調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart35

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1名無しさん@ピンキー
調教や洗脳などで悪の奴隷に堕ちるヒロイン達・・・
【ヒロイン悪堕ち】シチュ全般に激しく萌える心優しき同志が、
数少ない情報を共有して楽しんだり、まったりと過ごすスレッドです。
OVAやゲーム、漫画などの情報、SSの投稿も歓迎します。

◆前スレ
調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart34
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1254312538/

 ◆注意事項
◎ウザイ広告阻止のため、sage進行にご協力を
◎dat落ちは最終書き込み時間で決まるので、age保守しなくても大丈夫
◎「教えて」と聞く前にまずググル(ttp://www.google.co.jp/
◎ふたばのことはふたばでやれ
◎荒らし、煽り、広告は無視の方向で
◎気に入らない属性や話題もNGワード使用を推奨します。マジレスしても得るものはありません
◎うpろだの使いすぎには注意
◎レス数が970を超えたら次スレを立てましょう


 ◆関連スレ、関連サイトへのリンク
MC関連ページ リンク集 (実写非対応)
ttp://marie.saiin.net/~mcharem/MCGAME.htm
MC関連スレ保管庫(画像掲示板へのリンクあり)
ttp://marie.saiin.net/~mcharem/MClog.htm
悪堕ち作品情報まとめWiki
ttp://wiki.livedoor.jp/akuoti/d/FrontPage
2名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 15:11:32 ID:3W3JDH1h
part34 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1254312538/
part33 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1250044953/
part32 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1244521885/
part31 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1240675862/
part30 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1235693954/
part29 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1231398014/
part28 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1227459853/
part27 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1223306046/
part26 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1219572682/
part25 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1216250439/
part24 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213448501/
part23 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1209733527/
part22 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1206170958/
part21 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203072081/
part20 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199726527/
part19 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1195293152/
part18 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1190984121/
part17 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1188385855/
part16 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1181650804/
part15 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1175950929/
part14 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1172108261/
part13 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1168620587/
part12 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1162682186/
part11 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1154698504/
part10 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149609092/
Part9 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1143503281/
Part8 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1136207866/
Part7 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1124385633/
Part6 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1112034530/
Part5 http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1101897104/
Part4 http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1092729666/
Part3 http://idol.bbspink.com/eroparo/kako/1073/10733/1073377356.html
Part2 http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1045/10452/1045287642.html
Part1 http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1010/10101/1010161683.html
3INHUMAN:2010/02/15(月) 17:19:14 ID:QuD/7QnL
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッド立てて恥ずかしくないの!?
そのうち削除依頼を出して、
消してもらうつもりだから、
覚悟してなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!
4名無しさん@ピンキー:2010/02/15(月) 18:28:18 ID:gnGT4wP/
スレ立て乙
5名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 00:33:15 ID:cXsdQgAb
>>1様、乙です・・・。
6名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 04:28:15 ID:ij6wOeNw
>>3様、劣です・・・。
7名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 06:04:46 ID:/KrQFbge
前スレ>>990、GJだ
8名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 08:32:49 ID:8JhOfCI5
>>1堕つ

前スレ堕ちた
1000 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2010/02/15(月) 23:52:04 ID:x6mqvHxU
このスレは俺が堕とした!
1001 名前: 1001 投稿日: Over 1000 Thread
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。
9名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 09:37:24 ID:HwTgD2Tw
>>1
堕つ
10名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 09:38:07 ID:zgoI332w
>>8
1001の丁寧なコメントが堕とされて従順になったヒロインのようだw
11名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 11:48:01 ID:5C/NNBol
>>3
うるさーい!
12名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 12:49:10 ID:f/pWv8rr
寄生スレは容量落ちで次スレ立ったのに、
なんでこのスレは1000まで行ったの?
13名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 13:35:01 ID:xdkFSNbf
容量落ちしなかったから
14名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 16:11:50 ID:iVRjdq/n
投下量が少ないまたは投下以外のレスが多いから
15名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 21:53:08 ID:38ZeQAm3
向こうは限界まで投下した
こっちは限界まで遠かった
16予定調和:2010/02/16(火) 22:08:24 ID:0j0LnMgh
巻き添え規制を食らっている間に、本来書く予定のなかった直球エロシーンを書き足しました。
その部分の投下は当分先になりますが、これでこのSSも18禁の仲間に……。

前回の粗筋
恐怖で戦えない彩は包囲網を打開するために月夜女に自分を操ってもらうように頼んだ。

それでは続きをどうぞ。
17予定調和:2010/02/16(火) 22:12:13 ID:0j0LnMgh
その一瞬の気の迷いが私たちの明暗を分けた。
私のように眼を合わせた相手の意思を強引に捻じ曲げることができるのは珍しいらしく、
私以外だと少しでも相手に不信感があるだけで通用しなくなるという。
だから本来魔眼というのは相手の不意を突いたり本性を隠して取り入ったりしないと使えない代物だ。
それなのに、私は月夜女さんの裏があるような顔を見て思わず拒絶してしまった。
頭に浮かんだ疑問を口に出す前に、月夜女さんが異常に気付いたらしい。でも、それすらも遅かった。
私が一瞬迷った時点で私たちの負けは決まってしまっていた。
側面から見覚えのあるレーザーが月夜女さんを吹き飛ばす。20メートルほど飛ばされた後、
アスファルトに摩り下ろされて散らばった黒い羽根が痛々しい。
「何しようとしてたか知らないけど、私たちはそんな怪しい行動をぼーっと眺めてるようなトロい正義の味方じゃないんでね!」
起き上がりかけた月夜女さんに赤い服の女が踵落としでもう1度ダウンさせ、
起き上がれなくなったところに鞭打つように殴る蹴るの暴行を加える。
こんな仕打ちを受けなければならないほどのことを月夜女さんがしたの?月夜女さんは月夜女さんなりに一生懸命生きてただけじゃない。
ただ、生き延びてただけじゃない……。
自分もこの後月夜女さんと同じ目に合わされる様子がありありと頭に浮かんで1歩が踏み出せない。
動いて、動いてよ、人の命がかかってるのにどうして動いてくれないの!?
怖い。戦うのが怖い。死ぬのが怖い。
助けに行く前にこの身を盾にしてでも護ると覚悟したはずなのに、いざその状況に直面するとできない。
私の月夜女さんを護りたいという想いは、自分の身の危険で打ち消されるような柔なものだったんだ。
いや、足が動かなくてもできることはある。外して月夜女さんに当たってしまう危険を考えても、ここからあいつらを狙い撃てば!
しかし、その行動は無防備になった後ろからの攻撃で阻止された。
血は流れてないけど、まるでソフトボールをぶつけられたかのようにふくらはぎが大きく腫れている。
「先輩、いい加減にしてください!」
「春香ちゃん、私の邪魔をするの?」
「先輩の頼みでも、これだけは譲れません!」
「晴川さん、今のうちに早く!」
私は初めて私に真っ向から対立しようとする春香ちゃんにたじろいですらいた。
付き合いの長い春香ちゃんなら私の味方になってくれると思ってたのに、どうして……。
「何よ……どうしてそこまで必死に月夜女さんを殺そうとするの?」
「月夜女が黒の一族だからです。それ以外に理由が要りますか?」
「きゃあああああーーーー!!」
青野とかいう女のレーザーを無防備な状態で食らい、月夜女さんの悲痛な叫び声が耳に響く。
あの晴川という男はよほど強力な洗脳を春香ちゃんに施しているらしい。
まずは春香ちゃんをどうにかしないと月夜女さんを助けられないみたい。早くしないと月夜女さんが殺されてしまう!
「やめてええええええええ!!」
こんなときに、私は泣き叫ぶことしかできないの?折角月夜女さんからこの力をもらったのに、 身近な人を救うことすらできないの?
自分の無力さに苛立ちを隠せない。



冬子が全身を満遍なく痛めつけ、夏菜のありったけの魔法をぶつけられては月夜女でもひとたまりもない。
意識までは取られなかったことがむしろ不運だった。晴川は蹲って動けない月夜女に容赦なく御神刀を振り下ろす。
「これで終わりだ、月夜女!」
「ぎええええぇぇぇっ!」
黒い両翼を切り落とした感触が晴川の両手にしっかりと伝わってくる。
濁った悲鳴を上げた月夜女は背中の傷口からどす黒い血を流しながら鬼のような形相で晴川を睨みつけた。
「おのれえ、晴川ぁ……」
「もう勝負はついた。諦めろ、月夜女!」
どのような反撃が来ても対応できるように、晴川は刀を構えなおした。
その両脇の夏菜と冬子も腰を低くしていつでも動けるように待機する。
18予定調和:2010/02/16(火) 22:14:57 ID:0j0LnMgh
「ふ、ふふふ……」
苦痛に顔を歪めながらも気味悪く笑う月夜女に、対峙する3人は一層気を引き締める。
「気をつけろ!まだ何か変化して襲ってくるかも知れん!」
しかし既に月夜女の足は膝から下が砂のようにボロボロになって崩れてきており、歩くことすら困難になってきている。
「黒の一族は妾が最後なのは確かじゃ、望みが叶って嬉しかろう。じゃがな……これで終わりと思わぬことだな、晴川ああああアアアア!!!」
思わず耳を塞ぎたくなるような壮絶な断末魔を発した後は、白いさらさらの灰のような塊になった月夜女の残骸があった。
「ふん、結局ただのハッタリか。死んだら終わりに決まってるだろうが」
灰に近づいて月夜女が2度と再生しないことを確かめて、晴川は付着した血を拭いてから刀を鞘に納める。
「最後なだけあって、捨て台詞がベタベタでしたね」
冬子はバンデージを巻いたままの両手で乱れた髪をざっと整えながら、感慨深げに灰の塊を見つめていた。
「ふっ、またもや勝利してしまったぜ……」
元気が有り余っているのか、疲れの見える他のメンバーと違い1人で夏菜はなにやら妙なポーズをとっている。
「青野、その言い方だと俺が言っているように聞こえるから止めてくれ」
「そう?じゃあ……」
今度は月夜女の残骸を指差しながら、やや演技のかった声で決め台詞を言った
「私たちと会ったのが運の尽きよ!」
晴川と冬子は夏菜のこの行動を見慣れているらしく、冷ややかな視線をぶつけている。
「……晴川さん、私と夏菜がこれで同い年って未だに信じられないんですけど」
「まあ黒松、これも今回で最後だから大目に見てやれ」
自分の決めポーズに満足した夏菜は晴川と冬子に向き直ると突然何かを思い出したように「あっ」と声をあげて、がっくりと肩を落とした。
やっとのことで最終目的である黒の一族の殲滅を完了したにも関わらず、その顔は失意の底に沈んでいる。
「そういえば、まだ戦隊モノのお約束アイテムが出てない……結局、巨大ロボどころか変身スーツすら出ないうちに最終回とは……はあ……」
「お前は子供か。一体何を期待してホワイトウイングに入ったんだよ」
ヒーロー願望の強い夏菜の危機感のない言葉に、晴川と冬子は毎度の事ながら呆れて苦笑せざるを得なかった。
夏菜はこうした浮き沈みが激しい面もあるが活躍はめざましく、夏菜だけで黒の一族を戦闘不能にまでしたこともかなりある。
「いや、待てよ。これはもしかしてこの後第2第3の新勢力が出てきてホワイトウイングの戦いもまだまだ続くんじゃ……」
「縁起でもないことを言うな。まだ月夜女に操られていた女の処理が残ってる、気を抜くなよ」
夏菜と冬子にそれぞれ指示を飛ばすと、晴川はもう一度月夜女の残骸を一瞥してから彩に目を向けた。



護れなかった。守れなかった。悲しい。悔しい。涙が止まらない。
2対5で人数的にも不利な上、私は今回が初めての戦いだ。勝てるわけがなかった。転移が使えなくても手を引いて走って逃げればよかった。
私がずっと側にいてあげなければいけなかった。あのとき一瞬でも月夜女さんを疑ったのがいけなかった。
全部、私のせいだ。
……いや、違う。
悪いのはホワイトウイングだ。晴川だ。
晴川が黒の一族を根絶やしにしようとしなければ、こんなことにはならなかった。
悪いのは全部あいつらだ。
そもそも、こんな殺人集団が世間の目に触れずにこそこそ活動しているのが許されていいはずがない。
相手が法律を無視するなら、私も無視しないと勝ち目がない。どうする、晴川を殺す?でも、殺すだけでいいの?
殺すよりもっと晴川に苦痛を、屈辱を、絶望を味わわせるには……。
戦闘の真っ只中で考え事をしていた私は、自分の首にスッと腕が回されてもすぐには反応できなかった。
「ちょっと、何するの!?」
「おとなしく、して!」
背後から手際よく絞め技を決められ、あっけなく意識を手放してしまう。
「晴川さん、準備できた?」
「あと少しだ」
すぐに意識は戻ったものの、頭がすごくぼんやりする。このまま、私もあいつらに殺されるの……?
19予定調和:2010/02/16(火) 22:18:13 ID:0j0LnMgh
左腕にチクッと痛みが走り、急速に私の意識は闇に沈んでいった。



意識が朦朧としていたところに晴川に麻酔薬を打たれ、彩はぐったりと晴川に体を預けていた。
警戒を解いて晴川の周りに4人が一斉に集まる。
「先輩、大丈夫なんですかね?」
「事故が起こる可能性を極限まで低くした新薬だ。黒松が事前に動きを封じたから刺す場所を間違えたなんてこともない」
ホワイトウイングがこのように超法規的な行動をしても一切世間に晒されないのは、晴川の財力とコネの賜物である。
「はあっ、はぁ……間に合ったみたいですね、晴川さん」
「ああ、白石もよく頑張ってくれた。転移持ちが2体もいたなら白石が封じないと捕まらないからな」
白石と呼ばれた女は膝に手を付き、息も絶え絶えながらも安堵の表情を浮かべた。
「それに黒松の手際も見事だった。例の青野の暴走の後に練習した甲斐があったな」
「またあのときみたいに梃子摺るのはごめんですからね」
冬子がちらっと夏菜を見ると、当の本人は止めてくれといわんばかりに話を逸らそうとする。
「う〜、またその話か……そんなことより、黒の一族の掃討完了を祝って焼肉行こうよ!食べ放題の!」
「えー、行くんだったらケーキバイキングに決まってるでしょー!」
「私はイタリアンビュッフェがいいかな……」
「どうしてあなたたち食べ放題ばっかりなのよ。こういうときは皿の回ってない寿司屋とかでも大丈夫でしょう。ですよね、晴川さん?」
4人に期待の眼差しを向けられた晴川だが、口から出た言葉は冷静そのものだった。
「お前らなあ、月夜女に洗脳されたこの女が力を失って、さらにホワイトウイングのことの記憶の整理をさせるまでが俺たちの役目だ。
 それが終わるまではお祝いムードに入るな」
「はーい」
「……はい」
「わかりました」
「了解」
「では、白石は魔力を使い切っているみたいだからしばらく休んでおけ。白石以外で現場の後片付け。
 赤坂はこの女を医務室に運んだ後に合流。それでは各自、行動開始!」
黒の一族の殲滅を目的として活動してきたホワイトウイングは、その役目を終えようとしていた。
「しかし、人払いの結界を破って戦闘に乱入し月夜女を助けようとしたこの女……しばらく様子を見たほうがよさそうだな」
晴川はホワイトウイングの情報処理班に天道彩の個人情報を調べるように連絡した後、自分も戦闘現場の復旧作業に取り掛かった。





目が覚めると、見慣れた8畳の自分の部屋が目に入る。
まだ何も入ってない棚がある本棚、あんまり使いこなせている気がしないノートパソコン、勉強机の上を占拠してる分厚い本もそのまま。
でも、いつも隣で寝てる月夜女様がいない。それに月夜女様じゃない誰かが部屋にいる……。
「あ、先輩。おはようございます。丸1日寝てすっきりしましたか?」
春香ちゃんが以前のままの爽やかな笑顔で寝起きの私を迎えてくれる。
2ヶ月くらいしか離れていないのに、この笑顔を見るのは随分久しぶりに感じる。
そうだ、確か月夜女様を助けに行って、それで助けられなくて、
私はあいつらに眠らされて……春香ちゃんがここにいるってことは、夢じゃないよね。
「春香ちゃん、私……」
「いいんですよ。先輩は月夜女に洗脳されて悪いことをしただけ。月夜女が悪いだけで、先輩は悪くありません」
悪いこと?月夜女様を助けることが悪いことなの?私には春香ちゃんのほうが悪いことをしているようにしか思えない。
「そう、かな」
「それに何かの罪で逮捕しようにも、証拠がないですよ。
 普通の人があの力を信じることもないでしょうし、先輩はもうあの力は使えないはずですから。」
力が使えない?本当に?
20予定調和:2010/02/16(火) 22:22:32 ID:0j0LnMgh
「ごめん春香ちゃん、ちょっとトイレ行ってくる」
私が眠っている間に何かされたの?あいつらなら力封じの魔法とか使ってきても不思議ではない。試しに透明化をしてみる。
……さっきの戦闘中にはできなかったのに、今は問題なくできる。なんだ、大丈夫じゃない。
でも今は黙っておこう。
月夜女様が「万一私が倒されたら、正気に戻った振りをしてホワイトウイングに近づけ」と言われたことを守らないと。
「あ、いつの間にかガラスが直ってる。後始末もきちんとするなんて、正義の味方は違うわね」
「正義の味方だなんて、そ、そんなことないですよおー」
うわ、思いっきり照れてる。上辺だけのお世辞でもやっぱり嬉しいものなのだろうか。
「ところで春香ちゃんはいつからホワイトウイングに入ってるの?」
「そうですね、高校に上がるのと同時くらいだったから……2年前ですね。あたしが4人の中だと1番早かったです。1番年下ですけど」
そのとき玄関の呼び鈴が鳴り、ぞろぞろとホワイトウイングの残りのメンバーが入ってくる。
あの青野って女、またいるし……講義棟裏で襲われたのを加味しなくても、乱暴できつそうな雰囲気から生理的に苦手な人だ。
「皆さん、ごめんなさい。私が黒の一族に加担したばっかりに、こんなことになって」
「いや、君が動いて証拠を残さなければ余計に月夜女を探すのに時間がかかっただろう。その点では君に感謝している」
私がホワイトウイングに見つからないようにもっと慎重に動いていれば、月夜女様も殺されずに済んだ。
2人でホワイトウイングを倒すって約束したのに、私が足を引っ張ってどうするのよ。自分の軽率さが恨めしい。
「力も抜けきったようだし、この御神刀を手に持ってみてくれないか」
晴川は長細い袋から鞘に収められた刀を取り出し、私に渡してきた。これが月夜女様を葬った御神刀。
これさえなければ黒の一族は両翼を切り落とされることなく、魔法でダメージは与えられても殺すことまではできない、
と月夜女様から聞いたことがある。これさえなければ……しかし今この刀を奪ったところで意味がない。
もう黒の一族は全滅して、この世にいないのだから。
「どうだ、熱かったりしないか?」
「いえ、何とも無いです」
嘘だ。おそらくこの刀は黒の力を感知することもできるのだろう。
火傷するほどとまではいかなくても、刀を熱く感じたのは確かだったからだ。
晴川は刀を袋に戻すと、今度は紙切れを渡してきた。
「これは……初めて見ましたけど、小切手ですか?」
「よく知ってるな。使い方は自分で調べるなり人に訊くなりしてくれ」
「この部屋の修理代ってことですか?」
「それもあるが、口止め料も兼ねている」
部屋をざっと見る限り、壁を張り替えたり窓ガラスを新しくしたりといった大掛かりなものは既に終わっている。
つまりこの小切手に書かれた「100,000」の殆どが口止め料ということだ。
「いいか。例え親にもこのことは話すな。ネットなども論外だ。もし誰かに話したら……殺すからな」
ただの脅しでないことはこの男の今までの行動からはっきりしている。そこまでしてあなたたちの活動を世間から隠したいの?
私が素直に承諾したところを見て、あいつらはぞろぞろとこの部屋から出て行った。部屋に残ったのは私1人だけ。
「はあ……どうも信じられないわね」
いつもそこの椅子で難しそうな本を読んでいた月夜女様。
机の上に開きっぱなしになっている本のタイトルはIntroduction To Modern Economic Growth……近代経済成長とか、
どこからこんな分厚い本を持ってきてるのよ。いつの間にか、本棚の本の半分は月夜女様が持ってきた本に占領されている。
ここに来たばかりのときは本格的な学術書ばかりだったけど……語学系以外は何でも揃っているみたいだ。
心理学、物理学、経済学、地学、その他色々と文系理系和書洋書に偏りが無いばかりでなく、
どの本も今私が受けている教養レベルより一段上の専門書ばかりだった。
この内容を読んで理解するにはそれなりの前提知識が要求されるはずだけど、
もし全て理解できていたとしたら世界でも珍しいオールラウンダーの秀才と言われたかも。
伊達にいつも本ばかり読んでいるわけではなかったらしい。そのような硬い本ばかりかと思えば、
「『拷問・処刑・虐殺全書』……題名だけで怖い本ね」
そんなふうには見えなかったけど、ひょっとして月夜女様の趣味なのかな?
だとしたら、随分と物騒な趣味を持っていたみたいだ。全然気がつかなかった。
それともう1冊、気になるタイトルの本があった。
「『いちばんわかりやすいソフトボール入門』この本だけすごく浮いてる……」
21予定調和:2010/02/16(火) 22:27:33 ID:0j0LnMgh
言ってくれれば手取り足取り教えてあげたのに。まずあの長い爪を切らないとダメだけど。実は意地っ張りだったんだ、月夜女様。
第一、いなくなったら教えてあげられないじゃない。
ソフトボールは敵味方あわせて18人いないとできないのに、誰とやろうと思ってたのよ。
フォームの解説に使われているピッチャーの連続写真が、水分を吸ってふやけた。
「許さない……晴川、何回殺しても殺し足りないわ……」
春香ちゃんまで巻き込んで。社会の影でこそこそと。この10万円だってお前にとっては端金なんでしょう。

絶対に根城を押さえて、悪夢を見させてやる。
仕返しなんて温いもので終わらせない。晴川の全てをぐちゃぐちゃに汚してやる。晴川の全てをめちゃめちゃに壊してやるんだから。
信頼も、結束も、絆も、友情も、愛情も、全部。私が歪んだものに変えてやる。
月夜女様を殺したことを、心底後悔できるようにね。

彩は涙を洗面所のタオルで拭くと、春香に連絡を取り始めた。
月夜女に植えつけられた復讐心に囚われて周りが見えなくなっている彩は、
朝日が窓から差し込んで作られた自分の影にうっすらと大きな翼のようなものが映っているのに気付くことはなかった。

春香ちゃんに連絡を取ってみても、「答えられません」の1点張りで全く情報を得ることができなかった。
おそらく晴川に堅く口止めされているのだろう。私を信用している春香ちゃんならどうにかなると思っていただけに、かなりショックだ。
そうなると、私が知っている人で且つホワイトウイングと接触のある人といえばあの女しかいない。
「青野夏菜、ね……」
春香ちゃんがダメな以上、あの女に訊いても結果は見えている。それでも根気よく尾行し続ければ何か掴めるはずだ。
春香ちゃんは質問攻めで警戒されてしまったから尾行の対象としてはアウト。
長丁場を覚悟しないといけない。講義を全部休んででもあいつらの根城を突き止める。



四六時中透明化で青野とかいう女を付回した結果、大学の試験期間直前にあいつらの根城を突き止めることができた。
とあるビルのエレベーターの操作盤が鍵になっていて、特定の操作をすると本来存在しないはずの地下に行くようになっていた。
降りてから少し歩くと透明化と転移を封じる装置があり、尾行はここで中断された。
頑丈そうな扉の前には重厚な銃を構えたガードマンが2人もいて、
その2人による許可証らしきものの確認、磁気による認証、暗証番号、指紋、瞳孔、静脈のチェックとセキュリティ面には穴が無い。
最も厄介なのが透明化と転移を封じる装置で、これのせいで「扉が空いている隙に潜り込む」ということができない。
でも、警戒されていないうちに近付くことができれば……。
慣れない尾行で神経が磨り減っていた私は、いつもの私なら絶対にやらないような暴挙に出てしまう。

頑丈そうな扉の前まではすんなりと入れた。ここからが本番だ。
「すみません、晴川さんに呼ばれてきたんですけど、今、中にいますか?」
「ここ最近はずっと篭りっきりだから、いると思いますが……一応許可証を見せてもらえますか?」
「許可証は……これよ!」
「うっ……ああ……」
強い暗示をかけた魔眼で片方を戦闘不能にし、もう片方には弾幕をお見舞いする!
「な、何者だ!?」
私の弾幕を全身に食らい、瀕死の重傷を負いながらもガードマンは反撃してきた。早さを重視しすぎて威力が不十分だったらしい。
銃弾が右の太ももを掠めて走れなくなる。
「痛っ、しぶといわね!」
そこに初めて人の命を奪うことに対しての躊躇いは微塵も無かった。
ただ、やらなければ自分がやられる。当たり前の生存本能がガードマンの頭に風穴を空けた。
「こ、殺しちゃった……」
瞬きをしなくなった眼で見つめられると自分がこの人の命を終わらせたんだという実感が遅れてやってきて、
爽快感と罪悪感が混ざった複雑な気分になる。やっぱりこの力は人に当てると簡単に命が奪える凶器に違いない。
でもこれから敵の根城に侵入してこれを使ってたくさん人を殺さないといけないんだ。こんなところで動揺してなんかいられない。
22予定調和:2010/02/16(火) 22:31:34 ID:0j0LnMgh
情報を無理矢理引き出したガードマンの精気を吸い尽くしミイラみたいにしてから、私は頑丈そうな扉をどうやって突破するか考えていた。
元々はガードマンを操って扉を開けさせようとしたけど、彼は扉を開ける手段を持っていなかった。
ガードマンにも中に入らせないとは徹底している。開錠装置をハッキングして破ろうにもそんな機械も技術も無い。
「やっぱり強引に扉を壊すしかないのかな……」
装備を整えてまた後日、なんてやっていたら警備が厳しくなって余計に侵入しにくい。
軽く撃っただけでもコンクリートを貫通するくらいの威力だ、思いっきり力を込めて撃てばヒビくらいは入るかもしれない。
前に試し打ちしたときには舗装された道路が大きく陥没するくらいだったから、ひょっとしたら……。
私はこれでもかというほどゆっくり時間をかけ、掌に意識を集中させる。
フルパワーの威力が通用するかわからないけど、やってみるしかない。
「いっけえええぇぇーー!!」
掌から50センチ程離れた地点から赤黒い光が迸り、轟音が響くと共に土埃が舞い視界が遮断される。
同時に私の体は力を使った反動で後ろに吹っ飛び、硬い壁に背中を叩きつけた。
「いたた……これ、威力を上げすぎると反動が大きくて使いづらいわね」
力の消費量もはっきりしないし、威力がいくら大きくても毎回吹っ飛んで敵に無防備な姿を晒していたのでは、避けられたときにどうしようもない。
しかしその威力を目の当たりにしたとき、同時に私の理性も吹っ飛んだ。
あれだけ強固に見えた扉は床にわずかな痕跡を残すのみになり、天井は大きく抉れて大小様々な配線が剥き出しになっている。
避難訓練のときによく聞いた、けたたましいベルの音が反響されて聞こえてくる。
これだけの力があれば――

まだ20にも満たない女子大生が持つにはあまりにも強大なその力は、彼女の恐怖心を全能感で塗り潰すのに十分だった。

侵入を食い止めるためのシェルターが何重にも降ろされ行く手を阻むが、
入り口の扉を破壊できた私にとっては数秒の時間稼ぎに過ぎなかった。
「これだけ暴れて誰とも会わないっていうのは妙ね」
もし武装した警備員みたいなのがぞろぞろ出てきても、まとめて吹き飛ばせばいいけど。
シェルター以上に厄介なのが複雑な内部構造で、案内板らしきものも全く見かけないので探索はかなり非効率だった。
どの程度の広さなのかわからないと、力の配分もできない。再びシェルターが私の進路を妨害する。
「そんなもので私を止められると思ってんの?」
これまでに何枚も壊してきたように、そのシェルターも壊そうとした。
だが、壊れない。壊せなかった。
そのシェルターだけが特別頑丈なわけではなく、あれだけスムーズに出せていた「赤黒い光線」が全く出なくなったからだ。
調子に乗って無駄撃ちし過ぎたのかもしれない。
体は火照っているだけで特に疲れているわけでもない。転移と透明化はこの建物内でも無効化されているらしい。
もっと慎重に行動するべきだった。
冷静に考えれば、敵陣に乗り込むというのに足首まであるふわふわのフレアのスカートなんて穿いてくるのが馬鹿げている。
いくら私が普段丈の長いスカートしか穿かないにしても、今日くらいは動きやすい服装であるべきだった。
「あなたは既に包囲されている。大人しく投降しなさい」
メガホンの耳障りな音声が聞こえてきたので振り向いてみると、
どこから湧いてきたのか盾を構えた機動隊らしき集団が通路にぎっしりと詰まって私の退路を塞いでいた。
どうやら私が力を使い果たすのを待っていたらしい。
体が熱くて流す汗とは別の、嫌な汗が腋を湿らせる。
このまま拘束されれば、当初の目的である晴川に会うことはできるだろう。しかしそこで反撃の機会が与えられるとは思えない。
体がすごく熱い。緊張しているから?
いや、違う。
なんなのよ、この熱さ。風邪や運動で体が火照ってるとか、そんな生易しいものじゃない!
「はぁっ、はぁ……まだ……まだ、終わりじゃ……終わりじゃない……」
「取り押さえろ!」
たくさんの足音が迫ってくる。こんな人数、丸腰の私に太刀打ちできるわけがない。でも、ここで諦めるわけには……。
「私は、月夜女様のためにも、ここで、終わるわけにはいかない……!!」
23予定調和:2010/02/16(火) 22:37:10 ID:0j0LnMgh
全身の細胞が燃えてる……みた……い。
「あああああアアアアア!!」
苦しくて前屈みになっていた私の背中から、服を突き破って勢いよく何かが生えてくる。
その生えてきたものはすっぽりと私を包み込み、突撃してくる機動隊の動きを止めさせた。
「これは……翼?」
よくある天使の翼をそのまま黒くしたような翼。月夜女様の翼にそっくりだ。
それに全身に力が漲るこの感じ……今までに経験したことがない、心地よい高揚感。
「怯むな!先手を取って攻撃される前に倒せ!」
しまった、銃?!
慌てて私はそれまで力が使えなくなったことも忘れて障壁を出そうとした。障壁は出たものの反応が遅く、何発かが私の急所を襲う。
しかしその銃弾は私に着弾することはなく、私の目の前で淡い紫の壁に当たって弾かれた。
「おい、あれ……通常武器が一切効かないっていう」
「黒の一族に例外なく存在する全方位型障壁、闇界障壁……これがある相手だと俺たちには攻撃手段が無い。
 もう晴川さんは絶滅したと言っていたが、生き残りがまだいたとは」
闇界障壁……そういえば私も月夜女様に訊いてみたことがある。
これがあるからホワイトウイングは魔法の使える特殊な人材をわざわざ育てる必要があったらしい。
障壁だけでなく、きちんとあの光線が出せるかどうかも確かめておかないと。
この集団も、攻撃手段がなくなったのなら早く逃げればいいのに。命が惜しくないのかな?
「避けないと、死ぬよ?」
軽く溜めたつもりだったけど、機動隊の大半を床ごと消し去るには十分な威力だった。
光線の通った後は死体すら残らず、中途半端に半身だけ削り取られた人がのたうちまわっている。
大量虐殺という背徳感を伴う行為に、酔ってしまいそうになる。
「えーっと、まだ生きてる人は……なんだ、いるじゃない」
壁際でかろうじて光線をやり過ごした数人が銃を地面に降ろして両手を挙げている。
私から逃げ切れないことがわかっている、そこそこ頭の切れる集団のようだ。
「晴川のいるところまで行きたいのだけど、誰か案内してくれる?案内してくれたら大人しく帰してあげようかな」
1人を除いて全員拒否したから、断末魔をあげる暇も与えず片付けた。全員拒否すれば誰かを操って連れて行かせるだけだから、
余計な手間がかからなくてよかった。どんなに組織第一に育てられても、どこにでも自分の事が一番大事な弱い奴はいるものだ。

大きな部屋に出た。まず巨大なスクリーンが目に入る。スクリーンにはこの建物内のあらゆる場所が表示されていて、
どうやら監視カメラの映像らしい。見たこともないコンピュータがずらっと並べられていて、この部屋が司令室なのは一目瞭然だった。
しかし、肝心の晴川の姿が見えない。入り口から見えない死角に隠れているのだろう、と思い不用意に一歩踏み込んだのが不味かった。
ここは敵の本拠地なのだから、どんな罠があってもおかしくないのだ。
私の視界に晴川が入ったときには、彼の持つ御神刀が翼を切り落とす寸前。
「何……御神刀が通用しない?!」
機動隊の銃弾を弾いたのと同じ、淡い紫の障壁が晴川の刀を防いでいた。もしかしてこの障壁って御神刀も防げるの?それって……。
「お前、ぼうっとするな!早く逃げろ!」
「はい!」
私が虚を突かれている間に、案内を頼んだ人に逃げられた。逃がすということは、彼がいても足手まといにしかならないと考えたのだろう。
「で、これからどうするかだ」
晴川は私から軽い身のこなしで間合いを取り、警戒を緩めないままで私に話しかけてきた。
「そこのスクリーンで全部観させてもらったが……お前はあの月夜女を匿っていた天道彩で間違いないな?」
「そうね。そして月夜女様を殺したのもあなたで間違いないわね?」
「ああ。しかし、あのときのお前は確かに黒の一族ではなかった。黒の一族なら御神刀が持てないからな」
「へえ、やっぱりあれはそういう意味があったのね」
軽く翼をはためかせただけで、ふわりと体が浮き上がる。
もちろん魔法の補助があるからこの浮力が得られているのだろうけど、最初から立ち位置で人を見下せるのは気分がいい。
「ここに乗り込んできたということは、俺を殺しに来たのか?」
「殺してしまったらそれで終わりじゃない。私がしたいのは『復讐』よ。あなたにはこれからたっぷりと苦痛を味わってもらわないと」
「つまり俺を生け捕りにするってことか?ついさっきまでただの人間で、力の使い方も戦い方もわからない小娘が……自惚れるな!」
24予定調和:2010/02/16(火) 22:41:21 ID:0j0LnMgh
「自惚れてんのはどっちよ!?黒の一族が気に入らないからってこの世から消そうとするなんて、そんなことが許されると思ってんの!?
 絶対に許せない……あなたを……お前を、許さない!!」
怒りに任せて光線を乱射してみても、晴川は軽々とかわしてしまう。それに、当たり所が悪くて殺してしまっては大変だ。
貫通力を抑え、力の差を見せ付けるだけでいい。戦うのが怖かった数ヶ月前の私とは別人みたいに落ち着いている。
晴川の攻撃を全く受け付けない安心感もあるけど、晴川の戦闘経験ではどうにもならないほどの力の差が肌で感じられた。
「どうした?俺を生け捕りにするんじゃなかったのか」
「そうやって挑発してもダメよ」
「それに……時間をかけると増援がくるぞ?」
晴川は既にかなり息が上がってきていた。避けきれずに何発か食らってしまった影響もあるのか、最初のときより明らかに動きが鈍くなっている。
「大丈夫よ。もう終わりだから」
ばら撒いた弾の1つが刀に当たり、澄んだ音を立てて晴川の手から離れる。
刀はくるくると回転して離れた位置にある机のキーボードに切っ先が刺さった。
「くそ、ここまでか……」
「随分と粘ったけど、お前の体力より私の力のほうが上だったみたいね。じゃあ、私の言うことを聞いてもらいましょうか」
「何だ、俺を操り人形にしようってのか」
御神刀が手から離れて追い詰められているはずなのに、こいつの顔に疲れは見えても焦りは全く見えなかった。
痛めつけ甲斐のある、いい精神をお持ちみたいね。
「それだと面白くないわ。復讐は相手の幸福を刈り取り苦しみ悶える顔を見て初めて成功したといえるのに、
 それをしないなんて本当にもったいない。私の命令はこれよ」
晴川の顎を手で持ち、無理矢理私と視線を合わせる。これがここに苦労して潜入した1番の目的だ。

「生きなさい。精根尽き果て、周りに誰もいなくなっても、自らの人生から逃げるな。醜いまでに生にしがみつきなさい」

捕まえた。
お前を殺していいのはこの私だけ。死んであの世に逃げるなんて許さない。
他の誰にも殺させはしない。死にたくなっても死なせない。死にたいとすら思わせない。
これも、月夜女様と同じ追われる側の気分を存分に味わってもらうため。
これから本拠地を潰されて私に怯えながら彷徨ってもらうのに、簡単に心が折れてもらわれたら困るから。
今の私の力をもってすれば、ガチガチに行動を縛って飼い殺すのは後からいくらでもできる。
まずは私の見えない檻の中でじわじわ追い詰められる恐怖を味わうがいいわ。
「今の、暗示ってヤツか」
「そうね。わざわざかけなくてもよかったかもしれないけど、私が殺す前に死なれたら困るし」
「当たり前だ!お前のような黒の一族を全滅させるまでは、俺は死ねない!」
私に負けて何をされても文句が言えない立場のくせに、威勢だけはいい男だ。
「いつまでそんなことを言っていられるかしら?正義が必ず勝つのなら、世の中こんなに腐敗していないわ」
私はキーボードに刺さったままの御神刀を近くでじっくりと眺めた。あの時は柄と鍔しか見えてなかったからよくわからなかったけど、
刃を見ると今まで斬られた黒の一族の怨恨が溜まっているのかかなりくすんでいて、お世辞にも綺麗な刃とは言えない。
「ふーん、これが御神刀……薄汚い刀ね」
何気なく刀を掴もうとすると、バチッと火花が散って体に鋭い痛みが走る。
刀に黒の一族が触れないようにまじないが仕掛けてあるみたいだ。
「言っただろう、黒の一族は触れられないと」
「前に触ったときにはちょっと熱いだけだったんだけどねえ」
「お前、やはりあのときは嘘を……」
その御神刀ごと吹き飛ばす、強烈な閃光が私を襲った。眩しくてよく見えないけど……この火力の光線を撃つのは青野しかいない。
「よっしゃー!クリーンヒット!」
「晴川さーん、助けに来ましたよー!」
もう自分が何人も人を殺しただからだろうか。戦いに対する恐怖が全くない。不思議とこいつらに負ける気がしない。
これでクリーンヒット?笑わせないで。
「あれ?確かにクリーンヒットしたはずなのに……無傷?」
「赤坂!青野!お前らの攻撃はこいつに通用しない!黒松が到着するまで時間を稼げ!」
そうやって普通に春香ちゃんを仲間だと思ってるのがムカつくのよ。
無理矢理洗脳して戦いに巻き込んでるくせに。春香ちゃんは正義の味方気取りの男の片棒を担ぐような人じゃない!
25予定調和:2010/02/16(火) 22:45:00 ID:0j0LnMgh
「春香ちゃん、騙されてはダメ!あの男のやろうとしていることは、ただの弱いもの虐めよ!
 少数民族を数の暴力で虐げているだけなの、春香ちゃんならわかるでしょ!?」
「え……どうして黒の一族があたしの名前を知ってるの?」
私に名前を呼ばれた春香ちゃんは信じられないといった様子で目を見開いていた。
私には春香ちゃんがそのような反応を示すのが信じられない。
「私よ、先輩の天道彩よ!もしかして、わからないの?!」
「軽々しく先輩の名前を騙らないで!先輩は決して黒の一族なんかじゃありません!普通の人間です!」
「そんな……この前、アパートの駐車場で戦ったときに会ったばかりじゃない!」
「その程度の辻褄合わせが通じると思いましたか?どうせ遠くから見ていただけでしょ?」
ダメだ、おそらくホワイトウイングに関係のない話でないと信用してもらえない。
「小学生のときにたくさん遊んだでしょ!?一緒に廃ビルに肝試しに行ったじゃない、忘れたの?
 高校のときは学校の勉強いっぱい教えてあげたでしょ!」
「……さてはあなた、先輩の記憶を覗きましたね?先輩と肝試しに行ったのは覚えていますけど、あなたと行った記憶はありません!
 勉強を教えてもらったのもあなたではありません!!」
「だから私がその先輩だって言ってるじゃない!信じてよ!どうして信じてくれないの!?」
「春ちゃん、みえみえだからわかると思うけど、あいつは私たちの心を乱して戦意を下げようとしてるんだ。
 まともに相手をしないほうがいい」
どうして私の言うことは聞いてくれないのに、あの青野とかいう女の言うことには素直に従うの?もう……手遅れなの?
仲良く勉強を教えていたあの頃の関係には戻れないの?
「晴川さん、うわっ、大変!すぐに治癒かけますね」
「ああ、すまない白石……」
続々とあいつらの仲間が増えてくるけど、いくら数が増えようと関係ない。
誰が来ようと完膚なきまでに叩き潰して、自分たちの今の立場をわからせるだけだ。

固まって防御しようとしていた4人をまとめて吹き飛ばし、その反動で壁に叩きつけられた体勢をゆっくりと立て直す。
私とこいつらの単純な火力の差は歴然としていた。
「反動の重力制御もできてない初心者のくせに、この威力はないわ……」
よろよろと最初に立ち上がったのは、直前まで私の光線を相殺していた青野だ。1番華奢で体力もなさそうなのに、根性だけは一人前らしい。
「あら、わたしが最後?ごめんなさいね、わたしが遅くなったせいで苦戦を強いることになって」
ホワイトウイングの5人目……最後の1人か。
「わたしが引きつけておくから、白石さんはみんなに治癒を!」
「すみません、お願いします」
肩まである栗色の髪を左右2つの黒いリボンで半端に纏めていて、
はっきりした顔立ちでさらに真っ赤なTシャツなので遠くからでも非常に目立つ。
黒で揃えたスカートとサイハイソックスは青野と同じだが、青野の地味なグレーの服と比べると派手さだけは雲泥の差だ。
「気をつけろ黒松、ヤツは戦い慣れてはないが今までの黒の一族とは桁が違う!」
戦闘経験の絶対的な差はどうしようもない。しかし、それをものともしない能力差が今の私にはあった。
あいつらのどんな攻撃でも私の闇界障壁は破れてないから、私の攻撃を避け続けることしかできない。
「わたしたちが2年間でどれほどの黒の一族を討伐して経験を積んできたか、見せてあげるわ!」
その赤い服の女の言葉に反して、戦況には大して影響がなかった。
2年間の経験がどうした。そんなもので覆しようのないほどの力の差の前には無意味なのよ。
「せぇい!……?!なにこれ、かった……」
「これならどうよ!ゼロ・スターライトカノン!!」
背後から至近距離で攻撃しようと、直接殴打でこようと結果は変わらない。
「えーと、私たちの術が全然通用してない?なんで?」
「なんだあの闇界障壁は……青野、黒松、一旦下がれ。アレを使うぞ」
アレ?アレって何のこと?まだあいつらに手札があったなんて……。
アレが何を指すのか思案しているうちに、晴川の手から黒っぽいものが投げられる。
黒っぽいものが何なのか私が把握する前に、目が眩むような閃光と耳が壊れるような大音響が意識を丸ごと刈り取った。

うあ……頭がガンガンする……。閃光弾とかどう対応しろっていうのよ。とにかく、体勢を立て直さないと……でもまだ目がよく見えない。
これだけ無防備な格好でいればいくら闇界障壁が守ってくれていても限界な気がするが、今のところ体に痛みは感じない。
26予定調和:2010/02/16(火) 22:47:48 ID:0j0LnMgh
「むむ、やはりこの闇界障壁も自分の意思で解除しない限り常時発動するタイプか……」
「晴川さん、あんまり無理すると刃がこぼれちゃいますよ」
「冬子のほうも全然ダメだね、ヒビすら入ってないじゃん」
「わたしの手のほうが痛いんだけど……足でやろうかな?」
次第に目もはっきり見えてくる。
晴川の突き刺した刀が、闇界障壁に1筋の亀裂を作るのを他人事のようにぼうっと眺めてしまっていた。
「何してんのよ!」
「あと一息だったのに!」
私が一喝して5人が散らばると、亀裂はみるみるうちに修復されて周りと見分けがつかなくなった。
「防御力もだが、再生速度もハンパじゃないな、ありゃ」
「ど、どうしましょう……そろそろ私の魔力も尽きそうなんですけど」
「仕方ない、退却だ!別の対策を練るぞ!」
「ちょっと、ここを捨てる気!?どこに逃げるのよ?」
「俺に当てがある。逸れないように皆ついて来い」
閃光弾にさえ気を付ければ、あいつらは私に何もできない。無理に追いかけなくてもよさそうね。もう目的は全部果たしたし。
春香ちゃんはこれからじっくり洗脳を解いていけばいい。
春香ちゃんだけじゃなくて、全員するつもりだけど。晴川に孤独もたっぷり堪能してもらわないと。
「もう1回これを食らいな!」
また閃光弾!今度はまともに食らわないように目をつぶって耳を両手で塞ぐ。これだけ防御すれば閃光弾も大丈夫なはず……。
しかし、全く破裂した気配が無い。
「しまった、今度は煙幕!」
気付いたときにはもう遅い。煙幕をよくわからずに恐がっていた間抜けな私だけが残っていた。



あいつらがいなくなってから人気の無くなったホワイトウイングの本拠地内で、私は大きな鏡のある所を探していた。
「まあ、トイレでいいか」
自分に生えた翼がどうなっているのか気になる。私の意志で動かせるということは、
神経も筋肉もきちんとしているということだし、構造は触っただけだとわかりにくい。
鏡に映った自分の姿を見て、目を疑った。
「え、これって……月夜女様?」
よく見るといつもの私であることは間違いない。髪も月夜女様に比べたら短い。
それでも、自分を月夜女様と見間違えるのに十分な条件は揃っていた。
ブラウスを破って生えてきた大きくて烏のような黒い翼。
前は髪に隠れていたのに、髪を押しのけて見えているピンと尖った耳。
一昨日短く切ったばかりなのに、今見ると長く鋭く伸びている爪。
そして、鏡を見て初めて気付いた、透き通った真紅の瞳、猫のように垂直に切れた瞳孔。
少し睨んでみるだけで、自分でも怖いくらいの顔が鏡に映っていた。本気で凄んでみると、自分の顔なのに背筋が凍る。
「フフフ……そういうことね……」
私が天道彩だって信じてもらえないわけだ。春香ちゃんがわからないのも無理はない。纏う雰囲気が違いすぎるもの。
ただの人間だった頃の私は、自分で言うのもなんだがどこから見ても真面目な優等生という空気しか纏っていなかった。
それが今はどうだ。極悪非道の限りを尽くす悪魔か、世界征服を目指す魔王といったところかしら?

いいか、それでも。
月夜女様が遂げられなかったことを、私がやってあげる。

私はポケットから携帯電話を取り出し、妹の蘭に電話をかけた。
「もしもし、お姉ちゃん?いっつもメールなのに電話するなんて珍しいね、何かあったの?」
「いや、そっちに帰る前に蘭の声が聞きたくなってさ」
27予定調和:2010/02/16(火) 22:50:49 ID:0j0LnMgh
「あはは、お姉ちゃん、テスト前にホームシック?そりゃー、初めての1人暮らしで不安なのはわかるけどさ、
 お姉ちゃんなら彼氏とかもういるんでしょ?」
蘭は彼氏という存在を過大評価しすぎている気がする。男なんて上辺だけの優しさを少し見せるだけで、
後は何もしなくても向こうから勝手についてきてくれる金づるでしかない。
むしろ最初から何もしなくても色々と擦り寄ってくるから、私にとっては邪魔なだけだ。
「いや、まあ、そうかもね……ところで、テスト期間が済んだらすぐにそっちに帰るってお父さんに言っておいて」
「はーい。私も楽しみに待ってるから、テスト頑張ってね」
「うん、それじゃ」
テスト?頑張るわけないでしょ。単位なんてもう要らないのにさ。
もうあいつらに怯えながら暮らすこともない。今度は逆に私があいつらを怯えさせる番。
蘭は今の私の姿を見たらどんな反応をしてくれるのかしら。





この続きは次回までじっくりお待ちください。
28名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 23:28:11 ID:lbqQcsLm
すげえな
29名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 23:46:53 ID:iB0TYt08
もうここまで書いてくれると、HPかなんか作った方がいいかも。
スレだと昔のが見れなくなるし
30名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 23:48:35 ID:U0VeKa2J
>>27 おつかれ
エロなんてあった? 悪堕ちだけが好きな人にはいい作品だけど
ちょっと物足りないと思った

小説らしい小説だけど、何か求めてるものちょっと違うんだよな
まあ次に期待します まあ悪魔でもこれは俺の感想だから
GJではなくnice
31名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 00:28:10 ID:27KC02sF
ほほう。いいねえGJ
今度は戦隊物とかも書いてほすぃ。プリキュアとか
32名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 01:46:57 ID:Ig9Ch/df
スレチかと思った。タイトルをNGに入れた。スマン。お疲れ
33名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 03:45:43 ID:NeP2yDGc
キティガーランド見たけど まさにおれが好きな悪堕ちだったな
アスクールではなくクフィーユという優等生で
あのツンデレがあそこまで人格変化してくると妄想のしがいがある
それでEDのクフィーユの曲がきて
またそれが前のクフィーユを思い出させてくれるからなお良い
34名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 04:11:02 ID:NeP2yDGc
あと怪談レストランのアコの表情がよかった
http://image26.bannch.com/bbs/508656/img/0201679741.JPG
死ぬ直前の人に惹かれそうになる話
その人を気に入って通いつめるとこうなった
35INHUMAN:2010/02/17(水) 11:22:38 ID:N4adS/tA
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッド立てて恥ずかしくないの!?
そのうち削除依頼を出して、
消してもらうつもりだから、
覚悟してなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!
36名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 13:14:40 ID:Rm6d6XdR
おいおいw こんな場所まで乗り込んできておいて
そのうち……何て“次”が、あると思ってんのか?
まったく才女とかいう方々は、世間を知らな過ぎだな。
つりとかジョークじゃ無い領域に踏み込んだ代償は高くつくぜ?
ねこ大好き
37名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 13:24:47 ID:ITgA4U6c
ダンパイアバンド、ヘビーローテーション中だぜ。
会長ェ…。
38名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 14:05:59 ID:abYZ+CWA
仮面ライダーのヒロイン(+他2人)が洗脳されてしまうシーン。
tp://www.youtube.com/watch?v=2-hWwUG24cc
39名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 17:34:56 ID:tqKsCHqc
40名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 17:37:48 ID:/aR6d0jQ
半角二次元板じみてきたな…
41名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 17:50:07 ID:Pwu4bFKs
yahooコミックのおとまほが悪堕ちしそうな展開だな
42名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 18:36:41 ID:NeP2yDGc
>>38 笑えるものはやめてくれw
洗脳でも何でもないぞ

>>39
有名すぎ… もっと新しいの頼む
43名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 18:46:13 ID:hhi/ng0T
>>41
同じこと思って、小説のほうで先の展開を確認してみたが
心理的な枷か何かで変身不能みたいな状態になるだけだった。
いや、漫画で多少展開が違うって可能性も無くは無いけどさ。
44名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 19:55:16 ID:abYZ+CWA
>>42
あれは洗脳じゃないの??
仮面ライダーV3の方のテレビバエは催眠テレビで人間(立花藤兵衛)を
デストロンの奴隷にしてたから、コイツもそうなんだと思ったんだけど・・・
45名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 21:39:26 ID:+0YCHRat
ニコニコになるんだが
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm9285517

これが俺のツボに入った これで3回/日は抜ける
46名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 23:51:03 ID:OWlt1Qdh
ガンダムイグルーは正直嫌いなんだか2話の鹵獲ザク部隊を捕掴洗脳調教されたザク少女部隊に変換したらイケる気がしてきた
47名無しさん@ピンキー:2010/02/18(木) 00:29:50 ID:y5QnVSMg
>>45 sageましょう
ニードレスは始めて見た
ブラックアトラクションいいなw
黒の引力ってところもいい
48名無しさん@ピンキー:2010/02/18(木) 22:02:55 ID:hs2bbx2R
>>38
何故ハイパーバトルビデオw
ヒロインは本編でも操られたじゃねーか
49名無しさん@ピンキー:2010/02/18(木) 22:11:05 ID:p0fCrCqb
本編って何話?
50名無しさん@ピンキー:2010/02/18(木) 22:54:06 ID:sVsINEuV
51名無しさん@ピンキー:2010/02/18(木) 23:09:50 ID:Z4xfAWt8
Spirder riders
ttp://www.youtube.com/watch?v=6TnSBxM5PF0&feature=related
長いけどリンク動画34話part2に日本語版もある。

女キャラがアイマスクみたいなものを被せられて敵サイドに。
後の方のストーリーでアイマスク被せた本人が
アイマスクはずして味方サイドに復活するシーンもあったな。
52名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 00:12:56 ID:vEw4IsE4
アイマスみたいなものってなんだろうと思った俺アドン
53名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 01:47:13 ID:FwLLG8sq
なんかナディア洗脳を思い出した
54名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 03:37:02 ID:OckTCK4l
昔見た事あるんだけど
おっさんがホテルに乗り込んで
そのおっさんの目を見たメイド(従業員の女性?)たちが踊りだす
っていう洋楽のPVがあったんだけど
誰か知らない?
55名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 05:59:43 ID:qdJC8h8k
キディガーランドはなんなんだ・・・
「おお、きたきた・・!」と思ったら肩透かしっていう展開が最近繰り返されてるぞ
こう思ってるのは俺だけなのか?ツボに来てるやつとかいる?
56名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 11:43:02 ID:LBkuY/EI
焦らされている間に離れなれなくなるパターン?
あなたも既に中毒者
57名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 12:04:58 ID:qIk8TlS8
悪堕ちをクリーンヒットしてくれるアニメなぞもはや出ないだろう
世間では知名度ゼロのジャンルだから、制作者が意図的にそれを作る要素がまったくない
58名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 13:13:41 ID:FwLLG8sq
キディはもっと対決をすればいいのに。
いっそデビチルみたくそのままでいいよ
59名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 16:19:25 ID:nfnHcnTH
一時的に仲間が洗脳されてピンチ、ならともかく
恒久的に洗脳されて・・・、ってのはバッドエンド前提みたいなところがあるからな。
60名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 16:45:44 ID:6AZgBEFb
昔はホントよかった
妖怪や魔法がでるのは必ずといっていいほど悪堕ちがバンバンでてて連鎖もあったし
今は最終回とかの盛り上げ程度ぐらいしか使われてないからな
キディまだ最新の見てないけどもう洗脳終わったのか・・・
61名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 16:48:01 ID:h6P0Ql8u
>>59
メインのヒロインではバッドになるからやらんでいいけど
ゲストやサブキャラでやってくれればいいんだがなぁ
62名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 19:06:27 ID:Mx6bAizI
>>54
おっさんが吸血鬼っぽかったりメイドがシスターだったり踊らせてる間に地下に逃げたり
最終的に吸血鬼っぽくなったシスターに殺されるやつなら俺も見た覚えがある

曲名とかは忘れた
63名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 20:04:13 ID:OckTCK4l
>>62
俺のと違うなぁ
オチはホモっぽいおっさんの目を見て躍らせてしまうみたいな
面白いPVだった

当時は保存の仕方とか知らなかったから後悔してる
64名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 20:59:55 ID:iESRX4xS
看護婦レイプ物で最後に看護婦らに取り囲まれて糾弾されてた医者がおもむろにウクレレを取り出すと
「看護婦〜はつ〜らい〜よ♪」と歌い出したら最初白い目で見てた女たちも歌って踊りだしてエンドというAVなら見たことが有る
65名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 22:26:06 ID:dpiJZZe8
>>61
ロードスのスパーク編みたいな堕ち方だと丸くおさまるよなぁ。
あとはメインヒロインが堕ちたまんまで、復帰とか。アマゾアムル的な。
後者ならいろいろな意味で美味しい
66名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 00:06:55 ID:0JrVR2d3
おまいらの見た中で最高の悪堕ちシーンって何よ?
俺はブラックレディ
67名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 00:37:24 ID:ubVILj+M
シュシュトリアン
68名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 01:10:02 ID:55ixNvkr
サソリルゲかツインドールズ
69名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 04:50:28 ID:XhYU+SgX
まったくの個人的最高峰なら妖魔EDアセルス
70名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 11:15:00 ID:+S7bc8TZ
ラストスタンド
ラングリッサーW
時空戦士スピルバン
71名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 11:44:01 ID:OPOYNeJV
魔神英雄伝ワタル外伝
ラングリッサー
ヴィルガスト
72名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 13:26:15 ID:cxAKfd6v
ヴィルガストはヒロインの影だから若干趣旨と違う気がする
ヒロインは意識がなく植物状態だったんだよな確か
73名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 13:28:40 ID:8SdHNXVU
ヒロインの影?
本人召喚されて洗脳だろ
なにか別の作品と間違えてね?
74名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 13:30:28 ID:fOIE3NOj
さては超者ライディーンと間違えたな!(絶対違う)
75名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 13:31:18 ID:s9UaWtmZ
>ヒロインの影
>ヒロインは意識がなく植物状態

これで該当するのって何だ?ペルソナ?
76名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 13:32:36 ID:8SdHNXVU
>>74
俺も真っ先にそれが思い浮かんだw
77名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:05:51 ID:cxAKfd6v
>>73
ちゃんと小説読みました?美智子本体は意識なかったんですよ
あれは美智子から作られた影です
78名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:09:15 ID:OPOYNeJV
スレが荒れてしまったみたいで申し訳ありません
本当にごめんなさい
79名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:11:29 ID:s9UaWtmZ
漫画は洗脳だからおk
80名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:12:09 ID:8SdHNXVU
>>77
あーなるほど小説しか読んでない人かw
じゃあ当時のガシャポンストーリーとか漫画版とか知らないわけだ
81名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:15:46 ID:cxAKfd6v
>>80
まあ当時は高校生だったからね
ゲーム版は小説準拠だったから邪神なんたら(美智子ね)を倒すと意識のない美智子が出てくるんですよ(洗脳が解けたとかじゃなくて本当に封印されて植物状態だったらしい)
要するに三智子は美智子から作られた影って設定だね
82名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:17:57 ID:ST0diDVD
ラングリッサー2と4の洗脳は良かったなぁ
一部ボイス付きなのも高得点
ルナは去年末にまた移植されたけど特に変化無しかな?あれも良かった
脳内補完込みならロイヤルブラッド2がベストだが
83名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:22:31 ID:OPOYNeJV
ワタルがあんまり話題に出ないのはなんでだろか
薬は出るわレズキスはあるわで結構凄かったと思うんだけどなあ
84名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:25:00 ID:s9UaWtmZ
マーダレスくらいしか思い出せない
85名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:26:17 ID:8SdHNXVU
>>81
その二つは後年作られた亜伝的な位置づけじゃん
ガシャポン正史だと美智子本人が洗脳、結末も一度舜に殺されて蘇る話だよ
86名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:29:31 ID:cxAKfd6v
>>85
それはすまなかった
ボンボン買う歳じゃなかったから読んでないんですよ、今度探してみます。
87名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 14:43:55 ID:8SdHNXVU
>>86
いやこっちも小説版とか全く頭になかったから間違いと決めつけてすまない
(・・・・・でもゲーム発売時点で高校生てことは同い年ぐらいなんだろうなぁ・・・)
88名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 15:04:00 ID:fOIE3NOj
なるほど、そういう勘違いだったのか。>小説&ゲーム
しかし、ヴィルガストの小説って、ブームも過ぎ去って、原作の商品展開も終わった辺りに、思い出したように出たよね
なんでだったんだろう

あの辺りが、あかほりが真面目に書いた、最後のノベライズかなw
89名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 15:06:30 ID:fOIE3NOj
>>83
考えてみると、ワタルはラスボス以外のほとんどの敵キャラが、洗脳された善良な人なんだよな
ちなみに、スケ・バーンは男なんだぜ!
90名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 15:07:39 ID:iHrIHpab
何年前だかわからないが、丸勝PCエンジンに乗ってたぽっぷるメイルの漫画で
メイルが魔剣に操られる奴があってあれが記憶に残ってる。
91名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 15:54:47 ID:sLf7wGo/
誰かこの絵の詳細知ってる人いない?
http://bbs.tsadult.net/futaba/src/1224689390448.jpg

洗脳っぽくてツボなんだが
92名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 15:55:13 ID:sLf7wGo/
すまん、sage忘れてた
93名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 16:22:35 ID:4J4hRPr7
>>91
魔を受胎セシ処女の苦悦
異形化を含むので好みは分かれるが個人的に大好き
94名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 16:36:02 ID:sLf7wGo/
>>93
感謝ですー
95INHUMAN:2010/02/20(土) 17:13:49 ID:Wan8Bflt
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
そのうち削除依頼を出して、
消してもらうつもりだから、
覚悟してなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!
96名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 20:15:25 ID:dpEzyqPr
ここまでブレイブストーリー無し
97予定調和:2010/02/20(土) 22:09:43 ID:Ma3l+j9N
火曜日に投下したSSに目を通してくださった方々、ありがとうございます。
エロシーンに該当する部分は投下のペースから考えて1ヵ月後くらいの投下になりそうです。
さくっと堕としてさくっとエロのSSのほうが需要がありそうですが、前回での主人公の発言通り
ねちねちと正義サイドを虐めて弱らせながら堕としていくのがこのSSの中心となります。合わないと思った方はNGで。

前回の粗筋
悪サイド、反撃開始。

それでは続きをどうぞ。
98予定調和:2010/02/20(土) 22:14:48 ID:Ma3l+j9N
私の地元は街灯もあまりないため夜になるとかなり暗くなる。駅前ですら寂れていて全く賑わっていないので、
黒の一族が住み着くには最適だったのだと今更になって気がついた。都会だと人目が多くて狩りもしにくい。
でも、それは月夜女様のように力が弱くて、自分たちが狩られる側でもあったときの話だ。一方的に狩る側に回ってしまえば、
そんなことは考えなくてもよくなる。それだけの力があれば、あいつらのことなんて気にする必要はないのだ。
真面目に試験を受けるのも馬鹿馬鹿しいので、テスト期間中はこの力についての理解を深めていた。
今までは空間転移、透明化、治癒くらいしか使ったことがなかったから、他にどんなことができるのか把握していなかった。
頭の中に知識としては入っていても、実際に使ったことのない部分のほうが多かったのだ。
どうしてこんなに便利なものを最初から使おうと思わなかったのだろう。
最初から遠慮なく使っていればわざわざ勉強なんかして大学に入る必要もなかったし、月夜女様も死ななくて済んだのに。
誰か仲間が欲しいと思った。もし世界が私に跪いても、1人だと手に余る。
いや、関係が対等な仲間じゃない。私の言うことを何でも聞いてくれる、下僕が欲しい。魔眼で洗脳したような操り人形じゃなくて、
黒の一族の手下。どうせ手下にするなら親しい間柄がいい。となると、まずは霊ちゃんかしら。
「ただいまおかけになった電話番号は、電源が入っていないか、電波の届かない……」
仕方がない、霊ちゃんは後回しでいいや。メールじゃなくて、久しぶりに声が聞きたいし。えーっと、次は……次は……次……
アドレス帳にはたくさん友達のアドレスが登録されているのに、改めて連絡を取ろうと思える友達がいなかった。
小学校卒業と同時にここに引っ越して、新しい中学校では周りは幼稚園からずっと同じメンバーで排他的だったから馴染めなかった。
勉強やスポーツで頑張ればどうにかなると思ったがそれは逆効果で、嫉妬からか露骨に冷たい態度をとられることもあった。
私は普通に皆に認められようと思っていただけなのに。
高校だと霊ちゃんと春香ちゃんにべったりで他の人とあまり仲良くしなかった。
そのときは不自由しなくても、せめて同じソフトボール部の人とはもっと仲良くなっておくべきだったのかもしれない。
春香ちゃんは多分会ってはくれないだろう、状況が状況だし。
「ねえお姉ちゃん、聞いて聞いて!うちの部が全国に行くことになったんだよ!」
「へえ、すごいじゃない。うちの部ってそんなに強かったっけ?」
「実は今年から三鷹っていう先生が赴任してきてね、その先生めちゃくちゃバスケが上手いの!教えるのも上手だし、
 何より『生徒に勝たせてあげたい』って思いがこっちまで伝わってくるっていうか……それに振る舞いがびしっとしててカッコいいし!」
要するに、きちんとバスケの経験があって指導力のある先生が顧問についた結果というわけね。
「それとね、これはもう聞いたかもしれないけど、今年のソフト部は2回戦敗退だったらしいよ。エースの人が怪我しちゃったとか」
「ふーん」
「それとさ、通学路にあるあの本屋が潰れて困ってんだよねえ……ひょっとしてお姉ちゃん、今日帰ったばっかりで疲れてる?」
空間転移で一気に帰ったのだから、疲れているはずがない。
「蘭、大事な話があるんだけど」
「え?ど、どうしたの、急に改まって」
「私ね、魔法が使えるようになったの」
「……えっと、冗談だよね?」
「冗談かどうかは自分の目で確かめてみて」
物質創造――テスト期間中に練習を重ねて、なんとか服くらいなら自在に作れるようになった。
力を手に入れたときには既に存在は認識していたが使い方が難しい上、
対価を払わずモノを手に入れるという行為に後ろめたさがあったから使わなかったのだ。
私はその力を使い、蘭の着ている服を変えてみた。純白のワンピース。
装飾のごてごてしたドレスはたまに失敗することがあるが、この程度ならもう楽勝だ。
「おおおー、本当だ。これさえできれば服買わなくても済むし、すごいよお姉ちゃん!」
「じゃあ今度は別の魔法を試すから、もっと近付いてくれる?」
ある程度蘭が近付くのを待ってから、私は椅子から急に立ち上がって蘭に抱きついた。
さあ、蘭……今から私が生まれ変わらせてあげる。
<ちょっとお姉ちゃん?……痛っ?!今度は……何の、魔法なの?声が、出せない……>
<それはね……蘭を黒の一族にする魔法だよ!! >
蘭の首に噛み付いて口が塞がっているので、頭に直接話しかける。
<黒の、一族?何、それ……嫌、私、そんなのになりたくない!離して!>
99予定調和:2010/02/20(土) 22:18:49 ID:Ma3l+j9N
ここからが肝心だ。月夜女様が私に力を与えてくださったときは、心はそのままで力だけ強引に押し付けた形になり、
覚醒に随分と時間がかかった。本来ならば、心を砕き、溶かしてドロドロにして、力を受け入れやすい形に再構成しないといけない。
一旦魔眼で先に私への隷属意識を縫い付けてからなら心の再構成は確実に成功するがそれは二度手間だし、
こうやって力を流し込むと同時に心を変容させていったほうがより早く力が体に馴染む、と月夜女様が叩き込んでくれた知識にある。
<大丈夫だから、そんなに怖がらないで。ねえ、蘭。この力を使うとね、世界征服も夢じゃないのよ>
<世界、征服?はは……お姉ちゃん、漫画じゃないんだからさあ……冗談はよしてよ>
蘭と会話を交わしながら、力を全身にじっくり浸透させていく。焦る必要はない。ゆっくり時間をかければ失敗しないはず。
<だって通常兵器は効かない、対策部隊も歯が立たないなんて、無敵以外の何者でもないでしょう?
 せっかく邪魔者が誰もいないんだったら、好きに暴れてみたいと思わない?>
もしかしたら世界には私に対抗できる勢力があるかもしれないが、少なくとも日本の中には私を阻むことができるものはいない。
ただ、世界征服は最優先の目的ではない。いかに晴川を苦しめるかが第一で、世界征服はその目的のための包囲網みたいなものだ。
<お姉ちゃんが他にどんな魔法を使えるのか知らないけど、そんなことしたら困る人がいっぱい出てくるよ。
 いくら自分が1番強いからって、していいことといけないことがあると思う>
<そんな弱者なんて私に何もかも搾取されるか、玩具にされてればいいんじゃない?どうして私がそんなことまで気を配らないといけないの?>
どうせぴいぴい文句を言うことしかできないのだ。そんなのは気にする必要がないし、目障りなら煮るなり焼くなりどうとでもできる。
私に歯向かったところで何もできやしない。
<酷いよ、それ。お姉ちゃん、どうしちゃったの?昔はそんな自分勝手じゃなかったじゃない……>
<昔は力がなかったから、自分勝手に出来なかっただけよ。
 それにね、蘭。その困る人に蘭が含まれるのなら、私は蘭にも同じことをしないといけないわ>
<え?>
<私に歯向かっているのだから、当然でしょう。でも自分の妹にそれは気が引けるから、
 一緒に世界を支配する側に来ないかって言ってるの。悪い提案じゃないでしょう?>
<う……うーん……>
蘭は何を迷っているのかしら?いつもべったりだった私とずっと一緒にいられる。強大な力も手に入る。
悪いことは何もない、いいことずくめじゃない。
<蘭は私のことが大好き。それは間違いないわね?>
<う……ん……>
<私も蘭のことが大好きよ。もちろん恋愛感情とか変な意味じゃなくて、妹としてね>
私のこれまでの行動から蘭への愛情は十分に伝わっていると思うが、
こうしてはっきり口に出すと自分の妹に愛の告白をしているようで恥ずかしい。
<お姉……ちゃん……>
蘭の意識が朦朧としてきたのがわかる。蘭の心が無防備になり、奥の柔らかいところが露になる。
<ぼうっとしてきた?気持ちよくなってきたでしょう。そのまま、ぼんやりしたままでいいんだよ……>
<んん……>
蘭の頭を優しく撫でて、反応が鈍くなったのを感じて背筋がゾクリとする。あともう一押し。
<蘭なら、私と一緒に来てくれるよね?>
<……やっぱり、お姉ちゃんは裏切れないよ>
頭がぼうっとして何も考えられないままの蘭から、心の奥底の言葉を引きずり出す。
<お姉ちゃんと2度と会えなくなるのは嫌だから、ついていくよ>
蘭のその選択は自由意志であるようで自由意志でない、鎖つきの自由意志。
<よかった。やっとわかってくれたのね>
力を受け入れる速度が上がっている。もう黒の一族である私を怖がることもない。蘭が自分から私の頭を自分の首に押し付けてくる。
<ずっと、こうしてたい……>
これまでも何かと私にべったりだった蘭だが、ここまで甘えられるのも久しぶりだ。最初に堕とすのを蘭にして本当によかったと思う。
<このまま、時間が止まればいいのに>
<そういう胸焼けしそうな甘い台詞は止めなさい>
<お姉ちゃん、ムードぶち壊しだよ……>
その甘い言葉とは裏腹に、蘭の心は手で直接触れられないほどに鋭く尖り、硬く、冷たく、原型を思い出せなくなるほど歪な形に変えられていた。

