣を次々に脱がせて行く。
――やがて。
「パンツ一丁だな」
「卑猥な言い方はやめてくださいませんっ?!」
わずかに下着一枚だけになった姫君の身体を、ゾディアックの瞳が視姦していた。
やる。と決まってしまえば度胸も据わった。自身の欲望にもそれはそれは正直に。
「つか、お前さっきはあれだけ威勢良かったのに、なんでいまさら恥ずかしがってんだよ。
「こ、こんなところまで殿方の目にさらすのは初めてですもの……」
「酔ってたとは言え色々順序がおかしいだろ……まあなんだ、その手ェどけろよ」
少女が自身の胸を覆い隠した手のひらを、ゾディアックは指さしながら言う。
「手……どけろ、って!」
「乳見せて。それともそんな度胸もないくせに、さんざん誘ってくれやがったわけ?」
「あ、あ、あ、あのぅ……これは着替ついでにわたくしが太ってるかどうかの証明であって……その……」
「そうだな、下っ腹にちょっと肉がついてるな。これはこれでマニアックな層に受けるんだろうが」
「……ダイエット、しなきゃ」
少年は、愕然と打ちひしがれる姫君の体をなめるように眺めていたのだが、
「おい。パンツ濡れてんぞ?」
「え…ぅ、ええぇぇえぇえっ?! あ、これはそのっ、今じゃなくてさっきのが……」
その言葉を裏付けるかのように、下着の汚れには先程までの純潔の証――破瓜血らしき赤みが混ざっていた。
「拭かずに穿いたのかよ。変態女」
お互い初めてのこともあって、行為の後はわけも分からず取り繕うように着衣を整えた。その名残だろう。
「変態じゃ……ない、です」
消え入るような声で恥じる姫君を見ていると、星術師の心に昏い喜びが広がり、さらなる恥辱を与えたくなった。
「いや、変態だろ。なんでそのシミどんどん広がってんだ?」
「違う……違い、ますぅ……」
男の目にさらされる内に興奮を呼び覚ましたのか、濡れた小さな楕円形が徐々にその面積を拡大していった。
「違わないよ――な?!」
「ひゃっ、あ、あ、あぁぁあっ?!」
ゾディアックは無造作に濡れた下着に手を伸ばし、更にはその内側の蜜をあふれさせている生殖器をも刺激した。
「さっきも思ったけどよ。お前ってホントいい声でなくよな」
「さ……さっきも思いましたけど、一度スイッチはいると貴方こそ変態じゃ、あ……あぁ、あぁああっ?!」
少年の指が生殖孔を探り当て、ぐいと濡れた下着ごと押しこめば、姫君はたまらず嬌声を上げる。
「ぐちゃぐちゃ言わせやがって、エロいぞ。これでさっきまで処女だったとか嘘みたいだよな」
「こ……っ、このっ、不埒者っ! い、今のは少し痛かったですわよ!」
「うるせえよ。ちゃんときもちいい時の顔になってんじゃん……それにほら、見てみろよ」
「チョキを開いたり閉じたりしないでくださいますっ?!」
行為こそ同じだが、先程とは決定的に違いがある。
星術師の指先にはねっとりした愛液がからみ、指を開閉する度にそれは糸を引いた。
「こんなに濡れたら気持ち悪いだろ? 脱がしてやるよ」
「だっ、ダメっ、まだダメっ!」
少年が体液でどろりと汚れた下着を引きずり下ろしにかかり、姫君はあわてて星術師の手を抑えたのだが――
「……いい乳してんじゃん」
「ばっ、ばかーーっ!! 見ないでくださいますっ?! 見ないでくださいますっ?!」
もちろんそれは、腕で隠していた胸をさらす結果になったのであった。
「いいじゃん、減るもんじゃ無し。その……綺麗だぞ」
「……本当に?」
「うん、肉がつきすぎて、ちょっと垂れてだらしない感じになってるのが、たまらないよな」
「……ダイエット、しなきゃ」
またも打ちひしがれてうつむいた姫君のおとがいを、しかしゾディアックはその手で捕らえて上を向かせる。
「キスすんぞ」
「え、え、え……ええ」
「どっちなんだよ、それ……」
「はい。しましょう……キス、いたしましょう?」
ならばと唇に唇を近づけ、そして、あわせあった。
「んぅ……」
「……ん」
だが後が続かない。
考えてみれば二人のキスの経験は、人工呼吸のあの一件を含めてさえもこれが三回目。
互いに愛情表現としての口づけと言う行為をわかっていても、その先はまだまだ不慣れであった。
ただ、知識としては知っていた。唇に吸付きあったり、舌を絡め合ってみたりすればよい、と。
「いった…ぁい!」
「痛うっ!」
だが生兵法は怪我のもと。
深く口付けあおうとするあまり、歯と歯をがちりとぶつけてしまったのだ。
「ちっ、ヘタクソめ……」
「それは男がいって良いセリフじゃございませんわよ?!」
「うるせェよ……って、いや、すまん。血ィでてんな」
歯牙でひっかけてしまったのだろう。プリンセスの口元からはわずかに一筋、血液がこぼれていた。
「そんなの舐めておけば治りますわ」と、言葉に出してから気づいたらしい。
プリンセスの赤い唇から赤い舌がちろりと覗き、軽く自身の唇をなぞったかと思うと、
「ねぇ……貴方が舐めてくださいます?」
妖艶な笑みと共に、男を、さそった。
「おう……」
少年もまた舌を伸ばして少女の顔に近づけ、その唇をべろりと舐め上げる。
口内に広がる鉄臭く生臭い味。だがそこからは上手くできたとおもう。
傷を癒すつもりで優しく舌と唇で触れていき、ときおり伸ばされるプリンセスの舌に吸付く。
陶然となった少女もまた、少年の顔に舌を当て、唇を、頬を、首筋を、互いの唾液で汚しあっていく。
やがてそのまま少女の身体を降りていったゾディアックの舌は、柔らかな乳房へとたどり着いた。
「……あ」
「嫌か?」
手は既にこぼれ落ちそうな双球を下から持ち上げて支え、確認のために離した唇をまた乳房へと押し当てる。
「嫌じゃ……ございませんけど」
「……けど?」
「さっきから力が抜けて……立ってられませんの。あとはベッドで……いかがです?」
見れば確かにプリンセスの膝が笑ってガクガクとしている。
「わかった。ホントはこんな時、お姫様だっこできたらカッコいいんだろうけどなぁ……」
「あら、殿方ですもの。樹海を旅するうちに、いずれは腕力もつきますわ」
言いつつ、プリンセスはゾディアックの着衣を緩め、袖を抜き、服をはがしていく。
「ほら。すこし前まではもやし同然でしたけれど、今は多少は筋肉も太くなり始めてますわ」
そしてはだけた男の胸板を、二の腕を撫で回しながらそういう。
「もやし同然ってなぁ……ま、期待しないで待っててくれよ」
そのまま微笑み合って、ほとんど裸同然になった二人は寝室へと連れ立った。
「どうぞ……」
寝台の上に仰向けになって寝転がり、プリンセスは男の前に体をさらけ出した。
「ん。いただきます」
どこかズレた返事ではあったが、今度こそ星術師は豊満な乳房に思うがままにむしゃぶりつき、もみしだく。
「んぅ…あぁ……そんなっ……音…なんて、いけませんわ」
ず、ちゅ、と己の乳房に唇が食らいつく音を耳にし、姫君は頬染める。
「でもさ……勃ってきたぜ。ちくび」
「そんなのいちいち報告なさらなくっ……ふぁ…んっ! あぁ、あ、あ……いじわるぅ……」
充血し、しこり始めたその先端の突起を舌で転がされ、甘噛みされ、
吸い付かれるとプリンセスは悩ましげに喘ぎ、そして悶える。
「気持ちイイんだ?」
姫君はどう答えたものかと逡巡していたようだが、やがて観念したように頷いた。
「……ええ、とても」
「じゃあ、コレは?」
星術師は遊んでいた片手を、口付けていない方の乳房に回し、全体をこね回しつつ乳首を弾く。
「うぅん…あ、あぁ…ええ、りょうほう、とっても素敵……」
己が落ちかけていることを一度認めてしまえば気が楽になったのか、姫君は今度はあっさり何度も首肯する。
プリンセスがすっかりとろけきった頃、ゾディアックの指と唇がさらなる下方を目指して蠢き始めた。
「……な、今度こそ、脱がすぞ?」
質問の形を取っているが、星術師は既に、プリンセスの体を覆う最後の一枚――
もはや淫汁ですけるほどに濡れそぼった下着に手をかけ、引きおろしにかかっていた。
こくり。
姫君は声がでないほどに緊張していたが、首を縦に振ってどうにか応じ、
腰を浮かせてゾディアックが下着を引き抜くのに協力していた。
「あぁ……いや、いやぁ……」
それでもやはり、女陰を晒すのには羞恥が優ってしまったのだろう。
右手で股ぐらを、左手で顔を隠して首を左右にふりづづけていた。
「お前。さっきは自分からまたがってきたじゃねえか」
「だって、お酒……抜けたら恥ずかしくって……」
「はぁ……あのさ。じゃあ、僕も脱ぐから見ろよ……こっちだって恥ずかしいけどな」
ゾディアックもまた下着を脱ぎ捨て、表れ出た男根はもちろん固く屹立していた。
「えっ、えっ、えっ、ええっ?!」
「あのさ今更おぼこいフリすんのマジやめろよな?! 指の隙間からバッチリ見てんじゃねえよ!!」
さっきだってさんざん弄繰り回してしゃぶって無理やり勃たせたクセに、と星術師は付け加える。
「ごめんなさい……だけど、今、その……それが、おおきくなってるのって……」
「言わせんなよ……興奮してんだよ、挿れたいと思ってんだよ、悪かったな!」
「うれしい……」
「なんでだよ?! 馬鹿なの?! 変態なの?!」
「極めて正常な感情だとおもいますけれど? 焦がれるほどに恋した異性が、わたくし自身を求めるあまり、
そんなに固くなさって……これをうれしいと思わない女はいませんわ?」
「わかるかよ、僕は男なんだよ」
「嘘おっしゃい。殿方だって同じでしょう……よろしいですわ、ご覧なさいな。
わたくし、貴方を求めるあまり、欲しがるあまり、こんなにも――」
姫君は覚悟を決めた風情で、顔と股間を多い隠していた手をはずし、
「――濡れております」
大股開きとまでは行かないまでも、両の脚を開いてその中心部を見せつけた。
「う、お…」
本能的に抵抗できない。ゾディアックの目付きの悪い視線は、吸い込まれるようにそこに向けられた。
先程押し倒された際には、樹海の魔物もかくやと思うほどにグロテスクに恐ろしく感じた雌の大口が
――今はこんなにも魅力的だ。
「貴方とつがいたいと望むあまりに、ここまで準備が整いましたの。どう、嬉しくはなくって?」
「別に……」
とっさに否定するものの、身体は何よりも正直だ。
「ふふっ、どうなさったの? それ、まだ一回りおおきくなりましたわよ」
さらなる興奮で、硬度を増し、腹につくほどに角度をつけた男根を指さされ、
「……うるさいな」
悪態をつきながらも、少年は女陰を観察する瞳をそらすことができない。
姫君の手足は航海でこんがり焼けているものの、陽にさらされない、下着の内側の地肌は透き通るように白く。
その白く、こんもりと盛り上がった恥丘は、ほんのりと桜色に染まっていた。
さらなる中心部に至っては艶やかな鮮紅色だ。さきほど男の指で刺激された陰唇は充血して膨らみ、
奥から溢れ出した淫蜜でてらりと濡れ、光っていた。
そして――
「……血ィでてんな」
膣口からは愛液に混ざって、破瓜の血が一筋流れ出ていた。
「さっきは痛くしちまってゴメンな」
どちらかと言えば陵辱されたのは少年の方であったのに、何故か謝罪の言葉が口から出る。
「いえ、酔った勢いとは言え、わたくしの方こそ貴方の気持ちを確かめずにあんな事……ごめんなさい」
「もういいって。たしかにさっきは怖かったし驚いたけど……嬉しかったし気持ちよかった。それよりさ――」
「えっ……えっ……?!」
少年は姫君の開いた脚の間に上半身を潜り込ませ、恥辱にもがく両腿を腋で挟むようにして押さえつけ、
「まだ痛むんだろ? 舐めてやるよ」
そのまま女陰に顔を近づけ、そして口づけた。
「いっ、いけませんわっ……あ、あぁッ……き、汚いから、だめぇ……」
「お前だってさっき僕のをしゃぶっただろ、おあいこだ」
少年は姫君の制止を無視して舌を伸ばし、少女の下の唇をべろりと舐め上げる。
先程キスで上の唇を癒した時と同じ要領だ。痛みを与えぬように粘膜を舌で優しくなぞる。
口内に広がる鉄臭く生臭い味。そこからは上手くできたとおもう。
発情している雌の果肉を左右に開いて露出させ、蜜と共にこぼれ落ちる血液を舌と唇で清めていく。
はじめは赤みが強かったその混合液も、女陰が舌で刺激され感じゆくほどに、愛液の分泌量が増加し
色を薄め、味を変化させていった。
「や……んっ!」
肉の深部を舌でぬぐっていると、姫君は跳ねるように身体を震わせた。
「ごめん。痛かったか?」
「そ、その、痛かったわけじゃなくて……」
姫君の表情から察して、なるほどと、少年が膣内へとぐいぐい舌を押し込んでいけば――
「ああぁっ?! ふぁぁ……あーっ! あーっ!」
少女の上の唇からは甘ったるい喘ぎがこぼれ、下の唇からは粘っこい淫蜜がこぼれる。
「いじわる…いじわるぅぅ……」
「何が意地悪だよ、感じまくってるクセに」
少年はもう十分だろうと舌を膣から引き抜き、いかにも意地が悪そうな笑みを浮かべる。
「しかしやっぱりイイ声で鳴くな、お前。もっと聞かせろよ」
「当然ですわ……声はプリンセスの命ですもの。ねぇ…本当にもっと聞きたい?」
「そりゃぁな」
「でしたら……」
姫君はどう表現したらいいものかと悩んでいたようだが、
「――それで、鳴かせて」
やがて少年の固く勃起した陰茎を指さした。
「きゃっ?!」
気づけば。
少年は言われて即座に姫君にのしかかり、乳房の谷間に顔を埋め、太腿や恥丘にペニスをすりつけていた。
そのあまりに衝動的な行為に、少年は自分で驚いたが、情欲の奔流に押された雄の身体がもう止まるわけがない。
「いいんだな?」
それでも、いきなりねじ込むのはどうかと思ったのか、一つ言葉で確かめると、姫君はこっくりとうなずいた。
――挿れたい。
さっきまで、血を流すそこを癒してやりたいと思っていた気遣いはどこへやら。
今はただ、痛いほどに勃起したそれを雌の孔へと押しこみたい。
ゾディアックは初め、姫君の身体に乗っかりながら腰の動きだけで入り口を探っていたのだが、
初心者にそれが適うわけもない。仕方なく上体を起こして、雄と雌、それぞれの性器を目視し、
ペニスを握りしめて女陰にあてがい、そこにあふれる蜜を亀頭にからめて行く。
「……行くぞ」
剛直が粘液塗れになったころ、腰を使って蜜壷へと突きいれようとしたのだが――
「あ、れ」
滑る。
入らない。
同じことを2度3度と繰り返すが、上手くはいかない。
「くっそ……」
焦ってぐいぐいと先端を押し当てるも、それは敏感な雌の花弁を刺激して、
姫君にせつない悲鳴をあげさせるだけの結果に終わった。
「……う、うぅん……ヘ、ヘタクソですわねっ!」
「うっ……く!」
「言われる側の気持ちが少しでも分かりまして?」
「悪かったな……はじめてなんだよ!」
「違いますでしょ。に・か・い・め。さっきので何一つ学ばなかったんですわね。これだから愚鈍な方は……」
「うるさいな……って、そうだ。こんな時はーー」
女の腰の下に枕をはさめばいいと聞いたことを思い出し、事実、彼はそのとおりにした。
「あの、これ、なんていうか、あそこを……差し出す感じになってすごく恥ずかしいんですけれど!」
「いいだろ、もう! 挿れるぞ!」
逆ギレ気味に叫びながら、今度こそはと姫君の股ぐらを突っついていた剛直をぐいと押し進めれば――
「あ、はいっ、た……」
角度があっていたのか、亀頭がズルリと膣内へとうずもれていた。
「う、うぅ……」
肉棒が膣粘膜にねっとりと刺激される感覚に思わず意識を飛ばしかけていたが、
姫君のすすり泣くような声を聞いて、我に返る。
「ごめん……だいじょうぶか?」
「……まだ、ちょっ、と。痛い、かも。でも、さっきよりずいぶんマシですわ……つづけて?」
見つめ合い、頷き合う。
姫君の肉の隘路はもちろんまだまだ開発がたりず、せまく、きつかったが、
それでもぬかるんだ蜜壷は徐々に、だが確実に、男の物を受け入れていった。
「ああ…あぁ、来てますわ……来てますわ」
「そんなの僕だってわかってるから、言わなくていいって!」
いやらしい実況がこのまま続けば、言葉でどうにかなってしまいそうだった。
「んっ…んぅ……鳴き声が聞きたい、などと言ったのは貴方でしょぉ……」
「そんな事言いやがって……やめろよ、おかしくなりそうなんだよ」
事実、奥へと突き進むほどに膣壁は妖しくうごめき、肉茎を締め付けて、射精をさせんと誘ってくる。
「構いませんわ……」
「お前っ……何っ!」
姫君は、星術師の後頭部へと手を伸ばし、自分の身体に密着させるかのようにぎゅうと抱きしめた。
はずみでついには男根の根元までの挿入がなされる。そして陰茎の体積分だけ蜜壷からは愛液が溢れ落ちた。
触れ合った肌から鼓動が伝わる、にじみ出た汗が混ざり合う、互いの香りが強くなる、顔が近づく、目と目が通じる。
「だったら、おかしくなっちゃいなさいな」
そして少女は少年へとくちづけた。もう、ついばむ合うだけの子供のキスではない。
粘膜を絡ませあい、互いの唾液を交換しあうような、雄と雌の口づけ。
「知らないぞ……僕はホントに知らないからな!」
とうとう理性をゴミ箱へと放り捨てた少年は、腰を前後に動かし始める。動作はぎこちないが、
ペニスは着実に膣道を往復して刺激し、濡れた肉のこすれ合う音がする。
「く……ハ、すっげェ、エロイ音すんな」
「だめぇ……やぁ、だめぇ…そんな事いわないでくださ……あ、あぁぁ……!」
「わっかんねぇ奴だな! エロ声はいいけどエロ音は恥ずかしいのかよ! 聞けよ! もっと!
ほら! 僕たちが繋がってるところから音してんぞ! ぐっちゃぐっちゃってな!」
「だって……だってぇ、やぁぁあぁ……だめぇ……」
駄目と言いつつも、姫君の声からは苦痛や嫌悪がほとんど感じられない。
「はっ、あ……なあ、どうだ。今度は良くなってきたのかよ?」
「少し……だけ、しびれるような……んっ、あぁ……うん、いいかも、しれません、わ」
プリンセスの声には甘いものが混ざり始めていた。
先程までは抽送のたびに抵抗を感じさせていた膣壁も、男の動きを妨げない程度にはほぐれつつあった。
だが、具合の良くなってきた蜜壷に、経験の足りないペニスが長時間耐え切れるわけもなく――
「ごめん…悪い……もう、出るっ!!」
たちまちのうちに射精感を高められたゾディアックが、すんでの所で膣から陰茎を引き抜けば、
鈴口からは弾けるように精液が飛び散って、姫君の腿や腹を白く汚していった。
「く…ふぅ……」
少年の口から、射精の余韻で思わず間の抜けた息がつかれる。
――が、休む間もなく姫君に抱きしめられ、交合直後で互いに呼吸の乱れた唇があわさりあった。
呼吸困難に陥られされた少年は一言文句を言ってやろうと姫君の顔を見て――逃げ出したくなった。
「わたくし……まだなんですの」
姫君の目には、色情の炎があかあかと燃えていた。
「ねぇ……もう一度、いたしましょう?」
「待てって……そんな、すぐにはっ!」
「お疲れ? でしたら最初の時のように、今度はわたくしが上で……」
「人の話聞けよ!!」
結局プリンセスが絶頂を得たのは、それから5度の交わりを経てからであった。
「も……無理、休まして」
すっかり搾り取られた少年は、肩で息をしながらベッドに突っ伏していた。
「あら、まだまだ夜はこれからですわよ」
「僕の体力はもう限界なんだ! 殺す気か?!」
「それだけ大声が出せるなら元気な証拠ですわ……ね、また綺麗にして差し上げます」
そういった唇で、すっかり萎んだ陰茎を口に含み、こびり付いた愛液と精液を口内で清めていく。
「ったく……ほんと淫乱お嬢だよな、お前って!」
「ふぁん? ひゃふれてふぃぅふて、ふぇふのよ?!」
「せめて、そいつを口から外してモノ言えよ! だいたいさっきも聞いたけどよ、
お前って初めてだったクセになんでそんな色々知ってんだよ?!」
姫君が、ちゅぽんとペニスから唇を引き抜けば、それらはつうっと銀糸を引いた。
「それは貴方もでしょう? 変なところ色々と手馴れていたじゃございませんの」
「……男同士だったらさ、別に聞く気がなくっても、酒の席の猥談で覚えちゃったりするんだよ」
「でしたら、わたくしも同じというか、その、みなさんから……殿方が喜ぶ方法をいろいろと教わりまして」
ゾディアックは額を抑えて苦笑する。
「なんだよ……聞きかじりかよ」
「そちらこそ、聞きかじりじゃございませんの」
「うるさい、耳年増」
「お黙りなさい、耳年寄」
そして二人は罵詈雑言を投げ合いながらも、いつの間にやら口づけを交わし、
身体を寄り添わせ、情欲を深め合いながら、夜を過ごしていったのであった。
<了>
>>351 聞きかじりの経験ご馳走様でした。
しかし、これだとうちのファーマーファイブとか
お子様同士で色々と聞きかじった事を実践していそうだ・・・ゴクリ
GJ!
聞きかじりの経験がエロスにつながるなんてめからうろこだよ!
上手いタイトルだ。GJ
364 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/23(金) 14:12:21 ID:C0TmZNZj
おおおGJ!
うちも大航海で人工呼吸イベ出したのはプリとゾディだった
青髪プリンスと紫ゾディ子だったけどね
すまん、うっかり上げてもうた
sageますorz
月の犬マダー?
>>366 保管庫にChapter6が投下されてたけど、まだアナウンスはなかったっけ?
その続きのことならわからん
>>351 紫姫がぽっちゃり描写なのはなんですか。趣味ですか。俺と酒を酌み交わしませんか。
>>351 面白エロかった!GJ!!
「パンツ一丁」と「チョキを開いたり閉じたり」で噴いたww
そして紫姫のふくよかさを想像して全力でハァハァ(´Д`*)
クジュラさんといい真祖といいイケメンにモテモテだよな姫様
そしてクジュラさんといい真祖といいマゾなのかと思うよ
…ということは姫様はサドか、あの黒い笑顔で攻めるのか
ネイピアさんにニヤニヤしながら尻を掘られ、フィリピーナに挨拶代わりに乳で窒息させられ、
釣ったタコに触手責めされ、姫様に満面の笑みで座布団にされる宿子可哀想…
可哀相だから俺が代わってやるぜ
>>371 あの黒姫様は溜まらなかった
オカズにするために五周近く深都ルート回ってるわ
だが当の本人は機械のお兄様しか見えてないという
お兄様もお兄様でえらくモテるしな
でも姫様クジュラさんが殺されて怒り狂って襲ってくるよな
クジュラさんも兄様の次くらいには気に掛けられてたんじゃないか?
そりゃお前、お気に入りのおもちゃ壊されたら誰だってぶち切れるだろ
スク水に機械王の刃翼をプレゼントしてあげたい
そう・・・そのまま飲み込んで・・・深王様のデュランダル・・・
姫×クジュラさん話に期待
海姫×深王だと異形×機械という超誰得状態になるな・・・
いっそ100年前の森での秘め事に望みをかけるしかないのか
語り手は婆様で
今更ながら海都ルート
スク水さんに蔑まれた
興奮した
4層ネタばれを含むのだが、
クジュラ(一部)XシンXビーキン♂1の需要はあるのだろうか。
君はこのレスをスルーしても良いし、服従する和服美人にハアハアしても良い。
まて、一部ってなんだ
拾った幻獣は本来、要らなくなったら使い捨てる物(一部の契約したモノを除く)。
シンはハマグリの幻獣>敗北>要らん
クジュラさんがちょい役で登場します。
けっしてクジュラの四肢その他をもぎ取ったりする話ではナイノダー
把握。
服従和服美人期待。
和服美人ハァハァ
クジュラさんがはまぐりを召喚してオランピアさんが馬並みを召喚とか卑猥だよね
女の子が引退してアンドロ加入とかカレンデバイス的リョナが感じられて良いよね
※深都ルート4層ネタばれを含みます
※俺解釈を含みます
※変態的なプレーがあるやもしれません
※作者は遅筆です
※クジュラさんが相当鬼畜です
※和服美人は文化遺産です
※和服美人が和服で無くなる可能性もあります
※和服美人のお尻は最高です
※和服美人のおなかが人為的にぽってりする可能性もあります
以上を、ナインスマッシュの回数振れ幅よりも広いお心で許して頂けた方は下へスクロールを。
許せない方は『和服美人』或いは ID:lIafnKjUのNG登録をお願いします。
16階、南西の部屋。
そこは以前、獣男含む5人の仲間とオランピアたちが、クジュラとその使役する幻獣、シンと戦い、苦しいながらも勝利を収めた場所だった。
獣男にとっては、初めて未踏の迷宮に、しかも最前線に出た場所であったので、感慨深くないと言えば嘘になる。
奇しくもパーティーメンバーもその時と同じ、盾子、槌子、星子、忍男が一緒であったのは、何かが起こる前兆だったのかもしれない。
「そろそろ、例の場所。用心するで御座る。ニンニン」
ギルマス、兼探索のエキスパートの忍男が注意を促す。
探索中の奇行が若干目立ち、面白そうな素材を見付けるとすぐに料理しようとする所を除けば、バランス感覚に優れた、理想のギルマスと言えよう。
今回の探索の目的は、4層最深部までの素材の回収、及びシンが再出現しているかの調査。
それなのにこのギルマスは……
「ふむ、蛤と言ったらやはり酒蒸しで御座ろうか。いやいや、あの大きさなればもっと別の……どう思われる、槌子殿よ」
「前回みたいに『ヨウガンジュウは石焼芋の石代わりになるであろうか』とか言って死にかけなきゃどーでもいいわよ」
「これは手厳しい。結局あれは火力が強すぎたので御座ったなあ」
いつも通りの、気が抜けているのか、メンバーの緊張を解こうとしているのか分からない忍男の与太話。
「私としては、寧ろクジュラが再び警戒線を張っていないかが気になりますね。今回はオランピアさんもおらんぴあですし」
と、星子。
「反応に困るぎゃぐで御座るなあ」
「返答は期待していません」
いつも通りの会話だ。
「ぬ、各々方、静かになされい。殺気を消して、音を消して。ついでに雑念と煩悩も」
「あんたが言うな」との意味を込めた槌子の無言のヤグルシが一発、忍男の頭に入ってパーティーは静かになる。
扉の向こうからは、聞き覚えのある男の罵声と、出来ればもう聞きたくなかった女の声がする。
忍男の手招きで近づけば、扉は半開きで、中の様子も見える。
壁に括り付けられているのは、半裸のシン。その前に立っているのはクジュラ。
片手は素手で、もう片手には鞭を持っている。
血気盛んな槌子が飛び出そうとするが、忍男に押しとどめられる。
「この蛤……貴様は、どうして、そう、役立たずなんだ?」
クジュラの一言一言に合わせ、鞭がシンに飛び交う。
口調こそいつも通りの平静ではあるものの、顔には明らかな侮蔑の表情が浮かんでいる。
「蛤と言うのなら、せめて女の股倉の赤貝くらいは働くものと思ったが」
あからさまなクジュラの言葉に、盾子の顔が真っ赤になる。槌子の顔は、真っ赤を通り越し、クジュラへの怒りで真っ青になっている。
「全く、とんだ見込み違いだった」
言葉の終わりに合わせ、シンの痣だらけの腹部に拳が飛ぶ。身を折ろうとするが、括り付けられているので、それも出来ない。
「姫様の為に」
聞くに堪えない音を立て、シンの豊満な胸へと
「拾ってやったにも関わらず」
腹へと
「むざむざ倒されおって」
女陰へと鞭は飛ぶ。
「唯一役に立つ所は、街の商売女よりは頑丈なところだが、流石に飽きた」
最後の一言に合わせ、シンを戒めていた紐を斬り飛ばす。
懐から注射器の様なものを取り出し、クジュラは独り言のように言う。
「幻獣と言うのは、随分脆い物でなあ。こんな少しの薬を穴3か所に入れられただけで、苦しんで死ぬそうだ」
クジュラの顔に、初めて愉悦が浮かぶ。
「未だ、使ってみた事は無くてな。どうせ捨てるゴミならば、どんな捨て方でも構うまい」
そう言って、クジュラはシンを四つん這いにさせ、検分を始める。
「全く、菊も赤貝も締りが無くなって。これでは商売女にも劣る」
その時、シンが初めて言葉を発する。
「……い……や……なんでも、するから、させて頂きますから……捨てないで……下さいませ」
その言葉に、クジュラは心底呆れたと言った顔で答える。
「黙れゴミ。役立たずに用など無い」
シンはその言葉に、さめざめと泣き出す。
「尻を下げるな売女。見難い」
クジュラはそう言って、注射器をシンの菊花に突き入れる。
クジュラの注意は完全にシンに向いている。君達は飛びかかっても良いし、そのまま待っても良い。
〈前編終了〉
前編終了です。
ご指導ご鞭撻その他ご批判etc
お待ちしております。
前中後編の3部構成予定です。
駄文故、お見苦しい所も御座いますが、どうかお許しください。
ビーキンが空気?聞こえないナー(中編以降にしっかり出ますのでお待ちください)
GJ!!
