_人人人人人人人人人人人人人人人_
> ごらんの有様だよ!!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
_______ _____ _______ ___ _____ _______
ヽ、 _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、 ノ | _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、 |
ヽ r ´ ヽ、ノ 'r ´ ヽ、ノ
´/==─- -─==ヽ /==─- -─==ヽ
/ / /! i、 iヽ、 ヽ ヽ / / /,人| iヽヽ、 ヽ, 、i
ノ / / /__,.!/ ヽ|、!__ヽ ヽヽ i ( ! / i ゝ、ヽ、! /_ルヽ、 、 ヽ
/ / /| /(ヒ_] ヒ_ン i、 Vヽ! ヽ\i (ヒ_] ヒ_ン ) イヽ、ヽ、_` 、
 ̄/ /iヽ,! '" ,___, "' i ヽ| /ii"" ,___, "" レ\ ヽ ヽ、
'´i | | ! ヽ _ン ,' | / 人. ヽ _ン | |´/ヽ! ̄
|/| | ||ヽ、 ,イ|| | // レヽ、 ,イ| |'V` '
'" '' `ー--一 ´'" '' ´ ル` ー--─ ´ レ" |
いちおつ
>>1 乙←こ、これは乙じゃなくって達人の投擲斧うんぬんかんぬん
前スレが埋まったか
そして前スレが終わり、新スレは続く!
>>1乙です。フィーの先鋒4000字ほど入ります。全年齢は全年齢…
前スレで迷ったプロットをまとめました。どなた様もトリあぼんでご協力ください
※一部大変不謹慎な場面を含みます。あらかじめご了承ください
いつも掴みそこねては、するりとすり抜けていく手。いつもいつも寸でのところでとりのがす。なぜ肝心の時に
限って捉まえられないのか。からかう様にかろやかに、けれど何の悪気もなく、実に簡単に逃げていってしまう。
守ってやろうと思ったものが次々に痛みを受けて、その度にどうにかしようと躍起になって空回りしては、結局
大怪我をする羽目になる。いつもいつも。かの者しか絶つ事ができないというくびき。忌々しい鳥の指す者が、
俺じゃないことはわかってた。てっきり俺と同じ孤児と思ってたフィーには親戚がわんさかいることもわかった。
けれどとても素直には喜べない。とある誰かのためだけにある家系。酷くばかげた話であまりにもあまりにも、
…ちくしょう。俺に学があれば何かこう、ぴったりのいい言葉がおもいうかぶのに…。
見上げるばかりの巨大な空間。煌びやかな石棺を残し、姿をくらました死者の王は一体どこだろう?他の者は
なんども打ちのめされながら、覇者にしては狭すぎる終の棲家の中でちんまりと時を過ごしていたというのに。
空の棺を背にして舞台のようにせり上がった広間に近付いてみる。異様に足音が反響して不安が募る。ここは
全ての元凶、呪いの中枢、タイタスの心臓部。ランタンの灯りでは小さすぎる。俺の器も小さすぎる。連れは
子供と雑貨屋の娘。俺はただのチンピラ。帝王様は一体どんな気分だろう?おそろいの猫耳帽子の連中と共に
小麦粉をまき散らしては逃げ回り、倒しても倒しても倒しても倒しても、のっそり起き上がってくる、やけに
脇が色っぽいおっさんを振り切って、一斉になだれ込んできたのがこの場所だ。死人もよろしくやっている。
言ってみればホンモノの死者の街というやつなのだろう。遺跡なんてどうみても唯の崩れかけた家に思えるし、
発掘品なんてがらくたにしか見えないし、俺は馬鹿だから物の価値なんて小銭にでもしないと理解できない。
それでなお、この巨大な墓室にある用途の分らないものの数々は、一生食うに困らない価値があることは理解
できた。誰かの為でなく、死人へのはなむけとして投じるには高すぎる金額。タイタスという人間が分らない。
「パリスー…」
怯えたネルの声色にはっとして気がついた。知らぬ間に膝までひたっていた不気味な影は、鎌首をもたげる。
声が何かいってる。よくは分らん。地の底から響くような下っ腹のしびれる低音は、なにかの呪文のように
ささやき続ける。ここは一つ挑発しつつ弱点を探そう。ええとなんだ、ほら、なんか言え俺。怖いんだよ。
「うるせーぞこの死に損ないが!!!ちったあ子孫の役に立て!!」
無視された。というか曲がりなりにもフィーのご先祖様だ。きちんと挨拶すべきだった?じわじわと陣形を
狭めながら前衛に入って構えを取る。やがて濃密な黒い霧はついにその姿を現した。
「実る葡萄は摘み取られるが運命。収穫を拒む麦は存在せぬ」
小さな声が言葉をさえぎった。
「…てくれますか…」
奇妙な沈黙。白い靴が足をそろえて一段上がる。
「…そしたら、みんなのこと守ってくれますか」
死者の街の盟主は意味がわからないという顔をする。少女は大きく息をついて顔を見上げる。
「私がついていったら、ホルムの、みんなのことを、守ってくれますか」
緊張から今にも泣き出しそうに天礼衣の裾を握り締めて、必死に声を張り上げる。
「おいしいぶどうは農家の人がお世話をするから実ります。小麦は農家の人が大事にしてくれたお礼です」
もう一段、さらにもう一段。タイタスはふしぎそうに小首をかしげる。
「だから、だから、かわりに、みんなのこと、…あの…」
顔は分らない。だがタイタスのにやりと笑った気配を感じて叫んだ。
「フィー!行くな!!」
今度こそ逃がさない!駆け昇って体をとらえた瞬間、真後ろからどすの利いた怒鳴り声。
「ふせてー!!!!」
びりっという音に反射的に覆いかぶさって階段から転がり落ちる。なにやら強烈な破砕音、というか、え?なに?
がらがらと何かが降り注ぎ、階段の下のほうで黒曜石のパネルにがっしと左足をつき、棺おけを担ぎあげて今しも
投げつけんと、力いっぱい振りかぶった者がいる。人はひとことそれを勇姿と称す。
「おんまあえなんかに…ふわったさなあああああいいいいい!!!!!fvgbんmjkl!!!!」
何語だ。黒いものが頭を掠って壇上に突き刺さると砕け散る。顔を上げれば瓦礫の山ができている。タイタスは?
フィーは?ネルは?身を起こすとフィーは体の下で縮こまっている。段の下では腰を落とした体勢のまま、ネルが
ぜいぜいと肩で息をしている。怖い。タイタスは屈んで手を差し出していたのが悪かった、もろに石棺を食らって、
今はただ白い足の裏を、本来は永久なる安息の褥であったはずの瓦礫の中から晒しているばかりだ。
→タイタス1世、ワインドアップの投球モーションから自分の石棺を投げつけられて死亡…
その時、はるか頭の上から聞こえた声は次第に遠ざかっていく。思わず爪先立ち。
「余が与えた運命から逃れたか・・・。だがー」
「ばーかばーかばーか!!!!ばあああああかああ!!!べぇええだ!!あっかんぶえええええだああ!!!」
わんわん反響する金切り声。ネルはずんずんと歩み寄ると目を丸くして固まっているフィーの腕をひったくる。
「もういい!帰るよ!んべえぇーっっだ!パリス!!」
「うわっ、ああ…あ?お前、あれ?え?何、え、どうなってんのこれ」
「しらない!」
二の句も継げずあとを追う。見てはいけないものを見た…。あれは幾らなんでも故人に対してあんまりなんじゃ、
うっかりそんな想いが顔に出たのか振り向きざま怒鳴られた。
「こんなのご先祖なんていわないよっただの意地悪じゃない!フィーのことこんないじめて!!!絶対許さない!」
怖い。フィーは手をひかれながらしくしく泣いてる。
「絶対フィーは渡さないよ!絶っ対!わかった?!もう絶対あんなこと言わせないもん!約束だよっフィー」
ネルは酷く興奮してぼろぼろと涙を零し始め、ひしと抱き合って泣き崩れた。俺は冷や汗出てきたところね。
「みん…なが、いなく、なっちゃう…なら、それよりぅはっそれならっ…て、思って、だか…ら、それで」
ひっくひっくと泣きながら訴える。ふがいない。しゃがんで顔を覗くと腹積もりが決まった。
「俺はどこにでもいるごろつきだし、こいつはただの金物屋だし、いやそうでもないか、まあ見た目はただの町人だ。
ろくな魔法も使えねえし、こそ泥じみた真似しかできねえけどさ。お前を犠牲にして美味しくおまんま食ったりは
出来ねえよ。そりゃ確かに頼りないだろうけどよ…皆で考えればどうにかする方法くらい見つけられるさ」
顔をマントで押さえたままこくこく頷く。このまま勢いで押し切ろう。思い出してみろよ、と水を向ける。
「泉にはまって外に出られなくなったときだって、ちゃんと帰ってこれたろ?そしたらキレハと友達になれたよな。
古代都市は半年も閉じ込められたけど、ふしゅるーぐごごごー(注)と友達になれたじゃんよ。街が包囲されたとき
覚えてるだろ?キレハのこと助けてやれたじゃないか。皆一人ひとりゃしょっぱいけど、鼻突き合わして話せばさ、
いい考えってのが某かあるもんなんだよ。な?」
勿論俺には全く策がない。断言しちゃったィエーイ! 注)今日はご飯がとてもおいしいな、と言っておられる
「うん…わかった。ネルもパリスもごめんなさい。それから、どうも有難う」
「俺らのこと心配してくれたんだろ?わかってるって。な」
「そうだよっフィー。一緒に戻ってさあ、みんなと相談してみよ?」
「うん!…そぉだ!」
何が?と聞く前に駆け出したのでネルを助け起してついていく。長い階段を小走りになって不思議な泉に向かう。
ネルがあまりに遅いから荷物を片方持って後を走る。けどなんか、重くねーかこれ…。ひーひー言って追いつくと
フィーはつま先だって泉の淵に乗り出して、懐から取り出した羊毛フェルトの巾着袋をさかさまに振っている。
「ー…いらないよ、こんなのいらないもん!」
青いの緑の、ちいさいの。赤に黄とそれに月長石がこぼれ落ち……水面から伸びた白い腕が現れて…おばけ?
思わず後ずさると、不思議な明るさに包まれ、それが体を通り越して空間全体を照らし出すのを感じた。濃い霧に
閉ざされた湖に、爽快な青空が広がるような暖かな光に見とれているとフィーが手を伸ばして何かを受け取り、
大事そうに掲げて示す。
「かえせばよかったんだぁ!」
「なにが?もしかして、今のはかまぼこ板の人か?」
「うん!河の女神様が助けてくれたんだよ!」
神様ってかまぼこ食うのか。フィーの顔を見る。こすりすぎて涙の後が赤い笑顔だ。膝をついていたネルが叫ぶ。
「それじゃとんでもないとこにゴカイ垂らしちゃったじゃーん。怒ってないかなー」
「…あやまるの忘れちゃったねぇ」
俺なんか、何回河に向かってションベンしたんだよ。くらくらしてきたが、ふと思い出す疑問。
「なあそういやさ、さっき、なんか破ける音しなかったか?」
「えっ、聞こえてた?!」
ネルの顔が真っ赤になって口ごもり、マントの裾を引き被って逃げ出す。なんじゃそらあ?いぶかしんでいると
フィーが寄って行って耳打ちしあい、こちらによそを向くように言ってきた。なんだ?うんこもらしたんか?
「…うまく縫えそぉ?」
「うん。まっててね」
背伸びを装ってちらちら見ると、フィーはひざまずいてネルのマントのなかに入り込み、背中の辺りでもそもそ
している。こんな場所で二人羽織にいそしむ二人組…眩暈が…だめだこいつら、将来が心配すぎる。
「でーきたっ。もう平気だよ!」
「よかったー吃驚しちゃったよー歩けないんだもおん」
「なんだよ、大丈夫なのか?どっか怪我でもしたのかよ」
「してないしてない」
「どこも怪我してないよっ、ほんとだよ。ね!」
「ほんとほんと、してないしてない、ね!ほら、かえろかえろ!おいてくよ!」
「へいへい。ったく重てえ鞄だな。何いれてあんだ?こんなのどうすりゃ二つも持ち歩けるんだよ」
「なにって、こっちは鉱石でしょ、あとミスリルでぇ、ほら!宝石!お守りの材料になるでしょ?それからあ…
じゃーん!金糸綴竜鱗甲冑でーす!へっへーんいいでしょ。アルソン君にでもあげようと思って持ってきたんだ!」
「すごいねー!ネルほんもののお店屋さんみたい」
はぁ…。もう帰ろ。
勝った!第1部完!!
お粗末さまでした。
GJ!ごっつおぉーさんですた
>>1乙
>>13 さっそく乙!
フィーかわいいな
あと前スレラストもGJでした
出だしと
>「君から学ぶものは何もないなぁ」
>「何しにきたんだよド畜生ーッ!!」
これ吹いた
ネル最強説浮上w
GJです!
ネルもフィーもかわいいしパリスは相変わらず苦労人だしw
しかし、こんなかわいそうな倒され方した一世さんは初めてだw
あと、投げた石棺が最初二世のだと思ってたよw
後はアーガデニウムか、しかしこの幼馴染たちチュナとパリスが一番神経使いそうだねw
GJ!
パリス結構良い奴だし、苦労してるのに
一向に報われないところが壺だw
>>13 GJ!なんかもう、フィーが可愛すぎる。
素敵な新スレ1本目をありがとうございました!
ヴァンと変人達で一本出来たよー……と思いきや、
中心人物が早速被っています。すまんッ……すまんッ……!
全年齢向け。エロ分は各自で補完お願いします。
19 :
1/7:2009/09/12(土) 03:50:52 ID:O9c5CZJo
地下の大廃墟と、この得体の知れない町を行ったり来たりでもう何日になるだろう。
ただでさえ頭が痛い状況なのにも関わらず、
どうもこの町に来て以来、常にトラブルに付き纏われている。
初めてここに来た時には思わず衛兵をぶん殴ってしまっていつの間にやら賞金首に。
腹を空かせて入った酒場では世紀末なチンピラに因縁をつけられ、
そしてこの状況だ。
「ヴァン、ネル!立ち止まるなよ!!」
後ろからはこの町の平和を守る衛兵様が全速力で俺達を追ってきている。
どうせならあのチンピラ共を追い駆けて欲しかった。
土地勘が無いおかげで、撒くのも一苦労だ。
ああ、早くホルムに帰りたい。
「ぜぇ、はぁ……どうにか撒いたみたいだな」
裏路地へと勘を頼りに深く深く入り込んで、ようやく一息つけた。
やってて良かった裏家業、とでも言うべきか。
「はぁ〜……あれ?」
パリスが何かに気付いた。
「ネルは……?」
……周囲を見回すが、どこにもいない。
嫌な予感がする。嫌な予感しかしない。
20 :
2/7:2009/09/12(土) 03:52:11 ID:O9c5CZJo
――――……
二人とも、足が速いのは良いけど、付いて行く身にもなってよ!
ああ、でもそんな場合でも無いか、今は。
まだ兵隊さん達が追っかけてきてる。
大体、ヴァンがいきなり兵隊さんを叩くからこうなったんだよね。
ホルムに戻れたら、それなりの謝罪をしてもらおう。
……戻れるのかなぁ、私達。
そうだなぁ、やっぱり逃げ切ったらすぐ謝罪してもらおう。
土下座……土下寝……焼き土下座!
うん、それで行こう!
「いたぞ、あの女だ!」
なんか裏路地の方から声が聞こえた。
そう思った次の瞬間には、私の身体には鎖が巻き付いていた。
「え、え?」
思い切り引っ張られた先には、モヒカン頭のチンピラがいた。
「探したぜぇ?グラガドリス様がご指名だ」
グラガ……?ああ、さっきの酒場のおっきい人だ!
思い出した時には、鎖がグルングルンに巻き付けられていた。
「何すんのよ!!」
「ちょっとだけ、寝てろよ!!」
何これ、頭が痛い。……殴られた?
あ、なんか目の前が真っ暗に……
ヴァン、助けて――――
21 :
3/7:2009/09/12(土) 03:52:50 ID:O9c5CZJo
目が覚めると、そこは薄暗い部屋の中だった。
広い部屋だけど、すごく臭い。
でも、冷たい床の感触がちょっと気持ちいい……
……待って、なんで私裸なの!?
ていうか、手も足も縛られてるし、口も猿ぐつわされてる!
「ふしゅるるるるるるる……」
え、何!?
「グラガドリス様は、『ようこそ、我が居城へ』とおっしゃっている!!」
さっきのおっきい人が、身体に見合ったおっきい椅子に座ってた。
通訳の人は、その横にピシッと立ってる。
「ふしゅるる、ふしゅしゅるる……」
「グラガドリス様は、『俺の女になれ』とおっしゃっている!!」
いやいやいやいやいや、ちょっと待ってよ。
いきなりそんな、エッチな本のヒロインみたいな状況にされても……
「ふしゅ、ふしゅしゅるる……」
「グラガドリス様は、『これはお願いでも命令でも無い、決定事項だ』とおっしゃている!!」
そんなの決定されても!
「……ふしゅ、ふしゅるるる」
「グラガドリス様は、『話は後だ。存分にまぐわおうぞ』とおっしゃている!!」
まぐわ……冗談でしょ!?
おっきい人が着ていた服を引き千切った。勿体無い。
脱いでもやっぱりおっきかった。……下の方も。
ぶら下がってたそれは、どんどん大きくなって立ち上がる。
あんなの無理!絶対死んじゃう!!
「ぬぅ!!」
「めぽぉ!?」
通訳の人が殴り飛ばされた。
一歩一歩、おっきな人が近付いて来る。
嫌、もう嫌……
22 :
4/7:2009/09/12(土) 03:53:35 ID:O9c5CZJo
――――……
「なんだぁ手め……あべし!」
「こいつ等、あの女の連れの……!」
「やべぇ、強いぞこいつ等!!」
チンピラ達を蹴散らして、ネルを探す。
逃げ延びた先の路地で起きたのは、紛れも無く奇跡だった。
「おう、引き上げだ。あの女捕まえたそうだぜ」
「酒場の女か。これでグラガドリス様もご満悦ってワケだ」
「今頃あの女、ヒィヒィ言わされてるんじゃねぇか?」
「かも知れねぇなぁ」
「そんでもって、グラガドリス様が飽きたら今度は俺達に……」
「かも知れねぇなぁ!フヒャハハハハ!!」
そんな会話を目の前でしていたのだ。
当然、やる事はひとつだ。
いくらネルが人並み外れた怪力の持ち主だとしても、
あの巨漢相手じゃ流石に分が悪い。
手遅れになる前に、助け出さなければ。
「クソ、無駄に広い隠れ家に住みやがって!」
パリスが雑魚を散らしながらそうぼやく。
屋根裏の我が家が今となっては懐かしい。
……その時、僅かな揺れを感じた。
小刻みに、一定のリズムで起こる僅かな揺れ。
もし、あの巨漢がネルに対しそういう行為をしたとすれば……
「上の階だ。行くぞ、ヴァン!」
階段を駆け上がる。間に合ってくれ!!
23 :
5/7:2009/09/12(土) 03:54:57 ID:O9c5CZJo
「このッ!このッ!このッ!このッ!このッ!」
振動の正体はこれだった。
ネルが全裸で、全裸の巨漢に跨り……もとい、馬乗りになってぶん殴っていたのだ。
しかし、一体何でこんな事に……
「おい……何なんだよ、あの女……」
足元に転がっていたチンピラが口を開いた。
「縄も猿くつわも引き千切ったと思ったら、グラガドリス様をぶん投げて……」
「じゃあ、ネルは無事なんだな?」
パリスが問い質すと、チンピラは頭を縦に振った。
「このッ!このッ!このッ!このッ!このッ!このッ!このッ!」
ネルが一発殴る度に、巨漢の四肢がビクンと跳ね上がる。
……このままでは、殺しかねない!
「おい、ネル!もうよsぶべら!!」
駆け寄ったパリスがネルの無心の肘鉄を喰らった。
お願いだ、ネル!お前まで真人間をやめないでくれ!!
決死の思いで、ネルの荒ぶる拳を掴み取った。
「……ヴァン?助けに来てくれたんだ!!」
そう言って、ネルが俺に抱きついた。
首に回った両腕から、血の臭いがする。
というか、なんか色々当たってる。
頼むから、まず服を……
「……ん?キャア!ヴァンのエッチ!!」
殴られた。謂れも無い暴力だ。もうやだこの幼馴染。
24 :
6/7:2009/09/12(土) 03:55:44 ID:O9c5CZJo
「痛いよー……」
ネルの両手はすっかり腫れ上がっていた。
刺さっていた巨漢の歯を抜き取り、応急処置を施す。
雑菌が入ってなければ良いが……
「おい、起きたぜ」
パリスの声に振り返ると、顔面がボールの様に腫れ上がった巨漢が目を覚ましていた。
念の為、身体は簀巻きにしてある。
「ぶ、ぶじゅる……」
「グラガドリス様は……駄目だ、何を言ってんのかわかんねぇ……」
さて、どうしようか。
魅力的な賞金は懸っているが、立場上こいつを引き渡す事は不可能だ。
「あ、あの、すいません」
不意に、通訳が口を開いた。
「このアジト、丸ごと差し上げます。水や酒や食料も蓄えてるんで、どうかそれで……」
それで、命を助けて欲しいとの事だった。
悪くない。俺達はその条件で手を打った。
……と、その前に。
「ぶじゅッ!」
「ぐ、グラガドリス様ァー!?」
巨漢の顔を一発だけ蹴っておいた。いい気持ちだ。
25 :
7/7:2009/09/12(土) 03:56:20 ID:O9c5CZJo
結局、その後も波乱は続いた。
うっかり闘技場のチャンピオンになってしまったり、
奴隷商人とのいざこざで更に悪名を轟かせてしまったり、
魔将を名乗る騎士を討ち倒したり。
ただ、ようやく俺達は見知った洞窟へと帰って来れた。
きっとみんな心配してるだろう。
外へと踏み出す寸前で、ネルに手を掴まれた。
「あのさ、なんだか遅くなっちゃって今更だけど……助けてくれて、ありがとう」
……助ける必要が果たしてあったのかはともかく、
無事に帰って来れた身の上で、この笑顔を見る事が出来た。
それだけでも、良しとしよう。
その後、俺達を待ち受けていた幾つもの波乱を、その時はまだ知る由も無かった。
お粗末様でした。いい加減このメンツに頼るのも潮時ですかね?
小刻みな揺れワロタ
まあそういう展開だとは思ったがw
そしてやっぱり酷い目にあうパリスwww
GJ!やっぱネルは可愛いなぁ
ひでえ落ちだwww
可愛い顔してシグルイの藤木ばりに無刀でも凶器そのものとか。
ネル「野良犬相手に表道具は使わないよ」
温かいレス、ありがとうございます。
脱・ヴァンと爛れた仲間達を目指して1レス微エロ。
――――……
ホルム領主の屋敷、その一室のベッドの上には2人の若き騎士が居た。
「あの、ウェンドリンさん。本当に……やるんですか?」
「私をここまでしておいて、今更怖気付いたのか?」
アルソンからの告白は、ウェンドリンにも予測出来ていた。
ただ、想定外だったのは告白を受理した次の瞬間、ベッドに押し倒された事。
更に想定外……期待はずれだったのは、押し倒しておいて怖気付かれるという状況。
「ほんの今さっき、私を愛していると言ったのはどの口だ?」
「いや、僕は……ま、舞い上がっただけなんです!もっと、しっかり順序を踏んで……」
「良い子の手順なんて必要ない。……言い訳ばかりのその口が悪いんだな」
ウェンドリンの唇が、二の句を告げようとするアルソンの唇を塞ぐ。
見る見る紅潮するアルソンの顔を見つめながら、攻め立てる。
攻める。攻め立てる。攻め……ない。
ウェンドリンには致命的な弱点が存在した。
キスのその先を一切知らないのだ。父であるカムールの溺愛が招いた弊害である。
こうなってはアルソンのエスコートを頼る以外の術は無い。
「あ、あの、うううぇうウェンドリンさん……」
「どうした?」
「僕、こういうのどうすれば良いかわからなくて……」
時計の針が進む音だけの響く室内で、2人はただ顔を赤くするだけだった。
「……もう夜も遅い。寝ようか」
「は、はい……それじゃ、失礼します……申し訳ありませんでした……」
「ああ、待った。とりあえず、一緒に寝よう」
「は、はい……」
こうして二人の初夜は、グダグダの末に幕を閉じた。
遺跡を探索する中で、ウェンドリンは昨夜決めた事を実行に移す。
「キレハ、シーフォン」
「何?」
「どうした?」
「セックスって、何をどうするんだ?」
二人は目を点にして、呆然とするだけだった。
エロでも何でも無いですね。お粗末様でした。
http://loda.jp/youseisan/?id=2440 eraRuina私家版。変更点は下記の通り。
モチベーションを保つために一回上げて置く。
・ランダムダンジョンを追加。詳しい仕様は資料を参照。
# ただし内部イベントは未実装。各種判定までは作成済み。
# これを作ってたので時間がかかった。
・月長石のユーヌムを主人が主人公かアークフィアの時以外は購入できないようにした。
# 主人公以外を使えるEXTRAやゼス編はちょっと難易度上がるかも。
>>30 GJ
そうか、育ての母親も死んでるんだもんな
誰にも教えてもらえなかったのか
屋敷の使用人からは…
メイド忍者wこっちも疎そうだwww
>>30 このウェンドリンは凛々しかわいくていいなw
>「良い子の手順なんて必要ない。……言い訳ばかりのその口が悪いんだな」
これで知識なしとかかわいすぎるだろうw
>>31 乙!!
手書きマップ作りながらやるとなんか懐かしい気分だ。
でも選択肢が「外へ」だけだったり階段がなかったりするよ。
>>30 結局仲良く添い寝するだけの騎士2人にほのぼの。
そして質問相手の人選に笑った。
どっちも妙な所で律義な所がありそうだから
羞恥に耐えながらちゃんと保健体育の授業してくれそうだ。
>>31 お疲れ様です!ランダムダンジョンちょっと潜っただけだけど
異様に楽しくてこれはいい機能…。
そういやあeraRuinaに関してなんだけど、
そろそろera板あたりにに専スレ作っても大丈夫そうに感じるんだが
スレ住人の皆さんとしてはどんな感じだろうか。
>30
ありそうで困る。
結局教えて貰えたものか、どうか。
テレージャに聞くのが一番無難なようで一番危なそうな。
ネルも耳年増な気がする。
昔の貴族の男子は性教育で娼館とかに連れていかれたりするんだっけか。
>35
eraTRPGですらスレがあまり伸びてない状況だからなあ。
異論が出なければ本スレとここに間借りでいい気もする。
チェックされなくてレスポンスが落ちるのは、やっぱ嫌だろうし。
なぁeraってあのDOS画面みたいな文字だけのやつだよな?
サキュバスクエストの奴やったことあるけど、いまいち面白さが解らなかったんだが俺に面白さを教えてくれないか。
考えるな、感じろ。
と言いたいが、絵がないしちょっとニッチかな。
口上が充実してるeratohoのRR系(今はYMか)をやってみるか、口上ファイルを読むといいかもしれん。
東方知らないし興味もないってんなら仕方ないが、俺はあれの四季映姫・ヤマザナドゥ口上から
eraと東方に入った口でな……まあ良かったら読んでみてくれ。
数字が上下するだけで興奮出来る人じゃないと
合わないんじゃねーかな。
プリメとかにハマった口なら楽しめると思うけど。
>>35 era全然興味ないしやる気もないROMだけど、こっちでいいんでね?
同スレ内で住み分けできてる状態だし
ただ投下してる人がコテつけてくれれば非常にありがたい
era好きとしては、こっちだとレスつけるのにも興味のない人に遠慮する部分があるな。
ここ本来はSSスレだし。
興味ない派の人がいいならいいんだけど。
>>37 こういう二次創作系eraの場合、原作のキャラにエロいことをいろいろできるってだけで興奮する。
健全な原作じゃ絶対無理だよなってことをできる。
原作だってテレ子さんとメロさんは色々アレだしなw
今気付いたけど、テオルってまさにサド伯爵じゃないか・・・
権力もあるから色んな事出来るし、すごいエロの可能性を秘めてる
なんか一本作ってみよう
本スレで浮気うんぬんの話があったけど、アルソンとフィーは浮気されても
アルソン「僕がまだまだ至らないってことですね!ウェンドリンさんはそれを身を持って示してくれたんですね!」」
フィー「お兄ちゃんほどカッコよくて(中略)素敵な人を独り占めしちゃダメだよね。でも、私のことも忘れちゃやだよ?」
これで済んでしまってあまり堪えないイメージがある。
この二人が怒るとしたらどういう理由だろうなあ。
>>44 前スレでも言われてたが実に陵辱向けなんだよな。
金も権力もあるし顔も悪くない。
浮気と聞いて飛んできました。
0時〜1時あたりに投下出来れば良いですね。
テオルのエロカッコ良さと盗賊ルートでの小悪党ぶりはガチ
>46
マッテルー
キレハED後に浮気か……
なんかそういうドロドロしたのに全く耐性がなさそうだから混沌化したりせんといいが。
取り合えずそんなことする主人公は、問い詰めようとして口を開いた瞬間頭が真っ白になって顔くしゃくしゃにして
声も出ずにぼろぼろ涙を零して頽れるキレハさんを見せつけられて、罪悪感で死んでしまえばいいと思う。
己様といえばホルムでアルソンを筆おろしに連れ出し
アイリさんと3Pに突入してどすんばたんするネタを思いついたはいいが
書ききれる気がしなかったのでお蔵入りになったことをここに記す
この板はSSだけじゃなくてエロパロ全般を取り扱う板じゃなかったかな?
>>48 ネタがあるならまずは書いてみようよ
二次スレの場合eraの話題で荒れたスレがいくつかあるから
心配する人が現れるのもわからなくはない。
ただここの場合、SS投下も活発だから大丈夫じゃないかって気もするけどね。
書き手さんがeraからSSのネタを拾ってくれるかもしれないし。
まったく流れを読まずに9400文字(前編)行きます
大変申し訳ありませんがトリあぼんでご協力ください
※次回以降は古代都市のゼスさんと同じ状況です
地上に出たとき目にしたのは、古代都市の時と同じように迷い込んだかと思える光景だった。きらきらとした
何かがしきりに降り注ぎ、風に乗ってうつろな歌声がどこからともなく切れ切れに聞こえてくる。森の木々が
まばらになるにつれて、雲間に浮かぶ空中都市が姿を現した。嵐を予感させる流れの速い雲は桃色に染まって、
全体としては輝かしい景観でありながら、なにか酷く不吉な予兆のように思われた。
市街には結晶片が降り積もり、それが風に舞ってはきらめき、取り込まれた人々はまるで琥珀の中の虫のようだ。
泣き叫ぶ人々、逃げ惑う人々、誰もがそれぞれの仕方で酷く取り乱していた。見慣れた街に起こったここ一年の
異変の中でもとりわけ切羽詰ったものと言える。真っ先に街の酒場に駆け込むと、開口一番オハラさんは仲間が
いないことを告げた。見れば女将だけはいつも通りだが、それ以外はいつもの親父が管を巻いているだけ。彼は
いつ来てもいるし、大抵店仕舞いまで飲んでる猛者だが、…もしや彼こそ平常心を保てる漢というべき?
「みんな何かが見えるって言うのよ」
「そうか。なあ、それよりオハラさんは大丈夫か?」
「見ての通りよ。あんたたちこそ疲れた顔してるじゃないか」
「ああ、それより今から行かなきゃなんねえところがあるんだ。一休みしたらちっと行ってくら」
「無理しなさんなよ。大丈夫なの、あんたたち」
「はぁい。大丈夫です」
「あたし着替えなくっちゃー、部屋借りてもいい?」
「いいよお、ネル、お家に戻らなくてもいいの」
「…ちょっといってこよっかな、まっててくれる?」
「おう、ゆっくりいってこいよ。俺はなんか食いたい、腹減った。フィー?お前は」
「あったかいもの食べたいな」
「あいよ、すぐだしてあげる。あんたも早く行ってきな」
やがて、戻った仲間と飛び出していった。若さっていいなあと酔いどれ親父は思う。
旧市街の町並みを進む。問題はいかにして幻想の都に乗り込むかだ。
「一体どうすりゃいいんだ?奴は墓場でなんか言ってたけど、お前らほとんど聞いてなかったろ」
「つい頭にきちゃってさー」
「てへっ☆じゃねえよ」
「確かねぇ…うぅんと、都でまってるからねぇ、おいでねぇって言ってた」
「しかしなー……。まあいいや、とりあえずちょっと俺んち寄ってくぞ」
「チュナちゃんの様子見ていかなきゃね」
「ああ」
もしかしたら戻れないかもしれない。これが最後の戦いになる、そんな気がしていた。ネルなら鍵に関係なく
むしり開けられそうなぼろアパート。崩れそうな天井をくぐって屋根裏に上がると、不思議な歌声が鳴り響く。
「チュナの結晶の中から聞こえてくる」
「それじゃ…もしかしてここから、古代都市のときみたいに空にある幻の中に通じてるのかな」
「…なら、これに触れたら…」
「待て。本当にいいのかよ、お前ら。…やめるなら今のうちだぜ」
「あたし絶対ついてくよ!だって、こんなの普通に生きてたら絶対経験できないもん!」
「みんな…ほんとに一緒にきてもらえるの…」
そのときだった。背後でくぐもった声が響く。
「私もいるぞ!フィー君!」
「はあ?」
ばりんと床に木片が散らばった。
「ういうい」
ぼろ箪笥を蹴破って神官と竜人が飛び出す。やめてっうちにはそれしか家具がないの!
「…私もだ」
がばっとベットを起す大男。
「こんにちは!風通しがよくてステキなお宅ですね!」
「嫌味か!ベットひっくりかえすな!戻せ!!すわんな!くつろいでんじゃねええ!」
菓子なんざねえよ!茶っぱなんかあるか!けんか腰になった瞬間、頭の上から声がした。
「わしを忘れてもらっちゃあ困るな、とぉーう!」
天井から木目模様の布がひらりと降りてきた。そのまま床が抜ける。
「うひょー、あーぶないのおー。お前んち引越したほうがよかないか」
「余計なお世話だ!だいたい穴なんかあかねーよ!!早く上がって来い爺!」
ネルとアルソンが手助けしようとしてさらに穴が広がる。やめてええ!俺んち壊れるううううう!!!
「あの、お邪魔してます…」
メイドのささやき声にギクリとしたとき、ふと窓の外に影がよぎる。
「んぎゃっ」
「シーフォン!大丈夫!?」
この声…恐る恐る窓を開けると、腕をつかまれた少年と遊牧民が勢いよく飛び込んでくる。外れる窓の蝶番。
「よ、ようくそパリス、相変わらずしけた部屋だな。人口密度が高すぎなんじゃねーの」
「揃いも揃ってなんだお前ら!家ぶっ壊してんじゃねえ!ってかどこから、てかそれドアノブてか、おおもう…」
「何を落ち込んでいるんだね!さあ立ちたまえ!我々は行かねばならない!敵の本拠に乗り込むんだ!」
「ちっきしょおおもうどうにでもなれ!いくぞお前ら!!」
「「「おおー!」」」
「それでは僕の作戦を聞いてもらえますか!」
「はいアルソン隊長。おねがいします」
「はいフィーさん。いいお返事です!想像するに、おそらくこの先はあの幻想都市でしょう。市街戦もやむなしか
と思います。ですがいいですか、タイタスの狙いは彼女です。そこで、二手に分かれて、僕とメロダークさん、
ラバンさん、ネルさんは前衛で壁役に加わってください。シーフォン君とキレハさんはエンダさんといっしょに
フィーさんの護衛です。貴方たちは遠距離攻撃ができます。後方から距離を保ちつつ攻撃を仕掛けましょう。
エンダさん、あなたは何があってもフィーさんから離れず、全力で彼女を守るんです。できますね」
いっせいに頷く顔を見比べて、今度はテレージャのほうを向く。
「フランさんはテレージャさんの護衛をお願いします。テレージャさんには回復の要として動いてもらいます」
「俺は」
「パリス君。あなたは優れた洞察力があり、機転が利きますね。そこで全体を観察しつつ、遊軍として動いて
もらいたい。君の判断が皆の生死を分ける。だからこそ君にしか頼めないと思っている。やってもらえますか」
「おうよ!まかせとけ」
「有難う。それからこれはお願いです。どうか皆さん、力を貸してください。そして一緒に帰ってきましょう!」
「この僕が力を貸してやるんだ、お前らありがたく思えよな」
「あの、宜しいでしょうか、…そのう、これをみんなで使って欲しいんです」
フランが腰掛けていた木箱は、…いわゆる”生物化学兵器”というべきものたちが詰め込まれていた。匂う。
「…これだけありゃあ城の一つは落とせるなあ。わしゃあなんだか不安になってきたぞい」
「すみませんすみません!食べ物は粗末にしちゃいけないって、あたしもちゃんとわかってるのに!」
「粗末だなんて!立派に役に立ってるじゃないか。なまじかな魔法よりずっと殺傷力が高い!そうだろアルソン君」
「は、はい!素晴らしいですよね!エンダさん」
「うん、うまい」
「エンダちゃん…あたしの料理、おいしいって…」
「よかったでござるよ、ニンニン」
パリスの枕を押しつぶしてぼんやり座っていた庸兵は、不意にわれに返ったのか毛布でくるんだ鍋を開いた。
「大したものではないが、少々作りためておいたのだ…この際だから使ってしまおう」
「ぎゃっ根本的に生死に関わるにおいがする!!逃げろ!」
「そんなもん寝かせてんじゃねえええ!!本格的に俺んち住めなくなったじゃねえか!駄目だ皆息吸い込むな!」
逃れようとチュナの水晶に触れた者たちは、瞬時にしてはるか上空の幻想都市へと飛ばされた。
驚くべき光景だ。眼下に流れる雲は、流れる速度がずいぶん速い。パリスが叫ぶ。
「チュナ!?」
『ー無駄なことよ』
見上げれば、不敵な笑みを浮かべる美丈夫の姿が目に留まる。
「誰だっけ」
「チュナー!!チューナー!」
「やだなあ僕の従兄弟ですよ、皆さんも会ったことあるじゃないですかー。でも、なんだか様子がおかしいです」
「チュナー!おおーい!チュナー!」
「おや、そういえばあの男の子は古代都市にいた子ですね!おーい」
「我思う故に我あり」
「チューナちゃーん!チューナちゃあーん!おーいおーい!」
「うおおおお!チュナー!!!兄ちゃんが今助けにいくからな!」
「ちょっと!危ないわよ!遠すぎるわ!」
「とぶとぶーエンダもとぶぞ」
「ま゛〜〜」
「やめなよぉ!ほんとに落ちちゃうってば」
「ぎゃはは!そのまま落ちて死ね!」
「うるせえ!俺はチュナのところにいく!」
「見なさいよ、コートですら風が強すぎて思い通り飛べないのよ」
「ぬぬぬ…それならロープだ!」
「我思う故に我あり」
「やめておきたまえ、頭を冷やすんだパリス君」
「普通に考えて届くわきゃねーだろ、お前頭おかしいんじゃないの」
「なんだと!やって見なけりゃわかんねえじゃねえか!うぉおおおロープ神よわれに力を!」
「何の神様だって?」
「聞いちゃ駄目だようって、ランプの妖精さんがいってた」
「なんじゃそら」
ラバンは首をかしげている。
「ランプの妖精さんはねえ、あんかけが好きなんだってえ」
「そんな情報いらねー!おいくそパリス、まだやんのかよ」
投げても投げても流されては空を切るばかり。思わず足場を踏み外した数人で口論が始まった。
『余の話まるで聞いてないよね…』
「わしは聞いとるぞ」
「私もだ」
「我思う故に我あり」
「僕だって聞いてます!ね!皆さん」
「今忙しいの!ほら引っ張って!おーえす、おーえす」
「美味しく食べてね」
「あ、飛んでった!あいつ空飛べるぞ」
「いいなー、すごいねー」
「ちっきしょおお!こうなりゃぶちのめすのが先だ!」
「初めからそうしてりゃいいんだよ」
「我思う故に我あり」
「なんか増えてない?」
「折角だから、全部使い切ってしまおうかと思いまして」
とげとげの指輪だの人工妖精だの、なんとも言いがたい助っ人たちが次々にやってくる。
「隊列を維持!襲撃に備えよ!」
「アルソン君かぁっこいいー」
「ほら、前衛なんだからわしらが先に行くんだぞ」
それぞれが盾をかざして警戒しながら、ひっくり返しの塔に向かって移動を始める。どう考えるべき?めまいが
するようだ。さかさまの窓から侵入し、シャンデリアに蹴躓いては蝶番に衣を引っ掛け、進路を探りつつ進む。
「三階通路制圧!テレージャさん、負傷者の治療をお願いします」
「まあ転んだだけだろうね」
曲がり角、というか階段の裏側というか、天地の定まらない内装をこけつまろびつのり越えて、とうとう空へ
開かれた場所に出た。屋上?というか最下層?相次ぎすっころんだ仲間を助け起して表にわっとあふれ出すと、
待ちくたびれてすっかりふてくされた騎士の姿。背中を見せてたたずんでいる。
「前衛前へ!突撃準備!!」
素早く半円を描いて並び刃を向ける。パリスが叫んだ。
「見ろ!奴の鎧は脇の下がよええ!狙うならそこだ!」
「いと気高き高みにましますキューグ大神、我ら幼きものを罪深きものどもから守りたまえ」
「突撃ィー!!!」
『なんと懸命に戦うことか…。さすがは我が裔よ!』
「美味しく食べてね」
「あ逃げた!」
「後方部隊射撃用意!」
いっせいに弓を番え、手裏剣を取り出した。あるいはまた大きく振りかぶり…そして。
「ってーい!!!」
ばらばら降り注ぐ焦げた石ころ。ざぶり被った厨房の神秘が発するきつい匂いにタイタス様はご機嫌斜めだ。
「撃ち方ぁやめ!みなさん素晴らしい連携ですよ!」
続く架橋に向かうが、すれ違うにもためらう幅しかない。今度こそ嫌な予感がする。
「みな急げ!分断されたらうしろが丸腰にされるぞ」
「ちくしょう仕掛けてきやがった!走れ!」
「皆を守れ!盾ぇ前へ!」
どーんと大きな音がして、雷撃に吹っ飛ばされ、足場はみるみる継ぎ目が広がりゆっくり瓦解していく。
「キレハさぁん!」
「エンダ!ロープでひきあげて!」
「うんしょ、うんしょ。ういうい」
「僕がおとりになります!おーいおーい!やあーっほー!こーんにっちはー!いいお天気でーすねー!!」
山彦が返ってくる。よたよたしながら必死に飛びはね金切り声を上げる者。
「おらああ!!!こーんのひょっとこタイタスが!僕様にかかってこいやー!!」
「ま゛〜?」
きゃんきゃん騒ぐ隙を突いて一気に駆け登り、死角から飛び出すフランが放った斬首、危うくかわしたタイタスの
体勢が大きく崩れた瞬間、完全に開いた脇の下を狙ってパリスの風羽根の刃が飛び込んできた。かわしきれない!
吹き上がる血煙が陽光に映えて、バランスを失ったタイタスはふらりと鐘楼の上から転げ落ちていく。
「まちくされおいいい!…ちっ、この僕に恐れをなしたな。ざまあみやがれあああ!」
「手ごたえあったのに…どうして…ばけもんか何かかよチクショウ」
「総員状況を報告せよ!」
ふらふらな者、打撲を負ったもの、不定形にもやもやしているもの、各自が仲間を見回す。
「みんな軽傷で済んでいるようだね、君たちの活躍のお陰だよ」
「あたし、いっくらでも傷薬作っちゃうからねー。どんどん言ってよ!」
「ま゛ー」
「シー君、これさわってもいい?」
「は?」
「フィー、あっちに原っぱがあるぞ、あそびに行こう」
「待ってくださいよう」
うねうねと不審物が後ろを並んでついてくる。へんな一団。こんなのにやられたらあんまりだとタイタスは思う。
「エンダ腹へったー。なにか食いたい」
「林檎をとってほしいのか。…いいだろう」
「ちょっと、料理してる場合?」
「こんな場所だ、何があるか判らない。火を通したほうが安全だ」
「あんたの料理じゃそうはおもわねえ」
「……(しょんぼり)」
「見事な庭園ですね。ほらエンダさん、どうぞ」
「ういうい!」
「あれぇ?ゼスさんかなぁ」
「誰?ああ、変態か。なにしてんだ?」
あちらにふらふらしてはおかしなポーズ、こちらにふらふらしてはトーガで逆立ち、そしてしきりに独り言、変態だ。
「ほっとけ、あんなもん関わるな」
「ちょぉっと、無視しないでよー。声かけてよー、待ぁってるのにー」
子犬のような目をして必死に駆けてくる。可愛くはない。
「聞こえてんのかよ」
「こんにちは、ゼスさん」
「こんにちはお嬢ちゃん。いい子だね。何を隠そう吾輩は、いつのまにかここに立っていたのだ!ジャジャーン!」
フィーは口をぽかんと開けた。だが声色のわりにゼスの顔色はさえない。
「どうやってここ来たのかが、皆目判らない…ああ…不安だ」
「そうなんですか」
「そもそも、どうやらここは吾輩が書いた物語の世界のようだが、ならばこの吾輩とは一体誰なのか、左様これは
現実を基にして構築された世界、つまり吾輩の無意識下の夢が投影されたフィクションにおけるメタフィクション
として現実の中に再構成された謂わばメタメタフィクションの中に第三者が介入した結果都合よく書き換えられた」
「いそいでるの。悪いけど」
キレハがぴしゃりと言ったので口を手で押さえて見せた。よく手入れされた芝生を進むと、木の袂の娘に出会う。
諦念からくる余裕なのか、ゆったり寝そべって気だるげに会話している。側で聞いていたメロダークは独りごちた。
「ご先祖様か。ナスの馬でも作るべきか…」
「いらねーよ!なんの料理だよナスの馬って」
「キュウリも忘れちゃいかんぞ。今はすっかり冬だけどな。がっはっは!」
アルソンはユリアの忠告に歓声を上げる。
「それでは諦めないことが大切なんですね!」
「ま゛〜」
「左様。お前達ならやれるじゃろう。さあ、祝福を」
「どうも有り難う」
「気をつけておゆき」
「はあい!」
ユリアはいつくしむように微笑んで見送った。
不安定な上に重力の方向がねじれた鐘楼の中は、螺旋階段を登れば登るほど、めまいは酷くなる。
「僕はこういう…おえっ」
「うわきたねっ」
「うるさい!この僕はお前と違って繊細なの」
「シー君だいじょうぶ?すこし休む?」
「だからシー君て…うっぷ」
「犬という字を手に書いて飲み込むといいぞ。わしはそれで船酔いしなくなったなあ」
「そんな字僕はしらないね」
「それなら酔い止めの薬草をあげよう。さあ、試してみたまえ。駄目ならそこから顔を出して吐くことだ」
「皆さん静かに…!この扉の向こうが屋上です」
素早く目を見交わすと、メロダークがノブに手をかけ、呼吸を整えたパリスが飛び出した。逆巻く雲の中。
『何をしている?早く来なければ殺してしまうぞ』
「待ち伏せだ!」
「遠距離から待ち伏せ!前衛防御体制!撃ち方用意!」
「あたし煙幕張ります!」
「ま゛っ」
フィーの盾になろうとしたエンダの身代わりに稲妻を受けて消し炭になる。
「8号!」
「放てィ!!!」
ネルの右腕からガラス瓶が放たれ油が砕け散る。アルソンは深い踏み込みから一気に振りかぶっての直球勝負。
唸りを上げて風を切り裂くのは焦げた石ころ。
「美味しく食べてね」
ぐいんと大きくホップしてタイタスの髭を剃らんとする内角高めのブラッシュボール。汚い。体勢を崩した所で
ネルのアンダースローによる機械爆弾が足場を大きく陥没させて激しく延焼、タイタスを駆り立てる。
「いやあ、完全にすっぽ抜けてしまいましたね!はっはっは」
なんという笑顔。手すりに駆け上がったシーフォンは黒い瘴気を撃ち放つ。
「死にやがれクソが!!!」
誰かの投げたマッドシチューを鍋ごと被って動揺したため、上にそれたタイタスの弾幕が鐘楼の先端を突き崩す。
「鐘が!落ちてくるわ!」
がらーんごいーんどろーんと派手な音を上げて転がり落ち、とびはね、そのままどこかへ消え去った。視線を
戻せば、気分を害したタイタスは都市の反対側まで逃げていく。遠投90mでもこれでは流石に届かないだろう。
「さっきの…誰かぶち当たったりしねえだろうな」
「下は多分河だよ」
「おーい!おーい!」
「あの、何をしてるんですか…」
「エンダのこと見たぞ、やっほー!」
「手ぇ振ってる場合かよ」
「やあーっほーおー」
「あ、山彦だ!やーあっほー!」
「うるせえから食ってろ」
「ういうい」
厳しい表情のアルソンとメロダークは思案に暮れる。
「参りましたね。こちらから見る限り、あの飛び石しか横断するルートがないようです」
「奇襲にはうってつけだ」
「どうするよ、大将」
「僕たちの連携が試されるときです!体勢を整えたら一気に渡りますよ」
「「「おー!」」」
「うまい」
「ま゛〜」
奇怪な仲間達を含め、浮遊岩にとりかかる。気流に乗って微妙に上下動しつつ、ゆっくりと流れているようだ。
あるものは負ぶられて、あるものは手綱を渡して、思い思いに飛び移る。落ちたらどうなるだろう。隊列は必然
伸び始め、守りは次第に薄くなっていき、やがて奇襲の恐れは的中した。遠くでタイタスの号令が響くと先頭に
いたパリスの絶叫が飛び込んでくる。
「へんなのが来るぞ!宮殿のほうからわらわら湧き出してやがる!」
「総員進軍に専念!防戦せよ!目標はタイタスただ一人だ!雑兵を深追いするな!」
羽を広げた指輪の魔神が相手をさえぎり時間を稼ぐ。
「これは機械なのかな?それとも動物なのかな?」
「動物ならエンダのご飯になるぞ。そうじゃないなら電がきくな」
そういうと思い切り深呼吸して雷撃を吐き出した。回路を焼ききられて誤作動する守護者達。
「なーるほど、てことは僕の専門分野だな!ー…天雷陣!!!」
「…私を巻き込むなっ」
対岸に到着した者達からの援護射撃に守られて、なんとか辿り着く。改めて振り返ると、渡ろうという判断が
とても正気とは思えない高み。幾らなんでも高すぎだ。思わずへなへなとへたり込む。
「なんだか迷路みたいですね。この都市は一体どうなってるんでしょう」
「怪我はないか」
「ま゛ー」
「なんともないよ、メロダークさん」
とげとげした指輪の魔神に抱きついてゆらゆらと遊んでいる。
「しかし、動かないでいると冷えるね」
「真冬ですもの。…こんな空の上だしね。予備の懐巻き持ってきたわ。よければ使う?」
キレハは愛馬をなでる手を止めて鞄からふさふさの毛皮を取り出した。
「有難う、助かるよ。こう風が強いとどうもいけないね」
足場の吹きさらしから、おかしな建造物の陰に移動して待つうちに、斥候たちが帰還する。
「おう、待たせたな」
「どうでした」
「北西側はどうしても市中に降りなきゃいけねえようだ。やつはその先で待ち伏せてる。まあ、隠れたとしても
火薬とシチューの匂いがぷんぷんしてるからすぐ分るだろうな。すっかりしょぼくれてたぜ」
「分りました、有難う。フランさんはどうでした」
「はい、この先を下ると、奥に神殿がありました。綺麗な水が残ってたので、手当てに使えるかもしれません」
「よろしい、一旦神殿に向かいます。勝手に待たせていらつかせてやりましょう!」
冷静に考えると最悪だ。苔むした煉瓦の歩道を下って神殿に向かう。大きな円盤のような形の石杯から水を掬い
手を洗い、傷を清める。まるで雪解け水のようだ。少しずつ持ち込んだ食料を分け合って傷んだ装備を補修し、
傷薬を数えなおして点呼、全員戦闘可能、再出発だ。こっそり覗いたラバンは、手持ち無沙汰でぶらついている
いかにも閑そうなタイタスの遠いシルエットににやにやしながら立小便を終える。
問題はここからだった。何しろ足場も不同沈下を繰り返しているし、無茶な建築構造で何処を頼りに進むのかが
分らない。意図したものなだか路地は入り組み、おいおい屋上に出たかと思えばどこかの裏口で行き止まりだ。
パリスのつけた目印もまったく役に立たなくなっていた。なにしろ、つけた目印が目の前で移動するのだから。
「地面に窓開けるってのはどういう了見だ」
「そんなこと言ったら、あれを見たまえ。壁の上のほうに扉だけついているよ」
「これって実際に建てられるかなー?やっぱ空想の世界だから?」
「建てる意味がないだろう…」
「そっかー、第一これじゃ住めないもんねー」
「エンダちゃん!?どうやってはいったのー?」
向かいの建物からしりを出している。にゅっと顔を出してそのままトンボを切りつつ降りてきた。
「地めんの穴にはまったら、あそこからでてきた」
「あー…そういやどうしようかなー、大家の連中怒るだろうなー」
悲痛なため息を漏らす。
『どうした……早く来い』
そこに踊りかかったのはネルだ。タイタスの体を浮かせた瞬間、狙い定めたアルソンの一撃が加わった。
『所詮は代用物……。この程度の肉体では、あ奴に勝てぬか……!』
幻想の都は橙色の夕日に照らされて、冬の空は紫に染め上がり、地平線には夜の帳が下りはじめていた。
最悪のタイミングで酷いバッドエンドを考えていたことをご報告いたします。正式な後編は次回以降投下しますが
ついでに載せてしまえ!!1重ねてお詫び申し上げます。お粗末さまでした
巨大な機械仕掛けの宮殿に登ると、沈みかけの弱い日差しに身を投げ出して、長々と影を引く男の姿があった。
だが彼の胃袋には、もう中身が残されていないようだ。腐汁がその周囲に広がっている。
「……こん、な……はずが…ない……朝食は……まと…もな、コック…だった…はず……!」
周囲には暗黒料理だけではない異臭が立ち込めている。
「……皇帝よ……何を食った…!」
「…テオル」
「どうしちまったんだ、このおっさん」
「食中毒だね、急性の。あれだけ食らえばこうなるさ」
「ぐっ!」
溢れ出た胃液が喉をふさぎ、昼飯がごぼごぼと音を立てる。それもやがて静かになり、テオルは気絶した。
→テオル、度重なる暗黒料理多重攻撃に耐えかねた消化器が決壊して社会的に死亡
初めてテオルさんが哀れになったwww
続き待ってる
しみじみと料理は便利だなぁと感得すること頻り
>>60 GJ!もう何処の何から突っ込めば良いのやらwwwwwww
予定時間より早いですが、産まれました。ひっどい駄文ですよ。
脱ヴァン一行第2弾。以下の点をご了承の上お読みください。
・エロ分皆無
・グロ表現注意
・三角関係有り
・皆様の嫁の崩壊有り
・SAN値直葬の恐れ有り
それでは、どうぞ。
私とアベリオンは、行為の後の気だるい余韻の中にいた。
父とも呼べる者を亡くした彼を哀れんだ訳じゃない。
私が彼を愛していて、彼も同じ気持ちだった。
ただ、それだけ。
「……今回の騒ぎが片付いたら」
私に腕枕をしてくれている彼が口を開く。
「この町を出ようと思うんだ。もうここに居る理由も無いからさ」
「行く宛はあるの?」
「何も無い。だから……一緒に行かないか?キレハ」
そういう事だと思った。
「……勝手にすれば」
嬉しかった。なのに、この口は素直にそれを伝えない。
「ありがとう。それじゃ、勝手に付いて行くよ」
私の気持ちを知ってか知らずか、彼はそう言った。私の好きな、可愛い笑顔で。
そして私をそっと抱き寄せる。
彼の身体からは、違う女の匂いがする。それは私の知っている匂い。
でも私はそれを咎める気は無い。
最後に選ぶのは、私だ。そう信じたいから。
彼は狡い男だ。
私は、醜い女だ。
今日もアベリオンは、無事に帰って来てくれました。
パリス様とキレハ様と一緒に。
最近は、こうして彼の帰りを待ってばかりです。
本当は、いつも彼の隣にいたい。けど、良いんです。
彼の決めた事なら、私はそれに従いたいと思います。
「フラン」
彼が私に花を差し出しました。
見た事の無い、綺麗な白い花。
「良かったら、貰ってくれないか」
「……ありがとう」
私はきっと、幸せ者です。
「見せつけてくれるじゃないか」
「うらやましいよねぇ。ね、パリス?」
「ん?ああ、そうだな……」
テレージャ様やネル様の冷やかしも、悪い気がしません。
彼が側にいてくれればそれで良いんです。
私を連れていってくれない事は寂しいです。
最近、私を抱いてくれない事も辛いです。
それでも、彼がいてくれれば、私はそれで幸せです。
この目を信じる事が出来ません。
なんで、アベリオンがキレハ様と接吻しているのですか?
なんで、私といる時よりも幸せそうに笑うんですか?
神様。
彼は嘘吐きなんですか?
私は、愚か者なんですか?
「最低だよ、お前」
頬を一発殴った後、パリスはそう言って背を向けた。
わかってる。俺は最悪だ。
フランと付き合っている身でありながら、キレハと愛し合っている。
どちらかを選ばなければならない。
わかってる。
俺は、キレハを選ぶ。
ただ、フランに別れを告げるのが怖い。
彼女はとても純粋で、痛い程俺を想ってくれている。
その気持ちを踏み躙る事が、怖いんだ。
それがどれ程残酷な事かはわかってる。
でも、俺は……
すべてに片が付いたら、フランに告げよう。
共に戦う仲間を失いたくないから。
我ながら、ひどい言い訳だ。
彼女を傷付けたくない。
俺自身を、傷付けたくない。
施錠したはずの、部屋のドアが開いていた。
……フランだろうか?
「おかえりなさい、アベリオン」
やはりそこには、フランがいた。
ただ、この部屋が普段と決定的に違うのは。
部屋中に漂う、むせかえる程の血の臭い。
壁を、床を、天井を、血の赤が汚している。
フランの手には、刃を血潮で濡らした短剣が握られている。
その足下には仰向けに倒れ、見開いた目を何処かへと向けるキレハがいる。
身体は血塗れで、その首には深い切り傷が付いている。
「あ、ああ……」
身体に力が入らない。腰が砕け、膝が落ちる。
床に着いた膝を、キレハの血が濡らす。
「アベリオンは、唆されたのですよね?」
見上げると、フランがいた。
優しい笑みを浮かべて、俺を見つめ手を差し出す。
「安心してください。もう悪い狼さんはいませんから」
「返せよ……キレハを返せよ!返せ!!」
差し伸ばされたその手を払う。
そして、彼女を突き飛ばし、馬乗りになる。
その細い首に、手を掛ける。
「なんでキレハを殺したんだよ!悪いのは俺なのに、キレハは何も悪くないのに!!」
涙が止まらない。身体が燃え尽きそうな程に熱い。
怒り、悲しみ、憎しみがごちゃ混ぜになって心を蝕む。
「……どうして、泣いてるんですか?」
苦しそうに。しかし、はっきりとフランが言う。
「ふざけるな……お前がキレハを殺したからだろ!!」
フランの首を絞める指に力が入る。
「ああ……まだ、狼さんの呪いが解けてないんですね」
突然、フランが訳のわからない事を呟く。
その直後、首に熱が走る。
俺の首をすり抜けたのは、フランの左手に握られた短剣だった。
――――これが、報いか。
これで、ずっとずっと一緒に居られますね。
「それじゃあ、達者でな」
ラバン爺を乗せた船が港を発つ。
俺とネル、エンダ、そしてチュナの4人だけがこの町に残った。
あの日から、もう4ヶ月になる。
駆けつけた時にはもう遅かった。
アベリオンの部屋に残っていたのは、キレハと首の無いあいつの死体だった。
そして、その日からフランは居なくなった。
俺達はフランを探し回った。レンデュームの里から、遺跡の奥まで。
けれど何処にも居なかった。
二人の遺体は、デネロスの爺さんと同じ墓で眠っている。
キレハの里にも、訃報はもう届いているだろう。
それと、あいつが死んでから妙な事が起きた。
この町で起きた異変が、その影を消した。
夜種達は姿を消して、流行病や不作も何処かに消えた。
水晶の中に閉じ込められたチュナも、今はこうして元気でいる。
遺跡の最深部に続く扉は、遂に開かなかった。
価値のありそうな物が粗方持ち去られた頃には、遺跡の探索はその意味を無くしていた。
こうして、ホルムは今までと同じ、何も無い町になった。
今では観光目的に上流階級の奴等が遺跡に立ち寄る位だ。
平和になって、俺達の英雄ごっこも終わった。
今まで通り、オハラに斡旋された仕事をこなしている。
ビンガーとはもう縁を切った。
危険に憧れていた日々が馬鹿らしくなったからだ。
多少揉めたが、皆の協力もあり解決出来た。
もしあの日、俺がもっと違う言葉を掛けていたのなら。
もっと早く気付いていれば、未来は変わっていただろうか。
今となってはわからない。何もかも、昔の事になってしまった。
俺達の冒険の日々は、こうして終わりを告げた。
『Rrrrrr Rrrrrr』
はーい、タイタスですけどー。どったのー、ク・ルームちゃーん?
……は?死んじゃった!?いやいやいや、なんで?
……うん……うん……はぁ!?うーわー、無いわー。
あー……とりあえず、呪いもういいやって伝えといて。
……いや、だって十七世ちゃん死んでんなら意味ないし。
うん……うん。はい、じゃあ連絡おねがいしまーす。
さぁ浮気ネタだ→ちょいヤンデレ行ってみっか→せっかくだしNice boat.も……→この様。
これはもう、リアル死獄されても仕方ないかもわからんね。
お粗末様でした。
>>52 GJ!
これひどwww
BP多すぎだろww
>>71 niceboat!
二股バッドエンド怖え
フランは本当にヤンデレ似合うな
思いつめるタイプを追いこんじゃいけないって事だな
男で怖いのはやっぱエロダークさんか
>>71 nice boat.
似合いすぎて困らない
良いヤンデレだった、が浮気者は死んでよし
俺もフランとキレハが一、二を争うぐらい好きだから気持ちは分かるが
>60
なんだかんだでバトル自体はけっこうまともにやってるのが笑える。
システム的な限界さえなければラスボスは全員で挑みたいもんだなあ、やっぱ。
>71
nice boat.
フランは何故こうもヤンデレが似合う。
パリスの独白が地味に良い味。
出来るなら全女性PC+オハラさんとユリアを嫁にしたい。
寝る前に口直し(?)1レス。ウェンドリン主人公エロ無し。
「フラン。塩というのはそんなに大量にブチ込むものじゃないと思う」
「も、申し訳ございません!」
鍋に塩の山を盛るフランにウェンドリンが忠告する。
「あの、ウェンドリン様。すごく焦げ臭いんですけど……」
「何を馬鹿な事を……黒焦げだと!?」
ウェンドリンの鍋の中身は黒一色、見事に炭化していた。
「もうやだこの仕事」
キレハが頭を抱えてそう呟いた。
「戦場に立つ者ならば、兵糧程度は作れなければなるまい」
「そうですね、美味しい料理を作れないとお嫁にも行けません」
「そういう訳でキレハ、料理を教えてくれないか?」
「教えてくださいお願いします!」
声を揃えて頼み込む様子が可愛くて、つい安請け合いしたのがキレハの運の尽きだった。
現実というのは非常である。
いくら願っても人に翼は生えないし、太陽は東には沈まない。
この2人の料理の上達は、それほどまでに絶望的なものであった。
試しに、魚のスープを課題とした。
魚の下処理は既にキレハがしておいたので、後は味付けをして煮るだけの簡単な料理だ。
それにも関わらず、既に幾つもの鍋と何匹もの魚が星になった。
「どうせ私には無理だったんですね。いいんです、私にはポララポがあるんですから」
「小麦粉なんて吸えばいいんだ!兵糧なんて最初からいらなかったんだ!」
いよいよ2人の様子が怪しくなった所で、キレハは切り札を出した。
「そんなんじゃ、アルソンもがっかりするでしょうね」
死んだ魚の様だった2人の目に、光が灯る。それを確認し、二の句を放つ。
「恋人にするなら料理上手が良いでしょうしね。そうだ、私も立候補してみようかしら」
灯った光は炎となり、再び2人を突き動かす。
「覚悟しろフラン!ついでにキレハ!私の料理の底力、今こそ見せてやる!」
「お覚悟くださいウェンドリン様。ついでにキレハ様。私の本気はここからです!」
(ついでですか。まぁ、あんな朴念仁興味無いから良いけど)
2人の花嫁修業は今日も続くッ!!
お粗末様でした。
>最後に選ぶのは、私だ。(*゚∀゚)=3
キレハスキーにはたまらん!GJGJGJ!