私はようやく蘭の首から口を離し、全身が弛緩した蘭をベッドに横たえる。体も十分に冷え切っていて、これならすぐに覚醒が始まりそうだ。
100予定調和:2010/02/20(土) 22:22:58 ID:Ma3l+j9N
「あれ、もう終わり?」
「そうだけど、もっとして欲しかった?」
「なんか全身がすーっと冷えていって、心の底から凍えて、私が私じゃなくなるような不思議な感じがしてとっても気持ちよかったよ。
 うーん、何て言うんだろ?例えようとしたけどそれっぽいものがないなあ……」
普通の人間に擬態していた変身を解く。既に黒の一族への警戒心は取り除いてあるので、蘭が怖がることもない。
「わあ、綺麗な翼……これって飛べるの?」
「もちろんよ。最初はちょっとコツがいるけど、そんなに難しくなかったし」
「最初は黒の一族が何なのかわからなくて怖がっちゃったけど、異形の怪物になるわけじゃないし、
 これなら普通の人間と大して変わらないじゃん。……暑いからクーラーつけよっか」
ベッドから立ち上がった蘭の顔は紅潮していて、汗ばんですらいた。
「暑いの?」
「うん。体が火照ってるみたいで。これってさっきの魔法の副作用?」
「そうね、そろそろよ」
「え、何が……ぐ……」
蘭が膝を折って床に手を付きぶるぶると震え始めた。なるほど、きちんと手順を踏めばこんなに早く覚醒するものなのね。
「はあっ、ああ……暑い、体が熱いよ……し、死にそう……」
「大丈夫、私のときもそうだったから。もう少し我慢して」
「あ」
そのとき、蘭の背中から服をビリビリに突き破って真っ黒な翼が生えてきた。大きさも私のものと全く変わらない。
「ふふ……これが私の翼かあ……えへへ」
蕩けた顔で生えてきたばかりの翼を撫でる蘭の手は爪が鋭く尖っていた。
目も先ほど三鷹先生について語っていたときのようにきらきらした輝きは失われ、紅い色で氷のように冷たい印象を与えた。
「彩―!蘭―!ご飯よー!降りてきてー!」
階下から親が呼ぶ声が聞こえる。黒の一族である私たちは普通の人間と同じ食事をとる必要はないが……。
「ちょっと、この力試してきてもいい?」
「命を粗末にしたらダメよ」
「殺すなってこと?えーいいじゃん、どうせいても邪魔なだけなんだし」
少しは躊躇いってものがないのかしら。あんなに大好きだったのに。自分を育ててくれた大切な親でしょう?
ああ、でも私も蘭のこと言えないか。
「違うわよ。殺してもいいけど、一撃で即死させるなんてもったいないことはするなってこと」
「なーんだ、そういうことならいいや。お姉様はやらないの?」
「せっかくだし、蘭に2人ともやらせてあげるわ」
しばらく蘭のワンピースが血に汚れていく様を眺めていたが、どうも手加減ができていないらしい。
ついさっき力をあげたばかりだから、それも仕方ないが。これからゆっくり経験を積んで、私の僕にふさわしくなってくれればそれでいい。



時を同じくして、霊華は途方に暮れていた
「参ったなあ。ケータイなくすとか……悪用されたらどうしよう」
また電話帳にアドレスを登録し直さなければならない。同じ学部の人、サークルの人、バイト先の人……はどうにかなる。
問題は今すぐ出会えない人。高校の友達とか……。
「地元に帰ったら久しぶりに遊ぼうってあーやと連絡とろうと思ってたんだけどなあ。
 まあ、クラス会は夏休みにやるって言ってたし、そのときに訊けばいっか!」

そのクラス会は2度と開かれることのないことを、今の霊華が知るはずもなかった。



黒の一族やホワイトウイングに関する情報が世間に全く漏れていないことを考えても、
晴川が警察やマスコミに何らかの操作を加えていることは明らかだった。
数えられる程度の業界の実力者を抱き込めば発信してもらいたくない情報を封殺することなど簡単なのだから、
まずはそれを逆に利用してあいつらを追い詰める。庶民感情の犯罪への憎悪や覗き見趣味を煽れば、立派なメディア・リンチの完成だ。
それに一旦火が付けば、あとは放っておくだけであいつらの情報も丸裸にできる。
101予定調和:2010/02/20(土) 22:27:44 ID:Ma3l+j9N
この戦いの目的は勝つことだけじゃない。勝つのは当然。どれだけあいつらを苦しめられるかが問題だ。
反省の言葉は要らない。反省したところで月夜女様を殺した事実が消えるわけではないから。
これからずっと、一生、罪を背負い続けるの。

8月下旬の午後7時ならば太陽は沈んでから時間があまり経っておらず、外はまだ十分に明るい時間だ。
その最中、恰幅のよい男が駅前で街頭演説をしていた。
「ぜひとも私、寺岡銀一朗に清き一票を……なっ、何だね君たちは!?」
大きな翼を広げて優雅に選挙カーの上に降り立った姉妹を見て、男は目を丸くした。
「あれ、おじさん私たちのこと知らないの?ダメだよ、最近のニュースくらいはチェックしとかないと」
「ちょっとそのマイク、私に貸してくれないかしら?」
一見選択肢が与えられているようで、拒否することは許されていない問い。
「まさか君は……月夜女姫!?ひいっ、命だけは助けてくれ!」
「ほんとに命だけでいいの?富と名声と健康を毟り取られてもまだ生きたいなんて、根性あるなあ」
「……」
全てを失い放浪する自分を想像したのだろうか、男は言葉を発することができずに青ざめている。
「蘭、やっちゃっていいよ。でもマイクは汚さないでね」
「ふふ、名前答えられたからサービスで楽に逝かせてあげるね、おじさん」
蘭がニヤニヤしながら素早くマイクを奪い取り、鋭い爪で男の喉を抉る。夥しい量の返り血で蘭の服はべとべとに汚れるが、
元々黒いキャミソールにロングスカートも黒だったので汚れはあまり目立たない。駅前の喧騒が一気にパニック一色に染まる。
「いいですかー皆さん。こうやって楽に逝けるのはすごく珍しいことだから、期待したらいけませんよー。はい、お姉様」
「今から1時間後に人・物を問わず無差別破壊をします。範囲は大体半径10キロ。巻き込まれたくない人はここから10キロ以上離れなさい。
 ……もっとも、10キロ離れたからといって身の安全は保障しませんけどね!アハハハハッ!!」
私がこうやって暴れる前に人を避難させるのは、無駄に人間を殺さないようにするからだ。
逃げ惑う人間を一気になぎ払うのも面白いが、いつもそれをしているとあっという間に人間がいなくなる。
人間がいなくなると私の精力を吸う相手もいなくなるからそれは困る。
足が竦んでしまったのだろうか。OLらしき人物が人気のなくなった交差点の真ん中でガタガタ震えている。
あのくらい怖がっていれば精力もかなり美味しくなっていることだろう……蘭もいないし、先に食べてしまおう。
「あうーーーっ!」
「あーっ!お姉様、摘み食い?!『1時間は人間を襲わない』って決めたのお姉様でしょ!ずるーい!」
ちっ、見つかったか。
「いや、この人があまりにも美味しそうだったから……つい」
「じゃあ私も貰う!」
「……そんなにがっつかなくても、分けてあげるわよ」
私だって最初は人の精力を啜ることに抵抗があったのに、蘭といえば覚醒してすぐに両親の精力を吸い尽くすほどに飢えていた。
味をしめた蘭は近所の人も無差別に襲い始めたので、人間がいなくならないように私がルールを決めたのだ。
無計画な乱獲は種の絶滅を早めるから避けなければならない。1時間で半径10キロだと、逃げ遅れた人間がそこそこ出てくる。
もし逃げられても範囲外にいる安心しきった人間を襲うだけ。もちろん蘭には内緒だ。

夜の闇を否定したいかのようにどんどん点けられていく照明を適当に壊していたら、予告していた1時間が過ぎたようだ。
ここからしばらくの間は蘭と別行動をとることにしている。2人でいるといつも獲物の取り合いになってしまうからだ。
それにしても、いくら私たちが全国を転々として暴れまわっているとはいえ、あいつらが全く反撃してこないのが気になる。
もう諦めたか、策を練っているのか。隠れていても事情を知らない人から臆病者と罵られ、私にボコボコにやられても多方面から非難の嵐。
どちらにしても詰んでいる。ここからどう動くのか楽しみで仕方がない。
力を存分に振るったせいで廃墟と化した元市街地を、女が足に包帯を巻いた男に肩を貸して歩いていた。
逃げ遅れたのだろうが、女のほうは男を置いて逃げれば助かっただろうに。つくづくお人好しな人物のようだ。
「もう少しで安全地帯ですから、頑張りましょう!」
「赤の他人の僕にここまでしてくれるとは、本当に申し訳ない。この礼は必ずさせてもらいます。お互い生きてここを抜けられたらですけど」
いきなり正面に回りこみ、2人の驚く顔を眺めようと思ったが……ん、この顔はどこかで見たことがある……?
「しまった、見つかった!」
「え……ど、どうしよう」
102予定調和:2010/02/20(土) 22:31:20 ID:Ma3l+j9N
「お前……もしかして、東さん?」
場の空気が凍る。あれ、やっぱり他人の空似だった?
「そういうあんたこそ……天道さんね?」
やはり間違いない。高校のときに私が徹底的に叩き潰してやった東典子だ。こんなところで出会うとは、世間は狭い。
「今のうちに私を置いて早く逃げてください」
ただの怪我人に興味はない。今はこの女を再び嬲ることができるという興奮で頭がいっぱいだった。
顔があのときほどやつれてないということは、あれから立ち直ったのかしら。
「久しぶりね東さん、元気にしてた?」
「私をどん底に突き落とした本人がよくもまあ……テレビで見たときになんとなくあんたに似てると思ったけど、
 まさか同一人物だったとはね。珠子を狂わせたのもあんたの仕業でしょ!」
「珠子?誰それ?」
「あんたを虐めてた北乃珠子さんよ!彼女、一人暮らしを始めてすぐに重度のホームシックになって、毎日高校で異常行動を起こすから、
 今は精神病院で軟禁されてるらしいわ。それも今の化け物になったあんたの姿を見れば納得だわ」
ああ、確かいたっけ、そんな人。こいつから言われるまですっかり忘れていた。
「北乃さんには実験体になってもらったのよ。すっかり忘れてたけど」
「実験体……?人の人生を壊しておいて、何とも思わないの!?」
この女は何を必死になっているのだろう。自分だって羽虫の1匹や2匹潰したところで何とも思わないくせに。
「そうね、あえて言うなら『因果応報』かしら?」
「どう見ても優等生にしか見えなかったあんたが、こんなえげつないことをしてるとは信じられないわ」
典子は足元に転がっている手ごろな大きさのコンクリートの破片を拾い、ぽんぽんと軽く上に投げた。
「生憎このくらいしか武器っぽいものがないけど、これでも当たれば結構痛いはずよ!」
刺々しい破片は一撃で致命傷を与えることは難しくても、打撲による戦力低下は十分に見込める武器だ。
弾数もここなら申し分ない。この女のコントロールも悪くない。
ただしそれは私が普通の人間だったときの場合だ。コンクリートの破片は闇界障壁に阻まれ、乾いた音を立てて地面に落ちた。
「え……何今の……」
「ククク……アーハッハッハ!ああおかしい。そんなくだらないモノで私を傷付けられると思ったの?」
目に映るこの女の追い詰められた表情が、これからの食事の最高の調味料だ。
「お前じゃ、私に敵わない。身の程を知りなさい」
口の端に冷笑を刻みながら、私はこの女の首を鷲掴みにしてそこに指の爪を食い込ませた。



月夜女姫がいる位置からそれほど離れていない地点では、蘭が若いカップルを見つけていた。
美男美女とまではいかないが、2人とも付き合いが長いのか垢抜けた容姿をしている。
「ごめんなさい……私が忘れ物を取りに行きたいって言ったばっかりに……」
「落ち着け弓子、まだ殺されると決まったわけじゃない」
「そうそう、まだ諦めるのは早いよ。私には言葉が通じるんだから」
もちろん、言葉が通じるからといって話が通じるわけではない。全ては蘭の気分次第だ。
「私の言うことに貴方たちが素直に従ってくれたら、命だけは助けてあげてもいいよ」
ニタニタ笑っているその顔を見ると嘘である可能性も大いに考えられる。しかし他の選択肢は用意されていない。
「えっ、ほんとに?」
「まずは2人の名前を教えて欲しいな」
「大谷弓子です」
「……叶野善治だ」
「ふーん。じゃああなたたち2人にやってもらいたいことは……大谷さん」
「私?」
蘭は何もない空間から抜き身の刀を生成すると、2人の前に放り投げた。
目立った装飾がないのに高級そうなオーラを纏ったそれは、岩石さえも斬れそうな煌きを有している。

「この刀で叶野さんの喉を突き刺して」

2人以上で逃げている人間を見つけた場合に、蘭がいつもしていることだった。カップルの場合は必ず女に男を傷付けさせる。
男女ともにいい反応が見られるのでこの催しを蘭は毎回楽しみにしていた。
103予定調和:2010/02/20(土) 22:34:54 ID:Ma3l+j9N
「え……善治……」
「弓子、いいんだ。俺はお前のためなら死ねる」
「おおっ、カッコいいねえ」
こんなに引き裂きがいのある絆は久々だよ、と2人には聞こえないように蘭はつぶやいた。
「でも、首を突き刺すなんてしたら善治が死んじゃうよお……ぐすっ」
「ああ、そこは心配しないでいいよ。たくさん人を殺してきてわかったんだけど、
 大量出血にさえ気をつければ、喉を刺されてもそう簡単には死なないはずだから」
「私たちが助かる道は、それしかないんですよね……善治、ごめん……」
喉を刺してもすぐに死なせないというのは本当だ。
蘭は満足する量の精力を吸い取ってもまだ息が通っていれば約束どおり生かして帰すつもりでいた。
こうして愛し合う者同士が傷付けあう図というのは何度見ても飽きないほどに美しい、と蘭は2人の姿に見蕩れていた。
しかし弓子は構えたままで一向に動こうとしない。
「……ダメ!私には出来ない……無理よ」
弓子が刀を足元に落としてしまうと、善治が駆け寄り抱きついてよしよしと頭を撫でている。何とも模範的な彼氏さんだと蘭は感じた。
「なあ、月夜女姫の妹さん。俺が自分で喉を突き刺すのはいけないのか?」
「それじゃあ見せ物にもならないじゃん。ただの自傷行為なんて面白くも何ともない」
「そうかよ……じゃあ、これであんたの喉を突き刺したほうが手っ取り早いかもな!」
地面に落ちた刀を拾い上げ、そのままの勢いで蘭に踊りかかる。蘭の喉元目掛けて突き出された刀は、先端が欠けて淡い紫の壁に突き刺さった。
「なっ、見えない壁が……」
思わず蘭と目を合わせてしまった善治は、その顔に浮かぶ怖いくらいの笑顔に腰が引けてしまう。
「ねぇ、私今とっても機嫌がいいの……だから特別に正しい人の愛で方を教えてあげる」
腰が引けたまま、あまりの恐怖に声も出せなくなった。間違いなく2人とも殺される。
弓子を守らなくてはいけないのに、善治は蘭の目の前から足が一歩も動かせなかった。
「邪魔」
善治を軽く振り払った蘭は、ゆっくりとした足取りで弓子に近付いていく。
「い、いや……来ないで……」
弓子は尻餅をついたまま怯えた表情で後ずさろうとするも、すぐに蘭に顎を掴まれてしまう。
「ちょっとの間、私のお人形さんになってもらうだけだよ。意識も感覚もそのままにしておいてあげる」
つまり、自分の意図しない動作が全て自分のやったこととして記憶に刻まれるということだ。
「ほら大谷さん、私の目を見て」
「あっ……」
泣きじゃくっていた弓子の目から涙が引いていき、感情が削ぎ落とされていく。数秒も経たないうちに虚ろな表情を善治に向けていた。
「じゃあ貴方にはこれを。重いから落とさないようにね」
先に生成した質素な刀とは全く異なる、禍々しい装飾が大量に付けられた諸刃の大剣が弓子の両手に握らされた。
普通の女性には手に余る代物ということが一目瞭然だが、眉をピクリとも動かさずに弓子はその剣を善治に向けて構えた。
「叶野さん、だっけ?早く彼女を解放してあげないと、火事場の馬鹿力の使いすぎで壊れちゃうよ」
「この……外道が!弓子、目を覚ませ!」
「……」
弓子は善治の言葉を完全に無視し、無言のまま大剣を横に薙ぎ払った。
振り回す大剣を刀で受けようとした善治だが、防御しきれずに吹っ飛ばされてしまう。刀が折れなかっただけでも幸運だった。
「くそっ!なんて力だ、パワーが違いすぎて受けきれん!」
「男と女だもの、そのくらいのハンデがないと平等じゃないじゃん。それに呼びかけても無駄だよ。聞こえてはいても返事ができなくしてあるからね。
 さて大谷さん、これから自分のすることをよーく覚えておいてね。あとで感想を聞かせてもらうから」
急所を狙わず、敢えて四肢を狙って攻撃してくる弓子の斬撃に善治の体力は瞬く間に奪われていった。
「やばいな、これは……」
振り下ろした大剣が地面に突き刺さると、それまで感情の起伏を封じられていた弓子の顔が初めて苦痛に歪んだ。
「ぜ……んじ」
「弓子、意識が戻ったのか!」
足をふらつかせながらも弓子に近付き両肩をがっしりと掴んで激しく揺すり善治は呼びかけたが、
返ってきたのは蚊の鳴くような小さな声だった。
104予定調和:2010/02/20(土) 22:42:42 ID:Ma3l+j9N
「これ、以上……善治を、傷付けたくない、から」
蘭の呪縛に抗い懸命に言葉を紡ぐ弓子の姿に、善治は胸が熱くなる。
リミッターを外していた反動が一気にきたのか、今の弓子は善治よりも疲れきっていた。
「あいつめ、弓子になんてことしやがる!」
自由に口がきけるうちに、これだけは伝えておかなければならない。
弓子はその一心で、思うように動かない頭を振り絞って善治に自分の意思を伝えた。
「わたシを、ころシて」
「は?何言ってんだ弓子……そんなの、できるわけないだろ!」
「ありゃあ、ちょっと術のかけ方が甘かったかな。お姉様みたいに上手くやるにはもっと練習がいるかも」
瓦礫の山の頂に座って2人の様子を眺めていた蘭が、翼をはためかせながら側に降りてくる。
「退いて」
蘭は自分より背の高い善治を片手で突き飛ばすと、再び弓子の顔を覗き込む。
小刻みに震えていた剣を持つ手がしっかり固定されたのを確認して、蘭はにっこりと微笑んだ。
「勘違いしてるかもしれないけど、この術は私が死んでも解けないよ。彼女が死ぬか、私が自分から術を解くかの2つだけ。
 貴方が死んだら術を解いてあげるけど、そうしたら彼女がどんな反応をするか、わかるよね?」
「なあ、1つ訊いていいか」
「別にいいけど、何?」
「俺たちはあんたの因縁の相手でもないし、あんたを狩るホワイトウイングでもない、ただの一般人だ。
 それなのにどうしてこんな残酷な仕打ちをする?」
「理由?そうだねえ、お姉様に『命を粗末にするな』って言われたのもあるけど、やっぱり1番の理由は……」
蘭が嗜虐的な笑みを顔面いっぱいに貼り付けて口にしたその一言は、2人の心を粉々に打ち砕いた。
「滑稽だからよ」
善治の瞳には、救いようがないほどに堕ちた悪魔の姿が映っていた。





「晴川さん、聞こえますか?」
「どうした、黒松?」
「月夜女姫を視界に捕捉しました。現在若い女性を捕食中で無防備ですが、どうしますか?」
「全員合流するまでその場で待機。前回5人がかりで敵わなかったんだ、単騎突撃は自殺行為に等しい」
「できるだけ早く来てくださいよ。『月夜女姫の妹』の目撃情報もありますし、合流されると今度こそ勝ち目がありませんからね」
「ああ、努力する」





この続きは次回までゆっくりお待ちください。
105名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 08:08:51 ID:E02EIZkw
畜生、全裸は寒いんだぞ!
106名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 08:15:09 ID:7GKQP223
SSを書いてみたのであげてみます。
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/85067
>>97さんのすぐ後で申し訳ないですが……
パスは「oti]です。
107名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 14:14:33 ID:sU+el2mT
嘘のようで本当にあった「漫画・アニメ・ゲーム」の展開ってスレで
538 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/20(土) 13:30:53.17 ID:NM+oJFqbO

>>1
イナズマイレブン乙

仲間が闇落ちした→まさかの逆洗脳する


ってレスがあった
どんな展開だよ
108名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 14:32:45 ID:s6JlePuu
>>107
・全国大会優勝
・学校に帰る
・宇宙人に学校が破壊されてる
・宇宙人相手に完敗
・宇宙人を倒すために史上最強のチームを作る旅に出る
・その過程で新たな仲間の加入とケガで離脱していくチームメイト
・宇宙人の総本山へ攻め込む
・宇宙人正体判明、最強の「ザ・ジェネシス」を倒す
・学校に帰る
・宇宙人の黒幕の補佐役の暗躍により離脱していった仲間たちが「ダーク・エンペラーズ」へと覚醒
・サッカーで味方全員KO状態(イナズマならよくあること)
・試合終盤に「みんな思い出せ」「サッカーやろうぜ」により逆洗脳
・世界大会編突入(今ココ)
109名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 14:58:33 ID:rOxPVqyK
>>106
この司書さんは、勇者一行の子孫だったりするのかな

それはそうと、差し支えなければ、ロダに上げるよりも、スレに投稿された方が良い気がします。
ロダはいずれ消えてしまうので、後日になってスレのログを遡った人は、見ること9が出来なくなってしまうし、
ファイルをDLするとなると警戒する人もいるだろうから、読者が減ってしまうかと。

逆に、まだ推敲段階なので、ずっと残しておきたくないとかの理由で、敢えてロダを使われているのかもしれませんが。
110INHUMAN:2010/02/21(日) 15:41:10 ID:5gsrOuz3
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
削除依頼を出して消してもらうかどうか、
分からないけど覚悟してなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!
111名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 19:30:21 ID:eR1DSWxD
コンシュマーゲームってお、これは!っていうものがあっても
物語の進行上元に戻って結局妄想で保管すること多いよね・・・

どこのメーカーでもいいから悪堕ちのまま終わるようなの出してくれないかな・・・
112名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 19:43:42 ID:d7TfyMmk
ニッチすぎてそんなの売れんわw ラングじゃダメなの?
113名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 20:14:01 ID:RBLiP39+
ジュエルペットで主人公(女)が操られて敵のボスと結婚式を上げさせられる展開になってるんだが
主人公がDQN過ぎてそのまま敵に回ったほうがいいんじゃねと思ったりしちゃうのがなんともなぁ・・・

ちなみにうつろ目あります
ttp://apr.2chan.net/dec/24/src/1266713866778.jpg
ttp://apr.2chan.net/dec/24/src/1266713898105.jpg
こんなの
114名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 00:10:40 ID:DibdrhaO
>>111
つ「バハムートラグーン」
115名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 00:13:48 ID:gDDNdzQ0
>>113
GJ!
116名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 02:17:04 ID:LRP8wGEy
>>114
それは悪堕ちというか・・・
NTR・・・
117名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 07:29:14 ID:GaxU/3rC
天外4、ルナ1、エストポリスetc
ヒロインがラスボスになるRPGは結構あるんだが殆どそのまま死なないのがなぁ
118名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 08:57:26 ID:makSCuVE
サガフロ1のメイレンは、ラスト直前(本当に直前)で抜けて、
そのままラスボス化という鬼畜の所業をしてくれたな。
一軍で使ってると、先発メンバーがそのまま空いてしまうという。

結局エンディングで正気に戻るけど、
殺したいと思ったプレイヤーも少なくないだろうな。
119名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 09:15:47 ID:QDMVJYrU
RPGじゃないが選択肢次第でヒロインがラスボスになると聞いてアイマスDSをちょっと思い出す
120INHUMAN:2010/02/22(月) 10:40:30 ID:zrtoeO/B
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
削除依頼を出して消してもらうかどうか、
分からないけど覚悟してなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!
121名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 12:09:44 ID:Nnq55Qbr
>>120 が悪堕ちさせてもらいたがっている腐女子にしかみえない。
122名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 12:14:12 ID:DibdrhaO
>>118
それいったらサガフロ3もだな
123名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 12:23:16 ID:zrtoeO/B
>>121はスルー
124INHUMAN:2010/02/22(月) 12:25:39 ID:zrtoeO/B
>>120の修正

ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
削除依頼を出して消してもらうかどうか、
分からないけど一応の覚悟はしてなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!
125名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 12:50:29 ID:55rT5lNx
>>118
ゼノギアスのエリィさん…
装備品返してくれお(`;ω;´)
126名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 12:51:23 ID:nhdW0AIx
>>122
ひょっとして、ロマサガ3の事か?
127名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 13:17:41 ID:qcpXQTjy
アンリミテッドサガのことか
128名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 16:42:43 ID:M9OOMfGm
メトロイドのダークサムスとか怖いつの!
GCだかのDOOMタイプだかは悪堕ちがあるとか聞いたけど
DOOMとか駄目なんだよなぁ
129名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 19:35:50 ID:8mgXDMCe
>>107に書いてあったスレ見てたら、

640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/20(土) 15:39:35.78 ID:yUJh3rpQO
ヒロインが覚醒してラスボス化
倒したら主人公にヒロインが取り憑いて発狂
主人公が妹と弟をムシャムシャ

642 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/20(土) 15:41:48.17 ID:FfFZ1RMS0
>>640
ディスガイア2?

っていうのがあったのが凄く気になる
130名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 00:41:57 ID:TpW6MRlN
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm3281304
>>129
ニコ動にそのEND動画あるよ
131名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 01:22:51 ID:quyrbJbF
ディスガイアってああいうの好きだね
3でもヒロインが生徒会に捕えられて人格改造されかけるし
未遂に終わったけど
132名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 08:32:48 ID:ScdLZ+F1
>>131
文面だけ見るとすごくよさそうに思えるがズベ子はどうしてもエロに繋げん…
133名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 09:22:26 ID:+kq6XFYD
奴隷になることってあんまり無いよね。
エロゲはともかく。
134名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 01:28:46 ID:Qu9IY0/w
>>117
ヒロインがラスボス化して死亡というと魔装機神やニルファがあるけどどっちも憑依系だからなあ
135名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 07:20:10 ID:hmJd3PAT
ガキの頃見たファンタジー形のアニメだったと思うが、洗脳、と言うか堕落って感じだったが
主人公と相思相愛だったヒロインがラスボス選んで最終話付近で殺されて、でも
「○○様のためなら云々」
とか発言して主人公号泣するシーンはかなり衝撃的だったな

歳は十八 心当たりある方教えてくれ
136名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 07:45:39 ID:rpwgcsGH
Zガンダムのレコア(嘘)
137名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 14:52:40 ID:lpoEpF9G
10年前後前でファンタジー
すごいよマサルさんとかか
138名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 15:40:50 ID:2BqliCKd
>>135
ヴァイスクロイツ アニメ版?
ちょっと違うか・・・
139名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 16:29:45 ID:9r+5PLAC
らいむいろ?
140名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 16:42:06 ID:b6amXx95
ロードス島戦記英雄騎士伝 1998年
魔探偵ロキRAGNAROK 2003年
勇者指令ダグオン 1996年
アークザラッド2 1999年
スターオーシャンEX 2001年
コレクターユイ 1999年
神風怪盗ジャンヌ 1999年
犬夜叉一期 2000年

一応…このスレで洗脳操り憑依で近い年代調べて該当しそうなのはこんな奴だが。
M.C.Collectionさんで調べてwikiで打ち込んだけど>>135みたいなのは知らないなぁ…
言っているシチュエーションだけ見ると美味しいしスレ住民が見逃すはずないのだが…
141名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 17:15:55 ID:hmJd3PAT
うーん、地上波だったと思うんだけどなぁ

まさかの再放送とかケーブルテレビとか
ガキの頃ケーブルテレビなんかあったっけ…
142名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 18:40:38 ID:s9fdPwWo
ファンタジーの世界観をもっと詳しく
143名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 19:31:08 ID:AHrtDmue
サクラ大戦だったりして
ていうか最近すぎてわかりづれぇw
144名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 19:48:03 ID:9r+5PLAC
X4じゃねぇよな……流石に……
145名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 20:43:38 ID:XQSwiMNq
マシュランボーかな?
洗脳シーンなかったっけ
146名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 21:08:31 ID:uNmaplK7
>>143
TV版サクラ大戦には殺女は出なかった気が
上にも書いてあるらいむいろかと思うがあれファンタジーじゃないよなぁ
147名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 22:18:58 ID:guoSIPnq
サクラ大戦モノの調教や洗脳ネタって同人誌でも意外と少なかったよな……。
ネタとしては美味しいはずなのに。
148名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 22:26:14 ID:O3FiN/m6
>>145
あるにはあったけどアレ男が対象でしかも未遂じゃなかったっけ?
149名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 00:02:07 ID:lpoEpF9G
ID:hmJd3PAT
ケーブルなら普及してたよ
再放送も含めるとよほど大昔のでなければプラス5年、今から20年前くらいまでが範囲?
・アニメ
・ファンタジー
・ヒロインが裏切るみたいな展開
・そのヒロインは死ぬ
・「〜様のためなら云々」&主人公号泣

80年台ものまで遡らないとだめか・・・
150名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 00:38:38 ID:/gdXfdjm
その頃だと135がまだ産まれてないんじゃ
再放送とかかもしれんが
後、ここというよりNTRスレの方が発掘しやすいかもしれんな…そういうシチュは
151名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 00:49:45 ID:CxtzghEg
時代とか抜きにすれば逆転イッパツマンがそんな感じじゃなかったかしら
152名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 01:13:43 ID:SRw3aqYS
いや、タイムボカンシリーズならあの頃再放送してても不思議じゃない気がする
もちろん地域にもよるだろうが、あるかも
153名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 02:43:05 ID:rYO1P+/p
アニメじゃなくてラノベなら狗狼伝承がそれっぽいのかなあ
というかやっぱりNTRスレのほうが探しやすそう
154名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 07:11:35 ID:Uk90FrBC
ラノベだったら「わたしの勇者様」とかあるけど
相思相愛ってわけじゃないしな…
155名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 07:17:19 ID:FSofW3aB
エクセルサーガ見て勘違い
...無いな。
156名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 08:35:39 ID:JqsrPhae
サイレントメビウス・・・?
157名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 09:11:48 ID:zABUtYgB
ジェットマン…と思ったがこれはアニメじゃなかったw
158名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 12:29:55 ID:Uk90FrBC
カテジナさん…

は、そもそもラスボスだしな…
159名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 12:31:24 ID:Uk90FrBC
あと、熱沙の覇王ガンダーラとかは?
160名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 13:25:21 ID:IonTSG/q
リューナイト?
161名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 14:01:03 ID:vaPu0JXw
年代と何かの名前が分かれば・・・
http://lain.gr.jp/modules/mediadb/chronology.php
この中から探して見てくれ
162名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 14:33:19 ID:vD3whDY7
昔のだから、複数作品が記憶の中で混ざってしまってる可能性もあるでしょ。
163名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 15:57:13 ID:uDNjB1gu
そういやアニメのドラゴンクエストって、ヒロインの女がバラモスに協力したの?
最期の方を見逃してたけど、女戦士だかもバラモスの手下だったかとか聞いた気もするし
バラモスを倒せたんだろか?
あと、ウテナだかチュチュだかとかも見逃してるんだよね
164名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 16:32:38 ID:8MlLy15i
ドラクエは・・・と言う話だったのさ(AAのポカーンENDじゃないの
165名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 16:53:28 ID:2pYNzeII
>>163
第二部で出てきたアドニスって男剣士の間違いじゃないか?
最後はバラモス倒して終わり

>>164
それは打ち切りの第一部
その後で続きの第二部やったんだよ
あまりにも第一部の最後がひどすぎてAAになったりしてるけど
166名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 17:11:05 ID:VezNi9qW
レイアース(第1部)・・・・・・・なわけないか
167名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 17:43:04 ID:cHSY7mpw
ドラクエの第一部の最後はわりと最近見たんだけど
そこだけ知らなかったから大いにふいた
168名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 20:23:12 ID:8XAvqzQt
三国伝のラスボスこと天司馬さんは珍しいタイプだよね
邪神の魂と融合した割には闇に喰われて身体を乗っ取られるんじゃなく。事実上の制御に成功して大暴れだし

普通なら利用してるつもりが逆に利用されていて、精神を喰われて異形変化の後に悪堕ちなのに
169名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 20:35:09 ID:MvbD0sFA
>>135がもの凄く気になる
>>161も見てみたけどヒロインが死ぬってのは結構少ない
ヒロイン以外の女キャラも含まれるのか
TVシリーズの再放送だったか、OVAっぽかったか
結構重い作風だったか、ロボやら巨神兵みたいなのは出て来たか
記憶を頑張って辿って欲しいw

「死ぬ」ってあたりからウィンダリア、マーメノイド、エルハザード、シュラト・・・この辺がぱっと思い浮かんだけど




170名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 20:41:13 ID:Qbocd5FP
ヒロインが最終回直前で堕ちる…

ライト&ダーク?
171名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 21:40:23 ID:MKW8p7pd
>>135
ウテナじゃね?
172名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 22:01:49 ID:5vl+0L4g
次のポケモンレンジャーって悪の結社が洗脳機械使って世界を管理統合しようってストーリーみたいだ


対象はポケモンだけど
173名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 22:39:50 ID:/MoStr8N
擬人化なら逝ける…かも
割とそういうネタあるっぽいし
174名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 01:58:17 ID:vo6OERH6
>>163
一応当時見たはずだがそんな展開あったっけ?
たしか最序盤でヒロインがメダパニかけられて秘密をしゃべる…
みたいなのはあった気がするけど
175名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 06:38:57 ID:NZBnGCYZ
女性が悪者になった姿を貼るスレが復活してたな。
176名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 07:17:22 ID:7zdZKNUv
>>175
kwsk
177名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 19:46:16 ID:NZBnGCYZ
「みーんな、なかーま」から行ける
178名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 20:05:52 ID:Ma4C/aC8
ぐぐればいい話じゃね?
179名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 22:31:44 ID:jwfedemh
♂勇者が魔王に性転換させられた挙句堕とされるって同人ないかな
180名無しさん@ピンキー:2010/02/26(金) 23:31:25 ID:TfZMXmaE
>>135の話で、昔なつかしの
「ライブアライブ」の中世編(アリシア姫)を思い出してしまった。
アニメじゃないから絶対違うんだけど。
181名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 00:26:11 ID:rzoo2AaC
ヤマトタケル、じゃないよなぁ。
182名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 02:40:46 ID:kQNEWe9b
ふたつ以上混じってると思う
レイアース第一部とあと何か別のと
183名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 03:34:32 ID:2vsKUjT6
ヤマトタケルて最後姫死ぬんだったか?
184名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 03:51:49 ID:RlQTbdw1
>>135
黒シスターのやつじゃね?
クロノクルセイドとかいうやつ
185名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 06:27:48 ID:4du6YpVL
>>184
タイトルではぴんと来なかったから絵とかググれば見つかるかね
186名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 13:03:14 ID:mPG+cG4M
クロノクルセイドではヒロイン元に戻って殺されてないんじゃ?
187名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 14:50:09 ID:mkeLg2Uf
質問ですが、東方の悪堕ちシリーズはこのスレ的に大ヒットですよね?
188名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 14:51:41 ID:bArhbNR4
別に
189名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 15:06:52 ID:muJ23mYo
俺は大好物だが東方は荒れるから黙っとけ
190名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 15:21:05 ID:NN7zOnbn
当方、東方はまったく触ってないからわからないけど
東方は荒れるから怖い。
コミケとかで辟易したし。
191名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 15:31:31 ID:KF0EwEnJ
そこまで汚物のようにさけることもなかろう
悪堕ちはただでさえマイナーなジャンルだし
192名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 16:15:47 ID:Fh3muRP7
流れをぶった切って久々に洗脳シーンを堪能したいんだが、誰かロイヤルブラッド2の女性捕虜データ持ってたら上げてくれないか?
193名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 16:19:37 ID:WDyujOhc
流れをぶった切って著作権侵害のアップ依頼かよw
194名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 16:44:51 ID:4VnRuWIp
墜ちたな・・・
195名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 17:21:24 ID:4du6YpVL
なんて高度なギャグなんだ…
196名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 17:31:08 ID:DgvpkiEs
ふふふ
197名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 18:23:13 ID:yfr9Czkw
東方の悪落ちいいよねー!
198名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 18:28:23 ID:mORJVtRU
192は乞食神だとおもふ
もんじゃ焼き
199名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 18:59:50 ID:pOJVOG5g
突然すいませんが、SSを投下させていただきます。
洗脳装置系の話になっていく予定です。今回はオープニングで。
200インストール:2010/02/27(土) 19:04:27 ID:pOJVOG5g
 窓一つない、冷たいコンクリートの壁に囲まれた部屋。
 その部屋の中央に、一脚のベッドが設置されていた。牢獄に近い空間の中に、肌触りのいいシーツ、キングサイズの豪華なベッドは、あまりに不釣り合いだ。
異彩を放っている、と言ってもよい。
 だが、この場で真に異彩を放つものがある。
 それはきらびやかなベッドの上にあった。
「あ……あああ……」
 シーツの上で仰向けになり、声にならないうめき声を上げる女性。
 両手足は、鋼鉄の枷でベッドにつながれており、一足たりともベッドから離れることができない状態。
 衣服は何も身に着けていない。全裸だった。
形のいい、釣鐘型の胸は、激しく上下運動を繰り返し、槍のように鋭くとがった桃色の乳首は、冷たい空気に反応してか、かすかな震えを見せていた。
 膝を天に突き出し、股でMの字を形作るその格好で、下腹部の黒々とした茂み、またその奥にある女の秘境を、一切隠すことなく外部に開放していた。
 彼女は、すっぽりと頭部を覆う、暗い紫色をしたヘルメットをかぶせられていた。
 頭頂部に備えられた赤いランプがまがまがしい。
「あ、あ、あ……」
 頭部のヘルメットが隠すせいで、呻きを上げ続ける彼女の表情を窺い知ることは出来ない。
 身ををよじり、膝をもじつかせ、ベッドシーツを強く握りしめる手から、彼女の表情を推測せねばなるまい。
 ぽた、ぽた。
 静かに、一定のリズムで刻む音がある。
 彼女のすぐそばの、機械制御式の点滴台から滴る薬物の音。そこから彼女の首筋にかけて、極細ながらも上部なチューブがつながっていた。
 鎖よりも弱い素材ではあれど、このチューブも彼女にとっては、自らを拘束し続ける枷の一つに数えられるものであった。
緩やかだった彼女の動作が、だんだんと激しいものに変化していく。腰が持ちあがり、上下に激しく振られる。
 そのたびに鎖の擦れ合う、じゃらじゃらとやかましい音が部屋中に響く。漏れる声も、だんだんと大きく、高く、淫らに変化していく。
「あああああっ!!ひっ!!いいいい!!!」
 呻きはいつしか悲鳴となった。左右に激しく振り乱す頭。限界まで開かれた口。何かから逃げようとでもするかのような、身のよじり。
 乳房は左右上下、思い思いの方向へ動きまわる。
 あらわな股間の口から、とろとろと流れる温かい液体。止まらないヴァギナの痙攣を、外からでも見てとることができた。
 さらに声は高く、高く上りつめる。動作もますます激しさを増した。頑丈な枷が頼りなく見えるぐらい、彼女の乱れようは半端なきものだ。
 ベッドにいるのは人ではなく、盛りの吠え声を上げ続ける獰猛な獣ではないかと思わせるほどに。
 身体が震える。震えは激しく、ケイレンと呼ぶに値する反応へと姿を変えた。
「いやああああああ!!」
 コンクリートに反響する、絶叫。性感が限界を越え、荒々しいオーガズムを呼び起こす。 
 10数回目に及ぶ、「女の悦び」は、先ほどまでと同じように、性感体への接触を通じることなく、全てがヘルメットから与えられる暗示の力によって呼び起こされたものだ。
 肉体に触れずにオーガズムを引き出す、俗に「エナジー・オーガズム」と呼ばれる悦楽の最境地は、彼女を一匹のメスへと変えるのに、十分すぎるものだった。
 1分を越える、狂悦の絶頂の叫びの後、突然、糸が切れでもしたかのように、女は声を止め、身体を弛緩させた。半開きにした唇の端からは、口内にたまった唾液があふれ出し、
 下の陰唇からも、熱い液体がとめどめもなく流れ落ちる。彼女の心身の虚脱とともに、ヘルメットの赤いランプは、しばらくの点滅の後、静かに消えた。女陰が、ヒクリ、と動き、液体を垂れ流す。シーツのやらしい染みがさらに拡げられた。
 この部屋にはもう一人、ベッドで狂う女を見つめる人物がいた。
 ベッドの脇の椅子に座り、テーブル上に広げたノートパソコンを見つめる、白衣の研究者然とした女。可愛く束ねたポニーテール、冷たく光る銀色の眼鏡。
 彼女が向かっているノートパソコンは、端子を通じて、ベッドの上で拘束されている女のヘルメット、そして投与を繰り返す点滴台につなげられていた。
 彼女は冷静な声で言う。
「大分、抵抗も弱くなったわね。いい調子よ」
201インストール:2010/02/27(土) 19:07:20 ID:pOJVOG5g
画面上に映るのは、女性のかぶったヘルメットから送信される、脳波のデータ。
 一定の感覚で波打つ緑色の線が、彼女の精神の揺らぎを指し示している。
 白衣の女性が、マウスをクリックすると、現在の作業の進捗状況を現す数値が現れた。「23%」
 思ったよりも早い。白衣の女性は静かにほくそ笑んだ。ベッドでよがり狂いながら、
 シーツを必死につかみ、はしたなく声を上げる、美しき「お嬢様」は、中々教育熱心のようだ。
 データを見ながら、白衣の女性は、パソコンに多色に光るCDを挿入した。そして、パソコン横に置かれたマイクに向かって報告する。
「プログラム番号・3番に移行します」
 ゆっくりとパソコンに飲み込まれていく、3枚目のCD。パソコンはすぐにデータを認識し始めた。
 女が操作していくと、すぐにパソコンは「洗脳プログラム」を起動させ始めた。
 プログラムは、端子を通じて黒紫のヘルメットへと流れ込む。それを受けてヘルメット頭頂部のランプは、再び凶悪な赤色に灯り始めた。
 脳に直接流れ込むプログラムは、彼女の深い眠りを無理やり覚醒に導き始める。
「い……や……」
 虚脱状態だった女性の口から、僅かな抵抗の言葉が漏れる。だが、既に長時間プログラムの沼の中で「調教」を受けてきた彼女は、耳に注ぎこまれる、一定の周波数の音を感じ取るとすぐに、抵抗をやめて、意識を研ぎ澄ませ始めた。
 点滴台から再び、人間の理性を麻痺させ、自我を浸食する催眠薬、通称「ピュアハート」が滴っては、彼女の体内に染み込んでいく。
 しばらくして、ヘルメットから流れる音のトーンが変化した。音は、耳から脳へ、そして体全体へ巡り、彼女の快楽中枢を煽ってゆく。
 
「はあ……」
 溶けるように、熱く、淫らな響き。それが、彼女が洗脳プログラムに身を委ねた合図だった。
 ゆっくり、ゆっくりと、身体を駆け巡る性感。ちりちりと身を焼く興奮。
 彼女は再び、暗示を心に刻み込み始めた。当人には意識は無い。
 だが、快感に身をくすぶらせながらも、徐々に、今まで築き上げてきた人格が壊され、別の誰かとしてプログラムされていく自身を、心の奥底で感じずはいられなかった。
202インストール:2010/02/27(土) 19:11:04 ID:pOJVOG5g
「どうですか、先生。いい感じに仕上がってきていますよ。あなたのお嬢様は」
 製薬メーカー、「ヤマイメディカル」の社長室。社長の山居は、手をぶるぶるとふるわせ、苦渋を舐めるような表情を眼前の男に向けていた。
「どうしたのですか。折角、御社が開発なさった麻薬を使って、麗子嬢を喜ばせて差し上げているのに」
「麻薬ではない!!」
 怒りをぶつける山居の声に、男は大げさに、驚いて見せた。 
「これは、これは……ははっ。先生らしくもない」
「『クリア・ハート』は催眠導入剤だ。このような、恐ろしいことに利用するものでは……」
「言い方が悪かったですか。ではこう言いましょう。――ドラッグ、ヤク、『ピュアハート』。はははっ。
 御社の技術力は大したものですな、先生。私の発明した洗脳教育プログラムは、ピュアハートなくしては完成しないのですからね」
 愉快そうに笑いながら、男の目は、テレビ画面に注がれていた。映るのは、ベッドで裸体をさらす山居社長の令嬢、麗子。
 そして、プログラムを遂行する――。
「アンリ、先生はもっと自社の薬の力を見たいそうだ。もう少し投与してやれ」
 手元のレシーバーを口元に寄せて、男は言った。邪悪な意思に染まる瞳を「先生」に向けて。
「やめろ!」
 狼狽し、突進してきた山居を軽くいなして、男は言った。
「これは先生らしくない。私を今どうこうしても、麗子嬢は戻ってくるどころか、その無骨な手をかすめて行ってしまうだけですよ。
 たとえ、私を拷問したとしても、お嬢様の居場所を知ることは不可能であることは先に言ったでしょう」
 画面内では、マイクに向かって語りかける白衣の女、アンリが一言、〈0.2グラム投与〉と、冷たい報告を口にしていた。
 アンリがパソコンを操作し始めると、隣のベッドであられも無い姿をさらし、ヘルメットから送信されるプログラムによって「教育」を受ける麗しき令嬢の様子が、僅かに変化を見せ始めた。
〈ア――アアア――〉
 令嬢の声がどこか機械的な、抑揚のない声に変化した。投与された薬が、プログラムと深く結びつき、効果をさらに高めた。結果、彼女はさらに深いトランスに導かれ、無感動な人形へと変えられていったのだ。
 それでも、与え続けられる性感を感じるだけの意識はとどめているのだろうか。それとも、体が心とは別に、勝手に反応しているにすぎないのかもしれない。
 麗子嬢は、鎖につながれた中で出来る最大限の動作で、体に堆積し続ける澱のような性感に、ただ耐えていた。 
 現地から遠く離れた社長室のモニタからも、その異様な光景ははっきりと見ることができた。
 男が持つモニタのリモコンを操作すると、画面の拡大・縮小、音量調整、視点変更と、好みの設定に変更することができる。臨場感ある映像を見せつけられる山居の精神は、ずいぶん前から疲弊していた。
〈ア!……ヒッ、ヒッ!〉
「麗子っ!」
 愛娘の悲鳴に心を乱されながらも怒りに肩を震わせる山居を見据えて、男はさらにたたみかける。
「さあ、先生。何度も言いますよ。お嬢さんをあなたとは全く縁のない『別人』に変えたくないのでしたら、早く用意してくださいよ。
 何、先生なら簡単なことだと確信しているからこそ、こう何度もお願いしているのではないですか」
 街の象徴となって久しい、リンテンビルディング、その最上階での出来事である
203インストール:2010/02/27(土) 19:12:13 ID:pOJVOG5g
オープニングは以上です。改行等、読みにくくなってしまいすいません。
204名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 19:22:47 ID:1vHJKISK
頑張ってくださいね。
続き楽しみにさせていただきます。
205名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 20:58:21 ID:rmN7PsPV
麗子の堕ちっぷりに期待。続き待ってます。
206名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 23:38:21 ID:tEsQXTlR
無限のフロンティアに笛の音で他人の意識を操るキャラが出てきたぜ
一戦闘すれば正気に戻るから足止めにしか使えないようだけど
モチーフはハーメルンの笛吹きかな
207名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 23:56:12 ID:BwRZCc6J
> お嬢さんをあなたとは全く縁のない『別人』に変えたくないのでしたら、早く用意してくださいよ。

『別人』に変えて欲しいと思ったのは私だけではあるまい。
208名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 00:10:28 ID:90bDe3nf
>>206
発売前に公式のキャラ紹介見て期待してたが、
さすが旧バンプレの中の人はわかってるな
角煮のbsmhスレによると外見の変化がないらしいんで少々がっかりだが
209名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 00:55:54 ID:LGmP6HWm
>>174
あれメダパニなのかw
喋るというか、記憶を探られてる感じだったな。

ヨギの爺様やらアリアハンの王様は喋らされてたが
女性が全くノータッチだったのが残念だった。
210名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 04:16:55 ID:bR4WNmnQ
Magical☆Girlっていうところが出してる同人ゲーの新作で
第一作目のヒロイン二人が悪堕ちして出てきたので一応報告
ただ尺がかなり短い(Hシーン1つしかない)ので
悪堕ち目的で買うのはあまりおすすめしないけど・・・
211名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 10:11:54 ID:ztK1AmDy
>>135
真夜中の探偵 ナイトウォーカー
主人公が吸血鬼で、ラスボス戦で瀕死になったヒロインを吸血して命は救ったものの
ヒロインはどんどん病んでいく……

……という夢オチだった。
別に敵に寝返ってはいなかったしちょっと古いから違うだろうけど
主人公号泣で思い出した。

ラストがアッーーな展開で俺も号泣した。
212インストール:2010/02/28(日) 21:50:35 ID:kZXfpOPT
先日に続いて、SS「インストール」を投下させていただきます。
今回は催眠成分がありますが、エロはありません。
前回はオープニング、今回で1話目になります。
213インストール:2010/02/28(日) 21:52:07 ID:kZXfpOPT
 病院内の丸椅子に腰かけてはいるものの、古鳥舞実が行っているのは受診ではなく、とある事件に関する捜査だった。
 だが、彼女の子供っぽい外見のせいで、どうも雰囲気にしまりがない。
「催眠剤……ですか」
 目の前に座る女医は、白衣の上に聴診器をかけていた。あごに軽く手を当てた格好で、考えるそぶりをしていた。
 どこかのんびりとした、優しいお姉さん然とした人だ。
 ここが診察室ではなく、病院の先生達が短い休憩をとる仮眠室である筈なのに、白衣の人と向かいあっているだけで、
 診察を受けているような気分になってくるのはなぜだろう。白衣が患者に与える影響は大きいという話は本当なのだなと、漫然と舞実は思った。
 催眠剤は危険性があるのですか?それが先ほど舞実が女医にした質問である。
 捜査中の事件に、期待の新薬として名高い、催眠剤「クリアハート」が関わっている可能性があると、本部から指令があったため、
 古鳥捜査官はこうして病院に足を運び、専門家の意見を仰いでいるのだ。
 あごに当てた手を離し、女医は再び話し始めた。
「催眠剤に関わらず、どのような薬も使いすぎれば毒ですからね」
 女医は、ポケットから小さな紙の箱を取り出した。「クリアハート」。半年前に、病院で広く使われるようになった新薬である。
「これなんかもですね、やっぱり、過ぎると毒ですよ」
 言葉を続けながら、彼女は箱の中から1枚の銀紙を取り出した。錠剤が6つ、封入されている。
「私たちが患者さんに渡すのは1つだけですね。これはメーカーさんからも強く言われていることでして」
 どこかのんびりとした女医の声は、患者さんに安心感を与えるのだろうなと感想を心で述べながら、舞実は尋ねた。
「このクリアハート、具体的にはどのような作用があるのですか」
「効果はですね、脳の神経系に働きかけて、不安や興奮を抑えるのが主ですね。
 飲むと、1分ほどで身体の緊張がほぐれて、心もとてもリラックスできる状態になります」
 17歳、優秀なる事件捜査官。なのに、未だに診察室では落ち着くことができなくなる舞実には、それは夢の新薬に思えた。 
「それとですね。副作用で、ちょっとだけ、眠くなったりしますね。ほんの少し、まぶたが重くなるぐらいですか。
 それぐらいのかる〜い眠りです」
 女医の聞くかぎり、それほど怖い薬ではなさそうだ。催眠と聞くと、どうしてもテレビで見るような、
 操り操られの世界を思い浮かべてしまう。例えば、恥ずかしいことをぺらぺらと喋らされたりとか。
 女医が、かる〜い優しい声で続ける。
「クリアハートが使用されるようになるまでは、鎮静催眠薬を使用していたのです。これも、クリアハートと同じような、
 緊張感を和らげ、不安を取り除く作用を持っています」
「効果は同じなのですか?」
「ほとんど変わりません。ただ、用法が違いますね。鎮静催眠薬は主に不眠治療に使いますが、クリアハートは催眠療法に使うのです」
 そこで女医は舞実の前で大きく伸びをした。
「ごめんなさい、昨日あまり寝ていないものですから」
 仮眠室を借りての意見交換は酷だったのだろうか。
 気になさらずにと女医は続けた。
「他の病院さんでもそうではないですかね。クリアハートを不眠治療に使うと言うのはあまり聞かないですから」
「でも作用は同じですよね」
「効果は同じでも、効きかたがまた違いますね。この新薬のほうが、鎮静催眠薬よりも、
 より深いリラックス感を患者さんに与えることができます。でも睡眠の方面には効果が薄いです」
 再び言葉を切る女医。今度は腕時計を見始めた。
「すいません、忙しいみたいなので後日……」
 舞実が申し訳なさそうに言うと、女医はもっと申し訳なさそうに「ごめんなさい、特に意味はないのです」と返した。
 小さく咳払いをしたあと、女医は続けた。
214インストール:2010/02/28(日) 21:52:35 ID:kZXfpOPT
「催眠療法を患者さんに適用するのに大切なのは、まずある程度の信頼関係を築くこと、そして緊張をほぐしてあげることですね。
 この新薬は、その内の、緊張感をほぐす効果があるのです」
「信頼関係が大切、ですか」
「医療は患者さんと信頼しあうことから始まるのです。特に『催眠』という分野に関しては、テレビで放送されます、
 催眠ショーのイメージがありますから、誤解される方もおりまして。なかなか、信頼感を持つことは難しいです」
「え、テレビで大人が子供みたいになったり、動物のようになったりするのは、あれはただの演技ですか?」
 舞実の言葉に、女医は少し困ったような苦笑いを見せた。
「いえ、あれも催眠の力で出来ることの一つです。でも、あれは受け手が心の中で与えられる暗示を『許可』しているからできることなんですね。
 催眠状態は、意識を失って、簡単に操られる状態を指すのではないのです。意識はちゃんと、はっきりしていますし、誘導者の声も理解できます。
 ですから、催眠状態にあっても、嫌な暗示をはねのけることも可能です」
 一つ誤解を解いた上で、舞実は質問を変えた。
「事件の被害者はどんな状態なのでしょう?クリアハートの大量摂取が原因なのだといわれていますが」
 舞実の質問に、女医は先ほど見せた、あごに手を当てる格好をとる。小説の名探偵が、難しい事件を推理する時にみせる格好みたいだ。
「どうでしょうね。大量に薬を投与されるとああなるものなのかな?私たちは容量を守っていますから……」
「今のところ、クリアハートはまだ店頭販売は禁止されていましたよね。裏の市場では、ダウナー系のドラッグとして出回り始めているようですけれど。
 たしか、「ピュア」という名前だったかな」
「依存性はないようですけどね〜」  
 舞実が捜査している事件は、女性ばかりが何日間か行方不明となった後、昏睡状態で発見されるという怪事件だ。
 現代の神隠しと呼ばれ、メディアを騒がせると同時に、世の女性の恐怖心をあおり続けている。
 被害女性の体内から、クリアハートの成分が多量に検出されていることから、事件を引き起こす何者かが、新薬を悪用していると見られている。
 薬の発売元、「ヤマイメディカル」も相当の打撃を受けているとのことだ。
 依存性はない、その言葉を聞き、舞実は自分のことのように胸をなでおろした。
 舞実がここ、里の水病院に足を運んだのも、目の前の専門家、綾野女医が事件の被害者の一人を担当しているからであるのだが、
 まだ専門家をしても上手く説明できないのが現状であるようだ。
「患者さんはどのような状態ですか」
「一応、意識があるのは見て取れます。ペンライトを目にかざして揺らしますと、光を追う反応を見せますし。
 けれど、表情がなく、ぼんやりとした感じですね。目はまるで焦点があっていないようですし、大きな音を立てても、
 何の反応も示しません。催眠でもなく、睡眠でもない、私どもも、手に余るというのが本音ですね」
 綾野女医の説明は、舞実にとって、もうひとつ、ピンとこない話ではあった。催眠について説明を受けはしたものの、
 「催眠術」のイメージが未だ根強く残る彼女にとっては、患者の様子が催眠状態ではない、という言葉も、いま一つ納得がいくものではなかったのだ。
 そこでふと、思いついたことがあり、舞実は切り出した。
「先生、一回、私に催眠をかけてもらえませんか。時間が無ければ無理は言いませんが、どのようなものなのか、知るのもいいかなと思いまして」
「良いですよ。誤解を解くにも丁度よいでしょうし。やってみましょうか」
215インストール:2010/02/28(日) 21:53:10 ID:kZXfpOPT
清潔感のある診察室の中で、舞実はベッドに横たわり、綾野女医の声を聞いていた。
「……では始めましょう。今から古鳥さんは、気持ちよくリラックスするために、深い催眠状態に入っていきます」
 綾野女医の、相手をリラックスさせる優しい声は、ベッドに横たわる舞実にも作用していた。聞きなれた筈の声は、
 先ほど服用したクリアハートの効果を受けてか、とても心地よいものとして感じることができた。
 ぼんやりとした、眠気にも似た心地の中で、舞実はクリアハートの効果を実感していた。
 ベッドに横になる前に、1錠の薬をコップ半分の水と一緒に飲み込んだ。すると、その後すぐに、体からゆっくりと緊張が抜け、
 入れ代わりにとても心地よいリラックス感が体中に染み込んできた。まぶたが僅かに重く、考えるのがなんだか面倒になってきた。
 なぜこの薬が一部でドラッグ扱いを受けているのか、分かった気がした。
 綾野女医に促され、ベッドに横になると、すぐに舞実は、うとうととする気持ちよさの中で、
 ぼんやりと視線を天井に彷徨わせはじめたのだった。

「では、まず深呼吸を始めましょう。私の指示するタイミングで、ゆっくりと……体中の力が抜けていくのを感じながら……」
 
 吸って、吐いて。
 
 吸って、吐いて。
 
 もっと深く吸って、ゆっくりと吐きだす。
 
 呼吸と一緒に、舞実の胸が緩やかに膨らんでは縮んでいく。
 指示に従って、深呼吸を繰り返していくと、  
 だんだんと力がぬけて、体がベッドに沈み込むような感じを覚えた。
 手、足、お腹、胸、頭。
 力が抜け、ベッドに身体を完全に預けるような格好をとり始める。
「では、深呼吸しながら、天井にぶら下がっている、クマのぬいぐるみを見てください。しっかりと、目を離さないで……」
 白い天井に、紐で吊られた、小さなクマのぬいぐるみが見えた。僅かに頬笑みを浮かべているようにも見える、可愛いクマのぬいぐるみ。
 それをじっと見つめながらも、指示に従って深呼吸を繰り返す。
 まぶたが重い。
「まぶたが重く感じるかもしれません。でも、クマさんを頑張って見続けてください。まだ、まぶたは閉じないでください」
 閉じたくなるまぶたを頑張って開き、ぬいぐるみを見つめる。それでも、徐々にまぶたは下がって閉じようとする。
 そのたびに、綾野女医の声に励まされながら、よりクマのぬいぐるみに意識を向けた。
216インストール:2010/02/28(日) 21:53:43 ID:kZXfpOPT
「つらくなってきましたか。では、目をつむってみましょう。私が10から、0まで、順に数えていきます。
 私が0といえば、すっとまぶたが下りていきます。それまで我慢して、じっとクマさんを見つめていてください。
 0で、すとーん、と落ちていきます」
 綾野女医がゆっくりと数えていく。10から9。ゆっくりと降りていく数。じれったくなるような早さだった。

「……8……7……6……」

 舞実は頑張ってまぶたを開き、クマのぬいぐるみを見ながらも、数字を数える声を聞いた。

「……5、4、321」
(えっ?)

 何の前触れも無く速まるカウントに、目はクマを見ながらも、舞実は心の奥底で混乱する意識を感じた。
 1秒にも満たない混乱は、彼女が懸命に保とうとしていた集中力を一気に切り落とした。
「0」
 パチンと、指が鳴る音が聞こえた。まるで電気のスイッチを切るような、軽い音。

 すとーん。

 まぶたが落ち、ぼやけていた視界は、あっという間に暗闇に閉ざされた。
「落ちます。落ちていきます。沈みます。何も考えません。ただ落ちます。どんどん落ちます。落ちてください。
 気持ちいい。落ちるのが気持ちいい」
 何も考えない舞実。次々と与えられる誘導、暗示。従う舞実。沈む意識。
 既に真っ暗な筈の視界は、もっと暗く、深くなっていくようだった。視界だけではない。
 意識自体に、もやもやとした霧がかかったよう。霧が、舞実から現実を切り離していく。 
 考えることが面倒。初めての感覚なのに、当たり前のように抱く安心・安らぎ。
 深いはずなのに、意識がある。意識があるのに、何も考えない。
 考えられないのではなく、考えたくない。
 辿りついた先は、暗くて、とても不思議なところだったが、そこは舞実にとって、気持ちのいい、素晴らしい空間だった。
 気がついた時には、舞実と綾野女医との間に、確かな信頼感が築かれていた。
217インストール:2010/02/28(日) 21:56:10 ID:kZXfpOPT

「手を叩きます。……はい、目を開きましょう」
 パン、と手を叩く音で、舞実は驚いたように目を開いた。
 あれだけ深いところにいた筈の舞実は、手拍子と共に一息で現実に帰ってくることができた。
 朝、気持ちよく目が覚めたときのような、清々しい気分。
「気持ちよくまぶたが開いたと思いますが、あなたはまだふわふわとした、催眠状態にいます。
 今もまだ、考えるのが面倒に思えるのがその証拠です。ですから、私がもう一度、指をならす音を聞けば、
 またさっきの深いところへ戻っていくことができます」
 確かに考えるのが面倒だ。すっきりと目覚めたのに、早くさっきのところに戻りたいという気持ちがある。
 最初感じていた、催眠に対する恐怖心は無く、むしろ催眠状態を楽しむ気持ちが強く溢れていた。
 綾野女医の、やさしい指示が聞こえる。
「パチン、と指を鳴らす音で、あなたはもう一度、すとん、と目をつぶります。我慢できずに落ちます。
 我慢する必要はありません。いいですね。……では、天井のクマさんを見ましょう」
 舞実はクマのぬいぐるみを見つめた。
「じっと。……次は右に目を動かしましょう」

 右に視線を移動する。壁にかかるカレンダーが見えた。

「クマさんを見てください」

 もう一度、真上のクマを見る。

「左を見ましょう」

 左を見る。

「右に目を動かして」

 パチン。

(あっ)

 眼球が右の壁のカレンダーを向く前に、まぶたが落ち、意識はずーん、と深くなる。

「さっきよりも深い。ふかーい。気持ちいいですねー」

 また、考えるのが面倒になる、けれど、意識はある、不思議な世界へ、落ちる。
「深い。ただ深い。どんどん深く」
 ふわふわと漂う意識。沈み込む心。楽しい。気持ちいい。

「そこはさっきよりも深いですか?ではもう一度目を覚まします。一気に現実へ。……はい」
 
 パン

 すっきりとした目覚め。まるで朝起きたような パチン

(     )

 パチン パチン パチン
 
218インストール:2010/02/28(日) 21:56:37 ID:kZXfpOPT
「これからあなたは催眠の世界から現実に戻ります。催眠の世界と同じぐらい、楽しくて、おもしろくて、
 嬉しいことがいっぱいの、素晴らしい現実の世界です。1から10数えますので、ゆっくりと、体に力を入れていきましょう。
 10で催眠は解けますが、解けた後も、あなたが望むなら、またこの世界に戻ってくることができるでしょう。
 だから安心して、元気に、起きることができます」
「1。体が温かい」
「2。体に力がみなぎる」
 舞実の手が、ぴくっと動いた。
「3。4。5。ほら、私が数えている間にも、元気が溢れてくる」
 楽しい気分、高揚感が舞実の心に訪れる。
「6。早く色々なことを考えたい。7。早く体を動かしたい」
 ふうっと、体が持ちあがる感覚。意識の海の底から、すうっと体が浮きあがる。
「8。目を閉じている筈なのに、なんだかまぶしい。9。ほら、あの音が聞こえます。10」
 パン。
 
219インストール:2010/02/28(日) 21:57:13 ID:kZXfpOPT

「すごく気持ちよかったです。体が軽くなったし、元気がでてきましたし」
 ベッドに腰掛け、はしゃぐ舞実に、綾野女医は優しく微笑みかける。
「古鳥さんが体験されたのが催眠です。これを応用して、私たちは患者さんの悩みを解消しているのです」
 綾野女医は、二つのコップにお茶を注ぎ、一つを舞実に勧めた。
「本当は、もっとじっくり時間をかけて催眠状態に入ってもらうのですが、クリアハートを使用すると、
 格段に短い時間で深い催眠状態に入っていただけるようになります。催眠に中々入れない人も、この薬を服用すれば、
 楽に深い催眠に入ることができるようになりますし。本当に助かっていますよ」
 熱いお茶をうまそうにすすりながら、綾野女医は言った。
 麻薬のような扱いで裏市場に出回ったり、奇怪な事件に使用されたりで、またたく間に悪評が立ったクリアハートだが、
 ホームグラウンドではかなりの活躍をしているようだった。考えれば、モルヒネも麻薬と同等の扱いをされることがあるが、
 実際は痛み止めで使われる薬であるし、抗がん剤も、激しい副作用があるからと、使われないことも多いようだが、
 多くの人をがんから救っているの薬なのだ。どの薬も、使いどころによって見せる顔が変わるのだろう。 
 催眠療法ですっきりしたところで、舞実は本題に入った。
「患者さんは、催眠状態でも、睡眠状態でもなさそうなのですね」
「そうですね。あのような状態はちょっとおかしいです。意識はある筈なのに、意思がない状態です。まるで……」
 言葉を探すように、綾野女医は目をつむった。
「……まるで『催眠術』の中にいるような」
 さきほど、「催眠」を説明した女医とは思えない発言だった。舞実は思わず「えっ?」と声を漏らしてしまった。
 女医はあわてて言葉を継ぐ。
「もちろん、あれは催眠ではないですよ。……ですが、実際に患者さんと接して思うのです。
 フィクションの世界で、術者が催眠術を解くまで、催眠にかかったまま解けずにいる、という話が出てきますでしょう。
 あれに似ているかなと」
 舞実が持っていた催眠のイメージ。術者によって意識を意のままに操られる女性。ほくそ笑む催眠術師。
「私がメーカーに尋ねた話では、クリアハートの大量摂取は、体に大きなダメージは無いものの、長い倦怠感、
 思考力の欠如が引き起こされると聞きました。ですが、それでも意識を失うだとか、あのような状態になるとは……」
そこで、綾野女医は考え込んでしまった。長い時間が流れたあと、彼女が継いだ言葉は、「私には何とも言えません」だった。
「薬の大量摂取の影響かどうかは分かりません。けれど、クリアハートだけでは、あのような状態にはならないと思うのです」
 これは医者の勘です、と女医は付け足しだ。
220インストール:2010/02/28(日) 21:57:52 ID:kZXfpOPT

「桜木さ〜ん。少し目を開きますね〜」
 綾野女医は、ベッドに横たわる患者にやさしく語りかけた。そして、閉じられたまぶたをゆっくりと開く。
「すこしまぶしいですよ〜我慢してくださいね〜」
 そう言って、綾野女医は、胸ポケットからペンライトを取り出す。スイッチがオンになると、
 温かさを感じさせるオレンジ色の光が先端からのびた。
 女医の様子を見ながら、なるほどと舞実は思った。事件の被害者、桜木真帆は、まるで女医の言葉など、聞こえてもないようだった。
 だが、綾野女医の向けるライトには、はっきりとした反応を見せる。右へ光が行けば、右へ、左へ移れば、左へ。
 しっかりとした動きで光を追う彼女の様子を見れば、意識があるのだと思いたくなる。
「今はこんな状態です。薬はもう、切れていてもおかしくは無いとは思うのですが」
 綾野女医は、聴診器を耳に付けて、桜木真帆の胸元にベルを当てた。
 始終、反応を見せないのに、なぜライトには反応するのだろう。女医の話では、音には反応しないらしい。この違いは何なのだろう。
 昏睡状態と自分達は片づけているが、彼女はそもそも「眠り」の状態にあるのだろうか。
 考え出すときりがないが、担当者の綾野女医は、舞実とは比較にならないほど広く想像の根を伸ばしている。
 それでも皆目、分からないのだ。

「あ……あ……」

 突然、小さくか細い声が、桜木真帆の口から洩れた。舞実が驚いて、横になる桜木真帆を見ると、彼女は口だけではなく、
 まぶたをもしっかりと開き、光なき瞳で天井を仰いでいた。
「い、今反応が」と希望の声をだした舞実だが、綾野女医は残念そうな顔をした。
「ときどき、声をだすことはあるのですが、こちらから声をかけても反応はないのです」
 そう言いながらも、まだあきらめ切れてはいないようだ。
 綾野女医は、必死に「桜木さん。聞こえますか。桜木さん」と繰り返し呼びかけていた。
だが、その甲斐むなしく、桜木真帆は心持大きいこえで「はあっ……」と喘ぐ声を出したあと、また目を閉じ、静かになってしまった。
「睡眠状態でもなければ、催眠状態でもない」
 桜木真帆から手を離した綾野女医は、つぶやくように言った。誰に宛てた物でもない、むなしさが漂う声だった。
221インストール:2010/02/28(日) 22:00:06 ID:kZXfpOPT
1話はこれで終わりです。オープニングで出てきた登場人物は3話目で登場予定です。
あと、今回も誤字脱字があると思います。ごめんなさい
222名無しさん@ピンキー:2010/03/01(月) 00:14:34 ID:7QkiBH5i
>>211
ナイトウォーカー懐かしい
トライガンがやってた頃だったな……
223名無しさん@ピンキー:2010/03/01(月) 01:58:34 ID:ztX0NxOw
おいおい投下してんだからスルーすんなよ。
嘘でも続きが早く読みたいです!ぐらい書いてあげろよ。
投下直後に黙殺とか前にもあったが、反応してあげようや
224名無しさん@ピンキー:2010/03/01(月) 02:31:51 ID:INdUPcKk
露骨なほど作者を叩きやすくするための煽り
同じマイナージャンルを愛好する数少ない同志なんだから、
もっと純粋に楽しんでもいいではないか

>>221
投下乙
催眠シーンと端正な文章につき、これからに期待
しかし悪堕ちはまだ出てきてないため、これ以上の感想は控えさせてもらう
これから何回か分けて投下する雰囲気だが、くじけることも多々あるだろう
ご武運を

それとおそらく知ってるだろうが、催眠スレも一応ある
225名無しさん@ピンキー:2010/03/01(月) 03:49:34 ID:XPJUN7EO
>>221
乙です
元ネタがよくわからないのだがオリキャラってことでいいのかな?
226名無しさん@ピンキー:2010/03/01(月) 03:54:44 ID:HBHJW0W3
続きが早く読みたいです!







