女同士の肉体の入れ替わり・憑依 その3

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1名無しさん@ピンキー
胸の小さな女の子が胸の大きな女の子と体が入れ替わって胸の大きさを堪能したり
年老いた女が若い女と入れ替わって若い体を堪(ry
淫乱な女の幽霊がいろんな女の体に表意して堪(ry
魂の交換だけでなくて単純にスタイルがよく身長の高い女の子と幼児体系の小さな女の子がいて
ある日身長やスタイルが入れ替わったり
ムチムチの女悪魔が女の子に憑依するとその女の子がムチムチに変身する様な話も可

とまあそんな感じの話題やSSを扱うスレ


保管庫
http://www40.atwiki.jp/odchange/

前スレ 女同士の肉体の入れ替わり・憑依 その2
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1235567463/

前々スレ 女同士の肉体の入れ替わり・憑依
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1221151798/
2名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 01:12:30 ID:+wUQZPUB
とりあえず乙
3名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 02:47:56 ID:VgFYD15f
>>1
4名無しさん@ピンキー:2009/09/16(水) 12:43:21 ID:Dt3yKvoi
>>1
乙彼
5名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 06:54:25 ID:yCcpn/Ri
前スレのお留守番には何かおこりやすいってリバースワールドにあったリレー小説だよね
6お留守番には何かおこりやすい その5:2009/09/17(木) 09:15:40 ID:pfFlUk/C
「こ、これって、どういうこと?!」
改めて、自分の身体を見下ろす朋美。
今着ているのは、朝から着ているシャツに7分丈のジーンズではなく、つい先ほどまで千紗が着ていたはずのブラウスにジャンパースカートだ。
胸に手を押し当ててみると、それほど大きくはないモノの形には自信があったバストの感触は、なにも見あたらず、布地越しに、真っ平らな胸とあばらの感触が伝わってくる。
なにより、目の前の鏡の中で、身体をまさぐっているその姿は、なにより千紗そのものなのだ。
「あなた、本当に千紗ちゃん?」
目の前の朋美のそっくりさんは、小さく頷くと、言葉を返してきた。
「朋美お姉ちゃんなの?」
この姿になってしまっては、いまいち自信がもてないのだが、自分としては、朋美だと思っている以上、朋美は頷いてみせる。
想えば、今こうして話している声も、高校生の女子のものとは思えない。
まだ、声変わりが始まっていない女のコのような声だ。
互いの返答に、2人は、しばし、考え込んだ後、どちらともなく口を開いた。
「あ、あたし、千紗ちゃんになっちゃったわけ?」
「あたし、お姉ちゃんになっちゃったの?」



「どうしよう・・・そもそも、どうしてこんなことに・・・」
台所で、朋美は、文字通り(千紗の)頭を抱え込んで悩んでいた。
「お姉ちゃん、あたし達、どうなっちゃったの・・・」
朋美の姿になった千紗が、不安そうな瞳で、千紗になった朋美を見つめてきた。
既に、その瞳は潤みだし、今にも泣き出しそうになっているのが、分かる。
「ふえ〜ん、こんな格好で、学校にいったら、男の子達に、イジメられちゃうよ・・・」
一瞬、朋美の脳裏に、城のブラウスに紺の吊りスカート、ランドセル(縦笛、体操着袋つき)を背負った本来の自分の姿が浮かび、想わず、朋美は、頭を抱え込んでしまった。
「だ、大丈夫だって、千紗ちゃん、きっと、すぐ元に戻れるから・・・そう・・・そうそう、今日もいれて、3日もお休みがあるでしょ。その間は学校にもいかなくてもいいし、3日もあれば、そのうち、元に戻れるわよ。」
「う、うん・・・千紗達、元に戻れるよね・・・」
「だ、大丈夫よ、きっともどれるから・・・」
なんの根拠も確信もないのだが、今は、千紗を落ち着かせるため、朋美としては、そう応えるしかない。
もっとも、朋美自身、根拠も確信もなくてかまわないから、そう自分に言い聞かせてくれる誰かが欲しかった。
しかしまあ、床にへたり込み、今にも泣き出してしまいそうな高校生の少女を、ようやく10歳になったばかりの女の子が、文字通り背伸びするようにして、必死に慰めようと言うかなだめすかせようと言うかしている様は、かなり不思議な光景だった。
「だから、泣かないで、もう・・・」
「う、うん・・・」
目元に溜まった涙を指の関節で拭いながら、どうにか、千紗も、落ち着きを取り戻したようだった。
7お留守番には何かおこりやすい その6:2009/09/17(木) 09:16:24 ID:pfFlUk/C
くうぅ

不意に、鳩が鳴くような声が聞こえた。
慌てて、自分のお腹・・・正確には千紗の身体のお腹・・・を押さえる朋美。

きゅるるるる

今度は、車のエンジンが、バッテリ−があがってかからなくなってしまうような音。
続いてお腹を押さえたのは、千紗の方だった。
共に、恥ずかしさに顔をピンク色にしながら、ばつがわるそうに、どちらともなく笑い会う2人。
みれば、時計の針は、11時を大きくまわっていた。
両親の出発が朝早かったこともあり、朝食も早めにとった上に、このドタバタで、肝心のホットケーキを食べ損なったのだから、お腹が空いても無理はない。
「千紗ちゃん、とりあえず、お昼ご飯を食べようか・・・」
お腹が空いていては、考え事もマイナスに進むばかりだ。
「うん!」
元気のいい返事が帰ってくる。
まだ10歳児の思考では、何かを食べると言うことに、素直に反応してしまうのも仕方がないとはいえ、自分の姿でそういうことをされるは、朋美としては、かなり恥ずかしかった。
「お昼、何、つくろうかなあ・・・」
と、そこで、朋美は、重大な問題に気づいた。
3日の留守番の間の食費として、千紗の分とあわせて2万円を貰っている。
3日分とはいえ、今朝の分はいらない訳なのだから、一食あたり、平均して、1200円は使えることになるのだが、朋美は、なるべく、自炊して、余った分は、ちゃっかりと自分の懐にいれるつもりでいたのだ。
料理は嫌いじゃないし、それなりの腕もあるつもりだ。
だが、問題は、今の朋美の身体が、千紗のものになっている・・・すなわち10歳の女のコになってしまっていることにある。
当たり前のことだが、料理というのは、刃物もつかえば、火もお湯も使う。
日常的な行為だけに、つい忘れがちなのだが、気を緩めれば、いつ大けがをするかもしれないのだ。
千紗の身体では、包丁だって、うまく握れるかどうかも怪しいし、フライパンや鍋を扱うのも危険だ。
といって、朋美の身体になった千紗に、料理をさせるわけにもいかない。
いくら朋美の身体とはいえ、千紗本人に、その記憶も経験もないのだ。
迂闊なことをさせて、自分の身体が怪我をするようなことになってはたまらない。
浮かせた食費を、かなり当て込んでいたのだが、背に腹はかえられるはずもない。
「千紗ちゃん、お昼、外に食べにいこうか・・・」
「わーい!」
再度、無邪気に喜ぶ千紗。
もっとも、自分の身体で、そんなことをしている様を見ている朋美としては、かなり不安なものがあった。

8お留守番には何かおこりやすい その7:2009/09/17(木) 09:17:25 ID:pfFlUk/C
入れ替わってしまった朋美と千紗が、昼食のためにやってきたのは家から15分ほどのところにあるファミレスだった。まだ、時間が早いこともあって、こみ具合は8分というところだろうか。
「いらっしゃいませ。お二人でよろしいでしょうか?」
マニュアル通りの挨拶をしてくる店員。
「はい、このコと二人です。」
朋美の身体の千紗が、朋美に教えられたように、返事を返す。
「では、ご案内しますから、こちらへどうぞ。」
まだ子供である千紗(中身は朋美)のことを考えてのことだろうか。比較的トイレに近いテーブルに案内される。
「では、ご注文が決まったら、お呼び下さい。」
メニューに、おしぼり、水の入ったグラスを置くと、店員は、別の仕事へと向かう。
「さ〜て、なに、食べようかな?」
ここに来るまでに、色々と注意したものの、千紗の演技というか、朋美の世代の少女の振りは、なかなか堂にはいったものにみえる。というか、明らかにこの状況を楽しんでいるようだ。
なにしろ、早く大人になりたい大人になりたいと想っている年頃だ。
いきなり朋美の身体になってしまったことに最初は驚いたモノの、今では、むしろ、いきなり大人の身体になれたことを喜んでいるようだった。
元に戻れるかどうかと言う現実の問題は、一旦、棚上げして、折角、なったこの身体で色々と楽しもうと考えているようだ。
もっとも、朋美としては、そう喜べない状況にあった。元に戻れるか戻れないかは別にしたとしても、10歳の女の子の身体になっては、何も嬉しいことなどない。
千紗の容姿は、平均以上に可愛らしいものではあるが、この身体では、大人抜きでは何もできない。
自分の身体になった千紗に、主導権を握られてしまうのも、面白くない。
なにより、目の前のテーブルの高さが、どうにも気になる。流石に、チャイルドチェアが、必要な年齢ではないモノの、大人サイズの椅子とテーブルでは、10歳の身体には、ちょっと大きすぎる。
普段は、お腹のあたりにくるテーブルが、今では胸・・・それも、かなり首に近い高さだ。
メニューを広げると、テーブルの上に出ている朋美の身体は全て、その中に隠れてしまう。
「千紗ちゃん、決まった?」
朋美の身体の千紗が問いかけてくる。
万が一、知り合いに出会った時のことを考えて、相手の身体の方の名前で呼ぶあうことに決めていた。
「う・・・」
自分から言い出したことなのだが、やはり、本来なら自分より年下の相手に、ちゃんづけで、しかも、妹を諭すような口調で、呼ばれることには、なんとなく屈辱感が伴う。
「え、えーと、それじゃ、ハンバーグ・ランチ・セット・・・」
まわりに人に、怪しまれないようにと、なるべく幼く聞こえるような口調で返事を返す朋美。こんな口調で話していると、本当に自分が、小学生になったような気がして、それも、そんなところを人に見られ聞かれているということに、どうにも恥ずかしくてたまらない。
卓上のボタンを押すと、まもなく店員がオーダーにやってくる。
「・・・ご注文、繰り返させていただきます。ハンバーグ・ランチ・セットがお二つ。パンとライスがございますが、どういたしましょう?」
「それじゃ、ライスで。」
「あ、あたしも・・・」
「ライスがお二つですね。お飲物は、オレンジとアップルのジュースとコーヒー、紅茶とございますが?」
「じゃあ、オレンジジュースください。」
「あたしは、コー・・・じゃなくて、あたしも、オレンジジュース・・・」
いつも、こういった場所での食後は、コーヒーと決めていただけに、朋美は無意識のうちにコーヒーをたのみそうになったが、この年頃の子供が、コーヒーというのも変であることに、寸でで気づき、慌てて、訂正した。
「オレンジジュースがお二つですね。少々、お待ち下さい。」
オーダーを取り終えた店員が、去っていくを見つめながら、朋美は、子供にはそぐわないため息をついてしまった。
子供の振りをするのも、なかなか大変なことだ。
9お留守番には何かおこりやすい その8:2009/09/17(木) 09:18:21 ID:pfFlUk/C
「お待たせしました。ハンバーグ・セットです。」
ウェイトレスが、ややぎこちない手つきで、お皿と、フォークにナイフにスプーンの入ったバスケットを、テーブルに並べていく。
「では、ごゆっくりどうぞ。」
見るからに、マニュアル通りのセリフとスマイルを残して、ウェイトレスはテーブルから離れていった。
「いただきまーす。」
嬉しくてたまらないような屈託のない笑みを浮かべながら、フォークとナイフと手に取った千紗を実ながら、朋美は、頭を抱えたくなった。
外見は、ハイティ−ンである朋美のものだから、もう少し、周囲の目も気にして欲しい。
そんな朋美の心中を知るはずもなく、早速、千紗は、ハンバーグにナイフと通し始めている。
身体が入れ替わってしまい、元に戻るあてもないというのに、折角だから、今の状況を楽しんでしまおうといわんばかりのこの脳天気さは、やはり小学生というところだろう。
(もう・・・けど、いくら考えても、元に戻れる方法なんて思いつきそうもないし、しょうがないか。それに、腹が減っては戦はできぬ、というし・・・)
いい加減お腹も空いていることもあり、目の前から漂ってくる、ハンバーグとそのソースの香りは、イヤでも食欲を刺激する。
「それじゃ、いただきまーす。」
自分も、ナイフとフォークをとると、朋美は、早速、ハンバーグに挑みかかる。

「あ、あれ・・・あれ・・・」
どういうわけか、いつもと違い、ナイフとフォークが巧く扱えない。
ハンバーグを一切れ切るにも、悪戦苦闘の一歩手前の状態だ。
お肉が固いとか言うわけでもなさそうだし・・・
「あ!」
目の前に、ハンバーグをぱくついている千紗の姿をみて、朋美は、原因に気づいた。
今の朋美の身体は千紗のものだけに、その体格や筋力も、10歳の女の子のものになってしまっている。
当然、腕のリーチも違えば、手の握力も違う。
だから、いつもと違って、ハンバーグをうまく扱えないのだ。
だが、原因が分かったとはいえ、体格そのものは変えようがないだけに、状況の改善へはつながらない。
当然の帰結として、朋美は、お皿の上のハンバーグと格闘を続けることになった。
「千紗ちゃん、お姉ちゃんが切ってあげようか。」
朋美の様子を見かねて、千紗が、声をかけてくる。
みるに見かねてというところだろうが、その声の口調が、如何にもお姉さんぶっているようで、朋美には、どうにも受け入れがたい。
「いいてっば!」
そう応える声も、ついムキになった口調になってしまう。
どうにかこうにかしているうちに、どうにか、ハンバーグも切り終わり、食べ始めようと朋美だったが、今度は、なぜか、ひどく食べにくい。
今度は、原因にすぐ気づく。
先ほど同様、まず体格の変化のため、ハンバーグを刺したフォークをうまくあつかえないためと、10歳の女の子の身体だけに、お口もまたちいさくなっていたのだ。
当然、いつものサイズでハンバーグを切っていただけに、これが口に入れづらいのも当然のことといえた。
やむなく、一度切ったハンバーグを更に、半分に切ることになった朋美。
もっとも、今度は、対象が、小さくなったお陰で、だいぶ切りやすかったが。
「ほら、千紗ちゃん、お口のまわり、こんなに汚しちゃって。」
千紗は、紙ナプキンをとると、朋美の口のまわりを拭ってみせた。
朋美自身は、気づいていなかったが、慣れない身体だけに、いつのまにか、口のまわりには、ソースやらご飯粒やらが、べっとりとついていたらしい。
「あ、ありがと・・・」
先ほどから、千紗は、朋美に対して、すっかり、お姉さんのように振る舞っている。
まあ、今の状況では、千紗の方がお姉さんで、朋美の方が妹に見えるし、朋美が、千紗に、そういう風に演技するようにと言い聞かせてあるのだが、どうやら、それだけではないらしい。
朋美同様、一人っ子である千紗だけに、当然、兄弟への渇望は大きい。
姉の方は、朋美という存在が肩代わりしてくれているが、そうなれば当然、今度は、妹か弟が欲しくるのは、当然のことといえた。
原因はともかく、折角、朋美と入れ替わったこの状況を活かして、妹の世話を焼くお姉さん気分を、とことん味わってしまおうというつもりらしい。
一方、朋美も、お姉さんが欲しいと想ったことがないわけではない。
だからといって、10歳の女の子になるというのは楽しいものではないし、なにより自分より年下の子と立場が逆転した上に、そのお姉さんの外見が、自分の姿というのは、なんとも、素直に楽しめないモノがあった。
10お留守番には何かおこりやすい その9:2009/09/17(木) 09:21:26 ID:pfFlUk/C
「ごちそうさまでした。」
先に食べ終えたのは、千紗の方だった。
朋美の方はといえば、なんといっても、慣れない身体で、悪戦苦闘していただけに、お皿の中身はまだ半分近く残っている。
それに、そろそろお腹がいっぱいになってきた。やはり、千紗の身体ではお腹の容量も小さいらしい。
「だめ、もう、お腹いっぱい。」
そういって、朋美がフォークを置いたお皿の上には、まだ4分の1以上のハンバーグが残っている。
「だめよ。千紗ちゃん、ご飯を残しちゃ。」
ここぞとばかりに、お姉さん風をふかせてくる千紗。
「だってもうお腹いっぱいだから・・・」
「しょうがないか。お腹壊すことになったら大変だもんね。じゃあ帰ろう。」
「ふう・・・」
お腹がいっぱいだけに、椅子から立ち上がるだけでも、かなり苦しい。そんな朋美を、千紗は、もう1度、ナプキンで口のまわりを拭いてやり、スカートの裾を尚してやる。
見た目は、妹の世話を焼いている姉そのものの姿であり、見る者を和ませるものがあったが、朋美としては、やはり、千紗に、妹扱いされるのは、どうにも腹立たしい。
「ありがとうございました。またお越し下さい。」
レジのウェイトレスの声を聞きながら、二人は、ファミレスを後にした。
初めは、一緒に歩いていた2人だったが、コンパスの差に加え、お腹がいっぱいで苦しいこともあり、ついつい、朋美は遅れがちになってしまう。そのたびに、千紗は立ち止まって、朋美を待ってやるのだが、それもまた朋美には面白くない。
(もう!早く、元に戻る方法見つけないと・・・)
そうこうしているうちに、家についた。
「ただいま。」
「ただいまあ。」
とりあえず、二人は、居間に、腰をおろした。
「おいしかったね。千紗ちゃん。」
そういって、千紗は、朋美の肩に両手を回した。
「ち、千紗ちゃん、誰も見ていないんだから、お姉ちゃんの振りしなくてもいいって・・・」
妹扱いされるのには、もうへきへきしている朋美だった。
「何言ってるの。千紗ちゃん。お姉ちゃんは私でしょ。」
そういいながら、千紗は、朋美の身体をぎゅっと抱きしめる。
「う〜ん、千紗ちゃんって、やっぱり小さいなあ。」
「ちょちょ、ちょっと千紗ちゃん・・・」
どうやら、ここまで朋美の振りをしてきたことで、千紗はすっかり味をしめたらしい。元々、妹が欲しかったという要望も手伝って、元に戻れるまで、お姉さんとしての生活を楽しむ気でいるらしい。
「ちょっと、千紗ちゃん。あんまり悪ふざけがすぎると怒るわよ。」
「あ〜ら、千紗ちゃん。怒ったりすると、可愛い顔が台無しよ。」
千紗の抱擁から逃れようとする朋美だったが、体格の差は歴然としている。それどころか、千紗は、その手で、朋美の頭をなで始めた。
「千紗ちゃんは、いい子んだから、おとなしくしようね。」
すっかり、子供扱いされることに、憤懣やるかたない朋美だったが、この体格差では、反撃のしようもない。
11お留守番には何かおこりやすい その10:2009/09/17(木) 09:22:52 ID:pfFlUk/C
「もう、千紗ちゃん!いい加減にしないと怒るわよ!」
いくら、身体が千紗のものになっているとはいえ、これ以上、子供扱いのオモチャ扱いされては、朋美の堪忍袋の緒も切れる。
いきりたった朋美だったが、残念なことに、彼女は、まだ千紗の腕の中にあった。
「こら〜、千紗ちゃん。」
待ってましたといわんばかりに、朋美の姿で、千紗は、人の悪そうな笑みを浮かべた。
「あんまり、悪い子だとおしおきするわよお。」
「ひ」
予想外の反応・・・それも、これを待ってましたといわんばかりの「おしおき」という言葉に、朋美の顔がひきつる。
なにしろ、体格差は逆転しているだけに、今の朋美に、千紗に抗う術はない。
反射的に千紗の腕から逃れようとする朋美だったが、既に時遅し。
千紗の腕は、朋美をがっちりと掴んでいた。
そうなれば、10歳の身体で、16歳の身体に敵うはずもない。
「こ、こら、千紗ちゃん、離しなさいってっば!」
「へっへ〜、朋美お姉ちゃん、折角の機会なんだから、そうはいかないよお。」
不意に、千紗の口調が、いつもの彼女のモノに戻る。
やはり、ここまでは、折角の入れ替わりということで、状況を楽しんでいたらしい。
もっとも、まだ楽しんでいる過程なのだろうが。
「悪い子には、おしおきしなくちゃねえ。」
千紗は、朋美の身体を俯せにすると、自分の膝の上に抱きかかえた。
「や、やめなさいって、千紗ちゃん!」
「やめないも〜ん。」
そう応えながら、千紗は、左手で朋美を押さえつけながら、右手を高く掲げた。
「ま、まさか、千紗ちゃん。」
朋美がそう呟くと同時に、千紗の右手が振り下ろされる。
12お留守番には何かおこりやすい その11:2009/09/17(木) 09:23:25 ID:pfFlUk/C
ぱっしーん!

弾力のあるもの同士がぶつかりあう威勢のいい音。
想わず、朋美の顔が引きつった。
悪い子へのおしおき・・・それは、尻叩きだった。
お尻というのは、肉は厚いし、中に重要な内臓器官はないしで、おしおきに叩くのは最適の場所だ。
しかも、必要以上に、大きな音が出るから、威圧にも適している。
だからといって、それは痛くないと言うことではない。
いや、じつに6年ぶりとも言える尻叩き。
実際の痛みもさることながら、お尻を叩かれているというこの状況と、必要以上に大きな音が、朋美の精神に、圧力をかけていた。
否が応でも、ストレスが、心に鬱積し、その精神を不安定にさせる。
「やめて、やめてよお。千紗ちゃん・・・」
哀願するような朋美の声は、既に泣き声が混じり始めている。

ぱっしーん!
ぱっしーん!

元気な音が、2度3度と続く。
「やめてえ・・・やめてえ・・・」
もはや、朋美の声は、泣き声そのものだ。
そして、遂に、堪えきれなくなった涙が、表面張力の限界を突破し、堰を切ったように、その頬を流れ落ち始める。
「ぐすん・・・やめて・・・ぐすん・・・」
泣きじゃくり始めた朋美は、もはや、ろくに話すもできない。
完全に泣き出してしまった朋美に、千紗は、右手を止めると、その身体を、抱きかかえなおした。
「はいはい、千紗ちゃんが、悪い子なのがいけないんだからね。もう、いい子でいるって、約束できる。」
不意に、うってかわって、文字通り小さな子を諭すような、優しげな口調で、朋美に話しかける千紗。
まだ泣きやまぬ朋美の涙を、その指で拭ってやる。
「・・・うん・・・」
ようやく尻叩きから解放された直後の、この優しい言葉と素振りに、半ば、無意識のうちに、頷いてしまう朋美。
「ちゃんと、お姉ちゃんのいうこと守れる?いい子でいられる。約束できる。」
「うん・・・約束する・・・」
心なしか、朋美の口調もまた、幼くなっていたが、朋美本人はそれに気づかなかった。
尻叩きの結果、一時的とはいえ、半ば自我と理性が、崩壊してしまったのだろうか。
今の朋美の精神状態は、小学生の女のコそのものになってしまっていた。
「いい子ね。うんうん。」
千紗の手が、頭を撫でてくれる感触が、まるで、小春日和の日射しのように心地よい。
13お留守番には何かおこりやすい その12:2009/09/17(木) 09:25:40 ID:pfFlUk/C
「うんうん、千紗ちゃん、いい子ね。」
そういいながら、千紗は朋美の頭を撫でた。
もはや、2人は、身体だけではなく、立場や振る舞いまで逆転してしまっている。
もっとも、朋美の方は、尻叩きという屈辱と恐怖、そしてそれから解放されたという安堵感という落差から、幼児退行を引き起こしていた。
「お洋服、汚れちゃったね。着替えようか。」
「うん」
「それじゃお姉ちゃんは、お洋服とってくるから、ちゃんと脱いでまっていてね。」
「うん」
今の朋美には、目の前のいる年上の女性(といっても、実は自分の姿なのだが)に、逆らう気力は、全く失せていた。
いや、それどころか、優しい口調で話しかけ、面倒を見てくれるその素振りに、安心感を覚えてしまう。
言われるがままに、服を脱ぎ始める朋美。
ジャンパースカートを脱ぎ、続いて、ブラウスのボタンを外し始める。
一方、千紗はというと、どうやら、お着替えのための、お洋服を選んでいる最中らしい。
ブラウスのボタンが全て外される。
何も想わないまま、無意識の行動で、ブラウスを脱ぐ朋美。
当然、その下は、色気も何もない、子供の下着だ。
「!」
朋美は、我に返った。
「ちょ、ちょっと千紗ちゃん、何をやらせるのよ!」
状況に流されたとはいえ、千紗の言うがまま、お着替えをしてしまった自分に恥ずかしさを覚え、それを誤魔化すように、叫ぶ朋美。
「あ、お姉ちゃん、元に戻っちゃったんだあ・・・」
折角、うまくいっていて、もう少しだったのに・・・と名残惜しそうな千紗の声。
「もう、千紗ちゃんが、お尻なんか叩くからいけないのよ!」
本来は、自分より小さな、妹みたいな存在の女のコに、お尻を叩かれてその上、泣き出してしまうとは、思い出すと恥ずかしいやら悔しいやら。
「でも、お姉ちゃん、折角脱いだんだから、着替えても良いんじゃない?」
そういって、千紗が取り出して見せたのは、淡い若草色のワンピースだった。
パフスリーブに、ハイウェストで大きく膨らんだスカートの裾、襟元や袖口、裾のレース飾りが可愛らしい。
少女になる前の女のコでなければ、似合わない服装だ。
「もう、いい加減にしてよ。千紗ちゃん。」
「でも、そんな格好でいると風邪をひいちゃうよ。」
脱いだブラウスとジャンパースカートは、既に、千紗によって片づけられてしまっている。
時刻は、夕刻へと変わろうとしており、下着姿では、確かに肌寒さを感じる。
「もう・・・仕方ないわね・・・」
渋々、ワンピースを受け取ると、頭からすっぽりとそれをかぶる朋美だったが、内心はまんざらでもない。
やはり女性だけに、こういった可愛い服を着てみたいという欲求は確かにある、
本来の身体と年齢では、似合うかどうかも怪しく少女趣味と言われてしまうが、10歳の女の子としてなら、なんの問題もない。
広がるように膨らんだスカートの裾は、いつもはき慣れているスカートとは、大分に違い、なんとなく落ち着かなかった。
14お留守番には何かおこりやすい その13:2009/09/17(木) 09:27:14 ID:pfFlUk/C
いつのまにか、後ろにまわった千紗が、背中のボタンをはめると、三つ編みをとめていた輪ゴムを外し、三つ編みを解き始める。
髪の毛から伝わってくる開放感。
「あ、千紗ちゃん?」
「折角だから、もっと可愛くするからね。ねえ、お姉ちゃん、ブラシってない?」
「え、ブラシなら、その戸棚にあるけど・・・」
朋美の指した戸棚に駆け寄った千紗は、ブラシをもって帰ってきた。
「ちょっと待ってね。」
不意に、髪をブラシが梳いていく感触。
「えへ、一度やってみたかったんだ・・・」
嬉しそうな千紗の声。
いつもは母親にやってもらっているだけに、一度、お姉さんとして、小さな子の髪を梳いてみたかったのだろう。
ややぎこちない手つきながらも、髪が梳かれていく感触は、決して不快なものではなかった。
ブラシの感触が不意に消えた。
ややあって、髪の毛の一部が、軽く、引っ張られ、そのまま固定される感触・・・なにかが、髪につけられたらしい。
「よおし、できた!お姉ちゃん、こっち来て。」
そういうと、千紗は部屋の隅に置いてある姿見の前まで、朋美を誘った。
「あ」
一目見ただけで、想わず言葉を失う朋美。
そこには、いつも見慣れている千紗とは全く違う少女の姿が映し出されていた。
まさに、お人形の様な愛らしい少女の姿がそこにあった。
ふわりと、柔らかく広がったワンピースに、緩やかにウェーブがかかった髪の毛、そして、それをまとめている大きなリボン、前髪の間から垣間見れる小さなおでこ。
「ね、可愛いでしょ。可愛いでしょ。」
「可愛い」「可愛い」と言われると、恥ずかしさとともに、むずがゆいような嬉しさも、確かに感じる。
本来は、他人の身体とはいえ、今の自分の姿が、可愛いといわれるに相応しいものになっていることには、やはり、女性として、嬉しさを感じずにはいられないのだろう。
15お留守番には何かおこりやすい その14:2009/09/17(木) 09:31:02 ID:pfFlUk/C
嬉さを感じることは感じるのだが、しかし一方的に着せ替え人形にさせられているのはちょっとばかり悔しい朋美だった。
そんなわけでさりげなく言ってみた。
「そうゆう千紗ちゃんだって大人っぽくてすてきよ」
本来の自分の身体に向かってそんなこと言うのも照れるが、そう言えば千紗も恥ずかしがるだろうという計算だ。
ところが違った。
「ふうん、そういえばけっこうセクシーよね。よおし、あたしも着替えよおっと!」
「へ?」
「ねね、洋服どこにあるの? すっごく色っぽいの着たいな」
予想に反してノリノリの千紗であった
しかし朋美としても言い出した手前、後には引けない。仕方なく自分の部屋に案内した。
「えと、このクローゼットよ」
「ふむふむ・・・うわあ、キレイな服がいっぱいだあ!」
「そりゃそうよ、高校生ですもの」
「で、下着は?」
「ちょ、ちょっと、下着はいいでしょ。服だけ変えれば」
「ダメよ。服に合わせて下着を選ぶのはレディのたしなみよ」
「・・・千紗ちゃんってけっこうマセてるのね」
そんなわけで下着の入っているタンスをしぶしぶ開ける朋美。
「ほら、これよ」
「うわああ、これが高校生の下着なのね! キャっ、レースのブラジャー!」
「ちょっと千紗ちゃん、私の下着をいじくりまわさないでよ」
「あら、今の朋美ちゃんには必要ないでしょ。ブラなんて全然つけられないじゃん」
「うぐぐぐ・・・」
血管がブチ切れそうになる朋美だったが、10歳の身体に必要ないのは反論できない。
そんな朋美をよそに千紗は品定めを終わったようだ。
「じゃあ、この黒いレースのやつにしよっと」
「あ、ダメ! それだけは・・・!」
実はそれ、勢いで買ったものの、あまりにセクシーすぎて着るのを躊躇していた一品なのである。
「それだけはダメ!」
「え、いいじゃん いいじゃん」
千紗はかまわず服を脱ぎ始めた。高校生の眩しい肢体があらわになっていく。
「きゃあ! 千紗ちゃん、もうちょっと行儀良く着替えなさいってば」
朋美にとっては自分が他人の前でズバズバ脱いでいるような恥ずかしさである。正確に他人の前かというと難しいものもあるが…。

ドタバタやっているうちに千紗は黒の下着を身につけてしまった。
「ほら、どお?」
「いや、どうといわれても…」
ほどよく発達した身体にいくぶん背伸びした感じの黒いランジェリー。これが自分でなかったら手放しで羨ましがるところだが最悪なことに自分である。というか、千紗を恥ずかしがらせて反撃しようという作戦が丸つぶれだ。

となれば最後の手段しかない。いま朋美が支配している千紗の身体に恥ずかしい格好をさせて千紗を黙らせる作戦だ。
朋美はわざとらしくアクビをしながら言った。
「ふぁあ、眠くなっちゃったからお昼寝しよっと。でも、こんな幼い体じゃオネショしちゃうかも知れないから、オムツしようかなあ・・・」
朋美としては、こう言えば千紗も「あたしオムツなんかしないもん!」と恥ずかしがるだろうという読みである。
ところが、またまた違った。
「きゃあ、可愛い! オムツつけてあげる!」
「って、これあんたの身体でしょが!」
「今は朋美ちゃんのだもん。10歳にもなってオネショするなんて、朋美ちゃんって赤ちゃんみたいで可愛いなあ!」
「いやそのえと、なんでそういう話になっちゃうのよ〜」
「はいはい、ここに寝て。えっと、オムツはないから、このタオルでいいかなあ・・・」
「うぐぐぐ・・・」
再び血管がブチ切れそうになる朋美だった。
と、そこで玄関のチャイムが鳴った。

ピンポ〜ン
16お留守番には何かおこりやすい その15:2009/09/17(木) 09:32:14 ID:pfFlUk/C
チャイムの音は、朋美の耳にも届いていた。
反射的に玄関に向かおうとした朋美だったが、危ういところで、今の自分が、千紗の姿であることを思い出す。居留守を使おうとも考えたものの、なにしろ、親が外出中の大事な留守番だ。重要な用件である可能性も無視できない。
「ち、千紗ちゃん、ちょっとここで待っててね。」
なにしろ、今の千紗は、朋美の姿で、しかも身につけているのは黒の下着のみというあられもない外見だ。とても、人前にだせたものではない。
そうでなくても、中身が千紗では、とても、対応など任せられない。
とにかく、ここは、一度、来訪者の正体を確かめた上で、対応を決めた方が良いだろう。
10歳の女の子の格好、それもひらひらのワンピース姿で、人前に出ることには、少なからず羞恥心を刺激される。
そんな自分を、どうにか押し込めながら、朋美は玄関へ向かった。
「はーい」
一応、この年頃の子供のように聞こえるように気をつけて返事をしながら、玄関へと顔を出す。
「あら・・・」
今の朋美の声と容姿に、来訪者は、ちょっと驚いたような声をあげた。
朋美にしてみれば、それは知った顔だ。
玄関にいたのは、20歳くらいに見える1人の女性・・・その腕には、1歳を少し過ぎたくらいに見える赤ん坊の姿があった。
斜め向かいに住む浅葱さんとその娘の萌葱ちゃんだ。
浅葱さんは、高校卒業後、そのまま結婚、そして翌年には出産と、若いママだ。
年齢的には、朋美より、ちょっと年上と言うことで、彼女にとっては、お姉さんのような存在だった。
「あら、可愛いお嬢ちゃんね。」
浅葱の顔がほころぶ。
「あ、貴方が千紗ちゃんね・・・こんにちは。」
「こ、こんにちは・・・」
想わす、返事を返してしまう朋美。
千紗のことを知っているということからして、多分、留守中のことを心配して、両親が出かける前に、浅葱に今回のことを頼んでいたに違いない。
「ね、千紗ちゃん、朋美お姉ちゃん、いないかな?」
いつも姉妹づきあいをしている浅葱に、ここまで、ちっちゃな子扱いされることには憤慨を覚えずにはいられないが、といって、ここで素をだすわけにもいかない。
「ちょちょ、ちょっとまってください。」
そう言い残すと、慌てて、自分の部屋に駆け戻った朋美だったが、部屋に戻ると、また驚くことになった。
部屋の中では、千紗がまだ下着姿のままで、しかも鏡の前で、いろんなポーズをとっていたからだ。
「あ、朋美お姉ちゃん、どうしたの?」
両腕を頭の上で組み、胸を突き出すようなポーズをとったまま、呑気な口調で千紗が問いかける。
「どうしたのじゃないでしょ!早く服着て!お客さんなんだから!」
「はーい」
朋美も手伝って、どうにか千紗の着替えを終わった。
「千紗ちゃん、お客さんは、近所の人だから、なるべく、相づちだけ打って、早く帰ってもらうようにしてね。」
「うん、まかせといて。」
自信満々に応える千紗だったが、まかせといてという言葉が、これほど不安に感じるのは初めての朋美だった。
17お留守番には何かおこりやすい その16:2009/09/17(木) 09:32:54 ID:pfFlUk/C
「浅葱さん、こんにちは。」
朋美に言われたとおり、千紗は、なかなかうまく対応してくれた。
「あ、萌葱ちゃんもこんにちは。」
浅葱と朋美が仲がいいのだから、当然、萌葱も、朋美のことをよく知っている。
「朋ちゃん、こんにちは、おばさんに、一応、留守の間のこと頼まれてね。けど、心配することはなさそうね。」
「ええ、大丈夫ですよ。任せて下さい。」
そう応える千紗の口調が、演技ではなく、まさに自信満々であるところが、朋美には不安のタネだ。
「けど、女の子だけというが心配なのは分かるわ。もし、おかしなことがあったら、すぐうちにきてね。」
「はい。」
「うちも、ちょうどお父さんが、出張でね。なんなら、こっちに泊まりにきてもいいんだけど。」
「あ、もし電話とかあったら、大変ですから、それはいいです。」
「そうね。じゃあ、戸締まりと火の元だけには気をつけてね。」

バタン

玄関のドアの向こうに浅葱が消えたのを確認すると、朋美は、ほっと、大きなため息をついた。
この場はなんとかなったものの、入れ替わったことを隠そうとするのがここまで大変だとは想わなかった。
「お姉ちゃん、あたしの演技うまかったでしょ。」
「う、うん・・・」
朋美の気苦労も知らず、そう問いかけてくる千紗に、朋美は、そう応えるのがやっとだった。

夕食は、夜、家を空けると、電話とか泥棒とかに不安が残るということで、出前をとった。
後は、お風呂に入って寝るだけだ。
幸いにも、この家では、昨年24時間風呂に作り替えたお陰で、今日明日のところは、掃除もお湯を沸かす必要もない。
千紗の身体では、掃除も想うようにできない以上、これはかなり助かる。
「それじゃ、千紗ちゃん、あたし、先にお風呂に入るから。」
「はーい」
7時からのアニメに夢中で生返事の千紗の声を聞きながら、朋美は脱衣場に向かった。
着ていたワンピースを脱ぎ、続いて下着をぬぐと、イヤでも10歳児の身体を見てしまうことになって、どうにもならない気分だ。
姿見に映る少女の姿は、まだウェーブの残る長い髪と相まって、どこか妖精を想わせるものがあったが、仮にも女性といっても差し支えないところまで成長していた朋美にとって、ここまで、幼い身体になってしまった自分をみることには、どうしても屈辱感が伴うことは否めない。
とはいえ、ここでいじけているわけにもいかないので、朋美は、浴室に入った。
いつものように、洗面器にお湯をため、身体にかけようとしたが、意外な重さに、片手では洗面器が持ち上がらない。
やむなく、洗面器を傾け、お湯を減らした上で、今度は両手を持ち上げた上で、身体にかける。
「もう、どうして、子供の身体って、こんなに不便なのよ。」
そう愚痴をこぼす朋美だったが、今度は、不意に、身体が、後ろに引っ張られる感触を覚える。
「え?」
後ろへと倒れそうになる体勢をどうにか整えようとすると、今度は、首筋や背中に、何か細いものが張り付いてくる感触。
どうやら、濡れた髪の重さで、バランスを崩してしまいそうになったらしい。
小学生の頃から、ずっとショートにしてきた朋美にしてみれば、髪の毛にここまで重さを覚えることは、初めて体験といえた。
「もう!面倒くさいなあ!」
やむなく、髪の毛を、タオルで頭上にまとめあげた。
濡れたタオル+髪の毛の重さは、決して軽いものではなく、かなりのヘビートップになってしまったが、他に手もない。
髪の毛をどうにかクリアした朋美は、いつも通り、身体を洗い始めたのだが、
「おねえちゃん、湯加減どう?」
その声が聞こえると同時に、浴室のドアが開き、朋美になっている千紗が姿を見せた。
18お留守番には何かおこりやすい その17:2009/09/17(木) 09:33:37 ID:pfFlUk/C
「おねえちゃん、湯加減どう?」
脱衣所から聞こえてきた千紗の声に、朋美は、反射的に、身体を覆うように実を窄めていた。
他人(といっても、外見が自分、中身は何度も一緒にお風呂に入っている従妹なのだが)が入浴中に声をかけてくることに驚いた頃もあるが、なにせ、今のお子さまな身体を見られることに、恥ずかしさを感じたから故の行動で在ることも確かだ。
「あ、ああ、大丈夫、ちょうどいい湯加減だから。」
もっとも、24時間風呂な上に、事前にその辺は確かめてから入っただけに、今更、焦って応える必要もないのだが、いきなり聞かれたことも手伝って、朋美は、気が急くばかりに、当たり障りのない答えを返してしまう。
それが、失敗だった。
「じゃあ、あたしも入ろうかな。」
千紗の言葉に、朋美の表情が引きつった。
先に述べたように、今のお子さまな躰を見られることがとんでもなく恥ずかしいことに加え、今の千紗は、高校生である朋美の躰なのだ。
先ほど、折角、高校生の躰になったんだからと、下着のファッションショーをされたばかり。
その行動に、一抹どころで収まらない不安を覚えずにはいられない。
「ちょちょ、ちょっと待って!」
慌てて、千紗を押し止めようとした朋美だったが、既に時は遅かった。
いや、お風呂にはいる前に、一頃釘を刺しておくべきだったかもしれない。
「はいるよー」
無責任な口調と共に、ドアが開く。
「あ」
既に、服を脱ぎ終え、タオルを巻き付けることすらせず、全裸の朋美の躰のまま、千紗は、浴室へと入ってきた。
「あ、身体あらってたんだ。お姉ちゃん。じゃ、あたしが頭を洗ってあげるね。」
朋美が、何か言うより早く、千紗は、ボトルからシャンプーを手にまぶすと、早速とばかり、朋美の髪を洗い始めた。
「ちょちょちょちょっと千紗ちゃん。」
千紗の方は、髪を洗うと言うより、髪の毛をかき混ぜることに夢中になっているふしがあり、流れ落ちてくるシャンプーが、目やら口やらに入り込もうとしてきてたまったものではない。
「も、もう、千紗ちゃん、ちゃんと洗ってってば!」
口や鼻に入り込もうとする液体にこらえながら、朋美は、叫ぶ。
「あ、ごめんね。」
朋美の声に、ようやく、千紗は、シャワーで、シャンプーを流し落としはじめる。
流れ落ちるお湯に多少の息苦しさを覚えるが、それもで、シャンプーほどではない。
ようやくシャンプーは流れ落とされたものの、首筋や肩、背中にくっつこうとする髪の感触は、長い間、ショートに慣れていた朋美にとって、かなり、嫌悪感の伴う異質なものだった。
「あ、ちょっとまってね。」
朋美の嫌悪に気づいたのか、千紗は、タオルで、その髪を頭上にまとめてくれた。
「あ、ありがと・・・」
「うふ、なんか、ほんと妹ができたみたい。」
自分とは明らかに違う千紗の身体に対して、結果的に戸惑ってしまうことに、千紗が、必然的にお姉さん的立場で世話を焼いてくることに、朋美は恥ずかしさを覚えずにはいられない。
19お留守番には何かおこりやすい その18:2009/09/17(木) 09:34:50 ID:pfFlUk/C
朋美の家のお風呂は、普通の浴槽の1,2倍ほどの大きさがある。
もともと風呂好きだった父の好みを反映してのことだが、女子高生と10歳の女の子なら、楽々とまでいかなくても、2人でお湯に浸かることができる。
「は〜い、朋美ちゃ〜ん、肩までよおく浸かってあったまろうね。」
またもやお姉さんぶる千紗に、苛立ちを覚える朋美だったが、千紗(の身体)に風邪でもひかれたら、自分の責任だし、今の自分の身体でもある以上、湯冷めするわけにも行かない。
やむなく、肩まで、お湯に浸かる。
「ふ〜ん、やっぱり、おっぱいってお湯に浮くんだ。」
隣で、千紗が、楽しそうに声をあげる。
巨乳とまでいかなくても、朋美にしてみればそれなりにサイズと形には自信のあるバストだ。
お湯に入れば、浮遊感を覚えるのも当然だろうが、先ほどの下着の1件といい、自分の身体を、朋美のおもちゃにされるのは、やはり面白くない。
「も、もうでるからね。」
「だめだ〜よ、朋美ちゃん。ちゃんと百までかぞえなきゃ。」
湯船からでようとした朋美を、千紗は掴まえると、再びお湯に押し込んだ。
腕力で勝ち目がない以上、朋美は、やむなく、千紗と一緒に百まで数えることになった。

ちょっと湯あたり気味で、お風呂から上がった朋美を、やはり、千紗がかいがいしく、世話を焼く。
髪の毛をまとめていたタオルを乾いたものに取り替え、身体をバスタオルで拭くのを手伝い、下着を手渡す。
今更、子供用の下着をつけることは、やはり恥ずかしい。
「はい、今度はこれ着てね。」
下着をつけ終えた朋美に、千紗がパジャマを手渡した。
そう、パジャマだと思って、それを受け取った朋美は、広げてみて、声を失った。
パジャマかと思ってうけとったそれは、ピンク色のネグリジェだった。
もちろん、子供用だけに、裾丈も踝あたりまであるし、フリルやらりぼんやら飾りがたっぷりとついた可愛らしいものなのだが、物心付いたときから、パジャマだった朋美にとって、こういったものを着るのは、どうにも恥ずかしい。
先ほど、この手のワンピースを着せられたことを考慮してでもだ。
「あ、あのさ、千紗ちゃん、他に・・・・パジャマはないの?」
「うん、ないよ。千紗は、いつもこういうのだもん。」
そういえば、千紗の普段着は、大抵、こういうフリルやリボンが付いたものや、ワンピース系が多かった。
多分、親のシュミだろうが、まさか、そのとばっちりが、こっちにまわってこようとは。
恥ずかしいとはいえ、下着で寝るわけにもいかないので、朋美は、ネグリジェを、頭からかぶった。
すかさず、千紗が、背中のボタンをとめる。
「じゃあ、今度はこっちね。」
髪の毛をまとめていたタオルを外すと、ドライヤーの風が、髪にあてられる。
その髪の毛がからまないようにと、ブラシが、髪を梳いていく感触が、「弱」の温風と相まって心地よい。
最後に乾いた髪を、寝ている間に絡まないようにと、左右に分けてから、輪ゴムで結わえる。
「よし、できたっと。」
鏡に映る今の朋美は、フリルだらけのネグリジェのせいもあって、まさにお人形そのものだ。
「とほほ」
可愛いのはいいとしても、いつのまにか、自分が、千紗にとって妹どころかお人形にされていることに、朋美は気づいた。
20お留守番には何かおこりやすい その19:2009/09/17(木) 09:36:27 ID:pfFlUk/C
そんなこんなで夜は更ける。
「ふぁあ〜あ」
テレビを観ていた朋美は思いっきりアクビした。さすがに10歳の身体は夜が早いのだ。
「あれ朋美ちゃん、もうおネム?」
「い、いや別に眠くはないんだけど・・・っていうか、今日はなんだか疲れたから、先に寝るわ」
「そうよね、もう子供は寝る時間だもんね」
「つーか、子供はあんたでしょーが」
「いいからいいから、じゃあおフトンひいてあげるね」
千紗はいそいそと押し入れからフトンを出し始めた。
「あたし、自分の部屋のベッドで寝るからいいわよ」
「いーじゃんいーじゃん、ここで一緒に寝ようよ。ささ、眠るまで見ててあげるから」
「別に見なくていいってば」
「だって、自分が寝てるとこ、一度見てみたかったんだもん」
「うぅ、自分に見られながら寝るのってやだなあ・・・」
などとぼやきつつ歯磨きをしに洗面所に向かった朋美だったが、ふと変な感覚にとらわれた。
廊下が暗いのだ。いや、廊下が暗いのは別に不思議じゃないのだが、暗い廊下が恐いのである。勝手知ったる我が家で、目をつぶっていても歩けるはずの廊下がなぜか恐い。
あわてて手探りでスイッチを探して明かりをつけてほっとしたが、しかし今度は廊下のつきあたりの洗面所のあたりの暗がりが気になる。なんだか足の裏がムズムズするような感じなのだ。
それでも我慢して洗面所にたどりついて焦りまくって明かりをつけて背伸びして歯ブラシを取って蛇口をひねった。

ジャブジャブジャブ…

静かな夜の洗面所に響く水音がまた恐い。びっくりして思わず後ろを振り返ったら壁紙の花柄模様が妙に恐い。怖いのを我慢しようと無意識に足踏みしている足音がまた不気味に響いてしまう。
「・・・やだもおっ」

ドタドタドタ!

必死に走って居間に戻り、フトンを引いている千紗の腰にすがりついた。
「ど、どしたの朋美ちゃん?」
「な、なんでもないわよ!」
まさか恐くなって逃げてきたとも言えない。しかし、明るい居間の蛍光灯と背中にまわされた千紗の暖かい腕に安心して思わず泣いてしまう朋美であった。

「ふぃ〜ん」
21お留守番には何かおこりやすい その20:2009/09/17(木) 09:39:09 ID:pfFlUk/C
「ふえ〜ん」
縋り付いている相手が、身体こそ、年上とはいえ、中身は小学生
しかも、自分が高校生であることは、頭では分かっているのだが、真っ暗で怖い夜の廊下から、安堵できる明るいお部屋に帰ってこれた反動と、自分以外の誰かがいてくれるという安堵感から、朋美は、自分でも知らぬ間に、泣き出しそうになっていた。
「あれ、どうしたの。お姉ちゃん。」
小学生では、誰かに縋り付かれるなんて経験は皆無だろう。
初めての体験と、先ほどまで、身体と立場が逆転しても、あくまでも自分がお姉さんよという態度を崩そうとしなかった朋美の、想わぬ反応に、千紗は、怪訝そうな表情を浮かべた。
「え・・・あ・・・その・・・」
千紗の声に、ようやく我を取り戻した朋美は、つい先ほどまでの自分の行動に気づき、顔から火が出そうになる、
「あれ、朋美ちゃん。もしかして、泣いてるの?」
千紗は、目聡く、朋美の潤んだ瞳と、目尻に輝く液体に気づいた。
「なな、泣いてなんかいないわよ。こ、これは、欠伸したときの涙、そう欠伸したときの!小学生の身体だから、もう眠たくなってしかたないだけよ。」
暗い廊下が怖かったなんて、口が裂けても言えない。
「ふ〜ん・・・そうなの・・・」
明らかに納得していない様子の千紗。
「じゃあ、早く寝ましょ。お姉ちゃん。あ、そういえば、朋美お姉ちゃんは、自分のお部屋で寝るっていってたから、お布団は、1つで良かったんだよね。」
少々いじわるそうな響きの混じった千紗の声に、朋美の脳裏に、先ほどの真っ暗な廊下が蘇ってきた。
もはや、明るい暗い、照明とかいう理屈ではない。
夜中に、1人でいることが、ものすご〜く、怖く感じ始めてしまう。
理性としては、ここは意地を張りとおして、自分は1人で寝るからいいと言ってしまいたいのが、衝動的にわき上がってくる夜と闇への恐怖が、それを許そうとしない。
といって、あくまでも自分が年上であることへのプライドが、千紗に対して、一緒に寝て欲しいなどと言うことを許そうとはしない。
「あ、あのさ、千紗ちゃん・・・」
「なあに、朋美ちゃん。」
多分、朋美の動揺はお見通しなのだろう。
千紗の口調は、すっかり余裕綽々だ。
「千紗ちゃんさ、1人で寝るの、寂しいでしょ。あたしが一緒に寝てあげようか。」
かなり苦しい説明だが、今の朋美には最大限の妥協点だ。
一緒に寝て欲しいなどとは絶対に言えない。
「へっへ〜」
こんな苦しい説明が通るはずもなかった。
やはり、千紗にはすっかりお見通しだったらしい。
「そうだね〜千紗も、1人だと、ちょっと寂しいから、朋美ちゃんと一緒に寝ようかなあ。」
「うん、そうしよそうしよ」
千紗を説き伏せるつもりが、今では、朋美の方が、すっかり千紗のペースに巻き込まれていた。
「じゃあ、そうしようか。」
早速、もう1組の布団を押入から引き出し始める千紗。
一方、朋美は、1人で寝ずに済んだことに、小さく安堵のため息をはいていた。
そうしている間に、千紗は、手際よく布団を敷き終える。
2つの布団は、何故かぴったりとくっつていた。
「なな、なんでこんなにくっつけるのよ。」
「だって千紗、寂しいから、朋美ちゃんとそばで寝たいし。」
先ほどの苦しいわけが裏目に出た。
千紗としては、自分の寝顔をみてみたいとかあるわけで、そのためにも、なるべくそばの方がいいわけだ。
22お留守番には何かおこりやすい その21:2009/09/17(木) 09:40:04 ID:pfFlUk/C
「うう、そうだけどさ・・・」
このままでは、自分の自分の寝顔を見られると言う、あまり心地よくない経験を味わうことになってしまう。
(こ、こうなったら、千紗ちゃんが寝るまで、こっちも眠るわけにはいかないわ。)
固く、決意する朋美。
明日の朝、可愛い寝顔だったなんて、言われたくはない。
「じゃあ、寝ましょ。」
朋美が、布団に入ったのを確認して、千紗は、部屋の灯りを消した。
「あ」
想わず声が出てしまった。
消すと分かっていたし、オレンジ色の補助照明がついているとはいえ、いきなり、視界が暗くなったことに、反射的に恐怖心がわき上がってきた。
「どうしたの、朋美ちゃん。」
「な、なんでもないわよ!」
この程度のことにさえ怖がってしまった自分への恥ずかしさを誤魔化そうとするように、想わず語気が荒くなる朋美。
「ふ〜ん、じゃあ、もう寝ましょ。」
「う、うん」
とはいえ、朋美としては千紗より、早く眠ってしまうわけにはいかない。
小学生の体質故に、早くも重くなりかける瞼に渇をいれながら、意識を奮い立たせ、眠気を吹き飛ばそうとする。
と、いつのまにか、隣の布団に寝ていたはずの千紗の顔(厳密には朋美の顔)が、朋美の目前に迫っていた。
「え、え、千紗ちゃん、どど、どうしたの?」
「あのね、千紗は、寂しいから、朋美ちゃんと同じお布団で寝たいなあと想って・・・」
「ちょちょ、ちょっと、同じお布団じゃ狭いって・・・」
「だって、寂しいから、朋美ちゃん抱っこして寝るの。」
「え?」
いうが、早いか、千紗の手が、布団の中にもぐり込み、朋美の身体を引き寄せる。
不意打ちに加え、体格と筋力の差、さらには、着慣れていないネグリジェも手伝って、抗うことすらロクにできず、朋美は、千紗の布団に引きずり込まれてしまった。
「ち、千紗ちゃん。話してって。」
「わあ・・・朋美ちゃんて、小さくて可愛いなあ。」
もはや、すっかり、子犬か子猫かぬいぐるみ扱いだ。
こんなことなら、怖いのを我慢しても、1人で寝るべきだったと後悔する朋美だったが、もう遅い。
しかも、こうして、布団の中で、抱きしめられていると、なんとな〜く、安堵感というか、心地よいものを覚えてしまう。
(ま、これはこれでいいかな・・・)
闘争心とか反抗心とか言うものが、次第に消え失せていく。
重くなる瞼に抗う意識も失せていく。
くぅ・・・
いつのまにか、可愛らしい寝息をたて始めた朋美。
それを見つめる千紗の顔に、満足そうな笑みが広がった。
23名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 11:27:38 ID:CdmXx1ej
百合期待
24名無しさん@ピンキー:2009/09/17(木) 14:07:46 ID:4Alt4/sH
見てきたけど、リバースワールド無くなってるのね
作者の方なら名乗ってもらえるとありがたい
勝手な転載だったら色々問題になるし、前スレでもあったからね
25名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 12:02:29 ID:JC9WWaIO
止まってしまった
26名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 17:01:13 ID:QMi/EWrQ
というかリレー小説だったら
作者は何人もいるから勝手に載せれないんじゃ
そのサイトを見たことないから何とも言えんけどさ
27名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 22:45:31 ID:D2blhASY
前スレの【日々の積み重ねは絶望との隣り合わせ】もそうだったけど
その載ってるサイトを教えて欲しいゾ
28名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 23:02:51 ID:QMi/EWrQ
>>27
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/7972/1163492068/129

リバースワールドは前スレの過去ログ閲覧サイトで確認したが
>>6-22のは載ってなかった
作者の人のオリジナル作品だったらぜひ続けてほしいところだけど。
29名無しさん@ピンキー:2009/09/18(金) 23:42:41 ID:Y3aGt7zS
>>28
このお話は他のキャラも出てきて、さらにどたばたになったところで止まってしまったんですよ。
自分はまだROMだけでしたが、結末を楽しみにしていたんですけど。

30 ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:16:49 ID:IE8Q0Ifm
流れを両断してこんばんは。SSの投下です。
ちょっと長めなので前後編かとも思いましたが、今回は一本でいってみます。

備考:精神入れ替わり
注意:近親相姦
 苦手な方はスルーorNG推奨です。
31俺の愛するクソ姉貴(1/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:17:49 ID:IE8Q0Ifm
冬の夕方、街は既に暗くなっていた。
寒波は多少和らいだらしく、いつもなら身を切り裂くように吹いてくる北風も
今日は少しだけマシになったような気がする。俺の錯覚かもしれないが。
「あーやれやれ、寒いなぁ」
俺の右手には夕食の入ったビニール袋がぶらさがっている。
もちろん中身はコンビニ弁当。こう寒いと寄り道して外食する気にもなれない。
それに今日は家で飯を食うのは俺一人、わざわざ作るのも面倒だ。
そんな訳で俺は大学が終わると弁当だけ買って真っ直ぐ家に帰ることにし、
この寒空の下を一人でとぼとぼ歩いているのだった。
分厚いセーターにマフラー、毛糸の帽子に手袋と完全装備だったので
そこまで身に染みる寒さという訳ではなかったが、それでも寒いものは寒い。
駅からうちのマンションまでは歩いて十分ほどしかないが、充分体が冷えてしまった。
エレベーターを下りてカギを取り出し、無造作に自宅のドアを開ける。

「たっだいまー」
暖房の効いた空気に優しく身を撫でられ、思わずくしゃみが飛び出した。
玄関にはごつい女物のブーツが鎮座している。どうやらまだ出かけていないらしい。
俺はリビングのドアを開け、そこにいた女に話しかけた。
「なんだ姉貴、まだ行ってないの?」
壁にかかった時計を見ると既に五時過ぎ。いつもの姉貴からすればかなり遅い時間と言えた。
どうせもう卒業が決まって大学なんて行かなくてもいいから、時間はたっぷりあるはずなんだが。
大きく息を吐き出しそう問いかける俺に、彼女の罵声が飛んできた。
「遅いっ! このグズ、何やってたの !?」
「はあ?」
意味がわからない。今日は寒いから講義が終わって直で帰ってきたってのに、
なんで姉貴に怒られなきゃならんのか。
上着を脱いで声の方向を振り向くと、流しにもたれかかった長身の女が俺をにらみつけていた。
ところどころ黒を残したロングの茶髪は肩まで垂らされ、蛍光灯の光を浴びてきらきら輝いている。
つり上がった眉は細く、いつも描くのに気を遣っているらしかった。
目つきは悪いが、家族以外の男の前ではそれなりに良くなるらしい。不思議なものだ。
名前はよしの、由乃と書く。俺の同居人にして尊大極まりない姉貴だ。
ちなみに俺の名は大和。この名前のせいで幼い頃は宇宙戦艦と呼ばれていた。
二人っきりの姉弟だが、もし弟か妹がいたら名前はイズミにでもなっていたのだろうか。
うちの親はどうにも安直というか、あまり子供の名前に悩まないような親だから困る。

しかし姉貴が尊大なのはいつものことだが、なぜ俺が怒られないといけないのか。
訝しがる俺だったが、和室の方からとてとてと歩いてきた女の子を見て合点がいった。
「おにーちゃんおかえりー!」
「なんだ志麻ちゃん、来てたのか」
パープルのワンピースの上に可愛らしいピンクのジャケットを羽織ったこの少女は
お隣に住んでる女の子で志麻ちゃんという。今年小学校に入ったばかりだ。
実に素直であどけなく、俺や姉貴によく懐いているのでこうして遊びに来ることも多い。
まあお隣の夫婦が共働きであまり子供に構ってやれなかったり、
外ヅラだけはいいうちの姉貴がお隣と妙に仲が良かったりと、その辺はいろんな事情があったりする。
32俺の愛するクソ姉貴(2/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:18:18 ID:IE8Q0Ifm
この子がここにいるってことは、また面倒見るように頼まれたんだな、姉貴のやつ。
感心したものか呆れたものか、とにかく俺は姉貴に確認した。
「姉貴、今日も飲み会じゃなかったっけ?」
「そうよ、だから急ぎのとこをあんた待ってたのに! 早く帰って来なさいよ!」
さすがに傍若無人な姉貴でも、預かった女の子をひとり置いて出かけるのは良心がとがめたのだろう。
こういうところは常識があるというか無駄に外ヅラがいいから、
そのとばっちりを受ける俺にとってはなかなか困ったものだった。
俺は肩をすくめて姉貴に言い返した。
「それならメールくれりゃよかったのに。志麻ちゃん預かるって聞いてなかったからさ」
「メールしたわよ! あんた見なかったの !?」
「あれ?」
ポケットからケータイを取り出すと画面が真っ黒になっていた。そう言えば昨日
通話しまくって、充電するのを忘れていた気がする。でもなんでよりによってこんな時に……。
俺は自分の迂闊さと運の悪さを嘆いたが、姉貴は許してくれなかった。

「はあ? ケータイが使えませんってあんた猿か何か !?
 ただでさえグズなのに、ちょっとは姉さんの役に立とうとか思わないわけ !?」
うちの姉貴は口が悪い。ついでに言うと性格はそれ以上に悪い。
だが顔はそこそこで外ヅラも良かったので、周囲からは人気があるようだ。
俺はそんな姉貴に虐げられつつ二十年も生きてきたので、まあいろいろ大変だった。
大学に入ったら一人暮らしをしたかったのだが、あいにく行きたい大学に
ことごとく落ちた俺が受かったのは、姉貴の通う三流大学だけ。
ちょうどいいやということで親からは姉貴のマンションに一緒に住むよう命じられ、
気がつけば姉貴に下僕として仕えてもう二年になろうかとしていた。
姉貴は今年で大学を卒業するが、既にそこそこの商社に自分の席を確保している。
この就職難でよくやったと思う。やはり外見と物怖じしない性格のせいだろうか。
俺にとっては小さい頃から鬼でも悪魔でもある姉貴だが、そういうところは素直に尊敬する。

それはとにかく姉貴もいつまでも俺を罵ってばかりはいられないようで、
あたふたと慌てて身支度を整え出かけていった。
「七時に志麻ちゃんのお母さんが迎えに来るから、それまでちゃんと相手したげなさいよ!
 あとあたしいつ帰れるかわかんないから、お風呂はいいわ」
「はいよ、いってらっしゃい」
――バタン!

