ghm・須田51作品でエロパロ 料亭2クシマ

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170Hand コヨーテ×楓:2010/07/06(火) 22:58:59 ID:S3DEsA7M
以上です。
>>157-169までコヨーテ×楓でした。
171名無しさん@ピンキー:2010/07/07(水) 21:40:50 ID:+PNu2d8O
おおおおおおおキテたあああああ!!!!!
自分で考えるとお人よしにしかならない盗人だけれど
奴も悪党なんだよなと改めて実感しました。情の強さがたまらん。
楓もダンとも含めた三人のこういう泥沼な関係がエラくツボだった。
いいもん見せてもらいました。ありがとう!
172名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 00:22:57 ID:DnRp5ekz
保管庫の中の人が全力でアップを始めました
173名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 01:40:30 ID:DnRp5ekz
なんだこれ最高にひどい。いいぞもっとやれ。
それにしてもタナトスの塊みたいな楓ちんはマジ魔性すなぁ。
174中の人:2010/07/08(木) 01:54:48 ID:DnRp5ekz
すみません大事な事書き忘れてた。
保管庫に、>>170氏の作品を収納しました。
175名無しさん@ピンキー:2010/07/08(木) 23:14:42 ID:x2o6JBdI
>>157
暴力的でとても良かった!
176名無しさん@ピンキー:2010/07/13(火) 11:36:59 ID:dUAnFgRG
保守
177名無しさん@ピンキー:2010/07/16(金) 08:43:24 ID:bvd14Hlj
シノブはツンじゃなくなったのか……
襲い受けから誘い攻めに転業したのかね。ますます虎の受け度がアップしたな
178名無しさん@ピンキー:2010/07/21(水) 23:05:14 ID:IDvn70cu
ほしゅ
179名無しさん@ピンキー:2010/08/02(月) 17:42:30 ID:baI6na5p
保守
180Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:45:40 ID:vexY3yTc
killer7のコヨーテ×楓

注意
・コヨーテがひどい(変態気味)
・加虐表現(楓が被虐趣味・異物挿入・緊縛・顔射)
・フェラあり
・乙女心の三人だがコヨーテが一番乙女
・エセ広島弁
・ゲーム本編より少し前の出来事設定
・あるバンドの「てのひら(漢字表記)」という歌がモチーフ

不可な方は名前欄「Hand 2 コヨーテ×楓」で避けてください。
181Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:46:31 ID:vexY3yTc
掌に汗が張り付いた。リーゼントの髪型でさらされた額をべしゃりと叩いたせいだ。
部屋にこもる湿気のせいなのだろうが、背筋は妙に寒々しい。
汗は体外的な原因にしておこう。背筋の寒さは、緊張しているとよく出る症状であるが――。
手ににじむ汗を両手でもんでいると、雨音のように部屋に満ちていたシャワーの水音が止まった。
少しの間を置いて、シャワー室の扉が開く。コヨーテは、ソファの上で、ぐっと体を強ばらせる。
「服っ、服着ろって!」
裏返りそうな声で言うと、湿った黒髪を白い額に貼り付けて、ぼんやりと返してきた。
「……? どうせ脱ぐのに?」
「脱がせん! 今日は、そげんことで来たんじゃのうてやな……!」
口ごもると、遠くに立つ裸体は、首の傾斜を深めた。微かに斜めに振られ、
裸体が恥じらう様子もなく、コヨーテの前を行き過ぎる。背を向けて、クローゼットを開く。
コヨーテは再び額に手をやる。

コヨーテは初めて、楓の部屋を訪れていた。来る前には、コンと会っていた。
東洋人には民族的に『死にたい』願望があるのか、確認していた。
もし、楓の『死にたがり』が、民族特有のものであれば、自分に払拭できるかどうか自信が持てない。
できるかどうか煩うということ、つまり『できる』のであれば、どうにかしたいのだ。
コヨーテはそう考えるようになった。振り出しに戻ったと見えるかもしれないが、
自分の嗜好性に合わない、という個人的な根があった頃と比べ、今や芯を持った確信がある。
ガルシアンの一言が後押しをしていた。
(「『二人の問題』だ」)
『問題』と、あの男は表現した。他人から見ても、障害、取り除くべきものと認識した方がいいものなのだ、
楓の希死欲求は。
それなら、あの暗い欲求を取り払ってやりたい。
あんな壊すための抱き方も、一人取り残される空しい思いも二度とごめんだ。
しかし、楓への新たなアプローチがわからなかった。
死ぬなと言って聞かない相手であることはもうわかっている。
初めて楓を犯し殺した後、また巡ってきた楓との狂おしい時間に、「殺して欲しい」と強く乞われ、
沸騰する頭は短慮してしまった。結局、挿入しながら首を絞め窒息死させた。
楓を回収に来たガルシアンは、眼光だけ鋭くし、無言で去っていった。
だから記憶は上書きされずに残っている。
(「少し、冷静になれ」)
(「『二人の問題』だ」)
今度こそ、と思いつつ、考えあぐねていたところに、コンが訪ねてきたのだった。

東洋人に必ず『死にたい』欲求があるわけではない、とコンは言った。
ならば、楓は救える。コヨーテはコンと別れた足で、楓を訪ねた。
日を改める頭などなかった。心は、楓を救える兆しを見いだせた嬉しさで一杯だった。
しかし、部屋に通されたとき、楓はシャワーを浴びている最中だった。
出鼻をくじかれ、しかし弾んだ心は帰ることを許さず、立ち往生していると、
低く「待ってて」と水煙が応えたのだった。

楓の部屋をコヨーテから訪ねるのは、知り合ってから初めてだった。
当然、部屋を見るのも初めてだ。
薄暗さは自分の部屋と変わらない。楓の得物であるスコープ付きの小銃はベッドのサイドボードに見えた。
しかし、楓の住処は基本的な家具以外、生活を思わせる物はほとんど見あたらなかった。
家具類もモノトーンで、唯一の色彩は、コヨーテの部屋にも引かれている
テレビと対面した紫色のカーテンのみ。そこだけが、まるで別の人間が住まっているような
文字通り異彩を放っている。

この部屋は、コンが楓の心中を表した言葉に似ている、と思った。
楓の中に、コヨーテはいない。
突き刺さる言葉ではあったが、事実と受け止めるしかない。
しかし、この部屋を見ると、コヨーテは思わずにいられなかった。
自分ばかりか、あの白い肌の内側には、何者もいないのではないか。
この部屋のように、寒々しい光景が広がっているばかり、
あの紫のカーテンが引かれていることさえ部屋の主と無関係に思えてしまうのは、
楓自身さえこの部屋に――彼女の心の中に――いないからなのではないか。
そういうがらんどうの心が、あの肌の下にひっそりと人型を成している。
182Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:47:17 ID:vexY3yTc
折れそうな女。楓をそう感じてきたのは、このことだったのだ、と気づいた。

体の細さ、病的な肌の白さ、その体外的なイメージではなく、
内側から女を食い潰している虚無を知らず感じ取っていたのかもしれない。

パタン、とクローゼットの扉が閉まる音を聞いた。
楓は素肌に薄紫色のタンクトップを着ていた。下半身はショーツのみで、まだ水気の香る腿を露わにしている。
「――それで?」
ソファに向かうベッドの辺に、楓は足を組んで座った。右腕で体を支えている体勢で、
肩に寄せるように首を少し傾げている。
その角度はいつもと同じだが、今は、コヨーテの来訪を言下に質している風にも見えた。
コヨーテはソファで、再び両手をもみ合わせ、広げてみせる。
「――別にどうってことはないんじゃ。なにしとるかと思うて」
黒い瞳が、しんと静かに見つめてくる。化粧をしていないだろうに、薄紅を乗せたかのように
色づく桃色の唇は、引き結ばれたままだ。
唇の感触を思い出し、吸いたくなった。コヨーテは慌てて、触感の記憶を己から突き放すように
言葉を投げ出す。
「わしゃぁのう、さっきまでコンと会うてたんじゃ。公園でな、ホットドッグ食うて。
知っとるか、あの三番通りに立っとる売店。あっこのぉは、うまいのう」
唇が動く気配がないこと以上に、射込んでくる視線が、なんの感情も乗せていない。
その薄ら寒さに気づかないよう、コヨーテは自分を励まし、声を更に明るくさせた。
「そうじゃ! 楓も今度、一緒に来んか? コンの奴、ようしゃべるけん、
わしも話し疲れるんじゃあ――」言ってしまってから、空々しいと腹の中で毒づいた。
返事のない会話を前にしながら話し相手を代わってくれとは、
嫌味にさえ聞こえてしまいそうだ。心配は的中し、そこで楓に首を振られた。
「……は、話さんでも、おるだけでもええんじゃ! あいつは、なんちゅーか、
話しとぉて話しとるよーなもんじゃけん」
「違う。外には出られない、ということ」
虫の羽ばたきに似たか細い音量は、空気を伝うというよりは、空気の重さに負けて
床を這うような速度でコヨーテの元へ言葉を届ける。
「出られない?」
「――これ」
楓は、腿の上へ投げていた腕を動かし、体を開いた。胸のふくらみは、
胸ぐりの広い薄紫色のタンクトップに収まっていた。うっすらと乳首の突起が見て取れ、
コヨーテはまた、その感触を舌で思い出しそうになる。しかし、今度は自力でなくとも
その思いを吹き飛ばすことができた。