嘘です
227名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 20:06:06 ID:Q9R6ycVn
てす
228名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 21:18:42 ID:SvYcTtWw
復帰すなあ
229名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 21:38:14 ID:1ou2reEL
調教や洗脳などで悪の奴隷になるサーバー
230名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 23:41:03 ID:pl1yre+v
ある意味悪に落とされたなww
231名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 04:43:17 ID:4eC64vY7
>>223
SSはどうでもいいって奴もいるんだしスルーすんなと言われてもなぁ
そういうのはSS楽しみにしてる奴に任せた方が良いだろ
232名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 07:23:10 ID:933j44dP
まーた荒らしと荒らしに気づかないやつが言い合いを始めるのか
233名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 10:05:13 ID:nrnsqtOp
これはゴルゴムの仕業だな
間違いない
234名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 12:10:51 ID:5QqlcH9O
そうやって何でもウリのせいにすれば良いニダ
まあ実際、ウリのせいニダ゙けどね
235名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 14:32:47 ID:XBUanv71
というか他人にどうこうしろと言いながら自分は何もしないで
さらに「嘘でもいいから」とかつまらないと言っているのと同じだし
そんな奴が最悪だろう
236名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 15:00:22 ID:hKRULkbV
アイルで魔受胎2出るみたいだな
前作よかったから期待したい
237名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 15:14:42 ID:933j44dP
あれって、「何この抜きゲー」って思ってやったら
内容が意外にしっかりしててビックリした記憶がある。
でもまぁ、悪堕ちではないような気もする…
238名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 15:15:52 ID:RAJBwOHb
別にSSの感想を書こうが雑談を書こうが強制は良くない
>>223みたく感想を書けとか大きなお世話、反応したくなるようなSSなら、言わんでも書く
上手い下手以外に好みかどうかもあるし、書き手も気にせず投稿すればよし
煽ったり、けなしたり、ヨイショしたり、そういうのは個人ね感想に留めて押し付けはしない
239名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 15:21:55 ID:Pc8Z+4Xh
>>237
洗脳装置あり異形化ありの上に悪堕ちENDばかりじゃん
あれを悪堕ち作品といわずしてなにを悪堕ちというのか
240名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 15:23:45 ID:u+Mbe0vT
魔受胎ってやったことないけどそんなにいいのか?
241名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 15:27:15 ID:317Wyb7W
kwsk
242名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 16:29:17 ID:hKRULkbV
HPできてるよ
243名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 17:52:23 ID:2n1hJKAG
>>240
メインっ子が気に入ったならいいと思う
個人的には敵方の女と親友キャラの堕ちパターンの方が良かったんだが
どちらもシーンが少なくてちょっと物足りなかったな
244予定調和:2010/03/03(水) 23:03:01 ID:4ftfFKS3
前回投下したSSに目を通してくださった方々、ありがとうございます。

前回の粗筋
蘭陥落。それと、いのちだいじに。

それでは続きをどうぞ。
245予定調和:2010/03/03(水) 23:11:20 ID:4ftfFKS3
ホワイトウイングで接近戦を担当している黒松冬子(くろまつとうこ)は、倒壊したビルの影から月夜女姫の様子を伺っていた。
呼吸を整え、バンデージを巻いた拳を握り直す。冬子が晴川から叩き込まれたのはルールのある1対1の一般的な格闘技ではなく、
純粋に相手を壊す武術だった。ナイフすら闇界障壁で弾かれてしまうため武器は一切使えず、
あくまで殴る、蹴るでしか黒の一族にダメージが与えられない冬子だったが、元々武道を嗜んでいたこともあり、
相手の飛び道具をかわして懐に入れるようになってからは敵の障壁を崩して攻撃の起点を作るのに重要な役割を担っていた。



本部を襲撃し、わたしたちを撃退したあの黒の一族の個体は「月夜女姫」と名前が付けられた。最初に誰が呼び始めたのかはわからない。
いつの間にかテレビや新聞でもそう呼ばれていたし、容姿も月夜女にそっくりで違和感がなかった。
しかし月夜女という名前自体は世間に広まっていないはずなので、月夜女姫自身が名乗り始めたのだろうと晴川さんが言っていた。
本部が襲撃されてから、わたしたちは各地の基地を転々としながら月夜女姫の行方を追っていた。
晴川さんはあり余るほどのお金とコネを持っていて、放浪生活でも初めのほうは大して苦に感じなかった。
でも、その財力とコネをちらつかせて従えていた協力者が次々と月夜女姫に引き剥がされていき、
それまで存在すら世間から隠されていたホワイトウイングがマスコミに丸裸にされた。
もちろんわたしたちの顔も割れ、「日本の平和を裏で守ってきた正義の戦士」なんて一時期は持ち上げられたけど、
次第に誰が流したのかわからない根も葉もない噂がこびりつき始めた。
月夜女姫とその妹が各地で暴れ始めてからはわたしたちが役立たずと罵られるようになり、晴川さんも様々な嫌がらせをされていた。
さらには予め1時間の避難する時間を与える慈悲深さ、それと清々しいまでの残虐さを併せ持つギャップ、
何者も寄せ付けない強さと美しさで月夜女姫を崇拝する人さえ出てくる始末だ。
あの人間離れ……いや、現実離れした美貌にわたしも少し羨ましいと思わなくもないけど、
それを足しても街を壊して暴れまわっている化け物を崇めるなんて馬鹿げてる。
何がカリスマよ。どうせ自分の住んでいる街が襲われたら一目散に逃げるくせに、人の苦労も知らないで。
なんで正義側のわたしたちが世間から叩かれなきゃいけないのよ。月夜女姫の印象操作のせいにしても、わけがわからない。
しかし、このまままた5人で月夜女姫を襲撃したとしても倒せる可能性はかなり低い。
なにしろ1回フルメンバーで挑んで、本体に傷1つ付けられずに負けているのだ。傷を付けたのは月夜女姫を守る強力な障壁だけ。
今まで戦ってきた黒の一族にも全員闇界障壁は存在していたけど、普通の銃とかは防げてもわたしたちの魔力を使った攻撃には無力だった。
御神刀でひびが入ったということは完全に無敵じゃない。それでも今のわたしたちの火力では壊すことがほぼ不可能な強度だった。
どんな強固な障壁も例外なく壊せてきたわたしの拳もあれには通用しない。
1回目の戦闘で苦戦しても、2回目で対策を立てれば倒せたこれまでの敵とは違う。
勝てる気がしない。でも、戦わなくてはならない。わたしたちが戦わなければ、黒の一族がこの国を破壊し尽くすだけだから。
今わかっている唯一の弱点は、わたしたちと違って月夜女姫は戦闘慣れしていないこと。そこを突くしかない。

で、どうしてわたしがこんなところに1人でポツンといるのかというと、索敵だ。
月夜女姫は街を破壊するときのみ単独行動することがわかっていて、ヘリコプターなんて目立つものを使うと2人がかりで襲われることもわかっている。
1人でも勝てそうもないのに、2人だと勝率は絶望的だ。
なので、大人数でバラバラに効率よく索敵して、後から合流するという作戦になった。
大人数とはいえ実際に戦うのは私たち5人だけだからそれ以外の人はあんまりいないけど。
今回はたまたま襲われた街の近くにわたしたちが滞在していて、月夜女姫の単独行動のうちに見つけられたというまたとないチャンス。
これを逃したら次はないかもしれない。
後は合流を待つだけだけど……通信機の位置表示を見ると全員かなり離れている。これは間に合うか――
「ねえ、そこの貴方。面白そうな機械持ってるじゃん。私にも見せてよ」
「しまった!」
246予定調和:2010/03/03(水) 23:15:41 ID:4ftfFKS3
月夜女姫を注視するあまり、後方の警戒が疎かになっていた。まさかこんなに近くに妹のほうがいるなんて!
ここはまず身の安全を確保しないと。それから仲間に連絡!
わたしは妹のほうから距離をとるべく、かつ月夜女姫に見つからないように瓦礫の隙間を全速力で駆け抜けた。
「晴川さん、妹のほうの襲撃を受けました!引き付けつつ、街の中央を目指します!」
「わかった!それと……」
引き付けるとは言ったものの、落ち着いて周りを見渡すと誰もいなかった。ひょっとして速く走りすぎて振り切ってしまったかしら?
「いっただきいー♪あれ、このマークって……ホワイトウイング?」
信じられない……あの速さについてくるどころか、回り込まれた?そんな!?
「おい、どうした黒松!応答しろ!」
「貴方がお姉様の言ってた晴川さん?はじめまして、天道蘭です♪」
ん、天道?どこかで聞いたことがあるような……。
「なっ、お前、黒松をどうした!」
「え、黒松?それって……」
「返して!」
通話に意識が向いている今なら取り返せると思ったけど、能力が未知数のこいつには無謀な賭けだった。
「嫌」
蘭は2メートルほど飛び上がり、わたしが拳を空振りした隙を狙って脳天に踵落としを食らわせてきた。
頭の中がぐらぐらして平衡感覚が保てなくなる。
もし蘭の履いているものが踵の尖ったハイヒールだったならば、これだけで頭が割れて即死していてもおかしくない。
「そうそう晴川さん。黒松さんだけど、早く助けてあげないとお姉様が何をするかわからないよ。何されるんだろうねえ……」
クスクスと影のある笑い方をして、蘭は通信機を地面に叩きつけると靴のつま先でグリグリと液晶部分を割って使い物にならなくした。
あの分だと通信機は生きているかどうかわからない。
「じゃあ黒松さん、何して遊ぶ?」
一瞬清廉な顔立ちに戻った蘭の顔が、すぐに狂気に塗り変えられた。

逃げることも叶わず、わたしは完全に蘭の玩具にされていた。
姉の月夜女姫と同じ性能の闇界障壁を持つだけでなく、姉より力を使いこなしていて戦闘自体も上手い。
おまけに得意の接近戦で打ち負けるとなれば、最初に蘭に見つかった時点でわたしの運命は決まっていたのかもしれない。
「黒松さん、治癒術かけてあげるからもう1ラウンドやらない?」
「ふざけ、ないで……ぐ……見下すのも……はあ……いい加減に……」
もう、体が倒れないように支えるだけの力しか残ってない。
動き辛そうなロングスカートのくせに月夜女姫とは段違いのあの機敏な動作……思い出しただけでさらに戦意が削がれる。
「だってさあ、私がかなり手加減したのにこれでしょ?まさかさっきので全力でした、なんてことはないよね?」
「……」
悔しいけど、言い返せなかった。少し組み合っただけで、それほどまでに力の差があることを痛感したから。
これでは5人全員で挑んでも簡単に殲滅させられるかもしれない。
そうなると他のメンバーに出直してきたほうがいいと伝えたいけど……通信機は壊されている。
「ちょっと、ほんとにさっきので全力なの?どいつもこいつも張り合いがない……こりゃあ5人揃って本気の半分でやっとちょうどいいくらいかなあ」
嘲弄されることに慣れていないわたしに、蘭の一言一言が鋭利な棘となって心に突き刺さっていく。
明らかに手を抜かれてるのは感じられたけど、まさかここまで差があるとは。
時間稼ぎならできた気がした……でもそれは「できた」わけじゃなくて「わざとさせられた」だけだったみたい。
もう1人誰かがここに近付いてくるのを感じる。急いでいないということは、わたしの仲間じゃない。と、いうことは……。
「蘭、さっきホワイトウイングの通信機を拾ったんだけど、誰か見かけてない?」
心身共に傷だらけでこの姉妹に1人で対峙することになろうとは。早く誰か助けに来てくれと祈る以外にわたしに何ができる?
でも……ここで皆と合流してもこの姉妹を撃退できるだけの戦力が5人合わせても足りそうにない。
撃退どころかわたしを助けて逃げることすら難しい。
「ああ、それならこの人、黒松さんのだよ」
「えーと……蘭がボコボコにしすぎて、よくわからないのだけれど」
今のわたしの顔って、そんなに酷いの。服は上下ともビリビリに破れボロ布同然になっていたし、
全身傷だらけで骨も何箇所か折れているのはわかるけど、顔は鏡がないからよくわからない。
「まあ、この見覚えのある黒のリボンで纏めたツーサイドアップは間違いなく黒松さんね」
247予定調和:2010/03/03(水) 23:18:27 ID:4ftfFKS3
これからこの2人に好きなだけ弄られ、精力を吸われ尽くされて死んでしまうの?
ホワイトウイングに入ってから、命の危機を感じたことはこれが初めてじゃない。
何度も死にかけたし、敵の罠に嵌められて泣きたくなるような状況も経験した。
それでも諦めなかったから、黒の一族を残り数体のところまで追い詰められたんだ。
心を折られなければ、まだ勝機はある。いざというときに安心して背中を任せられる仲間がわたしにはいる。皆を信じよう。
「可愛い顔が台無しよ……痛かったでしょう。よく我慢したわね」
「……」
「それにこんなにボロボロになっても立っていられる精神力、賞賛に値するわ」
「あなたに褒められても嬉しくないんだけど」
何をするつもりなのよ。褒め殺しでわたしが心変わりするとでも?
「そんなに刺々しくしないで。これから私たちと一緒にやっていくんだから」
「……はあ?わたしがあなたたちに手を貸す?全く、悪い冗談だわ」
普通の人間と黒の一族は永遠に相容れない存在なの。仲良く共存なんてできるわけがない。
人間を食べる黒の一族に協力しろだなんて、こいつは自分の言っていることの意味がわかっているのかしら。
「私も蘭も、元々は普通の人間だったの」
「それは初耳だわ……本当に?」
「あら?晴川は私が人間から変化するところを見てるはずだけど、聞いてないの?」
もし月夜女姫の言っていることが本当なら、今後黒の一族はどんどん増えていく。そうなると世界が廃墟と化すのもますます早くなる。
むしろ既に数え切れないくらいに黒の一族が増えているのかも……大変!早くこのことを皆に知らせないと!
「それで、今まで何人の人間を黒の一族に堕としたの?」
「まだ私は蘭だけよ。そしてお前が2人目」
「あなたの味方になってホワイトウイングの皆に迷惑をかけるくらいなら、死んだほうがマシよ!」
こういう状況のときの模範解答のような台詞が、口から出せた。
だが、意地に体がついてこなかった。
「生きたい」という生命にとって当たり前の欲求が、わたしの理性を押さえ込んでいた。
「そう言って実際に舌を噛み切って死ねる人間は殆どいないけどねえ。怖くないよ、最初はチクッとするけどすぐ楽になるから」
「そうそう。さあ、力を抜いて……」
「あなたが魔眼を使うことくらい、晴川さんから聞いてるわよ!」
目を逸らしたから噛み付かれる瞬間はわからなかったけど、噛み付かれた首筋だけでなく、全身を鋭い痛みが駆け回った。
「いっ……」
<これからゆっくりお前を真っ黒に染めてあげるからね>
何なの、この感覚は……頭の中に月夜女姫の声が響いてくる。
その言葉は脳に直接刻まれるような強制力さえ感じられて、自意識を保つのが急に難しくなる。
<勝手にわたしの中に入ってこないで……頭がおかしくなりそう>
<お前が黒の一族になれば、今やっている街の無差別破壊はやめてもいいわ>
<信用できないわ。他にもっと酷いことをやるつもりね>
<しないわよ。大体、そんな約束も守れないような人が、わざわざ避難する時間を設けると思う?>
<それもそうね……>
頭のネジを1本ずつ外されているような危険な心地よさ。
脳を直接撫でられているような不快だけど癖になる不思議な感覚。
このままでは手遅れになる、一刻も早く引き剥がさないと、とは思っていても力がまるで入らない。
<それに、私たちの目的は普通の人間との共生よ。晴川みたいに黒の一族だけを一方的に排除しようとするほうが間違っていると思わない?>
言われてみればそうだ。能力が発現してから晴川さんに「黒の一族は存在しているだけで世に災厄をもたらすから排除しなければならない」と言われて、
今まで特に何も考えずに黒の一族を討伐してきたけど、盲目的な行動だったのではないかと思えてくる。
<私は晴川のような過激派さえいなくなれば、これまで黒の一族を駆逐してきたホワイトウイングを許してもいいと思ってるわ>
<晴川さんが、わたしたちを洗脳していたというの?>
この時点で既に冬子の体は完全に月夜女姫にもたれかかる姿勢になっていて、
手足はだらりと垂れ下がったままで時折ピクッと痙攣する以外に動きはなくなっていた。きりりと引き締まっていた顔はもう面影もなく、
ぼんやりと開かれた口からは甘い声が漏れ始めている。
<そう。月夜女様があいつに殺された時は悲しくて、悔しくて、涙が止まらなかった……>
どうしてだろう。月夜女を散々痛めつけたのはわたしなのに、まるで自分の大切な人を亡くしたように胸が痛い。
どれがわたしの感情で、どれが月夜女姫の感情なのかわからなくなってきた。
248予定調和:2010/03/03(水) 23:22:48 ID:4ftfFKS3
<お前がしている行為は、殺人と大差ないのよ>
<そんな……>
そう言われると、罪悪感に押し潰されそうになる。今まで数え切れないほどの黒の一族を狩ってきた。
直接手を下したのは全部晴川さんだけど、わたしがしたのはその手助けに違いない。
冬子が意思を感じられない目からぽろぽろと涙を流す様を蘭が興味深そうに覗いていた。
<でも大丈夫。お前がやったことは全部晴川のせい。そうでしょう?>
<……その通りです……>
すーっとしみこんで来る声を聞き続け、なんだか瞳孔が広がっているような気持ちいい感覚に浸ってる。
<素直に答えてね。自分を捻じ曲げた晴川が憎い?>
<はい……憎いです>
月夜女姫の質問に肯定するたびに、底なし沼に引きずり込まれているような気分に陥る。
まだ頭の片隅では質問に疑問符が浮かんでいるのに、体が先走って制御できていない。
気付いたときにはもう沼の水面が首の辺りまで達しているようで、自力で出られそうになくなっていた。
<私は晴川に復讐しようと思っているのだけど、協力してくれない?>
<はい、わかりました……つきよ、め……ひめ、さ……ま>
会話に流されるままに月夜女姫様に心からの隷従を誓った瞬間、邪な力が魂を汚していく早さが急激に上がる。
でも、それでいい。真夏の生暖かい風が冷え切った私の体を撫でるのが気持ちいい。
ん?何か背中がムズムズして……。
<もう、大丈夫そうね>
月夜女姫様が口を離して数秒も経たないうちに、ボロ布同然だった服の隙間から立派な黒い翼が生えてきた。同時に全身が発火しそうなほど熱くなる。
「う……ああ……ああああアアアア!!」
両手の爪がギリギリと音を立てて鋭く伸び、暗くてよく見えなかった周囲の様子もはっきり見えるようになった。
黒の一族は暗闇だとこんなふうに見えているのか。元の裸眼の視力も悪くはなかったけど、これなら遠くの仲間も格段に見つけやすい。
「おめでとう。これでお前もただの人間から私の手駒に昇格ね」
「はい、ありがとうございます」
うふふ、月夜女姫様に認めてもらっちゃったあ。嬉しい。この期待を裏切らないように、しっかり働かないとね。
「これから言う私の指示に従いなさい。蘭も聞いておいて」
月夜女姫様の手足となって働けることの喜びに心が震える。
ああ、今なら月夜女姫様を崇拝する人間が出てくるのもわかる気がする。なんとなく、私の心が月夜女姫様の鎖に縛られているのがわかる。
晴川に従っていたときにはない、魂の呪縛による強制力に頭と体が突き動かされる。それがたまらないほどに心地いい。
人間の精力ってどんな味がするのか、今から楽しみね。



晴川たちホワイトウイングが現場に駆けつけたときに見たものは、蘭に足蹴にされている冬子だった。
蘭は短い髪をかきあげて晴川たちを紅い瞳で一瞥すると、ニヤリと不敵に笑った。
「黒松!しっかりしろ!」
「あ、晴川さん……?」
「ギリギリセーフってところだね。もう十分サンドバッグにして遊んであげたから、黒松さんは返してあげるよ。それっ!」
「きゃっ!ん……」
乱暴に蹴飛ばされてホワイトウイングに返された冬子は、服が血をたっぷりと吸っていて見るからに痛々しい。
「おいおい、助かるのかこれ……足が変な方向に曲がっちゃってるけど」
「ごめん、なさい……皆が来るまで、持ち堪え、ごぼっ!」
「治癒は私に任せて!皆さんは黒の一族の相手をお願いします!」
上は涼しげなキャミソールで、下は動き辛そうな薄手の生地のロングスカートという華美な装飾のない服を身に纏った蘭は、
敵が目の前に現れたというのに余裕を崩さなかった。
「今日はほんとについてるよ。さっきは若いカップルを襲ったんだけどさあ、女のほうの反応が最高だったね。
 操って彼氏を痛めつけさせてから意識を戻してあげたら『もう嫌……生きていけない……』だってさ!
 彼氏を傷付けたくらいで自己嫌悪に浸ちゃってんの。『殺してください』って言うからゆっくりじっくり殺してあげようと思ったら、
 今度は死ぬのが怖いって泣き叫ぶの。それが楽しくて楽しくてさあ……くくっ、お腹が捩れるかと思ったね」
「こんな悪魔がまだ生き残っていたとはな……人の心を弄ぶその行為、最低だな」
倒れた冬子と治療に徹する秋生を庇うようにして、残りの3人が前に出る。
249予定調和:2010/03/03(水) 23:27:08 ID:4ftfFKS3
「さらにこうやって正義ぶってるおっさんも虐めることができるんだから、ラッキーとしか言いようがないね!」
「そうやって調子に乗っていられるのも今のうちだよ!」
春香の影に隠れて密かに力をためていた夏菜が、急に飛び出して一気に蘭との間合いを詰める。
「これでも食らいな、デビルバニッシュ・デュアルアサルト!!」
夏菜が圧縮された高密度のレーザーを蘭に放つが、間一髪で避けられてしまう。
しかしレーザーは闇界障壁を貫通し、蘭本体にもそれなりのダメージを与えていた。
「いてて。へえ、なかなかやるじゃん」
「ふっふっふ。レーザーを極限まで圧縮することにより、類稀な貫通力と衝撃波による追撃ができるようにしたのがこの技よ!」
「馬鹿!暢気にこっちを向いて技の解説なんぞしてる場合か!」
「夏菜ちゃん、危ない!」
春香が横から夏菜を押し倒したことにより、蘭が放った光弾は夏菜には当たらずにコンクリートの破片を細かくしただけで済んだ。
「もー、夏菜ちゃんはいちいち技名を叫んで使用後はポーズをとらないと気が済まないの?」
「テンションが上がらないのよ。冬子だって毎回叫んでるじゃん、『せぇい!』とか『とぉっ!』とか」
「あなたと一緒にしないでもらえるかしら?」
春香と夏菜が振り向くと、腰に両手を当てて不満そうな顔をした冬子が立っていた。
「あ、冬子ちゃん。もう戦えるの?」
「ええ、流石白石さんだわ。もう腕も足も全く問題なし。それより、お喋りしながら勝てる相手じゃないわ、集中して!」
月夜女姫と同じ魔法を防ぐ闇界障壁を持つものの、硬さは夏菜か冬子の攻撃で壊せるくらいで無敵というほどではなかった。
その代わり月夜女姫より戦い慣れしていて、致命打になる閃光弾や晴川の攻撃は確実にかわしてくる。
攻撃も広範囲を一気に焼き払う術が厄介だが月夜女姫ほどの威力はなく、このままいけば何とか倒せそうには見えた。
「やっぱりこのくらいがちょうどいい刺激ね」
蘭に焦りは見えないものの初めに見せていた余裕は消え去り、確実にその体に疲労を蓄積させている。
「まだ……やれる!」
4人が一斉に蘭に飛びかかろうとしたとき、後衛にいる秋生が声を張り上げた。
「皆さん、待ってください!何か違う気配が近付いてきています!」
いち早く別の存在の接近に気付いた秋生が背後を振り返ると、月明かりでも大きな翼が確認できる距離に月夜女姫がいた。
「白石、どうした……くそっ、出やがったか!」
「蘭、いい加減遊びすぎよ。朝になっちゃうじゃない」
ここで晴川は後一歩まで追い詰めた蘭の討伐を諦め、全員に逃走を指示した。
いくら片方が手負いとはいえ、以前負けた相手が同時に襲ってこられては勝ち目がない。
「素直に逃がしてあげると思った?」
蘭は自分のほうに向かってきた5人に対し、両手を広げてまだ戦意があることを明らかにする。
「そのボロボロの体で、止められるものなら止めてみろ!」
「満身創痍なのはお互い様でしょ」
今なら逃げ切れると思ったが、逃げるのに成功したのは冬子のみで残りの4人は挟まれたままだった。
閃光弾は使い切っていてもうない。しかしまだ煙幕が残っている。
「それに私、まだ治癒術使ってないし」
ホワイトウイングが身を削ってやっと追い詰めたと思っていたのに、蘭に焦りが全く見えなかったのはそういうことだったのだ。
「次に会うときは必ず倒す」
まさか平和を守る正義側の自分たちがその言葉を吐くことになるとは思いもしていなかった晴川は、
次の月夜女姫の一言により逃走すら安易にできるものではないと思い知らされる。
「そういう台詞は必ず逃げられる状況で言うものじゃないの?」
初回の交戦での月夜女姫の射撃の精度は最低ランクと言ってよいほど未熟だった。前回はそれを物量でごまかして当てていただけだ。
距離をとれば弾幕の密度も薄くなり避けるのは容易いと晴川は考えていた。
だが、煙幕を2人にぶつけて視界を奪い逃げ出した晴川たちは足元に走る赤黒い線に気付く。
「どこに逃げようと無駄よ。どんな避け方をしようと関係なく当たる術を編み出したから、大人しく力の差を思い知りなさい」
「晴川さん、上にも!」
「何だこの馬鹿でかいのは……」
巨大な魔法陣が夏の夜空に描かれていた。魔法陣自体が大きすぎるのでどのくらいの高さに描かれているのか目測ができない。
足元の魔法陣は端が見えないほどに大きい。
お前たちがどこに逃げようと関係なく当たる――つまり、この魔法陣の覆っている部分全てが術の有効範囲。
250予定調和:2010/03/03(水) 23:34:59 ID:4ftfFKS3
「白石、上だ!上に目一杯障壁を向けろ、お前なら防げる!」
「それ、無駄だよ。だってお姉様のこの術、足元からもくるから。
 ついでに言っておくと、貴方程度の障壁の強度じゃお姉様の術は防ぎきれないよ」
晴川たちの背後から攻略のヒントとも絶望を加速させる覆しようもない事実ともとれる言葉を蘭が投げつける。
「ぐあああああぁぁぁぁああああぁっ!」
足元と頭上の魔法陣から大量の黒い稲妻が発生して天と地を紡ぎ、身を貫く。
1方向からの攻撃しか防げない晴川たちにはこの術に対抗できる方法など、ない。
幸いなのは、月夜女姫が殺傷力を抑えたおかげで動けなくなるだけで済んだという点だ。命までは取られていない。
月夜女姫に思いっきり顔を踏みつけられて、ようやく晴川の意識がはっきりしてくる。
「お前たちを生かすも殺すも私の気分次第ということがこれでわかったかしら?」
「この……悪魔め。調子に、乗るな」
月夜女姫の暗示が効いているのか、ここまで完璧にやられても晴川は強気な姿勢を崩さない。
その態度が暗示の優秀さを示し、ますます月夜女姫に自信をもたせる。
「まだそんな態度がとれるの。本当に気丈ね。その気丈さに免じて、今日はこれで終わりにしてあげる」
敵に情けをかけられて晴川は自尊心を傷付けられたが、自分の命が月夜女姫の手の上であることは否定できない事実なので言い返せない。
「次は私のほうから遊びに行くから、ビクビク怯えながら待ってなさい。
 それじゃあ頑張ってね、せ・い・ぎ・の・み・か・た・さ・ん♪あははははは……」
陽が山の隙間から顔を出す頃にはこの地に大きな傷跡を残した2人は別の場所に移動したらしく、
廃墟と化した元市街地でホワイトウイングのメンバーだけが絶望に打ちひしがれていた。





俺が黒の一族を狩り始めたのは、偶然やつらを見かけたときの単なる生理的嫌悪感からだった。
普通の人間にはありえない色の紅い目に猫のように縦に裂けた瞳孔、大きくて先がツンと尖っている耳、
背中から生えている黒い翼はフィクションによくいる悪魔にしか見えない。それに人目を忍んで夜にこそこそと人間の精力を吸っている。
少なからず人間に危害を加えているのだ、それを駆除して何が悪い。俺はやつらを蚊やゴキブリと同じ害虫としか見ていなかった。
さらに当時の俺には駆除するだけの金とコネがあった。やつらを狩るためだけに俺は私兵集団「ホワイトウイング」を組織し、
同時に数えられる程度の業界の実力者を抱き込みうるさいマスコミや警察を黙らせた。
しかしその害虫の駆除には想定外の障害があった。
やつらを殺そうにも銃器、刃物、爆発物、毒ガスと様々なものを試したが、闇界障壁という奇妙なバリアのせいで全て効果がないのだ。
おまけに怪しい術まで使ってくる。ますますやつらを野放しにするわけにはいかなくなった。
古今東西のあらゆる武器を試しても駄目な中、とある神社に祀られている御神刀を使ってみてはどうかという意見があった。
俺は仏だの神だのといった類は全く信じていなかったが、他に頼るものもないので試しに実戦で使ってみると、
驚くことに闇界障壁を無視して攻撃することができた。その後の調査で闇界障壁を無効化できるのはおそらく俺だけであること、
黒の一族を殺すには翼を切り落とすのが最も有効であることを知る。
ある程度数を狩るとやつらも警戒してきて、こちらが逆に撃退されることもあった。
御神刀以外では閃光弾しか効かないので、私兵集団といってもまともな戦闘員は俺だけだった。
この状況を打開したのが俺の最も信頼できる友人、白瀬大喜(しらせだいき)の発明した薬だった。
魔法覚醒剤と名づけられたそれは、素質のある者が接種すれば闇界障壁を無効化できる力が備わるという画期的なものだった。
しかし素質のある者というのが「15歳から25歳の日本人女性の極一部」という縛りがきつい。
「15歳から25歳の日本人女性」の条件に当てはまる人間の時点で約650万人しかいない。
さらに素質の無い者が接種した場合の死亡率が0.05%という危険な薬だったが、背に腹は代えられない。
251予定調和:2010/03/03(水) 23:39:21 ID:4ftfFKS3
あらゆる手段を使って手当たり次第にこの薬を使った。もちろん0.05%分の死者も出たがそのたびに隠蔽した。
そうした苦労の末に能力の発現した4人を探し出し、金で釣ったり脅しをかけたりしてホワイトウイングで訓練した結果が今の彼女たちである。
周囲からはハーレムと冷やかされるが、こいつらと恋愛ごっこをしている場合ではない。
偶然か必然か知らないが4人とも無駄に器量がいいからそうやって冷やかされる破目になる。その程度の煩悩を断ち切れないほど俺は弱くない。
それに化け物退治をするのだからか弱い女より運動能力の勝る男のほうがよかったが……魔法覚醒剤の仕組みからそれは不可能だと大喜から言われた。

「……というわけだ。はっきり言って今の戦力だと勝ち目がない」
「半径約1キロだっけ?反則だろそりゃ。どう対処しろっていうんだよ」
「だよなあ……今までの黒の一族とは次元が違いすぎる」
「でもここで諦めたら、日本……いや、世界は月夜女姫に蹂躙されるんだろ?だったら可能性がある限りやるしかないだろ」
「そうだな。何か手があるのか?」
「御神刀で闇界障壁に傷が付いたのなら、その御神刀の力をより引き出せるようにする方向で研究中だ。まずあの障壁を何とかしないと話にならない」
「悪い、大喜。結局こんな大事に巻き込んでしまって」
「いいってことよ。毅みたいにどーんと金を出してくれるスポンサーがいないと俺も研究できないしな」
「ありがとう。恩に着る」
そのうち直接会ってゆっくり話がしたいが、今の状況で会うのはリスクが高すぎる。盗聴対策を施したこの通信機での通話が妥協点だろう。
ホワイトウイングの正体はマスコミに暴かれたが、魔法覚醒剤やそれを開発した白瀬の存在がまだ割れてないのは不幸中の幸いだった。
これが割れるとさらに世間のバッシングが酷くなるのは目に見えている。
それに、今滞在しているホワイトウイングの支部ならそう簡単に見つからないはずだ。前回本部の場所が月夜女姫に割れたのはおそらく尾行と思われる。
だから今回は透明化を無効化できる白石に協力してもらって徹底的に警戒した。
結局は移動中に離れた都市で天道姉妹の襲撃の報告があったので杞憂に終わったが。
未だにわからないのが、月夜女を狩ったときには確かに普通の人間だった天道姉妹が、完全に黒の一族と化している点だ。
普通の人間を黒の一族にする力でもあるのだろうか?だとすると黒の一族が指数関数的に増えていき、収拾がつかなくなるが……。
突然、侵入者を知らせるけたたましいベルの音が響き渡る。ここも本部と同様の硬いセキュリティに守られているはずだが……まさか。
「おいおい……冗談だろ……」
監視カメラに映っていたのは、紛れもなく天道姉妹だった。



俺がわざわざ助けに行ったのは仲間意識なんて綺麗なものではなく、これだけの戦力を1から再び揃えるだけの手間を嫌っただけだ。
前回は妹のほうの実力を見誤りやられてしまったが、今回は閃光弾や煙幕で初めから逃走に徹する。
月夜女姫もその妹も、正面からかち合って勝てる相手ではない。
その見通しすら甘かった。
繰り返される、一方的な展開。反撃は全て封じられ、逃げ出すことも許されず、しかし決して息の根は止めない生殺しだった。
「どうして……ごほっ、この場所がわかった……?」
「あら?思った以上に救いようのない馬鹿なのね。お前、頭に脳味噌入ってないんじゃないの?」
「発信機の類は調べたはずだが……甘かったか……」
そもそも仕掛けるタイミングすらなかったはずだ。他のメンバーにもチェックを徹底させたが、自分でも慎重すぎると思ったくらいである。
「そうじゃなくて、もっと簡単な方法があるじゃない」
月夜女姫は勝ち誇った顔で、それがさも当然のことであるかのように言った。

「裏切り」

その可能性を少しも疑わなかったわけではない。ただ、他のメンバーの言動はいつもと全く変わらず、
偽者が紛れ込んでいるという感じもなかった。そもそも、仲間を信じられなくなったら月夜女姫を倒すことなどできない。
その可能性を考えたくなかっただけかもしれない。
「頭のよろしくないお前にさらにヒントをあげましょうか。裏切り者はそこに転がっている4人の中にいるわ」
252予定調和:2010/03/03(水) 23:44:08 ID:4ftfFKS3
「えっ……?」
「でたらめよ!どうせ私たちの間の信頼を崩そうって魂胆でしょ!?」
「でも夏菜、それ以外にどうやって月夜女姫がこの場所を知ったのか説明できないわ」
「黒松さん……それはそうですけど……」
今までこんな敵の詭弁による揺さぶりは何度も経験してきたはずなのに、まんまと術中に嵌ってやがる。だから、俺が皆を纏めなければならない。
「お前ら、不安なのはわかるが今は喋るな!」
一喝して全員の注目を自分に集める。
「月夜女姫よ、悪いが俺は敵の言うことを素直に聞けるほど頭がよくないんでね」
「そう。別に信じたくなければ信じなくてもいいけど、放っておくとお前たちのやってることは全部私に筒抜けよ?くくく……」
何かを隠した虫唾の走る笑い方だった。俺はどうすればいい――どの行動を選んでも悪い結果にしか繋がらない、嫌な予感がする。





この続きは次回までのんびりお待ちください。
253名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 00:21:10 ID:rTKijK6h
魔受胎か……
続編があるみたいだからそっちが発売したら買ってみるか
254名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 01:24:09 ID:UOCY534x
アイルのゲームはどうなんだろ?
スタッフが大量離脱で開発チームが減ってて
醜聞はともかく出来が心配なんだよね
255名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 02:35:28 ID:/pVcsw49
新作は普通に様子見でいいんじゃないかな
256名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 11:03:12 ID:qJiFF8Zf
>>244
乙です。
黒松さんどこで正体をバラスのか楽しみだわ〜
257名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 17:57:15 ID:vWmEgTqR
ずきんちゃん悪堕ちってこの話か・・・まぁこれはこれで
カビ星人カビー
258名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 21:15:42 ID:UOCY534x
そういやロールパンナのエロ同人誌でいいのはあるんだろか
259名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 00:11:18 ID:dbsTdsYM
     .i    ,/  .,/; 三 ヾ ;;;\,  ::::::;;i
     .|   /   ソ;     '`、;  \、:::;;|
     .| ,/    ,=、       ,=、  ヽ、:;;|
     .トナ    i 0 i   ,;  ;i 0 i  .`ゝ:;;|
     .|1    .ゝイ   ,i、   ;ゝイ   :::;;|
     .i` - ____トi圭____ y"i
260名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 01:25:14 ID:GVgOhCRB
>>244
乙でーす
エロがなくても充分おもしろい!
びっくり!
261名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 05:32:49 ID:LwlDefY+
>>258
誰得
262名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 06:23:47 ID:iSBqAPa8
>>258
>>261
同人誌的にはメロンパンナとの百合カプがけっこうな人気だった覚えがあるが
洗脳萌え的な同人誌としてはどうかなあ
263名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 18:04:59 ID:cQpjydOT
舞-himeの漫画でヒロインが悪堕ちするって聞いたんだが・・・
画像とかもってる人いる?買おうかどうか迷ってるんだが・・・
264名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 18:17:17 ID:ZaHYReCt
今やってる戦(EXA)のほう?
それともチャンピオンに載ってたほう?

チャンピオンに載ってた方なら、
確かにちょっと悪堕ちっぽいシーンラストであったけど。

戦の方は連載したばっかりだから知らん。
265名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 18:25:47 ID:zFV/YupH
うおー、アイルの魔受胎2来たかー
悪堕ち部分としても期待だし、普通に作品としても期待だわ
そういえば、MAIKAのジャスティスブレイド3の話はどうなったんだ?
266名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 19:27:05 ID:LwlDefY+
>>262
チャンピオン版持ってるがあれは悪堕ちでは無いかと
溺愛してたヒロインの弟が死んだ後ラスボスとして復活するんだけど
自分(弟)のいない今の世界、自分がいる新しい世界どちらを選ぶか問われて後者選択

ヒロインは皆と一緒にいたいだけなので仲間に降伏促すも拒否
主人公+別のヒロインとバトルした後、説得されて弟止めに行く

悪堕ちって言うか依存してるだけ?コスも若干変わる物の殆ど変化無い
アニメと内容が違い過ぎるし、漫画的にも残念な出来なので買うのはお勧めしない
267名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 19:45:25 ID:S4GJZ02u
レス番間違えて大変なことになってると思う
268名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 20:01:18 ID:LwlDefY+
oh...
失敬、>>263でした
269名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 20:41:30 ID:fTEaO39q
俺思うんだけど
このスレはもう情報スレだって明記していいんじゃねぇ?
ここ一年間スレ内容の90%以上が情報のやりとりだったわけだし

SS投下できなくて可哀想〜みたいな意見もあるだろうが、
ぶっちゃけそんなの偽善者
いくら同情みせたところでこのスレはSSを評価しないのは事実
このスレにいた書き手も軒並み追い出された形で外部に移転し
イラスト職人も追い出された形でふたばに移転

今このスレでは事情知らない新人書き手を持ち上げては叩く流れになってる
叩きに参加してない連中も知らんぷり
書き手を擁護するつもりまったく無いがテラカワイソスぎて吹けるわw
それだったら最初から情報限定スレにしたほうが慈悲というものだろう
俺みたいな情報だけ欲しい連中がほとんどなわけだし
270名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 20:50:13 ID:X2iMs4HI
は?何、俺の意見が皆の意見みたいに言ってんの?
普通にSS読みたいわ
荒らしだと思うが、ちょっとひどいわ、お前
271名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 20:54:28 ID:3mOoSfOP



・・・ガッカリだ。縦読みじゃなかったお前に失望した
272名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 20:57:28 ID:27aAcucl
SSが絡むとなぜかみんなおかしくなるよね
悪堕ちしてるみたいで面白
273名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 21:01:34 ID:fTEaO39q
>>270
だからそういうのが偽善者だって
普段は読みたい読みたい詐欺していざ投下されたらいなくなる
最近のSS総スルー状態見ればわかるだろ
無理して慰めるくらいなら、最初から栄養剤与えんなよwww鬼畜www

みんなが情報スレにしてほしいと願ってるなら、堂々とすればいいのに
274名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 21:12:14 ID:27aAcucl
堂々とSSを叩き倒すためのアリバイづくりですね
わかりました
外道すなあ
275名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 21:15:30 ID:Oc5XpWNk
>>273
それはお前ぐらいだ>情報スレにしてくれと願っている

多分、本気でSS禁止したら、一気に過疎るよ。
276名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 21:17:11 ID:TWG+qdRm
エロパロ板なのに現状エロ重視してないSSなんだから反応少なくても別におかしかないだろ
前振りだというのなら、実際エロ要素に至ってから反応すればいいだけだし、それまで静観してる人が多いってだけの話だよ
277名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 21:42:18 ID:LwlDefY+
SSに反応する奴はするし、しない奴はスルー
それで良いじゃないか、SS投下したんだから反応しろって言ってる奴がクソなだけ
278名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 21:46:48 ID:27aAcucl
SSちゃんはかまってちゃんなのか
かまってもらわないと死んじゃうんだな
かわうそです
279名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 21:49:04 ID:KgyQhSva
>>263
むしろ「舞ー乙hime漫画版」の方が悪堕ちって感じかも

終盤になってhime達(舞衣 なつき など)が登場するんだけど思いっきり悪になっててチャイルド使って大虐殺やろうとしてる
フミさん(漫画版だと伝説の乙hime)も人形化って感じでセルゲイ(漫画版だとラスボス)の傀儡になって敵になる


280名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 22:02:07 ID:fTEaO39q
SS厨必死過ぎwww
ここは>>279みたいな情報スレであることを望んでる人が大多数なんだよ
281名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 22:08:39 ID:LwlDefY+
>>279
いいなそれ、HiMEが残念だったから乙は買わなかったのに・・・
でも最初から悪として登場して最後まで更正しないなら悪堕ちと呼べるんだろうか
282名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 22:15:00 ID:27aAcucl
wの使用回数に比例して頭がこわれてるんだってさ
おっさんが得意顔で話してたよ
283名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 22:32:53 ID:cQpjydOT
ID:27aAcucl
なにこのキ○ガイ・・・
ここはエロパロ板ってわかってる?ssを待つところだぞ?

カレー屋に行って、サラダが妙にうまいからカレーは作らず、サラダ屋になれとでもいうのかな、こういう奴は
こういう奴のすごいところは、自分が変なことを言ってるって気づいてなくて、人と違うことを言ってる俺かっこいいい、みたいな雰囲気を出してるとこなんだよな
ああ、すごいところて言っちゃダメなのか。皮肉にも気づかなそう。気持ち悪いところ、だ
284名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 22:34:25 ID:cQpjydOT
ああ、間違った。
ID:fTEaO39qがキ○ガイだ

ID:27aAcuclの人、ごめん
285名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 22:38:07 ID:KgyQhSva
>>281
うーん、前作のキャラや今作でも(舞衣をのぞき)スターシステムで出てるんで 堕ちてると言えば堕ちてるかな

アニメ版と比較すればセルゲイやマシロ姫も凶悪化して堕ちてるって言えば堕ちてる
286名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 22:40:36 ID:1XZD7IPt
ID:fTEaO39qは学校でむしゃむしゃしたことでもあったんだよ

寛大な心で許してやろうぜ
287名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 23:07:05 ID:jIFyS3CM
SSに関しては、他人の褌でアクセス数を稼ぐ某サイトさんぐらいは
感想をきちんと書いてあげればいいのにと思ってしまうな

あとやっぱ情報に関してはなるべくフェチ板でやるべきじゃね
上の動画サイトのURL貼りまくりの流れなんて、それこそyoutube板や半角板でやるようなことだし
288名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 00:17:32 ID:/JHV4uoI
>>286
ID:fTEaO39qは学校で何食べたんだろう
289名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 00:19:28 ID:fHD8B8jk
>>286
いや、違うな
あの反応は会社で上司にやられたんだよ
ガキを装ったレスにみえてきたぜ
290名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 00:23:18 ID:EcymOPsm
会社で上司にむしゃむしゃされちゃったのか
291名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 00:26:42 ID:sPcsFaL3
まあ偽善とか以前に、SS板で『ここには情報しか書き込まん』みたいな宣言を
スレ内でしたら、板違いスレとして管理者から排斥されるわなw
292名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 00:50:00 ID:JrEgXFjj
ssに無理に反応しろとは言わないし、いいと思ったらGJすればいいだけの話ではあるんだが
ss板でここは情報しかいらないなんて言うアホはこの総叩きにも納得だわな。
てか、ここはssを読みに来るところだべ。その合間にちょっと情報があるぐらいが普通
情報が欲しいなら自分で調べな坊や
293名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 00:55:24 ID:7+9lP7+L
エロパロでSSがいらないなんて初めて聞いたわwむしろ情報の方がスレチだろw

まぁ、作家は減ったよな…
294名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 00:59:12 ID:2/Eufwm1
時の砂でも撒かれたか
295名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 02:53:06 ID:IVCR8H+a
SSの投下を楽しみに待つ
296名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 03:29:33 ID:UmbL1R+D
前回の投稿だって、誉めてる人は居たけど止めろみたいなのは無かったし
SSを禁止とか言い出すのが突然過ぎてビックリかな。
雑談を止めて反応しなきゃ、彼らはSSを排除したがってるってのも乱暴だし
SSがある事で情報の集まりが悪くなる訳でもないのだから、NGにして各自あぼーんすればいいだけの事。

因みにチャンピオンはチェックして無いのだけど、ひふみとかどうなの?
多重人格的に。
297名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 03:36:38 ID:FFQs3v0O
くくく・・・人間どもめもっと醜く罵り合え!
298名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 03:42:07 ID:6ket1tay
どうせ釣りだろうからビックリするこたないんじゃないの

それはそれとして、
ここだと読む側はおかず目当てで、ともかくエロ目当てで気が短い人ばかりなのに対して
書く人は、ラノベ風バトルメイン+エロ的に書きたい人が多そうに見受けられるかな
299名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 03:57:02 ID:6ket1tay
「ともかく」じゃなく「とにかく」だった
300名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 05:54:03 ID:KDuc6sqV
お前たちが情報なさすぎて使えないからグダグダになるんだろ
俺は俺で独自の道を模索するわ
301 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄:2010/03/06(土) 06:53:08 ID:gcZxu0Ik
          ____         _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
       /_ノ  ヽ、_\      ( もう・・・俺のぱかぱか・・・・!!!
.     / (● ) (● )\   (  また本心と・・・・違うこと・・言っちゃったお・・・
    ///////(__人__)///\   ◯   ほんとは・・・素直になりたいのに////
    |              | 。O   ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄
     \           /
    ノ            \
  /´               ヽ
 |    l              \
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))
302名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 08:31:57 ID:8F+1ByPs
そんなことよりカレーの話しようぜ
303名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 11:49:21 ID:zNg/goz8
カレーを使った悪堕ちか、新しいな
304名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 11:51:22 ID:/Ek9Lra1
加齢で洗脳とか誰得
305名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 12:01:58 ID:fHD8B8jk
「いらっしゃい」
「カツカレーひとつくださーい」
「へい カツ一丁」

「ごちそうさまでーす ここのカレーはクセがありますよねー」
「隠し味があるんだよ へへへ……」
「なんか気がついたらこの店に入ってるんですよねー」
「ククク…… またのご来店お待ちしてます……」


おおざっぱにかくとこんな感じかな
306名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 12:13:25 ID:0yQVDnzK
>>287
『某』を使うなよ
307名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 12:25:43 ID:8F+1ByPs
>>305
提供:coco壱
308名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 12:35:45 ID:rxIgoIEr
>>305
カレー将軍思い出した
309名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 12:35:51 ID:H+EIJ8AD
包丁人味平のブラックカレーだな
310名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 16:18:54 ID:kKh4viXd
小学校の図書室に>>305みたいな話の載った怪談集があったなあ。あれはおはぎだったけど
311名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 16:44:56 ID:UmbL1R+D
キビ団子を喰わせて、そこにナノマシンだかでペットになるんだっけ?→ぱちもそ だか。
元々の桃太郎からして犬、猿、キジをキビ団子で配下にしているし
桃太郎が成長して殿様、それも悪い殿様になったら
なびかない村の美人指導者にキビ団子を無理矢理喰わせて忠誠を誓わせ、村を裏切らせたり
一揆を企ててる村長の美人な嫁に以下略
素晴らしい能力を持ってはいるが、民の為とか正義の為にしか動かない美人軍師を以下略
みたく、洗脳アイテムとして使えるね。
美味くてまた食べたい=シャブみたいな中毒で。
また食べさせてくれるなら、自分を慕ってくれる村人も、その子供も裏切りますから!とか
312名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 19:23:37 ID:npjqReGh
313名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 21:02:17 ID:DOMVgpjc
>>311
悪の桃太郎が正義の鬼娘に洗脳キビ団子食わせて
犬怪人、猿怪人、鳥怪人に悪堕ちさせて操り、
鬼娘の里を侵略するとかの電波を受信
314名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 21:25:18 ID:NDS3wiaO
鬼から見たら、平和に暮らしていた島を襲撃されて虐殺・略奪を受けたってことだもんなw
315名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 21:44:54 ID:KQhQXRYe
芥川のモノタロウですね。
316予定調和:2010/03/06(土) 23:18:11 ID:Cq04AHDH
前回投下したSSに目を通してくださった方々、ありがとうございます。

前回の粗筋
冬子陥落。しかしそのことに他の4人はまだ気がついていない。

それでは続きをどうぞ。
317予定調和:2010/03/06(土) 23:23:17 ID:Cq04AHDH
月夜女姫とその妹に基地の支部を追い出された私たちホワイトウイングは、晴川さんに連れられてとあるビジネスホテルに泊まった。
本部が襲われてから続いているこの放浪生活だけれど、毎日こんなホテルに泊まるお金を5人分もぽんぽん出せる晴川さんは
一体何者なのだろうといつも思う。でも、この人のおかげで終わりの見えない放浪生活のきつさもいくらか和らいでいるのも確かだ。
逃避行が野宿だと私や赤坂さんあたりはすぐにへばりそうだし、私たちの体調のことをしっかり考えてくれているという安心感がある。
「白石さん、ちょっといいですか?」
今にも布団に入って寝ようとしていた私は、オートロックのドアをノックする音でぼんやりしていた頭を覚醒させられた。
「あーごめんなさい白石さん、寝てました?」
ドアを開けると寝巻き姿の見知らぬ女性が立っていた。……違う、髪を結っていないだけでこれは黒松さんだ。
髪を解いた黒松さんを見たのはこれで初めてではなかったけれど、見慣れてないせいで毎回誰なのか判断するのがワンテンポ遅れてしまう。
「いえ、大丈夫です。何か用ですか?」
「白石さんとお話がしたいなって思って。部屋に入れてもらっていいですか?」
本当は疲れているからすぐに寝たかった。しかし、私は頼み事を断るのがかなり苦手だ。
つくづく損な性格だと自分でも思っているけれど、成人した今でも治る気配がないのでもう諦めている。
黒松さんを部屋に入れて備え付けの椅子に座ってもらってから、私はベッドの上に座って黒松さんと向かい合う。
「それで、お話っていうのは何ですか?」
「今日月夜女姫が言ってた『私たちの中に裏切り者がいる』って件です」
「それなら、私だけではなく全員で話し合ったほうがよくないですか?」
「その必要はありませんよ。もう私は誰が裏切り者なのかわかりましたし、証拠もありますから」
赤坂さん、青野さんの2人のうちどちらかが裏切り者――今日の2人の言動をよく思い出してみる。特に変わったところはなかった。
それに裏切る理由もよくわからない。弱みを握られたとか?世界を破滅に追い込もうとしている相手に手を貸さなければならない弱みって何なの……?
「根拠の無い決め付けでないのなら聞きます。赤坂さんか青野さん、どちらなんですか?」
不自然に黒松さんの口角がつりあがった。大切な仲間が敵の手に落ちているかもしれないというときに、なぜそんな顔をするのかが私には理解できない。
「きひひひ、『どちらか』ねえ……もう1人いるじゃない、目の前にさあ!!」
黒松さんが私の両肩を持っていきなりベッドに押し倒してくる。
不意を突かれたのもあるけれど、肉弾戦スタイルの黒松さんの腕力に私が敵うはずがなかった。
「な、何するんですか……」
「そうだ、暴れられると困るから先にこれをしておかないとね」
上に覆いかぶさった黒松さんの目が妖しく真っ赤に光る。急いで黒松さんを退かせようとして足をばたつかせても無駄な抵抗にしかならなかった。
「……ぁ……ぅ……」
目を背けようとしたときにはもう手遅れ。手足の自由が全く利かなくなったばかりか、声が喉に張り付いたようになって声がうまく出せなくなる。
黒松さんって肉弾戦一辺倒だと思ってたのに、いつの間にこんな力を身に付けたの?
「もうわかってると思うけど、私が月夜女姫様の言っていた『裏切り者』よ」
助けも呼べない、人目も期待できないこの状況で安直に黒松さんを部屋に入れたことを今更ながら後悔する。でもどうして黒松さんが……。
「は……」
「ん〜、何か言いたそうだけど全然聞こえないなあ。そうだ、こうすれば」
顎が外れそうなほど大きく口を開けて、黒松さんが私の首筋に噛み付いてきた。一体黒松さんはどうしてしまったの?
これではまるで黒の一族そのものじゃない!
<私の声が聞こえる、白石さん?>
「ん……」
甘ったるいものが頭の中に充満したかのように、思考速度ががくっと落とされる。
<黒松さん!これはどういうことですか?どうしてこんなことを……>
<だからさっきも言ったでしょう。私はもうそっち側の人間じゃないのよ>
黒松さんの背中がもぞもぞと動いて間もなく、服を突き破って真っ黒な翼が生えて私の視界を奪った。
<そんな、これは黒の一族の翼……>
<ふふっ、羨ましいでしょう?月夜女姫様からこの力は戴いたのよ>
318予定調和:2010/03/06(土) 23:27:55 ID:Cq04AHDH
<黒の一族に寝返るなんて、黒松さんはこの世界がどうなってもいいのですか!?>
さも誇らしげに黒の一族になったことを告げる黒松さんだけれど、こんなのホワイトウイングでずっと一緒にやってきた黒松さんじゃない。
月夜女姫に踊らされているだけだ。
<どうなってもいいなんて思ってないわ。私は月夜女姫様の望むまま、この世を黒の一族の住みやすい世界に変えたいだけよ>
<それはエゴの塊です。月夜女姫さえよければそれでいいのですか?!>
<当たり前よ!月夜女姫様さえよければ、私はそれでいいの!>
<……う……>
言い返さなければと言葉を探すけれど、頭の中が絡まってうまく考えられなくなってきた。
――絡まっているだけじゃない。外側から順番に解されて、消されてきている。
消した後には黒くてどろっとした何かに全部置き換えられてきている。
私を、変えようとしている……。
<それに白石さんってさ、晴川に脅されて嫌々そっち側に付いているのでしょう?そこまで意地になる必要もないじゃない>
確かに私はこの仕事を自分から進んでやっているわけではない。可能ならば今すぐに普通の人間としての生活に戻りたいと思っている。
それができないのは晴川さんが私の大切な人や物をちらつかせて脅しをかけているからだ。
<それは……そうですけれど……>
<執着する理由がないわね。白石さんも今のホワイトウイングの戦力で月夜女姫様に敵うわけがないって、
 口には出さなくても心の中では思ってるんでしょう?>
そんなこと、わざわざ口に出さなくても皆わかっている。わかってはいるけれど……ここで諦めたら、今までの苦労が水の泡じゃない!
<頑固だね、白石さんは。それじゃ、持久戦と行きましょうか>
<じきゅう、せん?>
<朝になって誰かがこの部屋に入ってくるまで白石さんが意識を保っていたら白石さんの勝ち。どう、簡単でしょう?>
この一縷の望みに賭けるしかない。後は私の精神力次第。
<いいですよ。朝まで耐えられればいいんですね>
<そうそう。耐えられればいいのよ。耐えられるなら、ね……>

冬子が秋生の動きを封じた時点で、既に勝負はついていた。
今の秋生は目が一応開いてはいるものの、深いトランス状態にあり心が全くの無防備のまま放置してあった。
「そんな心身共に疲れきった状態で私の心を揺さぶる攻撃に耐えられるわけがないじゃない。
 脳味噌とろとろの状態で正確な判断を下せっていうのがそもそも無理だけどさ」
冬子は秋生の首筋から口を離し、今にも寝てしまいそうな秋生の顔をじっくりと眺めていた。
首筋には噛み跡がくっきりと残り、冬子の唾液が大量に付着している。
今なら冬子がいくら好き勝手に性格を歪めても、秋生は全て素直に従ってくれる。
ホワイトウイングの女性陣の中で最も年上なこともあって、いつも落ち着いていてニコニコ笑顔を絶やさない。
ホワイトウイングに加わるのを嫌がったのは、生き物の命を絶つ行為に関わりたくなかったからだと聞いていた。
そんな優しい秋生が自ら進んで殺掠を行うような人間になったら、それまでの秋生を知る人間はどんな反応をするだろうか。
殺戮を恋焦がれるような、今とは真逆の性格にしてみても面白い。あるいは、ただひたすら淫乱な変態に。
秋生は過去に言いがかりに近い噂を流されたことがあった。
「長年付き合っている彼氏がいながら、その大人しそうな顔に釣られた男を片っ端から食っている淫乱女」
という秋生の裏の顔の存在を主張するものだ。
そのときは本人と秋生の性格を知る人全員が否定したのですぐに噂は消えたが、それが真実になれば……。
「おっと、いけないいけない。『黒の一族にする以外に余計な刷り込みはするな』って月夜女姫様から言われていたのだったわ」
何より優先するべきは月夜女姫の意思。冬子は唾液塗れの秋生の首筋に再び噛み付くと、黒の一族に変えるべく力を流し込み始めた。
319予定調和:2010/03/06(土) 23:31:22 ID:Cq04AHDH
<……つめたい……きもち、いい……>
<いい、白石秋生さん。あなたは生まれ変わるの>
<うまれ、かわる……>
<黒の一族になって、月夜女姫様に全てを捧げるのよ。もう晴川に嫌々従うことはないわ>
<わたしが、くろのいちぞくに……>
<黒の一族になれば今以上の力が手に入るし、ずっとこのまま若いままでいられる。それは素晴らしいことではないかしら?>
<はい……>
秋生の顔からはは自分の体が作り変えられるという恐怖は微塵も感じられず、むしろこれから起こることの期待に染まっていた。
<よし、そろそろね>
冬子は秋生の首筋から口を離しぺろりと舌なめずりをして、これから秋生の体に起こるであろう変化に胸を高鳴らせる。
「あ……もっと……もっとしてください……」
「もう十分だから、あとはじっとしていなさい」
「そうですか……あ、耳が」
乱れてボサボサになった秋生の髪の隙間から、先の尖った耳の先端がぴょこんと顔を出していた。
「なんだか急に部屋が暑くなってきましたね……黒松さんは暑くないですか?」
「冬子『様』でしょ、冬子『様』。その力をあげたのは誰だと思ってるのよ。それに私は暑くないわ」
「申し訳ありませんでした、冬子様。先ほどから汗が止まらなくて……うぅ……はあっ……」
沈黙の暗示がとっくに切れていることに冬子が気付いて秋生の口を慌てて手で塞がなければ、
悲鳴がホテルの同じ階全体に聞こえてしまっていた。
「ん〜〜〜〜!ん〜〜〜〜〜!」
長く伸びた爪で無意識に布団を引っ掻いてずたずたにしながら、
一気に生えてきた黒い翼がもたらす今まで感じたことのない感覚に秋生は酔いしれる。
「ふう、間一髪だったわ」
「もう、冬子様は乱暴です。悲鳴を上げられたら何か困ることでもあるのですか?目撃者は証拠の残らないように殺せば何も問題はないでしょう」
「月夜女姫様から目立つ行動は極力控えろと言われてるのよ」
「なるほど……これで『裏切り者』は2人目。晴川も追い詰められましたね」
「きひひひ、全くだわ。それじゃ白石さん、朝にならないうちに月夜女姫様に挨拶に行くよ。私に付いてきて」
ベッドの布団から零れ落ちた綿を放置したまま、普通の人間でない2人はすうっとそこから姿を消した。



少し考えればわかることだ。
月夜女姫が現れてから俺が見ていないところで黒の一族と接触したのは黒松ただ1人。
しかもそのときボロボロにやられている。あのときにきっと何かされたに違いない。とりあえず今日は黒松だけ別行動にしてみて様子を見よう。
とにかく今は月夜女姫の言っていた「裏切り者」を突き止めるほうが先だ。
「でもさ、何で冬子だけ単独行動なの?危なくない?」
「今回の黒松の仕事は偵察だ。機動力のある者が適任だろう。その点だと青野でもよかったんだが、お前は1人にすると調子に乗るからな」
「うー……」
青野がふて腐れるが、放っておいても問題がないので無視する。
「本当は黒松さんが『裏切り者』だと疑っているんですよね、晴川さん?」
白石め、余計なことを。わざわざ不安を煽ることを皆の前で言わなくてもいいだろうに。
「え、そうなの、晴川さん?」
「……今まで単独行動もたくさんあっただろう。別に月夜女姫の言ったことが気になるわけではない」
「そうだよね、あんなの絶対月夜女姫のでたらめに決まってるよ」
「本当かなあ……」
皆ここまで精神的揺さ振りに弱い奴らではなかったはずだが、どうしてしまったんだ?