こうしてうちの姉貴は嵐のように去っていった。
「……おねーちゃん、出かけちゃったの?」
玄関に突っ立っていた俺のもとに志麻ちゃんがやってくる。
首筋が隠れるくらいに伸ばした髪は姉貴のとは違い、真っ黒でつややかだった。
「うん。今日は帰ってこないだろうから、お兄ちゃんと遊ぼうか」
「いいよ、何して遊ぶー?」
子供は嫌いじゃない。抱っこしてやったりお絵かきを見てやったり、
俺は志麻ちゃんのお母さんが迎えに来るまでこの子の相手をしてやった。
その日、予想通りのことだが姉貴は帰ってこなかった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
33俺の愛するクソ姉貴(3/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:20:12 ID:IE8Q0Ifm
――ドンドン! ドンドン!
次の日の昼前、ドアを乱暴に叩く音で俺は目を覚ました。
大学の授業は昼からだし、今日は大して重要でもない講義ばかり。
寒いから自主休講でも構わないかな、と思っていた頃だった。
もぞもぞと布団から這い上がり、ドアに声をかける。
「はーい、どなたー?」
俺はTシャツと短パンという格好で寝床に入っていたから出るのは少しためらわれたし、
いきなり不用心にドアを開けることに対する抵抗はないでもなかったが、
どうせうちには盗られるものなんて何もないと開き直って戸を開ける。
そこには不機嫌極まりない顔をした姉貴がいて、じっとこちらをにらみつけていた。
「何だ姉貴か。カギくらい持ってるだろ? なんで開けないんだよ」
「……うるさいわね」
そう言ってふらふらと俺の横をすり抜け、和室の布団に倒れこむ。たちまち部屋は酒臭くなった。
どうでもいいけど、そこ俺の寝床なんですけど。あんたには立派なベッドがあるでしょうが。
だが俺の思いも空しく、姉貴は布団にうつ伏せになったまま不満タラタラのご様子だった。
いつもは酒量をわきまえる姉貴が珍しく二日酔いらしく、辛そうな声で愚痴をこぼし続ける。
発言が支離滅裂なのでよくわからなかったが、要するに飲み会で何かあったようだ。
正直言っていい気味だとは思ったが、いつまでも放っておく訳にもいかない。
寝転がる姉貴の肩をゆすり、努めて優しい言葉をかけてやる。

「姉貴、ほら着替えて。シャワー浴びたらすっきりするから」
「うるさい、余計なお世話よ。ほっといて」
実に可愛くない発言である。まあ姉貴らしいっちゃらしいけどさ。
「しかもそこ俺の布団だしさ。寝るなら自分のベッドで寝なよ」
「どうでもいいでしょ。いいからあっち行け」
「姉貴、姉貴ってば」
「…………」
駄目だこりゃ。手の施しようがない。
困った俺はとりあえず昼飯にしようと湯を沸かし始めた。
さてラーメンにするかスパゲッティにするか。米の飯は残ってないしな。
「あーうざい。あいつ何よ、信じらんない……」
隣の和室では相変わらず姉貴の愚痴が続いている。二日酔いなんだから寝てりゃいいのに。
たった二つの年の差なのに、なんで俺は姉貴に逆らえないんだろうか。
散々好き勝手言われてこき使われて、褒められるどころか毎日が罵倒の嵐。
性格と言ってしまえばそれまでなんだが、いい歳した男としては何とも情けない話だった。
とはいえ姉貴も就職したらこの部屋から出て行くはずだし、それまでの辛抱なんだけどさ。
沸騰した鍋に麺を入れつつ、俺は野菜をきざみ始めた。

夕方になっても姉貴は起きてこなかった。
晩飯は食うんだろうか。食うなら二人分のメシを作らなきゃいけないし、
姉貴が食わないなら俺は適当にコンビニ弁当で済ませるつもりだった。
布団で横になった姉貴を揺り起こすが、やはり機嫌は直っていなかった。
「姉貴、姉貴。メシどーすんの。食うなら何か作るけど」
「……どうでもいい」
「どうでもいいって何だよ。食うの食わないの」
「……それじゃ、何か作って」
姉貴は濁った眼差しで俺を見上げた。あまり目を合わせていたくない瞳だ。
俺は内心の苛立ちを隠すように立ち上がり、近くのスーパーに買い物に行こうと
上着やマフラー、手袋を用意した。今日も寒いからな。
本当は冷蔵庫にあるもので一食分くらい作れなくもなかったが、
あの状態の姉貴と二人でいるのが嫌だったこともあり、俺は仕方なく家を後にした。
やれやれ、よくわからんけどあんなんじゃこっちにまで負のオーラが移っちまうよ。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
34俺の愛するクソ姉貴(4/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:21:54 ID:IE8Q0Ifm
この寒いのにスーパーの中はそこそこ混んでいた。
ここは夕方六時を過ぎるとタイムセールだとかでかなり安くなるのだ。
俺は主婦ほど食費にこだわる男でもなかったからあまりいい気はしなかったが、
とりあえず目当ての惣菜と卵、数種の生野菜を確保し早々にレジに向かった。
布団を占領して腐り続ける姉貴のせいで俺も不機嫌だったので、
ビニール袋に品物を突っ込むときに思わずため息が漏れた。
「……ふう」
慣れてることとはいえ、姉貴に振り回されるのはやはりしんどい。
どうせ後でまた俺に八つ当たりしまくるに決まっている。それを思うと気分が重かった。

そんな哀愁の俺に、横から声をかけてくるやつがいた。
「どうしました。うかない顔ですね」
「なに?」
突然のことに隣を振り向いた俺は――絶句した。
歳は俺よりいくつか下、制服は着ていないが多分高校生くらいだろう。
知り合いでも何でもない少年が俺のすぐ横に立って、じっとこちらを見つめていた。
だが俺が驚いたのはいきなり声をかけられたことじゃない。
そいつの顔、あまりにも整いすぎた美貌に驚愕していたのだ。
俺の周囲どころか、テレビや雑誌で有名な俳優やモデルにもこんな美形の男はいやしないだろう。
端正すぎる顔は仮面のように人間離れしていて、いっそ作り物かとさえ思わせる。
そんなやつが爽やかな笑顔を浮かべて俺の隣にたたずんでいた。
こんな美少年がその辺のおばさんたちの目に入らないはずはないが、周囲の客は皆
俺とこいつのそばを通り過ぎ、こちらに視線を向けようともしない。
あまりの動揺に俺は返事をすることもできず、呆然としてこいつを見つめ返すだけだった。

立ちすくむ俺に、透き通るような少年の声がかけられる。
「大変そうですね。何かお悩みですか?」
「あ、ああ……いや――」
何でもない、と言おうとした俺を遮って少年が続けた。
「食材、一人分にしては多いですね。今日は友達か恋人とご一緒ですか」
「…………」
「ひょっとして、さっきのあなたのため息はそれが原因ですね?」
「い、いや……」
何なんだこいつは、いやに馴れ馴れしい。もしかして高校生探偵か何かか。
本来なら怒鳴りつけてこいつをどかせる場面だったが、なぜか俺の体はそうせずに
少年のにこやかな笑みにすっかり毒気を抜かれてしまっていた。
「ちょっとお話をうかがいましょうか。手短で構いませんから」
そう言って微笑む少年に逆らうことができず、俺は気がつけば今の状況と、
普段から抱いている姉貴への不満を残らずこいつに喋ってしまっていた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
35俺の愛するクソ姉貴(5/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:22:31 ID:IE8Q0Ifm
店を出た頃には夕方というより夜になっていた。
「う、外に出るとやっぱさみーな……」
北風に吹かれつつビニール袋をかかえて家路につく。
あいつのせいで少し遅くなってしまったが、姉貴はどうしているだろうか。
大人しく待っててくれればいいが、また俺に当たってくるかもしれない。
それにしてもあの少年、普通の人間とはどこか違った不思議な雰囲気を持っていた。
俺の話にうんうんとうなずいて同情してくれたっけ。そのまま帰っちゃったけど。
何者だったのかよくわからないが、まあ過ぎたことはどうでもいい。
とにかく急いで帰って晩飯にしないとまた姉貴に怒られる。
寒さと恐怖にブルブル震えながら、俺は自宅に向かって急いでいた。

「ただいまー! 姉貴、遅くなってごめん! 今飯にすっから」
姉貴はきょとんとした顔で布団に座っていた。機嫌を損なった様子は全くない。
良かった、この調子だと理不尽に怒られることはなさそうだ。
そう安心した俺に、立ち上がった姉貴がいきなり飛びかかってきた。

「おにーちゃんおかえりぃっ!」

「――――っ !?」
とっさに何が何だかわからんかった。
俺は中肉中背だが姉貴はかなり長身で、ヒールを履くと目線がほぼ同じ高さにくる。
そんな姉貴が満面の笑みを浮かべて俺に抱きついてきた訳で、危うく倒れるところだった。
しかし、これは一体どういうことだろう。
家族の前では唯我独尊を地でいくあの姉貴が、俺に抱きついてあまつさえ頬ずりまでしてくるのだ。
自慢じゃないが物心がついて以来、俺はこんなことをしてもらった覚えがない。
また酔っ払っているのか、それとも二日酔いが治っていないのか。
俺は何とか姉貴を振りほどき、テーブルに置いたビニール袋の中身を広げだした。
飯は出かける前に炊いていったので大丈夫、いい感じに炊きたてだ。

「ほら姉貴、飯。から揚げ買ってきたから」
「えー、今日はおにーちゃんとご飯ー?」
姉貴は今まで見たことがないほどのにこにこ顔で楽しそうに笑っている。
これはひょっとすると、病気か何かで頭がおかしくなっちまったのだろうか。
椅子に座った姉貴の額に手を当ててみるが、特に問題はなく平熱のようだった。
外から帰ってきたばかりの俺の手が冷たかったらしく、姉貴はその手をとってまた笑う。
「おにーちゃん、手、冷たいよ! あははは!」
「姉貴、ホントにどうしたんだ……大丈夫か……?」
酒の飲みすぎで脳溢血にでもなったのか。救急車呼んだ方がいいだろうか。
心配する俺を気にもせず、姉貴は無邪気な笑い声をあげてほかほか湯気のたつ茶碗をとった。
「じゃ、いっただっきまーす!」
ところが心なしか箸の持ち方がおかしい。しかも食べながらよくこぼす。
いくら俺の前でも、あの姉貴がここまでだらしなくなるはずはないんだが……。
俺が本気で心配になってきた頃、うちの呼び鈴が鳴った。

――ピンポーン……。
「あ、はい?」
“大和! 私よ私! ここ開けてえっ!”
「……えーと、志麻ちゃん?」
戸惑いつつもドアを開けると、元気一杯の女の子がうちに飛び込んできた。
可愛い顔も綺麗な黒髪もいつも通り。お隣の小学生、志麻ちゃんだった。
しかし志麻ちゃんはどこか慌てた様子で靴を脱ぐと、俺が止める間もなく
勝手にうちに上がり込み、リビング兼ダイニングのドアを開けていた。
「ああっ !! やっぱり私、私がいるっ!」
「あれ? あたし?」
姉貴と志麻ちゃんは大声をあげてお互いを指し合う。
……はっきり言って俺には、何が何だかさっぱりだった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
36俺の愛するクソ姉貴(6/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:23:35 ID:IE8Q0Ifm
とにかく状況を把握しようと、俺と姉貴と志麻ちゃんはテーブルを囲んで座っていた。
二人の言うことはやはり俺には理解しがたいものだったが、それでも俺は何とか時間をかけて
この異様な状況を現実のものとして受け入れようとしていた。
「えーっと、つまり……こっちが志麻ちゃん?」
頭をポリポリかきながら姉貴を指差す。
いつも俺をにらんでくる冷徹な顔がへらへら笑っているのはこの上なく滑稽だったが、
それを言えばまた怒られてしまいそうだ。
「そーだよ、あたししま!」
「それで、こっちが姉貴?」
ピンクのジャケットを羽織る小学生に目を向けると、志麻ちゃんは悔しそうに唇を噛んだ。
泣きそうなのをぐっとこらえて俺を見上げる表情は七つの子供のそれではなく、
すっかり大人びたものだった。見た目は子供、頭脳は大人ってこんな感じかね。
俺は軽く息を吐いて椅子の背もたれに体重を預けた。
まだ新しい木の椅子がギシギシと音を立て、俺の耳を不快にくすぐる。

「しっかし、入れ替わったと言われてもなぁ……」
「ちょっとあんた、まだ疑ってんの !?」
志麻ちゃんに怒鳴られ、慌てて背筋を伸ばす。
それにしても昨日まで可愛い顔して俺に懐いてた女の子がこんなに生意気になっちまって、
おにーちゃんは悲しいですよ。いやわりとマジで。
逆に姉貴はというと、先ほどから俺の隣で楽しそうに自分の胸や服をぺたぺた触っている。
昨日飲み会に出かけたまま着替えておらず、黒のカーディガンと
白黒チェックの暖かそうなスカート姿だった。
化粧はすっかり崩れているが、まあ元からそんなに濃くはないし、気にするほどでもない。

「いや信じるけど……てか信じるしかないだろ。二人とも様子がおかしすぎるしさ」
そこでカップを持ち上げ、口元で傾ける。熱い緑茶が食後の胃に染み渡った。
二人の言う通り、姉貴と志麻ちゃんの心が入れ替わっているのは間違いないだろう。
二人して俺をかついでいるとも考えられるが、それにしては演技が上手すぎる。
姉貴が志麻ちゃんに、志麻ちゃんが姉貴になってしまったと考える方が俺には違和感がなかった。
こんなの漫画やドラマの世界だけにしてほしいが、まあなってしまったものは仕方がない。
俺は努めて冷静な口調で、黒髪の少女に言った。
「とにかく、元に戻る方法を探さないと」
「元に戻るって……どうすりゃいいのよ」
「そうだなあ。とりあえず頭でもぶつけてみる? 月並みだけど」
志麻ちゃんは黙って首を横に振った。
むっつりして真剣な眼差しで俺を見つめてくるロリ顔が意外と可愛い。

「そもそも今日、私と志麻ちゃん顔合わせてないのよ?
 飲んで帰って不貞寝してて、起きたら隣の家でこの子のご両親と一緒だったんだから。
 もうビックリなんてもんじゃなかったわよ」
「うーんそうか、二人とも接触がなかったんだよな……」
しかし何の原因もなくいきなり入れ替わるとは考えにくい。
二人揃って幽体離脱したとか怪しい薬物を口にしたとか、何らかの原因があるはずなのだ。
俺と志麻ちゃんは頭を抱えたが、いくら考えても解決方法は見つからなかった。
37俺の愛するクソ姉貴(7/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:24:31 ID:IE8Q0Ifm
そうこうしているうちに。
――ピンポーン……。
「あ、はーい?」
「こんばんは。すみません、うちの志麻がお邪魔してませんか」
隣の家から志麻ちゃんのご両親がいらっしゃった。娘を引き取りに来たという。
俺は玄関に立ったまま後ろを振り向き、黙って少女を見下ろした。
「…………」
「な、何よ大和。その目は」
「いやほら、ご両親が迎えに来たよ。姉貴」
言うまでもないが、姉貴は志麻ちゃんになっているので
事情を知らないご両親はこの尊大女を実の娘だと思っている。
「ち、違うわよ! 志麻ちゃんはあっち!」
「そんなの通じる訳ないだろ? とりあえず今日のところは帰りなよ」
「志麻、早くお風呂に入って寝ないと、明日も学校でしょう?」
今年から小学校に入った志麻ちゃんは真っ赤なピカピカのランドセルを買ってもらっていた。
姉貴はそれを見て“あ〜可愛い、私もあの頃に戻りたいわ”なんて言ってたけど、
まさか本当に小学生になっちまうなんて思ってもみなかっただろう。
ちなみに姉貴になった志麻ちゃんは話がややこしくならないよう、奥に引っ込んでもらっている。
という訳で両親に抱っこされてお隣に帰っていく志麻ちゃんを、俺は笑顔で見送ったのだった。

食器を片付けて一息つき、姉貴はテレビの前でゴロゴロ寝転がった。
仰向けになってだらしなく腹を上に向ける姿は珍しすぎる光景だったが、今はしょうがない。
とりあえず姉貴になった志麻ちゃんには“今日はうちでお泊りだから”とだけ言っておいた。
自分が別人になっていることを自覚してるのかしてないのか、彼女はにんまりうなずいてみせる。
「今日はおにーちゃんちにお泊りだー!」
なんてはしゃぐ姿はとても違和感があるというか、ちょっと気持ち悪かった。
とにかく何とか元に戻る方法を探さないと、このままだと――。

「あれ?」
ここで俺は盲点だった思考回路の隙間に気がついた。
姉貴の中身が無知で素直な子供と入れ替わってる今の状況。
確かに姉貴になった志麻ちゃんは困るだろう。
いくら見た目が大人でも中身がガキじゃ、まともな生活なんてできやしない。
志麻ちゃんになった姉貴の方も、せっかく就職して人生これからってときに、
ちんちくりんの子供になって人生をもう一度やり直すなんてご免だろう。
だがそれ以外の人間――特に俺みたいな身内からすればどうだ?
小さい頃から威張り散らして俺を虐げてきたあの悪魔がチビの幼児になり、
真っ赤なランドセルをしょって小学校に通う。
それで姉貴の体の方はといえば、無垢な少女の心が入って実に素直。
俺が呼ぶと“なーにおにーちゃん?”とかいって笑い返してくれるんですよ。

ひょっとすると、これは俺にとってすごく美味しい状況じゃなかろうか。
何しろ今ここでゴロゴロしている姉貴の体は、俺に全く逆らわない無知状態。
いくら好き勝手をしても怒られるはずがない。
俺は自分が高揚していくのを感じながら、くつろいでいる姉貴の体に声をかけた。
「……志麻ちゃん」
「なーに、おにーちゃん?」
「遅くなってきたし、そろそろお風呂入ろっか。お兄ちゃんが一緒に入ってあげるよ」
あどけない瞳で俺を見つめる姉貴。普段こんなことを言えば半殺し確定なのだが、
今の姉貴は無力な赤子同然だ。素直に首を縦に振って喜んでくれる。
「うん! お風呂お風呂ー!」
俺は姉貴の頭を撫でつつ、ひとり邪悪な笑みを浮かべていた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
38俺の愛するクソ姉貴(8/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:25:26 ID:IE8Q0Ifm
浴室の隣で興奮を抑えつつ、手早く姉貴の服を脱がしていく。
その間、姉貴は全く逆らわず俺にされるがままだ。完全に俺を信用しきっている。
姿見に映ったレースの下着、そして自分の胸についた大きな二つの肉の塊に
彼女は大いに驚いていたようだった。何しろ姉貴、性格は最悪でもスタイルは抜群だからな。
「ほら。志麻ちゃんは今、お姉ちゃんになってるんだよ」
「ホントだ、面白〜い! おっぱいぶるんぶるん!」
楽しそうに飛び跳ねて露になった巨乳を揺らす。
大きい癖に張りがあり、肌は白くて形も整った、かなりの美乳と言えた。
中学のときからデカくなり始めてたけど、まさかこんなに育つなんてな。
俺は全裸になった姉貴の後ろに回りこみ、ためらいもなくその乳房をつかんでやる。
「志麻ちゃん。大人のおっぱい、すごいだろ?」
「すごーい! すごく柔らかくて……ん、なんかくすぐったいよ……」
エロオヤジのようにギュッギュッと姉貴の胸を揉みしだく俺。
何とでも言え、これは復讐なんだ。二十年間姉に虐げられた哀れな弟の復讐なのだ。
姉貴は抵抗もせず大人しく俺にでかい乳房を揉まれている。

最初のうちは楽しそうにはしゃいでいた彼女だったが、しばらくそうするうちに
だんだんと顔は赤らみ、吐く息にも甘いものが混じり始めていた。
中身は子供でも体は大人の女、一人前に感じているようだ。
「んあっ、はあ……お、兄ちゃ、はあっ……あたし、変……」
既に乳首はピンと立って程よくつまみやすくなっている。
それを両の指で挟んでつねり上げる感触がまたたまらない。
ちょっと強く挟んでやると、姉貴は声を上げてその場に膝をついた。
「あはあっ…… !?」
「ごめん志麻ちゃん、おっぱいで遊びすぎちゃったね。大丈夫?」
「はあ、はあっ……うん、大丈夫……」
昔からそれなりにモテる姉だったが、やはりいい体をしている。
本人はいつも体重を気にしていたが、それは長身でボリュームのある肉体だからであって
このくびれた腰といいしなやかな肢体といい、決して太っているようには見えない。
胸も尻も肉づきがよく、実に男受けのする――しかも俺好みの――ボディと言えた。

俺は素っ裸の姉貴を押し込むように風呂場に入り、そっと椅子に座らせた。
「志麻ちゃんは、いつも一人でお風呂に入ってるの?」
「ううん、お父さんかお母さんと一緒。頭洗ってもらうの」
「そう。じゃあ今日はお兄ちゃんが洗ってあげるよ」
うなずく姉貴の頭に湯をかけ、シャンプーをつけてごしごししてやる。
高校は校則の厳しいところだったから、髪を染められないってよくぼやいてたっけ。
一部を除いてすっかり綺麗な茶色になった姉貴の髪を泡立て、俺の手が洗ってやっている。
長い髪は洗うのがめんどいとよく言ってたけど、確かに手間がかかる。後始末も大変だろう。
俺もところどころ尖らせた感じの黒髪だから、濡れるとかなり情けなくなるんだよな。
そんな物思いにふけりつつ、再び湯をかけて洗い流す。
「……んっ!」
「志麻ちゃん、どうしたの?」
「だ、大丈夫。ちょっと目にしみただけ」
そう、とうなずいてタオルで顔を軽くこすってやった。
表情も仕草も実に素直で微笑ましい。まさに俺が好き勝手できる理想の姉貴だ。

姉貴の長い髪を苦労の末にようやく洗い終えた俺は、
今度はスポンジにたっぷりボディソープを塗りこみ、ごしごしそれを泡立てた。
座る姉貴の後ろに膝立ちになり、じっとする彼女の腕をとって洗ってやる。
「志麻ちゃん、気持ちいい?」
「うん、あったかい」
純真無垢な幼女に悪戯するともなれば心が痛むが、体はうちのクソ姉貴だ。全くもって問題ない。
俺は下心満載で姉貴の体じゅうをこすり立て、隅々まで念入りに磨いてやった。
残るは乳房とあそこだけ。なんで後回しにしたかは推して知るべし。
39俺の愛するクソ姉貴(9/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:25:50 ID:IE8Q0Ifm
「じゃあおっぱい洗うからね。今の志麻ちゃんのは大きいから、念入りに洗わないと」
「うん……」
泡のついたスポンジが優しく姉貴の体を這い回り、胸の膨らみをなぞっていく。
「あ……はぅっ……!」
先ほどの愛撫で肌が敏感になっているようだ。軽く撫でただけでも声が漏れる。
興奮を必死で抑えて乳房の先端、硬い突起をこすり立てると姉貴は声をあげて仰け反った。
「ああぁっ !!」
「志麻ちゃん……気持ちいい?」
同じ質問をもう一度。今度はすぐには返事がなかった。
左手で左の乳房を、右手のスポンジで右の乳首を丹念に刺激してやる。
男に敏感な双丘をいじられる初めての快感に姉貴は喘ぎ、熱い呼吸を繰り返した。
掌中で躍る塊は自在に形を変えながらも、俺が力を抜くとまたすぐに元の姿を取り戻そうとする。
饅頭ともゴムとも違う、まさに生きた姉貴の肉を弄びながら、俺は愛情と劣情に頭を支配されていた。
「あっ……あんっ、ふあぁっ……!」
可愛らしい姉貴の喘ぎ声。……可愛いだって? このクソ姉貴が?
いつも俺を罵り倒すこの口が、今は甘い声で気持ちよさそうに鳴いている。
いつも視線を向けるだけで殴られるこの胸が、今は俺の思うがままに揉まれている。
そう。いつも憎たらしくて仕方がないはずの姉貴が、今は可愛くて可愛くてたまらないのだった。

姉貴の耳元にぼそりと囁いてやる。下も洗うよ、と。
「う、うん……」
わかっているのかいないのか、彼女はためらいがちにうなずいた。
もはや先ほどまでの明るい表情はどこにもなく、少し脅えたようにおどおどした態度ではあったが、
だがその中にほんのわずかながら、未知の体験に期待するような素振りを俺は見逃さなかった。
きっと頭の中では未熟な理性が肉欲の波に押し流されそうなんだろう。
無理もない。昨日まで真新しいランドセルを背負って小学校に通っていた女の子が、
いきなり二十歳過ぎの大人の女の体になって男に抱かれようとしているのだから。
善人ならばチクチクと良心が痛むこの状況だが、生憎と今の俺にそんなものはなかった。
座った姉貴の後ろから手を伸ばし、お待ちかねの秘所に這わせる。

「あ……」
呆けた声も可愛いが、それ以上に艶かしさが強かった。
太ももを押さえつつ泡の残ったスポンジで慎重に股間をこすり、反応を確かめる。
「大丈夫、志麻ちゃん?」
「うん、ダイジョブ……」
乱暴にゴシゴシしたい衝動を抑えつけ、股の部分にたっぷりと泡を塗りたくる。
陰部が充分に泡立ったのを確認すると、俺はスポンジを洗面器に放り込み、生の両手を差し出した。
「ここは特に汚いから、お兄ちゃんが手でしっかり洗ってあげるよ」
「え、そ、そう……?」
そうだ。ここはこれから俺が存分に汚してやるところなのだ。ちゃんと洗っておかないと。
黒い性欲に知らず知らず俺の顔が歪んでいき、声も低く暗くなる。
「そうそう。ちょっとくすぐったいかもしれないけど、痛くはないから大丈夫だよ」
「う、うん……」
俺の腕が伸び、左右の指が姉貴の割れ目を押し開いた。
そこから明らかにボディソープとは違う、糸を引く粘液が一筋垂れる。
恐怖からか戸惑いからか、もしくは期待からか、姉貴の体は震えていた。
40俺の愛するクソ姉貴(10/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:26:39 ID:IE8Q0Ifm
大陰唇の内側、両の肉びらをこねるように指の腹でこする。
指についた泡はぬめりを与え摩擦をスムーズに、そして柔らかくした。
人差し指と中指でキュキュッと軽く、だが執拗に撫でる。
まだ手をつけたばかりだというのに姉貴の背筋にゾクリとしたものが走った。
「ひあっ……ん、んん、あぁっ!」
身を竦ませた拍子に馬鹿デカい乳がブルンと揺れる。
初めての感覚――性器を愛撫される快感に振り回されているんだ。
こないだまで幼稚園に通ってた子だ、まったく無理もない。
しかしそれを意識しても俺の手はいささかも止まらず、むしろヒートアップしていく。
小陰唇を広げ、熱を帯びた膣の中に指を一本差し入れた。
「やあっ! 何か入って――あ、ああっ、あっ!」
「中も洗わないと汚いよ? ほら、お兄ちゃんが指で洗ってあげるから……」
後ろから姉貴にそう言い聞かせつつ、俺の手は彼女を苛み続ける。
真っ直ぐ伸ばした指は第二関節まで中に埋まり、熱い肉に締めつけられた。
蜜の量も順調に増え、淫らな音をたてるほどになっている。
いくら生理的な現象とはいえ、この濡れ方はさすがにエロすぎるように思われた。
姉貴の体が、俺の手で興奮してやがる――その思いに俺も高ぶっていく。

指が淫靡に蠢き、女の肉をもてあそぶ。
やがて俺の手は性器の上部、立ち上がりつつある肉の豆を捕捉した。
濡れた指が包皮をこすり、中にある陰核を責めたてる。
「ひうっ !! そこダメっ、やぁ、やぁあぁっ !!」
姉貴は背を反らし両手をバタつかせたが、何の抵抗にもならない。
ただ椅子から落ちそうになり危なっかしいだけだ。
膣内に侵入してくる俺の右手と、豆をしごく俺の左手。
二点を同時に責められ、年端もいかぬ少女の精神が耐え切れるはずがなかった。
カクンと上を向いてひときわ高い嬌声をあげ、熟れた肉体を跳ねさせる。
「……ああぁあぁぁあぁっ !!!」
甘くて熱い声。本来は初潮も迎えていない幼女の、絶頂の愉悦だった。
中もいい感じに締まり、突き入れた指をきつく挟み込んでくる。
自然と俺の顔が綻び、姉貴のむっちりした胴を抱きしめた。

「あふ、あふうぅっ……ふぅ……」
「志麻ちゃん、大丈夫?」
「はあ、はあ、はあぁ……」
男にイカされるという体験。あまりの刺激だったのだろう、
姉貴は椅子に座ったまま俺にもたれかかり、ぐったりした体を緩ませた。
意識があるのかも怪しいが、俺の忍耐もいい加減限界にきている。
硬く張りつめた肉棒は姉貴の尻に当たり、汚らしい粘液を肌にこびりつけていた。
――駄目だ、もう我慢できねえ。
姉貴の身を床に横たえ、後頭部を打たないように寝かせてやる。
もちろんここは狭い浴室。長身の姉貴の体ではそうそう無理はできないが、
俺がその下半身を抱えて持ち上げてやると何とかなりそうだった。
両脚を開かせ、ぱっくり口を開けた陰部がよく見える形にした。
下の唇から垂れるよだれが実に艶かしく、俺の股間をますます硬くさせた。

「はぁ、ふぅ……お、兄ちゃ……?」
とろんとした目をこちらに向けてくる姉貴。自分が今から何をされるのかもわかっていない。
このまま無言で犯してやってもよかったが、せっかくだし嘘の知識でも教え込むか。
俺の口は自然と動き、優しい声で姉貴に語りかけた。
「志麻ちゃん。ここは汚れてるからさ、ちゃんと奥まで洗わないとダメなんだ」
「え、そ、そう……なの?」
「だからお兄ちゃんが、これで志麻ちゃんをキレイにしてあげるね」
そう言って姉貴の太ももを両手で担ぎ、俺は女の中を突き進んでいった。
41俺の愛するクソ姉貴(11/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:27:16 ID:IE8Q0Ifm
「あ……ああっ…… !?」
猛りきった俺の肉棒が姉貴の膣へと侵入を開始する。
熟れた肉壷が男のモノをくわえ込み、嬉しそうに蜜を垂らす。
既にイった膣内は容易に俺を受け入れつつも、ヒダを絡めて竿と先とをしごき上げてきた。
「いや、何これぇ――へん、変だよぉっ…… !!」
「気持ちいいかい? 中をゴシゴシされるの、すごくいいだろう」
「ん、んあっ! あぁっ、あああぁっ!」
先ほど絶頂を迎えたばかりの幼い心はキャパシティを超え、あられもない声をあげるだけ。
陰茎が半分ほど埋まった俺の性器が円を描き、姉貴のそれをこねくり回す。
俺だって経験がない訳ではないが、その俺に言わせても姉貴の中は最高だった。
この肉のうねりといいツユの垂れっぷりといい、いずれも至高の快感だ。
ねっとり棒を絡めとる膣壁がグニャグニャ蠢き、気持ちいいことこの上ない。
姉貴のやつ……こんな名器を持っていたとは、やはり侮れない相手である。
しかしいくら姉貴が凄くても、今はろくに九九もできないロリ頭。
俺に犯されて訳もわからず本能で腰を振るこの姿、実にそそられる。
あの姉貴が、俺にとっては恐怖の絶対君主そのものだったあの高飛車な女が、
風呂場で俺のチンポを突っ込まれてよがっているなどと――。
興奮と背徳の二重螺旋に巻かれ、俺は果てしなく高ぶっていった。

腰を打ちつけ一番奥、女の最深部に亀頭を叩き込む。
息を詰まらせる女体を抱え、ゆっくり肉棒を引き抜いてかき混ぜる。
雁首を軽く中に引っ掛け、また突き当たるまで全速前進。
ゴムもつけない生での挿入に俺も姉貴もゾクゾク背筋を震わせ、お互いを貪り合った。
「やあぁ……あたし、あたし――んっ、んんんっ !!」
「いいよ、志麻ちゃん……最高だ……!」
「はんっ! やあっ、あっ、ああぁんっ !!」
甘い声、熱い息。温かな肉が俺を包み込んで離さない。
同じ親から生まれた姉弟の肉体が、子作りのために激しく絡み合っている。
子作り――頭をよぎるその言葉に、俺の理性が戦慄した。
姉貴の危険日など俺が知るはずもないが、もし万が一にも今日だったら。
そして生で挿入して姉貴の中をかき回している俺の息子が爆発したら。
さすがにヤバいという思いと、いいからこのまま中出ししちまえという誘惑が
俺の頭を挟み込み、良心と欲望の争いを引き起こした。

姉貴は俺にがっちり腰をつかまれ、冷たい風呂場の床に仰向けで横たわっていた。
その口から漏れるのは艶かしい嬌声、固定された身をよじり俺を求めてやまない。
「ひあっ、お、おにいちゃっ! はぁんっ、やあぁっ !!」
キツい顔立ちもスタイル抜群の長身もいつもの姉貴そのまんま、だが目は虚ろで意思を失い、
快楽の波に流されるまま息と唾とを吐き散らした。
俺と繋がった結合部も腐りかけの果実のようにグジュグジュで、
前後に動くたびいやらしい音を立てまくる。
「ひううっ! うあぁ、ああんっ !!」
「う――そろそろ、出るっ……!」
姉貴の中で暴れ回る陰茎ももうすぐ限界、陰嚢が小さく痙攣して射精が近いことを知らせてきた。
無論この時点で俺のわずかな良心が屈服していたことは言うまでもない。
こんな女なんかに、誰が気を遣ってやるものか。
俺の腕が姉貴の体を力の限り押さえ込み、張りつめた肉の槍を根元まで思い切り突き入れた。
42俺の愛するクソ姉貴(12/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:28:16 ID:IE8Q0Ifm
そして――。
「ああぁっ! ああっ、あっ、ああぁっ…… !!」
姉貴の呼吸が止まり、汗ばんだ体が緊張と共に縮こまった。
それと同時に熱すぎた膣内が収縮し、絡みついたヒダが竿をきつく締め上げる。
たまらない姉貴のイキっぷりに俺も問答無用で絶頂を強制され、白い光が頭の中に広がった。
――ビュル、ビュルルッ、ビュルルルルルゥッ !!
一体どこから出てくるのかと疑問に思うほどの精液が姉貴の膣内に注がれていく。
二十年間積もり積もったこの女への鬱憤――それが今解き放たれて、遠慮なく胎内を突き進む。
後悔や罪悪感など欠片もなく、俺は快楽と満足の真っ只中にへたり込んでいた。

「ふう……」
ようやく尿道の汁が止まり、息を吐いて萎えた肉棒を引き抜く。
その拍子に肉のついた女体が痙攣し、ぽっかり口の開けた肉壷から白い濁りが溢れ出した。
「あ、ああ……あっ、あひっ、あひぃ……」
だらしなく開いた唇からよだれを垂らし、半死半生の体で喘ぐ姉貴。
何とも妖艶で綺麗な、そして可愛らしい姿だった。
初めて見る姉貴のアヘ顔。その魅力は俺の乏しい語彙では表現不可能である。
生唾をゴクリと飲み込み、股間のモノが再び硬度を取り戻す。
――もう一発ヤっちまったんだし、あと何回しても一緒だよな……。
雄の本能を突き動かされた俺は、再度姉貴の腰をつかみ、蜜の滴る陰唇に自分自身をねじ込んでいった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

街が夜の帳に包まれる頃、俺はいい気分で帰り道を歩いていた。
ここは閑静な住宅街、立ち並ぶ家の隙間に細い道路が網の目のように張り巡らされている。
無愛想なコンクリートの塀もアスファルトの道路も、今の俺には輝いているように見えた。
そう、俺は素晴らしく上機嫌なのである。音程の外れた鼻唄が無意識のうちに流れ出すほどだ。
「ふはははは、もうすぐ家だ! パパ今帰るからなーっ!」
すれ違った二十歳ほどの女が俺を見るなりビクッと震えてダッシュしていったが、気にしてはいけない。
階段をスキップして駆け上がり、俺は団地の三階、狭いながらも楽しい我が家にたどり着いた。
ドアを開けるのももどかしく、大声を出してしまう。
「たっだいまー!」
「あ、おかえりなさーい!」
玄関に顔を見せたのは黒髪を肩まで伸ばした若い女だった。
灰色縞模様のワンピースと青いデニムパンツという装いで、花柄のエプロンと笑顔が何とも愛らしい。
靴を脱いだ俺が腕を伸ばしてその身を抱き寄せると、同じく俺を抱き返して唇を重ねてくる。
「んっ……今日もいい子にしてたか?」
「うん。あたしもいずみもいつも通りだよ」
そうかそうかとうなずいて抱きしめる。長身だが肉づきは悪くなく、抱き心地は素晴らしい。
この女の名前はよしの、由乃と書く。俺の愛する女である。
俺は名残惜しくも由乃の身を離し、カバンを渡して室内に足を踏み入れた。

「いずみ、ただいまー!」
「パパおかえりー!」
和室でゴロゴロ転げまわっているのは俺の娘、今年で三つになるいずみだ。
これがまた親馬鹿一直線になるほど可愛いのだが、残念ながらその詳細は省略することにする。
一度この愛娘について語り始めると止まらないのは、自分でもよくわかってるからな。
俺の視線は娘の隣、いずみを見つめて座っている少女に注がれた。
紺のブレザーとチェック柄の赤いスカート、今年中学生になったばかりの少女は
長い髪を光沢のある茶色に染め、ケータイを片手に俺の娘の相手をしていた。
楽しいときでもそうした素振りは見せないのがいかにもこいつらしい。
俺は余裕のある笑みを浮かべ、その女の子に話しかけた。
43俺の愛するクソ姉貴(13/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:28:46 ID:IE8Q0Ifm
「なんだ姉貴、また来てたのか」
「何よその言い方、来ちゃ悪いの?」
「いや、いずみが喜ぶからいいけどさ……いつもいつも面倒見てもらって悪いなあと思って」
「別にいいわよ。一応、私の子供なんだから」
そう言って志麻は寝転がったいずみの髪を撫でてやった。
少しぎこちない表情がまだ昔を引きずっているが、まあそれは仕方がない。
こうして現状を受け入れ前向きになってくれたのだから感謝すべきなのだろう。
そのとき由乃がおタマ片手に俺たちの会話に割り込んできた。
「みんなー、ご飯できたよー!」
「ママー!」
立ち上がって由乃に飛びつくいずみ。そのあどけない仕草といい
サラサラした黒髪といい、幼いながらも整った目鼻立ちといい、鼻血が出るほど可愛らしい。
志麻も抱き合う二人の姿に目を細め、後ろで羨望の視線を送っている。
俺はそんな志麻の手を取り、爽やかな顔で食卓へといざなった。

俺と由乃は家族ではあるが夫婦ではない。事情を説明するとややこしくなるが、
戸籍上は血の繋がった実の姉弟ということになっている。
その二人がこうやって一つ屋根の下で仲睦まじく暮らし、あまつさえ子供までもうけている。
親戚どころか知人友人全員にドン引きされた俺たちだが、夫婦仲は極めて良好だ。
困ったのが姉貴――というか、志麻の体になった姉貴――である。
何しろ自分の体を勝手に奪われ、代わりの肉体は何の力もない小学生の女の子。
そして元の体は中身が無知な幼女であるのをいいことに、俺にあれこれ性の知識を吹き込まれて
すっかりその虜になってしまい、挙句の果てに孕まされたとなれば軽く絶望できるレベルだろう。
あの頃の姉貴の様子を思い出すと可哀想になるが、それも最近は随分とマシになったと思う。
一つにはもう元には戻れないと割り切ったこと、もう一つはやはり娘のいずみの存在に違いない。
最初は遠慮がちに触っていただけだった姉貴も、だんだんいずみが大きくなるにつれて
可愛がるようになり、今ではすっかり面倒見のいいお姉さんになっている。
ただ、やはり元の性格は直らないのか、強気で派手な格好ばかりなのが気にかかるが。
まだ中一だというのに男漁りが趣味では志麻の両親に申し訳が立たない。

テーブルにつき、熱々のエビフライを口の中に放り込んだ姉貴が笑う。
「ん、おいしい! 志麻ちゃんも随分と上達したじゃない」
「えへへ、ありがとー! 大和さんのために頑張ってるんだ!」
「ほら大和、何か言ったらどう? 今のあんた、むかつくくらい幸せもんよね。
 知らない人が見たら、実の姉に手を出して子供まで作っちゃった人間のクズだけどさ」
この姉貴の言い方にもすっかり慣れた。事実は事実ではあるし、
それに姉貴も最近丸くなって冗談混じりの口調でしか言わないからだ。
直接は答えず、俺はビールをちびちびやりがなら少女に問いかける。
「なあ姉貴、姉貴も明日から連休だろ? 今日は泊まってけよ、家には電話しといてやるからさ」
「そう? じゃあそうするわ。こっちにも着替え置いてるしね」
「せっかくだし夜、俺とこいつが一戦交えるのを横で見とくか? そろそろ二人目欲しいんだけど」
「ばっ……! 馬鹿言うな、この馬鹿! そんな気持ち悪いもの――」
真っ赤になって唾を飛ばす姉貴は、見た目の歳相応に可愛らしかった。

とまあこんな訳で、俺たちは奇妙に歪みながらも平和で穏やかな毎日を送っている。
俺と由乃といずみと志麻と。俺と由乃の頑張り次第で家族がもうちょい増えるかもしれない。
姉弟揃って勘当されるわ親戚の集まりには一切呼んでもらえないわ、友達つき合いには困るわで
多少不便な面もないではないが、この幸せに比べれば些細な問題であろう。
俺と姉貴の愛の結晶、いずみの小さな体を抱っこして幸せにひたる俺に後ろめたさは微塵もなかった。
4430 ◆cW8I9jdrzY :2009/09/19(土) 01:31:37 ID:IE8Q0Ifm
以上となります。

鬼畜っぽくするはずがラブラブになってしまったのは仕様です。
わりと勢いで好き勝手してますが、どうか生暖かい目でご覧下さい。

それではこれにて失礼します。
45名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 11:03:33 ID:jWtE16r8
GJ!
鬼畜ラヴィ万歳!

姉弟なら苗字が違わないから
顔が似てないならばれにくいかも?
46名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 13:34:59 ID:jkeOwJsD
>>39
GJ
47名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 22:34:47 ID:KINoCQe4
エロいなあ
GJ
48名無しさん@ピンキー:2009/09/19(土) 22:35:30 ID:m9iYg0AA
新ジャンル:姉ロリ
49名無しさん@ピンキー:2009/09/20(日) 09:55:51 ID:PMmi9++i
前スレで話題になってたイヌネコだが
DVD化決定したようだ。ソースはこちら
ttp://inu-neko-movie.com/
楽しみにしてた方、良かったですね。
50名無しさん@ピンキー:2009/09/20(日) 11:08:03 ID:Vf61MDQA
>>48
幼女を姉の体にして犯すとか鬼畜過ぎて最高。
51名無しさん@ピンキー:2009/09/20(日) 16:15:20 ID:jA3E0sfU
>>39
いやぁ、すばらしいです!
突然成熟した女性の身体に入った小学生の女の子、最高です!

>>49
こちらも嬉しいニュース。楽しみにしましょう。
52名無しさん@ピンキー:2009/09/25(金) 20:52:31 ID:7aM1ZX61
ベン10ってアニメで主人公の相棒の少女と敵の女魔術師の入れ替わりがあって
結構良かったなと思いつつ保守
53イリュージョン1−1:2009/09/30(水) 00:39:59 ID:zdwNTW+N
マジシャンの手招きで舞台の袖から現れたのは、20代中頃の女性だった。
レオタードに包まれたその肢体…乳房は充分なボリュームを誇っているが、AVなどによく見られる全体的に肉付きが良すぎる…ぶっちゃけた意味でデブ…な意味での巨乳ではない。
ウェストは目をこらすまでもなくしぼられており、かつヒップはバストに負けずとも劣らないボリュームを見せつけている。
その肢体の存在感をより一層強調しているのが、レオタードのデザインだ。
胸元や腰回りの思い切ったカットはもちろんのこと、脇腹やヘソ周辺の意図的な露出が、その大胆さを更に更に強調している。
もちろん、肝心な部分は布地の下なのだが、際どい部位の露出が、ギリギリのチラリズムとでもいうべき、妄想を最大限に加速させる要因になっていることは間違いはない。
少なくとも、その女性が現れた瞬間の歓声は、マジシャンはもちろん、その他の女性アシスタントの登場時よりも一際大きかった。
かなりのオーバーリアクションで歓声に応える女性の動きに、その歓声は更に大きくそして期待に満ちたものになる。
そして歓声が多少治まったころを見計らって、マジシャンは再び舞台袖に向かって手招きをする。
新たな美女の登場か。
観客の大半は皆そう思ったかもしれないが、現れたのはまだ10歳に満たない少女…というより女の子といった方がしっくりとくるような幼い子供だった。
この女の子もまた先ほどの女性同様レオタード姿だが、もちろんそのデザインは、比べモノにならないほどおとなしい。
色つきのワンピース水着といった方がピンとくるほどだ。
観客の表情と歓声には若干ならぬ失望が伺えたが、それでも舞台の流れ上、拍手だけはそれなりに鳴り響く。
マジシャンの左右、それぞれ脇に並ぶ形になった女性と女の子は、深々と頭を下げる。
と、それが合図だったかのように舞台の上に、2台のキャスター付きテーブルが引っ張り出された。
テーブルといっても、やや細長いその形は、人間が寝ころぶ様にちょうどいい大きさに見える。
そして、マジシャンに促されるままに、そのテーブルの上に仰向けに横たわる女性と女の子。
テーブルの高さはかなり低めなので、観客席からでも、テーブルに横たわる2人の姿を上から見下ろせる形になっていた。
続いて、再びマジシャンの手招きによって、ステージ上に現れたのは巨大な回転丸鋸だった。
54イリュージョン1−2:2009/09/30(水) 00:53:21 ID:zdwNTW+N
その丸鋸は、日曜大工用でホームセンターなどで売られているものの、数倍…いや、5倍以上の大きさがあった。
明らかに、子供ならその胴体をまっぷたつにできそうなその巨大な刃。
マジシャンのさりげない指先が動くと同時に、回転を始める丸鋸。
最初は鈍い回転音が、次第に甲高くそしてシャープな音へと変わっていく。
この鋸が偽物でないことを証明しようとするようにマジシャンが取り出したのは、男性の手首…いや二の腕ほどもある角材。
それを無造作に回転し続け丸鋸へと押し当てると…それは数秒ほどで2つへと切り分けられてしまう。
その瞬間、飛び散った木っ端に、観客全ては、これが偽物ではないと確信していた。
回転し続ける丸鋸が、ゆっくりと女性の横たわるテーブルへと近づいていく。
テーブルにくっつけられた丸鋸の台座。
そこに繋がっているレバーがゆっくりと倒されていくと、回転する丸自体もまた、倒れていく。
そして倒れていく先には、女性の脚…ほぼ股間といっていいほど際どい位置があった。
自分の柔肌に、遠慮も罪悪感も知らぬ機械の刃が近づいてくるというのに、女性は意識がないかのようにぴくりとも動かない。
そして、遂に回転鋸の刃が女性の肌をとらえた。
観客は誰もが飛び散る血飛沫を想像したことだろう。
しかし、それは見事なまでに裏切られた。
血飛沫は一滴も飛ばなかった。血だけではない。
肉体の破片といえるものは、おそらく微塵も飛び散ることはなかっただろう。
だが、それは鋸がとまったわけでもなく、女性実を捩って刃から逃れたわけではない。
先に述べたように観客席からは、テーブルの上の女性の姿は丸見えだった。
鋸がとまったり、女性が逃げれば、すぐにそうと分かったはずだ。
だが誰もがみていた。
今もまだ回転をし続けている鋸が、紛れもなく女性の脚に食い込んでいく様を。
55イリュージョン1−3:2009/09/30(水) 22:56:03 ID:zdwNTW+N
不意に鋸の回転が止まった。
マジシャンの手が切断されたばかりの脚をつかむと、それをゆっくりと持ち上げ、観客へと向ける。
本来ならば、滴るはずの血は一滴も落ちてはいない。
が、その切断面は驚くほどに鮮明だった。
骨格はもちろんのこと、切断された筋肉に血管がありありと見えた。
まるで図鑑か、解剖の標本の様だ。
だが、それは標本ではない。よく目をこらせば、血管や筋肉が脈動しているのが分かる。
続いて、反対側の脚も丸鋸によって切断される。当然と言うべきか、こちらからも血は一滴も出ない。
一度テーブルから離れた丸鋸は今度は上半身へと向けられた。
肩の辺りから、彼女の腕が切断されていく。
右腕、そして左腕。
脚同様に、切断された腕もまた観客へと切断面がみせつけられることになったが、やはり血は一滴もおちず、そして切断面に見える血管も筋肉も脈動していることが分かる。
マジシャンとアシスタントの手によって、四肢を切り落とされた女性の身体が抱き起こされる様に持ち上げられた。
血が流れ落ちていないにもかかわらず、手足のないその姿は猟奇的としかいいようがなく、すぐそばに転がっている手足が、陰惨さを更に強調している。
にも関わらず、女性の表情には苦痛も悲哀も感じられない。
それどころか、サービスのつもりなのか、観客にむかって笑顔を振りまいてみせている。
続いて、丸鋸が向かった先は、もう一人…あの女の子の方だった。
こちらもまた、遠慮することをしらず、女の子の四肢を切り落としていく。
そして、女性同様にマジシャンの手によって抱き起こされる女の子。
やはり手足を失ったその姿は痛々しいが、女の子の表情に浮かんでいるのもまた笑顔だった。
ステージ上に並んでいる、手足のない女性と女の子の姿。
それは、大小の姫ダルマを想像させるものがあったが、それは酷くタチの悪いユーモアと言えた。
彼女達の手足が間違いなく切断されたということを観客に納得させたところで、起こされていた2人の身体が再びテーブルの上に横たわらせられた。

56名無しさん@ピンキー:2009/10/01(木) 19:15:36 ID:QGRscNEw
昨日の夜からパンツ脱いで待ってるぜ
57イリュージョン1−4:2009/10/01(木) 22:24:57 ID:s8uoL2xa
再び丸鋸が回転しはじめた。
そして、その刃が振り下ろされる先には、女性の首…胴体と頭の接合部があった。
観客席から、ごくりと息と唾を呑む音が聞こえてくる。
ある意味当然だ。
人間の手足には重要な内臓はない。
手足の切断によって死亡するのは、その際の失血のためで、手足そのものがなくなっても、命そのものにかかわることにはならない。
実際、ここまで、切断された手足からは1滴の血も流れていないのだから、女性と女の子の2人…2人とも今のところは命の危険性はなかったのだ。
だが、切断されるのが、首となれば全く話は違う。
人間にとって重要な臓器の大半は胴体に集中している。
そこから切り離された頭部がとても生きていられるとは思えない。
いや、それ以前、首を切り落とされれば、脊椎そのものが破壊されてしまうため、もはや命はないと同じなのだ。
観客が、固唾を呑んで見守る中、丸鋸の回転する刃が女性の首へと食い込んでいく。
手足の時同様、血飛沫も肉片も飛び散らないが、確実に丸鋸は首の中へと食い込んでいくのが分かる。
やがて、ゆっくりと丸鋸の刃が引き抜かれると、底には、手足そして首すらも切り落とされた女性の胴体と、紛れもなく女性の生首が転がっていた。
流石に首を切り落とされては無事では済まなかったのか、女性の頭部はぴくりとも動く気配をみせない。
続いて、丸鋸の刃は女の子の方に向けられた。
こちらもまた、同じように切断作業が済み、そしてテーブルの上に転がる胴体と頭。
いつのまにか、ステージ上には、小さなテーブルが2台用意されていた。
アシスタントがそれぞれ、女性と女の子の頭を持ち上げると、まるで置物でも扱うかのように、テーブルの上に据え付けた。
テーブル上に飾られた2人の首は、目を閉じたまま動く気配をみせない。
流石に首を切られたら生きてはいられないか。
観客の誰もがそう思いかけた時、不意に一切の照明が消えた。
観客席に広がる軽いざわめき。
次の瞬間、2つのスポットライトが、ステージ上の2ヶ所を同時に照らし出す。
そこには、人間の頭部の置かれたテーブルがあった。
そして観客は息をすることさえ忘れることになる。
スポットライトに照らし出された瞬間、女性と女の子…2人の頭…頭だけであるにはかかわらず、ライトが眩しいと言うかの様にその目が瞬いた。
58イリュージョン1−5:2009/10/02(金) 20:37:07 ID:vodazKJE
テーブルの大きさは、人間の頭が載るぎりぎりの大きさしかない。
しかも天板の下は、すぐテーブルの脚が伸び、そこに人間の首から下が隠れられるような場所などない。
その上、アシスタント達がその空間に頭や腕を突っ込んで見せたり、切断された手足をくぐらせてみせて、首の下には何もないことを強調してみせる。
更に、テーブルを回転させたり、ステージ上を右に左にと移動させて、観客にアピールしてみせる。
続いて、ステージに現れたのは、産婦人科の分娩台に似たシート2台だった。
中央に、ヘッドレスのないタイプのシート。その周囲には左右上下それぞれ1つずつ計4つのアームが取り付けられている。
まずは、首も手足もない胴体がシートの上に載せられた。
ともすれば、極めて猟奇的な光景だが、血が見えないせいか、ステージという環境のせいか、むしろそれは着色したトルソに見えないこともない。
特に女性の胴体は、そのプロポーションのせいもあって、まさにトルソ…美術品といってもいいほどかもしれない。
続いて、4つあるアーム、その1つ1つに切断された手足が置かれていく。
といっても、アームとシートとは距離が離れているため、手足が胴体にくっつくことはない。
しかも、アシスタント達はわざとらしく手足の向きを逆に…切断面を外に向けているのだから、いまだこの手足が胴体につながっていないことは一目瞭然だ。
最後にテーブル上にあった女性と女の子の頭が持ち上げられる。
アシスタントの手の中にある2人の頭が運ばれた先は、胴体の置かれたシート。
しかも、股間のすぐ前だった。
一瞬にしてバラバラになった身体と猟奇的な光景が、ある意味滑稽なものに変わる。
頭だけでは身動きがとれないためか、女性の顔も、女の子の顔も、特に嫌がる様子もなく、むしろ笑顔さえ浮かべていた。
2人の頭は、正に股間…性器の正面におかれれている上に、胴体のおかれているシートが分娩台を思わせるデザインのため、まるで出産シーンの悪質なパロディのようだ。
バラバラの状態のまま、シートに載せられた女性と女の子は、アシスタントの手によって、ステージ上を移動させられる。
どの角度、どの向きからみても、2人の身体は確かにバラバラだ。
その間も、女性と女の子は笑みを絶やさず、時折、おかしな表情をみせたりして、観客に苦笑と失笑を引き起こしていた。
一通りステージ上を回ると、2人を乗せたシートは、並ぶ様な形で中央に置かれる。
マジシャンの指示により、アシスタントは、アームに置かれていた右手…女性の右手と女の子の右手を持ち上げた。
持ち上げられた腕は半回転させられ、切断面が胴体側の切断面と向き合う様に持ち直される。
ゆっくりと胴体に近づいていく腕…遂に切断面と切断面が触れあい…そして数秒後、アシスタントが持ち上げていた手を離すと、切り落とされていた腕は、それがウソだったかのようにぴったりと胴体にくっついていた。
女性の右腕と女の子の右腕、いまやそれは切断されておらず、何事もなかったかのように胴体にくっついている。

59名無しさん@ピンキー:2009/10/02(金) 21:59:42 ID:jFowqu1D
わっふるわっふる
60名無しさん@ピンキー:2009/10/03(土) 20:56:57 ID:PIiHb+Q9
うおお!!
続きに期待!!
61イリュージョン1−6:2009/10/03(土) 22:37:56 ID:XHIURaff
続いて、左腕が持ち上げられる。
しかし、その後が右腕とは違った。
腕を持ち上げたアシスタント2名…この2人の位置が入れ替わったのだ。腕を持ち上げたまま。
女性の胴体の左側には女の子の左腕、女の子の胴体の左側には女性の腕。
それをみた観客の表情には、「まさか」と「もしや」という二つが同時に浮かびあがった。
もしやだとしたらどうなるのか。
本来のものとは違うはずの腕が、それぞれ胴体へつなぎあわされる。
そして、腕を持ち上げていたアシスタントがその手を離すと…
その腕は、右腕同様、胴体にくっついていた。
バラバラになった身体以上に、それは異常な光景だった。
豊満な女性の胴体の左側には、どうみても短な子供の様な腕がぶら下がり、一方で子供の小さな身体からはまるで不釣り合いに長い大人の女性の腕が伸びているのだから。
女性と女の子の頭はといえば、自分達の身体が更におかしなことになっているにもかかわらず、不気味とも言える笑みを浮かべたままだ。
そこで、さらに2名のアシスタントが加わった。
計4名となった彼女達は、それぞれ1本ずつ、切断されている脚を持ち上げた。
そして再び位置を入れ換えるアシスタント達。
つまり、女性の胴体の下には女の子の脚。そして女の子の胴体には女性の脚。
観客の誰もが、この後起こるであろう事態を正確に予想していた。
脚と胴体、その切断面導士がつなぎあわされる。
そしてアシスタント達が手を離せば、それぞれの脚は間違いなく胴体にくっついている。
異形としかいえない存在がステージの上におかれていた。
本来の胴体とは明らかに不釣り合いな長さの脚の存在が、その異形さを異様なまでに強調している。
そして、頭部…女性の頭と女の子の頭は、自分達の身体の異様さなどおかまいなしといった風に笑みを浮かべていた。
そして、マジシャンとアシスタントの手が、その頭部へとかけられた。
62名無しさん@ピンキー:2009/10/04(日) 00:47:11 ID:hbldDlb5
全何話だろ
63名無しさん@ピンキー:2009/10/04(日) 22:49:33 ID:j6Wl1c5L
もう我慢できねぇ
フォオオオオオ
64名無しさん@ピンキー:2009/10/06(火) 12:54:58 ID:Rj3cQpyN
エロまだー?
65名無しさん@ピンキー:2009/10/08(木) 03:29:09 ID:aRlWI9H/
他スレだけどここ向けの話じゃね?
ttp://www.geocities.jp/sandanbaraiyayo/SS0347.htm
66名無しさん@ピンキー:2009/10/08(木) 04:19:05 ID:560qGPrz
>>65
憑依だけじゃなくフィーダーフェチも掛け持ちの俺歓喜
67イリュージョン1−7:2009/10/08(木) 23:22:05 ID:N3iUafA8
マジシャンが女性の頭を、アシスタントが女の子の頭をそれぞれ持ち上げた。
2人は、まるでそれがスイッチであるかのように瞼を閉じる。
そこからの先の展開を予想できなかった観客は皆無といってもいいだろう。
そしてステージショーに関しては、いい意味での予想が裏切られることはないのだ。
それぞれ頭を両手の中におさめたまま、マジシャンとアシスタント、2人の位置が入れ替わる。
つまり、大人の左腕と両脚をもって女の子の身体の上に女性の頭が、子供の左腕の両脚を持った大人の女性の身体の上に女の子の頭がくる形になる。
改め観客は息を呑んだ。
ここまでの、手足の切断とその奇妙な結合は、ある意味で、精巧なダミーによるものだといえないこともない。
映画などではけっこうとある話だ。
照明などが偏るステージ上なら、更に誤魔化しも可能だろう。
だが、その上に頭を載せるとなると、話はまた変わってくる。
観客を焦らそうとするかのように、マジシャンとアシスタントの手の動きは実に緩慢だ。
1cm下ろすだけで1分もかかろうかというほどのんびりとした動き。
だが、観客はその動きに釘付けになれこそすれ、苦情や非難を叫ぼうとするものは誰一人としていない。
たったそれだけのために、どれだけの時間がかかっただのだろうか。
遂に、切り離されていたはずの頭が胴体へと接触する。
ここまで一度切り離された手足が再び結合している様をみているにも関わらず、観客の少なくとも半数はそれが起こることを信じられないでいた。
切り落とされた首が再びくっつくなんで…
マジシャンとアシスタントは同時に手を離した。
手や足と違い、頭の場合、胴体の上に載せる形になるので、手を離してもいきなり落ちることはありえない。
だがそれだけに観客の視線は突き刺さるほどに2人の身体に向けられることになる。
そんな観客の心情を読み取ったかのように、マジシャンは2人の目の前で指をパチンと鳴らした。
68名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 00:23:49 ID:B4Tty6u7
age
69砂漠のきつね:2009/10/14(水) 01:58:16 ID:R6EQBBmy
「ちょいとそこの方。」
樋口博美は病院からの帰り道に、怪しげな露天商に声を掛けられた。
普段であれば足を止めることなくその場を立ち去るだろう。しかし…
「若返りたくありませんか?」
露天商の言葉に博美の足は止まった。

早出の勤務が終わり、いつもより早く更衣室に入った博美。カーテンを開けて、自分のロッカーへ向かう。
ロッカーの向こうから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。自分が入ってきたことには気づいていないようだ。
「休みの日にも田中さんと顔合わせないといけないなんてやだな。」「しょうがないよ、新人だもん。」
「奈キ子はいいよ、森口さんやさしいし。」「まあね。」
この時期は指導のため、勤務のない日に新人の看護師が病院に来ることがある。
話の内容から、博美と同じ病棟の江守早苗と水野奈キ子のようだ。
2人は隣で博美が着替えているのに気づかずに話を続ける。
「もっと言い方があると思うのにさ。あんな感じだから、まだ結婚できないんだよ。いいよね、森口さん。お母さんって感じで。」
「うん、不満はないよね。」「田中さんさ、樋口さんみたいな感じになるんじゃない?」
スリップを脱いでいた博美の手が止まった。
「タイプ違うよ。」
「でもさ、性格キツいのは一緒じゃない?しかもあのくらいの歳になっちゃうとさ、男の人も声かけにくいじゃん。重いっていうかさ。」
「早苗、もうこんな時間。」「あ、早く行かなきゃ。」
もう5歳若ければカーテンを開け、鬼の形相で二人の前に立っていたことだろう。しかし、今の自分にはそこまでの気力もなかった。

怪しい露天商にあったのはその帰り道だった。
「化粧品なら間に合ってます。」「化粧なんかで誤魔化しませんよ。」
「どういうこと?」
露天商の放った言葉に、博美は耳を疑った。
「本当にそんなことが起こるの?」「ええ。一人犠牲になりますけどね…」

「ありがとうございます。」
博美は乾燥した白い粉が入った小瓶を黒のバッグにしまった。
ターゲットは決まっていた。
70名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 01:58:54 ID:R6EQBBmy
それから数日後、ある日の夜勤。
博美と早苗は勤務が一緒になった。早苗の指導役である田中恵美子も一緒に仕事をしていた。
恵美子の担当には重症者が多く、巡回から戻ってこない。ナースルームには博美と早苗の2人きりになった。
「今日は穏やかね。」
「田中さん忙しそうですけど。」
「しょうがないわね。お茶持ってこようか。」
「いいですよ、私入れます。」
「いいの。部屋に取りに行くのもあるし。」
博美は控室に入ると、自分のバッグから白い粉を取り出した。そして、博美は自分と早苗が飲むカップに粉を入れて混ぜた。
「死んじゃったりしないかしら。まぁ私はもうどうなってもいいけどね。」
不敵な笑みを浮かべながら、博美はナースルームへ戻った。

「年齢が入れ替わる?どういうこと?」
「あなたが若い人とこの薬を飲んだとしましょう。そうすると、あなたが若くなって、相手の人が年を取ります。」
「そんなんじゃ、ばれちゃうじゃない。」
「大丈夫です。世界が変わります。」
「え?」
「前からそうだった世界になります。最後にはあなたが若く、相手の方が年を取った世界になります。」
「相手が気づくんじゃないの?」
「最後はわからなくなってしまいます。まあ途中気づくこともありますが、最後にはわからなくなります。安心してください。」

「はい。」
「ありがとうございます。」
早苗は少し緊張した面持ちで、早苗がカップの中の紅茶を飲むのを見ていた。
「どうしたんですか?」
「ううん、何でもない。」
(すぐおかしくなるわけじゃなさそうね。)
この日の勤務はほどなく終了した。着替えをして更衣室を出る。
「おつかれさまでした。」
「おつかれさま。」
(本当にあの歳になるのかしら…)
早苗の後ろ姿を見送りながら、博美はまた不敵に笑った。
71名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 02:01:53 ID:R6EQBBmy
翌朝。
「う〜ん。」
低血圧でなかなか起きられない博美。しかも今日は夜勤の後の休みの日。
いつもなら二度寝をするのだが、今日はふとんから跳ね起きた。
すぐに鏡を見る博美。しかし…

昨日と変わらない顔が映る。

「変わってない…1歳くらいじゃね。」
博美は溜息をついた。

さらに翌日。2日ぶりに勤務に入った博美。
朝起きてからの化粧も、身体の感覚も全く変わりがなかった。
(ほんとに変わってるのかしら?騙された…)
不信を抱きながら更衣室に向かう。
カーテンの向こうで、この前と同じ声が聞こえてきた。
「おはよう。」
「おはよう『ございます』。」
(ん?)
着替え終わった博美は違和感を感じた。
(この声は、江守さんと水野さん…)
「暑っついね。」
「ほんと、今年はそうですよね。」
「来るまでに疲れちゃうもん。」
会話は何ともないものだが、語尾の違和感は消えない。
博美がカーテンを開けると、隣の二人も同じタイミングで出てきた。
『おはようございます』
二人が声を合わせて博美にあいさつした。
「おはよう。暑いね。」
そういった後、博美は目を疑った。
名札の赤い丸シール。奈キ子の名札にはこれが貼られている。新人の印のマークだ。
しかし、早苗の名札からはそのシールが消えている。
「どうしたんですか?」
早苗は怪訝そうに、博美に尋ねた。
「ううん、何でもない。行きましょ。」
(確かに、ちょっと大人っぽくなったように見えるけど…)
先ほどの不信感は、わずかな期待感へと変わっていた。
72名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 02:05:06 ID:R6EQBBmy
イリュージョンのお話、切ってしまいすいません。ごぶさたしております。

完結させるのに自分にはっぱをかけるため、また完成前に載せてしまいました。
今度はあんまり長くないようにします。
73名無しさん@ピンキー:2009/10/14(水) 02:43:06 ID:B4Tty6u7
お疲れ様です
頑張ってください
74名無しさん@ピンキー:2009/10/16(金) 11:16:15 ID:/phOIg5L
きつねさん頑張ってください

続きがかなり気になりますね
75名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 00:36:03 ID:FhmPFt2e
とても続きを期待させる良い作品ですね。
きつねさんの作品はやはり良いですね。
続き期待してます。
76give and take 4:2009/10/17(土) 03:54:28 ID:c2Siq1uA
博美は病棟でも年長の看護師だ。
そのため、全体を統括するリーダー役になることが多い。
今日も部屋を回らず、ナースルームに待機していた。
「あ、それ私やっとき『ました』。」
「ありがと。」
同期の早苗に敬語を使う奈キ子。
あの露天商が言っていた言葉の意味がようやくわかった。

『世界が変わるんです。』

今は、早苗が2歳年を取った世界。
ということは…
(私は2年若返ってる?)
その瞬間、博美は足下を見た。去年自転車で転んだときにできた膝のあざ。
なかなか引かずに残ってしまい、年齢を感じたのを思い出した。
それがなくなっている。
(ほんとに若返ってる?)
「どうしたんですか、樋口さん、嬉しそうな顔して。」
2歳年を取った早苗が何も気づかずに博美に話しかけた。
「ううん、なんでもない。」
博美は笑って早苗に答えた。
77give and take 5:2009/10/17(土) 03:54:55 ID:c2Siq1uA
2日後の朝。
今日は早苗は休み。出かけるために寝間着のTシャツとハーフパンツを脱いだ。
小さな青のドットが入ったブラジャーとショーツ。
かわいらしいデザインの下着が小さいながらも、大人の色香が満ちた乳房とヒップを包んでいる。
(やだ、私まだこんな下着持っていたっけ…)
一晩明け、早苗は26歳。
「もう捨てなきゃな。」
着替えるためクローゼットを開ける。
水色のパステルカラーのボーダーのTシャツ、黄色のプリントパーカー。
フリルのたっぷり入った赤チェックのミニスカートに、白のショートパンツ。
「もうこんな服似合わないな。」
その中でも地味な緑のカットソーにジーパンを合わせた。
「下着も服も買わないと。」

さらに2日後。博美は出勤準備をしていた。
夜勤が続いた後の日中の勤務。
朝起きて久々にファンデーションを伸ばした瞬間だった。
パフから伝わる感覚がいつもと違う。
(あれ?なんか違う…)
普通の女性なら戸惑うことだろう。
しかし、博美の場合、原因ははっきりしていた。
(順調に若くなってるみたいね)
38歳まで若返った博美。
30代に入ったことで、肌のキメが徐々に戻っているようだった。
黒いブラジャーに包まれた豊満な乳房。
外側に垂れた乳房が張りを取り戻し、谷間が戻っているようにも見える。
「ふふ、ホントに若返ってる。」
熟れた女性特有の声のかすれが少し和らいでいることに、まだ博美は気づいていなかった。
78give and take 6:2009/10/17(土) 03:55:54 ID:c2Siq1uA
「おはようございます。」
聞き覚えのない声。
一瞬誰に声をかけられたのかと驚いて、博美は後ろを振り返った。
そこには、28歳の早苗の姿。
1週間前までの若々しさに変わり、成熟した大人の雰囲気が醸し出されていた。
涼やかな水色のロングスカートに、白のブラウス。
ショートパンツを履いていた以前のスタイルとは全く違う。
「そのスカートきれいね。」
「ありがとうございます。休みの日に買ったんですよ。夏服着ようとしたら若い子が着るようなデザインしかなくてびっくりして。もうショートパンツなんか履けないですよね。」
「あら、まだまだいけるんじゃない?」
「やめてくださいよ。」
何の疑いもなく笑う28歳の早苗を見て、博美は年齢の入れ替わりが本当に進行していることを確信していた。

「これどうしたらいいですか?」
「それ、私やっておく。水野さん、病室見てきて。」
病棟では、早苗は奈キ子の指導役のナースになっていた。博美はその様子を不思議な気持ちで眺めていた。
(先週までは同期だったのに)
立場の変化は自分にも及んでいた。
副師長とも言える立場であったのが、数日で主任に下がり、いまや普通のナースの年長者になっていた。年下だった主任も、今や年上になった。
「私行きます。」「ありがとう。」
年下だった主任への敬語。しかし、博美は全く悪い気はしていなかった。
確実に進行する若返り。
仕事終わりに、ナースサンダルへ脚を伸ばす。いつも仕事終わりに感じる脚の重みが軽い。
(今日は忙しくなかったから…)
そうつぶやきながらも、博美は晴れやかな気持ちになっていた。
79名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 03:57:37 ID:c2Siq1uA
砂漠のきつねです。そういえば、今回は題名を付けていたのを忘れていました。
感想書いて下さった方、ありがとうございます。
80名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 12:23:31 ID:3RyHK79t
そういえば登場人物の年齢が書いてない…
81名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 15:19:49 ID:kzHiuQlK
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +        
 と__)__) +
82名無しさん@ピンキー:2009/10/17(土) 23:22:57 ID:WmqEca+3
大好きなシチュエーションですよ!期待してます!!
83名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 00:34:11 ID:iR+xKz6Z
>>80
すいません。書いておいたつもりだったんですが、推敲した段階で消してしまったみたいです。
樋口博美:44歳、江守早苗:22歳
博美はベテラン、色香溢れる熟女も歳は隠せず
早苗は看護学校卒業直後、まだまだかわいらしさが残る女の子
といった感じです。

続きは書いてあるのですが、細かいところを直してまた載せますね。
84名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 10:41:27 ID:8TYDHjuC
>>83
レスありがとうございます。わかりました。
この後の展開が楽しみです!頑張ってください!
85名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 11:58:53 ID:ZbuN3OaW
>>83
どんどん盛り上がってきましたね。
早苗の服が合わなくなっていくシーンがいいですね。
次は博美の服が変わっていく所に期待ですね。
交換とかあったりすると最高ですね。
86名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 21:34:18 ID:Y2pTH1I4
そろそろ先輩後輩関係が逆転しそうですね
とても楽しみです
87名無しさん@ピンキー:2009/10/18(日) 23:37:08 ID:mmBl5VAk
wiki更新しといた
「お留守番には何かおこりやすい」は前スレ落ちてるから無理だった
88名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 00:06:40 ID:bB3meGcM
>>87
乙彼
結局あのお留守番、オリジナルの新作でよかったのかな?
保管の際はそういうのを確認しとかないとヤバいので一応。
前スレの最初でも転載騒ぎがあったからつい過敏になってしまう

あとできれば投下の際、総レス数とかここまでが区切りですとか入れてほしいところ。
一日一レスのぶつ切りだとGJしにくいし、他の人も投下に困るからね
普段過疎ってるからあんま気にせんでもいいかもだけど
89名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 01:13:15 ID:Jz34vPe1
1スレは消費がありえないくらい早かったから需要はありそうなのに残念だ。
>>78の続き期待してます。というか待ちきれない!
90名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 07:11:53 ID:eb9T2/ig
>>88
お留守番は思いっきりリバースワールドからの転載だし
リレー形式で書かれていたためwikiで保管は無理だろう
91名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 08:16:34 ID:eTcxSukX
>>88
>あとできれば投下の際、総レス数とかここまでが区切りですとか入れてほしいところ。
>一日一レスのぶつ切りだとGJしにくいし、他の人も投下に困るからね
まあ、理想としてはそうなんだけどね。
けど物書きさんの中には、読者の声を聞きながら書いていくタイプもいるから、総レス数書き込む方は無理な人もいるかもしんない。
こういう書き方のほうがいい、という助言のつもりが、こういう書き方をしないさい、と言われたと思われて、なんか面倒だなということで、物書きさんが遠ざかってしまった例も多々あるし。
実害がたいしてないなら、こういうことは書かない方がいいかも。遠くにいってしまった物書きさんは、かなりの間帰ってこない。
92名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 09:29:23 ID:Hpzxii/5
投下の形式よりも、完結するのかどうかが大きな問題だ
保管庫の作品でも放置されてるやつが結構あって気になってるから、
イリュージョンも頑張って終わらせてほしいのう
93名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 21:28:59 ID:j1uKVEw5
完結するかも作家さん次第だし
総話数も最初から示す必要もないと思う。

ただ投下する時に、今後の展望とかを
一応示しておいた方が、読者としても
反応がしやすいと思う。
94名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 22:09:33 ID:+ZRuyt7i
展望書くと無茶なリクエストも殺到するのが同人SSの困ったところではある
95名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 22:11:17 ID:wjNdsnWZ
好きに書きゃいいじゃん
96名無しさん@ピンキー:2009/10/20(火) 22:21:06 ID:zWP+f28u
>>94
93です。
展望と書いたけど、これからの展開と言うよりは
大体残りどれくらいの長さとか、感想的なものかな?
97名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 22:13:30 ID:ICgvZaEN
少年シリーズの人も復活しないかなあ
98名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 22:47:29 ID:TKyx7V7J
あの…

ここって、1話完結のSS、というかちゃんと落ちていないようなかなり短い作品でも書いていいんでしょうか?
99名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 22:52:32 ID:gGgxFuhk
否定する理由がない
100名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 23:16:04 ID:YBuF6fXR
>>98
もちろんですとも。むしろ歓迎でしょう。
101名無しさん@ピンキー:2009/10/21(水) 23:59:54 ID:kkpID1JW
>>97
サイトあるから見てみ
結構頻繁に更新されてる
OD以外のが多いけどね
102名無しさん@ピンキー:2009/10/22(木) 14:44:31 ID:Dd2daCxg
きつねさんも続き期待してます
103名無しさん@ピンキー:2009/10/23(金) 22:44:07 ID:O+MQf2FB
少し前に、総話数とか今後の展開とかで荒れかけたから
98の人は、それで躊躇しているんだと思う。
ヨソだと 短すぎるSSとか 決着してない話を叩く傾向があるから・・・
104名無しさん@ピンキー:2009/10/26(月) 00:07:06 ID:FHTdoept
丸二日レス無しとはこれいかに?
105名無しさん@ピンキー:2009/10/26(月) 22:44:54 ID:7pLDAGhs
きつねさんの続編が待ち遠しくて仕方ないから
息を潜めて待っているだけさ
106give and take 7:2009/10/28(水) 03:35:29 ID:IP73JH9V
さらに3日が経った。
35歳になった博美。最初の頃とは違い、加速度的に若返りが進んでいく。
アンダーバストがスリムになり、バストに張りが出てきたため、ブラジャーが合わなくなってきた。
「下が緩いんだ…ピンクとか着られるかな…」
風呂上がりに測った体重。若返りが始まってからは初めてだ。
「やだ、2キロもやせてる!」

同じ頃、31歳になってしまった早苗。
(なんか肉付いてきたな…)
ついこの間まで22歳であったという記憶は全く残っていない。
決して太っているとは言えないスタイルだが、22歳の時に比べれば、
全体の線の細さが薄れ、成熟した丸みが加わってきていた。

鏡を見ながら、ウエストをつまむ。
(ちょっとダイエットしないと…)
青のドットが入った真っ白なブラジャーはレースの入った紺一色へと変わっていた。
107give and take 8:2009/10/28(水) 03:36:52 ID:IP73JH9V
その翌日。
更衣室に入った博美は、後ろからすごい力で押さえつけられた。
振り返ると、32歳になった早苗。
22歳の時に漂っていたあどけなさは消え、力の入った眼の横、目尻にはしっかりと皺が入っている。
「樋口さん、どういうことですか?」
「え…」
「なんで私、こんなになっちゃってるんですか?」
大きな声を出している割には誰も来ない。
「服もこんなのしかないし、どういうこと!?」
ボタン脇にフリルの付いた白のブラウスに薄手の緑のスカート。それでも30代に入った早苗には、少し若作りにも見える。
『やっぱりこうなってしまいましたね。』
周りが静寂に包まれ、あのときの男が現れた。
「あんた誰よ。」
『はじめまして』
「戻しなさいよ、わたしのこと。」
『そういうわけにはいきません。こちらの方との契約ですから。』
「はぁ?何言ってんの?」
22歳の精神に戻った早苗は、威勢のいい言葉で男に食ってかかる。
『二人の歳が近づいたんで、ちょっと世界に歪みが出てしまったようです。まあよくあることですから。』
そういうと男の手から光が放たれ、早苗を包む。
乳房が描き出していたブラウスのラインに、ふくよかな丸みが加わり、ボタンにかかる張力がわずかに増す。
髪にはパーマがかかり、艶が少しずつ失われていく。スカートから覗く脚、ストッキングの下に浮かぶシミ。
光が収まると、30代後半となった早苗の姿。いつの間にか男から出された姿見に、自分の姿が映る。
「な、何よ、これ…」
高さは変わらないものの、少しこもった、かすれがちな声。小さくつぶやくと、早苗は気を失った。
108give and take 9:2009/10/28(水) 03:43:45 ID:IP73JH9V
『さ、あなたも若返りましょう。』
同じように、博美の身体を光が包む。
紺のブラジャーの中で乳房が瑞々しさを増す。押し上げられた乳首がブラジャーと擦れた。
思わず声を上げそうになる博美。ヒップが上がり、ショーツに密着する。
「見せて。」
鏡には、黄色のチュニックにベージュのスカートを履いた20代の女性。
先ほどよりもむしろむっちりしたようにも見えるが、バストやヒップに若さゆえの張りが戻ったためだろう。
キメの揃った肌が戻り、目尻の消えた若々しい顔。その下には存在を主張するバストとヒップ。
そんな身体を年の割には地味な、シックなデザインの服が包んでいる。
「だいぶ若返ったわね。」
『言葉遣いも若くされた方が…』
「そっかぁ。そうだね。」
『よくお似合いです。あなたを26歳、彼女を40歳にしておきました。私の力ではこれが限界です。あとはまた自然と若返っていきますので。』
「じゃあ、あと4日ってこと?」
『そういうことになりますね。』
「楽しみにしてる。」
109砂漠のきつね:2009/10/28(水) 03:47:59 ID:IP73JH9V
ハードルが上がって載せにくかったですが(汗)続きです。