タンクトップのふくらみの下、一カ所が、薄紫色を濃くしている。
服にプリントされた模様ではない。見ている目の前で、その濃い色が浸食していっている。
まるで生きているように、じわりじわりと楓の腹に広がっていく。
異様なのはそれだけではない、腹を縦に裂くように広がる色は、血の赤色をしていた。
「お前……っ、怪我ァしとるんか!」
立ち上がりかけた男を、楓は目で制す。続いて、タンクトップの裾をめくって見せた。
白い腹はどこも傷ついていない。
「勝手に、染みてしまうの」
裾が戻されると、血の染みは広がりを止めていた。それは、楓が普段着ているワンピースの
模様と同じように見える。
(ありゃぁ、服の柄と違うたんか……)
服を違えてもあまりに同じ柄をまとっているので、ブランド物かなにかで、
女らしいこだわりがあるのだろうと片付けていたことだ。
楓が何事かに、そこまで熱心になるようには見えなかったが。
「ここを兄に撃たれて死んだの」
今までと変わらぬ温度で告げられた。コヨーテが凝視する前で、楓は、細い指を三本そろえて、
小指を折り曲げて、赤い広がりの中心にそっと触れている。労るような、優しい手つきだった。
無表情ながら、楓の呟きだけは、熱っぽく響く。
「その痛みを、今も覚えているわ……」
183Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:48:02 ID:vexY3yTc
コヨーテは慄然とする。
この女は、本当に『死』しか見ていない。
楓は空なのではなかった。死という、空虚で厳然としたものに満ちていたのだ。
他が入り込む余地などないほど虚ろであり、だから何ものも存在できない。
しかしその腹の血の跡は違う。彼女にもたらされた『初めての死』は、
初恋のように忘れられずに、その身の内に留まり続けている。
そしてその痛みを、死に至らせた『者』と宿した胎児のように愛おしんでいる。
――楓の中に、『誰も』いないわけではなかった。

ほつり、と感情が生まれる。
腹の底が灼け付くような思いに囚われた。
ダンに抱かれていたと知ったとき、だまされていたと知ったとき、
沸き上がったのは怒りだった。
ガソリンをかけた火炎のように一気に燃え立ち、女をも燃やし尽くしたくなる激情だ。
だが、怒りは火勢を強めた後は、やがて下火になり消えていったものだ。
今コヨーテを取り巻こうとしている感情のうねりは、消える気配がない。
小さな種火を延々と揺らし続けている。
予感がある。やがて火は燃え広がり、心を焦土にしていくだろう。
嫉妬だと、認めないわけにはいかなかった。



コヨーテはソファから立ち上がった。ベッドの端に座る楓へ近づき、青白い顔を両手で包んだ。
ただ唇を触れさせるだけのキスを落とす。
閉じていたまぶたを、口づけながら開いてみる。黒い瞳が、焦点も合わずに見えた。
目を閉じていたのは、自分だけなのだ。コヨーテは顔を離し、女を見つめる。
黒々と闇を固めたふたつの石が浮かんでいた。コヨーテの胸の内の火が、じりじりと灼け広がる。
「やらないんじゃなかった?」
彫像のように動かなかった顔が、言葉を紡いだ。すると楓の左腕がまるで魔法が解かれたように、
衣擦れの音と共に滑らかな動きで伸びてきた。
コヨーテの首の後ろに回ってきて、下方へ引き寄せられる。
唇がぶつかり、離れ、再びかろうじて触れる程度に留まる。つぅ、と楓の舌が
下唇の盛り上がりを伝っていく。囁きが笑った。
「そんな顔をしなくていいのよ。わかっていたわ」
湿った肉が吸い付いてきた。男は自動的に口を開き、伸びてきた舌を迎え入れる。
舌の平に、自分のものではない熱が乗ってくる。柔らかく形を変えるそれを、舌で絡める。
熱の固まりは絡み遊んだ後、からかって逃げるように、ねじり動いた。逃げた舌先が、男の上顎と
歯裏の境を強く弱く、ステップを踏むようになでていく。
両者の絡み合うくちゅくちゅとした水音が脳内を浸食する。
頭がジンジンと濁り始め、麻痺した思考は、うすぼんやりと見える快楽への道しか見つけられなくなる。
こうなると止まらない。ただ一身に、その道を踏んでいくしかない。
だが、胸は熱いのだった。心の底を焼け焦げさせる炎がある。

男は丸まる女の舌の裏筋を、舌を広く使ってべったりと舐めた。女のぬめりのある表面の所々で
小さな凹凸を舌で感じた。舐め上げた舌先で、歯裏で震えていた女の舌先をくるりと返す。
左右に絡み合わせながら、男は顔を離していく。突き出すように舌を出していき、
最後まで舌をよじり合わせた。完全に繋がりがなくなったとき、男が見下ろすと、
女は雨に濡れたようだった。黒曜石の瞳は、雨粒に鈍く光り、
珊瑚色の唇に垂れる舌からは唾液の橋が一本、雨に光る蜘蛛の糸を思わせて伸びている。
女の舌が口の底へ戻っていく途中で、橋はふつりと落ちた。

男は女の腰を片手で抱えた。浮かせ、首元に唇を寄せる。愛撫しながら、自由な右手で
ベッドのブランケットをたぐり寄せた。腕で巻き付けるように取り上げ、ベッドの上を
シーツだけにする。
女をベッドへ戻しつつ、口は寄せたままだ。女へのし掛かりながら、ベッドへ上がる。
女も男の背、横腹を撫でて快感を煽りながら、肘で体を支え後ろずさって体を横たえた。
その表情は、一目ではいつもと同じ無表情に見える。しかし、わずかに目をすがめ、唇の間からは
歯列が顔をのぞかせている。わずかな違いは、体を抱き寄せる距離でしか気づかないほどに微妙なものだ。
だが、この女相手では、どれだけ貴重な変化か。それでも肌の白さはまだ変わっていない。
興奮が足りないらしい。
184Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:48:46 ID:vexY3yTc
男は太い親指を、女の股の溝の中心に置き、下着の上から埋めた。
「んっ……ぅ」息を漏らしたものの、女は眉を寄せた。「脱ぐから」
言葉はそれだけだったが、抗議されたのだろう。男は唇の片端を上げて断る。
「言ったじゃろう、今日は『脱がせん』」
女の眉間の皺が、少し深くなった。些細な変化だが、本当に、交わる時間だけは素直に感情を表してくれる。
(じゃけん、わしゃぁ、抱きたいんじゃろうか)
頭の片隅で思いながら、男は女の裸体をうつぶせにさせた。白い両手首を腰の辺りでまとめ、
右手に巻いていたブランケットで縛る。ロープには敵わないが、自由には動かせなくなっただろう。
「……なに?」
首だけをねじり、横顔で問いかけられる。男は言葉を返す代わりに、ブランケットの下に寝転ぶ双丘を撫で、
細腰だけを持ち上げる。両手を腰の裏で縛られた膝立ちの格好だ。ショーツがピンと張り、
尻の溝を覆い隠していた。男は、ショーツの端に指を引っかけ、尻肉の片方を露わにした。
溝へ布端を食い込ませ、際を舌でなぞる。上から下へ、奥へ近づく度、指を更に引いて
ショーツを寄せていく。その内、舌にぬちゃりと粘つく液が乗ってきた。
女の股の間は、肌の白さから変わって茶を帯びている。
その中心、ひときわ濃い色のひだが縦にぱっくりと割れて、内側の生々しい肉の色を見せていた。
薄暗がりでもわかるほど濡れそぼっており、肉が蠢くと濡れた光りもまたよじれるように動き、
官能をたたえている。
ひだの半ばから下には、黒い陰毛が茂り始めているが、以前見たときより薄くなっていた。
愛液で濡れる縮れ毛を指でかき分けなくとも、ひだの更に中心を見て取れた。
鼻を押し付けて陰毛に埋もれた粒を探すのも、縮れ毛に染みついた雌の臭いに興奮させられて
いいものなのだが……。
口の中に毛が入り込むのには少しいらつくので、これでもいいかもしれない。
毛が整えられたのは、先ほどのシャワーよりも前だろう。
この女が今まで、そういった気遣いを感じさせたこともなかった。
だとしたら、もう一人の男のためか――。
またも男の胸に、ちりりとした火種が増えた。