忍男ワロタww
君達は忍男の合図で一斉にクジュラに向かって飛びかかって行く。
先頭は忍男。普段は奇行こそ目立つものの、その実力は本物だ。
叫び声の一つも上げる事無しに、手にしたクナイでクジュラに斬りかかる。
と、その刹那、クジュラの姿はかき消える。
「上だ!」
獣男は叫ぶ。嗜虐の愉悦に浸っていたとは言え、その体捌きに一寸の曇りも無い。
空中から、無言で斬撃が飛んでくる。
盾子は前進、全員後退と思いきや、突進してくる猪が1人。
「盾子ちゃーん、ウチ上げて―」
槌子の言葉に盾子は右手を鷹匠のように水平に出す。
槌子がその右手に飛び乗った瞬間、盾子は人間離れした膂力で槌子を空中に放り投げる。
一瞬でクジュラと同じ高度に到達した槌子。
「せーのぉ」
槌を振りかぶる。
「五ォ連打ァ!」
竜の頭の幻覚でも見えそうな勢いで、クジュラに槌を振りおろす。
無論、クジュラもそう簡単には喰らう筈も無く、槌の軌道に合わせて斬撃を置き、攻撃をいなす。
空中でそれ程打ち合えるわけも無く、互いに距離を取って着地する。
「クソッ、また貴様らか」
クジュラが苦々しげに吐き捨てる。
「ハ、やかましいわ。このド変態のド外道!」
槌子も顔を真っ赤にしながら怒鳴り返す。
「うるさい。貴様は今までに殺したモンスターの数を覚えているのか?多少外見が人に似ていたとて、自身の所有物の蛤を嬲って何が悪い。ほれ、こいつは深都に害を為す幻獣だぞ?ん?」
「六千五百十二匹」
「星子殿、そのままの意味では無いと思うので御座る」
と、言い争う中、シンがクジュラにずりずりと這いずって近づいて行く。
「……ご、しゅじんさま、おけがは、ございませんか?」
息も絶え絶えと言った様子だが、それでも健気に、自身をそんな目に合わせたクジュラの身を心配している。
「黙れ」
クジュラの反応は至って単純だった。下から見上げるシンの顎に爪先を掛け、蹴り上げる。上体が仰け反ったら、次は鳩尾。苦しさに身を折ったら脇腹に横薙ぎの蹴り。
「もう、貴様は要らんと言った筈だ。汚らわしい。疾く死ね」
その行為に、今まで成り行きを見ていた獣男が一歩前に出る。
「お前に、憐憫の情は無いのか」
「なんだ獣使い。この蛤がそんなにも気になるか?なんだったら胸でも、尻でも、好きに使うが良い」
クジュラが一言発する毎に、獣男の槍を握る指からは血の気が引いて行く。
「それ以上、喋るな」
「どうした、そうか、同情したか?こんな使い古しの、あばずれにか?」
「喋るなと言っている。この人でなしの○○○の×××がっ!」
「うわー、獣男君、完ッ璧に切れてるわ―」
「言葉づかい、お下劣」
「熱くなるのも良い事で御座るよ」
外野は三者三様の反応であるが、当人たちにはそんなものは関係ない。
と、再びシンが動き出す。
「……ごしゅじんさまを、悪く、言うな」
獣男はシンを驚きの目で見つめる。
その隙をクジュラが見逃す筈も無く。
「はあっ!」
獣男の胸元に突きを繰り出す。
間一髪避けはしたが、獣男の胸に紅い線が走る。
そしてクジュラの返す刀は、
「黙れと言った筈だ」
シンの背中を袈裟がけに斬る。
〈中編、1/2終了〉
スミマセン、予想外に長引きそうです。
中編、もう一回位続きます。
ネタが一部ありますが、生温かい目で見て頂ければ幸いです。
遅筆ですが、多めに見て下さいm(__)m
ご指導ご鞭撻その他ご批判etc
お待ちしております。
切り捨てるや、クジュラの目が血走って行く。
「ふむ、これが噂の血染めの朱槍で御座るか」
「下種」
「最低です」
散々な評価である。
「刀の試し切りも終わった。もう用は無い」
クジュラは踵を返し、白亜の森への転送装置へと歩いて行く。
「待てクジュラ」
獣男が言う。
「尽くしてくれた、シンは連れて行かないのか」
クジュラは、何か言葉の通じない者を見るような目で獣男を見る。
「もう要らん、と言っただろう」
シンを見てみれば、目からはらはらと涙を零している。
幻獣だけあり、未だ息はあるようだ。
「そうか」
獣男は呟き、俯く。
クジュラは向き直り、転送装置への歩みを進めて行く。
「クジュラ」
「しつこいぞ、獣使い」
「次に会う時が貴様の命日だ」
獣男は下を向いたまま言い放つ。
「今年聞いた中で一番面白い冗談だ。ではな」
クジュラは転送装置に消えてゆく。
その場に残ったのは、泣き続けるシンと、パーティーの面々のみ。
忍男は、シンと対角の隅に全員を集め、話し始める。
「拙者……流石にあれを酒蒸しには出来んで御座るよ。ニンニン」
「その発想を未だに引きずってたアンタがすごいよ」
と、槌子。
「……深王に渡すと恐らく処刑。どこのギルドに発見されても、恐らくはバラバラにされて素材」
「星子殿、無表情にそれの言葉は流石に厳しいで御座る」
「笑って欲しい?」
「そちらの方が怖いで御座る」
「……そう」
「あ痛、星子殿、足、小指、踏んでるで御座る!」
「……踏んでるのよ?」
「『当ててるのよ』と違って嬉しくないで御座るうぅ……でも星子殿では『当ててる』のは物理的に……ハッ」
占星術師が忍者に関節技を掛け始める。一種奇妙な光景だ。
「はいはい、続きは宿でしましょう。今はシンの取り扱い……ですね?リーダー?」
「そ、そうで御座ったな盾子殿」
この間、言葉を発していなかった獣男が発言する。
「連れて帰ろう」
「それが決まらないから相談しているので御座ろう。流石に……のう」
「責任は、全て取る。首を賭けよう」
と、獣男。
「構いませんが……恐らく大変ですよ、獣男さん?」
「分かっている。深王への申請もこちらで全てやらせてもらう。使役獣と言えば流石に疑わないだろう」
「決まったで御座るな」
〈中編、2/2終了〉
中編、終了しました。
こんなもので宜しいのでしょうか……
後編はGW明け、或いは本日夕方過ぎます。
駄文でスミマセン
…クジュラさんがチョイ役じゃないのは仕様ですorz
gj!シンのエロは拘りないのだがパーティの男前度は気になるな
行間空ける癖は気をつけたほうがいいと思う
>>403 GJっす。シノビがなんか哀れだw
さて、割り込む形で申し訳ないですが、1作投下させていただきます。
上で投下したものの続きを書いている最中に、変な電波の攻撃を食らってしまい、
勢いで書き上げてしまったものです。
髭パイレーツとシノビ姫子、いわば髭×姫のエロありSSです。特殊なプレイ……、
は無いはずなので特に注意書きはなし。
規制で携帯を介しての投稿になるため、少々時間がかかりますがご容赦を。
「頼む、このとーりだっ!!」
夜。やけに明るい月が照らす、デッキの廊下。
姫子は、目の前でプライドの欠片もなく土下座するパイレーツのもじゃもじゃした赤髪を、
投網に絡まった海草でも見るような目で見下し、溜め息をついた。
ここは、海都アーモロードから北の海域へと向かう船の上。
360度全てが、仄暗い海のど真ん中。さざ波の音も静かで、まるで闇の真ん中に宙ぶらりん
になっているようだった。
ちなみに、今は出航からすでに3日も船の中。保存食が充実し、長い航行が可能になった
とはいえ、そろそろメンバーにも疲労が溜まってきたころだった。
そんなところに重ねて、眠りに着こうとした姫子の目の前で、無駄にでかい体躯の男が
通路を通せんぼして頭を下げている。姫子のうんざり度はMAXに達しようとしていた。
「改めて聞くわ。一回聞いただけだと、ちょっとにわかに信じがたいお願い事だったから。
……で? 私に何をして欲しいって?」
腕組みしながら姫子は尋ねる。パイレーツはこの暗がりの中でもやたらとテカテカ光る
髭面を上げて、食い入るように姫子に言った。
「何度でも説明しよう。……全ては俺の不注意が原因なんだ。今回の船旅は長いものになると
わかっていた。そう、わかっていたはずなのに、俺は出航前に大事な準備を怠ってしまった
んだ。ああ情けない。俺としたことが。バカなやつめと罵ってくれればいい」
やけに神妙な面持ちで語っているが、パイレーツを見る姫子の目の冷たさはなおも一定、
きっかり0℃を保っている。
「だが、さすがの俺もそろそろ限界だ。なあ、頼む姫子、お願いだ――
……分身生み出して、そいつと一発ヤらせてくんね?」
「死っっっね!!」
姫子のカカト落としが炸裂し、パイレーツの頭が甲板にめり込んだ。
時刻は0時。灯台も見えない辺りの海は静まり返り、床板の砕ける音が水面によく響き渡った。
「なんでだよぉっ、こんなにお願いしてんのに!」
「うわああっ、何事もなく復活してんじゃないわよ! 血ィ吹け、血!」
パイレーツは頬に刺さった木屑をちくちく抜くと、改めて姫子に向き直った。
「なぁ、頼むよぉ。俺もうマジで限界なの。はち切れそうなの。ミリオンスラストどころの
話じゃないの、ビリオンドローしちゃいそうなの」
「黙らないとその下衆のタネ5億ずつ袋ごと叩き割るわよ」
両手を合わせて懇願するパイレーツだったが、怒りのこもった溜め息とともに、姫子は
そっぽを向いた。
そもそも、姫子はこの男が苦手だった。
見た目どおり粗暴で乱暴、かてて加えて男くさい。
海賊という職業もはっきり言って気に入らない。いざとなれば仇なす者の闇討ちも厭わない
自分の職を棚に上げて言うのもなんだが、人の財産を強奪することを生業とするような人間
とはあまり関わりたくなかった。
だから、姫子が仕えるプリンスが、こいつを仲間に引き入れようと言ったときは自分の
耳を疑ったものだ。……まあ、主人と知り合ってからは、そのような手癖はなりを潜めて
いるようだが、それにつけても、だ。
こんな不躾で非常識な願いを、仮にも一緒に旅をする仲間に平気でしてくるのだから、
やはりこの男の底が知れるというものだ。
「いーだろが別に。分身っつったって、別にお前自身に何か影響があるわけじゃないだろ?」
「……それはそうだけど」
姫子が得意とする忍法、分身は、文字通り自分の分け身――影を生み出す技だ。
とはいえ、影と自分自身は別に感覚も、記憶も共有しているわけでない。なので、たまに
モンスターに特攻させるなどの無茶をさせることもあるが、姫子自身に全くダメージはないのだ。
「だから、舐めようが撫でようが揉もうがしだこうが突っ込もうがお前自身には何の影響も
ないんだろ?」
「それが生理的にヤだっつってんでしょーが!!」
まったく、これっぽっちもデリカシーがない。これだからこの男は嫌なのだ。
自分と瓜二つの人間が、この助平の権化みたいな人間に抱かれている姿など、想像する
だけで怖気が走る。
「そういうお願いならウォリ子にしなさいよ。あの人、そういうことには明け透けでしょ」
このパイレーツとほぼ同時期にギルドに加わった、今は自室で大いびきをかいて寝ているで
あろう、ウォリアーの女性を指して姫子は言う。
主人の感性を疑ったメンバーその2。なんだあの格好は。水着以下じゃないか。戦闘中、
女の姫子ですら目のやり場に困ることがある。
……いや、別にこれっぽっちもうらやましいとか、何食ったらそんなデカさになるんだ
教えろとか、そういうことは考えてはいない。
重ねて性格も天然というか、性根が知れないというか、飄々としていて何を考えているのか
分からない時がある。この男とはまた別の苦手意識があった。
「あいつか……。微妙に好みじゃねえんだよな。それに、前一度襲った時に、笑顔で頭カチ
割られた経験があってな」
「すでに前科持ちなのかよ!」
思わず変なツッコミを入れてしまった。まったくこの男は。
「……ん?」
と、そこで姫子はあることに気づいた。
今こいつは、ウォリ子は微妙に好みじゃない、と言った。
ということは、自分ならアリ、ということなのか……?
「……っ」
「? なんだよ急に、何赤くなってんだよ?」
「な、何でもないわよっ! バカッ!」
動揺を気取られまいと、姫子はそっぽを向いて答えた。まったく、面倒くさい男だ。
411 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:28:07 ID:EvOYlXDp
「それに、あいつはいま、王子の貞操を奪おうと必死だろうが。俺につけいるスキはねーの」
「……王子の部屋の鍵、大丈夫かしら」
少し心配になる姫子。
ウォリ子がこのギルドに入ったきっかけというのも、たまたま街ですれ違った彼女が姫子の
主人であるプリンスに一目惚れ、アーモロードの中心で白昼堂々「結婚して!」と愛を叫んだ
というある意味劇的なものだった。
普通ならドン引きもの(実際引いた)のところを、姫子の主人は「面白い人ですね!」と
何故か逆に彼女のことを気に入ってしまい、姫子の抗議も虚しくギルド入りが決定したの
だった。
それからというもの、姫子の心労は増大した。ことあるごとに、ウォリ子はプリンスに
べたべたくっつき、そのたびに仲裁に入らなければならなくなった。
ウォリ子の猛烈なアタックの内容は日に日にエスカレート、ついに王子のズボンのチャックに
手がかかったところで、姫子の堪忍袋の緒が切れた。
狭い船内に、各員専用の鍵つきの個室が作られる流れとなったのは、このためだった。
「とにかく、ウォリ子は却下! かといって、お前も俺なんかと寝たくないだろ?」
「当たり前でしょ、そんなに首撥ねられたいの?」
「俺もベッドん中でそんなキャンキャン吠えられたくねえよ。だから分身で手を打ってやる
っつってんだよ。ドゥーユーアンダスタン?」
マジでこいつ殺してやろうか。態度がだんだん高慢になっているのはなぜなんだこの無駄筋
野郎め。
「大体ねぇ、そんなに我慢できないんだったら、……あの、だから、その、一人でやれば
いいでしょうに!」
パイレーツは、やれやれとこちらがイラッとくる溜め息をつきながら、
「お前なあ……、この俺が今さらそんなもんで満足すると思ってンのかよ!?」
「わけわかんない逆切れすんなああっ!!」
怒りの雄叫びを上げる姫子。
本当にスケベでいやらしい。やっぱり自分は、この男のことが大嫌いだ。
「とにかく、あんたがガマンすれば済む話なの。以上。終わり。もう私も眠いんだから、
さっさと部屋に戻りなさいよ。一人寂しく握って出して、イカ臭いベッドで寝ればいいんだわ」
呆れ顔で辛辣な言葉を吐く姫子だったが、パイレーツの目は尋常ならざる光を宿して彼女を
睨み返した。その気圧に思わずひるむ。
412 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:29:36 ID:EvOYlXDp
「いいのか? 本当にいいのか? 襲うぞ?」
「はぁ? 襲えるもんなら襲ってみなさいよ。私の部屋に入り込んだ瞬間影縫って目ェ潰して
首チョンパしたあと細切って勇魚のエサにしてあげるから」
「せめて事に及んでからにしてください。ちげーよ、俺が襲うのはお前じゃねえ。
……ビキン子だ」
「………………はぁ?」
さすがの姫子にも戦慄が走った。
「あ……、あなた正気なの? ビキン子よ? キャラ絵でいうとよりロリな方のビキン子よ?
さらに言えばより児ポ犯罪的な方のビキン子よ?」
「ああ、わかってる。しかしな、俺はそれほどまでに自分の性欲を抑えきれなくなっているのだ」
真剣な顔つきで、さっきモラルがどうとか言ったその口で、一体何を言い出すのだこの男は。
「そ、そんなことさせるわけないでしょ!」
「そうだな、ああその通りだ。というわけで、おやすみ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! どこに行くつもりよ!?」
「どこって、もちろん『部屋に戻って大人しく寝る』だけだよ。お前も戻って寝ればいいじゃん。
眠いんだろ? ぐっすりとおやすみ、姫子ちゃん」
「くっ……」
白々しくも、よく言う。つまりこいつは、自分が眠りに落ちた後で、本気でビキン子を
襲おうというつもりなのだ。要するに、遠まわしな脅迫だ。
ちなみにパイレーツの言うとおり、姫子はいま相当に眠い。
日中は漁で投網やら釣竿やらを振りまくり、今も警戒のためにこんな時間まで起きていたのだ。
交替のために起きてきたパイレーツに、まさかこんなアホなことで眠りを阻止されるとは。
「って、あなた警備はどうすんのよ!」
「甲板でヤるか……、まああれだ、俺はクイックドローの持主だから、だいじょーぶ!
オールオッケー!」
「……もう死んでよ頼むから……」
いい笑顔でサムズアップするパイレーツに、頭に重い痛みが走り始める。
しかし、どうしたものか。たぶんこいつは、放っておいたら本当にビキン子を襲う。
あの自由奔放天然素材、小さい体で健気にパーティのために頑張る、純粋無垢な少女の
ことを手にかけようというのだ。ああ、反吐が出そう。助けて神様。
姫子は頭を抱えて悩んだ。
自尊心と睡眠欲と、一人の少女の健やかな未来を秤にかけ、出した結論は、
「………………………………わかったわよ」
「本当か!?」
「早い! 近い! 触るな!」
三白眼をキラキラと輝かせて近寄ってくるパイレーツを、姫子は蹴りでいなす。
「はぁ、まったくなんでこんな事に……。いい? 今日だけだからね? あと、甲板なんかで
やったら3回屠るわよ。自分の部屋でこっそりと、息を潜めてやりなさい」
「俺、けっこう声が出るタイプなんだけど……」
「あんたの性癖なんぞ、知・る・か!!」
さっきから何回目になるかわからない溜め息をついて、姫子は術の準備を始めた。これだけ
気の乗らない術式も初めてだ。
413 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:31:26 ID:EvOYlXDp
まず、質量を確保するためだけに必要な海水をくみ上げる。桶に張ったその水の上に、
結像と催眠の呪言を綴った呪符と、自分の毛髪を浮かべる。
準備が整ったところで、姫子は水面に手をかざして、ぼそぼそと起動の呪文をつぶやいた。
「おお」
驚嘆の声を上げるパイレーツの前で、桶の中の海水がまるで水飴のように立ち上がり、
人の大きさほどの細い水柱となった。同時に、呪符から靄が吹き出し、水柱をみるみる覆う。
ややあって、
「……完了」
晴れる霞の中から姿を現したのは、自分とまったく瓜二つ、同じ格好をした影だった。
基本的に、自分の命令があるまでは自立的には動かないので、なんだか精巧に作られた
自分自身のマネキンを見ているような気分になる。
「おお、相変わらずすげえな。俺もこういう技使ってみてえぜ」
「気持ち悪い想像させないでよ……」
赤髪をもさもさ生やしたマッチョが2人同時にうろうろしているところを想像してうんざりした。
「よし、じゃあ借りてくぜっ、ありがとな!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
「? なんだよ?」
影の手を引き、そそくさと連れていこうとするパイレーツを思わず呼び止める。
自分の片割れが、性の玩具として連れて行かれようというのだ。さすがに複雑な心境にも
なるというもの。
ていうか、本当にこんなことしていいのか? 次、師匠に会ったとき、どんな顔をして
会えばいいのだ。
もしこんなことに術を使ったことがバレてみろ。あの十字傷の顔が仁王像よりも険しく
変化して、赤FOEよりしつこく追ってきた挙句惨殺されるぞ。
土壇場になって悩み始める姫子に、パイレーツはそわそわしながら、
「なあ、もう行っていいか? 俺もう撃鉄引いちゃってるんだよねぇ」
「は、はあ?」
影の肩を抱くパイレーツは、小憎たらしくもいやらしい笑みを浮かべて、ちょいちょいと
下方を指差した。
そこには、妙に鋭角に出っ張ったスラックスの盛り上がりが――
「〜〜〜っ! 早く行けこの色魔!!」
「ういうい、さっさとイッてきま〜す」
左手をふりふり、パイレーツは船室のほうへ戻って行った。
パイレーツと寄り添って歩く自分の背中を見送った姫子は、思わず船室の壁にもたれかかった。
「はぁ……、疲れた」
途端に眠気が押し寄せてくる。
この後自分は、あの男に抱かれるわけだ。やたらと高い身長に太い手足、重ねてあの余分
すぎるほどのエネルギッシュさ。
そしてあの……、布越しにもわかる、その、大きさ。一体どんな目に会わされるのやら。
「……駄目よ、私。想像してはダメ」
かぶりを振って、姫子は脳内に巻き起こる色々な想像を追い払う。
そうだ、気にしなければいい。影がどんな目に会わされようが、自分にフィードバック
してくるものは何もないのだから。
今はぐっすり寝て、明日一回あのアホをぶん殴って、それで万事解決。うん。
「寝よう……」
そう呟いて、姫子は自分の部屋へと戻った。
414 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:33:37 ID:EvOYlXDp
「…………寝られるかっ!」
一人ツッコミをかましながら、姫子はベッドの中でぱっちりと目を覚ました。
駄目だ、どうしても気にかかる。
だって、自分と同じ人形(ひとがた)が犯されてるんだぞ? あんな粗暴な男に。正気で
なぞいられるか。
姫子は寝巻きから、もう一度忍装束に着替えた。一応武具も仕込んでおく。念のためだ。
あれから10分ほど立つ。まだ最中、だろうか。事後ということはないだろう。
前フリが長い男ならばまだ始まってもいないかもしれないが、あの様子では部屋に入った
途端にひん剥きにかかっているだろう。
どちらでもいい。あいつの部屋に忍び込んで、麻酔針一吹き、眠りの底に叩き込んでやる。
今思えば、甲板で出くわしたときになぜそうしなかったのかと悔やまれる。
船の警備役がいなくなるが、この際徹夜でもなんでもしてやろう。それより今は、心の
貞操を守るのが先決だ。
寝室の外に出る。吹きさらす風が冷たい。
パイレーツの部屋は、プリンスの部屋を挟んで一つ向こうだ。
姫子はすぅ、と静かに息を吸うと、周囲の空気に自分の気配を同化させた。
この船の個室は、はっきり言って狭い。入り口を開け、両腕を壁にこすりながら歩くような
狭い通路を抜けたら、簡素なベッド以外何も置けないような部屋と窓があるだけだ。
つまり、隠れるところなどどこにもない。ゆえに、完全に気配を殺して忍び込む必要がある。
が、もちろんそんなことはシノビである彼女にとっては十八番だった。
今から女を抱こうというのに、パイレーツの部屋のドアには鍵がかかっていなかった。
無用心すぎるが、今は僥倖。
一切の軋みも立てないように扉を開け、姫子はパイレーツの部屋に忍び込んだ。
部屋の闇に身を潜めたところで、姫子は自分の体の変調に気づいた。
(ちょっと、なんで私ドキドキしてるのよ……)
FOEの動向を一人で偵察しに行ったときも、不可解な動きを見せる元老院の真意を探る
べく館に忍び込んだときも、ここまで緊張することはなかった。
人がセックスしている場面を覗き見することへの背徳感か。
(……いや、別に覗きたいわけじゃないし。それを止めに来たんだから、別に)
動揺する必要はない。そう自分に言い聞かせ、深く一呼吸して高鳴る鼓動を落ち着けた。
耳を済ませると、部屋の奥から、物音がした。一定のリズムで、安いパイプベッドが
不快な軋みを上げている。
あちゃあ、と姫子は頭を抱えた。間違いなく、パイレーツと自分の影はまぐあいの最中だった。
パイレーツの荒い息遣いもはっきり聞こえる。ふっ、ふっ、と熱のこもった吐息をリズミカルに
繰り返している。ああ汚らわしい。耳栓をしたくなってくる。
眩暈のような感覚を振り払い、姫子はさらに歩を進める。精神的ダメージが低いうちに、
さっさとパイレーツを眠らせて、影を消してしまおう。
じりじりと、万に一つも感づかれぬよう、ゆっくりと部屋との距離を詰める。窓のカーテンは
開いており、ほぼ満月に近い月の光が部屋の中を照らしていた。
415 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:35:13 ID:EvOYlXDp
あと一歩で、ベッドの上で何が行なわれているかが見える。
姫子は思わず生唾を飲んだ。
ええい、何をためらっている。さっさと踏み込んであいつを止めるんだ――
意を決し、姫子はその一歩を踏み込んだ。
その目に飛び込んできたのは、予想に違わず、パイレーツと自分の生き写しの一糸まとわぬ
姿だった。
寝そべる影の右脚を抱きかかえるようにして股を開かせ、自身の逸物を深く、根元まで
突き入れ、激しい抽送を繰り返している。
顔に寄り添う影のふくらはぎをトカゲのような舌で舐めずり、ときおり餅でも食むかの
ように唇で弄んでは、獣のように鼻を鳴らしていた。
「姫、子、姫子ぉ……っ」
うわごとの様に姫子の影に呼びかけるパイレーツだが、分身は姫子以外の呼びかけには
ほとんど応えないようになっている。こくこくと力弱く頷くだけのリアクションに、パイ
レーツは面白くなさそうにうな垂れ、腰の動きを早めた。
がくんがくんと揺さぶられる自分の体。乳房も、腹部も、大腿も、全てをさらけ出し、
窓から差し込む月光を青白く照り返して、弄ばれていた。
自分は、男と寝る時にこんな姿を晒しているのか。あんな風に、柔肌に舌を這わされ、
結合部から淫靡な音を立てて、愛液を垂らして。
(っ!?)
先ほどよりも、さらに大きく心臓が跳ねだす。まるで狂った秒針のように、ドクンドクン
ドクンと体中に血液を巡らせ、姫子の体を火照らせていく。
(なっ、だ、駄目……! そうだ、麻酔針……!)
姫子は慌てて、腰に備え付けたポーチを開ける。樹海に潜むゾウですら一刺しで昏睡させる
秘薬を先端に塗りこめた針だ。
サックをつけた手で取り出そうとする。が。
(あれ、な、なんで……?)
指先がわなわなと震えて、針が上手く取り出せない。取り出せても、口に運ぶ前に力の
入らない指先からぽろりと落ちてしまう。
一体どうしてしまったんだ自分は。任務でも、こんなに緊張したことなどないのに。
慌てて気配を消すことすらおろそかになっている姫子だが、パイレーツはなおも気づかず、
影を犯し続けている。
「……ちょっと、体勢変えるぞ」
静かに頷く影だが、自ら動こうという気配はない。やれやれとパイレーツは呆れながら、
ずるりと自分のペニスを影の秘部から引き抜く。
「ぶっ!?」
思わず噴き出した口を慌てて塞ぐ。これだけ至近距離で物音を出しているのに気づかない
とはどれだけ熱中しているんだあの男は、と、そんなツッコミもどうでもよくなるくらい、
姫子は自分の目を疑った。
デカい。
巨根という言葉を今後おいそれと使えなくなりそうなくらい太くて長い。血の気が引く
思いすらするほどだ。
影の愛液をまとってテラテラ光るそれを揺らしながら、よっ、とパイレーツは影の体を
転がす。まるで座布団のように容易く裏返された影の臀部を鷲づかみにすると、熟れた桃に
そうするようにかぶりついた。
(やっ、やだ!)
まるで自分がそうされているようで――いや実際されているのは自分なのだが――、
姫子の頬が羞恥に染まる。
丸い尻肉に舌を這わせ、陰部の割れ目に沿って顔を上下させるパイレーツ。姫子は悪夢に
うなされるような目つきでその様子を見つめているが、影は少しも反応しない。
416 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:37:04 ID:EvOYlXDp
「……んー」
影の尻に顔をうずめるパイレーツは、なぜかしばらく何かを考え込むような顔をした後、
影の腰をぐっと抱いて持ち上げた。まるで尺取虫のように腰を上げる影。
「次、行くぞ」
後ろも振り返らずに、黙って頷く影に、パイレーツは溜め息をつきながら、秘部にペニスを
あてがい、ぐ、ぐ、ぐ、とゆっくり、その体内へ沈めていく。
ぬちゃ、と水っぽい音を立てながら引き戻し、また挿れる。その緩慢な運動を繰り返す。
まるで、犬の交尾でも見ている気分だ。
しかし、犯されているのは、自分自身の姿だった。
(……っ、何じっと見てるのよ、私! 早くあいつを眠らせるか、それか……!)
相変わらず、手は震えて思うように動かない。血が通っていないのか。いや、指先は
汗ばむほどに熱くなっている。
なら、他の方法でこの行為をやめさせないと――
そう考えたその時、まるで姫子の心の声が届いたかのように、パイレーツが腰の動きを
止めた。
「あー、うん、やっぱ駄目だわ、うん」
パイレーツは面白くなさそうに頭をぼりぼりと掻くと、影の体から離れる。
「ちょっと楽にしてろ。って、あー、普通に寝ろ、横に、ごろんと」
言われるままに佇まいを直す影。パイレーツはベッドに腰かけ、あー、とつまらなげに
天井を仰ぐ。
(何……?)
訝しむ姫子。影も、今まで命令を出していた人間が何も言わなくなったので、その表情を
覗き込む。
「ん? ああ、いや、お前が悪いわけじゃねえんだ、姫子2号。ねえんだけどさ」
影は首を傾げる。姫子もわけがわからない。なぜこの男は急に行為をやめたのか。てか、
なんだ2号って。
「声なしっつーのもキツイんだが、まああれだな」
苦笑しながら影の髪を撫で、パイレーツはぽつりと呟いた。
「……やっぱ、姫子本人がよかったなあ」
(なっ……!)
いったいぜんたい、何を言っているのだこの男は。だって、さっき、お前みたいな女とは
嫌だと言ったじゃ、
「お前に言うのもすげえ恥ずかしいんだが、さすがに好いた女にいきなり抱かせろとは
言えねえよなあ?」
(なっ、なっ)
好きだと言ったか、今、この男は? 私のことを?
聞き間違いと片付けるには、あまりに距離が近すぎた。それに、影に冗談など言っても
仕方がない。ということは、本気……?
姫子は慌てて首を振った。別に、嬉しくなんかない。自分はこの男が大嫌いだ。
あくまでギルドの一戦力、それ以上の価値など求めていないし、それ以外の全てにおいて、
こいつとはそりが合わない。
なのにどうして、顔を赤くしているんだ私は――。
酩酊感にも似た感覚に、膝を崩しそうになる。だめだ、まずい。今すぐこの場を離れよう。
これ以上、この男の言葉を聞いていてはいけない。でないと、今後絶対気まずくなる。
くっ、と息を止めて、入ってきた時以上に注意を払って立ち上がり、姫子は部屋を後に
する。はずだった。
先ほど、床に落として散らばった、麻酔針に気づくまでは。
自分がこの部屋に潜んでいたという、何よりの証拠。
(駄目だ、回収しないと――!?)