1スレからやっと追いついたけど陵辱系って少ないんだな
風呂入ったり盗賊・ごろつきに襲われたりと使えそうなシチュエーションあったけど、
やっぱりこのほのぼの感が和やかなほうに引っ張ってしまうのか
陵辱スキーだったけどこのスレ見てるとこっちのほうが良くなってくるから困る
作品よりは職人の傾向じゃないかねえ
非エロギャグもいるし自称純愛派もいるし
>>51 もう素晴らしくGJ!
バトルのテンポいいしぐいぐい引き込まれた。
家壊れたパリスと不幸すぎるテオルさんww
>>71 nice boat.
ヤンデレバッドエンド怖くて良かった。似合いすぎる。
フランにヤンデレももちろん、襲撃後拠り所を失って一番精神不安定なだけに
アベリオンが流されてしまう役どころがハマっている。
余談だがなぜか
>>64を読んだ時点で素で他の女の匂い=フィーだと思ってしまった。
>>71 nice boat.
アベリオン(もしくはヴァン、エメク)だと自業自得だけど、
キャシアスだとフランに手をつけてなくてもこうなりそうだな…。
今ちょうどキャシアスでキレハ攻略中なんだが怖くなってきたwwwww
>>80 実際のゲーム内に同時に登場することはないのに
妙にブラコンお兄ちゃんっ娘が似合うからな
>>78 自分も凌辱スキーなので凌辱作品をいつも正座で待ってます
前スレの鬼畜フィー×キレハとふたなりウェンドリンハーレムは素晴らしかった
その夜は、綺麗な星空だった。
「奇遇だな。君も眠れないのか?」
テラスの柵に凭れ掛かり星空を見ていた私に声を掛けたのは、テオル公子だった。
「ええ、星がとても綺麗で……」
本当は、嫌な夢に叩き起こされただけなのだが。
忌むべきものの様な、懐かしい様な、よくわからない夢だ。
「それではテオル様、私はこれで……」
正直、私はこの男が好かなかった。何が?と問われれば、それはそれで困るのだが。
「ウェンドリン」
呼び止める彼の声を無視する訳にもいかなかった。
私に一体何の用があるというのか。
「折角の良い夜空だ。少し散歩にでも出ないか?」
彼の数歩後を付いて行く形で、夜のホルムを歩く。
良く見知っているこの町だが、こんな時間に歩くのは何時振りだろう。
昼間の喧騒が嘘の様に、町は静寂に包まれていた。
「なあ、ウェンドリン。アルソンとは上手くいっているか?」
「ッ……仲間としても友人としても、とても良くしてくれています」
「そうか……質問を変えよう。あいつと寝て、どうだった?」
「〜〜〜〜〜〜ッ!?」
顔が赤くなる。何なんだこいつは!!
「二人とも素直で嘘の吐けない同士だからな。傍から見てればすぐにわかるさ」
もう良い、どうにでもなれ!あの夜の事をブチ撒けてやる!
「ッハハハハ、それは傑作だ」
私の話を聞いたテオルは、堪えきれずといった具合に吹き出した。
「アルソンの奴もそこまでとはな。レディに恥をかかせるようでは、騎士として失格だな」
「いえ、私にも責任があります。アルソンだけを悪く言わないで下さい」
「ハハ、君は良い女だな。アルソンには勿体無い位だ」
他愛も無い話もそこそこに、彼に連れられやってきたのは、真新しい家屋だった。
「己の部下の拠点に使わせてもらおうと建てさせたのだ。中々良いだろう?」
「あの……ここで、何を?」
「ウェンドリン。君に楽しい遊びを教えてやろう」
そう言って、彼は私の手を掴む。
「テオル様、何を……きゃっ!?」
無理矢理に押し倒された。私を見下ろすテオルの目は、まるで獣の様だった。
「……本当に良い女じゃないか。アルソンには勿体無い」
咄嗟に懐に隠した短剣を掴み、彼の顔を目掛けて振るう。
しかし――
「丸腰で出歩く程間抜けじゃないか。しかし、惜しかったな」
私の手首は彼の掌の内にあった。
彼が私の手首を掴む握力を高める。痛みと共に指先が痺れ、短剣は床へと転がり落ちた。
「……この、獣め!!」
「フフ、気の強い女は好みだ。シーウァの姫君もこんな風だったな」
彼の顔に浮かぶのは、冷酷な微笑だった。
彼の……奴の手が、私の身体に触れる。
奴の指が。奴の唇が。奴の言葉が。奴の目が。奴自身が。
奴のすべてが、私を汚す。
私に与えられたのは、破瓜の痛みと屈服の恥辱。
奴が得たのは、欲望の解放と制圧の悦び。
「朝一番で風呂に入れる様申し付けておこう。それまで、そこで休んでいれば良い」
そう告げて奴は、この真新しい空き家を去った。
今すぐにでも立ち上がり、床に転がる短剣をその背に投げ付けてやりたかった。
その顔が潰れるまで殴り付けてやりたかった。
しかし、私には立ち上がる事すら出来なかった。
夜が明けるまで、私は子供の様に泣きじゃくる事しか出来なかった。
「うおあぁぁあーーッ!!」
裂帛の気合いと共に、アルソンの全霊を込めた突きが放たれる。
真紅の閃光を纏った槍が、テオルの……タイタスの胸を捉えた。
閃光と噴き出た血とが薔薇の花の如く咲き、瞬く間に散った。
倒れ伏す奴へとアルソンが駆け寄る。
二人が何を話しているのかはわからない。
ただ、涙を堪えて語りかけるアルソンの声だけが響く。
不意に、奴が離れた私の顔を見て微笑む。あの時の、冷酷な微笑で。
そして、テオルという男はその生涯を終えた。
アルソンは堪えていた涙を抑えきれずに慟哭する。
奴は、アルソンにとっては討つべき敵であると同時に、言わば兄の様な存在だった。
私は奴の無様な末路に笑いを堪える。
良い気味だ。獣に相応しい最期だ。
笑いを堪えているはずなのに、この目から零れるものは何だ?
待ち望んでいた怨敵の最期だというのに、何故こんなに悲しんでいる?
涙を拭い、アルソンに檄を飛ばす。
まだタイタスは消えてなどいない。気持ちの整理も悲しむのも、後回しだ。
アーガデウムの空を見上げる。
それはまるで、あの夜の様な綺麗な星空だった。
「りょうじょく?」
「遥か未知の領域の……」
こんな感じでしょうか?なんか違いますね。
肝心の部分は技量不足で無理でした。書けません。
「お前何でこの板にいるんだよ」って話なんですけどね!
お粗末様でした。
かーきーわーすーれてたー。
事前に
>>30読んでいただけると前半部分が何の事かわかると思います。
それでは、失礼しました。
陵辱√GJ
テオル公子〜あなたって最低の屑だわ〜
陵辱GJ
〜悔しい、でも〜
〜ビクンビクン〜
和やか要員だと思ったウェンドリンが……
何はともあれGJ
>>84 GJ!こう来たか!
陵辱スキー的に素晴らしいご褒美。
浮気ネタの別の定番をねじ込むの忘れていたので。
・n角関係有り
・罪人男主人公顔グラ1番
・ヴァン×ネル、パリス×キレハ前提
それでは、どうぞ。
「なあ、ヴァン君。これを見てくれ」
テレージャが小さな子供の手を引いてやってきた。
迷子か?と尋ねるが、違うらしい。
その子供は、白に近い金髪で、赤い瞳をした女の子だった。
誰かに似ている。……俺に似ている。
「おとーさん」
!?
「認知したまえ。私と……君の子だ」
嘘だ!俺はテレージャとそんな事してない!!
「駄目じゃないですか、ヴァン様」
振り返るとフランがいた。その瞳に光は無く、手には包丁を握っている。なにこれこわい。
「私を奴隷にして、口では言えない様なひどい事をいっぱいしたのに」
包丁の切っ先をこちらに向けて一歩ずつ近付いてくる。
「悪い子にはお死置しなきゃいけませんよね」
字がおかしい!待ってくれ、俺はそんな事してない!!
「おい、ヴァン」
別の声に振り返ると、そこには大きな卵を抱えているエンダがいた。
「うい」
その卵をこちらへと投げ渡す。
「痛かったんだぞ、産むの」
まさか……いや、やっぱりこの卵は……
「こんなようじょに欲情するなんて。このロリコンめ」
してないしてない!してないよ!!
「ヴァンは俺達にひどい事をしたよね」
地の底から響く様な声が聞こえ、次の瞬間地面から5本のオベリスクが生えてきた。
ドス黒いオベリスクの中には、野郎共が一人一人閉じ込められている。
「ヴァンよ、お前ひとりでハーレムか。ヤリたい放題か」
「見損ないましたよ、ヴァンさん」
「死ね。チンコから内臓飛び出して死ね」
「…………」
約3名が罵詈雑言を吐き、約1名は無言で血の涙を流している。
「ヴァン……キレハ抱いて気持ち良かったか?気持ち良かっただろうなぁ」
血涙を流すパリスが恨めし気に呟く。
「でもなぁ……俺の可愛い可愛い恋人なんだよ。返してくれよ」
待て待て、いやもう待たなくても良いから話を聞いてくれ。
俺はやましい事など何も……
「嘘ばっかり」
振り返ると、全裸のキレハが立っていた。
「みんなあんたがした事よ」
してない、俺は、何も……
「欲しいものを欲しいだけ奪って、その結果がこれよ」
欲しいもの?…… 違う、俺はこんなの望んでない!!
「本当に嘘しかつかない男なのね。呆れた」
キレハの髪が別の生物の様に蠢き彼女を包み込み、いつか見た狼の姿へと変化した。
「だったら、もう二度と遊べない様に噛み千切ってあげる」
無数の牙が俺の愚息へ襲いかかる――
そこで、夢から解放された。
顔が寝汗でべとべとする。頭が酷く痛い。
……そうだ。この頭痛が思い出させてくれた。
昨日は皆揃ってハメを外し過ぎ、飲み過ぎた。
おかげで、メロダークを井戸に叩き落としてから先の記憶が無い。
メロダークには、本当にすまない事をしたと思う。
やっぱり飲み過ぎは良くないな。うん、良くない。
「んー……そこはらめぇ……」
誰かの寝言が聞こえる。俺と同じ、毛布の中からだ。
俺は一体、誰と何をしたんだ?
恐る恐る、毛布を捲る。
「むにゃ……」
キレハが眠っていた。何故だ!?
「うー……もう朝……!?なななななんでヴァンがいるのよ!?」
知らねえよ!!
そもそも、良く見ればここは俺の部屋じゃない。
「ここ、メロダークの部屋じゃない。どうして……」
メロダークには、本当に……すまない事をしたと思う。
「変な事してないでしょうね……」
お互い、衣服の乱れも無ければ何かをした痕跡も無い事を確認する。
ただ同じベッドで寝ただけ。OK、セーフだ。
誤解を招かない様に慎重に部屋を出ようと提案する。しかし――
「駄目。もう手遅れみたいよ」
そう言われて、背後の禍禍しい気配に気付く。
「ヴァーンー……お兄ちゃんなぁ、お前を一生許さないぞー……」
夢の中と同じ様に、血の涙を流すパリスと……
「どいてキレハそいつ殺せない」
憤怒を超越した表情で、殺気をダダ漏れにしたネルが立っていた。
ネルの手には破城槌が握られている。……本当に殺す気だ!!
キレハがネルの言葉の通りに、スッとベッドから降りる。
やめて、どかないでお願い!
「こぉの浮気者ーーーーーーーーッ!!」
・被害状況
ヴァン……破城槌でのめった打ちにより戦闘不能。
ネル……軽度の心的外傷。直後にすっきり全快。
パリス……軽度の心的外傷。後に無事回復。
メロダーク……井戸の底から無事生還。損害無し。
シーフォン……寝ぼけたエンダに頭をかじられ重傷。
キレハ……二日酔いによりダウン。後に無事回復。
青果売りの商人……井戸から這い出たメロダークに驚き転倒。ぎっくり腰発症。
彼等の冒険は続くッ!!
カオスしたかっただけでした。お粗末様です
ちょwwwどこから内蔵飛び出して死ね?wwww
GJ!
ヴァン謝れwwwメロさんよりも青果売りのおっちゃんに謝れwww
GJ!青果売りさん気の毒すぎるwww
本スレで紫電の小杖の使い所の話が出てたが
eraのせいでもうまともな目で見られなくて困る
アベリオンはなんてことに使ってるんだ
GJ。青果売りのおっちゃん哀れw
>>100 紫電の小杖を使ってるのは、アベリオンじゃなくてしーぽんだぞ。
どっちにしても、おにちくなのは間違い無いが
勢いで書いた前スレの十七世賢者弟子後日談
フィー十七世化進行(むしろあらぬ方向へ突進)・エロ薄・愛なし・バッドエンド・殺傷表現ありと困難の道です
苦手な方はNG指定願います
深夜、遠くに灯台や街の明かりがぼんやりと見えるうら寂しい荒地。
そこにぽつんと張られた簡易的なテントの中は妖しい吐息で満たされていた。
「はっ……あっ!」
床に這いつくばって差し出された小さく白い少女の足を無心で嘗め回しているのは、同年代と思える黒髪の少女・キレハ。
その目はとろんと虚ろで光を失いながらも、頬を赤らめ恍惚の表情で素足を唾液で塗していた。
一方、自分の足元でそんな倒錯的な情事が行われているにも関わらず平然と、意に介さず本を読み続けているのは青みがかった白銀の髪を持つ少女・フィー。
故郷のホルムを離れ、遥か西のユールフレールを目指す旅の途中だ。
「ねぇ」
「ふっ、うぅぅ」
思いついたように声を掛けながら足を動かして頬張っていた口の更に奥へ突っ込む。
いきなりの行動にえづきそうになりながらも、以前のきつい罰を思い出してキレハは歯を立てぬように口を大きく広げながら、舐めるのを止めない。
「昼間、薬売ってた時の話なんだけど」
旅費のため、たまにキレハが採取してきた素材とデネロス直伝の知識を元に薬を作っては街や村で売っていた。
特別豪遊したいわけでもなく、素材はいくらでも手に入るためどこか世事に疎い彼女は二束三文とも思える値段で、特に困っている貧しい人々を優先に渡していた。
異変が去ったとはいえ世情はまだまだ不安定で、それは神殿から近いこの近辺の街々も例外ではなく。
ボロを纏ったスラムの人々に彼女はまるで神のごとく崇められていた。
「『まるで神様みたいだ』ですって」
「あぅ!」
口内に含まれていた足を今度は抜きとり、ぼうっとした視線で追うキレハの頬を思い切り蹴り上げる。
咄嗟のことで受身も取れず転がった彼女の頭をぐりぐりと踏みつけながら、フィーはおっとりとした声で続けた。
「明日の朝一番の船で行くわ。今日はもう寝なさい。本番で役に立たなかったなんて目も当てられないでしょう?」
好きなだけ踏んで満足したのか、ふいっと踵を返して自分の寝るスペースへ向かう。
軽い毛布の中に潜り込むが、転がったままのキレハは荒い息で、何かを訴えるような目でフィーを見つめていた。
「人の姿をしてても、所詮は自省もできない下等な獣ね」
「ね、ねぇフィー……ほんと、に?」
「うるさい」
蔑んだ視線を送る彼女に途切れ途切れの疑問を投げかけるも、冷徹な一声でピシャリと遮られる。
声が持つ迫力に肩をすくませて怯えるキレハに、畳み掛けるように冷たい声が続いた。
「嫌ならここから消えて。役立たずのゴミは要らないわ」
青い瞳が凍りつくかと思うほど温度を失い、吐き捨てるように言ってから背を向けたフィーに慌ててキレハが駆け寄る。
その目には涙が浮かび、鼻声になりながら何度も詫びの言葉を紡ぐ。
「ごめんなさい、ごめんなさい……! 私、なんでもするから……だから捨てないで……」
後ろから聞こえる啜り泣きを満足そうな表情で聞きながら、夜は更けていく。
大理石を積み上げて作られた神殿は遠目からも間近で見ても息を呑むほど荘厳だ。
夜遅くにも関わらず巫女やら神官やらがしきりに出入りし、正門の前に立つ僧兵はくたびれた様子も見せず仕事を果たしている。
そんな神殿を、フィーは物陰からひそかに睨みつけていた。
「はーっ、はー……!」
足元で荒い呼吸が続く。混沌の血脈を解放したキレハが四つん這いになり、暴れだしそうになる血と必死で戦っていた。
四肢は狼の如く強いしなやかさをもち、開けた口からは牙が覗き見える。そんな彼女の逆立つ髪の毛にフィーはそっと手を置いた。
「殺しなさい」
普段魔術を展開する時と同じく声に呪力を込めて、血と戦うキレハの耳を、神経を甘い声で侵していく。
「一人でも多く殺しなさい。
目を潰されたら手当たり次第なぎ倒し、首を切られたなら相手の喉に喰らいつきなさい」
――そうしたら、愛してあげる。
最後の一言でキレハの目から理性が消え、代わりに闘争心と殺意に満ち溢れた光が宿る。
牙をむき出しにして神殿を睨みつける半獣をそっと手でいなしつつ、フィーは新たな魔術を構成する。
頭に思い浮かべるのは割れる大地、そして突き上げられなす術もなく消え行く僧兵。
「……“竜脈の解放”」
片手に掲げていた“上霊”をトンと地面に突きつけ、丁寧に構成していた魔力を大地に注ぎ込む。
すると杖の先から地割れは生まれ、それはみるみるうちに神殿へ延びていく。
そして、石造りの大神殿が大きく揺れた。
「上出来」
局所的な地震とでも言えばいいのだろうか、ある場所は大きく地面が割れ、またある場所では次々に大地が隆起してそこに居た人々を突き刺す。
一瞬にして地獄となった神殿から阿鼻叫喚の悲鳴や怒号が聞こえ、フィーは満足げに目を細める。
するとひゅっと鋭い風が頬を撫でる。ちらりと横を見れば四つん這いになっていたキレハの姿が見えない。
混乱を好機と捉えたのだろう、風のように飛び出して混乱に見舞われる神殿に飛び込んで狩りに出たようだ。
悲鳴に混じって獣の咆哮が聞こえたような気もしたがそこからくるりと背を向けて、静かな海へと目を向ける。
聖なる大河アークフィアと母なる海が交じり合う河口を見ながらポケットを探り、あるものを取り出す。
「……ふん」
それは真っ白な、今まで荷物に詰めっぱなしにしたままだったイーテリオのかけら。
清浄な光を纏うそれを忌々しげに睨み付けたのち、大きく振りかぶって海に投げ捨てる。
すぐにまた神殿へと向き直り、ぽちゃんと落ちる音を聞きながら改めて集中して魔力を構成する。
今度のイメージは、罪人が焼かれる火炎地獄。
「焼き尽くせ、“爆炎の投射”!」
それは初心者でも取得可能な初歩的な火炎魔術。
だが彼女の放ったものは尋常な威力ではなく、地揺れに乱れていた神殿をあっという間に劫火で包み込んでしまった。
真紅の炎がみるみるうちに大きく燃え盛り、悲鳴や咆哮ごと神殿を焼き尽くしていく。
骨肉はおろか石すら溶かしてしまいそうな炎。それはフィーにあの夜の惨事を思い起こさせる。
(先生、見える?)
他にいくらでも高威力な魔術はある。
しかしあえて爆炎の投射にこだわったのは彼女達の庵が焼き討ちにあったこと、師との思い出、そして天に届けば彼の目に入るのではないかと思ったからだった。
(私達の家を焼いた神様を燃やしたの)
神殿に刻まれた女神を象徴する聖杯がガラガラと音を立てて崩れ落ちる。
象徴は崩れ、僧兵や信徒も燃え、契約の印も捨てた。大河の奥に眠る女神に、あとどれほどの力が残っていようというのか。
(神殿があったのに貧しい人がいたのも、タイタスが生まれたのも、先生が死んじゃったのも。全部あの女神が間違ってたからなのよね)
目の前の炎は記憶の中のものと摩り替わる。様子見から戻ったフィーの前に広がっていたのは燃える庵、立ちはだかる僧兵、そして引きずりだされた師。
思い出すだけでも腸が煮えくり返り、彼女はまた魔力を構成する。“上霊”を高々と掲げ、叡智の限りを以って編み出された最高の魔術をひたすらに思い描く。
古い神を壊すために手を抜いてはならない。
『術の構成がちと甘いなぁ』
何度も練り直しながら脳裏に過ぎ去りし日の師の思い出が蘇る。これは確か、初めて魔術を放った日の時のことだ。
『わしゃあまだ酔ってないぞ』
『そう、その薬を持ってきてくれ。これが熱さましに一番良く効く』
『上達したな、フィー』
幼い頃のことなのに鮮明に思い出せた。懐かしさに構成が緩まぬよう気を配りながら更に記憶を探る。
だんだんと、記憶は現在へ近づく。
『お前が●しいと思う道を進むがいい』
それに伴いなぜか彼の言葉は曇り掛かっていった。
『畑を耕し、弟子を育てる方が何倍も●●ら●い●だ』
そして磨き上げた魔力を放つ直前に浮かんだのは、今と同じように神殿軍に向かって魔力を放った時に投げかけられた言葉。
『も●●せフィー! ●に●●●●●!』
――あの夜、先生は何て言ったんだっけ?――
「――大いなる、秘儀!!」
聖なる光の奔流を解き放った瞬間、答えは永遠に手が届かない場所へと消えてしまった。
>>101 自分に気があるっぽい女の子相手にひどいよな。
>>102 GJ!
これはいいヤンデレフィー。
ファザコンというのも結構いけると気付いた。ありがとう。
>>105 GJ!
奴隷キレハに俺のメイスがフルボッキ!
……って書こうと思ったら(´;ω;`)
賢者ルートは本当に悲劇の主人公だから困る。
もやしせ!フィー鍋にいれてにろ!駄目だ・・・ちゃんと埋まらない
つらいお
GJ。フィーにヤンデレって意外と似合うんだな。
依存とヤンデレの不毛一直線関係いいよ。
回想シーンの幼フィーの破壊力がやばいんだが。
GJ!鬼畜なはずだが切なくなった
拠り所全てを失うまさに悲劇のヒロインだからな…
>>101 そうだったか
記憶違いしてたようだ
すまん
さっき現在プレイ中のフィーたんの主食、アップルパイを嫁のネルに焼いてもらったんだ。
小麦粉&果物×10を青果売りのおじちゃんから購入。
成果:アップルパイ1・フルーツプディング2・焦げた石4・マッドシチュー3
青果売りのおじ様には、本当にすまない事をしたと思う。
・罪人男主人公
・エログロバイオレンス含有
それではどうぞ。
チュナ達をテオルの手から奪い返す事が出来た。
あとは遺跡の最深部へと進み、すべてにケリを着けるだけだ。
俺達の冒険にも、終わりが見えてきた気がする。
そんな中で、ラバン爺に声を掛けられた。
「お前に俺の技をひとつ授けよう。今夜あたりにでも部屋に来てくれ」
先の領主の屋敷での戦いで、改めてラバン爺の剣技を目にしたが……
俺やパリスとは、次元の違っていた。
俺に、彼の技を使いこなせるのだろうか?
そんな事を考えながら、ラバン爺の部屋の前に辿り着いた。
何か、声が聞こえる。
「んッ……もっと、優しくして……」
「すまなかったな。それじゃ……もうちょいと力を抜いてくれんか?」
「こう?……あんッ!」
ラバン爺と……オハラさんか?
……まぁ、こういうのはどうせ耳掻きだとかマッサージっていうオチだろう。
定番のネタ、お疲れ様です。
念の為、部屋のドアをノックする。
「おう、入れーい」
やましい事をしていたならば、いくらラバン爺でも招き入れないだろう。
遠慮なく上がらせて貰おう。
「ぬお!?メロダークじゃない!!」
「ちょっとヴァン、何見てるのよ!」
全裸のラバン爺が、全裸のオハラさんの上で腰を振っていた。
ああ、そっか。普通そうですよね。あんな声出してるなら、普通はこうなってますよね。
ちょっと待て、メロダークはこの状況のこの部屋に来る手筈になっているのか?
まさか……いや、きっとそういう事なのだろう。
俺は静かにドアを閉め、その場を去った。
ラバン先生、僕に必殺技を教えてくれるんじゃなかったんですか?
もうやだこの……ああ、鳥になりてぇ。
知り合いの裸を見ると、なんだか変に気が滅入るのは俺だけだろうか?
ともかく、部屋に戻って眠るという気にもなれなかったので外に出た。
途中、ラバンの部屋へと向かうメロダークとすれ違った。
やっぱり全裸だった。やる気満々だ。いつかアーケフィアの大河に沈めてしまおう。
特に何がある訳でもない夜の町を歩く。正直、退屈だ。
ネルでも誘えば良かったかな?心に癒しが欲しい。
……不意に、肌に殺気が突き刺さる。
目の前には、人の影。見覚えのある影だ。
剥き出しの刃物の様な殺気を放つそれは、ピンガーの雇っていた殺し屋だ。
ウリュウとかいう名前だったな。
「……また会ったわね」
そう呟く頃には、彼女の刀は腰に下げられた鞘の外に居た。
「キミの首を持っていけば、あいつはどんな顔をする?」
涼しい顔をして、随分物騒な事を言っている。
大方、屋敷での戦いで軽くあしらわれたラバンへの復讐に来たのだろう。
困った事になった。偶然、たまたま武器を持っていて、本当に良かった。
無言の内に、彼女の顔に砂を投げ付ける。
返す手でナイフを一本掴み、そのまま腹を目掛けて投げ付ける。
刀が腹へと飛ぶナイフを打ち落とす頃には、俺はウリュウの頭上を盗っていた。
これが、盗賊の戦い方だ。
だが――
「無駄。全部見える」
首筋を目掛けて振り下ろしたもう1本のナイフは、彼女の刀に受け止められていた。
空中で体勢を整え着地する。彼女はもう目の前まで迫っていた。
振り抜かれる刀をナイフで受け止める。
「少し面白かったけど、結果は同じ。キミは死んで自由になって、私は斬って自由になる」
だんだん彼女の刀の軌道が見切れなくなってきた。このままでは――
突然、彼女の振る刀の猛攻が止む。
「キミはもういい」
彼女はそう呟き、あらぬ方向へと向き直す。
彼女の視線の先には、ラバン爺がいた。
「懲りないお嬢ちゃんだ」
そう呟き剣を構えたラバン爺は、先程の彼でも、屋敷での彼でも無かった。
ウリュウのそれを上回る程の、心臓が止められそうな程の殺気を放つ。
「私は、自由になる」
ウリュウが狂気の表情を浮かべ、ラバン爺へと襲いかかる。
二人の修羅と、刀と剣が交差する。
金属同士のぶつかり合う音が響き渡り、そこに残るのは静寂のみ。
少しだけ間を置いて、ウリュウの刀が無数の破片となって割れた。
「私は、自由だ……」
それに続いて、彼女の体に幾つもの切り傷が走り、血が吹き出る。
事切れたウリュウの身体をラバン爺が義手と右腕とで器用に抱きかかえた。
「ヴァン。今のがお前に教える技だ」
まるで見切れなかった。あの一瞬で、何度の攻撃を繰り出したんだ?
「ちょっと、このお嬢ちゃんを弔ってくるよ……授業は明日だな」
そう言って、ラバンは港の方へと歩いていった。
――――……
「……まあ、こんなもんじゃろう」
結局一睡も出来なかった身体で、陽の昇る前から夕暮れまでみっちりとしごかれた。
しかし、そのおかげで何とかあの技を習得出来た。自分でも驚きだ。
技の名は陰陽殺。かつての英雄が編み出した、魔王に引導を渡した剣技だという。
なんでそんな物をラバン爺が知っているのか。尋ねても……煙に巻かれるだけだろう。
「あー、老体にゃあ堪えるわ。さっさと帰ってオハラとちゅっちゅと洒落込むか」
何が老体だ。元気過ぎるだろう。特に下半身が。
明日もきっと、オハラさんの肌はツヤツヤだ。
入れたもん!えっちなシーンも入れたもん!
という訳で、カッコ良いラバンお爺様を書こうとしたら
とっても厨二テイスト溢れるものになってしまったっていう。
個人的には、主人公が主人公らしい盗賊ルートと賢者ルートが大好きです。
それでは、お粗末様でした。
ラバン爺美味しいよラバン爺
凄い無粋な突っ込み入れると、陰陽殺と流星剣は
「今の俺のオンボロな体じゃ
もう使えなくなっちまったが、
お前なら使いこなせる筈だ」
ということなんで、ラバン爺には使えないです。
(多分両手を使う技なんだろうね)
>>116 正直そんな気がしてならなかった。
片手で無理矢理出した。って事でどうかおひとつ・・・orz
流星剣は元ネタ考えると両手じゃないと不可能くさいですね
フィーのこれでおしまい。11000弱あります。昔の夕方アニメの最終回程度の健全さ
どなた様もどうぞトリあぼんでご協力お願いいたします
>>59のタイタスのセリフからこちらに分岐したのでテオルが普通に死にます。
足蹴にされて返り討ち、キレハの魔弾を斜交いに切り捨て、背後から飛びかかったパリスを投げ飛ばし続けざま
放った雷の剣が後衛を蹴散らす寸前、黒い影が飛び出し横様に吹き飛ばされシーフォンが悲痛な叫びを上げる。
「メロダーク!!」
「「「させません!」」」
五人位のフランが構えを取る足元がめきめきと持ち上がり木の根が噴出してタイタスの足を絡め取る。かわした
タイタスに踊りかかったのはネルだ。仲間の返り血に染められて涙を零しながら、激しく鎬を削らせがりがりと
押し戻し、兜を飛ばされて尚斬りかかりタイタスの体を浮かせた瞬間、狙い定めたアルソンの一撃が加わった。
『なにッ……?』
石畳にひっくり返って突っ伏したまま、血まみれのラバンはにやりと笑う。
『所詮は代用物……。この程度の肉体では、あ奴に勝てぬか……!』
幻想の都は橙色の夕日に照らされて、冬の空は紫に染め上がり、地平線には夜の帳が下りはじめていた。
冬眠から覚めた熊のような男は、ホルガーに匂いをかがれつつのっそりと瓦礫から這い出してきて、体中の埃を
叩いている。逆さまに溝から足をだしていた男のほうは仲間に無理やり引っ張り起されて咳き込み、ボロ雑巾の
ように埃と血まみれになった老人は、うら若い神官の手当てを受けつつ熱心に胸元を覗き込んでいる。指揮官は
転がった兜を拾うと、しゃがみ込んだままの娘にそっと歩み寄る。
「ネルさん。怪我はありませんか」
真っ青な顔でうずくまっていた。声が耳に入っていない。
「あたし、いまごろ…今頃怖くなっちゃった…あはは…ああ」
「ネルさん、素晴らしい働きでしたよ。あなたは自分で思っているよりずっと強い、本当です。立てますね?」
「うん…、ありがと。あたしまだ頑張れるよ!みんなは」
ラバンは風呂上りのような顔でフィーとテレージャに鎧を着せてもらっている。パリスはエンダに顔をガシガシ
拭かれて悲鳴を上げているところだ。メロダークは…彼は何故か軍靴を片手にけんけん、狼はけげんな顔をして
奇行を見守っている。シーフォンは自分の人工妖精に傷薬を塗りたくって手当てしている。彼なりに可愛がって
いるのだろうか。キレハは自らが使役する獣たちとともに周囲を警戒しており、怪我はないようだ。ふと見れば、
ネルの周りには心配顔のフランと、思惟する食べ物が集まっていた。
「お怪我ありませんか、ネルさん」
「なんともないよ、有難うフランちゃん」
立ち上がると、エンダの育てた樹縛に捕らわれて、しょんぼりしている指輪の精を助け出す。皆が揃った所で
ランタンを点し、心もとない足元を照らしながら、都の中心にある宮殿に向かう。街の中はゆらゆらとした灯りが
ともり、とても幻想的だ。これがただの夢ならばと思う。
空中宮殿の基底部、舞台のある上空に出たとき目の当たりにしたのは、不可解な光景だった。そこには何もない。
巨大な機械仕掛けの舞台の上で、沈みかけの弱い日差しに身を投げ出したまま、長々と影を引く男の姿があった。
手の施しようがないことは確かめずともわかる。どす黒い血溜りに身を横たえて、途切れ途切れに呪詛を呟く。
気がついた時は既にこうして伏していて、満足な身動きもままならず、鮮烈な痛みだけが体の異常を伝えていた。
やっとの思いで仰向けになる。北風が容赦なく吹きつけるなか、吐息が白く立ち上り、全身からは止めども無く
出血が続いていた。致命的な事は自身でも分っていたが、それですらとても現実とは思えない。
「…テオル」
「なんでこんなになってっんだ、俺たちここまでやったかよ」
「能力を超えた力の使い方をされたんだろう。負わせた手傷よりそちらのほうが酷い」
「所詮は他人の体ということか…無様なものだ」
跪き、手甲を外して手をとると、急速に体温が失せていくのを感じる。覆い被さる様にして遺言に耳を傾ける。
彼はこんな時でも自分の話をしていた。この男を愛した女達、友達、それに跡継ぎを失うことになるネス公国、
そうした「手駒」を自らがぞんざいに扱っているときは気づきもしなかったのだろう。彼自身もまた、駒の一つに
過ぎなかったこと、そして背伸びをしたところで、結局死すべき者であることも。…儚い、とアルソンは思う。
なぜ、何故と、まとまらぬ頭の中で狂ったように言葉が絡まりあう。焦りばかりが募って天の高さに怯えを感じ
やがてなにかの古い記憶片に目を閉じた。雲が晴れ、冴えた夜空に星がかかりはじめたころ、テオルは死んだ。
体を整えて外衣をかけてやる。他にどうしようもないのでそうして別れを告げた。
頭の上に、鋭い瞬きを感じる。驚異的な、何か大きなものがそこにいる。
「ぶちのめすたってどうすんだ」
「ま゛〜」
「よわったなあ、流石のわしも想像がつかん…」
「流石のってどう流石なんだよ」
「底冷えがするね」
『…余に近いものとして創ったがゆえに…』
「フィーは違うもん!」
「そりゃあお前、わしにかかれば美女の一人や二人」
「ターニャちゃんか」
「ちっともどっこも全然似てないよ!」
「ラバンさまーあたしも一緒につれてってーと駆け寄ってきて」
「私が思うに、それは犬だね」
「かーわいいイボンヌが、じゃなかった柴犬が」
『いかに知恵を蓄えようとも、肉体も名も持たぬ者は、人の心を失うのみ』
「LOVE&PEAS!ってなあ、がっはっはっは」
「ま゛…?」
「無視しろ、8号」
『ならば余は、自らの肉体で闘争し、自らの名で世界を支配することで、己の感情を取り戻す』
「そんなに長生きなら、もっと役に立つこと始めればいいのに」
「長い時を経るうちに、目的が変質を起すのはよくあることだ」
自戒を込めた言葉。それもある。神官たちは一斉に祈りを捧げ、盾持ちは身をかたくして構える。呪文を詠唱し、
応戦に備えるが、相手の出方に予測が立たない。戸惑いが広がる中、呟くような声が響いた。
『空よ……回れ』
奇妙な感覚だ。最初に感じたのは小さな空気のわだかまり、不思議な減速感、やがてそれは逆で、自分達だけが
取り残され、ぐんぐんと世界が加速していくためであると気づいた。星が駆け抜け月が転げ落ちていく。速度を
増した世界は彼らに圧しかかり、全てを諦めるよう促した。
『咲き誇る花も枯れるがさだめ。余のほかに、時に抗えるものはない』
異変は目に見えて迫り、今しもテオルが崩れ、思惟する生物たちが一瞬で蒸散した。フィーは身に起こる変化に
違和感を覚える。なぜ自分だけが守られているのだろう?…襟元に不思議な光が漏れ出しているのに気づいた。
暖かな陽だまり、おだやかに流れる川面、懐かしい誰かの手が触れた…。不思議な浮遊感を覚える。揺り戻し、
そして減速する世界。全てを押し流そうとするタイタスに、何かが立ちふさがったのだ。
『おのれ……。上位世界からの介入か!』
怒気に混じって恐れが感じられる。彼とて死すべきもの、小さきものに違いないのだ。俄然やる気がわいてくる。
「枯れたお花は実をつけるんだよ!だから咲くんだよ!なんにもこわくないよ!」
鞄をかなぐり捨てた吟遊詩人が歌うはいくさ歌。頭大丈夫かと思いつつ込み上げるこの熱い気持ちは何だろう。
「あんめにふぅらあれてはンなぁがあちいぃるう、かぁっぜにふっかぁれてはながあぃちるぅ、どうせ散るなら?」
『なにそれ』
「ご唱和くださいっハイ!こぉいのっはっんなああぁ」
「「「HEY!!!!ZOM ZOOOM ZOOOM ZOM DO COOL!!! KISS YOUR SHADE!!!(死者に愛を)」」」
あほほどよく効く。
残りの全ての石ころを全力投擲、しかし手ごたえがあるかといわれればよくわからない。なにか決定的なものを
見落としている、パリスのまなざしは答えを求めてさまよい続ける。稲妻が闇を切り裂いた。
『こざかしい…!』
空に白い尾を引くのは太陽、タイタスの詠唱が響く足元で火炎ボトルが砕け散り、しぶきの様に手裏剣が乱れ飛ぶ。
次の瞬間、防衛線を破って星落しが直撃する。マントが焼け落ち指輪の精が力尽きた。倒れたまま身動きをしない
仲間達を駆けつけたテレージャが蘇生を試みる傍ら、舞台の反対まで吹き飛ばされていたメロダークが突如巨大化、
猛然とタイタスの拳を受け止める。怖い。辺りに星空が広がったとき、はらりと外套を脱ぎ捨てたキレハがいた。
「この力は使いたくなかった……でも、今の私には守りたいものがある!」
華奢な狩人の体はめきめきと異形を現していき、タイタスの雷撃をたやすく受け流す。飛びかかって組み打ちして
どえらい咆哮、思わず振り返ったところを張り倒されたパリスが台座から滑り落ちる。
「パリスー!」
「くんな!…逃げろ!」
カジキマグロを放り出した鍛冶屋が手を掴む背後から、雷撃が加わり足場ごと砕け散る。
「ほわっどうしよっおちるっうわ!ひえぇー」
「いいから俺の手は離せ!」
「えーと、えーと、えーと、そうだこれだ!」
「ちょっ……ほわべっ」
逆光に沈むフラスコ。からんと砕けて空気に触れたとたん、激しく炸裂して吹き上げられる。
「わあい」
「殺す気かっ」
立ち上がった彼らの目に飛び込んできたのは、身動きも取れないほど深手を負った仲間達だった。だが…なぜか
タイタスは沈黙している。不可解な空白が舞台を支配していた。血染めの神官は怯まず必死の治療を続ける。
突然叫ぶパリス。
「そおーかわかった!本体はこいつじゃねえ!俺たちの足元なんだ!」
「ということは」
「ぶっこわせ!」
「わかりました、まだ動けるものは舞台の破壊にあたれ!」
「お前らはどうにかしてあいつに殺されないよう頑張ってろ!」
「まーかせて!」
「おいシーフォン!雷ってのはなんだ!」
神官の衣の影から頭を起して息をつく。
「…あいつは雷、だから…ああ…」
空を仰いで考える。くそパリスでもわかる説明でないといけない。
「電気抵抗…ええと…テレージャどうしよう」
「パリス君!水をぶっかけろ!!」
「おらっしゃああ!」
水筒が弾けとんで漏電を起した。びりびりと髪が逆立ち鎧に静電気が走り出し、指揮官が叫ぶ。
「僕らは舞台の破壊!可能なものはタイタス弱体化!かかれ!」
「出番だよっ」
「ういうい」
聖雨が降り注ぎ吹雪のブレスが荒れ狂う。駆け出したネルと半裸のメロダークが術を結び、氷が爆ぜて蒸気を作る。
大きな水溜りがあちこちできてバリバリと放電が始まった。同時に駆け出した者はお手製機械爆弾を放り出しては
逃げ回る。足場が動揺し、噴煙が上がり、タイタスが唸る。
「もらった!!」
針金をひっかけた侠客は一気に引ききって電線の設置。危うく感電しかけて逃げ出した。再び立ち上がったフランは
傷薬を掴んで走り出す。たびたび襲う攻撃をかいくぐった魔弾が歯車を破壊し崩落する外郭、溢れ出した監視者達に
投げつけた風羽根の刃が落石で軌道が反れる。パリスの無防備な体が降り注いだ弾幕に晒され、思わず覚悟をきめた
瞬間、これでもくらえ!
「シーフォンか?!無茶すんな!」
「くそパリス。お前…案外賢いな」
「うるせえ死にぞこない!とっとと倒して帰るぞ!」
相次ぐ猛攻で粉砕され、ついに本陣の基部が大きく露出する。覗くのは巨大な鉄の紡錘、異様な力の源だ。これぞ
タイタスの心臓。神官が突き飛ばされ、投げつけた小麦粉が打ち落とされ、打撃が振り下ろされ、そのすぐ後ろに
「フィーさん危ない!」
「フランちゃん!!」
小さな体が枯葉のように舞い、手を離れた短剣がすべり落ちていき…。
「あ、いけねっ」
足が亀裂にとられてバランスを崩す。体が傾いて、懐からなにかが飛び出し、それは転がり…点々と落ちていき…
粉塵爆発を起した!!続けざまの大爆発、機械内部が自重で瓦解し、たちまち底が抜け…タイタスは全てが手遅れで
あることを悟った。
『…フィーよ。おろかな子よ』
静かな瞳が空から見下ろしている。これほどの智者がどうして…、そう思わせる表情だった。
『さらばだ、世界よ。私はお前を愛していた!』
「消えた…やつの気配が無くなった!勝ったんだ!!ひいゃっはぁー!!!やっぱり僕は最強だっ!!」
「あわわ…大変です、それどころじゃないや退却!!総員退避!!みなさん逃げてー!」
力の中心点が失われ、帝都全体が崩れゆく。抱き起こされ、肩を貸し、出口を求めて逃げ惑う。玩具の積み木が
崩れるように決壊し、崩落し、輪郭を失っていく。壮麗な建物、舗道も、すがる柱も消えていく。真っ逆さまに
投げ出されて体が友から引きはがされる。名前を呼び合い、手を差し伸べあい、空にそれぞれ散っていった。
――とても穏やかな海だった。波打ち際を裸足で散策し、吹き渡る優しい風に身を任せていた。ここでこのまま
一生を過ごすのも悪くない。そんな気がしていた。
夜明け近くのこと。幻の都が霧散していき、そのなかから何かが零れ落ちていく。漁師達、貨物船の船員達や
大河のほとりの者たちは、それが人であることに気づき、あわてて漕ぎ出し河岸に火をおこす。神官を呼び寄せ
毛布を取り出し、町を駆け回って手を尽くす。その中にまた一人目覚めた者がいる。
「……?」
「フィー!おきたか!」
「ま゛〜」
「エンダちゃん?8号も…土のいい匂いがする」
地面の気配、そして若い男が心配そうに顔を覗きこむ。
「痛いところはないかーよ?」
「有難う、私は大丈夫です…そうだ、みんなは!」
「手当てしてるところだーよ。よかったーよ。竜人の女の子がね、ずっとしがみついてたんだーよ」
「エンダちゃんが?ずっと守っててくれたの。有難う」
生乾きのエンダが抱きついてくる。ごうごうと焚き火に照らされて、真っ青な顔のフランは担架で運ばれていく。
シーフォンの唇は紫、毛布に包まりガチガチ震えていて目の焦点も合っていない。ネルはぐったりしたまま介抱を
受けているが、会話に答えてはいるらしい。キレハがこちらに飛んできて、それに気づいたネルも手を振る。
「よかった!あなたも目がさめたのね」
「キレハさんもいるぅ、よかった…。テレージャさんは」
「落ちてきたとき足を傷めたみたいなの。神殿で治療してもらってるわ」
「よかった、キレハさんは大丈夫なの」
抱き寄せられた腕には包帯が巻かれている。体からはほんのりと消毒のにおいがした。
「ホルガーたちが守ってくれたのよ。…今は皆が」
そのとき叫び声が聞こえる。岩壁にそって走ってくるパリスの声だ。
「誰か俺にも船貸してくれ!!!」
船上から殆ど裸の傭兵が怒鳴り返し、包帯だらけのラバンが駆け出し漁船に飛び乗ると、艀からパリスも飛び移って
必死に沖へ漕ぎ出す。漁師達に向かってさらに叫ぶ。
「金髪だ!歳は俺くれえ、鎧を着てるはずだ!探してくれ!」
とたんにエンダも飛び出し矢のように水に飛び込む。
「どうしたの…?もしかして、アルソン君がいないの!?」
「ええ…今コートも探しているわ」
言葉が出てこない。
「見て!」
水面に何かが顔を出していて、手を振っている。そこへ向かって船が進む。見たところラバン達だ。
「まってろエンダ!いま引き上げてやる!」
「おー早くこい、アルソンがしんじゃうぞ」
「…ふぬおおおおおお!!!!おうわあ」
「おいおいおい、気をつけないと船がひっくり返っちまうぞ」
船上に腕力がない。庸兵も漕ぎ寄せてくるが、どうしたものだろう。
「エンダ、お前上がってこれるか。俺じゃできねえ」
「ういうい」
三人掛かりで体を掴み、顔を真っ赤にして抱き上げる。メロダークまで船の中に乗り込んできて、船をぐらぐらさせ
ながら床に寝かせて顔を覗きこむ。
「息してねえ!駄目だ、かぢかんで脱がせらんねえよ!」
「私にまかせろ」
引きちぎりむしりとる。
「アルソン!目を開けろ!アルソン!」
ばしばし叩いて呼びかけ、ラバンはオールをエンダに投げ渡す。
「エンダ、わしとこげ!はやく医者に見せるんだ」
「ういうい。おーえすおーえす」
――際限なく寄せては返す。銀色に輝く白浜に腰を下ろしてどれ位立っただろう。水面に映る影に気がついて、
後ろを振り返る。若い女性だが、見覚えある顔立ちだ。誰か似ているのだろうか。立ち上がって一礼すると彼女が
何か言う、少し笑って、それから…不意に胸を小突かれ、突然海に落っこちた。どんどん沈み、水中を光を求めて
必死にもがく。ああまであの娘に頼まれては、帰さないわけにはいかない、そう聞こえた。アルソン、アルソンと
誰かが呼んでいる。空が見える。
「…気がついたぞ!」
「大丈夫か、アルソン」
「どうだ気分は。喋れるか?」
右手はメロダーク、左はパリスが握り、ラバンの膝枕。ぎっこらぎっこら漕ぐエンダ。視界はおっさんばかり。
「おー?アルソン、目がさめたか?」
「……あんまり、嬉しく…ない…」
「はあ?」
「…どうせなら、女の人がよかった……」
「もっぺん死ね!!!」
「がっはっは!こりゃあ殺しても死にそうにないな」
岸でお望みの娘達に迎えられ、ようやく頬が色づいた。笑いあう仲間達、へたりこみ今更激痛に倒れるパリス。
そこに猛然と駆け寄ってくるものに気づいて悲鳴を上げた。
「にげろっ、こ、殺され…るぅっ…」
「どうした、しっかりしろ」
「ありゃあ大家のかみさんじゃないか」
「チュナちゃんが!チュナちゃんが!…とうとう目を覚ましたんだよ!パリス!パリス!」
牛のような女にぐらぐらと襟首をつかまれる。
「チュナ…がうが!?あうぐひゃめへっはなひへぇっ」
「パリス!はやく!起きなさい!チュナちゃんが!あんたを!呼んでるんだ!」
朝日に照らされた大河の岸辺に吹き寄せる南風は、確かに春の気配を含んでいた。
――そして、一ヶ月後
籠を木苺で一杯にして、踊るような足取りで行くのはフィー、野花を摘んでは髪に刺したり花輪を作ったり、
大きな袋と籠を抱え、行きかう人々と挨拶を交わす。どこかがらんとした酒場ではお決まりの席、パリスの姿。
テーブルに足を乗せたまま、さっきから独り言を呟いている。
「うおっ!?いたのか、フィー。驚かすなよ」
籠に手を突っ込んで一粒拝借。ごわごわの包みに気がついた。
「何だ?それ」
「うんあのね、今日アルソン君が出発するから、お別れにもってくんだ」
「そうか。なら俺もいくかねぇ。しかしなあ。つまんねえなあ……みんないなくなっちまうのか」
ラバンも数日前、街を発ったばかりだ。他人の夢でなく、自分だけの夢を見ろというのはどういう意味だろう。
あばよといって、のんびり口笛を吹きながら去っていった後姿。まだ言葉が耳に残っている。
「オハラさん、春イチゴ摘んできたんだよ。食べる?」
「いいわね、有難う。まあ!今年は大粒じゃない。一袋もらおうかしら」
パリスはため息をついたが、不意に顔を上げる。
「そうだ、思いついた。あの遺跡を使って、何か商売とかできないか?」
”探索体験ツアー”だそうだ。目を輝かせて頷くから調子に乗ってシーフォンまで誘い出す。
「魔王!?な……何だこれは。アホらしいと思いつつも心が惹かれる……!」
ダメ人間仲間が増えた!和やかな人々の往来に加わって市場に向かえば、店から身を乗り出して呼ぶ人。
「フィーちゃんおはよう」
「おはようございます、おばさん。木苺食べる?」
「まあこんなにたっくさん!嬉しいわ。ねえ、うちの子に会いに行く用事はないかしら」
「僕はめんどうは御免だぞ」
「ネルどうかしたの?」
「今朝寝坊して、お弁当持たないでいっちゃったのよ。届けてもらえると助かるんだけど」
「はい!それじゃ届けますよー」
「ええー、僕は行かないからな」
ダメ人間仲間が増えた!パリスは着々と足場を固めている。
「お昼までにもって行けばいいから、お願いね」
職人の弟子と話し込んでいると、とんでもない悲鳴が上がって肝をつぶす。見れば旅姿のキレハが、号泣する
フィーにしがみつかれて目を白黒させているではないか。慌てて駆けつける。
「hygfdsいぃぃ@fvbgんmおjk!!」
「そらそうだけど、…キレハにだって事情ってもんがあるだろ?」
「何語だよ」
「あzsxdfghんmjえぇぇん」
「まあ…確かにな。別れも言わずにいなくなるってのは、さすがに俺もよくないと思うぜ」
「だって…会えばこうなるって…わかってたもの」
「や、ちょっとまて、何で通じてるんだよお前ら」
DSフィー語検定、監修はあのホルム街角大学のパリス教授。
「でも、もう宿も引き払ったし…路銀もあんまり余裕がないのよ」
「だったら俺んち来いよ。ガキばっかりだし、夜は夜警でいないから、大人がいてくれるとありがてえ」
「お前んちぶっこわれたんじゃねーのかよ」
「それが、大家が魔王が光臨した跡だ!残り香がある!とか言い出して、ちょっとした観光地になっちまってよ」
「はあ?」
「窓ぶっ壊して入ってきて、家具ぶちわって床を突き抜けて出て行ったんだとよ。今は下のもっとまともな部屋
貸してくれてんだ。でよお、ちゃっかり部屋見にきたやつから金まで取ってやがんの」
「…只者じゃねーな、あのばばあ」
「な、フィーん家が完成するまでいなよ。もしチュナたちの朝飯作ってくれたら家賃はいらねえ。どうだ!」
「ほんとに?…いいの?私みたいなのがいても」
「旨いもん食わしてやってくれよ」
胸に顔を埋めていたフィーが泣きべそで問いかける。
「もういっちゃわない?」
「……あなたの顔見たら出て行けないわ」
そっと髪をなでた。パリスは陽気な調子で神官に声をかけているが、旗色が急変する。
「けっけっけっけけけっ」
「毛?」
「けがに」
「けんこうサンダル」
「けいとだま」
「けしからんっ!!君は貴重な遺産を遊び場にする気か!そんな計画、私が邪魔してやる!徹底的にだ!」
「なんだとお。面白い、やれるもんならやってみやがれ!」
「だいたいなんで君までこんな男に関わってるんだ!フィー君!」
いきなり指を指されて驚く一行。目をぱちくりしながらフィーが答える。
「うん、あのねテレージャさん…聞いてもらえますか」
「なんだね!」
「今は魔物もいなくなってきたけど、遺跡の中は崩れやすいところもあるし、迷子になっちゃうと思うの」
「…確かにね。確かに、誰かしら監理しなければならないのは事実だ。盗掘被害も減らせやしない」
「あのね、パリスは遺跡の中のことはとっても詳しいし、テレージャさんはどこが凄いのか一番詳しいでしょ?」
「ああ、そのとおりだとも!この遺跡の価値に関しては、不詳この私が最も詳しいだろう。分ってるじゃないか」
「だからね、来た人にどこがすごいのかお話しながら、みんなで安全な場所を案内すれば、勉強になるし、その時
少しずつ、来てくれた人から寄付してもらえれば、テレージャさんの研究の費用にもなると思うの」
「それであちこちにアトラクションをつくるんだ!発掘体験ゾーンとかさ!」
「……すばらしい。すばらしいアイディアだよ!フィー君!常に最新の研究結果を交えながら、ホルムに眠る遺産の
の素晴らしさを誰にでも手軽に、そして安全に、体感できる機会を提供できると言うわけだね!研究と言うのは
しばしば内輪に仕舞い込まれてしまい、表に秘匿されてしまうことが多い。しかしこうしてツアーを組むことで
古えの文化の薫陶を受けながら、いまもって生かすことのできる技術の存在を知らしめることができるだろう!」
「そうなの?」
「よし!今から直接私が掛け合ってこよう!任せてくれたまえ!ふあっはっはっは」
がばっときびすを返すと館のほうに駆け出した。
「おいおい、僕の魔王は?」
「遺跡の奥に『大魔道師シーフォンの事務所』みたいなのを作ってやるよ」
「魔王?」
「キレハはツアー客の弁当作るってのはどうだ、古代都市で食ったやつ再現してさ」
「アルソン君に会いに行かないの」
「いけね、すっかり忘れてた」
主のいなくなった館では、新たな顔ぶれも加わって、せわしく事務作業に当たっている。
「フランちゃん、おはよー。番兵さんもおはよー」
「おはよーだーよ。元気そうで嬉しいだーよ」
「おはようございます、みなさんもお揃いですね」
「今度里帰りするそうね」
「はい、オハラさんはよければ本格的に雇いたいと言って下さっていて…お店も忙しいのですけど、一度故郷に
戻って、ゆっくり考えて見たいと思うんです」
「フランちゃん看板娘だもんねぇ」
階段の上からがしゃんがしゃんと音がした。
「あっ、フィーさん!それにみなさんも。会えて良かった」
「アルソン君!おはよ」
「お前都に戻るんだって?さっき聞いて俺たちもきたんだよ」
「僕はそんな話聞いてないね」
「あなた、さっきまでいなくなったら寂しいって言ってたじゃない」
「ええ?そうなんですか、シーフォン君」
「うるさいばーか、とっとと行っちまえ」
「あのね、お別れするから、なにかと思って、ピートさんと相談して選んだの。よければ、これ…」
懐から紙袋を取り出す。嬉しそうに驚いて見せるアルソンは、早速がさごそと中身を開いた。
「わあ!猫さんのタレーリアですねえ!嬉しいな、僕でも早く走れるようになれそうです!ああ、泣かないで」
「お料理、教えてくれて有難う、一杯、ご馳走してくれて、有難う。みんなを、守ってくれて、どうも有難う」
「フィーさん…こちらこそ、あなたのような素晴らしい弟子をもてて幸せです!フランさん、あなたもですよ!」
「アルソン様…あたし…あたし…」
おいおいと泣きだす。ひとしきり別れを惜しんで時を過ごした。
「…そんなわけで、この町を離れますが。後のことを、どうかよろしくお願いします」
ぞろぞろとお付のものが出てくると、連れ立って町を出て行った。
「よくみたら、随分でかい弁当箱だな」
「力仕事はおなかがすくんだよ」
わいわい騒ぎながら魔王の痕跡とやらを見物し、店先で何かをしているネルの元へ。
「あれーみんないるじゃん、どうしたのー?」
「お弁当持ってきたんだよお」
「あ、ほんとだ!すっかり忘れてたよー。有難う!」
「お前ほんとに板についてるな。どう見ても昔ながらの職人だ」
「なによ昔って!乙女に向かってそれはないでしょ!?」
「あががっがが!!?」
「駄目だよう、しんじゃうよう」
とっさにキレハが脇をくすぐり、噴出した隙に走る。
「あっぶねーあぶねー、殺されるところだった」
「神殿にいってみる?治療してもらおうか?」
橋のたもとの占い婆を冷やかして、それから立派な神殿へ。ところが門をくぐるなり
「よけてー!」
「ふぎゃっ」
「椅子か?!」
「長椅子の下を掃くときには椅子を投げなくてもいいの!」
ぶんぶんと箒を振り回すエンダと半べそのチュナがいる。
「オテツダイしてるんだ。えらいだろう。ほめろ」
「なに背景になじんでるんだよ」
「お前たちか。手料理を振る舞いたいところだが、あいにくそうも行かないのだ」
武装を解いた質素な身なりで、なぜかメロダークは首から腕を吊っている。
「かわいそうに、昨日屋根から落ちてきてね。たまたま通りかかったこの人が受け止めたのさ」
何が、とは言わないが、おそらくエンダの話だろう。
「あんた、もしかして命狙われてるんじゃないの」
「…やはり、そう思うか」
「それでなんであんたがここに居座ってんの?」
「俺のような人間でも、旨いといって、手料理を喜んで食べてくれるものがいるのだ…」
「…そうか?」
「そうなのだ」
そうなのだそうだ。神様のお指図は、まこと凡夫には計り知れない。
「まあいいや、俺はもう寝るよ。明日また仕事だ」
以上です。どなた様も暖かいレスをどうも有難うございました
モデムがいかれなければ裏設定スレにでも書くかもしれません
キャシアスさまが迷宮から帰らない。
フランは無意識に床の一部分を拭き続けながら、迷宮に潜ったキャシアスを想う。
地下二階へ向かうと言って今日で二日目だ。叔父様は探索が長引いてキャンプでもしているのだろうと言うけれど、フランの心には漠然とした不安がのしかかっていた。
もし帰って来なかったら? もし、既に息絶えていたら? その思いを振り払うように仕事に打ち込むのだが、それすらまともに出来ていない事に、彼女自身気づいていなかった。
そんな最中、不意に玄関の扉が開いた。
ただいま、という声に今まで心の中にあった不安の雲は消し飛ばされ、
「お帰りなさいませ、キャシ――!?」
――また別の暗雲が立ちこめた。
パンツである。ピッチピチのそれの上には、金色に輝くチャンピオンベルト。顔面を覆う兜に、僅かながらに上半身を隠す外套。
見慣れているのは、腰に差した剣と左手の盾くらいなものだ。
もしもキャシアスが無言で帰宅していたら、変態侵入者として光の速度で襲いかかっていた自信がある。
「……きゃ、キャシ――アス、さま? その、それは一体……?」
綺麗に割れた腹筋とか、惜しげもなく露出されたお臍とかチラチラ見ながら、フランは言う。頬は紅く、量の手は口元に添えられていた。
――プロレスで勝ち取った。剣や槍の訓練しかしたことはなかったけど、案外どうにかなるもんだ。
誇らしげに語るキャシアスを前に、フランの表情は笑顔のまま引きつりっぱなしだ。ああ、なんだろう。キャシアスさまもしかしてその格好でお屋敷まで歩いて来たのでしょうか……。
エロパロスレの存在を昨日尻、速効で考えて速攻で書いた。ところでビキニパンツってやはり女の子も下半身のパンツだけなのでしょうか。
糞! なんかこうパンチラとか着替えとか我慢おもらしとか書きてぇ! けどシチュエーション考えてるだけで自家発電してしまう!
畜生! フランをキャシアスの前でおもらしさせて泣かしたい。
15さまGJ!
大変楽しくよませていただきましたw
テレージャさんの変わり身っぷりに大笑いw
あと、アルソンが溺れたのはなんか納得wあんな鎧着てたら泳げねえよなw
ほかに鎧とかきてそうなのは…メロさんか。
ネルやキャシアスもいれば着てそうだけどキャシアスは始皇帝の可能性もな。
…キャシアスが溺れて鎧のせいで動けなくてフランが口移しで酸素を運ぶ。
ありだな。救出はエンダとかの怪力軽装メンバーで
>129さん
gj!
どうしても男以外にビキニパンツをはかせられない俺です。
このあと、伯爵になんて怒られるのやらw
ゼペックさんはこれすら笑って許すんだろうかw
>117
なあにアリだ、アリ。演出戦闘なら問題ないさ!
こういう煮え展開は好きよ。
しかし終盤の義手はどう考えても普通に手として使えそうなものがちらほらあるよな。
>119
主人公はパリスだったというオチか。
ギャグなのか真面目なのか分からんカオスだがしっかりラスボス戦やってる辺り油断ならない。
なんか本編ではなかった全員集合グッドエンドって感じだな。
>129
変態だ(誉め言葉)
よういらっしゃい。
出がけに切れ味の鋭いやつをGJだが、前の投下からもそっと間を開けた方がいいと思うぜ。
レスがごっちゃになるし、投稿のカチ合いは大体のスレでは避けるのが暗黙の了解だからな。
>>117 無明逆流れなら、一応片手で出来なくもなさそうやねw
今更手遅れなんですが、最初の3行が抜けてました。
>>119の最初にこれがくるのが正しかったです。
>『どうした……早く来い』
>「急いで欲しけりゃ標識でも立てとけこのぼけなすやろうがっ!!!」
>何か答えようとした瞬間、捨て身で特攻したラバンの一撃がタイタスの鎧を砕くが、懐をなで斬りされた挙句に
文字数数えて分けたはずなのにエラー連発しまして、真にお見苦しい状態になりました。申し訳ありません
>>130 巨人の薬はきっと超人ハルクみたいになるに違いない…ので、庸兵は後半の殆どを裸で参加しています
陰陽殺は罪人用だし、名前からして
陰剣と陽剣の二刀技っぽい気はするな。
ゲーム的には別に二刀流じゃなくても使えるけど。
>132
そもそも流星剣の元ネタが流れ星かどうかも分からないんだぞw
伝授の時の台詞はむしろ天翔龍閃だし。
あと原作の流れ星は別にデコピン剣じゃないはず。
つーか流星剣ってネーミング自体、そう特異なもんじゃないし、どれが元ネタかなんて分からんだろう。
>>128 GJ!すごく楽しかった!!
コミック化とかされたら最終回こうなりそう的な終わり方で良かった。
>>129 オルテガさん噴いたw想像するとシュールだなww
なまじイケメンな分変態だww
>>135 流星剣って名前だけで思いつくのが2〜3はあるからな。
作品によってぜんぜん違う技なのもザラだ。
>>131 ハガレンのオートメイルみたいな感じか。
ラバンの老人姿って本当に年老いてるのか、それとも装ってるのかどっちなんだろう。
ベタだが若々しい姿のままだと怪しまれるし周囲がいつまでも自分に頼るから、
わざと年老いた姿になって真の力を隠してるみたいなの。
>>137 パリス相手に『勃たなくなった』と愚痴っているから
ほんとに老人なんじゃ?
時は巻き戻り、再び流れる――!