女がシャワーを浴びたばかりのため、溝の奥からは雌の甘ったるくすえた臭いだけが漂ってくる。
臭いを鼻と口で同時に吸い、味わうと、空気の揺れを敏感に察したのか、ひだが目の前でふるると震えた。
その震えを舌で感じてみたくて、薄めのひだと、更に奥の小さな分け目の間に舌先を差し入れた。
「ぅっ……ん」
塩気と共に、望み通り、ひだの微弱な震えを舌で感じた。女の声が尻の向こうから漏れ聞こえてくる。
「集中せぇよ。ここのとこだけ」男は伸ばした舌先でノックするように突いた。「考えとけ」
女は、男の言ったことに従うのではなく、愉悦の法を知っていて、その敏感になったところに
意識を向けただろう。だが男は決定的な刺激を与えはしない。男の舌は中央で蠢く箇所を
わざと避けて、強弱を付けて回りをねめていく。女もまた、じらされ、我慢することも、
快感を増す道ということを知っている。膨れあがってきたのだろう快感のまま、女が声を漏らし始めた。
「んっ、ふう、ぅん、っ!」
声の聞こえる度、舌を届かせていない中心からは水が染み出してくる。
男の顎下あたりに広がった女の内腿が、痙攣するように震え始めていた。
男がその震えに指先を沿わせると、愛液がさらに、こぽこぽと溢れ出す。

ひだの奥から湧き出る水は、下方の肉色をした粒を生温かく覆っている。ぷっくりと腫れた肉芽に
粘液が淡い光を弾くようにまとわりつき、薄暗がりの中でも存在を主張させていた。
男は、躊躇なくその芽にかぶりついた。
「あっ!?」
待っていたはずの強い刺激に、女は大きく声を上げた。腰が跳ね、股も閉じる方へ動く。
が、男は許さない。ショーツを寄せていた右手と逆の手で、女の左腿の外側から内股を抱き固定する。
動きを止めさせると、男は上下の歯を、左右逆にすり合わせた。
「くっあ、ああ……!」
直接的な痛みに、女は悦んでいるに違いなかった。おそらく、ベッドに頬を押し付けた横向きの顔は、
緩んだ口から舌をだらしなく垂らしているだろう。
舌をちろちろと動かし、焦点の合わない目で、自分を貪る男の舌を妄想し、
眼前に見ているのかもしれなかった。
見てみたい。自分を求めているだろう女の表情を確かめてみたいが、今はこの味わい深い芽のしこりから
口を離せなかった。だから、視界に映るのは、止まることを知らない赤黒い泉の底だけだ。
185Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:49:07 ID:vexY3yTc
男は歯で挟んだ粒をクチクチと甘噛みし、歯で含んだ女の尖った部分を舌先で遊んでやる。
押し潰し、なで上げ、左右に叩く。ただ動きに没頭し続けていると、
女の鳴き声に合わせて動いているのか、男の責めに女が反応しているのかわからなくなる。
「んっ、ううっ、くぅっ、い、ああっ、や、んぅっ」
女の声に当てられ、男は下の歯列に芽を置いたまま、すぐ上に開いた膣穴ごと強く吸った。
「んあっ、くう……っ!!」
ひだ全体のわななきを密着させた唇の裏で感じ、女の左足の硬直を押さえつける腕で感じる。
口の裏に置いていた舌が、吸われてくる女の体液を受け止めた。鼻から入り込む女の臭いと
舌の上で混じり合い、塩辛く感じる。

男は女に埋めていた顔を引いた。先ほど、口の間で掛かった透明な糸の橋が、再び引かれた。
だが今度はすぐに切れてしまう。粘度が足りなかったのだろう。
男は唇の端に違和感を感じ、指で何度か拭うと、身を捩らせた黒い毛が一本、指の腹に横たわった。
それ以外に、口中に気になる物はない。男は次の行動へ移る。
女の中に、誰よりも自分を刻みつけたい。

女の手首を縛るブランケットで指を拭い、今まで責めていた腰を片手で掴んで、背に覆い被さった。
挿入を予期したのか、女は立たせたままの腰を緊張させたようだった。
男の怒張は、ジーパンの前を破るほどに盛り上げている。
もしそこに自由な思考があったなら、疑問符ばかりを浮かべていただろう。
いつもなら、とっくに外に出されて温かく柔らかなぬめりに包まれるはずなのだから。
しかし、男が女の背に被さったのは、彼女の上方にあるサイドボードに
手を伸ばすためだった。白い天板の上に置かれた、女の得物。スコープ付の小銃だ。
小銃を返す返す見つめ、予想通りだったことにひとつ、頷く。

小銃に据えられたスコープは、ギミックで取り付けられているもので、操作すれば取り外せるようだった。
初めて触るが、手順は想像できる。留め金を外し、固定具をいくつか上げると、スコープは銃から分離した。
「……?」
妙な動きを気取ったらしい。女が肩越しに視線を投げてきた。男の手に収まった自分の銃を見て、
濡れた目を震えさせる。恐怖ではなく、喜びのために。
情事の最中でもなく、後でもなく、始まった矢先に殺される、死ねる。
女にしてみたら、天国の扉が開いていく心持ちかもしれない。
性的な悦びを持ちながら、最大の幸福を身に撃ち込まれる――。

もちろん、男の思惑は違った。
殺してなどやるか。思い通りにはさせない。やっと微かに色付いてきたこの肌。
この内側に『誰か』を抱えて、お前たち『二人で』逝かせてなどやるものか。
たった今、膣を責め立て、肌を色付かせてやったのは誰だと思っている?
そいつではないだろう、あいつでもないだろう。

だのに、わし一人置いて勝手に逝くだと?

男は銃をベッドへ投げ、スコープを女の視界に入るだろう背中の上で、ゆらゆらと揺らした。
女の目はスコープを見た後、焦点を男の顔へ寄越した。ああ、やっと見たな、と思った。
だが足りない。
男は女のしなる背に、スコープの端を、するりとなぞらせた。
冷たく、硬い感触に女の肌が引き締まったような気がした。尻の窪みまでスコープを渡らせると、
女の体を仰向けに戻す。ベッドのスプリングが小さな体を軽く跳ね返す中、手は後ろに縛られたまま、
股を開いて膝を立てていた。男は慎重に考え、膝を折り曲げさせて足を尻の下に仕舞い込む。
日本の習慣らしい正座という座り方で、そのまま背を倒した格好だ。
ただし、後ろ手の分、腰を前に突き出すような形である。しかもショーツは半端に寄って、
女の太股の間の陰りを、半分さらしていた。女の方から誘っているような、
淫らな体勢。その風体でありながら、顔を向き合わせた女は、今度こそ困惑気味だった。
男は笑い、摘むスコープの先を、女のタンクトップに広がる血の中心へ置いた。
186Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:49:31 ID:vexY3yTc
心が焼け焦げ、黒く煙を上げていく。
殺してやらん、絶対に。殺して欲しいなら、わしにそいつを殺させろ。
そいつを、お前の中から消し去ってくれ。そいつだけを見るな。
わしが目の前におるやろう。わしが見えるやろう? わしを見ろ。わしを見ろ。
わしだけをお前の中に置いておけ。

スコープを操って布肌をなぞらせて、小さな丘を越えさせて股の溝にあてがった。
その段になってやっと、女は感づいたようだった。
「ちょっと……なにするの……」
女は、折り曲げられた膝を解こうとした。持ち上がってきた膝を、男はベッドの上へ押し付ける。
男自身の両膝をその上へ置いた。女は、開いた股に力を込めて抵抗してくる。
筋力が締めたのか、膣からまた愛液が零れだし、ショーツに染みつつ尻の下へ伝っていった。
「ふざけないでよ……今すぐにやめなさい」
泡立つような怒りがこもった声だった。男は、それにすら嬉しくなっている自分を発見した。
今、女は自分だけに感情を向けている――。
女は身を捩って肘をベッドに付き、上半身を折り曲げようとする。
男は瞬時に女の首元を押し倒した。女が呻く。痛みからだろう、この状態では、男の体重が
女の胸元と膝の三点に掛かっているのだ。

間近に、痛みを堪える女の顔があった。頬に赤味が差し、綺麗だった。うるんだ黒い瞳は、
真っ直ぐに男をにらみ付けている。
男は、女の唇に軽く唇で触れた。噛み付かれたくないのですぐに離れる。
「こげんこと、初めてやろう? 初めては、忘れられんよなぁ……」
そうして、押さえつけたまま、残していた右手、その先の黒い筒を、
幅の広い方から女の底へ沈めていく。ショーツの偏りは、小指で退かした。
スコープの太さは男根と比べて細く、手中の円柱はつかえることなく進んでいく。
「やめ……やめて! なに考えてるの!?」
それは、一般的には普通の音量だっただろうか、この女では考えられないほどの大声と
言っていい。達する前の喘ぎと同じくらいか。女の肌を抑えていた掌が、
声の反動を受け止めていた。右手も、スコープの受けるひくつきを感じていたが、
左手と比べれば取るに足らない。