慌てた姫子は、自分がその針の束に足を踏み下ろそうとしていることに気づく。
しかも、不運すぎることに、その内の1本が矢尻を下にして先端を上に向けている――
417 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:38:44 ID:EvOYlXDp
「きゃっ!?」
「うおっ、な、なんだぁ!?」
麻酔針をよけようとした姫子は見事に足を滑らせ、そのまま床に派手に転倒した。その
物音に、ベッドの上のパイレーツが素っ頓狂な声を上げる。
……最悪の展開だ。
「ひ、姫子!? お前何やってんだよ!?」
「う、あ、こ、これは、その……、って、前隠しなさいよ前ェ!」
「ん、おお、すまんすまん」
パイレーツは動揺する様子もなければ、まだ半分元気な股間のものを隠す素振りもない。
むしろ堂々と胸を張っている。
いつもの海賊帽を脱いで、乱雑に振り乱した赤髪。鍛え抜かれた逆三角形の上半身が、
窓からの光を背負って、まるで壁のような威圧感を憶える。
「で? 何? 覗き? そういう趣味?」
「しゅ、趣味なわけないでしょ! だから、その、これはあんたを止めるために……!」
「ふーん……?」
未だに尻餅をついたままの姫子を見下ろして、パイレーツは八重歯を見せ付けるように
してにやりと笑い、
「……なあ、姫子?」
「な、何よ」
「お前、興奮してね?」
「なっ……」
姫子の顔に、動揺と羞恥の色が灯る。
「あ、あんたみたいなパッシブ発情男と一緒にしないでよ! 私は、別に……!」
「ほーお、じゃあさっさと立てよ。んで、眠らせるなり首に切りかかるなりご自由に」
パイレーツは、自分の首筋をとんとんと叩いて挑発してくる。
くっ、と姫子は唸って立ち上がろうとする。
……おかしい。なぜか膝に力が入らない。
「おい、どいてな」
なぜか影の肩を叩いてベッドの端に座らせるパイレーツをよそ目に、姫子は壁に手を
かけながら何とか立ち上がる。
言ってくれたじゃないか海賊野郎。お望みどおり、針でも苦内でも何でも食らわせてや――
「ほら」
「きゃっ!? ちょ……っ!」
パイレーツの腕が、自分に迫っていることにすら気づかなかった。忍装束の袖を引かれて、
倒れこむように姿勢を崩す姫子の体を、パイレーツの野太い腕が抱きとめた。
「はは、ふらっふらじゃねえか?」
「ち、違……! これは違うの! って、汗くさい! 離してよ!」
「えー……、どうすっか、なっと!」
白々しく言って何をするかと思えば、パイレーツは姫子の体を抱きかかえたままベッドに
飛び込んだ。きゃっ、と呻きながらパイレーツの胸の中で衝撃に耐える姫子。
パイレーツを下敷きにしているような格好になるが、彼は姫子の重みなど全く意に介して
いないようだった。
418 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:41:17 ID:EvOYlXDp
「は、離してってば……!」
もがく姫子の体を両腕でぐっと押さえつけて、パイレーツは尋ねる。
「なあお前、さっきの会話聞いてた?」
「……知らない、聞いてない」
「聞いてたかー。いやー恥ずかしいなー」
「わかってたなら聞くな!」
相変わらず腕にも力が入らない。パイレーツの腕を抜け出すことを諦め、姫子はパイ
レーツにかみつく。
「ふん、結局あんたはヌければ何でも誰でもいいんでしょ。ウォリ子だろうが、ビキン子
だろうが。影よりは、生身がいいってだけなんでしょ」
「それは否定しない」
「ちょっとは否定しろ!」
姫子のツッコミにもパイレーツはうっへっへといやらしく笑い、
「でもあれホント。お前みたいな勝気な女、俺大スキ」
「なっ、なっ」
息のかかる距離でいきなりそんなことを言われて、姫子の顔が見る見る真っ赤になる。
「おう、かわいいかわいい。でもまあ、そんなことはどうでもいいんだよ、今は」
「は、はぁ? きゃっ!?」
姫子の背中を抱きすくめていた腕が、下方へと伸びる。
臀部を覆う短い裾をぺらりとめくり上げ、その指は、
「ひゃうっっ!!?」
「あーあー、ほら、ぐっしょぐしょ」
「やっ、やだ……」
パイレーツは意地悪く、姫子の股を覆うショーツを指で叩く。気づかぬうちに溢れ出ていた
愛液で濡れきった布地は、ぺちょ、ぺちょと水気のある音を立てる。
「お前ホントいつからいたの? もうすっかりできあがってんじゃん」
「……知らないっ」
羞恥に染まる顔をぷいと横に振る姫子を見て、パイレーツは満足げに笑い、
「好いたとか、ホレたとか、そーゆうのは二の次でいいんだよ。今シたいのかヤリたいのか、
それがじゅーよーなの」
「……完全にケダモノの考え方じゃないのっ」
ケダモノ結構! とパイレーツは声を上げ、
「……で? お前はどうなの?」
「……な、何が」
「とぼけんじゃねーよ? 顔見りゃわかんだぜ〜?」
ぐぐーっと獲物を捕らえる寸前の爬虫類のような顔を近づけてくるパイレーツに、ぐ、
と言葉を詰まらせる姫子。
図星だった。この男と影の蜜月に魅入ってしまってから、明らかに体の様子がおかしい。
具体的には、下腹部のあたりが、疼いて疼いて仕方なかった。
いや。でも。しかししかし。
「わ、私は……」
「ん〜?? 言わないとわかんないぜ?」
「……あんたとなんか、するもんですか!」
「そうかそうか。ほんじゃま、始めますか」
「ちょ、ちょっと! んっ、んん……っ!」
パイレーツは、姫子の背中を掻き抱き、その首筋に舌を這わせた。
肋骨に沿った背筋を強く撫でられると、背骨が奮い立つような快感が走った。
「あんた、人の話聞いてんの……! ん!」
「だから、好きもキライも関係ねえの俺には。『撃って奪ってブチ犯す』。これ俺のモットーね」
「聞いたことないわよそんな最悪なモットー! んん、だめ、服シワになるから……っ!」
「我ながら、さっきは焦ってささっと脱がしちまったからなあ。着衣のエロさっつーもんを
しっかり味わわないとと反省しまして」
「ますます最悪……! やっ、もう……!」
419 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:42:52 ID:EvOYlXDp
髭の生えた頬で首筋をぞりぞりと撫でてくるパイレーツ。なんだかむずがゆくてたまらない。
逃げようとする姫子の頭を、すぐにパイレーツの腕が抱きとめ、その耳元でささやいた。
「悪いようには、しねえからよ」
……なぜここにきて、そんなこちらがどきりとするような、今まで聞いたことのない
優しげな声を出すのか。
耳元に甘く残るその言葉に、姫子は体の奥がぞくりとした。
「へへ、ほら、ちょっと体起こすぞ」
「あ……」
不覚にも、その言葉で一瞬毒気の抜かれた姫子は、パイレーツに促されるままベッドの
上で体勢を変えた。
お尻をベッドについて、パイレーツの胸板を背もたれにするようにして、姫子はすっぽりと
パイレーツの体に収まる。
「ちょっと、何する気よ……!」
「そりゃもう、こうするしかないでしょ」
「あっ、ちょっと……!」
パイレーツは着物の襟から胸元にするりと手を差し入れる。
「…………あれ、胸どこだ?」
ごんっ、と姫子の後頭部がパイレーツの顎を強かに捉える音が響く。
「つっ……、ってーな! ジョークだよ! ベタなジョークで緊張を解きほぐそうとだな!?」
「最っ低。そんなにでかい乳揉みたければ今からでも遅くないからウォリ子の寝込みでも
襲ってきなさいよ!」
「お前仲間としてその言い草はどうよ……」
「ふん。……あっ、だから、もう、ダメだって、んん……!」
「お前もぺったんぺったんってわけじゃねえじゃん。ほれ」
「やだ、いじらないでよ、もう……、んあっ」
パイレーツは、姫子の慎ましい大きさの乳房を探り当てると、二本指でふにふにとこね回す
ようにしてその感触を味わっている。ごつごつした指の感触が、胸の奥まで響いてきそうだ。
「はぁ……っ、あ、ああっ!」
「……しかしなんつーか。あ、固くなってるもの発見」
「え、きゃうっっ!!?」
パイレーツが乳首を軽く摘んだ瞬間、姫子は甲高い声を上げてびくっと体を震わせた。
「だめっ、それ、ほんとにだめなの、ああぅっ!」
「……なあ、姫子」
「なに、よ」
「お前、ちょっと感度よすぎじゃね?」
「……声が出ちゃうタイプなのよ」
恥ずかしげに顔を伏せる姫子だったが、パイレーツはむしろ満足げに笑い、
「ますます俺好みじゃねーか!」
「きゃっ、ちょっと、や、もうっ!」
気分を良くしたパイレーツは、姫子の着物のような装束の上からがばっと胸を手で覆う。
何かを手探りするように掌を沿わせ、
「服の上からでもわかるくらいコリコリじゃん」
「いやっ、あぅっ! だめ、だってば、声、王子起きちゃう……んんっっ!!」
勃起した乳首をくにっと押さえ込まれ、堪えようにも嬌声が漏れてしまう姫子。
「大丈夫だよ、あのボンボンは一度寝たら、俺が隣で射撃練習しても起きねえほどのネボスケ
野郎だから」
「私は普通に叩き起こされたんだから二度とやらないでよね!? あっ、もう、回しちゃ、
や……ぁ!」
420 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:44:53 ID:EvOYlXDp
布越しに乳房を覆った掌全体を、ぐりぐりと円を描くように動かされると、
「鳥肌立ってる」
「やん……!」
首筋を、パイレーツのざらりとした舌がなめずっていく。怖気にも似た快感が、今度は
背中の方へと走りぬけていく。
今度は左手で、反対側の胸をまさぐってくるパイレーツ。乳肉を中心に寄せ集めるように
して、ぷっくりと立ち上がった乳首を人差し指でくりくりと弄ぶ。
痛くないけれど、強い。見た目に似合わず器用な男なのか。……単に慣れているだけか。
「はわあ……ぁっ! んっ、くぅ……っ! ……? ちょ、ちょっと! ちょっとタンマ!」
「タンマなし! ごっ!?」
再度パイレーツのアゴに姫子の頭がクリーンヒット。
「もうちょっと平和的解決は図れねえのかよっ!」
「交渉決裂したのはあんたでしょ! それよりあの子、あの子の術解かせて!」
「あ? ああ、姫子2号か……」
そう、すっかり2人だけの世界に入って放置していたが、ベッドの隅っこには姫子の生み
出した影がちょこんと座っている。
さすがにもう一人の自分が素っ裸のままで近くにいるというのは、こんな状況でなくても
気まずすぎる。
「んー、却下」
「はぁ!? なんでよ!?」
「そのほうが面白そうだから。おい、姫子2号!」
パイレーツの呼び声に、姫子2号こと影は首だけをこちらに向けた。無機質な瞳が、重なり
合う姫子とパイレーツを捉える。
「なっ、何、呼んだだけ?」
「そ。俺らのプレイを観察してもらうために、ね☆」
「観さ……!? ね☆ じゃないわよバカ、うあっ!?」
パイレーツの右手が、いつの間にか姫子の太腿へと伸びていた。皮膚の硬い指の感触が、
柔らかな脚にぐにっと沈み込み、撫でていく。太腿から下腹部に駆け上がってくる快楽に、
姫子は身を震わせる。
「だめ、あなた、向こうむいてなさ、やんっ!!」
「うわ、さっきよりずぶ濡れじゃん」
パイレーツの指が、再びショーツに触れる。その布地から滲み出した愛液は、すでにベッドの
シーツにまで染み渡っていた。
「ほんとに感度いいのなー、お前。そろそろ脱がすけど、いい?」
「……っ、……っっ!」
言いながら、脚の付け根の辺りを湿った指でくいくいとなぞるパイレーツに、姫子は羞恥に
耐えながら首を振った。
本当は、今すぐに脱ぎたい。あそこにべっちょりと貼り付いて、気持ちが悪いし。
いや、それ以上に――、その下の、欲求不満の淀みのようになっている割れ目を、触りたくて、
何とかして鎮めたくて、仕方がなかった。
「仕方ない、実力行使」
「やっ……!」
パイレーツは腰を使って姫子の体を浮かし、その隙にするりと姫子の陰部を覆っていた
ショーツを脱がしてしまった。
太腿にかかったショーツと、外気にさらされた股が、ひやりと冷たい。
421 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:47:38 ID:EvOYlXDp
「ここまできたら、さっさと脱いじまったほうが楽だぞ」
促されるまま、姫子はすっかり重くなったショーツを自分の足から引き抜いた。
(うわ、ほんとにビチョビチョ……)
染みは布地の上の方まで届きそうで、軽く握るだけで雫が垂れそうだった。
「はい、よくできました。ご褒美ご褒美」
「は、ちょっと、んんっ!!」
パイレーツの指が、すっかり熱を帯びた割れ目に遠慮なく侵入してくる。
「はゎ……ぁっ!!」
「……ほんと、もうすっかりとろっとろじゃん」
結構結構、とパイレーツは笑って、差し入れた二本指をくりくりと軽くかき回す。
彼の指は太く、少々ささくれ立っていて、得も言われぬ刺激が姫子の秘部を襲う。
くちゅり、くちゅりと、愛液を滴らせる粘膜の音が嫌でも耳に届いてくる。
「ふあ……っ、だ、め、んん、あっ!」
「ほら、目ェ塞いでないで見てみろよ。姫子2号がこっち向いてるぞ」
「……嫌、ゼッタイ見ないから! んっ!」
「なんでだよ、一緒に新たな性技の開拓者になろうぜ!」
「なるか馬鹿!」
「見てる、見てるぞ! 姫子の生み出した分身が姫子を見てる!」
「変な実況入れんなぁぁぁ! ……はっ」
ツッコんだ勢いで思わず、正面にいた影と目を合わせてしまった。
ガラス細工のような冷たい影の瞳は、まっすぐ姫子の方を見つめている。そっくりそのままの
自分自身が、ふしだらに脚を開いて、男に胸を、股ぐらを弄ばれて悦に入る自分の姿を。
物言わぬ影は、その眼でこう言っているように見えた。
何をしているの? 本当に無様――
「――っっ!!」
「お? 反応ありあり」
「ちょっ、やだ! ふぅっ、あの子、どうにかしないと本当に、あううっ!」
姫子の抗議も余所に、パイレーツは指の動きをより深く、速くする。
人差し指、中指を根元まで差し入れながらぐにぐにと、まるで地を這う蛇のように。
いつの間にか姫子の膣口からは、ぐちゅぐちゅと愛液が溢れ、パイレーツの指の動きに
合わせて飛沫いている。
乱暴なマッサージを施される内壁から、腰が反り返るほどの切ない快感が響き渡る。
「くあっ! んっ、やうぅっ! もう、ダメ、私……!」
「おう、いいぜ、姫子……」
「ん……っ!」
うなじにキスをされ、その刺激で背筋がピンと伸びる。
それがトリガーになったのか、下腹部から押し寄せる快感の波が一気に高まり――
「んやぁぁ、……ああああっっ!!」
意識が明滅し、途切れ、次の瞬間にはパイレーツの胸板に体重を預けて、くたりとしている
自分に姫子は気づいた。
「なかなかいいイキっぷりだったぜ、姫子」
「はぁ……はぁ……、……ぁ」
何か反論せねば、と思うが、喉が渇き、意識がぼんやりしていて言葉が紡げない。
霞む視界の先には、なおも虚ろに自分の方を見つめる影の姿があった。
いつも、ただ自分の命に従うだけの人形としか思っていなかったのに、今日はその目に、
冷たいものが宿っているように見えるのは、自らの痴態のせいだろうか。
「あーあー、シーツまでびしょびしょ。どうすっかなこれ」
薄っぺらいシーツの上に、そこだけ月光をじわりと照り返す透明な染みができていた。
こんなことになっていたのかと、姫子は耳まで真っ赤になる。
422 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:49:41 ID:EvOYlXDp
「まーいっか! よし、次!」
「は……、はぁ!? ちょっと待って、つ、次って」
「だーから、本番」
そそり立った自分のものを、隠すどころか見せびらかすように堂々と、パイレーツは言う。
「まま、待って待って。すぐには無理、その、余韻が……」
うまく力が入らない膝で立ち上がろうとしながら、姫子は言う。が、
「俺の辞書にはな、『待つ』『耐える』『ガマンする』、その他もろもろの言葉が抜け落ちてる
んだよ!」
「要するにバカってことでしょうが! お、お願い、今は本当にダメなの! そ、それに……」
姫子は、パイレーツの股間をチラ見しながら逡巡する。
「? なんだよ?」
……間近で見ると、それはもはや凶器じみていた。
「そ、そんなもの入れられたら、こ、壊れちゃう……」
率直な感想だった。それぐらいパイレーツのイチモツは姫子の常識の外だった。
「…………姫子、いや、姫子さん」
「へ? な、何?」
感情を押し殺したようなパイレーツの声に、逆に姫子は空恐ろしいものを感じて、慌てて
パイレーツの胸元を離れようとする。ええい、笑うな膝小僧。
「そんなセリフはなぁ……、襲ってくださいって言ってるようなもんだろうがッッ!」
「きゃーっ!!?」
がばーっ、と、パイレーツは姫子の体をブルドーザーのように押し倒した。
つんのめるようにして前方に倒れ伏せた姫子の臀部を、パイレーツはすかさずキャッチする。
「では」
「ちょ、ちょちょっ! は、早いでしょ! いくらなんでも早い!」
おもむろに後ろから腰を近づけてくるパイレーツを慌てて姫子は制止する。
「なんだよ、じゃあ舐めればいいのかよ」
「なんでそっちに直結するの! 待つの! おあずけ! ステイ!」
「その命令は聞けねえなあワンワン。バックが嫌ってんなら体位変えるけど」
「そういう問題じゃ……! ……あっ、あ……っ!」
パイレーツの太い陰茎の先端が、姫子の膣口に触れる。
硬く膨れて、熱い。
「――いくぞ、姫子」
「や、やだ、怖……」
「だーいじょうぶだって」
パイレーツはそう明るく笑うと、姫子のお尻に軽くキスをした。
その感触が離れると同時に、姫子の秘部に、ぐぐ、と熱い塊が進入してきた。
「あ……、ああっ、あっ……!」
「ちょっとキツイか……。姫子、痛くねえか?」
痛くはない、気がする。それよりも、想像以上の太さに中を押し広げられる感覚が怖い。
……刺激が強すぎて。
「だ、め……っ、動かないで、それ以上は……」
「わかった、じゃあゆっくりな、ゆっくり」
「ゆっくりでも、だめぇ……! あっ」
か細い声の抗議も虚しく、パイレーツのペニスは姫子の奥へ、奥へと進んでくる。
しかしそのペースは、言葉通り非常に遅く、じわりじわりと体に馴染まされているようで、
余計に姫子を身震いさせた。
423 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:52:01 ID:EvOYlXDp
「はぁ……っ、ん、お、大き、ぃ、もう、バカ……!」
「そこでバカ言われる意味が分からん。ほれ、もうちょっとで最後だ」
「え、う、うあ……っ!」
パイレーツの長いペニスは、姫子の中の、いまだ何物の侵入も許したことがない部分に
までずりずりと進んでくる。未体験の刺激に、姫子の下腹部が疼きを上げる。
「うし、全部入ったぞ、どうだ姫子? ……ご満悦のようだな?」
「……っ、ち、がっ」
白い歯を見せて笑うパイレーツに、姫子は抗議の声さえ発することが出来ない。
局部の中がパイレーツのものでいっぱいで、ぎちぎちで、少し身をよじるだけで脳が
痺れるような刺激が流れる。吐く息さえ震え、恐る恐るといった感じだった。
「俺はそろそろ辛抱たまらんので動くぞ」
「ちょっ、と、待って、あわ、あああ……っ!」
内壁を撫でながら、来た道を戻っていくペニスの感触に、姫子は上背を反らせながら
身悶える。
「よだれ垂れてんぞ、かーわいー」
「ふぁっ、あっ、だめ、また入れちゃ、うう……!」
制止しようとする姫子の手は、力弱く空を切るばかりで、パイレーツの抽挿はおかまいなしで
続く。
しかし、その腰の動きは緩慢だ。それでも姫子には刺激が強すぎる。つま先から、頭の
てっぺんまでが痙攣してしまいそうになる。
「ふああっ、んっ、んん〜〜……! ん!」
「姫子、お前ん中すげーイイ。姫子2号もよかったけど、段違いだわ」
「そういうこと、っ、言わないでよぉ……っ! あっ!」
パイレーツはぐっと、姫子のお尻に腰を押し付けるようにして、より深くペニスを突き入れる。
お腹の奥が、持ち上げられるような感覚。
「だめ、だって、ばぁ……! う、ん! 深いの、だめ……ぇっ!」
「んだよ。……じゃあこれならどうよ」
「んんっ、……ふあっ!? あっ、あっ、ああ! いっ、や、あ!」
パイレーツはペニスを奥まで突き入れ、抜き差しはせず、腰だけを細かく動かして、姫子の
子宮の奥先をこんこんこんとノックするように刺激した。
「それも、だ、め……ぇっ! 奥、叩か、ない、で、んっ、んんっ! あぅ……!」
「はは、声震えてんじゃん」
突き上げてくる快感に、喉まで震わされるのだから仕方がない。
シーツに唾液を垂らしながら、姫子は押し寄せてくる快感に耐える。
と、その時ようやく、この部屋のもう1人の人間がすぐ近くにいることに気づいた。
(影……!)
しめた。影に触れることさえできれば、術を解くことができる。せめて、この無駄な
羞恥心だけでも。
「だーめだってばよ」
「へっ、ちょ、きゃあ!?」
不意に腰を抱きかかえられたかと思うと、パイレーツは姫子の体を自分ごと横倒しにした。
「いった、ちょっと何すんの、くうっ……!?」
姫子の言葉を遮るように、パイレーツは抜けてしまったペニスを再び挿入する。
「さっきよりすんなり入るな……、馴染んできたか、姫子?」
「し、知らないわよ、んんっ!」
パイレーツは姫子の背中を覆うように抱きかかえ、腰の動きを早める。先ほどの体位とは、
少し違った角度からの攻め立てに、姫子は瞳をうるませながら呻いた。
424 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:53:48 ID:EvOYlXDp
パイレーツの手は姫子の腰の辺りから、忍装束の上を乱暴に這い回り、両の乳房のところで
止まってその周辺を執拗に撫で回す。
「んっ、んん! しわになっちゃう、じゃない……!」
「お、やっぱ直に触ってほしいか? それとも脱がしちまったほうがいい?」
「だからそういう問題じゃ、んあ……!」
上半身も下半身もしつこく刺激され、何も考えられなくなりそうだった
そんなところに。
「おい、姫子2号」
パイレーツの呼び声に、影が振り向く。一体何をする気だ。
「ちょっとご主人様にちゅーしてやれ、ちゅー」
「はぁ!? なにバカ言ってんのよ! それに影があんたの言うこと聞くわけが……、……え?」
姫子は自分の目を疑った。影はベッドから降り、床に腰掛け、ベッドに横たわる姫子の顔に
自分の唇を寄せて――
「って、ちょ! あなたもなに言うこと聞いてんのよ!?」
慌てる姫子の尻目に、パイレーツは誇らしげに、
「手なずけちまったみたいだなあ。持つべきものは自慢のムスコだな、うん」
「そ、そんなアホなモンで術破られてたまりますか……! やっ、ちょっと、待ちなさい
あなた……!」
しかし近づいてくるなら好都合だ、と伸ばしかけた左手を、パイレーツの手が掴む。
「くっ、離しなさいよ、あうっ!」
「それか、あれだな」
迫ってくる影の唇を、姫子は止める手立てがない。
「お前自身が、ちょっとしてみたい、と思ってる……とか?」
「なっ……」
何を、バカな。そう言葉を紡ごうとした口を、影の唇が塞いだ。
「んっ……む、んん、ん……!」
初めて味わう、自分の唇の感触。思ったより薄くて、でも柔らかくて、熱い。
目を開けると、見慣れた自分の瞳と眉と髪があって、それが自分の唇を犯している。
得体の知れない倒錯感に、頭の中がどうにかなりそうだった。
「よし、いいぞ姫子2号。首尾は良好だ」
「ふぇ、ん、んんんっ!?」
パイレーツは加速度をつけて、姫子の中に深くペニスを突き入れた。
下腹部が痺れそうなほどの快感。
さっきより、強い。
「ぷぁ、やめなさい、あなた、んんっ、んーっ! んむぁ……!」
影は、まるで覚えたての遊びに興じる子どものように、一心不乱に姫子の唇を弄ぶ。
下からは、パイレーツの激しさを増すピストン運動が姫子を責め立てる。
体の表面全てがわなないて、奥底がぴりぴりする。もう限界が――
「ぷは、んむ、もう……っ、私……!」
「オーケイ、姫子。そろそろ行こうや……!」
玉のような汗を光らせて、パイレーツは意気揚々と声を上げる。
快感が、止まらぬ波のように押し上げてくる。意識がまた、白く、飛ぶ。
「んむ、ん! ふぁ、あっ、んやっ、あああああああっっ!!」
自分の唇と糸を引き合いながら、嬌声を部屋中に響かせて、姫子は再度、絶頂に達した。
くぅっ、と息を漏らしたパイレーツの男根から、子宮の奥に精がどろりと注ぎ込まれるのを
感じる。すごい量だった。
「はぁ、はぁ、……あっ、待って、ゆっくり……、ん!」
絶頂の余韻が残る膣内から引きずり出されるペニスの摩擦に、姫子は身を振るわせた。
荒い呼吸が、いつまでたっても治まらなかった。
425 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:55:52 ID:EvOYlXDp
「……っ、ふぅ、いやあ楽しかったな姫ごっ!?」
本日3回目となる頭突きを食らってパイレーツは悶絶する。
「なっ、何勝手に出してんのよ、バカ通り越してアホなんじゃないの!?」
「だいじょーぶだ! メンバーの安全日はこちらで完全に把握している! もちろんビキン子もだ!」
「うわあ、うわあ!」
正真正銘のクズだこいつ。こんな男と寝てしまったのか私は。
「で、あなた!」
姫子は影の頭をグーで小突く。少し涙目になる影に姫子は、
「〜〜っ、いい、これからは私以外の命令には絶対に従わないこと! いいわね!?」
「また遊ぼうな、姫子2号〜」
「言われた端から頷いてんじゃないわよ!!」
まったく、と姫子は憤って、影の頭に手をかざした。
術が解け、影の姿は瞬時に姿を消し、その場で元の海水へと戻った。パイレーツの部屋が
水浸しになったが、気にしない。
「あーあ、消しちゃった。もうちょっと楽しもうと思ったのに」
「はぁ? 何言ってんの、もう1発ヌイたんだから十分でしょ。だ、だいたい、なんで私が
あんたなんかと……」
ぶつぶつと文句を垂れる姫子。今さらながら、本当になんでこんな男なんかと。
ちらりとパイレーツの顔を伺う。
……まあ、黙っていれば、別にそれほど好みではないこともないかもしれないが、
いやいや。
これは、単なる一時の気の迷いだ。うん。
「と、とにかく、今日のことは、その、お互い……」
「姫子、訂正箇所が2つある」
「……へ?」
もじもじする姫子を尻目に、パイレーツはまたも真面目な顔つきで言う。
「『もう1発』じゃねえ、『まだ3発』だ。あと、俺はまだ満足してねえぜ」
「さ、さん……? どういうこと? まさかラピッドファイアで同時に3発とか……」
「俺みたいなボケかますな。姫子2号だよ、2号と」
「か、影? だって、あの時10分も立ってなかったし、それに、影じゃダメだって……」
言った、確かにこの男は。不満足そうに。
「だから、姫子2号じゃ2発が限界だなあってこと。ほれ」
パイレーツはちょいちょいと床を指差す。びしょびしょになった床の上に、白くどろりと
した粘液が――
「〜〜っ! こ、この早漏!」
「早漏大いに結構! さあ姫子、まだまだ夜はこれからだぜ!」
姫子の腕を掴み、底抜けに明るい笑顔を見せるパイレーツ。
……その股ぐらには、早くも血気盛んにそびえ立つものが。
「いっ、いやあああ〜〜〜っっ!!?」
426 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:57:41 ID:EvOYlXDp
朝。
「………………もう、限界」
文字通り夜どおし、明け方までさんざんパイレーツの相手をさせられた姫子の顔には、
疲労の色しか浮かんでいなかった。
対して、パイレーツの顔は血色よく元気そのもの、むしろ差し込む朝日を浴びてテカテカと
光り輝いているようにすら見える。
「ちょっと頑張りすぎちまったかな?」
「ちょっと!? 途中から回数数えることすら放棄したほどなのにちょっと!? あ……」
顔を上げて吼えた姫子だったが、頭から血が引く感覚を憶えて、再びパイレーツの腕枕に
頭を預けた。完全に寝不足、いやまったく寝ていないのだから不足も何もなかった。
「〜〜っ」
「まあまあ、このまま寝ちまえよ」
「冗談……! もう、頭撫でないでよ!」
おかっぱの髪を撫でるパイレーツの手を払いのける姫子。
「冷てぇなあ、ちょっとくらいデレがあってもいいんじゃねえの?」
「ないわよそんなもん、これっぽっちも」
「俺は好きなんだけどなあ」
……またこの男は、こういうことをさらりと言う。
「わ、私は……」
「ん?」
「あんたのことなんか、大ッッッキライ!」
顔を伏せ、パイレーツから目を逸らしながら、姫子はそう言った。
「あっそ。そりゃ残念」
「だから、こんなことは本当に……、今日だけなんだから!」
「へーへー」
なぜかパイレーツは満足そうに右手をひらひら振った。くそ、何かむかつく。
「あ……、そろそろ王子が起きてくる時間だわ、まずい……!」
「どこに行くんだよ?」
「部屋に戻るのよ!」
慌てて姫子は上体を起こす。途端に強烈な眩暈が襲ってくる。ダメだ、本当に眠い。
ついでに言うと、その、ちょっと股が痛い。
「おい、大丈夫かよ? ふらふらしてんぞ?」
「原因はあんたでしょうが! ああもう、私の服どこに放り投げてんのよ……」
昨晩の間に脱がされ、放り投げられた忍装束を、ふらふらとした足取りで回収に向かう姫子。
「寝たほうがいいんじゃねーの?」
「シノビを舐めないでよね、これぐらいの眠気、気合で誤魔化して――痛っ」
「いた?」
ぷす。と、足の裏に何かが刺さった。
その途端に、昨晩の記憶が高速で蘇ってくる。私は、昨晩ここで、何を落とした――?
「あ……」
足の裏を見ると、小さな針が見事にちくりと刺さっている。
取り返しのつかない失態に自分を呪うより先に、、抗いきれないほどの睡魔が急速に
姫子を襲う。
意識が、バチンとスイッチを切られたかのように一瞬で――
「おっと」
崩れ落ちそうになる姫子の体を、パイレーツは腕だけで受け止め、再びベッドに引きずり
込んだ。
「へへ、やっぱ眠いんじゃん」
「ち、違、ぅぅぅ……」
暗闇に落ちる意識の中で、姫子はパイレーツの顔が自分の唇に迫ってくるのを見た。
だから、私は、あなたのことがキライだって――。
「……。いい夢見ろよ、姫子。ふぁぁ……」
427 :
『大キライ!』 ◆Joc4l4klOk :2010/04/30(金) 20:59:50 ID:EvOYlXDp
朝日が燦燦と照らすデッキの上。
「コーヒーが入りましたわよ、王子〜☆」
「ああ、ウォリ子さん。ありがとうございます」
プリンスとウォリ子は、甲板の上に置いた小さな丸机を囲んで、……いや、ウォリ子は
プリンスのすぐ横に椅子を並べて朝食を摂っていた。
「……二人っきりですね、王子……っ」
「ああ、姫子とパイレーツさんが遅いので、ビキン子に呼びに行かせています」
べたべたと自分に擦り寄ってくるウォリ子に、プリンスはゆっくりとコーヒーをすすり
ながら答える。
微妙にテンションの齟齬を生じさせつつ、二人はもう何日目にもなる乾燥えんどう豆の
フルコースに舌鼓を打つ。
「あら、珍しいですね。あの髭……、じゃなかった、パイレーツはともかく、小姑……、
じゃなかった、姫子さんまで起きてこないなんて」
「昨晩は二人とも夜警の当番でしたから」
言いつつ、プリンスも少し不思議に思っていた。
いつも時間に厳格な姫子が、寝坊するなんて珍しいことだ。
「二人揃って起きてこない……? ま、まさか、何かラヴ的なイベント発生?」
プリンスはコーヒーを一口すすると、あははと笑い、
「それはないですよ。だってあの二人は」
「犬猿の仲、ですもんねぇ。あ、私は王子とのそういうイベントなら四六時中受け付けて
ますよ☆」
「あはは、ウォリ子さんは面白い人ですねえ」
あはははは、うふふふふ、と朗らかな笑いの巻き起こる食卓。と、そこにビキン子が
とたとたとたーと駆け寄ってきた。
ぴたっとプリンスのところで立ち止まった彼女の頭を撫でながらプリンスは言う。
「ああ、ありがとうビキン子。……おや、どうしたんだい2人は?」
小動物のような少女の姿を笑顔で見つめながら、2人はコーヒーをすすった。
「えーとねー、ひげのおっさんのへやでー、ひめことおっさんがー、すっぱだかでねてた!」
広い広い海の真ん中で、琥珀色の霧が、二つ散った。
-END-
以上です。
あ、前置きに大事なこと書くの忘れてた。本編のネタバレはありませんので安心してお楽しみください(笑)
読んでいただければ幸い、楽しんでいただければなお幸いです。
次は続き物の続きを…。
途中で気づいて更新ボタン連打してた。GJ!
あの二人は体格差も大きいし絵にすると映えますよな。性格もマッチしててとても良かったです。
続き物の続きの方も楽しみにしてますですよ。
GJ!!
髭と姫…途中でプリ/シノ想像してお姫様分身ハアハアしてたのは内緒ー
GJ!
いいなぁこの二人
予想はできてたのにオチで吹いたww
トーマとデザートは1回くらいは寝てそうだな
これはなんというGJ
自分に視姦されるだなんてたまりませんなあw
保管庫って機能してないの?
やっぱここの人達は海都ENDオリンピアでエロイこと妄想するよな?
何のために作られたのかその体に教え込んでやるぜヒャッハー!とかか?
むしろどのルートでも紆余曲折あって純愛エンドにもっていくべきだろオリンピアさんは
じゃあ俺は真エンドルートでオランピアさんと共に末永く幸せに暮らすよ
じゃあ俺はバッドエンドで輪姦物故我エンド
やっと規制とけたんで、今さら遅れてヒゲパイ姫GJ!GJGJ
なんというエロース&笑い。楽しかったです。
俺も続きとか読んでみたくなったくらいツボにはまってしまった>パイレーツと姫子
パイシノよかったな。上手い。
射精すると減るのはHPか、TPか、それともリミットやブーストのゲージか?
Lv
致命傷じゃねーかw
エナジードレインwww
五分の魂って食いしばりと同じ効果だと思ってたが
よく見たら戦闘不能中に勝手に蘇生するってことなんだな
つまり死姦中に起き上がってくることがあるわけか…
マジレスすると射精で消費するのはリミット
パイレーツはほら、リミットブースト取れるから……な
射精→もう打ち止め→転化してもらって回復→連戦って妄想してたんだが…
その理屈だとヴィクトルさんも…
おまけ漫画のネガティブシノビをプリンセスが分身して輪姦する夢を見た
シノビorサブシノビ同士なら二人で12P、または6Pとか出来るんだよな…夢膨らむでござる
だが分身モノなら1対分身の方が良いかな?
親方!空から255人のゆるふわが!
二刀×我流×リミットブーストで絶倫キャラのできあがりですね!
多元抜刀で何を抜くんだろうね。
射せ・・・正射必中は何に当てるんだろうね。
お前さんたちすごく楽しそうだなwww
ファマ子が酔っぱらって子守唄→一緒に飲んでた自分もファマ子も寝る→起きたら隣にぐっすり眠るファマ子が
既 成 事 実
屠殺エンドしか浮かばない貧弱な妄想力に全俺が泣いた
俺、SQ3クリアしたら最下層に(多分)いる巨大な敵に犯される陵辱SS書くんだ……。
>>463 安心しろ、とびきりでかいのがいる
6層ってボスもFOEもステージもエロくなる要素多い気がする
大航海で石碑取る為に何度も海水浴してるんだが人工呼吸毎回組み合わせ違うのな
しかも毎回今度は気をつけようといってるのに繰り返している形
もはや乱交
脳内妄想のために人工呼吸イベ連発させてる俺も居ますが
なぜだか異性の組み合わせが極端に少ない
ええい畜生野郎同士のちゅっちゅなんざ見たくないわ
自分で自分に人工呼吸するうちの金姫に隙はなかった。
何故か♀への人工呼吸は毎回金姫がしてたわ
そしてシノビ♂だけは分身で自分自身というのがもうネタっぷりに拍車をかける
金姫…嫌だったんだな…
大魔王イカ目当てで漁に出たら結局いつも通り大量の海のミルクを取る羽目になり
更に帰りは海水浴で片思い同士設定の男→女メンバーの人工呼吸イベントが発生した。
こいつら絶対夜になったら鍵掛けて寝室に篭りっきりになるんじゃ…と思った。
>>466 脳内カプのみで航海させれば良いじゃない
二人きりで航海とかエロスじゃない?