アルケア皇帝・タイタスにまつわる歴史が繰り返される中、その偶然は発生した。
時空が捻れ、存在するはずのない何かが存在してしまう歴史。
その中心にいる人物、キャシアスはどこかで透き通った機械音が鳴ったのを聞いた気がした。
第一回ホルム乙女会議
議題『――好きな奴、いるか?』 議長:ネル
「えー、本日はお忙しい中お集まりいただき……」
「前置きはいいから始めてくれたまえ」
「はあい」
ひばり亭の一角に、見慣れた顔触れが揃っている。
会議と大仰な名が付いているものの、実質は井戸端会議などと呼ばれるそれと大差ない。
ホルムを襲った異変も治まり、平和になった証拠だとも言えよう。
「そもそもどうして集められたのでしょうか?」
「話せば長くなるんだけど……そう、あれは確か風の強い日のことでした」
「そういうのはいいから。手短にお願い」
「はあい」
背景がセピア色の回想シーンに突入しかけたネルをキレハの容赦ないツッコミが引き戻す。
「きっかけは、ラバン爺の一言かな。
『こんだけ華があるのに浮いた話の一つもないってのは寂しいもんだねえ』とか言っちゃってさ。
恋する乙女としてはちょっとカチンときちゃったわけ。
で、まあ浮いた話を創ってやろうと思ってみんなを呼んだのさ」
いちいち巻き込むなよと思った常識人もいるものの、どうせ暇を持て余していたところなので口には出さない。
「浮いた話と言ってもね……当てはあるのかい?」
「ん。それは、うん、あるようなないような。年頃の女の子なんだから好きな人の一人や二人はいるでしょ」
「二人いるとまた別の話になりそうだけど」
「ええい、こまけぇこたぁいいんだよ。エンダ、ちょっとおいで」
「なんだー」
ネルが、暇そうにぱたぱたと走り回っているエンダを呼ぶ。
「エンダはキャシアスのこと好き?」
直球である。
「うん、好きだぞー」
返球も直球である。
とは言え、集まっている面々にとっては特に衝撃的なことでもない。
「それは浮いた話とはニュアンスが違うんじゃないかな」
「やっぱり?あ、エンダはもう行っていいよ」
「うい」
「エンダはとりあえず景気づけと言うかきっかけと言うか、これくらいストレートに言っちゃいなYOってことで。
フランちゃんはどうかな?」
「あたっ、あたしは、その、そんな」
突然話を振られてうろたえるフランを、生温かい視線が包む。
気付かれていないと思っているのは、本人とその相手ぐらいのものだろう。
「ふむ。主従関係を大切にしているからこそ一歩が踏み出せない女心、か。美しいね」
「で、ですから!キャシアス様となんて、いえ、お慕いしているのは事実ですけど!」
ちょっとつつかれただけで簡単に本音が出てしまう。メイド忍者はこういうことに免疫がないのだ。
「あ、あのう……」
「はい、どったのチュナちゃん」
律儀に挙手をするチュナに発言を促す。
「わたしもここにいていいのかな」
どうやら無言だったのは場違いな雰囲気を察してのことだったらしい。
「んふふふー、ネルお姉さんにはまるっとお見通しなのだよ。
チュナちゃんがキャシアスを見る目がたまにオンナノコの目なんだよねえ」
「う゛。それは、その、うちのバカ兄貴よりはかっこいいし頼りになるし真面目だし……。
でも、別に恋とかじゃない、と思う。どっちかと言うと憧れてるっていうか」
うつむきながらもじもじと指遊びをするチュナを、生温かい視線が包む。実に微笑ましい光景である。
まだ10代も前半の少女とは言え、やはり女の子であるという意味ではネルの見立ては正しかった。
「さて。半分終わってこの結果っていうのはオチが見えてきたけど続きと行きましょか」
「そろそろ議長自身の話もすべきではないのかね」
ツッコミ、というよりは常に話を進める方向に口を出すテレージャは地味に優秀な聞き役である。
「んだね。まあ大体予想できると思うけど、わたしもキャシアスで。
小さい頃から、将来結婚するんだーって考えてて、そのまま今に至ってる感じなんだよねえ。
好きとか嫌いとかじゃなくて、いや好きなんだけど、ずっと一緒にいるのが当たり前みたいな」
「積み重ねた年月はやはり強いというところかな」
「そういうことになるのかな。年月で言えばパリスも似たようなもんなんだけど……チュナちゃんの前であんまり言わない方がいいかな」
「その時点で言ってるような気はするけどね」
日頃の行いのせいか、妹からも幼馴染からもこんな扱いである。
「それじゃあテレージャさんにも聞いてみましょうか」
「ついに私の番か。異性として惹かれているとなると……うん、やはりキャシアス君になるね」
ネルと同様、あっさりとその名を口に出す。
「真摯な瞳と、逞しい背中と、堂々とした立ち居振る舞い。かっこいい男だと思うよ」
続く言葉に、一同が唖然とする。
あまりにも普通のコメントがテレージャから発せられたことに衝撃を隠しきれない。
「……失礼だな君たちは。私だって普通の女の子なのだよ」
テレージャを普通と呼ぶのは抵抗があるし、女の子と言うには年齢がギリギリである。
が、あまりややこしくしないようにみんなスルーした。
「見事に全員一致、か。大人気ね」
「ちょいとキレハさん?何をまとめに入ってるんですか」
「うーん……やっぱり、言わないとダメ?」
「ダメ」
何とか自分の話をせずに終えようとしたキレハだが、そうは問屋が卸さない。
視線を宙にさまよわせ、ため息を一つ。
「ああっ、もうっ、わかったわよ。言うわよ。私もキャシアスのことが好きよ」
おおー、と会議が一番の盛り上がりを見せる。
「ずっと前から気になってたけど、あの件が決め手になったわね。
恩人だなんて言葉じゃ説明が付かないくらい」
「ふふーん、そっかそっかあ」
「照れるキレハ君が可愛いことには同意しておくよ」
ネルとテレージャがとても楽しげである。
「……みなさんライバル、ということでしょうか」
競争率の高さに気後れしているフランに、
「私はライバルになりえないと思うわ。キャシアスは今や若きホルム伯。
身元も定かじゃない旅人とは釣り合わないでしょ」
と、キレハがさらに炎上しそうな話題を提起する。
「むむむ……そう言われるとただの雑貨屋の娘も不利かなあ」
「臣下とは言えレンデュームの姫君と言えなくもないフラン君は多少有利かも知れないね。
私の家もそれなりに裕福ではあるけど伯爵が相手では何とも言えないところだ」
「わたしなんか問題外だよね」
互いの生まれを確認しあい、何となく空気が重くなる。
「まあ、いざとなれば妾として囲われるという手もあるさ。
家柄の良い娘さんを正妻に置いておいてしまえばいいだけの話だよ。
それだけの甲斐性はあるだろうし、そうすれば私たちもライバルにはならないしね」
そんな空気を払拭する、テレージャの爆弾発言。
「ああ、それはいいね!」
ネルもノリノリである。
「あたしは今のままお仕えできればそれで十分です」
フランはここへ来てなお現状に甘んじようとする。
「……」
キレハとチュナは顔を見合わせ、何とも言えぬ表情をする。
「とりあえず、本人の意思でも確認してみよっか?妾の件も含めて」
「うむ。善は急げ、思い立ったが吉日と言うからね」
ネルテレコンビの勢いに流され、残りの三人も頷いてしまう。
キャシアスの明日はどっちだ。
――つづくかもしれない
キャシアスハーレムルート編第一話
誰で書くか悩んだ挙句、面倒だから全員で書いちゃえよという電波を受信
キャシアス以外だとフランは身を引きそうだなーと思ったのと全員囲える経済力を考えたらこうなりました
登場人物が多いとすげー書きにくい。エンダは脇役だしフランとチュナも目立たない
続くかどうかはキャシアスの甲斐性と俺のやる気次第
何だか最近は職人さんが増えてきたようで自分で書くより読む方が楽しいです
ついでにボツネタ供養
「アルソンも好きだぞ。おいしいご飯作ってくれるからな。キャシアスがお父さんならアルソンはお母さんだ」
「ふむ……キャシアル?いやいや、アルソン君の無邪気攻めはもはやテンプレ。アルキャシだね」
アルソンさんは薔薇の騎士すぐるでしょう?
GJ
テレ子さんは西シーウァ王家に連なると勝手に思っていたが
教授にも『姫』って呼ばれてるし
郷士レベルのフランより身分は高いのでは?
って無粋な突っ込みは無しですね
面白いが、Nice boat.が心配だ。
しかしパリス不遇過ぎるだろう、一応若い身空で頑張ってるお兄ちゃんなのに!ww
テレージャの場合身分が高いと、今度は西シーウァとネスが冷戦状態なのが引っかかってくるな。
「姫」ってのは単に貴族の令嬢を美称することも多いが。
もしくは地元でそんなあだ名がついてるのかもしらん。
最初の会話で身分がある程度高いことは明かされてたけど。
まあ、作中で示されてないことは捏造していくのが俺のスタンスなのでこまけぇこたぁいいんだよ
どっかに詳しい説明があったらごめんなさいするけどね
GJGJ!
はーれむ万歳!
【陰陽殺及び流星剣うんぬんの件について】
枯草章吉様、山口貴由様、和月伸宏様、並びにスレの皆様。大変申し訳ございません。
でもラバンの最強義手って絶対サイコgおい何するらめぇ
・甘酸っぱい微エロ
・例によってヴァン達
それではどうぞ。
それは全員で、何故か男女で別れて古代都市を探索している時の事だった。
「みんなパンツはいてない!!」
ラバン爺の発見っ……その時男子に電流走る――
「訳無ぇだろ!!誰がノーパンの野郎見て得するんだよ!」
パリスが全員の総意を代表してツッコミを入れる。
テレージャ辺りは得しそうだが……
「……テレージャ辺りは喜ぶのでは?」
メロダークと同じ事を考えていたようだ。何故か腹が立つ。
「待て……女はどうなんだ?」
シーフォンの一言っ……その時男子に電流走る……!
「……誰が行く?」
「や、やめましょうよ。そういうの良くないですよ……」
「俺が行く」
パリスが率先して前へ出た。
「うわー石に躓いて転んだー!?」
ひどい演技と共に、子供を連れた若い女の足元に仰向けに倒れ込む。
「あ、あの……大丈夫、ですか?」
心配そうに、被害者女性がパリスに尋ねる。
「いえいえ、お気遣い無く」
パリスは立ち上がり、こちらへと歩を進める。
「どう、だった?」
シーフォンの問いに、パリスは満面の笑みと立てた親指で答えた。
その笑みに、俺達の顔にも輝くスマイル。
そして、俺達の大冒険が始まった!
町の広場の石のベンチに腰掛ける女性を目に留める。
脚を組み替えるのを見計らい、屈伸運動をするようにそれとなく標的を確認する。
……漆黒の茂み、その奥にある肉色の楽園。天国の門。
「ヴァン、お前にも見えるか?」
パリスの問いに、俺も親指を立て、満面の笑みで答える。
思わずハイタッチまで飛び出す始末だ。
「ややややっぱり駄目ですよこんなの」
「ビビってんじゃねえよ、行くぜ!」
たじろぐアルソンをシーフォンが引っ張り、露店で売っていたバナナの皮を路上へと放り投げる。
「きゃん!」
早速獲物が掛かった。上手く尻から転んでくれた。
「「おー……」」
女性との経験の無い2人にとっては、まさに未知との遭遇だった。
「いったーい……」
倒れた女性が上半身を起こす。婆さんだった。
若き2人が見たものは、おっとどっこい地獄門。
彼等は地獄の光景の前に灰となった。
「そこの貴様等、現行犯逮捕だ!!」
ラバンとメロダークは衛兵から逃げ回っていた。
あろうことか、メロダークが直接めくり上げるという強攻策に出たのだ。
変態だ。
「いやぁ、眼福眼福」
散開していた俺達は、闘技場側のオベリスクで合流した。
ほっこり顔の俺とパリスに対し、真っ白に燃え尽きたのが2名と汗だくなのが2名。
「もう帰ろう……死にたい……」
シーフォンの力無い言葉に、アルソンがこれまた力無く頷く。
「……もっと楽しみたい」
「うむ。ただしエロダーク、お前は駄目ッ!!」
はしゃぐ変態中高年。
「やあ」
掛けられた声の主は、女性陣だった。
みんな目が怖い。戦闘態勢だ。
「見ていたよ」
テレージャの言葉が、すべてを告げていた。
ネルが鈍器をブン回し、キレハとフランが矢と手裏剣の雨を降らす。
それに呼応する様にエンダが火を吹きテレージャの破魔の理力が吹き荒れる。
薄れ往く意識の中で俺は思う。
『楽園は、確かに此処にあった――』
前の席の女子の透けブラや、不意に飛び込むパンチラ。狙って勝ち取ったパンチラ。
そんな甘酸っぱい経験を思い出してくれればと思い書きました。
嘘です。気分転換で出来た副産物です。書いてたものは日曜夜にでも。それでは。
吹いた。
考えてみればそうだよな。
男物の下着がないなら女物の下着もあるわけがない。
よってユリア様の無防備な脚の付け根も剥き出しということになる。
ユリア様が出てないのはどうしたわけだ。
しかしメロさんが大変だ。むっつりからはっきりになってしまった。元からか。
乙
全員出すとなるとセリフの整理が面倒だし
どうしても長くなるから書くほうは大変だな
ラッキースケベ噴いたww
ところでこのゲーム、エロい女ザコって告死鳥くらいか?
ランダムダンジョン内で性欲をもてあました男チームが
「この際おっぱいがあるなら魔物でもいい」と、せっぱ詰まるとか
相手が魔物ならレイプも合法!と女魔物襲うのはお約束だが
混沌の獣が一番エロいと思います。
襲う気になるかどうかはともかく。
俺は中身は興味がない。あるのは下着と女性の融合した総合美術だけだ。スカートと風の悪戯もあれば尚よし。
>>153 メデューサみたいなの居なかったっけ
鏡の盾というか即死耐性で封殺できるの。
>>153 ユリアも亡霊なわけだからあの服装に辛抱堪らなくなって襲っても
犯罪にはならないわけだな
千年の退屈をしてるユリア様なら退屈しのぎに相手してくれそうな気がする。
たっぷり搾り取られそうだが。
>>153 風の精霊も結構エロかったような。
精霊といえば、ランダムダンジョン内なら泉の精が相手してくれそうな気がする。
こっちもたっぷり搾り取られそうだ。
>>153 マーメイドとプリンセス、どっちがいい?
下着を穿いてるか穿いてないかが問題じゃあない
大切なのは着衣だ!
話ぶった切るけどAAサロンでキレハ作ってもらってきた
職人ってすごいね
r、ー- 、
,.-'": :|!`ヽ: : : : \彡: : >ー─ァ
: ,、: : |! }:::ゝ: : : : : : : : ヽ、: : ;イ
/ |_|! /: : : : : : : : : : : : : : :`く
` - ノ::: : : :/: : :/: : : : ハ: : : : : :ヽ
_/: :/: : /: :/:/、ヽ '" }: : |: : : :}
: :/: /: : /: リ弋ソ rテァ: : |: : : :|
:,': /: |: : :ト、 〉¨イ: : |: |: :,'
: :/:/ |: ! \ -_,.イ: : : ://: :/
:/:彡 |: |'"´ ミ: : :ヽ: /:/:/ ノ
: :彡 リ ミ: : :|: :|/ノ'"
すごい
和姦でも陵辱でもユリアとの絡みはエロいことになりそうだよな
にしても
>>159のキレハ、いいな
用が有るのは中身!でも服や下着が無いと昂らない!
三位一体となった時こそフルボッキが成立するのだ!!
という主張は置いといて
>>159 なにこれすごい。
職人にありがとう。依頼出してくれてありがとう。
SUGEEE
キレハ大好き薔薇倶楽部の俺歓喜
単発パリス×ウェンドリン青春編
意地っ張りな幼馴染&身分差属性に反応
・墓所での決戦前夜
・エロは控えめ(3-5あたり)
・勝手愛称&捏造設定注意
遺跡から引きあげたあと、ひばり亭で酒を煽っていたオレのところに伯爵家の女中がやってきたのは、夜もだいぶ深まってきた頃だった。
──ウェンドリンがまだ屋敷に帰っていない、と。
あの巨大な遺跡の中で夜を過ごすことなど珍しくもないが、いつも組んでいるオレとテレージャが街に帰ってきたことを聞きつけたらしい。
「……ああ、」とオレは杯の中身を軽く干し、心配げな女中に目をやった。
「あいつなら小人族の王子んとこに残った。テオルの野郎の兵器のことで相談があるんだってよ」
「そうですか……」
フランはしばらく俯いて何やら考え込んでいたが、やおら顔をあげるとまっすぐにこちらを見て言った。
「パリス様」
「なんだ?」
「お嬢様を、どうかよろしくお願いします。……それでは、失礼いたします」
頭を下げて去っていく女中の後ろ姿を、苦い顔で見送る。
「……なんだよ、それ」
──しばらくの後、意味ありげな視線をよこしてくるオハラを無視し、オレはテーブルに酒代を置いて席を立った。
青白い月光さえあれば、夜中といってもこの森はオレたちにとって庭も同然だった。
町の北部に広がる森の奥、遺跡の入り口からも離れた木立の中に、ひっそりと古ぼけた小屋がたたずんでいる。
あまりいい思い出のない家ではあるが、そこにはもはや誰も住んではいない。
森番の夫婦が相次いで世を去った直後に、遺跡の騒動がはじまったものだから、森を見張るどころではなくなったのだ。
だが今、久しく打ち捨てられているはずの家の窓からは、小さな明かりがもれていた。
記憶にあるよりもいっそうたてつけの悪くなった戸の間から身をすべりこませる。
殺風景な居間には卓の上に見覚えのある荷物とランタンが置かれているだけで、オレはそのまま無人の部屋を横切った。
音もたてず隅のはしごから屋根裏へ、さらに開け放たれた窓のすぐ外に突き出した樹木の枝をつたって身軽に屋根の上へあがる。
雨ざらしになった傾斜をのぼりきると、今度は下りになる反対側の屋根の上に、はたして騎士の娘はいた。
「──家出なんか何年ぶりだよ、お嬢」
軽い揶揄をこめて声をかけるも、仰向けに寝そべって満点の星空を眺めていたウェンドリンは顔をこちらに向けもしなかった。
「……放っといてよ」
こちらを追い払うつもりのその言葉を無視し、オレは腕組みして近くの煙突に寄りかかる。
──こいつが、らしくもなく塞ぎこんでいる理由は分かる。
父親を戦場で亡くした上、今日あの墓所で出会った異形の一族……
ホルムを守って命を落とした伯爵ではなく、遺跡の最奥部に暮らす彼らこそが肉親だと、あの連中は言ったのだ。
それを聞いたこいつの顔が見る間に蒼白になり、強張っていくさまを、オレは見てしまった。
……けどよ、ウェンドリン。
──言ったろ、お前の生まれがどうだろうが、お前がオレのダチだってのに変わりはねえって。
背けられた横顔を見つめながら、心の中でだけ語りかける。
……もちろん昔は、彼女の父親こそが養母の仇と知って、互いに本気で取っ組み合いのケンカをしたこともあった。
──そうだ、こいつが初めて家出をしたのは、オレからレナの処刑の話を聞いたこいつが、親父と大ゲンカしたことがきっかけだったか。
あの時ウェンドリンは、夜遅くに子供の足でこの小屋にまでやってきて、森番夫婦を仰天させたという。
思えばそれからだ、やや内気で浮世離れしていたあのお嬢様が、急に男のような格好をして町の子供とも張り合うようになったのは……
──けれど、今ここでそんな話をしても、しらじらしく聞こえてしまうに違いない。
……オレだって、仮にもチュナを失っちまうことなんか考えたくもない。
こいつの親父は、もう帰ってきやしないのだ。……この家の主や、幼かったオレたちの時間と同じく。
「父は……私に、自由に生きろと──」
オレが黙っていると、やがてウェンドリンのほうが口を開いてぽつりと呟くように言った。
「……そう、か」
──毎日この家に遊びに来ていた女の子が、仇の娘だったと知った時、オレは彼女に子供じみた八つ当たりをしてしまった。
そして怒りのままに、チュナを連れてこの小屋を飛び出したのだ。
もちろんレナのこともあったが、なぜあんなにも腹がたったのか、今なら分かる。
……自分が彼女に抱いていた、恋とも言えないような淡い気持ちを、その日諦めなければならなかったこと。
そして、まったく身分の違う、しかも仇の身内に対するその想いを断ち切れない手前自身にこそ、どうしようもなく苛立っていたのだった。
「私は……」ウェンドリンは長い間を挟みながら、言葉を継いだ。
──ホルムの領主の血を継いではいないのだから、その血に縛られることはない、と。
戦場へと赴く直前に、伯爵はそう言い遺したという。
……ウェンドリン。
かつて屋敷を抜け出しては、野を駆けめぐって棒きれを振り回し、泥だらけになるまでオレたち兄妹とはしゃいでいた領主の娘。
彼女は自分が騎士として認めてもらえず、いずれ婿を迎えなければならない女の身であることを呪いつづけていた。
──それでも伯の一人娘として、その未来と折り合っていこうとしていた。
それなのに、その過去も未来も、とつぜん全てが崩れ去ったのだ。
己の生まれについて、これから己が辿る道について、迷っているのだろう。
……だが、オレには分かる。
こいつはきっと伯位を継いで、カムールの娘としてこの地を治めることになるだろう。
なぜなら、こいつは父親と同じく、──そしてオレと同じく、オレたちの故郷であるこのホルムを愛しているから。
……オレの前で涙を見せるのも、きっと今日が最後だ。
「パリス」
気丈にもしっかりとした声をかけてくるウェンドリンに、「おう」とぶっきらぼうに応じる。
しかし次に飛んできたのは、とんでもない質問だった。
「私のこと、どう思う?」
「──はぁっ!?」
いつのまにか領主の娘は半ば身を起こし、妖精のような双眸でじっとこちらを見据えていた。
オレたちが色気のある関係であったことなど一度もないが、今の言葉がどんな含みを持つ問いかは明らかで。
「い、言ったろ──ダチだって」
どもりながらも答えるが、ウェンドリンの奴はさらに追及してきた。
「嫌いじゃない?」
やや色素の薄い金髪が、月光の下でけぶるような白銀の色に輝く。
「……当たり前だろ」
内心の動揺をごまかすためにつっけんどんに対応するが、それも彼女が久しぶりににっこりと微笑むまでだった。
涙をふりきるように浮かべられた笑みについ見惚れると共に、──なぜかとっさに嫌な予感がした。
「ありがとう、じゃあ協力して」
がしっと足首を掴まれ、
「うおわっ!!」
その怪力で手加減なしに引っ張られ、情けないことにオレはひとたまりもなく屋根の上にひっくり返った。
「って──なにしやが、」抗議の間もなく引き倒された体の上にウェンドリンが乗りかかってきて、絶句する。
「キスしてもいい?」
「なに言っっむぐ!」
新しい剣を試す時とまったく同じ表情でこちらの顔をはさみこみ、柔らかな唇を押しつけてくる。
とんでもない事態であるが、その口付けは稚拙な、やみくもに触れあわせるだけのものに過ぎなかった。
「〜〜〜〜だああっ!」オレはようやっとその両肩を掴んで押し返し、真っ赤になって怒鳴り散らす。
「どういうつもりだ、ウェン! ふざけてやがるならただじゃ済まさねぇ……ぞ……」
が、再び相手の頬を涙がつたっているのを見て、言葉尻がすぼまる。
なんてこった、あの<怪力>ウェンディ=ウェンが一日に二度も泣くなんて。
……ていうか泣きてえのはこっちだ!!
「嫌いじゃないって言ったじゃない」
「嫌いじゃない相手と一々キスすんのか手前は!?」あの腐れ巫女じゃあるまいし!
「いいから黙って手伝いなさいよ!」
「だから何をだよっ……って、おいっ!?」
こっちの上着の合わせを開き、シャツまでも脱がそうとしてくる女の手を慌ててつかみあげる。
そのままぎりぎりと睨みあいに入り、オレたちは他人が見たらバカ丸出しな舌戦を繰り広げた。
「どういうつもりなんだよお前は!」
「ここまでさせておいて分からないわけ!?」
「お前が勝手にやらかしたんだろうが怪力女!!」
「あんたが好きだって言ってんのよ悪たれパリス!」
「なんで逆切れしてんだよっ!!」…………は?
「はっ?」
思わず硬直したオレの手を振りほどいたウェンドリンは、今度はあろうことか自分の服に手をかけはじめた。
「おいおいおいおいおい待てっ!!」
ばさりと外套を脱ぎ捨てた女は、頭を一振りして豊かな髪を夜風に舞わせ、王者のように傲然とオレを見下した。
「意気地なし」
「……言いやがったな」
オレの目が据わったのを見て、ウェンドリンは大きな瞳を猫のようにすがめる。
──オレでさえ初めて見る、妖艶な女の眼差しだった。
そいつはそのまま手を交差させて上着の裾をつかみ、一気に引き上げ……ようとして、不意に動きを止めた。
首に服が引っかかって抜けなくなったようだ。
「ん、んんーっ!」
「…………」
オレの上に跨ったまま、間抜けな格好でじたばたともがく姿は、猪突猛進なガキ大将だった頃そのままで。
──肝心なとこで抜けてんだよなあ、このお嬢は。
オレはため息をつきながら手をのばし、その首のあたりで絡まった布の塊をつかんで引っこ抜いてやった……頭の上へ、服を脱がす形で。
……こんな手段で、男を誘いやがって。
「後悔するなよ、ウェンディ=ウェン」
起きあがったオレの顔が間近に現れたことで、彼女はしばし目を見開いたが、すぐに表情を和らげて身を乗り出してきた。
「……ありがと、パリス」
今度は軽く、唇を重ねられる。
──オレは、もう胎を決めていた。
「っん……」
いまだ上腕に服を絡ませたままの相手の肩を抱き、その顎にも手をかけてより深く口付ける。
舌で促してその口を開かせ、ふっくらした桜色の下唇に軽く歯を立てると、ウェンドリンは鼻にかかった吐息をもらした。
「……こ、んなの、どこで覚えたわけ」
「そりゃこっちのセリフだっての」
目元を赤くして睨む騎士娘の鼻先に再度接吻すると、オレは打ち捨てられていた外套を拾い上げてそのむき出しの肩にかけた。
「……ほら、下行くぞ。いくらなんでも、ここじゃ風邪引いちまう」
「………ん」
もうオレが逃げ出さないと判断したのだろう、ウェンドリンは珍しく素直に頷き、手をひかれるままに地階の居間へと降りてきた。
もちろん布団など持ち出されて久しい、木製の基台が残るばかりの狭い寝台に外套を敷いて、その上に領主の娘を横たえる。
「……本当に、いいんだな?」
力自慢とはいえ、こうしてみれば自分よりもずっと細い体に覆いかぶさりながら尋ねると、不敵な揶揄が帰ってきた。
「また意気地なしって言われたい?」
「……ぬかせ」
互いに上衣を脱ぎ捨て、相手の肌を探りあう。
顔はもちろん、首筋や鎖骨のあたりにまで唇を這わせながら、手に余る程度にまで実った胸を寄せて掌中に包みこんだ。
しばらく手のひらでその柔らかな感触を味わった後、外気に晒されて立ち上がり始めた乳首を口に含む。
するとウェンドリンは小さく声をあげ、オレの背に回した指先をぴくりと動かした。
「ふっ、ん……ぁ」
まだそれほど敏感ではないのだろう、摘んでも舐めても大した反応が示されることはない。
それでも頂点にかじりつきながら啜り立て、いくらか強い刺激を与えると、色づいた部分のしこりはより硬さを帯びて自己を主張した。
さらに無駄な肉付きなく引きしまった腹部へと手をおろしていき、ゆるめた剣帯ごと下衣を脱がす。
一切の装飾性も色気もない、無地の下着がこいつらしい。
厚手のスカートを取り去った時のまま、軽く膝を立てているその両足を開かせ、手触りのいい股布をなで上げる。
いまさらに気恥ずかしさを覚えたのか、ウェンドリンは頬を紅潮させて視線を脇へと背けたが──
「あ」下着にかかった指が柔らかな恥丘のある一点に触れるや、ぴくりと腰を緊張させる。
その顔があまりに初々しかったものだから、オレはついいたずら心をそそられて訊ねた。
「どうした、ウェン?」
すると彼女は羞恥の中にも常の勝ち気な光をその目に宿し、大胆に腕をのばしてこちらのベルトにも手をかけてくる。
「っ、く……ぅんっ」そして身を固くして顔を赤らめ、唇を噛みしめながらも、オレのズボンを下着ごと引きさげた。
「ちょっと待てウェン──いッ!?」
そのまま貴族のお嬢にあるまじき無造作な手つきでぎゅっとモノを握ってくるものだから、オレはたまらず仰け反って呻く他なかった。
「もっ、もっと優しく扱え、この怪力女!」
慌ててその手を振り払うと、肘をついて僅かに身を起こした騎士娘はまるでわかっちゃいない質問を吐いた。
「男ってこれが気持ちいいんでしょ?」
「……あのなぁ」
……無知、無遠慮、無神経。こういうところはちっとも変わらねえ。
オレはため息をつきながら──彼女の尻に手を回し、両側から下着をつかんで一気に引きずりおろした。
姿勢を崩しさすがに顔を赤らめるウェンドリンの膝を割り、迷わず黄金の茂みをかき分けるや、ぴったり閉じた裂け目の上部を押し開く。
「ちょっと……んっ──くぅっ!」
包皮に埋もれた丸い尖りをやや強めに押すだけで、しなやかな女戦士の肉体がびくりと強張る──これくらい敏感なんだよ、思い知れ。
顔を上げれば、彼女は暗がりでも分かるほどに頬を染め、怒っているような──ただしその裏に戸惑いを隠した瞳でこちらを見ている。
その目を見返しながら、かつてこの小暴君にさんざ金的を食らわされた日々を思いだし、オレは衝動的にちょっとした復讐に走っていた。
指を動かし、弾力のある柔らかな肉をぐにぐにとこねくり回してやると、ウェンドリンはたちまち寝台の上でのけ反った。
「ぅぁくっ、──っいっ……あ」
必死で声を耐えているといった様子で脚を閉じようとするが、そうは問屋がおろさない。
薄皮の内と外から指の腹でこするようにしてやると、女核はみるみる張りを帯びて指を押し返しはじめる。
次いでオレは指先をその下へすべらせ、うっすらと開きかけた割れ目を探った。
鎧を着こんで剣を振りまわす普段の姿からは想像もつかないほど柔らかく熱いその場所へ、慎重に指を進めていく。
「んん……っ、パリス……」眉根を寄せたウェンドリンが、小さく呻きながらこちらの首に手をからめてきた。
「──痛いか?」
しがみついてくる彼女は首を振るだけだが、明らかに男を知らない肉襞はほとんど湿り気もなく、窮屈に縮こまって異物を拒もうとする。
……この辺はやっぱり、お嬢様だよな。
このまま何度かイかせて、明日まで寝かしつけてやれば──そんな考えが、頭をよぎった時だ。
「いてっ!?」
ぐいと手を引かれ、両手で頬を包まれて、間近に迫った顔がオレの名を呼ぶ。
「パリス……、」
──この森で初めて出会ったあの日からオレを魅了してやまない、眩しいばかりの太陽の瞳が。
「あなたが欲しい」
「……ウェン」
……確かに、オレはろくでなしだよ。
けど、惚れてる女にここまで言われて、平気でいられる男なんているか?
──ああ、ちくしょう……オレの負けだよ。
「ん……」
唇を重ね、誘うように開いた口蓋へ舌を差し入れると、ウェンドリンも不慣れながらに応じようとする。
徐々に余裕をなくしていく己を自覚しつつ、オレは驚くほど心地良い彼女の乳房を堪能し、くびれた腰を辿って再び下腹へと手を伸べた。
だが、ろくに準備も整えられていないうちから、強情な女は唇を離した拍子に、こちらの髪を手で梳きながらうそぶく。
「……痛くてもいいの、パリス」
「バカ言え──」
咎めるオレを、子供のようなキスで黙らせて、額同士をつけたまま、世にも幸せそうに笑うのだ。
「いいの。あなたを、教えて……」
──ああ、ウェン。お前ってヤツは……
めくるめく陶酔感に、オレは瞑目し──
生活感のない小屋の静寂を、古い寝台のきしみと、二人の苦悶の声が破った。
「くっ……ウェン、やっぱりいっぺん──」
「……や、だ。ぜったい、離さない」
……涙目になってやがるクセに、何言ってやがる。
間抜けなことに、オレたちは粗末な寝台の上で深く繋がったまま、ろくに身動きもできずにいた。
じわじわと挿れるのも辛そうだったから、一気に奥まで貫いてしまったが、案の定ウェンドリンの内部はほとんど濡れてもいない。
こちらをきつく食いしめ、オレでさえ快楽よりも痛みが先立つくらいだから、彼女の負担は相当なものだろう。
それなのにこの女は、覆い被さったオレの背を抱いたまま、気丈に首を振ってみせる。
「いいの。これでいいの……」
──オレがよくねえ!
眉をしかめて睨みつけるが、こちらを見返すやや潤んだ瞳は、悲壮感さえにじませて必死に笑いかけようとし、また訴えかけていた。
──未来などみえない、明日の命さえも分からないと。
「おねがい、パリス……」
今このときだけは、一緒にいてほしいのだと……
「……ウェンドリン」
バカ言え。
──お前だけは死なせやしない。
この身にかえてでも、オレが守る。
もし明日オレに何かあっても、チュナのことは彼女が何とか助けてくれるだろう。
──今までそれをしなかったのは、彼女に頼らなかったのは、確かに領主への恨みもあった。
だが何よりも……心だけは、彼女と対等な立場でありたかったからだ。
富も地位も持たないオレにできることといえば、好きな女の前で意地を張ることくらいなのだから。
「あっ……!」
深く身を沈めたオレがゆっくりと腰を動かしはじめると、ウェンドリンは鋭く身を仰け反らせる。
──英雄になりたかった。せめて、彼女に釣りあうような存在に。
……けれど、それはきっと叶わない。
愛しているなどと、告げてはならない。
「……パリス……」
今この時、秘めた想いをぶつけるだけ。
「ウェン──ウェンドリン……」
こんな逢瀬も、今夜限りだ。この一夜で、オレは忘れなければならない。
彼女はホルムの女伯、オレは下町のごろつきだ。
それはこの先も変わらない……変えてはならない。
──それでも、もしできるならば、凛々しく一人立つ愛しいその背を陰からでも支えたいと、心の底からそう思った。
「あぁ……っく、うあっ!」
もはや己の一部となっていた恋情を絞め殺そうとするたび荒れ狂う激情。
それに突き動かされるまま、オレはウェンドリンの強ばる肢体をほとんど無理矢理に押し開いていた。
拙い口付けの合間にもれる彼女の声は明らかに苦痛の色を帯びている。
それでも濡れた瞳は嬉しげな光を宿してオレを受け入れようとし、懸命に手足をのばしてすがりついてくる。
温かな肌の触れあう感触に酔い、がむしゃらにその体を抱きしめて深部を暴きたてる身勝手な男に精一杯応じようとしてくれているのだ。
「んっ、くぅ……あっ、う……あ!」
おそらくは破瓜の血液と、こちらの先走りとが混じりあって摩擦はやわらいできたが、今度はこちらの余裕がなくなってくる。
初めての男を必死に迎え入れながら、常に凛然として強気な彼女が発する苦鳴はいつになく艶めかしく闇夜に響く。
それを耳元に聞きながら、罪悪感と同時に沸き起こる征服感もまた、ほの暗い興奮と快楽とをもたらしつつあった。
「あ──あ、パリス……っ」
……ああ、ウェンドリン。
このまま溶け合って何もかも一つになれるなら──
だが、これは一夜の夢だ。
彼女にとっても、オレにとっても。
「……ウェン──オレ、もう……っ」
「ん……、いいよ、きて──」
と、子供のように無邪気に笑みながら、ウェンドリンはとんでもない行動に出た。
痛みに眉をひそめつつもその両足を持ち上げ、オレの腰に絡みつけてきたのだ。
「あ──こらっ、」
これでは彼女の中から出ていくことができないと、焦って身を起こしかけた──ところが。
このじゃじゃ馬娘ときたらいっそう強くこちらにしがみつき、しゃにむにオレの上体を引き寄せる……もちろん、あの馬鹿力で。
──くそっ、この馬鹿!!
「っく──う……、っ!」
たまらず彼女の上に倒れ込んだ拍子に、オレの息子はあっけなく蓄えたものを吐き出した。
──あろうことか、次期領主の胎内に。
閑散とした山小屋にはしばらく二人の荒い息だけが響き、オレは最愛の女の裸身を抱き返しながらも呆然としていた。
ようやく脱力したウェンドリンの中から退くと、案の定互いの局部には薄く紅がかった白濁がまとわりついている。
「馬鹿野郎……」
身体の倦怠感以上にいろいろな思いがこみあげてきて、どさりと彼女の傍らに転がりながら目元を覆う。
「……お前、自分が何されたか分かってんのかよ……」
──よりにもよって、オレなんかの……
「子供ができたら? 産むし育てるに決まってるでしょ」
ウェンドリンは横たわったままオレの顔をまっすぐに見つめて、ずばり言った。
「ばっ……」
「それとも、何さ。勢いで出しちゃったのが恥ずかしい?」
「おま、──お前なあっ!」
この期に及んで可愛げというものが一切ない妖精の軽口に、オレは今こそ説教をしてやらねばと思った。
──が、それよりも早く抱きついてきたウェンドリンの肩が小さく震えているのに気づき、出かかった文句は喉の奥で凍りついてしまう。
「……じゃあ、もう一回してよ」と、俯いたままのウェンドリン。
──あーあ。
面倒くせえ奴だよな……お前もオレも。
「……今度は外で出すって約束しろ」
顔を上げさせ、こっちは大真面目で言ったのに、こいつときたら涙混じりにくすくすと笑い出す。「これじゃパリスが女みたい」
笑い事じゃねえ!!
結局その後は、意地を張り合いながらも再び体を重ね、最後は子供のように手を取り合って一緒に眠った。
……この時のオレたちには想像もつかないことだった──公国の内紛も、大神殿との確執も、そしてチュナと西シーウァとの関係も。
今、この瞬間がすべてだった。
夜の底で幸福そうに眠りに陥っていく女の微笑が、オレの永遠だった。
二人寄り添って白みゆく明け方の空を見つめ、身なりを整えて霧がちな森の朝に踏み出しながら、ウェンドリンがふと振り返る。
こちらに手を差し出す彼女の、柔らかな朝日を浴びた長い髪が金色の滝のように輝いていた。
そして、確かな意志を宿したその瞳。
「行こう、パリス」
「……おう」
廃墟へ。
──何処ともしれぬ、未来へ。
【エルフィン・ナイト】了
乙。騎士お嬢と悪友、素晴しいね。
最終決戦前のエロスはRPG二次の王道やね
>>170 GJ!胸がキュンてなりました。
ところで、日曜夜にブン投げるつもりだった物が想像の斜め上にかっ飛んで、
尚且長い話になりそうです。
一応内容としてはこんな感じです。
・アベリオン×キレハ
・グッドED後
そこで、皆さんに投下に関して意見を伺いたい。
1.分割投下でおk
2.短く編集して投下
3.自慰なればチラシの裏にて
どれが良いでしょう?
個人的には1or3だと助かります
段々書く人が増えてきて楽しいなあ…乙です
>>172 レスの反応を見ながら、適当に分割して出しみても良いでしょうし
ひとけのない時間帯を狙って全編投下も良いんじゃないでしょうか
今朝の思いつき2000文字弱全年齢☆健全。べつにフィーじゃなくてもいいんだろうけど
のんびりと釣り糸を垂れながら、ラバンは昔話をしてくれる。
「昔、竜の住むって言う山に登ったことがある」
見習い吟遊詩人は隣に腰を下ろし、足をぶらつかせながら耳を傾けていた。
「ほんと?竜大きかった?」
「いや、実際には竜には会えなかったけどな。で、その山にはな、ここみたいに変な岩が転がってたんだ」
「すごい、それじゃここにも竜がいたかもしれないんだね。竜って…どんななんだろう」
「そうだなあ、きっととても頭が良いぞ。なにしろ寿命が長いからな」
「そうなんだあ、すごいねー。会ってみたいねえ!」
きゃっきゃと笑いあっている。が、ここにいるのは”孫とおじいちゃん”だけではない。
「なあ…いい加減こんなところで釣るの、やめねえ?」
「だめー?私お魚食べたいな」
「だってさぁ、たけえし、夜種はうろついてるし、のん気に魚拓なんかとってる場合じゃねえよ」
「しかしなあ、わしらじゃ通れないもん」
「ネルも一緒だったらよかったね」
「そりゃそうだけどさあ」
夜種のねぐらをとおりぬけ、その先に見つけた空間は大きな吹き抜けになっていた。獣の巣穴といった趣の場所
に比べると、古代の土木技術の成果といった雰囲気で、不思議な白い石があちらこちらに覗いている。しかし、
通路の最上段にできた、比較的新しい崩落にさえぎられて進めないので、魚影と対峙している。あほだ。
「…ああ、別に無理にどかさなくても通れるんじゃねえ?たとえば…ロープで降りるとかさあ」
「しょうがないなあ。いっちょやるかい」
「うん!」
釣竿を引っ込めると、装備をまとめてロープを結わえ付ける。
「こいつは漁師に教わった結び方だ。お前も覚えておくと役に立つぞ」
「ラバン爺はなんでも知ってるねー」
フィーは小猿のようにするする降りて行き、先に降りたパリスに抱きとめられ、それからラバンが降りてきた。
「ほお、何だか知らんが柱が並んどるな」
「しっ!なんか来るぞ」
慌てて灯りを消して身を隠す。ザッザッと兵隊の行進が聞こえてきたが、カムールの送り込んだ軍隊だろうか?
そっと息を殺して様子を伺うと、それは武装した夜種たちの隊列だった。上官と思しき夜種が指揮を取っている。
「キリキリ歩ケ!ヒャックヒュムヲ殺セ、宮殿二入レルナ!」
「ひゃっくひゅむってなあに?」
「さてな。どうやら何かを探してる連中が他にもいるようだな…」
「竜の子供っていわなかったか?」
「どこかに隠れてるのかな」
何かの計画が進行している、そんな様子だ。気配がなくなるのを待ってから、再び灯りを点けなおす。
「さてと、どう進むかね。どっちにいく?」
あっち!と全員ばらばら。
「じゃあラバンが決めてくれよ」
「そんじゃ先に帰り道を調べておこう」
「はあい」
通路の西のどん詰まりには、鍵の掛かった扉が見つかった。
「やべっ」
「どうしたの」
「この匂い、多分仕掛けに毒が使われてるぜ。下手にいじるとばちん!ぐえぇ死ぬう!ってところだな」
「ほんとに!」
「へへっ心配すんな。俺にまかせろ」
「よし、お前は灯りを持っていてやれ。わしは周りを見ててやろう」
針金と何かの部品を使い…かちゃかちゃやっていると、ついに奥の方からかちゃりと音が聞こえる。
「まあこんなもんよ。さあおじい様お嬢様、どうぞおとおりくださいませ?」
錆びた蝶番が音を立てて開いた。
「ありがとうパリス。すごいねえ…古そうな扉。最後に閉めてからどれ位経ってたんだろうね?」
「さあな、見た所相当昔みてえだけど、鍵の構造自体はそう変わったもんじゃねえよ」
「上の通路に出たぞ。相変わらず通れないけどな」
「次来るときにでも力自慢連れてくるか。どした?」
フィーの視線を追うと誰かの亡骸が見つかった。
「亡霊だっ」
「まあ落ち着け、パリス。よく見てみろ。あいつから敵意を感じるか?」
「……いや」
へんな冷や汗がじくじく沸いてきたが、若い兵士はうつろな眼差しで、こちらに気づいているかも定かではない。
身なりからすると彼こそカムールの兵隊だろうか。耳を傾けるフィーの傍らでもごもごと呟いている。
「しかし家は貧しかったので、母は素朴なフルーツプディングを作りました」
ふっと懐かしそうな表情を覗かせ、それから悲しげに訴えた。
「幼かった私は、こんなのは違うと、だだをこねて泣いたのです…」
「プリン…でもこんなのしか持ってないよ……ごめんなさい兵隊さん」
「我思うと我思う、故に我あり」
「なんだこれ」
「フランちゃんが作ってくれたんだよ」
「食い物…ではないなあ」
「美味しく食べてね」
「んぎゃっ」
そのとき何処からか足音が猛烈な勢いで走りよってきた。
「なんだあ!?」
「破ぁ!!」
突然まぶしい閃光が炸裂し亡霊もろとも消し飛んだ。神殿育ちで霊感が強いTさんだった!
「Tさん!」
「いいってことさ!次からは気をつけたまえよ!はははははは!とう!」
そのまま駆け抜け跳び去っていく。神殿育ちってスゲェ!改めてそう思った。
以上、御免。いわゆる出落ちというやつ
乙。クソワロタ
まさかここで出てくると思わんかったTさん
たしかにTレージヤさん神殿育ちだw
>>176 ほんわか加減に油断してたら最後でクソ吹いたwwwww
Tさん……一体何者なんだ……(棒
それと、ご意見ありがとうございます
真面目な話かと思えばwwwなるほど、確かにTさんかwww
ストーリーなぞった小説も読んでみたいのう……
そういや主人公の脳内キャラ付けって皆はどうしてる?
まだ二週しかしてないから数は少ないが、
ヴァン 顔1 一人称俺 他のキャラ呼び捨て。
多少汚い事もするが基本熱血系のお兄さん。
面倒見がよく、子供やエンダなどには凄く甘い。よく冒険するテレージャから冗談交じりにロリコン疑惑をかけられる。
キャシアス 顔2 一人称私 他のキャラ、フラン以外には嬢をつける。男は呼び捨て。
クールな物腰と口調、だがそっちの方がモテそうだからしているだけ。パリスと馬鹿をやってはカムールに怒られる。
よく町の子を口説こうとして玉砕している。また、身近な好意に対して凄まじく鈍感である。
だが根は真面目で修行などを欠かさない。父を心から尊敬し、いずれは志を継ぎ町を守りたいと思っている。
俺の脳内では騎士♂が顔1で常識人、
神官♂が顔2でクール&ミステリアス、
魔術師♂が顔3で好戦的、
罪人♂が顔4で流され&巻き込まれ体質って感じ。
>>172 1でお願いします!!!
連投規制に引っ掛からなければまとめて投下しても良いのではと思いますが
そのへんはうp主さんにお任せ
>>176 笑わせてもらったwww
しょっぱなの『爺さんと孫』で和んでたのに
こういう落ちかよw
メロさんにあんなことやこんなことされるマナは顔2
天然フィーは顔4
自分の中で固まっているのはこのへんのイメージかな
男顔3は個人的に使った事なかった。ちょっと苦手…
顔3なせいで初対面の相手にはほぼ年下と間違われるが、
実は主人公8人の中で最年長の逆ギュスタールなキャシアスとかも面白いかも。
>183と見事に逆だ!
自分的にはフィーは顔2でお姉さんキャラなイメージが抜けない。
メロさんにあんなことやそんなことされるマナは犯罪臭著しい顔4で。
・罪人男ヴァン
顔1。一人称俺。年齢はパリスと同い年の遅生まれ。
仕事柄ドライでクールな生き方を常に心がける。しかし、人付き合いが良かったり、
近所の子供達と遊んであげたりと、なんだかんだで人情深いツンデレ野郎。
戦闘や探索では冷静な分析力と同時に冷酷な一面も見せるが、女心には鈍感。
自由奔放な仲間達に胃を痛める事も多いが、自覚が無いだけで本人も大概な場合も多々ある。
これまた自覚は無いが、かなりの女好き。
・賢者男アベリオン
顔2。一人称俺。年齢はキレハの2歳年下。
ネクラな寡黙で人付き合いが苦手だが、心根は優しく、他人を傷つけるのを何より嫌う。
若干ファザコン気味で、デネロスの事を父さんと呼ぶ。
目標の為には妥協せず全力を尽くし、シーフォンの挑戦も真っ向から受け止める隠れ熱血漢。
だが、むっつりスケベ。
・騎士女ウェンドリン
顔1。一人称私。年齢はアルソンと同い年。
父や父に関する人物の前ではおしとやかなお嬢様。
気心知れた仲間や敵の前では男勝りの勇ましい女戦士。
ギャップに驚愕する者は後を絶たないが、決して悪気があって猫を被ってる訳では無い。
戦士としての腕は成長性も含め超一流だが、生粋の箱入娘の為一般常識から家事全般から全部駄目。
・神官女マナ
顔2。一人称私。年齢は特に……とりあえず未成年。
無口で何を考えてるかわからないと評される、傍から見れば綾○レイ的な少女。
実際はどうかというと、特に何も考えていない。脳みそお花畑。
パリス、シーフォン、キレハの誰かがパーティに居ないとボケ投げっ放し状態になる。
付き合いの長いパリスに至っては、互いのコンディション次第では胃に穴が開く。
とりあえずクリア経験ある面々はこんな感じだと妄想してます。
ここまで気付いたけど、ここまで妄想するのもどうかと思う。
例の投下は0時頃に。
見ているよ
アイリ
顔3。一人称あたし。名前は呼び捨て、パリスは兄さん。
内心冷静な小悪魔。体は売っても誇りだけは売らないがモットー。
チュナに対しては重度のシスコンで、パリスに対しても内心かなりのブラコン。
エメク
顔3。一人称は私、人はさん付け。アダとテレージャはシスター・○○。
真面目で基本的にいつも敬語。恋愛関係は無知で純情。
童顔と低身長のせいで年齢より下に見られるのが悩み。
実はキレハより年上だがなかなか信じてもらえなかった。
フィー
顔4。一人称は私。幼馴染の女はちゃん付け、それ以外の人はさん付け。デネロスは父さま。
素直でちょっと気弱。人の長所を見つけやすいというか人間の悪意というものに気付きにくい。
さみしがりの甘えん坊で、家襲撃以来その面が強く出るようになる。
ウェンドリン
顔2。一人称は普段は私、公の場ではわたくし。
目上の人間以外はさん付け、目上の人間は様付け。カムールはお父様。
いわゆる生徒会長のお嬢様タイプ。恋愛関係は素直クール。
アベリオン
顔2。一人称俺。目上以外は名前呼び捨て。デネロスは父さん。
シーフォンのことは(勝手に)「相棒」と呼んでいる。
爽やか熱血漢。やや空回り気味だが人のために命を張れるいい奴。
クリアしたことがあるキャラだとこんな感じ。
いま途中のヴァンは顔1、一人称俺。名前は呼び捨て。パリスは兄貴。
クールだけど人情には厚くて義理堅く、無愛想に見えるが困った人は放っておけない。
>>186 楽しみにしてます。
アイリは小悪魔って人結構多いな。
個人的には必要に迫られて踊り子とかしてるだけの
真面目で健気な子のイメージ。
そして下乳がぷりっとした、大きさの割にすっきりして見える美乳。
無口な主人公には感情移入しちゃうせいで個々のキャラとか考えない俺が通りますよ
職人が増えた的なレスが見られるので過去スレ含めてトリップ抽出してきた
◆U.QFlXSg0g(一)
◆1HLVKIREhA(一、二、三)
◆HwVF7TYqBw(一)
t◆SvLllFe4/w(二、三)
15◆E9zKH0kZMc(二、三)
◆8OBLTYIHXxgX(三)
()内は投下のあったスレ
トリ無しで投下してる職人さんもいるので増えたかどうかはよくわからん
フリゲのエロパロにしては賑わいすぎだとは思う
男の主人公ならそのまま主人公に感情移入
女の主人公なら相手の男に感情移入
俺の場合主人公にセリフがあってもなくても大抵の場合こうなる。
フィー
顔4。頭が良くてたまにアホの子。素直で明るくお喋りが好き。
料理や調合が得意だがよく材料を間違えて台所を大変な状態にする。
寂しいなど負の感情や悩みをなかなか人に言えない。ひたすら隠そうとする。
デネロスをお師匠と呼ぶ。
ウェンドリン
顔3。お転婆で逞しい。無愛想に見えるが顔の表情が変わらないだけ。
アルソンを最初は苦手に思っていたが、グッドエンド後は9:1のツンデレ。
他の貴族の前では猫を被る。普段は庶民の言葉遣い。
戦士に憧れるのは昔読んだ小説のせい。本人に自覚はないが夢見がち。
ヴァン
顔3。よく食べてよく寝る精神年齢が子供。
熱血漢でパリスと同じように英雄に憧れている。
仕草や表情と考えていることが大体同じで嘘をついてもすぐばれる。
人懐っこくお姉さん方に好かれる。本人も自覚している。
3週目で大体こんな感じ。
>>180 これが限界。過去最短。面倒だから過去に投下したものの延長という体裁でフィー、シー、パ健全☆ちょっと怖いよ
宮殿内部は異様な狂気が渦巻いていた。血の気配、濃厚な悪意と死の臭い、がらんとした空間ですら鋭い視線を
感じる。はっきりとした殺気を感じていた。シーフォンは気合でどうにかなると断言しているが、早い話が怖いから無理。
できたら関わらずにとっとと家に帰りたい。なんでもいい、俺はただ、おてんと様を浴びたいだけなんだ…チュナ。
入ってすぐの扉を開けて、そのまま宮殿を横切って、不審な牢名主に遭遇し、カタツムリのような廊下をぐるぐる通って
処刑機械に鉢合わせ、涙目で北西側まで逃げてきたところだった。途中でへんな置物に襲われたが、それはいい。
なにしろ、オバケではなく機械なんだから。あいつらは化けてでない。それにしてもくさい。
「おっ前、ほんと馬鹿だよなー。なんでそんなびびりの癖に前とか飛び出すわけ?きったねえしくっせー」
「パリスは守ってくれたんだよ。ねえ?パリス」
「え?ああ、すまん。聞いてなかった。本当にこの部屋入るのか?」
嫌な予感がする。というかここにいる時点で不吉。だが、部屋に入ってみると豪華な調度品が目を引く。本やら
なにかの書類がもっさりと埃をかぶって積み上げられている。私は神だがいれば涎を垂らして喜ぶに違いない。
「やべっ絶対やばい、早く出ようぜ」
「なんの部屋かなー?」
俺の話聞いてない。
「僕の頭脳が必要ってか?簡単すぎてアクビがでらあ」
仲良く並んでがさごそ始めた。もうもうと土埃が立ち上り、脆いものはあっさりと崩れてしまうようだ。はやくぅ〜
ねえねえかえろおよお、そんなのいいからおばけきちゃうよう。胃の中身が喉まで競りあがってくるのを感じる。
「おっ、見ろよ。面白そうなもの見つけたぜ!…私は…見られている……なんだこりゃ?」
「読めるのか」
「当たり前だろ?魔術の基本だからな。なになに?私は見られている…ええと?窒息・絞殺・毒盛りぃ〜の?なに?
河につけて殺したら?ええーと誰かに見られて逃げ出した、とさ。ケッ、だめ親父じゃねえかよ」
「…そういう文章なのか?」
フィーは少年の横から腕を伸ばし、指でなぞる。
「ただ壁に"我はそをなむ見つ"となむ赤筆にて書き記されし。おさなごの手習ひのごときつたなき文字にてなり。
我あなおそろしとなむおぼへ、とくとくとまろびつ逃げし。これを以ってより、かの者どもよごと日ごとに見参す。
き長のかげ、書机のはざま、証とぞせむと、かのものども記さん。赤き習ひにて…あれ」
「なに」
色の白い彼女の指先が赤く染まっている。ぽた、と音がする。シーフォンの顔が青ざめた。ページだけではない、
書架が、床が、衣までもが染まっていく。顔を見合わせて、喉がゴクリと鳴った。意を決してフィーの襟を掴んで
机から引き離し、後ろに回すとランタンを天井に向けた!●ているよ
「にぎゃああああああああああああああああああああ!!!!いっぱいいるうううううう!!!!」
「あぶない!」
そう叫んだとき扉が開いて聖槌をかがげ持った姿が飛び込んできた!神殿育ちで霊感の強いTさんだった!!
「破ぁーーーーー!!」
瘴気を切り裂く破魔の理力が辺りを清浄な光で包み込み、一匹また一匹とできそこないを飲み込み浄化していく!
かの者達の阿鼻叫喚に固くつむった目をそっと開くと、部屋は静まり返っていた…。
「有難うございます、Tさん。でもどうしてここへ?」
「なあに、このフロアはあの世に行きそこねた魑魅魍魎どもが集まってるいわくつきの場所だからね。こんな事も
あろうかと思って来てみたのさ」
そういいながら、胸に手を当てると、魔物よけを唱えた。
「これで少しは楽になるだろうさ。気をつけたまえよ!さらばだ!はあーっはっはっはっはー!!!」
マントを翻して走り去る姿を見て、神殿育ちってスゲエ、俺はまたもやそう思った。
(了)
お騒がせしました。
まずい、Tレージェさんネタヤバイ。
考えもしなかったコラボにニヤケが止まらんwwwつーかどういう脳みそしてたらこの二つを合わせようと思うんだっwww
ありがとうございました、素晴しい柴らしい。
>>193 GJ!二度目は無い。そう思ってた俺が浅はかでした。盛大に吹いたwwww
さて、早速で申し訳ありませんが投げます。以下注意。
・アベリオン×キレハ
・グッドEDのその後。捏造及び妄想成分多々有り。
・今日はエロ無し。無し?……無し!
それでは、どうぞ。
「俺も一緒に行くよ」
旅立つ直前のキレハを引き止めて、ずっと考えていた事を告げる。
予想はしていたけど、彼女は素直に首を縦に振ってはくれなかった。
「……駄目よ。貴方にはやるべき事もあるし、守るべき人もいるでしょう?」
その言葉は、少しだけ心に痛かった。
やるべき事はあるけど、今の俺にはそれに見合った力は無い。
守るべき人は……守りたかった人は、もう居ない。
これから守るべき人は、守りたいと願う人は今こうして目の前に居る。
それでも、やっぱり今の俺には力不足で。
だから、今の俺には何も無い。
「……行くよ。キレハと一緒に」
その一言に、キレハの顔が真っ赤になる。
「……ああ、もう!わかったわよ!付いてきたいんなら、勝手にしてよ!」
顔を真っ赤にしたまま、そっぽを向いてしまった。
「それじゃ、勝手にさせてもらうよ」
キレハの手を取ると、彼女はやっぱり顔を背けて、小さな声で馬鹿と呟いた。
―――そうして、俺とキレハの旅は始まった。
けれど、その時はまだ何も知らなかった。
キレハの気持ちも、彼女が隠してたとある事も、俺自身の気持ちも。
「少しは様になってきたじゃない」
旅に出てから早1週間。珍しく、キレハからお誉めの言葉を頂いた。
確かに、初めて馬に乗った時よりは随分マシになったと思う。
遺跡の探索で得た宝物を売り払った金で馬を買ったまでは良かった。
けれど、初めて乗った馬に、俺は良い様に振り回された。
ひどくかっこ悪い転び方をしたみたいで、キレハに指を差されて笑われた。
キレハが爆笑している所なんて、初めて見た。
その対象が馬に振り回される俺というのが、少し不服だけど。
まずはホルムを南下し、自由都市国家群を経由して西に向かう。
そして大河を横断してエルパディア公国へ。
更に南下して沿海州の首都ハロンで船に乗り、島国のガレーティアを目指す長い旅だ。
この旅の中で、薬学と魔術を学び極めて行きたい。
薬学を磨くのは、父さんの跡を継げる薬剤師になる為。
魔術を磨くのは、シーフォンと約束した再戦の日の為。
父さんに追いつけるように、父さんを追い越せるように。
「……男の子なのね。アベリオンも」
「何か言った?」
キレハの呟いた声は、風と蹄の音に掻き消された。
「何でもないわよ……急ぎましょう。嫌な雲が出てきたわ」
暗くなり始めた空を見ると、鈍色の低い雲が立ち込めていた。
それから先、今日の目的地である自由都市国家群。
その最北端の村へと辿り着くまで無言の旅が続いた。
雪が吹雪になる前に、なんとか目的の村へと辿り着く事が出来た。
初めて目にする、ネス公国の外の村。
期待していたよりも変わりの無い、ホルムに帰ってきたような気さえする様な村だった。
「初めての外国の感想は?」
「……思ってたより、普通かな」
キレハの問いに素直に答える。
「言うと思った」
少し微笑んで、キレハも同じ感想だと告げた。
――――……
夕食を摂り終え、村にひとつだけの宿屋に入る。
ちょっと悩んだけど、勇気を出して声にする。
「……一部屋で、お願いします」
「はいよ、お兄さん。部屋の準備が終わったら呼ぶよ」
宿屋の女主人が悪戯っぽい笑顔で鍵を寄越した。
「……一部屋で良かった?」
念の為、事後報告がてらの確認をする。
「っ……わ、私は、構わないわよ」
また顔を赤くする。本当にわかりやすい。
道を拓くきっかけは、いつだって勇気だ。
……やる。今日俺は、大人の階段を登る。
「あ〜、久々のベッドだ〜」
キレハが嬉しそうにベッドに寝転ぶ。
こんな事を言う彼女なんて、あの頃じゃ想像も付かなかったし、今も想像してなかった。
「……何笑ってるのよ」
「いや、別に」
怒られてしまった。
荷物を置いて、キレハの隣に腰掛ける。
……やっぱりというか、何というか。
二人部屋にひとつのベッド、ひとつのベッドにふたつの枕というのは何か恥ずかしい。
というか、この部屋が変に広いのはもうひとつのベッドを片付けたからみたいだ。
カーペットにベッドの脚の跡がくっきり残ってる。部屋の準備って、この事か。
ともかく、これで退路は無くなった。もう前に進むだけだ。
「……何、顔赤くしてるの?」
「ん!?ああ、なんでもない」
「ふうん……それじゃ、先にお風呂借りるわね」
「ん、ああ、うん」
駄目だ。挙動不審にも程がある。
これが探索の頃じゃなくて良かった。
絶対ひばり亭の笑いの種になってる所だった。
……本でも読んで、気を鎮めよう。
鞄の中から、適当に本を引っ張り出して適当なページを開く。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「嫌、やめて!やめてソムリエさん!」
「いいじゃねえか奥さん。ほうら、下のお口はもう解禁日だ」
ジュポンッッ グチュチュチュチュヂュヂュチュ
「嫌!出ちゃう!ボジョレー出ちゃう!ヌーヴォー出ちゃうの!らめぇ〜〜〜!!」
プッシャアアアァアァアアアッッ
「早速テイスティングさせてもらうぜ!」
「あぁーーッ!私の、私の一番搾り飲まないでー!!」
ズチュッ ズゾゾゾゾ ズゾーッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なっ……
「なんだよこの本!ふざけんな!!」
表紙に『気象と儀式魔術』って書いてるじゃん!
誰だよこんな悪戯したの!……シーフォンか?シーフォンだな畜生!!
しかもこの中身のチョイス……ああもう最悪だ!!
「……お風呂、空いたけど?」
「うわぁッ!?」
心臓が止まるかと思った。いつの間に上がったんだろう。
風呂上がりのキレハの肌は桃色になっていて、石鹸に良い匂いがする。
けど、こんな状況でこんなの見たくなかった。
「その本がどうかしたの?」
「いや……何でもないよ……」
俺は、急いで風呂へと逃げ込んだ。
風呂に入って旅の汚れを落とせたのは良いけど、
本をそのまま投げ出したのは余りにも迂闊だった。
キレハが読んでいない事を祈るばかりだ。
部屋に戻ると、キレハはもうベッドに入っていた。
本は……投げた位置から動いてない。良し良し。
改めて、覚悟を決める。
「……隣、入るよ」
「……うん」
横向けに寝ているキレハの顔は、髪と毛布に隠れて見えないけど……どうなってるんだろう。
案外、平気な顔をしているかも知れない。
ベッドに寝転び毛布を被る。
冷たいベッドの中だから、キレハの体温をもろに感じる。
……さあ、勝負だ!!
意を決し、キレハの身体に腕を回す。
「駄目」
「……え?」
「今はまだ……駄目」
結局その日は、部屋のソファの上で夜を明かした。
「さ、寒い……」
「隣で寝れば良かったのに」
震える俺に、キレハが温かいお茶を出してくれた。
「だって、自分を抑える自信無かったし……」
呆れた様に溜め息を吐いて、キレハが俺の隣に座る。
「まだまだ旅は長いんだから、ね?」
「……うん」
「それと、あんまりがっつく人って嫌われるわよ?」
「う、うん……気を付ける」
「うん、よろしい」
特に息を合わせた訳でもないのに、二人一緒にお茶に口を付ける。
寒がってる俺を考慮してくれたのか、ミルクティーだった。
「美味しい」
「そ、良かった」
――――幸せな時間だった。
欠けてしまった何かが、埋まった様な、満ち足りた時間だった。
あの夜に彼女が拒んだ真意なんて、その時は知る由も無かった。
そして、その夜に何があるのかも。
「そういえば」
「ん?」
「アベリオンが男の子なのはわかるけど、あんまり変な本読まないでよね。それも悪趣味なの」
「わーーーーーーーーーーーーー!?」
第一話『小さな旅立ち』 了
とりま今日はここまで。次回以降は冒頭にあらすじ産業でも付けていこうと思います。
なんぞこの地名?って人は世界地図買って読めば良いと思うよ!
お粗末様でした。
>>203 いやっほうううううう!
アベキレは自分の中で最高カップルなんで楽しませてもらいましたGJ!
投下が多すぎて読むのが追っつかねえ!w
遅レス飛びレスになるけど連投で感想が流れるのも寂しい気がするんで、
勝手に順繰りにレスつけてみる。
>170
パリス×ウェンドリンって実は本命だと思うんだよなァーッ、
館での会話改訂で妄想の余地が一気に爆発したものなあーッ。
ウェンディ=ウェンが可愛すぎてもうね。
その後が気になる。こいつらもう2シーズンくらい冒険出来そうだな。
>175
Tさん知らなかったけど吹いた。ググってまた吹いた。
ところで最初はどこで吊りしてるんだろう。
eraRuina(A_ver1.114)_私家版1.1のランダムダンジョン機能に少しだけ手を加えたんだが(主に自分用に)
こんなのでもうpしていいんだろうか
別にいいだろ、それは。
元々EraMaker1を多数の人が改訂したものだしな。
私家版の人の気に入ったらそっちに取り込まれるかもしれないし、
そうじゃなくても誰かの損になることは多分なさげ。
eraは基本的にバリアントにせよ機能にせよ口上にせよ、
不特定多数が自分の好きに作ってそれをお裾分けってスタイルだからな。
大事なこと書き忘れてた
passはruina
けたたましい音とともにアダの居室へなだれ込んできたのは
エメク、メロダーク、エンダの3人組みである。
あまりの突然の事態に状況を飲み込めず
目を白黒させているアダを両側からしっかり抱きかかえると
──抵抗も空しく、不気味な含み笑いの
メロダークとエンダに両腕を柱に括りつけられてしまった。
凶悪な表情を浮かべたエメクがアダの正面に立つ。
「さあアダ婆さんお前の罪は3つだ!