男はスコープの三分の一が女の中に埋め込まれたところで、手首を素早く返した。女の胸が反る。
「――いっ、……うぅっ」
スコープの表面には、小銃と接合するための凹凸部分が数カ所ある。その凸部分が、
性玩具のように女の内部で思いもよらぬ刺激を与えるに違いなかった。
男は女の反応を頼りに、浅黒い手の突き入れる角度を変えていく。スコープの先や表面の凸部分を
意識して、コリコリと内壁へ細かく擦りつけた。
己の半身を差し込むことと手で探ることは、やはり勝手が違った。当然ながら、自分への直接的な
快楽はない。自身の興奮に紛れないだけ、今の方が機微に対応できる気がするが、
これまでの性交で見つけていたスポットに手中の円柱で当てるには、位置が上手く掴めなかった。
それでも、反応の強さは変わらないものだ。
「くぅっ」そこだった。
スコープの細さが便利だった。女の入り口で割と自由に動かせ、膣道で詰まることなく、
女のいいところを突くことができた。じゅぷじゅぷと抜き差ししていく内に、
透明な汁はまたも溢れ出してきた。快感を身に溜めているはずの女は、顔を歪めている。
「抜い、て、抜いてよぉ……っ」
それは苦悶ではなかった。この女にとって喜びでもある痛みを感じているのではない。
性の高まりは、右手で感じる濡れ方でわかる。しかし、今女が見せている感情は
それだけではない。眉間に寄るしわ、色付く頬、噛みしめられる唇――。
男の中で期待が高まったが、決めつけられなかった。
これまで見てきた女からは、遠い感情だと思ったからだった。
だが、知りたい。
187Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:50:33 ID:vexY3yTc
「おい……今、どんな気分じゃ?」
「最、低よ、下衆野郎……! 早く抜きなさいよ……!」
「最低? どの口が言いよる……こっちは、こげえなっとるぞ?」
「んっ!! うるっ、さい、のよ! なんなの? なんで、こんな……! ああっ」
「知りたいか?」
「知りたく、ないっ、早く、終わらせれば……っ!?」
「嫌じゃのう。お前のこげえ顔、見たことない」
女を押さえつける左手の親指で、鎖骨の節を撫でる。
「ええ顔しとる……。わかるか、いっつもお前がのぞいとるスコープが、
お前ん中にあるんじゃ。それをお前、自分の汁でぐちゃぐちゃにしとるんじゃ……」
にらみ付けていた女が、ばっと横を向き視線をそらした。目をすがめ、
口を引き結ぶ横顔に、男は胸の奥が痛くなる。
そこでくすぶっていたはずの種火をおびやかすかと思ったが、その痛みは
風であった。火を消し去る威力はなく、一瞬凪いだだけだった。

男は言葉を重ねた。
「これからも、これ、仕事で使わんワケにゃあいかんじゃろう。ええんか、
お前? 仕事でこのスコープ覗くたんび、オノレのココ」
右手をひねり、内壁にグリリとスコープを擦りつける。
「覗いとるようなもんじゃあ。えっらいこっちゃのう……」
「……No(やめて)……」
「これはもう捨てるか? そげえしたって、変わらんじゃろう。お前のココが忘れんよ。
な? ええんじゃろう、これ? めちゃくちゃカンジとるわ」
「No……No……!!」
「まだ言うか。そげえ言うなら見てみぃ、ほれ」
「あっ」
男は膝をベッドの上へ下ろした。女の足を肩の上へ担ぎ上げ、膝立ちする。
もう自由に動かせるはずの女の足は、大人しくだらりと男の背へ投げ出されたままだった。
女の腰が浮き、引きずられるように上半身がベッドの上を滑る。
タンクトップはずり下がり、胸の下で溜まる。
だが、ありありと見えるだろう。己の胸の狭間から、股の間に揺れ、
ショーツの横から突き出る濡れた円柱が。
「あ……いやっ、いやあっ!」
女は身を捩り、足をばたつかせた。だが男の肩の上で頼りなく内腿の肉を揺らせる程度にしか
ならない。仕事で足技を得意とする女とは思えない力の無さだ。
男は、期待がどんどん輪郭を成していくのを待った。もう少しで形を持つだろう。

腿の付け根を撫で、柔らかな腿に口を寄せる。
「おっと、こげえしても、お前からは見えないんじゃなぁ、可哀想に。教えちゃろう。
お前のココ、汁出っぱなしじゃ。オマメなんぞ、ぷるっぷる震えてのう。
旨そうじゃあ」
腿の付け根から手をスライドした。スコープの上で張り詰め、皮の剥かれた、白い頭を出している小さな角を
指の腹で押し潰してやった。目の前の硬い柱は男の指が触れていないのに、くぅぅ、と角度を変える。
男は知らず、舌なめずりをしていた。
「ははっ、殺されるより、こげえ方がよっぽどええんじゃないか?
ここはもっともっと言うとる」
「やめてぇ……言わないでぇ……っ」
「言うたるわい。こげえモンくわえ込んで、穴ァひくひくさせて……
オノレのモンに感じとるんじゃろう?」
「ちが、違うぅ……わたしは、嫌なのぉ……!」
「嫌なワケあるかい、正直になれや、ワレェ。ほれ、言えや。お前、気持ちええんじゃろう?」
「違う、違う……」
女は下半身を張るようにして、体を捻り、顔をまた逃がした。のけぞる首に筋が浮き、
あえいで上下している。わなないて開く口の上では、きつく目が閉じられている。
だが、今までのどんなとき――向かい合いペニスで繋がっているときよりも、
男は女に『見られている』気がした。
188Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:50:52 ID:vexY3yTc
「見ぃや、こっち――。わしは見とるぞ? お前のことずっと見とった。
たいぎそうに仕事しとるときも、なんも思ってなさそうに飯食うとるときも、
目ェ開けたまんまキスしよるときも、よがってほっそい腰がいやらしゅう動くときも、
お前がキモチくなってオノレで乳ィ揉んどるときも、中ァぎゅうぎゅう締め付けて首振りよるときも、
鳴いて鳴いて口から舌ァ出して逝きよるときも、ずぅっとお前のこと、見とったぞ」
男の言葉が届いているのか、自分の今のありさまを想像したのか、
見下ろす女の蜜壺は、まさに泉のような有様だった。愛液が溝に溜まり、舌で掬って飲めそうなくらいだ。
溝から溢れた汁は陰毛をたわませ、ショーツに染み跡を広げている。
そして泉は、女の臭いを湯気のように立ち上らせ男の鼻腔を刺激する。さらに、女のむずがる後ろ手が
ちょうど男の股間に不規則に当たっていた。弱々しく、ふいの刺激は却って押し込められた
熱を高めさせた。限界が近い。早く、早く『それ』を言っくれ。
「いつも、体中のどこも綺麗じゃった、お前はほんま、綺麗じゃあ。――もっと見たいわ……お前の……」
「……な、に……?」
続けない言葉に、女はぶるぶると瞳を揺らしながら、横目を開けた。男は笑う唇から、舌を
そろりと出す。舌で、目下でおぼつかなく立っている黒い円柱を、わずかに押し込んだ。
視界の端で、女の内腿の柔肉がぶるっと震えた。
「こん中」
「あ……や、いやっ!」
「普通見れんけんのう、お前にこげえもんが刺さっとるなぁ、ええチャンスじゃ」
「やめて……っ、本当にやめてよ……っ」
実際にスコープを覗いたとして、光源がないのだからなにも見えはしないだろう。
だが、女は論理的な思考などできなくなっている。『それ』のせいで。
女の眉間にしわが寄り、目は再び、強く閉じられていた。
絞り出した声が震え、
「……恥ず、かしい、ぃ……っ」
ついに、声になった。
恥辱の感情。セックスの間にも見られることのなかった『それ』。
これまでその感情を引き出した男は、自分が初めてなのではないかと期待したもの。
白い肌の上、色付く目尻に浮かべた透明な粒が音もなくこめかみに落とした。
その落下速度はそのまま、男の限界が突破される時間だった。