見通しを、とのことなので少しだけ。今回はもう少しで終わります。
前回はいろいろ書いてたら見通しが立たず、大変なことになったので。

シチュエーションは浮かぶんですよね、いろいろ。
あっという間に頭の中で完結するけど、文章にするとこれがまたえらい時間がかかるんですよね…
110名無しさん@ピンキー:2009/10/28(水) 09:05:46 ID:kIVOZcDK
お疲れさまです!
ゆっくりマイペースでやって下さい!
111名無しさん@ピンキー:2009/10/28(水) 21:10:01 ID:BqlXeGcz
焦らずマイペースで大丈夫ですよ。
見通しも別に無理して書かなくても大丈夫かと。
年齢も逆転して、最後どうなるかに期待ですね。
112名無しさん@ピンキー:2009/10/29(木) 01:47:38 ID:RWCPWqsb
乙です!
113 ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:12:28 ID:T8RQDZP5
ご無沙汰してます。一本投下します。
今回は女子高生が若い女の先生に乗り移る憑依ものですが、やや長いです。
それではどうぞ。
114真理奈憑依(1/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:13:42 ID:T8RQDZP5
告げられた言葉は、簡潔極まりないものだった。
「加藤さん。あなた、追試だから」
「ええっ !?」
放課後の職員室の中、周囲の教師たちが好奇の視線を向けてくるのにも構わず、
真理奈は露骨に嫌そうな声をあげた。
平凡な公立高校らしく、身にまとっているのは地味でシンプルな冬物のセーラー服だが、
彼女はそれが似合わない、長身で派手な雰囲気を持つ生徒だった。
鮮やかな輝きを放つ短めの茶髪は、校則の厳しい学校ならば、
即座に取締りの対象となってしまうだろう。
そして顔を飾るくっきりした目鼻立ちが、彼女を実年齢よりも大人びた姿に見せていた。
二年C組、加藤真理奈。顔とスタイルの良さを武器に、
あちらこちらに迷惑を撒き散らす、トラブルメーカーの女生徒である。

いつもは強気な態度を崩さない彼女も、このときばかりは困った様子だった。
後ろ手に組んだ両の指を落ち着きなく動かし、所在なさげに突っ立っている。
そんな真理奈の前では一人の女教師が椅子に座り、彼女を鋭い視線で射抜いていた。
「ええっ、じゃありません。あなた、自分の成績わかってるの?」
「え、えっと……そういや、今回はちょっと悪かったかも……」
「ちょっと?」
世界史教師の升田は、眼鏡の奥で細い目を光らせた。
まだ若い。真理奈の記憶によると、たしか二十代の後半だったはずだ。
黒のショートヘアと、細身の体を包み込むぱりっとしたスーツ、そして縁なしの細眼鏡と、
見るからに知的な印象を感じさせる女である。
升田はデスクの前で椅子をきしませ、真理奈を見上げて言った。
「あなたの基準では百点満点で一桁は、『ちょっと悪い』ということになるのね。
 じゃあ、『とても悪い』ときはいったい何点なのかしら?
 コンマ以下? ゼロ? それともマイナス? すごく気になるわね」
「い、いいえ……どーなんでしょ、あははは……」
115真理奈憑依(2/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:14:15 ID:T8RQDZP5
真理奈は冷や汗をかきながらも、内心、はらわたが煮えくり返る思いだった。
こんな嫌味くさい女の説教を、なぜ自分だけ受けなくてはいけないのか。
升田は、彼女が密かに自分に敵意を向けていることには気づかず、冷徹に真理奈に告げた。
「まったく。この学年で世界史の追試はあなただけよ。少しは恥ずかしいと思いなさい」
「え、あたしだけ?」
「そう、あなただけ。中間で落とした子もちゃんと期末で取り返してるっていうのに、
 本当にあなたときたら……。少しくらいやる気はないの?」
「すいません……」
この升田という女教師は厳しいことで知られる。しかも短気で毒舌家だ。
不真面目な生徒は容赦なく怒鳴りつけ、不出来な者はこうして呼びつけ説教をする。
美人で熱心な性格のため、一部には高い人気を誇るが、
その厳しさゆえに彼女を苦手とする生徒も多い。人によって好みがはっきり分かれる教師と言えた。
成績が悪く、授業態度もいいとは言えない真理奈にとって、そんな升田は、
言うまでもなく、あまり関わりたくない相手である。
だが試験で赤点を取ってしまったからには、升田の言う通り、大人しく追試を受けなくてはならない。
しかも追試は彼女ただ一人。
必然的に升田と一対一で向かい合い、針のむしろに座らされることになる。
ようやく二学期も終わろうかというのに、なんと悲惨なことだろうか。
非は自分にあるとはいえ、真理奈はこの女を憎まずにはいられなかった。

手のひらの汗を握りしめる真理奈に、升田が相変わらずの冷たい声で言った。
「そういうわけだから、試験範囲は中間と期末で出したところ、全部よ。
 ちゃんと勉強しておきなさい」
「え……二学期の範囲、全部ですか? それはちょっと……」
「もう期末試験は終わってるんだから、授業もほとんどないでしょ?
 頑張って勉強して、今度こそ合格してちょうだい。さもないと単位は出せません」
「う、うう……」
教師の容赦ない言葉に、少女はうなずくしかなかった。
「話は以上です。試験日はまた連絡しますから、準備しておくように」
「はい、わかりました……」
形だけぺこりと頭を下げ、真理奈がその場を立ち去ろうとすると、
デスクに向かった升田の指に、小さな指輪が光っているのが目に入った。
そういえば、少し前に結婚したと、校内で噂になった覚えがある。
私生活について、少なくとも生徒たちには何も語らない無愛想な女だが、
こんな鬼教師でも嫁のもらい手があるのかと、真理奈は世の不条理を嘆き悲しんだのだった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
116真理奈憑依(3/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:14:51 ID:T8RQDZP5
「――っていうわけでさあ。もう最悪。マジ最悪」
カウンターに力なく突っ伏し、真理奈は息を吐いた。
それに答えるのは彼女と同じ年頃の、爽やかな少年である。
「それは大変だね。まあ、頑張って勉強してよ」
「あの女と同じこと言わないでくれる !? あー、腹立つ……」
「あっはっは、今日はおかんむりだね」
少年は冬物の私服に身を包み、座る真理奈の正面に立って、彼女を悠然と見下ろしていた。
この上なく端正な顔立ちをしているが、不思議と印象は薄く、
まるで空気のように存在感がない。どこかとらえどころのない、風変わりな少年だった。
明るい顔と声で笑う少年に、彼女は不機嫌そのものの声で言った。
「当たり前でしょ !? あんな年増の鬼婆に説教されて、ニコニコできるわけないじゃない!」
「まあまあ、ちょっと落ち着いて」
ここは住宅地の中に埋もれるような場所にある、小さなドラッグストアだ。
狭く地味な店内には真理奈一人しか客がおらず、店員らしき人物もこの少年だけだった。
あまり商売が成り立っているようには見えないが、真理奈はこの店がお気に入りで、
よく下校途中に立ち寄っては、何を買うともなしに彼と世間話に興じることにしている。

「はい。これでも飲んで、機嫌直してよ」
彼女は店の奥から少年が持ってきたコーヒーカップを礼も言わずに受け取ると、
湯気の立つミルクティーを喉に流し込んだ。甘いクリームの味が口内に広がり、
師走の北風に冷やされた真理奈の体をゆっくり温めていく。
「ふぅ、おいし」
「それはそれは。喜んでもらえて何より」
両手でカップを持ち、子供のような仕草でそれを口元に傾ける真理奈を、少年が笑顔で見つめている。
真理奈は貪るように紅茶を飲み干すと、彼にカップを突き出した。
「おかわり」
「はいはい、ちょっと待ってね」
苦笑した様子で店の奥に引っ込み、またすぐに戻ってくる。
二杯目の紅茶を慇懃に差し出す少年に、彼女がため息混じりに言った。
「あ〜、それにしてもあの女……マジすっごいむかつくわ。
 このあたしに追試を受けさせようだなんて、頭おかしいんじゃないの?」
放課後呼び出された職員室でのやり取りを思い出し、真理奈は吐き捨てた。
愚痴とぼやき混じりに升田を罵ってみせるが、それも所詮、負け犬の遠吠えでしかない。
どう足掻いても追試は受けなければならないし、そのための勉強も必要なのだ。
向こうは教師でこちらは生徒。この立場の差はいかんともしがたい。

少年はそんな真理奈の文句を黙って聞いていたが、やがて彼女に問いかけた。
「で、君としてはどうするつもりなの?」
「どうするもこうするも……そりゃー悔しいけど、大人しく追試受けるしかないわね。
 相手は先生なんだもん。あたしに何ができるってのよ」
「へえ、意外だね。君はそんなに大人しい女の子だったっけ?」
「何よ、その言い方は」
少年は自分の薄い唇に手を当て、目を細めている。その表情に真理奈は見覚えがあった。
小学生の頃、クラスの悪童が悪戯を思いついたとき、よくこんな顔をしていたものだ。
彼女は相手の真意をうかがうように、カウンターの向こうに立つ少年を見上げた。
「……あんたがそんなこと言うからには、助けてくれると思っていいのよね?」
「もちろんさ。実は、以前作った薬の改良版ができてね。実験したいと思ってたんだ。
 良かったら、君が試してくれると助かるね」
手に持った小さな紙箱をからから鳴らし、微笑む。市販の目薬とほぼ同じ大きさだが、
この少年が作ったものとなれば、普通の薬ではないだろう。
ひょっとしてこれを使えば、あの尊大な女教師に目に物見せることができるかもしれない。
真理奈は少年からその紙箱を受け取り、唇の端を不敵につり上げた。
「いいわ。よくわかんないけど、試してあげようじゃないの」
「話が早くて助かるね。じゃあ、イタズラの計画を立てるとしようか」
彼は上機嫌で、真理奈に笑いかけた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
117真理奈憑依(4/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:15:20 ID:T8RQDZP5
ある日の放課後、水野啓一は放送で生徒指導室に来るようにと連絡を受けた。
終業式も差し迫った師走の午後である。もう試験は終わっているので授業もほとんどなく、
特に部活のない者は昼頃に帰宅することができた。
啓一はサッカー部に所属しているが、この日は練習もなく、真っ直ぐ家に帰るつもりでいた。
そこへ突然の呼び出しである。彼が疑問に思うのも無理はなかった。
「啓一、呼び出しって何だろうね?」
一緒に廊下を歩いていた双子の妹、水野恵が彼に尋ねた。
長い黒髪をストレートに垂らした、清楚で落ち着いた娘である。
「さあ、何だろうな。世界史の升田先生だろ? 呼び出したの」
啓一は窓の外を見ながら、妹に聞き返した。
十二月の青空には灰色の雲が浮かび、冬らしく寒々とした雰囲気を漂わせている。
今日も冷えるなとつぶやき、軽く身を震わせた。

「ひょっとして啓一、何かしでかした? それで升田先生に怒られるとか」
「そんなわけないだろ。お前だって知ってるくせに」
啓一と恵は、二人揃って優等生である。成績は常にトップクラス、さらにスポーツ全般に通じ、
その上二人とも、整った顔と均整のとれた肢体に恵まれていた。
どちらも負けず劣らず、理想の優等生の兄妹として、教師たちにも受けがいい。
当然、素行にも問題などあるはずがなく、
今のように生徒指導室に呼び出される理由は思いつかなかった。
「まあ、先生に直接聞いてみればいいか」
「そうだね。そうしよっか」

二人は目的の部屋に到着すると、ドアを軽く叩き、中で待つ人物に話しかけた。
「失礼します。二年の水野啓一と、水野恵です」
「来たわね。入りなさい」
啓一と恵が室内に入ると、奥に世界史の担当である升田美佐が座っているのが確認できた。
狭い部屋で窓はない。その上、資料の詰まった本棚が壁の辺りを占領しているため、
四、五人も入れば一杯になってしまいそうだ。
何の飾り気もない長方形の机が一つ中央に置かれ、そしてその手前にパイプ椅子が二つ並んでいる。

升田は座ったまま二人を見つめ、穏やかな声を発した。
「二人とも、鍵をかけて、そこに座って」
「はい。わかりました」
カバンを足元に置き、並んで腰を下ろす。二人は升田と向かい合う形になった。
いつもの細眼鏡の奥で、鋭い眼光がこちらを見据えている。
少々気圧されつつも、啓一は教師に問いかけた。
「それで、僕たちに何のご用でしょう。升田先生」
「ええ、二人に大事な話があるの。聞いてくれる?」
「はい」
机の上には、メーカーのロゴが入った黒のトートバッグが、無造作に置かれていた。
彼女の堅物のイメージには今ひとつそぐわない品だが、成績表か資料でも入っているのだろう。
兄妹二人にじっと見つめられ、升田は口を開いた。
「あなたたち、二年の加藤真理奈って子、知ってる?」
「え? ええ……一応、友達ですけど……」
意外な名前を出され、恵が戸惑いながらも答えた。
118真理奈憑依(5/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:15:45 ID:T8RQDZP5
真理奈は二人の顔見知りであり、一応は友達と呼べなくもない存在だった。
もっとも、向こうがどう思っているかは、よくわからない。
何しろ勝気なトラブルメーカーの加藤真理奈と、人望厚い優等生の水野恵では、タイプがまるで違う。
共に人気の美少女だが、真理奈の方は恵を一方的にライバル視している部分があるため、
大人しい彼女としては少々困ってしまうというのが、正直な感想である。
だがそうした複雑な説明を教師にできるはずもなく、恵の返答は当たり障りのないものにとどまった。
「そう。一応ね……一応……」
升田はその言葉を噛みしめるようにつぶやき、眼鏡を指で整えた。
ひょっとして気に入らない返答だったか、と二人は緊張したが、構わず彼女は後を続けた。

「実はね、加藤さんが追試を受けることになっちゃったのよ」
「はあ……追試ですか……」
「頑張って合格してもらわないと、先生も困るのよ。わかる?」
「はい、わかります」
啓一はうなずきつつも、話の流れがどうにも読めず、教師の顔を見ながら眉を曇らせた。
規定の点数に満たない者は追試を受けることもあるのだろうが、
優等生の二人はそんなものに縁はない。
啓一も恵も、他人の点数をあまり気にしたことはなかったので、
なぜこの場で真理奈の成績のことが話題になるのか、二人して首をかしげるばかりだった。
「しかも、二年で追試に引っかかったのは加藤さん一人だけなの。
 可哀想だし、何とか助けてあげたいじゃない?」
二人はますます訝しんだ。
真理奈を助けてやりたいと言うが、担当教師の升田にしてみれば、簡単な話だろう。
形だけ追試を受けさせて合格にすればいいし、あるいは追試そのものを免除し、
試験の点数に救済措置を施して――要は下駄を履かせて、無理やり合格にしても構わない。
つまりは、升田さえその気なら、真理奈の成績などどうにでもなる。
それなのに、なぜ彼女とは直接関係がない二人が、わざわざここに呼ばれたのだろうか。
脳内で疑問符を点滅させる双子の兄妹を見やり、升田はようやく本題に入った。

「それでね。あなたたちに、ちょっと協力してほしいの」
「協力……ですか? それはいいですけど、いったい何をすれば……」
追試の対策のため、真理奈の試験勉強につき合えとでもいうつもりだろうか。
二人は世界史の成績も極めて良かった。必要ならば、彼女の勉強を手伝ってもいいと思う。
やや相性の悪い面もあるが、一応、真理奈は二人の友人だ。困っているなら助けてやらねば。
口を開こうとした恵を制止し、升田はトートバッグの中に手を差し入れ、あるものを取り出した。
「あなたは、これを使ってちょうだい」
「え?」
恵はそれを見て、驚きの声をあげた。
升田が取り出したものは、家庭用のビデオカメラだったのだ。
黒いボディは小ぶりで持ちやすいサイズだが、レンズは大きく、無言の光沢を放っている。
「使い方わかる? なんか色々機能ついてるけど、まあそんなのはどうでもいいわ。
 とりあえず撮れたらオッケーだから」
「は、はあ……。多分使えると思いますけど、でもなんで……?」
「いいから、今からしばらくの間、それで先生を撮影してちょうだい」
「…………?」
啓一と恵は顔を見合わせて互いの疑問を視線で交換したが、
教師の唐突で不可解な命令に、どちらも腑に落ちない表情だった。
119真理奈憑依(6/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:16:17 ID:T8RQDZP5
手渡されたビデオカメラをいじりながら、どうしたものかと躊躇する恵に、升田が厳しい口調で言う。
「早くしなさい! 先生の言うことが聞けないの?」
「はっ、はい……。わかりました……」
唾を飛ばして怒鳴る升田の姿に身を竦ませ、仕方なく彼女はカメラを構えた。
家にあるものと似たような型なので、大体の操作方法はわかる。
恵は教師にレンズを向け、スーツ姿の女教師の姿を撮影し始めた。
それを確認し、升田はにやりと笑ってみせる。
冷徹な彼女に似合わないその笑みに、二人は驚きを隠せなかった。

「そう、それでいいの。あなたはしばらくそのまま、撮り続けてね。絶対よ」
「はあ……」
「で、先生。僕の方は何をすれば……」
戸惑いながらも尋ねてくる啓一に顔を向け、彼女は楽しそうな声を出した。
「うん。あなたには、もっと大事な仕事があるの。ちょっとこっちに来て」
彼はその言葉に従い、立ち上がって机の向こう側に移動した。
升田も席を立ち、狭い部屋の中、啓一の隣に並んでみせる。
彼女はそこそこの長身で、啓一との身長差はあまり感じられなかった。
恵よりは高く、啓一より少し低いくらいだろうか。
スレンダーな体のラインにぴったり合った黒のスーツが、
眼鏡をかけた知的な風貌と合わさって、静かな大人の女の魅力をかもし出していた。

校内を流れる噂によると、最近結婚したらしい。
特に聞いてはいないが、苗字は変わったのだろうか。
二人が升田を見ながら、ぼんやりとそんなことを考えていると、女教師が次の動作に移った。
「啓一君、こっち向いて」
「はい――って、んっ…… !?」
升田は啓一の首に両手を回して背伸びをすると、無防備な彼の唇に自分のを重ねた。
突然のことに唇を奪われた啓一も、それを撮影していた恵も、驚愕のあまり硬直してしまう。
「ん、ううんっ……んむっ、んん……」
女教師の舌が生徒の唇に割って入り、彼の口内に侵入する。
柔らかな侵入者の感触に、彼は両腕を力なく垂らしたまま、動くことができなかった。
新妻の教師とその生徒の激しい接吻が、ビデオカメラの前で繰り広げられる。
「け、啓一…… !?」
恵は異様な事態に狼狽しつつも、言われた通りに撮影を続行した。
途中で撮るのをやめると怒られると思ったからだが、やはり多少の好奇心も否定できない。
升田の舌が啓一のそれに絡みつき、彼の中に唾液をたっぷりと流し込む。
なぜ真面目な教師がこのような振る舞いに及んだのか。啓一も妹と同様に狼狽していたが、
相手が教師ゆえ乱暴に引き離すわけにもいかず、されるがままに口内を貪られるしかなかった。
120真理奈憑依(7/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:16:44 ID:T8RQDZP5
「ん……ちゅ、くちゅっ――ぷはぁっ……」
やがて満足したらしく、升田は啓一の口から離れると、二人の唇を繋ぐ唾液の線を指で拭い去った。
いつも雪のように白い頬は朱に染まり、冷徹な瞳には彼が見たことがない、淫蕩な色が浮き出ている。
なぜ。いったいなぜ。心の疑問が解けぬまま、彼は升田にきつく抱き締められていた。
普段は授業を淡々と進めるその唇が、思いもよらぬ言葉を発する。
「ん……やっぱディープなキスは最高ね。どう、あたしのツバ美味しかった?」
「せ、先生……な、なんでこんな……」
「そんなの、あんたがイケメンだからに決まってんじゃない。他に理由ある?
 いいから大人しくしてなさい。あんまウジウジ言ってると、このまま逆レイプしちゃうわよ」
「升田先生……ど、どうしちゃったんですか……?」
カメラを下ろして問いかける恵を、女教師は眉をつり上げて怒鳴りつけた。
「こらそこっ! ちゃんと撮っとけって言ったでしょ !?
 何のためにあんたを呼んだと思ってるのよ! ほら、カメラ構えて!」
「せ、先生、ホントにどうしたんですか……?」
「早くしなさい。あたしの言うこと、聞けないの?」

升田は一旦啓一から離れ、恵に予想外の言葉をぶつけた。
「あたしに逆らったら世界史の点数は0点になるわよ。あんたも追試受けたい?」
「ええっ !? な、なんでそうなるんですか! 横暴です!」
「嫌なら大人しくカメラ回しとくのね。それに、あんたも興味あるでしょ?
 いつも無愛想なこの女のエッチな場面なんて、滅多に見れるもんじゃないわよ」
にんまりと口を三日月の形に開き、奇妙な台詞を放つ升田。
まるで別人になってしまったかのような女教師の変貌ぶりに、二人は声も出ない。
升田は訝しがる兄妹を満足げに眺めながら、自分の服を一枚ずつ脱いでいった。
上着から腕を引き抜き、厚手の白いシャツを脱ぎ捨て、膝丈のスカートを床に落とす。
そして露になった自分の下着姿を見下ろし、彼女は感心した様子で言った。
「へー、意外とエッチなもんつけてるじゃない。やっぱ新婚だからかな?」
腰のベルトから吊り下げられた、薄いベージュのガーターストッキング。
ショーツとブラジャーはそれよりやや濃い色で、派手なフリルのデザインだった。
細身だが尻や胸の肉づきは決して悪くなく、柔らかな体のラインがありありとわかる。
恵や真理奈とは一線を画した妖艶な裸体から、啓一は目を離すことができなかった。

「な、なんで脱ぐんですか、先生……」
「そりゃー、今からあんたと楽しいことするからに決まってるじゃない。うふふ♪」
「そ、そんな……やめて下さい……」
「ふーん、まだそんなこと言うんだ。あんたたち、一緒に破滅したいの?」
紅の入った自分の唇をぺろりと舐め、升田が笑う。
「今ここで大声出したら、あんたたち、どうなると思う?
 しかもビデオなんて回しててさ。二人がかりであたしに乱暴して、
 その映像を脅迫材料に――なんて思われちゃうかもね」
「そんな……!」
二人は歯噛みして、女教師をにらみつけた。
冷静に考えれば、カメラの中には升田が啓一を誘惑するシーンが収められているため、
そのような展開はありえないはずだが、それでも教師との淫らな関係を疑われ、
今まで模範的な学生だった啓一の名前に傷がつく可能性はあった。
121真理奈憑依(8/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:23:04 ID:T8RQDZP5
二人を追い詰めるように、升田が続けた。
「それにあたしは知ってるのよ? あんたたち兄妹が、実は好き合ってるってこと。
 血の繋がった実の兄妹、双子同士で犬みたいに絡み合って……やだやだ、不潔だわ」
「!? ど、どこでそれを……!」
啓一と恵、双子の兄妹の間に戦慄が走った。
確かに彼女の言う通り、周囲に内緒でこっそりと恋人つき合いをしている二人だが、
その関係を知る者は極めて少数で、彼らとほとんどつき合いのない升田が、
このことを知っているはずがなかった。
女教師は、自分の豊満な乳房をブラジャー越しに撫で回しながら、彼らに問いかけてくる。
「わかんない? まだわかんないの? あたしのことが」
「…………」
啓一はにやけ顔の升田を見返し、思案に暮れた。
とにかく事態が異常すぎて、なかなか理解が追いつかない。
突然升田に呼び出され、彼女から肉体関係を強要されつつあるということ。
彼女は人が変わったように非常識な態度を見せ、さらに啓一と恵の関係も知っているということ。
そして最初に話題に出てきた、加藤真理奈の追試の件。

加藤真理奈。その名前に啓一は引っかかるものがあった。
彼女はたしか、奇妙な薬を持っていたはずだ。
飲んだ者同士の精神を入れ替える、不思議な錠剤。
真理奈はそれを使い、よく悪戯を繰り返していた。
ということは、まさか――。彼はようやくその結論にたどり着いた。

「あんたもしかして、加藤さんなのか……?」
「ピンポーン♪ やっとわかったわね、遅いわよ?」
升田は下着姿のまま腰を振り、その場で得意げにくるりと一回転した。
とても普段の彼女からは考えられない、分別を欠いた行動。
自分たちとほとんど接点のない彼女が、二人の重大な秘密を知っている理由。
それらは全て、升田の姿をしたこの女の正体が学年一の迷惑娘、
加藤真理奈であるとすれば納得がいく。
おそらく、またあの薬を使って升田と入れ替わったのだろう。
しかしそれにしても、なんと迷惑なことを。啓一は歯軋りせずにはいられなかった。

対照的に、升田は楽しくてたまらないといった様子で不敵に笑っている。
「新しい薬が手に入ってさ。
 今度は入れ替わるんじゃなくて、あたしが一方的にこの女の体を使ってるの。
 すぐバレるかと思ったんだけど、意外とあんたたちも鈍いのねえ」
「なんで……なんで加藤さん、こんなことするの?」
律儀にカメラを構えたまま、恵が問う。
「だってこの女、前々からうるさかったし、あたしを捕まえて追試受けろとかウザすぎなんだもん。
 だからこうして弱みを握って、楽していい成績をいただいちゃおうってわけ」
「弱み?」
「そうよ。新婚ホヤホヤの女教師が教え子に手を出すなんて、面白いネタだと思わない?
 学校に暴露するって脅してもいいし、旦那さんにバラすって脅かしてもいいし、
 どっちにしても、なかなか楽しいスキャンダルだわ」

つまりは、ここで升田の姿をした真理奈と啓一が性を交え、
その現場を撮影して、後で升田を脅迫しようというわけだ。
たかが学校の成績一つで、まさかここまで大それたことを考えるとは。
そのやり口に顔が青くなった二人は、何とか彼女を説得しようとするが、女教師は止まらない。
「せ、先生を脅迫するつもり…… !? そんなことやめようよ、加藤さん……」
「そうだよ、もしバレたら進級どころじゃない。大人しく試験受けよう、加藤さん」
「何言ってんの。今のあたしは正真正銘、あの偉そーな女教師なのよ? バレるわけないじゃん。
 だいたい追試とかさー、あたしがまともに勉強するとか思ってる?
 まあそういうわけだから、あたしが無事に進級するためにも、ね、協力してちょうだい」
「勉強するなら手伝うからさ……お願いだ、加藤さん。こんなことやめてくれ」
「イ・ヤ♪ さあ水野君、先生と愛し合いましょ……ふふふ」
半裸の升田が自分の胸を揉みながら、啓一に近寄っていく。
122真理奈憑依(9/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:23:36 ID:T8RQDZP5
恵はカメラを机の上に置くと、双子の兄を助けようと立ち上がった。
「加藤さん、馬鹿なことはやめて! このことは誰にも、先生にも言わないから、やめなさい!
 追試に受かりたいからって、何もこんなことする必要ないじゃない !!」
「成績の話だけじゃないわ。はっきり言っとくけどね、あたしはこの女が大嫌いなの。
 年増のヒステリーの分際で、この真理奈様にケンカ売ろうなんて百万年早いわ」
「加藤さんっ! いいからやめるんだっ!」
狭い室内で、恥じらいもなく下着姿になって妖艶に笑う女教師と、
それを挟んで説得を続ける二人の生徒。

三人の口論を中断させたのは、突如として部屋に響いた、穏やかな声だった。
「まあまあ。二人とも、いいじゃないか。たまには真理奈さんにつき合ってあげなよ」
「…………!」
その声に三人が振り返ると、粗末なパイプ椅子の上に、あの少年が優雅に腰かけているのが見えた。
いったいいつの間にこの密室の中に侵入したのだろうか。
常ながら人知を超えた、非常識な存在である。
双子は少年に気づくと、どちらも納得した表情を顔に浮かべた。
「そうか……加藤さんをけしかけたのは、あんただったのか……」
「その通り。ちょうど以前の薬を改良したから、つい試してみたくなってね。
 啓一君は覚えてるかい? 君の叔母さんが従妹の希ちゃんに乗り移った、あの薬だよ」
「あのときの……!」
彼の言葉に、啓一は思わず唇を噛んだ。
以前、彼が叔母の家に立ち寄った際、叔母は謎の薬を飲んで実の娘、啓一にとっては従妹にあたる
希という少女に乗り移り、そのまま成り行きで啓一と交わってしまったのである。
あのときは半信半疑だったが、この少年が裏で手を回していたと聞けば納得がいく。
しかし自分たちどころか、その親戚まで薬の実験台にされていたとなれば、
とても愉快な気分にはなれなかった。

升田は少年と啓一を見比べ、怪訝な顔をしている。
「なんだ。あんたたち、知り合いだったの?」
「うん。啓一君も恵さんも、僕の大事な友達だよ」
「…………」
啓一と恵は、反応に困るとでも言いたげに肩をすくめた。
過去、彼ら兄妹とこの少年の間に、いったい何があったのだろうか。
升田は多少の関心を示したが、今の彼女にはそれよりも優先すべきことがあった。

「ま、来てくれたんならちょうどいいわ。
 あんたからもその二人に言ってやってよ。この女教師をハメ撮りするから手伝えって」
「ということらしいよ?」
少年は椅子に腰かけたまま、啓一と恵に笑いかけた。
男であれ女であれ、見る者を虜にしてやまない美貌が、柔らかく微笑して言った。
「君たちに迷惑はかけないようにするから、ぜひ協力してくれないかな」
「いや、でも……」
「だって、先生の体を勝手に……」
「大丈夫だよ。君たちの身の安全は、僕が保証するとも」
二人は顔を見合わせた。この少年は基本的に嘘はつかない。
安全を保証すると言ったら、本当に後腐れのないように取り計らってくれるのだろう。
だが、自分たちが教わっている教師をもてあそんで脅迫するなど、
二人とも、そう簡単にうなずくことはできなかった。
一方、少年と升田――女教師の姿をした真理奈のしつこさはそれ以上だった。
「ほら、何事も勉強だよ。それに友達を助けるためでもあるんだよ?」
「いいからあんたたち、手伝いなさいって。さもないと絶対に後悔させてやるんだから」
「…………」
結局、啓一と恵は二人揃って、ため息をつくしかなかった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
123真理奈憑依(10/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:24:59 ID:T8RQDZP5
数日後の夜、仕事を終えて自宅のマンションに帰ってきた升田。
夫は出張のため、今夜は彼女一人である。
升田はカバンの中から一枚のDVDを取り出し、プレーヤーに入れた。
「これ、いったい何なのかしら……?」
いつの間にか職員室の升田の机の上に置かれていた、一枚のディスク。
他の人のではないかとも思ったが、ディスクの表には「升田先生へ」と汚い字で書かれており、
確かに彼女あてのものであるようだ。
しかし誰からの品かわからないし、心当たりもない。
とにかく中身を確認しようと、ディスプレイに目を向ける。
そして映し出された映像を見て、升田は思わず、間の抜けた声を上げてしまった。
「え?」
画面には一人の女が大映しになっていた。
ブラジャーとショーツ、そしてストッキングだけという扇情的な格好の、若い女。
髪は黒のショートヘア。肌は白く、縁なしの細眼鏡が知的な印象を感じさせる。
それはどこからどう見ても、升田美佐その人だった。

「わ、私っ !?」
画面に映った升田は、にやにや下品な笑みを浮かべ、自己紹介を始めた。
「は〜いっ! あたしぃ、高校で歴史の先生やってます、升田美佐で〜すっ!
 もうすぐ三十のオバサンだけど、スタイルにはちょっと自信ありますっ☆」
そう言って腰に手を当て、前かがみになって胸元を強調する升田。
普段の冷厳な彼女を知る者が見れば、驚愕せずにはいられない光景だった。
「な、何よこれ…… !? いったい何なの…… !?」
目を見開いて画面にかじりつく升田に見せつけるように、映像の女は軽い調子で後を続ける。
「今回はあたしのとっておきの秘密を、特別に! 皆さんに教えちゃおうと思いま〜すっ!
 テレビの前のよい子のみんな、他の人には内緒だからね?」

そこは升田も見覚えがある、狭い部屋の中だった。彼女が勤める高校の、生徒指導室。
窓はなく、本棚と机の他は、椅子がいくつかあるだけの殺風景な部屋だ。
だがなぜ彼女が、その場所でこんな格好でいるのか。不可解極まりない映像はさらに続く。
「あたし、こないだ結婚したばかりの若奥サマなんだけど、実は年下の男の子が大好きなの。
 可愛い少年が好きでたまんないから、センセーなんてかったるい仕事やってるんで〜すっ!
 授業中、あえて生徒に厳しくしちゃうのも、あたしが根っからのドSだから。
 いつもみんなをイジめてるとき、ゾクゾクしちゃってパンツびしょびしょなのよ♪」
今度はくねくねと腰を振る。胸元では豊かな肉の塊が揺れ、軽快に弾んだ。
「それで今日はね。あたしが前々から狙ってた、そこそこカッコいい生徒のコがいるんだけどぉ、
 今回はその子を部屋に連れ込んで、美味しくいただいちゃおうって企画なの。
 しかも記念のビデオ撮影つき! 教師と生徒、禁断の恋はドッキドキの急展開ね☆」
両手を握って顎の前に持っていき、楽しそうに腰をくねらせるその振る舞いは、極めて愚かしい。
だが、彼女の顔も声も体格も、はいている下着ですら、確かに升田本人のものであった。
映像に食い入る彼女の背筋を、未曾有の戦慄が這い上がっていく。
124真理奈憑依(11/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:25:32 ID:T8RQDZP5
動画の升田は大げさに両手を振り、カメラからは見えない位置にいる何者かに呼びかけた。
「それじゃあ、どうぞっ! ジャジャ〜ンっ!」
それに応えて、画面の外から少し緊張した様子の、凛々しい男子生徒が現れる。
「紹介しま〜すっ! この子はあたしの生徒、水野啓一君!
 成績がよくて顔もいい、パーフェクトな男の子よ!
 こんな可愛い子とイチャイチャできるなんて、おねーさん感激ぃっ♪」
「え、水野くん…… !?」
彼のことは升田も知っていた。真面目で勉強熱心な、いい生徒だったはずだ。
その彼がなぜ、あんなところで自分と――?
驚く暇もなく、升田は下着姿のまま、啓一にひしと抱きついた。

「というわけでお願い、啓一君! あたしを抱いてっ」
その言葉に頬を染めた啓一が、ためらいがちに聞き返した。
「先生――ホ、ホントにいいんですか……? 先生、結婚してるんじゃ……」
「もちろんよ。だってあたし、旦那なんかより、年下の男の子の方が好きなんだもん♪
 啓一君の顔見てたら、お腹が疼いて仕方がないの。ね、早くエッチしよっ?」
「あ……せ、先生、そんなとこ触っちゃ……」
「ふふっ、気持ちいいでしょ? ほら、そこの机に座って」
扇情的な格好の教師に命令され、啓一が机にそっと腰を下ろす。
升田はその前に膝立ちになると、慣れた手つきで少年の下半身に手をかけた。
ベルトを外し、ズボンをずらし、下着の中から彼の性器を取り出す。
「じゃあ、いっぱい気持ち良くしてあげる……」
女教師の指が、指輪をはめた彼女の指が蠢き、生徒の陰茎を撫で上げた。
両の手が袋と竿を包み込み、爪の伸びた親指が亀頭を擦った。
「あっ、先生……!」
「啓一君、もっと先生を感じて……」

升田は眼鏡をかけた顔で妖艶に笑い、十の指で少年の性器を責めたてた。
時には袋を揉みしだき、時には竿を撫でつつ先端を摩擦する。
やがて硬くなった肉棒を愛しげに眺め、彼女はうっとりして言った。
「啓一君のおちんちん、美味しそう……。じゃ、いただきまーすっ」
我慢できなくなったのか、升田がそそり立った肉棒にかぶりついた。
亀頭を口に含み、唾液を舌で擦りつけて愛撫を始める。
見ている側に聞かせるためか、盛大に唾を鳴らして口淫にふけった。
「ん、じゅる、ずずっ、んっ……ちゅる、ちゅぱっ」
「せ、先生……うっ、すごい……」
「んふっ、気持ちいい? あたし、フェラには自信あるんだ♪」
彼女は少年の陰茎に舌を這わせ、尿道を音を立てて吸い上げた。
半裸になった女教師がひざまずき、艶かしい表情で男子生徒の性器にしゃぶりつく。
ありえない光景を前に升田は声も出せず、ただただ信じられないといった表情で、
画面に映った自分そっくりの女の痴態を眺めていた。

啓一の肉棒は口紅のついた唇に挟まれ、彼女の口内へと飲み込まれていく。
「あっ――先生、そんな……!」
喉に当たるほど深く飲み込み、頭部を上下させる女。
さすがに多少は苦しいようだが、表情は実に幸せそうで、恍惚そのもの。
生徒と相対する教師の顔ではなく、完全に、男に奉仕する女のそれだった。
そうして限界を迎えたのか、啓一は教師の頭をつかむと、彼女の咽喉に自分の子種を注ぎ込んだ。
「せ、先生――飲んでっ……!」
「んんっ……!」
軽く咳き込んだが、升田は彼の精を全て胃に納めたようだ。
名残惜しげに啓一の性器から口を離すと、白濁のついた唇をぺろりと舐める。
淫靡極まりない雌の表情。整ったショートヘアも、目鼻を飾る上品な細眼鏡も、もはや見る影もない。
125真理奈憑依(12/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:26:05 ID:T8RQDZP5
「ふふっ……どう啓一君、気持ち良かった?」
「は、はい、先生……」
「そう。それじゃあ、今度はあたしを気持ち良くさせてくれる?」
升田はそう言って、彼と交代で机の上に座り込んだ。
太ももを思い切り開き、下着を脱いで濡れそぼった陰部を露にする。
少年を誘う女教師のつぶやきが、スピーカーを介して彼女自身に聞こえてきた。
「ほら、啓一君……先生のアソコ、なめてちょうだい」
「…………」
ディスプレイの前の升田は無言でわなないていた。
あれはおそらく、いや、間違いなく自分の姿だ。だが、ごく普通の教師である自分が、
教え子相手にあんな変態じみた行為をするはずがない。したくもないし、した覚えもない。
しかし今、目の前で繰り広げられているのは、彼女の痴態の確かな記録だった。
なぜ? これは何? あれは誰? いったい何がどうなっている?
疑問は止めどなく湧き上がるが、答える者は誰もいない。

気がつくと画面の中では、机に腰かけて生徒にひたすら女陰を責めさせていた自分が、
あられもない声をあげて絶頂に達していた。
「んあ、ああっ、いい、いいよぉっ !! ふあぁっ !!」
少年の頭を抱え、背筋を反らしてかん高い嬌声を垂れ流す。
「先生……イっちゃったんですか?」
自分自身の絶頂を初めて客観的に見せられ、升田はうめき声を必死で押し殺した。
恥ずかしさのあまり、気が狂いそうだった。
そんな彼女をいたぶるように、中の女は下卑た言葉を吐き続ける。
「うん、そうよ……あたしはセンセーなのに、生徒のクンニでイっちゃった、
 ダメなエロ教師なのぉっ……! でも、気持ち良かったよぉ……♪」
「やめて……もうやめて! これ以上、私を辱めないでっ!」
自然と涙がこぼれ、升田の頬を濡らした。
停止すればいい。もう見なければいい。そう思いながらも、
映像の自分が生徒とどこまで及んだのか、気になって停止できない。

二人はそのままキスをしたり、互いの首筋や胸をなめ合ったりと、
淫らな行為を繰り返していたが、やがて女教師がカメラを向いて、にんまり笑って言った。
「というわけで、いよいよお待ちかね! 今から啓一君とセックスしちゃいま〜す!
 こんな馬鹿でスケベなダメ教師で、みんなホントにごめんねっ☆」
「先生……いいんですね? ホントにしちゃって……」
「いーのいーの、センセーが言うんだから大丈夫よ! あ、ゴムいらないから。もちろん生ね、生」
「は、はい……それじゃ、失礼します……」
机に両手をついてもたれかかった升田に、啓一が後ろから突き込んでいく。
映像の自分が生徒に犯されるさまを、彼女は絶望して見つめていた。
「ああ……私が……」
126真理奈憑依(13/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:26:45 ID:T8RQDZP5
男子生徒が女教師の腰をつかみ、猛りきった自分自身を挿入する。
待ち焦がれた喜びに升田は満足の吐息をついて、心の底から歓喜した。
「はあんっ、はっ、入ってきてるよぉ……! あたし、自分の生徒に犯されてるぅ……!」
「先生……動きます」
「んあ、ああ、あっ、あんっ! やっ、激し――んんっ!」
啓一はもはや遠慮せず、腰を激しく打ちつけて、女の中を往復した。
夫がいる身でありながら、教師という立場にありながら、升田は狂喜して生徒の肉棒を貪った。
短い黒髪を振り乱し、今にもずり落ちそうな眼鏡の奥で、喜びの涙を流す。
下品に開いた口からは、舌と唾、声と息とが撒き散らされた。
「いい、んあっ、あっ……い、いい、もっとぉっ!」
「先生……先生……」
膨張した亀頭が膣壁を擦り、勃起した陰茎が女の奥へ奥へと突き進む。
蜜のしたたる陰部は若い肉棒を喜んで受け入れ、襞を絡めて歓迎した。
カメラが動き、後背位で繋がる二人の様子をさらに間近でおさめようと、近づいた。
横に回り、激しい肉の絡み合いをズームでとらえる。
再び大写しになった自分の裸体、進んで男に犯される自分の姿を見せられ、
升田の顔は青くなったり真っ赤になったり、大忙しだった。

啓一が後ろから升田を犯しながら、その背中にささやいた。
「先生、すぐ近くで撮られてますよ。恥ずかしくないんですか?」
「んんっ、あっ、ああっ! は、恥ずかしく、ないっ! ないもんっ!
 もっと、もっと激しくぅっ! それで撮って、撮りまくってぇっ!」
「升田先生、ホントに変態なんですね。びっくりしました」
「そ、そうよっ! あたし、変態よぉっ!
 こうやって生徒に犯されてっ、撮られてっ、それで思い切り感じちゃう、変態なんですぅっ!
 もっと、もっとイジめて! もっと犯してっ! もっと撮ってぇっ!」
パンパンと肉を叩き、性器を鳴らし、男女が卑猥な二重奏を奏でる。
少年より一回り近くも年上の女が、必死に腰を振って、彼の突き込みを促した。
結合部は二人が動くたびにジュルジュルと下品な音をたて、画面の前の彼女を痛めつける。

「うそ――こんなの、うそ……嘘だわ……」
ありえない。これは嘘だ。升田に似た人物が彼女の名を騙っているだけだ。
あるいは別人の映像を、手の込んだ細工で編集したのかもしれない。
理性は必死で平静を保とうとしていたが、それもどんどん怪しくなってくる。
やはりこれは自分ではないのか。酒にでも酔って、生徒と関係を持ってしまったのではないのか。
だが、教師の自分が校内で飲酒などするはずがないし、前後不覚になったこともない。
これはいつだ。いつ自分が、こんなことをしでかしてしまったのか。
升田は記憶の畑を掘り返そうとしたが、平常心を欠いた現状では、それもままならなかった。
彼女が思い悩む間にも、映像の女と男子生徒の行為は激しさを増していく。

啓一が上から升田にのしかかり、深く深く彼女を貫いた。
熟れた肉壷が男のものをくわえ込み、擦れるたびに音をたてる。
もう限界が近いのか、女教師は膝をガクガク震わせ、机に覆いかぶさった。
二つの膨らみが体に潰され、その形を変える。
彼も同じく我慢の限界のようで、升田の背中で苦しげな声を出した。
「せ、先生、僕、もうっ……!」
「い、いい、いいっ! いいの、いいから中にっ! 中にっ、ちょうだいっ!」
「う――ううっ、出る、出ますっ!」
「んああっ、い、イクっ! イク、イっちゃううぅっ!」
机の表面をかきむしり、締めつけた膣が多量の精を受け止めた。
細められた目と、だらしなく開けられた口、そしてかん高い嬌声が、
ディスプレイとスピーカーを通してありのままに伝わってきた。
127真理奈憑依(14/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:27:23 ID:T8RQDZP5
「あ、あ……わ、私……」
血の気の引いた彼女が、力ない声でうめいた。
画面の中では、最後まで行為を終えた男女が満ち足りた吐息を漏らし、肉と汁の結合をそっと解いた。
教師と生徒の入り混じった液体が升田の股間から滴り、生徒指導室の床を汚す。
「ふう、先生……ありがとうございました」
一仕事終えた声で啓一がそう言い、ポケットからティッシュを取り出した。
ようやく悪夢の終焉か。いまだこの映像の目的がわからない升田だったが、
とにかくこれで自分と生徒の禁断の交わりも終わりだと、暗闇の中でわずかながら安堵した。

しかし次の瞬間、彼女は再び凍りつくことになった。
「こら、勝手に終わらせるんじゃないの。一回出して、はい終わり?
 そんなわけないでしょーが。ほら、さっさと第二ラウンド始めるわよ」
絶頂の余韻に体を火照らせた女教師が、そう言って啓一に抱きついたのだ。
彼の不意を突いて唇を重ね、口内を蹂躙しながら、萎えた肉棒に手を伸ばす。
若々しい男性器は女の指に刺激され、またも硬く立ち上がった。
「んっ、ん、んんっ……せ、先生……まだするんですか?」
「あったりまえじゃない。最低でもあと二発は中出ししてもらわないとね。
 あたしのお腹もキュンキュン欲しがってるんだから、あんたが枯れるまでやるわよ」
「でも先生、その……万が一、赤ちゃんできちゃったら――って、もう遅いかもですけど……」
「今さら何言ってんの。あたしは啓一君と赤ちゃん作りたいのよ?
 どーせ赤ん坊なんて誰のかわかるわけないんだから、旦那以外の種でもバレやしないわ。
 優秀な生徒の子供を産みたいっていう先生の女心、わかんないの?」
「先生……」
「わかったらもう一回抱いて。あたしが妊娠するまで、何度でも種つけしてちょうだい」

既婚女性とは思えない不埒な発言を並べ立て、机の上に仰向けに寝転がる。
女教師は汁の滴る陰唇を指で開き、物欲しげな表情で、男子生徒をいざなった。
こちらも覚悟を決めたのか、啓一の方も升田の腰をしっかり押さえ、二度目の挿入を開始した。
「あっ、ああっ、ん、いいっ! 中、こすれてっ、すごいよぉっ!」
「せ、先生――僕も、気持ちいいです……」
彼女の脚を担ぎ上げ、上を向いた肉壷に深々と突き入れる。
きしむ机が悲鳴をあげるほどの激しさで、二人は淫らな行為に没頭した。
三度目は椅子に座った彼の上に、升田が腰を下ろし。
四度目は机の上に二人で座り、抱き合ってキスをしながら。
そのたびに彼女の陰部に濃厚な精液が注ぎ込まれ、胎内が新鮮な精子で満たされていった。

そして五度目。汚い床の上で散々に絡み合った二人は、
やっと満足したのか、共に疲れ果てた様子で寝転がった。
「ふ、ふうっ……お疲れ様。ありがとね……セ、センセーのお腹、もうパンパン……」
「は、はあ……つ、疲れた……」
「あたしも疲れちゃった……。もう充分かしら……」
顔から腹部、そして股間に至るまで、裸の彼女のあらゆる部分を体液が汚している。
生々しい事後の光景を、物言わぬディスプレイが映し出していた。
128真理奈憑依(15/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:27:52 ID:T8RQDZP5
「…………」
長い性交を最後まで見届けた升田は、もはや何の反応も示さない。
涙は枯れ果て、悲鳴をあげることもなく、放心して画面を見つめている。
カメラが彼女の股間をアップにし、汁まみれになった汚らしいそこを、鮮明に映し出した。
撮影する方も、かなりの手間だったろう。ふとそんな、他愛のないことを考えた。
冷え切った手を口に当て、小さくつぶやく。
「本当にこれ、私なの……?」
自分の知らない自分の記録。
まったく身に覚えはなかったが、この映像を他人が見れば、言い訳はできないだろう。
升田は高校教師という責任ある立場にある。
その彼女が自分から、生徒を淫猥な行為に誘ったと周囲に知れたら、どうなるだろうか。
まして今の升田は夫を持つ身。もしこのことを彼が知れば――。
さらに恐ろしいのは、今、自分の体の中に、男子生徒との子供ができているかもしれないことだ。
最後の生理はいつだったろうか。そして次の生理は来るのだろうか。
妊娠検査薬。産婦人科。夫。浮気。離婚。出産。堕胎。
脳裏を駆け巡る単語の群れに背筋が寒くなり、絶望で視界が暗くなった。

そのとき画面の風景が替わり、一人の少女が映し出された。
彼女の自宅だろうか。少し散らかった部屋の中で、ひとりにやにや笑っている。
自分の生徒であるその少女の名前を、升田ははっきりと覚えていた。
「か、加藤さん…… !?」
派手な顔立ちと勝気な眼差し。そして嬉しそうな笑顔。
芝居がかった調子で、映像の少女、加藤真理奈はこちらに語りかけてきた。
「というわけで、以上で〜っす! 升田先生の指示通り、
 ちゃんと先生のエッチなシーン、録画して編集しときました。苦労したんですよ?
 その甲斐あって自分的には百点満点、もう最高の出来だと思ってます」
「加藤さん……。まさか加藤さんが、このビデオ撮ったの……?」
それも、自分が彼女に命令して。真理奈の言葉通りだとすれば、そういうことになる。
理性ではそんな馬鹿なと思ってはいても、それ以外に納得のいく説明は思いつかなかった。
129真理奈憑依(16/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:28:24 ID:T8RQDZP5
「それにしてもあたし、先生がこんなにエッチな人だったなんて知りませんでした。
 いきなり水野君とのエッチを撮影しろって言われたときは、ちょっとビックリしましたけど……。
 でも、先生の意外な一面が発見できて、すごく楽しかったです。ホントにいい経験になりました。
 よかったら、また撮らせて下さいね♪」
「加藤さん……! 何が、また撮らせてよ! ふざけないで!」
上機嫌でまくしたてる真理奈を前に、升田の表情が怒りに歪んだ。

激怒する升田を置き去りにして、画面の真理奈は話を続けた。
「それで先生、あの、約束のごほうびのことなんですけど……」
わざとらしくもじもじと恥ずかしがって、上目遣いでこちらを見る。
ご褒美とは、いったい何のことだろう。不審に思っていると、少女が微笑んで答えを告げた。
「たしか先生の撮影に協力したら、世界史の成績に色をつけてくれるんでしたよね?
 あたし、中間も期末もすごく悪かったから、
 ここはひとつ、五十点ほどドーンと底上げして下さいね。期待してます」
「なんですって? あなた、赤点で追試じゃ……それに、私がそんな約束するわけが……」
「いやもうホント、出来が悪くてすいません。でも優しい升田先生のことだから、
 可愛い生徒に追試受けさせて困らせるようなこと、決してしないって信じてます。そうですよね?
 もし助けてくれないと、あたし……先生を困らせちゃうかもしれません」
そう言って真理奈が微笑む。その言葉が意味するものは、たった一つだった。
つまり真理奈の言う通りにしないと、このことを皆に広めるというわけだ。
脅迫されているも同然の発言に、升田はうめくしかない。

「なんで? なんで加藤さんが、こんなビデオ撮ってるのよ !? 私が頼んだ?
 そんなこと、あるわけないわ! いったい私に何があったの? いったい何が起きたのっ !?」
感情が制御できず、大声で叫ぶ升田だったが、それも無意味な行為だった。
画面の中で真理奈がにやにや笑っているのも、彼女の神経を逆撫でする。
「じゃあ先生。成績の件、よろしくお願いしますね。それじゃあ、これで終わりです。さよなら〜♪」
それで映像は終わりを告げ、ディスプレイが待機画面に切り替わった。
後に残されたのは、憤怒と困惑に取り乱した女教師だけ。
「なんでっ !? いったいどういうことなのよぉっ !?」
夜空に升田の叫び声が響き渡ったが、誰もそれを耳にすることはなかった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
130真理奈憑依(17/17) ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:29:56 ID:T8RQDZP5
それから何日か経った、昼下がりの住宅地。
目立たない場所にあるドラッグストアの中で、少女が上機嫌で笑っていた。
「あっはっはっ! いやー、うまくいったわねえ。これで追試はパス!
 しかもこれで三学期の成績も保証されたようなもんだし、世界史はサボり放題だわ」
「よかったね、真理奈さん。有意義な実験ができて、僕も嬉しいよ」
「あはは、ありがと。今のあたしは機嫌がいいから、素直に感謝したげる」
少女は隣に座っている美貌の少年の肩を叩き、高笑いをしてみせた。
店のカウンターを挟んで四つの椅子が並び、それぞれに同じ年頃の少年少女が腰かけている。

カウンターの手前にいる少年、水野啓一がため息をついて言った。
「はあ……。ホントにあんなことして良かったんだろうか。先生、ショックだっただろうなあ」
「ふん。これでもうあの女は、あたし達に逆らえないわ。いい気味よ」
強気に眉をつり上げた少女が、乱暴な手つきでコーヒーカップを口元に運んだ。
少し冷めてはいるが、ほのかな甘みが心地よい。
彼女はカップの中身を飲み干すと、美貌の少年に突きつけた。
「おかわり。クリームたっぷりね」
「はいはい」
彼は怒るでもなく立ち上がると、空のカップを持って店の奥へと引っ込んでいった。

その様子を見届けた啓一が、勝気な少女に話しかけた。
「でも加藤さん。もうこんなの、これっきりにしてよ。こっちもヒヤヒヤものだったんだから」
「そう? でも面白かったでしょ? あんたも役得で、あの女の体とエッチできたわけだしさ。
 あのときのあんた、意外とノリノリだったじゃない」
「役得……そりゃ確かに、気持ち良かったのは認めるけどさ。
 でも、好きでもない女の人を相手にするの、あんまりいい気分じゃないよ」
「へえ、さっすが優等生。大好きな妹さんじゃないと満足できませんか。
 変態ぶりもなかなかで結構結構。何だったら、あたしが相手してあげよっか?」
制服の襟元を広げ、彼を挑発してみせるが、啓一は呆れた顔をするだけだ。
それを見ていたもう一人の娘が、不安そうな瞳で彼女を見つめた。
何か言いたそうだが、何も言わずに黙りこくっている。
娘はじっと少女に視線を向けていたが、やがて諦めたのか、啓一と同じ表情で大きく息を吐いた。
「はあ……」
「何よ、水野恵。あたしの前でそんな顔、しないでくれる?」
眉をひそめ、少女が言う。

娘は少しばかり恨めしげに、彼女に聞いた。
「それで、加藤さん……私の体、いつ返してくれるの?」
「もちろん、あたしが飽きたらよ」
長い黒髪の少女――水野恵が、にやけ顔できっぱりと言い切った。
さらさらした自分のストレートヘアを指でいじり、実に楽しそうだ。
その仕草を見た茶髪の娘、加藤真理奈が力なくつぶやいた。
「うう……。最初からこうなるんだったら、私が加藤さんの代わりに追試受けとけば、
 あんなひどいことしなくても良かったのに……」
「わかってないわねー。そんなのつまんないでしょ?
 それにあたしも、あんたの体でやりたいことが色々あるし」
「……お願いだから、私の体で変なことしないでよ?」
普段絶対に見せない泣き顔で、真理奈が言う。
恵は元の自分のしょぼくれた表情を、面白そうに眺めていた。
「ま、あんたのお兄さんもいるし、あんま変なことはしないわよ。とりあえず、体重とスリーサイズくらいは測らせてもらうけど」
「啓一……お願いだから、ちゃんと加藤さん見張っててね?」
「あ、ああ。わかってる」
そのとき店の奥から少年が現れ、淹れたての飲み物を持ってきた。威勢のいい仕草でカップを引ったくり、恵が甘露に浸る。
「んー、おいしっ! テンション上がってきたわっ!」
「はあ……」
啓一と真理奈は顔を見合わせ、嘆息することしかできなかった。

なお升田美佐は、翌年、無事に元気な女児を出産した。
だが啓一も恵も真理奈も、その頃には、産休に入っていた彼女のことを完全に忘却してしまっており、
女児の父親について思いを巡らせることはついになかった。
131 ◆cW8I9jdrzY :2009/10/31(土) 12:34:10 ID:T8RQDZP5
以上となります。
長くなった挙句、非道ですみません。
それではこれで失礼します。
132名無しさん@ピンキー:2009/10/31(土) 21:14:28 ID:HEuSppB7
GJ!
真理奈えげつないw
133名無しさん@ピンキー:2009/11/01(日) 10:57:42 ID:Xy6e17h7
元の体に戻るまで、色仕掛けしまくるんだろうな。
134名無しさん@ピンキー:2009/11/05(木) 13:59:55 ID:/WlZP1vb
やっぱりトラブルメイカーっていいよね
他人に乗り移っていたずらしまくるのはODでもTSでも大好きだ
135名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 17:03:01 ID:cSQt9W/a
丸4日レス無しとはこれいかに?
136名無しさん@ピンキー:2009/11/09(月) 20:33:23 ID:TsFd+1Pm
あげ
137母親と小学生の娘:2009/11/09(月) 22:05:55 ID:dEWHL42v
時刻が早朝から朝に切り替わって間もない頃、とある家庭の台所で、エプロン姿の主婦がイスに腰掛けたまま居眠りしていた。
年齢は30台半ばだろうか。
極端な意味での老けはそれほど感じ取れないものの、肌の張りや目尻の皺が隠しようのない歳の重みを感じさせないわけにもいかなかった。
彼女の目の前のテーブルに置かれた大きめの布巾が盛り上がっているのはその下に料理が並べられていることを遠回しに物語っている。
時計の針の位置からして、夫にしろ子供にしろ、既に見送った後のちょっとした一息といった感じの主婦の様子。
だが、不意に彼女が震えるような前振りの後に目を覚ました。
しばらくは、自分が置かれている状態が理解できないかのように周囲を見渡す主婦。と、彼女は自分の身体を見下ろすと同時に驚きの表情を浮かべ、更に直に手で触ってみて更に驚きを見せた。
跳ねるように立ち上がった主婦は、あられもない格好を気にする素振りもみせずにかけだすと、廊下を駆け抜け、階段を駆けのぼる。
2階にあがった主婦がその勢いをかりて開けたドアの向こう、そこでは年の頃壱拾歳ぐらいだろうか、フード付きパーカーぶデニムスカート姿の少女がランドセルの中身を確かめている真っ最中だった。
「ママ−!また、こんな勝手なことやって!」
部屋に飛び込んだ主婦は女の子に向かって非難的な視線を向ける。
「ありゃ・・・目が覚める前に出るつもりだったけどちょっと間に合わなかったか。」
「もう、ママってば、勝手に身体を入れ換えないでって何度もいってるじゃない。」
「でも、フタバちゃんだって、堂々と学校を休めるのは悪い気しないでしょ?」
「そ、それはそうだけど・・・でもママに勝手にされたんじゃいい気持ちはするもんじゃないわ。」
「でも、フタバちゃん、ママがお願いしたって、うんとはいってくれないでしょ。それに、そもそもフタバちゃんがちゃんと自分で起きれば、こんなことにならないはずだし。
どうせ昨日の夜も、友達とメールとかで盛り上がって夜更かししちゃったんでしょ。確か、携帯は壱拾時以降は使わない約束だったよね?」
「う・・・確かにそうだけど・・・」
「中学校にいっちゃったらもう勉強にもついていけないから、今のウチだけしか楽しめないじゃない。その間ぐらい、ちょっとだけママが遊んでもいいしょ。フタバちゃんにはたいして迷惑にならないわけだし。」
「だ、だけどさ・・・」
「あ、もういかないと遅刻しちゃう!今日はもう仕方ないから諦めて。」
背負ったランドセルの上に体操着袋を載っけると、女の子は勢いよく部屋を出て行った。
「あ、フタバっちゃん、お昼はいつも通り、テーブルの上に用意してあるからチンして食べてね。」
取り残される形で、少女を見送るしかない主婦。
「あーあ、またママにおしきられちゃった・・・でも学校休めるのはいいけど、お昼ってテレビつまんないのよねえ。」
誰に聞かせるとでもなくそう呟いた主婦は、台所に戻ると、戸棚から取り出したお菓子を囓りながら、テレビをスイッチを入れた。
138母親と小学生の娘:2009/11/09(月) 22:09:26 ID:dEWHL42v
えっと >98 です。
なぜかアクセス禁止に巻き込まれたのでだいぶ遅くなりました。
この辺が限界なので、続きません。
139名無しさん@ピンキー:2009/11/10(火) 09:24:06 ID:pKp7a72v
乙です!お母さんいいなw
140名無しさん@ピンキー:2009/11/12(木) 22:46:28 ID:GIyYmnht
test
141名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 00:18:43 ID:N1dRhwc3
乙乙
142give and take 10:2009/11/13(金) 02:52:12 ID:M1ucTdCt
静寂が一気に解け、いつもの出勤風景が広がる。
「おはよう、博美ちゃん。」
隣には年上となった早苗の姿。
「おはよう…ございます。」
低いが透き通った若い声。
(私、こんな声だったかしら)
下を見ると、鮮やかな青のチュニックに、白黒のボーダーTシャツ。
そしてカーキ色の7分丈のパンツ。そこから若々しい脚が覗いている、
(え?何この服?)
隣を見ると、早苗はニット地でマスタードイエロー一色のハイネックになっていた。下はブラウンのキュロットパンツに黒のストッキング。脱ぐと、ベージュのキャミソール。覗くブラジャーは黒。
(いい歳になっちゃったわね、早苗ちゃん)
そう思いながら、博美も服を脱ぐ。ロッカーに映った姿を見て目を丸くした。
薄いピンクに花柄の飾りが付いたかわいらしいブラジャーが、張りの戻った乳房を包んでいる。
(やだ、こんなかわいいの…)
そう思った博美だが、ロッカーの小さな鏡の中には、つぶらな瞳の女の子が映っている。
(若いなぁ。これ私か…)
143give and take 11:2009/11/13(金) 02:53:06 ID:M1ucTdCt
病棟に上がって仕事を始める。若返る前、師長以外は全員年下だった。しかし…
「樋口さん、点滴作った?」「はい。」
早苗に薬を飲ませたときに一緒だった田中恵美子が、年下になった博美に指示を出した。今は1年目の奈都子と2年目の2人を除いては、全員年上だ。
博美が最後に直接指導したのが、10歳離れた彼女だった。きつく指導していたのも懐かしく感じる。
「博美ちゃん、これ。」「はい。」
医師からも下の名前で呼ばれるようになった。本当の自分の歳ではありえないことだ。
(ホントに若い子になっちゃたのね。あ、なっちゃったんだぁ)
早苗はというと、こちらも40歳として仕事をしている。業務が終わってから、ナースルームで中堅の看護師と話し合いをしていた。
(評価してるのね、私もしてた。でも、もうされる側になっちゃった。)
「お先に失礼しま〜す。」「おつかれさま。」
博美は早苗を脇に見ながら、更衣室へ帰った。
部屋に帰り、クローゼットを開ける。
フリルがたっぷりとあしらわれたチェックのミニスカート、プリントの入ったレモンイエローのタンクトップ、デニム地のショートパンツ…
どれも20代でしか着られないデザインや色ばかり。
「これでも仕事用でちょっと地味なのね。まぁこんな感じかも。」
20代だったのは約20年前のこと。ファッションの流行は相当変わっているが、クローゼットの中は自分の好みに合う服ばかりだった。
(細かいとこまでちゃんと変わってるのね…)
144give and take 12:2009/11/13(金) 02:54:04 ID:M1ucTdCt
そして4日後の朝。
「いよいよね。」
鏡を通してもわかる瑞々しい肌感。グリーンのTシャツのプリントは、若々しい張りのある乳房に少し歪められている。
ジーンズがキュッと上がったヒップを包む。
「22歳かぁ。こんなだったんだ、私。」
『おはようございます』
「ふふ、どう私。かわいいでしょ?」
『ええ、とっても。今のうちに若い身体を謳歌して下さいね。』
「今のうち?」

薬を買ったあのとき。
「相手の記憶がなくなって、私の記憶はどうなるの?」
『若返っても記憶は残りますよ。』

「記憶が残るって言ったじゃないの。」
『ええ。現に今、わかってるじゃないですか。自分が若返ったって。』
言葉に詰まった博美に対して、男が言葉を重ねた。
『ずっとそのままとは言っていませんよ。』
「じゃ、じゃあ何、私も22歳が当たり前になっちゃうの?」
『ええ、そのうち自分が44歳だったことは忘れてしまいます』
「そんな…」
『44歳の姿に戻りますか?』
「それは嫌。ねえ、ねえいつ忘れちゃうの…」
あどけなさの残る女の子が、男に向かって怯えながら聞く。
『数日ってところですかね。』
「早苗ちゃんは?」
『もちろん彼女も44歳として生きていきますが、それまではこの前のように思い出すことはあるでしょう。』
男はこう続けた。
『でも彼女はもう受け入れてるみたいですよ』
145give and take 12:2009/11/13(金) 02:56:08 ID:M1ucTdCt
「え?この前まで22歳だった?」
男から青い光が放たれ、早苗に降り注ぐ。
「ちょっと、何これ?」
ダークパープルのTシャツに張りのない乳房が丸い曲線を描く。黒いスカートからはストッキングに包まれた細い脚が覗く。
艶のない髪が一本にまとめられ、くすんだ肌が鏡に映っている。
『あなたはこの姿で生きていきます。』
「馬鹿なこと言わないで。」
『もう決まったことですから。戻しますよ。』
「あら、あなた誰?」
『ほら、もうお忘れですね?』
「何のこと?なんかあったような、でも気のせいね…ちょっと、何今の?私なんて…」
早苗が口を開けて驚く。
『だから言ったじゃないですか。このままですよって。』
「やだそんなの!こんなおばさんで生きてくな…あれ?私どうしたの?」
『意識が同居しているんですよ。これはこれで面白いですね。』
「面白い?なんのことかしら?」

『まぁ私がそういう仕様にしたんですけどね。』
「ちょっと、まさか私も?」
『ええ。結末は同じでもそこへ至る過程には私にも関わる余地があるというものです』
「何楽しんでるのよ。私が私じゃなくなるっていうのに。遊んでるんじゃ…」
博美の表情が変わった。
「おじさん誰?」
『22歳に戻ったみたいですね。』
男はそう言うと煙に隠れながら消えた。
「何だったのかな、今の。」
博美はまた、出勤する支度を始めた。
146give and take 13:2009/11/13(金) 02:57:17 ID:M1ucTdCt
病院に着いた博美。更衣室の鏡に姿が映った瞬間、記憶が戻った。
「病院に来てる…全然覚えてないけど…」
グリーンのTシャツにジーンズ。足下にはリボンの入ったかわいらしいヒール付きのゴールドのサンダル。
「やだ、こんな格好。」
しかしながら、そこからはむっちりとした若々しい脚が伸びている。
「そうだ、22歳だったんだ。」
鏡を再び鏡を見る。思わず笑みが浮かぶ。
「やだ、なにやってんだろ。遅れちゃう…」

早苗はデパートでの試着中に記憶が戻った。ゼブラ柄のワンピースを着ている老けた自分の姿。シックなスタイルが44歳の大人の女性によく似合っている。
「何よ、これ…何平気でこんな服着てるのよ。」
すぐに一つ下の階にある若者向けの店へ向かった。店員が怪訝な顔で早苗を迎えるが、構わず服を選んでいく。
「歳の分、財布の中身は多いのね。覚えてるうちに買わなきゃ。」
147give and take 13:2009/11/13(金) 02:58:30 ID:M1ucTdCt
仕事を終えた博美。家へ帰ると、再び記憶が戻った。
「何?今度は家に帰ってきてる…仕事してたのね…」
ベッドの上のグレーのスウェットに着替えようと服を脱ぐ。脱ぐと、水色のブラジャーとショーツ。鏡に映るのは20代の女の子。むずむずするような感覚が襲う。
「この身体でやり直すんだ…こんな下着恥ずかしいけど、22歳なら平気よね。」

その翌日。
「買っておいた服!」
勤務を終え、帰宅して記憶を取り戻した早苗。ショッキングピンクの袋を、クローゼットの奥から引っ張り出す。
まず黒のショートパンツとピンクのTシャツを取り出す。
紺のアンサンブルと黒のスキニーパンツを脱ぐ。その下にはベージュのスリップに黒のブラジャーとショーツ。
「おばさんくさい下着。早く着なきゃ。」
スレンダーな早苗は、どちらもつかえることなく、着ることができたが…
大きく露わになった脚に、22歳の頃の艶はなく、ピンクのTシャツから見える乳房の膨らみからは張りが失われていた。
「何これ…」
愕然とした早苗は、そのまま記憶を失い、床に倒れた。じきにもぞもぞと動き出す早苗。
「やだ、なんで私こんな格好してるの?」
148give and take 15:2009/11/13(金) 03:00:33 ID:M1ucTdCt
「こんなの着てたのねぇ。」
博美も自分の気に入った服を買っていた。
白のアンサンブルに、スカイブルーの波形模様の入ったロングスカート。22歳にしては落ち着いたスタイルだ。
スカートのウエストには、44歳の時にはなかったヒップの盛り上がりが見える。
「ヒップがこんなに…」
アンサンブルからは谷間が覗く。
「やだ、ちょっと屈むと見えちゃう…張りが違うものね。」
満足げに鏡を見ている博美。一瞬目が虚ろになる。
「何、なんでこんなおばさんっぽいの着てるの?」

その翌日。二人は更衣室にいた。
「おはようございます。」
「おはよう。博美ちゃん…」
「は、私なんて?あなた誰?」
「早苗ちゃん、記憶が戻ったのね?私よ、樋口博美。」
「え〜!?」
『なかなか戻りませんねぇ。そろそろ私も次の仕事がありますので。』
「ちょっとまさか…」
『ええ、もう時間ですので。』
「もうちょっと、記憶があるままでいさせてよ」
「いや、こんなおばさんになっちゃんなんて絶対ヤダ。ねぇ…あれ、何でこんなに暗いの?あれ、博美ちゃんもいるの?…え、何?博美ちゃんって…」
「早苗ちゃん…あ、早苗ちゃんとか言っちゃった、どうしたんだろ。ごめんね、江守さん。え?ごめんね?あ、なんかすいません…何、今の。だんだん記憶が…」
『元の記憶が消えてきたようですね。私がいなくなると、完全に記憶が消えます。それでは。』
149give and take 16:2009/11/13(金) 03:01:50 ID:M1ucTdCt
季節が過ぎ、冬が近づいてきた。
年の頃は40代半ばくらいだろうか、女性がロッカーの鏡を見ている。白の長袖のインナーにネイビーのワンピース。ブーツの下には黒のストッキング。
「肌がガサガサ。最近乾燥してきたから…」
そこに明るい声で若い女性二人が入ってくる。一人はパーカーの着いたグレーのニットに黒のショートパンツ、イエローのカラータイツ。もう一人はリボンの付いたローズ色のプルオーバーにチェックのスカート。二人ともキャメル色のブーツを履いている。
「あ〜あったかい。外超寒いんだけど。」
「ホント。着替えたくないなぁ。」
「ねぇ博美って冷え性?」
「そんなことないよ。そこまでおばさんじゃないよ。」
「そっかぁ。」
声がささやき声に変わる。
「早苗さん、そうなんだって。夜勤の時に言ってた。」
「そっかぁ、あの歳くらいになると結構辛そう。でも、あんまり脚出してるとなっちゃうんでしょ?」
「らしいねぇ。脚出してる博美に言われたくないけど。」
「だって、若くないと出せないじゃん。出せるうちに出しとかないと…」
早苗は逃げるように更衣室を出た。
日が落ちるのが早くなり、外はすっかり暗くなっている。いつもの帰り道の途中に、あるはずのない明かりがぼんやりと灯っている。近づくと、帽子をかぶった怪しげな男性。
「ちょいとそこの方。」
早苗は気味が悪くなって、歩を早めた。しかし…
「若返りたくありませんか?」
露天商の言葉に早苗の足が止まった。
150砂漠のきつね:2009/11/13(金) 03:06:30 ID:M1ucTdCt
以上になります。週末には書き上がってたのですが、規制食らって書き込めませんでした。
しかも、久々に書いたら途中は短くぶつ切りになってしまうし、番号は間違えるし散々です。すいません。

最後の3つくらいは、完全に趣味入ってます。
若い身体に中年女性の服、熟れた身体に若い格好と、そのギャップを職場で妄想するのが一番好きなので…
話としては、「世にも奇妙な〜」とか「笑ゥせぇるすまん」辺りをイメージして作りました。
今度はもっとあっけらかんとSS的に書いてみたいですね。
151名無しさん@ピンキー:2009/11/13(金) 11:13:40 ID:iay06J3i
GJと言わせてもらう!
152名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 00:49:58 ID:i2ecrJZf
この二人は延々と老いて若返るのかw
153名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 17:09:28 ID:YJgXMgmW
まるで砂時計の様に。
154名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 19:51:09 ID:b53reOy1
ドミノ倒しのパターンも有るな
155名無しさん@ピンキー:2009/11/14(土) 22:14:16 ID:i2ecrJZf
年齢逆転って大好きなシチュなんだが流行らないかなあ
若返りスレとかペドが多すぎて大抵赤ん坊か幼児に戻るのばっかりなんだよな
156名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 01:25:38 ID:AVga8wTk
>>155
あるあるwww
157名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 15:59:46 ID:hq9PFCu+
幼女と老婆の年齢が逆転していく。
158名無しさん@ピンキー:2009/11/15(日) 17:02:01 ID:XxBFsl2y
砂漠のきつねです。感想下さった方、ありがとうございます。
自分が書いているように、年齢の逆転は好きです。
しかも、155さん同様、幼女とかよりはせめて小学校高学年くらいまでが好みです。
街中でも妄想してしまいますね。
・出勤途中のキャバ嬢と帰宅途中の規定かばん背負った中学生
覗いていた谷間が消えて、そこには濃いめのメイクの中学生
隣にはむっちりした脚に白のハイソックス、ブラウスのボタンが飛んだ女性が…
・きれいげなお姉様(40代くらい)と女子高生(こっちもそこそこきれいな方がいい)
地味な服に相応しくないほどに張った胸やヒップとコスプレにしか見えないお姉様
信号待ちでそんな2人が並んだりしてると、おっ!っと思ってしまいます…

とか。
159158:2009/11/15(日) 17:08:52 ID:XxBFsl2y
変なとこに「とか」が入ってますね
ちゃんと見て書き込みますね、すいません…
160名無しさん@ピンキー:2009/11/20(金) 23:18:14 ID:iz5ULIiH
あげ
161名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 21:31:52 ID:cK/vXONt
>>155
俺もそういうの大好きだ
ただ年齢逆転そのものより喪失系が好きなので自分で書くと
美人が老婆になるとか巨乳が貧乳になるとかそっちの方の描写ばかりに
気合が入ってしまっていまいち面白くなくなるというw
162名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 22:19:07 ID:TM97A5QV
410 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2009/02/20(金) 16:47:49 ID:FV3Zpicv
乙!
しかし明宏はつわものだな
体に合わせて顔も若くなるとかならわかるが・・・
自分なんか公共の場で不意に勃起した時とか母親の顔を思いうかべて萎えさせてるいるのにw



体の入れ替わりといえば昔
美○墓○ってサイトの掲示板であがってたSSで
太ったおばさんと美少女の首から下の入れ替わりの話があって
そのSS自体は掲示板から流れちゃって読むことはできないんだが
誰かログ持ってる人いないですか?
体が入れ替わったあとも顔の若さとられたり胸の脂肪とられてさらに垂れ乳にされたり
中々好みの話だった。

他にも2ちゃんのどっかのスレでみかけたSSで体の入れ代わりではないけど
学級委員長の女の子とヤリマン巨乳のコギャルの立場の入れ替わりで
コギャルが使った魔法のせいで
ある日学級委員長の女の子の胸が突然大きくなって
日に日に髪の色が変わったり頭が悪くなったり
ついには男遊びもしたこと無い女の子が
授業中にオナニーしたり男をナンパしてヤリまくるようになるって話なんだが
ログ持ってる人いませんか?