異端の思想・言説・行為・動作
……4つだ!」
「わけがわからないよ!
エメクやこれはどういう事だい、説明おし!」
「ハッハ……!
では わからせてやろう──メロダーク!」
気丈に言い放つアダを嘲笑い、エメクはこう続けた。
「『安楽椅子』だ」
* * *
さて、現在のアダは大河の見える一番いい部屋にて
新品の安楽椅子に揺られている。
腰にはふかふかのクッションも当ててあり
座り心地は最高だ。
が、座らされた当人はというと
先ほどの所業に大してぷりぷり怒っているまっ最中である。
「やりたい事はわかったが、
それにしたっていきなり柱に括りつける事は無いだろうよ!
全くあの子は何を考えてるのだか」
「ああでもしないと普段通り働いてしまうから
……とエメクは言っていた」
黙々とブランケットをアダの膝に掛けていた
メロダークがぼそりと説明し、そのまま部屋を去って行った。
「──まったく」
確かに敬老の祭日ではあるが
細々とした用事が無くなる訳ではない。
毎年普段通りに働く自分の姿を、
そういえばエメクはいつも何か言いたげにしていたっけ……
「折角のご老人方を労わる祭日なんだから
今日くらい仕事は全部僕らに任せて下さいよ。
これだけ言ってもまーだ働こうってんなら
それこそ女神の御心に反していますからね!」
思い出に浸っていたところに張本人が通りがかった。
開いたドア越しに通りがかりの駄賃とばかりに
尚も言い含めてくる。
「はいはい、わかったわかった。
そこまで言うなら油売ってないでキリキリ働きな」
邪険に追っ払うもエメク本人は笑みを浮かべて去って行った。
「ひよっ子が人を年寄り扱いの上に
いっちょまえに説法かい。
まったくいい気なもんだ……」
口調とは裏腹にその表情は非常に温かい。
「ばあちゃーん!お茶の時間だぞー
お茶っ葉はエンダが計ったんだ」
茶器と菓子の乗った盆を抱えてエンダが飛びこんでくる。
「そうなのかい?
そしたらいつもの倍もおいしいだろう。
どれエンダ、こっちに座りな。
パイを半分こしようかね」
今度こそ優しげな笑みを浮かべた老巫女は
そう言って竜の子を手招きした。
\ジャーン!/
「まさか!の時のホルム宗教裁判!」
パイソンズネタと敬老の日が合体事故を起こしました。
うっかり思いついちゃったあげくの人生初SSです。
お目汚し失礼しました。
以下おまけ
バターン!
「まさかの時のホルム宗教裁判!!」
「さあネルとシーフォン君、
デネロスおじいちゃんに『安楽椅子』を……」
「わざわざ宮殿の古文書に当たって再現したんだからな。
せいぜい感謝しやがれ」
「担いでくるのに苦労したよー
わあい」
\ジャ───────────ン!!!/
なんという事でしょう!
そこには見るも禍々しいトゲだらけの椅子が
「本物ォー!!?」
参考:
ttp://image.blog.livedoor.jp/blv42/imgs/d/b/dbf8730d.jpg
>>211 >──抵抗も空しく、不気味な含み笑いの
>メロダークとエンダに両腕を柱に括りつけられてしまった。
年はとっても女だなァ!メス犬みてえに腰振ってんぜフゥハハハ!な展開になるかと思ったら・・・!
和んだよ、GJ!
それにしてもデネロスの扱いがひどすぎるw
日本語でおk
>193
もう何がなんなんだか。
対見ているよは実際こんな感じだが。
>196
寒い夜に同じ布団というのはいやらしいことがなくても最高だと思うんだ。
惜しい真似を。
>211
一瞬「まさかそんなマニアックな」と貴方の正気を疑った俺に多分罪はない。
しかしアダ婆ちゃんは可愛い。
……本編で魚料理をやたら沢山くれた場面で「ああ、あるある」と思ったのは俺だけじゃあないはず。
ちょっぴり微妙な品物が混じっているところまでお約束。
>>219 まさにオカンだよな。
実家からのダンボールとか、実家に帰った最終日的なやつ。
こんなところで赤い法衣の三人組wwwww
よし、誰もいないな。投げさせていただきます。
〜前回のあらすじ〜
キレハ「こらアベリオン!お座り!ステイ!」
アベリオン「わん!」
テレージャ「ややっ!?私の会心作、『ソムリエールの情事』が無い!一体何処に……?」
・アベリオン×キレハ
・グッドED→旅に出た後
・和姦の湾曲描写あり。補完は各自頼んます
・現在地……ホルムの南、自由都市国家群最北端の村
それではどうぞ。
「昨晩はお楽しみ……しなかったようだなコンチクショー!!」
宿のホールに降りるなり、突然女店主に怒鳴られた。
彼女は両手の中指を立て、手の甲をこちらへ向けている。この地方のまじないだろうか。
「あ、あの……」
「そういう間柄じゃないんで!」
うろたえる俺の腕をキレハが引っ張る形で、その宿を後にした。
……そういう間柄じゃないんだ。
宿の方からは「ファック!ファーック!!」と、女主人の奇声が聞こえた。
「何だったんだろう、あの人」
「知らないわよ。多分覚えない方が良い事言ってるんだと思うけど」
その日は再び馬を走らせ、自由都市国家郡最大の街、カークンへと向かった。
街道をひた走り、陽が沈む頃にようやくその都市のゲートへと辿り着いた。
「……でかいなぁ」
「本当ね……」
田舎者丸出しといった様子で、二人揃ってその街の景色を見回す。
父さん。俺は今、小さい頃に行きたいと言ってあなたを困らせた都会に来ています。
―――この街で、俺達の旅はひとつの終わりを迎える事となる。
ホルムで遺跡の騒ぎがあった頃。その時も見たことの無い位に人が溢れていたけど……
こんな時間なのに、ここまで人が多いなんて思わなかった。
無意識にキレハの手を繋ぐ。雑踏の中で離れ離れにならないように。
キレハは、きっと顔を赤くしてそっぽを向く。でも彼女はこの手を離さない。
そう思っていた。
「…………」
ひどく辛そうな顔をして、一度だけ繋がれた手を見て俯いた。
「……キレハ?」
「えっ……ああ、ごめんね。少し、ぼーっとしてた……人込み、得意じゃないから」
……本当にそれだけなのだろうか。
確かに、以前キレハは人込みが好きじゃないと言っていた。
けれどさっきの顔は、そういう事では無さそうだった。
人の流れから逃げる様に、俺はキレハの手を引き、大通りから分岐する細い道へと歩いた。
何軒も宿屋を巡って、ようやく寝床を確保する事が出来た。
裏路地の、お世辞にも綺麗とは言えない場末の宿屋。
それでも部屋を取れなくて、結局店主に頭を下げてホールでの雑魚寝となった。
そこにある暖炉の前で、キレハが口を開いた。
「アベリオンは、もうちゃんと馬にも乗れるし、野営の仕方もわかったでしょう?」
「うん……キレハにみっちり教えられたから」
「そう、良かった」
一体、それがどうしたんだろう……?
「私達、ここで別れましょう」
思考が止まり、頭の中が真っ白になる。
ずっと上手くやって行ける。根拠は無いけど、そう思っていた。
けれど、彼女が告げたのは別れの提案だった。
「……せめて、理由位は聞かせてくれよ」
このまま、はいそうですかと了承する訳にはいかない。
キレハは少しの沈黙の後、俺の目を見据えて言葉を紡ぎ出した。
「別に、アベリオンの事が嫌いになったとか、そういうのじゃないの」
「なら、なんで……」
「本当はね、私の旅に目的なんて無いの」
目的が無い?故郷に帰る前に、広い世界を見てみたいって言ってたのは……?
「私が前に話したこと、覚えてる?初めて、狼が現れた時の話」
「確か、大好きだった馬が殺される事になって、それで……」
そうだ。
それでキレハは自分の親や、村の大人達にひどい怪我を負わせたと言っていた。
「……自分の『影』を見つければ帰れるって思ってた。でも、どんな顔をして帰れというの?」
キレハの言う事はわかる。同じ立場だったら、俺も同じ事を考えてしまう。でも……
「だからって、帰らないつもりかよ」
「……理由はそれだけじゃない」
一度だけ口を閉ざし、俺から視線を逸らす。
それから、彼女はこう言った。
「未来の為に頑張ってる貴方の隣を歩くのが辛いの」
私は逃げているだけだから。そう付け足して、背を向ける。
「変な事ばっかり言ってごめんね。でも……そういう事だから」
去っていく彼女の手を握る事が、出来なかった。
言ってやりたい事が幾つもあるのに、言えなかった。
自分がこんなにも何も出来ないなんて知らなかった。
俺は、最低だ。
――――……
私は、最低だ。
自分の都合だけで勝手な事を言って、彼の事も考えないで困らせて。
結局最後は自分で自分の大事な物を手放してしまう。
自分の『影』を見つけて、克服した気になって、結局何も変わっていない。
アベリオンとずっと一緒に居たい。誰よりも好きな人だから。
そう思っているのに、また私は大切なものを失ってしまう。自分自身の所為で。
「……迷惑かけて、ごめんね」
今さっき別れた彼に、届かないであろう謝罪の言葉を述べる。
謝る位なら、こんな事しなければ良かったのに。
でも、これで良かったとも思える。
アベリオンには帰りを待ってくれている場所も、将来の夢もある。
きっと彼なら、自分の夢を叶えられる。
そして、私には何も無い。今も、この先も。ただ生きるだけ。
そんな私に、彼と一緒に歩く資格はきっと無い。
だから、これで良かった。そうやって、無理矢理自分を納得させる。
私はこうして、一人で歩いているのが分相応だ。
……後ろから、誰かが追ってくる。
雪の積もったこの道を踏み締める音。走ってこっちに向かって来てる。
息遣い、匂い、気配。全部知っているものだ。
出来ることなら、絶対に二度と出会いたくなかったのに。
振り返って、その姿を確認する。
……やっぱり、アベリオンだった。
突き放す言葉を選び、告げようとする。
でも、私の言葉を掻き消す様に、彼の腕は私を抱きしめた。
――――……
急に抱き付かれたキレハは、驚いた様な、戸惑っている様な顔をしていた。
けど、今だけはそんな事気にしない。
ここでやらなきゃ、ここで伝えなきゃ、俺は本当に最低の男になってしまう。
「ッ…………キレハッ!!」
「な、何!?」
大好きだ。愛してる。お前が欲しい。
でも、今伝えたいのはそういうのじゃない。
「……俺、キレハの故郷に行く」
「は!?貴方、何言って……」
「行って、キレハを下さいって伝えてくる!止めたきゃ一緒に来い!」
待て待て待て。伝えたいのはそういう事だけど……
何言ってるんだ俺は?
どうしよう、訳がわからなくなってきた。
「だから……私にどんな顔して帰れって言うのよ!」
「知らないよ!笑うなり泣くなり好きにしろよ!けど!」
けど……
「俺は後悔したくない。キレハにも後悔して欲しくない」
「……わかったわよ、もう」
「それじゃあ……」
「でも、その前にひとつ教えてくれる?」
キレハが俺の腕を解いて、尋ねてきた。
「どうして私にそこまでするの?狼になった時も、今も」
決まってるじゃないか。俺は……
そういえば、一度も言っていなかった。
大切な事を、今の今まで。
「……キレハが、好きだから」
そう言って、もう一度キレハを抱きしめた。
「やっと言ってくれたわね」
彼女はそう言って、俺を抱き返した。
明くる朝、買出しを終えて南へと馬を走らせる。
大河に掛かる橋を越え、更に南へ。
その日の夜の、テントの中で。
「……もしかしたら」
隣で寝転ぶキレハが呟いた。
「あなたに好きって言って欲しくて、あんな事したのかも」
「うわ、嫌な女……」
「随分と容赦無い事言うのね。傷付いたわ」
「はいはいごめんなさい」
「心が籠ってない」
……それなら、心を籠めて、もう一回。
「もう……馬鹿」
もう一回、キレハを抱きしめる。
キスをして、もう一度愛し合う。
本当はもっとマシな所でした方が良かったかも知れないけど。
結局その日、大人の階段を二回も昇った。
―――初めて彼女とひとつになれて、幸せだった。
その日、俺達の旅はひとつの終わりを迎え、新たな旅が始まった。
確かに結ばれた、二人として。
「あのね、アベリオン」
「ん?」
「私も、何とも言えないんだけど……多分、下手だと思う」
「な、何が?」
「セックス」
「ぬわーーーーーー!!」
最早俺は何処で何を書きたいのか?っていう……
難産の末の子です。どうか酷く言わんでやってください。
多分あと一話で、この長ったらしいの終わります。
お粗末ッッ
乙!
にしても何だ、アベリオンは下手なのかwww
>>230 キレハは自己評価をコメントしてるんでは
アベルは彼女の口から出た単語に反応してうぼわーしたんでは
乙!最高すぐるあべりおんきれは
キレハを俺に下さいフラグ立ったな
良かったじゃないか粗品って言われなくて
技能なら磨けば良い。生まれ持ったモノは
って泣いてるスレ読者絶対いるぞwww
第一候補はうちの夫なんだがな…
――ドスン、ガゴン!
ぶち破らんばかりの轟音とともに扉を叩かれ、反射的に愛剣に手を伸ばしかける。
「たのもーっ!」
直後に聞こえてきたのんきな声に、理性のブレーキが作動する。
ホルムの町、領主の館の執務室。
この部屋の主は少年と呼ぶべき年齢ではあるが、色素の薄い容貌と精悍な肉体によって美丈夫と形容するのが相応しい。
キャシアス。
父カムールに替わってホルムを治める若き伯爵であり、一流の剣士でもある。
「や、仕事中失礼するよ」
ネルを先頭に、乙女会議の参加者が続々と部屋に入ってくる。
「お茶をお持ちしました。少し休まれてはどうですか?」
「差し入れに甘い物も持ってきたわよ」
会議の内容を意識してか、さりげなくアピールする者、
「……パリス兄さんもこれくらい真面目に仕事してくれればいいのに」
身内との格差に落ち込む者、
「きーん」
本棚の間を駆け回る者、それぞれが無駄に個性を発揮している。
仕事にならないと見たキャシアスが、夜種よりも手強い書類を机の脇に寄せる。
お茶の匂いを嗅いで安全を確認してから口をつけ、騒がしい客人たちに用件を聞く。
「用事ってほどでもないんだけどね。ちょっと聞きたいことがあってさ」
「単刀直入に聞こう。結婚の予定はあるかい?」
テレージャが直球をど真ん中に投げ込む。
が、キャシアスの鈍感さはそのストレートな問いかけにも勝っていた。
言葉通りに受け取り、伯爵となった自分の立場を心配して言ってくれているのだろうとしか考えない。
あわよくば自分が妻の座に、などと目の前の少女たちが画策しているとは微塵も疑わない。
「いくつかは縁談のお話もいただいていますが……」
と、ここでフランが新たな情報を開示する。
別に会議で隠していたわけではなく、言い出す機会を逃していただけだということを彼女の名誉のために付記しておく。
その縁談も含め、ホルムと周辺地域が落ち着くまでは政略結婚の類の予定はない、とキャシアスが断言する。
「ふむ。いつかはそうするかも知れない?」
領主として必要ならば、と責任感の強さを覗かせるキャシアスに、意外なところから異論が出る。
「あの、わたし子供だから難しいことわからないけど、そういうのってよくないと思う。
やっぱり、結婚は好きな相手とするべきなんじゃないかな」
硬い顔で主張するチュナに、そういう相手がいればそれが一番だと苦笑を返す。
色気のある話にはどこまでも鈍く、自分の魅力に全く気付いていないのである。
「あー、あの、さ。もし。もしもだよ。エンダが結婚してくれって言ったら?」
「んー?」
ネルの仮定に、名前を呼ばれて棚の上から顔を出したエンダに目をやり、それもいいかなと父性のこもった微笑を浮かべる。
本物である。自分にはそういう恋人ができないと半ば確信した者の顔である。
その言に、ネルやキレハはおろかチュナまでげんなりする。
しかし予想の斜め上ではあったが、乙女会議の面々にも十分チャンスがあると判明した。
『誰がどうなろうと恨みっこなし』という、移動中に締結された淑女協定を目配せで確認しあい、各々が行動に移る。
キャシアスを巡る仁義なき戦いの火蓋が今、切って落とされる。
――つづくといいですね
キャシアスハーレムルート編第二話
意外と短くなってしまった!
この先はノープランですが、ここまでが起承転結の起ってとこでしょうか
キャシアスのハーレムルートはこれからだ!(打ち切り)とか
ハーレムルートという名のキレハエンドだったのだ!(風呂敷放棄)とか
チュナとキレハを組み合わせた全く新しい百合ルート(全てなかったことに)とかが十分有り得るとだけ言っておきます
大河流域のみんな!オラにネタを分けてくれ!
乙
>>235 なんという羨ましハーレム…これはタイタスもキレる。
>>235 GJ!!なんというハーレムだ……
タイタスもそうだけど、仲間の野郎集団も不憫だなww
もうこうなったら女性●●●●よ総出で夜襲●●いるよ仕掛けて
既成事●ているよを作ってしまえば●●●●●見ているよ
とりあえず全員とマンツーマンでデート?でも人数が人数か……
……応援してます!ネタはやらん!以上!!
>>235 あまりの嫉妬で素直に乙出来ないっ・・・!
タイタスがんがれ超がんがれ
でも女性陣にはもっと頑張って、最後まで持って行っていただきたいっ・・・!
本スレで因縁持ち×女主は不穏な関係が多いって書き込みがあったけど、
メロさんとマナの凌辱シチュが似合い過ぎるのはこのスレ的に自明だけど、
アルソンさんとウェンドリンとかも地味にヤバイよな。
いつの間にか現地妻的なポジションで落ち着いてるとか有りそうで怖い。
フィーは誰も気がつかないうちにひっそり妊娠出産して未婚の母状態とかね…。
なんかしーぽんは認知はすれども同居まではしなさそうだ。
逆にパリスとアイリは
グッドエンド後も何も起こらないのが想像つき過ぎてむしろ不憫だ。
末っ子のチュナがはじき出されてしまうし
確かにあの家族構成で男女の中にはなれないだろうが。
>>239 アルソンとウェンドリンの場合は爵位持ちの家の縁談だから
あまりウェンドリンをないがしろにした場合、
下手するとアルソン側の家名に傷をつけかねない恐れがある。
フィーの場合、認知以前に自分の子であることそのものを
周囲にも子供にもシーフォン本人にも隠しそうな感じがする。
「親御さんが亡くなって、身寄りをなくした赤ちゃんを引き取りました」の一点張りで。
医者だからそういうこともあっておかしくないし、
デネロスとフィー自体が前例だから誰も何も疑問を持たないだろう。
っていうか男主×因縁持ちも結構不穏な関係が多いような。
戦場でカムールが14歳に暗殺されるパターン経て
騎士男でフランさんエンド迎えると
何かあるかと思えば普通に結婚申し込めたので驚いた。
真面目に考えると鬱エンドになりそうだが。
好きな人の身内が身内を殺してそれをまた……ってとても鬱だ。
この派生で主人公が街から去っていくエンドを妄想したり
もうフランの主人じゃないから手を汚す必要はないよみたいな。
親父が殺されたのは悲しいけど、フランさんのことも大事だから
立場に縛られたままじゃどうにもできないからという、ちょい切ない系で。
>235
こういう時はエンダが強いよなあ、やはり と思った。
なんて物騒な淑女協定。
>241
あれ、俺がいる。
一週目は全く同じこと考えて街を去る選択肢に走ったな。
投げさせていただきます。
〜前回のあらすじ〜
アベリオンがぁッ!!捕まえてぇッ!!アベリオンがぁッ!!ベッドインんッ!!
一発キメてぇッ!!まだ挿れるぅッ!!アベリオンがぁッ!!「……あなた、下手くそね」
アベリオンが死んだァーーーーーーーッ!!!!
・アベリオン×キレハ
・グッドED→旅に出た後
・ゲーム内で登場しなかった人物有り
・若干心によろしくない場面有り
・現在地……ホルムの南方、マルディリアの荒野
・そういや1話だけタイトル入ってたけど、まぁ前回及び今回も無しで。
それではどうぞ。
マルディリアの荒涼とした原野に差し掛かり、もう三日になる。
キレハの話だと、今日中には里へと辿り着くらしい。
何も無かった草原からゴツゴツとした岩地へと景色が変わった頃だった。
「アベリオン、避けて!」
突然キレハが馬を加速させる。
何事かと思いキレハの駆け出した方向を見ると、遠くの岩陰から矢が飛んで来た。
矢は上空から降り注ぐ様に、寸分違わず俺を狙っていた。
「避けれ……ない!」
小杖を手に取り、最短の詠唱の後に杖を振りかざす。
鬼火が空を奔り、飛来する矢を焼き落とした。
「油断しないで!!」
遥か前方の岩を目指すキレハが叫ぶ。
次の瞬間、今度は幾つもの丸いボールの様な物があちこちから向かってきた。
もう一度鬼火の詠唱を行う。しかしそれより早く、球が空中で破裂する。
投げ込まれたそれは、粉塵を詰め込んだ目眩ましだった。
突然視界が消えた事により、俺の乗る馬がその足を停める。
更に困った事に、今この状況で鬼火を放てば辺り一面焼け野原だ。
鬼火の詠唱を中断し、粉塵を掻き消すべく風呼びの歌を唱える。
しかし――
「捕らえた!!」
それより早く、俺の身体は投網に絡め取られた。惨めに馬から引き摺り降ろされる。
徐々に粉塵の幕が消え去り、敵の姿を目が捉える。
そこには矢を番えた何人もの男が、こちらを睨み付けていた。
魔法で蹴散らすにも、余りにも人数が多い。そして、恐らく彼等は――
「待て!そいつは客人だ!!」
男達のリーダーらしき人物が制止の合図を掛ける。
その男の横には、キレハが居た。やはり、彼等は彼女の里の者達だった。
「本当に申し訳無い」
そう言って、集団のリーダーと思しき男が頭を下げる。
俺はそこらに立ち並ぶ、布と竹とで造られたテントの中でも一際大きいものの中に通された。
目の前の男は、随分傷だらけだった。いかつい顔は古傷だらけで、
右眼は失われた様で眼帯を掛けている。手の指も何本か無くなっていた。
「紹介するわ。この集落の長で……私の父さん」
隣に座るキレハがそう告げた。
「私の娘が世話になった様で……本当に、ありがとうございます」
いかつい外見に似合わず紳士的なのは、流石といった感じだった。
「いえ、こちらこそキレハ……さんには、本当に何度も助けられて……」
穏便そうな人で、本当に助かった。
「……すみませんが、本題に移らせてもらいましょうか」
不意に穏やかさを湛えていた右眼が、鋭く輝いた。
「娘と一緒にはるばるこうして来たという事は……まぁ、そういう事なんでしょうなぁ」
急に、まるで強大な魔物の前に立った様な圧迫感が身体に圧し掛かった。
「……申し訳ありませんが、少しこの集落でも見て回って来てください。キレハ、こっちへ」
キレハと目配せをして、互いの覚悟を確認した後、外に出た。
村をぶらつく気にもなれず、テントの外で待つ事にした。
異邦人を見にきた集落の人々の声が、耳に届く。
「あれが、鬼子の誑かした男?」
「あんな男を連れ込むなんて、やっぱりどうかしてるわよ」
「そもそもあの男、易々と引き入れて良かったのか?」
「あいつらの仲間かも知れないしな」
「それか、大河の神殿の犬かも知れん」
「何にせよ鬼子の連れてきた男だ。どうせ災いを招くに決まってる」
鬼子?誑かした?どうかしている?
……腹の中が煮え繰り返りそうな言葉以外に、気になる言葉が聞こえた。
“あいつら”って何だ?
そもそも、先程の男達も何かを待ち構えていた様だった。
狩りに出るにしては装備が整い過ぎていたし、見張りにしては大人数過ぎる。
一体この集落に、何が起きているんだ?
「……お待たせ」
そう言って、キレハがテントの中から出てきた。
彼女の頬には、涙の跡が残っていた。
「どうだった?」
「……あなたの言った通りね。後悔しなくて、良かった」
良かった。他の人がどう思っていても、やはり彼女の父は父親だった。
「そっか」
安堵の笑みが浮かぶが、俺にとっての勝負はここからだ。
キレハと入れ違いに、テントの中へと戻る。
「うっぐぅ……良がっだ……キレハがぢゃんど……戻っで来でくでだ……」
キレハの父は、滝の様に涙を流し号泣していた。
どうしよう、なんて声を掛ければ……
「……すびばぜん、アベリオンざん……」
俺の存在に気付いた彼は、鼻をかんで涙を拭ってから、改めて俺に向き合った。
「娘から話は聞きました。あなたには、本当に世話になったようで……」
そう言って、もう一度頭を深々と下げる。
「あなたになら、キレハを任せても大丈夫でしょう……と言いたいのですが」
「他の方々が納得しない……ですか?」
図星だった。彼は、今度は申し訳なさそうに頭を下げた。
「あいつの事を、この里の者共は快く思ってはいません。一度は殺してしまえと責め立てられた程です」
……今すぐこのテントを出て、大声で叫んでやりたい。
けど、今はそんな事をしている場合じゃない。
「……つかぬ事をお聞きしますが、この集落は何者かに狙われているのですか?」
先程から思っていた疑問を尋ねる。こっちも、図星だった。
「一月程前から、大河の向こうから来た夜盗の集団がこの辺りの集落を荒らし回っておるのです」
一月前……恐らく、遺跡でしくじったり食いはぐれた連中の集まりだろう。
「この辺りで無事なのは、私達の集落だけ。おそらく、次は――」
「……それについてですが、俺に考えがあります」
すべてを良い方へとひっくり返す、大勝負だ。
夜の荒野で、キレハと並んでその時を待つ。
「あいつ等の言葉に耳を貸すどころか、信じるだなんて……」
「長は一体何をお考えなのか……」
背後から小さく聞こえる囁きに、稲妻でも落としてやりたい。
でも、今はそんな場合じゃない。
村の周囲を見張っていた男から、夜盗達の接近を告げられた。
言い方は悪いけど、まさに渡りに船だった。
キレハと二人で、この夜盗達を追い払う。
俺がキレハの父に提案したのは、そういう事だった。
俺にとっては村人からの信頼と畏怖の獲得、キレハにとっては『影』の克服の証明。
そして、この村にとっては安全の確保。一石三鳥という訳だ。
「こういう所はしっかりしてるというか、狡いというか、計算高いというか……」
隣で待機するキレハがぼやく。
「素直に頭が良いって褒めて欲しかったな」
「私なりに褒めたつもりだったけど?」
軽口を叩きあい、笑いあう。
「……来たわ」
キレハの目が、遠くから近付く影を捉えた。
背後の村人に避難を促し、戦闘態勢に入る。
<上霊>を手に取り、魔力を集中させる。キレハも混沌の血脈を開放し、四肢を狼へと変える。
シーフォンから何度も浴びせられ、いつの間にか身に着いていた呪文を唱える。
紫電を纏った杖を、天へと掲げる。
それと同時に、キレハが夜盗の方へと奔る。
さぁ、悪党共よ。命は奪らないから、俺とキレハの糧となれ!!
――――……
アベリオンが杖を掲げたのを合図に、私も敵へと駆け出していた。
全身の感覚が研ぎ澄まされ、心が昂ぶる。未だにこの力は、我ながら怖くなる。
より鮮明になった視界に、敵の姿が映る。
「……おい、何か来るぞ!」
夜盗の群の先頭が警戒を促す。良く出来ました。けど、もう手遅れよ。
空から何本もの雷が降り注ぎ、夜盗の足元を焦がす。
天雷陣の魔法は何度も見たけど、ここまで強力なものは私の知る限り二人にしか使えない。
閃光に目をやられない様に気をつけて、奴等の懐に潜り込む。
「ッ!!なんだお前……ギャアアァアッ!?」
混乱する敵の群の中で暴れ回る。
蹴り倒し、殴りつけ、叩き落とす。死なない程度に手加減しながら。
やがてアベリオンが放った合図の鬼火を目で捉え、今度は一気に夜盗達から離れる。
お生憎様。これであなた達もおしまいよ。
――――……
引き返すキレハが合図の火矢を天に放ったのを確認して、杖に籠めた魔力を開放する。
魔力は一筋の光線となり空を疾走し、やがて荒野を掃い、爆発する。
劫火の王国が、夜盗の前に立ち塞がった。
「ちょっと、やり過ぎじゃないの?」
元の姿へと戻ったキレハが、心配そうに逃げ惑う夜盗の方を見る。
「……正直やり過ぎた」
「馬鹿!」
キレハの拳骨をもらう。彼女が狼のままじゃなくて、本当に良かった。
……翌朝村に戻った俺達を出迎えたのは、予想していた範囲で最悪の結末だった。
「来るな!この化物共!!」
「やっぱりキレハは鬼子だ!」
「あの男だって怪しい!あんな強大な魔法、我等には無用だ!!」
「帰れ!化物!!」
罵詈雑言が、嵐の様に吹き荒れる。
……こうなる事も、覚悟していた。全部がうまく行くだなんて、甘い考えだ。
「口を慎め!!」
ざわつく面々を一喝したのは、キレハの父だった。
「……まずは、我等の里を救ってくれてありがとう。だが……」
もう、絶望しか見えてこない。
「だが、どうかこのまま此処から去って頂きたい。キレハ、お前もだ」
「待ってください!!」
思わず声を荒げる。俺はどうなったって良い。でも、キレハは――
「やめて」
俺を止めたのは、他ならぬキレハだった。
「今までお世話になりました。父さん……今まで、ありがとう」
そんな……これで本当に良いのか?
「アベリオンさん。どうか、キレハを……頼みます」
それだけ告げて、彼は背を向けた。
「……行きましょう。もう此処には居られない」
……満天の星空を見上げている。けれど、心には後悔ばかりが集っている。
もし、俺がもっと違う手段を取っていれば、キレハは里に帰れたかもしれない。
「こんな所に居たんだ」
中々戻らない俺を心配してか、キレハがこちらへと歩いてきた。
「……キレハ、ごめん」
「謝らなくても……ちょっと、泣かないでよ!」
堪えきれず、悔し涙が頬を伝い落ちた。
「だって……俺が勝手な事しなければ、あんな事にならなかった……」
「父さんが言ってたでしょ?私の事、よろしく頼むって」
「でも、キレハは良かったのか?自分の故郷に、あんな別れ方して……」
「まぁ、ちょっとは寂しいけど。でも、私はこれで良かったと思ってるの」
……これで良かった?
「……二人で話してた時に父さんから許しは貰ってたの。お前はお前の生きたい様に生きろって」
そう言って、俺の隣に腰を降ろす。
「それにね。もしあのまま私達が許されて、是非残ってくれって言われてたらどうなったと思う?」
「そりゃあ……多分、キレハは次の長になって……」
「里の掟でね、長になれるのは男だけなの」
という事は……?
「俺が、長だった?」
「ううん、それも違う。それこそ皆認めないと思うから、私は適当な誰かと結婚させられてた」
「それじゃ、俺の考えてた事は……」
「成功していれば、そこでお別れだったって事」
今思えば、キレハの事で頭がいっぱいで自分がどうなるか、どうするかなんてちっとも考えてなかった。
「……やっぱり俺、頭悪いのかも」
それを聞いてキレハが笑う。そして、微笑みを浮かべ俺に言った。
「でもね。さっきも言った通り、父さんにもう一度会えて、認めてもらって、恩も返せた。だから……」
俺の頬に、キレハの唇が触れる。
「ありがとう、アベリオン」
「……どういたしまして」
「それと、これからもずっとよろしく」
「……こちらこそ。二人揃って皺だらけになっても、ずっとよろしく」
「うん……」
―――零れ落ちそうな星空の下、約束する。いつまでも、ずっと一緒にと。
俺達の旅は、それから三年弱続いた。そして―――
SUNDOMEで申し訳ありません。
流石に長過ぎになるんでひとまずこれにて。
次回で、今度こそラストです。お粗末ッッ
乙!キレハマイスターも満足です!
里の近くは都会なのかね。そんなことを言ってたような
>>240 >>241 どっちも切なくていいなあ。
相手を大事に思うからこそあえて自分の心を隠したり
その結果すれ違ったりとか大好物だ。
ラバン「よく聞け、男の化身パリスキー…今、義手がモテる!」
パリス「…はぁ?」
ラ「つまりそのー、禁断の実験にものを言わせて国家の犬的練金術が…」
[30分経過]
ラ「お手手のしわとしわを合わせてナオンを練成するのじゃよー」
ラ「早速この全自動甲冑に着替えて、アルフォンスキーになってくれたまえ」
パ「断る」
[オチません]
>243
切なくも収まるべき所に収まるみたいで良かった。
一番辛い立場って実はキレハの父ちゃんな気がしてきたよ。
皆が幸せになるのって難しいよな。
>255
ナオンの錬成までは耐えきったのにアルフォンスキーでとうとう噴きだした。
なんだこの敗北感…。
>>252 乙です!
お父さんは2人が自由に行けるよう、後押ししてくれた気もする。
最終回楽しみにしてます。ハッピーエンドになるといいな。
>>255 パリスが常識人過ぎてやばいw
このラバン爺は、練金したナオンに踏まれそうだ。
同僚の料理が暗黒MAXで死にたい・・・
1 ruina名無しさん [hage]投稿日304/7/24 14:23:34 ID:eMEC774a
連日猛暑で家がヤバイ
2 ruina名無しさん [sage]投稿日304/7/24 14:25:11 ID:tyunalov
お前の料理でホルムがヤバイ
3 ruina名無しさん [sage]投稿日304/7/24 14:27:03 ID:SK23titP
流石の俺でも引くわ
4 薔薇騎士◆ALSON [sage]投稿日304/7/24 14:29:41 ID:reiThoMa
今の季節は夏野菜がいいですよね!
5 ruina名無しさん [sage]投稿日304/7/24 14:31:08 ID:tyu22zip
クソコテは死ね氏ねじゃなくて死ねや!!1晒すぞボケが
6 ruina名無しさん []投稿日304/7/24 14:37:21 ID:eMEC774a
てst
7 ruina名無しさん []投稿日304/7/24 14:38:24 ID:eMEC774a
後で話をしようか
8 ruina名無しさん [sage]投稿日304/7/24 14:38:25 ID:tyunalov
やべっ
素の性格なのに確かにコテ付けられると
煽り系コテっぽくなるな
どの書き込みが誰なのか大体わかるのがすごいな。
しかしID:SK23titPがどう読むのかわからなかった…
消去法でラバンなんだろうとあたりは付いたが。
>>260ごめん。P持ちの死人を出そうとして
全体の末尾の処理する前に投稿しちゃったww
1日目夜 ひばり亭前にて
ラバン「ギャアア!!」
ラバン「いきなりなぜえ!? なぜ土の小鬼に襲われるんだとかそういうようなことを言いてえ───」
ラバン「とにかく今のわし(酒場で装備全部剥がされた)では手も足も出ね───
そういう展開のようです!!分かりやすいですか?」
>>258 こーゆーのイイなw
チュナラブ 厨2はわかった
あとはエメクななし?
アルソンのIDとSKなんちゃらが分からん
アルソンのIDは多分冷凍マグロ
アルソンさんの最強装備との名高いカジキマグロの事でしょうきっとおそらく
フランはホルム伯嫡子キャシアスと、
その権益を守る為に生まれたメイド忍者である。
変身前はひばり亭で働くドジっ子メイド───
[うっかり客にマッドシチューを食わせたことがある]
変身後はキャシアスの為なら見境なく女性客に手裏剣を投げたことがある。
[この店には近寄らない方がいいらしい]
例えば舞姫の薄衣と幾人かの女の子を用意したとしてだ
@スタイルのいい天秤の巫女 露出の多さもお手の物 自分の体に自信アリ
Aメイド忍者 肌の露出や体のラインを見られるのに抵抗がある
B魔法使いの弟子 可愛い衣装を着れるのが純粋に楽しいお年頃 元気もいっぱい
Cダメ人間の妹 流石に舞姫の薄衣は恥ずかしい 気難しい時期
D年は三十路の酒場の女主人 女の子に混じってこんな格好なんてと気が引ける
E実は人外 まだ0歳 まるで人間な見た目だけれど羽根の膨らみが隠せない
F今を輝く見習い鍛冶屋 舞姫の薄衣もコスプレと割り切って楽しんでます
どれに着せたいの?お前らは
>>266 3はわーいわーいってはしゃいだ挙句に転んで号泣が浮かんだ
>>266 1は実際に野郎共に見られる段になって急に恥ずかしがる姿が浮かんだ
ところで面倒見のいい遊牧民と1000年の暇を持て余した巫女いない件について
「へえー、こういうのが好きなんだ」
って若干呆れてるわっち遊牧民の人に来てほしい
そして性的な意味で結構ワクワクなのに表面上はあくまで
しぶしぶ着てやってるんですよという態度を崩さないキレハさんに色々したい
ネタストックにこんなものが(ry
いつもの神殿組
「ふぁう、あぁん、はぁぁ……」
らせん状の回廊の奥、閉ざされた狭い密室に、痛々しくも悩ましげな吐息が響く。
玻璃瓶が投げかける玄妙な光に照らし出されているのは、すらりとした手足としなやかな肢体を晒す半裸の少女である。
「ひぅ……うぅん、くふぅっ、あ…はぁっ」
おおかた脱がされてしまってはいるが、いまだかろうじて彼女の肢体を覆うのは普段の飾り気のない上下ではない。
華やかでありながら、時として瑞々しい肌を誘うように露わにする──舞姫のための衣を纏わされていたのだ。
入浴中に服を奪われ、代わりに押しつけられたのが、この真紅の薄布だった。
巫女見習いの身である彼女にとっては、あまりに羞恥を煽る衣である。
──もはやそれも、ほぼ衣服としての用をなさなくなっているのであるが。
「あぁ、やぁあ……きちゃう、もぉ……はあぁっ」
白い肌に鮮やかに映える紅をまとわりつかせながら、彼女が腰を揺らめかすたび随所にあしらわれた小さな鈴が涼やかな音色をたてる。
──仰臥する男の腰を跨がされ、いきりたった男根でもって下から突き上げられるたびに。
舞姫は、彼だけのための淫らな踊りを強いられる。
「や……っ、あ、ひぅっ、ひぅん!っっくぅっ」
華奢な腰は傭兵の力強い腕にがっちりと捕えられ、逃げることを許されない。
絶え間なく襲いくる不規則な突き上げに加えて、その太い指先が薄紅色の陰核に添えられると、マナはいっそう高い声で鳴いた。
「ひゃううううっ!! そこ、そこだめなのぉ、やだぁっ、やだあぁ!!」
まともにあらがう理性などもはやなく、子供が駄々をこねるように舌っ足らずな泣き声。
その悲鳴とは裏腹に、くわえ込まされた男のものをきゅっと締め付けて、彼女の内壁はひくひくと誘うようにうねる。
やがて──彼の名を呼びながら、彼女は幾度目かもしれぬ絶頂を迎えて力なく男の身体の上に倒れかかった。
「あぅっ……ふ、ぅ」
ぐったりと脱力した半裸の娘を丁重に抱き上げて、彼が向かう先には、その背に卑猥な形の淫具を突出させる拷問用の木馬があった……
────。
小鳥がさえずるように甘美な声が彼を呼んでいる。
「メロダークさん?」
大丈夫ですか、と不安げに覗き込んでくる少女。
「…………」
遺跡。時刻不明。敵の気配なし。
「……問題ない」
食人鬼との交戦中に鉄製鍋の強烈な一撃を脳天に受けた後、長らく意識を失っていた傭兵はしばし瞑目して現実を受け入れた。
「あっ、そんなに急に立ち上がっちゃ──」
言われる側から壁に正面衝突し、顔面をおさえてふらつきながらも、せわしなく周囲の状況を把握しようとする。
──彼女に気取られる前に、股間の物をどうにかしなければ。
「やれやれ、元気な奴だな」
老剣士が意味ありげな眼差しを向けてくるが、それ以上追及してくるつもりはないらしい。
武士の情けと思うことにした。
慌てすぎダーク乙w
>>266 バニーガールのコピペか。
3、4、6はかがんだ拍子とか無防備に座った時とかに
「服と胸との隙間」を楽しめそうで実にいい。
>>270 エロダークさんwむっつり想像力www
gj!
便乗二番煎じネタ
そろそろ真のヒロインを決めようじゃないか
1 ruinanasiさん []投稿日304/11/29 19:54:32 ID:K0nantHe
道具屋のネルさんだろ
異論は認めない
2 ruinanasiさん [sage]投稿日304/11/29 19:55:40 ID:nu10nu10
異論を認めない、という排他的で頭の固い言動は頂けないね
まずはヒロイン候補を数名選出して話を進めるべきじゃあないだろうか?
町の人間はもちろん、探索者も欲しいところだね。例えば西の巫女さんとか
また、こういった多数の候補の中から一番を決めるにおいて重要なことは基準を各人がしっかりと認識することだ
曖昧な選出基準では議論も進まないし、苦労して決めても文句が後から後から噴出すのは目に見えている
私が考えるヒロインの基準は
(余りにも長すぎるため省略されました)
3 ruinanasiさん [sage]投稿日304/11/29 19:56:54 ID:wafuinu
>>2 長話乙
クールさといい、意外な優しさといい料理の腕といいキレハさん以外ありえない
4 ruinanasiさん [さげ]投稿日304/11/29 19:58:03 ID:drag0nk
おーかみよりりゅーのほうがかっこいい
だからえんだがいちばんだ
ほめろ
5 ruinanasiさん [sage]投稿日304/11/29 19:59:16 ID:N1nN1n
戦いがあるなら料理の腕より戦闘技術の方が重要だと思います
お料理の腕でヒロインなんて決めちゃダメです!
6 ruinanasiさん [sage]投稿日304/11/29 19:59:41 ID:wafuinu
>>5 そういう事は魚をまともに焼けるようになってから言え
7 ruinanasiさん []投稿日304/11/29 20:01:30 ID:roliChu7
おばさんやガキにヒロインなんて無理だろwww
瑞々しい十代前半が理想的じゃね?となると、一人だな
8 ruinanasiさん [sage]投稿日304/11/29 20:01:34 ID:K0nantHe
十四歳か
9 ruinanasiさん [sage]投稿日304/11/29 20:01:35 ID:nu10nu10
十四歳だね
10 ruinanasiさん [sage]投稿日304/11/29 20:01:35 ID:wafuinu
十四歳なら仕方ない
11 ruinanasiさん [さげ]投稿日304/11/29 20:03:28 ID:drag0nk
じゅうよんさいってすごいな
12 ruinanasiさん [sage]投稿日304/11/29 20:04:01 ID:N1nN1n
おと 十四歳に伝えておきますね
13 ruinanasiさん [sage]投稿日304/11/29 20:06:22 ID:roliChu7
おwwまwwwえwwwらwww
投げさせて頂きます……がその前にこれだけ言わせてください。
>>270 GJ!
>>258 >>274 ここはひどいインターネットですね。
〜前回のあらすじ〜
そんな事より嫁の魅力について語ろうぜ!
・アベリオン×キレハ
・グッドED→旅に出た後→さらにその後
・最後位はスレの要旨に沿った物を
それではどうぞ。
……何をどう間違えれば、こうなってしまうのか。
「さぁーしーぽんが攻勢に転じた!解説のパリスさん、この状況をどう見ますか?」
「お互いまるでなっちゃいないですねー。もっとこうk「しーぽんが突っ掛ける!怒涛の猛攻だー!!」
外野のネルとパリスが突然実況と解説を始めた。まあ、それは別に良い。
問題なのは……
「オラァ!どうしたアベリオン!それで終いかよ!!」
問題なのは、どうして俺とシーフォンが殴り合いをしているかだ。話は30分程前に遡る。
「……お前、帰ってきたんだな!!」
三年振りのホルムで俺達を出迎えたのはパリスでもネルでもなく、まさかのシーフォンだった。
なんでも、三ヶ月に一回のペースでホルムに来ていたらしい。俺と決闘する為に。
再戦の約束はしたけれど、そんなすぐにやる気だったなんて思わなかった。
「もてる男は辛いわね」
「うん……全然嬉しくないのが更に辛いよ」
キレハには町で待っててもらい、シーフォンと共に町の外へと繰り出した。
街道からも離れた野原で、決闘は始まった。
「覚悟しろよアベリオン!もうタイタスに操られる様な僕様じゃ無いぞ!!」
「悪いけど、こっちは負けると後が怖いんだ。全力で行くぞシーフォン!!」
互いの全力の魔法をぶつけ合った。魔術を魔術で相殺し、相殺された。
それを幾度も繰り返す内、互いに魔力が尽きてしまった。
引き分けで終わり……と思いきや、この展開だ。
爆発音を聞きつけてか、町からも多くの野次馬が来ていた。その代表格が、ネルとパリスだ。
「さぁ防戦一方のアベリオン!ここで力尽きてしまうのかー!?」
シーフォンのパンチや蹴りを受け続けた身体はそろそろ限界が近い……なので。
「ごめんシーフォン。『矢の呪文』」
「ぎにゃああああああああッ!?」
温存していた最後の力を振り絞り、シーフォンに至近距離から魔力の塊を撃ち放った。
「しーぽんが崩れ落ちたーーー!!死闘を制したのはアベリオン!アベリオンです!!」
「え?いや、今魔法使っt「勝者アベリオン!!おかえりアベリオンーーーッ!!」
“勝てば良かろうなのだ”……か。蓋し名言である。
町に戻って早々、キレハに頬を引っ叩かれた。
「決闘の許可はしたけど、負けて良いなんて言ってないわよ」
「いや、勝ったんだけど……」
「え!?……そうなの、ふーん……?」
確かに俺は顔中傷だらけのたんこぶだらけで、シーフォンは気絶しただけで怪我は無い。
だからってこの仕打ちですか、そうですか。
「と、とにかく!あなたに怪我されたり、間違って死なれでもしたら困るんだからね!」
「……悪かったよ、ごめん」
結局怒られてしまった。心配かけたのは確かだけど、心配し過ぎだよ、キレハ。
「それでは改めて……二人とも、おかえりーー!!」
その日の晩、ネル達の計らいによりひばり亭で俺達の歓迎会が開かれた。
久々のひばり亭は遺跡騒ぎの前と同じく、良くも悪くも鄙びた酒場となっていた。
「……あの、私も“おかえり”なの?」
キレハの疑問に、ネルが答えた。
「まあ、夫婦なんだし良いんじゃない?」
ちょっと待て、夫婦?いやいや、確かにプロポーズもしたし、後は誓約書に署名するだけだけど……
「おいおいおい、夫婦揃って顔赤くすんなよ!」
パリスの煽りを口火に、あちこちから冷やかしの声が飛ぶ。
そして、怒涛の質問が始まった。
「なあアベリオン、結婚式はいつやるんだ?」
「うーん……まあ、その内で」
「ねぇキレハ、プロポーズはどっちから?」
「どっちでもいいでしょ?……アベリオンからよ」
「なーアベリオン、エンダは大きくなったぞ!背も胸も!!」
「うん、大きくなっ……脱ぐな!!」
「キレハさん、アベリオンって夜は上手なの?」
「ちょっとチュナちゃん!誰にそんなの習ったの!!……まぁ、及第点かしら?」
「おいアベリオン、僕様の置き土産はどうだった?あの本だよ!」※
>>200 「ごめんシーフォン。『死の指』」
「わー!?しーぽんが!しーぽんが息してない!!」
こうしてひばり亭のベッドで寝転ぶのも、久しぶりだ。
久々にみんなと騒いで、とても楽しかった。シーフォンも無事に息を吹き返したし。
でも、これからやらなきゃいけない事の多さと、それに対する不安に改めて気付いた。
当面の問題は新居。父さんと暮らした庵はもう無いけど、今のホルムは空き家だらけだ。
とりあえず今は安い所を借りて、新居はお金が貯まってからで良い。
これはどうにでもなる。頭が痛いのはその先だ。
まずは結婚宣誓書と結婚式。俺は神殿にとっては異端者だし、キレハも同様だ。
結婚宣誓書くらいならどうとでもなるだろうけど、式まではわからない。
それに子供。俺もキレハも普通の人間とは少し違う身体だ。
出来るなら元気に産まれてきて欲しいけど、最悪の場合子供が出来ない可能性だって有る。
旅の最中、対策はしたとはいえ、何度も交じりあった。それでも現在まで兆候も無い。
これが一番、不安な問題だ。
二人で話し合って、一緒に解決していくしかない。
とりあえず今晩は……久々に、思い切り楽しむ!!
「キレハ、今日は大丈夫?」
「……うん」
このやり取りは何回したかわからない。だからこそ、その意味も今更聞くまでもない。
「そっか。じゃあ、しよう」
「随分軽く言うわね。酔ってる所為かしら?」
「嫌?」
「……別に」
キレハなりの同意の言葉を頂いた。
それでは……いただきます。
こうしてキスをする直前……最中ですら、毎度の様にキレハの顔を見てしまう。
南方の出身であることを感じさせない白い肌と、それを際立たせる黒い髪。
人形の様に整った、意外に表情豊かな顔。吸い込まれそうな翡翠の瞳。薄い唇。
顔で選んだとかそういう訳じゃない。でも、俺には不相応な程に美しい。
「ん……」
普段のキレハしか知らない人には想像も付かないであろう甘い声。鼻をくすぐる彼女の甘い匂い。
彼女を構成するすべてが俺を駆り立てて、少しばかりの罪悪感を潰していく。
本能の制圧の中で、この手がキレハの感触を堪能する。
柔らかな肌。旅と戦いで鍛えられたしなやかな肢体。張りのある、形の整った乳房。
一枚一枚、キレハの纏う衣服を脱がせる。
そして露になるのは美しくも艶めかしい、芸術なんて表現じゃ到底敵わない彼女の裸体。
見惚れている間に、今度はキレハが攻勢に出る。彼女の指、彼女の舌が俺の身体を這う。
首筋から胸板、腰へと滑り落ち、しなやかな指が俺のいきり勃ったモノを絡め取る。
弄ばれ、舐められ、咥えられ……俺の顔を上目遣いに見上げる瞳に捉えられ、限界が近付く。
「ッ……キレハ……もう、出そう……」
屈服の宣言を伝えると、どこか勝ち誇った様に微笑み……そのまま、愚息を擦る指を速める。
「ちょ、キレハ……!」
「どうせまだまだ行けるんでしょう?ならいいじゃない」
やがて快感は歯止めの効かない流れとなり、白い濁流となって排出される。
絶頂を迎えた俺を、キレハが悪戯っぽい笑みを浮かべ見つめる。
「早いのね。前だともっと頑張ってたのに」
「……キレハが上手くなり過ぎなんだよ」
当然このまま終わらない。一度鎮まった欲望が、もう鎌首を擡げている。
ショウタイムはここからだ。
口と左手で身体を愛撫し、右手をその秘所へと伸ばす。右手の指が、蜜に塗れる。
「ふ、ぁ……」
キレハの喘ぐ甘い声に、欲望がその声を挙げる。
もっと鳴いてくれ、もっと喘いでくれ、もっと俺を悦ばせてくれ。
出鱈目に彼女の聖域を掻き回す。乱し、蹂躙する。
しかし、それを彼女の手が制止する。
「……じれったい真似、しないで」
確かに。俺もこういうのは苦手だし、技術にだって自信が無い。
なら、手っ取り早く気持ち良くなろう。
身体と身体を繋ぎ合わせ、彼女とひとつになる。
はじめから自分は欠けていて、こうしてようやく完成したかの様な錯覚を覚える。
繋いだ身体をもっと融け合わせる様に、腰を振る。
「んっ……あ、ああっ……」
嬌声を挙げる唇を、唇で塞ぐ。
もっとこの声を聞きたい欲望と、その声すらも奪ってしまいたい欲望とが脳裏で衝突する。
ただ本能の趣くままに、身体を動かす。
彼女の潤んだ瞳、彼女の体温、ひとつに繋がっているという至福。
天国への階段を、ペース度外視の速度で駆け上がり――
やがて、二人揃って絶頂へと堕ちる。
火照る身体もそのままに抱き合う。
心地良い気怠さと充足感に包まれ、幸せを実感する。
彼女が居るから、俺も今こうしてここに居る。
彼女が居るから、この先もずっと、大丈夫だ。
「もう良いかしら?」
「何が?」
「休憩」
「……まだやるの?」
「もう限界なの?」
「……冗談、本番はここからだ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜○
「もう限界なの?」
「……限界です。ていうか、もう朝だよ……」
―――それから、更に一年半後。
「何よパリス、また二日酔い?」
「ああ……頼む」
「頼むじゃないわよ駄目人間!良い年齢して恥ずかしいと思わないの!?」
「なんだとー!?」
二人の口喧嘩を聞きながら、二日酔いに効く薬草を調合する。
定職についたとはいえ、やっぱりパリスは駄目人間だ。
「はいはい二人ともその辺で!ほらパリス、薬」
「ありがてぇっ……ありがてぇっ……!」
「ちょっと、アベリオンも何とか言ってやってよ!」
「いや、もう口喧嘩は良いからというか、控えてというか……」
「うえ〜〜〜〜ん!!」
早速、泣き出した。
「ほら言わんこっちゃない!はーい今行くからねー」
揺り籠の中で泣きじゃくる、小さな命を抱き抱える。
いつかの不安を掻き消して、元気に産まれてきてくれた。
「キレハー、ご飯だってー」
「はいはい、それじゃ店番お願い」
キレハに子を預け、代わりにパリスの相手をする。
「まぁ、お前等が幸せそうで何よりだよ」
「うらやましいだろ?パリスも頑張れよ」
「うっせぇよ……薬、ありがとうな」
代金を受け取り、パリスの背を見送ってから振り返る。
キレハに抱かれる我が子。その光景に、思わず頬が緩む。
――父さん。俺は今、これからもずっと、幸せです。
割愛したエピソード
・シーフォン、ネル、チュナの三角関係
・本職辞めてホルムで花屋を始めたメロダーク
・キレハから父への手紙
・結婚式 e.t.c.
とりあえず、これで長かったこの話もおしまいです。
もういい加減ネタも無いので、当分は読む専で。
最後まで拙い文章でしたが、ご愛読ありがとうございました。
お粗末ッッ
>>282 花屋に漂う胡乱な気配に客足が途絶えそうです><
完結お疲れ様でした!
2人が無事幸せ家庭を築けた様で安心している自分が居るわ…。
あとしーぽんがいい意味でひどすぎるw
実際、最初のイベントバトルでもMP切れ起こして殴り合いで沈めたりするよね!
それにしても割愛エピソードがどれも気になり過ぎます。
花屋のメロさんはちゃんと務まってるんだろうか。人食い花とか店頭に並べていやしないか。
>>284 サラダにお勧めだとか言ってシクラメンとかポトス売ってそう
完結お疲れ様でした!
丁寧な伏線がお見事です!
>>284 俺のデータでは最大MP0の狂戦士アベリオンと
邪眼でMP使い切ったシーフォンがひたすらに殴り合ってたw
完結おめ乙!これはいいキレハEND
おれも最終的にはこんな感じだなキレアベ
狂戦士アベリオンワロタ
>>282 よく考えたら本文に反応してなかったごめんGJ
勝手に連想した暗黒花屋にて
「妻にプレゼントを選びたいんだ」
「何を要求するのだ」
「ギクリ…あ、新しい…釣竿」
「…薔薇がよかろう」
「たwけwえw俺\(^o^)/wwwww」
「…(ニヤリ)」
「年老いた資産家の叔父に何か贈りたいんです」
「…雑貨屋で高性能ラッカーを買うといい」
「「ちょwwww」」
【アベリオン×キレハの割愛エピソードの件】
花屋の件など、ある程度書いてあった分だけもっかい落とします。
これで本当のラストです。お許しを!
「いらっしゃ……アベリオンにキレハか。久しぶりだな」
最近出来たという花屋に入ると、メロダークが花の手入れをしていた。
「あの……墓参りに行くんだけど……どうしよう、疑問と言いたい事がいっぱいだ」
「墓参りか。待ってろ」
そういってメロダークが花を選ぶ。
キレハが心配そうにその様を見つめている。俺も、同じ気持ちだ。
とりあえず、疑問をひとつひとつ解消していこう。
「なんで、こんな所に?」
「人の命を奪う仕事に、良い加減嫌気が差してな」
そういって菊の花を一本一本吟味し、花束にする。
「命を育む仕事を……と思ったんだが、どうも少し違ったらしい」
包装を施し、俺に手渡す。
「結局、花の命を食って生きている」
「……うん、でもなんでまたホルムで?」
「単純にこの町が気にいったからだ」
俺の疑問のいくつかが解決したところで、今度はキレハが尋ねる。
「そう……で、その格好なんだけど……」
黒鉄の鎧と黒い外套に身を包んでいた当時とは違い、普通の衣服にエプロンをしている。
「どうだ、似合うか?」
「全然」
キレハの容赦無い即答に、メロダークの顔が嬉しそうなものからしょんぼりした顔になる。
「……ところで、やはり二人は」
「結婚しましたけど、何か?」
「いや……そうか、おめでとう」
「ありがとう、メロダーク」
そうして、俺達は花屋を後に……していいのか?
「あの、何かこう、オチ的なものは?花も普通だし、面白おかしなエピソードも無いし……」
「私はいつからオチ要員になった!!用が済んだなら、行け!!」
何故か激しく怒られた。間違った事、何も言ってなかったはずなのに。
ちなみに、もうひとつの疑問は本人の名誉の為に二人とも伏せた。
「もしかして、昨日ハブられた?」という質問は、心の奥にしまっておこう。
「あの……これ、どういう状況かな?お兄ちゃん、頭悪いからわかんないんだけど……」
アベリオンとキレハの歓迎会を終えた翌日、その朝。
何故か、俺の家が修羅場になってた。
「馬鹿兄貴は黙ってて!ネル、あなたどういうつもりなの?」
「しーぽんを家に泊めただけじゃない」
「私がシーフォンの事好きなの、知ってるでしょう!?」
「え、いやいやいや。お兄ちゃんそれ初耳なんだけど」
「馬鹿兄……ゴミクズは黙ってて!!」
ひどい!!
「あのねチュナ。あなたがお姉さんに相談したのは覚えてるけど、ライバルが居ないなんて言ってないよ?」
その一言に、チュナからドス黒いオーラが噴出する。
駄目だ、このまま我が家を焦土にしてはならない。大家さんに追い出される。
「おいおいおい、シーフォンお前何とか言えよ!諸悪の根源はお前だぞ!!」
「はぁ!?僕様が好きなのはアベr……」
瞬間、すべての時間が凍り付いた。
「い、いや……あ、あれだよ!アベ子!僕の好きな漫画のヒロインなんだよ!ふひひ!」
切り返す度胸は認める。ただシーフォン。それは余りにひどい。
うああああああああああもうやだこんな村!!
誰かーーー!!助けてくれーーーーーーー!!!
―――パリスの心の叫び。それは遠く、シーウァの地に届いた。
「――――ッ!?」
「どうなさいました、テレージャ様?」
「ん、いや、なんでもない……」
そうだ、ホルムへ行こう。何か良い事ありそうだ。
ぱふぱふといえば巨乳だが、必死でぱふぱふに挑戦して
うまくいかなくて涙目になってるド貧乳の子に
「もういい、無理はするな、お前は十分頑張った」と頭をなでてやりたい。
すまん!!誤爆した!
>>294 するとそこにテレージャさんが通りかかって、
急に燃料が飛んできたので、とりあえずさせてみた。
ネル「どう、気持ちいい?気持ちいいんだ。わあい」
キレハ「・・・気持ちいい?そう、変態ね」
フラン「あの・・・申し訳ございません、満足に出来なくて・・・」
テレージャ「君は私の見込み以上にレベルが高いね」
エンダ「うんしょ、うんしょ・・・むー・・・」
オハラ「どう?小娘のとは一味違うでしょ?」
ユリア「仕方の無い奴じゃな。うり、これで満足か?」
某プリンセス「ぬふぅんvこれはか・い・か・んv」
http://loda.jp/youseisan/?id=2649 eraRuina私家版。変更点は以下の通り。
最近忙しくて全然弄れてない……
・eratohoA ver1.117準拠へ変更。
・ランダムダンジョンのコードをリファクタリング。いくつかのERBファイルに分けた。
・ランダムダンジョンで、生成された部屋には必ず一つは道があるようにした。
# 行き止まりの確率が減るので、バランスが変わりそう。
・ランダムダンジョンのイベントの実装。
# バトル以外はとりあえずそろえた。
・ランダムダンジョンの体力/気力の低下処理と全滅した際の処理を追加。
# 奴隷や助手が崩壊したり、対象が主人しかいないような時はGAMEOVERになったりします。
>>209 拝見しました。触手のあたりはちんこもげそうです。
元のERBを結構整理しちゃったので、内容見てから使おうと思いますが、優先度低めにさせてください。
# これ以上は大きな変更はしないつもりなので、誰かやっていただけると、非常にありがたいですが。
# バランス取り、苦手なのですよ。
一応ランダムダンジョンを作る上で考えてる事を。
このランダムダンジョンは、他のバリアントでも使いやすいような雛形を目指して作っています。
今だと、基本はイベント部分と体力/気力低下部分だけ弄れば、ある程度は適応できるはずです。
Ruina特化部分は基本部分がすべて出来てから、着手の予定です。
>298
乙。凄いことになってきたなあ。
一段落したら、できればダンジョンイベント対応の口上テンプレート欲しいかも。
>>298 乙。行き詰まりにはよく困らせられてたんで助かる
後、ちょっと要望なんだが
>>209みたいに一度到達した階層までワープできる機能と好きな時に外に出られる
機能を付けてもらえないだろうか。毎回一階からはじめるのは大変だし折角下の階層に付いても迷って外まで辿り
着けないなんてことが結構あるんだ
ところで、話は変わるが酔った勢いでメイン/サブヒロインを押し倒したらどんな反応をすると思う?
・優しくしてね的な反応をされる
ネル ユリア テレージャ
・怒られる
キレハ パーシャ
・泣かれる
フラン チュナ 十四歳
・逆に襲われる
オハラ 夜種マーメイド及びプリンセス
・中身引きずり出される
エンダ
逆に押し倒されたい俺は・・・
過去スレにそんな話もあったっけな
>>302 キレハに押し倒される話とフィーに押し倒される話だったな。
お前とは趣味が合いそうだ。
>>299 喋った方がいいですものね。
とりあえず作る予定です。
>>300 階層はデフォルトで地下5〜10階までと変動します。
ランダムダンジョンなので、あんまり階層を保持する必要はないかな、と思うのですけれど。
#
>>209さんのは、ざっと見た感じ通常の遺跡想定なのかな?
好きなときに出られる機能については、アイテムで実装予定です。
テレ子さんは口では優しくしてねといいつつ
その後の展開はネルユリアと一線を画すと思う
テレ子は脱ぐまではノリノリで色々としてくれるのにいざ服も脱がして本番、って段階になると急に縮こまってオズオズとしだすと思う
ランダムダンジョン的に考えて
>308
神官編のイベントで手を繋いだ時も案外うぶな反応だったしな。
>>309 なん・・・だと・・・?
ていうか神官編女主人公でメロさんルート1回しかやってないや。
ちょっとタイタス殺して転生してくる。
>311
おお、イイな。シンプルで見やすい。
期待している。
>>312-313 d
とりあえず単純作業だから休み休み遅々と進めてるんでモチベ維持の為にも1スレ分終わるごとにうpしていくことにしとく
…俺、この作業が終わったらユリアを調教するんだ…
>>311 GJ!ありがとう!