次に俺たちが月夜女姫の襲撃を受けたのは、月夜女姫が別の街に現れたと報告があってから3時間後のことだった。
泊まっていたホテルごと焼き払われ、崩れつつあるホテルから脱出するだけで全員疲れきっていてとても戦えるような状態ではなかった。
320予定調和:2010/03/06(土) 23:36:15 ID:Cq04AHDH
俺たちから離れた地点をわざわざ直前に襲撃して「裏切り者は黒松ではない」ということをアピールしているようにも感じる……一体何が目的だ。
「今日は一段とチームワークが悪いわね。誰か1人いない気もするし、どうしたのかしら?」
「白々しいぞ、お前が全部仕組んだくせに」
「仕組んだ?何のことかしら。黒松さんがここにいないのはお前が別行動をさせたからでしょう?『裏切り者』かどうか確かめるためにね」
全てお見通しよ、とでも言いたげな顔で月夜女姫は地べたに転がされた俺たちを見やる。
「お前、どうしてそれを……」
「さあて、なぜかしらね。ふふふ……」
裏切り者は黒松ではなかったということか?となると考えられるのはここにいる赤坂か青野か白石かということになる。
そもそも月夜女姫は裏切り者が「4人の中にいる」と言っただけで1人とは断定していない。黒松と他にもう1人いるのか……?
もしかしたら既に俺以外の全員が月夜女姫の手に堕ちているということも……いや、俺が仲間を信じられなくなってどうする。
決して裏切り者などいない!
「絶対、この中に情報を漏らしてる人がいるよね」
「そうだね。私も仲間を疑いたくないけど、ここまでやられると……ねえ?」
「もう、晴川さんが黒松さんを疑ったりするからチームがバラバラじゃないですか!どうするんですか!?」
どうするんだって……俺が訊きたいぞ、白石。本当にどうしたものか……。裏切り者はいるのか、いないのか。いるとしたら誰なのか。
どうやって調べるのか。拷問でもして吐かせる?そんなことをしたらそれこそホワイトウイングはお互いが信じられなくなって終わりだ。
個々の力で倒せるほど月夜女姫は弱くない。だからといってこのままだと……。



まだあちこちで煙が上がっている中、天道姉妹は地面に這い蹲る4人を見下ろして嘲っていた。
「うふふ、困ってる困ってる。追い詰められて命からがら見せる抵抗ほど見てて楽しいものはないね。お姉様、次はどうするの?」
「そうね、今度はこちらが追い詰める番なのだから、ゆっくり楽しみたいわ」
次は、晴川に最後の引き金を引かせよう。ここまで疑心暗鬼になっていれば下準備は万全のはず。
自分の行動のせいで仲間が寝返ってしまうのだから、もう目も当てられないでしょう。
まだまだ苦しんでもらうからね。





ホワイトウイングのメンバー5人は、24時間営業の飲食店の机に集まっていた。
ここに来るまでに何度も天道姉妹の襲撃を受け、睡眠も満足にとることができずに全員疲労困ぱいだった。
「はーるーかーわーさーん。このまま逃げ続けてもあたしたちが消耗するだけだよ。何とかならないの?
 ふあぁ、眠う。もう3日もアイス食べてないしい……」
赤坂が机にあごを乗せて今にも寝てしまいそうな顔で訴える。
きちんと飯は3食食わせているが、月夜女姫にじりじりと追い詰められているのは確かだった。
「だが、今の戦力では勝算がないだろ?そもそもまともにダメージを与えてすらいない」
何度交戦しても、月夜女姫の障壁すら破れなかった。しかも向こうはまだまだ余力を残して戦っているように見える。
「それに、閃光弾も使い切った」
この状態で戦っても、勝負になるどころか逃げることすら難しい。
「とにかく今は支部に行き、対抗策を練るんだ」
「あと半分以上かあ、きっつー……」
青野が不満を漏らすのも仕方がない。道路はボコボコ、線路はグニャグニャで使える交通手段が空路くらいしかないからだ。
一応船も使えるが、空港が無事な内は使わなくてもいいだろう。どうせ道中で襲われたら死ぬのは同じだ。

晴川がそろそろ移動しようと席を立ったとき、店の机が軽々と吹き飛ぶような爆風が晴川たちを襲った。
屋根に大きな穴が空き、店内の照明が殆どやられて視界が一気に暗くなる。
321予定調和:2010/03/06(土) 23:40:03 ID:Cq04AHDH
「くそ、もう見つかったか」
ここまで細かくこちらの情報が漏れていると、晴川も本格的に裏切り者の存在を否定できなくなってくる。
「一体何が……助けてくれ……」
幸いにも他の客はいなかったものの、店員が頭から血を流しながら助けを求めている。
「しっかりしてください!」
「待て赤坂、そいつに治癒術は使うな!」
「え?でも今使わないとこの人死んじゃう……」
「死にそうなのは俺たちも一緒だ。俺たちがやられたら誰が月夜女姫を倒すんだ?」
ホワイトウイングが倒されたらどちらにしてもこの店員も死ぬ。
今までは一般人の救助も戦闘中にやってきたが、今の疲弊したホワイトウイングにその余裕はない。
「見つけた」
晴川が振り返るとすぐ後ろに月夜女姫が壮絶な笑みを浮かべて立っていた。
晴川は素早く袋から御神刀を取り出し斬りつけたが、またしても障壁に弾かれる。
完全に狩る立場と狩られる立場が逆転していた。
「お前ら、まだいけるな?白石の防御が通用しない以上、纏まっていたらただの的だ。散らばって狙いを絞らせるな!」
散らばったとしてもあの超広範囲攻撃を使われると全く意味がないのだが、手加減しているのかまだ初回の1回しか使われていない。
相手に慢心があるうちがチャンスである。
晴川は夏菜に指示して店の壁を破壊させ、各自バラバラに逃げるように伝えた。集合場所は言わなくても4人はわかっている。
「その様子だと、もう閃光弾は使い切ったのかな?」
「うわっ、こっちにも!?」
夏菜は目の前に出現した蘭に行く手を阻まれ、戦闘態勢を取らざるを得なくなった。
「逃げられないってわけね……お前なら攻撃が通じる分、月夜女姫より勝てる可能性がある!」
他の4人の援護が期待できなくても、夏菜は今まで1人で黒の一族を何人も伸してきた自信から蘭に真っ向勝負を挑んだ。
蘭がここまでの戦いで本気の半分しか出していないことを夏菜は知らない。知らないからこそ、無謀にも向かっていくことができる。
「貴方ってなかなかタフだから長く遊べるんだよね。今日も楽しませてもらうよ!」
「青野、倒すことを考えるな!相手の隙を作って逃げろ!」
「わかってる!」
「わかってねえな、あれは……」
いつもなら相手から先制攻撃される前に誰かが感づいて直撃を免れているものだが、
この寒気がするほどの威圧感を放っている敵の接近に誰も気が付けなかった。それほどまでに皆疲れきっているということだ。
「きゃあああああ!!」
「大変、春香ちゃんが!」
やろうと思えば5人全員を一気に攻撃することもできるのに、今日の月夜女姫は執拗に春香ばかりを狙っていた。
チームで最も強固な秋生の障壁でさえ歯が立たないのに、薄っぺらな春香の障壁では気休めにしかなっていない。
現時点ですでに戦力は晴川たちが下回っているのに、さらに春香が欠けて決定的な差が開くのは避けなければならない。
「きゅう〜」
最早立ち上がる気力すらなくなった春香は目を回して力尽きてしまった。元々春香は夏菜のように打たれ強いわけではなく、
音を上げてへばってしまうのは4人の中でいつも最初だった。
「白石!黒松!赤坂の介抱を頼む!」
ぐったりと動かなくなった春香を揺すったりして反応を見ていた秋生と冬子が、なにやらこそこそと話をしている。
「白石さん、春香ちゃんの容態は?」
「ぐっすり眠っています。心身ともに疲れきった状態で且つ信頼できる仲間ですから魔眼が非常に効きやすかったですね」
「へえ、そう。わざわざこのタイミングでかけなくてもよかったかもしれないわね。春香ちゃんって基本的に何に関しても甘いから」
「おい、白石と黒松!後ろから来てるぞ!集中力を切らすな!」
「だから何?」
冬子は晴川に冷めた目を向けると何の躊躇もなく気合の乗ったストレートを撃ち込む。
晴川はギリギリで顔を逸らして避けたものの、突然の冬子の豹変に驚きを隠せない。
322予定調和:2010/03/06(土) 23:43:17 ID:Cq04AHDH
「私に指図していいのは月夜女姫様だけ。あなたに従う義理はないのよ」
「そうか、お前がやはり月夜女姫の言っていた『裏切り者』だったんだな。悪魔に魂を売るとは堕ちたものだな」
かつて仲間だった冬子にも殺すつもりで刃を向けた晴川だったが、いくら振り回してもかすりもしなかった。
ゆっくりと体を変化させて正体を現した冬子はケタケタ笑いながら一定の間合いを保っている。
「温い、温すぎだわ。そんな調子で月夜女姫様を倒そうだなんて、笑っちゃうわね」
「黒松、お前、その姿は……」
冬子の烏のような黒い両翼に尖った耳、鋭く伸びた爪、紅い瞳はまさに黒の一族そのものだ。
「常に冷静沈着なあなたも今回ばかりは動揺が隠せないみたいね。どう、この姿。綺麗でしょう?」
冬子は見せびらかすように手をひらひらさせるが、その行動は晴川の頭を更に熱くさせた。
「……お前は俺が最初に黒の一族を狩り始めた理由を知らないからそんなことが言えるんだ」
「何なのよ、その理由って」
「俺はその魔に堕ちた醜い格好が、反吐が出るくらい嫌いなんだよ!」
怒りにまかせて冬子に斬りかかった晴川だが、月夜女姫と同じ薄紫の障壁に阻まれる。
それでも晴川はギリギリと力を込めるのを止めず、しばらくするとピシッと1本の亀裂が走った。
「私の闇界障壁に月夜女姫様と同等の強度があるわけない、か……でもこれだけ硬ければ十分ね」
かわすばかりでなく攻撃に転じた冬子は、防御一辺倒になった晴川にさらに口汚く罵声を浴びせる。
「大体さあ、まだ自分が特別だとか思ってんの?あなたなんて御神刀がなければただの一般人じゃない。
 私たちがいないと何にもできないくせに、威張っちゃってさあ!ああ、今は御神刀があっても何もできてなかったわね」
冬子の魔力の込められた弾丸のような胴回し回転蹴りが直撃し、頭が割れたかのような激痛で晴川は防御の体勢に入ることすら出来なくなる。
「あら、まさか胴回し回転蹴りがクリーンヒットするとは思わなかったわ。
 あなた、私が手を抜いていなかったら頭が原形を留めてなかったわよ?治癒術かけてあげましょうか、薄鈍さん?」
「まだ動けるぞ、お前こそ俺を甘く見すぎ……ん、体が……?!」
晴川の体勢がぐらりと傾き、御神刀を地面に突き刺してそれに寄りかかる格好になる。
「なんだ、急に体に力が入らなく……」
「逆回復魔法を使わせていただきました」
いつから晴川の背後に立っていたのだろうか。そこには以前の温和な雰囲気はそのままで黒い翼を生やした秋生がいた。
逆回復魔法――相手に外傷を与えずに衰弱させて戦闘力を奪うことができるので、秋生が好んで使おうとした術だった。
実際は秋生の消耗の割に黒の一族には効果が薄いので殆ど使われることはなかったが。
「白石……お前もか」
「ちょっと、白石さん?せっかくいいところだったのにどうして邪魔するのよ!?」
「申し訳ありません、冬子様。月夜女姫様から『早く春香ちゃんを連れて戻ってきなさい』との命令がありましたので」
「それなら仕方がないわね。叱られないうちに戻るとしましょう」
「待て……」
春香を抱えて転移しようとした2人を晴川が膝を地面につけたまま呼び止める。
「何かしら?」
「赤坂をどうするつもりだ?お前たちの仲間にするつもりか?」
「さあ?私は聞いてないから知らないわ」
「そうそう、忘れるところでした。晴川さんに月夜女姫様から伝言があります。」
それまで温和な雰囲気だった秋生の周りの空気がさっと冷えたように感じる。
「明後日の午前0時に月夜女姫様が大事な報告をなさるそうなので、テレビをチェックしておきなさい、とのことです」
「一体、何をする気だ……」
その問いがまるで聞こえなかったかのように、2人は晴川を無視して春香を抱えて別の場所に転移してしまった。

「晴川さん……まだ、生きてる?」
うつ伏せに倒れこんでいた晴川にボロ雑巾のようになった夏菜が声をかけたのは、黒の一族全員が引いてからしばらく経った後だった。
「ああ……何とかな」
「他の皆の姿が全然見えないんだけど、知らない?」
何も知らない夏菜はここで初めて晴川から過酷な現状を知ることになる。
裏切り者の存在を信じざるを得ない証拠があってもまだ希望にすがりたい夏菜にとって、この事実は重すぎた。
323予定調和:2010/03/06(土) 23:48:45 ID:Cq04AHDH
「白石と黒松が月夜女姫の言っていた裏切り者だった。赤坂は……その2人に攫われた」
「えっ、嘘……裏切ったってどういうこと?」
「もう2人とも黒の一族と何ら変わらなかったよ。おそらく月夜女姫は普通の人間を同族に変えてしまう力があるのだろう。
 信じられんが、あれを見せられたら信じるしかない」
この中に裏切り者がいるという、月夜女姫が言っていた通りだった。
晴川はまさか黒の一族に体まで変化させられているとまでは思っていなかっただけに、ショックが大きい。
「ならこんなところでのんびりしてる場合じゃないでしょ!早く春ちゃんを助けに行かないと、春ちゃんまで黒の一族にされるってば!!」
「2人で行ってどうなる?返り討ちにされるだけだ」
「でも……」
「赤坂のことは諦めろ。あいつらに攫われた以上、無事に帰ってくることはないだろう。辛いだろうが、今は月夜女姫を倒すことだけを考えろ」
春香を見捨てるという選択。救出に行ったときにこちらに勝算があればそのような行動は考えられないが、
戦力に大きな開きがある今はこのような非情な選択をしなければ一網打尽にされかねない。
「それで私が『はいそうですか』って納得できると思う?2年以上一緒にやってきたんだよ、今更見捨てられるわけないじゃん!
 私はそこまで割り切れないよ……」
強すぎる結束力がここにきて仇となる。晴川は仲間を助けたいという夏菜の気持ちは痛いほど理解できた。
だからといって今は感情だけで動いて玉砕していい場面かというとそうではない。
「確かにお前は俺を含めた5人の中では1番強い。火力と俊敏な身のこなしは群を抜いているし、
 障壁は張れないが攻撃を食らってもある程度は持ち前の根性で耐えられるだろう」
実際、夏菜の活躍がなければここまで黒の一族を減らすことができたかどうか怪しい。今
回も攫った相手が普通の黒の一族ならば迷わず助けに行っている。1人だけでも残ったのが夏菜なら、晴川と2人で組めば十分に勝算はありえた。
ただ、その相手が月夜女姫では分が悪すぎる。勝機のない襲撃は晴川たちの損害を増すだけだ。
「しかしそれで俺たちが月夜女姫を倒せるかどうか、それはお前も理解できないわけじゃないだろ?」
夏菜は答えに詰まり、顔を伏せた。
やってみなくちゃわからない、というありがちな言葉はもう通用しない。過去に何度も苦渋を味わわされたのは紛れもない事実だからだ。
「皆、どうしてこんなことに……」
不安で泣き出しそうになるのを堪え、明らかに無理をしている顔で夏菜は強がった。
「そう、だね……私たちがやってるのはこの世界の未来が懸かってる戦いなんだから。
 春ちゃんには悪いけど、こっちは準備を整えてから行かないと犬死にになっちゃうし」
非情な選択をしなければならないほどの状況に、絶望感が漂う。
「ところで、お前も黒の一族になってたりはしないよな?」
「わ、私は白石さんや冬子ちゃんみたいに演技が上手くないから無理かな……」
「そうだよな、お前がもし寝返ってて味方のふりをしようとしてもオーバーアクションですぐにばれそうだしな」
「うーん、変な点で信用が得られてて複雑だ……」
もう戦える者が2人しかいないという絶望的な状況でも、雇い雇われの関係を超えた決して揺るがない絆の強さが晴川と夏菜の間にはあった。



月夜女姫が予告した日の午前0時。各局が特番体制を組んでいるらしく、どこも似たような内容を放送していた。
テレビに映し出されたのは、月夜女姫と囚われの身となった春香だった。
月夜女姫は体のラインが曖昧になるほどのゆったりとした豪勢な漆黒のドレスを着込んでおり、
背中の部分だけばっくりと開いていて大胆に露出させていた。尖った耳には銀白色のイヤリングをしている。
「テレビをご覧の皆さん、こんばんは。私がこの日本を支配する黒の一族の長、月夜女姫よ」
「何よこいつ、女王様にでもなったつもりなの?偉そうに……」
テレビを観ている夏菜は毒づいたが、現場にいるであろう撮影スタッフは物音すら立てなかった。
「今日は皆さんにお知らせがあるわ。ここ、ホワイトウイングの元本部に囚われているのは、ホワイトウイングのメンバーの1人、赤坂春香」
「春ちゃん、ぐったりしてるみたいだけど大丈夫かな……」
側に走るパイプに手錠で両手を繋がれて座ったまま軽く万歳をしている格好の春香だが、目にはしっかりとした意思の光が感じられまだ敵の手には堕ちていないように見えた。
「今から24時間以内にこの赤坂春香を他のホワイトウイングのメンバーが助けに来ない場合、避難所とその周辺にいる人間を皆殺しにするわ。
 どの避難所でどの程度の範囲になるか、いつ皆殺しにするかは私の気分次第で」
324予定調和:2010/03/06(土) 23:55:48 ID:Cq04AHDH
撮影スタッフもそこは聞かされていなかったらしく、テレビの向こうもざわつき始めた。
「静かに。大丈夫よ、きっとホワイトウイングは避難所の人たちを見殺しになんてしないわ。正義の味方だもの、当然でしょう?」
月夜女姫はテレビの中にいるのにも関わらずまるで直接射竦められた気がして、晴川と夏菜はぶるっと体を震わせた。
「こいつ、赤坂を出汁に何万人もの人を人質にとりやがった」
「ど、どうすんのよ……」
「ああ、そうそう。わかってると思うけど、普通の軍隊を投入するのは死人が増えるだけだから止めておきなさいね。
 では、最後に囚われた春香ちゃんの言葉を」
画面が春香のアップになり、月夜女姫が画面外に消える。
ぐったりしているように見えるが外傷は見当たらず、精神的に少し参っている程度らしい。
「あの、あたしがふがいないせいでたくさんの人に迷惑をかけてしまって……その、謝ります。ごめんなさい。
 まずあたしを拘束している犯人ですが、月夜女姫とその妹、白石さんと冬子ちゃんの4人です。
 さらに晴川さんは知っていると思いますが、月夜女姫は普通の人間を黒の一族に変える力を持っています。
 晴川さん、あたしにはどうしたらいいかわかりません。助けに来て欲しいのは確かですが、
 まともにぶつかるとどうなるかはわかっていると思います。だから、無理は言いません。
 できるだけ多くの人が幸せになれる方法を考えてください。あたしは晴川さんのこと、信じてますから」
「春香ちゃん、そんなふうに綺麗事しか言わないとカンペがあるんじゃないかって疑われるわよ」
「あ、あたしは別にそんなつもりじゃ……」
「こんな極限状態でも台本に書いたような台詞が言えるとはねえ。ホワイトウイングはさぞかし厳しい訓練を課しているのでしょうね」
「……」
これ以上月夜女姫と会話を交わしても視聴者によくない印象しか与えないと思った春香は、キッと月夜女姫を睨みつけたまま押し黙る。
自分との付き合いが長い相手に正論で言いくるめる自信もなかったし、下手に刺激して余計に不利な状況になるのも困る。
「では、春香ちゃんはもう言いたいことがないみたいなので、ここまでにしましょう。じゃ、カットしてー」
どの局もほぼ同時にニュース番組に切り替わり、先ほど流れていた内容を繰り返していた。
「操られて言わされてるわけじゃ、なさそうだな」
「私は春ちゃんがあそこまで堂々とした態度を取れる人だったとは思ってなかったわ。
 春ちゃんってこういう場面になったら『はわわ、えっと、その、どうしようどうしよう』ってなるタイプだと思ってたし」
「お前、2年以上ホワイトウイングで一緒に活動してきて赤坂のこと何にもわかってないんだな。
 赤坂はちょっとしたことならすぐあたふたしてしまうが、一度肝が据わるとああ見えて打たれ強いんだぞ」
その「一度肝が据わった」状態というのが本当に窮地に立たされたときにしかならないので、
今の春香はテレビに映された見た目以上に追い詰められていることになる。





この続きは次回までゆったりお待ちください。
325名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 00:09:11 ID:fB8eyMP5
続きが気になるほど面白い内容でもないし
SSとしては展開が遅すぎるな
326名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 00:29:22 ID:OCTN5SzP
長くなるならブログかサイトにやれ、と言われるよ?
327名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 00:55:50 ID:VksZaA1i
冗長の感は否めないし、どうにも比重が悪堕ちよりバトルに向いてるきらいもある
大がかりな展開はちょっと面白いけど、それに振り回されてる感じかな
正義側のリーダーがただの外道だというのは受けるけどw

まあとりあえず書いてしまえばいいと思うけどね
そして次はプロットと推敲をしっかりすることをお薦めする
328名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 01:22:03 ID:dxrJAnnA
この板はSS板であり、エロパロ板だからな
SSを拒否する声が板違いであると同時にエロくないSSも板違い
329名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 01:26:09 ID:SHxis/sE
途中でエロ含むんならここじゃなきゃダメじゃね?
330名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 01:30:47 ID:2/Jfb+bw
悪堕ち自体にエロスを感じているおれのようなやつは直接的なエロ表現はむしろなくてもいいくらいだが
しかしまぁ>>316->>324は読み物になってしまってる感は否めない
楽しませてもらってはいるけどSS投下向きな作品ではないかもね
331名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 02:18:19 ID:vqyxuWQL
もうちょっと読みやすい書き方を工夫しないとこれは敬遠されるって
332名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 03:43:08 ID:mow8RTmk
洗脳シーンだけで抜ける俺に隙はなかった
正義側が敗北フラグをバシバシ立てるもんだからきっちり洗脳完了大勝利で終わりそうで安心して待てる
333名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 04:05:06 ID:lAXjbb19
みんな厳しいなぁ。
それでも楽しみに読んでる人はいるから、くじけなさんなよー。

唾液まみれの首筋えろすw
334名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 05:48:51 ID:8ahO+rh9
洗脳シーンが俺にとってはエロ

だって、普通のエロなら他のSS見ればいいじゃん
335名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 08:08:37 ID:Bwx4ZFVa
どこまでも>>298が真理だなあ
336名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 08:59:09 ID:UvyL2+XV
つまり作者は頑張ればいいわけですよ
337名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 11:42:35 ID:n5KIhuxG
>>313
勝手にインスパイアされてSSおこしてみたよ。
直接的エロは短いけどあるよ。
異形化があるけれど、かなりライトですよ。
338悪説 桃太郎:2010/03/07(日) 11:43:20 ID:n5KIhuxG
あるところに、鬼達が住む楽園がありました。
鬼はは人間と同じ姿をしています。人間と違うのは、頭に角があり、力が人間に比べて大層強いこと。
たったそれだけのことで、彼らは人々から強くうとまれていました。
ですから、やさしく温和な心を持つ彼らは、人間達と仲良くしたいと思っていますが、その願いは中々叶えることはできません。
元々、彼らは人間達の住む里から離れた、山の奥ふかくに住んでいたのですが、人間が生活の場を拡げたことで、だんだんと住処を追いだされてしまいました。
住み場所が無くなった鬼達ですが、彼らは人間達を責めません。
人間達は生活の場所を拡げるに相応しい発展をしただけなのだと受け取ったのです。
山が完全に人間の物になると、彼らは海へでて、人間達の住処から離れた島に向かうことにしました。
何時かこういう日が来るのではないかと、鬼達は遥か昔から、山の木で作ったイカダを備えていたのです。
人の寝静まった夜に、ひっそりとイカダを浮かべて、海を渡ること半日。
次の日の昼には島についておりました。
まだ人間も、もちろん鬼さえも、住んではいない島。
そこにはおいしい果物のなった木々が並び、美しい獣達が静かに暮らしている、まさに楽園でした。
元々は山に住んでいた鬼達です。新しい自然の中でも、すぐに溶け込み、彼らの文化を築いてきます。
いつしか、そこは鬼達の住む島、「鬼ヶ島」と呼ばれるようになりました。

これからする話は、鬼ヶ島が出来てから200年の時が過ぎたころのお話です。

ある日、鬼六が田んぼ仕事をしていると、
明るく元気な声が聞こえてきました。彼が声のする方を振り向くと、美鬼が美しい色の果物を手に持ち、走ってくるところが見えました。
「美鬼じゃないか、嬉しそうな顔をして、どうしたんだ?」
美鬼はその名が現す通り、器量のいい、元気な娘です。鬼六は、彼女のことを慕い、また彼女も鬼六のことが好きでした。
「忙しいときにごめんなさい。鬼六さん、これ差し入れです」
そう言って差し出すのは、あの可愛らしい形をした果物です。
「おお、桃じゃないか。珍しいなあ。俺はこれが大好きなんだ」
大きな体をしていながらも、鬼六は甘い物に目がありません。一口かじり、うまいうまいと大喜びです。
「人ノ島へ行った夏鬼から送られてきたの。今向こうでは大人気なんだって」
美鬼は笑顔で言いました。
人ノ島に旅立った三人の鬼、夏鬼、絹鬼、真鬼は、美鬼の幼いころからの親友です。
彼女達は、人間達が自分たちと仲良くしてくれるかどうかを知るために、自分達から人の都へと出向いて行ったのです。
「むこうでは、桃がよく採れるんだろうなあ。行ってみたいなあ」
舌なめずりをしながら、夢見る様子で鬼六は言います。彼も他の鬼達同様、人間達と仲良くすることを強く願っているのです。
「大丈夫よ、鬼六さん。この桃が届いたのはきっと、三人が人間達と仲良くなった証よ。私達の夢ももうすぐ叶うわ」
そうだなと、鬼六は笑い、つられるように美鬼も笑いました。二人の笑顔は、鬼ヶ島を照らす太陽のようでした。
339悪説 桃太郎:2010/03/07(日) 11:43:50 ID:n5KIhuxG
「桃様、これで1週間になります。このままではあの娘は餓死してしまいます」
ここは人間の住む都、その中でも最も美しいと噂される建物、桃之御殿です。
御殿の主人犬山桃太郎は、召使いの言葉を聞いても露ほど表情を変えません。
「だが、他の娘は口にしたのだろう」
「はい、絹鬼、真鬼は、桃様の力を封じ込めた『きび団子』を口にしました」
「変身はどのぐらいかかるかな」
「真鬼は既に犬の力を手にし、絹鬼は後僅かで鳥の力を手にすると思われます」
召使いの言葉に、桃太郎はほくそ笑みました。
それは、仕えて10年になる召使も、思わず背筋にぞくりと、震えが走るほどの冷たい笑みでした。
「今から真鬼の様子を見に行く。支度をせい」
 
御殿には、見とれるほどに美しい庭もあれば、ほおが落ちる程の食べ物もあります。
ですが、多くの者たちは地下にある、大牢獄のことを知りません。
桃太郎を案内する召使いは、この薄暗い牢を知る者の数少ない一人です。
この場にはそぐわない、きらびやかな衣装をまとう桃太郎は、石の敷き詰められた廊下を召使いと歩いていきます。
やがて、一つの牢に辿りつきました。厳重な鎖が、扉に付けられています。
「ここか。鬼娘、真鬼がいる牢は」
「はい、今開けますので……」
召使いが鎖に付けられた鍵を開けます。
先に危険が無いか確認しようと言う召使いですが、桃太郎は、
「俺を襲えば切るまでよ」
そういい、桃太郎は何のためらいもなく、牢に入って行きました。
牢の中には、鬼娘の一人、真鬼がいました。体には犬のような白い体毛、長い耳が生えています。
可愛い尻尾がゆらゆらと揺らす様は、鬼と言うよりも犬そのもののように見えます。
彼女は石の床に横たわって寝ていましたが、主人の匂いを感じ取ったのでしょうか、びくりと体を震わせて、目を覚ましました。
短く切った髪は男の子のような溌剌さです。
柔らかく豊かな胸、細い手あし、そしてしなやかな腰をもった彼女は、とても元気で健康的な雰囲気を持っていました。
犬のような体毛は、彼女の乳房、下腹部を覆い隠していますが、彼女の備える色気を損なうものではありませんでした。
それどころか、ますます妖しく、美しいものにしている、そう桃太郎は思いました。
「真鬼」
桃太郎が、尊大な調子で真鬼に語りかけました。すると、真鬼は途端に頬を赤らめ、媚びるような目で桃太郎を見上げました。
「ずっと待っていました、桃太郎さまあ」
甘い声、熱い吐息が彼女の唇から放たれます。まるで、発情した犬が見せるような、淫靡な仕草です。何かをおねだりするように、彼女は膝をすり合わせていました。
「どうだった、きび団子の味は。えも言われぬ美味さだっただろう」
桃太郎の声一つ一つが、彼女の興奮を燻ぶるようです。首を縦に振り振り、彼女は答えます。
「はい、とてもおいしかったです。あんなおいしいものを食べたのは初めてですっ!」
「そうか。だが、あれで満足してはならん。この世にはもっとうまいものがあるのだ」
 そう言って、桃太郎は真鬼のあごを指で軽く持ちあげました。とろけた真鬼の顔は、桃太郎に見つめられて、さらに溶けだすかのようでした。
「これから手伝ってほしいことがあってな。お前が俺の言うことを聞くなら、お前を満たしてやらんことはない」
主人の手が彼女の胸に伸びます。体毛の上から感じる主人の指の感覚に、すぐに真鬼の体が悦びを感じ始めます。
びくびくと震える体は、彼女の興奮のあおりをうけ、ますます快感をせがみます。
「はあっ、ごしゅ、はあっ、はぁ」
外に伸びた桃色の舌は、熱い口内から逃げだそうとしているかのようにも見えます。
その様子を満足げに見つめる桃太郎は、いじっていた彼女の乳房から手を離しました。
「あっ、ご主人様、もっと……」
未練がましそうに腰をくねらせる真鬼に、桃太郎は言います。
「最高のご褒美は、主人の与える仕事を終えてから楽しむものだ、真鬼。言っただろう。手伝ってほしいことがあるのだ」
もう一度、彼は真鬼の瞳を見つめました。
「お前は俺のためなら何でもするか」
「はい、わたしは御主人のためならどんなことだってやり遂げて見せます」
「かつての友人を陥れるようなこともできるか」
「できます!」
元気に言う彼女は、桃太郎が満足するほどに、冷酷さを秘めた笑顔で言いました。
340悪説 桃太郎:2010/03/07(日) 11:47:43 ID:n5KIhuxG
真鬼の牢から離れた場所で、捕えられた鬼娘の一人、絹鬼は、必死に自分と戦っている最中でした。
飢えに耐えきれず、差し出されたきび団子を口にしてしまってから、彼女の体にも真鬼と同じように、変身が始まっていたのです。
彼女は鳥の力を得ようとしていました。既に背中からは美しい玉虫色をした、鳥の羽根が生えています。
「……いあ……いやだ……」
彼女は、まだ幼い体を自らで抱きしめるようにし、床にかがみこんでいました。
そうしている間にも、本来の彼女の優しい心は一つ一つばらばらにされていき、これまでになかった新しい感情、残酷な気持ちがあふれていきます。
「わたしがわたしじゃなくなる」
声も、感情を徐々にうしなった、抑揚のないものになってきているのに、彼女は気づいていました。
流し続けた涙ももう出ません。涙を流すということが、どういう感覚であるのかを、彼女はもうすっかり忘れていました。  
凶気をはらんだ瞳の光は、ただ虚ろに前方の扉を見つめていました。
すると、彼女の目の前で、扉が開いたのです。
「ほう、これはなかなか面白い見せ物だな」
絹鬼の主人、いや、彼女達を捕え、きび団子を食べるように仕向けた人間、桃太郎でした。
はばかりない、好奇の視線を投げかけられて、絹鬼の中に、自身でさえ戸惑いを覚える程の、強い殺意が湧きおこりました。
「そうだ。俺が欲しいものはその凶気」
悠々と桃太郎は、絹鬼に近づいていきます。彼女の美しい髪に桃太郎が触れました。すると、先ほどまで彼女が抱いていた殺意はかき消えて、
かわりに深い安心感がやってきたのです。
341悪説 桃太郎:2010/03/07(日) 11:48:07 ID:n5KIhuxG
「だめっ!」
彼女は叫んで、顔をそむけました。
桃太郎に心を一瞬でも許そうとした、自分を恥じるかのようでした。
「これは残念だ。お前はかなりの人見知りらしいな」
桃太郎はこの状況を楽しんでいました。そして、外に隠していた、絹鬼の仲間の名を呼んだのです。
「真鬼。出番だ、絹鬼を慰めてやれ」
「ご主人様、おまかせくださいませ」
その声と共に牢へ入ってきた真鬼の姿を見たときの絹鬼の表情は、驚きというよりも、恐怖に近い物でした。
絹鬼の友達の真鬼が、まるで犬のような姿に変わり果てていたのですから。
そしてその恐怖は、真鬼の姿を「美しい」と思ってしまった自分にも向けられたものだったのです。
「へえ、絹鬼ちゃんは鳥なんだ。すごくきれいな羽が生えてる」
真鬼は、全く恐れることもなく、絹鬼に近づいていきます。
姿は変わっても、心までは変わっていない。そう絹鬼に思わせるほど、真鬼はあくまで「いつも通り」でした。
でも、普通はこんなに恐ろしいことがあったなら、どうかなってしまうものではないでしょうか。
そう思うと、絹鬼は急に、真鬼の自然さが不気味に思えてきたのです。
「こないで!真鬼ちゃんは普通じゃないよ!」
「何を言っているのよ。わたしはきび団子の力で生まれ変わっても、わたしのままだよ。
絹鬼ちゃんも食べたんでしょ?なら、わたしがどんなにしあわせなのか分かるはず」
嘘だと絹鬼は思いました。
きび団子を食べても、わたしはわたしのままという、真鬼の言葉には嘘があるのです。
だって、このやりとりの間にも、絹鬼は自分の心が、とても邪悪なものに塗り替わっていくのを感じていたのですから。
葛藤の間にも、変身は続きます。絹鬼の足の指から、鷲のようなかぎ爪があらわれ始めました。
変化とともに、何とも言えない気持ちよさが体を包みます。
「いやあ、ううう……」
目を固くつむりながらも、変身がもたらす気持ちよさに耐えることができません。
ですが、真鬼も、絹鬼が今感じているような気持ちよさの末に、あんな姿になったのだと思うと、心をゆるすことはできないのです。
「無理しなくていいの」
震える絹鬼に、真鬼はやさしく囁きました。
耳元で囁く真鬼の顔は、先ほどの笑顔とは一転、冷たい表情に変っていたのですが、絹鬼には分かりませんでした。
「たとえ、あなたが変わっても、わたしはずっと友達でいる。約束よ」
表情が変わっても、その可愛い声には全く邪気が見えません。
絹鬼の行き場のない心は、次第に真鬼に傾いていきました。
「ずっといっしょ?」
「そう、ずっといっしょ」
真鬼の指が絹鬼の人さし指に絡みました。
指きりゲンマン、嘘ついたら針千本飲ます。
固く閉じていた絹鬼の目が、ゆっくりと開きました。見るものに恐怖を与え、委縮させる、鋭い眼光が溢れています。
「ありがとう」
感情のこもらない声で絹鬼が言ったあとすぐです。彼女の身体は、一気に鳥の姿へと変わっていきました。
手足の鋭いかぎ爪、ピンと伸びた尻尾。薄い胸には、羽の色と同じ、玉虫色の衣が覆っていきます。
急速な変身を見て、微笑をたたえているのは桃太郎だけではありません。
犬奴隷となった真鬼も、変身を続ける絹鬼自身も、この異常な事態を楽しんでいました。
心の底から楽しんでいました。
342悪説 桃太郎:2010/03/07(日) 11:48:51 ID:n5KIhuxG
最後の牢には、真鬼と絹鬼をまとめるお姉さん役のような鬼、夏鬼がいます。
彼女の目の前には、とてもおいしそうなきび団子が置かれています。
たった一つの、それも一口でほおばれるほどの、とても小さな団子ですが、それでもお腹が減っている夏鬼にとっては、喉から手が欲しい程の食べ物だったのです。
ですが、彼女がそれを口にしないのには理由があります。彼女を捕えた桃太郎が言ったのです。
「このきび団子をくえば、お前は俺のものになる。体が強く変化し、心も邪悪に染まってな」
その言葉を聞いているのですから、手を出そうとしてもだせないのです。
「真鬼たちは今どうしているの」
弱った声でつぶやく夏鬼は、もう立ち上がる元気もありませんでした。
長い髪を床に垂らして、じっと時間が過ぎるのを待っていました。ですから、牢の扉が開いても、すぐにはその方向を見ることもできませんでした。
「夏鬼。お前の仲間を連れて来てやったぞ」
彼女を捕えた桃太郎の声です。その声を聞いても、抵抗そぶりも見せないほど、夏鬼は弱っています。
ですが、聞きなれた声が耳に届いた時、夏鬼にまだ残っていた元気があふれてきたのです。
「夏鬼さん、まだきび団子食べてないの〜」
「わたし達と同じように、桃太郎様に染めて頂いたらよろしいのに」
まぎれも無く、真鬼と絹鬼の声です。ですが、彼らの言っている意味が分かりません。
つかの間の元気は、不安に塗り替わってしまいました。
(二人は何を言っているの)
頑張って顔をあげ、夏鬼は二人の声のする方を見ました。
彼女達は以前とは違う姿に変貌していました。
犬と鳥。驚きの声をあげようとした夏鬼ですが、夏鬼が驚いた顔をした時にはすでに、獣のように変身した真鬼が、素早い身のこなしで夏鬼に襲いかかっていたのです。一瞬で、真鬼に羽交い絞めにされてしまい、身動きが取れなくなってしまいました。
「ちょっと、真鬼!どうしたのよその格好!絹鬼も!普通じゃないよ!!」
暴れようとする夏鬼ですが、きび団子によって力を得た真鬼は、鬼達が驚くぐらいに強い力を持っていました。
真鬼の熱い吐息が、夏鬼の首筋にかかります。
「はやく食べてよ夏鬼さん。わたし、夏鬼さんがどのような姿になるか、楽しみなんだからさあ!」
興奮した真鬼の声は、発情した犬のようです。
「夏鬼さんは恐れているだけなんです。わたしもそうでしたが、今では、なぜ自分があんなに強情になっていたのか分かりません。受け入れるのも勇気ですよ」
きび団子を手に、ゆっくりと夏鬼に近づいてくる絹鬼の顔は全くの無表情で、声にも感動というものがありませんでした。
ですが、その瞳はぞっとするぐらい恐ろしい光を湛えていたのです。
夏鬼は恐ろしくなって、ますます暴れ出します。ですが、真鬼の前では赤ん坊同然でした。
その様子を静かに見守っていた桃太郎がいいました。
「この二人はすすんで俺の出すきび団子に手を出したのだ。こんなにおいしいものは他にないと言ってな」
「嘘よ!」
「嘘ではない。だからこそ、二人は今までの自分を捨てて、俺に仕えているのだからな」
桃太郎との問答している最中にも、きび団子を持つ絹鬼の手が、すぐ顔の前にきていました。
「嫌っ!!わたしは変わりたくない!!嫌よ!!」
歯を固く食いしばり口に入れまいとする夏鬼に、桃太郎は感心したようでした。
「とても強い精神力を持っているな。このままでは、餓死するまでお前はきび団子を口にしないであろうな」
343悪説 桃太郎:2010/03/07(日) 11:49:17 ID:n5KIhuxG
絹鬼の方を向き、桃太郎は命令しました。
「女には下半身にも口があるだろう。そこから食わせてやれ」
「え、うそ!やめて!!いやあああああ!!」
抵抗も空しく、絹鬼の鋭い爪は、夏鬼のまとっていた褌を切り裂きます。夏鬼の秘密の部分が、牢の中にあらわになりました。
「くくく、可愛いものだ、夏鬼。女のホトから食うという贅沢、真鬼も絹鬼もせなんだぞ」 
絹鬼の爪が、優しく夏鬼の核に触れました。その鋭くも甘い感覚は、夏鬼の体の力を一層こわばらせました。
「許して、いや、いや、いやだあああ!!食べる!口を開くから、そこだけはやめて!!」
「なに、既に口は開いているではないか。……絹鬼、夏鬼を少し素直にしてやれ」
いったん絹鬼の手が止まります。そして、絹鬼は夏鬼の瞳を見つめます。
「夏鬼さん。じっとわたしの目をみつめていてください。そう、じっと」
「ああ、あ……」
絹鬼の瞳を見つめたときです。夏鬼は、絹鬼の瞳に自分が吸いこまれていくような感覚を覚えたのです。
再び、絹鬼は夏美の秘密に手をのばしました。
「ははは、存分に楽しめ、夏鬼」
桃太郎のあざけるような声も既に夏鬼には聞こえていないようです。
狂乱状態に陥りながらも夏鬼は、大事なところを慰められて、深い心地よさを感じずにいられません。
後ろからも、真鬼の甘い吐息が鼻孔をくすぐってゆきます。
その吐息が体に入ると、夏鬼の心には淫らな思いが湧きおこり、体も熱く、さらに熱く、溶けだしていくように興奮していったのです。
いつの間にか、夏鬼は興奮に耐えきれず、真鬼のように発情した吐息を漏らしていました。抗いの言葉はもう発していません。
下の方も大変なことになっていました。
絹鬼の指は、いつの間にか、水っぽい音を立てています。
夏鬼のたまらない興奮が、彼女の体を濡らし、絹鬼の指にも注いでいたのです。
「ふああっ、ああ、いいの、もっと、ほし……」
僅かな時間で、淫乱になってしまった夏鬼ですが、これは仕方ないことなのです。
彼女の精神は、桃太郎達が牢に足を踏み入れる前から半ば壊れていました。
そこに、真鬼の甘い息、絹鬼の眼を受けては、どうしようも無いのです。
絹鬼の瞳を見つめた者は、心の全てを絹鬼にさらけだし、意のままに操られてしまいます。
また、真鬼の甘い吐息を吸った女はみな、性欲に身をたぎらせる牝と化し、我を忘れるのです。
彼女達の力を、何の抵抗もうけることなく受け入れるほど、夏鬼は弱っていました。
耐えろ、というほうが酷という物でしょう。
二人の責めによって淫らに染まった夏鬼の股からは、食べ物をせがむかのように、女だけが放つヨダレが溢れては地に落ちて行きました。
「さあ、夏鬼。食事の時間だ。存分に味わえ」
その言葉と同時に、絹鬼の指がきび団子を夏美の肉壺に入れてしまいました。
「ふあああああ!!」
それだけのことで、夏鬼は快楽の果てに達してしまったようでした。
天を仰いで、口をだらし無く開いています。力を失って倒れそうな彼女を、しっかりと真鬼は抱きとめていました。
「そろそろだね!夏美さん!」
「怖がることはありません。力に身を任せてください」
真鬼と絹鬼の言葉を、夏鬼はぼんやりとした様子で聞いています。自身をすでに失ったようです。
彼女の変身が始まったのはすぐのことです。
抜けた筈の力が、また体に戻ってくるのを夏美は感じました。
徐々に体が動くようになります。力が完全に戻りました。ですが、まだ力の奔流は止まりません。
「ああ!?ああああ!うがっああ!!!」
彼女に、なめらかな山吹色の毛が生えてゆきます。
同時に、引き締まったお尻からも、細長い尻尾が生えてきました。
「かわる。わたし、かわるんだ」
うわごとのように言う夏鬼の表情に、嫌悪は全く現れておりません。それどころか、口元には笑みさえ浮かんでいます。
いつの間にか、真鬼は夏鬼を離していました。真鬼は欲情にまみれた顔を隠そうともしていません。
絹鬼も、相変わらずの無表情ですが、目には喜びの色が浮かんでいます。
美しくも細い彼女の体に、体内のきび団子がさらに「力」を送り込みます。
既に彼女の体は、詰め込まれていく「力」に、今にもはちきれそうになっていました。
狂気をはらんだ力は、彼女の精神を侵していきます。
そしてついに、夏鬼は溢れる力に心を支配されてしまいました。
「あああ!!があああああああああ!!!!!おああああああああああ!!!!!」
夏鬼は、背を大きく反らせて、地下牢中に響くかのような、狂気の叫びをあげました。
この時、夏鬼は桃太郎の僕として生まれ変わったのです。
344悪説 桃太郎:2010/03/07(日) 11:49:54 ID:n5KIhuxG
変身が終わりました。美しい肢体にまとった山吹色が、艶やかに動きます。夏鬼は猿の力を手にしたようでした。
限度無く、体に力を蓄えておける能力です。
「ご主人様」
夏美は桃太郎の前にひざまずきます。
「わたしは馬鹿でした。早くきび団子を頂いておりましたら、すぐにでもこの姿を桃太郎様にお見せできましたのに」
心の底から悔しそうな声を出す夏鬼の頭をなでながら、桃太郎は言った。
「謝らずともいい。俺は嬉しいのだ、夏鬼。お前が美しく変身してくれたのだからな」
「ありがとうございます、ご主人様!」
 


人ノ島で何があったのかを知らない鬼六と美鬼達は、送られてきた桃に期待感を寄せていました。
この桃はきっと、人が鬼を受け入れてくれた証なのだと。

彼らは知りません。1カ月後に、かつての仲間を率いた桃太郎が、鬼ヶ島を自分の物にしようとやってくることを。

彼らは知りません。送られてきた桃は、桃太郎からの宣戦布告の証だということを。
345悪説 桃太郎:2010/03/07(日) 11:51:26 ID:n5KIhuxG
これで終了です。昔話には悪堕ちできそうな話が意外と多い?
346名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 12:14:23 ID:aPcfj3WS
そういやあかぐや姫は天人の衣を着た瞬間に人間だった頃の色々を忘れたって設定だった希ガス。
347名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 12:28:55 ID:zy6CcB4B
おかしい
いつもの誉め殺しのターンじゃないぞ
どうしたんだ?
悪いもんでも食ったのか?
348名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 13:17:13 ID:+50nWbRn
>>347
誉め殺しは故人に使って二度殺すもんだとヴァルキリープロファイルで言ってた
349名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 13:47:45 ID:tQiojgJZ
>>345
GJ
とても楽しめました。
恐るべしきび団子。
350名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 13:50:57 ID:zy6CcB4B
>>349
こんな感じのレスが正当なんだよ
おっかしいよなあ
351名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 14:19:23 ID:yI8fJiQ7
個人的には全身変化より獣耳とか羽が生えるような
部分変化の方が興奮するんだがなかなかどうして。面白かった。
352名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 20:45:08 ID:aa/AMUkA
この前の嵐のせいか皆気を遣って情報出さなくなったな
353名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 20:53:01 ID:mow8RTmk
堕ち描写はとても良い
しかし、美しい猿鬼というものが俺にはイメージ出来ぬのだ……
口惜しいのう……
354名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 21:15:57 ID:x8wWkqR+
情報出さなくなったというか、本当に何かあれば情報出すが
とくに大きな変化もないのにわざわざ書くこともないというだけ
355名無しさん@ピンキー:2010/03/07(日) 21:39:38 ID:xHr7XCUt
>>306
スレの伝統ネタにマジレスだろうけど
なんとか戦隊なんとかジャーとかいうサイトさんな
そうでなくとも長い目でみれば
あのサイトのアクセス数が増える分
各サイトに個々人が更新チェックに訪れるアクセス数は減るだろうしなあ
356名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 00:16:29 ID:rrAoOdcN
これくらいの長さだと普通に反応あるんだよな
いくつもパート分ける様なSSだと単純に読む方のテンションが保たないんだと思った
357名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 00:35:44 ID:iQmF+6Z4
長さは関係ない
悪堕ち分が低い短編よりも、
長編でも悪堕ち分が高いほうが断然貴重
このスレで二十くらい投下しながら神作と呼ばれた作品だっていくつかあるんだから
358名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 01:44:26 ID:wJ7ldd0i
俺の悪堕ちポイント
嫌がる→大好き、連鎖堕ち、主従関係
が全部ツボにはまってていいなぁ
359名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 01:45:56 ID:psPHxAez
文章量に比べて悪堕ち描写が少なくても
密度が高いから好きになる作品とかあるし

悪堕ち分がどれだけ多いか高いか、これに尽きるんじゃないかな
質量と密度どっちも大事だと思う
360名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 02:16:31 ID:26Efzfos
おっぱいの良さにも通じる話だな
361名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 04:55:08 ID:k+CvQPxh
かなりよかった
戦隊ものにしか反応しないおれも興奮した
362名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 07:07:02 ID:LaOZ3V0O
強制悪堕ち・・・・・・・・・イイ!!
ただもっと濃厚な堕ちシーンが欲しかった
363名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 10:09:39 ID:MC98sPHb
そういや昔はインスパイヤされますた!系が多かったね。
今回の悪桃太郎みたく、将棋エロくね?とかな感じからなの
364名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 20:00:43 ID:Q88cKQNT
将棋は恒例過ぎるな
もう7〜8年くらい言い続けてるだろ
365名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 22:08:06 ID:XULPVikC
御伽噺といや月光条例って漫画でもろに悪堕ちが結構あるな
うしとらの人だから絵の汎用性は低いだろうが個人的には一寸法師の姫がいけた
金棒の棘が触手みたいに伸びて巻き付いて行き、目がマグロ目になっていく
1Pだけどね
366名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 22:19:10 ID:F89jDQU5
あれは…色んな意味でキツイんで俺はおすすめしない
367名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 23:25:57 ID:tbyp+LbO
将棋シリーズは完結してるじゃないか
368名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 00:17:47 ID:4XKdEgHs
王手飛車堕
369名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 00:31:14 ID:4VQjWgO8
飛車・角二枚堕ち。
370名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 02:21:15 ID:6V9KOIWR
GジェネのMS・MAを少女に変換して捕獲を悪堕ち、開発を改造、設計を交配と考えてみる
自軍戦力になったMS少女たちに元同僚を捕獲させて連鎖堕ちとかいけそうな
371名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 02:27:09 ID:9BkHil3f
連邦軍に拉致られ寝返ったザク子にハァハァ
372名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 05:43:38 ID:FBpExsED
その姿 見るに忍びないな
もっとやれ
373名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 07:54:22 ID:Bmid0X+o
流石にそこまでは飢えてないな
374名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 09:23:26 ID:CFUgMvFQ
>>365
月光条例は普通におもろいが…

ぶっちゃけ悪堕ちには目覚めんと思うぞ。

ガチで堕ち時の描写がエグすぎる。

むしろ正気に戻った後仲間になったらここまで可愛く化けるものかと驚くくらい堕ち時はエグすぎる。
375名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 18:24:09 ID:2SubgUS1
ブリーチのアニメオリジナルは、ホント悪落ち展開好きだよな。
刀獣とか。
376名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 01:22:22 ID:pGrS5m7h
マンガ葛葉ライドウ対コドクノマレビトに悪堕ち確認
一般人ゲストキャラで鬼切丸みたいな感じ
377名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 02:17:56 ID:K4v7xQIQ
悠久の車輪にも悪堕ちが増えてきたな
もう少し描写が欲しいがアケゲーでは難しいか
378名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 04:00:57 ID:gjmP/gsH
>>355
なんだ、アクセス数減った人が逆恨みしているだけか
アクセス数とか気にしたら負けだろ
379名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 09:33:35 ID:EnigEgoP
悪堕ちの始祖ってイザナミの「黄泉食い」なのかな 異形化とかもまざってるけど
380名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 12:03:08 ID:/rbKHeUI
>>379
前スレ読め
381名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 18:19:45 ID:cDZvF33a
(*´ω`*)ポワワーン
382名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 18:20:06 ID:cDZvF33a
誤爆です。すいません・・・
383名無しさん@ピンキー:2010/03/10(水) 18:25:30 ID:MyC3kdZA
そういや昨日侍チュートのコントで
ハリセンボンの死神がチワワに操られてたよ
384名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 01:11:11 ID:7UtX2BlS
誰得だその情報
385名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 12:31:22 ID:BlegAG8P
改心してライトサイドになった悪の女幹部、公 明党が
悪堕ちして再びダークサイドに・・・
386名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 13:22:30 ID:kYtmP8wF
ライト(右)・サイド'(翼)ですね。

坊や何歳? ここ18禁よ。
18過ぎてて自民党が正義とかねーわー。
自民党の魅力は泥臭い大人の現実主義だろ。
387名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 13:35:11 ID:aeQa+I/F
政界そのものがダークサイドだろ
常識的に考えて・・・

とりあえず非実在青少年で語れや
388名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 14:13:40 ID:T1f1xjDl
これだから中年は…

ここは政治スレじゃねーんだよ
389名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 16:50:33 ID:COCg41ud
>>386
自民党が正義なんてどこにも書いてねェwww
390名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 16:54:14 ID:tH0V/xxT
対立する陣営がどっちも悪じゃな…。
悪「堕ち」が成立しないよね。
だって元から悪なんだもん、寝返り裏切りであっても堕ちじゃない(´・ω・`)
391名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 17:02:13 ID:aeQa+I/F
>>389
そう書いてあるように見えるのも確かなんだな
392名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 19:01:58 ID:CPcuOi1n
政治家娘悪落ち物を前に書いてた人がいたな
あれ結構好きだったんだが
ネーミングはともかく内容は本格的だったし
393名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 19:18:33 ID:T1f1xjDl
だから政治スレにいけよ中年たち
悪堕ちと無理やり結びつけて悪堕ちの話題っぽくみせようとしても無駄なんだよ
だから中年は疎まれるんだよ
394名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 19:25:26 ID:A851cSiB
ロードオブヴァーミリオンのジャンヌダルクがすんごく悪っぽい
395名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 19:49:20 ID:DuNMw28o
>>393
まあ日本には年寄りと中年とゆとりしかいないってどっかに書いてあったしな。
気にしるな。

>>379
悪堕ちの始祖は「ジャックと悪魔の国」(1962年)だと思ってたわw
396名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 20:06:23 ID:CPcuOi1n
>>393
気に入らない話題の時はスルーしとけ
わざわざ書き込まなくてもすぐ終わる流れだろ
397名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 20:13:32 ID:0Y+55/aF
test
398名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 21:02:26 ID:WAaBjj0L
>>386
君が背伸びしてる中学生ぐらいに見えるぞw
399名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 22:11:09 ID:QcvmlpWG
>「ジャックと悪魔の国」
これは良い
半世紀も前の映画だが、いまだにヌケる自信がある(キリッ
400名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 22:25:58 ID:PGX3+TTL
洋画はダメだ
日本語吹き替えでも無反応
やっぱり日本人にかぎるNE
401名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 22:43:02 ID:0m8sI6sG
実写はダメだ
やっぱり悪堕ちは非実在に限る
402名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 22:52:53 ID:LJUkN3yN
スピーシーズの最初の奴とか好きだぜ
403名無しさん@ピンキー:2010/03/11(木) 23:27:57 ID:7UtX2BlS
スピーシーズ悪堕ちって最初の電車の部分か
あれはハンパなくエロかった
404名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 00:13:13 ID:z2jJJWYy
まさかスピーシーズの流れになるとはな
自ら繭作ってるの
あれはやばかった
405名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 00:56:15 ID:7aus3dz+
>>392
あれはヒロイン3人組の内2人分で終わってしまったので、
せめてあと1人、もしくは最後まで書ききって欲しかったなあ
もしくは、個別ではなく連鎖堕ちにして欲しかった
406名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 02:02:44 ID:EkWlw2Ul
規制とかスレ違いがウザ
ロリコンが必死過ぎ
そん事でスレを巻き込まないでほしい
407名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 04:05:08 ID:TUE1OYur

時々何書いてるかわからん奴がいるよなこのスレ
408名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 04:07:00 ID:9s/WN3Nt
洗脳されてんだろ
409名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 09:10:26 ID:WC84Q1ax
>>400
むしろ外人の方がある意味非実在的でしっくり来るな
自分も下の人と同じであまりこの属性で生々しい部分があると受け付けないらしい
410名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 12:58:56 ID:ykaSA3cG
話を切って悪いが
ヒロインとかが洗脳される場合、主人公は悪と正義のどっちの立場の方がいい?
俺は主人公はあくまでも正義で悪のやつらにヒロインが洗脳されるのが好きなんだが…できればエロはなしで
411名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 13:56:52 ID:w0jtoVCs
俺は逆に悪側視点の方が好きだな
悪視点ってのはなかなか商業ではやりにくいと思うんで
同人や二次創作ならではの魅力ではあるんだよね
だが結局は人それぞれだからなぁ

SS書く為に聞いてるのなら、自分の好きな視点の方で書いた方がいいんじゃないかね
その方が書き易いだろうし、敵側に感情移入する読み方もあるから俺はそれでも歓迎したい
412名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 16:53:13 ID:ykaSA3cG
いやいや、ssを書くためじゃないよ
ただ、エロゲとかってほとんど主人公が悪で、なんか個人的に悪堕ちって感じがしないんだよね
むしろ、エロゲの快楽堕ちがない一般向けのアニメの悪堕ちのほうが萌えるから、そう考えてるやつとかいるのかな、って思って

しかもエロゲとかの洗脳のCGってキャラのアップにしすぎてカプセルに入れられてても、なにこの異空間みたいなの多いから一気に萎えないかい?
もっとカメラ引いてくれ…楽だからってキャラのアップやめてくれよ
413名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 17:00:43 ID:TUE1OYur
寝取られスキーと寝取りスキーの差じゃなかろか
俺はどっちでもOK
ていうか下手に男主人公の視点が入るくらいならヒロイン主人公でいい
414名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 17:15:40 ID:QUqMcwU0
どっちでもOKという点では、いつもは寝取られスキーの舞方氏も、今回は寝取り話のようだな。
でも、今回の話はヒロイン視点でやったほうがよかったんじゃないだろうか。
415名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 18:32:05 ID:Q6nE300F
そうか?
俺はNTR大嫌いだけど、悪堕ちに関しては男は正義側の方がいい
>>412も言ってるけど、そうじゃないとなんか悪堕ちっていうより改造に近い感じがするんだよな
まあ百歩譲って悪側でもいいけど洗脳とエロを絡めるのはやめてほしい快楽堕ちになるから
416名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 19:46:36 ID:+L5qKHt2
NTRと言えばバハムートドラグーン
417名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 20:01:30 ID:TUE1OYur
>まあ百歩譲って悪側でもいいけど洗脳とエロを絡めるのはやめてほしい快楽堕ちになるから

さすがに関係ない性癖語りを混ぜるなよ、とちょっと思った
418名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 20:07:54 ID:Q6nE300F
スマン
ちょっと言い過ぎたかな
419INHUMAN:2010/03/12(金) 22:34:28 ID:gg5TITjg
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
削除依頼を出して消してもらうかどうか分からないけど、
一応の覚悟はしてなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!
420名無しさん@ピンキー:2010/03/12(金) 23:25:43 ID:GtOInZYi
419 名前:あぼ〜ん[NGName:INHUMAN] 投稿日:あぼ〜ん
421名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 08:02:50 ID:4PTg44nq
快楽=欲望のために他人を踏みにじれるようになるなら悪堕ちだと思うんだけどなあ
422名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 08:42:03 ID:24Hj2Ktf
でもおれも快楽で堕ちるとなんか萎える
423名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 08:51:03 ID:mQ8Y/h55
拷問で堕とすのが好きなんだがこれ萎える人多いみたいな
424名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 08:52:26 ID:ega+EEHf
>>420はスルー。
425名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 09:49:33 ID:xUhSZYIy
快楽堕ちスキーの俺としては逆にビンビンなんだがなぁ
触区シリーズとか大好き
426名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 10:49:18 ID:V1+GSZzw
触区は初代が至高だな。
2はどうもギャグ色が強い。主人公も善人すぎるし
427名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 12:47:52 ID:2wiIE7Ba
快楽堕ちじたいはまぁいいんだけど
快楽堕ちってエロゲ・エロ漫画シチュエーションで
セリフとかがワンパターンで苦手。
428名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 14:02:42 ID:TH50hMja
>>427
悪の大魔王:あーそれそれ
正義の味方:きもちー
悪の大魔王:あーそれそれ
正義の味方:わたしはあくのだいまおうさまのものです
こんな感じか
429名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 15:00:13 ID:xUhSZYIy
連鎖堕ちに特化しててアリナも含めて全部すきだったな
EDが無理やりハッピーエンド感はあったけど

快楽堕ち以外だったら
味方への不信感を煽ったり不満を募らせたりして悪サイドに引き込むのがいいな
悪の組織の方が自分を認めてくれると思い始めたりとか
Zガンダムでティターンズにレコアが行ったみたいな
430名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 15:26:01 ID:t/Xt4zDU
う〜ん、まあでもZガンダムの組織は良くも悪くもどっちもどっちだしなw
431名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 15:36:36 ID:U07AyCAT
そうか?確かに組織の立場は近いが
作中の善悪はわりとあるけどな
432名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 15:57:46 ID:xUhSZYIy
0083とかはどっちもどっちにかかれてるけどZはシロッコが悪サイドでかかれてるからな
まぁそこはおいといて

悪堕ちを後押しはするけど根幹は本人の心の闇なのがポイント
後でその積もった恨みを正義の味方にぶつけるも良し
説得されて心を揺さぶられるのも良し
引き込んだ奴に感謝の意を伝えるも良し
433名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 16:04:15 ID:87pwAdZ2
心の闇を突かれた後、アイテムやパワーで悪堕ちするパターンが一番好きです
434名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 19:01:59 ID:itmguHva
俺は真っ白な正義を洗脳装置とか洗脳魔法とか闇の装備とかで強制的に真っ黒に染めるのが好き
435名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 19:16:56 ID:TVjrtOSb
うんうん
何の心の隙もない正義のヒロインを強制的にと言うのもいいよね。
436名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 19:36:51 ID:24Hj2Ktf
>>433
>>434
うまい酒が飲めそうだ
437名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 19:48:44 ID:3gj4ZCI5
また自分の性癖語りスレになってるな
フェチ板行けフェチ板
438名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 19:51:19 ID:OoksHSU9
自治厨うざいでチュー
439予定調和:2010/03/13(土) 22:21:35 ID:rW04+53t
前回投下したSSに目を通してくださった方々、ありがとうございます。

前回の粗筋
秋生陥落。春香は黒の一族に捕まってしまう。

それでは続きをどうぞ。
440予定調和:2010/03/13(土) 22:27:08 ID:rW04+53t
意識がぼんやりしながらも、あたしは現状把握に努めようとしていた。
視界は真っ暗。目が慣れてきても「どこかの部屋」ということしかわからない。
足は自由に動かせるけど、手は片手ずつ手錠でパイプのようなものに繋がれていて外せない。
そしてなにより、全身を覆っている脱力感。魔法も一切発動できない。
手錠くらいならあたしでも何とかなりそうなのに、何もできない今だとびくともしない。
「あら、春香ちゃん。目が覚めたみたいね」
不意に暗闇の中から先輩の声が聞こえたような気がして、びくっとしてしまった。
気絶する前の記憶がはっきり思い出せないけど、確かあたしは月夜女姫にやられたからここに囚われているはず。どうして先輩の声が聞こえるの?
「赤坂さん、お久しぶりです。本当は昨日会ったばっかりですけど」
今度は蘭ちゃんの声……疲れてるからかな、空耳が酷い。それか夢だ、夢に違いない。
「ちょっと、聞こえてるなら返事くらいしなさいよ」
「ひゃいっ!?」
何か尖ったもので頬をつんつんと突かれて、素っ頓狂な声が出てしまった。もしかして夢じゃない……?
「あの、ひょっとして先輩と蘭ちゃんですか?」
「そうそう。でね、春香ちゃん。今の自分の状況わかってるかしら?」
「わかりません……まず、ここはどこなんですか?」
「ホワイトウイングの元本部よ。だからそんなに怖がらないで」
「え、そこって今は月夜女姫がいるって報告があったような。先輩たちも捕まっちゃったんですか?」
「違うわ。なぜなら、春香ちゃんを捕まえさせたのは私だから」
うぅ、頭がこんがらがってきた。月夜女姫と戦ってやられて捕まってるはずなのに、
先輩があたしを捕まえさせたってどういうことだろ?ひょっとしてやられた後に保護してくれたとか?
それともあたしを奪還するためにここまで来てくれたか。どっちだろ?
「えっと、なんだかよくわからないですけど助けてくれたんですね、ありがとうございます」
「なんか赤坂さん、勘違いしてない?」
「『助けた』という表現はあながち間違ってはいないわね。間違ってはいないけど、おそらく勘違いもしている」
「どういう意味、ですか」
少し真実を知るのが怖かった。小さな灯り1つとない真っ暗な部屋で、私は先輩や春香ちゃんの姿が全く見えないのに、
先輩たちはまるであたしがきちんと見えているかのような話ぶりだからだ。いや、まさかね。暗視スコープとか着けているんだろう、きっと。
しかし次に先輩が発した言葉でその楽観的な予想はあっさりと否定された。
「私が助けたのは『晴川から』ということ。あと、私が月夜女姫である、ということよ」
最初に交戦したときからなんとなく似ている気はしていた。でも、あの時は月夜女の印象のほうが強かったのだ。
先輩本人の口から告げられても、事実を素直に受け入れられない。
「じゃあ、今まで戦ってきた月夜女姫は全部先輩だったってことですか!?」
「そうよ。ここを最初に襲ったのも、あちこち都市を壊して回ったのも、ホワイトウイングを襲ったり惑わせたりして追い詰めたのも、
 全部私。春香ちゃんのよく知っている先輩、天道彩の仕業なのよ」
「そんなわけない!あの優しかった先輩がそんなことするなんて、ありえないです!どうして……ひぐっ」
泣いちゃだめだ。いくら酷いことをしたといっても、先輩にも何か事情があるのかもしれない。
先輩は理由もなく他人を困らせて楽しむような性格じゃない!
「どうしてって言われてもねえ。滑稽だから。それだけ」
「ただ自分が面白いからって理由だけで、何の罪もない人をたくさん殺したりしてたんですか……?」
「そうよ。悪いかしら?本当は普通の人間に配慮なんてする必要は全くないのだけど、無計画に殺しすぎると数が減るからね。
 事前に避難する時間をあげているのだからむしろ感謝して欲し」
「そういう問題じゃないでしょう!!どうしちゃったんですか、先輩。元に戻ってくださいよ……」
こんなの、あたしの知ってる先輩じゃないよ……。
「それは無理ですよ、赤坂さん。お姉様は月夜女様に力を戴いて今の力を手にしたんです。私はお姉様から。
 そこの元ホワイトウイングの2人も完全に堕ちちゃってるし、黒の一族が世界を支配するのも時間の問題だと思いますよ。
 だれもお姉様には敵わないんですから。誰もそんな力を自分から手放したりするわけがないじゃないですか」
月夜女から力を貰った?そんな力が月夜女にあったなんて。そのまだ誰も知らない重要なことを私に教えるってことは、
もしかして、生きて返すつもりがない……?それともう1つ、
「そこの元ホワイトウイングの2人ってどういうことですか!?」
441予定調和:2010/03/13(土) 22:31:12 ID:rW04+53t
「私のすぐ後ろにいるじゃないですか。って、普通の人間の赤坂さんには見えてないんだっけ。ほら、2人も赤坂さんに話しかけてあげたら?」
2人も捕まって先に黒の一族にされたのかな?だとしたら、私もいずれ……。
「あなたがここまで間抜けだとは思わなかったわ。
 だって、晴川より私と接触する機会が多いのに私が黒の一族になっていることに微塵も気付く気配がないんだもの」
「おかげで、私の魔眼にきれいにかかってくれましたね」
「冬子ちゃん、白石さん……そんな」
もう無理だ。既に2人も敵側に回られていては、ホワイトウイングに勝ち目は無い。
蘭ちゃんの言ったとおり、世界が黒の一族に支配されるのは時間の問題。
「冬子ちゃんなんて気安く呼ばないでくれる?まだ私とあなたが対等な立場のままだと思ったら大間違いよ」
肝臓の辺りに何の前触れもなく鈍い衝撃が与えられる。肺の中の空気が押し出されて息をするのが苦しい。
暗闇だから殴られたのか蹴られたのかはわからない。
「ふーん、いつからお前はそんなに偉くなったのかしら?」
「でもこいつは普通の人間ですよ?それにこれから黒の一族になったとしても私より立場は下のはずではないですか?」
「誤解しているようだけど、お前の立場はただの人間よりほんの少し上なだけよ。
 春香ちゃんには蘭と同等のポジションに就いてもらうわ。つまりお前より上ってこと」
「ちょっとそれどういうことよ!私のほうが先に」
「文句あるの?」
姿が全く見えないのに、凍てつくような殺気が全身で感じられた。
月夜女姫と対峙したときでも、これほどの殺気を感じたことはまだない。特に寒いわけでもないのに鳥肌が収まらない。
「……ありません」
「穀潰しが調子に乗ってんじゃないわよ、全く」
誰にでも優しくできて、決して我侭を言わなかった先輩とはまるで別人だ。本当に先輩本人なのか疑いたくなってくる。

でも、テレビを通した犯行声明の後はあたしのよく知ってる優しい先輩に戻ったように感じた。人質の扱いとしては手厚すぎるくらいだ。
食事は今まで食べたことのないくらい豪華なものが出たし、外に出たり外部と連絡を取ったりする以外の要求はほぼすんなり聞いてくれる。
拘束具は全部外してくれたし、部屋の照明も先輩が眩しくならない程度なら許してくれた。しかし全身の気だるさはいつまで経っても抜けず、
魔法もずっと発動できない。そうやってたくさんの無関係な人の命と引き替えに生かされている自分が嫌になって、
2人で逃避行を続けているであろう晴川さんと夏菜ちゃんに申し訳なくなった。

先輩があたしを軟禁し始めてから、既にかなりの時間が経っていた。
犯行声明で言ったことを実行していれば、相当な数の人が犠牲になっているはずだ。
「もう何万もの人間が死んでいるのに何も行動を起こさないとは、
 実は晴川って自分以外の人間はどうなってもいいって思ってるんじゃないのかしら」
「実際に殺してるのは先輩たちじゃないですか!晴川さんのせいみたいに言わないでください!」
「世間の非難の矛先は晴川に向けられてるわよ?」
そんなの、長いものには巻かれることしかできない一部の人だけだ。大多数の人は黒の一族が悪いってわかってるはず。
「晴川さんはそんなことでへこたれたりするほど弱くないです」
「じゃあ、そこに春香ちゃんが黒の一族になって襲って来たらどうなるでしょうね」
「やっぱり、先輩……」
遅かれ早かれあたしもこうなる運命なのは簡単に予想できていたた。
軟禁されて最初に変わり果てた冬子ちゃんと白石さんを見てから覚悟はできている。
「私の言ったことに誘われてあいつらがここに来てくれたら目の前で春香ちゃんを黒の一族にするのを見てもらう予定だったけど、
 このまま待ってても来そうにないしね」
先輩が両肩をがっしりと掴み、そのまま押し倒してきた。すごい怪力だ。
あたしがベストコンディションだったとしても、振り払うことはできなさそう。
そして間髪入れずに首筋に噛み付いてきた!!
「く……ぁ……」
途端に声が出せなくなる。元々の気だるさに加えてさらに力が吸い取られたように脱力して、弱弱しい抵抗しかできない。
痛いわけじゃない。しかし自分の体の中に異物が染みこんでいくおぞましい感触に体の震えが止まらない。
<どうしてそんなに嫌がるの?何もデメリットなんてないのに>
体の中がぐつぐつ煮えたぎっているみたい……火あぶりになっているかのように全身が熱くなって、汗が滝のように噴き出してくる。
442予定調和:2010/03/13(土) 22:34:21 ID:rW04+53t
<デメリットならあります……あたしが黒の一族になったら、それこそ世界の終わりです!>
<終わりではないわ。私と一緒に世界を作り直すの>
<そんなの……きゃあああああああ!!やだ、爪が……>
爪が硬く、鋭くなり、まるで刃物のように変化していた。もう時間がない!
<ほらほら、次は耳が尖ってきてるわよ?>
もっとゆっくり変化するものと思っていただけに、動揺が隠せない。先輩に耳を撫でられて、余計に意識がはっきりしなくなる。
<んはあ……>
このまま先輩の好きにさせたらだめだ。間違いなく、黒の力に飲み込まれる。
あたしが、あたしでなくなってしまう。
<そろそろ翼が生えてくる頃かしら?>
だめ……飲まれちゃだめ、絶対だめ!
頭がぼうっとしてくるにつれて全身の倦怠感はいつの間にか消え去り、代わりに力が漲ってる。今なら反撃することもできるかもしれない。
体は黒の一族にされようとも、心まで汚されるわけにはいかない。
<はあ、はあ、ふぁあああああ!!>
崖っぷちに片手1本でぶら下がっているような危機的状況で、脳髄を焦がすほどの快楽に襲われる。
それを気持ちいいと頭が認識したがるのを懸命に打ち消していく。我慢に我慢を重ねて、反撃の機会をじっと待つ。
<これはまた立派な翼ね……体の変化はこれで完了。次は心を……>
突然、どんよりとしていた思考が晴れてクリアになる。先輩の羽毛の1本1本、壁の僅かな歪みまでくっきりはっきり見える。
周りの動きが全部スローモーションに見えるくらい、感覚が研ぎ澄まされてる。
きた……今だ。
<させ……ないっ!!>
思いっきり手に力を込めて先輩を引き剥がそうとすると、バチッと黒い火花が飛んで先輩の体が壁まで吹き飛ばされた。
「効いた……?御神刀でも駄目だったのに」
黒の力だと闇界障壁は効果がないのかな?
「いたた……やってくれたわね」
さっきは不意打ちだから当てられただけで、1対1だと能力差がありすぎる。
ここは晴川さんと合流して改めて作戦を練り直したほうがいいかもしれない。有効な攻撃手段ができただけでも大きいはず。
先輩がどのくらいこの迷路のような本部に詳しいかわからないけど、あたしだって何回も出入りしてるから土地勘はある。
黒の一族になったせいで視界もよくなったし、逃げ切ってみせる!

先輩が体勢を立て直す前にバッテリーの抜かれていた通信機を回収して部屋を飛び出し、一直線に出口を目指す。
照明がギリギリまで抑えられている今でも、転移阻止装置は働いているらしく空間転移は使えない。
「そこまでよ!」
やっぱりそう簡単には逃がしてくれないみたい。白石さんと冬子ちゃんの2人がかり……しかも、黒の一族となった2人だ。
あたしもパワーアップしているとはいえ勝負になるかどうか。
「器用貧乏だったあなたが、私に敵うかしら?」
「このままホワイトウイングに合流されると色々と困りますからね。反逆者は洗脳してあげないといけません」
「あたしは負けない!」
いつも通り光球で攻撃しようとしたけど、いつもよりかなり弾が大きい。
その分反動も大きくて撃った後によろめいてしまった。色もいつもなら真っ白なのに今は赤紫っぽくて異様だ。
「「きゃあああああ!!」」
爆煙が晴れると、2人は力なく横たわっていた。あれ?こんなに2人とも弱かったっけ。それともあたしが強くなったから?
でも、これなら……この力があれば、ホワイトウイングの逆転も夢じゃない。早く合流して3人で平和を取り戻すんだ!