久しぶりに過去ログ読み返してたらこんなレスがあったんだが、
下の奴については心当たりがあったので下に貼り付けておくよ。
つーか美の墓場のログって誰か持ってないのかな…
163名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 22:19:37 ID:TM97A5QV
97 :『チェンジ』 :2006/03/29(水) 03:40:47 ID:QSi9z7tC
私が最初にその変化に気づいたのは4時間目の国語の時間でした。
私の胸が急に膨らみだしたんです。急激に。まるで植物の成長過程をビデオで早送りしな
がら見ているようなそんな急激な変化でした。
そして、さらに驚かされたことは私の制服もブラもその変化に合わせたサイズになってい
ったのです。
変化が収まった時、私の胸のサイズはFカップにもなっていました。
制服の上からでもはっきりと分かってしまうほどになってしまった私の胸。
しかし、信じられないことに私のその変化に気づく人は誰一人としていなかったのです。
そうまるで最初からそうであったように・・・


『チェンジ』


「ねぇ・・ゆ、由香ちゃん。わ、私どこか変じゃないかな?」

「うん?変って何が?」

「その・・・胸とか・・・」

「ちょっとー、それ自慢!?自分の胸が大きいからってぇ!!このこの」

そう言って、由香は私の大きくなった胸を鷲掴みにしてきました。確かに、胸に感触があ
りそれが現実であることを私に伝えるのだった。


98 :『チェンジ』 :2006/03/29(水) 03:41:54 ID:QSi9z7tC
学校はいつものように終わりました。結局私の変化に気づく人は誰一人いませんでした。
私はバスタブの中でその豊かになった胸を見つめながらずっと考え事をしていました。
家に帰ってみると、なんと私の持っている服も下着もすべてサイズがいまの物に変わって
いたのです。そして、鏡の前に立って初めて気づいたのですが、胸だけでなく、お尻もウ
ェストも以前よりもスタイルが良くなっているように思えました。
気味が悪くなった私は、アルバムを取り出し昔の写真を見ていく。
するとどうでしょうか?すべての写真が入れ替わってるのです。
そこには以前の私のスタイルは写ってませんでした。
私は何かが原因で記憶障害にでもなったのか?
そんな風にもこの時は思ってました。
しかし、それが間違いであることが次の日の4時間目に分かりました。
私の綺麗な長い黒髪が突然ミドル程度の長さの目が痛くなるような金髪になったのです。
外人の金髪などではなく、明らかに整髪料で染めたような金髪にへと。
さらに、私の掛けていたはずの眼鏡がいつのまにか消え失せていたのです。

これほど目立つ変化が起きても気づく人はまたしても誰一人といなかったのです。
そして、私は一人の変化に気づくべきだったのです。
その変化に気づけたのはさらに次の日の4時間目のことでした。
今度の私の変化は肌の色でした。私の自慢の白い肌は日焼けサロンで焼いたような黒い肌になってしまったのです。
しかし、その変化した姿を見たとき私はあることに気づきました。
私は授業が終わると急いで2組に駆け込み、彼女を捜し出した。
私の幼なじみの香を。
香の座っているはずの席には、色白く眼鏡を掛けた黒髪の少女が座ってました。
外見は大分変わってましたが、その顔は紛れもなく香そのものでした。
香は私の顔を見てニタリとしたあと、私の手を取り、人気の少ない学校の屋上へと連れて
行きました。
164名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 22:20:18 ID:TM97A5QV
99 :『チェンジ』 :2006/03/29(水) 03:43:20 ID:QSi9z7tC
あんた、変わったわねぇぇ。キャハハハ」

「ど、どういうことなのよ!なんで私とあなたがこんな・・・」

「私ね、この前古びたお店であるものを手に入れたの。変な本でね、そこに名前を書いた
二人の立場が入れ替わるんだってさ。まさかホントだったなんてね。チョーうける」

「そんな、暢気な!どうするのよ一体。その本今どこにあるのよ!」

「燃やしたわよ。そうしないと願いが叶わないってあったからね。」

「そ、そんな・・・」

「まぁ、そんな気を落とさないで。入れ替わるっていっても家族とかは変わらないみない
なの。ただ、友達とか好みや身体付き頭のよさとかも変わっちゃうみたいなんだけどさ」


100 :『チェンジ』 :2006/03/29(水) 03:45:31 ID:QSi9z7tC
「い、いやよそんなの・・・」

「そりゃ、そうよね。幼なじみで同じ幼稚園、小学校、中学、高校と来たはずなのにあな
たは学年成績トップで生徒会長。あんた自分じゃそんな分かってないみたいだけど男子に
陰では結構人気あったりするのよ。」

「・・・・」

「一方、私のほうはギリギリで高校合格して成績は万年ビリ。ガングロで、おまけにヤリ
マンなんて言われてるものね。そりゃいやよね。でも、別にそれが嫌って訳でも無かった
んだけどね。ヤリマンはホントだし☆私、性欲強いみたいで我慢出来なくなっちゃうのよ
ね。授業中にオナったこともあったしねぇ。キャハ。あんたもそんな風になっちゃうのか
ねぇ、キャハハハ」

「な、なんとかならないの・・・?」

「無理じゃないのぉ、諦めてよ。ね。」


私は言い知れぬ不安を覚えながら次の日の4時間目を迎えていた。
次は何処が変化してしまうのか恐怖を覚えながら、ただただ祈るだけしか出来なかった。
そして、変化はやはり起こってしまいました。
外見的変化はありませんでした。しかし、それはすぐに分かりました。ついさっきまで解
いてた数学の問題が全く分からなくなってしまっていたのです。
いつも私に問題を当ててくるはずの先生が全く問題を当ててきません。
それが不幸なのか幸運なのか。なぜなら私は基礎計算ですら満足に解けなくなってしまっ
ているのですから。
165名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 22:20:39 ID:TM97A5QV
101 :『チェンジ』 :2006/03/29(水) 03:46:23 ID:QSi9z7tC
私はその日の夜ベットの中で泣きながら眠りました。気づけば私は生徒会長ですらなくな
っていました。仲良しのはずの由香も私を避けるようになってしまっていた。

でも、それすらも今の私にはもうどうでもいいことなっています。
そう思えるようになったのは次の日の4時間目の変化でした。
不安と悲しみのどん底にいた私の心に沸々とわき上がってくるものがありました。
その感情は私の秘部からわき上がっていたものでした。
私はその鹹味な欲望に負けて、授業中に自慰をしてしまったのです。
人生の中で数えるほどしかしたことがなかったはずの自慰を。

そして、その夜。私は街中で男を逆ナンパしてセックスをしていました。
初体験のはずのセックスなのに喘ぎ声を上げ、慣れた様子で手動を握りあらゆる鹹味に溺れました。これが今の私です。どんなに変わろうとも私なのです。

ただ、私はいつまで私でいられるか分かりません。
私は明日起きたら香になっているかもしれません。
でも、私はそれでももういいとすら考えています。

だってHって超気持ちいいんだもの。キャハハ
166名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 22:23:30 ID:TM97A5QV
…つーか最初からこのスレにあるよってやっとけば1レスで済んでたな。
すまんかった。

ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1125329933/
167名無しさん@ピンキー:2009/11/22(日) 22:38:44 ID:RhFsTLwB
つーか美の墓場のログって誰か持ってないのかな…
ttp://fcg.nobody.jp/etc/mukasi.html
これ使えば過去の状態のサイトが読める
168名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 01:49:02 ID:wcigHBqI
スレが延びてると思ったら僕が昔書いたやつじゃないかwこのスレ向きだから張ろうかなと思ってたらファイル無くしてたんですよね。張って頂きありがとうございます。
面白いネタが浮かんだら何か書きます。
169名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 17:28:01 ID:y0tCwSX2
おお、作者さん降臨とは。
これ好きです。聡明な女の子がビッチに変わってしまう…
一気に変わってしまうのもいいですが、こうやってじわじわと、恐怖を煽るように進んでいくのがたまりません。
170名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 18:18:39 ID:hKutew40
作者さんがご存知かは分からないのですが、派生があるので紹介しておきます。
ttp://www.geocities.jp/sandanbaraiyayo/SS0244.htm

> 別板のとあるスレで見かけたSSのパクリなんだが、
> 肥満化に変えてもそれなりにいけるんじゃないかと思ってやってみた。
> 悪意は無い、でも反省はしている。
とのこと。(Googleキャッシュより)
171名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 18:31:45 ID:hKutew40
ついでにこのスレに該当しそうなのもちょっとあったんで紹介。
170のと下の2つとも、SM板の強制肥満化小説スレのなんで、そういったのが苦手の人は回避を。
立場逆転
ttp://www.geocities.jp/sandanbaraiyayo/SS0347.htm
入れ替わり
ttp://www.geocities.jp/sandanbaraiyayo/SS0592.htm

自分はOD、TSに限らず立場逆転や精神汚染なんかがピンポイントで、
168氏のチェンジなんかはかなりツボです。
172名無しさん@ピンキー:2009/11/23(月) 21:53:31 ID:wcigHBqI
知らないところでこんなオマージュがされてるとはw
びっくりですわ。僕もこういうの大好きなんでむしろパクリ大歓迎。立場逆転が好きだからTS、AP、ARなんか良くみます。
規制とけたら書きますね。
173名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 07:51:21 ID:KwukTQ6Z
イヌネコ実写版DVDが発売されてました。
まあ、こんなのもアリかなと。
174名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 13:23:39 ID:FhuuIahB
私も購入しましたが、個人的には入れ替わりものとしてはイマイチ物足りない印象。
女教師役の方が原作よりもスタイル良すぎというか、巨乳ではないため、体型のギャップが少なく、
その辺が影響しているのではないかと。
175名無しさん@ピンキー:2009/11/24(火) 21:27:38 ID:lRHxGMdF
原作のほうが好きだな
もう絶版みたいだけど…
176名無しさん@ピンキー:2009/11/25(水) 23:51:03 ID:LlxspePu
萌える
177名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 17:00:27 ID:1dfNKV+f
Xmasの奇跡は、性別反転すればこのスレ向きだな。
昼ドラのドロドロはしっかりあるが。
178名無しさん@ピンキー:2009/11/26(木) 18:42:13 ID:iZDo3n81
>>177
ストーリーを見た感じ、昔反町が出てた
ドリームアゲインに似てるね。

女性主人公でこういうドラマやって欲しいね。
179名無しさん@ピンキー:2009/11/27(金) 01:58:00 ID:0RBy0hZ/
昼ドラだと局違うけど

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%9B%BD%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%84%E3%81%A1%E3%81%A9
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%83%9E%E3%83%9E

幽霊ママの方は視た記憶がないけど、天国からもういちどとプロットはよく似てるな。
天国〜の方は大島智子が事故にあった鳥越マリの体で生き返って旦那の所に戻ろうとする。
但しやっぱり正体をバラすとアウトなんでいろいろ苦労する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%9B%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8

あと男同士だとこんなんもあった。
これは加害者の男になってるせいで、かつての恋人や親友からボロクソにけなされたりする。
やっぱり正体バレは不可。
180名無しさん@ピンキー:2009/11/27(金) 02:08:01 ID:5o8iRNIp
>>179
幽霊ママ当時見てた。
懐かしいな。年齢的にあまり萌え要素はなかったけど
設定は好きだったな。

あと思い出したのだが、宮崎あおいの
ちょっと待って神様は微妙に該当かな。

ピン子になった瞬間に注意が必要だがww
181名無しさん@ピンキー:2009/11/27(金) 02:35:15 ID:5o8iRNIp
あとブルーもしくはブルーもある意味入れ替わり?かも
あの頃はNHKで微妙に該当っぽいのやってたな。
182名無しさん@ピンキー:2009/11/27(金) 15:57:50 ID:7QFD2mbS
今日のXmasの奇蹟がちょうど正体バレの話だったが、自分が認めなければバレても平気ってのは緩いんだか辛いんだか。
183名無しさん@ピンキー:2009/11/29(日) 23:48:08 ID:V2fDK320
>>163-165
作者さんもいるみたいだから聞くが
これ保管庫に入れちゃっていいの?
184名無しさん@ピンキー:2009/11/30(月) 02:20:26 ID:DZeNXf1l
>>183
こんなんでよければどうぞ!
185名無しさん@ピンキー:2009/12/05(土) 05:42:33 ID:WrQepqht
保守の必要は皆無かな?
186名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:05:38 ID:c9jjP3zj
 「四十年証文」

 古い魔術の産物に「四十年証文」というものがある。
 当事者双方の合意があってはじめて効力を発揮する証文なのだが、その
効力は文字通り目をみはるものがある。
 一方は、おのれの持っている若さと青春とをもう一方に与えて、もう一
方はそれをそのまま受け取り回春するのである。その時間が四十年である
からこそ、これは「四十年証文」と呼ばれるのである。
 さて、ここにその魔術がよみがえった好例がひとつある。
 薄幸の少女マリアは難病に苦しむ母親の治療費を全面的に肩替りしても
らうかわりに、某大手物産会社の会長夫人シズカと、この証文による約定
をかわしたのであった。そして、同時にマリアはシズカの住む館のメイド
として働くことになったのであった。

 都心からわずかに離れた閑静な住宅街の東南に、その館は古くから威風
を示して存在していた。
 そして、その重厚な戸を開け放って、陽のふりそそぐ表へと歩をすすめ
てきたのがこの館の主である三田村シズカであった。颯爽とした長身にタ
イトなスーツを着込んだその体型には寸分の緩みもなく、またほほやあご
にも弛んだ様子はまるでうかがえない。大きく張り出した胸とひきしまっ
た腰と、そしてスーツの下にのぞく白くかがやくような素足とが印象的な
美女であった。
 瞳には理知的な光をたたえており、唇は深紅の艶を放っている。まさに
人生の春を存分に謳歌する美女であるが、彼女が今の若さを手に入れられ
たのはわずかに一週間前のことだったのである。
 
187名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:10:25 ID:c9jjP3zj
 彼女の古い友人で、骨董好きの人間から冗談半分で譲り受けた古い羊皮紙
は、本物の魔性を持っていた。
 そのことを悟った彼女がとった行動は実に迅速なものであった。
 興信所に手をまわして、一人身に住んでいる若くて美しく、そして金銭で
困っている娘がいないかを調べあげさせて、そして手に入れた情報というの
が水元マリアという娘だったのである。
 母一人、子一人のむつまじい暮らしを過ごしてきた彼女に突然にふりかか
った災難が彼女の母の難病だったのであった。
 卒業を間近にひかえた高校を自ら退学し、昼も夜もなく働く彼女ではあっ
たが、しょせんは細腕のわざに過ぎず、希少な薬剤ひとつをまかなうにも事
欠く有様だったのである。
 そこへ、シズカは交渉をもちかけたのであった。
 マリアにとっては思いもかけない申し出であり、半信半疑の心持ちであり
つつも、自分に対してこんこんと話を重ねる老婦人の熱意と、そして母親の
介護への全面的な支援の約束とを受けて、彼女は証文にサインをしたのであ
った。

 魔術の効果はあらたかなものだった。
 証文にサインをし終えた二人の身体はみるみるその様相を変貌させて
いったのである。
 六十四歳という老境にあったシズカの肉体は、細かな震えを伴いなが
ら上へ上へと持ちあがっていった。 顔全体にめぐらされていた皺や老
斑は、大きいものから細かなものまで全てが消失し、かわってバラ色の
彩りが歓喜にほころぶ顔全体にほどこされていった。
 崩れていた体型はみるみるうちに補正されて、胸元を大きく張り出し
そして臀部を引き締め、そしてせりあげて、あれよあれよと衣服の着こ
なしをも乱れさせていったのだった。
 そしてその変化の波は、十七歳の哀れな少女をものみこんでいった。
 くたんっ、と大きく疲労感のかたまりが彼女の身体の奥深くからつ
きあげてきたかと思うと、全身の肉は残らず弛み、今までになかった
前、横腹部の張り出しなどを衣服のシルエットに浮かばせていた。
 つややかな髪は灰色に濁っていき、そして指先から少しずつ潤いは
失われていき、目はくぼんで、頬はゆるみ、体型全体が下へ下へと押
し下げられていったのだった。
 老女は美女へと、少女は大年増へと、それぞれ変貌していったので
ある。
 結果、今のシズカは女性の人生でもっとも美しいとされるヴァンサ
ンカン(二十四歳)へと若返り、そして恋も知らなかった処女マリア
は、五十七歳という老境へのきざはしへと、不自然きわまる手段によ
って乙女には思いもよらない変貌をさせられてしまったのであった。
188名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:21:04 ID:c9jjP3zj
「いってらっしゃいませ、奥様」
 うやうやしく頭を下げたのは、メイド服を着た初老のマリアであった。
 彼女はシズカの屋敷のたったひとりの使用人だった。
 シズカは悪評高いわがままな性質だったために、もうずいぶんと前に夫
に別居をつきつけられ、そしてここに一人暮していたのだが、どんなに高
給をその使用人に与えても、彼女の苛烈な扱いに耐え切れなくなって逃げ
出してしまうのであった。それは男でも女でも、老いも若きもだった。
 しかし、今のマリアにとってはそれでもここで働かせてもらえるという
ことがとても魅力的なことのように思われたのだった。
 なにしろ、ここにいれば今までの彼女を知る者に会うことはないのだか
ら、恥ずかしいなどと思うことは何もないのだ。そして、同じく苦境にい
る母親にも、余計な心配をさせなくて済む、と。
 思えば不思議に力が湧いてきた。掃除も洗濯も、庭木の剪定にも、その
他に彼女が今までにしたことのなかったどんなことにも立ち向かう勇気が
生成されていくのであった。
 シズカは、いつも通りに古い愛車を自分で運転して出かけて行ってしま
った。帰りが何時頃になるなどとは伝えてはいないし、夕食をいつにしろ
という指図も、いらないという連絡さえも寄こすことはないのだ。そして
そのことについて少しでも訊ねようとすれば、遠慮のない不興をぶつけら
れることになる。
 マリアはシズカの下で働いてわずか三日でそのことを頭に叩き込んだの
である。
 
 もちろん、今までの自分の若い身体でないという事実は彼女を容赦なく
傷つけていた。
 屈伸をしようとすれば膝ががくがくと笑い出すし、靴の紐を結ぼうとす
るにも立ったままにすることは困難になっていた。何もないところでつん
のめるのも足が思うように上がらなくなっている証拠だった。
 シャワーを浴びるときなどにも、なるべくは鏡を直視しないようにして
いた。見ればきっと傷つくことが次々に出てくることがあるのはわかりき
っているのだから、この身体に慣れきるまでは見ないで正解なのだと彼女
は割りきっていたのだった。
『それに、まだまだ人生これからだしね』
 割り切りこそが、活力のみなもとであった。老いたとは言っても、まだ
五十代なのだから、平均的な女性の寿命までにはまだ三十年近くも猶予が
ある。それに、腰だってまだ曲がってはいないのだ。
 意志ある人間は老人ではない。それを彼女はこれまでのわずかな人生の
なかでおのずと体得していたのだった。
 
189名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:34:14 ID:c9jjP3zj
 辺りは夕闇に包まれていた。
 庭先で大きく車のクラクションが鳴らされたことが、シズカの帰ってきた
合図である。洗濯物を取り込んで、夕餉の支度を済ませてうつらうつらとし
ていたマリアは飛び起きて彼女のもとへと飛んでいく。
「トランクの中のもの。いいわね?」
 口ぶりはぞんざいだったが、機嫌は悪くないようだ。ほっとしてマリアは
いそいそとトランクから重い紙袋を取り出して屋敷へと運んでいく。
 もちろん、シズカはそれに構う様子もなく一人でさっさと屋敷に入ってし
まい、そして靴も放り出してさっさと自室へと戻ってしまう。実年齢にはそ
ぐわない行儀悪さだった。
『どうせ、また高いお召し物でも買っていらしたんだろうなぁ』
 と、苦笑しながら想像するマリアだったが、その思考のなかでまで、しっ
かりと敬称でシズカを位置づけるあたり、マリアも使用人としての適性のあ
る人間だったということである。

 風呂につかり、軽めの夕食を終えるとシズカはマリアを自室へと呼び寄せ
た。妙に言葉に弾みがあるときは、この女主人の悪い癖のはじまりの時なの
である。
「はい、ただいま参りました、おくさ……」
 マリアが絶句しかけたのも無理はない。シズカはその豊満な肢体を何ひと
つ、つつみかくすことなくベッドに腰掛けていたのである。
「ふふ、来たわね、マリア」
 愉悦に口の端をわずかに吊り上げて、シズカは先ほどの紙袋からいくつか
の布切れを取り出していた。
「今日は私、下着を買ってきたんだけど、どんなのが似合うのかお前の意見
も聞いてみたくてね、それで呼んだのよ」
 インナーを買ってきて、試すというのはもちろん口実である。
 そして、実際にしたかったのはどういうことかというと……
「着けるのを手伝いなさい」
 そして立ち上がり、全身が映る大きな鏡台を前に白い背中を彼女に向ける
と、そのまま腕組みしてマリアの動作を待っていたのだった。
190名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 22:40:31 ID:c9jjP3zj
 若返った自分の弾力のある素肌を、胸を、腰を、見せつけたかったのであ
る。そして、それらを奪われて老いて悔しい思いをしているマリアに、羨望
と嫉妬の心とを植え付けてやりたかったということである。
「ふん、どうしたの。さっさと手伝いなさい」 
 しかし、そんなシズカの思惑と、マリアの反応とはまったくちぐはぐなも
のだった。
「うわあ、奥様って本当にとても美しいおからだをされてらっしゃるんです
ねえ……」
 心から感心したように、溜め息まじりにマリアは賞賛の言葉を口にしてい
た。
「えっ? ああ、ありがと……」
 目を輝かせるマリアに毒気を抜かれてシズカは一瞬、ひるんでしまってい
た。
「これなら、どんなデザインの下着でもお似合いだとは思われますが、どう
でしょう。まずはこれから試してみませんか」
 そして手にしたのはサーモンピンクに緑の縁取りのほどこされたブラジャ
ーとショーツだった。
 もちろん、若い主人は足を軽く持ち上げるだけ、あとの全ての作業は老い
た使用人がすることになる。
「さあ、どうでしょうか」 
 上下を着けおえた若いシズカは金色に輝く髪を両手でかきあげていた。こ
の髪の色は、もちろん彼女が若返った後に染色したものだということを付け
加えておく。
「まあ、こんなものかしらね……」
 言葉とは裏腹にシズカの表情は紅潮していた。
 張りのあるしなやかな肉体は、一切の無駄な部分が無いかのように思われ
た。胸元もずいぶんと弾力が戻って大きくなったものだな、と自分のことな
がらに感心してしまう。以前に着けていたトップスは胸元を支えるためのそ
れであったが、今のこれは一個の完成した調度品にアクセントを添えるだけ
ものなのだ、と。
 後ろに微笑んでいるマリアがいなければ、顔全体で笑うところなのだが、
今はひくひくと片頬で笑うに留めておくばかりである。
「はあ、素敵ですねえ。まるでトップモデルさんですよ」
 つややかなシズカの後ろ姿に、ほう、とマリアは思わず息をこぼす。
「ま、そりゃあ私だって昔は銀幕の主演を担ったこともあるんだから、この
くらいは当たり前なのよ」
 と、ついつい喋らなくてもいいことまでシズカは口をついて出てしまう。
「銀幕って、奥様は女優をなさっていたのですか?」
その言葉に、マリアは目をくりくりとさせて食いついてきた。
 はあ、と溜め息をつきつつシズカは面倒だと思いつつも自分の来歴につい
てを彼女に語っていた。
「たった二作品だけよ。それもどちらも同じように黙って微笑んで、それで
死んでいくだけの薄幸のヒロイン。ひどく、つまらない役どころだったわ」
「でも、それでもすごいことですよ。みんなの目に触れて惹きつけるお仕事
なんて、できるような人はかぎられていると思われますもの」
 目を輝かせてマリアは賛辞を口にする。 
 すっかり話がそれてしまったところで、シズカはもう沢山だとばかりに大
きくくしゃみをした。
「あらあら、すみません。このままではお身体が冷えてしまいますね」
 あわててガウンをクローゼットから取り出そうとするマリアを制止して、
シズカは一言。
「もう寝る」
 半裸のままに興ざめの主人は肌掛けにくるまって、ごろりとベッドに転が
りこんでしまう。その様子がなんだかとてもほほえましく思えて、思わずマ
リアはクスリ、と声をこぼし、目を細めてしまったのであった。
「おやすみなさい、奥様。どうぞ良い夢を」
 
 五月のころ、それは月の明るい夜の一幕だった。
191名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 23:00:35 ID:FY2I+O2x
おお・・やべえ続き期待!
192名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 23:01:16 ID:c9jjP3zj
……すいません、シズカの年齢二十五歳だってことにしといてください。
(マジボケしてました)
193名無しさん@ピンキー:2009/12/10(木) 23:48:46 ID:4lbhyfj5
面白ぇな
ワクワクするわ
194名無しさん@ピンキー:2009/12/11(金) 19:39:27 ID:8yUKMi8+
十七歳じゃダメなの?
処女婆、いいね。
195名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 01:55:02 ID:DR5vuy18
期待あげ
196名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 10:27:07 ID:tDYiTPwL
読んでくれた方、ありがとうございます。
続きはちゃんとありますので、もうしばらく、数週ほど待っててください。
それから年齢の変化はシズカが65→25でマリアが17→57ってことで。
ヴァンサンカンってそのまま25歳って意味だったものですから。
ちなみに、自分はずっと昔162で紹介された上のSSを書いたものです。

197名無しさん@ピンキー:2009/12/12(土) 22:47:44 ID:24mNGjtM
>>196
保管庫のヤツ修正しといた
198名無しさん@ピンキー:2009/12/15(火) 22:02:20 ID:1Um/uxdP
あげ
199名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 00:21:48 ID:yIIadQBi

 四十年の続きのその前に単発を一作。
 頭から下の入れ替えが面白いので、その逆はできないものかと。

 「闇姫様」

 茂作とその娘お吉が急なお達しで城に呼ばれたのは夕暮れのほどのことであ
った。
 城の広間に二人を一刻ほども待たせてから姿をあらわしたのがこの城の主、
宇和剛徳その人である。還暦をすぎても近隣に積極的に戦を持ちかけて領土を
押し広げていく固肥りのこの男には、やつれの色もまるでないことであった。
「その方ら、よく来てくれたのう。苦しゅうないぞ」
 と、どっかりと壇上に腰を下ろし、持っていた扇子で面を上げるよう促す。
 待っていた二人は足もしびれるし、尿意も近づくし、と苦しいことこの上無
いのだがしょせんはお偉いさまの知ったことではない。
「へへえ、お殿様におかれましてはますますのご健勝、まことにもって祝着な
ことと存じます」
 這いつくばるようにして辞儀をする茂作は城の用人としては最下層であり、
このように直接の思し召しなど、普通には考えられないのだ。
 だから、これは普通の用向きではないのだ。と、ひそかに茂作は心音を速め
ていたわけである。
 横に並んだ愛娘、お吉にこそ用があるのだ、と。
 お吉は齢は十六歳。長い睫毛の中にぱっちりとひらいた瞳は玉のように輝き
形のよい唇は、白い肌の中に花びらのようであった。愛くるしい容貌と、人好
きのする性格が相まって、求愛してくるものは後を絶たない、茂作にとっては
まさに掌中の玉なのであった。
「おう、たしかに俺も体調は悪くないのだが、だが、それでも悩みの種という
ものがちくちくと臓腑のあたりを痛みつけるものだからな、それでそなたの力
を貸してもらおうというわけだ」
 ほうら、来た。茂作とお吉はびくん、と身を竦めた。
 こんな年端もいかない娘に自分の愛妾になれというのか、それとも自分の息
のかかったもののところへ無理やり嫁がされるのか。
 ところが、宇和の殿の口にした言葉は二人の想像を絶することだった。
200名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 00:25:28 ID:yIIadQBi
「いや、悩みというのはの、うちの綺羅のことだわいな」
 はあ、と茂作は息をこぼした。
 綺羅姫は、名前こそは立派であるがその顔立ちは異様そのもので、ごつく節
くれだった大きな顔の中に二つの小さな目が外側に離れて付いており、また鼻
はぐっと下のほうに突き出て下あごがやたらと飛び出している大したご面相な
のである。居姿はたおやかで、声も甘やかに可愛らしいのに、かえって短所が
浮き彫りになっている寸法なのである。城下の口さがないものなど『牛姫様』
などと陰口をたたくほどであるが、無論、そんなところを告げ口されればその
者の打ち首はまぬがれない。彼女は宇和の殿から、まことにもって溺愛されて
育ってきたのであった。
「ええ、たしか次の春には姫御は筧の若様のところへ輿入れされるのですな。
まことにもってめでたいことで……」
 政略結婚といったらいいものか、筧の国は宇和の下になびくところであり、
どんな難儀なことでも頼めば聞かざるを得ないという子分のような存在なので
ある。
「それよ、それ。その縁談のことで頭が痛いのよ」
 たたんだ扇子で背中をかきながら宇和の殿は苦い顔を作った。
「じつは筧の嫡男とやらのことなのだがな、どうやら相当に造作のよくない顔
をしておるようで、うちの綺羅もこれではどうにも好きになれないとこぼして
おるのよ」
 はあ、と茂作はこぼした。それはお互い様では、と思わず言ってしまいそう
になったが、それはなんとか引っ込めることができた。
「そこで、だ。そなたの娘、お吉をだ。呼んだ次第よ」
 おずおずと、それでもなんとかしっかりとお吉は口を開いていた。
「それでは、私めに姫様の身代わりに筧に嫁げということでしょうか?」
 すると、宇和の殿は渋い顔を作って首を振った。
「いやいや、それでは綺羅の輿入れを待ちわびる筧のものにも申し訳がないと
いうもの。さりとて俺も可愛い綺羅を無理に嫌がる相手に嫁がせるのはしのび
ない」
 そこで、宇和の殿は立ち上がり、奥の襖をぱんと開け放った。
「そこで、八方を収める秘策を思いついたということよ」
 そこには静かに端坐する牛姫ならぬ綺羅姫の姿と、その横には白装束に白覆
面という全身白づくめの男とが控えていた。
201名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 00:26:25 ID:yIIadQBi
「ここなる男こそは、かの高名な山田流の忍びである。茂作よ、そなたも聞き
及びあろうが」
 茂作は、山田流と聞いてもしばらくはぽかん、と呆けるばかりであったが、
次第にその使う術の荒唐無稽なことにおいては右に出るものなし、とうたわれ
た妖術使いの一派のことを思い出していた。
「左様、それがし右弦實甲斉と申す。流れの忍びにござるよ」
 初老の白覆面は、低い声で自己紹介をした。
「ここな忍者めはなんと人の面相を切り取って付け替えるという神技を会得し
たものなのよ。俺もこの目でその技を確かめるまでは信じられんかったがの」
 顔を、と宇和の殿が口にしたところでお吉はひいっ、と悲鳴を上げていた。
「いやいや、心配にはおよびませぬぞ。それがしの技ならばひとすじの跡さえ
も残さずに姫様のお顔とそなたの顔をそっくりそのまま入れ替えることが可能
なのです。そうですな、もともとそれぞれがその顔であったかのように、ごく
自然に」
 言いつつ實甲斉は懐から小さな錐やら小刀やらが入った胴巻きを取り出して
いた。つまりはこれが手術道具ということなのだろう。
「それでお互いの顔を交換した後に、そなたの娘お吉を綺羅姫として筧へと輿
入れさせる。そして本物の綺羅はしかるべき相手が見つかるまで、もう一人の
俺の娘として手元に置いていくという算段よ。どうだ、妙案であろう?」
 お吉は息も止まらんばかりである。彼女には女としての自信と、自由とを両
方差し出せと言われているのだ。
 茂作も目を白黒させながら甲高い声で反論する。
「い、いや……いかにその術をもってなさいましても姫様のお顔と、うちの娘
のとでは大きさがまるで違いますゆえ、無理にございましょう!」
 すると、意を得たりとばかりに宇和の殿はもう一つの奥襖を開け放つ。
 すると、そこに現れたのは端坐する若侍の姿であった。
 しかし、異様なのはその頭である。にぎりこぶし二つ分くらいに竦められた
頭には呆けたような赤子の表情が載っていたのであった。あたかも、それがま
るでもともとそこに収まっていたもののように。
 今度こそ、お吉は完全に失神してしまっていた。
「いやいや、これは好都合。これで楽に術が進められるというものです」
 淡々と言い放つ白覆面の底に目は異彩の光を放っていた。
「うふふ、わたくしもこの顔を失うことは本当に辛い事ですけれど、それでこ
の難を逃れることができるのでしたら耐えてみせましょう。慣れない顔では不
自由なこともありましょうが」
 言いつつも綺羅姫の小さな二つの目は笑み細められていた。お吉の顔を自分
の手にとって、いろいろな角度からその愛らしさを眺めまわしている。
「よし、これで事は成るな。お吉には綺羅の顔を下賜することとし、作法など
伝授の後に筧へと嫁がせることにする。よいな、茂作よ」
 否も応もなかった。すでにしてお吉は襖の奥へと運び去られ、宇和の殿も席
を立っていってしまった。
 その場に残されたいくばくかの金子を前に茂作は愛娘の過酷な運命を想って
号泣に暮れたのであった。
  
おしまい。

202名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 01:14:46 ID:b0sAzOe5
乙!あーあかわいそw
203名無しさん@ピンキー:2009/12/18(金) 07:43:09 ID:UvhpgCpn
ジョジョのシンデレラみたいな、顔を取り換えるのも面白そうだな。
204名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 00:12:53 ID:aR6rkOkE
シコメが美しい顔を奪うシチュエーションはぐっと来るよね
昔みたオズ (Return to OZ)って映画に出てくる
美人の首をコレクションしてて
気分によって首を変える王女思い出した
205名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 02:21:54 ID:eKthJd7u
砂漠のきつねでございます。ごぶさたしております。
ちょっと早いクリスマスプレゼントというのはちょっと洒落すぎかもしれませんが、
あんまり次回作を求める声もありませんでしたが、書いてしまったので投下します。
またも自分の妄想を種に書いたものですので、趣味嗜好が顕著に表れる点はご容赦を。
206ただいま修行中1:2009/12/21(月) 02:23:59 ID:eKthJd7u
「食堂で総務課の横山さんが隣に来たんだけどさ、ほんとすごいね、あの人。」
「でしょ?もうさ、ベストの脇からブラの柄が見えたりするんだよ、あり得なくない?」
「っていうか、そんだけおっきいってことでしょ?」
「っていうことだよね、いいなぁ、私胸小さいからさ、最初に見たときにさ、『うわぁ、いいなぁ』って思ったんだよね。」
「でもさ、横山さんって結構上じゃない?30いってる?」
「たぶんそうじゃない?」
「そっかぁ、じゃあ垂れてきてる?」
「たぶんねぇ。垂れると大変そう。」
「じゃあさ、私みたいにちっちゃいのも、歳いったらそれはそれでいいってことか…」
「そうよ、適度なのがいいってことよ。」
「おっきいとおっきいなりに大変だもんね。」

*********************************************

「今降りた子、すごくなかった?エレベーター乗ってくるだけで揺れてたけど。階段でもないのに。」
「お前知らないの?4階って総務課だろ。何だっけ、う〜んと、横山さんとかいう人。横山絵里奈。『子』ってほどじゃない、結構いってるよ」
「俺たちとおなじくらいってことか?」
「たぶんそれくらい。」
「にしても、デカかったな。」
「俺はあそこまでなくてもいいな。」
「あれだけデカイなら、これくらいの歳になって、垂れ始めくらいのほうがいいだろ。」
「語るねぇ。まぁ、おまえデカい方が好きだもんな。」
207ただいま修行中2:2009/12/21(月) 02:26:48 ID:eKthJd7u
さっきの人たち、私の胸見てた。まぁいつものことだから気にしない。私、巨乳だし。
はっきり言って嫌味に聞こえるかもしれないけど、しょうがない。おっきいんだもん。
街歩いても目線が胸に刺さる。おじさんなんてガン見してきたりするし。
最近はまた別の嫌な感じがするんだよね。垂れ始めてきたし、形も崩れてきた。
大きくなり始めたのは中学1年くらい。スポーツブラでも擦れて痛かった。
仮病使って体育を休んだこともあった。男子の目線が嫌で。
中2でもうDくらいあったし、中学生のDっていったら立派な巨乳だから。走れば揺れる私の胸。そりゃ話題になるよね。
制服もみんな同じサイズだから、差が目立っちゃう。半袖はまだいいんだよね、でも問題は長袖。
ホントは長袖もLにしたかったけど、それだと袖が長すぎるから、仕方なくMを着てた。
他の子と同じ規格のMサイズで単純に比較できちゃうから、私が大きいってすぐわかっちゃう。「横山はデカい」ってあっという間に噂になった。
中3の春の衣替えでしまう時に見たら、2番目と3番目のボタンの糸が切れて取れそうになってた。ブラ選びに行ったらEまで成長してた。
中3のEカップでスクール水着なんて、かなりエロいよね。
高校時代も順調に大きくなっていった。ブラウスの悩みは相変わらず。ちょっと太ったけどそんなにブサイクじゃなかったし、彼氏もできた。
でも、胸目当てばっかりで引いたよね。太ったせいで、最後は今と同じGカップとか使ってた。ブラがなくて困ったし、かわいいデザインが着たかったのに、地味なのしかなかった。
今は多少よくなったけど、でもデザインでかわいいと思っても、私のサイズは扱ってないことの方が多いな。
大学入ってダイエットしたら、胸だけ残った。形も結構いいんだけどさ。スタイルがよくなったから、言い寄る男もいっぱいいたけど、相変わらず胸目当ての男ばっかり。
軽く男性不信なんだよね。
結局、胸が大きいからってそんなに得したことないかな。胸がもっと小さければ違う人生だったんだろうな。
208ただいま修行中3:2009/12/21(月) 02:28:16 ID:eKthJd7u
「先生、今度デートしよ。」
「ああ、いいよ。凜が今度のテストで成績上がったらね。」
私、川上凜。今話してたのは家庭教師の森山先生。かっこいいんだよね。お母さんが連れてきた大学生。お友達の知り合いなんだって。
先生が頑張れって言うから勉強も頑張ってるけど、あんま身に入らない。小学生じゃ、やっぱダメかぁ。中学生になったら、少しは相手してくれる?
でも、中学生でもガキ扱いは変わんないんだろうな。
っていうか、私、早く大人になりたいんだ。しかも巨乳の。
見ちゃったんだ。先生と彼女が歩いてる所。通りの向こう側だったから、先生達に気づかれないように、後をつけていったら、通り沿いのカフェに入った。
窓際の席に座ったから、遠くから見てたんだ。席についてすぐに、彼女がトイレに立ったの。ニットのワンピースの下に白のインナー着てたんだけど、
私でも分かるくらいのすごいおっぱい。ああ、ああいう人が好きなんだって思った。
私、どっちかっていうとちょっと細い方だし、たぶんあんなに胸大きくならないと思う。ああ、私も巨乳だったら、先生の彼女になれるのかな…
209ただいま修行中4:2009/12/21(月) 02:29:15 ID:eKthJd7u
「地上で願いを叶えるですって?」
「ああ、欲望が渦巻く人間の世界で、その願いを叶えるのは、魔女にとって大事な修行だ。」
「だからって、いきなり見つけろって言われても。」
「お前のために、こんな二人を用意したぞ。」
「あなた、そんな過保護ではこの子のためになりませんよ。」
「いいではないか、最初だけだ。私が戻ってこいと言うまで、人間の望みを叶えてやるのだ。」
「で、この二人をどうすればいいの?」
「それは、お前が考えるがいい。この少女は豊満な乳房を手に入れたいようだ。この女は豊満な乳房が邪魔なようだ。
ここまで言えば、お前がやるべきことはわかるだろう。」
「わかりましたわ、お父様。でも私なりのやり方でよろしいのですね?」
210ただいま修行中5:2009/12/21(月) 02:31:12 ID:eKthJd7u
「こんにちは。」
「あなた誰?」
「あなたの望みを叶えに来たわ。」
「何か怪しい。しかもトイレの前で。トイレの精とか?」
「信じてないわね。じゃあ、私の力を見せてあげるわ。」
トイレに入っていく20代の女性。ピンクのコートに黒のブーツ。コートの下からは大きなプリーツが入ったスカート。
バタンという大きな音がしてドアが閉まった。
閉まる頃に、もうトイレに入っていく小学校高学年くらいの少女。肩にかかる黒い髪はかわいくツインテールで結ばれている。
ピンクのプリントのTシャツにベージュのショートパンツ。細い足は、ピンクと黒のアーガイル柄のハイソックスに包まれている。
同じようにドアが閉まる音がした。
「で、何が起こるの?」
「まぁ見てみなさいって。」
次の瞬間、甲高い悲鳴が起きた。トイレに入る絵里奈。
そこには、ピンクのコートに艶やかな肩までの黒髪がかかった少女。よく見ると、さっき後からトイレに入った少女に驚くほどよく似ている。
フリルのスカートも最初の女性と同じものだが、黒いストッキングが包んでいたなめらかな曲線を持った脚は、若々しいまっすぐな細い脚へと変わっていた。
そこに現れた若い女性。
ブラウンに染められた髪がツインテールで結ばれ、かわいらしいピンクのプリントTシャツはボリュームのある乳房でプリントの英字が歪められている。
むっちりとした太股がショートパンツの裾に密着し、ほどよい肉付きの脚は女性らしい丸みをもった曲線を描く。その脚にはアーガイル柄のハイソックス。
「私がいる!」「ええ?あなた誰?」
慌てふためく二人を残し、魔女に引かれるように絵里奈は外へ出た。
211ただいま修行中6:2009/12/21(月) 02:33:48 ID:eKthJd7u
「案外、簡単にできるものね。それにしても、あの驚き方。やっぱり人間でも、他人の身体になるって大変なことなのね。」
「あれはあなたの仕業なの?」
「そう。あの彼女、仕事で上司にいろいろ言われたみたい。で、この店に来る前に、小学生の集団下校見て、『あの頃はよかったな』って思ってたのよね。
で、さっきの女の子。父親も母親も留守がちで、あの子一人で留守番ばっかり。『早く大人になりたい』って思ってた。だから、入れ替えてあげたの、身体だけ。
あなたの時間を止めて二人と話したんだけど、二人とも面白がってたから、そのまま暮らしてみるみたい。あの子が彼女、彼女があの子になって。」
「で、私は?」
「とぼけたこと言わないでよ。その乳房。魔女仲間にも、そんな形のいい、大きな胸の子はいないわ。でも、あなたそれ嫌なんでしょ。
それくらいの大きな胸の大人の身体が欲しいって子がいるから、取り替えてあげてよ。ほら、もうそこに来たわ。」
「え、あの子?」
そこにはまた小学生の女の子。さっきの子よりも細身で華奢な感じだ。
「スタイルと年齢、あの子と入れ替えてあげるわね。」
「私そんなの…」
「もう決まっちゃったから。」
女の子も連れてトイレに入る。
「トイレじゃなくてもいいんじゃない?」
「なによ、じゃあお店の真ん中で半裸になる?あなたは服が脱げて、この子は服が破れて裸になるわよ」
「服も一緒に変えてくれればいいのに…」
「それじゃつまらないでしょ。さ、始めるわよ。」
「えー、私ホントにこんな巨乳になるの?」
「そうよ。それじゃぁ。」
212ただいま修行中7:2009/12/21(月) 02:37:34 ID:eKthJd7u
見習い魔女の手にはいつの間にか、先に赤い宝石の付いた杖が握られていた。
それを振りかざすと二人を青い光が包み、線状になって、二人をつないだ。

身体全体が吸われるような感覚が絵里奈を襲う。
それと同時にドット柄のワンピースの下の大きな乳房がどんどんしぼんでいく。
肉付きの良いふくらはぎは折れそうなほっそりとした脚に。
髪のパーマもカラーも取れて匂い立つような初々しい漆黒の髪へ。
凜は逆に、あふれるエネルギーが身体全体に注ぎ込まれ、身体がはち切れるような感覚に襲われていた。
その力に負けたかのように膨張していく身体。
わずかに立っていた乳首の周りに、少し大きめの乳輪と色素が付いていく。
そして、一気に大きくなる乳房。太くなっていく脚。適度に脂肪が付く二の腕。
元の数倍はあろうかというボリューム感を持ったヒップ。
ローズピンクのパーカーとその下の白黒ボーダーのTシャツは巨大な乳房に押し上げられ、臍があらわになる。
バストトップに引っかかったタンクトップ。下半分が露出した乳房。
デニム地のショートパンツは真ん中のボタンを飛ばして、生地が破けている。
肉感的な脚に似合わない星柄のピンクのハイソックス。
光が収まると、そこには年齢とスタイルが入れ替わった二人。
絵里奈は華奢な小学生に、凜は色気溢れる、30代前半の肉感的な女性になっていた。
213ただいま修行中8:2009/12/21(月) 02:39:46 ID:eKthJd7u
「何が起きたの?」
声を発した絵里奈が思わず口元を手で押さえる。小学生の頃から少し低めだった声。
それとは似ても似つかない、甲高い変声期前の少女の声が発せられた。
目の前にはバストトップまでしか隠せないピンクのパーカーを来た大人の女性。
脚の太さや大きな乳房は、鏡を見ているようだが、顔は全く違う。さっきの女の子の面影があるようにも見える。
「胸が痛い…えーっ!何これ、超巨乳じゃん。」
30代の大人の女性とは思えない言葉遣い。やはりさっきの女の子がここまで成長したようだ。
「どうですか、お互いのスタイルになった感想は。」
「すっごーい。これだけ巨乳だと、先生にも振り向いてもらえるかな。」
「さあ、それはあなた次第かも。でも、こんな艶めかしい身体で、そんな純粋なら、とっても魅力的よね。」
「やったぁ。」
「で、あなたはどう、幼くなって。」
「ぺったんこだ。こんな感覚いつ以来だろう。」
「あなたはこの子とは違って、胸が大きくなるのも早かったみたいだから、こんな体つきになるのは、小学3年生以来みたいね。」
「えー、それじゃあ私が小3みたいじゃん。」
「まあそうとも言うわね。とりあえず、服を取り替えたら。」

絵里奈は目線を下に移した。足下への視界を遮っていた巨大な乳房は消え、黒のストッキングに包まれたマッチ棒のような脚が、ぶかぶかのブーツに入っている。
ワイヤー付きのブラジャーは華奢な肩にかかり、片方はズレ落ちてしまっている。直そうと伸ばした指の細さに驚く絵里奈。

凜は最初はしゃいでいたものの、生き物のように鎮座する大きな乳房に、少し恐怖を感じていた。
全く見えない足下、寒々とする腹回り。締め付けられたままのヒップ。

二人は服を取り替える。凜がパーカーを着ていたおかげで、破れることもなくなんとかそのまま取り替えることが出来た。
214ただいま修行中9:2009/12/21(月) 02:41:34 ID:eKthJd7u
「こんなピンクなんて何年ぶりに着るかしら。」
それでも、どの服も成長したときに生地が伸ばされたため、絵里奈にとっては少し大きなサイズになってしまっていた。
「これがブラかぁ。」
色気のある声質に違和感のある台詞が乗る。初めてワイヤーで大きな乳房が支えられる。少し肩の重さが和らぐ。
同じデザインの黒の下着を身につける。
「すごーい、お母さんでもこんなの着てないよ。セクシーだね。」
本当にセクシーな女性が無邪気に言うような台詞ではないが、さっきまで小学生だった凜には仕方のないことだった。
「こんなかわいいパンツ…」
逆に絵里奈は凜の下着を着る。真ん中に小さなリボンの付いたキャミソールとショーツ。胸の部分だけ生地が二重になっている。
「そういえば着てたな、こんなの。」
服を取り替えると、そこには完全に入れ替わった二人。
絵里奈は鏡を見てあることに気づいた。自分の小学5年生の時に比べると、体つきが華奢だ。
「これって…」
「だから、年齢とスタイルを入れ替えるって言ったでしょ。年齢だけ入れ替えても、凜ちゃんはスレンダーな美女になるだけよ。
だからあなたのその肉感的な体つき、スタイルも入れ替えたの。このままあなたが2度目の大人になったら、スレンダーな美女になるわ。」
「2度目の大人って、まさかずっとこのまま?」
「まぁそれは私の気分次第ね。お互い望みの身体を手に入れたんだから、そのままでいなさいよ。あ、30代で凜って名前だとちょっと変だから名前も変えといたわ。
あなたが横山凜、あなたは川上絵里奈。下の名前だけ変わってるから。それじゃあ、私はさよならー。」
「ちょっと、待ってよぉ。」
「え、私どうなるの?」
名前を変えたと同時に、話し方まで変えられていることに、まだ2人は気づいていなかった。
215ただいま修行中10:2009/12/21(月) 02:42:42 ID:eKthJd7u
初仕事としては上出来だったわよね。二人はまだ戻ってないけど、凜ちゃんは大学生の彼にアタックして、年上の色気で落としたみたいよ。
絵里奈の方は2度目の小学生を楽しんでるみたい。
でもこの先、凜ちゃんが元に戻りたいって言いそうなのよね。今はいいけど、これから先はおばさんに近づいちゃうし。

揉めなきゃいいけどね…

さ、次の願いを叶えに行こ。お父様に認めてもらって、私も早く帰りたいもの。
216名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 02:47:42 ID:eKthJd7u
いや、ホント嗜好が出過ぎてすいません。
職場のエレベーターで胸の大きな女性に会いまして。全く知らない人では無かったんですけど、改めてすごいなぁと。
階段じゃなく、普通に乗るときに揺れてたもんですから。
で、「こんな色気のある身体に小学生のハートが入ったらなぁ」と妄想し、結果は上の通りであります。

駄文長々と読んで頂きありがとうございました。
一応、この魔女っ娘の話もいろいろなエピソードで続きが書けそうですので、また何かネタを見つけたら是非。
217名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 08:52:03 ID:Dkf3ww3K
GJ!
それにしても名前をかえられる理由が凄い。
218名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 18:02:42 ID:zpkGSPAO
身体だけ大人の小学生犯したい。
219名無しさん@ピンキー:2009/12/21(月) 23:31:20 ID:aR6rkOkE
沢山投稿されたのにコメント伸びないと思ったら
また大規模規制か?
220名無しさん@ピンキー:2009/12/22(火) 14:56:33 ID:wR4pev3y
面白いですね
221名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 07:38:46 ID:uSlUCVIB
いいよいいよー
222名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 10:31:54 ID:1fHQ/69P
この板って二次創作はOKでしたっけ?
テキストにして30Kくらいのネタがあるのですが……。
223名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 10:43:31 ID:I0k6Izs/
>>222
全く問題ないですよ。むしろ歓迎です。
224名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 11:18:44 ID:6GhRLBRT
きつねさんGJです
225「妹と恋人の境界線」:2009/12/23(水) 12:08:45 ID:1fHQ/69P
それでは、投下させていただきます。

<まえがき>
少し古めのギャルゲ(エロゲ?)である「WithYou」からの二次創作です。
とは言え、さしづめ以下のことだけ心得てもらえば問題ないかと。
・伊藤乃絵美:主人公の実妹。かなりのブラコン。内気で病弱。小柄で華奢な体格をしている。髪型はサイドポニー。喫茶店である家の手伝いをしている。
・鳴瀬真奈美:主人公の恋人。ロングヘアとヘアバンドがトレードマークの眼鏡っ子。おとなしく優しい性格。伊藤兄妹の幼馴染でもある。
・チャムナ:男女の絆を司る精霊(女性)。ゲーム本編では転校生に化けて色々騒動を起こしたが、現在は真奈美の持つペンダント内で恋人と共に眠っている。ヤキソバパン好き。
・菜織、美亜子、冴子:乃絵美たちの友人。
・伊藤正樹:主人公。陸上部のホープ。乃絵美の兄で重度のシスコン。
※キャラの容姿を知りたい人はttp://fandc.co.jp/app/catalog/item/696あたりを覗いてみてください
(もしくは名前でググルか)
226「妹と恋人の境界線」01:2009/12/23(水) 12:10:06 ID:1fHQ/69P
 最近視力が落ちてきた乃絵美は、眼鏡をかけている真奈美からのアドバイスで眼科医に行ったところ、仮性近視と判断された。
 フレームを新調したばかりの真奈美は、使わなくなったお古のフレームを乃絵美に快く譲った。
 数日後、乃絵美は真奈美から貰ったフレームで眼鏡を作ってみた。無いとよく見えないというほどではないが、読書の時など便利だろうと思ったのだ。
 そうして出来上がった眼鏡を家に持ち帰って早速掛けてみたのだが……。
「きゃっ……」
乃絵美が鏡を覗き込みながらびっくりしたような声を上げた。
「何かちょっと違和感があるけど……」
カウンターに置いていた鏡から顔を上げながら乃絵美はちょっと困り顔を見せる。
「大丈夫よ。まだ慣れていないだけだから。暫くしたら慣れるわよ」
真奈美は笑いながら乃絵美に声を掛ける。
「う、うん……でも何か雰囲気が変っちゃうね。まるで真奈美ちゃんになったみたい」
 乃絵美はちょっとはにかみながら笑みを見せる。
 眼鏡を掛けた姿は確かに真奈美に似ていた。真奈美のフレームと言う事もあってか、喫茶ロムレットの制服を着た時の真奈美に雰囲気がよく似ている。
「ふふっ、じゃあ髪を下ろしてみる?」
「ああっ、菜織ちゃんっ!?」
 店に遊びに来ていた菜織が乃絵美の髪の毛を束ねていた黄色いリボンをしゅるっと解く。
 さらっと乃絵美の髪が流れる様に乃絵美の背面を覆ってしまう。
「真奈美を横に来させて……あらっ、本当そっくりねえ」
「そ、そぅ?」
「何だか、恥ずかしい……」
 二人を並ばせると、本当そっくりだった。菜織の言葉に真奈美と乃絵美は何だかお互いを意識してしまって照れてしまう。
「ふふっ、更に真奈美にロムレットの制服を着せて〜」
 そう言いながら菜識は真奈美にロムレットの制服を持たせて着替えさせる。
「乃絵美にヘアバンドをはめて、ちょっと髪を結って……」
 更に乃絵美をカウンターの椅子に座らせて、順に真奈美のものと同じヘアバンドをはめ、髪の端の方を編んでゴムで縛って、真奈美の髪型にしてしまった。
「もぅ、葉織ちゃんったら……」
 抗議の声を上げながらも真奈美はロムレットの制服に着替えて来た。
「これでどっちがどっちか判らないわね」
 笑いながら葉織は満足そうに言う。
227「妹と恋人の境界線」02:2009/12/23(水) 12:10:58 ID:1fHQ/69P
「みゃーこちゃんがいたら更にひどいことになってそう」
 乃絵美は苦笑する。
「……菜織ちゃん、もしかしてお兄ちゃんを騙そうと?」
「「騙す」なんて乃絵美、ひどい言い方ね。わたしは単に正樹が妹と彼女との区別が出来
るか試してみたいだけよ?」
 乃絵美の言葉に菜織はしれっと答える。確かにこれだけ似ていれば、菜織でなくても試してみたくなるだろう。
「出来なかったら、ちょっと寂しいかな」
「そうねえ、正樹君だったら、大丈夫だと思うけど……」
「でも、あの正樹だからこそ、心配なのよねえ〜」
 二人の言葉に菜織は、自分で考えた悪戯なのに、何故かちょっと不安になってしまう。
 『カランカラン……』
「いらっしゃいませ……あっ、お兄ちゃん」
「あっ! 乃絵美、自分でバラしたらダメじゃあない」
 入り口のドアを開けて帰ってきた正樹を見て、反射的に声を掛けて仕舞う乃絵美に菜織は思わず顔に手を当てて叫ぶ。
「えっ? 乃絵美? 真奈美ちゃんじゃないの?」
「わっ、真奈美ちゃんが二人?」
 正樹の後ろから美亜子と冴子が驚きの声を上げた。
「……そんな事をしなくても、俺は真奈美ちゃんと乃絵美の区別は付くぞ」
 正樹がびっくりしつつも平静を装った声で言う。
「……なんで解るのよ」
 菜織が自分の企みが一発で崩れたので、少々ふてくされた表情で正樹に聞く。
「そりゃあ背格好と声だよな。真奈美ちゃんのメガネとヘアバンド借りてるけれど、そこまで似せられないしな」
「うっ……!」
 菜織は痛い所を突かれた様だ。
「そこまでは見抜けないと思っていたんだけどなあ……」
 腕組みをしながら渋い顔をする。
「正樹君にしては冷静な判断だよね」
「そうだな」
 美亜子と冴子もびっくりしたように言葉を続ける。
「正樹君にしてはと言う所が余計だ。俺はいつでも冷静だ!」
 ムキになる正樹の様子に皆が笑い、その場はそれでおしまいになった。
228「妹と恋人の境界線」03:2009/12/23(水) 12:11:29 ID:1fHQ/69P
「う〜ん、そこまで似ていないかなあ……」
「菜織ちゃん、未だ考えているの?」
 ロムレットを出て、商店街を歩きながら菜織はぼそっとつぶやいた。
 正樹をびっくりさせてやろうと企んだのにあっさり見破られた事を、菜織は不満に思っていたのだ。
「じゃあじゃあ、もっと似せる様にしちゃえば良いんだよね」
 美亜子が提案する。
「おまえなあ、『似せる』って言っても限界があるんだぜ」
 冴子が美亜子の言葉に反論するが美亜子はニヤリと笑った。
「ふっふっふ、そう言うサエでも見間違える位の方法があたしにはあるのよ」
「えっ、美亜子、そんな方法があるの?」
 菜織はぱっと表情を明るくする。
「どうせロクな方法じゃないだろ」
「ふっふ〜ん、至極合理的だもんねーー。お〜い、チャムちゃんっっ!」
 美亜子は真奈美の胸元にぐいっと顔を近づけると、胸元にかかったペンダントに向かって声を掛ける。
 すると青白い光と共に一人の少女の姿が真奈美たちの前に現れた。
「……何だ……ミアコ。騒々しい」
 ぶすっとした表情を見せているのは真奈美を守護する精霊チャムナ・フォンだ。
「ねえねえチャムちゃん、ちょっと力を貸して欲しいんだけど……」
「話は聞いていた。大体ミアコの考える事は解るからな」
「ぷっ、やっぱり単純って事だ」
「むっ、サエうるさい」
「まあ、たまには自分達の行動を傍目から見る、と言う事も良いかもな。じゃあノエミ
を明日の朝マナミの所まで連れて来てくれれば良い」
「チャムちゃん、ありがとぉ〜。ヤキソバパンたっぷり用意しておくからねん」
 がっちりチャムナの手を握りながら美亜子がうれしそうに言う。
「よ〜し、コレで正樹にひと泡吹かせられるわね」
「だ、大丈夫かなあ……」
 うれしそうに言う菜織と美亜子を見て、真奈美は苦笑いを浮かべるしかなかった。
229「妹と恋人の境界線」04:2009/12/23(水) 12:13:42 ID:1fHQ/69P
「真奈美ちゃん、おはよう」
 翌日の登校前、真奈美の家に乃絵美がやって来た。こういう事には全力で取り組む美亜子が昨夜のうちに電話で手配していたのだった。勿論正樹は気づかれないよう、内密に。
 真奈美の家には既に美亜子や冴子、菜織も来ていた。
「おはよう、マナミ……」
 みんなが集まった所でチャムナが姿を表した。
「チャムちゃん、おはようっ、今日はお願いね」
 姿を現したチャムナにヤキソバパンをいっぱいに詰めたコンビニ袋を持った美亜子がうれしそうに声を掛ける。
「じゃあ、二人とも並んで」
「うっ、うん……」
 真奈美と乃絵美は並んでチャムナの前に立つ。チャムナはぐっと手を合わせて何か呪文の様な言葉を呟きながら目を閉じる。
 そうすると不意に二人は青白い光に包まれて、周りから二人は見えなくなる。それも一瞬の事で、再び青い光がすぅっとゆっくり消えて行くと、再び二人の姿が見えた。
「おりょ? 何も変わっていない様に見えるけど……」
 美亜子がいぶかしげに二人を見る。
「ん? 真奈美、ちょっと背が小さくなってないか?」
「そういえば乃絵美って髪の色がもっと濃かった様な気がするんだけど……何か真奈美が乃絵美の髪型しているみたい」
 冴子と菜織が二人を見て言った通りの光景が、今3人の目の前にあった。
 ふっと真奈美と乃絵美がお互いを見ると、まるで二人が入れ持替わった様な姿形になっていた。かろうじて元々の髪型とリボンの色でお互いが認識出来ると言う状態だ。
「えっ、乃絵美……ちゃん?」
「きゃっ! 真奈美ちゃん?」
 真奈美と乃絵美はお互いを見てびっくりして声をあげたが、その声までもそっくり入れ替わっている状態だ。
「ちょっと力を使って二人の姿形をいじくった。元に戻すまではその格好だ」
 チャムナが真奈美たちに説明をする。
「何か、鏡で自分を見ているみたい」
「真奈美ちゃんも? 私もそんな感じがする……」
 何故かお互いの手を取り合って話をしてしまう。
「体そのものは元々の自分のものだから不都合はないと思うが……まぁ、一日二日だけだろうから、ミアコとナオリの我がままにつきあってやれ」
「ぶぅ、我がままって何よお……」
「そうそう、正樹がちゃんと見分けられるか。って知りたいだけのにねえ」
 チャムナの言葉に美亜子と菜織が反論する。
「……単に悪戯、だと思うけどな」
 チャムナと美亜子・菜織との会話を聞きながら、冴子はふぅと溜息が漏らすのだった。
「あ! でも、「乃絵美」が真奈美のメガネしてたらすぐバレちゃうわね」
 菜織がはたと気がついたように言うが、
「あの……それが、私、メガネなくても大丈夫みたい」
 真奈美がちょっと困ったようなうれしいような複雑な顔で言う。
「フッ、当然だ。今のマナミはノエミの身体と同じ状態になっているのだからな。無論、その逆も真なりだ」
 チャムナが鼻を鳴らして説明する。
「ふぅん。じゃあ、乃絵美は真奈美が普段掛けているメガネを借りてね」
「う、うん」
 そうして制服のリボンも交換すると、傍目からは区別が付かない様に見えた。
230「妹と恋人の境界線」05:2009/12/23(水) 12:14:29 ID:1fHQ/69P
 しかし……。
「チャムナさん、ちょっと胸の周りが重いし、お尻もちょっとキツいんだけど……」
 乃絵美が真奈美から借りた制服のリボンを結びながら言った。
「ああ、体つきをいじったから当然胸や腰のサイズも変わるぞ」
「そりゃあそうだろうな」
 チャムナの答えに冴子が妙に納得していた。
「じ、じゃあ乃絵美ちゃん、リボンだけじゃなくて服ごと交換しようか」
「う、うん、真奈美ちゃん。そうしたほうがいいかもね」
 真奈美と乃絵美は、慌てて真奈美の部屋に戻り、制服と下着を取り換える。
 やがて部屋から降りてきたふたりは、ちょっと顔を赤らめていた。
 いくら同性の幼馴染とは言え、さすがにこの歳で「服の取り換えっこ」をするのは少し恥ずかしかったらしい。
「ここまですれば、ばれないわよね」
「うん、絶対間違いないよぉ! じゃあ、学校へ行こうか」
 菜織と美亜子は自信満々の表情で言う。
「チャムちゃん、ありがとねん♪」
「ああ。元に戻るときは、また私を呼べ」
 美亜子から貰ったヤキソバパンを口にくわえたチャムナは、そのままペンダントに戻っていった。
「じゃあ、がんばって……」
「さあ、正樹に一泡蒸かせてやるわよ〜」
 明るく気合いを入れる美亜子と菜織だった。

「あっ、そうそう乃絵美」
 学校に行こうとして歩き出した乃絵美に菜織がくるっと向き直り、乃絵美の耳元に顔を寄せて囁く。
「正樹はエッチだから、気を付けてね。ま、最悪前だけは守っておけば?」
「んっっ!」
 菜織の言葉に乃絵美は顔を真っ赤にした。
 乃絵美に何を言ったのかを瞬時に察知した真奈美も連鎖的に顔を赤くする。
「な、菜織ちゃんっっ!」
「な〜に真奈美、そんなに顔を赤くする程恥ずかしい事なのかなあ?」
「んもうっ!」
 トボける菜織に真奈美は顔を赤くして抗議する。しかし、傍目から見たら乃絵美が菜織に抗議しているみたいで、何か新鮮な感じがするのを他の3人は感じていた。
「もしあたしが真奈美ちゃんだったら、こんな感じになるんだ」
 乃絵美は何か解らない期待感が体の中からこみ上げてくるのを感じた。
231「妹と恋人の境界線」06:2009/12/23(水) 12:15:38 ID:1fHQ/69P
「おはよう、真奈美ちゃん」
「あっ、お早う、お……じゃなかった正樹君」
「ん?」
 登校して菜織と一緒に教室に入る。教室には朝練を終えた正樹が声を掛けてきた。乃絵美は挨拶を返したが、危うく自爆する所だった。素早く菜織が乃絵美を小声で叱る。め
「乃絵美、こんな所で間違ったらダメよ。今の乃絵美は「真奈美」なんだから」
「う、うん」
「真奈美ちゃん、どうかしたの?」
「う、ううんっ。何でもないのよ」
 胸の前で手を組んだ格好で、乃絵美は慌てて言葉を返す。
「そうそうっ!」
 訝しげに言う正樹に乃絵美と菜織は慌てて言葉を返す。
「あっ、菜織ちゃん、先生来たみたいよ」
 乃絵美が教室の入り口の方を見ながら言う。それを見てみんな慌てて席の方に向かった。
「さ、真奈美、座るわよ」
「うん……」
(お兄ちゃん、全然気がついてないけど、上手く行くのかな……)
 一時眼目の教科書を机の上に広げながら、斜め向こうに座っている正樹を見つめながら乃絵美は授業を受け始めた。