本スレで宮殿の風呂話が出てたが、涙目でゴキブリに物を投げるように
できそこないさんにフラスコ投げるのに萌えた。
中から聞こえる「イヤっ!来ないで!」とかの悲鳴聞いて
ベタだが心配して様子を見に来た味方にまでフラスコ投げそうな。
さらにベタだけど、様子を見に来た味方は多分パリスなんだろうな。
で、帰還したらアフロと化した頭をみんなに笑われる的な。
>>209の触手イベントは、確かに破壊力が凄まじいね
残念ながらバグがあるらしく上手く機能してくれなかったが
なぜ人は眠りに落ちようとしたときアイディアがわくのか。2300弱定例のフィーネタです
クシャナ殿下をさがしに行ったらシュトロハイムと鉢合わせしたよ!という程度の健全さ
※まぬけ属性全開です。どなた様もご迷惑の際はトリあぼんのご協力をお願いします
「申し上げます!食材を手にした市民が結集しつつあります!」
「…?さほど害があるとは思えんが」
そこに衣をまだらな青紫に染めた歩兵が駆け込んできた。
「ちくわを持った男が、広場で暴れています!だい…し、至急、援、軍…を」
がくがくと膝からくず折れてしまった。つんと鼻をつく匂いに思わず顔をしかめると、救護班が助け起して運び
だした。顔を上げれば旧市街の方で桃色の煙が上がっているし、風上の西側からは何やらまた別の異様なにおい
が流されてくる。何かが起こっている、これでは動かないわけには行かない。パーシャは命令を飛ばす。
「二手に分れ、市内の鎮圧に当たれ!」
シーウァ兵が馬を飛ばして向かう先には点々と、そしてやがて死屍累々折り重なった兵士達に遭遇する。
「貴様らっ寝ておる場合か!!!」
力いっぱい蹴り上げるが眠り霧の効果は予想以上だ、見る間に足元がふらつき唇がしびれる。
「走れ!吸い込むな!」
その行く手をゾンビのような動きの友軍歩兵がさえぎる。
「えべべへへへえええぇ、ぽわー」
「うわっ抱きつくなっ気色悪い!」
「惑乱どぇぶっ」
「僧兵!僧兵は!ってこいつらかよ!」
「おのれっどいつもこいつも!!」
「…ぇーょ…ふけふけえぇ、かぁ〜ぜぇよふけふけぇ〜ちぃさな…な…だ……きと…ぅ」
「この声っ…どこから」
ふいにさらさらと鎧に吹きつけた土ぼこりは、突如地吹雪のように襲い掛かり、平衡を失った兵士達が足を掬われ、
しりもちをつき、思わず目をつぶったところに何者かの攻撃を受けては逃げ惑い、それを振り切ったパーシャの
行く手からは不吉にも、がっしゃんがっしゃんと派手な音がこだまして聞こえる。
「一体どこの部隊と交戦しているのだ!斥候はどうした!」
「はっ!全員いまだ戻りません!」
防衛線を突破した敵軍がいるに違いない、そう判断して全軍に突撃を命じる。市民軍だろうか?それとも公国か、
通りを駆け抜け広場に出た瞬間、目に飛び込んできたのは元気一杯踊りを踊った神殿兵達だった。
「どぅゆーりめんばっうぇん!しんうぇありひゅまん!かまぁーんれっつぃすたげん!つぃすたいみーあ!!」
がっしゃんがっしゃん、ぽかんとした将校、釣り込まれて踊りだす新兵の後ろからパーシャが絶叫する。
「踊っとる場合か!!!ばか者めがっ!!」
力いっぱいぶん殴られた兵士が吹っ飛ばされて転がった瞬間、足元で何かがばふんとはぜる。
「煙幕だ!げほげほっ!!ぬわっ」
いきなり足を滑らせてごちごちと手をつく足をつく。石畳に油がぶちまけられて抜き身の刃物に倒れこみ、幾人が
戦線離脱、からかうような歓声は次第に遠ざかっていく。
「なにをっ…逃がすか!くそっ!離れろ!距離をとれ!一騎ずつ乗り込め!」
一斉に駆け出した騎兵達、そこに武器すら放り出した友軍が逃げ込んできて、後ろを黒いものが追ってくる。
「何だ貴様」
がきんがきんと火花を散らした金属音、傭兵と思しき大男が手にしているのは一斤の食パン。
「これは暗黒料理ッ…貴様メロダー」
「一か八かの大勝負っとくらあ!!」
馬が一撃で倒され振り落とされた騎士の太もも近く、巨大な冷凍マグロが突き刺さり、走る戦慄。この紋所は
「ネ…ネス公国の、アばばばばば」
「ぎゃははは!見たかくそパリス!これが僕様最強魔術の威力だ!!!」
「こざかしいっおのれ」
べちーんと衝撃を感じて気絶した。弾丸のように逃げ去るちくわ男、慌てて矢を番えた射撃兵に小石がばらばら
降り注ぎ、足払いを受けては井戸に投げ込まれ、体当たりで落とされて、力いっぱい殺人パンを食らう。屋根を
駆け抜ける影を追って細い路地に誘い込まれ、上から濁っただし汁を浴びせかけられ、たちまちのうちに眩暈を
起こして落馬する。なおも追いすがる騎士達の前にふわりと舞い降りてきたもの。逆光にシルエットが映える。
「考えたものだなあ、そうだろ?君。完全武装の鎧武者といえ、流石に匂いはどうにもならないわけだからね」
「貴様・・・シーウァのものか!」
「其の通り。だが味方でもないのだよ!破ァ―――!!」
辛い辛い辛い辛い辛い辛い!!!!
「顔面の粘膜に感じる激烈甚大な刺激っこれはカプサイシン!!」
「解説しとる場合かっ貴様ァ!!!油に燃え移ったぞ!退却!迂回しろ!」
「そこだっ!」
威勢のいいしわがれ声が響いて石畳に飛び降りてきたものがいる。何事かと気を取られた脇を空になった軍馬が
ぱかぱか、頭上から盾持ちの金切り声が響く。
「ワイヤートラップ!?」
「にげるんだよおお!」
竜人を小脇に抱えて走り去る老人を矢と魔法が追いうちしかけた瞬間、いっせいに馬を飛び越し投げ出される。
「何が起こった!」
「路面近くに鉄線が張り巡らされています!」
「がっはっは!一網打尽というやつだな」
「焼き払え!!なんだっ」
「狙撃!狙撃あり!うわあ」
相次ぎ足元に大穴が開き逃げ腰になったところに風羽根の刃が飛び込んできて削られる。浮き足立った軍馬に
潰され抵抗軍…というか地元住民からの攻撃以上に、味方同士の騒乱で派手に負傷していく。
「い、いかん、退け!退けェ!!東部地区へ撤退せよ!」
「おとといきやがれべらぼーめぃ!!」
「シーウァ街道からはよかえれ!!」
「へいへーい!!ざまみろばかちんがあああ!どぅわあ」
「やべっ瓦がゆるんでるぞ!」
「あれはなに!?」
東の方向を示すキレハの視線を追ったアルソンが歓声を上げる。
「僕の従兄弟です!生きていたんだ!テオルぅー!おおーい!!テオルぅー!!」
「ちょっおぃい…お前まで跳ねたら、崩れるっ」
「あ」
「わあああ!!!」
→某住民宅 棟柱がへし折れて建築学的に死亡 to be continued...
以上です。最初のセリフが書きたかっただけです
だと思ったわ!!ww
だからなんでビジュアルを度外視すれば真っ当に集団戦してやがるんだよ!www
ほんとだちゃんとした抵抗軍だwww
次はカエルタッパーもよろしくw
見事な戦闘なのにwwww
いつもGJ!
>>318 なんでこうテンポよくて無駄にかっこいいのかGJ!wwww
>>324 まとめ乙!助かる。
テレージャさん、こないだの続き
乙女テレージャ改め嫁テレージャ
2/3くらいで息切れしたので続きは後ほど
日の巡りが早くなった――
大河の流れる先に落ちていく夕日を街角から見送りながらの帰路、テレージャは物思い
に沈んだ。抱えた籠には夕飯のスープの実にする野菜がごろりと積まれている。
見上げた空の色、雲の風情はすっかり秋のものだ。日没も早くなった。ついこの間まで
夏だった気がするのに。
このところどうもいけない。いつの間にか時が過ぎ去っている。
多忙で時を気にする暇がない、というのではない。逆だ。緩やか過ぎるのだ。地下遺跡
の探検は二年がかりであらかた調べつくしたし、文献の研究も一段落している。論文には
まだまだ書き留めるべきことはあるが、その辺は世俗的な事情が色々と絡んでくるので、
テレージャ一人が張り切っても仕方がない。
きな臭かった公国諸侯の情勢や、神殿間の確執も大分ほぐれてきて、万事解決とはいか
ないが小康状態である。新市街の区画整理や復旧に伴う雇用状況の改善も進んでいる。
平和だ。
そして退屈だった。
それを苦痛とは思わなくなっている自分に、テレージャは少し愕然としたが、恭順する
気分の方が強かった。考古学への興味を失ったわけではないが、以前ほどしゃかりきに本
を読み漁ったりフィールドワークに出たりはしなくなったし、書籍の執筆も気楽に構えて
のんびり書き進めている。それよりも、今日の夕飯は何を作ろうかとか、今度の安息日に
エンダを連れて森へ出ようかとか、キレハが訪ねて来たときのために彼女の好きな銘柄を
準備しておこうとか、神殿で作っている畑の芋がちょっと不作な気配で残念だなあとか、
そういうことを考えてることが多くなった。
どうしてか、などと考えるのも馬鹿馬鹿しい。満たされてるせいだ。あいつに。
嗚呼、もう半年以上も過ぎたのか――
あの慌しい春先のことが、まだ、ついこないだのことだったように思っていた。
実家から帰ってきた手紙の返事は、なんというか予想通りに穏やかではなく。
古巣の尼僧院でも騒ぎになったらしい。
『結婚することにしました』
なんて知らせが、家でも院でも問題児だった娘からいきなり送り付けられれば、まあ、
そうもなるのだろう。しかも相手はついこないだ戦争をやった相手の国の、渦中の中心と
なった町の、災厄の元凶を打ち倒した、ひとかたならぬ秘密を囁かれている時の人。
手紙のやりとりでは埒があかずにエメクを連れて実家へ乗り込み、連れて行ったエンダ
がことをややこしくしたり、かと思えばそのお陰で却って良い方にまとまったり。
エメクは、恋物語の主人公のように劇的で格好良いことは言わなかったけれども、難色
を示して居丈高な態度を取るテレージャの両親に対して一歩も退かず、それどころか訥々
と彼らしい誠意を見せて、最後には説き伏せてしまった。
他にもなんだかんだと色々とあった挙句、『これ以上おかしな方へこじれる前に、既成
事実を作ってしまえ』とテレージャが話を引っ張り、急ぎ婚礼を挙げたのだ。
アダや神殿の皆、探索者時代の仲間達は快く祝福してくれた。
両親や親類、友人達が式に出られるようアルソンが手を回してくれて、どこから聞きつ
けたのかキレハやラバン老が旅先から駆け付けてきた。メロダークやシーフォンまでいた。
災厄の終焉以来二年ぶりに会ったラバン老は少しも変わりなく、まるで老いを感じさせ
ないほど元気だった。「エメクも嫁を貰う歳になったか。で、やったのか。できたのか」
と散々彼をからかい倒していたが、まるで意地の悪い祖父――というより、どこの家にも
大体いる素行不良の厄介叔父だ。
「あの子を頼むよ。少しぼんやりしてて、考え込んでるうちに立ち止まっちまう子だから、
あんたみたいな娘さんが引っ張ってくれれば安心だよ」
アダがそう言ってくれたときは、柄にもなく、少しだけ泣いた。
今だにちょっと危ない。
テレージャは指先で目尻を拭った。
黄昏の中、遊びから帰った子供が駆け去っていく。野良仕事帰りの男が西門を急ぎ足で
潜ってきて、そこかしこの家から夕餉の温かい匂いが漂ってくる。
長く伸びた影を引いて神殿まで帰りつくと、薪を抱えたエンダと、礼拝堂の戸締まりを
していたエメクに迎えられた。
「ただいま」
そう答えたテレージャの声は、自分でも驚くくらい甘ったるかった。
神殿にはエメクの他にも何人か住み込みの巫女や僧がいて、食事は受け持ちの当番が全
員分をまとめて作るため、そこらの新婚家庭みたいに「あなた、夕飯は何にする?」とは
いかないが、テレージャに当番が回ってくるときは大体エメクやエンダと一緒に固めても
らっている。
キレハやネルに教わって、近頃はなかなか達者に包丁を執るテレージャである。
エンダが唇を窄めて一吹きし、焜炉に火を入れる。食事時の彼女は人気者だ。摘み食い
させる代わりに手伝いを頼む人が多くて困る、と、エメクがいつもぼやいている。
テレージャは海草の干物と香の物を煮込んでから塩と魚醤で味を整え、エメクはその間
に魚を捌いて野菜を刻み、もう一つ鍋を準備して芋と腸詰めを湯がきにかかった。
エンダは、古くなって石のように硬い黒パンをざくざくと景気よく切り分ける。
この三人で野営をしていたことも多いから、特に声を掛けずともすこぶる段取りが良い。
合わせて十人分のまかないがみるみる出来上がっていく。
「エメク、味付けどうかな」
「うん、いいと思う」
「もう。新しいレシピなんだぞ、もう少し答えようがあるだろう」
「ああ、いや、おいしいよ。上達したと思う」
「うん、ありがとう」
一応余裕たっぷりに胸を張って見せながら、テレージャは鍋を見るふりをして貌を逸ら
す。自分から振っておいてなんだが、こそばゆい。幾らなんでもベア過ぎる。「あなた」
なんて呼んでないだけましだとは思うが。いや、呼んであげた方が喜ぶのかなあ。この男
に聞いても、どうせ「呼びやすい呼び方でいいんじゃないかなぁ」程度の答えしか返って
こないだろうが。
そこまではいかずとも、流石に君付けはやめにした。エンダにもそうしている。
もう家族なんだし――
テレージャは咳き込むふりをして身悶えした。
「大丈夫?」
「どーした?」
気遣うエメクとエンダを、味見して変なところに入ったと言って誤魔化す。
――駄目だ、これはハマりだ。もうなんか、今日の私は駄目っぽい。こういう時は徹底
して駄目なんだ。意識しだすと止まらなくなる――
鍋を運んで貰うのはエメクにお願いしよう、とテレージャは決めた。
今日の自分は、食堂に持って行く途中で鍋をひっくり返しかねない気がした。
食事が済むと、洗い物をやっつけてしまい、お祈りをして、私室でエンダに読み書きを
教えた。まだ子供の姿のまま変わらずにいる彼女だが、物覚えは良く、最近では難しい本
も読めるようになった。服を着るのを嫌がったり、犬猫と喧嘩したりもしなくなったし、
普通の料理も喜んで食べる。相変わらず生の肉は好きだけれど。
机に向かって書物と書き付け用の木切れを広げ、テレージャの講義を聞きながら、退屈
してくると胸や腕に頭を擦りつけてくる。前からエメクにやっていた臭い付けだけれども、
この頃はテレージャにもよくやる。
テレージャは頬が綻ぶのを隠して、エンダを窘める。
「こら、エンダ」
「うー」
「今日はこのページで終わりにするから、最後まで聞くんだ」
「……わかった」
「良い子だ。さあ、続けるよ。この詩文は大シーウァ時代の末期に――」
エンダは目を擦り擦り、炭筆で要点を書き留め続ける。
半刻ほどの講義を終えるとエンダは大きな欠伸をした。動き回る分には疲れ知らずの竜
の娘だけれども、頭を使うのは消耗するらしい。
隣室の巫女が戸を叩いて、「お風呂が開いたよ」と声を掛けてきた。
湯上がりにエメクの部屋を訪れる。最近はこちらでばかり眠っているから、そろそろ、
テレージャの部屋とも言ってしまっていいかも知れない。エメクは古代語で書かれた古い
教典を辞書を引きながら読んでいたけれども、テレージャが入って来ると栞を挟んで顔を
上げた。
薄手の夜着に包まれたテレージャの肌は上気してほんのりと色付いており、濡れ髪から
石鹸の匂いが漂っている。
「エンダは?」
「寝付いたよ。あの子ときたら、髪も乾かそうとしないし、櫛もろくに通さないんだから。
君からも言ってやってくれ。女の子なんだからもっと気を使わないとって」
「ああ、うん」
「何を笑ってるんだ」
「近頃すっかりお母さんだなあって」
「何を他人事みたいに言ってるんだ、お父さん」
「ごめんごめん、うん、でもエンダはあのままでもいいんじゃないかな」
「元気なのは大いに結構だ。でも、最低限の心がけは必要だよ。あんなに綺麗な髪を痛め
放題なんて、私は許さないからな。お洒落をすれば君が喜ぶって言えば、あの子だって聞
いてくれるさ」
「分かった、分かったよ」
「まったく」
「お姉さんになれば、あの元気が良いのも落ち着くかな」
傍らに立ったエメクが、テレージャの手を握る。
テレージャは額で彼の肩を小突いた。
「さらっと恥ずかしいこと言わなかったかい、今」
「テッサ」
エメクの手がテレージャの金髪を掻き上げ、耳朶をくすぐる。頭が茹だって足元が覚束
なくなる。二人きりの時しか呼ばない愛称。そんな風に囁かれるともういけない。駄目に
される。
「……気障な真似を覚えた。エメクのくせに」
「ムードを気にしろ、って言われたから」
「言ったけれども、最近やられっぱなしで面白くない」
「じゃあ、やめる」
「……それはもっと嫌だ」
テレージャは拗ねたように眉根を寄せながらも、エメクの背中に手を回す。
明日は安息日の前日で、休日の礼拝や読み聞かせをやる神殿にとっては実質の安息日だ。
構うことはない。存分に駄目になってやろう。
せめてもの抵抗にと、口づけはテレージャの方からした。
……ここまで。
乙!
いや、いいテレージャさんだ
>>333 お疲れ様!
健全なテレージャさんってこんなにときめくものだったのか・・・
2週間ぶりに規制!解!除!
>>329 乙、テレージャかわかわ
いいとこで切るなー
続き待ってます
あと亀だけどどうしても言わせて
>>102 GJ!GJ!!面白かった!ラストカコイイ!
テレージャは珍しいので賞賛乙!
自嘲的な軽口とそこはかとない淫靡さ、健全になっても正にテレージャ。
本スレがRuina学園の話になってて笑った
何でエロパロスレの方が先を行ってるんだろうなぁ
>>291 メロさんの憤りはもっともなんだけど、それでもオチを期待してしまう因果なファン心理。
そしてシーフォンさんまさかのぬとぬと疑惑にお茶噴いた。
ああ、ゲーム中でやたらストーキングしてたのってそういう……
来世では頑張ってフィーを娶れよ、と励ましたくなった。
>>319 地の文が少なめで会話で回してる感じが独特のテンポ感の秘密なのでしょうか。
相変わらず読みやすくて面白くもわかりやすい戦闘描写が楽しいです。
そして何より状況設定のひどさが。まぬけ属性万歳。
>>329 GJ!ごく健全な話のはずなのに佇まいが既にエロい!
これが人妻の良さというものなのだろうか。
とにかくエローい。テレ子さんがスゲーエロい。
自分の中で新しい属性の扉が開きました。続きの投下を楽しみにしています。
>338
メロさんが力也っぽいの件で笑った。
パラレルな感じの雑談はこっちでされる事が多いよね。
なんとなくそういう棲み分けになってる感。
自分は声優詳しくないんでアレだけど妄想CVとか考えてる人とか居るのかね。
妄想CVか。
俺の中ではシーフォン=山口勝平 フラン=皆口裕子くらいだな。
キレハ:甲斐田裕子
フラン:能登麻美子
ラバン:小林清二
メロダーク:小山力也
テオル:山寺宏一
後はしらない
ヴァン 杉田智和
アベリオン 小西 遼生
シーフォン 柿原徹也
パリス 檜山修之
アルソン 福山潤
カムール 若本則夫
ウェンドリン 前田愛
アイリ 喜多村英梨
フィー 藤田咲
ネル 田村ゆかり
キレハ 小松由佳
ユリア 小暮英麻
このくらいしかわからんかった
>>338 ruinaで学園ものの話とか本スレでもスレ単位で結構前に出てたような
どっちが先かなんてのはどーでもよくね?
しかし誰か学園Ruinaマジで作ってくれないかなww
まあ、何が先かっつーとゲーム内の「おまけ」が最初なんだしなw
妄想CVといえば、やっぱこれだろ
ヴァン:武田航平
うん、ごめん。
ヴァン「チュナー!愛してる!お前に夢中だ!チュナーッ!!」
(CV:星野貴紀)
・・・これだとチュナが死んでるな
ヴァン「チュナー!お前が好きだー!お前が欲しいー!!」
(CV関智一)
これで何の問題も無い
誰も文句のつけようが無いハッピーエンドだ
学園ネタで本スレが盛り上がってたので、やってみた。
以前このスレで学園ネタの話題が出た時にポシャった奴です。
・罪人男主人公
・主人公全部乗せ失笑増し増し
それではどうぞ。
廃部物語 完ッ!!
あの日から、もう3ヶ月が経とうとしていた。
「ああー……ったりい」
かつての熱血キャプテンは、順調に駄目人間の階段を登っている。
野球部が潰れてからは、皆それぞれ自分の青春を満喫している。
それなのにこいつは……いや、俺も同じか。
放課後だってのに、俺達はこうして人の掃けた教室でぐだぐだしている。
「なぁパリス。俺達このままで良いのか?」
「んだよヴァン」
「このまま、ぐだぐだ貴重な高校生活を潰して良いのか?」
「良いよもう。野球出来ないんだし」
「いや、もっとあるだろ?サッカーとかバスケとか……」
「どうでもいい」
駄目だ、完全に腑抜けてしまってる。
何かコイツに火を付ける良い案は……あった!!
「パリス。お前、彼女とかいんの?」
「なんだよ急に……いねえよ」
「好きな娘は?」
「いねえよ……まさか、お前俺の事が!?」
「んな訳ねえだろ!いいか?そんなだからお前は駄目なんだよ」
高校生活で頑張るべきなのは、勉強や部活だけじゃない。
「折角の高校生活なんだから、甘酸っぱい思い出のひとつでも作ろうぜ?」
パリスの目に、再び活力が宿る。
「っしゃあ!行くぜヴァン!無限大の彼方に!!」
……そんな訳で俺達は、図書室の前に来ていた。
とりあえず、元女子部員に総攻撃を仕掛ける。
まずはテレージャを落とす。あいつが図書委員になったのはリサーチ済みだ。
なんと言っても、あのおっぱいは魅力的だ。
「どっちが取っても、恨みっ子無しだぜ?」
パリスがギラついた目で俺に告げる。
「ああ。ここからは敵同士だ」
そして、2人同時に図書室へと突入した。
「やあ、久しぶり」
「テレージャー!俺だー!付き合ってくれー!!」
いきなりパリスが大暴投をかました。
「ごめん。もう私には彼氏がいるんだ」
なん……だと……?
「お、調度良い所に。エメクー、こっちおいでー」
そう言ってトコトコ歩いてきたのは、なんと中等部の後輩だった。
「あ、あの……僕、エメクです。はじめ……まして……」
急に呼ばれた後輩は、事態を飲み込めずにおどおどしている。
「やぁーエメク君。テレージャと付き合ってるんだって?」
パリスが気味の悪いトーンで、妙に馴れ馴れしい態度でエメクに詰め寄った。
「え!?ええと、その……はい……」
「ぶうっ殺すぞこのガキがぁああああああッ!!」
パリス選手、二度目の大暴投。駄目だこいつ。
「君達、図書室で騒ぐとは何事だ!!」
「「げぇ!?バルスムス先生!!」」
俺達は強面の先生から尻尾を巻いて逃げ出した。
……ここからは、こんなので尺を取る訳にもいかないので結果だけ報告する。
フランは生徒会長のキャシアスと出来ていた。
ネルは学年トップの秀才アベリオンと出来ていた。
キレハは意外や意外、剣道部主将のウェンドリンと百合の花を咲かせていた。
マナはメロダークと出来ていた。俺はメロダークを死ぬまで許さない。
遠縁の親戚でもあるアイリは、あろう事かシーフォンと出来ていた。
流石に購買部のオハラさんや、保健室のユリアさんに手を出す訳にもいかない。
フィーやエンダは……近所の小学生。犯罪だ。俺達も流石にそこまではしない。
俺達の物語は、とっくの昔に終わっていた。
肩を落として、すっかり暗くなった家路を歩く。
「ああ〜ときめいて〜♪な〜み〜だ流して〜♪しょっぱい青春の〜日々は〜♪」
「歌うなパリス。年がバレるぞ」
「だってよぉ、こんなのってありかよぉ!?」
「……これが現実だ」
そう、現実である。
「はぁ……もうこんな時間かよ。絶対チュナに怒られる……」
「あ、今日ヤングルイナの発売日だったな」
「どうせ今週も廃都物語休みだろ?別にいいよ」
「でも俺おでん食いたい」
「……まあ、チュナのお土産に買ってくか」
コンビニのおでんだけが、俺達に優しい夜だった。
――人の生は、死の瞬間までも終わらない。
どんな勇者でも、幸せな結末を迎えられるとは限らない。
高校生活も、幸せな結末を迎えられるとは限らない。
この物語もまた、少年時代のひとつの結末である。
そして物語は終わり、人生は続く――
高校時代を思い出してムシャクシャしてやった。今は反省している。
お粗末ッッ
>>354 乙!
パリスwwwキャプテン暴投w
キレハ×ウェンドリンはブレザーで誰もいない教室で百合百合して
マナはセーラー服でエロダークに車中であんなことやこんなことされて頂きたい
このスレのマナとメロダークは大抵メロさんの方が積極的ですが
たまにはその逆も見てみたいものですね
妙にリアルなしょっぱい青春GJwww
>355何そのおいしすぎるシチュエーション、夢がひろがりまくる
初代スレの728と738はどっちもマナから言いよって(?)るんだけどねえ
メロは元々ドM疑惑もあるし、マナが不良巫女に色々間違った知識を吹きこまれてとかそういう(ry
せつねえー!w
だがお前らにはチュナがいるじゃないか、この野郎。
メロダークは世間知らずで清楚な少女にSを強要するM男という印象
大真面目な馬鹿という印象があるな・・・メロダーク
私のことは遊びなの!本気なの!って泣きながら言われて
お前とは本気で遊びたい、とか真顔で言ってぶっ殺されそう
賢者ルートのシーフォンが余りにめんどくさい子で
恋愛っぽくも出来そうなのにruinaの中でも異色なルートなのかなーとか思ってたら
その後やった神官ルートのメロダークで更に仰け反る羽目になったんだ。
冷静に考えるとメロさんは相当なろくでなしだよね…。そこがいいんだけど。
小娘と大男の組み合わせっていいよね。
主人公と役割が被るからってしーぽんスルーしてるととんでもないことになるのは黄金パターン
しーぽんはホンマ可愛い子やで〜
アルソンが寂しそうにこっちを見ている。
どうしますか?
1.気にしない
2.無視する
3.引き返す
野種プリンセスに特攻させる
鎧を脱がせて温泉へ放り込む
それらをテレ子さんと一緒に観賞する…
ニア酒場で弁当を作らせる
装備品をお金に変える
ターン最後の薬投げに任ずる
こう考えると強制加入イベントなければただの料理ができる壁だな・・・
>>361 さっぱりデレないツンツン野郎と健気なデレデレ少女の組み合わせ
本当は両思いなのに空回りすれ違いが大好物にはあのめんどくささがたまらん。
お弁当はキレハに作らせても別にいいんだけど、
なんとなくお母さんに頼んでしまうな
メロダークって
猫神のタレーリアはいたマナに『かけっこしよっ!負けたら屠竜刀イッキね!』と
言われて、もちろん受けて立ちたい。とか考えてそう。
探索スキルが少ないのは致命的だよね
MP消費が激しい大技も結構な確率でスカるし
男キャラ能力微妙な奴ばっかなような
バカ兄貴のちくわ二刀流を微妙とな
どのキャラも充分使い道あるよ。
性能面では別にヒケを取ってないと思うけどな。
アルソンさんはHP・防御力が断トツで防御陣形・突撃命令が強力
デフォの耐性も美味しいんで、ガチの戦闘能力はかなり高い。
夜種チャンピオンや闘技場で闘わせるには最適。
シーフォンは闇の投影や雷系が普通に強力で、
特に小人の塔では頼りになる。
パリスは序盤から聖槌二刀+闘気で不動のアタッカー。
フランより武器の選択肢が広くて弱点突き易いってのと、
闘気の習得レベルが分身と比べて圧倒的に早いのが魅力。
爺はやや器用貧乏気味だけど、全体的に便利なスキル構成。
エロダークも探索スキルそこそこ、ハァルの加護は非常に強力。
>>372 パリスは最序盤からHPが高いのと足が早いので、回復兼生き残り要員で入れてる
アルソンとメロダークもHP高めで固いから混ぜておけば全滅しないし腕力があるんで入れる
これでどこでもいけるんだが、問題は・・・つまりあんまりワクワクして来ないことだ
本スレでも時々出るが、魔戦士シーフォンの頼りがいは異常。
防御の高い敵は魔法で、魔力の高い敵は剣で粉砕していく上に低燃費。
スピードを活かした回復もできるし、難点は薄さくらい。
…なんだが、野郎をあまり頼るとだんだん空しくなってくるのが最大の難点だな。
まだしもフィー編なら尊敬の眼差しで目をキラキラさせてるフィーを妄想してモチベ上げられるんだが。
溜まってしまった野郎たちのために、女主人公が一肌脱ぐ。
女主人公の寝袋に忍び寄ってさわさわくんかくんか。
こっちの穴がお留守だぜヒャッハア!!
そういう使い方をするなら、顔グラを選べるのは便利。
男主人公時は目当てのヒロインさえいれば、もう一人は野郎がいいと思っている。
探索スキルの豊富なパリスや爺をよく使うなあ。
ラバン爺はなにげに必中3倍技を使える唯一のキャラなので、
攻撃力倍加さえ補えればボスアタッカーとしては仲間中随一の安定度を誇る。
一発ネタなのに無駄に長くなった2ちゃん風小ネタ。
エロ本の隠し場所 3箇所目
1 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/11/06 ID:rAbantGg
誰もが世話になり、誰もが隠し場所に悩むエロ本。
エロ本の隠し場所や、見つかった時の対処法について考えよう。
(中略)
256 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:niNjA014
俺がいない間に部屋片付けたらしい姉ちゃんにエロ本見つかった。
机の上にきれいに並べられてた。最悪だ。
257 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:tHiBurai
最悪だよな、俺も出かけてる間に妹たちにエロ本見つかった
妹たちと弟の視線が冷たいぜ
258 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:maGlAbe1
ブックカバーだけ他の本と入れ替えとく作戦マジオススメ。
俺はこの方法で机の上にエロ本忘れたまま出かけても、部屋片付けた妹にバレなかったぞ。
259 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:v01tdaRk
>>258 その方法は確かに有効だが一つ問題がある。
肝心の時にどれがそれだったかわからなくなる危険性を秘めた諸刃の剣だ。
僕のとっておきの一冊どこ行ったんだよ…
260 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:2Van0iyo
>>257 なんでよりによって妹モノと踊り子モノなんだよ、兄貴のせいでうちの空気が最悪なんだよ!
261 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:maGlAbe1
>>257 >>260 お前ら、兄弟喧嘩なら家でやれ。
262 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:v01tdaRk
>>257 >>260 兄弟ゲンカなら家でやれよ。
263 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:2Van0iyo
>>261-262 仲いいなお前らw
264 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:tHiBurai
>>261>>262 ちょwお前らが兄弟www
265 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:v01tdaRk
こんな弟いらねーよ!
266 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:2Van0iyo
大体わかった。
つまり、ID:maGlAbe1が兄貴で、ID:v01tdaRkが弟か<ブックカバー兄弟
267 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:niNjA014
ブックカバー兄弟wwwww涙出てきたwwwww
268 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:feeiE1em
すみません、皆さんにちょっと相談したいことがあります。
先日知人から何冊か本を借りたのですが、その中の一冊に…このスレに該当するような…過激な本が…
かかっていたカバーが内容と違うものだったんですが、兄もときどきこういう隠し方をします。
知人もそうやって隠していたものを誤って混ぜてしまったんでしょうか?
それとも嫌がらせで意図的に混入したのでしょうか?
返す時にその件について触れていいのかどうか悩んでいます。
269 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:tHiBurai
うわ…
270 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:2Van0iyo
それは…まさか…やっちまったなー…
>>268 内容にもよるが、まあ事故だと思って触れないでやった方がいいんじゃないか?
271 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:niNjA014
wwwwwwwwwww
272 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:v01tdaRk
>>268 事故です。その知り合いの人も誤って入れてしまっただけだと思います。
何も見なかったことにしてそれには触れずに返してあげるのが優しさだと思います。
知り合いの人にもいろいろあったんでしょう、温かく見守ってあげて下さい。
273 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:maGlAbe1
>>268 事故ならば知り合いに本を貸すような状況で中身を確認しないで貸すのは迂闊すぎます。
故意ならば最悪です。セクハラです。
どちらにせよ、もし俺があなたのお兄さんならばこう言います。
そんな男とは早く、いや今すぐ別れなさい。
あとお兄さんを責めないであげてください。お兄さんもいろいろと悩みがあるのでしょう。
274 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:v01tdaRk
つか
>>268が
>>273の妹だったらバレてるぞw
まあ、まだ妹と決まったわけじゃないから気にするな。
275 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:feeiE1em
268です。みなさん相談に乗ってくださってありがとうございます。
内容は驚いてすぐに本を閉じてしまったのであまりちゃんと見てないんですが、かなり過激な内容でした。
やはり事故だということで、何も見なかったことにして知人に返そうかと思います。
ただ
>>273さんが言うように確かにうっかりさんなので、今後その点は一度考えたほうがいいかもしれませんね。
(私と知人は別れる以前にまだそういうお付き合いをしているわけではありません)
冷静になって考えると知人を過大評価していた部分があったかも…
とりあえず、しばらくの間知人とは少し距離を置いてみようかと思います。
兄の件に関しては、とりあえず見なかったということにしておきます。
みなさん、本当にありがとうございました。
276 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:niNjA014
>>272 死 亡 確 認 w
277 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:maGlAbe1
あまり人の不幸を笑ってやるなよ。
>>272 この世に女は星の数ほどいる。元気出せ。次の出会いがきっとあるさ。
278 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:2Van0iyo
>>272 >>275をよく見ろ。
「まだ」って表現してるってことは、ひょっとしたら「いつかそういう付き合いをしたい」って意味かもしれないぞ。
>>277 お前なあ…。まあ気持ちは分かるけどな。
279 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:te0lwaB1
今だ!キリ番ゲットォォォォ!!!!
280 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:maGlAbe1
え…?
281 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:v01tdaRk
ちょwwwお前wwww
282 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:te01waB1
なん…だと…
この己が…誤爆、だと…
283 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:niNjA014
wwwwwwwwwwwwww
もう限界wwwww俺の腹筋返せwwwwww
284 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:2Van0iyo
ダメだ限界wwww悪いけどクソワロタwww
285 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:tHiBurai
あんまり笑わせんなwww涙でモニターが見えねえwww
286 大河のほとりの名無しさん [sage]投稿日304/12/02 ID:alsor0sE
さっきまであれだけ気まずかったスレの雰囲気が、一気に明るく…!
やっぱり
>>279は最高です!
以上。最後の誤爆がやりたかった。
公子何してはるんすかwwwww
ついでにアベリオン、パリス、あとシーフォン(?)に黙祷を。
ほっておくと私物を漁った漁らないでもめそうな流れに颯爽と公子がwww
公子(笑)
しかしフィーもエロ本紛れてた程度で距離置くとか青いなって一瞬思ったけど
あのレス内容からすると多分じっくり読んだ上で「ないわー」って判断したんだな多分。
哀れなりシーフォン。
2ちゃんネタ投下してくれる人のセンスが好きだw
何気に14歳も居るしwww
だが頭ヨワなのでID解読に手間取る
ラバンザクレート ニンジャ14 ザ・無頼?
マジックアベリオン ??? ヴァン
しーぽんがわかんねorz
v01t=VOLT→雷
daRk=Dark→闇
でシーフォンなのかな?と推測したんだけど
もしかしたら勘違いかも
あー使う技か!
フィーに本を貸す男で、一人称僕ならシーフォンかエメクくらいだけど
内容的にも口調的にもエメクは違うだろうから消去法でシーフォンだと思ってた。
>>383 カリスマ探索者アンソロジーシリーズ vol7 フィー編
A4巻頭カラー 定価1カスル5フス
即座にこんなんを連想したw
たぶんキャシアスはなにげにフラン編を持っていて、ヴァンも机の中にキレハ編を隠している
マナ編の執筆陣の一人がテレージャさん、それを保存用、見る用、布教用に3冊買うメロさん。
前回のでは、あまりにもアレなので。
・罪人男主人公、現代学園パロ
・エロ分無し
・
>>353の続きみたいな
それではどうぞ。
午前中の授業の終わりと、購買の食料争奪戦の開始を告げるベルが学校中に響き渡った。
椅子から飛び出す俺を他所に、相棒は呑気に弁当を広げだし……なんで弁当?
「パリス、お前それどうしたんだ?」
「聞いて羨め、チュナの手作り愛兄弁当だ!」
愛……兄?いやいや、待ってくれ。チュナ、お前の兄は二人の筈だぞ。
「俺の分は?」
「お前昨日チュナのプリン食っただろ?」
……あれチュナのだったのかよ!
「なんてこった……」
「ヴァン、悔しいかー?でもあげないよーん。ギャハハハハ」
……時間を13時間程巻き戻したい。ごめんよチュナ。そしてパリスは死ね。
……っと、こんな野郎に構ってる場合じゃない!
急がないと、パンが全滅だ!!
教室を飛び出し、廊下を駆ける俺の前に突如何者かが立ち塞がる。
「ヴァン君、廊下は走ってはいけません!」
今度はお前か、キャシアス。
「いつから風紀委員も兼任したんだよ、会長……どけよ」
「駄目です!」
「はぁ!?」
「君の素行の悪さには先生方も頭を痛めています!もっと清く正しく健全な……あれ、いない」
説教している間に、脇をスルーさせてもらった。
熱くなると周りが見えなくなる。あいつの唯一の良い所だ。
ただ、キャシアスの妨害によるタイムロスの齎した被害は甚大だった。
既に購買の前にはむさっくるしい長蛇の列。
そして、俺の3人手前ですべての食料がめでたく完売となった。
パンも弁当もおにぎりも、カロリーメイトすら既に無い。
「……牛乳ひとつ」
牛乳が残っていたのは不幸中の幸いか。
ともかく、俺の昼食はこの紙パックの中身のみだ。
「あー……あんパン食いてぇ」
屋上の我がベストプレイスで、ちびちびと牛乳を味わう。
しかし、当然それだけじゃ腹は満たされない。
午後の授業ふけてラーメンでも食いに行くか?あーでも出席日数が……
「あの……」
「ぶごあぁ!?」
しまった、貴重な牛乳が!畜生、一体誰だ?
「良かった、ここにいたんですね」
声の主はフランだった。手にはくまのプ●さんの刺繍が入った袋を持っている。
「何の用だよ、フラン……ああ、屋上って立入禁止か。会長のお使いごくろうさん」
俺のベストプレイスを去ろうとすると、フランに袖を捕まれた。
「あ、違うんです!あの……お昼、食べました?」
足元に転がる、無惨に中身を飛び散らせた牛乳パックを指差した。
「どっかのクソ真面目な生徒会長のおかげでパンも買えやしねえ」
「す、すみません!」
なんでお前が謝るんだとか、今更だけどなんで敬語なんだとか、言いたい事は多々あるが……
「で、昼飯がどうしたって?」
「あの、これ……よ、良かったら食べてください!」
そう言って彼女が突き出したのは、●ーさんの袋の中身。なんと弁当だった。
待て、これは一体何だ?罠?ドッキリ?ていうかフランの顔が真っ赤だ。大丈夫か?
「いや、なんていうか……そういうのは、キャシアスとかにやった方が良いんじゃないか?」
「え?なんでですか?」
なんでそんなキョトンとしてるの?
「だって、付き合ってるんだろ?」
「私が、キャシアス君と……ですか?」
「うん」
「付き合ってませんよ!誰ですか、そんな事言ったの!」
あれ、何これ。この展開ってもしかして?
「キャシアスがそう言ってたんだけど」
「……この間、メールアドレス交換しただけですよ」
来たァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!
「へぇ〜そうだったんだー。いや、アイツもおっちょこちょいだなー。アッハッハ」
愚かなりキャシアス!勝てり。我、ボンボンに勝てり!
「それで、このお弁当……食べてくれますか?」
「うん、喜んで」
「それじゃあ……どうぞめしあがれ」
長兄パリス様。並びに生徒会会長キャシアス様へ。ざまみろバーカ。
「…………ッ?」
蓋を開けると、そこには大魔境が広がっていた。
なんだこの灰色のドロドロ……米か?緑色のは……駄目だ、見当も付かない。
ていうか臭い!夏場の台所の三角コーナーの臭いがする!
そして、フランは俺をじっと見つめている。……大ピンチだ。
「あの……」
「ん!?ああ、折角の弁当だからさ!まずは見た目を楽しまないと!」
どうしよう。流石にこんなの食って、大丈夫な自信は無い。
そこで問題だ!この絶対的な美味しいシチュエーションでどうやってこの攻撃をかわすか?
3択……ひとつだけ選びなさい。
答え@ハンサムのヴァンは突如回避のアイディアが閃く。
答えA仲間が来て助けてくれる。
答えBかわせない。現実は非情である。
「あの……」
恥ずかしそうに、フランが箸を手に取った。
「あーん、ってしてもらっても……いいですか?」
答えBかわせない。現実は非情である。
「……あーん」
「はい、どうぞ」
口の中に、物体Xが飛び込んだ。
まず先にイカれたのは嗅覚だった。次に口の中。痺れて味がわからない。
未知の領域過ぎる味と臭いで、脳が麻痺でもしたのだろうか。
そして不思議な事に、まだ物体Xは口の中だというのにもう腹が痛い。
決死の思いで、なんとか飲み込む。
「どうですか?」
「……んごっ」
呂律が回らない。食道がヒリヒリする。胃の中身が全部込み上げてくる。
「……すごく美味しい」
馬鹿!俺の馬鹿!!はい死んだ!俺はもう死んだ!!
「よかったぁ……」
フランが安堵の笑みを浮かべる。
そして、次なる物体Xを箸に取り、俺の口へと運ぶ。
「はい、あーん」
「……あーん」
長兄パリス様。並びに生徒会会長キャシアス様へ。助けてくだたい。
「…………ッ!?」
意識が飛んでいた。状況を確認する。
場所は……屋上。目の前には嬉しそうなフランがいる。弁当箱は空になってる。
お腹はいっぱいで、腹を中心に体中全部がピキピキ痛む。
……やった、完食した!俺はやり遂げたんだ!!
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
空の弁当箱を仕舞うフランは、とても嬉しそうだ。
ともかく、苦難は乗り切った。
……フラグもこれからも、今はどうでもいい。
何かひどく疲れた。……あれ、身体が……。
「ぶっぼぁああッ!?」
中身が、全部出た。
「きゃああああああああ!?ヴァン君大丈夫!?ヴァン君ーーーーーーッ!!」
薄れいく意識の中で、フランの悲鳴だけが聞こえた。
――ここは、どこだ?……河?
河の岸辺だ。白い花が何本も咲いてる。
「おーい」
向こう岸で白髪を長く伸ばしたじいさんが手を振ってる。あんな人知らないぞ。
……増えた!手を振ってる奴が1、2、3、4……16人もいる!!
嫌だ!俺は行かない!!そっちになんて、絶対行かない!!
「…………ッ!?」
目に飛び込んだ物は、青い空と泣きながら俺の顔を覗き込むフランだった。
「良かった……ヴァン君、ごめんなさい!!」
フランが泣きながら抱きついて来た。
「私のお弁当の所為で……こんな事になっちゃって……」
「……無理したのは悪かったよ。でも、嬉しかった」
例えこんな状況になったとは言え、嬉しかったのは、本心だ。
「早く保健室に……立てますか?」
意外な程に、すんなり立てた。
「保健室は……いいや。それより、制服……」
俺の制服にもフランの制服にも、先程噴き出たものが付いてしまってた。
「わ、私のは気にしなくても大丈夫です」
「俺が気になるんだよ」
自分のブレザーを脱ぎ、続いてフランのブレザーを脱がせる。
ブレザーの下に着ていたカーディガンを、フランの肩に掛ける。
全部吐き出してスッキリした所為か、こんな恥ずかしい事が平気で出来る。
「とりあえず、これで我慢してくれるか?」
「……はい」
「よし。じゃあクリーニング屋行ってくる」
「え!?あの、授業は?」
「まぁ、早退で。……一緒に行く?」
「……はい」
そうして、二人きりで町へと出掛けた。
フランにとっては初めてのサボリだったらしい。まぁ、そりゃそうか。
夕方まで一緒にいたけど、別に変な事はしていない。
制服をクリーニングに出して、ゲーセンに行って。
フランが自分の分の昼飯食べてなかったから、一緒にラーメン屋に行って。
町をブラブラしてたら陽が暮れたので、それで解散。
まぁ、高校生らしくって事で。
「おっはよー!パリス、ヴァン!」
翌朝、通学路を歩いているとアイリに声を掛けられた。
「おはよ」
「うーっす」
「ねぇねぇヴァン、フランちゃんと付き合ってるの?」
「何ィーーーー!?」
情報早過ぎるだろ。
アイリが言うには、昨日シーフォンと一緒に学校をサボってデートしていたらしい。
そして、ゲーセンで俺とフランを見つけて、ずっとピーピングしていたらしい。
「いやー、ヴァンもついに男だねー!」
アイリやめて、お兄ちゃんが怒っちゃう。
「ヴァーンー……お兄ちゃんなぁ、お前を一っっっ生許さないぞー?」
ああ、もう手遅れだ。
「待ぁてゴルァアアアアア!!」
「待つかよ馬鹿!あとアイリ、お前くたばれ!!」
「何よそれ!待てこの野郎ーーーー!!」
結局、歩くフラ●デーことアイリの手によって、あちこちに噂を広められた。
当然その話はキャシアスの耳にも入った。
「待ちたまえヴァン君!今日という今日は許さないぞーーー!!」
「廊下は走っちゃ駄目なんだろ、会長!」
「あ、そうか……。いやこれは例外だ!待てーーーー!!」
そして、折角の昼休みだというのに今朝に続いての鬼ごっこだ。
もうやだこの学校。
「ヴァン君、どうしたんですか?」
「うわ!?」
いつの間にか、フランが俺の横を併走していた。
「フラン!一緒に転校しよう!!」
「え!?そんな……突然言われても……」
「冗談だよ!」
……まぁ、こんな学校もこれはこれで良いかも知れない。
ペル●ナ3の某能登がなんかフランに見えたのでついやった。
ついでに男物のブカブカな服着た小柄な女の子の可愛さはガチだと思う。
お目汚し失礼しました。お粗末ッッ
GJ!
フランかわいいな。これは断れないw
ヴァン、良かったな…
>>384-385 わかりにくくてすまん、その通り。
>>386 イメージとしてはスイートナイツとかそういうのを想定してたけど、そっちの方が面白いw
そんなんがあったら俺が欲しい。
>>395 >>377-379に妄想を刺激されて
シーフォン×フィーな小話を書きたくなったのですが、
そういう乗っかりは作者の方的にアリでしょうか?
>>397 携帯だからID違うけど
>>395。
もちろん、ありですとも!やってくれたら嬉しいですとも!
>>398 やった!それでは現在モリモリ書いておりますので
もうしばらくお待ちくださいー。
各キャラのエロ本の趣味が気になる
>>397です。
うっかり続きものになってしまったので識別用にトリップを付けました。
以下の箇条書きに地雷臭を嗅ぎ取った方は
お手数ですがトリップであぼーんをお願いします。
・ちょい年上のお姉さん系なフィー(作者の想定としては顔2)
・ヘタレが全編にわたって呻いてると思ったらシーフォンだった
・テーマ設定の時点で当然の如く居座る下ネタ要素
・まさかのエロシーン無し(この時点では)
・まさかの連作、全3話くらいを予定。濡れ場は有っても最終話
「ふー…ん。へぇー…」
まっ白い指先がページを捲り、
形の良い唇からは時折関心した様子のため息を発する。
夕日の差し込む窓際の机で一心に書物を読むフィーの姿は、
まあ、その、たいへんサマになっていた。それは認めざるを得ない。
にも関わらず少し離れた位置からそれを眺める僕様が
締め付けられるかのような胸の痛みを覚えるのには当然理由がある。
「……ぶふっ」
本がとあるページに差し掛かると不意に噴きだした。
「あはははははははは!あっ、うん、ごめんシーフォン。
でも流石にこれはーこの喘ぎ声はやり過ぎだってー」
おざなりな詫びを部屋の隅で膝を抱えている僕にしてきたものの、
未だにくっくと肩を震わせて居やがる。ツボに嵌ったらしい。
女の目線だとそんなに面白描写なのかよクソ。
──遡ること数日前。
フィーが僕の元に魔術書を借りにやってきた。
なんでも少し難しい患者がやってきたので
知識を増補しておきたいとか言っていたが詳しくは忘れた。
なんにせよ治療術なんて僕がビタイチ興味無い領分だった上に
フィーの探していたのは中でも特にマイナーな分野だったのが話のキモだ。
つまり、以前入手した猥雑本がなかなか使えたもんだから
装丁を貼り替えて偽装した上でその辺りの本の山に突っ込んでおいたのに、
それをころりと忘れたまま、彼女へまとめて提供してしまったのだ。
「いちいち山崩すのもだりいし表紙で適当に見つくろって持ってけよ」
とかのたまった数日前の僕を殺してえ。
ともあれそれらが
貸していた資料をまとめて返すってんで
本日フィーの診療所(兼自宅)に出向いた僕様を出迎えた、
笑顔のフィーと彼女の差し出す見開きの猥雑本という、
世にも珍しい取り合わせを生むに至った訳の全貌だ。
本当にもう勘弁して下さい。
「──フィーさん。
お貸しした魔術書の中に『そんな物』が混入していた件につきまして、
多大なるご迷惑をおかけ致しましたこと誠に申し訳なく、
心からお詫び申し上げます。
常日頃より、書物の管理には万全を期してまいりましたが、
このような不手際がありましたこと、大変恥ずかしく、
二度とこのような事を起こさぬよう肝に銘じております。
……ですのでどうか、怒りを解いて頂けませんか。
そして僕の前でこれ見よがしに読むのを一刻も早くやめろ」
「却下です」
学生時代に培った謝罪技術を総動員した必死の訴えを、
笑顔で!切って!捨てやがった!
「〜〜〜〜〜〜〜っ
テメエは本ッ当−に、悪魔の様な女だな!」
「いーえ、慈悲深いですー。音読してないだけマシと思って下さーい」
ぶーたれつつも読むのはやめない。このアマまだやる気か。
「へえー。春画も有るんだ。
……なんか、すごく巧いんだけど。解剖学的にも合ってるし。
正規の絵画教育受けたっぽいなー……謝礼いいのかなこういうのって」
「僕が知るかよ!
っつーかもういい加減にしろよな。
いッ、一応だけど謝ってるじゃねーか!」
自分で言うのも何だが僕が素直に非を認める事ってそうそう無いぞ。
言いつつ頬が熱くなったのが自分でも分かる。人は恥で死ねるな。
だが本当に辛い出来事はこの後に待ち受けていたのだ。
しかし当然ながらこの時点の僕がそれを知る術は無いのだった。
ひとまずここまでです。
続きは追って投下します。お粗末様でした!
これは精神的ドSフィー
しかも顔2ときたか、一番きっついw
これはきっついwwwwシーフォンに同情せざるを得ないなwwww
あーでもこの状況をちょっと美味しいと思う俺ってどうなんだろう・・・
>>388 フランかわゆすのう
でも女の子が弁当作ってきてくれるなんて都市伝説だよな?
実際にはないよな?な?
そんなの実在して、尚且つそれを目の当たりにしたら多分一生チンコ勃たなくなる。
ところで、昨夜風呂入ってたらティンと来たので。
・罪人女主人公
・定番ネタにして都市伝説
・百合?百合なのかこれ?
それではどうぞ。
「行くわよ、アイリ!」
「はい、お姉様!」
キレハの放った矢が赤竜の目を射抜いたのを確認して、アイリが一気にその胸元に駆け寄る。
「もらった!!」
振り抜かれた首刈り鎌は、アイリの予想していたよりもすんなりと竜の喉元に深く突き刺さった。
「ごめんね竜さん……おりゃあッ!!」
もう一度鎌に力を込め、その刃が竜の首を掻き斬ると、夥しい量の血がアイリへと降り注いだ。
しかし、それでも竜は最後の力を振り絞りアイリを噛み砕こうと口を開く。
「アイリ避けてー!!」
アイリが身を屈めたのを確認して、ネルの屠竜刀が竜の下顎にとどめの一撃を叩き込む。
意識の糸を断ち切られた竜の巨躯は、力無くその場に崩れ落ちた。
「……ギリギリの勝利って感じだね」
全身を竜の血で真っ赤に染めたアイリが、顔を拭きながら安堵の溜め息を吐いた。
「でもアイリ、どうすんのその格好。私も人の事言えないけどさ」
「血塗れの女が3人も歩いてたら、怖い話のネタにでもされそうね」
ネルもキレハも、全身返り血だらけだった。
「どうしよう……とりあえず、服くらい洗いたいよね」
アイリの言葉に、ネルとキレハも同意する。
勇敢な探索者と言えども、3人とも年頃の女の子だ。
血の汚れも纏わり付く様な生臭さも、出来るなら今すぐ対処したいと考えていた。
「……ん?」
何かに気付いたキレハが、竜の寝床の奥へと足を踏み入れる。
「どうしたのキレハ?」
「戦ってる時は気付かなかったけど、硫黄の臭いが濃くなった気がするの」
そして、最深部へと到着したキレハが2人を呼びつけた。
「良い物見っけ、て所かしら?」
誇らしげなキレハ。
「おー……」
目の前の光景に感嘆の声を上げるネル。
「温泉だー!!」
歓喜を爆発させるアイリ。
滾々と湧き出る白い湯に、疲れ切っていた3人の目がキラキラと輝き出した。
衣服の汚れを洗い落とし、3人は臨戦態勢で湯の淵に立っていた。
「……うん、湯加減オッケー」
慎重につま先を水面に触れたアイリが、ゴーサインを出す。
「「とーう!!」」
アイリとネルが、勢い良く湯の中に飛び込んだ。
キレハはその余りにも年甲斐の無い行動に呆れつつ、静かに湯に浸かる。
「気ん持ちいぃーー!!」
アイリが再び喜びを爆発させる。
血の汚れもそうだが、小人の塔下層は周知の通り灼熱地獄だ。
汗も洗い流せるのは彼女達にとって大変な幸運だった。
「泳げるお風呂なんて初めてー」
「ちょっと、本当に泳がないでよ!」
キレハがクロールで泳ぎ回るネルに気を取られていた、その瞬間だった。
「えい」
「キャア!?」
アイリの両の掌が、キレハの胸を鷲掴みにした。
「ちょっと何するのよ!?」
「キレハ姉のおっぱい大きいねー」
アイリが羨ましそうな目をして、自分の掌の中の乳房を見つめる。
「どれどれー?ワーオ!」
ネルまでキレハの背後から彼女の胸を触り出した。
「ひゃー柔らかい!形も良い!こーれはいやらしい!!」
「何解説してるのよ!……形なら、アイリの方が良いんじゃないの?」
キレハがお返しと言わんばかりにアイリの胸に掌を伸ばす。
「ひゃあ!?キレハ姉やめてよ!触り方がなんかエロい!!」
「何よ。じゃあその手、放しなさいよ」
「キレハ姉のエッチー!」
この状況に、あろう事かネルが意気消沈し出した。
「良いなー2人共……。キレハは美乳だしアイリはスタイル良いし」
「いやいやネルだってー……そーれプニプニー!!」
アイリの手はあろうことか、彼女のお腹へと伸ばされた。
「ギャー!?」
「ネルは可愛いからそれで良いの!」
「へぇ……安産型なのね」
キレハが水面下でネルの尻に手を伸ばしていた。
「うわぁ!?本当に触り方エロい!」
「2人揃って何なのよ!!」
竜の寝床から聞こえる乙女の戯れの声に、巨人の鍛冶屋は頬を緩ませて槌を振った。
「ん?」
異変を最初に察したのは、アイリだった。
水面から、泡がポコポコと浮き立っているのを見つけた。
その周囲には誰もおらず、誰かの悪戯という風でも無かった。
やがてその小さな泡は数を増し、大きな泡となりさらに増え――
「ぶわぁーーっはあーっははははぁーーーー!!」
夜種プリンセスが、勢い良く飛び出した。
「半身浴などナンセンス!やはり時代は全身浴よぉ!!」
当然夜種プリンセスは全裸である。それが仁王立ちし、3人の前に立っているのだ。
「んん!?貴様等、先程はよくもわしをスルーしたな!?」
スルーというか、なんというか。
棺を開けてしまい、最初の犠牲者となったキレハはトラウマを抉られて恐怖に震えている。
「さぁ、わしと熱いキッスを交わそうではないか!!」
「誰がお前なんかと……!!」
夜種プリンセスを殴ろうと立ち上がったアイリだったが、目の前の光景に動きを止める。
「お前なんかぁ……!」
いつの間にか、ネルが夜種プリンセスの背後を取っていた。
彼女はその両腕を夜種プリンセスのぶっとい胴体に回し、両手を硬くクラッチしていた。
「ぬあん!何をする!」
恐怖に怯える夜種プリンセスに構う事なく、ネルは力強く腰を屈める。
「飛んでけーーーーーッ!!」
そして、バックドロップの要領で夜種プリンセスを後方へと投げ飛ばした。
凄まじい速度で宙を切り裂く夜種プリンセスは、さながら砲弾の様だった。
空飛ぶ巨体は、失速する事なくマグマの海へと投げ出された。
「おのれ小娘……この恨み、決して晴らさでおくべきか……!!」
そう言い遺し、夜種プリンセスは溶岩の中へと沈んでいった。
「……これで、良かったのかな」
マグマの海を見下ろすネルが呟く。
「多分、良い事したんだと思うよ」
不安そうなネルの肩に、アイリが優しく手を置く。
そして、ようやくショックから立ち直ったキレハもやってきた。
その手に弓と、ありったけの矢を持って。
「殺してやる!!」
キレハが狂った様に、マグマの海に矢を乱射する。
一発一発が、全霊の魔力と殺意を籠めた魔弾だった。
「キレハ姉やめてください!その人もう、死んでますから!!」
アイリとネルが、必死にキレハをなだめる。
そう、夜種プリンセスは煮え滾るマグマの底に沈んだのだ。
生きている訳が無い。
「痛い!ケツになんか刺さった!!」
…………。
「うぁああああああああああッ!!!」
「きゃぁああああああああああ!?」
竜の寝床から聞こえる狂気染みた叫び声に、巨人の鍛冶屋は思わず槌を振る手を止めた。
それから数十分後、キレハがようやく冷静さを取り戻した。
「ごめんなさい、取り乱して……」
「全くだよ」
「キレハ姉の馬鹿」
アイリもネルも、疲れ果ててフォローの余裕すら無かった。
「……帰ろっか」
アイリの提案に、2人は無言で頷いた。
「あら、おかえりー……どうしたの?なんかすっごい疲れてるけど……」
ひばり亭へと帰った3人に、オハラが心配そうに尋ねる。
「うん、ちょっとねー……」
挨拶もそこそこに3人揃って部屋に戻って着替え、もう夜だというのに洗濯を始めた。
血の染みは取れたとはいえ、硫黄が衣を染めてしまっては元も子も無い。
「……今度はさ」
服を洗いながら、アイリが口を開く。
「みんなで行こうよ。遺跡の騒ぎが終わったら、フランもテレ姉もエンダも誘ってみんなで」
「うん、そうだね」
ネルは同意するが、キレハは首を縦には振らない。
「大丈夫だってキレハ姉。もうあいつはいないから」
「本当に?」
「本当本当。……たぶん」
「多分じゃイヤよ」
「大丈夫!もし出てきても、テレ姉がなんとかしてくれるよ!」
その言葉にネルも頷く。
「だから、絶対キレハ姉も一緒に行こう、ね?」
「……うん」
「よーし!約束だよ?」
伸ばされたアイリの小指に、キレハも自分の小指を絡める。
「ゆーびきーりげーんまーん嘘付いたらマッドシチュー飲ーます。指切った!」
子供の様に屈託無く笑うアイリを見て、キレハも微笑みを浮かべる。
その約束が果たされる事は、遂に無かった。
黒と赤とが飛び散った中、一人の女の残骸が倒れている。
それを抱き上げ、2人の少女が泣いている。
老剣客は、帽子の鍔を深く下げ、黙祷を捧げるだけだった。
ほのぼのギャグかと思ったらそこで落とすなこん畜生ーッ!?
不意打ちだった。鬱る。
主人公違うけど、初回プレイでこんな事態に陥りましたよ、と。
セーブしたのも随分前だったから、すごい困った。
皆様、どうか嫁は大切に。お目汚し失礼しました。
本スレで出た身代わりになって守ってやる説の思いがけない男前っぷりに目からウロコ出た。
盲点だったが魔剣士竜牙が言い出したとしたらかなり燃え展開だなあ。
自分が全部の泥を被って討たれてやる、とかそっち方向で。
>>414 うわぁぁぁぁぁ(AA略
追加イベント実装直後は選択肢がわからなかったり
キレハさん自体が強くて返り討ちにあったり大変だったなあ。
始祖様がしーぽんの体でフィーにアレコレして「こんなの望んでない」と言わせる話なら脳内大図書館にある。
>>414 乙
お風呂でおっぱい揉み合いはいい…実にいい
キレハお姉さまというのも新鮮でいいな
拘束された状態でチュナの身体の始祖様に「こんな幼い身体の、それも妹に足で扱かれて興奮するなんて本当に変態なのね」って言われて悔しいでもビクンビクンな話なら俺の脳内ピンクシアターに
お前ら書いちゃえよ!!
>>416 逆に17世フィーに無様ねと冷たい目で見下ろされるしーぽん(放置プレイ)が脳内廃都物語に
家族を失い失意に沈んでいるアベリオンが(血縁の関係で)母性を感じさせてくれるユリアのところに通いつめて
どんどん関係が深まっていく話も俺の脳内シアターに
>>419 フィーの意識が抵抗しようとする度に「偽りの愛の言葉」を命じる始女帝陛下と
知識目当てで仕えながら、その為なら嘘くらい軽いとフィーへの愛を囁きつつ
複雑な心境のまま女帝のテクニックを持つあどけない身体にズルズル溺れていくシーフォンの泥沼なら脳内冒険の手帳にある。
>>418 さあ、早くピンクシアターの全シナリオを投下する作業に移るんだ
フランの暗黒料理を子供の頃から食べさせられていたせいでゲテモノ慣れしたキャシアスが、
エンダと一緒に生魚を頭から丸かじりする話くらいしか書いてないや、俺が持ってる脳内手帳には。
ちなみに俺の脳内キャシアスはこんな(↓)感じ。
「……えっとさあ、マジでこいつを食うわけ?」
「あ、あはは、流石にこれは、ちょっと食欲失うかも……」
どっさりと積み重なった野菜の山を前にして、シーフォンとネルは呆れた声でそう言った。
ここは凶暴化した野菜が道行く者を襲っては、返り討ちに遭って食材を提供する血(ではなくて野菜汁)塗られた危険な畑。
キャベツっぽいモンスターを撃退して食料を手に入れた一行ではあるが、その扱いには非常に困りきっていた。
はっきり言って、マズそうなのだ。ぶっちゃけ、グロいのだ。
ちょっと考えても見てほしい。目玉や口が付いた得体の知れない野菜など、いったい誰が食べたがると言うのだろうか。
「うん、美味いな。瑞々しい、良い野菜だ」
『……って、ためらいも無く食ってるーーーーーーーー!?』
キャベツ(らしきモンスター。ちなみにまだ辛うじて生きているらしく、ぴくぴく痙攣を繰り返している)を齧りながら、キャシアスは仲間達に振り返る。
「ああ、すまない。探索が長引いて、些か腹が減ってたんでな。これだけあるし、一つくらい構わないかと思ったんだが……」
「いや、違うから! 勝手に食べた事を怒ってるんじゃなくて、その……」
「……このブキミな生物、良く食う気になるって話だよ」
「不気味? 何がだ?」
「そりゃ不気味に決まってるだろ。野菜が襲ってきたんだぞ?」
「いや、動く花のモンスターもいたし、別におかしくは……」
「おかしいよ! 変だよ、キャシアス!」
「ふむ、確かに。やはり生野菜を丸齧りというのは、マナーとしておかしいかもしれんな」
「そういう次元の話じゃねえから!」
「言ってる意味が良くわからんが……まあいい、いつまでも畑仕事に精を出しているわけにもいかないし、そろそろ先に進もうか、みんな」
「わかんねーのはお前の方だよ……」
「あ、あはは……キャシアスとの付き合いは長いけど、こればっかりはフォローできないかなぁ……」
>>423 シーフォンとネルは「いやそもそもそれマトモな野菜じゃないだろーッッ?!」て言いたいのが丸わかりなのに
キャシアス全然わかってねえwww
仲がいいようでいて実は全然話が通じてないwww
>423
GJ。吹いた。
しかしお前とは良い酒が飲めそうだ。
俺の脳内のキャシアスも真面目な顔した天然ボケでこんなんだなァw
脳内キャス便乗投下
「きゃっ!?」
調理場での真剣勝負の真っ最中、不意に後ろから伸びてきた腕に抱えあげられたフランは思わず頓狂な悲鳴をあげてしまった。
反転する視界の端で、火にかけられた鍋がひょいとわきへ寄せられるのが見える。
「キャ、キャシアスさま! いきなりなにをなさるんです──あっ、あの!!」
己を易々と肩に担ぎあげた無口な主君がそのままこの場を立ち去ろうとしていると知り、抗議にも戸惑いが混じる。
その行先は経験上明らかで、娘はいよいよ焦ってキャシアスの背中を叩いた。
……が、そんなことでこの屈強な青年が動じぬこともまた分かりきっていたことで。
あれよあれよと彼の部屋の寝台に運ばれてしまったフランは、覆いかぶさってきたキャシアスに有無を言わさず唇を封じられてしまった。
「ん、んんっ……あ! い、いけません、こんな時間から──やあんっ」
無造作にスカートをめくりあげられ、じたばたと暴れるも、一度娘の上に陣取った主が退いたためしなどないのである。
「あぁ──ん、キャシアスさまの……いじわるぅっ、はぅん!」
無遠慮に下着をかいくぐってきた手に秘処を弄ばれ、声も身体も跳ね上がってしまう。
……そして、なしくずしにその気にさせられて、深い交わりにフランが熱い吐息を漏らすばかりになった頃、おもむろに青年は口を開く。
「君こそ」
「──え?」
繋がりあって互いに身体を揺らす中で、突然声をかけられた娘はぼんやりと主の顔を見上げた。
「君こそ、領主夫人ともあろう者が、あんな所で何をしていた」
「あっ、だって……んぅ、あたし──キャシアスさまに、食べてほしくて……ゃっ、そこ、だめぇっ!!」
急に激しくなった突きあげに、フランはいっそう高い声をもらして呆気なく果ててしまう。
間もなく彼も昂ぶったものを解き放ち、しばらく部屋の中には二人の吐息だけが落とされた。
やがて隣に横たわる娘の汗に濡れた前髪をかきあげてやりながら、キャシアスはその大きな瞳を見据えて言った。
「食べるのは君がいい」
「キャ、シアス……旦那さまぁ……もう、ばか……」
黒目がちな双眸を愛らしく潤ませながら、フランは主の背に繊手をからめて再度の求めに応じるのだった。
てな具合に料理阻止するも、嫁の腕前は一向に上がらない件
カムールの奥さんも料理が下手の横好きで、元々親父が使っていた手法を息子が継承しているという脳内(ry
お前らの脳内を読ませろ、いや読ませてくださいお願いします
>>423 GJ!坊ちゃま論点がズレすぎww
大真面目に明後日の方向へ走っていくところがwww
>>426 GJ!育ちのいいイケメンはここまでキザなこと言ってもサマになるから汚いw
親子揃ってエロスなホルム伯&嫡子に惚れそうだ
タイタス一って歴代皇帝に憑依して事実上の不死を保ってたんだよね?