どう考えてもくっついてるよね
リコロコ続き来てないの?(´・ω・`)
ヤマネコさんが…
>>471 続き書いてるらしいから一緒に待ってようぜ
キャラの名前を出すべきか、職業名(師匠とか姫忍とか)を使うべきか、悩むなあ。
※携帯からの制約上、変則的な書き込みになるため、
投下途中に一度、数分の空白時間が入ることをお許しください
注記
・ネイピア商会の店主(海都)×宿屋の息子(海都)
・擬似的とはいえショタ尻へのマーラ様挿入があるので抵抗のある方はご遠慮願います
・あれの型取りやらあれらの着方やらは細けぇことはいいんだよの精神でお願いします
・筆者が16F程度の進捗のため、以降の情報と食い違いが出る可能性があります
・当初の予定ではここで終わりのつもりでした
・でも続きます
「では今日はこのまま足で果ててもらうぞ?」
「はい、お願いします!」
尻尾を振る犬のように喜んで応じる宿屋の息子に、店主は微妙な表情を浮かべた。
「おぬし、だんだん恥じらいがなくなってきたのう」
「だって、どうせいやらしいことしていただくなら楽しんだ方が得じゃないですか」
「まぁ、そうじゃが」
張り合いがなさそうに、汗の染みた足袋に包まれた足でぺニスを擦る。
少年はもはや踏まれることに抵抗はなく、亀頭を足指で撫でられ歓喜の喘ぎを漏らした。
「この後はまた尻穴を弄るが、よいな?」
「……それはさすがに恥ずかしいですけど……んっ、あっ!」
「それは何よりじゃ」
舌なめずりをし、早くしたいというように激しく足を擦りつけてくる。
程なく少年は自らの腹に精液を撒き散らし、言われるままに尻を突き出した。
ここ最近の二人の、至って日常的な光景だった。
前立腺を弄られた日から、宿屋の息子は度々ネイピア商会に足を運んでいた。
店主が忙しい時はやはり足を舐めさせられるか、裸で布団の上に縛られ放置されるかだったが、
手が空くとそれは熱心に体を弄んでくれた。
手で扱かれ、足で擦られ、口で吸われ、ありったけの精子を搾り尽くされるのだ。
そして挨拶代わりに愛撫される乳首は日毎に感度を増していき、
肛門は指をきつく感じるどころか、二本挿入されて甘い声を漏らすほどに開発されていた。
時々ぺニスの型を採取されるなどよく分からない行為も受けたが、少年は店主との時間を心待ちにするようになっていた。
最初がレイプ同然だったとはいえ、憧れの女性に射精に導いてもらえるのだ。
羞恥に慣れさえすれば、思春期の少年にとってそれは得難い幸せと言えよう。
ようやく媚薬が抜けきってからも、三日に一度は家の手伝いの後に通うほど、少年は店主との行為の虜になっていた。
そんなある日、アーマンの宿を拠点とするとあるギルドのメンバーの一人が、店主からの伝言を持ってきた。
「今日……ですか?」
その若いウォリアーは、何故か少年の鎖骨をじっと見ながら頷いた。
「ああ、渡したいものがあるから、今晩手伝いが終わった頃に店に来いってさ。確かに伝えたぜ」
姉ちゃんの薬の仕入れか何かか?と冒険者が尋ねるが、少年も首を傾げるばかりだ。
基本的に、夜の行為は少年が自主的に行くというのが不文律だ。
もちろん店主は嬉々として体を開発してくるが、今回のように来いと命じることは今までになかった。
言われずとも今晩行こうとしていたので問題はないが、どうにも引っ掛かった。
(ってことは、本当にお仕事の方なのかな)
医者である姉は本当に忙しいので、細々としたやり取りに少年を介するのは珍しいことではない。
姉に何か薬を頼んでいるのか訊ねようとして、しかし「あっち」の用事だったらやぶ蛇なのでやめた。
何にせよ、行ってみれば分かることだ。
(体だけは洗っていこう)
特にお尻を――と思いながら、少年は一人頷いた。
「じゃ、俺は行くが……」
「あ、どうもありがとうございました! お客様にこんなことしていただいて……」
「いや、それはいいんだけど。それよりさ、別に変な意味じゃないんだが……」
「なんですか?」
あのな、と前置きし、ウォリアーは頬を掻いた。
「お前さん最近ますます色っぽくなってないか?」
その言葉をじっくりと頭の中に馴染ませ、首を軽く傾げた後、少年はぶんぶんと腕を振った。
「そ、それをどう取れば変な意味じゃなくなるんですか!?」
尻や乳首で女のように喘がされていることを見透かされたように感じ、少年は激しく狼狽した。
ただでさえ看板姉妹などとからかわれているのに、これ以上女っぽく見られてはたまったものではない。
悪い悪い、とウォリアーは苦笑したが、訂正するつもりはないようだ。
「ま、そう気にすんなって。うちのギルドの中でもお前さん結構モテてるんだぜ」
そう言い残し、彼は部屋に帰っていった。
彼のギルドの構成員が全員男であることを思い出し、少年は目の端に涙を浮かべ地団駄を踏んだ。
「だ、だからそれで何を気にするなって言うんですかぁ!」
そんな少年を、道行く冒険者達が微笑ましそうに見ていた。
その夜。
手伝いを終え、遅めの夕飯を食べて片付けまでしてから、彼は夜の散歩に繰り出した。
夜釣りに行くのも珍しくないため、家族から怪しまれることはない。
だが、少年の表情は浮かない。
「うー……」
ネイピア商会に行くのは楽しみだ。
肛門を開発されるのも、最近は好奇心と喜びの割合が大きくなってきたぐらいだ。
だが、それで普段の立ち居振舞いが女っぽくなっているのであれば素直に楽しめない。
ではやめるのかというと、それこそあり得ない。
(もう自分の手じゃ満足できなくなっちゃったし……)
店主のねちっこい責めと、密着した時の体温を思い出すだけで股間が反応する。
着物越しでもその体は柔らかくて温かい。
それを今更失うことなどできないし、そもそも店主が逃がしてはくれないだろう。
(……とりあえず、女の子扱いみたいなことにだけは少し文句言ってみようかな)
愛らしい声で鳴くだの、尻が雌臭いだの、その言葉責めは常に男としての自分を貶めてくる。
せめてそれだけでも何とかしてもらおうと、彼はそう決心した。
が。
「おー、よく来た。早速奥で着替えるがよい。女物の下着と服を用意してやったでな」
店主が喜色満面で発した第一声に、早速心が折れそうになった。
呼び出した用件のためか、店先には『準備中じゃ』の札がかかっており、店内に客の姿はない。
「……あの」
「なんじゃ? オオヤマネコから逃げ帰ったヒヨッコみたいな声を出して」
がっくりと肩を落とした少年は、体を起こす勢いのまま猛然と可愛く噛みついた。
「何ですか女物って! 僕は男だって言ってるじゃないですか!」
「まさに問題はそこじゃ」
「な、何のことですか」
ピッ、と閉じた扇子を突きつけられ、少年の頭に疑問符が浮かぶ。
戸惑っている隙に、カランコロンと下駄の音を立てて店主が近づいてきた。
「おぬし、まだ性別などと下らんことに縛られておるから十分に感じきれておれんのではないか、と。そう考えたわけじゃ」
目の前に立った彼女に、軽く抱き寄せられる。
香水とほのかな汗の入り交じった体臭が、嗅覚から全身に回ってくる。
「気持ちよくなりたいじゃろう?」
その煮詰めた蜜のような甘く粘っこい囁きに、少年は頷く以外の反応ができなかった。
店主の指先が、肩を、背中を撫で回す。
敏感な皮膚がそれを拾い、体が跳ねる。
「我はな、おぬしの感じてる姿が好きなのじゃ。信じがたい変態行為にも喘いで汚汁を撒き散らす姿がな」
酷いことを言われているのに、好きだという一語が無性に嬉しく感じられた。
どんな形であれ、他でもない自分が彼女にとって特別な存在だということが。
体格の差から見上げれば、店主は真っ赤な舌を伸ばし、その上に泡立った透明な体液を滑らせていた。
唾液だ。
「あ……」
びちゃり、とタンクトップの胸元に唾が吐きかけられる。
独特の臭気が否応なしにこれまでの情事の記憶を蘇らせ、何より匂いそのものに興奮して、激しく勃起した。
「男として生まれたことを気にして尻穴や胸の快楽に抵抗を持っているなら、主人として取り除いてやらねばならん」
次々浴びせられる唾が、上半身に塗り広げられる。
ただ、タンクトップを慎ましやかに押し上げる乳首にだけは触れない。
「のう? せっかくの恵まれた淫乱な肉体じゃ。もっと雌になりきってみればどうなるか、試したくはないか?」
「あ、あの、でも、僕は普通に気持ちよくしてもらうだけで……」
まずい、と思った。
一足早く情事のムードに入った店主の雰囲気に飲まれ、店に来る前の決意を忘れかけていた。
「満足か? いやいや、おぬしはもっと貪欲じゃろう? 我に二度犯されただけでもう自慰もできなくなる程じゃ」
「う……」
まったくその通りだった。
だから定期的にここに来て、様々な恥辱を自主的に受けているのだから。
「なに、誰にもバレはせぬ。いつもの行為の時にちぃと女の格好をしてもらうだけじゃ。それでさらに気持ちよくなれるなら安いものじゃろう?」
「えっと、でも……」
唾を塗り広げて汚れた手がズボンの尻に突っ込まれ、ブリーフ越しに尻肉を揉んでくる。
揉まれた箇所に唾液が染み、少しひやりとした。
「それに……」
体を離した店主は、膨らんだ股間に向けてもう一度唾を吐いた。
気づけば浴びせられ、塗られ、服もズボンも下着も、店主の匂いにまみれていた。
「おおなんということじゃ。服が大層汚れておるぞ。早く着替えねばのう?」
白々しく言う店主に、少年は諦めと、微かな興味の混じった溜め息を吐いた。
「……わかりました、着てみます」
店主に呼び出された理由、女らしくなることへの不安、そんなことはもう思考の外だった。
いつもの居間に案内されると、布団の上には確かに様々な衣服が畳まれていた。
その傍に座ったときには、少年の顔は早くも上気していた。
唾を浴びせられるという虐めに興奮してのものだ。
もうその性癖は自覚したため、股間が痛いぐらいに張り詰めている事実として受け止める。
今すぐ扱きたいぐらいだが、すぐに抜いてもらえる状況でするほど見境なしではない。
少年がもじもじしていると、すぐに店主から命令が飛んだ。
「まずはその薄汚い服を全部脱ぐがよい」
「誰のせいですか」
半眼になりながら、ぬるぬるするタンクトップや上着、ズボン、ブリーフと靴下まで脱ぐ。
完全な全裸だ。
華奢な体の中、そそり立つ剛直だけが大人顔負けで不釣り合いだった。
「暴発寸前じゃな」
ニヤリと笑いながら、店主はレース生地の純白のショーツを差し出した。
これ以上ないほど「女」を意識させる一枚に、少なからず躊躇いを感じる。
「これ……このまま穿けばいいんですか?」
「たかが下着に難しい穿き方などあると思うてか」
苦笑され、顔を赤らめて足を通した。
サイズこそ問題なかったが、当たり前のことながら勃起したモノが上部から無様にはみ出ている。
「ちょっときついですけど……」
「まぁ、刺激して出さぬようにな。次はこれじゃ」
続いて示されたのは、ショーツと生地は同じだが、何も隠せそうにはない帯状の下着だ。
今度こそ戸惑っていると、すぐに助け船が入った。
「ガーターベルトじゃ、腰に着けるがよい。本来はショーツより先じゃが……まぁ、この方が見て楽しめるでな」
「や、やっぱり楽しんでるんじゃないですか!」
「当たり前じゃ。我の楽しみは全てに優先する」
店主は今更悪びれる様子もない。
今日何度目かの諦めを感じ、未知の下着にも足を通した。
股間の膨らみに引っ掛かりながらも、なんとか腰に装着する。
四本紐が垂れ下がっているのを気にしていると、黒いストッキングを渡された。
「その留め具で固定するがよい。きっと似合うぞ」
もはや言葉もなく、靴下と変わらないと自分に言い聞かせながら履いた。
肌にフィットするストッキングに包まれた脚は、そこだけ見れば色っぽい女性のそれに見える。
上部をガーターベルトの留め具で挟んで吊り上げると、わずかなたるみもなくなり、脚が心地よく締め付けられた。
ガーターベルトとショーツの隙間からはみ出た男根をどうしようかと思案していると、胸に何かが巻き付いた。
ブラジャーだと気づくのが遅れたのは、まさかそんなものまで着けさせられるはずがないという思いのせいか。
「おぬしぐらいの年の頃に我が使っていたものじゃ。光栄に思うがよい」
いつの間にやら背後に回り込んでいた店主が、肩と腋に回した紐を背中側で留め、調整している。
可愛らしいピンク色のブラジャーは、大事にしまわれていたのか、きれいなものだった。
乳首をシャツ以外のもので隠すのは妙な気分だが、用途が用途だけに着け心地は悪くない。
それより気になるのは――
「こんなに小さいのもあるんですね」
男の自分でもそんなにだぶつかないぐらいだ。
が、そう言った瞬間背後で何かおぞましい気配がして、反射的に体が固まった。
「……小さくて悪かったのう」
ブラジャーの内側に滑り込んだ店主の指が、正確に乳首を挟み、強く摘まむ。
「いっ……!」
「その小さい我の下着を着られるおぬしは何じゃ? え?」
「何って男ですけどー!? 痛っ! ん、ふぁ……!」
痛みが引いたときだけ露になる快感に、声が漏れる。
むしろ、痛みと交互に来ることで快感が際立ってすらいる。
「やめっ……! んっ……も、もうちょっと、優しく……!」
このままなし崩し的に弄られるのかと、そう思ったが、
「おっと、いかんいかん」
不意に、何かに気づいたように店主は責めを止めた。
「……?」
なんとなく違和感があった。
いつもならば抵抗しても責め続け、一度絶頂まで持っていくぐらいのことはされるはずだ。
少年の戸惑いをよそに、店主は最後の一枚を彼の膝に置いた。
淡い緑色をした、薄手のワンピースだった。
手触りはさらりとして、簡素ながら上質さを感じる。
これをどうするのかなど、もはや聞くまでもなかった。
少年は軽く膝立ちになりながら、その衣服を身にまとった。
ワンピースはゆったりしていて、腋や襟元の風通しの良さがこそばゆい。
何より、裾が空洞というのは何だか裸のままいるようで落ち着かない。
おまけにシースルー素材らしく、ブラジャーやいきり立った男根が布地越しにうっすら透けて見える。
「こいつはオマケじゃ」
目の前に差し出されたのは、可憐な花の髪飾りだった。
それを髪に通され、着替えは終わった。
前に回った店主が出来映えを確かめるかのように上から下まで眺めてきた。
その表情が瞬く間に皮肉っぽい笑みの形を成す。
「ふむ。馬子にも衣装どころか、こいつはなかなかどうして」
声の調子からすると、満足の行く出来のようだ。
(ボク……どうなっちゃったんだろ……?)
不安に俯く少年の頬に口づけ、店主は囁いた。
「ほれ、お披露目じゃ。立って鏡で見てみるがよい」
言われるままに立ち上がり、以前自分の痴態を映した、部屋の隅の大きな姿見を向く。
「え、嘘……?」
少年の細い目が真ん丸に開く。
いくら女顔と言われようと、自分は男だ。
どうせ違和感のある気味の悪い格好だろうと思っていた。
だが、そこに映っていたのは一人の少女だった。
ふわりと広がるワンピースから伸びる、細い腕とストッキングに包まれたしなやかな脚。
透けて見えるのは華奢な身体と品のいい下着。
さらりと流れる髪の上に咲く白い花。
ナルシストを気取る気はないが、どこから見ても可愛らしい女の子だった。
違和感など、股間に透ける汚ならしい性器にしか感じられない。
「気分はどうじゃ? 『お嬢ちゃん』?」
覗き込む店主に、少年は何も言えなかった。
「気に入ったようじゃな。用意した甲斐があるというものじゃ」
そのまま唇を軽く重ねられる。
いつもの濃厚なものではなく、すぐに顔は離れ、頬を撫でられる。
「では、可愛がってやろうかの。……我は娘子には優しくするゆえ、安心して身を任せるがよい」
「ボク、女じゃ……むぐ」
言葉は口に突っ込まれた指で止められた。
「無粋なことを抜かすな。今日は女として愛でてやると言ったじゃろう」
(か、格好だけって言ったじゃないですかー!)
少年の叫びは、舌を直に押さえられて声にもならずに消えた。
舌の上を、歯茎の裏を、店主の指が形を確かめるように撫でてくる。
「んっ、んぅ……」
異物を口の外に押し出そうとする舌は、指の巧みな動きにいいように弄ばれる。
「『私』と言わせてもよいが……まぁそこはよいか。常連様ギルドにもボクボク言っておる小娘はおることじゃし」
一人で納得した店主は指を抜き、少年の唾液にまみれた指を自分でも咥え、しゃぶった。
「甘い唾じゃ。菓子でも食うてきたのかの」
舌なめずりをするその姿に、ワンピースの下の亀頭から一滴の先走りが垂れた。
少年の胸に掌が当てられ、そのままゆっくりと、拳を作るように内側へと握り込まれる。
服と下着に阻まれ大した刺激はないが、揉まれているという感触は伝わってくる。
胸の肉をマッサージされ、快感というほどではない心地よさが溜まってくる。
心地よさの蓄積はすなわち感度と焦れったさの上昇である。
先ほどつねられて熱を持った乳首が疼いて仕方がない。
胸を揉みながら、店主は中腰になり顔を近づけてきた。
ほのかに上気した顔に嗜虐心は見られず、少年は自らも少し顔を突き出して目を閉じた。
「んっ……」
唇と唇の間にこぼれた吐息はどちらのものだったか。
口唇が触れ合い、熱と触感が行き交う。
店主の唇が少年の上唇や下唇を甘く噛み、他のどの粘膜とも違う独特の感触が伝わる。
長く穏やかなキスに少年の身体がリラックスし、揉まれる胸から意識が逸れる。
当然、それを狙っていたのだろう。
揉みながら突き立てられた人差し指が、胸の中心を正確に強く押し込んだ。
「ふぁぁっ! ん、んぅぅ!」
突然の乳首性感への喘ぎは、同時にねじ込まれた舌に塞き止められる。
今までの優しいキスとはうって変わった、舌を出し入れする激しい口腔への凌辱が始まった。
唾液を注がれる感覚が、もはや反射と言っていい速度で少年の淫欲を煽る。
そこで内頬や舌を舐められては、少年は幸せそうに目尻を垂らすことしかできない。
当然乳首への愛撫も止まることはない。
乳輪のあたりを執拗に撫で回し、焦らしてからさらにテンポをずらして乳首を圧迫してくる。
胸に釣られ、口の粘膜までもが性感帯になったようだった。
あぶくとなった唾が唇の端から溢れ、上質なワンピースに垂れて染みを作る。
興奮と快感に膝から力が抜け、その場にゆらりと崩れる。
それを追ってキスしたまま膝を曲げた店主は、最後にありったけの唾液を飲ませてから体を離した。
それを飲み干し、大きく息をつく。
正気に戻った少年はキッと店主を睨んだ。
「ひ、酷いです! 優しくするって言ったじゃないですか!」
「あれは嘘じゃ」
「言い訳すらなしですか!?」
返答に1秒すらかけない店主におののいていると、肩を掴まれ無理やり後ろを向かされる。
少年の嫌な予感に違わず、次に触られたのは尻だった。
ワンピース越しに尻の膨らみを撫でさすられ、余った手は首や腕をくすぐるように愛撫してくる。
「んっ、ふ……くすぐった……」
浮いた臀部を持ち上げるように、五指を広げて大きく揉まれる。
客に冗談半分に触られるのとは違う、執拗で性的な愛撫。
多様な刺激に混乱し、すべてを快感として処理しようとする自分の肉体。
(なんだか、本当に襲われてる女の人みたい……)
鏡に映る自分を見て、そんなことを思う。
その鏡の中の店主が、二の腕の下に顔を押し当てていた。
腋の下に、ぬるりとした感触が這う。
「やっ……!」
「懲りもせず雌臭い汗を分泌しておるな。そんなに犯されたいのかえ?」
「そんな、ボク……あん!」
ぐっ、と肛門を刺激され、体が揺らぐ。
不安定な体勢から後ろに倒れそうになるのを、店主に支えられゆっくり寝かされる形になる。
「は……ぁ……」
天井を見上げ、肺の底から息を絞り出す。
店主から意識を逸らした代償は、不意討ちという形で返ってくる。
ストッキングに包まれた足先が湿る。
「や、そ、そんなとこ……!」
「何を今さら。おぬしがいつもだらしない悦楽顔で嗅ぎしゃぶっている箇所じゃぞ?」
たっぷりと染み込まされた唾液が内側の足指に絡み付いてくる。
言うまでもなく敏感な箇所だ。
溜まりに溜まった快感と共鳴し、皮膚をざわつかせる。
ぴちゃぴちゃと音立てる舌は、足裏を舐め尽くすと、足首からふくらはぎまで舐め上げてきた。
「っ……! んっ……!」
喘ぎを噛み殺し、自分の下半身に何をされているのか確認すべく頭をもたげる。
自分の手が邪魔で見えず、それをどけようとしたところで気づいた。
(ボク、何で手を胸に……?)
倒れ込んだときは左右に投げ出していたはずだ。
それが今、胸に乗っている。
――乳首を弄って快感を得ようとして。
何より、まったく意識せずにそうしようとしていたことに、少年は戦慄した。
慌てて手を下ろしたときには、既に店主の頭は完全にワンピースのスカート部分に入っており、滑らかな腿を舐めていた。
性器に近い分、刺激が直に下腹にまで響く。
「あっく……ふぁぁ……!」
次第に声が艶を帯び、ワンピースの股間は性器に持ち上げられて先走りでぐっしょりと濡れ始めていた。
もぞもぞと、スカート部分が店主の動きに合わせて上下している。
スカートの中に潜り込まれるのは当然ながら初めての経験だ。
見えない脚を髪先や着物でくすぐられ、舐められるのはくすぐったい。
だがくすぐったい以上に気持ちがよかった。
このままいつも通りフェラや手での搾取になると、少年はそう思っていた。
だが、脚の付け根を啄んだ店主は、次にショーツの下部、肛門に触れてきた。
「あっ!」
唾液で予め濡らしていたのだろう、触れられた部分が湿り、生地がぴったりと肛門にへばりついた。
同じように濡らしては塗りつけるという行為が繰り返され、穿いたばかりのショーツは肛門を中心に濡れそぼっていく。
「直に弄くられるのとはまた違った良さじゃろう?」
くっくっと陰険な笑いが股間から聞こえる。
ショーツが濡れるにつれて指は深くめり込み、既に生地を巻き込んで、指先が括約筋を拡げている。
もはや慣れた、肛門の性感が体を満たし始める。
ペニスは相変わらず勃起しているのに、他の部位の疼きばかりに意識が行く。
気づけば、手は再び胸に乗っていた。
(見えてない……よね?)
店主は肛門への焦らすような責めに執心している。
シースルーとはいえ、胸元まではっきりとは見えないはずだった。
初めて自分でしたときのように、恐る恐る指先で胸を掻く。
目測を誤ったのか、衣服に阻まれたのか、快感は来ない。
軽く胸を揉み、痺れの発生源を確認する。
そこをもう一度、今度は強めに擦った。
確かな快感がじわりと生まれ、下腹にまで響いた。
(気持ちいい……)
肛門の焦れったさを補うように、同じ箇所を何度も掻く。
ペニスを介さない快感は果てというものがなく、薄い布に包まれた肉体に溜まっていく。
店主は頭を上げる素振りすら見せない。だから、
「乳首の自慰には慣れたかの? 」
こう言われたときは心臓が大きく跳ねた。
「な、何で……」
「ふん、嘗めるでない。乳首をこねたときのおぬしの尻穴の動きぐらい指で覚えたわ」
浅くめり込んだ指をぐいと回して言った。
「まぁ我も焦らしが過ぎたかの。どうじゃ、挿れてほしいか?」
挿れる、とは考えるまでもなく指を直腸に受け入れることを指す。
体も思考も、それを狂おしく求めている。
「はい……!」
だから少年は、喜悦の滲む声でそう答えた。
もはや尻への責めは「されてもいい」から「されたい」に変わっていた。
顔を出した店主から命じられた体勢は四つん這いだった。
寝返りをうち、膝と肘で体を浮かし、尻を掲げる。
休憩がてら尻を優しく撫でていた店主が、おもむろにスカートを捲る。
風通しの良さに、濡れたショーツの肛門部分が冷たかった。
「今日はたっぷりほぐしてやらんとな」
そう呟く店主が袂から取り出したのは小さな小瓶だ。
その中身である透明な液体を少量指に取り、その手がショーツの横から滑り込む。
「ひゃっ」
その液体は冷たく、少年は思わず声を漏らす。
液体には適度な粘性があり、それを塗布された穴はぬるりと抵抗なく指を受け入れる。
「あの、その瓶は?」
「変な薬ではないぞ。ただ潤滑のためだけに使う、ぬめるだけの粘液じゃ。唾より乾きにくいでな、何かとやりやすい」
言いながら、肛門の皺に丁寧に塗り込み、さらに奥まで沈めてくる。
が、手を突っ込むたびに引っ掛かる下着に業を煮やしたのだろう。
「ええい、やはり穿いたままでは面倒じゃ」
「わっ」
ショーツが僅かにずり下げられた。
それ以上はガーターベルトに引っ掛かり下ろせないが、肛門が露出するには十分だ。
全裸でこの体勢を取らされたこともあるのに、半端に服をまとっているせいか、より恥ずかしく感じる。
遮るもののなくなった穴に、店主は丁寧に粘液を塗る。
抵抗なく指が出し入れされる感覚に、少年は顔を紅潮させて荒い息をついていた。
自分の意思と無関係に肛門が開閉するのが、たまらなく気持ちよかった。
「なんじゃ、もう気持ちよくなってきたか?」
「は、はい! お尻、ぬるぬるして……すごく気持ちいです!」
そう答えると、何がおかしいのか店主は苦笑する。
「ま、素直なのはいいことじゃな」
そう言って、店主は人差し指を挿入したままさらに中指も挿入した。
開発され、専用の潤滑液まで塗られた肛門は女性の細指の二本程度、容易く飲み込む。
「ん、うぁぁ……!」
糸を引きながら肛門が開き、閉じ、体内の粘膜にたっぷりと潤滑液が塗られるのが、感覚で理解できる。
喉から長い喘ぎが漏れ、それに伴い止めどなく溢れる涎が布団を汚すが、口元を拭う余裕すらない。
今や、指を挿入すれば中から粘液が押し出されるほど、少年の穴は液体に満たされていた。
「やれやれ、だらしない尻穴じゃ。指二本では到底塞げぬわ。……もっと太いものを挿れてやらねばな?」
腿を撫でる手が同意を催促している。
これ以上開発されては、もはや後には戻れないという予感はあった。
その上で、少年は蕩けきった表情で答えた。
「欲しいです……もっと、太いの欲しいです……!」
一本より二本が気持ちいい。
もっと拡げられればもっと気持ちいい。
快楽に侵され単純化した思考は、そう結論を出していた。
「いいじゃろう。だが、その前に見合うだけの奉仕はしてもらわねばな」
水音を立てて指を抜き、店主は少年の前に回ってきた。
指を三本に増やされるのだと当然のように思っていた少年は、僅かに理性を取り戻して顔を上げる。
店主は目の前で屈み、ニヤニヤと見下ろしている。
「これがおぬしの相手じゃ」
そう言って、おもむろに着物の前見頃を開いた。
露になる、白く肉づきのいい腿と、なだらかな腹に覗く形のいい臍。
その間に、太い棒が生えていた。
「……え?」
よく見れば、もちろん作り物だ。
樹脂製だろうか、黒光りするそれはベルトで腰に固定されているだけだ。
だが、その形は実に精巧に男の象徴を模していた。
「え、でも、嘘……?」
これを尻に挿入されるという事実に、興奮の熱気はたちまち寒気へと変わる。
「無理……こんなの無理ですよ!」
「大体の女がいつか受け入れねばならんものじゃ。おぬしも例外ではないということよ」
女扱いについては敢えて聞き流す。
それどころではなかった。
「だ、だってこんなの大きすぎます! せめてもっと小さいのを……」
「これはこれは大した自信じゃ。まぁ、たしかにおぬしのそれはなかなか大したものじゃが」
「ボクの……?」
噛み合わない答えが妙に頭に引っ掛かる。
よくよく見れば、その張型の形は見覚えがある。
見覚えのある形。先日、型取りされた自分の性器。
それらが導く答えは。
「まさかそれ……」
「うむ。型から造った、世界で二つ目のおぬしの棒切れじゃ」
客を選べばゼニになりそうじゃなと笑い、一歩にじり寄り頬に押し当てる。
「やっ……」
当然ながら、それは冷たく、素材の無機的な匂いしかしない。
だが、男性そのもの――よりによって自分の――が顔に触れるという嫌悪感が勝る。
「舐めるがよい」
それを見透かした上でだろう、店主は心底楽しそうに命じた。
「い、嫌です! いくらなんでも、こんな……」
「尻でもっと感じたいじゃろう?」
少年の前髪を指で掬い、店主が囁く。
「世の性具が何故雄の性器を模しているか考えてみよ。快感を得るのに適しているからじゃ」
そう言って、先程まで肛内を弄んでいた二本指を張型に添える。
あまりのサイズ差に圧倒されてしまう。
(これが……ボクのお尻の中に……?)
想像して、肛門がきゅぅと締まった。
怖い。太すぎる。どうなってしまうか分からない。
そういった否定的な思いは数知れない。
だが、それらは太さへの恐れであって、男根を受け入れることへの嫌悪ではなかった。
「何にせよ、まずは舐めてみよ。我が命令を撤回することがないのは言うまでもなかろう」
たしかに、という思いに押され、のろのろと舌を伸ばす。
亀頭に触れたが、味はしない。
所詮偽物だという実感を得て、竿にまで舌を滑らせた。
ぴちゃりと微かに水音がした。
「んっ……こうですか……?」
店主が自分にする行為を思い出しながら、懸命に小さな舌を這わせる。
キスするように。味わうように。
緩急をつけて唾液を直接塗り付けていく。
「しかしまぁ口淫の似合う顔じゃのう……」
店主の苦笑に頬を赤らめ、試しに亀頭を頬張ってみた。
太い。
口はそこそこ大きいつもりだが、それでも息苦しい。
これを嬉々として咥え込む店主に感心してしまう。
(ボクのって、こんなに大きかったんだ……)
今もこのサイズに膨らみ射精を求めているはずだが、こんなに間近に見るのは初めてだ。
頭をゆっくり伏せ、少しずつ呑み込んでいく。
唾液にまみれ、口内で温まり、ますます『それっぽい』感触になっている。
これが入ることを想像し、意識は自然と肛門に集中する。
淫欲を高められたそこは、指より遥かに太いそれを待ち構えるようにヒクヒクと震えている。
(欲しがってる……)
不思議と落ち着いて少年はそう自覚した。
体臭への倒錯的な欲情。乳首や肛門の女性的快楽。
店主に常識を破壊されるたびに肉体は未知の性感を生み出してきた。
今回もきっとそうだ。
(この人になら……いいや……)
心は決まった。
舌を絡め、今から自分を貫くそれの形をよく確かめる。
「どうする?」
答えを確信しているのか、優しい声がかかる。
「欲しい……です」
「どこに、何がじゃ?」
少年は亀頭に口づけ、媚びた上目遣いで店主を見上げた。
「これ、お尻に欲しいです……」
店主は無言で再び後ろに回る。
「この方が見やすかろう」と、鏡に対して体の側面を向けさせられる。
四つん這いのまま、横目で鏡を見る。
店主がまさに腰を掴み、黒々とした棒を尻に当てるところだった。
「あ……」
先端がとろけた肛門に触れ、声が漏れる。
だが、すぐには侵入せず、性器と肛門の間の会陰をぐいと押したり、尻の割れ目をなぞってくる。
続けて、尻から溢れる潤滑液をまぶすように亀頭が肛門を浅くくすぐる。
「ふぁぁぁ……」
緊張と興奮で熱さすら感じる。
欲しい。怖い。熱い。くすぐったい。
来ない。まだ来ない。来ない。来な――
ずるり、と。
肛門を押し広げ、張型が入ってきた。
(来た……!)
予想に反して痛みはない。
潤滑液にまみれた肛門は、素直にそれを受け入れていく。ただ。
「あぁぁ……! 太いよぉ……!」
先端から根本まで太いそれは、深く入るにつれて肛門管を、直腸を拡張し圧迫していく。
違和感というにはあまりに圧倒的な感覚だ。
質量の詰まった塊は、締めつけようとする反射的な括約筋の動きにもびくともしない。
太くて苦しくて、指なんかとはまるで違った感覚で、
(気持ち…いい……?)
伝達神経が混乱したのか、直腸と肛門は張型を強く締め付けたり、排出しようと弛緩したりと勝手に暴れる。
そのすべてが尻に密集する感覚を刺激し、快感に近い何かとして体内を駆け巡る。
たまらず、布団を掻きむしる。
「あぁぁっ! あっ、ふぁぁ!」
体が混乱して何が何だか分からない。涙も溢れた。
「落ち着け」
覆い被さった店主が、熱っぽく囁いた。
背中に彼女の体温がじんわりと伝わる。
「全部入ったぞ。痛かったり、中が乾いてるような感じはせぬな?」
頷くと、安堵したように微笑みを浮かべた。
「ではまずは慣らすところからじゃな」
言葉の通り、荒々しく突くようなことはなく、潤滑液のぬめりを利用し、揺らすように動かされる。
「んっ、ふぅ……!」
指で十分ほぐされていたこともあり、緊張が抜けるにつれて圧迫感も穏やかになっていく。
意識的に肛門を拡げると、張型の圧力が均等に広がり、確かな快感が湧いてきた。
「どうじゃ?」
「大分、楽になってきました……あん!」
拡げた肛門が、気を抜くと反動で強く締まって強烈な刺激に襲われる。
それを張型越しに感じ取ったのか愉快そうに笑い、店主はゆっくりと腰を動かし始めた。
自分と同じ形のエラが腸壁を擦り、自分と同じ大きさの亀頭が一番奥を圧迫する。
肛門への異物にぺニスは萎え、ただ先走りを垂らすだけの突起と化す。
「や……ぅぅ……やっぱり太い……!」
「じゃが声が随分と甘いのう。指より随分と感じているようじゃ」
その通りだった。
肛門は絶え間なく刺激され、腸壁の奥の性的な器官までも圧迫される。
何より大好きな店主に、女の姿の自分が男根で犯されている。
その倒錯的な事実が心までもを快楽に溶かしていく。
「良かったのう。自分の一物で犯される者などそうはおらぬぞ。この世界ひろしといえどもな」
次第に加速する動きが、潤滑液をかき混ぜ淫猥な音を居間に響かせる。
「あっ、くぅ……激しいです……!」
疼きは下腹部全体に行き渡り、勃起もしていないのに射精寸前のような快感が神経を走る。
気持ちいい。
しかも快感は果てしなく蓄積していく。
「そうじゃ、もっとよく見せてやろうかの」
さすがに荒い息をつきながら、店主がそう呟いた。
張型が引き抜かれる。
緩やかな動きのため、抜かれるときの排泄に似た感覚がいつまでも止まらない。
体内に収まっていたものの長大さを改めて実感する。
完全に抜かれても、肛門はすぐには締まらず、ぽっかりと開いている。
「ふむ、中まで綺麗な色をしておる」
尻をしげしげと眺め、店主は上機嫌だ。
「あの……」
「泣きそうな顔をするな。次はこうじゃ」
言って、店主はその場にどっかりと座った。
股間の張型が天を仰いでいる。
何をしろと、命令されるまでもない。
少年は、もっと肛門を蹂躙されたい一心で、震える膝で立ち上がり、店主に近寄る。
「尻餅を突くでないぞ。血を見るのは好みではないでな」
「わ、分かってます」
とはいえ、骨抜きにされた体だ。ふらつきながら、店主に背を向けてゆっくり腰を下ろす。
途中から店主に脇腹を支えられ、誘導される。
ふわりと広がるスカートの中、ずれたショーツのすぐ上の箇所を張型に乗せる。
「んっ……ここですか……?」
「生憎、服で見えん。おぬしの自慢の尻穴の感覚だけが頼りじゃ」
店主の皮肉にも、少年は甘い声で答えた。
「あんっ……大丈夫、ちゃんと……おちんちん、入ってます」
いいところで止められ、焦れていた肛門が歓喜にひくつく。
ずぶずぶと、再び少年の体が己の性器を受け入れていく。
店主の体に背中を預けて座る様子は、鏡で見れば仲のいい姉弟か親子のようだ。
だが、実際は異常極まりない性交でしかない。
だというのに、少年はひどく安らいだ表情で、歓喜の吐息すら漏らした。
二度目の挿入は圧迫感こそあれど辛くはなく、体重のかかる体勢の分深くまで入っている。
自分のぺニスを全て飲み込み、店主の股の上に尻が触れた。
「おぬしの体、小さいのう……」
ぎゅう、と背面から店主に抱き締められる。
温かく柔らかい。その安堵感さえも今は快感に繋がる。
肩の横に店主が顎を乗せる。
慣らすように腰を回し、囁く。
「動くぞ」
「はい……あ、すごい……! これ、すごいぃ……!」
小刻みに腰を突き上げられ、竿全体が前立腺もろとも直腸を抉るように擦る。
「のう、鏡に映った『小娘』は、おぬしから見てどのように見える?」
言われて正面の鏡を見れば、汗にまみれ、ワンピースから覗く体を紅潮させた『少女』が見返してきた。
表情は蕩け、体は弛緩しきっている。ひどく淫らだ。
「気持ち良さそうです……すごく、いやらしい顔してる……」
店主が頷き、意地の悪い笑みを見せる。
「その『小娘』、大した淫乱でな。もっと気持ちよくなりたいそうじゃ。どうするべきかのう?」
自身も快感を得ているような、店主の艶っぽい囁きが耳朶を打ち、喉が鳴る。
「はぁ、ん……胸……乳首とか、すごく気持ちいいと、思います……んっ!」
「なるほどのう」
店主の手が『少女』のワンピースの袖口に突っ込まれる。
ブラジャーの下を通り、手は乳首に直に触れた。
触れただけだ。だというのに、
「あぁぁっ! 乳首っ……! 乳首、気持ちいいですっ……!」
異常なまでの快楽に包まれ、少年はむせび泣いた。
まして指で挟まれ転がされては、頭が真っ白になってしまう。
「やぁぁっ! あん! あぁぁん!」
外にまで響くのではないかという嬌声が上がる。
乳首の快感は肛門の快感と似通っており、互いに体内で絡み合い高め合う。
もはや少年の体は快感だけを詰め込んだ肉の袋だった。
ただ与えられる刺激に反応し、筋肉を痙攣させ、声と体液を漏らす。
(気持ちいい……気持ちいい、気持ちいい……!)