 「ふぅ……ちょっと疲れたかも」
 お昼休みの時間、乃絵美はちょっとベンチに深めに腰掛けていた。一年生だが、普段から真面目に予習復習するタイプの乃絵美は、何とか二年生の授業にもついていけていた。英語・数学など、やっていないとまったく解らない授業が今日は無かったのは幸いだった。
 体育があったのにはちょっと困ったが、こと運動神経と言う点では、真奈美と大差なかったので、問題なく乗り切れたのだ。
「真奈美ちゃん、どうかしたの?」
「ううんっ、何でも無いよ、正樹君」
 思わずぼそっと言呟いたのを正樹に聞かれたのだが、慌ててごまかす。
 みんなと一緒に昼ご飯を食べたあと、正樹に誘われて校舎裏の小さな公園まで来たのだった。ここは放課後には人気が多いが、何故か昼休みは少ないと言う一風変わった場所だった。
「そう言えば、ここって人が少ないよね。普通昼休みの方が多いのに……」
「うーん、何故か解らないけどそうなんだよな。昼メシ食った後でゆっくりするのには最適なんだけどなあ」
 正樹は紙パックのコーヒ牛乳を飲みながら苦笑いをする。
 二人が座っている所はちょっと日陰の表からは余り見えないベンチ。正樹はよく此処で昼寝をしたり、菜織の追撃?をやり過ごしたりするんだとか。
「そうだよね……静かだし」                           「うん。だから、真奈美ちゃん……」
 横に座っていた正樹の手が「真奈美」の手を握って、正樹の顔が「真奈美」の顔に近づいてくる。
 乃絵美は一瞬どきっとしたが、自然と目を閉じてそのまま正樹と唇を重ねた。唇が触れた瞬間、全身が熱くなるのを感じた。
 正樹の腕の中へ流れる様に抱きつきながらも唇を重ね続けた。思ったよりも柔らかい正樹の唇から熱い何かが乃絵美の唇へ進入してくる。それが正樹の舌だと解ったと同時に口の中で熱い舌が乃絵美の口内を嘗め回す。
232「妹と恋人の境界線」07:2009/12/23(水) 12:16:30 ID:1fHQ/69P
「んんっっ!」
 乃絵美は思わず正樹の背中に手を回す。正樹もぐっと「真奈美」を抱き締めた。
 抱き合った事で胸の方から正樹の心臓の鼓動が伝わってくる。その鼓動は制服やブラの生地を通しても乃絵美の胸に伝わってきた。
「ああ! ……んっっ」
 重なった唇と唇の隙間から、乃絵美の吐息が漏れてくる。乃絵美は自分の舌をおずおずと正樹の舌に絡めてみる。ねっとりとした舌の感触が乃絵美の舌に伝わって来て、乃絵美の体中に快感が駆け巡ってゆく。
「……あふ……っんっっ!」
 誰も来ないと言う訳では無く、比較的目に付かないと言う場所でシていると言う緊張感と、「本物の真奈美に悪いのでは?」という後ろめたさが「真奈美」の思考を駆けめぐって、興奮が乃絵美の中をより深く支配していく。
「ああぁ……っ……!」
 永遠に続くかと思われた口付けも自然に正樹の方から唇を離した。スーーッと一筋の唾液が白い糸を引いて、乃絵美の唇から正樹の唇が離れていく。
「真奈美ちゃん……好きだよ」
「正樹……君……」
 肩の方を片手で抱き締められながらもう片方の手で胸の方を揉まれてゆく。形の良いバストが制服とブラの中で形を変えながら踊っていく。
「ああ…………っっ!」
 思わず出た甘い吐息に乃絵美は口元を押さえる。正樹はニッと微笑んで「真奈美」の首筋に口付けをした。
「ひっ! あっっ……」
 正樹の唇が首筋にふれた瞬間、電撃の様な感覚が乃絵美の背筋を駆け抜ける。
 さっきのキスとはまた違った快感と胸を揉まれてゆく快感が交互に混じり合って、乃絵美の興奮を高めていった。
「んんっ……はあ……っ………」
 正樹の手が上着のボタンを外してブラに直に触る。ブラの生地ごと胸が揉まれる刺激に乳首がキュッと堅くなる。乃絵美は体中が蕩けていくような感覚に襲われ、ベンチに体を横たえてしまった。
 更にブラがずらされて直接胸が揉まれる。体を支えていた力が抜けた分、さらに感じやすくなった様だ。
「やっ……んんっっ!」
 すっかり堅くピンと張った乳首を指で摘まれて思わず声を上げてしまう。
 正樹の指の中でコリコリと乳首が踊ってゆく。いじられる度に違った快感が乃絵美の全身を駆け巡る。
 正樹の大きな手が乃絵美の胸全体を揉み始めた。
「あぅっ……感じ……ちゃうっ!」
 胸を揉まれ、首筋やうなじに唇や舌を這わせられて行く度に背筋から頭の芯まで、快感と言う名の刺激が支配し、頬が火照ってきて熱く感じる。無性に正樹の体に抱きつきたくなって、彼の名を呼ぶ。
「正樹君っっ!!」
 正樹の体をグッと引き寄せてそのまま正樹の唇を自分の唇を再び重ねる。
 今度は乃絵美の方から舌を正樹の口の中へ差し入れる。熱い唾液の中で乃絵美の舌が正樹の舌と絡み合う。
 正樹は乃絵美の胸からスカートの中へ手を入れてゆく。乃絵美の敏感な部分に指が触れると、ビクッと乃絵美の体が震えた。
 そこは先程までの行為ですっかり感じてしまったせいか、しっとりと潤い……と言うより正樹の指が触れただけで指に乃絵美の蜜がまとわりつく位に濡れていた。
233「妹と恋人の境界線」08:2009/12/23(水) 12:17:56 ID:1fHQ/69P
「あれぇ? 真奈美ちゃんって、こんなにいやらしかったんだ……」
「いっ……ゃんっっ」
 正樹の指先が「真奈美」の敏感な所をなぞる度にビクビクッと乃絵美は反応して声を上げる。
 そのうちに指先がグショグショになってきたので、正樹はショーツの中に手を入れ、乃絵美の秘所を直に探った。
 花弁の周りはぐっしょりと蜜で溢れ、柔らかい花弁の感触と相まって正樹の指に絡んでくる。
「ひぃっ……あんっ」
 絡んだ指先が花弁とその上の敏感な蕾に触れて弄ばれる。乃絵美は波のように襲ってくる快感に、ただただ流されていった。
 正樹の指が乃絵美の秘所の中へと入ってゆく。随分あっさりと指は秘壷の中へ収まった。秘壷の中を指がかき回す。
「ああっっ!」
 更に内壁を指で撫でられる。蜜が指に絡んで内部を擦られるのは、自分の指でしかした事の無い乃絵美にとって今までに無い感覚と快感だった。ゾクゾクするたび気持ちが高ぶっていく。
 「真奈美ちゃんは何時もこんな感覚で正樹に愛されているのかな?」と思いながら、「真奈美」は感じていた。内壁をいじられつつ襞を親指でグリグリと弄られる度に、艶のある声が唇から漏れてくる。
「真奈美……ちゃん……」
「あっ? だめっっ!」
 乃絵美は、秘唇に正樹の肉棒が当てられたので、慌ててそれを握って挿入するのを止める。
 ソレは正樹の心臓の音が聞こえるかの様に熱くビクビクしている。奇妙な感覚に戸惑いながらも乃絵美は言い訳を口にする。
「今はゴムないから……コッチで……して」
 乃絵美は片手をベンチに手を掛け、スカートをたくし上げ正樹の方にヒップを突き出す。そして濡れそぼった秘唇で肉棒の先を撫でる。
 ジュクッと秘唇に絡みついていた愛液が肉棒に絡みつく。乃絵美はビクッと体を震わせながら、アヌスに正樹の分身の先を導いて入れようとする。
「真奈美ちゃん……」
 正樹は「真奈美」のヒップに手を掛けて己が分身をゆっくりアヌスの中へ挿入していく。
「ああっっっ……んっっ!」
 乃絵美は思わず艶やかな声を上げかけたが、行為をしている場所が場所だけに慌てて声を押し殺す。
 正樹の肉棒が「真奈美」のアヌスの中に押し込まれてゆく。異物感と肉棒が押し込まれる
事によって内壁を隔てた膣に、これまでと違う刺激が与えられて秘壷から愛液が溢れ出してくる。
「ううっ……キツいよ、真奈美ちゃん」
 正樹は根本まで入った肉棒を前後に動かす。動かされる度にアヌスと膣が刺激されて徐々に快感と言う刺激が乃絵美の全身を支配してゆく。
「いゃ……あ……つつ!」
 アヌスを中心に、動かされる肉棒の痛みと痺れ、全身をかき回される様な熱い感覚が乃絵美の体を駆け巡ってゆく。
 叫びたいが、周りに聞こえると不昧いので、声を押し殺そうとするが、自然と喘ぎ声が漏れてしまう。
 苦悶と快楽が入り混じる不思議な感覚が、乃絵美の表情を紅に染めていく。
「まさ……正…樹君……イクっ!」
「真奈美ちゃんっっ!」
「いゃぁ……ああっっっ!!」
 ビクビクッと体を大きく震わせて乃絵美は果ててしまう。
 キュッと締まったアヌスが正樹の肉棒を刺激し、同時に正樹も果てて「真奈美」のアヌスの中に正樹自身を注ぎ込む。
 熱い物が乃絵美のアヌスを満たして行く。秘壷から溢れ出た愛液が地面に大きな水溜まりとなって広がっていた。乃絵美はガクッと正樹の方に倒れ掛かって、二人は繋がったままベンチの上に倒れ込んだ
---------------------------------------------------
いったんここで切ります。後半は13時から。
234「妹と恋人の境界線」09:2009/12/23(水) 12:55:50 ID:1fHQ/69P
「んん〜っ、やっと終わったわね、「真奈美」」
 授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、最後の挨拶を終えた後、放課後を待ちわびたかのように菜織がこちらを振り向きながら声を掛けてくれる。
「うっ、うん、菜織ちゃん」
 乃絵美は少しずれたメガネを直しながら「安心した」と言った表情で菜織に答えた。
 (……真奈美ちゃんがノートに予習しておいてくれていたので助かったみたい)
 もっともノートがあったとはいえ、一年の乃絵美には二年の授業は厳しかったが、何とか自力で乗り切ったのだ。
「じゃあじゃあ、後はロムレットでの数時間だけだよん」
 素早く帰り支度をした美亜子が二人に声を掛けて早く行こうと促す。「真奈美」と菜織、美亜子は教室を出て、校門へ向かって歩いてゆく。後から冴子も来るらしい。
 どうにも今日のロムレットは賑やかになりそうだ。「真奈美」はクスッと笑みを浮かべた。
「あっ、菜織ちゃんっ、の……じゃなかった「真奈美」ちゃん」
 玄関を出て少し歩いた所で真奈美が玄関から出てきて菜織たちに声を掛ける。
「あっ、ま……じゃない「乃絵美」、上手く一日過ごしたわね」
「うん。(でも、一年生の授業であそこまで進むとはね。結構苦労しちゃった)」
「(あれ? 真奈美も二年生だから、出来る範囲のハズでしょ?)」
 小声で大変そうに言う真奈美に対して菜織は結構キツい台詞を返す。
「う………そりゃあ、そうだけど……」
 乃絵美同様、真奈美も真面目な性格だが、基本さえつかめばあとは応用が利く乃絵美と違って、真奈美はどうやら不器用で要領の悪いタチらしい。
 一年前に習ったことも、試験が過ぎてどうやら大半を忘れてしまったのだろう。
「まぁまぁ、ま…「乃絵美」ちゃんも上手く過ごせたから、後の数時間を残すだけだよ。
 でも、おに……正樹君、あれでいて結構カンが鋭いんだよ?」
 「真奈美」は心配そうに言うが、菜織と美亜子は楽観的だった。
「んもぅ、「真奈美」も心配性ね〜ここまで全然気付かなかったから大丈夫よ!」

 * * * 

 喫茶ロムレットに入ると、そこにはカウンター内の正樹のほかに、臨時講師のみちるが客として座っていた。どうやらふたりで雑談中のようだ。
「あらあら〜随分とやさしいお兄ちゃんだこと」
「ただ、最近はどうも照れくさくて……」
 みちる先生の言葉に正樹はちょっとはにかみながら答える。
 どうやら、乃絵美のことで相談に乗ってもらっているようだ。
「別に兄妹だし、照れる事無いんじゃないの」
 正樹が声をした方に振り向いてみると、いつの間に着替えたのかロムレットの制服姿の菜織がニヤニヤ笑いながら立っていた。
「げっ……菜織?」
 菜織の後ろには「乃絵美」と「真奈美」が立っていた。「乃絵美」の顔はうっすらと赤らんでいるようだった。
「最近真奈美の事ばかり考えていて、乃絵美の事を考えてないのかな〜って、思ってたんだけど……ちゃんと心配できているんなら良いわ、お・に・い・ちゃん」
 笑いながら肩をぽんぽんとたたく菜織に正樹は反論する。
「誰が乃絵美の事をないがしろにしたって? そんなバカなことあるわけないだろ!」
「きゃはは、とうとう自分で認めたね、シスコンさん」
「ぐっ……」
「まあまあ……菜織ちゃんも正樹君も、落ち着いて。これからお店があるんだから、ね?」
 言い争いになりそうな二人を「真奈美」が制する。「真奈美」の言葉に正樹と菜織は不満そうだが、渋々店の作業の方に掛かりだした。
235「妹と恋人の境界線」10:2009/12/23(水) 12:57:22 ID:1fHQ/69P
「(真奈美ちゃん、ごめんね)」
「(ううん……それでこそ、いつもの"お兄ちゃん"だし)」
 「真奈美」はそっと「乃絵美」の方に耳打ちするが、「乃絵美」ははにかんだ笑顔で答えた。
 実は正直に言うと、真奈美は正樹のことを未だ「幼馴染の兄貴分」「自分を守ってくれる男性」として意識している面が強いのだ。
 恋人になれて嬉しくないわけではないが、正樹に昔のような「庇護者」ではなく「対等な女性」として扱われることに少々違和感──寂しさのようなものを感じていたのも事実だ。
 それが、「乃絵美」になって、妹(つまり自分)の事を気に掛けてくれる正樹を見られたため、彼女は寂しさが吹き飛んだ気がしていたのだった。
「さあ、頑張って仕事しようね、お兄ちゃん」
 「乃絵美」はにっこりと笑いながらカウンターの方に入っていった。

「ありがとうございました〜」
 「真奈美」が会計を済ませて出てゆく客に挨拶をする。どうも今日は珍しく客の入りが多いようだ。
「やっと一段落ついたわね〜」
 菜織がふうとため息をつきながら食器を引き上げてくる。
「珍しくお客さんが多いものね」
「乃絵美、『珍しく』は無いだろ」
「あっ、ごめんなさいっっ」
 「乃絵美」の言葉に正樹が突っ込む。そんな会話に「真奈美」が苦笑する。
「乃絵美ちゃん、こんな忙しいのは久しぶりだからでしょ?」
「うん、そうなんだけど……って、あれ、真奈美ちゃん、ちょっと顔色悪いよ」
「えっ? そ、そうかな?」
 「真奈美」は思わず顔に手を当ててびっくりする。
 正樹と菜織が「真奈美」の顔を見ながら首をひねる。
「ほんとだ。ちょっと赤い」
「真奈美、ちょっと休んだら?」
「う、ううんっっ、大丈夫だよ。ちょっと忙しかっただけだと思うから」
 笑顔を作って答える「真奈美」。
「あんまり無理しないで……ほらほら」
 だが、正樹はさっさと「真奈美」の背中を押して店の奥へと連れて行った。

「……正樹君、ごめんね」
 正樹の部屋に入り、ベッドの上に腰掛けて、「真奈美」は申し訳なさそうな顔をしている。
「いいって、手伝ってもらっているのはこっちだから、俺らが真奈美ちゃんにお社を言いたいくらいだよ」
 正樹は「真奈美」に冷たいお茶の入ったコップを手渡しながら言う。
 「真奈美」はコップを受け取って口に含んだ。冷たいお茶が熱かった体を冷やしていくのが喉越しに解る。
「うん……ありがと」
 正樹は「真奈美」の横に座り、彼女の肩を抱いた。
「それと……こういうこともして欲しかったんだろ」
「まさきく……!」
 正樹は「真奈美」の唇に自分の唇を重ねる。
 乃絵美は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに正樹の背中に手を回す。
「ん……っっ」
 正樹の唇の感触が乃絵美の唇に心地よく伝わってくる。
「今日はよく頑張ってくれたから、そんな真奈美ちゃんに、特別にプレゼントだ」
「あっ……ああっ!」
 再び唇を重ねると、「真奈美」をすっとベッドの方へ押し倒す。
 乃絵美は正樹の手に抱かれたままベッドの中に身を沈めた。
「あ…………んっっ」
 ロムレットの制服越しに胸を揉まれ、思わず声を上げて身をよじらす。
 少し堅い制服の生地とブラの生地が乃絵美の胸を、乳首を刺激してゆく。
「ま……正樹君……」
 何時も自分でいじっている時の何倍もの刺激が加わっているのではないかと思えるような刺激が乃絵美の体を駆け巡る。すぐ乳首がピンと立って、ブラの布と擦れて刺激が増す。
「おやぁ、真奈美ちゃん、もぅ乳首を立たせているの? いつもより感じやすいみたいだね」
「ま、正樹君が……立たせているんだよぉ……ああっっ!」
 「真奈美」は甘い吐息混じりの声で、正樹に言葉を返す。
 その言葉の返礼に、正樹の手がそのまま「真奈美」のスカートの中へと入れられてゆく。 すーっと正樹の手が「真奈美」の太股をなぞって股間へと伸びる。
 白いストッキング越しに正樹の指の感触が伝わって、「真奈美」を刺激した。
236「妹と恋人の境界線」11:2009/12/23(水) 12:59:16 ID:1fHQ/69P
「いゃあ……っんっっ!」
 薄いショーツの布越しに秘所を撫でられて、思わず声を上げてしまう。秘所を指で撫でられる度に、顔と言わず全身が熱く庫れる様な感覚が支配していくのが感じられる。直ぐに秘所からは熱い密が溢れて来て、ショーツを濡らして、正樹の指に絡みついてくる。
「真奈美ちゃん……」
「えっ? ……きゃっ!」
 正樹は「真奈美」をうつ伏せにさせて、腰を持ち上げる。
 ヒップが持ち上げられて自然と四つん這いの姿勢になり、小振りなヒップが正樹の目の前に広げられた。
 ショーツの上からヒップを揉まれると、ショーツの布地とヒップが摺れるのと揉まれる感触とが重なり、心地良い刺激となって乃絵美の体を駆け巡り、秘所からの蜜が更に溢れる。
「こんなにして……真奈美ちゃん結構いやらしいね」
「まさ……き、くんが……ああっ……っ!」
 乃絵美は艶の掛かった声で正樹の言葉に答えようとすると、正樹は「真奈美」の秘所をショーツの上から舌で版める。
 ショーツがぐっと秘所に押し付けられて花弁と摺れる。蜜が絡まっているので痛くは無いが、秘所を舐められていると言う事の恥ずかしさが乃絵美を襲って興奮となって行く。
「あぁ……んんっ」
 正樹にショーツを説がされ膝までずり下ろされる。ショーツの秘所が当っていた部分から蜜が何本も細い糸を引いてゆく。ショーツを説がされて秘所が急に外気に晒されてヒヤッとする。
 小振りなヒップも、締まったアヌスも、蜜で濡らした花弁も秘所も……制服を着たままスカートを捲くり上げられ、下半身の全てを正樹に見られている。
 乃絵美は恥ずかしさで顔を真っ赤にした。
 更に正樹は舌で秘所を愛撫する。指とは違った少しざらついた舌の感触が花弁から全身へと駆け巡り、更に蜜を溢れさせる。更に菅を指で弄られるとそれだけで身を握って逃げ
出したくなるくらいの刺激が乃絵美を支配していく。
「正樹君……もう駄目……」
 ぶるぶる小刻みに秘所を震わせながら乃絵美は正樹の方を見る。秘壷からの蜜が滴り落ちてベッドのシーツを濡らしてゆく。
「じゃあ、そろそろいい?」
 今日は危険日ではない、とかろうじてそんなコトを思った乃絵美は、首を縦に振る。
「あっ!……んっっっっ……」
 正樹は乃絵美の秘所に口付けすると、舌で蜜を凪め取って塗り広げる。
 ペチャペチャといやらしい音が部屋に響いた。
 さらに正樹は自分の肉体の先を乃絵美の花弁に擦り付けて濡らしてゆく。擦り付けられる度に熟い肉体の感触が花弁に伝わってくる。
 「真奈美ちゃん……いくよ」
 そう言うと、正樹は乃絵美のヒップを抱えて、程よく乃絵美の蜜で濡れた肉体を花弁の中へ挿入する。
 「あっ……いあっあああっっっ!」
 ズブズブッッと乃絵美の花弁は正樹の分身を啼えていく。
 乃絵美は熱い肉棒が膣内に入ってくると身悶えしながらグッと目を閉じる。
 しかし、予想したような破瓜の痛みはなかった。
 (そう言えば、チャムナさんが、この身体は元の真奈美ちゃんと同じようにしたって言ってたっけ)
 つまり、今の「真奈美」の身体は処女ではないということなのだろう。
 一抹の寂しさと大きな安堵、そして「この体は正樹に女にされたのだ」という奇妙な愉悦を感じる乃絵美だったが、正樹が動き出すとともに、すぐに何も考えられなくなる。
 膣の奥に正樹の肉棒が当って子宮の入り口が刺激されて更に蜜を溢れ出させる。
「ああっ……ま……正樹君っっ!」
 肉襞できつく正樹の分身を締め付けながら乃絵美は喘ぎ声を上げる。
 更に正樹の手が「真奈美」の雌芯を弄くると、「真奈美」はシーツを掴み、歓喜の声を上げながら体を震わせる。
237「妹と恋人の境界線」12:2009/12/23(水) 13:00:08 ID:1fHQ/69P
 ズブズブッと可愛い乃絵美のヒップの中心で正樹の肉林が動いている。
 早めたり、ゆっくりと動かしたり……緩急のリズムが乃絵美の体内に響いて来る。乃絵美は興奮でどこか遠くへ飛んでいってしまうような感覚に襲われて来た。
「駄目、まさき……くん、もぅ……」
「真奈美っ!」
 「真奈美」が切ない表情で正樹の方を見る。そろそろ限界の様だ。正樹は更に肉棒を動かす速度を速める。
 体の奥深くを突き上げられている感覚に乃絵美は限界に遠した。
「ひゃあっ…………あああっっっ!」
 ギュッとヴァギナを締め付け、ガクガクッと全身を痙攣させて乃絵美が遠すると同時に正樹は「真奈美」の胎内に正樹自身を解き放つ。
 ドクドクッと乃絵美の胎内に熱い物が流れ込む。
「あぁ…っ……正樹君のが……はいって、くる……」
 乃絵美は恍惚とした表情で呟いた……。

 * * * 

 その後、すっかり元気を取り戻した「真奈美」は学園の制服に着替えて、乃絵美の部屋で、私服に着替えた「乃絵美」と相談する。
 最初はふたりとも互いの顔を窺うように無言のまま見つめあっていたのだが、思い切って「乃絵美」──本来の真奈美が話を切り出した。
「ねぇ、乃絵美ちゃん。この入れ替わりなんだけど……もう2、3日続けるってのはダメかなぁ?」
「え!?」
 意外な真奈美の言葉に乃絵美は目を白黒させる。
 兄を深く想う自分としては願ってもない申し出だが、真奈美の方はそれでよいのだろうか?
「うん。だって、乃絵美ちゃんの方は、今日学校で「真奈美」として正樹君とずっと一緒にいただろうけど、私の方は、まだ"乃絵美として"妹気分をほとんど味わってないんだよ?」
 なるほど、言われてみれば確かにその通りだ。今朝、学園に行く途中で家を出てから入れ替わったのだから。
「私は別に構わないけど……」
「本当!? じゃあ、ぜひお願い!」
 真奈美いわく、一度でいいから妹として兄に甘えてみたいらしい。
 苦笑しながら乃絵美は了解した。
「──それでね、せっかくだから、菜織ちゃんたちには、今日ここで元に戻ったみたいに見せかけるってのはどうかな?」
「あ、それはいいかも」
 今日一日、結果的に菜織と美亜子の思惑に振り回された形なのだから、それくらいの悪戯は許されてしかるべきだろう。
238「妹と恋人の境界線」end:2009/12/23(水) 13:02:12 ID:1fHQ/69P
 菜織たちの元にふたりが戻ってくる。
「お、ふたりとも来たわね」
「ねぇ、もう元に戻ったの?」
「うん、ご覧の通りだよ、菜織ちゃん」
 乃絵美の私服を着ていることをアピールする「乃絵美」。どうやら、最初からそのつもりで着替えたらしい。
「ふふふ、結局、正樹はアンタたちの入れ替わりに気がつかなかったわねー」
「どうする? 明日にでも言っちゃう?」
「あ! 待って、美亜子ちゃん。実はその……言いにくいんだけど、私、昼休みに"お兄ちゃん"にキスされちゃったの」
 「乃絵美」が目を伏せる。
「ええっ!!」
「ま、まぁ、真奈美ちゃんだと思ってたわけだしねぇ」
「う、うん。でも、それをお兄ちゃんが知ったらきっとお互い気まずい雰囲気になるような気がするんだ」
「た、確かに!」
「はぁ……仕方ないか」 
 首謀者のふたりも渋々暴露をあきらめたようだ。
「あーあ、せっかくのからかうネタだったのになぁ」
「美亜子、考え方を変えるのよ。正樹が知らない私たちだけの秘密をコッソリ隠してるって」
「にゃるほろ〜、それはソレでアリよね!」
 と、騒々しい二人と彼女らのお目付け役の冴子とともに、「真奈美」も伊藤家の玄関を出る。
「じゃあ、「真奈美」ちゃん、また明日ね」
「うん。「乃絵美」ちゃんも気をつけて」
 ふたりの少女は余人の知らない秘密を隠してクスクス笑い合って別れたのだった。

 * * * 

 その後、乃絵美は正樹の「恋人」である「真奈美」、真奈美は正樹の「妹」である「乃絵美」というポジションに、互いにすっかり満足してしまっていた。
 いちばん近い位置にいながら決して結ばれない"妹"という立場に乃絵美は密かに絶望し、逆に真奈美の方は恋人や妻と異なり、何があろうと変わらず傍にいて守ってもらえる"妹"という立場をコッソリ羨んでいたのだから、ある意味当然かもしれない。
 「2、3日間だけ」というつもりが、居心地の良さに互いに「戻ろう」と言いだせないまま、一週間が過ぎ、一カ月が経ち……すでに、あの入れ替わりから半年近くが経過していた。
 最初こそ学校の勉強などで(とくに乃絵美は)多少苦労はしたものの、しばらくするとそれにも慣れた。
 もとより性格や嗜好が比較的近かったというのもあるし、交友関係もほとんどカブっていたので、そういった面ではほとんど苦労することもない。
 最近ではふたりとも、自分が本来誰であったかを意識することなく、それぞれ「真奈美」、「乃絵美」としての日常を謳歌しているのだ。
 もちろん、正樹は「乃絵美」を妹として慈しみ、「真奈美」とは恋人として愛を交わしている。菜織たちもふたりが元に戻っていないなんて夢にも思っていなかった。

 そして今日、「真奈美」は真奈美としての最後のピース──チャムナ達精霊の宿った絆のペンダントを「乃絵美」から受け取った。
 「これは、真奈美ちゃんが身につけているべきものだから」と。
「チャムナさんは驚くかもしれないけど……これが私たちの幸せの形だから」
 そう呟いて、「真奈美」はベンダントを首にかけ、胸元に落とした。
 ペンダントは彼女の言葉に頷くように、一瞬だけキラリと光ったのだった。

-FIN-

以上です。この期に及んでなんですが、これは私のオリジナルではなく、某SSに影響されて書いたことを付け加えておきます。お目汚し失礼。
239名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 13:57:57 ID:6GhRLBRT
素晴らしくGJでございます
240名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 17:47:19 ID:a8Niainl
>>235
GJ
241名無しさん@ピンキー:2009/12/23(水) 21:28:58 ID:yVJXR89T
こっちのほうが自分の趣味に合ってた
GJです
242 ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:06:16 ID:uKRwWDSV
ご無沙汰しております、少年シリーズの者です。

今回は以前投下したSSの続きというか、関連話を置いておきます。
とある男の子の友達の女の子と母親が入れ替わって、両方をものにする話です。
http://www40.atwiki.jp/odchange/pages/46.html

軽い陵辱・暴力シーンがあるので苦手な方は注意して下さい。
エロ分はいまいち薄めですが、ご了承下さい。
それでは投下。
243母親と幼馴染・2(1/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:07:53 ID:uKRwWDSV
午後の教室、数人で輪を作って談笑する女生徒たちの中に、
長い髪にピンクのリボンをつけた、可愛らしい少女の姿があった。
少女は明るい性格のようで、友達と他愛のない会話を交わしながら微笑んでいる。
そこに一人の男子生徒が現れ、少女に話しかけた。
「ひとみ、ちょっといいか」
「ん、なに? ヨシヒロ」
女子の群れに顔を突っ込んだ形の男子生徒は、少々恥ずかしそうにしながら、
下校時に自分と一緒に帰るよう、少女に頼み込んだ。
「うん、いいよ。つき合ったげる」
満面の笑みを浮かべてそう答えた少女に、周囲から冷やかしの声がかかった。
少女はかすかに顔を赤らめ、手をぱたぱた振って抗議したが、
この二人の間柄は、とうに周知の事実である。
そこへ教師がやってきて、騒ぐ生徒たちに終礼を告げた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

ヨシヒロは平凡な少年だった。
兄弟はなく、両親と共に暮らす一人っ子。
親の期待もあって人並み以上に厳しく躾けられたはずなのだが、
残念ながらその甲斐もなく悪戯好きの悪童に育ってしまい、
小学校の高学年になる頃には、立派な問題児の一員となっていた。
母親である園子に言わせると「こんなはずじゃなかった」ということになるが、
当のヨシヒロはいくら叱られてもまるで堪えた様子がなく、
近所に住む幼馴染のひとみをはじめ、多くの人間に迷惑をかけ続けていた。
特にひとみは気弱な性格のため、ヨシヒロに悪戯をされても何も言えず、
泣いておろおろするばかりだった。
この年頃の少年にとって、身近な異性が気になって嫌がらせをしてしまうのは
よくある話だったが、園子は我が子のそんな姿を見ては、いつも心を痛めていた。
これではいけない。何とかしないと。
園子もひとみもそう思いながら、なかなか有効な手を打つことができなかった。

そんなとき園子に、ある品物が送りつけられてきた。
はじめは田舎の親戚が果物でも送ってくれたのかと思ったが、それにしては箱が小さい。
飾り気のない無愛想な紙箱を開けてみると、
中から電子辞書くらいの大きさの薄い機械が出てきた。
添えられていた文によると、何かの懸賞に当たったそうだ。
園子はよく雑誌や飲料の懸賞に応募していたので、こういうことは珍しくなかった。
出した数が多すぎて、自分でも何に応募したのかろくに覚えていないほどだ。
賞品の機械にはキーボードのような細かいボタンがいくつもついていて、
さらに画面を直接触っても操作ができるらしく、そのためのペンタブレットも付属していた。
「ゲーム機――にしてはちょっと大きいわね。電子手帳かしら」
園子はあまりこういうものに興味はなかったが、どうせタダでもらったものだ。
ちょっと触ってみて、飽きたらヨシヒロにでもやるつもりでいた。
そのヨシヒロは学校から帰ってすぐに友達と遊びに出かけてしまい、
夕飯どきになるまで戻りそうになかった。
元気なのはいいけれど、もう少し落ち着きと思いやりのある子になってほしい。
我が子の将来を思うと、園子の口からため息が漏れていった。
244母親と幼馴染・2(2/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:08:29 ID:uKRwWDSV
そのとき、家にひとみが訪ねてきた。
「ああ、ひとみちゃん? どうぞ、上がってよ」
「すいません、お邪魔します」
ひとみはヨシヒロの同級生で、園子も彼女が小さい頃からよく知っている。
気が弱く今でも泣いてばかりだが、将来はさぞ美人になりそうな可愛らしい娘だ。
ヨシヒロがよく彼女をいじめているため、いつも園子はひとみを慰め、
不甲斐ない息子に代わって謝っているのだった。
ひとみが浮かない顔だったので話を聞くと、どうやらヨシヒロは、
今日もあれこれとひとみにちょっかいを出していたそうだ。
またか。息子が帰ってきたら、うんと叱ってやらないと。
園子がヨシヒロへの怒りを隠しながら、ひとみに茶でも出してやろうと立ち上がると、
テーブルの上に出しっぱなしにしておいた機械をひとみが見つけ、訊ねてきた。
「おばさん、これ何ですか?」
「あー、それ? 懸賞で当たったの。電子手帳か電子辞書かよくわかんないんだけど――
 そうだひとみちゃん。それあげるから、よかったら使ってよ」
「え? で、でも……」
「いいからいいから。ヨシヒロがいつも迷惑かけてるんだから、気にしないで」
「はあ、ありがとうございます……」

しかしひとみは機械を受け取ってはみたものの、使い方がさっぱりわからないらしい。
園子は同封の説明書に目を通しながら、ひとみと二人で機械を使ってみることにした。
「えーと、ユーザー登録……あ、指紋認証なのか。最近のはすごいわねー。
 名前を入れて、年齢、住所……まあこの辺はどうでもいいか。
 ほら、ひとみちゃんも登録したげるから、手出して」
「はい」
園子とひとみ、二人はこの機械のユーザーとして登録した。
パスワードもしっかり設定し、初期設定は完了した。
次に表示されたのはメニュー画面だった。
園子は説明書と画面を見比べつつ、たどたどしく操作をおこなっていく。
「この複製とか置換ってボタンは何なんだろ?」
「あ、おばさんと私のデータが出てきましたね」
「まあ適当にいじってみましょ。どーせタダだったんだし、壊れてもいいわ」
「おばさん、ちゃんと説明書読まないと……」

園子の手がペンタブを操り、手当たり次第にアイコンをクリックする。
「確認」と書かれた画面に移ったが、ためらいなく「はい」を選ぶ。
すると突然、園子は強烈な違和感に襲われた。
一瞬だけ視界がぐらりと揺れたように感じて、ぱちぱちとまばたきを繰り返す。
気を失ったとか、気分が悪いとかいうようなことは決してない。
特に何かが変わったというわけでもない。
だが、やはり何かが変わったような、不思議な気分だった。どうにもすっきりしない。
園子が頭を抱えていると、隣にいたひとみが心配して声をかけてきた。
「おばさん……大丈夫?」
「え? ひとみちゃん、声――ええっ !?」
思わずあげてしまった自分の悲鳴にも驚いてしまう。
ひとみの口から出てきたのは、幼い少女の声ではなく、
どこか聞き覚えのある、成人した大人の女の声だったのだ。
逆に自分の喉をついて出たのは、可愛らしい少女の声音。
自分とひとみの声が入れ替わってしまったことを園子が把握するまで、数分を要した。
245母親と幼馴染・2(3/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:09:25 ID:uKRwWDSV
「な、なんでっ !? なんで私とひとみちゃんの声が……?」
「あたしの声、どうなっちゃったの……?」
園子が目を白黒させていると、ひとみは園子の手から機械をひったくり、
画面を見ながらそれを操作し始めた。
信じられない出来事だが、ひょっとするとこの機械が原因かもしれない。
いきなりの異常事態に戦慄しつつも、ひとみは画面にペンタブを走らせた。
「置換、声……Sonoko、Hitomi……あ、さっきと表示が変わってる。これかな?」
緊張してつばを飲み込みながら、ひとみが確認画面で「はい」を入力すると、
機械の表示も二人の声も、両方が元通りになった。
「も、元に戻ったの? あー、びっくりした……」
「おばさん、この機械――」
「今の、やっぱりこの機械のせいよね。どうなってるのかしら……」

説明書には細かい解説が書いておらず、何のための説明書だと文句を言いたくなったが、
園子はひとみと二人で機械を操作して、その機能を把握していった。
どうやら、これは登録したユーザーの体の一部を自在に変化させることができるらしい。
たとえば今のように二人の声を入れ替えたり、
あるいは他の部分、腕や足を取り替えたりもできる。
入れ替えるだけでなく、身体のパーツを別の人間にコピーすることもできるようだ。
試しに園子の両脚を複製してひとみに生やしてみたが、
小さな体のひとみが脚だけ大人のものになってしまい、かなりアンバランスだった。
また、ユーザーの身体データはバックアップとして保存してあるらしく、
いつでも元に戻せることも判明した。
驚くべき機能の数々を目の当たりにした園子が、興奮した声で言った。
「すっごいわねー、これ。なんかもうSFの世界じゃない?」
「ホ、ホントにすごいですね……。あたしまだ信じられない……」
「そうだ、ひとみちゃん。これ使って、あいつを懲らしめてやらない?」
「え?」
きょとんと自分を見上げてくるひとみに、園子はにやりと笑って言った。
「だから、これ使ってうちの悪ガキを懲らしめてやるのよ。協力してよ」
「ヨ、ヨシヒロくんを?」
「そう。あいつ、私の怒鳴り声とかゲンコツとか、すっごい苦手でしょ?
 あの悪戯坊主が、私の前じゃコソコソ小さくなってるもの。
 だから私とひとみちゃんが入れ替わったら、
 あいつもひとみちゃんに変なことしなくなるわよ。きっと」

こうして園子とひとみは互いの体を入れ替え、ヨシヒロを大いに困惑させた。
ひとみが園子の体でヨシヒロを怒鳴りつけたりどやしつけたり、
逆に園子がひとみの姿でヨシヒロを挑発したり。
そんな二人の姿にヨシヒロはすっかり狼狽してしまい、
それ以来ひとみをいじめることはなくなった。うまくいって二人は大喜びした。
しかし、事態は園子が予想しなかった方向へと進んだ。
ひとみが園子の体のままでいたいと言い出したのである。
246母親と幼馴染・2(4/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:10:01 ID:uKRwWDSV
園子もひとみの体になってからは、毎日学校に通って二度目の青春を謳歌していたが、
当然のことながら、ずっとこのままでいる気などなかった。
二週間ほど経ったある日、園子はひとみを捕まえて、
いい加減元に戻ろうと訴えた。ひとみは園子の顔で笑って言った。
「あたし、おばさんの体で楽しくやってるんです。
 おばさんもヨシヒロくんと一緒に学校行って、楽しんでるでしょ?
 だったら、もうちょっとこのままでいてもいいじゃないですか」
「うーん、それはそうなんだけど……。でも、お互い自分の体じゃないわけだしねえ。
 ひとみちゃん。あの機械、返してくれないかしら。あれがないと戻れないのよ」
「あれはあたしがもらったんです。返すつもりはありません」
にべも無く断られ、園子は困り果てた。
何しろ今の自分は小柄で無力な、幼い少女なのである。
元は自分の体だとはいえ、ひとみを見上げなくてはならないこの状況では、
なかなか強い態度に出ることができなかった。逆にひとみはいつになく強気である。
入れ替わりの原因となった機械はひとみが管理しており、どこかに隠してしまっていた。
ひとみの同意がないと元に戻れないのだが、ひとみは頑として首を縦に振らない。
結局園子はそれ以上何も言うことができず、大人しくひとみの家に帰るしかなかった。

ひとみの家族は二人が入れ替わっていることを知らない。
ひとみを演じることには慣れつつあったが、本来は赤の他人である夫婦に向かって
「お父さん、お母さん」と呼びかけるのには、園子も罪悪感を覚え始めていた。
一方ひとみは、ヨシヒロもその父も事情を聞かされているので、特に不自由はないようだ。
遊びたい盛りだろうに、主婦として一生懸命家事に勤しむひとみの姿に
ヨシヒロの父はたいそう感動したらしく、彼女を実の家族同然に扱っていた。
園子が元に戻りたいと訴えても、ひとみのやりたいようにさせておけと言うばかりである。
ヨシヒロはヨシヒロで今回の騒ぎですっかり意気消沈してしまい、
ひとみと園子が入れ替わったままでも何も言わない。
園子の味方は誰もおらず、元に戻れないまま時間だけが過ぎていった。
一ヶ月、二ヶ月、半年、一年。
ひとみと園子が入れ替わって二年が経ち、園子は中学生になっていた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

春の心地よい風が通学路を吹き抜ける中、園子はヨシヒロと一緒に下校していた。
中学校の制服である紺色のブレザーと、髪を飾るピンクのリボン。
今の園子はどこからどう見てもひとみであり、
本人もそう呼ばれることが当たり前になってしまっていた。
ひとみがひとみでないことは、隣にいるヨシヒロを含め、ごくわずかな者しか知らない。
園子はカバンを振りながら、ずっと黙りこくっていたヨシヒロに訊ねた。
「ねえヨシヒロ、今日はなんで私を呼んだの?」
「ん、ちょっとな」
「ふーん? まあいいや」
園子はそのままヨシヒロについていき、かつて自宅だった家に足を踏み入れた。
ひとみは出かけているそうで、誰もいない。
「ふふっ。こういうとき、ただいまって言えばいいのか、
 それともお邪魔しますって言えばいいのか、ちょっとわかんないよね」
「どうでもいいだろ、そんなこと」
相変わらずヨシヒロはぶっきらぼうだ。
そんな息子に構わず、客の身でありながら台所に立って、茶と茶菓子を用意する。
最近この家にもあまり寄る機会がなく、自宅だった頃の記憶も少しずつ薄れつつあった。
247母親と幼馴染・2(5/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:10:27 ID:uKRwWDSV
ヨシヒロとテーブルを挟んで向かい合い、熱い緑茶をすする。
少し会話も交わしたが、とても母が息子に話すような内容ではなかった。
「C組の伊藤君いるでしょ。今日コクられちゃったんだけど」
「またかよ……。で、つき合う気あんの?」
「そんなわけないでしょ、あんなお子様と。十年早いって」
「そりゃあ、中身は四十近いオバサンだもんな。つき合ったら犯罪だ」
「言ったわね、この糞ガキっ」
園子は可愛らしい見た目に加え性格も明るく、男女どちらからも人気があった。
よくヨシヒロと一緒にいて、あれこれと世話を焼いてやっているため、
周囲からは二人がつき合っていると思われているようだ。
園子からすれば実の息子の面倒を見るのは当たり前のことだし、
そこに恋愛感情が存在するはずはないのだが、かといって事情を説明するわけにもいかず、
むきになって否定するのも面倒くさいのでそのままにしている。
それにヨシヒロの彼女ということにしておくと、周囲の少年たちから
交際を申し込まれることが無く、彼女としても都合が良かった。
中にはそれでも告白してくる熱心な男子もいたが、全て断るようにしている。
園子にとって中学生というのはまだまだ子供であり、
そんな相手とつき合って恋愛ごっこに興じる気には、どうにもなれないのだった。

園子は茶をもう一口すすり、ヨシヒロをじっと見つめた。
「ところでヨシヒロ」
「なんだよ」
「あんた、私に何か言いたいことがあるんでしょ。早く言いなさいよ」
園子はそう言って、湯飲みをテーブルに置いた。
今日、ヨシヒロは普段と同じように振る舞ってはいたが、
母親である園子にとって、彼の様子がいつもと違うのは明らかだった。
ヨシヒロは椅子の背にもたれかかり、大きく息を吐いた。
その仕草は、何か大事なことで悩んでいるようにも見えた。
「ふう……。やっぱり俺のかーちゃんだな。隠し事できねー」
「もしかしてひとみちゃんのこと? 今日いないけど、何かあったの?」
「ああ。今あいつ、病院行ってんだ」
「病院? 体壊したの、それとも怪我?」
「どっちでもない。ピンピンしてる」
ヨシヒロは歯切れが悪かった。
もっとヨシヒロが小さい頃、何か悪戯をしでかしてそれがばれたとき、
これと同じ表情をしていたのを思い出す。
あまりいい予感はしなかったが、とにかく話を聞かなければどうしようもない。
辛抱強く園子が待つと、ヨシヒロはぽつりぽつりと語りだした。
248母親と幼馴染・2(6/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:10:52 ID:uKRwWDSV
「実はあいつ、妊娠したんだ。それで今日、産婦人科に行ってる」
「ふーん、そう。妊娠したの」
納得してうなずいた園子だが、次の瞬間、いきなり大声をあげた。
「はあ !? 妊娠ですって !? なんでひとみちゃんが妊娠してんのよ!
 あれ私の体なのよ !? 私に黙って、勝手にそういうことしてたってわけ !?」
最近ろくに会っていない夫、ヨシヒロの父親の顔が脳裏に浮かんできた。
いくら妻の体とはいえ、年端もいかぬ少女に手を出したというのだろうか。
テーブルをドンドン叩いて吠える園子に、ヨシヒロがさらに驚くべき話を聞かせた。
「それが……俺がひとみとやっちまったんだ。そしたら妊娠した」
今度こそ園子は、開いた口が塞がらなかった。
夫婦でさえ許せないというのに、なんと母と息子である。
全身の血が頭にのぼってしまい、頭の中が沸騰して何も考えられなくなった。
「ヨシヒロ――あんたねえっ !!」
それからのことはよく覚えていないが、おそらくヨシヒロを口汚く罵ったのだろう。
マザコンとか変態とか、そういった言葉をぶつけたのは辛うじて記憶にある。
ヨシヒロも何やら釈明していたようだが、何を言われたのか全く覚えていなかった。
迂闊だったのは、ヨシヒロの性格も考えず、思い切りわめき散らしたことだろう。
この少年はいくら自分に非があっても、ただ黙って反省するような男ではない。
園子とヨシヒロは当然のように口論になり、互いに怒りをぶつけ合った。

「いい加減にしろよ! もう終わったことはしょーがねーだろうが!」
「何開き直ってんのよ! 母親の体を犯しといて、それでいいと思ってんの !?」
「同じことばっかり、何度も言うなって言ってんだ! いい加減にしろよ、お前っ!」
「何よ、母親に向かってお前呼ばわり !? この変態息子、土下座して謝れっ!」
とうとう口だけでは足りなくなったのか、
ヨシヒロは椅子から立ち上がると、園子につかみかかってきた。
「ちょっと、何よ――!」
園子はヨシヒロを鋭くにらみつけたが、彼は構わず園子の椅子を引き倒した。
華奢な園子の体が床に叩きつけられ、派手な音があがった。
視界が一回転して、目の前が点滅したり星が散ったり。
とっさに後頭部は庇ったものの、背中をしたたかに打ってしまった。
「つう……!」
気がつくと、仰向けに倒れた園子の上にヨシヒロが覆いかぶさっていた。
まだ中学生とはいえ、ヨシヒロの体は今の小柄な園子より、ひと回りは大きい。
息子に押し倒されるという事態に、園子の頭の中は真っ白になった。

「こっち向けよ」
ヨシヒロの両腕に上体を抱え込まれ、無防備な唇を奪われる。
眼前を覆うヨシヒロの顔はぼやけて、誰だか判別もできなかった。
「んっ……」
唇を割って侵入してくるヨシヒロの舌。
気持ちいいのか悪いのか、それも思考が霞んだ園子にはよくわからない。
口内を蠢く肉の塊がまるで催促しているように思われて、つい自分も舌を絡めてしまう。
園子とヨシヒロは濃密な接吻に没頭し、唾液をくちゅくちゅと混ぜ合った。
だんだん息が苦しくなってきた頃、ヨシヒロが一旦顔を離し、園子を見下ろした。
逆光の中、息子の顔は別人かと見紛うほどに暗かった。
「ざまあみろ」
ヨシヒロはそう言うと、園子の長い髪をかき分け、首筋に吸いついた。
白い肌を唇で挟んでついばんでくる。もしかすると跡が残ってしまうかもしれない。
そこで園子はようやく拒絶することを思い出し、首を振って暴れた。
「ちょっ !? あんた、何してんのよ! やめなさ――」
パン、と乾いた音が響いた。ヨシヒロが平手で園子の頬をぶったのだ。
左の頬がひりひり痛む。息子に暴力を振るわれたのが信じられなかった。
園子は今度こそ完全に思考を放棄してしまい、虚ろな表情でヨシヒロを見上げた。
249母親と幼馴染・2(7/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:11:27 ID:uKRwWDSV
ヨシヒロは放心した園子を床に寝かせ、戸棚から荷造り用の紐を取り出した。
そして寝転がった体に横を向かせて、両手を背中に回して縛り上げた。
叩かれた頬の痛みに、後ろ手に縛られた手首の痛みが加わった。
園子は呆然として、一切の抵抗をやめてしまっていた。両の目から涙がぽろぽろこぼれた。
ヨシヒロは園子を拘束すると、彼女の細身の体を抱きしめ、胸や背中を撫で回した。
その顔は興奮して赤く染まり、鼻息も荒かった。
「お前のせいだからな」
乱暴な手つきでジャケットと中のブラウスを開かれる。ボタンが千切れ飛んだ。
肌着の下の乳房はまだ平たかったが、ヨシヒロはそこをわしづかみにしてきた。
もみもみと、ではなくぎゅうぎゅうと――体重をかけ胸を圧迫され、とても苦しい。
もっと優しくしてくれたらいいのに。なぜかそう思った。
首筋から胸にかけ、ヨシヒロの舌が園子の体を這い回る。
園子はしゃくり上げながら、鼻をぐずぐずさせることしかできない。
そんな彼女の姿が愉快なのだろう。ヨシヒロは実に満足そうだった。
「う――うっ、ひっく……ひくっ」
泣いていると、またヨシヒロが唇を重ねてきた。
園子を肉体的にも精神的にもいたぶり尽くすつもりか、執拗に口内をねぶってくる。
自分の肉を貪られるぴちゃぴちゃという音が、やけに大きく聞こえた。
苦しさと屈辱感に、涙が次から次へと溢れてくる。

「んふっ……んん、んっ」
たっぷりと幼馴染の少女の唇を堪能し、ヨシヒロが再び離れた。
母である自分が決して目にするはずのない、サディスティックな息子の笑みを前にして、
園子の体はぶるぶる震えて止まらなかった。
そんな園子を見下ろしてにやりと笑い、ヨシヒロが訊ねた。
「どっちがいい? 無理やりされるのと、合意の上ですんのと」
「あんた……自分が何やってるか、わかってんの……? 私はあんたの母親なのよ……」
「体は違うだろ。ひとみは俺のこと好きだって言ってたし、別にいいじゃん」
「いやよ、私は――んんっ」
そこでまた口を吸われる。
吐き出そうとした言葉を無理やり飲み込まされてしまい、園子の呼吸が激しく跳ねた。
ヨシヒロは抵抗のできない園子の唇を貪りながら、乳房をぐにぐに揉みしだいてくる。
「いやだって言っても無理やりするぞ。
 どっちでも同じなんだから、いいって言えよ。そしたら紐、解いてやるから」
「そ、そんな……」
元々何を考えているのかわからないところがあったが、まさかこんな行為に及ぶとは。
絶望の淵に叩き落とされた園子は歯を食いしばり、涙目でヨシヒロを見上げるしかない。
園子の首筋を指で優しく撫で上げ、再びヨシヒロが問うた。
「で、どうすんの。無理やりされたい? それとも優しくされたい?」
「う、うう――」
もはや園子に選択の余地はなかった。
半泣きの顔でこくんと首を縦に振った園子を、ヨシヒロはほくそ笑んで見下ろした。
250母親と幼馴染・2(8/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:11:54 ID:uKRwWDSV
それからヨシヒロは園子を縛っていた紐を切り、彼女を裸にひん剥くと、
体中を念入りに愛撫して、生娘の緊張した体をほぐしてやった。
園子も観念してその行為を受け入れ、不覚にも一度、達してしまった。
「意外と可愛いな、お前」
笑って自分の頭を撫でるヨシヒロに胸が疼いたのは、恋情のせいか憎悪のせいか。
仰向けでソファに寝かされた彼女の入口は淫らな汁に溢れ、無様な姿を晒していた。
こちらも服を脱いだヨシヒロが両脚の間に体を割り込ませ、勃起した雄を割れ目にあてがう。
ゴムもつけていない亀頭が光を反射して、てらてらと光っていた。
園子がちゃんと避妊しろと口にすると、ヨシヒロは笑って言った。
「お前、もう生理あんの?」
「あ、あるわよ……。今日は多分大丈夫だと思うけど、それでもちゃんとつけてよ……」
「大丈夫ならいいじゃん。このままやっちまおうぜ」
だがいくら安全日であっても、妊娠する確率はゼロではない。
それに中身は四十前の中年女と言えど、体はまだ中学生の娘だ。まして他人の体である。
園子は避妊具のない生の性交を嫌がったが、
彼女が見せた最後の抵抗にも、ヨシヒロは平気な顔だった。
「第一、ひとみだってお前の体で妊娠しちまったんだぜ、お互い様だって。
 いいからもう入れるぞ、力抜いとけよ。すっげー痛いらしいからな」
「やあ、ヨシヒロ……!」
そして園子は、人生で二度目となる処女の喪失を経験した。

張りつめたヨシヒロの肉棒が、園子の膣をかき分ける。
たっぷり汁を分泌させた秘所の肉は一度だけ、不逞な侵入者に抵抗を見せたが、
それも彼の体重と勢いに抗し切れず、ついには無残に引き裂かれてしまった。
「う、うう――うううっ……!」
「やっぱ苦しそうだな。大丈夫か?」
性器を突き込んだヨシヒロが動きを止め、今さら園子を気遣ってきた。
園子はハアハア息を切らし、額に汗を浮かべてうなずいた。
「うん、何とか……」
「そっか。じゃあ続ける」
「んっ! んああっ、あくっ!」
ヨシヒロがめりめりと音をたてて処女の中に割り込み、一番奥まで到達する。
幸いにも、痛みは何とか我慢できそうだった。
自分の中を息子の男性器が満たしているという実感が
鈍い苦痛となって、園子の脳に焼きつけられる。
「私……ヨシヒロとしちゃってるんだ……」
痛みに耐え、深呼吸しながら感傷にひたっていると、
ヨシヒロが腰を動かして結合部をかき回し始めた。
「ヨ、ヨシヒロっ !? ちょっと待って、動かないで……っ!」
「う、きっつい――でも、なかなかいいな。ははっ」
全裸で両脚を広げた園子の上にはヨシヒロが覆いかぶさり、
とろりと血の滴る肉壷に、猛りきった雄の象徴を挿入している。
ほんの一時間前には想像もしなかった事態に、
もう園子の頭は考えることをやめてしまっていた。
251母親と幼馴染・2(9/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:12:29 ID:uKRwWDSV
ヨシヒロの動きは荒々しいが、決して下手ではなかった。
今は彼の母親になったひとみと経験を重ねているからだろうか。
規則正しいリズムで腰を前後させ、ぎちぎち悲鳴をあげる膣内を力強くこすり立ててくる。
犯され続ける園子の秘所はじんじん痺れ、痛みも麻痺しつつあった。
ヨシヒロが入ってくるたびに喘ぎ声が漏れてしまう。
「あっ、ううっ、うんっ、んっ」
「気持ちいいか? ひとみ」
「ううん……すっごくしんどい」
「そっか。もうちょっとで終わるから、我慢しろ」
「うん……」
母ではなくひとみと呼ばれても、園子は否定しなかった。
肉体だけでなく、心も麻痺してしまったのだ。
自分は女でこいつは男。今していることも、愛する男女なら当然の行為だ。
愛する――自分はこの少年を愛しているのだろうか。
そんなことも考えられなくなって、ひとみはただ喘ぐだけの人形と化した。
「ん、くっ、ああ――はうっ……!」
手を口に当てて指をぐっと噛み締める園子の姿は、幼いながらも艶かしい。
ヨシヒロのものが胎内で硬度を増し、さらに激しく前後した。
破瓜の血と愛液、肉棒の先端から漏れた雄の汁が混じり合って挿入を助ける。

大きく開いた園子の両腿を担ぎ上げ、ヨシヒロがきつくきつく密着した。
陰茎が奥へ奥へとねじ込まれ、壁にこつんと突き当たった。
「ああ――ああああっ」
園子が開いた口から犬のように舌を出し、ひときわ大きな声をあげた。
体重をかけて自分にのしかかってくる男の体を無意識に抱きしめ、膣の肉を引き絞る。
それに応えて雄の尿道が開き、沸騰した白濁を彼女の秘部に撒き散らした。
自分の中で震えて脈動するヨシヒロの姿に、園子は息子が達したことを知った。
膣内にヨシヒロの遺伝子がたっぷりと注ぎ込まれたというのに、
園子にはその実感がなく、他人事のような顔でヨシヒロと抱き合っていた。
最後まで行為を終え、ヨシヒロが火照った顔で訊ねてきた。
「大丈夫か?」
「うん……」
自分の口から吐息と共に甘い声が漏れる。
息子相手にこんな媚びた声音を使うことになるとは思わなかったが、
こうなってしまっては仕方がない。後はもう、成り行きに任せるだけだ。
園子は不思議と落ち着きを取り戻していた。
ヨシヒロが園子の中から抜けると、ぱっくり開いた陰部から二人の体液が溢れてきた。
園子はピンク色の淫らな汁を見下ろし、熱い息を吐いてヨシヒロにしなだれかかった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
252母親と幼馴染・2(10/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:13:02 ID:uKRwWDSV
半ば強姦のような形で処女を奪われた園子だが、関係は一度だけに止まらなかった。
それ以来、ヨシヒロは学校が終わると園子を家に呼び出し、体を求めてくるようになった。
肉体は赤の他人だからと言って、渋る彼女に無理強いして交わるのである。
園子ははじめ複雑な思いだったが、だんだんそれにも慣れてしまい、
ひと月も経つ頃には、進んでヨシヒロを受け入れるようになっていた。
幼馴染の心を持った母の体を犯して妊娠させたうえ、母の心が入った幼馴染の体を弄ぶ。
どうしようもない息子だが、その息子を憎みきれないのもまた、確かな事実だった。
馬鹿な子ほど可愛いと言うが、どうであっても自分のたった一人の息子には違いない。
そのヨシヒロが自分の体を抱きしめて甘えてくると、嫌とは言えなかった。
学校ではヨシヒロが堂々と園子との交際宣言をしてみせたし、
放課後はしょっちゅうお互いの家に行き来して、逢瀬を重ねていた。

妊娠中のひとみもそんな二人を怒るどころか、積極的に応援してくれていた。
「これでおばさんも共犯ね」などと笑って言うあたり、
自分はヨシヒロとひとみにはめられたのかもしれない。
反応に困った園子だが、数ヵ月後、無事にひとみが赤子を出産すると、
毎日ヨシヒロの家に寄り、生まれた子供の様子を見にくるようになった。
ヨシアキと名づけられた男児を園子はとても可愛がり、
ヨシヒロを無視して世話を焼くありさまだった。
自分が腹を痛めて産んだ赤子を抱き、乳をやるひとみは、とても幸せそうに見えた。
元は園子の体だったはずだが、彼女自身がそれを忘れかけていた。
それほどひとみは園子として適応していたし、園子もひとみになりきっていた。
ひょっとしたら、ひとみはヨシヒロの母になりたかったのかもしれない。
仲がいいだけの赤の他人ではなく、血の繋がった肉親になりたかったのかもしれない。
柔らかい笑顔で授乳を続けるひとみを、園子は羨望の眼差しで見つめていた。
そこへいつの間にか背後に回っていたヨシヒロが園子を抱きしめ、優しく頭を撫でる。
「ヨシヒロ……」
「羨ましいか? 産みたいなら産んでもいいぞ、俺の赤ちゃん」
「馬鹿っ!」
園子は顔中真っ赤にしてヨシヒロを怒鳴りつけたが、心の中は幸福で一杯だった。
自分はひとみで、息子だったヨシヒロの女。もはやそれでいいではないか。
やがて自分はヨシヒロと結婚して、子を産んで育てていくのだろう。
姑のひとみと些細なことで喧嘩をしたり、かつて愛した男を舅と呼んで
自分が産んだ赤子を見せ、溺愛させたりする日常を送るのかもしれない。
そんな平凡で非凡な未来予想図を、いつしか園子は思い描いていた。

しかし、事態は園子の思うようにはいかなかった。
原因はやはりひとみである。最後の最後に、ひとみが心変わりしたのだった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
253母親と幼馴染・2(11/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:13:38 ID:uKRwWDSV
ヨシヒロが目を覚ますと、カーテンの隙間から白い光が差し込んできていた。
もう朝とは言えない時間になってしまっているようだ。
まだ眠気の残った頭をぶるぶる振って、ベッドの上で身を起こす。
その動きに反応したのか、ヨシヒロの隣で眠っていた女が身じろぎして、
「ううん」と艶かしい声を漏らした。長く美しい黒髪を持った、妙齢の女だ。
ヨシヒロは女の名前を呼び、ゆさゆさ体を揺らして起こそうとする。
「おい、ひとみ。もう昼だぞ、起きろ」
「ん――やだ、ヨシヒロぉ……」
女は目を閉じたまま甘い声をあげ、抵抗の意思を示したが、
ヨシヒロは寝床の布地をまくりあげて女の体を引きずり出した。
一糸まとわぬ白く豊満な女体が、明かりのついていない寝室の中で露になる。
昨夜は随分と長丁場だった。心地よい疲労感が二人の体を包んでいた。
ヨシヒロは女を引き寄せて頬にキスをすると、シャツとズボンを身につけた。
「先に飯食っとくから」
「うん、わかった」
女は寝ぼけまなこを手でこすり、部屋を出て行くヨシヒロを見送った。
今日は休日。たまにはこんな自堕落な日があってもいいだろう。女はそう思った。

ヨシヒロがダイニングに顔を出すと、一人の女がコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。
椅子に座った膝の上には、あどけない顔の幼子が抱かれている。
女は一瞬だけヨシヒロに視線を向けたが、すぐにまたテレビに戻した。
大きなあくびを一つして、その女に話しかける。
「園子、飯」
「起きて第一声がそれ? おはようくらい言えっての」女はテレビから目を離さずに言った。
「いいじゃん、腹減ってるんだ。パンでいいから食わせてくれよ」
「もうちょっとでお昼にするから、それまで待ちなさいよ。まったく……」
女は幼子をヨシヒロに預けると、しぶしぶ食事の用意を始めた。
奇妙なことに、女は寝室にいたもう一人の女と全く同じ顔をしていた。
髪こそ短く切って整えているが、顔立ちも体格も双子かと思わせるほど瓜二つである。
園子と呼ばれた女は、スパゲッティを作ってヨシヒロに振る舞った。
チーズの匂いが鼻腔をくすぐる、こってりしたカルボナーラだ。
「朝昼兼用だから、そのつもりでね」
「はいよ。あいつらはどうした?」
「ヨシアキは友達と出かけたわ。サヤカは部活。
 昼までゴロゴロ寝てるのはあんたたちだけよ。まったくもう」
園子は幼子を抱き上げ、「困ったパパだよねー」と言って同意を求めた。
そこへ着替えを済ませた寝室の女、ひとみが現れた。
同じ顔をした二人の女が向かい合い、親しげな会話を交わす。
「園子、おはよう」
「もうそんな時間じゃないわよ。あんたの分もご飯作っといたから、食べなさい」
「うん。ありがと」
ひとみはヨシヒロと一緒に食事をとり、休日の家族の団欒を楽しんだ。
254母親と幼馴染・2(12/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:14:32 ID:uKRwWDSV
この家の家族構成は一人の夫と二人の妻と、三人の子供たちである。
商社に勤めるヨシヒロと公務員のひとみが働いて金を稼ぎ、
園子が家事と育児を担当する。そういう役割分担になっていた。
知らない人間が見たら、ヨシヒロは双子の姉妹の両方と結婚したのかと思ってしまうだろう。
しかし戸籍上はひとみがヨシヒロの妻であり、園子はひとみにとって姑という扱いだった。
だがヨシヒロは園子もひとみも平等に扱い、一方を偏愛することは決してしなかった。
現に今ヨシヒロが抱いている幼子は、数年前に園子が出産した女児である。
子供たちからしてみれば、同じ顔をした母親が二人いるという奇妙な状況だったが、
きちんと「ママ」と「母さん」を区別して、特に不自由なく育っている。
もっとも思春期を迎えた長男と長女は、家のこと一切を取り仕切っていて
子供にも口うるさい園子に閉口し、自分たちに甘いひとみの方によく懐いていた。
たまにそうしたことが原因で揉めることもあるが、全体として見れば実に円満である。
そろそろ三十代に突入しそうなヨシヒロ達であるが、夫婦の営みは今でも欠かさない。
ひとみと園子の二人の妻を日ごと交代で寝室に呼び、寝物語を紡ぐ。
時には三人でお互いを貪り合うこともあり、子供たちからは呆れられていた。
ひょっとすると四人目も生まれそうな勢いである。
だが、いくら父の遺産と二人の稼ぎがあっても、無計画な子作りは望ましくないだろう。
家計を預かる園子は、自分だけでなくひとみの下半身も管理しなくてはならなかった。

こんなことになったのも、全てひとみのせいだった。
園子がまだヨシヒロの妻ではなく母だった頃、二人は奇妙な機械を使って入れ替わった。
どちらもお互いの体と立場を受け入れて満足し、何年も入れ替わったままで過ごした。
このままずっと元に戻らず生きていくのだと園子が思っていると、
ある日、園子が高校生になる頃だったか、ひとみがまたあの機械を持ち出してきた。
園子にとっては懐かしい機械だったが、もう電池が切れかかっているらしく、
画面の表示もろくに見えないありさまだった。
ひとみが言うには、この機械は特別なバッテリーを使っているようで、
どこの電気屋でも充電できなかったそうだ。つまり、今使わないと二度と使えなくなる。
四十になろうかという身で二人の子供を出産し、ひとみの体は急激に衰えつつあった。
老いというものを実感し始めたひとみの目に、かつての自分の若々しい体を持った園子は、
羨むべき嫉妬の対象として映ったのである。
255母親と幼馴染・2(13/13) ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:15:01 ID:uKRwWDSV
「園子さん、元に戻りましょう。あたしの体と立場を返して下さい」
唐突に言われて園子は戸惑った。
ひとみが小学生のときに入れ替わって以来、高校生になるまでの数年間を
ひとみとして過ごしており、今さら元に戻れと言われても納得できない。
園子が怒って反発すると、ひとみは機械を操作しながら言った。
「じゃあ、園子さんはそのままでいいです。あたしは今のその体をコピーしますから」
どういうことかと思う間もなく、ひとみの姿がぐにゃりと歪み、
園子の前に自分と全く同じ外見をした、可愛らしい少女が出現した。
数年ぶりに元に戻ったひとみは、成長した自分の体を触って確かめ、嬉しそうに笑った。
「ふふっ、これで同じですね。どっちがひとみになりますか?」
そこで機械の電池が完全に切れ、もう何も映さないガラクタになってしまった。
これで園子もひとみも今の姿で固定され、一生このまま過ごさなくてはならない。
ヨシヒロを加えた長い話し合いの末、結局園子が母親としてヨシヒロと同居し、
ひとみは懐かしい自分の家に帰り、女子高生を始めることになった。
ヨシヒロは、「もうどっちでもいーや」と投げやりなコメントを残し、
ただ状況に流されるだけだったが、今まで通りに園子のことを愛してくれた。

ひとみはひとみでヨシヒロと結ばれ、大学を出ると同時に入籍した。
二人の結婚式に園子は変装して出席する羽目になり、
さらに自分が産んだわけでもない子供の面倒も見なくてはならず、
ヨシヒロとひとみの新婚旅行についていくことができなかった。
園子は今でもそれを根に持っていて、何かあるたびにそれを口に出してヨシヒロをいびる。
そうこうしているうちにヨシヒロの父、園子の夫が早世してしまい、
園子は二人の子供を連れてヨシヒロと同居し、家事を切り盛りするようになった。
子供たちは戸籍の上では亡き夫の子供で、ヨシヒロの弟と妹にあたるが、
産ませたのは幼い頃のヨシヒロ自身である。多少なりとも父親の自覚はあった。
こうして夫と二人の妻と二人の子供が、一つ屋根の下で暮らし始めた。
さらに園子がもう一人子供を授かり、実に賑やかな家庭になっている。
どうしてこんなことになってしまったのか、ときどき不思議に思うことはあっても、
園子は今の自分と家族に、充分に満足していた。
穏やかな休日を買い物に費やし、夜は息子とベッドに潜り込む。
昨日はひとみの番だったから、今夜はたっぷりしてもらうつもりだった。
夜の寝室に園子の嬌声が響き渡る。
「あっ、んんっ、ひいっ、ヨシヒロぉっ!」
愛する男に抱かれながら、園子はこの上ない幸せに溺れていた。
256 ◆cW8I9jdrzY :2009/12/26(土) 16:19:34 ID:uKRwWDSV
以上となります。

なかなか思うようにはいきませんでしたが、無事に投下できたことを
以前GJをくださった皆様、リクを寄せて下さった方に感謝します。
どうもありがとうございました。
それでは失礼します。良いお年を。
257名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 06:39:28 ID:Af98CV6/
お疲れ様です!
258名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 09:18:50 ID:wyNZ84MS
>>249
GJ
259名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 12:17:26 ID:JQ3UGUs+
心の底からGJ!