だとしたら二世が後半正気を失ったり七〜九世があっさり暗殺されたり十世がアレすぎだったりするのは奴の支配力が弱かったからってこと?
と、真面目に考えてたら
まてよ?仮に憑依してたとしたら、タイタス一さんって男の身体も女の身体も経験済み?皇后も側室も何千年も選び放題だったってこと?
しかも二世で獣姦、八&九世だった頃は近親相姦まで体験しちゃったってことか!?タイタスさんぱねぇーーーーーっ!!
って考えてしまった自分のエロス脳が憎い
>426
キャシアスご苦労様としかw
館の台所の平和を守れるのはお前だけだ、頑張れ。
親父何やってんのさww
>>416-421 さあ今すぐ脳内をSSに書き起こす作業に入るんだ。
いや、お願いします。マジで。
>>408 こんなに可愛らしいキレハさんなのに、命を落としてしまうという…。
リ、リセット&ロードで今度こそ幸せ空間をどうか。
>>423、
>>426 どっちのキャシアスさんもいいキャラしてるというか、
なんにせよ坊ちゃまの人格形成にはフランの影響がでかい模様で和むというかw
あっさり暗殺されてんのは、一世さん的には
皇帝が変わっても別に困らないからじゃね。
(むしろ一世さんが糸を引いてたって解釈も出来るな)
十六世の手記を読む限り、憑依といっても
体を支配してた訳じゃなさそーだしな。
単に背後霊的な存在になって、飴(秘儀)と鞭(脅迫)で従わせたり、
暗示のようなもんで行動指針を強制したりしてただけっぽい。
タイタス二世の狂気はやっぱ混沌の影響じゃないかねぇ。
獣頭人身ってあたり、出生に絡んでそうだし。
>>431 16世の日記にあった意識のなくなる時間=憑依してた時間じゃないかと思ってた。
本人の意識の底に沈んで、暗示をしながら少しずつ本来の人格を消して取り込んでいくようなイメージ。
神帝記にタイタス二世は一世が年老いてからヴァラメアの女王との間に
得た子とあるけど、この女王ってアイビアさんかな。
そういや何で二世だけは玄室を守られてたんだろうな、他の皇帝達の玄室は荒らされ放題だったのに。
月長石のことを知られたくないなら石碑や泉も隠すだろうし、ひょっとして一世は息子の玄室だけは荒らされたくなかったんだろうか
包むさんが「こいつ野放しにしたらヤベエ」って閉じ込めたと思ってる。
あと、幽閉されてた十世育てたのも包むさんだと思ってる。
オハラさんを攻略できてもいいと思うんだ。ヴァンは顔3で
オハラは憂鬱だった
遺跡に端を発した騒動が治まって早一月
遺跡目当ての探索者も、戦争のために集まった騎士も既に街を去り、ホルムは元の平和な街に戻っていた
しかしそれは、ひばり亭の活況が過ぎ去ったことも意味している
「暇ねぇ……」
平和は歓迎すべきことだが、それにしてもあの嬉しい悲鳴が懐かしい
オハラがその日何度目か知れないため息をこぼした時、ドアベルが勢いよく鳴り響いた
「いらっしゃ……ああ、何だヴァンじゃない。どうしたの、そんなに真剣な顔して」
「オハラさん、俺……!」
そこでヴァンは目を伏せた
妙に熱の入った様子に、オハラは無意識にたじろぐ
「な、何……?」
「その……だから……」
「……?」
「す……」
「す?」
「好きだッ!!」
突然の告白
あまりの大声に、常連客の老人も思わず酒を吹き出した
「……は?」
「俺、ようやく分かったんだ。他の人じゃ駄目なんだ、俺はオハラさんが好きなんだ!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて……ああもう、とにかく奥に来なさい」
呆気に取られる客たちの視線から逃れるように、ヴァンを厨房へと引きずり込んだ
「で? なに、賭けにでも負けたの?」
「何でそうなるのさ、俺は真剣だよ」
「あのねぇ……」
歳を考えなさい、と思わず口にしそうだったが、それを言うのは何となく悔しかった
「ほ、ほら何も私じゃなくても、他にも良い子いっぱいいるじゃない。ネルとかさ」
「確かに、この間のことで色んな人に会ったよ。でも、違うんだ。俺はオハラさんじゃなきゃ駄目なんだ」
真っ直ぐな眼
血は繋がっていなくても、やはり親子だと感じさせた
ポン
汗ばんだ頭に掌を載せる
自然と笑みがこぼれた
「もう少し、イイ男になったらね」
「う、うん……でも、あんまり待ちすぎるとオハラさんがババアにぷげらッ!!」
厨房の外まで吹っ飛んでいくヴァン
よし、まだ現役
その後、ホルムの異変を解決した英雄に勝った豪傑女将の店として、ひばり亭が少し有名になったのは別のお話…
>>421の冒険の手帳にティンと来たので勝手に書いた。
何故か全く別物になった。途中で混線した模様。
>>421スマン。
・フィーinタイタスさん陥落寸前タイトロープ
・鬱とかエロとかこまけぇこたぁいいんだよ!
・但しメロドラマ耐性は必須。
体の奥があつい。足を大きく開かされて、体の一番奥に彼のものを受け入れさせられて
いる。繋がった所からはぐちゅぐちゅと濡れた音がひっきりなしに響いている。なんて
いやらしい音。
彼がぐっと腰を押し込むたび、自分のなかがひくひくとざわめいて、彼に纏わり吸いつ
くのがわかる。彼のカタチを襞が覚えている。締めつけて絡みついてもっともっと奥ま
で引き込むようにざわざわと蠢く。
「――――」
きもちいいの。ぬかないで。もっとおくまできて。
そんな恥ずかしい、浅ましい言葉が口から出ないことにどうしてか安堵する。その代わ
りにひどく荒い息と、甘ったるい喘ぎ声だけがひっきりなしに喉を通り抜けていく。
体が動かない。体の中が全部なにか私じゃないもので埋め尽くされているみたい。
腕も指も足も動かない。彼が施す愛撫でびくりと反射のように震えるだけ。
どうして私たちこんなことをしているのかしら。
だって、私はあなたを好きだったけれど、あなたはそうではなかったでしょう。
霞んだ意識で考える私に言い聞かせるように、彼は私の耳元でそっと囁いた。
「……好きだ。――――好きなんだよ」
ああ、何て甘い。体の芯からぐずぐずに溶けてしまいそう。飾り気も素っ気もない、
いっそ無愛想なほどの嘘ひとつで、どろどろに崩れて狂わされる。
縋りついて、抱き締めて、抱き締めてもらいたいのに。やっぱり体は動かない。
ほろりと涙がこぼれて、頬をすべり落ちていく。彼の唇がそれを拭い、目尻から頬へ、
耳朶へ、首筋へと落ちる。優しく舐められ、吸われて、それだけの刺激で背中を反らせて
高く声を上げる。
ちがうの。もっとつよくしてほしい。でないと、わたし
彼の手が胸元を撫で、豊かとは言えない乳房を柔らかく掴み、尖った乳首をこねる。
どこもかしこも触れられるだけで感じる。そんなところが感じるなんて思いもしなかった
場所――――たとえば肘の内側とか、指の間、腰骨の上、膝の裏、そこに彼が触れる
だけで私は何度も何度も声を上げ、啜り泣き、喘いで、達した。
胎内に溢れる熱い感覚に、彼も同じように達したのを知る。
「――――」
荒い息に肩を上下させながら、彼が何か、なにか、とても聞き慣れた、ことば を、呟く。
なにを言ったの。聞きたいのに声が出ない。
馬鹿ね、どうしてそんな、泣きそうな顔でわらうの。
脱力した手のひらに彼の指が触れる。指と指を絡め合わせ、組み合わせて強く、強く。
ちがうの、手を触れるならそこじゃないわ。
「――――」
ああ、彼が囁くこのことばは、きっと私の名前なのだ。もう私には聞こえないけれど。
私の肩に顔を埋め、再び首筋に口付けながら、彼は何度もそのことばをくりかえす。
だめよ、もっと、もっとつよく、
首を絞めて。噛んで。歯を立てて、噛み切って。
おねがい、おねがいだから、私を殺して――――シーフォン。
タイタスさんはその気になればフィー完封できるけど、面白いのでほっといてる状態。
>>437 いいね。これもアリだな。
オハラさんじゅうななさいの色気は攻略したくなるな。
ネルママと不倫親子丼もしたくなる。
>>438 GJ!せつなくていいなあ。
>私はあなたを好きだったけれど、あなたはそうではなかったでしょう。
この辺が自分的に理想のシーフォン×フィー像だ。
エンディングでフィーはツンデレのツンが見抜けなくてマジ凹みするから、
片想いや片想いだという思い込みですれ違うのが似合うイメージがある。
>>437 GJ!そうだよ、オハラさん落とせても良かったじゃないか!
盗賊主人公だと母の相棒とかで何やら背徳的な感じもしてそれも又吉
>>438 GJ!なんか、せつねぇな・・・
そしてタイタスさんは地獄に落ちるべきだと思うよ
>>437 GJ!攻略できてもいいよな。
恩が愛に変わるとか、かつての仲間の息子が大人に…とか
禁断な感じがして実にいい。
>>438 俺の脳内手帳がSSに…スゲエ嬉しいなこれ。感動だ。
せつなくて実に素晴らしい。
片思いに苦しむ乙女心を弄ぶ超ドSタイタスさんもいい。
前回のラストが余りにもドイヒーだったので。
・罪人女主人公
・百合ってわけでもない
・
>>412のラスト4行を、無かった事にするッ!F12キー押してロォードッッ!!
それではどうぞ。
「ん、お帰りー」
キレハが自室のドアを開けると、そこにはベッドに寝転び本を読んでいるアイリがいた。
「いつからここはあなたの部屋になったのかしら?」
「んー……10分前くらい?まぁまぁどうぞ。楽にしてよ」
「じゃあお言葉に甘えて……馬鹿!」
キレハがアイリの頭を一発だけコツンと小突く。
「いったーい!何すんのよ!あとキレハ姉にノリツッコミなんて十年早い!」
自分なりのユーモアを一蹴されたキレハが、少しだけ残念そうな顔をする。
「何よそれ……。大体、部屋に鍵掛けたはずだけど……」
そこまで言って、キレハはアイリの特技を今更ながら思い出す。
にっこり笑って掲げられたアイリの手には、使い込まれた細めの針金があった。
「……もう、いい。勝手にすれば」
諦めた様にキレハが呟き、ベッドの上のアイリを無視して弓の手入れを始めた。
弦の張り具合や弓本体の反りや歪み、傷を丹念に確認し、微調整を施す。
その様子をアイリは何も言わず、ただ何か言いたげに見つめていた。
「何よ。気が散るんだけど」
「ん?気にしないでー」
弓の手入れを終え、今度は矢の手入れに取り掛かるキレハだったが、
終始自分をじーっと見ているアイリが気になり、集中出来なかった。
「いつまで居座る気!?」
矢の手入れを終え、防具の修繕も終えた頃、キレハが遂に業を煮やした。
もうすっかり夜も更け、明日の探索に備え眠りに就く時間だ。
「一緒に寝ようよ」
アイリの突拍子も無い提案に、キレハは溜め息を吐く。
そもそも、アイリのやる事成す事はいつも突拍子が無い。
「帰りなさい。パリスも心配するでしょ?」
「今日は駄目なの!とにかく、一緒に寝よう?ね?」
どうやらアイリには何かしらの事情があるようだった。
「……わかったわよ」
事情を詮索するわけでもなく、キレハはアイリの提案を受け入れた。
2人では少し窮屈なベッドの上に、背中合わせに眠る。
空には綺麗な月が出ており、部屋を薄く照らしている。
「……キレハ姉、起きてる?」
不意にアイリが口を開いた。
「どうしたの?」
「ちょっとお話しようよ」
「何の話?」
「私の、お母さんの話」
アイリの母、レナの件についてはキレハも領主の館に乗り込む前、ある程度話を聞いていた。
レナは西シーウァの王家にとって、都合の悪い赤ん坊を拾った為に処刑された。
そして、その赤ん坊とはおそらく……。
「……どんな人だったの?」
確信に近い疑問は伏せて、キレハがアイリに尋ねた。
「 髪が黒くて長くて、肌も白くて、オハラさんに負けないくらい綺麗な人だったよ。
それでね、普段は構ってくれるわけでも、優しいわけでもないんだけど……。
本当はすっごい優しくて、私達をしっかり守ってくれた」
そこまで言って、アイリはキレハの身体を腕で包んだ。
アイリの細い腕には包帯が巻かれている。その下には、まだ真新しい傷がある。
キレハを黒い渦から引き上げた時についた傷。
領主の館に乗り込み、テオルやウリュウとの戦いでついた傷。
「ちょっとだけ、キレハ姉に似てた。雰囲気も、性格も」
アイリはキレハに、うっすらと母の面影を感じていた。
「……でも、私はそんな立派な人間じゃないし、アイリのお母さんの代わりにもなれない」
包帯の巻かれた腕の感触に、キレハは一抹の罪悪感を覚える。
その傷の幾つかは、他意は無かったとは言え自分の責任だ。
「そんなのいらないよ。でも、キレハ姉とはずっと一緒にいたい」
アイリの腕が、ぎゅっとキレハを抱き締める。まるで何かに縋る様に。
普段は気丈に振る舞い、いつもちゃらけて見せてはいるが、本当はとても不安なのだろう。
遺跡の奥に待っているもの。それは少なからず自分と関係があるものだとアイリは自覚している。
そして、それは同時に世界を覆う異変の原因でもある。
アイリはある意味、世界の命運まで背負っている様なものなのだ。
不安にならない訳が無い。そこまで彼女は強い訳じゃない。
「……私を助けてくれたお礼、なんて訳じゃないけど」
キレハもアイリを抱き締め、優しい声で呟く。
「アイリの事、何があっても守ってあげる」
彼女一人じゃ受け止められないのなら、自分も力になろう。
彼女一人じゃどうにも出来ないのなら、自分が手を差し伸べよう。
アイリが自分にそうしてくれたように。
キレハそう決心した。恩の貸し借りというだけではない。
かけがえのない、大切な人の力になろうと。
「……ありがとう」
その後は言葉を交わす事もなく、二人は抱き合ったまま眠りに就いた。
朝になり、仲間達がぞろぞろと集まり始める。
「おはよー」
「うっす」
パリスとネルが、珍しく一緒にやって来た。
どうやら、パリスの家の方向から二人揃って来たらしい。
そういう事かとキレハは納得したが、それにしては何やら様子がおかしい。
パリスはひどく落ち込んだ顔をしており、対するネルはひどく不機嫌だ。
「どうだった?」
アイリがパリスに駆け寄り耳打ちする。
「……下手こいた」
パリスは心底無念そうな声で応えた。
彼が下手を打つのはいつもの事だが、どういう方向でしくじったのかはわからない。
そこで、アイリは質問の矛先をネルへと変える。
「どうだった?」
パリスにしたのと同じ様に、アイリはネルにも耳打ちする。
「どうもこうも、もじもじしてるだけで何も無かった」
そして、二人揃ってパリスを軽蔑の目で見る。
「……なんだよ」
言わんとする事を理解しつつ、パリスが二人に近付く。
「寄るな!ヘタレが伝染る!!」
「あっち行けー!」
「うっせーよ!!」
アイリとネルの罵声に流石のパリスも反論する。
いつもと変わらない、賑やかな朝だった。
今日はいよいよ、今まで進めなかった遺跡の最深部へと突入する。
アイリはキレハ、メロダークとパーティを組んだ。
「準備は良い?」
アイリが仲間達に確認する。
「体調、装備共に問題無い」
母なる夜の剣を背に担いだメロダークがいつも通りの仏頂面で返す。
「こっちも準備万端よ。アイリこそ、忘れ物はない?」
キレハそう言って、これじゃまるで母親のようだと思った。
「もー、大丈夫だよ!キレハ姉ったら本当お母さんみたいだね!」
アイリに図星を突かれ、キレハは少しだけムスッとする。
でも、アイリの太陽の様な笑顔の前に、つられて笑顔になる。
「それじゃ、行きますか!」
アイリの号令と共に、彼女達はひばり亭を後にする。
ただ前を見て、遺跡のある森へと進む。
その奥で待っている、ろくでもない何かをぶっ飛ばす為に。
もう恐れはしない。どんな試練にも、どんな強敵にも屈しない。
一人じゃない。力強く、誇れる仲間達がいる。
アイリの目には、確固たる決意の光が宿っていた。
物語は幸福の内に終わるのが常って植草章吉さんが言ってた。
欝展開なんて最初から必要無かったんや!
ところで、ネタ思いついたは良いんだけど、俺の手に余る物だったのでここに落とします。
形にしていただくなり、ねーよwwwと一蹴するなり好きにしてくだちい。
・ふとした拍子にうっかり京都弁が出るテレ子ヒロインの学園パロ
・ふとした拍子にうっかり博多弁が出るキレハヒロインの学園パロ
・ウェンドリン、アルソン、フラン、テオルのドロドロ四角関係
・マナとテレージャのハードコアガチ百合
一体俺はどんだけしょうもない事考えて生きてるんだろうとちょっと不安になった。
お目汚し失礼しました。
乙、開いたらリアルで吃驚したwwお母さん乙といったらあれだ、別の人みたいだけど乙
どろどろ四角関係いいなあ…
テレージャのガチ百合はホントにガチだと思う、尼僧院で名を轟かせるほどにw
>>447 乙。なんか王道を攻めないカップリングの話多いね。だがそれが良い。GJ!
それと、テレージャキレハの方言ネタはけしからん。すぐ書くんだ!
451 :
1/3:2009/10/07(水) 16:03:02 ID:XiQjXlct
流れを読まずに微(妙に)ホラー&エロ風味 神官ルートだけどあんまり関係ない。最初に言うけど夢オチだよ?
※危機感知※
フラン「変態! 変態です!!」
テレージャ「また夜種王かね……たまには趣向を変えてはどうだい?」
日の光も星の明かりも風も吹き込まないとある洞窟の奥深く。
探索で疲れ果てた冒険者たちが簡素なテントを張って毛布に包まり、泥のように眠りについていた。
夢さえ入り込めぬその深い眠りを侵そうと、彼らの中の一人の枕元に闇より暗い悪夢そのものが這いずり寄る。
悪夢の名はタイタス。叡智と力と野望を持ち、忘れ去られた古の彼方からの復活を果たさんとする男。
不定形の闇となりズルズルと地面を這いながら、彼の中は奇妙な喜びで満ちていた。
これからもう一度名前を尋ねる。そしてそれに答えられなかった時、欲していた人間が自分のものになるのだ。
爆発しそうな喜びを抑えいよいよ目的の人物の枕元へ辿り着く。
地べたを這いずっていた悪夢は高く昇り、さざめく黒い波となって彼の身体を包み込む。
最後にして永遠の眠りとなるだろう彼に一抹の同情と、それ以上の喜びを抱きながらタイタスは彼の中に入り込んだ――
明るい朝だった。小鳥のさえずりが窓の外から聞こえ、優しい風が優しい色合いのカーテンを揺らしている。
そんな明るく、平穏な朝。なぜかタイタスはベッドの中にうずくまっている。
やがて、平和な朝に似つかわしくないおぞましいものが彼の顔を覗きこむ――。
「エーメークーちゃんっ、起きてよ〜☆ もう朝だよ?」
可愛らしいセーラー服がはちきれんばかりの筋骨隆々の禿頭の怪人が枕元に立って覗き込んでいる。
近い。目を見開いた顔が近すぎて吐息が頬に掛かる。
「早く起きないとイタズラしちゃうよ〜?」
やめろ。しかし身体は言うことを聞かずピクリとも動かない。
己の身体だというのに命令を聞かない、この恐怖はまだ幕開けに過ぎなかった。
「も〜、お兄ちゃんってば、いつもねぼすけなんだから。ぷんぷんっ」
黒眼鏡を掛けた醜く中年太りした男が口調だけは愛らしく怒りながら近づいてくる。
どこからともなく伝わってきた『義理の妹』という説明に、タイタスは長い生の中で初めて死を願った。
しかし死すら叶わぬ絶望を、これから味わうことになる。
「迎えに来てやったのに、いつまでも寝てるんじゃないわよっ!」
ドタドタと荒々しい足音を立てて、怪人と同じデザインのセーラー服を着込んだ壮年の逞しい男までやってくる。
怖い。厳つい顔をした男のセーラー服にミニスカート、紺色の靴下といういでたちがこんなにもおぞましいものだったとは。
泣き出したいのに身体は動かず、混沌とした恐怖は数を増していくばかり。
452 :
2/3:2009/10/07(水) 16:03:59 ID:XiQjXlct
「エメクさんを起こすには、肉体的な刺激が最適……とデータにあります」
「にゃは☆
それじゃあみんなでくすぐっちゃうのだ☆」
奇妙な鎧を被った小男がこれまた奇妙な機械を叩いてそんな事をほざきだし、それに禿頭と白い髭が見事な老人が賛同する。
宇宙人と猫耳メイドだと!? 暴力的とすら感じるほど理不尽な説明に、タイタスの理性と平常心はついに闇へと消え去る。
「んもう〜、エメクちゃんったらエッチ☆な・ん・だ・か……ぬぁん!!」
バリィ! と派手な音をあげて、怪人が己の筋力だけで着ていた服全てを破る。変態だ。
どこかの炭鉱の親方も真っ青なパフォーマンスにタイタスが唖然としていると、別の場所からも似たような破裂音が。
「こっ、この私がここまでしてるんだから、さっさと起きなさいよね!」
これまた、どこかの空賊の息子も裸足で逃げ出しそうなくらい思い切り自分の衣服を弾け飛ばした委員長が顔と潰れた耳を真っ赤にしてにじり寄ってくる。
「お兄ちゃんは妹としか思ってないかもしれないけど……あ、あたし……」
醜くたるんだ腹を隠しもせずベッドの縁に腰掛ける。
止めろ。まずお前が義理の妹という時点で全てが狂っている。
「エ〜メ〜ク〜」
「エ〜メ〜ク〜」
「エ〜メ〜ク〜」
全員が全裸になり、頭の後ろに腕を組んで腰を突き出してブラブラしながらベッドを、自分を囲んで威圧的な空気を作り出す。
腰を振りそこから垂れる立派な逸物が揺れるたびに彼らの威圧感は高まり、逆にこちらの自由は奪われる。
(や、止めろ!)
四種族の王と戦った時でもこんな理不尽な恐怖は覚えなかった。
古の時に圧倒的な強さを以って君臨した王が、今は悪夢に怯える子供と成り下がっている。
(ど、どうしてこうなっ……)
理由を考えようとして、これが乗り移ろうとした器――自分の子孫であるエメクの見ている夢だと行き着いて更にどうしようもない絶望に落とされる。
「エ〜メ〜ク〜」
子孫の名前を唱えながら、しかし意識は自分のもとへにじり寄ってくる恐怖たち。
恍惚とした表情に流れる汗がきらりと朝日を受け、さわやかな朝と近づく恐怖の温度差を改めて突きつける。
輪になり自分を囲み、相変わらず腰を振りながらグルグル回り始めた変態たちに、ついにタイタスは腹を括る……。
絶対的な力を手に入れ、神をも畏れぬ偉業をなし続けてきた男はガクンと肩を落とし、何かに詫びるように天を仰ぎ見る――
『……さらばだ世界よ。私は、お前を愛していたアッーーーーーー!』
453 :
3/3:2009/10/07(水) 16:05:15 ID:XiQjXlct
「エメク様、エメク様! 大丈夫です、起きてください」
揺すられてまどろみから目を覚ます。
見慣れた石の天井ではなかった事に一瞬戸惑いを覚えたが、すぐそばで自分を覗き込むエンダとフランに、探索の途中で野営をしたのだったと思い出した。
「おはようエメク。大丈夫か?」
「すごい汗……悪い夢でも見られたのですか?」
エンダの小さい手が自分の頬を撫でると、ぬるっと湿った手触り。フランから差し出された小さな手ぬぐいを当て、ようやく自分が物凄い量の寝汗をかいているのがわかった。
「夢、か……覚えてないや」
心配そうに覗き込む二人を安心させようと微笑む。
覚えていないのは本当だ。ただ、とても不吉な何かが同時にやってきたような、そんな覚えだけは心にしこりとなって残っている。
「僕なら大丈夫、それより朝ごはんにしようよ」
「ういうい!」
しかしそれらは消えた、もう蘇らない。悪夢を見たという感触も忘れてしまったら、もうそれで終わりなのだ。
元気よく賛成するエンダの頭を撫でながら、神官特有の第六感でぼんやりとながら平和を見る。
この探索も大した戦闘も無く終わるだろう。町に帰ったら異変は穏やかに収束し、やがて消えるのだろう。町は元通りだ。
アルソンは笑顔で復興を手助けしてくれて、テレージャは猫の手も欲しいとシーフォンを連れまわして遺跡探索、メロダークはわからないが……ラバン爺はぶらりといなくなってまたぶらりと戻ってくるだろう。
そしたら自分達町の人間は元の生活に戻るだけだ。パリスは相変わらずチュナに怒られ、ネルはデネロスを困らせる。フランは女中の仕事に精を出し、自分は神殿でエンダとアダ様の世話を焼く。
そう、これからの朝食を終え、町に戻れば元通りの――
「何にしようか? ネルがスープを作ってくれたっけ? それにアルソンのサンドイッチがあれば十分……」
「作っていただいたお料理、余ってたの全部悪くなっちゃってたんです……。
なので今朝は私が腕によりをかけてパンとシチューとプリンを作りました!」
屈託の無い明るい表情で小首を傾げて笑いかけるフランに、エメクも優しく微笑み返す。
そして平然と、目の前に迫る死を受け入れた。
――悪夢は、終わらない。
(さようならアダ様、町のみんな。僕は、みんなを愛していました)
===
マイナス(タイタス)×マイナス(変態たち)×マイナス(暗黒料理)=やっぱりマイナス。そんな話
いい加減夜種王頼みから卒業しなきゃとも思っているが、気がついたら書いてる。余、既に狂いたるか――
∩∧__,∧
ヽ( ゙'ω゙` )7
三三 `ヽJ 1 ,‐┘
三三`ヽ、_ ノ
三三`) )
※涙目逃亡タイタス1世想像図
GJwwwこういうのすごく弱いのwwww苦しいw寝違えてるのに笑いが止まらないww
>>453 エメクもご先祖様も救われねぇwwwwwwGJ!
例の夢のイベント見た時は本当に狂ってるとしか思えなかったwww
たまたまverうpのとき盗賊男であれが起こったから
チュナとかネルとかフランがどうにかなったかと思って泣いた
>>401の続きを投下します。
以下の要素が含まれますのでご注意下さい。
・シーフォンの一人称語り
・相変わらずきっつい仕打ちをかますフィー
・卑猥な話題で盛り上がる2人
・やっぱりエロシーン無し
「……ねえ、この本に出てるのって、
お尻も胸もおっきくて、顔の派手な巻き毛の女の人ばっかりだよね」
「あァ?……まあ、そういうモンだしな」
その手の本に色んな所がバインバインな女が出るのは定番じゃねえか。
そんな意味合いの事を説明したがフィーはいよいよ口をとがらせる。
いまいち言いたい事が掴みかねるが、
話の雲行きが怪しくなりつつある事だけはひしひしと感ぜられた。
「つまりシーフォンはこういう感じの人が好きなんだ」
「お、お前意味わかって言ってんのか?
そういう本を読むっつうか使うのはだな……」
「知ってるって。
……そういう事って、その、
す、好きな人を考えながらしたりするんでしょ?」
なんだそれ。なんだよその、僕の想像の埒外な恐ろしい発想。
というかどうやってだ!どうやってやれっつーんだ!
僕はお前の乳を揉むどころかパンチラを拝んだことすら無いぞ!
とツッコむのは流石にプライドが許さなかった。
そんな訳であまりといえばあんまりな発言に絶句してる僕を余所に
フィーのテンションはどんどんおかしくなっていく。
「だったらよそで胸の大きな人探して、
さっさとどうにかなっちゃえばいいじゃない……」
「いやちょっと待て、落ち付けフィー。
まずは深呼吸をだな」
「落ち着いてます。貧相な体型の女ですがわたしは冷静です」
あちゃー。
やっぱりか、やっぱりあれか。
前に棒手棒足だとかちょっとからかったのを、
未だに根に持ってるのかフィーは。
「胸もお尻も薄いわたしへの嫌がらせ?それとも当てつけ?
ええそうよ、わたしは痛くて木の椅子に直接座れないくらい肉が無いよ!
屈んで腕を寄せたって谷間が出来る気配もありません!
それがどうかした!?」
喋りながら怒りが増幅していくのが、ありありとわかる。
当人とアーガデウムで対峙した時に迫る勢いでおっかねえ。大丈夫かこれ。
始祖帝?あんなの屁にもならねえっつの。
「ち、違う。あれ事故。本当。当てつけなんてとんでもない」
「本当にー?」
気押された挙句にうっかり片言だ。僕ともあろう者が情けねえのな……。
とはいえ疑いが晴れたためか、フィーも多少は落ち着きを取り戻す。
「大体だなー。さっきも言ったが、
あの手の本は豊満な女を扱っているのが主流なんだよ。
それ以外も有るけど大抵がマニア受けだ。
だから僕の好みの女が本とそっくり同じな訳じゃ決して無い」
気を取り直してびしりと言ってやった。
正確には猥雑本の主流が何かについては見解の別れる所だが、
門外漢への説明故にそこら辺は省略しておく。
「それに本当に好きな相手でやるっつうのも正しくねー。
なんか物凄く申し訳ない事してるような気分になって逆に萎えるっつの」
若い僕の内面がえげつない欲望と野心だけで構成されてると思うなよ。
この程度の慎みは当然持ち合わせているんだからな!
「じゃあさ、
……わたしとかが元でもその、できる?の?」
えっ、そういう流れ?物の勢いって怖え。
「つ、使えるかよお前の事なんか」
どす黒い気がフィーから噴出する。
「待て!おしまいまで聞け!
──だから!
汚すようで申し訳ないからフィーの事は使えないって言ってんだよ!」
叫ぶと同時に、ミシミシと心の折れる音を、僕は確かに聞いたのだ。
物の勢いって本当に怖えー……。
せんずり、せんずりの話題から告白へ強引に繋がせるか。
ある種の恐喝じゃないのかこれ。
もはや身体を支える気力すら失せて三角座りを崩して横に倒れて転がった。
床の上だがかまやしねー。
そうでなくとも、もはやフィーの顔をまともには見ていられない。
……とはいえ、余りの反応の無さに流石に不安になって目線を上げる。
見えたのは椅子の上で足を抱えて顔をうずめるフィーの姿だった。
顔はおろか耳から首元から真っ赤になっている。
照れてるな。コイツ照れてやがる。
肌が白いからどこに血が集まってるのか一目瞭然だな。面白れー。
顔を覆って無言で身もだえするフィーを眺めながら
そんな事を呆けっと考えていた。
呑気に恥じらってるようだがこちとらプライドとか気位とか自尊心とか、
そういう方面のアレがまとめてズタズタだ。
まあ、悪い感じの反応じゃなくて良かった。
キモッ!とか言われなくて本当に良かった。
そう安堵してる自分自身に何よりムカツく。なんだこれ。なんなんだクソ。
──とてつもなく疲れた。本を回収してとっとと部屋に帰ろう。
そして泥のように眠って今日という日を一刻も早く思い出に変えてやる。
そんな固い決意とともにのろのろと立ち上がった。
精神的な疲弊が足に来てるのか足もとが若干覚束ない。
本を積んだテーブルまでやたら遠く感じるのはそのせいか。
……んな事どうでもいいな。貸していた書物を適当にかき集めて抱え込む。
「それじゃあ本、持って帰るからな。
そう言えばこないだの患者は結局大した事無かったらしいな。
良かったんじゃねえの?面倒な事にならなくて」
明らかにどうでもいい事をくっちゃべりながらでもないと間が持たない。
「……」
相槌くらい打てよコラ。
「シーフォン」
椅子の上のフィーがローブの裾を掴んできた。
突然の事に思わず抱えた本をドサドサと取り落としてしまう。
「──シーフォン」
「おい」
立ちあがって背後から腰に腕を回してしがみ付いてきた。
振り払う訳にもいかず、結果僕は身じろぎもできずに硬直する羽目に陥る。
服越しにお互いの体が密着する。それだけで心臓が早鐘を打ちだした。
「おいってば!」
狼狽して背中越しに呼びかけるが、
当のフィーは僕の肩口に額を当てたまま黙りこくる。
「……あのね」
ややあって、ようやくぼそぼそと喋りはじめた。
「えっと、そ、その、ああいう風に言ってもらえて、
ちょっと嬉しかっ、た……かな。うん、多分」
この期に及んで煮え切らねえ!──舐めてんのかこいつ。
動揺が徐々にムカッ腹へ置き換わりだした僕を余所に、フィーの語りは続く。
「だから、申し訳ないとか思わなくても別に、その」
「だったら──」
言葉を遮ると、身をよじって強引に背後のフィーへと向き直った。
「だったらどうして欲しいんだよ、お前は」
「あっ」
両肩を掴んでぐいと押す。
その勢いでたたらを踏むも、堪え切れずに背後の机に半ば腰掛ける体勢になったフィーを見下した。
「……ちゃんと、寝台でして欲しい、な」
「うぐっ」
脅しかけて適当にこの場から逃げ出す目算だったのが、逆方向への一押しになってしまったらしい。
激しさを増す一方の動悸が耳奥まで響く中、フィーの手に引かれるまま寝室へと向かった。
以上です。
次回で完結の予定。
乙
しーぽんは やっぱり へたれ
何百年後、廃墟に佇む竜帝エンダVS何一つ変わらないラバン爺
なんて思い付いたのはきっとロマサガ3のやり過ぎ
久しぶりに来たら良作ラッシュでGJが追いつかねえ!
>>437 オハラさん落とせてもいいよなあ。美人だ。
ひばり亭の若旦那(若女将)になるエンドもいいもんだ。
>>438 切ねぇぇぇ!
フィーは片想いだと思ってるけど、実はツンデレが通じてないだけだった…
みたいな感じするし切なくてやるせなくて鬱いいな。
>>443 すげえ!目の付け所がシャープだ!
キレハとレナを絡めてそう来るとは思わなかった!
>>451 あwんwたwとwいwうw人wはwww
人を笑い殺す気かwww
>>457 フィーッ!俺だーッ!結婚してくれー!
拗ねたり照れたりフィーかわいいよフィー。
ただの小ネタがこんな素晴らしいSSになるなんて嬉しすぎてどうにかなりそうだ。
>何一つ変わらないラバン爺
いや、パンツコレクションは増えていると思うぞw
SS職人さん達GJであります
外見が、だろう
それとも何だ、あまりに増えすぎてもう大量のパンツコレクションを身につけるレベルになってるのか
>>451 ワロタGJ
タイタスさんかわいそうですw
エロパロ住人としてはラバン爺さん最大の功績の一つに
あの世界にパンツが存在する事を証明してくれた事を数えないわけにはいかない。
そういえばruina世界の避妊ってどんな感じなんだろうな…
女主人公でエロ書く時とかに微妙に気になっている。
なし崩し系の流れで中出しさせるのがちょっと可哀相に思えてしまう。
出生的な意味で。
>467の「ちょっと可哀相に〜」っていうのはあくまで自分が書く場合には、って意味だよ!
なんか誤解を招きそうな書き方になってたんで念のため。
逆に言えば鬼畜展開の場合中で出されたショックもひとしおでよりオイシイ。
リアルでもまだゴムのない時代から魚の腸などで作られたコンドームはあったらしい。
あと、eraの避妊結界みたいな避妊魔法の類いもあるんじゃないかな。
最悪威力を最大限に落とした攻撃魔法で精子を…まあ鬼畜向けの方法だけど。
ファンタジーだから中出ししても妊娠しないんですよ
赤ちゃんはキャベツ畑で拾ってくる世界なんです
野菜怪物があなたの家の子になりたそうにこっちを見ている
我が家へ向かい入れますか?
>はい
いいえ
野菜を手に入れた!
>アイテムを作ってもらう
「まーかせて!」
>料理
>野菜
できそこないが産まれた!
こうですか?わかりません><
「キャシアス君。私だ。結婚してくれ」
空気が、凍りつく。
幾星霜の研鑽を重ねた賢者であっても到達できないと思わせる、魔法の一言。
氷結した部屋の中、テレージャの声だけが響く。
「知っての通り、古代遺跡とそれに付随する知識はそれなりのものだと自負している。
妻として、女としてだけではなく、なかなかお買い得だよ?」
まず女としての魅力からアピールしろよ、とツッコむような者は残念ながら声も無く固まってしまっている。
言われたキャシアスもはあ、と気の抜けた声を漏らすしかない。
「というのは半分冗談として。
キャシアス君は気付いていないだろうけど、君に惚れているのは私だけじゃなくここにいる全員だ」
爆撃。
その爆弾発言は、凍てついた空気を吹き飛ばすだけの破壊力を秘めていた。
「ちょっ、テレージャさん!いきなりバラすのはなしでしょ!」
「なしかい?それはすまなかった」
慌てるネルに、怪しげにメガネを光らせながらとぼける。
自分から言い出せない消極的な者がいればその分有利になるなどという計算は端から頭にない。
人数が多ければ面白い、という発想に基づいた暴露である。
あまりの爆発力に唖然としているキャシアスが、マジなのか?という視線をさまよわせる。
「マジ、だよ」
「……マジ、です」
ネルとフランが頷き、
「……」
頬を赤く染めたキレハが軽く目を逸らし、
「……」
チュナが決然とした表情で見返してくる。
どうやら、本気らしい。
いくら人の心の機微に疎いキャシアスでも、五人の真摯な態度が偽りのものでないことはわかる。
この非現実な状況を、納得はできないまでも理解はした。
エンダは聞かなくてもわかる。
「エンダはなー。キャシアスのためならかみついたりけっとばしたりひっぺがしたりしてやるぞ」
と思ったら、何やら主張している。
多少ズレてはいるものの、先のテレージャに対抗しているつもりだろうか。
「あ、あたしは今まで通り、キャシアス様に尽くし、お仕えします」
珍しく積極的に発言したフランもやっぱり何かがズレている。
「わたしは……うーん……?」
ネルも負けじと考え込む。
腕力。調合。鍛冶。ダウジング。
女の子としては相当ズレているものしか思いつかず、こちらも珍しく落ち込む。
「あの、わたしは家事ぐらいしかできないし、礼儀作法とかも全然わからないし、キャシアスのお嫁さんには相応しくないかも知れない。
けど、でも、これから、生活に余裕ができたから、これから色々勉強するから、だから」
若いのに、いや。若いからこそ真っ直ぐなチュナ。恋じゃなく憧れだなどという程度だとは到底思えない。
彼女もまた、恋する乙女の一人である。
「……ぁ……ぅ」
キレハが口を開きかけ、結局何も言わずに視線を落とす。
自身の血脈に対する負い目と、
それに由来する恋愛への躊躇と、
わかっていてもなお黙っていられない思慕の念と、
自分を律しきれないことへの戸惑いと、
去来する雑多な感情が彼女を悩ませる。
心に秘めたその想いを察するには、キャシアスはあまりに鈍感であった。
何より、六人の女性から同時に言い寄られるという事態に直面し、他人の心中にまで気を配っていられる余裕もない。
キレハどころか、他の面々の声もろくに耳に入っていないぐらいである。
しかし、自分に向けられた好意を有耶無耶にできるほどいい加減な性格でもなく、普段はあまり使っていない頭を全力で稼動させる。
・
・・
・・・
「おーい、キャシアスー?」
思考回路がショート寸前のキャシアスを、ネルの声が現実へと呼び戻す。
「まあ、今すぐ誰かを娶れという話ではないさ。もちろん、可能ならそれでもいいけれど……」
窺うようなテレージャに、首を横に振る。
「とりあえず、私たちの気持ちは知っておいてくれたまえ。
その上で選択するのは、君だ」
真剣な口調とは裏腹に、表情は実に楽しげである。
多重恋愛関係がどうこうということではなく、小説より奇なる現実が面白くて仕方がないらしい。
そんなことにもやはり気付かず、キャシアスは神妙な面持ちで頷く。
生まれ持った性格と生まれ育った環境が、他者を無闇に傷つけることを是としない。
「あまり長々と執務の邪魔をしてもよくない。そろそろ私たちは失礼するよ」
言いたいことを言い切って、テレージャがあっさりと退室する。
「じゃあ、またね。エンダー、帰るよー」
「おー」
ネルがエンダを引っ張っていき、
「え……っと、あんまり深刻に悩まないで。結論は急がなくていいから」
「うん。キャシアスを困らせたいわけじゃないからさ」
キレハとチュナがフォローを入れ、
「それでは、御用がおありでしたらお呼び下さいね」
フランが音もなく扉を閉める。
女三人寄れば姦しい、とは言うが、その倍。まさに嵐のような時間だった。
もはや目の前の事務仕事など手につかず、さりとてまとまるような考えもない。
乱れた思考の断片を寄せ集め、整理するだけで精一杯である。
記憶を一つ一つ辿っていき、始祖帝の見せた夢や幻でないことを再確認し、過去と現在だけがループして先へ進まない。
決定的に経験点が足りず、何を考えればいいのかすらわからない。
ホルムの乙女達の仁義なき戦いの初戦は静かに幕を下ろし、若き領主の眠れぬ夜が始まる。
――つづくんじゃないかなあ
キャシアスハーレムルート編第三話
ずっとテレージャのターン!
それぞれの立ち位置を俺が大体把握したので次回から猛アプローチ開始(予定)
・玉の輿を狙う隠れた大人の色香、オハラ
・愛ゆえに地獄から舞い戻った、レナ
・時空が歪んで捻れすぎた、ユリア
・カエルタッパーに愛を込めて、ルギルダ
・政略結婚のはずなのに……でもっ……ビクンビクン、パーシャ
・刺客を返り討ちにしたら惚れられたでござる、ウリュウ
あたりの参戦予定は未定
ネタがなさ過ぎるのでキャシアスと一緒に頭を抱えてきます
……そろそろキレハとイチャイチャしたい
r、ー- 、
,.-'": :|!`ヽ: : : : \彡: : >ー─ァ
: ,、: : |! }:::ゝ: : : : : : : : ヽ、: : ;イ
/ |_|! /: : : : : : : : : : : : : : :`く
` - ノ::: : : :/: : :/: : : : ハ: : : : : :ヽ
_/: :/: : /: :/:/、ヽ '" }: : |: : : :} いちゃいちゃ?私と?……ふーん……そう……
: :/: /: : /: リ弋ソ rテァ: : |: : : :| え?別に嫌とかじゃなくて……だから、その……
:,': /: |: : :ト、 〉¨イ: : |: |: :,' ああもう、勝手にしなさいよ!
: :/:/ |: ! \ -_,.イ: : : ://: :/
:/:彡 |: |'"´ ミ: : :ヽ: /:/:/ ノ
: :彡 リ ミ: : :|: :|/ノ'"
という訳で、
>>474GJ!参戦未定者にキュンときたのは内緒。
GJ!
>「エンダはなー。キャシアスのためならかみついたりけっとばしたりひっぺがしたりしてやるぞ」
エンダかわいすぎるだろおおおおおお!
ていうか全員かわいい
ネルは考えて黙っちゃうんだな…ネルー!俺だー!結婚してくれー!
↑スレチ失礼しました。。
>>467 江戸の遊郭で使われたのは、馬やらくだと同じ避妊方法で異物を胎内に入れて行います(馬は小石など)
リングと同じ原理で、当時は紙縒りなどを丸めて入れました。病気は防げませんが、妊娠はしなくなります
ものすごく古い例だと、エジプトの王墓から金で作ったサックが出土してます。副葬品で見つかっていないのは
ツタンカーメンくらいで、男性王族の墓からは必ず出ているそうですね。使い心地に関しては・・・どうなんだろ
結界の構成を奥にほどこすんでないかな
しかし、魔法を使えるほど理性を保っていないと危険な諸刃の剣
481 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/08(木) 18:03:10 ID:Z4tSbp5S
避妊結界っていうと葉路を思い出すなぁ
>>479 「王族の副葬品」の文字で墓所玄室でドロップとか連想したのは俺だけでいい。
もしキャシアス・ヴァン・アベリオンの三人でランダムダンジョンに行ったらという小ネタ。
例の悪夢イベント。
「もー、お兄ちゃんってば、いつもねぼすけなんだから。ぷんぷんっ」
悪夢の中で、「義理の妹」が近づいてくる。
(義理の妹…だと…)
アベリオンは激怒した。
なんだ「義理の妹」って。義妹といえば聞こえはいい。
だが、義妹なんて偽妹じゃないか。
やはり妹と名乗る限りは実妹に限る。
不安そうにこちらを見上げた妹に「お兄ちゃん、私のこと、好き?」とか尋ねられ
「当たり前だろ、俺たちは家族なんだ。お前が一番だ」と返すときどうするんだ。
「兄さんとお前には同じ血が流れてる。どんなに離れても兄さんとお前は一緒だよ」
これこそ妹の醍醐味だろ!他人には踏み込めない家族の絆ってヤツだろ!
「お兄ちゃん、気になる男の人ができたの…」なんて相談されたときの微妙な心情をどうするんだよ。
そいつへの怒り、殺してでも阻止する、ああ、でも妹ももう子供じゃないのかという嬉しさと寂しさを感じながら
決して消えない血の絆を噛みしめ、そいつには越えられないアドバンテージの存在を再認識しつつ
それでもやっぱり大事な妹はただでは渡せない、殺してでも奪い取る位の気概で来い!
なんて思いながらも血の涙を心で流して成長の喜びとともにそっと妹の幸せを祝福してやる…
ここまでが兄の醍醐味じゃないのか!義理じゃ意味がないそれじゃただの同居人、ただの幼馴染でしかねーよ!
幼馴染はいまいただろ、重複してんじゃねー!!
幼馴染…そうだ。いや、むしろそっちこそ重要事項だな。
兄妹同然に育った幼馴染。ずっと、妹みたいなものだと思ってた。
でも、ある時からだんだん、お互いに男友達、女友達とばっかり遊ぶようになって距離ができるんだ。
で、ある日ふと気付くとお互いの距離がずいぶんと広がってて、他の友達より近くて遠い存在になって
普通に喋りながらいつの間にかふとした瞬間に気まずくなって、視線を逸らしたりなんてして、
「…いつからかな。わたしたち、いつから一緒に遊ばなくなったのかな…」
なんて呟く横顔を見ると、いつの間にか記憶よりずっと綺麗になってて、ああ、妹じゃないんだ…なんて実感したり
いつの間にかお互いに知らない知り合いの数が増えてて、「もうあの頃には戻れないのかな…」
なんてため息をそっと抱きしめて
「戻らなくていいじゃないか。これからも、新しい思い出を作っていこう」
って言うと、うん…みたいに小さく頷いたりするんだよ。
そうだよ!幼馴染はこういう微妙な距離あって幼馴染なんだよ!
偽妹なんてどっちの旨みもない中途半端な存在じゃないか!
そんなものでこの俺の心がかき乱されるとでも思ったのか!
夢魔よ!去れッ!!
「うるせーよ!野営中に大きな声出すんじゃねえ」
突如起きあがり、やおら仁王立ちになって叫ぶアベリオンに
気を張りながら見張りをしていたヴァンがツッコミを入れた。正直ちょっと驚いた。
「あ…悪い」
「寝不足の魔術師なんてただの足手まといだからな。とっとと寝ろ」
「サンキュ。ヴァンも休めるだけは休んどけよ。…ああ、この辺りは夢魔がうろついてるようだ。寝るときは気をつけろ」
「ああ」
頭は抜群にいいのにアホな幼馴染が寝袋に戻っていく。
お前、自分の魔力きっちり自覚しろよ。無意識で念話してたただろ、お前の心の声丸聞こえだぞ。
ヴァンは苦笑した。幼馴染は幼馴染でも、男じゃ有り難みも何もねーな。
だいたいだ。義理の妹の何が悪い。
家族でありながら、他人。他人なのに家族。
このアンビバレントな矛盾をはらんだ危うい存在だってことが、義理の妹の良さってもんなんだぞ。
ヴァン兄さん。
今は兄としてそう呼びかけてくれている。
でも、それはいつ崩れる?いつ、「兄妹」が「他人」に変わる?
いつ、血の繋がりがないことに「意味」が生まれる?
それでも、家族なのだ。対外的にはずっと。
恋人です、と紹介して何も問題はないはずなのに、それが叶わない。
「俺の特別」にして何も問題はないはずなのに、それは禁じられている。
そんな理不尽さともどかしさを抱えながら、家族でいられればそれでいい。
お前はかけがえのない大事な家族「俺の一番」だよ。
そんなささやかな喜びを噛みしめる。そんな義理の妹の良さがどうして分からないんだ。
野営の火と、寝付き3秒の天才アホ幼馴染を視界の端に入れてヴァンはぼんやりとそういうことを考える。
「…ヴァン、交代しよう。お前もそろそろ休まないと辛くなるぞ」
危険なものではないと即座に判断したのだろう、あの仁王立ち絶叫も気に留めず
休んでいたキャシアスが剣を手に起きあがってきた。
「悪いなキャシアス。遠慮しねーぞ」
「ああ。その分きちんと働いてもらう」
幼い頃から人の上に立つことを宿命付けられていたセレブ幼馴染の物言いは、不思議と神経に障らない。
「さすがに伯爵令息はしっかりしてるなそういうとこ。じゃ、後は頼んだぜ」
「おやすみ」
傍らに愛用の剣を置き、身体を休める幼馴染たちを見守りながら若き騎士は思った。
幼馴染の良さ、それはよく分かる。家族同然に育ちながら結ばれるまでに障害がある、その良さもよく分かる。
だが…やはり妹属性より、姉属性が最強だろう。
以上。
>>483 ワロタ
強すぎるだろと思いきやこの3人組はw
>>483 OK GJ!
笑わせてもらったw
それぞれ、ネル、チュナ、フランのことかねw
あと、最近の話題になってる悪夢って何ぞや?
ランダムダンジョン行かないと見れないのかね?
ランダムダンジョンの特殊イベントだな
中々強烈な悪夢だよ
あれと真の王には夜中なのに大声出してしまったよ
>>483 タイタス八世「いや、そこは“血の繋がった姉と弟”に萌える所でしょ!?」
タイタス九世「義理だとか、妹だとか、そんなの邪道だよ!」
バーロー様にタイマン張ったらヴァンが王剣一発で天に召された件について。
・賢者男×キレハ グッドEDで町を出た後
・旅に出た先の、何処ぞの宿屋
・嫁のイメージ崩壊注意
それでは、どうぞ。
「アベリオン、いつまで寝てるの?」
部屋のドアを何度もノックしても、あいつは起きてこない。
久々にちゃんとした寝床にありつけて嬉しいのはわかるけど……。
流石に、いい加減に起きないと昼になってしまう。
「……もう。入るわよ?」
このままじゃ埒が明かない。私はアベリオンの部屋に押し入った。
……鍵くらい掛けておきなさいよ、馬鹿。
彼は部屋のベッドで、幸せそうな寝顔で寝ている。
そのあどけない寝顔に、つい悪戯してしまいたい衝動に駆られる。
眠る彼の手の側に、一冊の本が落ちている。
『簡単!男の料理本』というタイトルの本だった。
中身を見てみると、簡単な料理といかにも男の料理といったもののレシピが幾つも書かれていた。
その中の何ページかには、ペンで印が付けてあった。
印のついているのは、どれも私が好きな料理のページだった。
覚えていてくれたんだ。……作ってくれるつもりなのだろうか。
よし、知らないフリしておこう。
それはさておき、起こさないと。
「アベリオン、もう起きなさ……い……?」
彼の枕元に、もう一冊本があった。
……所謂、男の聖書だった。恋人としては、正直腹立たしい。
でも、どんな本を読んでいるのだろう。
前に見た本は本人も意図せず貰ったものだったらしいけど、今回のはどうも違いそうだ。
……簡単に中身を説明すると、拾った捨て猫が人間の姿になって色々ご奉仕をする。
そんな内容だった。
もし私を好きだと言ってくれてる理由のひとつがこういう事だったら、少し幻滅する。
……あ。そういえば、確か荷物の中にあったわね。アレ。
――――……
「にゃーにゃー。朝ですよー」
目が覚めると、猫耳フードを被ったキレハがいた。
ああ、寝坊しちゃったのか……いやいや待て待てちょっと待て!
念の為、キレハの額に手を当ててみる。次に自分の額。うん、平熱だ。
「何よ」
「いや、熱でもあるのかな?って……」
どうやら、それは彼女にとって屈辱的な仕打ちだったらしい。
「ある訳無いでしょ、馬鹿!」
顔を真っ赤にしたキレハに、頭を小突かれてしまった。
「なんでそんなの被ってるのさ?」
「自分の胸に聞いてみれば!」
完全に怒ってる。自分の胸……自分の……?
「あーーー!キレハ、お前勝手に人の本読むなよ!」
「そっちこそ、そんな本読まないでよ!とことんシーフォンと同レベルね!」
あんな趣味悪い本読んでる奴と一緒にして欲しくない。
でも、それは言わないでおこう。これ以上は不毛な言い争いだ。
「……悪かったよ。こんな本読んで」
そういえば、もっと読まれちゃ困る本も読んでたけど……俺の作戦、バレてないのか?
「あのさ、アベリオン」
改まった様子で、キレハが口を開いた。
「私と付き合ってるのって、そういう趣味だから?」
そういう趣味……ああ、そういう事か。
「違うよ。俺はそんなのに興味があってキレハの事が好きって訳じゃないよ」
「本当に?」
「うん。そんなの関係無しに、キレハが好きだよ」
俺は朝っぱらから何を言ってるんだろう。
「……でも、こういうのも好きなんでしょ?」
そう言って彼女はもう一度猫耳フードを被った。……正直、否定は出来ない。
「じゃあ、今晩これ被ってしてあげようか?」
「え!?」
「……じょ、冗談よ?間に受けないでよ。馬鹿……」
結局その日の夜、俺は猫耳キレハににゃんにゃんされる事となった。
おお、長編wktk
あと聞かれてもないのに攻略言うと、王剣は妖精の薬で軽減可能っすお。
(3割しかカット出来んけど)
タイマンなら雷耐性、停止耐性、(あれば)重耐性の装備をして、
妖精の薬、竜の薬、小人の薬、巨人の薬を飲むのがポインツ。
それで死ぬことはまずなくなるんで、まったり再生術しながら気長に攻撃かな…
みなさんGJ
>>494 飲む順序間違えたり停止すると死ぬ。ソロは怖いお・・・
496 :
1/3:2009/10/09(金) 19:19:12 ID:IhH9cLCQ
>>489 全力で大賛成
>>490 お茶目さん&長編GJです!
二人ともかわいい
>>451をキャスティング変えて再挑戦(二番煎じ) 微妙なエロのちオチ
※危機感知※
この先、ちょっぴり危険
明るい朝だった。小鳥のさえずりが窓の外から聞こえ、優しい風が優しい色合いのカーテンを揺らしている。
瞼を閉じているのに手に取るようにわかる明るく、平穏な朝。エメクはベッドの中にうずくまっている。
やがて何かの影が顔に落ちる――。
「エメクー、朝だよ? 起きなよ」
この声はネルだ。意識をそちらにむけるとドアを開いた彼女がおずおずとこちらへ向かってくる。
……なぜ彼女は全裸を解いた髪で隠しているだけの格好なのだろう? 口を開きたくとも、ぴくりとも動かない。
「起きないといたずらしちゃうよー?」
むにゅっ、と左腕に柔らかい感触。豊かな胸の谷間に腕を挟みこみ、ネルはゆっくりとエメクの寝巻きの裾に手を伸ばした。
するするとたくし上げ、現れた腹部に顔を近づけて舌を這わせる。熱くぬめったそれが何度も、じらすように往復する。
(うわ、うわわ……!?)
生まれた時からずっと神殿で育ってきたエメクは晩熟で、性の知識すらあやふやなものしか知らない。パリスの猥談ですら流せない程だ。
そこにこんな直接的な刺激を、しかも親しい友人から与えられては理性が危うい。
首元まで服をたくし上げ、尖らせた舌で乳首を刺激されながら抵抗を試みるも、相変わらず身体は動かない。
「エメク君をその気にさせるには肉体的な刺激が一番……というのはデータに頼るまでも無く、古今東西男の性だね」
紙のめくれる音がした。こんな理屈的な喋り方をする女性は一人しかいない、テレージャだ。
これは日頃、『君は堅物すぎる。もっと遊んではどうだい?』と神官らしからぬアドバイスをしてくる彼女の仕業かと苛つきながら目をやると、彼女もまた奇妙な格好をしていた。
「あ、口調忘れてた。えーと……『だっちゃ?』 妙な資料を引っ張り出してきてしまったなぁ」
面倒くさそうに頬を掻く彼女の頭には小さく可愛らしい角が二本ついたカチューシャがはめられ、いつもの巫女服は虎縞のビキニと代わっていた。
小さな布では豊満なバストを隠しきれず、たっぷりとはみ出た下乳が淫靡だ。
「ふっふっふ。どこまでその無口で変わらないお顔を保っていられるかな?」
497 :
2/3:2009/10/09(金) 19:20:00 ID:IhH9cLCQ
身体を嘗め回すネルの反対側に陣取り、腕にたぷんと――明らかにわざとだ――胸を乗せる。
ひんやりと冷たいそれと自分の体温がじわじわと混ざり合って、境界が曖昧になっていく。両手で頬杖をつき、あからさまに胸を強調するイタズラな笑みに、怒りが別の感情と摩り替っていく……。
「あ、あのテレージャ様……本当にこんな……」
「ああ、似合っているじゃあないか」
足元からおずおずとしたフランの声。意外な人物の登場に目を向け、そして声にならない悲鳴を上げる。
「あうぅ、恥ずかしいです」
清潔な白いエプロン。はいつも通りなのだがその下が違う。明らかに裸エプロンだ。しかも白いカチューシャに猫耳まで着いている。
「堅物君には勿体無いなぁ。私が食べちゃいたいくらいだ」
「きゃんっ!」
テレージャが指を伸ばし、布一枚だけで無防備な胸の先を突付く。可愛らしい悲鳴があがり、なだらかだったエプロンが小さな二つの突起でつんと盛り上がる。
「さ、フラン君も位置について」
その言葉に顔を真っ赤にしながら頷いて、ゆっくりと足元に座り込む。
「エメク様……、失礼します」
丁寧に頭を下げてから腰に手を伸ばし、下穿きに手をかける。このままでは降ろされるのは時間の問題だ。
まずい。
「エメクぅ……」
ネルの舌は首筋を這い、徐々に口元へ近づいてくる。右腕に当てられる上気した肌の熱さが溜まらない。
「エメク様……」
乗り上げて屈みこむフラン。エプロンと身体の間に隙間が生まれ、ちらちらと小さな胸が覗き見えるのが劣情を誘う。
「エメク君……じゃなかった、ダーリン」
ニヤニヤとした笑みが癪に障るテレージャだが、当てられた胸の柔らかさに全てがどうでもよくなってくる。この女、絶対わかってやってる。
何とか抵抗しようとも出来ず、むしろ段々とこの状況を歓迎し出している自分に愕然とするエメク。
そんな彼の複雑な男心など露知らず、彼女達の手はどんどんと伸び、そして――
「おいエメク、起きろ」
ぱちりと瞼を開けると溜まっていた汗が額を伝って流れ落ちる。
視界に入ってきたのは見慣れた神殿の石天井ではない。ゆらゆらと熱気が揺れる、見知らぬ洞窟だった。
(夢、か……)
まとわり着く熱気に辟易としながら右手で汗を拭う。そしてゆっくりと昨夜はパリス達と一緒に探索に出て、そのまま野営したのだと思い出す。
498 :
3/3:2009/10/09(金) 19:21:59 ID:IhH9cLCQ
「うなされてたぞ? まぁこの暑さだもんな」
携帯している水筒に口をつけごくごくと中身を飲み干すパリスの背中に淫夢に取り込まれる寸前に助けてくれたことへの感謝と、年頃の青少年らしい『空気読めよ馬鹿野郎』という相反する二つが複雑に交じり合った思いを抱きつつ、起き上がろうと手を着く。
まだ身体は寝ぼけているようだ。熱気がまとわりついて重苦しい……。
(ん……?)
……この重さは空気やダルさといった抽象的なものではない。確かな存在感を伴ったそれだ。
自身の左側にまとわりつく熱と重みの正体を考えるうち、ある事実に行き着く。そういえば、昨日はあと誰と来ていた?
身体が言うことを聞かない。頭は見たくないと拒否しているのに首はゆっくりと、ぎこちなく動き、瞼が上がったまま壊れてしまったかのように目を見開いている自分がいる……。
そして、暑苦しい朝に相応しい、おぞましいものが目に飛び込んでくる――。
「む、起きたようだな」
エメクにぴったりと寄り添っていたメロダークがおもむろに口を開く。
全裸で。
「う、うわああああああああああ!!!」
「うなされていたぞ。
私が幼い頃も、悪夢にうなされては母がこの様に添い寝してくれたものだ……」
無口な傭兵が珍しくしみじみとした口調で過去を語っているが、狂乱の渦に落とされたエメクはそれどころではない。恐怖に駆り立てられるまま、水気を失った喉を震わせて悲鳴を上げる。
「しかし暑いな。こんな中で服を着て寝るなど言語道断だ」
「うわああああぁぁあぁぁあああああああああ!!!!」
意識がグルグルと回って落ち着かない。
あの日見つけた洞窟の入り口、アダの厳しい教え、仲間との出会い、テレージャのおっぱい、ギャランドゥ、皇女の悲痛な表情、チャンピオンのビキニパンツ
エンダの躾、パリス……さっき『馬鹿野郎』とか思ってごめん……でもやっぱ死ね、ポララボ、石に閉じ込められた子供たち、ネルのおっぱい
新しく増えた墓石、スネ毛、四種族の王、マーメイド、フランの裸エプロン、……そして全裸のオッサンに添い寝されてたという、残酷な事実!
「うわああああぁぁああああああああああああ!!!」
「そんなに怖ろしい夢を見たのか……」
(……どうしてこんなのが仲間なんだろ、俺)
壊れてしまったエメク。壊した自覚のないメロダーク。遠くを見つめるパリス。これでまともな探索が出来るはずもなく、一向はすぐにホルムへ引き返した。
この後エメクは高熱を出してうなされながら生死の境をさ迷い、より晩熟になったという。
===
信じられないだろ?これでも一番好きな男主人公、エメクなんだぜ自分……
エメク!どうした応答しろ!エメク!エメクーーーー!!