春香が通り過ぎた直後に2人の黒の一族はむくっと起き上がり、顔を見合わせてぷっと吹き出した。



どうしよう。
晴川さんと連絡が取れたのはいいんだけど、なぜか透明化できないから目立ちまくりだし。
それに本部の外に出ても転移もできないってどういうこと?おかしいなあ、黒の一族になる前でも少しなら透明化と転移はできてたのに。
443予定調和:2010/03/13(土) 22:38:39 ID:rW04+53t
「うわっ、出たあ!ば、化け物お!!」
「とと、ごめんなさいー!!」
休んでいた路地に入り込んできたおじさんにいきなり驚かれて、化け物呼ばわりされたあたしもびっくりして逃げ出してしまった。
この調子だとこのまま晴川さんと夏菜ちゃんに会っても疑われそうな気がする。なんとかしないと……。
そうだ、白石さんや冬子ちゃんが普通の人間の姿でホワイトウイングに潜伏できたのなら、今のあたしも普通の人間の姿に戻れるはず。
ふらふらっと立ち寄った駅の中の化粧室で自分の今の姿を確認する。
目が紅い。充血しているわけじゃなくて、普通はこげ茶色のはずの虹彩が鮮やかな紅に染まっている。瞳孔が縦に割れていてまるで猫みたいだ。
長く伸びた爪はかなり切れ味がよくて、気を付けていないとあちこちに切り傷を付けてしまってすごく迷惑。早く爪切りで処理したほうがよさそう。
耳たぶは尖っているだけで硬さは以前と変わらないけど、やっぱり奇怪なことには変わりはない。
そしてさっきから邪魔な大きくて黒い翼。烏の羽によく似ているけど、どういうわけか軽く羽ばたいただけでかなり浮き上がることができる。
飛びすぎて天井に頭をぶつけてしまったくらいだ。
「お願い、戻って……」
頭の中の知識を頼りに、目を瞑って念じてみる。
目を開けてみると、見慣れた自分の姿が鏡に映っていた。
「よかったあ……一生あの格好でいることになんてならなくて」
これなら化け物呼ばわりされることもないはず。
大丈夫、黒の力を手に入れても心はそのままだし、あたしは力に振り回されはしない。
「おい、あれって人質になってた赤坂ってヤツじゃないか?」
人通りの多い場所に来ると、あたしを指差してはこそこそと話をしている人があちこちにいる。
いやー、あたしもすっかり有名人だなあ。え、ちょっと、そんなにぞろぞろ寄ってこないでよ、照れるってば。
「あんたが捕まってなかったら俺の子供は死なずに済んだんだよ!責任取れよ、偽善者め!」
え……?
「被害者面して同情誘ってるのがみえみえですげームカつく」
いや、やめて、どうしてそんなこと言うの……?
「何万人も犠牲にしてのうのうと生きてるなんて恥ずかしくないの!?黒の一族を倒せないんだったら、さっさと死ねばいいのに」
あたしはあたしなりに精一杯頑張ってるんだよ?それなのにどうしてこんなこと言われなくちゃいけないの?
皆……そんなにあたしが嫌いなの……?あたしは皆の味方なのに、どうして応援してくれないの?ねえ、どうして、どうして!?
「い、いや……いやあああああああああっ!!」
感情の乱れに伴って、体の変化を抑えていられなくなる。
蹲って普通の人間の姿に戻ろうとしても両手の爪はギリギリと音を立てて伸びてくるし、翼も勝手に広がってくる。
尖ってきた耳を両手でふさいでも、罵声は全部シャットアウトできない。
「うわ、こいつ黒の一族だったのか!?」
「きゃああああああああ!化け物!殺される!!」
そう、だよね。あたしは化け物だよね。あってるよ、それで。皆、人の心は覗けないもんね。
「はあ、はあ……うぅ……えぐ……ひっく……」
漸く落ち着いて自分の変化が静まったとき、あたしの視界には誰もいなかった。
晴川さんならこういうことを言われても平気そうだけど、あたしは晴川さんほど図太くないから……はっきり言って、辛い。
心が折れそうだよ……。

その傷悴した春香の様子を、物陰から声を殺して笑いながら眺めている人物がいた。



晴川さんと落ち合う場所として指定されたのは、街から離れた港だった。ここなら人目につかないし、落ち着いて話もできる。
「春ちゃーん!よかったあー、ほんとに無事に帰ってきて……」
夏菜ちゃんは懐中電灯を持ってぶんぶん手を振っていたからわかりやすかった。
近くに寄って顔を見直してみるとなんとなくやつれているような気がする。やっぱり逃避行はきついんだろうなあ……。
「春ちゃん、捕まってからあいつらに変なことされなかった?私はてっきり春ちゃんも黒の一族になって襲ってくるものかと……」
「大丈夫だよ。あたしは見ての通り自力で脱出してきただけ。それに月夜女姫も人質の扱いに慣れてないのかな、やたらと丁重に扱われたし」
444予定調和:2010/03/13(土) 22:42:20 ID:rW04+53t
それから2人にあたしが手に入れた情報、それと黒の力について包み隠さず話した。
あたしが黒の一族になった姿を見たときにはびっくりしてたけど、改めてホワイトウイングに味方することを告げると意外とすんなり納得してくれた。
「改造手術で脳改造の直前に脱出かあ。
 『彼女を改造した黒の一族は、世界征服を企む悪の秘密結社である。改造人間赤坂春香は人間の自由のために、黒の一族と闘うのだ!』
 ……おおっ、これはお約束の正義の逆転フラグ!最高のシチュエーション!よーし、燃えてきたあ!!」
夏菜ちゃんのいつもと変わらないペースにあたしもやる気を分けてもらえる。攻略の糸口は掴めた。
もう、何をするにも中途半端で「器用貧乏」と言われてたあたしじゃない。
チームのお荷物……とまでは思ってなかったけど、最底辺から一気に主力に躍り出た。
「いや、改造人間って夏菜ちゃん……まあ、似たようなものだけどさあ」
改造人間の前に秘密結社もどこか違うような気がするけど、そんな些細なところを突っ込んで夏菜ちゃんのやる気を削がなくてもいっか。
「でも、これで大幅な戦力アップですね、晴川さん。……晴川さん、あんまり嬉しそうじゃないですね。もしかしてまだ疑ってますか?」
せっかくあたしが命からがら脱出してきたんだからもう少し嬉しそうにしてもいいのに、晴川さんの顔はいつもに増して険しい。
「赤坂、普通の人間の姿に戻ってくれるか?」
「あ、はい」
本当は黒の一族の姿でいたほうが楽なんだけど、あの格好は目立つからなあ。

そこから先は、見るも無残な惨殺行為が行われた。
いきなり晴川さんが銃を取り出して至近距離からあたしの頭を狙って全弾発射。叫び声をあげる暇さえない。弾がきれた後は御神刀で滅多斬り。
体から頭が離れて足元に大きな血溜まりを作った。
信じていた晴川さんに裏切られたと認識できたのは、胴体がうつ伏せに倒れた後。
頭の中の大事にしなければならないものが、純粋な悪意と憎悪と殺意に侵食されていく。
おかしいな、死んでも不思議じゃない怪我なのに、まだ意識はある。
頭にあれだけ銃弾を撃ち込まれて、さらに頭と体が切り離されてもまだ生きてるって……黒の一族の体の頑丈さに寒気がすると同時に、感謝した。
まだ、あたしは死ねない。
「ちょっと晴川さん、何やってんのよ!?」
春香の返り血を浴びた晴川に夏菜は食ってかかる。その晴川は春香から目を逸らして怒りをあらわにして口を開いた。
「あのな青野、お前さっきの赤坂の話が本当だと思ってるのか?あんなできすぎた話がありえるか。
 白石と黒松のときはわからなかったが、今回はあからさますぎたな。俺をみくびるのもいい加減にしろ!」
「春ちゃんが裏切ったっていう証拠は何もないでしょ!どうして春ちゃんを信じてあげないの!?
 信じられなくて疑うより、信じて裏切られたほうがいいに決まってるでしょ!やりすぎだって言ってんのよ!」
「そんな甘い考えだと、油断して背を向けた瞬間に何をされても文句が言えないぞ。しかし、もう少し楽に逝かせてやればよかったな」
行きすぎた人間不信が晴川と夏菜の間に軋轢を生じさせる。
「晴川さんのバカ!仲間を信じてあげなくて正義の味方が務まるわけないでしょ!」
「綺麗事ばかり並べていればいいと思うなよ。そういうのがもう通用しない戦いだってのがまだわからないのか?今はこの死体の処理を考えろ」
順調にきていたときには目立たなかった、晴川の度を超えた現実主義と夏菜の理想主義の違いが浮き彫りになる。
「自分で仲間を殺しておいてよくそんな台詞が吐けるわね……」

「ちょっと2人とも、人を勝手に殺さないでよ」

「「え……?」」
のそりと立ち上がり、手足を軽く解しながら2人を見やる。
さっきまで死体と思われていた人物が立って話をしていれば驚くのも無理はない。想像以上の再生速度にあたしもびっくりしたくらいだ。
「まさかホワイトウイングにもあたしの居場所がないとは思わなかったよ……
 もうあたしを受け入れてくれる人は先輩しかいないんだね……うふふ」
どうせこいつ、あたしのことを月夜女姫と戦う駒としか見てないんだ。
それにこいつ、あたしの力なしで先輩に敵うと思ってるんだ。
そんな思い上がった蛆虫はあたしが殺しておかないとね。
445予定調和:2010/03/13(土) 22:46:20 ID:rW04+53t
「思ったとおりか……あれでまだ死んでいないとは信じられんな」
心の底に渦巻く闇が、溢れんばかりに溜まった負の感情が、あたしを取り返しのつかないところまで堕としていく。
もう、どうなってもいいや。
「春ちゃん、晴川さんが信じてなくても、あたしがいるじゃん!一緒に月夜女姫を倒そうよ!」
何よそれ。あたしに先輩を殺す手伝いをして欲しいって?笑えない冗談はよしてよ。
「夏菜ちゃんだってこいつに従ってるだけの犬じゃない。もう……遅いよ」
正義の味方のつもりでいた自分が急に馬鹿馬鹿しくなる。いくら高い給料を貰ってても、
どうして普通の高校生が生活を投げ打ってまで命を危険に晒さないといけないの?しかも最近は負け続けでこのままいっても勝ち目ないし。
頑張ってるのに一般人から浴びせられるのは罵詈雑言。そもそもあたしを殺そうとした奴の言うことなんて聞いていられない。
「やるしかなさそうだな。青野、覚悟を決めろ」
「う……春ちゃん、ごめん!」
こいつらがあたしを殺そうとするのなら、返り討ちにしてやる。
夏菜ちゃんは後回し。まずはあたしの人生を滅茶苦茶にしてくれたあの男だ。
この男さえいなければ、あたしは正義の味方ごっこなんてしていないで普通の高校生活が送れたのに。こいつさえいなければ!
「死ねえええぇーーーー!!」
「む、でかいっ?!」
この距離なら夏菜ちゃんは間に合わない。晴川も避けられない。
「晴川さん!」
力の限りの怨恨を込めて放った光弾はコンクリートの地面をガリガリ削りながらも速度を一定に保ち、完全に晴川を捉えていた。
1発だけで十分な気もしたけど、すっきりしたかったから必要以上に乱射した。
「死ね死ね死ね死ねええええええぇぇーーー!あはは、楽しい……あ、あれ?」
晴川に今のあたしの術を止める力はないはず。誰かが、晴川を守ってる……?
爆煙が晴れたとき晴川の手前に立って障壁を張っていたのは、
ホワイトウイングに補充された新しいメンバーとかそんなことはなくて……少し前にあたしが突き飛ばしてきた、先輩だった。
「月夜女姫?!」
「先輩?!どうして……」
先輩のところから脱走してきたばかりなのに、怒っているようには全然見えなくて、むしろ優しく微笑んでいるようにさえ見える。
その笑顔が今は逆に怖い。
「ダメじゃないの春香ちゃん。こいつを殺したら」
「おい、どういうつもりだこれは」
「あら、命の恩人に対してその言い草はないんじゃないかしら。私が割り込んでなかったら、お前は消し屑も残ってなかったわよ」
先輩は月夜女を殺したホワイトウイング、特にそのリーダーである晴川を殺したいほど憎んでいるんじゃなかったっけ。
なのに今更助けるってどういうことなの……?
「先輩、どうして邪魔するんですか?こいつは先輩の敵のはずじゃ」
「春香ちゃん、とりあえず落ち着こうか」
先輩がまるで仏のような優しい笑顔を浮かべながらあたしに向かって歩いてくる。
頭に手を置いてなだめる様は、昔あたしが友達と喧嘩して先輩に感情に任せて八つ当たりしたときの対応そのままだった。
「今あいつを殺したらもったいないわ。あいつには世間への見せ物役と、私の玩具役と、
 人間が私に支配される様を見届ける役をやってもらわないといけないからね」
「そう、ですよね、殺しちゃったらそれでおしまいですよね。……何なの、私は先輩と話してるの、邪魔しないでくれる?」
あたしが邪魔をしてきた夏菜ちゃんに手を出すより先に、先輩があたしと一緒に倉庫の屋根に転移して2人を見下ろす格好になった。
「私があの2人を大人しくさせてくるから、春香ちゃんはここで待ってて」
2人と対峙した先輩は余裕たっぷりで、あたしの知っている先輩より何倍も輝いて見える。
あたしはそれをだらしなく口を開けて見蕩れてしまっていた。
「晴川さん、どーすんの、逃げるの、戦うの?」
「逃げるぞ!」
あれは晴川がいつも使ってる閃光弾!先輩は懐中電灯を向けられて眩しかったのか咄嗟の対応ができていなかった。
446予定調和:2010/03/13(土) 22:49:27 ID:rW04+53t
「くうっ!また……」
「先輩!あたしが代わりにあいつらを追います!」
「待って春香ちゃん、急ぐ必要はないわ。あの2人で蘭たちを突破するのは無理でしょうから、ゆっくり行きましょう」

あたしが追いついたときには既に2人は蘭ちゃんと白石さん、冬子ちゃんの3人に組み伏せられていた。
蘭ちゃんの強さはあたしも戦ったことがあるからよくわかってる。5人がかりでも蘭ちゃんが手加減してやっと互角だったんだっけ。
2人だといい遊び道具にしかならなかったんじゃないかな。
「蘭、よくやったわね。後で何かご褒美をあげましょうか」
「えへへ、やっぱりお姉様に褒められるのが1番嬉しいな」
蘭ちゃん、先輩に褒められてすごく幸せそうな顔してる。あんなに至福の表情をした蘭ちゃんをあたしは見たことがない。
「月夜女姫様、私も頑張りましたよ!」
夏菜ちゃんを押さえつけている冬子ちゃんも嬉しそうに先輩に報告する。
「あ、そ」
「え……私には何もないんですか?」
「ただの駒が苦労の押し付け?まだ自分の立場がわかっていないようね。お前は私の命令をこなして当たり前なの。
 そこに見返りを求めることが間違ってるのよ」
「なんですってえ……」
さっきの蘭ちゃんへの対応とは正反対だ。ご褒美はなくても、せめて労いの言葉の1つや2つかけてあげてもいいのに。
ここまで露骨に差別されると冬子ちゃんがかわいそうだ。
「冬子様、ここは黙って引いておいたほうが」
白石さんがいきり立つ冬子ちゃんをなだめると、冬子ちゃんは不満を前面に押し出しながらも口をつぐんだ。
「……」
「先輩、冬子ちゃんに冷たく当たりすぎじゃないですか?もう少し優しく接してあげても……」
口に出してから、しまったと思った。あたしだって先輩に逆らえば冬子ちゃんのように酷い扱いをされる可能性だって十分にある。
昔は誰にでも分け隔てなく接してきた先輩が今は他人を平気で虐げているのだから、従順なふりはしておかないと不味い。
でも、あたしに向けられた言葉は叱責の類ではなかった。
「春香ちゃんはまだ完全に黒の一族にはなっていないようね」
「それはひょっとして……心、ですか」
体のほうは自分で鏡を見て確認したとおり、黒の一族の特徴が欠けることなく発現していた。
心のほうは先輩に手を加えられる前に脱走したから、まだそのままの状態にあるということかな。
「今ならホワイトウイングに戻ってその黒の力を使って私を倒そうとすることもできるけど、どうする?」
「そんなの、言うまでもありません」
あたしは白石さんに組み伏せられている晴川の顔面をしゃがみこんで侮蔑の目を向けた。
どうしてあたしは今までこんな男の言いなりになっていたんだろう。憎たらしくて仕方がない。
「どうしてあたしを助けてくれなかったの?」
「あれは明らかに俺たちを釣るための罠だろ、飛び込むわけにはいかない」
「それで言い訳のつもり?それでも危険を顧みずに助けにいくのが正義の味方でしょ?この薄情者」
絶対に許すもんか。そのまま死ぬまで一生、自分の犯した罪に苛まれ続けろ。
「よくもあたしを殺してくれわね。あのときあたしがどんな思いでいたかわかる?
 痛いとか苦しいとかももちろんあるけど、それだけじゃない。
 信じてたあんたに裏切られて、悲しいやら悔しいやらで頭がぐちゃぐちゃになった……」
「つまり、俺が殺そうとする前は邪心のひとかけらもなかったんだな?」
「そうよ!でも今更謝っても遅いわ。あんたが何をしようと、あたしは許さないから」
先輩が近くに寄ってきて、仲介をするかのようにあたしを晴川から遠ざける。
「これでわかったかしら?お前は自らの手で春香ちゃんを黒の一族に寝返らせたのよ。
 春香ちゃんを信じていれば強力な戦力になってたでしょうに、もったいないわね」
「全部、俺のせいだって言うつもりかよ?」
「少しは自分で考えたら?ふふふ……」
先輩がぐいっと顔を近づけてくる。こうして近くでじっくり先輩の顔を見る機会はすごく久しぶりだ。
前から美人だなとは思っていたけど、今は整いすぎて冷たいくらい。綺麗すぎてむしろ怖いという表現がぴったりだ。
先輩に落ち度は全くないけど、正直これは周りから嫉妬されても当たり前だ。アイメイクを一切せずにあの睫毛はあたしも反則だと思うから。
447予定調和:2010/03/13(土) 22:54:15 ID:rW04+53t
「じゃあ春香ちゃん、これから心のほうもしっかり黒の一族になってもらうからね」
「はい……」
「赤坂、今ならまだ間に合う!」
「んう……」
晴川が呼びかけても、春香の返事が帰ってくることはなかった。
春香は月夜女姫に抱えられたまま噛み付かれていて、外から見たのでは意識があるのかどうかすらわからない。
<あれ、さっきと違って体が熱くならない……むしろ冷たい……>
<春香ちゃん、さっきはごめんね。本当はこっちからやるべきなのだけど、
 体の拒絶を押し切って無理矢理体だけ変化させたから、きつかったでしょう?>
<ううん、いいんです、先輩。私こそ脱走なんてしちゃってすみませんでした>
外気に晒されて体が冷えるのとは逆で、体の芯からだんだん四肢が冷たくなっていく今まで経験したことのない不思議な感覚を私は楽しんでいた。
何かあたしの闇界障壁に当たったのか、鈍い衝撃が体に伝わる。
「ちっ、無防備な今なら大丈夫だと思ったんだけどなー」
「こいつ、私が目を離している隙に……申し訳ありません月夜女姫様、ひいっ!?」
絶対に何か罰を受けると思って身構えた冬子だったが、月夜女姫はギロリと睨んだだけで何もしてこなかった。
何も言ってこないことが冬子の恐怖心をさらに煽る。
<もう体が凍えて、血が通ってないみたい……>
<ねえ、春香ちゃん。今の私のこと、どう思ってる?>
<え?そうですねえ……かっこいい、ですかね>
あたしに言わせれば、先輩はアレに関すること以外は非の打ち所がない完璧超人だ。それは今も昔も変わらない。
その高嶺の花っぷりに引いてる人が多いらしいけど、そんな偉大な先輩と関わろうとしないなんてもったいない。
昔の先輩とは色々と変わっちゃったかもしれない。それでも先輩は先輩なわけで。
<どうして?今の私は月夜女姫で、世界を闇で覆いつくそうとしているのよ?>
<自分勝手な理由で黒の一族を駆逐しようとした人間が悪いんです。先輩はそれに反発しただけ>
今になってやっと、初めて月夜女姫と戦ったときに言っていた意味がわかった気がする。
月夜女姫、つまり先輩がたった1人のいじめられる側で、私たちホワイトウイングが大人数のいじめる側だったんだ。
こういう場合、どんな理由があろうといじめる側が悪いに決まってる。
<よかった、春香ちゃん……きてくれたのね>
<できたら、先輩のお手伝いをしたいな。……ダメですか?>
<ふふ、その言葉を待っていたわ。もちろん大歓迎よ>
<やったあ、嬉しい……>
<春香ちゃんの身も心も全部私のもの、それでいいのね?>
<奴隷でも何でも、先輩の好きなようにこき使ってくれていいんですよ。私は先輩のお手伝いができるだけで幸せですから>
束縛の鎖でぎゅうううっと心を締め付けられると嬉しすぎて泣きそうになる。
束縛してくれるということはあの素晴らしい先輩があたしを認めてくれたということだし、
これからずっと憧れの先輩と一緒にいられるということだから。
<じゃあまずは、さっき邪魔をしてきたゴミのお仕置きといきましょうか。勢い余って殺したらダメだからね>
<わかりました、先輩……>

あたしが夏菜ちゃんのすぐ側に立つと、夏菜ちゃんはあたしから顔を背けて呆れたようにため息をついた。
「はあ〜、ついに春ちゃんまで黒の一族になっちゃったかあ。で、次は私ってこと?」
「先輩、どうするんですか?」
「お前には特別お世話になったからねえ。その分をみっちり楽しませてもらおうかしら」
「だってさ。楽しみだね、夏菜ちゃん♪」

「……どいつもこいつも毒されちゃって、バカじゃないの」
夏菜がボソッと呟いたその言葉は、冬子に暴行を加える春香の狂声にかき消されて誰の耳にも届くことはなかった。





私が目を覚ますと、周りは全く光のない闇と化していた。両手にがっちりと手錠が嵌められていて動作に制限がかかっているものの、
それ以外は自由に動けるらしかった。少し離れたところでガチャガチャと金属が触れ合う音が聞こえる。
448予定調和:2010/03/13(土) 22:57:09 ID:rW04+53t
「そこにいるのは誰?」
「お、青野か。まさか一緒の部屋に入れられているとは思わなかったな」
よく聞き慣れた、晴川さんの声だ。
「見ての通り真っ暗だ。悪いが魔法の火力を調整して明かりをつけてくれないか」
「こういうのは春ちゃんが得意なんだけどな……」
春ちゃんは今この場にいないし、黒の一族になってしまっている。私はぶっ放すのは得意でも細かい調整はダメなのだ。
「うわっ!?」
案の定失敗して、暴発した魔法が天井に穴を空けてしまった。別に脱出しようとして穴を空けたんじゃないから!
……って言っても多分通用しないんだろうなあ。どうしよ。
しかし天井が壊れて結構大きな音が出たにもかかわらず、外はシーンと静まり返ったままだった。
「どう見ても牢屋だな、ここ」
正面は鉄格子で、隙間から覗いてみても見張りらしきものはいなかった。
それ以外は窓もない普通のコンクリートの壁……じゃなかった、1ヶ所だけ扉がある。
中は水洗トイレだった。
「トイレが設置してあるということは、この監禁は短期間で済ませる気はないと考えたほうがいい。ご丁寧に布団もあるしな」
「そんなあ……ねえ、あの天井の穴から脱出できない?」
風が吹き込んできているから、外に繋がっているのは確実だ。
「このままここにいても何をされるかわからんからな。よし、ここは脱出に賭けよう」
こんなざる警備じゃ、脱出してくれと言っているようなものだ。天井を上に登るとすぐに外に出たらしい……が、
部屋の中と同じく真っ暗だった。月明かりどころか、外灯や建物の明かりすら見えない。ここは人が全然住んでない山奥なのかな?
手錠を繋ぐ鎖は魔法で壊すことができたけど鋼鉄の輪の部分は壊せないのでそのままにしたまま、
私の魔法の明かりを頼りにしばらく闇夜の中を彷徨った。
晴川さんは御神刀や閃光弾など装備を全部奪われて丸腰だし、私の魔法は月夜女姫には通用しない。一刻も早く戦力の増強が必要だ。
いや、そうじゃない。
私が、私自身が強くならなきゃいけないんだ。黒の一族全員を倒せるくらいに強く。この魔法の力をもっと自分のものにするんだ。
「だめだよー、勝手に外に出ちゃ」
開けたところに出た時点で聞きなれた声で背後から話しかけられ、警戒を強めながら2人揃って振り向く。
背中から黒い翼を生やし、一目で人外に堕ちたとわかる姿の春ちゃんが紅い目を細めて笑っていた。
「しまった、つけられた!?」
「つけてないよ。埋め込んだものはあるけど……発信機なら。生体エネルギーで動く最新型らしいよ。
 だからあんたたちがどこにいようとわかるってわけ」
「いつの間に……」
逃げても無駄だとわかった以上、ここで春ちゃんを倒すしかない。
御神刀は今ないから戦闘不能にして拘束までしかできないけど、うまくいけば人質として使える。
「赤坂、お前1人か?」
「そうよ。本当はどうしようもないゴミ2人と一緒に来るはずだったんだけど、
 あたしが殺してしまいそうだからって先輩に言って1人にしてもらったの。あの2人、力もないくせに生意気なのよ。
 おまけに先輩にやたらと突っかかるし」
「ゴミ2人って……白石と黒松のことか。仮にも仲間なのによくそんなことが言えるな」
本人がいないから好き勝手に言っているわけではなさそうだ。この言い方だと本人の前でも平気で罵っているに違いない。
正義の味方としてのやる気はイマイチだった春ちゃんだったけど、仲間意識だけは4人の中の誰よりも強かったのに。
「仲間?あの2人とはそんな対等な関係じゃないよ。ゴミじゃないとしたら……駒、かな。
 何でも言うこと聞いてくれて便利だよ、あんまり役に立たないけどね」
さりげなく逆手で髪の毛を耳にかける仕草が上品で、子供っぽさが抜け切れてなかった以前の春ちゃんとは違う。
私より1つ下には全然見えない。裾が膝上までと短い真っ赤なショートラインの豪奢なドレスも今の春ちゃんにはよく似合っている。
本当にこれが春ちゃんなの?
威圧感、というよりこれは邪気……全身にこれを浴びているだけで悪寒と吐き気がしてきて、気分が悪くなってくる。
「ほら、どうしたの?折角あたしが先手を取らせてあげようと思って待ってるのに、もう戦う前から諦めてるの?」
春ちゃんは自分の闇界障壁の強さを過信して油断してる。チャンスだ。
あいつらの闇界障壁みたいな全方位型のバリアは1点集中攻撃に弱いのがお約束……のはずなんだけど、それはダメだった。ならば!
449予定調和:2010/03/13(土) 23:00:07 ID:rW04+53t
「とっておきを見せてあげる!」
「夏菜ちゃんの技なんてもう全部見てるよ。今更とっておきも切札もないでしょ?」
「アレをやる気か」
「そう、アレよ。晴川さんは危ないから離れてて」
月夜女姫と初めて対決した日からいざというときのために皆に隠れて練習してたんだ。私の機動力を最大限に生かした全包囲攻撃。
攻撃中に敵の周りを縦横無尽に駆け回ることにより、敵を翻弄して真正面からのまともな防御はさせない。
「アクセラレイト!」
力の全てを足に込め、誰も追いつけないほどに速く。
「え、ちょっ……」
春ちゃんは私の動きについてこれてない。目で追うことすらできていなかった。
「身体能力は上がっても、戦闘技術はそのままみたいね!」
攻撃の瞬間だけ、足のブースターを切る。攻撃が終わった直後から再び加速。
この切り替えを早くスムーズにできるようになるのに私がどれだけ修練を積んだと思ってんの。これを打ち破れるものなら、打ち破ってみろ!
「くっ……」
「青野、いけるぞ!そのまま押し切れ!」
余裕ぶっていた春ちゃんに初めて焦りの色が見えた。さらに闇界障壁にいくつも亀裂が走る。ここまでくればもう少し!
「……フフフ、闇界障壁にヒビ入れただけで嬉しそうにしちゃってさあ」
春ちゃんの纏う雰囲気が一変した。
手を額に当てながら不敵な顔をちらっと見せて、もう一方の片手から赤紫の光弾を何発も撃ってきた。
私のレーザーはそれに簡単に打ち負けて、一斉に私自身に襲い掛かってくる。焦っているように見えたのはフェイクだったの?!
数が多い上に1つ1つが大きくて、避けきれない!!
「うあ……!!」
「青野!大丈夫か!?」
つ、強すぎ……模擬戦じゃ春ちゃんには1回も負けたことなかったのに、この違いは何なの……。
「残念でしたー。なーにが『アクセラレイト!』よ。小手先の技に頼ったところで絶望的な能力差は埋めようがないのに」
「くそ、以前の赤坂とは次元が違いすぎる……」
以前の春ちゃんの光弾は威力が低く、牽制以外には使い道がなかったくらいだ。それが黒の力を得ただけでこれほどまでに変わるものなの?
「この力、ほんとにいい。この力があれば全部あたしの思い通り。誰もあたしに逆らえないの、アーハッハッハッハ!」
あり余る力に溺れ、月夜女姫にいい様に使われていることにすら気が付かない哀れな春ちゃんの姿がそこにあった。
「春ちゃん、自分が何やってるかわかってんの?」
「わかってるよ。正義面して先輩を殺そうとしてたり、なあんにも考えずにそれについていったりしてるあんたたち2人より、余程ね!」
真正面から説得にかかってもダメだ。まずその高慢な態度を力ずくで止められないと話にならない。
「変わったな、赤坂。その傲岸不遜な態度、月夜女姫にそっくりだ」
哀れみを込めて晴川さんが言った言葉に、春ちゃんは逆に嬉しそうに目を細めた。
何を考えているのか、春ちゃんは口の中でクスクスと笑い声を上げる。
「それはあたしが先輩に近付いたってこと?憧れの先輩に似てきたって言われるのは悪くないね。じゃあ帰ろっか、2人とも」
こうして、私たちは再びあの真っ暗な牢獄の中に逆戻りしてしまった。



脱獄を実行した割には何の懲罰もなく、あっさりと晴川さんは部屋に戻された。
「で、私は特別待遇ってわけ?」
「特別待遇ってわけじゃないわ。少し操り人形気分を味わってもらおうと思ってね」
魔眼を使うつもりね……わざわざ予告してくれるとはありがたい。
直接相手の目を見なければ絶対にかからないんだから、顔を逸らして目を瞑っていれば言いなりになんてならないはず。
「ほら、顔を逸らさない」
片手なのにすごい力だ。でも目を開かなければ魔眼も通用しまい。
その考えが浅はかだったことをすぐに思い知らされる。
硬く瞑っていた瞼が手によって強引に開かれ、私の左目は不意にグワッと見開かれた。
「やばっ……」
眼球を動かせばまだ抵抗できたが、そこまで時間の猶予は与えられなかった。目を逸らそうと思ったときにはもう目が動かせない。
450予定調和:2010/03/13(土) 23:02:38 ID:rW04+53t
「ふふふ……これでお前は私の傀儡ね。返事は?」
「はい……」
やられた……自意識はそのままで、全身の自由を奪われた。
自分の意思だと指一本動かせないのに、月夜女姫の言うことは体が勝手に動いて命令を実行してしまう。
何をやらせる気なの……?

「今度は逃げたりしないようにね。またきついお仕置きをされたくはないでしょ?」
首輪に繋がれている長い鎖を鉄格子に繋ぎ、再び晴川さんと牢屋で2人きりになった。
「お仕置きって言ってもなあ……別に何もなかったじゃないか。青野、お前何かされたのか?」
「いや、全然」
嘘付け、現にこうやって操られてるじゃん!と訂正しようにも、それができないもどかしさだけが残る。
早く私が操られてるってことを知らせないと……体の主導権は月夜女姫が握ってるからそれもできない。
「はあ……はあ……」
「どうした青野、さっきから息が荒いが風邪でも引いたのか?」
「平、気……大丈夫、だから。ほら……」
手にともした明かりで自分の顔を照らす。鏡でわざわざ自分の顔を見て確認しなくても、顔の筋肉が緩みきっているのが感じ取れる。
熱病にうなされているというよりは、興奮に頬を紅潮させているといったほうが近い。
「顔がすごくいやらしいんだが。ああなるほど『あっち』かよ。まあ1人で勝手にやるのは構わんが、無駄な体力を使うなよ」
いつもの私ならそんなだらけた顔しないでしょ、いい加減気付いてよ!
さらに口から舌を垂らしたまま、四つんばいになって晴川さんに近付いていく。
もう、やだ……こんなことしてるとほんとの犬みたいじゃない!
そうこうしているうちに晴川さんの背後から正面に両手を回して、抱きつく。これ、明らかに晴川さんに何かしようとしてる……。
「うふふ、捕まえたあ……」
これが自分なのかとびっくりするくらい色っぽい声で晴川さんを官能の世界へと誘う。
バカね、晴川さんにそんな色仕掛けが通用すると思ったら大間違いよ!
「こら、やめろ、暑苦しい」
ぐわっと口を大きく開けて、その口を晴川さんの首に近づけて――これって、まさか。
「あ〜む!」
がぶりと、いった。
「ぐあああっ!?」
操られるままに晴川さんの首筋に噛み付き、
予め砂糖が入ってるコンデンスミルクにさらに砂糖を加えたようなどろっとした甘ったるい味が口いっぱいに広がる。
私は甘いものが大嫌いだからすごく不味い……気持ち悪くて吐き出したいけど、それもできない。
やっとのことで私を振りほどいた晴川さんは、今の私が放つ異様な雰囲気に気圧されてる。
「あ、ごめん。痛かった?殺すまで吸い尽くすつもりはないから、大人しく吸わせてよ、ね?」
「……こいつ、操られてやがる」
これがお仕置き……こうやって、回りくどいやり方で私と晴川さんの仲を引き裂こうってわけね。
こんなもの、私くらい精神力が強ければ……んん……。
「逃げられないよ。晴川さんだって鎖に繋がれてるのは一緒でしょ?」
鎖を手繰り寄せて晴川さんとの間合いを詰めていく。晴川さんは今武器を持ってないのに、
私が魔法で一方的にいたぶるつもりなの?どうにかしないと……。
「この、目ぇ覚ませ!!」
小気味いい音が部屋に反響した。
「痛た……あ、魔眼解けてる」
「ふう、ビンタ程度で解けるくらいの強さの魔眼でよかった。前回お前が操られたみたいに数日拘束するわけにはいかないからな。
 その前にあのまま青野に殺されるほうが早かったかも知れん」
暴走してチームの皆に迷惑をかけた嫌な記憶が頭をよぎる。
あの後しばらく「バーサーカナ」なんてあだ名が付けられて皆に散々弄られたのに、晴川さんまであのことを思い出させないで欲しい。
451予定調和:2010/03/13(土) 23:05:47 ID:rW04+53t
「ごめん、晴川さん」
「もういい、不可抗力だったんだろ?」
「そうだけど……」
「まずは状況確認が先だ」
魔法で周囲を明るく照らして確認してみると、最初に入れられた牢屋と全く同じつくりだった。
ただ、今回は拘束具が手錠から首輪に変わっている。鎖の壊れた手錠はそのままだ。
首輪自体は手錠と似たような素材でずっしりと重くて簡単には壊せそうになかったけど、首輪と鉄格子を繋いでいる長い鎖は何とかなりそうだった。
「でもこれ壊しても私たちの行動が筒抜けだから意味ないかあ……」
「それにまたアレをさせられるのはお互いきついしな。ここは大人しくしておいたほうがいいか」
晴川さんは私を先に寝かせてくれようとしたが、
これから何をされるのかという緊張と寝ている間にまた暗示をかけられたりしないように警戒していたから、結局一睡もできなかった。





この続きは次回までまったりお待ちください。
452名無しさん@ピンキー:2010/03/13(土) 23:10:02 ID:1qwJxiJp
ちょうど遭遇。
GJ。
453名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 00:08:23 ID:qlWdD6Xx
まったり待てとか……もっと腕を上げてから言ってくれ
454名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 00:11:41 ID:Ev7UOMAL

バーサーカナってパワポケ11かw
455名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 04:26:51 ID:PPNzFElu
たまたまコレクターユイを全話見る機会があったが、
エビルハルナって一瞬で終了なのな
しかも意識のないただの操り人形で全く喋らないし、残念
精神従属属性じゃなくてコス変化属性向けか〜
456名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 10:43:28 ID:RVRTYGuN
>>455
一応、「消えてなくなれー!」みたいなセリフは喋ってたぞ
457名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 11:42:48 ID:hf2pg+Zx
>>451
全然抜けない。長文荒らし消えろ
458名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 12:09:11 ID:KyyBVJZG
>>451
よかったよ。乙
459名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 12:10:32 ID:+1E4To52
バカテス8話がMC回だった

悪魔コス瑞希(人格も変化)
http://f40.aaa.livedoor.jp/~itdreams/UPLOAD/img/1268535861.jpg

悪堕ちミニキャラ(目色変化など)
http://f40.aaa.livedoor.jp/~itdreams/UPLOAD/img/1268535888.jpg
http://f40.aaa.livedoor.jp/~itdreams/UPLOAD/img/1268535905.jpg

悪コス変化シーン後の瑞希
http://f40.aaa.livedoor.jp/~itdreams/UPLOAD/img/1268535926.jpg

瑞希の虚ろ目(これは何故か解除に近いシーンなんだが)
http://f40.aaa.livedoor.jp/~itdreams/UPLOAD/img/1268535947.jpg
460名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 12:11:54 ID:+1E4To52
すまんURIをアドレスバーにコピペで
461名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 12:21:29 ID:JupMJMDG
>>451
味方サイドを利用して落とすのっていいね
462名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 13:07:33 ID:3HK/8VXt
やだ…なに…この自演擁護祭り
463名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 13:57:10 ID:Sjr+Nd8K
久本を洗脳してアンチ創価にしてみたら面白そう
抜けないけど
464名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 14:54:09 ID:Hff7q8zC
久本が洗脳されると逆墜ちじゃね?
普通の娘が久本に洗脳される方が悪墜ちらしいだろ

465名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 18:48:51 ID:ZpLXGdNt
レベルが低いSSは荒らしだな
スレが簡単に荒れるし
466名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 18:58:27 ID:uenh934H
>>451
GJ。晴川の行動が予想通りすぎて笑った。
ヒーローボスと敵サイドの両方が悪ってのはおもしろい。
正義っぽいのはある意味操られてた女の子5人だが…バーサーカナが陥落して、このまま正義が滅びてしまうのかな。
467名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 19:00:55 ID:ItdQh3ek
批判来たら被せるようにフォローしてるのは必死に見えてかえってSSアンチ臭いからスルーしとけよ。
468名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 19:08:27 ID:ZpLXGdNt
一人が自作自演でGJしてるんだろ
批判レスきたら光速でGJ
気持ち悪い
469名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 19:31:54 ID:t8LZ9Edb
挑発や扇動などで荒らしの闘場になるスレッドpart35へようこそ
470名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 19:51:04 ID:JupMJMDG
すまん俺のGJレスが迷惑をかけてしまったようだ
ただ普通に俺は好きなんだけどねぇこのSS
471名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 19:56:54 ID:Jt9zF6xL
触れるのが一番迷惑だと気づいて
472名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 20:01:23 ID:hScNkzn/
普段ROMだったがレスしてみる
SS書いたら荒れるとかこのスレおかしいだろww
誰も書かなきゃ書かないで誰か書けって言うし
このままだと誰も書かなくなってこのスレ自体なくなるんじゃね?
それか>>1のテンプレ変えたほうがいい気がする
473名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 20:11:51 ID:WFy9yNQs
この悪のスレを洗脳しようと企むもう一方の悪……
これもまた悪対悪の構図か……
474名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 20:13:55 ID:sGfg5USb
こないだの「もうこのスレSSなんていらんだろ」って言ってた奴に、そんなわけあるかここはエロパロ板だと
猛反発していた人達はどこへ行っちゃったんだろうねえ

まあ件のSSが荒いのは確かだが、それでも今回は頑張った方だと思う
正義サイドの疑心暗鬼から悪堕ちの引き金を引かせるというのは結構ありだしな

ただ晴川がド外道すぎるのがちょっとマイナスに作用している気がする
カタルシスが半減してしまっているというか
今後夏菜をどう動かすか、オチをどういう形に持って行くか気になるな
475名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 20:20:40 ID:Hff7q8zC
まさに連鎖堕ち
476名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 20:35:14 ID:gu6c1wWz
全ての意見の持ち主が全ての時間に一様に待機しているわけがないだろうに
ましてや、エロパロ板でSSが完全に放逐されることなんてありえないと思ってる人も多いだろうから
いちいち反論して長引かせるよりは無視というスタンスの人もいるだろう
477名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 20:42:27 ID:Yx1YFrD4
>>476
その通り
批判コメなんて書いたら余計長引くんだし興味ないならスルーするべき
478名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 20:46:32 ID:WFy9yNQs
まあ冷静に見たらGJに対してやたら絡んでくるのが一人いるだけだしな
そいつだけスルーしとけば良い話
479名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 20:48:48 ID:FYDVCsOa
興味のないSSはスルーしてるというかNGに入れてるし自然にスルーだな
エロパロ板の作者の人は大抵タイトルやトリつけてくれてるから
NGネーム使えば連載物は勝手に消えてくれるし
480名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 20:59:11 ID:jEaBtEtB
個人的には好き
続きを期待しています
481名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 21:07:17 ID:ZpLXGdNt
ここはいつになっても学習しないスレだな
『レベルが低い』SSが投下されると荒れるように洗脳されてるのかよ
どんだけ贅沢な乞食なんだよ
482名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 21:12:54 ID:+fB7Ao0T
正義サイドのボスがクズな場合、悪堕ちじゃなくて単なる寝返りだからなあ
483名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 21:36:51 ID:/XTxRMFl
個人的に合わなかったSSだからスルーしてるってやつは問題ない
GJしてるやつも、もちろん問題ない

マジキチはスルーしてるやつにGJがどうとか言ったりSSそのものにわざわざ批判的なことをレスるやつ
484名無しさん@ピンキー:2010/03/14(日) 22:47:31 ID:cG51VNPu
>>481
いや、むしろレベルの高いSSはもっと荒れるよw

SS嫌いなやつからすれば、そういうSSこそ一番排斥されるべき存在だろうしな
レベルが低いSSは皆から叩かれ、誰も弁護せず、結果としてほとんど荒れないw

本当にレベルが低いSSは警戒すらされず皆からスルーされ、結果やっぱり荒れないw
485名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 01:01:54 ID:JPWskjwQ
今更だが、ポケモンレンジャー光の軌跡に出るポケモンナッパーズの持つ小手って洗脳ですよね?
(ポケモンレンジャーの持つスタイラーも、怯えたポケモンを正常化させ従わせたり、疲れたポケモンを正常化させ従わせたり、色んな意味で興奮したポケモンを正常化させ従わせたり、)
あと、ワンピースのオカマ王の性転換させる技の後も洗脳したかの様にベラベラとお答えしたり。
486名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 01:33:30 ID:+7/G6RL3
>>485
スレ違い

ここは、調教や洗脳などで 悪の奴隷になるヒロイン スレ
                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
487名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 02:07:17 ID:3QVL1s+L
488名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 02:43:36 ID:vYFbGBnp
自分の悪巧みをペラペラと得意げに話す>>484であった
489名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 02:53:01 ID:xDxkQ0GQ
490名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 06:49:01 ID:vjy6w+AO
>>484
つーか本当にSS嫌いな奴は読まないし話に触れもしないだろ。
単に荒らしたい奴にとってホットなネタがSSなだけ。
他のスレでもSS叩きは普通にあるけどね。大体そういう場合は特定の職人個人が対象なんだよな。
ここの場合はSSの存在そのものをネタにしてるのが他とちょっと違うね。
491名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 08:29:31 ID:1hxTD54L
>>486
横から失礼、男性や人外も扱うスレはないんですか?できれば健全鯖で
492名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 09:22:58 ID:zpUZl2dc
ないんじゃない?
いくら雑食のジャンルとはいえ
野郎相手で健全ならさすがに独立した方がいいんじゃないか
493名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 10:56:33 ID:yQ/bk/sl
>>491
ここでいうのもなんだがニッチだなw
494名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 11:05:56 ID:nNbonbzQ
>>485
ポケモンは基本システムからして洗脳。
野生生物を叩きのめして抵抗力を下げて、洗脳装置(モンスターボール)にかけて支配する。

>>486
メス型ポケモンなら漏れ的にはヒロインと認めるが。
495名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 11:06:37 ID:CSWmRIKb
>>491
いらっしゃいw

催眠・洗脳・操りスレッド
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/gaypink/1210414045
496名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 14:47:25 ID:CgWykrVC
洗脳とか関係ないけど黒星紅白のブログのティナがよかった
497名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 18:15:31 ID:79UScHcJ
>>496
情報dクス!!!!!!!!!!
ケフカ×ティナ好きにはたまらん一枚だった。
498名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 19:42:25 ID:IXy00xE6
セラムンネタ、エロ無し
499蘇る闇:2010/03/15(月) 19:43:05 ID:IXy00xE6
※一応このお話はセーラームーン S 第123話 「破滅の影! 沈黙のメシアの目覚め」
の後のifとして書いています

「準備は全て整いました…」
 どことも知れぬ闇の中、ダイモーンに心を奪われた土萌教授は、ミストレス・ナインに告げた。
「あとは沈黙のメシアであるあなたのその手で、この装置に聖杯をセットしていただければ…
闇の光がタウ星系を照らし出します。我らが偉大なるマスター、異次元エネルギー生命体
ファラオ・ナインティを導くためには、その輝きが必要…ファラオ・ナインティがこの宇宙に
出現するとき、全ては崩壊し、地球は沈黙に包まれる…」
 自分の言葉に酔いしれるように、説明を続ける教授。
 だがミストレス・ナインは彼を冷ややかに見やると、言った。
「その必要はない」
「今、何とおっしゃいました?」
「その必要はない、と言ったのだ、哀れなるわが下僕よ」
 ミストレス・ナインは薄く笑みを浮かべ、宙に手を差しのべる。
 すると、そこに映像が浮かび上がった。
 ピュアな心を奪われ、死の淵にあるちびうさと、その魂を現世につなぎ止めようと必死の衛の姿だ。
「これは…あのときの少女?」
「そう…この娘には、ピュアな心の裏に、底知れぬ闇の力をも備えている…
 その力を解放すれば、ファラオ・ナインティは苦もなくこの地球に出現することができる。
 この娘とひとつになることによって、な…」
 ミストレス・ナインの笑みが深くなる。
 しかしそれは一切の感情が抜け落ちたあとのような、空虚で、そして冷たい笑みだ。
「娘のもとへは、私が直々に向かう。お前はセーラー戦士の邪魔が入らぬよう、ここで遊んでやるがよい」
「かしこまりました、ミストレス・ナイン様…」
 その言葉と共に、ミストレス・ナインの姿が消える。あとには、深々と頭を垂れたままの、
土萌教授の姿だけが残った。


 地場衛の住むマンション。
 彼は戦いに赴いたセーラー戦士たちと離れ、意識をなくしたちびうさと共にいた。
 衛の生命力をちびうさに注ぎ込み、なんとか彼女を生かしているため、
彼はここに残るしかなかったのだ。
「ちびうさ…」
 自らの娘に対する愛情を込めて呼びかける衛。と、突然明かりが落ちたかのように、
部屋が暗闇に包まれた。
「これは、いったい…」
「ちびうさちゃん…」
 どこからともなく、声が聞こえる。
「ちびうさちゃん…見つけた…」
 闇を割って、すらりと背の高い女性が姿を現した。
 床に広がるほど長く、妖艶ともいえるほどつややかな黒髪、胸元の開いたドレス、
そして額には黒い五芒星…沈黙のメシア、ミストレス・ナインの姿がそこにあった。
「お前は…!?」
 衛がちびうさの体を抱きしめ、ミストレス・ナインをにらみつける。
「地球の男よ、お前の役目は終わった」
 かっと目を見開くミストレス・ナイン。それと同時に、衝撃波が衛を襲う。
「くうっ!」
 なすすべもなく吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる衛。しかも、ちびうさの姿はその手の中にない。
「ちびうさっ!!」
 意識のないまま、宙に浮かんだちびうさの体。
 それが、音もなくミストレス・ナインのもとへ吸い寄せられていく。
「さあ、ちびうさちゃん、私と一緒に、素敵な夢を見ましょう…」
 ちびうさの体を抱きとめ、ミストレス・ナインがつぶやく。
「くそっ、その手を離せ! ちびうさ、ちびうさッ!!」
 衛の叫びも虚しく、ミストレス・ナインの姿は、現われたときと同様に、闇の中に消えていく。
「ちびうさーッ!!」
 衛の悲痛な叫びが、闇の中、虚ろに響いた。
500蘇る闇:2010/03/15(月) 19:43:43 ID:IXy00xE6

 ひんやりとした感覚が、全身を包んでいる。
 それに、自分を抱いている、柔らかな感触。
 心地よいその感触に、全てを委ねたくなる。
「ちびうさちゃん…ちびうさちゃん…」
 優しげな声が聞こえる。
 ずっとこの感触に身を委ねていたい、という思いと、その声に応えたい、という思いが交錯する。
 やがて、後者が前者に打ち勝ち、少女は目を開いた。
「ほたる、ちゃん…?」
 目を覚ましたちびうさに微笑みかける少女の姿に、彼女は声を漏らす。
 ちびうさは重力のない空間で、ほたるに抱きしめられていた。
「あたし…どうして…?」
 混乱するちびうさの頭に、断片的な記憶がよみがえる。
 そうだ、ほたるちゃんのことが心配で、あたしは…
 思い出そうとするちびうさを遮るように、ほたるが言った。
「ちびうさちゃん、ありがとう」
「ほたるちゃん?」
「ちびうさちゃんのおかげで、私は本当の自分に目覚めることができたの」
「ほんとうの、じぶん…?」
「そう、運命を受け入れて、あるべき自分に戻ったの」
「ほたるちゃん…その、大丈夫なの?」
「ええ、私はもう大丈夫」
 ほたるはまた微笑んだ。
 そのことが嬉しくて、ちびうさも微笑みを返す。
「だから、そのお礼に、ちびうさちゃんにあげたいものがあるの」
「お礼? いいよ、そんなの…ほたるちゃんが元気なら、それだけで」
 その言葉に、ほたるが首を振る。
 にこやかなままのほたるの表情に、得体の知れない影が差した。
「フフ…ちびうさちゃん、あなたにも、本当の自分を教えてあげる」
 その言葉と同時に、ほたるの体が変化をはじめる。
 背が伸び、髪は長く、体は大人の女性のものに、制服はドレスに。
 ミストレス・ナインの姿になったほたるが、微笑む。
「なんで…ほたるちゃん、なんだか怖いよ…」
「怖くなんてないでしょう? だって、ちびうさちゃんも同じだもの」
「おな、じ…?」
「そう、闇の力が大好き、破壊が大好き、沈黙が大好き」
「ちがう…あたしは、そんなんじゃ…」
「いいえ、違わない…思い出すの…闇の力の快感を…」
 ミストレス・ナインの言葉と同時に、ちびうさの体の周囲を闇のエナジーがとりまく。
 その闇に、ちびうさは、どこか懐かしいものを感じていた。
 そうだ。この感触は、前にも味わったことがある。
「ちびうさちゃん、思い出して…あなたは力を振るうことに、悦びを感じていた…そうでしょう?」
「そう、かも…」
 自分の中に封じこめ、夢のなかの出来事のように、ぼんやりとしか認識していない過去。
 ワイズマンの甘言に騙され、セーラー戦士に戦いを挑んだときのことが、頭に浮かぶ。
 けれど、それは本当に、騙されただけのことだっただろうか?
 強大になった自身の力を母やその友人に振るうたび、感じていたモノ。
 それは、力を振るうことで、自分の存在を認めさせることができる、そんな思い。
 そして、その奥底にあるのは…
 自分の中に眠っていた何かが覚醒していくのを、感じる。
 それは、ずっと否定してきた、しかし紛れもない自分自身。
501蘇る闇:2010/03/15(月) 19:44:15 ID:IXy00xE6

「ちびうさちゃんは、友達の私に嘘なんてつかない、そうでしょう?」
 こくり。
 ミストレス・ナインの問いかけに、ちびうさは、自然にうなずいていた。
 そうだ。自分は、ほたるに嘘をついたりしない。
「じゃあ、もう一度聞くね? ちびうさちゃんは、力を振るうのが大好き」
「うん…あたしは、力を振るうのが、好き…」
「ちびうさちゃんは、闇が好き」
「あたしは、闇が好き」
 口にするたび、ちびうさの心にえもいわれぬ開放感と、快感が生まれる。
「破壊が好き」
「あたしは、破壊が好き」
 押さえてきた感情がほとばしるのを感じる。
「そして、沈黙が好き」
「そう、あたしは、沈黙が好き」
 自分が、生まれ変わるような気分。
 その果てにあるものを、ちびうさは知っていた。
「さあ、言って。あなたは、何者?」
「あたしは、あたしは…!!」
 快感の頂点で、ちびうさは叫ぶ。
「暗黒の女王、ブラックレディ!!」
 瞬間、闇のエナジーが彼女を包み込み、闇の繭を形成する。
 ちびうさの形をしたその繭は、瞬く間に成長し、妖艶なボディラインを持つ女性の姿へと変わる。
 闇の繭が、闇の光とでも呼ぶべきものを激しく放つ。
 それと同時に、空間を割り、不定形の何かが姿を現した。
「ファラオ・ナインティ、今こそ、この宇宙へ!!」
 ミストレス・ナインの叫びに応えるように、闇の繭へ向かうファラオ・ナインティ。
『それ』は闇の繭にとりついたかと思うと、ずるずるとその内部に侵入していく。
 永劫に近い時か、それとも一瞬か。
 ファラオ・ナインティであったモノの全てが、闇の繭に収まる。
 期待に満ちた目で見守るミストレス・ナインの前で、とうとう繭にヒビが入る。
 ヒビはあっという間に繭全体に広がり、そして、弾けた。
 後に残ったのは、美しく成長したちびうさの姿。
 深くスリットの入った黒いドレスを身に纏ったその姿は、かつてのブラックレディそのもの。
 一つだけ違うのは、その額に黒く輝くのが逆三日月ではなく、五芒星である点だ。
「マスター・ファラオ・ナインティ。ようこそ、地球へおいでくださいました」
 ミストレス・ナインが膝をつき、頭を垂れる。
 だが成長したちびうさは、そんな彼女の顎に手をかけ、上を向かせた。
 見あげたミストレス・ナインの目に、微笑む
「あたしのことは、ブラックレディと呼びなさい、ミストレス・ナイン」
 そう告げたブラックレディは、ミストレス・ナインを促し、立たせる。
 そうして、突然、その唇を奪った。
「あむ、ん、んちゅ、ちゅぅ…」
 一瞬、驚きに見開かれたミストレス・ナインの目が、幸福と快楽に染まる。
 体の緊張が、すぐにブラックレディに身を委ねるものへと変わる。
 ブラックレディの舌使いに合わせ、はじめはおずおずと、次第に激しく、
彼女を求めていく。
 どのくらいの時間、そうしていただろう。
 ようやく体を離した二人だったが、ミストレス・ナインはただ荒く息をつきながら、
それでも物欲しげな視線をブラックレディの唇に送っていた。
「フフフ…これは、目覚めさせてくれたお礼よ…『ほたるちゃん』」
「はぁ、ん…身に余る光栄ですわ。ブラックレディ様」
「さあ、行きましょう。この世界を、闇で満たすの」
「仰せのままに、我がマスター」
 そうして二人の姿は消えた。
 あとに残ったのは、どこまでも続く、闇だけだ。
 
 終
502名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 20:09:48 ID:UjagH4wk
GJ!
そして懐かしい!
503名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 20:11:49 ID:eoTFlOIQ
>>499-501
乙です
受けかと思われたちびうさが一転…という訳ですな
こういうオチも面白いw
504名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 20:13:18 ID:OUTQehtZ
たまにはオリジナルじゃないのもいいNE
パロディだと筆力をカバーできるしNE
505名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 21:11:41 ID:PS10s6uY
GJ
やっぱ改行が適度だと読みやすいね
506名無しさん@ピンキー:2010/03/15(月) 23:17:56 ID:vYFbGBnp
いいねぇ
次はもうちょい長文で頼む
507名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 00:25:50 ID:RgggnX/B
いまさらセーラームーンとな?

いいぞもっとやれ!
508名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 02:13:29 ID:8r0p+TH4
なんでそういう書き方しかできないのかな
509名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 02:46:06 ID:qgbz4Hnx
解らないのか?洗脳されてるからに決まってるだろ。
510名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 05:33:03 ID:ZY+vRhfP
だから男を(ry


だが男の娘を悪に堕として
最終的に性転換させるならいける
511名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 07:02:27 ID:Ud5+uMf/
510がキモすぎてこのスレが臭くなったわ
512名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 07:26:28 ID:yYzkHcfv
他にも言ってる人いたけど、なんとか戦隊とかのグループ系での悪堕ちはいいな
513名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 12:24:50 ID:xncRKSre
虐襲4のテキスト募集始まったな
514名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 12:26:47 ID:v3KFHJQD
感染4も出してぇ
515名無しさん@ピンキー:2010/03/16(火) 18:17:18 ID:0oRX73yM
>>496みたいな白目が黒いの最近よく見るけど元ネタみたいなのがあるの?
それとも昔からよくある表現なの?
516名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 02:00:46 ID:EZYBdc/D
>>514
ナゼググらない?
517名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 02:20:45 ID:oh4i/m2p
>>498
>エロ無し
残念。十分エロい。
そして素晴らしい。
518名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 06:39:00 ID:/XStRaFj
今日のテレビで「セレブ令嬢誘拐洗脳」というドキュメンタリーがあるので期待している
519名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 07:17:34 ID:b9Ve0mXc
>518
ストックホルム症候群のことやるだけじゃね?
520名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 15:59:35 ID:nehpTVAD
ああセレブが洗脳でゲリラにか。
あれはアメだかがどんだけ酷いかとかを延々をやって罪の意識で満たし
彼らと共に戦う!&彼らの為に身体をもって謝罪みたく
謝罪出来ると喜々として身体を差し出してそうだわ。

救出されて、洗脳というか順応が解けたら解けたで、トラウマに苦しむんだろな。
521名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 16:18:04 ID:HdO/M531
それ前もテレビでやってたな。確かその後、売れない女優になった奴だろ
522名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 18:50:41 ID:pFhxQm7r
よし録画する
523名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 20:39:32 ID:22nuADXb
きょうも自作自演する仕事がはじまったお………
524名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 22:07:50 ID:8GjWEttg
書く前に設定を考えるんだけど
だんだん形になってきたと思ったらキカイダーとめっちゃかぶってることに気が付いた
525名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 22:14:03 ID:T+I4NkgS
ゼロワンにすればおっけー
526名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 23:26:48 ID:VfHtezEF
うぅ…お願いです、感想をください
【では我々の望む悪堕ちSSを書くと誓うか?】
あなたたちに従えば感想をもらえるとでも言うの!?
あたしが書きたいのはただのSSじゃない、そう…作品なのよ
【SS書きとして今までどれほどのGJをもらった?住人はお前にGJと言ってくれたか?
むしろ高尚乙ではないのか?】
それは…良い物を書けば自然と感想はもらえるわ
【SSなど必要ないという流れになっても?】
違う!ここはエロパロ板。SS書きがいちゃいけない理由はない…はず…なのに…
【お前の書くものは単なる自己満足ではない言えるか?自分だけが楽しんで他人を置き去りにしたことがないとは言わせないぞ】
うぁっ…スルーしないで…
【さぁどうする、一言言えば良い。我々に忠誠を】
………お願いです、私にコメントをください
ください!GJって言ってください!一言でいいから感想をください!!
【よかろう、今よりお前は我らの忠実な僕。我々のためにヌケる悪堕ちSSを書くのだ】

ふふっ何を悩んでいたのかしら、何も難しく考える必要なんてなかったのにね
スレの趣旨に沿ったエロパロを投下する
それがSS書きのシゴト
あなたも書いてみなさいな、住民からGJと言われる快感に染め上げてあげるわ


麩まんじゅうの時はあんなにスラスラかけたのに、何書きたいのかわからなくなってきた
自己満足も大事だしSS書きは住民の萌え製造機でもないが、読んでもらう努力も必要だと思うのよ

そしてフェチ板に誤爆した、死にたい
527名無しさん@ピンキー:2010/03/17(水) 23:55:58 ID:tnFsIhc6
まさに今日やってた123だなw
率直にGJ
528名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 00:54:01 ID:mtHVbNg8
>>525
いや、ノアにすべきだろ
529名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 01:16:28 ID:kwUjtQjK
good joke!
530名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 14:58:36 ID:qhQvECFF
ミヤネヤを悪堕ちさせる丸岡いずみ
531名無しさん@ピンキー:2010/03/18(木) 23:29:46 ID:2LUuSfHb
>>528
                _,,,_   _,,_
              ,.ィ":::::ミ''彡::::`丶、
              /:::::::::::彡 ミ:::::::::::::::::ヽ
             /::::::::::::::::彡:..:ミ::::::::::::::::::::ヽ
          /::::::::::::::::/⌒"⌒丶、::::::::::::::',
            |::::::::::/l:/      ノハ:::::::::::::i   ドンドンドン!!!!!
           、::,イ==、  :,. ===リ:::::::::::::|  こんばんわー―!!こんばんわー―!!
          ヾ:| rt:。ュ、', .'ィt:。ュ,/`'ソ!::::::ノ  ネオトピア男子部のノアでーす!
              「! `¨¨´ .: :. `¨¨´   ,リ´i′
            、!    r: .: 、    fシ'/       r‐、
               、、   `~ ¨´ 丶  ├f′       r‐| |´
             ヽヽ ヾ三三 シ'   /:/         |.. |.. |
             ヽ'、` ― '´  ,イノ       |.. |.. |
             /'{丶、___,. ´/ ヾ\       |.. | |
          _,.  ':| \     /   |::: `` ―---|'´
      ,. ‐ '´::::::::::::|   \  /   ,':::::( ̄`丶、ノ
   ,. ‐'´:::::::::::::::::::::::::::l    ,>‐<     /:::::::::``丶、.:
  /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|   ,.イ:::::::::>、 ./:::::::::::::::::::::::>.、_
532名無しさん@ピンキー:2010/03/19(金) 19:03:55 ID:F7GnzTRf
>>530
このスレ的には逆のほうがよさそうな気がする
533名無しさん@ピンキー:2010/03/19(金) 20:47:39 ID:jOniPv9h
ネオトピア?
SDGF……コントロールホーン……マドナッグ……
534名無しさん@ピンキー:2010/03/19(金) 21:30:03 ID:eSZJOHnm
>>533
黒リリは予告で期待してたのにがっかりだったな
まあこのスレとは関係なく彼女には萌えたが
535名無しさん@ピンキー:2010/03/19(金) 21:35:39 ID:1iEZeJy0
悪堕ちして女装してレイプされるんですね
わかります
536名無しさん@ピンキー:2010/03/20(土) 05:06:30 ID:oldpR5uW
前にちょっと話題に出たケロロクエストだけど、
ナツミ姫(こっちは洗脳解けちゃったけど)だけじゃなくモモカも洗脳されてるみたいだな
・・・しかしやっぱりまるっきりナイトガンダムだなこれ
537名無しさん@ピンキー:2010/03/20(土) 07:38:44 ID:jbo4HnJ9
だって朴李ですもの
538名無しさん@ピンキー:2010/03/20(土) 13:20:03 ID:JRDKe59p
パロディと言いなさい!
539名無しさん@ピンキー:2010/03/20(土) 18:04:22 ID:9eGGYQEx
正直な話、全く他と似てないのって無理だろ
540名無しさん@ピンキー:2010/03/20(土) 19:12:02 ID:FupGO4BR
ジャンプの読み切りで天使による洗脳ネタが有った
541名無しさん@ピンキー:2010/03/20(土) 23:43:32 ID:f/zdkmWD
>>526
目を覚ませ!
麩まんじゅうで本気のGJをもらったお前なら真の悪堕ちを書けるはず…

誤爆は諦めろ、うん
542名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 01:07:18 ID:sDPIv0Y8
ガイアメモリによる精神汚染は悪堕ちと言えるかな
別に誰かの支配下にってわけじゃないんだけど無理やりにでも使用させれば堕とすことはできそうだ
543名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 03:33:56 ID:v++vhECF
ttp://migzou.blog84.fc2.com/blog-entry-308.html

さすが100メガショックだぜ!
544名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 03:43:12 ID:RjTxDUq9
得ろ下の世界はわからん
545名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 21:24:51 ID:hBPsJyCi
フェチ版ってどこにあるんだ?
>>526の作品読みたいぞ

それと魔法少女えれなが近所で安く売ってたんだが、悪堕ち的にはどうだったか知ってる人いる?
546名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 22:17:15 ID:3kdH4s1M
あれかあ。
地球侵略に来たエイリアンと主人公家族の話。
母親は予め敵に拉致されてる状態だが、初登場時に堕ちてないし、その後も堕ちず妹に殺される。
(一応BAD扱いで堕ちてるっぽいのもあるが経緯の描写は無く、妹と共に死んだ後の魂が、ラスボスである父親の肉体に吸収されててエロエロなだけ、という状態)
んで、ストーリー中盤で妹も拉致され、こいつは堕ちる。
基本的に姉へのヤンデレという形。問題はその際のこいつの堕ち描写が無い事。
拉致後、再登場の際には既に悪堕ち済みという適当ぶり。
最後は割と唐突に正気に戻って死ぬ。

メインではなくIFシーンで主人公が先に堕ちて妹を堕とすというシーンが一つだけある。
547予定調和:2010/03/22(月) 23:04:29 ID:ImjFNJGV
前回投下したSSに目を通してくださった方々、ありがとうございます。

今回投下する部分には過激で残酷な描写が含まれています。耐性のない方、食事中の方は回避奨励です。要するにグロ注意。
最初のほうの春香がさらっと吐いた提案で「うへえ」と感じた方は、
牢屋の中での晴川と夏菜の会話シーンまで読んだら大人しく次回のエロシーンを待ったほうがよいでしょう。
あの春香の提案は警告を兼ねています。その後の月夜女姫の台詞も別の意味で過激ですがきちんと次回に直球エロシーンはあります。
普通は鞭打ち程度で済ませる嗜虐シーンに力が入ってるのも「悪はエロより嗜虐性があってなんぼだろ」という作者の嗜好のせいです。
というわけで、今回は堕ちた側の鬼畜っぷりを堪能するためだけのお話。エロは次回にまとめました。
「嗜虐性とかどうでもいいから早くエロシーンか堕ちシーンやれよ」という方は今回はスルーしたほうが時間の無駄にならないでしょう。
人を選ぶ内容だと思いますので次回のエロシーンには過激で残酷な描写はありません。強姦を過激で残酷なものに含めなければ、ですが。