ところで他愛ない言葉遊びなのですが、首すげ替え、身体変化、魂入れ替えなどの「形式」とは別に、みなさんがOD物に求める属性ってどんな感じですか? 
・強制(ハプニング含む)/同意
・可逆/不可逆
・秘密(入れ替わった本人のみ知る)/情報共有(当事者以外が知っている)
 ……あたりが三大属性ですかね
上の「母親と幼馴染・2」はさしづめ「強制(ハプニング)・可逆(でも戻らない)・情報共有(息子と夫)」てな感じでしょうか。
強制や情報共有型も好きですが、個人的には「同意・秘密」で、「可逆と思ってたのに不可逆」的なシチュエーションも見てみたいです。
たとえば、「女の子の友人同士が、(母親と幼馴染にあるような)入れ替えマシンや入れ替え呪文などで、周囲に内緒で立場を交換。少ししたら戻るつもりだったが機械が壊れるなどで戻れなくなり、仕方なくそのまま生きていくことになる」──といった具合。
「母親と幼馴染・2」も、それに近い部分もあったのがツボでした。
260名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 12:53:07 ID:nufWeXIs
>>259
やっぱ近親かな
愛する妹、娘、母が他人になって結婚可能になったり
逆に愛する恋人、妻が近親になって結婚不可能になり、誰かの嫁さん、自分の娘、母になったりするのがいい
261名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 15:22:45 ID:wyNZ84MS
>>259
強制
可逆
秘密
が好き。
あとは、入れ替えられた事で困るとかが好き。
例えば、強い女の子が病弱な女の子と入れ替えられて、虚しい抵抗しか出来ずに犯されたり。
性格は元のままが好き。
大人の身体に入れ替えられた幼女を犯ったり。
262名無しさん@ピンキー:2009/12/27(日) 16:38:45 ID:4yFetsrS
ありがとうございます。
本当にGJです。
自分はダークなのが好きなので、戻れると思って軽く始めたのが
事故や相手の裏切り等で戻れなくなる。
しかも、その対象が恋人や妻で、自分から離れていってしまうのがいいです。
よいクリスマスプレゼントになりました。
263名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 08:28:11 ID:MKdXWHmh
>>259
260の言う近親じゃなくても良いけど
片思いしている男の彼女と入れ替わるとか
入れ替わりによって立場を獲得する系が好きかも。

老婆とか一方が明らかに損するケースよりは
清純派とギャルっぽいのが入れ替わるとか
ギャップがあるほうがいいな。

あときつねさんが書く作品みたいに
服装の特徴がきっちり書かれてたり
服を交換するシチュエーションが好きですね。
264名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 09:28:16 ID:XssRpnj8
入れ替わってるうちに
肉体や環境に影響されて
性格も変わってしまい
戻る気がなくなるのもいいね。

相手の男がいるばあい
その変化に愕然とするのもいいかも。
265名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 19:18:29 ID:P3YE4eiE
263,264のシチュエーションがストライク過ぎる。。。
266名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 20:27:55 ID:6yfcu0Zm
>264
性格が変わってしまったうえに偶発で元に戻って
元の体に慣れないっていうのもいいな
267名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 22:18:06 ID:tdc1j0f5
片方が一方的に得する奪い取るパターンは逆に俺は好きだな
268名無しさん@ピンキー:2009/12/28(月) 22:32:06 ID:NLdIzli+
色んな好みが有るさ
オレは部分入れ替わりが
269名無しさん@ピンキー:2009/12/29(火) 03:55:17 ID:XPSSPrwq
未だRitesの続き待ってる人が多そうだな
270名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 01:41:45 ID:U0rlwkAk
今年はお世話になりました
271名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 01:56:15 ID:zPoMlTRT
作品も沢山投下されるようになってよかったよかった
これからODジャンルもメジャーになっていくといいな
272名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 17:31:33 ID:lgUksraZ
すまん、ODってなんだ?
273名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 19:44:44 ID:tD1+LF4K
>>272
Onnnanoko
Doushi
の入れ替わりでOD。


だったよね?
274名無しさん@ピンキー:2009/12/31(木) 21:10:04 ID:b/QoPhxM
うん。保管庫のアドレスもそうなってるな。
275名無しさん@ピンキー:2010/01/01(金) 16:52:29 ID:Zel4q2NS
幼くして亡くなった姉が、妹に取り付いて初恋の人に告白とか。
初恋の相手はもうおっさんで、見た目犯罪なカップルとか。
妹の身体が処女だと、尚いい。
276名無しさん@ピンキー:2010/01/05(火) 11:54:00 ID:PcHSwlKA
今まで自分は♂→♀の憑依ものが好きだと思ってたんだけども、どうもODも好物なことに気が付いた。そんでこのスレに流れ着いた
でも例えば>>1
>淫乱な女の幽霊がいろんな女の体に表意して堪(ry
とかはもう大好きなんだけども、
>魂の交換だけでなくて単純にスタイルがよく身長の高い女の子と幼児体系の小さな女の子がいて
ある日身長やスタイルが入れ替わったり
って感じの方はそうでもないんだよなぁ
単純に女の子が何かに憑依されて操られてえっちいことさせられて、ってシチュが好きなのかもしれない
要するに自分は憑依というジャンルのMC的な面に惹かれてるのかもしれないと。TSとかではなくて
しかしこの中途半端な好みはTS・MC・ODどのスレでも激しい同意を得られなくて正直寂しかったり

こんなしょーもない自己分析を年明けからしている俺の正月って何なんだ
今書いてるTSものはお蔵入りにして淫乱ストーカー女→JKなSSでも書くか
277名無しさん@ピンキー:2010/01/05(火) 12:59:02 ID:/b/yC6Xx
健康な少女と病弱ガリガリな少女がいて
健康を吸い取られるシチュが好物です
278名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 02:52:47 ID:mdr48ntd
>>277
一瞬、ハイウェイスターがうかんだボクはどうすれば
279名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 19:33:19 ID:t+CCaDPj
俺は乳を吸い取られるシチュが好物だがありそうで少ないんだよなあ
つーか厳密には入れ替わりじゃないな
280名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 20:07:18 ID:8CWiPk2g
このスレは肉体の交換ではなく
あくまでも肉体の入れ替わりだからそれもありだよ
肉体関係を色々扱えるようにスレタイの幅を広めにしておいたし
281名無しさん@ピンキー:2010/01/06(水) 23:11:26 ID:7C8qJe44
>>279
くらくらくーとかぺたんこナースとか魔乳秘剣帖とか
ヴァンパイアセイヴァーのアンソロジーとか日本巨乳党とかを読むがよい
ただ平らになるだけならかのこんとか円卓の姫士とか乳はshockとか
282名無しさん@ピンキー:2010/01/07(木) 22:04:35 ID:79dyoUB3
>>281
お前どんだけ貧乳化のシチュが好きなんだよw
283名無しさん@ピンキー:2010/01/08(金) 16:50:30 ID:UtLUPPL9
>>276
やあ俺に近い人
俺もTS・OD・MCが好きで
特に支配系のシチュが大好きだ
284名無しさん@ピンキー:2010/01/08(金) 17:14:18 ID:xSiXENX4
>>283
やあ同士よ
285名無しさん@ピンキー:2010/01/08(金) 20:05:35 ID:IMVsbcdW
ょぅι゛ょをムッチムチのお姉さんと入れ替えて合法的に(ry
姉妹や母親、娘をよその女の子と入れ替えて合法的に(ry
年齢や体格がまるで違う二人が体のパーツを取り替えて(ry

すいません、失礼しました
286名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 22:12:00 ID:ljo8SDMi
 「四十年」のものです。また、SSなんですが、よろしくお願いします。

 「母と私のショータイム」

私の母は、わりと名の通ったファッションデザイナーで、合同ではあるがそれなりに大
きな会場を使って定期的にショーを行っているのだが、ときどきこんなことがあるのだ。

「ええっ、そんなの困ります。替わりのヒトの手配なんて……今更頼めないでしょっ」
 朝一番に電話越しに大声を張り上げる母の声。どうやらモデルのドタキャンがまたあっ
たようで、困惑した様子が丸わかりである。
「……えっ、また、いつもの手でよろしく……って、そんなしょっちゅうそんなことばか
りできるわけないでしょ」
 そうは言っても人のいい母のことだ。結局押し切られてしまうのがいつもの事なのだ。
「……ええ、まあ、身体のことじゃ仕方ないけれど、体調管理くらいしっかりして貰わな
いとこちらも困るんですからね、ええ、まあ、今回だけはなんとかしてみますけど……」
 そう言って母は力なくかちゃん、と受話器を下ろして一つ小さく溜め息を吐く。
 ま、それもいつものことだ。
 そして、ちらりと私の方を振り向くのだ。とても済まなさそうな顔で。
「あのね、ミサちゃん。また、お願いしたいんだけど……いい?」
 ほうら、来た。
「あのね。母さんの今日のショーなんだけど、いつもの事務所にモデルさん頼んどいたん
だけど、二人も急に体調を崩してしまったって、どうしても来れないっていうのよ」
 しどろもどろの口調で、娘の私にまで気を使う小心さが、母のいいところでもある。
「それでね、なんとか他のコの出番を増やして、穴を埋めようと思うんだけど、それでも
もう一人だけ、どうしても足りないのよ。それで、ね……」
 そんな困った表情の母を見るに見かねて、私は親愛をこめてほほえみを返す。
「いいわよ、ママ。私で良かったら、好きなように使ってちょうだい」
287名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 22:12:50 ID:ljo8SDMi
「ありがと、ミサちゃん。でも本当にごめんね」
「いいのよ、ママ。親一人子一人。私たちたった二人きりの家族じゃない。困ったときに
はいつだって私が力になってあげるから、ね」
 母は、頬を少しだけ上気させて目を潤ませる。
「さあ、そうと決まればさっさと着替えの用意をしないと、ね、ママ。今日の衣裳の試作
はちゃんとここにあるんでしょ」
 こっくりと首を縦にする母。どんな不測の事態にも対応すべく手配しておくのが責任者
なのだということを熟知しているのだ。
「だったら、さあ衣装合わせよ。時間はないんでしょ、さあ早く」
 私が急かすのもなんだけれども、そうでもしなければ事は進まないのだ。やると決めた
らさっさとする。悩むのと行動するのは別にしなければならないのだ。

 と、ここまでの流れでもって、私がその欠員したモデルの替わりをするのだろうと思っ
た人は残念賞。
 私は、決して容姿に自信がないわけではないのだけれども、品評に耐えうるほどのそれ
をしているとの自惚れがあるわけではないので、そういった場に出ることは今までも、そ
して今後もないと言いきってしまって構わないのよね。ま、校則でも認められてないし。
 だから、私のすべきことは、私を母に『使ってもらう』ことなのだ。
 リビングのカーテンを閉め切り、私と母はお互いにショーツ一枚の姿になっていた。
 
288名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 22:14:12 ID:ljo8SDMi
母も四十を過ぎたオバサンである。いくら保存状態はわりと良い方だといっても、それ
なりの肉体でしかない。その内面を知っている私ならばともかくとして、これまた私以上
に観賞に耐えうるモノではないのだが……。  
「それじゃ、ママ。まずはいつも通りに順番に送ってくから、しっかり受け取ってね」
「う、うん。わかった」
 こっくりとうなずく母。その仕草が私には可愛くてたまらないのだ。
 私は両手を母の両肩にそっと乗せて、力と意識とをそこへ注いでいく。
「じゃ、行くよっ。まずは『プロポーション』からっ」
「う、ううっ」
 顔を赤く染めながら、母は小さく呻き声を上げる。
 次の瞬間、母の軽く肥満した腰は大きくうねり、ぐいっと引き締まり、そしてうなだれ
た胸は大きく隆起し、両方の乳房が密接し、深い谷間を形成する。
「はああっ……、あん」
 大きくおばさんじみていたお尻は小さく形よく引き締まってゆき、つん、と上向きにか
わいらしい「ヒップ」へと変貌していく。
「……いいっ、くっ…ひっ」
 太ももや二の腕についていた無駄なお肉は削げ落ちて肌もきゅっと張りを取り戻す。か
と言って骨ばってしまうのではなく、あくまでもしなやかに、女らしく、だ。
「ああっ……ふうっ、ふうっ」
 荒い息を整えながら、顔を上げた母の顔はさっきまでの丸顔ではなく、輪郭もラインを
取り戻して、引き締まり「女」の顔になっていた。 
「じゃあ、次は『若さ』ね。二十年分一気にいくから覚悟してね」
 ふん、ふんと頭を振る母。精一杯の様子がはっきりと見て取れる。何度やっても慣れな
いものかな。
 まず、異変があったのは顔からだ。先ほど引き締まった輪郭がさらにシャープなものに
なり、頬やあごの弛みが全部そこから除かれてしまう。目じりや口元のちりめん皺や、深
いほうれい線は解消されて、艶やかな素肌に戻っていく。垂れ気味だった目じりもくっ、
と持ち上がって猫の目のように少しつり上がった目元がクールになる。
 じわじわと身体全体の艶やかさは増していき、背中やわき腹の線もさらに締まってトッ
プバストとの対比が非常にいい感じになってきている。胸の先の方もさらに張力を増して
もう一段持ち上がり、サイズも大ぶりになっていく。
 細まっていた髪は光沢の鞘におさまることによって、つややかでしなやかに変化してい
く。この状態ならばアップにしているよりも下ろしたほうが似合うだろう。
289名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 22:16:09 ID:ljo8SDMi
 次は、骨格に関わることなので、かなり痛みも伴うし、私にも大ごとである。
「……はあっ、はあっ」
「まだまだ、次は身長よっ」
 先ほどまで母の肩に置いていた手を、今度は腰にあてがい、一気に念を込める。
 びくん、びくん、と母の白く輝く太ももとふくらはぎは、ぐんぐんと伸びて私と母との
身長差はみるみる逆転していく。
「うっ……ふふ、すごいよママ。すごい脚線美だよっ」
 母の肉体のバランスは、脚部を中心にすらりと引き伸ばされて、今や174センチの完
璧体型である。今や私の顔などは彼女の胸の下にある状態なのだ。

「さあ、これで出来上がりよ、ママ。こっちの鏡に映してよく見てみてよ」
 私は母を姿見の前へとぐいぐいと押しやってその出来栄えを確認することを促した。
「あ……はあ、これが……私なんだぁ」
 母はちょっとだけ、陶酔した様子で自分の身体に見とれていた。
 先ほどまでは、ショーツの上にはみだしたお腹の肉を乗っけていたおばさんだったのに
今やボンッキュッボンの完全無欠のモデル体型である。
 弾力のある胸を両手で触ってみると、ピンク色の突起物がまるで鳥のくちばしのように
ぴっぴとその向きを変えていく。おそらくその胸の深い谷間にならば携帯電話をはさんで
も絶対に落ちる心配はないだろう。
 ウエストもただ細くなっただけではなく、質の良い筋肉で引き締められているためにそ
の姿勢がとても良く制御されるのである。モデルにとっての必須条件である。
 そしてショーツに包まれたヒップもまた圧巻であった。さっきまで無理やり押し込めら
れていた弛んだ無駄肉たちは全て消え去り、ハリのある美尻になっている。太ももから繋
がるラインの美しさはまさに至高の彫像のそれであった。
290名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 22:16:59 ID:ljo8SDMi
「すごいよ、ママ。これなら絶対に今度のショーも成功間違いなしだよっ」
 すると、私の言葉にはっと、現実に引き戻された母は、私の姿を見て、それからとても
悲しい顔をして、
「私は……辛いわ」
 そして、少しだけ、涙を流した。
「私はいつも、あなたのこと、利用しているだけなんじゃないのかって、思うのよ」
 母の、気持ちはわかるのだ。
 私だって、鏡を見ればぞっと、震え上がらずにはいられない。
 母に若さと美しさとを与えた後の私は、145センチの胴長短足の肥満体型である。
 およそティーンエイジャーにはあるはずもない白髪が頭のいたるところでチラチラと目
立って、そして顔にも細かいシミや皺が浮き出した状態なのだから。
 身体を動かせば、わき腹やお腹にせり出した無駄なお肉がゆらゆらと動くし、自慢だっ
たはずのバストラインも消失し、今は小さいからこそ垂れずに済んでいる、という困った
乳に変貌しているのだから。
 だけど、だ。だけど、なのだ。
「大丈夫よ、ママ。だってこれは私の望みでもあるんだもの」
 母は、赤くなった顔を上げた。
「大きな舞台で、大好きなママがみんなから歓声を浴びて、そしてママの衣裳がそれを引
き立てるの。これからの未来でも目に浮かぶようにわかるのよ、私は」
 そうだ。これは二人の共同のお仕事なのだ。
「私はママで、そしてママは私なの。だから、私たちは二人で一つなの、わかるでしょ、
だったら胸を張って、そして笑って出かけていかなくちゃ、私も悲しくなっちゃうよ」
 少しだけ、私も涙を流した。
 母は、私の身体をきゅっと抱きしめた。肌を通して伝わってくるそのスタイルの良さは、
少しだけ妬けた。
「分かったわ。ママは行ってくるから、そして絶対にこのショーを成功してみせるから」
 母の瞳はまだ潤んでいたけれども、涙は流れていなかった。

 そして、支度を済ませると母は出て行った。私は、こんな身体だから今日は外出したく
はないけれども、買い置きしていた食材だけで、母の好きなものを作っておいてあげよう。
そして、ショーの成功を祝ってあげよう。そして、それが、なによりも私にとっては幸せ
なことなのだから。
291名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 22:23:19 ID:ljo8SDMi
 以上です。
 それから「四十年」の197でのご修正ありがとうございました。お礼を言うのが
遅くなりすぎて申し訳ない限りです。
 続きは、また後日書き込ませていただく予定です。それではまた。
 
292名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 22:45:28 ID:oszBCVB/
286〜291 GJです!

是非、年齢が入れ替わった状態の2人のその後、ショーに出る母親と留守番をする娘の話を読んでみたい。
293名無しさん@ピンキー:2010/01/10(日) 23:14:04 ID:IYBBarLQ
GJ!
そして「四十年」もこれも続きを希望・期待します!
294名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 01:31:40 ID:rtHd6yb7
すばらしいです。こういう体型変化はいいですね。
295名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 07:21:52 ID:zoFDmvKg
GJ
296名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 11:53:14 ID:URp5Hoow
GJ
しかも後味も良いしサイコーダ
297名無しさん@ピンキー:2010/01/11(月) 18:34:37 ID:zoFDmvKg
体系変化ものってなんだかわからないが妙にエロいんだよな
298名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 01:30:46 ID:JshKFy2l
夜間は保管所の調子が悪いなぁ
299 ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:47:11 ID:sj2o1Wh2
こんばんは、少年シリーズの者です。
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
SSを投下しますので、よろしくお願いします。
属性は以下となります。苦手な方はNG推奨。

■母娘入れ替わり、首のすげ替え、母乳、本番有、
 寝取り(?)、近親相姦(?)、陵辱(?)、催眠、擬声語多数

それでは投下。
300ミユとミユママ(1/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:49:07 ID:sj2o1Wh2
その日の夜、お爺ちゃんとお婆ちゃんに連れられて、私は病院に向かった。
平日でお父さんは残業があるから、間に合わないみたい。
お爺ちゃんは怒ってたけど、お婆ちゃんは笑いながら私の頭をさわさわなでて、
「じゃあ、ミユちゃんがお父さんの代わりに、赤ちゃんにあいさつするんだよ」
って優しい声で言った。
赤ちゃんにあいさつ。すごく緊張する。
弟だって聞いてるけど、どんな顔してるんだろ。やっぱり泣くのかな。
ずっと一人っ子だった私にとって、今まで「赤ちゃん」ってのは
自分とちっとも関係ない、宇宙人みたいなものでしかなかった。
でも、これからは私がお姉ちゃんだ。
赤ちゃんといっぱいお話しして、頑張って仲良くしなくちゃいけないんだ。
そわそわして病院の廊下を行ったり来たりしていると、ドアがガチャって開いて、
ナースのお姉さんが出てきた。ちょっと疲れてるけど、嬉しそうな顔だった。
「生まれました」
その言葉に、お爺ちゃんとお婆ちゃんの顔がパアっと明るくなった。
お母さんも赤ちゃんもすごく元気なんだって。私も嬉しかった。
そのあと、私は生まれたばかりの赤ちゃんを見せてもらった。
はっきり言って、あんまりかわいくなかった。
でも、体も顔もすごく小さくて、このちっちゃな赤ちゃんが
これからどんどん大きくなっていくんだって思うと、不思議な気持ちになった。
これが私と弟のユウキの、初めての思い出だ。

それから一ヶ月。私はユウキのために、毎日頑張ってる。
お姉ちゃんとしてじゃなく、お母さんとして。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

朝、仕事に出かけるお父さんを見送ってすぐに、ユウキが泣き出した。
椅子に座ってスーパーのチラシに目を通していたお母さんが、ベビーベッドを指差して言う。
「ミユ、お願い」
「はーい」
ゴロゴロ寝転がってテレビを見ていた私は、よいしょって立ち上がった。
ユウキはベッドの上の段、柵の中でわんわん泣いていた。
私が両手を伸ばして抱っこしてやると、ほんの少しだけ泣くのが収まる。
やっぱり私をお母さんだって思ってるからだろうか。ちょっとフクザツだ。
私はユウキを抱っこして、着ているTシャツをべろんとまくった。
中から出てきた張りのある大きなおっぱいが、ぼよんって揺れる。
今私がつけているブラジャーは、赤ちゃんにおっぱいをあげるための特別なもので、
片手でちょっとずらすだけでおっぱいを飲ませることができる。
まだ普通のブラジャーもつけたことがない私が、こんなブラジャーをつけるなんて、
はじめはすっごいイヤだった。でも、それも最近はかなり慣れちゃって、
こうやってユウキにおっぱいをあげるのが当たり前になってる。慣れって怖い。
「はい、ユウキ。いっぱい飲んでね」
太く盛り上がった乳首を口にくわえさせると、
ユウキはちゅうちゅうと私のおっぱいを吸い始めた。
私のおっぱいの先っちょからミルクが出てきて、それをユウキがごくごく飲む。
なんかくすぐったいような、でもちょっと気持ちいいような、変な感じだ。
これがまた長い。その間、私はずっとユウキを抱っこしてなきゃいけない。
ユウキに一生懸命おっぱいを飲ませる私を見て、お母さんが笑った。
「あーあ、すっかりユウキをミユに取られちゃったわ。悔しい」
「わ、私は嬉しくないよう……」
私の泣きそうな顔が面白いのか、またお母さんが笑う。
その顔だけはいつも通りのお母さんなんだけど、
今のお母さんは、私が知ってるいつものお母さんとはまるで違ってた。
301ミユとミユママ(2/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:49:54 ID:sj2o1Wh2
まず、すごく背が低い。今の私のお腹くらいしかない。
普通に座った姿勢じゃテーブルの上のチラシが読めないから、
椅子の上で膝立ちになって、のっかかるような感じになってる。
着てる服もいつものとは全然違う。
うちのお母さんは結構オシャレで、かっこいいジャケットとか派手なドレスとか
いっぱい持ってて、赤ちゃんができてからはマタニティとかも着てたけど、
どれもすごく大人って感じで、子供の私から見てもよく似合ってた。
幼稚園の頃は、友達に「ミユのおかーさんかっこいー」って言われるのが私の自慢だった。
でも今のお母さんが着ているのは、ハートマークがいっぱいついた白いトレーナーと、
ふわふわのフリルとレースがとっても可愛いピンクのスカート。
どっちもこないだまで私のだったやつで、サイズはぴったり。
そのくせばっちりお化粧した顔とか、パーマをあてた長い茶色の髪の毛は
今まで通りなんだから、すごいイビツなカッコだった。
まあ、それもしょうがないのかもしれない。
だって今のお母さんの首から下は、私の体なんだから。

ユウキにおっぱいをやっていると、お母さんの向かいで
バターをたっぷり塗ったトーストをかじってたお兄ちゃんが、私に笑いかけた。
「えらいね、ミユちゃん。ほら、赤ちゃんも喜んでるよ」
「うう……」
嬉しくない。このお兄ちゃんに言われても、嬉しさが全然わいてこない。
逆に背中がぶるぶるして、怖くなってくるくらいだ。
私はできるだけお兄ちゃんを見ないようにして、ユウキを抱いたまま、テレビを見てた。
画面の中のおじさんたちの笑い話とか、アニメの再放送とかが、ザーって流れていく。
抱っこする腕が疲れてきた頃、やっとユウキがおっぱいを飲み終えてくれた。
ちっちゃな体をベッドに寝かせて、私はやっと一息つく。
お兄ちゃんはそんな私を慰めるように、ニコニコ笑って言った。
「お疲れ様。もうミユちゃん、すっかりお母さんだね」
「…………」
私は立ったまま、自分の体をじっと見下ろした。
濃い紫色の長袖Tシャツが、今しまったばかりの大きなおっぱいを包んでる。
腰から下は、ゆったりしたハーフパンツ。
大きかったお腹回りはこの一ヶ月で少しマシにはなったけど、
まだお肉のたるみは残ってるし、ぴっちりしたジーンズとかは全然はけない。
身長はどのくらいだろう。担任のけーこ先生より高いかも。
こないだまでフツーの小学生をしていた私とは全然違う、大人の体。お母さんの体だ。
その肩に、子供っぽいおかっぱ頭がちょこんと載ってる。それが今の私のカッコ。
そう。私とお母さん、首から下が入れ替わっちゃったんだ。

「ふう、ご馳走様でした」
お兄ちゃんがトーストを食べ終わって、手を合わせた。
へたり込んだ私は、やっぱり返事もしないでぼーっとする。
私の代わりにお兄ちゃんに返したのは、妙に機嫌のいいお母さんだった。
「あら、それで終わり? パンならまだあるけど、もっと食べない?」
「いえ、もう充分いただきました。ありがとうございます」お兄ちゃんが頭を下げる。
名前も知らないこのお兄ちゃんは、私のお兄ちゃんじゃない。
ちょっと前にいきなりうちにやってきた、知らない人だ。
それからちょくちょくうちに来て、お父さんやお母さんとお話ししたり、
一緒にごはんを食べていったりするようになった。
見た目はすごくかっこいい。喋り方も丁寧で、私にも優しくしてくれる。
お父さんもお母さんも、このお兄ちゃんのことが大好きみたいで、
この人が来るといつもニコニコ顔で出迎えて、大歓迎してる。
302ミユとミユママ(3/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:50:40 ID:sj2o1Wh2
でも、私は知ってる。このお兄ちゃんが、実はすごく怖い人だってことを。
この人があの日、いきなり私とお母さんの首をすっぽり引っこ抜いて、交換しちゃったんだ。
そんな不思議なことができるなんて信じらんないだろうけど、
今の私とお母さんはホントに入れ替わってるわけだから、絶対に嘘なんかじゃない。
おかげで、赤ちゃんを産んだばっかりのお母さんの体になっちゃった私は、
子供になったお母さんの代わりに、毎日ユウキにおっぱいをあげなくちゃいけない。
早く元に戻してほしいんだけど、お兄ちゃんはいくら戻してと言っても聞いてくれない。
お母さんの体になった私を見て、「うん、なかなかいいね。似合ってる」って笑うだけ。
お父さんもお母さんも、もちろん最初はパニックになって大騒ぎしてたけど、
お兄ちゃんが「せっとく」すると、まるで人が変わったみたいになって、
私とお母さんの体が入れ替わったことを、すんなり受け入れちゃった。
取り残されたのは私だけ。こんな体になっちゃったから学校にも行けないし、
みんなにも会えないし、しかもしょっちゅうユウキにミルクを飲ませなくちゃいけない。
私はこんなに困ってるのに、お父さんもお母さんも知らんぷりだ。
そりゃあ私だってユウキのことは可愛いけれど、こんなことがしたかったわけじゃない。
「お母さんはおっぱい出ないから、代わりにミユが飲ませてあげてね」
なんて言われても、困る。
困るけど、私がおっぱいあげないと、ユウキが泣く。もっと困る。
だから仕方なくおっぱいをやる。今の私は、毎日そんな感じだった。

ぼーっと床に座ってた私のところに、お兄ちゃんがやってきた。
私の暗い顔をのぞき込んで、明るい声で話しかける。
「元気出しなよ、ミユちゃん」
やっぱりすごいキレイな顔だ。男の人にこんなこと言うの変だけど、お人形さんみたい。
でも、そのキレイな顔が、私はすっごく怖かった。
口を閉じてムスっとする私に、お兄ちゃんが続けて言った。
「僕にできることがあったら、手伝うからさ。何してほしい?」
「……元に戻りたい。学校に行って、みんなに会いたい」
「そうか、お友達に会いたいんだね。よし、わかったよ」
納得したように、ポンと手を叩く。お兄ちゃんは顔だけじゃなくて、声もキレイだった。
ひょっとして戻してくれるんだろうか。私がちょっとだけ期待してると、
お兄ちゃんは向こうの部屋から、私が普段使ってる赤いランドセルを持ってきた。
それをお母さんに差し出して、お兄ちゃんが言った。
「はい、お母さん。今から学校に行きましょう。ミユちゃんの学校に」
「え、学校? 私が?」お母さんはぽかんとしている。
「だって今のお母さんは、可愛らしい小学生の女の子じゃないですか。
 だったら、ちゃんと学校に行かないと」
「小学生――私が……?」
言い聞かせるようなお兄ちゃんの言葉を、お母さんはぼんやりした顔で繰り返す。
「そうです。ほら、行きましょう。急がないと遅刻しますよ」
もう一度お兄ちゃんが言うと、お母さんはハッと顔を上げた。
今まで忘れてた、大事なことを思い出した。そんな表情だった。
「そうよね。私は小学生なんだから、ちゃんと学校に行かなきゃ……。
 いけない、もうこんな時間 !? 遅刻しちゃう!」
お兄ちゃんの手からランドセルをひったくり、慌てて背負う。
「それじゃあミユ、ユウキのことお願いね! 行ってきまーすっ!」
「お、お母さん……?」
「それじゃあ僕はお母さんを送っていくから。ミユちゃん、お留守番よろしくね」
ドタドタって部屋を出て行くお母さんと、私にパチっとウインクしてくるお兄ちゃん。
二人に取り残された私は、何が何だかわかんなくなって、
開けっぱなしのドアを見つめることしかできなかった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
303ミユとミユママ(4/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:51:30 ID:sj2o1Wh2
ユウキはおっぱいをよく飲む。すごく飲む。
だいたい一時間か二時間おきにいっぺんぎゃあぎゃあ泣いて、
おっぱいをよこせよこせって言ってくる。
だからそのたびに私は、ユウキを抱っこしておっぱいを飲ませないといけない。
たまに汚れたおむつを替える。そんなに臭いはきつくないけど、
やっぱりおしっこやうんちは、見ててあんまり気持ちがいいものじゃない。
おっぱいあげて、ゴロゴロしてテレビ見て、おっぱいあげて、おむつ替えて、
おっぱいあげて、お腹すいたからカップラーメンを作って食べて、またおっぱいあげて。
なんで私、こんなことしてるんだろ。この子は私の弟だけど、子どもじゃないのに。
途方に暮れる。今の私には、本に書いてたそんな言葉がぴったりだった。
「うう、こんなのやだよぅ……お母さあん……」
半泣きでお母さんを呼んだけど、そのお母さんは、私の代わりに学校に行ってしまってる。
でも、いくら私の体で私の服を着てても、あの顔で小学校に通えるはずないんだけど……。
またあのお兄ちゃんが、変なことをしたんだろうか。
考えてるうちにドアが開いて、やっとお母さんが帰ってきた。

「ミユ、ただいまー!」
「お母さん……」
お母さんは私のランドセルをしょったまま、にこにこ顔で帰ってきた。
何があったかわかんないけど、すごく嬉しそう。私は大変だったのに。
なんか腹が立って、私が文句を言ってやろうとしたとき、
そのお母さんの後ろから、二人の女の子がひょっこり顔を出した。
「ナナちゃん! モモちゃん!」
私が叫ぶと、二人はにかっと笑って、「やっほー、ミユ」と手を振ってきた。
ポニーテールで半ズボンをはいてる、ちょっと男の子っぽい子がナナちゃん。
三つ編みおさげにメガネをかけた、ワンピースの女の子がモモちゃん。二人とも私の友達だ。
最後に部屋に入ってきたのは、やっぱりあのお兄ちゃん。
お兄ちゃんが、ナナちゃんとモモちゃんの頭に両手を置いて、ふわりと笑う。
「ただいま、ミユちゃん。お友達と会いたかったんだよね? 連れてきたよ」
「あ……」
そこで私は、朝、お兄ちゃんに言った言葉を思い出した。
「みんなに会いたい」って言ったから、この二人を連れてきてくれたらしい。
私はそれよりも、「元に戻りたい」ってお願いの方を聞いてほしかったんだけど……。
しかも私は今、顔から下がお母さんの体っていう、すごくブキミなカッコだ。
こんなカッコ、仲良しの二人には見られたくない。恥ずかしい。

私がそっぽを向いて黙りこくっていると、お母さんがウキウキした様子で言った。
「うふふ、ミユの代わりに学校行ってきたけど、すごく面白かったわ。
 懐かしいし、でも新鮮だし。それに友達も先生も、皆すっごく親切だし」
「え……お、お母さん、普通に授業受けてたの?」
「ええ」お母さんがうなずいた。「ナナちゃんとモモちゃんも、仲良くしてくれて」
お母さんを挟むように立ってた二人が、横からお母さんの頭をわしわしなで回した。
「やっぱりミユのママだね。もうあたしたち、すっかり仲良しだよ」
「えへっ、だってミユママ面白いんだもーん!」
「クラスの皆と先生に、事情を説明してね。ちゃんと納得してもらったよ」
お兄ちゃんが私を見て、笑う。爽やかだけど寒気がする笑い方だった。
「休み時間も、体育のドッジボールも、お母さんすごく楽しそうだったよ。
 他の子が勉強でわからないところがあると、先生の代わりに教えてあげてたしね」
「だって皆、とっても素直で可愛いんだもの。また明日も楽しみだわ」
「そ、そう……」私はなんて言えばいいのかわからない。
304ミユとミユママ(5/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:52:04 ID:sj2o1Wh2
お母さんもナナちゃんもモモちゃんも、大人になった今の私から見ると、すごく小さい。
まるで自分が仲間外れにされてるような気がする。
ナナちゃんとモモちゃんは私を見上げて、「ミユ、おっきくなったー!」とか
「ミユちゃん、ミユママになっちゃったー!」とか騒いでるけど、笑いごとじゃない。
そのときベビーベッドで寝ていたユウキが泣き出して、私は慌ててユウキを抱き上げた。
またおっぱいが欲しくなったみたい。いったい何回飲むんだろ。
慣れた調子でおっぱいを取り出し、ユウキにくわえさせる私を見て、二人は大はしゃぎ。
「あー! ミユ、赤ちゃんにおっぱいあげてるー!」
「すごーい! ミユ、ホントにママなんだー!」
「うう……そんなにジロジロ見ないでよぉ……」
顔を真っ赤にする私を、二人はじーっと見つめてくる。
私はまるで動物園のゴリラになったみたいで、すごく恥ずかしかった。
右と左と、両方のお乳をたっぷり飲んだユウキは、やっと満足して寝てくれた。
ベッドにユウキを寝かせて、服を整えてると、お母さんが言った。
「ミユ、ちょっと待って」
「え?」
返事も聞かずに、私のTシャツをまくり上げるお母さん。
ブラジャーの上から自分のだったおっぱいをモミモミして、「うーん」とうなる。
「まだ少し張ってるわ。ちゃんと出しとかないと駄目よ」
黒い乳首から、じんわりとミルクが染み出してくる。なんかもったいない。
こういう場合は搾乳機っていう道具で搾った方がいいんだって。

お母さんがてこてこ歩いて、向こうの部屋から搾乳機を取ってくると、
それを見てたお兄ちゃんが、なんか面白いことでも思いついたみたいに、言った。
「ああ。せっかくだから、お母さんが飲んであげたらどうです? ミユちゃんのミルク」
「ええっ !?」私はびっくりした。
「うーん、それは……いくら何でもねえ」さすがにお母さんも困り顔だ。
するとお兄ちゃんがお母さんの目をのぞき込んで、さっきと同じ口調で言った。
「あれ、だって今のお母さんの体は、ミユちゃんのでしょう?
 言わば今はお母さんがミユちゃんの子供なわけですから、
 お母さんの出すミルクを飲むのは当たり前。当然のことじゃないですか」
「そ、そんなメチャクチャな――」私は開いた口がふさがらない。
しかしお母さんは、また、あのぼーっとした顔になって、こくんと首を縦に振った。
「……そうよね、今の私はミユの娘だもん。お母さんのおっぱい飲むの、当たり前よね」
「お、お母さん !?」

私はお兄ちゃんに両腕をぐっと後ろでつかまれて、動けなくされた。
足を崩して床に横座りになった私のシャツを、お母さんがべろんとめくる。
お母さんの小さな手が私のブラジャーをずらして、黒い乳首を丸出しにした。
「や、やめて、お母さん……」
「もう、ミユは聞き分けのないお母さんね。ちゃんと出しとかないと、
 後で出なくなったりしてユウキが困るのよ? いい子だから、大人しくしなさい」
私を叱るときの顔でそう言って、お母さんは私のおっぱいをくわえ込んだ。
目を閉じて、ちゅうちゅうと赤ちゃんみたいに吸い上げる。
ユウキより強く吸ってくるから、先っちょがちょっと痛い。
腕を押さえられてる痛みもあって、私は顔をしかめて文句を言った。
「お、お母さ――ちょっとストップ、もうちょっと優しく……」
「んくっ、ん、んんっ、ちゅうっ」
私のお願いも聞いてくれない。お母さんは私のおっぱいを思いっきり飲んで、
お下品なゲップをした。ほっぺたがリンゴみたいに赤かった。
「ふう。おいしかったわ、ミユ。じゃあもう片方も……」
「ま、まだやるの !? もうやだよぉ、やめてよ、お母さーんっ!」
私は首をブンブン振ってイヤがったけど、お母さんには通じない。
305ミユとミユママ(6/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:52:32 ID:sj2o1Wh2
するとお兄ちゃんが割り込んで、お母さんに言った。
「まあまあ、ミユちゃんも嫌がってることですし……」
そのセリフに、私はほっと胸をなでおろした。
よくわかんないけど、今のお母さんはこのお兄ちゃんの言いなりだ。
お兄ちゃんが止めれば、お母さんはこれ以上何もしない。私はそう思って安心した。
でも、このお兄ちゃんはやっぱり、怖いお兄ちゃんだった。
私の両腕をガッチリ後ろに回して押さえつけたまま、言う。
「だから交代してもらおうかと思うんです。
 ほら、ナナちゃん、モモちゃん。今度は君たちが、ミユちゃんのおっぱい飲んであげて」
「え、ええっ !?」
お母さんの後ろでは、ナナちゃんとモモちゃんが、
うちのお母さんと同じ、ぼーっとした顔でこちらを見ていた。
二人とも正気じゃない。まるで催眠術でもかけられてるみたいだった。
「ミユちゃんの、おっぱい……?」
モモちゃんが三つ編みの髪をぶらぶらさせて、聞き返す。
「そう。君たちはミユちゃんのお友達でしょ? 
 だったら、困ってるミユちゃんに協力してくれないかな。ミユちゃんのためなんだ」
「ミユちゃんのため……うん、いいよ」
ナナちゃんが居眠りしてる人みたいに、かくんとうなずく。

「ナナちゃんっ! モモちゃんっ! やめて、やめてぇっ!」
私は暴れたけど、お兄ちゃんは決して離そうとしない。
とろりとミルクの垂れるおっぱいが、ぼよんぼよんってボールみたいに弾むだけ。
モモちゃんは揺れる私のおっぱいをがしっとつかんで、お母さんと同じように吸いだした。
「ん――こくっ、こくっ……」
「やだぁ、モモちゃん……」私は泣きそうな声で言った。
いつも仲良しのモモちゃんが、私のおっぱいをおいしそうに飲んでる。
パンパンに張った私のおっぱいからお乳が出て、モモちゃんの喉に流れ込んでいく。
ドキドキするのと恥ずかしいのとで、もう何が何だかわかんなかった。
途中、ナナちゃんがモモちゃんと交代して、私のおっぱいを吸った。
ナナちゃんはクラスメートの男の子に勝っちゃうくらいケンカが強くて、
三人の中で一番強く、私のおっぱいを吸いまくった。痛いくらいだった。
そうしてみんなが私のミルクを飲み終わって、やっと私は放してもらえた。
しわしわになった服をきちんと整える私の前に、三人の女の子が赤い顔でへたり込んでた。
ナナちゃんとモモちゃんと、お母さん。
私のミルクをたっぷり飲んだ三人はみんな、とっても幸せそうだった。

そのあとナナちゃんとモモちゃんは、私じゃなくてお母さんの手をとって、
「じゃあミユママ、また明日ねー」ってバイバイして帰っていった。
お母さんは学校がよっぽど気に入ったのか、買い物に行くときも、
ごはんの支度をしてる間も、ずっと機嫌がよくって、鼻唄なんて歌ってた。
でもやっぱり、私のちっちゃな手足じゃやりにくいみたいで、
私も野菜を洗ったり、洗濯物を取り込んだり、お手伝いを頑張った。
そんな私にお母さんはにっこり笑いかけて、
「少しずつでいいから、これからはミユが家のことをできるように頑張ってね。
 だってミユは、私のお母さんなんだから」
って言った。いつかはお母さん、本当に私の子供になっちゃうのかも。すごく心配だ。
早く元に戻りたいけど、相変わらずお兄ちゃんはニコニコ笑うだけで、何もしてくれない。
夜になるとお父さんが帰ってきて、みんなで一緒にごはんを食べた。
お父さんは私の腕の中で笑うユウキを見て、幸せそうな顔だった。
その隣にはあのお兄ちゃんが座って、お父さんとビールを飲んで盛り上がってた。
どうでもいいけど、お兄ちゃんって未成年じゃないの? お酒飲んでいいの?
晩ごはんもお風呂もユウキのお世話も何とか片づいて、私はお父さんと一緒に寝た。
疲れたけど、これで大変だった一日も終わるはずだった。でもそうじゃなかったんだ。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
306ミユとミユママ(7/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:53:34 ID:sj2o1Wh2
夜、二人用の大きなベッドで寝てた私は、体が重くて目が覚めた。
寝転がった私の上に、黒い影がのっかかってた。びっくりした。
「え !? え、な、なにっ !?」
部屋の電気は消えてて、黄色い灯りがぼんやり照らしてるだけ。薄暗い。
だから相手の顔は影になってて、最初はわかんなかった。
でもその人が私の耳元にぼそっとつぶやいてきて、ようやく誰だかわかった。
「ミユ、大丈夫だ。怖がらなくていいよ」
「お、お父さん……?」
ベッドの上で私をプレスしてるのは、隣で寝てるはずのお父さんだった。
見上げる私の頭をぽん、ぽんってなでて、笑いかけてくる。
「いきなりだったからびっくりしたろ? でも泥棒とかじゃないから、安心して」
「うん。でもびっくりしたよ」
だって、お父さんが知らない男の人に見えちゃったんだもん。すごく怖かった。

でも、相手がお父さんってわかって少しは安心したけど、
どうしてお父さんが私にこんなことするんだろ。わけわかんない。
目をぱちぱちさせる私に、お父さんは普段と同じ、優しい顔で言った。
「ミユの体、お母さんのと入れ替わっちゃっただろ?
 だから今のミユはおっぱいが出るし、こんな大人の服だって着れる」
お父さんの大きな手が、パジャマの上から私のおっぱいをさわさわ触ってくる。
変な触り方だった。もむような、なでるような、今まで私がされたことのない触り方だ。
私は知らなかったんだけど、このパジャマ、ネグリジェっていうんだって。
エプロンみたいな肩紐があるけど、布地はスケスケで、しかも首とか肩はむき出しだ。
変なカッコだけど、うちのお母さんはこういうのしか持ってないからしょうがない。
お父さんは片手でおっぱいを触りながら、ネグリジェの中にもう片っぽの手を入れてきた。
太ももをつつっとなでられて、私は大きな声をあげた。
「やっ !? 何するの、お父さん!」
「あんまり騒ぐなよ。ユウキが起きちゃうだろ?」
お父さんは私を押さえつけて、太ももとかお腹を触ってくる。
形が崩れないようにつけていたブラジャーがずらされて、おっぱいが寒そうに顔を出した。
お父さんはゴツゴツした手で私のおっぱいをモミモミってすると、
じわっとお乳の漏れてきた先っちょにかみついた。またびっくりした。
「お、お父さんっ……!」
「ミユのおっぱい、おいしいよ。これを毎日飲めるなんて、ユウキは幸せ者だなあ」
お父さんは私のおっぱいに吸いつくだけじゃなくって、首筋にチュウしてきたり、
口の中で乳首をベロでつんつんしたり、やりたい放題だ。

すごく怖い。お父さんにこんなことされるのも怖いけど、
それよりも、それで私の体がカッカって熱くなっちゃうのが、もっと怖かった。
無理やりネグリジェを脱がされて、パンツもブラジャーも取られてしまう。
裸になった私の体をじーっと見て、お父さんがごくっとツバを飲み込んだ。
赤ちゃんを産んで、まだあちこちにお肉がついたままの柔らかい体。
ぶるぶる揺れるおっぱいと、ボーボー黒い毛が生えたお股。それも全部私のなんだ。
私は恥ずかしくて顔じゅうが熱くなって、お父さんに聞いた。
「なんで? なんでお父さん、こんなことするの……?」声が震える。
「だって今のミユは、お父さんの奥さんだろ?」
お父さんが私のわき腹をすりすりなでて、言った。
「夫婦だったら、こういうことするのは当たり前なんだ。
 だから奥さん初心者のミユに、お父さんが今から色々教えてあげるよ」
その、劇のセリフを暗唱するみたいな言い方に、私は気がついた。
これもあのお兄ちゃんのしわざだ。お兄ちゃんがお父さんに、変なことを吹き込んだんだ。
でも、あのお兄ちゃんのせいだってわかっても、私にはどうすることもできない。
またおっぱいをモミモミされて、乳首を爪でひっかかれる。また声が出た。
そしたらお父さんの指にミルクがついちゃったみたいで、
お父さんはその指を私の口に突っ込んできた。なめろって言われた。
アゴを親指と中指で挟んで、人差し指をお口にじゅっぽじゅっぽ。苦しい。気持ち悪い。
涙目でお父さんの指をなめさせられる私を見て、お父さんが微笑んだ。
「ああ、やっぱりミユは可愛いなあ。しかも首から下は母さんのムチムチボディ……」
かーたまらん、なんてお父さんが言ってると、今度はお母さんが部屋に入ってきた。
307ミユとミユママ(8/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:54:27 ID:sj2o1Wh2
「もう、お父さん。私だけのけ者にしないでよ」
「お、なんだ。お前も参加するか?」
「ええ、ミユ初めてでしょ。色々教えてあげないと」
お母さんはベッドに上がってきて、ピンクのパジャマを脱ぎだした。
ハートマークがプリントされた可愛いパンツも脱いで、ぽいっと床に投げ捨てる。
キレイだってみんなから羨ましがられるお母さんの顔の下に、子供の私の体があった。
なんか肌がつるつるしてて、色も薄い。おっぱいだって今の私みたいにおっきくなくて、
あるかないかもわかんないようなちっちゃな丸が二つ、ちょん、ちょんってついてた。
お股にも全然毛が生えてない。ぴったり閉じたちっちゃな割れ目があるだけ。
ついこないだまで自分のだった体なのに、こうして見ると違う人のものみたいだった。
裸になったお母さんに、お父さんは呆れた声で言った。
「母さん、別に脱がなくていいだろ……。どうせそっちには何もしないぞ」
「あら、そう? うーん、残念」
お母さんは自分の体をまじまじ見つめて、胸やお股をぺたぺた触った。
そして悔しそうな顔で「あん、やっぱり駄目ね。あと数年は待たないと」なんて言う。
何のことだか私にはさっぱりわかんない。わかんないけど、なんか背中がゾクゾクした。
お母さんは自分の体をなで終わると、今度はお父さんとチュウを始めた。
お父さんの首に腕を回して抱きついて、思いっきり口と口とをくっつける。
そのまま二人は、唇をむしゃむしゃ食べたり、ベロをくっつけたり、
私が知らないやり方のチュウを頑張ってた。
ツバの音に混じって、「んふっ、んふぅ」って鼻息が聞こえてくる。
親子くらい体の大きさが違うお父さんとお母さんのチュウを、私は横でぼーっと見てた。
二人のベロがくっついたり離れたりして、ツバが糸を引いてぷつって切れる。
お父さんの後ろ頭をぎゅうって抱いてチュウをするお母さんは、まるで知らない人みたい。

長かったチュウが終わると、お母さんはハイハイのカッコで私の方にやってきた。
そのまま私の太ももに手をかけて、チリチリした毛がいっぱいのお股に顔を近づけた。
何をするんだろう。何をされるんだろう。ドキドキが止まらなくて怖かった。
「ミユ、足開いて」私は逆らえなくて、言うとおりにする。
お母さんは私のおしっこするところに鼻を当てて、クンクン匂いをかいだ。
指でボーボーの毛をかき分けて、穴のとこをクチュクチュって触る。
「あ――やだっ、やっ」
私が声を出すと、お母さんはますます激しく、私の穴をかき回した。
おしっこする汚いところなのに、楽しそうに指を入れてホジホジしてくる。
「ミユはお母さんの大きなお腹を見てたから、知ってるわよね。
 赤ちゃんはお母さんのお腹に入ってるの。ユウキもそうだったでしょ」
「あっ、んんっ、やめてっ」
お父さんが後ろから私の体を抱きしめ、おっぱいをもみほぐす。
そしたらまたミルクが出てきて、お父さんの手と私の肌を汚した。
イヤイヤする私をほうって、お母さんが話を続けてくる。
「それで赤ちゃんはね、お股のココから産まれてくるの」
お母さんが、私のお股に顔をグリグリ押しつけた。
割れ目を両手で広げて、中のお肉をペロペロなめる。
私はお母さんの話なんてまるでわかんなかったけど、
その部分はおもらしでもしたみたいにビチョビチョになってた。
308ミユとミユママ(9/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:55:13 ID:sj2o1Wh2
「んんっ、ミユぅ……」お母さんのベロが私の中に入ってくる。
ダメなのに。私、自分が何されてるか、全然わかんないのに。
なのに私は体全部が熱くなって、二人に変な声を聞かせ続けた。
おっぱいの先っちょは汗みたいにだらだらミルクを垂らしてるし、
お股の穴はおしっことお母さんのツバでビチョビチョだし、ホントにひどい。
クラスで汚い子選手権とかやったら一位になれそうなくらい、今の私はドロドロだった。
顔じゅうベトベトになった汚いお母さんが、私を見上げて笑った。
「ミユ、可愛いわ。私たち、ミユのことが大好き」そして私のおっぱいに吸いつく。
「んああっ! やめて、吸っちゃダメぇっ!」
後ろにいたお父さんもそれを見て、私の体の前に回る。
「お父さんももらおうかな。ミユのミルク」
私は二人に押し倒されて、両方のおっぱいをチュウチュウ吸われた。
お父さんとお母さん、私の大好きな二人が、ユウキみたいに私のお乳を飲んでる。
こんなのイヤなのに、私のおっぱいはミルクを出しちゃう。止めたいけど止まらない。
痛くて泣いても、二人はおいしいおいしいって飲み続けた。ゴクゴク飲んだ。
「う――うう、ひっく、えぐっ……」
私は泣いた。泣きじゃくることしかできなかった。
メチャクチャひどいことされてるのに、体が熱くてムズムズするのが怖かった。

たっぷり私のミルクを飲んで満足したお父さんとお母さんが、
私の汚い体をニヤニヤ顔で見下ろした。私は涙が止まらない。
「じゃあ、そろそろ……」
お父さんがズボンの中をごそごそした。
そしたらそこから、黒くてぶっといキノコみたいなのが出てきて、私は悲鳴をあげた。
男の人にあって、女の人にないもの。お父さんのお股についてるもの。
おちんちんって言うんだって。ぐにゃって曲がって伸びてて、すごくブキミだった。
「母さん、ちょっと頼む」お父さんが言った。
「ええ、いいわよ」
お母さんは、お父さんのおちんちんをぎゅっとつかんで、
まるでアイスクリームでもなめるみたいに、ペロペロなめだした。
先っちょをひとなめして、唇で挟んでハムハムする。くわえて飲み込んでく。
お父さんがお母さんの頭を両手で押さえて、前と後ろにユサユサゆすった。
そのたびにおちんちんがお母さんの口の中を出たり入ったりして、激しく動く。
お母さんはとろんとした目で、お父さんのおちんちんをずっとしゃぶってた。
309ミユとミユママ(10/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:56:05 ID:sj2o1Wh2
「…………」
私はもうびっくりすることも忘れて、ヘナヘナになってへたり込んでた。
いったいお父さんとお母さんは何をしてるんだろう。
腕はガクガク震えるし、汗も涙もさっきから止まらないし、
それにおっぱいからは飲み残しのミルクが垂れて、私の肌に絵を描いてた。
私はどうしたらいいんだろう。泣きながらお父さんとお母さんを見てると、
いきなり私の横から声が聞こえてきた。
「大丈夫だよ、安心して」あのお兄ちゃんの声だった。
でも、どこにもお兄ちゃんはいない。声だけが聞こえてくる。
どこまでも不思議なお兄ちゃんだった。
「お父さんもお母さんも、ミユちゃんのことが大好きなんだよ。
 その二人がミユちゃんに変なこと、ひどいことをするわけないじゃない」
お兄ちゃんの声はとってもキレイで、聞いてて気持ちがよかった。
「だから安心して。皆で仲良く、気持ちよくなろう。
 君たちが今やってることは、とっても素敵なことなんだから」
「仲良く……気持ちよく……」
お兄ちゃんの言葉が心の中に入ってくる。
とってもあったかくて、とっても気持ちよくて、最高の気分だった。
私はうんうんうなずいて、お父さんとお母さんに話しかけた。
「お父さん、こっち来てぇ。ミユにさっきの続きしてよぉ」
私の声に、お父さんはこっちを向いてにっこり笑うと、
お母さんの口からおちんちんを引き抜いた。黒いバナナはツバでベトベトだった。
「いいよ、ミユ。こっちも準備オッケーだ」
お父さんが仰向けになった私の腰をぐっとつかんで、狙いを定める。
上を向いたおちんちんは爆発しそうなくらいに膨れて、ビクビクしてた。

お父さんが腰を突き出して、おちんちんを思いっきり私のお股に突っ込んだ。
お肉をグニュグニュってかき分けて、お父さんのが奥まで入ってくる。
あんなに太くて大きかったおちんちんを、私の穴はラクラク飲み込んでしまった。
「ひああっ !? な、なに――コレなにぃ…… !?」
「どうだ。気持ちいいだろ、ミユ」そう言って私の体を揺らす。
「あっ、あんっ、あああっ! ひィっ !!」
おしっこするところみたいだけど、ちょっと違う気もした。
とにかく私の体の中に、お父さんのがギュウギュウめり込んでる。
ただ入れただけじゃなくって、腰を引いたり押したりして出し入れする。
さっきのお母さんのときと同じ、激しい動きだった。
引いた拍子で抜けそうになって、先っちょが中のお肉に引っかかる。
それでまた奥まで入れて、ズニューって突き刺してくる。
じゅぽじゅぽ音をたてるお肉がこすれて、すっごい気持ちいい。
お父さんとこんな気持ちいいことができるなんて、夢みたい。サイコーだ。
私は嬉しくて泣きながら、気持ちいい声をたくさん出した。
「ああっ! あんっ、ひううっ! あひぃっ、しゅごいぃっ!」
おっぱいがブヨブヨ揺れる。ボンボン弾む。肌が引っ張られる。
私のお股――こないだまでお母さんのものだった、私を産んだ私のお股。
そこをお父さんにパンパン突き刺されて、私は嬉しくてしょうがなかった。
食いしばった歯の隙間からツバが飛んで、また落ちてきてほっぺたにかかる。
310ミユとミユママ(11/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:56:52 ID:sj2o1Wh2
目を閉じてアンアン言ってると、いきなり口の中に何かが入ってきた。
薄目を開けて確かめたら、お母さんが私にのしかかってチュウをしてた。
私の口をこじ開けて入ってくる、お母さんのベロ。
上はお母さんと、下はお父さんと繋がって、私は大喜びだった。
「はふぅ――んんっ! んっ! んむぅっ!」
「ああ、最高だっ! 良すぎるぞ、ミユっ!」
お父さんが片手だけ伸ばして、私のお股を触ってくる。
穴の近くにある何かをギュっとつままれて、私の息が止まった。
「ひあ――んんんっ !?」
声をあげようとして、お母さんの口に邪魔される。
お母さんの熱いツバがたっぷり私の中に入ってきて、もっと苦しくなった。
深いところをグリグリかき回すおちんちんが、私の頭を爆発させる。
気持ちいいって言葉さえ、どこかに飛んでっちゃう。
ダメだよ。こんなの激しすぎるよ。私が私じゃなくなっちゃうよ。
私、ミユなのに、ミユじゃなくなっちゃうよ。どうしよう。
でも私の体は――もう私のものになった私の体は、頭のてっぺんから足の先まで
ビリビリ電気が走ったみたいになって、全然収まりそうになかった。
もうこのまま、最後までいっちゃうしかないみたい。
でも、不思議だけど、今の私はそれがちっともイヤじゃなかった。

お父さんが私の左足をぐいっとつかんだ。
おちんちんを入れたまま、私の足を、犬がおしっこするみたいに高く持ち上げる。
ズン、ズンってお父さんのが私の奥にめり込んで、奥の奥まで突き刺した。
恥ずかしさもイヤな気持ちも全然なくて、もう私はサイコーの気分だった。
キュウウンって体が締まって、ホントにわけがわかんなくなる。
何も見えなくなって、何も聞こえなくなって、自分が何言ってるかもわかんなくなる。
「――――! ――――っ!」
ダメだ。もうホントに、ダメだ。ダメなのがわかった。
お父さんも私と同じでダメみたいで、ハアハア苦しそうに言ってくる。
「いくぞミユっ! お父さんの、いっぱい出してやるからなっ!」
私はうん、うんってうなずく。うなずいた気がした。
そしてお父さんのおちんちんが、私の中でどーんって爆発した。
お父さんの体がビクビクして、引きつったみたいになる。
私の体の一番奥に、何かが流れ込んできた。熱い。なんか熱い。ヤケドしそう。
私もビクビクして、キューっとなって、頭の中が真っ白になった。
長い長い真っ白のあと、私はハアハア息を切らして、ベッドの上でぐったりしてた。
あんなに硬かったおちんちんが、ふにゃっとなって私の穴から抜ける。
ぽっかり開いたそこから、トロトロしたものがこぼれてたみたいだけど、
私はそんなの気にすることもできなくて、半分気絶しちゃってた。
そんな私の、おかっぱ頭を優しくなでて、お母さんが笑った。
「ふふっ、ミユ――そのうち私の弟か、妹を産んでちょうだいね。
 だってミユは、私のお母さんなんだから」
私はうん、うんってうなずいた。うなずいた気がした。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 
311ミユとミユママ(12/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:57:43 ID:sj2o1Wh2
お昼を食べてテレビを見て、お日様がちょっと傾きかけた頃、私は家を出た。
幼いユウキを連れて、いつものスーパーに向かう。
他の二人はもう来てて、スーパーの向かいにある喫茶店でお話ししていた。
私も店に入って、手を振って二人を呼んだ。
「ナナ、モモー!」
「あ、ミユこっちー!」
二人はニコニコ笑って、私に席をすすめてくれた。
ユウキを抱っこして、二人と同じテーブルにつく。オレンジジュースを注文した。
私の斜め前に座ったナナが、ウチワをパタパタあおいで風を送ってくれた。
もう夏休みは終わっちゃったけど、まだまだ暑い。汗をかいてしまった。
「今日も暑いねー」
今度は自分をパタパタあおいで、ナナが言った。
私の二倍くらいありそうなお腹のでっぷりしたナナだから、すごく暑そう。
ダイエットすればいいのにって思うけど、なかなかうまくいかないんだって。
「あっはっは、でもこの方がうちのお母さんっぽくていいじゃん!」
そう言って自分のお腹をぱちんと叩くナナを見てると、つい笑っちゃう。

私の隣の席にはモモが座って、冷たいカルピスを飲んでいた。
モモはナナみたいに太ってはなくて、逆にほっそりしてる。背も私より高い。
体の線がよくわかる半袖のワンピースを着て、ハイヒールをはいている。
でも、可愛いニコニコ顔は全然変わってなくて、丸くておっきな眼鏡もいつも通り。
今でも三つ編みのおさげを垂らしてるから、皆がビックリするんだって。
まあ、あれからだいぶたってるのにおかっぱ頭をやめない私も、似たようなものだけど。
首から下がお母さんになっちゃっても、私は私。ナナはナナだし、モモはモモだ。
私たちがお母さんたちと入れ替わって戻れなくなって、もう随分たつ。
私も含めて、皆、今の自分たちにすっかり適応してしまっていた。
私たちはジュースを飲みながら、家のこと、テレビのこと、いろんな話で盛り上がった。
しょっちゅうこうやって集まって、楽しく喋って、一緒に買い物をする。
もう学校に行けなくなっちゃった私たちだけど、相変わらずの仲良しだ。
今度三人で遊びに行こうって話になったから、後で予定を確認しないといけない。
私は両手に買い物袋を提げて、ウキウキしながら家に帰った。

お母さんが学校から帰ってきたのは、それからすぐのことだった。
「ただいまー、ミユっ!」
元気な声と一緒に、ランドセルを背負ったお母さんが部屋に入ってくる。
「あー、お腹すいちゃった! おやつある?」
「あるけど、その前にお母さん、ちゃんと手を洗って、うがいもしてね」
「あ、ごめん。忘れてたわ」
てへって笑って頭をかいて、洗面所の方にドタドタって駆けていく。
近頃のお母さんはすっかり子供っぽくなっちゃって、どっちがお母さんだかわからない。
まあ、普段から「ミユが私のお母さん」なんて言ってるから、しょうがないのかも。
冷蔵庫の中にシュークリームがあるのを見つけて、お母さんは大喜びだった。
お母さんとテーブルを挟んで座って、ユウキを膝にのせながら、
今日は学校でどんなことがあったか聞くのが、私の日課だ。
「今日は五十メートル走で新記録を出したの。頑張っちゃった」
「へえ。すごいね、お母さん」
私がほめると、お母さんはちょっとだけ恥ずかしそうに、でも嬉しそうにうなずいた。
高学年になってバレーボールを始めたお母さん。体育がすっごく楽しいみたい。
もうすぐやってくる運動会に向けて、ナナのお母さんとモモのお母さんと、
仲良し三人組で毎日一緒に練習を頑張ってるそうだ。
パーマのかかった長い髪もばっさり切って、可愛いショートヘアに整えて、やる気抜群。
私も嬉しくなって、運動会は絶対見に行くからねって、お母さんを励ましてあげた。
312ミユとミユママ(13/13) ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:58:33 ID:sj2o1Wh2
晩ごはんの支度は、お母さんに手伝ってもらう。
ホントは全部、私一人でできたらいいんだけど、それはまだちょっと難しい。
包丁の使い方とか、火加減の見方とか、もっといろいろ教わらないと。
「でもミユ、だいぶ上手くなったわよ。もう立派なお母さんね」
お世辞だってわかってるけど、お母さんにそうほめられると嬉しくなる。
ペアで同じエプロンをつけて一緒に料理するのは、とても楽しい。

夜、仕事から帰ってきたお父さんと、四人でごはんにする。
お父さんがどうしてもって言うから、私もビールを一緒に飲んだ。
ちょっと酔っ払って、いい気分でお風呂に入って、子供たちを寝かしつける。
酔っ払ったからなのか、はじめからそのつもりだったのか、
ベッドに入ると、お父さんが私の上に覆いかぶさってきた。
「なあ。しようぜ、ミユ」お父さんは赤ら顔で、私のネグリジェを剥ぎ取った。
私もお酒を飲んで気分がよかったから、裸でクネクネしてお父さんを誘った。
もういい歳の私の体だけど、自分じゃまだまだ若いと思う。
その証拠に、お父さんは興奮した様子で私の胸にむしゃぶりついてきた。
「あんっ、お父さん……!」
私はお父さんにひたすら責められ、何度も何度もイカされた。
アルコールが入ってるからか、いつもより体が熱い。早く入れてほしかった。
「ミユ、今日は生でしてやるからな」私の耳元でお父さんが囁く。
今日はちょっと危ない日。いつもならゴムつけてと言うところなんだけど、
この日の私は高ぶった自分が抑えられなくて、妊娠なんてどうでもよかった。
犬みたいに四つんばいになって、「早く、早くきてぇ」とお尻をプリプリ振る。
我慢できなくなったお父さんが、私を後ろから貫いた。嬉しい悲鳴があがった。

私はお父さんの、今は夫である人のものを受け入れてよがり狂った。
「ああっ、あっ、あんっ、んああっ」
夫のたくましいものが私の中を往復して、熟れた肉をこそげとる。
むっちりした腰を、大きな尻をつかまれて、パンパン叩きつけられる。
夫の腕が伸び、ブルブル揺れる巨乳をわしづかみにした。
激しすぎるセックスの快感に、私は理性を失くして喘ぐだけだった。
ケダモノみたいに私の上にのしかかった夫が、唾を吐いて言ってくる。
「ミユ、ミユ――いくぞ、中に出すぞっ!」
ラストスパートの中出し宣言。私を孕ませる気マンマンだ。
先にイったのは私の方。夫は頭が完全に飛んでしまった私をグッと引き寄せて、
たっぷり子種を植えつけた。これは間違いなくできちゃう。心の隅でそう思った。
それから二人で抱き合って、イチャイチャしてたときのこと。
私は寝室の戸が少しだけ開いていたのに気がついた。
閉め忘れじゃない。誰かがこっそり、聞き耳を立てていたんだ。
ひょっとしたら直接見てたかもしれない。犯人は言わずもがなだった。
私は軽く笑って、部屋の外に向かって呼びかけた。
「子供はもう寝なさい。それとも仲間に入れてほしいの? お・か・あ・さ・ん」
長い沈黙のあと、戸がスーっと開いて、お母さんが恥ずかしそうに顔を見せた。
子供用のピンクのパジャマを着たお母さんは、今は可愛い女の子。私の娘でしかない。
私は元母親の娘を抱き寄せて頭を撫でると、頬にキスをしてやった。
313 ◆cW8I9jdrzY :2010/01/16(土) 01:59:08 ID:sj2o1Wh2
以上となります。
また投下の際はよろしくお願いします。
それではこれにて、失礼します。
314名無しさん@ピンキー:2010/01/16(土) 02:00:15 ID:XRdUETlQ
キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!
315名無しさん@ピンキー:2010/01/16(土) 02:02:57 ID:OVlVROAk
リアルタイムキターーーーーー
316名無しさん@ピンキー:2010/01/16(土) 12:59:12 ID:us3c1pmu
キター
317名無しさん@ピンキー:2010/01/18(月) 22:32:18 ID:7FI6oWsx
>>216
・高飛車なお嬢様が金に物を言わせてスタイルのいい女の子から体系を奪う
・美人で清楚なお嬢様が財産を狙ったメイドに立場を入れ替えられて
 美貌と財産を奪われて奉仕させられる

何かお嬢様系のお話でお願いします
318名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 00:55:28 ID:sY01rOgc
>>317
その設定良すぎる。特に後者。
メイドじゃなくても、遊女とか育ちの良くない系と
入れ替えられる話とかツボ過ぎる。
319名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 01:20:10 ID:x+F8AFNx
>>318
最高。
320名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 19:38:38 ID:ZHKjzdmp
俺は奪われる側がビッチだとか高飛車な子だって方が好きだな。
もともとが優しい子だとか清楚な子よりも与えられる屈辱が大きくなると思うので。
無論>>317のようなシチュを否定する気はまったくない。それはそれで好きだし。
321名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 04:24:45 ID:YXxFj8kJ
勧善懲悪的な話より悪は勝つ的な救いようの無い話って
何ともいえない胸に迫るものがあるよなw
322名無しさん@ピンキー:2010/01/22(金) 10:37:09 ID:c201Wtfc
age嬢が、おばさんもしくはデブと入れ替えられるのが見たい
323名無しさん@ピンキー:2010/01/22(金) 18:47:02 ID:kllvguYK
たとえば、往年の大女優が久々の写真集を作成するというので、若い付き人
から肢体を借り受けて堂々と撮影に臨む、んでもってカラダを返さない、と
か。
影を取り換えられてしまったせいで、徐々にシルエットが入れ替わってしま
う二人の少女とか、一度でいいから見てみたいものだな、と。
324名無しさん@ピンキー:2010/01/22(金) 19:49:08 ID:vhwn996L
悪の女首領が美少女戦士から力を吸収
女首領が悪の美少女戦士に力と若さを吸われた美少女戦士は中年女へ
とか?
325名無しさん@ピンキー:2010/01/23(土) 11:41:42 ID:GcWdGVDN
>>324
さぁ書き給え
326名無しさん@ピンキー:2010/01/24(日) 00:48:20 ID:6Y0QfvIR
設定だけでも十分エロい
327名無しさん@ピンキー:2010/01/24(日) 02:16:23 ID:8DOTQRtD
>>326
ならみんなのオカズ用と書き手のイマジネーション増強のために
シチュエーションもwikiに保存していきたいがどうだろう?
328名無しさん@ピンキー:2010/01/24(日) 13:57:22 ID:KOlmvjaF
いいんじゃね?
329名無しさん@ピンキー:2010/01/25(月) 00:20:35 ID:AhUfbxEY
wiki編集できないんだがあれって勝手に編集しちゃ駄目なもんなの?
330名無しさん@ピンキー:2010/01/25(月) 01:35:58 ID:CPMaddXn
>>329
誰でも編集可能です。
ただし画像を上げたり既存ページの名前変更などは
管理者か権限を持つ人にしかできません。

今スレの分だけですが、まとめておきました。
http://www40.atwiki.jp/odchange/pages/82.html
331名無しさん@ピンキー:2010/01/25(月) 16:20:16 ID:AhUfbxEY
>>330
乙カレー
332名無しさん@ピンキー:2010/01/27(水) 12:21:47 ID:NA9/efq5
クロノクロスって言うゲームで主人公と敵の肉体が入れ替えられて
元の自分と会うとき凄いファンキーな格好で出てくる話があるんだが
女同士に置き換えて元の自分の体が
不良化してるヤリマンになってる好き勝手に使われてるってシチュいいよね・・・
333名無しさん@ピンキー:2010/01/27(水) 12:40:02 ID:NA9/efq5
体が好き勝手に使われるって部分だと
不良や淫乱な霊にとり付かれたり、もう一つの人格が
夜な夜な勝手に自分の体で派手な化粧して男漁りに出かけられたりするシチュとかも好き。
んで段々その霊やら人格の力が強くなり肉体の支配権が徐々に奪われていって、
悪戦苦闘して取り戻したり奪われたりするのもいいなあ。
肉体が奪われるって部分だと人面疽の話も好きだ。
334名無しさん@ピンキー:2010/01/27(水) 23:10:18 ID:FXlb9QhV
悪の女王が隣の王国を征服。
悪の女王は魔力で捕虜にした王女を吸収。
又、悪の女王配下の悪のアマゾネス戦士達も王国の貴族の娘達を吸収。
王国のか弱い乙女達は悪の女王達に乗っ取られ強い悪の乙女達へと生まれ変わる。

悪の女集団が善の乙女達を乗っ取るシチュエーション
335名無しさん@ピンキー:2010/01/28(木) 22:01:43 ID:o7E7aKjQ
やばい、そのシチュレーション ド真ん中だ!!
336名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 00:35:23 ID:XyI4xLi+
で誰かそれを書くつわものはいないかね
337おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA :2010/01/30(土) 16:45:08 ID:FmLiPDHE
前に、『最低の女』という作品をこちらに投稿させていただいたものです。
武者修行して帰って参りました。
自分の退路を断つため、とりあえず導入だけいきます。
338淫霊憑き:2010/01/30(土) 16:47:51 ID:FmLiPDHE
かじかんだ指先に血液を通わせるために、手を何度か握って開くを繰り返し、息を吹きかける。
その、空中を漂った白いもやは、迷うようにたゆたっていたが、すぐに霧散した。
時刻は朝の三時過ぎ。御堂桜は、正直後悔していた。
(追加料金貰わなきゃ……これは)
時間外にも程がある。明日――いや、既に今日は、桜が通っている高校は休みだからいいが。
(まさか、三日続けて朝帰りとは思わなかった……昼間は学校あるし……)
「あっ!」
突如、すぐ近くにいた男が声をあげる。桜は、彼に向かって顔の前で人差し指を立てると、
あからさまに責める視線を向けた。
それから、隠れていた物陰から顔を出し、目標の家を見ると、桜と同じ年頃の女が、
門から入るところだった。
それを確認し、物音をたてずに、そっと塀の間から抜け出る。
向かう家の門にたどり着き、鍵を開けようとしている背中に告げる。
「おかえりなさい。上山唯さん」
大げさな挙動で、こちらに振り向く、桜の高校の上級生――上山唯。
もっとも、桜との面識はまるでないが。
「そんなに驚かなくても。こんな時間に帰ってきて、やましいことでもしてたんなら、
仕方ないかもしれませんが」
「……あんたは?」
「藤堂大輔さんに、あなたを元に戻して欲しいと頼まれたものです」
探るような視線の唯だったが、途端に嘲るように言ってきた。
「はっ!あの粗チンか!じゃあ、あんたは探偵かい?にしちゃ随分若いようだけど」
喋っている姿は紛れもなく――写真で確認もした――上山唯のものだし、声も彼女の肉声に間違いない。
しかし、喋り方や雰囲気は、事前に聞いていたように、彼女のものとは大きく異なっているようだ。
「探偵ではありません。わたしは、御堂桜と言います。唯さんの後輩ですよ」
こちらが名乗ると、相手の表情は一変した。今度は、自らの頭の中を探るものに。
「御堂……桜?……二年の?」
「はい」
一歩、足を門の中に踏み入れる。途端に、唯がありえない跳躍をし、塀を飛び越えようとしたが、
空中で何かに阻まれ、地面に落下した。
「噂の祓い屋か!」
「はい」
背を塀に向け、こちらを睨みつける唯――と、その中にいる悪霊に、唯は笑いかけた。