それが、彼には幸せで仕方がなかった。
「さぁ、次はなんじゃ? 何があの『小娘』を悦ばせるか教えるがよい」
乳首責めも、腰の振りも止めぬままに店主が問う。
答えはすぐに出た。
「唾……」
鏡の『少女』の痴態に興奮していると、口が勝手に願望を紡いだ。
「唾、かけたら……ふぁ! 気持ちよすぎて、あの子、おかしく……んぅっ!」
ほう、と店主がわざとらしく応じる。
「しかし普通の娘子は唾なぞで悦ばぬぞ? 何ゆえそんなものを欲するのじゃ?」
意地悪く笑う店主に対して拗ねてみせる余裕などない。
「あ、あの女の子は、変態で……ひぅっ! 女の人の、匂いに興奮してぇ……汚されながら触られると、イッちゃうんですぅ!」
「ははは、そいつはまた、見下げ果てた淫乱娘じゃ」
満足そうな店主は、少年の後頭部を胸元に抱き寄せた。
ちょうど頭を見下ろす形だ。
少年は鏡に見入っていた。
店主の口が微かに開かれる。
そこから『少女』の花飾りに向け、細い、しかし途切れない透明な線が伸びた。
花飾りを汚染した唾液はそのままつややかな髪を伝い、とうとう『少女』の顔面に垂れる。
少年は自分の顔を手で擦った。
ぬるりとした液体が顔に塗り広がり、嗅覚を刺激した。
それに喜悦の声を上げる暇もなく、店主の命令が下る。
「上を向け」
見上げれば、逆向きに店主の淫靡な笑みがある。
それが近づき、口が開き、唾液が降り注ぐ。
店主の匂い。自分の一番本能的な部分を狂わせる媚薬の匂いだ。
「あぁ……」
快感の嵐の中、少年は満足そうに、無邪気に笑った。
視線を鏡に戻す。
清楚そうな顔を白く泡立つ唾液に汚し、『少女』は笑っていた。
「さぁ、仕上げじゃ。裾をまくって中身をよく見せるがよい」
乳首をますますねちっこく捏ね、前立腺をぺニスで断続的に突き上げながら命じる。
少年はのろのろとワンピースの裾を持ち上げる。
脚を広げ、体重を完全に店主に預け、結合部を鏡に写す。
犯されている肛門が丸見えだった。
張型を出し入れされるたび、激しく痙攣している。
汗に湿るストッキングは匂い立つかのようで、そこから伸びるガーターベルトもいやらしい。
乳首を弄られ、唾液を浴び、股を広げて喘いでいる『少女』。
(これが……ボク……)
そこにいた自分は、紛れもない『雌』だった。
このまま、体力が尽きるまで快感を得続けるものだと思っていた。
だが、終わりは意外に早く、予想もしない形で来た。
「んっ、ふぁぁん……! あっ……?」
鼻にかかった甘い喘ぎが、体に起きた変化に気づいて止まる。
体に溜まっては抜け、溜まっては抜け、遅々としていた快感の蓄積速度が、ここに来て加速し始めたのだ。
「なっ、なに、これ……? あっ、あぁ……あぁん……!」
「来たか」
店主は予測していたように呟いた。
肛門を拡げられる快感、前立腺を突かれる快感、直腸を満たされる快感、
店主に抱き締められる快感、乳首を愛撫される快感、唾で汚されると快感。
それらが全て混じり合った強烈な快感が、さらに膨張していく。
「い、いやぁ……! 壊れる、体、こんなの壊れちゃう……! あん! 何これ……!?」
「これは異なことを。おぬしが先ほど自分で言ったではないか」
「ボク、が……?」
犯され始めてから、まともに喋れた言葉など数えるほどしかない。
体を突き破りそうな圧倒的な快感に恐怖しながら、必死に思い出す。
――汚されながら触られると、イッちゃうんです
「え……? で、でも、ボクは……」
男の自分が、射精以外の絶頂を迎えるはずがない。
だが、店主はそれを否定する。
「ボクは……何じゃ?」
「あ……」
そうだ。
そうだった。
(あはは……そうだ。今のボクは……鏡の中でお尻におちんちん入れられてるあの子は、女の子だった――)
ならば、来るべくして来たのだ。
弄られ続けた体に、オーガズムが。
射精と比較にならない快感が連続的に、しかも爪先から脳天まで全域でのたうつ。
もはや快感は暴力に等しい。
「ふぁぁぁぁ! イッちゃう、ボク、イッちゃうぅぅ!!」
「クク、よいぞ。存分に味わってくるがよい」
一度中程まで抜かれた張型が、力強く挿入され前立腺を押す。
乳首がつねり上げられる。
限界が来た。
「あ、うぁ、うぁぁぁぁっ!!」
涎と汗と、涙と鼻水までが溢れる。
これ以上ない、という意識のさらに上の快感が全身を食らう。
鏡に写るその姿は、性に狂う獣のそれだった。
全身を痙攣させ、萎えきったぺニスからとろとろと精液が緩やかにこぼれている。
快感が止まらない。
達して落ち着くどころか、快感はいつまでも全身に留まっている。
「あぁぁぁん! 死んじゃう、死んじゃうよぉ!!」
声が枯れるまで。
体力が尽きるまで、女性的絶頂は続いた。
そして。
「…………」
体液と気力を出し尽くしたかのような有り様で、少年は横になっていた。
張型を外し、着物を直した店主の膝を枕にして。
「見事じゃったぞ」
珍しい誉め言葉と共に頭を撫でられ、少年は力なく笑う。
もう、女でもいい。
あんな快感があるなら、店主がそれを望むなら、女になってもいい。
興奮の覚めやらぬまま、そんなことを思った。
「気持ちよかったです……その、死ぬほど」
「うむ、正直あそこまで悶え狂うと思わず我も墓の調達を考えてしもうたわ」
「あはは……」
「いや本気で」
それもどうだろう。
とにかく、疲れていた。
射精の比ではない。ただ眠い。
「夜通し釣りをしてたと口裏を合わせてやる。今日はこのまま眠るがよい」
「はい……そうします」
はにかみ、何とか握っていた意識を手放す。
そうすると、少年の意識はたちまち樹海より深い闇に飲まれていった。
「で」
少年が完全に寝ついたことを確認し、店主は鏡を見た。
「どうじゃった?」
鏡の中の自分は当然答えなど返さない。
返ってきたのはその奥からだ。
「最高でした! 最高でしたわ!」
「ボクもすっごい見入って声出そうだったよー」
がらり、と鏡の裏側の襖が開く。
奥の暗い部屋から出てきたのは、ネイピア商店の常連ギルドの女性達だった。
「うむ、破れた襖がゼニにならぬかと阿呆な思案をした甲斐があったわ」
先ほどまで少年の艶姿を映していた姿見。それはマジックミラーだったのだ。
暗い部屋の側から覗けば、居間は丸見えで、逆に居間からはただの鏡にしか見えない。
店主が少年を呼んだのも、執拗に鏡を見せたのも、観客のためだ。
「ねぇ、やりましょう! 今のプレイ、私達でやりましょう!」
プリンセスの少女がお付きのファランクスにねだり、ファランクスは溜め息をつく。
「落ち着いてください姫様。息子様が起きてしまわれます」
「うーん、ボクって女の子としかエッチしない主義だけど、この子なら……ありだね」
「……」
ぐちゅぐちゅ。
幼いモンクの少女が舌なめずりし、ビーストキングの少女は部屋に充満する匂いを嗅ぎ、無言で濡れた性器を弄っている。
「どうでもいいが、ゼニを出すがよい。約束通りの3000エンじゃ」
「もうわたくし5万でも出しますわ!」
「落ち着いてください姫様。そのようなアホをおっしゃると思って、各自ぴったり3000ずつしか持参しておりません」
「……」
ぐちゅぐちゅ。
「よしよし、やはり趣味は実益を兼ねるべきじゃな」
人数分の見物料を徴収し、店主はほくほく顔だ。
宿屋の息子との行為をいたずらに周知させるつもりはないが、せっかくの逸材だ。
口の固さに信頼のおける女性だけのギルドになら見せて楽しめ、金も得られる。
まさに一石二鳥の計略だった。
それに、せめて張型の分の支出は回収しなければ、気になって楽しめるものではない。
「ねー、お姉さん」
興奮して互いを肉欲の目で見合うギルドの仲間達を尻目に、ファーマーの少女が手を上げる。
「む、なんじゃ小娘」
アリスと名乗っている彼女は、泥のように眠る女装少年を指差して首を傾げた。
「アリス達ね、見るだけじゃなくて、その子で直に遊びたいなー。……いくらぐらい?」
その様子は可愛らしいが、世話になっている少年をもはや完全に玩具としてしか見ていない発言だ。
「何を馬鹿な――」
自分の性具を他人に貸す趣味はない。
ないが、そこは商人の性。たちまち算盤が頭の中で鳴り始める。
――今回同様、このお得意女ギルド限定で。
――店をやりながら、裏で自動的に副収入。
――自分一人より効率的に、この愛すべき変態の体に快感を刻める。
――彼女らの金銭状況は把握している。多少高めに設定しても食いついてくるはずだ。
結論。
「ふむ。……ありじゃな!」
パン、と扇子を開き、店主は朗らかにそう言った。
反応は顕著だった。
「あら嬉しい」
アリスが目は冷徹なまま口だけで笑い、
「マジで!?」
モンクが興奮して詰め寄り、
「……っ」
ビーストキングが喉の奥で唸りながら軽く達した。
「ま、さすがに今日は無理じゃが。折を見てこちらから知らせよう」
ギルドの女性達の肉欲にまみれた視線が、宿屋の息子に集中する。
少年は、ほんの少し前までは釣りが好きなだけの無垢だった、
今は倒錯的な性愛に溺れて己の性別すら曖昧な少年は、そんなことも知らずすやすやと眠っている。
今はまだ、大好きな店主の夢を見ながらただ眠っている。
今胸を覆っている、店主が普段着用しているブラジャーのおかげか、それはとてもはっきりとして楽しい夢だった。
長々と時間かけて申し訳ないがいじょ。
続きも期待しとるでよァッー!
変態変態変態ッ…!
もう完全に目覚めてしまったぞっ…!
GJすぎる。いい調教だ。
個人的には本物の肉棒を味わわせたい。
あとファマアリスっての俺と同じだなぁ。
>>497 投下乙ー
堕ちきったところに更なる凌辱フラグにwktk
アリスファマ子が悪魔みたいとか思ったら
>>109から悪魔ぶりを発揮してたでござる
……待て、「普段着用しているブラジャー」と言ったか?
って事はあれか、やっぱり店主は宿子とほとんど変わらn(
媚薬注文するファマ子書かれないかと思ってたら登場したw
鬼のようなエロス・・・!この感覚は三竜に出会った時以来か
続きを待っております
すみません一点追加を。
ネタバレはほとんどありませんが
四層突入直後
大航海2マップめ
だいたいこの範囲のネタが入っています。
読了。GJ!
設定
ギルド名「ネクスト」
ファランクス→クリフ
プリンス→キール
パイレーツ→ジャック
ファーマー→ナオト
の男四人のギルド
女の子はゾディアックのピンク髪ゆるふわ系女の子のセレン
以上の話になります。
自分は書くのが遅いので少しずつ載せていきたいと思います。
遅筆で申し訳ありません。
510 :
1:2010/05/13(木) 18:35:40 ID:jf+RFRNM
アーモロードの宿に幼い少女が運び込まれたのは、もう深夜の出来事だった。
宿の主を務めている少年が寝ぼけ眼を擦りつつ階段を下ってくる事を捉えたジャックは、
声を荒げて彼の姉を呼び付けるよう怒鳴るような声を上げる。
少年は最初こそ驚いたものの、彼らの中では一番に体格の良い普段は寡黙な男のクリフまでものが、
血相を変えている事に状況こそ理解はしていないものの危機感は覚えたらしい。
とびぬけるような素早さで宿の傍らに併設されている治療院まで駆け抜けていった。
クリフの腕の中には息も絶え絶えの小さな少女が一人。
彼女は彼らのギルドの人間という訳でもないし、知り合いという訳でもない。
ただ、彼らが常のように世界樹の探索に訪れた際に地下六階で倒れていたのだ。
周囲に魔物の気配がある訳ではないが、彼女の頭髪、皮膚、全てが血に濡れていた。
それが彼女自身のものならば彼らはもっと血相を変えていたかもしれないが、
それはどうやら彼女自身のものでないものが大部分を占めていると理解した瞬間に、状況を理解したのだ。
彼女一人でこんな場所に訪れる事など出来る筈もない。
ならば彼女は彼女のギルドがある筈だが、その姿も全くといっていいほどに見る事が出来ない。
その状況から、結果に行きつくまでには数秒も必要とされなかった。
ファーマーであるナオトが両手を振り上げて帰宅マスターを用いてアーモロードへと帰還し、そして今に至る。
全く面識などない少女一人にここまで血相を変えてしまったのは、彼らがむさくるしい男のみの集団であり、
一部を除いて普段女性に触れ合う経験など皆無である事から小さな少女一人の扱いにすら困惑してしまった事も原因の一つであった。
ファランクス、プリンス、パイレーツ、ファーマー。
バランスの妙に悪い構成のギルドである彼らはそこそこに名の売れたギルドであった。
彼らならばこの世界樹の謎を解き明かしてくれるのではないか―――…そんな噂すら、
まことしなやかに囁かれているほどである。
だかしかし、そんな彼らであっても一人の少女の存在にうろたえてどうしようもなくなってしまうのだから、
世の中とは奇妙な作りになっている事を理解させられてしまう。
「それにしたってなんだってあんなとこに行ったかねえ、あそこ魔物の巣だぞ」
「最近多いって言うじゃないか、聞いた話によると魔の道案内人がいる、なんて」
「やっ、やめてくださいよお、僕あんまりそういう幽霊とか得意じゃないんですからあ」
ようやく気の緩んだ彼らが会話を繰り返しながらその場に座り込むと、
ファランクスのクリフが此方へと顔を向けて人差し指を口元に一本立てた。
今は深夜、他の宿泊客は恐らく明日の探索に備えて眠っている頃合いだろう。
そんな彼らの疲労を知らない筈もない為、三人はようやく口を閉ざした。
今日はもう、自分たちに出来る事など何一つない。
もう部屋に戻るしかないだろう、と彼らはその場を後にする。
そんな彼らの元にある知らせが届いたのは、それから数時間後の事であった。
511 :
2:2010/05/13(木) 18:36:11 ID:jf+RFRNM
桃色の緩いウエーブのかかった頭髪の少女は今はまだすよすよと眠りについている。
精神的、肉体的、共々にとても負担が掛かっていたらしい、と少年は伝えた。
彼らが呼びだされたのは翌朝、つまり眠りについてから数時間もしない程であった。
パイレーツのジャックなど、寝ぼけ眼のまままだ半分ほど意識は吹き飛んでいるのだろ、
船をこぎながら適当な相槌を打っている。
今、明確な意思を持っているのはプリンスのキールとクリフのみであった。
ナオトもジャックも、いまだ意識は覚醒していない。
いくらごついても変わらないし、彼らが朝にとても弱い事はしっかりと把握している。
だからこそ、と二人は少年の言葉に耳を傾けた。
「どうしてだかわからないのですが、世界樹の中で何かが彼女を襲ったみたいなんです。
だから彼女はその現実を受け入れる事を拒んだ、つまり、記憶を閉ざしてしまったようなのです。
最初なんてあんなふらふらの体で世界樹に戻る、ってうわごとのように言いながら暴れるものだから、
荒業ですけど睡眠薬を注射して、今やっと落ち着いてるみたいで」
「何か記憶している事は?」
「彼女の名前はセレン、ゾディアックをしているという事と、十六歳という事くらいしか」
十六、とその言葉にぱっと顔を向ける。
どう見たって十三がやっとの顔立ちだ、幼いにもほどがあった。
十六といえばナオトと同い年であり、キールとも二つしか違わない。
なのに、こんなに幼いだなんて。
「それで、ですね。セレンちゃんは多分また世界樹に行きたがると思うんです。
無理に、とは言いません、もし皆さんさえよければ暫くセレンちゃんと一緒に居てあげてくれませんか?
ほら、貴方達みたいに実力がある方々ならセレンちゃんも安全でしょうし、何より他のギルドの方は幾らか物騒なもので」
「まあ、普通男だらけのギルドに女をぽんと投げ込んだら行く末は見えているからな。
どうだクリフ、あの二人はほっといていいがお前の意見は聞きたい」
「……構わない、が」
ぽつりと小さく零された一言に、それならば決定だ、とキールは頷く。
宿屋の少年はその言葉に安堵したように頭を深く、下げたのだった。
512 :
2:2010/05/13(木) 18:36:55 ID:jf+RFRNM
今は以上になります。
もうしばらくお待ちいただけたら嬉しいです。
しばらくはエロより話重視になるかと思います。
宿子×宿子ってないかな
おまえはいったいなにをいっているんだ
宿子で思い出したけど
2の治療院の助手と、3のスク水は、結局別人設定なんだな。
2ネタ絡めて2828したかった…
>>513 宿子に分身覚えさせてセルフ69とか真の自己挿入とか夢が広がる。
オナニーだから恥ずかしくないもん。
深都宿子×海都宿子…
てす
宿子弟×宿子姉だろう
海都の宿ってやっぱり奥にダァクタァトゥキモォリィいるのかね
奥にいる室長が、一秒で緑死病の特効薬作ってくれるよ
やはり超執刀持ちか…
ケトスとオランピアの偉そうな態度がむかついたから
ばあちゃんに深都のことを洗いざらいバラしてやった
て
オランピアって娼婦の通り名だったんだよな・・・
>>506 リヒャさんはちょっかい出す度にあの音を聞いてるのかと思うと
とても胸が熱くなりました
実に楽しそうらやましい
てす
宿子の女顔と性格の汎用性はすごいな。
グートルーネ姫とかオランピアさんに深都宿子などちょっとでもSっぽさのある人なら不自然なく組める
公式に性格があるのにショタパラみたいな位置づけ
宿子のクエスト報酬が驚愕の大金だったわけだが
美しい菊の花は高く売れたんだろう
さあこの美しい糸目にいくらの値を付ける!?
活け花かいッ!?
ところで保管庫ってテンプレのやつ飛んでも鯖変わったよ!的なサイトにしか飛ばないんだけど
新しくできてたりする?
あ、あったのか
すまん、ありがとう
自己投影用♂1人に娘4人のハーレムパーティは誰もが通る道だよな。
むしろ♂4に♀1のお嬢様と家来ズで頑張ってます
でも人工呼吸イベントでの組み合わせは男同士でアッー
挙げ句の果てにはお嬢様が自分で自分に人工呼吸という……誰得
♀5人だけど百合要素なし
みんな理解してくれない
ヲリ♂:冒険はともかくHでは女性陣に押されっぱなしのリーダーで主人公。
ヲリ♀:長く美しい髪に引き締まった肉体が眩しい巨乳美女。無自覚に主人公を誘惑する。
パイ♀:巨乳や美尻、肉体のあらゆる部分で男を誘惑し射精させる美しき痴女。主人公への朝フェラが日課。
バリ♀:姉御肌の頼れる巨乳美女。主人公の相談に乗ることも多く、心も肉体もその母性で癒やしてくれる。
ショ♀:凛とした美貌に美しい黒髪をもつ、巨乳美女。主人公に憧れてギルドに入った。処女であり当初は主人公達の乱交について行けなかったが、自慰をパイ♀に見つかったことから乱交に参加。スイッチが入るとギルドでも1、2を争う淫乱になる。
もちょっとボキャブラリ増やせな
な
俺のオナニー設定投下させてもらった。チラ裏ですまん。
他にもギルドにはファラ♀やプリ♀やモン♀などの嫁がいるし、乱交にオランピアさんが混じったりしてるんだすまん。
スレチ
その設定をもとにSSを書けばスレ違いじゃないのでは。
中学生の欲求不満坊主並の青い妄想力ワラタ
>>506 亀だけど面白かった。
時系列を遡って読ませる手法が上手いね。
>・書きかけのほうも必ず完結させますので、いましばらくお時間を……
おうどん!
---ここから自ギルドの脳内設定垂れ流しタイム---
>>549 女だらけのギルドでギルド名はヴァージンセイル(処女(航海)の帆)
「処女売ります」と誤読されて「いくら?」と聞くバカ多発
初代メンバーは航海中、海賊に襲撃されて慰み者として生涯を終えた
(ちゃっかり逃げ出したシノビ一人除く)
それを聞きかじって一人前になった二代目メンバーは、
いつか自分にも待ち受けているであろうその末路を想像して
怯えながらも自然と火照る身体をもてあましてメンバー同士で…
うん俺激しくキモい
>>550 お前の勇気に報いよう
ギルド名は特に設定に関さないので省略
主人公格は地味パイ。銃好きでチェイスサンダーでシコシコしてたがケトス越えた辺りで絞首刑人に転身し、キリン蹴倒した後ショーグンに転身してイケメン化、二刀我流無明剣で暴れまくり
据膳食わぬは男の恥で、割とノリノリ。後腐れしないように相手は選ぶタイプだが、場の勢いに押し流されることもしばしば
女ゾディのロリアナザ(ピンク髪の奴)。地味パイに合わせて雷星術を覚え、そのまま極める。一属性特化サブなしの漢仕様
母が娼婦で自身も元娼婦(ギリギリ処女)。ふと星術に目覚めて経営者を黒焦がしにして脱走、地味パイと出会い、冒険者になる
地味パイを密かに本気で好きだが、娼婦の過去に付き纏われ、身体関係から先に踏み込めない
男ウォリ金髪。チャージナインスマッシュが生き甲斐のアホだったが、キリンの天雷に打たれてプリンスに転身、分身して号令を撒きまくる
記憶喪失。性欲はサル並みだが身内に手を出す気にはなれないらしく、娼館に通い詰めて日々を過ごす。キリンに雷で頭を打たれて記憶を取り戻し、イケメンプリンスになり、節操を覚える。
女ファラおかっぱ。序盤はブリッツリッターでチェイスサンダーに一役買っていたが、弩を覚えてからは照明弾と煙幕弾を撒く事が生き甲斐になる
元は高貴な騎士の生まれだったが、海賊に捕まりヤク漬けにされ性奴化。海軍に救われて冒険者になったが、薬の禁断症状で苦しむ。
普段は上記女ゾディに慰めて貰うが、キツい時は地味パイにも手伝ってもらう。金髪ウォリが気になるお年頃だが、彼は自分に興味がないと諦めている
女バリ貧乳。チャージ+レインフォールor前陣迫撃で終始ギルドの最大火力。ダクエテ・ディバイド・照明必須
地味パイの幼馴染み。俺娘。元々地味パイが好きだったが、いわゆるツンデレで上手に接する事ができなかった。
男と付き合うのは諦めていたが、地味パイとゾディの情事をうっかり覗いてしまい、それを思い出して自慰に耽っていた所をゾディに発見され、背中を押されて地味パイと結ばれる。
・・・・という設定でSS書いてるんだがなかなか一話が出来上がらない
エロむつかしいでつ
設定なんかSS書いてから晒せカス
けなすんならSS書いてからにしろよ。
それもできないならおまえの設定さらせw
設定だらけで埋まるのがいやだってんなら言い方があるだろうに。
あ、俺は設定のみでも歓迎
ss読むのは何の抵抗も無いのに
俺設定なんて、見てるこっちが恥ずかしくなってくる
ふしぎ!
SS書いてるけどエロシーンで減速する不思議!
あああ真祖たん真祖たん真祖たんいあ!いあ!
あれ? 真祖のモデルってハスターだっけ?
真祖のモデルは父にして母なる座という名前からダゴンとハイドラの複合と思われる
全年齢板で
>>550-551みたいなのが晒されてたらどん引きだよ!
ここで晒す分には別に構わんかな、個人的には
他にネタもないなら
才能がないのは仕方ないんだから、自重すればいいのに
アーテリンデの話書いてみたいんだけど、
彼女って何歳位なんだろう?
見かけより意外と年喰ってるのかね?
わかいべ
自分は16、7のイメージだ。おとなではないけどそこまで子供でもなさそう。
たまに「イア!イア!」がハスターにしか付かないと思ってる人がいるが、
クトゥルフ世界の神性を讃える言葉であるからクトゥルフ的化け物には殆ど使えるぞ
関係無いこと言ってすまんかった
引き続きアーモロードの姫君による触手プレイをお楽しみ下さ
ああ!窓に!窓に!
うろ覚えだけど、スキュレーの元の人が死んだのっていつだっけ?
その頃にはもう色々考え決めて行動できる歳だと思うのよね
少なくとも魔改造されたことを知って、殺させないように他のギルドを殺そうと突っ走る程度には
ウィキでU3層の台詞確認したけど「昔の話」で具体的な期間は出てないみたいよ。
宿子かわいいよ宿子
海都にオランピアさん囚われたらどんな目にあうのか教えて
それはそれはもう…
おちんぽ☆
チキチキされるわけだな
どちらかというと、深都に捕まった冒険者だろ
オランピア「ココデハ必要ナイカラ、サクジョ」
オラ「深王様がなくしてしまったもの…必要な、気がする…」
チキチキ
近頃はV一色だけど、前作SSってまだ需要あるかな
何をためらう必要がある
さあSSを投下するんだ
6層でファマ子をああっと!させてしまった
…あげく一発抜いた俺を許してくれファマ子
お姉ちゃんって呼ばれるのが好きなメディ姉の話って何スレ目だっけ
お姉ちゃんって呼ばれたい、いいんちょの話なら知っている
お姉ちゃんって呼ばれたいファラ男の話はまだですか
姐さんって呼ばれてるパイ姐の話なら割と転がってそう
お姉ちゃんって呼ばれて困ってる金鳥の話はまだですか。
スキュレーとショタパラの話が読みたい
深都宿子和姦とネイピア妹凌辱はどっちが需要あるかしらん
ネイピア妹和姦と深都宿子陵辱はないの?
和姦で
>>585 深都宿子陵辱かネイピア妹和姦で
和姦で
ネイピア妹×深都宿子
深都の宿子の中身は実は普通の人間で、
自分のことを「最新型のアンドロ」と思い込んでるだけなんですよ……
ってダァクタァが言ってた
宿子×宿子
>>585 そんな事聞かれても和姦ねえよ。
ナンチテ
595 :
名無しさん@ピンキー:2010/05/30(日) 13:40:25 ID:rS8U0mi8
オランピアとの和姦SS書いてるんだけど難しいな…
時代の流れに抗ってダクハンとカメ子SS書いてるんだが、いざイヤンなシーンって時になってこれからの方向性に不安を感じた
真祖たんと子作りしたいわけだが
率直に言って、子を作らされる事になるのではないかという可能性が・・・。
それもまたよし
まがかみ倒した俺らがお前の新しいご主人様だぜ!と真祖たんを慰み者にしたい
赤モン子ハァハァハァハァ
赤モン子の気功的な何かを食らいたい
その要求を聞こうじゃないか
ベビードールを着せた宿子と昼間のお散歩
もしかして強姦ってあんまり需要無い?
俺はそっちのほうが好きだけど、俺だけかもしれない。
強姦陵辱モノは大好きだよ
でも
>>585で並べられた例だと、俺は深都宿子>>>ネイピア妹だから宿子モノ選ぶな
強姦陵辱でも最後は快楽堕ちがいいなっと
じゃあ僕は宿子凌辱で
あ、思ったより人いるんだ
おk続き書いて来る
人に読ませたいのも分かるけど
自分の書きたいものを書くってのでもいいんじゃないかなあ
それはそうとして規制が多いからやむなくROMって人は多いみたいだよ
今小説書いてるんだが、キャラの呼び名ってどんなのが良いんだ?
その1
シノビ・ファランクス……などの職業名
その2
ファマ子・ビス男……などの略称
その3
作者が決めたニックネーム
シノビ→すずね
……みたいな
読者的にはどれなんだろうな
俺は1派かなぁ
海都宿子陵辱マダー?
3はとっつき難い人も多いと思う
ただ、話の内容や書き手によっては1や2じゃシリアスさなんかが出し切れない時があるよね
私は1派かな
あとは上手いこと全部代名詞にするとか(彼、彼女、青年、少年、少女…みたいな)?
ごくごく個人的な趣味だけで言えば、その1その2が台詞の中に出てくるのはあんまり好きじゃない
……けど、
>>611の言葉が真理だと思うよ。あなたの書きやすいように書いたらいい
あと三人称代名詞や、「少年」とか「女」とかで済ませるというオプションもある
登場人物が多くなると難しくなるだろうけど
リロード忘れて投稿したもんだから
>>614と被ったでござるよorz
>>616 私の書き込みよりわかりやすいでござるよ
あと
>>611ありがとう
ちょっとヤりたい放題書き殴って来る
一方俺は深都宿子の名前をアンジュと決め付けていた
年は15歳にしたけど。フヒヒ
ゾディ子たんとセックルすると俺の股間がピコーン!ピコーン!
ゾディの特異点ってエロですごく使いやすいネタだよなw
壊弱点+メテオとかな
クラーケン、大王ペンギンは感じすぎる子
そう考えると、突弱点ってエロいよな
らめぇ → ピコーン
ひぎい → ピコーン
ぬふぅ → ピコーン
アッー! → ピコーン!
悔しい・・・でも・・・ → ピコーンピコーン
こうですね
ピコーンSEは、個人的には我流の剣術につながるなあ
聞きかじりの経験で我流の剣術、でも幸運の女神
ピコーンピコーンピコーンピコーン(全てクリティカルヒット
……何ていやらしい!
こんなもので感じてなんかいないわ…→フフッこのスキルの前では無意味→むう、あれがゾディの特異点定理→知っているのかショーグン
ククク・・・エーテル圧縮した私のダークエーテルで特異点をピコーン
目標にエーテル圧縮してピコーン
目標にエーテル圧縮してピコーン
目標にエーテル圧縮してピコーンピコーンピコーンピコーン
俺のドレッドノートでバリ姉さんに前陣迫撃砲術をぶっぱなしたい。
デリンジャー(ワラ
クイックドロー(呆)
お約束のレス、ありがとうございます。
俺のジョリーロジャーと我流リミブ剣で白ゾディにスターバスターを乱発したい
ダガーの癖に
ソニックダガーだな
お前ら非常に楽しそうだな
姫様のクイックオーダーで瞬殺よゆうでした
ふぅ…
書き込めるかな?
世界樹3で盛り上がってて嬉しい限り。
III人気でちょっと寂しいサクヤさんを色々な意味で慰めてきました!