男は俊敏に身を引いて、南京錠を開けるスピードよりも速く、
速度のみを求めてジーパンのベルトを外そうとした。しかし気持ちだけが逸って手指がもたつく。
声を荒げて毒づき、ファスナーだけ下ろして中身を掴みだした。
掴んだそれは、濡れていた。
ファスナーの合わせに張り詰めた肉が食い込み痛む、だが動きを止めずに、
足を広げたままの女の腰を肩から下ろした。立つスコープがぶらん、と揺れた。
「ハッ、ハッ、ハッ」荒い息が口から漏れる。
その音さえ、自分を昂ぶらせる要素になった。視界が赤いのではないかと思うほど頭が煮えたぎっている。
指を食い込ませて女の腰を抱き、ベッドの上に中腰に立ち上がる。女の体が『く』の字になるほど、
下半身を持ち上げた。足は大きく開き、その向こうに、白い腹と薄紫のタンクトップ、
さらに歪んで涙に濡れる女の顔があった。
「う、ああぁ」
「ハァッ、ハァッ、ええか、ようけ見とけよ!」
男も体を折り曲げ、高くそびえた男根を手で無理矢理下がらせて女の股の中心に合わせる。
膣の入り口には黒々とした円柱が刺さったままだ。抜く時間すら我慢できない。
男はスコープの下に己のモノを添え、即座に腰を落とした。
「い、ああああああああっ!!」女が鳴くと同時に男も呻いた。きつい。
はち切れそうな自身とスコープが合わされば、いつもの挿入より質量がある。
女の入り口で先の厚みが引っかかったのも無理はない。
189Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:51:16 ID:vexY3yTc
だが男は止まらない。二度、三度と腰を揺らし、体重をかけて掘り進んでいく。
その度に上がる女の喉に絡む声も、腰に重く響いた。
「あっ、あっ、ああっ、あうううっ! 大、きぃっ、きつ、いぃぃぃい!」
女に宿った羞恥心は女の常を払拭していた。求めではなく、脳に浮かんだ言葉を
ただ叫ぶようによがっている。男も同様だ。
「おうっ、きつ、いのうっ! じゃけえ、気持ちええ! 気持ちええな!?」
「うああ、きも、きもち、いい? 気持ちいい? わた、ひ、いたい、あっ、痛い、あぁっっ!」
「ハッ、くぅ、痛いか、ええじゃろ? お前っ、はっ、痛い方がっ、ええんじゃろう!?」
「いいっ、いいっ、ううぅ、あっ、ああっ、いたいのっ、ひああっ、いいぃっ」
肉棒をギチギチと縛られるような感覚だ。上部に添えられるスコープの硬い感触も馴染みがない。
未知の感覚に、男自身も辱められているような気がしてくる。

頭の熱を振り払うように、思い切りよく女の入り口を突破した。
「ふあああああっ!!」
白いベッドの上で、白い喉がのけぞり叫ぶ。その白さは光のようで、いつか見たような気がしたが、
なにかはわからず、むしろそう考えたことも瞬時に忘れ、と同時に腰を浮かせ、また落とし込む。
「はっ、ふっ、はっ、はっ」
一心不乱に腰を上下させる。いつも以上に狭い穴によって、男根全体が縛られるように
締め付けられている。入り口を往復する度、裏筋がぞりぞりと擦られる。腰に溜まる
白い快感は、脊髄を貫き脳を駆け巡った。快感で埋め尽くされ、脳内は白く濁っていく。
声を抑える意味を失い、自分を高めていくことだけがわかっている。
それ以外考えたくない。気持ちいい。それだけ。女が自分の下にいる。それだけ。
視界の両端に揺れる白いふくらはぎにいらついて掴む。視界で無駄に揺れる動きがなくなり、
より男は己に集中できるようになる。
見下ろす女も、肩で自分を支えるような格好で、男に揺さぶられるまま意味を成さない声を上げていた。
「ひゃ、ふあっ、ああう、ふああんっ、ひもち、ひいっ、や、やだぁ、やぁ……っ」
「ええよ、ええっ、お前っ、殺さんっ、殺さんぞ、ワレェッ……!」
「うあっ、やあ、あああっ、殺ひ、殺しってぇぇ、死にたい、死っ、にたいぃっ!!」
「死にてぇ奴がっ、こげえしがみつくかっ! もっとキモチくなりたい思ぉとるんやろうが!」
「っ願いっ、殺してぇっ、殺しっ、てぇ……っ!」
「殺してやらんわっ、お前は、わしと一緒におるんじゃ……っ」
女の締まりのない口から、よだれが一筋流れている。目は男を通り過ごし、天井を見ているようだが、
焦点は曖昧のようだった。目元の赤みは、涙でさらになまめかしい。
それを見るだけで、女に包まれる男の分身は今にも弾けそうになる。
欲望の走るまま、男は抽送の間隔を狭めた。そしてもっと女の奥へ穿ちたいと、
ふくらはぎを掴んでいた手を腿に置き換え被さるように抱えた。
ギシギシと女の股の間接がきしるほど、広げさせる。
「やぁぁあっ! 奥っ、きてるっ、硬いのあたっ、てるぅっ!!」
女はあえいだが、男の先端では、そんな感覚はなかった。圧迫される膣の中、熱い生肉が
張り付き強く締め付けてはいるが、壁というほど確かな行き詰まりはない。
思っていると、下腹に、スコープの硬い尻が当たっていた。これだった。
男の抽送と共に、膣の中を進んでいたらしい黒い体の半分が、すでに女の中に埋まっていた。
女の最奥を付いているのはその先だ。

男は頭に血が結集するままに任せた。右手で乱暴にスコープの尻を掴み、引き抜こうとした。
引いた瞬間、男の怒張に電流が走る。スコープの凸部分が、男の肉を引っ掻いていったのだ。
そしてその突然の刺激は、女の壁にも滑ったのだった。
白いふくらはぎが、びん、と硬直し、黒目も大きく見開かれる。
「ああああああああああああああっ!!」
喉が破れそうな叫び。
体の中のすべてを潰そうとするかのような強い強い圧縮。
男は、スコープにもたらされた突然の責めも加わった例えようもない快楽の固まりを、
これ以上なく膨れた己に一時に受けた。しかも腰の抽送を引くタイミングだったせいで、
女の圧縮は、押し返す力となっていた。スコープの端に押し出されてペニスが飛び出す。
刹那、女の内と外の最後の狭まりが、男の裏筋を擦り、厚みを強く吸う。
抜けるのは一瞬であったのに、その瞬間さえ捉えた柔軟な締め付けが男の限界を超えさせた。
「く――っ!?」
190Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:51:36 ID:vexY3yTc
膣の上で吐き出された男根が根本から波打つ。血管さえ浮いているどす黒い強張りが
持ち手のいないホースのように暴れて精液を吐き出す。途切れることなく出た放射は、
女の体を飛び越え、下方で口を開けている女の顔に降りかかった。首を傾げた面の、
上唇から鼻梁を斜めに横切り、悲痛なまでに寄った眉間と黒い前髪に、ばたたたっ、と音を立てて落ちた。
薄く桃色に色づく白い肌と、白濁した液、黒い髪は汗に濡れて細く光っている。
そのコントラストに見とれながらも、男の下半身はまだ無駄な精子を送り出していた。
びゅく、びゅく、と断続的な射精になると、今度は女の腹にぼたぼたと落ちる。
粘度の高いそれは、のったりと舐めるように女の肌を下っていき、胸の下で溜まっていた
薄紫のタンクトップを汚していく。薄紫に染められている赤い血ににじみ、覆うようだった。

コヨーテは、自分の荒い息が鎮まるのを聞いていた。
はっ、と意識を取り戻し、楓を探した。コヨーテに下半身を持ち上げられたまま、
動かずにいる。
ふくらはぎを掴まれていない方の足は膝を折り、しかし足を閉じようともしていない。
股を開いたまま、ぐちょぐちょに濡れ、すでに役割を果たしていないショーツと
その中身をコヨーテの前にさらしていた。体をかろうじて支えている細い肩の上に、
暗い目をした汚れた顔が、ぼんやりとあった。
「楓――っ!」
コヨーテは持っていたスコープを落とし、楓の体を横たえた。
ベッドの上で腰が妙に浮いたのを見て、下敷きになっている手を思い出す。
楓をそっと横向きに倒し、拘束していたブランケットの結び目をほどく。
結び目の中に拳が入り込んでいて、抵抗の跡が見て取れた。血の気が引く。
「すまん、楓っ。わし、こげんこと……ホンマすまん!」
コヨーテは、たどたどしい手つきで、小さな拳のままの手を開かせる。
親指を緩め、残る四本を、間接から恐る恐る解いていく。
両手を終える間、楓は一切反応しなかった。そのことが、コヨーテをじりじりと苛んでいる。

再び楓を仰向きに戻し、背中に巻き込んだままの手を、体の横へ揃えさせた。
へそを出すタンクトップを引き下げようとしたが、自分の精液が張り付いているのを見て
やめる。視界に入った、偏ったショーツも戻そうかと思ったが、色を変えるほど
濡れているのだから、取り替えた方がいいだろう。そう考え、先に精液を
拭おうと、拭く物を探すために立ち上がる。
タオルでいいだろうか、物が目に付かない部屋だが、シャワー室ならそれくらいありそうだ。
歩き出そうとしたとき、股間に冷感を感じる。未だ、ジーパンのファスナーを開けっ放しにしていた。
コヨーテは慌ててベッドに背を向け、頭を垂れる分身を仕舞い込む。
気を取り直そうとしたとき、背後に音を聞く。カチリ。
聞き慣れた硬い音だ。コヨーテは、ゆっくりと振り向いた。

楓が小銃を構えていた。膝を折ってベッドの上へ座っている。
膝元に、濡れ光るスコープが転がっていた。
コヨーテは、小銃の銃口を見つめる。なぜいつまでもそこから弾丸が発射されないのか、不思議だった。
弾丸の代わりに、銃口から飛び出たのは言葉だった。
「Get out(出て行って)」
その台詞は当然だが、自分のしでかしたことに対しては、甘すぎる言葉だった。
そのことに勘違いな思いを抱くつもりはない。できもしないのだが、不可解すぎる。
「かえで」
「Get...Out...」
単語は区切られ、一音一音が強く言い放たれる。銃の後ろに見える黒い目は、真っ直ぐに
コヨーテに差し込まれている。しかし、なんの感情も見いだされない。
石よりも冷たい。今まで感じたことのない温度の目をコヨーテはしばらく見つめ、逸らした。
背を向けて、玄関に足を向ける。歩き、扉を開け、閉めた。
しばらく扉に寄りかかっていても、銃声一つ聞こえなかった。
自分は、楓の中に残ったかもしれない。だが、殺したい対象にさえなれない存在として、だ。
コヨーテは顔を掌で覆う。
「なに……しとるんじゃ、わしゃぁ……!」
胸の内の焦土は黒々と残っていて、掌の歪んだ線は焦土に裂き引かれたヒビに似ていた。

191Hand 2 コヨーテ×楓:2010/08/04(水) 20:55:42 ID:vexY3yTc
>>180-190までkiller7のコヨーテ×楓

こんな終わり方ですみません。コヨーテ哀れと思われた方は、ハッピーエンドのはずの次回まで待ってやってください。
192名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 17:56:57 ID:RnHt34yc
>>191
コヨーテがいいキャラしてるなぁ
ハッピーエンドに期待おつ!