「はい、完了です」
しかし、その言葉を聞いている人物はいなかった。
「唯!唯ぃ!」
「大……ちゃん」
339淫霊憑き:2010/01/30(土) 16:50:57 ID:FmLiPDHE
正気を取り戻した彼女と、それに抱きつく一緒に物陰に隠れていた男。
できればそういうのは後にしてもらいたい。
(早く帰りたいんだけど)
あくびをかみ殺せず、口から出て行くままにして、その男――藤堂大輔が落ち着くのを待つ。
「あの――ありがとうございました!」
やっと大輔がこちらに顔を向けた時には、ちょうど一番でかいあくびをしていたところだった。
そのため、とても焦った。表情は取り繕えても、口の前にある大きな白いもやは見られただろう。
「い、いいんですよ、先輩。仕事ですから。それで、後払いなんですけども、
今日はもう遅いので、後日ということで」
とっとと終わらせたい。言葉はつい早口になった。
「あ、あと、これ御守りです。持っててください。それじゃ」
ぼっとして、いまいち状況が把握できているのかどうかわからない唯の手に、
小さな袋を押し付けて、唯はそそくさとその場を後にした。


「ただい、まぁ……」
できるだけ音をたてないように扉を開けつつも、つい言ってしまうのは、習慣だからだろうか。
こんな時間に娘が帰宅すれば、普通の親は心配するのだろうが――あの上山唯のように――、
桜は訳あって親元を離れ、従兄の家に住まわせてもらっている。
ならば、その従兄が心配するのではないかという話だが、事前に話は通してあるから問題はない。
どう歩いても音がなる古臭い階段には辟易するが、どうやら従兄を起こすには
いたらなかったようだ。
やっと自室にたどり着き、明かりをつけて、羽織っていたコートを脱ぎ捨ててから一息つく。
そのままベッドに直行し、身体を投げ出して仰向けになった。着替えるのも億劫だが、
このまま寝るわけにはいかない。起きてから泣くのは自分だ。
「よっ」
不思議な浮遊感に襲われる頭が飛んでいかないようにこらえつつ、なんとか寝間着に着替えた。
ボタンの一つも、かけ間違えたかもしれないが。
とにかく着替えを終えて、今度こそと布団に潜り込む。
しかし、眠気は襲ってきているのだが、なかなか寝付けない。仕方ないので、
働かない頭は邪魔でしかないが、つらつらと考えごとに意識をかたむけた。
(あの悪霊、強かったな……完全に滅しきれなかったかも……)
気配は完全に消えたし、結界の中にいたのだから、逃げられるわけはないのだが、
妙に手応えがなかった。それに、
(笑っ……てた……)
自分がそう感じただけかもしれない。滅する直前は、既に唯の身体からはじき出していたのだから。
(そういえば……上山さん……なんか……変……だったな……)
悪霊は祓ったというのに。とり憑かれていた直後だから、ぼっとしていたのかと思ったが、あれは、
(寂し……そう……?残念……そう……だった)
彼氏に抱きしめられている時でさえ。
(もう……だ……め……)
疑問は尽きないが、ついに限界がやってきた。続きは明日でも構わないだろう。
桜は安らかな眠りに身を任せ――
「あんたの想像通りだよ」
眠っているはずの桜の口が突然言葉を発し、口元が唯が浮かべた嘲笑とよく似た形を作ったが、
深い眠りに落ちた桜は気づかなかった。
340おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA :2010/01/30(土) 16:51:20 ID:FmLiPDHE
ではまた次回
341名無しさん@ピンキー:2010/01/30(土) 17:23:36 ID:A4bcAFYm
おおお、期待してまっせ!
342名無しさん@ピンキー:2010/01/31(日) 16:44:02 ID:SD5pcjtv
久々のSS来た!これで勝つる!
343名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 17:20:14 ID:PUj+uyK6
おっちゃん牛乳です。お待たせしています。
作品の続きなんですが……規制されましたorz
このレスは代行にお願いして書き込んでもらっています。
正直いつ解除になるのかさっぱりわかりません。作品まで代行して貰うかどうかは悩みます。
期待していただいたのに落とすような形になって申し訳ありません……。
344名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 17:32:02 ID:IE0ua+xG
>>343
wikiに直接投下しては?
345名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 18:07:27 ID:PUj+uyK6
あ、その手がありますね。
書き上がったら試してみます。
346名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:40:26 ID:cuJ9aMrx
書き込み……できるかな?
347名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:42:14 ID:cuJ9aMrx
できそうなので、SSを一つ。

『ロイヤルブラッド』

 ある国で、大臣によるクーデターがあって、王は倒され、城は陥落した。王の一族は皆、
処刑されたが、成人していないという理由から十七歳になる王女だけは助命され、牢に閉
されることになったと、そんなお話をひとつ。
 幽閉された王女ドルチェは美貌と才気を併せた宮中の宝珠と噂高く、その身を虜囚にや
つしても、その気品はいくぶんも失われることはなかった。
 彼女の命が救われたのは、多分に彼女自身の身に蓄えられた美貌のおかげだとは、もっ
ぱら口さがない市井の声にさけばれるところであった。
 たしかに、彼女は美しかった。早くして亡くなった彼女の母の全ての長所を受け継いで
脚はすらりと長く、身体は引き締まっていながら要所はぐっと大ぶりな存在を主張してい
たし、誇り高いその瞳は大粒の宝石にもひけを取らない美しさ、その口唇は赤い花の艶冶
をたたえていた。そして、その容姿を野卑におとさないだけの気品をも彼女は生来の資質
として備えていたのである。
 しかし、このまま牢獄に朽ち果てるのならば、その美貌も徒となるだろう、と人々はこ
とさら声をひそめて囁きあっていたものであった。
 と、ある日の夜のことだった。彼女の居である地下牢に足音をひそめて近づく人影が現
れたのである。
「おひいさま、私です。ハンナめにございますよ」
「……来たわね。待ちわびたわよ」
 小さな背を、さらに小さくかがめて現れたのは老境へと差し掛かった女だった。 
 彼女、ハンナは先代の王の治世からずっと王家に仕えてきた女中がしらであり、その篤
実な人柄と、決して悪い感情を露わにしない温厚さで人望をあつめた人物だった。王家へ
の忠義第一との噂に高い彼女は、このクーデターの動乱をじっと隠棲してやり過ごし、ド
ルチェ救出の機会をずっと窺ってきたのだった。
「まったく、ずっとこんなカビ臭いところに閉じ込められていて、本当に気が狂うかと思
ったわ」
「申し訳ございません。私もずっとこの日を待ちわびておったのですよ」
 低頭して謝辞を述べるハンナと牢の中の王女との主従関係は、とっくに解消されている
はずなのに、それでもハンナの慇懃さは相も変わらないものであった。
「ええ、本当に、憎むべきはあの悪逆の大臣ね」
 ドルチェは瞳に暗い影を宿して忌々しく敵の名を呟いた。
「よくもお父様の厚い信望を虚仮に、内乱などとたわけた真似をしでかしてくれたもの」
 ぎりっ、と血が滴るほどに歯噛みをするドルチェに、ただただハンナは憐憫の眼差しを
送っていた。

348名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:42:45 ID:cuJ9aMrx
「だけど、見ていなさい。私には強い味方がいます。かねてより私が目をかけて通じてき
た同志たちが私の号令ひとつで結集し、私の旗の下に集うのです」
 王女の言に、ハンナは小さな目をみひらいて、えっ、と小さく呻きを漏らす。
「ちょ……ちょっとお待ちください。おひいさまは隣国へと脱出をされるのではなかった
のですか?」
 あわてた口調でドルチェに言葉を返した。この前段として、ハンナはこの国にもしもの
事態が発生したときに、王女を保護するという任を負っていて、そして彼女を亡命させる
手筈をかねてより整えてきていたのである。
「そんなことで私と王家の受けた屈辱が雪げるものか」
 王女は、強い反発でもってハンナに応じた。
「私が今、一番にしなければならないのは、聖徳の治世を行った父王の仇を討ち、そして
女王としてこの混乱を鎮めなければならないということなのです」
 びしりと言い切る彼女が、はたしてどこまでのリアリティを持ち合わせていたものか、
どこまでの見識を持ち合わせていたものか。
 ふう、と一つ小さく溜め息を吐いて、ハンナは主人へと言葉を返した。
「ですが、混乱はすでに沈静化されております。それに大臣殿とてまるきりの悪人という
わけではなく、彼なりの考えをもって治世を成さんがために亡き王様とは違う見識をもっ
てこの挙に及んだのでしょう。おひいさまにはどうか、そのあたりをご斟酌くださいませ」
 苦渋に満ちた顔で言葉をようやく紡ぎ出したハンナに向けられたのは、これ以上もない
ほどのドルチェの侮蔑の視線であった。
「愚かものめが、正と邪との区別もつけられずに、よくも王家への恩義を忘れて言ったも
のじゃっ!」
 声をひそめることさえも忘れて王女はハンナを罵倒した。
「いいえ、言わねばなりませぬ。先王は、たしかにおひいさまにとっては善者であったか
もしれませんでしたが、あまねく万民にとってはそうとは言えませんでした」
 声をふるわせながら、それでもはっきりと主人の顔を見上げて、彼女は言葉を続けた。
「才覚で持って富を蓄えた商家を何軒も私欲のために取りつぶしたり、取るに足りない名
誉のために何度も不毛な戦いのために兵を挙げたり、ご自身の血族を何人も政界に送りこ
んで、国の大事な取り決めを専横させたり、とおよそ聖徳とは呼べたものではございませ
んでしたとも……ええ、とても、呼べたものでは」
 顔を赤くしたり青くしたりしてドルチェは困惑していたが、それでも威厳をなんとか取
り繕って、口を開いた。
「それは、高い志を持たぬ軽率な輩が、お父様のことを理解できなかったということよ」
「ですが、そのおっしゃる『軽率な輩』こそが国を支える礎なのでございます」
 涙ながらに献言するハンナは、彼女の言がドルチェに届いていないことをとうに悟って
いた。
「ならば、ならば、もうそなたの力などいらぬ。貸すと言われても願い下げだ。早々にこ
この鍵を置いて去るがいい」
349名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:43:14 ID:cuJ9aMrx
ドルチェの突き放した一言に、ハンナはふう、と一息を吐いた。
「鍵は……ございませんよ」
 ドルチェは目をみはって叫び声を上げた。
「バカ者、それではそなたは何でここまで来ておるのじゃ、役に立たぬ老いぼれめ」
「しかし……おひいさまをここから出してさしあげることは、できるのです」
 ハンナはゆっくりと視線を上げていき、正面からドルチェの目を見据えていた。
「なっ……それは、どういうことじゃ」
「その答えを申し上げる前に」
 困惑するドルチェを遮って、ハンナは静かに最後の質問をした。
「おひいさまは、国がふたたび麻のように乱れてしまうことになったとしても、それでも
どうあっても父王様の仇を取りたいというのですか?」
 真剣なまなざしに気押されながらも、ドルチェは首を縦にした。
「……くどいぞ、私の言葉に二言はない」
 ふう、ともう一つ。ハンナは溜め息をこぼした。
「ならば、わかりました、おひいさま。それでは私も最後のおつとめをさせていただきま
しょう」
 指で単純な印を結び、小さく短く、何かの呪文を口の中で唱えると、ハンナは檻の中の
ドルチェを手で自分の方へと招き寄せた。
「どうぞ、お目を閉じてください」
「いやよ、何か怖いことをするんじゃないでしょうね」
 自分の良く知っているはずの篤実な従者が何やらあやしげな術を使うのかも、と膝をつ
いたままのドルチェは怯んで口を尖らせた。
「怖いのでしたら、結構ですが」
 ハンナの挑発の一言に弾かれて、ドルチェはきゅっと目を閉じた。
「……ええ、すぐに済みますから」
 ハンナの両の掌は、白い光を点して暗い地下牢の暗がりを晴らす。彼女はその右の掌を
伸ばしてドルチェの顔にあてがい、そして左の掌で自分の顔を覆う。
 くつ、くつ、と鍋の豆の煮えるような音がしてほんの数秒間。
「しええっ!」
 粘液のような光芒を曳いて右の掌を勢いよく自分の顔へ、そして左の掌をドルチェの顔
へと押し当てる、というよりも叩きつける。
 そのあまりの勢いの強さに、立て膝になっていたドルチェの身体はどさりと横倒しにな
ってしまった。
350名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:43:43 ID:cuJ9aMrx
「……っ、痛いじゃないの。ハンナ、お前、何をしたっ」
 ようやく、意識の混濁がおさまったドルチェは老従者の姿を目で追った。やけに目が霞
んだが、やがてじんわりと鉄の柵の前に、人影を認めることができた。
「ハンナ、お前……って、ええっ」
 後ろ姿に立っているハンナの頭がやけに高い位置にあった。それにその姿かたちもまた
ずいぶんと先ほどまでとは変貌してしまっていた。
 締まった腰。ふくよかな胸。しなやかに伸びた脚。つややかな金色の髪は肩口からこぼ
れ落ちるように長い。
「どうやら、お目覚めのようですね。おひいさま、お気分はいかがですか」
 くるりと振り向いたのはたしかにハンナの顔だった。しかし、それが据え付けられてい
る身体は先ほどまでのドルチェ自身のものだったのである。
 ドルチェは、あまりのショックに声を上げることもできなかった。
「ええ、それでいいのですよ、おひいさま。おとなしくしていていただいて実に結構です」
 瑞々しい肢体におよそ似つかわしくない老けた顔から、しわがれた声が放たれた。 
「おひいさまに自由になっていただくために、私の身体とおひいさまの身体とを取り換え
させていただいたのです。いかがでしょうか?」
 はっ、とドルチェは自分の身体をようやくはっきりとしてきた目で確認し、手で触れて
そして、絶句した。
 寸の詰まった脚と胴体にはおよそ締まりというものがなく、腰骨までが脂肪の奥底にめ
り込んでいる。先ほどまで胸にあったはずの豊かな谷間は失せて、ぐたん、と重力に負け
た二つのしぼみたわんだ水風船に変わり果てている。
「い、……やぁ」
 頭を掻き毟ろうとすれば、そこにあったはずの自慢の長髪も無くなり、あぶらの抜け切
ったばさばさのおかっぱの白髪がそこに存在しているばかりであった。
「いえいえ、なかなかお似合いですよ、おひいさま。さすがに王家の珠玉。どんなお姿で
もいささかもその威厳は失せることはございませんわ」
 逆転した身長差を見せつけるように、ハンナは平然と檻の中からドルチェに話しかけて
いた。良く見れば彼女の胸元の紐は解かれてたわわに揺れる若々しい豊かな双丘は半ばま
で露わになっているし、ストッキングは脱ぎ捨てられて白く輝く生足がスカートの下から
覗いている。ドルチェが目覚める前に、この体を観察していたのであろう。
「いやよ、馬鹿っ、はやくその身体を返しなさい。こんな老いぼれの身体なんて嫌にきま
ってるでしょ……っ、げほっ、げほっ」
 あまりに激しく言葉を吐き出したので、ドルチェはげほんげほん、と咳き込んでしまっ
ていた。
「ああ、駄目ですよ。その身体はあまり若くはないのですから、そんなに激しくしたりす
ると、動悸や眩暈までしてくるのですから……」
 その言葉が嘘ではない証拠に、ドルチェは胸が苦しくなって少しの間息を整えなければ
ならない羽目に陥っていた。
「もちろん、おひいさまとしては不本意であることでしょうけれど、これで晴れておひい
さまは檻の外へと出られたではないですか」
 言葉は淡々と紡がれる。
351名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:44:14 ID:cuJ9aMrx
「その姿のままで、どうぞお逃げください。西の口が今晩はまるで手薄ですので、脱出も
容易いことでしょう。そして、おひいさまの仰る義勇の兵たちにご助勢を受けて、国を取
り戻しされるがよろしいでしょう。その時には必ず、私めはお預かりしていたこのお体を
返してさしあげますゆえに」
 そして、自分の羽織っていた外套の内ポケットから大粒の宝石の嵌った短剣を取り出し
てドルチェの手に握らせた。
「この伝国の短剣が、きっとおひいさまの身元を明かしてくれることでしょう。さあ、お
持ちなさい」
 しばらくの間、目をみひらいたままにドルチェは固まっていたが。
「ええ、わかったわ」
 渡された短剣を握りしめて、ドルチェは低く声を絞り出した。
「私は必ず復讐を果たして、この国を再びわが手に取り戻してみせる。だから、お前は私
のその身体を、その私の身体をなんとしても無事に守り抜くのです」
 言い捨てておいてハンナの返答を待つのももどかしく、外套を引っ掛けると、鼠のよう
に小走りに地下牢の階段を抜けて、城の庭園に広がる暗がりの中へと消えていってしまった。

「ははっ、あくまでも大事なのはご自分のお身体なのですねえ」
 空虚な自嘲と深い嘆息とともに、ハンナは牢獄の粗末なベッドの上に、素足を投げ出し
て腰を下ろしていた。
「どうやら、この賭けは僕の勝ちだったようですね」
 地下の暗がりの中から、男の声が響いていた。
 ハンナは、ゆっくりとその声の方向へと視線を向ける。
「彼女は、やはりこの国のことなど、思いやる素振りもなかったではないですか」
 背の高い、がっしりとした体格の壮年の男だった。温和な言葉遣いではあったが、風格
は表情のそこかしこに見て取れるものだった。
「大臣殿、私は悲しゅうございますよ」
 ハンナはぐっと声を詰まらせて、首をゆっくりと横に揺すった。
「もしも、ドルチェ様が国を思いやり、民草の平穏を願って国を出て行こうとするならば
僕はそれを追うつもりはありませんでしたし、この牢獄の鍵も黙ってあなたに差し出すつ
もりでしたよ」
 大臣の手にした鍵はかしゃり、と小さくきしむ音を立てて檻の戸を開け放っていた。
「ですが、もしも彼女が復讐や権力というものにあくまでも固執し、無用な血煙をこの地
になびかせるつもりであったのならば、容赦はしない、とあなたに言いましたね」
 大臣はゆっくりと檻の中に歩をすすめて、ハンナの横に並んで腰を下ろしていた。
「ええ、それでお互いに賭けをいたしました。ドルチェ様がご自身の妄執をお捨てになっ
て隣国へと逃れるならばよし、さもなければその肉体を奪って市井へと投げ出してしまえ
と」
 もちろん、ハンナは前者を選択し、大臣は後者を選んだのである。

352名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:44:46 ID:cuJ9aMrx
「しょせん、彼女は育てられた環境が悪すぎたのです。それが彼女自身の罪だとは言いま
せんが、凝り固まった思考はもはや手の施しようがなかったのです、ええ、それはあなた
の責任などではないのですよ」
 若いころ、大臣がまだ一介の武官であった頃、ほんのちょっとした失態から先王に厳罰
を与えられるところだったのを強い懇願によって取り成してくれたのがハンナであった。
二人はそれ以来の知己だったのである。
「それで、姫様のおっしゃった義勇の兵とやらのことなのですが……」
 ハンナは、結果のわかっていることをそれでも聞かずにはいられなかった。
「ああ、東の山砦を根城に好き勝手を働いていた跳ねっ返りの集団のことでしょう、首魁
の若いのを少しばかりきつく打ちすえてやったら、残りは蜘蛛の子を散らすように逃げて
いきましたよ」
 簒奪の禁を犯した極悪人のはずの大臣は、小さく溜め息を吐いていた。
「はあ、それではまったくの期待はずれということでしたのね」
 ハンナはほっと胸を撫で下ろした。無駄な血が流れずに済んだことに気が軽くなったの
である。
 ちら、と大臣は横に座るハンナの身体を眺めていた。胸元の紐は解かれたままで豊かな
膨らみは半ばまで露わになったままだったし、投げ出された足は牢に届くわずかな月光を
照り返して白く輝いていた。
「姫様には、これからの人生そのものが償いとなるとして、それでは賭けに負けたあなた
にも、そのつとめを果たしていただくといたしましょうか」
 大臣は、ハンナの肩を軽く抱き寄せようとした。が、ハンナはその手をするり、と抜け
出して、そして悲しい顔をした。
「ええ、もしも私が賭けに負けたときには、私をあなたの一夜の閨の伴となるいうことを
私はたしかに約束いたしましたとも」
 大臣は、表情を変えずにゆっくりと頷いた。
「ですが、私は見てのとおりです。身体こそは若い姫様のものとなりおおせたものの、顔
はこの通り醜怪な老婆のままです。こんな奇っ怪な化け物などではなく、あなたの側に置
くというのならば、もっとふさわしい相手をいくらでも得られるではないですか?」
 実質上、大臣は新王としての境遇にいるわけで、望めばどんなにでも佳い女は手に入る
というわけなのに。
「それとも、それがあなたの負った罪の償いとでもいうことですか」
353名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:45:17 ID:cuJ9aMrx
大臣は、少し言い淀んだ節をまとわせながら、それでも遠慮がちに口を開いた。
「それは、そうなのかもしれません。刃によって国権を奪い取った私にははたして本当に
栄華を甘受する権利があるものか、と僕は今もまだ、この自問に解答が得られていないの
ですから、ね」
 そして、少しだけ間をおいてさらに言葉を続けていた。
「しかし、あなたの事はまた別なのです。僕はあなたに初めて助けていただいたときから
歳の差や立場を超えた敬意……いや、好意というものを密かに抱いていたのです。そして、
あなたにはどうか、女としての喜びをもまた、教えてさしあげたい、と」
 四十を目前に控えた男の、それは衝撃的な告白であった。彼の手が小刻みに振動してい
るのは、ひどく緊張しているからなのであった。
 その言葉を受けとめると、ハンナはおもむろに立ち上がって彼に背を向けた。
 軽蔑されたのか、と下を向く大臣だったが、ハンナはそれに構わずに床に落ちていた麻
布のきれで長い髪を後ろでゆるやかに束ねると、壁に据え付けられた小さな鏡に自らの顔
を映していた。
「まだ、くっついた顔が柔らかいうちですから、上手くいくとは思うんですがね……」
 彼女の両の掌が、今度は赤い光を生んでいた。そして、それをゆっくりと顔面へと押し
当てて、わし、わしと強く揉みしだいていく。
 くつ、くつ、とまた豆の煮えるような音がして、しばらくの間が流れた。
 ハンナはゆっくりと大臣の方を振り返ると、顔を覆っていた手をゆっくりと除けたので
あった。
 大臣は、あっ、と口を押さえる。ハンナの首の上に乗っていたのは先ほどまでの老婆の
それではなく、くっきりとした輪郭の中に若々しい魅力をたたえた、それでいてドルチェ
などとは格が違うほどの理知をその瞳に秘めた、高い鼻梁と艶やかな唇の、妖艶な女の顔
だったのである。
「……どうも、あなたはお化粧が上手なのですね」
 ようやく絞り出せたのが、気の抜けたような台詞なのに苦笑しながら大臣はハンナを見
詰めていた。
「……あのね、これはね、私が王家に仕える時に作り変える前の、私の本当の顔なの」
 声には溌剌とした艶やかさと潤みが戻っており、口調も変化していた。
「私は先々代の王妃様にお仕えする時に、煩わしい色恋沙汰を捨ててしまおうとして顔を
すっかりと変えてしまったの。だけど、もしもそれでも私のこと、本当に好きになってく
れる人が現れたのなら、その時にはこの顔を元に戻そうって決めてたの」
 言いつつ、大臣に膝を寄せていく。厚い胸に手を寄せて、そのまますり寄る格好になる。
354名無しさん@ピンキー:2010/02/01(月) 23:48:35 ID:cuJ9aMrx

「抱いてもらうときには、優しさや自虐なんかじゃなくて、本気で抱いてもらいたいんだ
からね……」
 着衣の前をはだけると、肩口からするりと袖を落とし、目を閉じてくっ、と唇を重ねる。
「だから、お願い」
 王家に仕えるために、青春の全てをなげうってきた女の堰がここに決壊したのであった。
 大臣は黙ってその手を彼女の胸へ、腰へと、ゆっくりとまわしていた。
 王家を皆殺しにして滅ぼした簒奪者と、生き延びた王女の若さと美貌とを剥奪した侍女
とが、お互いの罪の意識を慰め合い、静謐な闇の中で、お互いの肉体を重ね合ったのであ
あった。
「ああ……ああっ」
 彼女にしてみれば、それは初めての性の悦びであった。彼女の花蕊を堅牢な男の熱い情
熱でもって衝かれるたびに、彼女の心は、初めて知りえた感情の高波に甘美な蜜を撒いた
のであった。
『……ああ、それでも、私は先々代の王妃様との約束は守りえるのかもしれません』
 ふと、彼女は自分が実にたわいもない事を思い出したことに涙をこぼしていた。


 どうか、王家の血だけは、絶やさないようにお願いするわ。


 その涙が意味するものが、悲しみだったのか、それとも快楽の澱であったのか、それは
彼女自身にも、彼女を組み敷く大臣にも、そしてどこの誰にもわからないことであった。

 と、以上「四十年」でした。
 いつも読んでくださってる方には感謝です。
 
    
355名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 00:43:55 ID:245IOngX
乙でーす
356名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 01:34:29 ID:jWH+Ht1W

いいのう
357名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 10:41:01 ID:245IOngX
wiki更新しようかと思ったんだけど
「ご利用のインターネットプロバイダ・ネットワークからの非ログイン投稿は禁止されています。」
って出て編集できない・・・

どうやら@wikiがスパム攻撃受けてるらしくて
自分のブロバイダからの書き込みが禁止されてるらしい
358名無しさん@ピンキー:2010/02/02(火) 20:53:34 ID:PENkACaa
・ロイヤルブラッド
・淫霊憑き

以上をWikiに追加しました。
359名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 00:08:40 ID:koSrxPwO
あげようか
360淫霊憑き:2010/02/06(土) 09:11:05 ID:D4Ous1pl
◆◇◆◇◆

耳障りな電子音で、桜は目が覚めた。音の出どころを探ると、どうやら枕元で、
携帯電話のアラームが鳴っているらしい。
「んん……」
携帯電話を手に取り、朝、いつもそうするようにアラームを止める。
目覚ましがなったということは、今は朝の七時前か。寝た正確な時間は覚えていないが、
三時間も寝ていないはずだ。
(寝る前に切っておけばよかった……)
アラームは、毎日同じ時間に鳴るようセットしてある。昨夜――いや、今朝か――は、
あまりの眠気にそこまで頭が回らなかった。今は睡眠時間の割に、やけにすっきりしているが。
その、妙に冴えた頭で考える――今日は休日だ。寝直そう。だがその前に、二度寝した時のために
15分後にセットしてあるアラームを解除しなければ。
携帯電話を開き、メニューボタンを押して――ふと違和感を感じた。指が止まる。
違和感の出どころはどこだろう。とりあえずディスプレイを凝視していると、
目が止まったのは時刻表示だった。
6:49
アラームの設定時刻は六時四十五分だ。だから、数字は問題ない。しかし、
6:49 pm
(……夜!?)
びっくりして跳ね起きる。すると、新たな違和感――いや、疑問が生まれた。
自分が寝る前、布団に潜り込んだことは覚えている。というよりこの季節、
夜は布団をかけなければ安眠は訪れない。しかし、今の自分はベッドの上で何もかけずに
横たわっていたらしい。その割には寒さは感じないが。
毛布と布団は押しのけられたわけでもなく、自分の下に広がっている。
上に直接寝転がらなければこうはならない。
疑問は答えが出ぬうちに、新たに生まれた疑問に駆逐された――今の自分の格好。
これもまた、夜寝る前に寝間着に着替えたような気がする。もっとも、こちらの記憶は曖昧だが。
しかし、仮に着替え忘れたとしてもおかしい。今自分が着ているのは、除霊には
決して着ていかないような――例えば、隣に住んでる太一と出かける時などに着るための。
しかも、組み合わせもばっちり――服だ。昨日の夜着ていた服とは明らかに違う。
わけが分からない。自分が夢遊病者になったか、誰かが自分の睡眠中に部屋に
入ったというのなら話は別だが。
しかし、仮にそんなことができたとして、なんになる?意味がない。現実感もなさすぎる。
何も分からないまま、答えを求めて部屋を見渡すと、疑問がひとつ解消された。
寒くない理由。暖房がついている。
しかし、今度は暖房をつけた覚えがないという疑問がわくが。
(……暖房?)
自分が寝る前につけたんだとすれば、日中ずっとこの暖房はつけっぱなしだったことになる。
「あー」
喉は痛くない。では、つけられてそんなに時間は経っていない?
とにかく、起きて着替えよう。このままでは、服がしわだらけだ。
その後は、着替えながら――下着まで記憶と違うものをはいていた――も頭は疑問で
いっぱいだった。我知らず天井を見上げる。その中で、ふと新たに小さな疑問がまた生まれた。
(寝る前、明かり消したっけ?)
それだけであったなら、些細なことで済んだのに。ため息は知らぬ間に漏れていた。
361淫霊憑き:2010/02/06(土) 09:17:21 ID:D4Ous1pl
階段を降り、居間に向かうと、従兄の秀樹が夕食の準備をしているところだった。
料理が盛りつけられた皿がいくつか、居間の中央に陣取る、コタツ机の上に置かれている。
「もうすぐできるから、座って待っててー」
台所から響いたその声に従い、とりあえず座る。台所を見つめて、桜は改めて先ほどの
疑問の答えを導きだそうとした。
仮に、桜に覚えがないことをすべて、誰かが自分の睡眠中にやったのだとしたら、
一番可能性が高いのは秀樹だ。
桜の部屋に鍵はついていないし、服の組み合わせも、彼女の本気服を何度か見ている秀樹なら
わかるはずだ。だが、
(なんでお兄ちゃんがそんなことするのよ……)
やはり一番の問題はそこだった。確かに彼ならできるが、単なる悪戯で済まされないようなことを
する人ではない。
それに、身内が、家族とは言え女の子の部屋に勝手に入り、あんな変態としか
言いようのないことをしたとは思いたくない。
(じゃあ、不法侵入?)
見ず知らずの誰か。それでも――あの後調べてわかったのだが――何も盗んだりせず、
あんなことだけをした意味がわからない。
そもそも誰がにやったにせよ、あんなことをされたら途中で目が覚めそうなものだ。
どんなに疲れていたとしても。それに、
「お兄ちゃーん。わたしの部屋、昼間なんか物音した?」
今日は一日中家にいた従兄が気づかないわけがない。
「いやー、どうしてー?」
台所から声が聞こえ、すぐに皿を持った従兄が居間にやってきた。
「帰ってきたら、何か無くなってた?」
「うん、実は――帰ってきたら?」
疑問に疑問で返すことになるが、それは聞き流せない言葉だ。
「わたし、ずっと寝てたよ?」
もちろん自室で、という意味だ。しかし秀樹は、きょとんとした顔で言ってきた。
「昼過ぎに出かけて、さっき帰ってきたばかりじゃないか。すごいめかしこんで」
その言葉を受けて自分が従兄に向けた顔は、彼以上に間の抜けた表情をしていたに違いない。


あ、書き込めますね。
次くらいで終われるようにしたいです。
362名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 10:07:47 ID:qBkWsjBm
wktk
363名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 21:14:37 ID:koSrxPwO
よーしよしよしよしよし
364名無しさん@ピンキー:2010/02/06(土) 22:42:50 ID:0mAQf1W0
前作も良かったから期待。
365名無しさん@ピンキー:2010/02/07(日) 14:07:14 ID:Y6v2LALS
wikiの一日の閲覧数が順調に増えてるなあ
このジャンルに興味を持ってくれる人が増えて書き手が増えるといいなあ
366名無しさん@ピンキー:2010/02/08(月) 23:04:40 ID:l409xpXN
今月発売のアスラクライン14巻(電撃文庫)にて該当短編(P149〜211)を発見。
貧乳ヒロイン(幽霊)と巨乳ヒロインが入れ替わる話だったよ。
全然エロくなかったけど一応ODだったので報告します。
367名無しさん@ピンキー:2010/02/08(月) 23:44:16 ID:oWCcMXaK
巨乳ちゃんが貧乳になって嘆くシーンとかあったかい?
あるなら買ってくる。
368名無しさん@ピンキー:2010/02/08(月) 23:58:59 ID:AQbxIpZA
嘆きこそODの醍醐味よ
369淫霊憑き:2010/02/09(火) 12:46:33 ID:GOmsZy/c
◆◇◆◇◆

夕食を終えて、入浴を済まし、桜は自室へと戻っていた。
結局あの後、秀樹に相談はしなかった。しかし、適当にごまかしたものの、
彼は何かを感づいていたとは思う。
(相談なんてできないよ……)
部屋に戻って、もう小一時間経つだろうか。その間ずっと、頭を抱えてベッドに
仰向けになりながら、未だに心の整理がつかない。
(わたし、全然――ほんとに全然、覚えてない……)
最初、身に覚えのないことをすべて桜自身がやった可能性も、考えてはいた。
一度起きてから、どこかに出かけるつもりで準備をし、つい二度寝して、その記憶が
すっぽり抜け落ちてるのかもしれないと。
だが、ほんとに出かけてその記憶がすっぽり抜け落ちるなんて、異常としか言いようがない。
(夢遊病?それとも、呆け!?まさか……二重人格とか!?)
なんにせよ、いいことだとは思えない。気づけば桜は、頭を抱えたままベッドの上を
転がりながら往復していた。すると、
(――悪霊の仕業とは、考えないのかい?)
それは、頭の中から響いた問いかけだった。ならば当然、自問のはずだ。だから自答する。
(とり憑かれる気配も、感覚もなかった……寝てる間は、この家は結界に守られてるから、
ありえない……)
答えてから、考える。ありえない――本当に?では、今感じてるこの悪寒は……
「やれやれ……その油断が命取りさね」
それは、自分の頭の中だけに響いた声ではなかった。しっかりとした肉声として、
空気を震わせる音だ。
それを発したのは、自分の口――当然だ。今この部屋には自分しかいない。
声を発した感覚もある。声色も自分のもので間違いない。
だが、その言葉はまるっきり桜が意図していないものだった。
自分が言おうとして出したものではない。心の声が漏れ出たわけでもない。考えてもいない、
咄嗟に出たわけでもないものが、口をついたのだ。
(な、なんで――)
疑問を発しようとして、愕然とする。今のは意図して言おうとしたものだ。
しかし、今度は声にならない。口が動かない。
思ってもいない言葉を発し、自分の出したい声を出そうともしない口の端が、
つり上がるのを感じる。
身体が勝手に身を起こし、歩き出す。向かったのは、姿見の前。
そこに写った自分は、見覚えのある嘲笑を浮かべていた。
370淫霊憑き:2010/02/09(火) 12:52:23 ID:GOmsZy/c
(あんた、まさか――)
「勘はさすがにいいね。その通りだよ」
(じゃあ……昨日の?)
「ああ、昨夜は世話になったねぇ」
にやにやと、いやらしい下品な笑みを浮かべる、鏡に写った桜。自分はこんな表情もできたのか。
(どうやって……)
「どうでもいいことさ。あんたが自分が思っているよりも抜けてて、あたしはあんたが
思ってたような雑魚じゃなかった。それだけのことだよ」
どうにもできない。先ほどから力を使おうとしているのだが、その感覚がない。
悪霊は、自分の精神に深く入り込んでいるようだ。
ならせめて、歯を食いしばって睨みつけてやるぐらいしたいのだが、身体のコントロールは
完全に奪われている。
(これほどの力を……隠してたの!?)
「いんや。あんたにとり憑いたあとにつけた力さ。あんたの身体を使ってね」
(身体を……?)
「ま、あとで説明するよ。それより、ちょっと協力してもらいたいことがあってね。
あんたに拒否権はないけど。それさえ済めば、あたしゃ成仏でもなんでもしてやるからさ」
ざっと考えて、その悪霊の言うとおり、自分が拒否できる立場ではないことを渋々認める。
(……言ってみなさいよ)


「もうどのくらい昔だったか、あたしが生きてた時の話さ。あたしゃ当時は、
男どもにモテにモテまくってね。まさに我が世の春だったよ」
悪霊が語り出したのは、どうやら自分の未練の話のようだ。死んでからどのくらい
経っているのかはわからないが、十年、二十年といった程度ではないだろう。
「夜は毎晩のように違う男に抱かれてね。あたしのここが枯れる暇なんて……
ふっ、全く無かったもんさね」
鏡の前で、桜の身体が自分の股間に手をやる。緊張感はさっと霧散した。
この悪霊は何を言っているのだ?
あまりに最低な下ネタに耳を覆いたくなるが、身体はなおも話し続けた。こらえるしかない。
「そんなある日、あたしはいつものように、名前もよく知らない相手と寝たのさ。
おや、軽蔑するかい?名前も知らない男となんて。でもね、お嬢ちゃん。男と女が一晩を
ともにするのに、名前なんて要らないのさ」
その台詞を、いい顔≠ナ語っている桜の身体。手をあごに当てるなどしつつ。
その姿を見て、心の中で我知らず拳を作ってしまうが、実体のない暴力はなにもできない。
371淫霊憑き:2010/02/09(火) 12:55:48 ID:GOmsZy/c
「可愛い人だったよ、あたしの胸に赤ん坊みたいに吸い付いてたっけ……それで、
いざ挿入れるってなってあたしは目を閉じたんだ。何人もの男に抱かれたけど、
そのくらいの純真さはまだあったってことかね」
(へー)
正直、桜はもう真面目に聞いてなかった。
考えているのは、どうやったら、未だ頭の中が春爛漫のこの馬鹿女を追い出せるかということだ。
従兄は霊感はからっきしだし、実家に連絡してもらうか。
いや、話を聞いて爆笑する兄姉や、激怒する父の姿が目に浮かぶ。できれば自分でなんとかしたい。
「ところが、待てど暮らせど一向に挿入ってこない。気がつきゃ辺りからパチパチ音が
するわ焦げ臭いわで、あたしもとうとう目を開けたのさ。そしたらどうなってたと思う?」
(さあ)
どうやら、話はそろそろ大詰めのようなので耳を傾ける。本気でどうでもよかったが。
「一面火の海だった!男の姿はとうに無かったよ……あたしは逃げることもできず、
火にまかれておっ死んじまった……うっ……ううっ……」
少し、同情の念がわく。悪霊相手に、その手の感情が命取りなのはわかっていたが。
(大変だったんだね。じゃあ、目標は復讐?でも、わたしには協力できないよ。
第一、相手はまだ生きてるの?)
少し、親身になって言ってみる。だが、それに対して悪霊は、
「別に、復讐なんて考えちゃいないよ。あの状況じゃあ逃げて当たり前。ただ、ただね――」
わなわなと拳を握り、苦しみを吐き出そうとして、言葉に詰まる悪霊。
彼女の脳裏に浮かんでいるであろう火の海が、桜にも見えた気がした。彼女の魂は、
未だ灼かれ続けているのだろうか。
そしてついに、悪霊はその未練を吐き出すことに成功した。
「せめて一挿しぶっ込んでから逃げろってんだバカヤロー!」
精神だけの状態だというのに、ぽかんと口が開くのを感じた。肩もずっこける。
しかし、悪霊はこちらの様子に気づかず熱弁を続けた。
「今でも思い出せるよ、あいつのイチモツ!あたしが見た中で一番でかかった!
せめてあれを味わってりゃあ思い残すことなんてなかったんだ!」
(アホか……)
馬鹿馬鹿しすぎて、声も出ない。そもそも今は出せないが。気分は一気にしらけてしまった。
「それで、あの人の子孫を求めて百数十年、この世をさ迷ってたってわけさ」
(子孫探してどうするのよ。だいたい血筋が絶えてることだって――)
「ああ、それなら大丈夫なはずたよ。おっ死んだ時に、あのデカチンを絶やすなって
呪いをかけたはずだからね」
恐るべし、女の執念。わざわざそんなことのために百年以上とは。
普通、霊になってしばらくすると、自我は崩壊を迎え、執念や怨念だけが残るのだが、
この悪霊はそんなしょぼい目的のために未だ自我を保っているとは、呆れるのを
通り越して感心さえする。
「ま、それでその子孫がこの町に居るって突き止めて、いざ探そうって時に
あんたにやられたってわけだ」
(ふーん。で、協力って?)
長々と話を聞かされたが、本題がまだだ。人捜しの協力のようだが。
「だから、子孫を探すことだよ。あんたの身体でね」
悪霊は当然のように言ってきたが、桜はまだ理解できなかった。
(身体で?)
「手当たり次第に男とヤりまくるってことさ」
(……は?)
そこまで言われて、やっと理解する。しかし、そんなこと、
(だ、だめ!協力できないに決まってるでしょ!)
「言っただろ、拒否権はないって。それに――」
と、鏡の中の桜が、胸と股間に手をあてた。
「そのうちあんたも病みつきになるさ」


続きは今日か明日の夜くらいに。
372名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 17:21:53 ID:vTz6eUgF
素晴らしい。
こういう設定のを待っていたんだ。
続き期待してます。
373名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 21:41:54 ID:1heBf5kJ
まってるよ〜ん
374名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 01:17:03 ID:LwjQ56jF
できれば精神同居みたいじゃなくもっとダークに乗っ取りを・・・
いやGJっす!!
375淫霊憑き:2010/02/12(金) 09:10:24 ID:Q0hLb4Zw
「そのうちあんたも病みつきになるさ」
その言葉を合図に、動き出す両手。その挙動は、今の桜の表情のようにいやらしく、
普段彼女がするようなつたないものとは違い、手慣れていた。
しかも、どういうわけか、それはまるで桜が悦ぶやり方がわかっているかのごとく動いた。
(んっ、はぁ……や、やめて!)
手は身体をまさぐりつつも、もどかしそうに服を脱ぎ捨て、下着をずらし、
さらけ出された桜の身体は鏡の前に座り込んだ。そして、見せつけるように足を開き、
挑発するような表情を自分に向けている。
その姿を、焼きつけるかのように目線は動かない。まばたきすら、忘れているかのように。
「あぁ……気持ちいぃ、気持ちいいよぅ……もっと、さわってぇ」
いきなり口から発せられたその言葉に、びくっとする。自分が出したとは思えないほど
甘ったるかったが、間違いなく自分の声だ。
一瞬、自分の意志で出したのかと間違いそうになった――そんなはずはない。そんなこと、
思っているはずは……
それにしても、なんという変わり身だろう。先ほどまでの、悪霊のしゃべり方の
気配などまるでない。
(やっ!やめてよ!変なこと言わないで!)
「あはん、ここ――ここをこすればっううっ」
悪霊は、桜の抗議の声などまるで聞いていない。己のものとなった桜の身体をいじくりまわし、
ただただ、よがり狂っている。
たまらないのは桜だ――彼女にその気はなくても、身体は快楽を受け入れようとするため、
嫌でもその感覚は彼女にダイレクトに伝わる。
しかも、なんだか普段よりも感度がいいような……
(いやぁ!いやっ!いやっ!いやっ!)
身体の主導権が桜にあったなら、ここまで自慰に徹することはできないだろう。
もうすぐそこまで迫った絶頂に、桜は、身体が使えたなら髪を振り乱さんばかりの
勢いで拒絶した。すると、
「ん、まぁ、こんなもんかね……」
手が止まり、仰向けに寝転がる悪霊。息が荒い。身体は、これ以上ないほど熱かった。
(え……なんで……?)
これは望み通りの展開だ。桜が望んだ通りの。では、このフラストレーションは……
「あんたが嫌だっつったんだろ。それに、これは準備運動さ」
悪霊はそう言うと、右手で股間をすくうように撫でて、顔の上に掲げて見せた――濡れてる……
(んん……準備……?)
「ああ」
答えて、悪霊は唇を舌で舐めてから、にやっと笑った。そして――掲げていた指を口に突っ込んだ。
(な――!?なにしてんのよ!)
「あむ……ぅん?どんな味すんだろって、考えたことない?教えてやろうと思って」
(ないわよそんなの!汚い!)
やれやれ、と悪霊は身を起こし、肩をすくめると、鏡の前でびしょびしょの下着をつけ直した。
「服は――ま、いっか」
そう言ってきびすを返し、扉に向かいかけた彼女に、桜は制止の声をかけた。
(ちょ――ちょっと待ちなさい!そんな格好でどこに行く気!?)
「こういうことにはいちいち鈍いね、あんた。本番だよ、本番。さっきのは準備っつったろ?」
(本番って……)
とっさに浮かんだ想像に、さっと血の気が引いた気がした。あくまでも、それは感覚がし
たにすぎない。実際の身体は、むしろ頭に血が上っているような感じだ。
「そそ、あんたの想像通り」
(なに考えてんのよぉ!!)
「親切心だよ。あんただって、初めてが見ず知らずのおっさんとかは嫌だろ?」
(初めてじゃなくても嫌よ!もう出てって!出てってよぉ!)
口論の末、ついには悲鳴になっていた。今の自分は、そのくらいの抵抗しかできない。
ぐずることぐらいしか。そんな自分が情けなかった。
しかし悪霊は、ため息をひとつ漏らしただけで、そのまま部屋を後にした。
376淫霊憑き:2010/02/12(金) 09:17:55 ID:Q0hLb4Zw
それからすぐに行き着いたそこは、
(お兄ちゃんの……部屋……)
「お隣の太一君にしようかとも思ったんだけどね。ま、お兄ちゃん≠ナもいいっしょ?」
(あんた……わたしの記憶……)
「ばっちり」
廊下で、下着姿で親指を立てる自分。逃げ出したい。
でも、桜は半ばあきらめていた。泣いてもわめいても意味がなかった。力は使えない。
自分は本当に無力だ。
できることは、心を閉ざしてやり過ごすこと。五感が勝手にフィードバックされて
いくため難しいが。こんなことなら、もっと精神制御の修行をちゃんとしておくんだった。
とにかく、早く終われ。
「なぁに落ち込んでんのさ。記念すべき初体験だよ?」
(…………)
無視――悪霊は、そんな桜の態度が気に入らなかったようだ。
「あんたの処女、そこらのおっさんに売ってもいいんだよ?初物ならいくらでも
出すって変態は、ほんといくらでもいるんだから」
(お兄ちゃんは……お兄ちゃんはそんな変態じゃない!お前の誘いになんて乗るもんか!)
その反応は、悪霊を喜ばすだけだった。彼女は鼻で笑うと、
(ふん。ま、見てな)
そして扉を開けた。
従兄は、もう夜半間近だというのに、机に向かっていた。
本棚に囲まれた薄暗い部屋を、机の上の小さな電灯が照らしている。
「ん?」
扉を開ける音に気づいたのか、こちらを向く秀樹。その彼の顔が、眼鏡の下で驚きに
染まるのも構わず、悪霊はずかずかと部屋に入り込み、すぐに彼の目の前まで進み出た。
「さ、桜?そんな格好で――」
彼の言葉が終わるのも待たず、従兄の口に、彼女は吸い付いた。
彼の口を、舌で蹂躙しようとして、一度目は♂氓オのけられた。
「ど、どうしたんだ?君は――」
すぐさま二度目。今度は長かった。たっぷりとお互い舐めまわし、唾液も交換してから
離れたが、二人の口の間には、銀の架け橋ができていた。
「ねぇ……しよ?おにいちゃん」
377淫霊憑き:2010/02/12(金) 09:19:28 ID:Q0hLb4Zw
上目遣いに見つめる悪霊の視線に、応えてきた従兄の目は、これ以上にないほど血走っていた。
(うそ……?お兄ちゃん?)
初めて見る、彼のその表情がとても怖い。冗談だと思いたい。だが――
何も言わず、それが答えだと言わんばかりに、秀樹は桜を押し倒してきた。
(いやぁ!お兄ちゃん……どうして!?)
従兄は応えない。そもそも桜の疑問は彼には聞こえないが。獣のように彼女の身体を
なめ回している。
彼の代わりに応えたのは、悪霊だった。
「あたしの淫気を直接送り込んだのさ。あん、こいつは今や、エロいことしか、
んっ、考えられない――いや、考えることもできず、本能に従うままさ」
(うう……そんな……)
「さっき、んぁ、普段よりも感じるって思っただろ?それもあたしのん、力さ。
初めてでも痛くないようにぃっ、してやるよ。それどころか、天国が見れるかもねぇ」
そんなの全然嬉しくない。しかし、身体はどんどん高まっていった。従兄の愛撫は正直上手い。
「んぁ!そうそこ、いいよぉ、おにいちゃん」
また、喜色あふれる声で喘ぎだす身体。それは悪霊が言わせていることだと分かっては
いるのだが、自分の心からの声だと、桜は錯覚しそうになっていた。
「ねぇ、入れてぇ……おにい、ちゃぁん……あそこが、せつないよぉ」
その声を発したのは、果たして本当に、悪霊なのだろうか。自分がそんなことは
欠片も思っていないと、否定する自信が、今の桜には無かった。
「あ!んあぁ!は、入ってくるぅ!」
いつの間にか、四つん這いになった桜のお尻を掴んで、押し入ってくる秀樹の男性自身。
確かに痛みは感じなかった。めきめきと処女膜を破っているのであろう感覚すら、快感を覚える。
そこから先は、もうダメだった。
一突きされるごとに、意識が飛びそうになった。そのたびに叫び声をあげたのだが、
自分でも何を言っていたのかわからない。ただ、否定の言葉だけはありえなかった。
ぐんぐん押し上げられていき、後は飛ぶだけと言うところで――肩を掴まれた。
「え?いやぁ!動いて!動いてよぉ!」
止まってしまった身体を、自分でなんとか揺すろうとするが、後ろからしっかり
掴まれて大して動けない。
顔を後ろに向けて、虚ろな表情をした従兄に懇願する。
「ねぇ、お兄ちゃん!動いて!おねがい――」
(そんなに、して欲しいかい?)
頭の中に響く声。誰の声だったっけ?思い出せないけど、心の中の声なら、
自分自身の声だろう。なら、素直に答えなくては。
「うん!うんうん!だからおねがい!」
(なら、協力してくれるね?)
「する!するからぁ!」
(交渉成立)
桜の口元が、一瞬にやりと嘲るように歪んだが、それは瞬く間に悦びの顔へと変わっていった。
「あっ!ああああ――」
378淫霊憑き:2010/02/12(金) 09:22:59 ID:Q0hLb4Zw
「よっこいせっと」
身体が勝手に立ち上がり、年寄り臭い声を出しても、今の桜には気にする余裕など無かった。
「とりあえず、今回はお兄ちゃんの記憶を消しといてあげるよ。邪魔だろうしね」
そういって、勝手に従兄に口付けする自分の身体を、桜はぼっと見ていた。心地よさを感じながら。
そして離れる瞬間、
(ん、いやぁ、もっと――)
「まったく、すっかり色呆けしちまって。唯より好きもんだね、あんた」
その言葉を聞いて、次第に頭が活性化しだした。そうか、上山さんも……
上山唯の、最後に見た表情が、脳裏によみがえる。今なら、あの顔の意味も分かる。
「ま、つうわけで、協力してもらうよ?普段はあんたに主導権渡してやるからさ」
何を偉そうに。そんなのは当たり前だし、協力なんて、当然、認可できることではない。
できることではないが――桜は、小さく頷いた。

◆◇◆◇◆

「む゙!むー!むー!」
目を覚ました桜は、自分の異変に気づき、即座に声をあげた――口までも縛られていたため、
言葉にはならなかったが。
目の前にいる男――太一は、それに驚いたのか、すぐさま噛ませられていた手拭いだけははずしてくれた。
「なにしてんのよ!」
「い、いや……梅さんが……」
弱々しく、言い訳する太一。後で見てなさいよ。
「あーらら、そのままヤれって言っただろ?」
(また、あんたは!)
即座に意識は押し込められ、いましめを解こうと躍起になって暴れていた桜の身体が大人しくなる。
「で、でも……」
「大丈夫だって。口ではなんと言おうと、桜は悦んでるからさ」
(ちょっと、勝手なこと言わないでよ!)
「うっさい、ドM」
(なっ!?)
そのまましばらくは言い争いを続けたが、いつものように、梅は面倒くさくなったらしい。
「あー、もう、じれったい」
居心地悪そうにぽつねんとしていた太一に、縛られた身体で器用に口付けし――
「いぃぃぃやぁああああ!」
(がんばれ)
桜は理性を失った太一に襲われた。


「はぁはぁ、毎回まいっかい、何してくれてんのよ!」
(元気だねぇ、何回戦やったと思ってんだい)
事が済んで、精魂尽き果てた太一の横で、気楽に言ってくる梅に桜は怒鳴りつけた。
「知らないわよ、そんなもん!わたしだって疲れてるわよ!あんたのせいでお尻も痛いし!」
(それはあんたがねだったんじゃないか。あたしのせいにされてもね)
「うっ」
ひりひりと未だ熱い尻を撫でて、言葉に詰まる。やぶ蛇だった。
ため息をつき、ベッドにうつ伏せで(尻が痛いため)寝転がる。
「ねぇ、いつまでいるのよ。悲願は達成したんでしょ」
と、隣にいる太一を(というか彼の股間を)見る。萎えてもそれはかなり大きかった。
(いやぁ、毎日のようにそれが味わえるならって、ついね)
また、ため息。まあ、今は実害がないから構わないか。
(……嫌なら、滅するなりすればいいじゃないか。あたしゃ、もう抵抗しないよ)
「んー、そうねえ……」
太一の股間から、視線あげていき、顔へと至る。彼はうなされているような顔で寝ていた。
その顔を見つめながら、にやりと笑う。嘲りの表情と似ているが、違う笑みを。
「ま、あんたのおかげってこともちょっとはあるしね」
彼女がなにを考えているかは、梅にはわからないだろう。この精神制御は、
最近やり方を覚えたのだが、なかなかつかえる。姉に感謝しなくては。
「さて、シャワーでも浴びよっか」
(んー)
桜の頭のなかで、頭をひねっている梅の姿が浮かんで、彼女はくすくす笑い声をあげた。
379おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA :2010/02/12(金) 09:27:02 ID:Q0hLb4Zw
以上です。お待たせしました。
今回エロシーンの書き方を変えたのが不安ではありますが、なんとか終わってほっとしています。

>>374
ダーク……ですか。この作品はダークとは路線が違うのでご勘弁を。
380名無しさん@ピンキー:2010/02/12(金) 19:26:03 ID:ccjVpK+h
乙でーす
381マラソンマン:2010/02/13(土) 18:09:58 ID:BUvMEuht
マリエは銀行で働く24才。美人でスタイルも抜群!当然男にももてるが、特定の彼氏は作らず、色々な男と遊び放題。
金使いも派手でブランド物大好きで週三回のエステサロン通いも欠かさない。
当然男に貢がせているが、派手なお金使いに今月も金欠状態だ。
そんな時、いつも資産家のお客様「靖子」の口座から金を引き出す。もう1年以上やっているが、一度もばれていない。
「あれだけ残高があったたらばれないわよね」そう思って引き出した金額の累計は二千万にものぼっていた。
そんなある日、マリエが仕事の帰り道、黒い車が近づいてきて車に押し込まれ、そのまま気を失ってしまった。
382マラソンマン:2010/02/13(土) 18:35:43 ID:BUvMEuht
マリエが目を覚ますと、そこには靖子が立っていた。「よくも人のお金を散々使ってくれたわね!警察に突き出してやる」
靖子はマリエがお金を使い込んだのを知っていたのだ!「ごめんなさい。何でも言うことききますから警察にだけは言わないでください」マリエはダメ元で言ってみた。
「何でも言うこと聞くの?じゃあここにサインしなさい」 靖子は言った。
ダメ元がなんとかなった!そう思い、マリエは靖子の気が変わらぬうちにと思いサインをした。
383おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA :2010/02/13(土) 21:44:56 ID:YPqgQjWL
もういいですかな?
乙です。

エロ無し行きます。
384その身捧げたまえ:2010/02/13(土) 21:48:35 ID:YPqgQjWL
「あの人のことをお願いね、ソフィア」
それは、昔から母に言い聞かされてきたことだった。
だからこの夢≠ェ、自分が何歳の時の出来事なのか、ソフィアにはわからなかった。
だが、目の前にいる母を見れば、なんとなく予想はつく。自分がまだ幼児だった時の記憶だろう。
昔の母は、とても美しい人だった。それが、ソフィアの成長に合わせるかのように、
彼女に若さを吸い取られるかのように、みすぼらしく、やつれていった。
今の母は、目の前にいる追憶の母とは似ても似つかない――いや、ソフィアは否定した。
母の瞳は――強い意志がこもったその瞳だけは、変わらない。
あの人――ソフィアが父と、呼ばせられている男だけを見つめている、その瞳だけは。

◆◇◆◇◆

結婚式を明後日に控えた、ソフィア・メイスンの目下の悩み事は、
母――ヘレン・メイスンのことだった。
「じゃあ、おばさんはまだ反対してるの?」
親友のアニーには、度々そのことを話していた。そんな愚痴をこぼせるのは、
彼女くらい(夫になるアランを除けば)のものだったから。
「反対っていうか、ここまできたら、もうどうしようもないじゃない?だから、無視って感じね」
本当に頭が痛い。このままでは、式当日に参加してもらえるかどうか……
「大変ねぇ……なにがそんなにダメなのかしら?」
「それが分かれば苦労はないわよ……」
だから思わず、ため息が漏れ出るのも、仕方のないことではないか。今は幸せいっぱいで
あるはずなのだ。愛する人と結ばれる、娘の女の幸せを、母親が曇らせてどうする。
(こういうのもマリッジブルーに入るのかしら……)
「おばさん、昔からそういうのにお堅いって感じだったけど、まさか結婚式直前までとはねぇ」
「あたしも、どこかで折れるだろう、折れるだろうと期待――って言っちゃあなんだけど、
思ってたんだけどなぁ」
そう、昔からなのだ。ソフィアの結婚や男女交際はおろか、そもそも彼女が男の子と
親しくなることにさえ、ヘレンはヒステリックに反対していた。
なにが彼女をそこまでさせるのか――ソフィアも何度か問いただしたのだが、
母は結局口を割らず、頑として譲らなかった。
そのせいで、アランとの仲をここまで持ってくるまで、ソフィアは並々ならぬ
苦労と努力をかせられたのだった。
「普通、こういうのって父親が反対するもんなんじゃないの!?」
だから思わず、怒鳴ってしまうのも、また仕方のないことではないか。聞かされる
アニーには悪いが。
だが彼女は、賞賛すべき忍耐でそれを受け止めてくれた。多少、苦笑はしているが。
385その身捧げたまえ:2010/02/13(土) 21:51:16 ID:YPqgQjWL
「じゃあ、おじさんは許してくれてるんだ?」
「うん……ただ、式には参加できないかもしれないって、残念がってたけど」
「昼間なら、多少は大丈夫なんじゃなかったっけ。おじさんの病気って」
「そうだけど、あんまり長い時間はって、母さんがね……」
また母だ。それはともかく、ソフィアの父――コーネリアスは、彼女が生まれる前から
ずっと重い病気を患っている。なんの病かは、ソフィアは知らなかったが。
医学の心得があるという母ヘレンは、村で診療所を構えつつ、常に父の面倒を見ている。
そもそもこの村に両親がやってきたのも、父の治療のためだと、ソフィアは聞かされていた。
それにしても、父に対する母の献身は、恐ろしいものがある。
身体に障るからと、娘のソフィアでさえ、昼間の決められた時間の中でしか、
父に会うことを許されないくらいだ。
「ま、なるようになるんじゃない?」
うつむいて、考え事に耽っていた自分を心配してくれたのか、声が聞こえて顔をあげると、
アニーがこちらを労るような顔で覗き込んできていた。
心の中で彼女に最大限の感謝を送りつつ、
「……だといいんだけどね」
ソフィアは不安感は拭いきれずにいた。

◆◇◆◇◆

薄暗い夜道を歩くのは、慣れ親しんだ道とはいえ、恐怖を喚起させる。
灯りもなく、大した舗装もされていない道を、つまずくことなく歩くことはできても。
(遅くなっちゃったなぁ)
あれからアニーとすっかり話し込んでしまった。
帰り際、扉の向こうにある暗闇を見つめ、アニーが泊まることをすすめてくれて、
本当はその申し出に飛びついてしまいたかった。
話し込んで遅くなったのは、正直に言って、雰囲気が悪い家に帰りたくなかった
という心理があったからだろう。でも、
(それじゃあダメだ。ちゃんと認めてもらって、祝福してもらわなきゃ)
胸の前で小さく手を握ると、やっと村はずれに位置する、我が家が見えてきた。
だが妙だ。灯りがまるでついていない。確かにもう暗いが、寝入るほどの時間ではないのに。
不思議に思いながら近づいていくと、ほのかな灯りが、カーテン越しに見えた――両親の寝室だ。
386その身捧げたまえ:2010/02/13(土) 21:54:55 ID:YPqgQjWL
灯りが分かるのはそこだけだった。あとはすべて――玄関さえも――暗かった。
(なによ。帰ってくるなってこと?)
顔をしかめて、両親――特に母親がそばにいるであろう灯りをにらんでから、扉へ向かう。
鍵をことさらゆっくりと開けて、静かに扉を開く。
今日はもう寝てしまおう。こんなことで喧嘩して、結婚についてまで色々言われるなど、
まっぴらごめんだ。
室内に入り、両親の寝室へと続く扉をにらみつけると、わずかな隙間が見えた。
ドアに、鍵がかかっていない――中が、見れるかもしれない?
両親の寝室がどうなっているのか。それは、ソフィアには全くの未知だった。
その部屋に入った記憶はないし、実際入ったことはないのだろう。
部屋には常に鍵がかけられ、窓はない。見る機会は、一生ないものだと思っていた。
それが、見れるかもしれない?足は、自然とそちらに向かっていた。
早足にならないように気をつけて、音がしないように扉をかすかに開ける。
中を覗くと、そこには――
(なんだ……)
普通の部屋があり、ベッドには父が、その側には母が立っている。軽い落胆とともに、
ソフィアはため息を吐き出した。
中を覗いてしまった軽い罪悪感に押され、その場から離れようとしたが、空気が
漏れ出る音が聞こえて、ソフィアは足を止めた。
「……ソ……フィ……ァ…」
いや、違った。自分の名前を呼ぶ声だ。呼んだのは、父のようだ。
その声から、果てしない疲労を感じて、ぎょっとする。昼間見た父からは、そんなひどいものは
感じなかった。
「なあに、父さん」
ベッドで、息も絶え絶え寝転がる父の手を握り、返した母の言葉に、ソフィアはまた驚いた。
(父さん……ですって……?)
死にそうな父と、ソフィアの名を騙り、夫を父と呼ぶ母。わけもわからず、ソフィアは
事態を見守っていたが、やっと気づいた。
――ベッドに寝ているのが、父ではないことに。
その男は、父ではなかった。父によく似ているが、もっと老いている。死にそうなほどに。
見ているだけで、刻一刻と老いていくように。いや、
「ひっ――」
その男は、刻一刻と老いていた
見ている間に、皺がどんどん深くなり、頬がこけ、目がよどんでいく。
母が握る左腕は痩せこけ、皮と骨だけになっていった。
そして、かすかに聞こえていた、紙風船から空気が漏れ出るような音が――止まった。
「おやすみなさい……」
母は、握っていた男の手を置くと、彼にキスをして――逃げようとして、音を立てた
ソフィアに気づき、目を見開いて、視線だけをこちらに向けてきた。
「ぃっ、ひぃぃぃぃ――」
その、殺意すら感じられる視線から逃れるために、抜けそうな腰を抱えて、
ソフィアは家を飛び出した。
387その身捧げたまえ:2010/02/13(土) 21:58:15 ID:YPqgQjWL
◆◇◆◇◆

ほの暗い、夜明け前。
ソフィアは自宅前に戻ってきていた。
森の中で見つけた、彼女でも振り回せる棒を杖のように抱え、震えて逃げ出したくなる身体を、
必死に地面につなぎ止めていた。
(確認……しなきゃ)
あれはなんだったのか。
すべて、自分の幻覚だったのではないか。見間違いだったのではないか。
森の中を走り回るうちに、そう思ったのだ――いや、そうであってほしかった。
家に帰れば、普段の父と母がいてほしかった。
もうすぐ、結婚して出て行く家だとしても。いや、だからこそ。
勇気を振り絞って、ソフィアは、扉を開いた。のぞき込むが、見える範囲には誰もいない。
恐る恐る、中を進む。家の中は、出た時同様、真っ暗だった。
少し歩き、ついに何もないまま、両親の寝室の前にたどり着いてしまった。
扉は、今度はちゃんと閉まっていた。ドアノブに触れて、回す――開いた。鍵はかかっていない!
ゆっくりと――人生の中で一番ゆっくりと、扉を開く。部屋の中の灯りも、消えていた。
中に、何も見逃さないように頭を振りながら、入っていく。
身体が、いっそう震えて止まらない。気をつけているのに、足音が鳴る。それが、
やけに響いて聞こえる。
怖い。怖い怖い怖い怖い――
頭を文字が埋め尽くす頃、永い永い時を経て、先ほど男が寝ていたベッドにたどり着いた。
唾を飲み(その音もやけに大きかった)、目線だけを下に向ける。そこにいたのは、
「あか……ちゃん……?」
わけがわからない。なぜこんな所に――
「そうよ」
後ろから聞こえた声に、ソフィアはすぐ向き直り、身構えた。案の定、母がこちらを見ている。
首に刃物を当てて――
「わたしと――あなたの愛する人よ」
「っ!ダメぇぇえええええ」
叫び声をあげて、棒を捨て去り、母に駆け寄ろうとしたが――遅かった。
母は、何事か話してすぐ、刃物を引いた。
溢れ出る鮮血。母が倒れ、血だまりができる。ソフィアは、汚れるのもかまわずに、
母を抱き上げた。
うつろな目をした母の顔にしずくが落ちるのを見て、気がついた。泣いている。自分が。
なぜ。なぜこんなことを。
「なんで!母さんっ、どうして!?」
だが、疑問をぶつけても、母が答えられるとは思わなかった。首の傷は深い。
吐息に変な音が混じっている。
388その身捧げたまえ:2010/02/13(土) 22:02:46 ID:YPqgQjWL
「あの人のことを、お願いね、ソフィア」
だから、はっきりと聞き取れる声で、母に告げられた時は、幻聴かと思った。
思ったが、幻では、なかった。
「母さん!今そんな――」
ことを。言葉は声にならなかった。
総毛立つとはこのことだと、全身に寒気を感じながら、ソフィアは思った。
「あっ……う……あ……?」
背筋が、自分の意志とは無関係に伸びる。口も勝手に開き、意味のない声が紡がれていく。
異変は身体だけではなかった。精神に、絵の具が垂らされていくように、何かが、
自分の心を染めていく。
(う、あ、あ、あ、あ、)
血塗られた手でもかまわず頭を抱えて、吐き気がする臭いの中にうずくまる。
今まで生きてきた二十数年の出来事。結婚して、これから送るはずだった半世紀の予想。
その価値。
すべてが塗り替えられていく。
身体が、今まで以上に大きく震えた。


大きく震えて――震えはやっと止まった。それまでに、長い時間が過ぎたわけではない。
だが、一生分とも思える時間を経て、彼女は立ち上がった。
部屋を少し見渡し、ベッドの位置を確認する。方向感覚が一度おかしくなったせいだ。
その確認した方向に歩みを進めながら、彼女は、自然と頬がほころぶのを感じた――当然のことだ。
すぐに到着し、布団を覗き込む――当然のことだ。愛しい人がそこにいるのだから。
気持ちよさそうに眠る彼を見つめて、彼女は微笑みかけた。

◆◇◆◇◆

背中に感じる重みが、いっそう増した上に動くのを感じて、彼女は背中に目をやった。
彼女に負ぶされた少年は、ちょうど目を開けたところだった。
「ま……ぶしぃ……なに……?」
「あれは日の光よ、コーネリアス」
「日の……光……久しぶり……見た……」
その言葉を聞いて、彼女はにやりと笑った。ほんとは笑い転げたかったが、
あやすように優しい声で少年に告げた。
「そうね。でも、もう一度寝たほうがいいわ、コーネリアス」
少年は、素直に目を閉じて、半ば寝息のような声を出した。
「はい……ママ……」
「おやすみ、愛しいコーネリアス」
しばらく、彼の寝顔を見ながら彼女は微笑んでいたが、身体を横に開き、遥か下にある、
家々を見つめた。
「さようなら、あたしの故郷」
その声は、駆け下りる風に紛れて消えていく。
再び前に――丘に向き直る。
それほど急なわけではない。若さ溢れるこの身体なら、次第に重くなる少年を
背負って行けるだろう。
それに、もし無理になったら、自分で歩いてもらえばいい。
今は、そんなことは苦にならない。むしろ、喜びが全身を満たしていた。
(今朝は……記憶がすべて失われなかった)
それは、彼にかけられた呪いが解けつつある証拠だ。
解けるのがいつかは分からない。彼女が彼女であるうちでは、ないかもしれない。
だが、解けつつある。だから、他のことなどどうでもいい。どうでも――
我知らず零れた一筋の涙は、風に吹き飛ばされ、村へと流されていった。
389おっちゃん牛乳:2010/02/13(土) 22:03:43 ID:YPqgQjWL
以上です。
あとになってしまいましたが、NGは『その身捧げたまえ』で
390名無しさん@ピンキー:2010/02/16(火) 07:02:07 ID:+OlSnhne
少年ジャンプで連載中の『保健室の死神』が、今週の話該当だな
391名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 18:32:59 ID:CCU7ns7X
し・・しばらくみないうちに
な・・何故こんなに閑散と・・・
392 ◆2nkMiLkTeA :2010/02/19(金) 20:25:17 ID:FsYuQuk4
なんかもう、私が悪いのではと思ってたところです……
393名無しさん@ピンキー:2010/02/19(金) 22:08:18 ID:PgaxYhsj
>>392
いやいやそれは断じてないだろう。
むしろ作家の人がいないと、誰も書かないまま
落ちていくだけだからな。

ネタがないのもあると思うよ
394名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 16:24:31 ID:CWnDEGNl
熟女AV女優と新人AV女優の入れ替わりありませんか?
395名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 17:17:40 ID:MiY4Yyf7
>>394
是非書いてください!
396名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 22:06:40 ID:GE/FzyzR
先週、ドラゴンボール改でギニューとブルマがチェンジしたところだったな

ギニューみたいな能力のキャラがどんどん理想の女と肉体を取り替えていく
話しとか書きたいけど自分には文才がない
397名無しさん@ピンキー:2010/02/21(日) 13:03:02 ID:0UMVzpoy
ギニューさんは根が真面目すぎてw
398名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 19:50:03 ID:3yOtbXOW
とりあえず
投稿されたss保管しませんか?
399名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 14:52:59 ID:Pb38kfXf
一昔前の巨乳AV女優(加山なつこ、草薙純など)が復帰したが、現役AV女優(浜崎りお、麻美ゆまなど)に
バカにされそのバカにされた女優と入れ替わる話が見たいです。
400名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 16:43:45 ID:CbrdxnYF
加藤ローサと片瀬那奈のゴルフドラマが記事になってた。
http://beauty.oricon.co.jp/news/73611/full/
性格設定と良い身長差(160、172)と良い
入れ替わりを妄想が膨らむな。

高飛車な片瀬と入れ替わる天然系ローサ。
401名無しさん@ピンキー:2010/02/23(火) 22:57:16 ID:EnfvT+md
・淫霊憑き
・マラソンマン
・その身捧げたまえ