優しさが思いっきり裏目に出たメロさんかわいいです。GJ!
>>498 ひぎいいい!
最初のすがすがしい朝で油断したっ・・・!注意を忘れた・・・!
涙交じりの乙っ・・・!
頭痛がするので、テレージャさんのたわわな下乳でおでこを冷やされたい
歯みがきこのんじゃったじゃないか!!!このやろう!!
GJが全然追いつかん
>>493 光速でブクマした
長編期待
>>496 せっかく久々にエロエロしいのが来たと思ったのにっ…
阿鼻叫喚ww
GJ追いつかねえ!
>>483 ワロタw
ネルとフィー?がなんかかわいいな。
全部アベリオンの妄想だけどww
>>493 GJ!さっそくブクマした!
>>498 なんてこったwww
なんてこったwwwww
GJだが…Noooooo!
機をうかがう内に完全に逸してしまった感がありますが
大神殿ED1年後くらいに神官三人組がどうしてこうなった話
・雰囲気は暗め
・前半レズ後半3P
・神官コンビが割と鬼畜
──どうして、こんなことになったんだっけ……
わたしは半ば眠りの中にいるかのようにぼんやりと、繊細な組み木で支えられた天井を眺めながら、ふと思った。
しかし霞がかかった頭では思考に集中することができず、ただ柔らかな心地よい寝台の感触がわたしを暖かな海に引き込もうとしている。
外は冬、もはや何一つ身にまとってはいないというのに、肌はむしろぽかぽかと火照って外気など気にならなかった。
「ん、む……」
不意に、柔らかくぬめるものが唇へ押しあてられ、開かされた口蓋をさらに熱いものが這い回る。
「んん……」そのままむき出しの身体に伸びてきた手が巧みに肌を探りはじめ、わたしは呼気を乱して身をよじろうとする。
けれど奇妙な浮遊感と倦怠感に包まれたわたしの体は、鈍い動きでわずかに身じろぎしたにすぎなかった。
「ん、ぁっ──」
やがて、ちゅっと濡れた音をたてて重ねた唇を離すと、わたしの上に覆い被さる影は優しく微笑みながら頬をなでてくれた。
「──思った通り、君はとても可愛いね、マナ」
見上げる私の潤んだ視界で、にっこり微笑む新緑の瞳。
「……テレージャさん……」
けっきょく、神殿は災厄の源である遺跡を押さえることができなかった。
テオル公子によって樹立された新生アルケア帝国は日々勢力を拡大し、とりわけ西の戦線には多数の戦闘機械が配備されているという。
アーガデウムと名を変えたかつての故郷は急速に新首都としての成長を遂げ、遺跡周辺は直轄領として厳重に守られているらしい。
西シーウァはもちろん、それに与するユールフレールもまた、反帝国勢力としてネスとの往来を厳しく制限されるようになった。
──とはいえ、これらは全て伝え聞きで、日々のほとんどを大神殿の中で過ごすわたしには詳しい情報はほとんど知らされない。
この異郷に来てはや一年近く、当初の幽閉状態はだいぶ緩和されつつある。
けれど、今やわたしの監視役という立場にあるメロダークさんにいくら訊ねようと、戦局について彼の重い口が開かれることはなかった。
……そんなある日のこと、思いもよらぬ友人がわたしの元を訪ねてきてくれた。
「神殿が本腰を上げるとなれば、文書局も使えなくなってしまうからね。今のうちに史料の複写をしておかないと」
──まったく戦なんてものは学問の天敵だよ、とかつてと変わらぬ声で愚痴をこぼす。
彼女はシーウァの出身であったためアルケアにとどまることができず、最近はもっぱら文献の調査と整理に力を注いでいるという。
寡黙な神官戦士の他に親しいといえる人もいないわたしにとって、彼女の訪問はひたすら嬉しく、懐かしかった。
誘われるままに外出許可をとって食事に出かけ、解放感に後押しされて不慣れな杯を酌み交わして、
……それから……?
「おや、大丈夫かい、マナ君? 今日はいろいろ連れ回してしまって、すまなかったね」
「そんなこと……」
「この近くに宿をとってあるんだ。よければ、休んでいきたまえ」
「いえ、そんな──」
と、断りかけようとしたとき、わたしの鼻先を甘い香りがかすめた。
そう思った矢先に体から力が抜けて、側にいた彼女にもたれかかってしまうような形になる。
「……ああ、ほら、やっぱり具合が悪いんだろう。遠慮はいいから、一緒においで」
──おいで、マナ……
いたわるように耳元に囁きかけられた言葉が、どこか現実感を失った感覚を押し退けて響き、わたしはこくりと頷いていた。
既にはだけられたわたしの衣服を、彼女のしなやかな手が手際よく脱がしていく。
同時に彼女自身も巫女装束を脱ぎ捨てており、たわわに実った白い乳房が目の前で揺れた。
わたしに覆い被さる姿勢では、形の整ったきれいな胸乳が強くその存在を主張して、少しの動作でもふるふると揺らめく。
思わず火照った顔を背けると、彼女はくすりと笑んでこちらの首筋に柔らかな唇を這わせてきた。
──どうしたんだい、と耳元で問われ、わたしは思わず閉ざした瞼を震わせる。
「だって……、はずかしい……」
彼女のそれとは比べるべくもない自らの胸元を隠そうとするも、その両手はあっさりと掴みあげられて敷布に縫いとめられる。
そうして無防備になった上体に、ぴたりと裸身を重ねられると、その豊かな胸がわたしの胸部を限りなく柔らかに包みこんだ。
温かい肌が、さらにはその頂点の蕾が擦れあい、なんともいえない感覚が体の底から沸き起こってくる。
「何が恥ずかしいものか。きみは綺麗だよ……それにこんなに感度が良くて、可愛らしい」
「ん……でも、んっ」
反論しかけた言葉は、徐々にわたしの体を下りていく彼女が胸先の突起を口に含んだことで途切れてしまった。
「私は君の方が羨ましいけどなあ。下手に量があっても邪魔になるばかりだからね……まあ、お互い長所を活かせばいい」
両手でわたしの体の線をなぞりながら、珍しく低くこぼすように言い──その指が最後に残されたわたしの下着にかけられる。
「あ……テレージャさん…、そこ、は──ぁんっ」
薄い布地の上からもっとも敏感な部分を探りながら、彼女はおやという顔をした。
「マナ、君は……?」
そのまま、いささか強引に下着が引きずりおろされて。
──ほぅ、という吐息が、わたしのおなかを直に撫でた。
「あっ──いや、やあぁっ……!」
あっけなく暴かれたわたしの秘所は、今やあますところなく彼女の目に晒されていた──文字通り、最低限の場所を隠す薄毛さえもなく。
「やだっ、やだぁ……見ないでください──みないでぇっ」
誰にも見せられない、後ろの方まで丁寧に剃り上げられた部分をまじまじと観察されているのが分かって、わたしは混乱してもがきだす。
しかし彼女はいとも簡単に抱擁でもってわたしの抵抗を封じ込めながら、あくまでも穏やかに耳元に吐息を吹き込んできた。
「いい子だ、マナ……君は君自身について、何一つ恥じることなどないんだよ」
ゆっくりとあやすように言いながら、頭を優しく撫でられる……
そのうちに、わたしは彼女のぬくもりとあの甘い香に包まれて徐々に落ち着きを取り戻していった。
「──"彼"が、してくれたのかい?」
まどろみに近い乳白色の海にただよいながら、わたしは頬を染めて頷く。
それを受けて一瞬黙り込んだ彼女の顔を、わたしは見ることがなかったけれど、次に口を開いた彼女は常の剽悍さを取り戻していた。
「なに、本当に特殊というわけでもないさ──アルケアの貴婦人も、恥毛を除去する習いがあったらしいからね」
……アルケア……
その単語に、わたしの意識は急速に浮上しかけた。
……アルケア。わたしの故郷。皇帝の器。わたしは逃げ出した……
「マナ!」
──テレージャさんに強く名前を呼ばれる。
彼女は裸で、額同士をくっつけて正面から視線を合わせながら間近で繰り返した。
「私を見るんだ、マナ。マナ……」
「ぁ……っ」
同時に下腹部にのびてきた指先が局部の割れ目をなぞり、幾度も往復しながら少しずつ奥へと入りこんでくる。
思わず声をあげて身をよじりながら、再びぼんやりとにじむ視界には彼女以外のものが入らなくなってきて……
「ひぁんっ!!」
包皮の中の芽に触れられ、さらにいつの間にかこちらの下腹に顔を埋めた彼女の舌先でつつかれて、わたしは途端に大きく体を震わせた。
「そう、もっと感じて。いまは、何も考えなくていい……」
そう言うと彼女はより大胆にわたしの両脚を広げ、何一つ隠すものなくさらけ出された大事な部分をいっそう押し開いていく。
器用な指先で薄皮を完全にめくりあげられ、ほとんど触れられてもいないのに熱を帯びている核が、彼女の薄紅色の唇の中へと含まれる。
無防備にされた芽はすぐに熱い舌でもって絡めとられて、唾液をふんだんに塗り付けられる一方で──いきなり強く吸い上げられた。
じゅっ! と濡れた音が局部から響き、途方もない刺激に不意打ちされたわたしは反射的に身体をのけぞらせる。
「ぅぁっ──ゃんっ、ひあああっ!!」
続けざまにゆるく歯をたてられて固定され、その上さらに舌先でこねまわすように押されながら口全体では逆にすすりたてられてしまう。
わたしは一気になにも分からなくなって、ひたすら腰をよじり、痙攣させるばかりだった。
けれど彼女は必死に逃れようとするわたしを解放するどころか、恥丘全体を頬張るようにしていっそう深く敏感な部分にかぶりつく。
他方では片手をその下の裂け目にあてがうや、浅くわたしの中へと指を沈めてきた。
「んむ……っ、ちゅ、んん、」と、猫のように喉を鳴らしながら、より奥深くへとその指先を進めてくる。
「あぁ……んっ」
深く、ふかく、もっと奥へ……ああ、もう少し──
内部へ入りこんだ巧みな動きに気を取られていると、彼女は唐突にその上部に吸いつく口を離し──
かと思えば、局所を押し広げる指で突起を摘みあげられ、きゅっと捻るような力を加えられた。
「ぃあっ、ふあうっ、んああ──ッ!」
……そしてわたしは、あっけなく最初の頂点を極めさせられてしまったのだった。
「可愛いね、マナ……ああ、君は本当に可愛らしい」
火照った体を押さえようもなく震わせながら、浅く乱れた呼吸を繰り返すばかりのわたしを抱きしめ、テレージャさんが優しく告げる。
けれどその手はこちらの身を絶えず撫で続け、いったん帯びた熱を収めることなくさらに燃え立たせようとしているかのようだった。
「は、ぁっ……ん、はうっ」
一度達したというのに、体内を渦巻く熱いものは冷めるどころかますます勢いを増してわたしをさらなる彼方へ追いやろうとしている。
それを抑えようと横向きになって背を丸めても、股間をまさぐる手からは逃れられないまま。
くちゅくちゅといういやらしい水音と共に訪れるさざ波は、早くも次なる高みへとわたしを導こうとしていた。
「あ、あぁぅ……あ、っあぁ、ゃぁあ……っ!」
「いい子だね、マナ……さぁ、もう一度、君の可愛いところを見せてごらん」
ほら、ほら、と言葉と仕草の双方で煽られてせき立てられる。
声を殺そうとした口にするりともう一方の指が差し入れられると、わたしは滴る唾液を抑えることすらできずに鋭く背筋をひきつらせ──
ほとんど間をおかずに、彼女の手によって二度目の誘いに屈してしまった。
「ん……ッッ、あぅ、あぁっ──うあ、あああぁ……!」
とぷん、と己の秘部から熱い粘液のかたまりが吐き出されるのを感じながら……
わたしは降ってきた唇に吐息さえも奪われて、ただ小刻みに震えることしかできなくなった。
──もはや首さえも動かす気力をなくしたわたしの全身に、口づけの雨を降らせたあと。
彼女は横向きになったままのこちらの片脚を抱えあげ、膝を抱きしめるような形でゆっくりと腰を落としてきた。
……脛のあたりを両の乳房に挟まれて、大きく開脚させられた太股の内側に、彼女の秘部が触れる。
「あ……」
丁寧に形が整えられて手入れされているらしい、その髪と同様にさらさらとした彼女の細やかな下生えが擦れる感触。
その奥で、秘めやかな部分もまたぴったりと押しあてられているのが分かる。
やや湿り気を帯びた開口部がさらに強く内腿に押しつけられ──彼女はそのまま腰を上下に揺らし、そこをこすりつけてきた。
「あぁ……テレージャ、さん」
その花唇を広げるように摩擦し、襞の形や茂みの一本一本、さらにはその中の突起の存在までもを鮮明に教えこまれる。
そして、そのすぐ近くにあるわたし自身の局部も、否応なく意識されるようになった。
……もしかしたら、それを悟られてしまったのだろうか。
「──あッ」
彼女がするりと腰をいっそう下方へずらすと、ふっくらと丸みをおびたその股間がわたしのそれに重ねられる。
そして先ほどと同様、親密に接した場所をさらに深く交わらせるように、押しつけられた腰に小さく円を描くような動きが加わった。
「んん──っ」
裸にされてしまったわたしの陰部に彼女のすべらかな毛並みが触れ、しょりしょりと擦れる感覚に思わず喉をならして仰け反る……
と、わたしの頬から口元にかけて、何か硬い無機質なものが押しあてられた。
うっすらと瞼をあげると、自らもやや頬を上気させた彼女が微笑する。
──咥えて、と。
立て続けに二度も昇りつめて陶然としていたわたしは、それが何かもよく分からずに唇を開いた。
「んぐっ──」その大きさに困惑させられながらも、押し込まれるまま太い棒状のものを頬張る。
完全に口をふさがれて息が不自由になったわたしは、途端に局部を襲った刺激にびくりと背をそらした。
……膝を抱えられ、上下に限界まで開かされた脚の間ですっかりくつろげられてしまっている、わたしの女の子の部分。
それをさらに押し割るように、彼女が緩急をつけて腰を打ちつけてきたのだ。
「んっ、んんんっ!」
──いつの間にか、互いの接合部からはねちゃねちゃと粘着質の水音が響き、二人の体液が混ぜ合わされているのがはっきりとわかる。
息苦しさの中で、ふれあった部分がいっそう強く意識されていく。
わたしは彼女の腰の動きに、そして気まぐれに肌の上を撫でていく細い指に、ただただ翻弄されるばかりだった。
「ん──んぁっ、」
ちゅぽんと音を立てて口の中のものが引き抜かれた頃には、それはわたしの唾液でどろどろになっていた。
ところどころに奇妙な突起のある、やや湾曲した張り型。
だがそれは異様に長く、わたしの口に収められていたよりも先の部分で大きくねじ曲がり、その先にも丸まった先端をもっている。
「見ていてごらん」
と彼女は張り型を取り上げ、わたしの上に跨ったまま自らの秘部にあてがうと、ずぶずぶと濡れた茂みの奥へと呑み込ませていった。
「ふぅ……んっ」
片方の端を収めきると、その周囲にぶら下がる黒い皮紐でもって腰回りに固定してしまう。
まるで、黒い下着を穿いた彼女の股間から、立ち上がった男性のものが生えているような様子だった。
言われるがまま、ただ息をのんで見つめるだけのわたしは、彼女の手によって改めて仰向けにされ、寝台の上で大きく開脚させられた。
彼女はそのまま先ほどと同じように覆い被さってくる……
ただし、今度はわたしの底部にあたっているのは彼女の細い指ではなく、無機質ながらも凶暴なまでに己を主張する性具だった。
「あ、」
「力を抜いて、マナ」
つぷり、と押しあてられたものが浅くわたしの陰唇を押し割って中へ入ろうとする。
視線をおろせば、それは温度のない硬質のモノ。
──彼じゃない……
わたしはほとんど無意識に彼の名前を洩らしていた。
「あぁ……メロダーク、さん……」
一筋の涙と共に顔を伏せた少女の聖所に、無慈悲な器具が押し込まれようというその時だった。
騒々しいノックの音が連続し、次いで乱暴に扉の取っ手が動かされた後、頑丈な造りの戸が気短に蹴り開けられたのは。
「──へぇ、」と、今まさに少女を道具で犯そうとしていた女は寝台の上で身を起こす。
「よくここが分かったじゃないか、番犬君?」
露骨な揶揄には答えず、メロダークは寝台の上の有様を一目見るなり無言で背中の剣を抜いた。
だがキューグの巫女は殺気立った神殿兵を目の前にして怯むどころか、露わな胸を隠そうともせず挑発する。
「おやおや。丸腰の婦女を相手に物騒なことだ」
「……そこを退け。さもなくば容赦しない」
メロダークの、半年ぶりに顔を合わせた相手への第一声はこれだった。
「ナイトを気取るなら実力も示してくれたまえ」
言われるまでもなく、ハァルの戦士は駆けていた。
貴人の別荘にふさわしい瀟洒な寝室を一気に横切り、一分の手加減もなく剣の平で裸形の女をなぎ倒す──はずだった。
その直前で、あるはずのない奈落に利き足をとられるまでは。
「ッ……!?」
反射的に伸ばした左腕に、次いで深淵に引きずり込まれた片足に、不可視の繊維が絡みつく。
剣を振るって糸を断ち切ろうとするも、急速にその腕から力が抜けてゆき、本来なら両手で扱うための重剣は、ついに男の手から落ちた。
──寝台の上、マナの上から一歩も動かぬまま唇の片端をつり上げるテレージャ。
探索者でもある彼女が得意とする絡め手を、彼も熟知していたはずなのだが。
「君が頭に血をのぼらせる所なんて、初めて見たよ」
どこか皮肉な笑みを浮かべながら、令嬢はようやく少女の上から退きつつ、詩人が楽器の弦を紡ぐように掲げた指先を動かす。
魔力の糸に拘束されたメロダークは操り人形のように術に引きずられて、ふらふらと部屋の奥へと歩かされる。
そうする合間にも、テレージャは彼の外套をはぎ取り、鎧の留め具を探り当てて武装を解かせた。
ガランと重い音を立てて、武具が床に放り出される。
そしてメロダークはついに、寝具の上であられもない姿にされた少女を見た。
「マナ……!」
自由にならぬ身を呪いながら声を振り絞る。
すると一糸もまとわぬ娘は、童女のように剃りあげられた局部を晒したまま、ぼんやりと不思議そうに監督者を見上げた。
「メロダークさん……?」
──様子がおかしい、と彼が悟った矢先、背後で再び扉が閉められた。
バタンという音と共に、鼻先をくすぐる甘い香。
首を動かすこともかなわぬ戦士は、ゆるやかに桃色の煙をたなびかせる香炉を携えて戻ってきた女に心底から憎悪の眼差しを向けた。
「貴様……っ!」
相変わらず抵抗もせず、まどろむような瞳で横たわるマナが一体何をされたのかは今や明白だった。
「心外だなあ」と狡猾な巫女は形のよい唇を尖らせる。
「確かに例の薬は飲んでもらったが、この通り、これは効果を持続させる程度の量しか使っていない」
……それよりも、と怜悧な学者の眼が鋭く細められる。
「この程度でここまで"効き"が良いことこそ、問題だね」
これを聞いて、メロダークは色を失った──ただし今度は怒りではなく、焦燥に。
「そもそも、だ。どうして君が、こんな媚薬の使い方を知っているんだい、神殿軍の戦士様?」
人一倍気の優しい彼女に過酷な選択を突きつけ、それどころか四人がかりで剣をもって脅し、誘拐同然に故郷より連れ去ったあの日から。
大神殿に幽閉された彼女は、もはや仲間ではなく監視者となった彼に、信頼に満ちて澄みきったあの瞳を見せてくれることはなくなった。
何の用意もなく故郷から引き離され、囚人同然に自由を奪われて、届くかどうかもわからぬ養母への手紙をしたためるばかりの日々。
そんな中でかつての明るさを失っていく少女の姿は、翼をもがれた小鳥のように痛々しかった。
古の帝国を呼び覚ました災厄の鍵であったにもかかわらず、そのアルケアから一人この地に逃れてきたという罪悪感。
何より危険因子と目され、誰にも心を許すことのできない孤独が、あどけなさの抜けきらぬその面差しに影をおとすようになったのだ。
……そして彼は、そんな少女を間近で見つめながら、何もしてやることができなかった。
それどころか。
──夜毎悪夢にうなされ、ろくに睡眠もとれずにいる彼女に、俺は……
「こんな子の弱みにつけこんで手籠めにするなんて、とんだひとでなしだね」
事情を知らぬはずのテレージャの言葉は、これ以上なく正鵠を射抜いていた。
……あの夜も、悪夢の余韻に震える体をかき抱き、破瓜の痛みに泣きじゃくるマナに薬を嗅がせ、半ば強引に自分のものにした。
彼女は最後には細い腕を必死に伸ばしてこの背にすがりついてきたが、その行為は彼女の孤独につけいったという以外の何物でもない。
その後も幾度となくその部屋を訪れながら、彼はしばしばその薬を用いた。
快楽に蕩け、半ば理性を失った彼女が向けてくれる、あの陰のない柔らかな微笑みが欲しかったのだ。
──そして、いつしか彼は悟るようになった。
監視役に名乗り出たのは、その身上に責任を感じたためではない。
……己以外の誰も、彼女に近づけたくなかったからだ。
「……メロダークさん」
半ば夢のあわいを漂う瞳で、マナが問いかけるように彼の顔をのぞきこんでいた。
──メロダークはいつの間にか寝台の上に倒れ、身を起こすどころか腕を持ち上げることさえ難しいほどの倦怠感に支配されていた。
テレージャに間近で香を吹き込まれ、一時的に肉体が麻痺状態になってしまっているのだと知れた。
「マナ……私は、」せめて舌だけでも動かして、無垢な眼差しを見つめ返す。
だがそれは、側面からテレージャによって鋭く制止された。「黙って」
「──今、ここで正気に戻らせてみたまえ。私にも君にも、二度と彼女は心を開いてはくれなくなってしまう」
などと身勝手なことを言ったきり彼から身を離し、今度はマナの耳元に唇を寄せた。
「彼は君を迎えにきてくれたんだよ、マナ」
男に対するときとは打ってかわって、優しく幼子に言い聞かせるように囁きかける。
すると、不思議そうなマナの双眸は再びぼんやりと霞みはじめ、暗示に包まれていく。
「むかえに……?」
「そう」テレージャは押し黙る男を一瞥し、朱唇をにんまりとつりあげた。
「だから、お礼をしなければならないねえ」
マナはテレージャに言われるがまま、仰臥する男の腹に裸の腰を下ろし、おぼつかない手つきでその服を剥がし始めた。
「ん……く」
はだけさせた胸に手を添えて、仔猫がミルクを舐めるように、その先端へと遠慮がちに舌を伸ばす。
──己の上にかがみこみ、正気の時ならばとても考えられない大胆なその姿態。
鍛え上げられた腹筋の上に跨るマナの、既にしとどに濡れて熱く解れた媚肉の感触。
そして拙い不慣れな愛撫でさえ、ひたすら重たいばかりだった肉体に鈍い疼きをもたらすに充分だった。
「くっ……マナ」
彼の身体の自由を奪った香が、いまやもう一つの効果をあらわそうとしている。
──と、少女のさらに後方に陣取った巫女が器用に剣帯を外し、彼の下衣を一気に引きずりおろした。
急速に硬度を増していくそれを見下ろし、へえ、と感慨を洩らす。
「却って勃たなくなる場合も多いらしいけれど、その心配はなさそうだね」
……まさか……
陽物を晒されたメロダークが何事か言うよりも、テレージャがマナを背後から抱きしめ、囁くほうが早かった。
「──ほら、マナ……彼も準備ができたみたいだよ」
と、抱き上げるようにして膝立ちにさせた少女の腰をずらし、天を突く剛直の真上にもっていく。
それだけでも亀頭が彼女の底部に触れ、マナは切なげに甘い声を漏らした。
「……ふ、ぁん、──あ」
女の手が瑞々しい内股をさすると、その膝から力が抜けて、先端部がますます秘処へとめりこみ始める。
「挿れてごらん、マナ」
他方の指先で、少女の胸の飾りをくりくりと押しつぶすようにいじりながら淫らな命令を下す。
──そして、マナは。
「……はい……っん」
この時も従順に頷き、男の腹についた両手で体重を支え、ややためらいがちながらも、ゆっくりとその腰をおとしはじめた。
「ぅあ……」
テレージャの両手がするりとマナの下腹に伸び、柔らかな少女の陰唇を押し分ける。
背後から女の細い指で左右に開帳させられた、ほんのりと色づく丸裸の秘肉。
それはふるふると細かく震えながらも、徐々にその狭い膣内へと、いきりたつ肉棒を呑み込んでいった。
「んっ……はぅ、んんッ」
マナは白い首筋を反らし、半ば焦点をうしなった視線を宙に漂わせ、苦しげに浅い吐息を繰り返している。
だがその呼気のぬくもりは隠しようもなく、苦痛と快楽の狭間をたゆたいながらも上気した頬は恍惚の気配をにじませていた。
うら若い娘達が繰り広げるあまりにも淫らなその姿に、平静でいられる者はそういないだろう。
──しかもその片割れは、己が劣情の全てを傾ける少女なのだ。
「ほら……もっと腰を下ろして、よく見せて」
不意にテレージャが、前かがみになりがちなマナの腋に手を差し入れ、その体を引き寄せて大きく仰け反らせる。
「ふぁっ──!」
いまや両膝のみで自重を支えねばならなくなったマナはいっそう高い声で鳴き、がくがくと下半身を痙攣させた。
露わにされた平らかな白い腹の奥で、窮屈な膣もまた小刻みにうねり──メロダークはついに己の抑制の緒が切れる音を聞いた。
咆哮を発してマナの小振りな尻肉を力任せに握りしめ、本能のまま乱暴に腰を突き上げ始める。
──少女の絶叫が、豪奢な寝台の天蓋に吸い込まれていった。
香によって麻痺させられた理性に変わり、彼を支配し衝き動かすのはひたすらに凶暴な獣欲のみだった。
華奢な裸身を強く引き寄せ、その柔尻が痛々しく形を変えるほどに剛直の上に押さえつける。
巫女の術中に堕ちて一度は萎えていた膂力も完全に回復し、欲望をむき出しにする薬の力によって精力と共にいや増しているようだ。
……そんな状態の男に最奥までの交わりを強制され、子宮孔をさえ容赦なく抉られて、捕らえられた少女は悲痛な叫びを繰り返すばかり。
「きゃうッ、ひぐ、っっん、あ、ぅあッッ、ああーっ!」
絶え間なくあふれでる涙が、鍛えられた男の胸板にぱたぱたとこぼれ落ちる。
水揚げされた魚さながらに暴れ、眼前の肩口を叩いて爪を立てさえするものの、力の抜けきった体はいとも簡単にねじ伏せられてしまう。
首を振り、突き上げのたび声を限りに泣き叫ぶが、他愛もなく玩具にされる彼女の悲鳴はかえって陵辱者達の情欲に油を注ぐ一方だった。
「……あはっ」
──未だいとけないとさえ言える少女の嬌態を見守りながら、テレージャもまた倒錯した興奮が自らの内にふくれあがるのを自覚した。
がくがくと震えるマナの大腿を優しく撫で、接合部に手を差し入れて無毛の恥丘を探ってみれば、透明な蜜がとろりと指先に絡みつく。
すると、乱暴な抽送と穏やかな愛撫を同時に加えられるマナの、涙の色が濃かった悲鳴さえもが徐々に別のものを帯び始めていく。
「あうっっ、ぅあっうあぁッ、んぁ──あ、はあぁんっ」
テレージャの指先がその陰核に一瞬触れた時、白い喉からほとばしったのは、紛れもなく色づいた艶声だった。
苦痛から快楽へと、彼女の体が刺激に順応しようとしているのだ。
「そうだよ……いい子だね、マナ」
色事に奥手な愛らしい少女が大柄な戦士に犯されて身も世もなく泣き叫び、よがる姿はテレージャの中の牝をも妖しく刺激する。
張り型を収めたままの秘部が妖しく収縮し、彼女は恍惚と熱い吐息を洩らした。
頬を紅潮させ、その潤んだ眼差しを向けるのは、メロダークに鷲掴みにされて強引にこね回され続ける哀れな柔尻。
その双丘の狭間には、翻弄される左右の肉にもかかわらず慎ましやかに閉じたままの陰花が見え隠れしているのだった。
「──私は、ここを貰おうね」
と、もう何も耳には入っていないであろうマナの耳元に告げながら。
テレージャは己の局部から突き出るもう一方の張り型にぬるぬるとした潤滑剤を大量に垂らし──
未踏の菊座を、容赦なくずぶずぶと貫いた。
「〜〜ッ、────!!!」
もはや声すら出せず苦しげに唇を震わせ、いっぱいに見開い双眸から大粒の涙をこぼしつつ、細い体を痙攣させてマナが男にしがみつく。
その膣に尋常でない圧迫感を覚え──メロダークは愕然と、少女の白い体越しにテレージャを見上げた。
彼の屹立には及ばぬながら卑猥な湾曲と突起を山ほど備えた双頭の張り型は、今や二人の女の体内にすっかり埋められてしまっていた。
一方は、かすかに息を乱して上気した頬を緩ませるテレージャの女陰に。
そして他方は……彼がいまだ指先でしか愛でておらず、いずれ摘み取る日を心待ちにしていたマナの後孔へと。
メロダークはさすがに一時動きを止めた。
「貴、様……」
ただでさえ小作りな両穴を無惨に貫かれ、もはや息も絶え絶えな少女の圧倒的な締め付けに歯を食いしばりつつ、憤怒の唸りを発する。
だがそれをさえ、女は冷然たる一瞥でもって受け流すのみだった。
彼女が僅かに身を屈めただけで、マナは「ん゙うっ!!」と明確な苦鳴と共に全身を硬直させる。
初めての肛虐にただ震え続ける少女の背に覆い被さるようにして、テレージャはその頭を撫で、ねっとりと耳朶に舌を這わせた。
「ああ……もう少しの辛抱だよ、マナ。──動くからね」
そう言って、獣のように同性を犯したまま、円を描くように腰をくねらせ始める。
「ふぅ、……ん、いいよ……マナ、マナぁ」
限りなく淫靡に腰を振りたて、熱に浮かされたように喘ぎをこぼすが、尻穴を未知の異物でかき回される少女はそれどころではなかった。
「あ゙、──あ゙ぁ、──あッ」
切れ切れの嗚咽をもらし、思いも寄らぬ陵辱の衝撃にただ涙する。
しかし──
ぬぷ、じゅぶ、ぐじゅ……と淫猥な音を立て、濡れ光る張り型がその肛門を出入りするうちに、マナの悲鳴が微妙に色合いを変え始めた。
──発熱する。
「──ぃっ、あっ……?」
テレージャに腰を押さえつけられ、無機物による責めを繰り返されながら、潤滑油の成分が直接体内に吸収されはじめたのだ。
──そして、灼熱する。
「……あっ、あ゙ぅ、んあああッ!」
急激に己の内にふくれあがる炎の渦に、マナはとうとう仰け反って叫びをあげた。
──おしりがあつい。
からだがあつい。
あつい、あつい……おしりのおくが、
「──あつい、あついよぉっ……!!」
少女の後孔は激しく収縮と弛緩を繰り返し、その振動が張り型を通してテレージャの女を震わせる。
「ふふ……、どうだい、気持ちよくなってきただろう?」
と、苦しげに淫具を咥えこむその菊門を指先でなぞるだけで、哀れな娘はびくんと跳ねていっそう高い鳴き声をあげる。
それと共にひくひくと膣口も喘ぐように開閉するものだから──
めちゃくちゃにのたうつマナを抱きとめる形のメロダークは、再び情欲と妬心に屈した。
……あとはもう、貪るだけ。
掴んだ尻肉をいっそう強く引き寄せながら膣の奥に叩きつけるような突き入れを再開する。
それも柔らかな内壁を隔てて、己の少女の陰花を我が物顔に犯す紛い物の肉棒を押し出さんとするばかりの勢いで。
「んあぁ、あああああっ」
下からも打ち込まれた楔を乱暴に動かされ、マナは当然翻弄される。
既に涙ながらの声もかすれ、枯れはじめていた。
──その彼女もメロダークも、テレージャが寝台の脇から手に取った小瓶に気づかない。
傾けられたその口からとろとろと粘性の液体が垂れ落ち、ついにマナの小さな背中に滴るまで。
「っあぁ──」その冷たい感触に、マナがあえぐような吐息をこぼした時にはもう遅い。
惜しげもなく垂らされた粘液はテレージャの手で引き延ばされ、その体の前面にまでまんべんなく塗りたくられていった。
既に汗みずくの体中に……首筋に、胸元に、へそに、脇腹に、太股に──そして乳首や性器には特に念入りに。
そしてそれは少女の体液、とりわけ粘膜に反応し、その全身をかっと燃え立たせた。
「──っあ、ああッ、あ、っあああぁん! はあああうっ」
遮る物もなく媚薬を擦り込まれた秘裂に至っては、まさしく火に油をそそがれたようなものだった。
マナはひときわ大きな絶叫と共に、とうに頂点をきわめていた。
──それでも、彼女を貪る二匹の獣が容赦するはずもない。
「あ……はっ、マナ……んん、マナぁっ」
自らの肉体にも粘液を付着させ、女は尖った乳首をこすりつけるようにして少女を抱擁し、双頭の張り型でもって犯し犯される。
メロダークがマナの体を揺すりあげるたび、テレージャもまた少女の尻を通して重い刺激を受けていた。
だがもちろん、その苦痛も快楽も、残酷な獣と化した男女に挟まれて一方的に貪り喰われるだけの哀れな餌食の比ではなかった。
「あ゙ーっ、いぐっ、うぁあうッッ、っうあ、あああーッ!!!」
もはや両者の一突きごとに絶頂を迎えているような有様で、人形のように弄ばれながらもひたすらに叫び続ける。
閉ざされることのない桜色の唇の端からは唾液が滴り、とうに焦点を失った瞳は一片の理性もなく濁り、ただ生理的な涙を流していた。
前後から貫かれ、逃げることなど許されない絶頂、絶頂、また絶頂──
汗と精液と愛液と、そして少量の血さえ混じる、もはや誰のものかも分からぬほど混ざりあった体液が敷布を汚していく。
ひたすら犯さ続けれる生贄は、薬によってあらかじめ感性を鈍らされていなければ、とっくに身も心も壊れてしまっていただろう。
──だが今、この一夜だけは、不安も苦悩もない、ただの剥き出しの生命として。
獣達の宴は、狂ったように少女を責めたてる双方が体力の限界を迎えて果てるまで休みなく続けられた。
「──ふぁ……。うん、いい気分だ」
深く全てを包みこむような休息の時を経て、室内にはようやく人間の言葉が戻ってきた。
ただし狂乱の余韻として、部屋の空気は未だこんもりと性臭に満ちた湿気を帯びている。
乱れきった寝具の上でなおも安らかな息をたてている他の二人を見下ろし、テレージャは満足げに口元へ笑みをのぼらせた。
あられもない姿のままうつ伏せに眠るマナと、その向こうで無遠慮に手足を広げてのびているメロダーク。
寝ているときまでしかめ面をしているような後者を、テレージャは容赦なく寝台から蹴落とした。
「…………」
「やあ、おはよう、ろくでなし君」
神殿兵が状況を把握し記憶を蘇らせるまで、そう長くはかからなかった。
しかし女のほうでは、射殺しかねんばかりの視線を向けてくる男を冷然と見下して宣言したのだった。「覚えておきたまえ」
「君がこれ以上彼女を苦しめるのなら、この私が頂くよ。……それこそ、さらってでもね」
同盟国である西シーウァが本気で動けば、島の"模範囚"を連れ出すことは不可能ではない。
無論、この巫女は一貴族の娘に過ぎないはずであるが、傲然たる瞳はその実行力を雄弁に物語っていた。
かつての仲間には見せたこともない、冷徹にして苛烈な堂に入った侮蔑の光。
──馬鹿な男。
この男に、どれほど彼女が苦しめられたことか。
「マナを不幸にしたら許さない。いいね」
女貴族は改めて念を押すと、やはり裸身を隠すでもなく寝台を降りて外衣を羽織り、悠然とした足取りで部屋を出ていった。
それきり閉ざされた扉を、メロダークは険しい表情で口元を引き結んだままいつまでも睨み続けていた。
男の広い背に揺られながら、少女はようやっと目を覚ました。
「……あれ……メロダークさん……?」
女の言った通り、まったく記憶がないらしい。
そこでマナになされた説明は、急な熱病で倒れた彼女が丸一日の間、テレージャの借りた家で世話になっていた、というものだった。
シーウァの客人は、用があると言って既に本国へ戻ってしまったのだ、と。
「そうなんですか……」
いまだ茫漠と倦怠感に支配されているらしい少女は、背中越しに聞いた彼の話をすんなりと受け入れた。
──迷惑をかけてごめんなさい、と言いかけるマナを、
「お前が謝ることなど何もない」
いつになく強く否定した彼に、不思議そうな様子ではあったものの、やがて娘は再び深い眠りに落ちていった。
……そう、お前が謝ることなど何もないんだ、マナ。
何の疑問もなく彼に身をゆだねてくれる少女を再び牢獄へと誘いながら、メロダークは苦い思いをかみしめる。
──己が不幸にした、この少女。
彼女を手放すことなどできるわけがない。
さりとて、今更この生き方を変えることも考えられない。
……今は、まだ。
【狂宴】了
>>504
おおお、GJ!
テレージャさんは相変わらず決めるところだけは決めてくれるなぁw
ほかは腐女子で尼僧院のキス魔で私が神だで知識オタクなのにw
でも、彼女なしでは冒険の難易度かなり変わるからなぁ。
ワイヤーとか回復とか宮殿とか。
何が言いたいかというとテレージャさんはかっこいい女だということでw
…これで貧乳なら二度と離さないのに…
いいね!(グッ
テレージャは女の絡みだと本当に輝くな
三人でエロエロGJでした
大作GJ!
テレージャさんは悪役でも奥手でも姉様でも輝くな
本当は他の主人公より清純なはずのマナが、どんどん淫欲の道を突き進んでいく・・・
たまらん!
GJ!それもGod Job!
テレージャさんかっこよすぎる…!
>>504 3P入りましたァーッ!
ありがとうございましたーッ!
毎度GJ!
エロこってり美味しいです
しかもこのマナ顔4だと思うと…(ゴクリ)
個人的にはエンダも一緒に連れて行ってキャッキャウフフを想像しておりました
墓場での会話しだいではエンダもついていきそうな感じだったので
しかしテレージャさん素敵だ
もし続きがあるとしたらメロさんがマナを連れて逃げる展開になりそうだな
ここの所続くへんな思いつきのせいでできた前・後編、今回は5000文字くらい
魔術師♀ルート☆健全マークがはずれません。呪いの装備でしょうか
まったくエロくありません。ご不快を感じられる方は、大変申し訳ありませんが
どうぞトリあぼんでご協力ください
―――地底都市の遺構で見つけたトンネルを抜けると、そこは雪国でした。
「うわ、ちょっと寒いですね。雪が降ってますよ」
「だから来る前に言っただろ。大体あんた一番厚着じゃねえか」
「まさか本当に降ってると思わなかったんですよ。いやぁすごいなー!雪だー!!!」
突然駆け出すと、雪の中にとびこみ転げまわってはしゃいでいる。
「あっはははは!まっしろだー!ひゃっほう!ゆっきだゆっきだ!わっしょいわっしょい!」
フィーもいっしょになってじゃれあう。
「ゆきだゆきだー!やっほーい!!あはははは!たのしいたのしい!ゆっきだー!」
「バカな犬かよ」
「こんなに沢山降ってるのなんて、都ではお目にかかれませんよっ…最っ高だー!うわーーーーい!」
「パリスも雪合戦しようよーう!」
「雪だるまつくりませんか!」
「山登りはどうするんだよ」
「あそっか。…お山行くんだったねぇ」
「…すみません」
とぼとぼと戻ってくる。
「いくらなんでもしょんぼりしすぎだろ。降りてくれば幾らでもできるって…なあ」
「そうですね!この戦いが終わったら僕はここに帰ってきて今度こそ雪だるまを作るんだ!そう、大きいのを!」
「やべっ」
「皆さんにも僕の故郷を見せてあげたいなあ!王宮があって、庭園があって、その向こうには王立図書館が!」
「いいからしゃべんな!」
「待ってくださいよう」
慌てて後をかけてくる。ひとりごちてのぼる白い息は風に流されていく。
「どう考えてもこんな広い場所が地下にあるのは変なんだが…」
「そうですか?ああー、確かに、あれだけ長い期間閉じ込められていると、もはや僕達にとってはホルムそのものも、
あやかしの術によって出現せしめられた場所のように思えてきますよね!見た目こそ普通の田舎町なんですけど、
地下に凄い遺跡がありそうな感じの!」
「…まともに考えるのが馬鹿らしくなるな」
アルソンは一人で感激している。歩いていくうち、ふとフィーは足を止める。遠く、陽炎のような人影を見つけた。
「やべっ」
「巡礼者でしょうか?フィーさんが言ってた寺院に向かっているんでしょうかね」
「ついて行ってみようか!」
「いやどうも様子が、ってお前ら人の話を聞けっ」
ランタンの灯りが雪で拡散して先が思うように見通せない。仕方ないので先頭にたって人影の方向に進んだが、
相当歩いた割りに追いつけない。道から外れているから雪も柔らかいので思った以上に消耗する。どう見ても
罠にかかってるのは明らかなのに、こいつらときたら楽しそうに歌っている。朝からお前ら元気だな。
「なあ、どう思うよ」
「ちっとも追いつけないねぇ…」
「やっぱりもとの道まで戻りましょうか」
思い出したようにきょろきょろし始めたが、さえぎる物もない場でこの風だ、足跡など簡単に消えてしまう。
「もうどっちの方向だかわかんないです!!?迷子です!!危険です!どうしましょう!大変だ!」
「いや、慌てすぎだろ。いいから落ち着けよ、俺にまかせろ」
目印らしい物はないが基本的な風向きは変わっていないようだ。凡その方向感覚もあるので迷うまでもない、
そんなことを言い聞かせ、宥めすかして歩くうち、一段低く踏み固められた場所に辿り着く。
「まあこんなもんよ。ほれ、ランタン持ってろ」
ひょいと抱き上げて下ろしてやる。後のやつは知らん。
「どうもありがとう」
「僕達のエレガントでエキサイティングな冒険がこんな所で終焉を迎えてしまうかと、本気で心配しました!」
「なんだそりゃ」
「あなたのお陰ですよっパリス君!有難う、有難う!」
「それより、気がついたかお前ら」
「これは…人骨があちらこちらに落ちていますね」
「雪が降ってるのに…なんでこんなに沢山見えてるんだろう?」
「犯人はきっとこれだ!この塚が幻影で僕らを惑わせて、ここに散らばっている皆さんに加えようという魂胆に
違いない!もしそうだとすれば、これは破壊すべきだ!危険をみすみす放置する訳には行きません!騎士として!」
「いや余計なことは」
―――勇ましくも突き崩そうと手をかけた瞬間!僕達は驚くべき怪異に見舞われたのです!!
「ばかかおまえはあああああああ!」
「フィーさんあぶぬわああああいい!!」
博打を打って前衛の一人を撃ち飛ばす傍らで、教本を広げたフィーの呪文は聖なる雨を呼び出し、死してなお
忠実なる近衛兵士を飲み込みたちまち彼らを浄化する。アルソンは一生懸命塚を壊していて、…いらっとくる。
見守っていると、破壊された塚からは黒い霧が漏れ出してきて、すーっと空に登っていった。
「またしても僕達は魔の手から人々を救ったんです!」
胸を張る騎士とにこにこ顔の詩人。ため息をついた襟巻きは、吐息が白く結晶していた。
広大な平野を進む。視界が真っ白だ。人造の空間…ここが?森の妖精たちや小人の連中の様子から総合すれば、
ここにも秘石があり、それを守るものがいることになる。この見上げるばかりの大空も、見わたす限りの雪原も
何者か…いや、かなりの確率でタイタス…の手によるものという事になるのだろうか。にわかには信じがたい。
「ちょっとぉあああああ!!」
崖の下で待つ二人の目の前でロープがぶち切れそのままべしゃんと墜落した。
「あ…アルソンさんっ」
反射的にフィーをかばったが動けない。思わず絶句する二人の前で鎧の男はむっくりと立ち上がる。
「いやあ、吃驚しましたね!怪我はありませんか、二人とも」
「大丈夫…だよう。アルソンさんはなんともないの」
「もちろんです!」
「…そうか。ああ、ええと、とりあえず…川があるから、足元気をつけろ」
「はい!気をつけましょう!おお?鎧が歪んでしまいましたね、ちょっと叩いて直せませんか」
「…しょうがねえな。ちょっとそこに頭のせてろ」
派手な音は立てたくないのだが、鎧が変形したためか首をかしげている。常にこっちを見ながらついて来られると
怖いので仕方ない、戦槌を持ち出してぶっ叩く。耳がキンキンしてきた。後ろでフィーは耳に指を突っ込んでいる。
「どうだ!」
「もうちょっとこの辺を」
「…どうだ!」
「肩が動きませんよ」
「…どうだ!」
「なにかきこえたよ」
「なに!?」
「このあたり平らに出来ます!?」
「…どうだ!」
「お、さっきより動きますよ」
「なに!?」
「なにかきたよ」
「なに!?」
「シー君だ!」
「なに!?」
「お前らああああまかせた!!!」
「わあっ合成魔獣ですよ!!」
「なんだとお!?」
振り返りざま戦槌を投げつけるとクリーンヒット、案外コントロールできるもんだと感心している場合じゃない
岩場にフィーを引き込んだ肩越しに薪を抱えた少年が飛び込んできて、素早くアルソンの盾の後ろに転がり込む。
「魔法はどうした!」
「使えりゃ逃げてこねええ!!!!」
両手に真っ二つになった杖。あとで炊きつけにしよう。
「ぶわらのごとくちれいいっ!!!」
ずぶんと異様な衝撃が響いてどす黒いしぶきが散った。魔獣はぐらりと傾き、そしてばったりと倒れこむ。
「てか何でこんなもんに追いかけられてるんだよ」
「知るかよ。こっそり巣穴に忍び込んだら、急に表が騒々しくなってぐーすか寝てたのに目を覚ましやがった」
「それは大変でしたねえ。一体何が原因なんでしょう!不思議ですね!」
荷物を担ぐと元気よく歩きだす。というか、動いてる。こいつ本当に何事もなかったのか…まったく言葉もない。
「なんだよ、お前らこれから寺院に行くのか」
「うん、今日は雪山登山するんだよう。いっしょにくる?」
「そおぅだなあぁ〜」
「つーかお前、武器か何かねえと死ぬだろ。ほれ、もってけ」
にゅっと鞄から剥き身の練り製品。
「はあ?チクワだ?おちょくってんのかお前は」
「しゃーねーな、ほれ、これならどうだ」
だうだ、旨そうだらう。両手で受け取ったのに、あまりの重さに取り落とす。
「なんっだこの岩みてぇな食パンは!持ち上がらないのに扱えるわけねーだろ!」
「ならこのカエr」
「やめてーっ!!1」
「まだ何も出してねえよ」 ※実際には夏の終わりなので件の装備はありません
「帰る!」
「えぇっ、せっかく会えたのにもういっちゃうの?」
がっかりした表情のフィーに裾をつかまれて言葉に詰まる。なんと答えよう?一瞬で頭が真っ白だ。
「………そ、そこまで、お前が言うのなら、この僕様がついてやってやらないこともない」
「ならあれやれよ、アルソン。ほら古代都市の」
「ああ、なるほどシーフォン君にぴったりですね!フィーさん、後ろから出してもらえます?」
「悪い予感しかしねーぞ、おい」
フィーは跪いたアルソンの背中に回りこみ、ごそごそと背嚢をさぐって引っ張り出す。
「有難う。これは僕が拾った軍団長の指揮杖です。ほら!すごいでしょう、年代ものですよ!」
「こ、これは!…くっくっく…まさに偉大なる運命の指揮者たるこの僕に相応しい一品!いいだろう!力を貸しt」
からからと落ちてくる小石、次第に強まる振動、何かの低い声。きょろきょろしているとあたりが影に覆われる。
「巨人だ!」
「やべっ逃げろっ」
「待てよー感謝しろってえ!ちーきしょーなんだよー」
煙玉は風に流されて思うほど効果が出ない。気を引こうと踊り歌を歌ってみたが、悪いことに巨人のステップは
衝撃が大きい、吹き飛ぶ仲間、飛び散る岩場。跳びはねながら距離をとって落雷させると石礫が飛んできた。
「んぎゃっ!」
「シー君!」
「こっちにこい!こっちだ!!追ってこいでかいの!!」
声を張り上げたパリスを握りつぶそうと腕を差し伸べた所を器用に交わして走りぬけ、釣られて駆け出した巨人は
そのまま窪みにすっぽり嵌りこむ。目をぱちくり。仲間を救わんと振り下ろした巨人のげんこつにそって突っ込む
アルソンの攻撃は風車の砕けるもかくやとばかりに打ち崩し、砕け散る。いなやと穴から抜け出した巨人を尻目に
いっせいに逃げ出した。地鳴りのような遠吠えに追われ、やっとの思いで坂を登りきり、ようやく安堵した。
顔を上げればそこには、今日も変わらず座している巨人達の姿がある。アルソンは、今しも風雪に潰えようと時を
過ごす彼らの言葉に耳を傾け、なにやら神妙な顔をしている。これは静かになって有り難い。やれやれと進むうち、
こぢんまりした佇まいの店が目に留まった。そっと扉をおしあけ一歩建物に入ると、ため息が出るほど暖かだ。
「あれえ…ピートさん!こんなところにもお店を出してらっしゃるんですか」
「お求めの 声があるなら どこへでも。こんにちは、ピートです」
ぬくぬくしやがってくそが。雪をふるい落として帽子を脱ぐ。こんにちは、ピートです。何がだ!チクショウ。
「こ、こんに、ちは……」
「こんにちは、フィーさん。その帽子お気に召したんですね、とてもお似合いですよ」
見る間にフィーは顔が真っ赤になっていく。チクショウが、絶対許せねえ。くそパリスは棚の帽子に気がついた。
「ここで売ってたのか。なんか最近、みんな被ってるよなお前ら」
「そうなんですか、有難うございます」
「ぇ…ぁ…ぅぅ…ぎぎ…」
「小麦粉探してるんだとよ」
「は?今ので何が分るわけ」
「すみません!もう少し大きいサイズの装備品はありますか!」
「はい、そちらの右のスペースにあります。小麦粉は一袋でいいですか」
「ぁ…ぇ…あのっその…ぅぅふ」
「そうか、俺はかまわねえよ。ゆっくりみてこい」
「ごゆっくりどうぞ」
「お前ら腹話術師かよっ」
「ああー、それにしてもあったけえ。もう表にでられねえな」
華麗にしかとしやがった。覚えてやがれくそパリスが。
「床暖房ですからね。よろしければ召し上がりますか、暖まりますよ」
鍋つかみをつまんでお茶を注ぐ。猫も鍋つかみを使うのか…くそパリスは感心した様子だが僕はそうは行かない。
「どさくさに紛れて料金取ったりしないだろうな、僕はいらないぞ」
「ご安心を。試供品ですから、お代はいりませんよ」
それならと二人カウンターに寄りかかって挙動不審の詩人と熱心に試着を繰り返すばかを待つ。もこもこの主人。
喋るたびにわさらわさらと動く髭、長い羽ペンを短い指でつまんでちんまりした字を書き込み、小首をかしげて
尻尾をはたり、のんびりと帳簿をつけている。面白くてどうしてもまじまじと見つめてしまう。だって、猫だぞ?
「なあ、女房ってのは誰でもへそくりするもんなのか」
「りすみたいに餌をしまったの忘れて捨てるんだろ。だったら僕が使ってやるね」
猫はいやはやと首を振ってみせる。やっぱり水にぬれるのとか嫌いなのだろうか。おい、もふもふさせろ。
「ぁ…あの…これ…らっ…ラッピング…できますか!」
ふところに手を突っ込んで、首から提げた財布を引っ張り出し、折りたたまれた札を広げた。しわしわ。
「なんでまた買うんだよ、その帽子。お前ら布教しすぎだろ」
こつこつ傷薬やらお守りを作って貯めた小遣いだっつーに、なんでこんな帽子に使うの?お前って馬鹿なんだ?
「できますよ。はい…おつりです、どのお色がよろしいですか」
包み紙やらリボンやら取り出して見せる。お前ラッピングすんの?この肉球で?小銭と財布をしまいながら答える。
「この前、お小遣いが足りなくて…ひとつ買えなかったの。お財布なくさない内に絶対買うって決めてたんだ!」
「なんでオメーはしょっちゅう物をなくすんだ」
「…わかんない。なんでだろう」
「おそらく小鬼の仕業ですな」
「小鬼?」
「はい、仕舞ったのと別のところから出てきたり、すっかり無くなってしまうのは、小鬼がいるからなんですよ」
喋りながらも、ちまっこい手でつるつるした包装紙を魔法のように畳んでいく。この猫…じつは凄くねえか?
「そういう時はね、おまじないをすると良いんです。ほら、こうやって指でわっかにして、小鬼さん小鬼さんって
呼びながらさがしてみると、きっとひょっこり出てきます。試して御覧なさい、はいどうぞ。いかがですか?」
「わかったー!どうも有り難う!えへへ、喜んでくれるかなぁ」
にっこにこ。段々腹が立ってきたのでアルソンのけつを蹴飛ばしてやった。僕の方がダメージが大きかったけど。
「あんな鎧着てる奴蹴り上げたら負けるに決まってるだろ、これだから僕ちゃんは」
「うるせー!早くしろ!」
「分りましたよう、もう、泣かないでくださいってばー。すみません!お会計お願いします」
「はい、鎧の下取り価格がこちらのとおりになりまして、お買い上げから差し引きいたしますと、これくらいかと」
「結構!これで右斜め少し下を見ながら歩かなくてすみますね!」
「だからこっち見ながら歩いてたのかよ。こえー」
「まあいいさ、あとはてっぺん目指して歩くだけだ」
…このときはまだ、あんな事になるなんて、僕は予想だにしていなかった。
全編<了>
お騒がせしております。あの猫凄いよね
乙、後編も期待
アルソンさんww鍋つかみww
しかしおまえさんの話はあちこちかわいいなw
乙!このフィーは間違いなく俺の娘
だがこの可愛いフィーは僕様のものになっちゃうんだぜ
◆E9zKH0kZMc 続きまってるぜ!全裸でな!!!
本スレで走れパリスネタを見てちょっと妄想した
↓↓妄想ここから↓↓
「パリス。」シーフォンは眼に涙を浮べて言った。
「僕を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。僕は、悪い夢を見ていた。
君がもし僕を殴ってくれなかったら、僕は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」
「シーフォン、俺を殴れ。同じくらい音高く俺の頬を殴れ。
俺はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。君が俺を殴ってくれなければ、俺は君と抱擁できない。」
シーフォンがすべてを察した様子でうなずき、アーガデウム全体に鳴り響くほど
音高く屠りの剣を詠唱すると、パリスの腕が唸りを上げてシーフォンを襲った。
「死によって断たれぬ物無し! 死ねやクソがァッ!」
「生きるか死ぬかの大バクチ!」
吹っ飛んだ二人が「やっぱりお前は死ね!」と二人同時に言って
殺し合いをはじめるのを呆れた様子で見守るフィーでしたとさ
さすがインテリヤンキーとチンピラ
仲がよろしい事で
>>522 本当GJ!