話変わるけどNMH2の公式サイトオープンしたって本当?
携帯だから見れないんだけど、過去のランカーも出てるって聞いたんだが…マジか
193名無しさん@ピンキー:2010/08/05(木) 23:42:16 ID:XjECXEoO
コヨたんの すごい 不憫っぷり 
なんだこれ萌えざるを得ない。

>>192
うんマジ。先週のハミ通とかでちょこちょこ情報は出てる。
少なくともデストロイマンさんは
海外版でトラヴィスに半分こにされたのをもう半分機械で補ってるっぽい。
個人的にはナオミ博士続投なのが嬉しくてたまらない。
194kwkm:2010/08/05(木) 23:48:40 ID:XjECXEoO
せっかくなんでついでに業務連絡。
私事でアレですがぼちぼち忙しくなるので、保管庫の作品収納・レス収納作業が遅れる場合があります。
具体的には10月末くらいまで続く予定。
スレ・メールは定期的にチェックするのでログ保存の点ではご安心ください。
以上保管庫の中の人でした。
195名無しさん@ピンキー:2010/08/07(土) 22:00:32 ID:iaeBBN+c
スレ下の方にあるけど平気?
196名無しさん@ピンキー:2010/08/09(月) 14:43:23 ID:9rs1SqUi
では試しにあげ
197名無しさん@ピンキー:2010/08/10(火) 00:15:51 ID:HkfL6p2/
ageおつ
下から三番目だったので落ちるかと思った
198名無しさん@ピンキー:2010/08/11(水) 00:37:21 ID:pN2EaOQ3
久しぶりに考察まとめで同盟の特殊能力云々のところを読んでいたら、
「魔弾の殺傷力って男のコだよな」
とかのたまうダンが脳裏に浮かんで消えていったでござる
199名無しさん@ピンキー:2010/08/26(木) 23:57:58 ID:FDo/Tmua
あまりに暑いから
ついうっかりプールに行ってはしゃいでしまう餓鬼と裸足
と、同時刻、タトゥーを指摘され入場規制くらってしまい
入口近くの日陰で体育座りで落ち込む盗人と暴君

という絵を受信した
200名無しさん@ピンキー:2010/08/27(金) 15:40:35 ID:+OrCiOeF
そして、アルビノで日差しに当たると火傷したみたいになるから、宗教上の理由で肌を見せられない国の女性状態の眼鏡

暴君の肩のは、銃で撃たれた跡かと思っていた
201名無しさん@ピンキー:2010/08/28(土) 09:28:42 ID:teCYneWq
覆面のままプール入ったら水面から出ても覆面の中で溺れ死ねそうだな

そんなマスクを想像したら何かへこんだ…
202Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:15:27 ID:AqHM5vlU
保守がてら。エロなしです。

注意
・コンがひどい(男娼過去ねつ造・口が悪い)
・乙女心の三人だがコヨーテが一番乙女
・エセ広島弁
・ゲーム本編より少し前の出来事設定

不可な方は名前欄「Hand 0.5 コヨーテ×楓」で避けてください。
203Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:15:53 ID:AqHM5vlU
公園は陽の光をさんさんと受け、緑の葉をきらめかせていた。
平日の昼下がり、ランチボックスをたたみ始めている家族連れや余暇を楽しむ老夫婦が、
ベンチで日だまりに和んでいる。
平穏で、誰も気に留めないような風景に、あまりそぐわない二人組がいた。
派手な柄シャツを着崩すプエルトリカンと、首元の伸びきったランニングシャツを着る東洋系の少年。
コヨーテとコンだ。
二人は歳は離れているが親子ほどではなく、男の人相の悪さで、ともすれば誘拐を連想させる
組み合わせだった。しかし、彼らを遠目で観察する『一般的な』――善意はあるが
危うきには近寄りたくない――市民たちの印象では、険呑な空気は感じられなかった。
ならばと、悪目立ちする二人は遠慮なく黙殺されていた。

長閑な時間の中、二人は墓石を背にするベンチで、遅まきの昼食にありついている。
コヨーテは、部屋を訪ねてきたコンに引っ張り出された形だ。
なぜか昼食をおごらされているのだから、たかられている風でもある。
しかし、薄暗い部屋から出て陽を浴びるのは、実際いい気晴らしになっていた。
コヨーテは礼のつもりで、路上売店から二人分の食料を買い求めたのだった。
香ばしい茶を見せるホットドッグは、赤いトマト・ケチャップと黄色いマスタードがたっぷり、
目に鮮やかな白と緑のグラデーションを見せるザワークラフトとオニオンもトッピングさせた。
そして、炭酸の泡がブギする真っ黒いコーク。ごくありふれたランチだ。
「ンッン〜ン」
なのに、コンは頬張る度、機嫌良く鼻歌を歌い肩を揺らしていた。
口いっぱいに食べ物を詰め込み、頬をパンパンに膨れあがらせる様は、どこかで見た
カートゥーンそっくりだ。
その呆れる食べっぷりを見ていた分、コヨーテの手にする昼食は、まだ半分を残していた。
過去に「落ち着いて食え」と言ったこともあるが、コンが身を置いていた路上生活の鉄則、
『食べられるときは全力で』という習慣は抜けきらないようだった。
コヨーテも自分の幼い頃を思い返せば似たようなものだし、機を逃さないという信条は
盗みを生業としていた自分にも通ずるところがあるので、口出ししたのはそれ一度きりだった。
つかの間の幸せに水を差すこともないだろう。
204Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:16:13 ID:AqHM5vlU
コンがコークの最後の一すすりを勢いよく吸い込んでいる。「ぷっはぁ! あー食った!」
満面の笑みを正確にコヨーテへ向けた。「うまかったあ。サンキュー、コヨーテ!」
「はいよ。ほいでも、顔のそっこら中にカスやらケチャップやら付きまくっとるぞ、お前」
「マジで!」コンが両手で口を拭う。「まだ食えんじゃん! ヤベー、サンキュー」
少年が両手をなめ回している様を、コヨーテは半目で見た。
やはり、もう少し躾けた方が良くはないか。
真っ当な躾けというものはわからないが、少なくとも人間が動物じみて体をなめ回すのはどうか。
だが、そもそもこういった、『指導する』分野は自分ではなく、
他の同盟員の役割ではないだろうか。
ガルシアンか、マスクといった――いやいや、うってつけがいた。サマンサだ。
同盟のボスであるハーマンの奉仕役として、洗練された作法を見せている女なら、正しい作法を
教えられるのでは?
(女の殺し屋でも、あげえしとやかな奴もおるもんなんじゃのう)
「また楓のこと考えてんのかよ。今日何回目だよ、ったく!」
コンが、心底げんなり、という表情で、大げさにため息をついて見せた。コヨーテは目を剥く。
「はあ!? なんも考えよらんが!!」
「Fuckin'lie!(嘘付け、タコ)」
コンがケタケタと笑いながら、唾液で洗った掌をシャツに擦りつけていた。
シャツの首がさらに伸びる。
「俺に嘘付けると思ってんの?」
コンは盲目だが、生まれついて聴覚が超常的に発達している。
聞くことで、見ること以上に物事を理解する少年は、離れた他人の心音を聞くことなど朝飯前で、
心音でその者の心中を探ることなどお茶の子さいさいと、のたまっている。
事実、楓を初めて抱いた後のある日、コンに楓の名を口にされただけで、
「コヨーテって、楓のこと好きなの?」と言い出されたことがある。
その頃、すでにそこまで感情が動いていたかは今となっては思い出せないが、とにかく、コヨーテが
楓へ特別な感情を持っていることを、この最年少同盟員は承知している。