以上をWikiに追加しました。
マラソンマンは3スレ目ネタ集に収録しています。
402名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 03:13:41 ID:tVyiZ2IR
こいつは、おっぱい総合か膨乳系かと思ったんだが、
このスレの法が向いてるんじゃないかと思って

<はじまり>
 更衣室で着替えていると、いつもの様にヨーコが覗き込んできた
「ホント、いつ見ても凄いねーミサキのオッパイ。さすがGカップは違うわぁ。こんなオッ
パイ見れるなんて、クラス替えでミサキと一緒になって良かったわ。」

 いつものようにまくしたてると、遠慮も何も無く舐め回すように見つめてくる。最初のう
ちは気持ち悪いと思ったミサキだが、毎度の事なのでもう慣れてしまった。
「もー、毎回毎回あんたも飽きないわねぇ。」
「人類は哺乳類だもん、飽きるわけ無いでしょ。そりゃ私にそんな立派なオッパイ有った
ら自分のを見るわよ。だけどホラ、無いの。見てよコレ。」
ちょっと膨れっ面でそう言いうと、ナイ胸を突き出して見せるヨーコ。確かにヨーコは貧
乳だった。僅かなふくらみ、多分Aカップも無いだろう。お尻とウェストはごく普通に女
性的なラインをもっているのだが、上半身の肉付きが悪く細身なので凄く貧弱に見える。

「この前なんか小学生に間違われたのよ。小学生よ!もう高校二年生よ!そんなに背は低
く無いのに。あーあ、私にもミサキみたいなオッパイが有ればなぁ。その大きなブラだっ
てはみ出しそうじゃない。ホント羨まし。」

 いかにも悔しそうに言うヨーコに、ちょっと気の毒になりながらミサキはいつもの様に
なだめようとする。
「そ、そんなに良いもんじゃ無いわよ。重いし肩凝るし、ブラだって可愛いのなかなか無
いのよ。それに、イヤラシイ目で見られるし。」
「贅沢だよそれぇ。やっぱりオッパイ有る方が良いって。」
とまあいつものようにふざけ合うのだが、今日はそれで終わらなかった。

「そんなに良いもんじゃ無いって。私はもっと小さい方が良かったなぁ。こんなに大きい
の要らないわ。あげられるもんならあげたいくらよ。」
いつもなら、だいたいこの辺でおしまいになるのだが、今日は違った。ヨーコがにぱぁっ
と満面の笑みを浮かべると、たたみかけるように突っ込んできた。
「本当!?、くれるの?ちょうだい!ちょうだい!」
「・・・、う、うん。」

 その瞬間、ミサキは両乳首のあたりにムズムズとした刺激を感じた。
”えっ?"
それまで経験の無い、不意の感覚に戸惑う暇はなかった。ヨーコが小さく叫び声をあげた
のだ。
「あぁっ!!、、本当に始まったわ!」
見ると、嬉々としてブラを外している所だった。
「ねえ、見て!見て!大きくなってるでしょ!」
誇らしげに胸を突き出すヨーコ。確かにミサキの記憶よりも一回り、いや二回りは大きく
なっていた。もうAカップ以下という事は無い。どう見てもBは有りそうな、僅かに乳輪が
盛り上がった尖り気味の膨らみが興奮気味のヨーコの息づかいと共に僅かに上下していた。
そして、それがミサキの目の前で、間違いようも無い勢いで、少しずつ少しずつ、、

「お、大きくなってる。」
ミサキは呆然として呟いた。相変わらず続くムズムズ感とともに言いようの無い不安が忍
び寄ってくる。そこへヨーコがにいっと笑いかけてきた。
「ね、大きくなってるでしょ。そしてミサキのおっぱい、、、、縮んでるんじゃないの?」
とたんに乳首のムズムズが強くなった気がした。ハッっとして視線を落とすと、パンパン
に張りつめていたはずのブラが緩み皺を作っていた。
「ウソっ、、!」
慌てて乳房をかばうように両手で掴むと、縮んでいるのがハッキリ判る。まだ手のひらに
余るほど大きい、Fカップくらい有るだろうか?それでも手に感じる量感やブラとの隙間
は隠しようも無い。
「そんな、まさか、どうして?」
「ふふふ、これよ!」
403名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 03:14:39 ID:tVyiZ2IR
自慢げに手をかざしてみせるヨーコ、そこには見た事も無い輝きを発する指輪がはめられ
ていた。それ自身が光を発するかのようにぼおっと虹色のオーラを発している。
「ヘンな店で売ってたの、マジックショップだとか言ってたわ。半信半疑だったけど、ま
さか本当に効くとはね。今、コレが生み出す現実を歪める空間の中に居るんだって、ホラ
回りのみんな動いて無いでしょ。でね、ここが重要なんだけど、コレ、くれると言ったも
のは何でももらえるんだってw。」

 絶句するミサキ、笑いかけるヨーコを呆然として見遣るうち、先ほどのやり取りの意味
が染み渡ってきた。ムズムズする感覚はますます強くなり、そうしている間にもジワジワ
とヨーコの胸は膨らんで行く。ヨーコは慈しむように乳房をなで回す。先ほどより大きさ
と丸みを増し、もう立派なおっぱいと言って良かった。
「ふふふ、もう C カップくらい有るわね。だけどもっと欲しいわ、全部もらうわねミサ
キのおっぱい。」
「そんなっ!イ、イヤッ!、、」
とっさにヨーコを止めようと飛びかかろうとしたが、根でも生えたかのように足が床に固
定され一歩も動く事ができない。
「嫌よっ!やめて、やめてぇえ!!」
半狂乱になって懇願するが、もちろんヨーコが聞くはずも無かった。
「アハハハ、要らないんでしょ。くれるんでしょ。」

 その言葉がトリガーだったのか、また急に乳首の感覚が強くなった。ジンジンと脈打つ
ように疼きが襲ってくる。そして益々激しい勢いでミサキの胸は奪い取られて行く。
「あっ、凄いわっ!どんどん膨らんでくるっ。」
「イヤッ、イヤッ、私の、私の胸がぁああっ。」
ジンジンとした疼きは加速度的に強く、しまいには鈍い痛みさえ感じるほどになって、乳
腺の先の先まで広がって行く。その脈動とともに何かが乳房の奥底から絞り出されて行く
ようだ。前屈みになり必死で乳房を守るように手で覆うが、もちろん何の効き目も無い。
その手の中でミサキの乳房は大きさと生気を失い、萎んで行った。そして、目の前でヨー
コの胸がまるで風船でも膨らむかのように D, E と巨乳と言えるレベルになっていく。膨
らんでくる乳房の圧力に耐えかねたヨーコが喘ぐたびに丸々とした膨らみが恐ろしい弾力
でプリプリと揺れる。

 ヨーコはついに我慢できなくなったようだ。
「んっ、あっ。。。やっっぱり、凄い。」
できたばかりの巨乳を両手で掴んで揉み始める。初めは少しずつ確かめるように、それか
ら存分に感触と変形を楽しむ。まだ膨らみは止まらない。乳房の変形とともに、流れ込ん
でくるエネルギーを感じる事ができた。ミサキから奪い取ったものが、脈動とともに乳房
全体へと染み渡って行く。それがまた、ヨーコの興奮を高まらせた。自分でもはっきり判
るほどニヤつきながらミサキを見ると、もう情けないほどの有様だった。
「嫌よ、、、止めて、、、お願い!」
あれほど大きかったミサキの乳房も、左右の手のひらに収まるほどの大きさに萎み、余っ
たブラの生地だけが空しくはみ出している。もう叫ぶことすらできず、最後の気力を振り
絞って泣きながら訴えるが、乳房の疼きは全く止まる気配を見せず、残ったものも奪い取
られようとしていた。次第に強くなる鈍い痛みとともに胸全体がとろけるような疼きに包
まれていく、やがてそれも最終段階へ達したのか、すーっと周辺部の方から疼きが治まり
乳首の方へと向けて集まるように消え失せて行った。
「あっ、あぁあーーーっ!?」
その瞬間、ミサキは絶望とともに全てが奪い去られてしまった事を知った。必死で押さえ
つけていた両手の下には、もはや何の膨らみも残されていなかった。

「あん!もうおしまい?んふふ、確かにけっこう重いわコレ。」
ヨーコは歓喜に満ちた表情で巨乳と化した胸を誇らしげに突き出してみせた。ミサキの目
の前にぶら下げられたそれは圧倒的だった。つややかな膨らみが丸まると大きく盛り上が
りそびえ立ち、わずかに尖ったピンク色の乳首がやや強めに自己主張している。驚くほど
弾力に富んでいるせいか、これほど大きいのに重力の影響は最小限でしかなく、実に美し
い形である。それを嬉々として揉みしだきミサキに見せつける。なで回し、掴んで変形さ
せ、持ち上げては放してプルンと揺らす。ほんの数分前まで自分のものだったはずの乳房
を見せつけられ、猛烈な嫉妬心がわき上がってくる。
404名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 03:16:14 ID:tVyiZ2IR
「か、返してっ!私の胸、返してっ!」
キッとして睨みつけるが、ヨーコは笑いながら拒否してきた。
「イヤよう。もうもらっちゃったんだもん。だって、要らないって言ったじゃない、アハ
ハ。。。それにしても、ミサキぺったんこじゃない。ホントにぜーんぶもらっちゃったん
だぁ。どーれ、見せてよ。」
ミサキへ近づき手首を掴むと、一気に広げた。

「ひっ!」
まだ指輪の魔力は解けていないのか、ミサキは抵抗どころか指一本動かす事ができず、萎
んでしまった胸元をあらわにする事になった。クシャクシャに潰れた巨大なブラのカップ
を見てニヤリと笑うヨーコ。
「ほんとうにすっかり萎んじゃったわねぇ。随分軽くなったでしょ。何しろこーんなに大
きかったんだから。」
そう言いながら、潰れたブラのカップの中へ手を入れわざわざ元の形を再現しようとする。
しっかりした縫製のカップは直ぐにおおよその形を取り戻したが、もちろんその下には何
も無い。巨大な空間がぽっかり空いている。さっきまでそこは美しい二つの膨らみでしっ
かりと満たされていたはずだった。
「私の、おっぱいが、、、」
悔しさと情けなさで涙が溢れてくるが、ヨーコはそれだけで済ませはしなかった。今度は
ブラのストラップをぐいと持ち上げると、それを両肩から外して一気にずり下げる。大き
なカップはペロンと垂れ下がって、今や真っ平らになってしまった胸が現れた。殆ど膨ら
みと言えるほどのものは無く、固く縮んで生気を失った小指の先ほどの乳首がへばりつい
ていた。
「へー、完全に無くなっちゃったのねぇ。私は一応膨らみ有ったんだけど。これじゃまる
で男の胸じゃないw」
そう言いながら、あばら骨の浮いた所をなぞるようになで回してミサキをいたぶる。それ
だけではなく、ひとしきりミサキの反応を楽しんだ後、今度は仕上げとばかり自分の胸を
突き出して押し付けてくる。二人の胸の間で押しつぶされた乳房の凄まじい弾力がまたミ
サキを苛む。否応無しに奪い取られたものの大きさを感じさせられ、際限なく落ち込んで
行くミサキ。

「グズッ、、こんなこと、して、、、。許さない。グズッ、、、絶対、仕返ししてや
るっ、、」
泣きじゃくりながら睨みつけるミサキだったが、しかしヨーコはニヤニヤと笑いながら答
えた。
「言いたいのも解るんだけどね。残念ながらそうはならないと思うわ。ホラ見て。」
そういって差し出したのは、さっきまでヨーコが着けていたブラだった。そんなものが何
をと思ったのもつかの間、見る見るうちにそれは引き延ばされ形を変え、ミサキがしてい
たような立派なブラへと変貌した。
「ウソ、、、、」
絶句するミサキに、ヨーコは得意げに説明し始めた。
「コレね、現実を元からそうだったように調整するんだって。」
そう言いながら大きくなったブラを着けて行く。豪華なレース付きに変身したそれは、大
きく膨らんだヨーコの胸を僅かに持ち上げてしっかりとサポートし、深い谷間と美しいラ
インを作り出す。
「ホーラ、ぴったりでしょ。ミサキのもw」
言われて見下ろすと、確かにミサキのブラも変形して行く所だった。大きなカップは最小
サイズのものへとぐんぐん縮み、そして内側には分厚いパッドが、、ヨーコが肩ひもを戻
して着け直すと、確かにそれはミサキの胸にぴったりとフィットした。
「アハハ、ブラ着けると一応胸有るように見えるじゃないw」
「そんな、、、」
「もちろん記憶も書き換えられるの、これが終わったら誰一人ミサキがおっぱい大きかっ
た事なんか覚えていないわ、私以外はね。フフフ、そろそろミサキの記憶も変わってきた
んじゃないの?」
「う、嘘っ!!?」
405名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 03:19:00 ID:tVyiZ2IR
言われたそばからミサキは自分の記憶が変わって行くのを感じる事ができた。大きかった
胸の記憶はどんどん薄れ、替わって貧乳に悩んできた日々の記憶が入り込んでくる。膨ら
み始めたと思ったらそのまま止まってしまい、どんどん膨らんで行く友人たちに置き去り
にされたような気がしたこと。必死で牛乳を飲み、マッサージや体操など頑張ってみても
何の効果もなかったこと。町を歩く胸の大きな女性たちに時折感じる激しい嫉妬と羨望。
それでいて、平気で胸を強調する服を着る者たちへの嫌悪。
「そんな、、、嫌っ、こんなの嫌ぁっ。」
「駄目よ抵抗しても、じきにすっかり巨乳だった事は忘れてしまうわw。ん?私の方も一
応記憶は書き換えられるみたいね。ミサキの記憶が変わった分がこっちにくるのかしら。
ふーん、膨らみ始めはそう早くなかったみたいだけど、順調に成長してきたのねぇ。。。
まだ止まってないの!どうりでいつもパンパンに張っていたはずだわw。この調子なら H
カップにはなりそうね。アハハ」
「私の胸、、、、小さい。おっぱい、、嫌、、嫌、、、」
とうとう記憶まで奪われ放心したように呟くミサキに、ヨーコは微笑みながら慰めとも嘲
りともつかぬ言葉をかけた。
「さあ、涙を拭いてしゃんとして。もうすぐ全部終わるわ。大丈夫、小さな胸でも違和感
は無くなるわ。悪い事ばかりじゃ無いわよ。肩こりは少なくなるだろうし、サイズが無く
てカワイイ服着れないって事も少なくなるわ。ああ、そろそろ終わりみたいね。じゃあこ
れからもよろしくね。」
「ちょ、ちょっと待って!!」
ミサキの抗議も空しく、指輪の魔力によって全ては書き換えられてしまったようだった。
不意に二人の視界はぼやけ、新しい現実が始まって行った。

 体操服に着替えようとヨーコがブラウスを脱ぐと、いつものようにミサキが覗き込んで
きた。
「ホント、いつ見ても凄いねーミサキのオッパイ。さすがGカップは違うわぁ。」
その物言いとミサキの姿にヨーコは吹き出しそうになるのを必死でこらえた。それほどミ
サキの印象は激変していた。もちろん暴力的に盛り上がっていた胸の膨らみは完全に消え
失せている。緩めの体操服の下にはうっすらと小さなブラが透けて見える。必死で体型を
隠そうという意図がありありだが、それもあまり効果は無さそうだった。元は大きな胸と
張り出した腰でメリハリの利いた羨ましい体型のように見えていたが、今は意外と横幅の
大きめの骨格と大きな尻のせいか、やや太り気味にすら見えかねない。胸が無いだけでこ
うも印象が変わるものだろうか?細身にGカップを抱いた今のヨーコとは対照的だった。

 僅かに浮かんでくる罪悪感をこらえつつ、努力して笑顔を作りながら答える。
「もー、毎回毎回あんたも飽きないわねぇ。」
「だって、人類は哺乳類だもん。それにしても、いいなぁ、コレ。」
息を吐きかけられそうなほど近くで覗き込むミサキをドギマギしながら、ちょっと後ずさ
る。
”わ、私もこんな感じだったのかしら、、?"
ミサキの変わりように困惑を感じながら、ヨーコは記憶に有るいつもの会話を再現してみ
ようとした。
「そ、そんなに良いもんじゃ無いわよ、肩凝るし。」
「えー、いっつも言ってるけど、贅沢だよそれ。ねぇ、そんなに言うんだったら、ちょう
だいよその胸ぇ。」
ちょうだい、という言葉に一瞬ギクリとしたヨーコだったが、ややあって笑って答えた。

「だめよ、コレは私の。あげないわ。」

<おしまい>
406名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 03:34:19 ID:D+Hc/X6p

いいねえー
407名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 08:02:48 ID:AK9rD9JR
乳吸いは好物ですww
408名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 12:17:49 ID:Xnqou5Wh
いい作品。ありがとう!
409名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 17:30:47 ID:8k5WxdEP
>>401
乙です!!
410名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 19:15:42 ID:wGim8I9I
一番良い所で痛恨のミスがあるのが…
411名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 22:31:40 ID:O0Tl9p/C
>>402
GJ!
412名無しさん@ピンキー:2010/02/24(水) 23:55:12 ID:cawLt92Y
超乳戯画の乳狩りもそうだがこういう他人の長所を奪い取るものは本当にいいなあ
凄く楽しめたよ、thx
413名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 18:35:22 ID:zNAJpMdR
確かに他人の長所を奪い取るっていうシチュは良いですね!
さらに記憶まで加工されて周りからも立場が正反対にっていうのが
たまりませんでした。
体型以外では「チェンジ」のような学力系もツボで
有名私立進学校に通う優等生と底辺公立校に通う幼馴染が
遊びのつもりで魔法を使い制服と学校を取り替えて
通う事になるが実は劣等性の策略で1週間後学力も記憶も
奪われてしまう…なんてシチュを考えたが
なかなか話がまとまらない…
414おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA :2010/02/27(土) 15:53:05 ID:g8V6qPha
題名は特にありません。トリップでNGしてください。
非エロの短編で、性格入れ替えです。


自分が鈍くさいということは、自覚している。
喋る時はよくつっかえるし、頭をぶつけたり、たまに転ぶ。咄嗟の出来事に弱いのだ。
人見知りする性格だからそうなのか、そういうことが多いから人見知りなのかは、
よく分からない。
友達はいる。わたしは友達だと思っているし、向こうも友達として扱ってくれる。
だから、友達のはずた。
彼女たちは、よくわたしのことを天然だというが、これもよく分からない。そこまで
変ではないつもりだし、向こうがなんでもそういう風に受け取るから、そう見える
のじゃないかと思う。でも、口にはしない。
そんな自分を変えたくないかと問われれば、当然『yes』だ。


「“わたしと性格を入れ替えませんか?”」
それは、とあるネット掲示板に書かれていた一文だった。
そこには、中学生くらいからよく出入りをしていた。わたしと同じように、自分を
変えたいと思う人間が集う場所。
色々な趣味や嗜好の人間がいて、どういう風に変わりたいのかを書けば、アドバイスをもらえる。
オフ会なんかもあるらしいけど、わたしはいかない。考える時間や、文を推敲できる
掲示板とは違って、リアルで知らない人間といきなり話せる自信がないからだ。
とはいえ、その書き込みがもし本当なら、初めて勇気を出してでも、食いつくべきかもしれない。
先ほど口にした文を一行目に、自分がどういった人間で、こういう性格に飽き飽き
している。まったく別の人間になりたい。しかし、今の家族や友人を捨てるのはしたくない。
だから、性格だけ取り替えてくれる人はいないかと募っている。
それを読んだ他の住民(このスレッドにいつもいる人たち)は、単発のハンドルネームで
わけのわからないことを言っている書き込み相手に、とても冷ややかな態度を見せていた。
その書き込みの底抜けの明るさと、その後の周りの態度の違いが、妙なおかしさを
もたらしている。
確かに、信じられるような話ではないし、いつもの自分なら無視していただろう。
しかし、今日のわたしは、その書き込みにあった即席と思われるメールアドレスに、
気がついたらメッセージを送っていた。


好きな人ができた。同じ学校の、同じクラス。
そのことを相談したら、友人の一人がはあれこれ世話を焼いてくれたけど、わたしが
いつも台無しにしてしまう。
彼女は笑って許してくれるが、内心苛立っているはずだ。もはや、彼といい仲に
なれるかどうかよりも、そのことが心配だった。彼女に見切られるのは怖い。
来週、友人が彼を含めて数人のクラスメイトを誘って、遊びに行くことを企画
してくれた。わたしのためだ。
今度こそ、失敗はできない。
415 ◆2nkMiLkTeA :2010/02/27(土) 15:56:55 ID:g8V6qPha
「ええ、まったく心配ないですよ。私の性格と合わないなら、別の人間を紹介
してもかまいませんし」
人の良さそうな笑顔で、彼女は入れ替わりの説明をしてくれた。
彼女は何度も入れ替わりを経験しているらしく、その驚くべき感想を聞かせてくれる。
「じゃあ、性格以外も入れ替えることが……?」
「ええ、私はだいたい経験しました。胸の大きさ、身長、視力、記憶、髪の色……
面白いものでは、恋心なんか」
あれは本当に面白い経験だったと笑うその女性は、とても綺麗な人だった。身長は高く、
スレンダーな体つきをしている。髪はロングの黒。歳は二十代半ばくらいだろう。
彼女の名前は知らない。本名を名乗らなかったからだ。待ち合わせに来た彼女は、
ハンドルネームだった『月夜』だと自分のことを示した。
待ち合わせ場所から十数分歩いて、その間彼女が喋り通しだった。自分は相槌を
打つくらいしかできない。
でも、おかげで入れ替わりの概要は分かった。どういう原理なのかは彼女も知らない
らしいが、月夜の知り合いである発明家が作った、妙な機械で行うらしい。
自分の命がかかっているかもしれないのに、妙なはないだろう。そう思ったが、
わたしは言わなかった。


「ねえ、高橋君のどこがいいの?」
そんなの自分でも分からない。でも、答えなければならない。友達なのだから。
「どこって……」
言葉に詰まるわたしを、にやにやとした笑顔で見てくる絵理。その顔が、ちょっと怖い。
「赤くなって、可愛いなあ、優衣は」
なっているのだろうか。でも、真に受けて聞いてもからかわれるだけだろう。
「もう、やめてよ」
すねたように言うと、彼女は笑って返してきた。笑ってくれたのなら、この答えは
正解だったのだろう。わたしは安堵した。


「どうも、神原です」
旧家然としたお屋敷に案内され、その家の奥にあった蔵の中に入ると、そこは
見た目とまるで違った。
色々な機械がおかれ、出てくるのは白衣に身を包んだ男。一見して怪しかった。
「性格の入れ替えですよね、どうぞ」
無駄なことは一切喋らないが、人の良さそうな笑顔を浮かべているため、愛想は
悪くない。でも、どこか軽薄だ。年の頃は、月夜と同じくらいだろう。
彼が示した先には、ある映画で見た転送装置のようなものがあった。不安がよぎる。
「大丈夫ですって。私が何度も経験しているんですから」
そんなわたしの肩に手を置いて、耳元で囁く月夜の声には、置かれた手と同様に、
有無を言わせない力があった。
「は、はぁ」
成り行きに任されるまま、わたしは機械の中に入った。
416 ◆2nkMiLkTeA :2010/02/27(土) 16:02:50 ID:g8V6qPha
私の告白は、失敗した。
というより、失敗する以前にしなかった。でも、失敗するとわかってしなかった
のだから、同じことだ。
遊びに出かけた帰り、私から結果を聞いた絵理とそのグループは、残念会を開いて
くれた。私は、いつものわたしを装ってすべてを受け流した。
会がお開きになり、帰り道が同じ絵理と歩く。彼女はなにも疑っていない。
のん気にあくびをしている。なら、思い知らせてやらなくては。
「高橋君って、絵理のことが好きなんだって?」
帰り道の途中、人気のない道で、何気なく言ったその言葉に、彼女の体は凍った。
「それでみんなで賭けしたんだってね。どう、勝てた?」
信じられない。彼女の顔はそう言っていた。そんな絵理に向ける私の笑顔は、
先週見た月夜と同じはずだ。
人が良さそうなところも。裏に何かが潜んでいることも。
「……だから何よ。別に付き合ってるわけじゃないし、実際応援はしたでしょ」
「私の性格じゃあ、失敗するようなやり方ばかりでね」
ぐっと押し黙ってにらんでくる絵理。こんな女を、信じて感謝してきたなんて。
「それに、色々と私のこと笑ったりしてたみたいだけど」
「それはっ!」
あんたが鈍くさいから悪いのよ。表情がそう言っている――勝手なことを。
「なら、同じ思いをさせてあげる」
疑問符を浮かべる彼女の顔が、少しずつ、とろんとしたものに変わっていった。
彼女の意識が完全になくなる前に、私は懐から取り出した瓶を見せた。
「時間かかったけど、効果はすごいでしょ。私にいつももの取らせて、まったく
警戒しないんだものね」
その言葉が、最後まで彼女の耳に入ったかは疑問だった。
腕を組んでじっと待っていると、明かりが私と絵理を照らし出した。車だ。
「お、お待たせしました」
運転してきた女は、車から降りて、おどおどと言ってきた。確かに、これは他人をいらつかせる。
私はそんな内心を毛ほども見せずに、月夜に笑いかけた。
「じゃあ、お願いします。月夜さん」


「それで、高橋君には告白できたの?」
「ご、ごめん……ダメだった」
心底申し訳なさそうに謝る絵理に、私は笑いかける。
「大丈夫、大丈夫。高橋君は絵理のこと好きなんだし、きっと上手くいくよ」
――ただし、彼が好きだったのは昔のお前だけどな。
そうとは知らずに、絵理ははにかんだ笑みを返してきた。
「うん、ありがとう、優衣ちゃん。わたし、あんなひどいことしたのに……」
「気にしないで。私がどんな気分だったか、絵理は十分、分かってくれたし。
私はもうそれでいいから」
そんな私の言葉に、絵理は泣きそうだった。笑い転げたくなるのを必死でこらえる。
「じゃあ、次はね――」
この作戦も、絶対に成功はしない。彼は、私と付き合っているのだから。


おまけ
「はぁ……先週は楽しかったのに」
ベッドの上でため息をつく彼に私はかちんときたが、言い返さずに後ろを向いた。
「すっごく初々しくて、可愛かったのになー……今は、なんか黒いし」
あとSっぽいし。ぶちぶち言う彼に、私はついに我慢の限界を迎えた。
今の私は、余裕がなくなると怒りっぽくて困る。
「はいはい、とっととあなた好みの性格探せばいいんでしょ」
これだから、生意気な小娘と入れ替わるのは、嫌だったのよ。


以上。
417名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 17:46:33 ID:eVMmcVjc
GJ。よかですねー
418名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 19:32:35 ID:fT33XX9w
こ、これはなかなか味の有る
419名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 20:48:44 ID:rgbL+Nfd
不思議なくらい読後感のいい話だったぜ、乙!
420名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 22:59:17 ID:Ap7ydCkx
これは新ジャンルかもしれないね。
素晴らしい。立場を取り替えるのでなく
性格だけって所が、逆転の発想で面白かった。

普通は記憶や立場が変わって、性格はそのままなのに
性格だけ変わってるのがいいね。

月夜の話とかもっと読んでみたいな。
421名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 19:52:34 ID:zJqbt/H5
何か、ジャンルが多様化してきていい感じ。
422名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 19:55:34 ID:zJqbt/H5
ひさびさに書き込みができそうなので、またSSをひとつ。
よろしかったらお付き合いください。

『よりしろめつとめ』

 夜更けに、山間に設えられた簡素な小屋の裏に、水ごりをする若い女がいた。
 水ごりとは水垢離と書き、寒中に冷水をその身に浴びることでその身や心に付着した汚れや
弱さを引きはがす行である。もちろん、それ単体が主眼ではなく、その後に待っている大事を
成さんがための準備にすぎないのではあるが。
 白い襦袢はしたたかに濡れて、女の均整のとれた裸身を露わにしていた。ほう、と息を一つ
吐けば、たちまちにしてそこには白い靄の固まりが生じてしまうほどの極寒の中であったが、
女は身震えすることもなく、強い意志をこめた視線をじっと夜空にこごらせていた。
 女は、齢のころは二十歳ばかり、清楚とも妖艶ともつかない神秘の美貌を湛えた女であり、
その肢体は重ねられてきた荒行を受けて引き締まり、かつ野趣を帯びた要所を張り出して、一
種神々しいとも言える豊穣さを醸していた。
 女は、着衣をはだけてあられもない裸身を暗中に晒して、そののちに、墨染の上下に身を包
み変えたのであった。ゆるやかに腹帯を巻き付けたその姿は夜闇に紛れるばかりであったが、
そのかたちは朱袴の巫女装束と何ら変わりもないものだということが見て取れる。しかし、神
仏を祭事する紅白ではなく、灰色に染まったそれを身につけているということは、彼女が今か
ら成そうとするものが神事などではなく、むしろその目をかいくぐって鬼霊との交信を行おう
とするあらわれであった。

「……お待たせしました」
 引き戸を開けて小屋の中に静かに歩み入る彼女を待っていたのは老年の男だった。ワイシャ
ツの上にいささかくたびれたジャンパーを羽織った男は眉間に深い皺を刻んでおり、目のふち
にも黒々としたくまが幾重にも張り出していた。それらはすべて、彼自身の苦悩がにじみ出し
た証しでもあった。
 視線はやや定まらない状態で、これから何が始まるのかという不安に落ち着かない様子の男
の手を、女は静かにつかんでいた。右手を、そして左手をゆっくりと掴んで口を開く。
「さあ、どうぞ念じてください」
 女は不動神妙の境地に立った者のみが放つ強い視線を男に向けて照射していた。
 男はその荘厳さに打たれて動揺から解き放たれて、そして彼のこころの深奥に棲んでいる、
ひとつの面影を強く念じ始めていた。




423名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 19:56:59 ID:zJqbt/H5
 変化は、ほんの数分とたたないうちに現れはじめていた。
 女の長くつややかな黒髪が、半ばから切れ落ち、そしてその密度を喪いはじめていたのであ
る。色素も半ばが白んで落ちて、まさに麻糸の乱れるがごとし、であった。
 男は驚いて握っていた手を放そうとする。
「いいえ、心を乱さないでください」
 女の声が凛と響き、そして再び動揺は収まり、男の思念は再び女へと注がれ始めていた。
 男の思念が届くたびに女の姿はゆっくりと歪んでいった。
 まず、引き締まっていた両頬に生じた弛みは、ゆっくりと広がっていき同時に発生したあご
や首の皺やゆるみとともに顔全体を押し包む。
「むっ、むむむ」
 続いて眼窩は落ちくぼみ、周りにはてらてらとしたてかりが生じて、そこからちりめんのよ
うに細かく無数の皺がはしり、すっかりと彼女を老年女性の顔へと変貌させてしまっていた。
 変化は首から下にも同時進行で起こっていた。修練により美しく引き締まっていたはずの腰
部や背中には蠕動とともにむっちりとした贅肉が生成されていく。逆に、胸元に形成されてい
た大きな隆起はその角度を鈍角に変えながら、萎えて下方に修正されていく。
「う……っく」
 女の顔は苦悶に引きつっていたが、それでも端坐した姿勢は崩すこともない。
 皮膚の張力はその発現を薄めていく。先ほどまで微光をも照り返していた素肌はあれよあれ
よと凋んでくすみ、老斑をところどころに生じさせていく。
 もしも、このような変化が一瞬に起こるとするならば、それは時間が数万倍の早送りをされ
ているとしか思えないのだが、そうではない。
 彼女は自ら志願して自らのかおかたちを、男の思念を受け取りながらこのように変貌させて
いるのである。それも、強い苦痛に耐えながら。

 
   
 変化はなおも続く。徐々に背丈が詰まっていくのである。伸びやかな手足は節くれだち、短
くなっていく。先ほどまで彼女が湛えていた神秘の美貌はもはや見る影もない。
 ゆるんで突き出した下腹は、緩められていたはずの帯に食いついてその上下にまで膨張を進
めていく。
「……もう、少しですね」
 たわんだ口元から凛と響く張りのある声だけが、先ほどまでの彼女の名残であった。
 一概に、日本古来の女性の衣服は、その年齢を隠すために有利とされている。それは、衣服
の流れる方向が、華美なドレスが上に上にと身体を引き上げるのに対して、着物は下へ下へと
流す一方で、その起伏さえも隠匿する意図が構造にあるからである。
 が、そんな補正などで隠せる次元はとうに超えていた。今の女の姿を見た者は、誰がどう言
い繕っても還暦過ぎの、凡庸な老人の姿だったのである。
「……さあ、いかがですか」  
 頬の皺を引き上げたり下ろしたりしながら表情を作り、女は眼前の男ににっこりとほほえみ
かけていた。
「……ええ、ままです。あいつの、女房の、そのまま……です」
 男の顔には先ほどまで消滅していた精気が復活していた。みひらいた目の光は驚愕と、そし
て押し込めないほどの期待を放射して輝いていた。
「それならば、結構ですね。『器』はかたどられました。それではいよいよ、魂の漂着を試み
たいと思います」
 男は無言で首を縦にゆっくりと揺すった。女の説明ではおよそ十分間だけ、十分間だけ彼は
死んだはずの妻と逢えるというのだった。
「私は今から死出の門の番人を欺いて、そして彼女の心をここに宿します。ですが、私の力量
ではそれはほんのひとときでしかありません。その時間を使って、あなたはどうぞ、もう一度
彼女とお別れをしてあげてください」
 女は、すう、と指を折って簡単な印を結ぶと、ふうっと前のめりに上半身を折り曲げて、男
にしなだれかかる格好になって、そして意識を失っていた。
424名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 19:58:13 ID:zJqbt/H5

 男の鼓動が、五つほど動いた。
 抱き抱える手の中に、ぴくん、と女の体が動いていた。
「かあちゃん……かい?」
 男の声に、伏し目がちに頷き返した女の表情の使い方は、まさしく彼の知る呼吸であった。
「あいよ……父ちゃん」
 声が変化していた。かすれてはいたけれども、間違えるはずもない、長年をずっと連れ添っ
た愛しい声だった。
 弾かれたように、男は妻の体を遠慮もはばかることもなく抱きしめて、そして激情に涙の堰
を切っていた。
「会いたかったよう、さびしかったよう、辛かったんだよう」
 分別を知らない嬰児のように涙を流す夫の頭をかいぐりながら、女はただひたすらに、ごめ
んよう、ごめんよう、と詫び続けていた。
「もう、嫌なんだよう。誰も待ってないがらんどうで暗くて、寒くて、そんな家になんか帰り
たくないんだよ、ああ……ああん」
 仮死していた男の心は復活とともに激しく動いていた。ぶるぶると身震えをしながら手にし
たぬくもりにすがりついて、そしてただ、泣いていた。
「ごめんよ、父ちゃん。本当ならずっとあたしが父ちゃんのこと見守ってやってなきゃなんな
かったのにさ、本当にごめん」
 半年にわたる病魔との闘いに彼女は果敢に挑んで、そしてその死力を尽くして彼女はこの世
を去っていったのである。ただ、その悔恨はただ一つだけ、今触れている男にだけ、あった。
「俺も行くよ、どうせお前のいない世界なんてひとつの未練も残っちゃいないんだ。だから、
な、今すぐにでもそっちに行くから……」
 男の口をふさいだのは熱い情熱の固まりだった。舌をねじこんで、冷え切った男の孤独をこ
じあける、魔法の口づけだった。
「駄目だよ、父ちゃん。そんなんじゃあたしのところにはこれないんだから」
 妻は笑って男の肩を叩いた。涙は流れるままだったけれども。

「あんたはね、辛くても生きなきゃならないんだ。そうしなきゃあたしもどこにもいけやしな
い。あたしをもう一度、抱き締めるためにも、あんたはまだまだ命を生きなきゃならないんだ
よ」
 そうして、妻が与えた指示は簡潔なものだった。家を引き払って娘の所帯においてもらえと
いうこと、身体が動くうちは精一杯働いて娘夫婦とも折り合いよく暮らしていくこと。孫の面
倒もしっかり見て、雨の日は幼稚園のお迎えなども買って出ろということなど。
「あと、どんなにあの子の料理が未熟だからって、台所に……みだりに入っちゃいけないよ、
それ、はあの子のために、なら……ないん……だからね」
 妻の言葉が急に緩慢になってきていた。
 お別れのときが迫っていたのだった。
「ねえ、お父ちゃん……」
「なんだい、母ちゃん」
 涙をこらえて、男は妻の最期を目を凝らして見ていた。今度こそ悲しみから目をそらさずに、
彼女の姿を見ていた。
「あのね……あのね」
 出会ったころの恥じらいを、ときめきを、その唇に湛えて。
「大好き……なんだよ、ずっと、ずっと、ね」
 男は、返答を二つの腕におきかえて、彼女が消え入るその際までを、強く抱きしめながら別
離のはなむけにしたのであった。
 啜り泣き、むせぶ声はとうに消え、静寂だけが闇に取り残されていた。
425名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 20:01:33 ID:zJqbt/H5
「ごめんなさい。これで、終わりなんですよ」
 女の声は再び張りのある若いものに戻っていた。
 あわてて男は無遠慮に伸ばされた腕をどけようとしたが、その手を再び押さえつけたのは女
の手のほうであった。
「いいんですよ、朝まではこのままにしておいてもらっても」
「しかし、あんたにはそんな姿になってまで……」
 その言葉を封じたのは二本の指先だった。
「そんな姿はご挨拶でしょう。あなたに寄り添って年月を重ねた奥さんなんでしょう」
 こくこく、と男は首をただ、縦にするばかりだった。
 よろしい、と女は告げて男にさらにすり寄っていった。
「大丈夫ですよ、心配しなくてもジムでたっぷり汗をかいて行きつけのサロンに通えば一週間
もしないうちに元通りに戻れますから、ね」
「はは、それは安心したよ」
「でも、あなたはその謝礼としてこのまま私を朝まで抱いて暖めてくださいね。ああ、でも、
そんな行為にまでは及んではいけませんからね、私、こう見えてもまだ男性経験はないんです
からね」
 ふいに発露した彼女の本当の年相応の感情は、男の心にまだ残っていた残雪を溶かして、そ
して笑顔を齎していた。
 秘密を隠した夜の帳が開けるのには、もう少しだけの時間が残されていた。


 おしまいです。いつも続きに思案中の四十年でした。
426名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 21:42:51 ID:22Wlwu1H
おお・・これはまた一風変わった
427名無しさん@ピンキー:2010/03/02(火) 22:42:33 ID:4TzXOHbV
どんどん多様化してるな
乙です
428名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 02:23:05 ID:svMaTQQp
うむむ、
実に興味深い
429名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 12:55:34 ID:R9O+JawW
もしかして、最初の四十年の作品は
あれで終わりだったんですか?
つうか、四十年が名前なの?
430名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 19:10:09 ID:O3/EyMdL
 いいえ、名前ではありませんよ。続きはあるのですね。

『 四十年証文その2』

『四十年証文』を発効させるのには、相手となるのは別に男でも女でも良くて、
そして美しかろうとそうでなかろうとどうでもよかったのだ。
 それでも、シズカが相手を美しい娘とかぎったのには訳がある。ひとつはそ
のほうがより効果的に自分が若く、美しく戻ることができるのではないかとい
うことである。そして、その点においては十分すぎるほどの効果が得られたわ
けなのだが、もうひとつ、彼女が期待していたのはゆがんだ性根による願望の
成就であった。
 どれだけ、相手を貶めてやることができるだろうか、と。
 長年をひとりきりで過ごすうちにシズカの心はどんどんと偏屈にこり固まり、
人を寄せ付けることさえも少なくなっていった。ほんのひとにぎりの友人はと
言えばあの証文を提供したような風変わりな人間くらいなものだったのである。
彼女は若さは取り戻しても、依然、根性は偏屈な老婆のままだったのである。
 六月の長雨が続くとシズカはだんだんと機嫌が悪くなり、露骨にマリアに対
して当たり散らすことが増えてきていた。
「マリアっ! どこにいるの。呼ばれたら早く出てらっしゃい」
 昼下がりの洋館に罵声が響き渡り、ほどなくして姿を現すのが年老いたメイ
ドだった。
「はい、奥様。ただいま参ります」
 洗濯物の部屋干しの手を止めて、マリアはバタバタと主人のもとへと駆け参
じる。
 一日に何度も意味のないお着替えを楽しむわがままな主人のために、マリア
は日に最低二度は洗濯機をまわす羽目になってしまうのだが、そんなことはお
くびにも出せない。それが主従関係というものである。
「グズっ、いくら年寄りだからって、もう少しさっさと仕事しないとクビを飛
ばすわよ」
 実年齢は三倍以上も上のくせに、言いたい放題のシズカである。
 しばらくは神妙な顔で暴君による暴言に聞き入るマリアであったが、次の瞬
間には
「本当に申し訳ございませんでした、奥様」
 と、にっこりと受け流してしまうのであった。これがまた、シズカには気に
入らないところである。本当ならばせっかく理のないことを言っているのだか
ら、せめて屈辱に顔を歪めてみるくらいのことはできないのか、などと考えて
しまうのである。ところが、マリアの辛抱強さと屈託のなさは、彼女の心から
毒気を抜いてしまうので、それで余計にイライラとするわけなのだった。
 実際、シズカはせっかく若さと美貌とを取り戻したのに、やることはと言え
ば実にせせこましいものであった。
 マリアに自分の着替えや入浴の手伝いを強要したり、家事全般に対して溌剌
と元気のある行動を迫ったりとそんな感じであった。
 が、どれもこれもがあまり効果的に彼女に心理的ダメージを与えられないの
である。仕事にはソツがなく、陰口を叩いているような節もなく、受け答えも
「近頃の若いのにしては珍しいくらい」しっかりしているのだ。それでは責め
ている自分の方こそが本物の道化になってしまう。


431名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 19:11:00 ID:O3/EyMdL
「それで、ご用というのはどんなことでいらっしゃいますか?」
 マリアの頬は多少弛んでおり、皺も多く顔を張り巡らしていたのだが、それ
は決して人を不快にさせるものではなかった。むしろ、張りつめた麗人の顔よ
りも相手の心をなぐさめてくれる、そんな温かみを帯びたものだった。
 ちなみに、マリアはこの姿になってすぐに、髪を短く切り揃えている。以前
は肩まで届くようなワン・レングスだったのだが、今は耳が多少かぶるくらい
のショートボブに揃えている。それもまた、彼女なりの考えあってのことなの
だろう。
「そう、そうね、……ええと、何だったっけ?」
 さっきまで考えていたことがすぐに思い出せないのは、思考能力が若返って
いない証拠である。
「ええ、と、そうよ。今日は私は居酒屋に寄って飲んでみたい気分なのよ。マ
リア、せっかくだからあなたにも相伴させてあげるわ」
 シズカの思いつきは単純なものであった。つまり、今まではマリアは一人で
お留守番だったものだから、お買いものくらいしか他者にその姿をさらさずに
済んでいる。しかし、盛り場などに出かけていけばそうはいかないのではない
かと。
「でも、私はまだ未成年なわけですし、お酒なんてマズいんじゃぁ……」
「……あんた、そのナリで何言ってるのよ」
 思い切り表情をしかめて、シズカは突っ込みを入れていた。
 マリアは、しばし呆然とした後に、ぽん、と手を叩いて納得した。

 土曜の夕暮れ時、繁華街に居並ぶ居酒屋は、どこも盛況だった。そこにタク
シーで乗り付けた二人の姿は、ぎょっと人を振り向かせる異様であった。
 胸を張って前を歩く妖艶な美女は、ぴったりと張り付くような黒のレザーの
上下を身につけて、ことさら大きく開いた胸元の膨らみを誇示するように歩い
ている。ちなみにパンプスは深紅に近い赤のピンヒール。装飾するブレスレッ
トやネックレスなどは金色のもの、と言うよりは完全に純金製品である。今は
昔、バブル経済の崩壊からしばらくのうちに滅び去ったとされる由緒ただしい
スタイルであった。
 そして、その後ろを三歩下がって付き従うのが大年増のメイドであった。そ
んじょそこらのコスプレメイドとは訳が違う浅黄の実用のメイド服の上から濃
紺のベストを羽織ったシックな装いは、年季は入っていても整った容貌の女に
は良く映えて、悪くない景色であった。
「……ううっ、なんだかちんどん屋さんみたいです」
「何言ってるの、これがナウなヤングのスタイルよ。あんたみたいなネンネに
はわからないのよ」
 人を遠ざけた生活をしていれば、いつしかこうなってしまうのか、というシ
ズカは良い見本だった。
432名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 19:12:06 ID:O3/EyMdL
 別に予約などしていなくても、女二人からの客くらいはすぐに入店できるも
ので、シズカがここにする、と突発的に決めた店に、待たされることなく座敷
席に座ることができた二人はさっそく乾杯をはじめていたのであった。
 リンゴサワーをちびりちびりとなめているマリアを尻目にシズカのピッチは
速い。あっという間に焼酎のお湯割りを三杯干した彼女は上機嫌で酒肴の注文
を大声で呼ばわっている。
「あーっ、何よ。あの若造ったらぁ私の注文のほうが先だったでしょうに、お
いっ、こらっ、聞いてるのかっ、クビにしてやるわよォっ」
「まあまあ奥様。それなら私が注文をして参りますから……」
「それじゃ行ってこい。タコブツ、ゲソアゲ、アゲダシにトロロよっ」
「はあ、申し訳ございません。もう一度……」
「グズっ、タコブツ、アカダシ、ダシマキにトトロよっ」
 だいぶ内容は変わっていたようだったが、このぶんならば何を注文しようと
も大丈夫だろうと踏んで、マリアはさっさと注文に立っていた。
 背中からひゃははは、と聞こえるシズカの嬌声を聞きながら、マリアは小さ
く笑みをこぼしていた。  
 シズカは確かに自分からかけがいのない若さを奪い取った。そして、年老い
た自分の事をからかっては羨ましがらせて悦に入るところがあるのだけれども、
それでもマリアはなんだかこの偏屈な主人のことが嫌いになれないのだった。
 それは、シズカの根底を流れる子供のような純朴さのようなものに、どこか
惹かれていたからかもしれないのだった。 
 偽悪とでも言うのだろうか、必要以上に自分を悪人に演出してはいるけれど
も、皮一枚、どこかに甘さのようなものが残っていて、そこにシズカ本来の人
間性が垣間見えるのである。

「おらおらっ、あんたもしけた飲み方してんじゃないわよっ、女ならグッとい
けー」
 好きではあっても強いとは限らないのがお酒である。シズカはさっさと酔い
つぶれていた。
「ああっ、駄目でしょっ、あんたみたいな未成年にぃ、飲ませるようなお酒は、
ないんだからね」
 そして、ぱたんと倒れてしまう。マリアは仕方なしに座布団を並べた上にシ
ズカを運ぶと、その上に借りてきた毛布をかけてやる。
「はははっ、仕方ないですねえ」
 上気してリンゴのようになったシズカの頬をつん、とつついてみる。
「こんなにもわがままで、私の若さまで吸い取ったようなお人だっていうのに、
まるで嫌いになれないんですものね」
 ばさり、とせっかくかけてやった毛布をはだけて、さらにシズカはぶちりと
胸元のボタンまで外してしまう。
「熱くて暑いのよー、あんた私を蒸し殺す気なのっ」
 ぼろんっ、と豊満な胸がはずみでこぼれ出してしまう。たうん、たうん、と
弾む様子にギャラリーがここぞとばかりに殺到する。
 しゃーっ、とマリアが怖い顔でその野次馬連中を追いやると、すでにしてす
やすやとシズカは寝入ってしまっていた。
「あはははあ、疲れるわあ」
 肩をぽんぽんと叩きながら、マリアは苦笑いして静かに毛布をシズカにもう
一度かけてやっていた。
「それにしても、すごいおムネですこと」
 成熟前に枯渇した自らの果実を少しだけ惜しみながら、毛布越しにもわかる
その膨らみにすこし嫉妬するマリアであった。
「えいっ、こいつめえっ」
 ぴん、と指で先っぽを弾いてみる。
「きゃはん、くすぐったいのぉ」
 予期せぬ小さな犯行であった。
433名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 19:13:36 ID:O3/EyMdL
 暗がりの道の途上に、シズカが目を覚ましたのはマリアの背中の上であった。
「あふ、あんた、ここはどこよお」
「ええ、もうすぐ、お屋敷、ですからね。もうちょい、ですっ!」
 息を切らしたマリアが途切れ途切れの声で答える。
「……って、マリア。お前、ここまで歩いてきたの?」
「ええ、そうですよ、そんなに、遠くは、ないですから」
 はあはあ、と答えるマリアだが、もう三十分は歩きとおしである。
「ったく、貧乏ったらしいわね、お金は出してあげるからタクシー拾ったらい
いだけのことじゃない」
 シズカが口を尖らせる。
「いいえ、奥様、贅沢は、敵ですよ」
 はあはあ、とマリア。実はかなり汗もかいている。背中にいるシズカの胸も
したたかに濡れているのは内緒であった。
「あんた、無理すると腰をやるわよ?」
「いいえ、私も、若い時から、ずいぶんと鍛えているものですからっ」
 会話として整合するのが不思議ではある。
「ってことはもしかして、さっきの料理も……?」
 ちらりとマリアの手首に結わえられている包みに目をやる。
「ええ、もちろんです。食べられないぶんは、包んでもらいましたから、よろ
しかったら、お夜食に、でも、どうぞ」
 うげっ、と舌を出してシズカは嫌な顔をしたが、その一瞬後にはふいに真面
目な顔になって、
「うん、そうね、おにぎりとか残ってたら貰おうか」
 がさがさと、ひったくった包みからしけった海苔に包まれたおにぎりを取り
出していた。
「シャケよねえ」
「シャケですよぉ」
 背中の上で、器用にむしむしとおにぎりを頬張るシズカ。
「でも、奥様はお金持ちのわりに、そんなに食べ物の好みはうるさくはないの
ですねえ」
 感慨深げにマリアはうんうんと頷いていた。実は、晩のおかずなんかも鯖の
煮付けとかチャーハンとか、わりと俗っぽいものが好物だったりするシズカな
のである。
「別に、私だって生まれついての金持ちじゃないんだもん。お金、なんて、そ
う、お金なんてそんなもの……」
 ふいに、シズカの脳裏に古い光景が蘇ってくる。二度と戻らない大切だった
時間を、行き違いから無くしてしまったその場所を。
「ええ、でも、お金がないと借金のカタに、私みたいに若さを巻き上げられて
しまいますから」
 ぽつり、と言葉を漏らすマリア。やはり彼女も少しだけ酔って口が軽くなっ
ていたのだ。
「ばっかねえ、そんなのはちっぽけな問題よ。時間は金で買うものよ」
 
 そう言って空を見上げる二人の頭上には薄雲に隠れてぼんやりと明るい月の
姿があった。
「そうね、そんな楯付くようなことばかり言っている不謹慎なメイドには私と
お揃いの水着で海辺の注目の的になってもらわなきゃね……」
 ゆりかごのように揺れる背中の上で、いつしか暴君は潮騒の夢の世界を見て
いたのだった。夏はもう、すぐそこにまで近づいていた。
434名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 19:17:24 ID:O3/EyMdL
 と、今回はここまでです。続きものを手掛ける中、間にSSをはさむのは大概
にしておこうかな、と自省しているところです。お付き合いありがとうございま
した。また、「読んでいる」とおっしゃってくださった方には本当に感謝してい
ます。この場を借りてお礼申し上げます。
435名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 19:34:51 ID:R9O+JawW
おお、言ってみたかいがあった!

GJであります!
436名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 23:10:54 ID:ux4MbICa
おお!続き来てる
437名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 01:41:53 ID:VLBCFXbp
>>410
最後の所のセリフ間違えてるな
>>「ホント、いつ見ても凄いねーミサキのオッパイ。さすがGカップは違うわぁ。」
→「ホント、いつ見ても凄いねーヨーコのオッパイ。さすがGカップは違うわぁ。」
こう変化しないと
名前はミスしやすいから何度もチェックしたのになぁw
('A`)
438名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 19:14:39 ID:Gm9yNCGp
>>437
ドンマイ!!
すばらしい内容でした!!
439おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA :2010/03/05(金) 17:00:38 ID:GFMNMxSM
※暗いです


同じ親から、同じ日に生まれ、同じ顔を与えられ、同じ土地で育った。
同じものを見て、聞いて、触れて、嗅いで、味わい、同じことを学んだ。
そして、同じような恋をして、同じ顔と結ばれた。
なのに――なのに、どうして?
どうして私は全てを失って、どうしてあの子は何一つ失わないの?
どうして私は独りなのに、どうしてあの子は幸せに囲まれているの?
どうして――私が神様にそう叫んだ夜に、私に悪魔が囁いた。

◆◇◆◇◆

双子はそれほど似ていない。もちろん、一卵性双生児の話だ。
それは私自身、双子だから断言できる。
どんなに顔の造作が同じでも、表情が同じ時は一瞬もない。
どんなに同じ親から生まれ、同じ環境で育っても、全く同じことを感じたわけではないはずだ。
でも、同じ顔に恋をしたことは、確かに私たちは双子なのだと確信させた。
ただ、勘違いしないで欲しい。確かに顔は同じだが、相手も双子だったというだけで、
私たちはそれぞれ別の人と恋に落ちた。
その相手の双子も、私たちと同じくらい似ていない。
そう、双子はそれほど似ていない。そして、そう思っていたのが私だけだったことこそ、
その証拠になるはずだ。


今日もまた、私は姉――由美の家に来ていた。チャイムを鳴らす必要はない。
合い鍵を持っているからだ。
ドアを開けると、そこはいつものように静かだった。
(無人ってわけじゃないのに……)
由美がいるはずだ。しかし、この家は一人には広すぎる。
義兄が亡くなったのは、もう一ヶ月も前になる。
夫とは一卵性双生児で、同じく双子である、私の姉と結婚した。周りはさすが双子だと
はやし立てたが、大きなお世話だ。
義兄は子供を助けるために、交通事故に巻き込まれたらしい。子供は無事だったが、
義兄は打ち所が悪かったと聞いている。
立派な最期だったとは、口が裂けても姉の前では言えない。義兄を失った姉は、
まるで死人のようだった。
その様子が、あまりにも異常だったから、毎日のように様子を見に来ている。
しかし、姉は未だにふさぎ込んだままだ。
さりとて、私が同じ目にあったらと考えたら、強くも言えない。
こんな時、双子同士で結婚したのが仇となった。できればしばらく一緒に暮らしたい
くらいなのだが、夫を見る姉の目が辛すぎる。
440罪双つ ◆2nkMiLkTeA :2010/03/05(金) 17:03:53 ID:GFMNMxSM
とにかく、早く元気を出してもらいたい。義兄には悪いが、誰か別の相手でも紹介
すべきだろうか。ただし、弱みに付け込むような男は論外だ。姉には、嫌でも男は
寄ってくるだろうから、しっかり私が見繕わなければ。
姉は美人だ――私とは違って。
学生時代、明るい姉は学園のアイドルだった。同じ顔でどうしてこうまで違うのかと、
当時は悩んだものだが、同時に姉は私の誇りでもあった。早く、その昔の姉に
戻ってほしい。心から、そう思う。
一応呼びかけながら、玄関を上がり、階段を登る。そして寝室に到着した私は、
ちゃんとノックをし、呼びかけた。
「由美ちゃん、おはよう。ねえ、ご飯持ってきたから出てきて。一緒に食べよう?」
「……うん」
良かった。返事はある。なら、今日は比較的調子がいい日だ。
中から物音が聞こえるが、時間はどんどん過ぎていく。私はそれを、ひたすら扉を
見つめて耐えた。
そして――
「おはよう……」
出てきた由美は、いつものように――いや、返事に反して、いつも以上に生気が
なかった。だから私は、できるだけ明るくつとめた。
「おはよう。下に行こ」
そして歩き出す私の後ろ姿を、少しの間、由美がじっと見てきているのには気づいていた。
しかし私は、気にせず歩き続けた。


朝食を食べ終えて、しばらく雑談する。この一ヶ月、外に出ようともしなければ、
テレビや新聞も読まない姉相手に、私は色々なことを話す。少しでも、外に興味を
持ってもらわなければ。
「……今日、病院?」
いつもは一方的に私が話しかけるだけなのだが、今日は珍しく由美から話題が振られた。
歓喜に心が踊る。しかし、ここで焦ってはならない。
「うん、午後にね」
「もう、四ヶ月だよね。体は?」
「うん。大分楽になったんだよ」
「そう……」
私は今、妊娠している。姉にとって、私の幸せな話題は、不快に感じるかもしれないと、
できるだけ話題には出さなかったが――
(気にしてくれてたんだ……)
こんな優しい姉に、なぜあんな不幸が起きたのか。私は神様を憎んだ。
441罪双つ ◆2nkMiLkTeA :2010/03/05(金) 17:12:58 ID:GFMNMxSM
◆◇◆◇◆

部屋に飾ってあった人形を、抱っこしてみる。軽すぎる感触に、私は肩を落とした。
先ほどの恵美の浮かべていた微笑みが、脳裏に浮かぶ。あれはもしかしたら、
私も手にしていたかもしれない幸せだ。
「う、ああああああ――」
突如湧いた衝動を抑えきれず、私は、腕の中にあった熊のぬいぐるみを地面に叩きつけた。
しかし、柔らかな布の塊には、大したダメージは見受けられなかった。
それがさらに、自分の心を苛立たせた。無言で何度も、何度も人形に足を振り下ろす。
何度も何度も。何度となく足蹴にし、床を突き破れば、私は熊と一緒に一階まで
落ちるだろう。この程度の高さでは不安はあるが、打ち所が悪ければ死ねるかもしれない。
妹は、即死をもたらすものはこの家から取り去ってしまった。今あるもので死のう
としても、妹や、妹が頼んだ家政婦に見つかる。
まだか。まだ熊を、床を突き破らないのか。苛々が増す。ともに疲労も。
私は、何一つ壊すこともできないまま、その場に座り込んだ。すると、
『ひっどい妹だねぇ、ありゃ』
「うるさい」
『あんたの前で、あんな幸せそうに話すなんてよ。ここに来てるのだって、世間体とかを
気にしてだろ。その上、死ぬ自由すら奪うなんて、酷すぎる』
気付けば視界の端にいた薄汚い男が、頭に手を当てて、芝居がかった挙動で首を振っていた。
『そんな妹を、なんで庇うかねぇ』
「恵美は、ほんとに優しい子よ……自分だって今辛いのに、私のためにこんなに……」
『だが、その辛さの先には幸せが待っている』
悪魔だと名乗ったその男は、人を馬鹿にした笑顔を決して絶やさなかった。
こちらが何を言っても、それを否定する言葉を返してくる狡猾さは、昨夜で嫌と
いうほど味わった。無視が一番だ。
『おや、寝るのかい?』
何も言わず、ベッドに横たわる。
『食っちゃ寝ってのは、健康に悪くないかい?』
悪魔が何を言う。
『ま、俺がいい夢見せてやるよ』
(え?)
どこまでも楽しげに、笑みと同じ声音を絶やさない。この男の存在全てが、全ての
ものを嘲っている。
その嘲笑に包まれて、私は眠りの世界に落ちた。
そしてそこで見せられた、私の望む夢に包まれて、私の心は闇に堕ちた。
442罪双つ ◆2nkMiLkTeA :2010/03/05(金) 17:15:44 ID:GFMNMxSM
◆◇◆◇◆

今日もまた、私は姉の家に来ていた。いつものように、鍵を開ける。
家中は、今日も静寂に包まれていた。その張り詰めた静けさを切り裂くように、
姉に呼びかける。
返事がないまま、階段を上り、寝室に到着した。今日もノックをするが、今日は
返事がなかった。
「入るよー」
少し待ってから、ドアノブに手をかける。この部屋には、鍵がかけられないように
なっているため、容易く開いた。
ゆっくりと扉を開ける。部屋の中は、いつものように真っ暗だったが、私の背中から
差し込む光と対峙するように、由美が立っていた。
「なんだ――ひっ」
俯いていた姉が顔をあげた。伸びっぱなしになっている前髪から覗く視線から、
尋常ではない気配を感じて、息を呑む。その姿は、怨霊めいていた。
『どうも』
「ゆ――え?」
声をかけようとして、いつの間にか視界の端にいた男に、逆に声をかけられた。
「あなた、なんですか……?」
見覚えはないし、姉の知り合いとも思えない。薄汚い姿は、ホームレスを思わせる。
なにより、人を馬鹿にしたような笑みをはりつけたこの男を、本能が危険だと告げている。
「警察を――」
『じゃあ、夢の始まりだ』
こちらを無視して、由美に話しかけるその男。関係ない、本気で警察を――携帯を
取り出そうとして、入れていたはずのポケットから取り出せない。
早くしないとあの男が何をするか――
「え?」
睨みつけようとして、男の姿は、泡と消えていた。いったい何処へ――部屋を見回す。
(え?)
すると、おかしなことに気づいた。私は扉から動いていないはずなのに、部屋の
中にいた。そして逆に、扉のところには由美が立っている。私と同じ服装で。
(なに?)
そういえば、先ほど携帯を取り出そうとした時の違和感を思い出し、下を見る。
私が着ている服も変わっていた。由美が着ていたような、ゆったりしたものに。
「ねえ、由美……さっきの――」
気がつけば、目の前に来ていた由美に蹴り倒され、彼女がのしかかってきた。同時に、
由美の手が、首にかかる。それは、万力のように締め付けてきた。
「がっ、かぁ……」
「死んで。お願い。ねえ。死んで?恵美」
443罪双つ ◆2nkMiLkTeA :2010/03/05(金) 17:17:58 ID:GFMNMxSM
恐ろしい力だった。この一ヶ月で、まるで病人のようにやせ細った体とは思えない。
逆に私は、まるで力が出せなかった。
「あなたが死ねば、全部戻ってくるの。全部。全部――あの人も、帰ってくるの!」
「や…………やめ…………」
「大丈夫、あなたは死なない。私があなたになるんだから。死ぬのは私。死ぬのは由美」
「…………」
ごぼごぼと、何かが溢れてくる。もはや、意識は途切れ途切れだった。
「赤ちゃんも、大事にするから」
――――
「だから。だから、ごめんね。あなたなら、きっと天国に行けるから。ごめんね」
――――同じ顔を、二つ見ていた。倒れて弛緩している女と、それにのしかかる女。
それを、横に立って、私は無感動に見ていた。
馬鹿だな、お姉ちゃん。私は死んだのに、まだ首を絞めて。
首を締めるのと同じように、いつまでも謝り続ける姉を、ずっと見ていると、声が
聞こえた。その声の主は、自分を悪魔だと名乗った。

◆◇◆◇◆

「由美!」
「……孝治さん」
警察署の中だが、駆け込んできたその男は、構わずに大きな声で呼びかけてきた。
「由美、義姉さんが……本当なのか?」
「ええ、見つからないの……」
違った。先ほどつぶやいた名前ではなかった。この人は隆治。妹の――いや、今の自分の夫だ。
「警察には?」
「全て話したわ……今、探してくれてるって……」
でも、この人の中に、あの人の魂は入っているはずだ。それを呼び起こせるかどうかは、
私次第だと悪魔は言っていたが。
「由美……兄さんのことといい、どうして……」
今はまだ、愛する人ではないけれど。愛する人と同じ顔に抱きしめられて、私は、
昨日見た由美が見せた笑顔と、同じものを浮かべた。自分のお腹を撫でながら。

◆◇◆◇◆

まったく、ちょろいねぇ。一気に双つも魂を頂けるとは、本当にちょろい。
ちょっと嘘を見て聞かせただけで、妹を犠牲にする姉も姉だがよ。
同じものを見せられて、自分の子供を犠牲にする母も母だわな。
ま、ごちそうさま。
444おっちゃん牛乳 ◆2nkMiLkTeA :2010/03/05(金) 17:20:00 ID:GFMNMxSM
以上。
将来的にこの家族は、そっくりの顔をした母と娘でお父さんを取り合って、血で血を
洗う修羅場を〜(以下略
445名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 01:35:52 ID:i6bUpF4n
次スレはまかせろー
446名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 01:37:36 ID:i6bUpF4n
女同士の肉体の入れ替わり・憑依 その4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1267807016/
447名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 08:52:26 ID:i6bUpF4n


┐ ∧,∧ 次スレは任せろー
..| ( ....:::::::)
 ̄⊂/ ̄ ̄7lヽ,,lヽ
 と/ / / /(    ) やめて!
   ̄TT ̄ と、  ゙i 
448名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 13:58:22 ID:1QaGvZw8
>>447
同じこと思ったwww
449名無しさん@ピンキー:2010/03/06(土) 22:47:37 ID:CS/U7BXf
バリバリ
450名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 13:50:20 ID:Pk/oo0pi
うめ
451名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 13:51:21 ID:Pk/oo0pi
     ∧_∧
     ( ・ω・)
     (っ  つ囗
     ./   )      チャリーン
     ( / ̄∪    _ _ lヽ,,lヽ
       _| ::|_       | |Θ|(    )
  | ̄ ̄ ̄| ̄ ̄|_ |_|_|と    i
  |___|__|_|  |_|  しーJ





     ∧_∧
     ( ・ω・)
     (っ囗と) バリバリ
     ./   )
     ( / ̄∪    _ _ lヽ,,lヽ
       _| ::|_       | |Θ|(    ) やめて!
  | ̄ ̄ ̄| ̄ ̄|_ |_|_|と    i
  |___|__|_|  |_|  しーJ
452名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 13:52:58 ID:Pk/oo0pi
     ∧_∧       ∧_∧
     ( ・ω・)      (; ' A` )
  三 (っ囗と)バリバリ (つ   ,ノつ
  三 人 ヽノ      / ゝ 〉
   (__(__)     (_(__)


                ∧_∧     ∧_∧
               (;Д⊂彡  三(・ω・ )
              ⊂    ノ  三三(っ囗と)バリバリ
                人  Y    三(_,\ \
               し (_)        三___)


       ∧_∧     .   .    ∧_∧
       ( ・ω・)    ::∧_∧:   (・ω・ )
      (っ囗と)バリバリ:( ∩∩ ).    (っ囗と)バリバリ
      ./   )    ::(´ ノ ノ::     (   \
       ( / ̄∪     ::( ̄__)__)::    ∪ ̄\)
453名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 13:53:28 ID:Pk/oo0pi
   ∧_∧   \      J( 'ー`)し          /
   ( ・ω・)    \ バリバリC□l丶l丶       /    ∧_∧
   (っ囗と) バリバリ \    /  (   )やめて!/    (゚ω゚ ) 支払いは任せろー
   ./   )       \  (ノ ̄と、 i    / バリバリC□l丶l丶
   ( / ̄∪    __ lヽ,,lヽ   ∧∧∧∧  /      /  (    ) やめて!
    _|. ::|_      | |Θ|(    ) <   マ >       (ノ ̄と、   i
| ̄ ̄ ̄| ̄ ̄|_ |_|_|と    i. <   ジ >           しーJ
|___|__|_|  |_|  しーJ < 財 ッ >         
―――――――――――――< 布 ク >―――――――――――――――――――
                    <の テ >\      /^`''-..,
  「バリバリ〜〜♪」     /< 予  l  >.  \   //  /`〉゙'.,
    /■\   /■\  / < 感 プ >   .\ //  / /;;::|
   .( ´∀`)  ( ´∀`)/   <  !!! 式 >    //  / / ;;:::/
  ⊂    つ⊂   /     <     >     ヤ,\/ / ;;::/
   .人  Y   人/        ∨∨∨∨      ヤ, V/ ;;::/ ミ バリバリ
   し'(_)   /  乗せてやんよ!  .,... -―――――ヤ,//7::/  ___
                     ,,..-''"(´・ω・`)    ヤ,/_;;:::/ヽ、\皿#,,\
              ,,.. -''"゙゙;>ー―---――;=''''"゛゛⌒ヽ, ̄ィ7  /〉  ''´ ̄`i マジック
            ,,. '"  ,,.'"        /    /   ヽェソ 乃▲ /,r'⌒!'  テープ式!?
          ∠二フ/___,___/∠二フ/  r'⌒ヽヽ_/´   //∩ i    lヽ,,lヽ
         〔`゙`ー―――――――――'''''"゙´   / ∩ |  ̄___!/ノ ∪ノ   (    )
          〉同〉―― [二二] ―――j同>=:;つ_ノ ∪ノ/ ̄  `ー―''´    と   i  
454名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 13:54:55 ID:Pk/oo0pi
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     ( ゚ω゚ ) 支払いは任せろー
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     /  (   ) やめて!
     (ノ ̄と、 i
        しーJ

     ∧_∧
     ( ゚ω゚ ) ・・・・
     C□l丶l丶
     /  (   ) ・・・・
     (ノ ̄と、 i
        しーJ

     ∧_∧
     ( ゚ω゚ ) 
   バリC□l丶l丶
     /  (   ) 
     (ノ ̄と、 i やめて!
        しーJ
455名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 13:56:04 ID:Pk/oo0pi
     ∧_∧
     ( ゚ω゚ ) 支払いは任せろー
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     /  (    ) やめて!
     (ノ ̄と、   i
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     ∧_∧
     ( ゚ω゚ ) ・・・
 バリバリC□ l丶l丶
     /  (#   ) ・・・
     (ノ ̄と、   i
            しーJ


     ∧_∧
     ( ゚ω゚ )ヘ
 バリバリC□⊂)#)  やめてって
     (つ .とノ)
     (ノ ̄(ノ/
        し'⌒U


            ミヘ 
.          〃 _⊂_〃 ヽ 
      〃 /   つ)  ) バリバリ
       /   / V __  )
       し'⌒∪  ∨ ∨

  言ってるでしょうが!
456名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 13:56:24 ID:Pk/oo0pi
     ∧_∧
     ( ゚ω゚ ) でもこれがポーターの財布だとしたら?
    C□l丶l丶
     /  (   ) ・・・
     (ノ ̄と、 i
        しーJ

     ∧_∧
     ( ゚ω^ ) 
 バリバリC□l丶l丶
     /  (   ) ふしぎ!抱いて!
     (ノ ̄と、 i
        しーJ
457名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 13:56:59 ID:Pk/oo0pi
     ∧_∧
     ( ゚ω゚ ) では血圧を測ります
 バリバリC□l丶l丶
     /  (   )
     (ノ ̄と、 i
        しーJ
458名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 22:15:24 ID:dK8g6mRa
伸びてると思ったら・・・
     ∧_∧
     ( ゚ω゚ ) 入れ替わりは任せてー
バリバリ⊃CCl丶l丶
     /  (   ) やめて!
     (ノ ̄と、 i
        しーJ
460名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 21:11:21 ID:TlPbfpBb
私、男だけどアマゾンから送られてきた荷物をカーチャンに開けられた 死にたい。。

     
     J( 'ー`)し んま!最終痴漢電車2!
 バリバリC□l丶l丶
     /  (   ) まじでやめて!
     (ノ ̄と、 i
        しーJ
461名無しさん@ピンキー:2010/03/09(火) 21:18:36 ID:eWPHu4rO
ふと思いついたネタなんだが、高値の花のお嬢様を犯したいから
自分の良いなりになる女と共謀して入れ替わり、知らない内に体を
散々開発しきってやるっていうシチュは既出?
462名無しさん@ピンキー
保管庫に似たようなのがあったな、お姫様と娼婦を入れ替えるやつ
知らないうちにじゃなくて目の前で色々やってたけど

まあそういうのは新スレで言ってみるといい