前回の粗筋
春香陥落。晴川と夏菜は捕まって私刑生活スタート。

それでは続きをどうぞ。
548予定調和:2010/03/22(月) 23:08:38 ID:ImjFNJGV
晴川たちが監禁されているところと同じ建物の中で、私は他の黒の一族の4人を集合させていた。
会議室というよりは机のない教室といったほうが近い部屋だ。
その部屋のホワイトボードにはこれから晴川たちが受ける拷問の数々がぎっしりと書かれている。
「とりあえず月夜女様が持っていた『拷問・処刑・虐殺全書』からよさそうなのを抜き出してみたのだけど、他にやりたいものがあるかしら?」
「先輩、どうせ瀕死になるくらい痛めつけてもすぐに治癒術で治せるんだから、もっと処刑っぽいのでも大丈夫ですよ」
「何か他にあるの?」
春香ちゃんはにこにこしたまま、元々爽やかなスポーツ少女だったとは思えないほど猟奇的な提案をしてきた。
「あたしが昔読んだ本の中に『逆さに吊って鋸で股から切る』ってやつがありましたよ。
 そうやって切ると胸の辺りまで刃がこないと死ねなくて、内臓をずたずたにされる痛みを意識がはっきりとしたままで味わい続けるそうです。
 やってみたくないですか?」
「なるほど、鋸引きはあったけどその発想はなかったわね」
股から切るとなると途中で骨盤を切ることになる。腕や足の骨とは頑丈さが違う。
それだけに長引くだろうし苦痛も比べ物にならないはずだ。直接腹を切るより楽しめる。
「お姉様は鞭使ったことあるの?」
「え、ないけど……というか、使ったことないのが普通でしょう?」
「あれ、使いこなすの結構難しいよ。私は何回か使ったことあるんだけど、上手に振らないと自分に当たるんだよね」
「蘭って素手じゃないと肉の感触が味わえないから嫌とか言ってたのに、いつの間に使ってたのよ」
「好奇心だよ。お姉様は街を襲ってたときは魔法を試してたみたいだけど、私は物質創造も満遍なくやってたから」
蘭は私より後に力を手に入れたにもかかわらず、より上手く力を使いこなそうと試行錯誤していたため技術だけなら私よりも上かもしれない。
さっきからそこで黙ってるゴミとクズとは向上心が違う。
「薬漬けはしないんですか?」
「ああ、普通は依存症なんてそう簡単に治せないから忘れてたわ。
 薬で釣ってより残酷な方法も試せるし、いいかも。問題はどうやって調達するかだけど……」
「あのー……」
「ん、何?」
薬漬けを提案したゴミでないほう――ゴミが僕にしてきた人間、白石秋生だったか――が自信なさそうに手を上げていた。
「折角青野さんは女なのですから、陵辱をなぜしないのですか?
 このような場合輪姦は行われないのが不思議なくらい当たり前の行動ですし、精神的に追い詰めるのに有効な方法だと思うのですが」
ふむ、陵辱に輪姦ねえ。クズが言っている言葉の意味はわかる。だが……。
「お前、ちょっとこっちに来なさい」
作り物の微笑を貼りつかせた顔で、たった今不躾な発言をしたクズを手招きする。なぜか春香ちゃんが1人でニヤニヤしているのが見えた。
「いかがいたしましたか、月夜女姫様」
全く悪びれる様子のないクズの首を鷲掴みにして爪を食い込ませて、そこで私が初めて怒りをあらわにする。
「あの不潔で無様な体勢でやる動物丸出しの行為がね、私は大っ嫌いなのよ!
 あんな下劣な行為をまるでステータスのように求める現代社会が異常なの!
 あれを見るなんて、どうして私が気持ち悪い思いをしないといけないの!?
 さてはお前も、アレが男女間の優秀なコミュニケーションツールとか思ってる猿ね!」
クズのほうは気管が圧迫されて呼吸も満足にできていない。黒の一族だから呼吸困難で死ぬことはないにしても、
人間のときと同等の苦しさを味わっているはずだ。喉から流れた血が私の手を赤く染めていく。
「も、申し訳、ございません、でした……」
「どうしてあんな無意味なものを皆やりたがるのかしら。
 人類を人工授精、もしくは優秀なクローンのみで作り、国が養育院でまとめて育てれば親は全部労働力になるのに。
 それがわからない発情期の獣には教育が必要ね」
クズを蹴り飛ばすと、栓が外れたかのようにどばっと首から血が溢れ出す。
すぐにクズ自身で治癒術を使っていたため出血は間もなく収まったが、それなりに大きな血溜まりができていた。
549予定調和:2010/03/22(月) 23:12:54 ID:ImjFNJGV
椅子の肘掛に左肘をおいて頬杖をつき脚を組んで座ると、ドレスの裾の下からちらりとブーツの先が覗く。
スムース革の黒のピンヒールのロングブーツ。最近やっとハイヒールで歩くのにも慣れてきた。
「クズを蹴ったせいで靴が汚れてしまったわ」
靴を軽く浮かせ、春香ちゃんと目をあわせる。これ以上の言葉は要らない。
それだけで春香ちゃんは弾かれたように動いて私の前に跪き、躊躇いなく舌を私の靴に這わせる。
綺麗にしろとも、靴を舐めろとも私は言う必要がない。
「んむ、れろ、れろ、んむう、ぴちゃ……」
屈辱を押し殺すどころか、逆に嬉しそうに春香ちゃんは私の靴を舐める……というより、しゃぶっている。
私が何も言わなくても靴裏まで丹念に舐めてくれる。私が具体的に指示しなくても春香ちゃん自ら進んで私の意思を汲み取ってくれる。
靴を舐めさせるという行為は、忠誠の度合いを確かめる方法としてはポピュラーなものだ。
元々先輩後輩という上下関係があったことも影響しているのかもしれない。
これを見る限り、私と春香ちゃんの主従関係は最高に固いものとみていいわね。
もちろんゴミとクズの2人もこの水準まで私に対する隷従意識を高めてある。
「ねえ、そこのゴミ。私にもアレ、やってみようか」
蘭が私の真似をして靴を浮かせる。靴は私とお揃いのものだ。徐々にではあるが、蘭も私の僕に遠慮なしに横柄な態度がとれるようになってきている。
「月夜女姫様なら別にいいけど、なんであなたの靴なんか舐めなきゃいけないのよ」
形式上の立場の違いはあるが、蘭とゴミに直接の主従関係はない。しかしゴミのほうはもっと自分の立場をわきまえて欲しいところだ。
「やってみようかって言ったら、やりなさいってことだよね?」
反抗的なゴミを、蘭が優しく脅す。見た目と口調は穏やかなままで、言っている内容だけをきつくする。
そのギャップがより一層恐怖をかきたてることを蘭もわかってきたらしい。
「春香ちゃん、反対側も」
「はい、ありがとうございます」
蘭に命令されても、まだゴミのほうは動こうとしない。動こうとはしていないが、視線が蘭の顔と靴との間を何度も往復している。
「もっとはっきり言わないとわからないかなあ」
蘭は呆れたような顔をすると共に、さらに靴をゴミのほうに突き出した。
「私の足元に跪いて、私の靴を舐めて綺麗にしなさい」
自分の妹の成長に感心する。蘭も遂にここまで言えるようになったとはね。
蘭の上から押さえつけるような物言いにゴミのほうもたじたじになっている。
「わ、わかりました……」
春香ちゃんと比べると、やはりゴミのほうは靴を舐めることにかなりの抵抗があるらしい。
両手に靴を持ってからもしばらくは唇を震わせるだけで動きが止まるし、
屈辱感を抑えられないのか舌先をちょんと触れさせただけでなかなか次に進もうとしない。
「あれ?折角『舐めさせてあげてる』のに、私に感謝の言葉もないわけ?」
勢いづいて蘭はさらに高飛車に出る。「お前の抵抗の意思など全て踏みにじってやる」と言わんばかりの強い力のこもった瞳でゴミを見つめている。
「この、いい加減に……」
ゴミが何か言いかけたが、蘭の見下すような視線を真に受けてビクっと体を強張らせた。
あの表情を見てしまえば、逆らう気が失せるのも仕方ない。気の弱い人間なら目をあわせただけで殺せそうだ。
「1回だけなら聞かなかったことにしてあげるよ?」
この貫禄こそ、私の僕に相応しい。私の真似をしているうちに自分のしていることが板についてきたみたいね。
「ありがとう、ございます……」
「まさか靴の上っ面だけを適当に舐めて終わらせよう、なんて考えてないよね?」
初めから靴底を舐めるのは抵抗があっても仕方がない。
果たして蘭は暴力に訴えずに、言葉と表情と雰囲気だけで従わせることができるかしら。
このままあの女を手懐けることができれば私の僕として1人前だ。
「あの、冬子様が無理なら、私がやりますけど……」
「貴方はもう従順だからこんなことをやらせても面白くないのよ」
あの様子じゃ、私と春香ちゃんほどの主従関係になるためにはそれなりに時間がかかりそうだ。
でも急ぐ必要はない。じっくりと立場の違いをわからせてやればいい。魔眼を使って言うことを聞かせるより、そのほうが蘭の練習になる。
550予定調和:2010/03/22(月) 23:16:57 ID:ImjFNJGV
「そういえばさあ、貴方がさっき言ってた『りょうじょく』とか『りんかん』って何?」
蘭がゴミに靴を舐めさせながら、さっきのクズの発言に食いついている。
蘭には知る必要もないし、世の中には知らないほうがいい情報もあることを教えておかなければならない。
「ああ、それはですね……」
「お前は蘭と口を利くな!蘭が穢れる!」
急に立ち上がったから、春香ちゃんの手を踵でゴリッと踏みつけてしまった。骨が折れてしまったかもしれない。
そんなことより今は蘭のことが大事だ。
「あ、ちょっと、お姉様!」
蘭の手を引っ張って別の部屋に連れて行き、クズとの関わりを絶たせる。
一旦興味を持ったものを「調べるな」と止めても人間の好奇心というのはそう簡単に抑えられるものじゃない。
「蘭、ちょっとこっちを向いてくれる?」
「何、お姉……さ……ま……」
私を強く拒絶している相手ならともかく、蘭なら心の壁を瓦解させることなど容易い。魔眼を使って蘭の意識の全てを私に集中させる。
ああ、なんて可愛いのかしら。
可愛いだけじゃなくて可憐さも併せ持つ顔立ちに、私と同様の長い睫毛。
子供と大人の両方の魅力が掛け合わさった、ベストなタイミングで体の成長が止まっている。
さっきの貫禄と余裕に満ち溢れた顔もいいが、こうやって魂を抜かれたような惚けた表情もいい。

魂を抜かれたような惚けた表情をしているのは今の私も同じだった。
「私が蘭に見蕩れちゃってたらダメじゃないの」
気を取り直して蘭の記憶を弄り始める。優しく、ゆっくり、確実に。
蘭には学校の保健体育で教えてもらうくらいの知識があればいい。
男が出した精子がどうやって女の子宮に到達するか?そんなもの、蘭は知らなくていいし知る必要もない。
だが他の人間全員まで制限するつもりはない。そうすると人間がいなくなってしまう。
だからこれは姉である私のただの我侭。
記憶を消すだけではまた今回と同じことが起こるかもしれないので、
ああいうのはただひたすら下品でわいせつなものだという偏見を植え付けておく。
蘭は一生純潔無垢のままでいて欲しい。
ずっと人間の汚い部分を知らないままでいて欲しい。
尿が出る不浄なところを舐めたりする現実があるなんて知って欲しくない。
もし私の蘭に風紀紊乱なことを吹き込もうとする不埒な奴がいたら、全員八つ裂きにしてやる。
「これでよし、と。ほら、蘭、何ぼーっとしてるのよ」
蘭の肩を軽くぽんぽんと叩いて意識を覚醒させる。蘭は寝ぼけ眼で私を見た後、自分の今の状況を判断するまで少し時間がかかった。
「う〜ん……あ、あれ?ごめんなさいお姉様、私ちょっと気が抜けてたみたい」
「少し疲れてるのかもね。今日は早めに寝なさい」
それにしてもあのクズ、普段は大人しいふりをして本性はあんな淫乱女だったとはね。ほんと、人は見かけによらないわ……。

自分がどうして怒られたのかわからない秋生は、自分の作った血溜まりを掃除していた。そこに部屋に残っていた春香が声をかける。
「いやー、見事にあたしの予想どおり先輩の地雷を踏んじゃったね、白石さん♪」
「赤坂さん、知ってたなら言ってくれてもいいのではないですか」
「何でわざわざ自分で楽しみを取り除かないといけないのよ。
 黙ってれば2人のうちどっちかは引っかかるとは思ってずっと楽しみにしてたのに」
「……赤坂さん、なかなかえげつないことをしますね」
秋生の恨みのこもった目つきも、今の春香には弄りがいのある獲物にしか見えていない。
「蘭ちゃんに2人がまだ激しく怒られてないって聞いてたから、その時点で2人に言っておけばこういう事態は未然に防げたかもね。
 でも、あたしはあんたに卑猥な発言をしろとは言ってないし、勝手に引っかかったのが悪いんじゃない?」
春香の言い分は無茶苦茶ではあるが、月夜女姫に叱られて動揺している秋生の心の傷を抉るには十分だった。
551予定調和:2010/03/22(月) 23:20:17 ID:ImjFNJGV
「先輩も変わってるよねえ。内臓とかグロテスクなのは平気なのに、あっち系のことは耐性ゼロだし。
 昔から軽い下ネタ程度で嫌な顔してたけどね。あ、グロテスクなのがだめだったら医者やっていけないか」
「あそこまで毛嫌いする人は初めて見ましたよ。化石みたいな貞操観念ですね」
「あたしも先輩以外には知らないなあ。どんな育ち方をすればああなるんだか。どこの時代の頑固親父ですかって感じよ」
元々天道彩はグロテスクなものは苦手で、ごく普通の感覚を持つ女の子であった。
医者を目指すのにそれではいけないと思い、中学生の間に自分で克服したのだ。
それが今は黒の一族となって残虐性が増幅されているに過ぎない。
月夜女姫がその方面の話が未だに苦手なのは、親が無菌状態で育てすぎたのが原因だった。
「あそこまできついセックスヘイターじゃなかったら、先輩は頭も顔も運動神経もいいし、
 友達想いで性格もいいから人間関係も円滑にできただろうにねえ……今言っても遅いけど」
「そういえば、今晴川と青野さんを一緒の牢に入れてますけど、大丈夫なのですか?」
秋生から見れば、月夜女姫が男と女を同じ牢に入れていることが信じられなかった。
見張りも置いていないし、そういう行為に及ぶ可能性も十分に考えられる。
「先輩のことだから多分わかってないだろうね。でも、あの2人は『色恋沙汰とかめんどくさい』って言うタイプだから心配ないと思うよ」
男1人に女4人という組み合わせで2年近く何も起こらずに済んだのも、晴川の貞操観念が強かったからに違いない。
しかしその情に流されない過剰なまでの冷血さが春香を堕とすことになった。
「それに、2人を同じ牢に入れておくのは目的があるらしいよ。あたしは知らないけど」
春香はこれから2人を待受ける運命に心を躍らせ、秋生はその運命に少しだけ同情した。



晴川と夏菜の2人は別の部屋に移動させられて、そこで壁から生えた短い鎖で手足を拘束された。
牢屋と同じくここも真っ暗で、黒の一族でない者は視界が完全に閉ざされる。晴川たちは目隠しをしているのも同然だった。
「まずはオーソドックスに鞭からいってみましょう。覚悟はいいかしら?」
「……やりたいならさっさとやればいいだろ」
晴川はふてぶてしい態度で月夜女姫の言葉を受け流す。
「そうやって冷静を装うのもいつまで持つかしらね!」
言いながら勢いよく鞭を振り下ろすが晴川に当たることはなく、先端が月夜女姫自身の闇界障壁に当たって跳ね返った。
「このっ、このっ、どうして当たらないのよ……」
「先輩、あたしは夏菜ちゃんのほうをやってもいいですか?」
「ええ、いいわよ。……鞭も練習しておくべきだったかしら……」
「じゃあ私も夏菜ちゃんのほうにしよっと」
春香が床を鞭で叩いてバシィンと景気のいい音を響かせるが、夏菜のほうもそれで恐がる様子もない。
「1回やってみたかったのよねー、これ」
春香も初めてなのは変わらなかったが、初回の振り下ろしで夏菜の太股に赤い筋を付けた。そのまま腕や顔に次々と赤い筋を刻んでいく。
その間夏菜は打たれた瞬間に眉をひそめるだけでそれほどきつそうには見えない。
「あれ?なんか……楽しい……」
「……」
夏菜からは春香が見えていないはずなのに、夏菜は氷のような清冽な鋭さをもった目で春香を冷静に睨みつけている。
「こうなったら、意地でも悲鳴を上げさせてやる……」

月夜女姫は晴川に当たった回数より自分の闇界障壁に当てる回数のほうが多く、鞭を振り慣れていないのが一目瞭然だった。
「月夜女姫様、私がやりましょうか?さっきから全然当たってないじゃないですか」
「う、うるさい!お前たちはそこで指をくわえて見てなさい!」
春香は上手くできているのに自分はできていない焦りから、月夜女姫はさらに鞭の精度を落とした。
「お姉様も赤坂さんも全然ダメだなあ。赤坂さん、代わってもらってもいいですか?」
「全然ダメって……あたしも?」
蘭は夏菜の前に立つとにいっと口を歪めて、鞭を水平に構えた。
これから蘭に打たれる夏菜は来るであろう衝撃に備えてぐっと気合を入れなおす。
「本当の鞭打ちっていうのは、こうやるんだよ!」
春香の鞭とは段違いに威力の高い鞭打ちが夏菜を襲う。その威力は腹部の服が破け、さらにその下の柔らかい肌まで裂けて血が滲むほどだった。
「っ……!」
552予定調和:2010/03/22(月) 23:25:11 ID:ImjFNJGV
「さあて、夏菜ちゃんはいつまで耐えられるかなあ?フフフ……」
夏菜からは見えていないのに、はっきりと感じられる雰囲気だけでぞっとさせるような薄ら笑いを浮かべながら蘭は鞭を振り上げた。

相変わらず悪戦苦闘している月夜女姫に、蘭の興奮する声が届いてくる。
「しけた声出すなぁ!もっと叫べぇ!」
「いいっ……」
あちこちの皮膚が破れ、足を伝って血が流れている。奥歯が欠けるのではないかと思えるほどぎいっと歯を食いしばって耐えている夏菜の様子からは、
絶対に悲鳴を上げるものかという執念がこれでもかというほど伝わってくる。
「蘭、いつの間にマスターしたのかしら……」
蘭は月夜女姫が見たこともないような酷薄な表情で鞭打ちを楽しんでいた。
自分の妹があんなに上手に扱えているから、月夜女姫の拙さが余計に際立っているように感じる。
目の前の晴川も顔には出さないが心の中で嘲笑っているに違いない。
羞恥に耐えられなくなった月夜女姫は、次の蝋燭責めにうつるように指示した。



しかし、蝋燭責めは鞭打ちに比べるとかなり短い時間で終わった。

蝋燭責めが終わると2人は鎖を外され、元の牢屋に連れ戻された。
首輪をつけたまま晴川は剥き出しのコンクリートの床にゴロンと大の字に寝転がり、夏菜は膝を抱えて小さく蹲った。
「青野、その傷何ともないか?」
「……すっごいヒリヒリする。ところでさ、ああいうのってボンデージ衣装とかでやるのがお約束じゃないの?
 月夜女姫は漆黒のドレスだからまだいいとしても、その妹とか服だけなら清純系の正統派ヒロインにしか見えなかったんだけど」
「服だけは、な。それ以外の見た目や言動は悪魔以外の何者でもない」
固まった血がこびりつき、さらに焦げ付いている夏菜の服は原形を留めておらず、辛うじて布が肌に引っ付いていると言ったほうが近い状態である。
「でもお前があの鞭打ちに耐えられるとは思わなかったな。大したものだ」
「月夜女姫が蝋燭責めで『眩しいから止める』って言い出してなかったら間違いなく悲鳴上げてたけどね。
 まあ、お約束をわかってない連中なんて所詮あの程度よ。鞭打ちもあの妹以外は下手糞だったでしょ」
蝋燭程度の明かりすら直視できないのか初めは目を背けながら責めていたものの、
眩しいのが我慢できずに月夜女姫が早々に中止するように言ったのだった。
「あいつらの目的は拷問でも屈服させることでもなく純粋に俺たちの反応を面白がっているだけだからな。
 無反応を徹底すればいずれ飽きるだろう。今回はよくそれを守った」
「晴川さん、次は何が来ると思う?」
「鞭打ちといい蝋燭といいあいつらのやっていることは所詮SMプレイの真似事だ。となると……青野、SMプレイってほかに何があるんだ?」
「19歳の普通の女子大生にそんな知識があるわけないでしょ」
「ま、まあ、あいつらも慣れてないみたいだからそこまで多彩な責めはしてこないはずだ。ただ、陵辱は覚悟しておけよ。
 悪者に捕らえられたヒロインが犯されるという展開はありがちだからな」
「ちょっと止めてよ、私まだそういうことやったことないのに」
「最悪、俺を操って犯させるかも知れん。あいつらは全員女なんだからこれが1番可能性高いかもな」
「……」
夏菜もこの歳になれば悪者に負けたヒロインがどうなるかくらい知っている。そのまま殺してしまうケースは少ない。
春香のように他の仲間を釣る餌にされることもある。または、懐柔されて悪者の言いなりになるか。
しかし、夏菜の知識にあるのはここまでだ。
その方面の本を読んだことがない夏菜は、ヒロインが犯されて頭が壊れた雌奴隷にされることがあるとは知らない。
「今日鎖に拘束されるときに服を脱がされなかったから、やらない可能性も考えられるが……悪い、不安にさせた」
今日の鞭打ちや蝋燭責めももちろん初体験だったが、「犯される」というのはどのような気分になるのか夏菜には想像しにくかった。
その分未知の恐怖として夏菜の体を締め付ける。
「そ、そういえばさ、晴川さんはこの状況で何かしたいと思わないの?」
「何かって何だ」
「そりゃー……真っ暗な密室に男と女が2人きりで時間があり余るほどあるから……って、恥ずかしいこと言わせないでよ!」
553予定調和:2010/03/22(月) 23:33:46 ID:ImjFNJGV
首輪で鎖に繋がれているとはいえ、便所に行けるくらいの行動の自由は残されている。
実際にやろうと思えば暗くて相手が見えずともやること自体は可能だろう。
夏菜もこれまでの過酷な逃亡生活でやつれていながらもまだ肌は荒れていないし、健康的な若さを保っている。
夏菜は性格こそ子供っぽいが器量は中々で、体型も無駄がなく洗練されている。
並の性欲の持ち主とこの状況で2人きりだと襲われても不思議ではない。
しかしこれを晴川は月夜女姫の罠と踏んだ。
「あのな、青野。お前こそ今の状況を考えろ。余計なことして体力使ってる場合じゃないだろう。それとも、誘ってると受け取っていいのか?」
「そんなわけないでしょ、言ってみただけ。私は今も昔も色恋沙汰には興味ないから」
秋生と冬子には彼氏がいると晴川は聞いたことがあった。春香は厳しい部活とホワイトウイングの活動の両立で彼氏を作る暇がないというのはわかるが、
夏菜の高校時代の部活はあまり活動のない家庭科部。大学も特定のサークルに属しているわけではない。
「その顔で男が寄り付かないとは思えないな。付き合ったこととかないのか?」
「高校のときに1回だけ、告白されて付き合ったことはあるよ。
 でもねえ……別に相手の人が嫌いだったわけじゃないんだけど、恋愛って面倒じゃない?
 どうして皆あんなにくっついたり離れたりに必死なのかわかんないわ」
外見や服装に気を使うのも異性の気を引くためでなく、あくまで身だしなみの範囲。夏菜にとってはそれ以上の意味を持たない。
「それにそういう色恋沙汰で人間関係が壊れる人も多いでしょ?それなら友達のままでいいじゃんって思うんだけど。
 色んなものを犠牲にしてやっと男をもぎ取ってもその人と一生付き合うわけじゃないしさ。
 こういうことがわかんないから、皆から子供って言われるのかなあ」
夏菜がそんなことを言えるのも、夏菜はまだ人を本気で好きになった経験がないからだった。
夏菜の学部には掃いて捨てるほど男がいるのに、仲がよくても皆男友達止まり。
そこに夏菜を落とそうと企む男がいたとしても、まずは夏菜の恋愛観から変えなければならないので攻略難易度は高い。
「女でそこまで恋愛に興味がないのも珍しいな」
「今時恋愛以外にも楽しいことがいっぱいあるんだから、おかしくはないでしょ?
 私はね、皆のヒーローを目指してたの。ジャンルは何でもいいから、弱きを助け強きを挫く、みたいな感じのヤツをね」
「警察でも目指してたのか」
「警察とはちょっと違うんだよね、それじゃ点数稼ぎに忙しくて勧善懲悪にならないし。
 でも今私たちがやってることは正に皆のヒーローでしょ、平和を守る正義の味方。
 憧れてたけどまさか自分がなるとは思わなかったなあ。相変わらずそれっぽい変身スーツや巨大ロボは出てこないけどさ」
誰もが子供時代に憧れ、やがてそれが作り物の世界にしか存在しないことを知って諦める夢。しかしそれらは普通男子の夢だ。
「いつも思っていたんだが、どうして変身スーツや巨大ロボなんだ?お前は女なんだからそこは魔法少女だろ?」
「あー魔法少女ね……あれはどれもこれも衣装がやたらヒラヒラしてて戦いにくそうだし、変に肌の露出が多いからやだ」
「問題はそこなのかよ。……俺は、正義の味方側になるべき人間ではなかったのかもしれないな」
化け物退治ということで甘えを捨てようとしたところが行き過ぎて非情になった。
仲間を脅迫で集める、仲間を見捨てる、仲間を最初から信じないで切り捨てる……これではどちらが善でどちらが悪かわからない。
平和を愛する心はあっても結果を重視するあまり、正義の味方として根本的なものを軽視してしまっていた。
「お前みたいな純粋な心の持ち主が1番正義の味方に向いてるよ」
「いや、私も……現実の戦いを舐めてたよ。ゲームみたいに負けたら最初からなんてわけにはいかないんだから、
 時には晴川さんみたいに非情になる必要もあると思う。月夜女姫より前の敵はたまたま弱かったから上手くいってただけで、
 今思うとあんなふざけた戦い方をしてたら途中でいつやられててもおかしくなかったよ」
そのやり方でそれまで大した挫折を味わわずにここまできたのだから、夏菜の能力の高さが伺える。
「俺は聖人君子にはなれないが、もう少し正義の味方らしくしてみるとするか」
晴川は寝転がった体を起こしてあぐらを組んで座りなおし、静かに宣言するように言った。
554予定調和:2010/03/22(月) 23:36:30 ID:ImjFNJGV
「よーし、そうなったらまずはお約束の変身スーツだね!」
「どれだけ変身スーツが好きなんだよお前は。
 まあ、2人でここを出ることができたら白瀬に頼んでみるから、それまで名乗り口上でも考えておくんだな」
「うん!」
暗くて顔を見ることができなくても、声のトーンから夏菜が顔を輝かせて喜んでいるのがはっきりとわかった。
いつまで続くかわからない牢獄生活を耐えるモチベーションを保つためのわかりやすい指標だった。
月夜女姫たちが私刑に飽きたところで、晴川たちを解放するとは限らない。だが、そこで悲観的になっていても事態は好転しない。
「『夏菜参上!とぉうっ!』……これじゃシンプルすぎる。でもあんまり長いと名乗ってる間に敵に先制されるからなあ、うーん……」
命ある限り戦う、そう「思い込まされて」いることに2人はまだ気付いていなかった。



晴川と夏菜の2人は昨日鞭打ちと蝋燭責めをされたあの部屋にまた入ることになった。
今回は壁の鎖ではなく、台の上に革のベルトで手足と頭を固定される。
今回も暗闇で部屋の中に何が用意されているか2人は見ることができない。
「2人とも丸1日飲まず食わずでは辛いと思うから、今回はミネラルウォーターくらい飲ませてあげるわ。喉がカラカラでしょう?
 飲みやすいようにキンキンに冷やしておいてあげたから、たっぷり飲みなさい」
晴川の頭のすぐ側にドン!と音を立てて2リットルペットボトルに入ったミネラルウォーターを置く。
もう1人の方にも同じように蘭が置くと、僅かに顔が引きつるのが見えた。
「じゃあ飲ませてあげるから口開けて。はい、あーん」
思いのほか素直に応じた晴川に、口内の粘膜が傷つくことなどお構い無しにペットボトルの口を突っ込んだ。
「ちょっとお、口開けてくれないと飲ませてあげられないじゃん。早く口開けてよ」
すんなり言うことを聞いてくれた晴川とは逆で、蘭は言うことを聞かない青野とかいう女に手こずっているようだ。
喉を握ってえずかせ口が開いた隙に押し込んでいた。
最後は多少苦しそうな顔を見せるも、晴川は2リットルの水の一気飲みをこなした。
一方の青野とかいう女は半分を少し過ぎたところで限界が来たらしく、激しくむせて体をばたつかせている。
昨日の鞭打ちには耐えられても、今日の水責めには耐えられなかったらしい。
「お腹の中空っぽなんだからまだ入るでしょ?飲まないと息ができなくて余計に辛いと思うけど」
「ごぼっ、おぶぶ、ごぶぶぶ……」
「ほらあ、ちゃんと咥えてないからいっぱい零れてる」
飲みきれなかった水が溢れて、台の下にぽたぽたと垂れている。1本目が終わっただけで青野とかいう女は既に満身創痍で息も絶え絶えになっていた。
もちろん、1本だけで終わらせる気など全くない。
「あっちも飲み終わったみたいだし、2本目にいきましょうか」
「飲めばいいんだろ、飲めば」
口では強気な晴川だったが、1本目に比べると飲むペースがかなり落ちている。
ペットボトルの腹を凹ませて水を流し込む早さを上げると、ついに晴川も苦悶の表情を浮かべてもがき始めた。
「んおっ、ごぼ、げぼげぼげぼっ……」
「早く飲まないと息が続かないわよ……って、鼻が開いていたわね」
飲ませられながらも最低限の呼吸が出来ていた鼻を急に指で摘むと、拘束具を壊しかねない勢いで晴川が暴れだす。
その動きが多少弱まったところで、2本目のペットボトルは空っぽになった。
「ゲホッ、がはっ……はあっ、おぶうっ!?」
水から解放されて大きく息を吸い込もうとした晴川の口に、春香ちゃんが3本目のペットボトルを捻じ込んだ。
気管に水が入り込んだのか、苦しげに眉を寄せ目に涙を浮かべながら全身をのたうたせている。
「あんたなら休憩時間なんかいらないよね♪」
鼻は私が摘んだままなので、晴川が息をするにはこれを飲み干すしかない。
息を整える暇さえ与えられずに矢継ぎ早に水を飲まされては、精神力の強い晴川も限界に違いない。

晴川の腹が水でみっともなく膨れたのを確認して、私はもう片方の女の様子を見に行った。
こちらも妊婦のように腹が膨れ上がっていて、その瞳の中の光は弱弱しいものになっている。
水で内臓が圧迫されているのか、ひゅうひゅうと呼吸に擦れた音が混ざり普通に息をするだけでも苦しそうだ。
555予定調和:2010/03/22(月) 23:40:09 ID:ImjFNJGV
「それじゃ、腹を押すなり殴るなりして吐かせて。あと、そのままだと吐瀉物が気管に詰まって窒息するから顔は横にするのよ」
「夏菜ちゃんいくよー、せーの!」
「ぐげええええっ!」
蘭の全体重を腹にかけられ、希釈された胃液がごぼごぼとあの女の口から溢れ出す。
「けほっ、うえっ、おえっ……」
「もう1回お腹の中空っぽにしちゃおっか。まだまだ水はたくさん残ってるからさあ……」
一方、私は春香ちゃんに晴川のぶっくりと膨れた腹に拳を叩きつけさせていた。
元々武道の経験もなく腕力もか弱い春香ちゃんだが、黒の一族となった今では腕力自慢の男くらいはゆうにある。
「先輩、何か吐く水に血が混ざってるみたいなんですけど大丈夫ですかね?もしかしてあたし殴りすぎですか?」
「いいのよ、そのくらいで。ここでしっかり吐いておかないと後々苦しいわよ」
殴られている晴川に答えている余裕はない。いつもならこの程度のパンチなど腹筋に力を込めて軽減できるのに、
度重なる水責めで憔悴しきった体ではそれも叶わない。ただ私に無様な面を晒すだけだ。
水っぽい胃酸の血の割合が高くなってきたところで、春香ちゃんの手を止めさせた。
「今の気分はどうかしら?」
「……」
「ふーん、あくまで無反応を貫くつもりなの。まあいいわ、今のうちからギャーギャー喚かれてたら、この先耐えられないでしょうから。
 それじゃ、続きといきましょうか」
水責めは晴川が腹を押されなくても勝手に真っ赤な水を吐き出すようになるまで続けられた……。



まだ疲れが残ってふらついているというのに、晴川たちはまたあの部屋に連れてこられた。
今回は晴川だけを台の上に固定し、夏菜は隣で見学するように指示される。
黒の一族が眩しがることもなく、普通の人間の2人はお互いの様子がよく見えるように、薄暗い明かりがつけられた。
「昨日は水を飲ませてあげたけど、まだ食べ物を食べてないからお腹が空いたでしょう。
 これが終わったらお前たちにも食べさせてあげるから、もう数時間辛抱することね」
私は晴川のボディーガードのような服を破いて、みっちり鍛えられて綺麗に6つに割れた腹筋をあらわにする。
ボディービルダーとまではいかないが、おそらく一般人ならここまで鍛えないだろう。その腹も今は昨日殴ったせいで青痣だらけになっていた。
「そうだ、この晴川の腹から目を逸らしたらダメだからね」
「何をする気なのよ」
「ふふ、いいもの見せてあげる。でも、流石にこのまま切ると不味そうね」
一旦治癒をかけて傷を治してから、みぞおちから腰の辺りまでつつっと爪を走らせると、
ワンテンポ遅れて赤い線が引かれたように血が滲み出る。次は左右の肋骨に沿って。
大学は解剖実験とかやる前に出てきてしまったから、私に専門的な知識はない。
それでも、何回も普通の人間を実験台にしてこんなふうに腹を裂いてきた。腹の皮をはがすだけならそこらの外科医より上手いかもしれない。
必要な分の切込みを入れ終わったところで、あの女はこれからやることにやっと気が付いたのだろう、
カタカタと震え必死に目を逸らそうとしている。さっき私が暗示をかけたのだ、どうせ無駄な足掻きでしかない。
「嫌、やめて、こんなの見たくない……」
見たくないと言いつつ、目は私の指示した位置に釘付けになったままだった。
それを確認して、最初に入れた体の中心の傷に手をかけて腹の皮と肉をメリメリと音を立てて引き剥がす。
まだ元気に脈打っている、健康的な人間の臓器が目に飛び込んできた。
「ぐあああああああああっ!」
「いやああああああああっ!」
「初めてまともに叫んでくれたわね……その調子でもっと泣き叫んで頂戴」
普通に生きていればまずお目にかかれない、人間の内臓。
人体の構造が書かれている本でも大抵は絵で説明されているので、それ以外だと人体模型くらいしかない。
見る機会といえば手術か、交通事故などで内臓が飛び出した怪我人か。
それと同じまだ生きている人間のものだ、精肉屋に並んでいる肉とは新鮮さが違う。
「どう?なかなか見られるものじゃないわよ」
「うっ……早く……閉じなさいよ……気持ち悪い……」
「冗談でしょう?これからが本番なのに。じゃあまずは」
556予定調和:2010/03/22(月) 23:44:11 ID:ImjFNJGV
爪で中を切らないように腸のあたりに慎重に手を突っ込み、臓物を引きずり出していく。生臭さが鼻を突くが、もうこんなものは慣れている。
「ぐ……がはぁ!」
太い血管を上手く避けて切開できたから、出血量は大したことはない。
出血量さえ多くなければ、人間というのは内臓を外部に露出させても半日くらいは生きられるという。
ただ、こうやって内臓を引きずりだされると人によってはあまりの痛みにショック死することもある。だから慎重にいかなければならない。
「お姉様、こいつ寝ちゃったよ」
「塩、そこにすり込んで。用意させてたでしょ。でも一気にすり込んだらダメよ、ナトリウム過多になるから」
「ぐげぐぎゃああああああ!」
「もうやめて!こんなこと……う……う……うげええええぇぇっ!」
青野とかいう女の両手で口を塞いだ隙間から胃液が溢れ出てくる。
黒の一族を散々殺したくせに人間の内臓見ただけで戻してしまうなんて、意外と軟弱者なのね。
「ありゃー、また見事に吐いちゃったねえ。免疫なかったんだ。夏菜ちゃんってこういうのに強いと思ってたけど」
「げほ、げほっ……春ちゃんこそ何でこんなもの平然と見ていられんのよ」
「あたし?あたしはもう慣れちゃった。だって人間なんてたんぱく質と脂肪とカルシウムの固まりでしょ。
 それに夏菜ちゃんだって黒の一族の腕をもぎ取ったことがあるじゃない」
「たまたま光線が当たって腕が取れたのと、今の状況を一緒にしないでくれる?あの時だって精一杯我慢してたのよ……」
私は消化器官を大方出し終えると、ほぼ空洞になった体の中で未だに鼓動を続けている器官に手を伸ばす。
血管の繋がったままのそれを取り出すと、晴川たちの顔色が一気に青くなった。
「ちょっとそれ、どうするつもりよ。まさか……」
「あ、そうだ。折角だからお前に止めを刺させてあげましょう。蘭、小ぶりなナイフを1本出して」
「こんなのでいい?」
蘭が出したのは私が思っていたものより大ぶりではあったが、ナイフには違いない。
「ありがとう。では青野さん、このナイフで晴川の心臓を刺しなさい」
空洞になった晴川の腹から目を逸らせない青野とかいう女の暗示を上書きし、血みどろの両手で優しく彼女の手にナイフを握らせる。
「誰が……え?」
前回操られたときとは違い口が利けることを知ると、なぜか女は勝ち誇った顔になり、
「かけ方が……甘いのよ!」
握らされたナイフをポロリと足元に落とした。
それでもなおナイフを拾おうとする体に脂汗をかきながら抵抗しているため、小刻みに体が震えている。
馬鹿な女だ。今回暗示を甘くかけたのはわざとで、そうやって必死に暗示に抗う格好を見て私は楽しんでいるというのに。
落としたナイフを再び女ががっしりと逆手で掴み、頭上まで掲げていた。
そんなに高く上げなくても心臓に穴を空けるには軽く刺すだけで十分なのに、張り切っちゃってまあ。
「こんなところで死ねるかよ……!」
「晴川さん……私ならまだ、平気だから。大丈夫。まだ、耐えられる」
「でもさあ、このまま心臓出しっぱなしにしてたらどっちにしても死ぬと思うよ?
 こいつも苦しいだけだからさっさと逝かせてあげたほうが良いと思うなあ」
「黙れ……気が散る……」
夏菜は鬼気迫る顔で春香を睨むが彼女は全く気にも留めず、
「そう?じゃあ……鞭打ちも追加しちゃおっか?この前使ったイバラ鞭はどこにいったかなあ」
「お前らなあ!人が苦しんでいるのを眺めて何がそんなに楽しいわけ?はっきり言って頭いかれてるんじゃないの?!」
「嬉々として月夜女様を狩っていたお前には言われたくないわね。これは私の大切な人を奪った報いよ」
初めて自分の本棚からあの本を見つけたときから決めていた。
絶対にこの女と晴川はあの本に書いてあるような死んだほうがマシと思えるような責め苦を与えてやろうと。
「夏菜ちゃんだって自分の嫌いな人が痛い目に遭ってたらいい気分になるでしょ?それと同じだよ。そーれ!」
「違う!……ああっ!」
背後からイバラ鞭でざくざくと傷を付けられた痛みに耐え切れず、夏菜は思わず掲げたナイフを振り下ろしてしまう。
刃を肉に突き立てた感触が夏菜の心を削るが、突き立てられたのは心臓ではなかった。
「ぐうっ……げほっごぷっ」
胃液で酸化していない、鮮やかな色の血の泡が晴川の口から吐き出される。
「へえ、肺に穴を空けてさらに苦痛を与えるなんて、お前もこいつに恨みがあったの?」
557予定調和:2010/03/22(月) 23:49:14 ID:ImjFNJGV
目が血走り、心が狂い乱れてぐちゃぐちゃになっているのがはっきりと見て取れる。
髪を振り乱しながら振り下ろしたナイフは今度こそ晴川の心臓に突き刺さった。
晴川は目玉が飛び出しそうなほど大きく目を見開き、一際大きな呻き声を上げて心臓から噴水のように鮮血が噴き出す。
「ああ……アア……」
「大丈夫よ、このタイミングで治癒をかければ」
理屈は未だにわからないが、どうみても助かりそうにない怪我や病気でもこの治癒術を使えば治せる。
この程度なら10秒もあれば完治するだろう。黒い霧が晴れると私が腹を切開するまえの状態に戻っていた。
引きずり出した内臓も全て元の位置に戻っている。
「ほらね、飛び散った血はそのままだけど体は元通り。殺さないって言ったでしょ?」
「うう……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」
私の声が聞こえていないのか、壊れた人形のように謝罪の言葉を繰り返している。
「じゃあ次はお前の番ね」
「それで大人しく従うと思ったら大間違いよ!」
私は「殺さない」と言っているから、これ以上失うものはない。だからこの女は命令を素直にきかなければならない理由もない。
しかし、決して逃げられない檻の中で強がったところでちっぽけなプライドが保てるだけだ。
「夏菜ちゃん、変なところで意地張らないほうがいいよ。時間をかけるともっと過激で残酷な私刑になるかもしれないしね」
「くそ……」
夏菜は生きたまま麻酔も無しに腸を引きずり出すより辛い私刑は思いつかなかったが、ここで無意味に突っ張ったところで何も進まない。
観念せざるを得なかった。
「私の爪は切れ味がいいからそこまで痛くないはずだけど、内臓をかき回されるのは尋常じゃない痛さらしいから覚悟しておいたほうがいいかもね」
この一連の解剖で女の方は精神的にかなり参っている。
あんまり急に事を進めると壊れて復讐の効果が薄れるかも……そのときは治癒で回復させて責めを続行すればいいだけの話だ。
「ああ、そうそう。晴川にはやるのを忘れてたけど、今度は自分で自分の胃を握り潰してもらおうかしら」
「できるわけないでしょ!死ぬわよ、そんなことしたら!」
胃を握り潰したくらいでは人間は死なない。
そのまま放置すれば死ぬかもしれないが、胃を全部切除しても生活できている人間もいることをこの女は知らないのかしら?
「握る手の骨を砕いておいたら時間がかかってさらに楽しめるわね」
「最低!最っ低よ、この人でなし!」
「これで最低なんて言ってもいいのかしら?こんなの、まだまだ序の口よ」
私刑が思っていた以上に過酷なものだと理解し、この女の顔からみるみる血の気が引いていく。拷問という言葉すら生温い。
普通の拷問ならば傷の治療のためにある程度の休憩時間を与えるが、この私刑では瞬時に傷が癒せるのでそれは必要ない。
私が止めるまで絶え間なく苦果が続く。
「お前、私たちをどこまで痛めつければ気が済むのよ……」
どこまでって、決まってるじゃない。
「私が飽きるまでよ。それまで精々楽しませて頂戴ね、囚われの正義の味方さん」
飽きるまでとは言ったが、いつ飽きるかは私にもわからない。

まさか、殺してもらえるなんてそんな甘いこと考えてたということはないわよね。
簡単に楽になろうとしてんじゃないわよ。



生きたまま麻酔無しで解剖という肉体的・精神的苦痛を同時に味わう私刑の後、月夜女姫は約束どおり晴川たちに食事を提供した。
それもコンビニ弁当などではなく、一食が2000円以上もするような豪華なものばかり。
毒が入っていると警戒しても、栄養剤を無理矢理飲まされるので意味がない。
月夜女姫がそこまで気を使うのも、「弱った虫を虐めても反応が薄くてつまらないし、私刑には万全の体調で臨んでもらいたいから」
という理由だった。怪我も私刑を受ける前に治療され、破れてしまった服もまともなものが支給される。
558予定調和:2010/03/22(月) 23:53:42 ID:ImjFNJGV
もちろん酸鼻を極めた様々な私刑も続行された。口から泡を吐いて気絶するほどの電気ショック。
焼きごてを前座として、さらに焼け爛れて皮がべろりと剥けるほどの火あぶり。
爪を自分で剥がさせたり、指と爪の間に火薬を詰めて爆破したり。
引き伸ばし器で関節を外され、腹を裂いた部分から傷口を広げて内臓だけで体が繋がっている状態にされたこともあった。
わざわざ切れ味の悪いぶつ切り包丁で指の先からゆっくり骨を粉砕されたり、
大きな杭を四肢に打ち込まれて壁に固定されて磔の形にされたり。自分で引き千切った自分の肉を食べさせられたこともあった。
そこまで凄惨な扱いをされながらも、晴川たちは決して自殺を図ることはなかった。
いや、できなかったのだ。なぜなら、月夜女姫の暗示により戦い続けることへの執着が強められているから。
だからいっそのこと死んだほうが楽であろう私刑でも「殺してくれ」とは言わなかったし、生きて帰るために必死に耐えていた。
するだけ月夜女姫が喜ぶので、許しを請うこともしなかった。

そして今日もいつもの部屋に首輪の鎖を引かれながら歩いていく。
「なあ、お前らどこでこんな拷問の方法を仕入れたんだ?とても20歳前後の小娘が持ちえる知識とは思えないんだが」
元は若い女ばかりの今の黒の一族がここまで自分たちに苦痛を与える手段を知っていることに晴川は驚きを隠せなかった。
その分野に詳しいような危ない人種はいなかったはずだ。
「月夜女様の遺品のおかげよ」
「あいつの仕業かよ。全く、とんでもないものを遺してくれたな」
「月夜女様があの本を遺しておいて下さらなかったら、お前たちをこれほど痛めつけることも出来なかったでしょうし、感謝してるわ」
「ただのSMプレイの真似事だと思った俺が馬鹿だったか……」
晴川はこれ見よがしに大きなため息をつくと、恨めしげに月夜女姫を見上げた。
「お前……こんなことして、満足か?俺たちを痛めつけているのは本当にお前の意思なのか?
 俺たちを痛めつけたところで、月夜女は生き返ったりしないんだぞ」
晴川の首輪の鎖を引いて前を歩いていた月夜女姫はそこで初めて振り向いて、
その綺麗すぎて触れてはいけないような顔を晴川の目の前に晒した。
「自分がやりたいからやってるに決まっているじゃない。追い詰められて死に物狂いのときに見せる抵抗なんて、最高の見せ物よ。
 その凛々しい顔が恐怖に染まる様をもっと見たいわね」
人を傷付けて楽しむその心が元々「天道彩」が持っていた心を大きく歪められてできたものだというのは
以前の彩を知る人物なら容易く見破れるほど、今の月夜女姫には昔の天道彩の印象は変わっていた。
変わらないのは、整った顔立ちが見せる優しそうな笑顔。しかしその笑顔は向けられた者に癒しを与えることはなく、逆に対象を萎縮させていた。
「悪趣味極まりないな」
「それに月夜女様の失われた幸せは戻ってこなくても、その幸せを奪ったお前たちの幸せは奪うことができる」
月夜女姫は晴川たちを苦しめることが第一で、それ以外は二の次だった。
いかに苦痛、屈辱、絶望を刻み込むことができるか、それだけを考えていた。
「安心しなさい、今日は多分1番楽な部類だから」
部屋に入ると今回も真っ暗で、晴川たちには何も見ることができない。
ただ、地を這う生き物が大量にいることだけは音でわかった。
「せんぱーい、言葉の通じない生き物を操るのってやっぱりかなり難しいんですけど」
「そこまで精密に操る必要はないわ。ただ本能のままに襲わせればいいの。さて、今日は一切の拘束を行わないわ。
 この部屋の中で蛇と遊ぶだけ。簡単でしょ?」
昨日までの壮絶な責めに比べたら、随分と温い。
出血毒は痛みを伴うが肉を引き千切られたり骨を砕かれたりするよりかははるかに軽い痛みだ。
しかし夏菜は手にともした明かりで春香の周りに蠢く蛇の姿を見るなり悪寒に襲われたかのようにブルブル震えだす。
そして一目散に入り口の扉に向かって走り出した。
「無理無理無理、蛇は無理ー!!」
前方を確認する余裕もないほど必死に逃げていたため、入り口で待ち構えていた秋生に顔面からぶつかってしまった。
「あら、青野さんは蛇が苦手でしたか?」
「いった……ちょっと白石さん!退いてよ!!」
「退けませんね、月夜女姫様の命令ですから。それより後ろ、来てますよ」
「ひいぃっ!?」
夏菜が振り返ると、おぞましい数の蛇が床を覆いながら彼女に近付いてきていた。
種類の判別までは出来ないが、「蛇」という事実だけで夏菜に苦痛を与えるには十分だった。
559予定調和:2010/03/22(月) 23:56:41 ID:ImjFNJGV
「蛇はダメだって……言ってるでしょうが……」
それまでの怯えた顔から一変して真剣な表情になり、一息ついて力を溜め始める。
「待て青野、その方向で撃ったら俺に当たる!俺がそっちに行くまで待って……」
だが夏菜はその警告が聞こえていないのか、溜めるのを止めようとはしなかった。
「消し飛べえ!!」
軽く溜めただけで簡単にコンクリートの壁に穴を開ける威力の夏菜のレーザーが、今回は全力で射出された。
大量の蛇は壁際まで吹っ飛ばされ、部屋の隅に塊となって残った。
「これで助けるのは2回目よ、晴川」
一方の晴川は月夜女姫の張った障壁のおかげで無傷で済んでいた。
魔法覚醒剤で能力が発現した4人は同時に対魔法抵抗力も上がっているらしく、
普通の人間なら消し飛ぶような威力の魔法攻撃でも戦闘不能に陥るだけで済むくらいまで軽減できる。
御神刀にもそれと同程度の防護作用があるが、今の晴川は御神刀を持っていない。
夏菜の攻撃を生身で受ければ間違いなく晴川は消しカスと化していた。
「……頼んだ覚えはないんだがな」
夏菜は苦手な蛇を一掃してやっと平静を取り戻したのか、へなへなとその場に座り込んで呼吸を整えていた。
「はは、は……誰よ、私は蛇が大の苦手っていうのばらしたのは」
月夜女姫がこの弱点を知っているはずもない。このことは仲のよい数人にしか話していないことだからだ。
「私ですよ」
ホワイトウイングにいたときには誰も見た事のなかった意地悪い笑みを浮かべながら、夏菜の後ろにいる秋生が告げた。
「白石さん!?」
「思っていた以上の反応っぷりでしたね。私も月夜女姫様に申し出た甲斐があったというものです」
口調こそ丁寧だが、結局は秋生も夏菜を遊び道具としか捉えていないという事実を突きつけられる。
「白石さんもあいつらと同じだってことをすっかり忘れてたよ」
「それに、まだ安心するのは早いですよ」
「くそ、こいつらまだ生きてやがる!」
夏菜が晴川のほうを見ると、あれだけ派手に吹っ飛んだ蛇たちが何事もなかったかのように晴川に纏わり付いていた。
既に太ももの辺りまで巻きつかれた晴川は歩くこともままならない。
「晴川さん!」
「お前は離れとけ。近付いたらお前も餌食にされるぞ。寄られたくなければ手にともした明かりを消せ!」
夏菜が魔法を使うのを止めた後も、晴川に纏わりつく蛇の数は増えていく。
そして夏菜も自分に近付いてくる存在の気配が多くなってきているような嫌な予感がしていた。
両腕を抱えて震えていると、二の腕に刺されたような痛みが走る。
慌てて明かりをともして確認してみると、やはり蛇が噛み付いていた。
噛まれた痛みはそこまでないが、二の腕にぐるりと巻きついて鱗と肌を触れ合わせられるだけで身の毛もよだつような嫌悪感に襲われる。
「きゃああああああ!なんでこんなに囲まれてるの?!」
「この蛇、夜行性に決まってるでしょ。元々視覚に頼ってないんだよ。
 夏菜ちゃんの体温が室温と同じにならない限り、明かりを消しても意味ないんだよ」
逃げ道を封じられた夏菜は以前脱獄したときのように天井を壊してここから脱出しようと考えた。
蛇から逃れられるならこの後のことなど考えていられない。
だが、この部屋の天井は夏菜の射撃を受けてもびくともしなかった。
「嘘……でしょ?」
「夏菜ちゃんの行動なんて全部お見通しだよ。天井が低いから飛んで逃げることもできないし……どうするの?」
春香が言葉で追い詰めなくても、夏菜は最初に噛み付いた蛇を引き剥がすことに必死で動くことができなかった。
一度噛み付いた蛇は片手で引っ張っても中々離れず、魔法による刺激を与えても少し怯むだけで大した効果がない。
「この蛇、普通の蛇じゃない!?」
「あ、そうそう。言い忘れてたけど、その蛇たちは私の魔法で強化してあるからちょっとやそっとじゃ死なないよ」
蛇を操っている春香は夏菜が魔法で抵抗するのを見越して先手を打っていたのだ。
そもそも生身の蛇なら最初の夏菜のフルパワーの攻撃で消し飛んでいるはずであり、2人はそこまで気が回らなかっただけだった。
560名無しさん@ピンキー:2010/03/22(月) 23:58:33 ID:nYZea0Co
ながいわw
561予定調和:2010/03/22(月) 23:59:58 ID:ImjFNJGV
「はあ、はあ、これじゃ、きりがない!」
夏菜が初めに噛み付いた1匹を漸く振り落としたときには、新たに5匹の蛇が体のあちこちに噛み付いていた。
それが10匹になり、20匹になり、やがて噛み付くスペースがなくなってくる。
「晴川さん……たす……け……」
蛇に噛まれた痛みと蛇自体の重さのせいで夏菜の動きは緩慢になっていき、遂にどさりと床に横たわった。
もう体のほとんどを蛇で覆われているのに、さらに夏菜に蛇が殺到する。
「青野!しっかりしろ!」
自身も顔まで蛇に巻きつかれながら懸命に夏菜に呼びかける晴川だったが、夏菜は倒れたままピクリとも動かなくなってしまう。
「おいお前ら、青野をこのまま放っておいたら死ぬぞ!殺したくはないんだろ!?」
「大丈夫よ。あの蛇、毒は持ってないもの」
「おい、あれ……!」
視界が蛇で覆われていく最中、それまでじっとしていた夏菜が弓なりに体を仰け反らせるのが晴川から見えた。
「んんー!んうー!!むぐううう!!」
噛む場所が無くなった蛇が、夏菜の口の中に入ろうとしていた。
咄嗟に噛み切ろうとした夏菜だったが、激しく動く鱗の皮膚を噛み切るだけの余力はなく、一気に食道まで蛇の侵入を許してしまう。
そうなるとざらざらした鱗が粘膜を傷付けるだけでなく、あちこちを蛇が食い破って耐え難い苦痛と嫌悪を夏菜に与えた。
「春香ちゃん、女の方は一旦引かせて。その分を晴川に回して」
「わかりました。上手くいくかな……」
春香がまるで子供をあやすような動作で夏菜に群がっていた蛇たちを誘導し、晴川に向かわせていく。
蛇が引いた後に残ったのは、夏菜が吐いた血に塗れたまま夏菜の体内を蹂躙する1匹の蛇だけだった。
赤く染められた尻尾を口からはみ出させてくねくねとのたうっている光景は長い舌にも見える。
月夜女姫はその蛇の尻尾を掴むと勢いよく引き抜いた。
「ぐげぐぎゃぁぁっぐげぐっぐぐがぁぁぁあああああ!!!」
引きずり出された真赤に染まっている蛇はやや弱っていたが、月夜女姫はそれを晴川に放り投げる。
そのとき飛び散った鮮血が夏菜の顔に斑点を作り彩を添えた。
「ごほごぼっ!あ、がは……」
「そこに突っ立ってるクズ、この女息ができてないみたいだから喉に治癒術かけてやって」
「はい、かしこまりました」
虚ろな目を天井に向けながら噛み痕だらけの全身を晒している夏菜に、
秋生は治癒術をかけながら月夜女姫に聞こえないようにそっと耳打ちした。
「青野さんは運がいいですね」
「なん、でよ」
気管の傷が治りかけてきている夏菜が苛立たしげに口を利く。
「蛇を使う拷問は口に入れられるものもありますが、性器に入れられるものも定番なのですよ。知っていましたか?」
「知るわけないでしょうが……」
「あなたたちはまだ性器周りの責めをされないだけ幸せなのです。
 今までの私刑も初めから服を脱がせてからやれば効率がよいのですが、月夜女姫様は人の裸を見るのが嫌いみたいですからね」
どうせその類の責めがなくても、代わりの責めなどいくらでもある。
夏菜にとってはその類の責めより、本来処刑に使われる責めの後無理矢理治療されるほうが辛かった。
人外の治療技術だからまだ命があるのであって、普通の人間の治療法では2桁は確実に死んでいる。
「そこで、今度赤坂さんが月夜女姫様の目を盗んでやってみようと提案しています。
 責めすぎてアソコがガバガバになってしまうかもしれませんね。覚悟しておいたほうがいいですよ」
「い、今更処女を失ったところで、私がショックを受けるとでも?」
「声が震えていますよ」
「くっ……」
夏菜も晴川と同様に性に淡白だったので、自慰は辛うじて知っていてもそれ以上は友人の話をたまに聞く程度であった。
夏菜の体のほうは十分に成熟していても、知識のほうはまだまだ子供同然。
強がりをあっさり秋生に見破られ、夏菜は遠くから聞こえる晴川の呻き声を聞きながら未知の恐怖におののくのだった。
562予定調和:2010/03/23(火) 00:07:35 ID:ZR+MuTSP
また投下ミスしてしまいました。あってもなくてもあまり意味は変わりませんが一応。

556と557の間
「いや、これは手元が狂っただけで……私、何てことを……」
「暗示に身を任せればお互い楽できるのに、素直じゃないからこんなことになるのよ」
「うううう……ああああアアアア!!やめてええ!こんなこと、私にさせないでええええ!!」

いよいよ次回は皆さんお待ちかねのエロシーン。属性は「輪姦・レズ・触手・逆強姦」となっております。
この続きは次回までじっくりお待ちください。
563名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 00:14:48 ID:rf/DrBz/
なに大物気取った書き方してんだよ
お待ちかねとか以前に無駄に長いんだよ
564名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 00:18:48 ID:5tqcyskn
相変わらず荒れるレスが・・・。
いいじゃないの。きっちり真面目に書いているSS書き手がいらっしゃるんだから・・・。
目障りだったらNGにしておけばいいし。
565名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 00:19:19 ID:XGe2f5wU
乙乙

俺は堕ちるまでの過程も好きだから、長いSSでも大好きっす
続きを楽しみにしてますよ
566名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 00:37:23 ID:torGLlyJ
>>563は荒れるようなレスをするよう
>>666に洗脳されたんだよ
567名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 00:47:22 ID:UY6XTXkD
おつ
たっちーを乗り越えたおれに死角はなかった
しかし治癒の使い道間違いまくってるなw
ドSにもたせると回復魔法って怖い能力だね
568名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 01:10:18 ID:nR8VB7kf
乙〜

ってか、こえーよwww
誰が最初の投稿からここまで行くと予想できただろうか。
天道彩って誰だよほんと
569名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 01:23:50 ID:VPEeEauj
>>666様のおおせのままに・・・
570名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 01:58:00 ID:Pfy+Tz2/
これだけ言われてもNGに入れず文句言うのは逆に期待してるんじゃないのと
571名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 05:31:33 ID:8S6eBZnR
むしろ長いSSじゃないと読まないな俺
572名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 10:18:34 ID:rWoS3w+l
愛のムチですね
わかります
573名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 12:57:58 ID:zhp8/grP
いちいちスレに投稿しないで
ブログに書いてURLはっつければ荒れないんじゃねえのかね
574名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 13:25:40 ID:fUzHbd5u
ぐだぐだ寒い口上並べてないで男らしくスパッと投下すりゃいんだよ
575名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 13:28:10 ID:rWoS3w+l
>>573
こんなことしたらブログがメチャクチャに荒らされるかもしれないじゃん
恥ずかしいこといわせるなよ
576名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 13:30:32 ID:ylnKgb3a
さすがにそれはない
577名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 13:45:23 ID:KPMfQYKA
ブログ立てても日に20人も閲覧があるかどうかだろうし自意識過剰もいいとこだ
578名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 13:56:57 ID:BTlNKkiJ
ブログのURL貼ったって宣伝乙って言われるだけだろ
579名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 14:01:51 ID:ylnKgb3a
NGnameにしてるから俺は何も言わないな、他の奴は知らんけど
てか熱心な読者がいるのならブログが欲しいんじゃね?と思うな
この作品まとめサイトに掲載されてないっぽいし
580名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 14:22:54 ID:VxUUGVIN
思いっきり言ってんじゃねーかw
SSを追い出そうとするのはやめろって
今までに何人潰してきたんだよ
581名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 14:28:56 ID:sykBHV3i
>>562
乙です。まったり頑張ってくださいね。

そういえば前にこのスレにあがっていたグラナドエスパダ。
今度はマインドコントロールやるんだね。
582名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 16:19:01 ID:+KqUJede
SS総叩きの印象の強いこのスレだが、単にSS自体が下手あるいは需要に合わないというだけで叩かれるケースは実は少ない
そういうSSは大抵の場合スルーされている。やはり叩かれる主原因は、余計な前書き後書きに尽きるだろう
ホストを気取りたいのが透けて見えるから、ブログでやれとも言われるわけだ
583名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 17:11:37 ID:qVRwXEf0
だらだらと書かれて寸止めされるのは嫌だな
SS投下を批判したくはないが一度全部書き終えてから推敲して
一気に投下してほしい
正直完結するまで何カ月もかかるSSは読みたくない
584名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 17:35:47 ID:Pfy+Tz2/
>>582
スルーしたら感想書けよって基地外が現れてそこからまた荒れるけどな
でも批判コメよりスルーされる方が書き手には答えるだろうね
585名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 17:52:35 ID:fx9ihoT8
>>583
しかもなんか対抗心見せて更に長く水増ししてきてるからなぁ
586名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 18:03:43 ID:XGe2f5wU
長いSSの場合、少しづつ投下することで読み手の反応をみようってのもあるんじゃないの?
別にそれは悪いことじゃないと思うけどね
苦労して一気に書き上げて、いざ投下したら袋叩きになる可能性を考えたらそりゃ慎重にもなるさ
587名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 18:35:22 ID:hVV2TUJ/
>>583
少しずつ投下される事は悪くないだろ
新聞小説や漫画はどうなるんだよ

推敲しろってんだったら漫画家みたいに2,3話書き溜めしといて
整合性高めるのもありだが
588名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 19:53:47 ID:V/742YaY
予定調和は文学
589名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 20:54:13 ID:kgnLS/xh
全く同じやり取りを以前して、情報や議論はフェチ板のほうでって分裂したんじゃなかったっけ?
590名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 21:03:03 ID:ylnKgb3a
勝手にスレ立ててじゃあお前らこっちなと言われてもな
それにフェチ板の雰囲気的にかなり場違いというか
スレにそんな感じがしたな
591名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 22:03:58 ID:8S6eBZnR
なんなのこのスレ
だから中年は邪魔なんだよ。わけのわからん考え方しかしない
他のスレでも少しは見てこい。長いのがどうだとか短いのがどうだとか、そんなんどうでもいいんだよ
いい作品ならGJ、合わなかったらスルー、それでなんの問題もないだろ
592名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 22:06:28 ID:rWoS3w+l
やだ……
またループはじまってる………
もう何回目なのかしら
593名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 22:40:47 ID:jizMl94n
繰り返すことで洗脳は進んでいくんだよ
594名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 22:47:21 ID:oTCbT8su
単純な行為の無限とも思えるほどの繰り返しと、
現実社会からの隔離と、体内時計を狂わせること、
あとは精神的な消耗と、飴と鞭は 洗脳の基本だぞ。
595名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 23:04:17 ID:PR/Eh039
文学少女シリーズ2巻で飢え空腹食欲をコントロールした精神的な消耗と、飴と鞭、
現実社会からの隔離で元恋人の娘を手懐けてるのを思い出した
596名無しさん@ピンキー:2010/03/23(火) 23:56:04 ID:/DzyZ2W2
>>592
この流れがまさに予定調和。俺たちは何回繰り返せばいいんだ、教えてくれ
597名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 02:11:34 ID:aleRTWVy
8回くらいかな
598名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 04:25:41 ID:X6+AlAoN
そしたら会心の一撃連発だな
599名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 04:49:03 ID:uSr+8/jZ
∞のループ
600名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 06:01:02 ID:8PQ7HrYI
あなたのSS 呪文みたいに
無限のリピート 
601名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 06:50:11 ID:67gtK+AF
輪姦卑行
602名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 10:11:01 ID:sSWMzzLx
今回が、一万二千九百十四回目に該当する。
603名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 12:47:18 ID:yBTsuCJX
なんかしらんがそろそろかめはめ波くらい出せそうな気がしてきた
604名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 22:15:16 ID:k/PbKllc
で、どうすれば無限ループから抜け出せるの?
鍵はやっぱりベタだけど協力?和平?融和?
605名無しさん@ピンキー:2010/03/24(水) 22:17:16 ID:FNJsw1/e
自分に催眠かけて終わったことにしちゃえばいいよ
606名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 00:11:48 ID:TlMxeV3O
>>604
友愛
607名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 01:15:14 ID:CSpBRxPm
つまん
608名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 01:48:49 ID:YXfTvqV0
夏休みの思い出
609INHUMAN:2010/03/25(木) 18:06:02 ID:XUHG6xOA
ちょっと、あんたたち!!
こんなスレッドを立てて非人間的だと思わないの!?
削除依頼を出して消してもらうかどうか分からないけど、
一応の覚悟はしてなさいよね!!