浅黒い肌が嘆息する。
サマンサを評したとき、『女の殺し屋』の比較対象を幾人も
知っているにもかかわらず、自然と、黒い短髪の物憂げな同盟員の姿を思い描いていた。
その思考に沿った心臓の動きを読まれたのだろう。
たかがそんなことで。
たかが思考の端にかすめただけの残像にすら、自分は心を乱される。
205Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:17:11 ID:AqHM5vlU
そこまで毒されていることに嘆息した。
「気にすんなよ。いいことじゃん?」
「……なにが」
「気持ちがだだ漏れ、ってことが。その方がシンプルでいいんじゃん?」
楓に言う手間が省ける、と口の片端を上げられた。
「お前、慰めとるつもりか、それ?」
「おごってもらったからね、サーヴィスだよ」
「ほっほーう、サーヴィスね」若干、自棄になりながら「別のサーヴィスに代えてもらえんかいの!」
「オーケイ、どうする?」
「なにができるんじゃ」
「たいがいのことは」
「ほーじゃのう。南の島にバカンスに連れて行ってもらおうか」
「ハハハ、一人で行けば? クソ野郎」
「おーおー行ったるわいっ、お前にゃポストカードも送っちやらん」
「楓も連れてけないのに、そんなとこ行ってどうすんだよ」
「……おっまえはホンマ……」口の中で噛み砕いて、腹いせに残っていたホットドッグを一口。
「ヘイ、プエルトリコ産のオニイサン、俺はサーヴィスするって言ってるんだ。
あんたに心から尽くすってこと! またとないチャンスだよ? きっちり好機を盗れよ。
ったく、盗人のあんたにこんなビギナーズ・ルールを言わせんなよな」

やけに押してくる。コヨーテは隣に座る少年を盗み見た。
顔を真っ直ぐに公園の方へ向けている――つまり、こちらに耳を向けて、意識を集中している。
本気で、なにかしたいと窺っているのだ。
もしかしたら、そもそもここへ連れ出したのも、このためだったのかもしれない。
コヨーテはコークをすすった。ゲップを大きくひとつして、言う。
「……お前はどうしたいんじゃ?」
「コヨーテが一番行きたかったり一番見たかったり一番食べたかったり一番触りたかったり
一番気になったり一番欲しかったりするものを手に入れる手伝いをしたい」

コンはそう即座に、よどみなく答えた。コヨーテは苦笑する。

「ほうか。ほいじゃ、楓のことで手伝ってもらおう」
「うん」
「あー……、お、そうじゃ、東洋人には全員あるもんなんか?
カミカゼ・アタックっちゅーか……『死んでもええ』っちゅーハラキリ・スピリッツみたいなもんが」
「なにそれダッセェ」
「ないんか」
「ねーのはあんたの脳みそだよ、なんだよハラキリ・スピリッツって。センスねーなー」
206Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:17:37 ID:AqHM5vlU
ジーパンの足が少年の脛を蹴ろうとした矢先、少年にすらりと足を上げられた。
頭の位置が移動したせいで、ヘッドフォンが眩しく陽光を跳ね返す。
隣は素知らぬ顔であぐらをかいて、話を進めた。
「東洋人ったって、楓はマジで日本人ってわけじゃないんだろ? それ当てはまんの?」
確かに、楓の言葉や生活様式はこの国に馴染んでいる。
しかし、民族性までは、なかなか表象しないのではないか?
もし、楓の『死にたがり』が、民族特有のものであれば、自分に払拭できるかどうか自信が持てない。

できるかどうか煩うということ、つまり『できる』のであれば、どうにかしたい。
コヨーテはそう考えるようになった。振り出しに戻ったと見えるかもしれないが、
自分の嗜好性に合わない、という個人的な根があった頃と比べ、今や芯を持った確信がある。
ガルシアンの一言が後押しをしていた。
(「『二人の問題』だ」)
『問題』と、あの男は表現した。他人から見ても、障害、取り除くべきものと認識した方がいいものなのだ、
楓の希死欲求は。
それなら、あの暗い欲求を取り払ってやりたい。
あんな壊すための抱き方も、一人取り残される空しい思いも二度とごめんだ。
しかし、楓への新たなアプローチがわからなかった。
死ぬなと言って効かない相手であることはもうわかっている。
初めて楓を犯し殺した後、また巡ってきた楓との狂おしい時間に、「殺して欲しい」と強く乞われ、
沸騰する頭は短慮してしまった。結局願いを叶えて、挿入しながら首を絞め窒息死させた。
楓を回収に来たガルシアンは、眼光だけ鋭くし、無言で去っていった。
だから記憶は上書きされずに残っている。
(「少し、冷静になれ」)
今度こそ、と思いつつ、考えあぐねていたところに、コンが訪ねてきたのだった。

「だいたい」コンが続けた。「楓が死にたがってることと日本人は関係ないんじゃない?
俺の会った日本人で死にたがってたヤツいないし」
「お前にもないんか」
「ないね。つーか、俺と楓を東洋人の代表にするって、笑えるよ?」
「ふむ……」
頷いて、コヨーテはまたコークを吸う。空になると、紙コップを握りつぶして足下に置いた。
残る昼食はホットドッグだけだ。
先にこちらを片付けてから話を続けるか――と思っていたとき、
「あのさぁ」コンが拳を肩へこつんと当ててきた。
「なんじゃ」
207Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:18:12 ID:AqHM5vlU
「楓が『死ぬ』のって、そんなにこだわらなきゃいけないこと?」
「……はあ?」
「コヨーテがヤなのはわかるよ。『復活』するまでオアズケだもんね。
でも楓は『死にたい』んだ、しょーがねーじゃん? 待っててやりなよ」
それよりさー、と続けようとした少年の両頬を片手で引っ掴んだ。
「いへぇ!!」と声を上げた顔を強引にこちらに向かせる。
「……今なに言うた、ワレェ……」
「らんらよ、はられよ、いへぇっへ!!」
「楓ぇ死によるんが『しょーがねー』で済ませられんけぇ、お前に話しとるんやろうがぁ……」
「らぁらろんらんろーららいっへいっへるらろ!」
「ランランランラン、うっさいんじゃ、ダァホ! しっかりしゃべらんかい!」
「らっならはられよ、ごろらっいんいっう!!」
あぐらを崩して、両足で交互に蹴りを入れてくる。それもコン特有の超速だ。
「っ!!」腹に穴が空いたかと思った。震えながらベンチの背に倒れ込み、腹を抱える。
「ザマァ見やがれ、クソコヨーテ!!」
「おま……おま、なにしよる……っ」
「ギャーッ! てめえこそなにしてんだホットドッグ落ちそうだ馬鹿!!」
目を上げると、コンが両手をアワアワと動かし『聞き入っている』。
次に右手を見てみれば、落ちるよりなにより、パンは確実に握り潰していたし、
噛み口が斜めどころか垂直で、トッピング類は盛大に地面へこぼれ落ちていた。
無残な食べ物の姿に、コンは蒼白めいてうろたえている。
すぐにもホットドッグを救ってやりたいのだろうが、他人の物には手を出さない、という
作法は知っているようだ。
この状況下、コヨーテはひらめき、調味料がべたべたと張り付く右手をさらに握り込んだ。
「ギャーッ!! この人でなしッ!! パンが!! パンが千切れちまう!」
慌てふためく様が面白くなってきて、悪ノリする自分がいた。
「ハッハー、おうよ、わしの手にかかりゃーこげえもん、地獄へ真っ逆さまじゃけんのう〜」
「ズゥシャオ、ズゥシャオッ!(やめろったら!)」
「離してもらいたかったらなんで楓が死によるんがええんか言え」
「ミンバイラ!!(わかった!!)」正真正銘必死のコンは即応したが、次の瞬間、
答えた口を空けたまま、固まってしまった。
「……なんじゃ、言わんのかい」
「言っ……う〜〜っ」のけぞるように背をそらして、反動で前屈みに顔を近づけてきた。
「……マジで言わなきゃダメ?」
「ほ〜れ」
「ギャーッ!! 言うからパン離せぇえええ!」
208Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:19:04 ID:AqHM5vlU
「ようし、男と男の約束じゃ」コヨーテはトマト・ケチャップとマスタードで
染まった右手を差し出した。
コンがホットドッグを引っさらっていく。少年の危惧したとおり、パンは千切れかかっており、
救助された途端、その身をだらりと手の甲へ投げ出した。
「うああ……っ、こ、こんなボロボロになっちまった……!!」
「腹ん中入りゃ同じじゃけん、食べてやりんさい」
ケケケ、と笑い、コヨーテは右手の調味料をなめ始めた。はた、と気づき、手を凝視する。
これでは先ほどのコンと同じだ。
(ナプキンは捨ててもうたな、クソ……)
毒づき、なにか拭くものは、と見回すと、隣が視界に入った。