3のネタバレが怖くて発売日から消えてたけど
スレが盛り上がってて凄いと思った
あと、かなり遅くなったけど作品にアドバイスくれた人ありがとうです
しかし3で盛り上がってるから、色んな意味でもうちょっとじっとしておこう
先輩の人こないかなぁ・・・
>>640 俺も先輩は続きが楽しみで仕方がないんだぜ。
まあ4Pともなるといろいろ大変だろうし、気長に待つことにしようじゃないか
投下。
やはりちょいと時間がかかるのをご了承ください。
注記
・ネイピア商会の店主(貧乳)・ボウケンジャー(?乳)×宿屋の息子(貧乳)
・ショタ責め、ショタ自慰、匂いフェチ、若干の寝取らせ要素があるので抵抗のある方はご遠慮願います
・筆者がようやく海都ルートクリアした程度の進捗のため、6層や他ルートの情報と食い違いが出る可能性があります
・前に宿子の肌が白いと書いた気がしますが細かいことは気にしません
・糸目という呼称に今更ながら違和感を感じたため改題いたします
・続きます
アーモロード北海。
まだ航路も再開発されたばかりのこの海域に、一隻の船が浮かんでいた。
船上では若いながら聡明さを感じさせるプリンスの青年と、そのお付きの男シノビが釣糸を垂らしている。
「殿」
「王子ですよ」
「王子、畏れながら相談がございますでござる」
「また恋の悩みですか?」
「ござるござる」
「羽ばたく蝶亭のご婦人なら先週振られた上に酔い潰されて後日凄まじい代金を請求されたばかりでは?」
「あんな残酷おっぱいはもう眼中にないでござる」
「いい大人が震えるほどですか」
「アーマンの宿に接客の子がおりますでござろう?」
「ええ、いい子ですね。今度はあの子のお姉さんにでも惚れましたか?」
「否、あの子本人でござる」
「……」
「もうマジ惚れでござる。今度は本気でござる」
「忘れがちですがあの子は男の子ですよ」
「望むところに候」
「気でも違いましたか」
「否! 殿は「王子ですよ」王子はご存知ないのですか、あの子の醸し出す淫靡なふぇろもんを!」
「あいにくと」
「最近あの子が傍を通るだけで雌度満点の性的ないい匂いがするんでござるよ!」
「雌度?」
「左様」
「はぁ」
「今朝などあんにゅいな表情で溜め息をついており、そのエロさときたらもう!」
「ストーカー被害にでも遭っていたのではありませんか」
「否、拙者が時間の許す限り張り付いておりましたがそんな輩はおりませぬぞ」
「ははは」
「で、あまりに魅惑的なもので、ちょいと潜伏しつつ尻を撫でたんでござる」
「まぁ一応最後まで聞きますが」
「尻の柔らかさもさることながら、『あ……ん』という甘ったるい喘ぎ! ほれ、拙者朝から勃ちっぱなしでござる!」
「話は終わりですか?」
「ござる」
「身内の恥は責任をもって始末します。介錯か去勢か選びなさい」
プリンスが数多の血を吸った愛刀をすらりと抜く。
シノビは「ニンニン」と水蜘蛛を足に素早く装着し、シュバッと海上に避難した。
プリンスはサーフボードで波間を縫い、刀を大上段に構えて彼を追う。
さて、無人となった船に大小様々なペンギン達がぽってりと乗ってきた。
そして丸い顔にキリッとした表情を浮かべ、舵をとる。
最新鋭の船が重々しく動き出す。
ペンギン達の大航海が今始まろうとしていた――
閑話休題。
昼下がりのアーマンの宿。
昼食も終わるこの時間、多くの冒険者が迷宮に入るか海に繰り出し、宿はようやくの休憩時間を迎える。
宿屋の息子は食堂の掃除を終え、思い詰めた表情で椅子に座っていた。
「はぁ……」
最近溜め息が多くなった。
原因は考えるまでもないが、出てしまうものは仕方がない。
せめてお客様には嫌な思いをしてもらわぬようにと努めてはいるが、その分一人になると途端に気が抜けてしまう。
今はちょうどそんな時間だった。
その時、食堂にゾディアックの少女が入ってきた。
実力派女性ギルドの一員だ。
ふわふわの金髪をなびかせ、ふわふわと床から5cmほど浮遊している。
少年は振り向きざまにパッと表情を明るくし、小さなお客様を出迎える。
「……頼んでたおべんと、できてる?」
蚊の鳴くような声に大きく頷き、少年は台所から包みを一つ持ってきた。
「はい、今日中に食べてくださいね」
「ん」
少女はこっくり頷き、鞄に大事そうにしまい込んだ。
「今日はお散歩ですか?」
「……んーん。ちょっと勇魚狩りに」
そう言って、懐から明らかに身長より大きい銛を取り出して見せた。
「うん、その……頑張ってくださいね!」
「ん」
冷や汗を垂らす少年にグッと親指を立て、少女は銛をしまった。
そしてゆるりときびすを返し、ふよふよと食堂を後にする。
弁当が嬉しかったのかだんだん高度を上げ、入り口のドア枠の上部に頭をぶつけ、ぽってり落ちた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「んー……」
少女は倒れた姿のままふわりと浮き上がり、ぺらぺらと手を振りながら窓から外に飛んでいった。
「大丈夫かなぁ……」
そういえばまた勇魚が増えてきたと聞く。
ことによっては羽ばたく蝶亭がまたクエストを出すかもしれない。
そしてネイピア商会がそれに便乗して――
「っ……!」
ネイピア商会。
それを連想した瞬間、店主の意地の悪い笑みが浮かび、二日前の肛門性交を思い出した。
触ってもいないのに肛門がじわりと熱くなってひくひくと痙攣し、男根と乳首が勃起する。
「やだ……また……!」
昨日からこうだ。
何かの拍子にあの体験を鮮明に思い出し、体が強烈に欲情する。
自慰では完全には鎮まらず、小康状態と発情を繰り返している有り様だ。
「もう……無理……」
幸い、今の弁当を渡すことで一旦休憩の時間だ。
少年はふらふらとした足取りで自室に向かった。
少年は数少ない自分だけの空間である、質素な自室に早足に駆け込み、鍵をかけた。
「はぁ、はぁ……」
吐息は既に熱っぽい。
体をベッドに投げ出すとすぐに、少年は自分の胸をまさぐった。
タンクトップ越しにもはっきり固くなっている突起を指で探り当て、転がす。
むず痒いような心地よい感覚がじわりと広がった。
「あっ……はぁ……胸、気持ちいい……」
絶頂への渇望はさらに強くなったが、胸の快感を得ることで性欲の一部だけは収まった。
タンクトップを脱ぎ捨てると、自身の胸をさらにじっくりといじる。
店主にされたように、わざと乳首を外して乳輪やさらに外周の肌を撫でる。
焦らされることで、乳首はますます愛撫を要求し、手が中心に行こうとする。
それを意志で抑え込み、両手の指を熊手のように開いて胸の中心から外側にゆっくりと掻く。
瞼を閉じているため、一度目は指先の隙間を潜り、乳首に刺激は来なかった。
二度目。右の中指と左の人差し指がそれぞれ乳輪に掠り、疼きが強まる。
三度目。
両手が突起に引っ掛かり、不意討ちに近い形で乳首性感が生まれる。
「っ……!」
そこを間髪入れずに摘まみ、強い刺激を与えた。
「あっ、ふぁぁぁん!」
我慢の分快感は強く、少年は目に涙を溜めて鳴く。
さらに慰めるように優しく転がすと、快感の波の頂点が長引き、いつまでも甘い感覚が消えない。
店主に手取り足取り教えられ、少年は乳首で十分な快楽を得る術を修得していた。
「はっ、はっ……体、切ないよぉ……」
それでも絶頂には到底至れない。
下半身の、男としての性感帯とその背面にある『女』としての性感帯は暴力的なまでの疼きに苛まれている。
左手で乳首をいじり続けながら、少年はズボンを下着ごと脱ぎ捨てた。
こぼれ出た陰茎は最大限に膨張していたが、それを目にして少年が覚えたのは、射精欲ではなかった。
(こんなのが……お尻の中に入ってたんだ……)
今更ながらに、その異常さを思い知る。
肛門の本来の役割を考えれば、それだけ拡がるというのは当然といえば当然だ。
だが出すのと入れるのでは大きく違うし、ましてやそれで絶頂に達しすらしたのだ。
少年は右手の中指を咥え、唾液をまぶした。
そして仰向けのまま膝を腹に引き寄せ、腰を浮かせる。
店主によくさせられる姿勢をとり、濡れた中指を肛門に当てた。
「んっ……」
ひんやりとした指が火照った粘膜に心地よい。
そこは尚もひくひくと震え、更なる刺激を求めている。
まぶした唾液を塗りつけ、もう一度指を舐める。
根元までたっぷり濡らした指を、再度後ろの穴に宛がった。
少し前までは直に触ることなど考えもしなかった不浄の穴。
今ではそこが体の中心のような気がしていた。
開発された穴は、十分濡れた指が触れるや否や、ゆっくりと花開いて受け入れた。
指先はスムーズに入ったが、第二関節まで挿入したところで異物と認識され、反射的にきゅうっと括約筋が締まった。
「あぁ……ん」
指に阻まれ、締まろうにも締まらない肛門。
それが生み出す快感に、少年は姿そのままに愛らしい声を漏らした。
中で指をひねり、関節を曲げ、よく馴らす。
意識的に肛門を弛めると、締まろうとする無意識との衝突で激しく震えた。
「あぁっ……あっ、あん!」」
歓喜の表情を浮かべ、少年はその快感を享受した。
汗の滲む背が跳ね、ベッドが軋む。
「ふぁ……お尻、お尻ぃ……」
酩酊したような様子で、くちくちと音を立て肛門を弄る。
だが、まだ後ろを性感帯として受け入れてから日が浅く、満足のいく自慰の手法が確立できていない。
多少の快感は得られるが、あの絶頂には程遠い。
体に刻まれた店主の責めを思い浮かべて興奮を高めても、この場に店主はいない。
(欲しい……)
たった二日で、体はもう店主を求めていた。
唾液まみれの汚ならしいキスをしたい。
汗染みのできた足袋で顔を踏まれたい。
快楽に溺れるはしたない体を蔑まれたい。
気絶するほどに犯し尽くされ、最後に少しだけ甘えたい。
それはあまりに異常で逸脱した願望だったが、本質的には思慕と同じだった。
結局、少年は尻と胸で達することはできず、手で射精することで無理やり興奮を鎮めた。
「はぁ……」
また溜め息だ。
複数箇所に快感の溜まった状態での射精はいつもより気持ちよかったが、それでも満足はできない。
(今晩、やり方を教わらないとな……)
あれから、2日周期で商会に通うよう店主に言われた。
ひょっとするとこの渇望を見越してのことだったのかもしれない。
夜まではまだ長い。
その間、一回は必ず発情するであろうことを考え、少年の溜め息はますます深まった。
その夜。
「あら、今日も夜釣り?」
いざネイピア商会に向かおうというところで背中に声をかけられ、少年は飛び跳ねそうになった。
後ろに立っていたのは自分とよく似た、しかし性別のとおりに健やかに成長した女性。
白衣をまとった、少年の実の姉だった。
休憩中なのかリラックスした様子でパンをくわえている。
「う、うん。朝には戻るよ」
後ろめたさから声が硬くなったが、前までは実際に釣りに行っていたため、特に不審には思われなかったようだ。
「夢中になるのはいいけど、ちゃんと睡眠は取るのよ」
と自身はあくびをしながら言う。
心の中で手を合わせながら再度少年は背を向けた。
だが、続いてかけられた言葉に今度こそ飛び跳ねた。
「あ、ネイピア商会に寄ることがあったらあの人によろしくね」
同時に性感帯が疼いた。
「ど、どうして? えっと、そりゃ釣り針とか買うかもだけど」
まさかバレたのかと鼓動を速める少年だったが、そういうわけでもないようで、姉は小首を傾げている。
「うーんと、ほら、最近迷宮特需お互い忙しくて。用件もあなたを介してばかりて顔見せてないから」
はむっとパンを食べ、少しだけ寂しそうに笑った。
「だから、なんとなく、ね」
「……うん、わかった。伝えとくよ」
姉の真意は分からないが、別に困るようなことでもないため、素直に頷いた。
終わってから言えばいいだろうと、気楽に考えていた。
それより今は、体の疼きだった。
午後は集中力が落ちて皿を一枚割ってしまうなど、生活にまで影響が出てしまっている。
しかも今度は薬などではない、純粋に自分の体から沸き起こる衝動だ。
何とかする必要があった。
「なるほどのう、さすが我の見込んだ尻じゃ」
案の定、クックックッと店主は袖で口元を隠して笑い、楽しそうだった。。
「笑い事じゃないですよぅ……本当に体がむずむずして大変なんですから」
泣きそうな顔でうなだれる。
今もまだ、むしろ店主を実際に見ることでさらに疼きは増しているのだ。
店主は棚の整理の手を止め、ちらと時計を見ると「まだ時間があるの」と呟いた。
「ま、せっかく早めに来たのじゃ。慣らしついでに自慰の一つも鑑賞させてもらうかの」
そう言って、挨拶代わりとでもいうのか乳首を弾いた。
「うにゃぁっ!」
不測の刺激に、少年は奇妙な声で鳴いた。
いつもの居間に移動した。
するりと服を脱げば、健康的に日に焼けた、しかし滑らかで線の細い裸体が露になる。
布団に腰を下ろして店主を窺うと、彼女は棚から何やら取り出していた。
「あ、それ……」
見た瞬間、肛門が反応した。
今のこの状態の元凶とも言える、少年の性器を模した張型だ。
ただ、一昨日と違ってベルトはついておらず、根本の部分は末広がりになっている。
店主はふふんと自慢げに胸をそらした。
「こんなこともあろうかと同じ型で作っておいた自慰バージョンじゃ」
「二日で!?」
「夢と希望と明日と正義を讃える我がネイピア商会じゃからな」
「ていうか明らかにボクがこうなるって見越してますよね!?」
ぷんぷんと可愛く怒る少年に、店主はその張型を投げてよこした。
慌てて受け止めると、中まで詰まった重みと、微かに弾力のある手触りを感じた。
ごくりと喉が鳴る。
店主は少年の傍に座布団を敷いて座ると、気楽そうに姿勢を崩した。
「ここで見ててやるによって、それで遊んでみるがよい。これも使ってな」
続いて渡されたのは、潤滑液の満たされた瓶だ。
これの意味するところは一つ。あの痴態の再現に違いなかった。
それでも、少年は嫌などと言わなかった。
それどころか、この欲を満たすにはこれしかないとも思っていた。
握り慣れたその太さを改めて確かめ、赤面しながら呟いた。
「じゃあ、えっと、始めますね」
まずは十分なマッサージだ。
布団に横臥すると、指にたっぷり取った潤滑液を肛門の皺に塗布する。
昼の慣らしのおかげか指はすんなり沈み、内側の粘膜に触れる。
「んっ……」
意識して括約筋を弛緩させているが、所詮は狭い門。指が擦れれば異物感が神経を刺激する。
心地よくももどかしいその感覚に耐えながら、指先で確実に塗りつける。
一方、片手で持て余していた張型は、横から伸びた店主の手で口元に導かれた。
意味はわかっていた。
少年は頬をますます赤くし、その亀頭を舐めた。
男としての自分を貶めるその行為は、犯されるときに自覚する女性的な気分を高めるという意味があった。
「あぁ……ん……!」
スイッチが入った。
まだ店主に触れられてもいないのに、発情した女を思わせる喘ぎが喉から漏れ出る。
指はより深くまで貪るように尻を潤わせ、舌はおぼつかないながら大事そうに張型を舐め回していた。
マッサージを繰り返すうちに肛門のみならずその周囲までべっとりと汚れ、触れるたびに重々しい水音がするようになった。
内側もよくほぐれ、腸壁から染み出たかのように濡れている。
舐めていた張型の根本をしっかりと持ち、背後に回す。
尻で快感を貪ることに嫌悪感はないが、それを表明するのには多少の抵抗はあった。
「挿れ……ます」
「うむ、よく見せるがよい」
言われて、右膝を腹に抱え込むことで臀部を上に向ける。
店主の視線を強く感じながら、見当をつけて先端で肛門を狙う。
最初はうまく当たらず尻の表面を撫でたが、二度目は尻の割れ目にはまった。
それをスライドさせて、とろける肛門に宛がう。
「んくぅ……」
ほんの先端だけは自然にぬるりと侵入したが、それ以上は自ら押し込む必要がある。
括約筋を弛めると同時に、手に力を込める。
指よりはるかに太い一物が、肛門管を押し広げながら体内に入り込んできた。
「あぅ、きつい……」
ほぐしたとはいえ、さすがにこれがすんなり入るほど緩くはなっていない。
大きく深呼吸をし、少年は体が慣れるのを待った。
指では触れない奥まで、偽物の男根は貫いている。
一度目よりはパニックに陥っていない分、細かい刺激まで丁寧に拾える。
粘膜の感覚を頼りに形状を確認していると、自然と圧迫感が快感に置き換わっていく。
意識を尻に持っていきながら、そっと乳首を撫でる。
「んっ……気持ちいい……」
ぷっくりと勃起した乳首には、表面を掠める程度の刺激がちょうどいいようだった。
胸に連動して括約筋がひくつき、それにより張型が体内で揺れ、連鎖的に快感が生まれる。
「涎なぞ垂らしおって、我のがなければ自分のを浴びたいとでもいうのかえ?」
「あ……垂れてるの、気づきませんでした……」
はにかみながら微笑み、苦しさが薄れてきたのを確かめてから張型をゆっくり前後に動かした。
内臓ごと引きずり出されるような排泄感と、その逆の挿入の感覚。
「ふぁっ! あぅ、あぅぅ……!」
溢れる快感を逃がすように無意識に足指をくにくにと動かし、仰け反って湿った吐息を漏らす。
見下ろす店主の顔は子の活躍を見る親のように満足げで、それが少年には蔑まれるよりも恥ずかしかった。
手を使わず肛門の動きだけで張型を出し入れして、両乳首をいじる。
入れたまま、開ききった肛門の縁を指でなぞる。
店主に犯されているという妄想の下で喘ぎを噛み殺す。
色々と試しては、順当に快感を体内に溜めていった。
ただ、絶頂に至るだけの量には少し足りず、しかもどうすればそれ以上の快感を得られるか皆目見当がつかない。
すがるように店主を見上げると、店主はふんと鼻を鳴らした。
「そうじゃの、直に触れてはやらぬが……こういうのはどうじゃ?」
いつの間にか彼女が手に持っていたのは、特に仕掛けもなさそうな黒い布だった。
少年が目で問うと、店主はその少年の目に布を被せた。
後頭部まで回して後ろで縛る。
少年の視界は完全な暗闇に覆われた。
「月並みじゃが、視聴覚を遮ればその他の感覚が鋭敏になるのではないかの」
そう言いながら、今度は耳に何かを詰められた。おそらく耳栓だろう。
当然手は縛られていないので外すのは自由だが、少年はされるがままだ。
もう一方の耳に詰める直前、店主は囁いた。
「まぁ、ここまで昂って生殺しは可哀想じゃからな。気が向いたら顔でも踏んでやろう」
鼻先にごく軽いキスをされた次の瞬間、聴覚も消えた。
店主がすぐ傍にいるということも忘れそうな孤独感。
それと引き換えに得られたのは、体内の感覚への集中、それによる強い快楽だった。
「うぁぁ……ぁん!」
自分の喘ぎ声が唯一の音として頭の中で反響する。
呼吸に合わせてぬるぬると小刻みに動く張型。
亀頭が最奥を突き、竿の中心が前立腺を擦り、根本が肛門を拡げて閉じさせない、その連携がはっきりと感じられる。
「お尻が……お尻がぁ……!」
この痴態も見られていることはわかっていたが、どうしても腰を振ってしまい、声も漏れてしまう。
(あ……イキそう……!)
息が速く、荒くなり、心臓は暴れ、体中の筋肉が震える。
あと一押しで、自分一人で肛門絶頂に達しそうだ。
乳首をつねろうとしたその時、顔面にべたりと体温を感じる何かが乗り、強い汗の匂いを感じさせた。
足だ。
反射的に体が嗅覚への責めを快感に変換しようとする。
だが。
「……!?」
記憶と嗅覚はそれによる絶頂を拒絶し、少年は慌てて足を払いのけた。
「だ、誰……!?」
今顔を踏んだ足。
それがまとっていたのは、少年の心酔する店主の匂いではなかったのだ。
慌てて目隠しと耳栓を取ると、果たしてそこには店主がいつもの皮肉な笑顔で立っていた。
だが、それ以外にも誰かいる。
「おおー。すごいね、ちゃんと匂いでわかるんだ」
「はは、よっぽどの変態だねこりゃ」
そこにいたのはよく見知った宿の客。
黒髪を両サイドでまとめたモンクの少女と、褐色の豊満な肉体を持つバリスタの女性だった。
「嘘……え、何で……?」
呆然とする少年を慰めるように、店主が隣に屈む。
「時間を大して確保できぬ我が性欲旺盛なおぬしを満足させるにはどうするか。これはもう他の者に頼むしかなくてな」
反省すべき点など何もないと言わんばかりの堂々とした態度で、冒険者の二人を手で示した。
「これからは我が店番をしてる間はこやつらのギルドに遊んでもらうがよい。なに、女しかおらぬし他のギルドには手は出させぬ」
「そういう問題じゃ――!」
泣き出しそうな少年の顔面を、今度こそ店主の足が踏みつけた。
大好きな匂いに包まれ、一瞬何もかもがどうでもよくなる。
命令にはその一瞬で十分だった。
「二度は言わぬ。こやつらに犯されろ」
体に染み付いた店主への服従と、嗅覚から入り麻薬のように思考を狂わせる体臭。
それらに突き動かされ、少年は「はい」と従順に答えてしまった。
答えた後になって顔を青くしてももはや遅い。
「良い子じゃ……では後は好きにするがよい。本番禁止の一時間じゃ」
「えー、短いよー」
「やかましい、後がつかえとるし今日は試行期間じゃ。ゼニは通常額もらうがの」
まさに守銭奴。
冒険者達からのブーイングを受けながら、店主は本当に居間を去った。
残された少年の肉体に、二人の視線が絡み付く。
「あらぁ……お尻、随分気持ちよさそうだね」
言われて、肛門に張型が入りっぱなしであることに気づく。
「嫌っ……! み、見ないでください! あ、あんっ!」
慌てて抜こうとするが、一気に引っ張った刺激に力が抜け、肛門の反射的な動きが張型を根本まで引きずり込んだ。
「駄目だよ、ちゃんとゆっくり抜かないと。ほらこんな風に」
ハスキーな声でそう言い、バリスタの女性は張型の根本を掴んで引き抜いた。
言葉通り、ゆっくりと。
「うぁぁぁ……!」
小さく揺すられながら抜かれ、萎えた亀頭からは大量の先走りが溢れる。
張型のエラが肛門を内側から拡げた時、少年の体は精神を無視し、最大級の発情を迎えていた。
自慰の最後の最後で止められた身体は、誰でも構わないとばかりに絶頂を求めて熱を持つ。
だが、心はそうは行かない。
店主からの凌辱に耐え、むしろ喜悦を得られたのは彼女への好意があってのものだ。
好きでもない相手に性的な責めを受けるなど、我慢できるものではなかった。
少年は挿入を求めてパクパクと口を開く肛門を体を起こすことで隠し、胸と股間を手で隠す。
どうしても柔和な印象を与えてしまう顔で必死に眉を立て、一歩分尻で後ずさる。
「か、帰ってください! ボク、そういうことする気はありませんからね!」
「うっそだー、あんなメロメロの顔になってたのにそんなすぐ醒めるわけないじゃん」
モンクの少女はケラケラと甲高く笑って、布団の上に勢い良く座った。
女性も、気だるげな仕草で少年に近づく。
「する気がない、ね。なるほどなるほど」
張型を放ると、その手で少年の腕を掴み、あっさりガードを崩す。
巨大な弩を自在に扱う彼女には、少年の細腕など何の障害にもならないのだろう。
先走りに濡れ光る小さな陰茎と張型を見比べ、舌なめずりをしている。
「確かに萎えちゃってるわね。じゃ、勃起したらその気になったってことだね」
「うーん、ボク的には勃起とか気持ち悪いのはいいからさっさとこの子とエッチしたいんだけど」
剥き出しの乳首を食い入るように見つめ、少女もまた舌なめずりだ。
「……とまぁ、うちってこんなレズばっかで男日照りなの。悪いけど坊や、君で鬱憤晴らすからね」
笑って、少年の手を自らの豊かな、水着同然の布で隠した乳房に導く。
手のひらに、恐ろしく柔らかいものが触れた。
軽く汗ばんだそれは手に吸い付くようで、少年の雄としての欲を喚起する。
「や、やめ……」
「店主さんって足しか触らせてくれないんだって? じゃあおっぱいは初めてじゃない?」
深い谷間に突っ込まされた手は、右からも左からも乳房の柔らかい圧力にまみれる。
揉みたい。顔を埋めたい。
そんな本能に戸惑っていると、腕を広げた少女が抱きついてきた。
いや、正確には少年の顔面を脇に抱えたのだ。
「ね、女の子匂い好きなんでしょ?」
ボクもなんだー、と場違いに明るい声が聞こえる。
彼女の滑らかな腋の窪みを押し付けられ、強烈な汗の匂いが鼻孔を満たしてくる。
それに興奮する自分を、少年は心底嫌悪した。
少女は笑う。
「ボクの汗いっぱい嗅いでいいから、キミのも嗅がせてよ」
二重の責めに、少年の若い性欲は10秒も抑えきれない。
彼の性器は、たちまち固さを取り戻して限界まで膨張した。
「はは、ほんとにあの玩具と同じなんだ。おっきい」
「むー、これさえなければ女の子そのものなのになー」
嬉しそうな声、残念そうな声。それぞれ勝手な感想とともに、二人は身体を離した。
手と鼻に残る感覚に、少年は発情しきった表情で切なげな息を吐く。
「その気になってくれて何よりだよ」
「ち、違います……! ボク、そんなつもりじゃ……!?」
否定の言葉は途中で詰まる。
目の前で胸当てを脱ぎ捨てた、女性の生の乳房に目を奪われて、だ。
艶かしい褐色の膨らみの中心で、乳首だけが鮮やかな桃色だった。
もっと小さかった頃、姉のを見たことはある。母親のもある。だが、それとはまるで意味合いが違う。
ネイピア商会の店主が常に着物を纏ったまま凌辱を重ねていた以上、
少年にとっては初めて目にする、セックスアピールとしての乳房だ。
顔を真っ赤にしてぎゅっと目を瞑ると、からかうような笑い声が聞こえた。
「お尻をこんなにぶっといので開発されてるくせにおっぱい見るのは恥ずかしいんだ?」
「自分もこんなに可愛くてエッチなひんにゅー持ってるのにねー」
「や、やぁん! ボクの胸、そんなんじゃない……ふぁ!」
少女に乳首を擦られ、少年は体をくねらせる。
その隙に、今度は両手で乳房を掴まされた。
宿でも多くの男冒険者の目を釘付けにするその胸は、少年の小さな手ではろくに隠すこともできないサイズだった。
手の中心に固く尖った乳首を感じ、そこ以外には圧倒的な柔らかさを感じる。
唾を飲む少年に、女性は身を寄せる。自然、手の中で乳房が歪み、たわむ。
「どう?」
湿った吐息が顔にかかるほど近づいた女性に、少年は熱に浮かされたように答えるしかなかった。
「柔らかい、です……」
「ふふん、すごいでしょ」
「なんであんたが自慢気なのよ」
目の前の女性の呆れ声がずっと遠くに聞こえる。
頭の中が真っ白だ。
圧力に対する反応として関節が曲がり、指が乳房に食い込む。
「うぅ…ん……」
女性の悩ましげな反応に、少年は自身も快感を得たような錯覚を覚える。
胸を開発されたがために、彼女が得ているであろう快感が明確に想像できてしまうのだ。
表面に浮かぶ滴を塗りまぶすように、少年は優しく丁寧に乳房を撫で回した。
止め時を見失い、ただ手の求めるままに揉みしだいていると、背後から少女が抱きついてきた。
後頭部に顔を押し付けられ、「いい匂い」と囁かれたかと思えば、その手が腋の下から回されて乳首を摘ままれた。
力加減も焦らし方も手馴れたものだ。
少年はたちまち胸の快感に表情を蕩けさせた。
その拍子に手に力が入り、女性の乳房も大きく歪む。
「ん……もっと強くぅ……!
「あっ! んく……ぅ!」
二人の嬌声が混じり合う。
次第に体を近づける女性は、今や少年の脚の間に割って入っていた。
揉まれながら伸びた彼女の手が、完全に勃起した男根を探り当て、軽く撫でてくる。
「ひぁっ!」
「ふふ、すごく溜まっちゃっててかわいそ」
女性は額にうっすらとかいた汗を拭うと、寝そべるようにその身を沈めた。
途端に乳首への責めも止み、高まり続けた興奮にブレーキがかかる。
だが、それが嵐の前の静けさに過ぎないことなど、惚けた少年にでも容易に知れた。
「気持ちよくしてもらったお礼、しないとね」
目にかかる黒髪をかき上げた女性は、上体を起こした俯せのままさらに身を寄せる。
先走りをとろとろと垂らす肉棒に触れたのは、今揉んでいた乳房だ。
醜い男根が両胸の境を割り、飲み込まれる。
瞬く間に少年の性器は柔らかな肉に埋もれて見えなくなった。
埋もれるだけで自然と圧がかかり、性感を刺激してくる。
「っくぅ……!」
思わず呻きが漏れるが、それだけでは終わらない。
「じゃあぬるぬるにしてあげるね、坊や」
女性は挑発するように艶然と笑うと、自らの谷間に唾液を垂らした。
男根と肌の間のわずかな隙間を粘性の高い唾が満たし、さらに外側から女性の手で乳房が寄せられた。
空気が押し出される、間の抜けた音に続き、粘液まみれの男根が圧迫される水音が高らかに響く。
「やっ……! やめ、やめて……っ!」
びくびくと脈打つ動きも強く押し付けられた乳房に阻害され、快感を生む。
唾液で滑りのよくなったぺニスが柔軟な乳房の内側をぬめる感触に、どうしようもなく射精感が込み上げてくる。
何より、自分のものが乳房で挟まれる光景の視覚的興奮が強すぎた。
「すぐ出ちゃいそうなんでしょ? いいよ、このまま出して」
そう言ってさらに唾を足し、両胸を擦り合わせる。
気持ちいい。
気持ちいいが、嫌だった。
(やだ……他の女の人に、イかされたくない……!)
少年は肛門を締め、尿道を緊張させ、射精感を必死に我慢した。
「んぅぅ! あっ、あぅぅ!」
「わー、すっごい汗。ちゃんと舐め取らないと風邪引くよ?」
首を、腋を、背中を流れる汗が少女に舐められる。
それらの箇所でも、敏感になった体はくすぐったさより快感を強く受けとる。
体のあちこちがびくんと痙攣し、制御を受け付けない。
「イ……きたくない……! イきたくないよぉ……!」
「……ふぅん、健気なんだねぇ」
感心したように笑うが、乳房による攻めはまったく弱まることはない。
ぐちゃぐちゃと汚らしくも淫猥な音を立てて、ペニスをあらゆる向きから柔らかく圧迫してくる。
「苦しそうだからさ、そっちも嗅いでばっかいないで手伝ってよ」
「あいまむ」
のんびりとした返事が聞こえたかと思うと、少女がひょいと左側面に回ってきた。
(……え?)
おかしい。
体はまだ後ろから抱き締められている。
なら左手にいる少女は?
混乱していると、今度は右からもひょいと顔を覗かせた。
「「「分身の術」」」
得意気にそう言うと、少女『達』は一斉に体に絡み付いてきた。
「う、うわぁぁぁ!?」
噂には聞いていた。
己と同じ姿を出して戦う冒険者の技を。
だが、こんな使い方をされるなどとは夢にも思わなかった。
同じ顔をした少女が少年のそれぞれの胸を両手で搾るように押し出し、乳輪を爪の先でなぞる。
そして、まったく同時に乳首を咥えた。
「あぁぁん!」
喉奥から甘い叫びが勝手に飛び出す。
少女の乳首への責めは強烈だった。
一人が片方の乳首へ集中して両手、舌、唇、唾液を総動員し、激しく責め立てる。
そして背後からは「きもちーでしょ?」と悪戯っぽい囁きと共に首筋への愛撫が加えられる。
抵抗しようとすれば背後から肩を押さえ込まる。
挟まれた股間は泥濘のようだ。
もはや輪姦だった。
二人、いや四人の冒険者の気が済むまで、少年には快楽に溺れる以外の自由はない。
「とどめに、っと」
背後の一人が膝で立ったのか、声の位置が高くなる。
「こないだはこうされたら感じてたよね?」
その笑いを含んだ声は、大量の唾液と共に降ってきた。
(今、何て……?)
何か取り返しのつかないことを言われた気がした。
だが、それを考える余裕はない。
前髪を掠めて垂れた唾液は少年の顎の下で少女自身の手で受け止められ、少年の顔面へ塗られる。
唾液の臭気は少年の性癖を暴力的に刺激し、耐えようとする力を溶かしてくる。
「ぷぁっ……やめて、くださ……汚い……!」
「大丈夫、胸の方のボクも汚れてるからお互い様だよ」
見下ろせば、乳首をうっとりと舐めしゃぶる二人の顔にも、垂らされた唾液が降りかかっている。
白く泡立つ唾に汚れながらも一心不乱に乳首弄りに耽る少女達の表情に、少年はひどく欲情してしまった。
緊張を一瞬解いてしまうほどに。
「あっ……あぁぅ!」
下半身の快感が強まる。
経験則として、もはや射精が止められないと分かるほどに。
「やだぁ……! こんなのでイきたくない……!」
「無理無理。君の体は、汚くていやらしいことされたら誰が相手でも精液出しちゃうようにできてんの」
嘲笑と共に、身をかき抱くように二の腕で乳房が寄せられた。
下半身の筋肉が張り詰め、尿道を快感の塊が通った。
「〜〜っ!!」
絶頂の呻き声は、右胸を責めていた少女の口づけで止められた。
射精の快楽の最中に、唇の触れ合う感覚が流れ込む。
もう感情は完全に体と切り離されていた。
気持ちいい。
叫びたくなるぐらいに気持ちいい。
射精の感覚が乳房での陰茎愛撫でさらに引き延ばされ、左乳首も変わらず責められている。
そして目の前では、少女がどちらのものか分からない唾液を、さも美味しそうに貪り吸っている。
汚れた少年の顔から糸が引くのも構わずに顔を擦り付け、満足したように離れる。
「イキ顔可愛いね。もっと見せて?」
少女の満面の笑みに返す言葉を、少年は持たなかった。
ただ、体を売られて射精に至らされ、唇も奪われたという実感だけが込み上げていた。
射精が終わり、自然と硬度を落としたぺニスが谷間から抜け落ちる。
「ふぅ……ほら、こんなに溜まってたらそりゃ辛いよね」
胸を寄せたままの女性が谷間を見せつける。
その谷の上部には、いかにも濃そうな白濁液が水溜まりを作っていた。
褐色の肌にその汚い白色はひどく映え、倒錯的な美しさを演出していた。
うちひしがれる余裕はまだなく、少年は目のやり場に困り、しかし結局はその汚れた乳房をちらちらと見てしまう。
「んー? そんなにお姉さんのおっぱいは魅力的?」
「えと、その……」
見てるだけで再びぺニスが固くなるのを自覚し、少年は目をそらした。
少女はいつの間にか一人に戻り、相変わらず背後から汗を嗅いでいる。
それだけでも満足なのか、「何これ甘い……絶対女の子の匂いだもんこれぇ……」という呟きが腋下から聴こえる。
そちらに気を取られたのが間違いだった。
いや、見ていたとしても止められたかは甚だ疑問ではあるが。
「よっ、と」
強引に前を向かされた少年は、そのまま女性に抱き寄せられた。
先ほどまで性器を扱いていたその双丘へと。
「うわっ! ん、んぅ!」
手と股間で存分に味わわされたその柔らかさが今度は顔にまとわりつく。
慌てて息を吸うと、あまりの濃い匂いにくらくらした。
「いっぱい汗かいたからね、そういうの好きなんでしょ?」
強く抱き締められ、鼻が谷間に沈む。
もちろん、女性の汗の匂いも非常に濃い。
だがそれだけではない。
女性が垂らした唾液、挟まれていた自分の性器から染み出た先走りや汗、吐き出した精液。
そういった、およそありとあらゆる匂いが乳房の隙間に澱んでいた。
故意だろう、顔面で拭かされた精液の臭気は特に強く、噎せ返りそうなほどだ。
「んぅぅ! んっ、んー!」
「そんなに慌てなくても、綺麗に舐め終わるまでこうしててあげるよ」
気楽な声が頭上から聞こえる。
悲しいかな、少年の抵抗は女性の腕を動かすことすらできなかった。
(やだ……臭い……!)