さあ、潰れるざます!
逝くでがんす!
フンガ〜!!
まともに潰れなさいよ〜!!
610名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 20:25:29 ID:4fipY5ru
>>609
ナイス!!
GJ!!
611名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 20:31:07 ID:rlPV/tv2
そういやドラマやるんだっけ?アレ。
612名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 20:34:05 ID:sVBHReod
アレじゃわからねえよ
お前はジジイか
613名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 20:41:11 ID:YXfTvqV0
もやしもんだろ
614名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 22:39:38 ID:akQcWnsl
夏にだったけか
蛍の役は誰だろな
615名無しさん@ピンキー:2010/03/25(木) 23:01:39 ID:LGYcOq0T
>>609は怪物くんではなくらきすた
と悪の奴隷スレ名物マジレスをしてみる
616名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 00:30:03 ID:A0wGBCfn
東方の聖ってキャラが見方によっては悪堕ちになるかも
妖怪退治専門の僧侶が美貌を手に入れるために妖怪の仲間になって魔女になるって設定
原作はオブラート包まれすぎだから期待するなよ
617名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 01:05:35 ID:Zgj7a4Ma
悪堕ちで、ヒロインが敵の女幹部もしくは女首領に悪堕ちさせられた挙句に自分の相棒(もちろん女)を喜んで落とすみたいなのが少なくて困る。
618名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 01:09:18 ID:bp5V5aUw
それはこまるな
619名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 01:15:59 ID:+xgJI1Gw
相棒が先に堕ちて主人公に仕掛けて来るのは結構見かける気もするもなも
620名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 01:21:22 ID:Zgj7a4Ma
>>619
でもその相棒を堕とす敵キャラは大抵男じゃね?
621名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 12:47:31 ID:cvE12Gmm
>>616
キャラ設定見てきたが結構違うくね?
敬愛する弟が死んでしまったので生きるために妖術を使った
妖怪がいなくなると妖術が使えないので助けることにした
助けているうち妖怪が不憫に思えてきたので共存を図ることにした
どっちかっていうと暗い過去のある主人公的な感じだが…
622名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 14:19:31 ID:p3RJ9xfO
>>621
>>616はお前さんのような界隈者じゃない。
>原作はオブラート包まれすぎだから期待するなよ
自分勝手に解釈して原作設定を否定している。
典型的な東方厨だ…多分アンチじゃない。
623名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 14:33:58 ID:CtrbGKsN
聖、善人過ぎて悪堕ちと言われましても…
って感じだしなあ
妖怪だろうが見捨てられなかった、度が過ぎていい人だと思うよ

あー、女の子同士のちゅーで悪堕ちするSS読みたい。
純粋にべろちゅーのみで堕ちて欲しい。闇の力注ぎ込んだりしていいから。
まうすとぅーまうすで。
624名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 23:35:58 ID:wqwaqCye
>>623
「んんっ、ん、んんんんっ!」
「んちゅ、ちゅぷ、ちゅるぅっ、フフ、だいぶできあがってきたみたいね…」
妖しい雰囲気をまとった女が、言う。
「はぁ、はぁ…こ、こんなことされたくらいで、わたしは、ぁうぷッ!」
弄ばれながら、何とか抵抗しようとする少女。
「ちゅぅうう、んちゅ、んちゅ、ンフフ、そんなこと言って、あなたの顔、もう蕩けきってるわよ…
 早く闇の快楽に身を委ねてしまいなさい、ほら、またしてあげる…」
「い、いや、はむぅん! んん、んちゅ、ちゅぷ、ちゅぷぅ」
「ちゅる、ちゅぷぅ、ぬちゅ、ぬちゅる、ホラ、言ってごらんなさい。
 いま、どんな気持ち?」
「あぁ、ああ…きもちいい…きもちいいの…」
少女の答えに、女が妖艶な笑みを浮かべる。
「やっと素直になったわね…さあ、まだたっぷりとしてあげる…
 あなたの心が完全に闇に浸るまで、存分にね…」
二人の姿が、闇の底へと堕ちていく。
どこまでも、どこまでも…
625名無しさん@ピンキー:2010/03/26(金) 23:41:43 ID:b+8pR6Ok
もっと……もっとちょうだぁい……
626名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 09:32:08 ID:kWKRB8iY
こういうゲームをやってみたい。
主人公は世界征服を目論む悪の軍団のボスで平和を守るために悪である主人公に対抗する
戦士たち(女だけというのも不自然だから男は一応2人ぐらいで女は9人ぐらい)のうち、
女キャラを悪堕ちさせるゲームがしてみたい。
うまくいけば戦士たち側の全ての女を悪堕ちさせることも可能。
その世界の人々や元仲間だった男達を共に倒して世界征服を果たすのがゲームの目的。
もちろん悪堕ちした女はエンディング後も世界征服を果たした主人公の部下のまま。
「はっ、かしこまりました○○(悪軍団のボスの名前)様」とかの部下らしい言葉もほしい。
マグロ目は必須で悪堕ちして以降は常にマグロ目。
女の服装は主人公のアジトから出てきて以降は悪コスチュームで
エロ要素は別にいらないからこういうのを作ってほしい。
627名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 10:10:25 ID:nc4pDSUX
>>626
ジャスティスブレイドは?
628名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 10:11:09 ID:QdEFD3GJ
>>625
なぜか田中理恵の声で脳内再生された
629名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 10:59:05 ID:e0TGAGpp
ストリートファイターの親衛隊って、一般人が堕ちるんだよね?
ということで、ユーリ洗脳を書いてみたよ!単発だけど、かなり長いんで4〜5回ぐらいに区切るよ!!
属性は 機械姦 闇エネルギー注入 レズ 実験 ぐらいかな?
630ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:00:01 ID:e0TGAGpp
ジュリアが買い物袋を持って外へ出たとき、雲ひとつない青い空に、メキシコ中を照らしだす陽気な太陽が浮かんでいた。
昨日まで降り続いていた雨が、地面のあちらこちらに水たまりを作っていたが、太陽はそれすら、自分の物だと主張するかのように水面に映りこんでいる。
前日の雨を追いだすかのような青空が広がる晴天の日こそ、絶好のバースデイ・パーティ日和に思えた。
ジュリアの恋人、ホークも、きっとそう思ってくれている筈だ。
今日はホークの誕生日だ。ジュリアが、仕事仲間を呼んでパーティを開こうと提案すると、彼は顔を赤くして恥ずかしがったのだが、
みんなとの付き合いは大事よと言うと、彼も最後にはしぶしぶ賛成した。
1年に1回の、大切な日なのだ。特別な日は、みんなで祝いたい。
ブラウンの長髪が、風に流されてさらさらと舞う。日差しを受けてまぶしく輝く髪が、彼女の楽しい気分を表現しているかのようだ。
こみ上げてくる嬉しさと手をつないで、彼女は街の中心部へと歩いていく。
歩くこと20分、次第に人通りの多い、街の心臓部がやってきた。様々な種類の店が、一様に看板を並べて、客の目を引こうと頑張っている。
ここへ来れば、食材、服、アクセサリー、おもちゃ、何でも揃うのだ。
ジュリアはいつも利用している食料品店に入っていった。スーパー「メキシカン」である。
パーティーで皆に料理を振る舞うため、ジュリアは必要な食材を見て回った。
買う物は決めていた筈だったのだが、あれこれと見て回るうちに、作りたい料理も増えていき、いつの間にか買い物かごは予定よりも多くの食べ物でいっぱいになってしまった。
「買いすぎの気もするけれど、たまにはいいわね」
かごいっぱいの食材を見て、ジュリアは満足気にうなずいた。
これだけの荷物を持って帰るのは、女性には文字通り、荷が重いのではないかと心配したくなるが、当人は全く気にしていない。
スレンダーな体型をしているジュリアだが、これでも子供の時から、林業を営む父の手伝いで、ある程度の重さの荷なら、軽々と持てる程の力を身に付けているのだ。
だが、いつもこのぐらいの荷物を持ちあるくジュリアでも、店員が大量の荷物に目を丸くするのを見ると、さすがに恥ずかしさを覚えずに居られなかった。
「よいしょ!」
両手に、食材で一杯の袋を提げて、彼女はまた来た道を戻って行く。
すでにジュリアには、今夜のパーティーの盛り上がりが頭に浮かんでいた。
631ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:00:37 ID:e0TGAGpp
彼女が、街の中心部を離れた、人通りの少ない道へと足を踏み入れた時だった。
通りに隣接する、建物と建物の間。その暗い路地裏の中から、二つの人影が姿を現した。
その人影の正体は、まだ幼さの残る少女達だった。一人はピンク色の髪をツインテールにまとめ、もう一人は紫の髪をさっぱりとしたボブカット。
共に、16から18歳ぐらいの年齢だろうか。
彼女達は、どこにでもいる少女と言うには、あまりに異様ないでたちをしていた。 
線を強調するように体にぴったりと密着した、薄いストライプを走らせる濃紺のレオタード。
頭の上に載せられた紺色の帽子。襟元に締まる、濃紺を背景に咲き誇る黄色のネクタイ。
手首から肘近くまでを、真っ赤なナックルパーツが、脚足には細長いブーツが、それぞれの部位を保護していた。
彼女達はただ無表情で、両腕を体の横に伸ばし、直立の姿勢をとっていた。並んで静かに佇む様子は、統率のとれた軍隊を思わせる。
彼女達の目には光が無かった。ただ、じっと前方を見つめる瞳の中に、なんら感情を読み取ることは出来ない。
その光なき視線は、街を歩くジュリアに注がれていた。
だが、ジュリアは誰かが自分を見つめている、それも、獲物を射るような視線をくれていることに、全く気付きもしなかったのだ。
632ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:01:22 ID:e0TGAGpp
女の一人が動きだした。猫のようにしなやかで、瞬発力のある動作だ。
暗い闇から光の中へ飛び出した少女は、一気にジュリアとの間合いを詰めていく。
そして、細く引き締まった腕を、ジュリアの背後から腰に絡みつかせた。
「きゃあ!」
ジュリアは思わず小さな悲鳴を漏らした。
少女達の急襲は、襲撃対象の不意を完全に突くよう、周到に計算されたものだった。
組みつかれるまで、ジュリアには襲撃者の足音さえ聞こえなかったのだ。
腰に巻き付いた、細いつるのような腕が、ぐいぐいと後方に獲物を引き込む。細身なのに恐ろしい力だ。
耐えきれず、ジュリアの足はずるずると地面を引きずりだした。
襲われている。
自分を襲った異様な状況を理解したジュリアは、とっさに悲鳴を絞りだそうとした。
しかし、後ろから伸びる手の平が、ジュリアの口にしっかりと蓋をしてしまった。
「んん〜!ん〜!!」
助けを乞う懸命の叫びは、口を押さえつける襲撃者の手によって、低く、くぐもった声に変換された。
口をふさがれたと同時に、何かが口内に入ってきたのをジュリアは感じた。
何か、丸くて苦いものだ。
不意を突くようにやってきた異常事態に、ジュリアの心は限界に近づいていた。
為すすべもない状況に、理性は思考を放棄した。
混乱に支配されるがまま、激しく首を振り抵抗するジュリアだったが、ただ彼女の長髪が乱れるだけで、事態は何ら変化しない。
暴れるジュリアの眼前に、もう一人の女性の姿が出現する。紫色の髪をした、まだ子供らしい顔立ちの少女だ。
彼女は感情を表さない瞳でジュリアを見つめていた。
(何、この娘)
彼女が現れるのとほぼ同時に、暴れるジュリアの腹に重い衝撃が与えられた。
「がっ!?」
目の前に現れた女の拳が、ジュリアの腹にしっかりとめり込んでいた。
とてもこの少女が放ったものとは思えないほどの、強烈な一撃。  
目を丸くし、息を詰まらせるジュリアは、叩き込まれた衝撃で先ほど口に侵入した異物を飲み込んでしまった。
異物は彼女の喉を通った後、胃に淵に辿りつき、急速に溶けはじめた。
少女は一層強い力で、ジュリアの体をぐいぐいと引っ張って行く。
この娘達は自分に恐ろしいことをしようとしている。あの目は普通じゃない。なんとかして逃げなければ大変なことに……。
恐怖に駆られながらも、ジュリアは残された力を振り絞った。力を込め、全身全霊を込めた抵抗を繰り広げる。
しかし、抵抗を諦めさせるような、急激な眠気がジュリアを襲った。
大波のような眠りは、抵抗心だけでなく、意識全てを根こそぎ刈り取ってしまう。
(駄目!)
少女がジュリアの口に投げ入れたのは強力な睡眠剤だった。
この薬を服用すると、いかに屈強な男であっても、泥に沈みこむかのような眠気に呑まれて、なすすべもなく昏倒する。
対象の不意をつき、即座に薬を投与するという行動は、彼女達が人間を拉致する際の「プログラム」に沿ったものだった。
ジュリアは、最初から彼女達の「プログラム」の中にはまり込んでいたのだ。
全てが一瞬で行われた。
ジュリアの意識は深い眠りの底に沈澱した。全身の力も、空気が抜けるように消えてなくなる。
完全に抵抗するすべを失ったジュリアを、二人の少女達は路地裏の闇の中へと引きずり込んでいく。
「任務完了。帰還します」
普段から、この道は人通りが少ない所ではあった。しかし、この日の通りはいつにも増して静かすぎた。
陽気な太陽は、素知らぬ顔でメキシコの街を照らし続ける。
誰にも知られることも無く、日常という名のベールが、また一つ、罪を覆い隠していった。

 ▽捕獲対象データ
  名称:ジュリア=カーソン
  性別:♀
  年齢:19
  出身地:メキシコ
  身長体重:164p 49s
  捕獲理由:親衛隊増強の為。
  処理方針:シャドルーの一員としての意識を刷り込み、必要な技術を習得させる。
  備考:シャドルー重要人物ファイルbT4「T=ホーク」と親交の深い人物と思われる。
633ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:01:59 ID:e0TGAGpp
ジュリアの意識が、深い眠りの海から浮上する。
「……んんっ」
目が覚めたと言っても、完全な覚醒にはまだ至っていなかった。
頭がまるで鉛のように重く感じるし、視界もぼんやりと霞がかっている。
それになんだか息苦しい。体にもまだ力が入らなかった。
(ここは、どこ)
ジュリアがまず考えたのは、自分のいる場所がどこかということだった。
持てる全ての感覚を研ぎ澄ませて、彼女は状況の確認を始めた。
彼女は、自分が仰向けに寝かされた状態で、何かの器のようなものに入れられているのだと気付く。
白い、浴槽のようなもののようだ。しかし、それは浴槽と言うには、あまりに機械的だ。カプセルと言ったほうが正しいのかもしれない。
肌にひんやりとした空気が触れるのを感じる。
頭や腕と言った、普段から露出することの多い場所だけでなく、腹や乳房、下腹部等の、布で覆い隠すべき部分にも直接、空気が触っている。
彼女は下着さえ身につけていない状態だった。
僅かに息苦しさを感じるのは、鼻と口を覆うようにマスクが装着されているからだった。
気圧を調整された麻酔用マスクは、彼女が首を激しく振ったとしても、しっかりと吸いついて離れない。
腕に力を入れ、持ち上げようとしても、何かに阻まれて、動かすことが出来なかった。
足も同じ状態だ。手首、足首そして腹部に、丸い輪っかのようなものがはめられていて、ジュリアの動きを拘束しているのだ。
彼女が思い切り暴れて見せても、全く外れる様子はない。
彼女の体は昆虫標本のように、軽く股を広げた状態で張り付けられているのだった。
頭は固定されていないようで、僅かにだが、首を起こすことが出来た。
首を起こした状態で、ジュリアは視線を下の方へと向けていった。
見えたのは、腕や腹など、体の各所に張り付いた白い吸盤のようなもの。吸盤からは黒いコードが伸びているのが見えた。
ジュリアの目に映ったものの中で、特に異質だったのは、彼女の豊満な乳房に吸いついた、細長い透明な筒のようなもの。
筒からも、吸盤と同じように、黒いなチューブが伸びていた。

目まいがする。
なぜこのような状態で自分は寝かされているのだろう。何が行われようとしているのだろう。
恐怖が今さらのようにやってくる。
(誘拐されたんだ)
自分が冷たい表情をした少女達に襲われたことを、ここに至ってようやく彼女は思い出したのだ。
「対象の覚醒を確認」
唐突にやってきた誰かの声で、ジュリアの思索は終了を迎えた。
「測定を開始します。測定科目は……」
淡々とした女の声が、カプセルの外から聞こえてくる。ジュリアの存在を全く無視しているかのようだった。
(教育?測定?)
意味が分からなかった。だが、
「データを読みあげます。対象者名、ジュリア=カーソン、女性、年齢、18歳」
女性が頭上で告げる内容は、間違いなくジュリアを指し示すものだった。
「ここはどこなの?あなたは誰?」
ジュリアは近くにいると思われる女性に向けて問いかけた。その声は十分に女性の耳に届いた筈だった。
「意識レベル、安定。測定を開始します」
「答えてよ!」
女はジュリアを完全に無視していた。ここがもし病院だったのなら、ジュリアの声を黙殺するなど、あり得ない筈だ。
「測定」という単語からジュリアは、自分が病院にいるのかもしれないと想像したのだが、ここは違う。自分の全く知らない、日常からかけ離れたどこか遠いところなのだ。
機械が静かに唸り声をあげた。その音と共に、カプセルの蓋が覆いかぶさってきた。
「何するのっ!出して!」
何とかここから抜け出さなければと、めちゃくちゃに体を動かすが、拘束は頑として溶けない。それでもあきらめきれなかった。
抵抗も空しく、蓋が完全に閉じてしまった。
外が見える透明なガラスがはめられているおかげで、彼女は外からの光を奪われるようなことは無かったが、不安と恐怖を拭う要素には数えることができない。
(一体何が始まるの?) 
曇天のような分厚い不安が、彼女の心を捕えて離さない。
634ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:02:33 ID:e0TGAGpp
外界から隔絶されたとある島に創設された、秘密結社「シャドルー」中枢本部。
最先端軍事力の結晶と称される施設の中に、洗脳教育室はある。
麻薬売買、軍事兵器密入、暗殺等、数々の悪事に手を染めるシャドルーであるが、その構成員も多種にわたる。
野望に魅了され、自ら志願することで構成員となった者。
弱みを握られたために、無理やり構成員として働かされる者。
補助を受ける代わりに構成員として尽くす者。
能力を見込まれて、スカウトされた人間も存在する。
そして、シャドルーの持つ技術力の行使によって、洗脳を施された者もいるのだ。
第1号から第5号まで設けられた洗脳教育室は、誘拐した人間に精神操作、肉体改造を施し、シャドルーの構成員とするための施設である。
洗脳に必要な設備は全てここに集結されているのだ。
ジュリアがいるのは第2号洗脳教育室だった。
その中で、三人の研究員たちは、ジュリアの解析を黙々と進めていく。
「感情パターン解析」
抑揚のない声で、研究員の一人が言い、目にも止まらぬ速さで操作盤のキーを叩いていく。
彼女達のきびきびとした無駄のない動きは、効率性を得た代償に、人間らしさを損なっているかのようにも見える。
部屋の中には、ジュリアを閉じ込めている、機械仕掛けのカプセルと、同じく複雑な機械を密集させた肘掛イスが設置されていた。
2つとも、捕獲対象を洗脳し、シャドルーに引き入れるための悪魔の装置だ。
白衣を着こなした彼女達を取り巻く環境は、傍から見れば医療の現場ともとれそうなものだったが、
ここはあくまで、日常と断絶された、秘密結社シャドルーの「教育」の現場なのである。
「アドレナリン値測定……」
機械的に動く、洗脳担当者である研究員達も、元々はシャドルーとは無関係の民間人だった。
ジュリアと同じように拉致されたあと、徹底した洗脳を施されたのだ。彼女達は洗脳教育室の卒業生とも言える存在だった。
ある一人以外は。 
「感情パターン解析終了。さあ、始めるわよ」
眼鏡をかけた、栗色の髪の女性が指示を出した。
「はい、カノン様」
残りの二人は、その女性の言葉に忠実に従う。
「そう、好い子よ」
妖しく微笑む女性、カノン=モリスンは、洗脳教育室を創設した第一人者であった。
この部屋にある装置も、彼女が一から作り上げたものだ。
もちろん、彼女は洗脳教育を受けてはいない。シャドルー総帥の持つ野望に惹かれ、自ら入社を志願した者の一人である。
今、彼女はジュリアの洗脳プログラムを進めながらも、最近シャドルーに引き入れた女性研究者の様子にも目を光らせていた。
(全く問題は見られない、か)
カノンをマスターと仰ぎ、淡々と作業をこなしていく女性研究者2名、ミランダとアリスの洗脳も、カノンの手によって行われたのだ。
元々二人は、それぞれ化学、医学を学ぶ、カレッジスクールの優等生だった。その彼女達も、シャドルーに拉致され、ベガに対する忠誠と、軍事研究についての知識・ノウハウを叩きこまれたのだ。
技術だけをみれば、洗脳教室創設者、カノンに劣るものではない。
「催淫ガスを注入しなさい」
カノンの指示に従い、二人は次々に機械を操作していく。
635ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:03:13 ID:e0TGAGpp
プシュー……
空気が漏れるような音が聞こえてきた。と同時に、甘い匂いがジュリアの鼻孔をついた。
催淫ガスが管を駆け抜け、マスクへと送り込まれているのだ。マスクから送られる甘いガスは、蠱惑的なかぐわしさをもってジュリアに迫ってくる。
(あまい……?)
ジュリアの体の動きは次第にとまり、ゆったりとしたものになった。
先ほどまでの混乱が嘘みたいに引いていく。あとに残るのは水面を漂っているかのような穏やかさだ。
「はあ……はあ……」
(熱い……どうして……)
もしジュリアが、訓練を受けた軍人だったのなら、少しは抵抗できたのかもしれない。
だが、訓練などを受けた経験のない彼女は、体を官能の炎に包み、心を淫らに変貌させる催淫ガスの効果に、あっという間に支配されてしまった。
顔を赤く上気させ、快感にとろけた瞳を虚空に彷徨わせているのがその証拠だ。
「はあ……んっ……」 
呼吸がだんだんと荒くなる。口から、ガスを吸い込んでは胸を膨らませ、吐いてはしぼませる。
ガスが彼女を満たしていくに従って、快感が全身に感染し、呼吸の速度も加速していく。
「ああ……いい……はあ……ひもち……ひい」
(だめぇ……勝手に……こうふんして……)
全てが、淫らな思念の渦に沈んで消えた。
先ほどまで抱いていた不安をもう彼女は感じていない。
状況を理解しようという努力も、もう見えない。
マスク越しで見えにくいものの、彼女の口元が歪んでいるのは外からでも確認できた。普段の彼女なら決して、恋人の前でさえ見せない、淫らな、娼婦染みた笑みだ。
(ほしい……ほしい……)
彼女のヴァギナが、ひくひくとうごめいている。咥えたくて、咥えたくて、我慢できないと主張する子供のようだ。
愛のジュースが、とろとろと、とめどなく溢れては垂れ落ちていく。
彼女の変化を待っていたかのように、機械から一本の管が伸びてきた。
丸い粒が一杯ついた、嫌らしい形状の突起が先端に付けられている。
男性器をかたどったバイブだった。
女の興奮を掻き立てるバイブの後ろに、股間全てを覆うカバーが控えていた。
女から愛液を貪欲に絞っては吸い取っていく淫猥なマシン、膣液吸引機である。
それが、ジュリアの股の間をゆっくりと進み、彼女の秘密の近くにまで進んだ。そのことに、彼女は気付かない。

636ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:04:12 ID:e0TGAGpp
「対象の膣液を採取するため、吸引器を挿入します」
カプセルの外で研究員が言った。ジュリアの耳は外の声を捕えていたが、彼女の心にまでは届かなかった。
それどころではない状態なのだから、当然だ。
嫌らしい突起が、ゆっくりと彼女の秘密に触れた。
「ひっ!!」
それだけで、すさまじい衝撃を感じた。
高圧の電気が流れたかのよう。彼女の体は驚き、快楽から逃げるかのように、激しくはねた。だが、腹部を固定する枷に阻まれる。
少しずつ、突起がジュリアの中へ侵入する。
突起についた粒が、ジュリアの膣壁をこすっては、愛液の分泌を急き立てた。甘い電気が彼女の脳をスパークさせる。
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
悲鳴があがった。ジュリアは目を固く閉じ、限界まで体を反らせた。
ゾクゾクとする。甘い感覚に、全てがはじける。
1センチ、3センチ、5センチ。
進むたびに、腰が砕けるかのような愉悦が爆発する。
ヴァギナから誕生した甘い激震は、心臓を躍らせ、体を快楽の炎に包みこむ。呼吸も不安定になった。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
声にならない声。快楽の爆弾から逃れるかのように、彼女の体は勝手に暴れまわる。
ジュリアは何度も限界の扉を見た。しかし、扉はいとも簡単に開かれる。その先にあるのは新たな限界の扉。
催淫ガスは女を獣のように発情させる。快楽中枢を剥き出しにされ、興奮を強制的に高められたジュリアに限界などなかった。
ついに、突起は彼女の最奥にまで達した。
ぴたりとその動きを止める。カバーが股間に密着して、女の秘図を覆い隠してしまった。
ただ入れただけなのに、既に秘唇は熱い愛液に濡れ爛れていた。股間と吸引部分の僅かな隙間から、熱い液体が涙のように流れている。
このとき既に、彼女は甘い沼の中で自身を失った状態であった。
「あっ  がっ  ああ」
いつの間にか、彼女の上げる声は無機的な声に変っていた。感じるに従って声をあげる、単純な機械がそこにいた。
吸引機の動きは止まったが、突起部分は彼女の震えに応えるように膣壁を舐めている。
その深くもやさしい快感は、先ほどの衝撃に比べればマイルドなものだった。
「興奮数値101、性感数値81」
「異常ありません。膣液のさらなる分泌を促進するため、吸引器の前後運動を開始します」
女達の声がしたすぐ後だった。
「あがっ!?」
膣内を静かに舐めていた機械が、激しく前後運動を始めた。時折回転運動を織り交ぜる不規則な動きは、ジュリアの女をかき乱しては満たしていく。
グチュ グチュ グチュ
「があああっ!ああああああ!!!おおあああああああ!!!!!」
機械と膣がもたらす水音、体がカプセルを叩くタップ音、そして快楽の叫び。
カプセル内に狂悦の多重奏が響きわたる。
「ひいぃぃぃいぃ!!!があああああああああああ!!!!」
淫らな獣が上げる甲高い咆哮。
通常、人体が感じることのできないほどの、凶暴なオーガズムをジュリアは感じていた。
神経を焼き切る程の絶頂感が、強烈なスパークを脳に叩きつけ続ける。
「ああああああああああ!!!!はああっ!!!!うあああああああ!!!!!」
(!!!!!!)
悶え狂うジュリアに構うことなく、突起は膣内で何度もピストン運動を繰り返す。
不規則に、身をひねる回転を加え、あらゆる刺激を与え続ける。
女を悦ばせる為の機械は、ジュリアの性本能を肥大化させ、破裂させていった。
何度も絶頂する。そのたびに咆哮する。膣に与えられる刺激の一つ一つが、オーガズムへ直結するスイッチと化していた。
強制的な連続絶頂で、ジュリアは完全に自身を失った。自分が何をされているのか、もう分かってもいない。
637ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:04:47 ID:e0TGAGpp
「これは中々の逸材ね」
半ば白目をむきかけ、絶叫するジュリアの様を、楽しそうに見つめながらカノンは満足そうに言った。
ここまでの反応を示す女は初めてだった。これは教育し甲斐がある。
二人の研究員は、狂態の悲鳴に顔を向けることも無く、仕事を続けている。
「膣液を採取しました。ただいまの興奮数値134、性感度数136。オルガスムスを1分につき3回観測」
「搾乳可能状態になりました。これより射乳を促し、採取を行います」
通常、出産経験のない女性は母乳を出すことは無い。射乳を促すホルモンが生成されていないからだ。
だが、一定以上の性的興奮状態に陥ったとき、特殊な手法を対象者に用いれば、母乳の生成を促し、搾乳することが可能だ。
「分かったわ。はじめなさい」
この射乳で、大抵の者は失神する。未出産女性の強制射乳は人外の悦楽を伴うのだ。
豊満な乳房をいじられて、この女はこれ以上、どうよがり狂うのだろう。
淫らな想像を背景に、カノンは静かに笑みを浮かべた。
638ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:05:21 ID:e0TGAGpp
「あ……は……」
絶頂の嵐はまだ続いていた。ジュリアの声は枯れ、意識も半ば失神に向かいかけいた。
彼女が意識を手放そうという寸前で、吸引機は止まった。嵐が去って行く。
「あ……!……はあ……」
(と……とまっ……ら……?)
体の痙攣が徐々におさまってくる。だが、いったん火のついた身体はまだ疼いたままだ。
あれだけ狂悦を演じ、堪能したと言うのに、ジュリアは物欲しそうに足をすりあわせていた。
マスクも、ジュリアの興奮の炎を消さないように、間断なくガスを与え続けていた。
胸に吸いついた搾乳機が突然動きだした。チューブから、優しい風が吹いてくる。それは渦を巻くような気流となって、槍のようにとがった乳首を撫でまわし始めた。
「ああ……」
再三、絶頂を迎えたにもかかわらず、これまで全く触られていなかったピンクの突起は、気流が与えるソフトな刺激に悶え始めた。
甘い風が乳首から乳房へ、乳房から一気に全身へ。
「はああああ!!んん!!」
(むねが、からだが、しびれる!!!) 
気流は竜巻のように、小さな渦を巻いている。渦は乳首の側面を優しく、抱き締めるかのように愛撫し続ける。
「ふわっ、ふわああああああああ!!!!」 
先ほどまでのハードな刺激とは違った、ソフトな責め。
気流の責めで、乳首の感度はますます上がる。
あっという間に、二つの乳首はクリトリス並みの感度を持つ器官へと作り変えられてしまった。
「ふああ!!!ああああ!!!
ジュリアの声は止まらない。だが、先ほどまでとは違い、どこか柔らかさのある悲鳴。
少しずつ、気流の動きが変わっていった。
とがった乳首の側面を愛撫していた気流の間隔は徐々に狭まり、乳頭の先の一点に集中しはじめた。
細い、針のような、微小な竜巻が生成された。小さな竜巻は先の部分、尻尾の部分で乳首の先端を拡げ、中に押し入ってくる。
「うわあああああ!!!!!」
乳首の内壁を撫でられる感覚は、ソフトな感覚とは程遠いものだった。
やわらかいヤスリが、快楽中枢をじかにこすりつけてくるかのよう。
ゾクゾクと震える乳房。呼応するように、体全体が痙攣し始める。
再びジュリアの目が上にひっくりかえり始めた。口からははしたなく唾液を垂れ流している。
「あぐっ あ ああ」
竜巻は乳房の中にまで侵入した。乳房の内部を、竜巻は激しく愛撫し始める。
「ら  らめ ああ  おああああああああああ!!!!」
二つの乳房が、搾乳機によって激しくかきまわされる。
普段触られることのない、乳房内部の乳管を直接愛撫する異様なマッサージは、母乳の生成を強制する。
激しい疼きを感じていた。切ない気持ちがあふれ出してくる。
乳房の内部に何かがたまってゆくのをジュリアは感じた。それは先端に集中し始め、外へ出ようとしていた。
「乳の生成を確認。搾乳を開始します」
カプセル外の声と共に、搾乳機の動きが変化した。気流はかき回す運動をやめ、
一気に吸い出した。
「ぐああああああああああ!!!!!!!!」
ジュリアの絶叫が響く。
母乳が、乳首から勢いよくほとばしる。ゆっくりと出るのではなく、水鉄砲のように発射される母乳。
母乳は、発射される度に乳首の内壁をこすって、快感を置き去りに体外へと出ていく。
その様は、男性の性器官、ペニスが精を放つのに酷似していた。
母乳は過敏になった乳首から発射される。どんどん出る。
もう十分なほどの量を出したと言うのに、まだ搾乳機は乳首を吸い続ける。
二つの豊満な乳房は、白い果汁を搾りだす果物のようだった。
ジュリアの体が暴れ、乳房が激しく動作しても、しっかりと吸いついた搾乳機は全く離れる様子はない。
ガクガクと、体が全体が砕けるような痙攣がジュリアを襲った。絶えまなく続く痙攣は、彼女の思考をふるい落としていく。
ジュリアの意識がだんだんと遠くなってきた。母乳を吐きだすとともに、精神も一緒に抜けて出ていくようだった。
あそこを貫かれる快感とは違い、無理やり母乳を作り、それを搾取される等、常人には理解できない程の快楽なのだ。
苦痛にも似た、未知の快楽にジュリアは耐えることが出来ない。
「あっ!!!」
彼女の精神が壊れるのを防ぐ為、脳はぷつっと、ブレーカーを落とすかのようにジュリアの全ての機能をシャットアウトした。
639ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:06:24 ID:e0TGAGpp
「対象の失神を確認しました」
女はそう言い、終了キーを叩いた。
ジュリアを悦ばせていた、カプセル内の全ての機能がストップする。
搾乳機は胸から離れ、ヴァギナを貫いていた吸引機も、たまった愛液を滴らせながら、ゆっくりと抜け出る。
体中に吸いついていた吸盤も次々に外されていった。
脱力したジュリアの姿を見届けて、カノンはカプセル横の検査機に向かった。
女から絞り出された体液は、カプセル内部から外へ向かう管を通り、外部の検査機に行きつく。
検査機は、膣液から本能レベルを、母乳から代謝レベルを瞬時に割り出すものだ。

女性の興奮状態により、分泌される膣液は、粘り、匂い等が多様に変化する。
性的な興奮状態にある時、女は普段脳を制御している理性を麻痺させ、奥深くに眠った本能を解放する。
猿から進化を遂げた人間が、失った獣性に全てを支配され、牝に立ち返る瞬間である。
極限にまで高められた性興奮状態で放出される膣液から、人間が潜在的に抱え持つ、「本能」を解析することが可能なのだ。
一般的に、本能レベルが高ければ高いほど、洗脳教育の成果が色濃く表れてくる。
本能レベルは、対象を教育するプランを立てる上で、最も重要視すべき項目の一つとして数えられる。

一方、母乳からは体が持つ代謝のレベルを割り出すことが可能だ。
生命を維持するために、人間は肉体の様々な箇所において、常にエネルギーを消費している。
母乳を作るのも、体がエネルギーを消費して行っているものの一つだ。
乳房を特殊な技術でマッサージし、強制的に射乳を誘発させるという行為は、人体のエネルギーを母乳の生成のために無理やり引き出すと言うことだ。
あり得ない条件下で作られた母乳から、異常な状況に置かれた肉体がどれだけのエネルギーを引き出すことに成功したのかを割り出すことが可能なのだ。
どちらも、これから行われるセッションにおいて、必要となってくるデータである。
640ユーリ・プロジェクト@:2010/03/27(土) 11:07:39 ID:e0TGAGpp
カノンが見た時には既に、検査機の液晶モニタには検査結果が映し出されていた。
「本能レベル94、代謝レベル98……」
素晴らしい数値だった。
一般女性の平均数値は、性興奮レベルが76、代謝レベルが67。
ジュリアのレベルは、そのどちらも大きく上回っている。
良い素材だ。これでこそ、ベガ親衛隊にふさわしい。
1号室で検査した、もう一人の親衛隊候補、エレンもなかなか良い数値を叩きだしていた。連続で優良な人間が手に入ったのは嬉しい限りだった。
彼女がほくそ笑んでいるときだった。
「どうだ、カノン。プロジェクトの調子は」
教育室の扉が突如開き、マントをはおった男が悠然と現れた。
彼が入ってきただけで、部屋の空気が一気に様変わりしたようだった。
彼が纏う、黒く、禍々しいオーラが部屋の属性に影響を与えているのだ。
男の名はベガ。秘密結社シャドルーの総帥である。
「ベガ様。全ては順調に進んでおります」
カノンは手を額に添えて敬礼をした。二人の女性達も同じように敬礼をとる。
「それは結構なことだ」
彼は両脇に女性戦闘員を侍らせていた。
二人とも、頭に小さな帽子をかぶり、濃紺のレオタードを着こんで、赤いナックルパーツを着用している。
シャドルー親衛隊のコスチュームだ。
彼女達は、一切の感情を失った、人形のような瞳をカノン達に向けていた。
二人も、かつては平和に暮らしていた一般人であった。だが、カノンの手によって教育されてからは、立派な親衛隊としてベガの傍で奉仕している。
ベガがカプセルに近づく。それに合わせるように研究員がカプセルを操作し、蓋を開いた。
静かな音を立てながら、ゆっくりと蓋が開いて、中からジュリアが女の全てを露出した姿で現れた。
ベガの指がジュリアの唇に触れた。やわらかな唇を出発点として、あご、首と降りていき、胸元、腹、下腹部の茂みに辿りついた。
「事前のリサーチ通りの娘だな。素質がある」
ベガの満足そうなその笑みは、カノンの自尊心を満足させるものだった。
「はいベガ様。彼女はベガ様を護衛する、親衛隊にふさわしい素材と言えるでしょう」
ジュリアの上で遊んでいたベガの指が離れた。
「『ユーリ』の完成、楽しみにしているぞ」
そう言い残し、彼は洗脳教育室の扉へ向かった。二人の親衛隊員も付き従う。
彼が部屋を去った後も、暗黒のオーラはその場に残っていた。
まだこの研究室に彼が存在していると思わせる濃いオーラは、カノンの胸を心地よく高鳴らせていた。
    
 
 ▽第一回測定結果報告
  オルガスムス記録回数…32回
  最高興奮値…164
  最高性感度数…143
   
  肉体組成値…145 
  特筆事項…下半身、特に脚部の組成値が著しく高い。
  本能レベル…94
  代謝レベル…98 

 ○適性診断結果(F〜S)
  適性職種
  研究員…C
  戦闘員…A+
  工作員…B
  
  私見……類稀な潜在的戦闘能力。期待値はこれまでの親衛隊の中でも群を抜く。
641名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 11:12:14 ID:e0TGAGpp
これで一回目は終わりです。
前書いた、モモタローの時に「もっと堕ち描写を」との声があったから、なんとか
頑張ってみたけれど、無駄に長くなった。御免なさいね。
だいたい完成はしているんで、2回目は今晩辺りにあげようかなと思ってます。
生殺しにはならぬように気をつけます……。
642名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 13:41:32 ID:XH5bcYZZ
すっばらしいー
GJ
643名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 13:52:51 ID:SYCMgK3B
王道っていいよね〜
GJ!!!!!!!
644名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 14:00:40 ID:/M5SER2O
GJ
説明文がくどいのを除けば良作だNE
645名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 14:45:37 ID:CmdJI3tp
大作乙ですなあ
って桃太郎の人かw
646名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 20:49:27 ID:7vEvp1Q5
モモタロウの人GJ
647名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 21:18:13 ID:QIlRcU2B
桃太郎gj
648名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 22:11:06 ID:e0TGAGpp
ユーリプロジェクト、2回目上げさせてイタダキマス。
1回目はこちら>>630から。
4〜5回と言いましたが、どうやら3回のアゲで済みそうです。
2回目は1回目に比べてさらに長いですが……投下しまーす。
649ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:12:03 ID:e0TGAGpp
ジュリアのまぶたがゆっくり開かれた。
ぼんやりとした意識とは正反対に、全身の筋肉ははっきりと、けだるい感覚を染み込ませていた。
「目が覚めたみたいね」
耳元で女の声が聞こえた。誰かの手が伸びてきて、ジュリアの頬に触れる。
「まだぼんやりとしているか。仕方がないかもね。あれだけ、楽しんだんだから」
楽しんだ?何を?
すぐに、暴力的な快楽に包まれて意識を失った記憶が思い出され、顔が熱くなった。
「あなた……誰?」
だんだんと視界がはっきりとしてくる。
寝ぼけたような意識も、だんだんと回復していく。
そして、自分が異常な状況下におかれているのだということを思い出した時、ジュリアに眠っていた恐怖も、むくりと首をもたげてきた。 
「ここ!?どこなのよ!?」
激しく首を動かし始めるジュリア。
この時、ようやく彼女は、洗脳教育室の全貌を知ることが出来た。
白い壁に囲まれた、殺風景な部屋。彼女が左前方を見ると、棺のような、人一人が入ることができるカプセルが設置されていた。
先ほどまでジュリアが拘束されていたカプセルである。
そして、ジュリア自身はというと、機械仕掛けの肘掛イスに座らされた状態だった。
さっきと同じく、全裸の姿だ。
手首を肘掛の上で、鉄製のリングで固定されているために、動かすことが出来ない。
足も同様に、だらしなく股を開いた状態で、イスの脚部にベルトで止められていた。
だが、彼女を取り巻く状況で最も異様なのは、頭部に取りついた黒いヘッドギアだった。
太いコードが頭部から5、6本、イスの後ろで唸り声をあげる機械へと伸びている。
ジュリアを捕えているこの装置は、シャドルーが誇る悪夢の発明の一つだった。
それも知らず、ただ戸惑いを全身で表現するジュリアの姿を、カノンはおかしそうに眺めていた。
「私はカノン。そして、ここは教育室よ」
カノンはジュリアに囁くように言った。その両手は、ジュリアの肩に置かれている。
「きょういくしつ?」
「そう。教育室。あなたが生まれ変わる場所よ」
ジュリアには、未だに今の状況が理解できていない。
あるのは、買い物の途中で女性二人に襲われて、気がつけば得体の知れない装置にかけられて、体をめちゃくちゃになるまで責められたという、支離滅裂な記憶だけだ。
だが、この女が危険な人物だろうという確信はあった。
「生まれ変わるって、どういうことなの」
「そのままの意味よ。これまで築いてきた人格を私達の都合のいいように改造して、シャドルー総帥に身を尽くし、捧げる女に生まれ変わるの」
650ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:12:40 ID:e0TGAGpp
シャドルー。
その言葉を聞いた時、ジュリアの心に最大警報が鳴り響いた。
ホークが唾棄するように口にした、悪の代名詞、シャドルー。
世界中で起こっている拉致事件に自分は巻きこまれたのだと、ようやくジュリアは悟ったのだ。
「あなたはベガ様に忠誠を誓う戦闘マシンになるの。私が変えてあげる。……今はまだ実感が湧かないかもしれないけれどね」
さも当たり前のようにカノンは言った。 
「嘘よ!そんなこと、できるはずがないじゃない!!」
「それが出来るのよ。私達、シャドルーの精神操作と、ベガ様のサイコパワーを駆使すれば、人間を洗脳するなんて簡単なことなの」
カノンはミランダとアリスに指示をだした。彼女達は指示どおり、ジュリアの洗脳準備に取り掛かり始める。
カノンは続けた。
「あの二人も、あなたと同じ反応をしたわ。泣いて、叫んで、大変だったけれど、今は立派にベガ様の下で働いているの」
カノンの手がジュリアの首を強引に二人のいる方向へ向けた。
「どう、素晴らしいでしょ。これも教育の結果というわけ」
呆然と、ジュリアは二人の研究員の姿を見た。
淡々と動作する様は、人と言うよりはロボットのようだった。
ジュリアがいくら目を凝らしても、彼女達の姿からは全く、人間らしい感情というものは見て取ることが出来なかった。
彼女達に助けを求めたところで、こちらの言葉は一切、彼女達の心には届かないのではないか。
心を持たない人形。
自分もこのような人間に変えられる?
暗澹とした未来が、ジュリアの張りつめた平静を断ち切った。
「嫌!嫌よ!!離して!!お願い!!」
カノンはジュリアの悲鳴を無視して、彼女の耳に密閉式のヘッドフォンをかぶせた。ジュリアから聴覚を奪われる。
カノンは二人に指示を出した。指示を受けて、ミランダ達は機械を起動させる準備を始める。
イスの後ろに設置された機械は、暗黒のオーラ、「サイコパワー」を生成し、対象に送り込む装置だ。
サイコパワーは、負の感情を増幅させた力で、人間の破壊衝動を高め、肉体を強化する作用がある。
人体にサイコパワーを送り込むことで、肉体強化と共に、精神もシャドルーの構成員としてふさわしい物へ変えていくのだ。
装置が、コードを通じてジュリアのヘッドギアにサイコパワー流し込み始めた。
サイコパワーを流された瞬間、ジュリアの瞳孔が突然収縮した。目を大きく見開き、放心した表情に変わる。
「せいぜい、頑張りなさい」
カノンの冷たい励ましはジュリアの耳には届かない。
651ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:13:15 ID:e0TGAGpp
頭に何かが流れてくる。その何かが頭に流れる度に、次第に心が喧騒しだすのをジュリアは感じていた。
(……!!)
何かは、まるで波動のように全身へと伝わる。
頭から足の先まで、満遍なく拡がる黒い波動。
全身に波動が満ちると、筋肉が激しく躍動し始めた。
拘束された手足がビクビクと痙攣する。それに合わせて、彼女の座るイスもやかましく音を立て始めた。
筋肉の躍動。そこに感覚など何もない。快感は当然のこと、痛覚さえもない。
だが、その激しい痙攣は、彼女の心の情緒を不安にするに足るものだった。
「があああああっ!!」
獣じみた声が、腹の底から絞り出された。
ヘッドギアから供給されるサイコパワーが、彼女の心に結びつき、眠っていた攻撃性を目覚めさせ始めたのだ。
理性が痺れだした。次第に考えがまとまらなくなる。
「うああああああ!!!!おおああああ!!!」
黒い思念が渦を巻き始めた。次第にそれはジュリアの心を飲み込む大渦に変化していく。  

[……たい]

最初、それは取るに足りないほどの、小さな思念に過ぎなかった。

[壊したい]

[破壊したい 殺したい]

小さな思念は、次第に膨れ上がり、強烈な衝動へと姿を変えて、ジュリアの心に迫ってきた。
[破壊したい 殺したい ]
(違う)
[無茶苦茶にしてしまいたい]
(違う!!)
[全てこの手で]
(違う違う!!)
湧きおこる、おぞましい衝動を否定するように、必死に彼女は首を振った。
『 破壊 殺戮 』
ヘッドフォンから、怖気が走るような単語が囁かれた。その女声はまぎれも無く、ジュリア自身の声だった。
『 破壊 殺戮 破壊 殺戮 』
平板で機械的な口調で、「ジュリアの声」は、ジュリアの精神に言葉を塗りこんでいく。
[破壊したい]
(そんなの、違う!!)
『 破壊 破壊 破壊』
(私はそんなこと……!!)
理性は否定するが、理性の内に秘められた本能は違った。
本能はサイコパワーの全てを受け入れて、理性の殻を破ろうとうごめいていた。
コードから伝う邪悪な波動が、本能に訴えかけると同時に力を与えているのだ。
自分が壊されていく。
彼女の虚ろな目から涙が流れ、頬を伝い始めた。
(違う違う違う!!!)
「違う!!!!」
652ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:13:53 ID:e0TGAGpp
洗脳装置のヘッドランプが消えた。機能が停止した合図である。
機械の停止と同時に、ジュリアの激しい震えも、ゆっくりと穏やかになり、止まった。
全身の筋肉が弛緩しているのだろう、ジュリアの体は、イスにすべてを預け切った状態だった。
うなだれるように首を折り曲げ、放心した表情で、呆然と下方を眺めていた。
口端から垂れるヨダレが胸を伝って腹部に流れている。
収縮していた瞳孔は、少しずつ元に戻っていった。
「ハア、ハア、ウ……ア……ア……」
苦しげに、ひどく無機的な息を吐き、ジュリアは必死に理性を取り戻そうと喘いでいた。
理性が戻ると、真っ先に思い起こされるのは、黒き波動の与える強烈な衝撃。ジュリアの目に熱い涙があふれてきた。
痛いのではない。
苦しいのではない。
恐ろしいのだ。
底知れぬ程に暗い波動が、自分を変えようと迫ってきた。その実感が、ジュリアを恐怖の谷底へと追い込んでいる。
ジュリアを一瞥して、カノンはミランダに言った。
「『慣らし運転』の調子はどう?」
「はい、カノン様。パワー供給レベルを1に設定し、対象に送り込みました。サイコパワー伝導率は、最小値が22%、最高値は35%を計測」
ベガ様の見込み通り。
カノンは、恐ろしい程のポテンシャルを持つジュリアを歓喜の目で見つめた。
サイコパワーは人体を強化する力を無限に秘めているが、一方で、人間がもつ破壊性を異常に刺激する。
最初からサイコパワーを大量に人間に与えてしまうと、膨張した破壊衝動が精神を食らいつくし、結果、殺意に飢えた獣へと変えてしまうのだ。
「殺意の波動」とも呼ばれることのあるそれは、本来、ベガのような、負の思念を真っ向から受け止めきれる程の、類稀な素質が備わっている者でしか扱える力ではないのだ。
何もかもを壊された廃人は使い物にならない。
対象を使い物にならないようにしない為にも、最初の「慣らし」は重要だ。
どのような反応を見せたかによって、サイコパワーをどれだけ流し込んでいいものかを測るのだ。
ジュリアの反応を見て、カノンが下した決定は、
「パワー供給レベルを3に移行」
アリスが装置を起動させ始めた。機械の起動ランプが点灯し、再びジュリアへサイコパワーが送り込まれる。
先ほど供給されたものの倍のパワーだ。
「ひっ!!!!」
ジュリアが再び葛藤の世界に戻っていく。限界まで背を反らして、虚ろな目を限界まで見開いて天を仰いだ。
「いやああああああああ!!!」
「『洗脳プログラム1』を実行します」
ジュリアの悲鳴をよそに、研究員が装置の操作盤に手をかけて、手慣れた手つきで次々と操作していく。
653ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:14:30 ID:e0TGAGpp
[破壊したい 壊したい 全てを壊したい]

「違う!!違うの!!私は!!!」

『 破壊 殺戮 破壊 殺戮 』

「もうやめて!!お願い!だから……ああああ!!!!」

[破壊したい!!全て壊したい!!! 我慢できない!!!]

『 破壊 殺戮 殲滅 殺戮 破壊』

「こわし……た……いやっ!!いやああああ!!!」

『 破壊 受け入れる 殺戮 受け入れる 殲滅 受け入れる 殺戮 受け入れる 破壊』

(壊したい……)

「駄目っ!!!だめぇえええええ!!!」

[我慢する必要はない ただ解き放つだけ]

(解き、放つ……)

「私は!!私は!!!」
654ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:15:06 ID:e0TGAGpp
サイコパワーの供給レベルを3に移行してから一時間。彼女の心の限界はピークに達していた。
変革される精神は、負の感情を無茶苦茶な配分で掻き混ぜた、ドロドロのカクテルと化していた。
心をバラバラに破壊され、望まない形に組みかえられていく、経験したことのない苦痛の世界に彼女はいた。
抵抗しようとも、その意思が粉々に粉砕されてしまい、どうにもならない。
『 破壊 全て受け入れる 殺戮 全て受け入れる 殲滅 全て受け入れる 殺戮 全て受け入れる 』
(受け入れる……)
「……ああ!!受け……い……」
ついに本能が理性を上回り始めた。膨張した衝動を理性では抑えきれなくなり、徐々に本能に従い始めているのだ。
支配の逆転。
これまで理性に抑えつけられ、支配を受けていた本能は、サイコパワーの後ろ盾を得て、激しい反乱を起こしている。
本能が理性を凌駕すると、被暗示性が極限にまで高められ、どんな無茶な暗示さえも受け入れてしまう状態になる。
『全て受け入れる 受け入れなければならない』
『受け入れなければならない 衝動に身を任
せる 委ねる 委ねる』
洗脳装置は、対象の声を徹底分析し、独自の音声出力システムで「本人の声」を生成する。
その音声で紡がれた暗示を、ヘッドフォンを通じて対象の耳へ注ぎ入れるのだ。
本能を剥き出しにした人間は、自分の声を、そのまま自分の考えとして受け入れてしまう。
自身の声が与える暗示は、第三者が与える暗示とは比べ物にならないほどの影響を脳に及ぼすのだ。
『委ねる 全てを委ねる 逆らわない 逆らえない』
『逆らわない 逆らえない 委ねる 衝動のままに』
(さか……らわない……)
「さからわ……いや……!!さか……」
[我慢できない!!!壊す!!殺す!!!殺す!!!]
『逆らわない 逆らえない 委ねる 衝動のままに』
(ころす 破壊する)
「あああ……!!ころ……す……いあ、うわっ、はかいす……はかいする!」
自分の声が耳元で囁くたびに、ジュリアはいとも簡単に思考を操作され、自身を捻じ曲げてしまう。
崩れる心の様を体現するように、彼女の顔つきも、だんだんと力を失った、弛緩したものへと変化していった。
ジュリアの心の扉は、闇から差し伸べられる手によって開かれようとしていた。
「ころす……殺す……」
655ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:15:52 ID:e0TGAGpp
「ストップ。休息時間よ」
カノンの指示と同時に、洗脳装置はジュリアに電気信号を送った。意識のブレーカーを落とし、強制的に失神状態に追い込むものだ。
「あっ」
驚いたような声を残して、すとんと、糸が切れたようにジュリアの意識は落ちた。
かちりと音がして、彼女を拘束していたリングは一斉に外れた。カノンの手で、頭を覆っているヘッドギアも外される。
「カプセルに運びなさい」
「はい。カノン様」
ミランダとアリスは、イスに座るジュリアの両隣りに並び、肩を担いで立たせると、カプセルの方へと歩いて行った。
二人に連れられるジュリアの顔は穏やかだった。先ほどまで抵抗の叫びをあげ続けていた者とは思えない。
ジュリアは再びカプセルの中に入れられた。手足もリングで固定される。そして、蓋が静かに閉じられた。
「休息プログラム作動」
ジュリアの口に気圧マスクが張り付いた。コードが一斉に体の各所に伸びて、先端の吸盤が柔肌に吸いついていく。
「カプセル内に栄養液を満たします」
エメラルドの液体が、カプセル内に溢れ出した。ジュリアの体をゆっくりと登り、包み込んでいく。
サイコパワーの供給は時間をかけて行われる。
精神の変調と同時に、サイコパワーは急激な肉体組成の変質を促す。
筋肉の増強は、対象の肉体に激しい疲労を刻むため、適度な休養が必要となるのだ。
また、張りつめた緊張状態にあった意識を、一度シャットダウンさせることで、脳に与えた情報を整理させるという目的もある。
液体がカプセル内を完全に満たした。
ジュリアのブラウンの髪は、高濃度栄養液の中で、なめらかに浮き沈みを繰り返していた。
体を包む栄養液は、皮膚を介して全身の筋肉を癒し、さらなる強化への基盤を作っていく。
「対象の進捗データを確保しました。読み上げます」
アリスがモニタ画面に映るデータを読み上げ始めた。
「全体進捗状況7%。筋組織増強可能容量残86%。精神支配率9%。最終抵抗数値145……」
 
656ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:16:27 ID:e0TGAGpp
▽第二回測定結果報告
  全体進捗状況…7%
  筋組織増強可能容量残…86%
  精神支配率…9%   
  最終抵抗数値…145
  サイコパワー伝導率
 ・最小値…21%
 ・最高値…39%
  重点プログラム内容…破壊衝動に訴えかける、攻撃性の強化。
  特記事項
 ・素晴らしい筋組織。代謝レベルの示す通りの結果を現している。
  精神支配率が若干低いため、与える暗示の発声頻度を引き上げるものとする。


 ○前回測定結果
  オルガスムス回数…32回
  最高興奮値…164
  最高性感度数…143
   
  肉体組成値…145 
  特筆事項…下半身、特に脚部の組成値が著しく高い。
  本能レベル…94
  代謝レベル…98 

 ○適性診断結果(F〜S)
  適性職種
  研究員…C
  戦闘員…A+
  工作員…B

 ○追記事項
  測定を見直した結果、戦闘員適性をA++に変更する。
657ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:17:08 ID:e0TGAGpp
休憩を途中で挟みつつ、教育は進んでいった。
3度目の教育を受ける頃には、ヘッドギアから与えられるサイコパワーと、彼女自身の声によって語られる暗示に抵抗する意思も見えなくなっていた。
彼女の表情にも、目に見えて変化が現れていた。
まぶたはとろんと、半ば力なく下がり、口の端から唾液を垂れ流していた。
瞳孔の収縮した瞳は、一体、どこを見ているものか分からない。放心状態にあるかのような、呆けた表情だ。
全身の筋肉は電流を流されているかのように、ビクビクと痙攣を起こしていた。
サイコパワーが全身の代謝を異常な速度で促しているのだ。通常では考えられない速度で彼女の筋力強化は進んでいた。    
だが、順調に見えた洗脳教育、肉体改造は、4回目の教育に差し掛かった時に壁にぶつかった。
恋人の存在である。
『忘れる 忘れる 忘れる』
(ホーク!!助けて!!)
「私は……!!うう……」
消えていく恋人の姿を心から手放すまいと、彼女は頑として暗示を受け入れない。
「よくあることだけど、面倒よね」
サイコパワーにより、ジュリアの破壊衝動を膨張させ、彼女に眠る本能を解放したあと、
カノンはジュリアの持つ、余計な記憶の削除に入ったのだが、すぐに問題に直面した。
ジュリアが抱く恋人への想いは、暗示を受け付ける隙間が無い程に強固なものだったのだ。
ジュリアの心の中の大切な部分、これからベガが入るべき位置に、T=ホークという邪魔者がいるのである。
『 ホーク 忘れる 忘れる 消える』
「ホーク!!ああ!!私は……!!私は……!!」
折角封じ込めた理性が再び戻ってきている。
カノンは操作盤に向かい、音声出力プログラムを呼び出した。
ホークという存在を忘れさせるより先に、ホークに対する疑念を植え付けるよう、処理方針を変更する為だ。
「ジュリアがホークを忘れられないのは、恋人が今の状況を打開してくれると固く信じているからよ。あなたがどこまで恋人のことを想っているのか、試してあげるわ」
カノンの操作が完了すると、ジュリアに囁く言葉が変化した。
『ホーク 憎い なぜ助けてくれない ホーク 憎い 』
(嫌!!嫌!!)
「ホークは……そんなのじゃ……!」
『 なぜ助けてくれない 助けて欲しいのに 憎い 』
「ホーク……たす……けて」
彼女の虚ろな瞳から、一筋の涙が流れる。それに構うことなく、「自身の声」はホークに対する疑念を植え付けていく。
『 助けて欲しいのに なぜ なぜ 苦しい 信じられない もう信じることができない』
(信じ……)
『信じられない 信じられない 信じられない』
「信じ……られない……」
ほんの少しの疑念。そこから生じた疑心の傷口を、暗示が急速に広げていく。
「ホーク……助けて欲しいのに……」
658ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:17:36 ID:e0TGAGpp

 ▽第四回測定結果報告
  全体進捗状況…21%
  筋組織増強可能容量残…73%
  精神支配率…16%   
  最終抵抗数値…132
  サイコパワー伝導率
  ・最小値…12%
  ・最高値…27%

  特記事項
  T=ホークの存在が、対象の洗脳教育を妨げている。
  サイコパワー伝導率に影響がみられるが、プログラムの進行には何等支障は無い。
  当初の、対象の記憶からT=ホークを消去する方針から、T=ホークへの疑念を植え付ける方向へと変更し、様子を見るものとする。
659ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:18:07 ID:e0TGAGpp
『 ホーク 殺す 裏切った 許さない ホーク 殺す 裏切った 許さない』
「許さない……」
ギラギラした瞳には明確な敵意が見て取れる。サイコパワーが、ジュリアの負の感情にしっかりと結びついた証だ。
ジュリアが抱いている恋人への想いを崩し始めて3時間が経過していた。
カノンは、ジュリアの中に居座るホークを、「自分を救ってくれない裏切り者」として、時間をかけて認識させていった。
負の感情が増幅しきった心は、少し誘導をかけただけで疑心を生み、激しい憎悪に変換していった。
最初は教育の邪魔でしかなかった恋人の存在は、ここへきて、彼女の攻撃性を大きく高める要素の一つに変質していた。
『 裏切りものには 罰を 私が くだす』
「裏切り者には罰を……」
『 ホークに死を 裏切り者に死を 』
「死を……罰を……」
もう葛藤の叫びはあがらない。彼女の心が、何の抵抗も無く暗黒を受け入れているのだ。
うわごとのように憎しみを口にする唇は、邪悪な笑みさえ浮かんでいた。
闇に酔いしれている。
『裏切り者に死を 力が欲しい 力が欲しい』
暗示が次の段階に入った。紡がれる単語が別種のものへ移り替わる。
『制裁を加えるため 力がいる 誰にも負けない 圧倒的な力』
「圧倒的な……力」
『皆がひれ伏す力』 
「ひれ伏す……」
自らを裏切った男を排除したいと願わせ、次に圧倒的な力が欲しいと願わせる。
そして徐々に軌道を、シャドルーへの絶対の忠誠を誓わせる方向へと曲げていくのだ。
「欲しい……力が欲しい」
『力を得るため シャドルーに誓う 』
「力を得るため……シャドルーに……従う」
拒絶していた筈の単語を、何の抵抗も無く口にしていた。
もう彼女は、暗示の海と溢れる負の力の導きによって、二度と以前の自分には戻れない位置に立っていた。
『シャドルーはあなたを導く あなたに力を与える シャドルーに従う 』
とうとうとヘッドフォンが語りかける内容を、能面のような表情でジュリアは聴き続けた。
語られる言葉が、心地よく耳をくすぐる。
想いを口にすると、力を渇望する心が喜びに震えだす。
「シャドルーは……私を……」
緩慢に、しかし確実に。
彼女の心は、シャドルーの所有物へと着実に変化していった。
660ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:18:36 ID:e0TGAGpp
 ▽第六回測定結果報告
   全体進捗状況:56%
   筋組織増強可能容量残:46%
   精神支配率:45%   
   最終抵抗数値:64
   サイコパワー伝導率
  ・最小値:43%
  ・最高値:67%

  特記事項
   大きな進行率を記録。T=ホークに対する懐疑心が、サイコパワーと同調した結果と思われる。
   これは、親衛隊bS『アプリーレ』の洗脳教育の際に見られた反応とほぼ同一の反応である。
   サイコパワーと感情の因果関係を証明する、実証結果の一つとして報告する。
661ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:19:13 ID:e0TGAGpp
「センサーの感度良好。これより対象にベガ様への忠誠を刷り込みます」
首筋、乳房の側面、わき腹、下腹部、内腿。洗脳装置から伸びたコードが、ジュリアの性感帯の各所へ、触手のように張り巡らされていた。
コードの先端には、黒い四角形のパッドが取り付けられ、ジュリアの肌に貼りついている。
先ほどまでは無かったこれらのセンサーは、微弱な電流を体内に流すことにより、深い性的快感を人体に与えるものだ。
ミランダが注射器を取り出した。ピストン部を押し上げると、針の先から青白い液体が玉のように飛び出す。
「ブレインシュガー」の名で呼ばれる、シャドルーが生み出した精神特効薬の一つである。
ミランダはジュリアの首筋に注射針を突き立てた。
「対象に薬剤を投与」
首筋にちくりとした痛み。
静脈に注入された薬剤は、すぐに全身へ駆け巡る。
「ん……」
薬剤が投与されてすぐに、ジュリアの無感動だった表情が、夢見る少女のように、うっとりとしたものへと変化した。
幸せにたるんだ唇、うるんだ瞳。
「う……んはぁ……」
まどろむような気持ち良さの中で、ジュリアは幸福感を噛みしめていた。
どこまでも飛んでいけるような気分。
ぷかぷかと海の上に浮かんでいるような感覚。
もう何がどうなってもこの気持ち良ささえあればいいという倦怠感。 
思考力を麻痺させて、ただ多幸感を味わわせ続けるのがブレインシュガーの効力だ。
その幸福感は、大切な人とのセックスで味わうことのできるそれと酷似したものである。
「興奮数値76。……81……」
装置に設置された計測器が、ジュリアの心の動きを正確に割り出す。
「興奮数値100を超えました。これよりベガ様への忠誠心を植え付けます」
彼女の耳を覆うヘッドフォンが、再び彼女自身の声で囁きだす。
『シャドルー総統 ベガ様 愛している シャドルー総統 ベガ様 愛している』
暗示漬けになった脳は、すぐに新しい暗示を受け入れていった。
「シャドルー総統……ベガ様……」
蕩けるような声で、ジュリアはつぶやいた。
662ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:19:56 ID:e0TGAGpp
ドクン

「ふあっ!!」
突然、はじけるような波動を感じて、ジュリアの体がはねた。
『ベガ様 愛している ベガ様 愛している』
快楽の衝撃に心臓をドキドキと高鳴らせるジュリアに構わず、装置は耳元で暗示を繰り返す。
『ベガ様 愛している ベガ様 愛している』
「ベガ様……愛してる……」
再びあの波動がやってきた。体全体を揺さぶる衝撃。
「ああっ!!」
嬌声が上がった。背が勢いよく反りあがる。
衝撃の後に、砂糖菓子のように甘い余韻がやってきた。
余韻は多幸感に姿を変えて、既に蕩けたジュリアを優しく包み込む。
(きもひ……いい)
ジュリアが暗示を受け入れるたびに、体中のセンサーが反応し、電流を肉体に流す。
痺れは激しい性感を生み、肉体の諸器官を興奮状態に追い込んでいく。
ジュリアが夢中になっているのは、電流が与える刹那の衝撃では無かった。
体が跳ね上がるほどの激震の後にやってくる、身を包みこむような、優しい余韻がたまらないのだ。
にじむような幸福感が、大きな安心感を纏ってやってくる。
「ベガ様……ベガさまぁ……」
体をビクンビクンと震わせながら、ジュリアは何度も口にした。
幸福感欲しさにベガの名を口にする様は、まるでご褒美をねだって芸をする犬のようだった。
(ベガさま、愛してます)
口先だけではなく、心から彼女はベガを慕い始めていた。
『ベガ様に捧げる ベガ様に全てを捧げる』
『ベガ様に尽くす ベガ様に愛を尽くす』
次々に言葉を変えて、耳をくすぐり続ける暗示を、ジュリアは幸せに身悶えしながら受け入れる。
「捧げますっ!!愛します!!ベガさまぁ!!」
(ベガ様に愛されたい。他の人なんてどうでもいい)
だらしなく口端から唾液が出るのを気にせず、カノン達が見ている前で、何度も何度も愛を告白した。
彼女には、その愛が洗脳によって与えられたものだという意識は無い。
最初から、それも生まれる前から、自分はベガに恋し、愛を捧げ続けているのだと信じ切っていた。
「見ているこちらが恥ずかしいぐらい、本当にいい感じに仕上がってきているわ」
洗脳の成果に、カノンは満足気だった。このプロセスを経過すると、女性なら誰だってこうなるのだ。
共にジュリアの洗脳を担当している女性研究員二人も、今のジュリアと同じように、燃え尽きるような愛に狂ったのだから。 
ベガの存在に依存しきった心身は、二度と他の男に振り向くことは無い。
このプロセスを経ることで、ベガの言葉に喜びを感じ、ベガの愛撫に身を焦がせる、身も心もベガのカリスマに魅入られた人間が誕生するのだ。
プロセスが始まって20分。
すでにジュリアの心の中は、ベガへの愛で満たされていると言ってもいい状態だったが、まだまだ、ベガに対する愛情は時間をかけ、入念に行われる。
ベガに最も近い位置に立ち、ベガに対する寵愛を受けることになる親衛隊には、「忠誠心」以上の、「愛慕」を刻み込まなければならないのだ。
親衛隊は、文字通り、心身を捧げつくす存在だ。自ら進んでベガの慰め物になるのも、親衛隊の重要な任務の一つであり、また至高のご褒美なのである。
「ふぁ、あっ」
柔肌に取りつくセンサーは、強烈な刺激を与えると同時に、快楽中枢に働きかけ、より深い性感を得ることができる体へと改造していた。
ベガの愛撫に酔い、悶え、絶頂するように、より淫蕩な体へと変えられていく。
イスの座面が濡れていた。ジュリアから溢れた愛欲が濡らしたものだ。乳首も興奮で反り立っていた。
『ベガ様しか私を満たせない 他の男では満たされない』
『ベガ様が触れると感じる ベガ様以外の男では物足りない』
『ベガ様が触ると気持ちいい 病みつきになる』
ジュリアの心に取りつけられる、見えない貞操帯。深層にまで達する暗示が、ベガ以外の異性の存在をかすませる。
ベガ以外では満たされない淫蕩な肉体。
極限まで強化された性感は、ベガを満足させる為、ベガによって与えられるご褒美を享受する為にあるのだ。
「ベガさま!!ベガさまああああああ!!!」
未来の親衛隊は、言葉を覚えたばかりの幼児のように、同じ単語を何度も繰り返し、心に刻んでいった。
663ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:20:31 ID:e0TGAGpp

 ▽第七回測定結果報告
  全体進捗状況:72%
  筋組織増強可能容量残:46%
  精神支配率:92%
  性感度(調整前)
  ・口腔:45
  ・耳:23
  ・首:21
  ・胸部:47
  ・腹部:32
  ・腕:12
  ・性器諸器官:56
  ・脚足:32
   
  性感度(調整後)
  ・口腔:67
  ・耳:34
  ・首:41
  ・胸部:82
  ・腹部:53
  ・腕:32
  ・性器諸器官:97
  ・脚足:67

  特記事項
  胸部、脚部における性感度上昇具合が素晴らしい。乳首は、調整前のクリトリスよりも感度を増している。
664ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:21:17 ID:e0TGAGpp
再び、サイコパワーの供給に入った。洗脳事態はほぼ完了しており、最後は体組織の増強に焦点があてられていた。
サイコパワー供給レベルは最高の5。
全身の筋肉は激しいマッサージを受けているかのように、ビクビクと痙攣を起こしていた。
だが、彼女の存在を定義する、最後の暗示を受け入れるために、これまでよりも一層神経を集中させている彼女は、そのことを全く気にも留める様子はなかった。
「私はシャドルーに絶対の忠誠を誓います」
これまでの洗脳過程を経たジュリアは、はっきりと忠誠の言葉を紡いでいく。
そこに、以前あった葛藤や、苦痛の表情はもう無い。
「シャドルーの野望を成就する為に力を尽くします」
抑揚の無い声だが、非常に明瞭な響きだ。
「永遠の忠誠をベガ様に……」
彼女はもう以前の彼女ではなかった。シャドルーに身を捧げる親衛隊の一人。
「私は『ユーリ』。ベガ様を護衛する、誇り高き親衛隊ナンバー7、『ユーリ』」
ジュリアと呼ばれた女が消え、誇り高き洗脳兵士ユーリが誕生した瞬間だった。
   
「ストップ。彼女の意識をそのままに、装置を停止させなさい」
装置が停止される。  
「報告します。暗示プログラム・忠誠刷り込みプログラムにより、対象の洗脳過程を無事終了いたしました」
ミランダが現在の状況を報告した。
その横で、ジュリアは冷徹な瞳で前方を眺めていた。
感情が失われた表情は、かつて明るさを振りまいていたころの面影を欠片も残してはいない。
教育開始当初と比べて、ジュリアの筋肉が引き締まっているのが分かる。
元々鍛えられていた腕の筋肉も、太さは以前とさほど変わらないものの、さらなる発達が一目でうかがえた。
腹部も、余計な脂肪がそぎ落とされたため、筋肉の線を一層美しく覗かせていた。
データが示した通り、脚部の筋肉の発達が素晴らしく、特にふくらはぎの筋組織が魅力を放っていた。 
彼女の思考は、教育の影響で大きく変革されていた。
無表情に前方を見つめ続けながらも、彼女の脳裏に横たわるのはシャドルー総帥への絶対の忠誠だ。
カノンによって、ジュリアの耳を覆うヘッドフォンが外された。カノンが言葉を囁く。
「ユーリ。聞こえるわね」
「はい……聞こえます」
抑揚のない声でジュリアは言った。
忠誠の楔が、彼女の脳裏にしっかりと食い込んでいる。シャドルーの研究者である、カノンにも、その従属は向けられていた。
「あなたは誰かしら?」
カノンの問いに、ジュリアは従順に答える。
「親衛隊ナンバー7、ユーリでございます」
迷いなく、はっきりと彼女は口にした。
「ジュリアからユーリに生まれ変わったわけだけど、気分はどう?」
「素晴らしい気分でございます。親衛隊に選ばれて、私は幸せで一杯です。カノン様は私に最大の誇りを与えてくださいました。感謝してもしきれない思いです」
嬉しさを抑えて、カノンは続けて言った。
「あなたの主は誰かしら?」
「シャドルー総帥……ベガ様です」
言葉を口にした時、人形のようだった「ユーリ」の顔が、僅かに蕩けたのをカノンは見逃さなかった。
665ユーリ・プロジェクトA:2010/03/27(土) 22:22:49 ID:e0TGAGpp
軽く質問を終えると、カノンは再びユーリを休養させるよう、ミランダ達に指示を与えた。   
洗脳が終了し、肉体を強化したものの、今のユーリはまだ、戦闘員として必要な技能は何も身についていない状態だ。
「ここからが肝心ね」
 
 ▽第八回測定結果報告
  全体進捗状況:85%。
  筋組織増強可能容量残:0%
  精神支配率:100%   
  最終抵抗数値:0
  サイコパワー伝導率
・最小値:96%
 ・最高値:100%
  備考:これより、技能習得プログラムに移るものとする。
666名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 22:26:14 ID:e0TGAGpp
2回目はここまでです。地文が長いのがネックですねん。
ラストの3回目のアゲは、調整の為、早くて明日の昼、遅くて夜ごろになりそうです。
長くて申し訳ないですがよろしくおねがいです。
667名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 22:34:30 ID:XH5bcYZZ
ありがたいことじゃ
668名無しさん@ピンキー:2010/03/27(土) 22:37:44 ID:eUYxsdnH
>>666
手早い仕事乙
機械姦好きなんで個人的に描写濃いのは嬉しいよ
669名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 02:49:41 ID:5SNfM6bi
>>627
すごい、まさに626で言った通りのストーリーのゲームだ!ありがとう!
気に入ったからさっそく公式ホームページとか色々見てみた。
かなりいいゲームだけどいい点と微妙な点もあった。
キャラに関しては1が1人いいのがいる。2は公式の画像が宇宙服みたいなの着てるからわかりにくいけど6人いいキャラがいるから
いいキャラの数からして2の方がいいな。天堂樹梨が絵のうつり方によって微妙になったりよくなったりするね。
きょにゅうキャラが多いようだけど個人的にはあんまりでかすぎて作りものみたいで不自然に感じるから胸は普通サイズでいいと思う。
まず豹藤あづみは性格や雰囲気的に男みたいで女として見れないのは残念。天堂静香は年増だから微妙。
緋風すずは御剣夕子なんかはかなりいいな。あと公式を見る限りではキャラクターは性格が魅力的。
公式画像にはmc時はマグロ目になるのはすごくいいと思うけどmc完了後がどうも通常の目に戻ってるのがかなり惜しい!
mc後はずっとほんの少し鋭いマグロ目だとよかった。ただ、mc後は目は普通に戻るけど目の下にT字型の模様ができるのが
悪堕ちした感じが出ててよかったなー。
この作品もそのようだけどセックスシーンはmc作品とそうでない作品の差がなくていまいちだし単調になりがちだから個人的にいらないと思った。
mc装置好きだから2の公式をみるとステファニー・ゴールドウェルが装置でmcされてるのがツボだった。紫色のマグロ目がかなりいい!
装置にかけられてる時胸の上あたりにあるブレスレットが洗脳道具でこの道具を通じてmc電波を受信させることで主人公の命令に従うという
仮面ライダーブラックのmcシーンみたいなのを期待してたけどどうやらそれは服についてるただの飾りっぽいことがわかってちょっと残念。
服も悪堕ち服がほしい。
まー、とにかく女キャラ(特に2)とストーリーがすごくいいから買う。

MAIKAの人ここ見てないかなー。見てたらぜひともこの意見をゲーム作りに反映してほしい。
こんなにいいゲームなのに2が発売された2005年7月8日以来3が出てないのがすごく残念…。
ターゲットの女キャラを一新してまた発売してほしい。
他にもこういうゲームないかな。
670名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 06:41:20 ID:iWJPe+8d
ただ一言…神
671名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 09:59:42 ID:S7PtJo/n
>>669
テンプレ見れよ
と、思ったらwikiってタイトルだけ紹介で詳細はないのだな
ユズレンジャー→サイレンジャーもほぼ同じパターンだよ
672名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 15:13:48 ID:BcxIYADM
ユーリプロジェクト最終回を投下させていただきます。
最後の方は百合注意です。
あと、今回も長いです。多大なるスレ消費をお許しください。
673ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:14:27 ID:BcxIYADM
イスに腰掛けるユーリの体の各所にセンサーが取り付けられた。
忠誠刷り込みプログラムの時とは違う、紫色の端子が身を覆う。
ユーリにサイコパワーを与えていた、おなじみのヘッドギアは外され、代わりに顔まで覆い隠す紫色のヘルメットがかぶせられた。
洗脳装置からコードが伸びているのはヘッドギアと同じだ。
「これから、訓練プログラムに移行します」
カノン達は、次なるプログラム、訓練プログラムの準備に取り掛かっていた。 
「戦闘技能の習得・訓練を擬似戦闘プログラムにより行います」
ヘルメットの頭頂部に備えられたランプが、真っ赤に点灯する。
「擬似戦闘プログラム開始」
ミランダがそう言った瞬間。
突然、ユーリの視界が真っ白に染まっていった。
10秒足らずで異世界へとワープするような、これまで彼女が体験したことの無い感覚。
研究室から一瞬で、見えない翼によって、彼女の体はどこか遠い、異世界へと運ばれた。
(……)
異様な感覚にも、ユーリは全く動じることがなかった。ただ無感動に現状を観察する。
視界に拡がるのは白一色の世界だ。白色があるだけで、他には何もない。温度は、暖かくもなく、寒くも無いと言ったところか。
全裸でイスに腰掛けていた筈のユーリだが、気付けば、地に足をつき、直立の姿勢を取っていた。
体を見ると、戦闘員のコスチュームである、紺色のバトルスーツを着用した姿だった。
体全体にフィットするレオタードのような戦闘服の感触は、なめらかで気持ちがいいものだった。
腕に付いた赤いナックルパーツも、重そうな見た目には似合わぬ軽さで、しっかりとユーリの体に馴染んでいる。
『ユーリ。私の声が聞こえる?』
「はい。カノン様」
聞こえてきたのはカノンの声だった。ここではない、どこか遠くから響いて聞こえる。
『ここは、あなたの脳が作りだした、仮想空間の中よ。あなたには、この空間の中で様々な技能を試してもらうわ。私の言う意味が分かるかしら』
「はい。理解できます」
『よろしい。……これから、あなたの脳に戦闘プログラムをインプットするわ。あなたは自然に、インプットされた通りの動きが出来るようになる』
「……」
『これからあなたの前に排除対象が現れるの。私がインプットするプログラム通りに、対象を排除しなさい』
「――排除」
ユーリの目に凶気の光が宿った。口元には邪悪な笑みが浮かびあがっている。
『あなたが優秀な戦闘員になることを願っているわ。……では、始めましょう』
開始の合図とともに、5メートル程先にふっと、黒い人影が現れた。
674ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:15:34 ID:BcxIYADM
まるで最初からそこにあったとでも言うように、唐突に現れたそれは、顔の無い、黒い人形のようなものだった。
人形は、男性をイメージした固く隆起した筋肉をつけている。
ユーリより背の高いそれが、ゆっくりと歩み寄ってきた。
『基礎プログラム1 インプット』
カノンの声と共に、ユーリの脳へ戦闘知識が一瞬で埋め込まれる。
「……!」 
ユーリの目が、驚きを表現するかのように大きく見開かれた。
脳がプログラムをインプットする際に起こる、反射反応の一種である。見開かれたまぶたはすぐに元に戻った。
ユーリの体が動き始めた。
直立状態から前傾姿勢に、まるで風に揺らめくような自然さで移行する。
彼女の長い髪が、見るものを幻惑するかのように揺らめいた。と同時に、右足は既に地を踏み出す力を蓄えている。
「対象を『排除』します」
プログラムされた通りの言葉が、ユーリの口から抑揚のない声質で発せられた。
足が地を蹴り込む。
5メーターの距離は、瞬きもせぬうちに縮められた。
人形の目前で、ユーリの足は急ブレーキをかけた。鋭く、甲高い音がブーツから発せられる。
異常な脚力から生み出されたエネルギーは、地を踏み、ブレーキをかけることでさらに増幅した。
エネルギーは彼女の体を伝い、下半身から上半身へ、そして右腕へと昇っていく。
腕に蓄積された爆発的エネルギーを、全て解き放つ。
ユーリの腕が人形に伸びる。人形の胸部に、凄まじい衝突エネルギーが集中し、爆ぜた。
骨を砕くような乾いた音が、白い世界にこだました。
限界まで引き伸ばしされたユーリの右腕。それが、人形の背から木の枝のように伸びている。
全てが一瞬だった。
「排除――『完了』」
冷たい声で、報告の言葉を口にした。
突き立てた腕を人形から引き抜くと、人形はどっと音を立てて地に伏した。倒れた人形は、次第に地に沈み込んで、消えた。
『基礎プログラム1。達成率96%』
研究員、アリスの報告が、ここでは無い、どこか遠くの世界から聞こえた。
675ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:16:18 ID:BcxIYADM