手渡したはずのホットドッグはすでになく、少年は両手をなめまわしていた。
それだけなら早食いの彼のこと、気に留めるようなことではないが、
顔をこちらへ向けていたのだ。つまり、注意を向けている先は、ベンチの正面
――公園にやってきた一般人、ということだ。
「コヨーテ」いつも通り、シャツで手を拭き終えた彼は、少し顔をうつむけて言った。
「あん?」
「……誰にも、言わないで欲しいんだけど」
「……おう」
コヨーテは、少したじろぐ。今までの騒がしさから一変、神妙に引き締められた唇を
舌が往復したのは、ケチャップの味を確認しているのではないだろう。
やがて、ぽい、と言葉が投げ出された。
「殺り方を覚える前は、買われてたんだ、俺」
「? なにを?」
「おっさんとか、おばさんとかにさ」
「殺しで?」
「そっちじゃない」
コヨーテは、今度は自分が張り倒されたような衝撃でもって、理解した。
コンが孤児だということは本人から聞いていた。それ以上のことは知らない。
だが、少し想像力を働かせれば、容易にわかる。手っ取り早く金を稼ぐ方法は、
他人の欲求に応えてやることだ。いつの世も衰えない人の欲のひとつに上手く取り入ること、
それは孤児が生きていくために、必要なスキルだったのだろう。
だが本人は『ただのスキル』と割り切れないシコリがあって、言葉にしたくなかったのだ。
先ほど話すことを一瞬ためらったのは、そういった本心があるからなのだ。
だから、公園で団らんする幸せそうな家族へ注意を向けていたのだ。
209Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:19:25 ID:AqHM5vlU
コヨーテは右手を拳に固めた。この拳を、知らずとはいえそんなことを強要した数分前の自分に
振り下ろして本当に叩きのめしたい。

「稼がなきゃ食えない。食えなきゃ死ぬしかない。
でも俺は、さっきも言ったけど、死にたいとは思わなかったから、つまり……」
語尾を濁して、察してよ、と言わんばかりに肩をすくめられた。コヨーテは了承する。
「というワケでさ、殺り方を覚えるまでは、俺にはこれが『やらなきゃ死ぬしかない』ことだった。
俺のそういうことが、楓にとって『死ぬ』ことなんじゃないの、ってことさ。
だから、楓が『死ぬ』のもしょーがない。そうしなきゃ生きてけないんだから」
(なるほどのう……)
納得しかけて、コヨーテは眉をしかめた。「いや、待て待て。おかしいじゃろう」
「なに?」
「今のお前の言い方、『やらな死ぬしかない』は、楓にしたら
『死なな、死ぬしかない』っちゅーことになる。結局死んどるわい」
「何回死んだっていいじゃん、俺たち『復活』すんだから」
「そうはいくけえ、ダァホ! 死んでええことあるか!」
「もーぉ」コンは体中を脱力させて続けた。
「どうしてコヨーテはそんなに『死ぬ』ことにこだわんだよ? 楓、『復活』すんじゃん、
そんでまた死ぬよ、確かにね? けど『復活』と『死ぬ』の間、生きてんじゃん?
コヨーテはその生きてる間、一緒にいられる。いいじゃん、それで」
少年の首が傾いだ。口の端がやや下がっていて、バンダナの下の眉が見えたなら、
きっと八の字を描いているだろう。
目の表情が見えなくても、聞き分けない相手に心底困っている空気が十分に伝わった。

(わしかて、お前の言うとることわかってやりてぇ)
秘密を話してまで伝えようとしてくれたのだから、コンにとって大切な真理なのだろう。
だが、どうしても納得できない。楓を死なせたくないという想い、その根源を、
否定されているようで。
いつまでも応えない男に、少年はとうとううつむいた。
「……俺じゃ手伝いになれないみたいだね。ごめん」
「そげんことないわい」
コヨーテは綺麗なままの左手で、垂れた頭を一掴みした。ぐいぐいと横に振る。
「イデイデイデッ」
「楓の『死にたがり』が東洋の神秘じゃあないことがわかっただけでも収穫じゃ」
楓の意識を変えられる可能性は十分にあるということだ。
それに――。
210Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:19:46 ID:AqHM5vlU
「ええ天気に外におれて気持ちええし、うまいホットドッグも食えたんじゃ。
コンが誘うてくれたおかげじゃ」
「――そう?」
「おうよ」
浅黒い腕の下で、少年は『ニィ』と口を緩ませて、短く鼻をかいた。「……あ」
「うん?」
「俺、わかっちゃった!!」
「なんじゃ?」
「楓、コヨーテのこと嫌ってないよ!」
コヨーテは瞬く。「ほ、ほう? ちぃと詳しく言うてみい」
「そんな心臓ドキドキさせて聞くなよ、うるせーな」
「うるっさいわ! 早う話せ!」
コンが言うには、楓の部屋でだらだらしているとき、まれにコヨーテの話題を持ち出すらしい。
先が読めた、とコヨーテは胸を高鳴らせた。コンがうるさがろうが仕方ない。
「ほ、ほうか、そりゃ、その、楓の心臓がうるさいっちゅー、あれか?」
「いや、全然」
「は?」
「びっくりするほど普通」
「…………」
「ハハハ、そんな落ち込むなよ、話はこれからだぜ?」
「おまえ……おまえ、それ、わしにわざわざ言わんといけんか……?」
なにが悲しくて、想う相手が自分に無関心であることを思い知らされねばならないのだろう。
「当たり前だろ! 今まで言わなかったのが悪かったんだ、
そーやって落ち込むだろーって思ってたから。でもそれじゃいけないんだ、コヨーテ!
あんたが『死ぬ』ことにこだわるんなら、自分が『楓の中にいない』って知っとかないと!」

ガンガンと言葉の銃弾を撃ち込んでくる。おいおい、今さっきのムードはどこへいった?
結構ハートフルな展開に持って行けたと思っていたんだが?
遠い目をしかけても、コンは容赦なく言葉をめり込ませてきた。

「わかるかい、オニイチャン? だから楓、死にたくなるんだってことさ!」
「へ?」
「なんで楓が死にたがんのか知んないけど、コヨーテが楓の中にいたらさ、
楓も死にたいなんて思わなくなるんじゃない!?
俺、コヨーテといると楽しーもん! そんで、俺死にたいって思ってないじゃん!?
だったら俺みたく楓もコヨーテと一緒にいるのが楽しーって思えば、『死にたい』なんて
思わなくなるんじゃない!?」
体内にめりこんできたのは、思いもよらない嬉しい弾丸で。
211Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:20:16 ID:AqHM5vlU
「ほ……ほぉぉお? なるほどのぉおお!」
「なー!? だろ、だろ!?」
「そーーぉかもしれんのぉぉお!」
「だっろーーーー!!」
意味もなく、二人でお互いの腕をバシバシと叩きあう。
そうか、『死ぬ』ことを厭うてばかりでは進展しない。
強制的な手段、すなわち『死なせない』手段を考えればよかったのだ。
(その手段に、わしがなりゃあええんじゃ!)
今にも走りだしそうに心が浮き立っている。我慢できず、コヨーテは勢いよく立ち上がった。
「よっしゃぁあ、コン! わしゃぁ、やったるわい!」
右手はいつの間にか拳を作っていた。広げると、赤と黄がねばついて、掌を接着気味にさせていた。

212Hand 0.5 コヨーテ×楓:2010/09/05(日) 00:25:56 ID:AqHM5vlU
>>202-211まで killer7のコヨーテ×楓

前投下したものの冒頭部分として書いていたがその後と空気が断絶しているので外した部分でした。
勝手ながら保管は遠慮させてください。

とりあえず、自分のコンのイメージも世間と断絶しているようなのに、この板で気づきました。
こんなコンをイメージしてるけど、ここの天使のコンも大層かわいらしいと思っているので、
もっと投下が増えればいいのにと思います……。
213名無しさん@ピンキー:2010/09/05(日) 21:44:52 ID:yjEsou+j
兄貴と弟分って感じの二人のほのぼのした雰囲気がいいなぁ

いい子すぐるコンに目から鼻水が止まらなかったよGJ!
214名無しさん@ピンキー:2010/09/18(土) 15:50:44 ID:xzcy/w0V
ほすほす
215名無しさん@ピンキー:2010/09/24(金) 09:12:49 ID:+3o33DPL
ほしゅついでに
須田氏と三上氏がまた組んで、EAって所からホラーアクション出すらしいね

発売とかまだまだ先っぽいけど
216名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 22:00:57 ID:dfAy1Yjf
NMHDS発売まで一ヶ月切ってるんだなー。
今回も女性キャラたくさんだし楽しみなんだぜ。
217名無しさん@ピンキー:2010/10/05(火) 22:05:18 ID:qnpYZgdG
例によって女がみんなパワフルそうな件

ホリー戦の投げを超えるエロスなプロレス技が見られるだろうか…
218名無しさん@ピンキー:2010/10/09(土) 21:30:48 ID:edifomrU
キミーたん、そういう方向性のキャラだとは解っていたがやっぱりインパクト強ぇえwww
あとイラストじゃタレ目そばかすなんだなぁ。
219名無しさん@ピンキー
NMH2発売おめでとー

ここでのネタバレは一ヶ月過ぎたらでいいんだっけ保守