精液だけなら何度も飲まされ慣れてきている。
だが自他の汗や唾液、雄と雌の入り混じったその匂いは、今まで嗅いだどの匂いよりも強く嗅覚を苛んだ。
「ずるいー、今度はボクの足をゆっくり嗅がせたげようと思ったのにー」
「人の体を汚したんだからちゃんとお掃除させないと、良い子に育たないでしょ?」
ほら、と催促するように乳房の内側を擦り付けられる。
至上の感触と悪夢のような臭気に思考を遮られ、何も見えないまま言われるままに舌を伸ばす。
どろりとした精液の滴が舌に乗り、それをそのまま飲み下す。
(きれいに、しなきゃ……)
店主の足への奉仕で培われた本能で、舌をひたすら動かす。
きれいに舐め尽くせば、少しは楽になると信じて。
その汚れが全て自分の血肉となることなど考える余裕はなかった。
「ずるいー、ずるいー」
「ああもううるさい。あんたは腋とか首とか嗅いどきゃ満足なんでしょうが」
「だってもう全部舐めちゃってボクの匂いがするもん」
マーキングじゃないんだから、と呆れたような声がし、女性は少年を抱いたままゆっくりと後ろに倒れる。
ちょうど少年が女性を押し倒して乳房を貪っているような体勢になった。
無論、実際は正反対だが。
重力も加わり、密着度は増すばかりだ。
俯せにされれば、当然無防備になるのは体の背面になる。
最も快感に飢えながらも隠し通していた性感帯が、露になった。
「ほら、後ろはあんたにあげるからそれでいいでしょ」
「おおう、駄々はこねてみるもんだね」
意気揚々とした声が聞こえ、ようやく少女の体が背中から離れる。
そして、間髪入れずに肛門に指がねじ込まれた。
「んんぅ!?」
マッサージも何もない不意打ちだ。
自慰で濡らしていたとはいえ、荒々しい挿入感に下半身が跳ねる。
「うわぁ、とろとろで柔らかぁい……」
腸壁の中を垂れる潤滑液に合わせるように、小さな指先がじわじわと粘膜をなぞる。
心臓が一気に高鳴る。
突然他人に襲われても、射精に導かれても、肛門に渦巻く飢餓感は少しも衰えはしていなかった。
それが、少女の緩慢な指の動きで直に燃え上がらされる。
度重なる凌辱に疲弊し、少年の身体は弛緩していた。
リラックスとは対極にあったが、とにかく括約筋からも力は抜けていた。
肛門を囲むその筋肉を、腸壁の裏に潜む前立腺を、少女の指が揉みほぐす。
考えるのをやめて乳房を舐め拭う奉仕に没頭していた少年の瞳に動揺が走る。
(お尻……熱い……!)
力は抜いているのに、脈拍に合わせるように段階的に、性感が臀部を満たしていく。
一瞬筋肉が緊張した。
だがそれは少年の意思ではなく、非日常的な快感への反射だ。
緊張の感覚が次第に狭まる。
筋肉の緊張は肛門のひくつきとして、少女の目の前に曝された。
「お? お尻ひくひくしてきたねぇ。感じてるのかなぁ?」
「みたいね。息荒くなって、胸くすぐったいもの」
そう言う自分も、少年の顔になすり付けての自慰に興奮してか、声のトーンが高い。
「んっ……ふぅ……! ふぅぅ……!」
快感に体の支配を奪われ、震えを全身に広げ、少年は戦慄していた。
快感の増幅が止まらない。
たった指一本で、処女を散らしたあの日に比類する快感の嵐が体内に溢れ始めていた。
堕落した肉体に引きずられ、精神も変容を始める。
嫌で仕方がなかった谷間の臭気を、気づけば自ら鼻孔いっぱいに吸い込んでいた。
煮詰まった男女の性臭を嗅ぐと、快感が増すのだ。
(凄い……蒸れてて、精液まみれで、臭いのに……)
「ほら、舌止まってるよ。まだ汚れが足りない?」
「ここがジャスト前立腺、と。男の体の構造知ってて得したの初めてだよ」
谷間に追加の唾液を注がれ、前立腺を腸壁越しにノックされ、さらに理性が破壊される。
(あああ……! 臭くて、頭痺れて、気持ちいい……! ボクの体、どうなって……)
出しっぱなしにした舌でがむしゃらに乳房を掃除し、がくがくと体を震わせる。
人懐っこい少年の殻も、恥じらいの強いマゾヒストの男としての殻も砕け、淫乱極まりない雌としての本性が露出していた。
「あははは、お尻すっごいいやらしく振ってるー! うちのギルドにもこんな変態さんいないよー!」
「ねぇ、ちょっとどんな顔してるか見せてよ」
あれほど微動だにしなかった戒めが解かれ、女性自ら乳房を左右に広げる。
顔中から白く太い体液の糸を伸ばし、舌は女性を舐め続けながら、少年は声のする方に顔を向けた。
その表情を見た女性は、嗜虐の愉悦と共に軽い嫉妬すら覚えたことだろう。
少年の顔は、この世全ての快楽を一身に受け持つかのように蕩けきっていた。
強烈な締め付けに追いたてられるように、少女の尻責めも強まっていく。
待ち焦がれた絶頂の予感が体内に芽吹き、少年は喉を震わせた。
「気持ちいい……あん! 気持ちいいです……!」
髪まで汚れるのにも構わず顔を自ら乳房に擦り付け、娼婦のように腰を振り、淫らに鳴いた。
「おっぱい、すごく臭くて……お尻の穴、いっぱい弄られて、ボク……イっちゃいます……!」
豹変と言ってもいい少年の狂態は、二人の冒険者の性欲を更に煽った。
「あっははは! いいね、さすが店主さん自慢の玩具は出来が違うよ!」
濃い唾を吐きかけ、仰向けになって尚量感に溢れる乳房で少年の顔を扱き上げる。
「わぁ、やっぱり女の子と一緒でイく前にぶるぶるするんだ。可愛いなぁもう」
指をべったりと腹側の壁に沿わせ、少年の肛門の動きに任せる。
性器と化した直腸は少女の指に絡み付き、己が最も快楽を得られるよう蠢く。
蓄積された興奮と肛門快感が、少年の肉体の許容量を超えた。
二度目の肛門絶頂は、乳首刺激も、相手への倒錯的な恋慕も必要としなかった。
「んんぅ! んぐぅぅぅぅ!!」
口を乳房で、鼻を体臭で塞がれたまま、少年が慟哭する。
勃起したペニスからは栓が壊れたかのように精液がどろどろと垂れている。
「わー、イってるイってる。やっぱり精液が垂れるんだねぇ」
「トコロテンってやつ? へぇ、あれだけ出してまだ溜まってたんだ」
小馬鹿にされても、少年の耳には届かない。
射精どころでない長く強い快感に完全に夢中になっていた。
その強すぎる快感はすぐに体力を食い尽くす。
そのはずだった。
「……男の子のここ、えっちのための器官が詰まってるんだよね?」
やけに小さな、好奇心を無理やり抑え込むような少女の声がする。
こことは、指先が押さえる前立腺だ。
「ボクの気をここに流してやったら……気持ちいいのずっと続くかな?」
最後の方は声に笑みが混じっていた。
絶頂に翻弄されながらも少女の指の形と刺激に意識を集中していた少年は、すぐに変化に気づいた。
少女の指先が、熱を持った。
その熱が前立腺に、精嚢に、陰茎に広がり、血流に乗る。
「……!?」
穴を開けた風船のように急速に消費されていた体力が、回復していく。
精嚢から直に垂れ流していたかのような精液が、今すぐ一度に出したいほどみなぎってくる。
少女の練り上げた癒しの気功が、少年の性的な器官のことごとくを活性化させ、体力も補充していく。
それの意味するところは、絶頂の継続だった。
「んっ……あぁぁぁ! 止まらない! 止まらないよぉ!!」
顔を振って悶える少年の顔に、追加の精液が浴びせられる。
女性が手探りで亀頭を探り、押し出されてくるのを受け止めた精液だ。
「ほら、おかわりが欲しいでしょ? どんどん舐めて嗅いでいいよ」
「ちょーっと指がちぎれそうだけど、キミのイく声もっと聴いてたいからボクも頑張るよー」
気を流し込みながら肛門はさらに弄られる。
(死んじゃう……! ほんとに、気持ちよくて死んじゃう……!)
果てない快感に少年はただむせび泣いた。
だらしなく涎を垂らし、表情を至上の幸福に歪めながら。
少女の気が乱れるまで、その絶頂は続いた。
「うぁ……ぁ……」
指が抜かれたときには少年は掠れた声で弱々しく呻いていた。
その喉も体力も、休憩する少女が片手間に治癒してしまう。
後に残ったのは、一週間我慢したかのように強烈な射精への欲求だけだった。
時間はまだ半分も過ぎていない。
「じゃ、もっと搾ろうか」
「今度はボクがお鼻いじめるからね」
「はいはい」
ほとんど体力を使ってはいない二人は元気そのものだ。
身体は治癒されても精神の磨り減った少年は、己が受けた恥辱と、それに対し狂喜した己の痴態を思い出していた。
記憶の中の自分は、なんとか掻き集めた理性を投げ捨てたくなるような有り様だった。
(ああいう風になるように、ボクを売ったのかな……?)
淫乱な雌としての心と体を作り上げた店主。
先ほどの自分の姿を見れば、彼女はさぞ喜ぶことだろう。
犯されろ、と彼女は言った。
ならば抵抗は諦めて、客に身を委ねてしまうのが一番楽かもしれない。
静かにそう思っていると、少女がふにっと抱きついた。
「ねぇねぇ、女装のオプションはないの? 一昨日のあれすっごい可愛かったよー」
「あたしも見たかったなぁそれ」
「え……」
先ほど、少女の言葉に感じた違和感。
その理由への理解が、ゆっくりと広がっていく。
女装をしたことなど、人生で一度しかないのだから。
(見せ物にされてた……んだ……ここでの秘密……)
涙が一滴こぼれた。
意外にもショックは少なかった。
思えば最初の最初から玩具扱いだったし、たまに見せる優しさは痴態を見せることへの報酬のようなものだ。
他人に犯させるのも、店主にとってはいつもの調教の延長線上だったのだろう。
(なら、いつものように諦めればいいんだ)
そう思えば少し楽な気分になった。
『客』達も調教道具だと思ってしまえばいい。
自分はそうやって店主を楽しませる玩具になると誓ったのだから。
「じゃ、気持ちよくしてあげよっか」
「今度は払い除けたりしないでねー」
女性がぺニスを握り、少女が顔面を裸足で踏みつけた。
(ん……気持ちいい……)
少年は、素直にその足の味と匂いを受けいれ、責めやすいように自ら股を開いた。
もう、誰が相手だろうとどうでもいい気分だった。
一時間経つ間に少年は二桁近く射精させられた。
正射必中などと嘯かれ、異常なまでの正確さで自分の顔へと何度も出された。
それを少女が足で塗りたくる。
再び三人に分身した彼女は、その全員で顔を踏み尽くした。
少年は喘ぎ続け、彼女達の望むままに弄ばれた。
いい仕事ができたのだろう。
一時間が経ち、店主が終了を知らせても、二人は満足そうに笑い合っていた。
「楽しかったよ。今度宿で見かけたらお姉さん襲っちゃうかもね」
「今度はもっと汗かいてくるからねー」
そう言い残し、爽やかな表情で帰っていった。
残された少年の姿は、まさに凌辱されたと言うに相応しかった。
全身があらゆる体液にまみれ、特に顔はどろどろだ。
疲れきった表情で横たわる中、性器だけは不自然なほど固く勃起している。
結局、急造させられた精液は出し尽くせず、これだけ出してもまだ射精がしたくてたまらない。
「ご苦労じゃったの。布団を替えるゆえ、風呂場で体でも洗ってくるとよい」
「……はい」
洗っても、鼻の奥まで染み付いた二人の匂いは取れそうにないが。
「今日はもう一人相手してもらう。よいな?」
「……はい……」
慣れると決めた。
あれだけのことをされたのだ、もう恥ずかしいことなどない。
何をされても今以上に精神的に追い詰められることはないだろう。
ふらふらと身を起こし、風呂場に歩く。
全身に快感の残滓が残り、自分が自分ではないようだった。
体を洗い、店主から貰ったメディカで体力を補給すると多少はすっきりした。
「ま、これぐらいは必要経費じゃな。なんと奢ってやろう」
「はは……ありがとうございます」
同じく休憩時間の店主と茶をすすり、少年はしばしの平和を享受した。
見せ物にされたことについては聞けない。
どこからが彼女の商売か知るのが怖かったからだ。
結局当たり障りのない会話しかできないまま休憩は終わった。
「時間じゃな。連れてくるとしよう」
店主が表に出向き、少年は替えの布団の上にぺたんと座った。
無心で待つ。
何も考えなければきっとすぐに終わる。
しばらくして、店主と『客』の声がした。
「おねーさん、あの媚薬、煮詰めたり混ぜたりしたら効きすぎてひどい目に遭ったんだよ」
「用法用量を守らぬかたわけが」
襖が開く。
現れたのは見知った顔。
ファーマーの少女だった。
いじょ。
また30分も占有申し訳ない。
まとめサイトの方、重ねて申し訳ないのですが
過去作のタイトルを糸目から宿子に変えていただければ幸いです。
ぬおおおおおGJ!
GJ! まだ前編とかww
GJ!宿子いぢりがますますエスカレートしている…。
宿子を男が犯すヤツはまだか!
神だ、神がおる。
お尻が熱くなるな。男の本物を入れてやりたい。
弟が調教師変なフェロモンを撒き散らすようになった事で――姉が比較して「自分が女扱いされなくなっていく事実」におそれおののくとか。
>602
>603
宿子姉ってグラ無いよね?
何しろ世界樹3はクトゥルフ世界観が混じっている以上、我々の常識を打ち破る異常な常識がまかり通る世界である可能性が高い。
よって性的な処理機能をつけられたアンドロがいたり、『魔』に汚染されて怪物の仔を孕んだアンドロが居ても、……暴走状態に陥って、本来仲間であるはずの冒険者を襲うアンドロが居ても……性欲処理用にメカ触手装備アンドロが居ても……驚く必要は無いのかもしれない。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ミ
/ ,―――─―-ミ
/ // \| ンァーンァーンァー
| / ,(・ ) ( ・) ハァ ンァー
(6 つ | ハァ ハァ
| ∪__ | ンァーハァ ハァ ハァ
| /__/ /
/| ∪ /\
池沼がこのスレに興味を持ったようです。
>>672 回復施設はカドケキャラの法則から2の綾香さん的な姿を推す。
髪もちょっと宿子に似てるし。
今やクトゥルフ関係なくフィクションならその程度ありありだよな
深王様に頼んだら余裕で機能追加してくれそうなもんだが
サブスキル扱いで
オランたんのクルーエルティって
「貴様らに汚されるくらいなら深王様と共に逝く!」ってことだよな
漢前過ぎるぜ
地味に盛り上がってて少し安心した
俺もちょいとばかし書いてみようかな……
うおおリコロコの続きはまだかぁぁぁ
保守がてらエロ無し小ネタ
登場人物↓
十文字(シノビ♂2)
ふわ子(ゾディ♀2)
『キリカゼさんの忍び装束』
こは何事ぞ。
「黙ってないでなんか言いなさいよ」
「…」
茜色の夕暮れ時、アーマンの宿の一室。
普段の可憐さはどこへやら、ドスの効いた声で詰問するはゾディアックのふわ子。
名前の通り、ふわふわとカールした金髪が可愛らしい少女だ。
黙したまま正座するはシノビの十文字。名前の通り、顔を覆う大きな十字傷がある。
頭巾から目元だけをのぞかせているので余計に目立つ。だが。
こは何事ぞ。
シノビの男は、その鍛えられた体躯をーーーピチピチ限界まで張った黒装束に包んでいた。
マッスル(筋肉)の形がうっすらと浮くそれは、もはや全身タイツであった。
卍
なんでこんな事になってるんだろう。
共に幽霊船を撃退したお礼にと、キリカゼさんがくれた忍び装束。
ゾディアックの私が装備するのはちょっと変かもしれないけど、なんだか嬉しかった。
キリカゼさんって、ちょっと素敵だし、ね?
それならばっちり着こなさなきゃって思って。他のギルドのシノビを参考にして、かつ個性的に!
小物をあれこれを買い込んで、鼻唄混じりに帰ってきたらーーーコレ(変態)がいた。
ねえ、私だって分身したら一人で圧縮渦雷できるんだよ?
卍
「もう細かいことはいいから。ともかく脱いで」
「無理だ」
答える十文字の目はいつもの鋭さで、一瞬何の話だったかわからなくなる。
「…なんで?」
一応理由を尋ねるふわ子。
「下帯を着けていない」
「なんでぇぇぇ!?」
理解不能であった。
「すまない」
頭を下げ、土下座に移行する十文字。後ろから見れば、形の良い尻が堪能できるだろう。
見る気があるならば。
「フィット感を追求するにおいて致し方なく」
「あ、ああっ…キリカゼさん…キリカゼさんの服、汚されちゃったよぉ…」
「その調子でもっと罵ってくれ」
もはや声も出ないふわ子、涙目であった。
卍
十文字さん、頼りになる人だと思っていたのに。今日から家畜以下です。
さよなら、かっこよかった十文字さん。こんにちは変態さん。
卍
結局キリカゼさんの忍び装束をふわ子が着る事はなく、十文字の所有物となった。
いっそ燃やしてしまおうかと思ったふわ子だが、キリカゼさんの厚意を考えるとそうもいかない。
もっとも、既に(精神的な意味で)汚されているのだが。
本人には口が裂けても言えない。
「む」
煩悶するふわ子をよそに、十文字は室内を見回す。
迷宮でよくやるように、感覚をフルに働かして。
「むむむむむ」
「…」
視線はやがて、ふわ子の足元の紙袋に定まる。
「…一応聞くけど、何?」
「新品の網タイツの匂いがする」
十文字の感覚はもはや人外の領域だった。
「網タイツが匂うわけないでしょ!? ついにぶっ壊れたわね!?」
後ずさるふわ子。
「“フラッピングバタフライ”ブランドのパンティストッキング、スモールダイヤ50デニール、Mサイズ、色は黒」
青ざめるふわ子。
「いかがであろうか」
卍
陽は沈み、夜の街の喧騒が遠くから聞こえる。
薄暗闇に浮かぶ十文字の顔はこんなに渋くてかっこいいのに。
「もう、俺を人と思わなくていい」
「…うん、思えない」
正直無理だった。
同じ空間にいてアナフィラキシーが起こらないのが不思議なぐらいだった。
「そして大きな犬だと思えばいい」
「思えないぃぃぃ!」
頭をかきむしるふわ子。十文字の言葉に思考がおかしくなる。
変態の世界に引き込まれるか否か、崖っぷちであった。
「だから履くか、履かせるか。決めてくれ」
「履かせる!?」
的確なツッコミは正気の証。がんばれふわ子。
「できれば貴殿の履いた脚をしゃぶぶぶぶぶ」
突然にじり寄り、ふわ子の脚に絡み付く十文字。
だがふわ子に脚封じは効かなかった!
「いやあ! いやあ! いやあぁぁぁぁぁ!」
がすがすがすがす
パニックに陥ったふわ子、十文字の顔面を蹴る、蹴る、蹴る。
そして放たれる星術の閃光。
「ぬふぅ」
魚のように身体を痙攣させる十文字。
後に、それが電撃のせいだけではないことを知ったふわ子がオランピアに去勢…もとい十文字の機械化を依頼するのはまた別の話。
卍 END 卍
じゅうもんじwwww
素晴らしい駄目忍者だな、十文字www
乙w
シノビ男は1、2共にムッツリスケベな印象あるなぁ
十文字のキャラが個性的過ぎるwww
むしろキャラスレでやれwww
687 :
名無しさん@ピンキー:2010/06/20(日) 21:04:13 ID:ugGPSIAO
>>679 呼ばれた気がした!
えー、遅くなりまして申し訳ありません。
>>3の続きを投下したいと思います。
で、前回も同じことをやらかしたのですが、続きが残りのスレ容量に収まりきらないので……。
今回は途中までをこちらに投下して、続きを新スレに投下したいと思います。
一応説明書きを。
『世界樹の迷宮?』の♂金ファマ×♀金プリのSSです。ネタバレありません。そもそも
まだ迷宮に入ってな(ry
次回はエロ有りと書いたものの……、少々詐欺があります。ナルメルよりごめんなさい。
あと、申し訳ありませんが、また続きます……。時間のあるときにごゆるりとお読みください。
688 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:06:25 ID:ugGPSIAO
下腹部に、人の重みがあった。
ゆらゆらと頼りない、ランプの小さな蝋燭の明かりが照らす寝室。
辺りは奇妙に静まり返り、虫の音さえ聞こえない。
だからだろうか、くちゅっ、くちゅっ、と、濡れた粘膜の擦れる音がやたら響いて、
揺れるベッドの軋みと同期を合わせて耳を打った。
「んっ、んん、んぁ……っ!」
目の前で、女性の裸体が揺れている。
仰向けになった自分の体の上で、一定のリズムで上下に弾む白い肌。
褐色の光に照らされて、張りのある乳房が揺れる様はどうしようもなく扇情的で、
静かに息を飲んだ。
「……触っても、いいんだよ……?」
そうしたい、という欲求はもちろんあった。
緊張に飲まれて動いていなかった右手を、たどたどしく伸ばす。
女性が少し前のめりになってくれたおかげで、柔らかな塊をぐっと鷲づかみにすることが
できた。
むにゅっと、指がどこまでも沈みこんでいきそうだった。腕がびりびりするような錯覚を
憶えた。
「んっ……、もっと、強くても、い、んっ!」
言われるまま、ぐに、ぐにと乳房をもみしだく。指の間からはみ出そうな柔肉。
手の平まで性感帯になったみたいだった。暖かい。
「触ってて、いいから、んん……っ! ……動く、ね」
乳房を掴まれたまま、女性は腰の動きを早める。
自分のモノが、それに刺激されてなおも硬くなっていく。
尻の筋肉が否応なく収縮して、腰が勝手に持ち上がる。
根っこから吸い込まれてしまうのではないかと思うくらい、女性の陰部はきつく締まり、
吸い付いてくる。股の内部から、快感がぐんぐんと収束していく。
「は……ぁっ! そう、いいよ、そうやって、もっと……、あっ!」
乳首をつまむと反応が高まって、ペニスを包み込む内壁がさらに収縮した。
これが、「いい」のか。一つ学習し、右手の動きにそれを取り入れる。
「んんっ、……っ! あっ、あぁ……っ、――!」
あられもない表情を浮かべて、腰を振り続けるその女性の顔は、逆光になってよく見えない。
でも僕は、この人を知っている。
だって、小さい頃からずっと見ていたから。憧れていたから。
689 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:07:51 ID:ugGPSIAO
女性は、少し疲れたのか、自分の頭の両脇に手をついて重心をずらした。それでも腰の
動きは止まらない。
汗に湿るショートヘアが、桃色の乳首が、目の前で円を描くように揺れる。吸い付いて
みようか。それはやりすぎだろうか。
逡巡していると、汗の玉を頬に光らせた女性が、にこりと笑った。
振り返るとふわりと舞う、襟首で切り揃えられた髪が好きだった。
冗談を言い合うときの、その明るい声が好きだった。
シャツの上からでもわかるそのスタイルを、いかがわしい目で見たこともあった。
自分よりずっと年上なのに、子どもみたいな無邪気さで笑うところが、大好きだった。
でも、この笑顔は、好きじゃない。
「はぁ……っ、あ、ん、ん……っ!」
その人が今、髪を汗に濡らし、耳にしたことのない水っぽい声を上げ、そのたわわな胸を
鷲づかみにされて、自分と繋がっている。
現実の光景とは思えなかった。見たことのない表情で息を乱す憧れの人の姿は、まるで
映写機で流れる映像のように他人事で。
すっかり硬直しっぱなしの自分の股間のものが、女性の秘部に入っては抜けてを繰り返す
様子も、なんだかグロテスクに思えて。
下腹部から伝わる、今まで味わったことのない、電流みたいな快感だって、中枢神経から
断絶した余所の世界の出来事のようだった。
「ねぇ、――? 痛、い?」
痛い。未成熟の包皮は、擦れると快感よりも痛みの方が大きかった。
けれど、僕は首を横に振った。
「……そう。んっ、ね、ぇ、――? 気持ち、いい?」
どうだろう。痛みや緊張に耐えるのに必死で、それどころではない。
けれど、僕は首を縦に振った。
「そう……。んっ、ねぇ、――?」
脳髄にじりっとした感触が走る。限界が近い。気分はそれどころじゃないのに、体は
どうしようもなく正直だ。
「……ごめん、ね?」
なんで。どうして謝るのか。
痛くないって言ったじゃないか。気持ちいいって言ったじゃないか。
だから別に、あなたが謝る必要なんてない。
そんな、見ているこっちが辛くなるような笑顔で、謝らないで――
690 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:09:28 ID:ugGPSIAO
○ ● ○ ●
「――っ!!」
体を震わせながら、ロコは目覚めた。
寝汗がひどい。シャツの下がぐしょぐしょだった。
額に張り付いた前髪を拭いながら、ぼんやりとした視界を左右に振る。
見慣れない天井、馴染みのないカーテン。
そうだ、ここは叔父さんの家だ。
まだうまく回転しない頭で、昨日の出来事を反芻する。
「……あ」
そして、真っ先に思い出したのは、一人の女の子の姿。
昨日、途方に暮れたアーモロードで出会った、天真爛漫な「自称」王女様。
出会って早々頭突きを食らって、仲間になって、一緒に暮らし始めて……。昨日のロコは、
彼女を中心に動いていたといっても過言ではなかった。
そして今、彼女は……。恐る恐る、ロコが首を横に向けると、
「う」
そこには、見てるこっちまで再び眠りたくなるような安らかな寝顔で、すうすうと寝息を
立てるリコの寝顔があった。
乱れてもなお、蜂蜜のように艶やかに光る髪。むにむにと動くゼリーのような唇。
今まで目にしたことのない、七色に光る布地でできたネグリジェに包まれた、無防備な肢体。
朝、一番最初に拝むには、ちょっと刺激が強すぎるその端正な造型に、ロコは思わずたじろぐ。
しかも、文字通り息がかかるほどの近距離。
目が離せなくなりそうになりつつも、お姫様の眠りを妨げぬよう、ずりずりと体を布団から
ずらし、転げ落ちるようにベッドから出た。
部屋の空気は冷たかった。身震いしながらカーテンを少し開ける。薄雲のかかった、まだ
灰色の空。
時刻は、朝の5時半といったところだろうか。環境が変わっても体内時計は正確なようだ。
「ん〜っ、さて、と……」
やるべきことはたくさんある。ぐっと伸びをして背筋をぴんと伸ばすと、ロコはまだ眠りの
中のお姫様を起こさないよう、そっと寝室を出た。
「……どうして、今さら」
あの頃の夢なんか。
腹の奥から押し寄せてくるような不快感を押し殺しながら。
○ ● ○ ●
服を着替え、外に出る。
故郷よりは暖かいかと思っていたが、さすがに朝の空気は冷たい。まだ少し眠っていた
体の奥底が目覚める。
準備運動をしていると、遠く向こう、朝焼けの空に悠然とそびえ立つ世界樹が、その
輪郭をくっきりと浮かべているのが見えた。
あそこに踏み入るのは、まだ先だ。その前に、やらなきゃいけないことがある。
「よし!」
ロコは自分の頬を叩いて気合を入れると、畑へと踏み立った。
まずは、畑の手入れからだ。しおしおに干からびた去年の作物、古くなった添え木などを
取り除く。
そして、1年間自由奔放に育ちまくった雑草たちを刈る。畑の端から順に引き抜き、
根の深いものは鎌で断ち切る。
苦い土の匂いを嗅ぎながら黙々と、その作業を続ける。
この雑草たちのおかげで、1年間この畑も乾かずに済んだようだ。土が軟らかい。
色が少し薄くなって灰がかっているが、堆肥を混ぜてやればすぐに蘇るだろう。
口の端に笑みを浮かべ、ロコは少しペースを上げた。
691 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:11:03 ID:ugGPSIAO
朝日に照らされ、辺りがゆっくりと明るくなってくる。太陽はすっかり顔を出して、
滲んだ汗を照らしている。
「……ふぅ」
腰を上げて振り返ると、緑と褐色、くっきりと色の分かれた畑があった。
「あとひと頑張りしたら、朝食の準備かな」
そう呟いていたところに、上のほうでガタガタと窓の開く音がした。
「…………ロコ〜?」
ぼさぼさの頭で、半目をこすりながら窓際に立つリコに、ロコは苦笑しながら、
「朝ごはん、食べる?」
「…………ん〜〜」
肯定か否定かよくわからない返事をして、リコは部屋の奥に引っ込んでいった。
やれやれ、とロコも家の中に戻ることにした。
寝惚け眼で食卓につくリコに、ちょっと待っててね、と言って、ロコは台所に立つ。
「コーヒー飲む?」
「……カフェオレ」
「牛乳なんてないよ」
「……じゃあいい」
ついに食卓に突っ伏してしまったリコに、ロコはティーバッグの紅茶を淹れて、うつ伏せの
頭の横に置いた。
「卵とかも買ってこないといけないねえ」
昨晩のポトフの残りを温めながら、話しかけるでもなくロコは言った。買っておいた
パンが残り少ないので、茹でたジャガイモに少し小麦粉を混ぜて、適当に塩コショウして焼く。
「できたよ、リコ」
「ん〜〜」
香ばしい匂いにつられて、リコが顔を上げる。
「まずお茶」
「ん」
言われるまま紅茶を一口すすり、差し出された朝食をもきゅもきゅと食べ始めるリコ。
まるで弟達みたいだ、と、そんなリコを見て微笑みながら、ロコも朝食を摂る。
お腹に物が入ると、やっと目が覚めてきたようで、リコの背筋が徐々にしゃんと伸び始めた。
「そういえば、今日はどうするのだ? もう一度冒険者ギルドに殴りこみにいくのか?」
「王女様が『殴りこみ』とか……。お昼からは街に行って、情報収集しようと思う。僕たち
みたいな人でもギルド申請できる方法とか、協力してくれる人を探すとかさ」
「おお、なるほど!」
ほんとにこの子は一人でどうするつもりだったのだろう……、というツッコミはジャガ
イモと一緒に飲み込んだ。
「あとは買い物だね」
「! 買い物!」
「もちろん、生活に必要なものだけ。服とかは買わないからね」
「えぇ〜」
口を尖らせて抗議するリコだが、ロコは冷静な表情を崩さず、
「ていうか、リコの荷物ほとんど服ばっかりだったじゃないか」
「女の子は甘いお菓子とかわいいお洋服でできているから仕方ないのだ……」
「何その理論。とにかく、僕もそんなにお金に余裕があるわけじゃないから、しばらく
贅沢は禁物!」
「ぶー、……わかった」
不服そうにしながらも、リコは渋々頷いた。わりと聞き分けのいいお嬢様なのだ。
「ん? じゃあお昼まではどうするのだ?」
「部屋の掃除をするか……、畑の草むしりを午前中に終わらせちゃいたいんだよね」
「くさむしり……」
「うん」
まるで初めて口にするように、同じ言葉を繰り返すリコ。
「なあ、ロコ。私も手伝ってよいか?」
「え? うん、全然いい、というか、むしろ助かるけど」
そうか、と笑いながら頷くと、リコはポトフをかき込む。
ロコは首を傾げて、その様子を見つめていた。
692 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:12:04 ID:ugGPSIAO
○ ● ○ ●
「しっかり草全体を掴んで、そんなに力は込めなくてもいいよ。一気に引き抜こうと
しないで、後ろに体重を乗せてれば……」
「んっ……、わっ、抜けた、抜けたぞロコ! 土いっぱいついてる!」
目を輝かせて、土の塊を絡ませた雑草を見つめてはしゃぐリコ。まるで、というより
完全に子供だった。
朝食後、一緒に畑に出て雑草取りを手伝ってもらうことにした。
リコが大量にもってきた服の中には、農作業に向いた服はなかったので、ロコのシャツを
貸してあげることにした。なので、すっかりダボダボ――
「そうでもないな、少し袖は余るがピッタリだ」
……少しショックを憶えながらも、初心者のリコに手順を教えた。と言っても、雑草を
引き抜いて集めるだけの単純なお仕事。
それでもリコは、ふんふんと真剣にロコの言葉に耳を傾けていた。
「土は畑に掃って、草だけを集めてね」
「わかった!」
リコと肩を並べて、畑の雑草を取り払っていく。
はっきり言って、地味で淡々とした辛いだけの作業だが、リコは飽きる様子もなく黙々と
草をむしっていた。
「……リコ、大変じゃない?」
「うむ、腰が痛いな!」
言葉とは裏腹に笑顔のリコは、やがて頬を伝ってくる汗をシャツで拭いながら、また
作業に戻る。その様子を見て、ロコも自然にペースが上がった。
「うわあ!?」
「何、どうしたの?」
素っ頓狂な悲鳴をあげたリコの足元には、10センチくらいの長さをした、うにょうにょと
蠢く生物の姿が。
「ああ、ミミズだよ。殺しちゃダメだからね」
「こ、殺すどころか触れもしないが……、どうしてなのだ?」
「ミミズは土を掘って、畑を耕してくれるからね。ちょっと向こうに行っててもらおうか」
ロコはミミズをひょいとつかむと、雑草の取り終わった方に放り投げた。
「ロコ、お前は勇者だな……。あのような奇怪な生物を恐れることなくつまみ上げるとは……」
「ミミズで認められるって物凄く安いね、勇者……。リコは初めて見たの?」
「う、うむ、びっくりした……。まるで触手のようだった」
「しょ、触手?」
「知らぬのか? メイドが持っていた本にはよく出ていたぞ」
いや、知ってはいるが日常会話で耳にしたことも口にしたこともない。
「冒険の話にはつき物だったぞ。一番印象に残っているのが漫画でな、勇敢な女騎士が
主人公だったのだが、さっきのミミズよりももっとでっかい触手が何本も出てきてな。
女騎士は不覚にも体の自由を奪われてしまっていた。怖かった」
「…………その本って」
「ハラハラしながらページをめくろうとしたら、メイドに取り上げられてしまった。
『この先は子供にはまだ早いですよ』と言われてな。今でも続きが気になってしょうがない」
息を吐きながら残念そうにリコは答える。
リコの家のメイドには、色々と問題があのではないだろうか……、と感じつつ、ロコは
作業に戻った。
693 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:13:18 ID:ugGPSIAO
「――よし、リコのおかげで早く片付いたね」
「うむ、キレイになったな!」
すっかり褐色の土だけになった畑を見て、2人は満足げに胸を張った。
「あとで堆肥を買って撒こう。リコ、おつかれさま」
「いや、楽しかったぞなかなか! 次も手伝うからな!」
土で汚れた顔を輝かせて笑うリコ。ロコは苦笑して、手に持ったタオルで、頬についた
土を拭いてあげる。
「ん、んんっ、いい、自分で拭く!」
「買い物に行く前にシャワーを浴びたほうがいいかもね」
「うむ、そうだな。畑仕事とは、ものすごく汗をかくのだな! うん!」