なんかもう本当にテンポ良くて可愛いな。
フィーは俺の妹。
>>533 ワロタww激辛ドラゴンスープ噴いただろw
雪山後編6600文字ほどです。ご不快な場合はどうぞトリあぼんでご協力お願いします
※一部不謹慎、ないし品のない場面が含まれます。あまり元気よく音読しないでください
境内に足を踏み入れると、焚き染めた香油の香りが漂ってきた。呪文と思しき通奏低音と風雪の響きが寺院を
支配する。壁のオブジェというか、ミイラ化した人というか、存命のお坊さんだったというか、何というか。
淡く灯火の揺らぐほの暗い建物の中では、しかと見分けが付かない。
「天礼衣って水をはじくんだね。今日は服がぬれなかったし、ちっとも寒くないよ」
「やっぱりその土地ならでは、という知恵があるんですね!素晴らしいことです」
「おっ、この壁の神像見てみろよ。でっかいチンポが生えてるぞ。すげー変。バカみてえ」
「よせ、あんまさわんな」
「何だよ、ほれほれ」
「「「あっ」」」
もげた。
「投げんな!」
「こっち回さないで下さいよう」
「ま゛〜」
「うわっ僕によこすな!ほりゃ」
「えっなあに?」
「「「あ…っ」」」
「どうもすいません」
「そこらに捨てとけ、バレねえうちに逃げるぞ」
こそこそと階段を駆け上がって裏口から雪山に飛び出した。騎士の開口一番はいつもでかい。
「綺麗ですねえ。山の風景を楽しみながら、寒さに負けず元気よく行きましょう」
のっしのっしと歩き始める。きらきらと日差しを反射した雪がまぶしく、案外と目に来るようだ。何より強い
突風が断続的に吹き続けているので、油断すれば足を掬われそうだ。だがそれも登山道らしき導入部までの事、
聳え立つ氷河に直面した一行は、本格的な壁のぼりにとりかかる。
「ほら!頑張って!よいしょ!」
「ちべてー!もうふひひふほ感覚ははひ」
「シー君もこれかぶる?暖かいよ?」
「ぜってーイヤだ!そんな女みたいなもの誰が被るか!」
「でもこれ、中に鉄板が入ってるし、裏張りもあるからかなり頑丈だぜ。頭打って死ぬよりはいいんじゃね」
「にやにやしながら言うな!くそパリスが!」
「ま゛っ」
「いやあー絶景ですね!おおー空のなんと青いことでしょう!それにこの眺め!やあーっほーおー!」
「なんでそんなに元気なんだよっ」
「うわっ」
「大丈夫か、ゆっくり足をかけてみろ」
「うん、有難う」
「ゃぁーっほぉー」
「山彦だねぇ」
「僕歌います!ゆけーっゆけーぇさあっそおとおぉ〜、てっぺんめっざあっしぃ〜いたたぁあかあえよおお〜」
耳を疑う下手糞だ。山彦まで調子はずれ。耳を塞ぎたいのは山々だが、両手で氷河に取り付いているのでそうも
いかない。居たたまれない気持ちで登りきったところで音感の破壊を悟り、そして不可解な地鳴りを耳にした。
「勝利を目指し!って、…なにか音がしましたか?」
「なんだ?…なんだおい?」
「上からきしむ音が聞こえるぞ」
「…と、いうことは」
「雪崩だっ高台に逃げろ!あの岩場だ!急げ!」
アルソンはフィーをひょいと抱えて走り出し、真っ先に駆け上がったパリスが岩場の上からロープを投げる。
「凄い!アルソンさんが雪崩おこしちゃったよ!」
「頑張れ!もう少しだ!手を出せ!」
「ぬおおおおお!」
「よっしゃ!シーフォン、お前も手伝え!」
「ま゛ー!!」
「おらあああっ」
ごろんと投げ出される。最後の左足を引き上げたとき、足元の視界全体がゆっくりと動き出した。
「間一髪でしたね…」
「ん?あれは?」
崩落しようとした氷壁の狭間に、嫌に目を引く黒っぽい一群が見える。魔法か何かで流れに逆らっているようだ。
「あれは!(神殿育ちで霊感の強い)Tさん!」
「フランとおっさんもいるぞ、こんな山ん中で何やってんだ」
「おおーい!おおーい!あっ僕達に気がつきました!こっちだーこっちですよー!」
「魔神さん魔神さん!どうかロープを持っていってください!」
いきなり寒風の中に呼び出された哀れな魔神は、それでも健気に飛んでいく。しかもそれは唯のロープではない。
「魔法のロープだ!破ァー!!!」
「引っ張れ!」
「ま゛〜」
「「「おーえす おーえす」」」
「僕の手をとって!もう少し!その調子です!」
雪に巻き込まれ、一瞬身を投げ出す形になったフランを捕まえ軽々抱き上げる。
「あ、有難うございます…皆さんも」
「よかったねえフランちゃん、テレージャさんも頑張って!!」
アルソンは身を乗り出して腰紐を掴むと力一杯引き上げる。神官はへばってその場に潰れてしまった。
「た、助かった…」
「そら!おっさん!あと一人だ!跳べー!!」
「ぬおあ!!!」
「よっしゃー!絶対はなさねえぞ!」
「引き上げて!」
「おおわー落ちるー!!神様!!チンポ折ってごめんなさい!!」
「無理すんなばか!」
ずるっと引きずられ、シーフォンを介した綱引きに。ついにメロダークの手甲ががっしと岩場を捉えた。
「………すまない、助かった」
真っ白に雪を被った最後の一人が這い上がる。フィーにぐったり寄りかかったテレージャはため息を吐く。
「いやあ…まったく、参ったよ。兆候もないのに、とつぜん足場が崩れてしまってね」
「それはまた災難でしたねえ!」
「人災なんじゃねーの?」
「みんな無事でよかった…それに装備品も最低限は手元に残ったみたいです」
「怪我の具合はどうだ。大丈夫かお前ら」
「あたしは大丈夫です、少しびっくりしただけで…」
「私もだ、彼がかばってくれたからね。優秀な護衛だよ」
「…私は少し脇を傷めた」
「ケケケ、ざまあ」
無言で睨まないでほしい。
「どうれ、私が診よう。動かせるかい?…ふうむ、折れてはいない。この程度ならフィー君の薬で治りそうだね」
「はい、どうぞ」
「うむ……」
渋い顔、というか日ごろ無表情なのでよくは分らない。つくねんと座った人工精霊と魔神に見守られて手当てだ。
「皆さんはどちらに向っていたんですか」
「山頂だよ。本来なら現地調査なんてしないんだが、どうしても気になって彼らを誘ったんだ」
「…それじゃくるの?お前らも?いくのか?…みんなで?」
「駄目…?」
じっと見つめられると断りにくい。つまり…こうしてとうとう、登山隊は総勢十人になってしまった。
隊列を組みなおし、岩場から東方面に向うルートを取る。ロープを渡してずらりと並び、芋虫かムカデのようだ。
低い姿勢で這うようにして風当たりを避けながらじりじりと移動するが、強烈な暴風と悪路に阻まれ遅々として
進まない。耳をつんざく風切り音は果たしてアルソンのためだけに狂って聞こえるのか。ふと顔を上げたとき
見通しの効かない空の中に何者かの視線を感じた。それと同時に、濃い霧に取り巻かれていく。
「目が疲れてきたんでしょうか…あたし、空になにか見える気がします」
「いや、私にも見えるぞ…精霊だ!攻撃されるぞ!」
「吹雪に飲まれるな!お前ら!なんか魔法使え!」
「うるせーくそパリス!いでよっ天雷陣!!」
稲妻の魔方陣が群雲を呼び起こし、伸び上がった神官の腕には青白い光がともる、これでもくらえ!その後ろから
殆ど無関係に術を説くものがいる。ひよわな吟遊詩人は耳を塞いで精一杯喉を震わせた。
「せーのー、かあーぜーよふけふけー!かーぜよ、ふけふけー!わたしーもーことりーととびだーそおー」
ばりばりと水分を含んだ大気に閃光と雷鳴が走り、それをかき乱すように暴風が吹き荒れた。滑落しかける仲間。
嫌な余韻を残した断末魔が消える頃、再び青々とした空が姿を現した。随分歩きやすい。
「あとはここから登るだけだな、最初の難関は突破ってなもんだ」
「皆さん、ちゃんとついて来てますねー?」
「「はーい!!」」
「具合が悪くなったらすぐに言いたまえ。無理は禁物だ」
「お前が一番先にくたばるだろ」
「それはない。私が雇われた分の仕事は働くということだ」
「あっそ。行くぞ人工精霊8号」
「ま゛〜」
ざくざくと石のように凍りついた雪の上を進むうち、くぼんだ地形に入り込む。野営するとしたらこの辺りが
いいだろう。そんなことを話しながら歩いていくと、何処からかにぎやかな歓声が聞こえてきた。我々は終に
頭が可笑しくなったのだろうか?周囲を見回していると見覚えのある子供が飛び出してきた。
「フィー!!何しにきた!エンダといっしょにあそぶか!」
「エンダちゃん!?どうしたの!ネルたちは?」
「ま゛?」
「服をきろってうるさいから、にげてきた」
「いや、服は着ろよ!寒いだろ!!」
パリスの殆ど絶叫に近いつっこみにからから笑う声が響く。ラバン爺だ。
「登山してきた割には元気そうだなあ。ほら、エンダ、わしと一緒にカボチャアーマー着よう」
「ネルさん、それにキレハさんも。…確か皆様は昨日出発しましたよね」
「いかん、幻か何かに思えてきた」
「ばふんでばかす昔話か」
「エンダは狐さんなの?」
「おー、フィーじゃん。あれー、みんなここいたらオハラさん、お客さんがこなくて困ってるんじゃなーい?」
「飲んだくれの爺がいるから心配ないだろ。お前らこそパンツ片手に何なんだ」
「エンダに長袖着てもらおうと思ったんだけどさあ、ぴゅーって出てっちゃうんだもん。私じゃつかまんないよ」
「あなたたちも元気そうね、…どうしたの?随分な団体さんだけど」
「今朝方、平野の方で怪物に追われているシーフォン君を見つけたんです。戦闘になったんですが、僕達は無事
救い出す事ができました。それから皆で登山する事になったんですが…あれは4合目でしょうか?なんと雪崩に
巻き込まれているテレージャさん達に遭遇したんですよ!僕達は危険も顧みず敢然と救助活動に当たったのです!」
「ほー、そいつは大変だったなあ。なんだかまるで、災害がお前さんたちについて来てるようじゃないかい」
「これはきっと大望を成就させんとするその意思を試さんという大いなる意志のお指図です!」
何かの言葉をかみ殺した男達のえもいわれぬ表情、目を輝かせる登山隊長アルソンさん。
「なんにしても、山は天候が変わり易いからなあ。進むなら日の出てるあいだがいいぞ」
「私たち、吹雪に巻き込まれて野営する羽目になったのよ。大変だったんだから」
「よーし!それじゃ出発です!えいえい!」
「「「おー!」」」
無駄に元気。うんざりした顔の幾人か、無表情の傭兵、それから魔術師と神官たち。登山にしてはにぎやかだ。
別れてから再び会うまでの出来事をそれぞれに話し合っている。毎日顔を合わせているのに何を話すのだろう。
半ばまで来た頃か、鮮烈だったはずの日は翳り、風が強まってきた。話し声が届かなくなり、身を縮こまらせて
手を取り合う。そうする間にも視界は白く覆われていく。吹雪が始まったのだ。
「おおい!はぐれる前に雪洞を掘るぞ!!パリス来てくれ!アルソン!メロダーク!あとお前たちもだ!」
ラバンに手を引かれたエンダがネルとともによたよたついて行く。
「人数が多いと、雪が溶けて崩れやすいぞ。しっかり掘るんだ!」
「わかった!お前ら!絶対にそこから動くなよ!」
「動きたくても動けねー!チキショー!!さみー!!!」
「ま゛っ」
「かかかかたまって、かかか風をしのぐんだうぐぐささささむいぃ」
「フィーさん、あたしたちも手伝いましょうっ」
「そうだね、…まってて!…いま!…足を!」
移動するのも楽ではない。足を雪から引っこ抜いては進む。声をかけあって穴を掘り、なんとか雪洞に入る。
「はあ、風がないだけでこんなに楽だとは…」
「あそこまで吹雪が凄いとは思いませんでしたよ!これこそが自然の驚異ですね!」
「灯りをつけよう。酸欠が怖いからな、いつも注意して炎を見ておくんだぞ」
「おう」
ごうごうと絶え間ない風の轟が地響きのように聞こえる中、肩を寄せ合い時を過ごす。パリスがぼんやりした顔で
頬をぴたぴた叩いている。…眠いのだ。もごもごと独り言を呟いていたが顔を上げる。
「よしお前ら、オレが眠りそうになったら殴ってくれ!オレも、お前らが寝そうになったら殴る」
「よっしゃまかせとけ!いくらでもぶっ叩いてやらあ」
目をぎらつかせて杖を取る。そして五分…十分…表から響くごうごうとした風雪、とろとろと点る小さな灯り…。
「起っきろー!!」
「んぎゃ!!」
下る鉄槌、悶絶する少年。
「エンダもてつだうぞ!!」
うなる百烈連打、繰り出す組み打ち。
「そおい!」
「ぐはっ!?」
「シーフォンねるな!」
「ひぎィッ」
「パリスー!」
「へぶしっ!?」
「隙ありィ!!」
「ぶべらっ!」
癇癪を起してくんずほぐれつ乱取りが始まる。
「てやあ!!」
「ぐげはっ!!」
「なんのなんの!」
「うぽあーッ!」
「ちぇす!」
「踏まないでっ」
「まだまだあ!」
「ひぐあっ!?」
「御免!!」
峰打ちだそうだ。ばったりと倒れこむ。
「…もうやめてっ…死んじゃうっ」
「ええー、しょうがないなー」
ぶつぶつと不満をこぼしながら、もとの場所に腰を下ろす。外をうかがうが一向に吹雪が収まる気配は無い。
「………あれ?ちょっと、人数が一人増えてるような気がしない!?」
「いきなり変なこと言い出すなよ!怖いから!」
「点呼!」
「イッチ」「にい」「三」「4」「ごー」「六!」「ひち」「2」「サン」「四…」「05」「ロク」「ひち」「にい」「さん、あれっ」
「駄目だ…もう数も数えられない…」
頭を抱えるのを見ながらアルソンは腕を組む。
「うーん。何もできずにじっとしていると、気が滅入っちゃいますね」
「そうだねえ…」
「ここは元気よく歌でも歌いましょう!♪おお立て 我ら大地の子よ 敵は尽きねど 勝利の時は……♪」
「うああっ」
「……くそ。死ね。鬱陶しい。やかましい。みんな死ね。全員死ね……」
鬼気迫る表情でぐずぐず言う傍らで力なくうずくまるパリス。気の毒に。二人とも顔がはれ上がっている。
「……オレ、もうやだ。こんな生活イヤだ……」
「こういうときは何か楽しいことでも考えて気を紛らわせているといい。将来の希望とか、そんなことを」
「将来の希望ですか。いいですね〜」
「メロダーク様はどんな希望をもってらっしゃるんですか?」
「……私の希望か?そうだな……そのうち戦えなくなったら、一日中料理をしながら暮らしたい」
恥ずかしげにふっと微笑む。
「…小さな料理屋でも開けたら良いな」
「わあっ、いいですね。きっと人気出ますよ!」
「将来といわず、町に帰ったら皆さんに食事をふるまってみては?」
フランも手伝ってくれるそうだ。すさまじい呪詛を言募っていたシーフォンは体力を消耗してしまったのか、
いつの間にか目を閉じて眠っている。
「……うう…………ごめんなさい……」
「シーフォン様、寝ては駄目です……。死んでしまいます!」
がっくんがっくん揺すっているが少年は白目を剥いたままうわごとを漏らす。
「こいつはいかんな。どんどん体温を奪われているぞ。こうなったら、あの手しかないな」
「なにをするの?」
「すっぽんぽんになって肌と肌で暖め合うんだ!」
「やれというなら、やろう」
「ちょっとまって!!!そんなのわしの希望じゃない!!!こないで!!!ぬいじゃ駄目!おわあああああああ」
こんな老人でも慌てることはある。表に飛び出していったがすぐ駆け戻ってきた。わいわい喚き騒いでいるが、
フィーの懐で我関せずとうずくまったエンダはもぞもぞ動く。
「どうしたの」
「はらへった……」
「エンダちゃん?…眠ってるの?」
「うーん、むにゃむにゃ。もう食べられないよ」
「ネルぅ、眠っちゃ駄目だよう」
「にく……ひかりごけ……」
「……だめだよう。フィーを食べるなんて」
殆ど地獄だ。救いを求めて視線を彷徨わせていると、静かに近寄ってくるものがいて、そっと耳打ちしてきた。
「……フィー君。こんな状況じゃ誰かが死ぬ可能性も考えた方が良さそうだ」
「…テレージャさん」
「もし私が死んだら……」
声を殺してフィーに囁きかける。
「宿においてある私の荷物の中から、白い革表紙のノートを見つけて、中身を見ずに焼いて欲しい……」
肩に手を回すばかりか、顔を一段と近づける。
「いいかい、くれぐれも絶対に、中 身 を 見 な い で 焼 い て く れ たまえ」
了承しないと噛みつかれそうだ。こくこくと頷く。安堵した表情になったとき、ふとフィーが呼び止めた。
「ねぇ、そしたらテレージャさん。あのね…もし私が帰れなかったときに……耳を貸して」
「なんだい、言ってごらん」
「…秘密だよ?あのね…お師匠様の、寝台の上にあるお納戸にね、…鍵色で、鍵がかかった箱があるの…」
「ああ…それで…?」
「そこにね…あのね…ずっと、お師匠様に内緒で貯めてたものがあるの」
「うん」
「見つかったら、怒られちゃうから…」
「こっそり持ち出せばいいんだね」
「うん。とっても大切なの…ずっと大好きだったから…」
「処分すればいいのかい?」
「ううん。できたら、…みんなで食べて欲しいな」
「はあ?」
「テレージャさん嫌い?はちみつキャンディ」
いっせいに吹き出した。もう駄目だ。
以上です。原作テクストからの引用が大量に含まれますことを報告申し上げます
>>532 >「いや、服は着ろよ!寒いだろ!!」
>>543 GJ!まさか全員集合するとは思わんかった。
しかし相変わらず文のまとめ方とオチが素晴らしいwww
GJっすー
全員集合するとカオスだのう
ちょい暗めのエロスが多い中でこのノリは清涼剤やでー
んで、容量的にそろそろ次スレを考えた方がよさげかしら
GJ!このノリ本当に大好きだ!
>>545 もうそんなになるのか。
あんまり早くても半端になるし、容量480くらいでいいんじゃ?
GJす!
フィーかわゆす
>>546に同意な480KBで次スレでいいと思うよ
500KBで満杯だっけ
>>543 いいぞもっとやれ
裸で猫を抱きしめながら次回作を待つ!
>>533 本スレでメロさんが更に暴走してて禿ワロタ
>>549 懐かしくなって書いたらw落ちを知ってる人なら絶対メロ持ち出すと確信してたw有難うごめんなさい
ところで笑点見てて思ったよ。アルソンの歌って山田k(ry
たまに本スレとここの区別がつかなくて困る。話題の方向性的な意味で。
なんで表で陰茎断裂の話題で盛り上がってるんだ!
危うく下品なネタレスを投下しそうになったじゃないか!
>>551 むしろ性知識がまったくない顔4フィーで頼む
「ほ、ほんとに唾をつけたら治るの?」と言ったフィーが唇を寄せてふっと息を吹きかけ
ここまで書いて投下しかけたのでまったく危なかった
専ブラだとタブが両方[Ruina 廃都の物]なので時々マジで間違えかける
本スレ自重
>>552 よくぞ思いとどまってこっちに投下してくれた!
すげー萌えるなそれ。
でも個人的にはほんとうにあった陰部の怖い話(症例)を淡々と述べる
顔2フィーも捨てがたいんだ。M的に。聞き手はパリス、シーフォンあたりで。
そして脇ではテレージャさんが爆笑してる。そういうのが理想。
メロさんもアルソンさんもなんかその手の肉体的に痛い話には慣れてそうなイメージがあるんだよな。
アルソンさんは慣れてるってよりも、
痛い話を痛がる感受性が最初からなさそう。
エロりんは話どころじゃなく色々痛いこと体験してそうだからなー。
>>552 マジで萌えるなそれ。
回復術で「傷口に触れる」表記が出るからますます妄想が広がる。
無知ゆえに事の深刻性をまったく理解していない顔4が、悪意なく大真面目に話し
「大事な話だからちゃんと聞いてください!」ってのも悪くないな。
流れをポッキリ折って投下
スレ最後らへんの賑やかしに オールキャラどたばた、一世直前なのにあの方を放置していたって状況。
※危機感知※
いつまでたってもプリンセス! 当然キッスもあるよ!!
トリつけますので、苦手な方はアボン願います。
>>536 全員大集合GJです!フィーの可愛さに吹いた後のた打ち回った!
>>554 アルソンさんは釘踏み抜いても普通に「いやあ錆びていなくてよかったですね!!!」とか言って
メロダークは何かで死ぬほど痛くて内心絶叫してるのに、やせ我慢しそうなイメージ
シーフォンは紙で切っただけでヒーヒー騒いで、パリスは誰かの金的攻撃を”見たせいで”貰いゲロ
ラバン爺は大怪我してる奴に吹き込んだいんちき治療で騒ぎになってるうちにいなくなってたり…とか
なんとなくそんなことを想像した。爺は死んでてものらくら生きていそうで困る
――平穏は崩されるためにあるのかもしれない――
「吾輩だー! プリンセスじゃー! あっつ〜いキッスをおくれぇーーー!!」
今日もこれから探索だ、とみんなが集まる酒場。いつものメンツが顔をつき合わせていると『それ』は入り口のベルをけたたましく鳴らしながら嵐の如く乱入してきた。
「死ねぇ!!」
何かのトラウマを触発されたらしい遊牧民の娘が場所も考えず撃ちまくる矢の乱舞を裾の長いドレスをひらりと揺らしてかわす驚異的な身体能力。慎み深い可憐なドレスでも打ち消しきれない、むしろ逆効果な強烈凶悪ビジュアル。傲岸不遜な物言い!
「ふっふっふ。吸引力でも舌技でも情熱でも吾輩を満足させられなかった中途半端小娘の弓など痛くも痒くもないわー!」
「むきゃーーー!!」
間違いない。七人の小人を従えた変態の中の変態、夜種王プリンセスだ!
「ちょっ、キレハさん? キレハさーん!?」
「落ち着いてください! あれとは関わらないほうが幸せです……」
涙目の女中や町娘に取り押さえられるキレハを一笑に付してから恐怖はじろりと酒場を見渡す。そしてとある一角――童顔の青年神官や大人びた巫女、少年魔術師などがいるテーブルを捉えると興奮で頬を赤らめながら雄たけびをあげた。
「吾らが夜種王ネットワークによれば!」
「変態組合かよ……最悪だな」
チンピラの至極マトモな呟きに同意する暇すら与えない。それが夜種王プリンセス。そこに痺れる! 憧れないぃ!!
「吾輩を満足させうるキッスが可能なのはお主らとの事! 吾がお礼キッスに沈んだ同胞のためにもお主らの唇は吾輩が頂く!!」
「おえぇ!!」
勝手にその光景を想像したパリスが猛烈な吐き気に襲われて勝手に倒れた。ダメだこいつ、使えない。
見れば同じく大ダメージを食らったらしい老剣客もカウンターに伏しているが、胸元から取り出したいパンツを握り締めて「タ、ターニャちゃんが守ってくれた……」とか言っている。
あの爺もダメだ。女将のオハラさんも悲しそうな目で見ている。フラグはグッシャグシャだ。
「さて、吾輩を満足させるキッスをくれるのだーれだ☆」
急にキャピキャピしたポーズを決める変態に殺意を覚えながらも青年は周りを見渡した。
「おうちかえゆー……ほりゅむこわいのー……」
「シ、シーフォン……?」
……彼は壊れてしまったようだ。幾多の修羅場を乗り越えて力を手に入れてきたという天才魔法少年も、こういった恐怖の前では無力らしい。
壊れたなら奴に与えてもいいか、という悪魔の囁きを彼は神官の理性で何とか消し去った。
「ふぅむ。これは困った事態となったね、エメク君。どうしたものか」
「テレージャ……きみ、大して困ってないね?」
奴を実力行使で追い返すとなるとこの二人のうちのどちらかになるのだろうが、いくら奉仕の心を求められる神官でも奴に唇を奪われるのは嫌だった。神官の矜持とか誇り云々の前に人として嫌だと強く思う。
だがここでテレージャに押し付けるのも男としてどうかと思ってしまうのが、エメクの気弱とも優しさとも称される点だ。何より後々が怖すぎるという理由が一番大きくはあるが……。
「誰も出ないと言うのなら私が出よう」
「他の人が犠牲になるのを黙ってみているのは騎士道に反します!」
すっと前に出る影は傭兵と騎士の二つ、メロダークとアルソンだ。
メロダークは淡々と、アルソンは毅然とした表情なのが二人の決死の覚悟の深さを思わせる。
「ば、バカヤロー! むさい男同士のキスなんてみせるな! もう俺のヒットポイントは0だぞ!?」
(しょんぼり)
カウンターに伏していた残念な爺が抗議の声を張り上げる。
煩い、お前を生贄にしてやろうか。とエメクは一瞬思ったがよくよく考えれば彼の言うとおりと考え直す。本人はいいとしても、周りの人間のヒットポイントもガリガリ削られていくのが目に見える。正直、それはごめんだ。
「私としてもアルソン君がいいな。変態に汚される金髪の若騎士……ハァハァ……」
「ごめん、却下で」
急に荒くなったテレージャの鼻息に反射的にアルソンを遮ってしまう。何故かはわからないが、彼の中に眠る神官特有の第六感が必死に阻止したのだろう。背筋を襲う正体不明の悪寒に身体をブルリと震わせていた。
「我が侭だねエメク君は。もうここは君が行くしかないんじゃないかな? ……童顔の青年神官が汚さ……ハァハァ」
「お願いだから仲間をそんな目で見ないで」
彼女の怪しい視線が自分に向いた事に泣きたくなるが、涙を流したところで準備運動を始めてしまった変態が消え去ってくれるわけではない。
酒場の視線が「お前しかいない」と彼の背中に突き刺さる。ああ、これも女神が修行中の彼に与えた試練なのだろうか……。
エメクの心中で自暴自棄と使命感とがグチャグチャに入り混じり吹き荒れる中、椅子の背に手をかけてゆっくりと立ち上がる。と、テトテトと小さな足音が耳に入った。
「おい、きっすってそんなにうまいのか?」
「エンダ!?」
後ろから成り行きを見守っていた童女が準備運動を終え、いい汗を腹立たしくイイ表情で拭うプリンセスへ好奇心と興味に満ちてキラキラと輝く目を向けている。
「ぬぁん? ほほう小娘……その歳でキッスに興味があるとは。おませさんめ」
「小娘でもおませさんでもない、エンダだ」
「エンダとやら……キッスの味は『悪魔の様に黒く、地獄の様に熱く、接吻の様に甘い』という名言に使われるほどの美味。
快感という悪魔に襲われ目の前がブラックアウトし、その熱さ、まさに火炎地獄! ただし身を焦がすのは甘い悦楽……それがキッス。吾輩を捕らえて離さぬ甘美な罠よ」
甘美さを思い返しているのか、自分の身体を抱きしめてくねくねと腰を振る。変態だ。
だが彼女はそんな様など目に入っていないようで、とある一言にすっかり意識を捕らわれていた。
「甘いのか!?」
「知りたいか……ならばお主の唇がフルコースの始まりじゃーーー!!」
(ダメだエンダ。逃げるんだ!)
慌てて椅子を蹴飛ばして止めに走るのに、慣れた酒場が異様に大きく感じた。
手を伸ばしているのに届かない。必死に名前を叫びながら駆け寄るも好奇心に呑み込まれた彼女はエメクに気づく様子もなく、ぐわしっと差し出された逞しい腕に抱え上げられて、もがく彼の目の前で二人の顔がくっついた……。
「エンダ……!!」
力を失った膝を床に落とし、愕然とうな垂れる。僕が、僕が愚かなばかりにエンダが……とその目に涙が浮かんだ。
が、どうも様子がおかしい。
「ぬっ、ぐぬぬぬ……!?」
変態のうめき声が聞こえる。顔を上げると平然と唇をあわせるエンダに対し、変態は焦燥に襲われているようだ。
ごぉぉーという激しい吸引音と忙しなく蠢く舌のぬめった音が、誰もが声を失った酒場に交互に響き渡る……。
(な、なんという……!?
歴戦の戦士のような口吸い! 叡智を極めた賢者のテクニック! そして吾がキッスをあえて受け止める度量の広さとびくともしない硬さ……!!
わ、吾輩っ……こんなの初めてぇ〜ん!!)
……見開かれた目がとろんと焦点を失う。やがて自らくっつけた唇を自ら離して、力を失った夜種王がくたりとしなを作りながら座り込んだ。
「エンダ!」
震える膝を叱咤して何とか彼女の元へ、転がり込むように辿り着く。むすっとした表情であるものの見た目にはどこも異常はない。どうやら最悪の事態は避けられたようだ……とエメクはほっと胸を撫で下ろした。
「エメク様!」
フランの鋭い呼びかけにはっと顔を上げる。見ればフラフラとしながらも手をついてプリンセスが立ち上がろうとしていた。
慌ててエンダをかばって前に立ち、女神の杖を握り締めて彼女の加護を求める。天からの清浄なる光が溢れる中、あっという間に周りを駆けつけた仲間たちが囲んだ。
横に守るフランとパリスはそれぞれ村正、鞭、鷹のレイピアを手に奴を睨みつけ。
壁にならんと前に立つアルソンは古皇帝の槍を、メロダークは母なる夜の剣を、ネルは古皇帝の弓を、ラバンは投擲を構えそれぞれの切っ先を相手へ向ける。
後ろからはテレージャが聖剣を掲げて展開した結界が仲間を守り、シーフォンの無音詠唱が圧倒的なプレッシャーが酒場を覆う。
少し離れた場所ではキレハがいつでも動けるように魔弾の構えをとり、オハラさんですら包丁とフライパンの二刀流で構えてカウンターから出て状況を見守っている。
さっきまであれほどダメだった年長者たちが、「エンダにこれ以上触れさせない」という目標で一つになる。強い意志に満ち溢れた勇姿は凛々しく、美しくもあった。
歴戦の冒険者達にこれだけの警戒を抱かせる脅威、プリンセスはそんなぴりぴりとした緊迫も気にせず、立ち上がると胸を張り雄たけびを張り上げた。
「素晴らしい! この吾輩が絶頂でしばし声も出なかったキッスをその歳で……素晴らしい!」
恍惚の表情で汗を振りまきながら大げさな身振り手振りで感激を露にする。変態だ。腰をくねらせるな。
「吾輩を……プリンセスをエンダのお嫁さんにしてぇ〜ん!!」
一歩前へ踏み出し、目の前のメロダークに喉元へ切っ先を突きつけられても平然と、エンダを熱い目で見つめる変態に緊張感は一気に高まり、最前列隊は無言で得物の切っ先の照準をプリンセスの急所へ合わせた。
だが、しかし。
「お前のきっす、まずかったぞ」
敵意を露にする大人たちに囲まれながら、状況もよくわかっていないだろうに発したエンダの言葉が何よりも強力な武器となろうとは、誰が想像できただろうか!
「……え?」
「ネルの魚サンドの方がうまいし、ラバンの干し柿の方が甘い。
フランやメロダークのかったいパンの方が腹いっぱいになるし、アルソンのチョコパイやキレハのミートパイの方が……じゅるり……。
それに何よりもだ、エンダはばーちゃんのポララボとエメクがくれるチョコが大好きだ! だからお前のきっすは嫌だ!!」
信じられない、と目を見開くプリンセスにエンダは淡々と、しかし最後は確固たる意志を込めて強い調子で叫ぶ。
変態はよほどその言葉に衝撃を受けたのだろう。頭を抱え千鳥足でふらつき、苦渋の汗を滴らせている。しばし地を這うような唸り声をあげ、そして……
「ぬ……ぬぁーーーんッ!!」
咆哮と共にあがる閃光! 全員があまりの眩しさにきつく目を閉じて手で顔を覆う。あまりの光の強さに、突風が生じたかのような錯覚を抱いてしまう。
……目が慣れた頃、恐る恐る瞼を開くとそこには何も、塵一つ残っていなかった。先ほどまでの騒乱と緊張が嘘のように静まり返り、誰もが湧いた生唾すら飲み込めず固まるなか、最初に動いたのはやはり彼女だった。
「エメク、大丈夫か?」
「エンダ……」
ついつい、と袖を引っ張り心配そうに見上げるエンダの長い髪を、エメクは泣き出しそうなのを堪えた表情で何度も、何度も撫でた。
「僕は大丈夫。エンダ、ごめんね。大丈夫だった?」
「え、エンダはいつだって大丈夫だぞ! なんてったって竜だからな。強いんだ!」
彼の表情にうろたえながらも小さな胸を張って、えへんとふんぞり返る健気な姿に集まっていた年長者達の警戒心は引き、笑顔が戻る。
どんな武器も権威も富も、幼子の健気さの前では無力なのかもしれない。
「今日の探索が終わったら、ピンガーさんのとこでチョコ買おうか」
「本当か!?」
表情を和らげたエメクが髪を撫で続けながらそう言うと、エンダは身を乗り出して食いつく。
喜びと興奮のあまり鼻息が荒い彼女に周りの人間も笑いながら、次々と話に乗っかっていく。
「俺が口利いて安くしてもらってやるぜ」
「そのチョコ一枚分けてもらえませんか? 最高のパイを焼いてみせます!!」
「今日は何サンドが食べたい? 今ならお姉さん、虹色魚もサンドイッチに出来そうな気がする!」
「……パンならまだあるが、いるか?」
「エンダ。干し柿食え、菓子も飴ちゃんもある限り食え」
「あたしもいっぱい、おやつ作らせていただきますね」
「……褒められて悪い気はしないものね。いつでも作ってあげるわよ」
「我々も料理スキルが欲しかったねぇ。なぁ、シーフォン君?」
「っけ!!」
「お、おお〜……。なんか今日は、いい日だな」
――平穏は崩されるためにあるのかもしれない――
――騒乱と騒乱の間にある平和はいつだって容易く崩れ去り、人はいつも間違い、悩み、惑う。
しかし忘れないで欲しい。
手を取り肩を組みあう戦友を。間違いそうな時は殴ってでも正してくれる友を。悩み惑うた時は共に悩み、時に泣き、時に意地を張り合い、そしてそっと手を差し伸べてくれる仲間を。
神々は人に弱さと愚かさ、それに伴う苦悩や痛みを与え賜うた。が、それと同時に仲間という大切な存在も与えてくださったことを、君は忘れないでいて欲しい――
後日
「……エメク。どうしたんだ、エンダのほっぺ」
「こりゃあ虫歯で決定だな。ちゃんと歯ぁ磨いとったのか?」
「痛くない! エンダは竜だから痛くないぞ、平気だぞ!」
「ちゃんと磨いたっていうから油断してたよ……とほほ。僕が磨いてあげるべきだったかも……」
「うーん、困りましたねぇ。腕の良い医師は知ってますが、都なんですよねぇ」
「あたしの里では患部に強烈な毒を流し込んで虫歯の部分を焼き尽くす、って治療法が昔から……」
「怖っ! んなむちゃくちゃな方法伝わってんのかよ!!」
「どうする? 結界の応用して口内を保護しながら治療してみるかい?」
「むー! むーむー!!」
――甘いものを食べたまま放っておくと虫歯になりやすいのは世のお約束だ。
食後はきちんと歯を磨く。ひいじいちゃんとの約束だ!――
(サカヴァーノ・G・ジイ著『ひいじいちゃんから、生まれくる君へ贈る物語』第十二章より)
===
酒場のおじいちゃん、はりきりすぎて超大作書き上げちゃうんじゃね?という妄想+いつもの夜種王妄想+エンダの対プリンセス戦での強さ=これ
文章がアレじゃねだって? だって書いたのおじいちゃんだもの…という言い訳ができてまさに俺得
>>562 割り込んでごめんなさいGJ!エンダは可愛い。最強
GJ!
最強のエンダも虫歯には勝てないのか。
前半の大人たちの戦慄に笑った。
エンダもなにげにキス勝負かなり強いからなぁw
GJ!エンダ可愛いよエンダ
>>556 GJ!エンダかわいいな。
最初テレージャがキス勝負であんなに強いと知らなかった頃は
よくエンダのお世話になった。
>>551 eraネタで申し訳ないが、フィー口上のフェラをさせたときの
「泌尿器」という言い方が個人的になんだか好きだ。
男のブツは性器でもおちんちんでもなくて泌尿器という認識なあたりが
医学知識は豊富だけど性知識はからっきしな医者の娘っぽい。
しーぽんと十世のグラ被りから妄想を膨らませて、
脳内大図書館から発掘してたら本スレで話題になって焦ったでござる、ニンニン。
鍵の書争奪戦後で 十世×フィー(エロ無し)
***できそこない表現あり***
「……駄目……そっち……行っちゃ、だめ…………シーフォン!!」
魘されていたフィーが飛び起きる。
悪夢の余韻に震えながら荒い息を吐き、額の汗を拭った。
窓の外に目を向けると、漆黒の中に瞬く星が深更を語っている。
呼吸が落ち着くとベッドから這い出し、服を着替えた。
「早く……行かなきゃ……」
寝台の横に立てかけておいた杖を引っ掴んでフィーは部屋を出た。
――夢で見たからなんて、誰が信じるだろうか。
仲間を起こそうとしたが思い留まり、一人でひばり亭を抜け出した。
杖の先に柔らかな魔法の光を灯し、それを頼りに森を駆け抜ける。
そして、夜よりも暗い闇が待ち構える洞窟へと入っていった。
魔物に見つからないよう螢火を消してフィーは文字通り手探りで闇の中を彷徨っていた。
どこからか光が漏れているのか、ぼんやりと見える程度の視界で探索を続ける。
「シーフォン……どこに――ひゃっ!?」
崩れた床の穴に足を取られて危うく落ちそうになった。
階段を上がったり下がったり、魔物から隠れてやり過ごしながら歩を進めていく。
そうしている内に偶然辿り着いた小さな都市で、フィーは己の秘密を知ってしまう。
そこで語られた残酷な真実から守ってくれる師も、慰めてくれる仲間も、縋りたい相手も、今はいない。
恐怖に駆られたフィーは都市の脇から伸びる長い階段へと逃げ出した。
都市からの明かりから遠ざかるとようやく落ち着きを取り戻し、一旦足を止めて呼吸を整えた。
その時、前方からゴロゴロという音と振動が近づいてきた。
薄明かりの中、大きな岩が転がり落ちてきている事に気づいてフィーが慌てて踵を返す。
急いで階段を駆け下りるが、階下までとても間に合いそうにない。
押し潰されるすんでのところで、運良く扉が開け放されていた部屋に転がり込んだ。
ほっとしたのも束の間、背後で扉の閉まる音に驚いてフィーは飛び上がった。
開けようとするも鍵が掛かっていてびくともしない。
一連の仕掛けが罠だったと悟り、溜息を吐く。
恐らくこの鍵にも仕掛けが施されてるであろうと考え、他の扉を探そうと振り返った。
奥に進むにつれて強く漂ってくる冷気と血の臭いに鳥肌が立つ。
その元となっている小さな部屋を見つけ、開いたままになっている扉から中を覗き込んだ。
「…………っ!?」
何か軟らかい物に躓き、フィーが足元を見て息を呑んだ。
それは息絶えて久しい獣頭の神官だった。
周りを見渡せば、いくつもの魔物の死体が無造作に転がっている。
その惨状の中央に立つ影に気づいて目を凝らした。
「……シーフォン!!」
背を向けている少年に駆け寄り、抱きしめる。
「無事でよかっ…………」
少年の向こうに蓋の開いた棺を見つけ、フィーは弾かれるように離れた。
怯えた目でゆっくりと振り返る人物を見上げる。
背格好は彼とそっくりだったが、その顔はどことなく自分に似ていた。
虚ろな目がフィーを捉え、歪な形の腕を伸ばす。
恐怖に声も出せないまま立ち尽くしていたが、喉に冷たい手が触れてフィーは我に返った。
だが、あまりにも遅過ぎた。
逃げる間もなく首を絞められ、徐々に力を込められて杖を取り落としてしまう。
「く……ぅ……」
手と呼ぶには形状が違いすぎるものを引き剥がそうと掴むがびくともしない。
巻きついた骨の無い腕は柔らかく、そのおぞましい感触にフィーは思わず手を離してしまう。
簡単に首を折れるだろうに、その手は呼吸を奪うだけに留まり、苦痛に喘ぐ表情を楽しそうに眺めている。
「……ぃ……ぉ、ん…………」
薄れていく意識の中でフィーが微かに声を漏らし、目の前の相手に触れた。
頬を覆う温かい掌に驚いた魔性が獲物を突き飛ばす。
フィーはそのまま床に崩れ落ち、激しく咳き込んだ。
脳に酸素が送られて思考が戻ると、柩から這い出た死者が何もしてこない事に気づく。
命を奪おうとしておきながら手を離した相手を訝しみながら見上げた。
何を考えているか分からない目がこちらを見据えている。
気取られないよう視線をそのままに、ゆっくりと手探りで落とした武器を探す。
指先にそれらしき物が触れた途端、死者がしゃがみ込んで顔を近付けた。
気づかれたと思いフィーが体を強張らせていると、指のある方の手が頬に触れた。
「……アタタカイ……」
ひんやりとした手が頬を撫で、顎から首へと伝って薄い皮膚の向こうの脈を確かめる。
隙をついてフィーの手が杖を掴むが、更に滑り降りた手が胸元で止まった。
存在を誇示するように強く鳴る心音を捉えて爪を立てている。
――呪文を唱えるより、彼が心臓を抉り出す方が速い。
再び膠着状態となったが、それはすぐに解かれた。
「…………え……?」
手を離した死者がその頭を胸に埋め、フィーはあっけに取られる。
どうやら、耳を押し当てて鼓動を聞いてるようだった。
「……アタタカイ……」
それは生への未練とも、触れ合う事による安堵とも思えた。
首を傾けて、死せる皇帝の顔を覗き見るが、相変わらず表情が読めない。
戸惑っていたフィーは決心すると、静かに杖を上げて囁くように呪文を唱えた。
切ないなー・・・乙カレー
そういや名前を呼んで欲しがる人とか、気の毒な人いるもんな
>>568 乙!
10世の境遇は考えてみれば幸薄そうで可哀想だ。
本スレで話題になってたグラ使い回しのことや
赤い髪のことは地味に気になるなあ。
ぼんやり思い巡らせてて考え付いたんだけど、政略結婚でギュスタールがウェンドリンと
くっついたら、フランはあわあわしながらお義姉様とか言うようになるのかな
Ruinaの2次創作はここが一番活発みたいやね
探してみたけど少ないこと少ないこと・・・
>>573 ごく自然に「ああ偽装婚か」って思ってしまった。
>>574 自分もサイト作ろうと思ってたんだけど気がついたらエロパロ書いてたんだよな…。
万が一公開できた時はよろしく頼む。
>573
まあ待て、落ち着け。
その場合はウェンドリンが義妹だ。
つまりフランを「あね様」と呼ぶウェンドリンの図。
>>576 年齢で変わるわけじゃないのか。と思ったけど、そもそも年齢にソースがなかった
なんか無意味にマッチョ夫婦になるなと思ったら夜中に吹いた
>574
プレイ人口=需要が掴みにくいので同じくサイト躊躇中
専門の登録所があればやりやすいとは思うものの、そこまでの技量は無し
ふりーむのDLカウント見る限りだと、プレイ人口は万単位でいると思う。
(バージョン違いを一人が複数DLしたのを差し引いてもね)
「あっ……ふ」
ぎゅっと目を瞑ったキレハが、<狼>の耳をふるふると蠢かせる。
「声、出ちゃう……っ」
必死に押し殺そうとしている声の中に、隠しきれない快楽の色が混ざっている。
思わず手が滑ってしまいそうなのを堪え、ゆっくりとした動きを続ける。
「そこ……うん、きもちいい、よ」
キレハの艶のある雰囲気に、息を呑む。
元から美人ではあったが、最近はそこに色気まで出てきた。
邪な思いを抱いてしまっても、誰が責められようか。
「やっ、耳、息、吹きかけないで……敏感なの」
甘えるような口調と見上げるような視線が理性の壁を突き崩していく。
「つっ!……ん、大丈夫。もう少し、優しくして?」
力が入りすぎた、らしい。
一旦気を落ち着かせ、再び耳に息を吹きかける。
「あゔう……」
全身を硬直させ、ぷるぷると震えている様が可愛くて仕方がない。
「ふう……終わり?」
手を止めて声をかけると、安堵したような息を吐く。
たかが耳掃除で騒ぎすぎである。
「み、耳は弱いんだからしょうがないでしょ」
どちらかと言うと羞恥が強いのか、頬を赤くしてむくれる。
と、すぐに表情を緩める。
「やっぱり、男の人の体って硬いのね」
頬擦りするように膝枕に体重を預けてくるので、手櫛で髪を梳いてやる。
あまりもぞもぞと頭を動かされるとまずい。
「ん?」
しかし時既に時間切れ。
堅固の構えをとったキューグの聖剣に気付かれてしまった。
「……どうして“たかが耳掃除”でこんなになってるのかしら」
キレハが性的興奮を煽るような声を出すからである。
「そう。私のせいにするんだ」
目を細め、不敵な笑みを浮かべる。
ころんと転がりながら早業で下衣をずらし、キューグの聖剣を口に含む。
温かな口腔内でワイヤートラップが絡み付いてくる。
強烈な快楽が背筋を駆け巡り、頭の中で雷の暴君が煌く。
「まだ、ダメ」
竜脈の解放寸前で止められてしまう。
「こっちで、ね?」
下着を脱ぎ捨てたキレハの混沌の血脈は、準備万端に濡れていた。
激怒したキューグの聖剣が大洪水の記憶に呑み込まれる。
「は、ああっ」
闘気に満ちた薔薇の剣に貫かれ、悩ましい吐息を漏らす。
腰を突き出すたびに踊るキレハ。
最初からクライマックスなキューグの聖剣はもう金色の王剣。
「だ、出してっ!」
キレハの奥の樹縛に、魔弾が放たれる。
「あ、ん……」
ぽて、と倒れこむキレハの横に寝転がる。
「うん……きもち、よかった」
気の抜けたような微笑が、心臓を刺す。
その口から紡がれるのは、
「……だいすき」
心を縛って離さない、くくりの呪文。
キレハの穴に棒を突っ込んじゃうぞ編、或いはまぎらわシリーズ
埋めネタとは言え、やりすぎた感もなくはないけどキレハとイチャイチャするのが一番楽しい
某コピペみたいな後半は、わふわふ言うキレハがゴロゴロするだけの非エロとどっちにするか脳内会議が劫火の王国になった結果がこれだよ
最近気付いたけど、他の職人さん達に比べると本編から最も遠いところにいる気がする
>>580 GJ!
敏感すぎるキレハハァハァ
>本編から最も遠いところにいる
キレハといちゃいちゃすんのが本編だろ?
>>568 乙。なんか切なくなるな。
十世さんは少年王だったんかな。
若い姿で出てくるご先祖様たちは他にもいるからあんまり関係ないか。
>>572 本スレの流れで、赤い髪のせいでああいう風にひねくれた性格になって
本当に裏切り者になった…みたいな妄想はした。
>>577 ああ見えてギュスには腕力のスキルはなくて
一見深窓の令嬢にしか見えないウェンドリンの方が怪力。
だったらシュールだなあw
>>580 キレハかわいいよキレハ。もうそれしか言えないよ。
後半は笑いかわいかった。
>>580 マッサージか耳かきと睨んだ俺さすが俺GJ
>>577 「ああっごめんウェンドリン!テーブル投げないで!!ねえちゃあん!!」
部下の人が来る
「あの報告書は何だ、誤字が多すぎだ。すぐに訂正して1時までに提出しなおせ」(キリッ
こうですか
585 :
名無しさん@ピンキー:2009/10/13(火) 21:48:25 ID:g5B5YTIW
>>580 はいはい耳掻き耳か・・・アー!?
GJ
真面目にギュスを誰かと組み合わせるとすると…
ウェンドリン→レンデュームの若君とホルムの姫君、政略結婚から芽生える愛
アイリ→姉属性萌え、ある種のシンデレラストーリー
フィー→あたし、自意識過剰で中二病のお兄さんがタイプなの…
マナ→訳アリだめんずを見るとぎゅってしたくなっちいます!
ネル→鍛冶技術と錬金術で里を豊かに、何かと世話を焼くネルお姉さん
テレージャ→西シーウァ貴族の娘とレンデュームの若君
キレハ→この子ほっとけないとなにかと世話を焼く
エンダ→エンダ強いやつが好きだぞ
十四歳ー!俺だー!結婚してくれー!!
・学園パロ
・領主女主人公+罪人男主人公
・十四歳
それではどうぞ。
「ねえ、ギュスタール。これは何?」
某家の茶の間、そのちゃぶ台には1冊の本が載せられていた。
『月刊ターニャ』
本の持ち主である少年……とても少年には見えないが、ともかく彼は縮こまって正座している。
「いや、それは……じいちゃんの本じゃない?」
彼の必死に搾り出した、見え透いた、余りにも無理のある言い訳は悲しい程に無力だった。
「嘘つかないの!それに、これも!」
続いてもう一冊の本がちゃぶ台に叩き付けられる。
『月刊ルギルダ』
「これも!これも!それからこれも!何呆けてるの!?まだまだ、これも!!」
『団地妻の大冒険〜巨乳V.S.巨根〜』
『DekapaiMaidCry』
『絶倫!ネスギャル百人斬』
『不夜城シーウァ泡姫大全集』
『猿でも出来るナンパ術〜出会いからベッドインまで〜』
『巨乳くノ一危機一髪!』
e.t.c...
次々と本が積み重ねられ、いつしかちゃぶ台の上にはエロ本の塔が出来ていた。
「勝手に部屋片付けるなよバカ姉ちゃん!!」
「あなたが散らかしっ放しだからでしょ!?大体、何よこの本!こんなのばっかり読んで!!」
姉フランによる弟ギュスタールへの説教は、夜が白むまで続いた。
フランは昨夜の出来事を、ぷんぷん怒りながらヴァンに話した。
「へ、へぇ〜。そりゃ、大変だったな」
校舎の屋上でフランと昼食を摂っていたヴァンは、苦笑雑じりのリアクションを返した。
「部屋は汚いし、エッチな本ばっかり読むし。我が弟ながら、恥ずかしいですよ」
頭からプンスカと湯気をたてながら、フランが牛乳を啜る。
健全な男子高生であるヴァンにとっては、耳の痛い話だった。
「まぁ、その……良かったじゃん。お前の弟も、ちゃんと健全に育ってるって事だし?」
「何も良くないですよ!……ヴァン君も、そういうの持ってるんですか?」
図星を突かれ、ヴァンは手の中にあるチョココロネを落としそうになる。
「まさか、そんな事ないよ。うん、無い無い」
「……今日、ヴァン君のお部屋掃除しに行きますね」
彼女の天使の様な笑顔は、ヴァンに『逃げんなよ』と暗に告げていた。
同刻、剣道場教員室
「ハハハ……それは災難だったな」
剣道部顧問の中等部教員のテオルは、担当クラスの生徒の愚痴を聞いていた。
「大体姉ちゃんはそういうの厳しすぎるんスよ」
ギュスタールは肩を落として昨日の出来事を担任のテオルに打ち明けた。
「まぁ、“保健体育の教科書”なら、また持ってきてやるさ」
「ウス!テオル先生ありがとうございますウス!」
テオル教諭は、生徒の間では大変人気がある。
女子生徒にはその端正なルックスが、男子生徒には教師らしからぬ振る舞いが大変好評だ。
現に、今も生徒の前だというのに煙草をふかしている。
彼の失脚にリーチが掛かっているのは言うまでもない。
「失礼します。テオル先生、今日の部活動についてですが……」
そんな彼の部屋に現れたのは、剣道部主将のウェンドリンだった。
「やあ、ウェンドリン。今日も己は会議で出られんぞ」
「……そうですか。では、今日も自主練習で。それと、煙草はいい加減にお控えください」
ウェンドリン主体の自主練習。それは剣道部員にとっては地獄に等しい過酷さである。
剣道部員であるギュスタールは、落ちた肩を更に落とす羽目となった。
そうだ、今日は家の都合で出れませんと言おう。
ギュスタールがそんな事を目論んだ次の瞬間だった。
「そうだ、ギュスタール。君には話があるから、ちゃんと部活に出るように」
哀れなギュスタール少年の企みは、瞬時に砕け散った。
「し、死ぬ……」
案の定、今日の剣道部は鬼軍曹ウェンドリンによるスパルタ訓練だった。
他の部員が帰った後も、ギュスタールはウェンドリンの言いつけ通り待っていた。
「やあ、待たせたね」
「主将、話って一体何ですか?」
ようやく現れたウェンドリンと彼は帰路に着く。
「今夜、君の家に行っても良いかな?」
突然の申し出に、ギュスタール少年の脳は大混乱に陥った。
「え!?いや、なんでっスか?俺の家って……ええ!?」
「いや、用があるのは君の姉上なんだが」
ギュスタール少年の混乱は冷徹な一言により、上がりきったテンションと共に鎮められた。
「そ、そうなん……すか……」
「それで、どうなんだい?」
「いや……良いっすよ。多分もう帰って来てるでしょうし」
「よし!じゃあ行こうすぐ行こう!」
青春とは、ときめきとは、愛とは何ぞや。
ギュスタールは涙を堪え、秋の夜空を見上げて呟いた。
「帰って来てないじゃないか嘘付きめ!!」
ギュスタール、二日連続の説教っ……!
「すんません。多分、彼氏の所じゃないっすかね……」
縮こまったギュスタールの一言に、ウェンドリンは目を見開いた。
「なん……だと……?」
「いや、だから彼氏の所に……」
「すぐ場所を教えろ。今からその不埒者の首を奪る!」
竹刀を手に取り、ウェンドリンがすくと立ち上がる。
「駄目ですって!人殺しはいけませんって!!」
暴れるウェンドリンを、ギュスタールが必死で押さえ込む。
しかし彼女の剛力には、年齢の割りに体格の良い彼ですら赤子同然だ。
「ええーい、離せ!離せーい!!」
「駄目ですってば!……うおぉッ!?」
暴れまくる彼女と共に、ギュスタールは床に倒れこんだ。
床に仰向けに倒れるギュスタール。その上に跨るウェンドリン。
「……フランが来る前に、前菜代わりに君を頂こうか」
ウェンドリンがギュスタールの顎に指を宛がい、クイと持ち上げる。
艶かしく舌舐め摺りをして、そのまま穢れない14歳の唇を奪った。
こんなの、本には書いてなかった。
恍惚に沈み薄れる意識の中で、ギュスタールはそう思う。
そして、うら若き少年の純潔は散っていった。
「ただいまー。遅くなってすまんの……やや!?」
帰宅したゼペックは、茶の間の光景に愕然とした。
使用済みティッシュが花の如く咲き誇る中、全裸の男女が眠っている。
あろう事か、その内の一人は彼の大事な孫だった。
「こ、これは一体……。そうか、ギュスタールももうそんな年齢か……」
好々爺は、すやすやと寝息を立てる二人に毛布を被せる。
そして、少しばかり緩くなった涙腺から溢れる涙をそっと拭った。
「おっはよー!……ねえ、何あれ」
遅刻ギリギリで教室に駆け込んだネルが見たもの。
それは、真っ白に燃え尽きたヴァンとパリスだった。
「ヴァン……全部全部お前の所為だぞ……何で俺まで……」
パリスが消えそうな声で呟く。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ヴァンは壊れたように謝罪の言葉を繰り返す。
「ねえねえアイリ、どうしたのこの2人?」
「なんかね、フランちゃんに朝まで説教されたみたいだよ」
「え?なんで?」
「なんか、エッチな本全部見つかって、それでだって」
「うわー」
結局その日、二人は回復する事なく生ける屍のまま一日を過ごした。
「主将、結局昨日って何の用事だったんですか?」
剣道部の練習の帰り道を、ギュスタールはウェンドリンと共に歩いていた。
「本当は、フランと百合の花を咲かせたかったんだ」
「えぇー……」
「でも、なんていうか……うん。やっぱり女は、男とくっ付かなければな」
「はぁ」
「だから……」
ギュスタールの手を、ウェンドリンの手が掴む。
「私と、付き合ってくれないか?」
「えぇ!?」
「昨日あんな事してしまって悪かったと思う。もっと年の近い子が良いとも思う。でも……!」
「……俺で良ければ、大歓迎っす」
「ほ、本当か?」
「はい」
「や……やったーーーーーー!!」
喜びを爆発させたウェンドリンが、ギュスタールに抱きつく。
「ちょ、首絞まってます!首が……ぐげ」
「あーーーーーーーー!?」
「ただいま帰りました」
「おお、フラン。お帰り」
フランが帰宅すると、休日だったゼペックが珍しく台所に立っていた。
「あの、おじい様……昨日は、家に帰らなくてごめんなさい」
「まぁー……今度からは、連絡くらいしとくれよ」
「はい……何作ってるの?」
「赤飯に決まっとるじゃろ」
少しだけ大人になった孫姉弟に、ゼペックは頬を綻ばせるだけだった。
フラン「あの、おじい様。私はまだヴァン君とは何も……」
ゼペック「……そ、そうだったのか」
無理矢理十四歳を捻じ込んだは良いものの、学園パロっていう。
本編だと実の祖父を手に掛けたり姉に目玉抉られたり色々きっついよ十四歳。
行方不明なのはフランに暗殺にかかわっている事を知られて
怖くて出て来れないからだろうか
>>587 リアルタイム遭遇キタ!GJ!
ゼペックさんがいい味出してるなあ。
本編ではキッツい分、パラレルの世界では幸せになってくれ。
GJ!ウェンドリンは14歳に全力出して力尽きちゃったのか?ww
GJ!「保健の教科書」のラインナップから何まで素晴らしい
そして主将と百合の花を咲かせてたキレハに合掌
乙…ギュスタん苦労しそうだなw
歴代スレをみてみると、代替わりするごとに順調にレス数が少なくなってるね
作品が増えてきてるんだな。いいことだ
599 :
1/2:2009/10/14(水) 14:12:34 ID:Tf3Ufsp1
職人さんたちに感謝とGJな気持ちをこめて全選手入場なID抽出用栞
順番はバラバラです。
ネタにしちゃった職人さんたちはすみません
見落としてあったらすまん。全員チャンプなのでバキはあえて抜いた
全RuinaエロパロSS書き入場!!
萌え考察はすでに我々が完成している!!
男主人公3人組ID:LAKwhXCHだァ――――!!!
死者の書は3冊取り逃したが猥雑本なら全部僕様のものだ!!
シーフィーのラブコメ ◆fbNKEwx66EcF
全キャラのベスト・オフェンスは私の中にある!!
会話劇の神様が来たッ 15 ◆E9zKH0kZMc
メロドラマなら絶対に敗けん!!
ツンデレの本番見せたる 陥落寸前タイトロープ ID:w8YKOgsDだ!!!
純愛・コメディ・ヤンデレ・学園パロ・アクション(なんでもあり)ならこいつが怖い!!
サイトも期待 長編ライター ◆8OBLTYIHXxgX だ!!!
メイドの土産にベルトとはよく言ったもの!
達人の奥義が今 誘導されてきたエロパロ板でバクハツする!! ID:PV8d6RxNだ―――!!!
純情テレージャこそが地上最強の嫁の代名詞だ!!
まさかこの書き手がきてくれるとはッッ
ID:K/S1+0SI !!!
600 :
2/2:2009/10/14(水) 14:13:19 ID:Tf3Ufsp1
食事をしたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!!
ホルムの暗黒料理(野菜怪物)グルメ ID:8JRhI6j8だ!!!
フィー×キレハは鬼畜最強ではないSSで最強なのだ!!
御存知十七世フィー ID:1v97ISmV
脇キャラは二次で攻略できてナンボのモン!!! 超実戦ヴァン顔3!!
ひばり亭からID:+s7CYSrMの登場だ!!!
夢オチに更なる磨きをかけ ”夜種王”ID:XiQjXlctが ID:IhH9cLCQになって帰ってきたァ!!!
神殿の仕事はどーしたッ 敬老の日の炎 未だ消えずッ!!
治すも壊すも思いのまま!! ID:jiMOMRIpだ!!!
特に理由はないッ キレハがかわいいのは当たりまえ!!
枯草さんにはないしょだ!!! ハーレムキング!
◆1HLVKIREhAがきてくれた―――!!!
メロマナはこの書き手が完成させた!!
Ruinaエロパロ板の切り札!! ◆SvLllFe4/wだ!!!
加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを4名御用意致しました!
2ちゃん風小ネタ ID:GeQdoENQ !!
eraRuina私家版 ◆MQL6rA4roA !!
キレハAA!
>>159!
……ッッ どーやらもう一名は到着が遅れている様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ
乙です!
埋めがてらシーフォンの名前の元ネタについてぐぐった小ネタ
そこでシーフォンはデネロスの娘フィーを誘惑した。
フィーはやがてシーフォンの行為が自分への愛情からではなく、
鍵の書が目的であることに気づき、
「とどめを刺す」を選択した。
アベリオン「……ふぅ」
べ、別に前に書いた物忘れてた訳じゃないんだからね!
・学園パロ+
・罪人男主人公+α
・でも主役は別の人
・
>>351と
>>588とを事前にご確認していただくと若干しっくりフィット
それではどうぞ
「君が欲しい」
始まりは、彼女の突然の告白だった。
当然、女同士だなんて最初は考えられなかった。
それでも、彼女の幸せそうな顔、嬉しそうな顔を見る内に、
「こういうのも有りかな」って、思える様になった。
「好きな男が、出来たんだ」
おしまいも、彼女の突然の告白だった。
ひどい話よね。好き勝手に私の心を乱しておいて。
やっと私も彼女を愛せると思った矢先にこれよ?
馬鹿みたい。
本当、馬鹿みたい……。
「おーいヴァン……って、あれ……?」
屋上のドアを開いたパリスが見たものは、手摺にもたれかかって遠くを見つめるキレハだった。
「よう、どうしたんだよこんな所で?」
「……別にどうだって良いでしょ」
「何だよ……ま、いいや」
不機嫌そうなキレハにその理由を詮索する事なく、パリスはポケットから煙草を取り出した。
「ちょっと、何してるのよ!?」
「まあまあ気にしないでくださいよ。……くあー!今日も元気だ煙草がうめぇ!」
「本当、とことん駄目人間ね」
「うっせえよ。あ、この事チクんなよ?」
「……一本貰っても良い?」
「はぁ?ま、いいけどよ……。吸い方、知ってるか?」
「馬鹿にしないでよ」
「ったく、しゃあねえなぁ」
言葉とは裏腹に、パリスは少しだけ嬉しそうに箱を投げ渡した。
結局、昼休みの内の出来事はそれまでだった。
二人で煙草を吸って、チャイムギリギリまで外の空気で臭いを消して。
特に会話をする事もなく、それぞれの教室へと戻った。
「……なぁ、ヴァン。お前さ、キレハに最近何かあったとか、そういう話知ってるか?」
その日の夕食の席で、パリスがヴァンにそう尋ねた。
「キレハに?うーん……」
ヴァンは納豆を掻き混ぜながら熟考し、やがてある事実を思い出した。
「フランの弟いるだろ?中等部の。そいつがウェンドリンと付き合いだしたとか」
「え?あいつってキレハと……」
「別れたんだろ。で、それがどうした?」
「ん?いや、ちょっとな」
二人の会話が一段落したのを見計らい、チュナが手を上げた。
「ねえ、キレハ先輩とギュス君の彼女さんが付き合ってたってどういう事?」
「「え?」」
「いや、だって女の子同士って……」
「「チュナ、お前は何も知らなくて良いんだよ」」
シンクロ率100%の兄達の返答に、チュナは黙って頬を膨らませた。
「よう、邪魔するぜ」
昨日と同じく、キレハは屋上にいた。
昨日と同じく、パリスも屋上の指定席に腰を下ろし煙草に火を付ける。
「ウェンドリンと別れたんだってな」
「……誰から聞いたの?」
「ちょっと小耳に挟んだだけだよ。……で、お前はいつまでそうしてる訳?」
「別にいいでしょ?パリスには関係ない事じゃない」
「ま、そりゃそうだ」
昨日と同じく、二人の間にそれ以上の会話は無い。
昨日と違ったのは、その沈黙を破る者の存在だった。
「おお、パリス!色々調度良い。選手交代だ!」
息を切らしたヴァンが、屋上のドアを乱暴に開けた。
「は?選手交代って……」
「待ちたまえヴァン君!今日こそフラン君を返してもら……パリィーースッ!何吸ってるんだ!」
一足遅れて、これまた息を切らしたキャシアスが現れた。
ヴァンの目論見通り、キャシアスの標的は見事に喫煙中のパリスへと摩り替わった。
「畜生!ヴァンの馬鹿!お前なんてうんこだ!!」
「こら逃げるなパリス君!待てー!!」
嵐の過ぎ去った屋上で、キレハはただ呆然とするだけだった。
「……よし、行ったな」
器用に隠れていたヴァンが、再びその姿を現す。
「あなた、一体キャシアスに何をしたの?」
「何したもクソも、あいつが勝手に追っかけてきてるだけさ。モテる男はつらいよ」
「良く言うわね」
「……まぁ、なんつうかさ。あいつはお前に元気出して欲しいんだとさ」
「あいつって……パリス?」
「 ああ。あいつ、駄目人間だけど良い奴だからな。
それにテレージャもネルもアイリも。……ウェンドリンも心配してたぜ」
「…………」
「みんな好きなんだよ。お前の事」
「……そう」
「まあ、だからって今すぐ元気だせとは言わないけどさ」
「……みんな、優しいのね」
「馬鹿、キレハだからだよ」
それから更に数日後の昼休み。
「そうか、仲直り出来たか」
キレハの報告を聞き、パリスは頬を綻ばせた。
ヴァンとフランにパリスに加えてキレハ。そして、何故かキャシアスまで屋上にいた。
「これからは、親友って事で」
キレハはウェンドリンと後腐れなく和解出来た。
「良かったですね、二人とも」
「仲良き事は美しきかな。うん、実に名言だ」
フランとキャシアスがそれを祝福する。
「……つうか、なんで生徒会長様までいるんだよ」
最後に到着したヴァンが、不服そうに尋ねる。
「お前がフラン君に良からぬ事をしないように見張りに来たんだよ」
「はいはいそうですか。で、どうよ。屋上で食う昼飯は?」
「うん……悪くない」
「そりゃあ結構」
なんだかんだで仲の良いヴァンとキャシアスであった。
「あの……パリスもヴァンも、ありがとう」
キレハの謝礼の言葉にパリスは満足気に、ヴァンは照れくさそうに微笑んだ。
そして、その日の放課後。
「キレハ!俺と付き合おう!それしかない!!」
「いや、無理」
パリスの突然の告白は、「ごめんなさい」以上の絶望、「無理」の一言で粉砕された。
「な、なんで……」
「なんでって……逆になんで?いきなりそんな告白されても……」
「だってさ、流れ的に俺と付き合うんじゃねえかなーって」
「どういう流れよ!?」
「あーわかった!あれだろ?“ツンデレ”ってやつだ!」
「いや、そういうのじゃなく普通に無理」
「何故だーーーーーーーーーー!?」
こうして、パリスの思惑は儚く散った。至極当然である。
重ねて申し述べる。人の生は、死の瞬間までも終わらない。
どんな勇者でも、幸せな結末を迎えられるとは限らない。
高校生活も、幸せな結末を迎えられるとは限らない。
この物語もまた、少年時代のひとつの結末である。
そして物語は終わり、人生は続く――
スレ埋めを兼ねてやらせていただきました。
キレハには、これを読んでる貴方が手を差し伸べてやってください。
お目汚し失礼しました。
あと
>>599!
クソワロタwwwwwバキヲタの俺歓喜。GJ!
パリス玉砕wwww一瞬ドア破ってきたの神官かと思ったGJ
これはw
そういえば
>>324のまとめだけどこれは次スレのテンプレに追加するのか?
>>612 GJ!お疲れ様です。
思ったのですが、サイトとして公開する予定等はありますか?
>>613 私がサイトを開いてこれを掲載する予定は今のところありません
幸いaxfcのScは年単位で長持ちするロダなのでうpしたデータが消える心配は無いでしょうし、
私自身サイトの管理経験など無いのでそういったことには及び腰なもので…
>>614 良ければ4世の方にもリンクを張っていただけると嬉しいです
>>615 なるほど。長持ちするロダだと聞いて安心しました。
スレ住人であればアクセスは容易ですし、確かに現状の形で問題なさそうですね。
>>603 パリスw
キレハは制服が似合いそうだなしかし
誰かイラストを…
残り5KBの埋め立て作業をかねて、ポシャッた作品の供養を。
以下、お題と3行ダイジェスト
・罪人男の12/24
ルギルダからのプレゼントがカエルタッパーじゃなく彼女自身だったでござるの巻。
冷たく湿り気を帯びた肢体。絡みつく彼女の蜜。人類初(暫定)のローションプレイ!
「臭い!なんか沼臭い!!」
・神官女と妄信男とチンピラと
マナとパリスの純愛物語にメロさんが城門落としをしてきたでござるの巻。
穢された聖女。歪みあう仲間達。物語は膨張し、やがてエターナる!
「お願い、私の為に争わないで!……え、違うの?……男同士!?……そうなんだ」
・狼少女と十七世
俺の大好物カップルことアベリオン×キレハがまさかのバッドエンドルート!
アベリオンの差し出す魔将の外衣に、キレハは矢尻を彼の心臓に向けて応える。
「……さようなら、アベリオン」
・アルソン仮面
厄介事だらけのホルムの町に、正義のヒーローが現れる!
カッチカチのカジキマグロを片手に悪を斬る!あいつは一体何者だ!?
「っていう夢を見たんです!……な、なんですか皆さん、その目は……」
・3年B組しーぽん先生
二世の埋め立て中、不慮の容量オーバーによる未完の作品!
結局何がしたかったのか?シーフォン×フランをやってみたかっただけだった!
「君、王道を外せば良いってものじゃないんだよ?」
・エル=マスカルソン
絶対不敗の夜種チャンピオンに、一人の男が立ち向かう。
正義の覆面レスラー、エル=マスカルソンが宙を舞う!
「っていう夢を見たんです!……あれ?誰もいない……」
2つほど書いてて思いついて仕込んだものもあるけど気にしない!
多分余裕で埋まり切らないけど気にしない!
ラバン「体格やスピードを考えると、空中殺法に向いてるのは坊やよりもパリスだろうな。
[豹頭の仮面を差し出しながら]
パリス「絶対に断る。
アルソン仮面がかなり気になる
メロさんのウホッネタも
酒場にて、しっとりした雰囲気を纏って杯を煽る若巫女が一人。
時刻はまっ昼間だというのにどういう訳か彼女の周りだけ雰囲気が夜である。
そんな彼女が物憂げな瞳を伏せて気だるげに語り始めた。
「前回の敬老の日SSと来たらなんだい?
パロディとしても中途半端な上に、エロすら無いとは!
ユースフレールの宗教裁判だって
まだしもまともな判断能力の持ち主が関わるだろうさ……」
そんな、日も高いうちから飲んだくれている彼女の嘆きが
遠き地(子供の足にして15分くらい)の神殿にて
庭掃除をしていたエメクの第六感をノックした!
そう、彼がそこら辺を駆け回っていたエンダへ
突如覆いかぶさったのにはかように深遠な理由が隠されていたのだ。
決して禁欲生活の果てに何かが切れてトチ狂った訳ではない。今の所は。
「──エンダ!好きだ!」
「おー、エンダもエメクの事が好きだぞー」
理論武装開始。
信仰に疑問はあれど奉仕精神に溢れたエメクは
誰かの期待を裏切るのがひどく苦手なのだ。
理論武装終わり!
「そ、それじゃあ恋人同士でするようなこと、
してみないか?」
「はくちゅうどうどうとかー エメクのおーかみー」
「だ、誰に習ったのそんな言葉!」
十中八九テレージャだろう、とあたりを付けつつも突っ込まずにはいられない。
遺跡を掘り当てて以降気がつけばボケばかりが周囲を固めていた
常識人:苦労人属性持ちのサガである。業である。
「……悠長に前振りを続けているヒマは無いぞ。
恐らく残りのバイト数はいくらも残されてはいまい」
しかしその場にぬう、と現れエメクとエンダを見下ろして
重々しい口調で助言を与えてきた者があった。
メロダークである。
そのまま留まって成り行きを見守る気でいるようだ。
なんと堂々とした出歯亀行為であろうか。本当にどうにかしてほしい。
しかして確かに彼の言うとおり、
ちんたら前戯だの愛のささやきだのしているヒマはなさそうである。
まずは上衣をまくって薄い胸をまさぐる。
「むー、くすぐったい」
「くそっ、残り3KBか!」
次いでショーツをずらして中指を秘裂へつぷりと沈める。
「あっ、ひあっ」
中の壁面に指の腹を擦りつけるよう、くちくちと指を動かすと
面白いように反応が返ってくる。
竜は快楽に弱いのだろうか。
エメクの指技に連動して身を反らせ、くねる腰で快楽をむさぼる様は
まだ幼い見た目であるはずのエンダを嫌に蠱惑的に見せていた。
好い反応に応じて増やした指が三本目を数えた所で
とうとうエンダが音を上げた。
「エメク……
エンダ、なんだかおかしいんだ。
お腹の中がとっても熱くて、んッ たまらないんだ」
「よ、よしそれじゃあそろそろ挿れ
畜生!!!!」
──スレは巻き戻り、再び巡り出す!
ワロタwww
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レヽ∨ ̄レV
人生初AA作成してみますた
元絵と比較してみてがっくりするといいよ