「上出来よ。しっかり肉体が適応出来ている」 
嬉しげにカノンは言った。
「ありがとうございます。カノン様」
イスに腰掛けたユーリが、まっすぐ視線を向けたまま応える。
「さあ、次々とプログラムをインプットしていくわよ」
シャドルーの技術習得プログラムは、対象の大脳に強力な電気信号を与えることで、一瞬にして技能を習得させることが出来るものである。
「ラーニング」と言われるそれは、技能習得に必要な知識、運動を、1秒程度の僅かな時間で脳に叩きこむ強烈なものだ。
もちろん、普通の人間の脳が耐えきれるものではない。
だが、度重なるサイコパワーの供給を受けたユーリの脳は、常人とは桁違いの容量と、耐久性を獲得していた。
僅かの抵抗反応を起こしこそすれ、「ラーニング」によって脳が破壊されることはあり得ない。

イスに座り、ぼんやりと前方を眺めるユーリの意識は、カノンや研究者達とは違う、高次元の世界にある。
擬似戦闘プログラムが、ヘルメットを通じて、ユーリの脳に仮想現実を作りだしているのである。
仮想世界の中で、ユーリは装置から与えられた仮の肉体を、自在に動かすことができる。
仮の肉体とは言っても、体中に張り巡らされたセンサーによって伝えられた肉体組成値を元に、装置が徹底的に筋力量等を解析した物が反映されているために、現実の肉体とほとんど誤差はない。
つまり、ユーリはイスに座りながら、戦闘技術を習得し、実践することが出来るのである。
「排除、完了しました」
仮想現実で、またユーリが一つ任務をクリアしたようだった。
「基礎プログラム6。達成率97%。基礎プログラム7に移行します」
非常に飲み込みが早い。達成率もほとんどが98%前後にある。今のところ、なんら問題も無くラーニングが進んでいる。
今は戦闘術、殺人術の基礎習得に重点を置いているが、後程、要人暗殺プログラム、拉致プログラム、拷問プログラムと、より複雑な技能を習得させていくのだ。
ユーリの洗脳教育は、着実にコンプリートに向かっている。

  ▽第九回測定結果報告
  全体進捗状況:92%。
  現プログラム内容:基礎技能習得過程T
  技能習得率:26%

  特記事項
  問題無く技能習得が行えている。平均数値98%は脅威である。
676ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:16:49 ID:BcxIYADM
「任務、完了致しました」
ユーリの前には、世界的な格闘家で知られる男が、血まみれの状態で息絶えていた。
タイの国技、カポエラを扱うこの男を仕留めるのにかかった時間は、わずか4分程度であった。
『戦闘プログラム53。達成率94%。戦闘プログラム54に移行します』
仮想現実の中での、異様な訓練は、格闘家達との模擬戦闘に移っていた。
シャドルーが把握する要注意人物の中に、格闘家は145名いる。その中で、はっきりとしたデータが取れているのは65名だ。
このプログラムは、対人戦闘経験を積むことを目的に、格闘家65名との模擬戦闘を行うものである。
ユーリは、淡々と格闘家達を葬り去り、好成績を維持していた。
『戦闘プログラム54を開始します』
先ほど倒した格闘家の姿が霧のように消えた。
代わりにユーリの目の前に現れたのは、天を衝くかのような大男だった。筋骨隆々の、逞しい男だ。
「……!」
ユーリの表情に動揺が走った。

眼前に立つ男は、T=ホーク。
大自然を愛し、シャドルーに敵対するメキシコの英雄、そして、「ジュリア」の恋人でもある男だ。

「僅かに、葛藤が見えるわね」
操作モニタの数値を見ながら、カノンはつぶやいた。
先のプログラムの中で、徹底的にT=ホークに対する嫌悪感情を与えた筈であるのに、ここに至って、葛藤が垣間見えるのは何故か。
「不愉快ね」
そうぼやきながらも、彼女はプログラムを続けていく。
677ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:17:23 ID:BcxIYADM
「ジュリア!ジュリアじゃないか」
T=ホーク、いや、正確には、T=ホークを模倣したプログラム生命体は、本人が見せるであろう反応を、そのままシミュレートした。
「どうしたんだ……その格好は、シャドルーの奴らに何かされたのか」
彼は巨体に似合わぬ涙を流し始めた。そしてゆっくりと近づいてくる。
「そんな冷たい顔をしないでくれ。あの明るい顔を見せ――」
「私に近寄るな」
刺すように鋭い言葉がユーリから放たれた。冷たい瞳をホークに向けている。
「ジュリア……お前……」
「対象を『排除』します」
即座に、ユーリは上体を強くひねった。力を溜めて、空を切り裂くかのような鋭い回し蹴りが放たれる。
「ジュリア……」
ホークの悲しい声も空しく、ユーリの右足が彼の左腕に食い込んだ。丸太のような太腕から、骨の折れる嫌な音が聞こえてきた。
「ぐうっ!!」
くぐもった声を出して痛みを耐えるホークに、ユーリはすかさず、天を突くようなアッパーをその顎に叩きこんだ。
「がうああっ!!!」
巨体が空を飛び、しばらくしてから地に強く叩きつけられた。細身の女性が放ったとは思えない、重い一撃だった。
「ジュ……リア……!」
仰向けに地面に横たわるホークは、まだジュリアの名を呼んでいた。呼びかけ続ければ彼女の心が戻る、そう信じてでもいるかのような、半ば盲目的な行動である。
その呼びかけを無視し、ただ無感動に、ユーリはホークの方へと歩を進めていった。
「目を……覚ますんだ。お前はシャドルーに」
ホークの腹に、ユーリは馬乗りになった。体をひねり、腕に力を込める。手刀で一気に、ホークの分厚い胸板を貫こうとする態勢だ。
「――排除する」
手刀が無慈悲に胸板を貫いた。
678ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:17:58 ID:BcxIYADM
『戦闘プログラム54。達成率61%』
『ためらいが見えるわね』
遠くからの声を聞いているのかいないのか、ユーリはホークの亡骸をただじっと見ていた。
『ユーリ、聞こえるわね』
「はい」
『ためらいが見えたわ。戦闘技術に長けたあなたなら、もっと迅速に仕留めることが可能なはずよ』
「……」
カノンの声を聞いている今も、彼女はホークを見つめていた。これまでと変わらない、感情を宿さない目ではあるが、そこには確かに、何かが込められていたのである。

「……カノン様」
ユーリが静かに口を開いた。
「もう一度チャンスを頂けませんでしょうか」
その瞳は、再び凶気をはらみだした。垣間見えた何かは、もう影も見えない。
「今度こそ、的確に任務をこなして御覧にいれます」
 
 

 ▽第10回測定結果報告
  全体進捗状況:95%。
  技能習得率:85%
  現プログラム内容:戦闘プログラム、要人暗殺プログラム、拉致プログラム

  特記事項
  戦闘プログラム54の際、不具合を見せるが、再演習を3度繰り返した結果、達成率平均98%を記録。
  問題無しと判断する。
679ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:18:39 ID:BcxIYADM
「ユーリの調子はどうだ、カノン」
「はい。洗脳教育は全て完了しております。現在、技能習得プログラムに移り、その内の一つ、性技習得プログラムを行っているところです」
カノンが立っているのは、シャドルー本部の中で最も豪華絢爛な空間、ベガの私室だった。
部屋の中には、陶器や絵画等の、世界各国から集めたコレクションが飾られている他、拷問具等の悪趣味を極めた物まであつらえてあった。豪華さと陰湿さが妙に馴染んだ、独特な空間である。
ベガは、煌びやかに宝石がちりばめられたイスに腰掛けていた。顎を手でさすり、満足げな表情をカノンに向けている。 
「『ユーニ』と言い、『ユーリ』と言い。好い人材に恵まれたものだな、カノンよ」
そう言って、ベガは隣で直立姿勢を取る少女、親衛隊ナンバー5、サツキを見やった。
凛とした表情で立つ彼女の体にも、濃紺色の素材がぴったりと吸いついていた。
ベガの手がゆっくりと伸び、短く切り揃えられた黒髪に触れる。
「ふああっ!!」
頭に手の平が触れただけで、サツキは敏感に反応した。
頭部から足先までを、全ての部位を小刻みに震わせながら、気持ちよさげに喘いでいる。
髪を撫で、一通りの感触を楽しんだ後、ベガの指は、彼女の端正な顔に触れた。サツキの顔は、男はもちろん、女も見惚れる、中性的なものだ。
そして、ベガの指は降り、サツキの薄い乳房を優しく包み始めた。
小さな膨らみは、これでも女なんだと主張するかのように、ふかふかとした柔らかい感触をベガに伝える。
優しくさすられただけで、彼女の顔は発情した牝犬のように蕩け出した。
同性であるカノンが見ている前で、あけっぴろげに淫乱な姿をさらしている。
「サツキ。お前も、新しい仲間が出来て嬉しいだろう、ん?」
バトルスーツを押し上げる突起部分をつまみ、ベガはサツキに問いかけた。
「はい……。あっ!っ、わ……わたひも、うれしいですっ!」
サツキは、最愛の人に敏感な箇所を触れられて、頬を赤らめる一方、平常心を保とうと苦心していた。
負けず嫌いのサツキは、ベガの愛撫に身を任せる際、いつも乱れまいと決心して挑むのだが、彼女の試みは未だ達成されたことがない。
試みの失敗は、自分より強い男に負けたという、マゾヒスティックの香りがほのかにただよう、心地のいい堕落感をサツキに運んでくる。
いつもの凛とした表情はもう見えず、あるのは発情しきった負け犬の顔だった。
「べ……ベガさまっ、はあっ!」
だらしなく嬌声をあげ続けるサツキも、一度戦場に立つと、獲物を射抜く鷹のような目をした冷酷な表情へと変貌し、日本刀を手に血の舞踊を繰り広げる非情のアサシンと化す。
少女と言える年齢の彼女も、シャドルーの技術により、徹底した肉体改造を施されているのだ。
「これで親衛隊は7名になる。我がシャドルーはさらなる躍進を見せることとなるだろう」
ベガの声の上から覆いかぶさるように、一際高い女の鳴き声が部屋に響き渡った。
サツキが纏うバトルスーツ、その股の部分に生じた黒い染みが、一層嫌らしく範囲を広めていった。
680ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:19:12 ID:BcxIYADM
「んっ、はっ、ううんっ」
淫靡な水音が、白い世界に満ちていた。途切れることの無い音の発信源は、ユーリの唇の中にあった。
「べふぁ、さむぁ、あ、どうれす?きもひひです?」
男の象徴を、ユーリは嬉々として舐めあげていた。
喉の奥まで男を迎え入れる、舌で側面をなぞる、人差し指と親指の輪っかを絡ませて優しく愛撫する。
精液を吐き出させるよりも、男に長く気持ち良さに浸ってもらうことを目的とした、媚びるようなフェラチオ。
「ふふふ、お前は舌使いが上手いな。これは期待できそうだ」
「!!! ありがとうございます!!」
ユーリの心を歓喜に包みこむのはベガの言葉。
ベガをシミュレートしたプログラム体を相手に行っているのは、男を悦ばせる為の技術を学ぶ、性技習得プログラムである。
一瞬で脳に叩きこまれる娼婦の技術を、ユーリは次々に実践していく。
ベガのペニスを、地に這いつくばるようにして貪るユーリの姿は、まるで飼い主に餌をねだる犬のようだった。
なだらかな背筋のライン、地に触れそうな乳房が男心をそそる。
「もうそろそろだ。しっかりと飲み下せ」
ベガの言葉と同時に、ユーリの口内で暖められたペニスが、大きく脈動し始めた。
精液を体外に吐き出す男の反応を感じると、後押しするように指を上下に動かし始めた。
ユーリの狂ったように動く指が、ベガのペニスに快楽と力を注ぎ、激しい射精を促す。
「ぐうっ」
ベガの唸り声。
ユーリの技巧の前には、どのような男も、ベガでさえも、心地よさに我を失う。
ベガが我を失した瞬間、ユーリの口内にマグマがあふれ出した。
「んんっ」
男の白き分身を、まるで甘いミルクを飲むかのように、ユーリは全て飲み下していく。
喉を隆起させて、こくこくと音を鳴らす。まるで男にアピールするかのようだ。
その動作に、男を満足させるよう徹底された、隙の無いユーリの技巧が垣間見える。
だが、本人はそれを技とは思ってはいない。
美味しい飲み物をくださったベガ様へ、溢れる感謝の気持ちを伝えるために、必死にアピールしているのだ。
精神をあますところなくベガに染められた、まさに親衛隊にふさわしい行動である。
亀頭から袋まで、まだ精液がしたたる場所を舌で清めていき、ユーリは言った。
「ごちそうになりました。ベガ様」
淫蕩な一言を、彼女は心の底から口にした。
「フフフ。では、次はお前を満足させねばな」
精液を出したばかりであるのに、ベガのペニスは太く、逞しさを失っていない。
ユーリの背後へ周り、ベガは強靭なそれをユーリの女へと押し込んだ。
「はあぁん!!」
ベガはバックから、一息に子宮口の前にまで侵略した。
腰を甘美なハンマーで砕かれたユーリは、力を失ったように倒れ込んだ。尻を突き出し、上半身だけを地に伏せた形。
「ははは、どうした。挿れただけで果てたのか」
ベガの声がユーリの堕落感を煽る。あまりの心地の良さに、彼女の顔がふやけ出した。
「べがさまぁ……あいしていますぅ……」
甘ったるい声で、ユーリは心の内からベガにアプローチする。 
「そうか。では、私も全力でお前を愛してやろう。いくぞ」
男が女の中で暴れた瞬間、白い世界に甘い絶叫が響き渡った。 
  

▽第十二回測定結果報告
  全体進捗状況:97%。
  技能習得率:94%
  現プログラム内容:性技プログラム

  特記事項
  基本的な性技を習得。足を使った性技が少し荒いのが難点だが、手技は得意な模様。
681ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:21:18 ID:BcxIYADM
カノンが研究室へと戻った時、ユーリの性技プログラムは終わり、教育はラストを迎えていた。
「あっ!ああああっ!!!」
イスに座りながらよがり声をあげるユーリの表情は、ヘルメットに隠れて良く見えないものの、あごに滴る唾液と、座面に溢れた愛液の水たまりを見れば、今彼女がどのような表情をしているのかは容易に想像がつく。
「34回目のオルガスムを観測」
「持続時間、1分2秒」
ユーリの淫声を聞こえていないかのように、アリスは報告を口にしたが、彼女達が欲情しているのは頬の赤みを見れば分かる。
特にミランダは、唇を緩ませて、まるで自分がオルガスムに達したかのような、陶酔しきった顔つきをしていた。無理もないことかもしれない。
「35回目、信号発信」
ミランダが手元のボタンを押した瞬間、ユーリの体が大きく痙攣を始めた。
「おああああああああ!!!!!」
ヴァギナから愛液があふれだした。体には何も触れてはいないにも関わらず、ユーリは一瞬にして絶頂を迎えたのだ。
「あはぁ、あ……」
ユーリの絶頂感が退いたのを見計らって、研究員がまたボタンを押す。
「きた、きて……あはは!あ、あ、うあああああああああ!!!!」
壊れたような笑みを口に浮かべてから、獣のように吠える。
研究員のボタンに連動して、また彼女は絶頂の波に飲み込まれる。 
今、ユーリに行われているプログラムは、脳に「絶頂感」を引き起こす、特殊な電気信号を送り続けるものである。
擬似訓練プログラムでも使われた、顔を覆うヘルメットが彼女に絶え間ないオルガスムを引き出しているのだ。
間断なく絶頂感を与え続けるこのプログラムは、対象がどれほどのオルガスムに対する許容量を持っているのかを確認する為のものである。
要するに、耐久性テストだ。
イスにできた愛液の水たまりは、ユーリ震えに伴って、ピチャピチャと跳ねる。
溢れた愛液が、滝のようにイスから滴り落ちていた。
脱水症状を起こしそうな勢いだが、体液を作る水分を絶やさないように、彼女の腕に付けられた点滴が常時水分を補給している。
いくら達してもいい準備が整えられていた。
「37回目のオルガスムを観測」
「持続時間、1分37秒」
「38回目、信号発信」
カチッという音と共に、再びボタンが押される。再びユーリが狂った。
「ああああああああああああああああ!!!!!!」
舌がだらんと口から出ている。その壊れた笑みは快楽に狂ってはいるが、決して苦痛を浮かべてはいない。
サイコパワーで耐久性が増した脳は、エクスタシーに対しても高い許容力を発揮する。
洗脳教育を受けた女達は、普通の人間なら脳が失神命令を出す程の絶頂感にも耐えることが可能なのだ。
しかも、絶頂に伴う体力の疲労も極僅かで済むのである。
「べ、ベガさまああああああああ!!!!!」
ユーリが42回目の強制絶頂を迎えた。
がたがたとイスを揺らし、愛液を再びヴァギナから絞り出す。
682ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:22:02 ID:BcxIYADM
肉体の刺激を介さずに、連続で絶頂を迎える感覚など、普通の人間には経験出来ないものだろう。
イスに動きを封じられ、無理やりオルガスムを引き出され続ける彼女の姿は、傍から見ると、まるで拷問を受けているかのように映るだろう。
だが、当の本人は心の底から性拷問を楽しんでいた。
「くるぅ!!またくる、あ、あぁあああああああああ!!!」
楽しげな絶叫。矛盾した叫びをあげ続ける彼女の心に、多くの女性が絶頂前に感じるという、未知なるものへの恐怖感と言うもの一切含まれていない。
ただ、快感の渦に飲み込まれて、自身を失うだけ。
「おああああああ!!!!!」
「58回目のオルガスムを観測」
報告を続ける二人の研究員をみて、彼女達にも同じことをしてやらないとと、カノンは思った。
洗脳した女性構成員に、ご褒美として連続絶頂プログラムを施すことはよくあることだ。 
ベガの寵愛を受ける親衛隊にも、稀にだが、施すことがある。
最も、親衛隊にとっては、ベガへの奉仕が最高のご褒美であるようだが。  
また、ユーリは吠え声をあげ、身を震わせた。まさに性欲に焦がされた獣だ。イスという檻が無ければ、どうなっていることか。
「もっときて!もっと!!!あ、あああ、あああっ!!!ひぃいいいいいい!!!!」
163回目の絶頂で失神するまで、ユーリは何度もエクスタシーの波に揉まれ続けた。

▽最終測定結果報告
  全体進捗状況:100%
  オルガスムス耐久性テスト
  ・オルガスムス最高持続時間:3分2秒
  ・回数:163回
  ・全体経過時間:1時間12分
  特記事項:ベガ様を満足させるに足る耐久性を保持している。親衛隊の中ではアプリーレ、エネーロに次ぐ三番目の耐久力である。
683ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:22:46 ID:BcxIYADM
全ての教育が終わり、ユーリは再びカプセル内で栄養液に浸り、休養していた。
「1号室の『ユーニ』も立派な成長を遂げたものね」
別室で、「ジュリア」と同時進行で洗脳を施していた「エレン」の報告書の束を繰りながらカノンは言った。
「まあ、そういうことだよ。俺もいいのに巡り合えたねぇ」
1号室でエレンを担当した男性研究者、ハージスは笑みを浮かべながら言った。
「手を付けることが出来ないのは残念だけど」
常日頃、飄々としたこの男でも、命は惜しいらしい。
「あんまりそんなことを言っていると、総帥に目を付けられるわよ?」
「いやあ、でも本当に上玉だったな〜。顔も可愛いし、おっぱいは控えめで俺好み。生殺しもいいところだぜ」
同僚の釘をかわして、ハージスは下劣な言葉を吐く。黙っていれば美男子と言えないことも無いのに、これではただの下劣漢だ。
カノンは、へらへらしているハージスの頭にげんこつを食らわしてから、ユーリの報告書をくれてやった。
「はぁ……もう。冗談はいいから、ちゃんと読みなさいよ」
「お前もな。……ああでも手こずったな〜、報告書が増える増える」
頭をかくハージスを見やり、カノンは再びユーニの報告書に目を落した。  
 
 ▽捕獲対象データ
  名称…エレン=アーベライン
  性別…♀
  年齢…16
  出身地…ドイツ
  身長体重…162p 46s
  捕獲理由…親衛隊増員の為
  処理方針…肉体強化、精神変革
  
  備考
  一般教育機関ではトップクラスの、天才的データ集積能力を持ち合わせている。
  この能力を利用した特殊技能教育を施すことを視野に入れたい。
684ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:23:16 ID:BcxIYADM
▽第一回測定結果報告
  オルガスムス記録回数…28回
  最高興奮値…172
  最高性感度数…135
  肉体組成値…122 
  特筆事項…筋組織に特に優れた点は見当たらないものの、全体的にバランスが取れている。
  本能レベル…52
  代謝レベル…98
  
  備考
  本能レベルが極端に低いが、これは彼女の持つデータ集積能力と関係があるものと考えられる。
  素体にあった、特別な洗脳プログラムの構築を急ぐ。

 ○適性診断結果(F〜S)
  適性職種
  研究員…S
  戦闘員…C++
  工作員…A
  
  備考
  本来なら研究員向きであると思われるが、指令により親衛隊として教育する。
685ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:24:17 ID:BcxIYADM
 ▽第二回測定結果報告
  全体進捗状況…6%
  筋組織増強可能容量残…97%
  精神支配率…4%   
  最終抵抗数値…165
  サイコパワー伝導率
  ・最小値…20%
  ・最高値…27%
  重点プログラム内容…破壊衝動に訴えかける、攻撃性の強化。

  特記事項
  素体は暗示に対して異常に高い抵抗力を保有している。
  これは本人の意識によるものではなく、無意識下のものであると考えられる。
  サイコパワー伝導率にも影響しているため、一旦サイコパワーの供給をストップする。
  ついては、サイコパワー供給の前に、素体にB‐GV2等の薬物投与し、
  サイコパワーを受け入れる土壌の構築を行うこととする。

 ▽第三回測定結果報告
  全体進捗状況…6%
  筋組織増強可能容量残…90%
  精神支配率…4%
  第二回測定結果報告記載の通り、素体は高い暗示抵抗を持っている為、処理方針を薬剤投与に絞ることとした。
  今回与えたのは以下の通り。
 ○投与薬剤
  ・B‐GV2…記憶の抹消
  ・マインドA…思考の除去
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
  
  特記事項
  マインドAは、投与過多になると完全な人形状態と化してしまうので、特に注意する。
686ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:25:39 ID:BcxIYADM

 ▽第四回測定結果報告
  全体進捗状況…10%
 ○投与薬剤
  ・B‐GV2…記憶の抹消
  ・マインドA…思考の除去
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
  
  特記事項
  投与したB‐GV2の影響で、徐々に記憶の忘却が始まった。
  素体に質問を行った結果、自身の故郷、家族情報の忘却を確認。
  だが、まだ自身を定義する記憶の忘却までは至っていない。
  なお本日、素体が我々に対して抱いていた恐怖心が完全に失われた。
  我々に対し、コミュニケーションを試みようとしてくるほどだ。αぺクドル誘導体が効いている。
 
 ▽第六回測定結果報告
  全体進捗状況…34%
  筋組織増強可能容量残…74%
  精神支配率…43%   
  最終抵抗数値…82
  サイコパワー伝導率
  ・最小値…45%
  ・最高値…67%
 ○投与薬剤
  ・マインドA…思考の除去
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
 
  特記事項
  第5回測定により、記憶の完全消去が認められたため、B‐GV2の投与を終了する。
  なお、今回よりサイコパワーの供給を開始した。心理抵抗を抑えたことによるためか、2回目にして高い伝導率を
  記録。筋組織の著しい増強も行われた。
  また、方針の最終確認の為、暗示プログラムを起動させるも、素体には不適と再認識する結果となった。
  現在の方針通り、薬物投与による洗脳教育を施していくものとする。

  なお、次回から総帥・シャドルーへの忠誠心刷り込み、および『ユーニ』の定義付けを開始する方針。
  暗示による精神操作ではなく、素体の脳に直接電気信号を送信し、条件付けを行う方式による。
  心理抵抗を無視して、素体の思考を変更することが出来る手法であるが、この方式は本来、
  訓練プログラムにおいて実施されるものであり、忠誠心刷り込みに使用するのは初めてのことである。
  素体の人間性が著しく損なわれ、機械的・無機的になる恐れがあるため、総帥の許可を頂く必要有。

 ○追記
  総帥の許可を頂いた為、次回より電気信号送信方式による忠誠心刷り込みプログラムを開始する。
687ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:26:18 ID:BcxIYADM

 ▽第七回測定結果報告
  全体進捗状況…64%
  筋組織増強可能容量残…23%
  精神支配率…100%   
  最終抵抗数値…34
  サイコパワー伝導率
 ・最小値…76%
 ・最高値…91%
 ○投与薬剤
  ・αぺクドル誘導体…心理的抵抗力の除去
  ・ブレインシュガー…多幸感の生成 
 
  特記事項
  パワー供給率を早くも最高レベルに移行。あまりに速い進行速度に驚きを禁じ得ない。第一回測定時と比べると別物である。
  前回報告の通り、今回から総帥・シャドルーへの忠誠心刷り込みおよび『ユーニ』の定義付け、性感強化を施す。
  結果、条件付けを全て完了。
  危惧していた人間性の欠如も、最小に留めることが出来たが、やはり実施前と比べると大きな相違がみられる。
  表情は無機的な物になり、声も完全に無感動なものに変化した。しかし、忠誠心はしっかりと存在するようで、総統の名を
  何度も口にするようになった。
  研究員とは違い、親衛隊は総統とのコミュニケーションが取れなければならないのだから、人間性の消失は致命である。
  感情パターンの把握を急ぐこととする。


  なお、性感度上昇具合は以下の通り
  性感度(調整前)
  ・口腔:32
  ・耳:32
  ・首:22
  ・胸部:34
  ・腹部:41
  ・腕:22
  ・性器諸器官:65
  ・脚足:12
   
  性感度(調整後)
  ・口腔:54
  ・耳:47
  ・首:30
  ・胸部:74
  ・腹部:75
  ・腕:41
  ・性器諸器官:102
  ・脚足:32

  特記事項
  性器諸器官の反応がすこぶる高い。また、耳は息を吹きかけられると激しく感じる程の性感を獲得。

 ○追記
  一見すると感情が無いように思えた素体だが、ベガの名を口にする時に脳に愛情反応があることを確認。
  また、我々の質問に対しても的確に応えるとともに、ある種の言葉には脳が感情反応を示した。
  よって、素体の感情自体は消えておらず、単に感情の発露・表現に乏しいだけと発覚した。
  
  これより、素体を隊員名である「ユーニ」と記載する。
688ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:27:12 ID:BcxIYADM
 ▽第九回測定結果報告
  全体進捗状況:76%。
  技能習得率:12%
  現プログラム内容:基礎技能プログラム・戦闘プログラム、要人暗殺プログラム、拉致プログラム
  
  特記事項
  基礎技能習得V、戦略構築プログラムでの技能習得率が異常に高い。
  平均数値99%。ほぼ100%を記録する洗練された戦略構築。
  彼女が持つデータ集積能力が遺憾なく発揮された模様。
  この結果を受け、特殊技能習得プログラムの採用を決定する。

 ▽第十一回測定結果報告
  全体進捗状況:81%。
  技能習得率:12%
  現プログラム内容:特殊技能開発プログラム『ユーニ』
 
  特記事項
  特殊技能開発プログラムによりユーニが、データ集積能力を特化させた「高速演算」を習得した。
  シャドルー開発のCPU「アイビス」並みの情報処理能力を保有するに至る。


  参考…特殊技能開発プログラム採用ケース一覧(親衛隊)
 ○特殊技能開発プログラム採用ケース一覧(親衛隊)
  @親衛隊bQ ファブリエ
   軍事兵器全般の取り扱い、修理、改造技術の習得。

  A親衛隊bS アプリーレ
   医療全般の技術の習得。
  
  注意
  特殊技能開発プログラムは、対象者の保持する能力を限界まで引き出し、対象者自身の脳に特殊技能を開発させるプログラムである。
  過剰な負荷を強いるプログラムの為、採用には細心の注意を払うこと。
689ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:28:07 ID:BcxIYADM
▽最終測定結果報告
  全体進捗状況:100%
  オルガスムス耐久性テスト
  ・オルガスムス最高持続時間:2分15秒
  ・回数:123回
  ・全体経過時間:45分
  特記事項:耐久性は残念ながら現親衛隊の中で最下位である。
  だが、前回の報告通り、性技プログラムでは総帥を十二分に満足させる好成績を出しているため、問題無しとする。

全てに目を通したカノンは、ハージスの疲れ顔に納得した。これはさぞや難敵だっただろう。
ユーリとユーニ。二人をタッグにしてベガに奉仕させる方針であると、カノンは聞いていた。
『ユーリ』は戦闘型、『ユーニ』は報告書を見る限り、戦略型と言えるだろう。
いいチームになりそうだと、カノンはハージスに見せないよう、静かに微笑んだ
690ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:28:43 ID:BcxIYADM
▽洗脳結果報告
 @親衛隊bU ユーニ
  素体データ
  ・素体名称…エレン=アーベライン
  ・性別…♀
  ・年齢…16
  ・出身地…ドイツ
  ・身長体重…162p 46s
  適性職種
  ・研究員…S
  ・戦闘員…C
  ・工作員…A
   総合点:81点
  性感度
  ・口腔:54
  ・耳:47
  ・首:30
  ・胸部:74
  ・腹部:75
  ・腕:41
  ・性器諸器官:102
  ・脚足:32
  技能等
  ・高速演算
   事象を取り巻くデータを分析することで、効率的な戦略を組み立てることが可能。



 A親衛隊bV ユーリ
  素体データ
  ・名称:ジュリア=カーソン
  ・性別:♀
  ・年齢:19
  ・出身地:メキシコ
  ・身長体重:164p 49s
  適性職種
  ・研究員…C
  ・戦闘員…A++
  ・工作員…B
   総合点:80点
  性感度
  ・口腔:67
  ・耳:34
  ・首:41
  ・胸部:82
  ・腹部:53
  ・腕:32
  ・性器諸器官:97
  ・脚足:67
  技能等
  ・破壊力
   戦闘技術、肉体に秘める破壊力は親衛隊一を記録する。
691ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:29:31 ID:BcxIYADM
謁見の間。
全てを威圧する厳かな空間の中には、ベガ総帥の肖像画と、それを背景に設けられた王座があった。
その王座に、ベガが不敵な笑みを浮かべ、深く腰掛けていた。
その周りを囲むようにして、親衛隊の少女達5名が立っている。
彼らは一様に前方の二人の少女を見ていた。
彼らの前で、二人の少女が並んで敬礼していた。

一人はユーニ。
親衛隊ナンバー6。
エレンという名であった少女は、第一号洗脳教育室で、薬物投与主体の洗脳を受け、新たに親衛隊として加わった。
幼い顔立ちと未成熟な胸は、可愛らしさを感じさせる。
卓越した計算能力、情報収集能力を生かした緻密な戦略分析は、戦闘のみならず、多方面で活躍するオールラウンドな能力だ。

もう一人はユーリ。
親衛隊ナンバー7。
元の名をジュリア。第二号洗脳教育室にて、精神操作主体の洗脳を受け、親衛隊として生まれ変わった。
男の劣情を掻き立てるグラマラスな肉体には、親衛隊一の破壊力が眠っている。彼女の打撃の前には、いかな防御も無駄な抵抗と化すだろう。

二人とも、親衛隊のコスチュームに身を包んでいる。
裸かと見まがう程に線を強調しきった紺のバトルスーツ。
スーツの背中の部分は、白い肌を見せつけるかのように切り抜かれていた。
腕には、赤いナックルパーツ、足には濃紺のブーツが装着されている。
頭には小さな帽子が控え目にかぶさり、首元にしっかりと結んだ黄色のネクタイは、紺を背にして鮮やかに自己を主張していた。     
ベガは、二人の新たな親衛隊の姿を眺め、邪な笑みを浮かべた。
「ふふふ。いいぞ、そのコスチュームに身を包んでこそ我が親衛隊にふさわしいというものだ。……では早速、仲間入りの宣誓をしてもらおうか」
その言葉を受けて、新たな親衛隊二人は、素早く敬礼を解き、右手を胸元に添えた。
「親衛隊ナンバー6、ユーニです。ベガ様にわたしの全てを捧げます」
オレンジ色のさっぱりしたショートカットヘアーの、幼い顔立ちの少女ユーニは、無表情な、人形の様な顔をベガにむけて宣誓した。
「親衛隊ナンバー7、ユーリ。素晴らしき力を頂き、ありがとうございます。これからはあなた様の為に命を尽くす所存でございます」
ユーリのきりっと引き締まった表情は、教育で見せた淫靡さは少しもうかがえない。
二人とも、自らが唱えた忠誠の言葉に、ぞくぞくとした感動を覚えた。
(私はベガ様の為に一生を尽くすことができる、選ばれた存在)
その考えが、洗脳教育で与えられた思念であると、彼女達は気がつかない。
「よかろう。では、入隊式を執り行う。メルツ、ファブリエ」
ベガに呼ばれた少女、メルツとファブリエがユーリとユーニの方へと歩み寄る。四人は二人ずつ、向かい合わせの形で立ち、姿勢をただした。
ユーリの前に立つのは、ジュリアと呼ばれていたころの彼女を拉致した少女の一人、メルツだった。
「歓迎のキスを……」
メルツが、ミルクのように甘い声で囁いた。
彼女の桃色の唇がやさしく、ユーリの唇に覆いかぶさる。
「ん……」
どちらが漏らしたのか分からない、かすかな響き。
やわらかい唇と唇が、互いをついばむように動作する。
それだけの行為なのに、頭の中は気持ち良さで真っ白になる。
軽く、ほんの僅かな短いキス。
「親衛隊にようこそ……」
唇を離して、メルツが歓迎の言葉をユーリに送る。
キスの時間は10秒と短かったのに、二人はドキドキと心臓を高鳴らせていた。
とろんとまぶたを緩ませ、頬を真っ赤に染めている様は初恋をした少女の様だ。
メルツに至っては、我慢が出来ないと駄々をこねるように、膝をもじつかせてさえいた。
「これでお前たち二人も私のものだ」
ベガが言うと、ユーリとユーニは再び敬礼のポーズをとった。
「これから、お前たちは我が野望の為に尽くすのだな」
ベガの言葉に、二人は揃って答えた。
「はい。全ては、ベガ様の為に」
シャドルーに新たな隷属者が誕生した。 
692ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:31:00 ID:BcxIYADM
宣誓式の日の夜。
「ああっ!!!もっと、もっとおおお!!!」
淫らな響きが室内に拡がる。
白く、無機質な部屋の中央。キングサイズのベッドの上で、二人の少女が睦あっていた。
ユーリとユーニは、二人でタッグを組み、ベガに尽くすように指令を受けたのだ。
そのために、彼女達は互いのことを知るためのスキンシップを図っていた。
スキンシップと言っても、それは淫らで、背徳の色が漂う物であるが。
「性感度、あっ、上昇……ふああああっ!!……引き続き、性器諸器官への刺激を続け……んんっ、はああ……」
少女の一人ユーニが、新しいパートナーの性器に口を付け、丹念に刺激を咥えていた。
刺激を加える度に、彼女はパートナーの「データ」を分析し、読み上げるように口にしていた。
機械的な内容の中に差し挟まれる、蕩けるような淫靡な声が、彼女を一機の機械では無く、一人の少女なのだと決定づけている。
「んっ、んっ!!ユーニ、すごくいい!!ああああ……あっ!ああああああ!!!」
絶叫をあげるのは親衛隊ナンバー7、ユーリ。
ガクガクと体を震わせながら、下半身の女から滝のような愛液を流している。
全身を快楽にゆだねながらも、その舌はユーニの愛液を味わうのを止めなかった。
少女同士のシックスナイン。
二人の口からは、互いの愛液をすすり合う淫らな水音が絶え間なく続いている。
優しく、時に荒々しく、二人は互いを確かめ合うように性器を慰め合った。
パートナーの全てを知るため、一分一秒を無駄にしまいと、少女達は休まることのない痴戯を繰り広げる。
「あ……かいら……くはんのう……いく、あ……いく!!!あ、あはああああ!!!」
続いてユーニが咆哮をあげた。
ユーニが絶頂する間も、ユーリは顔が濡れるのも構わず、パートナーがより高みに上り詰めるようにと、ひたすら愛を与え続ける。
軽いキスから始まった愛の儀式は3時間を経過していた。
「まだ、まだよ、ユーニ。私はまだあなたを……」
頬を赤く染め、荒い息を吐きながらユーリは言う。
「あなたの……あっ……データが完全に揃うまで、付き合って頂きます……」
消え入りそうな声でユーニは応えた。
彼女達が、新たな親衛隊候補を攫う任務を受けるのは、これより3日後のことである。

 〈完〉
693ユーリ・プロジェクトB:2010/03/28(日) 15:32:29 ID:BcxIYADM
これでこのSSは終わりです。単発物SSの割に長かったかもしれませぬ。
読んで頂いた方々、大変お疲れさまでした!!
また何か浮かべば投下させていただくかもしれません。その時はよろしくです。
694名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 15:38:04 ID:O/Kq/716
いや、マジでおつかれさん
頑張りすぎだろw
695名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 17:51:20 ID:88VtuQd5
GJ!
なんか胸いっぱいだが一言だけ言わせてくれ。

ベガうらやましすぎるぞコンチクショウ!
696名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 19:16:28 ID:UePvgKxk
お疲れ様でした。
シャドルー洗脳モノが大好きなので、満足だったよ!
サクラとかカリンとか他のキャラクターでも書いてくれると嬉しい。
697名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 20:09:05 ID:P5izuwHH
>>693
GJ!!
個人的に機械洗脳大好きだからツボど真ん中ストライクの逸品
キャラ的にはユーニの方が好きなのでそっちの洗脳過程も出来れば詳しく見たかったけどそこは脳内補完でw

ともあれお疲れ様でした
次があるならまた見てみたいです
698名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 20:23:56 ID:wIyJYdt5
悪堕ちって本当にいいですね
699名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 21:27:08 ID:/vAauZdB
1人堕とすだけでもこんなにじっくりねっとり描写できることに感動した。
GJでした。
700名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 21:45:33 ID:0rO6TmJb
すごいです。
とてもまねできません。
恐れ入りました。
楽しませていただきましたです。
701名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 22:37:53 ID:3x4Va5cG
GJ!
ベガは幸せ者w
702名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 00:57:51 ID:ruXrZG0z
GJJJ!!
これは・・・(・∀・)イイ!!
703名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 11:20:48 ID:Hpc3cuQP
これはエロい
GJ
704名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 11:23:58 ID:EtU5lCmt
やだ……
ここまで賛美レスしかないなんて……
逆に怖くなってきたわ。。。。
705名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 12:52:39 ID:Q8IY7Iqh
みんな正直だよね。
良作がくると雑談がふっ飛ぶわ。
706名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 13:27:02 ID:AvlwHQj2
ベガさまが両刀ならば俺にも快楽堕ちが
707名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 14:30:03 ID:Q/q+sAxd
積んでいたエスカレイヤーで悪堕ちあると聞いたんだが
どの√か教えて下さい
708名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 15:29:29 ID:0jjmJPbr
鬼畜のTRUEかな
確かセーブデータ当ててフル化した後回想から流れが見れたはず
709名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 15:43:02 ID:TcRfkEmr
めだかボックスが記憶消去+別人格注入の洗脳展開らしい
でも打ち切りで即洗脳解けそう
710名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 15:57:00 ID:0jjmJPbr
記憶消去は先週のラストだったな
今週読んでないけどまぁそういう予想はしてた
ただ打ち切りまではもう少しかかりそうかもしれない

まぁ打ち切りなんて予想できないものだけど
711名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 16:48:03 ID:+Kw6aY4I
>>707
鬼畜ルートだな
中盤で過激なセックスに進むかどうか相談されるからそこでおkする
鬼畜度によって2通りのエンディングに別れる
他に敵の作ったクローンが登場する定期イベントもあり
712名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 16:59:22 ID:+Kw6aY4I
ついでにいうとアリス2010でも悪堕ち版が出てくる
ハルカもやってないと楽しめないかもしれないが
713名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 18:46:43 ID:E9xwiHBB
>>709
だれがやられているのかkwsk
714名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 18:51:35 ID:HHrOXB4g
めだか本人だな
715予定調和:2010/03/29(月) 22:08:24 ID:weCi6VyO
前回投下したSSに目を通してくださった方々、ありがとうございます。

予告したとおり属性は強姦・レズ・触手・逆強姦。属性耐性必須。

前回の粗筋
スーパーヒーローフルボッコタイム真っ最中。

それでは続きをどうぞ。
716予定調和:2010/03/29(月) 22:13:45 ID:weCi6VyO
月夜女姫と蘭がたまたま所用で私刑に関わらない日に、春香は秋生と冬子の2人に今日しかできないことをやろうと提案した。
その提案とは前に秋生が言い出して月夜女姫にこっ酷く叱られた「陵辱」だ。
「でも、このようなことをして本当に大丈夫なのですか?」
秋生は自分の望んだことができるという期待よりも、月夜女姫にこっそり逆らうという後ろめたさのほうが大きい。
「平気だってば、先輩はあたしに関しては甘いからね。正直に言えば多分許してくれるよ」
春香が晴川の首輪に繋がれた鎖をいつも以上に乱暴に引っ張りながら言う。
この3人で私刑をするのは滅多にない機会で、普段秋生と冬子は助手のようなことしかやらせてもらえていない。
一切の光がない、暗闇の私刑執行室に着く。まずは秋生の逆回復魔法により衰弱させ、無駄に抵抗させないようにする。
そして身に着けているものを剥ぎ、凍てつくような外気に全身の地肌を晒させる。
晴川は筋骨隆々とした逞しい肉体を、夏菜は若くて健康的な魅力に溢れる肉体を黒の一族の3人に視姦される。
「服を脱ぐとますますムキムキに見えますね、晴川さん。その体にふさわしい逸物もお持ちのようで」
「夏菜って華奢って言ったら聞こえはいいけど、肉付きは悪いわね。特に胸とかさ」
「年下のあたしより小さいんじゃないの?ここに来てから毎日美味しいもの食べさせてあげてんのに貧相な体だねえ」
「私と比べたら皆どんぐりの背比べですよ」
人間だったときのスタイルのよさなら秋生が最もよかったが、体型が自由に変えられる黒の一族にとっては秋生の自慢は何の意味も持たなかった。
「胸に脂肪の塊なんてものがあっても邪魔なだけでしょ」
夏菜が見えない3人に向かってぶっきらぼうに呟く。
確かに戦闘で殆ど動く必要のない秋生ならともかく、激しく動き回る夏菜にとっては邪魔にしかならない。
男の気を引く必要が感じられない夏菜にとっては不要の代物だった。
「これはまた、わかりやすい負け惜しみですね」
秋生が夏菜の申し訳程度に膨らんだ胸を両手で揉みしだくが、夏菜は言葉を発せずにじっと耐え忍ぶ。
「それじゃあ早速、夏菜ちゃんには犯されてもらいまーす!」
春香の宣言を聞いて、夏菜は内面の動揺を悟られないよう必死に冷静を装った。
いつかこうなると予測はしていたことだ、心の準備はとっくにできている。
「どうせ俺が操られるのだろうが……青野、できるだけ痛くしないように努力はする。こういうときは経験者がリードするものだからな」
「私、晴川さんならいいよ……」
年の離れたカップルが初めてまぐわうかのような甘い雰囲気が漂うが、春香がそれを地獄に塗り変えた。
「あれ、何を勘違いしてロマンチックなムードになっちゃってんのかな?そんな甘っちょろいことするわけないじゃん。あんたたち、入ってきて」
どやどやと男の集団が入ってきて、部屋の中の男女比が逆転する。
暗闇で何も見えない晴川と夏菜には何人入ってきたかがわからないことが不安を掻き立てる。
「そんなねえ、長い間やってきて上司と部下を超えた関係になってもおかしくないような男に処女を捧げられるとか、
 都合のいい話があるわけないでしょう?夏菜は顔も見たことのない見ず知らずの男にやられて散らすのがお似合いよ。
 あなたたち、本来突っ込むべき穴だけじゃなくて口もお尻も同時に使って徹底的に犯し尽しなさい!そおら!」
夏菜は男の塊の中に投げ込まれ、冬子の指示で盛った男の集団が一気に夏菜に殺到する。
男たちは手探りでしか夏菜の位置を把握できていないが、
逃げまわる体力が最初から奪われている夏菜は柔らかい皮膚を男たちの手によって揉みくちゃにされる。
唇も胸も秘穴もごつごつした手で容赦なく触られる。
「やだあ……やだやだやだあああああああ!」
夏菜の顔はテレビで流れたこともあり、知っている人も多い。
よほど性欲がない男でなければ、夏菜ほどの女性が裸に剥かれていて「犯せ」と言われたら本能に逆らえない。
誰も彼もが我先にと夏菜の陰門にその逸物を突っ込もうとするため、雌をめぐって争う獣そのものだった。
「ひぎっ、ぎゃあああああああ!……たい、痛いって!メリメリいってる!!」
「ウオオオオオオ!!」
夏菜の処女膜を破った男は雄叫びをあげて、さらにピストン運動を始める。激しい動きに服を脱がされて冷えていた体が熱くなってくる。
「流石処女マンコは一味違うぜ!この締め付け、たまんねえ!最高だ!」
717予定調和:2010/03/29(月) 22:17:36 ID:weCi6VyO
そして今度は夏菜の尻が狙われる。座薬すら入れたことのなく、今まで何者の侵入も許してこなかった砦が突破される。
「おおかってえ、尻の穴はきっついわあ……」
「嘘、そんなのそこに入るわけないでしょ!?無理無理!痛い痛い痛い痛い痛い痛むぐう!んんー!?」
「おらおら、上の口も休んでんじゃねえぞ」
髪を鷲掴みにされ、口を抉じ開けられて逸物を咥えさせられる。吐き出そうとしても体に力が入らないのでどうしようもない。
「はーい、先着3名決定♪この後は順番だから、私が肩を叩いた人から空いてる穴を使ってやってね。
 あと今やってる3人はイッたら交代してもらうから、ごゆっくり〜」
3人から同時に責められ、口は塞がって声も出せない夏菜は強い恐怖を感じ体が動かせなくなる。
口を塞いでいる逸物を噛み切る力すら出せない。このままでは肉体的にも精神的にも壊される。
群がってきた男は何人いるか見当もつかない。終わりが見えない恐怖に体が、心が、耐えられない。
「途中から快楽に変わって楽になるとでも思ったかしら?ああ、でも夏菜ってそういうの見ないからわからないかもね」
強姦は犯している男が一方的に快楽を貪れるだけで、犯されている側は男が飽きるまで半永久的に、一方的に苦痛を味わうだけ。
この場合は男が力尽きても次から次へと新しい男が補充されるので耐えなければならない時間も引き延ばされている。
「はっ……はっ……で、出る、おおおおおぉぉぉっ!!」
「むうんんー、んんーー!!」
頬を伝う涙とは別の体液が陰門から漏れ出す。男の放った白濁液に混じって血と蜜が太腿から床にぽたぽたと垂れる。
そのタイミングを見計らって、冬子が男の背後から首筋にがぶりと噛み付いた。
「……ぷはぁ!美味しい……イッた直後の人間の精力の味を知ってるのはたぶん私だけね。教えたら皆やりたがるから内緒にしててよかったわ」
夏菜の処女を散らした幸運な男は絶頂を迎えて頭が真っ白になった最高の気分のまま、冬子に首から精力を吸われ尽くされ果てていた。
「よかったわね、人生で最も幸せなまま逝けるなんてさ」
冬子が男に囁いた言葉は誰の耳にも届かずに周りの狂声にかき消される。
冬子が男を片付けても、その男が亡くなっていることに気付く者は1人もいなかった。
その後、初めて口が開放されて再び喋ることができるようになった夏菜はここぞとばかりに暴言を吐いた。
「げほっ、おえっ、あんな不味いもの飲ませるなんてどういうつもり!?」
夏菜はどこにいるかもわからない冬子に向かって喚き散らす。
「初体験が目隠し4Pなんてすごく貴重なんだから、楽しまないと損よ?」
「あれを楽しめ?ただ単に気持ち悪くて痛いだけじゃない!今下に突っ込んでる2人も早く終わってよ!痛いんだってば!」
「今こんなに嫌がってる夏菜だって、私の手にかかればへろ〜んってなっちゃうんだから……」
「今、何か言った?」
「いいえ。さあ、あなたが6人目よ!」
冬子は側に待機していた男の手を引いて夏菜の頭を掴ませた。

最後の男の逸物が抜かれた後、はっきりしない意識で夏菜は陵辱が終わったことを感じた。
「お、終わったの……?」
長く辛い犯され方だったがもう男が群がってくる気配はない。
「まさか。これからが面白いのに」
夏菜は仰向けに寝転がったまま、ぼんやりしていると冬子の声が聞こえてくる。
しばらくそのままでいると、両耳に柔らかく湿った細長い触手のようなものが侵入してきて不快感がぐんと高まる。
「何これ、気持ちわる!?」
「ああ、これ最初は気持ち悪いと思うけどすぐに気持ちよくなるから我慢して……って鼓膜破ってるからもう聞こえないか」
歯をカタカタ鳴らして震えている夏菜の耳の中を、触手は遠慮なく侵していく。
鼓膜を突き破って侵入した触手は耳管を通って鼻腔の嗅細胞まで達し、
そこで形状を変化させてそれぞれ脳神経である内耳神経と嗅神経に癒着し、結合した。
「今から夏菜に自分がどういう状態になってるか見せてあげるから、もう少し待つのよ」
生きながらにして頭の中を他人にかき回される気分を味わうのは何回目だろうか。
それは今まではいずれも魔眼によるものだったが、今回は視覚、聴覚、嗅覚を封じられたままという過去に例のないやり方だった。
その封じられたはずの夏菜の目にある人物が映し出される。
その人物は床に仰向けになり両耳から赤い触手をゆらゆらと生やしながら、目を見開いて驚いているように見える。
「これ……私?」
718予定調和:2010/03/29(月) 22:20:28 ID:weCi6VyO
夏菜は目に見えている自分が口を動かし喋っているのがわかる。まるで鏡に映った姿を見ているようだ。
しかし、瞬きはしているのに視点が自分の意思で動かせない。声は録音した自分の声を聞いたような違和感がある。
「どうやら見えたみたいね。面白いでしょ、これ」
触手に鼓膜が破られているはずなのに夏菜は冬子の声を聞き取ることができた。
その声もまた少し前まで喋っていた冬子の声と違って聞こえる。
「ど、どうなってるの……?」
そもそも、暗闇のはずなのにどうして自分の姿を見ることができるのか、違和感だらけだった。
最初は鏡像に見えた自分の姿も、右手を動かそうとすると目に映っている自分も右手を動かすから余計に頭が混乱する。
「感覚の共有、と言えば理解しやすいかしら。夏菜が今見ているもの、聞こえているものは全部私と同じものよ。
 もちろんダブったりしないようにフィルターをかけることもできるんだけど、夏菜は見えてたほうがいいでしょう?
 拒否しても見させるけど」
否応無しに見せられる今の自分の精液塗れの惨めな姿に夏菜は顔を背けようとするが、目に映る自分の顔が動いただけである。
「まあ、これも肉体変化の応用なんだけどね。私くらいコントロールできるのは他にいないと思うわ。
 夏菜の耳に差し込まれてる触手、どこから生えてるか見てみる?」
大きな翼の後ろにあって確認し辛いが、夏菜は冬子の視点でそれがまるで尻尾のような位置にあるのを見た。
それが2本ともそれぞれ左右の耳に繋がっている。夏菜に見せている側から、耳に差し込まれた2本より一回り太い3本目の触手が生やされた。
そうすると何も変化がない夏菜にも尾骨のあたりから痺れるような快感が背中を走り抜ける。
「っ!?うへえ、気持ち悪いってば」
「嘘つき。ほんとは生えたとき気持ちよかったくせに。じゃあこれを……」
寝転んだままの夏菜の目の前に触手の先端を突きつけて、冬子が言い放つ。
「奉仕してもらいましょうか」
「ほう……し?」
冬子に言われた言葉の意味が理解できないのか、夏菜はキョトンとした顔をしている。
「いや、奉仕しろって言われても、具体的に何すればいいのかわかんないんだけど」
冬子はそれを聞いて夏菜の無知さ加減に思いっきり呆れた表情を見せた。
「夏菜、もうこの前20歳になったのにその無知っぷりは不味いわよ……いいわ、私が教えてあげるから」
触手の先端をさらに夏菜の顔に近づける。またもや夏菜は顔を背けようとするが、今度はぴくりと顔の筋肉が動いただけだった。
「逃げようとしてもダメよ。感覚は共有してるけど、夏菜の体の支配権は全部私が握ってるんだからね」
「あっ……あ……」
口も動かせなくなったので、夏菜は不明瞭な声しか出せなくなる。
「奉仕する悦びと奉仕される悦びが同時に味わえるわ。普通の人間には絶対に味わえない感覚よ、しっかり堪能していきなさい」
冬子は夏菜の両手を操り自分の触手を大切そうに包ませ、そのまま夏菜の唇と舌で舐めしゃぶらせる。
「んっ、んっ、じゅる……」
「気持ち悪さ」に対しては心の準備ができていた夏菜だったが、
それとは全く異なる「快楽」に意識の逆を突かれて頭の神経がショートしてしまった。一瞬意識が飛び、再び強烈な快楽によって呼び戻される。
死んだ魚のようだった目の色が変わり、色めき立って快楽に飢えたの雌の目に成り下がっていく。
「そう、先っぽの口の部分は舌の先で軽くつつくように……咥え込んだら咽喉の奥でよく味わって……」
自分でやるだけより、何倍も気持ちがいい。一旦きっかけを作ってしまえば夏菜もこのシンクロする悦楽に逆らえない。
後は冬子が何もしなくても夏菜は一心不乱に触手の先端に舌を這わせ続ける。
「うぅん、んんっ、そうそう、いい調子よ」
人外の肉欲の世界に絡めとられたら、2度と抜けることは出来ない。
ヌチャヌチャと卑猥な音が聞こえること、よがり狂いながら、触手にうっとりしている自分が客観的に見えること、口内の柔らかい感触。
奉仕しているのに同時に奉仕されているという矛盾しながらも噛み合う感覚にたちまち虜になる。
「ちょっと、ストップ、ストップ!夏菜ったらいつまでやれば気が済むのよ」
「だってえ……気持ちいいんだもん……」
これがついさっきまで奉仕の意味も知らなかった夏菜と同一人物の姿なのだろうか。
あれほど嫌がっていた触手が今では欲しくてたまらない、見えていないはずの瞳に欲情の色がありありと浮かんでいる。
「もっと、それ、欲しいのお……」
「そういうときはね、自分の手でアソコを押し広げてここに入れて欲しいっておねだりするのよ」
「……こう?」
719予定調和:2010/03/29(月) 22:24:21 ID:weCi6VyO
夏菜に顎を引いて上目遣いで尋ねられると、冬子のほうが誘惑されているのではないかという気にさせられる。
夏菜の押し広げられた陰門からはまだ血と精液が混じった液体が零れていた。
おねだりさせる予定であった冬子だが、夏菜のくりくりとした可愛い瞳の破壊力に思わず引き込まれる。
感覚を共有しているということは、冬子がごくりと生唾を飲み込んだことも当然夏菜に伝わる。
「い、いいわ。そのまま、夏菜の貧相な語彙で私を誘ってみなさい」
夏菜はいつもの芯が通った声ではなく、甘ったるい猫撫で声で冬子の挑発に答えた。
「冬子お、強がってるのが私にもまるわかりだよお?ほんとはあ、冬子のほうが入れたくてたまらないくせにい」
これから味わう禁断の快楽への期待と自分が冬子を誘惑しているという事実に酔い、夏菜は恍惚とした表情で冬子に扇情的な視線を送る。
「……ちっ!そうよ、もう、我慢の限界よ!」
自分の思考を夏菜に見透かされた冬子が忌々しげに舌打ちをした。
広げられた陰門に触手をズブズブと沈め、一息に貫く。膣がぎゅっと収縮し、それをがっちりと受け止めた。
「ひっ!?あ、あっ、きたあああぁぁぁああああ!!」
夏菜と同時に、挿している冬子も抗いようのない愉悦に襲われ足腰に力が入らなくなる。
冬子はこれが初めてではないとはいえ、自分の秘穴にも同じ触手が刺さったのと等しい刺激を受け一瞬頭が真っ白になる。
「さっきの輪姦でいい感じに解されてるわね。いつまで意識を保っていられるかしら?」
この二重快楽のよさを知ってしまえば、もう普通のプレイに満足できなくなる。
冬子のほうは言わずもがな、夏菜も既に手遅れだ。単純に感度を2倍にされるよりも始末が悪い。
「しゅごいいい!突っ込んで、突っ込まれて、気持ちいいが、頭の中で、ぐりゅぐりゅ回ってるう!!混ざって、1つになってるう!!!」
冬子が自発的に潜り込ませようとしなくても、夏菜のほうからもりもりと触手をより深くまで咥えこんでいく。
「夏菜ったら、顔面壊れすぎよ!ははっ、目がイッちゃってるって!!自分が今どんな顔してるか、見えてるんでしょう?」
触手をニュルニュル動かすのはそのままで、冬子は自分の割れ目に手を伸ばす。
そこはこっちにも何か突っ込んでくれといわんばかりに蜜を垂れ流している。
「私のおまんこもぐちょぐちょになっちゃったじゃない……そっちに突っ込んだまま、オナニーしてあげる。
 これも普通の人間だと実現不可能な感覚よね」
アナルセックスならできなくもない。だが、秘部で他人と繋がったまま自慰をする感覚を得ることは普通の人間にできる範囲を超えている。
「気持ちよすぎて、らめ、頭、こわ、こわっ、壊れ、おかしくなる!」
ぐちゅりと音を立てて冬子が自分のヴァギナを弄る度に、自慰の快感が追加で快楽の渦に混ぜ込まれて自我を保てなくなる。
「はあ、はあ、そろそろ、ガツガツ突いちゃいましょうか!」
子宮口に穴を空ける勢いでグリグリと抉る。1回突くごとに子宮が揺さ振られ、その振動が精液で満たされた中身を撹拌する。
「そんなに突いたら、中に入っちゃうって!」
「最初からそのつもりだけど?」
触手を突然きゅっと細くし、ちょうどぱっくり口を開けた子宮口に滑り込む。
その中で触手をうねうねと動かすと、触れ合った肉壁から生じる甘い電流が2人を悦ばせる。
「ああっ、そこでぐちゅぐちゅやるの、あ、あ、反則うう!」
「普通の人間にはできないから反則技かもね。でもこういうことするときにルールなんてないわ。私が気持ちよければそれでいいのよ!」
この繋がった状態で冬子が気持ちいいということは、そのまま夏菜も気持ちいいことになる。
夏菜がぶしゃあと潮を噴き、冬子もそろそろその高みに達しようとしていた。
「うわ、中で、ずずって、吸わ、吸われてる!?」
夏菜から吸い取られた精液は冬子の体内でタールのような真っ黒い粘液に変換される。
その粘液は本来の生殖機能が失われる代わりに、どぎつい催淫効果をもたらすものとなる。
「これを膣の中に注がれたら、夏菜は淫欲の虜になって男を漁る淫婦になるのよ……」
しかしいくら男を漁り続けても、禁断の快楽を知ってしまった今では永遠に満足できない。
触手が脈動し、管の中を粘液が走りぬける。それだけで射精に似た感覚がどっと押し寄せて理性を壊していく。
冬子は夏菜が、夏菜は自分が浅ましい雌犬に身を堕とすことを想像して胸が高鳴る。
冬子が愉しそうに口の端を歪ませた。
「きひひ……たーっぷり注いで、夏菜の頭をぶっ壊して、エロエロなことしか考えられなくしてあげる!」
びくっと冬子が全身を震わせる。
720予定調和:2010/03/29(月) 22:28:18 ID:weCi6VyO
そしてカッと目を見開くと、びゅるびゅると下品な音をたてながら夏菜の体内で触手の先端が噴火した。
「いっ?!あああああぁぁぁああああついいいいい!!」
「くううううぅぅぅぅぁぁぁぁああああああ!!」
2人とも痙攣が治まらない。冬子は夏菜の上に跨った姿勢のまま、意識を飛ばしてしまった。
白目をむいているので、ギリギリで意識を保てている夏菜も視界が閉ざされる。
「はあ、はあ、気持ち、よかったでしょ?まだ終わらせないからね」
膣内に入り込むために細くした触手が再び太さを増していく。
夏菜の息遣いに連動して膣が収斂し、ぎゅっ、ぎゅっとリズムよく締め上げる。
粘液の催淫効果により、静まることのない絶頂の余韻に漂ったままでいられる。何度イっても、イきたりない。
「これ以上は、だめだめ、気持ちよすぎて、死ぬって!あはっ、お腹の中で、触手が、太く、おっきくなってきて、きつきつになってきてる!」
次第に触手のストロークを激しくしていくと、本能が理性を凌駕してこの快楽に慣れている冬子ですら喋る余裕がなくなってくる。
「ああっ、ひいん、んふっ、ちょっ、待って……」
体力の限界、体が全く動かなくなるまで快楽を得ようと忘我状態になった夏菜が、冬子に襲い掛かった。
「もっと、もっと、もっと、ちょうだいいいいいぃいい!」
とうとう夏菜は我慢できなくなり、両手で自分の秘部に刺さっている触手を掴んで扱き始めた。
軽く触手を揉むだけで気絶しそうになるほどの衝撃が2人の頭を揺さ振るのに、そんなものを扱かれては正気を保つのは難しい。
「ひっ、いひひっ、うひゃあああああああああああああ!!いいいいいいいいいいいいい!!あは、あははははははははははははははは!!」
「白石さん、かけ方が雑、これ、もう、解けかけてる!私まで、壊れる、から、やん、止まりな、さいよ!
 この、くぅ、はあ、はあ……はあぁぁぁん!!」
本能を剥き出しにした夏菜の思考に押し流され、冬子も夏菜に遅れながらも潮を撒き散らした。
冬子の支配を振り切るほどに暴走した夏菜は、繋がれた触手を通して逆に冬子の頭の中を蹂躙した。
普段なら冬子に向けられる夏菜の意思は封殺することができるのだが、それを跳ね除けるほどに今の夏菜の情欲は強くなっていた。
感覚を共有している2人はどちらが犯し、どちらが犯されているか曖昧になってくる。
「私を犯して!冬子の色で私を染め上げてえ!!」
現状では確かに形の上で犯されているのは夏菜のほうだが、精神的な優位性も夏菜のほうにあった。
フィルターを使っても押し切られるなら耳に刺さった触手を物理的に抜いて感覚の共有を絶てばいい、と冬子は考えたが
「ぬ、抜けない?!」
より深く繋がりたいという夏菜の意思が冬子の行動を阻害する。冬子は触手どころか手足の自由も利かなくなってきていることに気付いた。
「変なところのスイッチが入ったっぽいわね……ってうわ!?んうぅっ!?」
夏菜が上半身だけを起こし、ぬっと両手を伸ばして冬子の顔を捕らえた。そしてそのまま引き倒し、冬子の唇へ自分の唇を重ねた。
夏菜に急に唇を奪われ目を白黒させた冬子だが、唾液を送り込まれ歯茎と咥内に舌を這わされると瞬く間に警戒心が薄れていった。
夏菜の舌が冬子に「こっちに来て」と語りかけてきているようだ。
冬子は誘われるままに夏菜の舌に自分の舌を絡ませる。
ちゅぷちゅぷといやらしい音が響き、冬子は自分が今何をしているのかはっきりわからなくなる。
夏菜の鼻息が冬子の顔にかかると、冬子のまぶたがずんと重くなる。
夏菜がゆっくりと口を離すと2人の間に涎の橋がかかった。
「なんとなくキスしたくなったからあ……しちゃった」
「ふぁ……今だっ!!」
そのまま多幸感の海に浮かんでいたい気持ちをなんとか堪えた冬子は、
気が緩んでいる夏菜の隙を突いて両耳に差し込んでいた触手を引き抜いた。
「ひぎっ」
夏菜が小さく奇声をあげて動かなくなったのを確かめると、しゅるしゅると3本の触手を自分の体内に収納し冬子はやっと一息つくことができる。
「ふう、一時はどうなることかと思ったわ。ここまで派手に壊れると思ってなかったから、治療は白石さんに任せたほうがよさそうね」
このまま夏菜を放置すれば調教を施した自分たちがどうなるか見当もつかない。殺されるのならまだいいほうだ。
最悪、晴川たちが今受けているのと同じ私刑を処されるかもしれない。
721予定調和
「……!!」
そのとき冬子は背後から突き刺さるような視線を感じ、恐る恐る振り向いた。
押し潰されるようなプレッシャーのおかげで、振り向く前に視線の主を十中八九予想できていたが――。



夏菜が男の集団の中に投げ込まれて犯されているとき、晴川は仰向けのまま夏菜のことを心配することしかできなかった。
1人や2人ではなく、もっと多い人数であることが簡単に予測できるほどの数の興奮した男の声。
まだそのような行為すらしたことのなかった夏菜の気持ちを想うと、何もできない自分が情けなくて心が痛んだ。
「ちょっと!あたしが目の前で裸を見せても全然勃たないってどういうことよ!?……って、見えてないんだっけ」
「……」
晴川はむすっとした表情で春香の言葉が聞こえなかったふりをする。
「ねえ、ずっと寝転がってるのも暇でしょ。あたしと気持ちいいこと、しよ?」
春香が晴川に甘ったるい声で話しかけてくる。
晴川からは見えないが、今の春香は月夜女姫と顔を合わせているときには決して見せない艶っぽい表情をしていた。
「……」
「ここでも無反応を貫くつもりね……そんなんだから冷血人間って言われるのよ。
 それとも、そこまであたしに性的魅力がないって言いたいわけ。へえ、そう……」
素足で晴川の萎えっぱなしの逸物を思いっきり踏みつけ、そのままグリグリとつま先を押し付ける。
「いっで……」
「ごめん、あたし足コキとかやったことないからやり方よくわかんないや。こうやって踏みつけたらいいのかな?」
半端な知識で逸物を痛めつけても、被虐趣味ではない晴川は萎えるばかりだった。
私刑ではまだ急所責めはされていないので、実質これが初めての急所責めとなる。
「やっぱりこれ間違ってるかも。じゃあ、次はパイズリでどう?でもこのままじゃできないから、こうやってもみもみして……」
春香が自分の胸を揉んでいくと、たちまち乳房が膨らみ春香の小柄な体格に不釣合いな大きさになる。
それでいて弾力と張りは十分にありはちきれんばかりの形を保っている。
「これで大体FかGくらいかな。これをずっとあのクズはぶら下げてるのかあ、重たいったらありゃしないねえ。
 ほんとはローションつけたほうがいいんだろうけど、あたしの蜜をあんたの逸物に塗って……これでいっか」
極上の柔らかさが晴川の逸物を挟むと、晴川も本能を理性で抑えておけるのも限界が近くなる。
ゆったりとしたテンポで逸物を扱いて、晴川の意思に反してむくむくと持ち上がる逸物に春香はハアッと熱い吐息を吹きかける。
「く……アア……」
「おお、硬くなってきてる。やっぱりあんたも男だね。あたしのおっぱい、気持ちいいでしょ?
 ああ、もうすっごいガチガチだよ。我慢汁も出てきてるねえ……」
魔に堕ちた春香に強制的にイかされるなど屈辱にもほどがある。晴川は自制心を限界まで発揮させてひたすら忍耐に努めようとした。
「あたしのこと、エッチなことなんて全然知らない子供だと思ってたでしょ?
 でも、この歳でそういうこと全く知らないのってあの純真無垢な蘭ちゃんだけだと思うよ。
 あんたや先輩に見せてたのは全部あたしの外面。本当のあたしはこういうことにも興味津々な女の子なんだよ」
理性を振り切って本能に身を任せてしまえばどんなに楽なことか。
しかしそれは同時に晴川のプライドをずたずたに切り裂く、決して許されないことだった。
「我慢しなくていいよ。ここに来てから抜いてないでしょ?夏菜ちゃんが同じ部屋にいるしね。
 ほら、溜まったの全部出して……楽になっちゃえ」
春香はストローでジュースを飲むかのように晴川の鈴口に吸い付く。
畳み掛ける春香の言葉、逸物を包む魔悦に耐え切れず、晴川の精神力は限界を迎えた。
「……うっ!?」
「ふぁっ!?うぶぅっ!!」
抜く機会がないので溜まりに溜まっていた精液が春香の口内に出され、飲み込めなかった分が口から溢れ出す。
いいように手玉に取られてしまった晴川は羞恥心に潰されそうになった。