何を納得したのか大きく頷くと、リコはぱたぱたと家の中に戻っていった。
王女というにはやっぱり……庶民派だなあ、とロコは思う。
というか、王女様に草むしりなどをさせてしまって、本当に良かったのだろうか。
と、そう考えたところで、家の屋根を見上げながらロコは呟く。
「でも……、別に証拠があるわけじゃないんだよなあ」
そう、リコが王女だというのは、全て彼女がそう主張しているだけで、それを証明する
ものは何もない。
彼女の故郷、ウェブリッジ国も、名前だけは知っているが、あくまで「地図に載っている
国名の一つ」程度の知識しかない。
疑うつもりはないし、真実を知ったところで彼女との関係を変えようとも思わないのだが、
どうもすっきりしないものがある。
……が。
「それもまあ、おいおいかなあ……」
一人ごちりながら、ロコも家に戻った。
○ ● ○ ●
リコの支度が終わると、2人は揃って家を出た。
昨日とは違い、大きい荷物もないので足取りが軽い。昨日は息を切らしながら歩いていた
リコも、スキップ交じりで辺りを見回しながら歩いていた。まるでピクニックのような気分だ。
「やっぱり大きいな、世界樹は!」
「そうだねー」
おそらく、このアーモロードのどこにいてもその姿を視認することができるであろう大樹は、
昼の日差しを浴びて青々と佇んでいた。
まだ自分たちは、あそこには入れない。そのために何が必要なのか、手立てを考える必要が
ある。
雑木林を抜け、街への道をしばらく歩き、ようやくアーモロードの中心街へとやってきた。
「なんだか今日は人が多いな」
「休日だしね」
昨日は街の中心部にも険のある冒険者達の姿が目立ったが、今日はほとんどが家族連れや
少年少女のグループで、ぼーっと立っていると流されてしまいそうなくらい、通りは人で
溢れていた。
「向かうのは昨日と同じ場所だけど、はぐれないようにしないとね。……リコ?」
ロコは自分の右側を振り返る。
お人形さんみたいな連れ人の姿は、その場からすでに忽然と消えていた。
「…………リコーーっ!?」
694 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:14:27 ID:ugGPSIAO
「あ、見て見てロコ、魚の形をしたデザートらしいぞ」
5分後、息も絶え絶え探し当てたリコは、のんびりと出店の前で焼かれるお菓子を眺めて
いた。
「? どうしたのだロコ?」
「はぁ、はぁ……。……一瞬じゃないか!!」
「お、おぉ……?」
「驚きの早さだったよ! 注意する前にスピード迷子にならないでよ!」
「おおう、す、すまん……?」
きょとんとするリコに、ロコは思わず深い溜め息をつく。このふわふわしたお嬢様は放って
おくと草舟よりも軽々と流されていきそうだ。
「もう、行くよリコ」
「あっ」
と、考えたところで反射的に手を繋いでしまった。
細くてしなやかな指、すべすべの手のひら。その感触を確かめた瞬間、ふと我に返り、
リコの方を振り返った。
「ろ、ロコ……」
「あ、いや、その、えっと……」
少し赤くなったその頬を見て、自分の顔も少し熱くなるのを感じた。
思わず離そうとした右手を、しかしリコはぎゅっと握り返してきた。
「くっ、苦しゅうないぞ! さあ、行こうロコ!」
少し強がりながら、リコはぐいぐいとロコの手を引っ張り、雑踏の中へと踏み込んでいく。
「り、リコ、そっちじゃないから、……ふふ、もう」
そんなこんなで手を繋ぎ、二人は再び冒険者ギルドの前にやってきた。
「で、どの門番から相手にするのだ?」
「しないから。僕たちが見るのはこっち」
「ん?」
腕まくりするリコを引きずってやってきたのは、冒険者ギルドの正門ではなく、壁に
沿ってその右側。大きな衝立(ついたて)の元に、小さな人だかりができていた。
その誰もが手に剣やら弓やらを携えており、一目で冒険者の集まりなのだとわかる。
2人はその人混みを遠慮がちに割りながら衝立に近づく。
「なんなのだ、これは?」
「掲示板だよ。ここには、冒険者ギルドからのお知らせや、世界樹の迷宮で最近起こった
ことなんかが掲載される……らしいよ?」
叔父から聞いた情報によれば。
「なるほど、情報収集にはぴったりというわけだな」
「そういうこと」
とはいえ、ロコもここに来るのは初めてだ。はたして、まだ冒険者にすらなっていない
2人にとって有益な情報がどれだけあるのやら。
「どれどれ……」
リコと一緒に、掲示板に貼られた情報を追っていく。
ロコたちが今欲しい情報は、2人の年齢でもギルドの申請を認めてもらうにはどうすれば
よいか、という手がかりだ。
記事に目を通していくが、樹海のモンスターの出没状況や気候の状態、死傷者数のデータ
など、今の二人にはまだ関係のないことばかりだった。
695 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:15:39 ID:ugGPSIAO
「さすがにそんな都合よくはいかないか……」
「? こっちはなんなのだ?」
リコが指差す掲示板の右側には、顔写真や職業、特技などのプロフィールが書かれた紙が
何枚か貼られていた。
「ああ、ギルドメンバーの募集じゃないかな」
「募集?」
「うん。迷宮を一緒に旅する仲間を探してるんだと思う。もし一緒に冒険したいって人が
いたら、連絡してくれって」
「なるほど。知ってるぞ、これは何と言ったかな……」
うーんと考え込んだリコは、ぴーんと何かをひらめいて手を叩くと、
「そうだ、『出会い系』というやつだな!」
瞬間、周囲の冒険者達がざわっ、とどよめいた。
「リ、リコ! もうちょっと言葉を選んで……!」
「? 何か間違っていたか? こういうのを『出会い系』の掲示板というのではないのか?」
「いや、間違ってないといえばないんだけど……、ああもう!」
ロコは、リコの代わりに周りの人たちにぺこぺこと頭を下げた。まったく、心臓に悪い。
いったいリコの家の教育はどうなっているんだ。
「しかし、なるほど。こういう仲間の集め方もあるのか……」
「そうだね。一番手っ取り早いのは、こういう人たちの仲間に入れてもらうことだけど」
年齢制限があるのはギルドマスター、つまりギルドを立ち上げる人間だけであり、ギルド
メンバーについてはマスターが保護責任者となるということで、特に制限は設けられて
いないはずだった。
「うーーーん、いや、でもしかし、見ず知らずの人間に仲間に入れてくれと頼みに行くのもなあ」
あなた見ず知らずの僕に昨日いきなり仲間になれって言ったじゃないですか、という
ツッコミをロコはまたも飲み込む。
「それに、僕たちみたいなシロウトが頼みにいっても断られると思うしね」
「それなら大丈夫だ! まずは一戦交えて、剣で語り合えばよい!」
「だから、お姫様なのにどうしてそんな突撃思考なのさリコは……」
ともかく、何のつても無くこういう募集に頼るのも厳しそうだ。
「駄目だな、他にめぼしい情報はないぞ……」
「そうだね、残念だけど。あ、新聞も置いてある」
衝立の脇には、フックでかけられたカゴの中に新聞が何部か乱暴に突っ込まれていた。
読み古しらしくぼろぼろだが、冒険者たるもの世相にも目を光らせておけというギルド
側の配慮だろうか。
「新聞に、私たちの必要な情報が載っているのか?」
「まあそれはないと思うけど、見ておいて損はないから」
それもそうか、とリコも新聞を一部取って読み始める。
社会面、経済面、芸能面。アーモロードに来たばかりのロコにはわからないことだらけ
だったが、それでも情報は取り込んでおくに越したことは無い。
「むむ! ロコ、この新聞マンガが載っているぞ!」
……姫様は早くも脱線気味のようだが、ロコはじっくりと目を通していく。
ページをめくると、海外の出来事が書かれた面があった。自分の国のことは載っている
だろうか。
つらつらと目を通していくと、とある見出しの文字にロコの目が止まった。
「……! これって……」
普段なら気にも留めていないであろうその一文に、ロコは思わず目を見開いた。
「よし、読み終わった! さあロコ、次にいくぞ、次!」
「えっ、あっ、ちょ、ちょっと待って!」
「? どうしたのだ一体?」
なんでもない、とうろたえるのを誤魔化しながら、ロコも新聞をかごに戻し、掲示板から
離れた。
『ウェブリッジ王国王女、失踪か』
見出しの一文には、そんな単語が並んでいた。
696 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:16:47 ID:ugGPSIAO
○ ● ○ ●
「うむ、美味い! これを丼(どんぶり)というのだな! なんとも粗野な食し方だが、
なかなかどうしていけるではないか!」
「うん、そう……だね」
ビニールの大屋根の下に、簡素な机と椅子を並べただけの、がやがやと賑やかな食堂で
昼食をとることにした。
2人が注文した海鮮丼は、ぶつ切りにした多種多様な魚の切り身をご飯の上にどかんと
乗せただけのものだったが、リコの言うとおりとてもおいしかった。以前、故郷で食べた
刺身とは、脂の乗りがまるで違う。やはり鮮度の違いだろうか。
しかし、その鮮魚の美味しさも、今のロコにとってはどこか余所事だった。
(あの記事……。本当にリコは……)
記事の扱いは、非常に小さかった。内容も、まだそういう話が出ているというだけで、
真偽の程は定かではなかった。
しかし、記事には王女の名前がしっかりと記されていた。『リコ=ウェブリッジ』と。
いま目の前で頬にご飯粒をつけている彼女の名前が(取ってあげた)。
彼女がアーモロードにやってきたタイミングを考えても、リコがかの国の王女である
ことは、これでほぼ間違いないだろう。
「? どうしたロコ、さっきからぼーっとして?」
「え、いや、何でもない」
……リコの言うことを信じていなかったわけではないが、改めて真実だと裏打ちされると、
漠然とした不安や疑問が押し寄せてくる。こんなところで食事をさせてしまって大丈夫なのか、
とか。
いや、そんなことよりも。それなら、彼女はどうして……。
喉がつっかえそうになるのを、ロコはぬるくなった水で押し流した。
○ ● ○ ●
情報収集は一旦取りやめ、午後はこれからの暮らしに必要なものを揃えるために店を
回った。
「……よし、ここでの買い物はこれで全部かな。食料とか肥料は、昨日ルゥさんが言って
いた市場に行こうと思うんだけど」
「わかった。……ねぇ、ロコ。1着だけでも……」
「だーめ、うちは今、ムダづかい一切禁止!」
「ぶー!」
「リコの国では服でも何でも買い放題だったかもしれないけど、うちは貧乏なの!
わかった?」
「べ、別に買い放題なんてことはなかったぞ……。ロコは王族をなんだと思っておるのだ」
変な拗ね方をするリコにロコは思わず吹き出しつつ、手を差し伸べる。渋々とその手を
掴むリコを連れて、ロコは市場へと向かった。
土地の広さが限られているアーモロードでは、市場が大きく2つに分かれている。
1つが、今ほどロコたちが買い物をしていた中心街の近くにある、主に港に陸揚げされた
魚や貝、海草などの海産物を扱う市場。
そしてもう1つが、今ロコたちが向かっている、アーモロードの内地で取れた農産物や、
港から陸送された加工品などが並ぶ、言わば『陸の市場』だった。食料や、畑仕事に使う
ものなら、中心街よりもこちらの方が便利だろう。
昨日通った帰り道を途中で曲がって進むと、すぐに人の賑わいが聞こえてきた。
「はは、ここが市場か! すごいな!」
市場の入り口で立ち止まり、リコは驚嘆の声を上げる。
中心街のような、何階建てにもなる背の高い建物はほとんどない。年季の入った木造の
平屋が所狭しとひしめき合い、その軒先に野菜や果物、魚介類の燻製などの乾物を並べて
いる。目の前で作るお菓子や、工芸品などを売るお店もある。
店主たちは口々に大きな声を張り上げ、その声に呼び寄せられるように道行く客がわら
わらと品物に集う。中心街とはまた違った騒がしさと活気のある場所だった。
697 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:18:00 ID:ugGPSIAO
「僕の地元にも市場はあったけど……、すごいねここは。人の多さが段違いだ」
「うむ! まるでお祭りのようだ! 見ろ、何か変なものが売ってるぞ!」
さっそく一番目の前にあった屋台に並べられた、棒のような体の先端に奇妙な化粧の
顔が象られた人形に食いつくリコ。
「……買いだな!」
「買いません」
手にとってまじまじと見つめるリコの手から、人形を取り上げて元に戻す。
「で、でもでも、可愛いと思わぬか? 安いし……」
「ダメったらダメ。無駄づかいは敵。はい復唱」
「うう……、むだづかいはてき……」
「はい、よくできました。さあ行くよ、……?」
リコの手を引き、市場の中に進もうとするロコだったが、急にその足を止めた。
後ろをついていこうとしたリコが、その背中に顔を衝突させる。
「ぶふっ! なんだロコ、言ってるそばから立ち止まるな! ……?」
ロコの顔色を伺ったリコは、その驚愕の表情に思わずその視線の先を追った。
「おわっ、なんだあれは」
そこは、市場の出入り口付近。芝が覆うその地面の上に、白くもこもこした謎の物体が
ひしめいていた。
「……もしかして、羊か?」
リコがその生物の正体をとらえた瞬間、隣の少年のスイッチが入った。
「そう、羊! みみみ見てよリコほら! 羊だよ羊!」
「おお、実物は初めて見るな。……どうしたロコ? ものすごく愉快な顔をしておるぞ?
って、おおおおい!?」
リコのツッコミも耳に入らない様子で、ロコは羊たちの元へとまるでたぐい寄せられる
人形のように駆けていった。リコを引きずりながら。
ロコは子羊たちの前にしゃがみこむと、顔を思いっきり緩ませて、
「な、なんでっ、こんなところで、こんないっぱい……っ。は、はわあああっ。かっ、
かわいい! かわいいよねぇ……っ!」
「……あの、ロコ、さっきから怖い……」
にわかにテンション急上昇のロコに、リコは思わず生返事。
しかし、改めてみるとその数20匹以上。どうして羊がそんなにたくさん。
その時、頭上で笑い声がした。そこには、芝生の脇にぽつんと立つ1本の木立に背もたれる
青年がいた。
一本の枝葉をくわえ、手にしたリュートを特に弾く様子もなく、肩ほどまである亜麻色の
髪をなびかせながら、まるで樹木の一部になったようにひっそりと佇んでいた。
あからさまにあやしい、とリコが訝しげに見ていると、青年はふっと薄く笑い、
「やあ、僕の旅の仲間たちをそんなに気に入ってくれたのかい?」
「はい! とってもかわいい子たちですね!」
やたら元気のいいロコの返事に、青年はありがとう、と一言返すと、何をするでもなく
目を閉じて佇む。なんだか飄々として、掴みどころのない。そんな第一印象だった。
「えっと……、旅人なのか?」
「旅人でもあり、冒険者でもあり、詩人でもあり……。自由気ままにこの子達と歩いて
いるのさ」
「はあ」
正直、生返事を返す他ないリコ。ロコは相変わらず酔っ払ったように羊を愛で続けている。
698 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:19:35 ID:ugGPSIAO
「すみません、この子達に触ってもいいですか? というか抱きしめていいですか?」
「お、おいロコ……」
さっきからロコの様子がおかしい。普段のロコならば、見知らぬ人間にいきなりこんな
不躾に頼み事をしたりしないだろう。
しかしそんなリコの不安も余所に、青年はにっこり笑って、
「いいとも。思う存分もふもふしたまえ」
「は、はい……!」
とってもいい返事を返すが早いか、ロコは手近にいた一番小さな子羊にがばっと抱き
ついた。
「ああ、かわいい、あったかい……」
恍惚とした表情を浮かべ、子羊の毛皮に頬ずりしたり、窒息しないか心配になるくらい
顔をうずめて悦に入るロコ。
正直、だいぶ引いている、というより薄気味悪がっているリコだったが、一応心配して
声をかける。
「お、おいロコ、どうした、何か正気を失っておるぞ……?」
「正気でなんかいられないよ! 故郷にあの子たちを置いてきたときも気が気じゃなかった
んだから! それに、ほら見て! 可愛くない!? 可愛いよねえ!」
「わ、わかった近い! 羊近い!」
子羊を抱えると、ロコは天真爛漫笑顔でそれをリコにぐりぐりと押し付けるように見せ
付けてくる。
あの子たち、というのは、ロコが実家で飼っている羊のことなのだろうが、
「それにしてもこれは……」
「はは、少年君はいい趣味をしているねえ」
のんきに笑う青年だったが、他人事ではないリコは口をへの字に曲げてため息をついた。
ロコがしばらく動きそうもないので、リコも羊たちの顔をまじまじと見つめてみる。
「まあ確かに可愛くないこともないが……。そういえば、羊ってどんな風に鳴くのだ?」
「ん? そうだねぇ……。おい、キミ、鳴いてみせて?」
ロコは、先ほど抱えた子羊を、胸元でゆさゆさと振って呼びかける。
「……メェ〜」
「メェだって! はああっ、ますます可愛い!」
「待て待て待て待て!」
思わずリコはつっこんだ。
「いくら私でも知ってるぞ!? 『メェ』と鳴くのはヤギだろうが!」
「メ?」
「ましてやそんな器用に首傾げて鳴くかぁ!!」
思わず声を大きくするリコに、子羊は首をすくめてロコに泣きすがる。
「メ、メ……」
「よしよし、あのお姉ちゃん怖いねぇ」
「くっ、なんなのだこの羊は……」
「僕の育て方の賜物だねえ。はっはっは」
ぼろんぼろんと、陽気にリュートを鳴らす青年。笑っている場合か。
「すみません、この子、おいくらなら譲っていただけますか!?」
真面目な顔でぶつぶつ何かを悩んでいたと思ったら、ロコは素っ頓狂な事を言い出した。
「はぁっ!? 何を言っておるのだロコ! さっき無駄づかいはダメだとあれだけ」
「そ、そうだけど、でもこの子、こんなに可愛いんだよ……?」
しょんぼりと俯き、少し潤んだ目でリコを見つめるロコ。
「あ、あどけない子供のような目をするのはやめろ! くっ、私に足りなかったのはこの
目力か!」
「んー、譲ってあげたいところだけど、一緒に旅をしてきた大切な仲間だからねぇ」
2人のやり取りなどどこ吹く風、青年はマイペースに呟く。
「うう、そうですよね……。じゃあもうちょっとだけ、撫でてあげていいですか?」
「お好きにどうぞ、少年君」
青年の言葉を受けて、ロコは再び子羊を愛でる作業に戻った。
699 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:21:08 ID:ugGPSIAO
「はぁ……、ついていけん。私は向こうに行ってるからな」
リコは呆れて立ち上がり、先ほどの屋台の方に戻ろうとした、その時だった。
「わっ!」
「? どうしたの、リコ、……!?」
短い悲鳴に振り返ると、リコは尻餅を突いて倒れており、その前には野菜の詰まった
木箱を3つも抱えた恰幅のいい中年男性が、苛立った顔でリコを見下ろしていた。
「ちっ、あぶねーだろうが嬢ちゃん! こっちゃ急いでんだ、ぼさっとつっ立ってんじゃ
ねえよ!」
「なっ……!」
あ、まずい。と、ここ両日の短い付き合いで瞬時に何かを感じ取ったロコは、慌てて
両者の間に割って入った。
「まあまあ、抑えてリコ」
「なんだ! まだ何も言っておらぬではないか!」
「じゃあどうするつもりだったのさ?」
「怒鳴る!」
「ほら……」
ぎりぎりと歯を食いしばらせて怒るリコをどうどうとなだめる。
「ちっ、ジャリどもの相手してる場合じゃねえんだよこっちゃ」
悪態をつく男性に振り返ってロコは、
「すみませんでした、おじさん。こちら側も不注意でした。謝ります」
「ろ、ロコぉ……!」
深々と頭を下げるロコに、男性はわかりゃいいんだよ、と鼻をならした。
「でも、おじさん」
「あ?」
「前が見えなくなるほどの荷物を持つのは、市場で決められたルールで禁止されてるん
じゃないですか? 僕の故郷ではそうでした」
「なっ……」
突然、語気を強くするロコに、男性はたじろぐ。
「ルールで決められていなくても、危険なことに変わりはありません。やめた方がいいです」
まっすぐに目を見て言い放つロコに、箱を持つ男性の手が震える。
「こ、ナマ言いやがって……」
男性の太い眉毛がみるみる吊り上がるのを見て、む、とリコは身構えた。
が。
「ですから」
ロコは、男性の持つ木箱の上2つを掴み、持ち上げると、少しよろけながら地面に下ろした。
「痛たた……、さすがに重いな。リコ、こっちはそんなに重くないから、お願いしていいかな?」
「ちょ、ど、どうしてだロコ!?」
「ぶつかったのはお互い様。で、困ってる人を助けるのは当たり前でしょ。ほら、早く
持って持って」
リコはしばらく口を尖らせていたが、わかった、と渋々木箱を担いだ。
事態の流れに一番面食らっていたのは、男性の方だった。
「な、なんかすまんなあ、坊主……」
「構いません。おじさんも急いでたんじゃないんですか? 早く運びましょう」
「あ、ああ、そうだな。……嬢ちゃんも悪かった。焦ってたんで、ついムカッときちまった。
すまん」
「わ、私は別に……。……いや、私のほうこそ、すまなかった」
互いに頭を下げあう二人を見てロコは微笑む。野菜の詰まった重い木箱を持ち上げると、
男性の後についていった。
「まあ私も、誰かさんが羊なんかに気をとられなければ人にぶつかることもなかったんだがな?」
「う……、それはその、すみません……」
700 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:22:42 ID:ugGPSIAO
○ ● ○ ●
男性の後ろをついて歩き、たどり着いたのは、周りの店よりとりわけ大きな八百屋だった。
こちらの地域で採れるものなのか、見たことのない野菜がたくさん並んでいる。
「ただいまー」
男性が、店の奥に向かって声を上げる。リコにもういいよ、と伝え、重い木箱を地面に
下ろした。
「おやっさん、お帰り! 大変だったでしょ?」
「あー、いや、それがな……」
店の奥からは、若い女性の声がした。いや、どこかで聞いたことのあるその声は、
「ルゥさん!」
「ああ、ロコ! リコも一緒じゃないか!」
三つ編みにした赤毛を揺らしながら、からっとした笑顔で現れたのは、この土地の人間で
初めて挨拶を交わした少女、ルゥだった。
「ルゥさんのお店だったんですね」
「ん? ああ、違う違う。私はただの売り子。はいいらっしゃーい! 今日のオススメは
カボチャ! 熟れ熟れで甘くておいしいよぉ! ……ってね!」
この喧騒でもよく通る声で売り文句を叫ぶルゥに、ロコは思わず笑ってしまった。
「……で、おやっさん?」
「な、なんだよルゥ坊」
「何お客さんに荷物持たせてんのさ!? 物売りの風上にも置けないね!」
「ち、違ぇよ! これにはちょっと」
ルゥに詰め寄られてたじろぐ八百屋の主人に、ロコは助け舟を出す。
「ルゥさん、違うんです。僕たちが手伝わせてもらったんです」
「手伝わせて、もらうぅ? ふふ、変な言い方するねロコは」
「そうですか?」
二人で顔を見合わせて笑った。昨日もそうだったが、好ましい笑顔をする人だな、と
ロコは思った。
「じゃあせっかくですし、お野菜も買わせてもらいます」
「うん、売らせてもらうよ! どんどん見てってね!」
店先に並んだ数々の野菜を見繕う。どの野菜も彩りよく、大きく育って、見ただけで
おいしいだろうとわかるほどだった。こちらの地方特産の、見たことのない種類の野菜に
ついてルゥに説明を受けながら、2人で無駄にならない程度の野菜を購入した。
「はいお釣り。どうもありがと! 今後もごひいきにね、リコ、ロコ!」
「リコ……、ロコ……。ああ、坊主たちか! あの幽霊屋敷に引っ越してきた若夫婦
ってのはぶっ!?」
土手っ腹にいきなり掌底を喰らった、男性改め八百屋の主人は、そのまま体をくの字に
曲げて地面に突っ伏した。ルゥのその拳筋の速さと重さたるや、並大抵のものではなかった。
ものすごく痛そう。
「ふぅ……。……ロコ? 今のは、その、な?」
「……夫婦じゃないって、言いふらさないって言いましたよね?」
「い、言いふらしてないよ! でも、二人の状況とか伝えたら、そういう風にしか捉えて
もらえなくて……」
「まあ、それは」
仕方ないかもしれない。
「ねえリコ、……照れてないで、リコも何か言って」
「おっ!? う、うむ、そうだぞ! 私とロコはそういう間柄ではない! 仲間だからな!」
「仲間って……何の?」
701 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:24:09 ID:ugGPSIAO
「世界樹の迷宮を目指す仲間だ!」
首を傾げるルゥと八百屋の主人に、リコは胸を張って答える。すると2人は、両極端の
反応を見せた。
「ほんとに!? あんたたち冒険者なのかい!?」
「かぁっ、またルゥ坊に余計なこと思い出させやがって……」
ルゥは目を輝かせて驚き、八百屋の主人は頭を抱えて溜め息をついた。
「いえ、まだギルドの申請が通ってないんです。年齢が足りなくって……。ということは、
ルゥさんも?」
「なぁんだ、そうなの。私も、まだどこのギルドに所属しようか考え中。さっさとどこか
探しに行きたいんだけど、このおっちゃんたちがうるさくてさあ……」
やれやれと首を振るルゥの後ろから、八百屋の主人が大きな声で、
「ったりめえだ! なんでわざわざそんな危なっかしいところに行かなきゃなんねえんだ。
ちょっと腕っぷしに自信があるからってなあ、樹海のバケモンに出くわしたらひとたま
りもねえんだぞ! おとなしくうちの店手伝ってりゃあいいんだよ!」
「そんなこと言って、看板娘がいなくなるのがヤなだけなんじゃないのかい?」
白い歯を見せて意地悪く笑うルゥに、けっ、と悪態をつきながら八百屋の主人は運んで
きた荷物を店の奥に片付け始める。
ルゥの言葉にリコとロコはアイコンタクトをとり大きく頷き合うと、再びルゥに向き
直って尋ねた。
「あの、すみませんルゥさん。まだギルドに所属していないということは、自分でギルドを
申請しようと考えたりは……?」
「いや、それがさ。こないだ二十歳になったからそれも考えたんだけど、今みたいに周りの
反対がうるさいし、道場の連中も腰抜けばっかりで仲間も集まらなくてさ」
やれやれだよ、と溜め息混じりに話すルゥだが、リコとロコは再び顔を合わせて目を
輝かせた。
見つけたかもしれない、糸口を。
「ロコ、頼んでみよう! 私は、ルゥのことも好きだぞ!」
「へっ、す、好き!?」
「うん、僕も!」
「ロコも!?」
いきなり目の前で繰り広げられる会話に、ルゥは目を白黒させた。
「あの、すみません、ルゥさん!」
「ななな、何? どうしたの二人して?」
突然真剣な目になる2人にたじろぐルゥ。
「お願いがあるんです。僕たちと……」
僕たちと一緒に、世界樹の迷宮を目指しませんか。
ロコがそう二の句を継ごうとした、その時だった。
「ただいま、おやっさん」
背後から現れた物々しい甲冑と、それに似合わぬほがらかな女性の声が、ロコとルゥの
間に割って入ったのは。
「おっ、お前ら帰ったかー! って、だぁから店来る時はそのトゲトゲ外しとけっつった
ろーが!」
「何言ってんの。おやっさんでしょ、戻ったらいの一番に迷宮で取れた野草を店に届けろ
って言ったのは」
大きなスパイクが何本もあしらわれた鎧が、くすくすと笑う。
(え……?)
その笑い声に、ロコは強烈な違和感を憶えた。
知っている。僕はこの声を知っている。
でも、そんなはずがない。だってあの人がこんなところにいるはずがない――
702 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:25:07 ID:ugGPSIAO
「あら、ごめんなさい。お客さんがいたの――」
甲冑を身にまとった女性が、こちらに気づき、振り向く。
「……あ」
ぶ厚い装甲のかげから現れたその顔を見た瞬間、ロコの意識は凍りついた。
「? ロコ?」
いち早く、ロコの異変に気づいたリコが声をかけるが、ロコの耳にはまったく届いて
いなかった。
切り揃えられたショートの髪。健康的な小麦色の肌。少し細めの、けれど人懐こさを
湛えた柔和な瞳。
見間違えるはずがない。聞き違えるはずもない。記憶に残る姿とは掛け離れた、無骨な
甲冑に身を包んでいても、顔立ちは想いでどおりの美しさのまま、その人はそこにいた。
「……ロコ?」
その声で名前を呼ばれた瞬間、電流が走ったように身がすくんだ。
どうしようもなく懐かしい気持ちに包まれて。
同時に、今すぐこの場を離れなきゃと、そう思った。
「ロ、ロコ? どうした、知り合いなのか?」
心配して袖を引くリコの声に、ようやく自分が返事もせずにしばらく固まっていたことに
気づいた。
「えっと、あ、その……」
けれど出てくるのは、言葉にもならない呻き声ばかり。背中から冷や汗が噴き出して、
うまく喉が回らない。
まともに目も合わせられずにいると、女性の方から話しかけてきた。
「ロコ……、どうして、こんなところにいるの?」
あなたこそ。どうして。
そんな大きな鎧を着て。そんな物騒な槍を持って。何をしているんですか。
言い出したくても、言葉は腹の中で燻るばかりで、ちっとも口をつかない。
二人が押し黙ってしまうと、店の中に重たい沈黙が訪れる。
「なんだなんだ、ワケありかお前ら?」
「おやっさん! 黙ってな!」
ルゥにぴしゃりと言い切られ、しゅんと黙る八百屋の主人。
ワケあり、か。その通りだ。
あの夢は、虫の知らせだったのだろうか。
彼女との記憶が、蓋をしていた記憶の奥底からごぼごぼと溢れ出して、頭がずんと重く
なっていく。
「ロコ……」
ロコの様子を見かねて、女性が声をかけてくるが、頭の中がぐちゃぐちゃで何を言えば
いいのかわからなかった。
すると、女性は、
「……ごめんね?」
今朝見た夢と。あの夜と。同じセリフを、同じ声で。
その瞬間、意識の中でじりっと火花が散った。
「どうして謝るんですか!」
気づけば、大きな声で叫んでいた。周りよりも、自分が一番驚いてしまった。
あの時言えなかった台詞を、どうして今ここで。
「――っ!」
「お、おい、ロコ!?」
耐え切れず、店を飛び出した。
人にぶつかるのも厭わず、とにかく走って、逃げた。
703 :
『Ricco Rocco 〜始まりの家A』 ◆Joc4l4klOk :2010/06/20(日) 21:26:26 ID:ugGPSIAO
(なんで、どうしてあの人が――!)
心の中で、何回もそう叫んだ。
市場の人混みを抜けたところで、息が切れて足を止めた。心臓がどくんどくんと跳ね
回ったが、そのまま破裂してしまえばいいと思った。
――あの人の、あの格好。重厚な鎧を身にまとって前線に立ち、味方を守護する役目を
担うファランクスと呼ばれる職業の装備だ。
つまり、彼女もまた冒険者の一人として、このアーモロードに留まっているということだ。
それは、この街で冒険者として活動する以上、必ずどこかで彼女と顔を合わせることになる
ということであり――
「どうしてだよ……!」
人目もはばからず、ロコは唸った。
偶然にしたって、運命のいたずらにしたって、あまりにタイミングがひどすぎだ。
頭のハッチ帽を手に取り、思わずくしゃりと握り締めた。
「はぁ、はぁ。意外と足が速いな。ロコ」
振り返ると、リコが息をはずませて追いついてきていた。
「せっかく買った野菜も忘れて、どうしたのだロコ?」
気遣ってくれているのか、野菜の入った袋を掲げて笑顔を向けてくれる。
けれど。
「……ごめん、なんでもない。帰ろう、リコ」
「え、お、おいちょっと!」
リコの制止を振り切って、ロコは足早に市場を離れようとする。
「なんでもないことはないだろう! いったいあの女性と何があったのだ?」
袋を重そうに抱えながら、ロコに追いすがり質問を繰り返すリコ。
……面倒だな。
そんなことを考える自分に、ただでさえ落ち込んだ気分がさらに沈んだ。
しかしリコは、ロコの目の前に回りこみ、なおも食い下がる。
「ロコ、いったいどうしたんだ! 自分でもわかっていると思うがな、今のお前はひどい顔を
しているぞ。話してくれ、言ってくれないとわからぬではないか!」
その言葉に、ロコはきゅっと唇を噛み締めて、言った。
「……リコだって」
「え……?」
「リコだって、僕に言えないことがあるんじゃないの?」
「な、何のことだ……」
目を逸らした。その態度に、ロコは言葉の歯止めが利かなくなった。
「リコ、さっき新聞にリコの国のことが載ってたよ。本当に王女様だったんだね」
「あ……、ああ、そうだぞ。そう言ったではないか」
そう。だからこそ、ますますわからないことがある。
「じゃあ、昨日ちゃんと聞けなかった質問をするよ。リコはどうして、世界樹の迷宮を
目指しているの?」
「それも言ったではないか! 私は、私の国を作るために」
「リコには、自分の国があるじゃないか。どうして、わざわざそこを抜け出してまで、
国の人に迷惑をかけてまで」
「わ、私は、自分だけの国が欲しいのだ! 他の誰からの譲りものでもない、自分だけが
支配する国が! そういうワガママ娘なんだ私は!」
「ウソでしょ」
「なっ……」
残念ながら、ロコには彼女がそんな「独善的な王女様」には見えない。
何でもないことで笑ったり、喜んだりする、普通の女の子なんだ、と、短い付き合いでも
気づくことが出来たから。
だから、ますますわからない。もっと何か、理由があるはずだ。
「私、私は……」
しかし、リコは唇を噛み、それきり言葉が継げなくなってしまった。
じゃあ、もういいや。
「……ごめん。でも、今は一人にしておいて」
一言謝ると、ロコは再び家に向かって歩き出した。
すぐにリコもその後を追ってきたが、足音は徐々に遠ざかり、二度と近づこうとはして
こなかった。